築き上げたポケモンとの信頼関係と男の生き様。そして死闘。
本作は先ずポケモンバトルの戦術を練る本格的なトレーナー描写から始まり、
何といっても自分の相棒たるポケモンたちとの信頼関係、
そして若い天才たちには負けられない本人の秘められたプライドと一戦一戦熱くなるポケモンバトルの死闘。
私たちが言葉にすらできなかったポケモン小説に求めていたものが本作で確かに描かれます。
(28行省略されています)
そんな傑作が全48話で本編完結しているので、
現在188話と見て読む前から尻込みせず読み始めやすいのも本作が全力でお勧め出来るポイント。
ただ個人的には本編がプロローグで続編『セキエイに続く日常』シリーズこそが本編。
エッセイを読み終わり本作の世界観が気に入れば続きを少しでも読んでみてください。
その続きでエッセイでは遂に記載されなかった、
主人公モモナリが持つ凄みと魅力が絶対に伝わり残りの百数十話も読まれているでしょう。
本作主人公モモナリは現代人の憑依でも転生でもない極々一般的なエリートトレーナー。
ポケモン協会から一般週刊誌で貴方達やポケモンについて連載してほしいとの依頼を受け、
カントー地方を舞台に本作の世界観をエッセイの形で読みやすく丁寧に描いていきます。
そんな本編48話でバトルの強い面白エッセイおじさんとして語られる様子に慣れてきた所で、
エッセイの各所に散りばめられていた勝負師としての片鱗が本編後次々に回収されていく。
一流と超一流を分けるリトマス紙と主人公が呼ばれる理由は何なのか。
そして情報化が進んで「強いポケモンと戦術」が即座に周知され、
更には強いポケモンすら育成業者に頼めば手に入れられる現代で、
その流れに逆行し全てが一人で完結する「チャンピオンロード世代」が目指す先にあるものは。
といった本作独自の世界観に基づいた独創的な展開が『セキエイに続く日常』で描かれます。
本作で印象的なのは「僕が神を信じた日」で魅せたカリンとドンカラスの固く結ばれた信頼と
カロスチャンピオンとの二度に渡るエキシビジョンマッチ。
そしてモモナリが一目見て激怒した「天気変更戦術」を否定するため徹底的に練り上げた戦略。
遂にはガラル編でダンデに対して言い放った「かかってこいや若造!」は格好良かった‥
そんな思わず入り込んでしまう世界観と、
主人公モモナリの美学と生き様に惚れ込むポケモン小説の傑作なので是非一読してみて下さい。
(同内容を自サイトでも投稿しています)
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夜市よい/2023年02月17日(金) 12:56/★ (参考になった:8/ならなかった:1)