宮守の神域   作:銀一色

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東一局一本場ですね。
照の『連続和了』の前の能力をオリジナルとして考えました。


第56話 決勝戦 ④ 加算麻雀

 

 

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視点:辻垣内智葉

東一局一本場 親:小瀬川 ドラ{4}

 

小瀬川 28,900

照 25,000

辻垣内 21,100

洋榎 25,000

 

 

 

 

シロ……いや、小瀬川が先ほど3,900を私から和了ったおかげで、一本場に突入すると同時に、『照魔鏡』も発動された。そんなに長い時間鏡が背後にあったわけじゃないが、恐らく私を"全部見た"のだろう。そして、この局から本格的に宮永照も参加してくるということだ。

 

しかし、ただでさえ前局小瀬川一人に翻弄され、相手が一人減ったという千載一遇のチャンスをものにできなかった私が、三人を相手してまともに耐えられるか?と言われるとまあ、微妙なところではある。

 

 

だけど、それは既に承知していたはずだ。今更出鼻を挫かれた程度で狼狽える必要も無いだろう。と、自分に言い聞かせ、気持ちを切り替えることにした。

 

 

辻垣内:配牌

{一四九②⑤⑦⑦233456}

 

 

 

配牌は四向聴と、若干遅めの配牌ではある。が、断么平和が見えており、上手く重なれば三色まで育ちそうではあるが、そんなに都合よくは重ならないだろう。

 

 

さて、ぶっちゃけて言うと、私の配牌はそこまで重要な事ではない。この場で一番重要なのは、何といっても前局『照魔鏡』を使用し、すべてを理解したであろう宮永照だ。彼女には『照魔鏡』以外にも脅威となるものはある。()()がこの局から始まるとすれば、対策を今のうちに講じなければ、また以前対局した時のような独壇場(虐殺)になりかねない。

 

確かに、小瀬川も愛宕洋榎も脅威ではあるが、宮永照はそれを圧倒しかねない。それほどまでに、宮永照の()()は恐ろしいものなのだ。

 

 

だが、宮永照が未だ()()を使わず、また様子見となれば、話は変わってくる。そうなれば今の脅威は宮永照から今親である小瀬川へと移る。

 

実際、二局連続で『照魔鏡』となる場合などは分からないが、小瀬川がいるこの卓ではありえそうで恐ろしい。言うまでもなく、小瀬川は未知数だ。その異端故に、もしかしたら『照魔鏡』でさえもはっきり見えない可能性があるかもしれないからだ。

 

ともかく、今の注意すべき点はそんなところだ。

 

 

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4巡目

 

辻垣内:手牌

{三四①②⑦⑦2334456}

ツモ{二}

 

 

あれから4巡。前局チャンスをものにできなかった私を、神は未だ見放していないらしく、四回のツモが全て有効牌であり、聴牌に至った。

 

聴牌……とはいっても未だこの手は高くなる余地はある。例えばここから{2か5}をツモって一盃口。若しくは{①②}の辺張を払って断么に目指したり、{④}をツモって打{①}の断么三色など、この手は未完成といっても過言ではない。

 

であるから、ここでリーチをするのは勿体無い。と普通なら考えるだろう。

 

 

「リーチ!!」

 

辻垣内:捨て牌

{九一⑤横6}

 

 

しかし、私にとってそんな事は考慮にすら値しない。

 

何故か。と言われれば、これは単純な脅しである。4巡目のリーチという威圧をかけ、相手を怯ませるためのリーチだ。

 

とはいえ、そんなものは少なくとも小瀬川には通用しない。が、このリーチには二つ目の理由がある。

 

 

その二つ目の理由は、小瀬川は今{③}が浮きかけている。いや、そうなるように牌が偏っているのが理由だ。

これは勘にしか過ぎない、理屈のないものだが、この勘は恐らく当たっているだろう。

本来見たくはない彼女の捨て牌を見てみると、早々に{②}が切られている。これを罠と認識するか否かを考えてしまう止まらないので、とりあえず素直に見ることにすれば、彼女の手には{②}周辺の牌が存在しないということだ。となれば、{③}も溢れるはず。という予測だ。

さっき言った通り、これが罠であれば彼女からの直撃はまず出ないであろう。

だが、そんな事を考えていても結論は出ない。もしかしたら他の二人から出るかもしれないし、ツモってくるかもしれない。善は急げというやつだ。

 

 

 

 

小瀬川

打{③}

 

 

だが、意外にも小瀬川は一発で私のお目当の牌、{③}を河へ放った。

一瞬、思考が止まってしまうが、ハッとした私は手牌13牌を倒す。

 

 

「ロ、ロン!」「ロン」

 

 

 

だが、私の発声の一つ遅れて放たれる和了宣言が私の鼓膜に響いた。

ギョッとして音のする方向を向くと、そこには奇しくも同じ{③}待ちである手牌13牌が倒している宮永照がいた。

 

 

宮永:和了形

{①②④④⑥⑦⑧789中中中}

 

「中のみ……頭ハネの1,300は1,600」

 

 

その瞬間、二つの事が脳をよぎった。一つは、小瀬川は意図的に差し込んだということ。私の待ちも、宮永の待ちも分かっていたからこそ、あえて{③}を打ったのだろう。振った瞬間に点棒を取り出そうとしていたのがその証拠だ。

二つ目は、宮永の()()が発動しようとしていることだ。

 

 

(やはり、前局で全部見たということか……)

 

 

 

今の和了が中のみの手。ということは、()()()()か。くそ。思った以上に自分の手が早く進みすぎて、警戒を怠ったか……

 

 

 

 

 

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視点:宮永照

 

 

白望さんの闇は結局分からなかったが、きっと何度見ても同じであろう。と思った私はいつもの打ち方を始めることにした。

 

 

加算麻雀。和了った飜数が合計十三飜になった時、役満を聴牌するという私のいつものスタイルだ。

 

色々制約はあるものの、私のこのスタイルを破ったものなど、そうそういない。……私の妹を例外として、だ。

 

 

 

今が一飜の和了りであるから、残り十二飜。この卓で十二飜分和了るのは容易ではなかろうが、まあいいだろう。

それでも、勝つのは私だ。

 

 

 

 




ここで少し照のオリジナル能力『加算麻雀』について少し。

加算麻雀(所謂『ギギギー』の奴だと思って下さい。)
・和了った飜数が十三飜以上になると、次の局で役満を聴牌できる。
・『連続和了』のような、和了り続けるという制約はない。
・発動時に『ギギギー』という音(役満の枷が外れた音的な感じ)がする(重要)

メリット
・確実に役満を聴牌できる。
・和了り続けなくとも発動できる

デメリット
・聴牌できるだけであって、確実に和了れるわけではない。
・連続和了のように、役満発動時以外は手牌に補正はかからない。補正なしで十三飜分和了る必要がある。
・そもそも十三飜分和了らなくてはならないので、時間がかかる。
・飜数のストックは半荘までしか持ち越せない。即ち後半戦になると飜数がリセットする。


連続和了より強くしないように、尚且つそれでも強くするように……と、頑張って考えた結果がこれです。
よくこれ相手に咲ちゃんはプラマイゼロできたな……まあ、役満がくるタイミングとかがわかれば、咲ちゃんレベルになれば対応できるのでしょう。
色々ガバガバな点があるかもしれませんが、追々補強していきます。
因みに、今の照は『連続和了』が使えない設定だからいいですが、『連続和了』と『加算麻雀』は併用することが可能です。

……アレ?めちゃめちゃ強くね?


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