わたわたするゆかりんをただ遠くから愛でる話
八雲紫。
彼女は優雅で、気品があり、万能で、頭が良く、美しく、それでいて冷徹だ。
様々な魑魅魍魎が跳梁跋扈する幻想郷の――否、幻想狂の長として、彼女ほど相応しい妖怪もいないだろう。
これはそんな彼女が織り成す、幻想郷を完璧に統治する優雅な物語り――
(27行省略されています)
というのは全て嘘である。
本物の八雲紫はオッチョコチョイで、間抜けで、抜けてて、ドジで、それでいて人情にあふれている。
外見だけは原作ゆかりんぽいが(むしろよりカリスマに溢れているが)中身はハイテンションのJKみたいなものだ。
それに弱い。
なんなら藍――どころかチェンよりも弱いまである。
だが、私は先ほど「というのは全て嘘である」と言ったが、それは嘘だ。一つだけ、最初に述べた事の中に真実が混ぜ込んである。
それは「幻想郷の長として、彼女ほど相応しい妖怪もいないだろう」という部分である。
彼女は確かに他の妖怪より弱く、そして頭も良くないかもしれない。
それでも、彼女は八雲紫であり、幻想郷の長なのだ。
これはそんな彼女が織り成す、幻想郷を完璧とは程遠い形で統治する優雅とは程遠い物語り――
▼文章、ストーリー、描写などについての紹介など
文章力はとても高く、また飽きてしまいがちな戦闘描写も非常に上手いと感じた。更に勘違いモノで寛容になる心理描写は、かなり切れ味のある良い文章だと思う。
ストーリーは基本に弱いゆかりんが強い妖怪だと勘違いされるストーリーだが、ゆかりんが弱い事にもなんらかの秘密があるようで、本編の異変の裏でその秘密も少しずつ明かされている。この辺を読むと「作者さんが最後まで構想を練ってそうだなぁ」と感じる。
また、原作の異変とは違う結末を迎えることも面白い点の一つだ。
▼読む際の注意事項など
勘違いモノという点が一つ。
それと若干の百合描写(あくまで匂わせる、友情の延長程度)があることが一つ。
それから(主に強さ面で)若干のキャラ崩壊を起こしている。
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junk/2017年07月05日(水) 08:44/★ (参考になった:35/ならなかった:3)