ジークカイザー!の歓呼の声にすり潰された者達の物語
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
帝国宰相リヒテンラーデ公爵の孫であるゲオルグ・フォン・リヒテンラーデなる人物を主人公に据えた
人類史に燦然と輝く黄金の獅子ラインハルト・フォン・ローエングラムの改革の影にスポットを当てた物語。
(19行省略されています)
時系列が始まるのは原作2巻終了後、ラインハルトが政敵たる帝国宰相リヒテンラーデ公を排除して名実共に帝国の最高指導者となったところで、彼の嫡孫たる内務次官ゲオルグ・フォン・リヒテンラーデが行方をくらませていた事が判明するというところから始まる。
頭の片隅には置いたものの失脚したゲオルグに何が出来るものではないと判断するラインハルトをよそに主人公たるゲオルグはあの手この手で自分の秘密組織の勢力を拡大させていくというのが大まかな作品の流れだが
今作の特色はなんといってもラインハルトの急激な改革によって齎された急激な価値観の変動とそれについていけない旧い時代の者達の悲哀である。
それは時に自領の領民に対しては「良い貴族」だったが植民星に対しては酷薄だった門閥貴族であったり、そんな「良き領主」に忠誠を捧げた平民だったり、時に国家に忠節を尽くし「悪逆なる共和主義」の取締に生涯を掛けていた軍人だったりと様々である。
彼らの多くは決して殊更悪人というわけではないし、彼らには彼らなりの理屈や正義が存在した。
しかし、ラインハルト・フォン・ローエングラムの齎した改革は文字通りにそれまでの価値観や常識というものを尽く吹き飛ばした。
ゴールデンバウムの時代には「正義」であったことが、ローエングラム体制では「悪」なのである。
今作はそんな急激な時代の変化に翻弄された人々にスポットを当てた話となっている。
此処まで書くとラインハルトやローエングラム陣営に対するアンチかと思われるかもしれないが
あくまでラインハルト・フォン・ローエングラムは人類史に燦然と輝く英雄であり、彼に従った腹心たちも紛れもない英傑として描写されている。
ただ、ラインハルトの齎したものは良くも悪くも余りに「劇的」過ぎた事が実感できる作品となっている。
文章に関しても原作でおなじみの後世の歴史家の視点なども入っていたりと、原作の雰囲気が良く出ている。
▼読む際の注意事項など
・ラインハルトの改革の陰にスポットを当てた話なのでローエングラム陣営に対するある種のアンチテーゼをぶつけるものとなっている
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ライアン 2018年03月31日(土) 19:38 ★ (Good:13/Bad:4)