完璧超人(?)な提督と艦娘達。 (neo luna)
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第一話 提督の仕事と艦娘の意見

「ふぅ。やっと仕事にキリがついたな。」

 

 今、何時だろうか。そう思い、司令室の壁にかけてある時計を見てみると今は午後6時半らしい。

 

「司令官、お仕事終わったのです?」

 

 そう声をかけてきたのは今日の秘書官、電だ。

 

「あと少しあるが、夕食後にもできるレベルの量だな。」

 

「了解なのです。じゃあ食堂に行きましょう!」

 

「おう。」

 

 食堂に向かう途中、隣を歩いていた電が話しかけてきた。

 

「今日の夕食、なんでしょうね?」

 

「さぁな~カレーとかだといいな。」

 

「私もカレーが良いのです!」

 

 そんなこんなで食堂に着くと、すでに非番だったりもう仕事の終わった艦娘達がお話ししながら楽しそうに夕食をとっていた。

 

「おぉ~みんな夕食を楽しんでるなぁ。さて、今日は……おぉカレーだ!」

 

 その時、喜ぶ俺の声が聞こえたのか食堂中の艦娘達がこっちに挨拶をしてきた。

 

「あ、司令官だわ!電と一緒にこっちに来なさいよ~」

 

 と雷。他にも「提督っぽい!」とか「くま~」とかいろいろ聞こえてくる。

 

 みんな元気でいいことではあるのだが……はっきり言ってこの状況はあまり好きではない。

 

 なぜかというと、俺はただの提督であり、今挨拶をしているのは前線で必死に戦っている艦娘である。

 

 俺は絶対に安全な環境でのうのうと書類仕事ばかりで提督と言われるに値しない、特別な存在になるわけにはいかないのだ。

 

 まぁこれには少し建前が含まれており、本音としてはこんなたくさんの可愛い女の子たちに見られるのに慣れてないだけだ。

 

 とても緊張するなぁ。

 

 全員に挨拶を返したら後にカレーを取り電とともに雷、暁、響たちのいる暁型の机に向かった。

 

 なぜ暁型かというと、単に今日の秘書官が電だからである。

 

 この食堂には提督の机というものが無いためいつもどこかの机にお邪魔しなきゃいけないのだが、勇気のない俺は秘書官と同じ机に座るのだ。

 

 座った後ならいくらでも普通に話せるんだがなぁ……

 そんなことを考えながらカレーを食す。

やっぱりここの食堂のカレーは旨い。今度間宮さんに作り方教えてもらおうかな?

 

「やっぱ仕事の後のご飯はとてもおいしいく感じるし、気分もよくなるな。電たちもそう思うだろう?」

 

 たくさんカレーを頬張りながら電たちに質問する。

 

 すると、電が

 

「どっちかというと、いい気分ではないのです……」

 

 と予想外の返答をしたのだ。

 

 その返答に少し驚きながら、

 

「ど、どうした?なにかあったのか?」

 

 と聞くと、暁、雷。響たちが

 

「「「そんなお決まってるじゃない(か)。」」」

 

 と口をそろえて電の意見を肯定している。 「で、できれば理由を聞きたい。俺が何かしでかしてしまったのならば謝罪するし、改善しよう。」

 

 俺は焦っていた。自分の知らないところで大切な艦娘達が傷つくのは最も避けたいこだ。

 

 すると、電は焦ったように、

 

「べ、別に司令官さんが直接何かしたわけじゃないのです。ただ……」

 

「た、ただ……?」

 

「司令官さんが仕事を頑張りすぎて、秘書官の仕事が全くなくて。ただ座って仕事してる司令官さんを見るのははっきり言って罪悪感しかないのです。」

 

「……え?」

 

 俺は驚いた。確かに俺は秘書官に仕事をさせない。というあまりかさせたくない。

 

 いつも前線で戦っているのだから非番や秘書官の時ぐらいは休ませてあげたいのだ。

 

「い、いや秘書官は提督である俺を守るという大切な仕事があってだな?」

 

「まず鎮守府までくる深海凄艦なんていないし、もし来たとしても司令室に置く劇が行くまでに見張りの人たちが倒してくれるわ。」

 

 と暁。

 

「……いいか。君たちは戦場で戦う大切な艦娘だ。だがそれ以前に俺にとって大切な存在なんだ。休ませたいと思う気もちがあるに決まっているだろう。」

 

「でも、こっちとしては罪悪感とか、精神の疲れが出てくるんだよ。そもそも司令官は書類仕事以外にも艦娘用のでかい風呂の掃除や100人以上の服の洗濯、鎮守府全体の掃除までいろいろしすぎなんだよ。そんなにしてたら体がもたないよ?」

 

「それは大丈夫だ。それぐらいできないようじゃ提督は務まらん。」

 

「そういうものなのかい?」

 

「そういうものだと思っている。」

 

 俺は提督とは艦娘の支援をするための存在であり、それができなきゃ提督とは呼べないと思っている。

 

 なので艦娘が休みの時ぐらい、快適に過ごせるように頑張るのは当然だとも思っていた。

 

 が、この子達はそんなこと思っておらず、自分たちが仕事を手伝わなくて大丈夫なのか、本当に仕事をしなくて大丈夫なのかということを考えているらしい。な、なんて優しい子たちなんだ。

 

「君たちは優しいな。君たちぐらいだよ。こんなことを言ってくれるのは。」

 

「いやいや。皆が言ってないだけでそう思ってると思うわ。だから、もっと私たちを頼ってくれていいのよ?」

 

 と雷

 

「そ、そうなのか?」

 

「当り前じゃない」

 

 そういえばいつも仕事が終わって司令室を出ていくとき、皆心配するような顔をして出ていくような気がする

 

 さっきの言葉を訂正しよう。皆、なんて優しい子たちなんだ。

 

 でも……

 

「その気持ちだけで十分だ。ありがとう。」

 

「え!?そのままじゃ司令官さんがいつか倒れちゃうのです!?」

 

「大丈夫だ。なんせ俺は提督だ。これくらいのことはこなしてみせるさ。まぁ助けが必要になったときには助けてもらおうかな。」

 

「しょうがないわね。もしもの時は私が一人前のレディーとして司令官を助けてあげるわ!」

 

「ははは。頼もしいな。」

 

**

 

 今日の夕食を経て、自分の仕事について艦娘達がどう思っているかという貴重な意見が聞けた。

 

 俺は大事な艦娘に休ませてあげたいという気持ちがあったがそれが逆にストレスの要因になっていたのには驚いた。

 

 でも、俺は自分で全部の仕事をしないと俺は必要な存在なのかと不安になってしまうし……そこは後々考えなきゃな。

 

 あとは、今まであまり艦娘としゃべる機会無かったしこれからはもっとしゃべって意見とか聞いていかないとな。

 

 明日からもっと頑張ろう。自分の大切な艦娘のためだ。きっとできるさ。

 

 そう思いながら残っていた仕事を終わらせた後、自室に行きベッドにもぐった。

 

 

 

 




まだちょっとしか完璧超人感が出ていないし(?)感もないね。
かっこいい感じに話している提督。だけど好物の前では結構しゃべり方が軽くなってる気が……


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第二話 お風呂と提督の危機

 今の時間は午前5時。お昼とは違い静寂と闇に包まれている。そんな中、一つの動く人影があった。

 

「ふぅ…こんなもんかな。」

 

 提督だった。

 

 こんな時間に何をしてるのかというと、お風呂掃除である。

 

 今日の朝、遠くに遠征していた子たちが帰ってくるため、彼女たちを出迎える前にお風呂を洗っておこうと思ったのだ。

 

「やっぱり遠くまで遠征に行ってくれたんだし、きれいなお風呂に入ってほしいよね。」

 

 この鎮守府にはお風呂が2つあり、片方は入ると艦娘達の傷が癒えるという不思議な力を持つドッグ。そしてもう片方がこの露天風呂である。この露天風呂にはドッグのような不思議な力はないが、艦娘達の癒しとして結構大人気だ。

 

「やっぱ、いつみてもでかいなぁ…まぁ、ここには艦娘達がたくさん入ったり、潜水艦の子たち、主にまるゆが泳いでたりするもんなぁ。マナー悪いけど。」

 

 と、洗い終わった風呂場を見ていたらこっちに妖精さんがやってきた。

 

 頭に俺のお手製帽子をかぶっているこの妖精さんは俺が提督になる前から面識のある、妖精さんたちの中でも一番仲のいい妖精さんだ。

 

「ん?どうした?こんな時間に。」

 

「テートク、テートク、カガ!カガ!」

 

「な、なにぃ!?なんでこんな時間に来るんだ!いつもはこんな時間には誰も来ないだろう!」

 

 今の妖精さんの声を訳すなら『提督!加賀さんが更衣室に!』だ。普通、風呂場から出るには更衣室を抜けるしかない。つまり、どうやっても加賀さんと出会うことになってしまう。

 

 もし、裸の加賀さんと出会ってしまったならば俺は殺されてしまい、この世ではないどこかに行ってしまうだろう。

 

「ど、どうすればいいんだ…」

 

「テートク!モウスコシ!モウスコシ!」

 

 妖精さんによるとあと少しで服を脱ぎ終えるらしい。

 

「考えろ、考えろ…」

 

 俺がとっさに思いついた選択肢は2つ。一つ目は『ドアに背を向けて立ち、加賀さんに気付かれたときに土下座しながら謝る。』2つ目は『塀を登って逃げる。』この2つだ。

 

 はっきり言ってどっちも危険性がある。1つ目は許されずに殺される可能性があり、2つ目は登っている最中に見つかる可能性があるのだ。

 

「あぁもう!どうすりゃいいんだ!」

 

 と、その時、ドアの開く音が聞こえた。

 

「ふぅ、点呼前に起きたのは久しぶりだわ。朝練の加減がわからなくなって結構な汗をかいてしまいました…あら?今、人の気配が…」

 

 俺は打の開く音を聞き、とっさに第3の選択肢、『岩の裏に隠れる』を選んだ。

 

 正直この方法が一番危ない。これが見つかればどこからどう見ても覗きにしか見えないからだ。

 

 しかも隠れる前にこの後遠征組を出迎えることを考えて服を脱ぎ塀の外に投げたが、今考えると、俺の服装はパンツ一丁になってしまった。

 

 今見つかれば、覗きどころかただの変態だ。

 

(どう考えたって無理だろ…今のうちに辞世の句でも考えておくか。)

 

 一応できるだけバレない様に動かずじっとしていた。

 

 妖精さんが教えてくれるには、今加賀さんは体を洗っており、今のところはバレている様子は見当たらないそうだ。

 

 そういえば、加賀さんは汗をかいたため体を洗いに来たのだ。このままいけば加賀さんは湯船に入らない可能性も出てくる。

 

 これならワンチャンあるんじゃないのかと思っていたのだが、

 

「体を洗って終わりましたがまだ時間があるようですし、少し湯船に浸かりましょう。」

 

 と加賀さんが湯船に入ってきた。

 

 …絶望的だ。このまま見つからないわけがない。それでもできる限りバレないよう、1%の可能性を信じて、細心の注意を払った。

 

 …が、俺は艦娘の索敵能力をナメていた。1%の可能性もなかったのだ。

 

「やっぱりそこに誰かいるんでしょう?」

 

 加賀さんが俺のいる岩に近づいてきた。

 

 

 

 




前後半に分けてみました。
…もしかしたらもっとgdって中編とかも出るかもしれません


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第三話 お風呂と提督の危機(後)

現在、午前5時半。まだ早朝のお風呂場にて提督に危機が迫っていた。

 

「やっぱりそこに誰かいるんでしょう?」

 

加賀さんが近づいてきた。

 

(ど、どうすれば…このままだと変態のレッテルを貼られた挙句、ここを追い出されてしまう…)

 

とそう思っていると自分の隣にいた妖精さんが出て行った。

 

最初こそは驚いたが、ここにいたのは妖精さんだったということにすればそのまま出て行ってくれるだろうと思い、妖精さんに任せた。

 

「あら?妖精さん、おはようございます。ところで私が言うのもおかしいのだけれど、どうしてこんな時間にお風呂場に?」

 

俺は祈った。お願いだ妖精さん!うまくごまかしてくれ…!

 

「アサノオフロハ,サイコウ!」

 

おぉ、納得できるいい感じの返答だ。このままいけばごまかせるぞ…!

 

「確かにそうね。私もこれからは毎朝起きて朝風呂を楽しみたいわ。」

 

よし!うまくごまかせたぞ。ナイスだ妖精さん!あとは加賀さんが出ていくのを待つのみ。遠征組の子たちが帰ってくるのは6時~6時半の間だし、それまでには何とかなりそうだな。

 

そう思っていると加賀さんが

 

「ところで、岩の後ろのあなたは誰なのかしら?少し肩が見えてるのだけれど。」

 

…え?

 

よく見ると岩から少しだけ肩が出ていた。成程、だから加賀さんは誰かがいると分かったのか。

 

とかそんなこと思っている余裕はない。どうすれば逃れられるんだ、この危機的な状況…

 

すると妖精さんが目で訴えてきた。だいぶ長い間の付き合いなのでアイコンタクトでも多少の会話ができるのだ。

 

『テートク,オンナノコノフリ!』

 

『女の子の真似!?そんな単純なもので引っかかるのか!?』

 

『イイカラ,ハヤク!』

 

あぁ、もう!こうなったらヤケだ!大学時代、知らぬ間にエントリーさせられ、なぜか女装コンテストの優勝者となった俺の実力、見るがいい!

 

「わ、わ、私は別の鎮守府の提督で、今日はここの提督さんとのお話があったので来ました。(裏声)」

 

「あら、そうだったの。私はここの鎮守府の加賀よ。どうぞよろしく。」

 

おぉ?なんかごまかせたぞ…?

 

と、安堵していると加賀さんがこっちに来る気配がした。

 

「うわぁぁ!ストップ、ストップ!」

 

と思わず地声で叫んでしまった。

 

「え?男の人…?」

 

やばい!何とかごまかさねば…

 

「お、おほん…い、いや何でもないです。でも私、人見知りなので…」

 

「それはごめんなさい。気に病んだのなら謝るわ。」

 

「い、いえ…大丈夫です…」

 

ふぅ。何とかごまかせたな。さて、これからどうしようか

 

…そうだ。せっかくだし加賀さんに俺の印象を聞いてみよう。普段は怖くて聞けないけど他の鎮守府の提督が印象を聞くのなら幾分か自然だろう。

 

「あ、あの…ここの鎮守府の提督ってどんな感じの人なんですか?今日はたまたま仕事で来ただけなので知らなくて…」

 

まぁ、自然な流れで聞けたほうだと思う。だがそんなことよりもうちの主戦力、加賀が俺にどんなことを思っているのか。もしかしたらとても嫌われているんじゃないかと不安でいっぱいだった。

 

「提督…?そうね…最初あったときはこんな人が提督で大丈夫なのかしらと思ったりしたわ。」

 

やっぱり頼りないと思われているのか…予想できたことではあったがはっきり言われるとなんか悲しいな…

 

「でも、提督と接しているうちに提督は私たちを艦娘として尊敬していて、娘のように大切に思ってくれていると気づいたの。気付いた時にはもう最初のころの頼りなさなんて感じなくなったし、今では私…いえ、皆が慕っているわ。」

 

「…そうですか。とても素晴らしい提督なのですね。私もここの提督のように艦娘達に信頼されるよな提督になりたいです。」

 

正直、こんな回答が来るなんて思わなかった。

 

もっと『頼りない』『信頼するに値しない』などと言われるとばかり思っていたのでとても嬉しい。俺の頑張りは皆に伝わっていたんだ。もっと頑張らないとな。

 

「あらもうそろそろ点呼の時間ね。では私はこれで。提督は6時~6時半は遠征組の子たちを出迎えるために母港にいると思うからそこに行けばいいと思うわ。あなたも信頼される提督になれるよう、頑張ってね。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

危ない危ない。あまりの嬉しさにボーっとしてた。とっさに出た声だったし、裏声が出ないかと思った…

 

「よし。加賀は出て行ったな。あとは着替え終わるのを待って外に出るだけだ。」

 

と、ここまでは順調(?)だったが塀の外に出した服を取りに行くためにパンツ一丁で必死にステルスしていたのはまた別のお話。

 

 

 

**

 

「フゥ…アブナカッタ…」

 

いったい何を危なかったと言っているのかというと、提督が加賀に見つかるかもしれないという危険性があったことである。だがそれは提督が見つかって加賀が提督を殺してしまうという心配ではなく、提督が見つかって加賀に襲われるという心配であった。

 

ここの艦娘達は皆、提督のことが好きだ。中にはチャンスさえあれば既成事実を作ろうと目論む者もいる。

 

加賀もその一人であり、もし提督と同じお風呂、しかも提督はパンツ一丁という状況で行動に移さないわけがない。それを心配していたのだ。

 

「ハァ…テイトク,ドンカンダカラナァ…」

 

さっきも加賀さんの話の最後、とても小さい声で「いつかは私、提督と関係を持ちたいぐらいです」などと言っていた。提督は褒められたことに浮かれてボーっとしていたため聞こえなかったからよかったが…

 

「ドウシタモノカナァ…」

 

提督への心配は続く。

 

 




妖精さんの声と半角のカタカナにしてみたので、読みやすいようセリフにするのが意外と難しかったです…


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第四話 いたずら卯月と提督(前)

 ここは鎮守府付近の海域。いつもは艦娘達が哨戒しているため穏やかだが今日は少し穏やかな雰囲気ではなかった。

 

「うぅ~まさかあの鎮守府を追い出されるなんて思わなかったぴょん…」

 

 今この海域を進んでいるのは卯月。元は他の鎮守府の艦娘であったが、とある理由でこの鎮守府に移動することになった。

 

「まぁいいぴょん。あの鎮守府には飽きてたし、そろそろほかの鎮守府に移動したいと思ってたぴょん。ふふふ…次の司令官はどれくらいうーちゃんを楽しませてくれるかなぁ~?」

 

 

 

 **

 

 秘書官はいつも仕事がない。というよりも提督仕事をさせてくれないのだ。

 

 しかし、そんな秘書官にも唯一の仕事がある。それは電話受けだ。

 

 艦娘達が提督に仕事をさせてくれとお願いした結果、電話受け係だけをお願いされた。

 

 艦娘達は仕事を渡されたには渡されたがあまりにも最低限過ぎる仕事を渡され、不満の一つでも言おうとしたが、提督は変なところで意地を張るところがあり、これ以上言ったら電話受けさえ提督が引き受けるような気がしたため素直に電話受けをしている。

 

「といってもまぁ、電話のおかれた机の前で待つだけなんだけどね~」

 

「鈴谷?暇なら別に外に行って皆と遊んだっていいんだぞ?」

 

「いや、それはいやかな~だってせっかくの秘書官だよ?秘書官の日はできるだけ指令室に居たいって。」

 

「そういうもんなのか?」

 

「そういうもんなの。それよりなんか話そ?」

 

「あぁ。と言っても最近は平和で何も話すことがないな…」

 

「そそ。平和なのはいいんだけどこう平和な日々が続くと暇だよね~」

 

「まぁ、平和なのはいいことだ。このままこの戦争も終わればいいのにな。」

 

「そうだね~」

 

 と話してると電話が鳴った。

 

「お、やっと電話だ。こちら秘書官の鈴谷です。はい。はい。」

 

 鈴谷がいつもとは違うしっかりとした雰囲気で電話に出ている。いつもは軽い感じなのにしっかりとメリハリはついてるんだな。

 

「提督、今なにか失礼なこと考えてたでしょ?」

 

「…顔に出てたか?」

 

「顔に考えてることが字として浮き出てくるくらいにね~。全く、鈴谷はいつもしっかりしてますよ~だ。」

 

「わ、悪い。」

 

「ま、いいよ。ほら、大本営から。提督に変われってさ。」

 

「大本営から…?なんだろう。いやな予感しかしない…」

 

 最近は大本営からの電話なんてなかった。まぁ大本営が電話してくるのは緊急の時か、何か厄介事を押し付ける時しかないのだから電話が来ないのは大歓迎だったのだが…

 

「今回はどんな要件だろうな…もしもし。ただいま変わりました。」

 

『やぁ、忙しい時にすまないね。』

 

「いえいえ。で、用件とは?」

 

『他の鎮守府の艦娘が問題を起こしてね。処分といて解体でもよかったんだが、それでは大切な戦力がそがれる。なら君に任せようと思ってね。』

 

「なるほど。確かに私は艦娘の解体は賛成できませんし、分かりました。その艦娘引き受けましょう。ところでその艦娘は今どこに?」

 

『あぁ、君なら賛成してくれると思っていたよ。だからもう移動させている。今は君たちの鎮守府付近じゃないかと思っている。』

 

 なんとすでに拒否権はなかったのか…まぁもともと拒否する気はなかったけど。

 

『どうせ着任したら自己紹介すると思うが一応その艦娘についての情報を教えておこう。その艦娘の名は卯月。普通であれば多少のいたずらを除いてしっかりと働く上、その容姿から提督からの人気が高い。』

 

 成程。今こちらに向かってきているのは卯月か。最後の情報はいらないような気がするが…

 

「わかりました。ところでその子は前の鎮守府で何をしたんですか?」

 

『あぁ、それか。先ほども言ったように卯月はいたずらが好きだ。まぁいたずらと言っても子供だまし程度の可愛いものなのだが、いま君のもとに行っている卯月はそれを軽く超え、提督にいたずらを仕掛けている。だからそこの提督がここに泣きついてきたのだ「お願いします!あの悪魔をどこか別のところに!」とな。』

 

 成程。でも艦娘を悪魔と言い、さらにいつも厄介ごとを押し付けてくる大本営に泣きつくほどとは…これは荒れそうだ。

 

 電話を終え、受話器に電話を戻すと、鈴谷が心配そうな顔をして聞いてきた。

 

「て、提督…?もしかして今のって…」

 

「あぁ、そうだ。新しい艦娘が来る。ただ、他で問題を起こした曰く付きの子だがな。」

 

「大丈夫なの?それー」

 

「あぁ。問題ないさ。曰く付きでも大切な艦娘には変わりない。しっかりと接してこうと思ってるよ。」

 

「提督カッコいいー!…でも気を付けてよ?提督が傷つくのは見たくないしー」

 

「心配してくれてありがとうな。大切な娘から心配してくれるのはとても嬉しい。」

 

「へっへ~ん。ちょっとは軽い鈴谷のこと見直した?」

 

「ま、まださっきのことを根に持ってるのか!?」

 

「ふひひひっ♪ジョーダンだって~」

 

 ほんの少し暗い雰囲気だった司令室が明るくなった時、司令室のドアをノックする音が聞こえた。

 

「いいぞ。」

 

「失礼します。大淀です。新しい艦娘を連れてきました。」

 

「よし。通せ。」

 

 そして大淀の後ろから小さい子が出てきた。卯月だ。

 

「しれいかん、こんにちわ!睦月型駆逐艦四番艦卯月だぴょん!」

 

「おぉ、元気がいいな!こちらこそこれからよろしくな。」

 

 こんな子が度を越えたいたずらをするなんて思えないな…と思いながら卯月に軽い日程表を渡そうと近づいたとき、

 

「うわっ!?」

 

「うお!?提督!?」

 

 俺は盛大にこけた。よく見ると床には大量のビー玉が転がっていた。

 

「ぷっぷくぷ~!引っかかった、引っかかったー」

 

「う、卯月…?」

 

「どうせ大本営から連絡いってるだろうし、どうせ警戒して引っかからないと思ってたぴょん。けど、なーんだ。しれーかん、意外とおばかさんなんだね~」

 

 急に卯月は人が変わったかのように話しかけてきた。すると鈴谷が

 

「なんだかよく分からないけど提督はバカじゃないし!まず、なんで急にこんなことするのか、意味不明なんですけどー」

 

 と怒ってくれた。その気持ちは嬉しいが艦娘同士のケンカはあまり見たくない。

 

「痛てて…俺は大してケガもしてなし大丈夫だ。ありがとうな鈴谷。」

 

「ちょっと、本当に大丈夫なの?」

 

「あぁ、問題ない。それと、ほら卯月、軽い日程表と、ここの地図だ。君の部屋はそこに書いているから日程の詳しいことは同じ部屋の子にでも聞いてくれ。」

 

「…しれいかん、あまり怒らないぴょん?」

 

「あぁ。君もここに来たからには俺の大事な娘だ。これくらいで怒ってどうする。」

 

「ふ~ん…まぁいいぴょん。これから楽しませてもらうぴょ~ん♪」

 

 と卯月は司令室を飛び出て自分の部屋へと向かった。

 

 卯月が見えなくなった時、大淀が不安そうな顔で聞いてきた。

 

「提督、あまり言いたくないのですがあの子を他の子と同じ部屋に入れてよかったのでしょうか?」

 

「それなら問題はない。大本営からの話を聞くに、あの子のいたずらは全て俺、つまり提督にだけにするらしい。」

 

「成程。まぁそれもそれで良くは無いんですけどね…」

 

「まぁな。でもまぁ、どうにかやっていくさ。」

 

 

 

 **

 

「ふぅ~ん…しれいかん、まだまだ余裕そうだぴょん。これは楽しめそうだぴょん♪」

 

 とこっそり仕掛けた盗聴器の音を聞きながら卯月は次のいたずらを考えていた。




またまた前後編です。(もしかしたら中編もあるかも?)
いつもグダってしまいすみません…


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第5話 いたずら提督と卯月(中)

いやぁ~年末とか年始って忙しいですよね(白目)
全然文が進まずに気付けば年は明け、前後編が前中後編になってしまうということに…


 卯月が来た翌日の朝。提督は洗濯のため、いつも通り朝の3時半起きる。

 

「ふわぁぁ…卯月が来てすぐとはいえ、なんか警戒してしまってあまり寝られなかった…いや、卯月を信じてないってわけじゃないぞ?うんうん。ちょっと身構えただけというか…って、誰に向かって言い訳してるんだ俺は...」

 

 とは言え、いかに俺が艦娘たちを自分の娘のように思っているとはいえ、まだ来たばかりの卯月をすぐに信じ切るというのは難しかった。そのためか、一応どんないたずらを受けても大丈夫なように布団の横にはいろいろ置いてある。

 

「さてと…歯でも磨くか…っ!?か、辛っ!いつの間に練り歯磨きがハバネロエキスに!?っていうかこういうのは普通わさびだろ!ってそうじゃ無い!どうすれば…そういや辛いものには苦みが効くって言うな…コーヒーだっ!」

 

 と、起きてすぐ作ったホットコーヒーを思いっきり飲んだ。

 

「あっつ…!ふぅ、なんとか収まってきたな。」

 

 って言うか、朝早くにハバネロエキスとかキツ過ぎる…

 

「これ、卯月がやったのか?いやいや、決めつけはよくないな。証拠もないし。よし、切り替えて洗濯しに行こう。」

 

 

 

 **

 

 睦月型の部屋にいる艦娘達は静かに寝ていた。

 

 …一人を除いては。

 

「ぷっぷくぷぅ~↓↓意外と本気でいったのになぁ~。これでもそんなに動じないとか凄いぴょん…でもでも?それだけ楽しめるってことだしぃ?これからも楽しませてもらうぴょん♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝四時。前の夜に洗濯機に入れておいた艦娘達の服を取り出し、畳みだす。艦娘達の服といっても制服のみ、しかも1日交替で半分ずつ洗濯しているため、そこまで負担ではない。

 

「私服も洗おうとしたけど、皆に邪魔されたからな~。たしかにプライバシーに関わることだし、自分で洗うのもこの戦いが終わった後のためにもこういうのは重要だしな。」

 

 こうして残り半分を過ぎたころ、あることに気が付いた。

 

「?やけに妖精さんが騒がしいな」

 

 この棟は洗濯機や簡易的な調理場、大きい多目的室があって、いま俺は多目的室で洗濯物を畳んでいた。その向かいの部屋…たしか妖精さんたちのお菓子などが置いてある休憩所だったかな?こんな朝早くに何をしているんだろう…

 

 妖精さんたちのプライベートを覗くという罪悪感よりも、好奇心が勝ってしまった。休憩室のドアに耳をつけて盗み聞きすることにした。

 

「今日は重大な問題が発生したため、皆に集まってもらった!」

 

 あ、そういえば久しぶりに妖精さんの流暢な日本語を聞いた気がする。やっぱり元から鎮守府にいる妖精さんたちは日本語がうまいな…久しぶりすぎて妖精さんじゃないのかもとか思った…

 

「工廠長、声が大きいです。それでは秘密の会議にならないじゃないですか」

 

 

 

「秘密の会議…?それにしても声が小さくなってしまったから聞き取りづらいな…少しだけ近づいてみるか」

 

 そう思い、近づこうとしたとき

 

『ビーッ!ビーッ!ビーッ!』

 

「うわっ!?な、なんだ!?」

 

 急に警報が鳴った。きっとドアの付近に警報装置があったんだろう。それに驚いた拍子に大声を出すと、休憩室から工廠長が出てきた。

 

 

 

「警報が鳴ったから誰が来たのかと思ったら提督じゃねぇか。まったく、脅かせんなよな」

 

「す、すまん…ところで何を話していたんだ?警報装置なんてものまでつけて、何かあったんなら教えてくれ」

 

「...なんでもねぇよ。提督には関係のないことし、そこまで大きな問題でもねぇ。心配すんな」

 

「そうか。工廠長である君が言うんだ。信じよう。でも、何かあったら教えてくれ。鎮守府内の問題ごとは解決したいしな」

 

 

 

「おう。気持ちだけでもありがたく受け取っとくぜ」

 

 まぁ、妖精さん同士の問題なら妖精さん同士で解決するのが一番だし、そこまで首を突っ込むことじゃなかったな。

 

 そう思い、まだ残っていた洗濯物を片付けようと多目的室に行こうとすると、工廠長に呼び止められた。

 

 

 

「あ、そうだ。ちょっと待ってくれ。そういやなんか危なっかしい艦娘がここに来たらしいじゃねえか。たしか…卯月だったか?」

 

「あぁ、そうだな。他の鎮守府で問題を起こしたらしい。でも誰から聞いたんだ?このことは俺とその時秘書官だった鈴谷、卯月を連れてきた大淀しか知らないはずだが...」

 

 

 

「お前、忘れたのか!?まぁ、他の艦娘に気付かれない様に隠れてるからいつの間にか忘れてしまうのもしょうがないのか…?」

 

 俺が頭に?マークを出しながら首をかしげていると、工廠長はやれやれと俺の小さいころからの妖精さんを呼んだ。

 

 

 

「おーい、起きてんだろ?出てこいよ」

 

「?どこにもあいつの姿が見えないんだが…」

 

「全く、寝てやがるのか。おらー!起きやがれ!」

 

 

 

 と、俺の髪の中に入っていった

 

「!?な、なにしてるんだ~!?」

 

 すると俺の髪の中からあいつの声がした。

 

「ウ、ウワー!オキマシタ、オキマシタ!」

 

「!?!?な、なんで俺の髪の中から声が…!?」

 

 

 

 すると、工廠長があいつを引っ張って出てきた。

 

「ったく、提督妖精がな~に呑気に寝てんだよ!仕事を全うしやがれ!」

 

「ス、スミマセン…」

 

「お前…妖精さんたちから提督妖精って呼ばれてるのかよ…って言うかお前いつも俺の髪の中にいたのか?」

 

「ハ、ハイ!テイトクヲ、マモルノガシゴト!」

 

「ま、そういうことだ。こいつ、頑張りはするんだが工廠仕事には向いてないしな。提督と話す機会があまりない俺たち妖精が提督の役に立つため、情報収集にこいつを使ってるのさ。って言うかこの提案をお前は結構前に了承してたのにもう忘れたのか…」

 

「完全に忘れてた…す、すまん…」

 

「ま、良いってことよ。まぁ、つまりこいつが卯月のことを俺たちに報告したってわけなのさ」

 

「な、なるほど…」

 

「ってことでこれを渡しとく。トランシーバーだ。まぁお前なら大体一人で解決できると思うが、それでも対処できない状況になったらこいつで呼んでくれ。いつでも力を貸してやる」

 

「ありがとう。恩に着る」

 

「良いってことよ。それじゃあな」

 

 

 

 妖精さんの力も借りれるのは大きいことだ。あの子たちは現代の技術を超越している。これならなんとか卯月を改心させるまでの間、余裕で何とかなるかもな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 **

 

「…提督はもう行かれましたか?」

 

「あぁ、それじゃあ話し合いの続きをしようか。」

 

「そうですね。それにしても誰がこんなことを…」

 

「まぁ昨日の今日だし、考えずらいが卯月って子だろうな。でもまさかここまでするとはな。

 

「まったくです。まさか、工廠に置いてある大切な鎮守府の地図が消えるとは…」

 

「あれには本当に鎮守府のすべてが描いてある。構造はもちろん、緊急用の通路や、今は使われていない地下とかもな。…頑張れよ、提督。俺たちもお前を支援してやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 洗濯物を畳み終えると、そろそろ朝のの点呼が終わり、食堂で朝食を取っているであろう時間になった。

 

「ふぅ、じゃあ俺もそろそろ朝ごはん、食いに行くか」

 

 そして食堂に向かおうとしたとき、廊下から声がした。

 

「お~い!しれいかん~!」

 

「お、おう。卯月か。どうした?」

 

 急な登場だ。しかもこの棟は艦娘達から食堂に行こうとすると真逆の方向にある。それなのに何故ここに?って言うか、なぜここにいることを知ってるんだ?そんな疑問を飲み込んで彼女に聞いた。

 

 

 

「いやいや~ただうーちゃんはしれーかんと一緒に朝ごはんが食べたいなぁ~って思ったんだぴょん!」

 

「お、そうか。それなら一緒に行くか?」

 

「おー!れっつご~!」

 

 でもこうやって一緒に歩いてると見える彼女の天真爛漫な笑顔に昨日のいたずらをしているときの面影は一つも見られなかった。と言うか癒される。娘が本当にいたらこんな感じなのかもな~

 

 

 

 と、そうやって和んでいると急に卯月が渡り廊下から外に出た。

 

「しれいかんって~いっつも仕事してるけど~体力ってどれくらいあるぴょ~ん?うーちゃんは今艤装つけてないから普通の子よりも少し速いくらいだけど~、果たしてしれいかんはうーちゃんに勝てるのかな~?競争だぴょん♪」

 

「おぉ、競争かぁ~言っておくが、足は速いほうだぞ?」

 

「ぷっぷくぷぅ~!そうこなくっちゃ!じゃあじゃあ、ゴールは食堂ね!よーいドンだぴょん♪」

 

 そう言った途端、卯月はものすごいスピードで駆け抜けていった。

 

「は、早すぎだろ…艦娘って艤装つけてないときは普通の女の子位の体力じゃなかったっけ…?まぁ、いいか。あれぐらいなら何とか追いつけるかな。」

 

 そして提督も全力で卯月を追いかけて行った。

 

「ぷっぷくぷぅ~!追いかけてきた、追いかけてきた~!よしよし、それじゃあ途中に作った落とし穴にはまるように誘導開始~♪」

 

 

 

 渡り廊下を無視して走ったため、遠回りにはなったがやはりもといた棟から食堂は近かったので走り出してから2分足らずで食堂が見えてきた。卯月の背中は見えているし、徐々に差を詰めてきてはいるがこのままいけば必ず、側道に着く時までには抜かせない状況だった。

 

「おぉ、やばいな。このペースでいくと卯月を追い越す前に食堂に着いてしまう…もう少しペース上げるか。って言うか本当に卯月速いな~島風とも良い競争できるんじゃないか?」

 

「提督、おっそ~い!なんちゃってwぷっぷくぷぅ~♪」

 

「うおぉぉぉ!!負けられるかぁ!」

 

「って、しれいかんが予想以上に速いぴょん!?こうなったら落とし穴の前で急カーブして落とさなきゃ…!」

 

 

 

 そうして食堂が寸前に見え、そろそろ土の道からコンクリートの道に変わろうとしたその時、

 

「ここだぴょん!うーちゃん、急かーーぶ!!」

 

「なっ!?」

 

 急に卯月が急カーブした。しかし、全速力で走っていた司令官は曲がることができなかった

 

「な、なにしてるんだ卯月!?そっちは食堂じゃないだろ!?」

 

「しれいかーん、前、前~」

 

「な、なんだ…?ってうわっ!!??」

 

 提督が落とし穴に落ちた。

 

 

 

「ぷっぷくぷぅ~大成功、大成功~♪まさか競争なんかであんなに本気になるとは思わなかったけど、まぁ落とせたし、結果オーライ!しれいかん~、落とし穴どんな感じ?はははっ」

 

 と、卯月が笑っていると、落とし穴から手が出てきた。

 

「な、なんだぴょん!?」

 

「おりゃぁぁぁ!」

 

 提督だった。落とし穴から出てきたのだ。

 

「あ、ありえないぴょん…あの落とし穴、広さはないけど深さなら軽く提督の身長の1.5倍はあるのに…」

 

 そうして卯月が硬直している間に、提督は落とし穴から這い出てそのまま走り、食堂にたどり着いた。

 

「ふぅ、どうだ!卯月、競争に勝ったぞ~!」

 

「あ、あははは…それは何よりだぴょん…」

 

 

 

 そうして卯月は次に起こることを考えた。

 

『あ~ぁ、きっと怒られてそのまま罰受けるんだろうなぁ~これくらいだったら前のしれいかんは鎮守府五週くらいだった気がするぴょん。』

 

 そして提督が近づいて、こう言った。

 

「いや~まさか卯月があんなに早いとは思わなかった!久しぶりに走ったって気がするよ。でもすまんな?服が泥だらけになってしまって…これじゃあ一緒に朝食が耐えられなくなってしまった。それに、さっきの穴のこともあるしな。まさかあんなところに落とし穴があったなんて…」

 

 卯月はまたもや硬直した。予想外の言葉をかけられたからだ。

 

「...?どうした卯月?」

 

「い、いや…どうしてうーちゃんを責めたりしないのかな~って…」

 

「?だって卯月はあの穴の前で急カーブして、俺に「前、前」って言ってくれた。あれは忠告してくれたんだろ?そんなことする子が落とし穴なんて掘るわけないじゃないか。」

 

「は、はぁ…」

 

「じゃあ、朝食の分はまた埋め合わせするから今日は友達と昼食を楽しむと良い。それじゃあな。」

 

「はい…だぴょん…」

 

 

 

 こうして、卯月は一人、食堂前に取り残された。

 

「何てことだぴょん…昨日の今日で疑われないわけがないのに。どうしてだぴょん…?」

 

 まさかの展開である。昨日は会ってすぐにいたずらして、さっき、自分の目の前で落とし穴に落ちたって言うのに、疑わない。それに驚きと戸惑いを隠せなかった。

 

 しかし、それは途端に嬉しさにも変わっていった。

 

「初めての人だぴょん。あんな馬鹿みたいに信用するなんて。これはもっともっといたずらしなきゃねぇ~。これもあるわけだしさ!ぷっぷくぷぅ~~♪」

 

 そしてポケットの地図を確かめた卯月は満面の笑みで食堂の扉を開いた。




提「...!?ここはどこだ!?……なに?あとがき?なんか喋れ?」

作(はい。そうです。まぁ取り敢えず投稿が遅れたことについて何か謝罪を…)

提「はぁ?それは俺じゃなくてお前がするべきことだろうが!なんで俺なんだよ。と言
うか早く返してくれ。まだ洗濯物を畳み終えてないんだよ。」

作(言い返す言葉もないです。読んでくださった皆さん、投稿が遅くてスミマセン…)

提「なんだ謝れるじゃないか。ま、謝るほど沢山の人に読まれてるわけじゃないし、謝るも何もないと思うけどな」

作(ひ、ひどい!?そこには触れずに終わりたかったのに!)

提「まぁそんな訳で、これを読んでくださっている皆さん、ありがとうございます。次もお楽しみに!」

作(なんか勝手に締められたですけど!?)

…とある小説を読んであとがきにキャラを出そうとか思ってしまいました…やっぱりこれやめよう。


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