【完結済み】かつて自らの『神』を殺せなかった少女の辿る、逆らいがたい運命
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
至るところに散りばめられた「違和感」(伏線)と、圧倒的なまでの心情描写にまず度肝を抜かれます。
重厚な武器解説や広大極まる世界観と合わせて、とても濃厚な設定の嵐で、『そういうの』が好きな人にはこの上なく魅力的なはずです。
(20行省略されています)
はじめに中心となる人物は、多くの伝説級の武具を創造した、生ける伝説そのものと言える女鍛冶師ハサキ・ノバク。
どこか退廃的な雰囲気を纏う彼女と、彼女を慕う二人の少女の暖かな交流の時間がはじめにあります。
それからしばらく読み進めると、ハサキ・ノバクという女が抱える過去について明かされます。
このじわじわと迫り来るような仄暗い闇を想起させる、息の根を止められるような起承転結もあまりにも依存性が高い。
伝説の鍛冶師を伝説にしたオブジェクト群『スレイヴイレスシリーズ』の第一作、刺した生き物を不老不死にするという、人間に無限の命と時間を与えるオブジェクト、『スレイヴイレス』。
ハサキ曰く三本作ったとされるスレイヴイレスは、一本は国王に剣として献上され、残った二本は……
自らでは絶対に殺せない『神』を、いずれ殺すために鎚を執る彼女は、きっとそれでも『世界』にとっては坂を転がり落ちる石でしかなくて─────
息の詰まるような濃厚な闇に魅入られたり、クソデカ感情をぶつけ合う少女達や圧倒的な世界観を感じたい人には強くおすすめできる作品です。
▼読む際の注意事項など
登場人物は皆かなり前向き(壊れているとも言う)ですが、ひたすら重たい話なので人は選ぶかもしれません。
あと完結済みです。
先が気になる終わり方だけに続きを見たいところもまた魅力……
エタではなくちゃんと締められているのでそこは安心してください
▲短縮する
伊瀬良 舞頭/2022年11月23日(水) 21:48/☆ (参考になった:4/ならなかった:0)