そんな世界に於ける軍事帝国アドラーと呼ばれる国の底辺たるスラムにて主人公が生まれ落ちたところから物語は始まる。
前世の知識と記憶、そして培った善性を抱いた少女はゴミ溜めと称す他ない場所にてたくましく生きていた。
しかし、それでも朱に交われば赤くなるのが人間というもの。汚泥の中で生きるその状況は確実に彼女の精神をすり減らして生き、そのまま行けば遠からず死ぬかそれとも他と同様塵へと堕ちるかという状況であった。

そんな中、彼女はとある少年と運命的な出会いを果たす。
少年の名はクリストファー・ヴァルゼライド。どこまでも雄々しき覇気を持ち、環境も才能も総じて誤差なのだと云わんばかりに不断の意志力によって不可能を可能に変える、根性論の生きた実例にして後に数多くの異名を以て讃えられる英雄である。
御伽噺の存在がそのまま抜け出した奇跡のような人物との邂逅を果たした主人公は当然のように彼に尊敬の念を抱き、友となる。
主人公は英雄のその姿に感化されたことで汚泥に染まりかけていた己が魂に光を取り戻し、自らを磨き
英雄もまた主人公からスラムにあってはまず出会う事のできない貴重な「善性を持った真っ当な光」や「教養」という得難いものを得ていく。
そうして英雄の友となった少女は立ち上がる。

総ては焦がれた「英雄」の背中に追いつくために、誇らしき「友」と肩を並べて共に歩んでいくために。
そんな英雄の友がどのような物語を綴り、どのような結末に至るかいざ刮目して見届けよう。



▼読む際の注意事項など
・基本的に男性の多くは雄々しき英雄へと焦がれるタイプが多いため、TS主人公による逆ハーのようなものは期待しないほうが吉である

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