筋肉ネタと思わせるタイトルから描かれる骨太な王道ファンタジー
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
タイトルの通り紅魔族随一の筋肉を持ち魔法が使えない少年、むきむきを主人公としたこのすば二次創作作品である。
タイトルだけ見ると筋肉の力によって主人公がごり押ししていくギャグ物かと思うが、実は彼がそんな肉体を持つに至ったのにもある秘密が隠されている。
(25行省略されています)
むきむきという少年は一人ぼっちだった、幼い頃に両親を失い、全員がアークウィザードになる紅魔族に生まれながら
なぜか魔法が使えず身体は凄まじい筋肉の鎧を纏う巨人へと成長していく。
だがそんな体躯とは裏腹に彼の心は豪快とは程遠い繊細で優しいものだった。
「みんなと同じ普通になりたい」「自分も魔法が使えるようになって仲間に入りたい」
そうして一人ぼっちだった彼はやがてゆんゆんとめぐみんというかけがえのない友達と出会い、二人と共に広い世界へと旅立っていき、世界の素晴らしさを知り、多くの出会いと別れと共に成長していくまさに骨太な成長物語が描かれる。
特に素晴らしい点が、女神であるアクア様のジョーカー振りと原作主人公であるカズマさんの頼もしさ
この二つが強く感じられる点である。この世界の魔王軍は強い、すさまじく強い。一時は王都が陥落寸前に行くまで人類は追い詰められている。
原作においては割とあっさり目に倒されたベルディアなどの魔王軍幹部もすさまじく手強く、アクア様というジョーカーがいなければどれほど厄介が濃密に描かれている。
そう、アクア様は真実すさまじいジョーカーなのである。だが自分で自分を有効活用できないアホなのである。
加えて主人公であるむきむきは実力自体は高いが、お人よしで人を騙すことなどが大の苦手でそれが美点なのだが同時にそれ故の危なっかしさを感じさせる少年である。
そんな二人をカズマさんは足りない部分を補うが如く、持ち前のそのズルさと汚さで上手く使ってくれため
「きっとカズマさんがいればなんとかしてくれる」という頼もしさをカズマさんは感じさせてくれる。
また、そんなアクア様にしてもアホなだけではなく真実女神なところも見せてくれる。
作中の表現で言うならばバカでアホで調子に乗りやすいマヌケなだけで、ちゃんと女神なのである。
鉄壁を誇るが器用さの低さから攻撃がまるで当らないをダクネス、爆裂魔法と言う最強の火力を誇るが小技をもたないめぐみん
一見すると隙が無いがめぐみんというライバルと張り合ってきたからこそ成長できたゆんゆん。
彼らの中に一人でも平気という存在はおらず、皆が支えあうその姿をまさにPTの絆を感じさせてくれる。
ともすると悲惨な要素も見え隠れするがそれだけで終わらず、そんな世界でたくましく生きる人々の輝き
そんな人々を愛する女神の慈愛、主人公達が紡いでいく絆、全てが詰まったこの素晴らしい世界に祝福を!の名二次創作作品である。
▼読む際の注意事項など
主人公であるむきむきとめぐみん、ゆんゆんとの恋愛要素あり
▲短縮する
ライアン/2017年06月02日(金) 22:13/★ (参考になった:32/ならなかった:5)