蛇が行くのは空の世界 (狐目)
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第1章 ポートブリーズ篇
第1話 終わりの始まり


初投稿です。駄文かもしれませんが、楽しんで頂ければ幸いです。では、どうぞ。


「ギン!!」

白い着物を着た男ー 市丸ギンは、一人の女性の声を聞いた。自分が一番守りたかった人ー松本乱菊の声を。

 

ギンは一人思う。

(乱菊・・・あかんかった・・・)

 

(結局・・・乱菊のとられたもんとり返されへんかった・・・)

 

(ああ・・・やっぱり・・・謝っといて・・・良かった・・・)

 

ギンは薄れゆく意識の中で一人の青年の姿を認める。

黒崎一護。崩玉と一体化した藍染を倒す唯一の希望。先程、戦ったときにはあった迷いも今はない。

 

(ああ・・・強い眼になった)

 

良かった・・・今のキミになら・・・任せて・・・殂ける)

ギンは、静かに眼を閉じた。

 

こうして市丸ギンの物語は終わった・・・・・・

 

 

 

 

はずだった。

 

始めに感じたのは、風だった。不思議に思いギンは眼を開けた。その眼に映ったのは空だった。

空。どこまでも青くどこまでも広がる青空が見えた。

ギンは困惑した。

 

(これは一体・・・何があったんや・・・ボクは間違いなく藍染に・・・)

 

ギンは、立ち上がりまず自分の状態を確認した。格好は白い死覇装で藍染に斬られたはずなのに傷一つ無い。腰には自分の斬魄刀ー神槍があった。

 

「身体も、格好も、問題無い。けど、ここは一体・・・」

しばらくの間考えてみたが、答えはでそうに無い。

「ひとまず、ここがどこなのか確認してみようか」

ギンは宙に跳び、霊子を足場にし、辺りを見渡した。

しかし、ギンは自分の眼に映ったものに驚愕した。

「なんや・・・これは・・・」

 

島が空に浮いている。現世ではもちろん、ソウル・ソサエティでも見たことのない光景だ。ギンは、自分の推測を思わず呟いていた。

まさか・・・まさかこれは・・・

「転生・・・したんか・・・?」

 

その呟きは、誰の耳にも届くことはなかった。

 

時を同じくして、閉ざされた島《ザンクティンゼル》では、

「成り行きとはいえ、オマエらが夢見た空の旅ってやつに出発だな!腹ァくくれよ!」

羽の生えた赤いトカゲに似た生き物が少年と少女に話しかける。

「覚悟はできてる」

「私も」

「グラン、ジータ!急いで乗ってくれ。早く!」

2人は女騎士の呼びかけに応じ小型の騎空艇に乗り込んだ。乗り込んですぐに、畳まれていた左右の翼が音もなく展開され、一瞬の後には小型艇は空に浮き上がった。《碧空の門》を越え、黄昏のオレンジ色に染まった空に飛んでいった。

 

空の果て《イスタルシア》を目指す少年少女達とギンが出会う時はすぐ側に近づいていたが、そのことをギンも彼らも知る由もなかった。死神と彼らが出会った時、何が起こるのか、それは誰にもわからない。




いかがだったでしょうか?不定期になるかもしれませんが、よろしくお願いします。


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第2話 現状確認と初めての邂逅

第2話です。遠征中の旅館で執筆しました。今回も短いですが、どうぞ楽しんでいってください。


《ポートブリーズ群島 エインガナ島 アンガド高原》

 

ギンは、数匹の魔物-疾風兎《ウインドラビット》を相手に戦っていた。何故彼が、このような事をしているのかというと、それは数時間前に遡る。

 

〜数時間前〜

自分が見たもののショックから立ち直ったギンは、これからどのように行動するのかを、考えた。

「まずは、情報やな。この世界の事を知らんとなんもできひんし」

ギンは、辺りを見渡した時に見つけた町を目指して歩き始めた。街の門をくぐってギンは、まず一軒の酒場に入った。目的は、もちろん情報を得るためである。

「ちょっとキミ、少し聞きたいことがあるんやけど」

「なんだ兄ちゃん?ここら辺じゃあ見ない顔だが」

「すまんけどここは、なんと言う街なん?」

男は少し呆れたような顔をした後、

「ここは交易の街《ポートブリーズ》だ」

ギンは男に他の事を聞こうとしたが、その時、

「聞きたいことがあるなら、私が教えますよ〜」突然少女が割り込んできた。

「キミは・・・?」

「はい〜。私はハーヴィン族のシェロカルテ、ここの主人です。シェロちゃんと呼んでくれていいですよ〜」

ずいぶんゆるい喋り方をする人だった。だが鬱陶しい感じはしない。

「いきなり割り込んできたということは、この辺りのことに詳しいゆうことでいいんやね?」

「はい〜。私に答えられることであれば、何なりと聞いてくれてかまいませんよ〜」

こうしてギンは、必要な情報をシェロから得ることができた。その後、シェロが商人で仕事の斡旋をしている事を知り、ギンは簡単な依頼を受けたのだった。ギンが依頼を受けた理由は主に二つある。一つは、この世界において自分がまったくの無一文であったことだ。金がなければ、何もすることはできない。ついでに言えば、受けた依頼の中には、完了すれば料理をふるまってくれるという嬉しいおまけが付いていたということもある。二つ目は、自分の能力の確認である。前の世界では使えていた破道や縛道などの能力が、使えなくなっていることを危惧したからだ。

以上のことからギンは、高原で魔物を相手に戦っていたのである。

「これで最後」

ギンは最後の一匹を斬り伏せた。結論から言えば、自分の能力は何一つ変わっていなかった。破道も縛道も問題無く発動し、詠唱破棄も可能だった。ギンは満足そうに笑い、街への歩みを進める。報告を済ませ、酒場を出ようとした時、

ドンッ!

「キャア!」

「おっと」

青い髪の少女とぶつかってしまった。ギンは手を伸ばし、少女を立ち上がらせる。

「ごめんなぁ。怪我してへん?」

少女は立ち上がると、

「はい。大丈夫です」

と元気そうに返事をした。怪我がないことに安心したその時、

「ルリア!一人で走って行くのは危ないと言ったじゃないか!」

青い鎧を装着した女性とおそらく兄妹と思われる少年少女が急いでやってきた。

「うぅ、だって待ちきれなくて・・・」

「それでもだよ。ルリア」

そう女性は、少女をさとし、その後、ギンに向き直り謝罪した。

「どうやら、迷惑をかけてしまったようだな。申し訳ない」

「いえいえ、迷惑なんて大したものじゃないですよ」

ギンは気にしていないことを伝え、その場を去った。しばらくして、ギンはふと気がついた。あの青い髪の少女は、護廷の隊長格とは違うものの、大きな力を宿していることに。

これが、死神と彼らとの初めての邂逅であった。

 




はい、今回はギンの戦闘チュートリアルとグランたちとの邂逅でした。これからどうなっていくのか、お楽しみに。


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第3話 突然の戦闘と共闘依頼

第3話です。今回は初の戦闘回となっています。正直かなり難産でした。それではお楽しみください。どうぞ。


(なんでこうなったんや?)

ギンは今の状況を見て思う。

「どっちにしろ不安要素は消す必要がある。やるぞ、ドランク」

「スツルム殿〜別に一人くらい聞かれてもなににもならないって〜。ってイッッッター!」

「つべこべ言わずにさっさとやれ」

「分かったから、刺すのはやめてくれない?!スツルム殿?!」

何故こうなったのかというと数時間前に遡る。

 

〜数時間前〜

 

資金稼ぎのためにシェロから依頼を受けたギンは、アンガド高原で魔物討伐をした。その帰り道に、なにやら話し声が聞こえるので声のする方へ向かったのだ。そこでは、ドラフの女剣士とエルーンの男が話していた。ギンは近くの木の影に隠れ、耳を澄ませた。

「それにしても将軍も容赦ないよね〜。言う事聞かないから島を落とすなんてさ〜」

「結果として私たちの仕事も完了できるんだ。利用できるものは、利用すればいい」

「だけどさ〜、ん?」

急に男の声がやんだ。

「? どうかしたのか?」

「そこに誰かいるのかな?」

ギンは、咄嗟に飛び退いた。次の瞬間には、立っていた場所に水球が着弾し木を吹き飛ばしていた。

「あっちゃ〜、スツルム殿〜、どうやら聞かれてたみたいだよ〜」

「おいお前、そこで何をしていた」

女剣士が尋ねる。腰の剣に手を伸ばし、いつでも抜けるように身構えている。

「いや、ボクはただついさっきここに通りかかっただけやけど」

ギンは聞いていないふりをするが、

「どっちにしろ、不安要素は消す必要がある。やるぞ、ドランク」

 

かくして冒頭に至る。

 

(まぁ、今回に関しては身から出た錆みたいなもんやけど)

ギンは、自分の軽率な行動を後悔したが状況は変わらない。

「いくぞ」

女剣士ースツルムは、二刀を抜き構えた。

「あかんなぁ、こないなところで剣抜かれたら、ボクも抜くしかないやんか」

ギンは一言呟き、自分も刀を抜いた。

スツルムは思い切り踏み込みきりつけるが、ギンはその一撃を楽々と受け流す。躱されたのを気にせずスツルムは攻撃を続ける。それらを、ギンは全て見切り躱す。攻撃が途切れたところで距離をとった。その時、

「ボクを忘れてもらっちゃあ困るなぁ」

男の持つ宝珠が輝き、水球が放たれる。反応が遅れ躱す暇はないと察したギンは、

「縛道の八十一『断空』」

詠唱破棄の『断空』で防いだ。

「嘘でしょ?!」

ドランクは驚愕する。ギンは体制を立て直しながら対策を練る。

(女剣士の攻撃は問題なく捌けるが、術者と連携されると厄介か…なら)

ギンはドランクに狙いを定める。まず、スツルムに詠唱破棄の『白雷』で牽制、足止めしてドランクに突撃する。

「ちょ?!」

ドランクはその行動に驚きながらも、魔法を放つ。しかし、ギンはそのことごとくを躱してくる。仕方なく防御の魔法を展開するが、既に遅く接近を許してしまっていた。ギンはドランクを『白伏』でおとす。

「ドランク!」

ここにきてスツルムが追いつきギンに斬りかかるが、

「縛道の六十一『六杖光牢』」

ギンの縛道によって動きを封じられてしまう。勝負はついた。

「殺せ……負けたのだからな」

「ちょ、ちょっとスツルム殿」

いつの間にか『白伏』から復活したドランクが焦って言う。

「うるさい!情けなどいるものか。剣士として生きてきた以上、覚悟はできている」

ギンはスツルムのその言葉に苦笑いしながら答える。

「う〜ん、別にボクにキミを殺す気はないんやけど」

ドランクはギンの言葉に便乗し、

「ホラァ〜スツルム殿ぉ、彼もこう言ってくれるんだから命あっての物種ですよ〜。」

「ドランク。お前、これ以上無様をさらすくらいなら。いっそここであたしが……」

「って、スツルム殿ぉ。なんで僕に剣を向けてるの?わぁあ!落ち着いてぇ!うわっっとお!髪!髪の毛斬ったよね、今。ああ、僕の髪〜」

「動くな。首が飛ばせない」

「動かなかったら死んじゃうでしょうが!」

必死にドランクがスツルムを止めようとしているが、スツルムは聞く気は無いようだ。

「ホントに待ってスツルム殿ぉ。あのことを、彼に頼んだらどうかなって僕は思うんだけど」

この言葉にスツルムは動きを止める。ドランクは、急いで立ち上がりギンに話しかける。

「えっとね、今この島は危険な状況にあるんだ。エルステ帝国の将軍サマがねぇ〜、魔晶を使ってこの島の守り神ティアマトを暴走させて島を落とすつもりなんだよ」

ギンはその話を聞いて驚くと共にさっきから風が強くなっていることに納得がいった。ドランクは続ける。

「流石に僕らも住民ごとはどうかと思うんだけどね〜、雇われ者の辛いところだよ〜。そこでなんだけどさ、キミにお願いがあるんだ」

ドランクは真剣な顔でこう言った。

「ついさっき、4人の騎空士(?)がティアマトを止めるために向かって行ったんだけど、よかったら彼らを助けてくれない?」

「4人の騎空士?」

思わず口を挟むギン。

「そうそう、女騎士に少年少女、青い髪の少女で、あと空を飛ぶトカゲを連れてたかな」

ギンはその言葉を聞いて頭を抱える。自分の中で当てはまるのは、たった一つ、酒場で会った彼らだけだった。

(ここで断るのは簡単、けどここで貸しを作ることは悪いことやない)

ギンはこう結論づけ、承諾することにした。

「ええよ。その依頼受けるわ」

「ありがとぉ〜、ちなみに報酬なんだけど…」

「それはまた後でええわ。急いだ方がええんやろ?」

「わかった。じゃあ僕らはバルツで待っているよ。ちなみにもう知ってるかもしれないけど僕はドランク。こっちはスツルム殿。キミは?」

「ギン。市丸ギンや。よろしゅうに」

最後にバルツの方角を聞き、ギンはその場を立ち去った。

 

「行ったか…」

スツルムは呟く。市丸ギンが去った後、スツルムは奥歯を噛み締めた。完敗だった。スツルムの傭兵としての戦いの中で、これほどまだに完敗したことはなかった。それは、空の世界一の剣士を目指すスツルムにとって大きな屈辱だった。

「おーい、スツルム殿ぉ〜」

「今行く」

帝国軍の駐屯地にむかう途中、

「ねぇ、スツルム殿」

ドランクが口を開く。

「さっきの彼、僕らの陣営に引き入れてみない?」

「何?」

ドランクの言葉に驚くスツルム。

「だってあそこまでの実力を持ってるんだから、きっと戦力になる。それに雇い主サマの計画にも役立つかもしれないよ」

一理ある、そう思った。上手くいけば、あの強さの秘密を知ることができるかもしれない。だが、それはこの騒ぎが収束してからの話だ。もし生き残ることが出来たのなら、

「検討してみるか…」

雇い主にも報告する必要があると思いながら、スツルムの口はどこか緩んでいる気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 




スツドラコンビ初登場の回でした。やっぱり、この2人は書いていて面白いです。次回はティアマト戦です。


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第4話 VSティアマト

第4話です。今回はほとんどグラン君達がメインです。それでは、ポートブリーズ篇最終話、どうぞお楽しみください。


〜エインガナ島上空〜

 

上空では激闘が繰り広げられていた。騎空挺の上では、操舵士の男と4人がティアマトに立ち向かっていた。ティアマトは、3つの頭を持つ巨大なりゅうさんの姿をしていた。

「くらえ、『バニッシュ・ピアース』!」

「我が奥義お見せしよう、『アイシクル・ネイル』!」

次々と叩き込まれる奥義技。しかしまだ、ティアマトが倒れる様子はない。ティアマトは、攻撃を耐えきると口に風の力をため始める。

「クッソ、やべえぞ」

「奥義は撃ったばかりで使えない。どうすれば…」

遂にティアマトが大技を放とうとした次の瞬間、

「縛道の六十二『百歩欄干』

何処からか無数の光の柱が放たれ、ティアマトを直撃した。ティアマトは思わぬ攻撃に怯み、溜めていた力を霧散させる。

「今のは、一体…?」

「そのことは後だ!一気に畳み掛けるぞ!」

「援護します!『シャイニング』!」

ジータの杖から光が放たれティアマトを攻撃する。

「今だ!!決めるぞ!!」

「はい!!」

グランとラカムは各々の武器に火の属性力纏わせ、カタリナは剣に水の属性力を纏わせる。

「いきます!!『ドライブスラッシュ』!!」

「『バニッシュ・ピアース』!!」

「『アイシクル・ネイル』!!」

3人の放った元素の属性力がティアマトとぶつかる。2つの炎が竜巻のように渦巻くなかに、青い氷の刃が突き立てられた。3つの属性力がティアマトの身体にまとわりつき、ギリギリと締め付けたかと思うと、いきなり爆発した。

「グラン!ルリア!トドメをお願い!」

「はい!!」

ルリアとグランは力を合わせ黒き竜を呼ぶ。

「「来て…、プロトバハムート!」」

黒き竜は、口の拘束具を引きちぎり息を大きく吸い込む。魔力が集中していき、遂に放たれる。『大いなる破局』《カタストロフィ》。青白い光の束が音もなくティアマトに突き刺さった。

「終わった…のか?」

「はい、もう大丈夫です。溢れさせてしまったティアマトの力は私が吸収しました」

ホッと息をつく一行。だが、そこでジータが気づいた。

「そういえばあの光の柱はなんだったんだろう?」

ジータはキョロキョロと辺りを見渡しそこに何者かの姿を見つけた。

「み、みんな!あそこに人が!」

その声を聞き、グラン達はジータの指す方角を見る。そこには、にわかに信じられないものがあった。

「人が空中に立ってる?!」

彼らはその姿に目を凝らす。白い着物を着ていることはわかったが、距離があって顔は見えない。やがてその人物は、何処かに走り去っていった。

「一体誰だったのだろうか…」

カタリナが首を傾げる。

「わからない。けど……」

グランは続ける。

「また、何処かで会いそうな気がする」

それは、一行が思ったことを代弁する言葉だった。彼らは、去っていった方向を見つめていたが、

「まぁ、なんにせよ一度街に戻ろうぜ。きっと宴会の準備でもしてるだろうしな」

ラカムの言葉に賛成し、彼らは街に降りていった。

 

「無事、終わったみたいやな」

空中を走りながら、ギンは彼らの戦いぶりを思い返していた。

「それにしても、あの最後の竜は彼らが呼び出した、っていうことでええんやろか」

ギンは、酒場ですれ違った時に青い髪の少女から感じた力を思い出す。

(もしそうならば、あの力はいろいろな所から狙われるやろうな)

一瞬の間で彼らの先に待ち受ける苦難を考えたが、次にはもうドランクからの報酬を考え始めるギンなのだった。

 

 

ポートブリーズ篇 完

 

 

 

 

 

 




いかがだったでしょうか?やっぱり戦闘を書くのは難しいです。次回からは、第2章バルツ篇に入ろうと思います。


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設定

バルツ篇に入る前にギンのキャラクターとしての能力と、グラブルキャラクターからの評価を書いて見ました。


プロフィール

名前 市丸ギン

身長 185cm

体重 69kg

種族 不明

属性 光

タイプ 攻撃タイプ

 

容姿はBLEACHと全く同じ

 

使用武器 斬魄刀 神槍

 

フレーバーテキスト

死をむかえた死神は、何たる運命か空の世界へ迷い込み、異界の地にて第二の人生を歩む。しかし、ある騎空団との邂逅によって転機を迎える。蛇は空の果てへと歩みを進める。

 

補足

藍染に斬られ消えるはずだったギンは、どういう因果かグラブルの世界へと迷い込む。死神としての能力は健在で、スペックはかなり高い。偶然出会ったグラン達に興味を持ち、時々手助けをすることもある。ただ、自分が死んだ後元の世界がどうなったかが、少し気になっているようだ。

 

ランク SSR

 

アビリティ

 

1アビ

射殺せ『神槍』

敵単体に3倍〜4倍のダメージ

ターン間隔 3ターン

 

2アビ

破道の三十三『蒼火墜』

敵全体に2倍〜3倍のダメージ 灼熱効果

ターン間隔 5ターン

 

3アビ

縛道の六十一『六杖光牢』

敵単体にスロウ効果 稀にこのターンの相手の攻撃をスキップ

ターン間隔 4ターン

4アビ

卍解『神殺槍』

攻撃,防御,クリティカル確率,連続攻撃確率UP

アビリティが変化

 

奥義 槍紗雨

敵に光属性ダメージ(特大)

奥義ゲージ20%上昇

 

卍解時

 

1アビ

神殺槍『無踏』

敵単体に4倍〜5倍のダメージ

連続攻撃確率UP

ターン間隔 3ターン

 

2アビ

破道の七十三『双蓮蒼火墜』

敵全体に3倍〜4倍のダメージ 灼熱効果

ターン間隔 5ターン

 

3アビ

神殺槍『無踏連刃』

敵全体に3倍〜4倍のダメージ 稀に毒効果

ターン間隔 6ターン

 

奥義 死せ『神殺槍』

敵に光属性ダメージ(特大) 稀に即死

 

サポートアビリティ

射殺せ『神槍』

自分のクリティカル確率UP

 

卍解 『神殺槍』

卍解時に通常攻撃に闇属性を付与

 

 

グラブルキャラクターからの評価(現時点)

グラン…何を考えているかわからない謎の人物

ルリア…変わっているが優しい人

ジータ…空を歩いていた謎の人物

カタリナ…酒場ですれ違った男。警戒しておく謎の人物

ラカム…白い奴

ドランク…気の合いそうな狐みたいな人

スツルム…初めて完敗した相手。強さの秘密が知りたい

 

ギンから見たグラブルキャラクターの評価

グラン…剣の稽古をしている普通の男の子。女の子とは双子かな?

ルリア…素直な子。だが大きな力を感じた

ジータ…霊圧(マナ)が普通より大きい女の子。男の子とは双子かな?

カタリナ…なんでも出来そうな女騎士

ラカム…無精髭のはえた操舵士

ドランク…気の合いそうな男。仲良く出来そうな気がする

スツルム…センスのある女剣士

 

 

 




いかがだったでしょうか?次回こそバルツ篇です。


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第2章 バルツ篇
第5話 バルツ公国にて


UAが1000を超えました〜。お気に入りは20を超えていました。これだけの人達が読んでくださったことに感謝です。それではバルツ篇スタートです。


「やっと見えた」

 

ギンは遠くに見えた浮島を見て呟く。ギンの見つけた島は、《フレイメル島》と言う火山島である。そこには、遠くから見てもわかるほど大きい火山があり、上からは煙が上がっている。近づいて行く程にわかる火山の大きさに驚きつつも、ギンは降りる場所を探す。そして人気のないテラスのような場所に降り立つ。

 

「とりあえず、誰にもバレなかったみたいやな。さて次は…」

 

ギンは懐からメモを取り出し眺める。このメモは、ポートブリーズでドランクから依頼を受けた際に渡されたものだ。メモには地図付きで次のように書いてあった。

 

『バルツに着いたら、宿屋《空に漂う錨亭》にこられたし』

 

ギンは地図を見ながら宿屋を探す。

 

〜数分後〜

ギンは目的の宿屋に辿り着いた。扉を開け中を見渡していると、

「あ、ギン!こっち、こっちだよ〜」

エルーンの優男がこちらに手を振っているのが見えた。側にはドラフの女剣士も。ギンはすぐにそこに向かった。

「どうやら無事依頼を達成できたみたいだねぇ〜。ホントお疲れ様〜」

「なに、僕はただ少しだけ手を貸しただけや。本当に凄かったのはあの子らだったんちゃうんかな」

「ふ〜ん、彼らそんなに凄かったたんだ。ちょっとだけ興味が湧いてきたな〜」

「おい、ドランク。無駄話が多いぞ。さっさと本題に入るぞ」

「あれ、スツルム殿は興味無いの?」

「無い」

「わかった。じゃあ本題に入ろう」

ドランクは真剣な表情になり話し始める。

「報酬の方は本当に悪いんだけど、実はほとんど待ち合わせてないんだ。だから、代わりにこんなのはどうかな?」

ギンは怪訝そうな表情をしていたが、ドランクに先を促す。

「僕らは今、とある人に雇われているんだけど、今回の依頼はかなり大変でね。正直に言って人手が足りないだ。そこでギン、君に提案がある」

ドランクはギンに手を差し伸べる。

「僕らと来ない?」

しばらく考え、ギンは尋ねる。

「ちなみに僕には何のメリットがあるの?」

「君が来てくれたら、今の情勢とかの重要な情報を君に提供することができる」

ギンはその提案について考える。結果、自分に対するメリットの方が大きいと判断した。

「わかった。その提案、乗るわ」

その言葉を聞いてドランクは笑顔を見せる。

「ありがとうね〜。実はティアマトの依頼を頼んだのは、君の力を見極める為だったんだ」

改めてと、ドランクは自己紹介をした。

「僕はドランク。見ての通りエルーンで宝珠使い、魔法使いだよ〜」

「スツルムだ。これからは、よろしく頼む」

続いてスツルムも名乗る。

ギンも改めて向き合い、

「僕は、ギン。市丸ギンや。2人ともよろしく頼むわ」

こうして、ギンはドランク達の仲間になったのだった。

 

 

〜翌日〜

 

 

ギンはドランク達に連れられとある所に向かっていた。ドランクが言うには、依頼人との顔合わせをするためらしい。

「ついたよ。ここだ」

連れて来られたのは、帝国の戦艦の貴賓室だった。ドランクは躊躇せずドアをノックする。すると部屋から、

「入れ」

と一言だけ返事があった。

ドランクとスツルムが入った後にギンもついて行く。部屋の中は、思っていたより殺風景だった。小さな窓があるが薄暗く、必要最低限の物だけが備え付けられていた。その部屋の中央に、部屋の主と思われる黒い板金鎧を着た騎士がいた。

(何やこの人の圧力は!!)

ギンは思わず怯む。それほどまでに、この騎士の力は大きかった。

「そいつが新しいおまえらの仲間か」

「そうです。ギン、紹介するよ。この人が僕らの雇い主、エルステ帝国最高顧問にして《七曜の騎士》が1人、黒騎士サマだよ」

「七曜の騎士?」

ギンはドランクに尋ねる。

「えーと、七曜の騎士っていうのは全空に7人だけ存在する騎士達のことを言うんだ。まぁ、説明もほどほどに。ほら、ギン自己紹介」

ギンは黒騎士の力に若干の畏怖を抱きながら名乗る。

「初めまして。市丸ギンいいます。これからよろしゅうお願いします」

それに対し黒騎士は、わずかに反応を返しただけだった。

「ところで黒騎士サマ、この島での仕事は?」

「まずは、行方をくらませた大公を探し出す。その後ルリアに星晶の力を吸収させ、器を拡げる」

ドランクの質問に黒騎士は簡潔に答える。

「おそらく奴は《クシャスラ・ワークス》にいるはずだが、場所が分かっていない。奴らを利用して場所を探り出す」

「と言うことは、彼らが来るまでやることはあまり無いゆうことでええんやね」

「そういうことだ」

黒騎士は話は終わりとばかりに背を向けた。ギン達は部屋を出た。

こうして、ギンの初めての仕事が始まった。

 

 

 

 

 

 

 




これからも応援よろしくお願いします。


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第6話 大公の行方

遅くなってしまって申し訳ありません。狐目です。
第6話です。ギンの影が薄いと思いますが、楽しんでいただければ幸いです。では、どうぞ。


バルツに来て2日目の朝、ポーションの補給に行こうとしていたギンはドランクに呼び止められた。

「ギン、黒騎士サマから君への指示がきたよ」

「で、僕は何をすればええんかな?」

「えーと、『ギン、お前は奴らにはまだ私達の仲間だとはバレていないだろう。それを利用して奴らと行動し大公を見つけだせ』だって」

「了解や」

ギンはドランクに返事をして宿屋を出た。

 

〜〜数分後〜〜

ギンはシェロの店に入った。

そこには、ちょうど彼ら-グラン達一行がいた。

「おやおや〜、ギンさんじゃないですか〜。あなたもバルツに来ていたんですね〜」

「こんにちは、シェロちゃん。あら、ちょうど商談の途中やったかな?」

「いえいえ〜、ちょっとグランさん達の相談に乗っていたところなんですよ〜」

ギンを見てルリアは声を上げる。

「あっ!ポートブリーズで会ったお兄さん!こんにちはー!」

「え?あぁ、君か。確か…ルリアちゃんやったっけ?」

「はい!ってあれ?お兄さんに名前教えましたっけ?」

「いや、ただ君の仲間がそう呼んでたから、そこからね」

ルリアと話しているギンをただ1人注意深く見ている人物がいた。

ジータだった。しばらくの後、何か確信を得たらしくギンに話しかけた。

「あの、ちょっと聞きたいことがあるんですけど…」

「ん?何?」

「ポートブリーズでティアマトと戦った時に助けてくれたのは、あなたですか?」

ギンは内心驚いたが表情には出さず、聞き返す。

「何でそう思うん?」

「まず、私達は遠いところでしたがその人の姿を見ました。あなたと同じように白い和服を着た人を。それに、ティアマトの動きを止めたあの光の柱のマナとあなたから感じられるマナが全く同じなんです。だからあなただと思ったんです」

ギンはジータの観察眼に感心しながら尋ねる。

「確かに、あれは僕が出したもんやけど何か?」

ジータはわずかに間を置きギンに頭を下げた。

「ありがとうございました。あの時あなたが手伝ってくれなかったら、私達はティアマトにやられていたかもしれません」

「僕からもお礼を、ありがとうございました」

ジータに続いてグランも頭を下げた。

「いやいや、頭あげてや。僕は君達にお礼を言ってもらうためにやったわけじゃないんやから」

それよりもとギンは言葉を続ける。

「何や困ってるみたいやけどどうかしたん?」

「それが実は…」

話を聞いてみると、バルツについたグラン達一行はこれからの旅に必要な物資を買っていたらしいのだが、操舵士であるラカムが自分の欲しい騎空挺の部品を買うのにルピを使い果たしてしまったらしいのだ。

「そんな時にシェロカルテ殿が、いい仕事があると教えてくれていた時に君が来た、というわけだ」

「いい仕事ねぇ……」

ギンはしばらく考えた後、シェロに向き直りこう切り出した。

「ねぇシェロちゃん、その仕事、僕も一枚かませて欲しいんやけどええかな?」

「私は構いませんが、グランさん達はどうですか?ギンさんの腕は保証しますよ〜」

グラン達一行はしばらく話し合った後、頷いた。

「それでは〜依頼人を連れてくるので、皆さんは店の奥で待っていてくださいね〜」

シェロはそう言い残しその場を去っていった。

 

〜〜数分後〜〜

 

シェロが依頼人と思われる人物を連れて来た。その依頼人は緑の制服を着た恰幅のいいドラフの男で、なんでもバルツ公国の特務官なのだという。シェロはその男に、凄腕の騎空団だからなんでも依頼していいよ、と紹介したのだった。

 

「行方不明の大公を捜してほしい」

 

それが男の出した依頼の内容だった。

話を聞くとひと月程前からバルツ公国を統べる大公-ザカ大公が行方不明になっているらしく、だから捜しだしてほしいということなのだそうだ。その話を聞いたグランは、特務官に尋ねる。

「大公の行先について何も当てはないんですか?」

「消える前日までの行動は突き止めてある。依頼を受けてくれれば資料を渡そう。それを見れば、足取りは追えるだろう。それで、依頼を受けてもらえるだろうか?」

特務官は厳めしい顔に僅かに不安を覗かせながら言った。

「ザカ大公は、即位されてからも街の人たちに気軽に接していたと聞いています」

「だから、私達は、行方知れずの大公を捜してあげたいです」

グランとジータは特務官にそう返した。

「有難い。では、これが行方知らずになるまでの大公の足取りだ。以後連絡はシェロカルテ殿を通して行う。よろしく頼む」

特務官は資料を渡してすぐに席を立ち部屋を出ていった。

渡された資料を元に、大公の行方を追うこととなった一行にシェロがこう言った。

「街中は物騒みたいなので皆さん気をつけてくださいね〜」

「物騒だと?」

ラカムが思わず振り返る。

「はい〜。なんだか、この島では見慣れない人たちも潜り込んでいるみたいで〜。私も何やら先ほど後をつけられていたような〜」

「いやいや、シェロちゃん?!幾ら何でもそれはだめなんじゃ…」

「そうは言いましても。どうも相手は魔法で姿を隠してたぽいので〜。無理もないかな〜、なんて。ですので、皆さんが特務官の依頼を受けたことも、バレていると思ったほうがいいかと〜」

どうやら大公捜しは最初からトラブルを抱え込んでいるようだ。

(さて、僕も任務開始や)

ギンも動き出すのだった。

 

 

 




いかがだったでしょうか?感想やご意見お待ちしております。
では、次のお話でお会いしましょう。
See you next time


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第7話 魔導士の少女

遅くなってしまいました。申し訳ありません!なかなか執筆する時間が取れず時間がかかってしまいました。これからも、遅れてしまうかもしれませんが何卒ご容赦ください。
では第7話です。どうぞお楽しみください。


大公の行方を追うために情報を集めるギン達。一通り情報を集めた後、情報交換をすることにした。

「判ったのは大公が鋼の職人であり魔法使いでもある、ってことくらいやね」

「こっちも同じ様なことばかりだったよ。これ以上の情報集めは意味が無いかもしれない」

ギンとグランはそう結論付け、次にどうするかを考えているとカタリナが提案した。

「なら、次はアーセナルに行ってみないか?」

「アーセナル?」

ギンは疑問符を浮かべる。

ラカムが説明する。

「アーセナルは《プラント》ー工場のことだ」

「なるほど、ザカ大公は職人でもあるってことはアーセナルにも何かあるかもしれへんね」

かくして一行はアーセナルを目指すこととなった。

 

〜朽者旅道〜

アーセナルに向かう一行は、朽者旅道を歩いていた。街道の名前としてはこれほど悲愴感の漂うものはないだろう。だが、それ以上に、

「暑い……」

そう、とにかく暑いのだ。フレイメル島は砂漠がほとんどを占めるため日中はもう嫌になるくらいに暑い。荒れ果てた風景のなかカタリナは地図を見ながら言った。

「振り返るなよ」

カタリナの真剣な声にグランはいぶかしむ声をあげた。

「どうかしたんですか、カタリナさん?」

カタリナはラカムとギンを見た。

「気づいているか?」

「うん。誰かは知らんけどつけてきてるのがおるみたいや。さてさて、いったい何者やろうね」

ギンは霊圧感知をあげ、辺りを探る。すると一行から少し離れたところに比較的大きな霊圧を感知した。正体を探ると、子供の様だったので放っておいても問題ないと判断した。

「どうやら姿を隠す魔法か何かでつけてるみたいやけど敵意や悪意の様なものは感じない。放置して問題ないやろ」

そうギンは伝えると、彼らは気づかないふりをすることに決めたらしい。しばらく歩いていると、ラカムが一行を止めた。

「おい。ちょっと待った」

「なんだ?」

「なんか聞こえねぇか?」

耳を澄ませると獣のうなり声がきこえる。その咆哮に混じって聞こえるのはー悲鳴だ。

真っ先にグランが駆け出し、その後をギン達が追う。そこで目にしたのは、女の子と大柄な二頭の獣。多頭の魔犬ー《ヘルハウンド》とゴブリンだった。

「その子から離れろぉぉぉ!」

グランが全力で地を蹴り、斬りつける。その攻撃は魔犬を地面に叩きつけたが致命傷にはならなかったようだ。だがグランはそのことに気づいていない。その隙をつき魔犬はグランに襲いかかる。ギンは、グランと魔犬の間に飛び込み魔犬の攻撃を受け止める。

「ほらほら、油断したらあかんで。もっと注意せんと」

「あ、ありがとうございます…」

そこにカタリナが駆けつける。

「グラン。どうやら君の剣では相性が悪いようだ。一度下がるんだ。ギン、君は右の奴を頼む。私は左だ。ゆくぞ!」

宣言と同時に二人は魔犬の前へと飛び込んだ。ギンは動きを加速させすれ違いざまに魔犬を斬った。ほっと息をついていると、

「は〜な〜せぇええ〜!」

という叫び声が聞こえ振り向く。ゴブリンが少女の腕を掴み、剣で脅していたが、

ガァァァァン!

凄まじい轟音と共にラカムの銃が火を吹いた。ゴブリンが少女の腕を離したところを、グランが救出し、カタリナが立ち塞がる。ゴブリンは背中を向けて逃げだした。

「野郎、逃がすか!」

「待てラカム!深追いするな!」

カタリナが止める。

「今はその子を連れてここを離れるのが先だ」

ラカムはちっと吐き捨てたが、おとなしく銃をしまった。少女は持っていた長い杖を握りしめたまま、気を失っていた。

 

街道を戻り見つけた岩陰で一行は休息を取った。カタリナが手当を終え言った。

「どうやらこの子が私達の後をつけていたようだ。それにこの杖は魔法使いが持つものだ」

「確か魔法は年齢は関係なく素質が物をいうんでしたよね」

ジータも頷く。ほどなくして、少女が目を覚ました。彼女はゆっくりと辺りを見回して一行にかこまれていることに気づくと固い表情になった。

「心配しないでほしい。私達は君に危害を加えるつもりはない」

カタリナが笑顔を作りながら言った。ビィが偉そうに胸をそらす。

「むしろ助けてやったんだぜ!」

「なに、このトカゲ。やだ、近寄んないで!」

「オイラはトカゲじゃねえ!」

「まあ、それは置いといて」

ビィの文句をききながしてギンが問いかける。

「キミ、なんで僕らの後をつけたん?」

「……」

少女は何も答えない。

「ダンマリか…。けど子供がこんな危険なところを一人であるくのはよくないで」

「子供じゃないわ」

少女は言い返す。

「君がハーヴィン族なら、信じても良かったんだが。まあ、君は魔法を使えるようだし、優秀な魔法使いなのかもしれないが…」

やれやれとカタリナがため息をつく。

「違うわ」

「ん?」

「魔法使いじゃないわ。あたしは魔導士だから」

「そうか。ともあれ、目が覚めてよかった。どこか調子の悪いところはあるかい?」

カタリナの問いかけに対し、少女は首を横に振る。

少女は立ち上がると頭を下げてお辞儀をした。

「ごめんなさい」

「で、私達の後をつけていた理由は話してくれるのかな?」

カタリナが繰り返すが、少女は頑として話そうとしなかった。

 

町に戻った一行は、少女にそれぞれ自己紹介した。少女も名乗る。

「あたしは、イオ・ユークレース……イオだよ」

少女ーイオは一行にあることを教えた。そのことは、一行を驚愕させるものだった。それは、

『大公は帝国と共同研究していた』

ということだった。そのことを告げ、イオは背中を向け、走り去っていった。

これが一行と小さな魔導士イオ・ユークレースの出会いだった。

 

その日の夜、ギンは一人机に向かっていた。黒騎士やドランクたちへの定期報告を書くためである。

【定期報告】

本日、大公の行方の捜索中に魔導士の少女と接触した。大公と帝国の共同研究を知っていたことから大公の行方を知っている可能性あり。引き続き捜索を行う。

 

ギンは、その報告書を伝書鳩の足にくくりつけ放った。鳩は、あっという間に夜の闇に消えていった。




いかがだったでしょうか?
あとこれは私事ですが、先日誕生日を迎えました。これからも頑張って書いていこうと思います。
それでは次のお話でお会いしましょう。
See you next time


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