行別ここすき者数
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(0)≪魔王視点≫
(0)「暇だ」
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(0)「なら働け」
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(0)「めんどくさい」
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(0)「は?」
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(0)勇者がニートみたいな言動をしはじめたのは、戦争が終わってから数ヶ月が経過した頃だった。戦後の講話会議では、1番の立役者である勇者が魔族にとんでもないくらい酷い要求をしたが、暴動を恐れた王族や聖女の説得のかいあって、まだマシにはなった。ちなみにその背後には、魔王と勇者が頑張って一般魔族を装い、聖女の同情を買ったというのがある。
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(0)勇者はこの騒動に対して遠い目で「あの頃は荒れてたからなぁ」とほざいていた。ちなみに獣王は大賛成していた。
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(0)そんな経緯を経て今に至るのだが、世界は平和だ。戦争はないし、聖女の奮闘とリースの統治で暴動は起こらない。魔獣が暴れる事もなく、私も勇者も日々働き、日銭を稼いでいる。当然、力を求めて訓練はしないといけないが、色々あって、私達が保護している者達は100人を超えそうで、金が足りない。リースに頼み少しずつ自立させている所であるがまだ時間がかかる。
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(0)故に私も勇者も働かないと行けないのだが、この勇者、働く気がない。いや、正確には魔獣を倒して稼いでいるので働いてはいるのだが、ペースが週一。もう少し、せめて週二なら私にも余裕か生まれるのだが、そんな様子がない。
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(0)「まあめんどくさいってのは嘘だよ。ただな、ちょっと見届けたいのがあって」
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(0)「ほう?」
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(0)ついて来いと言われたのでついていくと、そこはココサ村だった。この戦争を終わらせた勇者と共に、リュアが暮らしている村である。王都に住まないかという打診は、蹴ってここで暮らしているらしい。
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(0)「ほら、ここあれの部屋、指輪あるだろ。つまりそういうことだよ」
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(0)堂々と不法侵入をかまして、部屋に押し入れば、確かに指輪があった。リュアにあげるものであろうし、勇者は勇者とリュアの結婚を見届けたいらしい。
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(0)「…まあいいだろう。ちなみにいつなのかとかは分かるのか?」
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(0)「分かるわけないだろ。ただ、この世界の俺はへたれだから、多分結構後」
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(0)「なら働け!」
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(0)叫び声が木霊した。
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(0)「誰だ!」
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(0)ものすごい速度で、こっちの世界の方の勇者がやってきた。体からはほんのりと純白の魔力が出ているので、相当飛ばしたらしい。いや、やり過ぎだろう。
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(0)「お、お前はっ!」
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(0)「おっ。勇者君じゃ~ん。おいおいちょっと喧嘩しよ~ぜ~」
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(0)「馬鹿か、喧嘩する暇あるなら働け。…行くぞ」
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(0)「おいおい、プロポーズなりなんなりするならはやめにしとけよ~!」
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(0)「なっ」
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(0)これ以上勇者が余計なことをいう前に、転移で逃げた。というか、自分が他の、しかも自分で助けた奴の顔を使っていることを忘れているのか?もしレイトとやらがこの世界の勇者に会えば…
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(0)流石に助けてやるか。
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