架空世界では俺の青春ラブコメは間違えない? (0ひじり0)
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キャラ設定

俺ガイルのキャラの将来的な設定です。

馴れてきたらオリキャラを1人入れる予定です。


とりあえず設定等を書きます。

実はSAOは詳しくないのでオリジナル設定などが多く見られるかもしれません。

因みにSAO側は特にキャラ変更はありません。

 

俺ガイル

 

比企谷 八幡

ハチマン

武器、片手剣(刀)

 

総武高校二年生、ぼっちで捻れ者。奉仕部の二人は良き友人となり三年生に上がる前に陽乃が持ってきたSAOで遊ぶ予定がデスゲームに巻き込まれてしまう。

面倒くさがりで捻れているが大切な人を守るためならどんなことでもする。目が腐っている。

ステは俊敏メインの隠蔽・会心の振り分け。

ユニークスキルは居合い術。

二つ名は【首狩り】

二つ名の由来は徹底して首などの弱点一刀両断しようとするため。

 

雪ノ下 雪乃

ユキノン

武器、槍・多節棍

 

総武高校二年生、眉目秀麗・文武両道のクールな美少女。しかし、口を開けば容赦なく毒舌の嵐が吹き荒れる。

しかし、最近は心を許した人には少し甘くなっているが本人は自覚なし。

ステは命中・会心よりのバランス振り分け。

ユニークスキルは多節棍。

二つ名は【絶対零度】

二つ名の由来は氷のように冷たく正確無比な突きで相手を追い込むため。

 

由比ヶ浜 結衣

ユイ

武器、ナックル・トンファー

 

総武高校二年生、今時ギャルな女の子。ちょっとアホの子。

周りの空気を読むのが上手く角がたたないようにフォローをする優しさがある。

ステはパワーメインの体力・防御の振り分け。

ユニークスキルはトンファー。

二つ名は【狂犬】

二つ名の由来は力任せにごり押しで相手を封殺するため。

 

一色 いろは

イロハ

武器、ダガー・二刀流ダガー

 

総武高校一年生、ゆるふわ小悪魔。最近は少し落ち着きを見せ始めるが八幡には甘えぎみ。

実は、そのあざとさのせいでそうは見られないが真面目で勤勉なところがある努力家。

ステは俊敏・会心メインの振り分け。

ユニークスキルは二刀流ダガー

二つ名は【リトルデーモン】

二つ名の由来はフェイントなど駆け引きを駆使して相手の裏をかくに長けているため。

 

雪ノ下 陽乃

ハルノン

武器、片手剣・蛇腹剣

 

総武高校卒業生で現在大学生。強化外骨格な完璧超人。

雪乃に突っ掛かるが大好きなシスコン。

最近は雪乃が少しずつ姉離れをしていくのが嬉しくもあり、少し寂しがっている。

ステは攻撃・命中メインの振り分け。

ユニークスキルは蛇腹剣。

二つ名は【麗しき魔王】

二つ名の由来はそのカリスマ性で容赦なく判断を下し、敵を叩き潰すため。

 

比企谷 小町

コマチ

武器、ダガー・クロー

 

中学を卒業し、総武高校に合格している。八幡の一番の理解者だがお義姉ちゃんを探しに奮闘中。

色恋は好きだが常に中立を保ち八幡の味方である。

ステは俊敏・パワーをメインの振り分け。

二つ名は【化け猫】

二つ名の由来は猫の様に自由奔放な動きな戦闘スタイルのため。




後々追加するかもしれません。


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プロローグ

初めまして0ひじり0です。
ハーメルン初投稿です。
正直、使いこなせておりません(笑)ですので温かい目で見ていただけると嬉しいです。
また、誤字・脱字がありましたら教えて下さい。
自己満足で書いてますのでオリジナル展開があるかもしれません。
亀更新になると思います。すみません。

10/16 誤字訂正

最後に、文才はありません!!!(※ここ大事)


八幡「あのー…なんスか?この状況は?」

 

俺こと比企谷 八幡は冬休みを謳歌するために惰眠を貪っており、忌まわしき熱光線(※朝日)から逃れるために寝返りを打つと何故か俺のベッドに潜り込んでいる雪ノ下さんと目が合う。

その大きな瞳は意地悪く細められニッコリ笑みを浮かべている。

 

陽乃「比企谷君、おはよ♪」

 

八幡「おはようございます…じゃなくて!!なにしてんスか!?」

 

俺は予想外すぎる魔王との遭遇に慌てて跳ね起きる。

いやいやいや、おかしいだろ!?

RPGをゲームスタートして起こしに来るのが魔王ってそのままやられてゲームオーバーじゃねぇか。

起こしに来るのは母親だろうが。

もしくは妹か戸塚で。寧ろ土下座して頼むまである。

 

陽乃「んー?綺麗なお姉さんが優しく起こしに来てあげたんだよ?うれしいでしょ?」

 

八幡「いや、別に嬉しくはありません。つか、起こすのにベッドに入る意味無くないですか?」

 

陽乃「あはは。比企谷君は相変わらず理性の化物だね。だって比企谷君が気持ち良さそうに寝てるから私もって思ったの。」

 

そう言って、悪そびれた風もなく笑う雪ノ下さん。べ、別にドキッとかしてないんだからね。うん、今日も順調にキモイな、俺。

 

八幡「はぁ。とりあえず、着替えるんで下で待っててくれますか?」

 

陽乃「お姉さんが手伝ってあげようか?」

 

八幡「要りません。」

 

陽乃「ふふっ♪比企谷君はかわいいね。それじゃあ、早く来てね?」

 

そう言って、ヒラヒラとてを振り雪ノ下さんは出ていった。

あーもう嫌な予感しかしない。

 

八幡「着替えよ。」

 

そうぼやきながら月曜日の社畜が如くノロノロと着替え始めた。

 

――――――――――

 

八幡「そんで?今から何処に向かうんですか?」

 

陽乃「まだ秘密だよー♪」

 

着替えた俺はリビングに下りるとカマクラと戯れてた雪ノ下さんに連れられ車に乗せられてしまった。

走行中の車内で隣に座る雪ノ下さんを見ると楽しそうに鼻歌を歌ってる。

こうなった魔王様は誰にも止めれないし、答えてもくれないのだろう。

仕方なく流れる景色に目を向けボーッとすることにした。

 

――――――――――

 

陽乃「はい、比企谷君。到着だよ。」

 

そう言って、開けられたドアから降りるように促され降りると声をかけられる。

 

陽乃「比企谷君♪」

 

八幡「はい?なんスか?」

 

軽く伸びをして体をほぐして振り返ると手の甲を上に向け俺に向かって手が差し出された。

えぇー…意図はわかりましたけど、えぇー…。

 

陽乃「…」ニコニコ

 

八幡「ぅ…はぁ…。」

 

笑顔のまま動かない雪ノ下さん。勝てるわけがない。

左手でガシガシと頭をかき覚悟を決めて右手を差し出す。

俺の右手に申し訳ない程度に手を添えてスッと車を降りる雪ノ下さん…ほんと何でも似合うのな。

 

陽乃「ありがとう、比企谷君。」

 

八幡「いえ、別に。」

 

俺がそっぽを向きながら答えると楽しそうな声が聞こえるが無視だ。無視。

 

陽乃「じゃ、上がろっか。」

 

その言葉に俺は前を向くと超高層マンションとまではいかないでも綺麗なマンションに向かって歩き出す雪ノ下さんに着いていった。はぁー…帰りたい。

 

エントランスを抜けてエレベーターに乗り最上階を目指す雪ノ下さん。

俺は黒子みたいに後ろで待機する。

 

ポーンっと音を鳴らして扉が開き、俺達が降りると雪ノ下さんは一番奥の一室でカードキーを使ってな鍵を開けた。

扉をあけて中に入る雪ノ下さんの後を追う。

 

小町「もー、お兄ちゃん遅い。」

 

結衣「小町ちゃんの言う通りだよ。ヒッキー遅い!」

 

中には今にも噛みつかんとする犬、もとい由比ヶ浜が恐れ多くも天使である我が妹の小町と並んで頬を膨らませていた。

 

雪乃「小町さん、由比ヶ浜さんダメよ。この男は生き返るだけでも奇跡なのにそんな酷な事を言っては可愛そうよ。」

 

八幡「いやいや、雪ノ下の言い分が一番ひどいからな?」

 

雪乃「あら?私は本当の事言っただけよ?ゾンビ…比企谷君は生き返るのが毎日大変でしょ?」

 

八幡「思いっきりゾンビって言ってるからな?つか、俺は人間だ。」

 

そして氷の女王は軽くジャブと言う名のストレートをガンガン放つ。HPは既にマイナスだよ。

 

いろは「先輩、私喉渇きましたー。」

 

八幡「しらん。あざとい。つか、雪ノ下さん聞け。」

 

妙な甘えた声で一色が話しかけて来るが俺はお茶汲みじゃねぇ。

だが、専業主夫になって養ってくれるなら考えてやらんでもないな。うん。

 

陽乃「はい。皆にお知らせがありまーす。」

 

アホな事を考えてる俺をよそに雪ノ下さんが手を鳴らして声をあげる。

 

陽乃「皆、まだ冬休みで学校始まるまで暇だと思ってね?お姉さん今日の13:00から始まるSAOで遊ぼーと思って皆の分揃えたんだよねー。」

 

そう言って、じゃじゃーんっと言いながら6台あるうちの1つベッドの横にかかった布を剥ぐと兜のような形をしたナーヴギアを見せる。

 

陽乃「全員で思いで作りしよっか♪」

 

そう言ってウインクをする雪ノ下さんは心底楽しそうで俺は溜め息しか出なかった。

 




はい。すみません。
全然SAOに話を持っていけてないですね。
ハルノンが可愛すぎて少し?暴走してしまいました。

次回はとりあえず、SAOで戦闘に慣れるまでを書きたいですね。
つか、自業自得ですがキャラが多すぎてなかなか進めれない感じがします。

因みに文字数は2000前後ぐらいを目指します。

ありがとうございました。


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Ep.1

プロローグだけでは寂しいので一話投稿です。
安定の駄文ですね♪


ソードアート・オンライン通称SAOナーヴギアを装着し、架空世界にダイブする最新式のMMORPGだ。ダイブ中は現実での体は睡眠状態になるため基本的に寝ながらリンクするらしい。

正直、俺も欲しかったが値段がアホみたいに高く断念した代物だ。

 

陽乃「皆の分も用意したから皆でしよ♪」

 

雪ノ下さんがナーヴギアを片手に楽しそうに笑う。

最近は雪ノ下さんも雪ノ下の姉離れにより仮面を着けずに笑うことが増えてきたのは言いが、寂しがってここに居るメンバーにちょっかいを出したりするのが増えてきた。暇なんだな。

 

雪乃「姉さん。私達は今年大学受験なのよ?遊んでる暇はないわ。」

 

陽乃「えー、いいじゃん。雪乃ちゃん遊ぼうよー。」

 

そう言って、駄々をこねる雪ノ下さん。あれじゃあどっちが姉がわからんな。

 

雪乃「ダメよ。」

 

陽乃「雪乃ちゃんのケチ。」

 

結衣「まあまあ、ゆきのん。今日一日位遊んでもいいじゃん、ね?」

 

雪乃「由比ヶ浜さん、一番危ないのはあなたなのよ?」

 

結衣「ぅ…。」

 

鋭い目で二人を見る雪ノ下。頬を膨らませている雪ノ下さん。しゅんと項垂れる由比ヶ浜。なかなかカオスな状況だな。

しかし、まいすぅぃーとえんじぇる小町が助け船を出す。あぁ…神々しい。

 

小町「雪乃さん、小町は頑張って総武高に合格しました。」

 

雪乃「えぇ、そうね。」

 

小町「それに対するご褒美があっても良いとおもうわけなんです。」

 

雪乃「???」

 

うん。理屈が意味わからんな。

でも、口に出さない。多分口出ししたらご飯抜きだと思うし。

 

いろは「そうですよ。なんか楽しそうですし、少しやって勉強もちゃんとしたら問題ないですって。」

 

雪乃「……ふぅ…これではまるで私が悪者みたいじゃない。わかったわ。いいわよ、姉さん。」

 

陽乃「本当!?やったー♪」

 

小町「良かったですね、陽乃さん♪」

 

軽く溜め息を吐きながら雪ノ下が了承すると雪ノ下さんは嬉しそうに笑う。

 

陽乃「じゃあ、皆向こうで落ち合うために先にプレイヤーネーム決めよ。」

 

そう言って決まったネームはほとんどが自分の名前であり、ついでにキャラも少し自分に似せると言う決まりのもとそれぞれがナーヴギアを装着しベッドに横になった。

 

サービス開始まで5…4…3…2…1

時計の長針が真上を向くと同時に一斉にダイブした。

 

ALL「「「「「「リンクスタート」」」」」」

 

――――――――――

 

ゆっくりと目を開けると中世のようなレンガ作りの建物が目にはいる。

 

ハチマン「これがSAOか、マジでリアル過ぎるだろ。」

 

辺りをキョロキョロとしてると。コマチに似た少女がてを降りながら走ってきた。

 

コマチ「おにーちゃん。」

 

ハチマン「おう。コマチか?」

 

コマチ「そうだよ。皆もうフィールドに出れるところで集まってるから行こ?」

 

ハチマン「ん、わかった。行くか。」

 

面倒くさそうに返事をしたが俺は楽しみでワクワクしていた。

これからデスゲームが始まるとは知らずに。

 

――――――――――

 

ハチマン「らぁ!!」

 

掛け声とともに剣振り下ろすとイノシシ型のモンスターはポリゴンとなって消えた。

 

ハチマン「っと、まあこんな感じだな。」

 

ユイ・イロハ・コマチ「おおー。」

 

三人から拍手が送られる。フッ、決まった。

 

ハルノン「やっぱりハチマンはこういうのやってただけはあるね。」

 

ハチマン「まあ、リアリティーが全然違いますが基本的な事は変わりませんからね。」

 

ユキノン「さすが現実世界での鬱憤をこう言ったゲームで発散する人は違うわね。」

 

ハチマン「おい。人を最低なプレイヤーみたいに言うな。」

 

相変わらず雪ノ下の毒舌は好調みたいだな。

それぞれレクチャーをして一人一人戦いに慣れるために二人と三人のパーティーを組み俺もレベルを上げながら指導していく。

 

イロハ「大分慣れてレベルも上がって来ましたし、一度終了しませんか?」

 

ダガーでのタイマンでなかなかの駆け引きを見せてモンスターを倒した一色が武器をしまいながらそう提案してくる。

 

ユキノン「そうね。そろそろいい時間でしょうし、続きは明日以降にしましょ。」

 

ハルノン「あれあれー?ユキノンこのゲームにはまっちゃったー?」ニヤニヤ

 

ユキノン「ち、違うわ。こんな人を堕落させて動物を倒すゲームなんかに熱中するわけないわ。」

 

うん。雪ノ下が真っ赤になってる。確か喜怒哀楽が過剰に表現されるって書いてあったな。

 

ユイ「あはは…まあ、とりあえずログアウトしょっか…ってあれ?」

 

ハチマン「ユイ、どうした?」

 

ユイ「ゆ、結衣って…///呼び捨てなんてヒッキーキモイ!!」

 

ハチマン「いやいや、リアルの名前は言えないからね?」

 

ユイ「あ、そっか//それより、ログアウトがないよ?これ。」

 

由比ヶ浜の言葉にやれやれと肩をすくめながらウィンドウを開いてログアウトをしようとする。

 

ハチマン「はぁ、これだからアホの子は…って、あれ?マジでない。」

 

ユイ「誰がアホだし!!」

 

隣でキャンキャン吠える由比ヶ浜を他所に俺は何度もログアウトを探すが、やはりない。

するといきなり目映い光が俺たちを包みこむ。

 

ハチマン「なっ、強制転移!?」

 

ユキノン「な、何なのこれは?」

 

ユイ「何これ!?どうなっちゃうの!?」

 

イロハ「やだ、怖いです。なんですか!?」

 

コマチ「お兄ちゃん!!」

 

ハルノン「皆落ち着いて!!手を掴んで!!」

 

それぞれが伸ばした手も虚しく空を切り俺達は皆ばらばらにはじまりの街に飛ばされた。

 




キリトが出せなかった…orz


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Ep.2

UA1000&お気に入り30件突破しました!
このような駄文な作品を読んでいただきありがとうございます!!
皆様に感謝感謝です♪


はじまりの街の広場に集められたプレイヤー達の真ん中に赤いローブを着た奴が浮いている。

 

そいつはこのゲームの開発者、茅場だと名乗ったと同時にゲームのクリア方法を告げる。

 

曰く、このゲームにログアウトはない。

曰く、体力が自分の命。

曰く、それが尽きればゲームオーバー。

曰く、ゲームオーバーは現実世界での死を意味する。

 

100層まであるこのゲームを、デスペナルティがリアルでの死とイコールである状態で行えというのだ。

クリアさえすれば、このゲームから解放されるらしい。

 

ある種のテロ行為である。ありえないがその言葉が真実とみて行動した方が良さそうだ。

 

そして配布された鏡を使用するとリアルの顔に戻ってしまった。え?架空世界でもこの目と付き合わないといけないの?なにそれ絶望的じゃねぇかよ。

 

ハチマン「てか、こんなアホな事より皆を探さねぇと。」

 

俺はそうぼやきながら走り出した。

 

――――――――――

 

あれから1ヶ月がたった。死者はすでに2000人を越えてしまっている。

あの時に見つけられたのは小町と一色だけだった。

 

しかし第一階層の攻略会議が行われると聞き、残りの三人が集まるかもしれないと二人を連れて参加した。

 

ディアベル「はーい。じゃあ、始めさせてもらいます。」

 

集まった広場には沢山の人で溢れている中、中央にある祭壇のような所で男が声をあげる。

 

ハチマン「あん?」

 

コマチ「どしたの?お兄ちゃん?」

 

ハチマン「いや、この声どっかで聞いたような…。」

 

コマチ「お兄ちゃんの知り合い…なわけなよね。」

 

ハチマン「おい。お兄ちゃんのHPはもうマイナスだよ?ポリゴン化しちゃうよ?」

 

可愛そうな目で指で目元を拭う小町。涙でてないし。そんな演技は要らんわ。

 

イロハ「…あっ!!先輩。あの人ですよ。ほら、あの……ざ…ざ……ざざざさんですよ!」

 

ハチマン「いや、お前ざしか言ってねぇし。何なの?壊れかけなラディオなの?」

 

良い曲だよね。あれ。

 

イロハ「うー…。」

 

俺の言葉に頬を膨らます一色。リスかよ。かわいいからやめろ。

 

ハチマン「あざとい。」

 

イロハ「もう!意地悪しないでください!!ほら、あの指に穴が空いた手袋して季節関係無く暑苦しいコート着たデブですよ!」

 

うん。本人が聞いたらショック死するな。これ。

 

ハチマン「あぁ、材木座か。うわっ!思い出したらあいつの顔が材木座に見えてきた…。」

 

なんだよ。こんなとこでも出てくんのかよ。俺のこと好きなの?キモすぎだわ。

 

とりあえず帰ったら一発殴る決心(※八つ当たり)をして話をそこそこで俺達は中央で仕切ってる材山(仮)からは少し離れた所でその話を聞いていた。つか、なんか顔と性格は劣化版葉山みたいだなあいつ。

 

イロハ「うわー。なんか葉山先輩のダメなバージョンみたいな人ですね。先輩。」

 

ハチマン「確かにそうだな。つか、考える事は一緒かよ。」

 

イロハ「はっ!?もしかしてそうやって口に出して俺とお前は通じあってるぜ。的な事を伝える魂胆ですか?遠回し過ぎますし、ムードとかもあったもんじゃないですからもっと直接的にムードを作ってから出直して来てください。ごめんなさい。」

 

うん。早口過ぎて全く意味がわからんかった。途中で聞くのを放棄するレベル。

 

ハチマン「いやいや。だから俺は何回フラれたらいんんだよ。てか、噛まずによく言えるな。」

 

俺なら一文も言えずに噛んで噛みまみただな。なにそれ?キモいな。

 

コマチ「……ゴミいちゃんめ。」

 

ハチマン「いや、俺は悪くないよね?」

 

しまいには小町までも呆れる始末。意味がわからん。

 

材山(ディアベル)「それじゃあ、6人でチームを組んで下さい。」

 

出たよ。ソロプレイヤーに優しくない提案。やっぱりあれだな、全人類がぼっちになったら人類が補完されて平和になるな。ぼっち最強。ぼっち万歳。

 

ユイ「ヒッキー!!コマチちゃーん!!イロハちゃーん!!」

 

脳内でぼっち会議(勿論議員は俺1人)を繰り広げていると聞きなれた声が聞こえた。

 

コマチ・イロハ「「ユイさん(先輩)!!!」」

 

声の方を向くと此方に向かって走ってくる由比ヶ浜が見えた。小町と一色は直ぐに走りだし、抱き締め合う。

 

ユイ「えへへ…1ヶ月ぶりだね。」

 

コマチ「はい…心配しましたよ。」

 

イロハ「わたしもすっっっごく心配しました!」

 

三人は涙を浮かべてお互いを確かめ合う様に声を掛け合う。

 

ハチマン「まあ…なんだ………その…おかえり。」

 

自分の顔が赤くなるのがわかり、そっぽを向きながら由比ヶ浜の頭をポンポンと撫でる。

 

ユイ「ヒッキー…うん!!ただいま!!!」

 

満面の笑みを浮かべる由比ヶ浜。それはまるで太陽に向かって満開の花びらを広げる向日葵の様で見とれてしまう。

 

キリト「あ、いたいた。」

 

少しの間見つめあっていたら由比ヶ浜が走って来た方から少年とフードを被った人が走ってくる。

 

キリト「急に走って行ったからびっくりしたよ。」

 

ユイ「あ!ご、ごめんなさい。」

 

走って来た男が由比ヶ浜に話しかけると、しゅんと項垂れた由比ヶ浜が謝る。

 

ハチマン「ユイ。誰だ?」

 

いくらゲームでも流石にいきなり話しかけられる訳もなく由比ヶ浜に聞く。

 

ユイ「あ、紹介するね?1ヶ月前に助けてくれたキリト君とさっき仲間になったアスナちゃんだよ。」

 

ニコニコと紹介する由比ヶ浜。なるほど、命の恩人って訳か。

 

ハチマン「なんだ。ツレが世話になったみたいだな。ありがとう。俺はハチマンだ。」

 

軽く頭を下げながら自己紹介をする。

 

コマチ「コマチです!お兄ちゃんのリアル妹です!!」

 

ビシッ!!と音がなりそうな敬礼をする小町。

 

イロハ「イロハです。よろしくお願いします♪」

 

一色は営業スマイルで自己紹介をしていた。

 

キリト「いや、こんな状況だし、持ちつ持たれつだから気にするなよ。」

 

ハチマン「そう言ってもらえるとこちらもありがたい。所でパーティーは三人なのか?」

 

キリト「あぁ、そっちもか?」

 

俺の問にキリトは軽く頷きながら答える。

 

ハチマン「こっちも三人だ。合わせたら6人だから他に宛がないなら俺達とパーティー組まないか?」

 

キリト「いいぜ?よろしくな。」

 

キリトは承諾し軽く握手をかわす。おぉ、なんか青春っぽいな。

 

キリト「じゃあ、ボス討伐までは時間があるし、連携とレベリングも兼ねて軽くモンスターでも狩りにいかないか?」

 

ハチマン「そうだな。働きたくはないがお互いに実力は見たいしな。」

 

俺達6人はフィールドに向かって歩き出した。

 

この世界でこんだけ働いたんだから帰ったら専業主夫でもいいよな。…………ダメ?




次回は6人でレベリング&ボス戦です。

今回2500文字だったのですが、途中から詰め込んだ感じになってしまいましたので少しだけ文字数を上げて3000~4000位に変えさせていただきますね。
大変申し訳ありません。


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Ep.3

ごめんなさい。ボス戦まで持っていけませんでした。

UA2500&お気に入り50越えありがとうございます♪
皆様に支えられてこれからも頑張ります!!!


キリト「おらっ!!」

 

キリトが相手の攻撃を弾き縦に一刀両断する。モンスターはポリゴンとなって消えていった。

 

キリト「ん、こんなもんだな。」

 

ハチマン「さすがテスターだな。無駄な動きはないな。」

 

納刀しながら此方に歩いてくるキリトに声をかける。

 

キリト「こう言ったゲームは得意だからな。次はハチマンが見せてくれよ。」

 

えー…働きたくない。ま、仕方ないか。

 

ハチマン「了解。」

 

俺はキリトと入れ替わる様にモンスターの前に出る。

 

ハチマン「じゃあ、始めますかな、と。」

 

右足に力を込めて一足で最高速まで加速する。

 

アスナ「!?…速い。」

 

後ろの方で声がしたが気にしない。

モンスターは近付く俺に気付いたのか迎え撃つ様にに攻撃モーションを取る。

 

ハチマン「へっ、残念。」

 

ニヤリと笑いモンスターの攻撃に合わせて隠蔽スキルを発動して回避するとモンスターは俺を見失ったのかキョロキョロと辺りを見回すがもう遅い。

 

ハチマン「終わりだ…じゃあな。」

 

俺は回避時に抜いていた剣でモンスターの首にクリティカルを叩き込むとポリゴンになった。

 

ハチマン「ふぅ、疲れた。」

 

俺が皆の元に戻ると今まで一緒にいた小町と一色は普通だが、由比ヶ浜・キリト・アスナは口を開けたまま動かなかった。

 

ハチマン「……どうしたんだよ。」

 

ユイ「いやいや、ヒッキー強すぎだし!!一瞬で終わったちゃったからわけわかんなかったじゃん!」

 

ブンブンと腕を振りながらわめく由比ヶ浜。やめてブンブン振る腕に連動して貴女の禁断の果実×2もぶるんぶるん揺れてるから。ほら、キリトもそっぽを向いたじゃん。

 

ハチマン「わかったわかった。落ち着け。おすわり。」

 

ユイ「はい!!って、あたしは犬じゃないし!!!」

 

由比ヶ浜はおこのようです。マジでするなよ。

 

アスナ「あの…。」

 

アスナがフードを捲りながら声をかけて来た。つか、ちょっと待て。

 

ユイ「え!?かおりちゃん!?」

 

アスナ「へ?」

 

由比ヶ浜もアスナの声を聞いて驚いてる。

 

ハチマン「いや、気にするな。ちょっと知人の声に似てて驚いただけだから。」

 

ちょっと、黒歴史を思い浮かんだだけだ。目から汗が出そう。

 

アスナ「そうなの?って、ハチマン君目がすごく濁ってきてるよ?」

 

ハチマン「大丈夫だ。問題ない。」

 

アスナ「???」

 

某勇者ネタは通じないか。残念。

 

ハチマン「ユイは一緒に居たんだろ?」

 

ユイ「いや、アスナちゃんとはさっき会ったばかりでキリト君から名前聞いただけだからわかんなかったし。」

 

ハチマン「そうか。まあ、なんだ。気にしなくていいから、次はアスナが戦ってくれるか?」

 

俺の豆腐メンタルが跡形もなく砕け散る前に強引に話を進める。

 

アスナ「?わかったわ。」

 

首を傾げるアスナは何か言いたげに俺を見つめていたが話を振られて前に出る。

 

アスナ「…いくわよ。」

 

腰に差した細剣を抜き、フェンシングのように構える。モンスターはアスナに気付いてくる。対峙するモンスターとアスナはにらみ合い、緊迫した空気が張りつめていた。

 

ハチマン「キリト。」

 

俺は隣に立つキリトに話しかける。

 

キリト「どうした?」

 

ハチマン「アスナの戦いを見たのは初めてか?」

 

キリト「あぁ…初めてだな。」

 

キリトは鋭い目でアスナを見ながら肯定する。

なるほど、これはまずいな。

 

アスナ「……はぁ!!」

 

先に動いたのはアスナだった。鋭く研ぎ澄まされた剣の様な無数の突きが繰り出されモンスターが怯む。アスナはその隙を見逃さず更に精度・速度をあげてモンスターを倒した。

 

アスナ「ふぅ…。」

 

軽く息を吐きながら帰って来て真っ直ぐ俺の前までくる。

 

アスナ「ハチマン君。どうだった?」

 

ハチマン「…どうして俺に聞く?」

 

アスナ「何となく、かな。」

 

顎に手をあて首を傾げながら答えるアスナ。多分、本能的に自分の弱点に気付いているんだろう。

 

アスナ「で、どうだったの?」

 

ハチマン「センスは悪くない。相手の状態などを見抜く観察眼もいいな。」

 

俺は一つだけ隠してアスナを試す。

 

アスナ「うん、ありがとう。……でも、それだけじゃないよね?」

 

結果は合格。わかっていたがアスナは天才なのだろう。それこそ雪ノ下姉妹に負けないほどの。しかし、経験が少なくてわからないのだろう。

 

ハチマン「そうだ。お前は強い。だが、一対多もしくはサイズがでかい敵に対しては致命的な戦闘スタイルだ。もし、今ので気付かなかったら俺は戦うのをやめさせてたな。」

 

俺とアスナ以外は俺の言葉にオロオロしているが気にしない。この世界は死と隣り合わせなのだ。遠慮など優しさではない。

 

アスナ「そう…やっぱりそうなんだ。うん!ありがとう。ハチマン君。」

 

俺の言葉に俯いていたアスナだが顔をあげるとどこか憑き物がとれたかの様にスッキリした顔で頷き笑顔を向けて来た。

 

ハチマン「っ!?まあ、なんだ…その…わかったならいいんだ。」

 

その可憐な笑顔に不覚にも見とれてしまい慌ててそっぽを向く。すると顔を背けた所にいた由比ヶ浜と一色が頬を膨らましながら俺を睨んでる。

 

ユイ「ヒッキーデレデレしてキモイ!!」

 

イロハ「先輩!通報しますからね!」

 

二人は俺に詰め寄り捲し立てる。で、デレデレなんてしてねぇし!!

 

ハチマン「何でだよ。意味がわからんわ。つか、次はイロハだろ?早く行けって。」

 

こうなったら話を聞かないのは分かりきっているので一色を前に押し出す。そんで視界の端でニヤニヤする小町がうざい。かわいいから許すけど。

 

イロハ「ちょ!?まだ話は終わってませんよ!?」

 

ハチマン「俺は話なんぞない。ほれ、敵が来てんぞ?」

 

イロハ「きゃっ!?もう、後できっちり話を聞きますからね?」

 

一色に突っ込んでくるモンスターを避けてダガーを構える。

 

ハチマン「話なんてないってのに。なんでもいいから敵を倒せ。」

 

イロハ「言われなくても倒しますよ。」

 

一色は低く構えながら小悪魔の様な笑みを浮かべて走りだす。モンスターは一色に攻撃を仕掛けるが一色は紙一重で避けながらダガーで相手を切り裂く。

 

イロハ「ふふっ♪残念でしたね。」

 

笑いながら次は一色が攻撃を仕掛ける。モンスターは防御をするが寸前で一色が攻撃をやめて相手の背後に周りソードスキルを放ち直撃を受けたモンスターはポリゴンと化した。

 

イロハ「せーんぱい♪イロハただいま帰りました♪」

 

いつものあざとい笑顔で俺の元に走ってくる一色。

 

ハチマン「あざとい。だけど、よくやったな。」

 

オートのお兄ちゃんスキルが発動し、一色の頭を撫でる。

 

キリト「ハチマンといい。イロハさんといい敵に回したくないな。」

 

隣でキリトが苦笑いで言う。俺はともかく一色を敵に回したくないのはわかるぞ。うん。

 

イロハ「えへへ…♪」

 

静かになったと思ったら一色は嬉しそうな笑顔を浮かべていた。いやいや、いつものあざとさはどこいったの?素の笑顔じゃねえか。かわいいなこんにゃろう。

 

ユイ「むぅ~!!」

 

アスナ「ゆ、ユイさん?」

 

なんか由比ヶ浜は更に頬を膨らましてる。え、なんで?

 

ユイ「ヒッキー!!次はあたしだから!!」

 

ハチマン「お、おう。頑張れよ?」

 

いきなり大きなを由比ヶ浜に驚きながら声をかける。なんでそんなに怒ってんの?わけがわからないよ。

 

ユイ「あたし頑張るからちゃんと倒したら…その……あ、あたしの頭も撫でてよね!!」

 

真っ赤になり、途中でもじもじしたが大きな声で言いながら走って行った。えぇ…嫌なんだけど。

 

俺が返事をする前に走って行ってしまった由比ヶ浜。俺は一色の頭から手を離して由比ヶ浜を見る。あの、一色さん?そんな残念そうな顔しないでくれませんか?勘違いしちゃうよ?俺、フラれちゃうよ?やっぱりフラれるのかよ。

 

由比ヶ浜はモンスターに向かって走りながら右手を振りかぶる。って、ええっ!?

 

ユイ「はあぁぁ!!!」

 

モンスターは由比ヶ浜に気付いたらしく突進してくる。しかし由比ヶ浜は気にした風もなくそのまま拳を突き出す。その拳は突進してきたモンスターの額とぶつかり、バシッと派手な音が鳴り響く。

俺は慌てて助けに行こうかと構えるが、次の瞬間あり得ない光景が映った。

 

ユイ「うりゃあぁぁ!!」

 

由比ヶ浜が叫びながら拳を振り抜く。するとパワーで負けたモンスターはぶっ飛ぶ。

ここからは完全にワンマンショーだった。

由比ヶ浜は吹き飛んだモンスターを追いつきラッシュを開始。圧倒的なパワーと手数でモンスターを倒した。

 

ユイ「ヒッキー!ただいま♪」

 

由比ヶ浜がスキップをしそなくらい上機嫌に帰ってくるとニコニコしたまま頭を差し出す。

 

ユイ「はい♪」

 

いや、はいって。

仕方なく頭に手を置き撫でる。

 

ユイ「んふふ♪きもちいー♪」

 

尻尾があれば千切れんばかりに振ってるであろうほど緩みきった笑みを浮かべて声をあげる由比ヶ浜。なんかエロい。

 

コマチ「お兄ちゃんお兄ちゃん。」

 

由比ヶ浜からはばれない様に後ろから小町が袖を引っ張り耳元で囁いてきた。ゾクッとしちゃう。

 

コマチ「あれを見る限りさ…ユイさんを怒らしたらヤバくない?」

 

想像してみよう。由比ヶ浜を怒らせる→あのラッシュの餌食になる→心身ともにHP0→ゲームオーバー。

 

ハチマン「うん。ヤバイな。」

 

ユイ「ヒッキー?どうかしたの?」

 

ハチマン「い、いや、なんでもないから。」

 

由比ヶ浜が不思議そうに見上げてるが、慌てて否定する。

 

コマチ「あ、次はコマチの番だね。」

 

ユイ「コマチちゃん頑張って!」

 

ナイス小町!!由比ヶ浜の注意をそらしてくれたんだな。さすが天使小町。

 

イロハ「コマチちゃん気を付けてね?」

 

コマチ「イロハさん大丈夫ですよ♪」

 

一色は小町を妹みたいに見てるらしく心配なのか声をかけるが、小町は笑顔で答えている。なんかイイネ♪

 

コマチ「では!いってきます!!」

 

ビシッと敬礼してから軽い足取りでモンスターに向かって走り出す小町はダガーを抜き放ち。モンスターの攻撃をひらりひらりと避けて隙を見て連続で切り刻む。しかし、浅かったのか激昂したモンスターは反撃をするが小町は横に転がり回避する。

 

コマチ「…やあぁぁ!!」

 

転がった小町はしゃがんだ状態から全身のバネを利用しながら強烈な突きを放ち撃破した。

 

ハチマン「相変わらず自由奔放な戦い方だな。」

 

コマチ「ただいま♪ん?カマクラが逃げるの上手いからその真似してるだけだよ?」

 

なるほど。なんか見たことある動きだと思ったらカマクラか。

 

キリト「なんか皆個性的な戦い方で被ってないから連携がやり易いな。欠点を補いやすいし。」

 

ハチマン「そうだな。連携も含めてもうちょいやるか。」

 

俺の提案に皆は頷き俺達は狩りを続けた。

 




初めて戦闘を書きましたがなかなか難しいですね。
至らぬ点もありますが読んでくださりありがとうございました。


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Ep.4

どうも、0ひじり0です。

八幡が八幡らしくない気がします…。
八幡難しいな…。


ディアベル「みんな…勝とうぜ!!!」

 

ディアベルの掛け声に集まったプレイヤー達が吠え、次々に走り出す。士気は上々。悪くない出だしだ。

 

ハチマン「……なんかここからだとあいつの顔が見えないから余計に材木座に感じるな。なんか腹立つ。」

 

俺達6人は少し後方からのスタートのため少し遅れてスタートをする。

 

イロハ「なにいってるんですか?まあ、なんとなく気持ちはわかりますけど…。」

 

ユイ「あはは…。」

 

複雑な表情な一色がぼやき。由比ヶ浜はそれを聞いて苦笑いをしている。くそっ。材山の癖に。

 

アスナ「三人とも。サボってたら置いて行くわよ?」

 

俺達の中で一番最初に前に出たのはアスナだった。アスナはあれから基本的なチームワークを学び、直ぐにそれを吸収した。

 

ハチマン「はいはい。お姫様の仰る通りに。」

 

アスナ「はいは一回って習わなかったの?」

 

ハチマン「生憎俺はボッチだから知らないな。」

 

アスナ「ふふっ、本当に減らず口ね。」

 

俊敏が高い俺とアスナが前に出て切り込みパワーが高いキリトと由比ヶ浜が真ん中でモンスター追撃。残った小町と一色はその身軽さを生かし、キツいところのフォロー&後ろからのモンスターの対処。これが俺達が練習で見つけた陣形。此れならバランスも良く。今回はさほどモンスターの数はいないがこの陣形はモンスターが多くても対処可能。さらに全員が2チームに別れた状態だから他のフォローなどに行きやすくなるのだ。

 

――――――――――

 

ハチマン「ふっ!まだ倒せないのかよ。」

 

コマチ「お兄ちゃん。コマチ疲れたよー。」

 

ハチマン「後、少しだ。頑張れ。」

 

俺は目の前のモンスターの首を落とし、コマチの頭を撫でて労いながらボスに目を向ける。

戦いが始まってから数十分がたってボスの体力はやっとレッドに到達したくらいだった。

 

キリト「やっとレッドか。そろそろ武器が変わるぞ。」

 

テスターであったキリトは睨む様にボスを見つめる。

このまま行けば問題なく勝てる俺達は少し安堵した。しかし、問題が起きてしまった。

 

ディアベル「みんな退け!ここは俺が決める!!」

 

ディアベルが1人前に出てボスに切りかかった。1人でまだ残った体力を削るのは無謀と言っていいだろう。

 

ハチマン「あのバカ!なにやってんだ!!」

 

キリト「ハチマン!止めるぞ。」

 

走り出す俺とキリトの前に男達が立ちはだかる。確かキバオウとか言うディアベルの取り巻きだ。

 

キバオウ「待ちぃや!!此処からはディアベルはんの独壇場や!」

 

キバオウ達は俺とキリトを掴まえてニヤリと笑いながら俺達を見下す。その目は〔お前達の出る幕はない〕と言っているがこれはゲームであって遊びではないのだ。万全の上に万全を尽くして更に慎重に事を進めなければゲームオーバー、つまり死と言うペナルティを受けるのだ。それなのにこいつらは1人で任せると言う。あり得ない。

 

キリト「何を言ってんだ!退け!!」

 

キバオウ「あかん。これはディアベルはんの指示や。」

 

キリトは叫ぶが全く相手にされない。

そうこうしてるうちにディアベルは1人で完全に前に出て行ってしまった。

 

ディアベル「くらえ!!はああぁぁぁ!!!」

 

ディアベルはソードスキルを放とうとする。しかし…。

 

コボルト・ロード「グオオォオォォ!!!!」

 

地面が揺れると錯覚する程の咆哮をあげ、新しく手にした野太刀を振りかぶる。

 

キリト「な!?武器が違う!!ディアベル避けろ!!!」

 

キリトの叫びもむなしく薙ぎ払われた野太刀がディアベルに直撃し、吹き飛ばされる。

 

キバオウ「ディアベルはん!!!」

 

ハチマン「ちっ、アホ共退け!!」

 

俺とキリトは乱暴に振り払い走り出し、アスナ達も追ってきた。

 

ハチマン「キリト!ディアベルの方に行け!あいつは俺達で食い止める。」

 

キリト「わかった。」

 

俺の言葉にキリトは方向を変えてディアベルに向かった。

 

ハチマン「俺があいつの注意を引く。アスナ、コマチ。左から攻めろ。ユイとイロハは右からだ。」

 

アスナ・ユイ・イロハ・コマチ「「「「了解!!」」」」

 

返事と共に四人が散開する。俺は更にスピードを上げてボスとの距離を一気に詰め、野太刀を振り下ろすのコボルト・ロードを回避しながら横をすり抜けるようにして一閃をお見舞いする。

 

ハチマン「ほれ、こっちだデカブツ。」

 

コボルト・ロード「ガアァァ!!」

 

激昂したコボルト・ロードが野太刀を振り回すが遅い。俺は隠蔽スキルを発動し、背後に回って続けざまに三回切りつけると同時に追い付いたアスナ、ユイが両サイドからソードスキルを放ちコボルト・ロードは怯む。

 

ハチマン「ナイスだ。追い討ちをかけるぞ。」

 

ソードスキルを使った二人を少し下がらせ、正面から俺が両サイドからコマチ、イロハで次々に攻撃をする。

 

パリィン

 

その音に俺達はハッとし、コボルト・ロードから距離を取る。

音が鳴った方を見ると手に回復薬を持つキリト一人だけだった。キリトの周りはキラキラと光り空中に溶けて無くなって行く結晶が無数にあった。ディアベルが死んだのだ。

 

ハチマン「…ちっ。」

 

アスナ「嘘、そんな…。」

 

口元に手を当て震えるアスナ。他の三人もそれぞれ泣き、目を背け、俯く。

 

ハチマン「…おい。油断するな。」

 

アスナ「っ!?」

 

コマチ「お兄ちゃん!!」

 

イロハ「…先輩。」

 

ユイ「……ヒッキー…ひどいよ。」

 

あくまで冷たく。吐き捨てる様に言う。

俺の言葉にアスナが睨み、コマチは怒り、一色は悲しそうに俺を見る。

 

ハチマン「感傷に浸ってる暇はねぇんだ。後にしろ。」

 

言い終わるかが早いか俺は走りだし、叫ぶ。

 

ハチマン「キリト!!!来い!!」

 

キリト「………わかってる。」

 

何と言ったのかはわからないがキリトが此方に向かって走り出す。その目は復讐の念はなく、ただボスを倒すという意思だけが滲んでいた。良かった。まだあいつはやれるみたいだ。

 

キリト「ハチマン。あいつの後ろからで挟み撃ちにする。いいな?」

 

ハチマン「へっ。ちゃんと合わせろよ?」

 

キリト「まかせろ。寧ろハチマンが遅れるなよ?」

 

キリトがニヤリと笑うを見て俺も同じ様に笑う。

 

ハチマン「うっせ。」

 

再び隠蔽スキルを使い走り出し、キリトとアイコンタクトを取る。先に俺が背後から攻撃し、キリトから注意をそらす。

 

キリト「ハチマン!!」

 

ハチマン「決めろ!キリト!!」

 

俺が先にソードスキルを放ち数秒差でキリトがソードスキルをぶちかましコボルト・ロードはポリゴン化した。

 

Congratulations

 

空中に文字が浮かびクリアを告げる。

 

キリト「…倒したな。」

 

ハチマン「………あぁ。」

 

俺達はハイタッチをして皆の所に戻る。

アスナ、ユイ、コマチ、イロハが俺を見て視線を反らす。

 

キリト「何があった?」

 

ハチマン「…気にするな。」

 

四人がおかしいのに気付いたキリトは俺に聞いて来るが適当に返事をする。

 

ハチマン「とりあえず、俺達は勝ったんだ。帰るわ。あー疲れた。」

 

俺は町に戻る為に歩き出すが、男が叫ぶ。

 

キバオウ「ちょい待てぇ!!」

 

ハチマン「あん?」

 

振り返るとディアベルの取り巻きだったキバオウが俺達を睨みながら喚く。

 

キバオウ「なんでや!?何でディアベルはんを見捨てたんや!!」

 

ハチマン「は?何を言ってるんだお前は?」

 

キバオウ「うるさい!!何でディアベルはんがしなないかんかったんや!!!」

 

激情して全く聞く耳を持たないキバオウが喚き散らし、俺は溜め息を吐き出す。

 

キバオウ「さてはあんたらはβテスターやろ!!」

 

この言葉にキリトが俯く。更にキバオウはヒートアップし、周りもディアベルの取り巻きと言うこともあり、キバオウの言葉に同調していく奴が現れ始める。

 

ハチマン「付き合いきれん。おい。お前ら帰るぞ。」

 

何度目かの溜め息吐いて皆の方を見るが俺は見てしまった。皆は頷くが一人だけ上を見上げながら歪んだ笑みを浮かべるキリトを。

 

ハチマン「キリト。やめろ。」

 

キリト「……ハチマン。」

 

ハチマン「お前がやろうとしてるのは間違ってる。ソースは俺だ。」

 

肩を掴みキリトを止める。キリトは暫く俺を見ていたが観念したように頷いた。

 

ハチマン「サンキューな。後は俺にまかせろ。」

 

俺は前に出てキバオウと向かい合う。めんどくせぇ。

 

キバオウ「なんや?なんぞ文句でもあるんかい!?」

 

ハチマン「あぁ。はっきり言ってお前はバカなのか?」

 

キバオウ「なんやと!?」

 

ハチマン「ディアベルを見捨てたのは俺達じゃなくお前達だ。」

 

キバオウ「何でワイが「なら言わせて貰うが、助けに行こうとした俺達をなぜ止めた?」っ!?そ、それは…。」

 

ハチマン「言わんでいい。どうせディアベルの指示だろ?」

 

キバオウ「………。」

 

ハチマン「沈黙は肯定と同義だぞ。まあ、いい。ディアベルはラストアタックボーナスを狙ってたんだろうな。」

 

キバオウ「そ、そないわけあらへん。」

 

俺の言葉にキバオウは慌てて否定する。

 

ハチマン「なら、なぜ1人でボスに対峙する必要がある?倒すだけなら数で攻めるのが当たり前だろう。まあ、お前らにはどうせ『一人も犠牲を出したくないから俺にまかせろ。』とか何とか言われたんだろうがおかしいだろ?つか、お前らもおかしいって気付けよ。」

 

キバオウ「くっ…。」

 

歯を食い縛るキバオウに追い討ちをかける。

 

ハチマン「良かったな。お前が嫌いなβテスターが一人消えて。」

 

キバオウ「貴様ああぁぁ!!!!」

 

キバオウがついに逆上し掴みかかってくる。

 

ハチマン「…うるせぇ。お前の首も落とすぞ?」

 

キバオウ「ひっ!?」

 

俺はキバオウの背後に回り剣を首に当てる。

 

ハチマン「俺はなんか間違ってたか?」

 

キバオウ「た、たすけ…」

 

エギル「間違っていない。」

 

俺の言葉にキバオウではなく、大柄な男が答える。え、誰?

 

ハチマン「誰だ?」

 

エギル「俺はエギルだ。よろしくな。」

 

ハチマン「俺はハチマンだ。」

 

エギル「さっきも言ったがハチマンの言葉は間違ってない。俺はボス戦中にキリトとハチマンの邪魔をするお前らを見たからな。」

 

男「お、俺も見た!」

 

エギルの言葉に次々と目撃者が名乗り出しだす。

俺はキバオウを離し、武器をしまう。

 

ハチマン「エギル、ありがとう。助かった。」

 

エギル「気にするな。本当の事を言っただけだからな。」

 

エギルが手を差し出て来たので握手をしてお礼を言う。

 

ハチマン「帰るぞ。俺は疲れた。」

 

キリト「あぁ、帰ろう。」

 

アスナ・ユイ・コマチ「………。」

 

キリトは俺の隣を歩きアスナは睨み由比ヶ浜は悲しそうに見つめ小町は目を合わそうとしない。後が怖いな。すげー逃げたい。

 

イロハ「はい先輩♪帰ったらお話がありますからね?」

 

ハチマン「はぁ…マジでめんどくさい。」

 

キリトと並び歩く俺に一色が駆け寄り俺の袖を掴みながら話しかける。目が笑ってねぇし、怖いよ。あと怖い。

 

俺達の初めてのボス戦はこうして終わり、町に帰還した。




読んでいただきありがとうございました。

今回は戦闘のみで次回は町に帰って休憩がてら日常を少し書いてみる予定です。

ゆきのんとはるのんはもう少し先で合流予定ですので二人のファンの方大変申し訳ありません。
因みに俺はいろはすが好きです。でも、はるのんの方がもぉーと好きです♪
はい。ごめんなさい。調子に乗りました。(土下座)

では、次回でおあいしましょう。


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Ep.5

いつの間にかUA4500&お気に入り60越えしました。
皆様、本当にありがとうございます♪

前回少しアンチが入ってしまいまして今回のはそれのフォロー(のつもり)です。
急ピッチで仕上げましたので至らない点があるかもしれませんがどうかよろしくお願いします。

一応、アンチ・ヘイトを追加させて頂きました。ご了承下さい。


コマチ「お兄ちゃん?コマチは今怒ってます。」

 

ハチマン「…はい。」

 

キリト「まあまあ、コマチちゃ「キリトさんは黙ってて下さい。」…すみません。」

 

俺達が町に戻って宿で休んでると女性陣が襲撃。現在俺は床に正座させられている。理不尽だ。つか、キリトなんかごめんね?

 

コマチ「さて、何で怒ってるかわかる?」

 

ハチマン「ごめんなさい。わかりません。」

 

俺が答えると深く溜め息を吐き、近くにあった椅子に腰掛ける小町は悲しそうな顔をする。

 

コマチ「お兄ちゃん?確かにお兄ちゃんの言葉は正しい。でもね、人の感情はそれだけじゃ割り切れないの。」

 

イロハ「そうですよ。先輩はわたしたちを守る為にあんな風に言ったのはわかりますが、あれじゃあ嫌われちゃいますよ?」

 

ユイ「うん…それはあたしもわかった。多分ヒッキーは無意識だろうけど、自分が嫌われてでもあたしたちを守ろうとしてくれたんだよね?」

 

三人は皆、悲しそうに見つめてくる。

 

ハチマン「俺はそんなつもりは……無かった訳じゃないんだろうな。すまんキリト。お前にするななんて言えねぇな。」

 

キリト「謝るなよ。俺はハチマンのお陰で馬鹿な事をしなくてすんだんだ。ありがとう。」

 

キリトに頭を下げるがキリトは首を横に振りお礼を言われる。

 

コマチ「理解してくれた?」

 

ハチマン「ああ、ごめん。」

 

俺はキリトと同じ様に頭を下げて謝る。

 

コマチ「うん。」

 

ユイ「じゃあ。」

 

イロハ「そうですね。」

 

三人は顔を合わせて頷く。

 

ユイ・イロハ・コマチ「「「せーの、助けてくれてありがとう♪」」」

 

そう言って満面の笑みでお礼を言ってくれる三人を見て不覚にも目頭が熱くなる。

 

アスナ「私は…。」

 

ハチマン「アスナ…。」

 

小さく声を上げたアスナの方に向き直る。アスナの言い分もちゃんと聞くべきだ。

 

ユイ「アスナちゃん。ちゃんと言いたい事を言おう。ね?」

 

由比ヶ浜が優しくアスナの背中を撫で促す。アスナは一度頷き、俺の前で膝をついて目線の高さを合わせて喋りだした。

 

アスナ「わ、私は…その……お…怒ってないの。」

 

ハチマン・ユイ・イロハ・コマチ・キリト「「「「「……はい?」」」」」

 

アスナの言葉に俺達は綺麗にハモってしまった。

 

アスナ「あ、あの…ね?私は今まで人形みたいにイイ子で居るために頑張ってきたの…だから初めて怒られてどうしたらいいのかわからなくて……でも…その………し…かったの。」

 

ゆっくりと話し出したアスナは顔を真っ赤にしてもじもじしながら最後の方は声が小さくて聞き取れなかった。

 

ハチマン「すまん。最後なんだって?」

 

アスナ「っ!?……ぅ……しかったの…。」

 

ハチマン「え?ごめん。もう一回言ってくれ。」

 

俺は難聴系じゃないが聞き取れない為に少し顔を近付ける。

 

アスナ「………う…うれし…かったの…。」

 

ハチマン「………へ?」

 

予想外のアスナの言葉に驚き、アスナを見る。

 

アスナ「な…何度も言わせないでよ…///」

 

途中から俯き加減だったアスナは顔を真っ赤にしたまま上目遣いで俺を見つめる。その瞳はのみ込まれてしまいそうになるほど綺麗で心なしか潤んで涙目でドキッとする。

 

ハチマン「っ!?……///」

 

俺は慌ててそっぽを向く。可愛い過ぎんだろ!なんだよあれ!?俺の心臓が破裂するよ!?寧ろもう破裂したよ!??パンッて!!

 

イロハ「はい。そこまでですよ?後、先輩にはお仕置きが必要ですね♪」

 

いや、だから怖いよ。何で笑顔なのに目が笑ってないの?声も冷た過ぎんだろ!!

 

ユイ「むぅぅ~…。」

 

コマチ「まあまあ、ユイさん。イロハさん。」

 

あぁ、流石だよ小町。愛して「…!」……嫌な予感がする。

小町の頭の上に電球が光り、ニヤニヤと笑う。あーヤバイ。何かわからんがヤバイ。

 

コマチ「皆さん!コマチは良いことを思い付きました。」

 

アスナ・イロハ・ユイ「「「???」」」

 

四人が部屋の隅に集まり話し出す。時折黄色い声があがり(※主に由比ヶ浜)密談が続く。そろそろ正座やめていいかな?

 

しばらくすると四人が此方に戻ってくると俺の前に立つ。嫌な予感しかしないな。

 

コマチ「お兄ちゃんのお仕置きが決まりました♪」

 

ハチマン「拒否権は?」

 

コマチ「あると思う?」

 

ハチマン「デスヨネー。」

 

生ゴミを見るように俺を見下してる小町。やだ、ぞくぞくしちゃう。キモッ。

 

コマチ「さて、冗談はさておき。」

 

え?冗談だったの?目がマジだったよ?

 

コマチ「お兄ちゃんには私を含めた四人全員にそれぞれ一日ご奉仕をしてもらいます。」

 

ハチマン「えぇ…。」

 

コマチ「時間は朝起きてから夜は22時まででじゃんけんの結果順番はコマチ、ユイさん、イロハさん、アスナさんの順番で決定しました。」

 

ハチマン「めんど「お兄ちゃん?」畏まりました。」

 

小町が怖いよー。

 

コマチ「流石に疲れてるだろうから明日はお休みで明後日からの四日間よろしくね♪」

 

ユイ「よろしく、ヒッキー。」

 

イロハ「先輩♪楽しみにしてますからね?」

 

アスナ「あぅ…//よ、よろしく…///」

 

それぞれが俺に声をかけながら部屋を出ていく。

 

ハチマン「キリト。」

 

キリト「どうした?」

 

ハチマン「…逃げられないかな?」

 

キリト「無理だろうな。」

 

ハチマン「はぁ…生きて帰れるかな?」

 

キリト「…わからんな。」

 

キリトは気の毒そうに笑い。俺は項垂れた。

 

――――――――――

 

翌日

 

今日は完全にオフだ。あぁ、休み。なんてイイ響きなんだ。毎日が休みなら世界は平和になるはず。え?ならない?ですよね。

 

女性は明日以降のためそれぞれ外出している。女の子は色々大変らしい。

 

俺はキリトと一緒にこれからレベリングをするために町で買い物をしている。正直、テレビもゲームも何もないこの世界では寝るか狩りくらいしかする事がないんだよな。

 

ハチマン「今日はどこで狩りするんだ?」

 

キリト「二層を少し見に行くつもりだけど、キツそうなら戻って狩りだな。」

 

ハチマン「まあ、それが妥当だわな。無理は出来ねぇし。」

 

方針も決まり、歩き出すと前にフードを被った奴が立っていた。

 

ハチマン「誰だ?」

 

キリト「大丈夫だよ。」

 

構える俺にキリトは制止する。

 

ハチマン「なんだ、知り合いか?」

 

キリト「ああ。」

 

アルゴ「元気にしてたカ?キー坊。」

 

そう声をかけながらフードを取ると鮮やかな金髪にネズミの様な髭を生やした女性だった。

 

キリト「元気だよ。ハチマン。情報屋のアルゴだ。」

 

アルゴ「よろしくネ。ハチマン。」

 

ハチマン「ハチマンだ。よろしく。」

 

挨拶を終えるとアルゴは近付いて来てしげしげと俺を見回す。てか、近い近い。

 

ハチマン「近い。てか、どうしたんだ?」

 

アルゴ「これは失礼。ナニ、現状で最も異彩を放ち最凶プレイヤーを見てただけだヨ。」

 

俺の言葉に肩を竦めながら答えて離れる。え?最凶?

 

ハチマン「は?誰が最凶なんだよ。」

 

アルゴ「ハチ公に決まってんダロ?」

 

え?意味がわかんないんですけど。

 

アルゴ「第一層での活躍も含メ、他のプレイヤーの脅した際に首に剣を当てたことカラ、【首狩り】って呼ばれてるからナ。」

 

ハチマン「やめろ。変なあだ名はユイのヒッキーだけで十二分だ。」

 

アルゴ「それはオレっちに言われても困るナ。」

 

ニヤニヤと笑い。アルゴはあるものを差し出す。こいつ食えない奴だな。

 

アルゴ「これをやるヨ。今後、情報屋のアルゴをご贔屓に頼むヨ。」

 

そう言って差し出されたのは日本刀。

 

ハチマン「………。」

 

アルゴ「そんなに警戒しなくていいヨ。キー坊にも初めて会った時に渡したしネ。」

 

アルゴの言葉にキリトを見ると、頷き大丈夫だと言った。

 

ハチマン「それなら貰っとく。大事に使うとするわ。」

 

アルゴ「そう言って貰えるならあげたかいがあるってもんダ。それともう一つ情報をあげるヨ。」

 

先程までの人なつっこい笑顔とは別にニヤリと笑い。俺を見つめる。その目は鼠ではなく、まるで猫のようだ。

 

アルゴ「ここ最近、この辺りで影のヒーローが現れるんだヨ。」

 

ハチマン「?それが俺に関係あるのか?」

 

アルゴ「最後まで聞きなヨ。そのヒーローは二人組。一人は長い黒髪でスレンダーな槍を持った女性。もう一人は片手剣で髪はセミでグラマーらしいンダ。」

 

俺はアルゴの言葉に固まってしまう。情報は少ないがあの二人に合致するのだ。

 

アルゴ「名前ハ確か……ユキノンとハルノンだったはずダ。」

 

ハチマン「どこだ!?どこに居たんだ!!?」

 

名前を聞いた瞬間俺はアルゴに詰め寄り、肩を掴んで聞く。

 

アルゴ「お、落ち着ケ。ハチ公。」

 

ハチマン「あ…わ、悪い。」

 

俺は揺さぶられて目を回すアルゴを解放し謝る。

 

アルゴ「気持ちはわからなくないから気にするナ。それより続きダ。二人は出てくる場所も時間も不定期ダ。しかも、助けた後は跡形もなく消えるらしイ。」

 

アルゴの言葉を一字一句忘れないように脳に刻んでいく。

 

アルゴ「ハチ公とパーティーだったみたいだから教えたけド、たいした情報じゃないシ、今回はサービスだヨ。」

 

ハチマン「ありがとう。アルゴ。」

 

アルゴ「いいってことヨ。じゃあナ。」

 

俺は深く頭を下げてお礼を言い。アルゴと別れた。

 

良かった。二人はちゃんと生きている。それだけでも俺は涙が出そうな程嬉しかった。

 

ハチマン「キリト。行こうぜ。」

 

キリト「わかった。いてもたってもいられないんだな。」

 

ハチマン「…うるせぇ。」

 

気恥ずかしくなった俺は走りだし、キリトは笑いながら追いかけて来る。

二人とも待ってろ。必ず再開するからな。




さて、いかがだったでしょうか?
今回雪ノ下姉妹を話に出しましたが、ごめんなさい。まだ出ないんです。本当にごめんなさい。(土下座)
実はこれを書き初めて直ぐから二人の登場シーンは決めてましてですね。もう少しだけ待って下さい。お願いします。(土下寝)

では、次回からは奉仕(※デート)になります。
文字数を気にしたくないので一人一人個別に書く予定です。ご了承下さい。

読んで頂いきありがとうございました♪


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Ep.6 Komachi

今回のEp.6は四人全員で一つのエピソードになります。

現在居ない雪ノ下姉妹は合流した後にデートをする予定です。


翌日

 

コマチ「おはよう。お兄ちゃん待たせちゃった?」

 

ハチマン「おはよう。いや、そんなに待ってないぞ。」

 

待ち合わせをしてた俺達はよくあるテンプレな会話をしたて挨拶する。実際、そんな待ってないしな。

 

コマチ「うんうん♪言い感じの挨拶だね。それで、どうかな?」

 

ハチマン「ん?何が?」

 

満足そうに頷いた小町はその慎ましい胸を張るが、俺の反応に深い溜め息を吐いてジト目で睨まれてしまう。

 

コマチ「はぁ~~…まあ、お兄ちゃんがそこまで気を回せないとは思ってたけどさ…お兄ちゃん。ダメだよ?他の三人はちゃんと服装とか身なりをちゃんと誉めるんだよ?」

 

ハチマン「無理だ。」

 

コマチ「諦めるのが早すぎるよ。とにかく!ちゃんと誉めないとしばらく口聞いてあげないからね?」

 

な、なん…だと?それは俺にとっては死活問題だ。小町と会話が出来ないとか、泣いちゃうよ?

 

コマチ「お兄ちゃん?わかった?」

 

ハチマン「イエス!マム!!」

 

軍人さんもびっくりな程のピシッとした敬礼をしながら返事をする。周りの目?知るか。俺には小町しか見えてねぇんだよ。

 

コマチ「ウム。わかればよろしい♪じゃあ、行こっか?」

 

ハチマン「はいよ。」

 

こうして俺達は横並びに歩き出した。

 

――――――――――

 

ハチマン「それで?何処に行くんだ?」

 

コマチ「んー此処は現実みたいにデパートとかゲーセンなんてないから、昼まで狩りしよ。」

 

顎に指を当てて少し考える仕草をしてから提案をされる。

 

ハチマン「確かにそうだな。この世界はする事少ないもんな。」

 

コマチ「そうだね。でもコマチはお兄ちゃんと居られるならそれだけで楽しいよ。あ、いまのコマチ的にポイント高い♪」

 

ハチマン「最後のがなかったら最高だよ。」

 

コマチ「ニヒヒ♪」

 

悪戯っぽく笑い俺に笑いかける小町は本当に可愛くて、思わず顔を背ける。妹じゃなかったら絶対に惚れてしまってた。

 

コマチ「どしたの?」

 

ハチマン「な、なんでもない。」

 

コマチ「???変なお兄ちゃん。」

 

俺の様子がおかしいと思ったのか覗き込むコマチ。大丈夫だよな?顔赤くないか?

俺は必死に平然を保ちながらフィールドに向かった。

 

――――――――――

 

コマチside

 

コマチ「やあぁ!」

 

小町は一度後ろに飛んで回避をして、飛んだ先に合った木を蹴りモンスターに飛び付く様にして全体重&脚力を使った一撃でモンスターを撃破した。

 

ハチマン「お疲れ。」

 

コマチ「ありがと。どうだった?」

 

お兄ちゃんは飲み物を差し出す。皆さんはこう言う所にきゅんきゅんしたのかな?小町、気になります!無理があったかな。コマチ的にポイント低い。

 

ハチマン「悪くないが、コマチはスロースターターだからどうしても倒すのに時間がかかりすぎるな。」

 

コマチ「んーやっぱりそこだよね。なんか最初はどう攻めたら良いかわかんないんだよ。」

 

ハチマン「まあ、だけどダガーは手数で勝負だから時間がかかるの仕方ない所はある。気にするな。」

 

お兄ちゃんは口調はぶっきらぼうだけど私を慰める為に小町の頭に置かれた手はまるで大切な物を愛でる様に優しく包み込む様だ。全くお兄ちゃんのせいで小町はお兄ちゃんのなでなでがないと生きていけない頭になっちゃいそうだよ。

 

ハチマン「そろそろいい時間じゃねぇか?」

 

コマチ「あ、本当だ。帰ろっか♪」

 

ハチマン「おう。何ならもう宿から出ないまである。」

 

コマチ「それはコマチ的にポイント低いよ。」

 

小町達は軽口を叩きながら笑顔で町に戻った。

 

――――――――――

 

ハチマンside

 

町に戻ってきた俺達は外食で済ます。

食べ終わると小町は一度宿に帰りたいといい。宿まで戻ってきた。

 

コマチ「お兄ちゃんお待たせ。」

 

ハチマン「何してたんだ?」

 

コマチ「まだ秘密だよ。」

 

ウインクをして誤魔化す小町は天使でいいよな?異論は認めない。

 

コマチ「ゆっくり出来るとこ行こ♪」

 

小町はご機嫌な様子で鼻歌を歌いながら前を歩く。途中でお菓子を買って町の端にある草原に到着する。その草原は少し丘になっており、頂上には大きな樹が生えている。時折吹く風は気持ちよく、ここが幻想世界というのを忘れてしまう。

 

ハチマン「…すごいな。」

 

コマチ「でしょ?この前散歩してたら見つけたの。」

 

小町も同じ様な事を思ってるのか丘を見て微笑む。その横顔は妹でも少女でもない。一人の女性だった。

 

コマチ「お兄ちゃん…行こ?」

 

ハチマン「…ああ。」

 

それから俺達は樹の下で座り、お互いに無言のまま風に身を任せた。この一ヶ月デスゲームが始まってからどこか緊迫した心を癒してくれる。

ふと小町の方を向くと小町はこちらを見つめていた。

 

ハチマン「どうかしたのか?」

 

コマチ「…お兄ちゃん…必ず帰れるよね?」

 

ハチマン「正直、わからない。」

 

コマチ「そっか…。」

 

ハチマン「100層まで行っても出れないかもしれないからな。でも、それでも俺は必ず帰る。小町達みんな一緒にだ。誰一人として欠けさせない。絶対だ。」

 

コマチ「……ありがとう。お兄ちゃん。」

 

俺は前を向き、ハッキリと言いきる。小町はそんな俺を見て目に涙を浮かべている。

 

ハチマン「だから心配するな。な?」

 

小町の方を向き見つめ、両手で頬を包みながら親指で目もとを濡らす雫を拭う。左手を一度離してそのまま頭を撫でる。

 

コマチ「んっ…うん。わかった。」

 

小町は気持ち良さそうに目を細める。俺は自然と微笑み。小町を撫で続ける。

 

コマチ「ありがとう、もう大丈夫。」

 

ハチマン「苦しくなったり、不安になったら何時でも言えよ?」

 

コマチ「うん、わかった。」

 

ハチマン「ならいい。」

 

小町から手を離して俺は隣で横になる。ふかふかの草が気持ちいい。

 

――――――――――

小町side

 

コマチ「お兄ちゃん。おやつにしよ。」

 

ハチマン「お、いいな。」

 

横で寝っ転がるお兄ちゃんに声をかけると上半身を起こして軽く伸びをしながら返事をする。

 

コマチ「はい、どうぞ♪」

 

ハチマン「いただきます。」

 

此処に来る前に買ったクッキーを差し出す。本当は作りたかったんだけど、この世界には料理にもスキル値がある。知らなかった小町のスキル値は低いから多分美味しく出来ない。悔しいけど仕方ないか。

 

ハチマン「お、なかなか上手いな。」

 

コマチ「はい、飲み物だよ。」

 

ハチマン「サンキュー。……っ!!??」

 

小町から受け取った水筒を一口飲むとお兄ちゃんはびっくりする。ふっふっふっ…♪

 

ハチマン「こ、この味は…マッ缶!!」

 

コマチ「小町はお兄ちゃんの為にマッ缶を作って来たのです。どう?小町的にポイント高いでしょ?」

 

ハチマン「ああ!何ならカンストして結婚まであるな!!」

 

コマチ「大げさ過ぎだよお兄ちゃん…。」

 

でも、喜んで貰って小町も嬉しいよ、お兄ちゃん♪

 

――――――――――

 

ハチマン「あーマジでマッ缶最高。ごちそうさん。」

 

コマチ「お粗末様。」

 

お兄ちゃんは満足したのか再び横になりウトウトし出す。

 

コマチ「お兄ちゃん?こんなところで寝ちゃダメだよ?」

 

ハチマン「あぁ、わかっ…て……る………スー…。」

 

コマチ「もう、仕方ないなぁ。」

 

直ぐに夢の中に旅立ってしまったお兄ちゃんは気持ち良さそうに寝息をたてている。

 

コマチ「………。」

 

小町は起こさない様に近寄り、お兄ちゃんを見つめる。そっと頬を撫でる。小町の優しいお兄ちゃん。きっと辛い筈なのにそれを顔に出さずに頑張るかっこいいお兄ちゃん。

 

チュッ

 

小町はお兄ちゃんの頬に優しくキスをして、腕枕をしてもらう。この気持ちはきっと許されない。だからこれっきりで我慢しないといけない。

けど、今は、今だけは甘えよう。それくらいならいいよね?

 

コマチ「お兄ちゃん…おやすみなさい……。」

 

優しい温もりを感じながら小町は意識を手放した。




んー…難しいなぁ。

文才が欲しいです。


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Ep.6 Yui

小町に続き連投です。

書き出したら止まらなくなりました。


ハチマン「……遅い。」

 

昨日、小町に起こされて宿に帰ると由比ヶ浜から今日の待ち合わせを場所と時間を聞いてから部屋で休んだ。そして遅刻しないように早めに待ち合わせ場所に到着した。しかし、由比ヶ浜がいつまでたっても来ないのだ。やだ、ドタキャン?トラウマ思い出して泣くよ?

 

ハチマン「はぁ、迎えに行くか。」

 

既に昼を回っており、俺は仕方なく宿に引き返した。

 

――――――――――

 

ドンドン

 

ハチマン「おーい。ユイ。」

 

少し強く扉を叩くが返事がない。え?マジで泣きそうなんだけど。

とりあえず、こんなところで立ってたら捕まりかねないな。俺は声をかけながら扉を開けて中に入った。

 

ハチマン「ユイ?入るからな?」

 

中に入るとカーテンが閉まっており、床には服が散乱している。俺は服を踏まないように避けながらカーテンを開けた。

 

ハチマン「たくっ…カーテン位開けろよなって、なああぁぁ!??」

 

カーテンを開けて振り返った俺の目に飛び込んできたのはベッドに仰向けで寝ている由比ヶ浜だ。しかし、掛布団は床に落ちており、服装はTシャツと下着のみでそのTシャツは胸の辺りまで捲れていてもう少しで見えてしまいそうだ。

 

ハチマン「……くそっ///」

 

俺は八幡の八幡がおっきしかけそうなのを必死で抑えて由比ヶ浜に布団をかける。あ、危なかった…。マジで俺が理性の化物でよかった。

 

ハチマン「おい…ユイ起きろ。」

 

ユイ「んー…後、5分…。」

 

由比ヶ浜の肩を揺するが寝返りをして逃れようとする。

 

ハチマン「はぁ…。」

 

仕方なく俺は由比ヶ浜が起きた時の為に食い物を買いに一度出掛けた。

 

――――――――――

 

ユイside

 

ん?何かいい匂いがする。お腹すいたかも…。

 

ユイ「んんっ、んー…。」

 

あたしは体を起こして大きく伸びをする。あ、今はポキッていった。気持ちいい。すると直ぐ隣からあたしが大好きな声が聞こえた。

 

ハチマン「おう。やっと起きたか。」

 

ユイ「ふぇ?」

 

あれ?何でヒッキーが居るの?あ、そっか…まだ夢の中なのかな。なら甘えちゃえ♪

 

ユイ「ヒッキー♪」

 

ハチマン「へ?」

 

ギュッ

 

ユイ「ヒッキー…頭撫でてぇ…。」

 

ハチマン「ちょっ!?ゆ、ユイ?」

 

ユイ「ねぇ、お願い…。」

 

ヒッキー顔真っ赤にしてかわいいなぁ。それに温かくて気持ちいいよぉ…。

 

ハチマン「っ!?……ほら//」

 

ユイ「エヘヘ♪ヒッキーの手気持ちいいな。」

 

大好きな人に頭を撫でられて大好きな人の胸に顔を埋めて大好きな人の匂いをいっぱい吸い込む。凄く幸せだ。こんなの夢の中じゃなくて現実でしてもらったら幸せ過ぎて死んじゃうかもしれない。本当はキスもしたいけどそれは夢の中でもダメ。抜け駆けは良くないから。

 

ユイ「ヒッキー…絶対、帰ろ…う…ね……スー…スー…。」

 

――――――――――

ハチマンside

 

ハチマン「ユイ?…寝ちまったか。」

 

俺の胸の中で眠る由比ヶ浜は本当に安心しきっているのか微笑みを浮かべている。

 

ハチマン「……当たり前だろ?俺達は必ず帰るんだからな。」

 

由比ヶ浜をベッドに寝かせて乱れた髪を撫でて直してやりながら先程の言葉の返事をする。すると由比ヶ浜は撫でていた手を掴んでニギニギと握る。俺は仕方なくベッドに腰掛けて由比ヶ浜が起きるのを待つことにした。

 

――――――――――

 

ユイ「ヒッキー!ごめん!!」

 

ハチマン「いや、気にするな。」

 

由比ヶ浜が起きたのはあれから三時間程たってからだった。

 

ユイ「でも…せっかくのデートだったのに…ヒッキーを待たせて迷惑かけちゃったし…。」

 

ハチマン「気にするなっていったろ?ただえさえこんな世界に閉じ込められた上に由比ヶ浜は知り合いが居ない中頑張ってきたんだ。自覚は無くても疲れてたんだよ。だから気にすることはないんだ。」

 

ユイ「ヒッキー…ありがと♪」

 

俺の言葉に由比ヶ浜は満面の笑顔でお礼を言う。俺は優しく頭を撫でてしまった。

 

ユイ「ひ、ヒッキー?」

 

ハチマン「あ、わりぃ。嫌だったよな?」

 

ユイ「ううん。嬉しいよ?もっと、撫でて欲しい…かな// 」

 

由比ヶ浜は首を横に振ってモジモジしながらお願いしてくる。かわいいな。おい。

 

ハチマン「と、ところで今からでもどこか行くか?」

 

ユイ「へ?いいの?」

 

恥ずかしくなった俺は話題を変えと由比ヶ浜はキョトンとして聞き返してくる。

 

ハチマン「リミットは22時だからな。今は17時だからまだ時間はある。」

 

ユイ「そっか。じゃあ、買い物にでも行こ♪」

 

嬉しそうな由比ヶ浜を見て俺は微笑み軽く頭を叩く。

 

ハチマン「じゃあ、俺は下で居るから着替えてから来いよ?」

 

ユイ「うん♪ありがと、ヒッキー。」

 

俺は由比ヶ浜の頭から手を離して部屋を後にした。

 

――――――――――

ユイside

 

あれから着替えたあたしはヒッキーと合流して町に向かって歩き出した。

 

昨日いっぱい悩んで決めた服をヒッキーが恥ずかしそうに誉めてくれてあたしは飛び上がりそうな位嬉しかった。

 

ユイ「ヒッキー!これかわいくない!?」

 

ハチマン「ん?俺にはよくわからん。」

 

ユイ「もう!ヒッキーも少しはオシャレに気を使ったら?」

 

ハチマン「無理だな。めんどくさいし。」

 

げんなりとした様子のヒッキー。オシャレしたらヒッキーもっとかっこよくなると思うんだけどな。あ、でも…それで見た目だけで判断する子が寄ってきたらやだな。

 

ハチマン「人はそれぞれ得手不得手があるから俺はいいんだよ。」

 

ユイ「屁理屈だし。」

 

ハチマン「屁理屈なんてよく知ってたな。偉いぞ。」

 

ユイ「バカにすんなし!!!」

 

そう言って楽しそうにあたしの頭を叩くヒッキー。多分、こんなので幸せになっちゃうあたしはチョロいんだろうな。でも、幸せなんだからしかたないじゃん。

 

ユイ「……あ。」

 

ハチマン「どうした?」

 

ヒッキーとの楽しい会話の中あるものがあたしの目に映る。

 

ユイ「これ、かわいい。」

 

沢山ある内の一つのお店に駆け寄り、商品を手に取る。

 

ハチマン「ん?チョーカーか?」

 

ユイ「うん。凄くキレイ。」

 

そのチョーカーは黒を基調して、小さなハートが一つ入ったシンプルな物だった。光が当たるとハートに入ったピンクの宝石がキラリと輝く。

 

ハチマン「欲しいのか?」

 

ユイ「うん。でも、あたしの手持ちじゃあ無理だし諦める。」

 

値段を見ると少し足りなくてあたしは元の位置に戻す。きっとこんなにもかわいい物だから直ぐに売れちゃうだろうし仕方ない。

 

ハチマン「貸せ。」

 

ユイ「え?そ、そんな悪いよ!」

 

ハチマン「いいから貸せ。キリトが居たとは言えユイは一人で頑張ったんだ。それに対するご褒美があってもいいじゃねぇか。」

 

ユイ「ヒッキー…。」

 

ヒッキーは半ば強引にチョーカーを持って会計を済ましてしまう。唖然としているあたしの手のひらに先程のチョーカーが置かれヒッキーは歩き出した。あたしは慌てて後を追いかける。

 

ユイ「いいの?」

 

ハチマン「もうユイにあげたから捨てるなり誰かにあげるなり好きにしろ。」

 

ユイ「そ、そんなこと絶対にしないし!!」

 

ハチマン「お、おう。」

 

あたしはウィンドウを開いて早速装備する。

 

ユイ「どうかな?似合う?」

 

ハチマン「………。」

 

ユイ「ヒッキー?」

 

ハチマン「い、いや……よ…よく似合ってるぞ…。」

 

ヒッキーはまた真っ赤になってる。そっぽを向いてるのはきっと恥ずかしんだろうな。やっぱりかわいい。

 

ユイ「エヘヘ♪ありがと、ヒッキー。大事にするね?」

 

ハチマン「……お、おう//」

 

恥ずかしくて耐えれなくなったのか歩き出すヒッキーは耳はまで真っ赤で後ろから見てもわかるくらい。

あたしは嬉しくて堪らなくなりヒッキーの腕に抱き付く。

 

ユイ「ヒッキー。皆で絶対に帰ろうね♪」

 

ハチマン「…あぁ、必ずな。」

 

ヒッキーは笑顔で返事をしてくれた。つられる様にあたしも笑顔になり、あたし達は時間いっぱいまで買い物を続けた。




八幡がおかしくなってる(汗)

アスナ・いろはすは少し待って下さい。

読んでくださりありがとうございました♪


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Ep.6 Iroha

UA7000&お気に入り100越えを達成しました!!
皆様ありがとうございます♪
本当に嬉しいです!


イロハ「せんぱーい!遅いですよ?」

 

ハチマン「いやいや、まだ待ち合わせの15分前だからね?」

 

イロハ「何言ってるんですか。女の子より遅いのは遅刻なんですよ?」

 

ハチマン「え?そんなの知らないんだけど。てか、イロハ早すぎじゃね?そんなに(お仕置きが)楽しみだったの?」

 

イロハ「ふぇ!?そ、そんなわけないじゃないですか!!」

 

待ち合わせ場所に到着すと一色は既に来ており、プンプンと頬を膨らませながら怒ってる。相変わらずあざといな。

 

ハチマン「はいはい。あざとい。」

 

イロハ「もう、先輩ひどいです!」

 

俺は肩を竦めながら言うと更に怒るがそれにともない更にあざとい。

 

ハチマン「ん?その服似合ってるな。」

 

イロハ「あぅ…もう、不意打ちはずるいですよ……。…はっ!?もしかしてさりげない優しさを武器にわたしをメロメロにして自分の物にする気ですか?その提案は魅力的ですが、既にメロメロなところがあるし、こんなテンプレな会話だけでは正直足りないのでもっと言ってくれないと困ります。ごめんなさい。」

 

一色の饒舌さは今日も絶好調みたいですね。始まった瞬間から既に右から左に受け流すー♪え?古い?ムー○ィーさん好きなんだけどな。残念。

 

ハチマン「あーはいはい。そんで?どこ行くんだ?」

 

イロハ「先輩!適当過ぎますよ!もう…今日はお買い物して、午後からは宿でのんびりの予定ですよ。」

 

激おこプンプンな一色。怒り方もやっぱりあざとかわいいよな。べ、別にドキドキなんてしてないんだからね!安定のキモさにシャポーを脱いだよ。(※意味:脱帽)ほんと。

 

ハチマン「お。なにそれ。ぼっちには優しいプランだな。宿でゴロゴロとか最こ「もちろん、わたしと二人でですからね?」…ぼっちにはハードルが高いよ。」

 

イロハ「こんな美少女とお家(※宿)デートだなんて嬉しくないですか?」

 

ウインクをして小悪魔的な笑顔でこちらを見つめる一色。

そりゃ一色はかわいいから嬉しいけど俺の心臓がもたねぇよ。」

 

イロハ「ふぇ!?」

 

ハチマン「あん?どうした?」

 

先程の小悪魔的な笑顔だった一色はいきなり顔を真っ赤にしてワタワタし出して俯いてしまう。マジでどうしたんだよ。

 

イロハ「…こ…声に出てましたよ……///先輩のそういうところの方があざといですよ…//」

 

ハチマン「…は?マジで?」

 

真っ赤になったままもしょもしょと呟き上目遣いで見つめる一色にドキッとしてしまう。だが、それより俺はしなければならないことがある。

 

ハチマン「………。」

 

イロハ「ちょっ!!先輩、どこに行くんですか!?」

 

ハチマン「離せ。俺は今からこの羞恥心を無くす為にモンスターに八つ当たりするのに忙しいんだ。」

 

歩き出す俺の裾を掴み一色か引き止める。やめろ。八つ当たりでもしないと俺が俺でなくなっちまうんだ。あ、今のなんか漫画とかでよくあるよな。

 

イロハ「ダーメーでーすー!!今日はわたしとのデート何ですから!!!」

 

ハチマン「わかったわかった。終わったらにするから。」

 

イロハ「ふぅ…。わかったならいいんです。じゃあ、レッツゴーです♪」

 

右手を上に突き出しながら歩き出す一色の後ろをついていく。

 

――――――――――

 

イロハside

 

今、わたしは凄く機嫌がいい。その原因はわたしの後ろをだるそうについてくる先輩とデートだからだ。その姿は不貞腐れてるけど飼い主の傍からは離れない猫の様でかわいい。あーこんなにも惚れ込んでしまうとは…一色いろは一生の不覚だ。でも、後悔なんて微塵もなく、本物の恋をさせてくれる先輩には本当に感謝をしている。

 

イロハ「あ。そう言えばユイ先輩のプレゼントかわいかったですね。」

 

ハチマン「うっ…し、知らん。」

 

先輩はばつが悪そうにそっぽを向く。むぅ、面白くない。

 

イロハ「先輩♪わたしにも何か「だが、断る!」早っ!?」

 

イロハ「いいじゃないですかー。わたしもいっぱい頑張ったんですからごーほーうーびー。」

 

先輩の顔が一瞬ジョ○ョってたけどつっこまない。スルーですよ。スルー。

とりあえず、わたしは先輩の袖を掴んで左右に小さく揺らしながらおねだりをする。

 

ハチマン「あーもー。あざとい。」

 

イロハ「あざとくないですよー。」

 

ハチマン「ほら、行くぞ。」

 

イロハ「あ、待って下さいよ。先輩。」

 

――――――――――

 

こうしてわたし達はウィンドウショッピングをしたり、先輩が買い物があるらしく少し抜けて直ぐに帰って来てから軽く飲食をして昼を二時間程回った位に宿に帰って来た。

 

イロハ「はー久しぶりに遊びましたね♪」

 

ハチマン「あぁ、一ヶ月はここから動かんぞ。」

 

先輩は自分の部屋に入ったら直ぐにバフッとうつ伏せでベッドに体を埋めて動かなくなる。ただのしかばねのようだ。

 

イロハ「もう、本当に先輩はめんどくさがりですよね。」

 

わたしもベッドの端に座って先輩を見つめる。はじめは見つめ返されていた視線も顔を反対に向けて逃げられてしまった。仕方なくわたしは先輩の背中辺りを枕代わりにして横になる。先輩はビクッとするのを触れている背中から伝わり小さく笑ってしまった。

 

ハチマン「……退け。」

 

イロハ「嫌です♪」

 

ハチマン「………勝手にしろ。」

 

ぶっきらぼうに返事をする先輩。いつもそうだ。先輩はめんどくさそうでぶっきらぼうだけど誰よりも深くて温かい優しさでわたしの心を溶かすのだ。本人は自覚なんてないんだろうな。はぁ…ほんと、ややこしい人好きになっちゃったな。

 

イロハ「…先輩。」

 

ハチマン「なんだ?」

 

イロハ「………なんでもありません。」

 

ハチマン「???」

 

聞けるわけない。『わたしの事どう思ってますか?』なんて。それを聞いたら先輩は『後輩』か『ワガママな妹』とか『あざとい』とかがかえってくるだろう。わたしはそんなんじゃ満足できない。必ず先輩の彼女になるんだ。負けない。

この状況で先輩は私にドキドキしてるのかな?気になる。わたしは先輩の背中に耳を押し当てる。すると聞こえてきたのはわたしが先輩と一緒に居るときみたいに心臓が早く動いていた。わたしは嬉しくなり、体を起こして先輩の方に振り返る。

 

イロハ「先輩♪何か作りますからご飯にしましょう。」

 

ハチマン「いいけど、俺は料理スキルもってないぞ?」

 

イロハ「フフフ…わたしが習得済みです。」

 

まあ、人並みにですけどね。

わたしは着痩せする胸を張り、どや顔で先輩を見る。

 

ハチマン「いつの間に…。まあ、それなら頼むわ。」

 

イロハ「任せて下さい!!」

 

――――――――――

 

ハチマン「ごちそうさま。」

 

イロハ「お粗末様でした。」

 

わたしの手料理を食べて満足した先輩は椅子にもたれ掛かる。え?食事中はどうしたかって?残念ながら割愛しましたよ?食事中の先輩を見つめてて恥ずかしそうに『なんだよ…。』って言う先輩に対してわたしが心の中で悶えてただけですし。

 

イロハ「美味しかったですか?」

 

ハチマン「ああ。マジで美味かった。イロハ。手出せ。」

 

イロハ「?」

 

意味が分からず、とりあえず手を出すと先輩はポケットから何かを取り出した小袋をわたしの手に乗せた。

 

ハチマン「まあ…なんだ。これはメシのお礼だ。」

 

イロハ「へ?………あ…ありがとう、ございます…//」

 

恥ずかしそうにそっぽを向いてしまう先輩。本当にこう言うところがあざといと思う。先輩の優しさは麻薬みたいに依存性が高くて本当にヤバイ。

わたしは嬉しくなり、お礼を言う声が小さくなってしまった。

 

イロハ「あ、開けても…いいですか?」

 

ハチマン「…勝手にしろ。」

 

先輩は恥ずかしさに耐えれなかったのか立ち上がり、ベッドに歩いて行く。

 

イロハ「あ、かわいい…。」

 

袋の中身は小さな白い花があしらわれた髪留めだった。わたしは早速着けてみる。

 

イロハ「どうですか?似合いますか?」

 

ハチマン「…まあ、悪くないんじゃねぇか。」

 

ふふっ…赤くなってますよ?先輩♪

 

イロハ「ありがとうございます♪大切にしますね♪」

 

ハチマン「……そうか。」

 

わたしに背を向けるようにしてベッドに横になる先輩。わたしは先輩の背中にもたれる様にしてベッドに座る。幸せだ。このまま時間が止まればいいのに。

 

それからわたし達はタイムリミットが来るまでのんびり話をしながら過ごした。




八幡がスケコマシ谷君になってますな。


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Ep.6 Asuna

なかなか物語が進まない…orz

まあ、ゆっくり頑張って行きます。


アスナside

 

あのボス戦からの私は変だ。彼の顔を見るとドキドキして胸が苦しくなる。現実世界の私はイイ子でいるために必死だった。親が敷いたレールを走り、努力をする。怒られた事など無かった。それが私の普通。だから、初めてだったのだ。彼が明確な怒気を含めた中にも優しさを感じとれるあの表情に私は混乱した。

後になって『ああ。この人は私を叱ってくれる。』と理解出来た。この人と居れば私は人形じゃない。本当の私を見せれる。そう思った。

だから、私は今から彼に会うのが不安で嬉しくて緊張していろんな感情が混ざり合う。

でも、時間は有限だ。もう出ないと遅刻してしまう。

私は最後に鏡の前で前髪を整えて部屋を出た。

 

――――――――――

 

ハチマンside

 

待ち合わせの15分前に着き、アスナを待ってると5分位後にアスナが現れた。俺を見つけると小さく手を振り、俺が手を振り返すと小走りでこちらに向かってきた。

 

アスナ「ごめんなさい。待った?」

 

ハチマン「いや、そんなに待ってないぞ。」

 

アスナ「そっか。じゃあ、行こっか?」

 

ハチマン「ん。」

 

挨拶をそこそこに俺とアスナは歩き出す。

 

アスナ「…なんか。今の会話は恋人みたいだね。」

 

ハチマン「ぶっ!!」

 

何を言っちゃってるんですかね。この子は。つか、赤くなって上目遣いで見るんじゃありません。惚れちゃうよ?告白しちゃうよ?フラれるよ?フラれるのかよ…。

 

アスナ「は、ハチマン?」

 

俺が返事をしないから不安になったのかこちらを見つめる目は捨てられた子犬みたいで保護欲が掻き立てる。ヤベェ……「ひゃっ!?」…今すぐ抱き締めたい。

 

アスナ「は…ハチ…マン…?//」

 

抱き締めてしまってた。おかしいな。いつから俺はこんなにも積極的になったんだ?あれだな。お兄ちゃんスキルに磨きがかかってるんだな。間違いない。

 

ハチマン「……わ、悪い。」

 

アスナ「ううん。……その、嬉しいからいいよ?」

 

ハチマン「そ、そうか…///」

 

なんだよ!?嬉しいの?理性吹き飛んで告白しちゃうよ?いいの?

 

ハチマン「…それで…今日はどうするんだ?」

 

俺は必死に本能を押さえ込み、話題を変える。

 

アスナ「あ、うん。今日はレベリングとハチマンが言ってた私の弱点を直す練習をしたいなって思ってる。」

 

顔を赤くしていたアスナだが、真面目な顔で今日のプランを話す。これから敵は強くなるから早めに直すのは正しい。

 

ハチマン「わかった。なら行くぞ。」

 

アスナ「うん♪」

 

――――――――――

 

アスナ「せああっ!!」

 

アスナの鋭い突きにモンスターはポリゴンとなって消滅する。

 

アスナ「どうだった?」

 

ハチマン「だいぶ良くなったな。だけどもう少し駆け引きが上手くなったら更に強くなれるな。イロハが駆け引きが上手いから教えてもらうといいぞ…って、どうした?」

 

なぜか不機嫌なアスナさん。マジでどうして?

 

アスナ「…なんでもない。」

 

ハチマン「はぁ…いったい何なんだよ。」

 

乙女心はわからん。

 

ハチマン「とりあえず、もう少しだけやってから休憩するか。」

 

アスナ「…うん。」

 

ハチマン「こっからは真面目に聞けよ?アスナは人の力量とかを見るのが上手いし、戦いのセンスもかなりいい。隊長とかが向くだろうな。だが、見るのは味方だけじゃなくて敵も見ろ。ただ立ったままじゃなく戦いながらだ。そんで敵のアルゴリズム。つまり、弱点や行動パターンなんかを頭に叩き込め。わかったな?」

 

アスナ「敵を見る…うん。やってみる。」

 

一瞬アスナは赤くなったが直ぐに真面目に俺の言葉を聞き入れる。きっとこいつは強くなって皆を引っ張る存在になるだろう。

 

それからアスナが数対のモンスターを倒したところで休憩にした。

 

――――――――――

 

アスナside

 

薄々わかってたけど、彼は女心をわかっていない。今まで恋をしたことがない私でもそれがわかるのだ。彼と一年間くらいの付き合いの彼女達は呆れているか、諦めているのだろう。けど、それを含めても余りある程彼は魅力的だ。彼自身は腐った目と言っているが私は嫌いじゃない。あの目で見られながら怒られると想像しただけでドキドキするのは内緒(※女性陣は気付いている)にしている。

 

そんな彼は私の休憩中に少し離れた所でレベリングしている。

 

アスナ「本当にハチマン君は速いなぁ。」

 

彼を見てると私はいてもたっても居れず、『俺が戻るまではどこにも行くなよ。』と釘を刺されているが少し位ならいいよね?

 

私はハチマン君に見つからないように少し離れた所に移動する。もちろんハチマン君からは見えない場所でモンスターと戦い始める。それがいけなかった。

モンスターを倒して武器をしまって戻ろうとすると後頭部に衝撃が走る。

 

アスナ「あぐっ。」

 

朦朧とした意識の中で見たのは下劣な笑みを張り付けた数人の男性だった。私は力の限り男どもを睨みながら意識を手放した。

 

ハチマン君……助けて………。

 

――――――――――

 

アスナ「っ!……ぅ…あ…。」

 

後頭部に走る痛みで目が覚める。まだ朦朧とするが痛みを我慢しながら頭を振ると徐々に意識が覚醒する。

 

アスナ「……ここ…は?」

 

男1「お。起きたみたいだぜ。」

 

声がする方に顔を向けると先程の男がニヤニヤと笑いながらこちらに近付く。

 

アスナ「…誰?」

 

私は男を睨み付けながら可能な限り情報を集める。ここは古びた小屋の様な建物の中らしく、私は椅子に座らされ両手と足首を縄で縛られていた。男達は三人で他に仲間は居ないと思われるが、その男達が舐めるように私の体を見ながらニヤニヤと笑い続ける。寒気が走り、弱気になりそうになるが私は必死に相手を睨み付ける。

 

男2「こりゃあ、上玉だな。」

 

男3「だな。やべぇ、勃てきたわ。」

 

男1「気が早ぇよ。バカが。」

 

男一人が膨らんだ股間を見せつける様にしてきて、二人はそれを見て更に笑う。気持ち悪い。吐き気がする。イヤだ。怖いよ。

 

アスナ「………。」

 

男3「なんだ?怖くて声も出ないか?」

 

アスナ「……ぷっ。」

 

私は近付いてきた男の顔に唾を破棄かける。まだ大丈夫。負けない。こんなやつらなんかに。

 

男3「っ!?このアマアァァァ!!!」

 

バシッ!!

 

アスナ「くっ!!」

 

私は頬を叩かれて椅子ごと床に倒れてしまう。痛い。

 

男3「もう、ゆるさねぇ…メチャクチャに犯してやる!!」

 

ビリィィ!!

 

上半身の服を破られて胸が露になるが、私は必死に声をあげずに相手を睨み付け続ける。思い通りになってやるものか。私は絶対に負けない。

 

男2「ちっ。顔はいいがとんだじゃじゃ馬だな。」

 

男1「可愛げがないが、その内素直になるさ。」

 

二人はゲラゲラと笑い。もう一人は私の胸に手を伸ばす。

 

触られるならハチマン君がいいな。汚れちゃったら彼はどんな顔をするかな?怖いな…。

 

バンッ!!!

 

私の体に触れそうになる瞬間大きな音をたてて扉が開かれる。勢い余って壊れた扉は私に覆い被さる男に当たり吹き飛んだ。

 

ハチマン「………。」

 

アスナ「は、ハチマン…君。」

 

彼は私を横目で見ると一瞬安堵の表情を浮かべるが直ぐに怒気を孕んだ目を私に向ける。

 

ハチマン「アスナ。無事だな?」

 

アスナ「う、うん。」

 

ハチマン「なら、いい。」

 

短く受け答えをすると彼は更に怒りを露にした目で男達を睨む。

 

ハチマン「おい。お前ら。」

 

男1「な、なんだ「死ぬか?」なっ!?」

 

いつの間にか彼は男の背後に回り刀を首に当てていた。私にも全く見えなかった。多分隠蔽スキルも使ったのだろう。

 

男1「ひっぃ!た、助け…。」

 

ハチマン「黙れ。」

 

ゴッ。ガスッ。ドカッ。

 

彼は先程と同じ様に移動し、男達に峰打ちを打ち込み気絶させていく。

 

ハチマン「………。」

 

男達を気絶させた彼は私に上着を掛けてから縄を切り私の拘束を解き、次に男達を縄で縛っていく。

 

アスナ「あ、ありがとう。」

 

ハチマン「………。」

 

お礼を言うが返事をしてくれない。

男達を縛り終えた彼が床に座る私の前にしゃがむ。

 

ハチマン「…どうして言い付けを守らなかった?」

 

アスナ「……そ、それは…。」

 

ハチマン「なんだ?」

 

彼は怒っている。当たり前だ。

 

アスナ「は、ハチマン君が…強くて、いてもたっても居られなくて…その…。」

 

パンッ。

 

左頬が熱くなる。不思議と痛くなかった。だけど彼の顔を見てわかってしまった。彼の方が悲しそうで痛みに堪えるような表情をしていたのだ。

 

ハチマン「ばかやろぉ…。」

 

アスナ「……んなさい。」

 

彼の声に私は涙が溢れて来る。私は彼にしがみつく。

 

ハチマン「もう、一人で行動するな。わかったな?」

 

アスナ「うん……うん…ごめんなさい……ごめんなさい…。」

 

彼はしがみつく私を強く、少し苦しくなるくらいに強く抱き締めて囁く様に諭す。私は我慢出来なくって泣き始めてしまう。

私は何度も謝り、彼は何も言わずに抱き締めながら頭を撫でてくれて私は彼の優しさに更に涙を流す。

泣きながら私は自覚してしまう。私は彼…ハチマン君が好きなのだ。

彼は優しくてかっこよくてめんどくさがりだけど、何より彼は私を叱ってくれる。私が間違えたら正してくれるのだ。それは当たり前の様で難しい。

ああ…この恋は私の初恋。ライバルも多くて大変だろう。でも、例え実らなくてもきっとこの恋は私の素敵な思いでとなりうるだろう。

でも、私はどんなに可能性が低くても諦めない。絶対に振り向かせてみせるんだから!

 

私は泣き続けながら心の中で宣戦布告したのだった。




さて、アスナのでEp.6終了になりまます。

読んでいただきありがとうございました♪


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Ep.7

どうも、今回の話は2700文字ですので少し短いです。

では、どうぞ♪


ハチマン「さて、皆に話がある。」

 

宿屋の一室に俺を含めた六人が集まり、話を切り出す。

 

コマチ「どうしたの?かしこまって。」

 

ハチマン「先日キリトと町をぶらついてたらアルゴって言う奴に会ったんだ。」

 

イロハ「その人は女の子ですか?」

 

俺の言葉に一色が質問してくるが適当に返事をする。

 

ハチマン「女の情報屋だがそれは今は重要じゃない。そいつからの情報なんだがユキノンとハルノンの目撃されているらしい。」

 

ユイ「ユキノンとハルノンが!?どこで見たの!?」

 

最初はむくれてた一色だが話を進めると驚き、少し安堵の表情を見せる。由比ヶ浜に至っては目を見開き俺に駆け寄って問い詰めてくるが、俺は肩を掴んで抑えながら話を続ける。

 

ハチマン「最後まで話を聞け。」

 

ユイ「う、うん。」

 

ハチマン「とりあえず今わかっているのはフィールドで困ってたり、ピンチな奴を助けたりしているらしい。時間や場所はバラバラでわからない。」

 

コマチ「…そうなんだ。」

 

二人を知るメンバーは落ち込み、知らないものは悲しそうにする。

 

ハチマン「…でも、生きている。それがわかっただけでも俺は嬉しかった。いつか必ず会える。俺はそう思ってる。」

 

俺の言葉に皆顔をあげる。その顔はみるみる内に希望に満ちて皆は頷く。

 

ハチマン「だからアイツ等がいつ帰ってきても大丈夫な様に俺達も強くなるぞ。いいな?」

 

ユイ「うん!!」

 

イロハ「当たり前ですよ♪」

 

コマチ「コマチも頑張るよ!」

 

アスナ「二人はまだ知らないけど私も頑張るわ。」

 

キリト「ハチマンの仲間なら俺からしても仲間だ。」

 

それぞれが返事をする。良かった…これなら皆頑張れるだろう。誰一人てとして欠ける訳にはいかない。

 

その日俺達は皆でレベリングに出掛けて日が暮れるまで頑張り続けた。

 

 

――――――――――

 

翌日

 

女性陣side

 

まだ夜も明けきっていない程の朝早くからユイ・イロハ・コマチ・アスナは部屋の中央に集まり、密談をしていた。

 

コマチ「で?ズバリ皆さんはお兄ちゃんの事好きなんですか?」

 

単刀直入に問う小町の顔は輝いている。

 

ユイ「ええっ!?……そ、それは…その…//」

 

コマチ「あーユイは大丈夫です。わかりますから。」

 

ユイ「ひどい!?てか、え?わかるって、え?」

 

イロハ「まあ、ユイ先輩は分かりやすいですからねー。」

 

アスナ「それは…私もわかったかな。」

 

呆れ顔の一色に苦笑いのアスナ。

 

コマチ「わかってないのはお兄ちゃんだけでしょうね。全くゴミぃちゃんなんだから。」

 

やれやれと肩を竦める小町に対して一色がニヤニヤとしながら問いかける。

 

イロハ「そう言うコマチちゃんも先輩の事好きでしょ?」

 

コマチ「へ?そ、そそそんなわけないじゃないですか!!///」

 

アワアワ慌てる小町に由比ヶ浜とアスナが追い討ちをかける。

 

ユイ「あ、それはあたしも何となくわかったよ?」

 

アスナ「もう、この際白状しよ?」

 

コマチ「で、でも…小町は実の妹ですから…。」

 

そう言って悲しそうな顔をする小町を三人が抱き締める。

 

ユイ「仕方ないよ。好きになっちゃったんだから。それを抑えてたら辛いよ?」

 

イロハ「そうだよ。壁も多いし、法律上は認めてもらえなくとも二人が愛し合ってれば幸せになれる。きっとね。」

 

アスナ「私はハチマン君に出会って間もないけど、それでもわかるよ?コマチちゃんが本気なら彼はきっと本気で向かい合ってくれるよ。」

 

コマチ「皆さん…ありがとうございます…。こんな人たちに出会えてそれだけでコマチは幸せです…。」

 

小町は皆の言葉に涙を浮かべて抱き締め返す。

 

コマチ「…わかりました。コマチも頑張ります。これからはライバルですね♪」

 

ユイ「負けないからね!」

 

イロハ「先輩はわたしのにしてみますよ!」

 

アスナ「私は出遅れてるけど絶対に負けない!」

 

一人一人が決意をして笑い合う。

 

コマチ「それじゃあ、皆で宣言しませんか?」

 

小町の言葉に皆が頷く。

 

ユイ・イロハ・コマチ・アスナ「「「「私はハチマンが好き!!」」」」

 

言い終わると皆が笑い合った。四人はライバルだ。だから皆が対等と言う証を呼び捨てで呼び合うと言う決まりで露にした。

 

――――――――――

 

ハチマンside

 

キリトは今日は用事があるらしく朝早くに出ていっており、俺は一人でこれからの事を考えていた。

 

コンコン

 

ハチマン「空いてるぞ。」

 

扉がノックされて俺は入室を促す様に声をかける。

 

ユイ・イロハ・コマチ・アスナ「「「「お邪魔しまーす♪」」」」

 

ハチマン「うおっ!?」

 

扉が開くと四人が雪崩れ込んできた。え?どう言うこと??

 

コマチ「目標発見!!突撃ぃー!!!」

 

ユイ・イロハ・アスナ「「「おぉー!」」」

 

ハチマン「は?え、ちょっ、まっ。」

 

俺が制止するより早く四人がベッドに突っ込んでくる。俺に覆い被さる様にして身動きが取れなくなった。それに相まって女性特有の甘い匂いに頭がクラクラする。

 

イロハ「隊長!目標を捕獲しました!!」

 

コマチ「よろしい!」

 

ハチマン「お前ら、いい加減に、しろぉ!!」

 

俺は体に力を込めるが全くの意味をなさない。

 

ユイ「大変です!目標が暴れだしました!」

 

コマチ「構うな!押さえ込めぇい!!!」

 

ユイ・イロハ・アスナ「「「了解!!!」」」

 

俺の抵抗は四人が更にのし掛かり文字通り押さえ込められる。って、柔らかいし、いい匂いでヤバイ。八幡の八幡がぁ!!

 

アスナ「隊長!このままどうしますか?」

 

いやいや、皆キャラ変わり過ぎだろ!

 

コマチ「ふむ…。皆のもの!このまま寝るぞー!!」

 

ユイ・イロハ・アスナ「「「おぉー!!!」」」

 

そうして右腕に由比ヶ浜左腕にコマチ正面にイロハそうして上から俺の頭を抱き締めるようにしてアスナがそれぞれ寝始めてしまった。いや、意味がわからねぇんだけど!?

 

夕方になって起きた四人を床に正座させてみっちり二時間程お説教をした。

お説教の間皆が反省してる中でアスナの顔が赤かったのは気のせいのはずだ。

 

――――――――――

 

???side

 

ザシュッ。

 

目の前のモンスターが砕け散るのを見て私はただその消え行く結晶を見つめる。自分が生きるためとはいえこの感覚はなれないものね。

 

??「彼は元気かしら?」

 

???「心配かな?」

 

??「いえ、彼の事だからゴキブリみたいにしぶとく生きてるわ。」

 

ついきつく言ってしまうのは不器用な私の照れ隠しだ。

 

???「まあ、彼の周りには人が集まるからねー。あ、もしかしてこの世界で彼女ができてたりしてねー。」

 

バキィッ。

 

??「あら、何故木が折れたのかしら?」

 

腐ってたのかしら?危ないのだけれど。

 

???「あははー…無意識なんだ…。」

 

??「まあ、行きましょう。時間は有限なのよ?」

 

???「はーい♪」

 

彼とまた合流出来る時まで私は私で出来る事をしましょう。

 

???「あ、そっちじゃないよー。」

 

………知っていたわ。

 

私は五月蝿い彼女を連れてフィールドを進んでいった。




次回からは20階層以降に話が飛びます。
サチ達が登場しますので楽しみにしてください。

では、読んでいただきありがとうございました♪


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Ep.8

どうも、0ひじり0です。
6日ぶりの更新ですね。
そしてUA10000&お気に入り120越えしました。
本当にありがとうございます♪

Ep.7で第一階層攻略が終わり、一段落したため少し休憩&構成を練る為に更新が遅れてしまいすみませんでした。

では、どうぞ♪


第一階層攻略から四ヶ月もの時間がたち、俺達は拠点となる家を買ってギルドを立ち上げた。ギルドの名前は【ほうしぶ。】アニメのタイトルみたいな名前を付けた犯人は由比ヶ浜とか言うアホの子だ。いくら由比ヶ浜以外がたまたまクエストで手が離せなかったとはいってもアホの子に行かせた俺のミスだったな。

 

まあ、話を戻すがギルドを立ち上げた俺達は攻略組とは別に独自で動きながらボス戦などにはちゃんと参加をしている。しかし、唯一キリトはクラインとか言う友人を探すためにギルドには入らず単独行動をしている。

 

そして今は二日ほど前に攻略組などを含めた俺達は25階層を攻略し、今日は久々にオフでレベリングに精を出してる訳だが、なんかオフの日までこんなことしてなんか休日出勤する社畜みたいだよな。うわ…なんか考えたら一気にやる気無くなったわ。

 

ハチマン「…帰るか。」

 

ポケットに手を突っ込み来た道を引き返す。

 

???「きゃああ!!」

 

俺は咄嗟に叫び声がする方に走り出していた。

その声はよく知るアイツの声に似ていたからだ。最悪な考えが俺の頭の中を支配するが、そんな事はどうでも良い。

 

ハチマン「うおぉぉぉ!らあぁぁ!!」

 

柄にもなく俺は吠えながら女性を囲んでいたモンスター達を切り伏せていく。全てのモンスターを倒した俺は武器を仕舞いながら女性の方に振り向くとそこにいたのはアイツではなかった。

 

???「あ、ありがとうございます。」

 

ハチマン「………いや…お礼なんていい。」

 

アイツに顔が似ている訳ではないが、その声は瓜二つと言って良い程に似ていた。だからだろうかアイツと被って見えてしまう。

 

ハチマン「とりあえず帰れ。死んだら全てが終わるんだ。慎重になれ。」

 

???「………。」

 

俺の言葉に女性は俯くが、前髪の間から見える瞳に映るのは絶望・悲壮・諦め。負の感情だった。その目に俺は苛立ってしまった。

 

ハチマン「お前、死にたいんだろ?」

 

???「っ!?」

 

ハチマン「やっぱりか。死ぬなら俺が帰ってからにしてくれ。目の前で死なれたら気分が悪い。」

 

驚いてこちらを見つめる女性に背を向けて吐き捨てる。俺は優しくなんてないし、誰でも救える訳でもない。

 

???「ま、待って!!」

 

そのまま歩き出す俺に女性は声をあげる。

 

ハチマン「なんだよ。」

 

???「…ごめんなさい。それに助けてくれてありがとうございます。」

 

ハチマン「俺の為だからお礼は要らない。目の前で死なれたら夢見が悪いから助けた。それだけだ。」

 

???「それでも…言わせて下さい。あの、私サチって言います。名前を教えて下さい。」

 

ハチマン「…ハチマンだ。」

 

正直教える気はなかったが、サチと名乗ったら女性の声がアイツを連想させてしまい。名乗ってしまった。

 

サチ「あの、お礼がしたいので私達の拠点に来てもらえませんか?」

 

ハチマン「お礼なんて要らないって言っただろ?」

 

サチ「お願いします!」

 

まるですがるように頭を下げるサチは見ていられなく、がしがしと頭をかく。

 

ハチマン「…はぁ。わかった。」

 

サチ「ありがとうございます!!」

 

嬉しそうに笑うサチを横目に俺は手を貸して立ち上がらせた。

 

――――――――――

 

サチ・ケイタ・テツオ・ササマル・ダッカー「「「「「かんぱーい!!」」」」」

 

ハチマン「か、かんぱい…。」

 

フィールドから帰った俺とサチはケイタ達【月夜の黒猫団】に迎えられあれよあれよと宴まで開かれてしまった。どうしてこうなった。

 

ケイタ「ハチマン!サチを助けてくれてありがとう!」

 

ハチマン「気にしなくていいし、お礼も要らん。あれは俺の為に助けただけだ。」

 

俺は飲み物を一気に飲み干して立ち上がり、出口に向かう。こんなリア充な雰囲気は堪えられない。

 

ハチマン「飲み物も貰ったし、俺は帰る。ぼっちには辛い空気だしな。」

 

サチ「待って下さい!私を…私達を鍛えて下さい!!」

 

扉を開ける俺にしがみつくサチにはもう負の感情はなかった。

 

ハチマン「断る。めんどくさい。」

 

月夜の黒猫団「「「「「えぇ…。」」」」」

 

皆は困った顔をしている。あーめんどくさい。

 

ハチマン「…わかったよ。俺もギルドに入ってる身だからいつもは無理だが時間が空いた時だけなら鍛えてやる。それで良いな?」

 

皆は嬉しそうに返事をしている。働きたくないよー。

 

――――――――――

 

あれから俺は時間が空いた時に月夜の黒猫団の皆に冒険の基礎を叩き込んだり鍛えてやった。そのかいあってか皆は強くなり、資金を貯まり家を買うらしい。俺は恩人として始めての客として招かれた。

 

ケイタ「じゃあ、買って来るから待っててくれ。」

 

走っていくケイタを見送り、他の皆は雑談に花を咲かせていた。俺?ぼっちにそんなの求めるなよ。

 

ササマル「じゃあ、ケイタが帰って来るまでお金貯めとこうぜ。」

 

ダッカー「そうだな。どうせなら少し上の階層でやろう。」

 

男衆は妙な事を言い出すが、サチは乗り気ではない。勿論俺もだ。

 

サチ「あ、危なくないかな?」

 

ハチマン「お前らやめとけ。上に行くにはまだ早いぞ。」

 

その後三人を説得しようとするが話を聞かず三人でも行くと言い始めたので俺とサチは仕方なく一緒に行くことにした。

 

――――――――――

 

結論から言おう。最悪だ。

隠し扉を見付けたバカは制止も聞かずにそのまま中にあった宝箱を開けてトラップが発動してしまった。

四人を部屋の隅に集めて俺がモンスターを狩っているが如何せん、数が多すぎる。

 

ハチマン「お前ら!もう少しだけ堪えろよ!!」

 

俺が声をかけるが四人のHPはレッド手前だ。このままじゃマズイ。

 

サチ「いやあぁぁ!!」

 

叫ぶ方を向くとモンスターの攻撃に吹き飛ばされて一人離れてしまうサチが見えて俺は全力で走り出す。

 

ハチマン「届けぇぇ!」

 

襲いかかるモンスターを切り払い安堵する。間に合った。しかし、それがいけなかった。

 

サチ「ハチマン!後ろ!!」

 

ハチマン「…え?」

 

後ろを振り返ると既にモンスターの攻撃が目の前まで迫っていた。マズイ。避けられない。直撃だ。俺の防御力はかなり低い。

 

???「頭を下げなさい。油断谷君」

 

俺はその言葉に咄嗟に従うが、勢い余って座り込んでしまう。

目の前のモンスターは消え去り。そこに優雅に髪を払う雪ノ下が立っていた。

 

ユキノン「こんな見え透いたトラップに嵌まるなんて幼稚園児以下ね。」

 

ハチマン「ははっ…うるせぇよ。まあ、なんだ。無事で良かった。」

 

ユキノン「当たり前でしょ?私なんだから。」

 

何時ものように罵倒する言葉は懐かしく、その凛とした態度に笑みを浮かべる雪ノ下を見て涙が流れそうになる。

 

ハルノン「ひゃっはろー♪ハチマン♪」

 

ハチマン「ハルノンも無事で良かったです。」

 

雪の下さんはモンスターを凪ぎ払いながら笑顔で手を降る。余裕かよ。

 

ユキノン「立ちなさい。とりあえず蹴散らすわよ。」

 

ハチマン「ああ。」

 

ハルノン「お姉さんも頑張っちゃうよー♪」

 

俺達は走り出して次々にモンスターを倒して行く。

二人とも攻略組で最前線に居てもおかしくないほど強い。

 

ははっ、二人を入れた皆とならどんな奴で負ける気がしねぇな。

 

――――――――――

 

モンスターを狩り終えた俺達三人は月夜の黒猫団の四人を回復して町に戻った。

 

ハチマン「………。」

 

テツオ・ササマル・ダッカー「「「………。」」」

 

町に戻った俺達はケイタが買った家でバカ共を床に正座させてその前に無言で立ち睨み付ける。

サチとケイタはオロオロしており、雪ノ下姉妹は興味が無いのか優雅に紅茶を飲んでいる。

 

ハチマン「…何か言いたいことはあるか?」

 

三人「「「何もございません。」」」

 

ハチマン「はっきり言うが二人が来なかった俺達はあそこでゲームオーバー。つまり死んでた。わかるな?」

 

三人「「「はい。」」」

 

ハチマン「次からはもっと慎重になれ。そうじゃなかったら面倒見きれん。」

 

三人「「「ごめんなさい。」」」

 

三人は土下座をして謝る。

 

ユキノン「ハチマン。今回のは貸しよ?」

 

ハルノン「あ、わたしにも貸しだよ♪」

 

ハチマン「うぐっ…わかってる。」

 

一段落したのを見計らい二人が笑顔で言い。俺は苦虫を噛み潰した様な顔をしながら返事をした。

 

ハルノン「んふふー♪何して貰おうかなー♪」

 

ユキノン「楽しみね。」

 

ハチマン「はぁ…。」

 

紅茶を飲みながら楽しそうに話す二人を見て俺は項垂れるしかなかった。つらたん。




Ep.8にしてやっと雪ノ下姉妹登場です。
お待たせしてしまい大変申し訳ありませんでした。

今回のお話ではサチ&ユキノンの絡みは書けませんでしたから次回書く予定ですので楽しみにしててください。

では、次回お会いしましょう♪


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Ep.9

最近、艦これアーケードにハマってる0ひじり0です。

では、どうぞー♪


ハルノン「それにしてもアレだね。そっくりだよね。」

 

ユキノン「そうかしら?私はそうは思わないのだけども。」

 

ハチマン「いやいや。そっくりだからな。」

 

サチ「そ、そうかな?」

 

俺と雪ノ下さんの言葉に一人は髪を払いながら澄まし顔でもう一人は困った様に笑いながら首を傾げている。

 

俺は先程までテツオ・ササマル・ダッカーの三人を叱りあげていたが、反省していた為とりあえず許してやった。それからケイタを含む男衆四人は自分の部屋の家具を買いに出ていったので留守番をしている。

 

ハルノン「目を瞑って聞いてたらユキノンが二人居るみたいで耳が幸せだねー♪」

 

ユキノン「姉さん。馬鹿なこと言わないで。」

 

かなり上機嫌な雪ノ下さんの言葉に雪ノ下は額に手をやりながら呆れている。

 

サチ「あの、お二人はハチマンとはどういう関係なんですか?」

 

サチがおどおどしながら質問をする。

なんか途中で部屋の気温が下がった気がするんだが。なんで氷の女王様は此方を睨んでおられるのですか?え?魔王様目が笑っていませんよ?何なの?俺死んじゃうの?目から汗が出てきたよ。

 

ハチマン「クラスメイトとその姉「二人ともハチマンの彼女なの♪」…何言ってんすか?」

 

サチ「ほ、ほんとなの?」

 

ハチマン「そんな分けねぇだろ。サチ、考えてみろ。俺だぞ?」

 

凄い笑顔で妙な嘘を言ってるし。つか、サチも信じてるんじゃねぇよ。

 

ユキノン「ところで女性に呼び捨てで名前を呼ばせるなんてどんな弱味を握っているのかしら?自首した方が刑罰は軽くなるわよ?グズ谷君。」

 

ハチマン「いや、握ってないから。俺が呼ばしてる訳じゃないから。」

 

ハルノン「それはそうとかなり呼び慣れてるよね。ハチマンもサチちゃんも満更じゃ無さそうだし、あやしー♪」

 

ハチマン「ハルノンさん?目が怖いですよ?」

 

ハルノン「何がかなー?」

 

ハチマン「…何でもございません。」

 

これはあれだ。凄くキレてる。つか、意味がわからないんですが。

 

ユキノン「まあいいわ。とりあえず、皆はどうしてるのかしら?」

 

雪ノ下は殺伐とした空気を破り、軽く溜め息を吐く。

 

ハチマン「アイツらなら元気だ。一人も欠けてない。」

 

ユキノン「そう…良かったわ。」

 

ハルノン「うんうん♪一安心だね。」

 

二人とも嬉しそうに微笑む。

 

ハチマン「じゃあ、帰るか。」

 

俺の言葉に二人は返事をして、月夜の黒猫団をあとにした。

 

――――――――――

 

ユイ「ユキノーン!」

 

イロハ「ユキノンせんぱーい!」

 

コマチ「ユキノンさーん!」

 

ユキノン「ちょっ、苦しいわ。三人とも。」

 

アジトに帰ると二人を知る三人は飛び付くように抱き付き迎える。雪ノ下も口ではああいってるが笑顔だ。

 

ハルノン「ユキノンは愛されてるね。」

 

ハチマン「ハルノンも愛されてますよ。」

 

ハルノン「え?って、きゃっ!?」

 

言うが早いか、三人は雪ノ下も巻き込みながら姉である雪ノ下さんにも抱き付く。

 

ユイ「ユキノンと一緒にいてくれてありがとうございます!」

 

イロハ「お二人とも本当に心配しましたよ?」

 

コマチ「本当に良かったです♪」

 

ハルノン「……ぅ…ぐずっ…。」

 

雪ノ下さんはまさか自分もこんなにも手厚く迎えてくれるとは思って無かったのか涙ぐむ。

 

ハチマン「ほら、帰って来たら言う言葉があるだろ?」

 

俺の言葉に雪ノ下姉妹以外の三人が頷く。

 

ユキノン「ただいま。」

 

ハルノン「…た…ただいま。」

 

ハチマン・ユイ・イロハ・コマチ「「「「おかえりなさい。」」」」

 

優しく微笑む雪ノ下に俺達の迎えの言葉に遂に本気で泣き出してしまう雪ノ下さん。釣られて泣き出すユイとコマチとイロハ。その温かな光景は雪ノ下さんが泣くまで続いた。

 

――――――――――

 

ハチマン「おーい。ハルノン。」

 

ハルノン「…///」

 

泣き止んだ雪ノ下さんは強化外骨格ではなく、本気で泣いて笑ってしたのが恥ずかしいのか毛布を頭からかぶって丸まっている。

 

ユキノン「ふふっ…姉さんのあんな姿は初めて見たわ。」

 

ユイ「かわいかったけどあんまりいじめちゃダメだよ?」

 

コマチ「かわいかったですねー♪」

 

イロハ「ですねー♪女のわたしでもキュンキュンしちゃいました♪」

 

ハルノン「も、もう許してよー…///」

 

それぞれに感想を言う度に恥ずかしいのかぷるぷる震える雪ノ下さんは顔半分を出しながら抗議する。

 

ハチマン・コマチ・イロハ「「「かはっ!!」」」

 

ユイ「はわわ…///」

 

ユキノン「くっ//」

 

余りにものギャップに俺を含めた三人は吐血しながら倒れて、由比ヶ浜は真っ赤になってオドオドし、雪ノ下は片膝をついて堪えている。

 

アスナ「……何があったのよ。」

 

このタイミングで帰って来たアスナは当然意味が分からず、立ち尽くしていた。

 

――――――――――

 

アスナ「アスナよ。よろしく。」

 

ユキノン「よろしくお願いするわ。ユキノンでいいわ。」

 

ハルノン「ユキノンの姉のハルノンだよ。よろしくね。」

 

それぞれ挨拶が終わるとアスナはジト目で俺を見る。

 

アスナ「前から思ってたけど…ハチマンっておんなったらしなの?」

 

ハチマン「ばっか。俺がそんな甲斐性なんかあるわけないだろ。」

 

アスナ「ふーん。」

 

ご機嫌斜めなアスナは俺の姉の言い分なんて信じちゃいない。意味がわからん。

 

ユキノン「彼の言う通りよ。ねぇ、スケコマシ谷君。」

 

ハチマン「いや、言ってるからな?俺はプロぼっちだぞ?」

 

ハルノン「これだけの女の子達に囲まれちゃったらぼっちじゃないんじゃないかな?」

 

アスナ「………フンッ。」

 

遂にはそっぽを向く。ほんと理不尽だ。つか、雪ノ下さん楽しんでるだろ?

 

――――――――――

 

アレから何とかアスナをなだめてから談笑になった。今まで雪ノ下姉妹はボス戦には出ておらず、何があったか皆聞きたかったのだ。

 

ハルノン「あーそれはね。何と言うか…。」

 

珍しく苦笑いな雪ノ下さんはチラチラと雪ノ下を見ているが見られている本人はどこ吹く風である。

 

ユキノン「特に意味はないわ。」

 

ハルノン「ユキノン嘘はダメだよ?ユキノンが迷子になってばかりで着いた頃にはいつも終わった後なんだから。」

 

ハチマン「は?」

 

雪ノ下さんの言葉に俺だけじゃなく皆呆気に取られている。

 

ハルノン「それでわたしが連れて行こうとしたらユキノン一人で行こうとしちゃうし、ほんと大変だったんだよ?」

 

ユキノン「あら?そうだったかしら?」

 

要するに雪ノ下の方向音痴はバーチャルであるこの世界でも適応されて、ずっと迷子だったらしい。

 

ユイ「ユキノンそれは…。」

 

流石の由比ヶ浜も少し引いている。イロハとコマチは呆れて、俺も開いた口が塞がらない。

 

ユキノン「ふぅ…困ったものね。」

 

ハチマン「お前がな。」

 

イロハ「ですね。」

 

コマチ「流石にフォローできませんねー。」

 

悪そびれた風もない雪ノ下を余所に雪ノ下さんはニヤニヤと笑いながら俺に近付く。近い近いいい匂い。

 

ハチマン「…なんですか?」

 

ハルノン「さっきアスナちゃんから面白い話を聞いたんだけど?」

 

あ、これあかんやつ。

アスナの方を向くとそっぽを向かれる。まだおこらしい。

 

ハルノン「皆とデートしたんだってねー。」

 

ユキノン「!?」

 

姉の言葉に立ち上がる雪ノ下。あーマズイよマズイよ。

 

ユキノン「どう言うことかしら?」

 

ハチマン「違うんだよ。あれは俺へのお仕置きと言うか「したんだよね?」はい。」

 

ハルノン「じゃあ、わたし達も頑張ったからご褒美にデートしてもらおうかな?」

 

ハチマン「え?意味がわから「そうですね♪」コマチ。お前もか。」

 

カサエルもビックリな裏切りに俺は頭を垂れる。こうなってしまっては逃げ場はないのだ。泣きそう。

 

順番はじゃんけんの結果妹→姉の順番に決まり、雪ノ下は無言でガッツポーズをしていた。何それ、かわいい。

 

ユキノン「存分にこき使ってあげるわ。ハチマン。」

 

ハルノン「あちゃー。負けちゃった。まあ、楽しみにしてるからね?ハチマン♪」

 

意気揚々と出ていく二人に続いてゾロゾロと皆部屋に戻っていき、残された俺は自室に戻って布団に潜り込んでつかの間の現実逃避を決め込むのだった。




次で遂にEpも二桁です。
頑張って行きます!!

次回からは地の文での雪ノ下姉妹の区別は名前で別ける事にしますのでよろしくお願いします。


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Ep.10 Yukino

タグに台本形式を追加します。


コンコン

 

俺は雪乃の部屋の前で少し躊躇いがちにノックをした。

今日の奉仕活動は雪乃の部屋で行うらしい。そう…これはデートではない!!(※立派なお家デートです。)

 

ユキノン「賢いわね。時間通りよ。」

 

ハチマン「当たり前だ。遅れたら後が怖いからな。」

 

カチャリと開けられた扉の内側には昨日に比べ軽装の雪乃が立っており、中に案内される。

 

ユキノン「賢明な判断ね。遅れたら迎え(※捕獲)に行くところよ。」

 

ハチマン「なんか怖いんだが。」

 

ユキノン「気のせいよ。」

 

普通は男なら悪くない言葉の筈なのに何故か背筋に悪寒が走ってしまうのは気のせいだよな。と言うか気のせいであって欲しい。

 

ハチマン「…お邪魔します。」

 

ユキノン「ええ。いらっしゃい。」

 

なんでそんなに嬉しそうに微笑むんだよ。惚れちゃうだろうが。

 

ユキノン「今紅茶を出すから待ってて頂戴。」

 

ハチマン「サンキュー。」

 

ソファーに座るように促された俺は雪乃が部屋に備え付けられたキッチンに向かうのを横目で見ながらくつろぐ。

…なんか夫h…ゴラムゴラム。危なかった。変な妄想をするところだったぜ。つか、材木座みたいだったな…今の俺。

 

――――――――――

 

ユキノンside

 

私は料理のスキルはかなり高い。だから現実世界に居たときの様に滞りなく紅茶を用意する。

彼はソファーで座ってるが視線を感じるのは気のせいではないはず。チラリと彼を見るとその目はいつもの様に濁ってはいるが、その中に慈愛にも似た色が見える。

顔がにやけてしまいそうになり、内心慌てて前を向く。このくらいで嬉しくなってしまう私はチョロいのかしら。少し複雑な気分ね。

 

仕上げにあるものを入れて紅茶の用意が終わり、彼が座るソファーの前に鎮座するテーブルに二人分の紅茶を置く。

 

ハチマン「ありがとう。」

 

ユキノン「いいのよ。」

 

短い会話を交わして私もソファーに座って紅茶を飲む。少し空間が開いてはいるが隣で座る彼を盗み見ると味わっているのか目を閉じながら飲んでいた。

目を閉じた彼の顔は整っており、かなりイケメンだ。だけどもあの濁った目がないと少し物足りなく感じる私は既に比企谷菌に犯されてしまったのかもしれないわね。

 

ハチマン「かなり美味い。」

 

ユキノン「当たり前よ。私が淹れたんだもの。」

 

ハチマン「ぷっ、ああ。そうだな。」

 

ユキノン「ふふっ、そうよ。」

 

軽く吹き出す彼に釣られて私も笑う。

短いやり取りだが彼独特の雰囲気が私の心を癒す。

さて、そろそろ効いて来る頃かしら。

 

ハチマン「…あれ?何か眠たく、なって…。」

 

ユキノン「あら。それは大変ね。」

 

時間通りに効いて来た薬によってフラフラする彼の肩を掴み私の太股にに寝かせる。嬉しい誤算だわ。

 

ハチマン「…嫌じゃねぇのか?」

 

ユキノン「このくらい嫌じゃないわ。いいから寝なさい。」

 

ハチマン「……わりぃ。」

 

こんな時でも相手を心配する彼は本当にお人好しね。そんな所が好きだけど嫌い。

彼の優しさを感じれるけれども少し位甘えられたいのが乙女心なのに。まあ、彼に分かれと言うのも酷な話ね。

 

少し話が脱線したけど計画通りね。

私は彼の柔らかくネコ毛な髪を撫でながら微笑んだ。

 

――――――――――

 

ハチマンside

 

ゆっくりと意識が覚醒していく中で一番に思ったのは『温かい』だ。

確か俺はソファーで寝ていた筈なのに俺の体の下にあるのは温かく柔らかい…そう、幼い頃に母親に膝枕をされていた時のような感触だ。

 

ハチマン「…ん、ユキノン?」

 

ユキノン「なにかしら。」

 

目を開けて上を見上げると雪乃の整った顔が目に入る。その顔はいつもより大きく感じ、雪乃は俺の背中を撫でている手は心地いい。…あれ?

おかしい。ゆっくりと周りを見渡すと部屋の何もかもが大きくなっている。いや、俺が小さくなったのか?

 

ハチマン「…どういう事だ。」

 

ユキノン「なんの事かしら。」

 

ハチマン「とぼけるな。」

 

ユキノン「ぁ…。」

 

雪乃の膝の上から飛び降りると雪乃は残念そうな顔をするが今は気にしない。部屋にある鏡の前に立つとそこに映るのはふさふさの黒い毛に尖った三角の耳臀部から伸びた細い尻尾は俺のトレードマークであるアホ毛を連想させる。つまりネコになっていた。

 

ハチマン「……なんじゃこりゃぁぁぁ!!」

 

叫ぶ俺をよそに雪乃は俺を持ち上げて抱き締める。

 

ユキノン「暴れてはダメじゃない。」

 

ハチマン「うおっ!?」

 

俺を嗜める雪乃だが、それどころではない。慎ましいけど確かな女性の象徴が俺の理性をゴリゴリ削っているのだから。

 

ハチマン「や、やめろ!」

 

ジタバタと必死に暴れるが今の体はネコなのだ勝てる訳と無く、仕方なく諦める。

 

ユキノン「ふふっ。大人しくしてなさい。」

 

ハチマン「………。」

 

抵抗をしなくなった俺に雪乃は嬉しそうに微笑むが俺はふてくされる。雪乃は俺を抱いたままベッドに座って再び膝の上に俺を置く。

 

ユキノン「こんなに耳を後ろに寝かせて怒ってるのかしら?」

 

ハチマン「…別に。」

 

ユキノン「貴方自慢のポーカーフェイスもネコになってしまってはバレバレね。」

 

無意識にイカ耳のしているらしい俺の頭を優しく撫でる雪乃のてはやはり心地良く目を細めてしまう。

 

――――――――――

 

ユキノンside

 

先程までイカ耳だった彼は撫で始めると直ぐに髭が少し下がってしまう。リラックスしている証拠ね。

いつも捻くれている彼の気持ちが手に取る様に分かるわ。

 

ユキノン「気持ちいいかしら?」

 

ハチマン「………。」ゴロゴロ

 

ユキノン「ふふっ♪バレバレよ?」

 

ハチマン「うっせ。」

 

次第に喉が鳴り始めて、尻尾も上にピンッと立つ。

これは嬉しくて甘えてる仕草。かわいいわ。

 

ユキノン「一日で元に戻るから許して頂戴。」

 

ハチマン「…最初から言えよ。」

 

ユキノン「言ったらネコになってくれないでしょ?」

 

ハチマン「ぅ…。」

 

言葉を詰まらせる彼を抱き上げてそのまま横になる。ネコ特有の少し高い体温を感じてにやけてしまう。

 

ハチマン「おい。ちょっと苦しい。」

 

てしてしと抗議する様に私の頬にネコパンチをする彼。爪をたてないのは彼の優しさだろう。

 

ユキノン「あら。ごめんなさい。」

 

ハチマン「別にいい。」

 

彼を解放すると寝心地が良くなかったのか一度私の懐から抜け出す。

 

ハチマン「…そんな悲しそうな顔するなよ。」

 

ユキノン「そんな顔してないわ。」

 

ハチマン「はぁ…。今日だけだからな。」

 

ユキノン「捻デレね。」

 

ハチマン「…うっせ。」

 

少し緊張してるのか髭が先まで張っている。いくらネコでも精神は男性なのだから流石に仕方ないわね。

再び私の懐に寄って来た彼はおずおずと体を横たえる。

お腹を見せてくれるのに私は嬉しくなり、優しく撫でる。

いくら彼でも動物の本能には逆らえないらしく目を細めて寝てしまった。

いつもこれ程素直ならかわいいのに。でも、素直じゃない所も彼の魅力なのだからやはり彼は今のままでいいのかも知れない。

 

ユキノン「はぁ…ダメね。私もかなり末期なのかも知れないわね。」

 

彼の耳がピクリと動く。

私は我慢できなくなり、彼の鼻先に口付けをしてしまう。

 

ユキノン「おやすみなさい。ハチマン。」

 

小さな彼の体を潰してしまわない様に腕を回して優しく抱き締めて私も目を瞑った。凄く幸せ。

 

目を覚ました時に人間に戻っていた八幡の顔が数センチ前にあり、叩いてしまったのはまた別のお話である。

 



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Ep.10 Haruno

皆様、お元気でしょうか。0ひじり0です。

はるのんかわいいよ。はるのん。

てな訳でどうぞ♪(意味不明)


ハルノンside

 

わたしは仮面を着けている。親ですら気付いていないそれに気付いている人はかなり少ない。だからだろう。

 

ナンパ男1「ねーおねーさん。遊ぼーよ。」

 

ナンパ男2「おいおい、困ってるだろう?なんかすみません。」

 

こんな輩にナンパされるのは。

 

ハルノン「ごめんなさい。連れを待ってるの。」

 

やんわり断るが諦める気はないみたいね。しつこいなー。お姉さん怒っちゃうよ?

貴方たちなんてお呼びじゃないのだけれど。雪乃ちゃんの真似。似てたかな?姉妹だし似てるよね。

 

ナンパ男1「えーそんな事言わずにさー。」

 

ナンパ男2「すみません。こいつ言い出したら聞かなくて。」

 

ハルノン「………はぁ…。」

 

二人に気付かれない様に小さく溜め息を吐く。て言うか、止める気何てないくせに。底が浅すぎて呆れてしまう。あ、なんか段々腹立ってきた。

そもそも女の子より遅い彼が悪いんだ。

 

内心イライラしてると人混みの中に見慣れたアホ毛が見える。それだけでわたしの中に溜まった怒りが消えてしまうのだからわたしもチョロいのかな。

でも、わたしを待たせてこんな輩に絡まれてしまった償いはしてもらおっと♪

 

ハルノン「ハチマン!ここだよー♪」

 

わたしが座ってた椅子から腰を上げて手を振ると彼は状況を理解したのかあからさまに嫌な顔をする。流石にそれは酷くないかな?

 

ハチマン「…お待たせしてすみません。」

 

ハルノン「全く気持ちが込もって無いけど今は許してあげる。」

 

ナンパ男1&2「「……なっ…。」」

 

後ろの二人は彼を見て驚いてる。見た目だけで彼とわたしが釣り合わないとでも思ったのだろうな。だから、貴方達は底が浅いのよ。本当に嫌になる。

 

ハルノン「ごめんなさい。彼が来たから行くね?楽しかったよ。」

 

ハチマン「ちょ!?離して下さい。周りの嫉妬の視線で死んじゃいますから。」

 

ハルノン「やだ♪」

 

ハチマン「……///」

 

いつもの仮面の笑顔でイヤミを言ってから彼の腕に抱き付く。ちゃんとわたしの胸を押し付けるのを忘れない。あ、照れてる。かわいいなぁ。食べちゃいたい。

 

じゅるり。

おっといけないいけない。我慢しないとね。

そっぽを向きながらも振り払わない彼についつい仮面が剥がれ落ちて本物の笑顔を浮かべてしまう。あぁ…本当に幸せ♪

 

――――――――――

 

あれからわたし達は町を歩き回りお腹が空いてきたので飲食店に入る。

向かい合わせに座るわたし達はカップルに見えるかな?

 

ハルノン「わたし達周りの人からはカップルに見えるかな?」

 

ハチマン「いや、見えないでしょ。ハルノンに対して俺が釣り合わなさすぎですからね。」

 

ハルノン「えーそんな事ないよ。」

 

ハチマン「そんな事ありますから。」

 

わたしの言葉に即答する彼は相変わらず理性の化物だねー。

でも、さっきみたいに見た目だけでよってくる男なんて何の興味も湧かないし、本当のわたしを見せても離れていくだけ。つまらない。

それに比べて彼は本当のわたしを見せても離れない。まあ、苦手意識はあるかもしれないけど、それでもちゃんとわたしを見てくれるのは素直に嬉しい。だからついつい甘えてしまう。

 

ハルノン「はい。あーん♪」

 

ハチマン「…しませんよ。」

 

ハルノン「あーん♪」

 

ハチマン「だからしません。」

 

ハルノン「あーん♪」

 

ハチマン「…はぁ……あーん。」

 

ハルノン「美味しい?」

 

ハチマン「…正直味がわかりません。」

 

わたしが注文したパンケーキを彼は恥ずかしそうに口を開けてフォークをくわえる姿はかわいくて胸の奥がキュンキュンする。恥ずかしいからかそう答える彼を見て小さく身震いをしてしまう。あー本格的にヤバいなー。お持ち帰りしたいなー。

 

ハルノン「ハチマンのも頂戴♪」

 

ハチマン「わかりました。どうぞ。」

 

ハルノン「あーん。」

 

ハチマン「…デスヨネー。……あーん。」

 

ハルノン「ん、美味しいね♪」

 

ハチマン「…恥ずか死ぬ。」

 

彼が頼んだナポリタンを食べさせて貰う。ナポリタンが何倍も美味しく感じてしまったのはきっとわたしの気持ちの問題なのかな。

口の端に付いたソースを舌で舐めとっているのを彼は見つめてくる。少し恥ずかしいがそれ以上にどんな理由だろうとわたしを見てくれているのが嬉しい。そんな気持ちと一緒に悪戯心が出てくるのは彼がかわいいから仕方ないよ。わたしは悪ない。彼が悪いんだ。

 

ハルノン「…間接キスだね。」

 

ハチマン「ぶっ!!??」

 

ハルノン「あらま。もー仕方ないなー♪」

 

ハチマン「ハルノンのせいですからね。て、自分で拭けますから。」

 

ハルノン「ダメ。ほら、じっとして。」

 

わたしの言葉に吹き出した彼の口を拭いて上げると彼は真っ赤になっている。なんでこんなにもわたしの心を擽るのが上手いかなー。

 

ハルノン「ん、綺麗になったよ。」

 

ハチマン「…ありがとうございます。」

 

そっぽを向きながらお礼を言う彼に満足して食事を再開した。

 

――――――――――

 

食事を済ませて店を後にしたわたし達は賑やかな町の中心から少し離れた広場に来た。そこには少し大きな木とその下にベンチが一つだけの何もない所だけど人通りも少なくて静かな場所だ。

 

ハルノン「少し休憩しよっか。」

 

ハチマン「そうですね。疲れました。」

 

ハルノン「デートとしては減点だけどハチマンらしくていいね。」

 

ハチマン「そりゃどうも。」

 

そう言いながらもわたしがベンチに座るように然り気無く立ち回る彼は優しいけどあざとい。

だけど、わたしはそんなのでは満足はしない。

 

ハルノン「えい♪」

 

ハチマン「うおっ!?」

 

彼の腕を引いてわたしの隣に座らせる。彼からフワッと優しくて落ち着く匂いがわたしの鼻を擽る。

 

ハルノン「そしてー…うりゃあ♪」

 

ハチマン「ちょっ、なにしてるんですか!?」

 

ハルノン「えへへ~♪」

 

素早く彼との間を開けてから彼の太股目掛けて頭をおろす。普通は男が女にしてもらうから逆膝枕って言うのかな?

あーそれにしても着痩せする彼の太股は固すぎず柔らかすぎず丁度いい。現実に戻ってもしてもらおっと。

 

ハルノン「ハチマーン。頭撫でてー。」

 

ハチマン「え?嫌です。」

 

ハルノン「えーちょっとくらいいいでしょー?」

 

ハチマン「はぁ、わかりましたよ。」

 

溜め息を吐きながらも優しく頭を撫でてくれる彼を見上げながらついついにやけてしまう。

 

ハルノン「……。」

 

ハチマン「………お疲れ様です。」

 

ハルノン「…え?」

 

急にわたしを労う彼にわたしは驚いてしまう。

 

ハチマン「俺達のメンバーでハルノンは年長だから色々気を回してるでしょう。」

 

ハルノン「あははー…バレてるか。」

 

ハチマン「そりゃあね。それにこのゲームに誘った事を後悔して責任も感じてる。」

 

ハルノン「…そっちもバレてるんだ。」

 

いきなりの彼の言葉に顔を背けてしまう。本当に何でも分かっちゃうんだね。

 

ハチマン「責任を感じるなと言う方が無理でしょ。…でも、半分位なら俺が持ちますよ。責任。」

 

ハルノン「…ダメだよ。わたしが誘わなかったらこんなことにはならなかったんだから。」

 

ハチマン「確かにそうですが…俺は貴重な体験をさせてもらってますし、それに合法的に学校に行かなくていいとか最高じゃないですか。」

 

ハルノン「ぷっ、あははは♪相変わらずだねー、ハチマンは。」

 

ハチマン「ええ。俺は変わりませんし、変わる気もありませんから。」

 

本当に彼は面白い。だからわたしは彼を気に入ってるのだろう。

そして、わたしの奥で燻ってる初めての感覚はきっと恋なのだろう。

 

ハルノン「ふふっ…じゃあ、半分だけお願いしようかな?」

 

ハチマン「任せて下さい。こんなんでも男ですからね。」

 

そう答えながらわたしを見つめる瞳を見ただけで顔が熱くなる。それでも…。

 

ハルノン「よろしくね?騎士さん♪」

 

彼の姿は騎士とは程遠い。どちらかと言うと野武士とか辻斬りとかそんな感じ。

それでもわたし…わたし達からしたら彼以上の騎士はいないだろう。いや、絶対いない。

だから彼には本当のわたし、甘えん坊なわたしを見てもらおう。

 

わたしの頭を撫でる彼の手から伝わる温もりを感じながら微睡みの中に落ちていった。




ここまで読んでいただきありがとうございます。

今回はallはるのんで書いて見ました。
いかがでしたでしょうか。
ちゃんと書けているかはわかりませんがこれが今の自分の精一杯です。ごめんなさい。


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Ep.11

更新が遅くなりました。
すみません。



体の至る所が痛い。

俺はグルグルと回る視界を頭を振って何とか治す。

 

目の前に広がる光景は地面に尻餅をついたアイツにボス【背教者ニコラス】は大きな斧を振り上げる。

 

おい…やめろ。

 

脳が命令するより早く体が動き、走り出す。

 

一瞬でも早く。早く早く早く早く。

 

一番上まで振り上げられた斧が下ろされる。それは罪人を裁くギロチンの様だ。

 

間に合え。一人も欠けるわけにはいかないんだ。

 

ハチマン「うらあああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

―――3時間前―――

 

ハチマン「クリスマスのイベントクエスト?」

 

アスナ「うん。どうかな?」

 

サチ達を助けて雪ノ下姉妹と合流出来てから半年がたった。

俺達が順調に一人も欠けること無く攻略を続けてきたある日、久し振りにアスナと二人きりでアジトでの留守番中にアスナが少し興奮気味に話しかけてきたのだ。

 

つか、上目遣いやめろ。かわいいだろうが。

 

ハチマン「別にいいぞ。」

 

アスナ「そこをなんとか!お願い…って、へ?」

 

ハチマン「…なんだよ。」

 

アスナ「えっと…いいの?」

 

ハチマン「だからそう言ってるだろ?」

 

俺が了承するとは思ってなかったらしいアスナは戸惑いながらも嬉しそうに微笑む。だからかわいいからやめて。勘違いしちゃうよ?

 

アスナ「ありがとう。ハチマン君♪」

 

ハチマン「お、おう。」

 

アスナ「ふふっ♪それじゃ行こっか。」

 

ハチマン「ん、わかった。」

 

俺達は身支度を整えアジトを後にする。

 

……小さい声で『ハチマン君と二人っきり♪デート♪』とか言わないで難聴系主人公じゃないから聞こえてるからね?

 

――――――――――

 

ハチマン「ここか?」

 

アスナ「うん。ここのはず。」

 

しんしんと雪が降る中、俺達は森の中にある少し開けた場所で立ち止まる。そこは周りに音もなく白銀の世界が広がる。ここがデスゲームの架空世界じゃなければどれ程良かったか。

 

ハチマン「ここに居るボス…背教者ニコラスとか言うのを倒せばクリアなんだな?」

 

アスナ「うん。レベル的にも問題ないはずだよ。倒したら復活アイテムドロップするみたい。」

 

それはいいな。万が一の保険になるしな。

 

ハチマン「だからって油断すんなよ?したらお仕置きすんぞ。」

 

アスナ「え!?…どうしよう。」

 

ハチマン「いやいや…悩むなよ。」

 

アスナ「じょ、冗談だよ!!」

 

ジト目で俺が睨むとアスナは慌てて否定する。顔が赤いのは寒さのせいではないだろう。

 

ハチマン「本当にわかってんのか。」

 

俺がぼやくと俯くアスナ。

 

ハチマン「ほら、行くぞ。」

 

アスナ「…うん。」

 

ズシン!!

 

俺達がその場所から少し進むと直ぐにソイツは現れた。人間の姿をしサンタクロースの様な出で立ちだがその巨体の手に握られた大きな斧は異形と言う他ない。

 

ハチマン「俺がヘイト稼ぐからアスナはその隙をつけ。いいな?」

 

アスナ「わかったわ。」

 

ハチマン「いい返事だ。」

 

言い終わる前に走り出し、ニコラスが攻撃する前にすれ違いざまに一太刀お見舞いする。

 

ニコラス「があぁぁ!」

 

ハチマン「当たらねぇよ!!」

 

ザザン!ザシュ!

 

ニコラスが振り返りながら斧を降り下ろすが、回避してがら空きになった背中に三撃食らわして少し距離を取る。

 

ハチマン「ほら、来いよ。」

 

ニコラス「グルァアァァ!!」

 

ガシャアァ!

 

横殴りに振り払われた斧をしゃがんで回避する。

 

アスナ「はあぁぁ!」

 

ザシュ!

 

完全に俺にヘイトしているニコラスにアスナがソードスキルを決るとニコラスが怯む。

そのまま俺達は順調にニコラスのHPを削っていく。

 

だからだろうか。アスナは前に出すぎてしまっていた。それに気付いたときには既に遅く、ニコラスが斧を凪ぎ払う。

 

アスナ「…え?」

 

アスナはソードスキルを使ったばかりで硬直してしまっている。

 

ハチマン「チッ…バカが。」

 

俺は走り、アスナとニコラスの間に割り込む。俺の紙みたいな防御力でもガードをしてたら一回位はもつはずだ。

 

ドカアァァ!!

 

ハチマン「ぐっ!」

 

アスナ「きゃあ!」

 

俺とアスナは吹き飛び、俺は木にぶつかる。

 

体の至る所が痛い。

俺はグルグルと回る視界を頭を振って何とか治す。

 

目の前に広がる光景は地面に尻餅をついたアスナにニコラスは大きな斧を振り上げる。

 

おい…やめろ。

 

脳が命令するより早く体が動き、走り出す。

 

一瞬でも早く。早く早く早く早く。

 

一番上まで振り上げられた斧が下ろされる。それは罪人を裁くギロチンの様だ。

 

間に合え。一人も欠けるわけにはいかないんだ。

 

ハチマン「うらあああぁぁぁぁぁ!!!!」

 

俺は足に力を込めて飛ぶ。一気ニコラスとの距離を詰めながら納められた刀を抜き放つ。

 

キイィィン―――

 

ニコラス「グアァァ…」

 

パキィン

 

ニコラスが消滅すると同時に俺の刀も砕け散る。刀は耐えきれなかったらしい。

 

ハチマン「アスナ!…っ!?」

 

アスナ「ハチ…マン…。」

 

武器などどうでもいい。アスナに駆け寄ると目の前の光景に息を飲む。

 

アスナ「あはは…ドジっちゃった…。」

 

ハチマン「喋んな!今回復するから!」

 

アスナの体に刻まれた深い傷。それは誰が見ても助からないと分かるほどの傷だ。

それでも俺はアイテムを取り出して使う。

 

アスナ「ごめんね…。」

 

ハチマン「喋んなってんだろ!!」

 

俺が叫ぶ。謝るなよ…最後見たいじゃねえか!

 

アスナ「ふふっ…ハチマンの涙…初めて見た…。」

 

パキィン。

 

アスナの体はポリゴンとなって弾け飛ぶ。

そこにあったはずの温もりが消える。

 

嘘だろ…そんなわけない。

アスナが死ぬなんて…何とかならないのか?

考えろ!脳を動かせ!止まるんじゃねぇよおぉぉ!!

 

ハチマン「はっ!?」

 

俺は慌てて立ち上がり、ニコラスが倒れた辺りをあのアイテムを探す。

 

ハチマン「どこだ!どこにあんだよ!!」

 

コツンと指先に何かが当たる。俺はそこの雪を掻き分ける。指先を切って血が流れるがそんなことどうでもいい。

掘り出したアイテムを握り締めて直ぐに使用するとアイテムは目映く光り目を閉じる。

 

ハチマン「っ!?」

 

光りは徐々に弱まり、ゆっくりと目を開ける。そこには―

 

アスナ「ハチマン…。」

 

ハチマン「…良かった。アスナ。」

 

目の前にアスナがいた。俺は近付いてアスナを抱き締める。本当に良かった。

 

アスナ「ハチマン…本当にごめんなさい。」

 

ハチマン「いいから…生きててくれたらそれで。」

 

アスナ「…うん。ありがとう。」

 

ハチマン「ああ…。」

 

抱き締める腕に力を込めてアスナがここに居る…生きていることに安堵する。もうあんな事はごめんだ。

 

アスナ「…怒ってる、かな?」

 

ハチマン「ああ。怒ってる。」

 

アスナ「じゃあ、お仕置きするの?」

 

ハチマン「…帰ったらお説教だな。」

 

アスナ「あはは、恐いな。」

 

ハチマン「じゃあ、あんな油断なんて二度とするな。わかったな?」

 

アスナ「うん。」

 

俺達はお互いの温もりを確かめ合うように強く抱き締め、暫くそうしていた。

 

――――――――――

 

ハチマン「正座。」

 

アスナ「…はい。」

 

あれから俺達はアジトに帰り、俺の部屋の床にアスナを正座させている。

それからみっちり三時間程お説教をしてやった。

 

アスナ「ふふっ♪」

 

ハチマン「…なに笑ってんだ?お説教が足りないか?」

 

アスナ「いえ、ふふっ♪ハチマン君の泣き顔を思い出しちゃって…。」

 

ハチマン「なっ!?忘れろ!いや、忘れて下さい。お願いします。」

 

アスナ「やーよ♪」

 

アスナは笑いながらも少し舌を出してべーってしている。

その仕草に怒りが込み上げるが、それ以上にかわいいと思ってしまう。

 

くそっ…かわいいじゃねぇかよ。

 

しかし、反省をしてないと思った俺は追加で一時間お説教をした。

 

アスナは涙目になりながらも少し頬が赤い。

いや、おかしいだろ。




今回は赤鼻のトナカイを書いてみましたがいかがでしたでしょうか。
サチが生き残ったので少し展開が変わっていますが気に入っていただけたら幸いです。

では、ありがとうございました♪


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Ep.12

お久しぶりです。
かなり遅くなりました。すみません。


ハチマン「【一刀居合い・一の太刀】か…。」

 

町からそこまで遠くない森の中でメニューを開き、そこに記されている文字を読む。

先日のニコラス戦での一撃はユニークスキルらしく、ステータスに追記されていた。

正直あの時は無我夢中で訳がわからなかったが修得・発動していたらしい。しかし、未知数の能力だから多用は危険だし、何より切り札は最後まで取っとくのが当たり前だしな。

にしても居合いかー…うん。超嬉しい。だってかっこいいし。

 

???「きゃああぁぁぁ!!」

 

ハチマン「ん?」

 

少女だと思われる叫び声が聞こえる。多分場所としてはそう遠くない。

走り出すとすぐに見つかったが既にモンスターに囲まれており、HPもレッドの絶体絶命だった。

 

ハチマン「ちっ…仕方ねぇな。」

 

新調した刀に手を添えて腰を落とす。

 

ハチマン「一刀居合い・一の太刀!!」

 

ユニークスキルを発動。刀が自分の一部…いや、刀を含めた自分が刀になった様な感覚を感じつつ、一気に間合いを詰めて少女を囲んでいたモンスターを真っ二つに両断する。

 

ハチマン「ふぅ…おい。大丈夫か?」

 

???「…へ?」

 

少女は死を確信してたのか少し間抜けな返事をしながら俺を見上げた。

 

――――――――――

 

シリカ「あの、助けていただきありがとうございます!私シリカって言います。」

 

ハチマン「ハチマンだ。よろしく。」

 

シリカと名乗る少女はブンッと音が鳴りそうな程勢い良く頭を下げる。

 

ハチマン「別に礼なんて要らん。つか、こんなところで何をしてたんだ?」

 

何をしていたか訊ねるとシリカの表情は暗くなり俯いてしまった。

 

シリカ「それは、その…。」

 

ハチマン「言いたくないなら言わんでいい。気に障ったのなら謝るが。」

 

シリカ「い、いえ!!そう言うわけではないんです。」

 

慌てて顔を上げて否定するシリカの手に何かが握り締められているのに気付く。鳥の羽?

 

シリカ「……これは…ピナの羽です。」

 

ハチマン「ピナ?」

 

シリカ「あ、すみません。ピナは私の使い魔です。」

 

使い魔?

あー確かチラッと聞いた話だとビーストテイマーとか言うレアなジョブだっけな?

 

ハチマン「…ちょっと待ってろ。」

 

シリカ「…?」

 

少しシリカから距離を取ってからメニューを開く。

 

ハチマン『キリト。質問だ。』

 

こう言うのに詳しいキリト(※オタク)にショートメールを送ると返事はすぐに返ってきた。

 

キリト『どうした?』

 

ハチマン『ビーストテイマーの使い魔が死んだら復活は無理なのか?』

 

キリト『使い魔?いや、使い魔の形見みたいなアイテムを拾ってたなら蘇生は可能だよ。』

 

ハチマン『わかった。蘇生方法の詳細を送っといてくれるか?』

 

キリト『了解。』

 

ハチマン『サンキュー。』

 

すぐにキリトから詳細が送られてくる。内容を確認したが問題はないな。

 

ハチマン「待たせたな。」

 

シリカ「いえ、大丈夫です。」

 

ハチマン「いきなりだがピナを治せるかもしれん。行くか?」

 

シリカ「ほ、本当ですか?」

 

近い近い。

 

ハチマン「幾つか条件があるがな。つか、近いから離れろ。」

 

シリカ「あ…す、すみません。」

 

ハチマン「別にいい。ところでどうするんだ?」

 

シリカ「そんなの決まってます!ピナを治して上げます!!」

 

おーおー。さっきまで絶望のどん底だったのに完全に復活したな。

 

ハチマン「了解。行くぞ。」

 

シリカ「はい!」

 

いい返事をしながら俺の後ろをついてくるシリカを横目に上を目指した。

 

――――――――――

 

??「むーまた知らない女の子連れてる。」

 

ハチマン「……ん?」

 

シリカ「?どうかしましたか?」

 

ハチマン「いや、なんか寒気が…。」




読んで頂きありがとうございます。
今回から少し短めにして更新を早く出来るように頑張りたいと思いますがよろしくお願いします。


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Ep.13

ひじりです。
では、どーぞー♪


シリカ「どこに向かってるんですか?」

 

ハチマン「ん?ああ、47階層。」

 

前を歩く俺の後ろをついてくるシリカが不安げに訊ねてくる。

俺は振り向く事も歩みを止める事もせずに答えるとシリカから小さな悲鳴が上がる。そんなに驚く事か?

…つか、せめて振り向いてやれよとか思った奴に告ぐ。無理だから。ぼっちにはそんな事無理だから。察して。

 

シリカ「そ、そんな所まで行っても大丈夫なんですか!?」

 

ハチマン「まあ大丈夫だろ。」

 

シリカ「なんか軽いです!?」

 

あーもー。うるさい。

あ…こいつは俺のレベルとか知らんから無理もないか。ごめんな?心の中で謝っとくから許して?

 

ハチマン「とりあえず、サクサク行くぞ。時間が勿体ない。」

 

シリカ「は、はい!」

 

――――――――――

 

ハチマン「そんなこんなで47階層な訳だが。」

 

シリカ「着きましたね。」

 

ユイ「そうだねー♪」

 

ハチマン「何でユイがいるんだよ。」

 

いざ47階層に着いてみればユイが待ち構えており、絶句する俺を無視してシリカに自己紹介してトントン拍子で仲良くなりおったわ。びっくりだね。

 

ユイ「ヒッキーが小さな女の子連れて歩いてるから後を追ってきたんだし。」

 

ハチマン「いや、普通に声かけろよ。」

 

シリカ「ま、まあまぁ…。」

 

ユイと俺がいがみ合っている間でシリカが必死に仲裁をしてくれてる。ええ子やなぁ。

 

ハチマン「はぁ…とりあえずシリカの使い魔が先だ。」

 

ユイ「使い魔?」

 

シリカ「はい。私ビーストテイマーなんです。」

 

ユイ「びーすと、ていまー?」

 

ハチマン「ごめんな。こいつアホの子だから。」

 

ユイ「アホじゃないし!ヒッキーのバカ!!」

 

シリカ「あはは…。」

 

苦笑いするシリカが懇切丁寧にユイに説明をしているがクエスチョンマークが沢山浮かんでるのが見える。

 

ユイ「まあ、とりあえずその何とかの花を手に入れたらいいんだね?」

 

ハチマン「蘇生な。」

 

ユイ「そう、そせいの花だね。」

 

あかん。これ絶対に漢字に変換されずにひらがなだな。

 

ハチマン「とりあえず、だ。蘇生の花はこの丘の頂上にある。ほれ、行くぞ。」

 

シリカ「はい。」

 

ユイ「うん。」

 

――――――――――

 

シリカ「あ、ありましたー!」

 

ハチマン「おう。良かったな。」

 

丘の頂上にシリカと二人で登りそれを見つけた。

シリカは恐る恐る花を摘む。

 

シリカ「ちゃんと蘇生の花です!ありがとうございます!」

 

ハチマン「例なんかいらん。目的も果たしたし、あのアホの子を探すか。」

 

シリカ「あはは…すごい勢いで走って行きましたもんね。」

 

シリカとのやり取りをそこそこにこの思い出の丘が綺麗だと言って一人で何処かに行ってしまったユイを探す。

 

?「あんた達!」

 

ハチマン「あん?」

 

勝手に行動するユイに若干の苛立ちを覚えながら捜索を開始しようとするといきなり声をかけられそちらに振り返る。

するとそこにいたのは。

 

ユイ「ヒッキー!!」

 

?「あんた達この女を助けたければその花を寄越しな。」

 

知らない女に羽交い締めにされているユイがいたのだ。

…なにやってんだよ。




はい。今回も読んでいただきありがとうございました。
最近、艦これのも書きたくてうずうずしてるんですが既に二つ書いてるので流石にまずいかなーと思案してます。
もしかしたら書き始めるかもですねー。


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Ep.14

ひじりです。
今回でシリカ編は終了ですね。

では、どうぞ。


ユイ「ヒッキー…。」

 

今の状況を簡単に説明しよう。

 

俺&シリカ

|約10m位の距離

ユイ(人質)

謎の女(親玉?)

手下×5人

 

こんな感じ。

普通にピンチだよな…『普通』なら。

 

ハチマン「あーうん。ユイ、何してるんだ。」

 

ユイ「えっと…寝てたら捕まっちゃった。」

 

ハチマン「………ビッチが。」

 

ユイ「ビッチ関係ないし!てか、ビッチじゃないし!!」

 

なんかキャンキャン吠えてるアホ犬は置いとく。

 

ハチマン「そのアホ犬を離してくれませんか?」

 

ユイ「アホ犬!?」

 

だまらっしゃい!この駄犬めが!

 

?「その蘇生の花と交換だよ。」

 

見知らぬ女はやはり蘇生の花か目的でアホ犬(ユイ)との交換を要求してくる。

まあ、最初に言ってたからわかってたけどね。

とりあえず、相手はユイを羽交い締めにしてる女以外は全員オレンジだ。

オレンジは犯罪者の印でもあると同時に攻撃しても大丈夫な訳だ。

まあ、PKをしなければクエストをこなせば罪は帳消しに出来るし問題はないがな。

 

シリカ「ロザリアさん止めてください!」

 

ハチマン「ん?知り合いか?」

 

シリカ「は、はい。ハチマンさんに会った森で口喧嘩してそれっきりでした。」

 

先程まで俯いていたシリカが叫ぶ。

話を聞く限りでは判断しきれないがモンスターを使ってのPKの可能性もありそうだな。

 

ロザリア「はっ、止めるわけないだろ?」

 

鼻で笑うロザリアはシリカに注意を向けたためにユイの拘束が若干緩くなる。バカだな。

 

ユイ「んっ…しょっと。」

 

ユイはロザリアの腕を掴むと持ち前の腕力を使い、腕と自分の首の間に隙間を作りしゃがむ様にして素早く抜け出す。

拳を使っての近接格闘のユイには打撃戦のみでは心許ない為ユキノンやハルノンか合気道なども叩き込んでる。

あの姉妹が関節を取って拘束しても何とか抜け出せる程度まで成長したユイがあんなド素人な拘束から抜け出せない訳がない。

もし、ユイを拘束したければ縄とかで手足を縛る位はしないと無理だな。

 

ロザリア「なっ!?」

 

ユイ「んー…はぁ。」

 

驚くロザリアに対してユイは大きく伸びをしたりしてリラックスモードだ。

 

ハチマン「ユイ。」

 

ユイ「ん?なに?」

 

ハチマン「ロザリアとか言う女以外はやっていいぞ。」

 

ユイ「え?いいの?」

 

ハチマン「ああ。」

 

ユイ「やった♪最近身体が鈍ってたんだよね。」

 

ユイは楽しそうに笑いながらぴょんぴょんと嬉そうに跳ねる。

…夢と希望が溢れんばかりにつまったメロンに敬礼!!

 

ユイ「じゃあ、いくよー♪」

 

腰に下げていたユイの武器であるナックルを装着してガィンっとナックルを着けた両拳をぶつける。

ユイの着けているナックルは手から肘までをガードが出来るタイプで、攻防に優れているが手首は固定される為に常に装備するにはちょっと不便だがユイはそれを好んで使っている。

 

ロザリア「ちっ、殺っちまうよ!」

 

ぞろぞろとロザリアを含めた6人は纏めてユイに攻撃し始める。

 

ユイ「ん~…りゃあ!!」

 

ガシャアアン

 

一人の男のが片手剣をユイ目掛けて振り下ろすが、ユイは避けるどころか右の拳をアッパーで迎え撃つ。

剣と拳がぶつかると剣が砕け散る。当たり前だ。

ユイがつけてるナックルの装甲は分厚くかなりの名刀でも叩き斬るのは容易ではないのだから砕けて当然。

 

ユイ「一人目ぇ!!」

 

ガスッ

ユイは縮めていた左拳を右手を引くと同時に前に突き出す。

その際に右足を踏み込み体重を乗せるのも忘れない。

 

ユイ「んふふー♪次々いくし!!」

 

殴られた男は数メートル吹っ飛んで意識を失う。

それを見ていた奴らは驚き怯むがユイは楽しそうに笑いながら駆け出し、次々と手下どもを殴り倒していく。

 

――――――――――

 

結果的に言うと5分と掛からずロザリア以外は意識を失ってそこいらに転がっている。

相変わらずの武具キラーだな。

 

ユイ「えーもう終わっちゃったし。」

 

シリカ「す…すごいです。」

 

ハチマン「ユイはアホだが、動体視力がかなりいいから出来る戦法なんだよ。アホだがな。」

 

ユイ「だからアホって言うなし!」

 

準備運動にもならなかったとでも言うようにその場でシャドーボクシングをしながら不満を口にするユイにシリカは驚愕して、俺は簡単に解説を入れるがアホの部分に反応したユイは俺に駆け寄りプンプンと頬を膨らましながら憤慨する。

 

ユイ「うー、ヒッキー。あたし頑張ったよね?」

 

ハチマン「ん?ああ…はいはい。」

 

ユイはぽしゅっと空気を吐いて頬を膨らますのを止めると上目使いで俺を見つめながら何かをねだるような姿は小型犬を連想させ、ユイに再会したあの日から『頑張ったら頭を撫でる』と言う約束を取り付けられた俺はユイの頭に手を置いて優しく撫でる。

 

ユイ「んー…えへへ♪」

 

頭を撫でられるユイは目を細めて尻尾があったなら千切れんばかりに振ってる位に嬉しそうな笑顔を浮かべる。

 

ロザリア「ちっ、くそがあぁぁ!!」

 

ユイ「!?邪魔しないで!!!」

 

ガッ、ガシャアン

 

ロザリアはユイには勝てないと思ったのか俺を目掛けて攻撃するが、攻撃に気付いたユイがロザリアの槍を粉砕する。

 

ユイ「次、ヒッキーに手を出したら…壊すよ?」

 

幾度となく死線を越えてきたユイは拳をロザリアに突きだして警告をする。

なんか…色々とやばくね?戦闘狂みたいな…。

 

ロザリア「くっ!なんだいあんたらは!!」

 

ハチマン「あ?何だといわれても…ハチマンとしか言えないが。」

 

ユイ「あたしはユイだよ?」

 

ロザリア「ハチマン…ユイ…!?まさかあんたら…首狩りに狂犬!?」

 

ユイ「その名前嫌いなんだけどなぁ…。」

 

ハチマン「同じく。」

 

なんだよ首狩りって。

完全に悪人みたいになってるし。

 

シリカ「え!?あの黒の剣士や閃光と並ぶトップの、ですか!?」

 

ユイ「その二人は友達だよ?ね、ヒッキー。」

 

ハチマン「…………ああ、友達だな…くっ…ぼっちの俺がこんなことを言う日が来ようとは。」

 

ユイ「……ヒッキー、キモい。」

 

ハチマン「ひでぇ…。」

 

ユイの冷たい目線に落ち込みながらもロザリアに告げる。

 

ハチマン「とりあえず、大人しくしろ。」

 

ロザリア「くそっ…。」

 

武器を壊され、それに加えて格上の俺とユイが相手だからかロザリアはその場で膝をついて観念する。

 

――――――――――

 

シリカ「この度はお二人共本当にありがとうございました!」

 

ハチマン「お礼なんていいから。俺が勝手にしたことだからな。」

 

あれから俺達は町に戻ってロザリア達を牢屋にぶちこみシリカにお礼を言われている。

 

ユイ「出た!捻デレ!」

 

ハチマン「うっせ。アホ犬。」

 

ユイ「アホ犬言うなし!!」

 

シリカ「あはは…ユイさんもありがとうございました。」

 

ユイ「また困ったことがあったら言ってね?いつでも駆けつけるから。」

 

ユイとシリカは仲良くなり、連絡先を交換してシリカと別れた。

 

ユイ「シリカちゃんかわいい子だったねー。」

 

ハチマン「確かにな。素直だし、コマチの次に妹にしたい子だな。」

 

ユイ「コマチは妹じゃん。てか、その発言変態っぽいよ?」

 

ハチマン「あ?兄は妹や妹っぽい子を愛でる為に生きてる様なもんなんだよ。」

 

ユイ「うわぁ…。」

 

ハチマン「ごめんなさい。」

 

俺の力説にユイがゴミを見るような目で見てきた為、直ぐに謝る。

 

ユイ「ぷっ、あははは。もう…ヒッキー。帰ろ?」

 

ハチマン「ん、帰るか。」

 

ユイ「うん!!あ、最後にヒッキーを守ったのもあたし頑張ったよ?だから…その…。」

 

家に帰る為に歩き出す俺達だったが、もじもじと俺の服の裾を遠慮がちに摘まんで上目使いのユイがおねだりをしてくる。

その姿が可愛くて保護欲が駆り立てられる。

 

ハチマン「っ!?その…あれだ。帰ったら、な?」

 

思わず抱き締めたくなるが必死に我慢して何とか答える。

 

ユイ「ヒッキー!!」

 

パァっと効果音がなりそうな程嬉しそうな表情でユイが俺の腕に抱き付いてくる。

それに対して俺は文句を言うがユイは離さず、仕方なくそのまま家に帰った。

 




ガハマさんが…戦闘狂になってしまいました(汗)
ガハマファンの方…すみませんでした!!


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Ep.15

今回から話は圏内事件に発展していきますが、読者様からのご指摘を受けて自分なりに頑張って攻略部分を書きたいと思います。
そして今回は短めです。


俺達のギルドから一人抜けた。

それはアスナで何でも血盟騎士団と言うトップギルドから勧誘されて悩んでいたらしく、相談された俺はアスナの好きな方にさせた。

正直に言えばトップギルドとは言え信用は出来ないし不安だ。

でも、それではアスナは成長しないし、彼女は上に立つ才能。カリスマ性もあるから行くと決めた時はちゃんと送り出してやった。

他の奴等も泣いたりはしたものだが笑顔で見送り、一先ず俺達は別々の道を行くことにしたのだ。

 

そして、アスナがギルドを抜けてから時は過ぎアスナの所属するギルド、血盟騎士団は59階層まで攻略していた。

 

イロハ「おぉーアスナったら59階層で副団長して大活躍だって!凄いですねー♪」

 

コマチ「あ!本当ですね!!カッコイイ♪」

 

ハチマン「おい。置いていくぞ。」

 

現在俺達は三人で60階層を探索中で血盟騎士団からも正式にほうしぶの方に要請があり、ボス部屋を探している。

 

イロハ「あ、待って下さいよ。先輩!」

 

コマチ「ゴミぃちゃん。コマチ的にポイント低いよ?」

 

ハチマン「はいはい。」

 

二人の抗議に適当に返事をしながらも歩みを進める。

今のほうしぶはユキノンをリーダーにサブリーダーにユイとハルノンがなっており、皆合意の上だ。

更にはアスナが所属していることもあり、血盟騎士団とも交流があるためよく攻略するためのダンジョン探索など下請け業者の様な事もしている。

 

ハチマン「んー大体回ったはずなんだけどな…。」

 

イロハ「どうしたんですかー先輩。」

 

ハチマン「いや、大体の場所は回ったのにボス部屋が見付からねぇんだ。」

 

コマチ「どっか見落としてたりは?」

 

探索するために手書きで記しているマップを見ながら頭をかく俺のリョウサイドから小悪魔と天使がマップを覗いてくする。

 

ハチマン「それはないと思うんだがな。やっぱ隠し部屋か?」

 

イロハ「むー先輩!わたし疲れました!」

 

ビシッと手を挙げてイロハが言うが、俺は頭に軽くチョップをする。

 

ハチマン「さっきも休憩しただろうが。それに早く終わらさないとユキノンにどやされるのは俺だかんな?」

 

コマチ「なら問題ない。」

 

イロハ・コマチ「「ねー♪」」

 

ハチマン「…さいですか。」

 

仲良くキャイキャイ騒ぐ二人は本当の姉妹の様だが言ってることはえげつない。主に俺に対してだが。

げんなりとしているとよく知る声が聞こえる。

 

アスナ「あれ?ハチマン?」

 

ハチマン「ん?おう。アスナか。」

 

イロハ「アスナ♪」

 

コマチ「お久しぶりです♪」

 

アスナ「きゃっ…イロハにコマチ。久しぶりね♪」

 

アスナ率いる探索中の血盟騎士団とのご対面だった。

イロハとコマチはアスナに飛び付いてアスナもそれを受け止める。キマシタワー…え?違う?そうかなぁ…?

 

アスナ「とりあえず立ち話もなんだし、休憩がてら情報交換しない?」

 

ハチマン「ああ。いいぜ。」

 

イロハ「やった♪」

 

コマチ「お兄ちゃんとのお話が終わったら三人でガールズトークしましょうね。」

 

アスナ「うん。いいよ♪…皆!休憩よ!周囲の警戒は怠らないでね!」

 

アスナは皆に聞こえるように声を張りながら指示を飛ばす。

 

ハチマン「ちゃんと副団長やれてるんだな。」

 

アスナ「そりゃあ、ね。」

 

俺が感心するとアスナは方を竦めて笑う。

さて、攻略するために情報でも刷り合わせするか。

 

 




読んでいただきありがとうございました。
攻略って難しいなぁ…(汗)


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