神狼がケモナーなのは間違っているだろうか (シグナルイエロー)
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迷宮神聖譚外伝~獣の章~
けも耳ふさふさ尻尾の大行進その一


急に消えたらMENGO


これはもしもの物語

 

ありえないはずの神と獣人たちとケモナーの物語

 

 

 

世界の中心都市とも言われている大都市オラリオ

 

そのオラリオのとあるファミリアで1柱の神が昼間からのんきに入浴していた

 

なんてことはない いつもの光景

 

しかし、悲劇が起こった

 

その日その神は死んだ・・・石鹸によるトリプルアクセルを決めて

 

 

・・・要はボケた老人のように石鹸ですべり筋肉バスって頭を浴槽に打ちつけてお亡くなりになってしまったわけである

 

神々は数百、数千年生きている訳だから超ド級のドシニアといえる、しかたがないのかもしれない、つまり美しい女神も結局中身はドシニアのBAーゲフンゲフン

 

 

話を戻そう

 

その神は死んだが、『神の力(アルカナム)』により蘇生され天界に送還された。

 

オラリオに真っ昼間から神の力による光の柱が天に昇ったせいで街中が騒然となった

 

事の真相が判明するまで一時期オラリオ中が警戒態勢になるほどだったとのことだ

 

迷惑な話である

 

ちなみに、現在の地上には多数の神々が降臨されているが、神々は自らに一部の例外を除き全知全能である神の力に制限をかけた、そしてその禁を破った神は天界に強制送還されるようになっている

 

これはいかなる神であろう破ることのできない神をも戒める絶対のルールである

 

今回は神が自分を救うために神の力を使ったために強制送還が発動したというわけである

 

そして、その神が死んだことにより制限されている地上へ行ける神の席が一つ空いた

 

そのため、そこにとある神が着くことになった

 

名を『フェンリル』

 

天界でロキと共に暴れまわった問題児、当時の天界でも危険視されていた神狼である

 

よりによってなぜこの神が空席に着いたのか、神々の言い分はこうである

 

 

「あのロキも地上に行って丸くなったんだからフェンリルも(∪^ω^)わんわんお!」

 

「ヘルたん萌えハァハァ逆らえないお」

 

 

 

・・・神々の言葉は崇高すぎて我々には理解できないようだ

 

ただ、何故だろうか『わんわんお』という言葉、ケモナーである私には何か響くものがある、言葉ではなく心で理解できているようなもどかしい感覚におそわんわんお(^ω^∪)

 

はっ、私は何を書いているのだ、これペンで書いてるから修正できないのに!あっやべ

 

 

話を元に戻そう。

 

 

先ほどの言葉が理解できない戯れ言だったとしても神フェンリルを地上に送った天界の神々の判断は正解だったといえよう

 

なにせ彼は地上に降りたった後、神たち曰く私のような『ケモナー』と呼ばれる者たちと獣人を中心としたファミリアを創設し、親でもありオラリオ最大派閥の一つであるロキファミリアにも負けない大派閥に育て上げた

 

特にその中でも三獣士と呼ばれた三人はオラリオだけでなく世界中に広まるほどの活躍をみせた

 

実際に彼らを題材にした劇や英雄譚がいくつも作られているほどだ

 

 

この物語は獣人とケモナーの獣人とケモナーによる獣人とケモナーのための物語である。

 

 

『けも耳ふさふさ尻尾の大行進その一』

著:づらじゃない桂だぁあああああ

 




あ、やばいもうめんどくdjヵd;


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目指すは迷宮都市!・・・え、そこから!?
黒には白が白には黒が


まぁ、最初はテンプレだよね  (*´・ω・)(・ω・`*)ネー


平凡な日常が祖父の死という形で終わりを告げてから一年

 

僕こと、ベル・クラネルは生前の祖父の「男ならハーレム王(リトさん)を目指せ」という言葉を思いだし世界最大の魔石輸出都市にして冒険者にとっての憧れの街『ダンジョン都市オラリオ』を美女とのハーレムというゲスな目的で訪れた・・・いや別にそれが全てではないよ?ちゃんとキレイな気持ちもバファリンくらいはあるからね?

 

ともかく、最初の頃は右も左もわからない完全なお上りさん状態だった、幾多のファミリアに入団を希望するも田舎者とバカにするような目で見られてからすげなく断られ完全なお手上げ状態で途方に暮れていた

 

でも、そんな自分に手を差し伸べてくれた神様がいた

 

背がちっちゃくてかわいいツインテールの胸の大きな美少女

 

正真正銘本物の女神であるヘスティア様だ

 

神様はちょうど自らのファミリアを作るところだったらしくそこからとんとん拍子で僕はヘスティアファミリアの第一号として【神の眷属】となった

 

おかげで【神の恩恵】(ファルナ)を授かることでオラリオのダンジョンに潜ることができるようになった・・・といってもまだまだ最上層付近をウロウロするだけだけど

 

オラリオの冒険者ギルドで僕の専属受付のエイナさんの助言から最初は無理せずゴブリンやコボルトといった初心者でも倒せる魔物(モンスター)を中心に狩りを行いつつダンジョンに潜っていたけど、いいかげんにこれを何日も続けていると飽きてきた、それにようやくダンジョンにも少し慣れたなんて思ってしまったのもしかたがないと思うんだよ、うん。

 

だからちょっとだけのぞいてみるだけ、先っちょだけ!先っちょだけだから!と思って欲を出していつもより深く潜ってしまった

 

人間、欲を出すと碌な事にならないと、女性にひっぱたかれて顔中を腫らしたじいちゃんに口を酸っぱくして言われていたのを僕はすっかり忘れていた

 

あれほど説得力のある祖父の言葉は後にも先にもあれが最初で最後ではなかろうか、なのにそれを忘れるとか僕のアホ、もっと早く思い出せよ

 

そう、つまり僕は案の定とんでもない魔物と出会ってしまったわけだ

 

 

『ヴヴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

「うわああああああああああああああああああああああああああああ!?」

 

吉田さおr、ちがった、ミノタウロス

 

牛頭人体の2メートルはありそうな屈強な肉体を持つ正真正銘の化け物だ

 

ちなみに吉田なにがしは物理的な攻撃は全て無効、国を吹き飛ばすほどの爆発でも決して死なないという最強にして伝説の化け物だ、そんなもんに出会ったら近づいただけで僕は消し飛ぶ自信がある

 

最も有名なおとぎ話の一つである『最強の吉田さおrVS最凶の和田あきk』はあまりにも有名な話である

 

つまりどういうことかというと、ミノタウロスは今の僕にとってはそれくらいヤバい相手ということだ

 

本来なら15階層に生息し、下級冒険者の最初の壁とも言われている魔物でもある

 

僕の最終到達階層は現在の5階層、それでも今日は潜りすぎなくらいの階層数だ。

 

普段は2層から3層をウロウロしているような初心者中の初心者が僕だ、それがいきなり三倍以上の15階層、しかもその階層の魔物の中でも強力と言われるミノタウロス

 

魔物の強さがいきなりザクから赤ザク、いやフリーダムくらいになったような感じだ、助けてください大佐。

 

はっきし言って今の僕では何らかのレアスキルが芽生えた上で一月の間ほぼずっとダンジョンで修行し、なんやかんやで魔法も偶然覚えて何か小宇宙(コスモ)的な何かが爆発してようやく勝てるような相手だ

 

なにその都合のいい展開って思うかもしれないがこれはただの妄想、現実はナウで後ろから追いかけてくる・・・というか徐々に追いついてくるミノタウロス

 

今から一月修行とか、一秒先すら生き残れるかわからないこの状況ではとうてい無理な話だ、死ぬかもしれないという恐怖から逃避するためのただの妄想なんだと思う、正気に戻れ僕!戦わなきゃ現実と!

 

そんなことを考えながら逃げていたせいか袋小路に追い込まれてしまった

 

「や、やばい!!」

 

現実と戦わなきゃと思ったらこれだよ!というか?戦ったら死ぬじゃんこれ!!

 

この後の展開もあれだろ?振り返ると奴がいr

 

『ヴォオオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 

すでにミノタウロスは手に持っていた巨大な斧のような鉄の塊を僕に向かって振り上げていた

 

(あ、死んだわこれ)

 

次の瞬間には、ズンッ!!!!と重い物が叩き付けられた音が辺りに響く

 

『・・・・・・ッヴオ゛!?』

 

しかしミノタウロスの振り下ろした斧の下にはあるべきはずの僕の挽肉はなかった、あるのは陥没した地面だけ。

 

当たり前だ、僕はいつのまにかミノタウロスの後ろにいたからだ

 

何が起こったのかもわからず混乱していたけど、それが目に映った瞬間どうでもよくなった

 

とんでもない美女がドアップで僕の目の前にいたからだ

 

体にぴったりと張り付くような服に頑丈そうな籠手とブーツを履き、長い黒髪を後ろでポニーテイルの様にまとめた、日に焼けた肌の思わず姉御と呼びたくなるようなボンッキュッボンの猫人(キャットピープル)

 

僕と美女はミノタウロスの後方から少し離れた位置にいた、俗に言うお姫様抱っこをされた状態で。

 

ミノタウロスに挽き肉にされかけたら美女にお姫様抱っこされてた

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

何を言ってるのかわからないと思うがそんなもん僕にも何が起こったのか全く分からない

 

そんなことを思っている間にミノタウロスがこっちに気づいて向かってきた

 

「ひぃっ!?」

 

恐怖に凍り付く僕とは対象に美女の方は冷静に一言発しただけだった

 

「遅いぞ」

 

そう美女が言うと、信じられないことが起こった

 

何か突風のようなも風を感じた瞬間に、ミノタウロスが細切れになったのだ

 

「アイズ」

 

そしてそれを行ったのはまたもや美女、いや、今自分をお姫様抱っこしている女性からするとまだ幼さが残るため美少女と言うべきかもしれない

 

僕を助けてくれた猫人とは対照的な白と青の軽鎧に白い肌、そして輝くような金色の長い髪をした人間(ヒューマン)の美少女

 

その少女の方は噂で聞いていた特徴と猫人の美女が呼んだ名前から誰なのかがすぐにわかった、オラリオの第一級冒険者にして【剣姫】の二つ名を持つレベル5の冒険者、アイズ・ヴァレンシュタインだ

 

レベル1の今の僕では傷一つつけることができない魔物を風のように切り裂くその姿は僕からすれば天上人だ

 

そんな彼女がどうやらミノタウロスを細切れにしたようだ

 

立て続けに起こった出来事に僕の脳が付いていていないのか完全にフリーズしてしまった。

 

 

 

 

================================================

 

 

 

「ふぃ~、ギリギリセーフじゃったの、坊主、大事ないか?」

 

声をかけるが、返事がない

 

「おい、坊主!どうした!?」

 

ガクガクンと揺さぶるがベルはされるがままにされる、あまりの勢いにベルの口から魂的な何かが出てくる、それをチョンチョンと肩をつついてアイズが止める

 

「ヨルイチヨルイチ、その子放心状態、目を開けたまま気絶してるみたいな感じ」

 

そこでようやくベルは解放される

 

「なんとまぁ、器用なやつじゃなー」

 

放心しているベルを下ろすと、おもむろにアイズがベルの手をニギニギと触る

 

「しかたがないかも、たぶんこの子まだレベル1の冒険者・・・・・・それもまだ日が浅い、手の平が柔らかいのがその証拠」

 

それを見て後から駆け付けてきた狼人の男が声をかけてくる

 

「う゛おおおおい、アイズお前何やってんだ!?」

 

「ニギニギ」

 

「whatじゃなくてwhyの方な!」

 

「・・・なんでだろ、わかんないけどこの子の手を握ってるとポカポカする」

 

それを聞いた狼人の青年に雷が落ちた

 

「っっっなななななな!?」

 

「お~、お嬢にもついに春が来おったか!カカカ良きかな良きかな!こやつ男にしてはかわいい顔しておるが、そうか~お嬢はこういうのが好みなのか、・・・残念じゃったなべート」

 

「な、なにが!?べべべべべべ別に何ともないし!?」

 

「決め手は顔じゃったか」

 

「うるせえ!うるせえ!うるせええええええええええ!!俺はぜってー認めねえええええええ!!」

 

「ベートや、今日は遅くまで酒に付き合ってやるぞ(笑)」

 

「いるかボケ!!」

 

そんなたわいない会話をしていると、アイズが上層への道を見て放心していた

 

「アイズよどうかしたか?」

 

「・・・・・・・れた」

 

「「・・・は?」」

 

「・・・逃げられた」

 

気づけばすぐそばの地面に寝かせていたはずの少年がいなくなっていた

 

「っ野郎!?礼も言わずに逃げたのか!・・・・・・いや待て、なんで逃げた?」

 

すでにミノタウロスは倒している、逃げる必要はないはずだ、と二人が頭をひねる

 

「起きてから・・・私の顔を見た瞬間に逃げちゃった・・・」

 

まるで、撫でていたかわいい子猫に嫌われてしまったかのような表情のアイズ

 

「私ってそんなに恐い顔してる?」

 

次の瞬間、二人の獣人の大爆笑がダンジョンに響き渡った。

 

 

=================================================

 

 

「はい、それでは手続きはこちらでしておきますので、ええ、またいらしてくださいね」

 

依頼のクエストを発注した者にそう言って事務処理を手早く済ませる

 

(これでとりあえず今日の午前中の仕事は最後っと)

 

オラリオのダンジョンを運営管理する『ギルド』の窓口受付嬢にしてハーフエルフのエイナ・チュールは冒険者の多くがダンジョンに潜る昼下がり、午前中からの最後の仕事も終え、暇になっていた

 

(あの子今日も大丈夫かな・・・)

 

年下の男の子ということを鑑みてもどうしてもどこか頼りなさを感じてしまう、最近冒険者になったばかりのとある少年のことを思い出していると

 

「エイナさあああああああああああああああんっ!!」

 

自分の名前を呼ぶその特徴的な声の主をすぐに察する

 

(噂をすればってね、でもよかった、今日も無事だったんだ・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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実際の妹との会話かどうかは想像に任せる

妹とは干支が一緒なんだ(´∀`*)ウフフ


大岩に鎖で拘束された山のように巨大な狼が一匹

 

周りには小鳥や犬猫だけでなく獅子や象といった大小様々な動物が寄り添っている

 

「・・・モフモフ モフモフ フガフガ」

 

「フェンリル様くすぐったいです~」

 

巨大な狼は傷つけないように人型に体を変化させ絶妙な力加減で猫や犬をモフっていく、その手つきは一流のモフニシャンの如し

 

 

 

「ーっあ~そこ!そこ気持ちいい!そこ重点的にやって!」

 

「ここですね!お任せを!」

 

巨大な狼の背中に象が乗り指圧のようにマッサージをしていく、巨大な狼的には象くらいの大きさがちょうど人間で言う所の指先程度の大きさに過ぎない

そのため象の大きさと体重がほどよい指圧となって狼を癒やしていく、そのだらけきった表情は近所のマッサージ店にいる中年のおっさんそのものである。

 

 

ここは天界

 

悪戯の神、終末の鐘を鳴らす者として有名なロキ、その長兄フェンリルが封印されている地である

 

「あ゛~癒やされるんじゃ~」

 

「ピピ!フェンリル様、喜んでる!喜んでる!なんでなんで!ピピ」

 

かつてロキと共に暴れ回った姿を知る神々が今のフェンリルを見れば己が目を疑うことだろう、キャバクラでデレデレするただのおっさんの様に鼻先で戯れる小鳥たちを見てベロンベロンに癒やされるその姿はかつて天界を暴れ回った姿とはかけ離れすぎている。

 

 

「ガルルルルルル、ガアアアアアア」

 

小鳥たちに癒やされているフェンリルの耳にガキンガキンと金属同士が打ち合うような音が周りに響き渡る、「またか」とでもいうような表情で嘆息するフェンリル

 

音の正体は周囲にいる内の獅子や狼といった攻撃力の高そうな獣がフェンリルを縛っている鎖、グレイプニルを爪や牙で引きちぎろうとする音だ

 

「おーい、やめとけってお前たちじゃこの鎖は無理だって言ってんじゃん、俺でも無理なんだからさー」

 

「それでも!何もせずにわいられんのです!!大恩ある御身がこのような状態をどうして放置できましょうか!」

 

くっ、とでも言いそうに悔しさを滲ませる獣達

 

(いや、大恩って、ちょっと小間使いが欲しかったからしゃべれるようにして知識上げただけじゃん・・・)

 

周囲にいる獣たちは封印されているフェンリルが暇をつぶすために力を与えた獣たちだ

 

「あー、もういいからやめろって、そんな暇あるなら毛繕いとかしてくんない?」

 

「はっ、も、申し訳ありません!今すぐ誠心誠意繕わせていただきます!!」

 

一転して攻撃的な雰囲気を引っ込めてフェンリルの言うことに従う

 

(犬や猫たちみたいにモフモフさせてくれるだけで十分なんだけど・・・忠誠値が高すぎるだろこいつら)

 

「まぁ、気楽にやってくれや」

 

「はっ!!」

 

人間であれば敬礼でもしそうな声をあげてフェンリルの白銀に輝く毛を丁寧にといていく

 

「おっふぅ~気持ちええ~」

 

(あー気持ちいいけど・・・)

 

 

っっっ暇だっっ!!!!!!

 

 

いやもう本気と書いてマジと読むくらい暇だ、こんなこと考えるのも一体何度目いや何百何千回考えたことか

 

いや、別にこいつらが嫌なわけじゃないよ?むしろ感謝してるくらいだし

 

そもそも、寂しすぎてこいつらに言葉や知識を与えたのが俺ですし

 

こいつらがいなかったらたぶん俺ってば寂しさと退屈さで精神崩壊してんじゃね?

 

ただなぁ、今のこの状況を何とかしたいけどこの封印されてる状況は俺の自業自得な所があるから大っぴらに文句も言えんしなぁ

 

あーあ、昔の俺ってば何であんなに荒れてたんだろ

 

もーめっちゃ黒歴史、誰にでも黒歴史ってあるだろうけど、俺の黒歴史に勝てる奴は中々いないだろうな・・・なんの自慢にもなんねぇけど

 

いい年した親と一緒にヒャッハーしまくってたら親と引き離されて島もないのに陸で島流し状態とか誰得だよ

 

究極の怠けを開発するんだとかアホなこと言ってた弟のヨルムンガンドなら喜んで今の状況を受け入れるだろう、逆に妹のヘルなら発狂するだろうなー、あいつ仕事大好きっていうか忙しいのが好きっていうクレイジーサイコワーカーだからなぁ、冥府を九界も支配して忙しさに忙殺され恍惚の表情を浮かべているのを見たときはおふくろと一緒にどん引きしたわー

 

「誰がクレイジーサイコワーカーですって?」

 

そうそうこんな感じのキャリアウーマンみたいな高圧的な声のくせ全身の肌を見せないようなゴスロリ衣装に身を包んだろりぃな見た目なのが妹なんだよ

 

一部の特殊な趣味の神々からするとドストライクだと親から聞いたことがある・・・そして親から見てもひいき目抜きでドストライクらしく家族じゃなければ襲っていたそうだ・・・聞きたくなかったわそんなもん

 

「誰がロリだ!あと親がそんなこと考えてたとかこっちも知りたくなかったわよ!!」

 

・・・・・・・・・・ん?

 

「あれ、何でヘルがいんの?」

 

俺ってば家族全員との会話はおろか接触は禁じられてたはずだよね?

 

俺を封印する際に神々はにさらにある約束をおれの身内と呼べる者たちに誓わせた、俺が逃げ出す手助けをしないように今後一切の直接はもちろん間接的な接触を禁じるという内容だ、

 

つまりヘルがここにいるのはかなりまずいはずなんだが

 

・・・まぁいいか。

 

「用があるから会いに来たに決まってんでしょ!」

 

「いや、そんな気軽に会いに来れ、まぁ、いいか、久しぶりマイシスタープリンセスヘル」

 

「なにそれ」

 

うん、何言ってんだ俺

 

「すまん、ぶっちゃけ人と話すの久しぶりすぎてテンションがおかしい」

 

「引きこもりが久々に外出したときのいいわけみたいね・・・」

 

失礼な・・・とりあえず回りの動物達を下がらせるか、久々の家族水入らずの会話だしな

 

「下がれ」

 

「「「「「はい」」」」」

 

すぐに周辺から生き物の気配が消え辺り一帯が静寂に包まれる、忍者かお前ら

 

それにしても、今ままであいつらとのんびりガヤガヤと過してたせいか急に静かになるとなんか寂しい、あっやべ泣きそ

 

あとなんかヘルが驚いてるんだけどどったの?

 

「・・・兄さんちょっとどころか大分変わったわね、昔だったらそんな気遣いとかできなかったのに」

 

なーる、昔の俺ってば天井天下唯我独尊的な感じでしたもんね

 

「そりゃ、こんなところに封印されてボケっとしてたら牙も抜け落ちらぁな」

 

「・・・そうね、さっきまでの兄さんただの好々爺の老狼にみえたわよ」

 

「いや、実際俺達ってば何千年生きてるドシニアじゃん」

 

つまりヘルも見た目はろりぃでも中身はBABAのいわゆるロリBABA

 

「口から尻尾まで引き裂くわよ、この発情犬」

 

この妹コワイ、しかもさっきから心を読んでくるんだけど

 

「いや、さっきから全部口に出してしゃべってるわよ?」

 

「まじか」

 

仕方ないことかもしれんない、いやだって数千年も一人っすよ?話し相手は動物オンリーよ?

 

・・・それにしても発情犬、発情かぁ

 

「・・・」

 

「・・・なによ」

 

「・・・ここ千年くらいさ、朝起きても俺のマグナムってばノーリアクションなんよ」

 

「・・・は?」

 

「おまけにそういった欲が全然わいてこなくてどうしたもんかと」

 

「・・・全弾撃ち尽くして弾切れになったんじゃない?補給もできずにあとは錆びるだけ的な?」

 

「ば、ばっかお前!俺のマグナムは無限バンダナ付きだ!!弾切れじゃねーし!!ただリロード中なだけですうううう!!!」

 

「ぷっ、リロードに千年かかるとかワロス」

 

「ふっざけんな!おれのマグナムは口径ができすぎてリロードにめっちゃ時間がかかるんだよ!一撃必殺の黄金の弾丸だごらぁ!!」

 

「それ絶対リロード中に弾丸が湿気ってゴミになってるじゃない」

 

「人のをゴミとか言うなああああああ!!」

 

「スコル、ハティあなたたちのお父さんは不治の病、ぷっ、不能の病になってしまったみたいよ、かわいそうに、あ、もちろんかわいそうなのはそんな父親を持ってしまったスコルとハティの方よ」

 

「お前マジでなんなん!?わざわざ神々の契約破ってまで俺をバカにしに来たの!?」

 

ちなみにスコルとハティは俺と巨人族の女性との間に生まれた子供の名前である

 

俺、フェンリル、二児の父親そして職業は無職つーか拘留中・・・やばい字面だけでもろくな父親の香りしかしない、

 

こんな状態で、あの純粋な子たちが父親から不能宣言とかされたらドメスティックバイオレンスに目覚めるきっかけになりかねん

 

言えねー絶対言えねーわそんなこと

 

たとえ最終戦争(ラグナロク)がおこっても言えねー

 

むしろ最後になるかもしれない会話に「父さん実は不治の病なんだ」「な、なんだって一体何の病気なんだい!?」

 

「ED」

 

・・・そのまま家族がED(エンディング)を迎えちゃうよ!

 

ないないないないない!!

 

家庭崩壊の原因が不能とかマジないわ!バイアグラ持ってこい!!

 

「そんな兄さんに朗報よ」

 

「まさかマジでバイアグラっすか!?」

 

薬物治療か~、薬に頼るのはイヤだがこの際背に腹は代えられない仕方のないこととあきらめるしかない、そう何も怖いことはない風邪を引いたときだって薬を飲むじゃないか、あれと一緒だ

 

「何の話よ、そうじゃなくて出してあげる」

 

出して挙げる?新しいショック療法とかか?まさかの物理治療っすか

 

「不能から離れろ!そうじゃなくて!ここから出してあげる!!封印を解いてあげるって言ってんの!!」

 

・・・・・・・・・・は?

 

 




あれ下の話しかしてなくね?ヽ(´Д`;≡;´Д`)ノ


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次にお前は「プロローグみたいな話を分けるんじゃねぇよ!」と言う!!ハッ

基本三千文字くらいで問答無用で投稿してる後悔はしてない  ドォスル??(*´・д・)ノ(・д・`*)ドォシヨッヵ・・・処ス?


最終戦争(ラグナロク)、いわゆる世界の終わりのことだ、これは天界も下界も含まれる

 

俺の封印が解かれるとしたらそんくらいの状況だろうなー、と思ってた。

 

そして今のヘルの発言から考えられるのは-

 

「ええ!?最終戦争(ラグナロク)!?最終戦争(ラグナロク)起きてんの!?」

 

まさか、子供達にさっきのことをカミングアウトしなきゃならないの!?

 

お、お、お、落ち着け俺、素数だ、素数を数えるんだ。

 

1・3・5・7・11・13・17・・・・素数は自分以外では割り切れない孤独な数字、俺に勇気を与えてくれる。

 

え、何でかって?そりゃお前、あれだよ孤独なのは自分だけじゃないこんなにもいっぱい孤独な奴らがいるって思えるからだ

 

ふー落ち着いてきた・・・大丈夫だ子供達は良い子・・・のはず、きっと応援してくれる

 

『パパがんばれー』『パパーなら大丈夫だよー』

 

ほーら子供たちの優しい声が聞こえてくれあべし!?

 

「目を覚ませ、アホ犬」

 

なんか巨大な腕が地面から生えてぶん殴ってきた、そこはせめてパーで叩けよ、なんで久しぶりに会った妹にグーで殴られにゃならんのだ

 

「何すんの!?おふくろにもぶたれたことないのに!」

 

初ビンタ・・・じゃなくて殴り?は妹でした。

 

「母様は兄さんを甘やかしすぎなのよ!」

 

ただ単に反抗期ゼロで親に素直だっただけでっつーの、てかぶっちゃけ今はそんなことどうでもいい

 

「いや、冗談やってる場合じゃなくて・・・マジで最終戦争が起こったのか?」

 

だとしたらヘルがここにいるのも納得できる、なにせヘルは冥界の支配者だ、無限に近い数の死者達を率いればここまで余裕で来れるどころかお釣りがでるくらいだ

 

もし本当に最終戦争が起きているなら俺も覚悟を決めねばならない、もちろん先ほどのようなふざけた宣言を子供達にするという様なものではない

 

この牙、この爪、この血肉と毛先の先一本まで使ってもおふくろの陣営として戦い抜く覚悟だ

 

俺は実の弟と妹であるヨルムンガンドとヘルとは幼い頃から絶対に破らないと誓った約束がある、たとえ何があろうと最終戦争になった場合はおふくろの元に駆けつけ、その陣営に加わり戦うという誓いだ、これを破った場合は自ら心の臓をえぐり出すという呪いにも近いルーン文字を俺たちは自らに刻んでいる、このことはおふくろでさえ知らない、というか知られちゃいけない、知られたらきっとあのおふくろのことだ自分なんかのためにと、そんなルーン文字を刻んだことを悲しむであろうことは容易に想像できるし、全力でそのルーン文字を消しにかかるだろうからな、、まぁそんなおふくろだから俺たちは絶対に最後までおふくろの味方になろうと誓ったんだ

 

たとえどんな神であろうとおふくろに牙を向ける奴らは・・・俺たちが殺す。

 

マザコン?はっ俺たちからすりゃそれは褒め言葉だね!

 

数千年ぶりに体中に殺気が漲っていく、クククいいぞ在りし日の凶暴な俺が戻ってきそうだ

 

「・・・いや、違くて、最終戦争とか全然起こってないんだけど・・・」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・え?

 

漲ってきていた殺気がピタリと止まる

 

「えっと、何か一人でえらく殺気と一緒に中二病爆発させてるとこ申し訳ないんだけど最終戦争とか起きてないから、つーかそんな気配微塵もないから」

 

「マジで?」

 

「マジマジ」

 

「え、じゃあヘルってば本当に何しにきたの?」

 

「『クククいいぞ在りし日の凶暴な俺が戻ってきそうだ』」

 

「やめてえええええ!今いい感じに流せてたじゃん!?製造したばかりの黒歴史を再生しないでくれええええええ!!!」

 

ちょっと調子に乗ったらこれかよ!

 

「産地直送っていい言葉よねー」

 

「お前のそれは産地直送じゃなくて返品してるだけだろうが!!」

 

しかも返品内容は出したはずのゴミを顔面に叩き返すような行為だ

 

せっかくのシリアスな空気を返せ!

 

「もうお前ほんと何なんだよ・・・最終戦争でもないなら帰れよぉ・・・」

 

寂しがり屋な俺が誰にも会いたくないと思ったのはほんと久しぶりだよ、すげーよヘルは・・・

 

「だーかーらー、ここから出してあげるって言ってんじゃん」

 

さっきから何を言っているのかこの(アホ)は、ついに忙しすぎて頭パーンってなっちゃたの?逝っちゃったの?バカなの?

 

「はいはいそーですねー、じゃあ俺はふて寝するんで出して挙げるさんによろしくね、帰れ」

 

「っっ信じてないっての!?・・・いーわよ!だったら実際に解いてやろうじゃないの!!」

 

「おうおう!やれるもんならやってみろや貧乳!」

 

「こ、殺す!封印解く前に一回殺す!だ、だいたい私が胸が慎ましいのは母様の遺伝よ!私のせいじゃないやい!!」

 

「残念でしたー、シギュンさんとこのナルヴィちゃんにはちゅあ~んと立派な胸があります~、はい論破~」

 

ちなみにシギュンさんはおふくろの2番目の夫、んでもってナルヴィはその娘だ、これがヘルとは真逆のボインボインなんよ

 

「う、うう」

 

「ねぇねぇどんな気持ち?異父妹に色々超えられるのってどんな気持ち~?」

 

「う、うう・・・URYYYYYYYYYYYYY!!」

 

 

あ、ヘルが切れた、しかもなんかめっちゃ地面から巨大な手が生えてきた・・・え、マジギレ?さすがに今の状況でマジになったヘルの相手はヤバい、つーか下手したら死ぬ

 

そんなこと考えている間にどんどん闇色の巨大な手が量産されていくんだけど

 

ってマズイマズイマズイ!この数ガチじゃねーか!?

 

「ちょ、おま!?動けないお兄様に」

 

この妹しゃれになんねぇぞ!?

 

「SINEEEEEEEEEE」

 

拳の雨が降ってきた、しかも特大の

 

「嘘だろこいつ!?」

 

このあと血の雨も降った。

 

 

教訓その1 

親しき仲にも礼儀あり、いくら勝手知ったる兄妹といえど相手の身体的特徴をバカにするのはやめましょう、マジで

 

 

 

 

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と、まぁヘルと喧々囂々(けんけんごうごう)と口論+αしていたのが数日前

 

現在俺は自分を封印していたグレイプニルから解放されただけでなく、なんと下界にいる

 

いろいろすっ飛ばしすぎだって?

 

キンクリでもされたと思って気にしないでくれ

 

まぁ何の説明もないのは不親切なので要約すると、おふくろのおかげらしい

 

なんでも、おふくろは地上で少々やらかしたりはするものの基本は大人しく、地上で善神の如く子供達相手にふるまっているとのことだ・・・正直信じられんなぁ、チンピラみたいに別の神話体系の神にまでケンカを売っていたおふくろがよくもまぁそれほどまでに丸くなったものだ、やはり時の流れや人との交流は神すらも変えるということだろう。

 

そしてそれを見た天界の神や地上から帰ってきた神々が俺も地上に送ったら丸くなるんじゃね?と思ったらしい。

 

あいつら俺のこと軽く見過ぎだろ、封印解いた時点で俺が暴れ回るとか思わなかったのか、いや、別にそんなことする気はないけどさー

 

しかも地上は特別な状況や条件下でなければ神の力は原則使用禁止、俺を大人しくさせつつ更正させるにはもってこいとのことだ

 

他にもおそらくだがヘルが個人的に他の神々に働きかけたりした結果だろう

 

 

つまり!!

 

 

俺の封印が解かれたのはおふくろのおかげ、俺が地上にくることになったのもおふくろのおかげ、ヘルに面倒ごとを頼まれたのもおふくろのおかげ、今現在迷子になってるのもおふくろのおかげ、そして空腹で倒れそうなのもおふくろのおかげ、とどめに魔物に囲まれてるのもおふくろのおかげ

 

・・・殺意が沸いてきそうなんだけど

 

ていうかこの状況どうしよ

 

周りは狼型の魔物にぐるりと囲まれている

 

ただの狼の群れに囲まれたとかなら、ちょっとだけ抑えてる俺の狼の神としての神威(しんい)で威圧すれば大人しく去ってくれるんだが魔物となるとちょっと勝手が違ってくる

 

ヤバいデス、いきなりピンチデス。

 

てか何で地上に降り立つ場所が人里も何もない山奥なんだよ!!

 

これ絶対ヘルの嫌がらせだよ!あんだけ俺を一方的にタコ殴りしといてまだ根に持ってたのかよ!?

 

さすがは貧乳だよ!胸だけじゃなくて心まで狭いとは恐れ入ったよ!!

 

 

『『『『『『GRAAAAAAAAAAA』』』』』』

 

 

ヘルの胸に関して心の中で罵倒していたら魔物が一斉に襲ってきた

 

「お前らぁ!ヘルの回し者じゃねーだろうな!?」

 

打ち合わせでもしてきたのか!?

 

 




人型フェンリルの見た目はテイルズのザビーダ銀髪ver.をイメージしてるヽ(*´∇`)ノ


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黒ギャルとイケメンわんこ

黒ギャルは隊長時代の容姿髪型の14歳、わんこは人化モードでヒアウィゴー✌('ω')✌三( ✌'ω')✌


極東、その島国を支える四大貴族の中で唯一の獣人貴族、四楓院(しほういん)家。

 

その門前には三人の影があった、これから旅立つ女性の猫人(キャットピープル)そしてその従者である狼人(ウェアウルフ)、そして女性の弟であろう猫人の少年が姉との別れを惜しんでいた

 

「ね゛、ね゛ぇざまあああああああああ!ね゛姉様とお別れな゛ん゛でい゛や゛でずうううううううう!うおえ!うおろっろろろろろろろろろ」

 

・・・惜しむどころじゃなかった、文字通り血の涙を流して、あまりのショックに嘔吐までしている

 

まだ男の子と呼べるであろう少年が姉に涙とその他諸々を流しつつ勢いをつけてすがっていったが、姉はそれをひらりと躱す

 

結果、弟の方は地面に勢い良く地面に頭を擦り付けることとなる

 

「ね゛、姉様ひどいですうううう」

 

「やかましいわ!!男がいつまでもメソメソと泣いておるのではないわ!!それでもお主は儂の弟か!!!」

 

少年を叱り付ける女性は綺麗なショートヘアの黒髪にピンと天を突く猫耳を生やした健康的な小麦色の肌をした美しい女性だ

 

ちなみに弟の方は胸があるかないかでしか判断できないほど姉と瓜二つの容姿をしている、その道の方々からすれば生唾ものの美少年である。

 

姉の方の名を四楓院夜一(しほういん よるいち)

 

弟の方は四楓院夕四郎咲宗(しほういん ゆうしろうさきむね)

 

現在の四楓院家21代目当主直系の娘と息子である。

 

「既に22代目当主はお主に決まったんじゃ、そうなると儂はどこぞの貴族のアホどもに嫁に入るしかなくなる、親父殿でも四楓院家に取り入ろうとするバカどもの誘いを断り続けるのもその内限界が来よう、そうなる前に出家せねばならんことはお主も重々承知しておろう、それとも何か?お主は儂がじじいの様なアホ貴族に嫁に行った方が良いとでも言うか?」

 

「ち、違います!そもそも、その前提からそ間違っているのです!当主となるべきは私ではなく姉様であるべきです!私より姉様の方が圧倒的に強い上に人望もあります!!姉様が当主になりさえすればその問題もすべて解決するではないですか!!!」

 

「・・・かもしれん・・・が、女が当主になった例は今までにない、なったとしても家臣の中だけでなく外部からも余計なやっかみを受けることは想像に難くない、儂はそんな面倒ごとはごめんこうむる!都合のいいこと・・・っではなくて、こればっかりは親父殿と主神様がお決めになったことじゃ、文句を言うでないわ!・・・それに儂自身お主に発言したその力はまさしく四楓院家だけでなく主神様のお力を体現したものだと思っておる。」

 

「そんな!これは姉様に教えていただいたおかげで発言した力!それに練度は姉様の10分の1、いえ100分の1にも及びませぬ!!いまからでもどうかお考え直しください!!」

 

地に手を着き頭を垂れ、次期当主である弟の夕四郎は姉の夜一に懇願するも、夜一は弟を立たせると指で優しく涙を拭い頭に手を乗せ説いてくる

 

「既に決まったことを覆すことは儂の本意ではない、まったく、次期当主がそうそう気安く頭を下げるでないわ、それにお主の『瞬閧(しゅんこう)』は儂と違い主神様か司る属性と同じ炎、まさに天照大御神(あまてらすおおみかみ)様のお力をその身に体現した技じゃ、もっと自身を持たぬか、たわけ者。」

 

「うぅ、ですがっ・・・」

 

「夕四郎様、もうそこまででよろしいでしょう、自らで一度決めたことを覆すのは我々の知るお嬢ではない」

 

「左陣・・・」

 

今まで姉弟(きょうだい)の最後になるやもしれぬ別れを邪魔せぬようにと黙っていた従者が口を開く

 

名を狛村左陣(こまむらさじん)、出家する夜一に唯一付いていく狼人の従者である

 

「っ左陣からも説得してくれよ!」

 

「お嬢に言うことを聞かせられるのは山本家の源流斎殿と天照(あまてらす)様のみです、私、いえ、私達の言葉では暖簾(のれん)に腕押しもいい所ですぞ」

 

「うううう、う~~~」

 

「ま、そういうことじゃ!ではな、あまりダラダラしていると船に間に合わなくなる、行くぞ左陣!!」

 

「はっ!」

 

「あ・・・」

 

これで本当に別れだと思ったのだろう、さすがの夕四郎も口を紡ぐ、去って行く姉と従者の姿を見送るだけとなった

 

「夕四郎!!」

 

そこに振り返った姉が声をかけてきた

 

「四楓院と天照様を・・・頼んだぞ」

 

その瞳の中にある光には、その光、その信頼に答えたいと思わせる。

 

弟である自分すら引きつける神々の魅了にも似たようなカリスマ

 

(やはり、姉様の方が当主にはふさわしいですよ・・・)

 

夕四郎は自然と片膝を付き、泣いている顔を見せないように姉に誓う

 

「・・・っっはい!!お任せください!!姉様が世界のどこにいようと四楓院と天照様の威光が聞こえるよう尽力いたします!委細お任せください、姉様はどうか・・・ごゆるりと」

 

「うむ!任せた!!」

 

そうして夜一は気を利かせ先に行っていた狛村に追いつくため足早に去って行く、その顔は弟とは違い何かをやり遂げたような晴れやかな顔だった

 

これがこの姉と弟の今生最後の会話となった・・・かどうかはまだ分からない

 

 

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「・・・本当によろしかったのですか?」

 

夕四郎と別れてからしばらくして狛村が急に口を開いた

 

「なんじゃ、お主までまだグチグチと言ってくるのか?」

 

「いえ、そっちではなく、お嬢が持ってきた荷物の方です」

 

夜一は荷物を麻袋一つにまとめているように見えるが実際は見た目よりも多く入る超が付くほどの高価な魔法具(マジックアイテム)

 

「ナンノコトデスカ・・・じゃ」

 

「声が裏返っている上にいつもの口癖が変になっておりますぞ、どうせお家の高価な魔法具(マジックアイテム)でも持ってきたのでしょう?」

 

「え、う、うむ!!ちょろ~っと色々拝借してきてな!ちょろいもんじゃハハハハハハ」

 

 

「「・・・・・・・・・・・・・」」

 

 

「みぎゃ!?」

 

「・・・おい、アホ猫、何盗ってきた、正直に吐け」

 

狛村サン、いきなりのマジギレ寸前の顔で、自分の主人にアイアンクローである、それ従者がやっちゃいけないことの代表技っすよ狛村さん

 

だがそれもしかたがないことかもしれない、幼少の頃に偶然にも夜一の気まぐれにより拾われ、それ以来仕えてきた狛村の経験上この恩人であるアホ猫がこのような反応をするときは大概が面倒な、それもとびきりの面倒ごとを起こしているのである

 

「じゃ、じゃから、ちょ~っと高価な魔法具(マジックアイテム)じゃよ?っあ!?」

 

狛村は問答無用で夜一から麻袋を引ったくり中身を物色していく、その中に有り得ないものを発見する

 

「っっな、ななななな、何を考えとるんですか、あんたはああああああああ!?」

 

 

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一方その頃、四楓院家

 

夜一から四楓院家と神を任された夕四郎はやる気に満ちていた

 

(姉様の期待に応えられるようにさっそく!!・・・・・・何からすべきだろうか?・・・姉様の様な当主になるためにはまず-)

 

そんなことを考えつつ、旅館のように長い廊下を歩いていると目の前からダッシュでおっさんが走ってきた

 

「夕四郎ううううううう!!」

 

「あれ、父上?どうしたんですかそんなに急いで、(かわや)なら逆ですよ?」

 

「ちゃうわい!、あのアホ娘はどこいった!」

 

「え、姉様ならもう旅立たれましたけど・・・」

 

それを聞いておっさん、改め四楓院家現当主は顔を絶望に染める

 

「お、遅かったか・・・orz」

 

 

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狛村が見つけた物、それはある魔法具(マジックアイテム)であった、当然、狛村の狼狽えぶりからしてただの魔法具であるはずがない、しかも一つではなく複数だ

 

「し、四楓院家の家宝を、しかもそれを複数持ち出すとか、ルパンでも盗むお宝は一つだけですぞ!?」

 

「夜一はとんでもない物を盗んでいきました、それは四楓院家の家宝全てです」キリッ

 

「キリッ、じゃねーよ!ってか全部!?どーすんのこれ!?どーしよこれ!?あんた今すぐ家に戻って土下座してこれ返してこい!!家どころか国にすら帰れなくなりますよ!?」

 

「べっつによくね?儂あの堅っ苦しい生活にはホント辟易しとったんじゃよ、ぶっちゃけ夕四郎が当主に決まった時は心の中で『ヨッシャ!!』って思ってたし」

 

「あんたは良くてもこっちは良くないんですよ!色々お世話になった方々に偶に挨拶とかに帰りたいなー、とかくらいは思ってますからね!?」




あの作品で獣枠はこの二人しか思いつかん・(;´Д`)ウウッ・


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