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(0)勇者と魔王がいなくなった国への魔獣の襲撃は、多くの犠牲を出してしまった。
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(0)両者とも、魔獣の出る森付近の多くの村や集落は壊滅。都市部も、多くの被害を出した。また、戦場にいる多くの軍は、横からの魔獣の襲撃に対応出来ず、壊滅してしまった。
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(0)それでも、魔族ではリースという魔王の側近、人類ではトーニックと呼ばれる男の英断によって多くのものが助けられた。そして、満を持した勇者と魔王による攻勢で、襲撃を仕掛けた魔獣はほぼ壊滅した。
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(0)今回の魔獣の襲撃は魔獣にとっても、人類にとっても、魔族にとっても、手痛い被害を被り、痛み分けとなってしまったのだ。いや、もしかすると、魔獣にとっては失敗なのかも知れない。
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(0)「こちらの条件でどうでしょうか」
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(0)「ええ。良いでしょう」
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(0)魔族と人類の外交官が、一枚の契約書に署名した。それを確認した人類の王と魔王が立ち上がる。
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(0)「「これにて!この戦争は終わった!これにより我々は共通の敵である魔獣に対して、協力し、対処していく事になるだろう!」」
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(0)終戦の宣言に、おおきな歓声が上がった。
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(0)二人の王による国境付近で行われた終戦の宣言は、多くの魔族や人類が望んだものであった。この魔獣の襲撃によって多くの被害を受けた者の心が折れ、多くの反戦感情を持つものが現れたからだ。
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(0)そうして、人類魔族関係なく、復興が始まり、それを眺める二人の英雄がいた。
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(0)「なあ魔王。どう思う?」
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(0)「…おそらくだが、被害だけでみれば前回の世界の方が酷かったはずだ。だが…」
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(0)「そうだな。めでたしめでたしとは言えないよな」
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(0)前回の世界の方が最終的には多かったとは言え、この時点ではこれほどの被害は出ていなかった。やろうと思っていた事と近しい事が襲撃によって発生したとはいえ、流石に喜ぶ事は出来ない。
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(0)「あの、レイトという奴はどうだった?」
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(0)「ん?あぁ。ピンピンしていたよ。地味に村一つ一人で守りきっていたし、笑っちゃったよ」
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(0)ハハハと勇者は笑う。
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(0)「すまなかった」
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(0)魔王が勇者に頭を下げた。
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(0)「どうしたんだよ」
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(0)「私が貴様を連れていかなければ、もっと被害を減らせただろう。すまない」
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(0)「ああ。そのことか。もしそれが無くても、どうせ意味なかったよ。結局、俺達はみゅーちゃんに嵌められたんだ」
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(0)実際、俺だって気づけたはずなのだ。傷一つ着いていないのは異常だと、冒険者として、前回より魔獣を頻繁に殺しているのに、魔族の方で本来は無かった魔獣の襲撃が起こるとか、気づける点はもっとたくさんあったはずなのだ。
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(0)「…勇者よ。もしやり直せるなら、どうする?」
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(0)「そうだな…。出来るならやり直したいけど、今すぐはしたくないな。まずは、この世界を一度しっかりと平和にしたい。前の俺達が出来なかったことをやり切りたいよ」
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(0)前回は、勇者と魔王の剣がぶつかり、爆発して終わった。あのあとどうなったのかは分からないが、少なくとも、いい結果になれたとは思えない。
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(0)「成程な。私も同意見だ」
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(0)「しっかし、どうした?突然そんな事を言って」
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(0)「いや、おそらくだが、やり直しは可能だと思ったからな」
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(0)「あー、みゅーちゃんの発言からか?」
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(0)みゅーちゃんはこうなるはずがないとか、まるで何度も経験したかのような事を言っていた。
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(0)「そうだ。いや、今はそんなことは考えずに、魔獣と、あのみゅーちゃんという奴をどうするかに集中しよう」
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(0)「そうだな。ああそうだ。そういえば、結局あの軍はほぼ無駄になっちまったな」
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(0)戦争を終わらせるために、多くの金を費やして作った軍は、本来の役目を果たせず、そのまま目的が達成されてしまった。確かに、その点をみれば無駄になったと言える。
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(0)「いや、しかしな。終戦に一役買っているのだぞ?トーニックが独断で魔族の兵も使って周辺の村を守ったのだ。そんな話が出回り、魔族への悪感情が軽減されたのも、この話が上手く進んだ要因の一つだ」
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(0)「ほー。成程な。流石はトーニック。度胸のある男だな」
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(0)しばらく、これからについてのんびりと話し、勇者と魔王は自国の復興のために別れた。その様子を、この事態の元凶はじっと見ていた。
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