銀河鉄道のギャル
『ねえ、カムパネルラ。これから僕たち、どこまでもずっと一緒に行こう』
(宮沢賢治『銀河鉄道の夜』より)
(28行省略されています)
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
個人的な本作の印象は『綿菓子だと思って嚙り付いたら歯応えのある骨付き肉だった』そんな感じの物語です。
タイトルと紹介文とタグを見てやってきた読者諸兄には、恐らく「これは多分こんな感じの展開なんだろうな」という予想がある程度出来ているだろう。
『嘘の告白から本気になるギャル』というのは、王道的なラブコメの一つであり、類似の作品の一つや二つは読んだことがあるだろうから。
私自身、そういう作品は何度か読んだことがあったし、実際に予定調和的、予想通りの王道的展開もあった。
だが、今作はそれに加えて「銀河鉄道の夜」の要素を物語の骨子に組み込むことにより、タイトルから予想できないほどの「深さ」が生まれており、他の類似作品とは毛色の違う「ギャルのガチ恋」が描かれている。
物語全篇を通して「恋とはなにか?」「愛とはなにか?」という問いかけが根幹にあり、人生をなめていたギャルが「ガチ恋」に対して「答え」を出す過程が描かれていて驚いた。
作品全体を通して貫けれている「ガチ恋」という芯に、ギャルによる嘘の告白という今風の王道要素を巻き付け、銀河鉄道の夜という名作古典文学要素からくる普遍的な感性で味付けて固めた、どっしりとした味わいになっている。
しかし、重すぎるという事はなく、文体も含めてするりするりと飲み込める作品になっている。シリアスな展開もあるが、それも含めて登場人物達が問題にしっかりと「答え」を出していくので不完全燃焼感もない。読後感はすっきりとした、星空のようなお話だったのがとてもよかった。
「完結」までしっかり描かれている作品なので、是非ご一読いただきたい作品だ。
▼読む際の注意事項など
タイトル通りの作品なので所謂「タイトル詐欺」ではない……のだが、『ギャルのガチ恋』という要素から『ゆるふわ』を想像して噛みつくと、『ゆるふわどっしり骨太ガチ恋』な感じの作品なので、そこが合うか合わないかで評価が変わるかもしれない。
また、銀河鉄道の夜の要素が割とガッツリ物語に絡んでくるので、「そもそも銀河鉄道の夜が嫌い」という人には結構辛いかもしれない。
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鉄血☆宰相 2024年06月07日(金) 18:40 ★ (Good:2/Bad:0)