宮守の神域   作:銀一色

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東二局だと思った……?
残念!違います!

……すみません間に合いませんでした(スライディング焼き土下座)


第57話 決勝戦 ⑤ 応援

 

 

 

 

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視点:小瀬川白望

東二局 親:宮永照 ドラ{①}

 

小瀬川 27,300

照 26,600

辻垣内 21,100

洋榎 25,000

 

 

 

 

(……親、流しちゃったなぁ)

 

 

照に1,600の点棒を渡す時、私はそんなことを思っていた。あの場では照に振り込むのが一番最良の判断であった。意外にも智葉の流れが良くて、対応する時には既に照に差し込むしか方法がなかった。……あのまま振り込まなきゃ、いずれツモってくるのは智葉だ。それくらい、さっきの智葉の調子は前局良かったのだ。結果として、私からの直撃は叶わなかったが、親を流したことが既に値千金であるのだ。

……次の親は照か。『照魔鏡』以外の事はよく調べてなかったから分からないけど、確か『加算麻雀』とか言ったっけ?まあ、それを発動させないように照を封じなければ行けないなぁ。流石に役満を何発も放たれちゃあダルいこと極まりない。ありがたい事に智葉と洋榎も照を止める事を考えてくれている。照の親に移ったとなると照に対する目つきが鋭くなっている。

 

 

(良いね、この緊迫した感じ。やっぱり麻雀はこうでなくちゃ……)

 

 

卓を囲む殺伐とした空気にシビれながら、配牌を山からとっていく。

まだ勝負は始まったばっかりだ。

 

 

 

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視点:神視点

実況室

 

 

『……未だ東二局ではありますが、各選手の立ち上がりとしてはどうなのでしょうか?大沼プロ』

 

決勝戦の実況は準決勝まで解説をしていた人が変わり、大沼プロと呼ばれる老人が務める事となった。

大沼秋一郎。66歳という年齢で、延岡スパングールズというシニアリーグに所属している男性プロ。彼の全盛期には、5年連続守備率1位という並外れた成績を収めていて、The Gunpowderという称号を持つ往年のスタープレイヤーである。

そんな彼が決勝戦で解説を務めるという事もあり、会場内は更に沸き立っていた。

 

 

「……まだなんとも言えない。が、宮永照の『照魔鏡』。あれは百発百中では無いのかもしれないな」

 

 

大沼秋一郎がそう呟くと、隣にいた実況もといアナウンサーがビックリしたような目で大沼秋一郎を見つめ、

「……本当ですか?これまで、宮永選手が『照魔鏡』で見破れなかった選手は一人もいませんよ。それに、宮永選手は現に和了っているではありませんか」

 

と言う。それに対して大沼秋一郎は

「いや……ふとそう思っただけだ。気にしないでくれ」

 

と返し、再びスクリーンを見つめる。そのスクリーンには、小瀬川がアップで映し出されていた。

(……小瀬川白望、か。俺がまだ青くさいガキの頃にいた奴に似てるな。……誰だったか)

やれやれ、俺も歳だな。と、心の中で自分で自分を笑う。微かに残っている記憶を思い出しかけて、大沼秋一郎は懐かしさを感じた。

 

 

 

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視点:愛宕絹恵

観戦室

 

 

「清水谷さんと……園城寺さん。こんにちはです」

観戦室にて、竜華と一緒に決勝戦を見ていたが、そこに愛宕絹恵が来て、若干ウチの事を言い渋りながらも、ウチらに声をかける。絶対わざと言い渋っただろ。ファミレスでの「おんぶ」発言は少なからず愛宕絹恵に敵対心をもたせてしまったのだろう。……まあええわ。ウチはイケメンさんと温泉にも入ったし。一歩どころか十歩リードや。

 

「洋榎んとこの妹さんか」

「……こんにちは」

 

竜華は普通に返したが、私は少し不機嫌そうな感じで返す。さっきのお返しだ。

 

 

「……隣座ってもええですか?」

が、そんなウチの含みのある返しを鮮やかにスルーし、竜華に問う。

 

「ええよ。人数が多い方が楽しいもんな?怜」

竜華がそう言ってウチの方を向くと、ウチは「あ、ああ。せやな」と渋々承諾した。

 

 

 

 

〜〜〜〜

 

「なあ。園城寺さん」

 

突然、愛宕絹恵がウチに話しかけてきた。一体何なのだろうか。

 

「なんや」

と取り敢えず返すと、絹恵が真面目な声でスクリーンを見ながら話し始めた。

 

「……この決勝戦。ウチはシロさんも、勿論お姉ちゃんも応援したいんや。でも、勝つのは一人だけやろ?……ウチ、一体どっちを応援したらええのか分からないんです」

 

「そこで、準決勝ウチと同じ境遇であった園城寺さんに聞きたかったんです。……どんな気持ちだったん?園城寺さん」

 

……なるほど、そういうことか。恋敵ではあるが、絹恵の事をお姉ちゃん思いなええ妹だと素直に思った。確かにそうだ。勝つのは一人という観点から考えれば、両方を応援するという事は無理だ。

でも、

 

「……絹恵。よう聞いとき。麻雀ってのはな、勝ち負けだけが絶対やないんや。勿論、卓にいるあの四人はそうではないかもしれんけど、応援する側にとって勝ち負けは関係ないんや。そいつがよう頑張って、胸張って戦ったって言えるような勝負ができれば、応援する身としてはそれでええんや。だから、どっちかやない。どっちもでええんや」

 

ウチが言い終わると、絹恵は安心したのかフーっと息を吐いて、再びスクリーンを見つめた。

 

 

……ガラじゃない事やったけど、こういうお悩み解決もええなぁ。イケメンさんはそれを無自覚でやるから本当に末恐ろしいイケメンやで。




次は東二局です。このペースじゃ決勝戦で20話以上も使ってしまうことになる……やばいやばい

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