行別ここすき者数
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履歴はこちら。
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(0)≪魔王視点≫
(0)………仕事
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(0)≪勇者視点≫
(0)さぁ!前はやれなかった事どんどんやってくぞー!
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(0)校則で学園に縛り付けられるせいで、学園では勉強と訓練漬け、外に出られるのは実習で戦場にだされる時だけ。でも、今は違う!【転移魔法】で自由に出られるのだ!
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(0)というわけで、外出時の変装用グッズをまず買おう。…金がねえ。まあ入学式までに手に入れられればいいから、今日稼ごう。そのためには、ここ、冒険者ギルドだ。
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(0)冒険者ギルドは世界中に溢れる人類と魔族の共通の敵、魔獣を対処する組織だ。魔獣は人も魔族も等しく襲い掛かるため、始めは人と魔族が手を取り合って作られた組織だったのだが、戦争によって分裂。今や人類のみ、魔族のみ、そして中立の三つに分かれてしまった。
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(0)そしてここは、当然の如く人類のみの冒険者ギルドである。
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(0)ちりんちりんと鈴がなるドアを開けると、中にいた数人の冒険者がこちらを一斉に見た。屈強な男が勢揃いでじっと見つめて来る。
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(0)俺はその視線を受けながら受付へと向かった。
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(0)「すいません。冒険者の登録をしたいんですけど」
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(0)「畏まりました。では、こちらをどうぞ。このくぼんでいるところに血を一滴、垂らしてください」
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(0)そうして渡された板はいわば冒険者という証明書である。血を垂らすことでこの銅板は俺を認識し、出てこいと念じれば、その時どこにあっても呼び出せる。また、俺が倒した魔獣の数によって色が変わり、それが冒険者のランクとなる。今は銅色だが、倒していく内に銀色、そして金色へと変化する。金色にまで行くと、人も魔族も尊敬の対象となるのだが、だいたいは銀でやめるか死ぬ。それほどまでに、この冒険者というのは危険なのだ。
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(0)「これにて登録は以上です。依頼を受けるときはそこの依頼ボードに貼ってある依頼の中から適当に選んで持ってきてください」
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(0)そうして俺が受付から離れると、俺をじっと見ていた冒険者達が立ち上がり、こっちに来た。
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(0)「おい兄ちゃん。ちょっといいか?」
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(0)ムッキムキのおじさんが低い声で話しかけてきた。
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(0)「はい?なんでしょう」
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(0)「あのなぁ。もし、依頼を受けるなら、俺達と一緒にいかねえか?」
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(0)それは、パーティーのお誘いだった。
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(0)「いや、申し訳ないのですが、今日は簡単な物を受けるだけなので…」
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(0)「ちょっと待て兄ちゃん!その様子だと初心者みたいだから教えてやるが、簡単な物なんてねぇ。どんな依頼にも死の危険性はあるんだ」
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(0)例えば…とおじさんは紙をちぎった。
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(0)「これを見ろ。薬草を取りに行くだけだが、この薬草は魔獣の生息する森に入らないといけねぇ。運が悪けりゃ囲まれてパクっ…となっちまう。一見簡単そうでも、万全の準備をしねえと死んじまうんだ。悪いことはねえ。一緒にいかねえか?」
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(0)このおじさん達はどうやら初心者である俺を気遣かってくれているらしい。俺は勇者だし、このおじさんよりは遥かに強いけど、冒険者としては完全な初心者だ。手伝って貰おう。
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(0)「分かりました。よろしくお願いします」
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(0)頭を下げた俺を見て、おじさん達はホッとしたような優しい顔を浮かべていた。
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(0)おじさん達に進められるがまま、依頼を受けて森へとやってきた。
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(0)「お前らぁ!警戒任せたぞぉ!」
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(0)あの誘ってきたおじさんはリーダーだったみたいで他のおじさん達に俺の周辺を守るように指示した。そして、そのリーダーおじさんは俺の横に着き、森について色々と教えてくれる。
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(0)魔獣の潜みやすい場所はどんなところか。薬草はどうやって見分けるのか。本当にたくさんの事を惜しみなく教えてくれる。
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(0)「あの、どうしてそんなにも詳しく教えてくれるのですか?」
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(0)「ん?ああ、この業界はな、入れ代わりが激しいんだ。ほんとに、朝いた奴が夜にはいなくなっているなんて当たり前だ。そのくらい、危険なんだ。でも、この仕事をする奴がいねえと魔獣にたくさんの人が殺されちまう。だからこそ、新人がすぐに死んじまう事が無いようにちゃんと教えてやってるんだよ」
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(0)何だこのイケおじ。かっこよすぎる。
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(0)「そうなんですね!ありがとうございます」
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(0)そうお礼を言った瞬間、周りのおじさんが険しい顔をした。
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(0)「おいリーダー!魔獣だ!多いぞ!」
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(0)「なに?この森は魔獣が少ないはずだが…。兄ちゃん、ちゃんと周り見とけよ」
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(0)そうしてすぐに、周囲の草ががさがさと揺れる。そして、大量の狼が飛び掛かってきた。
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(0)「全員!背中を他の奴に任せて正面の魔獣に集中しろ!絶対にここから離れるなよ!」
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(0)すぐにおじさん達は互いに背中を合わせて、剣を抜いた。
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(0)「魔法が使える奴はさっさと使っちまえ!少しでも数を減らすんだ!火は使うなよ!」
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(0)「【水魔法 ウォーターボール】」
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(0)おじさんの内の一人が水を生みだし、ぶつける。当たった狼は吹き飛び、木にたたき付けられる。
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(0)それからもおじさん達は魔法を撃ち、飛び掛かってくる狼を剣で切り落とし、少しずつ、だが安全に狼を倒していく。順調かと思えたその時、誰もが予想しなかった事が起きた。
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(0)「誰かたすけてえええ!」
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(0)子供の声。今、俺達はかなり森の奥深くまで入ってきている。それゆえに、森の外の声が聞こえるとは思えない。
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(0)「くっ!子供がいる!俺が助けに行く!」
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(0)「リーダー!?危ないぞ!」
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(0)リーダーおじさんは警告を無視して一人で声の方向へと飛び出す。そしてその横から、待ち構えていた狼が飛び出してきた。
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(0)「ぐっ!」
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(0)完全に隙をつかれ、横腹を少しえぐられる。そしてあふれた血がさらに狼を呼び寄せた。
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(0)行かないと、おじさんが死ぬ。
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(0)俺は旧聖剣を持って、おじさんに群がる魔獣へと突っ込んだ。
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(0)まず、一体の狼が俺に涎を垂らしながら飛びかかる。コースを予測し、通る場所へ旧聖剣を起き、なぞるように狼を両断する。
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(0)それを見て、今度は三体一気に飛びかかってくる。焦らず、旧聖剣で対処しようとしたとき、悪寒がした。
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(0)ばっと下がった途端、俺がさっきまでいた場所が大きくえぐれた。
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(0)「ちっ!魔法か!」
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(0)さらに飛んで来る魔法に近づく事ができなくなる。さらに、じりじりと忍び寄る狼が逃げ道を潰していく。
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(0)「でも、魔法はそっちだけのもんじゃねえんだよ!【雷魔法 ライトニング】」
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(0)紫電が木々の間を縫うように走り去り、魔法を撃っていた狼を丸焦げにした。即座に逃げ道を潰していた狼に旧聖剣を振るい、叩き切る。
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(0)休んでいる暇はない。まだおじさんの方にも狼はいるし、その奥の子供も助けなくてはならない。
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(0)「【雷魔法 ライトニング】」
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(0)さっきより威力を強めた紫電で直線上にいる全ての狼を一掃する。そうしてできた隙間に入り、横から狼を切り刻む。そうして、狼に囲まれて泣いている女の子と、おじさんを視界に入れることができた。
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(0)おじさんの方は木を背にしてなんとか持ちこたえているようだが、女の子の方は完全に囲まれている。俺はおじさんの方の狼に紫電を当ててから女の子の方に飛び込んだ。
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(0)「うえええええん!!たすけてえええ!っえ?」
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(0)囲い込んでいる狼を切り飛ばし、女の子を抱き寄せる。その間に大量の狼が逃げ道を塞いだ。
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(0)「だれ?」
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(0)「助けにきたぞ。もう大丈夫だ」
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(0)女の子を宥めている間に俺を脅威だと認識した狼が一斉に飛び掛かってくる。この場は開けていて、火を使っても引火する事はなさそうだ。
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(0)「【火魔法 ファイヤーボム】」
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(0)俺を中心に炎の爆発が発生し、近くにいた狼はすべて灰となった。
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(0)おじさんの方を見ると、ちょうど仲間によって助けられていた。怪我は負っているがそこまで酷そうでも無いし、多分大丈夫だろう。
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(0)「お兄ちゃんすごいね!バーンってかっこいい!」
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(0)涙が引っ込み、興奮した様子を見せる女の子とおじさん達で俺達は王都の冒険者ギルドへと戻った。
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