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(0) 滅びの怪物が光に飲まれ、完全に消滅した瞬間――
(0)紅魔館全体を包んでいた黒い霧が、ふっと薄れた。
(0)
(0) 歪んでいた廊下はゆっくりと形を取り戻し、
(0)未来の断片がちらついていた空間も、静かに収束していく。
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(0) 紅魔館が、息を吹き返した。
(0)
(0) レミリアは肩で息をしながら、美鈴の手を握った。
(0)
(0)「美鈴……やったのね……!」
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(0) 美鈴は微笑んだ。
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(0)「はい……お嬢様と一緒だったから……」
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(0) その笑顔は確かに強く、しかしどこか儚かった。
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(0) 影が静かに近づく。
(0)
(0)「滅びの未来は弱まった。
(0) だが――まだ完全には消えていない」
(0)
(0) レミリアが影を睨む。
(0)
(0)「まだ何かあるの?
(0) 美鈴は未来を選んだわ。
(0) 紅魔館は救われる未来に向かっているはずよ」
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(0) 影は首を振った。
(0)
(0)「未来は“選んだだけ”では変わらない。
(0) 選んだ未来を“確定”させる必要がある」
(0)
(0) 美鈴は息を呑んだ。
(0)
(0)「確定……?」
(0)
(0) 影は美鈴を見つめた。
(0)
(0)「紅美鈴。
(0) お前が選んだ未来を現実にするには――
(0) お前自身の“未来”を差し出さねばならない」
(0)
(0) レミリアの顔色が変わった。
(0)
(0)「やめて……!
(0) そんなの、絶対にダメよ!」
(0)
(0) 美鈴は影に向き直る。
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(0)「……どういう意味ですか?」
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(0) 影は淡々と告げた。
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(0)「未来を変える力は、運命に“反動”を生む。
(0) お前が紅魔館の未来を救うほど、
(0) お前自身の未来が削られる」
(0)
(0) レミリアが美鈴の腕を掴んだ。
(0)
(0)「美鈴、聞いちゃダメ!
(0) そんな未来、受け入れる必要なんてない!」
(0)
(0) 美鈴はレミリアの手をそっと握り返した。
(0)
(0)「お嬢様……私は大丈夫です」
(0)
(0)「大丈夫じゃない!
(0) あなたの未来が削られるって言ってるのよ……!」
(0)
(0) レミリアの声は震えていた。
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(0) 影は続ける。
(0)
(0)「滅びの未来は弱まったが、まだ“残滓”が紅魔館に残っている。
(0) それを完全に消すには――
(0) お前が未来の流れを“固定”しなければならない」
(0)
(0) 美鈴は静かにうなずいた。
(0)
(0)「つまり……最後の一押しが必要なんですね」
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(0) 影はうなずいた。
(0)
(0)「その通りだ。
(0) だが、その代償は大きい」
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(0) レミリアが叫ぶ。
(0)
(0)「美鈴! 絶対にやらせない!
(0) 紅魔館が滅びても……あなたが生きていれば……私は……!」
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(0) 美鈴はレミリアの肩に手を置いた。
(0)
(0)「お嬢様。
(0) 私は……紅魔館が好きです。
(0) ここで過ごした時間も、みんなも……
(0) そして、お嬢様も」
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(0) レミリアの瞳が揺れた。
(0)
(0) 美鈴は続ける。
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(0)「だから……守りたいんです。
(0) 未来が削られても……私は後悔しません」
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(0) レミリアは首を振った。
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(0)「嫌よ……そんなの……!
(0) あなたがいなくなる未来なんて……絶対に嫌……!」
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(0) 美鈴は微笑んだ。
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(0)「いなくなりませんよ。
(0) 私は……ちゃんと戻ってきます」
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(0) その言葉は、未来を見た者の覚悟だった。
(0)
(0)
(0)
(0)◆
(0)
(0) 影が静かに言った。
(0)
(0)「紅美鈴。
(0) 最後の選択だ」
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(0) 美鈴は影を見つめた。
(0)
(0)「……どうすればいいんですか?」
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(0) 影は魔力炉の中心を指した。
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(0)「紅魔館の“未来の核”に触れろ。
(0) お前が選んだ未来を、そこに刻むのだ」
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(0) レミリアが美鈴の腕を掴む。
(0)
(0)「美鈴……お願い……行かないで……」
(0)
(0) 美鈴はレミリアの手を握り返し、優しく微笑んだ。
(0)
(0)「お嬢様。
(0) 私は……お嬢様の未来を守りたいんです」
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(0) レミリアの目から涙がこぼれた。
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(0)「美鈴……!」
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(0) 美鈴はレミリアの手をそっと離し、魔力炉の中心へ歩き出した。
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(0) その背中は、
(0) 門番ではなく――
(0) 未来を選ぶ“守護者”の姿だった。