感想返信85(原作考察あり)

>ただ、メンツを守るために最大級の恩賞を与え、貴族に恩賞を与えるために査閲将校を過大に評価し、戦果のために犠牲を顧みない戦術をとるなどしたら、改革前の帝国軍と同じではないかと、ラインハルトの部下たちの不満がたまってそうですね。
めちゃくちゃ頭にきているでしょうね。

>それに対しラインハルトが部下たちの不満を解消しようとすれば、キルヒアイスとアンネローゼと対立することになる、かといって放置はできない。苦悩が深そうですね。
姉と親友を取ったら部下を捨てないといけない。部下を取ったら姉と親友を捨てないといけない。どちらにしてもつらい選択です。原作のラインハルトはある意味で幸せでした。


>さらにその一人一人の人格、人間関係、パワーバランスなど全ても含めて、きわめて解像度の高い全体像があるからこそ、
そこまで凄くないですが、完結までの年表、組織図、人物及び組織の設定表は作っています。掲載分はそのほんの一部です。辻褄を合わせるためです。

>これを見て思ったのですが、トリューニヒト政権になって組織が大幅に増えたんですね。
>クーデターで官僚や行政職員が多量に失職したのにさらに組織を拡大させて多量の公務員を雇ったから質はかなり低下している気がします。
その通りです。

>作中で同盟軍の質の低下をエリヤが嘆いてたけど、それが行政組織全体になっているとは思いませんでした。
軍は氷山の一角ですね。

>これはトリューニヒト政権にとってもろ刃の剣かもしれません。官僚や行政職員の質の低下により不祥事のリスクが上がりそれが政権のダメージにつながります。
>エルクスレーベン事件のようなことが官庁にもありえると思います。
あの事件に及ばないまでも、不祥事が多発しています。

>また、これだけ強大になってしまうとトリューニヒトの細かい指示をしていくという姿勢も厳しくなり派閥の統制も難しくなってしまうでしょう。
トリューニヒトの統制力はとっくに限界を超えています。軍部トリューニヒト派の分裂はその一例です。

>それと院内勢力を見たら反戦党が弱すぎることですね。野党第三党が主導したのにあれだけ講和問題が盛り上がるとか普通に考えてありえないですからね。
その通りです。トリューニヒトの足元は、小勢力のAACFに振り回される程度に弱いのです。だから、ブレツェリ父が呆れました。

>新設された内部向けの庁の類が……後、ボランティアみたいのが実にアレですね
>トリューニヒトの間はこれらはパフォーマンスだけでしかないと思います
>彼も自分の公約とばらまきの為に尺を稼いでいるだけでしょう
半分パフォーマンス、半分本気です。大事なのは本気の部分です。

>しかし、これをしっくりさせてしまう指導者が出てきたとしたら?
>作ったヨブ・トリューニヒトすらも「えぇ……」と言ってしまうかもしれませんね
この改革はトリューニヒト個人と言うより、トリューニヒトを含めたある勢力の意図によるものです。ですから、しっくりこないと困ります。トリューニヒトにそれが無理なら、別の指導者にそれを求めるでしょう。

本作の世界観においては、指導者は自分の判断のみで動ける存在ではなく、後援者や支持者の顔色を窺わなければなりません。議長時代のレベロですらバックがいました。クーデター後のレベロの凋落は、バックに見切られたことに起因します。かつてのエリヤはそこまで視点が高くなかったので、レベロと軍部良識派が好き勝手に突っ走ったように見えました。

余談ながら、原作においてもこれを当てはめることは可能です。作中の記述から推測すると、ラインハルト政権は若手将校と開明派官僚に支えられています。ローエングラム朝成立後はフェザーンの若手中小商人=新興企業やベンチャーも支持層に加わります。原作に記述はありませんが、没落貴族の財産を手に入れた帝国経済人が大勢いたはずで、彼らもラインハルト政権を熱烈に支持したでしょう。あるいはリップシュタット以前から一部経済人がラインハルトに接近しており、貴族敵視政策を吹き込んだ可能性もあります。

このような視点から見ると、建国後のラインハルトが好きにやっていたわけでないことが見て取れます。相次ぐ遠征は若手将校の要求を満たすためでしょう。若手将校は軍功のみを基盤としており、平和が続けば、開明派官僚と経済人に敵わないのは目に見えています。ラインハルトにとって、自ら取り立てた若手将校は譜代、利害が一致しただけの開明派官僚と経済人は外様です。若手将校を強化することは皇帝権力の強化と同義です。また、皇帝自身が軍功のみで成り上がった人物であり、影響力を維持するために軍功を必要とします。だからこそ、ラインハルトは外征を続けざるを得なかったのでしょう。


日時:2018年08月15日(水) 14:08

<< ルドルフに関する問題提起 感想返信86 >>

▼コメントを書く

返信コメント

bxs06514

ラインハルトのモデルの一人にナポレオンがいました。
彼も支持基盤の為に侵略を繰り返しました。
軍事的英雄なんてそんなものなのかもしれません。


日時:2018年08月18日(土) 16:38



返信

    現在:0文字 10~1000文字