問題児たちと転生ライダーが異世界から来るそうですよ? (shimito18)
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第1話 転生

目が覚めると、俺は真っ白な空間に居た。どこが上下左右、前後なのか分からない状態だ。だが、目の前には長机に紙で作られたと思える二種類の箱。そしてその奥には立派な椅子に座っている可憐な少女が居た。

「やあやあ少年、残念ながら君は死んでしまったよ。だけどおめでとう!少年、君はこれから新たな人生が遅れる権利を獲得しました!パチパチ」

少女は拍手をしながら音を口で言いながら、椅子から立ち上がり俺の方まで寄ってきた。すると、机の上に置いてあった片方の箱を持つと俺へ差し出すように持ってきた。よく見ると箱には腕が一本入るような穴が開いていた。

 

「何これ?というかあんた誰?ここどこ?」

「ああ、そうだったね。まず私はこの死後の世界の神様。女神様よ、この世界は……って

 

さっき言ったよね。そしてこの箱、この箱の前に一つ貴方は何と通算二兆人目の死者としてこの世界に来ました。その記念に貴方はもう一度人生のやり直し、つまり輪廻転生を許可されました♪」

何故この女はこんなに機嫌がいいのだろうか…人が死んでいるというのに不謹慎極まれりと言うしかないが、結局その二つの箱は一体…

 

「まあまあ、そう焦らないで。この私が持っている方の箱には、何と屑みたいな能力から

世界を作るほどの超強力な能力まで多彩に入っているの。そしてこっちの箱にはあなたの転生先が多彩に入っているの。さあ、まずは貴方の能力から決めて」

 

自称女神に言われるがままなのは、少し癪だがこのままでも埒が明かないので言われた通りに箱に手を入れ、何か紙のような物を掴み手を出した。紙は三角形に折り畳まれており、紙を広げてみると何も書いておらず女神に紙を渡してみた。すると、女神はそっと紙に手を添えると文字が浮かび上がってきた。

 

「全平成仮面ライダー能力(更に更新可能)?」

 

仮面ライダー、俺も男だから昔よく見ていたな。今も見ているが…だが、男であれば知らない奴はいないだろうな。男で見たこと無い奴はレアだろうし、名前も知らない奴はもっとレアだろうな。

 

「なるほどなるほど、それじゃあ次はこっちの転生先の世界を」

 

俺は引いてみると先ほどと同じように女神に紙を渡してみた。するとそこに書いてあったのは…

 

「問題児たちが異世界からくるそうですよ?」

「あ~この世界ね。はいはい、それじゃあ転生の準備を整えるわね。後、それから転生する前に言っておくけど貴方の記憶は、ちゃんと受け継がれるからそこは安心してよね」

 

女神はそう言うと消え、少ししたらまた現れた。現れたかと思えば今度は何かぶつぶつと、つぶやき始めた。すると、俺の足もとが光の俺の頭上には光る18種の平成仮面ライダーのマークが俺の中に入っていき俺はゆっくりと宙に浮かび始めた。

 

「それじゃあ来世を楽しんでね~ああ、そうだ言い忘れてたけど、筋力補正何かもちゃんと付けといたから」

 

女神は笑顔で手を振りながら俺を見送ったのだった。というか何この早すぎる展開は……

 

 

 

 

 

 

俺は目を開けるととても大きな人間の女と男が居た。俺はゆっくりと自分の手を上に挙げると、その手はとても小さく声は思ったように出せなかった。俺は理解した、これが輪廻転生なんだと。

それから4か月後俺は、

 

「おかあさ~ん」

 

筋力補正のおかげか流暢に喋れる様になっていた。俺自身も驚いたが、それより驚いたのが母親だった。いきなり祖母に電話をかけ父親にも電話をかけ、仕舞には病院にまで連れていかれた。

検査結果、異常なし。当たり前だ、まったく面倒臭いことをしなきゃいけないんだよ。

更に何処から嗅ぎ付けたのか、記者やらなにやらめんどくせぇ~

1歳になるころにはもう自由に歩くことも走る事も出来た。さらに記者も増えというか、付きまとう記者が増えた。

俺が3歳になり父親の書斎に入ると、一冊の分厚い本を手に取った。その本には何も書いていなかっただが、いきなり頭にいいや魂に大量の本棚が現れた。適当にその本棚から一冊手に取ると、手に持っていた本には大量の文字が浮かび上がっており読めるようになっていた。俺はその本やこの本棚の風景が何なのかが理解できた。これは、仮面ライダーWの登場キャラクター「フィリップ」が使っていた力「星の本棚」だと。俺は父親が仕事から帰ってくるとその本が欲しいと頼んでみた。父親は二つ返事でOKを出した。予想通りだ、どうせ俺以外には真っ白な文字のない本でしかないんだからな、どうせ落書き帳にするんだろうとか思っているんだろうな。

幼稚園に入園するが、特に俺は友人も作ることはなくハッキリ言って園児っていろいろ面倒だな~一人でいる方が気楽なのに担任は変に気を遣ってくるし、男はやたら構ってくるし女は殆どがませてるし早く卒園して~

小学校に入学してもそう変わらない。男は変に絡んでくるし、女は今だにませてるし勉強は前世の記憶引き継いでいるからかなり簡単だな。

中学になると、男連中からのいじめ女連中からは告白され面倒この上ない。

高校に上がるころにはようやく星の本棚が3分の1は多分読み終えた。もちろん、今まで鍛えていた。お陰で完全に筋力等々が人外の域に達していた。一応全ライダーに変身してみたが、今は変身して何かしない方が良いな。うん、世界を軽く壊しちゃうなきっと。そして高校生活が1年を過ぎようという時、だった木陰でいつも通り本を読んでいると、本のページの間にあの手紙が挟まっていた。封筒をを開け文面にはこう書かれていた。

 

 

 

 

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 

 

その才能を試すことを望むならば、

 

 

己の家族を、友人を、財産を、世界の全てを捨て、

 

 

我らの“箱庭”に来られたし』

 

 

 

 

 

 



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第2話 問題児たちと転生ライダーが箱庭にやって来たようですよ?

文面を読み気がつくと俺を合わせて男が2人女が2人猫が一匹が宙に放り出されていた。下を見れば湖だったが水に濡れるのは嫌だ。だから俺は仮面ライダーウィザードの力を使うことにした。

 

『ドライバーオン!』

 

キュイン、キュウン!

 

「変身!」

 

シャバドゥビタッチヘンシン!シャバドゥビタッチヘンシン!

 

『ハリケーン!プリーズ フー!フー、フーフーフー!』

 

俺は仮面ライダーウィザードに変身して俺の周りを緑の竜巻が覆わせ、後の3人と1匹と一緒に水ではない地上に降りた。

地上に降り立つと、何だかお嬢様っぽいロング髪の少女。俺は原作の記憶もある為こいつは久遠 飛鳥(クドウ アスカ)だ。飛鳥は乱れた髪を直し、ショートの髪で隣で目を回している猫を介護してる少女。春日部 耀(カスカベ ヨウ)だ。そしてこちらも、服の埃なんかを取っているヘットフォンを首から下げている金髪少年。逆廻 十六夜(サカマキ イザヨイ)が居た。前世の俺なら確実に変なテンションだっただろうが、今の俺はそういうリアクション的なものは非常に面倒臭く全くそういうテンションになれない。

 

「ふう、ありがとう。貴方のお蔭で水に落ちなくてすんだわ」

「まったくだ、あんまり人に感謝しねえ俺様だがありがとよ。で、お前等誰だ?一応確認しとくぞ。もしかしてお前等にも変な手紙が?」

「そうだけど、まずは〝オマエ〝って呼び方を訂正して私は久遠飛鳥よ。以後、気を付けて。それで、そこの猫を抱きかかえている貴女は?」

「…………春日部耀、以下同文」

「よろしく春日部さん。それで、さっき私たちを助けてくれた貴方は?」

六道九十九(リクドウツクモ)。趣味は読書と昼寝。好きなことは面白い事、嫌いなことは面倒なこと以上」

「そう、よろしくね九十九君。……最後に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

「高圧的な自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子そろった駄目人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

まさか、原作まんまに自己紹介するとは思わなかった。

 

「そう。取扱説明書をくれたら考えてあげるわ、十六夜くん」

「ハハ、マジかよ。今度作っとくから覚悟しとけよ、お嬢様」

 

心から楽しんで笑う十六夜。

思いっきり十六夜を睨む飛鳥。

我関せずと無関心を装う耀。

そして、同じく無関心を装う俺。

 

そして、この近くで俺たちの様子を窺っている一匹の黒ウサギ……

 

 

「で、呼び出されたは良いけど、なんで誰もいねえんだよ」

「そうね」

「仕方ねえ、取り敢えずそこに居る奴にでも聞くか」

 

それを聞いた飛鳥は少し意外そうな顔をしていた。

 

「あら、貴方も気づいていたの?」

「当然、かくれんぼじゃ負けなしだぜ。そっちのお前たちも気づいてんだろ?」

 

十六夜は後ろにいた俺と耀を顎で指しながら訪ねてきた。

 

「風上に立たれたら嫌でも分かる」

「へー、面白いなお前。そっちのお前は?」

「これから起こることに関してはすでに検索済みだ」

「ハハ、もっとおもしれえなお前」

 

実は先ほどまで少し自信ありげだった黒ウサギは、俺たちの態度でテンションがやや下がり俺たちの今の問答で出る機会を失ったのであった。

 

「ほら、分かってんだろ。さっさと出て来いよ」

「や、やだなそんな怖い顔で見られると」

「よ~し、出てこねえんじゃ仕方だねえ」

 

いいえ、出てきている。きちんと顔を出しているが面倒なので後、指摘しても意味がないから俺はあえて突っ込みを放棄する。

十六夜は飛び上ると黒ウサギが居た木の下に両足で蹴りを入れた。というか、着地したら地面が砕けた。

 

「ぷぎゃああああああああああああああああ‼‼」

「ん」

「なにあれ?」

「コスプレ?」

「いいや、俺たちを招待したホスト」

「そうですが、黒ウサギはコスプレなどでは……」

 

黒ウサギは自分の身の上を明かそうとするが、それを問答無用で再び飛び上りライダーキック並みの蹴りを入れる十六夜。それを、木の枝に飛び上り避ける黒ウサギ。黒ウサギを猫のように枝へ枝へと追い掛ける耀。そして、俺も面白そうなので混ざることにした。

 

「久遠、あいつを追い詰めることできるか?」

 

俺はオーズドライバーを手に取り飛鳥に言った。飛鳥は俺の手に持っているドライバーを見て、不思議そうな顔をするが「別に良いわよ」言った。

 

「鳥たちよ、彼女の動きを封じなさい」

 

多くの鳥たちは飛鳥の言った通り黒ウサギの動きを封じた。そして俺はオーズドライバーを腰につけ緑のメダルを取り出した。そして、そのメダルを三枚セットしオースキャナーでスキャンした。

 

キン! キン! キン!

 

プッギュュュン

 

クワガタ!

カマキリ!!

バッタ!!!

 

ガータガタガタキリッバ! ガタキリバ!

 

「分身生成!」

 

俺は50近い俺と同等の俺の分身。ブレンチシェイドを作り鳥に阻まれ、地上に落ちた黒ウサギを50人の俺のカマキリソードを黒ウサギに向けた。お陰で黒ウサギは両手を挙げ涙目で降参した。

俺は変身を解き木陰で本棚の本を読むことにした。十六夜たちも俺のことが気になった様だが、それよりも黒ウサギの事が気になるらしい。

 

「なんだ、こいつ」

「兎人間?」

「いやいや、私よりも彼の方が気になりませんか?」

「えい!」

 

いきなり黒ウサギの耳を根っこから鷲掴み、力いっぱい引っ張る耀。

 

「ふぎゃ! ちょ、ちょっとお待ちを! 触るまでなら黙って受け入れますが、初対面で遠慮なく黒ウサギの素敵耳を引き抜きにかかるとはどういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「自由にも程があります!」

「へぇ? このうさ耳って本物なのか?」

 

耀とは反対の耳を掴んで引っ張る十六夜。

 

「……じゃあ私も」

 

好奇心に勝たず、耀と同じ方の耳を引っ張る。

 

「ちょ、ちょっと―――!」

 

 

 

 

「―――あ、あり得ない。あり得ないのでございますよ。まさか話しを聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

「いいからさっさと話せ」

 

半ば本気の涙を瞳に浮かべせる黒ウサギ。

四人は黒ウサギの前の岸辺に座り込み、彼女の話しを『聞くだけ聞こう』という程度には耳を傾けていた。

黒ウサギは気を取り直して咳払いをし、両手を広げ、

 

「それではいいですか、皆さま方。それでは言いますよ? ようこそ、〝箱庭の世界〝へ! 我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚しました!」

「ギフトゲーム?」

「YES! 既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆さまは皆、普通の人間ではございません。その特異な力は修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵(ギフト)なのでございます。『ギフトゲーム』はその〝恩恵〝を用いて競いあう為のゲーム。そしてこの箱庭の世界はそのためのステージとして創られたものなのですよ」

「自分の力を賭けなければならないの?」

「そうとは限りません。ゲームのチップは様々、ギフト、金品、土地、利権、名誉、人間。賭けるチップが高いほど得られる商品の価値も高いのです。ですが、商品を得るためにはホストの提示する条件をクリアし勝利しなければなりません」

「ホストって何?」

「ギフトゲームを主宰し、管理する人のことですね」

「誰でもなれるの?」

「商品を用意することが出来れば。それこそ、修羅神仏から商店街のご主人まで、ゲームの難易度も恐喝難解かつ命懸けの物から、福引的物まで多種多様に揃っているのですよ。ですが、話を聞いただけでは分からないことも多いでしょう。なので、ここで簡単なゲームをすることにしませんか?」

「なに?」

「この世界にはコミュニティというものが存在します。コミュニティ、共同体、社会集団。この世界に存在する者は必ずどこかのコミュニティに所属さなければなりません。いえ、所属しなければ生きていくことすら困難と言っても過言ではありません!」

 

パチン!と黒ウサギが指を鳴らすと、どこからともなく長方形のテーブルが現れた。

 

「皆さんは黒ウサギの所属するコミュニティに入れて差し上げても構わないのですが、ギフトゲーム勝てないようでは困るのです。ええ、まったく困るのです。むしろお荷物、邪魔者。足手纏いなのです」

「俺たちを試そうってことのようだな」

「ちょっと私たちはまだ一言も!…」

「自信がないようでしたら、断っていただいても構わないのですよ」

 

黒ウサギは妖艶ともいえる様な笑みを浮かべた。だが、検索してみると、内心かなり自身の発言で焦っているようだ。アホの子なんだなこいつは。

 

「ずいぶんと楽しい挑発してくれるじゃねえか」

「お気に目したようで何よりです」

「ゲームのルールは」

「このトランプを使います。こちらにある52枚のカードの中から絵札を選んでください。ただしチャンスは一回、1人につき一枚まで」

 

黒ウサギは勢い良く人差し指で1を出すと、いい具合にあの大きな胸が揺れた。まあ、逆廻の性格上見逃してはいないだろうな。

 

「方法はどんな事をしてもいいの?」

「ルールに抵触しなければ。ちなみに黒ウサギは“審判権限(ジャッチマスター)”という特権を持っていますので、ルール違反は無理ですよ。兎の眼と耳は箱庭の中枢と繋がっているのです」

「チップは?お前の言うギフトをかけるのか?」

「今回、皆様はゲームが初めてですのでチップは免除します。しいて言うのならあなた方のプライドでしょうか」

 

黒ウサギは決め顔でそう言った。

 

「私達が勝った場合は?」

「そうですね、その場合は神仏である、この黒ウサギが何でも一つ言う事を聞いてあげましょう!」

「「ほう、何でもか…」」

 

俺と逆廻は黒ウサギの胸を見ながらハモッて言った。

 

「ん?……で、でも性的なことはダメですよ!」

 

黒ウサギは体をねじり自分の胸を隠そうとし、久遠と春日部はこちらを冷たい目で見つめてきた。

 

「冗談だよ」

「まったくだ」

 

俺と逆廻は普通に否定した。

 

「で、それでどうする」

「どうもこうも」

「うん、やろっか」

「他にやる事も無いしな」

「ああ」

「ゲーム成立です!」

 

黒ウサギが叫ぶと空中が小さく光り、光が割れるとそこから一枚の羊皮紙の様な紙が出てきた。

 

「それは?」

契約書類(ギアスロール)です。言わばゲームに関する契約の書、ゲームのルールやクリア条件が書かれています」

 

 

 

ゲーム名  スカウティング

 

プレイヤー一覧

逆廻  十六夜

六道  九十九

久遠  飛鳥

春日部 耀

 

クリア条件 テーブルに並べられたカードの中から絵札を選ぶ。

 

クリア方法 選べるカードは一人一枚のみ。

 

敗北条件  降参か、プレイヤーが上記の条件を満たせなくなった場合。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗と、ホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

 

                         “サウザンドアイズ”

 

 

 

と、ギアスロールには記されていた。まあ、このゲームはの難易度はさほど高くはないだろう。

 

「OK、分かった。だが始める前にそのカードを調べさせてもらおうか」

「構いませんよ」

 

ゲームのルールを理解した俺たちは、黒ウサギにカードを渡してもらうようにとカードを受け取った。各々、眺めたり、後をつけたり、猫の唾液を付けたり、カードを見ながら本を読んだりと独特の確認方法を取っていた。そして、確認が終わると黒ウサギにカードを返し黒ウサギはカードを並べ、ゲームの準備が整った。

 

「では、ゲーム開始でーす!」

「誰から行く?」

「じゃ、俺から行かせてもらうぜ」

 

逆廻はゆっくりとカードを眺めると黒ウサギのほうに向きなおった。

 

「さっきは素敵な挑発をありがとよ」

「え、ああ、いえいえ!」

「これはそいつのお返しだ!」

 

勢い良くテーブルをダン!と叩くとテーブルの上に置いてあった、ほとんどのカードは裏から表になりその瞬間の黒ウサギは呆気に取られていた。

「な、な、な、な」

「じゃあ私これ」

「私これ」

「俺はこっちで」

「ちょ、ちょっと待って下さい!今のは……」

「何もルールには抵触してないぜ、テーブルの上から絵札を選べ1人一回1枚まで、違うか?」

「そ、それはそうですが……」

 

逆廻の言い分はもっともで、黒ウサギは言い返す事も出来なかった。箱庭の中枢に確認を取ったらしいが、有効で俺、久遠、春日部はクリアだそうだ。

 

「で、ですが十六夜さんがまだです!」

「おいおい、俺を誰だと思ってんだ」

 

逆廻は自分が手を置いていたカードを裏返してみると、そのカードはクラブのK(キング)だった。

 

「ど、どうやって!」

「覚えた。全てのカードの順番をな、このカードの隣はダイヤの9、クラブの2、スペードのJ(ジャック)

 

逆廻の発言にショックを受ける黒ウサギだった。

 

「やるじゃない貴方。でも、こちらが考えていた手が無駄になってしまったわ」

「うんうん」

「まあ、めんどくなかったからこれでいい」

「そうかい、そいつは悪かったな」

 

当然ではあるが喜ぶ俺たちと、すっかり意気消沈している黒ウサギだった。

 

「おい、黒ウサギ!」

「は、はい!」

「早速だが言う事を聞いてもらうぜ」

 

少し悪い顔の逆廻の図

 

「駄目ですよ、性的なことは!」

「まあ、それも魅力的だが俺の聞きたいことはただ一つ」

「な、何ですか?」

 

 

 

 

「この世界は、楽しいか?」

 

 

「Yes、ギフトゲームは人の域を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯、箱にはの世界は外界より格段に楽しいと、黒ウサギは保証いたします!」

 

その言葉を聞き、俺たちに笑みがこぼれた。

さあ、ここからが楽しいゲームの始まりだ!




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第3話 問題児たちの実力見せるそうですよ?

遅くなって申し訳ない!色々リアルで忙しく…べ、別に忘れてたわけじゃないんだからね!

今回は今までの倍くらいの長さです


黒ウサギとのゲームを終えた俺たちは、黒ウサギの所属するコミュニティに向かう為に後について行き森を歩いていた。すると、最後尾を歩いていた逆廻が俺の肩を叩いてきた。

 

「なあ、ちょっとこの世界果てを見て来ねえか?」

「別にかまわないが、どうして俺を誘ったんだ?」

「この中でお前が一番面白そうだからだ」

「―――へぇ」

 

原作では好戦的だがそれ以上に好奇心が強いのが特徴だ、、もちろんと言えばもちろんだがこの世界でもそれは揺らがないようだ。

 

「そう言う訳で、俺たちはちょっと世界の果てまで行ってくるから黒ウサギには言うなよ」

「分かってるわよ」

「しょうがねえから、俺は逆廻の見張りで行ってくるわ」

「うん、分かった」

俺たちは久遠と春日部に言って、列から離れた。すると突然、逆廻が自身の足を止めた。

 

「どうかしたのか逆廻?」

「これだけ離れたんだもういいだろ」

 

逆廻はそんなことを呟いた。一体、何を考えてんだこいつは?

 

「おい、九十九ちょっと競争でもしねえか?これだけ離れてりゃあ黒ウサギにだってお前が姿かえる時の音は聞こえないだろ」

 

なるほどな。だが、競争という事は足の速い奴のほうが良いが“555″のアクセルフォームは時間が短すぎるし、かと言って“カブト”はチート過ぎるし特にハイパーフォームは……とすればこれが妥当か。

俺はゆっくりとあのベルトをイメージして取り出した。まだ説明してなかったが、ベルトを取り出す方法は頭の中でベルトをイメージするか、頭の中でベルトの正式名を呼ぶのどちらかで取り出せる。正式名は例えば先ほど出てきた“カブト”なら、カブトのベルトではなくカブトゼクターとなる。"555"ならファイズドライバーとなる。

 

〈おや、ここは何処だい見たこと無い土地だが〉

「やあ、クリムいやベルトさんと呼んだほうが良いよね」

〈お、ツクモじゃないか早速だがここは何処だい?見たことのない土地だが〉

「まあ簡単に言うと箱庭って言う異世界さ、それでお願いがあるんだけどこいつと競争したいからベルトさんの力を借りたいんだ」

「へ―面白いベルトだな、どうなってんだこれ!」

 

逆廻は興味津々の顔でベルトさんを眺めていた。

 

〈失礼だなキミ、せめて『さん』位つけたまえ!ツクモ、彼と競争だったな力を貸そう存分に力を発揮したまえ!〉

「お、おう…」

 

あれ、ベルトさんってこんなキャラだっけ?

 

「い、行くぜベルトさん!ひとっ走り付き合えよ!」

START(スタート)YOU'RE(ユアー)ENGINE(エンジン)!〉

 

ベルトさんを腰に巻き付ける。その後、丁度走って来た"シフトスピード"を右手でキャッチ、そのまま右手で"ドライブドライバー"の"イグニッションキー"を捻る。

そして、"スピード"の後部を半回転させてレバーのような形に。

それをそのまま流れる様に左手の"シフトブレス"にセット、"シフトブレス"を右胸の前辺りにまで持ってきて、

 

「変身ッ!」

 

と叫んでから、左手で"シフトスピード"を前に倒す!

 

 

〈ドライブ!タイプ・スピード!〉

 

俺は仮面ライダードライブに変身した。

 

「へー、今度はタイヤのある赤か…他に何パターンあるんだ?」

「ん?最低でも18種以上の変身パターンがある。更にそれら全てにさらにもう一段階以上の、フォームアップが出来る」

「マジかよ、それじゃあ今度俺とケンカしようぜ」

 

逆廻は好戦的な目でこちらを見つめてきた。

 

「気が向いたらな、ベルトさん悪いんだけどカウントとジャッチをお願いできるか?」

〈オーケー!それでは二人とも準備は良いかい?〉

「ああ!」

「何時でも」

〈それでは5カウントでスタートだ!

 

                         5

 

                        

                         4

 

                         

                         3

 

 

                         2

 

 

                         1

 

 

                         go!〉

 

俺たちはベルトさんのgoという掛け声と同時に走り出した。だが、100mもしないうちに逆廻と少しづつ距離がひらいてきた。

 

〈驚いた、彼の力はドライブシステムを凌駕しているというのか!〉

「何驚いてるんだベルトさん、まだ俺たちは本気を出してないだろ!」

 

俺はシフトレバーを3回動かすと「スピ・スピ・スピード!」とベルトさんから音声が鳴り、俺のスピードは先ほどよりも格段に上がった。

「マジかよ、そんなのアリか!?」

「アリさ、何せこれがドライブシステムの力の一端なんだからな!」

 

俺と逆廻の差は一気に迫って行った。抜いては追い抜き抜いては追い抜きの攻防戦。

だが、走っていると俺の目の前にいくつもの木の枝が、俺の道をふさいでいた。このドライブシステムならば、木の枝に体当たりするなり斬るなりすることは容易だが、ここは箱庭。もしもその木の枝を折ったせいで後々ヤヤコシイ事になるのは御免だ。俺は楽しいのは好きだが、厄介事や面倒臭いことは嫌いなんだ。

だから俺はここは逆廻に後れを取るが、後々の為にタイヤ交換をすることにした。俺が取り出したのは、緑色のレッカー車に似たシフトカーだ。

 

〈タイヤコーカーン!フッキングレッカー!〉

 

フッキングレッカー。その能力は相手の足などを拘束したり、フックを飛ばして物を牽引したりだ。だがそれは裏を返せば、うまく扱えば自身を振り子のように扱えるという事だ。

俺は早速それを実践してみた。結果で言うとそれはうまくいった。木々も傷つけずにすんだ。だが、

 

「悪いな九十九!それじゃあな~!」

 

逆廻も俺と同じ考えだったのか、逆廻の道も邪魔していた木々の上を飛びながら進んでいった。進む距離自体は俺の方が逆廻の倍だが、逆廻は俺のスピードの数倍のスピードだった。そのせいで逆廻は俺を突き放していった。

 

(さて、このままだと負けてしまうがどうするツクモ?〉

「だったら本気を出すに決まってるだろベルトさん。俺は勝負もゲームもノーコンテニューでクリアするのが信条なんだよ!」

 

俺は青いF1レースカーに似たシフトカーを手にした。

 

〈良いのかツクモ、これを使うと君の体にも多大なる負担が〉

「ベルトさん、言ったろ勝負もゲームもノーコンテニューだって!」

 

俺はシフトブレスにシフトフォーミュラをさした。

 

〈ドライブ!タイプフォーミュラー!〉

 

俺は先ほどまでのタイプスピードの赤色とは違い、タイプフォーミュラは色は青く、タイプスピードより通常でも速い。

更に俺は逆廻に確実に勝つために、シフトレバーを3回動かした。

 

〈フォ、フォ、フォーミュラー!〉

 

俺はさらに加速した。加速した俺は数秒としないうちに逆廻の背後をとらえた。余裕を持って走っていた逆廻だったが、俺の姿を見ると驚いた顔をして本気で走り出した。

 

「てめえ九十九だろ、なんだよその姿!」

「この姿はドライブシステムの中で最も速い姿(フォーム)、その名もタイプフォーミュラー!見た目から分かる通りF1カーがモデルなんだよ!」

「ハハハ、マジかよ!やっぱりお前は面白れぇな九十九!」

 

俺と逆廻のスピードは拮抗していた。ベルトさんも〈まさか、タイプフォーミュラーでも圧倒できないとは…〉と呟いていた。

そして勝負の終わりは刻一刻と迫っていた。俺と逆廻は森を抜けると大きな滝があった、俺たちは特にゴールの場所などは指定しておらず、だが行く場所は決まっていた世界の果て。実際はもう少し奥だが、何となくこの場所がゴールかなと思い俺たちは足を止めた。

 

「「どっちの勝ちだ?!」」

 

俺と逆廻はベルトさんにどちらが勝ったのか問うと、ベルトさんは少しの間口を閉ざすとベルトさんは申し訳なさそうに口を開いた。

 

〈計測した結果、この勝負はドローつまり引き分けだ〉

 

ベルトさんのその発表に俺と逆廻は顔を見合わせ肩を落とした。すると、俺の体から白い煙が出てきた。どうやらタイプフォーミュラーで競争をしたせいで、スーツに負荷がかかってしまったようだ。俺は即座にシフトブレスからシフトカーを抜き変身を解いた。

 

〈ナイスドライブ!ツクモ、それにしても君は相手がいるだけで性格が変わるものだな〉

 

ベルトさんは〈クフフ〉と笑うと、俺は「そうか?」と顔を傾げると逆廻が「ヤハハ!」と笑った。

 

「確かに九十九、お前ついさっきまでめんどくさそうな顔してたのに、今じゃ生き生きした顔してるの知ってたか?そこにある川辺で自分の顔見てみろよ」

 

俺は逆廻に言われた通り川辺で自分の顔を見てみると、俺の顔はいつもより緩んでいたというより明るい顔をしていた。そうか俺はこんな顔も出来るのか……転生してから15、6年が経とうとしていたのだがまさか自分がこんな顔が出来るなんて知りもしなかった。さぞかし向こうの世界に居た頃の俺は無口だとか、反応が悪いだとかクールだとか色々言ってたやつがいるんだろうな………考えるだけでメンドクセェ………

 

「この事に関してはさっきも言ったろ、俺の好きなことは面白い事、嫌いなことは面倒なこと」

「確かにそうだったな」

 

俺たちは突然吹き出し笑い出した。あのお堅いイメージがあるベルトさんもだ。俺たちが大声で笑ってると川辺の上流である湖からブクブクと泡が出るとザパァ~ン!という音が聞こえた。俺たちはその音のなる方に顔を向けると、そこに居たのは巨大な白い蛇だった。

 

「蛇だな」

「ああ、蛇だ」

〈蛇…なのかあれは……〉

 

上から逆廻、俺そしてベルトさん。前世の記憶でこの物語のアニメを見ているから知っているが、実物は想像以上に大きく驚いた。

 

「人間の小僧共の分際で我が神域に侵入するとは、生きて帰れるとは思うなよ!だが、我は退屈をしていただから貴様らにチャンスをやろう」

「「チャンス?」」

「ああ、我が試練を突破してみせよ!そうすれば貴様らは見逃してやろう」

 

俺たちはその言葉を聞いて呆然としていると、後方から大きな足跡が聞こえてきた。

 

「待て水神!」

 

その大きな声のする方に顔を向けてみると、巨大な熊がいた。

 

「熊か?」

「ああ、熊だ」

〈熊…なのかあれは……〉

 

上から逆廻、俺そしてベルトさん。さっきも同じようなやり取りしたな…どうでもいいか。

 

「二人居るんだろ、ならば片方は我が相手をしても良かろう?」

「そうだな、ではどちらを相手にするかこやつらに決めさせるというのはどうだ?」

「そうだなそれが良いだろう」

「「さあ人の子らよどちらの試練を受けるか決めるがよい!」」

 

二体の獣?はこちらを睨みながら迫ってきた。俺はまずベルトさんに現状使用可能か聞くことにした。

 

「ベルトさんどうだやれそうか?」

〈オフコース!と言いたいところだが、先ほどの彼との競争でもだいぶスーツが消耗しているようだ。再び使うには、しばらくの間は休息を取った方が良さそうだ〉

「そうか……分かったこっちは何とかするから、また何かあった時にはまた力になってくれよな」

〈もちろんだツクモ!それではしばらくの間休息を貰うとしよう……〉

 

そう言ってベルトさんはスッと消えていった。無くなったわけではない、言葉にするのは難しいが簡単に言うとベルトの類を仕舞っておくことが出来るトンデモ空間に収納することが出来るのだ。

 

「あのベルト仕舞って大丈夫なのか?」

「ああ、他にもいろいろあるからな。取り敢えず単純な力押しで行くことにするさ。"アークル"!」

 

俺が叫ぶと腰にベルトが出現した。それはベルトさんとはまた違い、ベルトさんの様に喋ったりすることはなく丁度腹部のあたりに水晶のような物が取り付けられていた。

 

「ハァ~~………変身!」

 

俺が変身した姿は、体の色は赤を基調としたスーツでメットはクワガタを思わせる風貌だった。

 

「へ~今度はまた面白い姿だな九十九」

「仮面ライダークウガマイティフォーム。だが、これだけならまだ力負けするだろう」

 

俺はそう言うと、「ハァ~………」と力をベルトに集中するイメージをすると、変身した時赤かった水晶は黒くなり身体から稲光が放出され更に黒い霧のような物が出ると、俺はマイティフォームから姿を変えた。

 

「仮面ライダークウガライジングアルティメットフォーム」

「ヤハハ!マジかよ、スゲェなお前には驚かされっぱなしだ。今度思いっきりケンカしようぜ!」

「ああ、そうだな」

 

俺たちはそれぞれの相手を見た。逆廻は蛇を俺は熊を仮面を被っているせいで顔は分からないだろうが、俺もそして逆廻も微笑みながら言った。

 

「俺たちを試す?」

「だったらお前たちの力」

「「俺たちを試せるかどうか試してやるよ!!」」

 

「「舐めるな小僧共!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり箱庭入口手前、そこには少し大きめのローブを羽織った一人の少年が座っていた。

 

「ジ~ンく~ん!」

「リリ」

 

少年ジンが座っていると狐耳の少女リリとその他の子供たちが水の入った桶もを持ち戻ってきた。

 

「黒ウサギのお姉ちゃんはまだ戻って来てないの?」

「うん」

「ジンもリーダーで大変だけど頑張ってね」

 

そう言って子供たちは自分たちの所属するコミュニティに帰って行った。その直後、

 

「ジ~ンぼっちゃ~ん!」

 

黒ウサギが戻ってきたのだ。

 

「新しい方を連れてきましたよ~!」

「お帰り黒ウサギ、そちらの女性2人が?」

「Yes!こちらの4人様方が…ってあれ?もう御2人様方は?」

 

黒ウサギは現状を見るまではキラキラとスキップしながら来たにもかかわらず、今では顔は青く脂汗をかいていた。

 

「十六夜君なら"ちょっと世界の果てまで見てくるぜ"とか言って六道君と一緒に駆け出していったわ」

「九十九は"しょうがねえから、俺は逆廻の見張りで行ってくるわ"って言って十六夜と一緒に走って行ったけど」

「なんで止めてくれなかったんですか!」

「止めてくれるなよって言われたから」

「黒ウサギには言うなよって言われたから」

 

飛鳥と耀は黒ウサギから目どころか顔ごと反らしながら言った。

 

「噓です!絶対に噓です、実は面倒くさかっただけでしょ御2人さん!」

「「うん」」

 

2人の言葉で黒ウサギは完全に両手と膝を地を付けに体が震えていた。

 

「黒ウサギ世界の果てには……」

「分かっています…ジン坊ちゃん御2人様をよろしくお願いします」

 

黒ウサギはゆっくりと立ち上がると髪の色が青色から緋色へと変わった。

 

「黒ウサギは問題児様方を捕まえてきますので!箱庭の貴族と謡われた黒ウサギを馬鹿にしたことを、骨の髄まで後悔させてやりますので!」

 

黒ウサギは文字通り脱兎の如く駆け出していった。

 

「箱庭のウサギは随分と速く飛べるのねぇ」

「兎たちは箱庭を作った創始者たちの眷属ですから。さあこちらへどうぞ箱庭の中をご案内致します」

 

そう言って飛鳥たちは箱庭の中に入って行った。

 

 

黒ウサギは森に入り十六夜たちを探しに行った。時にはそこらにいる動物たちに十六夜たちの事を聞いて周っていると、巨大な水柱と巨大な土煙が立っていた。

 

(まさか!)

 

黒ウサギはその場所だと思われる場所へと向かった。向かった場所には水辺の石に立っている十六夜と、木蔭で座って本を読んでいる九十九が居た。九十九は動物たちから聞いたような恰好はしておらずその姿は、先ほどまで変身していた仮面ライダークウガの姿はしておらず人の姿だった。

黒ウサギが到着した時、出会った時とは黒ウサギのかみのいろは青かったが今は緋色。そのおかげで、

 

「あれ、お前黒ウサギか?」

 

この通り十六夜は驚いたようだ。だが、九十九は驚いた様子はなかった。

 

「ああ、そいつは黒ウサギだ。どうやら箱庭の兎は特別みたいだな」

 

九十九は本を閉じると十六夜の居る方へ歩いてきた。

 

「もう、一体どこまで来ているのですか御二方とも!」

「世界の果てまで来てるんですよっと、まあそんなに怒るなよ」

「十六夜さんが神仏にギフトゲーム挑んだんじゃないかと冷や冷やしたんですよ!ですが、九十九さんが見張っていたという事でしたのでご無事な用で、さあすぐにでも帰りましょ…」

「挑んだぜ、神仏にギフトゲーム。ついでに九十九もな」

「は?」

 

九十九たちがいる場所付近から地響きがすると、湖からは水神が森からは熊神が現れた。

 

「「まだ、まだ試練は終わっていないぞ、こぞぞぞぞおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉう!」」

 

二体の神は激しく激怒していた。

 

「す、水神に熊神…ってどうやったらここまで怒らせられるんですか!!」

「何か偉そうに試練を選べとか言ってきたからよ」

「俺らを試せるか試させてもらっただけの事だ」

 

九十九は伸びと欠伸をしながら黒ウサギの近くまで寄ってきた。

 

「「即け上がるなよ人間共、この程度で我らが倒されるか!!」」

 

水神は風で水滴を巻き上げ、熊神は土煙や木の葉を巻き上げた。

 

「九十九、テメェもさっさと蹴り付けろよ」

「お前もな逆廻」

 

十六夜と内緒話を終えると九十九は熊神に向き合った。

 

「先ほどの姿から戻るとは貴様、我を馬鹿にしておるのか!」

「バカにする……馬鹿にしてたらそもそもお前とやりあってねえよ熊野郎!ファイズドライバー!」

「良く言った小僧!」

 

熊神は巨大な手を九十九に叩き付けるが、九十九は避ける為空中へ逃げるとそこで先ほどの取り出したトランクの中から、ファイズフォンにファイズドライバー、ファイズポインターファイズショット、最後にファイズアクセルを取り出すとファイズドライバー、ポインター、ショットを腰につけファイズアクセルを腕に装着し、ファイズフォンに「555」と入力すると、

 

 

            Standing by

 

と音声が鳴り待機音もなるが、空中で更に熊神が追撃を加えてきた。その為九十九はファイズフォンを宙に放り投げ、自分は地上に着地したその瞬間、宙に放り投げたファイズフォンが丁度ベルトに装着され、九十九はすかさずファイズフォンを横に倒した。

 

            Complete

 

音声が鳴ると、ファイズドライバーから赤いマーカ線のような物フォトンストリームが上半身と下半身に伸びると、九十九は仮面ライダーファイズへと姿を変えた。

 

「そんな虚仮威(こけおど)しに屈するとでも思うか!」

「虚仮威しでも何でもないさ、もうお前のことは検索済みだ。お前はもう俺の速さには着いてくることは出来ない」

「ほざけー!」

 

九十九はファイズポインターにミッションメモリーを取り付けた後にを右足首に取り付け、更にそこからファイズアクセルのミッションメモリーをファイズフォンに取り付けた。

 

            Complete

 

先ほどまで赤と黒を基調としたスーツはほぼ黒一色になり、胸部装甲・フルメタルラングが左右に跳ね上がり展開して肩アーマーとなり、内部が露わになった。全身に流れるフォトンストリームは最初は色が赤だったが銀色に変化した。

 

            Start Up

 

九十九はスイッチを押すと通常の1000倍の速度で移動を可能にしたため、もはや熊神や黒ウサギには目で追うことも出来なかった。そして気づいたころには、熊神の周囲には無数の赤いポインターが熊神の周囲を囲っていた。

 

「これで終わりだ、多段ロックオンクリムゾンスマッシュ!」

 

無数のポインターからその速さで同時多重的に蹴りを繰り出し、技を繰り出すと熊神は倒れた。

 

       3,2,1,Time Out

 

ファイズアクセルから音声が流れると、九十九の姿は元の状態に戻り更にそこからベルトを外し変身を解いた。そして、丁度十六夜のケンカも終わったところだった。

 

(人間が神格を倒した……そんな出鱈目が…)

「クソ、今日は良く濡れる日だ」

「だったらもうちょっと考えてもらえるか?こっちまでびしょ濡れだ」

(いえ、だからこそこの力があれば!)

 

十六夜と九十九のギフトゲームを終え、黒ウサギは二体の神から勝った二人への報奨(チップ)を受け取った。

 

「いや~良かったです特に熊神様、もし先ほどの戦闘でお亡くなりになっていたらこんな立派な永果樹の苗は貰えませんでしたから」

「俺は基本的に無駄な殺生はしたくないだけだめんどいし」

「それに見て下さいこんな立派な水樹の苗を頂けました!もうこれでよそのコミュニティから水を買う必要も無くなります!みんなおお助かりです」

 

黒ウサギは十六夜と九十九が獲得した苗を頬擦りをしながら感激していた。

 

「そうかいそうかいそれは良かった。良かったついでに黒ウサギ1つ質問していいか?」

「どうぞ」

「黒ウサギお前、決定的なことをずっと隠してるよな」

「な!?」

「答えろよ、何でお前は俺たちを呼び出す必要があったんだ?」




とまあ平成ライダーを3つほど出しましたがいかがだったでしょうか?

ところでベルトさんのキャラかなり崩壊していたような……

まあ、そこはご愛嬌という事で……み、見てないということはないですよ本当ですよ!

というわけで、感想、お気に入り登録、評価等々お待ちしておりま~す!


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第4話 問題児たちが秘密を知るそうですよ?

「黒ウサギお前、決定的なことをずっと隠してるよな」

「な!?」

「答えろよ、何でお前は俺たちを呼び出す必要があったんだ?」

「そ、それは前にも言った通り恩恵(ギフト)を持っている十六夜さんたちに、面白おかしく過ごしていただこうと…」

「噓はやめたらどうだ黒ウサギ」

 

俺は嘘を言う黒ウサギに本を閉じ近寄った。

 

「な、何を言ってるんですか九十九さん。噓だなんてそんな」

「俺の能力というか恩恵(ギフト)と呼んだほうが良いのか?俺のギフトには"星の本棚"という物がある」

「ほ、星の……」

「本棚?なんだそりゃ?」

「星の本棚とは地球上のデータベースに検索をかけることであらゆる知識を得ることが出来る能力の事です」

 

黒ウサギの説明に逆廻は「ほぅ」と呟きどう見ても一層俺に興味がわいたって感じの顔をしている。(喧嘩対照的に…)

 

「そう、それが本来の星の本棚。でも何度かこの世界で検索をかけてみたところ、どうやら地球以外の事この世界の事も検索ができるようになっているようだ。しかも過去だけじゃなく現在そして未来まで」

「マジかよ!それじゃあ俺たちの事も検索済みってことか?」

「残念ながらどういう訳か逆廻のは生年月日と名前くらいだ。後の久遠と春日部、そして黒ウサギそれから黒ウサギのコミュニティのリーダージン=ラッセルの事に関しては生年月日に名前、過去と今と未来に起きること後はついでにスリーサイズも」

「ほぉ~で、黒ウサギのスリーサイズは」

「何を聞いてるんですかおバカ様!」

 

黒ウサギは逆廻の頭をどこから出したのか分からないが、ハリセンで思いっきり叩いたのかパシーン!といういい音が鳴った。

 

「基本的に個人情報は金次第だ」

「九十九さんもなにおバカなことを言っているのですか!」

 

俺も逆廻同様にハリセンで思いっきり叩かれた。

 

「話は戻すが、つまり黒ウサギのコミュニティの事に関しても検索済みだ。何なら俺がそのことについて話してやろうか?」

「……………………分かり…ました」

 

俺たちは場所を変え、腰を下せるところへ移動した。

 

「九十九さんは知っての通り私たちのコミュニティは困窮に瀕しております。コミュニティとは大小在れど国の様な存在です故に活動する上で箱庭に名と旗印を申告しなければなりません」

「というと国旗のような物か?」

「Yes、その多くは領土の誇示に使われます。数年前まで私達の旗は東区画のいたるところで靡き、その輝かしい栄光を誇っていました。ですがある日、私たちは手を出してはならない者に目をつけられてしまいました。そして、経った一夜にして壊滅させられたのです。魔王の力は強大でした、ギフトゲームに敗れた私達は「名」と「旗印」を奪われノーネームとなったのです」

「名無しって事か」

「Yes、現在コミュニティの中核をなすメンバーは一人も残っておらず、ゲームに参加できるのは現リーダーであるジン坊ちゃんと黒ウサギだけ。後の120人余りは10歳未満の子供たちばかりなのですよ」

「「まさに崖っぷちだな♪」」

「ホントですね♪」

 

俺たちがそろって明るいテンションで言うとそれと同じくらいのテンションで返した黒ウサギは、一層テンションがガタ落ちしたのであった。あと逆廻、地味に笑ってやんなよ口角上がってんぞ

 

「それでも黒ウサギたちは必死に生きています。子供たちは遠くの川まで水を汲みに行き、住むところ以外は植物も生えない死んだ土地だというのに……」

「へぇ~そんなにひでぇ状況ならいっその事潰して新しく作っちまえばいいんじゃねえのか?」

「ああ、俺もそう思うぞ」

 

星の本棚は検索対象の今の現状とかは分かっても対象の心理状況は分からねえからな。

 

「駄目です!私達は仲間が帰ってくる場所を守りたいのです!そしていつの日か魔王から「名」と「旗印」を奪い返しコミュニティの再建を果たしたいのです。その為には十六夜さんたちの様な強力な力を持つプレイヤーに頼るほかありません!お願いします私たちに力を貸してください!」

「ふぅん、魔王を相手にコミュニティの再建か……いいな、それ」

「え?!」

「"え"じゃねえよ、もっと喜べ黒ウサギ。魔王を相手に"名"と"旗印"を取り戻す、ああそいつはロマンがある。協力するには上等な部類だ。せいぜい期待してろよ黒ウサギ。で、お前はどうすんだ九十九?」

 

逆廻は立ち上がり熱弁し、自身の意志を示すと俺の方を向き俺の意志を聞いてきた。

 

「逆廻、それは愚門ってもんじゃないか?俺はお前が黒ウサギから説明を受けるまで何となくは分かっていたとしても、完全ってわけじゃないだろ?」

「ああ」

「俺は元から事情を分かってて入ろうとしてたんだ。確かにあのまま有耶無耶のまま、俺らを入れようとしてたらそのまま適当なコミュニティに入ろうと思ってたがな」

「っゔ、申し訳ございませんでした」

 

黒ウサギは耳と腰を項垂れ冷や汗のような物を掻きながら謝ってきた。俺はその姿を見て少し面白くニヤついてしまった。うん、面白いなこの愛玩動物は……

 

「ま、仲間に対する最低限の事をしたんだし許してやるさ。それに対魔王戦面白そうじゃねえか、何度も言うが俺の好きな事は面白い事で嫌いな事は面倒な事だ。まあ逆廻だけじゃなくて俺にも期待するんだな黒ウサギ」

「…………はい!」

 

黒ウサギは頭を緋色に染め笑顔で返事をした。

 

「あ、それから九十九俺のこと下の名前で呼べよな」

「構わないが理由を聞いて良いか?」

「別に大したことじゃないが、これから仲間になるのに苗字で余所余所しいのも変な話だろ?」

「………それもそうだな、改めてこれからよろしくな十六夜!」

「こっちこそよろしく頼むぜ!」

 

俺たちは笑みを浮かべて握手を交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「フォ、"フォレス・ガロ"とゲームをする~!?なぜそんな急展開な…………」

「「腹が立ったから後先考えずにケンカを振った、反省はしていない」」

「おバカ様!おバカ様!」

 

黒ウサギのどこからともなく取り出した愛刀ハリセン丸(←勝手に命名)を久遠と春日部に食らわせた。

 

「でも、何でこんなことに?!」

「ごめん、でもどうしてもあいつが許せなくて……」

「お気持ちは分かりますが……まあ良いです、フォレス・ガロ相手なら十六夜さん一人でも」

「俺は出ねえぞ」

 

黒ウサギの振り返った時の笑顔から一変、十六夜が断った瞬間に一瞬にしてアホな顔になった。

 

「は?」

「はじゃねえよ、このケンカはこいつらが売ったんだ。俺が入るのは無粋ってもんだ」

「あら、分かってるじゃない」

「で、でしたらツクモ………」

「俺が出ると思うかそんな面白くもなさそうなゲームに?」

「もう、好きにして下さい……」

 

結局黒ウサギは原作と変わらず色々と苦労をするのだった。あ、俺は協力する気ねえから




今回は戦闘もライダーの登場も無し!

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第5話 和装ロリはいろいろブっ飛んだお方のようですよ?

「で、何処に行くんだよ?」

「ゲームは明日ですからね、皆さんのギフトをサウザンドアイズに鑑定をお願いしようかと」

 

あれから俺たちは場所を移動し、今は街中の水路沿いを歩いていた。

 

「サウザンドアイズ?」

「Yes!サウザンドアイズとは…」

「サウザンドアイズとは特殊な“瞳”のギフトを持つ者たちを中心とした、東西南北上層下層の全ての地区に精通する超大手商業コミュニティで、各地に支店を持つ。二桁に本拠を構える。旗印は向かい合う双女神。

コミュニティの巨大さ、膨大さから、支店同士は“境界門”のように自由に行き来が可能で、数ある支店は蜂の巣のハニカム構造のように点在しているが、本店への入り口は一つのみとなっているだそうだ」

「へ~十六夜君から聞いた通り便利なギフトなのねあなたの能力」

「うん、でもプライバシーもあったもんじゃない」

「黒ウサギの役目はあるのでしょうか」

 

 

こいつら好き勝手言いやがって……今度どこかのコミュニティに女性陣の情報を高値で売ってやろうか……

俺はそんな馬鹿なことを考えていると、頭上から桜の花びらが舞ってきた。

 

「これは…桜の木?でも今って真夏よね?」

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ?気合の入った桜があってもおかしくないだろ。」

「……?今は秋だと思うけど?」

「俺のところは気持ちの良い秋だった」

 

3人が噛み合わない現状に首を傾げていると、黒ウサギが説明した。

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から呼ばれたのデスよ。多分、時間軸以外にも歴史や文化や生態系など、色々違う所があると思いますよ?」

「パラレルワールドってやつか?」

「近いですが違いますね。正しくは立体交差平行世界論というものです。二日ほどは説明が必要なのでそれはまた今度、ということでお願いします」

「そうなのか九十九?」

 

十六夜は俺に質問を投げかけてくると、俺は「ああ」とだけ答えるとなぜか黒ウサギがブツブツ何かを呟きながら凹んでいるようだった。

 

「皆さん見えましたよ。あの旗の店が"サウザントアイズ"デス」

 

店の店員が俺たちを見ると看板を降ろそうとしている割烹着の店員に、待ったをかけようとする黒ウサギ。

 

「ま、」

「内は既に営業時間外です、お客様。」

 

間髪入れずに宣言する店員。

 

「そんな!まだ閉店五分前デスよ!?」

「なるほど、"箱庭の貴族"を蔑ろにするのも気が引けますね。中で許可を取りますのでコミュニティの名を言ってください」

「うっ」

 

黒ウサギは焦る。

 

(確か"サウザントアイズ"はノーネームはお断りだったはず…不味いです。)

 

そんな黒ウサギにかわって十六夜は何のためらいもなく言った。

 

「俺達はノーネームってコミュニティ何だが。」

「そうですか。どこの"ノーネーム"様でしょうか?宜しければ旗をお見せしてもらえないでしょうか」

 

どうやら検索結果通りノーネームはお断りか。ノーネーム、つまりは名無しどんな弱小コミュニティでも名と旗印が有るか無いかは信用性も違う。つまりは自身の名と旗に責任を取れるかという責任問題もあるはずだろうしな。

 

「いいいぃぃぃぃぃやっほぉぉぉぉい黒ウサギィィィィィィ!!」

「いいやややあああああああぁァァァァァァァァァァァァァ!」

 

そんな声が聞こえた思ったらまた遠ざかっていた。

クルクルと黒ウサギ共に空中回転ひねりで、店前の道の向こう側を流れる水路に幼女が突入していた。

下がミニスカートになっている黒い着物を纏い、胴を巻く部分の帯は朱色に、余った水色の部分の帯は尻尾のように垂れている。

髪も眉も輝いた白銀色で、ちょこんと白銀の頭から黒い角を生やしていた。将来絶世の美女になるであろう、少しヤンチャさが残った顔は、黒ウサギに抱きつきながらもその豊満な胸に埋まっていた。そう彼女こそが白夜叉だ。

 

その光景に十六夜は眼を輝かせ、店員は頭を抱えた。

 

「……おい店員。ここの店はドッキリサービスが」

「ありません。」

「何なら有料でも」

「やりません」

 

十六夜が店員と漫談をやっていると、黒ウサギは打った腰をさすりながら今の状況を理解できたようだ。その間も白夜叉は黒ウサギの胸に顔を埋めていた。

 

「白夜叉様!どうして貴女様がこんな下層に!?」

「そろそろ黒ウサギが来るだろうと予想してな!!

フフフッ、スーハースーハースリスリ、フホフホ。やはり、ウサギは抱き心地が違うのう!!ほれここかぁここがエエんかぁ!」

「ていうか、離れて下さい!」

 

黒ウサギは器用にも、縦ではなく横回転で白夜叉を投げ飛ばすと白夜叉の着地地点に十六夜がおり、十六夜はそのまま足で受け止めた。

 

「ゴホォ!……おんし!飛んできた美少女を足で受け止めるとは何様じゃ!」

「十六夜様だぜ和装ロリ。以後よろしくな」

 

十六夜と白夜叉が自己紹介を終えると同時に、黒ウサギは水路から上がってくると水でびしょ濡れだった。

 

「私まで濡れるとは…」

「罰よ黒ウサギ。」

「因果応報かな。」

『お嬢の言うとおりや』

 

その後、ごねる割烹着店員を余所に白夜叉の部屋である和室に移動した。

 

「さて、改めて自己紹介をしようかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えるコミュニティの幹部、白夜叉だ。以前から黒ウサギを弄っていたのでな。コミュニティ崩壊後も、ちょくちょく贔屓してくれる美少女と認識してくれ」

「ハイハイ。いつもお世話になってるのですよー」

 

二人は軽いじゃれあいが出来る程度に仲が良好のようである。最も、弄られる黒ウサギが敬意を払う事がバカらしくなっただけかもしれないが。

 

「その外門って?」

「外門とは……」

「外門とは箱庭の階層を示す外壁にある門の事。数字が若いほど都市中心部に迫り、同時に強大な力をもつ者達が、本拠やコミュニティを構えている。箱庭は外壁から数えて七桁・六桁を下層とし、五桁を中層、それ以降の数字の桁を上層と区別して強さを分けている。四桁ともなれば修羅神仏が数多くいる化物の巣窟だそうだ」

 

俺は一応お家芸となりつつある、黒ウサギの説明が俺が奪うをするとまた黒ウサギは凹み今度は畳に「の」の字を書きながらブツブツと文句を言い始めたようだ。

 

「ほぅ、お主この箱庭に来てからまだ数時間しかたってなかろう。なのになぜ箱庭について説明できるのじゃ?それがお主のギフトなのか?」

 

白夜叉どうやら俺のギフトがどうやら気になるようだ。まあ当然だな、俺が逆の立場でも気になる。まあ嘘もつかず説明することにしよう。

 

「まあな。俺のギフトはそういう能力だ」

 

まあ少し違う気はするが、別段詳しく言う必要はないだろう。

 

「という事は……巨大玉ねぎ?」

「いやバームクーヘンだろ」

「そうね、バームクーヘンね」

「そんなところだな」

 

「ふふ、その例えでいくなら此処七桁の外門は一番薄い部分かの。一つ付け加えると、東西南北四つに別れており、ここ東側に当たる。その外側のさは世界の果てがあり、黒ウサギが持つ水樹の苗や永果樹の苗の持ち主もいるぞ」

 

その言葉に少し興味を傾ける十六夜。

 

「なんだ?あいつらの知り合いか?」

「そうだのう。そもそも奴らに神格を与えたのは私だ。何百年前の話だったか忘れたがな。」

 

神格とは、生物に与えれば、その種が到達する最高ランクにまで種を底上げるギフトだ。

蛇は蛇神に。

精霊は神霊に。

鬼に与えれば鬼神と化す。

 

「ってことはお前はあの蛇より強いのか?」

「当然だ。私は"東側の階層支配者(フロアマスター)"。つまり東の四桁以下コミュニティ全ての頂点に立つ者だ。そんじゃそこらの神と同レベルに考えてもらっては困る」

 

胸を張り宣言する白夜叉。

 

"最強の支配者"

 

その言葉にに眼を輝かせる、俺、十六夜、耀、飛鳥。

 

「……そう。つまり貴女に勝てば実質私達が最強になるということかしら?」

「無論そうなるな」

「いいなそれ。手間が省けたぜ」

 

俺たちは勢いよく立ち上がり、白夜叉に対し不敵な笑みを浮かべる。

 

「挑戦欲のある童たちだな。だが、面白い」

 

白夜叉もそれを受け入れるかのように俺たちを見回す。それに気づいた黒ウサギは焦り始めた。

 

「ちょっ、白夜叉様!?それに御四方まで!」

「良い良い黒ウサギ。私の遊び相手には窮していてな」

「そいつは奇遇だな。俺もさ、少し遊んでくれよ最強のホスト様」

「い、十六夜さん!」

「まあ、まちなさい黒ウサギ。これもまた経験だ」

 

オカンに見捨てられた黒ウサギが落ち込む中、俺たちの話は進む。

 

「そうかそうか。私相手に勝負を挑むか。----だがその前に一つ聞きたい」

 

そう言って立ち上がり、"サウザントアイズ"の旗が記されたカードを取り出し"壮絶な笑み"を俺たちに向け宣言した。

 

「おんしらが望むのは"挑戦"か?それとも

ーーーーーーーーーー"決闘"か?」




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第6話 問題児たちが和装ロリに挑戦するようですよ?

「おんしらが望むのは"挑戦"か?それとも対等な"決闘"か?」

 

白夜叉は自身のコミュニティの旗印がはいったカードをこちらに向けると、世界が一変した。比喩表現などではない、回る視界。様々な景色が視界の端から端へどんどん移っていく。

そして視点が定まる。

-----一面雪景色に染まった世界。遠くには、巨大な湖畔、その奥は雪で染まった山脈が白夜に照らされ幻想を醸し出す。

なるほど、なるほど、字やアニメではなく実際に見るとその凄さが良く分かる。百閒は一見にしかずとは良く言ったものだ。

 

「こいつは⁉」

「驚くことはない、これは私が持つゲーム版の一つだ」

「この土地が全てゲーム版⁉」

 

俺は改めて更に白夜叉の事を知るために星の本棚に潜った。そこで白夜叉の本を取ってみるとその本は途中から白紙だった。それから本棚は揺れ俺は本棚から追い出された。

 

「どうかしたの九十九?」

「ああ、白夜叉の本が途中から白紙だった。これが"元"魔王の力って訳か……」

「ほう、私の事を知っておるかつくづく面白いギフトじゃのう。今一度名乗ろう。私は" 白き夜の魔王"。太陽と白夜の星霊・白夜叉。箱庭に蔓延る魔王の一人よ。さて今一度問う、おんしらが望むのは試練を受ける"挑戦"か?それとも。対等な"決闘"か?」

 

三人は冷や汗を流しながら、この現状を打開しようと考えを巡らせた。

そんな静寂の中、最初に口を開いたの十六夜だった。

 

「参った。降参だ白夜叉。こんな演出されたんだ。あんたには俺を試すだけの資格がある。『今回だけ』は素直に試されてやるぜ」

 

久遠達も「うんうん」と頷いた。

 

「フフフっ……そうか。して、残った小僧はどうする?」

 

全員の目が一気に俺に注目が集まった。ジンと黒ウサギは不安そうな顔で、久遠に春日部も何処か不安げな顔だ。そして、十六夜はまるで期待しているかのような目をしていた。

 

「なあ白夜叉、一つ質問しても良いか?」

「なんじゃ申してみるがよかろう」

 

俺は自分でも分かるくらいの不敵な笑みを浮かべながら言った。

 

「たとえ勝率一%いいや0.1%以下でも、そこに勝利を求める大馬鹿野郎が居ても良いとは思わないか」

 

俺がそう言うと、白夜叉は扇子を仰ぎながら大笑いし黒ウサギは愛刀を俺の頭に叩き込んだ。

 

「何を考えているのですか、この大バカ様!たかが人間が白夜叉様に勝つ可能性なんて万に一つもあるわけがないでございましょうが!」

「うるさいな黒ウサギは、試してみたいだろうが今の自分の実力が最強相手に何処まで通じるのかを」

「う~~~~~~~~もう、お好きにして下さい!」

 

黒ウサギは怒るというより、またもやというかやはりというかかなり落ち込んだ様子でジンの下へ戻っていった。

すると、彼方にある山脈から甲高い鳴き声が聞こえた。獣とも、鳥とも思わせる声に反応したのは、春日部だった。

 

「今の鳴き声。初めて聞いた」

「あやつか。…おんしらを試すにはちょうど良いかの」

 

そう言って、パンッと言う手拍子を白夜叉が行った瞬間。目の前に体調五メートルはありそうな、半身が鷲で獅子の手足をもった獣が、一瞬にして現れた。

 

「グリフォン!!」

 

春日部は何時になく興奮して、その存在の正面に移動しグリフォンを食い入るように眺める。

 

「さて、早速始めるかの」

 

そう白夜叉が宣言すると白い羊皮紙が十六夜たちの前に落ちてきた。

 

『ギフトゲーム名 "鷲獅子の手綱"

 

プレイヤー側

 

逆廻 十六夜

久遠 飛鳥

春日部 耀

 

・クリア条件

グリフォンの背に跨がり、湖畔を舞う

・クリア方法

"力" "知恵" "勇気" のいずれかでグリフォンに認められる。

 

・敗北条件

プレイヤーが降参、もしくは上記を満たせなくなった場合

 

宣誓 誇りと御旗と主催者の名の下にギフトゲームを開催します。

"サウザントアイズ"印』

 

「私がやる」

 

春日部は真っ直ぐ綺麗に挙手したのだった。

 

『お、お嬢大丈夫か?なんや獅子の旦那より遥かに怖そうや…」

 

三毛猫がにゃーにゃー言う。俺には何て言っているのか分からないが、原作通りなら春日部の事を心配するようなことを言っているのだろう。

それこそ原作通りなら春日部の事は心配するだけ無駄か、今は自分の喧嘩(しょうぶ)に集中した方がいいか。何故なら、何度調べてみても俺の勝負結果が白紙だった。つまり、俺が勝つかどうかは本棚でも分からない。たぶん、正確に言うなら魔王との対決は書かれないということだろう。

そして、春日部とグリフォンとのギフトゲームは春日部がグリフォンと友になり更にゲームに勝利した。簡単に言いすぎたかもしれないが、気になる人は他の人のssかアニメ原作を見て読んでね!って俺何を言っているんだ?まあ良いか。

 

「いやはや大したものだ。まさか友となった者のギフトを手に入れるとは。しかし、そのギフトは先天性の物か?」

「違う。父さんが作った木彫りのおかげ」

「ほほう。それは面白そうじゃの。見せてもらえぬか?」

 

耀は頷き、白夜叉にその木彫りのペンダントを渡す。

十六夜達も横からそれを覗きこんだ。

 

「複雑な模様ね」

「意味は昔教えて貰ったんだけど忘れちゃったの」

 

そんな飛鳥と耀を尻目に、他の面々は神妙な顔をしてそれらを鑑定、解析している。

 

「この中心を目指す幾何学線……そして中心の円の空白。耀さん、お父様の知り合いには生物学者が?」

「うん。私の母さんがそうだった」

「この図形は系統樹を表してるのか白夜叉?」

「おそらくの……いやはやこれは凄い!おんしの父は希代の大天才だ!!まさか人の手で独自に系統樹として確立させ、それをギフト化してしまうとは!!

これは正真正銘"生命の目録"と言っても過言ではない一品だ!!」

 

興奮覚めやまぬ白夜叉に、耀は疑問をぶつける。

 

「系統樹って、生物の発祥と進化の系譜とかを示すアレ?でも母さんの作った系統樹の図はもっと樹の形をしてたと思うけど」

「うむ。それはおんしの父が表現したいモノのセンスが成す業よ。この木彫りをわざわざ円形にしたのは生命の流転、輪廻を表したもの。

再生と滅び、輪廻を繰り返す生命の系譜が進化遂げて進む円の中心、即ち世界の中心を目指して進む様を示しておる。

中心が空白なのは、流転する世界の中心だからか、はたまた生命の完成が未だに視えぬからか、それともこの作品そのものが未完成だからか。

ーーーーうぬぬ、凄い。凄いぞ。久しく想像力が刺激されたぞ!実にアーティスティックだ!おんしさえよければ私が買い取りたいぐらいだの!」

「ダメ」

 

拒絶の意を示す耀。それを聞き残念そうに白夜叉。

 

「で、結局どういったギフトなんだ?」

 

そう十六夜が呟くと、隣の白夜叉が説明した。

 

「私も解析していたが何しろ物が物な上に専門外だったのでな。

わかることは、動物と話せることじゃな。友となったギフトを貰うこと。それらを重ね合わせ独自の系統樹を創造することができるといった具合じゃろうな」

 

それを聞いていた黒ウサギは思い出したように白夜叉に語りかける。

 

「そうでした!白夜叉様、今日は鑑定をお願いしにやって来たのです!」

 

それを聞いて明らかに嫌そうな顔をする白夜叉。

 

「よりにもよって鑑定か。専門外どころか無関係も良いところなのだがの」

 

そう言って白夜叉は四人を観察する。

 

「どれどれ……うむ。四人とも素養が高いのはわかったが何とも言えん。おんしらはどの程度把握している?」

「企業秘密」

「右に同じ」

「以下同文」

「異議無し」

「うおおおぉい!?確かに対戦相手だった者にギフトを教えるのは気が引けるのかもしれんが、話が進まんだろ。」

「人に値札貼られるのは趣味じゃないんでな」

「俺は大体の力の起源もわかってる。今さらリスクを侵して自分の能力を晒す気はないの」

 

俺と十六夜の言葉に同意する後の二人

困った白夜叉だがピンッと妙案が浮かんだ。

 

「ふむ。試練をクリアした者達を只で追い返すのは主催者としての名折れ。贅沢だがコミュニティ復興の前祝いだ。」

 

白夜叉がパンパンと手を打つ。すると四人の前に光り輝くカードが一枚ずつ現れた。

 

コバルトブルーのカード

逆廻十六夜

ギフトネーム"正体不明コード・アンノウン"

 

ワインレッドのカード

久遠飛鳥

ギフトネーム"威光"

 

パールエメラルドのカード

春日部耀

ギフトネーム"生命の目録ゲノム・ツリー"

"ノーフォーマー"

 

シルバーのカード

六道九十九

ギフトネーム

仮面ライダーの魂

不確定な存在

仮面ライダークウガ

仮面ライダーアギト

仮面ライダーG3

仮面ライダーG3-X

仮面ライダーG3マイルド

仮面ライダーG4

仮面ライダーギルス

アナザーアギト

仮面ライダー龍騎

仮面ライダーナイト

仮面ライダーシザース

仮面ライダーゾルダ

仮面ライダーライア

仮面ライダーガイ

仮面ライダー王蛇

仮面ライダータイガ

仮面ライダーインペラー

仮面ライダーベルデ

仮面ライダーファム

仮面ライダーリュウガ

仮面ライダーオーディン

オルタナティブ

オルタナティブ・ゼロ

仮面ライダーアビス

仮面ライダー555

ライオトルパー

仮面ライダーカイザ

仮面ライダーデルタ

仮面ライダーオーガ

仮面ライダーサイガ

仮面ライダー剣

仮面ライダーカリス

仮面ライダーギャレン

仮面ライダーレンゲル

仮面ライダーラルク

仮面ライダーランス

仮面ライダーグレイブ

仮面ライダー響鬼

仮面ライダー威吹鬼

仮面ライダー轟鬼

仮面ライダー斬鬼

仮面ライダー弾鬼

仮面ライダー裁鬼

仮面ライダー鋭鬼

仮面ライダー朱鬼

仮面ライダー羽撃鬼

仮面ライダー西鬼

仮面ライダー煌鬼

仮面ライダー凍鬼

仮面ライダー歌舞鬼

仮面ライダーカブト

仮面ライダーガタック

仮面ライダーキックホッパー

仮面ライダーパンチホッパー

仮面ライダードレイク

仮面ライダーサソード

仮面ライダーザビー

仮面ライダーケタロス

仮面ライダーヘラクス

仮面ライダーコーカサス

ダークカブト

仮面ライダー電王

仮面ライダーゼロノス

仮面ライダーNEW電王

仮面ライダーガオウ

仮面ライダーネガ電王

仮面ライダー幽汽

仮面ライダーG電王

仮面ライダーキバ

仮面ライダーイクサ

仮面ライダーダークキバ

仮面ライダーサガ

仮面ライダーアーク

仮面ライダーレイ

仮面ライダーディケイド

仮面ライダーディエンド

仮面ライダーW

仮面ライダーアクセル

仮面ライダースカル

仮面ライダーエターナル

仮面ライダーロスト(ドライバー)

仮面ライダーOOO

仮面ライダーバース

プロトバース

仮面ライダーポセイドン

仮面ライダーアクア

仮面ライダーフォーゼ

仮面ライダーメテオ

仮面ライダーなでしこ

仮面ライダーウィザード

仮面ライダービースト

仮面ライダーメイジ

仮面ライダーワイズマン

仮面ライダーソーサラー

仮面ライダー鎧武

仮面ライダーバロン

仮面ライダー龍玄

仮面ライダー斬月

仮面ライダーグリドン

仮面ライダー黒影

仮面ライダーブラーボ

仮面ライダーナックル

仮面ライダー斬月・真

仮面ライダーシグルド

仮面ライダーデューク

仮面ライダーマリカ

仮面ライダー黒影・真

仮面ライダーマルス

仮面ライダー邪武

仮面ライダー武神・鎧武

仮面ライダーフィフティーン

仮面ライダー冠

仮面ライダードライブ

プロトドライブ

仮面ライダーマッハ

仮面ライダーチェイサー

ゴルドドライブ

仮面ライダールパン

ダークドライブ

仮面ライダーゴースト

仮面ライダーダークゴースト

仮面ライダースペクター

仮面ライダーゼロスペクター

仮面ライダーネクロム

仮面ライダーダークネクロムピンク

仮面ライダーハート

アマゾンΩ

アマゾンΣ

アマゾンαアマゾンNeo

仮面ライダーエグゼイド

仮面ライダーブレイブ

仮面ライダーゲンム

仮面ライダースナイプ

仮面ライダーレーザー

仮面ライダーパラドクス

 

 

かなりあるな…………そういえば転生するときまだ更新されるってあったが、これ以上増えるのか……どうするかな………

 

「ギフトカード!!」

「クリスマスカード?」

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「違います!なんでそんなに息揃ってるんですか!?まったく……これはギフトカードと言って、顕現しているギフトを収納出来る超高価なカードです!耀さんの“生命の目録”だって収納可能で、それも好きな時に顕現出来るのですよ!」

「つまり素敵アイテムって事か」

「……四次元ポケット?」

「だから何でそんな適当な反応なんですか!?あーもう、そうですよ!とても便利な超素敵アイテムですよ!」

 

春日部の奴美味いこと例えたな。まあそう言う俺も未来から来た青色のネコ型ロボットを思い浮かべたがな。

 

「我らの双女神の紋のように、本来ならコミュニティの名と旗も記されるのだが、おんしらは“ノーネーム”だからの。少々味気なくなってしまっておるが、文句は黒ウサギに言ってくれ。そのカードの正式名称は"ラプラスの紙片"と言い、全知の一端だ。本人との魂と繋がれるため、ほとんどのギフトはその正体がわかるぞ」

「へえ、じゃあ俺の場合はレアケースってわけだ」

 

そう言って十六夜はカードに書かれた文字を見直す。

 

「?ちと貸してくれ……"正体不明"だと?どういうことだ………?」

(ギフトの無効?しかし、それだけではラプラスが何かしら答えを出すはず……)

 

白夜叉が十六夜のギフトに考えを巡らせているようだ。

 

「ま、良いじゃねーか。そんなことよりも俺は未だに謎のツクモのギフトが知りてーしな。」

「ハイ!黒ウサギも興味があるのです」

 

一度思考を止めた白夜叉と黒ウサギも俺に興味を向けた。

 

「俺のか?まあ白夜叉以外になら見せても良いが」

 

そう言って、俺は白夜叉以外に自分のカードを見せた。ちなみに白夜叉は少しいじけていた。

 

「なんだこのバカみたいな量は!?」

「Yes,黒ウサギもこれほどの量は殆ど見たことが無いのです」

「視てて目が疲れそうね」

「これって……」

「もういいだろ、白夜叉いじけてないでさっさと喧嘩しようぜ!」

 

いじけて座り込んでいた白夜叉は踵を返し立ち上がり自信満々の笑みでこちらを見た。

 

「そうじゃの、私もそろそろ退屈していたころじゃ。始めるとしよう私達のケンカを!」




疲れた……

ギフトネームの所のライダー紹介で抜けてるところがあるなと思った方は、お知らせください早急に直します
キバ―ラもというお声もありますが、あえて入れないことにします

感想、お気に入り登録、評価等々よろしくお願いします。


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第7話 転生ライダーと和装ロリが勝負するようですよ?

この話は二話に続きます


「もういいだろ、白夜叉いじけてないでさっさと喧嘩しようぜ!」

 

いじけて座り込んでいた白夜叉は踵を返し立ち上がり自信満々の笑みでこちらを見た。

 

「そうじゃの、私もそろそろ退屈していたころじゃ。始めるとしよう私達のケンカを!」

 

白夜叉が叫ぶと空中からギアスロールが降ってきた。それを手に取るとそこにはやはりこれからのゲームについて書かれていた。

 

 

『ギフトゲーム名"夜叉との聖戦"

 

 

 プレイヤー側

 

 

 六道九十九

 

 

 ・クリア条件

 白夜叉に参ったと言わせる。

 もしくは気絶させる。

 

 ・敗北条件

 プレイヤーが降参、もしくは気を失う。

 上記を満たせなくなった場合

 

 

 宣誓 誇りと御旗と主催者の名の下にギフトゲームを開催します。

 "サウザントアイズ"印』

 

「了解した。つまりあんたを殺さず倒せばいいんだな」

「ずいぶんな自信家じゃのう小僧?」

「当たり前だろ、自信を持たなきゃ勝てる勝負も勝てやしねえ。それに、さっきまで春日部が頑張ってくれてたんだ俺も頑張んなじゃいけねえだろ」

 

俺はそう言いながら極ロックシードを取り出し白夜叉に突き出した。が、俺の体にまるで何かが入ったような異変があった。髪も一部だけ赤くなっていた。

 

「俺、参上!!やっと喧嘩か、それならこのモモタロス様に任せな!」

 

するとまた俺の中に何かが入るような異変が起きた。

 

「先輩じゃ女の子の相手は無理でしょ、ここはこの僕に任せといてよ」

「うるせえエロ亀!てめえはナンパしたいだけだろうが!」

「いいや、ここは俺に任せとき!」

「僕がやる!僕だって戦いたい!」

「いいや、私がやろう。たまには肩慣らしをしておかなくては腕が鈍ってしまう」

「まあまあ、ここは順番にみんな仲良く……」

 

髪色は上から青、赤、黄、紫、白、緑と変わっていった。だが俺は怒号を挙げそれらを振り払った。

 

「うるせえぞてめえら!これは俺の喧嘩だ、黙ってみてろ!………悪かったな白夜叉邪魔が入った」

「構わん、そろそろ始めようか」

 

俺はその言葉に笑みを浮かべた。

 

「ああ、てめえら見てろ。これが、これからは俺のステージだ!」

 

             フルーツバスケット!

 

~sid off~

 

極ロックシードから音声が鳴ると、九十九の隣にヘルヘイムの木が一本生えた。そこら何とリンゴのような形をした黄金の果実が生み出された。

 

「そ、それは⁉」

「黄金の果実。この世界の住人なら知っているだろ」

「黄金の果実?なにそれ?」

 

九十九と白夜叉のやり取りを聞いていた、飛鳥はその単語に首を傾げた。

 

「黄金の果実、様々な神話があるが主に黄金の果実はギリシア神話内にたびたび登場する。

 中でも有名なのはヘラの果樹園「ヘスペリデスの園」に生えているとされるもので、これをラードーンが守っているとされた。ヘラクレスは十二の冒険の中の11番目の冒険でこれを取って来い早い話が「とっとと死ね」と命令され、アトラスの協力を経てこれを持ってくることに成功した。

 ちなみに、ラードーンは林檎を奪われたものの、実績を労われてりゅう座になった。

 食べれば不老不死になるとされ、トロイア戦争の引き金ともなったほか、女狩人アタランテの伝説にも登場する。

 そのほか、北欧神話にも黄金の林檎は登場する」

「十六夜さんは意外と博識なのですね」

「うん意外」

「確かに」

「にゃ~」

 

十六夜は三人と一匹の言葉に「ヤハハ!」と笑いスルーした。

 

「それで、それをどうするのじゃ?」

「それ、答える必要のある質問か?」

 

九十九は黄金の果実を齧り全てを食べ終えると、九十九の身体が強く光り始めた。「うおおおお!」とうなりを上げると、光が収まるころには九十九の髪は金髪になり服装は今までとは違い、純白で神々しい姿に変わっていた。

 

「貴様、その姿は……」

「始まりの男、何て呼ばれるらしい。残念ながら始まりの女がいねえから新しい命を産むことは出来ないが、ちょっとやそっとじゃあやられやしねえよ」

「そう………か!」

 

白夜叉は持っていた扇子を九十九に叩き付けた。だが九十九は余裕の笑みでそれを腕で受け止めた。

 

「言ったろここからは俺のステージだってよ!戦極ドライバー!」

 

九十九が戦極ドライバーを呼び寄せると、腰に巻かれた。

 

                 カチドキ!

 

                 ロックオン!

 

               ブォ~ブォ~ブォ~ブォ~

 

 

ベルトから音声が鳴り始めると、カチドキロックシードの左側に新たに施された鍵穴のジョイントに「ロックルート」を装填した。

 

                 ロックオープン!

 

九十九の頭上に複数のアームズが出現した。

 

                 極アームズ!

 

その複数のアームズ一つになり、一瞬カチドキアームズを纏うとそれがはじけ飛んだ。そのまま一緒に白夜叉もはじけ飛んだ。

 

               大・大・大・大・大将軍!!

 

カチドキアームズの下には、まるで織田信長所用の南蛮甲冑を思わせるような甲冑を纏っていた。

 

 

「それがお主の全力か?」

「全力と言えば全力だ。だが、このスタイルはまだ使ったことが無い力加減が出来るなんて思うなよ。いくぞ白夜叉ぁぁぁぁぁあああああ!」

 

                大橙丸!

                ブドウ龍砲!

 

九十九は大橙丸とブドウ龍砲を召喚すると、両手に取りブドウ龍砲で牽制しつつ大橙丸で一気に接近した。扇子と大橙丸が交わる度に金属音のような音が鳴り、ブドウ龍砲の銃声が鳴る。

 

「あまり頭に乗るではないぞ小僧!」

 

白夜叉が叫ぶと頭上に複数の大砲のような物が現れた。扇子を九十九に向け「放て!」と叫ぶと大砲は無数の砲弾が九十九に放たれた。誰もが直撃を覚悟したが、九十九は極ロックシードを動かした。

 

               ソニックアロー!

               パインアイアン !

               イチゴクナイ !

               バナスピアー!

               マンゴパニッシャー !

               キウイ撃輪 !

               ドンカチ!

               影松!

               影松・真!

               ドリノコ!

 

九十九は複数の武器を召喚しほとんどの砲弾を受ける子が出来たが、幾つか砲弾が九十九に向かってきた。当然九十九は極ロックシードを動かした。

 

               メロンディフェンダー!

 

メロンディフェンダーを手に取り、残りの砲弾を受け止めたがそれでもやはりその反動で後方に下がってしまった。

 

(強い……!流石東側最強の階層支配者。どうするか………仕方ないあれをやるか!)

 

九十九は極ロックシードを更に二度動かした。

 

               火縄大橙DJ銃!

               無双セイバー!

 

九十九は召喚した火縄大橙DJ銃と無双セイバーを合体させ、更に合体させた無双セイバーの持ち手部分に大橙丸を合体させた。それは大剣から巨大な薙刀へ姿を変えた。火縄大橙DJ銃のドライブベイにオレンジロックシードを無双セイバーのドライブベイに極ロックシードを取り付けトリガーを引いた。

 

               ロックオン!

               極みパワー!

               極チャージ!

 

(まずいな…あれをもろに喰らえばさすがの私でさえ……ならば!)

 

                イチ!

 

白夜叉は九十九が力をためている間に走り出した。

 

                ジュウ!

 

白夜叉は止まっている九十九に先ほどのように砲弾の雨を降らせたり、

 

                ヒャク!

 

扇子での攻撃や蹴り攻撃を与えるが九十九は微動だにして動こうとはしなかった。

 

                セン!

 

                マン!

 

                オク!

 

                チョウ!

 

                無量大数!!

 

「火縄大橙無双スライサアアアアアアアァァァァァァ!」

 

火縄大橙DJ銃ナギナタモードを右回りでまずは大橙丸の斬撃で白夜叉は拘束されすると、そのまま横に一線その後縦に一線を加え、十字になった斬撃はオレンジの球体に拘束されながらその攻撃を喰らった。直撃した瞬間、白夜叉は大爆発が起こった。

 

「やったの?」

「分からない……」

『にゃ~…』

 

飛鳥と耀はその光景を見ていた。自分たちには未知の領域だった。足は竦み爆発が起こるまで喋ることは出来なかった……だが、黒ウサギと十六夜は今だに一言も言葉を発しはしなかった。

九十九が緊張が解かれロックシードもエネルギーが無くなり、変身が解かれると一人の幼女の声がした。

 

「もう終わりか小僧?」

 

声のした方つまり上空だった。様々所に切り傷を負いはしているがまだ余裕はありそうな様子だった。

 

「マジかよあれでやられねえのかよ…!」

「舐めるなよ、これでも東側最強の階層支配者じゃ」

 

九十九は考えていた。こいつをどうやって倒すのかを……そう、諦めていないのだ。それどころか九十九は笑っていた。

 

(笑み……じゃ…と……!?私は奴の必殺技を受けても、まだ倒れておらんというのに……)

(さて、どうしたものか…今のは鎧武としての俺の最大級の技だ。どうする…どうやってあの元魔王、白夜と夜叉の王を……白夜…夜叉……!一か八かやってみるか!)

 

九十九はゆっくりと立ち上がりそのまま両手を広げた。そして一言言い放った。

 

「さあ、検索を始めよう」




いかがだったでしょうか?
対白夜叉戦という事であのライダーが出るのでは!なんて思った方も多いと思いますが、今回はここまで!また次回をお楽しみに!

この小説が面白い!次回も読みたいと思う方は感想、お気に入り登録、評価等々よろしくお願いします。

追記
出してほしい平成ライダーがいれば作者へのメッセージまで


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第8話 転生ライダーと和装ロリが決着するようですよ?

ようやく決着です


「さあ、検索を始めよう」

 

そう言って九十九は目を閉じ星の本棚に入った。だがそれを見ていた白夜叉は頬が吊り上がり、余裕の笑顔とかではなく完全にキレている様子だった。

 

「貴様…余裕の態度を取るのは構わんが、元とはいえ魔王を舐めるとはいい度胸じゃその根性叩き直してやろう!」

 

白夜叉は先ほどの倍以上の砲弾を九十九に放った。九十九は砲弾が放たれてもその場を動かず、全ての球が着弾した。

 

「九十九君!」

「九十九!」

「九十九さん!」

 

三人は九十九の名前を呼び三人は駆け寄ろうとしたが、それを十六夜が止めた。

 

「どうして止めるのよ十六夜くん!」

「そうですよ十六夜さん!」

「うんうん」

『にゃー』

 

その言葉を聞くと、十六夜はにやりと笑った。

 

「あの野郎がそう簡単にくたばると思うか?よく見てみろよ」

 

着弾した黒煙が上がると、その黒煙から一気に巨大な火柱が上がった。

 

「あれは?!」

「九十九?」

「十六夜さん?!」

「言ったろあいつはそう簡単にくたばるわけねえって」

 

九十九のその姿は仮面ライダーアギトバーニングフォームだった。その炎は太陽というには余りにも荒々しく、戦士というには余りにも不安定だ。

白夜叉は不安ではあるが何発か砲弾を放つが、九十九が拳や蹴りで全弾防いだ。

九十九は炎を落ち着かせるように、深く深呼吸をした。

 

「隙だらけじゃぞ小僧!」

 

白夜叉は九十九に助走をつけ上空に飛び上り、そのまま蹴りを喰らわせようとするが九十九の紅色の装甲にはヒビが入り激しい光に包まれると、その光に驚いた白夜叉は蹴りを止め、地上に降りる後方に下がりつつ扇子を広げ様子を見ることにした。九十九の装甲は紅色だった胸部装甲は銀色の装甲になり手甲や脚甲も紅色がほとんどだったが、アンダースーツや銀色の装甲がほとんどになった。仮面ライダーアギトシャイニングフォーム。バーニングフォームとは違い、太陽のように暖かくその姿はまさしく戦士だった。

九十九は腰に手を当てると、ベルトから薙刀の様な武器シャイニングカリバーを取り出した。取り出したシャイニングカリバーの柄を両手で持ち分離させツインモードにし白夜叉に構えた。白夜叉は広げていた扇子を閉じ、扇子を棍棒に変え構えた。二人の闘気が波動の様にぶつかり合うと、地表にはヒビが入りそのヒビはまるでこのゲーム版を割るかの如くだった。そのヒビは山まで到達し山の瓦礫が崩れるのと同時に二人は駆け出し、双剣と棍棒は交わった。激しい金属音が白夜の中鳴り響いた、何度も何度も何度も…

だが、ついに決着の時は訪れた。九十九は腰を落としゆっくりと息を吐くとシャイニングカリバーは炎を纏い九十九は一気に駆け出した。

 

「シャイニングクラァァァァッシュ!」

 

シャイニングカリバーを素早く白夜叉に切りつけ様とするが、白夜叉は棍棒で防いだ。だが、完璧には防ぎきることは出来ず幾つかの切り傷を貰いつつ、後方に吹き飛ばされた。吹き飛ばされた白夜叉は体制を崩し、地面に倒れ込んでしまった。九十九はその一瞬の隙を見逃しはしなかった。九十九が構えると足元にはアギトの巨大な紋章が浮き上がり、何枚ものうっすらとしたオーラの様な巨大な紋章は白夜叉の前に何枚も出現した。九十九は白夜叉に向け助走をつけ勢い良く蹴りを繰り出した。

 

「シャイニングライダァァァァキィィィィクゥゥゥゥ!」

 

九十九の蹴りは何枚もの紋章を潜り白夜叉にトドメを与えようとしていた。だが、白夜叉はすぐに体制を立て直し棍棒で防御した。

 

「うおおおおおぉぉぉぉぉ!」

「うおおおおおぉぉぉぉぉ!」

 

二人の攻撃と防御は拮抗した。しかし、九十九の貫通力が勝っていたのか白夜叉の棍棒を粉砕した。だが、棍棒を破壊するために勢いが失われたため、破壊した棍棒の破片を蹴り空中飛び出した。そこから回転しながら蹴りの体制に入るが、なぜかその両手にはしっかりとシャイニングカリバーが握られていた。

 

「シャイニングライダァァァァキィィィィクゥゥゥゥ!」

 

紋章は浮き出ていなかったが、白夜叉は蹴りに備え両手でガードの構えをとっていたが、九十九は蹴りはせずシャイニングカリバーに炎を纏わせ回転の勢いを加え白夜叉に斬りかかった。

 

「って、キックじゃねえのかあああぁぁぁ!」

 

九十九の完全に不意打ちともいえるシンプルな攻撃に対応できずもろに喰らってしまい、白夜叉は爆発そのまま気絶した。九十九はダラッと腕を下すのと同時に変身が解けると「勝った…」と言い残して気絶した。九十九は完全燃焼だったが、十六夜たちはその姿を白い目で見ていた。

 

「キックじゃねえだろあれ」

「キックじゃないわね」

「うん、キックじゃなかった」

「にゃー」

 

 

そんな三人と一匹の反応を見て苦笑していた黒ウサギは、ジンに肘で腋を突っつかれると思いだしたかのように倒れている二人の前に立ち九十九に向かって手を挙げた。

 

「ギフトゲーム“夜叉との聖戦”勝者ノーネーム六道九十九さんです!」

 

こうして六道九十九は二度目のギフトゲームに勝利したのだった。

 

~九十九sid~

 

俺は目が覚めるとサウザンドアイズに向かう時に歩いていた道を十六夜に背居られながら歩いていた。今はそんなことを考える余裕がないくらい疲れている。流石に神様パワー使いながら何度もライダーの力を使うのはしんどいか…俺が目を覚まし「あ~…」みたいな呻き声を上げると十六夜はこちらを振り向き「起きたか?」と笑いながら聞いてきた。他のみんなも俺の顔を覗き込んできた。

 

「死んではいないみたいね」

「よかった」

「ホントですよ!今回は生きて更に勝てたからいい様なものですが、いつもいつもこうなるとは限らないんですよ!」

 

黒ウサギは髪の色が青色から緋色へと変わるほど説教をしてきた。まあ心配かけたのは悪かったか…

 

「心配かけて悪かったよ。反省はしている、自重するつもりはない」

「うわ~ん、やっぱり九十九様もおバカ様です~!」

 

黒ウサギはけっこうマジ泣きしながら耳を傾けていた。あれは取り敢えず放っておくことにしておこう。

 

「ところで俺が気絶している間に白夜叉のやつ何か言ってなかったか?」

「ええ、言ってたわよ。次に戦う時は負けないって言ってたわよ」

「それから、これから九十九にピッタリな仕事があったら紹介するとも、それから歩けるようならこれを使うといいって」

 

春日部がそう言ってギフトカードから、何の変哲もないただの木の棒を取り出すと俺に手渡してくれた。俺は木の棒を受け取り「よっこらしょ」と少しジジイ臭い決まり文句を言いながら十六夜の背を降りた。

木の棒に体重を預けながら歩いていると、春日部がいきなり質問してきた。

 

「ところで聞いてみたかったんだけど、九十九が使ってた力って特撮の仮面ライダーの力だよね?確か平成ライダーって分類される」

「春日部、知ってたのか?」

「うん、私の居た時代にはもう無かったけど映像は残っていたから子供には人気」

 

そういえば春日部の本にちらっと書いてあったな。春日部の世界では確かもう特撮番組仮面ライダーはもう無かったんだっけ?理由は詳しく調べてないから分からないが、まあ喋ってくれるようなら後で聞いてみることにするか。

 

「その仮面ライダーってのは何なんだ?」

「私も思ったわ、というか特撮って何?」

 

ああ確か十六夜の世界には無かったんだっけか、それに久遠の世界はどちらかと言うと戦前に近い世界と書かれてあったな。まあそれなら仕方ないか。

 

「特撮ってのは簡単に言うと「特殊撮影」の略で、模型やコンピュータ映像を用いて通常の撮影では得られない映像をつくり出すことを言う。それで仮面ライダーっていうのは様々機械や不思議パワーで変身(姿を変え)、悪の秘密結社とか地球を狙う奴らとかと戦う正義の味方の事だ。まあ、俺は正義の味方なんて物とは縁遠い人間だけどな」

 

その後、俺たちは何故か俺の能力や先ほどの戦いの話を中心に、話しながらジンと黒ウサギの案内でノーネームの本拠地に向かったのだった。




はい、というわけで今回の話はここまで。
ええ、まあ、皆さんの言いたいことは分かりますよ。ジョジョネタ使うとか言いながら、別アニメネタを使うんですから……
申し訳ないと思ってますが反省する気はありません!

え~、前回のあとがきに追加したのですがもう一度言います。使って欲しいライダーがあれば、私自身にメッセージを下さい。その後そのライダーを使うかどうか考えたいと思います。

それでは次回もお楽しみに!感想、お気に入り登録、評価等々よろしくお願いします。


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第9話 問題児たちが本拠地に着いたそうですよ

お気に入り登録者100人越えありがとうございます。

それでは本編どうぞ


俺たちは駄弁りながら歩いていると、大きな砦の様な門の前に黒ウサギとジンは足を止めた。

 

「ここが、僕たちノーネームの現状です」

 

俺たちはそれを目にすると言葉を失った。そこは大きな大地に枯れた木々、枯れ果てた土に門は所々崩れ蜘蛛の巣も張られている。そして建物らしき遺跡のような物も…一言で言うならその土地はもう死んでいた。

 

「これが魔王に滅ぼされたノーネームの……」

「おい黒ウサギ、魔王とのギフトゲームがあったのは何百年前の話だ?」

「わずか三年前の話です」

「それは怪奇的だ。軽く見積もっても二百年は経っているんだがな…」

「しかし、魔王の力なら不思議ではありません」

「魔王の力っか…」

 

十六夜はニヤリと笑うと、鼻で笑いながら手に持っていた風化したレンガを握りつぶした。

 

「いいぜ、いいぜ良いなぁおい!想像以上に面白そうじゃねえか!」

 

確かに十六夜の言う通りこれほどの力を持った奴は面白い俺もそう思う。だが、どんなに本棚を調べても魔王の名もノーネームの名も旗印も分からない。というよりも、それを検索をかけると警報のような物が鳴り響き本棚が揺れ、俺自身が追い出される始末だ。やはり魔王は自身の事を検索できないようブロックをかけることが出来るようだ。それが、意識的でも無意識的でも…

俺が考え込んでいると、ジンが俺を呼んだ。

 

「あの九十九さん、一つお願いがあるのですがいいですか?」

「なんだジン?」

「九十九さんの神域の力ならばこの土地を蘇らせることが出来るんじゃあないですか?」

 

ジンが突拍子も無い事を言うと、黒ウサギの耳がピコン!と言う擬音なりそうな勢いで耳を伸ばすと「そうですよ!」と俺に近寄ってきた。

 

「九十九さんの力ならばこの土地を、いいえ命を作り出すことが出来るほどの強大な力、どうかノーネームの復興にお力添えを…」

「だが断る!」

 

俺は黒ウサギが頼み込む前にはっきりとお断りすると、久遠が不機嫌な顔でこちらに近寄ってきた。

 

「ちょっと、貴方もここで暮らすならせめて自分の力で出来ることくらいやったらどうなの!」

「出来ないから断ったんだが俺は?」

「「「「え?」」」」

 

ジンや黒ウサギ、久遠にプラスなぜか春日部が首を傾げた。

 

「俺の力の名は"始まりの男"命を生み出すには後は何が必要だと思う?」

「"始まりの女”エバだろ」

 

十六夜は軽くどや顔で答えた。俺は「ああ」と答えた。

 

「"始まりの男"アダム"始まりの女"エバこの二人が揃わなければ命を生み出すことは不可能だ。それに、本棚の情報が正しければ特殊な木を生やすことは出来るが、それを食べた奴は化け物になるし正直言ってかなりおすすめは出来ないがどうする?」

「申し訳ありません、遠慮させていただくのです……」

 

俺たちはその後ノーネーム所属の子供たちと初対面すると、いきなりの約百二十名キッズたちのあいさつ…鼓膜が可笑しくなるかと思った……

その後、死んだ土地に俺が取ってきた永果樹の苗を植えると、そこから根が生え大きくなると枝から林檎やみかん、バナナ等の様々な果実が生り子供たちは大喜びした。そして最後に十六夜が取ってきた水樹の苗をダム中央に置くと苗から大量の水が溢れ出し、一気にダムは水でいっぱいになった。

 

「すごい、これが水樹の力…」

 

久遠の言うとおりだ。流石に一気にこれだけの量の水を出すとは驚いた。神の力を宿す恩恵というだけはあって正しくこの力は偉大だ。

 

「これだけの水が有れば、もう生活水に困ることはない。それに、これだけの量生活以外にも使えるギフトゲームに参加しなくても着実にコミュニティを大きくすることが出来る」

 

俺たちはダムから離れ、さっき子供たちと顔合わせした広場まで出ると俺は一つ思いだした。十六夜たちに顔合わせしなければならない奴らの事を…

 

「みんな少し良いか?」

「構いませんが?」

「どうしたの改まって?」

 

みんなが俺が呼び止めると案の定、疑惑の目でこちらを見ているが特に動揺する必要はないか。

 

「白夜叉との戦いの際に俺の体を乗っ取られた感じだったろ?そいつらを紹介してやりたくてな構わないか?」

「へ~面白い奴らなんだろうな?」

「多少は紳士的な人がいればいいのだけど」

「楽しみだね三毛猫、本物だよきっと」

「にゃ~」

「黒ウサギ…」

「ま、任せてくださいジン坊ちゃん」

 

黒ウサギは何故か意気込みながらこちらに向かってきた。

 

「あの~九十九さんつかぬ事をお聞きしますが、その九十九さん言う方々は何名様ほど……」

「ああ、紹介するのは9人。でも別にここに住まわせるわけじゃあないからそこら辺は安心してくれ、たぶんこれから声くらいは聞くことになるだろうし、もしかしたら力になってくれるかもしれないからな」

 

俺はデンライナーパスを手に取り空に掲げると「ブオォ~~」と汽車の汽笛音が聞こえると、空の空間が歪みが生じるとそこからレールが敷かれそこから白を基調にした赤い線が引かれた新幹線の様な列車が走ってくると、俺たちの目の前で止まると電車の中からスーツを着たオーナーが出てきた。

 

「これはこれは九十九君ご招待ありがとうございます」

「お礼を言うのはこちらですよオーナー、それであいつらは?」

「ええ、もちろん彼らも…」

 

オーナーがモモタロスたちを紹介しようとすると、何故かジャンプして空中で何回転すると俺とオーナーの間にモモタロスが着地した。

 

「異世界でも俺、参上!」

 

モモタロスはいつものノリとテンション、そして決めポーズで登場すると次々と他の奴らも出てきた。

 

「先輩、気持ちは分かるけどもうちょっと落ち着いて行動したら?身内として恥ずかしいから」

「モモの字には落ち着きが足らんはな」

「え~でもここ何もないけど九十九の言う通り本当にここ楽しい場所なの?」

「ふ、私が居ればそれで充分であろう」

「まあまあ皆、落ち着いてせっかく招待してくれたんだから。おお、子供たちこれ飴ちゃんどうぞ」

「全くですデネブの言う通りです」

 

順にウラタロス、キンタロス、リュウタロス、ジーク、デネブ、テディが降りてきた。デネブは降りてくるとそうそうに120人近くの子供たちに飴を与えていた。

俺はモモタロスたちを何とか整列させ、ノーネームのみんなに紹介することにした。

 

「それじゃあこっちの赤いのはモモタロス。基本バカだから気をつけて」

「誰が赤だ!つうか馬鹿とは何だ馬鹿とは!」

「こっちの青いのはウラタロス。趣味はナンパ、特技は噓を吐くこと」

「ちょっと九十九、もう少し好印象なこと言ってよ」

「こいつはキンタロス。基本的に寝てるか筋トレをしている」

「よろしゅう頼む…」

「イエーイ!僕リュウタロスよろしく~!」

 

キンタロスが自己紹介の途中で、リュウタロスが割り込んできた。まあ、キンタロスはこんな役柄だよな。

 

「リュウタロスは少し子供っぽいところがあるから気を付けてくれ。そんでもってこっちの緑色の奴がデネブ、基本的にオカン気質だから頼みごとがあったら頼ると言い」

「あ、どうもデネブです。これからも九十九をよろしくお願いします、これ飴です良かったらどうぞ」

「こっちの偉そうで白いのはジーク、基本的に偉そうで腹が立つから気を付けてくれ」

「降臨、満を持して」

 

ジークは相も変わらず偉そうな態度をとるし、デネブは相変わらずオカンだが気にせずに紹介を続けることにした。

 

「最後のこの青っぽい奴はテディ、こいつらの中で一、ニを争うほどのまともな奴だ。何か相談事があったら話してみると言い、話くらいなら聞いてくれる」

「どうもテディです」

「そして、最後にこのスーツを着たおっさんは後ろの列車デンライナーのオーナー本名は知らない」

「どうもどうも、私がこの時の列車デンライナーのオーナーです。私のことはオーナーと呼んで下さい、ところで九十九君ここが異世界だとは分かりますが詳しい説明を要求してもよろしいかな?」

「ああ、もちろんです」

 

俺はオーナーにこの世界のこと、俺が所属しているコミュニティの現状そして未来に起こるであろう本棚と俺の予測を立てたコミュニティの未来をオーナーに話した。ちなみに後者はみんなに聞こえないように話した。

 

「それがあなたに話さなきゃならない事かな」

「そうですか分かりました。何か問題が起こった際には呼んで下さい。モモタロス君たちも力になってくれるでしょう」

 

俺たちはモモタロスたちの方を見ると、モモタロスは十六夜と意気投合し肩を組んでいる。ウラタロスは黒ウサギに久遠、それに春日部をナンパしようとするが軽くいなされていた。キンタロスは寝ており子供たちの遊具となっていた、リュウタロスは子供たちと一緒にキンタロス遊具で遊んでいた。ジークはどこからか持ってきたのか椅子に踏ん反り返りながら、確かリリとか言う狐耳の少女が紅茶を注いでいた。デネブはリュウタロスに巻き込まれながら遊んでいた。テディはみんなを止めるでもなく見守っていた。

 

「ところでオーナー、ナオミちゃんは居ないみたいですけど?」

「ええ、ナオミ君は週に一回の休暇です。彼女も人ですからねぇ休暇は必要なのです」

「そうですか、久しぶりに挨拶くらいしておこうと思ったんですがねぇ」

 

俺がオーナーと話していると、服の裾をクイクイと引っ張る感触がし振り向いてみるとそこにはジンが居た。

 

「彼がノーネームのリーダーのジン=ラッセル君ですか?」

「はい、ジンこの人はさっきも紹介した通り時の列車デンライナーのオーナーだ」

「は、初めましてジン=ラッセルです!よろしくお願いします!それで…その、一つお願いがあるのですが…」

「何でしょうか?私に出来ることであれば可能な限り努力してみますが?」

 

ジンは額に大粒の汗をかいていた。きっと緊張しているのだろう、何故ジンが汗をかいているのか想像は容易に出来る。きっとあれの事を頼むのだろう、オーナーも人が悪いノーネームの事情は話してあるのだから想像は用意だろうに…

 

「あの、オーナーさん僕たちを過去のノーネームが魔王に滅ぼされた3年前に連れて行って下さい!」

 

その言葉に誰もが動きを止めた。イマジンたちもノーネーム所属の他の面々も…ジンの放ったその言葉は誰しも理解できる言葉だ。3年前に連れていけそれは過去を変えたいという意味を持つ。

 

「一応お聞きしますが、それは3年前の時間に言って時間旅行がしたいという事ですか?」

「違います!3年前に行って死んだり居なくなったノーネームの仲間たちがバラバラにならないようにしたいんです!」

「ジン坊ちゃん……」

 

ジンの放った言葉は純粋だった、本当に純粋に昔の仲間たちを助けたいと思っている。だがそれはこの世で一番犯してはならない禁忌だ。

 

「それだけは出来ない相談ですよ、ジン=ラッセル君」

「なぜですか!?」

「はっ、簡単な事さ」

 

ジンとオーナーが話していると、そこに十六夜が割り込んできた。

 

「どういうことですか十六夜さん!」

「言ったろ簡単なことだって、例えばお前がさっき言った通り3年前に行って魔王を倒したり、お前たちの仲間を倒したとしようそうすればどうなると思う?」

「どうなるって、そりゃあ僕たちノーネームは名も旗も捨てずに済むし、それに仲間たちもバラバラにならなくても済みます!それの何がいけないんですか!」

「ジン君…」

 

ジンは声を荒げた。手を強く握りしめそこから数滴血が流れた。

 

「いけなくはありません。話によるとこの世界の魔王とは天災の様なものだというではないですか、確かに世界にとっては悪いことではありません」

「だったら!」

「ですが、そうした場合彼らはどうするのですか?」

 

オーナーが指さしたのは俺たちだった。オーナーが言いたいのはもし過去を変えてしまったら、俺たちがどうなるか分かっているのか、今バラバラになっている仲間たちを所有している周りの者たちの人生はどうなるのかとか…過去を改変するとはそういう事なのだ…

 

「その他にも、貴方の仲間たちと生活をしている者たちは?魔王を倒したとしてこの世界の情勢は?君はそれを分かった上でその覚悟があるのかい?」

「っ!」

 

オーナーのその言葉にジンは怯えた。いいや現実が理解出来た様だ、過去を変えたことのある神は居ない。記載もされていない、この世界つまり箱庭には居ない悪魔にも妖怪にも英雄にも居ない。そんなことが出来るものなど存在しないのだ。

 

「それに、過去を改変することは私達にとっても大罪です。まあ単なる時間旅行ならば私を頼ってくれても構いませんよ、それでは皆さん戻りますよ」

 

オーナーがそう言いながらデンライナーが乗ると、イマジンたちが「え~!」と文句を言いながらデンライナーに乗ると、デンライナーは行きと同じように汽笛音を鳴らしながらデンライナーは走り出し、宙に時空の歪みを作り走り去っていった。

 

「凄かった、本物のデンライナーが見られるなんて…」

 

春日部はなぜか目を輝かせていた。本当に仮面ライダーが好きなんだな…

 

「残念でしたねジン坊ちゃん」

「いいや、あの人の言うとおりだよ黒ウサギ。確かに仲間たちの現在や今の世界を変える覚悟なんて僕には無いよ…

 

さあ皆さん身体が冷えてしまいます。屋敷の中に入りましょう」

 

そう言ってジンの言う通り今日の色々の疲れを取ることにした。




どうだったでしょうか?
え~前回の話のあとがきに出して欲しいライダーがいればメッセージに下さいと、読者の皆様にお願いしたのですが、それら全て感想に送られてきました。これからはライダーの希望は私自身に直接メッセージを下さい。よろしくお願いします。

感想、お気に入り登録、評価等々よろしくお願いします。


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第10話 ゲーム準備のようですよ?

お気に入り登録100人以上ありがとうございます!これは読者の皆様のおかげです。

励ましや応援メッセージ待ってます。

今も尚出して欲しいライダーを募集しています。私のホームにメッセージを下さい、詳しい事は取扱説明書爛に載っている、ハズ……
なので、これから出して欲しいライダー希望の方は私自身にメッセージを下さい。


デンライナーを見送った俺たちは、ジンたちの案内で屋敷へと向かった。屋敷に向かった女性陣は真っ先にお風呂へ、そして俺たちはジンに屋敷内部を案内してもらっていた。

 

「それでこちらが大食堂、僕も皆さんも他のコミュニティのメンバーもこちらで食事を摂ります」

 

俺たちはへーほーと聞きながら歩いていた。

 

「二人とも聞いているんですか?」

「ああ、聞いてるぜ」

「なあ、ジン一つ聞いても良いか?」

 

俺が聞くと、ジンは「何ですか?」と聞き返し俺は質問してみることにした。

 

「うちのコミュニティにはこんなに遅い時間にやってくるような友人でもいるのか?」

「え?」

「やっぱ九十九も気づいてたか、それとも本棚で知ったか?」

「そりゃあ気配も消さずに堂々入ってこられたらな嫌でもわかるだろう」

「と、とにかく行ってみましょう!」

 

俺たちは屋敷の裏部分に向かった。そこは木々が生えている場所だその場には誰もいないように見えるが、草木に隠れてかなりの人数がそこに居るようだ。

 

「そこに居る奴らうちに何の用だ?今日はつかれているから、こちらとしてはさっさと休みたいのだが?」

 

俺は風に揺れる木々に向かって、話しかける。だが返事はなくそこは正しく何の変哲もない木々が広がっているだけだった。

 

「いいかげんにしろ………よっ!」

 

十六夜は軽いフォームからは考えられない出鱈目な爆音と共に、辺り一帯の木々もろとも隠れていた人影を吹き飛ばす。

 

「出鱈目なことすんなぁ……」

「お前にだけは言われたくねえよ」

 

俺たちはそんなやり取りをしていると、遅れてジンが走ってやって来た。

 

「御二人ともやはり……」

「ああ、侵入者だよ」

「例の“フォレス・ガロ”の連中じゃねえか?」

 

すると、空中からドサドサと瓦礫と黒い人影が落ちて山になった。

 

「なんという出鱈目な力だ…………蛇神を倒したというのは本当の話だったのか」

「ああ…………これならガルドの奴とのゲームに勝てるかもしれない…………!」

 

侵入者の視線に敵意らしいものは感じられなかった。それに気づき、十六夜は侵入者に話しかける。

 

「おお? 何だお前ら、人間じゃねえのか?」

「我々は人をベースにさまざまな“獣”のギフトを持つ者。しかしギフトの格が低いため、このような半端な変化しかできないのだ」

「へえ…………で、何か話しをしたくて襲わなかったんだろ? ほれ、さっさと話せ」

 

にこやかに話しかける十六夜。

侵入者はお互いに目配せをした後、意を決するように頭を下げ、

 

「恥を忍んで頼む! 魔王の傘下であるコミュニティ"フォレス・ガロ"を完膚なきまでに叩き潰していただけないでしょうか!!」

「嫌だね」

「だが断る」

 

彼らの決死の言葉を即答で断った。そして、俺たちの言葉に絶句し、固まる侵入者とジン。

 

「どうせお前らもガルドって奴に人質を取られている連中だろ?」

「それで、命令されて攫いに来たんだろ?」

「は、はい。そこまでお見通しとはだとは露知らずに失礼な真似を…………我々も人質を取られていて、逆らうこともできず」

「その人質もうこの世にいねえから。はいこの話題終了」

「―――…………なっ」

「十六夜さん!!」

 

ジンが慌てて十六夜に詰め寄った。しかし、十六夜は冷たい声音で接した。

 

「隠す必要はねえだろ?どうせすぐに知れることだ」

「それにしたって言い方というものがあるでしょう‼」

「気を使えってか? 冗談きついぞ御チビ様」

「そもそも殺された人質を攫ってきたのだってこいつ等なんだ。気を使う必要なんて皆無だ」

 

俺の言葉にはっとジンは振り返る。

こいつらは人質を救うために新たな人質をこの侵入者たちが攫ってきたというのならば、人質の大半は彼等が殺したと言っても過言じゃない。ならば、気を遣う必要性はどこにあるというのだろうか…

 

「そ、それでは本当に人質は…………」

「ガルドとか言うクソ猫は攫ったその日に殺していたそうだぞ?」

「そんな…………!」

 

侵入者は全員、その場に項垂れた。

ふっとある事を思いついた十六夜は、侵入者たちに話しかけた。

 

「お前ら、“フォレス・ガロ”とガルドが憎いか? 叩き潰されてほしいか?」

「あ、当たり前だ! 俺達がアイツのせいでどんな目にあってきたか…………!」

「そうかそうか。でもお前達にはそれをするだけの力を持たないと?」

 

十六夜が訊ねると唇を噛み死ねながら男たちは悔しがった。

 

「ア、アイツはあれでも魔王の傘下。ギフトの格も遥かに上だ。俺達がゲームに挑んでも勝てるはずがない! いや、万が一勝てても魔王に目を付けられたら……」

「その“魔王”を倒すためのコミュニティがあるとしたら?」

 

え? と顔を上げる男達に見える様に、十六夜はジンの肩を抱き寄せると、

 

「このジン坊ちゃんが、魔王を倒すためのコミュニティを作る(・・・・・・・・・・・・・・・・・)と言っているんだ」

「なっ!?」

 

侵入者一同含め、ジンでさえ驚愕した。

俺は十六夜のしようとしている事に気がついき、というか知っているし面白そうに成り行きを黙って見守っていることにした。

 

「俺達は魔王のコミュニティ、その参加も含めて全てのコミュニティを魔王の脅威から守る。そして守られるコミュニティは口をそろえてこういってくれ。“魔王関係で困ったことがあったら、まずはジン=ラッセルの下にお問い合わせください”」

「じょ、」

 

冗談でしょう!? と叫びそうになるジンの口を俺が塞いだ。

十六夜は腕を広げて大仰な口調で語る。

 

「人質の事は残念だったな。だが、安心していい。明日ジン=ラッセル率いるメンバーがお前達の仇を取ってくれる。その後の事も心配しなくていい! なぜなら俺達のジン=ラッセルが“魔王”を倒すために立ちあがったのだから!」

「おお…………!」

 

十六夜のその言葉に希望を見出す侵入者一同。俺は見てて笑いが込み上げそうだ。

 

「さあ、コミュニティに帰るんだ! そして仲間のコミュニティに言いふらせ! 俺達のジン=ラッセルが“魔王”を倒してくれると!」

「わ、わかった! 明日はがんばってくれジン坊ちゃん!」

「待っ…………」

 

ジンが叫ぶ前に、侵入者たちはあっという間に走り去ってしまった。

俺たちは屋敷に戻ると、ジンはかなり怒っていた。

 

「二人共どういうことですかさっきのは!あれじゃあまるで…」

「打倒全ての魔王とその関係者、お困りの方はジン=ラッセルまで。キャッチフレーズはこんなところか、どうだ九十九?」

「それも良いんだか、もうちょっとインパクトあるキャッチフレーズは無いか?」

「そういうお前は何か案は無いのかよ?」

「そうだな~……」

 

俺たちはこれからのノーネームのキャッチフレーズについて、頭を悩ませているとジンは更に顔をムッとさせた。

 

「ふざけないで下さい!そんな宣言が流布されたら、他の魔王にも目を付けられるかもしれないのに!」

「「そいつは大歓迎だ」」

 

俺たちが声を揃えると、ジンは更に頭に血を上らせた。あれじゃあ正常な判断は出来そうにないな。

 

「バカなことを言わないで下さい!今はギフトゲームを堅実にクリアし、コミュニティが力を付ける大事な時期です!これだけ才ある方々がそろえばどんなゲームにだって対応できます。なのに…なのに…」

 

こいつ……早くどうにかしないと……

 

「ホントに呆れた奴だなおチビ」

「ああ、やれやれだ」

 

十六夜は呆れ窓の外を眺め、俺はあまりのジンの馬鹿さ加減に呆れ両の手を挙げた。

 

「ギフトゲームで力をつけるのは大前提だろうが。肝心なのはどうやって魔王に勝つかだ」

「俺達には旗印も名も無い、組織を主張する旗頭が何もない状態だ」

 

俺たちのその言葉でジンはピクンと体が動いた。どうやら少しは今の状況が理解出来た様だ、思ったより賢いお子様だ。

 

 

「コミュニティの象徴たるものが何も無い、それはそうとうのハンデだ」

「だがジン=ラッセル、お前はそれを背負い先代を越えなければならない。言っている意味分かるよな?」

 

ジンは更にハッとし「先代を超える…」と呟いた。どうやら今おかれている状況が完全に理解できたらしい。

ジンがそのことに気が付くのを、見た俺たちは少し安堵した。十六夜は「ふっ」と鼻で笑い不敵な笑みを浮かべ、俺は椅子に座り本を読み始めることにした。

 

「で、名も旗も売るものが無いとなると、もうリーダーの名を売り込むしかないよな「ジン=ラッセル」って名前を」

「僕の名前を?!」

「当たり前だろジン=ラッセル。それもただのリーダーではなく、打倒魔王を掲げたリーダーなんだそいつが明日のゲームになれば良い宣伝になる。だろ十六夜?」

「ああ、その通りだ。そしてそいつに反応するのは魔王だけじゃあない、打倒魔王を掲げた奴らだ!今俺たちに足りねえのは人材だ、それも骨のある奴。最低でも俺か九十九の足元並みの奴らが欲しい」

「そうなれば何処かに消えたお前たちのお仲間よりは役に立つだろ?」

「「どうする?」」

 

俺たちは揃って聞くと、ジンはグッと拳を握ると小さく「まだ消えていません」と呟いた。と言っても聞こえていない訳ではない、俺と十六夜は「は?」聞き返すと更に続けた。まあ聞かなくても本棚でこれからの事を知っているから聞かなくてもいいんだが、というかそれ以前に知っているから本棚で調べる必要すらないのだが…

 

「仲間の一人はサウザンドアイズ傘下のとある幹部が所有しています」

「所有?奴隷みたいなもんか?」

「この世界では魔王のゲームに完全勝利した場合、魔王を隷属することが出来る。もちろんその逆だって可能だ、そのお仲間は魔王の隷属になってしまいサウザンドアイズ傘下コミュニティ"ペルセウス"に売られただろジン?」

「はい、その仲間は近々ギフトゲームの商品として売られることになったようです。昔の仲間がゲームの商品扱い…元魔王の肩書きを持っているのに…」

 

十六夜はジンの"元魔王”という言葉を聞くと、一層目を輝かせその笑みは不敵に笑った。

すると、パチンと暗がりで月夜に照らされた部屋に、電気という灯りがつくと扉から黒ウサギたちが入ってきた。

 

「御三方共如何(いかが)しましたか?」

「あ、あの、その…」

「もしかして何か揉めてるの?」

「な~に、男同士で熱く語らってただけさ」

 

十六夜がそう言うと、椅子に座っていた俺の襟を持ちジンの所まで連れていき、ジンと俺の肩を組んだ。

 

「なあ御チビ九十九?」

「は、はい」

「ふぅ、やれやれだ」

「ボーイズトーク?」

 

何か春日部の発言がボーイズラブ的な展開を想像されたらたまったもんではない。

 

「そう言えばお前ら明日のゲームなんだけど防御力ちゃんとあるのか?」

「それ、どういう意味かしら?」

 

俺が訊ねると、久遠はあからさまに不機嫌な顔をし春日部はムスッとしジンはビミョーな顔をしていた。

 

「だってお前ら、久遠のギフトは簡単に言うとどんな相手にでも命令し一時的に言うことを聞かせることが出来るだろ?(実際のところは違うみたいだが)春日部は友人になった動物の特徴を使うことが出来るんだろ?(こっちも真の力的なものはかなりすごいが)で、うちのリーダー様は確かに凄いギフトを持っているのかもしれないが、今はまだ使いこなすことが出来ないっと。それでお前ら攻撃が直接当たった時にどうやって致命傷を防ぐんだ?」

 

俺がハッキリとこいつらが自分の能力について理解している範囲で、現実を突きつけると三人とも膝をつき項垂れた。ふん、勝ったな……ではなく俺はまず戦極ドライバーとメロンロックシードをジンに渡した。

 

「こ、これは…」

「仮面ライダー斬月に変身するためのベルトとそのアイテムだ、これは俺が持っている中でかなりの防御力を誇る物だ。これからうちの広告塔になるリーダー様に怪我されたら堪ったものじゃあないからな」

 

ジンは「ありがとうございます」と言いベルトを押し付けた。次は久遠と春日部だが、あいつらには…あれを貸すか。

 

「お前等にはこれを」

 

項垂れている久遠と春日部に、俺はジュラルミンケースを取り出しそれを開けた。

 

「これ…何?」

「か、仮面ライダーWのロストドライバーとドライバー用のガイアメモリ…」

 

そう、久遠と春日部に今回というかこいつらに貸すのは初めてだが…貸すのは2つのロストドライバーとA~Yまでのガイアメモリだ。Ζが無いのはT2でないためだ。

 

「ドライバーは一人一つ、そしてこの中から好きなメモリを選ぶと良い」

「それじゃあ私はこれ」

「私は……これ!」

 

久遠はサラッと面白いものに決め、春日部は悩んだ末あのメモリに決めたのか、本当にこの世界は俺一人じゃあ考えられないことをやってのけるんだから、そこに痺れる憧れる!ってところだな、明日のゲームは原作と変わって面白い方向に進むことに期待だな。




今回は少しは頑張ってジョジョネタ入れてみました。

飛鳥と耀がどんなメモリを選んだかは次回からその次の回にでも、

感想、お気に入り登録、評価等々よろしくお願いします。

それでは次回もお楽しみに!


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