優美子「お願いヒキオ……あーしを抱いて」八幡「なっ!?」 (氷結アイスブリザード)
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前編

絶望した表情を浮かべながらおぼつかない足取りでフラフラと歩いている女性がいた

 

「…どうして……どうしてなの隼人………

隼人にとって…あーしはその程度の存在だったの…?」

 

大学三年の春あーしは隼人告白し、そして振られてしまった

高校時代から好きだった隼人に今までの気持ち伝えたかった

三年の後半、四年になれば就職活動で忙しくなって自由に会うのが難しくなる

それに大学卒業してしまえばますます会えなくなるかもしれない

そして勤務先で隼人が誰かと恋をしそのまま付き合ってしまう可能性だってある

 

そんなの嫌だ!だからあーしはそうなる前に覚悟を決めて隼人に告白した

後悔したくないから

今まで全ての想いを隼人にぶつけた

無限の可能性というのを信じて

でも隼人から返ってきた言葉は

 

『ごめん優美子…君とは付き合えない』

 

あーしが望んでいた未来予想図とは真逆のものだった

ショックのあまり体が震え涙が零れそうになる

振られる可能性を考えてなかったわけじゃない

それよりショックだったのはあーしが告白した時、隼人は表情一つ変えなかったこと

そして何より断り方がまるで用意されていたシナリオをそったようなものだったからだ

 

あーしは高校時代隼人が告白されたところを偶然目撃したことがある

その女は容姿は結構いいが私や隼人と何の関わりのないあまり目立たない女だった

その女が振られた時あーしはかなりホッとしたのは今も覚えてる

だけど忘れていた方がよかった…

 

あーしが振られた時の隼人の言葉とその女が断られた時の言葉はほとんど同じだったからだ

隼人にとってあーしはその女と同程度の存在に過ぎなかったと実感してしまったのだ…

 

あーしは隼人にとって他の女たちより特別だと思っていた

たとえ恋人に選んでもらわなくても親密度はかなりのものだと思っていた

どうして………あーしは長年隼人だけを想い続けてきたんだよ

なのに隼人にとってあーしはそこらへんの女程度の存在にしか思ってくれてなかった…

 

「あーしの今までの人生なんだったんだろう……これからのあーしの人生に価値なんてあるの…」

 

一途に想っていた長年のあーしの恋は相手の男には何の心の変化も与えるどこかなんとも思われてさえいなかった…

 

「それなのにずーと想い求めて…この年になって、いまだ処女のままだなんて…ほんとあーしバカみたい…」

 

好きだった…本当に好きだった

全てを捧げていいくらい好きだった…

あんなに一緒だったのに…

少しずつあーしの存在を隼人の心に刻みつけてきたつもりだったのに…あれだけ思い出を作ってきたのに

隼人には何の意味をもたなかったのだろうか

もしかして最初からあーしの気持ちに気づいていたのだろうか

だから今日のあーしの告白に驚きをせず冷静に断ることができた?

悲しげな表情を浮かべていたのもそれも仮面であったとしたら

 

「はは…だったらあーしどれだけ無駄な時間を……とんだピエロじゃん」

 

もっと早く気づくべきだった

あの雪ノ下雪乃がいた時の隼人の反応見ればいくらでも気づけたはずなのに

恋は盲目と聞くけどまさにあーしがそれだったのだろう

もっと早く気づいていれば今とは別の人生歩めたかもしれない

もうあの頃には戻れない

 

時間は待ってはくれない…握り締めても開いたと同時に離れていく

 

「痛い…胸が痛い………痛いよ隼人…張り裂けそうだよ…」

 

こんなに失恋がつらいものだったなんて……苦しい…苦しいよ

この痛み…誰か…けして…………いっそ…あーしを………だ…め…だ…

モウ……アタマノ……ナ…カ…………マッシロ…………ダ…

 

 

 

 

ここがどこなのかわからない

今どこを歩いているのもわからない

近くを歩いている人さえわからない

途中誰かにぶつかって怒られたし、もしかしたら途中車にひかれそうになっていたのかもしれない

もう何も考えられない

考えたくない

痛い…苦しい…つらい…もうどうにかなってしまいそう…

病院でもどこでもいい………この引き裂かれそうな心の痛みを消して欲しい…

 

「きみ、大丈夫かい?どこか痛い所でも」

 

誰かが声をかけてきたようだ

男か女なのか視界がぼやけてよくわからない

 

「具合が悪いなら病院かどこか連れていこうか?痛いの収まると思うよ」

 

よく聞き取れなかったけどこの痛みをなんとかしてくれるらしい

一刻早くこの痛みから解放されたい

その思ったあーしはそのままあーしは誰かに手を引かれていった

この後すぐ今のあーしの判断力が皆無だったと思い知ることになる

 

 

 

「い、いや!!なんするし!手を離せ!!」

 

「うるせえ!ノコノコついてきたくせに騒ぐじゃね!」

 

相手に腕を掴まれた腕の痛みで正気戻ったあーしがいた所はどこかの裏路地だった

どうやらこの男は傷心中で弱ったあーしのスキを狙って人気のない所に誘導して乱暴するのが目的だったらしい

冗談じゃない!誰がこんなゲスに体を許すもんか!

 

「痛いから離せし!あんたこんな事あーしにしてタダですむと思ってんの!」

 

「ゴチャゴチャいうんじゃねえ!てめえはおとなしく俺の言うこと聞いてりゃいいんだよ!殺すぞ!」ギラッ

 

「ひ、ひい!」

 

男がナイフを取り出し、あーしの首筋にそれを当てた

怖い…逆らったらあーしは殺されるかもしれない

血走った男の目が…男の歪んだ笑みが…好色と狂気に満ちた男の怒鳴り声が…

 

「へへ…おとなしくしてろよ!

そうしてりゃ殺しはしねーよ」ニタア~

 

「っ!」ゾクッ

 

殺しはしない…でも他の嫌がる事はされてしまうというの

いやだ…このなの…こんなのイヤだ!

 

「くくく…いい体してんな!これはかなり楽しめそうだ…」サワサワ

 

「い、いや!触んないで!」

 

「抵抗するなっていってんだろうが!」バシィ

 

「うう…」

 

ゲスな男に身体を触られ嫌悪感のあまり押しのけようとしたけど頬をはたかれてしまった

痛い、痛いよ…どうして…どうしてあーしがこんな目に

何をしたていうの

涙を流し静かになったことをいいことに男はあーしの服をナイフでビリビリと容赦なく引き裂いた

 

「おお!いいおっぱいしてんじゃねえか…これはたまらねえな」モミモミ

 

「…や、やめて…やめてよ…うう、触らないで」

 

弱々しく拒絶するも男はあーしのおっぱいを欲望のおもむくまま乱暴に夢中でもみしだく

あーしが痛がっていてもやめようとしてくれない

痛い…あーしの胸を汚い手で触んないで

誰か助けて…

隼人…

 

「もう我慢できねえ!今すぐ入れてやる!」

 

ウ、ウソでしょ…そんなあーしはまだ処女なのに…

こんな…こんな所でこんな奴に奪われるなんて…

 

「い、いやあああ!お願い!それだけは…それだけはやめて!」

 

「ジタバタするんじゃねえ!どうせヤリマンなんだろ!カマトトぶってんじゃねえ!このビッチが!」

 

ち、違う…あーしはあーしは…ビッチなんかじゃない……あーしは今まで一度も男に身体を許した事なんて無い

あーしは今まで隼人だけを想い続けてきて………

ああ…でもあーし振られたんだ…

隼人はあーしを助けに来てくれない…

あーしがこんな目にあっていることさえ知らない

もうどうにもならない…

絶望だ………

あーしは汚されてしまう

 

そう思ったその時だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「があっ!?」

 

ドサッ

 

「………えっ?」

 

突然、強姦魔が声をあげ地面に倒れたのだ

突然の出来事にあーしが戸惑っている時だった

あのどこか聞き覚えがある声が聞こえたのだ

 

「おい、あんた無事かケガはないか!?」

 

奇跡だ

どうやらあーしは間一髪の所を誰かに助けられたらしい

顔をあげるとそこには

 

「…ヒ、ヒキオ」

 

「なっ!?ま、まさかその呼び名……もしかして三浦か?」

 

そこには高校時代同じクラスであーしの親友結衣が想いを寄せていた目の腐ったあの男

ヒキオがいたのだ

どうやら驚いたのはあーしだけでなかったようでヒキオも相当驚いていたようだ

襲われていた女があーしとわかりヒキオはショックを隠しきれなかったのか悲しげな表情に変わり、気絶したクズ男を唇を噛んで睨みつけていた

ヒキオ意外と顔に出やすい奴だったんだ

 

「け、警察は他の奴に呼ぶようにいっておいた…もうすぐ駆けつけてくるはずだ…その前にこれ着とけ」

 

「えっ、きゃあ!!」

 

ヒキオをジャンバーを脱ぎ、そっぽ向きながらあーしに渡してきた

あーしは自分の今の姿を思い出し両手で体を思わず隠してしまう

慌ててヒキオからジャンバーを受け取り羽織る

 

「ど、どどどうしてここに?」

 

「…買い物帰りになんだか妙な声が聞こえてな気になって来てみたら誰かが襲われていたからスキをついて気絶させたんだ

……まさかおまえだったとは思いもしなかったがな」

 

「あーしもアンタに助けられるとは思ってなかった…」

 

心配そうな表情を浮かべながら、立てるか?と、そっと手を指し伸ばしたヒキオに恐る恐る手を伸ばし立たせてもらう

 

「でもどうやってコイツを気絶させたし?」

 

「スタンガンだ。最近この辺り物騒だと聞いたから小町に防犯のため持たせようと思って買ったものだ

あいつちょっと警戒心低いからな。そんなもの買うより新しい服買った方がいいといって買おうとしないから俺が今日買ったんだ…こんな形で使うとは想像してなかったが」

 

小町はたしか…結衣がいっていたヒキオの妹か

あーしもその妹の意見と同感だ。服を買った方が断然うれしいし、いざとなったら男なんて口で黙らせるつもりだった

防犯グッズなんていらないと思っていた

だけど実際はどうだ

今日あーしは危うくレイプされてしまうところだった

たまたまコイツが気づいて助けてくれなかったら今頃は…

 

「…グスッ、ありがとうヒキオ……ほんと…ありがとう…ウウ…あーしは………あーしは…」

 

「もう大丈夫だ三浦…つらかったな怖かっただろう…無事でほんとよかった…」ナデナデ

 

「うう…怖かったよヒキオ……あーしもうだめかっと思った……ヒグッ!誰も助けに来てくれないかっと思った…うわああああ!!!」

 

「…三浦」ナデナデ

 

 

 

あーしはヒキオに胸に抱きつき泣いた

人生で一番泣いた

ヒキオは優しく抱きしめて頭を撫でてくれた

暖かい…それにとても心地よかった。それになんだか甘い匂いがする

それが今のあーしにはとてもいい匂いだった

なんだか心が落ち着いていく

だけど安心してホッとしたとたんさっき受けた恐怖が脳裏に浮かんできて怖くなりヒキオに強くしがみついてしまう

 

「ど、どうした…どこか痛むのか?」

 

体を震わせ顔色の悪いあーしの様子に戸惑ったヒキオが気づかう

 

「お願い…あーしを離さないで…側にいて………」

 

おぞましい記憶があーしの心を蝕む

この温もりを心地よさを離したくない

それを失ったらあーしは…あーしの心はもう耐えられない…

 

 

(あのあと三浦は俺に抱きついて泣き続けていた…犯人が目を覚ます可能性を考えてベルトで拘束しようとしたが三浦が

『あーしを離さないで…お願い』と涙を浮かべながら袖を掴んできたら、ほっとけるわけなく警察が来るまで頭を撫でたり背中をさすったりぎゅっとしってやった)

 

八幡はここまで三浦を苦しめ、心を追い詰いつめ、人生を狂わせようとした犯罪者に怒りを覚えた

今の優美子には高校時代あった強気な態度は失われていた

まるで別人のように

駆けつけた警察官が八幡を犯人と思い込み取り押さえようとしたが優美子が半狂乱でそれを否定し、救世主だと訴えたため誤解は解け、犯人はそのまま連れて行かれ、八幡と優美子は事情聴取のため警察署に連れて行かれた

 

 

警察署

 

 

(俺と三浦は強姦未遂の事を警官に説明した。犯人が逮捕され安全な場所に来たから多少三浦も落ち着きを取り戻したが一向に俺のそばから手を離れなかった)

 

(あんなことがあったから仕方ないと思っていたが警官にまでビクついていたのはどこか普通ではないと俺は感じた)

 

事情聴取を終え警官が優美子を自宅まで送ろうと申し出たが驚くことに優美子は怯えながら断固拒否した

 

「三浦どうやって家に帰るつもりなんだ。親に迎えにきてもらうのか?」

 

あれほどの事件があったんだ。三浦は家族以外心を許せない状態なのだと八幡は思ったが

 

「………ヒキオの家に行きたい」

 

「なっ、なにいってんだおまえ!?」

 

優美子の言葉に驚きを隠せない

 

「ヒキオのそばから離れたくない…家に一人でいたくない」

 

涙を浮かべながら弱々しい声で袖を掴む優美子に八幡はそっと疑問を聞く

 

「お、親はどうしたんだ…一緒にすんでんだろ」

 

「ママたちは結婚25周年記念で旅行に行って家にいないし、今日の事いったらママたち慌てて戻ってきちゃうから、せっかくの夫婦水入らずをあーしのせいで台無しにしたくないし…」

 

「だ、だからってなぜ俺んちなんだ?由比ヶ浜や海老名さんの家とか…」

 

「まだ結衣たちにはこのこと言いたくない…絶対心配かけちゃうから、それに今ヒキオと離れるのが一番怖い」

 

(由比ヶ浜たちに心配かけたくないのはわかるがなんで俺の家なんだ?俺もいちおう男だぞ)

 

「あーしがワガママいっているのはわかってる。でも一人になるのが怖くて…つらくて…ヒキオの近くにいたい」ポロポロ

 

(こんなにボロボロな奴を一人きりの家に帰すなんてできねえよ…)

 

「…本当にそれでいいんだな?」

 

「…」コク

 

高校時代特に親しかったわけではないが今にも消えてしまいそうなほど弱々しい優美子を八幡は放っておくことができなかった

 

「わかった。うちには妹の小町がいるし多分不自由はしないだろ

由比ヶ浜たちにもしばらくだまとく」

 

「グスッ、ごめんヒキオ…迷惑ばかりかけてほんとありがとう…グスッ」

 

「気にすんな…悪いのはあの性犯罪者だ

お前は何も悪くない」

 

「決まったようだね君たちを家まで送ってやろう」

 

「っ!」ビクッ

 

「ありがとうございます」

 

「あの犯人の事は我々に任せてくれ余罪もまだまだありそうだ」

 

「お願いします」

 

優美子は警官の声にビクついていたが八幡が頭を下げて返事を返した

 

(あんな目にあったばかりなのに家族には隠し、我々に対してあの怯えよう……まさか今あの子がなっているのは…)

 

優美子の精神状態に感づいた警官

 

(おかしい…あの葉山好きの三浦が一度も葉山の名前を口に出さないなんて)

 

そして八幡もまた警官のように優美子の状態を薄々気づき始めた

 

こうして八幡と優美子はパトカーに乗せられ比企谷家に送られた

 

 

 

八幡のお家

 

「どうしてこんな時に…」

 

「ニャー」

 

家に帰ったら書き置きがあった

どうやら小町は友達のうちに今日お泊まりになるそうだ

両親は会社から今日は帰らないようだ

いるのはカマクラだけだ

 

「ヒキオどうしたの?」

 

いまだ震えながら八幡の身体から離さない優美子が尋ねる

 

「…今日小町友達の家に泊まるらしい

しかも両親も帰らないらしい」

 

「そうなんだ…ヒキオと二人きりか」

 

特に気にした様子のない優美子の態度に八幡は不思議に思った

 

「おまえ嫌じゃないのか?俺と二人きりなんて、あんなことあったばかりなのに」

 

「全然気にしないし。あーしを助けてくれたヒキオなら信用できるし、それにヒキオなら別に…」

 

「………」

 

嫌悪感どころかまんざらでもない様子の優美子の態度に動揺する八幡

警察署にいた時は犯人への怒り、優美子への思いやりなどで気にしてなかったが自宅で美少女と二人きり無防備にひっつき確実にD以上ありそうな大きな美乳を押しつけてくるのだ

高校時代いつも強気な態度していて内心獄炎の女王と思っていた相手がしおらしくなり弱々しく震えながら自分から離れようとしないのだ

それもかなりの信頼を寄せて

優美子が魅力高いのもあるが高校時代とあまりのギャップにさすがの理性の化物八幡も意識してしまうのも無理もないだろう

 

「と、とりあえず///おまえは風呂に入ってこい!少しは気分が落ち着くだろう」

 

「………」

 

タオルと着替えを用意しようと優美子から離れようとする八幡だが優美子は返事をせず、八幡の体を離そうとしない

 

「ど、どうした?場所ならすぐそこの…」

 

「ねえ…ヒキオ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーしと風呂に入って…」

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

八幡が優美子を助けたころ

 

どこかの喫茶店

 

小町「むむっ!」ビン

 

いろは「小町ちゃんどうしたの?」

 

小町「お兄ちゃんにフラグが建った気がする」

 

結衣「ええー」

 

さき「なんでわかるの?まさかそのアホ毛」

 

小町「フフフ」

 

陽乃「すごいね小町ちゃんのアホ毛まるで妖怪アンテナみたい」

 

雪乃「姉さん失礼よ」

 

留美(おい、キタロウ!

父さん妖気です…

想像しちゃった)

 

 




次回八幡と優美子がピーします
やる場所は風呂ではありませんベッドです
もうお風呂エッチは八陽18禁で二回投稿したのでかぶちゃうし
次回はエッチなシーン多めになるよ…投稿速度かなり遅いけど
今回説明できなかったとこは次回に
ちなみに八幡から甘い臭いしたのはマックスコーヒーでだよ

今日おまけ追記


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中編

今回短め
次回は文章多めにする予定
今回はつなぎでう


「一緒にお風呂入ってくんない」

 

「ちょ///」

 

優美子の爆弾発言で八幡は驚きを隠せなかった

なぜなら八幡は優美子には葉山という好きな男がいることをとっくに知ってる。それに陽乃と違ってこんな冗談をいう奴でないことをわかっているからだ

だから優美子の言葉は意外すぎた

 

「お、おまえ…気は確かか?」

 

「…うん、あーしはヒキオとお風呂入りたい」

 

「な、なんでだ?普通は恋人じゃない男と一緒に風呂に入りたがらないだろ?」

 

豊満な胸の感触と心地良い甘い香りとしおらしくなった優美子の態度に八幡はドキドキしながらそれを理性で押さえ込む

挙動不審になりながらかろうじて疑問を優美子に聞くと

 

「………怖いの…一人になりたくないの……あーしは…あーしは……」

 

体を震えながら涙を浮かべる優美子。

八幡のおかげで未遂に終わったとはいえ強姦されかけたのだ。

無理もないかもしれない…トラウマになってもおかしくないだろう

それに優美子は意外と打たれ弱い一面がある

大抵の相手は黙らせられるがそれが通用しない相手には逆に言い負かされ泣き出してしまうことだってある

夏合宿の雪乃の時がまさにそれだ

普段強気に者押ししないが境界ラインを超えるとあっさり心が折れてしまうのだ

 

「…気持ちはわかるがそれはまずいだろ?ここは家の中だし、何も危険はない…犯人も捕まった不安になることはないだろ」

 

「……それでも…それでも…ヒキオのそばにいたい…もう大丈夫だと頭ではわかっていても…あーしは………うう…」

 

泣き崩れる優美子。

その光景に見て八幡は自分の欲望のためだけに無関係である優美子の心を深く傷つけ人生を狂わそうとしたクズに怒りを覚える。

幼子のように震えながら自分にしがみついて泣く優美子に手を乗せ八幡は優しく撫でた

 

「……ヒキオ?」

 

「あっ、わりい!つい昔のくせで…」

 

幼いころの泣いていた小町慰めた時のくせでつい優美子の頭を撫でてしまった八幡は迂闊だったと慌てて手を離す

 

「あっ…」

 

思わず声を出してしまった優美子は八幡の手が離れて名残惜しく感じた自分に気がついた

頭を撫でられたのは親以外では初めてでそれに小学低学年の時以来だ

八幡の撫で方は優しく心地よく手慣れた様子で下心がなく思いやりを感じた

恐怖と絶望で弱っていた自分の心が徐々に落ち着いていく

 

「まつし」

 

「えっ?」

 

「もっと…あーしを撫でるし///」

 

「本気か?」

 

「うん…お願い」

 

お、おうっと八幡は答えながら恐る恐る優美子の頭に手を乗せ再び撫で始めた

 

「ありがとう…ヒキオ」

 

「まあ…これくらいはな…」

 

「ねえ、どうしてもあーしとお風呂には入ってくれないの?」

 

「…おまえ今の言葉俺じゃなかったら襲われているぞ

いくら精神的にまいっていても言葉を気をつけろよ」

 

「でも…」

 

「いくら理性の化物と言われた俺でもお前と風呂入って100%我慢できるという保障はない…せっかく未遂ですんだのに自分の大事な身体を危険に晒すな」

 

(ヒキオ…あーしのことこんなに気を使ってくれているんだ…)

 

八幡の優しさに優美子は傷ついた自分の心が温まっていくみたいだった

世の中には家に上げたとたん手を出す男や弱っている女性に関係をもとうとする男だっている

同じ大学の男も下心で近づいてくる男、打算や好感度アップを狙って親切に接しようとする者も少なくなかった

その行為には葉山が好きだった優美子にとってうっとおしいとしかいいようがなかった

そんな感情がない八幡には不快さを感じない…むしろ

 

(くそっ、なんで小町はこんな時にいないんだ!俺みたいなボッチに弱っている女を慰めるなんてほんとムリゲーだろう

けーちゃんとかぐらいの子なら幼い頃の小町で経験してるから対応できるのだが…)

 

八幡はあーしの頭を撫でながらこの状況を脱する方法がないか考えていた

肝心なときにここにいない小町に「八幡的にポイント低いぞ」内心愚痴っていた

そんな八幡の視界に映ったのは…

 

「そうか…おまえがいたんだ」

 

「ニャ?」

 

 

 

 

 

 

 

比企谷家の浴室

 

「ヒキオ…いる?」

 

「いるから安心しろ」

 

「ニャーオ」

 

八幡は脱衣所にいた。

八幡と風呂入りたがっていた優美子

八幡が思いついた妥協案がこれだ

八幡の変わりにカマクラに優美子の風呂場に入ってもらう

そしていつでも返事が返せるように脱衣所に八幡に待機する

 

(さっきは危なかった…)

 

それは脱衣所優美子が着替えている時だった

八幡は見ないよう背を向けたがそこに鏡があったのを忘れていたのだ

高校時代よりさらに大きく成長し、形がよく、先端がピンク色の張りのある美しくバスト

細くくびれたウエスト

引き締まった美尻に細くしなやかな長い美脚

実にバランスがいいメリハリがついたナイスバディだった

特殊な性癖でない限り一度は抱きたくなるようなけしからん肉体である

 

角度のせいで左側しか見えなかったが八幡の八幡が一瞬で16cmにメガ進化するには十分すぎた

目をつぶり前屈みになりながら理性心で煩悩を押さえ込む

視界がなくなると聴覚が研ぎ澄まされ衣服の脱ぐ音で想像力が高ぶらされ興奮が収まらなかった

 

「このネコ、風呂は嫌じゃないの?」

 

「カマクラは普通のネコと違って濡らされなければ浴室にいても平気なんだよ」

 

「ニャー」

 

「ふ~ん、ヒキオと一緒で変わっているし」

 

「ほっとけ」

 

テクテクと優美子の足元にやってくるカマクラ、やがて立ち止まって優美子を見つめる

 

「あーしは優美子っていうんだ。よろしくカマクラ」

 

「ニャオーン」

 

「へえ~なかなかかわいいじゃん血統書付き?」

 

「まあな」

 

「毛もフサフサしてるし」ナデナデ

 

優美子に撫でられて気持ち良さそうに目を細めるカマクラ

その様子に優美子気分がよくなり、いろんなとこをなでなでする

時々首をすりすりすりつけてきたりゴロゴロと気持ちいい声をあげるカマクラに優美子は満足げだ

カマクラも優美子を元気づけたいのか、いつものフンスッとした態度を出さず、サービス精神たっぷりだ

 

「ありがとねカマクラ。あーしを慰めてくれて…」

 

初対面である優美子の指先をペロペロとしてくれるカマクラに感謝の言葉をいう

 

「あーしさ、今日アンタの主人に助けられたんだ…」

 

 

(三浦のあの脅えよう…葉山や家族に連絡しない、それに警察官にまであの態度………やはり三浦は男性恐怖症になっているのか?)

 

 




次回こそ18禁の予定。
これ以外の二つの八優も完結させたい
最近グリムノーツのカーミラ育成いべんとととうぎじょうで忙しくてピクシブにssを投稿する時間がなかなか…
とうぎじょう、データで重くて強制終了してしまうからすごく困っている…
そのせいで負け扱いになり、連勝ボーナスがきれる…


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中編2

書いてる途中で予定していた話の流れじゃなくなったりして投稿できませんでした
ほんと八幡と優美子のラブシーンとか書いてしまってから投稿して最終回にしたかったけど、このままじゃいつ投稿できるかわからないので開き直って短いけど投稿することにしました
去年の下書きのまま投稿したから文が変かも




 

愛猫カマクラの力を借り、なんとか無事優美子と一緒に風呂に入る展開を回避することに成功した八幡

ちょっとしたアクシデントでボッキーになってしまったこともありはしたが彼の驚異的な理性心で優美子が上がる前に沈めていた

母親の着替えを着た優美子は風呂とカマクラのおかげか多少顔色がましになったようだ

風呂あげくで縦ロールのような横髪が今はストレートになり、化粧の落ちた優美子は普段と違った別の魅力を感じさせる

 

「少しは気が紛れたか?」

 

「うん…ありがと」

 

二人はリビングのソファーに座っているがほとんど密着した状態である

優美子は八幡の服を裾を掴んで離す気配がない

 

「…とりあえずこれ飲めよ」つマッ缶

 

「…うん」ゴクゴク

 

「甘……これすごく甘いだけど、ヒキオいつもこんなの飲んでんの?」

 

「ああ、人生苦いことだらけだからコーヒーくらいは甘くてもいいんじゃないかっと…な」

 

「………たしかにそうだね、今のあーしにはこれくらいいいかもね」

 

「………」

 

自虐的に言葉を漏らす優美子の笑みは儚く弱々しかった

だがマックスコーヒーは気に入ったようで残さず飲み干していた

 

「気に入ってなによりだ

晩飯は後で考えるとして部屋はとりあえず小町の部屋でも使ってくれ」

 

「………ヒキオと同じ部屋がいい」

 

「な、なにいってんだ…さすがにそれはまずいだろ」

 

「どうして?」

 

「ど、どうしてって…もっと警戒しろよ!

もし俺がお前が弱っているのをいいことに襲おうとしたり、体で払ってもらおうかっと迫ったりするような男だったらどうするんだよ!?」

 

八幡は赤面しながら優美子を必死に説得する

 

「それに小町の部屋はカギもかかるし安心だ

俺の部屋より広いし快適だ…だから」

 

「…ヒキオは……あーしのこと…嫌い?」ウルウル

 

「い、いや別に嫌いじゃねえけど…」

 

「それなら問題なくない…それに」

 

「本当にあーしを襲う気があるならわざわざ自分からあーしが襲われる危険性を話したり、妹の部屋をそんなにすすめたりしないし」

 

「………」

 

「ヒキオの家に来たいといったのも離れようとしないのもあーしから強引にしたことだし

それにこう見えてもあーし、あんたのこと信用してるし」

 

「…なぜだ?俺とおまえそんなに接点なかっただろ?」

 

八幡の疑問はもっともだ

高校時代直接会話したのも数えるほどしかないし、誰かの依頼が関わってなければ顔あわすこともなかった

それに卒業以来今日まで一度も会っていない…メールアドレスさえも知らない仲だ

いくらレイプ犯から助けたとはいえ自分の事を信用しすぎではないかと八幡は思った

 

「…高校卒業した日、結衣から聞かされたんだ

あんたが奉仕部でやってきたこと」

 

「!?」

 

「それだけじゃないし…車に引かれそうになった結衣んちの犬を命懸けで助けたのも聞いたし」

 

「………由比ヶ浜のやつ…余計なことを」

 

「高校の時はあんたが目立つの嫌がっていたことや修学旅行の事であーしたちのグループが気まずくならないよういわなかったみたいだけど

卒業したらもう大丈夫だろうと結衣が話してきた」

 

「…そうか」

 

「それでようやく納得したし、なぜ結衣があんたのことそんなに気に入っていたのか」

 

「…買いかぶりすぎだ」

 

「ヒキオ、あんたも妹から言われる前まで結衣が犬を助けた飼い主だって知らなかったんだってね」

 

「………」

 

「普通ならこの機会に仲良くなろうと家族からどんな名前だったか聞こうとするでしょ?

それにそのこと知った後、結衣に気遣わせたくないと思って遠ざけようとしたでしょ」

 

「………」

 

「結衣みたいなかわいい子を自分から遠ざけようとしていたヒキオが…

そんな相手の事を考えることができるあんたが…あーしのことをムリヤリ襲おうと考えてるなんて思えないんだけど」

 

「いや、たしかにそんな鬼畜なことするほど性根は腐ってねえけど…もし万が一俺の理性がリミットブレイクしたらどうすんだ!?それにおまえには葉山が…」

 

「…隼人」

 

(しまった……あの三浦が一度も葉山の名前を出さないからおかしいと思っていわなかったがやっぱり禁句だったのか!?)

 

八幡は今にも泣き出しそうな優美子の顔を見て自分の失言を後悔した

 




できれば次回でラブシーン書けたらいいな…


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カマクラの思いやりと温もり

俺ガイル最終巻のカマクラ賢くて素敵♪
ぬこおおおおお


「す、すまん…どうやら余計なこと聞いちまったみたいだな」

 

葉山の名を耳にした瞬間、優美子はあまりにはかなく今にも消えてしまいそうなほど彼女の瞳は生気を宿してなかった

体は小刻みに震え、目元には透明な雫がにじみ出ている

 

「ヒキオは何も悪くないし…高校時代のあーしの交友関係を考えれば…当然の疑問だし……」

 

「いや、俺の配慮が足りなかった…おまえからあいつの名前が出てこなかったことに違和感を感じていたのに…」

 

八幡は自分のコミュ力の無さに自己嫌悪した

優美子がおそらく男性恐怖症になっていることは感づいていたのに

未遂とはいえレイプされかけたのだ

彼女の心が深く傷つきもろくなっているのはあきらかだ

一歩対応を間違えば取り返しのつかない状況になるであろう

 

「ニャー」スリスリ

 

「カマクラ…」

 

弱りきっている優美子の美脚にすり寄ってきたのはカマクラだった

普段自分から甘えることがないカマクラがこうしているのはカマクラなりに優美子を元気づけようと思っての行動だろう

 

「カマクラもおまえのこと心配してるんだよ

三浦俺にはどうやって女性を慰めればいいのか経験値が圧倒的に不足していてわからねえ」

 

「だが俺もカマクラもおまえの味方だ

俺達にできることがあるなら何でも言ってくれ」

 

可能な限り優しく静かにそして伝わるようはっきり八幡は自分の気持ちを告げた

その偽りのない八幡の言葉、暖かい毛並みの感触に優美子の凍てついていた心が癒された

 

「ありがとう…ヒキオ、カマクラ…」

 

一人と一匹の思いやりに優美子は胸の奥がポワっと一瞬暖かくなった

先ほどまで流した悲しみの涙とは全く別の涙を零し、わずかに笑みを浮かべた

 

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

八幡が優美子を助けたころ(一話)

 

どこかの喫茶店

 

小町「むむっ!」ビン

 

いろは「小町ちゃんどうしたの?」

 

小町「お兄ちゃんにフラグが建った気がする」

 

結衣「ええー」

 

さき「なんでわかるの?まさかそのアホ毛」

 

小町「フフフ」

 

陽乃「すごいね小町ちゃんのアホ毛まるで妖怪アンテナみたい」

 

雪乃「姉さん失礼よ」

 

留美(おい、キタロウ!

父さん妖気です…

想像しちゃった)

 

 

続く

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

ブランク長くて思ったように書けない

文章を書く調子がいい時タイミングを来たとき書こうと思っていましたがずーっと来なくてあきらめて気合いで書きました

う~んどうも一話の書いた時のように文章が書けない

そのうち文字修正や加筆して書き直すと思います

モチベーションと調子がてないから気合いで書いて。

ストーリーは決まっていても気合いじゃ限界がある



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