勘違いコメディとしての話の作りこみがすごい作品
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
歯に衣着せずにいうと、”陰の実力者になりたくて!”に似ている作品。
しかし待ってほしい、ただのパクリと思うことなかれ。
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ストーリーの構築、主人公の認識、世界観の設定。
一つ一つを取ってみれば、おおよそよくあるタイプのファンタジー作品だが、言語化しずらい独自性による魅力もある。
物語を読んだり書いたりする上で、何にも前例のない、完全オリジナル~、なんて、作る事のなんと難しいことか。
そして『アレに似ている!』と真っ向から否定することの、なんと容易い事か。
しかしながら、勘違いコメディモノとして難しいであろう『勘違いの認識を共有する存在』もしくは『共犯者』とも呼べる相棒を隣に据えるという大胆なプロットを構築。
その上で物語が破綻しないように伏線をちりばめていく様は、行き当たりばったりで次々と問題を一つ一つ解決していく、よくある勘違い系と違い、作者が計画性を持って、必然性のある物語を書いていることの何よりの証左。
一つ一つの話の作りこみに関して言えば、陰実などの、
週刊連載のように次々と面白い話を書かなければ人気になれない”なろう系”というジャンルの作品に比べ、非常に優れていると言えるでしょう。
地の文章に関しては一人称と三人称の切り替えによる、子細な世界観の説明と、主人公自身の思想と認識による体感を基にした、芯のある文章で、読みやすい上で『そうはならんやろ……』と頭から否定しきれない説得力のあるものになっている。
主人公自身も、どこか達観し、人間離れした……悪く言うと人間味の薄い共感性の持ちずらい主人公―――ではなく。
どうにか今世を楽しく生きようと努力している、どこにでも居そうな、ちょっと痛い過去を持つ普通の青年といった感じ。
周囲に美人が多いわりに性欲を持て余したりする事がなく、モテる顔のいいイケメンには当たり強かったりするのはもう主人公補正とか全年齢補正とかで納得するとして、そういう(陰キャ的な)意味でも強く共感できる部分の多いキャラクターになっている。
本作には、勘違い系によくある事として、表の顔用のヒロインと裏の顔用のヒロインがあり、そしてその二つを兼任する相棒キャラクターも存在する。
実妹と相棒と王女様、あと主人公陣営の幹部の少女。
しかし安心してほしい、ハーレムという訳ではなく普通に老騎士とか若い男の部下とかもいる。
多分幹部にも男の幹部とかいるんでしょ知らんけど、多分後の方になって出てくるよ。
癖になるポイントとして、主人公の一々の周囲の人間への呼称や認識がちょっと言い得て妙というか、面白い。
▼読む際の注意事項など
前提として、この作品の主人公は最強である。
腐っていた主人公が旅立ち覚醒して、様々な障害にぶち当たりながら、ご都合主義もクソ喰らえな泥水を啜る程の努力をして、血脂滴る剣と濁った瞳で強者に抗う―――そんな作品が好みなら、ゴーバック!ゲラウェイ!
主人公最強、ご都合主義、身に受けた才能、もはやバグ。
強い事に理由はいらない。
正確にはいるにはいるけど『これをこうこう強くするためにこれをあーしてこーしれアレして、アレの理論をこうしてああして』とか、ファンタジー理論を展開して万倍の長文で説明されて、一瞬で『山羊のべろべろ顔』と『「はぁ?」って言う猫のミーム』になるくらいなら、説明すっ飛ばして
『つまり、強い!才能とか、努力とか、大体そんな感じ!』
みたいにしてもらった方が読みやすいし納得しやすい。
でも、それでもすべてに説明が欲しいって人がいるのなら、やっぱりこの作品は向いてないんだと思うなぁ。
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天魔宿儺 2024年03月03日(日) 10:10 ★ (Good:6/Bad:18)