戦国恋姫 盲目のサムライ (一日三食MEN)
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プロローグ 最強の漢との決着・・・。

 そこは当たり一面草原・・・いや、元草原だったという方が正しい。何故なら今立っているのが草じゃなく、土だからだ。いったいどうしてこうなったのか?

 

 その場にドシャと音を立てて、地面に倒れた男がいた。その男は、爽やかな青年のような顔立ちをしているが、その顔や体にはたくさんの切られた傷痕があった。両手に二本の刀を持ち、服も十か所以上切られていて隠されていた彼の傷だらけの体が見え隠れしていた。

 

 そして、その青年の前には一人の男がいた。少しひげを生やし目の色が紅く、目つきが少し怖い印象だ。ぱっと見は三十代に見えるその男も傷だらけだった。一メートル近くある刀を地面に刺して杖代わりにして、かろうじて立っていたが青年が倒れたのを見て安心したのか。

 

 「負けだな、俺の・・・」

 

 そう呟いて彼も倒れた。

 

 

 この世界ではある大きな戦いがあり、その中でこの二人は必ず戦う約束をしていて時々会ってはこうして対決をしていた。その約束とは、今倒れている青年が目の前にいる最強の漢に勝つものであり、漢もまたその戦いを受けて立っていた。今回は十回目ということもあり、普段は二人ぐらいしかいないギャラリーもそれなりに多かった。九戦全敗だった青年が初めて勝利をつかむかもしれなかった瞬間は、先に地面に倒れたことにより先送りとなってしまった。

 

 倒れた二人をギャラリー達は、近くにある漢の家に運んだ。すぐに手当てをすると、二人から寝息が聞こえてほっとした。今回の戦いは激しさと意気込みが違っていて、今までは青年は挑んでいくが漢に返り討ち。というパターンだった。

 一応、万が一の時は体を張って止めよう。という考えを持ってギャラリー達は見ていた。そうでもしないと二人は止まりそうもないことは仲間でもある彼らがよく知っていたからこそ、二人とも無事で彼らは心底ほっとしていた。

 

 青年を客間で寝かせて、紅い目の漢は自室に寝かせた。家の隣には漢の妻が団子屋をやっており、仲間達はそっちに行って戦いの感想を話し合った。青年が寝ている客間には彼らの荷物があり、旅支度が入っている布袋だったり、皆の得物だったり、何種類もの薬を入れている肩掛けのついた大きな木箱だったりいろいろだ。

 

 その荷物の一部に光が出ていた。この光は二人が戦っている時から光っていたが弱弱しかったので誰も気づかなかった。青年と漢の得物がここに置かれた時にそれが強くなった。

 その光が強くなっていき、ついには団子屋にいた皆が気づくほどになった。慌てて、皆で二人の様子を見に行くと漢は変わらず寝ていたが、青年の姿と一本の刀がなくなっていた。必死になって周辺を調べたが、結局見つからなかった。

 

 

 

 この時まだ誰も気づかなかったが、ある荷物の鏡が光っていた。

 



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正月特別企画 王様ゲーム! 織田家編

 
 あけおめ!一日遅れの正月企画スタートです!

 ユーチューブ見て思いつきました!

 注意・今回のこれは本章の世界観は完全無視してください。キャラ崩壊しますがまったく気にしないでください。あくまでバカ小説として見てください。


 

 「王様げーむ?何だそれは」

 アキラが久遠にあるゲームの事を言った。それは言った通り王様ゲームである。四聖天時代によくやっていたゲームだ。でもその時は、敵を一番多く倒した者が王様となって負けた者全てが命令を聞くという遊び方だった。

 姉弟でもそういう遊びをしていた庵樹から正しい遊び方を聞いてだまされていたことにやっと気づいたアキラだった。その時ほど、わざと違う説明をした灯と梵を叩きのめそうと思ったことはなかった。因みにほたるも同じように騙されていたが、あまりの運の良さに負けてもうまく逃げれたり、うまい事王様になったりしたので特に文句はなかったという。

 

 「これはこの木の棒に一つだけ赤いしるしがありますよね」

 「ああ、これがなんだというのだ?」

 「そして、この筒状の箱にこれらを入れて全員で一斉に引いてその棒を引いたものが王様。つまりその時だけ久遠よりも偉い立場になり、その者がほかの棒に書かれている数字を持ったものに命令ができるゲームです」

 「我よりも偉くなれるだと!」

 「そうです。例えば、三番が二番と抱き合いなさい。とか一番が四番に好きと言いなさい。とかそういう命令ができます・・・しかも、その命令は撤回ができない。つまりどんな命令も絶対!にやらないといけないのです」

 「ど、ど、ど、どんな命令も」

 「絶対~!これは楽しそう~」

 「うわ~、雛ちゃんの目が輝いている」

 アキラの説明に目を輝かせた雛。ワクワクと言った空気が目にも見えるくらいに楽しそうだ。

 「因みに、命にかかわるような命令はなしですよ。例えば、壬月さんと和奏がガチで戦うとか」

 「ふむ、それも考えていたのだが・・・」

 「やめてあげてくださいね。せいぜい五割くらいで戦ってあげてください」

 「それでも十分に死にかけますよ!」

 麦穂の言葉に突っ込んだ和奏。

 「かかか!遊べると聞いて評定の間に来たが面白そうじゃのう!」

 「ああ!俺だったら一緒に鬼退治ついでに戦わせろ!だな!」

 「あの~二人とも、アキラ君の説明聞いてた~?」

 「雛ちゃん。諦めなよ。この二人は死ななければ問題ない。と思っているくらいだと思うから」

 和奏達三若は必然的にこう思った。この二人だけは絶対に王様にならないでくださいと。

 「うふふ、さあ。どんな命令をしようかしら」

 この王様ゲームの参加者はアキラ・久遠・結菜・壬月・麦穂・和奏・雛・犬子に今回の趣旨を聞いてやってきた桐琴と小夜叉だ。織田勢で遊ぶことにしたのだが、アキラ隊の皆まで入れると人数がオーバーになってしまうので、今回は外すことにした。

 「では、全員で十人ですね。ちょっと待ってください(からから)よし、混ぜました。これでどれが当たりかは私も分かりません。王様だーれだ!と言って引きます。そその後で、王様になった人は手を挙げてください。そして、全員でなければ何人でもいいので命令してその時に引いた番号の人はその命令を絶対に行うこと。いいですね」

 「「「「「おう!」」」」」

 「じゃあ、始めますよ」

 全員円状に座った。不思議と緊張した空気に全員がゴクリの息をのんだ。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「・・・やった~~!犬子だ~~!」

 最初に引いたのは犬子だった。

 「く!犬子か」「でも、ちょっと安心ね」「ああ、そう無茶は言わないだろう」

 「(*´σー`)エヘヘ~。じゃあ、二番と六番が七番をこれで叩く!」

 そう言って犬子が取り出したのははりせんだった。

 「じゃあ、それぞれ名乗り上げてください。因みに私は五番なので違います」

 「あら?私が二番ね」「結菜様が二番ですか。ボクが六番です」

 「・・・我が七番だ」

 何と、七番は久遠だった。

 「あら久遠だったの?ふふふ、災難ね~」

 「ええええええ!ででで、でっきませんよ!」

 和奏は全力で拒否をするが「この王様げーむではこの棒を持つ王様の命令は?」とアキラに言われてしぶしぶ受け入れる。

 「かかか!まさか家臣に叩かれるところを見れるとは面白いのう!」

 「なるほど。これは少しこの遊戯をバカにしていたな」

 「ええ、私達があれを受けていたのかもしれないと思うと」

 ぱ~ん!といういい音が聞こえた。

 「く~~!次だ!次いくぞ!」

 頭を押さえて涙目になりながら、さっさとやれ!と言ってきた。

 「分かりました・・・では」

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「よっしゃあ~~!俺だ!」

 『『『終わった・・・さようなら人生』』』

 引いたのは小夜叉だった。この時点で三若は既に現世への別れの挨拶をとしていた。

 「それじゃあ!一番と四番は俺と戦え!もちろんガチでだ!」

 「ほう~~。クソガキ、いい度胸だ」

 「ふむ、小夜叉とガチはそう言えばあまりなかったな。それは楽しみだ」

 「・・・・・・え?」

 どうやら一番が桐琴で四番が壬月だったようだ。さすがに、この最凶二人と戦うのはさすがの小夜叉でも厳しいのか呆然としていた。

 『『『ありがとう神様!』』』

 こっちはこっちでガチで神様に感謝していた。

 「さあ、いこうかのう。ふふふ、クソガキ。お前の望み通りガチで闘ってやる」

 「ああ、王様の命令は絶対だったな」

 「ちょ、ちょ、ちょ!あ、あ、アキラ!」

 「まあ、一つだけ言えることがあるとすれば・・・自業自得です」

 アキラからの助けもない。完全孤立状態になった。

 「かかか、壬月と二人でクソガキボコりか。楽しみじゃ!」

 「五臓六腑、久々に全力で使うか!」

 もはや、二人の笑みが悪魔の笑みに見えたのは全員一緒だった。

 「あああああああ!ヘルプミ~」

 桐琴に引きずられ、小夜叉が退場していった。

 

 「ふ~、中々楽しかったな。さて、まだまだ楽しみはこれからじゃ」

 「ああ、腕も結構上げていたな。皆の者、待たせてすまなかった」

 本当に楽しそうな顔で戻ってきた二人。桐琴の手にはぼろ雑巾と書いて小夜叉と読む人物が握られていた。

 「大丈夫ですか・・・」

 だが反応がない。完全に気を失っているようだ。

 「どうする、小夜叉が退場「私がやる」・・・分かりました」

 何故か各務が隣にいた。いつの間に、というツッコミは放棄して、小夜叉の代わりに彼女がバトンタッチすることになった。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「あら、私ね」「ゆ、結菜・・・」

 嬉しそうに王様の棒を持つ結菜に久遠は怖れていた。

 「そうね~。じゃあ二番と八番と九番は上を脱いで」

 「「「「「は?」」」」」

 「そして、五番に自分の胸を見せる」

 「・・・・・・結ちゃん、いじめですか?」

 アキラは五番の棒を上げる。

 「命令は絶対よね~~。さあ、残りも手を挙げて」

 「ど、どうしましょう。あ、あ、アキラ殿に!」

 「各務、面白いのう!」

 「うん。アキラ、じっと見ていい」

 どうやら、胸に自信のある麦穂・桐琴・各務が選ばれたようだ。

 「アキラ・・・(ゴゴゴゴゴ)」

 「じゃ、じゃあ・・・うう恥ずかしい気持ちでいっぱいです」

 「ほれ!遠慮せず触ってもいいぞ!」

 「むしろ、ずっとやって」

 「あの、ですね。さすがに、妻の」

 久遠はおろか、それなりにある結菜よりもおおきい桃・・・いやメロンが目の前に六つ。さすがのアキラも動揺する。因みにこのメンバーの中でナンバーワンの壬月はスイカだ。

 「じれったいのう!」

 「ずるい!」

 「うう!もうどうにでもなれです!」

 三人が上半身だけ脱いで桐琴が顔に、各務が背中に、やけになった麦穂が胸に、それぞれ自分の胸を押し付けた。

 「ほれほれ。おっぱいは気持ちいいじゃろう~」

 「アキラ、どう?」

 「あ、熱く、私の。あそこ」

 「つつつつつ、次です!終わりです、終わり!」

 何とか意識をしっかり持って終わりを告げて、ゲームを再開した。

 『あ、危なかった・・・もしもう少し続けていたら』

 「落ち着け・・・落ち着くんだ」

 久遠が静かに怒っているのが分かる。

 『す、スタンドが見える!ってスタンドって何ですか!』

 そんな彼女を見て、心で一人ボケツッコミをしたアキラだった。

 

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「・・・やった!我だ!我が王様だ!」

 そうしている間にも再開され、久遠が王様になった。

 「ふふふ!見せてやる!これが王様の力というものを!五番と八番は接吻しろ!とてもとても熱く濃厚なやつをな!」

 「・・・何故でしょう。呪われているのでしょうか?」

 「ええええ!雛、困っちゃう!!」

 「・・・え?」

 五番はアキラで八番は雛だった。久遠はてっきりアキラ以外の皆の中で選ばれると思ったが、完全に予想外だった。

 「いきますよ」「う、うん」

 放心状態の為止める間もなく、二人は接吻した。しかも。

 「「くちゅ、ちゅちゅ、ごく、あ、んくちゃ」」

 命令通り、恋人がするような接吻をこれでもかというくらいやった。

 「うわ~~、羨ましい!」

 「うん・・・犬子もしてほしい」

 「あは、( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 「む、麦穂!正気に戻れ!」

 「ほう~。これはこれは」

 「アキラ・・・各務にもやってほしい」

 「あんな接吻、私してもらってない!」

 「うううう~~我は・・・なんてことを言ってしまったんだ!」

 数分後に唇が離れた。だが、雛はアキラから離れようとしなかった。

 「アキラ君・・・雛」

 「「「「「すと~~~~っぷ!」」」」」

 もう一度やろうとした雛を慌ててアキラから離した。

 

 「え~~、で、では、最後にしましょう」

 「えへへ~。アキラ君と、アキラ君と~~」

 「ううう!アキラ!」

 「諦めなさい久遠。それに、あなたがああしろと言ったのよ」

 雛の蕩け具合にギロ!とアキラを見るが、結菜の言う通りの為文句が言えなかった。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「・・・ほほう!私だな」

 「「「ええええ!」」」

 最後は壬月だった。その笑顔に思わず全員で叫んだ。

 「では、四番以外の全員が・・・四番に全裸を見せる!」

 「「「「「な!」」」」」

 何ともとんでもない命令だった。さっきは三人が胸を見せて押し付けたが今度は一人を除いて全員が全裸だった。

 「まさか・・・見えたのですか?」

 「ああ、でも見てはダメという決まりはないだろう?」

 どうやら、棒を抜いた際にこっそりアキラの数字(四)を見たみたいだ。

 「さあ!王様の命令は絶対だ!やってもらおうか!」

 

 その後、評定の間で血だまりに倒れる嬉しそうなアキラの姿が発見された。そのアキラの姿を、たまたま用事があってやってきたひよが発見した。現場にいた皆に話を聞いても、壬月と桐琴は(・∀・)ニヤニヤしており、結菜と各務は嬉しそうにしており、残りの皆は真っ赤になって俯き、さらに小夜叉がボロボロになって気絶中。全くと言っていいほどどうなっているのか分からないため。アキラ大出血事件は迷宮入りになりそうになったところを事情を聴いた名探偵詩乃の活躍により解決。だが・・・

 

 「さあ、アキラ様。今度はアキラ隊でやってもらいますよ!」

 

 そう、事件はまだ終わっていなかった。

 




 以上!正月特別企画でした!

 どうです!このような皆も悪くないでしょう!

 アキラ隊編も足利・松平・浅井のもやろうと思ってます!

 でも、いつになるかな・・・


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200件特別小説 王様ゲームPART2 アキラ隊+足利+浅井夫婦

 
 こんばんは!三MENです。

 遂に200件突破しました!本当にありがとうございます!

 王様ゲーム第二弾です!

 ただ、アキラ隊は全員出ません・・・出ないキャラは次回です。


 

 「アキラ様、準備はいいですね。答えは聞かないですが」

 「聞いてください・・・はあ」

 溜息を吐いて周囲を見るアキラ。目の前には詩乃がアキラの腕を掴んでいる。

 「お頭に命令・・・何にしよう」

 「いっそうの事、今夜二人っきりで・・・」

 「アキラ様・・・さあ、詩乃を・・・好きに」

 「ハニーと、ハニーと!ハニーと!」

 「アキラ様と・・・二人っきり」

 そして、今いるメンバーはひよにころ、詩乃に梅に雫の五人に

 「フフフ、主様と王様げーむか!主様と子作りでもやろうかのう」

 「だ、旦那様と子作り!・・・とても心惹かれます!」

 「まさか、いつもとは逆に公方様に命令ができる機会が来るとは!」

 「く、公方様とまさか遊ぶなんて!」

 「まこっちゃん、落ち着いて!」

 一葉に双葉、そして幽に真琴と市だ。以上十人がまるで自分を逃がさないように取り囲んでいる。

 「・・・何か不安なメンバーです」

 これから先の不安を抱えながら、アキラは二回目の王様ゲームをすることになった。

 

 「では、始めます・・・本当にやるのですね」

 もう無理とわかりつつも、最後の可能性を持って聞いた

 「当たり前じゃ!久遠や壬月とあれだけ楽しそうにしておいて!」

 「そうですぞ!私も一葉様の頭をたたきたいです!」

 「そうですわ!ハニーとあんなことやこんなことを!」

 もはや止めることは無理な段階にいるようだ。既に王様ゲーム用のあの棒を用意していた。

 「じゃあいくよ!せ~の」

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 市の開始の合図に、アキラ以外の皆が笑顔で棒を抜いた。

 「わ、わ、私ですか!」

 最初の王様は雫だった。彼女ならそんなに強烈な命令を出さない、と思っていたら。

 「で、では、四番と七番と九番は一枚脱いでください」

 そう思ったのに・・・雫も何だかんだで彼女らのアキラへの淫らなオーラにあてられていたようだ。

 「あれ?私だ」「あれ、ひよも?」「わ、私が!」

 最初に選ばれたのはひよにころ、そして双葉だった。アキラに見られている恥ずかしさを持ちながら脱ぐ三人。

 「むう、何故余じゃないのじゃ!」

 「ハニーでしたら、全部脱いで全てを見せてあげますのに・・・」

 「私もアキラ様には身も心も処女も捧げましたから(´艸`*)」

 もはやこっちの三人は命令しなくても脱ぐ勢いを持つくらい危なくなっていた。

 「つ、次、行くよ!」

 そんな彼女らを見て、冷や汗を流した市がすぐに進めた。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「ふ、ふふふふ、余じゃ!余が王様じゃ!さあ、いくぞ!」

 「危ない命令はやめてくださいよ・・・」

 「安心せい、三番と八番!お主らは余と一緒に一番を抱くぞ!」

 「・・・市、どうしよう。ぼく三番だ」「まこっちゃん。私も八番」

 どうやら浅井夫婦が当たったみたいだ。そして、肝心の一番は・・・

 「・・・某ですな」

 「・・・だにい!なんじゃと!どうして主様じゃないのじゃ!余にとって主様が、主様が一番なのに!」

 一番の棒を上げた幽。一葉はアキラだと完全に思っていたらしい。結局抱きしめるだけで終わった。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「わ、わわわ!私だよ!」「ひよ、よかったね!」

 ゲームも進み次の王様はひよだった。そして、命令は「えっと!三番が十番の肩をもむ!」だった。彼女らしい何とも平和な命令だった。

 「では、失礼します」「よ、よよよよ、よろしくお願いします!」

 三番はアキラで、十番は真琴だった。緊張して更に肩が固くなる真琴だったが、アキラの肩もみが始まるとどんどん力が抜けていった。

 「あ、アキラ様・・・あの、もうちょっと」

 「うわ~~、あんなにとろ~んとしたまこっちゃん、初めて見た」

 ただ、肩を揉む際に首筋あたりも結構触れていたが、そこが真琴の敏感なところだったらしく触られているうちに蕩けていった。

 「まさか、肩もみでここまで色っぽくなるとは新たな発見ですな」

 「次じゃ!今度こそ主様と思いっきり淫らなことをするぞ!」

 この一葉の言葉に「おう!」とアキラ隊五人は叫んだ。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「やった!やりましたわ!私ですわ!」

 「梅!わかっておるな!」

 「もちろんですわ!公方様!」

 梅が王様となった。この時点で不安が最高潮のアキラ。そして、出した命令は

 「八番以外の皆さんは全員上を脱いで、上半身を裸にしなさい!」

 前回の悪夢がよみがえる命令だった。

 「よくやったぞ!梅!褒めて遣わす!」

 「公方様!おほめに預かり光栄ですわ!」

 「「ほほほほほほ!」」

 牡丹が二輪盛大に大輪の花を咲かせた。

 「まあ、今回だけは牡丹さんのやり方に賛成しましょう」

 「よかったね!お兄ちゃん!市は八番だから脱げないけど」

 「市~~僕ははずかしいよ~~!」

 「・・・私も脱ぐのですね」

 「双葉様、某もです。まあ、愛する旦那様に自分の愛を見せると思えば」

 「あらあら、幽も旦那様に見てもらいたいのですね」

 「なあ!なにをおっしゃいます双葉様!そ、そのようなことは!」

 「ほらほら早く脱ぎましょう。一緒に旦那様に見てもらうために」

 「私もですか・・・まあ、いいですけど」

 そう、八番が市ということはアキラもまた脱ぐ対象だった。そして、市以外上半身裸となった。彼女らの大小さまざまなおっぱいに頭に血が上ったアキラだが、今回は前回の巨乳率の高かった織田家の裸を見ただけあって、無事だった。だが、彼女らの方はアキラの傷だらけで筋肉もあり引き締まっている体を見て蕩けまくっていた。

 「やっぱり、お頭の体って素敵です・・・(*´ω`)」

 「もう、身体見るだけで・・・疼いちゃう(#^.^#)」

 「ああ、もう、だめ・・・アキラ様(*''▽'')」

 「ハニー・・・抱いてください!(≧▽≦)」

 「梅さん落ち着いて・・・でも、わ、私も、私もお願いします!(◎_◎;)」

 「主様!・・・みよ!もう、下も(*´▽`*)」

 「お姉さま!・・・でも目が離せません!(@_@;)」

 「某も目が離せません・・・うう、これほどの肉体、もはや芸術ですぞ!(;゚Д゚)」

 「お兄様の体ってやっぱり素敵です・・・もう、どうなっても(?_?)」

 「ま、まこっちゃん!落ち着いて!」

 もはや市以外は欲情してしまい、アキラへの性欲が最高潮までいきかけていた。

 「・・・続けるのですか?」

 「「「「「もちろんです!」」」」」

 「・・・次で最後に「却下です!」・・・はい」

 壬月すらも後ずさりしそうな気迫ある顔で言う詩乃に、結局頷くしかなかった。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「ふっふっふ!ついに来ましたぞ!某が天下を治める時が!」

 幽が王様になった。心底嬉しそうに喜んでいた。

 「幽、家臣なら余に命令権をよこせ」

 「ふふふ、何をおっしゃいます!これほどのチャンス、断じて渡すわけにはいきません!」

 「どうしよう・・・この時だけ幽さんが牡丹に見えるよ」

 「まあ、牡丹の家臣なのですから・・・家臣も牡丹かと」

 「詩乃・・・それはちょっとひどいのでは?」

 「でも、うん。それは否定できないね」

 アキラ隊でひそひそ話しているうちに、幽の命令が出た。

 「では、二番は某と接吻をしてもらいましょうか」

 「・・・何故、分かったのです。見えないように隠してとったのに」

 「おい!幽!余に見せつける気か!」

 「ふふ、その通りでございます・・・では」

 二番のアキラと幽が接吻した。もちろん、彼女もちょっとアキラと口をつける程度の接吻にしようと思っていたが

 

 「ぐちゅ」「!!!」

 

 アキラが舌を入れてきたら状況は一変した。

 「ん、くちゅ、ちゅちゅ、ぺろ、ごく」「!!!(パンパンパン)」

 何とか離れようとするが、アキラの力の方が強く余計に強く抱きしめられた。

 「うわ~~、幽さんすっごい焦ってる」

 「そりゃ・・・軽い気持ちだっただろうし」

 「ううう、やってほしいです」

 「全くですわ!く~~、私もこの命令にすればよかった!」

 「うう、こっちの方が裸になるより・・・恥ずかしいかもです」

 「双葉よ・・・余はこれほどの敗北感は初めてじゃ!」

 「でも、これで幽も旦那様の妻になる決意を固めたと思います」

 「・・・すごい」

 「うん、でも、まこっちゃんはあれをしなくていいからね」

 熱の入ったキスに、皆の注目の的になっていることに余計に恥ずかしさを増した幽。三分ほどしてようやく離れた。

 「そ、そ、某・・・初めて心から自重しないとダメと気づきました」

 「幽、どうでした?接吻は?」

 「アキラ殿・・・うう!駄目ですダメです!またしてほしいと思うなんて!」

 彼女の中では、相当快楽に支配されてしまったのか。その顔はもう一回!と訴えているように見える。

 「幽。妻になるならいつでもしていいわよ。私もいつもしてもらいから」

 「双葉・・・よく言った!よし!幽よ、妻になれ!」

 「市、公方様ってすごく勢いがいいね」

 「妻になれって、まあ、市もお兄ちゃんの妻に勢いでなったようなものだし」

 力が抜けて立つことのできない幽。そんな彼女の顔はうつろな目になっていた。

 「ほらほら、そんな勢いで妻になれ何て「・・・なります」・・・は?」

 「アキラ殿、妻に、なりますので、どうか・・・先ほどの続きを」

 「・・・次で最後にします」

 もはや周りの視線などお構いなしで熱い視線を送る幽、アキラにできることは何とか見ないようにして王様ゲームを終わらせることだけだった。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「・・・私です」

 最後に一番要注意人物・詩乃が王様になってしまった。

 「では・・・最後はやはり」

 じっとアキラを見た。

 「アキラ様・・・私達を全員抱いてください」

 「ダメです・・・番号を言わないとそれは取り消しです」

 「・・・皆さん「「「「「おう!」」」」」な!ちょ、は、離しなさい!」

 いきなり詩乃の合図で皆がアキラに襲い掛かった。そして、番号の棒を取り出した。

 「私がそれをとるのは反則かもしれませんが・・・それ以外の周りの皆なら問題ありませんよね。ふふふふふふふふふふ」

 その最後の笑いはとても恐怖を生む笑いだった。

 「おおありです!駄目でむぐうう!」

 「ハニー!すいません!お詫びはこの体で返します!」

 文句を言わせないために、梅が口をふさいだ。

 「すいません・・・お兄様。僕達も、期待していますので」

 「市もだよ・・・さあ、詩乃。言って!」

 浅井の二人に抑えられ、ついに動けなくさせられた。

 「はい・・・では、私を含む全員は七番に抱かれましょう!」

 「「「「「おう!」」」」」

 「お頭!いきます!」

 「たっぷり愛してくださいね!」

 「アキラ様・・・見てください」

 「ハニー!私のおっぱい好きなだけどうぞ!」

 「わ、私は・・・お尻をどうぞ」

 「ふふふ!主様!子作りじゃ子作りじゃ!」

 「旦那様・・・ふ、双葉は、旦那様の子が、欲しいです」

 「アキラ殿・・・某、もっと抱かれとうございます」

 「市・・・がんばろうね!」

 「うん!まこっちゃん!」

 全員がついに下も全部脱いで、完全な全裸になった。

 

 その後、全員で飛び掛かりアキラも全裸にされた。そして・・・彼女らとアキラの性の戦いが幕を開けた・・・その様子はとても口でも文字にもできないくらいすごいことになった。次の日・・・アキラは真っ白になっていた。そう、ガチで生気がなくなったのでは?と思うくらいに燃え尽きていた。

 代わりに皆は満面の笑顔で気力もすごい充実していた。特に幽は何かに吹っ切れたみたいにアキラの妻になると皆に言って回った。もう、二度とするかと心に決めたアキラだったが・・・一つ忘れていたことがあった。彼女らに口止めをしなかったことだ。

 

 「アキラ!鞠もアキラと王様げーむしたいの!」

 

 話を聞いた鞠がやりたいと言ってきた・・・。

 




 はい!王様ゲーム第二弾でした!

 今度は鞠と烏に雀と松平家にしようと思います!

 では、いつにしようかな・・・


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UA55000突破 王様ゲーム! アキラ隊+松平+その他

 
 遂に55000突破しました!

 本当に、ありがとうございます!ここまで見ていただけるとは感謝感激大雨大嵐です!

 始まります!今回は結構エロくしました!何しろ、あの人がいるからね・・・。


 

 アキラは後悔していた。鞠にあるお願いをされたのだ。

 

 『アキラ!遊んでほしいの!』

 

 そう言って手を引っ張られた。アキラ自身、鞠ならそんな変な遊びはしないだろうと思っていた。

 「お兄ちゃん!待ってました!」

 「・・・」「早くやろう。とお姉ちゃんは言ってます!」

 「あの、鞠様のいう遊びとは何でしょうか?」

 「ああ!葵様にあんなことやこんなことやそんなことを!」

 「アキラ様!アキラ様もやるですか!」

 「えっと・・・その、アキラ様。楽しみましょうね」

 「ああ!草の私がこんな遊びをしていいのでしょうか」

 「あの、王様ゲームとは何でしょうか?」

 「くくく、遊びとはいえ王になれるのか、これは楽しみだ」

 そこにいたのは雀に烏。葵に悠季に綾那に歌夜に小波、そしてエーリカに白百合だった。

 「アキラ!王様げーむやるの!」

 「拒否は?」「「「「「ダメ!」」」」」

 「・・・こんなことなら断ればよかった」

 肩と頭を落としながら、第三回王様ゲーム開催となった。

 

 「じゃあ!いくの!」 

 「「「「「王様、だ~れだ!」」」」」

 「え。ええええ!わ。私ですか!」

 どうやら最初の王様は小波だった。

 「そ、そんな・・・どうすれば」

 「大丈夫よ。ほら、王様なんだから命令して」

 「あ、葵様!そんなこと言わないでください!」

 やはり、身分をまだ意識する小波には中々難しいみたいだ。

 「で、では、五番が。八番に・・・だ、抱き着く」

 「小波、あなたも少し大胆になりましたね・・・って私が五番ですね」

 「・・・では、お願いします」

 「え、ええええ!何で!何であなたなのですか!」

 五番は悠季で八番はアキラだった。

 「ううう、やめたい。葵様だったら永遠に抱き着いてもいいのに」

 「ダメじゃぞ。王様の命令は絶対じゃからのう~」

 「わ、分かってます!」

 覚悟を決めて、アキラを抱きしめた悠季。

 「「「「「(じーーー)羨ましい」」」」」

 鞠に雀に烏。歌夜にエーリカからじーっと視線を浴び何故か焦る悠季。

 「お、終わりました!で、ではいきますよ!」

 「「「「「王様、だ~れだ!」」」」」

 「綾那です!」

 「げ!従姉妹殿ですか」

 「えっと!では、二番と三番が好きな人を言うというのはどうでしょう!」

 「ほう、それは中々面白そうじゃな・・・何!」

 「す、好きな人ですか!」

 (・∀・)ニヤニヤ顔をしていた白百合と顔を赤らめた葵だった。

 「まさか、そんな命令が来るとは・・・ふふ我はアキラが好きじゃな」

 「えっと、その・・・」

 白百合はすぐに言ったが、あおちゃんは中々言い出せなかった。

 「葵様、さあ、私の名前を!」

 「腐れワカメは黙っているです」

 「何ですって!能筋が!」

 ギャーギャー文句の言い合いとなった本多二人。

 「あの。アキラ様が、す、好きです!」

 白百合の方はとりあえずといった感じだったが、葵の方は本気の告白みたいだ。

 「あ、あああ!は、は、恥ずかしい!」

 顔を真っ赤にして、でも返事を期待するような視線でアキラを見た。

 「えっと、その、あの・・・う、嬉しいです」

 「ふふ、嬉しいか。それはこっちも嬉しいのう」

 「あ、あの、ありがとうございます!」

 あおちゃんはとても嬉しそうに、仮面のない笑顔を見せた。

 「っは!こんな喧嘩している場合じゃなかったわ!葵様!さあ、私の名前を!」

 「あれ?もう、終わったです?」

 「ええ。さあ、続きをやるわよ」

 「そ、そんな・・・_| ̄|○」

 大きく悠季ががっかりする中、ゲームは次に進んだ。

 「「「「「王様、だ~れだ!」」」」」

 「雀です!やりました!」

 「・・・」「変な命令はするなって、分かっているよ~。では!皆はお兄ちゃんに接吻「・・・(すちゃ)」ああ!うそうそ!ごめんなさい!」

 銃口を向ける烏。でも少し顔が赤かった。

 「では、え~と、一番と八番と九番は雀にお菓子を買ってください!」

 とても平和な落ち着く命令だった。少し和んだアキラ。

 「お菓子?それならいいですよ」

 「そうですね。ならゲームが終わったら行きましょうか」

 「フフフ、楽しみにしていてくださいね」

 歌夜にエーリカとアキラがその番号だった。この調子で続いてほしいと願っていた。

 

 ・・・が、ここまではよかった。それなりにただ楽しめる命令で被害も全然ない。しかし、ここから先だった。ある二人の独壇場になってしまったのは。

 「鞠なの!六番に全員で抱き着くの!」

 「・・・何故」

 「くくく、我じゃな、七番以外は全員下を脱げ!」

 「・・・何故でしょう」

 「また鞠なの!皆で三番に、おっぱい見せるの!」

 「おかしい・・・」

 「おやおや、また我じゃのう。じゃあ、一番と十番は二番の前で自慰をしてもらおうかのう。もちろん、本気でじゃ」

 「おかしすぎる!」

 そう、驚異的な感と幸運を持つ鞠と陥れることに限っては相当な実力とチャンスを持つ白百合が王様になり続けていくのだ。しかも、命令の内容がエロい。鞠はアキラがおっぱい好きだから、見せたり触らせたりもませたりすれば喜ぶと思った純粋心からだが、白百合は明らかにアキラと他のメンバーの反応を見て楽しむためだ。

 しかも、何故?と思うくらいに二人ともアキラの番号を言い当てる。自分以上に心の眼があるのでは?と思うくらいにだ。

 「お兄ちゃん!雀達のおっぱいどうだった!」

 「・・・」「責任とって!とお姉ちゃんは言ってます!」

 「あの、アキラ様。おっぱいが好きなら・・・揉んで大きく」

 「葵様!それならそんな男に頼まないでください!私がやります!というか、烏さんの言う通り、本当に責任とってくださいね!私のこれを見たなら!」

 「何で、おっぱい見せたらアキラ様が責任とらないといけないです?」

 「あああ、あ、アキラ様の前で、おっぱいだけでなく・・・あんな淫らな姿まで見せてしまうなんて」

 「も、もう・・・いなくなってしまいたいです」

 「お、王様、げーむってこんなに恥ずかしいげーむだったのですか・・・」

 ちょっと前までアキラにおっぱいを見せていた皆が顔を赤くして胸を押さえていた。特に、アキラの前で自慰を見せた歌夜と小波は、もはや全身も真っ赤になったと思うくらい顔が赤かった。

 「いやはや、これほどこのげーむがおもしろいとは」

 「うん!もっとやるの!」

 王様になり続けている二人は本当に楽しそうだ。だが、命令を受けた皆はアキラも含めて恥ずかしがっていた。

 『何とか脱出しないと、無限ループが続いてしまいます!』

 しかし、その脱出手段が見つからない。逃げたくても逃げられないので、終わらせる以外に方法がない。

 

 「ふふふ、ここはひとつ変わった命令といこうかのう」

 結局そのまま続くこととなり、また白百合になった。

 「二番と九番は抱き合って接吻しろ。ただし・・・」

 アキラの方を見た。すでにどちらかの番号を持っていることを知っているみたいだ。

 「九番は二番の胸を接吻の間ずっと揉み続けろ。わしがいいと言うまでな」

 「「なあ!何と!」」

 九番のアキラと二番の・・・あおちゃんはびっくりした。

 「ななな!何をさせるのですか!」

 「そ、そそそ、そうです!葵様の胸を見せるだけでは足りないと言うのですか!」

 アキラと悠季は白百合に詰め寄った。エロの命令がずっと続いていたが、まだ接触まではしていなかった。しかし、今回は完全にやばい感じになった。

 「絶対じゃろう?王様の命令は。さあ、やってもらうか」

 「「う・・・」」

 ついに、アキラとあおちゃんは抱き合った。

 「そうそう、葵殿は両手で力強くアキラを抱きしめて、アキラは両手で葵殿の両方のおっぱいをもむのじゃぞ」

 「わ、分かっています!」

 「つ、ついに、アキラ殿がわ、私の」

 さっき揉んでください。と言った言葉が現実になった葵。

 「ん、んん、んんん!!!む、む!(こ、これは!すごく、びりっと、そして、すごく体の力が、ぬ、抜けていく、だ。ダメ!これは、お、堕ち!)むちゅ、くちゅじゅるじゅる(ちょ!く、口の中が!あ、アキラ殿!そこまでしなくても!あ、ああ、なに、だんだん、考える力が・・・無くなって、いく)」

 胸を揉まれて初めての女の快感に戸惑っていたが、更にディープなキスになったことにより一気にその快感が強くなり、葵の顔は蕩けてきた。

 

 『あああ。今なら・・・アキラ殿に、何、されても、いい。めちゃくちゃに』

 

 「そこまでじゃ。二人ともいいぞ」

 「そ、そうですか・・・ホッ」

 「・・・え?」

 アキラはやっと解放された感じだが、葵はお預けを食らってキョトンとしている。

 「三河の当主殿・・・続けた方がよかったかのう?」

 「そ、そんなわけないでしょう!」

 慌てて否定したが、

 

 『うう、悔しい。心を見抜かれていた・・・でも、してほしかった』

 

 言われた通り続けたかった。白百合に指摘され、顔をまた真っ赤にした。

 

 だが、これだけ恥ずかしいことをしても

 「「「「「王様、だ~れだ!」」」」」

 このゲームはまだ続く。

 「鞠なの!えへへ~~、それじゃあ」

 「「「「「(ごくり)」」」」」

 下心なしのエロ命令にそれなりに警戒する皆。

 「一番のアキラ以外は全員ゲームが終わるまで裸になるの!」

 「「「「「な、なあああああああ!」」」」」

 「ちょ、ちょっと待ってください鞠さん!それはいくら何でもおかしいですよ!」

 「何で?そっちのお姉さんが、アキラには上も下も全部見せた方が喜ぶって」 

 「あなたですか!鞠様に何言っているのですか!」

 「まさか、今までの鞠リンがあんな命令したのも!」

 「おや?何で我を見るのですかな?かかか!」

 白百合を指をさす鞠。ギロリ!と怒りを込めて見るが見事に流す。というか、既に全部脱いでいた。

 「ほれほれ、脱がないといけないぞ。王様がそう言ったのだからの~~」

 「・・・わ、分かりました」

 「し、仕方ないですね」

 「ご主人様でしたら・・・」

 「私はよくないですよ!」

 悠季以外は恥ずかしながらも全部脱いだ。

 「悠季。後はあなただけですよ」

 「あの!その・・・いくら葵様でも、この男に「小波」「は!」え、ええ!」

 脱ごうとしない悠季だったが、葵の一言で小波が悠季の服を全部切り裂いた。

 「きゃあああああ!」

 「ダメですよ、腐れワカメ。ほら」

 「そうだよ、ワカメお姉ちゃん。雀達も全部見せているんだから」

 「・・・」「頑張って、とお姉ちゃんが言ってます!」

 「そうなの!ゲームが終わったら服を着ていいから!」

 「・・・・・・やっぱりいや「歌夜」「はい、すいませんね」ちょ、ちょっと!」

 うずくまっていたが、歌夜に無理矢理立たされた。しかも、白百合とそれぞれの腕を掴まれて胸を隠せない状態にされた。せいぜい、両足を力いっぱい閉じることが精いっぱいだ。

 「どうじゃ?我らのこの体・・・ふむ、次の命令はアキラに抱かれる命令にしようかのう」

 「アキラ様・・・あの、私も見てください」

 女の出るところは出て引っ込むところは引っ込み、更に熟女の魅力すら持つ白百合がアキラに密着していた。葵も恥ずかしいのを我慢して、負けじと密着していた。 

 

 『う、羨ましい・・・で、でも、私には・・・』

 

 それがある一人の宣教師の想いを強くした。

 「つ、続きです!続き!さ、最後にしましょう!」

 「え~~次で終わりなの?」

 「もう、十分でしょう!」

 「そうですわ!早く服を着たいです!」

 鞠の文句にアキラと早く何か着たい悠季が文句で返した。そして、 

 「「「「「王様、だ~れだ!」」」」」

 「・・・!!私ですか」

 最後はエーリカが王様みたいだ。やっと悪魔のエロ連鎖が終わりを告げたようだ。

 「で、では、命令をどうぞ」

 「命令・・・ですか(もう、この時しかない。この人に、そうこの人に!)」

 だが、アキラは油断していた。エーリカはとても清楚な人だから小波くらいの命令が精いっぱいだろうと。それに、皆もそうだが彼女は裸で恥ずかしいのでそこまでやばいのは言えないはずだと、そう思っていた・・・でも、彼女もまたアキラに想いを持つ女性の一人だった。

 

 「あの・・・アキラ様。いえ、三番は私を抱いてください」

 

 だから、この命令が来たときは三番を持つアキラは心の底から絶叫した。

 「な、なあああああああああ!!!!!!」

 「うわあああ!エーリカすごい!」

 「・・・(゜o゜)」「お姉ちゃん、何も言えてないよ・・・」

 「な、何と(その命令、私にしてほしかった)」

 「ま、まさか、あのエーリカさんがそんな命令を」

 「エーリカ!アキラ様に抱かれるですか!」

 「えええ!ううう、ま。混ぜてもらいたい」

 「わ、私・・・今、何を!私も抱かれたいなんて!」

 「ほう~~~宣教師様は大胆じゃのう~~」

 全員興味津々の顔で二人を見た。しかも、エーリカは更に命令を追加した。

 「あの・・・他の皆さん、よかったらでいいので、私達をみて疼いたら、オ〇〇ーをしてもいいですよ」

 『ここにいるのは本当にエーリカなのですか!』

 いつものエーリカとは思えない命令。今までの危ない命令の連続で彼女の自制心が失われていたのかもしれない。未だ唖然とするアキラの前にエーリカが立った。

 「あの、アキラ様・・・私が、こんなことを言うのはおかしいと思っておりますよね。私だって、こんなことを言うのは変と分かっています」

 目の前にいるのはいつもの清楚な、そして癒してくれる笑顔を出すエーリカではなかった。

 

 「でも、私だって・・・あなたの事を愛している一人の女なんです。正直、こういう時くらいじゃないと、自分に勇気を振り絞れないんです。皆に見られてしまいますが、お願いします。私を・・・抱いてください」

 

 アキラを心から愛する一人の女性、エーリカだった。

 「あなたのその告白は嬉しいと思ってますけど・・・でも、それを今言います!」

 力いっぱいの勇気を振り絞った告白は確かに嬉しいと思ったが、まさかゲームでそれを言うとはさすがに思わない。

 「いいのです。あなたになら、どんな状況でも・・・抱かれたい。愛してます、アキラ様」

 でも、今のエーリカにはお構いなしだった。アキラの首に両腕をかけてキスをした。

 「ちゅ、くちゅ、ちゅる。じゅじゅ」

 もちろん、熱く濃厚なディープなキスだ。しかも、

 『ん!ああ、アキラ様の手。指が私のこの蜜を出すツボの中に・・・ああ、でちゃう!出続ける!』

 アキラの右手を掴み、それを彼女のあの股間のあれに出し入れさせた。しかも、左手も無意識で掴んで自分の胸を揉ませていた。

 そして・・・エリちゃんのあの命令を受けた九人は・・・ 

 「すごいね~~、「・・・」え?お姉ちゃん、何?むずむずする?雀もなの!」

 「はう~~、葵ちゃん指が止まらないね~~」

 「はい・・・うう、ああ!ん、アキラ様に、されたい」

 「相手が、ん!自分じゃ、ああん!ないのが、ぐしょぐしょに・・・不満ですが、おかげで、葵様の痴態が・・・この目で見れるなんて・・・ああ、ビリってくる!」

 「ほええ~~、なんか、皆の真似したら、ふわふわするです~~」

 「さっきもして、あうう!またするなんて・・・アキラ様、アキラ様。ああ、我慢が出来そうにありません。ゆ、指も、とまらない~~~!」

 「歌夜様・・・私も、です。きゅんとして、もう、蜜が・・・出続けて、ああう!さっき、あうあ~!したせいで、余計に、きゃうんんん!感じる!」

 「久しいのう~~、んん。これをするのは・・・宣教師殿は、面白き人、じゃな。アキラよ、終わったら、だいて、もらうぞ」

 雀と綾那はまだ自分の行為がどんな意味を持つのか分かってないが、他はもうどんどんあの場所から蜜が出ていた。声からすると小波が一番出ていそうだが、実は白百合が出ていた。声もとぎれとぎれになっている辺り、相当発情しているのだろう。

 「アキラ様。・・・お願いします。こ、これで・・・」

 「エーリカ。もう、どうなっても知りませんよ!」

 その場にエーリカを押し倒し、自分も服を全部脱いだ。その体に全員が唾を飲み、そしてエーリカの未だ出続けるあの蜜のツボに・・・。

 「あ、ああああああ!あああ、幸せ・・・嬉しい・・・アキラ様。私、すごく嬉しいです」

 「さあ、始めますよ・・・答えは聞きませんが」

   

 その後、エーリカとの熱い愛の抱き合いが始まり、最後のお互いに快楽の頂点に達すると嬉しそうに彼女は失神した。だが、当然それを最後まで見ていた彼女らは全員が発情して、ゲーム関係なしで襲い掛かってアキラに滅茶苦茶になるまで抱かれた。しかも、一番それをされたくない悠季も先にやられた葵のそれを見たらやられたい気持ちがわいてしまい、この中で二番目に長く抱かれそして乱れていった。

 一番はやはり、白百合だった。彼女を抱いたのは一番最後だったが、最後の方が長くアキラを独り占めでき、なおかつ搾り取れるだけ搾り取れるという彼女の策だった。そして見事その通り、大の字で力尽きかけているアキラのあの性刀を未だ自分のおっぱいに挟めたままで満足そうに眠っていた。

 

 『・・・またやってしまった。しかも、白百合がとんでもない・・・もう、いやだ。もう・・・やりたくない』

 

 そして、アキラも失神に近い感じで意識を失った。何とか一刻後に目を覚ますとそこにはアキラを起こしに来たが、全裸で寝ている彼女らを見て怒りに燃える美空の姿があった。

 

 「久遠や一葉様から聞いたわよ。嫁の私を差し置いて・・・私ともやりなさいよ!」

 

 まだ、このゲームは終われなさそうだ。

 




 
 どうでした?エーリカの勇気を出したアキラとの蜜時と白百合のエロパワー全開な命令は?何気に鞠を使ってそういう命令にするよう言っていた当たり、さすが希代の梟雄ですね!

 今度は長尾の皆さんです!いつにしようかな?


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UA70000突破! 王様ゲーム 長尾家

 
 漫画の飯って本当においしいの?三MENです!

 もし食べられるなら食べてみたい・・・。

 さあ、いきます王様ゲーム長尾家編です!

 因みに、この時代ではありえないものが出ますが気にしないでください。


 

 その日の朝、アキラはアキラ隊の皆と寝ていた。もちろん、彼女らもアキラも裸だ。だから起きると、いつもの皆の裸の海が心の眼で感じられるはずだった。

 「・・・ここは?」

 「起きたわね、それより早く服を着なさい!」

 「は?え?」

 目の前には美空がいた。いや、美空だけじゃない。

 「アキラさん、起きたっすか?」

 「おはよう」

 「あ、アキラさんの、は、裸!」

 「かかか!眼福じゃのう」

 「はい!まぶたに焼き付けました!」

 「あ、アキラさんの・・・はう」

 「く、空様!しっかりですぞ!」

 「で、でも、アキラさんの体って、素敵です」

 長尾勢大集合だった。

 

 とりあえず、服を着て事情を聴いた。どうやら柘榴が寝ているアキラをここに連れてきたらしい。そして、連れてきた理由は一つ。

 「王様げーむ!やるわよ!」

 今までやった皆が、アキラと超密接な関係になれたことが羨ましかったらしい。

 「わ。私は別にやらなくてもいいっと「御大将がやりたいって言った」、って松葉!余計なことを」

 「・・・分かりました。やりましょう」

 前歴が頭によぎって、本心は逃げたかった。でも、恥ずかしがるツンデレな美空を見て諦めた。こうして長尾家との王様ゲーム開始となった。

 

 「「「「「王様、だーれだ!」」」」」

 最初の王様を引き当てたのは・・・松葉だった。

 「私?」

 「ええ、今だけなら美空より偉いですので命令を」

 「御大将より?・・・じゃあ、三番と八番は一番に接吻をする」

 「え、ええええ!い、一番って私です!」

 「三番は愛菜ですぞ!」「え!そうなんですの!」

 どうやら、一番が空で三番が愛菜、八番が名月のようだ。

 「これは見ものじゃのう。どっちが空様より大きな愛を持っておるか?」

 「うさ!余計なことを言わないの!」

 だが、すでに言ってしまった。二人の間で火花が散った。

 「空様は愛菜が一番愛しているのですぞ!ですから愛菜がよりうまく接吻ができますぞ!どや!」

 「何を言ってますよ!空様を誰よりも愛しているのはこの私ですわ!ですから、愛菜さんなんかより、私の方がうまく接吻ができますわ!」

 「は、はう~~。ふ、二人とも、お、落ち着いて~」

 空の事をどれだけ慕っているのかだけは譲れない二人。その間に挟まれて泣きそうになっている空。

 「と、とりあえず、二人とも、まずはやってください。後がつかえてますので」

 「「どや!(ですわ!)」」

 気合を入れて両サイドから空にキスをした。そして、案の定・・・

 「「空様!どっちがよかったですか!」」

 こうなった。わかるわけないが、答えないといけない。さすがにかわいそうなので助け舟を出した。

 「ほらほら、困らせないの。空も泣きそうになっているでしょう」

 「そうですよ。それに言えないということは引き分けと言う事です。今度またこれをしたときに決着をつければいいじゃないですか」

 美空とアキラにそう言われるとさすがに強く出れない。何とか、引き分けと言う事で納得して、空もホッとしている。

 「のう、今度またこれって「うさ!もう言わない!」、かかか!まあ、空様を困らせるのも癪じゃし、やめようかのう」

 そう、今度王様ゲームをやってなおかつこの命令でしかも三人が当たるときなんてそう滅多にない。その事に今だ火花を散らしている二人は気づいていない。

 「つ、続きをしましょう!」

 これ以上時間を止めるのもまずいから続きを始めた。

 

 「「「「「王様、だ~れだ!!」」」」」

 「ふ、ふ、ふふふふ!私です!」

 二回目は秋子だった。嬉しそうに、周りを見ていった。

 「二番と九番と五番は、今までさぼった分の仕事。私が代わりにさせられた分の仕事。それらを全部やること!明日までに仕上げて私に持ってくることです!」

 「「「げ!」」」

 その三つの番号が当たったのは、見事それらの仕事を押し付けていた美空・柘榴・松葉だった。顔が真っ青になった。

 「明日の夕方までにできなかったら・・・分かってますね(#^ω^)」

 「「「は、はい!」」」

 三人には見えていた。秋子の背後に毘沙門天が・・・普段ため込んだストレスを見事ここでその原因に返すことができて満足そうだ。

 「「「「「王様、だ~れだ!!」」」」」

 「やった!やりました!ぐふ、ぐふっふふ(じゅるり)」

 見た感じ貞子が王様のようだ。一直線にアキラを見た。

 『頼みます!頼みます!どうか!外れであるように!』

 真剣に祈った。九分の一の確立だが、彼女はアキラに限ってはほぼ九分の七くらいの確率で当てるので、もう必死だった。

 「では!四番はこれ!七番はこれ!十番はこれに着替えなさい!」

 そう言って貞子は何やら箱みたいなものを出してきて、その中から出した服はこの時代に何故ある?と言えるセーラー服・ビキニ・肩掛けのエプロンだった。そして、この番号に当たったのは。

 「・・・南蛮の服かしら?」

 「なあ!わ、私がこんな恥ずかしいものを!」

 「ふむ、これは何なのじゃ?」

 四番が美空、七番が秋子、十番が沙綾だった。

 「く、く、悔しいです~~!」

 だが、王様の貞子はどれもアキラが当たらなかったことに悔しがった。

 「ちょっと!どうして私がこんな破廉恥なものを!」

 「秋子~。王様の命令は?」

 「絶対!じゃぞ!」

 「と、とりあえず部屋を変えて着替えてきてください」

 「何じゃ?わしらのきが「いくわよ!うさ!」「ええ!急ぎましょう!」」

 にやにやしながら誘惑する沙綾を引っ張って、隣の部屋に三人が着替えに行った。その間に貞子を見るアキラ。

 『神よ、感謝します!・・・というか貞子はあれを私に着せるつもりだったのですか!あ、危なかった!女装なんて・・・もうしたくありません!』

 自分がああなっていたかもしれなかったことに恐怖した。数分後に三人はやってきた。

 「み、美空お姉さま!か、可愛いです!」

 「おおお、御大将!雰囲気変わりましたよ!」

 まず美空だが、学生らしい姿になったことでアキラもかわいいと思えた。

 「アキラ・・・どう?」

 「ええ、とてもかわいいですよ」

 「そ、そう、ありが、とう・・・うふ♡」

 照れながらも嬉しそうだった。次の秋子だが、

 「は、母上。おっぱいが、見えてますぞ」

 「エロい」

 「ううう、娘にそう言われるなんて~~」

 ビキニだけになった秋子。出るところがとことん出て、へこむところはへこむ体。大事な部分だけを隠したその魅惑的な姿になったことでアキラは見とれた。

 「アキラ(ズン)」

 「い、痛いです!」

 しかも、ビキニのサイズが合わないのかおっぱいの下の部分が見えていた。それが更に秋子の体を淫らに見せた。自分以上に秋子に見惚れているアキラを見て足を踏んだ。

 「こ、これは服なんですの!」

 「かかか!南蛮はこんなのもあったのか!」

 最後のエプロンだがそのまま服の上につければいいのだが、秋子以外は全く料理をしない者達だ。だから・・・

 「どうじゃ!アキラ、この姿は!」

 「・・・犯罪的、としか言えません」

 沙綾は全裸になって、その上にエプロンを付けた。そう・・・裸エプロンだ。さすがにこれはコメントが困る。

 「かかか!どうやら、わしが一番アキラの目を引いたようじゃのう~」

 「・・・次行きますよ」

 沙綾に背を向けて続きを始めた。

 「「「「「王様、だ~れだ!!」」」」」

 「や、や、やったわ!やっと、やっと私よ!」

 どうやら、美空が王になったようだ。

 「さあ、行くわよ!六番と八番!二人はこれを着なさい!」

 「あれ?六番って柘榴っす」「八番」

 六番が柘榴、八番が松葉だった。

 「ところでこれって何です?」「変なの」

 「さあ?貞子が持ってきた箱の中から適当に取ったのよ」

 「・・・そ、そそそ、それは!」

 手渡された衣装を持って、頭から?の二人の渡した本人も?。そんな中、貞子は驚愕していた。

 「とりあえず、着替えてくるっす」「うん」

 そう言って、二人は向こうの部屋に消えた。そんな部屋から声が聞こえた。

 『あれ?今気づいたっすけど、これ布の部分全然ないっす!』

 『松葉のはちゃんとある』

 『変っすね~。まあ、一応着替えるっす』

 『・・・これ、すごく変』

 『本当っす。これじゃあ、二人ともお〇〇〇が丸見えっす!アキラさんに見られるっす!』 

 『・・・恥ずかしい』

 だが、この声は皆には聞こえていなかった。

 

 数分後に戻ってきた二人を見て、全員大パニックになった。

 「な、何と、何でこんなものが!」

 「ちょっと貞子!どうしてこんな淫乱なものが入っているのよ!」

 「柘榴ちゃんも松葉ちゃんも、早く隠しなさい!」

 「何と、わしより淫らじゃのう」

 「はわ、はわわわ!な、なんです!!」

 「く、く、空様!み、見てはなりません!」

 「・・・お母様(氏康)が喜びそうな服ですわ」

 そして、持っていた本人の貞子はというと。

 「私の勝負服。アキラ様に迫るための服だったのに・・・」

 とてもがっかりしていた。一体二人は何の服を着たのかと言うと

 「さすがに恥ずかしいっす!だって、全然隠せてないですから!胸だってかろうじて乳首が隠せるくらいで、下の方もお〇〇〇が何とか隠せているけど・・・ちょっと動くとほぼ丸見えじゃないっすか!」 

 まず柘榴だが、彼女のは水着だ。でも、水着と言ってもほぼ紐に近い水着。エロ漫画とかでよく出るスリングショット。肩から腰までかろうじて乳首を隠せるくらい横が短い縦長の紐みたいな水着。それが柘榴の衣装なのだ。

 「隠せない」

 そして、松葉。彼女のは肩から下が全身タイツだ。体にぴったり吸い付くような服でスタイルがはっきりとわかり結構エロをさらけ出す服だ。ただし・・・胸の部分とお〇〇〇に尻の部分が切られているタイツだった。

 今彼女らは胸と股間を手で隠しているが、全部隠し切れずにいる部分が丸見えとなっている。こんな服は滅多に感情を顔に出さない松葉でも当然思いっきり恥ずかしい。

 美空はもちろんこんな服があるとは知らなかった。ただ、ビキニを見て結構恥ずかしいものがあるとわかったので、王になった時に着せて辱めようと思っただけである。

 

 アキラはここまで来て疑問に思った。

 『何故、自分が指されない?』

 そう、ここまでアキラは指名されていなかった。かつての三回のゲームでは酷いくらいにあてられ、酷いくらいの命令を受けていた。だが、今回の長尾勢との王様ゲームではいまだに一回も当てられていない。疑問にも思ったが、

 『このまま終わってほしいですね』

 自分に害がないのなら、それでいいと思い内心ホッとした。

 

 だが、アキラはそのことに気づくべきではなかった。気づかないまま最後までゲームをするべきだった。何故なら気づいたことにより、フラグが立ってしまったからだ。

 

 恥ずかしい衣装になった柘榴と松葉はさすがに着替えたいと美空に訴えたが、

 「ダメよ!このげーむが終わるまでよ!」

 と言われ却下された。それはつまり、アキラに最後まで恥ずかしい部分を見せながらやるという事だ。

 「あ、アキラさん、み、見ないで、くださいよ」

 「お願い」

 「は、はい」

 と言っても感じて分かるため、既に丸わかりだった。でも、口にしなかった。

 「つ、続けますよ!」

 「「「「「王様、だ~れだ!!」」」」」

 「え、ええええ!わ、私、ですか?」

 空が王様になった。おろおろしながら、どうするか慌てている。

 「ほら、空。命令して」

 「そうですよ、ほら」

 「そ、そんないきなり言われても~」

 「大丈夫じゃ!ほれ、さっきの貞子の箱の中の者を出して「うさ!それ以上言うな!」ほ~、ならいいのか?このまま着せないものがいても」

 「う・・・と、とりあえずダメ!」

 さすがに娘の前では母親としての威厳が優先された。ただし、もう少し前に止めるべきだった。

 「あれ?これって、何でしょうか?」

 その箱をもう空が覗いていた。そして、衣装を取り出した。

 「じゃ、じゃあ。これを五番が着てください」

 彼女としてはこれが傷つかない優しい命令だと思ったからそう言った。

 「わ、私が・・・五番です」

 「ど、どや!愛菜じゃ、ないですと!ドーン!」

 空からの命令が自分じゃなく名月にされることにショックだった愛菜。

 「じゃ、じゃあ、名月ちゃん。お願い」

 結局、また着替える命令になった。

 

 そして、名月が着てきたのは。

 「何か、着心地がいいですわね」

 「う~ん、何か普通っすね?」

 「何か、娘がちゃんとしたもの着ていてほっとしたような、逆に悔しい気がするような」

 「ふむ・・・色気がないのう~」

 彼女はワイシャツを着ていた。だが、さっきの沙綾同様全部脱いでから来たので、裸ワイシャツだ。ただ、今までの皆が着たような淫猥な感じがなく、何かお父さんのワイシャツを楽しそうに着る娘みたいな感じなので微笑ましかった。

 「じゃあ、次行くわよ!」

 気持ち的にホッとした美空の掛け声で再び始めた。

 「「「「「王様、だ~れだ!!」」」」」

 「松葉」

 何と松葉が二回目の王様になった。

 「・・・裸になる」

 「「「「はあ!」」」」

 「もう・・・やけ、皆も、見せる」

 「えっと、せ、せめて番号を・・・」

 「六番以外」

 ずっと恥ずかしい姿を見られ続けて、本当に自棄になっているのだろう。巻き添えを多くしたかったのか、そう言った。

 「私以外。と言う事ですか?」

 アキラ以外全員だった。一応初めて番号を言われたが、これは命令されたとは言えない。

 「ちょ、松葉、あんた!」

 「文句聞かない。王様、絶対!」

 美空の言葉にすら耳を貸さなかった。すごく珍しい光景だ。

 「わ、分かったわよ」

 「脱いでももう変わらない気がするっす」

 「う、うう、こんなことになるなんて」

 「ふふん!儂は気にせぬぞ!」

 「私もです!むしろ、永遠に見せたいです!」

 「あ、アキラ様に・・・く、空のを!」

 「空様!愛菜はどこまでも一緒ですぞ!どや!」

 「愛菜さんなんて気にしないでください!名月が傍にいます!」

 全員着ていた服を全部脱いで、ついに裸になった。

 

 皆の裸をしっかり堪能したアキラ。

 「そ、それでは、そろそろ終わりにしましょうか」

 「もう終わりか?もうちょっとやってもいいんじゃないか?」

 「いえ、さすがに・・・そちらの方達が」

 顔を向けると沙綾と貞子以外慌てて体を隠した。

 「なんじゃ、情けない。別に良いではないか。アキラにならすべてを見せても問題なかろう?」

 「大ありよ!」

 「そうっすよ!柘榴だってせめてちゃんとした形で見せたいっす!」

 「同感」

 沙綾の言葉にプンプンな三人。

 「アキラ様!さあ貞子の体を!全てを!さあ、好きなだけ見てください!」

 「ま、まあ、アキラさんなら・・・確かに全部見られても」

 巨乳の二人は嬉しそうだ。

 「・・・・・・」

 「空様!お気を確かに!」

 「そうですわ!しっかりしてください!」

 アキラに見せたことで気を失った空を慌てて介抱する愛菜と名月。

 「全く・・・分かったわい」

 不満そうだが、何とか了解してくれた。

 「じゃ、じゃあ、行きますよ」

 「「「「「王様、だ~れだ!!」」」」」 

 「ほう~~。かかか!わしじゃ!」 

 沙綾が王となった。その途端、ほぼ全員の顔が青くなった。

 

 『『『一番まずい奴が最後の王なった!』』』

 

 そんな恐怖が生まれた中、沙綾はにやにやしていた。

 「そうじゃのう~~。アキラ、何番じゃ?」

 「それを当てるのが王様です!言うわけないでしょう!」

 この言葉を言ったとき、一気に寒気が来た。同時に嫌な予感もした。

 「皆、アキラだけがまだ命令されてない。これは不公平ではないか?」

 そう、ここでフラグが来てしまったのだ。

 「「「「そうだ!」」」」

 「・・・すいませんが、用事が!」

 「「「「逃がすか!」」」」

 慌てて逃げようとしたが、貞子と柘榴がアキラの脚を掴まれ動けなくされた。そして、美空と松葉に番号の札をとられ沙綾に見られた。

 「ほ~、一番か・・・ふむ」

 そのままじっと考えた。そして、思いついた。

 「そう言えば、最後と言ったのう。今までこのゲームの最後はアキラ。お主必ず参加者全員を抱いたそうじゃないか」

 それを聞き青い顔が更に青くなった。

 「・・・まさか」

 「うむ!皆、最後は一番のアキラに抱かれようぞ!さあ!酒池肉林の始まりじゃ!」

 沙綾の一言で柘榴と松葉、秋子に貞子は気合十分だが、残り四人は恥ずかしがった。

 「うさ!そんなこと」

 「あ、アキラ様にだかれ、抱かれ・・・」

 「大丈夫ですぞ!愛菜と名月殿が一緒です!」

 「ええ!愛菜さん、いいこと言うですわ!」

 今回だけはさすがの愛菜も一人でも多い方が恥ずかしさが少ないのだろう。

 「ダメじゃぞ。王様の命令は」

 「「「「絶対!」」」」

 既にアキラに抱き着いている四人が付け足す感じで言った。それを聞いた美空。

 「わ、分かったわよ・・・ねえ、アキラ。一番愛してくれないと、許さないんだから!(≧◇≦)」

 「・・・わ、わかりました。やはり、こうなるの、ですね」

 結局、アキラは皆を抱くことになった。

 

 その後、美空と空と名月の親子丼や秋子と愛菜の親子丼をたっぷり味わい、更に柘榴と松葉に貞子のおっぱい責めに必死に抗い何とか、ここまで全員にアキラの白濁した想いをぶつけたが・・・

 「かかか!まだまだだぞ!」

 「勘弁、して・・・ください」

 「何を言うとる!もっともっとじゃ!」 

 「・・・腹上死で死ぬとは思いませんでした」

 床上手の沙綾に搾り取られるだけ搾り取られ、本気で死を覚悟して意識を失ったアキラだった。

 

 

 アキラが意識を取り戻したのは三日後だった。何とか生きていることにホッとしたが、

 「アキラ・・・光璃もしたい」

 事情を沙綾に聞いた光璃がむ~っとした顔で見つめていた。

 

 「光璃も、やる!」

 

 アキラは悟った。王様ゲームからは逃げられない定めだと・・・。

 




 
 最後の二つの親子丼。八章の間章で出そうかな・・・と思っています。

 どうでした?コスプレした彼女らは?絵が絶望的なまでに下手なので描けないのが残念です・・・。妄想で楽しんでください・・・すいません。

 今度の武田家編は何時書こうか。 


 書いた後で気づいた。松葉が一番出ていたな・・・。


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UA85000突破! 王様ゲーム 武田家編

 
 早起きは三文の得。気持ちいい朝に気分がいい三MENです。

 昔ならそう言ってもいいかもしれないけど、今だったらいくらでしょうね?う~ん、三十円?それとも三円?はたまた三百円?

 では、お待たせしました!王様ゲーム武田家編始まりです!今回はちょっとした縛りをやっています!


 

 「何でなの?」

 「何でも何も、これでいいでしょう」

 アキラにむ~っと問い詰める光璃。ここは躑躅ヶ崎館の光璃の部屋。ただし、この部屋にいるのは二人だけじゃない。

 「姉上、いいじゃないですか。面白そうでやがる」

 「うん!何か楽しそう!」

 「このような遊戯は初めてだからな、いったい何が」

 「おう!どんな勝負もあたいが一番だぜ!」

 「こなちゃん、そんな気合い入れなくても」

 「アキラには負けないのら!」

 「楽しくなりそうだね~湖衣」

 「・・・不安の方が大きいよ。もう~」

 夕霧に薫、四天王の四人に一二三に湖衣も含めて十人だ。

 「・・・せっかくアキラに命令できると思ったのに」

 「運が良ければできますよ」

 そんな彼女らは円を作るように座っており、真ん中には王様ゲーム用のあの棒の入った筒と、もう一つくじ用の箱があった。

 「では、確認します。まず、王様の命令は?」

 「「「「絶対!」」」」

 「ただし、その命令は?」

 「この箱の中から紙を一つ選んで引いて」

 「選んだ番号の人にそれをやらせる」

 「拒否はできない。だったな!」

 「そうです。では、準備はいいですか?」

 「「「「「おう!」」」」」

 今回の武田家の王様ゲーム。光璃が絶対にやると言ってきかなかった。ただしアキラは今までが今までだけ気安く頷けなかった。そこで、ある条件を付けてやることを許した。それが箱の中に書かれているたくさんの紙の中から選んで命令するというものだ。

 

 『これなら何とかなるでしょう・・・それに、今回のメンバーは一二三以外は恥ずかしい命令を出したりはしないはず。一応念のためとしてこうさせてもらいました』

 

 王様の命令は絶対。これのせいでどれだけ自分にエロの展開が続き、それを聞いた皆が更に過激な命令を出してきた。だから、今回は予め皆に数枚の紙に命令を書かせて箱に入れて王様になった人が引いて命令するという形式にした。これなら、どんどん過激な命令になることもそこまで多くならない。と思ったためだ。ただ、光璃は今までの長尾家までの展開を聞いていたらしく、アキラとそういうことをしていきたかったようだったので不満な顔を見せていた。

 

 「じゃあ、始めますよ」

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 いつも通り、王を決める抽選が始まった。

 「拙ですな」

 「春日さんですか。ではこの中から一枚引いて番号を選んで命令してください」

 「・・・(ガサゴソガサゴソ)よし、これだ・・・そして、三番と六番」

 「あ、私だ」

 「私もです」

 まず番号の方は三番が薫で六番が心だった。そして、命令が

 「『食事を作る』だな・・・これは七番に食べさせるとしよう。七番は誰だ」

 「おおっしゃ!あたいだぜ!薫様とここの料理を食えるなんて嬉しいんだぜ!」

 「粉雪か・・・まあ、これは今じゃなくてもいいな」

 「そうですね」

 この命令にアキラはホッとした。おそらくちょうど選ばれた二人のどっちかがこの命令にしたのだろう。どうやら、やばい命令は本当に少ないみたいだ。

 「何だい。長尾や織田の皆はアキラ殿に裸を見せて抱かれたと言っていたのに、こんな命令じゃ肩透かしだよ」

 「一二三ちゃん!何を言っているの!というか、アキラ様に裸を見せて更に抱かれることが嬉しいの!」

 「ふふ、王様になってそういう命令の紙を見つければ問題ないだろう?」

 「・・・一二三、そう言う命令の紙。入れたでやがるか?」

 「さあ。どうだろうね。ふふふ」

 明らかに入れている。そのにやにや顔での笑いで全員が分かった。

 「と、とりあえず。次です次」

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「おお、ふふふ、さっそく来たね」

 怪しい命令を入れたであろう一二三が次の王様になってしまった。

 「ちょっと残念だね。こういう命令形式にしなければ、全員裸にして夫殿に見せようと思ったのに」

 「ひ、ひ、一二三ちゃん!早く!」

 顔が真っ赤になりすぎて、頭から煙が出ていそうな湖衣が箱を差し出した。

 「・・・これだね。じゃあ、一番と九番」

 「光璃」

 「お屋形様もれすか!兎々もれす!」

 「・・・むう、残念。命令は『接吻をする』か。じゃあ、お二人は五番にやってもらおうか。因みに夫殿は何番だい?」

 「私は二番です。残念でした」

 がっかりした様子の光璃が見えたが無視した。そして、肝心の五番は

 「ゆ、夕霧、でやがる」

 「夕霧様でしたか。夫殿じゃなかったらぜひとも湖衣に当たってほしかったのに」

 「一二三ちゃん!そんなに私を辱めて楽しいの!」

 涙目になって文句を言う湖衣を流す一二三。

 「それはそうと、お願いしますよ」

 「では」

 「こ、こいつじゃないから・・・よかったれす」

 二人とも頬にキスをした。そして、三回目

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「あ、私ですね」

 何と、これまでの王様ゲームでずっと王様になったことがないアキラがなった。

 「アキラ(キラキラ)」

 「・・・・・・引きますよ」

 いったい光璃はどんな命令を書いたのか、期待している目の輝きをしていた。箱から一枚抜いた。

 「三番の方」

 「拙ですな」

 「・・・『猫になる』が命令ですね」

 「はあ?ど、どういうことですか!」

 「因みに、これは誰が書きました?」

 「私。それを私にしてほしかった・・・アキラに好きなだけくっついてごろごろして、体を好きなだけ触られて、揉まれて・・・」

 「はい、そこまでです「むぐ」」

 どんどん言う事がR18に突入しそうなので口を抑えて止めた。

 「とりあえず、春日さんお願いします。それと、猫らしく語尾に「にゃ~」か「みゃ~」もつけてください」

 「ちょ!そ、それはやめてほしいですぞ!」

 「春日。王様の命令は?」

 「・・・ぜ、絶対」

 夕霧に指摘されてしまい、春日は諦めてアキラの隣に座りアキラにすり寄った。

 「・・・羨ましい」

 「むう、何かムラムラするんだぜ」

 「ほほう、中々見ない光景ですな」

 「・・・ふにゃ~、何か心地よくなってきたにゃ~=^_^=」

 体を擦りよせているうちにまぶたが重くなってきて、しまいにはアキラの膝の上に頭を乗せた。

 「(ゴロゴロゴロゴロ)、気持ちいいみゃ~」

 春日のその姿に全員唖然とした。命令はそこまでしろと言ってないのに、本当に猫にしか思えない行動をとっていた。一二三ですら( ゚д゚)ポカーンとしていた。

 「・・・・・・zzzz」

 すると、そのまま眠りについてしまった。

 「・・・このまま続けましょう。春日さんは起きるまでゲームを抜けるという事で」

 目の前のこの状況を忘れたいのか、皆頷いた。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「あ、私です」

 「ここか!さあ、選んでくれだぜ!」

 「えっとね、これにして・・・じゃあ、六番と七番で」

 「「私だね(ですね)」」

 選ばれたのは一二三と湖衣だった。

 「これは『着替える』と言う命令ですが、何に?」

 「何と!自分の書いたものが自分で当たってしまうとは!」

 「一二三ちゃんが書いたの!それで、何に着替えるの!」

 「まさかとは思いますが、滅茶苦茶恥ずかしい服じゃないでしょうね」

 アキラの指摘に口を閉ざした一二三。皆の視線が集まる中出した服は

 「これです。何やら南蛮では鬼のような存在にはこの服を着た女の人が退治するとかなんとか?前に尾張に潜入して夫殿を調査していた時に、それが書かれている本が売られていたので面白そうだと思って」

 皆が一二三の出した服に興味津々だ。

 「一二三、いったいこれは何でやがる?」

 「確か、こちらが『しすたあ』と呼ばれる神の使者が着る服でして、因みにこっちはその本に描かれていた退治された鬼が着ていたものです」

 それは片方はシスター服で、もう片方が鬼の衣装だった。だが、

 「ねえ、一二三。本当にその本に描かれていたの?」

 「はい・・・まあ、その鬼が女として描かれていて、何やら話が進むと身に着けていたものを破られて裸にされて、いろいろなことをイヤらしく口にするのもヤバいことをされてましたが」

 確実にそれはエロ本の部類の本だったのだろう。紺色のシスター服は半そででミニスカートのへそ出しタイプでちょっと動けば下着が見えるくらい露出しているがまだいい。だが鬼の方は結構やばい。頭につける鬼の角はともかく、身に着ける方は黒と茶色がごちゃ混ぜになったビキニだ・・・しかし、細い紐タイプで胸やあの秘所を隠す布も面積が少ない。後ろの方も尻の割れ目を何とか隠せているくらいでそれ以外は完全の露出している。

 「湖衣はこっちだね」

 「嫌だよ!一二三ちゃんが着てよ!」

 当然一二三は湖衣に鬼の方を渡そうとした。涙目で否定する湖衣。

 「えっと、王様の心さんが番号で決めてください。多分、もめますので」

 「は、はあ・・・じゃあ、鬼の方を七番が」

 「やった!私六番!じゃあ、一二三ちゃんが!」

 さすがにこれは自分でやって自分で受ける罰ゲームみたいなものだ。だが、既に王様が決めてしまった。湖衣が着るシスターの方も結構露出しているが、一二三の着る鬼の衣装よりはマシなのでホッとしていた。

 「で、では、着替えてきてください」

 「はい!」

 「あ、ああ・・・仕方がない」

 二人は部屋を出て、着替えにいった。

 「やばいですね・・・あんな服を用意していたなんて」

 「でも、動きやすそうで戦いやすそうだぜ!あたいも着てみたいんだぜ!」

 「粉雪、兵の前であれが破れて裸になるならいいでやがるよ」

 「・・・・・・ごめんだぜ」

 「分かればいい」

 夕霧と光璃が粉雪にツッコミをしているうちに

 「・・・おや、寝てしまったにゃ~」

 春日が目を覚ました。

 

 その後、戻ってきた二人の着ている服を見てびっくりした春日。特に、一二三が露出狂な人が着るようなヤバさマックスの衣装を着ていることに驚いていた。因みに春日同様ゲームが終わるまでそのままと言う事になった。

 「一二三は裸に近いですね。これは蠱惑的な姿です」

 「う・・・そんなに見ないでくれ」

 「でも、これはあなたが決めたことですし、もっと見た・・・痛い」

 「見すぎ(ムス)」

 一二三が恥ずかしがっている姿を見てからかおうとしたが、光璃が手をつねってむすっとしていた。もう一人、湖衣の方も四天王から注目を浴びていて恥ずかしそうにその場にしゃがみこんだ。

 「(ふむ、湖衣ちゃんの下着は赤ですか)では、いきますよ!」

 その際こっそり見えた下着を確認したアキラのスタートで再度開始した。

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「やった!兎々なのら!」

 王様の棒を高々と上げて喜ぶ兎々。

 「えっと、これにして・・・ふふふ、四番と九番なのら!」

 「私ですね」

 「私」

 アキラと光璃になった。

 「じゃあ、いくのら!・・・・・・え?」

 「どうしました?」

 「兎々?」

 気合入れて命令を言おうとしたが、紙に書かれている命令を見て固まる兎々。疑問に思い、紙を取ってその命令を二人で見た。

 「「王様をお仕置き(・・?」」

 何と、命令する王様をお仕置きしろと言う命令だった。つまり、痛い目に合うのは王様と言う事だ。

 「・・・誰が?」

 「私です。お屋形様のように素晴らしい王になるためにも、こうした苦しみを味あわないといけませんので」

 「湖衣は真面目だね~」

 真面目な湖衣が書いた命令だった。

 「光璃、命令はやらないといけませんよね」

 「うん、絶対だから」

 二人は何か寒気がする笑みを浮かべて、固まっている兎々を子供が親にお仕置きとしてされるお尻たたきの姿勢にした。しかも、左右から囲み兎々の腕をそれぞれ掴んでいるので完全に逃げられない体勢になった。

 「っは!思わず固まってしまったのら!こんなめいれ・・・って、あれ!なんれこんな格好に?」

 「では、いきますよ」

 「兎々、覚悟」

 「ひゃあああ!お、お屋形様まれなんれ乗り気なのら!」

 まずはアキラの手が尻を叩いた。続いて光璃と交互に叩いていった。その叩かれている兎々はまさに悪戯してお仕置き中の子供そのものの姿だった。

 

 「楽しかったですね」

 「うん。良かった」

 二人とも十分に満足したのか、充実した笑顔で話していた。そんな二人の傍には

 「ううう、もう、お屋形様のお嫁にいけないのら」

 「そんなこと考えていたのかだぜ!」

 尻を叩かれ続けられ弱り切った兎々の姿があった。服を着たまま叩かれたが、容易に尻が赤くなっていることが想像できる。

 「じゃあ、続けましょう」

 「「「「「王様だ~れだ!」」」」」

 「はわ!わ、私です!」

 「湖衣ですか。ではお願いします」

 「えっと、これにして・・・一番から三番までにします」

 「拙だ」「あれ、あたいだぜ」「薫もだ」

 「春日様に粉雪様に薫様ですか、では・・・え?また『着替える』?」

 「( ̄∇ ̄;)ハッハッハ、一枚だけとは言ってないだろう!」

 どうやら、一二三がまだ何枚かその命令を書いていたみたいだ。

 「安心しな。もう、三人に渡してあるよ」

 「「「は?っていつの間に!」」」

 三人の手には既に衣装があった。それぞれどんな衣装を渡したのか?というと、

 「これは、ウサギかにゃ?」

 「あたいは赤がよかったんだけど・・・」

 「でも、何か恥ずかしい」

 三人ともバニーガールだった。だが、色が違っていた。春日は赤、粉雪は水色、薫は黒だった。

 「ほらほら、私の着ているものよりはましだから着替えてきてくれ」

 「ま、まあ、とりあえず、いってくるみゃ」

 「・・・春日。その猫の語尾、もう違和感ないんだぜ」

 「じゃ、じゃあ、行ってくるね」

 三人とも着替えに行ってきた。その間に聞いた。何故に一二三があのような服を持っていたか、を。

 「いったいどうしてこんな衣装を?」

 「そうだよ、南蛮の衣装なんてどこで?」

 「貞子殿が持っていたのだよ。今日やると言ったら貸してくれたよ」

 「・・・・・・」

 長尾のあの悪夢を思い出したアキラ。まあ、あれよりはエロくないからいいか。と思いながら三人を待った。

 

 そして、出てきた三人はとてもイメージが変わった。

 「何と・・・春日さんは結構色っぽさが出ましたね。粉雪はちょっとかわいい感じがしますよ。薫は・・・う、白百合と同じくらいイヤらしい感じがプンプンしますよ」

 今アキラには、春日は持ち前のスタイルの良さと衣装の色で男を魅了できる雰囲気になり、粉雪は元気いっぱいの性格がおしとやかに見え、薫は素直で優しい性格が全く反対の意地悪で淫らな空気を持った感じに見えている。衣装の色の違いでここまで印象が変わるとは思ってなかったアキラ。

 「あ、アキラ殿・・・そんなことをな、ない」

 「旦那~、可愛いなんて、言うなだぜ・・・」

 「え!イヤらしく見えるの・・・お、お兄ちゃんのエッチ!」

 三人とも顔を赤らめた。

 「薫の方がエッチ」

 「今回は姉上に同意でやがる」

 「そ、そんなお姉ちゃん!ううう」

 「春日様もこなちゃんも何か別人に見えるくらい綺麗だよ」

 「本当にそう見えるのら!」

 「そ、そうなのか?う~む、実感がわかないにゃ」

 「ああ、あたいもだぜ。わからないんだぜ」

 三人もそう言われてさらに照れている中

 「さて、そろそろお開きにしようか」

 「う、うん。下着も見えちゃうし。恥ずかしいし・・・次で終わりにしましょう」

 彼女たち以上に恥ずかしいものを着ている一二三と湖衣が次で終わりにしようと言った。アキラもそれには賛成したが・・・約一名

 

 「もう、終わり?ヽ(`Д´)ノプンプン」

 

 光璃がまだアキラといちゃつける命令をされてないことに不満なのか、もっと続けたそうな顔をしていた。

 「はい、終わりです」

 「・・・・・・意地悪」

 だが、それを流してラストにした。

 「「「「「王様、だ~れだ!」」」」」

 「私・・・ふふふ・・・」

 最後の王様は光璃だった。何やら意味ありげな笑いをした。その企んでいそうな笑顔はまるで美空みたいだと、こっそり思ったアキラ。

 「最後は・・・これ、そして、四番!」

 「・・・私です」

 その笑いにひきながらも、番号を見せた。

 「そして、命令・・・『子供をつくる』」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はあ?」

 最後の最後にとんでもない命令で唖然とした。これは光璃が書いた命令だろう。その証拠に小さく「勝った・・・計画通り!」とつぶやいていた。

 「子供をつくる。アキラ、さあ」

 「あ、姉上!・・・で、でも、兄上なら」

 「お兄ちゃんの子供か、うん、作りたいかも」

 「あ、アキラ殿の!・・・まあ、いいかにゃ」

 「だ、旦那・・・嫁のあたいらは、か、覚悟、できているぜ」

 「う、うん、アキラさ・・・ううん、あ、あな、た。いいですよ」

 「と、兎々は嫌ですぞ~~~~!」

 「ほほう、夫殿にそれをされるか。まあ、夫殿なら抱かれてもいいかな」

 「はははは、はわわ!あわわ!ちわわ!こわわ!」

 兎々が全力で逃げ出した。他の者は湖衣以外は既に抱かれる気持ちでいっぱいだ。湖衣はというと、慌てて過ぎて逃げることも忘れてその場で焦っていた。

 「待ちなさい!そのような命令はないはず!」

 「でも、出てきた。だからやる」

 「そうですぞ夫殿。それに、この命令で私達と子供を作れるのは夫殿のみです」

 「兄上・・・さあ」

 「お兄ちゃん、ほら・・・私達、好きにしていいよ」

 「アキラ殿、あの、拙も・・・あなたなら」

 「旦那!あたいらを頼むぜ!」

 「あの、お母様に報告したいので・・・お願いします!」

 「う、うううう。ど、どうしよう・・・」

 湖衣は今だ迷っているが、他の者は既に準備万端だ。特に春日と薫があのバニースーツのおかげで蠱惑的な誘惑感がある。また一二三と湖衣もビキニ悪魔とシスター服の見えそうで見えない焦らしが二人に欲情してしまう。そして・・・

 「アキラ・・・抱いて」

 既に裸になり、しかもアキラの袴を脱がせている光璃の下から見る眼差し。その姿が彼女を押し倒して征服したい気持ちにかられる。とどめとして、

 

 「私達・・・アキラなら、どんな命令でも聞く。だから、して」

 

 各務が言いそうなこの言葉に全員が頷いた。このことで理性をぶち壊し、ついにアキラはここにいる全員に襲い掛かった。

 

 

 次の日、アキラは光璃の部屋を出た。その部屋の中は、部屋の主とその部下が寝転がっていた。満足そうに寝ており、彼女らには布団が敷かれていた。ただ、全員の顔には白い液がかかっており布団の中の彼女らは全裸だった。その裸体にも、脱がされた服にも、白い液がいろんな箇所にかかっていた。

 「・・・朝食にしましょう」

 何もなかったかのような顔をしたアキラが歩いていると名月と空に会った。

 「アキラ様!おはようございます!」

 「あの、おはようございます」

 「はい、おはよう二人とも」

 「はい!あ、そう言えば先ほど朝一で母様から手紙が届きましたの!・・・ただ、不思議なことにアキラ様当ての手紙もありますの」

 「どうぞ、こちらです」

 「氏康さんからですか?」

 三人とも不思議そうな顔をして、アキラは空からその手紙をもらった。とりあえず、その中身を見た。

 

 『やっほ~。アキラちゃん、まだ会ったことないけど名月がお世話になったから礼を言うわね~。そうそう、何やら面白そうなことしているみたいじゃない?王様げーむだっけ?私もやりたいから、もし小田原に来たらやらない?いいでしょ?名月から聞いたわよ~、とても楽しかったって・・・うふふ、あなたといろいろなことをやれるのを楽しみにしてるから~、じゃ~ね~』

 

 ・・・王様ゲーム、延長戦が始まりそうだ。

 




 
 以上武田家版王様ゲームでした!ちょっと感想で北条編やらないの?という感想があったので最後はそれを忘れずにやるような展開しました!

 過去編も原作を立ち読みしていると、本当に半分以上オリジナルで書いている部分があって記憶もあいまいだな~。と思いつつこういう進み方も悪くないのではと思っています。

 最後の氏康の手紙の中の「やれる」が「ヤれる」に見えるのは私だけでしょうか?では過去編続きいきます!


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100話突破記念! バレンタインは逃げるべき!

 
 こんばんは!まだバレンタインは早いですが今のうちに書こうと思います!

 100話突破記念、バレンタインの話です!

 キャラはまだ出ていない5章までの皆にします。長尾はやはり武田と一緒に出してこそ面白くなりそうなので・・・。後、原作ヒロインの三人も出さないことにしました。


 それは、ある一言がきっかけだった。

 

 「バレンタインという風習があって、女性が想い人に手作りの甘いものを上げるとその人の想いが届くらしいです」

 

 それはバレンタインという言葉を知っているエーリカの言葉だった。それを聞いた女性陣達。耳をダンボにして、目を思いっきり輝かせて、そして久遠は面白そう・・・というのとは裏腹にアキラにそれをプレゼントしたい気持ちを隠す様に、

 

 「なら、明日はその日にしよう!」

 

 と、決めてしまった。それが一緒に話を聞いていたアキラの悲劇の始まりだった。

 

 「アキラ~~、ちょっとどこにいるのよ!」

 「アキラ様。受け取ってほしいものがあるのですが」

 「主様!酷いぞ!受け取りたくないというのか!」

 そして、その日。清洲城では結菜と詩乃、一葉がアキラの部屋にやってきたがアキラは既にいなかった。そして、出ていって少しした後だ。アキラが張り付いていた天井から降りてきたのは。

 「ふ~~。まずは安心ですね・・・」

 なぜ、アキラが彼女らから隠れるようにしていたのか。それはさっき彼女らが持っていたバレンタインのプレゼントから逃げているためだ。なぜ逃げるのか?そう、エーリカの言葉を思い出してほしい。

 

 『バレンタインという風習があって、女性が想い人に手作りの甘いものを上げるとその人の想いが届くらしいです』

 

 そして、ここの部分に注目してほしい。「手作り」に。つまり、彼女らの頭の中では自分の手作りの甘いものをアキラにあげれば想いは届く。という認識になっている。

 『せめて、手作りという言葉は抜いてほしかったです』

 つまり、どんな失敗作になろうとも手作りなら問題ないと言うことだ。アキラは頭の中で料理の出来る人達を思い出した。

 まず料理上手のころや双葉に麦穂、結菜といった人達のならアキラは喜んで受け取る。彼女らのような人達であれば、必ずおいしいからだ。料理中級者のひよや歌夜に雫や聞いたところ幽もそれなりにうまいという、彼女らのでも受け取る気持ちはある。失敗してもそれを修正できる腕前を持っているからだ。

 『ここからが少し問題です』

 料理を全くしたことがない久遠や詩乃、鞠に葵や真琴といった人達のはというと、少し覚悟を持つが自分への想いを頑張って形にしてそれをプレゼントしようというのだ。それに彼女達だったらおそらくころや結菜達に教えを請いて一緒に作ったはずなので、彼女らが修正しているだろうと思うので受け取る覚悟はある。

 

 『・・・・・・一番に怖いのはやはりあの三人ですね』

 

 そして、アキラの頭の中で最大級の警戒をする要注意人物が三人いるのだ。まず最初は綾那であり、料理という概念すら彼女の頭の中にはないのかもしれない。確実に食材全てを全部切ってそれを全部入れてはい完成。作ってすらいないが彼女の頭の中ではそれが完成であり料理と言えるものらしい。その辺の道端にある草すら入れていそうな気がするから食べたくない。

 二番目は一葉だ。今回一番気合を入れているが、料理というのは出来る人から教えてもらいながらやるのが一番だが、それを彼女がやるのか?答えはNOだ。絶対に自分のやりたいようにやってそれで完成、と言ってのけるだろう。そう、一葉からすれば本物の泥団子すら手作りの料理と言い張って食べさせる。綾那とは別の意味で恐怖だ。

 そして、一番の最重要注意人物・・・それは雛だ。彼女は見た目はいいものを作る・・・見た目だけだ。いや、あるものさえ入れなければ見た目通りの味も出せるだろう。彼女はいろんな悪戯な道具を作る。それは薬すらも・・・そういったものを彼女は楽しんで入れるのだ。そして、彼女の持っていたプレゼントの箱からとんでもないやばい気配を感じていた。つまり、見た目に決して騙されるな。だまされたら最後・・・死が待っているくらいの危険をアキラは本能で感じていた。

 

 さっき隠れたのも結菜と詩乃だけだったら隠れなかったが、要注意人物の一人である一葉もいたため隠れたのだ。料理未経験者の人達のプレゼントの箱もそれなりに危険と感じるが、四聖天時代の灯の(毒)料理に比べればまだかわいいものだ。しかし、あの三人だけは同レベルと察知したために、絶対に避けないといけないのだ。

 「さて、逃げないと「ご主人様!」な!」

 すると、さっきまで誰も気配を感じてなかったのに、いきなり小波が現れたことにびっくりした。

 「あ、あの、その、えっと、う、うう、ううう」

 「えっと、失礼します!」

 いつまでもここにいてはばれるのも時間の問題なので逃げようとしたが、

 「受け取ってください!」

 背中を向けたはずの小波が一瞬でアキラの前に移動して、顔を真っ赤にして箱を差し出した。

 「・・・はい」

 「(パぁぁぁ)(*´▽`*)」

 彼女の周りから嬉しい気持ちがあふれ出ているのが分かる。受け取ると、すぐにいなくなった。

 「やった!やった!ご、ご主人様、受け取ってくれた!」

 屋根裏に移動したが、あまりの嬉しさに声で居場所が丸わかりだった。

 「と、とりあえ「あ~~~!見つけた!アキラ様!」っは!しまった!」

 「皆さん!自室にいましたよ!」

 そこにひよところに発見された。慌てて、小波のプレゼントを懐にしまって窓から逃げ出した。

 『せめて、個々で渡してくれるならいいのに!』

 アキラが逃げるもう一つの理由。それは小波のようにこっそり渡したい人ならともかく、皆で一斉に渡したいという気持ちを持っているためだ。そうなると、あの三人も必ず便乗する。しかも、空気的に受け取らないという選択肢が取れない。ましてや、彼女らの夫でもあるためどうしても受け取るしかない。そして、その場で食べるしかない。そうなってしまったら・・・確実にあの世いき、そんな考えがアキラにはあった。

 『絶対に逃げ切って見せますよ!』 

 

 「ハニー!どうして逃げるんですの!」

 「アキラ様・・・あの、作ってみたのですが」

 「お兄ちゃん!市の手作り食べて!」

 「アキラく~~ん。ほらほら、雛のだよ~~」

 最大警戒人物雛もいる。よって、梅、葵、市がいても逃げる。

 「か、勘弁してください!」

 「いいえ!絶対に食べてもらいますわ!」

 「えっと・・・私はその、義理というもので」

 「市はもちろん本気だよ!」

 「雛の力を込めて作ったんだから食べてよ!おいしくなる薬もいれたんだから~」

 『それが最大にやばいやつでしょう!』

 怪しい空気がする箱を持って追いかけてくる雛。お家流も使ってくるので、追いかけてくるスピードが誰よりも早い。

 「ほらほら~、食べてよ~~」

 「なら自分で食べなさい!」

 「あ!アキラ様いたです!鞠様!歌夜~、見つけましたよ~~!」

 「あ~~、アキラ!小波ちゃんのはもらえて鞠のはもらえないの!」

 「あの、私も作ったので・・・」

 「く!新手ですか!」

 綾那が鞠と歌夜を連れて前からやってきた。しかも、その後ろには一葉と詩乃に他にも和奏に犬子など何人もいた。

 「こうなったら・・・」

 足を止めて二本の刀を抜いた。

 「こんな追いかけっこなんて、正直御免ですよ・・・でも、まさか」

 「さあ!アキラ様!受け取って下さい!」

 「主様!余の全力を受け取るのじゃ!」

 「ハニー!」

 「アキラ様!」

 「兄さま!」

 「アキラ君~~!」

 どんどんアキラの周りに集まってきた。

 「こんな事なんかにこれを使うなんて・・・」

 そして、アキラはあの技を使った。

 

 「氷繭星霜」

 

 うまい事追いかけてきた彼女達が自分を中心に円状に囲むように集まったので、その外側から地面から巨大なつららが現れ彼女らを囲むように閉じ込めた。そして、閉じ込められたことに全員がびっくりしている間にアキラは抜け出した。そう、閉じ込めるまでの間の隙間からうまい事外に出た。

 「ちょっと!ここって何ですか!」

 「これってまさか、アキラ様の技!」

 「アキラ様!どうしてこんなことを!」

 「こんなもの、壊してくれる!」

 一葉が中の氷を一つ壊そうとしたが、その氷が固く壊れなかった。

 「大丈夫です。二刻ほどすれば溶け始めるので、そのまま(ガキイ!)」

 「のわ~~!何ですか!壊した氷が襲ってきたです!」

 「と、とりあえず!ちゃんと溶けるからそのままでいてください!」

 壊されるのは時間の問題と考えて慌てて逃げ出した。

 

 そして、何とか逃げた先は久遠の屋敷だった。さすがに、ここでは彼女らがあの氷繭星霜を壊して追いかけてきても暴れることができないと思ったからだ。

 「ふ~~、これでしばらくは安心ですね」

 「ああ、これでゆっくり渡せるな」

 「待っていたわよ」

 「お、お待ちしておりました」

 「あ、アキラさん・・・あの、受け取ってください」

 「まあ、私のは麦穂に作ってもらったけどな。一応気持ちは込めたぞ」

 安堵している時に後ろから声が聞こえた。振り返ると久遠に結菜、双葉に麦穂と壬月の五人がいた。

 「あの・・・どうしてここに(・・?」

 「アキラ・・・ここはお前の家だぞ」

 「皆は追いかけているだろうから、ここに逃げ込むと思ったのよ」

 「お二人とも・・・本当にアキラ様の事を理解しているのですね」

 「さすがとした言いようがないな」

 「ちょっと、悔しいです」

 つまり、アキラの事を誰よりも知る二人が行動を先読みしていたのだ。

 「そう、ですか」

 「それより、何故逃げるんだ?そのわけを聞こうか?」

 久遠の問いに、苦い顔をしながら説明した。因みに、話をする前にしっかり五人からのプレゼントはちゃんと受け取った。

 

 そして、聞いた後双葉を除く四人は納得した。

 「確かに・・・それは逃げるな」

 「ええ、公方様に綾那ちゃんだけじゃなくて」

 「雛ちゃんはよく危険物を作りますからね」

 「話を聞く限り、それを入れて作ったみたいだからな」

 「あの・・・そんなに危ないのですか?」

 「・・・双葉、一葉が料理ができると思います?」

 その言葉に納得したのか、彼女も言葉が出なかった。

 「でもその三人以外からのはちゃんと受け取りなさいよ」

 「だったら、協力してください・・・私が言っても聞かないでしょうし。どう考えても彼女らは無理矢理でも渡しに来ますよ」

 「そうだな・・・分かった」

 「私も協力します」

 「壬月様、手伝いましょう」

 「だな・・・雛には説教も必要みたいだし」

 何とか心強い味方を得ることに成功した。

 

 その後、何とかあの氷繭星霜を抜け出した彼女らは急いでアキラを追いかけた。すると、アキラを守るように五人が前に出て説教を始めた。何とか三人を除く皆のプレゼントは受け取ることにして残り三人は渡すことを許されなかった。もちろん納得できなかったが、

 

 「なら、それを自分達で食べておいしいと言ったなら渡していい」

 

 久遠がそう言うと、味見を一回もしなかった綾那と一葉はそれを口にした。すると、一瞬で倒れ体も震わせどんどん顔色も悪くなった。慌てて、家に運び込み寝かせ近くの兵に医者を呼ぶように言った。そして、残り一人の雛も

 

 「や、やめてください~~」

 「ほう~、美味しいものを作ったのに食べたくないのか」

 「そんなものを作ったのなら処分は自分でしないとね」

 

 壬月と麦穂の力づくで無理矢理食べさせられ、雛もまた医者行きとなった。それを見たアキラは、もし三人のを食べていたらと思うと顔が真っ青になった。そして、見事回避できたことに心から感謝し

 「久遠!ありがとう、ありがとう!」

 皆の目の前で抱きしめ、ありがとうを連発した。

 「お、おい!何を!」

 「では!この感謝の気持ちを込めて!」

 本当に滅多に見せない心からの笑顔を出しながら、久遠を抱き上げ家に入り自分が寝泊まりしていた部屋に入れると押し倒した。

 「ちょ、ちょっと!待て!」

 「待てません!感謝と愛を込めて、あなたを抱きます!」

 力強い接吻をして、更にどんどん脱がしていき、そして・・・。

 

 「あ!ああああ、アキラ、アキラ!」

 「もっと!もっと、強く・・・お前を更に感じたい」

 「くちゅ、ああ、下が、濡れて、んん!い、いじるな」

 「あん!お、あ、え、む、胸を・・・吸うな」

 「ああん!駄目だ・・・あう、えん」

 「アキラ・・・滅茶苦茶に、我を、たくさん・・・愛して」

 「ちょっと!私を置いて何を!」

 「あの、その・・・私も、私も、抱いて、ください」

 「麦穂、私達も、便乗しようか?ふふ、我慢できないのだろう」

 「!!ん、ああ、私、もう、濡れて・・・」

 「いいですよ・・・守ってくれた。あなた達はたくさん。いやらしく愛します」

 「お、おい・・・我を、忘れ(ズン!)ああ!は、入る」

 

 その後、たくさん愛された五人だった。アキラも、命が救われたことにリミッターが外れたかのように五人が力尽きるまで愛し続けた。

 

 

 

 

 と終わればよかったのだが、アキラは一つ忘れていた。次の日・・・

 「主様!さあ、食べてもらうぞ!」

 「アキラ様!」

 「アキラ君~~ほらほら」

 意識を取り戻した三人はバレンタイン関係なしで食べさせに来る性分だったことを。しかも、今アキラは五人を徹底的に愛したおかげで動けなかった。

 「(ぶんぶんぶん)や、やめてください!」

 首を横に振って否定するが、結局無駄骨だった。

 「「「はい。どうぞ」」」

 「ぎゃあああああああ!」

 アキラの悲鳴が久遠の屋敷から響いた。慌ててやってきた愛された五人は意識不明の重体となり、声をかけても返事がない、更に心音が停止しそうなくらい弱まっているアキラの姿に慌てて看病をした。

 その後、三人は死ぬまで台所に入ることを禁止させられた。 

 

 アキラは三日後に意識を取り戻し、その後は三人の姿を見るだけに発作を起こすくらいの後遺症を持ったとさ、ちゃんちゃん。

 




 原作技・氷繭星霜
  アキラの作る氷の中に閉じ込め、本来なら氷が鏡の役割を果たしアキラの姿をたくさん映し出して敵を困惑させている時にとどめを刺す技。氷も壊されると破片が相手を攻撃する。

 今回はアキラが外に出ているのであくまで閉じ込めるだけにしてちゃんと溶ける時間も設定しておいた。後、破片も細かくなってケガのないようにしております。

 以上、バレンタイン小説でした。


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 アキラ プロフィール +α

 
 では、二振り目の後書き通り主人公アキラのプロフィールです。

 こうした作品を書くのは本当に初めてであり、まだ未熟者なのであれ?というところもあるかもしれません。とりあえず、話を進めていきながら修正もしていこうと思います。

 原作終了後の原作主人公の設定も入れました。

 11月26日、一部追加しました。
 12月30日 一部更に追加しました。


 

 

    主人公 アキラ

 

 原作が終わって、二年経過した設定にしています。

 その二年間、自分の超えるべき相手『狂』を打倒するために修業とその狂と互角に戦える漢『壬生京四郎』にある剣術の教えと対戦相手になってもらった。そのおかげで、負け越しているが三回に一回は勝てるくらいに実力が上がった。

 

 年は21歳に設定しています。四聖天解散時は12歳、打倒『先代・紅の王』のため再び四聖天集結時は16歳、原作終了時は19歳にしました。

 

 武器、二本の太刀ともう一つの刀(紫微垣)の計三本。

 技はほぼ原作通りの氷の技とオリジナルも何個か出そうと思います。

 オリジナル技1・・・夢氷雹天。初登場二十五振り目

 オリジナル技2・・・ダイヤモンド・ボルト。初登場三十六振り目

 無明神風流殺人剣・・・みずち・辰・朱雀・白虎・玄武・青龍

 

 恋姫の世界に来る前に狂と戦った時は、超冷点のツボを使いなおかつ狂のはなつ奥義に耐えられるよう、同じ技を使える京四郎に狂しか使えない奥義以外は全部その身で受けた。超冷点を使った戦いは狂はその時が初めてだったため虚を突かれたり、新しく編み出した技を使ったりしたので、さすがの狂もギリギリでアキラが倒れたため勝ちとなった。

 

   原作主人公 狂の設定

 

 狂はすでに妻ゆやとの間に双子がいる設定にしてます。ゆやが団子屋をやっている時は狂が必然的にその子達の面倒を見る役になってしまうので、この二年間はアキラ以外と戦ったことがない。そのため、体に染みついた戦いの記憶が少し消えてしまい少しだけ弱体した。

 狂に子守や育児ができるのか?と思いますが、ゆやと京四郎の妻朔夜にほぼ無理矢理教えられた。因みに京四郎も子守ができるため、時々彼が双子の面倒を見ることもあった。というより京四郎の方に父性があるため、一緒にいるときは双子は常に京四郎に懐いていた。狂が抱いても双子にとっては顔が怖く見えるのか逆に泣いて逃げようとした。それを見てこっそりショックを受けていたのは、ゆや以外知らない。

 

 

   今後のアキラ

 

 恋姫の世界に来たときは、超冷点の悪影響により実は体がボロボロだった。来る前に手当と仲間の『灯』に治療してもらったが、それ以上に体が悲鳴を上げていたため日常生活は送れるけど、まだ万全に戦えるわけではありません。この時のアキラの状態は時人と戦う前の状態と思ってください。でも、万全の状態には必ず戻そうと思ってます。ただ、療養がまだ必要なので序盤は手合わせぐらいしかしません。

 また、この世界のアキラは仲間想いです。厳しく接したり、突き放すような言葉も出しますが、ちゃんと加減をつけ言いすぎないように気を付けています。それだけ、時人との戦いはアキラにとっては大きく影響したといえます。

 

 墨俣城築城時にアキラの体は復活しました。

 後、紫微垣はめったに使いません。でも、アキラがさらに強くなるためのキーアイテムでもあります。

 アキラには壬生一族の血が入っています。理由は特別編3にあります。紫微垣を使うと壬生の血が活性化し体が超活性化のような力が発揮します。そして、川中島で死の病が発病しましたが、その病を治す薬を時人が持ってきたため治りました。今では、紫微垣なしでも壬生の血を活性化させることができます。

 

 




 設定はこれで行こうと思います。話が進むにつれてプラスにするかもしれないです。

 いつになるかわからないけど、この二人の最後の戦いも原作で出た戦いも出してみようかな?と思っています。でも、ずっと先になると思いますので期待しないで待っていてください。

 

 


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 第一章 織田家入り~墨俣城築城
一振り目 この出会いは運命?因縁?


 
 初めまして!三食MENでしゅ!

 初めての投稿小説なので話の進みが変だったり、おかしな展開になったりするかもしれないですが、その辺りはお許しください。

 
 上でこんなことを書いておきながら、初っ端から序盤の田楽狭間の戦いは飛ばします。原作そのまんま書いて投稿。ってことになりかねないので・・・・・・。


 大きな屋敷の客間らしいところで、布団の中で青年は寝ていた。その青年の様子を一人の女が覗き込んでいた。ビシッとしたまっすぐな瞳を持ち、まだ少し幼げな感じがする凛とした感じの女は、まだかまだか?と興味津々な空気を持って見ていた。早く起床するのを、心待ちにしているのだろう。

 

 『誰でしょうか?いつもだったら、時人か梵ですが、明らかに私の知らない女性ですね。しかも、確実にここは狂とゆやさんの家ではない』

 

 実は青年は既に起きていた。ただ、自分が確実に違う場所で寝ていることに疑問に思っていており、また体を起こすタイミングを見計らっていたのだ。

 

 『お、ちょうどいい。彼女の顔がちょうど真上に』

 

 内心笑いながら、体を起こした。そうすれば当然お互いの額をごっつんこして、額を痛めるが、青年はたくさんの修羅場と努力をしてきたため、この程度は痛くない。ただし、女の方はちょっと涙目になっている。

 「くう、いたた・・・おいこら貴様!何故、いきなり起きる!」

 「それはこちらの言葉ですが?まさか、そこに顔があるとは普通は思いませんよ」

 むすっとした顔で青年を見る女性。だが、しれっとした顔で返答する。青年の言っていることは正しいので、うっと思いながらも話題を変える。

 「・・・貴様、何故目を開けない?開けたくないのか?それとも、我の顔を見る気がないというのか?」

 「あ、そのことですか」

 無理やり話題を変えたことにくすっとしながら布団を足元に折り畳んで、その場で正座をした。

 「実は私、目が見えないのですよ」

 「・・・何だと?ほ、本当なのか?」

 半信半疑で訊ねてくる女性。普通に話しても違和感がない話し方で、顔も女性に向けている。

 「でも、ご安心ください。私には心の眼がありますので、ごく普通に接していただいて結構です」

 「・・・そう言われても、こちらに顔を向けて話をしていると嘘みたいだぞ。こうして目は閉じている顔を見ていても、お前にはじっと見られているように感じる」

 「ふふふ、無理もありませんね。仲間からもよく言われますよ。お前といると、目が見えていないことを忘れそうだと」

 「ふむ、どうやら本当みたいだな。話し方が少しイラっと来るが、嘘を言っているようには見えない」

 「信じていただき、ありがとうございます」

 「うむ」

 お互い笑顔を出した。とりあえず、二人とも落ち着いた。

 

 

 だが、笑顔はここまであり、ここからは互いの質問タイムだ。二人とも真面目な顔つきになった。

 「貴様には、聞きたいことは山ほどある」

 「その事ですが、出来ることならば私が質問をしてあなたが答える。という形にしてもらえないでしょうか。正直、半分ほど混乱している状態であり、何故ここにいるのか。そもそもここはどこなのか?そして、あなたは誰なのか?と頭の中で整理がついていないのです」

これは本当の事だ。いつも通りに接していても、実際はまだ混乱していた。

 「・・・わかった。その通りにしてやるが、ちゃんとこっちの聞きたいことにも答えてもらうぞ」

 「それは問題ありません。ありがとうございます」

 一礼して、一息ついて、質問を始める。

 「最初に、ここはどこですか」

 「ここは尾張・清洲にある我の家だ。田楽狭間で天から降りてきたお主を拾って、ここまで運んできた」

 「は?」

 ここでまた混乱に走る青年だが、すぐに立ち直った。今は、もらえる情報をもらって整理することを優先としたからだ。

 「田楽狭間で、天から降りてきた?私が?」

 「そうだ。我が今川義元を討った後に天が光り輝き光の玉が下りてきて、その中にお主がいたのだ」

 もし青年が混乱してなかったら、ここで彼女の正体を知ることができただろう。だが、混乱が継続中の為、それができなかった。

 「な、なるほど。天からですか」

 「ああ、では次の質問を言え」

 「はい、私の刀はどこでしょうか?」

 起きてすぐに自分の得物がないことに気づいたので、早く自分の手元に戻しておきたいのだ。人生の半分以上を共にしたかけがえのない刀でもあるから。

 「安心せい。ちゃんと返す。ただ、こちらの要求をのめばの話だがな」

 「その要求の話は後で聞くとして・・・最後に一番聞きたいことをお聞きします」

 大方。助けてやったからお主の力を貸せ!というところでしょうね。と予想しながら最後の質問をした。

 「あなたは誰ですか?」

 「我の前にそちらから名乗ってもらおうか。そなたは何者なんだ」

 じろ~とした目で、青年の顔を見ていた。

 「そう言えば名乗ってませんでしたね。私の名はアキラと申します」

 「アキラ。それだけなのか?」

 「ええ、まだ小さい時に親から捨てられました。この名は、盗み食いをして牢にいた時に会った漢が付けてくれました。ですので、自分の親の顔はもちろん自分の本当の名前すら分かりません」

 「そ、そうか・・・では、我の紹介といこう」

 女性は何とも怪しいことこの上ないアキラと名乗る男に、用心して偽名でも言おうと思っていたが、捨てられ拾われの身で本当の名前も知らない。と言われ心が焦ってしまい、つい名乗る空気を作ってしまった。だが、それをすぐに問題ないようにふるまい、そして高らかに名乗った。

 

 「聞いて驚け!我の名は織田三郎久遠信長!織田家当主にして夢は日の本の統一なり!」

 

 その名前を聞き、言葉を失うアキラ。意識も一瞬飛びかけた。何故なら、かつてある目的のためにとある組織にいて裏切ったことがあり、その組織を束ねていた大将がその名の男だったからだ。

 

 『お、織田・・・信長?・・・お、女?』

 

 ようやく収まりかけた混乱が、大混乱となってアキラを襲った。

 




 1話終了!

 できる限り頑張って書いたつもりです。
 
 やっとこの作品の主人公アキラの登場!もし彼のことを知りたいなら、あるマンガを見ていただきたい!そうすれば、どういった人物かわかります。

 あと、今後の更新についてはまだ、やり始めたばかりなので不明です。気長にお待ちいただきますようお願い致します。


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二振り目 状況整理

 
 三食MENです!初感想ありがとうございます!読んでくれる人がいる限り、続けていこうと思います( ^ω^)。

 今回は、アキラの頭の中の整理です。

 


 

 その後、大混乱になりながらもなんとか織田信長と名乗る女性と話を続けた。時々、右の耳から入って左の耳から出るといった感じにもなったが、何とか話にはついていけた。一時間ほど経過したら、女性は仕事が残っているとのことで部屋を出て行った。

 「どうやら本当に行ったようですね。ふう~ようやく一息つけました・・・いやはや、まだ混乱が収まりませんよ」

 女性・久遠の気配がないのを確認して、敷かれている布団に再び横になった。

 「どう考えても、ここは私のいた世界ではありませんね。男であるはずの織田信長が女という現実だけで、異世界の過去の世界となりますね。私のいた世界では、男で本人はもう死んでますからね。まあ、あの一族がいたからこそこっそりと生き続けていたとも言えますが」

 話を思い出しながら、もらった情報を整理していた。

 「これからどうするか・・・これが一番の課題ですね。そして、私がここにいる理由を一番知りたいですが、彼女に聞いてもわかるわけないでしょうし。私が天から降りたことに関しては、逆にどうやってそんなことができたと聞いてきたくらいですし」

 彼女との話の中で自分の家臣になるよう誘われた。自分の実力を見せたのならともかく、まだ起きて話をしているだけ。これだけで家臣になれと誘って、しかも衣食住は保障するのおまけつき・・・あまりにも虫が良すぎる。見え見えの罠の中にあるおいしそうな料理に飛び込むようなものだ。ましてや真意もわからないからこそ、好条件ではあったが断った。

 「しかし、驚きましたね。目を覚ましたら、いつも寝かされているゆやさんの団子屋の客間じゃなくて大きな家の客間の布団の中。しかもついさっき話した女性が織田信長という。ここまででも驚くことがたくさんあるのに・・・やはり一番驚いたのはあの言葉ですね」

 驚きがまだ収まらない時に出した言葉。それはちょうど家臣の話を断った後の話であり、アキラはその時の事を思い出した。

 

 

 『アキラ、お主我の夫となれ!』

 

 家臣がダメなら夫になれ?この言葉に驚いたアキラ。

 『夫?それはつまり夫婦になれということですか?』

 『それ以外にどう聞き取れるというのだ?』

 どうやら本気で言っており、冗談やだましではないと見抜いたアキラ。

 『何故です?』

 『言ったであろう。傍に置きたいと』

 傍におきたいだけなら家臣か部下になれが普通だが、アキラは断った。すると次は夫になれ。さすがにすぐには頷けない。

 『私はあなたの本心を聞きたいですので、言葉飾りはやめてください。傍に置きたいというのは、それ相応の理由があると馬鹿でもわかりますよ。何しろ好条件すぎる身の振り方の上にあなたの夫ですからね、あなたが私を怪しいと思っているのと同じように私もこの条件には裏があると思っています』

 『ふむ、そうか。お前、随分と頭が回るな』

 『それとも・・・私との間に子供を作りたいのですか?』

 『なあ!何を言うんだ貴様は!』

 『照れてますね。ふふ、あなたって結構初心なんですね』

 恥ずかしがる久遠の顔を見て笑った。

 『ききき、貴様というやつは!!』

 『ふふふ、冗談はさておき、真意を聞かせてください』

 『むう~~、ごまかしおって~~』

 睨みつける顔もかわいい、とこっそり思ったアキラ。深呼吸をして一息ついた久遠は真面目な顔になって話を始めた。

 『では、話すぞ。さっき、田楽狭間で天から降りてきたと言ったな』

 『はい、私が光の玉に入っていたと』

 『そこだ。そこに我は注目している』

 その後の話で、田楽狭間では自分の知る歴史通りの展開になっていた。でも、大勢力の今川を小勢力の織田が破ったことはただのまぐれに過ぎない。まぐれじゃなければ他に理由があるはず。と他の勢力からすればそういう見方になるとのこと。

 そこに現れたアキラ・・・天から降りてきた天人が織田という小勢力を勝利に導いた。本当なら久遠の提案した奇襲作戦のおかげで織田は勝ったが、周りの連中はそうは見ない。だから、そういう見方にさせてしまおう。というのが彼女の考えだった。

 それにこの日の本に今川を破ったことで名が広まっているため、織田に取り入ろうとする輩も縁談を使って迫ってくる。そういう虫除けの意味も込めて、アキラを夫にするとのことだった。

 久遠はここまで本当のことを言ってくれた。しかも半分私情が入っている理由すらも彼女は話した。互いの利をちゃんと掲示して、真意も全部打ち明けてくれた。信用できると判断し・・・アキラはその提案を了解した。

 『久遠、その提案に乗りましょう』

 

 思い返しが終わって、ずっと天井を見続けた。

 「まだ胡散臭い男として見られているでしょうが、とりあえず身の振りは安定しましたね」

 起き上がって襖を開けて庭を見た。空を見上げて太陽を半分隠している雲を見た。

 「それにしても・・・まさかまた織田信長の部下になるとは。運命とでもいうのでしょうか?それとも、ただの偶然でしょうか」

 こんな展開は誰でも予想できない。でも、今はこの状況に流されるのがベストだと考えた。

 「狂は、ゆやさんは、時人は、梵は、あのバカは・・・そして、ほかの仲間たちは今どうしているでしょうね。私を探しているのでしょうか」

 向こうの世界にいるかけがえのない仲間の顔を思い出した。皆がいるからこそ、今の自分がここにいれるし、掛け替えのないものをたくさん手に入れることが出来た。

 「皆さんのようにできるでしょうか・・・」

 自分もいつか誰かにかけがえのないものを渡したいという考えをこっそり持っていた。もし、ここで私を置いてくれた久遠にそれができるなら。そこまで考えたところで後ろの襖が開かれた。

 




 2話目終了!
 いやはや、中々難しいですね。いろいろ展開を考えるというのは。

 では、ここまで読んでいただきありがとうございました。


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三振り目 女性同士も婚姻できるの?

 必ず二度寝これは絶対!と言いつつ三度寝する三食MENです。

 ほかの創作さん達だったら、この第三話目でもう久遠の家臣と顔合わせ・手合わせしているのに未だに会ってもいない・・・。う~ん、もう少し端折ってかいたほうがいいかな?

 では、お待たせしました。やっとあの人と会います。
 
 



 

 今アキラは何をやっているのか?それは、彼らしくないことをしていた。

  

  ガツガツガツガツ!モグモグモグモグ!

 

 部屋に入ってきた女性が持ってきた食事を食べていた。どんな時も上品に食べることを心掛けている彼だが、この時だけはこれでもかっていうくらい急いで、しかも下品に食べていた。

 

 『さすがに、1週間寝ていたら腹も空きますよね』

 

 何か言いたげな女性の視線も関係なしに食べていた。最初はアキラの食べ方に驚いていたが、

 「あの「すいませんが、おかわりお願いします」・・・はい」

 問いかけを遮るようにお椀を差し出す・・・これが三回も続けばむしろ呆れる。とりあえず、アキラが腹いっぱいになって食べ終わるまで待ってくれた。その間も呆れの視線を向けていて、最後はどうでもなれ。という感じでアキラを見ていた。

 

 

 ようやく腹いっぱいになったのか、アキラはほっと息を吐いた。それを見た女性もやっと話ができることが分かった。

 「では、話をしたいのですがよろしいですか?」

 「ああ、お待たせさせてしまいすいませんでした。何しろ、何日も食べてなかったので腹がすいていたのですよ」

 声のトーンを下げて、話しかけてきた女性を見た。

 

 『身なりがいいですね。最初は侍女かと思いましたが、この態度からすると違うようですね。そして、織田家当主の家にいるということは、久遠さんから相当信頼されていると見れます』

 

 「それで、あなたはいつ出ていかれるのですか?」

 ばれないように観察していると、明らかに不審者を見る目で聞いてきた。だが、それは無理もない。この女性からすれば、赤の他人なのだから。

 「失礼ですが、久遠さんから事情は聞いてなかったのですか?」

 「久遠から聞いたのは、食事を与えることと織田家で保護することです。それ以外のことは聞いていません」

 「そうですか。それなら話しましょう・・・驚かれるでしょうけど聞いてください。どうやら、私は久遠さんの夫になるそうです」

 「・・・・・・は?」

 何言ってるの?と顔に書いてあるのがわかるくらいキョトンとした女性。

 「あ。あの子!私という妻がいるのに、こんな男を夫にするというの!」

 「・・・ちょっとお聞きしたいのですが「何よ!」聞き間違いじゃなければ、あなたは久遠さんの妻だという言葉を出しましたが」

 「そうよ、私は帰蝶。久遠の妻よ!」

 怒り心頭で自分の名前を言った。

 

 『女性同士での婚姻もこの世界ではあるのですか・・・本当に、あの世界とは歴史の流れは同じかもしれませんが、根底が違うみたいですね』

 

 内心びっくりしたアキラ。同性の恋愛はいつの時代もおかしいことではないが、結婚までしているとは思わなかった。

 「聞いています?あなたはあの子の」

 「聞いていますよ。あなたの言いたいことは分かります。こんな馬の骨を、自分の大切な人の隣に立たせようとする。怪しいことこの上ない私は、今すぐにでも出て行ってほしい・・・違いますか?」

 「・・・・・・そうよ」

 心を言い当てられ、黙ってしまう帰蝶。同時にさっきの感情に任せた言い方を思い出したのか、恥ずかしさで真っ赤になった。

 「申し訳ありませんが、久遠さんとはちゃんと利と立場を話し合って、お互い納得のいく答えを出し合って決めました。私の身の振りをどうにかしたいのでしたら、久遠さんが帰宅されたときにしていただけないでしょうか。不快な気分にさせてしまうかもしれませんが、お願いします」

 「・・・わかりました」

 「ありがとうございます。後、食事もありがとうございます」

 

 『久遠さんから出すよう言われていたのは分かります。それでも、出て行ってほしいなら簡素なものでもいいはずだけど、ちゃんとした食事を出してくれた。彼女の言葉にしっかり従ってくれた』

 

 頭を下げて、礼をするアキラ。

 「あなたの頭はずいぶんと軽いものですね。それと、いつまで目を閉じているのですか?私は見るに値しない存在と?」

 『全く、目が見えない説明すらしてなかったのですか。あの人は』

 本当に全然説明してない久遠に内心呆れた。

 「頭に軽い重いはありません。謝罪や礼にはしっかりと頭を下げて誠意を見せるものだ。と私は思っています。後、まぶたを開けないことについては・・・」

 目が見えないことを話すと、言葉を詰まらせ今度は帰蝶の方から謝罪した。

 

 

 彼女の用件が済んだのか、それとも居心地が悪くなったのか部屋を出て行った。

 「ふう~、これで一安心ですね。やはり、早くどうにかしたい気持ちでいっぱいなのが見え見えでしたね・・・でも、完全に納得してもらうためには久遠さんの言葉がないと引き下がらない。残念ですが、夜まで待つしかなさそうですね」

 その後、自分の両手を見た。

 「狂と戦った後、灯が治してくれたのでしょうか。でも・・・なんか違和感がありますね。手に力が入らないというか。全身の力が抜けているというか・・・やはり、超活性化の代償でしょうか?」

 何度か握ってみるが、やはり、本来の力が出てないみたいだ。

 「今は休むことが大事ですね・・・食べてすぐですが、寝ましょうか。布団も片づけないでこのままにしてくれましたし」

 横になって、そのまま眠りについた。

 

 夕日が沈んだ時だった。敵意を持つ人間がこの家に入ったことを感じたため、意識を取り戻して目を開けた。

 『ふむ、隣の部屋で話をしてますね。気配は四つ。二つは久遠さんと帰蝶さんで間違いないでしょう。敵意を持っていながら、残り二つの気配の持ち主と話。つまり、久遠さんに向けてではなく、私に向けての敵意でしょうね』

 体を起こし、軽く柔軟体操をする。いつでも動けるようにするためだ。

 『さて、向こうがどう出るか』

 その二つの気配の持ち主が久遠・帰蝶と共に部屋をでた。

 『敵意から殺気に変わりましたね。どうやら、決まりですね』

 様子を見ながら、準備も終わらせた。

  

 『さて、どう来るか。楽しみですね~』

 

 笑顔で襖が開くのを待った。彼らしい余裕を見せる笑顔だった。

 




 帰蝶は、久遠ではなくアキラから「夫になる」を聞くようにしました。彼女の久遠への思いの強さをアキラにしっかり見せるためです。

 そして、やっと次はあの立派な胸・・・もとい久遠自慢の家臣2人の登場です


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四振り目 腕試し

 こんばんは、三食MENです。

 まだ、この創作を始めて二日しか経ってないのにそれなりに読んでもらっていることに驚きを隠せません。満足のいくものにできるように、もっと頑張っていこうと思います。

  では、本日はビックボインさん(意味わかるよね)2人の登場です!



 アキラは外で自分の得物を握っている。やっと手にすることができた自分の唯一無二ともいえる二本の刀・・・ただ、今は懐かしめる雰囲気ではない。

 「普段より力が出ませんが・・・燃えますね!」

 彼の目の前には、完全に人じゃない何かがいた。その風貌は、化け物と呼ぶにふさわしい姿をしていた。

 「では、四聖天アキラ・・・違いますね。織田久遠の夫アキラ参る!」 

 化け物と戦おうとするアキラを、少し離れた場所で遠目で見る二人の女性がいた。

 「お手並み拝見と行こうか」

 「壬月様、お遊びが過ぎますよ」

 二人の女性はどちらも魅力的だ。片方はおしとやかなお姉さんといった感じで、もう片方は姉御と呼んでもいいくらい剛健な女性だ。

 「そういう麦穂だって、動こうとしないではないか」

 「私は、か、勝てると分かってますから」

 「ほう~言い切ったな。だが、油断していたとはいえ、我々の攻撃を余裕でかわしたからな。お前の言う通り、あの程度の鬼じゃ瞬殺だろう」

 「・・・私は攻撃すらできませんでしたから」

 そう言いながら、二人はついさっきのことを思い出していた。

 

     回想  麦穂視点

 全く殿も困ったものです。あの田楽狭間で空から降りてきたわけわからず男を夫にするというのですから。私も壬月様も結菜様も当然反対ですが、一度決めたことを殿は変えることを絶対にしない。

 『そんなに反対なら、実際に己の眼で確かめろ。その中で認めたのなら、文句をもう言うでないぞ』

 では、そうさせてもらいましょう。

 『壬月様』

 『わかっている』

 考えていることは同じ。眠っているあの男を殺す気で切りかかる。部屋の前につき壬月様と視線が合った・・・今です!

 『せええええごほお!』

 え?何が起こったの。み、壬月様が倒れそうになっている!まさか、私達が切りかかることを知っていたの!

 『はい、その隙いただきます』

 は、早い!私の隣にもういるなんて!せめて一振りだけで・・・しまった。

 『く、まだだ!』

 『はい、止まってください。彼女の腕を折られたくなければ、そのままでお願いします』

 いた!捕まってしまった。壬月様は無事ですが、私を盾にして攻撃を止めている。刀も落とされて右腕を後ろに回され、左腕も掴まれている。これじゃあどうすることもできない。

 『そこまで!』

 殿の声が聞こえた。そうね、悔しいけど私達の負けね・・・何か胸を触られた気がするけど、気のせい、ですよね。(実は左腕をつかむ際、腕の位置が胸の前にあったため一瞬触れていた。当然アキラは分からないふりをしていた)

   回想終了

 

 その後、口が達者の久遠に言いくるめられてしまい、彼女達は様子見という形で認めるしかなかった。いることが認められたアキラは外に出たいと言い、その時にやっと得物を返してもらえたのだ。

 「殿に言いくるめられて認めたが、私はあれで負けたとは思いたくない」

 「ふふ、まだ悔しいのですね」

 「ああ、その通りだよ。っち!」

 悔しい気持ちを舌打ちで表現した壬月。そうしているうちに、もう決着がついた。もちろんアキラの勝利だ。普段の力が出せないと言っても、修羅場を常に潜り抜けてきたアキラにとっては鬼の一匹や二匹はどうってことない。

 「予想通り、簡単に討ち取ったな。しかも、全然余裕じゃないか」

 「そうですね。あの鬼は人の何倍の力を持っている化生。それを簡単に討ち取る実力を持っている。口では軽く言えますが、実際やるとなると・・・」

 「しかもまだ強さを隠し持っている・・・これほどの腕なら、追い出さずに織田で飼い馴らす方がいいな。もし他勢力に、それこそ武田や斎藤に行ったら」

 「・・・私達が二人、しかも全力で戦わなければ勝てないでしょう」

 麦穂の言葉に壬月は反論できなかった。自身の持つ必殺技を使えば倒せるかもしれないが、使う前にやられる可能性が高い。でも、それは麦穂も同じ気持ちだった。言葉が止まってしまった時、アキラが5、6匹の鬼に囲まれた。しかも、その奥にも鬼が数匹ほど見え隠れしている。

 「む、あれはさすがに助け・・・」

 その時だった・・・あの声が聞こえたのは。

 

 「「( ゚∀゚)ヒャ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \!」」

 

 力強い味方というか、頭痛の種というか、鬼殺しに関しての専門家がやってきた。だからアキラの心配をする必要はない・・・と思った壬月と麦穂は、まだアキラの事を甘く見ていた。

 「よっしゃ~~~!!鬼発見だ!」

 「くくく、やってやるぜ~~!」

 胸なり脚なり出すところを最小限しか隠さず他をとことん出している金髪女性と、同じ金髪でその女性に似ている少女がやってきた。

 「なんか増えましたね」

 「おい、お前!そこどけや!」

 「狩りの邪魔をすんじゃねえ!切られてえか!」

 「・・・なんでしょう。思いっきり暴れまくっていた四聖天の頃の狂と梵を思い出させるこの二人は」

 少し呆れながら呟き得物を鞘に入れると、囲んでいた鬼が全員真っ二つになり、同時にアキラの決め台詞が出た。

 

 「・・・全てを無へ」

 

 その光景に四人とも言葉を失った。アキラはこの金髪親子が来る前に既に鬼を切っていたが、ずっと見ていた麦穂と壬月はそれに気づけなかった。

 「すいませんが、残っている化け物を頼みます」

 金髪親子にそう言って、壬月と麦穂の方に歩み寄った。二人はその言葉で慌てて我に返り、別の場所から現れた鬼の狩りを続けた。

 「では、改めて話・・・説明をしてもらいましょうか。あと、お二人がいたことは初めから気づいていましたよ」

 「気づかれていたなんて・・・」

 「安心しろ。お前も織田家のものになるのだからちゃんと説明をする」

 「・・・嘘やでたらめはしないでくださいよ」

 「ご安心を、ちゃんとしますので」

 「ああ。まずはお前が戦ったやつだが・・・」

 逃がさないよ。逃げないよね?と訴える笑顔に二人とも苦笑いをしながら、話を始める三人だった。

 

 「くっそ~~、あの野郎!!獲物取りやがって!!」

 「あの男、絶対に痛い目にあわせてやる!!」

 

 鬼に八つ当たりしている二人の声を聞きながら。

 




 ボインさん二人だけじゃなく、あの二人も登場しました。

 鬼は簡単に倒しましたが、アキラにとっては取るに足らない相手。何しろ、鬼以上の相手が自分のいた世界に何人もいて何回も戦っていましたからね。しかも、ただ突っ込んでくるだけの相手なら弱っていても簡単に討ち取れるでしょう。

 次は、いよいよ織田家一同と顔合わせです!


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五振り目 挨拶は決闘・・・当たり前か

 
 こんにちは、三MENです!(ついに略した!)

 小説っていうのは人それぞれの見方・読み方・理解の仕方がありますね。当たり前ですけど、書く側になって感想見ていると改めてそう感じます。

 さて、アキラ初の鬼退治をしました。やっと、織田家顔合わせです!



 

 太陽が昇り、朝日が久遠の家を照らす。朝が来たので、アキラも体を起こした。

 「確か今日は、久遠さんから聞いた家中の皆さんとの顔合わせでしたね。それにしても、化け物・・・いえ鬼ですか。そういう奴らがいるとは」

 昨日、鬼退治した後に出現した鬼はあの二人に任せて、アキラはこの家で襲い掛かった二人と話をした。姉御的な風貌の女性は柴田権六勝家で通称・壬月。もう一人の温和な感じの女性は丹羽五郎座衛門尉長秀で通称・麦穂と自己紹介されたとき、内心その名前だろうな。と思っていたアキラ。

 「織田信長の家臣と言ったら、代表的なのがあの二人ですからね。主の家に入れてもらえる家臣だって、あの帰蝶さん以外でそういないでしょうし」

 そう言いながら、鬼の事とその鬼を嬉々として殺しに来たあの二人の話を思い出した。まず、鬼の方はここ最近になって現れ始めているらしく、最近は少しずつ出る回数も増えているとのこと。

 次に鬼よりも鬼なことをしていた二人の方は、これまた織田家の中で最も悪名高い森一家の親子だったことが判明した。何でも、戦場で敵も味方も近寄れば殺すで有名らしい。でも、アキラにとってはあれ以上に性質が悪い仲間が何人もいたのでどうってことないし、それに比べれば普段はごろごろしているというあの親子の方がまだましだ。

 

 『そういえば、あの二人が鬼を殺した後「よくも獲物うばいやがったな!」「おいこら覚悟はできてるだろうな!」と文句を言ってきましたね。壬月さんも、見つけた鬼全部自分達で殺さないと気が済まない二人なんだ・・・と呆れ顔で言ってましたし』

 

 苦笑いしながら、ため息を吐く壬月の顔を思い返していると襖が開いた。

 「アキラ!朝だぞ!」

 胸を張って元気な声を出す久遠がそこにいた。

 

 

 その後、久遠と共に道中話しながら居城である清洲城に向かった。いろいろと話を聞いて自分の立場を改めて理解したり、役職や立場に関する面倒くさそう言葉は速攻で聞き流したり、夫という立場になっているからさん付けをやめて「久遠」と呼ぶようにと言われたりしながら城に向かった。

 『何か慣れませんね・・・この背中の得物が』

 そう思いながら、自身の背中に意識を向かわせた。そこには、自分の二本の得物の他にもう一つ刀があった。

 

 『何故、紫微垣(しびえん)が私と一緒にこの世界に来ているのか?』

 

 それは壬生京四郎の愛刀であり、今は真田幸村の部下十勇士の一人猿飛サスケが使っているはずの刀だった。狂に勝つために京四郎が対戦相手になってくれた時、時々それで戦ったりもした。その刀がどうして自分と共にこの世界に来たのか。

 『どう考えてもわかりませんし、これ以上は考えなくてもいいですね』

 まだ情報不足であり、自分は今状況に流されている状態だ。まずは自分の身の周りをどうにかするのが最優先なので、紫微垣の件は後回しにするしかない。

 「着いたぞ!これが我が清洲城だ!」

 満面の笑顔で腰に手を当て、自分と城を見せる久遠を見て少し落ち着いた。

 

 

 そして、城の中に入りいろいろ案内もしてもらって、一先ず客間に通されて落ち着いていると、今度は麦穂がやってきた。彼女に家中が全員揃っている評定の間に案内された。ついに織田家中の皆との対面の時が来た。久遠が面白そうに自分のいる上段にアキラを上がらせ、

 

 「皆のもの、紹介しよう。今日から我が夫となる、アキラという男だ!」

 

 隣に座らせ、皆に見せ、夫にする宣言をした。

 

 『全く、この後の展開が手に取るようにわかりますよ。しかも、隣の奥さんはそれが分かっていて言っている』

 

 内心で溜息を吐き、自己紹介するよう言われたので簡単にした。もちろんその紹介でも自分が夫になることを含めて名乗った。そのすぐ後に、

 

 「ふざけるな~~~~!!!」

 

 一人の武将が立ち上がって叫んだ。

 「殿がこんな馬の骨の妻になるなって認められません!」

 「う~ん、雛も反対かな~」

 「犬子、じゃなくて前田又左衛門犬子も反対です!」

 それに続いて二人も手を挙げて反対した。その後もあーだこーだ三人だけの文句大合唱大会をしていた。

 「久遠、どうするつもりですか?」

 「うむ、どうしようかのう~~(にやにや)」

 そんな彼女にどうするか尋ねたが、企んでいること丸見えな顔をしていた。

 「ふむ、和奏。どうすればこやつを認めるのだ?」

 『もう、どうにでもしなさい。いつか仕返しはしてやりますけど』

 そんな顔を続けながら久遠は和奏という武将に訊ねた。久遠から家中には荒い連中が多いと聞いていたので、その方法は一つしかないだろうと予想していた。

 

 

 その後、どうなったかというと。

 「まあ、当たり前ですね。こうなるのは」

 「おいこら!負ける覚悟はいいな!」

 久遠の家に戻り、庭で一対一の決闘をすることになった。自分より強ければ認めてやる!ということで戦うことになった。しかも参加者は反対の挙手を出していた和奏・雛・犬子という武将三人だけでなく、壬月と麦穂もやることになった。

 庭に着くと、すでに用意ができていた事には少し驚いていた。ついさっき決まって、はい準備!で出来るほど時間はなかったはずだ。

 

 『全く・・・城に行く途中で準備させるよう命令出していたのでしょうね。こうなると予想していた顔ですし』

 

 にやにや顔で自分を見る久遠を見て溜息を吐いた。そして、改めて目の前の変な槍を持つ和奏と言う武将を見た。

 『この和奏って子もそうですが、雛と犬子という子も確かに実力は並より上だけど、どうあがいても私に勝つことは出来ませんね。そんな彼女らを一対一で戦うというのも時間がかかりそうですし・・・』

 そこでアキラはあることを思いついた。

 

 「和奏さんでしたっけ。後、雛さんと犬子さん。三人同時に相手しましょう」

 

 だがそれは、彼女達三人を怒らせる三対一の戦いの提案だった。

 




 三対一の提案をしたアキラ。さて、三人はどんな反応をするか。
 そして、プロフィールにあったもう一本の刀の存在が明らかに!
 狂の持っているあの刀と思いました?

 何とか、次の話でこの五人の戦いを一気に終わらせたい!

 頑張ってみよう・・・。
 


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六振り目 決闘と書いて遊びと呼べば、本気とも呼ぶ

 最近、この話をどう進めるかを仕事中でも考えるようになってしまった。

 アキラ以外の原作キャラをこの世界に入れるべきか・・・じゃあ、誰をいれればいいのか?そいつは敵として?味方として?

 とりあえず、この話とあと一話くらい書いたら整理するため一呼吸置きたいと思います。
 
 さあ、お待たせしました。アキラVS織田家武将達です!


 和奏・雛・犬子の三人に言われた言葉。

 

 「三人同時に相手しませんか」

 

 武人からすれば、これは完全に侮辱に値する。もちろん、三人とも自分の実力を見下されたようなこの発言に激怒した。このアキラの言葉は久遠や麦穂達も驚いた。織田家中でまだ若く鉄砲玉みたいなところもあるが、それでも自慢の武将だ。その武将を三人まとめて相手にする。しかも、相手からすればアキラはそこまで強いと思えない。

 「三若、三人でやれ」

 「怒るのは分かりますけど、確かにその方がいいですね」

 だが、そんな中で出した壬月と麦穂の言葉に再度皆が驚いた。

 「ちょっと壬月に麦穂。まさか、あいつそんなに強いの?」

 「鬼退治したことは聞いたが、それぐらいであの三若が負けるとは思えないぞ」

 「それは・・・見ればわかります」

 壬月の真剣な顔に何も言えない久遠と帰蝶。

 

 そして、決闘第一試合が始まった。でも、ひとつ言うならばこれは試合というより、

 「ぎゃあああ~~~あははははは!や、やあっやyやめろ~~!」

 「ちょ、ちょっとああ、あはははは!やめて!」

 「ほれほれ~~和奏も犬子も早く負けを認めないともっとやるよ~~」

 「どうです、雛。面白いでしょう。何しろ久遠から何でもありとのお墨付きです。こういった勝ち方も悪くないでしょう」

 「私負けてるんだけど~~まあ、面白いからいいか~~」

 「「雛の裏切り者~~、あああ、ダメダメ!やめて~~!」」

 ただのくすぐり遊びだった。今、和奏と犬子はアキラと雛にくすぐられている。ご丁寧に、武器を遠くに飛ばして取れないようにして。

 「ねえ、壬月。これが見ればわかることなの?」

 「どう見ても、ただの遊びだな」

 ジト目で壬月と麦穂を見るが、二人の顔は真剣だった。

 「麦穂、あれで台無しになっているが」

 「はい、その前までの戦いは並大抵ではありませんね」

 

  『くらいやがれ!』

  『当たるの~!』

 和奏と犬子の二人の槍の攻撃と

  『アキラ君、お覚悟!』

 雛のお家流、蒼燕瞬歩を使っての背後からの攻撃。三人がアキラを囲むようにして攻撃を繰り返していた。だが、三人の攻撃は一回も当たらなかった。

 

 「まるで後ろに目があるみたいな動きだったな」

 「ええ、それもすごいですが。一番すごいのはあやつは得物を抜かないで勝った」

 そう、アキラは刀を抜かなかった。やったことは和奏と犬子の二人の槍をつかみ遠くに投げ、その間に雛を取り押さえ負けを認めさせた。そして、その後耳打ちをして味方にしてやっと立ち上がった二人に襲い掛かって、今に至るということだ。

 「あいつは見た目以上の力と速さ。更に直感が並外れている」

 「しかも、相手の動きの予測すらできているみたいでした。これは、私達でも苦戦するかもしれませんね」

 「ああ、手加減無用じゃないといけないな」

 二人の会話に、息をのむ久遠と帰蝶。

 「・・・負けました」

 「・・・もう、ダメ・・・」

 「ああ、とっても楽しかった~」

 二人の力のない言葉にやっとアキラの勝ちとなった。

 「では、次は私が参りましょう」

 そして、家老の麦穂が前に出てきた。彼女の雰囲気で刀を抜いたが、右後ろ腰の一本だけだった。

 「二本抜かないのですか?」

 「ご安心を侮っているわけではありません。ただ、これは手合わせ。実力を知るためであり、死合うものではないですから」

 「その考えがすでに侮っている証拠ですよ。それなら、抜かせてあげましょう!」

 

 合図無しで二戦目が始まった。互いに様子を見ながら刀で打ち合ったが麦穂が構えに入った途端空気が変わった。二人の動きが一時止まったが、次に動いたのはアキラだった。久遠の家の時のように一瞬で間合いに入り、振り上げようとしたが。

 「その動きは読めてましたよ」

 その刀を止め逆に間合いに入られたが、アキラもすぐに後ろに移動し再び構えた。

 

 『ふむ、先読みのプロですか。もしくはそういう技を持っているようですね。でも、一瞬でも動きを止めれば考えられなくすれば勝機はある』

 

 そして、麦穂の闘いをすぐに分析した。

 「では、勝たせてもらいますよ!」

 ただ、突っ込んで刀を振り下ろしたが止められた。それがアキラの狙いだった。

 「さて、いつまで持ちます?」

 「く、まさか。力づくで!」

 刀同士での拮抗を作る。これがアキラの策だった。しばらくすると彼女のバランスが崩れそうになるのを見逃さなかった。そこに、腹に一撃入れて完全に崩すつもりだった。それを拳でなく掌底にしたのはアキラなりの女性への優しさだった。だけど、それがまずかった。

 「きゃ!・・・・・・・え?」

 一撃入れなくても、勝手にバランスを崩して膝が曲がった。そして、倒れないでとどまろうとしたことがまずがった。つまり、腹に掌底を入れるつもりがその腹が下に行き、実際に手で触れたのは麦穂の胸だった。

 「・・・・・・あ」

 「あ、あ、ああ、ああああ、きゃあ!!」

 悲鳴を上げてあわあわしてしまい、そこにすぐ意識を取り戻したアキラが刀を突きつける。

 「・・・・・・わざとじゃないです。一応聞きますが、続けます?」

 「いいです。私の負けで。でも・・・責任とってください!」

 「わ、わかりました。必ず、お詫びしますので」

 「や、約束ですからね!(≧◇≦)」

 ハプニングがあったが、とりあえずアキラの勝ちとなった。ただ、壬月以外の観客からすれば触りたくて触ったように見えるので軽蔑の眼差しを向けられた。

 

 そして、ついに大物が登場した。

 「さて、本気でやろうか」

 「ええ、そうですね」

 麦穂が退散して、壬月がアキラの前に立った。すでに得物の斧を持っていた。アキラももう一つの布が結ばれた刀を抜いた。

 「「・・・・・・・」」

 これもすでに始まっていた。だが、両方とも動かない。

 「これは、お互い一撃勝負ですね。小細工なしの渾身の一撃をどっちが先に入れられるか。それで決まります」

  麦穂の言葉にごくりと息を呑んだすぐ後だった。互いに自身の力を込めた渾身の一撃を決めようとした。

 「っというのは冗談です」

 「何!」

 だが、アキラのフェイントに引っかかり壬月はすでに得物を振り下ろす姿勢と勢いになってしまい、それを止めることができなかった。渾身の一撃を地面に向けて使った。そういう一撃は一度使ったすぐ後は隙が生まれる。それを見抜いてすぐ間合いに入り、刃を脇に突きつける。

 「続けますか」

 「いや、いい。私の負けだ」

 遂にアキラは五人に勝利することができた。周りは壬月が負けたことで、大騒ぎになった。その騒ぎの中、アキラはコッソリあと一人と戦おうと考えていた。

 「では、アキラの実力は「ちょっと待ってください。まだ、あなたが残ってますよ」はあ?」

 「ま。待ちなさい!あ、あなた!久遠と戦おうというの!」

 「そのつもりですが、何か?」

 とんでもない発言に帰蝶は慌てて確認した。それにあっさり肯定したアキラは久遠の方を向く。

 

 「まさか大将が戦わない。というのはなしですよね?」

 

 にやりと笑ったその顔は何かを企んでいる顔だった。

 




 な。何とか終わった~~~!!!

 三若は三人同時でも叶わなかったです。
 麦穂はちょっと原作に近いやり方で勝利!
 壬月は先にわざと打たせて、そのすぐ後の隙をついて勝利!
 ・・・ちょっと無理矢理だったかな?

 なんと久遠との対戦希望!実現するのか?


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七振り目 ふふふ、狙い通りです。

 ここの情報を確認してみたら、お気に入りの件数が何と50件越えしてました。
 まだ、四日目なのに・・・気に入ってくれるなんて嬉しいです!

 さて、久遠との戦いは実現するのか!



 久遠との戦いを宣言したアキラ。当然周りは黙ってはいない。

 「何を言うか!貴様」

 「久遠様と戦うなんて!」

 「私達に勝ったからって調子に乗るな~~」

 「そうだ、そうだ~~」

 「それは私達が許さないよ!」

 「おけい」

 興奮する家臣達を抑える久遠。全員がアキラに敵意を強くする。

 「ですが、殿!こやつの言葉は」

 「おけい!安心せい。我は戦わんぞ」

 家臣五人の怒りを抑えて戦わないと言う久遠。

 「おや、そうなのですか?」

 「壬月と麦穂に勝てるような奴に、我が勝てるわけがなかろう」

 「ふむ。では、私の不戦勝でよろしいですね」

 「構わん」

 その言葉を聞いて、久遠はアキラが不満そうにすると思いきや、逆に意地悪な笑みを浮かべていたことに疑問を持った・・・もしアキラの目が開いていたら、間違いなく妖しい輝きをした目を見ていただろう。

 「では、改めて力試し「じゃあ、負けた人は罰を受けてもらいましょうか」・・・はあ?」

 またもや遮って言った言葉に唖然とする皆。

 「何でもあり、なんですよね。敗者には罰を与えるのも当然ありですよね」

 「な、何を言っているアキラ!」

 「まさかとは思いますが、前言撤回をしないですよね~~」

 「こ、これが狙いだったのか!」

 「ふふふ。では、ちょっと恥ずかしい思いをしてもらいましょうか」

 そう、全てこの流れにもっていかせるために久遠の決闘を口に出したのだ。そして、見事に彼女は引っかかってしまったというわけだ。

 「恥ずかしいって、あなた久遠に!」

 「麦穂様の胸じゃ満足できないの~~」

 「ちょっと、雛ちゃん!何言ってるの」

 「和奏はいいけど、犬子はどうなるの?」

 「ちょっと犬子!何でボクは大丈夫で犬子はまずいみたいに言ってるんだよ!」

 「それは・・・これの差?(ゆっさ、ぽよん)」

 「気にしてることを~~~」

 「お前ら、やかましいわ!」

 壬月のゲンコツが話を脱線させている二人に炸裂。涙目で抗議の視線を送る和奏と犬子。

 「雛ちゃん・・・もう一回言ったら、私の訓練相手になってもらいますからね!」

 「そ、それは、雛勘弁~~」

 胸を触られた事を思い出して顔を赤くする麦穂と彼女に注意されて汗を流す雛。

 「久遠は私が守るわ!」

 「いや、それは夫の我が妻の結菜を」

 「久遠は黙ってなさい!」

 「う、うううう」

 結菜に押されて小さくなる久遠。

 

 『混沌としてますね。というか、兵達に見られていること忘れていませんか?』

 

 こうなった原因なのに、他人事のように見ていた。兵もこうした話にはやはり耳をダンボにさせてしまい、麦穂や犬子の胸に目がいってしまうのは無理もない。数人の兵は鼻の下が伸びていた。

 「殿も皆も、いったん落ち着け!」

 唯一クールな壬月が庭全部に聞こえるくらいの声で叫んだ。

 

 

 壬月の声で、やっと皆も落ち着きを取り戻したところでアキラの口が開いた。

 「恥ずかしい思いといっても、皆さんの頭の中にあるようなことではありません。そういうことを真っ先に思い浮かべる皆さんも中々スケベですね~~」

 笑いながら、さっきのやり取りを指摘した。アキラは確かにそこまで言ってないので、反論できない。特に麦穂と帰蝶は顔の赤みが濃くなった。

 「く、そ、それで何をするつもりだ」

 「そんなに怖がらなくても大丈夫です。ちょっと、抱きしめさせてもらいます」

 「何!そ、それって、まさか」

 「この織田家の中で一番のスケベは、当主で決定ですね」

 「久遠・・・」

 アキラの言葉に帰蝶がジト目で見た。今の発言はさすがに妻でもフォローできないみたいだ。

 「な!結菜!でもこやつは!」

 「抱きしめると言ってもギュッとする程度ですよ」

 「そ、そうか・・・(ホッ)肉体関係を求める。じゃなかったんだな」

 ホッとしながら内心で思ったことを言ってしまったことに気づいてない久遠。

 「久遠。それを求めるなら喜んでやらせて「は、話を変えるな~~!!(*´Д`*)」いや~、あなたのそういうところがかわいいですね」

 くうう~~~と悔しそうな顔をしながら真っ赤になる。そんな顔がかわいいとこっそり思った帰蝶。

 「では、まず、三若の皆さんからやらせてもらいます」

 「ぼ、僕達から!」

 「雛は別にいいよ~。アキラ君って、何か楽しそうだし~」

 「犬子も!だって、もう負けたんだし」

 「お、お前達は恥ずかしくないのか!」

 「「うん」」

 和奏が恥ずかしがる中、雛と犬子はいつでも来い状態だった。

 「では、まずは雛から」

 「え!いきなり呼び捨て?」

 「悪いですか?」

 「ううん、アキラ君ならいい~」

 そう言いながら、雛は抱きしめられた。

 『うわ~、戦った時は分からなかったけど、アキラ君って意外と体大きいんだ~』

 「では、ここまでです」

 「え?もうなの?もうちょっと時間かけてもよかったのに~」

 時間の短さにキョトンとする雛。次に顔を向けたのは犬子だ。

 「次は犬子ですね」

 「アキラ様、いつでもどうぞ!」

 ニコニコしながら、むしろ犬子の方からアキラに抱き着きに行った。

 『へ~、体が少し固い。もしかしてアキラ様ってガタイのかな?』

 「じゃあ、最後は和奏ですね」

 「う、うううう~」

 べったりとくっついて離れそうになかったので、無理やり彼女をはがして和奏の方にいった。

 「大丈夫ですよ、恥ずかしがることはありません。それに下を向かれては可愛い顔が拝見できませんよ」

 「え!か、可愛い!ボク・・・て!」

 かわいいの言葉に反応して、顔を上げた途端にアキラは抱きしめた。しかも、

 「ええ、可愛いですよ(ニコ)」

 「!!!!」

 目の前にアキラの顔が現れ、しかもその言葉。和奏の頭から煙が出た。

 「ふにゃああ~~~~」

 「「わ、和奏(ちん)!」」

 『か、可愛いって、そ、そんな風に言えるんだ、こいつ。でも、そんな風に言われたの、は、初めて・・・う、嬉しい』

 力が抜けきった顔をしている。離れるとそのままへたり込んだ。

 「じゃあ、次は麦穂さんで・・・」

 「は、はい(テレ)」

 さっきの胸タッチが頭の中にある麦穂。アキラは構わず抱き締めた。

 「あ・・・」

 「先ほどはすいませんでした」

 そう言いながら背中に腕を回して、軽くたたいた。その行動に力が抜ける麦穂。

 『何かしら、この気持ち・・・この人に包まれたいと思う、このドキドキ。ああ、私、どうしたというの?もっと、このままでいたい・・・私も抱き締めたい』

 思わず彼女もアキラの背中に腕を回そうとしたが、

 「では、次は壬月さんですね」

 「おう!」

 「え、もう、終わりですか?」

 アキラが離れてしまった。今だドキドキが止まらない麦穂はさっきの雛同様キョトンとしている。

 「ほら!これでいいだろう?」

 「でも、これって私が抱きしめられている感じですね」

 「ははは!やっていることに変わりないから、問題なかろう!」

 さっきの四人とは違い、壬月はアキラを抱きしめて、頭を撫でた。まるで姉弟のような接し方だ。

 『何か不思議とこうしてやりたい気持ちがあるな。それにしても・・・こうした接触で分かったが、結構体がごついな。ぱっと見は細そうに見えるのに』

 恥ずかしがることもなく、しかも胸に顔をうずめさせる振る舞いすら見せた。麦穂が目を少し大きく開けて驚いたのは誰も気づかなかった。

 「ほれ?どうだ?気持ちよかろう?」

 「・・・息ができないので、やめてください」

 「ははは!照れおって!」

 笑う壬月から、やっと離れることが出来たアキラ。

 

 五人の抱き着きを見て、久遠は困っていた。戦ってなくても、負け宣言はしてしまったからだ。それはつまり、自分もその対象ということだ。

 「では久遠(ちら)」

 「??何かしら?私は戦ってないから罰はないわよ」

 一瞬チラッと見た帰蝶。見られた彼女はむすっとしている。

 「帰蝶さん。久遠はあなたが抱きしめてあげてください」

 「「はあ?」」

 まさかの抱きしめの権利を譲る発言に、二人とも呆然とした。

 「あなた方は夫婦ですよね?だったら、こうした触れ合いもやっているものだと思ったのですが」

 「余りさせてくれないのよ・・・軽くくっついたりはさせてくれるけど」

 「なら、この場で思いっきりやっちゃいましょう!」

 「・・・・・・いいわね」

 「ゆ、結菜!お、おい!」

 アキラの言葉に帰蝶の目が怪しく光り、妖しく笑ったのを、久遠は見逃さなかった。

 「ふふふ。アキラ、あなたの事を少し認めてあげるわ」

 「それはありがとうございます」

 「お、おい!何だ、そのワキワキしている手は!」

 「何って、夫婦らしく抱きしめるだけじゃない~」

 「それ以外もやろうとしておるよな!お、おい!皆の者、止めないか!」

 アキラや家臣に助けを求めるが

 「夫婦のやり取りに口を出したら、天罰が下りそうなので遠慮しましょうね」

 「「「うん!」」」

 「そうですね。夫婦のやっていることには家老も手が出せません」

 「ですな。お一人で何とかしてください」

 全員がアキラの言葉に賛成した。壬月はいたってはニヤニヤしていた。

 「くうううう。覚えておけよ~~!」

 そう言っている間に、「くお~~ん♡」と言いながら帰蝶が抱き着いた。

 「ちょ、お、おい!ひゃ、きゃ!そ、そんなに、触るな!」

 「ふふふ、確かにかわいい。もう~、もっとも~~っとやっちゃう!」

 「ううう、このうつけものが~~!!」

 その叫びもむなしく、しばらく帰蝶の抱き着き人形と化した久遠だった。

 

 

 数分後にやっと帰蝶から解放され、アキラとの決闘の終了宣言した真っ赤な顔の久遠は壬月達と一緒に逃げるように城に戻っていった。アキラはというと、そのまま久遠の屋敷でひと眠りをした。まだ本調子でない状態でさすがに五人との決闘は少し疲れたらしく、寝起きした部屋にはまだ布団が敷かれていたので眠りについた。

 一刻後に意識が戻り、体を起こすと一人の少女が傍にいた。

 「えっと、あなたは誰でしょうか?」

 何となく元気いっぱい!を体で表現している少女に訊ねた。すると、

 

 「はい、私木下藤吉郎ひよ子秀吉と言います!お殿様よりアキラ様のお世話を命じられました!今後とも、よろしくお願いします!」

 

 とんでもない名前を言った。木下藤吉郎・・・この名はアキラの世界では天下人・豊臣秀吉、その名前の持ち主だった。

 




 久遠とは戦いませんでしたが、アキラの意地悪が爆発しました!ついにアキラ、部下を得ました。しかも、のちの天下を取った人が部下です!
 
 次はこの続きの話にしようか。


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八振り目 お頭?アキラ隊?

 こんばんは!なんかもう自分の名前を言うのも面倒に思えてきた三MENです。

 まだキャラクターがいるから作れるのですが、キャラクターや時代背景等すべて完全オリジナルだと絶対に私はかけないでしょうね。ここでオリジナルを書いている人、すごいです。

 では、八話目いきます。


 「あ、あの~~、お頭。本当にいいんですか?」

 「いいのですよ、ひよ。別に許可などいりませんから」

 ひと眠りも終わり起きると少女がいたので名前を尋ねると、何と後の天下人・豊臣秀吉だった。今後、彼女がアキラの部下として傍に仕えることになった。

 そんな子が何で遠慮しているのかというと、身分の差が激しい戦国時代で久遠の夫という事で、本来なら高い立場にいるアキラだから一緒に歩いていい身分ではない。ということだ。

 「一緒に歩くくらいで、どうしてそんなに慌てるのです?私は自分がいた世界では、身分は隠してましたけど天下の将軍と喧嘩しながら歩いたことありましたよ。しかも、その将軍を何回かボロボロにしましたね」

 「ええええ!!そ、それはお頭がすごすぎます!!!」

 「そんな私ですから、身分の事など気にせずに一緒に歩きましょう」

 「あううう~~、余計に恐縮しちゃいますよ~~」

 将軍ボコボコにしちゃったぜ!の話で、余計に縮こまるが一応一緒に歩くひよに笑みを浮かべるアキラ。今二人は清洲城に向かう途中だ。彼女からお頭と呼ばれていることに、まだ違和感を持っているアキラ。

 

 『全く久遠も人が悪いですね。私に一言も言わないで、私直属の隊を作ろうとしていたなんて・・・まあ、一国の主の夫になりましたからね。いつかこうなるのでは。と思ってましたよ』

 

 そう、アキラが寝ているうちに久遠はアキラ隊という部隊を作る案を考えていて、その最初の隊員がこのひよだった。起きた時に自己紹介した後、そのことを帰蝶から聞かされたのだ。

 

 

 世間話をしているうちに、清洲城に到着した。まっすぐ評定の間に行って入ろうとしたが、ひよは

 

 『あの、私・・・ここに入る身分じゃないですので、待っています』

 

 と言って、廊下で待とうとしたが、アキラが無理矢理中に入れた。当然、その指摘を壬月や麦穂から受けたが、初めての場なので助手が欲しいと言ったら久遠が許した。むしろ、これからは身分に捕らわれず有能ならこうしていきたいらしく、ちょうどよかったようだ。

 「よろしくな~猿!」

 「大丈夫、ほら力を抜いて~」

 「そうだよ。犬子は時々欠伸だってするんだから」

 「は、はいいいいい!」

 ものすごく緊張している。やはり、彼女の中ではこの評定の間は特別すぎる場所だったのだろう。三若は気楽にしていいと言ったが家老二人はツッコミを入れた。

 「いや、ひよ。犬子のは見習うなよ」

 「そうです、雛ちゃんも力抜きすぎよ」

 「ううう。が、ががががが、頑張ります!」

 前途多難だが、皆もいい感じに仲良くなろうとしているから大丈夫だろう。そう思ったアキラはコッソリ笑った。

 

 

 ひよのお披露目も終わって、軍議が始まった。アキラは久遠の夫という立場だから、やはり上段にいる久遠の隣に座らされたが、別にそんなことを気にしてない。軍議の内容は美濃の稲葉山城をどう攻略するかについてだった。その話を一通り聞くと、アキラの頭の中の知識が働いた。

 『なるほど、つまり・・・』

 アキラの意識はひよにいった。

 

 『今回のこの軍議は墨俣にあの城の建設。それをどうやるか・・・いうわけですね。それこそ豊臣秀吉の名が知れ渡る代表的な一夜城の建設』

 

 その考えは当たった。案の定、これからどうするか。妨害をどう対処するか等を話し合っていた。本来の歴史なら、ここで秀吉である彼女が「やります」の一言でも出すだろう。でも、この世界の秀吉・・・ひよはこの場に初めてきた。しかも、いるだけでいっぱいいっぱいだ。ここは彼女の隊長である自分の出番ということだ。

 「久遠、私がやりましょうか?」

 「・・・何?」

 横から聞こえたアキラの言葉に久遠が驚く。周りの皆も、できるはずない。新入りのくせにできるのか?と言ってきたが、

 『ひよがいますからね。彼女がいるなら大丈夫ですよ』

 そう言って二人で城を出た。

 

 城下に降りた二人。ひよはさっきの話で自分を出されたことに焦っていた。

 「あの、お頭・・・私なんかで本当に大丈夫なのですか???」

 「ふふ、それは大丈夫です・・・と言いたいですけど、欲を言うならあと一人欲しいですね」

 「後、一人・・・ですか?」

 頭の上の?を増やしたひよ。

 「ひよ、あなた墨俣の地理に詳しい友人がいませんか。できるなら、多く人を率いている人がいいです」

 「はい、そうですね・・・・・・あ、ころちゃんがいます!」

 「ころちゃん?誰でしょうか」

 訊ねつつも、既に誰か予想しているアキラ。

 「蜂須賀小六正勝。通称転子です。確か川並衆という野武士の部隊を持ってます。結構な人数の野武士がいましたよ。皆ころちゃんを慕っています!」

 「よし、予想通りですね。じゃあ、その子のところに行きましょう。協力してもらえるよう頼まないと」

 「え、何故ですか?お頭の立場を考えれば、織田の兵を使えるのに使わないなんて」

 「もちろん、理由があります。歩きながら説明しますよ」

 兵を動かせば、向こうも動く。向こうの情報をこちらが手に入れているなら、向こう側もこっちの情報は手に入れているはず。だから、情報にならない野武士の集まりなら向こうも大したことないとみて見逃すはず。だから、転子という子に協力を頼む。野武士の集まりが何かしている的な情報は相手にとってはどうでもいい情報なので、それが向こうの油断にもなる。

 その説明をした後、ひよはすごいすごいと大絶賛。さっきまでの不安がどこへ行った?という感じだ。

 

 『もしかしたら、向こうの世界のあなたが考えた策なのかもしれないのに・・・ははは、何か素直に喜べませんね』

 

 自分を持ち上げようとするひよを見て、少し苦笑いをした。

 「じゃあ、早くいきましょう!私もころちゃんとは久しぶりなので早く会いたいです!」

 『ふむ、だいぶ打ち解けてきましたね。これなら何とかなるでしょう』

 先を歩くひよの後を追いかけた。

 「あれ?そういえば、どうしてころちゃんのこと知ってたんです?」

 「ふふふ、秘密です」

 笑顔で内緒と言い、その足で蜂須賀小六に会いに行った。

 

 

 その後、ひよの案内でその転子という子と顔合わせをした。

 「あなたが蜂須賀小六正勝さんですね。初めまして私アキラと申します」

 「はい、初めまして・・・ひよ、この人誰?」

 ひよの紹介で、久遠の夫ということが分かると一気に城に行く前のひよと同じように頭を下げて謝罪をした。

 「ひ、ひよ!こ、こんなに偉い人の部下になったの!」

 「でも、大丈夫だよ!お頭って身分は全く考えない素晴らしい人だから!」

 焦りまくる転子に落ち着かせるひよ。結構似たもの同士だとこっそり思った。

 『ふむ、かなりまじめな子ですね。でも、それは好都合。この子なら』

 話をしっかり聞いてくれる子でもあると分かり、少しほっとした。

 「顔を上げてください。ひよの言う通り私は身分云々は気にしません。それよりあなたにお願いしたいことがあってここに来たのです」

 「そうだよ、ころちゃん。お頭はとても寛大な人なんだよ!」

 「そ、そうですか。では、お言葉に甘えさせていただきます。頼みというのは?」

 ひよのアキラ自慢話に苦笑いをしつつ墨俣に城を作ろうという話になると、あばら家に案内された。

 

 『さて、ここからですね。墨俣城築城は』

 

 アキラ、一夜城作りの準備が始まる。

 




 何というか。書いている自分も少しドキドキしてます。

 実際の歴史に残った墨俣城の建築を架空の設定があるとはいえ、書こうとしていることに。

 さて、どうやって書こうか。




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九振り目 アキラ、復活!

 こんばんは!コンタクトが怖くて、絶対に眼鏡しか書けない三MENです!

 さあ、今回はいよいよ墨俣城作りとアキラの久々の戦いです!

 


 あれから転子改めころといろいろ話をして、墨俣での城作りは十五日後ということになった。資材自体は七日で来るが、今回の城作りはスピードが要求される。そのための訓練の日時も必要ということだ。

 その帰り道、川並衆の雇い金や資材の金額などを暗算をしたひよに、アキラは純粋に驚き未来の豊臣秀吉の名は伊達じゃないと思った。

 そして、その金を久遠に出してもらい後の事はひよところに丸投げした。というより、頭脳労働は得意でも金のことは管轄外でもあったので、うまくできそうな二人に頼んだのだ。

 

 

 その間アキラは何をしているのかというと。

 「あんた、仕事しなさいよ」

 久遠の家で静養していた。あの世界にいたときは薬の知識が長けている壬生京四郎がいたから、灯に治療してもらいその後よく効く薬を塗って体の回復を早めた。しかし、これからはそれができない上に、無茶な戦いも余りできない。だからこそ、万全の状態に早く戻すために家でじっとしていた。今回の自分にできることは戦いしかないため、静養こそが今のアキラの仕事なのだ。

 「いえ、今回の仕事は私にとっては初めての事ですし、下手に手を出そうとすれば、余計な仕事が増えて決行日が伸びてます」

 「全く、役に立たないわね」

 「耳が痛いです」

 帰蝶の言葉に反論しなかった。何しろ、自分の目から見ても食っちゃ寝ぐうたら生活をしているようなものだ。

 「でも、こうしてじっとしていたおかげで体もようやく本調子に戻せそうです。帰蝶さんの栄養ある食事もまたよかったですし」

 「・・・は?今、何て?」

 「本調子に戻せる。ですか?」

 「織田家の家臣五人に勝ったあなたが、まだ本調子じゃないっていうの!しかも、麦穂と壬月にすら勝ったのに!」

 びっくりして問い質す帰蝶。織田家で一番強い壬月にすら勝ったのはその目で見たからアキラの強さは素直に認めるが、万全じゃないと知れば驚くのも当然だ。

 「はい。でも、あの時に出せる全力は出してましたよ」

 「・・・信じられないわ」

 そう言って帰蝶は部屋を出て行った。

 

 

 そうやってぼ~っとしていると、日も時間もあっという間に過ぎるものであり、気づけば決行日になっていた。

 「さて、いよいよ今日ですね。うん」

 自分の両手を何度か握ったり腕も回してみた。違和感がないのを確認したが、どこも異常がない。

 『よし、どうやら完全に元に戻りましたね。これなら、いけます』

 後は感覚が衰えていないかの確認だが、それは戦場でないと分からないのでそのままの状態で行く。

 「お頭~~出発しますよ~~!」

 「ええ、行きましょう。久遠達もせっかくこの作戦のために囮を引き受けてくれたのです。必ず、成功させましょう」

 「「はい!」」

 元気な二人の声に思わず笑みを浮かべる。

 

『・・・これが仲間と共に頑張る。ということですか。不思議な感覚ですね』

 

 悪くない。とこっそり思い、ひよところの後を追った。

 

 少し時間が経ち、川を下って墨俣に入り城を建てる予定に着くと、すぐにその場所を確保するために塀と柵の組み立てが始まった。だが、アキラはすぐにその場所から多少離れているところに向かった。

 『おそらく、囮を頼んだ久遠の兵が全ての美濃の兵を引き寄せることは不可能でしょう。こちらに来る兵も必ずいるはず・・・ここは一つ罠を仕掛けておきましょう。成功するかどうかは分かりませんが』

 アキラの周りに少しだけ白い煙が出ていたが、ひよやころに兵達は組み立てに集中していたため気づかなかった。

 

    ???視点

「・・・おかしいですね。織田勢が攻めてきた割には勢いがない。以前攻めてきたあの武将達も見えますが、遮二無二に出てこようとしない・・・攻める気がないという感じがします。ここから出る答えは・・・陽動。つまり目的は、なるほど墨俣が本命ということですね。中々うまい手ですが、このことを伝えに行くべきでしょうか?いや、やめましょう。どうせあの愚人達は私の話を聞く耳を持っていない。もう、いい加減我慢も限界ですし。そろそろ動きましょうか」

 美濃側で約一名が見抜いたが、無言のまま兵を動かした。

 

 城を守る側の立場に立ったアキラは兵達と一緒にいた。その顔は険しかった。

 『さて、向こうから百人以上の気配を感じます。つまり』

 「お頭!美濃衆の旗が見えます!」

 兵がその答えを言った。

 「ご苦労様。さて、うまくいくといいのですが・・・ひよ、ころ!」

 「「は、はい!」」

 「迎撃準備に入ります。さっき罠を仕掛けておきました。うまくいけば被害は最小限で作戦は成功できるはずです」

 「わ、罠?いつの間にやったんですか?」

 「その話は後です。今は共にこの困難を乗り越えましょう。そして、成功した暁には喜びを分かち合いましょう」

 「「か、格好いい~~!!」」

 二人からの言葉に顔を赤らめたアキラ。そのような賞賛は今までなかったので、真正面から言われて少し照れ臭かったようだ。

 「ふふ、うれしいですね。でも、今はこの作戦に集中です!」

 「「はい!」」

 その後、作戦指揮を二人に託し自分は兵を少しもらい奇襲部隊として現場を離れた。

 

 

 ついに美濃衆がやってきた。だが、なぜか歩くのに苦戦していた。馬も倒れたり後ろから来た馬にけられたりと混乱していた。

 「よし、成功しましたね」

 「は?あ、あれってお頭がやったんですかい?」

 「あの辺一体の地面を少し凍らせておいたのです。来る前に溶けてくれれば、土の地面はぐちゃぐちゃですからね。まともに歩けないといい的になります」

 そのアキラの言った通りの結果が美濃の兵を苦しめていた。周りの兵達もアキラの作戦に驚きながらもすごいと思った。

 「はえ~~、すごいですね。お頭」

 「そんなことはありません。さあ、向こうが混乱している横をつきますよ!」

 「「「へい!」」」

 アキラの激にこっちの野武士達もやる気になった。

 『それにしても兵法の基本やらの勉強の成果が、あの世界では全くというほど役に立たなかったけど、ここで役に立つとは思いませんでした・・・先生が梵というのが納得いかなかったですが』

 アキラの仲間の梵天丸・別名伊達独眼竜政宗と呼ばれ伊達家当主歴あり。兵を率いての戦の経験があれば、それに必要な知識もしっかり覚えているということだ。それを友の行動していた子供の頃から子守歌のごとく聞かされたから、アキラの耳と頭の中に残っていたのだ。

 美濃衆はアキラ達の奇襲で更に大混乱を起こした。しかも、アキラの戦いが連中からすればあまりにも強すぎた。

 「ぎゃあ!」

 バランスをとることに精一杯な兵をどんどん切っていき

 「な、何だと!」

 馬に乗っている将を馬ごと切ってしまったり

 「どうして・・・切られているんだ!」

 囲まれていても、いつの間にか囲んだ兵が一瞬で切られたりともはやどうなっているのかすらわかってない。しかも、地面が濡れてあまり動けなくなるのはアキラ達もまたそうだが、アキラだけは全く気にせずどんどん動いて斬っていく。

 「た、た、退散だ~~~!」

 何がどうなっているのか分からない状況に陥っていき、大きな悲鳴をたくさん出しながら、大急ぎで美濃の兵達は徹底していった。逃げていく兵達の追撃はせず、アキラ達はすぐに墨俣城の方へ行った。

 

 

 作戦は見事成功して、墨俣城の制作は大詰めを迎えていた。ただ、一つアキラは悔いていることがあった。

 

 『犠牲者が・・・出ましたか』

 

 アキラが率いた兵は一人も死ななかったが、城を防衛していた方では三人の兵が死んでしまった。進むことが困難と分かると、すぐに弓矢での攻撃がありその攻撃で死んでしまった。

 『悔しいですね。一人も死なせないつもりだったのに、これが兵を率いた者の味わう苦悩というものですか。あの梵も・・・こうした辛い思いをしていたのですね』

 今までそういうことを気にしなかったが、隊の隊長となった今はそれを受ける立場にならざろうえない。

 

 『あなた方の死は生涯忘れません。あなた方がいたからここを守れた』

  

 命がけで戦い、この場を守ると決めた決意を持った兵のことを忘れない。これがアキラなりの彼らへの弔いだった。

 




 墨俣城終了! アキラ、完全復活です!それと同時に隊長としての自覚も持ち始めました。

 次で、原作一章目終了です!

 ???さんとの出会いも近いぞ! 


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十振り目 前を見て、まっすぐ進もう

 
 こんにちは、睡眠時間は8時間!三MENです。

 今回は短めです。やっと第一章終了です!

 


 「アキラ!よくやってくれた!」

 清洲城に戻り、今回の報告をしようとしたら久遠が勢いよく抱き着いてきた。

 

 『な、ななななな!ちょ、ちょちょちょちょっと!』

 

 仲間内で喜びを分かち合う抱き合いは四聖天時代もやっていたが、女性からこのように抱き着かれたことがなかったので動揺しまくった。何とか顔に出さないように彼女の肩をつかんだ。

 「く、久遠!ほら、落ち着いて」

 「あ、ああ。って・・・は!」

 久遠も力の限り抱き着いていることに気づいて、慌てて離れた。照れ顔になって少し可愛いと思ったアキラ。

 「(ふう、少し落ち着きました)それはそうと、帰蝶さんには今ほどの抱き着きはしないのですか?若干不満そうでしたが」

 「あ、あやつにやると・・・こっちが逆にやられる」

 確かに・・・とあの罰でさんざんやられたのを見たので納得した。つまり、スキンシップがあまりないということだろう。

 「なるほど・・・でも、あの人も最近少し表情が柔らかくなりましたね」

 「・・・お主、さり気によく見ているな」

 「あの家にしばらく住まわせてもらいましたからね。世話してくれる人の様子を見るくらいしかすることがなかったもので」

 帰蝶の微妙な変化に気付いたことに、むっとする久遠。それが、女としてか夫としてかは本人もわからなかった。

 「それより、あの約束やってくれますか?」

 「ふふ、もちろんだ。それほどの功績をお前は上げたのだ!」

 「それは何よりです」

 その後、亡くなった三人の遺族への十分な報酬の約束。そして、先に約束していた今回の作戦の趣旨を説明する際にころの織田家士官。この二つを無事果たしてくれると聞きほっとした。

 

 『これで、少しは報われるでしょう』

 

 今回の兵の殆どはころを慕って参加してくれたものばかり。その彼女が士官できたと知れば喜ぶのは間違いないし、散っていった三人もころの活躍を期待しているだろうからそれができる場に立てたのはいい報いになったはず。とアキラは思った。

 

 

 その後、二人と祝杯でも挙げろ。とお金をもらい早速二人のところに行った。

 「「お頭~~」」

 「お待たせしました。後、ころも士官おめでとうございます。これからは同じアキラ隊ですね。改めてよろしくお願いします」

 「そんな、お頭が勧めてくれたからですよ!」

 「お頭~ころちゃんって、とっても料理が上手なんですよ!これからが楽しみです」

 「ほう、それは興味ありますね」

 「はうううう、そ、そんなに期待しなくても」

 「だって、ころちゃんの料理って今思い出すだけでも涎が出るんだもん。我慢できないよ!(じゅるり)」

 『・・・本当に出していますよ、ひよ』

 口から欲望の涎が出ていることに、心で突っ込んだアキラ。そんな彼女を見て笑みを浮かべる。

 「それより、ひよ。あの事を言わないと!」

 「あ、そうだったね!お頭、久遠様がアキラ隊の長屋を作ってくれたんですよ。だから、これからは一緒ですね!」

 二人が喜んでいる中、アキラは少し複雑だった。

 

 『ふむ、今回の件で私の隊が正式に認められた。ということですね・・・どうやら私はこの世界に骨を埋める決心をしないといけないみたいですね』

 

 もうすでに織田家ではなくてはならない存在となってしまったアキラ。前の二人や久遠、そして家臣達全員がアキラを織田家一員と認めてくれた。つまり、それは織田家全員がアキラを大切な仲間と見るようになったということだ。

 同時に、必要とされなくてはならない存在となってしまったということにもなる。織田久遠信長の仮の夫という肩書を持つ男ではなく・・・織田家のかけがえのない大切な仲間として。

 

 『皆さん、すいません。もう、会うことはないでしょう。最後に一つ・・・私はあなた達に出会えて本当に良かった。心からそう思います』

 

 空を見上げて仲間達の顔を思い浮かべた。自分を親友といった将軍様の顔を、ずっと背中を支え続けた眼帯の一つ目の漢の顔を、自分の生涯の目標だった最強の漢の顔を思い浮かべ、別れを告げた。そして、最後に自分の事を慕ってくれた三人の女性を思い出し、心でサヨナラをした。

 「お頭!ころちゃんの入隊祝いしましょう!」

 「アキラ隊設立祝いも含めてやりましょうよ!」

 「それはいいですね。久遠からも祝い金をもらいましたし」

 その後もらったお金で食事しに行こうとして二人に見せたら、よほどの大金だったらしく二人とも度肝を抜かした顔をした。アキラはそういった金感情には興味を持たないことを知ると、食事が終わったら金の使い方について説教をすることが決定してしまった。今後の隊の運営にかかわることだから、しっかり聞くように。とのことだった。

 

 

 その後、ひよ所の行きつけの食事処で三人の小さな岩井がされたのだが、

 「え、ええええ!お頭ってあの掛かれ柴田で有名な壬月様に勝ったのですか!」

 「そうだよ~、米五郎左で有名な麦穂様にも勝ったんだよ~!」

 「す、凄い・・・ひよ、よくお頭の部下になれたね」

 「うんうん!自分でもお頭の部下になった時は驚きだったよ~」

 二人はアキラのこの世界での戦歴に驚きながら話し合っていた。一方アキラの方は、そんな二人の驚きに笑いながら今後のことを考えていた。

 

 『私自身が選んだ道、そのことに後悔はしていない。久遠や皆と共に歩む。この世界でのアキラの生きる茨の道はこれからです』

 

 久遠や壬月達、それに実際に目の前にいるひよやころ達と共に戦ったことで、これから先もこの世界で生きることを決めた。それが、アキラの決めた信念だ。

 

 『今はただ前を向いて進みましょう。光り輝く先の道を』

 

 話をしていた二人が目を輝かせてアキラにもっと話を聞きたいと言ってきたので、笑顔になって自分の話をしながら今も信じる光の道を歩き続ける決心をした。

 




 アキラ、元の世界に帰ることをやめこの世界で生きる決意をしました。自分の進む茨の道。でも、仲間となら怖くない。そう思うアキラ。

 ついに一章目終了!

 原作の間章もやろうと思いますので、すぐに二章目には入りません。


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間章1 責任はちゃんと本人がとること

 今日は!リアルで忙しかった三MENです!

 今回は、間章の話です。ただ、一つに一話分使うのはネタや文字数が足りなくなると思うので、二つで一話分にしようと思います。
 でも、出ている話全部出そうと思っていません。今回は久遠と三若にします。
 
 リアルの話になりますが、飲酒運転やら暴走運転やら車の事故が多発してます。読者の皆さんも運転する人は車は「移動が便利な乗り物」という考えだけではなく、「いつでも人を殺せる凶器」という考えもしっかり持って運転するよう心がけてください。



 

 今アキラは久遠の家にいる。その理由は、アキラ隊の長屋に移動して久遠や帰蝶の顔を見てなかったので、寂しい思いをしているかな?と思ったからだ。墨俣の一件で忙しかったこともあるが、アキラ隊の隊長として久遠や壬月達へのいろんな報告や書類仕事にアキラ隊運営に関する勉強もあったので、なかなか時間も取れなかったが、ようやく一段落してこれたという事だ。

 「おお~い、久遠。いませんか~」

 「残念ながらいないわ」

 そう言って出てきたのは帰蝶だった。これに関してはいつも通りなのでスルーした。

 「残念です。二人で久遠をいじくって顔を赤くしてやろうと思っていましたのに」

 「ふふ、面白そうね~。今度やりましょうか」

 久遠いじりになると、帰蝶も生き生きしているように見えた。やはり、夫のかわいい一面を見たい気持ちを持っているのだろう。

 「それより、何の用?久遠は城で仕事よ。あんたと違ってね」

 「一応、アキラ隊の運営やら何やらでこちらもいろいろ忙しかったんですよ。まあ、ここでは食っちゃ寝生活でしたからそう見られるのも無理ないですが」

 「その程度で参らないでよ。久遠の夫なんだから」

 「・・・認めてくれるのですか?」

 帰蝶の言葉に少しだけ驚くアキラ。

 「一応よ!それより、もう用がないなら城に行ったら?」

 「そうですね、あなたの元気な顔を見るという用も終わりましたし」

 その言葉に驚く帰蝶。久遠だけでなく自分のために来てくれたとは思わなかった。

 「は?用事の中に、私の顔も見るのも入っていたの?」

 「もちろんですよ。私が守る人は久遠だけではありませんよ。帰蝶、あなたも守りたいと思っています」

 「・・・ふ、ふん!さっさと城に行きなさい!」

 顔を真っ赤にして、扉を閉めた。アキラは失敗したか?と思って屋敷を後にしたが、その中にいる帰蝶は

 「あああ!もう!あんなことを言うなんて~~バカバカバカバカ!!ち、違うわよ!私は、私は~~!」

 真っ赤になった頬を抑えながら床で悶えていた。

 

 

 城に着くと、三バカ・・・じゃなかった三若に会った。

 「アキラ~今、三バカと思わなかったか?」

 「そうだよ~~思っていたでしょう!壬月様と同じ顔をしていたよ」

 「その時は決まって三バカと思っている時!」

 壬月の普段の三若に対する接し方が分かったアキラ。

 「いいえ、和奏はかわいいな、と思ってましたよ」

 「なあああ、なあななな、何を言うんだ!」

 「えええ、和奏だけ?雛は~雛は~?」

 「ねえねえ犬子は!犬子は!」

 「もちろん、雛も犬子もかわいいですよ。和奏はちょろそうなところがかわいいですし、雛はいじりがいがありそうでかわいいですし、犬子はいつも笑顔なところがかわいいですよ」

 「う、うううう、そ、そそそ、そういうこと言うなって!照れるじゃないか!」

 「和奏ちん。私達ちょっとバカにされている部分もあるよ~」

 「笑顔がかわいい!えへへ~、嬉しい~~!」

 雛の注意も聞こえてないのか、和奏が照れてアキラの胸をたたいた。犬子の方はアキラの抱き着いて嬉しそうにしていた。完全にその馬鹿にされている部分を聞き流したようだ。でも、雛も悪くないと思ってアキラに抱き着く。

 「ところで、私に何か用ですか」

 「そうそう!聞きたいことがあったんだ!」

 「うん!あの一夜城ってどうやったのか気になっていたんだ~」

 「すっごいよね!たった一夜で城があるんだもの!」

 アキラの問いかけに三人は一気に照れるのをやめ、話は墨俣の一夜城の話になった。やはり、奇抜な方法での城作りだったから気になっていたらしく、説明には少し困った部分もあったが、途中からアキラの個人情報を聞き出そうとしていたのでそこを注意すると問いかけが止まったのではぐらかすことは出来た。

 一応昔の話として捨てられた頃の話をしたら一気に三人の顔が青ざめた。だが、アキラはそれが青ざめるような話とは思ってなく、不思議そうにしていた。

 

 

 その後、三人とは団子屋で団子を食べようという話になって別れて、本来の目的である久遠探しを再開したアキラ。しばらく廊下を歩いていると見たことのない男が歩いてくるのが見えた。その男がアキラに気づくと睨んできた。

 「・・・っち!」

 舌打ちまでして通り過ぎていった。分からない顔になっていると、そのすぐ後に麦穂と壬月がやってきた。二人とも焦っているように見えた。

 「どうしたのです。何やら焦っているみたいですけど」

 「あ、アキラ殿。ここに男の人がきませんでしたか?」

 「私を睨んですぐ去っていきましたが・・・何か?」

 「しまった。麦穂追いかけるぞ!」

 そう言って、二人も去っていくと、その後ろから目的の人物の久遠がやってきた。

 「久遠、何をしたのです?」

 「ははは!なあに、お前が役に立ったということだ!」

 その言葉に疑問を持ちながら話を聞くと、どうやら今川を討ち取った織田と縁・・・というより織田家の権力を持とうとして縁談の話を持ってきたどこかの勢力の使者だったらしい。だが、既にアキラという田楽狭間に舞い降りた天人を夫として迎え入れている。それを多少脚色して話したらああなったらしい。

 「全く、ホラ話もほどほどにしてほしいですよ」

 「何を言う。アキラがあの時光り輝いていたのは事実だぞ。壬月や麦穂だって見ていたのだからな!」

 「やれやれ・・・まあ、お役に立てたようで何よりです」

 「ふふん。まあ、これからもよろしく頼む」

 「ええ、あなたが作ってくれたアキラ隊もしっかりやっていきますよ」

 「そうか。もうすっかりアキラも織田家の一員だな・・・それはそうと頼みが一つあるんだが」

 厄介ごとを押し付ける灯のような笑顔みたいだ。とアキラは思った・・・そして、それは見事に命中した。

 「あの二人の足止めを頼む。我は逃げる!」

 「殿!待ちなさい!」

 「話を聞かせてもらいますよ!殿!」

 「予想はついていましたよ。二人とも、落ち着いてください」

 怒り心頭な二人から逃げ出した久遠。自分達の当主を追いかけようとする壬月と麦穂の足止めをさせられてしまった。そして、無事その頼みを終わらせて約束していた三若と食べた団子でその足止めの疲れを取る事ができた。

 

 

 その日の夜、久遠は危機に陥っていた。

 「それで殿。今回の説明をしっかりしてもらいますよ!」

 「あと、今までの城を抜け出した説教もさせてもらいます」

 「久遠、最近お昼食べてないですってね。体こわしたらどうするの!」

 家に帰り部屋に入ると、壬月と麦穂がいて、しかも後ろから結菜に座らされ囲むように三人とも座った。久遠の頭の中でこの言葉が出た。四面楚歌が。

 「ま、まて、落ち着いて話を」

 

 「「「落ち着いています(いるわ)」」」

 

 威圧が半端ない笑顔の三人に言葉が出ない。

 「アキラめ~~覚えていろよ!」

 その叫び声が説教の始まりだった。

 

 

 次の日、久遠は消耗しきった状態で城に向かい、評定中居眠りをしてしまって壬月と麦穂にまた説教を受けたのは別の話。

 

 『足止めをしろと言われましたが、説教を止めろ。とは言われてませんからね。つまり、足が止まっている状態なら説教を受ける。という解釈にさせてもらいました』

 

 アキラが壬月と麦穂の足止めに成功したのはこういう説明をしたからだ。因みになぜ帰蝶も二人に協力したのかというと、団子を食べながら三若が久遠が食事をあまりとってないと呟いたのを聞いて、それをアキラが彼女に報告したからだ。久遠の体調管理が義務の彼女だからこそ、今回の説教に参加したのだ。

 




 すいませんが、原作にあるもう一つの間章は残念ながらネタが思いつきませんでした。そのまま書くのも問題ですし・・・。

 これで完全に第一章は終了です!

 さあ、次は第二章突入です!


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第二章 稲葉山城攻略
十一振り目 忍び込む?朝飯前ですね。


 
 こんばんは!寒さに暖房の前で丸くなる三MENです。この一週間、ここで小説書き始めて少しだけ充実した日を送った気になっています。何かをやるというのは、やはりどんなことでも気持ちいいですからね。


 今回は美濃侵入です!



 

 長屋で眠りについているアキラだが、

 「ふぁあああ~・・・よし!よく寝ましたし、朝食に行きますか」

 起きて襖を開けて井戸のところに行くと、ひよところが既に起きていた。

 「「お頭!おはようございます!」」

 「ええ。二人ともおはようです(この光景も慣れましたね)。さて、早速朝食と行きましょうか」

 「「はい!」」

 元気な声を聞き、顔を洗い、二人ともアキラの両隣に立って歩き始めた。

 

 

 だが、長屋を出ると早馬が城に向かって走っていったのを目撃した。急ぎの報告があると推測できたので、二人は「「ええ~~」」と言っていたが朝食は後回しにした。だが、そんな不満もすぐに消して、三人で評定の間に行くと久遠や壬月達もすでに来ていたのでそのまま軍議を始めた・・・犬子がいなかったが、どうでもよかった。

 軍議の議題はやはりさっきの早馬からの報告の内容だが、久遠は今一つわからない顔で皆に言った。

 

 「稲葉山城が何者かに占拠された」

 「たったの十六人で落としたらしい」

 

 これが早馬で届いた情報だった。久遠のみならず、皆も訳が分からない顔になった。そんな中でアキラは頭を働かせた。

 

 『ふむ、稲葉山城は壬月さんも攻め落とせなかった城と聞く。あそこを落とすには、軽く千単位の兵は必要になる。将も壬月さんと麦穂さんの二人がいないとダメなくらい堅城だと久遠も言っていた。つまり、外からではなくて』

 

 「アキラ、すまないが」

 久遠の言葉で、情報を考えていたアキラが我に返った。

 「あ、はい。何でしょうか?」

 「おい、話を聞いていたのか?」

 「いえ、さっきの早馬の情報を私なりに推測をしていたので聞いてなかったです」

 「ほう、ならば聞かせてもらいたいものだな」

 「そうですね。アキラ殿は頭の回転が速いお方。ぜひ、聞かせてください」

 壬月と麦穂も興味津々な顔で言ってきた。和奏と雛も同じような顔をしていた。

 「話せ、アキラ」

 「分かりました・・・今回の稲葉山城乗っ取りの報告。これはおそらく城の中で内乱が起こった、といったところでしょう」

 「内乱?内部分裂でも起こったのか?」

 壬月の言葉に頷いて、話を続けた。

 「私はそう考えます。何しろ、あなたでも落とせなかった城です。外側から攻めても現段階では不可能でしょう。私が本気を出せば城ごと吹き飛ばせますけど、それは聞き流していただいて結構です。それくらい外からでは崩せない城ですが、内部からやればどうです?」

 何気に自分の事を自慢した言葉も出たが、全員言われた通り聞き流した。

 「現斎藤家の当主龍興は人望が全くと言っていいほどない。正直言って三バカを更に三倍にしたバカ・・・なるほど、考えられるな」

 「「壬月様、どうしてその例えにボク・雛達をだしたんです!」」

 二人のツッコミは壬月のみならず、その場にいた全員がスルーした。

 「今回の乗っ取りの首謀者まではまだ分かりませんが、この推測で間違いはないと思います。当主が留守の時を狙えば、少数でも簡単に乗っ取れますからね。十六人でそれを成功させたのも、それをしたからでしょう」

 この中で、久遠以外に頭の回転がいい麦穂も頷いた。

 「・・・そうですね。私もアキラ殿の言う通りだと思います。ただ、いったい誰が」

 「そこは私達アキラ隊の出番ですね。首謀者の割り出しと現状の稲葉山城、そして攻める時はどこがいいのか・・・久遠、あなたが言いたかったのはそれですね?」

 驚きながらも頷く久遠。

 「ああ、頼めるか?」

 「ええ、引き受けました。ひよ、ころ、行きますよ」

 「「はい!」」

 「十日ほどでちゃんと戻ってきます。その時は帰蝶さんと三人で食事をしましょう」

 「うむ。頑張って・・・じゃなかった。待っているからな!」

 久遠の初々しい反応に家老二人は苦笑いをした。

 

 

 城を出て遅い朝食を食べ、すぐに準備をして美濃に出発。美濃の宿に着いた時は夜だったので、その日はしっかり休むのだが、

 「今日はしっかり休んで、明日から仕事開始ですよ」

 「「おお~~!」」

 「・・・どうして、犬子がいるのです?」

 今の「「おお~~!」」はひよと犬子の言葉だった。彼女の姿に呆れた視線を送る。

 「何か雛ちゃんがアキラ様を手伝えば手柄をとれるよ~。と言っていたから!」

 「あの~、それ雛様の冗談じゃ」

 『その冗談を信じて私達についてきたと言うことですか。隠密行動なのに明らかにできなさそうなのが来てしまいましたね』

 内心呆れながら、明日の割り振りを決めて食事を食べて就寝した。

 

 次の日、早速アキラところ・ひよと犬子に別れて情報集めを始めた。

 「ころ、どう思います。この空気」

 「そうですね・・・とても妙ですね。まるで息をひそめているというか」

 「私も同意見です」

 二人は稲葉山城の城下町・井ノ口というところにいた。だが、空気が明らかにおかしかった。その違和感を感じながら、城の方に視線をずらした。

 「これの疑問は後回しにしましょう。稲葉山城、直接見て確認しますよ」

 「はい。わかりました」

 その確認の為に山に登り始めた。少し経ったときにある一人の女性がいることに気づいた。慌てて隠れたが、ただの女性ではなくすぐに見つかってしまった。アキラは完全に気配を消していたが、ころにはそれが出来ないので彼女の気配で気づいたようだ。

 「二人いたの?」

 「ふふ、気づかなかったですか?」

 軽い紹介でこの女性は他勢力の忍び、つまり草であることが判明。多少の情報交換をして別れた。お互い、深く関わる気はなかったのでアキラの素性も聞かれずに済んだ。

 「お頭、すごいですね。草にも気配を気づかせないなんて」

 「これくらいは出来て当然です。ころも頑張りなさい」

 「む、無理ですよ~~!」

 その後、その草から聞いた情報で稲葉山城に続く獣道を歩いて城に到着。そこで見えた旗にころは面白そうな顔をして説明してくれた。旗の持ち主は西美濃三人衆と呼ばれる者達の旗。そして、本丸周辺にある九枚笹の旗が美濃の出来人竹中半兵衛重治の旗であり、尾張ではすごい!と評判だが美濃ではただの変人扱いされている人の旗だった。

 「本丸周辺にあの旗があるということは、その竹中半兵衛重治が乗っ取りの首謀者とみて間違いないですね」

 「そうですね。竹中殿の戦果は美濃じゃ全く評価されてないらしいです」

 「・・・壬月さんを何回も追い返したほどの手腕の持ち主が評価されてない?」

 これはアキラも純粋に不思議に思った。

 「そうなんですよ。ここじゃ美濃八千騎がすごいんだ。竹中殿はすごくない。美濃の評価はそういう風になっているみたいです」

 「なるほど・・・ここまでにしましょう。宿に戻りますよ」

 「はい!」

 二人は城に背を向けて山道を降り始めた。

 

 『評価がされない天才。その天才の力を自分達の力と勘違いするバカ連中。しかも、天才は変人との噂もあり・・・できれば本人を直接見れればいいのですが』

 

 宿に戻ったが、ひよと犬子は街で騒ぎを起こしたらしく逃げることで精いっぱいだったので、二人の方は情報を何一つ手に入れられなかった。

 

 

 次の日、ころを先に戻し犬子をその護衛にして美濃を出発させた。騒ぎをまた起こしそうな誰かさんがいなくなり内心ほっとしたアキラ。

 「できることなら今日中に納得のいく情報を手に入れますよ」

 「はい!頑張ります!」

 行商人に変装して、調べていくうちにいろいろわかった。向こうの世界の織田信長も、ここの尾張で久遠がやっていた楽市楽座をここでもやっていたこと。井ノ口も二代目の斎藤家当主までは栄えていたが、三代目は全くのダメ当主だということ。その中で街の皆が口を揃えて言ったことが、竹中半兵衛重治の稲葉山城の次期城主希望だった。

 「竹中半兵衛重治が当主になってほしい。昔の街を取り戻してほしい。これが街の皆の願望みたいですね・・・でも、公に口に出せば処刑は免れない。皆が息をひそめていた理由もこれでわかりましたね」

 「はい、昔はよかったと皆言ってましたからね。それだけ期待もしているんですね」

 「果たして、彼の人はそれをするかどうか」

 その事を考えようとした時だった。

 

 「その気はないでしょうね。きっと・・・」

 

 「ええ、そう私も思います。ってあれ?」

 推測に集中していたため、周囲への警戒を怠っていた。二人の後ろに目元を隠した年若い女性の姿があった。

 

 「こんにちは・・・詩乃と申します」

 

 謎の女性、詩乃。一体何者だろうか・・・。

 




 さあ、ついに始まりました。第二章!アキラ、ついに出会いました。あの女性に!この女性とアキラ。いったいどんな話になるのか。

 次回はこの女性との話になります!

 


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十二振り目 信念を持つ女性は好きですよ

 
 さあ、ついに来ました。原作最有力ヒロインと言ってもいい彼女が登場しました!二人はどんな話をするのでしょうか?

 今回は二人の話だけですので短いです。


 突如現れた謎の女性にアキラ達は警戒心を高めた。

 「あなたは・・・どちら様ですか?」

 「詩乃と申します。先ほど、申し上げたはずですが?」

 「すいませんでした。いきなり後ろにいたもので、聞き逃していました。私はアキラ、そしてこちらはひよです。よろしく」

 「よ、よろしくお願いします!!」

 汗をかきながら、焦って自己紹介するひよ。だが、女性はそんなひよの様子をまったく気にしなかった。

 「それで、先ほど「竹中さんにその気はない」と言ってましたが、それはどうしてそう思うのですか?」

 アキラも気にしてなかったが、この話題をした途端に入ってきたこの女性をアキラは別の意味でも警戒していた。

 「簡単なことです。私はあの人を・・・竹中さんをよく知っています。彼女は常に馬鹿にされてきました。自分の言葉を聞いてもらえず、自分の力を認めてもらえず・・・そして、誰も彼女を信じない。あの人はそれに耐えられなくなった。だからこの騒ぎを起こした・・・それだけです」

 「ほう、気持ちはよくわかります。私も弱いと馬鹿にされたことがよくあります。つまり、そいつらに見返してやろうと思ったのですね」

 アキラの言葉に女性は頷いた。この時点で、既にひよは話の中身が全くと言っていいほどわからなかった。

 「はい、もともと内側はボロボロですからね。ちょっと手を加えれば簡単に」

 「崩壊できる。ということですね。そうですね、私もそういう現場を見たことがあるので理解できます」

 かつて自分の世界で闘った壬生一族との戦いを、多くの強敵を相手に仲間と戦ってきた。だが、その相手は共に手を取り合ってやっていたか?と言えば、大体半分くらいであり残り半分はほとんど暴走して自分勝手にやっていた。つまり、そこからぼろぼろと崩れていくものだ。

 「完璧な組織は存在しない。もろいところを見つければ、そこを攻めれば簡単に落とせるという事ですね。その基本をやってこの現状を作り上げた・・・すごいですね、竹中さんは。そしてあなたもよくその人のことを知っていますね」

 「はい、お二人のこともよくご存じですよ」

 『・・・間違いないですね・・・この者こそ稲葉山城の占拠の中心人物』

 この言葉を聞いてアキラは確信した。目の前にいるこの女性が渦中の人だと、だが同時にアキラは警戒を解いた。ここまで知られていてはもう無駄だと判断したからだ。

 「そうですか?ふふ、まあ光が強かったら目立ちますからね」

 「はい、音も大きいと聞こえやすいですし」

 「「ふふふふふ」」

  笑いながら会話をしているが、さっきからずっとひよは置いてけぼり。話の意味が分からないままポカーンとしていた。

 「でも、本当にすごい人ですよ。これは誰でもできるようなことではありません」

 今の言葉は心から本当に思ったことだ。

 

 『武力を使わないで成功させる。私には出来ませんね』

 

 そう、アキラは自分は武力を使わないと解決できないと自覚しているからこそ、いくら内側から簡単に崩しやすかったとはいえ十六人という少人数で実現させた。その手際に心から感心したのだ。

 「いえ、彼女は美濃を愛するが上で行動しただけだと思います。かつての美濃を取り戻して、ここにいる人達の笑顔を取り戻す。その信念で動いただけです」

 信念という言葉が出た時、アキラは彼女に好感を持った。

 「ほう、信念ですか・・・私はそういう人は好きですよ。自分の志をしっかり持っている人は好意を持てます」

 そして、アキラは同時に思いだした。自分と戦った二人のサムライのことを・・・死人という立場でありながら一人の男を想い、身を散らせてもなお彼のために戦ったサムライのことを。娘を助けるために自分自身を犠牲にしてまで戦い、最後は彼女の幸せを願いながら散っていった烈火のサムライのことを。

 

 『二人とも、強く大きな信念を持った人でした・・・・・彼女もまたそれと同じくらい大きな信念を持っている』

 

 そして、アキラはある決意を込めて詩乃に言った。

 「詩乃さん。竹中さんに伝えてください。あなたをさらいに行きます。と」

 「!!!」

 「では、失礼します。また会いましょう」

 話が終わり、アキラとひよが美濃を去った。

 

 

 二人が去る背中を詩乃は一人残ってずっと見続けた。

 

 『あれが、田楽狭間に舞い降りたと言われている天人アキラで織田久遠信長の夫と言われている男・・・何という人なのでしょう。ほぼ、確実に私の正体に気づいていたのに・・・それなのに敵である私をあんなに求め、私の力をしっかり認めてくれたのは生まれて初めてです。とても胸が熱い。胸が苦しい。そして、それが心地いい。あの人に、そうあの人になら、私の全てを捧げたい。私の何もかもを差し上げたい・・・あ、アキラ様』

 

 心を抑えるように、でも気持ちが顔を表れ、頬を赤く染めながら歩きだした。

 




 さあ、ついに次回は原作序盤の大きな見せ場のあのシーンです!

 頑張ってください。とコメントをいただきました。すごくうれしかったです。

 これからも頑張っていきます!!!
 


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十三振り目 助ける。そして、知る。

 
 こんばんは!三MENです。もはや、これを書くことがライフワークになっています。でも、楽しいと思っています。読者の皆様が読んでくれるからです。

 さあ、ついに原作第二章終盤です!



 

 『なぜ、こうなっているのでしょうか?』

 今、アキラが第一に思っていることはこれだ。

 

 『詩乃という女性と話した後に美濃を離れて尾張に戻り、まずはひよところの行きつけの一発屋に行き食事をしました。その後、久遠に美濃の調査結果を伝えたら、そっちの方にも西美濃衆の三人から手紙が来て、稲葉山城を高値で売ろうとしていた。それはあの詩乃・・・いえ竹中半兵衛重治が美濃を出ようとすることにもつながる。つまり、斎藤家は彼女を裏切り者と判断して殺すかもしれない』

 

 ふう、と一息ついて再度思い返した。

 

 『その時に、思わず告白を、し、してしまいましたね。久遠といると本当に楽しいし、彼女を守りたいと思える。それが自分のやりたいこと、したいこと。そう思えるようになっていました。そう、狂が命がけになってゆやさんを守ろうとした時と同じように、う・・・思い出すと恥ずかしいですね。と、とりあえず、今は詩乃さんを助けにひよところを連れて行こうとした時でしたよね・・・この人が来たのは』

 

 「ふう、やっと落ち着いた」 

 その声に、現実に戻って声の主に視線を移した。どこからどう見ても久遠の妻・帰蝶の姿がある。そう、この人とは彼女の事だ。

 「帰蝶、ここまで来たから戻れとは言いません。でも、一つだけ言っておきます。足手まといにはならないでくださいよ」

 「もう、大丈夫だって!」

 『私はひよところと別れて帰蝶と二人、人目がつかない木の陰で休憩している。彼女がいなかったら、もう森の中で詩乃さんを探しているのに・・・』

 「アキラ、一つ聞きたいんだけど・・・あなたは、久遠のためにどうしてそこまで体を張れるの?」

 早いところ出たかったアキラだが帰蝶が質問をしてきたため、まだ足止めをすることになった。

 「その質問は全て終わってか「だめ、今答えて」・・・そうですか」

 帰蝶の真剣な眼差しに、アキラは少しやれやれと思いながらも本心を言った。

 「久遠はとても頑張っています。自分の進む茨の道を懸命にね・・・私も何度も歩いたからその辛さ・難しさが分かります。それを理解しながらも進もうと努力する彼女を支えたい。隣に立って倒れそうになるのを起こしてあげたいのです。かつての私を仲間が支えてくれたように、今度は私がそれをやりたいのです」

 「そう・・・でも、それって仲間としてなの?」

 「いいえ、彼女の夫としてですよ。心から久遠のことが好きです。彼女のためなら、刃にも盾にもなる。それくらいの想いを持っています」

 「あんた、愛の告白よ。それ」

 「私は本心を言ったまでです。さあ、休憩は終わりです。すぐに・・・」

 その時、言葉をいきなり止めて森に顔を向けた。

 

 『!!!殺気を感じる。向こうですね、一人を十人以上が追いかけている。間違いない、急がないと!』

 

 森から感じた殺気と感じ取った気配の数。すぐにそれだと分かった。

 「どうしたの?」

 「見つけました!すいませんが先に行きます!」

 「え、ええ!どうやって・・・ってちょっと!おいていかないでよ!」

 帰蝶の言葉に構う一刻の猶予もなかったので、殺気の元に急いで向かった。

 

 

 気配のする方に木をよけながら進むアキラ。

 

 『・・・見つけました!まずい!短刀を持っている!急がないと!』

 

 やっと見つけたが、短刀を逆手に持って詩乃が自分に突き刺そうとする姿が見えた。だから、一瞬で彼女の後ろまで移動した。

 「信念を語ることも、見つけることもできない愚者に殺されるなら、一層の」

 「一層の事、織田に着くというのはどうですか?「え?」」

 短刀を後ろから掴んで自害を防いだ。腕を掴んだ手をたどって後ろを向き、アキラを確認した。

 「間に合ってよかったです。手遅れになる前に、助けることができて」

 「ま、まさか・・・本当に」

 嬉しそうな顔になって涙を出す詩乃。

 「さて、ここにいる邪魔者を退治しましょうか」

 詩乃を後ろに誘導して、腰の二本の刀を抜いた。

 「ふ、この人数相手に」

 「「「「ぎゃああああ!!!」」」」

 「お、おい、どうして腕が!」

 「遅いですね。私が切ったことすら気づけないとは」

 二人を囲もうとした兵の腕を見えない速さで切った。

 「こ、こいつ、まさか、す、す、墨俣で」

 「二本の刀を持つとんでもなく強い男・・・こいつだ!間違いない!」

 どうやら、墨俣城の時に攻めてきた美濃衆の兵が何人かいるみたいだ。あの時の事を思い出して、顔を青くして逃げて行った。

 「おい、こら!逃げ出すな!」

 「「「「死にたくねえええ!」」」」

 将の言葉を無視して逃げ出す兵達。半数ほどいなくなった。

 「く、こうなったら、鉄砲を出せ!」

 「ふ、そんなもので・・・」

 「はあ、はあ、はああ~やっと追いついた」

 鉄砲程度でも負けないアキラだが、タイミング悪く帰蝶が来てしまった。

 「撃てええ!」

 「く!まずい!」

 慌てて詩乃を抱きかかえ、帰蝶のところに急いだ。、バーーンと発砲し、弾がアキラの肩をかすめた。その銃声に呼ばれたかのように

 「「お、お頭~!!!」」

 それと同時にひよところがやってきた。

 「二人ともいいところに!詩乃を頼みます!帰蝶は私が守ります!」

 「「え、あ、はい!」」

 アキラの命令に動揺しながらも、詩乃の腕をつかみ慌てて走り出す二人。

 「逃がすな!奴らを「私が行かせるとでも?」鉄砲を受けてまだ戦おうというのか?」

 「むしろ、私相手に逃げなかったことを後悔するがいいです」

 アキラの周りから氷が出てきた。それは後ろにいる帰蝶を避けて、それ以外をどんどん凍り付いていく。

 「な、何が、何が起こっているんだ!」

 「早く逃げた方がいいですよ。さもないと、そちらにいる方と同じ目にあいますよ」

 「何!・・・な、何だと言うのだ!」

 顔を向けると、残った兵の三分の二が氷漬けにされていた。それを見て絶句と同時に恐怖に怯えた将と兵達。

 「凍り付いてそんなに経たないうちに死にますが、あなたはどうします?」

 「くうううう!あの裏切り者を殺せないばかりか、撤退なんて!くそおお、貴様覚えていろよ!」

 「いやです。覚えるくらいなら、何人凍り付いたか数える方がまだいいです」

 苦虫を噛み潰したような顔をしながら、将は生き残りの兵達と撤退していった。敵の気配が完全にいなくなってほっと息を吐いた。

 「ふう、これで一安心ですね」

 「ちょ、ちょっと!だ、大丈夫なの!肩、撃たれたわよね!」

 「これくらい大したこと「大有りよ!今すぐ手当を!」・・・分かりました。でも、手当の仕方わかります?」

 あれだけ大騒ぎしていたが、手当という言葉に失う帰蝶。

 「その反応で分かりましたよ。では、教えますのでその通りにしてください」

 「ええ、わかったわよ・・・ちょ、ちょっと!な、なんななな、何その体!き、ききき、傷だらけじゃない!ど、どうしたっていうのよ!」

 「ん?ああ、これですか」

 帰蝶が慌てまくったのも無理はない。治療するために来ている服を三分の一だけ脱いだら、そこには傷だらけの体があったからだ。傷以外にも、服で隠れていた筋肉が浮き出ており、見えている切られ傷だけでも三十近くあった。

 「私は弱いですから、強くなるために必要だったことです」

 これを聞いて帰蝶は理解した。アキラが強くなるためにどれだけの修羅場を潜り抜けてきたのか。そして、どれだけ必死になって生き続けてきたのか。胸の奥がきゅんとなるのを感じた帰蝶。

 「もしかして、その目も・・・強くなるために?」

 「その通りです。では手当のやり方を教えます」

 アキラの説明の通りに帰蝶は手当をしたが、じっとたくさんの傷跡を見続けていて無言だった。言葉を出したのは、アキラが服を着てからだ。

 「ねえ、あなたも私の事結菜と呼んでいいわよ」

 その言葉は何と自分の名を呼ぶのを許すというものだった。

 「・・・いいのですか?私がそう呼んでも」

 「うん、呼んでほしいの。あ、あなたに、呼ばれたいの」

 帰蝶、いや結菜は頷きながらそう呟いた。そして、心の中で言った。

 

 『言えない。あの傷の体を見て胸がドキンとなったなんて。どうしようもなく顔が熱くなりそうなんて』

 

 結菜の心が、女の気持ちが動いた時だ。

 




 中途半端な終わり方ですいません!でも、ここまでです!
 今回のタイトルには詩乃と結菜。二人が助けてもらい、そしてそれぞれ知ったことがある二重の意味をかけてます。
 詩乃は「さらう」の言葉を本当にしてくれたことにより、アキラが本当に自分を求めていたことを知った。
 結菜はアキラの強さは才能とか一切なく、死線を潜り抜け積み重ねていった強さだったことを知った。
 因みに詩乃を追いかけたあの将の名前をどうして出さないのかというと、ただ単に面倒だったし、ただのモブキャラだからです。
 
 次で原作二章終了です!


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十四振り目 女誑し・・・初めて言われました。

 
 結菜!ついにアキラに名前を許しました!そして、デレました!更には、見惚れてました!前回は詩乃をメインにしたつもりが結菜がメインになっている気が・・・。

 さあ、ついに原作第二章終了です。この話の二章はまだ続きますよ。


 手当の終えたアキラと一緒にいる結菜。そこに、ひよところが戻ってきた。

 「「お頭~~ご無事ですか~~!!」」

 涙目でアキラのところに走ってきた。

 「お二人とも仕事お疲れ様です。詩乃は無事ですか?」

 「「はい!こちらに」」

 「おお、アキラ。やはり無事だったか」

 詩乃を連れてきたひよところ。二人の後ろに壬月もいた。

 「あれ?どうして壬月さんが?」

 「殿が助けに行ってやれと言ってな。私より強いお前が負けるはずないから大丈夫だと言ったんだが・・・」

 

 『ちょっと待ってください。今なんて言いました?周辺諸国で鬼柴田と呼ばれ恐れられている柴田権六勝家よりも強いって!こ、このお方はいったいどれだけお強いのですか!』

 

 壬月の言葉に内心焦りまくった詩乃。そんな彼女に気づかないまま話は続いた。

 「妻として心配だったんだろう。後で顔を見せに行ってこい」

 「そうですか・・・ふふ、わかりました。尾張に戻ったら、すぐに笑顔を見せて安心させてあげないといけませんね」

 「そういうことだ」

 詩乃がまだ驚いている中、アキラの肩に手を置いて笑顔で話す。

 「よかったな。目的を果たすことができて」

 「ええ。本当に良かったです・・・さて」

 意識と顔を詩乃に向けた。

 「改めて、私は織田久遠信長の夫アキラと申します。初めて会ったあの時に、もう気づいていたのでしょうけど一応自己紹介させてもらいます」

 「はい、おっしゃる通りです・・・でも、それはお互い様ですよね。あなたも私の事に気づいていたでしょう?」

 「もちろんです・・・でも、今はあなたを攫います」

 その言葉に詩乃は戸惑った。

 「あ、はい・・・あの私は、攫われるのですか?」

 「ええ。あなたを手に入れたい。だから、攫うのです」

 「そう、ですか。何か不思議な気分です。そこまで私を欲し求めようとする人なんて初めてでしたから」

 「それは、美濃の連中の見る目が節穴だったということです。さあ、これからは私と一緒です。しっかりついてきてくださいね」

 アキラの笑みに詩乃も思わず笑みをこぼした。

 「ふふふ・・・はい、わかりました。我が名は竹中半兵衛重治、通称は詩乃。アキラ様、あなた様に我が才と我が命の全てを捧げます」

 アキラの出した右手を握り、嬉しそうにその握った手を見る詩乃。

 

 『あなた様の言った通り、ずっと一緒です。そう、この身朽ち果ててもずっとあなた様の傍を決して離れません!』

 

 その気持ちを強く持ち、これからもずっと一緒にいる決心をした。

 「くくく、ははははは!アキラ、お前女誑しだな~~!(バンバン)」

 その現場を見ていた壬月が笑いながらアキラの背中を叩いた。梵天丸よりは威力は弱いのでどうってことなかったが、それより言われた言葉に疑問だった。

 「た、誑しですか?私は、本心を素直に言っているだけですが」

 「お頭~、私達女からすればそれが嬉しいんですよ」

 「うん。お頭っていろいろ意地悪だけど、ちゃんと素直な気持ちを出すところがドキッとさせられるんだよね~」

 「壬月様の言う通りです。アキラ様は天下の女誑しです」

 「アキラ!女性を口説くのは許すけど、私や久遠を忘れてもらっちゃ困るからね。絶対に忘れないでよ!」

 皆から満場一致女誑しが認定された。何気に結菜は自分も意識している発言をしていたが、アキラは気づかなかった。

 「・・・もうちょっと接し方を修正するべきでしょうか」

 女性に対する対応を真剣に考えながら一緒に歩き始めた。途中で壬月に周りにいる女の多さにからかわれたが、その程度で赤くなるアキラじゃなかった。

 

 

 しばらくすると、無事に尾張到着。目的を達成したことと結菜を無事に家に届けるために久遠の家に行った。

 「そうか、成功したか」

 「ええ、ほっとしました。今はひよところがついてくれてます。今まで城暮らしでしたが、これからはアキラ隊の長屋で暮らすことになりますからね。いろいろ勝手が違うでしょうから、それの説明もふまえてね」

 「うむ。竹中半兵衛がこちらの陣にきてくれたのはとても心強い。これからの稲葉山城を攻める時には十分に力を借りることになるだろう」

 「何しろ、居城といってもいいくらいあそこにいましたからね。でも、私としては途中から竹中半兵衛じゃなくて、詩乃という信念を持った女性を助けたい。そう思ってましたね」

 その話を聞き、久遠と結菜は溜息を吐いた。

 「ふ~~、結菜・・・お前の言う通りだな」

 「ねえ、女誑しでしょう~」

 苦笑いをしながらアキラを見る二人。少し仕返しとしてあの事を言い出した。

 「少しひどいですよ久遠。私はあなたに告白したのに、それを「なああ!!ちょっと待て。それを思い出させるな!」」

 一気に久遠はその時を告白の言葉を一字一句全部思い出した。

 

 『久遠、私はあなたのことが好きです。あなたは努力をして、皆のために頑張ろうとし、私のことすら大切にしてくれる。たくさんのことを言っても理解しようとしない人がたくさんいる中、あなたは少しの事でもすぐに大筋を理解できる。そんなあなたといることが私は嬉しく、愛おしく思うようになりました。久遠。もう一度言います。私は、あなたのことを愛しています』

 

 アキラの言葉を頭の中でこの告白を思い出してしまい、顔をとことん真っ赤にして「ううう~~」と言いながら言葉を詰まらせる。

 「では、失礼します。そろそろ食事の時間ですし、私がいないと詩乃はまだ不安でしょうから」

 そう言って足早に家を出て行った。ただ、結菜は見逃さなかった。アキラもまた顔を赤くしていたことを。プロポーズレベルの告白はさすがのアキラも恥ずかしかったようだ。

 

 『ちょっと、羨ましいわね。あいつに告白されたなんて・・・私もしてほしいわ』

 

 そう思いながら、まだ真っ赤になっている久遠の食事を作りに台所に向かった。

 




 遂に結菜。アキラが好きになりました。やばい、今回もまた詩乃より結菜がメインになっている・・・。前回の久遠への告白も入れました。
 
 さあ、次は再び間章です。ただ、その後の原作第三章は省略するつもりです。何か、アキラ無双になりそうなので・・・。


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間章2‐1 知りませんよ?どうなっても

 本当に寒さが速く来すぎです。11月でこれだから、12月以降はもっと・・・いやだ~~~~!!!
 気を取り直して、本日はサブストーリーです。


 「えっと・・・その」

 『ふむ、これは楽しみですね』

 アキラは自室の布団の中で寝てるふりをしている。どうしてそんなことをしているのかというと、すぐそばにいる存在が理由だからだ。

 「どうすれば、起きてくれるのでしょうか?」

 その存在・詩乃が傍で考え込んでいた。どうすればアキラが起きてくれるか、そのことを頭を悩ませながら考えている。

 

 『布団をめくりましたね。おそらく、入ろうとし・・・あ、やめましたね。おや、どこに行くのでしょうか?でも、すぐに戻ってきましたが・・・何か持ってきましたね。壺で匂いは味噌。う~~ん、ダメです。わかりませんね』

 

 詩乃の行動の意味が分からなくなってしまい、答えを本人から聞くために起きることにした。

 「おはようございます。詩乃」

 「あ、おはようございますアキラ様。ほっ、よかったです。起きてくれましたね」

 「起きて早々ですが、詩乃は何故味噌の壺を持っているのですか?」

 「はい、アキラ様は味噌汁が好きと聞いたので」

 そのまま話を聞くと、味噌汁が好き=味噌の匂いが好きという解釈をしてああしたらしい。答えを聞いて、早くここの生活に慣れてほしいと思ったアキラだった。

 

 

 その後、食事を終えて二人は長屋を出た。今日は久遠に詩乃の顔合わせの約束があるため清洲城に行き、廊下を歩いていると三若の三人にあった。

 「あれ?アキラじゃないか」

 「最近、お城によく来るね~~」

 「アキラ様、その子誰です?」

 「三若ですか、ちょうどよかった・・・詩乃って、あれ?」

 詩乃に挨拶させようとしたが、まだ怖いのかアキラの後ろに避難した。

 

 『やはり、まだですね』

 

 何しろ、最近まで敵勢力にいたのだ。いくら、こっちが気にしてなくても詩乃はというと気にして当然だ。その後、簡単に詩乃の紹介をして彼女達と別れて評定の間にいくと、今度はお姉さんズと出会った。

 「おや。アキラがここに来るとは珍しいな。どうしたんだ、こんなところまで」

 「久遠を探しているのですよ。今日は詩乃・・・じゃなくて竹中半兵衛の顔合わせなんですが、中々見当たらないんですよ」

 そんなアキラに優しく麦穂が答える。

 「殿でしたら、庭にいると思いますよ。さっき降りていくのが見えましたから」

 「そうですか、麦穂さんありがとうございます」

 「アキラ、ちょっといいか?」

 ここで壬月が割り込んだ。

 「何でしょうか?」

 「また手合わせしてもいいか?負けたままはやはり納得がいかない」

 「ふふふ、もちろんいいですよ。それに、やっと体も本調子に戻りましたのでこれからは本腰入れて戦えます」

 この言葉に壬月だけでなく、麦穂も驚いた。 

 「・・・ちょっと待て。今聞き捨てならない言葉を言わなかったか?」

 「体が元に戻った?まさか、腕試しの時は不調だったというのですか?」

 その通りですよ。と答えると二人は何やら相談を始めた。「一対一じゃ敵わないぞ」「二対一にしてもらいましょうか」という言葉が聞こえたが、今気にすることじゃないので一言礼を言ってその場を去った。

 

 

 久遠は、麦穂の言う通り庭にいた。呼んで詩乃の顔合わせをして少し話をすると、二人とも笑みを浮かべた。どういうことか尋ねると、アキラが来る前に稲葉山城を攻めた新加納の戦いで詩乃の策で負けたことを少し根に持っていたようで、その事で若干呆れたアキラ。

 用事は終割ったので帰ろうとしたら、ちょっとした珍事が生まれた。

 「ひよさんところさんも親切にしてくれます」

 「そうか、長屋もすぐになれる。頑張れよ」

 今、詩乃と会話をしているのは久遠だ。何やら「ちょうど壬月と麦穂がここにいないからな。お前達に付き合うぞ!」と二人の後を追いかけてここまで来たのだ。

 「久遠。どうしてここに?まあ、別に構わないですけど」

 「何だ、夫のそばに妻がいることがおかしいのか?」

 「いえ、問題ありません。それで、どこに行きましょうか?」

 溜息を少し吐き、現状打開を諦めたところに、

 

 「殿~どこにいるんですか!」

 「また抜け出して。どこです~~!」

 

 案の定、二人の声が聞こえた。

 「ふ、早速捜しに来たか!」

 「は~~、まあ、いいでしょう」

 そういいながらも笑顔で久遠と詩乃の手を掴んで、声とは反対の方向に歩いた。

 

 

 街の中をいろいろ散策していると、少し空腹になったので食事処『一発屋』に入った。そこにはいつもの一発屋の紅一点『きよ』が笑顔で出迎えた。

 「いらっしゃい!って、アキラじゃないか」

 「きよさん、今日もいつものお願いします。こちらの二人も同じものでいいです」

 「焼き魚定食だね。あいよ、ちょうどあそこ三人座れるよ」

 案内した先には三若もいた。三人とも苦笑いして久遠に話しかけた。

 「殿、また抜け出したんですか?」

 「壬月様。怒ってましたよ~」

 「麦穂様も、ちょっと切れ気味でしたよ」

 慣れっこみたいな会話なので、アキラはすぐに一、二回ではないことに気付いた。

 「話からすると、抜け出すのは一回や二回ではないようですが・・・久遠あなたは今まで何回抜け出したのですか?」

 「ふむ、十回は軽く超すな」

 「何言ってるんですか。二十回は超えてますよ」

 「壬月様達は、時々雛達にも捜させるんだよ~」

 「早めに戻ってくださいね!私達も怒られるんですから!」

 和奏の言葉に多すぎ!と内心思ったアキラと詩乃。それとは関係なしで詩乃は焼き魚が大好物らしく、食べている時に全然見せなかった笑顔を出していた。

 「詩乃、気に入りましたか?」

 「はい!」

 『ふむ、これからしばらくは一発屋で食事をとらせるようにした方がいいですね。ここの焼き魚もとても気に入ったようですし』

 嬉しそうに言う詩乃を見て、今後も一発屋通いを考えたアキラ。その後、六人での楽しい食事と話も終えて出ようとしたときに妻の地獄が始まった。

 

 「「見つけましたよ、殿~~(にっこり)」」

 

 いい笑顔。しかし、目に炎が見えるくらい怒りに燃えている壬月と麦穂が店の前にいた。完全に逃げ道もふさいでいる。

 「なああ!!なぜここが分かった!」

 「・・・国の主が街を歩いていたら、目立つのは当然だと思いますが」

 「アキラ殿の言う通りです。目撃者は多数だったので、すぐに居場所が分かりました。さあ、殿行きましょう」

 五人は「逝きましょう」と聞こえた。

 「あ、アキラ!なぜそれを早く言わない!」

 「聞かれなかったからですが?というか、普通に気づくことですよ」

 そう言っている間に、久遠の両方の腕を片方ずつ掴むお姉さんズ。「助けてくれ~!」と本気の声が聞こえるのは気のせいだ。

 

 

 三若と別れて、長屋に戻る帰り道に詩乃はアキラに訪ねた。

 「あの、一つ、お聞きしたいのですが・・・どうしてひよさんところさんは私に親切にしてくれるのですか?」

 「その事ですか。純粋に仲良くなりたい。下心も企みもない、まっすぐな気持ちでそう思っていると私は思いますが」

 「ですが、私みたいなひねくれものを」

 「私の方がひねくれ度は高いですよ。そんな私に二人はついてきてくれるのです。それに、ああいう純粋な気持ちで仲良くなりたい。と思う人は気持ちに嘘をつきません。詩乃、あの二人はあなたの事を仲間以上に友達として見ているからこそ放っておけないのではないでしょうか?」

 「私が・・・友達」

 「そうです。帰ったら二人に挨拶をしてはどうでしょうか。まずはそこからです」

 返答はなかったが、やろうとする気持ちは分かった。

 『これなら大丈夫そうですね。三人の仲良くなる日は近いですね』

 「では、帰りましょうか」

 「・・・仲良く・・・はい、わかりました!」

 やっと笑みを浮かべ、二人で長屋に帰宅した。

 

 「なあ壬月。いつ終わるんだ?」

 「はて、あと二刻後と言ったはずですが?」

 「それはこの仕事の分だろう。余の後ろにある仕事の分も合わせるとだ!」

 「もう一刻ほど追加になります」

 「絶対に逃がしませんからね」

 その頃の久遠は前に壬月後ろに麦穂と、まさに八方ふさがりだった。

 

 「アキラ~~!妻を助けてくれ~~!」

 

 清洲城に主の悲鳴が響いた。平和な一日が終わった。

 




 はい、間章一つ目終了です!今回は後二つほど書こうと思っています。でました一発屋といえばこの人!『きよ』ちゃんです!正直、この子を出すために今回の間章を書いたと言っても過言ではありません!

 間章はまだ続きます!


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特別編1 アキラのいない世界

 こんばんは、コーヒー飲みすぎで眠れない三MENです。今回は特別篇です!アキラのいなくなった世界の現状をお知らせします。



 鬼目の狂とゆやの家。ここで暗い空気を作る二人の女がいた。

 「アキラ、どこにいるんだ?」

 「アキラ様、どうしていないの?」

 一人はまだ少女のあどけなさが残る女性、時人。もう一人はおしとやかそうだけど影がありそうな顔をしている女性、朱雀。

 「二人とも元気出して。ほら、食事だよ」

 そんな二人の世話をしているのは、壬生一族特有の顔立ちを持つ女性、庵樹理華。

 

 その三人を少し離れた場所で見ているものがいた。一人はアキラをずっと支えていた眼帯をつけた大男・梵天丸・・・伊達独眼竜正宗の名を持つ有名人だ。

 「あいつがいなくなって三日。あの二人・・・いや庵樹ちゃんも入れれば三人か。あの子もあの二人が自分以上に落ち込んでいるから落ち着いているだけだ。三人とも、アキラは大きな精神的支えだったんだな」

 「そうね。アキラさんは厳しいけど、隠れた優しさを持っていたわね」

 「でも、一刻も早いところ手がかりの一つでも見つけないと、自暴自棄になりかねないですね。特に朱雀さんは危険です。時々アキラさんの幻覚が見えてしまうのか、何もないところに話しかけることがありました」

 その梵天丸と話をしているのは狂の妻・ゆやと壬生京四郎の妻・朔夜だ。因みに狂は朝酒を飲みながらアキラの心配をしていた。

 「狂に負けて、灯に治してもらってもまだぼろぼろだった。そんな状態で動けるはずがねえ。太四老時代の時人と戦い終わった後と同じくらいの酷さだったからな」

 「アキラさんの事もそうだけど、サスケ君の刀がなくなっていたのも気になるわね」

 「私が思い当たるのは京(壬生京四郎)が二人の結婚祝いにと上げたあの鏡ですね。壬生の里に里帰りしたときに見つけた。と言っていましたけど、いったいどこで見つけたのでしょう?」

 だが、話し合いは三人の不安定な精神を解決できそうになかった。

 

 

 ところ変わって、壬生一族の里では二人の男と一人の女性が話し合っていた。

 「それでは、村正様の作ったもので間違いないと」

 「あくまで推測だけど、それが一番の有力な線だと思うんだよ」

 「あちきも同じ意見だね。どうしてこうなったかはさすがに知らないけど」

 この壬生の里の中心的人物・辰怜と壬生京四郎、そして上半身をさらして胸のところにさらしを巻いている女性・四方堂だった。まず辰怜が京四郎に疑問をぶつけた。

 

 「でも、何故その鏡があいつの・・・太白の小屋の中から見つかったんだ?」

 

 それは、あの鏡が見つかった場所だった。京四郎は頭をひねりながら答えた。

 「完全に推測となるけど、村正さんはこの鏡を先代・紅の王の壬生京一郎兄さんにあげようとしたんじゃないかな?兄さんの危険を知り、誰よりも里の未来を不安にしていたからね。でも、普通にあげると確実に怪しまれる。刀であろうとなかろうとね。そこでいつもそばにいるあの子を使った。あの子からだったら、あくまで運頼みだけどうまくいくかもしれない」

 なるほどと頷きながら、次は四方堂が質問した。

 「あの獣(梵天丸)と同じくらい大きいあのサムライ君のところにそれがあった。それについてはどう説明するんだい?」

 「これも推測だけど、村正さんは変に勘繰られないように本当にただあげただけ。しかし、壬生の里をいろんなところに行けるあの子は太白さんのところに行って子供達と遊んだ際に鏡を忘れて帰った。でも、太白さんは紅の王の面会は出来ないし、太四老にもお願いを言える立場でも物事を頼める立場ではない。だから、仕方なく預かる形で置いていたんじゃないかな?」

 ここで言葉が区切られた。三人は考えをまとめるために静かになった。

 「かなり無理矢理な推測だけど、正直否定はできないな」

 「僕も無茶があるかな?と思ってはいるけどね」

 苦笑いをしながら話す京四郎。

 「それで、その鏡はいったいどんな効果があるんだい?」

 「アキラ君がいなくなったところから考えると・・・鏡に映した者をどこか遠いところ。もしくは全く別の世界に移動」

 「「別の世界に移動?」」

 辰怜と四方堂の言葉が重なり、二人の顔もまたわからない顔になった。

 「何とか里を守りたかったが、王の立場を持っている人を倒すわけにはいかない。それに狂を連れて里を出る事も決めていた。だからこそ、最後の手段としてこの鏡を作ったけど、すぐ効果を発揮するわけにはいかない。そこで、自分の作る四本の刀を鍵にして、全部そろってやっと効果が出るようにしたと思うよ」

 「なるほど、そうすればいつか狂か。もしくは他の誰かが先代を倒そうとしたときに、四本集めて鏡を使えば別世界に行かせることができるな」

 「鬼の子が実力で先代を倒しちったけどね。そう考えれば、四本の刀と鏡が一緒にあった部屋で寝ていたモミアゲ君がいなくなったのも理解はできるねん。その推測も納得はあまりできないけどね」

 でも、まだこの推測には穴がある。四本の内の刀・紫微垣がなくなった理由にならないのだ。

 「それなら、どうして紫微垣までなくなったんだ?鏡に映ったのはあいつだけなら、その刀まで一緒になくなる理由にならない」

 でも、その穴を京四郎は分かっていた。

 

 「アキラ君を主として認めたから、一緒に行きたかったんじゃないかな?」

 

 紫微垣の今の持ち主はサスケだが、前の持ち主は京四郎であり狂と戦うために訓練として、その刀でアキラと戦ったことがある彼だからこそわかったことだ。

 「主として?」

 「壬生一族でも、サムライでもないのに?」

 「僕はあれを使っても彼に負けたことがある。紫微垣も僕が負けるなんて想像してなかったと思う・・・けど、同時に破った壬生一族でもサムライの血筋でもないアキラ君に興味を持ち一緒に戦いたいと思った。実際、負けてからは対話ができなくなったからね」

 「つまり、共にいきたいがために追いかけた。ということか」

 辰怜の言葉にうなずく京四郎。ここで、四方堂が話をまとめた。

 「じゃあ、話をまとめると、紫微垣以外の村正の作った刀を一本見つけて同じようにすれば・・・モミアゲ君の行った世界に行けるということかな?」

 「やってみる価値はあると思う。でも問題はその刀だ。天狼、紫微垣、北落師門、今はなくなったが北斗七星にゆやさんの短刀。これと同等の力を持つ刀が果たしてあるかどうか・・・」

 無言になる三人。村正が他にも刀は作っていることは知っているが、さっきの五本と同等の刀がない限りいけないということだ。

 「僕は村正さんの生前住んでいた家に向かうよ。その前にあの三人に報告すれば、一緒に探してくれるはずだ」

 「時人がいれば、どれが同等の刀か見分けがつくしね」

 「私は里の方で、かつての村正様の遺品がないか調べてみる」

 「うん、じゃあ早速行ってくる。こっちは頼んだよ」

 「任せておけ。それに、村正様の事を調べるのも里の為になるしな」

 「何かわかったら、こっちも使いを出すからね」

 こうして話し合いが終わり、京四郎はアキラの行方不明を悲しんでいる三人のところに向かった。

 




 特別編いかがでしたでしょうか?ちょっと無理矢理なところもありますが、アキラがあの世界に行ってしまった理由はこういうことです。
 かなり先になりますが、この特別編をちょくちょくやっていき本編につなげようと思います。ただ、今は期待しないでください。まだ、何も構想できてないので・・・。

 因みに時人・庵樹はわかっても朱雀って誰?と思う読者もいるでしょうが、実はちゃんと原作には登場しています。ただ、モブキャラと同レベルに出ているコマが少ないのでわかりにくいと思います。

 次はこの三人のプロフィールか、間章に戻ろうかと思います。


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間章2‐2 これがお袋の味・・・ですか。

 こんにちは、特別編で出したSDK側ヒロインのプロフィールか間章の続きか。ある程度考えましたが、どっちもやることにしました。

 では、スタートです。後、今回の間章はとばすつもりだった原作三章を一部入れます。


 『こうして、久遠の家を訪れるのもすっかり定番になりましたね・・・あ。ここは私の家でもありましたね』

 ちょっとしたお土産も持って、再び久遠邸に訪れたアキラ。今回は久遠ではなく、結菜に呼ばれたのでここを訪れたのだ。

 『家・・・そういえば、あの戦いの後にいろんなところを旅をしようと支度するために昔使っていた隠れ家に行ったら、朱雀がいたのには驚きましたね。彼女は時人と同じように私の後をついてきていましたね。庵樹さんは時人を連れ戻すためと言って、結局一緒についてきてましたが』

 向こうの世界にいた頃に、自分の後ろをついてきていた三人の女性のことを思い出した。今はどうしているのか?と考えていると扉が開いた。

 「いらっしゃい。待っていたわよ」

 「お待たせしました。珍しいですね、結菜が私を呼ぶなんて」

 「ちょっとあなたに言いたいことがあってね。さあ、入ってちょうだい・・・ねえ、大丈夫なの?あの時の傷」

 「ああ、美濃の時ですか。問題ありません、ちゃんと治療しましたから」

 「だったら、いいんだけど・・・」

 自分のせいでつけた傷の事で、少し暗い顔をしながら家の奥に行った結菜の背中を見る。

 『まだ気にしていましたか。あの時に、私の体を見てから様子がおかしいですね。一体どうしたのでしょうか』

 乙女心なのだが、アキラに理解できるはずがなかった。

 

 

 久遠の部屋に入り、お土産である豆腐を渡した。雑談をしていると、アキラが豆腐の味噌汁が好きな話になると、ちょうど昼食だから作ってみてくれ。という話になり、結菜が作ってくれた。アキラは作られた豆腐の味噌汁を見て、狂に負けた後の事を思い出した。

 

 『そういえば、狂に負けて意識を失って目を覚ますと、毎回ゆやさんが豆腐の味噌汁を作ってくれましたね。飲むと不思議と何かに包まれた心地いい気持ちになったのを覚えています・・・だからこそ、この味噌汁が好物になったのかもしれませんね』

 

 笑顔でそれを飲み、嬉しそうに「美味しいです」と結菜に伝えた。

 「そう、ありがとう(ニコ)」

 結菜もまたその言葉に嬉しそうにして、味噌汁を飲んだ。そんな様子を結菜は顔を赤くして嬉しそうに見ていた。

 『何か、我が邪魔者に見えるのは気のせいじゃないだろうな?』

 そう思いながら、空気になっている久遠だった。

 

 食事と片付けが終わった時に、結菜が真剣な表情でアキラの顔を見て話し始めた。

 「アキラ、聞いてほしいことがあるの」

 「聞いてほしいこと、ですか?」

 「ええ・・・決めたの」

 アキラの言葉に頷いてもじもじしていたが、威を決して口を開けた。

 

 「私、織田久遠信長の妻斎藤結菜もアキラ様の妻になりとうございます」

 

 「・・・は?」

 結菜の言葉にアキラは言葉を失った。

 「アキラ、ちゃんと聞いていたか?」

 「え、ええ。結菜が私の妻になりたい、ですよね。それは本気なのですか」

 何しろ、詩乃を救うまで結構毛嫌いしていた面があったのに、いきなり妻になりたいという言葉を聞けば確かに「え?」となる。

 「本気よ。あなたのあれを見て以来、ずっとあなたのことを想うようになっていったわ。あなたが久遠に告白したと聞いた時、久遠が羨ましかった。私もしてほしい。そして・・・あなたの女に、妻になりたいと心から思ったの」

 まっすぐアキラを見て自分の正直な気持ちを言った結菜。

 「そういう事だ!結菜もお前を好くようになったという事だ!」

 「・・・わかりました。結菜、あなたの真剣な想いを受けようと思います。これから先、久遠と一緒にずっと愛したいと思いますので、これからもよろしくお願いします」

 「こちらこそ・・・お願いします」

 頭を下げる結菜。その目にはうっすらの涙があった。

 

 『嬉しい・・・アキラが、私を愛すると言った。とても嬉しい!』

 

 だけど、それはうれし涙だ。心はとても喜んでいた・・・ところに、

 「ごほん!アキラ、我ら二人を愛すると言った。だから、我もそれを受け入れようと思う。でも、正妻は我だ!それは忘れるなよ!」

 さっきよりも空気になりそうだった久遠が、慌てて確認させた。

 「もちろんですよ。私は二人のことをもっと知るよう努力します。ですので、二人も私という夫がどんな人間かわかっていってください。そうすることで絆が深まり、よい夫婦になります。その例を私は実際に見ましたので間違いありません」

 狂・ゆや夫婦、京四郎・朔夜夫婦。二組ともいろんな苦悩や修羅場を潜り抜けて結ばれた。実際に見たからこそ、その言葉が言えた。

 

 「「ああ(ええ)、旦那様。よろしくお願いいたします!」」

 

 二人の笑顔の言葉にアキラも笑顔で返した。

 「ふふ、久遠。まさかあなたの口から正妻という言葉が出るなんて、私の事を本当に愛しているのですね」

 「なああ!お、おい!な、なにを、言う!」

 「あら?別に焦ることないじゃない。本当の事なんだ、か、ら。うふ♪」

 「ううう、どう知ればこやつらを困らせられるんだ~!」

 久遠の恥ずかしそうな顔を楽しそうに見ながら、

 

 『妻が二人ですか。まあ、この時代は別におかしくないですからね。しかし、持ったことがないからこれからどうなることやら・・・』

 

 そんな考えを持って、その日は二人と和気あいあいな一日を過ごした。

 

 

 

 SDK原作ヒロイン紹介(オリジナル設定)

 一人目・時人。原作終了から二年の間に、アキラに追いつこうとする気持ちからアキラと一緒にこれからも歩いていきたいという恋心に変わった。アキラがいなくなった後、目の前で父親が消滅させられたのを思い出し自分が関わると大切な人がいなくなるのでは?という思い込みをしてしまい深いショックを受ける。スタイルは原作中のゆやと同じになった。

 

 二人目・朱雀。アキラが十二神将時代に手足となって動いていた部下。何故部下になっていたのかというと、人売りの商人に誘拐されそうになったところを助けられたからだ。その頃から詩乃レベルで全てを捧げようと決めていた。アキラの隠れ家にずっといたのも、絶対に戻ってくると信じていたためである。スタイルは出雲阿国と勝負できるくらい出るところは出ている。

 

 三人目・庵樹理華。彼女は二人ほどアキラを想っていなかったが、二人がアキラがいなくなりひどく落ち込んでいるのを見て自分も本当は想っていたことに気づいた。それまでは、自分達の姉弟の一人として迎え入れる時人を連れ戻すつもりで一緒に行動していただけだった。ただし、いなくなってやっと太四老時代の時人との戦いの後のボロボロだったけど命以上のものをかけた漢のアキラの姿に密かに恋していたことにやっと気づけた。スタイルは原作と変わらない。

 

 




 お待たせしました!原作ヒロイン紹介です!オリジナル設定なので、細かいことは気にしなければ幸いです。後、間章は結菜ついに妻宣言しました!おまけに愛しているを聞き感涙しました。

 本編お待ちの読者様。お待たせしました、ついに次話で再開です!


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十五振り目 鬼ですか・・・私は

 
 お待たせしました!本編を久しぶりに再開します!
 今回はついに稲葉山城攻略です!原作三章後の間章は何とか四章後の間章とうまく合わせてやってみます。
 


 「そうですか。ひよは家族のために、城でお仕えしているのですね。いい心がけであり、偉いですね」

 「そ、そんなことないですよ!お頭の方がとても偉いですよ!」

 「それなら、どっちも偉い。ということにしましょう」

 「えええ!お頭と一緒なんて無理です~~!(ぼおおおおお)ん?この音は?」

 夜、長屋でひよと二人でそれぞれお互いの昔の話をしていると法螺貝が聞こえた。アキラは初めて聞いたが、ひよはすぐに反応した。

 「お頭。出陣の合図です!」

 「アキラ様。先にお行きください。我々はすぐに追いつきますので・・・久遠様はもう出陣しています」

 「一人でですか・・・やれやれ、確かにそうするべきですね」

 詩乃ところも、すぐにアキラの部屋にやってきて今すぐ出るよう言った。

 「お言葉に甘えて、先に行かせてもらいます・・・三人とも、埋め合わせとして後日になりますが、今度四人で食事をしましょう。私が作りますよ」

 「えええ!アキラ様、料理できるんですか!」

 「ころや一発屋のきよさんの親父さんには負けますが自信ありますよ・・・かつて一緒にいた仲間達がこれでもか!というくらいできませんでしたから」

 酒好きと喧嘩好きな連中のあの顔を思い出し、悲壮な顔つきになった。一体、そのとき何があったのかはその顔を聞くと聞けない三人だった。

 「お、お頭。その話は今度に」

 「お急ぎください、久遠様と一緒にいることがアキラ様のやることです!」

 「では、先に行かせてもらいます」

 三本の刀を身に着け、アキラは馬に乗って先に行った。

 

 

 走っていると久遠を見つけ無事合流したが、追いかけてくる将と兵を待っている間に二人だけで作戦の話し合いをした。その内容は、自分達の隊が城に潜入して前回の偵察の際に見つけ三の門を開けて、そこから皆が城内に侵入して城主と兵達を討って稲葉山城を奪取。というものだった。今回の戦いは時間との勝負でもあるため、最短で城を制圧するにはこれが一番だと彼女に話した。

 その話を聞き、久遠には無謀なことをやろうとしているように聞こえるが、アキラはもっと危険なことを向こうの世界でやり続けていたので、この作戦は自分には危険と思ってなかった。そこまで自分の為にしてくれるアキラに

 「アキラ、お主はどうしてそんなに強い?何故、そんな危険なことを自らやろうと言えるんだ?」

 久遠を聞いた。そんな彼女に笑顔で答える。

 「久遠、あなたは私をまだわかっていない。この程度の事は簡単にできますよ」

 「今は我の質問に答えろ!」

 だが、不安が形となって目尻から涙が見えた。それを見たアキラはしっかりと本心を言った。

 

 「前に言いましたよね。私はあなたのためなら刀にも盾にもなると。それをやろうとしているのです。それに、この戦は必ず勝たないといけない。そうあなたにとっても、詩乃にとっても、そして・・・結菜のためにも」

 

 久遠にとっては、自分をわかってくれた前当主の城を攻める。詩乃にとっては、最近まで自分の仕えていた城を攻める。そして、結菜にとっては現当主とは縁を切っている状態だが一応血はつながっている。アキラはただ城譲り状があるから攻めて、手中に収めるだけの戦いではないことをしっかり理解していた。

 だからこそ、成功させるためにこの作戦をすると断言したのだ。

 「まあ、見ていてください。妻に見せてかっこいいと思わせるいい機会なので」

 「ふ・・・だが、必ず成功させろ。失敗したら・・・泣くからな」

 「そうですか。なら、妻を泣かせるわけにはいきませんね」

 やっと笑顔を見せたところに、壬月と麦穂がやってきた。

 

 

 その後井ノ口の町の焼き討ちをして、仮設小屋を急いで作らせながら陣を作って作戦会議が始まった。そして、久遠の口からアキラの作戦を伝えられた。当然、皆は反対で特に麦穂は強い反対をした。

 「危険すぎます!アキラ殿、どうしてそんな作戦を!」

 「大丈夫ですよ、麦穂様。お頭が言っているのですから」

 「そうですよ。お頭を信じてください」

 「あのな。麦穂ほどではないが私達はその大丈夫という理由が知りたいんだが」

 壬月のその質問に、

 

 「「お頭が言っているから、きっと大丈夫です!」」

 

 ひよところはアキラを信じ切った顔で言い切った。

 『・・・二人とも、ありがとうございます』

 アキラは嬉しかった。自分一人だけでもやれる作戦だが、隊を率いての作戦となれば話は別。二人ともそれは分かっているが、それでも自分を支持してくれた。結局、麦穂以外は二人の言葉に頷いた。

 「では、行きましょう。二人とも、必ず成功させますよ」

 「「はい!」」

 「アキラ殿!」

 「麦穂さん、大丈夫です。三の門で待っていますね」

 彼女にそう言って落ち着かせた。ひよところがここまで自分を押してくれたのなら、その期待に応えよう。その気持ちをもってその場を去った。

 

 その後、森の中でちょっとした笑い話もありそのおかげで数人の隊員達も緊張が解け、いよいよ作戦開始となった。ただ、稲葉山城の兵達の監視は全くできてなく簡単に侵入できたが、城の中では兵の見回りがあるので、草の中で隠れているとアキラがつい昔話をした。

 「こうした作戦は初めてですね。昔は正面から門をぶっ壊して堂々と入ってたくさんの兵をとことん切って最後には城主も切っていたので、ちょっと味気ないというか物足りないというか」

 ぼそっと呟いたアキラの言葉に全員が反応した。

 「あ、あの、お頭。それって、冗談ですよね」

 「た、たくさんって、どれくらいいたんですか?」

 興味もあるが、おっかなびっくりで聞きたい気持ちもある皆。

 「う~~んと・・・切った兵の数は三百までは数えていたんですが」

 「もちろん一人じゃないですよね!他にも何人かいたんですよね!」

 「ええ、三人いましたよ」

 「「「「えええええ!!Σ(・□・;)」」」」」

 「つまり、四人で「あ、三百以上というのは私一人で切った数ですよ。四人合わせると二千は軽く超えますね」、ええええええ!!」

 「何者だ!出て来い!」

 さっきの「えええええ」はかろうじて小声だったから兵にも気づかれなかったが、二回目は大きな声を上げてしまったため、気づかれてしまった。

 「そんなに大きな声を出すから気づかれたじゃありませんか。作戦中なのですからしっかりしてください」

 その文句に、ひよもころもアキラ隊の隊員も『いや、お頭のせいですよ』と満場一致で心の中で突っ込んだ。

 「仕方ありません。私が今いる敵兵と戦いますのでひよは三の門の閂を。ころと皆さんはひよを守ってください」

 「「はい!」」

 今の話でとんでもなく強いことが分かり、むしろ心配できなくなったため一人で何十人いる兵と戦うこの案を受け入れてしまった。

 「ぎゃあああ!何でこいつがいるんだ!!!」

 「いやだ!助けて、死にたくない!!」

 「降参しますので、氷漬けだけはやめてください!!」

 だが、やってきた兵の三分の一が墨俣と美濃でのアキラの戦いを見てきた兵だったらしく、もう三分の一もその兵達からいろいろ誇張されたアキラの話を聞いた兵だった。そのおかげで姿を見ただけで武器を捨てて土下座で降参した。残った三分の一はその話を信じなかったり聞かなかったであろう兵達で、襲いかかってきたが手ごたえのなさに逆にため息が出たくらいだった。結局、アキラからすれば全く楽しいと言えない戦いだった。

 「・・・何か、民が恐怖する鬼を見るような目で見られた気がするのですが」

 「お頭、その表現はばっちり当たってます」

 「閂、開けま~~す!!」

 ころのツッコミに苦笑いをして、ひよが閂をとって門を開けた。

 

 『何か、ちょっとだけ戦好きだった狂になった気分ですね』

 

 向こうにいる狂の姿を思い出して、笑みを媚びしたアキラだった。

 

 

 作戦は無事成功。稲葉山城、織田勢侵入開始。

 




 この稲葉山城攻略。アキラが二回美濃勢と戦っていたため、その兵達から完全に恐れられている話になりました。まあ、実際あのSDKの世界の人間の戦いを兵が見たらこうなるだろうと素で思います。

 次は、侵入後の稲葉山城と久しぶりのあの「ヒャッハー!!」な二人との再会です!ちょっとしたひと悶着があるかも!



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十六振り目 あれ?味方ですよね?

 
 おはこんばんは!三MENです!今日からついに十二月!でも、寒さは先月の方が寒い気が・・・。
 
 今回は第二章ついに完結です!あ、でも間章は書きますので、まだ完結ではないか。 


 門を開けた後、すぐに兵を引き連れてきた麦穂が心配な顔でやってきた。

 「アキラ殿、ご無事ですか!」

 「大丈夫ですよ。むしろ、敵兵の方を心配した方がいいかと」

 「え?」

 アキラに言ったことを疑問に思いながら敵兵に顔を向けると、まだ彼らは恐怖で震えていた。アキラは背中を向けて不意打ちのチャンスだったのに、それでもなお恐怖が勝っていた。

 「何か、墨俣とかの戦いで私を鬼と思っているみたいで」

 「そうですか・・・でも、心配したんですからね!何かあったと思って」

 「それは申し訳ありませんでした・・・そうだ、今度二人きりで食事しませんか?」

 「え!ふ、二人きり!」

 「はい、あなたが「あ、アキラ殿が良ければお付き合いします!!」それはよかった。では、私を久遠と合流してきますので、この後をお願いします」

 「お任せください!その期待に応えてみせましょう!」

 大きな胸を揺らしながら言って、周りの兵達に指示を出して麦穂もまた行動を開始した。そんなアキラに蕩けた麦穂の様子を見て二人は不機嫌だった。

 「お頭!麦穂様を誑さないでくださいよ!」

 「私達がいる目の前で酷いです!」

 「・・・何を言っているのですか?さあ、行きましょう」

 言っている意味が分からないアキラは、む~とした顔の二人を連れて城の中を歩きだした。

 

 

 その後、城に入ってきた久遠と合流して無事作戦成功を伝えた。その際、結菜の所に預けた詩乃からの伝言を伝えて、再び戦場に出た。既に、別の門も開かれておりそこから来た壬月と合流した。前の方では、三若達が暴れていた。

 「壬月さん、お待たせしました」

 「おう、作戦成功したな!後は本城を攻めるだけだな」

 「その割には遅いですね。あの三人は何をやっているのでしょうか?」

 「ああ、まだまだだな。全く時間との勝負だと言ったのに、まだ本城の門すら開けてないとは・・・後でゲンコツだな」

 「一発だけにしてあげてくださいね」

 最近三人のゲンコツシーンを見ることが多いため、そう突っ込んだら後ろから何やら物騒な気配を感じたので後ろを向いた。

 

 「全く・・・ぼんくら斎藤にどれだけ時間かける気だ」

 「母の言う通りだぜ。俺らならすぐなのに」

 

 『おや、この声は』

 「おお、桐琴に小夜叉か」

 やはり、と思いながら、二人に意識を向けた。この世界に来たその日の夜に出会った親子だった。

 「あいつら、あれで制圧しているつもりかよ」

 「全くじゃ・・・これ以上は待てん。儂らがやってやる!壬月、いいじゃろ」

 「ああ、構わん。やってやれ」

 壬月からの許可も下りて、何とも物騒な笑顔を出したときに小夜叉がアキラを見た。

 「よっしゃ!それじゃ・・・ってああああ!お前は!」

 「ん?どうしたクソガキ・・・ほう、ここで会うとはふふふ」

 小夜叉の驚きに桐琴もアキラを見ると、二人とも得物を持って殺意バリバリで迫ってきた。さっきより、殺意が倍に増えたのは気のせいではない。

 「あの、どうして私の方に?その殺意をぶつけるのはあっちじゃ」

 「んなもんどうだっていい!てめえ、よくもあの時勝手に鬼を殺しやがったな!」

 「そうじゃ!おかげであの日の夜は気分がすっきりできなかったんじゃ!」

 すっかり城攻めの事を忘れている。ただ、自分達の楽しみを奪ったアキラをぶち殺す事しか考えていない。

 「こら二人とも、今は城を」

 「「各務!」」

 さすがに作戦放棄されるわけにはいかないので壬月が注意をすると、桐琴が誰かの名前を呼んだ。すると、無言で一人の女性が現れた。

 

 『気配の消し方が上手ですね。私も戦場だからこそ気づけたが、違うところだったら気づけなかったかもしれないですね・・・強さは三若三人分といったところでしょう。相当血生臭い匂いがする辺り、随分と修羅場を潜り抜けたみたいですね』

 

 「何ですか?」

 「儂らの代わりに森衆の指揮をして、この城を落とせ!」

 「俺らはこいつに用があるから!」

 「壬月、これで文句ないじゃろ!」

 「ちゃんと、森衆が城落とすから」

 「・・・わかった」

 二人の言葉に溜息を吐いて、アキラの方を向く壬月。呼ばれた各務という女性は森一家の隊に指示を出すために移動していた。

 「この二人の世話を頼む。私は外の方に行って、まだ敵がいないか確認してくる」

 「ちょっと待ちなさい。それってこの面倒くさい二人を私に押し付け」

 すると、ヒャッハー!という声が聞こえた。どうやら城本体の門も壊されたようだ。

 「じゃあな。ここの名代も頼むぞ」

 「ついでに頼むみたいな言い方「「おっら~~!!」」うわ!」

 壬月がいなくなると同時に、二人の槍が自分に振り下ろされそうだったので後ろによける。ギラギラの殺気を自分にぶつけてくる二人を見て諦めた。

 「はあ~~。ひよは久遠に早く来るよう先触れをしてください。ころは今いるアキラ隊と残っている壬月さんの部隊と連携して周りの索敵と陣をしいてください」

 「「あ、はい!」」

 「さあて、覚悟はいいな!クククククク」

 「ふふふ、俺の槍が血を求めているぜ~~!」

 どこぞのジャッ〇・ザ・リッパーな顔をする二人を見て、改めて誰かを確認した。

 

 『森三左衛門可成通称桐琴で娘の森小夜叉長可でしたね。全くここまで戦狂いだとは・・・ほたるが二人いるみたいです』

 

 ここで戦うのはまずい。何しろ、自分の隊の兵やころだっているし、近々久遠だって来る。暴れられてボロボロに知るのはまずい。

 「ここで暴れるとまずいので・・・に~~げさせて、も~~らいま~~す!」

 だから、二人に背中を向けダッシュで走り出した。

 「「待ちやがれ~~!こら~~!!」」

 「お~にさ~ん。こ~ちら~」

 手をたたいて二人を煽っていた。見事に殺気が高まった二人。

 「クソガキ!わしは右から。お前は左だ!」

 「おうよ!覚悟しやがれ!」

 「ふふふ~。ほらほら、そんなんじゃ私は捕まりませんよ~」

 「・・・あの、ころの姉さん」

 「見なかったことにして、仕事をしましょう」

 あれだけ面倒くさそうにしていたのに、いざ二人に絡まれたらと楽しそうにしているアキラ。ころの何もなかった的な言葉にツッコミを入れる兵は誰もいなかった。

 

 鬼ごっこの勝者はアキラだった。理由は鬼二人の上司が来たため中断するしかなかったからだ。

 「全くあの二人は・・・まあ、それが森一家らしいが」

 「楽しませてもらったのでいいですが・・・それより、いよいよですね。あなたの未来への扉が開いたのは」

 「ああ、まだ夢の第一歩を踏み出したにすぎん」

 「夢ですか。久遠、聞かせてもらってもいいですか」

 「・・・笑うなよ」

 胸を張り、意を決して久遠は話した。

 

 「我の夢は力で日の本を統一し、皆が笑顔で仕事をしておいしいものを食べ、そして穏やかに暮らせる世を創ることだ。壊す、戦う以外の力を創りそして楽しいと思える世の中を創る。それが我の夢だ」

 

 これを聞き、アキラはあの言葉を思い出した。それはアキラにとって喧嘩ばかりしていた仲間であり、親友であり、今は将軍である漢の言葉だ。そう、余りにも妄想ともいえるような夢・・・だがそれを本当に実現しようとする信念を持って言った言葉。

 

 『わいが全員守る。みんな、子供達も樹海の人達も、みんなわいが守ったる!絶対にみんな幸せになれるように!穏やかに暮らせるように!・・・だから、だからワイを信じて力を貸してくれ!』

 

 アキラがサムライとして最も尊敬し認めていたあの漢と戦った時に言った言葉だ。思わず笑みをこぼした。

 「ふふふ、まさか同じようなことを言う人と出会えるとは」

 「あ、アキラ!笑ったな!」

 「言い訳に聞こえますが、これは思い出し笑いです。あなたのその夢と似たようなことを言った親友を思い出したのですよ」

 「親友?我と似たようなことを言った?」

 「ええ・・・いずれ話しますよ。その時のことをね」

 「・・・そうか」

 話を切り、前を歩くアキラ。彼の背中を見る久遠。

 

 『アキラ、お前の背中がとても遠く感じる。お前はどんな生き方を自分の世界でしたんだ?・・・アキラ、我はお前の妻だぞ。だから、だから!いつか、いつか必ず、教えてくれ』

 

 目で追いかける久遠。そんな彼女に落城の知らせが届いたのはすぐ後だった。

 

 

 織田久遠信長、稲葉山城制圧完了。城譲り状の誓いを果たす。

 




 以上稲葉山城制圧。及び森一家再登場でした。ここでどうしてもあの漢の言葉を入れたかったので入れました。
 あと、「に~~げさせて、も~らいま~~す」はいろんな創作さんが使っているであろうあの言葉をアキラ流に変えました。

 次回は、また間章です。うむ、原作の最初の方は本章が短い気がする。


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間章3‐1 昔話は恥ずかしくないように話すのが一番です

 こんばんは!三MENです。今回からまた間章です。アキラ隊の三人との話です!

 後、前話では仕事の時間が近かったため書き忘れたことがあるので、ここで書こうと思います。
 まず一つ目。アキラと森親子のおにごっこ。某怪盗三世とICPO警部さんの追いかけっこにみえたのは気のせいではないですよね?投稿後の確認でそれに気づきました。
 そして、もう一つ。森一家の陰の隊長各務さん。彼女もアキラの攻略対象に入れようと思います。原作では結構名前も出てきて、プロフィールもそれなりにあるのに、姿絵がないのはおかしい!これが理由です。


 稲葉山城を制圧した数日後の事だった。アキラは久遠の家に預けていた詩乃を連れて、元稲葉山城に向かう途中だった。城の制圧に使った策がうまくいったので、久遠から連れてくるように言われていたためだ。だが、アキラと二人っきりという状況だけど彼女は一言も発しなかった。

 

 『無言になるのは無理もないです。つい最近までは織田の旗なんてなかったですし・・・自分の治めていた村が燃やさせて、それをしたのが自分を助けた織田。いくら村人も了解していたとはいえ、実際に目で見ると複雑な気分になるのでしょうね』

 

 本来なら詩乃の気持ちの整理に時間を与えたいが、そうはいかない。行かなければならない元稲葉山城、そして現岐阜城へ。

 「行きましょう。稲葉・・・いえ、岐阜城に」

 「そうですね。今日は久遠と軽く話せばあとは自由ですから、すぐ長屋に戻りましょう。約束通り、今日は私が食事を作りますからひよところも交えて食べましょう」

 「・・・・・・はい」

 気分転換に約束の事を言ってみたが、岐阜城に入るまで結局詩乃は一言も口を開かなかった。

 

 

 岐阜城に入りしばらくすると久遠と麦穂と壬月の三人で話しているところを見つけたので、早速話をした。その話の中で、今回のアキラ隊のやった作戦を口に出してしまい説教されてしまったアキラ。久遠・詩乃・麦穂の三人にそろって「寿命が縮まる」と言われ、アキラは何も言えなかった。

 話を変えると同時にひと月にしていたことを訪ねた。

 「そういえば、久遠。ここの元当主はどうなったのですか?」

 「詩乃の搦手門を開けておく作戦のおかげで、真っ先にそこから逃げたらしい。今はどこにいるかは知らない」

 「なるほど、この戦で死ぬことはなく無事逃げたということですね」

 若干だがホッとしていた。

 

 『それはよかったです。もう、縁は切っているけど結菜の親戚に違いない。死んだなんてさすがに後味悪いですからね』

 

 自分の妻の一応親族なので、ほんの少しだけ気になっていた。そして、結菜の顔を思い浮かべた時に伝言も思い出したので久遠に伝えた。

 「そうだ、結菜から伝言がありました。忙しくなると食事を抜くことがあるからちゃんと食事をとるように。との事です」

 「わかっておる。当たり前のことを言うな」

 胸を張って言った久遠だがアキラにはわかっていた。

 

 『ま、そう言ってくるのは分かっていましたよ。その当たり前は言われても守る気はない。という意味の当たり前。ですね』

 

 苦笑いしながら久遠の言葉に心で突っ込んだ。

 「というわけで、壬月さんと麦穂さんは結菜のお願いを頼みます。久遠が倒れたりしたら、私と結菜の寿命が縮まりますので」

 それを言われた二人は見事に

 「ははは!ああ、大事な任務だ。引き受けよう」

 「ふふふ、もちろんですよ」

 笑顔で笑った。

 「アキラ、それは我への伝言じゃないのか!」

 「あなたへの伝言、とは言った記憶はありませんが?」

 すでに背中を向けているアキラに文句を言う久遠。軽く流しながら、

 「全く・・・ちゃんと守れるくらいなら結菜も伝言なんてしませんよ」

 と小声で突っ込んで詩乃とその場を後にした。

 

 

 城と出た後、詩乃が一人で行きたいとこがあると言い偶然という形を使って一緒に歩いているとある場所にたどり着いた。そこは彼女を助けた場所だった。あの時凍り付いた兵士の氷は溶けていたが、やはりもう息絶えていた。

 「アキラ様に、助けられた。死を覚悟した場所」

 そこで詩乃はあの時の気持ちを思い出しながら、初めて心を開いた。

 

 「私が稲葉山城を乗っ取っても龍興は何の理解しない・・・城を返しても久遠様に攻められ城を取られることもわかっていました。そして、龍興の怒りを買った事で殺されることも・・・でも、でも私はアキラ様に助けられた。こうして、生き延びてアキラ様の配下になって・・・言った通りになった。我が竹中家は斎藤家には先々代と先代にはとてもお世話になったというのに。その恩に対して私は本当に正しいことをしたのか。そう思うと悲しくて、辛くて」

 

 語り始めた時から涙を出して、途中からアキラにしがみついて思っていることを全部言ってくれた。アキラはこの時に、やっと本当の意味で竹中半兵衛重治ではなく詩乃として見ることができた。

 「詩乃、正しいことの判断基準何て曖昧ですよ・・・私もそれで悩み苦しんだことがあります。ある戦いの前に、捕まった男を助けるために自分の持っていた人生そのものとも言える肩書を捨てたことがあります。戦いながら思いましたよ、本当に肩書を捨てたことは正しかったのかと」

 「アキラ様・・・それでその男は助けられたのですか?」

 「ふふ、自分から牢をぶち壊して勝った私の下に来ましたよ。でも、あの時は本当にうれしかったです。あの決断をしたからこそ、かけがえのないものをたくさん手に入れたのですから」

 詩乃も久遠の夫ではなくただのアキラとして見ていた。相変わらず目蓋は閉じられたままだったが、この瞬間だけ彼女はアキラの眼が見えた気がした。

 「確かにあなたは苦しんだ。でも、今はどうです?私と会えたこと、それは大したことなかったですか?」

 「そんなことありません!アキラ様が私を求めてくれたから・・・私の事を認めてくれたから・・・私を手に入れたいと言ってくれたから!」

 「それがあなたの手に入れたかけがいのないものではないでしょうか?」

 「あ・・・」

 その言葉で涙が止まった。同時に心が満たされた気がした詩乃。

 

 『そうだ。失ったものもあるけど・・・かけがいのないものもこの手に、心に入った。アキラ様のものになった喜びや嬉しさ。この方のもとにいることを私は満足している。今は・・・それでいいではないですか』

 

 自分の中にある辛さや悲しさは消すことはできないが、それを乗り越えたからこそアキラに仕える喜びを改めて知った詩乃。

 「私はあなたが隊に入ってくれて心から嬉しいですよ。では、帰りましょうか。ひよところが待っていますよ」

 「・・・はい!」

 元気よく返事をした。彼女の気持ちに整理がついたようだ。

 

 

 長屋では、既に材料を買い込むよう頼んだひよところが待っていた。台所には頼んでいた材料がちゃんと全部そろっていた。

 「「お頭!早く早く!」」

 「はいはい。今回は鍋にしようと思いますがいいですか?」

 「「はい!」」

 「鍋、ですか?」

 その後、話を聞くと詩乃は鍋を食べたことがないことが分かり、ならちょうどいいということで鍋に決定した。材料を上に投げ、刀で全部一口サイズに切り器に見事に乗せたときは思わず三人とも拍手をした。その後、順調に作り無事鍋は完成した。

 「では、いただきましょう」

 「「「はい、いただきます」」」

 食事が始まれば、最初は味の評価から始まり、そして、今回の稲葉山城の話になる。そして、その後は誰が一番手柄をとったかという流れになる。それは自然の話の流れと言ってもいいものだった。だが、女性というのはふと気になるとつい聞いてしまうものである。特に目の前の好きな人のことになれば尚更。

 

 「お頭って、前いた世界では好きな人っていなかったんですか?」

 

 ころの言葉は、ひよも詩乃もすごく興味を持つものだった。聞きたい聞きたいと三人の眼が輝いていた。

 「好きな人、ですか・・・ま、ここにはあいつらがいませんし、話してもいいですね。ええ、いましたよ」

 何か三人の顔が一気に暗くなった。いるだろうと思ってはいたが、そうやって言われるとやはりちょっとショックだ。

 「い、いたんですか・・・?」

 「はい。今思えばあれが初恋だったのかもしれませんね。でも、もう別の男性と幸せになっていますよ」

 「そ、そうですか・・・し、幸せになっているんですね!」

 「っほ、よかったってああうう!」

 「アキラ様を幸せに・・・私が」

 終わった恋と分かり、すぐに三人の顔が明るくなった。詩乃は頭の中でアキラの隣に自分がいる妄想でもしているのか、少し顔が赤い。

 「さて、そろそろ締めと行きますか。ころ、ご飯を」

 「はい!雑炊にするんですね!」

 「雑炊?え?でも、もう食べ終わったのでは?」

 「詩乃ちゃん!鍋の最後は雑炊!これは当たり前だよ!」

 「まあ。一度味わえば分かるので、そのまま見ていてください」

 鍋にご飯を入れるころをみて、詩乃は?を出していた。

 

 締めの雑炊も食べ終わって、四人はその場で寝ころんだ。かなり腹も膨れて、彼女らのまぶたが重くなっているのか閉じかかっている。

 「もう寝ますか。片づけは明日でいいでしょう」

 「ふぁあ~い。あの、お頭・・・えっと、抱き着いていいですか!」

 「あ、ひよずるい!あの、私も」

 「なら、当然私もいいですよね?」

 「ふふふ、三人とも甘えん坊ですね。もちろん構いませんよ」

 そして三人はアキラに抱き着いて眠りについた。

 

 『あの三人と寝たことを思い出しますね。無理矢理ついてきていましたが、それなりに楽しかったです』

 

 向こうの世界にいる三人の事を思いながら、アキラも眠りについた。

 




 詩乃、心中を語る。アキラ隊三人と食事の話でした。アキラの初恋の人、一部の過去話、もちろん原作知っている人はわかってますよね!

 次回は麦穂と壬月の話にしようと思います。お楽しみに!


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間章3‐2 料理は愛情。マッサージは恥情

 こんばんは!三MENです!
 早速ですが申し訳ないことを一つ。リアルの仕事が年末ということと人手不足ということもあり、今まで以上に忙しくなり正直これを書かずに寝てしまう。という日々が始まりました。
 では、本日は壬月と麦穂との一日をお送りします。麦穂への胸タッチは今回もあるのか?



 ある日、アキラが早めに仕事が終わり気分転換に歩いていると、子供達の声に交じってある人の声が聞こえた。

 「ほら!もっと力入れて」

 「くっそ~~!壬月様つええええ~~」

 「負けないぞ!」

 声の方に近づくと、子供達と相撲をしている壬月の姿があった。

 「皆さん、頑張ってください」

 「お、アキラじゃないか。どうしたんだ?」

 「仕事も早く終わったので、気晴らしに歩いていたらここに着いたのですよ。それより、壬月さんこそどうして子供達の相手を?」

 「ま、お前と同じだ。時々こうして相手していたらこうなってな」

 「でも、いい光景ですよ。三若に見せてあげたいです」

 「やめろよ・・・それはそうと、おまえもやらないか?こっちの力なら負ける気がしないからな」

 力強い拳を作って、本気の目でアキラを見た。だが、簡単に流す。

 「上等ですよ・・・今回はやめておきます」

 「壬月様~~、早く~~!」

 「次は俺だよ!」

 子供達は早く相手をしてほしいのか、二人の間に割り込んだ。

 「邪魔をしては失礼ですね。では、失礼します」

 「何だ、アキラ逃げるのか?私の相手をしないのか?」

 「あなたの相手をしたら、待っている子供達もつまらないでしょう。じゃあ、皆さん。頑張って壬月さんを倒してください」

 「「「もっちろん~~!!」」」

 「「負けないぞ~~!」」

  子供の元気な声と共に背を向けて歩き出した。そこに、壬月が声をかけた。

 「あ、アキラ!麦穂が呼んでいたぞ。見かけたら家に来てくれって言われていた」

 「麦穂さんがですか?分かりました(そういえば稲葉山城制圧の時食事に誘っていましたね・・・でも、手ぶらは失礼ですね。何かお土産でも買いますか)」

 麦穂が会いたいと言われ、戦中にした約束を思い出した。会う前に土産を探そうと思い、市に向かった。

 

 

 お土産も買い、麦穂の家に着いた。一度だけ壬月に誘われて家に行ったことがあるため、場所は覚えていた。

 「こんにちは、お待ちしておりました」

 「いえ、呼んでいただきありがとうございます。今日は二人っきりですか?」

 「はい、この前の約束がありましたから・・・覚えておりますか?」

 「もちろんですよ」

 その返答に、心から嬉しそうな笑顔をした麦穂。

 「それで、どこへ行きますか?」

 「いいえ。私が食事をお作りしますわ」

 その言葉に一瞬キョトンとした。

 「え?麦穂さんがですか?」

 「はい、意外ですか?」

 「いいえ。ただ私はてっきり侍女がいて、その方に作ってもらっているのだとばかり」

 「ふふ、料理は結構得意なんですよ。さあ、おあがりください。私の腕前を見せてあげます」

 そう言われたので、遠慮なく中に入った。

 

 四半刻後にアキラの前にその腕前を発揮した料理が出された。

 「これはおいしそうですね」

 「え、ええ、そ、そう、ですね」

 焼き魚にご飯に味噌汁。そして、アキラがお土産として買ってきた鹿の肉を焼いたもの。他にも美味しそうな料理が数品。アキラは大絶賛しているが、作った麦穂は少し歯切れが悪い。

 「では、いただきます」

 「ああ、馳走になるぞ」

 その理由は視線の先、子供達の相手をしていた壬月の存在だった。あの後、子供達の母親が戻ってきたので全員いなくなり、暇を持て余そうとしていたところに自分達の事を思いだして邪魔するか。ということらしい。

 「本当に邪魔です(ぼそ)」

 「はっはっは!いや~~、悪いな私の分まで出してもらって」

 「だったら、もう少し遠慮をしてください。せっかく二人で料理していたのに」

 麦穂がむ~~としているもう一つの理由。実は今自分達の前にある料理は、麦穂一人ではなくアキラも一緒に手伝って作ったのだ。つまり、彼女からすれば夫婦の共同作業で作った料理と言ってもいい。

 

 『せっかく二人きりだったのに、アキラ殿と一緒に作ったのに、壬月様も一緒だなんて、はあ、何でこんなことに』

 

 せっかく二人きりで食べてその気分を味わいたかったのに、邪魔者が来たため機嫌が悪いのだ。

 「こらこら、そんなしかめっ面しているとアキラに悪いぞ」

 「誰のせいですか。全くもう~」

 「諦めましょう。後日、食事を奢らせるということにして」

 「はああ~~・・・はい。いただきます」

 押せば息が出そうなくらい頬を膨らませていた麦穂も、口の中の息を溜息として出して諦めて食事を始めた。

 

 

 「アキラ、一つ聞いておきたい。美濃でお前の助太刀に入った時のあの氷はいったい何だったんだ?」

 食事が終わって、お茶を出してもらって一段落していると壬月が聞いてきた。

 「氷・・・ですか?」

 「ああ、麦穂はいなかったからな。詩乃を助けに行ったアキラのところに行ったら、敵兵が全員氷漬けになっていたんだ」

 「それって、アキラ殿のお家流じゃないのですか?」

 「私もそうは思ったよ。でも、あれは違う気がする。必殺技というより、普段から使える力。そんな感じなんだ」

 武人が持つ観察眼とでもいうか、その目を持つ壬月に感服した。

 「さすがですね。私にも・・・お家流と言えるかどうか分かりませんが、必殺技はありますよ。ただ、壬月さんが見たあの氷は普通に出せますよ」

 そう言って半分ほど飲んだお茶を二人に見せた。すると、そのまだ温かかったお茶が突然凍った。

 「「な!」」

 「これくらいは簡単にできます。必殺技は正直あまり使いたくありませんね。敵に対してだったら容赦しませんが、味方に見せていいものじゃありません」

 アキラの説明になるほどと納得した壬月だが、麦穂の方はまたむ~~となった。

 「なるほど、これがあるからあんな無茶な作戦を言い出したのですね・・・私がどれだけ心配したと思っているのですか。いえ、アキラ殿はそれで止まる方でないの分かっていますし、勝手にやっているだけですから気にしないでください(ぶつぶつぶつ)」

 まるで独り言のようにジト目で文句を言い始めた。その姿に冷や汗を流すアキラ。

 「えっと・・・麦穂、さん?」

 「アキラ、ちゃんと聞いてやれ。お前があの作戦始めようとしたとき、自分が先陣を切ると言ったんだぞ。それだけ心配だったんだ」

 「壬月様!・・・私が勝手に心配するだけだから気にしないでください。でも、でも!出来るなら今後は控えてください」

 だが、その言葉には返答は出来なかった。何しろ、久遠はまだまだ厳しい戦いが待っている。アキラはもう久遠の刀と盾になる。という意思を彼女に見せた。だから、ここで嘘でも「わかった」といえば、それは自分の決めた信念に反する行為だ。そんなアキラの表情を見て壬月が助け舟を出した。

 「麦穂、それくらいにしておけ。そう言っても止まらないことくらい、さっき自分で言っていたから理解しているだろう。それに、こやつは殿の夫なのだから」

 「・・・そうですね」

 『何故、久遠の夫と言われて納得するのでしょう?』

 麦穂も納得したがアキラは疑問だった。その理由は似た者同士だから・・・でも、それは当人達には分からないことだ。

 

 

 話も終わったが、今だ麦穂の機嫌が悪かった。そこであることを思いついた。

 「あ、ああ、だ、だめ」

 「ぬお!こ、こんな、き、気持ち良すぎる・・・」

 「まだまだ、ですよ。この程度で終わりません」

 麦穂と壬月の喘ぐ声。アキラのまだまだの声。

 「何か、不思議ですね。ああ、ああん!」

 「ああ、こう疲れが。おおう!こ、こら、そこは!」

 「上の者になればなるほど、疲れがたまりますからね。どうです。体が軽くなりましたでしょう」

 それはマッサージをして体の疲れをとる。というものだった。麦穂の喘ぐ姿に壬月も最初は楽しそうに見ていたが、彼女にも肩を揉むと気持ちよくなり力が抜けこうなっている。

 「ほ、本当ですね。これは、癖に、あ、あああ!」

 「む、むう、抗えない。くそう~~」

 今二人はうつ伏せに寝かされ、アキラに背中を揉まれている。もしこれを久遠や結菜が見ていたら、二人の体を好き放題しようと見えて激怒していただろう。

 「ここの筋肉はあまり使わないので、ここをこうしてほぐせば」

 「す、すごい。本当に体が軽い感じに」

 「ほう、何か屋根まで飛べそうな気分だ」

 すっかりマッサージの虜になってしまったようだ。地味に腰の方まで手が行って二人の尻に何度か触れたのだが、気づかなかった。

 

 

 数分後、マッサージが終わり体を起こした二人。体を回したり、その場で飛んだりと本当に軽くなった感じがあるみたいで驚いていた。

 「ふふふ、お二人ともいい姿でしたよ」

 「「!!!」」

 そんな彼女達にその一言を言って、二人は顔を真っ赤にした。やはり、二人とも恥ずかしかったのだろう。何しろ、肩や背中だけではなく腕や脚にもやったのだ。それだけ揉まれるのは、あまり意識しない壬月でも恥ずかしいかもしれない。

 「あ、アキラ~~!」

 「おお、やばいですね。では、失礼します」

 「ま、待て、こら!」

 笑顔で逃げるアキラを追いかける壬月。

 

 『あ、アキラ殿に、あんなに体を触られて・・・ああ、もう、恥ずかしい!で。でも、何か嬉しいとも思えるのは何故?まさか、私、アキラ殿にああされるのを望んでいるの?いえ、いいえ!そ、そんなことは!』

 

 家で悶えながら真っ赤な顔でさっきのマッサージされた自分の姿を思い出し、更に真っ赤になり悶えた麦穂。

 

 

 壬月は結局アキラを捕まえることも仕返しすることもできず、後日、三若がその煽りを受けるはめになり、手合わせで手加減無用でボコボコにされて、三人とも半日意識が戻らなかったのは別の話。

 




 今回はお姉さんズのお話でした。二人ともアキラに骨抜きにされてしまいましたね。壬月の顔真っ赤はある意味貴重ですね。

 次回は・・・どうしよう。第三章にするか。あと一つ間章を書くか。


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お気に入り件数100件突破企画 鬼はいつか捕まる

 お待たせしました!100件突破小説です!二十振り目の後書きに書いた通り森親子の鬼ごっこと各務のちょっとした話です!

 何気にこれがプロフィールも含めると第三十話目です。よもやここまで書いていたとは・・・。


 

 今アキラは逃げている。

 「おいこら、待ちやがれ~~!」

 「安心しろ!殺さないで全殺しにしてやる!」

 「・・・どういう意味ですか?殺さないで全殺しって」

 「「決まっている!言葉の通りだ!」」

 この意味不明なことをいう森一家と書いて鬼殺し親子と読む二人から。

 「・・・さすがキチガイ。思考がほたるレベルです」

 多分、アキラと壬月以外の人が見たらこういうだろう。 

 『人の姿をした鬼二匹がアキラを追っている』

 

 

 稲葉山城制圧時に、以前尾張の村で会い、ここで再会した森親子にこれ以上ない殺気を出しながら追いかけられているアキラ。曲輪を抜けていくと兵を集めておく庭にたどり着いた。そこにはあまり人はいないので、ここでなら問題ないと思い足を止めた。

 「ふふふ、やっと追いついたぜ」

 「二度も儂らをコケにしおって。さああ、死ぬ準備はいいな」

 「はあ、全くあなた方は・・・いいでしょう」

 すでに槍を持って歓喜の笑顔の二人を見て、腰の二本の刀を抜くアキラ。それが開始の合図だ。

 「「いくぜ!!」」

 最初に襲い掛かってきたのは小夜叉だった。だが、ひらりとかわす。するとそこに桐琴の追撃が待っていた。

 「伊達に親子していませんね。二人での戦いを心得ている」

 「ははは!伊達に何百人も切っとらんわ!!」

 「何百人?少ないですね」

 「はあ?少ないだあ~」

 右の刀でその追撃をさばいてけり上げた。もう片方の左の刀で、後ろからやってきた小夜叉に対応する。

 「おらおらおらおらおら!」

 「二人の同時突きはきついじゃろう!」

 二人はこれで痛めつけられると思ったが

 「いいえ、そうでもありませんよ」

 心の眼・直感を持つアキラ。突いてくる槍の隙間を瞬時に見つけそこに体を移動。更に、どんどん来るがそれすらよける。

 「ほら、この通り」

 その姿に二人は焦り始めた。

 「くそ!どうして目が見えてないはずなのに!そんなにあっさりよけられる!」

 「これだけやっても、まだ傷一つもつけられないじゃと!」

 手加減何それ美味しいの?力を抜け?馬鹿かお前は。そんな言葉を名言にしていそうな二人だが、全力で戦っているのに軽快によけるアキラを見て驚く。

 

 『しかし、さすがに鬼を軽々と倒せる実力を持っているだけあって、二人同時は少し厳しいですね』

 

 でも、アキラは二人の戦いを高く買っていた。さっきの攻撃はアキラだからよけられたのであって、それ以外だったらよけられない。それだけの攻撃をできる二人を称賛していた。

 「どうした。反撃もしないで」

 「いい加減切られろ!」

 「やれやれ。まさかあれを使うことになろうとは」

 だからこそ、その称賛に値する技を出すことにした。襲い掛かってくる二人にアキラ得意の技を放った。

 

 「夢氷月天!」

 

 アキラがよく使う技だ。刀をしまうと、徐々に二人の体を氷が覆っていく。この技は氷に閉じ込めたり、ぶつけたりして痛めつけたりと、使い方が分かれるが今回は閉じ込めるほうだ。

 「な、なんじゃ!氷が勝手に!」

 「俺らの体を閉じ込めていく!」

 「大丈夫です。あなた方なら、抜け出せます」

 完全に二人とも氷に覆われた。だが、そこは武人でも相当の実力を持つ二人、力を込めて抵抗しているとひびが入った。

 

 「「ぐぐぐ、おお、おおおおらああああ!」」

 

 そして、気迫と共に抜け出した。

 「ふふ、氷の厚さを薄めにしておきました」

 アキラは加減して、二人ともぶち壊せるよう服二枚分の氷の厚さにしていたのだ。しっかり、戻ってきてホッととするアキラ。

 氷の温度もそれなりに高くしていたが、それでも-50度にしていたのでほぼ肌を出している服の二人は直に氷の冷たさが体についた。

 「寒い寒い寒い!!!」

 「こいつ、こんな技を持っていたとは!」

 「いや、まさか、私も・・・」

 これを使うとは思わなかった。と続けて攻撃に入ろうと思っていた。だが、二人の今の姿を見てできなかった。

 「お二人とも・・・服が」

 「「ん?服?」」

 氷というのはほんの数秒くらいならまだ問題ないが、それ以上になると服が氷についてしまう。氷から脱出するのに十秒以上かかった。そのため抜け出す際に壊した氷に服がそのままついていきそのままくっついているのもあれば、

 「おお!なんじゃ破れているぞ?」

 「あれ?本当だ。何でだ?」

 今の二人のように一部の服を破れてしまう。しかも、その敗れた場所がまずかった。

 「まあ、よかろう。支障はない」

 「ああ、おい!再開だ!」

 「ちょ、本当にいいのですか?」

 桐琴はほぼ隠せていない細い布の胸当てを小夜叉は胸のさらしが破れていた。つまり、今の二人は胸をさらけ出している状態・・・おっぱい丸出しということだ。しかも、二人とも気にしないまま戦いを続けようとした。

 

 『はああ、この二人は朱雀ですか・・・旅で混浴する時に時人と庵樹は恥ずかしがっていたけど、あの子はむしろ見て。と積極的に見せていましたね』

 

 そんな二人の女性らしくない姿に頭を抱えた。

 「「まだまだだあああ!」」

 明のそんな様子を気にしないで桐琴と小夜叉が襲い掛かったが、後ろの人物に背後をとられてしまった。

 「・・・見つけた」

 ゴン!と二発二人の頭に命中。

 「誰じゃ!わしらを」

 「いいところだ」

 血ののぼった二人が殴った相手に文句を言おうとしたが、その口が止まった。なぜなら、頭の上がらない二人がそこにいたからだ。

 「ほう、アキラ。二人の胸見たさにそこを破くか(じろ)」

 「久遠、あれは事故です。誤解しないでください」

 「・・・いつまでさぼる」

 「ま、まて!わしらは重要な!」

 「そ、そうだぜ!あいつは敵」

 「久遠様の夫・・・味方」

 久遠と森一家の陰の棟梁・各務がそこにいた。久遠は呆れながらアキラを見ていたが、各務の方は二人に怒っていた。

 「全く、城攻めをしているのにお前らとアキラの姿がないから来てみれば」

 「酒抜き」

 「ちょ、ちょっと、待つのじゃ!」

 「没収」

 「あああ!か、返せよ!」

 「ダメ(じ~~)」

 全く顔に変化はないが各務が怒りに燃えているのが十分にわかる。得物を没収され、桐琴に至ってはしばらく禁酒。青くなっている二人を無視して、アキラをじ~っと見る。

 「何か?」

 「・・・何でもない」

 「仕事に戻るなら、得物は返してもいい」

 「ほ、本当か!」

 「得物だけ?あの・・・さ、酒は?」

 「ダメ・・・行く」

 各務に引きずられていく森親子。因みに胸の部分は桐琴のマントで代用した。

 「じゃ、今回は逃げ切った私の勝ちということで!また会いましょう!」

 「「お、覚えていろよ~~!」」

 どんどん遠ざかっていく二人に手をふるアキラ。

 「ふむ、どこかで誰かが叫んでいたような台詞ですね」

 「アキラ・・・なぜ我を見る!」

 「ははは、すいませんでした」

 「お前、絶対我を馬鹿にした考えをしただろう!」

 「そんなことしてませんよ(なでなで)」

 自分の考えをごまかすために久遠の頭を撫でた。

 「こ、こら!ず、ずるいぞ・・・そんなの」

 真っ赤になる久遠を見て和んだアキラ。

 

 『さて、仕事に戻りますか。久々にしっかり戦えて楽しめましたし』

 

 あの二人の喧嘩ならこれからも受けて立ちたい。とこっそり思ったアキラだった。

 




 ということで100件記念小説。二人の戦いと各務のアキラへの興味を出しました。

 因みに自分の中の各務像は魔法科高校の劣等生の北山雫さんです。ただ、胸は光井ほのかさんのサイズです。そして性格が・・・結構やばめです。
 


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第三章 堺・京・北近江編
十七振り目 似た者夫婦?嬉しいような複雑なような


 こんにちは!風呂の時間が一番天国の三MENです!考えた結果、第三章に入ることにしました!今回は最初の目的地に着くまでの旅路です!


 「それで、眠りを起こした訳を聞きましょうか?」

 朝、意識が戻ったので体を起こそうとしたが、誰か乗っていることに気づきすぐにその者に話しかけた。

 「ふん、すぐに起きんアキラが悪い」

 「それが理由なら、もう少し寝ましょうか・・・そうだ、一緒に寝ませんか?」

 「な!ななな、何を言うか!」

 「そのためにここにいるのでは?」

 「ちょっと、私は~~(プンプン)」

 久遠をからかっていると、む~~とした顔で結菜がきた。二人揃って、アキラ隊の長屋に来ていた。

 「大丈夫です。忘れていませんよ。三人で寝ようと思ってますので」

 「そう、ならよし(ニコ)」

 「よしじゃない!いい加減にしろ!」

 「「え~~~」」

 「結菜まで何でそれなんだ・・・アキラ!ちょっと頼みがある!」

 「はあ、分かりました。でも、先に顔を洗わせてください・・・後、今度から起こすときは上に乗らない方がいいですよ。ごちそうさまでした」

 そう言って、部屋を出て庭にある井戸で顔を洗いに行った。

 「・・・ねえ久遠。アキラに下着、丸見えだったんじゃない?」

 「は!(〃ノωノ)ね、ね、根切りにしちぇくりぇりゅわ~~~!」

 心の眼でしっかり妻の下着を見たアキラでした。ちゃん♪ちゃん♪

 

 

 買い物に付き合え。二人で街に出かけよう。といった軽い頼みだと思っていたが、甘い考えだったことに気が付いた。

 「どうだ、アキラ。こうして朝日を浴びて馬乗りをするのも悪くないだろう」

 「ええ、それに関しては頷けますが・・・今頃、麦穂さんと壬月さんの頭痛が悪化してそうですね」

 甘い考えだった理由・・・それは二人とも尾張を出て、山道を馬で進んでいる。そう、自国を出ているのだ。

 「お頭~、お待たせしました!」

 「久遠様!私達でしっかり守ります!」

 「はあ、はあ、はあ、や、やっとおい、つけま、した」

 後ろから護衛役のアキラ隊の三人も馬に乗って追いかけてきた。でも、詩乃は体力がないので疲れていた。

 「三人ともありがとうございます。私一人でも平気でしたが」

 「ダメです!アキラ様が強いのは知っています。でも、織田家当主と夫の護衛は絶対に必要です!」

 「「そうですよ!お頭!!」」

 「大丈夫です、ちゃんと自分の立場は理解しています」

 「ほう~~、言ったなアキラ。この前の稲葉山城を少数の兵での潜入・・・立場を理解しているものの行動とは思えないのだが」

 「久遠だって、毎回城を抜け出しては私に麦穂さんと壬月さんの言い訳を押し付けているじゃないですか。今回に至っては尾張まで出ていますし」

 互いに幼稚な文句の言い合いに一歩も譲らない。その行動自体が立場を理解していないものの行動にしか見えない。

 

 『『『・・・似た者夫婦』』』

 

 三人とも考えが一致した。 

 

 

 その後、久遠から国を出てまでやる用事を訪ねると、堺と京に用があるとのこと。そして、通り道に北近江の浅井に久遠の妹が嫁いでいるので、アキラの要望で帰り道にそこに行くことにした。

 「久遠。北近江を治めている浅井長政という人は、どういう方なんです?」

 「まさか、そこに行く目的というのは」

 「あくまで久遠の夫として、あなたの妹とその夫がどんな人か。それを確認したいだけです。ですので、頭の中にある妄想をやめていただけるとありがたいですが?」

 久遠はその返答にホッとした。

 「それはよかった・・・そ、それより、浅井のことだったな!」

 「ちなみに、どんな理由でホッとしたのですか(ニヤニヤ)」

 「ううう、き、聞くな!説明するぞ!」

 アキラに問い詰められて焦りながら話した内容だと、浅井長政も女性であったこと、ちょっと小心者だがどっしりとした大きな器を持っていること、妹・市のことをしっかり愛していることだった。

 そこまで聞いて少し考えた。

 

 『ここの世界は結菜以外が武将や当主が女性だから、他の国でも妻や愛人の立場の人以外も女性だと思っていましたが・・・やはり驚きますね。だが、浅井長政は確か織田信長の妹の件で手を握っていたけど、越前の朝倉を攻めることを決めた信長を裏切って朝倉に味方した。という話を聞いたことがあります。朝倉とはとても深い縁があるとかないとかでしたが、ここの世界では果たしてどうなるのでしょうか?』

 

 でも、それ以上は考えても仕方がない。まずは堺。細かいことは後回しにするということで気持ちを切り替えた。

 

 

 堺に行くには今浜というところで船に乗り、大津というところで降りて一日程度馬乗りで到着。という流れだった。

 「ふむ、中々栄えていますね」

 四人は船を下りて、大津に着いたところだ。人の多さに感心していた。

 「そう、湊があるということは物や人の出入りがよくある。そして、そういう出入りがよくあるところは」

 「銭の出入りもよくある。ということですね。そこに商人の眼が止まって、こうして栄える村になるということですか」

 「そうだ。よくわかったな」

 「商人にとっては金と書いて命と読む。それぐらい大事なものみたいですからね。向こうでも連中達から金を盗んだ時は、死に物狂いで追いかけてきましたし。全くどうせ儲けるのだからもらっても罰は当たらないでしょうに」

 「・・・盗みで知ったのか」

 「仕方ありませんよ。まだ小さい頃でしたし、それをしなければ死んでいました。生きるためにやったことです」

 まさか話したことが実体験だったことに苦笑いをする久遠だが、生きるか死ぬか。と言うアキラの言葉には何も言い返せなかった。

 「あ、あの~お頭。ちょっと、お願いがあるのですが」

 そこにころが話に入った。どうやら、ひよが船に酔ったらしく詩乃も体力の限界が近かったので、一段落として美味い団子屋があるからそこで休もうということになった。アキラと久遠もちょうど小腹がすいたので、その意見に賛成した。

 

 

 穏やかな空気にうまい団子とお茶。ほっとしていると、いつの間にか隣に女性が一人座っていた。四人は別のところで座っている。

 「ずいぶん穏やかですね。乱世の中、こう静かな場所ってありがたいですね」

 「そうだね、仕官しようといろいろ探していたけどこうした場所はたまには来たくなるものだね」

 「ほう、まだ決まってないのですか?」

 「そういう君もそんな風に言えるあたり、耳が遠いように見える」

 「いろいろあって今まで自分の事で精一杯でしたから・・・すいませんが、ここの団子は奢りますから、いろいろ聞かせてくれないですか?」

 アキラはこの女性を警戒していた。なぜなら、ほかにも席があるのにあえてここを選んで座ったように思えたからだ。

 「やれやれ、安く買われたものだ」

 「お願いしますよ」

 「ま、いいか。ここの団子は美味いしね」

 その女性から聞いたことは、畿内の足利と三好が権力闘争をしていて今は三好が有利だということ。そのせいで、治安が悪化していていつ両家の間で争いが起きてもおかしくない状況だということ。しかも、地震が毎日のように起こっていて民達が不安になっていることだ。

 実際、話の間に一回小さいけど地が揺れた。

 「この揺れが毎日ですか・・・大小別々に起こるというなら不安にもなりますね」

 「大和というところが震源となっているみたいだけど、詳しいことは全然だよ」

 「なるほど・・・そろそろ別れましょうか。団子代は任せてください。後、仕官叶うといいですね」

 「ああ、遠慮なく頂いたよ。応援ありがとう」

 そう言って女性はいなくなった。

 

 『確実にどこかの勢力の草・・・いえ、武将でしょう。相当の腕の持ち主ですね。ですが、不思議と誰かに似ている気がするんですよね。あの飄々と話しておきながら油断できない空気を持つあの女性は・・・でも、今は考えなくてもいいですね』

 

 別に今はどうってことないし、仮に素性に気づかれても向こうは話す事はしない。それが分かっていたから、特に何もしないで彼女と別れた。

 

 

 大津を出発して、最初の目的地である日の本一の商人の町・堺に到着した。

 




 無事、久遠がアキラに痴態をさらしました!・・・じゃなかった堺に到着しました。
 そして、アキラと話したあの女性。果たして誰に似ていると思ったのでしょうか?

 次は堺、出来るなら京まで行かせようと思います。



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十八振り目 こんなに清楚な女性は初めてです。

 こんばんは!自分にとっての豪華な食事は寿司!三MENです!昨日の昼に十七振り目を投稿したときはまだお気に入り件数は92件だったのに、仕事から帰って一段落した後に見たら・・・100件超えていた。思わず現実逃避をしかけました!

 やりました!100件突破です!約束通り、近いうち記念小説を書こうと思います!


 

 アキラ達は一つ目の目的地である堺に到着した。

 

 『堺、私の世界でも代表的な商人の町。ここは変わってないみたいですね』

 

 門番に偽りの身分を伝え、無事中に通してもらうとそこはもう別世界だった。たくさんの人がいて、たくさんのものがある。

 「すっご~~~~い!」

 「こんなにたくさん人がいるんですね!」

 「これが堺。実際には見たのは初めてです」

 「うむ、さすがとしか言えないな」

 「ええ、銭さえ出せば人は買えます。そして、それをうまく利用すれば商人だけの国も作れる。向こうの世界では特に関心はなかったですが、そういう考えで見ると本当にすごいですね」

 尾張でそれなりに繁盛している街を見てきたが、ここはそれを倍にしても足りないくらい賑わっていた。五人ともその賑わいに周りを見回していた。そして、そんな別世界に興味をわかない者はいない。

 「ころちゃん!あの髪留めきれい!」

 「ああ、ひよ。そんなに走っちゃダメ!でも、確かにきれい」

 特にひよところは目が輝いていた。これは、金がすぐになくなりそうだ。とアキラは自分の財布の確認をした。

 『女性というのは、新しいもの。特に身に着けるものは着るものには目がありませんからね。もしかしたら、ねだられるかもしれません』

 今も昔も女性は買い物好きみたいだ。そして、その金を払うのが男の役目も変わってないみたいだ。

 

 

 その後も皆でいろんな店を見ていた。特に目の輝きが止まらないひよところを見ながら久遠にどうするか確認したら、湊で南蛮商人と繋ぎをとっておきたい。とのことだ。アキラはすぐに思いついた。

 「鉄砲・・・ですか?」

 何しろ織田信長と言えば鉄砲だ。だからすぐに気づいた。

 「ああ、これからはそれが大きな武器となる。だが、商人の知り合いは尾張にいてもこの堺にはいない」

 「ふむ、それなら宣教師に頼んでみてはどうです?その人ならそういう人達の知り合いがいると思いますが」

 「なるほど・・・天守教の宣教師ですか。確かに大きな町に天守教の寺院はあると聞いたことがあります。顔も覚えられていると思いますので、それはいい考えかもしれません」

 アキラの提案に詩乃も同意した。だが、アキラは天守教という言葉が疑問だった。

 「天守教?それが、南蛮から伝えられた宗教ですか?」

 「その通りです」

 詩乃の説明にアキラは少し考えた。

 

 『確か私達ではあの宗教でしたね。となるとここでの天守教というのはそれということですか・・・』

 

 今だにころとはしゃいでいるひよに目がいった。

 

 『織田信長は宣教師を守っていましたが、あの子が同じとは思えませんが豊臣秀吉。そして、徳川家康・・・あのバカの父親がそれを禁じたと聞いてます。まあ、この世界がもう異質ですから同じ歴史になるとはもう思えませんね』

 

 何しろ、自分は上司でひよは部下。この時点ですでに自分達の知っている歴史とは変わっているとみていい。

 「何をしているアキラ。天守教の寺院に行くぞ!」

 「ええ、分かりました」

 早く、用を終わらせたいのか。久遠にせかされて寺院を探すことになった。

 

 

 そして、数分後に寺院を発見。扉を開けて中に入ると、アキラにはとても異質と思える人が目の前にいた。

 「ほう、あれが南蛮人というものか」

 「ほええええ、とてもきれいな人です~」

 「うん。あんなにきれいな人。初めて」

 「はい、あの祈りの姿勢もとても絵になっています」

 本当に神の使いと表現してもおかしくない容姿に腰には細身の刀。顔だちも彼女らに引けを取らないくらいの美人だった。

 「でも、彼女は武人でしょうね。結構な腕です」

 アキラが異質と感じた理由。確かに彼女達の言う通り、とてもきれいであることは認めるがああやって祈っているポーズに隙がなかった。

 

 『でも、彼女は何かが違う。何というか・・・私と同じものを感じる』

 

 そして、最大の理由は心の眼が勝手に警戒を促しているのだ。絶対に油断するな。もはや今までの数多くの敵と対峙してきたアキラならではの本能が訴えていた。

 

 『確実に彼女は根本が違う。でもどうしてそう感じる?』

 

 だが、今のアキラにはそれ以上は分からなかった。

 

 

 その後、祈りが終わった彼女と話をするために部屋に案内された。

 「こんにちは、皆さんもお祈りですか?」

 「ほう・・・見た目は南蛮の人だから言葉が通じないと思いきや、日本語が上手ですね。なら、このままの言葉でいいですね」

 「はい、構いません・・・ふふ、驚かれないのですね」

 「いいえ。内心は驚いていますよ。何しろ、あなたのような清楚な女性は初めて会いましたからね」

 「え。そ、そんな、何を」

 「自信を持っていいですよ。あなたは清らかな美人です」

 照れて赤くなる女性に、四人は白い目でアキラを見た。

 「アキラ・・・我らにはその言葉は聞き捨てならないのだが」

 「お頭・・・そりゃこの人に比べたら負けますけど」

 「いくらなんでも、それはひどいですよ!」

 「はあ、どうしてそんなに誑すんですか?」

 「あなたたちは何を言っているのでしょうか?誑すつもりはないですよ。ただ、正直に思っただけです」

 「「「「それが誑すと言うんだ(です)!!」」」」

 一斉に怒鳴られた。その後、しばらく説教が続き女性は唖然とした目でその光景を見ていた。

 『・・・解せません』

 しばらく文句を言われるアキラは、自覚がなかった。

 

 

 その後、四人は落ち着きを取り戻して、話を再開した。

 「全く時間を無駄にしてどうするのです」

 「・・・三人ともおけい。こやつにまた説教しても無駄だ」

 「「「・・・はい」」」

 「えっと、皆さん、大丈夫ですか」

 「問題ない。ただ、こやつの頭の中を根本から変えないとダメだと実感しただけだ」

 「「「(コクコク)」」」

 「はあ?そうですか・・・」

 久遠の言葉に三人とも力強く頷いた。そんな様子を疑問そうに見る女性。

 『何やら不名誉なことを言われているのは分かりますが、そんなに認識のずれがありましたか?』

 久遠の言葉に女性とは別の意味の疑問を持つアキラ。彼女とは久遠と詩乃の二人が話しかけていた。その中で彼女は南蛮の父と日本の母の間で生まれた子供だということ。更に詩乃と同じ美濃出身だということ。ここまではまだ、アキラもあまりおかしいところはなかったので話を黙って聞いていたが・・・アキラの思考が最大限にパニックになったのは彼女の自己紹介だった。

 

 「私の名はルイス・エーリカ・フロイス。母から与えられた名は十兵衛・明智と申します」

 

 アキラの思考が確実に停止した。だが、そんなアキラの状態を誰も気づかないで二人は話を続けた。

 

 『ど、どういうことですか!彼女があの明智!だが、ルイス・エーリカ・フロイスという名も持っている。つまり、彼女は二つの名前も持っていることになる。ありえない、いくら何でもこれはおかしい。あのバカの父親は影武者を使って自分は偽名を使って別人を演じていたと本人から聞きましたが、これは』

 

 「どうした、アキラ」

 頭の中の整理が追い付かない状態だったが久遠に呼ばれてはっとした。

 「あ、すいません。ちょっと考えが追い付かなくて」

 「何かおかしいことでも?」

 「いえ、何でもありません。まあ、今考えても仕方がないということですね。すいませんでした」

 エーリカを含む五人はアキラの態度に疑問を感じたが、すぐに体制を持ち直した。これ以上の動揺を見せないために話を戻させた。

 「それで、エーリカとやら。お主はどうしてこの国に来たのだ?」

 「はい。とても大事な話をある方にしたいのです。この日の本で一番偉いというアシカガショーグンという方に」

 「ほう、実は我も会おうと思っていた。ならば、我らと来るか?」

 「え?いいのですか?」

 何と目的地が同じということが分かりエーリカに同行を誘った久遠。

 「うんうん!行きましょうよ!」

 「旅は道ずれ・・・何とかというやつですよ!」

 「アキラ様には気を付けてください。誑されないように」

 「まあ、それはありがとうございます」

 ひよところは嬉しそうに賛成し、詩乃も注意しながらも賛成のようだ。だが、アキラはみんなの話を聞いてなかった。

 

 『さて、いったいどうなることやら。もはや、私の知る歴史をあてにしない方がいいですね。未来は一秒先でも行動次第で変わりますからね』

 

 織田久遠信長、ルイス・エーリカ・フロイス又の名を明智十兵衛。これから先の運命はどう転ぶのか・・・。

 




 結局、境を出られませんでした。やっと出せましたエーリカさん!でも彼女は正直書きにくいです。何故なら・・・いじれるキャラじゃないからです!!どうしても、彼女は面白く書けないです。その逆に彼女の可憐さを書こうと指が勝手に動いてしまいます!何やっているんだ自分は・・・

 今度こそ、京にいくぞ!

 因みにここまである人物をバカと書いてきましたが、いったい誰のことをさしているのか分かりますよね。でも、侮辱しているわけではなく、むしろ逆でそう呼ぶ事がアキラにとってとても心を許している証拠でもあるのです。何しろ、相当ひねくれてますからね・・・。


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十九振り目 物騒ですね。京も館も

 こんにちは!熟睡したら耳元の目覚まし時計すら問題なく寝てしまう三MENです!
 一日経過して、今だ100件突破が信じられません。記念小説ですが、書くことは決まりましたが内容はまだ整理中です。

 では、スタートです! 



 

 堺を出て、数日が経過した。

 

 『それにしても、エーリカという女性はすごいですね。久遠の魅力的な案をすぐに頷かずに、ちゃんと対価を支払う姿勢をもっていた』

 

 エーリカに一緒に京に行って将軍と会う提案をした際、彼女は誠実なのか久遠が「南蛮商人を紹介してもらえれば問題ない」と言ったのに商人だけでなく、通訳や商談、更には顔が広かったのか、輸送の船の手配も進んでやってくれた。

 『彼女の性格なのか、それともそれくらいやらないと将軍と会う対価にあわないと考えたのか』

 その彼女は今アキラの隣を一緒に歩いている。

 「あの、どうかしましたか?」

 「いえ、今回の堺の件ですが、本当にありがとうございます。久遠があそこまで嬉しいのは久しぶりに見ました」

 「そんな、私だって無茶なお願いを聞いてもらえたようなものですし」

 「全く、そんな困った顔をしてはダメですよ。美人は笑顔でないと」

 「もう///」

 俯いて真っ赤になった。そんな彼女を見て思わず笑みをこぼしたアキラ。

 

 

 そして、第二の目的地でこの時代の日の本で中心地ともいえる京に着いた・・・が、これが京なのか?と思わず言ってしまったアキラ達。

 

 『荒れた街。それがふさわしい有様ですね』

 

 それなりに人はいるみたいだが、外に出ようとしない。それと同時に物騒な気配も感じる。中心地というより、荒くれが溜まる廃墟に近い状態だ。

 『大津で会ったあの女性の言葉。まさにその通りと言っていい現状ですね。久遠やころも言ってましたが、将軍家の力が衰えていて三好の暴走を抑えられていない。だから街がすさんでいく。そして、野蛮人が住み着く』

 これは早く用を済ませて出るべきだと結論を出した。

 「皆さん、気を付けていきましょう。野盗じみた連中に絡まれると厄介ですから」

 「だな、皆。固まっていくぞ」

 久遠も賛成し、できる限り目立たないように歩いた。

 

 

 だが、結局絡まれてしまった・・・いや正確に言うならアキラ達は無理矢理絡まれたと言うべきだ。溜息を吐いて鞘に入れたまま刀を抜いて、全員一撃で叩きのめした。だが、それをやったのはアキラだけじゃなかった。

 「それで、あなたは誰です?」

 「ふふふ、困っていたから助けて「暴れたかっただけでしょう?」そう!よくわかったのう!」

 その絡ませた張本人がいきなり紫微垣を奪って連中を切っていった。髪が長く、麦穂と互角の胸、だが、同時に物騒な気質。武人・・・いや、それ以上の人物と見えた。刀を返してもらうと、倒れた連中の服を探っていた。

 「それで、あなたは何をしているのですか?」

 「ん?見てわかるだろう?」

 「ええ、倒れた賊から金を巻き上げてますね」

 「そうじゃ!」

 否定しなかったことに、呆れてものが言えなかった。

 「それであなたは誰ですか?」

 「ふふふ、そなた面白いの~。それよりそろそろ退散した方がいいぞ。こやつらの仲間はまだいるからのう」

 その言葉通り、何やら向こうから声が聞こえた。

 「また会おう!」

 その声が聞こえると、すぐに女性は逃げていった。

 

 

 先に逃げ出した女性と別れて、うまい事逃げ切った皆はある建物の前で一息ついた。するとびっくり、そこが目的地だった。

 「これが・・・アシカガショーグンの住む二条館」

 「えええ!これがですか!」

 「手を付けていないからこそ、こうなってしまったのでしょう」

 「家っていうのは人が住まなくなるとあっという間にボロボロになるらしいですし」

 彼女達が驚くのも無理はない。権力が低下していてもまだ将軍の地位は健在。なのに、今目の前にある建物・二条館は半分ほどボロボロになっている。むしろ、半分廃墟と言っても違和感がない。

 「私は自分の世界で親友の将軍の住む家に行ったことありますが、ここの百倍すごかったですよ」

 その言葉に四人ともアキラに視線がいった。

 「・・・お前が自分の世界では将軍と仲良さそうな発言に驚いているが、まあ安心しろ。ここで間違いない」

 「それで、ここには人が間違いなく住んでいるのですよね。後ろにいる誰かさん」

 「「「「「え!」」」」」

 アキラの言葉に全員が後ろを向くと確かに女性が一人いた。アキラはしっかり気づいていたが、敵意がなかったのでそのままにしていた。

 「なんと・・・お気づきだったのですか」

 「もちろんですよ。それで、あなたは誰です?この場にいるということは将軍の部下、ではないですね。もっと近しい方でしょうか」

 「何をおっしゃいます!私が足利将軍様と親密だなんて!・・・もしかして、将軍様に謁見希望ですか。でしたらお土産はありますか?」

 大げさに驚いていながらすぐに話を変えるあたり、間違いないと確信を持つアキラ。しかも、お土産の言葉を出した時すごい目がぎらっとした。

 「ちゃんと教えてくれれば出しますよ。証明してくれないと、ただの通りすがりの人と見ますから」

 「むう、それなら仕方ありませんな。我が名は細川与一郎藤孝、通称は幽と申します。足利将軍様のお側衆をしております。さ!これで大丈夫でございましょう!お土産を!さあ、さあ!さああ!」

 早くくれ。さっさとくれ。おいこらよこせ。そんな文字が顔に書いてある幽という女性が手を出してきた。

 『なるほど、銭を出せばたいがいは教えてくれそうですね。腹の中は灯より弱いけど相当黒いみたいですね』

 つまり、幕府はそれほど金に困っていることが分かる行動でもあった。同時に、彼女の扱いも少しわかったアキラだった。

 

 

 無事お土産を渡すと、謁見が許され部屋に案内され待機することになった。

 「ふう、とりあえず一段落しましたね」

 「・・・あやつ、食えないな」

 「そうですね。さりげなく久遠様の正体に気づいている発言もありましたし」

 「でしょうね。礼儀作法は無知な私でも見事。と言えるものですが明らかに脅しも含めて話をしてきましたからね」

 そう、この部屋に案内されるまでの間、久遠の正体を仄めかす発言をしていた幽。

 「え!そうなのですか!」

 「ひよ、武士になるならこれから先、人を見る目も持たないとやっていけないよ」

 ころに注意され、何も知らなかったひよは小さくなった。

 「でも、大丈夫でしょう。それなりのお土産も持ってきましたし、向こうもまだ現物が届いていない時点で非礼なことはしませんよ・・・でしょう」

 「むう、また気づかれていましたか。あなた、相当すごいですね」

 「「「「「え!ま、また!」」」」」

 幽がまたいたことに驚くが、彼女もまたアキラに気付かれたことに二度驚いた。

 「私は気配には敏感でしてね。それより聞きたいことが一つあります。この客間はしばらく掃除していないと見えますが、将軍はお金がないのですか?」

 「ええ、そうなのですよ。最近は街に出て悪漢から巻き上げて・・・って何でもありませんよ~~あはは」

 「何を言っているのだ?」

 後半はぼそぼそと言ったから皆気づかなかったが、アキラはしっかり聞いていた。それをした人間が約一名さっき会ったので、冷や汗を流しながら思った。

 

 『悪漢から巻き上げ?まさか・・・』

 

 さすがにないだろう。と首を振って話題を変えた。

 「そういえば、エーリカはどうして足利将軍と会いたかったのですか?どうしても話したいことがある。と言ってましたが」

 「それは・・・」

 だが、それを話す前に小姓がやってきて、将軍の謁見許可が出たと伝えられた。結局その話は本人と話すときに聞こうと決めた。ただ、謁見は久遠だけであり自分達は出来ないこととエーリカの謁見は無理矢理な設定を幽が作って許された。

 「ひええええ!すっごいとんでもない人だよ~~」

 「絶対に敵に回したくない人だよ。こんなに腹黒だなんて~」

 「失礼な!ただ人より根性と人格がねじ曲がっているだけでございます」

 「幽さん・・・それ逆効果だと思いますが」

 ひよところが幽から距離を取る。弁解をする幽だが、詩乃からツッコミが来る。

 「ええっと、この人は恐ろしいほどに危険。ということですか」

 「何をおっしゃいます異人さん。こんなに愛くるしくて無害そのものと言っても過言ではないこの私が危険など」

 「過言ですし、自分で愛くるしい無害という時点で超危険ですね」

 エーリカの言葉に反応した幽だが、即座にアキラがブーメランを倍にして返した。

 「では、某が案内仕りましょう」

 漫才も終わり、ようやく謁見の時を迎えた。本当は田楽狭間の天人と呼ばれているアキラも謁見できる立場だと言われたが、見世物になる気はないと断った。やはり、自分の正体も見抜かれていたことに気づいていた。

 

 『さて、この世界での将軍様は一体どんな人か。あのバカと同じ・・・なわけありませんよね・・・不安です』

 

 内心少しだけの不安を持ちながら、幽に案内された。

 





 ついに幽が出てくれました!いや~~、原作見てから早く漫才を書きたい。と思っておりました。それにしても、紫微垣の初出番がまさかアキラじゃなく違う人になろうとは。

 次回は将軍様との謁見です!それが終われば、記念小説をやろうと思います!


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二十振り目 これが、フラグというものですか。

 こんばんは!三MENです!

 更新速度が遅くなる。と書きましたが、今はまだ仕事が落ち着いている方なので何とかいつも通りに更新しますが、年末は厳しくなると思うのでお許しください。

 後、感想であの女性が紫微垣を持って大丈夫?というのが届きました。紫微垣は今眠っています。何故なら、アキラが使おうとしないからです。ふて寝しているため使われたことすら気づいていません。
 アキラが使う決意をして手にしたときにやっと目を覚まし力を発揮します。まだ先ですが、その話も書きますので楽しみにしてください。・・・え?信用できない?本当に考えてますよ!!!


 最初からアキラは現実逃避をしています。

 

 『皆さん、こんにちは。アキラ先生教えて!のコーナーです。今回はある一つの単語について説明しましょう。それは『フラグ』というものです。例えば、目の前に落とし穴があります。それをよけようとしたらいきなり草むらから動物が出てきて驚き、結局どっし~んとその穴に落ちてしまう。つまり、フラグというのはある一つのきっかけで幸にも不幸にもなる未来ができてしまうもののことを言います。あくまで私の体験からの説明ですので、しっかりとした意味を知っていたらそっちが正しいものですので』

 

 「アキラ。いい加減、現実に戻れ!」

 「はい・・・」

 久遠の叫びで現実逃避が終了した。今アキラ達は客間にいる。だが、ほかに幽ともう一人が・・・。

 「お主が田楽狭間の天人か」

 「やはり、あの時のあなたが将軍だったんですね」

 「ふふふ、その通り。余は足利義輝。足利第十三代将軍じゃ。通称は一葉という」

 そこにいるのは紛れもない野盗の群れをボコボコにして追いはぎをした女性だった。ひよにころ、エーリカの三人は絶句していたがアキラはそれを気にする余裕がなかった。

 『これが、フラグというものなのですね』

 頭痛がしたのを感じたアキラだ。 

 

 

 時は謁見の間までさかのぼる。

 久遠とエーリカの二人が評定の間の中央で正座をしていた。幽が将軍が来たと報告をしたが久遠は一蹴した。耳に届いた将軍は剣豪と言われるくらいの武人という噂を聞いていたが、聞こえた足音はとても弱弱しいとのことだ。

 『確かに武人ならもっとどっしりした足音のはず、つまり上段にいる人は明らかに別人・・・ということは今あそこにいるのは影武者ですか』

 地面で座っている三人は慌てているが、アキラは別段気にせず周りを気にしていたら久遠の斜め後ろに一人の小姓がいたことに気づいた。

 『あっちが本命。ということでしょうか・・・あれ?この気配は、いや、まさかそんなはずは』

 久遠が小姓に近寄ろうとしたら銃声が聞こえた。一応久遠を守るための警戒はしていたが、その警戒の外からの射撃だった。小姓が顔を上げるとやはりその女性は自分から紫微垣をとって賊を斬った女だった。

 

 

 再び客間に戻る。

 『その後、逃げようとした幽に頼んで事情を確認するために献上品を送らないと言って脅し・・・じゃない頼み込んだんですよね。教えてくれるなら銭を更に足してくれるよう久遠に頼むと言ったら、あっさりと手のひら返したのには爽快でしたね』

 そんな幽の手のひら返しを楽しそうに思い出したが、将軍が自己紹介したのでアキラも自己紹介をした。

 「紹介してもらったのなら、こちらもしないと失礼ですね。私の名前はアキラ。織田久遠の夫をしており、先ほどそちらの幽さんから言われた田楽狭間の天人です。よろしくお願いします・・・えっと公方さんでしたっけ」

 礼儀皆無な紹介をしたが、彼女は気にしなかった。むしろ、探るような目つきでアキラを見ていた。

 「そなた・・・相当の修羅場をくぐってきたようじゃのう」

 「わかるのですか?」

 「我は剣豪将軍と呼ばれておる。そういう目は養っているつもりじゃ。悔しいが、我が殺す気で戦ってもお主には勝てんじゃろうな」

 「なんと!公方様、この者はそこまで強いのですか!」

 「ああ、幽よ。お主も気づいているのじゃろう。おそらく、二人でかかっても勝てん」

 「・・・はい。正直に申すとその通りです」

 驚く幽に一葉が逆に問うと頷いて肯定した。剣豪将軍とその家臣でも勝てないアキラの強さに周りの皆が驚いた。すると、久遠がいらない後付けをした。

 「手合わせで掛かれ柴田に勝っているからのう」

 「ほう、あの鬼柴田殿に!それはすごいですね!」

 「ほう~~、そこまでの強さか。くくく!これは武人として一度」

 「公方様。手合わせしたいとおっしゃるのはやめてください」

 「安心せい幽。手合わせではなく、ガチで戦いたいだけじゃ(にやり)」

 「ああ、それならいいでしょう・・・なわけないでしょうが!余計にダメです!」

 二人の漫才を見ていると襖が開かれた。そこには最初の謁見の間の上段にいた気配の女性が入ってきた。一葉とは正反対にとてもおしとやかに見えた。

 「さっき我の代わりをしたのは余の妹じゃ。双葉よ、自己紹介せい。大丈夫、こやつらは信用できる」

 「はい、分かりましたお姉様。私の名前は足利義秋。通称は双葉と申します。姉のご友人の皆様に謹んでお礼申し上げまつる」

 三つ指立てて礼をした。その姿に心を奪われたアキラ。

 

 『・・・っは!何と、エーリカを清楚な女性と見ましたが、その上がまさかいるなんて思いませんでした。どうやら、この二人にとても大切に守られているみたいですね』

 

 その後、双葉から幕府内では既に敵対している三好と通じている者すらいるため中々心を許せるものがいない。だから、姉の一葉が心を許せるというのは妹の双葉にとっても嬉しいことなので、お礼がしたいと言われた。

 「頭を上げてください。こんな無頓着な男に下げる頭はむしろこっちが申し訳ないくらいです。まあ、上げないなら私が無理に上げますが」

 「アキラ殿、それは某が許しませんよ」

 「もちろん冗談ですよ。でも、一葉が相手なら無理矢理でもやりますが」

 「ほほう~、その時はぜひ協力させてください。日頃の恨み・・・もとい日頃のお礼をしたいので」

 「お主ら・・・本人の前で面白そうな相談をしておるのう」

 「「ははははは!」」

 一葉のジト目にアキラと幽は笑いながら流した。

 『『『・・・お頭(アキラ様)が二人いるみたい』』』

 「ふふふ、姉さまの楽しそうな姿、久しぶりに見ました」

 「これで楽しそうと見えるあたり双葉も相当器が広いな」

 その姿に久遠達は汗を流していたのに、双葉は楽しそうな一葉を見てのんきに微笑んでいた。

 

 

 その後、最初にエーリカの話せなかった鬼にかかわる話から始まり、次に幕府に圧力をかけている三好の話、その三好を裏で操る松永弾正小弼の話が出た。最後に幕府の一部の内部の話をして終わった。

 

 『今、この三人は流されて生きている。そんな感じですね。そうしなければ生きていけない・・・辛いですね。でも、まだ生きている。だから、可能性はある』

 

 そして、話が終わると同時に久遠の方針が決まった。まずは鬼の事より鬼を打倒できるよう勢力を吸収。そして、広まりつつある鬼の脅威に打倒できるようにする。そのために公方である一葉を使い勢力を集める。そして、エーリカを織田家に連れ帰り家中に説明させて鬼打倒を目指す。というものだった。

 「私は私の出来る範囲、そして自分の全力をもって久遠を支えます。そして、一葉・双葉に幽、あなた達も守って見せます。久遠の友であり私達の友でもあるあなた達はすでに大切な存在です」

 それほどの決意を見せて久遠に敬意を表して、アキラもまた決意を皆に見せた。

 「ふむ、田楽狭間の天人は目が見えないサムライと聞いていたが。不思議だな、何かお主の眼が見えた気がする」

 「ありがとうございます。今日はここまでですね。久遠、宿に戻りましょうか」

 「ああ、一葉。またな!」

 立ち上がって、小姓に出口まで案内された。ともに歩く久遠が嬉しそうに見えたアキラ。

 『・・・嬉しそうですね。お互いに苦しい環境で生き抜いてきた者同士。だから、言葉で語らずとも分かり合える何かがあり、それが友情となって友になることができたのでしょう』

 思わずアキラは笑顔になり

 

 『わいにとってあんさんは最高の親友や!』

 

 この言葉を思い出した・・・かつては友と思わなかった男からの一言が。

 『わかる気がします。あのバカが・・・あのトラがいたからこそ今の私がある。今の強さがある。この二人もそういう強さが身に着くといいですね』

 あの親友を思い浮かべながら屋敷を出て行った。

 

 

 屋敷を出た後、一葉達は話し合っていた。

 「楽しい奴らだった。久しぶりに心からほっとした気分だ」 

 「そうですね。双葉様も嬉しそうですね」

 「当然よ幽。お姉様も私も友達ができたんですから」

 「うむ、特にあのアキラという男。あやつはいったいどんな茨の道を歩けばあそこまで強くなれるのか・・・いや、正直に言うと惚れてしまいそうだ」

 一葉の顔が赤くなった。そんな姉の姿に

 「え!お、お姉様もですか!」

 妹もまた赤くなった。

 「ほう、双葉。お主もか」

 「はい、あのお方は誤解されがちですが、誰よりも努力をしている人に見えます。傷つきながらでもそれでも天に上ろうとする龍。帰り際に見えた背中が・・・とても大きく、そしてたくましく見えました」

 双葉の眼は一葉同様、輝いていた。

 「お二人とも本気ですか?」

 「本気じゃ!」

 「はい!」

 二人の即答に幽は溜息を吐くしかなかった。

 「は~~、だから会わせたくなかったのに(ですが、少し女性として意識してしまうのは事実ですな)」

 二人に見られないように、アキラの言葉を思い出して幽も赤くなったのであった。

 




 やっと、謁見まで終わりました!この後どうしよう。間章にするか。それとも北近江まで一気に行ってから間章にするか。ちょっと、整理しないと・・・。

 でも、その前に100件突破記念小説だ!内容は稲葉山城でやった森一家との鬼ごっこにしようかなと思っています。


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間章4 デートは一対一・・・のはずだが

 こんばんは!書きながら寝たことがある三MENです!
 話を進めるか、間章を入れるか考えた結果、堺の時の間章を一度も入れてなかったので、それを入れて一つ作ることにしました。
 はあ・・・仕事疲れた・・・


 「アキラ、一緒に出ないか?」

 宿の一室で、アキラ隊の三人と話していると久遠が入ってきた。

 「出る?つまり、デートですか?」

 「デート?なんだ、それは?」

 疑問を投げかける久遠と自分達も知りたい。という三人のまなざしを見て、アキラはにやりとした。

 「ふふ。デートというのはですね、男と女が二人っきりでいちゃついたり、今夜の閨の相談をしたりするものですよ」

 「なあああ!!!なななんあなな何を言う!」

 「お頭!それなら私が!」

 「ひよはダメ!私がやるよ!」

 「いいえ、相談という頭脳作業は私の得意分野。私が、私に任せて下さい!見事、アキラ様の満足のいく一夜、もとい回答を作り出します!」

 『・・・ちょっと大げさすぎましたか』

 大げさには言ったが、嘘は言っていない。だが、その大げさにひよ達も参戦した。特に詩乃は気合が四人の中で一番入っている。

 「いや~、すいませんでした。冗談ですよ・・・最後のところだけ」

 「「「え!じょ、冗談!」」」

 久遠、ひよ、ころは少し残念そうにしたが、

 「では、イチャイチャしながら歩くのは」

 詩乃は最後の部分をしっかり聞き逃さなかった。

 「それは本当ですよ。でも、せっかく京に来ているのですから街を見て回るのもいいかもしれません。以前のようなことがないよう、注意は必要ですけど」

 「う、うむ!そ、そうだな!さ、行くぞ!」

 緊張で体が固くなりながらも久遠はアキラと部屋を出た。どうやら、イチャつくという言葉にドキドキしているようだ。

 出て行った二人を見送る三人。

 「あ~~あ。久遠様、羨ましいな~~」

 「仕方ないよ、ひよ。お二人とも夫婦なんだし・・・それに、久遠様もアキラ様の事を本当に好きになっているみたいだし」

 「仕方ありません。今回はお嫁さんに譲って私達も出ましょう」

 詩乃の提案に二人とも頷いた。

 

 

 外に出た久遠とアキラはイチャイチャ・・・しないで並んで歩くだけだった。

 「さて、どこに行きましょうか」

 「うむ、まずはしばらく歩いて、しばらくしたらそこらの店で食べよう」

  そう言いながら久遠はアキラは手を握った。だが、一つおかしいことがあった。

 「ふむ、男の手というのは少し固いんだな」

 「・・・何でいるのです?一葉」

 久遠の手を握ったのは左手だが右手にも握られた感覚があり、そちらの顔を向けると一葉がいた。二人そろって、ジト目で彼女を見る。

 「今日は二条館で公家の連中と顔合わせじゃなかったか?」

 「あんな白顔連中を見ると頭が痛くなる。逃げるが一番じゃ」

 「つまり、抜け出したということですか・・・幽さんから文句を言われますよ」

 「うむ!あんな奴らよりお主らと一緒に動く方が何倍もいい!なあに、幽もわかってくれるじゃろう!」

 「デアルカ・・・まあ、仕方ない」

 「ですね」

 いきなり二人きりじゃなくなって、少し残念そうな顔をする久遠だった。諦めて三人でいろいろと散策していると、一軒の店で

 「あれ、お頭~!」

 「どうです、楽しんで・・・って公方様!」

 「・・・抜け出したのですね」

 ひよ達が食事をしていた。

 「もちろんじゃ!・・・ところで、三人は今何を食べておるのだ?」

 「これですか?何でも店主が堺で作り方を教えてもらって、試しに食べて感想をくれってことでもらったんですよ」

 ひよがアキラ達にそれを目の前に差し出した。

 「カステーラというものだそうです。ふんわりして、しかも甘くてとてもおいしいですよ」

 「どうぞ、あと一切れずつしかありませんが」

 ころが勧めてきたので三人とも遠慮なく貰った。

 「ふむ・・・確かにいい味だ」

 「ああ、ぜひとも尾張の店にも欲しい品だな」

 「カステラですか。いやな記憶が蘇ります」

 二人は満足していたが、アキラの方は苦い顔をしていた。頭痛がしたのか、その場でうずくまった。

 「いやな記憶というのはなんぞ?」

 「・・・自分の世界にいたころです。仲間の変態・・・もといとんでもない変態「言い換えたほうがひどいですよ」に無理矢理作らされて、しかも自分好みの味じゃなかったら」

 ころの突っ込みを無視して話していると、突然頭を抱えて「ふざけるな~~!!」と思わず叫んだ。涙目に見えるのは気のせいじゃない。

 「「「お、お頭・アキラ様!」」」

 「・・・もうよい。よほどの悪夢だったようだな」

 久遠達は何とかアキラに収まるようなだめた。

 「余は聞きたいぞ!」

 「す~~は~~。勘弁してください・・・これ以上思い出したら半狂乱になる自信があります」

 深呼吸して頭に血が上った分を抑え、出されたお茶を飲んで落ち着くことができた。団子を食べ、腹八分になったところで三人と別れた。

 「のう、お主。一つ、聞いていいか?」

 「何ですか?さっきの悪夢は絶対にごめんですよ」

 「いや、余が聞きたいのはおぬしの強さじゃ。一体向こうの世界ではどれくらい強かったのだ?」

 「それは我も興味があるな。アキラはなかなか話してくれないからな」

 「ふむ・・・」

 少し考えこんだ。既に歴史の道筋がいろいろ違ってきているとはいえ、それでも未来のことを話すわけにはいかない。だから、ある程度ぼやかして話した。

 「私はどうしても勝ちたい漢がいましてね。その為に戦いは続けていました。その漢は私の世界で一番強い漢でした。ここに来る前も全力で戦い、その戦いで意識を失い起きたら久遠の家でした」

 「世界で一番強い・・・いったいどれほど強かったんだ?」

 「十戦全敗です。いまだに勝ったことがありません」

 「な!アキラほどの実力を持っていてもか!」

 「想像が出来んぞ!」

 自分達がどんなにあがいても勝てないアキラを全敗させるほどの漢が向こうの世界にいた。その事実に久遠と一葉は戦慄した。

 「ふむ、ではお主は「見つけたぜ!」??」

 他に聞こうとした一葉だが、その彼女を見つけた輩達が近づいて来た。

 「よくもさっきは俺を痛めつけて財布を盗んだな!」

 「俺なんか刀を奪われたぞ!」

 「俺は服すら奪われた!」

 ガラの悪い連中が一葉を見て、ボルテージが上がっていった。彼らのセリフで彼女が自分たちと合流するまで何をしたのかわかり、アキラも久遠も呆れていた。

 「・・・一葉。どれくらいやってます?」

 「覚えておらん。というか、覚える気がない。そもそも、こやつらは誰じゃ」

 「「「「な!て、てめえええ!!!」」」」

 それを見て一葉は、いきなりアキラに抱き着いた。

 「きゃあああ。怖いです。助けてください」

 「・・・それならせめて二やつく顔で言わないでください」

 「私も怖いです。お助けください」

 一葉の反対の腕を久遠が悪乗りで握っていた。

 「二人とも悪乗りして・・・まあ、役得ですからいいですけど」

 二人の悪ふざけにあきれるも、両手に花も悪くないと少し思ったアキラ。

 「な、こ、このうつけものが~!」

 「「「「てめえら!俺達を忘れるんじゃねええええ!!」」」」

 石よりも重そうな溜息を吐いて、拳を固めた。

 「やれやれですよ・・・本当に」

 

 その後、刀を抜くことなくボコボコにして連中は検非違使に引き渡された。しかもご丁寧に一葉が金目になりそうなものを全部没収してからだ。

 「うむ、これで数日分の油代と懐は安泰じゃ!」

 「ああいう連中の財布が天下の征夷大将軍様のお小遣いですか・・・」

 「しかも、全部強奪して懐に入れるあたりとんでもない公方だ」

 アキラと久遠は改めてジト目で彼女を見た。

 「ふん!幕府の財源は火の暴走早馬だからな。自ら稼いでいるのじゃ」

 「強奪を稼ぎという輩はたくさんいるでしょうが、将軍は今までの歴史で一葉だけでしょうね」

 「間違いない」

 二人して冷や汗を流した。権威や地位は落ちても仮にも日本を代表する将軍が、嬉しそうに泥棒するなんて普通は思わない。

 「公方様、見つけましたよ・・・全く幕府に納めるのは全額と言っていたではありませんか」

 「ふん、割のいい仕事をしてその稼ぎをもらっただけじゃ」

 「それでも二分の一とっているのでしょう。四分の一にしてください」

 「それでは団子を二回食べて終わりじゃろうが!」

  検非違使を連れてやってきた幽との話が将軍と家臣の会話とは思えない。どちらかというと、盗賊団の親分子分の会話に聞こえる。

 

 『『この主があって、この家臣あり・・・どっちもどっちだ』』

 

 だが、こっちも似たもの夫婦。考えていることは同じだった。

 「さて、邪魔者もいなくなりましたし、久遠行きましょうか」

 「そうだな。今度こそ、二人っきりだ」

 嬉しそうにアキラの手を握る久遠。

 「ええ!では幽、一葉を頼みます」

 「待て!余も」

 だが、一葉の首根っこを掴んで離さない幽。

 「では、参りましょう公方様。ふふふ」

 「幽離せ!説教はごめんじゃ!」

 「説教なんて公方様にそんな恐れ多いことできませんよ。せいぜい、某ができることと言えば世間話暗いですぞ・・・さあ、なが~い世間話をしましょうぞ(ニヤリ)」

 「それが、結局説教になるであろうが~~!(ズルズル)」

 家臣に引きずられていく将軍様。ある意味貴重なシーンだ。

 

 

 そのシーンを見届けて検非違使もいなくなり、完全に二人だけとなった。

 「では、デートを今度こそ始めましょう」

 「ああ!楽しみだ!」

 こうして二人は、やっと二人だけの時間を楽しんだ。

 




 もう既に三十話も書いていたのか・・・早いな。まだ一か月も経ってないのに。次はついに北近江です!あの夫婦に会いますぞ!・・・ってまだそこだったのか!


 アキラが半狂乱になる原因の人物と言ったらあの人しかいませんよね!





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二十一振り目 お兄ちゃん・・・ですか?

 
 こんにちは!雪のすごさに敗北した三MENです!正直とんでもなかった・・・仕事、休みでよかった。

 では、ついに北近江に話を進めます!


 京を旅立ち、北近江に向かうアキラ一行。

 「はあ~~いなくなってしまいました」

 「大丈夫じゃ、双葉。あいつらとはまた会える。その時まで楽しみに待て」

 「そうですぞ、今はやるべきことをやりましょう」

 二条館の一室で、溜息を吐く双葉に話しかける二人。

 「そうですね、頑張りましょう!」

 「そうですぞ!これから忙しくなりますぞ!」

 「うむ、今の余らができることは、来るべき時に備える準備をすることぞ!」

 「はい!お姉様!」

 「覚悟を承知ですな・・・ですが、それしかありませぬ」

 「久遠を見て、アキラを見て・・・余もまだまだ頑張れると思った。このままではだめだと思ったのだ。さあ、やるぞ!」

 「「はい!」」

 一葉の言葉に二人は、かつての覇気を持っていた足利義輝を久しぶりに見た気がした。

 

 

 京を出たアキラ達は、北近江の小谷城に到着。その際、エーリカがその城を見て感激しており、城を見るのが好きなことが分かった。また、小谷城にいる久遠の妹は尾張時代からひよをとてもかわいがっているらしく、久遠は彼女ところに先触れを頼んで先に会わせてやった。彼女らしい気配りだ。

 城の城門が近づくと、ひよところが一緒に手を振っていた。二人の傍にはもう二人、女性がいた。一人は一瞬男かと思ったけど男装をしている女性と、もう一人はちょっと背の小さいけど声が大きい女性だった。

 「姉様!お久しぶりです!」

 「お姉ちゃん!久しぶり!」

 「うむ!真琴、お市。久しいな」

 久しぶりの家族の再会に、三人共嬉しそうな顔をしている。

 

 『背の小さいお市と呼ばれた方が妹ですね。ということは、こちらの女性が名高い浅井長政ですか』

 

 真琴という名は聞いたことないが、久遠やひよから市という名は聞いたことがある。だから、どっちが久遠の妹かはすぐには分かった。

 「アキラ、紹介してやる、こやつが、我の妹・市だ。市、我が夫のアキラだ」

 「ええ、久遠の夫をやっているアキラと申します。どうぞ、よろしくお願いします。先に言いますと、礼節などは全くと言っていいほどダメなのでそこらへんは目をつむっていただくと」

 「やだな~~私やまこっちゃんはそんなことを気にしないよ。お兄ちゃん」

 「そうですよ、お兄様。あ、僕は浅井長政。通称は真琴と言います!」

 「お、お兄ちゃんですか?」

 初めて聞いた呼び名にキョトンとするアキラ。

 「うん!だって市のお姉ちゃんの夫なら、市にとってはお兄ちゃんでしょ!」

 「その市の夫の僕にとっても、お兄様はお兄様ですよ!」

 「な、なるほど・・・」

 戸惑いながらも二人の言葉に返答した。

 「一つ聞いてもいいかな?先に来た手紙に書かれていたけど、本当に目が見えないの?全くといっていいほど、そんな感じには見えないんだけど」

 「それは僕も思っていました。まぶたは閉じられていますが、普通に話ができるから尚更そう思えなくて」

 「ふふふ、問題ありませんよ。すいませんでした、うちの久遠が手紙に変なことを書いていたみたいで」

 「別に変なことは書いとらんぞ。盲目の胡散臭そうな男としか書いてないわ」

 「ふむ、改めて久遠の胡散臭い男に認定されたアキラと申し・・・痛いです」

 折角久遠直々に言われた言葉で再度自己紹介をしようとしたら、その久遠から足を踏まれた。

 「そんな紹介するからだ。全くおかしなことを言うな」

 むすっとした顔をする久遠を見て市が笑った。

 「あはははは!お姉ちゃんがそんなに楽しそうなの久しぶりに見たよ。お姉ちゃんがそんなに楽しそうにしている姿って久しぶりに見たよ」

 「そこらへんは書かれていなかったからね」

 「な、何を言う!書かなくてもいいから書かなかっただけだ!」

 そうやって三人が楽しそうに話しているところを見ながら、アキラは別の事を思っていた。

 

 『何でしょう、何か嬉しいような恥ずかしいような。でも悪くないですね』

 

 さっきの二人から『お兄ちゃん』と呼ばれたことに実は内心照れていた。

 

 

 城の客間に案内されて、一段落した一行。今は、真琴への感想を言っていた。

 「中々好感の持てる女性ですね。浅井長政・・・真琴君は」

 「であろう。家中から当主に抜擢された当初はいろいろ不安もあったが、今ではあの通りだ。立派に国をよくしている」

 「・・・相当努力したんでしょうね」

 アキラが好感を持てるといった最大の理由はそこだった。当主になるにもそれ相当の苦労や困難が存在する。壬月から聞いた話だと、まだ久遠が織田家当主になる前は彼女は敵だったらしい。だから、真琴も当主になった当初はまだ家中に敵がいたはずだ。だが今は家中をしっかりまとめ上げているからこそ、アキラは好感を持った。

 一通り話が終わるとひよところ、そして市が入ってきた。持ってきた甘いもの、特に久遠は金平糖に目を輝かせた。

 

 『ふむ、今度から久遠を抑える時は金平糖を使うといいですね』

 

 どんどんそれを食べている姿を見てそう思った。そして食べたいだけ食べて満足したのか、京で自分や一葉たちに話したあの話になった。

 「金柑!公方にした話を真琴達にもしてやれ」

 「は!」

 エーリカが鬼の話を二人にすると、真琴と市の驚く反応に久遠は様子がおかしいと思い訪ねてみた。すると、この北近江にも鬼が出ていることを明かし、しかも尾張や美濃ではバラバラになって行動していたが、小谷に出てくる鬼は集団での行動もあり、草を使って調査したら京方面から来ている可能性が高いことを話した。

 その後、一通り話が終わると久遠は真琴に共闘を持ちかけた。

 「いいか、日の本が鬼に少しずつ浸食されてきている。我々の今やるべきことは、鬼に対抗するための勢力を増やすことだ。真琴、協力してくれるか?」

 「もちろんです!鬼を倒すことは民を助けることにつながります。ですが、鬼は配下の者が何体か倒してくれましたが、チリになって調べることもできませんでした。しかも、最近増えてきてるという知らせもあります」

 「そうなのか?尾張・美濃の方でも鬼は出るが、今以上に増えたという知らせは我の耳には入ってないが?」

 「え!それはいったいどういうことなんでしょうね?」

 この言葉を聞いて、この差は何故か?と思いあったが、アキラは何となく心辺りがあった。

 

 『あの二人かもしれないですね。基本好き勝手動いているようですし』

 

 アキラの頭に思い浮かんだのはあの鬼殺しが大好きな森親子だ。初めて会った時も自分が倒したことに腹立てるくらいだからあり得ると思った。そんな中、久遠が真剣な顔で真琴に話していた。

 「だが、このままでいいわけがない」

 「その通りです。でも、いったいどうするのです?」

 その真琴の言葉に久遠は立ち上がって力強い言葉で言った。

 

 「天下布武」

 

 真琴の顔が険しくなった。

 「・・・姉様、その道はとても険しいです」

 「わかっているが、この日の本に平和をもたらすには必ずやらねばならん」

 二人の当主の会話にアキラはあることを思い出した。

 

 『やらなければならないですか・・・梵を助ける時を思い出します。この時の決意は、あの時の私と同じですね』

 

 自分が助けると誓った。自分がやらなければならない。そして、必ず成し遂げなければならない。それを自身に言い聞かせて戦ったあの時の事を思い出していた。

 『久遠はそれをやると決めた。そして、信念をもって成し遂げようとしている』

 「久遠、私はあなたがその決断をしたなら、私はその背中を支えそして守ります。その言葉をしっかりやり遂げましょう」

 それだけの決意をした彼女の信念。その彼女の信念にこたえるためにも手を握り、しっかり自分の意思を伝えた。

 「アキラ・・・ありがとう」

 「そうだ!お姉ちゃん、小谷にはどれくらいいるの?」

 自分の信念に答えてくれた久遠は嬉しそうにアキラの手を握り返した。そして、暗い話はここまでと言わんばかりの市の言葉で、今後の事はひとまずここまでとなった。

 

 

 別室に案内され、今はその部屋で久遠と二人っきり。ひよ達は別室にいる。

 「アキラ、私がやろうとすることを支持してくれてありがとう・・・そう言えば、アキラもそういう決断をしたことがあると言っていたが、どういう時だったんだ?」

 「・・・仲間が敵につかまりましてね、しかも私ともう一人の仲間を逃がすためにわざと捕まったんですよ。必ず助ける。いや自分が必ず助けなければならない。助けられた時にそう決めました」

 「そうか」

 満足そうな顔をするアキラに見惚れる久遠。だけど、

 「・・・なあアキラ「お姉ちゃ~~ん」な、何だ市!」

 そこに市が入り込んだものだから、思わず強気の口調で返した。

 「??いや、お湯の準備ができたよ。入ってきたら?と言おうとしたんだけど」

 「そそうか、では先にアキラ入ってこい。我は後でも」

 「いえ、久遠から入っては?何やら汗をかいているようですし」

 お互いに譲り合う久遠とアキラ。そこに市が出したさりげない言葉。

 

 「え?譲り合わなくても、夫婦なんだし一緒に入ればいいじゃない」

 「「・・・は?」」

 

 この一言は、二人の時と意識を止めるには十分な威力のある言葉だった。

 




 はい、ちょっと中途半端での終了です!
 次回は『久遠と入浴!とエーリカの思い』です!



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二十二振り目 ・・・・・・夫婦風呂は初めてです。

 
 こんばんは、仮眠は二時間!と思いきや四時間寝ている三MENです!皆さん、お待たせしました。久遠とお風呂です!原作のCGを脳内映像でこの話を見てください。





 混浴・・・それは男女が一緒に入る風呂の事。

 混浴・・・それは男からすれば夢のような体験。

 混浴・・・それは女からすれば恥ずかしいが愛しい男性とやりたい事。

 

 「あ、アキラ。見ていないよな!心の眼で見ていないよな!」

 「・・・・・・」

 「何か言わんか!」

 今久遠とアキラは、お互いの背をつけて風呂に入っていた。そして、二人とも顔が真っ赤なのは風呂に入ってのぼせているせいではない。

 「何故でしょう。何か見られたくないものを見られている気がするのですが」

 「それは我の言葉だ!くうう~~、市はどうしてあんなことを言うんだ!」

 「私達が夫婦だからでしょうね。ですが、あなたの妹があんなに強引だとは思いませんでしたが・・・あ、二人が姉妹なのが納得したような気が」

 「おいこら!それはどういう意味だ!」

 「どうもこうも身に覚えがないなら、壬月さんと麦穂さんから聞いたあなたの城から抜け出した前歴でも話しましょうか?」

 「おけい・・・それより」

 自分の黒歴史をばらされそうになったので、すぐに止めた。その後に、恥ずかしがっていた久遠の顔が少し真剣になった。

 「なあ、アキラ。服を脱ぐときに、せ、背中が見えたのだが、その傷だらけの体は一体どうしたというのだ。そこまでの体ができるなんて・・・どれだけの戦場を駆け抜けてきたのだ?」

 風呂に入る際は先にアキラが入ってその後が久遠だったため、アキラの傷だらけの背中が彼女の視界に入ったのでそのことを聞いた。

 「・・・久遠。前に稲葉山城でいつか私の事を話す。と言いましたね」

 「え?あ、ああ、約束したな」

 その質問にアキラの空気が変わり、その空気にあてられ久遠も一緒に入っている恥ずかしさがなくなった。

 「これらの傷は全部ある漢を追いかけている時に着いた傷です。私は捨て子でその漢に拾われたのですが、とてつもない強さを持っていました。私はずっとその漢の背中を追いかけ続けました・・・そう、何年もずっとね」

 「何年も・・・その漢というのは一葉と聞いた」

 かつて、一葉と一体二のデートで聞いた話(間章4)を思い出した久遠。

 「その通りです。その漢の次に強くなりたかった。だから、命がけになって強くなり、力を手に入れるために戦い続けました。何年も・・・そう、一生をかけてもね」

 「それがこの傷、ということか」

 アキラの背中を、ちらっと見た。多くの傷が視界に入り顔を赤くした。

 「でも、その時の私はその漢ばかり見ていて気づかなかった。その思いを抱いていることを知り、そんな私を子供の時から支えてくれた漢の存在に。その漢がいなかったら多分私は挫折していたかもしれません。肩を掴み、たどり着くべき漢の背中を見せ続けたあの漢がいたからこそ、今の私がいます」

 この話がとても心にしみてくる久遠。

 「・・・アキラ。私はお前が特別な存在で、田楽狭間の天人と呼ばれるように選ばれた存在だからこそ、あの強さがあると思った」

 「私は誰からも選ばれなかった漢です。選ばれるために、その漢に近づくために、誰よりも努力をした。それだけです」

 久遠の言葉がなくなった。それだけ、だがそれをいったい何年続けてきた。諦めることをせず、やめようとせず、まっすぐに自分の目標を変えずに進み続けた。そんなことができる人間なんて全くと言っていいほどいない。

 これほどの漢が自分の夫。

 『アキラ。我はお主を夫にして、お主の妻になって本当に良かったと思っている』

 この時、久遠は本当にアキラを夫にしてよかったと思った。

 

 

 思い出話の続きはまた今度。ということで、今をどうするか聞いた。

 「久遠、これから先はどうするつもりですか?」

 「あ、あああ、とりあえず」

 国に戻り上洛の準備。その後は南近江にいる六角氏の観音寺城をまずは攻略する。その勢いのまま京に入り、一葉と合流し三好・松永衆を撃破。

 「それから先はまだ」

 「今はそこまででいいでしょう。一気に全部決めることはありません」

 「うむ・・・でも、これが本当に進むべきやり方なのか」

 決めても不安になる彼女を見て、アキラは励ました。

 「自分のやり方に不安があるのですね・・でも私は支持しますよ。人は言葉で分かり合えることは出来ません。刀で会話をしたり、餌を出して手を握ったり、そしてやろうとする者の背中を見せて気づかせる・・・どのやり方が正解かは誰もわかりません。できるのは自分の信じた茨の道を進むことです。あなたはそれをやろうと決め進もうとしているからこそ、私は全面的に支持するのです」

 「そうか、お前はそれをやっていたな。必死に、ずっと・・・諦めずに」

 アキラのそれを証明する体を見た久遠は、胸を隠しながらアキラの前に移動した。

 「アキラ、ありがとう。我を、支持、してくれて」

 『・・・う!か、かわいい』

 久遠の赤らめた笑顔とタオルで隠されているが少し見える彼女の胸の谷間が、アキラの胸がドキドキしている。しかも今は、風呂場で二人して裸でいる。夫なら当然この行動になる。

 「久遠・・・あなたが」

 「!!お、おい、アキラ!」

 「我慢が・・・できません」

 「・・・あ。アキラ」

 久遠の肩を掴み自分に引き寄せた。彼女も焦っていたが、アキラの真剣な顔に抵抗しなかったが、これもまたフラグだった・・・いいところで邪魔が入るというフラグ。

 

 「お姉ちゃ~~ん。お兄ちゃ~~んってあれ?どうしたの、二人ともそんなに離れちゃって」

 

 市が入ってきて、二人の密時に入ろうとするムードが台無しになった。

 

 

 その後、風呂を出て謝罪をしたが、久遠も少しだけ期待していたので文句は言わなかった。ただ、まだ気持ちに整理がついてなかったとの事。それを聞いたアキラは内心その照れる顔にまたドキッとした。

 少し気まずい空気のまま部屋に戻ると、市の陰謀なのか、姉の後押しなのか、布団が一組枕が二つしかなかった。最初は久遠を寝かせて別の布団をとってこようと思ったが

 「構わん、一緒に寝るぞ!いいな、本当に寝るだけだぞ!」

 真っ赤になって一緒に寝ていいと言ってきたので、一緒の布団に入り眠りについた。

 『・・・時人。あなた、時々こうして入ってきましたね。父親の吹雪の事を思い出して、涙を隠して、私と一緒に寝たいと言って』

 でも別の女の事を思っていたのは、もちろん久遠には内緒だ。

 

 

 ふと起きると、すでに久遠はいなかった。彼女を探そうと、部屋を出ると庭にエーリカがいて夜空の月を見上げていた。

 「エーリカ」

 「アキラ殿、知ってますか、月には二つの顔があります」

 「二つの顔・・・ですか?それは光と闇みたいな?」

 そう言いながらアキラも月を見上げた。

 「その通りです。こうして月見として楽しめる光の顔と化生・・・鬼達の力が強くなる闇の顔。特に満月は闇の顔が強く出てしまいます」

 「なるほど、今日はその満月という事ですね。つまり、こうしている間にも民が犠牲になっているかもしれない。自分がいれば助けられる」

 満月を見続ける彼女は黙って頷いた。

 「エーリカ、悔しいけど物事には順序が必要です。それは理解しているでしょう」

 「(コクン)でも、気持ちは」

 「どんなに努力しても、その分報われることはありません。私はそれをやり続けたけど全部報われることがなかった一人の人間を見ました。気持ちだけでやっても、それは達成できません」

 諭すように話したアキラ。そのアキラに質問をした。

 「あの・・・アキラ殿はどうしてそんなに強いのですか?特に心は誰よりも強く鍛えられていて、本当に頼もしく見えます」

 辛そうな顔で質問をするエーリカにアキラは肩を叩いて答えた。

 「さっき久遠も同じ様なことを聞きましたよ。私がやったことは努力を諦めずにやり続けた、これだけです・・・エーリカ、あなたも諦めずに努力を続けていれば思いが叶えられるかもしれません」

 「・・・本当に、叶うのでしょうか」

 真剣な顔で俯いている彼女の頬を掴んで、アキラはそっと額に接吻をした。

 「なああ!あ、ああ、アキラ殿!///」

 「内緒ですよ。誰にも、そう、久遠にも」

 「ななあ、ななな何で!///」

 「ふふふ、その顔です。力を入れすぎると壊れてしまいます。根を詰めすぎるのもよくありません。ほどよく、力を抜き気持ちを表に出すことも大切です」

 今度は真っ赤になったエーリカ。でも、おかげで固い顔が解けた。

 

 「お頭~~。お市様が宴の準備ができましたって!」

 

 その時ひよがやってきて、顔を真っ赤にしているエーリカを見て

 「お頭!エーリカさんを口説いていたのですか!」

 すぐに誑していると思った・・・まあ、今回は間違ってないが。

 「はああ~~。どうして、そうなるのです」

 「だって、お頭。一日一回誰かを誑しているじゃないですか!」

 「・・・宴に行きましょう。ひよ、毎日ではありません」

 「じゃあ、二・三日に一回はやっているんですね!」

 今までが今までだけに否定できなかった。その否定しなかったことにひよの鋭いツッコミが来た。そんな話し合いをする二人が先に行き、エーリカだけが残った。

 

 『私は・・・本当にやっていいのでしょうか。アキラ殿』

 

 ふと満月を見てそう思ってから、深刻そうな顔で二人の後を追いかけた。

 




 はい、今回はここまでです! 今後の展開のため、エーリカフラグを建てました!次はいよいよアキラが皆に力を見せます!


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二十三振り目 さあ、本当の幕が上がりました

 こんにちは!雪が解けてざまあみろ!と思っている三MENです!
 今回は結構真面目な内容です!


 小谷城で行われている宴会は、皆が幸せそうな顔をしていた。

 「うん!美味しい~」

 「と~っても、幸せだよ~」

 「素晴らしい!この焼き魚もいい味を出してます!」

 アキラ隊のひよ・ころ・詩乃は出された食事に夢中だ。特に詩乃は好物が出たため、目が輝いている。

 「ねえねえ、お姉ちゃん。あれは食べられるようになった?(にやにや)」

 「う、食べられなくても問題なかろう(あせあせ)」

 「あはは、そうだ!お土産に持たせましょうか?」

 「い、いらん!痛むだろう!」

 「ほら、市。そんなに押し付けないの」

 久遠と浅井夫婦も姉妹らしく、楽しそうに会話している。ただ、久遠の苦手なものの話が出たのか、彼女が苦い顔をしている。

 「はあ、この豆腐の味噌汁は美味しいですね」

 エーリカも美味しそうに味噌汁を飲んでいた。豆腐の味噌汁があったことにアキラも心が躍った。

 「お、私の好物も出してくれるとは」

 「アキラ殿も、これが好きなのですか?」

 「ええ、気づけば好きになっていた。というところですね」

 アキラは基本好き嫌いはないが、これに関してはちょっとした理由がある。

 

 『向こうの世界で狂の戦いの他に、これが目的であそこに行ってましたからね』

 

 狂との戦いの後にゆやが食事を出してくれて、その時に必ずこれが出ていたのだ。毎回食べているうちに好きになったのだ。少し過去を思いながら、皆を見回すと嬉しそうな空気を出す詩乃がいた。

 「詩乃はすっかり近江の焼き魚が気に入ったようですね」

 「(こくこくこく!)」

 焼き魚の肉を口に含んだまま頷く。本当に幸せそうだ。

 「とても幸せそうに食べていますね」

 「(ごく)もう、そんなにじろじろ見ないでください!」

 「私、見えていませんよ?」

 「心の眼で見ているのでしょう!久遠様から聞きましたよ!」

 「ふふ、ばれましたか」

 「アキラ様の事なら何でもわかります!」

 少し笑い話をしたが、前回のエーリカの話を思い出して気になることもあったので軍師の知恵を聞こうと思った。

 「笑いはここまでにして・・・詩乃、聞きたいことがあります」

 「はい、しっかりお答えいたします」

 さすがは詩乃。すぐに顔も気持ちも軍師に切り替えた。

 

 エーリカの話を詩乃にすると、軍師らしい考えで答えてくれた。今まで見た野良の鬼ならそこまで脅威ではないが、北近江で真琴の部下達が見た鬼の集団は統率が取れてきている事。その為には拠点となる城と食料などが必要になる事。最後に、鬼は本当にこのまま野良の範囲だけで終わるか。という話で終わった。

 「なるほど。私は一人の行動が多かったから、集団の行動がどういうものかは分かりませんでした」

 「え?アキラ様は向こうの世界では仲間もいたのでは?」

 「美濃にいた時はそう言ってませんでした?」

 彼女の隣のひよところが反応した。

 「いましたが、ただ集まっているだけでバラバラに好きなように行動していました。万単位の兵と戦う時は、さすがに協力しましたが」

 「「ええええええええ!!!」」

 かつての仲間との行動を思い出して言うと、二人ともびっくりした。詩乃も声に出さなかったが目を大きくしていた。

 「ま、万を超える兵と戦ったことがあるなんて」

 「お、お頭、千人以上と戦ったと言っていたのに、その上までいったんですか!」

 「ふふふ、さあ。どうでしょう」

 「「「お、教えてください!」」」

 三人とも、強い興味を持ってアキラに迫った。

 「へ~~。お兄ちゃん、そんなに強いんだ。だったら、市と勝負しない?」

 二人の叫び声に反応した皆。武闘派の市が笑顔でアキラのところに来た。後ろではやれやれという顔の久遠と真琴がいた。

 

 

 小谷城の庭に移動した皆。

 「あれがひよが京で買ったという闘具というやつですか・・・梵なら扱えそうなものをあの子が扱うのですか」

 「へ、へ~~ん。ひよ~、早速使わせてもらうよ!お兄ちゃん、始めるよ!」

 彼女は闘具を持って構えたので、アキラも腰の刀を抜いた。お互い準備OKなので、試合開始となった。

 「いつでもいいですよ。壬月さんが本気になって戦ったという実力を見せてもらいましょう」

 「よ~~し!いっくよ~~!」

 互いの得物で打ち合い市が身軽さを利用として横に回ろうとしたが、アキラもそれを読んで蹴りを入れようとしたが、闘具を盾にしてもう一つの闘具で攻撃したが刀ではじいた。

 「やるね!」

 「そちらもです。壬月さんと戦っただけはありますね」

 「それじゃあ、本気出させてもらうよ!」

 「それは結構ですが、そろそろ終わらせてもらいます」

 勢いよく走ってくる市を迎え撃つアキラ。

 「だあああ!」

 「い、市!それはちょっとやりすぎ!」

 「大丈夫だ。アキラは壬月に勝った男だ。心配いらない」

 「え、ええええ!あの壬月様に!」

 真琴は手合わせで本気を出したことに不安になったが、久遠の一言に驚く。市は力任せの攻撃を狙ったのか、渾身の一撃でアキラを襲い掛かる。だが、見え見えの攻撃が当たるはずがない。

 『囮ですね』

 アキラの推測通り、避けた先に市の本命の攻撃があった。

 「いっけ~~!!」

 「(ずん!)むうう!」

 見事にうけたが、アキラは耐えきった。

 『梵の攻撃と同じくらいでしたが、時人に比べればあっちの方が数倍上です!』

 何しろ、彼はこれ以上の攻撃を何回も受けたことがあるので、これなら大したことないのだ。そんなアキラの平気な姿に真琴と市が驚く。

 「「え、ええええ!た、た、耐えた!」」

 「はい、これで終わりです」

 驚いた隙に刀を頭の上に置く・・・勝負ありだ。

 「あ~あ。負けちゃった。市の攻撃に耐えるなんて凄いよ!」

 両手を上げて負けを認めた。それを見てアキラは刀をしまった。

 「あれ以上の攻撃を何回も食らったことがありましたから、あれなら耐えられますよ」

 「ええええ!市の一撃って岩をも壊すのに、それ以上の攻撃って」

 「市の本気より強い攻撃を食らっていたって・・・よく無事だったね」

 浅井夫婦はアキラの強さに驚いていると、エーリカが出てきた。

 「あの、アキラ殿。できれば」

 「エーリカもやりますか?」

 「はい、武人として戦いたくなりまして」

 「いいですよ。まだまだ戦えます」

 彼女が戦いの申し出をしたため、再び刀を抜いた。エーリカが構えに入ると同時にアキラも構えた。すると、彼女の刀が光り始めた。その様子にアキラはかつての世界で刀との対話を思い出した。刀が持ち主を認めると刀身が光る現象があるのだ。

 「あなたは刀との対話ができるのですか?」

 「え?対話というのが分かりませんが、これは私のちか!」

 「・・・ふむ、お客みたいですね」

 そこでエーリカは話をやめた。いや、やめるしかなかった。二人は嫌な気配を感じて意識をそっちに向けた。

 「お、お頭!か、刀が!」

 「え、、え、ええええ!お頭の刀も光ってます!」

 そんな中アキラの刀が光を出していることに、ひよところが驚いたその時だった。

  

 「「「「ぐるるるる!!」」」」

 

 兵を飛び越えて、鬼達が現れたのだ。皆が驚く中、アキラはすぐにひよ・ころ・詩乃に指令を出して、久遠と真琴を守るようにした。久遠らも見ているだけではなく、すぐに兵を呼び鬼と対峙するよう指示、更に詩乃の助言により別動隊も出し背後の注意もやった。だが、指示を出した後、改めて鬼の姿を見た真琴の顔色が変わった。

 「な!あ、あれは朝倉の三盛木瓜の家紋が入った鎧!」

 彼女にとって忘れられない家紋のある鎧を鬼達が着ていたからだ。

 「何!それは本当か!」

 「間違いありません!で、でも、どうして」

 「考えられる可能性は一つ。朝倉の治める越前が鬼の手に落ちたとしか」

 詩乃の推測に慌てる真琴。

 「そ、そんな!朝倉が!義景姉様が、鬼に負けたというのですか!」

 「落ち着け真琴!今は現状を打破しないといかん!」

 驚愕と動揺の顔をしたが、久遠がいてくれたことにより真琴も当主の顔に戻った。

 「・・・そうですね。ありがとうございます」

 「そうなるのも無理はない。大切な恩人がそんなことになったのなら混乱もする」

 「兵の皆さん!鬼には必ず三対一で掛かるように心がけてください!一対一では決してやってはいけません!」

 「「「はい!」」」

 二人が話している間に浅井の兵に指示を出す詩乃に感心して彼女を見る久遠。その間に、市・アキラ・エーリカは自分達の前に現れた鬼に対峙していた。

 「さて、久しぶりの鬼との戦いですね」

 「今までは民が鬼になって、それが襲い掛かってきたけど」

 「今回は訓練された兵が鬼となったということ・・・つまり」

 「戦い方もただ襲うだけではない。ということですね」

 アキラの付け足しに頷くエーリカ。

 「そうだね。刀を持って構えている時点で、いつもと違うのが分かるよ」

 「全てはこの鬼共を倒してから考えましょう!」

 「「そうですね(だね)!」」

 でも、訓練された兵の鬼とはいえ一騎当千の二人とそれ以上のアキラが負ける理由はない。三人とも、かすり傷一つ無しで勝つことができた。

 

 

 そして、鬼は全て撃破できたが真琴は暗い顔だった。

 「・・・明日にでも越前に草を放とうと思います」

 「だが、詩乃の言う通りなら戻ってこない可能性が高いのでは?」

 「覚悟の上です」

 「わかった。今日はゆっくり休めよ」

 でも、状況を確認する必要もあるため苦渋の決断した。二人の会話の中、アキラは自分の二本の刀を見ていた。  

 『ひよところが私の刀が光ったと言った。今はもう光ってないですが、そのようなことは今までなかった。いったいどうして・・・』

 だが、どんなに考えてもこの世界に来た理由と同じで分からなかった。だが、一つだけ分かったことがあった。

 

 『私のこの二本の刀。明らかに鬼を斬った時の感触が今までと違っていた。鋭さが増していたというか。初めて鬼を切った時はこんな感触じゃなかった。これは、鬼を斬るたびに鬼を斬る力が増すと言うことですか?・・・ダメですね、まだこれだけじゃわからない』

 

 それは鬼を殺すための刀に変わりつつある。ということだった。

 




 原作5・6・7章終了しました!前回の後書きでアキラの力と言っておきながら、どれくらい頑丈になったかしかかけてなかった・・反省。 

 次の間章でまた面白くしたいと思います!


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間章5-1 夫婦水入らず・・・まさか私がするとは

 こんばんは!最近忙しさが増し更新が遅れてしまう三MENです!
 お待たせしました!間章!本日はメインヒロインと二人っきりです!って、何か全員がメインヒロインにみえる気が・・・。


 「起きろ、アキラ」

 アキラを揺さぶって起こす久遠。何でも小谷城では『夫婦は布団は一組で寝るのが決まり!』という市の言葉に何故か久遠が逆らえなくて、この日も一緒に寝ていた。彼女もそれなりにアキラと寝るのが楽しみなのかもしれない。

 最初の時は二人とも恥ずかしかったけど、アキラは慣れて眠りにつけるが久遠はまだ照れてアキラの後に眠りにつく。そのため、起きるのはアキラの方が早いが今回は久遠の方が早かった。何故それが分かるのかというと

 「ん?あれ?どうしたのです?」

 「遠乗りをする。付き合え」

 もう起きた彼女に起こされたからだ・・・残念ながら尾張をこっそり出た日の朝に見た久遠の下着は拝めなかったが。

 「(ふう~)分かりました」

 「ずいぶん物分かりがいいな」

 「慣れですよ(は~~、向こうの世界にいるあの連中よりはマシですが)」

 ふと、仲間達を思い出し顔を青くした。特にトラウマを起こす灯の笑顔に気分が最悪になり、忘れようと布団に再び入った。

 「う、トラウマが・・・失礼します」

 「起きない・・・って、こ、こら!何をする!さ、さっさと準備せい!」

 「いいではありませんか。私達は夫婦ですし(ぐい)」

 布団をはがそうとした久遠の腕を掴んで、彼女を布団に引きずり込んだ。とても真っ赤になる彼女の言葉を気にしないで抱きしめる。

 「おいこら!(力強くてたくましくて暖かく包まれているような、何かずっとこうされたい気持・・・っは!)い、いい加減にせんか~~!」

 抱き着かれた久遠は一瞬欲望に負けかけたが何とか理性が勝って、無理矢理離れて、アキラを部屋から追い出した。

 

 

 追い出されたアキラは顔を洗うと市と会った。先に行け!と言った久遠は、まだ部屋で抱きしめられた恥ずかしさで真っ赤になっている顔を元に戻すのに必死だった。

 「お兄ちゃん!おはよう!」

 「おや、お市ちゃんですか。どうしてこんなに早いのですか?」

 「そりゃ、お姉ちゃんが」

 「いや、もういいです。言いたいことが分かりました」

 久遠から昨日寝る前に、遠出するから準備しろ。とでも言われたのだろう。彼女と話しながら城門まで行くと、目の前には二頭分の馬を見てすぐに理解した。彼女をよく見ると袋を持っている。おそらく、アキラと久遠の弁当が入っているのだろう。

 「あははは、わかってくれて嬉しいよ」

 「地味に付き合いが長いですからね」

 すると、市が首を横に振って優しい笑顔を出した。

 「ううん。そういう意味の嬉しいじゃないの。お姉ちゃんの妹として、お姉ちゃんを理解していることが嬉しいの」

 つまり、市は久遠という女性を心から理解しているアキラが嬉しかったのだ。

 「ふむ、久遠の家族からそういう言葉をもらえるのは嬉しいですね」

 「お兄ちゃんなら、お姉ちゃんの事をしっかり支えてくれる事が分かって正直ほっとしているの・・・だって、前のお姉ちゃんって鎧をきていたようなものだったから。その鎧を脱がす人が結菜お姉ちゃんしかいなかったの」

 「・・・昔の私に似てますね」

 アキラは誰にも心を許さなかった頃の自分を思いだした。

 「お兄ちゃんもそんなだったの?」

 「ええ。ある漢の背中を守り続けていたのですが、その漢からいきなり解散をくらったことがありまして・・・それ以来でしたね、心を許せるものがいなくなったのは」

 「・・・お兄ちゃんって本当にお姉ちゃんに似ているね」

 「何が似ているのだ?」

 そんな話をしていると、準備の終えた久遠がやってきた。

 「私達は似たもの夫婦だ。ということです」

 「そうそうお姉ちゃん!お兄ちゃんとたっ~ぷりイチャイチャしてきてね!」

 「おいこら市!そういうことは」

 「はいこれお弁当と水。じゃあ、行ってらっしゃい!市はまこっちゃんのお布団に潜るという最重要のお仕事が残っているから行ってくるね~!」

 ごまかす様に城に戻っていった。そんな彼女にアキラは笑った。

 「くう、市のやつ」

 「ほらほら。せっかく二人っきりなので邪魔が入る前に行きましょう」

 「わ、わかっておる!」

 渡された手綱をひき、城の門から出た。

 

 

 久遠の道案内で、向かった先は淡海を一望できる岬だった。ちょうど朝日がさして、淡海が紅く光っており二人してその朝日に見とれていた。

 「いい朝日だな。市のやつ、随分といいところを知っていたな」

 「ほう、お市ちゃんのおすすめでしたか」

 「ああ、城を抜け出して見つけたらしい」

 「・・・本当に姉妹ですね」

 姉妹そろって同じ行動をすることにあきれ顔を出したが、久遠はドヤ顔をしていた。

 「ふふん、褒めても何も出ないぞ」

 「城の抜け出しが誉め言葉に聞こえるのですか?」

 苦笑いをしながら登っていく朝日を見ていると、久遠の横顔を見えた。その彼女の顔に、こっそりドキドキして

 

 『女性の笑顔というのは本当にきれいです・・・あの人のように』

 

 初恋の人を思い出したアキラ。

 「どうした?我の顔をじっと見て」

 「ふふ、じっと見たくなるくらい綺麗だ。と思ってね」

 「・・・そういうことをサラッというな」

 「ですが、事実ですし」

 アキラの褒め言葉に照れる久遠。そんな彼女もまたきれいに見えた。

 「!!!そ、それより飯にするぞ!」

 顔を真っ赤にしながら、久遠は市からもらった袋を開けた。弁当を食べながらいろんな話もした。ここよりも大きな海はあるのか?今は上洛に意識を集中させている事。など、他愛のない話だが、貴重な夫婦の時間だ。

 「そう言えば、市ちゃんの言っていた苦手なものとは何です?」

 その他愛のない話の中に久遠の苦手なものの話が合った。

 「・・・何でもない」

 「ほう、よほど嫌いなのですね」

 「嫌いというより、どうしても好きになれん」

 苦い顔をする久遠。

 「ふむ、ではお市ちゃんから「聞くな」、では結菜「そっちも駄目だ」、じゃあ教えてくださいよ。いやなら土産にしてもらいますよ」

 そう言われて苦い顔をしながら、諦めたのかしぶしぶ答えを出した。

 「・・・いやらしいやつめ。鮒寿司だ」

 「ああ、確かに苦手な人には苦手ですね。あれは匂いも味も独特ですから」

 「以前土産に持ってきたことがあってな。ちょうど三河から葵が来て一緒に食べてみたんだが、・・・どうして市はあれをうまく食えるのか全く不思議だ」

 「人それぞれですよ。多分お市ちゃんは真琴君が好きで食べていたから、一緒に食べているうちに好きになったのかもしれません。ところで、葵・・・というのは?」

 「ああ、我の幼なじみだ」

 『久遠の幼なじみ・・・そんな人がいたのですか?』

 アキラは特に気にしなかったが、まさかそれが向こうの世界では紅虎と深く関わっているなんて、この時は想像もしなかった。

 「アキラ、水筒をくれ」

 「はい、分かりました」

 ちょうど飲んでみたのでそれを渡した。そのまま、久遠も飲んだ。その行為に

 「あ、間接キスです」

 思わずつぶやいてしまった。

 「ん?間接キスとはなんだ?」

 「キスは南蛮では接吻という意味です。つまり、水筒で間接接吻をした・・・」

 「(ぶほ)!!///」

 真っ赤になって飲んだ水を噴き出した。

 「な、ななな、なんてことを言うんだ!くううう!市め~~こうなることを知っていて一本にしたのか!」

 「まあ、弁当があれになるよりはマシですから、甘んじて受けましょうよ」

 「あいつめ~~!今度尾張に来たら逆にやってやる!」

 「・・・むしろ、自分から笑顔で一本にして!と言うのが想像できるのですが」

 「・・・くそ。どうすれば、あやつに仕返しができるんだ」

 アキラの指摘に久遠も想像できたのか、苦笑いをして悔しんだ。

 

 

 その後再び淡海を見ていると肩に重みが出たので、意識を向けると久遠が肩に頭をのせていた。

 「・・・市と真琴のいちゃつく姿を想像したら、何か羨ましくなった。しばらくこうしていたいがいいか?」

 「構いませんよ。二人の仲の良さは私も羨ましい、そう思ってましたから」

 アキラと久遠。共に笑顔で太陽を見ている。

 「アキラ・・・我は今幸せだ。お前と一緒にいることが、心から嬉しく思う」

 「久遠・・・私も一緒です。あなたと同じ気持ちですよ」

 「そうか」

 「そうです」

 お互いに軽く笑って顔を向けた。そして、朝日に照らされて写された二人の影の唇が・・・ついた。

 

 『お市ちゃんが最後に言おうとした言葉はこうして久遠を甘えさせてくれ。ってことでしょうね。ええ、これからもしっかり甘えさせますよ』

 

 久遠が来たせいで言いかけてやめた市の言いたかったことが分かり、しばらく寄り添いあったまま二人は淡海を見続けた。影の唇はついたままだった。

 

 

 小谷城に戻る際に城下街に寄った。

 「さて、堺で買おうと思ったがすっかり忘れていたあれをやらないとな」

 「そうですね。やっておかないと絶対に文句言われますからね」

 「ああ!」

 「忘れなかった今しかできません」

 二人は真剣に街のいろんな店を出たり入ったりして探していた。それは、

 

 『『結菜のご機嫌取りのお土産を見つけないと!』』

 

 尾張を出る手配をして、なおかつ壬月と麦穂のご機嫌取りもやってくれたのだ。土産の一つでも買わないと雷が落ちることが簡単に想像できた。お互い、いろいろ探したがこれだ!というものが中々見つからない。

 「いったいどんなものが喜ぶのか。せめてそれが分かれば」

 「喜ぶもの。ですか」

 そう考えながら久遠に意識を向けるとひらめいた。

 

 『久遠とのペアルックなら、きっと喜んでくれるはずです』

 

 そして、アキラは二つ一組のものを探し・・・一刻ほどでようやく見つけたので、久遠にそれを見せた。

 「これならどうですか?」

 「簪か・・・」

 アキラが見つけたのは花飾りと蝶の飾りが着いたかんざしだった。うまい具合に女性向けであり、同じものが二つあった。

 「うむ、結菜もお前が選んだのなら納得するだろう」

 「それはよかった。店主、こちらを二個お願いします」

 「は?二つ?」

 「ええ、あなたの分です」

 キョトンとしてアキラの買う簪を見る久遠。自分の分があるとは思わなかったのか、

 「わ。我の分もあるのか?」

 「はい、二人でおそろいのものを・・・そう考えてこれにしたのです」

 顔を真っ赤にして、とても嬉しそうな顔をした。

 「お待ち!奥さん、よかったですね」

 「なああ!お、奥さんだと!」

 店主のからかいに思いっきり照れてしまい、

 「ふふふ、さあ、帰りましょうか。奥さん」

 「お、おい!こら待て!」

 商品をもらって城に戻るアキラを慌てて追いかけた久遠。

 

 『女性へのプレゼントは今思えば初めてです・・・喜んでくれるといいですね』

 

 アキラも夫婦と見られたことに少しだけ赤くなりながら、隣から文句交じりで話しかけてくる久遠と一緒に城に戻った。

 




 今回は、リア充爆発しろ!な内容でした。書いていてむなしくなってきた・・・。自分もあんな彼女ほしい。
 次回は間章にするか、それともアキラのいない世界特別編第二弾にするか。そろそろ、そっちの方の話も書こうと思います。


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間章5‐2 あの人を思うからこそ R-18

 
 今日は、最近疲れやすい三MENです!間章をつづけることにしました!今回はアキラが少ししか出ません!ただ・・・結構こうした内容を待っていた方もいるのではないでしょうか?では、始めます!



 二条館の自分の部屋で一葉が眠っていた時に、双葉が入ってきて彼女を起こした。ただ、起こす際に彼女を巻き込んで服を脱がそうとしたため、

 「もう~お姉さま。怒りますよ」

 「ははは、すまんすまん。つい抱きしめてしまって」

 双葉は着崩れしまくって、もはや彼女自慢のおっぱいを丸出しにしてもなお服を直さない一葉に怒った。ちゃんと、服を戻すよう言ったら

 「かまわぬ、二人しかいないし・・・ふふ、この姿。あやつにだったら見せてもいいかな」

 こんな返答が返ってきた。こやつという言葉に

 「え?もしかして、アキラ様ですか」

 思わずアキラの名を出した双葉。

 「ほう~~どうしてアキラがの名前が真っ先に出た?」

 「う・・・何でもないです!か、髪を直しますよ!」

 「はっはっは!ああ、頼むぞ」

 姉の問いに真っ赤になりながら誤魔化して、彼女の背後に回った。一葉はその間にちゃんと着なおしたが、少し寝汗をかいたのかそれが襦袢に浸み込んで、うっすらのおっぱいの先の乳首が見えてしまい逆に色っぽく見えた。その胸に少しだけ羨ましいと思ってしまった妹であった。

 

 

 その後、一葉の髪を櫛で整えていると幽も入ってきて三人で団欒を始めた。

 「今朝の味噌汁は双葉様がお作りになられました。作っているときは、中々楽しそうにしておられました」

 「ふむ、最近やけに頑張るのう?」

 「は、はい。アキラ隊のころから新しい味付けを教えてもらったので、作ってみようと思いまして」

 「「ほう~~~、作ってみようと?」」

 その理由に興味津々、ほらほら言ってみなさい。大丈夫、ちゃんと内緒にするから的な文字が顔に書いてある二人が双葉に近づいた。

 「あ、あの、その・・・本当に大したこと(かああ)」

 「もしや、昨日の味噌汁が濃かったのは」

 「おそらく尾張の味噌を使ったからでしょう。あちらの方の味噌はこちらに比べて味が濃いですからな」

 「ほ、本当に大したこと!(ぼん!)」

 効果音すら聞こえてきそうな、その照れて言う姿は逆効果だった。

 「それは、だ、れ、の、好きな味付け、じゃったかのう?」

 「ふふ、ついに双葉様も意中の男性ができましたな~」

 「そ、それを言うなら、お姉様や幽だってそうじゃありませんか!」

 「ふふふ、それもそうじゃったな」

 「双葉様。某は」

 「そんなことを言っていいのですか?アキラ様の名前を言って赤くなっていたのを知っているのですよ」

 「な!何と!あの時は確かに誰も・・・あ」

 まれに見る幽の自爆に、一葉のターゲットが双葉から幽に変更された。

 「ははは!双葉だけでなく、幽にも春が来たか」

 「く、公方様!だ、だから「わかっておる。大丈夫だ」絶対に違う分かり方をしておられるでしょう!」

 最初は双葉いじりだったが、途中から幽いじりになり何とかそれ以上の追及を避けることに成功して、やっと落ち着いた。

 

 『でも、どうして料理を頑張っているのだろう?作ってみたいというのも確かにあるけど・・・やっぱり、アキラ様に食べてもらいたいと思っているのかな?』

 

 アキラの名前を思い浮かべた時、また顔を赤くした双葉だった。

 

 

 食事も終わり、双葉が部屋でゆっくりしているとあるものを取り出した。それは虎模様柄の布切れ(バンダナ)だった。

 『この布。アキラ様の』

 それを見て、あの時のことを思い出した。

 

     回想・双葉視点

 あれはアキラ様とアキラ隊のひよ・ころ・詩乃の五人で外を歩いた時でした。お姉様から許可をもらって街の中を一通り楽しんだ後の事でした。

 『山に行ってみたい、ですか?』

 『はい。できることなら、この街全部を見てみたいのです』

 『ダメですよ、双葉様。今は野盗がまだ結構います』

 『ころの言う通りです。アキラ様はお強いから大丈夫かもしれませんが、公方様が許したのは街の中までです』

 『そう、ですね』

 『申し訳ありませんが、私も三人に賛成です。彼女との約束ですから・・・館に戻りましょうか。山の代わりに、私が面白いものを見せましょう』

 結局諦めましたが、アキラ様が何を見せてくれるのか。その事が楽しみで残念とは思いませんでした。二条館に戻ると門の前でお姉様と幽、久遠様がいらっしゃいました。ただ、お姉様と幽は武装していました。

 『お、戻ってきたぞ』

 『ほう、よかったですな。どうやら、約束を守ったようですぞ』

 『うむ。我に似ていろんなところに行きたい気持ちを持っておるからな。四人ともよくぞ止めてくれてありがとう』

 本当に・・・見抜かれていられたのですね。本当に、お姉様にはかないません。

 『・・・そうだ、三人も見ていきますか?』

 アキラ様が意地の悪い顔をした。は~、何かこういう顔も素敵に見えます///。

 『見る。何をだ?』

 『お頭が面白いものを見せるらしいんですよ』

 『でも、まだ教えられてないので分からないんですよ~』

 『よほど自信があるみたいですので、せっかくですから見ていきましょう』

 詩乃の言葉に三人も興味津々でした。因みに、エーリカさんはこの時街に出ていて見ることができませんでした。

 

 その後、アキラ様は庭ですごいものを作ったのでしたね。

 『『『『『『『な、なんと!!』』』』』』』』

 『どうです。似ているでしょう』

 私達の前には犬、いえ正確に言うなら氷で出来た犬です!

 『壬月からお前が氷を自在に操る技を持っていることは聞いていたが・・・こんなことまでできるのか!』

 久遠様の言葉で初めてそのことを知りました。でも、こんなこともできるなんてすごいです!

 『お頭!私達も初めて知りましたよ!』

 『もう~~、隊長なら部下の私達にも教えてください!』

 『アキラ様・・・猫も作れますか?』

 ふふ、ひよやころも知らなかったのですね。詩乃は知っていたみたいで、次は猫を作ってほしいと言っていました。

 『確かに面白いのう!氷を出してそれを細かく削り出したと思ったら、これができるとは!』

 『街でやったら大儲け間違いなしですぞ!少しは公方様の無駄遣いしたお金も取り戻せる。そして、私の懐も・・・』

 『幽、その時はあなたの裸体の氷像を作りましょうか?女性の女体氷像は卑猥ですが、大金を稼げますよ』

 『(たらり)いえ、ただ言っただけですので、ご勘弁ください。久遠様の裸体像は御創りならないのですか?』

 ふふ、幽ったら冷や汗を流しているわ。

 『な、ななな、何を言うんだ!』

 『ははは、まずは詩乃希望の猫を作りましょう』

 『おい!作る気か!否定しろおお!!』

 また氷の固まりを出すと、今度は言った通り猫の氷像ができました。その後もいろいろな氷像ができていって楽しかったです。因みに久遠様の裸体像は、自分以外見てはいけないから作らなかったです。その事で一番久遠様が大声をあげておられました。

   回想終了

 

 思い返して、笑顔を浮かべた双葉。

 『あの後、私達の顔だけの氷像を作った時は本当にびっくりしました。自分の顔を見て、幽の心から驚いた顔はとても久しぶりでした。でも、その時にアキラ様の刀からこれが落ちてしまって・・・虎のような模様みたいですが、アキラ様はどうして刀にこれを結んでいたのでしょう。私は、どうしてそれを隠すように拾ってしまったの。アキラ様のを拾って、返さないで・・・』

 そう思って顔の前までバンダナを持ってくると、

 『(ドキドキドキドキ)』

 心臓が一気に早くなり、自分の中の願望に負けて思わず匂いを嗅いだ。

 「アキラ様、あ・・・すごい、力強い匂いが・・・ああ、アキラ様♡」

 最初はただ嗅いでいたが、匂いの嗅ぐ強さと時間が増すと、その場に寝転がり同時に手を股間の方に伸ばして、自分の下着に指が触れた。

 「あ、あ・・・ま、まるであの人に抱かれているような・・・あ、か、体が熱くなって。し、し、下着が、濡れていく」

 顔が赤くなっていき、その布を今度は胸に押し付けた。

 「ああ、アキラ様!」

 彼女にとっては自分の胸にアキラを抱きしめる考えになったのか、強く叫んでしまった時だった。

 

 「双葉!いるか」

 

 空気を読めない将軍・一葉が襖を開けて中に入ってきたのは。

 「「あ・・・」」

 互いに気まずい空気。双葉に至っては、片手は胸にもう片手はパンティにいっている。その現場を見られたので気が気でない。

 「・・・す、すまん。ちゃんといるか確認をしてから入るべきじゃったな。双葉とてそのようなことをする女子じゃったな」

 謝罪をしながら襖を閉めようとする姉。

 「あ、あ、あのあのあの!」

 「ん?何じゃ、手に持っているそれは」

 「いえ!こ、これは決してアキラ様のモノじゃ・・・あ」

 焦りに焦りまくって手を振り続ける双葉。その手に持っているバンダナに目が行く一葉が訪ねると、思わず口走ってしまった。

 「アキラのものか・・・双葉よ、すまぬが余にも貸してくれぬか?」

 「お、お姉様?」

 からかうかと思いきや、貸してほしいと真剣な顔で聞いてくるのでキョトンとする。

 「幽がおらんから言うが・・・余も、双葉と一緒でアキラの事を想うと・・・したくてたまらないのじゃ」

 「・・・は、はい・ど、どうぞ」

 一葉は頼む理由を素直に答えると、少し頭も冷やしたい気持ちもあったからかバンダナを一葉に渡した。それを服の中に隠して早々と出て行った。

 『お姉様も、やっぱりアキラ様の事を・・・』

 彼女のそんな行動が、姉も同じ想いだと改めて知った。

 

 バンダナを借りた一葉・・・双葉は名前の時だけ叫んだが、

 「あ、ああアキラ!う、ううん!よ、余の胸。いいぞ!も、もっとじゃアキラ!ああ、余はもっとお前に、抱かれたい。ひゃ!アキラ・・・ずっと一緒にいいいい!」

 一葉の喘ぎ声が部屋から聞こえる。しかも、かなりいつも通りのボリュームのため外にいる人には丸聞こえだ。

 さっきの双葉より遠慮なくバンダナを顔にかけて匂いを嗅いで、自分の二つの乳首交互にくすぐるようにいじっている。匂いと乳首の刺激で、さっきから指を出し入れしているヴァギナからどんどん愛蜜が出てくる。既に快楽に溺れているせいで、

 

 『ど、どうしましょう』

 

 休憩終了を伝えに来た幽は子の喘ぎ声を聞いて困っていた。彼女が一人でいたことが唯一の幸いだった。こっそり中を見ると襦袢から自慢の胸が飛び出ていて、先の乳首を二つとも押し込んでいる。バンダナの匂いを一葉は喘いでいた。腰が少し浮いており、ヴァギナからは愛蜜が出続けていて指や手だけじゃなく、既に床まで濡らしていた。

 『落ち着いたら入りましょう。誰にも言えませんし・・・某も後で・・・いやいやいやいや!何を考えていますか某は!わ、私は別にアキラ殿の事なんて想ってないんだからね~!』

 自分の中で生まれた感情と戦いながら、幽はそそくさと退散した。一葉の痴態を目撃したことで彼女の割れ目も胸もドキッとしたのは、彼女だけの秘密だった。

 

 

 

  場所が変わって、ここは尾張の久遠とアキラと結菜の家。

 「す~~。やはりアキラの布団で寝るのが一番落ち着く」

 夕方だが、結菜はもう布団に入っていた。そこで何をしているのかというと・・・匂いをかいでいた。

 「アキラ・・・アキラ・・・あ!も、もう。押し倒すなんて」

 彼女もまた、一葉・双葉と一緒でアキラの匂いで抱かれる妄想をしており、自慰も始めていた。

 「もう、でも、そんなああ!いきなり胸をつかむ・・・ん!揉んで、触って!ら、乱暴に、して!」

 こちらも一葉同様遠慮なしで始めている。こっちは一人しかいない上に、アキラが実際に暮らしていたので妄想の種類も多い。しかも、この家にはめったに来る客はいないので一葉以上に

 

 「アキラ・・・私、あなたに、抱かれたい♡」

 

 激しくやっている。布団の一部を指に絡めて彼女のヴァギナに出し入れしていた。その指が愛蜜でどんどん濡れてきた。結菜の口から涎も出てきて、枕も濡らしている。

 「ああ!いい!あうん!」

 服が乱れて乳房も出たが構わなかった。彼女はその乳房を揉み、乳首を指の間に挟めた。その瞬間、ビリッときた。

 「乳首が、立ってる・・・アキラ、ふふ、あなたのせいよ。あなたの匂いが(すれ)ひうん!あ、あう、もっとよ(はあはあ)」

 その乳首がアキラの布団にこすれ、ヴァギナからは愛蜜が溢れ出て、布団の下の方は既に自慰で出てきたその愛蜜で一部が濡れていた。彼女の顔が既に淫らな表情に変わっているので、布団で体を覆っているが何をしているかすぐにわかる。

 結菜は自慰が全部をアキラにされていると思い、乳首を挟めた分の手もヴァギナに移動して・・・そこの入り口をくすぐっていき、結菜の体を淫らにさせていった。

 「アキラ、好きなの。大好き、大好きなの!」

 それもまたアキラにされている妄想で更に乱れさせていき、快楽の絶頂に近かった。妄想のアキラはどんな責め方でより結菜を淫乱にしているのか?それは、

 「あ、ああ!ああああ!いいの!もっと!アキラ・・・私を、狂わせて~~♥!」

 彼女本人しか知らない。体を震わせて、思わず足で腰を浮かせた・・・そして、

 

 「あ、ああ、あああっはああああ♥!!・・・ああ、アキラ、いい匂い。ああ、あなたの匂い、あああ♡」

 

 敷布団と掛け布団の両方とも下半分をぐっしょりにするくらいの愛蜜がとんだ。これで満足と思いきや、アキラの匂いがすぐに割れ目から愛蜜が出した。

 「う、うふふふ。ああ、素敵♡」

 ひくつくヴァギナはまだ余裕がありそうだった。

 

 

 でも、空腹と疲れが同時に来たので、休憩もかねて食事をした。食後はすぐに二回目に突入して、着ていた服すら邪魔になり全部脱いでさっきよりも激しい自慰を始めた・・・たまたまお茶の誘いを受けた麦穂の「お邪魔します」を聞くまで満足そうな顔で続けた。

 

 『うふふ、これからも二人が帰ってくるまでの間、たっぷりさせてもらいましょう』

 

 麦穂が来たことに気づいて、慌てて着替えをしている現場を見た彼女はどうなったか・・・ミイラ取りがミイラになった。とだけいっておこう。ちゃん♪ちゃん♪

 




 はい!本日は色っぽさ満点のお話でした!最後にどうして結菜を出したのかというと、双葉のこの話を見たときに彼女もやっているだろうと思ったからです!

 アキラはバンダナがないことは知っており、双葉が拾ったことすらも知っています。でも、このような使い方をするとは思ってなかったようです。
 何で返してもらおうとしなかったのかというと、双葉が寂しそうだったから代わりのモノとして預けようと思ったのと、あの漢の思いは自身の刀にしっかり籠っていることを知っているからです。
 も
 次回はもう一つ間章をやろうと思います。


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二十四振り目 ・・・どちらが鬼ですか?

 こんにちは!三MENです!今回は間章をやめ本章にしました。急に変わってしまってすいません!タイトルで誰が出るか、分かりますよね・・・


 アキラとアキラ隊のひよ・ころ・詩乃とエーリカの五人は、今小谷城を出て江南に向かっている。その理由は

 

 『鬼がどこから来るか調べる必要があります』

 

 詩乃のこの言葉からだった。鬼にいつまでも後手に回るわけにもいかないので、調査をしようと話し合いに参加した久遠達も頷いた。でも、小谷城で出せる兵は周辺の村や城を守らせているし、越前への注意もしないといけない。

 そこで、今は自由に動けるアキラ隊の四人と鬼に詳しいエーリカの出番となった。

 「観音寺城、でしたっけ?情報によると、その周辺から鬼が来るというのは」

 「はい。お市様は直接鬼を倒しておられますし、何より久遠様と同じくらいの観察眼と判断力を持っています。十分に信用できる情報です」

 「壬月様と互角の勝負ができるお方ですから、鬼を一人でも倒せますしね」

 「尾張にいたころのお市様って、本当にお転婆でしたよ・・・それに、どこへ行くにも私も連れていかれて。でも、楽しかったですからいいですけど」

 「あれはお転婆で片づけていいのですか?」

 ひよのお転婆の言葉に詩乃が突っ込んだが、久遠の妹だからいいのでは?とこっそり思ったアキラ。それに、アキラならあれはお転婆の領域に入る。何しろ、その領域を簡単に飛び越えて暴れる連中が自分の世界にいるからだ。

 「それより三人とも、壬月さんなら私も勝ったことありますが」

 「「「お頭(アキラ様)は別です!何しろ、天人さまなのですから!」」」

 「あの、隊の皆さんはどうしてアキラ様をとんでもなくすごい人!というような顔で見ているのでしょうか?」

 「いいのです、エーリカ。結構美化されているみたいですけど、絶対に修正しないのですから、私は既に諦めています」

 そんな雑談をしながら今回の目的を話した。観音寺城周辺の地図の作成、そして近隣にある村で鬼に関する情報収集。後は城下街に行って上洛の際の攻めるための情報として城の兵の数や備蓄等といった情報集め。これが今回の目的だ。

 

 

 気楽に村までやってきたが、地図を創るためにいろいろ調べながらゆっくり進んでいたため、もう日が沈み暗くなっていた。アキラとエーリカは夜でも大丈夫だが、残り三人を連れてとなるとさすがに危険だ。鬼の数体程度ならともかく、ここら辺の鬼は十匹以上の集団になっているという話なので、彼女達を歩かせるのは危ない。

 そこで、近くの村にある一軒の家に泊まらせてもらうことにした。その家の人から聞けたことは、情報通り鬼が集団で活動していることと、どこかに向かっているという事だった。実際に見た村人も何人かいたらしいので、十分に信用できる情報だ。

 『やはり、人のいるところに向かって動いているようですね。そりゃ、食事は動くもの全てに必要ですからね』

 そんな考えを持ち奈良が、お礼として堺で手に入れた金平糖をあげると、その甘さにとても喜ばれ、夜いきなり来たことで警戒もされていたが解くこともできた。

 

 次の日、その集団を見たという場所に向かった。最初はアキラとエーリカだけにして非戦闘員の三人は置いていくつもりだったが、頑なに一緒に行く!と言ってきたため連れてきた。

 その場所に着いて、一通り調査するとアキラがあるものを見つけた。

 「ふむ、どうやらあの人達の話は本当のようですね」

 「え?どうしてわかるんです?」

 「これですよ」

 「これって、足跡ですか?」

 これを見て分かったのは詩乃とエーリカであり、ひよところはまだ?だった。

 「この足跡は、明らかに動物のものではありません。つまり」

 「これがあると言うことは、近いということですね」

 移動に気を使わない連中だからこの足跡は間違いなく鬼のものと判断した。つまり、自分達は近づいているという事だ。そこからは慎重に先を進むと、案の定鬼の声が聞こえた。アキラは周辺への気配の察知に神経をやったが、隣のエーリカは不思議そうな顔をしていた。

 「近いですね」

 「はい。でも、少しおかしい気が」

 「おかしい?」

 彼女のその言葉にアキラは疑問を持った。

 「鬼の声が、威嚇や周りの鬼を集める声と違って・・・私達で言う悲鳴でしょうか?そういう声を出しているような気がするのです」

 エーリカに指摘され、改めて声を聴くが違いはさすがに分からなかった。だが、致命傷を食らって倒れる兵と同じような悲鳴だというのは分かった。

 「行きましょう。三人は戻って「「「却下です!」」」。」

 「あの、私もアキラ様の「「「一緒に行きます!!」」」。」

 「私達もアキラ隊です!」

 「私達は一心同体です!」

 「あなたのそばを決して離れません!」

 三人の決意はとても大きかった。力づくでも帰ってくれそうにない。

 「・・・一瞬でも危ないと判断したらすぐに逃げること。いいですね」

 「「「はい!」」」

 三人の想いに負けて連れていくことにした。足跡をたどって森の中に入り、声が近くなり森を抜けた草原で何かが起こっていることが分かった。

 「準備はいいですか!」

 「「「「はい!」」」」

 アキラも腰の刀に手をかけた。五人とも、真剣な顔になって森を抜けた。

 

 

 そして、抜けた先にある草原で見たものは

 

 「「ひゃっは~~~楽しいぜ(わい)!!」」

 

 どこかで見た親子が鬼相手に無双しているシーンだった。

 「「「「・・・(キョトン)」」」」

 四人は呆気に取られた。そりゃ、鬼の十匹以上いる集団がたった二人でボコボコのズタズタのざしゅざしゅのぐちゃぐちゃにされているのを見れば、そうなるのも当たり前だ。

 「ふ~~。すっきりしたわい」

 「ああ、あいつをぶちのめせなかったイライラがなくなったぜ!」

 二人の周りには、チリとなって消えていく鬼の死骸のみ。アキラは本気でどっちが鬼か一瞬分からなかった。

 「・・・何しているのですか?」

 「「何者だ(じゃ)!・・・って、ああああ!」」

 「は~~~。とりあえず、鬼が鬼を全殺した・・・じゃなくてこの二人が鬼を全殺しにしたってことでいいんでしょうか?」

 「・・・・・・はい」

 現状の確認をして刀から手を離したアキラに、かろうじて戻ってきたエーリカも絞り出すような声で返答した。

 「てめえ!何でここにいやがる!」

 「儂らを追いかけてきたのか・・・ふふふ、いい度胸だ!」

 「それはこちらのセリフです。桐琴さんと小夜叉はいったいどうしてここに?」

 「「覚悟しやがれ~~!」」

 質問を無視して襲い掛かってきたので、すぐに抜いた刀で二人の攻撃を防いだ。

 「それで、どうしてここにいるのです?」

 すぐに二人の槍の穂先を地面に叩きつけて、氷を作り地面にくっつけた。質問そっちのけで文句を言ってきたが、話に答えればちゃんと氷を壊すことと約束すると簡単に答えた。自分達の縄張りである尾張・美濃での鬼も大体狩ったので、遠くにいる鬼をぶち殺そう!ということだった。

 

 『何か、この二人を見ると昔を思い出しますね。特に、桐琴さんは狂と少し似ているところがあります。どんなものにも絶対に縛られない生き方をしようとする姿勢が・・・ふふふ、本当に似てます』

 

 その後、勝手に他国に入ったことを黙るのを条件にちょっとした交渉をした。鬼の様子や変化があったら教えてほしいこと、鬼の巣を見つけたら全殺ししてもいいからどこで見つけたか話すことを頼んだ。

 ただし、桐琴の方もただでは動かなく、決して自分達森一家に指図しないことと鬼退治はアキラも同行することを条件にアキラの要求を飲んだ。

 その後は自分達がなぜここにいるのかの経過を説明した。尾張を久遠と抜け出した話には桐琴も大笑いをした。

 「がはははは!あの宿老二人を出し抜いて新婚旅行か!お主ら、似たもの夫婦じゃな!」

 「ふむ、何かいろんなところで言われている気がしますが」

 「「「言ってますよ」」」

 「あなた方が言っているのですか!」

 隊の三人は口を揃えて肯定した。

 「それにしても、お主。相当の実力があるのはあれ(100件記念小説)で知っておったが、なかなか食えないやつよの!わしらに交渉を持ちかけるとは!」

 「母~。俺は今ぶちのめしたいだが」

 「かっかっか!まあ、こやつをいつかぶちのめしたいのはわしも一緒じゃ。近いうち必ずやらせてもらうからな!」

 「ええ、受けて立ちます」

 話も終わり、ちょうど初顔のエーリカもいたので紹介したらアキラの時と同じように初対面なのに威圧しながら話すと、彼女から心からの褒めの言葉を受け一瞬キョトンとした後すぐに小夜叉を連れて去っていった。

 

 『悪評が自慢の森一家。と言われてますから、ああした賛辞は恥ずかしかったのでしょう。でも、嫌いではありませんね・・・四聖天の頃を思い出します。そう、天下を取ることが最強になると思っていたあの頃を。狂にその称号を上げようと思っていたまだまだ子供だった時の頃を』

 

 思い出しながら空を見上げた。その青空に狂とあの三人の顔を見た気がしたアキラだった。

 




 今回はここまでです!次辺りで本作品の第三章を終了にするつもりです。でも、ちょっと思った通りにすすめられない・・・くそ、文章力アップしたい。 


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二十五振り目 時には堪えることも大切

 こんばんは!仕事が終わった三MENです!
 本日は三章終了です!これが終わったら間章を二つほどそして特別編を一つやろうと思います!
 今回ほとんどがシリアスで尚且つ真面目です・・・。というか、鬼との戦いは森一家が絡んだ時でないと面白く書けない・・・文章力がなくてすいません。


 アキラ達は、小谷城に戻る道を歩いていた。

 「あの暴走親子と会って協力を得られたのは大きな手柄でしたね」

 「あの~上洛の時に観音寺城を攻める情報が今回の目的だったんじゃ」

 「お頭、目的変わってません?」

 ひよところのジト目にアキラが笑う。

 「ははは、冗談ですよ。でも、自由奔放ですが一騎当千な二人の力を得られたのは本当に大きいですよ」

 「そうですね・・・ただ、扱いが困難でしょうが」

 「ですが、私は桐琴さんがとても大きな人に見えました」

 「ほう、エーリカもそう思いましたか。あの人は自分の信念を絶対変えることも曲げることをしない・・・心から尊敬できますよ」

 アキラの言葉にアキラ隊の三人はえ~~という顔をしたが、エーリカは頷いた。

 『ああいう人はとても好感が持てます。自分は嫌いじゃないですね』

 もうすぐ小谷城というところで、少し先に浅井家の旗があることに気付いた。すぐに確認の意味も込めてひよに先触れを頼み自分達も急ごうとしたが、ある視線を感じアキラは足を止めた。

 『誰でしょうか。観察するような感じで見てますが、今は向こうが優先です。敵意がないところからすると、どこかの草・・・浅井家を調べに来たのでしょうか?』

 「アキラ様?どうしたのですか?」

 「いえ、何でもないです」

 今は優先すべきことがある。その視線を無視して、先を急いだ。

 

 

 その後、小谷城に到着すると城門で浅井夫婦が戦の準備をしていた。話によると、横山城という城の近くの村の近辺で鬼の集団がいるという情報が入ったので、撃滅しに行くとのことだった。自分達も鬼を倒すには賛成なので協力することにしたが、久遠までついてくることになった。

 

 『我々の敵となるものを一度見ておく必要がある』

 

 アキラ達は調査をする久遠の護衛兼サポートをすることになった。目的地に着くまでの間、久遠と話していたらアキラ隊に鉄砲を取り入れる話になった。アキラ自身は別に必要ないが隊の皆はまだ弱い。それを考えると久遠の考えは間違っていない。

 「でも、今は現状ですね」

 「ああ、その通りだ」

 話が終わったと同じくらいに、襲われた村・三田村に到着した。

 「包囲殲滅戦となると、こちらもそれなりの犠牲が出ることを覚悟でこの戦いをやろうと考えていますね」

 「ちょっと酷ですが、考えは間違えてはいません。人より何倍も強い鬼が二百。私でも倍の兵がいたとしても、犠牲無しで勝つ策は思いつきません」

 「しかも、今回は浅井衆の三田村の半分の民がなくなった弔い合戦でもある。決して負けることも許されない」

 アキラ・詩乃・久遠で話をしていた。一度軍議を開いたのだが、隊を二つに分け本隊と別動隊とわけ、鬼を囲むように前と後ろで攻撃して全滅させる。これが真琴の考えた作戦だった。アキラ達は真琴のいる本隊の後方支援をすることにした。

 

 『真琴の本心は別動隊にいるお市ちゃんには安全でいてもらいたい。と言ったこところでしょうね。それをできる力も人数も人間の敵兵ならともかく鬼相手なら難しいですが、彼女はそれを理解している・・・浅井家当主としてやるべき義務。これが上に立つ者の業でしょうか』

 

 真琴の心中を察したからこそ、アキラは彼女の援護にしたのだ。

 「さて、私達がやることは真琴・・・浅井がしっかり活躍できる場を用意することと援護をする。この二つです」

 「そうですね。でも、私達がお市様からもらえた兵は三十。それでどうやって」

 「簡単なことです。詩乃、あなた小谷城に鬼が侵入したとき浅井の兵に三対一で掛かるよう指示を出したそうですね」

 アキラの一言に詩乃は小さな笑みを浮かべた。

 「・・・なるほど、そういうことですか」

 「そうです。ただ、使う武器はそれぞれ刀・槍・弓と分けます」

 アキラが考えた策は刀を持つ兵は攻撃ではなく防御に力を入れ、槍を持つ兵が主に鬼と戦いとどめもこの兵が刺す。最後に弓を持つ兵は後方から二人の兵の支援と別方向からの挟撃を防ぐための周囲の索敵。それが兵にできる鬼の対抗手段だった。

 詩乃とエーリカもいい提案ということで、ぶっつけ本番ではあるがやる価値はあるとのことだった。久遠もこれからの鬼との戦いに大いに役立つ可能性がある提案だったので今回の戦いでそれを証明してみろ。ということになった。

 話をしている間に戦いは開始した。だが、出てきた鬼達は明らかに今までの鬼の戦いと違っていた。獣のごとく襲い掛かるのではなく、隊列を作り刀を持ち襲い掛かってくるといったものだった。その戦いに全員が一瞬え?と思ったがすぐに持ち直し、兵達は詩乃の指令に従い浅井衆の援護に回る。少し時間が経ち一気に攻める気なのか真琴が前に出た。そして、彼女の持つお家流が姿を現した。

 

 「出でよ!夕波千鳥!」

 

 それを見てアキラは驚いた。何しろ、その技は氷の鳥なのだ。自分も氷の技を持っているが、まさか他に使える者がいるとは思わなかった。だが、これはチャンスとも考えた。何しろ、氷の技を使えるのはここにいる久遠とアキラ隊の三人しか知らない。彼女らが気づいても口に出さないと分かっているから、密かに技を出した。

 「夢氷雹天」

 その言葉の少し後に夕波千鳥が鬼に向かって飛び出て、鬼の集団を切り裂いていった。その際、気づいたものはおそらくごくわずかだろう。その夕波千鳥に小さな雹がついていたことに。その雹が切り裂いた際鬼達に着いた。そして、そこからがアキラのその技の威力だった。

 「お、鬼達が」

 「こ、凍り付いていく!」

 「す、すごい!さすが真琴様!」

 これを夕波千鳥の効果と思う兵達。もちろん、真琴は自分のお家流にそんな効果はないと分かっているが、兵達の士気が上がっているため、そのままにした。

 『お姉さまからお兄様は私のような氷を使える技を持っていると聞きました。まさか、あの凍り付いている効果はお兄様の!』

 完全に凍り付いた鬼はその後体中にヒビが入り、そして粉々になった。これで鬼達は三分の一いなくなった。残りの三分の二もそれなりにダメージを食らったがここでとんでもない行動に出た。

 「お、お、鬼達が!」

 「ななあああ!おおおお、お頭お、おおお鬼達が~~!!」

 「う・・・気持ち悪い」

 傷ついた一匹の鬼に鬼たちが群がり・・・何とその鬼を食べ始めた。その光景にひよところの二人は思わず吐きそうになり、詩乃も目を背けた。だが、驚いたのはその後であり食った鬼は体が元通りになっていた。

 「く!何だと!」

 「と、とんでもない奴らだ」

 真琴と久遠も驚いたが、せっかく上がった士気が下がりそうになった時にやっと来てくれた。

 

 「まこっちゃ~~ん!おっまたせ~~!さああ!江北の皆!私達の大切な民を苦しめた鬼共の根切りにするよ~~!!!」

 

 この北近江で一番のアイドル・・・もとい元気娘が。

 「「「「おおおおおおお!!!!」」」」

 「さああ!皆~~!私に続け~~!!」

 「「「「いえっさ~~~!!市様~~!!」」」」

 市の激に兵の士気は最高潮になり、市の攻撃が兵の総攻撃の引き金となった。

 

 「能滅無量罪、能生無量福!砕け!愛染挽歌!!」

 

 彼女の持つお家流が鬼達に命中し、兵達も負けじと突撃。鬼の復元に唖然とした真琴も息を吹き返し、鬼達に襲い掛かる。さっきのように共食いする余裕もなく浅井衆の攻撃に耐えきれなくなり、鬼達をどんどん数を減らしていき、最後の一匹を倒してついに全滅に成功した。市は戦いが終わると一目散に真琴に抱き着き、勝利の雄たけびを皆が上げた。

 

 

 時間も経ち、少し落ち着いて村の村長と真琴が話し合っている。今後の村の方針と復興の事の相談をしている中、アキラは久遠・詩乃と話していた。

 「どうでした?今回の成果は?」

 「うむ、いい考えだった。あの作戦をやった兵はだれ一人死ななかった。あの攻撃方法は今後とも使える」

 「そうですね。それに三方向から見ていれば鬼の攻撃の対応も判断しやすくなります。これからの隊の戦い方として取り入れてもいいかと」

 鬼に対して有効で犠牲も最小限にできることで今後も使えるとわかったが、それ以外でも分かったことがあり、それがアキラ達の顔を暗くした。

 「しかし・・・まずいことになりましたね」

 「ああ、鬼が知恵をつけ始めた」

 「これからは、一勢力として見るべきですね」

 詩乃の言葉はまさにアキラも思っていたことだった。

 

 『私が全力で戦う日も近いですね。鬼の集団は数を増やしていく・・・何より、一番気になるのはこの鬼達が自分達で考えて今回のあの戦い方を実践したのか?ということです。大抵こういうのには黒幕がいるはず・・・でも、今回は出ずじまいということは試し、ということでしょうね』

 

 肩に背負っている紫微垣を握った。

 『あなたを使わせてもらう日も近いかもしれません。私がこれを使いこなせるかどうかは分かりません。でも、もしもの時は』

 一瞬、そう本当に一瞬だったためアキラも皆も紫微垣が小さくではあるが光っていたことに気付かなかった。手を離して、皆と共に小谷城に戻った。

 

 

  三田村防衛線無事成功。だが、村人の半数が死亡。

 




 第三章本章終了しました!そして、ついにアキラオリジナル技を出しました!

  夢氷雹天・・・空気中の水蒸気をアキラの持つヘルバーストを使い凍らせ雹を作り
         それを敵に着けてそこから全身を凍らせて最終的に粉々にする技。
  
 アキラは何十人相手を倒せる技を持ってなかったので今回この技を作りました。あくまで私の主観ですが、ただの氷漬けでは十から二十が限度だと思ったからです。
 夕波千鳥に雹がついても大丈夫だったのは、同じ氷であり大きさも今回は彼女の技をメインとして見せるために雨の雫くらいに小さく作ったからです。実際は足の親指くらいの雹で攻撃します。

 では、次の間章をお楽しみに!
 


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間章6-1 ダブルデートで男女比は一対三


 以前バカにした雪が自分に復讐してるんじゃないか?と外を見てそう思ってしまっている三MENです!いやはや、今日起きて外見たらナニコレ・・・状態でした。

 本日は浅井夫婦と織田夫婦のダブルデートです!



 三田村の鬼襲撃から数日が過ぎた。復興のため真琴は現場で指揮をし、アキラもそれに協力することにした。

 

 『筋力トレーニングにはちょうどいいです』

 

 復興の手伝いも目的だが、一番の目的は今以上の体作りだった。常に強くなることを第一と考えていたが、こちらの世界に来て体作りはストップしていた。向こうの世界では打倒・狂のために毎日トレーニングをしていたが、久遠の夫・隊の隊長という立場からの仕事が増えてしまい、トレーニングをやれなかった。

 『これから先、武将クラスの鬼が出てもおかしくない』

 越前が鬼の手に堕ちた。つまり、真琴にとっての恩人朝倉義景が鬼になったと考えてもいい。森親子ほどの実力者が鬼となり、その者が複数体出てしまったら・・・頭の回転が速いアキラはそこまでの考えを持った。

 だからこそ、再びトレーニングを再開した。忘れていた強さを再び手に入れて更なる高みにいくために・・・その先の光輝く未来のためにも。

 

 

 三田村の件や仕事・トレーニングも一段落ついて、小谷城に戻った時の話である。

 「三人とも、これはどういう事です?」

 「ほらほら!お頭は私達に任せてくれればいいんです!」

 「ころちゃんの言う通りです。お任せください」

 「さあ、早く!(瞬きしないで目を見開いている)」

 汗も結構かいたので、お湯を用意してくれたから入ろうとしたら

 「「「私達がお手伝いします!」」」

 三人が言い寄ってきて、そのまま脱衣所に連行されてしまい、この状態である。連行される際に市とすれ違い、ウインクしたのを見たので多分彼女の入り知恵だろうと分かったがもう遅い。

 「・・・分かりました。驚きますよ」

 少し溜息を吐いて観念して、服を脱いで上半身裸になった時、案の定彼女らは傷だらけの体を見て驚きの声を上げた。

 「おおおおおおおおお!」

 「ななななななななな!」

 「あああああああああ!」

 ひよ達が久遠達以上に驚いている中、袴も脱いで下着姿になった。

 「おおおお、お頭!!」

 「なななな、何ですか!そ、そそ、その傷だらけは!」

 「ああああ、アキラ様。い、いいい、いったいどうして!」

 全然落ち着けなくて、しばらくそのままにした。数分後にやっと声は聞こえるくらいに話が出来るようになった。

 「これくらい努力しないといけないくらい、強くなる必要があった。ということです」

 簡単にそう言って、風呂場に入っていったが三人はしばし呆然として見えた背中をじっと見ていた。

 「お頭の裸が見れて嬉しいと思っていたけど」

 「お頭のあの傷だらけに一気にその気持ちがふっとんじゃったね」

 「アキラ様、素敵すぎます♡・・・ああ、あの体に抱かれたい」

 「「詩乃ちゃん、相変わらずだね(でも気持ちわかるな)」」

 詩乃の光悦な顔にちょっと冷や汗をかくが、気持ちはわかるので余り強く突っ込めない二人。すると、何と詩乃が服を脱ぎ始めた。

 「アキラ様・・・今、あなたの詩乃が参ります♡」

 「「ちょちょちょ!ちょっと!」」

 「どうしたのです。二人とも、今こそ私達の気持ちを伝えるまたとない機会です」

 彼女のあられもない行動を止めようとしたが、

 「・・・そうだね。よ~~し、頑張るぞ!」

 「ひ、ひよ!で、でも確かに・・・」

 「そうです。さあ、私達の新しい第一歩を!」

 背中を押す一言で、ひよところも服を脱ぎ、三人ともついに全裸になって、愛する男性のいる風呂場に入っていった

 ・・・ところで、ひよところは目を覚ました。

 「こ、ころちゃん。わ、私、とんでもない夢見た」

 「私も・・・背中流させてもらった時の夢を見ちゃった。でも、実際は私達って脱がないで背中を流しただけだったよね」

 「う、うん。私もそんな感じの夢だった・・・多分まだ寝ている詩乃ちゃんも」

 「あ、アキラ様、もっと強引に押し倒して~~」

 同じ夢だったようだが、寝言がとんでもなかった。しかも、しっかり寝ているのに詩乃の手が胸と股間にいって、しっかり乳首と割れ目をいじっていた。

 「顔、洗おっか」

 「うん、何かとんでもないこと考えちゃった」

 「ああん!私は、あなた様のもの!もっと好きに」

 彼女の寝言に恥ずかしくなって顔を赤くしながら部屋を出た。詩乃の股間から「くちゅ」という音が聞こえたのは気のせいにした。

 

 

 ひよところは顔を洗い終わり部屋に戻りながら今後の事を話していると、織田姉妹に会い清洲への先行を明日にでもするよう頼まれた。

 「それで、お二人はどうするんですか?」

 「うむ、それは「私達、まこっちゃんとお兄ちゃんを誘って街に行くんだ~!」、おい市!それは聞いてないぞ!」

 「うん!だって話してなかったもん」

 「お前というやつは~」

 でも、嬉しそうな久遠。こっそり市のおせっかいに感謝しているのだろう。

 「さあ、二人は門で待っているはずだよ!私達は妻として夫を労いに行こう~!」

 「おいこら!待て!我は~~~」

 「あ、そうだ!二人とも夕方には戻ってくるから、私達のご飯お願いできるかな?お兄ちゃんから料理が上手だって聞いたから。じゃ、頼んだよ~~」

 「話を聞かんか~~!」

 市に手を掴まれて連れ去られていった久遠。そんな二人をほほえましい笑顔で見るひよところ。

 「お市様、やっぱり昔も今も変わらないな~~」

 「あははは、とりあえず先行の準備してそれが終わってから台所に行こうか」

 「うん!」

 頷いてまだ眠っている詩乃を起こすために、部屋に戻った。

 

 

 小谷城下街にやってきた浅井夫婦と織田夫婦。妻二人と手を握っている夫二人。市から夫婦なら手を握るよう強く言われ、アキラからも「だめですか?」とねだられ、久遠は顔を赤くしながら手を握った。

 「ほう、賑わっていていいですね」

 「元気に暮らしている。それが何よりです」

 「うむ、我からみても民の皆が生き生きとしているのが分かる」

 「どう!まこっちゃんの努力の成果だよ!すごいでしょう!」

 賑やかに楽しんだり商売したりする民を見て笑顔になる三人。

 「えへへ。こうして、四人で街を歩きたかったんだ~~」

 「市、誘ってくれてありがとう」

 「ええ、気分転換ができてよかったです」

 「おいアキラ。我には礼はないのか?」

 「あなたはお市さんに無理矢理連れてこられたのでしょう?まあ、そうなるのと思っていましたが」

 「う!その通りだが・・・それでも!何か一言ないか!」

 「それなら(ニヤリ)」

 肩をしっかりつかみ、額に接吻した。

 「なああ!お、おい!」

 「ま、まこっちゃん、み、見た?」

 「う、うん!お二人とも、本当に仲いいね」

 額から唇を離して、次に鼻を軽く触れた。

 「一言ではなく、一触れにしました」

 「こ、こここ、このうつけものが~~!」

 と言いつつも、文句を言わない辺りとても嬉しいことが分かる。

 「ひゅ~ひゅ~、お姉ちゃんあっついね~・・・ねえ、まこっちゃん」

 「う!ま、まさか、ボクも?」

 「うん!ねえ、ねえ!やって!」

 真琴に抱き着いてねだる市。照れる真琴に一言いうアキラ。

 「そうですよ、真琴君。お市さんが頼んでいるならやってあげるのが夫でしょう」

 「そ、そうですか。ちょっと照れますね」

 「えへへ~~。早く~~まこっちゃん~~」

 再度市にねだられ、真琴も赤くなりながら額に接吻した。

 「えへへ、嬉しいな~」

 「もう、でも喜んでくれるなら」

 「くううう、最近恥ずかしがってばかりだ」

 三人揃って顔赤くして幸せそうにしていた。その後、姉妹で先に歩いていき、真琴と二人だけになった。

 「お兄様、今回は三田村でお手伝いしていただきありがとうございます」

 「いえ、私も目的がありましたから」

 「いえ、もしお兄様があの提案をしてくれなかったら、今でも出ていきたいと言った村人をどうするか悩んでいましたでしょうから」

 「そうですか。それで私達は近いうち美濃に戻り上洛準備になりますが、浅井家は今後はどうするつもりですか?」

 「はい、まずはお兄様の提案していただいた横山城を取り壊し、三田村を出る予定の村人と一緒に今浜に行きます。そして、そこで取り壊した材料を使って新しい城を作って新たな村を作るつもりです」

 「・・・いい目をしています。頑張ってください・・・あと、お市さんも大切にしてあげてください。義理ですが、兄からのお願いです」

 「もちろんです!」

 当主として、夫としての気持ちと信念、そして心構えを持った真琴に心からの応援をすることがアキラの出来る精一杯だった。

 「まこっちゃ~~ん!おにいちゃ~~ん、早く来てよ~~!」

 「来てくれ~~、我だけではこやつを抑えられない~~!」

 「呼んでますね。行きましょうか」

 「はい!お兄様!」

 笑顔で自分達を呼ぶ妻の下に向かった。

 

 

 たっぷり楽しみ城に帰宅。ひよところの食事を楽しみながら一日を終えた。

 




 以上、夫婦のダブルデートとアキラ隊アキラの裸見るでした!
 詩乃は一体どんな夢を見ているのでしょうか・・・間違いなくR18でしょうね。自分はそれを書くつもりは残念ながらありませんので、申し訳ありませんが皆さんの想像で楽しんでください!

 では、次の間章で会いましょう!


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間章6-2 いないから、素直になろう R-18

 
 こんばんは!肩が重く感じる三MENです!今回の間章はひよ・ころ・市の話と詩乃の夜這い(偽)です!一気に真冬になったよ・・・。
 4月12日詩乃の自慰シーン追加しました


 「う~む、私にはこのような茶のどこがうまいのか分かりませんね?」

 「ちょ!お頭!せっかくお市様が」

 「あはははは!お姉ちゃんと同じ!」

 「え!じゃあ、久遠様も同じことを?」

 ひよところと話をしていたら。市からお茶に誘われたアキラ。入れてもらった茶を飲んでも、わからない顔をする。そんな反応に市は笑う。

 「ちゃんとした席では対応しているけど、いざ相手がいなくなると」

 「「うまくない茶をうまいと言う相手はただのバカだ!」ですか?」

 アキラを指して頷く市。

 「あったり!さっすがお姉ちゃんの旦那様!」

 「伊達に久遠の夫をしていませんよ」

 「「羨ましいな~久遠様」」

 「ほらほら、二人とも元気を出して!」

 羨ましそうにアキラを見る二人に声をかける市。その市がアキラに聞いた。

 「そうだ、お兄ちゃんに聞きたいことがあったんだけど・・・ひよって、役に立っているかな?」

 「え、お、お市様!な、な、何を!」

 「いきなり、どうしたのです」

 「ちょっと気になって。尾張にいたときからだけど、ひよってちょっと臆病なところもあるし」

 「そうそう、武士になるならある程度の荒事もできるようにって言っているけど、中々うまくならないんだよね」

 「あ!ひどいころちゃん!私これでも頑張っているんだよ!」

 ひよところの言い合いが始まった。その光景を見てアキラはなぜそのようなことを聞いたのか少しわかった。

 

 『なるほど、自分の気に入っているひよがしっかりやれているのか知りたいということですか。尾張にいたとき。と言っていたから、おそらくその時からひよに目をかけていたのでしょうね』

 

 「そうですね。ひよには結構助けられています。特に、隊の運営はひよがいなかったら潰れていたかもしれませんし、ひよところの二人がいるからこそアキラ隊が作れたと言っても過言ではありません」

 しっかり心から思っていることを言った。市は伊達に真琴の妻をやっていないし、久遠の妹でもある。そういった嘘は見破れる目を持っていると思ったからこそ、アキラは本心を言った。それを聞いて、ひよはうれし泣きをしながら喜んだ。

 「そう、よかった。お兄ちゃん、これからもお願いね」

 「ええ、詩乃も含めて守っていきますよ」

 「「お、お頭~~(てれ)」」

 自分達を守ってもらえる。そういう意味合いの返しにひよところは真っ赤になった。

 「そうだね!じゃあ、私はまこっちゃんのところに行くね」

 「それなら私も行きます。確か、久遠と話していますからね。三田村の一件も説明した方がいいと思いますので」

 「そうだね!じゃあ、一緒に行こうか!」

 そう言って、アキラが部屋を出た。アキラが出たのを確認して、こっそり二人のところに移動した市。

 「ねえねえ二人って、詩乃も含めてお兄ちゃんの事大好きなんだよね」

 「「!!!ば、ばれてる!」」

 「そりゃ、真っ赤になったり照れたりしたらね~。お兄ちゃんとお姉ちゃんくらいだよ。気づいてないのって・・・でも、その気持ちはずっと持ち続けていたら、いつかきっといいことあるよ」

 「「え?」」

 市の言うことにキョトンとする二人。

 「ど、どういうことですか?」

 「私も分からないけど、お姉ちゃんね多分お兄ちゃんの事で大きなことを考えているみたい。あくまで妹としての勘だけど、それはひよやころや詩乃も大きく関わってくることだと思うの。だから、今はその気持ちをしっかり大事にしていてね」

 「は、はい!」

 「わ、わかりました!」

 そして、市も部屋を出た。二人はその後、残っている茶を飲んで・・・素直な感想を述べて片づけた。

 

 

 真琴の部屋に行き四人で話をした後、久遠には久しぶりに市と家族の話をしてやるように説得したら今夜は三人で語り合いたい。ということになり、アキラは部屋に戻りずっと久遠と一緒だった布団で寝ようとした・・・ら

 「・・・ZZZZ」

 すると詩乃が部屋に入り、自分の入っている布団に入った。だが、詩乃から反応がないところを見ると寝ぼけているようだ。

 「やれやれ、このまま「・・・アキラ様?」しようと思ったのですが」

 「あれ?私、どうしてアキラ様の布団に?」

 「それはこちらのセリフです。いきなり部屋に入り、布団まで入ったときは驚きましたよ」

 これは本心だ。自分を求めてきたのでは?とすら思ったくらいだった。

 「・・・私、まだ襲われてないですよね」

 「ご要望ならと言いたいですが、久遠の泣く姿が目に浮かぶのでしませんよ」

 その言葉を聞き目を輝かせた。

 「なら、久遠様がいい。と言ったら、私を襲ってくれるのですね」

 「そこでそういう考えになるあなたの頭の中。一度見てみたいです」

 「どうぞどうぞ。アキラ様以外入ってません」

 「部屋に戻りなさい・・・送っていきます」

 これ以上の対応は不利になりそうと思い、呆れながら詩乃を起こし部屋まで連れて行った。「襲ってくれないのですか?」という言葉を無視して・・・その帰り道に今度は庭に金柑頭の異人がいた。

 「あ、アキラ様」

 「エーリカ、何を思っているのですか?」

 「・・・本当なら今頃が鬼を倒すいい時だったのに」

 「ああ、満月が最も鬼の力が活発になるでしたね。その満月が過ぎたから鬼も力を少しずつ失うからですか」

 「はい、少しずつですが・・・あの悪魔を倒すための協力を得られたというのに、こうしているしかないなんて」

 彼女の顔を見るアキラ。本当に悲しそうな顔をしていた。

 「・・・あなたの考えは私には分かりません。ただ、これだけは言えます。どんな物事・結果に行くための近道はありません。まっすぐに見える道もたくさん曲がりくねっている道になったりします。その道をずっと進めるかどうかは自分次第です・・・エーリカ、あなたは本当に鬼を全滅したいのですか?」

 最後に聞いた質問に言葉を止めた。

 「も、もちろんです!どうして、そういうことを聞くのですか」

 「・・・それならいいのですが。あなたの見る先がどうもそうじゃないように思えまして。でも、覚えていてください。私はあなたとこれからも仲良くしたいです」

「はい。わ、私も、アキラ様と、な、仲良く、したい・・・です」

 とぎれとぎれ、気持ちを必死に抑えて話した。

 「では、私は寝ます。エーリカ、おやすみなさい」

 「はい、おやすみなさい」

 去っていくアキラを見送った。

 

 そして、エーリカは一人再び月を見上げた。

 『どうすればいいの。私はこれから明智十兵衛光秀としての役目をしなければならない。努めなければならない。でも、それは・・・アキラ様と。いや、やらないと・・・いやだ、アキラ様は私と仲良くしたい。そう言ってくれた』

 次は池に視線を移しそれに映った月を見た。

 『あの人に・・・あの人とずっと一緒にいたい。あの人と、離れたくない』

 そして、かつてこの同じ場所でアキラに言われた言葉を思い出した。

 

 『あなたも努力をすればきっと少しでも思いがかなうかもしれません』

 

 それを思い出して、はっとした。

 『そうだ、努力だ。アキラ様は努力をずっと続けてあそこまで強くなられた。なら私も努力をしてみないとダメだ。決められた道筋、それに歩くのが運命・・・いいえ、そんなことない!見つけないとダメ!私が本当に歩きたい道を!アキラ様と歩ける道を!例えほんの少しの可能性でも見つけられれば・・・』

 アキラの一言が、今後のエーリカの運命を大きく変えることになった。

 『アキラ様。あなたに出会えて本当に良かった。私はずっとこのままだと思っていた。でも、あなたと出会えたからこそ本当の自分を見つけることができるかもしれない。本当にありがとうございます』

 再度月を見たエーリカ。その顔は今まで見たことのないくらいの笑顔だった。

 

 

 

 余談・アキラに送ってもらって自分の部屋に戻った詩乃。

 「・・・アキラ様。私はあのまま抱かれてもよかったのに」

 詩乃は布団の中でがっかりしていた。折角久遠は部屋にいなかったということは、あのまま二人で寝たら、彼女にとってはパラダイス銀河だった。あの布団でアキラと一緒にいた事が分かった瞬間、すぐに事後まで妄想したために余計にがっかりだった。

 『美濃で助けてもらった時は気づかなかったけど、アキラ様の手。とても力強く、とても温かく・・・とても傷だらけだった。アキラ様、いったいどんな生き方をしていたのでしょうか?あんなに、あんなに傷だらけになって』

 そう考えると心も体も熱くなった。

 『あのお方に身も心も捧げる・・・私はそう言った。それはつまり』

 さっき彼女を連れてきたアキラの体の温かさ。寄り添うように歩いてここまで来たのだ。その体の温もりが詩乃は忘れられなかった。そして、同時に胸が高鳴った。

 『アキラ様のあの体の温もり。あの人の手が、そう、あの手で私の体を抱きしめたら。胸を、揉んだら。もし、裸で抱き合ったら・・・ああ♥』

 頭の中で思い描くのは、アキラが自分を抱きしめ、服の隙間に手を入れて胸を揉み、自分に接吻している姿だった。現実の自分は右手が胸の先にある固い突起に、左手が服の中にある股間を覆う下着に動いた。

 『アキラ様・・・ああ、あなたに抱きしめられて。私、私は』

 その下着から湿り気が出たので、左手でそれを確認した。

 『あ、濡れている。アキラ様のさっきの手が、こ、ここに』

 そう思いながら下着の上から、濡らした彼女のヴァギナの筋を撫でた。アキラ(自分)の手がそれをした瞬間、ビリッとした電撃が全身にきた。

 『あう!な、何。今、雷みたいなしびれが全身に!そ、それに・・・胸の方も』

 アキラ(自分)の手で胸を揉まれている。優しく、時には荒々しく・・・その考えが体の感度を上げたのか、びり!っとした刺激が詩乃を襲った。

 『じ、自慰って、こんなにびりびりするものなの?何か、怖いけど・・・アキラ様にされている。と思うと、もっとしたい。滅茶苦茶にされたい、そう思う!』

 手が震えながら、今度は遠慮しないで乳房の全体を撫でる様に揉み、まんこの入り口をくすぐるようにいじった。すると、

 「あう!」

 思わず声を出し、同時に感じたことない快感が襲った。

 『き、気持ちいい。すごい、これ!ああ、アキラ様。アキラ様、アキラ様。あ、はあ、はあ、アキラ様に、胸が、あん!いいの。気持ちいい。も、もう、もっと、ひう!力強く、時間をかけて、やってください。あう!こ、この股間からの刺激も、ああん!す、すごい。アキラ様がやっているものだと思うと、あああん!』

 乳房を揉む力が増し、まんこも下着の脇から手を入れてじかにいじった。

 『あああ!そんな、無理やり!・・・ら、乱暴です、アキラ様。でも、ああ!も、もっと、やってください。し、下の方も、好きなだけ・・・あうううう!』

 どちらも、荒々しく揉んでいじりだした。特に、まんこは愛蜜がどんどん出てくるにつれて、気づかないうちに指を中に入れて指を動かしていた。

 『つ、ついに、アキラ様の、アキラ様のが!』

 妄想の中では、アキラのあの性の太刀・・・ペニスが入ったのだろう。乳房の方も左右交互に残った手で、揉み続けた。

 『あああううう!も、もう、ダメ!あああ、何、この、すごい快感!これが、あ、アキラ様が、アキラ様が~~!ああああああああ!」

 生まれて初めての快感。それがアキラにされていると思うことで、

 

 「アキラ様~!私、私!いいです!・・・あああううううんんん♡!」

 

 あっという間に絶頂を迎えた。その快楽に放心状態になった。乱れた服のまま、まんこからあふれ出た蜜が布団に濡らしたが、詩乃はいまだ余韻が残る気持ちよさにその事を忘れ、その快感に身をまかせながら眠りについた。

 

 

 『もう、詩乃ちゃん。声出さないでよ』

 『これじゃあ、私達もやりたくなっちゃうよ~~』

 ただ、最後のところは声に出してしまったため、自慰をした際に出したいろんな音で起きた二人に丸聞こえだった。二人が詩乃と同じことをしたのか?それは、翌朝三つの濡れた布団が物語っていた。それを起こしに来た市がにやにや顔で見たのは別の話。

 




 最後の方はエーリカの想いになりました。アキラへの想いをはっきり自覚しました!今後のエーリカはどう動くか。
 次は特別編にしようと思います。村正の生前の屋敷に行ってどうなるか・・・。それで第三章を完全に終わりにします。

 


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特別編2 アキラを求めて、手がかり求めて

 お待たせしました!SDK原作側の第二弾です!村正の家に行った壬生京四郎とアキラ好きの三人にあと数人。そこで何を見つけたか。


 「ここが・・・村正の家。そして、叔父さんの家」

 辛そうな顔でその家を見る時人。彼女にとって、太四老時代に自分の父と言われていた男の家だ。複雑な気持ちになるのも無理はない。

 「そうだよ。僕・・・そして狂にとっても忘れられない人だ」

 「俺もあいつにはずいぶん世話になっていたな」

 「わいもこの槍を手に入れられたのは、村正はんのおかげやし」

 「村正さんってたくさんの人にすごい影響力があった人なのね・・・壬生にいたころはうちのお母さんと同じ裏切り者扱いで酷い噂しかなかったのに」

 京四郎・梵天丸・紅虎の三人の話を聞いて、村正の人なりを初めて知った庵樹。

 「・・・・・・」

 ここに来てから、朱雀の様子がおかしい。アキラがいなくなり、時人とひどく落ち込み庵樹もそれに加わりかけた時に、京四郎からアキラの手がかりが村正の家にあるかもしれない。という話があってからは、ここまで必要最低限しか話さなかった。

 

 今回の村正の家の捜索に参加したのは京四郎・時人・朱雀・庵樹・梵天丸・紅虎・真尋の七人だ。梵天丸は自分の仲間を見つけたいという気持ちから、紅虎もまた大切な親友を見つけたい気持ちから、真尋は紅虎の監視役兼自分がかつて村正とその恋人の姉と一緒に暮らしていた家の整理も含めてやってきた。

 因みに狂はゆやの監視の下で双子の子守、京四郎の妻朔夜は近々出産予定なので二人の家を間借りして灯の治療を受けながら安静にしている。

 「本当に、久しぶり」

 「真尋・・・大丈夫か」

 「はい、気持ちの整理は付けていますので」

 「早速だけど始めるよ。村正さんの刀・・・いや、この際刀じゃなくてもいい。あの人が魂を込めて作ったものを見つける。それがアキラ君を追える唯一の手がかりだ」

 「もちろん!絶対に見つけてアキラの後を追う!」

 「ええ、壬生にいる兄弟達には話をして私も決心したわ」

 京四郎の言葉に時人と庵樹は頷いた。だが、朱雀はずっと家を見ているだけでまるで話を聞いて・・・いや聞こえてなかった。

 「朱雀ちゃん、どうしたんだい?」

 「いえ、何でも「そんなわけあらへんがな。おかしいで?まるで真尋みたいに懐かしいものを見るような目をしていたで」・・・はい」

 「ねえ、朱雀ちゃん。もしかして、ここに来たことあるの?」

 冷静に対応しようとしたが、真尋の言葉に言葉を止めた。

 「・・・・・・」

 だが、言葉は出なかった。このままじゃラチが明かないので、とりあえず保留にして捜索を開始した。

 

 男三人は外、女四人は中を捜索した。いろいろ力のある刀や槍等はすぐに見つかったが、どれも今紅虎が持っている北落師門と同等と言える力はなかった。村正の血を濃く受け継いでいる時人が確認したから間違いなかった。一時間後、休憩という事で茶を入れて庭の見える部屋で集まった。

 「やはり、あの五つが特別だったと言うことか」

 「うん、ゆやさんの短刀は最後の思いを込めて作ったけど」

 「あの先代はんの危うさがこれらを作った理由だったということやな」

 外にいる三人は周辺の探索もしたが、結局何も見つからなかった。中の四人も同じだった。

 「ふ~~、全くあと一本だと言うのに」

 「難しいわね」

 「はい、そうですね」

 「・・・ねえ、朱雀ちゃん。やはり、来たことあるんじゃないの?私は住んでいたからどこに何があるのか大体わかっていたけど、あなたもそんな動きだったわよ」

 真尋の指摘にしばらく口を開かなかったが、意を決したのかようやく話し始めた。

 

 「黙っていてすいませんでした・・・私、村正様と住んでいたことがあります」

 

 「「「「「「え!」」」」」」

 それは全員が初耳だった。

 「といっても、京四郎さんや真尋さんが知らないのも無理ありません。何しろ、村正様と一緒にいたのは壬生を抜け出してここ暮らし始めた少しの間でしたから」

 「ちょ、ちょっと待て!じゃ、じゃあ。朱雀ちゃんは」

 「み、壬生一族!」

 「その通りです。ですから、狂さんの事も知っています。ただ、あちらの方は私は知らないでしょう。村正様ばかりを見ていて私には全く興味を持ってませんでしたから」

 朱雀の肯定に再度皆が驚いた。

 「当時、私は村正様の世話役でした。まだ里が平和の時に、実は時人さんと会ったことがあるのですよ。でも、まだ赤ん坊の時ですから知らないのも無理はありません」

 「・・・そんなこと父様は何も」

 「向こうでは裏切り者の村正様。仲が良かった頃があったとはいえ、それを話すわけにはいきませんからね。唯一話せるのは最後まで一緒にいたひしぎ様でしょう」

 思い出話で、やっと朱雀は笑顔になった。

 「そ、それで、ここで村正さんは何かを作っていたとかなかったかい?」

 「・・・作っていたかどうかは知りませんがが、一つだけ心当たりがあります」

 京四郎の質問はもちろん誰もがワラをもすがる思いの質問だった。そして、朱雀はそれにあると答えた。

 「そうか!あるんやな!」

 「良し!さっそく」

 「ちょっと二人とも待った!調べようにも、さっきあらかた調べつくしたよ」

 「「あ・・・そうだった」」

 立ち上がった二人を京四郎は抑えた。

 「家の中の方はどうだった?」

 「こっちもほとんど調べたよ。刀はあったけど、時人の確認済みで全部当てにならないってさ」

 やれやれと言いながら肩を落とす庵樹。その時朱雀が手を挙げた。

 「・・・一つだけ調べてないところがあります」

 「朱雀ちゃん、本当かい?」

 「はい・・・こちらです」

 

 朱雀に案内されたのは、さっきいた村正の部屋の隣の部屋だった。

 「私がここにいたころ住んでいた部屋です」

 「ここって、私と姉さんが住んでいた部屋・・・」

 「でも、ここって一番先に調べなかったかい?」

 「ああ、その通りだ。朱雀、ホントにあるのか?」

 「正直、あるかどうかは分かりません」

 そういうと梵天丸に頼んで庭側の天井の板を一枚はがす様に頼んだ、すると、天井裏から一つの手紙が出てきた。

 「この部屋で住んでいた時、ここに何かをしていたのを思い出しました。ただ、その時は何だったのかは分かりませんでしたが」

 「この手紙・・・いったい何が」

 そこに書かれていたのは、妹の死を悔やむこととその妹に上げたかったものがあると言うこと、そして狂の今後を心配すること。主にこの三つだった。

 

 「妹にあげたかったもの・・・か」

 「これが見つかったらそれを鎮明に見つけられる。その事を恐れてこの手紙を隠したのかもしれないな」

 「じゃあ、もしかしたらそれが!」

 「ああ、アキラ君のところに行ける最後の」

 アキラに会える希望が見えて三人の顔が明るくなった。だが、そこでいきなり乱入者が出たため話が止まった。

 「よう・・・久しぶりだな」

 「あ、兄貴!」

 その乱入者は庵樹の兄であり、目に鉢巻を巻いている時人と同じ元太四老の一人遊庵だった。

 「ははは!庵樹があのダンマリ君(アキラ)の事を好きになったって庵奈から聞いた時は何の冗談だと思ったが・・・本当だったようだな!」

 「う・・・な、何しに来たんだい!」

 庵樹が照れているのを面白そうに見ていたが、ここに来た用事はちょうど皆の目的のモノの事だった。

 「辰怜に頼まれてな。それに、伊庵のとこにいる兄弟達の確認もしたかったからついでだ」

 「それで、どうしたんだい?」

 京四郎の質問ににやけ顔で答えた。

 

 「村正が作った遺品が見つかったんだとよ」

 

 三人は着実にアキラに近づきつつある。

 




 特別編2でした!朱雀・実は壬生一族は考えていたことでした。そして、実は彼女らは一つだけアキラに内緒にしていることがあります。
 それは特別編3で明らかにします!


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第四章 上洛編
二十六振り目 最悪というのは当たることが多いです


 こんばんは!三MENです!ついに第四章です!

 


 ひよ・ころ・詩乃は小谷城で起こった一件を壬月達に伝えるための清洲城への先触れとして城を出た。今はアキラと久遠、そしてエーリカだ。久遠は真琴が越前に放った草の帰りを待っており、アキラは筋トレをしてエーリカは武器の手入れをしていた。そうやって時間をつぶしていると市が部屋に入ってきた。顔色ですぐに用件が分かった。

 「お姉ちゃん!」

 「わかっておる。いくぞ!二人とも」

 「「ええ(はい)!」」

 待ち望んだ草の帰還だ。

 

 

 小谷城の評定の間にて。

 「では、報告を頼む!」

 「は!」

 真琴の言葉に一人の足軽が話し始めた。越前はもう人の影が全く見ない国になっており、五十人の草を放ったが戻ってこれたのはたったの三人だった。そして、越前の最も重要拠点ともいえる一乗谷も既に鬼に支配されていて、その一乗谷を中心に鬼達は統率しているとのことだ。

 「今までとは違い、鬼達は集まって行動している。組織化していると言うことですか?」

 「そうです!今まで襲ってきた鬼達とは明らかに違っていました!」

 アキラの言葉に足軽は肯定した。

 「その話が全部本当の事として考えるなら、統率しているのは越前の国主、もしくは侍大将でしょう。鬼にも階級があります。どちらかもしくは両方が上級の鬼となって下級の鬼を率いていると思います。力のある鬼に従いますので」

 「そ、そんな!義景姉さまが・・・鬼に」

 エーリカの話に真琴の言葉はが弱弱しくなっていく。

 

 『私達の世界では同盟相手だった織田信長を裏切ってまで朝倉に味方した浅井長政。ここでも相当強い縁だったようですね』

 

 その悲しむ姿にアキラは少しだけ同情した。

 「ねえ、エーリカさん。義景さんを救えないの?」

 「申し訳ありません。私が知っているのはここまでです。鬼から人間に戻す方法があるなら私が聞きたいくらいです」

 市の言葉に出すエーリカの辛い現実の言葉。でも、受け止めないといけない。

 「真琴・・・今はおけい。とても悔しいのであろう。なら、その悔しさを持って朝倉義景を鬼としてでなく人として倒してやれ。それが一番の恩返しではないか?」

 「姉さま・・・はい!」

 久遠の言葉に気合を入れたのか、気持ちを切り替えた。

 

 

 その後、様々な推測を話し合いをしたが、とりあえずエーリカを連れて尾張に戻ることにした。越前からの鬼の侵攻はとりあえず真琴達に頼むことになった。

 

 『向こうではかつての壬生一族は死者をよみがえらせて奴隷にしたり、ここでは誰かはまだ分かりませんがこの国を鬼の国にしようとする。ましてや、既に越前は鬼の国と化している。これは、本当にどうなるのか分かりませんね』

 

 今は尾張に戻る道中だ。

 「それにしても、堺でエーリカに会い、京で一葉達に会い、北近江で真琴達に会い、越前が鬼の国になってしまった。この短い期間にいろいろありましたね」

 「そうだな・・・でも、やれるべきことをやろう」

 「ええ、一つずつやること。それが成功への道筋です」

 「そうですね。少しずつ、やっていきましょう」

 そのエーリカの言葉にアキラは疑問だった。

 「あれ?エーリカなら「お気楽ですね」と言ってくるかと思ったのですが」

 「はい、前だったらそう言っていたかもしれません。こうしてのんびりしているどこかで鬼に苦しめられている民がいるのではないのか?と」

 一呼吸おいて、しっかりアキラの顔を見て言った。

 「でも、アキラ様が言ったことが私を見つめ直すいい機会でした」

 「私の言ったこと・・・ですか?」

 「そうです。あれのおかげで私は変われたと思うのです。これから先はアキラ様のように努力をする・・・人に頼んだり文句を言ったりするのではなく自分でやるように」

 「ふふ、エーリカならできますよ。その信念があればね」

 昨日までの彼女の眼と思いが違うことに微笑むアキラ。だが、それを面白くしない人物がすぐ隣にいた。

 「アキラ!さっきから金柑と話しおって・・・我とも話さんか!」

 「いた!つねらないでくださいよ」

 「妻がいるのにほかの女を誑しているからだ!」

 この時アキラは察した。これはどんなに言っても聞かないと。

 「・・・エーリカ。私、誑してました?」

 言葉が出ないエーリカ。若干、赤くなって俯いている。

 「ほれ見ろ!真っ赤になって言葉が出ないと言うことは、誑されている証拠だ!」

 「いや、それは早合点かと」

 「く、久遠様!あ、あの・・・あ、アキラ様。あの夜の事、絶対に忘れませんから」

 自分を変えたアキラの言葉忘れない。と赤くなりながら言ったエーリカ。でも、タイミングが悪すぎた。

 「あ、き、ら~~~!!!」

 「天然ですが?それとも狙ってるのですか?・・・どっちにしろ、最悪です」

 その後、先触れで先に帰っていたひよ、ころ、詩乃の三人が来るまで久遠の嫉妬満載の文句は口を閉じることはなかった。

 『ですが、嬉しいですね。久遠が私にそういう気持ちを持ってくれるのは』

 でも、少し嬉しくなり甘んじて文句を受けたアキラだった。

 

 

 尾張に着くとまず久遠の家に行き、久しぶりにもう一人の妻に会った。

 「おかえりなさい。アキラ」

 「ただいま帰りました(ぎゅ)」

 「な!あ、アキラ!」

 「すいません。いろいろと(ちゅ)」

 そう言って、結菜を抱きしめて接吻をした。

 「も、もう!い、いきなり、な、何するのよ!」

 笑顔で文句を言っても迫力がない。むしろ、嬉しいのが一目瞭然だ。何気に彼女もアキラの背中に手を回している。

 「あ、き、ら~!。貴様は、また!」

 「でも結菜は私の妻です。一人で寂しい思いをしていたのですから、これくらいはしてあげないと夫として冷たいのではないのですか?それに、久遠も結菜の夫でしょう?抱きしめるくらいはしてあげるべきかと」

 「そうよ、久遠。そっちは二人でイチャイチャしていたのでしょう。これくらいはむしろしてもらって当然よ。というわけで、さあ久遠」

 アキラから離れて、今度は久遠を迎え入れる準備をした結菜。それを見て慌てる久遠。

 「う・・・っは!い、いやイチャイチャなどしていない!」

 「はいはい。それより・・・とても珍しいお客様ね」

 久遠いじりはここまでにして、エーリカに目をやった結菜。その後、自己紹介した際結菜とエーリカが遠い親戚にあたることが分かりすぐ仲良くなった。

 だが、すぐに城に行き越前の状況の説明と自分達の方針を家臣達に伝えて戦準備に入り、ここで食事という流れになったのだが、先に戻っていた詩乃達の説明のおかげか、城に向かう途中なのに既に上洛準備に入っていた。

 

 清州城では久しぶりの壬月に麦穂や三若達との再会して、すぐ上段の間で話に入った。エーリカの紹介で和奏達が初めて見た異人に盛り上がり、壬月から拳骨を食らったのはいつもの事。

 エーリカの話が終わり、次はアキラが越前の説明をすることになりできる限り時間をかけてやった。何しろ、鬼の存在を認めていても未だその実力は未知数なことに気づいているのは織田家中でも今評定の間に出ているものくらいしか知らない。だからこそ、しっかり話して事態を把握してもらう必要があった。

 

 『本当に私もこの人達と会って変わりましたね・・・前の私だったら、ここまでの説明何て面倒くさいの一言で片づけそうだったのに』

 

 説明が終わると、久遠は方針を出して家臣達に指示を出した。三河にいる仲間の松平勢も加えて一緒に上洛ということになり、その松平への使者は詩乃が名乗り上げた。

 『松平・・・確か徳川ですよね。ということは、徳川家康と顔合わせということになりますね。紅虎の父親がここでは女性ですか・・・何か複雑ですね。いったいどんな女性なのか』

 

 『あの狸親父が生きとる限り、わいは一生不幸や~~!』

 

 笑ってしまいそうな言葉を思い出したアキラ。そうしている間に家臣が皆いなくなり今は久遠の二人だけとなった。彼女は真剣でも辛そうな顔をしていた。

 「久遠、鬼との戦いは不安と恐怖。それを家臣や兵にやらせる。だが、それを恐れてびくびくして臆病になっている。今のあなたの心境はこれですね」

 「・・・・・・ふん!」

 『やれやれ、相変わらずですね・・・素直に言わない。それが可愛いですけど』

 「そう言えば結菜に接吻してあなたにはしてなかったですね」

 「・・・は?」

 そんな彼女の顔を包んで、接吻をした。逃がさないように手に力を入れ、そして結菜の時とは違いすぐに離れない時間をかけた接吻をした。

 「いい加減に周りを見なさい。私達織田家中の皆は、あなたを支えたいと思い、それをすることに喜びも感じています。だから、あなたはそれを素直に喜び、私達を信じてください」

 『そう、紅虎が私を支えた。だから今度は私が久遠を支える。あいつと同じ立場になって支える嬉しさ。それを久遠に分かってもらいたい』

 自分達の喜び、それが久遠の支えであることを伝えた。

 「・・・うつけめ。急にこんなことを」

 「でも、これでわかったでしょう?あなたを支えたいと思う気持ち・・・そして、あなたを愛しているという気持ちが」

 「ふん。たった一回の接吻で全部わかるわけなかろう」

 照れながらそう言った。ワンモアプリーズのサインだ。そんな彼女の要望に思わず心から笑顔になった。

 「それならもう一度」

 「・・・・・・」

 そして、再度接吻をしようとして久遠が目を閉じた時に

 

 「アキラ。それは自宅でやるべきよ。そして私にも・・・ね!」

 

 すぐそばに結菜がいた。その声に、一瞬でアキラから離れる久遠。

 「なああ!なななななな、ゆゆゆゆ、ゆ、結菜!!」

 「あらあら、真っ赤っか。うふふ」

 「お頭・・・久遠様だけですか?」

 「えへへ、じつは、おねだりしているところからいたりして・・・」

 「むう、羨ましいです」

 地味に羨ましそうに見るアキラ隊もいた。

 「く~おん。夫婦なんだし、遠慮しないでいいのよ~。ほらほら、さっきの接吻を頼む恥ずかしがる久遠を見せてちょ~~うだい♪」

 楽しそうに迫る結菜。

 

 「こ、こ、このうつけものどもが~~~!!!」

 

 思いっきり真っ赤な顔で久遠は逃げていった。

 『やはり、久遠はこうでないとね』

 遠ざかる背中を見て笑顔をだすアキラ。その時、何か結菜が詩乃と話しているのが見えたが気にしないことにした。

 『さて、豆腐の味噌汁と結菜の手料理が私を待っています。早く行きましょう』

 久遠が先に逃げ帰った屋敷に、話の終えた結菜と二人で歩き始めた。

 




 はい!第四章開幕です!
 遂に、ついに!つつついいいににに!アキラと最も関係の深いあの一族と対面です!

 う~む、最近のアキラ。女との接し方が大胆になってきたな・・・。


 


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間章7-1 ・・・何か毎日いちゃついている気が R-18

 え~、三MENです。今回からしばらく間章に入ります。

 
 エロはひよところの自慰。


 上洛準備に入り、アキラ隊もその準備に追われていた。ただ、アキラ本人は肩書隊長みたいな立場なので何もすることがなく、長屋でじっとするしかなかった。詩乃と今後の隊の事をいろいろ話すとどこかへ行ってしまった。一応、城に行っているひよところにも話を聞くために一度城に向かうことにした。

 『・・・妙な違和感がありましたね。詩乃がいつもと違う気が』

だが、その時は気のせいで片づけた。

 

 城に着いてすぐにひよところに会えたので話を聞くと、予算内で何とか人員・装備・食料などの手配をすることができたらしく、その事にアキラは絶賛した。

 

 『冗談抜きで凄いですね・・・本当にこの二人がいないとアキラ隊は潰れますよ。ひよは金勘定がうまく、忘れがちですが豊臣秀吉の名は伊達じゃないのか金銭面の交渉事もうまい。ころは川並衆の頃の棟梁の立場と顔の広さと縁を使って商人達に頼んで格安にしてもらう・・・本当にこの二人は見た目じゃない凄さを持っています。天下を取ると言うのは、実力や兵力だけでなくこうした金の回し方が上手い人ほどなれるものなのかもしれないですね』

 

 二人の有能ぶりに内心驚き、かつて鬼目の狂になってほしかった天下人への見方も変わった。そんなことを考えているとひよところが真剣な顔で迫ってきた。

 「そうだ、お頭!聞きたいことがあります!」

 「うんうん。昨日は聞きそびれましたが、久遠様だけじゃなく・・・ゆ、結菜様ともやったんですか!」

 「・・・二人は、何のことを言っているのですか?」

 聞きたいことは分かっている。だから、逆ににやにやして聞き返した。

 「き、昨日、久遠様にしたことです!」

 「昨日久遠にしたこと?はて?どんなことでしょうか?(にっこり)」

 「う、うう、く、く、くち、くち」

 追求しようとするひよところを逆に追い詰める。あえて詳しく聞き、うまく説明できない二人を見て楽しんでいた。

 「さあ、ひよにころ。答えは何か!」

 「「せ・せ、接吻です!やったんですか!あの後も!」」

 真っ赤になって答える二人。

 『この二人は、久遠と同じくらいいじりがいがあります・・・そう言えばあの場には詩乃もいましたよね。長屋で話をしたのにその事を聞いてこなかったですね。周りに人がいるならともかく、二人っきりだから聞いてきてもおかしくないのに』

 「「ううう、恥ずかしい~~~///」」

 詩乃の違和感に気づきながら、更に悪戯を続けた。

 「いいでしょう。聞きたいなら聞かせましょう!まず久遠の肩に手をかけ、肌が少し見えるくらいに服を少しはだけさせ、首筋を軽く接吻しながら胸に手を置き優しく愛撫して次は頬に」

 この嘘の説明に二人は慌てて手を振りまくって止めた。

 「・・・も、もういいです!」

 「うわ~~、想像しちゃったよ~~!」

 「聞きたいのではないのですか?」

 「「十分です!」」

 耳まで真っ赤しながら首を左右に振るひよところに、笑顔で真実を伝えた。

 「はっはっは、安心してください。作り話ですから」

 「「も、もう!お頭~~///!!」」

 『彼女はひねくれものと自称しているから、聞けなかったと言うところですか。確かにこの二人のように聞こうとするのは無理でしょうね』

 二人の恥ずかしがる姿を面白そうに見ながらさっきまでの詩乃を思い返した。

 

 

 彼女達と別れ、再び長屋に戻った。すると、詩乃は使者から上洛の書状をもらっており後は用意をするだけと話を打ち切った。やはり、いつもならアキラに隣に座って身を委ねようとするのに、対面で話し合いをして尾張にした。

 『相当気にしているけど聞けない・・・私もひねくれ者ですからね。まるで自分を見ているみたいですね』

 そんな姿が自分のように見えて思わず苦笑いをしたアキラ。部屋を出て行こうとした詩乃を出すわけにはいかないと思い、彼女の腕を掴んだ。

 「え?あ、アキラ様?」

 「全く・・・詩乃、冷たいじゃないですか」

 「つ、冷たい?わ、私は」

 「いつもの私です。何て言うんじゃないでしょうね。私のそばで寄り添うように座るのに、距離を取って話しているあなたを?」

 「た、たまには」

 「私のそばを離れたくないあなたがそういう気分?小谷城で私の寝床に入って「襲わないのですか?」と聞いたあなたがそういう気分?」

 「お、思い出させないでください・・・そ、それにあの時は」

 「寝ぼけて?私の姿を見た時に目をしっかり開けたあなたが寝ぼけて?」

 追及するアキラだが、迫ってくるアキラに照れてしまい真っ赤になっていく詩乃。彼女を反転させて、背後から抱きしめた。

 「あ、あああ、アキラ様!」

 「冷たいですから、温めないといけませんね」

 「あ、あ、あ、あ、あ、ああの!」

 「それとも、やっぱり離れましょうか?」

 「・・・(ふるふる)こ、このままで」

 アキラに抱きしめられて恥ずかしがっていたが、逆に心が解けたのか理由を話し始めた。予想通りで、気にし続けていて聞きたかったけど聞けなかっただった。そんな詩乃の気持ちを知っていたアキラは罰として気が済むまで抱きしめた。その間、詩乃は幸せそうにアキラに寄り掛かり温もりを堪能した。 

 「あ、あの、まだ・・・できれば」

 「(にやり)何なら襲いましょうか?(ぐい、どさ)」

 「な!な!な!ななななな!」

 そろそろ離れようとしたアキラだったが、名残惜しそうな詩乃が何かを言いかけていたので先手の襲うと言って本当に押し倒すとさっき以上に真っ赤になった。

 「安心なさい。こんな明る「「あああああ!!!!!詩乃ちゃんずるい!!」」いところでやりませんよ。と言いたかったのですが」

 「お、おおおおお、ひひ、ひひひ、ひ、ひ、こ、こ、ここここ」

 「「お頭!私達にもやってください!」」

 冗談の一言を言う前に厄介な二人が戻ってきた。詩乃は動揺しまくっているが体は正直でアキラに抱き着いていた。だがそこにひよところが突撃してきて、そのまま三人に抱き着かれの時間を過ごした。

 

 

 その後、アキラの温もりに大満足した三人は再び上洛の準備と使者としていく準備に入った・・・ただ、かなり浮かれていたらしく途中で何回か失敗したらしい。

 アキラは久しぶりに一発屋に行き、遅めの食事をしてあるものを持って久遠の家に向かった。もはや自分の家ともいえる久遠の家に入り、三人でお茶を飲んで一段落していると結菜が話を持ち出した。

 「さて、聞きたいことはたくさんあるわよ~~。まずは、堺や小谷に行っている時に二人の仲は進展したの?」

 アキラとしては予想通りの質問だが、

 「な!ななな何をだ!」

 久遠からすれば、恥ずかしいことを思い出させる質問だった。

 「何をって、そりゃ久遠の頭の中の事よ」

 「・・・!!あああああ、ゆゆゆゆゆ、ななななな!」

 『やれやれ、これが見たくてわざとそう言っているのにそれが分かってないですね久遠は・・・私も見たいから黙ってますけど』

 結菜もアキラも久遠をからかって楽しんでいる・・・どっちもどっちである。

 「もう~~夫婦でしょ。昨日のようなことがあっても問題ないじゃない」

 「も、問題だ!み、み、み、みんなの前で・・・あああ」

 「では、アキラに聞きましょう・・・どうだったの?」

 「お、おい!や、やめ「もちろん接吻はしましたよ。小谷の町が一望できる岬で朝日を見ながら・・・ね」あああああ!!!!」

 夫婦の愛の語らいを堂々と話したアキラ。その時の事を思い出して、頭を抱えてのたうち回る久遠。

 「あらそうなの?お市ちゃんからの手紙にはそれは書かれてなかったわね」

 「二人っきりでしたからね・・・って、手紙?」

 「ええ、さっき使者の方が」

 「い~~ち~~!」

 聞き捨てならない結菜の言葉に市へ怒りをあらわにした久遠だった。久遠いじりも終わったときに、アキラが持ってきたものを開けた。

 「何それ?」

 「あなたと久遠のお揃いを買ったのですよ」

 「あら、まあ。きれいな簪」

 それは小谷で見つけた彼女へのお土産・簪だった。

 「お、おい!アキラ!」

 「ふふ、忘れてませんよ。最初は久遠で次が結菜ですよね」

 「・・・わ、分かっているなら、それでいい」

 ほっとした久遠の髪に静かに簪を挿し、すぐ後に結菜の髪にも挿した。こっそり、可愛いと思ったのはアキラだけの内緒だ。

 「ま、最初は仕方ないか。でも、久遠とお揃いのものって初めてよね・・・ふふ、本当にとても嬉しいわ」

 「アキラがこれがいいと言っていたからな」

 「うふふ。本当に妻の事を、よくわかっているじゃない」

 「ええ、心から愛している二人ですから」

 これには久遠だけでなく結菜も真っ赤になった。

 「後はそういうことを他の女性に言わなければ完璧なんだけど・・・」

 「結菜。無理だから諦めろ」

 「「はあ~~」」

 「どうしました、二人とも?」

 二人そろってため息を吐く姿にアキラは?を浮かべた。

 

 

 好物になりつつある結菜の手料理もご馳走になり、今夜はこの家で泊まることにした。結菜が上機嫌で布団を敷いたが、それを見ていた久遠は全身が真っ赤になった。

 「布団が一つ枕が三つですか・・・初めて見ますね」

 「そ、そう、だ、な(かああああ)」

 「うふふ、さあ、三人で一つの布団に寝ましょう」

 ほらほら!という感じで二人を布団のところまで押す結菜。小谷の決まりをここで出してきた・・・市はこの事を手紙に書いていて、結菜は早くやりたかったのだろう。

 「では、結菜が真ん中で私達が両端ですね」

 「え?アキラじゃないの?」

 「ずっと一人で寂しい思いをしているなら、それを暖かく慰めるのが夫の務めです」

 「・・・嬉しい。アキラありがとう。私も、あなたが大好きよ(ぽろり)」

 少し涙を出した。あの久遠いじりは寂しかった時間を取り戻す意味も籠っていたようだ。

 「お、おい、二人とも」

 「大丈夫ですよ。忘れていませんから」

 「さあ、寝ましょう・・・二人とも、無事に帰ってきてくれて本当に良かった」

 「ああ。ただいま、結菜」

 「そして、おやすみなさい。結菜」

 「おやすみ、久遠。アキラ・・・二人とも、大好きよ」

 布団に潜り、三人とも笑顔で眠りについた。

 

 

 

 その日の夜。長屋では、顔を真っ赤にして布団にもぐっている二人がいた。

 「ねえ、ころちゃん。やっぱり眠れないね」

 「う、うん。上洛準備の時は考える時間がなかったからいいけど」

 「長屋に戻ってきちゃうと」

 「お頭のあの話を思い出しちゃうよね」

 ひよところだった。最初はそれぞれの部屋で眠っていたが、ひよがころの部屋に布団ごと持ってきて、そこで一緒に寝ることにした。

 「作り話だって言っていたけど・・・もし、本当だったら」

 「しかも、今日は久遠様の屋敷で泊まるって話だし」

 そう話すと息ぴったりな二人の頭の中に出てきた映像は、久遠と結菜の二人がにアキラに裸にされて抱かれる映像だった。

 「「うわ~~~!!!」」

 真っ赤になって、必死に顔を横に振り続けたが映像は消えない。しかも、それは続いており、二人のまんこに指を入れて愛蜜を出させて動かして喘がせている。何とか頭を必死に振って消すことができた。

 「ど、どうしよう!どうしても、お頭と久遠様と結菜様のあれをしている考えが消えないよ!」

 「わ、私もだよ~。ううう、な、何とかしないと・・・そうだ!」

 何か思いついたころがひよに言うと彼女はビックリした。

 「ちょ!こ、ころちゃん!それは」

 「変だけど・・・ひよだって、されたいでしょ!」

 言葉が出ないひよ。二人とも頭ごと布団の中に入った。

 「お、お頭・・・だ、抱いて、ください」

 「お頭に、あ、あげたい、です」

 すると、いきなりこの言葉が出た。二人の布団が不自然な動きを始めた。中では二人とも来ていた襦袢の胸元を開けて胸の先にある乳首と股間のヴァギナに手をやって動かしていた。

 「あ、お頭、も、もう。あ、あああ!」

 「いじって、ください。も、もっと!」

 さっきの頭の中の映像に出た久遠と結菜から、抱かれているのを自分達に変えたようだ。その映像では、二人のヴァギナにアキラが指を入れて動かしている。

 ころが思いついたこと・・・それはアキラに抱かれる妄想をしてオナニーをすることだった。

 「ああん!そんなに、うご、かさないで、く、ださい」

 「お頭、い、私、達、い、いきます!」

 「「あああん!」」

 その妄想のアキラにやられている。まだオナニーを始めてそれほど時間がたってないが、二人の愛する人からやられる妄想が、すぐに絶頂を迎えさせた。二人のひくついたヴァギナから愛蜜が布団を濡らしていった。襦袢から出た胸の乳首も少し固くとがっている。

 「あ、ああ、今・・・イっちゃった」

 「お頭なら・・・さあ」

 彼女らの妄想はまだ終わっていない・・・これからが本番のようだ。

 「お頭、いい、ですよ」

 「初めて、あげます」

 今度は広げて自慰を始めた。つまり、アキラに自分達の処女を捧げる妄想にチェンジしたようだ。

 「おかし、!!!らあああ!」

 「あう、ひびゃ!ひん!」

 あのヴァギナを通り抜けた指をマンコの中で動かし始めた。いろんな膣の肉に当たり、それが快楽となって二人の体全体に快感電気が通った。そして、ビクンと大きな快感が来た時背筋がピンと伸びるくらい体がまっすぐになり、ますます蜜が流れてきた。

 「あう!あん、だ、だ、め!お頭、す、すごい、です!」

 「ででも、も、もっと、やて、やってく、ださい!」

 胸を揉んでいた手もマンコに持っていき、指を二本入れて更に奥の方に移動させてそこを動かした。おそらく、ここが妄想の中では処女を無くしたところなのだろう。

 「「ああああああ。だ、ダメ~~、ダメ~~!も、もっと~~!」」

 腰も無意識に左右に動かして、指の動きも更に早くなった。口元には涎も出ており、激しい動きに掛け布団もなくなり、二人は自分のオナニーを見せあって

 「おかしら、お頭~~!」

 「わ、私、達!も、もう、もう~~!ああああ!」

 自慰を続けた・・・少女のような顔立ちの二人だが、今は淫靡な蜜を流し、よがっていく動き、体中から出てくる汗や涎を出し赤くなりながら淫らに見える顔。これらがその顔立ちを魅惑な女性の顔立ちに見せた。

 最後の妄想はアキラの精を出すラストスパートだ。着ているものをぐしゃぐしゃにしていきながら股を濡らす。

 「な、中、奥に、お頭~~!」

 「や、やって、出して、ください!」

 彼女らの指も秘密の奥のほうまで行った。あの壁の手前まで、指の先がいきどんどん動かす速度を速めた。

 

 「「お、おかし、ら~~~!!!」」

 

 そして・・・大きな叫びとともに二回目の絶頂をした。二人とも愛蜜だらけの指を抜いて、そのままアキラに抱かれた妄想に快楽と幸せに浸りながら眠りについた。

 

 

 だが、それが不運だった。次の日、いつもなら先に起きる二人が起きないで寝坊の詩乃が先に起きた。不思議に思った詩乃がころの部屋に行くと、下半身の部分の布団を濡らして寝ている二人の姿があった。襦袢もほとんど脱げて裸体も丸出しになっていた。でも、詩乃は何をしていたのかすぐに理解したが・・・

 

 「二人そろっておねしょですか。恥ずかしいですね。ふふふ」

 「「ち、違うんだよ~~!」」

 

 あえてとぼけて、二人をからかった。その言葉を真に受けた二人は自慰の時以上に真っ赤になって、言い訳に必死だった。その後、アキラが戻ってきて更に必死に言い訳をした二人だった。ちゃん♪ちゃん♪

 




 
 今回はアキラがいろいろと悪戯をした話になりました。でも、しっかり妻への気遣いは忘れていませんでした!ふと思ったんだけど、アキラを手玉に取れる人ってこの世界でいるのかな? 


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間章7-2 ガチ決闘とガチおいかけっこ!・・・ガチ欲情 R-18

 こんばんは、完全な雪道になり歩くのが慎重な三MENです!今回はひさしぶり!織田の家臣達の間章にしたいと思います!

 エロ・麦穂自慰


 アキラは、疑問を持っている。

 「アキラ様!見っつけた~~!!」

 「ふ!捕まえられるものなら捕まえてみなさい!」

 「犬子を甘く見ないでよね~~!」

 逃げるアキラを追いかける犬子。何となくその姿が、ご主人様待って~~。と追いかける犬にみえたアキラ。何しろ犬子の頭には犬の耳が、お尻には尻尾の幻覚が見えているからだ。

 

 『・・・そう言えば、何故私は鬼ごっこをしているのでしょうか?上洛準備で、じっとしてくれればいい。と詩乃達に言われてしまって、仕方なしに城に暇つぶしに行ったら、和奏達が何やらかくれんぼみたいなことをやっていたところを私が邪魔して犬子を見つけさせてしまったのでしたよね・・・それで散々な目に合わせた恨みに和奏と雛に復讐して・・・これって完全に巻き込まれた口ですね』

 

 その疑問にやれやれと思いながら答えを見つけると、

 「あ!アキラ、見っけ!」

 「アキラ君!逃がさないよ!」

 「な!あなた方も追いかけてくるのですか!」

 いつの間にか鬼が三人に増えていた。和奏と雛には噛み跡があった。

 「アキラだけ噛まれてないのが、納得いかないんだよ!」

 「アキラ君も~犬子に嚙まれるがいい~!」

 「待ってよ~~!アキラ様!」

 城の中庭を逃げるアキラと、同じ目に遭わせたいために追いかける三若。

 「全く!どうして諦めないのですか!」

 「そりゃ!アキラに勝ちたいからだ!」

 「和奏ちんの言う通り~、戦っても負けるのは明白~」

 「だから、せめて何か一つでも勝ちたい!と思っているの!」

 「まあ一番の理由はお前に抱き着きたい・・・って、何言わせるんだよ!」

 和奏、思わず本音を言い自爆して顔を真っ赤にした。

 「和奏ちん。自分で言っちゃダメでしょ」

 「でも!和奏の言う通り!というわけでアキラ様!抱き着かせて!」

 「ほらほら、今なら私達三人のお胸を感じられるんだよ~~!」

 「ひ、雛!お、お前何言ってるんだよ!」

 「雛ちゃん、そんなこと・・・でも、アキラ様だったらいいかも」

 「犬子も何言ってるんだ!」

 そんな真っ赤のまま二人に問う和奏。そんな言い合いしても、しっかりアキラを追いかけていた。

 『何か目的が変わってますね・・・でも、ここまで来て負けるのも何かしゃくですし、逃げ続けますか』

 三人との鬼ごっこが少し面白いと思ったのか、しばらく城の中に入らないように場所を庭だけにして逃げ続けた。

 『体を鍛えるちょうどいい機会です。走り込みはスタミナを鍛えられますからね』

 抜け目のないアキラだった。

 

 

 半刻ほど経ったが三人は諦めてなかった。

 『まさか、ここまでしぶとくついてくるとは思いませんでした。このままではあの二人に見つかって説教・・・という展開になるかもしれませんね』

 まさか、ここまで頑張るとは思わなかったので、追いかけてくる三人に振り返る。ある展開にならないためにも

 「三人とも、ここは勝負しませんか?」

 終わらせる手段を考えた。

 「「「勝負?」」」

 「そうです・・・と言っても実力じゃ私がずっと上ですから、ちょっとした「見つけたぞ、アキラ」「探しましたよ!」・・・遊びをしようと思ったのですが」

 声のした方に振り向くと壬月と麦穂がいた。そう、この二人に会うと言う展開を避けたかったのだ。

 「あの・・・何か」

 「ほう、そういう態度か。分かっているくせにいい態度じゃないか」

 「全くです。殿と堺や京に勝手に行ってどれだけ心配・・・ではなくこちらの仕事が多くて手こずっていたのに・・・」

 コメカミに青筋の壬月と、最初が本音、後が建前の麦穂。

 「・・・もしかして、決闘ですか?」

 「そうだ。お前が京や小谷に行っている間にどれだけうずうずしてたかわかるか?」

 「申し訳ありませんが、お灸をすえた方がいいと思うので今回は静観させてもらいます」

 麦穂がむすっとした顔で言っているうちに、壬月の手にはあの巨大な斧があった。この展開を避けたかったのだ。説教=戦いになることが読めていたために・・・。

 「さあ、アキラ。戦わせてもらうぞ!」

 「・・・そっちの方が目的じゃ」

 「あの時は手合わせだったけど」

 「壬月様、絶対に本気だ~」

 「アキラ様~ファイト!」

 さっきまで追いかけていた三若はもうすっかり観戦モードになっている。既に麦穂と共に応援している。

 「(こういう時こそ、あの三人が役に立つのに)は~、分かりました。あの力も使わせてもらいますよ」

 「ふ!上等だ!」

 諦めて刀を抜いて、斧と打ち合った。しばらく叩きあいを繰り返す。

 「・・・やはり、アキラ殿はすごいですね」

 「そうですね。打ち合う音でどれだけの力でやっているか分かりますしね」

 「雛だったら、絶対ふっとばされる~~」

 「犬子も、そうなるね・・・わっふ~~アキラ様カッコイイ!!」

 「本当・・・カッコイイです」

 その二人の戦いを見ている四人は互角の勝負に感服していた。その中で出した犬子の言葉に麦穂が同意した。

 「麦穂様、聞こえてますよ」

 聞かれて顔を真っ赤にした麦穂。

 

 『ああ、ダメ。思い出しちゃう。久遠様の家に行ったとき・・・結菜様に誘われて、つい、誘惑に負けて・・・あ、アキラ殿の布団で・・・だ、ダメ!思い出しちゃ。思い出しちゃ。も、もう、限界!』

 

 目の前の戦いではなく恥ずかしいことを思い出してしまった。

 「・・・ちょっと急用を思い出したわ。三人とも壬月様によろしくね」

 「え?どうしましたか?」

 「真っ赤っかですよ~」

 「熱でも出たのですか?」

 「な、なんでもありません!」

 ダッシュでその場からいなくなる麦穂。キョトンとする三人だが、

 「どうした!あの氷の技は使わないのか!」

 壬月とアキラが離れたのが見えて、そっちに意識を戻した。

 「いいえ、もう使っていますよ」

 「何を言っている。どこにも、うわ!」

 だが、既にアキラが先手を打っていた。地面を辺り一面凍らせており、滑って思わず地面に尻もちをつく壬月。

 「ここら辺の地面を凍らせておいたのですよ。足元が凍ると立つこともなかなか難しいですからね」

 この時代は滑り止めがない時代なので、氷の地面には必然的に転ぶ。アキラの方は自分の技なのでこうした地面の動き方も心得ている。

 「く!くそ~~!また負けた!」

 転んだ時点でアキラが両の刀を壬月の顔の両端に着けていた。これで勝負ありだ。

 「しかし、戦いに意識を生かせてこっそり仕掛けを仕掛けるか。正々堂々とはちょっと言いづらいけど、それもまた一つの戦い方。中々勉強になった」

 でも、悔しいと思ってない壬月。アキラは強く戦い方もうまいので、負けたとしても戦法を学習できる。握手をして健闘をたたえ合った後三若の方を向いたが、見物客が一人いなくなっていた。

 「おや?麦穂さんがいませんね」

 「ああ、本当だな。いったいどうしたと言うんだ?」

 「それなら、お二人が戦っている最中に何か帰られましたよ」

 「うん、顔を真っ赤にしてね」

 「とても、恥ずかしいことを思い出したみたいでした」

 三若の言葉にすぐに察した壬月。

 「そうか・・・アキラ。すまないが、あいつの家に行ってやってくれ」

 「何故です、悩みなら付き合いの長いあなたの方が」

 「お前じゃないと、解決しないからだ」

 壬月に断言されて、言われた通り行くことにした。

 

 

 麦穂の屋敷では一人彼女が悶えていた。

 「どうしましょう。あの時はまだ壬月様や雛ちゃん達がいたからまだ何とか我慢していたけど、一人になると・・・止まらない」

 そう言って今自分の手元に襦袢が握られていた。

 「結菜様、意地悪して」

 それはアキラがまだ隊の長屋がない久遠の家で寝泊まりしていた時に、使っていた襦袢だった。結菜はアキラ達がいない一人の時、それを寝間着代わりにして寝ていた。毎日のようにアキラに包まれている妄想をしては欲情して、ヴァギナを濡らして股間の部分が濡らしていた。あの日に用があって家に行き、結菜のあられもない現場を見て尚且つ聞いてしまったあの言葉。

 

 『な。なん、何でもないの!別に、アキラの布団で、あいつの匂いに包まれていたいから、こんな格好になっているわけじゃないの!』

 

 思わず、動揺して全部言ってしまい更に真っ赤になる結菜。視線を下に向けると股間の布が濡れていた。全身が汗だらけで、包まれていたいだけではないことが分かる。それを見た麦穂がつい漏らした一言が、いまこれがある理由だった。

 

 『・・・羨ましい。私も』

 

 小さくぼそっと呟いた程度だったが、結菜に気づかれたのが運のつき・・・いや幸運だった。『じゃあやってみる?』や『ほら、いい匂いよ』とか言われるうちに本能が体を動かしたのか、気づいたときは既にアキラの枕に顔をうずめていた。ついには布団の匂いまで嗅ぐようになり、悦の入った顔を見られたときはもう恥ずかしかった。

 『これ、口止め料ね』

 

 こうした理由で、襦袢が麦穂の手にあるのだ。

 「ああああ!ど、どどど、ど、どうしましょう!ダメ・・・頭からどうしても離れない!アキラ殿の顔とアキラ殿の匂いが!」

 そこまで思い出してしまい、何とか少しでも忘れたいけど襦袢を手放さないでむしろギュッと抱きしめてしまう。思わず力いっぱい抱きしめて床でごろごろしていると

 「アキラ殿」

 「・・・麦穂さん?」

 「・・・え?」

 玄関で声をかけても、すこし強めに扉をたたいても、全く反応がなかったので仕方なく入ったアキラと、白襦袢に目より下の部分を押し付けている麦穂。

 「・・・///!!」 

 結局、アキラが行っても何も解決にならなかった。むしろ、問題の方が多くなった気がする。とりあえず、間の悪い時に来たと判断してすぐに帰ったアキラ。見てはならないものを見てしまった気持ちになり、なかったことにしようと思った。

 

 

 そして、見られた麦穂はというと。 

 『あああ、どうしたらいいの!絶対に変なことをしたと思われた!で、でも、仕方ないじゃないですか!アキラ殿のこの匂いが私を狂わせたのだから!・・・そ、そう!これは仕方のないこと!どうしようもないことなの!』

 何とか自分に言い訳を作って落ち着きを取り戻す麦穂。

 「結菜様は、こ、こうなったら(ごくり)」

 涎を飲みこみ、覚悟を決めて服を脱いで裸になり、今度はアキラの肌襦袢を着た。そして、布団を敷いて中に入った。

 「す~は~、アキラ殿の匂い・・・もう、毒と言ってもいいわ」

 後ろからアキラに抱きしめられている妄想をしている。段々彼女の顔も耳も真っ赤になっていった。

 「アキラ殿、もっと、もっと、強く♥」

 服を鼻にあてて、強く吸い込んでいる。内股になって、肌襦袢も股の間に入れて、両手でそれぞれの胸を揉み始めた。もちろん、彼女の中では

 「あん!もう、アキラ殿、焦らないでください。うん!あん!ああ、も、もっと揉んで・・・い、いいの~~!」

 アキラに揉まれていると錯覚しているのか、段々女性器のヴァギナから女性の愛蜜が出て肌襦袢を濡らしていった。いや、愛蜜だけではない。じんわりと出てくる汗もまた肌襦袢を少しずつ濡らしていく。

 「いいの。アキラ殿、もっと、いいから・・・」

 左手がヴァギナに伸びていき、そこに指を入れると、

 「あうう!あああ、で、でちゃう、でちゃうう~~!」

 あっという間に最高潮までいき、足に力が入り思わず下半身を持ち上げてヴァギナから蜜の噴水が出た。ぷしゃ~と音が聞こえるくらい勢いがよかった。

 「あ。ああ。ぬ、濡らしちゃった。で、でも、アキラ殿がいきなり・・・ああ、い、いれて、入れて、ください!」

 改めて指を入れていった。ただし、その指に肌襦袢を一部巻いてだ。それならアキラのペニスが入っていくように感じられる。

 「び、びりびりする!ああ、あ、あ、ああ、ま、また・・・」

 じゅぶじゅぶと言う音が聞こえた。その音を聞き、更に妄想をした。それが・・・

 「アキラ殿!いいの、いいの♥!奥まで、やって~~!」

 自身のマンコの一番奥まで、アキラのペニスが刺さった妄想だ。感度がどんどんあがっているのか、指の動かすたびに体がビクンとはねた。

 「あう!あん!い、あのん!」

 乳首が肌襦袢の上からでもわかるくらいたっていた。その乳首を襦袢の中に手を入れて直接自分で抓ると、

 「む、む~~~!む、胸も、乳首も、感じるのおおお!」

 両方で刺激を出したので体の跳ねの更に大きくなった。マンコの中の指を暴れるように動かして膣の肉に当てていき、乳首も抓るだけでなくくすぐるようにしていくと、ヴァギナからでてくる愛蜜も滝の如く出てきた。肌襦袢を鼻に押し当てたまま自分の乳首を吸うと、

 「あ、アキラ殿が、アキラ殿が・・・私の胸を、す、吸っている~~」

 アキラの口がそこを吸っている。という気持ちで、彼女がだんだん淫らな顔になっていき、その姿もいやらしく見えてきた。掛け布団も既にはがされており、床の畳も蜜で濡れてきた。

 「胸を、ああ!あ、あの場所を。あああん♥!」

 妄想のアキラが自分のマンコの一番奥を攻めていく。そして、オナニーのピークがやってきたのか、ついに彼女の絶頂がてっぺんまで来た。

 

 「ああああ!アキラ殿~~!だ、出して、出して~~!」

 

 最後に一気に指をできる限りマンコの奥に入れたことで背筋がピンとなって、ヴァギナからは止まることのない蜜の滝が出た・・・その時の彼女の顔は

 「あ、あは、あはは、アキラ殿、が、いっぱい」

 これ以上ないほど満足していた。その蜜だらけとなった濡れた指をその顔の前に持ってきた。指に丸まったビショビショとなった肌襦袢を見て蕩けた顔になった。

 「つ、ついに。や、やっちゃった。アキラ殿を想って・・・でも、いいの。結菜様と同じ。もう、やめられないの、アキラ殿。私は・・・麦穂は、あなたが」

 それをアキラのペニスと思って口に含んだ。

 「アキラ殿の、おい、しい・・・」

 嬉しそうに、それを吸っていった。でも、彼女の欲情した気持ちはこれで終わりではなかった。こうした気持ちはすぐにまた燃え上がるのである。

 「アキラ殿・・・いい、ですよね」

 妄想のアキラにそう問いかけ

 「ああん!そう、それでこそ。アキラ殿・・・麦穂をダメにして♥」

 再び手が胸と割れ目に行き動きだした。

 

 『あ、ああ!も、もう。ダメ。私・・・アキラ殿、私をもっと。狂わせて・・・お願い。私も、私も・・・あなたにだ、だ、抱かれ。抱かれたい。も、もっと、お願いします・・・アキラ殿。ああ、もっと私を、堕として♥♡』

 

 麦穂、アキラに完全にぞっこんになった瞬間である。

 




 最初は三若の鬼ごっこ。次は壬月とのバトル。そして、最後は麦穂の結菜の悪魔のささやきを実行してしまいました。
 手合わせの時に胸をもまれてからアキラの事を考えるようになり、マッサージの時にいろんなところを揉まれてからだんだん理性が外れやすくなり、結菜の一件でぼかんと壊れたのかもしれません。

 では、お待たせしました!次回本章再開です。森親子とアキラの目指せ鬼の巣!です


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二十七振り目 この娘が戦国最強ですか?

 
 こんばんは!気づけば熟睡してこの話を更新してなかった三MENです!
 麦穂さんは原作じゃ結構自分の気持ちを我慢して抑えている面があったから、間章7-2でバーニングさせました!

 さあ、今回はついに原作最強(作者思う)が登場だ!



 

 「どうだアキラ!すっげえだろう!」

 「ふふ、そうですね。この槍の凄さはちゃんと分かりますよ」

 「今度こそ、それでこやつに勝てるといいのう~クソガキ!」

 アキラは、今ある二人と馬に乗って外にいる。

 「之定の十文字槍はやっぱり最高だぜ!オレな、こいつに人間無骨って名付けたんだ!いい名前だろ!」

 「どや顔して言うくらい、気にいったのですね・・・そう言えば桐琴さん。最近各務さんに会ってませんが元気にしてます?」

 ふむ、と瓢箪から出た酒を飲んで思い返した。

 「・・・なるほど、少し元気がなかったのはお前が会ってなかったからな」

 「確かに長島に坊主どもを斬りに行ったときも、半分くらいしか殺してなかったな」

 「お前のところに行くと行ったら、一緒に行きたそうだったしな」

 「・・・今度、一緒に食事にでも誘いましょうか」

 「そうしてやれ・・・それにしても、各務がお前の虜になっていたとはのう~ははははは!」

 もうわかる通り、この二人は何度か会った鬼殺し専門チーム・森一家を束ねる棟梁森三左衛門可成と彼女の娘の森小夜叉長可だ。観音寺城偵察途中で出会い、鬼の調査兼殲滅を依頼した際一緒に行動することを条件に了承した。尾張に戻って上洛準備中に何回か声がかかって共に行動していたが、今回の同行は尾張や美濃は粗方狩り尽くしたから、少し遠い長久手の方で森衆の使いに調べさせると鬼の巣を見つけたとの事で、同行することになった。

 

 『ふ~む、二人はともかく。ひよところの話では今回の私の隊の増強に久遠も手を貸しているらしいですが・・・織田信長で思いつくのが鉄砲ですからそれでしょうね。いきなり、麦穂さんや和奏達の隊に鉄砲を入れて隊列を一から作り直すより、まだ全然隊員がいないアキラ隊でやればそのまま人を増やすと同時に鉄砲隊を作り上げることができる。これが手を貸す理由でしょうね』

 

 そんな移動途中でもアキラはひよところとした隊の話の事を考えており、今後の自分の隊がどうなるか考えていた。

 『そうなると、自分の隊も多くなる事に・・・旗も考えた方がいいですね』

 「おい、アキラ。なにぼ~っとしてるんだよ」

 「何だ?各務と寝る計画でも立てていたのか?」

 二人の声に現実に戻ったアキラ。その時に気配を感じて、

 「ははは、その通りですよ・・・と言いたいですが、お客みたいですね」

 「・・・何か近づいてくるな」

 そちらに意識を向けて誤魔化した。だが、本当に誰かが近づいているのだ。少し遠くで砂煙を見た桐琴。でも、アキラは警戒しなかった。その理由は

 「詩乃の気配がします。敵ではないですね」

 自分の知る者の気配があるからだ。

 「だが、何人か追いかけている兵がいるぞ。そやつらは敵じゃないのか?」

 「何!なら、俺に任せろ!よ~し、楽しんでくるぜ!」

 「待てやクソガキ!わしが見つけたからわしの獲物じゃ!」

 「・・・全く、美濃に戻ろうとしているということは松平の兵でしょうし・・・桐琴さんはわかって嘘つきましたね。各務さんに頼んで禁酒をまたやらせましょう」

 既に馬を走らせ先を行く二人を追いかけながら、罰を考えている。

 『でも、本当に梵とほたるのことを思い出させる二人ですね。まあ、絶対に殺しても死なない二人ですから心配は無用ですけど・・・元気でやっているといいですね』

 こっそり、笑顔になって後を追いかけた。

 

 

 追い着いた先には、アキラが唖然とする光景があった。

 

 「ふにょ~~~!」

 

 「「な、何!」」

 「・・・は?」

 小夜叉と同じくらいの身長の少女が、二人の槍を左右で抱え込みそのまま二人ごと持ち上げたシーンだった。

 「アキラ様?」

 「っは!し、詩乃、ひ、久しぶりですね!」

 唖然としていると、詩乃が傍にやってきた。アキラ同様少し唖然としている。

 「・・・まあ、あれを現実と見るには少し無理がありますよね」

 「い、いや!そんなことないですよ・・・ふう、すごいですねあの娘は。あの二人が『ズドン!』ああやって地面に落ちるなんて想像していませんでした」

 「それでも、ご無事なお二人に「三河武士の実力、しかと思い知ったかです!」私は驚いているのですが」

 「あの程度なら、三若でも平気ですよ・・・さて、いい加減抑えに行かないと収拾がつかなくなりますね」

 「いってらっしゃいませ、我が主」

 起き上がった森親子が喧嘩再開しそうな空気に飛び込み、

 「いい加減にしなさい!(ごん!)」

 「「いったあああ!」」

 何とか落ち着きを取り戻させた。

 「全く・・・二人にはまた各務さんに説教してもらいます」

 「なああ!お、おい!」

 「待てや!まさか、また禁酒させる気じゃ!やっと、この間許されたのに!」

 「稲葉山城以降も何かしたんですか?覚悟はいいですね。二人とも」

 「「ああああああああ!!!Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン」」

 頭を抱える二人。特に桐琴は禁酒再開になりそうで、青ざめている。

 「その程度で済んでよかったと思ってくださいね・・・では、改めて。すいませんでした、こんな二人だけど織田の人間ですので」

 その二人を投げ飛ばした少女に顔を向けた。でも目を開けない玲に疑問そうな顔をしている。

 「・・・どうして、目を開けないです?」

 「申し訳ありません。私は目が見えないのですよ」

 「目が見えない・・・ま、まさか、田楽狭間でご降臨なされたアキラ様ですか!」

 「・・・?ああ、まあ、そうですね(そういえば、私ってそういう登場でこの世界に来たんでしたっけ)」

 自分がこの世界に来た時の事をすっかり忘れていたアキラ。そのアキラに目を輝かせた少女。

 

 「我が名は本多平八郎忠勝!通称は綾那と申します!アキラ様!ずっとお会いしたかったです!」

 

 話を聞くと、当時今川の兵として参加していた綾那は田楽狭間で光の玉に入っていたアキラを見て以来、如来様の化身として見ていたらしい。ただの一人の人間だと言っても綾那には後光が見えているらしく、未だに目を輝かせてみていた。森親子は詩乃と挨拶をした後、いろいろ話すうちに綾那と仲良くなっていた。

 「森のお二人は、綾那殿を気に入られたようですね・・・さっきまでは見る・即・斬る刺すでしたのに」

 「ははは。刃で語り合う友情というのもあるのですよ」

 「実感がこもっている言葉ですね。経験がおありなのですか?」

 「ええ、ありますよ・・・とても、ね」

 『アキラ様・・・その横顔素敵です////』

 思い返すアキラを見て、心が熱くなる詩乃。

 「ところでどうしてアキラ様は森のお二人と長久手まで来ているのですか?」

 詩乃の説明要求に、一瞬焦ったアキラだった。

 

 

 一応、詩乃に説明すると溜息と同時に呆れながら説教を始めた。久遠の夫だから少し立場を考えてほしい。久遠は自分に関わる大きなことを考えている。だから、無茶はしないでほしい。との事だった。ただ、詩乃も結菜から少し聞いた程度だったので、あくまで推測であり何かまでは分からないようだ。

 そんな話にイラついた森親子がさっさと鬼を退治しに行こうぜ!とイライラしている時に綾那は兵の一人に歌夜という人を呼んだ。少し待ってやってきたのは大和撫子というにふさわしい女性だった。

 

 「初めまして、私は松平家中が一人榊原小平太康政。通称は歌夜と申します」

 

 本気でアキラは一瞬そう思うくらいおしとやかが似合う女性だった。

 「歌夜さんですか。私は「歌夜!この方があの田楽狭間で二人で見たアキラ様です!」・・・自己紹介は必要なくなりましたね」

 「え・・・えええ!あ、あなたがアキラ様ですか!これは、失礼を。こら綾那!「いいのですよ。その方が気楽でほっとします」え?ほ、本当によろしいのですか?」

 はい。と頷く中お隣のこめかみに青筋を浮かべている親子はブチ切れそうだった。

 「うっせ~~な。さっさと鬼の巣にいって鬼を殺そうぜ~!」

 「そうじゃ!槍が血を求めてうずうずしてるというのに!」

 「・・・この近くに鬼の巣。鬼という存在は既に知っていると思いますが、その巣が近くにあるので三人で退治しようと思っていたところです」

 「そうですか・・・ええっと。近くに鬼の巣があるから自分達も行って調べたい。綾那が言いたいのはそういうこと?」

 「です!」

 どや顔で言う綾那に溜息を吐く歌夜。

 「は~~、まあ、確かに一度対峙してみない事には分からないですし・・・ご同行してもいいですか?」

 「ええ、お願いします(むしろ、そっちの方が助かります)」

 三人のお守りは正直したくなかったので、内心助かったと思ったアキラだった。

 

 

 移動中に三十から四十の鬼を倒すことを話すと、さらに呆れかえられ詩乃も一緒についてくることになった。アキラは彼女を守るために今回の鬼殲滅は参加しないことになった。

 鬼退治の前に綾那が自分の槍『蜻蛉切り』の名を出した時、桐琴が愛槍『蜻蛉止まらず』を真似したと文句の言い合いになったのは割愛。あぶり出しされ出てきた鬼と戦う二人を見ているアキラ。

 

 『・・・あの子が戦国最強と呼ばれた本多忠勝ですか。さすが、歴史に残る納得できる強さですね。榊原小平太というのは聞いたことが、綾那ほどではありませんが光るものがあります。まさか、二人ともこれほどの腕とは思いませんでした』

 

 出てきた鬼を惨殺する森親子と切っていく綾那と歌夜。

 「「ヒャッハー!!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」」

 「鬼ってそんなに強くないですね~~!」

 「うん。これくらいなら何とかなりそう」

 「アキラ様。松平のお二人はまだしも、あちらの二人はどうしても鬼にしか見えません・・・キ〇ガイとは人の道を外れるのが当たり前なのですか?」

 「・・・・・・そうですね」

 アキラもまた同じ事を思っていたので、何も言えなかった。というか、向こうで実例を何人も見てきたアキラは『当たり前です』と心で答えた・・・だが、向こうの仲間がいたら確実にこういうだろう。お前もそうだろ!と

 

 

 数分後には鬼の殲滅・・・いや惨殺は終わったが森親子はまだ消化不良なのか、ほかに鬼がいないか探しに行った。戦の前までこの辺りに潜んでいる鬼達を全部狩りつくすつもりだろう。その狂気すら感じる笑顔に詩乃は思わず後ずさり、アキラは少しだけ鬼に同情してしまった。

 「あの二人は放っておいても問題ないでしょう・・・とりあえず、村まで戻ります。宿でこれから戦う鬼の事を説明しようと思いますので」

 「「お願いします(するです)」」

 「では、行きましょう」

 そして、一通りの説明をするため長久手の宿に向けて出発した。

 




 皆さん、お待たせしました!最強の本多忠勝見参です!やはり、森親子が出ると鬼退治がスムーズですね。各務も出そうかな?と思いましたが、今度にします。

 そして、全読者の皆様、更にお待たせしました!ついに、あの子が出ます!作者はガチでこの子は素晴らしいと思っています!


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二十八振り目 運命?それとも奇縁?

 
 こんにちは、昨日三分の二書いたところでPCが動作不良起こしそれが全部消された三MENです。
 では、始めます!あの元気いっぱいの子がついに登場です!



 

 「それにしても、あの二人でも苦戦した鬼がいるなんて」

 「う~ん、もぐもぐ、戦ってみたいです」

 「ですが、二人で一刻掛かった相手です。私でしたら時間をかけないで倒せますが、それでも戦いたいと思いませんね」

 「アキラ様、出ても戦わないでくださいね。そんな無茶をしたら・・・私、泣いちゃいます」

 「・・・否定したいですけど」

 『分かってます。言っても聞かない無茶をする人だと・・・』

 長久手の宿で食事をとりながら、鬼の説明をしていた。今は鬼子の事を話し合っている。当初は食事が終わってからしようとしていたが、アキラが時間をとるのが面倒ということと・・・綾那の腹の虫が盛大になったのでこういう形にした。

 「そういえばアキラ様。今回の上洛は詩乃さんからかなりの無茶な行軍だと聞きましたが」

 「ええ、歌夜さんの言う通りです」

 そう、久遠の決めた上洛はかなり厳しいと言ってもいい。まず、六角が治める南近江の観音寺城を制圧して京で松永・三好を撃破して一葉達を救い出す。その後は北近江で味方の浅井を仲間に入れて、最終目的地である越前にいる鬼を全滅すると言うのが久遠の決めた鬼殲滅へのルートだ。

 そのルートを伝えると歌夜は驚いた。

 「それは・・・本当に無茶と言ってもいいですね」

 「でも、私は久遠の考えとやり方は間違ってないと思います」

 「私もそう思います。鬼は目立たないところで着実に勢力を伸ばしてきています。勢いのある状態で鬼達を一掃するというのは妥当だと思います」

 「大丈夫です!三河武士は、もぐもぐもぐ、強いです!負けないです!」

 しゃべりながら食べ、しかもご飯粒を飛ばしてえっへん!と胸を張る綾那を見て苦笑いする詩乃。やれやれと思いながらそのご飯粒を拾う歌夜。

 「綾那。せめて食べるか、しゃべるかのどっちかにして」

 「ははは、歌夜さんはまるで綾那のお姉さんですね」

 「付き合いが長いですからね・・・後、私の事は歌夜でいいです」

 「そうですか。では歌夜、これからもよろしくお願いします」

 「え?あの、この手は?」

 「握手です。仲良くしましょう、という儀式みたいなものです」

 「あ、そうですか」

 アキラの出して手を握り、じっと見る歌夜。その時に傷があることに気づいた。

 

 『傷だらけ・・・手首にも細かいのがたくさんある。この方とても頑張って』

 

 それを見た時少しときめいた歌夜。

 「あの?どうしました?」

 「い、いえ!な、何でもないです」

 アキラの言葉で意識が戻り、真っ赤になり手を離す。

 「アキラ様。どうして、誑す挨拶しかできないのですか」

 「握手が誑す挨拶になるのですか?」

 「ち、ち、違うのです!とても、力強くて素敵だなあって」

 「そうです!アキラ様はすごいお方なのです!」

 歌夜の慌てて出た言葉と綾那の自信たっぷりの言葉は、詩乃の言葉を証明するものでしかなかった。

 「・・・何か弁明は?」

 「厠に行ってきます」

 ジロリと見られた詩乃から逃げるように、アキラは部屋を出て行った。

 「歌夜さん。アキラ様には気を付けてくださいね。織田家中は、もうアキラ様の事を好きな人しかいない。と言ってもいいくらい好きな人が多いです」

 「えええ。い、いや!私は」

 「あれ?詩乃はアキラ様の事、好きじゃないです?」

 「私は・・・好きですよ。既にこの身も魂も全てあの方に捧げています。唯一の不満は、まだ抱いてくれない事です」

 「だ、抱いてくれないって!・・・で、でも、あの人なら」

 更に真っ赤になりわたわたする歌夜を不思議そうに見る綾那の姿。最後にぼそっと呟いたのをしっかり聞いて、更にライバルが出たことに溜息を出す詩乃だった。

 

 

 三分の一ほどかけた月を見上げるアキラ。

 『ふ~~、誑しと呼ばれるようになってからどんどん誤解が出てきますね。それにしても・・・三河と言えば、この時期は松平家が治めていた土地。そして、松平と言えば徳川家康の前の名前・・・つまり、久遠やさっきの二人が言っていた葵という人はこの世界の紅虎の親ということになりますね。いつか会うと思ってましたし・・・あの漢のイメージが強いせいで、どうしても警戒してしまいますね』

 近い内会うであろうあの人物の事を考えたアキラ。そして、少し経過して向こうも落ち着いた頃と思い、部屋に戻ろうとした時だった。

 

 『誰かいますね・・・にしてはとても無防備。草というわけではないですね。いや、無防備というより弱り切っている?』

 

 気配を感じ警戒していたら、向こうから姿を現した。小さな女の子だったが、とてもフラフラの状態だった。

 『この子ですか・・・いったいどうした』

 目の前に現れ、前すら見えてない感じだった。

 

 「おなか・・・すいたの」

 

 そう言ってその場で倒れこんだ。いきなりの展開に少し呆然としたが、

 「連れて戻りますか。弱ってますし、他国の草もここまでの事はしないでしょう・・・ただ、詩乃がどんな反応するか」

 倒れた少女を抱き上げて、部屋に戻っていった。

 

 

 案の定少女を見た詩乃は、白い目をアキラに向けていた。

 「アキラ様・・・言葉が出ませんよ」

 「詩乃さん。アキラ様って、本当に女の人を誑すのが趣味なんですね」

 「何と!アキラ様は妖怪女誑かしだったのですか!」

 三人の反応は予想通りだったアキラ。弁明しようとした時に、少女から大きなお腹の音が鳴ったので食事をさせようということになった。ちょうど食事の支度が出来た時に目を覚めて、食べていいと言ったら大急ぎで食べ始めた・・・厠に行く前に一緒に食べた綾那も食べているのは、この際気にしなかった。

 「アキラ様・・・この方」

 「食事が終わって、落ち着いてからです。詩乃の言いたいことは分かります」

 警戒が解けない詩乃の頭を優しく撫でて言葉を止めた。撫でられたことに真っ赤になった詩乃はもじもじしながら小さく頷いた。

 「あれ?この方・・・どこかで」

 そんな中で歌夜はどこかで見たことがあるような感じだったが、それらも全て食事後にすることにした。因みに綾那にも聞いたが全然分からなかった。

 

 

 食後、少女もやっと話ができる状態になったが、あまり口を開けようとしなかった。名前を聞いても、「鞠」としか答えなかった。

 「そう言えば、名乗ってませんでしたね。私はアキラ、織田久遠信長の夫です」

 埒が明かないので話を進めるために自分の名を名乗ると、鞠はビックリしながら顔を上げた。

 「え!アキラ・・・ここって尾張?」

 「長久手というところで美濃の一部ですが、久遠の治めている土地です」

 「そうなの・・・よかった~~」

 ほっとした感じになり、歌夜が差し出したお茶を飲んだ。その時にやっと少女は笑顔になった。

 「では、今度こそ自己紹介をお願いします・・・ああ、食事中みたいに砕けた感じでいいですよ。ここは城でもなければ偉い人がいないただの宿なので」

 「「アキラ様が一番偉いはずでは?」」

 詩乃と歌夜の心からのツッコミを無視した。その言葉で安心したのか、元気な顔で元気いっぱいな声で名前を言った。

 

 「鞠の名前は今川彦五郎氏真!駿府から尾張の織田三郎殿に会いに来たの!」

 

 だが、その自己紹介は場の空気を一変させるには十分なものだった。

 「い、今川ですか!」

 「そうだ、彦五郎様だ・・・やっと思い出した」

 「・・・やっぱり分からないです」

 綾那のボケはスルーして、歌夜と詩乃は目を大きく開けて驚き、アキラも顔は変えてないが内心はとても驚いていた。

 「何と・・・でも、どうしてここに?氏真と言えば義元なき今川家の現当主では?それが空腹になるくらいへとへとになって」

 詩乃の質問に答えた鞠。

 

 「駿府屋形が武田に落とされたの・・・」

 

 彼女の口から出た言葉はさらに驚くべき出来事だった。

 

 武田と言っても現当主の武田晴信ではなく、その母親の武田信虎が駿府屋形を落としたこと。その母親は武田三姉妹によって甲斐を追い出され、今川義元が拾ってやったが亡くなった後勢力を強めて乗っ取ったとのこと。何とか逃げる際に協力してくれた人がいたからここまでやってこれた、とのことだった。

 「これ・・・久遠様かその夫のアキラに渡してほしいと言われて」

 協力した人が書いた手紙らしく、アキラは鞠からそれを渡された。だが、その手紙を開けないで

 「歌夜と綾那はお風呂に入ってきてください。その間に、この子のわだかまりを解こうと思いますので」

 「・・・歌夜さん、お願いします」

 「分かりました。綾那、行くわよ」

 「は~~い!」

 二人をこの場からいなくさせた。その理由は

 『駿府の隣は三河。しかし、そこの現当主松平元康に頼まずにわざわざ久遠に頼ったのが気になります。詩乃と歌夜はそれを察して分からない綾那を遠ざけてくれた。空気が読める二人で助かったです』

 この懸念があったからこそ、いてはいけない二人を風呂に行かせたのだ。

 

 

 その後アキラと詩乃が呼んだ手紙の内容は予想通りと言ってもいい内容であり、三河の二人には見せられそうにない内容だった。最後に鞠をどうするか。ということになった。

 「鞠、私の客人になりませんか?客人なら久遠に顔合わせすることもできますし、その手紙を渡すこともできます。あなた一人では、身分を証明するものもないので追い返されるのが目に見えます。例え顔を知る者がいても、護衛もお供もいないですから疑われます」

 「アキラ様・・・全くあなたという人は」

 ジト目する詩乃を見て見ぬふりをした。しかし、彼女もその考えには賛成のようで咎めるつもりはない様だ。

 「どうです?その間でしたら、食事も宿も保証しましょう。ただ、出発は四、五日後になりますが、それでもいいですか?」

 「大丈夫なの!鞠、待てるの!」

 「・・・最後に一つだけ確認します。これは今川の当主とかではなく、ただの鞠として答えてください」

 「鞠として?」

 「はい・・・あなたはこの手紙を見る限り駿府屋形を取り戻したいという意思があることが分かります。久遠に頼めば確かに協力してくれるでしょう。でも、それはまだかなり先になります。いつになるかもわかりません。それでも、待てますか?」

 この質問は、ただの勢いでやっていないことと彼女の本気を確かめるための確認だ。

 

 「・・・待てるの!駿府を取り戻すのが鞠の願い!だから、協力してくれるなら取り戻してくれるならいつだって待てるの!」

 

 『うん、これなら大丈夫ですね。よし、この子を客人として認めましょう』

 鞠のしっかりとした信念を聞き大丈夫と判断した。

 「合格です。では、これからよろしくお願いします。鞠」

 「うん!よろしくなの!」

 「は~~。またライバルが・・・」

 溜息と同時に襖が開けられ歌夜と綾那が戻ってきた。改めて紹介しあってしばらく一緒にいる旨を伝えた。その後、アキラが風呂に入ろうとした際鞠も一緒に入ろうとしてそこでまた一悶着あったのは割愛。

 

 『まさか今川氏真と出会うとは思いませんでした。しかも、武田信虎が駿府屋形を乗っ取ったというのも本気で驚きました。私の知る歴史が狂ってきている・・・いったいどうなっていくのか』

 

 最後に風呂に入り、一段落して眠りについた。

 




 はい!鞠登場です!原作やっていって本当に頑張って・・・と思いましたので、少しでも鞠は幸せに書きたいと思います!


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二十九振り目 夢ですよね・・・うん、夢・・・現実なはずない!

 こんばんは、残業が多く中々これを書くのが進まない三MENです。今回は間章は入れません。まっすぐ行きます。だんだん、仕事の疲れがたまっていく・・・

 さあ、今回はいよいよ我々の認識の狸が登場します!


 「アキラ様~~!殿さんが到着しました~~!」

 鞠を拾って数日後、宿で一段落していると綾那が部屋に突撃してきた。

 「ふむ、松平元康さんが到着したのですね」

 「はいです!さあ、早く早く!」

 「全く、綾那ったら・・・」

 「問題ないですよ。これくらい元気な方が綾那らしいですから」

 「く~~す~~」

 綾那の大騒ぎがあったのに、約一名眠っている少女がいる。

 「これだけ騒がしいのに鞠さんは目を覚まさない。大物なのかそれとも」

 「大物ですよ。この子はとても器がでかい・・・」

 まだ寝ている鞠を見て彼女柄の認識を思い返した。

 

 『本来、駿府屋形を取り戻す協力者として久遠に頼むのはお門違い、いくら書状に書かれていても鞠にしてみたら母親の仇。この子はそれを理解したうえで久遠に頼むことにした・・・そんな子が小物なはずありません』

 

 アキラは鞠の身の上をそれなりに理解したうえで、彼女の器は久遠に匹敵するくらい大きいと判断した。

 「アキラ様!アキラ様!早くです!」

 そのまま寝かせることにして、綾那に引っ張られて外に出た。

 

 

 外に出ると、すぐに鬼殺しハンターの二人に会った。桐琴も小夜叉も服が鬼の血だらけになっていた。

 「どうやら、満足したみたいですね」

 「ああ、二百くらい狩ってきた」

 「いや~~。楽しかったぜ~~!!」

 目の下にクマを作った笑顔で戦果を報告してきた。

 「ははは、それはよかったです。とりあえず、お二人は美濃に戻ったら寝てください。目にクマができていますし、せっかく綺麗でかわいい顔が台無しです」

 「なああ!ななな、何を言うんだ!」

 小夜叉がアキラの褒め殺しに照れた。そんな娘を見て親はからかう。

 「かかかか、アキラよ。わしじゃなく各務に言ってやれ!」

 「いえ、桐琴にも言いますよ。二人とも綺麗で可愛いですよ」

 「///うううう~~!!」

 「かかか!クソガキもついに色気がついてきたか!」

 「う、うううう、うっせ~~!」

 真っ赤になりながら、去っていく小夜叉。笑いながらその後を桐琴がゆっくり追っていった。

 「殿さん殿さん!この方が綾那が光り輝く玉の中に入っていたアキラ様です!」

 綾那の声が聞こえたので、後ろを振り向くとそこには一人の女性がいた。

 

 「田楽狭間で舞い降りた天人。そして、久遠様の夫というのはあなた様でしたか。我が名は松平次郎三郎元康。通称は葵と申します。葵とお呼びください。久遠様の上洛の露払いをするべく参上仕りました」

 

 「どうも、初めまして。織田久遠信長の夫アキラと申します・・・・・・え?」

 挨拶をしてきたので返答して顔を見る。自分の前に現れた女性を見て唖然として・・・久しぶりに現実逃避をした。

 

 『皆さんこんにちは!第二弾アキラ先生教えて!のコーナーです。まさか、二回目が出るとは思いもしませんでした。今回教える言葉は「明晰夢」というものです。これは夢を見ている実感があり、なおかつそこで見た夢を現実としての感覚で受ける夢の事を言います。例えば夢でたくさんの敵を倒した夢を見たが、それを現実の感覚で覚えている。そういうものをいいます。ですが、以前も言った通り私の体験によるもの』

 

 「アキラ様!どうしたですか!」

 せっかくの現実逃避も綾那の大声で台無しになった。

 

 『やはり、現実でしたか。この女性がのちの徳川家康こと松平元康・・・ダメです、やはり受け入れられません!あのバカの父親がこれなんて!せ、世界が違うだけでここまで違うのですか!もはや別人として見るべきか?それとも今自分は夢を見て』

 

 だが、中々受け入れられずにいるためまた現実逃避をし掛けた。

 「アキラ様。頭を横に振って何があったのです?」

 「・・・受け入れるというのは、覚悟が必要と実感したところです」

 「?どういうことです?」

 詩乃の疑問も、今は聞ける余裕がなかった。何とか落ち着こうと軽く深呼吸をした。

 「あの?アキラ様?いったいどうしたのですか?」

 「い、いえ、何でもないですよ。ただあなたみたいなとてもきれいでおしとやかで、できることなら包み込んで暖かい気持ちを持って守りたいと思える女性が、三河の国主をやっているとはすごいと思っていたところです」

 しかし、まだ落ち着けていないため、動揺しながら本気で思っていたことが口から出てしまった。

 「え、えええ!ちょ、ちょっと。あの、その」

 「アキラ様・・・(じろ~~)」

 「あ・・・すいませんでした。つい本音が」

 「え、えええ!あ、アキラ様。そんな、私ごときをそのように見てくれていたなんて(てれ)」

 『私の世界の徳川家康とギャップがありすぎましたので、つい思っていること全部言ってしまいました。だけど、この人が慌てたおかげで少し落ち着けました』

 やっと冷静になって着たアキラ。その時、真っ赤になって俯いてる葵の後ろから

 

 「田楽狭間の天人は誑しの神と聞いたことがあります!我が主の葵様を誑そうとするとは天が許してもこの本多弥八郎正信こと通称悠季が許しませんぞ~~!」

 

 大声で現れたのは、眼鏡をかけた何とも腹に一物抱えてそうな女性だった。

 『腹黒さは、灯よりかなり弱いこの女性は・・・ん?今、本多と言いました?』

 「そんなつもりは無いのですが・・・それより本多と聞こえましたが、あなたは綾那とは親戚か何かですか?」

 「こんな悪知恵しか働かないやつを親戚と認めたくないです!」

 「それはこちらの言葉よ。全く、相変わらず面倒くさいわね~」

 ぐぬぬぬ、と綾那。しれっと悠季。二人の間に火花が走る。どうやら親戚で間違いなさそうだ。

 「二人とも!アキラ様の前で失礼ですよ!」

 「ははは、いいのですよ。こうして喧嘩してぶつかる。それが仲のいい証拠です」

 「「何を言ってるです(おっしゃいます)!!」」

 「ね?葵さん。二人はこういうのがちょうどいいのですよ」

 二人とも同じことを言ったことに、真っ赤になってお互い背を向けた。

 「本当に申し訳ありませんでした。久遠姉様が最も大切で信頼しており、現足利幕府当主の義輝様とも懇意と聞いておりましたのに。このようなものを見せてしまって」

 「大丈夫ですよ。こっちも落ち着けましたから・・・」

 

 『どうやら油断は禁物ですね。久遠ならともかく、内緒のはずの一葉達との仲もことも知っている。どうやら、こういうところは強かな狸と見ていいでしょう』

 

 やっといつも通りに戻れたところで、宿から鞠が出てきた。

 「ふぁああ、アキラ~おはようなの・・・あれ?葵ちゃん?」

 「な!あ、あなた様は鞠様!」

 「わ~い!久しぶりなの!」

 葵に抱き着く鞠。だが、抱き着かれた葵の方は鞠の存在にびっくりしていた。

 「お久しぶりでございます。お元気そうで何よりです。でも、どうしたのです?長久手のこのような宿で」

 「・・・駿府屋形が乗っ取られたの」

 「な、な、何と!そ、そのようなことが!」

 この言葉に葵の顔が苦い顔になった。その後、詩乃が手紙の内容を一部ぼやかして駿府屋形の出来事を伝えた。手紙の中身を見ようと・・・いや、おそらくその手紙を何かの企みに使おうとした悠季が見せてくれと言ったが拒否した。案の定、舌打ちをした当たり正解だった。

 「でも、鞠様を保護してくれて本当に良かったです。アキラ様、本当にありがとうございます」

 「後は美濃に帰って、久遠に処遇を決めてもらうことになります」

 「・・・鞠様。本当にいいのですか?」

 「?どうして、そんなこと聞くの?」

 鞠の質問に葵は言葉を詰まらせたので、続きはアキラが言った。

 「鞠、葵さんが言いたいのはこういうことです。あなたの母の仇である久遠に頼って大丈夫なのか?」

 「あ、アキラ様!」

 「葵さん、鞠には遠まわしに言う必要はありません。むしろ、しっかり答えを聞くべくこちらもしっかり隠すことなく聞くことが大切です」

 その言葉に、彼女の幼馴染である葵は何も言えなくなる。聞かれた鞠はというと、

 

 「大丈夫なの!母様は戦で負けたの。それは久遠が勝てるよう知勇の限り戦いそして勝ったの。だから、鞠は久遠を恨んでないし、駿府屋形を乗っ取った信虎おばさんの事も恨んでないの。だって、鞠が弱かったから!でも、絶対に駿府屋形を取り戻してみせるの!そのために久遠のところにお世話になるの!」

 

 自分の大きな思いと覚悟を持った言葉でアキラに返した。その言葉に葵は目を輝かせた。

 「鞠様・・・すばらしい心です!この葵、とても感動しました!」

 「・・・・・・」

 葵は素直に感動した。アキラの方は

 

 『この子は本当にすごい。自分の無力や今の立場をすべて理解してなお、負けを受け入れて前を向いている。悔しいが、かつての私では絶対にできません。狂に捨てられた。そう思った頃の私では・・・だけど、鞠は母を殺した久遠を素直に認め、自分の全てをかけて頼もうとしている。これほどの器と精神力の強さ。私は素直に負けを認めるしかない』

 

 鞠のこの言葉に自分自身の過去を照らしあわせていた。そして、鞠の心の持ち方に素直に感服した。

 「鞠、駿府を必ず取り戻しましょうね」

 「鞠様!その時は必ずこの葵もお力になります!」

 「うん!アキラ、葵ちゃんありがとうなの!」

 嬉しそうにする鞠を横目に、葵は真剣な顔でアキラに向いた。

 「アキラ様。鞠様の幼なじみであり、よき友として鞠様の事をお願いいたします」

 「・・・ええ。私の人生をずっと共にしたこの二本の刀に誓って」

 この両刀を出す。それはアキラの本気の証明であった。

 「さて。話も終わりましたし、美濃に戻りましょう。葵さん先導は任せてください。さあ、帰りましょうか!」

 そして、松平勢も引き連れて美濃に向けて出発した。

 




 アキラ、ついに松平元康と会いました!そりゃ、自分の世界の家康があれじゃあ現実を見失うのは当然です。原作での鞠はマジのマジで素晴らしいと思います。うん!絶対に幸せにしよう!


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三十振り目 頼もしい仲間ほど心強い

 どうしよう、150件突破したのは嬉しいけど全く記念小説考えていない。う~む、いっそうの事感想にあった出会ったらシリーズでもやるか?

 でも今はとりあえずスタートです


 美濃の井ノ口に戻るとお姉さんズが待っていた。どうやら、一緒にここまで来た葵を出迎えるためのようだ。

 

 『ふふふ、麦穂さんは慣れているけど壬月さんは作り笑顔が慣れていませんね・・・ひきつっているのが分かります。いや~、見ものですね~』

 

 一通り接待が終わり、麦穂が葵を連れて行ったと同時にほっとした壬月。肩も若干気が楽になったのかおちた。

 「ふ~~、やはり、作り笑顔は慣れんな」

 「こんばんは壬月さん。中々、面白いものを見させていただきました。因みに私はあれは得意分野ですよ」

 「ふん。ひねくれているからだろう。だが、こういう時はそれが羨ましい」

 その言葉はアキラにとっては誉め言葉なのでスルーした。

 「まあまあ、久遠の宿老なのですから、そこは我慢してください」

 「面倒だがな・・・それで、鬼退治はどうだった?」

 「あれ?その事は言いましたっけ?」

 「森の二人と一緒に行動。と言えば簡単にわかるさ」

 「・・・・・・あ」

 そう言われて簡単なことに気付いたアキラ。そのあっけにとられた顔を見て仕返しができたのかニヤリと笑う壬月。

 「ちゃんと殿には謝っておけよ。相当心配していたからな」

 「そうですね。妻を心配させてしまいましたからね」

 「それでいい。では、本題を聞かせてくれ」

 その返答に満足して壬月は、本命の話を真剣に聞いた。特に、森親子でも女性を犯して生まれさせた鬼子を倒すのに、一刻(二時間)掛かったことを聞くと顔をしかめた。

 「万が一、あの鬼子が数人いたらそれだけで街一つ簡単に滅ぼせるでしょうね」

 「それほどの力を持っている鬼もいるというのか・・・しかも、そんなひどい作り方で」

 「はい。私でも一人倒すには、本気で戦っても多少時間がかかるでしょう」

 「お前でも時間がかかるのか?」

 「あくまで少しですが、確実にすぐには倒せません」

 素直に驚く壬月。自分達がまだ手加減されても勝てないそのアキラが、本気で戦ってそれだけかかるのは驚くべきことだ。

 「ですので、そうなる前に黒幕を倒さないといけません」

 「そうだな。そのための一歩として、まずは上洛だな」

 頷くアキラ。だが、顔は険しかった。

 「それが正しい道だと私も思いますが、足利幕府は既に衰退している。その衰退した将軍が声をかけたところで果たして答える大名はいるのか、そこが問題ですね」

 「うむ、その通りだな。火事の恐怖と同じで、自分がその立場にならないとわからないからな。火の粉が身に降りかからない限りはしょせんは他人事だ」

 「畿内でしたら出没しているでしょうから、それなりに返答する大名もいるでしょうが、問題はそれ以外の大名です。北近江の浅井のように既に同盟を結び、なおかつ鬼の出現もかなりある所ならともかく」

 「鬼という存在自体信じないだろうから構う気はない・・・だな」

 「ええ、自国に鬼が出てその強さを理解するか。力づくで理解させるか・・・もしくは話し合いで分からせるか」

 「国持の大名が相手じゃ、そう簡単にはいかないだろう」

 壬月との話にある人物を思い出すアキラ。

 

 『紅虎の苦労が少しわかった気がします。将軍だからと言って全ての大名が素直に従うかと言えば答えは「いいえ」ですからね。太白さんに語ったあの夢を現実にするために必死に頑張っているでしょう。話し合いで決めたり、力づくで分からせたり・・・一つの小さな間違いで大きく壊れていくので、注意しながらやっているでしょうし』

 

 あの漢は向こうで会っていた時は常にそういう顔を見せなかったために、似たような立場に立ったからこそやっとわかった。

 「ふむ、決めるというのは難しいですね」

 「ああ。私やお前は隊の隊長という立場だ。物事一つ決めるだけでもその部下の命運も握っている。そう、決めるということは何かを捨てるということでもある」

 「捨てる・・・ですか」

 彼女の言葉に耳を傾けた。

 

 「そうだ。だが、覚えておけ。お前一人で苦しむ必要はない。そういった苦しみも痛みも苦悩も全部私達織田家中が一緒に背負ってやる。そういう時が来たら声を出せ。辛ければ背中を支えてやる。肩を抱いてやる・・・それが仲間というものだ」

 

 笑顔で伝えた壬月の気持ちに、アキラはある事を思い出した。

 

 『・・・なら俺、四聖天やめる』

 

 どうしても助けたい漢がいたが、肩書が邪魔になり捨てる決意をしたあの言葉を。この決断により四聖天をやめて命がけになり、身体をボロボロにしてもなお立ち上がって勝った後に仲間が自分を支えてくれた。

 「・・・分かります。その経験、ありますから」

 自然な笑顔を出して答えたアキラに、壬月も自然な笑顔を出した。

 「そうか、聞きたいものだな。お前がどれほどの経験をしたのか」

 「とても、長くなりますよ。では、私は二人を連れて久遠のところに行きます」

 「分かった。私も仕事が残っているからな」

 「壬月さん。本当にありがとうございます。おかげで、いい気分で行けそうです」

 「それはよかった・・・じゃあな」

 立ち去った壬月を見送った後、詩乃と鞠を連れて久遠の屋敷に向かった。その足取りは少しだけ軽かった。

 

 

 屋敷に着き、早速結菜と久遠に森一家との遊びについて謝罪したアキラ。

 「アキラ・・・その者が今川彦五郎氏真か」

 「はい、通称は鞠と言います」

 だが、すぐに鞠の紹介に入った。何しろ、嫌でも思い出す久遠が討った義元の娘だ。要件はすぐに終わらせるべきだ。

 「えへへ、こんばんは!鞠って呼んでね!」

 「はい、こんばんは。私は久遠の妻の帰蝶。通称は結菜だから結菜って呼んでね」

 「うん!結菜、よろしくなの!」

 「我は紹介する必要はないな・・・それより鞠、どうして織田を頼った?」

 甲相駿の同盟があるから小田原に頼ればいいのでは?と聞いたが、義元が死んだことにより縁が切れてしまい、声をかけても力は借りれない。更に隣の三河・・・つまり葵のところも何か企んでいるだろうから、そこも頼れない。その事は自分を逃がしてくれた家臣から言われていて、鞠から預かった手紙にも同じようなことが書かれていた。

 織田を頼った理由は、戦いはしたが久遠が勝利しているため禍根もなく変な意趣返しがないこと。後は久遠が私利私欲で動かないいい国主だがら。というのが理由だった。ただ、完全に上から目線の手紙だったことが唯一呆れた点だった。

 「鞠、確かに日の本を統一するうえで駿府もいずれ行くから力を貸してもいい。でもそれにはまず上洛して越前討ち入りをした後になるが、それでもいいか?」

 「うん!アキラにも言われているの!鞠、待てるの!」

 まっすぐな瞳の鞠の顔を見て、久遠も彼女の覚悟を受け止めた。

 「そうか・・・それならいい。だが、お前を受け入れるにはちゃんとここで働くことが条件になる。お前は、何ができる?」

 しっかり自分達の為に働けば、その分のお礼として鞠の駿府奪還に力を貸すということだ。これもまた一つの条件だ。すると、

 

 「鞠、アキラの護衛になる!」

 

 鞠がとんでもないことを言った。一瞬キョトンとしたが、

 「なるほど・・・こやつ自身はとても強いが、立場を考えれば確かに護衛は必要だな。だが、上洛準備の中で織田家中から兵を出すわけにはいかないのが現状だ」

 「それに立場も今は素浪人ですが、義元公の娘という事は幕府にも顔を出していたでしょうし礼節なども習っているはず。アキラ様は全くと言っていいほどそれができないので適材適所と言えるでしょう」

 久遠と詩乃は、鞠の意見に賛成した。

 「うん!一葉ちゃんと幕府の礼節とか習ったことがあるの!」

 「一葉とも知り合いでしたか・・・彼女が礼節をする。絶対的に似合わないですね」

 礼儀正しい一葉を想像したが・・・すぐに「くだらん!」と言って投げ出す姿を妄想したアキラであった。

 「あれ?一葉ちゃん知っているの?」

 「この間、会いましたよ」

 頷くアキラ。その隣で詩乃が久遠に結論を出した。

 「久遠様、これ以上ない適任かと私は思います」

 「デアルカ。よし、アキラ。鞠の面倒はお前が見ろ」

 「ええ、元々そうしようと思ってましたし。いい加減一人でいろいろ行動するのはまずいと思ってましたから」

 「・・・ねえ、アキラ一ついいかしら?」

 鞠の処遇が決まったところで、今まで口を開かなかった結菜が聞いてきた。

 「もしかして、鞠ちゃんも誑すの?」

 「結菜様ご安心を、既に誑されております」

 「予想していたが・・・アキラ」

 「三人とも・・・お願いですからそういう目で見ないでください」

 「久遠も詩乃も結菜もどうしたの?」

 三人の白い目に顔を背けるアキラ。鞠は疑問そうに皆を見る。

 「上洛と越前討ち入り、これが終わったらどうするつもりですか?」

 「逃げたか・・・とりあえず長尾と武田に共闘できないか持ちかけてみるつもりだ」

 「長尾とは誰です?武田は、嫌でも分かりますが」

 「長尾景虎、越後の国主だ。戦がとてもうまい武将だ」

 

 『越後?そこは上杉謙信の治める国・・・つまり長尾景虎とは上杉謙信ということでしょうか。ここでもまた違うところが出ましたね』

 

 「なるほど。ですが、今は保留にしましょう。すべては成功に納めてからです」

 「ああ、そうだな・・・あのな、アキラ」

 少しおどおどした様子でアキラに気持ちを伝えた。

 「・・・頼む、力を貸してくれ。京を越前を取り戻すためにも、そしてこの日の本を平和にするためにも」

 「もちろんです。あなたの刀となりて力になりましょう」

 久遠の申し出にアキラはすぐに答えた。既に、彼女の刀となることは決めていた。

 「ありがとう。そ、それと、できるなら次から。何かするときは必ず教えてほしい。余は我の夫なのだ。妻の我が、ちゃ、ちゃんと知って・・・おきたい///」

 「(か、かわいい・・・これは、きますね)はい、分かりました。本当に心配かけてすいませんでした」

 「お、おい!何を!」

 「ちょっと!久遠だけずるいわよ!」

 気づけば、アキラは久遠を力いっぱい抱きしめていた。その事に、結菜が文句を言い詩乃と鞠は羨ましそうに見ている。

 「っは!いつの間に私の腕の中に久遠が!もしやあまりの可愛さに、本能が体を動かしたのでしょうか!」

 無意識に抱き着いていたことに気づき慌てて離れた。

 「な、ななんあ、なんらぼうおか!」

 「久遠、嬉しすぎてちゃんと喋れてないわよ」

 「アキラ様、いくら妻だからといって」

 「久遠~羨ましいの~!」

 「と、とりあえず私達は長屋に戻ります。鞠の紹介と上洛準備もありますので」

 久遠と同じくらい真っ赤になって屋敷を出たアキラ。

 

 『あのままいたら・・・間違いなく押し倒していたでしょうね』

 

 帰り道は、さっきの事を忘れることに必死だった。

 

 

 その後、長屋に戻り久しぶりにひよところに会い、着実に準備をしていることに感心した。そして、鞠の紹介で一波乱があった。

 「ひよ!ころ!鞠は今川治部太輔氏真なの!鞠って呼んでね!」

 「じ、じじじ、じぶの!」

 「だ、だだだ、だゆうさま!」

 「二人とも、焦り過ぎです」

 「おおお、おがじら!なんばいっちょんにゃねん!」

 「せやで!ちょもちょもどないしてであえたちゃんや!」

 大混乱しながら頭を地面につけ口調もおかしくなったが、その後の鞠の身の上話に二人とも涙を出しながら感動して快く迎えてくれた。出陣の準備もそれなりに終わって、二人が鞠と一緒に寝ようと部屋に案内し、詩乃も目蓋が重かったので自室に戻した。

 一人残ったアキラは空を見上げた。

 

 『いよいよですね・・・自分のやれることを精いっぱいやりましょう』

 

 織田勢、上洛への準備、順調に進行中。

 




 鞠、アキラ隊の一員になりました!ついに上洛の第一段階スタートです!

 でも、その前に間章です!


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間章8-1 久しぶりに一緒に・・・ R-18

 こんばんは!太るの気にしない三MENです!

 今回からまた間章です!今回は三河の二人と妻二人です。

 何とかして、150件記念小説考えないと・・・


 4月18日 二人の自慰追加


 美濃に戻り、上洛準備が続いている中アキラは山の中にいた。

 「たまには刀を振るわないと・・・」

 ここ最近、森一家に呼ばれた時くらいしか刀を振るっていないので、腕が落ちてないか心配だった。

 「久しぶりのイメージトレーニングを始めますか」

 意識を集中して、目の前に対戦相手がいるイメージをした。もちろん、アキラのイメージする相手は一人しかいない。

 

 『狂・・・イメージでも勝てたことがない。今回こそ!』

 

 半刻後にアキラはその場に座り込んだ。

 「・・・無明神風流殺人剣の奥義の避け方と対処。これを完全にうまくできないと、やはり勝てませんね」

 イメージトレーニングは敗北だったようだ。でも、いつもの事だから特に悔しがる様子はない。刀をしまってある方向を向いた。

 「・・・二人とも、もう終わったので出てきていいですよ」

 「アキラ様、綾那達がいるの知っていたですか!」

 「あの、すいません。お邪魔してしまって」

 出てきたのは綾那と歌夜だった。

 「後をつけてきたのですか?」

 「はいです!アキラ様、山に入ったのを見かけましたので!」

 「それで、綾那が追いかける!と言って・・・」

 申し訳なさそうに頭を下げる歌夜。

 「ははは、問題ありませんよ。もしかして、見ていたのですか?」

 「はい!とてもすごい剣舞でした!」

 「私も同じ感想です。でも、まるで誰かと戦っていたように見えましたが」

 「その通りです、今まで一度も勝てたことがない漢がいましてね。その漢と想像の中ですが戦っていました」

 「はえ?想像なのです?」

 「はい、でも全くと言っていいほど勝てません。断言していいです。綾那でも百回戦って全敗するでしょう」

 この言葉に二人とも驚いた。

 「あ、綾那がですか!」

 「はえ~~~。そんなすごい人がいるですか!」

 「ええ。でも、私の世界の話ですから・・・もう会えないですけどね。それより、せっかく来たのですからちょっと付き合ってもらいませんか」

 「「???」」

 二人の頭の上に『?』が出た。 

 

 「アキラ様。この野草は食べられますか?」

 「ええ。大丈夫です。あ、そちらは毒ですので」

 「アキラ様!食べられる草、持ってきたです!」

 「・・・すごいですね。全部確かに食べられます。よく分かりましたね、見分けがつきにくいものまでありますよ」

 「えへへ~」

 ちょうど山にいるので、食べられる野草やキノコを探していた。この後久遠の家に行って自分の手料理をごちそうしようと思っているから、その食材探しというわけだ。

 「それにしてもアキラ様って不思議な方ですよね」

 「・・・どういうことです?」

 「だって、田楽狭間の天人という肩書を持っているだけでなく久遠様の夫もやっていて、更に葵様から聞きましたが足利将軍様と仲がいいらしいじゃないですか。それなのに、アキラ様自身がそんなに偉いと正直思えなくて」

 素直に言った歌夜にアキラは笑みを浮かべた。

 「なるほど・・・そうですね。私はそんな偉いとは思ってませんよ。どんな時でも自分は上にいる人間じゃなく下にいる人間と考えています。それ相応の力を持っているわけではありません」

 「ですが、先ほどの剣舞を見ると相当強いことが分かります。おそらく私達二人がかりでも負けるでしょう」

 「そ、そ、そんなこと・・・・・・な、ないです!」

 歯切れが悪いところからすると、綾那もそう思っていることが分かる。

 「上に立つものは強いだけじゃだめですよ。実際、あなた達の主である葵さんはお二人より強いですか?」

 「・・・いいえ」

 「上に立つものに必要なのは・・・そうお二人も感じられたと思います。鞠のような強い心と並外れた精神力。そして、全てを受け入れる器。私はその器がありませんからね、ですから上に立とうと思わないのですよ」

 「どうして、そこまで立ちたいと思わないのですか?」

 「前へ出るより、誰かを出させて自分は陰で支える。そっちの方が性に合ってます。前に出るのは久遠達で十分です」

 「アキラ様は前に出て首級をとろうと思わないです?」

 「ええ、隊の皆をしっかり養う。久遠をしっかり支える。それができれば十分です」

 アキラの答えに二人は何故?という顔になった。

 「不思議そうですね・・・でも、いつか分かりますよ。首級をとることだけが大切というわけではないことが」

 「そう・・・ですか?」

 「う~ん、やっぱり分からないです!」

 武士の存在意義がそれだと信じている今の二人には、結局分からなかった。

 「私から言えるのはそれだけです・・・野草取りの協力ありがとうございました。三分の一ほどいただきますので残りの野草はお二人でどうぞ」

 「え!全部アキラ様にあげようと思って頑張ったですのに!(ガーーン!)」

 「でしたら、宿にもっていって今晩の葵さんへの食事に出してもらうよう頼んだらどうです?喜んでくれますよ」

 「あ!それはいい考えです!早速頼むですよ!」

 「ちょ、綾那、走ったら転ぶわよ!」

 「だ~いじょうぶで~~す!」

 声を響かせながら綾那は山道を野草やキノコをたくさん抱えて降りて行った。

 「さて、あと一息です」

 

 その後、鹿を狩り肉を半分ほど隊の皆にあげて、残り半分とさっきの野草達を持って久遠の家に行った。二人に自分が作ることを伝えて台所に行き、数分後に準備も終わって、後はいただきますを言うだけとなった。

 「ねえ、本当に大丈夫なの?」

 「大丈夫ですよ。向こうでは毎日のように食べてきたものです」

 「結菜、アキラに任せろ。夫を信じることが妻の役目であろう」

 「・・・わかったわよ」

 三人の視線の先にはぐつぐつと煮込まれている鍋があり、中身はさっき取ってきたもののオンパレードだ。ただ、結菜はちょっと不安そうだった。

 「では、いただきます」

 「いただきます!」

 「う、いただきます・・・美味しい!」

 早速、絶賛の声が響いた。

 「とっても美味しいわ!ただ具材を入れて煮ただけなのに、どうしてこんなに美味しいの!こんなに簡単に作れるのに!」

 「野菜や肉から出た旨味が合わさっているからでしょうね。味噌汁だと味噌の濃い味の方が優先されてしまいますが、鍋はそちらが優先になりますので」

 「なるほど。今度は私が作ろうかしら」

 「それは楽しみですね。結ちゃんの独自の鍋料理も食べてみたいです」

 「・・・なあ、アキラ。我が作ったら、食べてくれるか?」

 「ほう~久遠の作った鍋ですか・・・爆発しないといいですね」

 「な!アキラ!」

 「ふふ、そうね~。久遠、気を付けてね」

 「ゆ、結菜まで・・・」

 だが、二人ほどの料理の腕がないため強く言い返せない久遠だった。

 

 食事はいろいろと話題が出して、楽しみながら食べ終わることができた。

 「美味しかったわね・・・」

 「ああ、量は多かったが幸せな気分だ」

 「私も、あの熱さ耐久あ~んがなければ幸せでしたね」

 「なあ!あ、あれは金柑が「ダメよ、彼女のせいにしちゃ。間違えたのは久遠でしょう」ううう~~」

 言い訳しようとした久遠に突っ込みを入れる結菜。

 「本当にお腹が一杯になりましたね。今日はもう、ここで寝ていきますね」

 「それって、泊っていくってことでいいかしら?」

 「そのつもりでここに来ましたからね。長屋の皆にも伝えています」

 「という事は三人でまた寝れるわね!すぐに用意するわ!」

 嬉しそうに食べ終わった空の鍋と器を下げに行った。

 「では、私達は布団の用意をしますか」

 「まさかと思うが・・・また一つの布団に三人で寝るとか言うなよ」

 「何を言い出すかと思えば・・・・当たり前じゃないですか!」

 「自信を持って嬉しそうに言うな!」

 「久遠と結菜の二人と一緒に寝ると思うとワクワクしますよ!」

 「・・・勘弁してくれ~」

 久遠の言葉も聞き入れず、案の定布団は一つ枕は三つだった。

 

 三人とも着替えも終わり、布団に入った。

 「では、おやすみなさい」

 「うん、おやすみ」

 「・・・・・・お、おや、すみ」

 結菜は嬉しそうに、久遠は恥ずかしそうに言って二人はまぶたを閉じた。

 

 『すぐに眠れそうです。三人で寝ることに慣れてしまったからでしょうか・・・それは少し寂しい気が。せっかく女性の・・感触が、感じ、ら・・・れ・・』

 

 アキラは満腹と安堵感に身を委ねて完全に眠りに着いた。だから、気づかなかった。

 「ん。んん、あ、ああ、暖かい・・・」

 結菜が顔を赤くして、自分の手を胸に押し付けていることに。

 「あ、アキラ。も、もっと。気持ちいいの」

 「・・・ゆ、結菜。な、何を」

 「み、見ての通り。あ、あああ・・・よ」

 さらに腕を胸に挟むようにして、アキラの手が結菜のあの部分に触らせた。

 「んん!いいの、アキラ・・・ほしい。ほら、久遠も」

 「なあ!そ、そんなことで、でき・・・る・・か」

 「大丈夫。もう完全に、ああん、寝ているから。ほら、アキラの、手。あ!今びりって、すごいの・・・が、きた!」

 布団の中ではアキラの手で自慰をする結菜。滅多に見ない淫らな顔をする結菜を見ているうちに、久遠の理性が崩壊してしまった。そして、ついに・・・

 「アキラ・・・お、お前が、ん!わ、悪いんだからな!」

 久遠もアキラの手を自分の割れ目の中にいれた。結菜の淫らな姿を見ているうちに既に濡れてしまったので、簡単に入れることができた。

 「アキラの、手が。我の、我の・・・に!」

 「いいのよ。ああん!私達は、妻。何だから」

 結菜はずっと入れていた手を抜いて、それを口の中にいれた。

 「ちゅ、ペロ、ちゅる、ん、私と。アキラの、味」

 「ゆ、結菜、ど、どうだ?」

 「うん、いいの。久遠も、やった方が、いいわ」

 その指の周りを舐め、その腕を自分の胸に挟めて、おっぱいでパフパフし始めた。その姿がさっきよりもとてもいやらしく見え、久遠も割れ目の中の手をどんどん動かした。その時だった。

 

 「ん。んん・・・」

 

 アキラの声にビクンとなった久遠。だが、結菜の方は全く気にせず続けた。

 「アキラ、アキラ・・・愛しているわ」

 アキラの脚に自分の脚を絡めて、太ももに自分の割れ目を擦り付けていた。来ていた肌襦袢も脱げて彼女の上半身ががあらわになった。

 「ゆ、結、菜」

 「久遠は、もう、しないの?」

 「う、ううう。わ、分かった。も、もう・・・」

 久遠も割れ目にいれている手を抜いて、それを舐め始めた。そして、自身の割れ目には自分の手を入れて自慰をやり始めた。

 「はあ、はあ、ん!あん!あん!」

 結菜のようにパフパフはしてないが、アキラの指を舐める。それだけでも、二人はどんどん欲情していき、割れ目の蜜が出てくる。それらをアキラにばれないようにやる。その緊張感が二人を更に溺れさせていった。 

 「あ。ああ!あ、アキラ!す、好きだ!ああ!いい。私を、中から、あたためて。んん!すごい・・・あたためて。くれ・・・あああ!溺れる、溺れてしまう!」

 「久遠、一緒に・・・アキラに。。あ!あ、あああああ!お、おぼ、い、いい、いいの!・・・溺れましょう」

 「アキラ、お、お前の、お前のが・・・ほ、欲しい」

 「私も、私もよ。ねえ、アキラ・・・ちょうだい」

 寝ているため当然反応はないが、二人は気にせず舐めていたアキラの手を再びそれぞれの割れ目に持っていき・・・まるでアキラのそれが入ることを想像して、入れた。

 「あああ!あう、あん!!!アキラ、アキラが。アキラ~~!」

 「いいわ!欲しかった、ビリってきた!アキラ、もっと、もっとよ~~!」

 手を出し入れし続けた。アキラの手を入れる前からどれだけの蜜を出してしまい布団を濡らしてしまったが、もうどうでもよかった。ただただ、アキラの温もりがあり、アキラの匂いがあり、そして、アキラにせめられる。それが今の二人にとって気持ちを最大限に高ぶらせる。

 しがみつくように腕を抱きしめ、自分の胸をその腕に押し付け、体を上下に動かし、アキラの手を両手で出し入れし続ける。胸が腕にこすれ、更に欲情し、割れ目が手で濡らされていく。二人ともどうなっているのかわからないくらい、よがっていた。

 「結菜、アキラ、結菜!」

 「ああ、久遠・・・私達、淫らに、淫らに~!」

 「うん!アキラなら、アキラにだったら。淫乱でも、何でも、滅茶苦茶でも、なろうぞ!」

 「ええ!アキラ、アキラ、ああん!いいわ!いいわ!」

 ラストスパートの時が来た。どんどん、布団を濡らし、自分を溺れさせ、割れ目から蜜を漏らし、淫らによがっていく。そして・・・

 「「ああああああ!アキラ~~!!好き~~!!」」

 アキラの指が彼女らの女の壁の手前までついたところで、二人は絶頂を迎えて蜜もアキラの手を全部濡らすくらい出た。

 「あ。あ、結菜・・・」

 「久遠・・・気持ち、よかったわね」

 二人は視線を合わせた。そして、頷き合い、

 「また・・・やろうな」

 「ええ。アキラに包まれて、ね」

 そのまま眠りについた。

 

 アキラの意識が夢に行っている時に、二人は自分の想いを全部吐き出した。次の日アキラは自分の布団の中に二人がいることに気づき、何かをしたことは気づいたが敢えて何も聞かなかった。

 一方、二人の方はアキラの顔を見るに見れなくなってしまい、でもその日の夜再びアキラを連れ込んで、二人して一緒に寝た布団でまた夢の世界にいったアキラの体を使っていろいろやってしまったのは別の話。

 




 はい!最後の方、またやってしまいました・・・。でも、これが二人の気持ちだと思うので。

 次の間章もお楽しみに!

 


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間章8-2 我慢はやめましょう。

 
 こんばんは!仕事で疲れた三MENです。

 決めました!・・・記念小説は書きません!

 ゴメンナサイ・・・どうしても、ネタが思いつかなくて・・・。

 間章始めます。




 

 上洛準備の確認を、城にいる久遠にするために捜していた時の事だった。

 「あ~、アキラ様~~!」

 「おや、犬子ではな「いっくよ~~!受け止めてね~~!」は?」

 「えっへ~~。抱き着き~~!(ぎゅ)」

 前から犬子を見つけ、アキラに思いっきり抱き着いてきた。

 「あの・・・胸が」

 「いいの!アキラ様だから!」

 「それは嬉しいような・・・男として見られていないような」

 「ねえねえ、アキラ様!犬子と・・・一緒に遊びたいけど」

 「近いですからね。上洛」

 「うん!残念だけど、じゃ~ね~!」

  勢いよく走っていく犬子。

 「それで、雛も忙しいのでは?」

 「・・・え?アキラ君。どうしてわかったの?」

 「あなた方は三人一緒にいない方が不思議ですからね。一人いれば残り二人も近くにいる。これはもはや常識です」

 「あっちゃ~~。せっかくおど「いいのですか?まだ仕事があるのでしょう?」む~最後まで言わせてよ~。そりゃあるけど・・・悔しいな~どうやったらアキラ君を驚かせるんだろう?ま、とりあえず、じゃあね~」

 「アキラも仕事あるんだろ?ここでぼけっとしていていいのかよ?」

 雛が去って行ったのと同時に和奏が隣にいた。常識だから驚かない。

 「ええ、さて、お互い頑張りましょう」

 「おおよ!大いくさだからな!」

 嬉しそうに去っていく和奏を見送って、アキラも久遠を探した。

 

 見つけて確認をしたはいいが、何か顔が真っ赤(間章8-1参照)だった。仕事の話をしに来たのに半分以上が聞こえていなかったみたいで、全部の確認が終わるまで時間がかかってしまった。

 「お!アキラ!まだいたのか」

 「お~、アキラ君じゃないか~」

 「うわ~い!二回目だワン!」

 長屋に戻ろうとしたところでいつも通りの三人を見かけた。

 「ふふふ、やはり三人でワンセットですね」

 「??何言っているんだ?」

 「ところで・・・仕事は大丈夫ですか?」

 「私達も将だよ~。ちゃんとやってます~~」

 「・・・でも、疲れてません?顔に出てますよ?」

 「そんなことないよ!私達は大丈夫!」

 そういうが、アキラは疲れがたまっているのに気づいてた。

 「ふむ・・・三人とも、少し付き合いません?」

 「「「え?何?」」」

 三人を連れ出し中庭に移動した。

 「私にはお見通しですよ。少し休みましょう」

 「え?は?」

 「ねえ、私達ってそんなに疲れているように見えたの?」

 「いつも通りに見えますけど、肩に力が入りすぎです」

 「あ~、興奮していたからね~」

 「失敗して壬月さんに拳骨もらわないようにするためにも、落ち着きなさい」

 「そう言われると・・・休むか」

 「「賛成~」」

 そういうと、犬子はアキラに抱き着いた。

 「えへへ~、さっきは途中だったからね!この時間はこうしていたい!」

 「な、なあ!犬子!お前、恥ずかしくないのかよ!」

 「う~~む、雛は誰かにいたずらする方がいいかも~」

 「私ならいいと言いますが・・・言葉には気を付けるように。他の男だったら体を求められるかもしれませんから」

 「大丈夫!アキラ様にしかやらないよ。それに・・・アキラ様にだったら、えっと、体、求められても(ぼそ)」

 「犬子、なにぼそぼそ言っているんだ?」

 「おおおお!犬子。大胆だ~~。和奏ちん、犬子は・・・」

 「な!ななな、何を言っているんだ!」

 最後の方はぼそっと言ったが、雛には聞こえていた。和奏にそれを言うと真っ赤になった。

 「三人とも、休憩のはずなのに逆に興奮してどうするんです」

 「そうだね。休む多ためなのに・・・ねえ、二人もアキラ様に抱き着いたら?犬子はアキラ様の温もりがとても落ち着けるんだワン!」

 「へ~、初めて知った。アキラ君は抱き着き癒しを持っていた!」

 「だ。だ。抱き着くなんて・・・恥ずかしいじゃないか!」

 「・・・何ですか、その言葉は?」

 そう言っている間に、雛もアキラに抱き着いた。

 「よ~し、私もやっちゃえ~~!(ぎゅ)」

 「ほらほら~~。後は和奏だけだよ~(ニヤニヤ)」

 「で、で、できねえって!(てれ)」

 結局、いつもと同じになった。

 『でも、やっぱりアキラ様だったら・・・犬子、本当に求められてもいいな~。何か麦穂様が最近怪しいし。それに結菜様も今まで以上にアキラ様の事を熱く見ている気がするし~犬子も負けられないワン!』

 『久遠様も結菜様もアキラ君の妻なんだよね・・・羨ましいな~。犬子と同じになっちゃうけど、アキラ君だったら雛・・・いいかも。あ~あ、雛もお嫁さんになりたいな~』

 『うううう~~あの二人のせいで、余計に意識しちまったじゃないか。しかも、二人ともアキラに抱かれたい的な顔になっているし・・・まあ、でもアキラって安心できるのは確かなんだよな。全部包み込んでくれるというか、その暖かさに身も心も委ねていい。みたいな・・・な、ななな、何を考えたんだボクは!』

 でも、心の中は本当にアキラにだったら・・・と思っていたようだ。

 

 仕事が再び入った三人は離れていった。アキラも用が終わったから城を出て、長屋に戻る途中にいつか相撲をしていた壬月と子供達をまた見かけた。その様子を見てあることを思いついたアキラ。

 『ちょっと面白いものを作ってあげましょう。せっかくだから壬月さんも驚かしてあげるのもいいかもしれませんし』

 そう思いつき、さっそく声をかけた。

 「こんにちは壬月さんに皆さん」

 「?おお、アキラ。どうしたんだ?」

 「ちょっと、面白いものを見せようと思いまして」

 「え?何々!」

 「お兄ちゃん!何するの!」

 「ふふふ、これはね。私にしかできないことです」

 そう言って氷の固まりを作り出し、そして刀を抜いて削り出した(間章5-2参照)。削り終わって出来たのは猿だった。決して、ひよを思い出したからではない。

 「す、す、すっげ~~!!」

 「氷が出たのもすごかった!」

 「ほ~~、こんなこともできるとは面白いな」

 「後は・・・ちょっと、壬月さんも手伝ってください」

 「ん?何をするんだ?」

 「遊び道具を作ります。私を見ていれば分かるので、一緒に作ってください」

 「??ああ、分かった」

 作り出した二人に興味津々、目がキラキラな子供達の視線を集めて作ったものは竹とんぼだった。それを、壬月と飛ばすともう大興奮だった。飛んだ竹とんぼを追いかけていく子供達。

 「面白いことができれば、面白いものも作れるのだな。お前は」

 「私もまったく興味を持たなかったのですが・・・ちょっとね」

 

 『狂と戦った後、ゆやさんに「手当してあげたから手伝いなさい!」と言われて二人の子供達の相手も時々やらされてましたからね・・・庵樹がその子達の世話を一緒にしている時に作ったものなんですよね。多分、弟達の世話をしている時に思いついたのだと思いますが。そう言えば、最近あの三人の事を思い出してなかったですね・・・時人と朱雀は好意を持っていたのは分かりますが、庵樹はどうだったのでしょうか?』

 

 ふと思い出した過去に思いを募らせていた。

 「おい、アキラ。聞こえていたか?」

 「あ。いえ、すいません・・・ちょっと昔を思い出しまして」

 「・・・お前がいた世界か?」

 「ええ、仲間達は私を探していることでしょう。特に・・・あの三人は必死になっていると思います」

 本人は自覚なかったがアキラの顔が辛い顔になった。

 「その三人とは・・・女か?」

 「はい、一人は必死になって頑張る妹のような存在で、一人は詩乃と同じくらい自分にべったりな存在で、最後の一人は皆のまとめ役の姉のような存在でした」

 「ははは!女誑しは向こうの時から健在だったのか!(バンバン)」

 「痛いです・・・この子達の分も作ってますから気を付けてください」

 「ああ、そうだな。皆の分も作らないとな」

 そう言って壬月も竹とんぼ作りを再開した。

 

 その後、人数分の竹とんぼを作って渡した。必死に頑張る子供達と別れて壬月と歩き出した。

 「そう言えば、お前。久遠様か結菜様、どちらか抱いたのか?」

 「・・・唐突に聞きますね。申し訳ありませんが、黙秘させてもらいます」

 「全く、ノリが悪いではないか~」

 ニヤニヤ顔で迫ってくるが、その話をした壬月が話を変えた。

 「そういえば、麦穂の奴が最近おかしいのを知ってたか?」

 「昨日城で見かけた時は・・・あ、確かに私の顔を見て久遠と同じくらい真っ赤になって去っていきましたね・・・」

 「アキラが殿と京に行って数日経った後くらいなんだ。時々、ぼーっとするようになったり、何かを思い出したみたいな顔をしたと思ったら急に真っ赤になったりしてな。わけを聞いて全くだった・・・お前の言った殿が真っ赤になったという状況も聞いてみたい気もするが。まあ、一つ考えられるとしたら」

 「・・・なぜ私を見るのです?変な邪推はしない方が」

 「いや、お前しかいないな。あいつは相当お前を意識しているから、ちょっと今度こう言ってみたらどうだ?「あなたを抱きたい」と」

 もしアキラの目蓋が開いていたら、確実に白い眼で壬月を見ていただろう。

 「もう一度言います。やめた方がいいですよ」

 「なあに、安心しろ。あいつの付き合いが長い私が言っているんだ!確実にあいつを抱くことができる!お前が迫ってそう言えば後は「後はなんです?壬月様?」・・・アキラ、気づいていたな」

 「途中からですが・・・だから言葉を控えていたのに」

 二人して振り返ると、そこには笑顔だけで目が笑っていない麦穂がいた。

 「私の名前が聞こえたから来てみれば・・・なんて話をしていたのですか!」

 「何を言う。間違ってはいないだろう?」

 「う、あ、そ、その・・・」

 「麦穂さん、どうしました?」

 壬月の指摘に赤くなって俯く麦穂に顔を近づける。

 「あ、あ、ああああああああ!だ、だ、だあだだdじゃいぼびょぶで」

 「麦穂・・・とにかく日の本の言葉で話せ」

 「熱もあるみたいですね・・・私は麦穂さんを家に連れて帰ります(ひょい、がし)では、壬月さん失礼します」

 「あ、えあえあアキラ殿!!」

 彼女をお姫様抱っこしてまっすぐ走っていくアキラを見る壬月。

 「なるほど・・・麦穂も殿や結菜様と同じということか」

 

 その後、麦穂の家に入り彼女を部屋に置いて、自分はその辺の手拭いを台所で濡らして戻った。

 「とりあえず、寝ておいてください。お城には麦穂さんは具合が悪いことを伝えておきますので」

 「あの!ち、ちが!「麦穂さんは大切な仲間です。ほおっておけません」・・・仲間、ですか?」

 仲間という言葉で、ずっと慌てていたはずなのに落ち着きを取り戻した。

 「麦穂さん?」

 「アキラ殿・・・いえ、アキラ様。私を・・・私は、アキラ様が・・・好きです。仲間としてもですが・・・一人の・・・男性と、し、て」

 「・・・・・・」

 いきなり告白してくるとは思わず、麦穂の言葉を止められなかった。

 「殿と隊の三人と一緒に京や堺に行ったとき、本当はとても寂しかったです。あなたの姿を見れない。いない。それだけで・・・」

 麦穂の頭の中にはあの時の事(間章7-2)が思い出された。

 「そして、あなたを想って・・・(がば)アキラ様!」

 「な!麦穂さん、何を?」

 麦穂はアキラに抱き着いた。そこからアキラの手を掴み、自分の胸に押し付けた。更に、感触をリアルにするために揉ませた。

 「ん!こうやって、アキラ様に・・・されると思うだけで、私は」

 しかも、もう一つの手を股間に伸ばして今のそこの状況を理解させた。

 「・・・ありがとうございます」

 「ああ、く、くる、いく・・・あ、アキラ様。そ、それで(トス)・・・あ」

 感謝の言葉と共に、アキラは空いていた手で麦穂の首をうち気絶させた。そのまま床に寝かせ気を失った麦穂に言った。

 

 「本当に・・・ありがとうございます。私をそこまで想ってくれて。もし久遠や結菜がいいと言うなら・・・麦穂さん、あなたも妻にしたいですね」

 

 あどけない寝顔の額に軽く接吻して、布団をかけてアキラは屋敷を出た。

 




 どうも!壬月以外の四人はもうアキラに抱かれたいと思う話でした!

 壬月は自分自身がそういうことになるとは思ってないので疎いのですが、三若達は今回の事で自覚をして、麦穂は勇気を振り絞って想う自分の姿を見せてまで告白しました!

 では、本章に戻そうと思います!

 記念小説を期待した読者の皆様。此度本当に申し訳ありませんでした! 


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三十一振り目 前に進めば、道は見えます

 こんにちは!三MENです。

 すいません、これから先仕事が忙しくなってきますので一日一回の更新になりそうです。以前から言っていましたが、とりあえずそういう更新速度になりますのでご理解のほどをお願いします。


 

 「おいしい~~!」

 鞠の大きな声が一発屋に響く。ついに上洛をする日になり、しばらく来れなくなるので一発屋で朝食をすることにした。

 「本当です!一発屋の焼き魚こそまさに神が残した最後の希望!」

 「詩乃ちゃん・・・いくら好物だからって」

 「うん、大げさだよ・・・でも、ひよも人のこと言えないじゃん。おにぎりがあれば他はいらない!って前に言っていたし」

 「何言ってるの!おにぎりこそ究極の食べ物だよ!」

 「うん!こんなに美味しい初めてなの!ひよ、ありがとうなの!」

 四人が満足そうに食べている中、アキラはきよと話していた。

 「ねえ、本当にあの子が・・・治部大輔(じぶのだゆう)様、なんだよね 」

 「今川義元の娘というのは間違いないですよ・・・でも、あの子はとても心が強い子です。きよさん、本当にいつも通りに接してくれてありがとうございます」

 「いや、アキラ達がいなかったら多分無理だったと思う・・・よ」

 「ひよもころも、最初はあなたと同じでしたよ」

 「そりゃ、そうよ。むしろ、アキラの方がおかしいわ」

 「う~~ん?自分の世界では私はいつも将軍をぶっ飛ばしてましたが・・・そんなに偉いって重要でしょうかね?」

 「・・・初めてアキラがすごいと思えたよ」

 苦笑いして仕事に戻ったきよ。そんなきよを見ながらアキラも食事に入った。

 

 一発屋を出ると早馬が城に向かっていくのが見えたので、ひよと鞠は先に長屋に戻して上洛準備の続きをさせ、詩乃ところと一緒に城に向かった。途中三若と出会い、三人にも森一家と一緒に戦った鬼との戦いも教えると、三人は渋い顔をした。

 「ありゃ、産まれてきたときに大事な何かをぽろっと落としたんだろうな」

 彼女らをそう評価する和奏の言葉にアキラは反応した。

 「あれはまだおとなしい方ですよ。もっとひどいのを何人も知ってますよ・・・私の世界の話ですけど」

 「「「「「ええええ!あ、あれより、ひどい!!!Σ(・□・;)」」」」」

 「あの人達は自分の戦う範囲だけで戦いますからね。向こうの私の仲間は標的の周りの建物や植物、籠城していたらその城全部ぶっ壊すことなんて珍しくなかったですから。城を襲撃したこともあってその理由が酒がないから腹立った・・・ですよ」

 皆の顔が青くなった。

 「お、お頭のとんでもなさが分かった気がする」

 「アキラ様・・・明らかに影響されてますね」

 「アキラ、頼むから城をぶっ壊さないでくれよ」

 「アキラ君。悪戯は控えるから怒らないでよ」

 「あ、アキラ様っていったいどんな生き方をしていたの?」

 「その話はまた今度にしましょう。今は評定の間に行きますよ」

 「「「「「はい・・・」」」」」

 五人は引きつった顔で弱弱しく返事をした。

 

 評定の間に着くと既にお姉さま二人が上段のすぐそばにいた。二人なら早馬の事を知っているのではと聞いたが、内容はまだ久遠しか知らないらしい。上洛に支障がないか話していると各務が入ってきた。

 「・・・・・・」

 「ふふ、お疲れ様です」

 「いつもの事」

 「あの二人はああがちょうどいいですからね」

 「頑張って」

 「あなたもね」

 「あれ、やって」

 「ここでですか?まあ、いいならやりますが」

 そういうと各務は目を閉じた。彼女の肩を掴み自分の顔に近づけた。

 「アキラ・・・そういうことは」

 「アキラ殿!あの、それは!」

 二人が叫んだが、アキラは彼女の顔を通り過ぎて彼女の耳元で小さな声で呟いた。お姉さんズは聞こえなかったが、すぐに各務は目を開けた。

 「ありがとう」

 誰もが「かわいい」と思える笑顔を出して自分がいつも座る場所に移動した。そんな彼女を見て問い詰める二人。

 「・・・何を言ったんだ?」

 「とても、気になります。あの各務さんがあんな笑顔を出すなんて」

 「何でもないですよ」

 「「何でもなくないだろ(でしょう)」」

 そう言っていると綾那と歌夜が入ってきた。そのすぐ後に葵に悠季、エーリカも入ってきて、最後に久遠が入ったので問い詰めはお開きとなった。

 

 早馬が持ってきた手紙の内容は京にいる足利義輝、つまり一葉だった。京で三好・松永がさらに強さを増している、そういう内容だった。

 「私達の存在がおそらく向こうに知られたとみるべきですね」

 「ああ、多分な・・・だから、時間がない。皆の者!」

 「「「「「おう!」」」」」

 久遠号令に全員が叫んだ、出陣を早めることにして、久遠の指令を受けた皆もすぐに立ち上がった。

 「アキラ、殿の事は任せたぞ」

 「そうだぞ!アキラ、お前が守るんだぞ!」

 「アキラ様!頑張って!」

 先に出陣して最初のターゲットの観音寺城の周りの掃除を任された壬月、和奏、犬子から激励をもらった。

 「隊の殿は任せてください」

 「アキラ君~しっかりね~」

 観音寺城に向かう途中まで一緒の麦穂と、むしろそっちがしっかりね。と言いたい雛は京への道筋の確保と途中の勢力の制圧を任された。

 残りの松平・エーリカ、そしてアキラ隊と久遠本隊は共に観音寺城制圧として動くことになり、アキラもすぐに長屋に戻ろうとしたが

 「アキラ・・・一ついいか」

 久遠に止められた。そして、とても真剣な顔をしていた。

 「我は一葉と合流したら一つ考えていることがある。だが、それは・・・アキラお前の力が必要なのだ」

 「・・・久遠。あなたの望むままに」

 かつて最強の漢に言ったこの言葉をアキラは言った。

 「確認したい・・・アキラ、お主は我の夫だよな」

 「・・・何を急に」

 「答えてくれ!・・・夫だよな」

 真剣だが目は弱弱しい感じだ。 

 

 『どうしてそのようなことを・・・いや、久遠は真剣に聞いている。つまり、これは今の私の久遠への気持ちをどうしても知っておきたいということ・・・私の信念と思いを聞きたいというのなら偽りない言葉で答えるのが久遠への礼儀!』

 

 意を決し、飾らない言葉で本心を伝えた。

 

 「あなたの夫で間違いありません。どんな時も離れません。どんな時も手をつなぎ続けます。そして、あなたの共に人生を歩み続けます・・・それは例え輪廻転生生まれ変わっても、あなたの夫でいます!」

 

 「・・・そうか。よし、気持ちは決まった!」

 笑顔と同時にすっきりした様子にもなった。

 「久遠、ちゃんと教えてくれますね。その時になったら」

 「もちろんだ!」

 「では、長屋に戻ります。最初の観音寺城必ず攻略しましょう」

 不安な顔をせず、笑顔で「ああ!」と久遠は叫んだ。

 

 長屋に戻ると、準備は既にほぼ完了状態だった。ただ、寄せ集めの隊ということもあり最低限の動きを決めたところで陣貝がなり出陣となった。その中で鞠が小荷駄でぐっすり寝ているのを見た時はアキラも苦笑いになった。

 道中争うことなくスムーズに進むことに疑問だったが、久遠曰く自分が森一家と長久手に行っている間に銭を使ってエーリカとひよところ達が調略をしたかららしい。

 「さて・・・ここまでは順調というところですね」

 「ああ、麦穂・雛。この辺りは頼んだぞ」

 「お任せを」

 「へ~い。雛にお任せ~」

 ここで二人と別れて別行動になる。

 「雛、ちょっと「ん?何~」。手をこの辺まで上げてください」

 「???こう~?」

 「ええ、では(ぱ~ん)」

 アキラが雛に手を顔ら辺まで上げさせて、ハイタッチをした。

 「ナニコレ?」

 「戦いが終わった時に健闘を称えあったり、喜びあったりするときに出すものです。こうした戦いの前では「頑張っていこう」や「気合入れていこう」という意味も籠っています」

 「へ~~」

 「麦穂さんもやりましょう」

 「はい(ぱ~ん)。うふふ、アキラ殿の激励。確かに受け取りました。お任せください、期待に応えて見せますよ」

 「おお、麦穂様気合ばっちり~、雛も雛も~」

 「はいはい(ぱ~ん)」

 麦穂とも笑顔で手をたたき、雛も彼女とに手を叩く。

 

 『気合い入れて、さっさと終わらせて、追いついて来い!』

 

 さっきの麦穂の気合の入った言葉を聞いて、自分のあの思いを持った時のあの漢の言葉を思いだした。

 「・・・あの時の事を思い出すとは」

 「?どうしました。アキラ様?」

 「いえ、何でもありません。ちょっとね」

 感傷に浸るアキラを不思議そうに見るエーリカ。

 「じゃあ!いってきま~す」

 「行ってまいります。しっかり、果たしてみせましょう」

 「はい。待ってますよ」

 麦穂と雛がいなくなったと同時に葵がやってきた。久遠に観音寺城攻めをどうするかの相談もあったが、現地で最終確認するということになった。すぐに結論を言わなかったアキラを見て、悠季が「一癖も二癖もあるこの男、やはり排除しないと葵様が天下をとれる日が・・・」という面白い妄想を言ったことに大笑いしたアキラだった。でも、むしろ徳川はこういう人種がいたから天下をとれたのではないか?と理解もした。 

 陣を構えたところで詩乃も交えた軍議になった。これから攻める観音寺城は城主はこれでもかっていう位に人望がないのと、城は攻めにくいが向こうには火力=鉄砲がないということが分かり、久遠がアキラ隊に鉄砲を入れるのに協力した理由がここで分かった。だが、もう一つか二つ策が必要という話にもなり、アキラが前に出た。

 「久遠。あなたは今何が大事か分かりますよね」

 「・・・一葉との、合流」

 「そうです。あなたが言うべき言葉を言ってください」

 「・・・頼む。アキラ」

 「ええ・・・私はあなたの支えになれること。そのことがとても嬉しいのです。ですから、夫に頼れる嬉しさというのも実感してください」

 「う、うむ・・・その、もう少し、頼・・む」

 「了解」

 いつの間にかアキラは久遠の頭を撫でていた。撫でられている久遠も満足そうにそして嬉しそうにしていた。その背後で隊の三人は溜息を吐きながら、それでも羨ましそうにその様子を見ていた。

 

 その後、アキラは自分と少数の部下を連れて城に潜って混乱させて、詩乃はひよところと協力して鉄砲隊を率いて観音寺城を攻撃という策を出した。もちろん三人は反対したが、策自体は効率性を考えればやった方がいいということもあり、それで行くことにした。その際、鞠が自分と一緒に行くと言い出した。危険と言って遠ざけようと思ったが、今は自分の護衛であり一人の武士でもある彼女の意見を覆すことはアキラには出来なかった。

 「そんな!鞠様、どうしてそんなことを!」

 「今の鞠は、一人の武士なの。それにアキラの護衛なの!」

 この言葉に葵は反対したが、結局彼女も久遠と鞠の言葉に我慢して了解した。ただ、それには自分の部下も一人同行させるという条件つきだった。

 「小波」

 「は!おそばに」 

 「紹介なさい」

 額当てをして守り袋を持つ忍びらしい服装をした女性がいきなり現れた。アキラは彼女の存在に気づいていたが、こんな傍に現れるとは思わなかった。 

 

 「松平衆・伊賀同心筆頭、服部半蔵正成。通称・小波と申します」

 

 その忍びである彼女の名前は、向こうの世界で徳川家康が偽名として使っていた名前を持つ女性だった。

 




 出ました!個人的戦国恋姫ヒロインナンバーワンの小波が出ました!

 さあ、観音寺城攻めです!



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三十二振り目 生きたいように生きなさい

 
 こんにちは、本当に仕事の疲れがとれない三MENです。本日は観音寺城攻略です!小波との話を重点的にしたいと思います。



 

 名前を聞いて、アキラはふとかつての事を思い出す。

 『服部半蔵・・・ふむ、私の世界では徳川家康と同一人物でしたが、ここでは別々の人物みたいですね』

 紹介された服部・・・小波をじっと見る。そんなアキラの行動に悠季がにやつく。

 「ほうほう、アキラ様は小波が気に入られましたか?」

 「あなたが葵さんを押し倒したい!と思うほどではありませんが?」

 「なんと!私の将来しようと考えていることすら見抜くとは!」

 「・・・悠季。あなた」

 「ああいえ!何でもありません!」

 「ははは!面白い家臣がいるものだな、葵」

 二人の漫才を見ながら、アキラは悠季の意図を見抜いた。

 

 『葵さんは本当に鞠の心配・・・と同時に幼なじみでもある久遠に力を貸したい。という気持ちがあるからこそでしょうが、あっちは内情も探らせる意図があるのでしょうけど、別に知られて困ることはありませんからいいですけどね・・・とりあえず、抜け目がない。というところは賞賛できますね』

 

 勝手にやれば?という感じでその意図をほったらかしにした。何しろ、久遠サイドのアキラからすれば鬼のことを知ってほしいからどうってことなかった。

 

 

 「さて、城に進みましょう」

 小波を仲間に入れたアキラ達は、観音寺城に続く獣道を歩いている。もちろん、制圧する観音寺城に忍び込むためである。

 「アキラ~、あとどれくらい~?」

 「もうすぐですね・・・ほら、見つかりましたよ」

 「ふ~~。やっと着いたの」

 「アキラ様。忍び込むなら、夜の方がよろしいかと」

 「もちろんそのつもりです。ここまで歩いてそれなりに疲れてますし、体力・気力を休める必要もあります。皆さん、ここで休憩にしましょう」

 あの軍議の後、すぐに作戦開始となった。松平・エーリカ、そして森一家率いる久遠の隊は観音寺城を直接攻め、アキラ達は裏から侵入して内部混乱を起こす。といったものだ。

 だが、まとまって行動するのではなくいろんな場所へ行ける小波には城の各所の確認もしてほしいのが、その時の彼女との連絡をどうするか?を話すと

 

 『こちらをどうぞ。伊賀衆に代々伝わる奥義句伝無量です。これがあれば、ある程度の距離が離れていても私と心で会話できます』

 

 と言われてお守り袋を渡された。そんなものがあることにアキラは感心したが、

 『体の一部を、と言いましたが、まさか陰毛をいれるとは思いませんでした。実際それを抜くしぐさを見た詩乃の呆然とした顔が見物でした』

 彼女の行動にアキラや詩乃だけでなく全員がびっくりしたのは別の話。

 

 じっくり夜になるのを待っていたら、早速句伝無量で小波から報告があり池田丸がもう落ちるとのことだった。

 『森一家に綾那率いる松平衆がいますからね・・・そりゃ、攻められる側からしたら狂と梵とほたるが全力で攻めるようなものですからたまったものじゃ・・・』

 苦笑いしながらその想像をしたが、

 『それだと城そのものが吹っ飛びますね。訂正しましょう、梵とほたるが全力で攻めるようなものですね』

 すぐに否定して狂を取り除いた。アキラの中ではやはり、彼の強さは最大級なのだ。

 

 

 仮眠して起きると、夜になっていた。隣にはかわいい寝顔の鞠がアキラに体を預けるように寝ていた。

 「大物ですね、本当に・・・小波いるのでしょう」

 「は!偵察に行っておりました」

 「ありがとうございます・・・では、鞠が起きるまで話をしましょう。葵さんの話では、今後もアキラ隊の一員として働いてもらう。との事ですからね。あなたの事を知っておきたいのですよ」

 「は、はあ・・・?」

 きょとんとした顔の小波を座らせた。彼女からすれば、ただの草である自分に興味を持つアキラの行動がわからないのだ。

 「さて、まずは・・・」

 小波のこれまでの経緯を聞かせてもらい、その際自分の方もある程度説明した。ただ、自分の旅の話をした際三人の女性が後ろをついてきた話になったら、自分の誑しはそこからではないか?という指摘があった時は否定したかったのは内緒だ。

 一通り話を終わると、単刀直入に

 「アキラ様は・・・戻りたいと思わなかったのですか?」

 彼女が聞いてきた。警戒はまだしているが、こんな質問をするあたり少しだけ解いたようだ。

 「戻りたいと思ったことは確かにありますね・・・でも、今は思いません。久遠という愛する人ができ、支えたい人ができましたから」

 「そう、ですか」

 「・・・私という存在が、葵さんの天下の障害になりますからね」

 「!!!」

 顔色が確かに変わった。さすがに主のことを言われるとこうなるのは仕方がない。

 「(葵さんの為に戦う。という気持ちはあるみたいですが)小波、あなたはこれからどうしたいのですか?」

 「あの、どういう意味ですか?」

 『・・・この子は本心を間違えている。昔の私と同じ、天下を取ることが狂のためと思い込んでいたあの頃の私と同じ』

 一瞬だが、かつての自分が小波の隣にいたような気がしたアキラ。

 「あなたは昔の私に似てます。自分のやる事が本心、そう思っているところが」

 気づけば彼女にそのかつての自分のことを話し始めた。

 「どういう意味ですか?」

 「支えたい、守りたい。そういう人物に仕えたことは私もあります。ただし、私の考えとその人の考えは別だったけど、私のほうは勝手に同じと思い込んでいた。今のあなたも同じです。自分の考えと葵さんの考えが同じと思っている。いえ、正確に言うならあなた自身がそれに気づけていない」

 「同じ・・・じゃない?」

 「説明しても理解できないでしょう・・・ある人物の話をしましょうか」

 ふと、考えてあのサムライの話を始めた。

 「ある一人の女性のサムライと戦ったことがあります。その人は属する勢力からは誰からも人としての扱いを受けていませんでした。そう・・・そこに転がっている石ころ程度にしか見られていなかった」

 「その方も草だったのですか?」

 似たような立場である話に、彼女は興味を持った。

 「正確に言うなら鬼に近い存在ですね。歳世と言い実は一度死んだのですが、ある手段で蘇り人として生きることになりました。扱いはさっき言った通りですが・・・でも、彼女は気にしなかった。何故なら、死人や道具にしか見なかった連中の中に一人だけいました。彼女を仲間と見て、生ある一人の人間として見る存在が」

 「ねえ!その人は、その人はどうなったの!」

 何時の間にか鞠も起きていた。目は開けなかったものの意識はあったようで、コナミ同様話に夢中だった。

 「私が倒しました。でも、私も彼女の事を死人として戦わず一人のサムライとして、命の炎を燃やし尽くした戦いを決して死者ではなく生きた人間として戦った戦いだと伝えると笑顔で散っていきました・・・自分の願いは叶えられないまま散ったのに、あの方は笑顔でした。あの時の美しい笑顔は今でも忘れることは出来ません」

 「そう、ですか」

 小波は複雑そうな顔をしていたが、鞠は笑顔だ。

 「でも、その人が笑顔だったならよかったの!」

 「小波、あなたは彼女に似ているところがあります。自分の本当に叶えたいと思っている事を叶えたくても叶えられない。そういう部分が」

 「私は・・・草ですから。主の為に」

 「その主の為、が本当に自分の本心なら戸惑いながら言いませんよ。私はもう見たくないのですよ。願いを叶えられないまま散ってしまう姿を」

 アキラの頭には、烈火のサムライの姿がよぎった。娘の幸せ・・・その目で見たかったはずなのに見れずに散ってしまったあのサムライを。

 「ですから、小波は自分の本心を見つけて心から願っていることを叶えてほしいのです。草だから。とかではなく一人の小波として」

 「うん!鞠も駿府を取り戻したい!その願いを叶えたいと思っているの!だから、小波ちゃんも見つけよう!鞠が手伝ってあげる!」

 「え!そ、そんな今川の当主様に手伝ってもらうなんて・・・」

 「いいの!小波ちゃんは鞠の友達なんだから!」

 鞠の言葉に戸惑う小波。今までに彼女の周りになかったものが、いきなりいっぺんに来たから混乱しているのだろう。

 

 『ふむ、鞠の存在は小波の今後の為にいいかもしれませんね。身分の差をとことん気にする彼女にとって、鞠のまったく気にしないその言葉と行動がいい影響を与えるかもしれません』

 

 かつての自分もそうだったように、小波も変わってほしい。心からそう思ったアキラだった。

 

 

 侵入準備もできて観音寺城に忍び込んだが、びっくりするくらい警戒が緩かった。いくら調略のおかげでもまだ敵の立場なのに、ここまで簡単に事を進められたことに唖然とするアキラ。そして、混乱させるための火薬と火縄で作った簡易爆弾を使ったが火を全く消火しない兵たちの姿に、更に唖然とさせられた。

 

 『もしかして、いろんな方向からの攻撃にどうすればいいのかわからないでいるのでしょうか?それとも、もう終わりだからやろうと思わない?いずれにせよ、ここまで手ごたえのない戦いは初めてですよ』

 

 呆れの汗を流しながら、仕事も終わりなので別行動していた小波と合流して本陣に戻ろうとしたが、そこで一人の女性が何かを探している姿を見つけた。結構派手な服装だったので、目立っていた。

 「(呆れながらやってましたから、その時に気づかれたのかもしれないですね。ふむ、ここは捕らえた方がいいですね)二人とも、あの人を捕えましょう」

 「・・・処分しないのですか?」

 捕獲という言葉にキョトンとする小波。

 「結構いい身なりをしていますから、城主六角氏の関係者かもしれません。こちら側に引き込んでしまえば、周辺の手の届いていない調略もうまくいくかもしれません。今後の為にもなります」

 「そう言いながら殺そうとしないところが優しいの!」

 「なるほど・・・ご主人様、さすがです!」

 提案に鞠は笑顔で頷き小波もまた感心したが、彼女のご主人様発言に内心汗を流したアキラ。

 『ご主人様・・・これは慣れないといけませんね。これが彼女なりの私への礼儀でしょうし。灯が見たら確実に誇張しまくって皆に伝えるでしょうね。そう考えると、ここが別世界でよかった。って何を考えているのですか!私は!』

 違う方向に考えが行きそうになったので頭を振って現実に戻り、すぐに行動を開始した。女性は気づけたが、既に腹に一撃食らっていた。その激痛に気を失った女性を小波に抱き上げてもらい、今度こそ撤退した。

 

 『本命は京での三好・松永との戦い。ここで大した被害も疲れもない状態で城を制圧したのはむしろ良かったのかもしれません。戦力を温存できますしね』

 

  織田久遠信長、観音寺城制圧成功。捕虜を一人捕まえる。

 




 さあ、制圧後の観音寺城・・・原作を知っている皆さんは待ったのではないでしょうか?


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三十三振り目 私達は愛し合っています R-18

 
 こんにちは!三MENです。UAが二万越えしていたことに驚きを隠せません!そして、遂に話を始めて一月が経過しました!では、始めます!



 アキラの捕らえた女性は、観音寺城の城主の六角氏の部屋住みの客将・蒲生忠三郎梅賦秀であることが分かった。エーリカの助言で彼女の存在は今後の江南の調略に大いに役に立つとのことで、織田勢に取り入れることにした・・・というか、

 

 『お、おおおお、織田久遠信長様!!!・・・お、お会いできて光栄です!わ、わ、私!久遠様を尊敬しておりますの!』

 

 この通り、彼女自身が久遠に信望していたため、簡単に部下になれた。これでまだ残っている南近江の調略もスムーズにできるようになると思った。

 『そういえば、あなた!私にした口には出せないくらい淫らな行為の責任を、しっかりとってもらいますわよ!』

 ただ、アキラに対しては気絶させられたため、初対面の結菜と同レベルの嫌悪感を出していた。その言葉にアキラはしっかり反論したが、その仕方が久遠にとって恥ずかしいものだった。

 

 『失礼な!私が淫らなことをする相手は妻である久遠と結菜だけです!私を好いてくれる隊の皆にもそのようなことは一切するつもりはありません!妻だけにしかしないと決めています!』

 

 この言葉にしっかり久遠も隊の皆も反応した。

 『なああ!!ななな、何を言うんだ!う、うう、うつ、うつけものめ!///』

 『久遠様、羨ましいな~』

 『あ~あ、してくれないのか』

 『・・・妻、側室になれれば私にも』

 『アキラ!鞠も!鞠も妻になる~~!』

 『う、うううう!///』

 真っ赤になって恥ずかしさの余り立ち去ってしまった久遠。何かしたそうだったが、慌てたために忘れてしまったようだ。

 『後で会いに行きましょうか・・・何か引っかかりますし』

 アキラはしっかり夫として、彼女の違和感に気付いていた。

 

 

 その出来事の後、何をしているのかというと。

 「ひよ~それ切って」

 「うん!わかった~。あ、詩乃ちゃんは鍋の用意して」

 「分かりました。梅さん、すいませんが囲炉裏に火をつけてくれませんか」 

 「はあ、分かりました」

 「小波!そんな端っこにいちゃダメなの!こっちに来るの!」

 「あ、あの、私は、草」

 「ほ~ら~。みんなで一緒に食べるの!」

 制圧した観音寺城の一室で鍋パーティーの準備だった。準備はアキラ隊の三人でやり、それを見て唖然としながら手伝う梅に、隅に行こうとするが鞠が無理やり中央に連れてくる。

 『梅をアキラ隊に入れるとは・・・久遠も内心面倒だと思ったのでしょうか?にしても、梅はどうしましょうか?このアキラ隊は裏方の仕事がメイン。しかし、彼女はほたるや梵みたいに猪突猛進タイプ。果たして隊の気質に合うでしょうか?』

 そうやって久遠の方針で梅もアキラ隊に入ることになり、彼女のこれからを考えている時にエーリカが寄ってきた。

 「アキラ殿、あの梅さんは?」

 「??梅、エーリカが呼んでますよ」

 「エーリカさん!あの、何かご用ですか?」

 エーリカは梅と同じ天守教の人間であるため、彼女からの呼び出しに笑顔になる梅。

 「えっと、も、もし、できれば」

 

 

 エーリカの梅への頼み事とは、観音寺城内のツアーだった。

 『攻める前からあんなに観音寺城をほめていましたからね。まだ敵兵がいるかもしれないので全部は無理ですが、それでも見れる分は見たかったのでしょう』

 「曲輪の置き方もまたいいです・・・はあ~素敵です」

 城を見るのが趣味なエーリカは一つ一つ隅々まで見て、嬉しそうにしていた。

 「エーリカさんに褒めていただくなんて光栄ですわ!」

 『今の彼女は狂の事を褒める阿国さんですね・・・何か自分もそんな感じだった気が。そ、そんなことないですよね。ははは』

 思わずかつての自分みたいな一面に内心汗を流したアキラ。まだ鍋が出来上がってないので、アキラも暇つぶしに二人に同行したのだ。城を説明する梅と聞くエーリカは、とても楽しそうに話していた。

 『ふむ、やはり居城なだけあって詳しいですね・・・さっきまで私達の自己紹介を聞いていた時に見せた百面相をした人とは思えません』

 その時のことを思い出して、思わず笑った。

 

 『え!ま、まさか、天守教のルイス・エーリカ・フロイス様なのですか!』

 『竹中半兵衛?ま、まさか!い、稲葉山城を立った十六人で乗っ取ったという、い、今孔明のた、竹中半兵衛重治!』

 『きゃあああ!、ああ、あなた!何ですの!』←いきなり小波が現れて驚く

 『じぶの('Д')』『だゆう(*_*)』『さま(@_@)』『ですって~!\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?』

 

 そんなことが自己紹介の時にあったのだった。特に鞠に至っては目を飛び出すくらいに驚いて一瞬我を完全に忘れるくらいだった。

 

 

 梅の城案内も終わり、戻ると鍋は出来上がっていた。

 「では、いただきます」

 「「「「いただきま~す!」」」」

 アキラの掛け声に続くひよ・ころ・詩乃・鞠。梅と小波はキョトンとしながら小声で言った。

 「あの、これは、どうやって食べるのです?」

 「ああ。梅さんがあの時の私と一緒に」

 「とってもおいしいの!ほら、小波も食べるの!」

 「あの、その、草の、私が・・・皆さんと一緒など」

 「そんなこと、この隊では気にしなくていいですよ」

 「私も無位無官ですし、それに皆で食べるのは楽しいですよ」

 ひよところの笑顔につられて皆も和気あいあいで食べ始めた。小波だけは遠慮しがちだったが、鞠がそれを無視して食べさせる。

 「アキラ様。小谷の時も賑やかな食事でしたが、こういう食事はいいものですね」

 「ええ、昔は騒がしい。と思ったこともありましたが、今は逆にこういう食事じゃないと落ち着かないですね」

 エーリカの質問に答えたが、その彼女がもじもじしていた。

 「アキラ様はその、あの、さっきの梅さんの言葉」

 「え?どれですか?」

 「・・・妻にしかしない」

 「エーリカも結構大胆ですね・・・でも、あの言葉はそのまま変えるつもりはありません。愛する人以外にはしたいと思いませんから」

 「そう、ですか」

 ちょっと、がっかりするエーリカ。

 『アキラ様の妻・・・少し考えてみるべきでしょうか』

 そんな淡い想いをこっそり持っていたことは誰も知らなかった。

 

 半刻くらい過ぎた後、外に出たアキラ隊・・・その中で

 「鬼なんて、この蒲生梅が簡単に成敗して見せますわ~~!!」

 と言って梅が突進していく。

 「ま、待ってください」

 「あ~あ、行っちゃったの」

 「・・・猪ですね」

 鍋を食べ終わって少し梅が席を外していると、入れ替わりに小夜叉がやってきた。鬼の集団を二つ見つけたから討伐に行かないか?との誘いだった。それを言って出て行った後に、また入れ替わりに梅が戻ってきてそのことを伝えると、止める間もなく彼女が飛び出してしまった。

 討伐メンバーはアキラ・梅・鞠・エーリカ・小波の五人で、多い集団は森一家に少ない集団は自分達ということにした。森一家が少ない方という選択肢があるわけないから、アキラは譲ってやったのだ。

 「おほほほ!この蒲生梅賦秀に勝てる鬼はいませんこと~~!」

 だが、調子に乗った梅がどんどん先に行く。馬の乗り方が得意なだけあって、先に進んでいき四人との距離も離れていった。

 「あああ、見えなくなってしまいます」

 「も~、梅ちゃんはめっ!なの!」

 「馬を使われると、私も追いつけません」

 「それより急ぎましょう。油断しまくっている猪・・・もとい牡丹、じゃなくて梅が不意を突かれるかもしれません」

 「「「うん!(はい!)」」」

 二回ほど言い換えたがその通りなので、小波すら聞き流した。アキラを先頭に馬をできるだけ早くは知らせてようやく彼女の姿を確認できたと思ったら、

 「きゃあああああ!」

 腰を抜かして顔を青ざめて怯えている梅が腰を抜かして、目の前にいる鬼を恐れていた。どうやら、武器を手放して打つ手がなくなったために恐れているようだ。

 『全く、これだから突っ込むことしかしない連中は!』

 止めを刺そうと腕を振り下ろす鬼と梅の間にアキラが入り込んで、鬼を斬った。

 

 

 その後、鬼をしっかり退治して観音寺城に戻ると、残したひよ達が出迎えた。

 『まあ・・・気持ちは分かりますよ、三人とも』

 ただし、その三人が呆れる目でアキラを見ていた。アキラもまた現状に呆れていた。

 「ただいま帰りましたわ!」

 「ただいま~なの~」

 「・・・も、戻りました」

 自分の左に鞠で、後ろにエーリカ。小波は近くにいるけど姿を基本見せない・・・ここまではいい。そう、ここまでは。

 

 「ハニー!さっきの鬼を倒した姿、かっこよかったですわ!」

 

 問題は自分の右にいる半刻くらい前までアキラの事を毛嫌いしていた梅だ。鬼を倒したアキラの姿を見て、すっかり嫌いから好きに化学反応を起こしたようだ。鞠と同じくらいべったりくっついている。

 「ハニー、とは?」

 「愛しの君。という意味ですわ!さあ、ハニー。あつ~い口づけを~!」

 「・・・いきなりそんな考えになるあなたの頭が心配ですよ・・・ついでにこれからの隊も心配ですよ」

 「ああ~!ずるいの~!鞠も口づけしてもらうの~~!」

 しかも、接吻を迫る梅に鞠も続こうとする。こうなると、ひよ達も

 「・・・さようなら」

 「あ、逃げた!お頭、私達にもしてください!」

 「「そうですよ!」」

 案の定流れに乗ったため、逃げようとしたが見つかった。

 「エーリカさん。さ、追いかけますよ!私達もしてもらいましょう」

 「え、えええ!わ、私もですか!」

 「あ、あの、その、自分は」

 「ほら、小波ちゃんも!」

 こうして、アキラの口づけ鬼ごっこが始まった。

 

 

 その鬼ごっこの勝者はかろうじて逃げ切ったアキラだった。何故彼女ら相手にかろうじてなのか?それは、

 『・・・鞠ってすごいですね、勘が鋭すぎです。まさか、気配を消しても居場所を見抜かれてしまうとは伊達に一葉の妹弟子ではない、ということですか。城壁を飛び越えなかったら、確実に全員から接吻の嵐が来ましたね』

 鞠の勘のとんでもなさに負けてしまったからだ。隠れても見事というくらい見つけられてしまい、なりふり構わず逃げても鞠の運動量がまたすごかった。その為、かろうじてになり、周りをよく見ないで逃げたため気づけば結構高いところまで来ていた。

 『・・・誰かいますね、ってこの気配』

 そこにある離れみたいなところに誰かいたが、一番よく知る気配・久遠だった。そっと近づき、彼女の隣に立った。

 「久遠・・・何を?」

 「!!!「逃がしませんよ」う!」

 いつの間にかいた事に驚きながら逃げようとしたが、すぐに腕を捕まえた。

 「まだ敵兵がいるかもしれないのに、どうして一人でいたのです?」

 「・・・った」

 「??何です」

 「お、お前とふ、二人でい、いた、かった・・・でも」

 「は~~なるほど、隊の皆を見てそれができなくなったのですね」

 溜息を吐くと同時に久遠を抱きしめた。抱きしめて気づいたが、彼女は涙目になっていた。

 「あ!い、いきなり、何を」

 「言ってくださいよ・・・まあ、あんなことを言った私にも責任はありますが」

 「と、当然だ!あ、あんなことをいきなりみんなの前で!」

 「でも・・・それだけじゃないでしょう?一人でいた理由」

 「そ、そ、それだけだ!」

 それだけじゃない。な態度なので丸わかりだった。

 「目をそらしていっても説得力ありませんよ。それなら葵さん達と一緒に食べればよかったではありませんか・・・不安なんですよね。これからが」

 「・・・・・・(こくん)」

 俯いた顔を持ち上げ、接吻をした。久遠も一瞬びくっとしたがそのまま受け入れた。少ししたら久遠もアキラの背中に手を回し抱きしめた。しばらく、フレンチキスを一分ほどして愛を見せて、唇を離した。

 「ば、か、も、の、が・・・」

 「愛してますよ、久遠。これから先も、ずっと。その不安は私も背負います。夫婦は苦難を共に分かち合うものです。そして・・・この想いも分かち合うものです」

 「・・・わ、我も、われも・・・お前が、好きだ。あ、アキラ、愛、して、いる」

 途切れながらも、自分の本心の想いをアキラに伝えた。

 「・・・今日は、ここでずっといましょう」

 「うん・・・」

 二人はそのまま抱き合い

 「「ん・・・ちゅ」」

 二回、三回、四回と接吻を繰り返した。何度も何度も、自分の気持ちを見せる様に・・・そして、五回目が終わった後、

 

 「久遠、あなたを、抱きたい」

 「うん。アキラ、我も、我も・・・抱かれ、たい」

 

 二人は離れの床で横になった。そして・・・お互い服をすべて脱いだ。上から下までお互い見せあった。

 「きれいですよ・・・久遠」

 「アキラ・・・お前、本当に傷だらけだな。でも、とても・・・素敵だ。なあ、アキラ。本当だよな、ずっと、我の、傍に」

 月光が見せた二人の体。アキラは久遠の美しい裸体を、久遠はアキラの傷だらけの体を見て、

 「はい、これからもずっと一緒です・・・そして、今夜は」

 「ああ、とても、思い出深い・・・そして、永遠に忘れられない一夜に」

 心から抱きしめたい強い想いを持ち、月の光に照らされる二人の影が一つになった。

 「ん・・・くちゅ。あ、アキラ。アキラ」

 「久遠・・・もっと、たくさん。ちゅ、ぐちゅ」

 今度の接吻は熱く濃厚なキスをして、それと同時に何度もお互い胸を触り揉んだ。アキラは乳首もいじり、下の愛蜜を出すヴァギナもいじって彼女をよがらせる。久遠はアキラのいろんな個所にある傷を触っていく。まるで、自分の印を探すかのように。

 そして、ついに久遠がアキラのペニスを握る。アキラもまた、彼女のヴァギナに指を入れて少しずつ表情を蕩けさせていく。

 「アキラ、お前体も・・・そこも、とても固いな・・・あ、ああ!い、いい」

 「久遠は逆に柔らかく、そして温かいです」

 「と、当然・・・だ。んん!も、もっと、し、して、くれ」

 久遠とこれからつながろうとするヴァギナが、その周りにある陰毛が出てくる愛蜜で湿っていく。

 「いきますよ・・・私も女性と繋がるのは、あなたが初めてです」

 「そうか。ああ、我も、だ。嬉しい、嬉しい」

 そして、アキラのペニスの先を彼女のヴァギナに着けて、そこから少しずつ彼女の愛蜜でペニスを濡らしていく。

 

 「「うう、あ、く・・・(ずぶ)あ、ああああ!」」

 

 ついにヴァギナに彼女と一つになる部分に・・・ペニスを入れた。二人とも今まで感じたことのない快楽が全身を襲い、思わず声を高く出した。

 「う、あ、あ、あ、ああああ!ああああああ!すごい!ああ!」

 「ええ、と、ても、気持ちいいです。く、久遠。でも、ずっとつながって、いたいです」

 「うん、うん、我も・・・あ、ああ。あ!い、痛い、痛い!・・・でも、これが」

 「そうです。私達が本当に、一つになった証拠」

 久遠のヴァギナを通り抜け、マンコまで行った。途中の壁・・・処女膜で一瞬止まったが、そこも破っていく。その痛さに耐えていた彼女の顔が、アキラの言葉に笑顔になった。

 「わ、われ。ああ!き、気持ち・・いい。我も、こうして、いたい。アキラとこのままずっと一緒に・・・」

 「いましょう。最後まで、ずっと」

 自分達はこんなに愛し合っている。それを深く実感して、理解しあいながら

 「アキラ・・美濃に戻ったら・・・結菜も」

 「ええ、結菜もたくさん愛します。でも、今だけはあなただけ」

 「・・・ありがとう。嬉しい。今夜は」

 「朝が来るまで、ずっと、つながっていましょう」

 その言葉に久遠は嬉し涙を流し・・・再び強く抱き合い

 「ん!動く!動く・・・ああ、もっとだ、アキラ。私をもっと♥」

 「はい、んん!いいですよ、久遠。あなたを私も、感じたい」

 アキラは腰を動かし、彼女は快楽で体を無意識に動かしていく。

 「うん、あ、ああん。いい、の。アキラ」

 「ええ、ううく、久遠の、膣(なか)も、う!」

 久遠は涙を流しながら、アキラの頭の後ろに両手を回し、額や頬など口以外にも接吻をする。アキラも久遠の胸を揉み、乳房を撫で、乳首をいじり、感度を高める。そして、その手は腹をたどり尻にたどり着き、二つの桃を揉んで指の一本が彼女のアナルを撫でる。

 それらをすることで、久遠の顔がこれ以上ないほど蕩けていった。口をだらしなく開けて涎を出すくらいに、体を襲う快楽に屈していた。

 だが、それはアキラも同じであった。

 「も、もう、ダメだ・・・アキラ。い、いきたいの♥!ふ、二人で、一緒に」

 「はい。いきましょう。私達の初めてを」

 「うん、うん♥!あ、あ、ああ。いいい、いく♥」

 「で、は。最後に、一番、奥で!」

 アキラの前後に腰が動く。久遠の腰も左右に動く。どっちも、ただ強く抱きしめる。最後に出る精と言う名の愛、それをしっかり出して、受け止め、二人の想いを実感するために、

 

 「い、だ、出します!うううあああ!」

 「あ、ああああ!アキラ~~!ぜ、全部~~!だ、出して~♥♡」

 

 アキラの全部の愛が、頭を一瞬真っ白にした精が久遠の膣に入っていく。体全部にその愛が染みるような感覚を確かに実感した久遠は、嬉し涙を流した。

 

 

 二人はそのまま倒れ、月を見上げた。月光が映し出すアキラのペニスに、久遠のヴァギナに確かにあった・・・アキラの想いの精と、久遠の想いの赤い血が。

 「アキラ、これで、我とお前が・・・本当に夫婦に」

 「はい。私も心から嬉しく思っています・・・そして、すいませんが、まだまだあなたを抱きたいです。今もこれからも、愛する久遠、あなたを」

 「全く・・・でも、我もだ。もっと、抱かれたい。アキラ、お前に」

 その二人の愛を月は見ていた。祝福するかのように光り輝いた。そして、二人は共に呟いた。

 

 『『私達は、愛し合っている。そう、ずっと・・・』』

 

 二人の愛を確かめ合うセックスはまた始まった。そして・・・アキラと久遠の本当の夫婦としての関係が、この時から始まった。

 




 何とか修正しました!でも、どうしよう。何かアキラじゃない!これはアキラじゃない!久遠とここまで純愛すぎる愛を・・・うう!駄目だ!認めるしかない!


 気を取り直して、つぎはついに上洛、京進出です!


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三十四振り目 あいつよりはあなたはマシですよ


こんにちは!泥のように寝ていた三MENです。ついに上洛手前までです!


 観音寺城でアキラと久遠の愛を確かめ合って数日が経過した。城を攻略する前に別れていた壬月・和奏・犬子とも無事に再会して、目的地である京へ順調に進んでいた。

 「もう少しですね」

 「ああ、そうだな」

 二人はより添うように馬を歩かせていた。観音寺城を出てからは、あの時の事はお互い語らなかった。恥ずかしいというのもあるけど、これ以上ない大事な一戦がもうすぐという段階まできているからだ。

 アキラが馬を反対に向けて、

 「私は隊に戻ります。何かあったら教えてください」

 アキラ隊に戻ろうとしたが、

 「そうだ、ちょっと相談が」

 「??どうした」

 ふと思い出して、久遠に話しかけた。

 「この上洛が終わったらでいいのですが、私の隊の旗の事です」

 「確かにお前の隊もそれなりに多い隊になったな。どれ?どんな旗にするんだ?」

 アキラの考えている旗の模様を伝えると、久遠は笑顔になった。

 「はは、お前らしいな。分かった考えておく」

 「では、お願いします」

 「ああ・・・後、あ、ありが、とう」

 「ええ、では、失礼します」

 会話も終わり、アキラが去っていく背中を少し寂しそうに見た久遠だった。

 

 

 久遠と別れて、アキラ隊に戻るとちょっとした火花が散っていた。

 「がるるる~~~このちょろぎが!」

 「おほほほ、ちんくしゃは言葉遣いがなってないですわね~」

 「あうあうころちゃん、怖いよ~」

 「ひよ~、私も一緒だって!」

 小夜叉と梅のバチバチに二人は怖がっていた。理由が分からないので、関わらないように離れて見ている詩乃に聞いた。

 「どうしたのですか?」

 「ああ、アキラ様。売り言葉に買い言葉・・・ってやつです」

 「なるほど。ほら、二人とも落ち着いてください」

 堂々と火花を散らす二人の間に入って、頭を撫でた。

 「あ、ハニー♡」

 「う・・・あ、頭、撫でるんじゃねえ!」

 二人とも顔を赤らめて、怒りを収めた。

 「小夜叉、その怒りを鬼達にぶつけてください。梅もあまり挑発はやめなさい。同じことをしたら頭を撫でてあげませんよ」

 「「う・・・」」

 アキラに言われてしょぼんとする二人。そんな中で、

 「かかか、クソガキ!本当に色気づいたな~」

 「桐琴さんもやりましょうか?」

 「くくく!やめとくよ。クソガキに睨まれるからな」

 二やついて小夜叉を見る楽しそうな桐琴。

 「う、うううう~。も、も、もう戻る!じゃあな、アキラ!」

 「かかか!アキラ、いつか各務の頭も撫でてやれな」

 真っ赤になりながら戻る小夜叉と笑いながら戻る桐琴。その二人が隊を出ると、さっきまで怖がった二人はほっとした。

 「梅ちゃんが小夜叉さんに絡んだ時は生きた心地がしませんでした」

 「いつこっちも巻き添えがくるのかと気が気でなかったですよ~」

 「ふん!」

 「ふふふ、いい喧嘩仲間ができましたね」

 「「よくありません!」」

 「アキラ様はどんな考えをしているのですか?」

 アキラが笑いながら二人が行ったほうを見ると、怖がって涙目のひよところと喧嘩に内心不安だった詩乃がつっこんだ。

 「そうですか?私は親友とは半殺しをして仲良くなりましたが?」

 「・・・一番のキチ〇イって実はお頭なんじゃ」

 『『『その通りかも』』』

 ひよの言葉にその場にいたアキラ以外の一同は心で頷いた。

 

 

 そのようなことが終わって、しばらくするといきなり犬子が隊にやってきてアキラを呼んでいることを伝えた。変事ができたので、久遠がアキラの意見を聞きたいから来てほしいとの事。詩乃と鞠も一緒に連れて行こうとしたが、一刻を争うので先に行っていいと言われたので、二人より先に久遠の元に行くと本当に信じられない変事だった。

 

 「あの松永弾正小弼が降伏を申し出たらしい」

 

 京への道の確保のため、先に進んでいた麦穂の兵が本人と彼女の兵に会ってそれを申し出たのだ。いきなりの出来事に麦穂がその情報を早馬で久遠に伝えたとの事。それを聞いたアキラも、少し唖然とした。

 

 『三好衆を陰で率いていた梟雄と呼ばれるくらいの将が降伏とは・・・そういえば、織田信長の仲間になったが簡単に裏切った男として私の世界では名前が知れ渡っていましたね。この時が仲間になった時・・・いや、同じと考えない方がいいですね。何しろ、この世界はもう異質そのものなのだから』

 

 気を取り戻したアキラは確認した。

 「その情報を持ってきた兵は本当に麦穂さんの兵ですか?希代の策謀家とも言える松永弾正小弼なら、偽の兵を使って混乱させることも考えられますが」

 「我もそう思ったが・・・間違いなく麦穂の兵だった。壬月も確認した」

 『ふむ、となると考えられる可能性は一つ・・・』

 確報と分かり、自分の中で一つの考えが出た。

 「アキラ、護衛を頼めるか?状況がどんどん混沌として来ている」

 「もちろんいいですよ。でも、一つ先に・・・(ぎゅ)」

 「!!な、何を!今どんな時だと!」

 笑顔になったアキラがそっと久遠を抱きしめた。抱きしめられた久遠は真っ赤になって文句を言うが・・・抵抗しない当たり嬉しそうだ。

 「ちょっとしたご褒美の前払いです・・・さて、元気をもらいました」

 「ごほん・・・家臣の前でいちゃつくとは、目のやり場に困りますぞ」

 「なああ!み、壬月(あせあせ)!」

 「では、失礼します。壬月さんは、しばらく久遠を頼みます」

 彼女の文句を聞こえないふりしてをその場を去った。途中でこちらに向かっていた詩乃と鞠を拾って隊に戻った。事情を説明した際、梅が「松永弾正小弼は謀略・策略を使うが武士の志はしっかり持っている」という言葉を聞き、自分の推測が間違いないことに気づいた。

 『間違いなさそうですが、確信を持つのはまだ早い。本人と話してからです』

 後は、本人からの話を聞くだけだ。

 

 

 隊をひよ、ころ、梅に任せ、詩乃と鞠は一緒に久遠の護衛兼松永との対談で、小波は周辺の草刈りを任せながら麦穂がいる瀬田に向かい・・・着いたのは夜だった。すぐに本陣を引いて将も全員集まったので松永との対談となった。

 「松永弾正小弼様をお連れしました」

 麦穂が連れてきた妙齢の女性にアキラは一瞬戦慄が走った。

 

 『あ、灯!いや、違う!なぜ?何故、彼女がそう見えた・・・あ、腹黒さだ。灯とそれなりにやりあえる腹黒さを持っている空気を持っているからだ。くそ、今はそんなことを考えないようにしないと!』

 

 彼女の持つ雰囲気にトラウマが蘇りそうになるのを忘れることに専念して、何とか気持ちを持ち直した。改めて彼女を見たら、探るような話し方と挑発を交えながら話す松永にイライラする壬月や麦穂。どうやら話はあまり進んでいなかった。

 「何があった」

 だけど、久遠のこの言葉に顔色が変わったのを彼女は見逃さなかった。アキラも彼女が反応したことに気づいたので質問をした。

 「ふむ、松永さん・・・あなたに一つ聞きます。織田に頼った理由はたまたま近くにいたことと三好の三人が気に入らないことをした。それが理由ではないのですか?」

 「アキラ、お前もその考えか。我もそう思う」

 「ええ、謀略・策略を得意とするあなたが少数の兵を率いてここに来る。いくらなんでも無謀すぎます。罠を仕掛けているならともかく、兵の少なさからしてそれすらないことが分かる・・・おそらく織田に身を置く選択をしたのは、それをしないといけないくらい松永さんの気に入らないことを三好の三人がした・・・それが私の考えです」

 これが、アキラがこの対談前に梅の言葉を聞いて出した結論だった。彼女は共に将軍の一葉を倒そうと手を組んでいた三好との縁を切るくらい腹立たしいことをしたから、こっちに来たという事だ。つまり、こっちの方が安全だと。

 「ああ。我も同意見だ・・・松永、どうだ?」

 その言葉に松永は観念したのか語った。

 

 「三好三人衆、外道に堕ち申した」

 

 松永が語ったことは久遠が観音寺城を制圧した後に勝竜寺で上洛してくる織田・松平勢との戦いをどうするか話し合っていると、三人の一人が若い占い師を連れてきて、簡単に人を強くすることができる丸薬らしきものを売ろうとしていた。その条件として、吉野の村が欲しいことと三千もの薬を三好が買って兵に使おうとしたことだった。

 「そんな怪しげな薬に頼るような外道と轡を並べることなど到底できん。少数の兵と共にここまで来た次第」

 「そ、そんな・・・そんな薬、人を鬼に変える薬以外考えられない。そんなもの、薬ではありません。悪魔の薬・・・いえ猛毒です!」

 顔を青ざめながら、怒りを隠さないエーリカ。

 

 『つまり、三好三千は既に鬼になっているとみていいですね・・・にしても、そのような薬があるとは思いもしませんでした』

 

 「エーリカ。その苦しみ、怒りは鬼となったそやつらにぶつけろ」

 「・・・はい」

 久遠の言葉に、苦渋の顔をもって決断したエーリカを見るアキラ。彼女の拳が力強く握られていた。

 『本当に彼女は優しい・・・ゆやさんみたいに』

 彼女の横顔が一瞬そのゆやに見えたアキラだった。

 

 

 対談も終わり、松永弾正小弼・通称白百合は久遠の配下となった。その際、怪しすぎるとのことでひと悶着があったが、アキラは大笑いした。

 「ははははは!いや~、面白い人ですね、松永・・・いや、白百合さん」

 「な!あ、アキラ!何笑っている!」

 「そうですよ!殿の考えを改めさせてください!」

 「いえ、むしろ私は賛成ですよ・・・私自身、彼女と似たようなことをした経験があります。何より白百合さんは、自分の信念を理解してくれる主ならば力は貸してくれるでしょう。裏切るかどうかは後回しにしてもいいと思いますよ」

 「やれやれ・・・アキラ様。あなたという人は」

 隣の詩乃のあきれ顔は無視した。そんなアキラの言葉に白百合も大笑いをした。

 「はっはっは。織田殿。お主の夫は相当食わせ物じゃのう。我をそのような人物と見るのはお主の夫が初めてじゃ」

 「ふふ、我も手を焼いている」

 「・・・目の見えない男と聞いておったが、本当に心を見抜く眼を持っているようで我以上に手ごわいのう」

 「誉め言葉ですよ。とりあえず、話はここまででいいですよね」

 「ああ!あ、アキラ・・・その」

 さっきまでの笑顔から一変辛そうな顔をした久遠だが、 

 「言いたいことは分かります。私達アキラ隊が二条館に先に行って、一葉達を守る・・・ですね」

 「ああ、頼む。その、す、すま「久遠、言う言葉が違いますよ。私が聞きたい言葉は一つです」・・・うん、ありがとう」

 最後の小さな一言が、アキラを心から笑顔にした。

 

 『その言葉が、最高の後押しですよ』

 

 アキラは詩乃と鞠と一緒に陣から出た。

 

 

 その後、部隊を編成し京に突入することになった。そして、先行部隊としてアキラ隊とエーリカで二条館に行くということになり、それを隊の皆に伝えるために戻ろうとしたら白百合に呼び止められた。すると、鬼にする薬をこっそりくすねていたらしくそれをエーリカに渡した。

 「必ず、成分を調べて見せます!そして・・・」

 しっかりしまい、自分の部隊のところに戻っていったエーリカ。二人だけになったアキラと白百合。

 「では、先ほどはどうもな」

 「はて?何がですか?」

 「お主の言葉があったから、我はここにいれるからのう」

 礼を言ったが、それよりアキラに興味を持って話しかけたようだ。

 「その事ですか。いえ、薬と毒は同じようなものですからね」

 「ほう、我をそれに例えるか。妻の薬にも毒にもなる我ということか」

 「ええ。あなたは歪んでいるけど、それもまた自分の目標に達成させるための仮面だと思えます」

 「おやおや、そんな仮面をかぶった我を妻のそばに置いて本当に良かったのか?」

 二やついた顔で挑発したが、あっさりと流した。

 「大丈夫ですよ。あなたよりもっと腹黒い仲間がいましたからね・・・そいつに比べたらあなたはまだかわいいですよ」

 

 『そう、灯のあのとんでもない腹の黒さは、おそらくどんな悪人も敵わないでしょうね。逆に手玉にされることでしょう』

 

 そう思いながらも、白百合に流されないで話ができるのは灯のそれを何年も見続けたからこそだ、とこっそり思った。

 「かかか!我以上の歪んだ心を持つものを仲間にしていたのか!会ってみたいのう」

 「会えないことが救いです・・・では、隊に戻ります。これから大仕事が待っていますからね」

 「おうよ、楽しかったぞ。今度は酒を入れて語りたいのう」

 「考えておきましょう」

 そう言い、二人は背を向けて歩き出した。

 

 『なかなか面白い男じゃ。あの若さで織田殿の宿老二人を出し抜く強さを持っておるし、わし相手にあそこまで皮肉を言える奴もそういない。これは・・・面白き勢力に入れたものじゃ。それなりにいたら裏切るつもりもあったが、あやつを見続けるのもまた面白い。少なくとも織田殿が天下を取るまではいさせてもらおうかのう・・・あの男を誑かして織田殿から奪うのも面白そうじゃのう、くくく!』

 

 『さて、白百合はおそらく本心で久遠を気に入ったようですね。ただ、私に対しては確実に弄り相手を見つけた灯のような目をしていました。でも、それの対策は上洛が終わってからですね・・・では、戻りましょうか』

 

 松永弾正小弼・織田に降る。そして、アキラ京に先入り。

 




 原作では主人公は白百合に振り回されてましたが、アキラにはそれはありません。まあ、腹黒さは明らかにあっちの人の方が「いい度胸じゃないか。私をそういうなんて」え?な、何で、あなたがここに!あ、あ、あ、や、やめて~~(しゅうううう)!

 作者謎の襲撃により、骸骨と化す。


 次は間章です。


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間章9 思いと想いと重い

 
 はい!こんばんは!疲れも取れた三MENです!

 今回は三つのサブをまとめてみようと思います!

 無理矢理感もあるけど、頑張ってみます。


 「ああ!もう、どうしてわかりませんの!」

 「それはこちらの言葉です。どうしてわかろうとしないのですか?」

 アキラ隊の陣に戻ると梅と詩乃が喧嘩をしていた。

 「二人とも、いったいどうしたのですか?」

 「「あ、ハニー(アキラ様)」」

 「あのお頭・・・隊の編成の事で」

 おずおずしながらころが説明した。

 「そうですわ!聞いてください!ハニー」

 「アキラ様。この牡丹さんに理解させてください」

 「も~、二人とも落ち着くの~!」

 「「う、は、はい・・・」」

 鞠に言われると黙るしかない。その後、二人の理想の隊の並び方を話し合った。梅は鉄砲隊なのだからとことん前に出て撃ちまくるやり方がいいと言い、それに待ったをかけて要所要所で適切に使うべきだと詩乃。

 「梅さん、お金がどれだけかかるか知ってますか?」

 そして詩乃がこの言葉を出したら、空気が変わった。最近まで観音寺城で部屋住みでいた金持ち感を見せつけ、いつの間にかアキラの給与の話になり、しまいには一食分の食費にまで話が変わっていった。アキラに憐みの視線が集中した。

 『・・・詩乃。いくらきつきつでやっていることを理解させるためとはいえ、それを言いますか!』

 もし目が開けていたら、間違いなく詩乃に怒りの視線を送っていただろう。

 

 その後、意見をお互い半分ずつ採用ということになり、何とか収まってその場で皆解散したがころだけが残っていた。

 「おや、ころ。どうしました?何やら悩んでいるみたいですが」

 「いえ、あの・・・私、本当にいいのかな?と思いまして」

 その言葉に疑問を持ったアキラ。

 「だって、詩乃ちゃんは頭いいですし・・・梅ちゃんは前に出て指揮できるし・・・鞠ちゃんはお頭を守れるくらい強いですし・・・でも、私は、全然そういったことしっかりできないから」

 

 『・・・それぞれに才能ある者が輝いているように見えるため、自分が小さく見えてしまうのですね。四聖天の頃の私ですね。私も一番目立たなかったですから』

 

 ころの悩みを聞いたら思い出した。まだチビだったころの自分。そして、四人に並ぼうと必死に頑張った頃の自分。でも、アキラはころは全く別の事で悩んでいることに気づいた。

 「やれやれ、あなたはどうしてそういう考えになるのです?」

 「え?だって私なんて、中途半端ですし・・・それにってええええ!」

 頭を下げているころをぎゅっと抱きしめた。

 「そんな小さな事で悩むことはないですよ」

 「お、お頭!ち、小さな事って!」

 「なら、聞かせてあげましょう。自分を中途半端と言いますが、あなたはこの隊を率いるには絶対に欠かせない存在です」

 「え?ど、どうしてそんなことが」

 「隊の仕事にひよの荷駄の仕事、更には草の仕事に前線の仕事に軍略の仕事。それらをこの隊・・・いえ、織田で考えても全部できるのはあなた一人です」

 「あ・・・」

 「だから、正直ほっとしているのです。詩や梅、小波がこの隊に来てくれて。全部ころに任せっきりでしたから。私もひよもそこまで隊をうまく扱うことができない。後、これだけは言っておきます。私はあなたを絶対に手離しませんよ」

 その時、ころは涙を笑顔で流した。

 「わ。私も、アキラ様の傍を、いいえ、ひよや詩乃ちゃん。鞠ちゃんに梅ちゃんとこれからもずっと一緒にいたいです。だって、私、皆・・・好きですから」

 「そして、あなたの一番の持ち味・・・料理がおいしい。この私以上にね」

 この言葉でやっところに笑いが出た。

 「・・・ぷ。あ、あははは。もう、アキラ様」

 「でも、いつか、料理の腕勝たせてもらいますよ」

 「はい!」

 そして、やっと元気を取り戻した。

 「ああああ!ころちゃんずるい!」

 「全く、抜け駆けはダメですよ」

 「ころ!ずる~い!鞠も抱っこ!」

 「なあ!こ、ころさん、なんて羨ましい!」

 その時に一斉に四人が戻ってきて一気に抱き着いていた。

 「今回はいいですよ・・・そうだ。皆さん、ころは好きですか?」

 「「はい!」」

 「もちろんなの!」

 「言うまでもありませんわ!」

 「あ!!わ、わた、私も皆さんが好きです!」

 五人のアキラを抱きしめる力が強くなった。

 『ま、たまにはいいでしょう』

 

 皆の気持ちも落ち着いたのか、それぞれ仕事に戻っていった。アキラの方は仕事がなく、一段落しようと陣の近くの草原に来た。そして、そこで満天の星空を見た。

 「ふう~~、ころの悩みも解決できてよかったです。さて、後は少し体を休めて京にいる一葉との合流ですね・・・久しぶりに大戦。三千の鬼の兵との戦い。休める時に休んでおきましょう・・・楽しみですね」

 さっきの五人からの抱き着きや白百合との対談などで精神的に疲れが少したまっていたのか、横になるとあっさり眠りについた。

 「・・・ねえ、寝るの早すぎじゃない?」

 「本当だね。疲れていたのかな?」

 「せっかく隠れていたのに・・・何かバカみたいじゃないか」

 そのアキラの近くの茂みから和奏・雛・犬子が出てきた。

 「それにしても・・・京への先行任務。アキラ君よく引き受けたね」

 「アキラだからだろうな。というか・・・」

 「うん、とっても心配だね」

 「もう~、私達がこんなに心配しているのにぐっすりはちょっとムカつく」

 「え、ちょっと、雛ちゃん?」

 そう言ってアキラにいたずらしようと近づくと

 「(がし、ぽい)え、あ。ひゃあああ!」

 「雛(ちゃん)!」

 腕を掴まれ遠くに投げられた。しかし、アキラは眠ったままだ。

 「な、何で!寝ているのに!」

 「まさか、寝ている時も警戒しているの?」

 「すごい。アキラ様ってこんなことまでできるんだ!」

 「でも、それだったら腰の刀抜くんじゃない?」

 「殺気がなかったからじゃないか?あくまで嫌な気配だったから」

 「う~ん、それならこれならどうかな?」

 びっくりしながら話していると、犬子がアキラにしがみついた。

 「な!おい!何してるんだよ!」

 「見ての通り、抱き着いてるんだよ。えっへへ~」

 「なるほど~。好きな気持ちを持って抱き着くなら許せるのか~」

 「おい雛。まさかとは思うが」

 「雛も、アキラ君をぎゅっとする!」

 「お、おい!」

 止める間もなく雛もアキラに抱き着いた。

 「ほらほら、和奏も抱き着こうよ~」

 「そうそう、アキラ君の抱き着き癒し。これは本当にいいよ~」

 「う、うううう。ああ!もう~~!」

 和奏も覚悟を決めて抱き着いた。

 「ね~。アキラ様。やっぱり気持ちいいでしょう~」

 「うんうん、何か包まれているって思えるよ~」

 「う、そ、そう、だな」

 すっかりアキラの温もりに恥ずかしいけど嬉しそうにする和奏と雛。でも、犬子は少し真剣な顔だった。

 「ねえ、二人とも・・・二人もアキラ様の事」

 「うん・・・す、す、好き、だ」

 「雛も~、厳しいけど優しいし、それに・・・本当に温かいし」

 「・・・ねえ。ふ、二人は、アキラ様を想って、やったことって、ある?」

 顔を真っ赤にしてとんでもないことを聞いてくる犬子。その意味も、ちゃんと二人は理解していた。

 「ば、ば、ばっか!そ、そ、そんな事・・・聞くなよ」

 「ううう。今回ばっかりは和奏に同意~」

 「ご、ごめん。でも、それくらい・・・好きなんだよね」

 犬子の言葉に頷く。

 「ん!だめ。少し思い出してきちゃった・・・」

 「もう~~、言わなければ・・・ん!やばい」

 「ううう、ここでは、さすがにまずい、よね?」

 三人とも手が自分の股間に触れていた。だんだん、動かす速度が速くなっていった。

 「当たり前だよ~~残念だけど」

 「とりあえず・・・退散して」

 「ああもう~~!隊の編成の仕事だってあるのに・・・犬子のバカ~~!」

 体を起こして退散していった。それからアキラが起きたのは少し後だった。

 『温もりがなんか残ってますね・・・誰のでしょうか?』

 幸い、三人の事はばれていなかった。

 

 そろそろ隊の準備も終わるだろうから、意識をはっきりするため顔を洗おうと思い水辺のある所を目指した。

 『人の気配がしますね・・・この気配は、壬月さんですか』

 気配の持ち主に気づいて池のある所まで行くと、そこには壬月がいた。ただ、その姿は服を一切まとってない裸だった。

 「・・・アキラか?」

 体ごとアキラの方を向けた。織田家中一大きい胸がアキラの前に現れた。月明りに照らされ、彼女の裸体は丸見えだった。

 「・・・ええ。すいませんでした」

 「いや、構わん。私の方こそ無防備に水浴びしている方が」

 「そんなこと「・・・なあ、アキラ。一緒に浴びないか?」はあ!」

 互いに自分が悪いと言っていると、壬月から混浴ならぬ混水の提案が出た。

 「これからお前は先行任務だ。全身の目を覚ますには水浴びがちょうどいいぞ」

 「・・・分かりました」

 壬月の言うことも一理あると考え、アキラも全部脱いだ。その体に彼女は絶句した。

 「お、お前。その傷だらけの体は一体・・・」

 「いろんな人に言ってますが。私はこれくらいしないと強くなれないのですよ。強くなる才能がなかったものですから」

 そう言いながら水辺に入り、そのまま壬月の傍までやってきた。お互い、隠そうとせず全部を見せていた。

 「・・・その一言。とても重いな(な、何だ。とてもドキドキする)」

 「武人の血を引いてなかったので、努力をずっとし続けて今の強さになりました」

 「・・・アキラ。一つ聞いていいか。人を斬った者として」

 「はい。いいですよ」

 「私は時々夢に見る。どうして自分達を殺したのか?お前はまだ生きているのか?今まで私が殺してきた敵達が私に早く死ねと言わんばかりに見続ける夢を・・・お前はどうなんだ?こんな体になるまで戦ったということは、私以上に人を斬り続けたお前はそういう夢を見たことなかったか?」

 

 『つまり、斬ったことは後悔してないが、斬られた殺された者の苦しみみたいなものを感じてしまっているということですか』

 

 壬月の悩みが分かり、当時の事を思い出しながら答えた。

 「ないですね。私は目的の方が意識が強かったです。それに、斬られた連中は自業自得と見てましたよ」

 ここで一呼吸置き、壬月の横を通り過ぎ、彼女の背中に自分の背中をくっつけた。

 「向こうは敵として私達の前に現れ、そして殺された。私達がそれをしないと逆に殺される。向こうはその覚悟をもって前に現れたのだから、こちらもその覚悟を受け入れて戦わなければなりません。そうしなければ死ぬだけです」

 「その通りだ(何故だ、こいつの背中はとても大きく感じる)」

 壬月は後ろ目で見たアキラの背中の大きさを疑問に思いながら寄り掛かった。

 「あなたは信念を持って戦った。守りたい久遠の為に戦った。自分の進むべき茨の道を今も歩き続けている・・・覚えていますか?あなたは以前私にこう言いました。織田家中全て者がお前と同じものを背負っている、と。もしその肩にのっているものが辛いのでしたら代わりに私の肩にのせてください。あなたが以前私に言ってくれたこと。今度は私があなたにしてあげたいです」

 「・・・そうか。ありがとうな。何か、すっきりした」

 「それはなによりです」

 「・・・殿や結菜様、麦穂の気持ち。何かわかった気がする」

 少しだけ赤くなって呟いた。だが、月が隠れたためその顔は見えなかった。

 「??何か言いました?」

 「何でもない。さて、そろそろ上がろうか。誰かに見つかったら、一大事だ。何しろ、二人して裸だからな!ははははは!」

 「ふふ、少しでも力になれたなら何よりです」

 さっきまでの通り過ぎる際に見た辛そうな顔が笑顔に戻った。そして、お互い着替えを済ませ先にアキラが立ち去った。

 

 『これが女の気持ちというものか。あれほど心を動かすことを言ってあれほどの体を見せつけられたら・・・あやつはそれが誑しとなっていることに気づけていない。それがあいつらしいと言えるがな。殿や麦穂には悪いが、私も狙わせてもらおうか』

 

 アキラの去って行った方を見て、すぐに彼女も仕事に戻っていった。

 




 はい!何とか頑張って収めました。

 ころの悩みと思いと三若の想い、そして壬月の持つ重い重圧。これらをかけて今回のタイトルにしました。

 さあ、ついに京突入です


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三十五振り目 アキラ、二人目の正室を得る

 今日は!クリスマス・・・リア充爆発しろ~~~!とガチで願う三MENです。

 では本日はついに三好衆との戦いその1です!

 ただ、今回はちょっと短いです。


 京への先行準備も完了。ついに京の前まで到着。

 「小波、言った通り二条館までの道の確保をお願いします」

 「は!」

 「でも、忘れていませんよね・・・私の一番の命令を」

 「何が何でも、生きてアキラ様の下に戻る」

 「よろしい。決して命を懸ける。ということはやめてくださいね」

 「・・・・・・は」

 小波がいなくなり、少ししたら句伝無量で道の確保が確認。すぐに確保した道を進むアキラ率いるアキラ隊とエーリカ。

 

 二条館前で小波は一人考えていた。

 『田楽狭間の天人と呼ばれ、織田久遠様の夫でもあるアキラ様。私のような草に、どうして気楽に話しかけてくれるのだろう・・・あと、どうしてあの人は私に生きろと命ずるのだろう。草は主の為に死ぬことが第一のはず・・・なのに、あの人は私も大切にしようとしている・・・もしかしたら、私は』

 「小波ちゃん!お頭、いました!」

 「波にん、よかった。無事で何よりです」

 「は!アキラ様もご無事で何よりです!」

 思いにふけようとした時にひよ達の声が聞こえたので、慌てて顔も気持ちも引き締めた。でもそんな中で見た自分が無事だと話から笑顔になるアキラの顔。

 

 『アキラ様の笑顔・・・この方を見るだけで、どうしてこんなに嬉しいと思う自分がいるのだろう。やっぱり、私は・・・いや、今は任務に集中』

 

 心で少し戸惑いを感じながらも、アキラの笑顔に見惚れていた。

 「アキラ殿!おお、よくお越しいただきましたな!」

 そんな彼女に誰も気づかない中、二条館の門の前には幽がいた。

 「幽、相変わらずのようで何より」

 「仲間が増えておりますな。どうやら誑しが強くなったようで」

 「ええ、私の力になると言ってくれた皆に感謝ですよ」

 「・・・皮肉を素で返されると対応に困りますな」

 「ははは、それなりに元気で何よりです・・・一葉と双葉は?」

 その後、すぐに二条館の中に案内された。入ったのは詩乃と鞠そしてエーリカだ。ひよ、ころ、梅と小波には防衛と索敵を頼んだ。

 「アキラ殿がここまで来たということは・・・」

 「ちょっとした変事もありましたが、久遠達も瀬田のところにいます。部隊の編成をしているため、先に私達が来ました」

 「変事?それは何ですか?」

 「一葉達と共に話しましょう・・・本当にかなりの変事なので」

 「分かりました。ここです。一葉様、双葉様、アキラ殿がお越しくださいました」

 

 部屋に通されて中に入ると足利姉妹がいた。ただ、二人とも顔色はそれなりによくないのが分かった。

 「久しいな、アキラ」

 「お久しぶりです。アキラ様」

 「ええそうですね、一葉・・・双葉も元気そうでよかったです」

 「おい、アキラ。何故、双葉には優しくて我にはそんなそっけないのだ?不公平ではないか!」

 「それは双葉はお姫様という感じですが。あなたは「悪童ですな」そう、幽の言う通り、双葉と一緒の対応ができません。何より私にとってはあなたが公方や将軍である前に一人の女・一葉です。私はそう見ています」

 そう言われて顔が少し赤くなる一葉。

 「・・・そうやって自分を見てくれる発言が、誑しと言われるものだということに気づけないのか、こやつは」

 「無理なの!でも、これがアキラなの」

 「ふむ、これは久遠様と真剣に話さないといけませんな・・・ただ今は」

 「何やら悪く言われているような気もしますが・・・そうですね」

 アキラの誑し文句に呆れながらも、本題を出すと真面目な顔に戻り話を始めた。

 「なるほど・・・まあ、金がない状態で壁の補修やらをやっていれば何かあると思いますよね」

 「ああ、覚悟の上だったがな」

 「それにしても、まさかあの弾正小弼が織田に降っていたとは・・・この細川幽思わずかわいらしい驚き方をしてしまいました(ニッコリ)」

 「その顔がとてもイラっと来ます・・・しかし鬼の力に頼ったからこそ、白百合さんはこちらに来た」

 「その、人を鬼に変える薬というのは・・・何なのでしょうか?」

 詩乃の言葉に反応した双葉の疑問。それはアキラも知りたいと思っていた。その答えはエーリカが答えてくれた。

 「・・・薬をまだ調べる時間もなかったので、あくまで予想ですが鬼の血や肉といったものを濃縮したものかと思います。細かくしてこっそり食事とかに入れれば」

 「鬼の完成・・・しかも、今回はそれが三好衆三千という多さ」

 「だが、久遠が来るまで必ず守らねばならん・・・これから先の双葉の為にも」

 

 『ふむ、公方や将軍としての立場もありながら姉としての思いも持ってここを守りたいと思っている・・・』

 

 一葉のこの言葉に双葉を守りたい信念を見たアキラ。

 「私が、いえ私達が必ず守ります。あなた達は大切な人なのですから」

 その信念でアキラの決意が固まった。思いと信念を持ったここにいる三人を必ず守ると決めた。その後の話で双葉を幽が護衛し、一葉が共に前に出て戦うということになった。詩乃とエーリカは反対していたが、剣豪将軍とすら呼ばれている一葉の力はとても今回の防衛に必要とアキラは判断した。

 「一葉ちゃん!一緒に頑張ろうなの!」

 「うむ!鞠、力を貸してくれてありがとう」

 従姉妹同士心を許しあっている時に句伝無量が来た。

 『アキラ様・・・三好衆・・・いえ、鬼の群れが来ました』

 『わかりました。小波ありがとうございます』

 彼女の連絡でいっそう気合が入った。

 「どうやら、来たようです。さて、参りますか」

 「うむ、幽よ。万が一の時は、裏から双葉を連れて逃げろ」

 「そのような万が一はあり得ないと信じたいですな」

 「行きましょう。久遠が来るまでの籠城戦です!」

 「うむ!」

 「はいなの!」

 「アキラ様の為に、この才使います!」

 双葉と幽をこの場に残し、皆立ち上がって部屋を出た。

 「皆さん・・・アキラ様、どうかご無事で」

 「祈りましょう。そして、信じましょう・・・我々の愛しい殿方を」

 

 二条館の門の前で足利の兵が一葉の一喝を聞き気合を入れた。その間、アキラは戦況を推理していた。

 

 『数の差はとても大きいが、向こうの欠点は統率が取れていない事。せいぜい集団を分けて襲い掛かるくらいしかやれない。何しろ、薬を使ったのは兵だけでなく白百合の話から推測すると三好の三人も使ったと考えられる。欲に溺れるような者なら鬼の本能に負けて指揮をすることなどできない。こっちは連携をすれば何とか時間稼ぎくらいはできるはず・・・後は久遠を待つのみ。といざとなれば』

 

 背中にかけている紫微垣を握った。

 「あなたの出番もあるでしょう・・・力を貸してください。仲間を守るためにも、これから先の為にも」

 その時、刀が光った。紫微垣の刀もそうだが、二本の刀の方も輝いている。

 「・・・そろそろですね。一葉!兵の配置を!」

 「待てい!その前に皆に言っておくことがある!」

 あらかじめ決めていた兵の配置をしようとしたが止められた。そして、一葉からとても大きな言葉が出た。

 

 「此度の三好衆が鬼と変貌した集団との戦いが終わった後、余はここにいる織田久遠信長の夫アキラの妻となる!」

 

 それは戦前なのに、意識を飛ばすには十分な言葉だった。

 「あ。一葉・・・それはいったい?」

 「詳しくは正室様に聞くがよい。さて、始めるぞ」

 「アキラ様。一葉様の言う通りです。すべては終わった後に」

 「・・・そうですね。いきますよ、皆さん」

 「「「「おう!」」」」

 「鞠も頑張るの!」

 「アキラ様は私が必ず守ります!」

 仲間達の声と共に向こうから鬼の汚い声が聞こえてきた。

 

 『さあ、始まりです・・・一葉の為。そして久遠の為にも必ず守り抜きましょう』

 

 二条館攻防戦が始まった。

 




 アキラついに二人目の正室です!守るための戦い、次の話です。

 紫微垣。やっと出番が来ました!次回で使います!

 
 ただ、アキラは紫微垣が光った本当の理由を知りません。あくまで自分の二本の刀と同様に鬼が来たことを知らせていると思っています。


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三十六振り目 見せましょう、私の本領を

 
 こんにちは、残業が当たり前に思えてきた三MENです。
 
 少しずつストレスがたまる中、これを書くのが発散になっています。本当に、このハーメルンには感謝です・・・

 お待たせしました、妖刀・村正が一つ紫微垣はアキラにどんな影響を与えるか。



 『はあ、はあ、はあ。急がないと!急がないと!』

 ある場所では、一人の少女が兵を率いて急いでいた。

 『お姉ちゃん、幽さんからの指示は何なの?』

 『・・・』『うん!北門に行けばいいんだね』

 ある場所では小さな双子が同じくらいの背の兵を連れて急いでいた。

 

 鬼が攻めてくる。兵達にとっては人間同士との戦いよりも更に強く襲い掛かってくる恐怖との戦いでもあった。でも、北門を守っている兵達は。

 「アキラ様は最強だ!」

 「鞠様もすっげえぜ!」

 「さすが、剣豪将軍と呼ばれたお方だ!」

 士気が高まっていたと同時に果敢に鬼にかかっていた。その理由は北門を同じように守っているアキラ・鞠・一葉のおかげだ。

 「もっと来てもらっても構いませんよ」

 「アキラも一葉ちゃんも鞠が守るの!」

 「・・・夫は本当に強いのう~余も負けられん!」

 この三人がどんどん鬼を斬っているからだ。撃ち漏らしもなく、あったとしても武器を後一振りすれば倒せるくらいボロボロになっているからだ。

 「ほう、三体できましたか・・・夢氷月天!」

 「わああ!すっごい!氷漬けになったの!」

 「しかも、粉々になった時はキラキラと輝くのが美しいのう」

 「皆さん!私達がついています!三対一の戦い方を忘れないで戦いなさい!」

 「「「「おおおおおお!!!!」」」」

 あっさりと倒すアキラの姿を見て、兵達もやる気が増した。

 「やってやるぜ!」

 「ここで戦わないと男じゃねえ!」

 「何しろアキラ様が自ら鬼役で訓練の相手になってくれたんだ!アキラ様より弱い鬼なんて怖くねえ!」

 何気にアキラの方が怖いという兵達。

 「・・・私の方が怖いということですか?」

 「アキラ大丈夫!鞠は大好きなの」

 「もちろん余もじゃぞ。本気で好きだから妻になるのじゃ!」

 「何ともありがたい言葉をありがとうございます」

 そう思われていた事に若干ショックだったアキラ。

 

 その後も、戦いは続いた。南門の方も時々小波に句伝無量を出して状況確認をして戦況はもっていると聞き、ひとまず大丈夫とほっとする。

 「さて・・・三分の一が終わった程度でしょうね」

 北門の方も三人の活躍で、鬼の集団が全滅したことで軽い休憩ができた。

 「兵の皆は今のうちに呼吸を整えておきなさい!水を飲める者は飲み、少し休みたいものは休み、ケガをしているものは後ろで手当てを受けなさい!」

 「「「「「は!」」」」」

 この掛け声に鞠と一葉は頬を赤らめた。

 「アキラ、やっぱり格好いいの。優しいの」

 「全くじゃ、この戦いが終わったらたっぷり布団の中で淫らにされたいのう~」

 「ふむ、軽口を言えるならまだまだやれますね」

 「「もちろんなの(じゃ)!」」

 「・・・どうやら、こちらを重点的に攻めることにしたみたいです」

 アキラの顔を向ける先には、明らかにほかの鬼とは感じが違う鬼が三匹いた。

 「・・・三好の三人みたいじゃな」

 「うん、しかも意思を持っているみたいなの」

 「なるほど、底知れない欲望が鬼の本能に勝ったということですか」

 『かかかか!これはこれは将軍様ではありませんか』

 『将軍の頸を刈れる。これは面白き事!』

 『食らわせてもらいますぞ。その体全てを!』

 鬼がしゃべったことに驚く兵もいた。しかし、アキラはすぐに指示を出した。

 「兵の皆はほかの鬼に集中してください!この三匹は私達でやります」

 「「「「「分かりました!」」」」」

 おかげですぐに持ち直して、襲い掛かる鬼に向かっていった。

 「では、一対一を三つに分けましょう」

 「我は三匹でも構わんぞ」

 「鞠も!」

 「間をとって、私は休ませてもらいましょう」

 「ここは自分が三匹。と言うところじゃろう!」

 「アキラ!ちゃんとのってほしいの!」

 「ははは、違うオチの方がいいと思いまして」

 漫才をしてリラックスしたところでアキラは真ん中、一葉は右、鞠は左をそれぞれ選んだ。

 『貴様は確か・・・それがあの刀か』

 「この刀が何か?」

 『ふん、確かに面白き刀だ。その刀に引き寄せられる感じがする』

 「・・・何を言っているのか知りませんが、死ぬ準備はいいですか。まあ、答えは聞きませんけど」

 『この鬼の力を得た我にかなうと思うか。落ちぶれてもなお将軍などというくだらないものにすがるあのバカな女なんかに手を貸す貴様が』

 「・・・・・・何て言いました」

 今の言葉はアキラを怒らせるには十分な言葉だった。

 『何だ?聞こえなかったか・・・あのクズ女に手を貸す愚か者と言ったんだ』

 「・・・間違いなさそうですね。私は別にあなたが人間をやめて鬼になることも、私を愚か者と呼ぶ事も別にどうでもいいことです・・・でも、これだけは譲れない」

 怒りの顔となったアキラ。

 

 「信念を持たないお前が信念を持った我が妻を侮辱することは絶対に許せない!」

 

 戦いの前に一葉は妹を幽を守る。その信念をはっきり示した。それを信念のないこの鬼達は踏みにじった。その行為がアキラの逆鱗に触れる行為だ。アキラの怒りの言葉を聞いた二人。特に一葉はうれし涙を流していた。

 「アキラ・・・」

 「ありがとう、アキラ。本当に好きになって良かった」 

 アキラを中心に白い霧がどんどん出てきた。それらはアキラの二本の刀にどんどん集まっていき、ついには霧が消えその二本は光り輝いた。

 

 『光が明らかに今までより強い・・・考えるの後、前の許すべきこの者をかけらも残さない!』

 

 若干の違和感もあったが、目の前の信念のない愚か者を倒すことを優先した。

 「鞠!一葉!その二体をこの鬼の近くに吹き飛ばしなさい!」

 「「わかった(の)!」」

 言われた通り一葉は蹴とばして、鞠は刀で吹き飛ばして三匹が集まるようにした。

 

 「氷魔十字霜舞・グランドクロス!」

 

 真ん中の鬼をX字に斬り、左右の鬼をそのまま切りつけた。切り口を残し、すぐに後ろに飛び二人の傍に駆け寄った。

 『がはははは!全く効かぬぞ!』

 『これが、お前の技とやらか?ばかばかしいのう!』

 『鬼の力、その目で・・・何?』

 大笑いしていた三匹だが、切り口から氷がどんどん出てきて、三匹を凍らせていく。その事に驚く三匹と鞠と一葉。

 「どんなに鬼が強い生命力を持っても、その命を凍らせるその技を食らえば後は命とその体を散らせるしかない」

 『『『が、がああああああああ!』』』

 「私の妻をクズ呼ばわりした罪をその身に受けて死になさい」

 三匹に背を向けて、彼の決め台詞を言った。 

 

 「全てを・・・無へ」

 

 三匹とも完全に凍り付きヒビが入り、そしてすべて粉々になって散っていった。

 「鬼と化した三好三人衆討ち取ったり!」

 アキラの声に兵達は更に奮起した。

 「お頭がやったぞ~~!」

 「俺達も後に続け~~!」

 「いくぞ~~!」

 兵達の気迫に鬼達はさらに押されていった。その様子を見てほほ笑んだアキラ。

 「っく」

 「アキラ!」

 「ど、どうしたのじゃ!」

 突然、膝をつくアキラに慌てる二人。

 「いえ。久しぶりにやった技なので、疲れました」

 「そうか。夫があそこまでやってくれたなら、今度は妻がやって見せようぞ」

 「鞠だってやるの!」

 「・・・お願いします。しばらく休めば何とかなりますので」

 門に寄り掛かるようにして座るアキラ。

 「さて、鬼共。覚悟はよいな」

 「鞠達も本気で行くの!」

 どんどん現れる鬼達に悠然と立つ二人。

 

 「見せてくれようぞ。余のお家流・・・三千世界!」

 「鞠もやっちゃうの!随波斎流~疾風!烈風!砕雷矢~!」

 

 だが、二人のお家流が炸裂。兵達が戦っている鬼以外を全滅させた。

 『・・・すごい。鞠のあの技も。一葉のあの刀を何十本も出してそれを放つあの技も。二人とも実力以上のものも持っていたのですね』

 二人の出したお家流に驚いた。

 『ご主人様!ご無事ですか!』

 『小波、そちらはどうです?』

 『大丈夫です!ご主人様の三好三人討ち取りで皆気合が入りました!』

 『そうですか、久遠達が来るまでもう少しです。頑張って下さい!と皆さんに伝えてください』

 『は!ご主人様もどうかご無事で!』

 小波との句伝無量も終わったところで兵の犠牲は出たが、見えている鬼を全滅させやっと戦いも二分の一が終了した。

 「ふ~、よし、一段落できました・・・後は総攻撃といったところですね」

 「ああ、悔しいが数がまだ千以上はいるじゃろうな」

 「鞠達は大丈夫だけど、兵達がだんだん疲れてきてるの」

 「私達が露払いしても、やはり鬼との戦いは神経も使いますからね・・・」

 自分の刀を収め、そして紫微垣に手を回した。

 「・・・力を貸してもらいます。あなたが私に力をくれるなら、私はあなたの思いに全力で答えます。さあ、行きますよ!」

 紫微垣を抜いた。その刀身は光り輝いた。

 「な、何だ、眩しい」

 「ええ?どうして光っているの?」

 「「「「「な、何だ!お、お頭!そ、その刀!」」」」」

 一葉たちの言葉も今はアキラには聞こえない。

 「紫微垣!私とあなたのコラボ・アタックです!」

 その言葉に光がさらに強くなった。すると、アキラの体に変化があった。

 「あ、あ、アキラ!お、お主。目が!」

 「ひひひ、目が開いているの!」

 鞠の言う通り、ずっと閉じられていたはずのアキラの目が開いていた。

 

 『何と!これは超活性化と同じ・・・いや、違う。あれは体中を苦しめながら強くなるもの。しかし、身体がまるで戦う前に戻っているかのようにさっきの疲労がない!しかも、絶命するくらいの激痛もない!』

 

 アキラ自身も混乱しかけていたが、目の前にやってくる鬼を見て考えるのは後回しにした。その目と心の眼、両方揃って初めて使える超視野化で二条館を取り囲む鬼の居場所を確認した。

 

 「氷雷迅技・ダイヤモンドボルト!」

 

 光が小さくなっていくと紫微垣に雷がまとっている。まるで、光が雷に変化したみたいになった。アキラがそれを空高くつきたてると雷が上空に向けて飛んで行った。すると、二条館を取り囲んでいた鬼全てにその雷が落ちた。

 『『『『『『ぎゃああ~~~~~~』』』』』』

 戦場にいた鬼に雷が落ちたと同時に凍り付いた。そのすぐ後に粉々になった。いきなりの雷がそんな効果を出した状況に、全員が混乱する中アキラは紫微垣を収めた。

 「はあ、はあ、や、やはり、すごいですね・・・あなたは」

 その場に落ちたアキラ。すでに目を閉じられていた。

 「「アキラ!」」

 「大丈夫です・・・それより、織田ではない援軍が見えたのですが」

 「何?どこで見えた?」

 アキラの言葉に聞こうとしたその時。

 

 「うて~~~~~!」

 「って~~~~~!」

 

 後方からやってきた鬼が銃声と共に倒れていった。

 「この近くと南門の方から聞こえたの!」

 「・・・すいませんが休ませてください。さっきより疲労がひどくて(く!立つことすらできない・・・だが、後は任せましょう)」

 その場に座り込み、立ち上がることができないくらい疲れていた。

 「ああ、任せておけ!」

 「兵の皆!アキラがこんなになるまで皆のために頑張ったの!さあ、援軍がやってきたから、一緒になって頑張るの!」

 「おおよ!お頭!見ていてください!」

 「俺らだってやればできるんだ!」

 「鞠様はあはあはあ(*^▽^*)」

 「お前は何やっているんだ!」

 鞠の一喝で一部を除いて皆大きく叫んで鬼達にかかっていった。

 

 『いったいどこか分かりませんが、味方のようですね・・・後は久遠達が来れば』

 

 戦は終盤になろうとしている。 

 




 なぜ、アキラは紫微垣を使えたのか。そして、どうして体がその時回復したのか。それは、近いうちに書く特別編3で明らかにしますので、しばらくお待ちください。

 次回でついに第四章の本章は終了です!

 やっと、三分の一が終わった・・・大変だった~。

 オリジナル技2
  氷雷迅技・ダイヤモンドボルト・・・アキラのヘブンズバーストと紫微垣の雷の力を合わせて使った合体技。天に力を放ち雷となりうたれたものは氷漬けになってすぐ粉々になる。



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三十七振り目 梵や狂やトラが羨ましがりそうです

 
 こんばんは!三MENです。

 第四章の本章ついに完結です!




 「ご主人様、ここでいいですか?」

 「ええ、ありがとうございます。中々体が動かせなくて」

 「・・・いいえ、ご主人様が無事で本当に良かったです」

 座り込んでいたところに、小波がちょうど報告にやってきたので前線を二人に任せて、彼女の肩をかりて二条館の中にアキラは移動していた。

 「お頭!どうしたのですか!」

 「アキラ様!いったい何が!」

 そこにひよと詩乃やってきた。だが、辛うじて体を起こし木に寄り掛かっているアキラを見てびっくりした。

 「大丈夫です。大技を使って体の力が抜けてしまっただけです」

 「よ、よかった~~」

 「もう、心配させないでください!・・・もしかして、あの雷ですか?」

 「ええ。私も初めて使ったので、加減が分からなかったのです」

 「でも、あれのおかげで鬼達も攻めるのが鈍くなって、梅ちゃんやころちゃんで大丈夫になったから私達こっちに来れたんですよ!」

 「鬼が雷に打たれ、その鬼が全員凍り付いて、しかも粉々に散ったのです。戦場なのに、粉々になった氷のかけらが散っていく光景は綺麗に思えました」

 「うんうん!それはそうと、さっきの銃声っていったい誰なんでしょうね」

 アキラもそこは疑問だったが、味方だろうと思っているしすぐにでも会うと思っていたので後回しにしていた。そして、まさにその時に

 

 「そちらに居られるのは織田久遠様の夫アキラ様とお見受け申します!我が名は小寺官兵衛義高!通称雫!今こそ、鬼への反撃の時かと!」

 

 その援軍の頭がやってきた。その自己紹介を聞いて詩乃は分かった顔をした。

 「ああ、播州の賢人と呼ばれている黒田の官兵衛さんですか。いえ、小寺官兵衛さんと言った方がいいですね」

 「え!どうして私の事を?」

 「我が名は竹中半兵衛重治。織田久遠様の夫アキラ様直属の部下です。それにしても将軍家と繋がりがあるとは知りませんでした」

 「竹中・・・ええ!ま、まさか!あの今孔明殿ですか!」

 「あはは、詩乃ちゃんって本当に有名人だね」

 「その呼び名は勘弁してほしいです。できるならアキラ様の愛人、もしくは女と呼ばれたいです」

 「あ!それ私も!」

 「あ。あの、その、えっと(私なんかが愛人なんて・・・でも)」

 「・・・話を戻しましょう。とりあえず、助力感謝します。あなたの言う通り鬼を一気に殲滅しましょう」

 「「「「はい!」」」」

 状況が状況だけに、すぐに話を戻せてホッとしたアキラ。

 「小波、肩を貸してください。私は一葉のところに戻ります」

 「そんな!そんな体で」

 「別に戦おうと思ってません。ただ、ここで黙っているのが性に合わないだけです。何より、妻の頑張りを見るのも夫の大切な役目です」

 「は~~、全くアキラ様は」

 「でも、それがお頭だよね・・・小波ちゃんお願いできる?」

 「っは」

 言われた通り、アキラの肩を自分の肩に回して起こした。

 『・・・ドキドキする。アキラ様の体が密着しているだけなのに・・・どうして、顔が真っ赤になりそうなんだ・・・やっぱり、私』

 それと同時に、新しく芽生えた気持ちに気づいた小波だった。

 

 二人が北門に戻ると、そこには見たことのない顔が二人いた。

 「やっぱり公方様のところが一番活躍できるよね!お姉ちゃん!」

 「・・・」「え?それなら練習しろ?え~~、面倒だからそれらは全部お姉ちゃんが「・・・」は、はい!わ、分かったから銃口むけないで!」

 その二人は緊迫とした状況の中で漫才をしていた。でも、おかげでアキラも肩の力が少し抜けた。

 「・・・幽、この二人は誰でしょうか?」

 「気配を完全に消していても気づかれる・・・どうすればアキラ殿を驚かせることができるのですか?」

 「説明を!」

 苦笑いをしながら、後ろに何時の間にかいた幽に聞いた。

 「はい・・・この二人は将軍家が雇っている鉄砲隊雑賀衆八咫烏隊の頭、鈴木孫一重秀・通称烏とその妹鈴木孫三郎重朝・通称雀です。以前アキラ殿もその銃の腕前はご覧になられてますよ」

 「久遠の面会の時ですか・・・警戒の外からの発砲はあの子がやったのですね」

 「その通りでございます。でも、これでだいぶマシになりましたな」

 「そう言えば、双葉の護衛は今は誰に?」

 一葉から頼まれたのにここにいるということは、別の人に任せたということになる。

 「状況もだいぶこちらが有利になりましたので、エーリカ殿にお願いして某は出てきました・・・アキラ殿は大丈夫ですか?だいぶ弱っているみたいですが」

 「体力が相当削れただけで問題ないです・・・それに」

 「アキラ!聞こえるか!」

 「うん!やっと来たの!」

 一葉と鞠が叫んだ。その言葉に、アキラにも聞こえ、心の眼で感じていた。

 「待ち望んでいたのが、やっと来たみたいですからね・・・久遠~!」

 笑顔で叫んだその呼び名に答えるかのように、たくさんの馬の蹄の音が大きくなった。

 「ああ!やっと、やっと!」

 「お待ちしておりました!」

 ひよや詩乃も、ほかの皆も、待ち望んでいた者が来たのを見て笑顔になった。

 

 「鬼となったド外道共が。いったい誰に触れようとしてる!貴様ら下種共に、我の夫に、アキラに汚い手で触れる覚え無し!」

 「かかれ柴田よ!鬼五郎左よ!」「「おう!」」

 「攻めの三左よ!槍の小夜叉よ!」「「おう!」」

 「我が頼もしき母衣衆どもよ!」「「「おう!」」」

 「蹂躙せよ!」 

 

 待ち望んでいた愛する妻の声、頼もしい仲間の掛け声が聞こえた。その中で、一番目を引いたのは・・・やはり

 「ヒャッハー!!皆殺しだぜ!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 「おらおら!もっと手ごたえ出しやがれ!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 この二人と彼女らの率いる森衆だろう。この彼女らの戦いを見て目が点になる幽。

 「・・・あの人達は本当に人ですか?」

 「私も初めて見ますが・・・あれは」

 草の小波ですら冷や汗を流させるほど、とんでもない戦いをする森一家。

 「ははは、ま、そうなる気持ちも分かりますよ。それより援軍が来たので一気に鬼共の殲滅するまたとない機会です」

 「はい!織田の将達に後れを取るな!ここで一気に攻めまくりましょう!」

 「「「「「おおおおおお!!!」」」」」

 何時の間にかやってきた雫の激にアキラ隊も八咫烏隊も気合が入った。

 「では雫さん、采配を頼みます」

 「え、ええ!竹中殿、いいのですか!そ、それならお任せあれ!」

 詩乃の引継ぎに雫も気合を入れて、それぞれの隊の鉄砲を発射させた。射撃に攻撃の挟み撃ちにあい、鬼達はどんどん数を減らしていく。

 「さて、少し楽させてもらいましょう・・・ずっと指揮をしていたので疲れました」

 「詩乃、よく頑張りましたね」

 「お頭!私だって頑張りましたよ!」

 「はいはい、よしよし」

 「「えへへ~~」」

 二人の頭を撫でていると、ころと梅もやってきた。

 「あああ!二人ともずるい!」

 「ハニー!私もお願いします!」

 「いいですよ。二人がここにいるということは南門の鬼は全滅させたのですね。よく頑張りました。でも、その前に・・・」

 すうっと息を吸い込みそして最後の喝をした。

 

 「皆さん!あと少しです!この戦い、皆さんの力を合わせて必ず勝利をつかみ取りましょう!そして、共に喜びを分かち合いましょう!」

 

 この声に全員が答えた。そして、どんどん鬼達が数を減らしていき、ついに最後の一匹まで粉になって消えていった。

 

 

 戦いが終わり、やっと会いたかった人に会うことができた。

 「アキラ!無事か!」

 「はい、ちょっとこんな体勢ですが問題ないです」

 「よ、よかった・・・本当に・・・うう」

 お互い強く抱きしめあった。

 「久遠、あなたの温もり、とても心地いいです」

 「もう・・・どれだけ心配したと思っているんだ」

 「ふふう、乙女じゃのう久遠。だけど、アキラ。これからは久遠一人を愛するわけにはいかないぞ」

 イチャイチャしている後ろから一葉がやってきた。

 「あ・・・そう言えば一葉も私の妻になると言ってましたね・・・二人とも、説明してくれますか?」

 「あ、ああ。ちょうど、皆がいるから今から説明する」

 「皆の者!聞け!」

 アキラの要求に答えるためにいったん気持ちを切り替えた久遠。そして、皆に声をかけ話を始めた。

 

 その話は鬼討伐の為の戦力集めだった。だが、鬼の情報を持っているのは織田・浅井・松平・足利だけであり、このままでは後手後手になるのが目に見える。そこで同盟を大きくするために久遠は今までアキラは自分の夫としていたが、これからは鬼と戦うもの全ての大名や将の夫とするというものだった。しかも、この事は幕府と禁裏からの許可付きでその第一夫人が一葉で第二夫人が双葉との事だ。

 

 『梵や狂や紅虎が聞いたらどんな反応するのでしょう。思いっきり羨ましいと言って殴る斬るをしてくるかもしれませんね』

 

 その話を聞いてどうでもいい事を考えていると、すまなそうな顔をした久遠がやってきた。

 「アキラ・・・すまない。相談もしないで、勝手に決めて」

 「・・・気持ちを聞かせてください。久遠、あなたの心からの言葉を」

 俯いていた久遠は、アキラの顔を見て答えた。

 「・・・好きだ。アキラ、大好きだ・・・私がお前を好きなように、ほかの皆も大好きになってくれ」

 「分かりました。それを望むなら」

 再度抱きしめ、すぐ後に勝鬨を上げた。その中、アキラは今回の戦いで気になることがあった。

 

 『あの三好の鬼は刀に吸い寄せられる感じがする。と言っていた。つまりこの二本には鬼を引き寄せる力があり、更に鬼相手には切れ味が増している。私の刀が変わっていくのも気になりますが、最も気になるのは白百合が見た占い師・・・今回の戦いもどこかで見ているでしょうね。後は、紫微垣ですね。手にした時、体が回復して目まで超活性化した時と同じようになったのでしょう。この刀だけとは思えない・・・私の体にも何かあるのでしょうか』

 

 でもこの戦いで相当疲れたため、皆が喜びの声を出し合っている中アキラは小波の肩でそのまま寝てしまった。その姿を見てひよ達は小波を羨ましそうに見ていた。

 

 ここはある国の城。

 「御大将。軒猿からの情報です。織田が足利を保護したとのことです」

 「そう・・・公方様は織田と手を組んだのね」

 「でも、どうしてそんなことを?」

 「そう言えば、旅の雲水からこんな話を聞いたっす。畿内や江北には人を食べる鬼がいるって」

 「はあ?鬼?っぷ、あははは!そんなのがいるなんて面白そうじゃない!」

 「な、何を言っているのですか!もし本当なら大変ですよ!ってお、御大将何しようとしているのですか!」

 「決まっているじゃない。その鬼とやらを見に行くわ。柘榴!松葉!付き合いなさい!」

 「はいっす!」

 「わかった」

 「ちょ、ちょっと~~!」

 「ああ、秋子はあのバカ姉が私がいなくなるのを気づかせないようにしてくれる?」

 「出かけないという選択肢はないのですね・・・わかりました」

 「うふふ、ありがとう」

 「あと、もう一つ情報があります。鬼は三千近くいたそうですが、何やら雷が突然落ちて大体約五百ほどいた鬼がそれで氷漬けになってその後粉々になったそうです」

 「はああ??雷が落ちて氷漬け~?」

 「秋子さん、本当っすか?」

 「信じられない」

 「実際に見た軒猿が何人もいたので間違いないかと、何でも例の男が刀を空に掲げたらそうなったと」

 「例の男・・・田楽狭間の天人だったっけ?へ~そんなことができるんだ。ますます楽しみになったわ!」

 「もう~!いい加減にしてください!」

 

 「御大将。長尾景虎様!」

 




 第四章の本章ついに終わりです!

 次は特別編にするか間章にするか・・・

 まだ、どちらを先に書くか未定です・・・でも、どちらも書こうと思っていますのでお楽しみに。


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特別編3 本人の知らないところで・・・

 
 こんにちは!特別編を先に書きました!

 アキラの知らない本当の事をここでだします!




 「戻ってきたな。壬生の里に」

 「・・・かつてのあの良き時代だった頃を思い出します」

 「母さん。里はとても良くなっていってるよ」

 アキラが好きな時人・朱雀・庵樹は遊庵の伝言と案内により、離れていた壬生の里に戻ってきた。それぞれの理由で里を離れていたために、思いはそれぞれあった。特に朱雀は二人以上に里を出た期間が長いため、相当あるのだろう。

 「四方堂だったな、村正の遺品を見つけたのは。それを親父に見せて鑑定させたら村正のモノだったことが分かった。しかも、壬生一の刀匠お墨付きであの四本の刀と同等の力を持っているんだとよ」

 「そうかい・・・なあ、兄貴。それはどこで見つけたんだい?私達は村正の生前の住処を調べたけど、結局見つからなかったんだ」

 「私も村正様のお世話をしていた時の記憶から探ってみても、それがありそうなところが思いつかないのです」

 「そりゃ、そうだろうな。多分この中じゃ時人しか心辺りがないだろうし」

 「え、私が?」

 「それが見つかったのは、吹雪の領土の燃えカスとなって壊れた離れの中・・・つまり瓦礫の中からだったからさ」

 その言葉を聞いた時人の頭の中に懐かしい平和な光景と声を思い出した。

 

 『ひしぎ~、何見ているの~?』

 『難しいですよ。あなたに分かりますかな?』

 『時人。邪魔しちゃだめよ』

 『ははは、好奇心旺盛ですね。あなたの娘は』

 『ふん、そういうところはお前達似だな』

 

 同時に燃えた吹雪の離れをボロボロにした記憶も思い出した。

 「・・・あそこ、から?」

 「ああ。そうだ。詳しくはそれらと一緒に説明しよう」

 遊庵の指さした先には三人がそれぞれ天狼・北落師門・ゆやの短刀を持っていた。今回もしかしたら、ということで三人から借りたのだ。狂は愛刀が一時的と言え離れることに不満だったが、ゆやが説得してしぶしぶ出してくれた。

 

 「さっきから蚊帳の外にされているけど」

 「俺達も一緒ということを忘れるんじゃないぞ」

 ここに来たのは四人だけじゃなかった。真田幸村と猿飛サスケの二人も一緒だった。サスケの手にはあの村正の鏡が袋に入れた状態で握られていた。

 今回のこの壬生の里行き、壬生京四郎は妻朔夜が出産間近ということもあり行けなくなった。梵天丸はゆやの双子に懐かれており、遊び道具とされて放してもらえず。

 「それにしても驚いたよな・・・あの頑固な淀君を説得させて、豊臣と徳川の間に同盟を結ばせるなんて」

 「いや~。紅虎君から考えを聞いたときは無理だと思ったけど、秀頼公をうまく利用したらできたからね~。何が起こるか分からないものだよ」

 「バカトラ自ら大阪城に来たときは二人ともびっくりしてたもんな」

 今後は豊臣も日の本の平和に力を貸してほしいと幸村は紅虎・・・徳川秀忠から提案を受けていた。その為に、うまく根回しをして最大の障害である淀君は溺愛している秀頼をうまく使って説得させて、ついに手を結ばせたのだ。

 「ただ、前将軍様は未だ敵意を向けているけど・・・」

 「だからこそ、あいつにはもっともっと必死に頑張ってもらわないとな。何しろあいつから言い出したことだ」

 アキラの親友である紅虎が今回来れない理由はその仲裁をしているためだ。家康だけでなく、未だ豊臣に敵意を持つ徳川の家臣も多いし、反対の豊臣の方もまた多い。何とか和を持たせるために将軍は頑張っている・・・一時の休憩と妻真尋のお願いも込めて、前回の刀探しに来れたのだ。

 そして、今回は紅虎の代わりにずっと根回ししていた幸村が交代で休憩すると同時に手伝いしに来たのだ。サスケはそのついでだ。

 「ついたぜ・・・入るぞ」

 

 案内された部屋には辰怜と四方堂がいた。その二人の前には一本の刀があった。

 「な!ほ、北斗七星!どうしてここに!」

 先代・紅の王に消滅させられたはずの時人の愛刀だった。その存在に持ち主の時人はとても驚いた。

 「あちきもあいつらの遺品を探そうと瓦礫をどかしていって、そいつを見つけた時は驚いたよ」

 「それじゃあ、こいつがこの手紙に書かれていた村正の妹の姫時に渡したかったというものの事か?」

 「??手紙?なんのことだ?」

 「朱雀が何かを隠す村正の姿を思い出して、そこを調べたらこれが出たんだとよ」

 遊庵が二人に手紙を見せたと同時に、みんな持ってきたものを置いた。

 「・・・なるほど。そういえば、村正は時人が姫時のお腹の中にいた時に何か作っているみたいだったけど、こいつを作っていたのか」

 「だとすると、村正様はどうして北斗七星を作ったんだ?」

 「そうだな。二つも作る必要ってあるのか?」

 壬生の皆はその事に疑問を覚えた。

 「・・・もしかしたら、初めから二つ作るつもりだったんじゃないかな?」

 彼らの言葉に反応した幸村の言葉に皆分からない顔になる。

 「多分前に時人君が持っていたのが姫時さんので、今回見つかったのが本当に時人君のモノだと思うよ」

 「おいおい、幸村。意味が分かんねえよ」

 「ああ、きちんと説明してくれ」

 そう言われてもサスケを含め意味が分からない皆。説明を求め、幸村なりに頭の中を整理して言葉を出した。

 「多分、親子お揃いのものを。ということで二つ作ったと思うよ?村正さんにとって妹さんの出産はとてもおめでたいことだから、まず作り上げた北斗七星を妹さんにプレゼントした。でも、姫時さんは二本目の時人君の分を作っている最中に亡くなったけど、どうしても村正さんは伯父としての初めてのプレゼントを渡したかった」

 「確かに考えられるね・・・時人が産まれた時、父親の吹雪より喜んでいたからね。そう考えると、この三本と同じくらいの力と思いを込めて作られるね」

 「そして、村正様は姫時様の亡くなった吹雪様の離れにそれを置いた。渡せなくなったけど、そうすれば思いはずっと一緒にある。そう信じて」

 「伯父様・・・」

 三人の話を聞き、時人は村正の思いを知り北斗七星を力強く握った。彼女を慰めようと、左の肩を朱雀が右の肩を庵樹がそれぞれ手を置いたその時だった。

 「お、おい。光ってないか・・・」

 サスケの言葉に皆が指さした刀達を見た。言った通り輝いていた。

 「な!どうして」

 「おいおい、何が起こったと言うんだ!」

 「ちょ、ちょっと、どうなってるんだい!」

 「袋の中の鏡も光っている!」

 みんなが混乱する中、三人だけは別の事に混乱した。

 

 『氷雷迅技・ダイヤモンドボルト!』

 

 三人には見えた。どこかの建物の前でアキラが戦う姿を。紫微垣を手にし、それを天に掲げた想い人の姿を。

 

 数分後に光が収まった。

 「ふう、何だって言うんだ?」

 「四本全部集まったとはいえ、それだけですぐに光るはずがないのに」

 「時人。あんた、何をやったんだ?」

 四方堂は時人に聞いた。彼女が北斗七星を握ってこうなったのだから、聞くのは当然だろう。

 「・・・二人とも、見えた?」

 「ああ、間違いない・・・あいつだ」

 「アキラ様・・・ようやく、ようやく見つけた」

 だが、肝心の時人はおろか朱雀と庵樹は自分達の見えた想い人に意識がいっていた。刀を握ってない二人にもあの光景が見えたのは時人に触れていたからだろう。

 「・・・庵樹?どうした?」

 「兄貴。見つけたよ・・・あいつを」

 「あいつ・・・アキラ君の事かい?」

 「はい、間違いありません!」

 断言する朱雀の言葉に疑問符をだす皆。

 「あんた達三人は何を見たと言うんだい?」

 「・・・私達は紫微垣を使って技を出すアキラの姿が見えた。その技は光の龍みたいな技で空に昇っていった」

 三人の言葉に考えた幸村と四方堂。

 「もしかして向こうでアキラ君が紫微垣を使ったから、世界が違えどそれにこの刀達が反応した?ということかな」

 「・・・ちょっと待ち。壬生一族でもサムライの血筋でもないモミアゲが、どうして村正の刀を扱える?話を聞く限り紫微垣と対話もでき、力も使えているみたいだ。少なくともただの血のモミアゲには無理な話だ」

 「俺もダンマリ君の事は親父から聞いたが、刀との対話は無理だと言っていた」

 「もしくは・・・アキラ本人が実は壬生一族・・・いや、それはない」

 四人が話し合っている中、時人達はある一つの事を思い出した。そして、それが紫微垣を使えるようになったのではと思った。

 

 「皆・・・もし、アキラの中に壬生一族の血があるといったらどうする?」

 

 四人が聞いた時人の言葉は唖然とさせるには充分だった。

 「ちょ、ちょ!ちょっと、おいそれはどういう!」

 動揺を隠せない辰怜を遮って説明を始めた。

 「・・・アキラ様が狂様と戦い終わった時の事です」

 「あれは八回目だったかな・・・アキラの攻撃に狂がピンチになったことがあったんだ。その際に、向こうはあの時奥義を使った」

 「うん。黄龍をアキラに放った」

 「防御はしていたと思いますが、それでもその時のアキラ様も立っているのがやっとに近かったのでくらってしまい、生死の境をさまよったのです」

 「出血もひどかったから、急いで輸血もしないとまずいことになって・・・でも、対戦相手の狂も結構危険な状態だったし、当時出産したばかりのゆやさんからも治療してくれる灯からも血をもらうわけにはいかなかった」

 「運が悪いことに、梵天丸や紅虎といったほかの人間がその時いなかったんだ。唯一いたのが私達だった。壬生京四郎と朔夜も新婚旅行に行っていたから・・・」

 三人の話に合点がいった顔の四方堂。

 「つまり、三人の血を輸血してその時のモミアゲは一命をとりとめた。と同時に壬生の血も持つことになった。ということだね」

 「なるほど、それなら納得だ。あいつは並外れた精神力と心の強さがある。壬生の血と力を己のモノにできるだろう」

 「ちょっと待て、じゃあ十回目のあのアキラと狂の戦いは」

 「本人の実力もあっただろうけど、壬生の力も使って戦っていたからこそ狂さんは敗北寸前まで追い込まれたんだろうね・・・その事、本人は?」

 幸村の言葉に首を横に振る三人。自分の実力で狂に勝ちたいと思っているアキラが実は壬生の血を入れていてその加護がある。その事を知ればどうなるのか分からない。そう思い真実を口から出せなかったようだ。

 

 皆の気持ちもようやく落ち着いた。

 「よし、まとめよう・・・あいつが紫微垣を使える。そして、それに共鳴してここにある村正様の刀と鏡が反応した」

 「つまり、向こうの世界で紫微垣を使ったタイミングを狙って、時人が刀との対話をやって刀の能力を全開にすれば」

 「あっちに行けるってことだね・・・でも、アキラ君の時はまだ一人だったけど今回は君達三人だ」

 「アキラの方も紫微垣の力を最大限まで使わないとダメということだ。今回は紫微垣からすれば半分くらいだと思うぜ。持ち主だった俺が言うんだから間違いない」

 「後はその時が来るまで待つしかないね・・・三人とも今のうちにやれるべきことをやっておきなよ」

 「「「わかった・わかりました」」」

 三人の顔は決意があった。その時が来たらもう戻ってこれないだろう。その事を理解していたのかもしれない。

 

 三人のアキラと再会する日が更に近づいてきた。

 




 
 アキラは三人から輸血したからこそ壬生の血を入れることになり、その血のおかげでアキラに刀との対話が出来るようになった。そして、身体が超活性化のようになったのも壬生の血が活性したからです。


 これが、アキラの知らない自分の体の変化の答えです。

 でも、三人の想いを知ると彼女らが黙っていたことは責められないですね・・・
 


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間章10-1 お嫁さんになりたい! R-18

 
 今日は!昨日の雪の量に絶句した三MENです!

 お待たせしました。間章やっていきます

 今回は元気いっぱいの人達です。


 5月15日 和奏・雛・犬子の自慰追加!話もある程度変えています。後書きの追伸も消しました!


 それは二条館の防衛に成功し、そして体力もすっかり元通りになったので久しぶりの朝のトレーニングをしようとした時の事だった。

 

 「アキラ!ボクをお嫁さんにしてくれ!」

 「アキラ君、雛を嫁にしてくれないかな~」

 「アキラ様!犬子をアキラ様のお嫁さんにしてください!」

 

 二条館の門を出たところで三若の三人からいきなりプロポーズされた。

 「・・・えっと、それは先日の久遠の」

 「うん、その通りだよ!」

 「そうそう、本当は越前が終わったら言おうと思ったんだけど」

 「久遠様がアキラ様の皆の夫宣言出したから、この際今言おうと思ったの!」

 三人が自分に好意を持っていることは知っていたが、そこまでとは思わなかったアキラ。

 「三人の気持ちは分かりました。しっかり考えたうえでその言葉を言ってくれたので、とても嬉しいです。でも、どうしてこんな朝早くなのですか?朝食が終わった後や昼頃にでも良かったと思いますが」

 その言葉で三人は呆れ顔になった。

 「あのな~アキラ。これは人前で出来る話じゃないだろう」

 「ええ。確かにその通りです」

 「でも、アキラ様って周りにいつも女の人がいるじゃないですか」

 「そんなにいますか?」

 「思い返してみて~。いつも自分の周りどれくらい女の人がいるのか~」

 「ふむ・・・」

 言われて、自分の一日を思い返した。

 

 『朝トレーニングが終わるとひよところと一緒になり、朝食はアキラ隊の皆で、食べ終わったら桐琴さんと小夜叉から鬼狩りに行こうと連れていかれる。昼に戻ったら壬月さん・麦穂さんと一緒に食事して、その後は一葉と双葉に幽、更に久遠の四人で二条館の再興を考える話をして、夕方くらいに綾那と歌夜から手合わせを頼まれそれをやった後、そのまま葵さんから食事に誘われて夕食。部屋に戻って小波から報告を聞いた後、久遠と一葉と双葉の三人が部屋にやっていて就寝・・・あれ?』

 

 三人の言う通り、ほとんどというかほぼずっと一緒だった。

 「・・・自覚できたみたいだな」

 「だから、早朝を狙ったの!」

 「むしろ、早朝しかないっていうか~」

 「・・・すいませんでした。女性とこんなに一緒とは思いませんでした」

 まさかここまで女と一緒とは思ってなかったアキラ。

 「そ・れ・で、アキラ様に一つ頼みがあるの!」

 「そうそう、お嫁さんになるからお互いの事を理解しないといけないでしょう~」

 「これから、私達と一緒にデート?だったっけ?それをしよう!」

 三人に引っ張られ、アキラは京の街に出た。

 

 最初のデートの相手は和奏だった。

 『何か、時人が二人っきりで街を歩きたい!と真っ赤になりながら一緒に歩いた時のことを思い出しますね』

 「・・・実際、手を握るって恥ずかしいな」

 「でも、あの二人と一緒の時もやってましたよね」

 「二人っきりって意識すると照れちゃうんだよ・・・」

 「ふふふ、かわいいですよ・・・あ、あそこに寄りませんか?」 

 「え?ど、どこ?」

 「あの店です。きれいな簪やちょっとした腕輪がありますよ」

 「わああ!本当にきれい!」

 『時人と同じ反応ですね。ふふふ、女の子ってやはりこうしたきれいなものが好きみたいですね』

 和奏が思い出の時人と反応が同じで、思わず笑みをこぼすアキラ。

 「でも、どうして知っていたんだ?僕がこういうのが好きって?」

 「女性というのはこういうものが好きみたいなのは分かっていました。でも、和奏はこうした身に着けるものが好きというのは普段から見て知りましたよ」

 「え?ええええ!」

 「ちゃんと、見てましたよ」

 「ううう~恥ずかしいけど嬉しい~」

 そんな時、後ろから初めからつけていた二つの気配が動いた。

 「全く~完全に恋する乙女の顔だよね~」

 「そうそう、あはは、かわいい和奏」

 「な!お、お前達!いつの間に!」

 アキラはもちろん気づいていたが「初めから・・・は言わない方がよさそうですね」と内心思ったから口にしなかった。

 「決まり事その二~時間は一人半刻まで~。時間だよ~」

 「そうそう!はい、和奏の時間はここまで~」

 「ええええええ!そ、そんな~~」

 「と、いうわけで~今度は雛の番~。行こう~アキラ君~」

 今度は雛に連れられて再び歩き出した。 

 

 その頃、二条館ではというと。

 「ころ~!いったの~」

 「ひよ~、次いくよ~」

 「双葉様~」

 中庭でひよ、ころ、詩乃、双葉に鞠と雫で蹴鞠をしていた。

 「鞠ちゃん、すごいうまいよね~」

 「でも、ひよもなかなかやるじゃん!」

 「詩乃~ほら~がんばって~」

 「・・・双葉様と蹴鞠なんて」

 「うふふ、アキラ隊の皆さんとはお友達ですから」

 「う~、眠気がまだ強くて」

 雫はまだ双葉と一緒に遊ぶことに遠慮があるが、遊ぶうちに少しずつ笑顔に戻った。

 「そうだ!鞠、双葉ちゃんには負けないの!」

 「え?私ですか?でも、蹴鞠は鞠の方が」

 「違うの!アキラの奥さんの事なの!え~い」

 この言葉に全員の時が確かに止まった。

 「あ。その、えっと・・・(〃▽〃)ポッ」

 「あ、照れてる~でも、羨ましいな~」

 「そうだね。私達も妾でもいいからしてくれないかな~」

 「鬼と戦う意思があるものなら誰でも妻になっていい。と言ってましたよ」

 「そうですね・・・一度久遠様に聞いているべきですね。っと雫、行きましたよ」

 「あ!っと、ころさん、どうぞ」

 「うん!あ、雫ちゃんはどうするの?」

 その言葉に皆の視線が雫に集中した。

 「え、あ、ああの、その、アキラ様は確かに・・・初めて見た時もすごい頼りがいがありましたし、ここ数日で見ていると、とても素敵な方だと・・・思います」

 「「「「「・・・・・・」」」」」

 これで、彼女の本音が分かった皆。

 「み、皆さん!どうして何もしゃべらないのですか!」

 「これは・・・また強敵出現ですか」

 「そういうことですのね・・・」

 「ひよ~~いったの~~」

 「あ、しまった!「ひよ!」あれは届かないよ~!」

 蹴鞠が遠くに行ってしまいそうだったが、そこに一人やってきた。

 

 「おまかせなさい!」

 

 梅が皆の方に戻した。

 「あ、梅ちゃん!」

 「うふふふ、ハニーの名前が聞こえましたので参上しました!」

 「地獄耳ですね・・・」

 「ありがとうなの~」

 「よかったです」

 双葉の姿にさっきの雫同様驚く梅。

 「なああ!ふふふ、双葉様!ど、どどどど、どうして双葉様が一緒に!」

 「皆さんとはお友達ですの。梅もよかったら一緒に」

 「ななななな、何と、双葉様と蹴鞠!蒲生家の誇りになりますわ!」

 「大げさだね、梅ちゃん」

 大騒ぎになりながら蹴鞠は続いた。

 「あ、そうだ!梅ちゃんはお頭のお嫁さんになるの?」

 「ハニーのお嫁さん?当然ですわ!この体に処女は全部ハニーのモノですわ!」

 「すごい・・・そんなに好きなのですね」

 「当然ですわ!でも・・・側室?愛妾?どっちかしら?」

 「あ、そこは悩むんだね」

 「私はどっちでもいいかな・・・お頭が私をお嫁さんにしてくれるなら、可愛がってくれるなら」

 「そうですね。双葉様はもう側室になっていますが、私達だとやはり立場を考えると愛妾でしょうね」

 「鞠はどっちでもいいの~。アキラのお嫁さんになれるなら関係ないの!」

 「鞠さん・・・そうですわね。立場など関係ありませんわね。ハニーなら私達を平等に可愛がってくれますし」

 鞠の言葉で梅も笑顔に戻った。ただ、「可愛がる」という言葉でひよところと詩乃の三人は顔が真っ赤になった。

 「あ、あの、あの、すごく傷だらけの身体で・・・」

 「と、とても嬉しいけど、逆に溺れてしまいそう・・・」

 「ああ、もう、濡れてしまいそう・・・」

 背中流しをしたときのアキラの体を思い出したのか、体中が真っ赤になったのでは?と思うくらい赤くなった。

 「あの、三人とも」

 「何かハニーの体を見た的な言葉が聞こえたのですが」

 「興味があります・・・」

 「鞠も!鞠も聞きたいの!」

 もはや、蹴鞠は地についていた。しかし、全員気にしないでアキラの話になった。

 

 ひそひそではなくいつも通りの声、しかも大きな声を出す梅までいる。そんな声で話していたら近くにいた二人にも丸聞こえだ。

 「ほほほ、どうやら皆さん。アキラ殿のお嫁さんになりたいみたいですね・・・それにしてもあちらの三人はいつの間にそのようなことを」

 「・・・・・・」

 からかうつもりで聞いたが、小谷の事だと既に知っているので無表情のままだ。

 「皆さんは、久遠様のお言葉をお待ちのようですが?」

 「問題ない・・・もう早馬を出してある」

 「そうですか・・・おや、何やら鞠殿以外の皆さんが股を擦り合わせておりますね。詩乃さんと双葉様は・・・手まで使ってちょっと激しいですね。梅殿は胸まで揉んで、周りが見えていないようですね」

 「あんな話をしていてはああもなろう」

 「・・・久遠様もなっていますが」

 幽の言う通り、久遠もうずうずしていながら股を擦り合わせていた。

 「・・・いってくる」

 「ほほほ、仲間になってくるのですね」

 「知らん!うつけものが!」

 ほほえましい顔で久遠を見送る幽。でも、彼女も股を擦り合わせていたことは本人だけの秘密だ。

 

 その意中の人はというと。

 「アキラ様~!絶対に二人に追いつかれちゃだめですよ!」

 「犬子。もう半刻以上走っているのに・・・スタミナだけはあなたが上ですね」

 雛との時間も終わり、次は犬子だが二人を振り切ろうとずっと走っていた。

 『全く、雛とのんびり歩きはこうなるフラグだったのでしょうか?そういえば、頭を撫でた時におとなしくなって真っ赤になるあの顔・・・庵樹に似てますね。いろいろ見て回って楽しむ時人と違って庵樹は世話のかかる二人の世話もしていたから、ああしてのんびりできる時間がほしかったのでしょうね』

 走っていながらも昔の事を思い出すアキラ。

 『犬子は明らかに朱雀ですね。何が何でも二人っきりになってやる!って意気込みで後を追いかける時人と庵樹から私の手を引っ張って逃げていましたからね』

 だけど、追いかけている二人だって負けずに頑張って走っていた。この勝負、軍配が上がったのは和奏と雛だった。

 「捕まえたぜ~!」

 「アキラ君、げっと~」

 「あははは!あ~楽しかった」

 「ふ~、何か途中からデートじゃなくなってしまいましたね」

 「そういえば、雛辺りからだよな。二人っきりじゃなくなったのって」

 「本当は和奏の時からだけどね~」

 「でも、これが私達だよね!」

 三人の笑顔を見て、アキラは決めた。

 「今朝の返事をします・・・三人とも、私の事を愛したいと言ってくれました。私も三人を好きになりたいです」

 「え!そ、それって」

 「いいってこと!」

 「う、うっわ~う、嬉しい~」

 万歳する三人を見て笑顔になる。

 「では、帰りましょうか・・・三人の奥さん達」

 「「「・・・(ボン)」」」

 そう言われて真っ赤になる三人。

 「ね、ねえ。アキラ・・・デートの最後って」

 「う、うん。や、やっぱり、裸で・・・一緒に寝て」

 「うん・・・私達・・・それで、終わりたい」

 とぎれとぎれになりながら言う三人に頷くアキラ。

 

 「最後までお付き合いしますよ、そして可愛がってあげますよ」

 

 夕日に向かってアキラに抱き着く三人と一緒に二条館に戻っていった。その夜、四人は一緒の部屋に入った。

 

では、その日の夜はどんなふうだったか?確認しましょう。

 「ね、寝れない」

 「そ、そうだね・・・」

 「で、でも、やっぱり無理だよね」

 三人はアキラと一緒の布団に入っています。ただ、アキラも三人も服を着た状態で入っている。

 「お嫁さんになる。これは嬉しいけど」

 「雛もまだ、裸で、やるのは」

 「も、もう少し・・・心の準備が、欲しいよね」

 顔を真っ赤にして抱き着いているが、結局アキラに抱かれるのが恥ずかしすぎるため添い寝を選択した。因みに、アキラの左が犬子で右が和奏、体に乗っているのが雛だ。一方、アキラはと言うと

 「・・・( ˘ω˘)スヤァ」

 すでに寝ていた。三人のデート、特に最後犬子と一緒に二人から逃げるあの逃亡劇は結構疲れたらしく、最初三人と一緒に布団に入った時はちゃんと三人の覚悟がしっかりできてから抱こうと思っていたが、今回は添い寝にしてほしい。と言われたらあっという間に眠りについてしまった。

 そのアキラの様子を見て雛はあることを思い出した。

 「ねえ、何かあの時の事、思い出さない?」

 「あの時?何だよ」

 「うん、何?」

 「も~、二人とも・・・上洛する前に寝ているアキラ君に抱き着いたときだよ」

 「「・・・あ」」

 雛からそう言われて思い出した。

 「ちょ、ちょっと!思い出させるなよ!」

 「そうだよ!ぬ、濡れてきちゃったじゃない!」

 「・・・あの後、二人ともやったんだね」

 「・・・ああ!そうだよ!」

 「言わせないでよ~~」

 「静かに~~。起きちゃうよ~」

 そう言われて二人とも口を手で閉じた。

 『雛のバカ~!慰めた時の事、思い出しちゃったじゃないか!』

 『そこまで思い出せとは言ってないでしょう~。まあ、雛もだけど・・・』

 『え!雛ちゃんもあの後やったの!』

 小声で話しながらお互いあの後自慰をやったのを確認した。

 『うん・・・よっと』

 すると、雛はアキラから降りて犬子の隣に行き、襦袢を開いて自身の割れ目を二人に見せた。

 『うわ、犬子も・・・』

 『そ、そうだったんだ』

 二人もアキラから離れて自分の割れ目を二人に見せあった。そして、三人ともそこに手をやった。

 『ど、どうしよう。どうしても、出ちゃうよ』

 『この際、ここでやっちゃう?』

 『ええ!こ、ここで!あ、アキラ様、お、起きたらどうするの?』

 『その時はその時だよ。はあ、はあ、はあ、ひ、雛は・・・』

 そう言いながら、雛は既にその割れ目に指を出し入れ始めた。

 『ちょ、ちょっと!雛!』

 『あうん!ああん、あ、アキラ、様』

 和奏の隣の犬子も始めていた。その二人の姿を見て、淫らな気持ちがわく和奏。

 『和奏ちんも、やろう。ひう!』

 『そ、そうだ、よ。和奏、だって、我慢、できない、でしょ。あ!』

 二人の内股に流れる愛の蜜。それを見て理性が壊れた。

 『うう、もう、いいや!・・・あう、はあん、あ、ああん!』

 ついに和奏も始めた。三人ともその場で、ぐちゅぐちゅと音を立てて

 『あひ!あ、アキラ。アキラ』

 『み、見られる。いっく!かも、と思うと~~!』

 『わ、犬子なら、いい、見て、わうん!見て~~』

 喘ぎ声を出しながら寝ているアキラを見てその場で悶えていた。そして、

 『『『あ、あう、い、いい、っっ、く~~!』』』

 アキラに見られるかもしれない。それが彼女らの快楽を高め、同時に絶頂にたった。

 『はあ、はあ、いった~~』

 『・・・でも、アキラ君。寝たまま』

 『知られたく、ないけど、何か、見てほしい気持ちも、ある』

 汗をかいてその場でアキラを見る三人。すると、雛がとんでもない行動に出た。

 『・・・これならどう~』

 『『!!な、何を!』』

 何と、アキラの寝ている顔の上で立ちながら自慰を始めた。少し股を開いてやっているので、今意識が戻ると確実に彼女の秘の所を見られる位置だ。

 『ううう!何、すごい。さっきより、ビクッて!』

 恥ずかしさと快楽だけでなく、一度絶頂に達したので体の感度も上がっていた。

 『ほら、やろうよ。二人、いうつ!もさ』

 『『(;゚д゚)ゴクリ…』』

 いつもなら『やれるか!』と言う和奏も雰囲気にのまれ、快楽に体が熱くなり欲情が理性を壊していた。二人も囲むように自身の割れ目をアキラの顔のすぐそばに持ってきて・・・淫らに指を動かした。

 「んく!あああ、な、何だよ!こ、これ!」

 「さっきより、すっごいの!」

 「だ、ダメだよ!ふ、二人とも!そ、そんな、声出しちゃ!」

 さっきの自慰以上の快楽が体を襲い、更に理性がなくなったせいで小声から元の声に戻った。

 「無理だよ!あう!ひう!」

 「うう!た、たし、かに!」

 「も、もう!いい!見て!アキラ様!」

 三人とも気づいているだろうか。体の方もよがって服がもう役目をなさなくなり既に自分の乳房が丸見えになっていることに、そして顔が、アヘっていることに。

 「も、いい、すごい!」

 「そ、うん!いくよ!ねえ!」

 「うん!三人で、三人で!」

 ラストスパートに一気に三人の指が加速する。体中から汗をかき、三人ともおっぱいが大小さまざまに揺れ動き、指と同時に腰の動きも速くなる。そして、ついに・・・

 

 「「「ああああ!アキラ(様・君)~~!!」」」

 

 二度目の絶頂になった。一気に三人の愛蜜が噴き出た・・・そう、噴き出た。

 「・・・ん。何かが」

 「「「・・・あ!」」」

 顔の近くで三人が自慰をして、絶頂して愛蜜が噴き出れば当然アキラの顔に三人分の愛蜜がかかるし、そうなれば意識が戻る。三人は一瞬にして自分達の行いの恥ずかしさに顔が真っ赤になった。アキラもまた心の眼で三人が自分の顔の近くで自慰をした後の痴態を目撃してしまった。同時に、三人が何をやったことも悟った。

 「・・・濡れ濡れですね)」

 「「「いやああああああああ!」」」

 そして、三人はやっと着ていた襦袢がほぼ脱げていて裸になっていることにも気づいた。ますます、恥ずかしくなりその場から逃亡した・・・その姿でだ。

 「えっと、どうしましょうか」

 いなくなった三人。残ったのは三人の愛蜜で顔が濡れたアキラと同じく濡れた布団と床だけだった。廊下も彼女らの愛蜜で濡れている部分があった。

 

 三人は運がいいことに誰にも見つかることなく自分達の部屋に戻れたが、やってしまったことがどうしても頭から離れず眠れなかった。アキラは彼女達のメンツを考えて、自分だけの秘密にすることにして再び眠りについた。

 

 これが、四人の過ごした夜の全貌だ。次の日、早速アキラは三人に夜の出来事を秘密にすることを言いに行ったが

 「ご、ご、ごめん!」

 「顔が見れない~~!」

 「アキラ様!今はごめんなさい!」

 そう言って恥ずかしがりながら走り去っていった。何しろ、女の秘部だけでなく自分の痴態すらも見せてしまったから仕方がない。と思っていると、

 「アキラ様。どういうことです?」

 「ハニー!私達を差し置いて、三若さん達と!」

 「ずるいですお頭!私達にもしてください!」

 完全に勘違いしたアキラ隊が迫ってきた。説明しようにも、説明できることじゃない。アキラのやることと言えば、

 「あ!逃げた!」

 「待つの~~!鞠にもやってなの~~!」

 「主様!余を差し置いてほかの女に手を出すなど許せんぞ!」

 逃げることしかなかった。

 

 『はあ~。ま、仕方ないですね。彼女達は私のお嫁さん達ですから』

 

 あの秘密を守るために、追手から逃げるべく走り出した。

 




 何か間章を書くのが少し苦手になっているような・・・

 本章が熱かったからか?ここで色気満載の間章に戻せるよう頑張らないと・・・

 まだ二つほど間章は書きます!



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間章10‐2 明るさは周りも明るくする

 
 今回はおはようございます!

 本日はあの姉妹とあの当主様の登場です。

 今回は、エロを期待しないでください・・・すいません。



 久遠の夫宣言が出て、数日が経過した。

 「一人でいるのは、何か久しぶりですね」

 今までずっと隣に誰かが傍にいたので、昔であればうっとうしいと思うが今は逆にちょっと寂しいと思っている。

 

 『それだけ、周りに人がいることに慣れたということでしょうか・・・昔の私からは考えられないですね。でも、私は守りたいと思う気持ちをあの時から強くすることができ、そしてこの刀が私を強くしてくれた』

 

 背中の紫微垣に意識をやった。

 

 『梵・・・情の力。本当の意味でやっと理解できましたよ。そして、これが狂が手に入れた力でもあったのですね。そして、紅虎が力の源と信じた力』

 

 確かにゆやと夫婦になり、戦った時に若干だけど弱くなったのでは?と感じることもあったが、それでも勝てなかった。この力があったからと今なら思えるアキラ。

 

 考えるのをやめ、ある木の根元で座った。

 「リンゴですか。子供の時は食べ物がなく、よく森にあるのをちぎって食べましたね・・・時々傷んでて腹痛になったこともありましたが」

 「大丈夫だよ。ここにあるのはおいしいのだよ」

 「そうですか。ふふ、食べたことあるのですね、雀・烏」

 「・・・」「そうだよ。ってお姉ちゃんが言ってます」

 上に顔を向けると、そこにはリンゴをとっている二人の姿があった。この二人の気配に気づいたからここに座ったのだ。

 「でも、いいのですか?ここにあるのは一葉のでしょう。彼女から怒られたりしないのですか?」

 「・・・」「公方様がとってこい。とお姉ちゃんが言ってます」

 「本人が言ったのですか・・・やれやれ」

 「・・・」「でも幽さんに見つかると怒られるから、内緒でお願いします。とお姉ちゃんが言ってます」

 「あの人も内緒で頼んだのですか・・・全く一葉らしい」

 呆れていると二人が下りてきた。手には結構の数のリンゴがあった。そして、後ろには一葉の気配。

 「おお、二人ともよくやった」

 「・・・全く、天下の将軍が盗み食いとはね~」

 「失礼な!余の庭にあるのだから、余のものじゃ!だから勝手に食べてもいいのじゃ!」

 「幽には内緒らしいですね」

 「供え物を捥いで食べるな、らしい。全く「結局食べるのだからいいだろう。ですか?」・・・そうじゃ!」

 一葉の後ろに更に幽がいた。微妙に怒りの顔になっている。

 「全く・・・烏、雀。公方様を甘やかさないようにと言ったはずですぞ」

 「・・・」「ごめんなさい!と雀とお姉ちゃんは言ってます」

 「さて、逃げるか!」

 「こら!二人を巻き込んで・・・しっかり説教しますよ!二人とも、供え用に何個か残しておくなら後は食べても構いません」

 烏が持っていたリンゴ全部取って逃げていく一葉に追いかけていく幽。

 

 『何故でしょう。あの二人の追いかけっこはほたると辰怜の追いかけっこにみえるのは・・・あ、よく考えれば一葉はほたると同じで人を小バカにして逃げて、幽は辰怜と一緒でむっとなって追いかける展開に似てますね・・・ふふふ』

 

 その二人の追いかけっこを見て、仲のいい(本人達は悪いと言い張る)あの異母兄弟を思い出し笑いをした。

 「お兄ちゃん、幽さんから許してもらえたから食べようよ!」

 「・・・」「一緒に食べたいとお姉ちゃんが言ってます!」

 「そうですね。説教は一葉が引き受けてくれましたし」

 許しを貰えたなら問題ない。三人は雀の持っているリンゴを食べ始めた。

 

 食べながら話を聞くと、一葉との謁見の時に久遠に射撃をしたのはやはり烏だったことや持っている銃が自分で設計して組み立てて、メンテナンスなども烏一人でやっているとのことだった。

 『なるほど、だから火縄銃とは全く違う形をしていたのですね。それにしても、銃に無知な私でもこれほどすごいと思える銃は初めてです。久遠がアキラ隊に取り入れた火縄銃のはるか先をいく銃と言っても過言ではありません』

 烏の銃を思わずじっと見ていたら、その銃を差し出した。

 「・・・」「触ってみる?とお姉ちゃんが言ってます!」

 「遠慮しておきましょう。無知な私が変なところを触ってはまずいですし・・・それはそうと、二人ともこの後は予定はありますか?」

 「・・・」「大丈夫、空いてます!と言ってます」

 「では、付き合ってください。館を出ますよ」

 残った数個のリンゴを説教中の幽に渡して、三人は館を出た。一葉が「置いていくな~」と言っていたが気のせいにした。

 

 ちょうど入れ違いで、アキラに会いに来た一人の女性がいた。

 「アキラ様は留守ですか」

 「すいません。いつ戻ってくるかわからなくて(ペコリ)」

 「いいのですよ。久遠姉様との祝言のお祝いを渡しておきます。失礼しました」

 「あ、葵様」

 その女性は松平家当主葵だった。祝言の品をひよに渡して、松平がとっている宿に戻ろうとした時にアキラを見かけた。

 「あ、アキラ様」

 「お兄ちゃん、すっげ~~!」

 「ただの木なのにクマができた!」

 「うわ~~、ほらほらお姉ちゃん、犬さんだよ!木の犬さんがいるよ~!」

 「・・・」「とてもかわいいってお姉ちゃんが言ってます」

 「ねえねえ!今度は何を作るの!」

 そこにいたアキラは何人もの子供と烏と雀に囲まれていた。子供達の手には、木で作った手のひらサイズの動物がいた。

 「ふふ、じゃあ、今度はこれで遊びますか?」

 「「「??なにそれ」」」

 取り出したのは人数分の竹とんぼだった。皆に手渡し、雀の分でそれを回して空に飛ばすとさらに驚いて嬉しそうだった。

 「すっげ~~!飛んだ!」

 「よ、よ~し!ボクも!」

 「・・・」「負けないぞ!とお姉ちゃんも雀も言ってます!」

 「あれ?どうしてお兄ちゃんくらいに飛ばないの?」

 頑張っている子供達の微笑ましい光景に思わず笑みを浮かべそうになるところにアキラが顔を向けた。

 「・・・葵さんもやってみます?」

 「!!気づかれていたのですか?」

 「ええ、私に話があるのでしょう。皆さん、ごめんなさいね。ちょっと失礼します」

 皆の頭をなでながら、葵のところに行った。

 

 竹とんぼであ~だこ~だと頑張ったり、それをしまってコマで遊ぶ子供達が見える位置に二人は座った。

 「それで、話とは?」

 「先ほど久遠姉様との祝言のお祝いを渡してきました。そのお祝いを言いたくて」

 「なるほど。それは、ありがとうございます」

 「いえ、私も幼なじみの姉様の幸せは大切にしたいですから」

 「いい考えですね」

 「それより、あの子達はいったい誰なのですか?」

 「・・・前回の鬼の襲撃で親を失った子達ですよ。先日たまたま外を歩いていると見つけまして、それで今回初めて来たのです」

 葵の言葉が詰まった。

 「その前までは、あの子達も親がいて仲良くしていたそうですが。因みに銃を持っている子と隣で通訳している子は別ですけど」

 「そうですか・・・鬼の被害者ですか」

 自然と葵はアキラの横顔をじっと見た。

 「命を懸けて子供を守って散ってしまった親。理不尽な理由で殺されて残されてしまった子供。この時代では当たり前と言っていい時代ですからね」

 「アキラ様のいた世界では、このようなことってあったのですか」

 「ありましたよ。私も鬼ではありませんが被害者でした。あの子達とは違いますが、親に捨てられましたから」

 「親に、捨てられた?」

 「私は商人の子供だったのですけど、育てるより儲けるを選んだのでしょう。邪魔な私を捨てて姿を消しました。まだ3~4歳くらいでしたね」

 まさか、幼なじみの夫がそんな辛辣な生き方をしているとは思わなかったため、心からビックリした。

 「・・・そこからどうやって生きたのですか」

 「盗み食いに拾い食いがほとんどでした。金や物を盗んでは捕まってボロボロにされて牢屋に入れられて・・・そんな日々が繰り返しでした」

 それを語るアキラの横顔を見る葵。気づいていないが少しだけその顔を見る目に熱が帯びていた。

 「そんなある日、出会ったのですよ・・・私の目標が」

 「・・・目標」

 「最強の漢が拾ってくれ、その漢の背中に追いつくために頑張っていき、そして私が出来上がりました」

 「そうなのですか・・・とても辛い生き方をされたのですね」

 「全くです。でも、あの漢に出会えた。それが私にとって良かったことです」

 見せた笑顔に思わず見とれた葵。

 「あの、アキラ様はこれから先どうしたいと思っているのですか?」

 「私ですか・・・久遠を支えたいと思っていますが」

 子供達に顔を向けた。

 「あの子達みたいな子を作りたくないですね。ある意味、私よりもつらい立場なのですから・・・その為にも鬼達を殲滅したいと思っています」

 「そうですね」

 今度はアキラが葵の横顔に意識を向けて、語りだした。

 「葵さん・・・私はあるサムライと戦う親友の戦いを見たことがあって、その時にサムライが言ってました。苦しい人全てを助けるのは不可能だと。でも、親友は保障もなければ確証もないけど必ず助ける、信じてくれ。と言ってその戦いに親友は勝つことができました。当時の私は理解できなかったですけど・・・あの子達を見たら理解できました。親友の気持ちもサムライの気持ちも両方ね」

 いきなり語りだしたことに少しキョトンとしながらもアキラに訊ねた。

 「・・・その後、その二人は?」

 「サムライの方は上司の人間に殺されてしまいました。でも、遺言で必ず成し遂げてくれ。と親友は言われ、今でも頑張っているはずです。親友が頑張っているなら私も頑張らないとね」

 立ち上がって、彼女を正面から見た。

 「葵さん。あなたがどんな世の中にしたいのかはあなた次第であり、あなたが決めることです。あなたもかつては私みたいに理不尽にあい、今まで苦労してきたことは知っています。そして、三河の国の主になり久遠と共に頑張っている。できることなら、共に手を握り合って頑張っていきたいです。それを切に願います」

 「もちろんです。私もこの日の本をよくしたいと心から思っています」

 「進みたいと思っている道は違うかもしれませんが、いつかその道が交わることを願っていますよ」

 そう言って、アキラは子供達のところ戻った。

 

 『あの人はいったい何者なの?全く心が読めない。いえ・・・あえてある程度見せて、でも肝心な部分をそれで隠しているように思える。しかも私の事を知っているような口ぶりだった。まるで将軍様の側近の細川殿と話しているかのように掴みどころがない。それにしても・・・』

 

 葵の視線の先は再び竹とんぼを飛ばして、その飛ばし方を見せて子供達にレクチャーしているアキラの姿だった。

 

 『かわいい笑顔。あんなに楽しそうに・・・あの話にあった全てを救えない。救ってみせる。そんな思いを持った二人の戦い。私も見てみたかった・・・もし、見ていたら私ももっと頑張れるかもしれなかったのに』

 

 その親友がまさか向こうの世界の自分の息子だったなんて、夢にも思わなかった葵であった。

 




 はい!姉妹と見て足利と思った方残念でした!こっちの姉妹でした!

 後、やはり葵との話には紅虎の事を入れないといけませんよね~。

 間章はまだ続きます!


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間章10-3 性分なら仕方ない・・・いや、仕方なくない

 
 今日は!年末近し、仕事も多忙な三MENです。

 今回の原作の間章。全部書きます!

 今回は雫と小波です!

 



 

 幽と詩乃の三人で、このぼろぼろに近い状態の二条館を修復・強化するかを相談していた時だった。

 「門の周りが騒がしいですね?」

 「そうですな・・・この声は雫殿ですね」

 「何をしているのでしょう?」

 声のする方向に向かうと、数人の大男に指示を出している雫の姿があった。

 「雫殿、何をしておられるのですか?」

 「あ、あの、この二条館の門と壁がとってもボロボロなので」

 「フムフム、それで?」

 「・・・こういうのを見るとどうしても我慢できなくて、修復を」

 「何と!今幕府の財布「あの、修復費は全部播州小寺家もちで」どうぞどうぞ、さあ、好きに直してください!我が許可しましょう!時間はかかっても構いませんぞ!いや~、素晴らしいお心がけでございます!この細川与一郎、思わず頭を下げてしまいます!」

 「・・・・・・変わり身早いですね。勝手にやっていたのに、一切費用がかからないと分かるとああなるなんて」

 「ははは!それこそ幽ですよ」

 感心したくなる変わり身に、詩乃は思わず言葉を失った。

 「おぜぜを出してくれるなら文句ありません。では、お願いします」

 「はい!ありがとうございます」

 「いや~、他人のおぜぜで二条館が修復できるなんて、さっきの話はもうどうでもよくなりましたな~」

 とても嬉しそうに館の中に戻っていく幽。その軽やかな動きは心から喜んでいるのだろう。

 「本当にいいのですか?」

 「はい、播州小寺家の財布係は私ですので、そこに入れれば問題ありません」

 「まあ、あなたがいいと言うならこちらは何も言いません。変わり身早いあの方も許可したことですし・・・ところで、一つ聞きたいのですが」

 詩乃の目が光った。

 「は、はひ!な、何でしょう!」

 「前回の鬼との戦いの采配は見事でした。その事は褒められますが、八咫烏隊のような将軍家に雇われている部隊ではなく、あなたは播州小寺家に属する者。その小寺家の人間は、今回参戦するように言われたのですか?」

 「あ、あの、えっと・・・」

 言葉を詰まらせる雫。

 「・・・まさか、黙ってきたのですか?」

 「はい・・・小寺家の人間は基本的に関心がないので、私が出ても何も言わないと思います」

 その言葉に、アキラも唖然とした。

 

 その後、修復の指揮に戻った雫。しばらく様子を見ていたが、詩乃も見事と言える采配だった。

 

 『鬼との戦いで、詩乃も彼女の采配が良かったと言ってました。伊達に詩乃・・・竹中半兵衛と並んで、両兵衛と天下に広まるほどの指揮能力を持っていないということですか。小寺家に属しているから小寺と名乗っているのでしょうけど、ずっと軍略を詩乃一人に任せていたので、雫が入ればそれなりに楽させることができますね。それにしても・・・まさか両兵衛が揃うところを見るなんて思いもしませんでした』

 

 彼女の才能を見たアキラは、純粋に仲間に欲しいと思った。

 「詩乃。彼女、ほしいですね」

 「・・・誑すのはやめてほしいのですが」

 「そういう意味で言っているのではないと分かっているでしょう」

 「でも、アキラ様は女性を誑して惚れさせないと死んでしまう病を持っているじゃないですか」

 ジローと見る詩乃。

 「初耳ですよ、そんな病気。誰も誑していませんよ」

 「自覚無しですか・・・はあ~~、雫の件なら簡単にできますよ」

 「本当ですか?」

 「ええ。そちらの方にお願いすれば簡単に」

  詩乃の視線の先には一葉がいた。

 

 それから数日後、大まかの修復内容も決まり、大工もそれぞれ工事を開始した。その指揮もまた雫がやっていた。

 「雫。ちょっといいですか?」

 「あ、アキラ様とく、公方様!」

 「ああ、何、時間は取らせない」

 「は、はい!」

 雫を呼んだアキラ。そのアキラの右腕が一葉の立派な二つのおっぱいの間に挟めている。更に右腕を服の中に入れ、アキラの手を彼女の女性のあの場所に触れてさせているのは気のせいではない。

 「幽から話は聞いている。二条館の修復、感謝する。将軍として礼を言う」

 「は、あ、ありがたき幸せ!」

 「あと、今回の二条館の防衛に来てくれた件だが余が出向を依頼したことにした」

 「え?あの、それはどういう」

 「余がこうできるのは、お主のおかげということじゃ。アキラよ、手を動かしてもいいのじゃぞ」

 「私が頼んだのですよ。無断でじゃなくてこちらが依頼が来てもらった。ということです」

 まさか、自分の為に一葉に頼むとは思いもよらなかった雫。一葉はこっそり言った言葉を無視されてムッとしたが、すぐに立て直した。

 「それと、小寺の連中はお主も我々と共に鬼の戦いに参加してもよいと報告を受けた・・・だが、見返りがくると思っておったが」

 「ええ。今回の事も鬼の事も「いいよ」で終わりとは、私も思いませんでした」

 「・・・小寺家は自分の領土が第一ですから。そこを無事に納めていられれば、周りの事は気にしないのです」

 渋い顔の雫。多分、その体質に何度か苦い思いをしたのだろう。

 「戦うにもお主も隊に配属することになるが、どの隊に入る?」

 「それなら、公方様の「官兵衛」あ、はい!」

 しっかり雫の目を見て話す一葉。

 「余はな、仮面をかぶって嘘ばっかり話す馬鹿どもより、まっすぐ正直に話す無法者の方が好きじゃ。正直に言え。お主はどこに着きたい」

 ごくりと唾を飲み、そして意を決した顔で言った。

 

 「私は、できることなら、アキラ様の下で死にとうございます」

 

 こうして雫はアキラ隊の一人となった。その意思をしっかり二人は見た。雫は指揮に戻り、二人でいちゃつきながら歩いている。

 「・・・いい加減話してくれませんか」

 「だめじゃ、今日はずっと・・・ん!あ、いい」

 「せめて、人気のないところで「何を言う。燃えるじゃろうが!お主の匂いを嗅ぐだけで・・・ああ、いい香りじゃ」・・・はあ」

 諦めて、くねくねしながら顔を少しずつ赤くしていく一葉と歩き続けた。

  

 夜になるまで、一葉の胸にずっと腕を挟まれていた。今は何とか一葉から解放されて二条館の中庭の岩に座っていた。

 

 『危ないところでした・・・部屋の前で幽に会わなかったら、確実に今夜は一葉と布団の中で・・・していたでしょうね。実際、幽に引きずられながら「双葉と共に淫らにしてくれ~!」と言ってましたし。思わず「明日の夜ならいいですよ」と言ってしまったのはまずかったでしょうか』

 

 冷や汗を流しながら思い返した。一息ついていると覚えのある気配を感じた。

 『いつも、私の傍にいる小波が別のところにいるのは珍しいですね。一葉と歩いている時も、気配を感じてなかったからおかしいと思っていたのですが』

 「・・・だ、・・・あ、ありがとう、ご、ございます」

 「何をしているのでしょうか?」

 「!・・・ご、ご主人様!」

 アキラの気配に気づいて後ろを向いてびっくりの小波。

 「何をしていたのですか?」

 「な、なななな、何でもありません!」

 「・・・まあ、いいでしょう。隣、座っていいですか?」

 「え!わ、私の隣をですか!」

 答えを聞く前に座った。背筋をピンとする小波。大きな石の上に何やら置かれていたが、気にしないことにした。

 「そうだ。小波には礼を言わないといけませんね」

 「え!な、ど、どうして!」

 「句伝無量で南門の状況を報告してくれたじゃないですか。あの報告がなければ北門に集中できませんでしたし、後、疲労しきった私を支えてくれました。本当に助かりました、ありがとう」

 頭を下げるアキラにびっくりする。

 「そ、そんな!あ、頭を上げてください!私ごときに」

 「今回の二条館の防衛は、小波無しではできなかった。鬼がいつ来るのか、その数、更に各所の状況報告。そう言ったことを全てやってくれたからこそ、ここを守ることができた。言ってしまえば、一番の手柄はあなたなのですよ」

 「わ、私が、一番の、て、手柄!」

 「ですから、礼をしたいのです。私の事も守っていますから、その分もね」

 「い、いいえ!そ、それに、ご主人様だって三好の三人を倒したじゃないですか!あの雷だって出して・・・ご主人様が「はい、そこまで」・・あう」

 口を押さえてかわいい声を出す。

 「あなたがいた三河では当たり前だと思ってますけど、私達にとってはとても大きなことです・・・礼は絶対に受け取ってもらいますよ。私だってそうしないと気が済みませんからね」

 そう言うと掌で持てるくらいの木片を取り、小波から苦無を借り削っていった。数分後、その木片に小波の顔が彫られた。

 「はい。これをあげます」

 「わ、わ、私そっくり!す、すごいです!」

 「・・・ついでです。もう一つ作りましょうか」

 「え?・・・えええ!」

 同じくらいの大きさの氷を出して、削っていった。今度は氷の小波を作った。

 「どうです?二つともそっくりでしょう」

 「は、はい!ご、ご主人様、本当にすごいです!」

 「これが、肩を貸してくれた分と今回の手柄の分です。受け取ってください」

 「あ、ああ、ああああ!」

 「小波?どうしました」

 「ぜ、ぜ、ぜぜぜぜ、絶対に大切にします!家宝にして未来永劫「そ、そこまでしなくてもい」そんなことありません!」

 二つとも、絶対に離さないと言わんばかりに抱きしめた。

 「ははは、そこまで言ってくれると嬉しいですね・・・小波、できることなら笑顔を見せてくれませんか」

 「笑顔・・・ですか?」

 突然出た言葉にキョトンとする小波。

 「笑顔のあなたを考えて彫ったのですよ。あくまで、できればでいいので笑顔を見せてください。押し込めている感情をほどいて・・・ね」

 

 『・・・で、できない。そんなことをしたら・・・私がご主人様の事を、でも、したいと思っている自分が、い、る』

 

 アキラにそう言われて少しだけ心が揺らいだが、ここでは我慢した小波。木の自分をふところにしまい、氷の自分は溶けてしまうので残念だけど木の根元に立たせるように置いた。

 「で、ででで、では。し、失礼します!(シュタ)」

 「いなくなってしまいました・・・中々手ごわいですが、一歩前進しましたね。さて、私もそろそろ寝ましょうか」

 氷の小波に「おやすみ」と言い、館に戻った。

 

 館の屋根の上にいる小波は、ただたださっきもらった木の自分を見ていた。

 

 『ご主人様は笑顔を見たいと言った。草の自分に、感情など不要のはずの草の私に笑ってほしいと言った。以前ご主人様は自分の本心を見つけてほしいと言った。私の本心は・・・いや!駄目だ!私は草。それに松平の人間!それを意識しないと!葵様の為にも任務を遂行しないと!・・・でも、でも、私は気付いてしまった。この気持ち、抑えられない・・・月よ、未熟な私を嗤え』

 

 自分の本心に気づいた事に葛藤を持ちながらも、それをしたいという願望も持つ波にん。彼女の気持ちはどう動くのか。

 




 
 やっと小波ちゃんの話だ!

 この時はまだ身分を強く意識してましたからね。こうなるでしょう・・・。


 さあ、ついに次が間章最後!濡れ場必死の足利姉妹・・・いったいどう書こうか。


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間章10-4 幸せ者です・・・私は R-18

 おはこんばんわ!三MENです。

 ついに待ったという方が多いと思う足利姉妹登場です!久遠も少し入れます。



 3月22日 エロ修正しました。


 「二人っきり・・・ですね」

 「そうだな」

 朝食後、アキラと久遠は屋根の上にいた。下では壬月が率いる織田の家臣達がその二人を探している。

 「それにしても、アキラ一人ならともかくよく我も抱えて・・・」

 「ふふふ、軽かったですよ」

 「くう~~そ、それより、あやつらはどうして我を見つけられないのだ?」

 

 『殿~どこですか!』

 『相談したいことがありますのに~』

 『『『出てきてください!見つからないと壬月様に怒られるんです~』』』

 『誰が怒るか!』

 

 三つのゲンコツの音が聞こえた。

 「あらあら、可愛そうに・・・さっきの質問の答えですが、隠れるから見つけようと躍起になるのですよ。逆に隠れないでいると見つけにくくなるのです」

 「どういうことだ?隠れないと見つかるだろう」

 「そうなると、相手は隠れそうなところを重点的に探して視界が狭まってしまうのですよ。だから、ちょっと違う視点のところにいれば」

 「なるほど、確かに屋根の上に堂々と座っているなんて考えないな」

 屋根から自分達を探している和奏と犬子を見た。

 「ええ、小波やひよくらいでないと気付けないでしょう」

 「小波は分かるが、どうしてひよの名前が出るんだ?」

 「理由はあなたですよ。猿の所以です」

 「っぷ!ははは、そういうことか」

 二人して笑ってしまった。

 「それで、我に何か言いたいことがあるのだろう?」

 「ええ・・・久遠、暗い顔をしていますがいったいどうしたのです?」

 「・・・気づかれていたか」

 「夫の私が気づかないと思っていたのですか?まさかとは思いますが、皆の夫宣言の事じゃないでしょうね?」

 そういうと言葉を詰まらせ話が止まった。

 「やれやれ・・・久遠、あなたは私に何と言いました?」

 「・・・私がお前を好きなように、ほかの皆も大好きになってくれ」

 「そして、私はどう答えました?」

 「それを望むなら・・・そう答えた」

 彼女の頬を掴んで、自分に向けさせた。

 「そう、あなたのやった決意に賛同しました。だから、気にすることはない」

 「で、でも、一言も言「気にすることはない。と言いませんでしたか?」・・・ほ、本当にいいのか?」

 不安そうな顔を見せる久遠に接吻した。

 「なあ!「詫びとして、唇をもらいます」・・・うつけものめ」

 真っ赤になりながらもそれを受けた。

 

 『やはり、久遠はこれが一番ですね』

 

 彼女の背中に手を回した。ビクッとしたが、跳ね飛ばそうとしない。

 「あ~~~~!久遠様ずるい!」

 久遠もアキラの背中に手を回そうとした時にひよに見られてしまった。そして、この声が家臣達に気づかせる結果となった。真っ赤になって慌てて離れる久遠。

 「あああ、その、こ、こ、これは!」

 「私としたことが・・・ひよが来れると考えた時点で、見つかる可能性も考慮するべきでした」

 それを考えなくなるくらい、久遠と一緒の時間が居心地がよかったアキラだった。

 「殿!しかも、アキラまでなんてところに!」

 「二人とも!しっかり説教しますからね!」

 「猿~何がずるいんだ~」

 「二人でいちゃついていたのかな?」

 「あ、あの!二人が接吻してました!」

 「えええ、それはずるい!アキラ様、私達もしてください!」

 その言葉がさらにアキラ隊の面々にも聞こえ大きな騒動になってしまった。

 

 その騒動も何とか収まり、昼食後に幽に呼ばれて館の一室に案内された。

 「ようこそ、ずいぶんと大騒ぎでしたな」

 「途中から、そちらの正室さんも参加してましたからね」

 「なんじゃ!夫と接吻したいという妻の願いを叶えたくないというのか!」

 「いえ、妻なら十分にしたいと思います」

 「で、では、私もいいですか」

 「もちろんです。いつでもいいですよ」

 その言葉に姉妹同時に赤くなった。

 「暑いですな~。さて、本日お呼びしたのはとても重要なことですので、話はここまでにしましょう」

 「珍しいですね。人の不幸と銭を見て喜ぶあなたがこれ以上煽ろうとしないなんて」

 「それはいつでもできますからな。今は・・・」

 すると、幽は何十冊ともいえる書物をアキラの前に置いた。

 「さっきから気にはなっていましたが。これが今回呼んだ理由ですか?」

 

 その後、将軍とその妹つまり次期将軍予定の二人を嫁にしたアキラ。幕府より代々伝わる礼節や礼法更には軍略に兵法といったものを夫になるのだから覚えろ、と言うことだった。

 「そのようなものはどうでもいいと言ったのだが」

 「神輿は立派なものにしないといけません」

 「み、神輿って、幽!」

 「なるほど。部屋に入った時に一葉が申し訳なさそうな顔をしていたのはそういう意味でしたか」

 「すまない。こやつがどうしても聞かなくてな」

 「全く・・・気にしないでください、正直いつ来るのか?と思っていましたから」

 「「は?」」

 二人から気の抜けた声が聞こえた。隣の双葉もまた驚いていた。

 「私としてはあなた方を肩書抜きで好きになりますが・・・将軍の夫ともなるとそれなりに礼儀正しいところも見せないと一葉の名に傷がつきますからね。妻の為に夫が立ち上がる。それが私のやるべきことでありやりたい事でもありますから、その為なら努力は惜しみません」

 「「アキラ(様)」」

 二人の目の中に♡が出てきた。

 「では、始めましょう・・・やる気スイッチが入ったみたいですし」

 「・・・スイッチなんて言葉をどこで知ったのです?」

 エーリカ殿が教えてくれました。と言った幽が書物を数冊差し出した。

 

 「おどろきもした」

 半刻後、驚きの顔になっている幽、隣の二人もまた驚いていた。

 「兵法の基礎は出来ているとは思っていましたが・・・よもやここまでとは」

 「旦那様、どなたからご訓示を受けたのです?」

 「・・・私の世界の話になりますが、梵天丸という男から魏武注孫子や六韜三略などを、ボロボロになって動けなくなった時に見せられ教えられました」

 「梵天丸ですか?どこかで聞いたような・・・っは!まさか、東北を手中に収めているというあの伊達の独眼竜ですか!」

 「何!それは本当か!」

 「本当ですよ・・・そう言えば梵ってそういう風に呼ばれていたんでしたね。すっかり忘れてました」

 アキラにとっては、暴れん坊だが頼りがいがあり自分を常に支えてくれた大切な仲間として見ていたので、独眼竜政宗という呼び方はどうでもよかった。

 「しかも、そのようにお呼びになるくらい親しい間柄だったのですね」

 「( ̄∇ ̄;)ハッハッハ、背中を預けあって戦ったこともありますよ。後、喧嘩して氷漬けにしたこともあれば、ガチで戦ったこともあります」

 本人同士からすればいい思い出だが、初めて聞く三人からすれば絶句してもいいくらい衝撃の言葉だった。

 「・・・と、とりあえずこれなら次の段階に進んでもよろしいですな。何しろ、ほとんどの書物を読んだことがあるくらい答えられましたから」

 その後は礼法に関わるものになりそれは双葉が教えることになった。一葉は自分が教えたそうな顔をしていたが。

 

 『説明と書いて『感じろ!わかれ!』と読みそうな一葉には不向きでしょう・・・幽もそれが分かっているから双葉を先生役にしたのでしょう』

 

 と、いう理由で却下となった。ただ、双葉はアキラにじっと見られるのが恥ずかしかったのか、時々失敗するときもあった。そこで、動きであれば完璧な一葉がやり、説明は双葉がやるということになった。

 

 その礼法の教えも、やっと一日分が終わり食事も終わって風呂も入った後だった。一葉と双葉がアキラが泊まる部屋に入ったのは。

 「どうしたのですか?」

 「あ。あの、その・・・だ、旦那様」

 「主様。我らは妻になったのだぞ。今まで我慢しておったが・・・今日は」

 二人の顔が真っ赤になった。そして、言いたいことが分かった。

 「・・・いいのですね」

 「は、はい。旦那様に・・・抱かれたいです」

 「余もじゃ・・・主様の温もりを感じたいのじゃ」

 二人はまず腰から上の服をはだけさせた。その後、アキラに寄り添うように近づき、アキラの服を同じようにはだけさせた。そして、アキラのあの体が見えた。

 「あ、アキラ!この傷の多さは何だ!しかも服で気づかなかったが、筋肉の固い体をしておる!」

 「だ、旦那様!こ、これって、まさか全部・・・」

 「気にしないでください。これは勲章です」

 「・・・そうか。今の強さを証明するためのモノでもあるのか・・・これ以上ない最高の殺し文句じゃ。これは意地でも抱いてもらわないといかんな」

 「わ。私も、ここまで心と体が、熱く、なって・・・」

 服の中では乳首がたち、女性の印である割れ目からは液が出ていた。

 「ええ。では、始めます」

 二人の胸に手をかけた。二人とも緊張でビクッとした。

 「二人とも、きれいな胸してますね」

 「そ、そうか?」

 「も、もう、旦那様、そんなこと、言わないで・・・ください」

 「無理です、もっと言いますし・・・ここからは揉ませてもらいます」

 二人のおっぱいを優しく揉みだした。どんどん赤みがさらに増していき、目も段々蕩けてきた。

 「「はあ、ああ、んん、あ、はあああ」」

 「こちらはどうでしょうか?」

 アキラは揉むのをやめ、下の袴を脱がせて下着の上から直接割れ目に指を触れた。

 「「あ!」」

 「おやおや?濡れてますね~」

 「と、当然じゃ!大好きな主様に裸を見られ、胸を揉まれたのじゃから」

 「はあ、はあ・・・旦那様。好きに、してください」

 二人は自分で下着の中に手を入れて自慰を始めた。そして、続けたまま布団に横になったアキラを双葉はキスをして、一葉はアキラの性刀を咥えた。

 

 『ん!す、すごい・・・旦那様の、ああ、接吻。口の中でんん!舌が暴れて、でも、それが、ますます旦那様を、あ、あああ!愛おしくさせて・・・ますますここが、ああ!濡れちゃう!指が、指が、激しく動いちゃう!ああああん!』

 『随分な暴れん坊じゃな。どれ、余が鎮めて見せよう・・・不思議じゃ、主様のを咥えているだけなのに、ますますここが濡れる・・・む、大きくなりおった!口の中いっぱいじゃったのに、さらに大きく!これが、これが・・・余と双葉のここに入ると思うと・・・興奮する。指が、あう!指が止まらない!』

 

 割れ目に入った指がどんどん早くなり、液の出る量も増えている。二人とも、作業をやめてアキラの顔を見た。

 「主様、ほしいのじゃ」

 「旦那様、双葉も、双葉も、旦那様に・・・されたいです」

 二人は顔のそばに寄って、自分の割れ目を見せた。

 「そうですか。でも、まだですよ」

 「「ああ!そんな!で、でも・・・」」

 二人の割れ目にアキラは指を入れて、動かした。二人はビクビクと動き、快楽がますます彼女達を淫乱にさせる。

 「できれば、二人もしてほしいですね・・・そこを」

 アキラの指摘はもうわかっていた。だが、

 「な、なら!主様!ゆ、指を」

 「こ、これでは、で、できま、せん!」

 二人をよがらせている中で、それをしろというのは難しいが何とか頑張ってアキラの性太刀を掴んだ。

 「何と・・・あう!くわえると、持つとでは、ダメじゃ!、ち、違う、い、いい!」

 「あん!大きい、太い。も、もう!旦那様!動かさ、ああああ!」

 アキラの指でついに一度快楽の頂点にいったのか、その場で倒れてしまった。

 「全く・・・まあ、仕方ないですね」

 すると、アキラは起き上がり一葉を布団に寝かせた。その隣に双葉を寝かせた。

 「二人とも、淫乱で可愛かったですよ」

 「い、言わないで、くだ、さい・・・は、恥ずかしい、です」

 「はは。こんなに、いやらしい、旦那じゃったとは」

 「嫌いなら、やめますが」

 「「好きです(じゃ)!」」 

 もう一度割れ目を広げて、アキラに見せた。彼女らのいやらしい蜜がさっきより多く流れていた。

 「・・・一葉、行きますよ」

 「わ、わか、分かったのじゃ・・・ぬ、主様、あああああ!ううう・・・じゃが、余は、余はついに、主様と、一つに、う、嬉しいのじゃ・・・のう、動いてたもう。今は、もっと主様を感じたい!」

 一葉のあの壁を壊し、つながった状態で何度も出し入れをした。そのたびに一葉は動き、彼女の大きなおっぱいが動き余計に淫らにしたい気持ちにさせる。

 「あ、あああ、すごい、これが男の一太刀・・・たくましくて、何より暖かくて。ダメじゃ、びりっときて、一人で、やった時、より最高・・・じゃ」

 「お姉さま・・・きれいです」

 「双葉。一葉の上に乗ってください」

 「・・・はい」

 双葉は言われた通り、布団で力が抜けている一葉の上に乗った。

 「な!ふ、双葉!」

 「乗ったら、おっぱいを吸ってあげてください」

 アキラに言われるがまま、姉のおっぱいの乳首を吸い始めた。

 「ま、全く・・・あう!」

 「お姉さまのこれ、おいしいです」

 「そ、そのようなこと、言うでない!」

 恥ずかしがる一葉。そんな中、アキラの性太刀が双葉の割れ目についた。

 「では、お待たせしました・・・双葉」

 「あ、そ、それが男の人の・・・すごい」

 「ふ、ふふ、双葉・・・我慢せいよ。それが終われば、後は主様が極楽に連れて行ってくれるぞ」

 「はい・・・旦那様。どうぞ」

 「いきますよ」

 濡れ濡れの割れ目に、濡れ濡れの性太刀をついにさした。

 「!!!」

 「我慢じゃ!」

 悲鳴を上げそうになったが、一葉の言葉に飲み込んだ。その後に、自分の女性の壁が壊れたのを確認した双葉。

 「痛いですけど、嬉しいです・・・私もお姉さまも、アキラ様の本当のお嫁さんに」

 「では、動かしますよ」

 「う!あ、こ、これが、旦那様、からの。あああ!あああん!」

 「そうじゃ、さっきの余が受けた極楽じゃ」

 「だ、旦那様!ああ。旦那様のが・・・ああああ!」

 「ふ、双葉・・・淫らで蠱惑的な、いい顔じゃ」

 「は、恥ずかしいです。で、でも・・・ね、姉様こそ、蕩けて、ますよ」

 お互い蕩けた顔を指摘しあって、更に恥ずかしくなった。

 「主様・・・余らを、こんな顔に、しおって」

 「でも、でも、と、とま、止まらない、の。です」

 「さあ、最後まで、やって、くれ。余らは主様の・・・ほしい」

 「お、お願い、します・・・はあ、はあ、私も、もっと、欲しいです」

 そんな顔で懇願されたので、アキラも全力で答えた。二人の割れ目に自身の性太刀を勢いよく交互に入れた。

 「あああ!主様!すごいのじゃ!う、く!じゅぶじゅぶと、聞こえるぞ。余のこれが、あぐあ!音を立てて主様のが」

 「わ、私も・・・あん!いいです。もっと、もっと、あああ!お願い、します、旦那様!できれば私の胸も、ひゃん!揉んで、ください!」

 双葉の胸を揉み、その双葉は姉の胸を揉む。

 「双葉・・・お主、うまいのう。あう!あ、い、いま、来たぞ」

 「だ。旦那様が・・・うまいからです。あん!乳首が、ビリって~きました!」

 アキラの揉み方を真似して、双葉がその揉み方で一葉のおっぱいを揉む。その間にも、どんどん二人のビショビショとなる壺をせめていく。

 「も、もう、いき、ますよ」

 「ああ!主様!だして、だしてたもう!余も、余も!」

 「わ、私もです・・・旦那様。全部、ください」

 「ええ、いきますよ!」

 最後のラストスパートに一葉も双葉も更に淫らになっていき、ついに三人とも快楽の頂点に立った。

 

 「「あああああ!!い。い、いく~~~」」

 

 一葉の体の中にアキラのあれが放たれ、まだ勢いがあるうちに双葉の体の中にも放たれた。双葉の体が一葉から降り、隣に仰向けになった。

 「し、幸せじゃ。とても、とても、幸せじゃ。大好きじゃ、主様。こ、今夜は、ずっと、こう、してい、たい」

 「私も、私も大好きです。ずっと、双葉と姉様を・・・愛して、くだ、さい。旦那様しか・・・考え、られない、ように・・・してください」

 「もちろんです。まだ、いきますよ」

 「ああ・・・全部、受け入れよう」 

 「お願いしますね。旦那様」

 そして、二人の体を隅々まで愛した。

 

 アキラが起きた時は右に双葉が左に一葉が寝ていた。二人の体のいろんなところにはアキラのあの白い想いがついていた。そう、割れ目以外にも・・・口にも、胸にも、腹にも、太ももにもだ。

 「二人とも、とてもきれいでしたよ・・・そして、愛しています。将軍や足利そんなの抜きで、一葉も双葉も愛してますよ」

 疲労がまだ取れてないのか、アキラは再び夢の世界にいった。

 

 『主様・・・本当に嬉しいぞ。余も愛しておるぞ。絶対に主様との間に子供を作る。余の一番の目標はそれじゃ』

 『旦那様・・・ずっとお側においてください。双葉は旦那様とお姉様、そして久遠様や他の妻の皆さんと仲良くこうしていたいです』

 

 こっそり起きていた二人はアキラの気持ちを知り、更に想いを強くしていった。

 

 『『この身尽きるまで離れないから、覚悟するのじゃ(してください)』』

 

 そして、二人もまた幽が来るまで眠りについた。

 




 
 エロシーン、修正しました!

 後書き変えましたが、問題ないですよね?


 さあ、話が変わって本当の意味で第四章終わりです!ついに分岐点とも言うべき第五章の始まりです!そして、この話でもとても大きな展開があります!
 でも、結構真面目な話になりますのでエロ展開を希望の方はすいませんが間章まで我慢をお願いします・・・え?我慢できない。お願いします!


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第五章 越前編
三十八振り目 不安は考えたらきりがない


 
 こんばんは!三MENです。

 遂に第五章に突入です!今回は小谷到着です。

 多分、本章はシリアルに書くことが多いのでその事を了承願います。

 後、この話でアキラ隊の旗を出します!原作とは全く違います!


 

 『・・・ふう、嫌な予感がする』

 アキラは隊の皆と共に、越前侵攻のため織田・松平の皆と小谷に向かっている。だが、アキラは不安な気持ちを持っていた。

 

 『越前・・・歴史にも他人にも興味をあまり持たない私でもわかる、織田信長・・・前の世界のあの男が大敗を喫した金ヶ崎の退き口。あの戦いは、今から向かう小谷城で合流予定の真琴・・・浅井長政が越前に侵攻する信長を裏切り朝倉義景の味方をして、そこに他の勢力も集まって打倒信長になって引き下がるしかなかった戦い』

 

 一呼吸を置き再度塾考をした。

 

 『私は久遠を助けるために、支えるために全力を尽くす。でも、既に歴史は大きく変わっている・・・いや歪みまくっている』

 

 隣にいる鞠に意識を向けた。

 

 『鞠も一葉も本来ならここにいない・・・一葉に至っては生きていない。私というこの世界の異物が入り込んだために助かり死ななかった・・・いったいどれだけ本来の歴史からずれてしまったのでしょうか。だが、進むしかもう道はない。鬼を全滅するために・・・背中を支えるために。だが、もやもやが消えない・・・ダメです、今は小谷に向かって真琴と市の二人と合流することだけを考えましょう』

 

 「えへへ~(*^▽^*)」

 暗い方に考えが行くので、それをやめて気の抜けたひよの声の方を向いた。

 「何度見てもいいな~。この旗」

 「もう~、ひよったらもう何回目なの?」

 「何回でも言うよ~。だってやっと私達の隊の旗ができたんだよ」

 「まあ、いい旗なのは同意見だけど」

 「うん!鞠もすっごい気に入っているの!」

 「はい、これから先の日の本を正すにはとても分かりやすいです」

 「ハニーは素敵な考えを持っていますもの!」

 アキラ隊の皆は今回京の職人に頼み作られた旗をとても気に入った。その旗はまさにアキラを示すものだった。

 「努力・友情の旗・・・果たしてうまくいくでしょうか」

 「アキラ様なら絶対にいかせられますよ!私もずっとお供します」

 詩乃りんの言葉に笑みをこぼすアキラ。

 

 『努力と友情の旗。それぞれ左右に書き、そして間の空間に私の二本の刀を✖にして書かれた旗。今の私にしたこの旗こそ私の隊にふさわしい』

 

 かつての戦いの記憶。それを思い出した。一つ一つの戦いがアキラを思い出させる。そして同時に実感した。やはり、あの戦いこそがかつての自分と今の自分を分けた戦いだということが。

 

 気を取り直してしばらく進むと、意外な人物に再会した。

 「結菜・・・どうしてここに」

 「久遠に呼ばれたのよ。私が必要だって」

 「なるほど・・・でも、何故ここまで来たのです?しかも、私に何の話もなく」

 その言葉に青筋を出した結菜。

 「・・・分からないの?」

 「はい」

 その答えにきれたのか、結菜が手を前に出した。すると、周りに光の蝶がいきなり出てきた。その数が三十から五十はいた。

 「女心のわからないにぶちんは、私が消し炭にしてあげるわ!」

 「なあ!ちょ、ちょっと待ちなさい!」

 「私のお家流・雷閃胡蝶を受けなさい!」

 あわてて逃げ出したアキラを追いかける結菜と雷閃胡蝶。途中でボカンボカンと蝶が爆発する。

 「待ちなさ~い!」

 「それで待つ人はいません!」

 何とかその爆発をよけながら逃げ続けるアキラ。二人の追いかけっこを苦笑いをして見るアキラ隊。

 「お頭、さすがに悪いですよ」

 「そうだね・・・でも、それがかわいいと思えちゃうんだよね」

 「ええ、あれがあの人です」

 「も~、アキラはもうちょっとわかるようになるの!」

 「でも、分かるようになったらなったで、それはハニーと呼べない気がしますが」

 「あ、あの、いいのですか?このままで(アセアセ)」

 『全く!隊長を助けなさい!』

 見るだけで、何もしない皆に心で文句を言うアキラだった。

 

 アキラは一日中戦える体だけど、結菜の方はお家流こそあるが体は弱い。すぐに軍配はアキラに上がった。お互い別々の息を吐いていると久遠がやってきた。

 その後、話によるとアキラの夫宣言によりこれから先は奥が作られること。その奥で立場の違い、身分の違いをしっかり分けるために正室・側室・愛妾の三つが作る必要があるため、それの管理を結菜をやらせるためとこれからの戦いの場になる越前にも同行するために呼んだことが分かった。

 またそれぞれの嫁の立場の違い。まず国を動かす発言力を持ついわば当主と言える立場の人間が正室・久遠や一葉であり、そして国は無理でも人を動かす発言力を持つ立場の人間は側室・結菜や双葉になる。最後に愛妾は身分関係なしで妻になりたい人がなれる人達の事を言う。

 

 「鞠も!鞠も、アキラのお嫁さんになるの!」

 

 鞠の言葉がきっかけで、雫以外のアキラ隊が手を挙げた。皆は堂々と万歳する勢いで上げたが、約一名おずおずと小さく上げそうで上げない小波の姿があった。いわば、彼女らのような女性達が愛妾だ。

 

 『・・・徳川家康ですか、私は。紅虎は自分の父親には、十人以上愛妾がいたと言ってましたね。もし、これを知られたら「あんさんだけはそれを絶対にしないと思うておったのに!裏切り者・・・羨ましいでこんちくしょう!」って悔し涙を流しながら言襲ってきそうですね・・・真尋さんを嫁にもらっておきながら』

 

 苦笑いしながら、しかし自分をここまで好きになってくれる彼女たちに嬉しいと思うアキラだった。

 

 だが、笑い話はここまでだった。小谷城の近くに着くと、そこにはその先の城で合流予定の真琴の旗があえい、真琴と市の姿もあった。ただ、顔が険しく早急に事情を聴くと、越前の鬼が江北に入り村を滅ぼした。しかも、浅井衆が来た途端に引き返し逃げていき、越前に放った草も誰一人戻ってこなかったとのことだ。

 「どうやら、やばい展開になったのは確かですね」

 「はい。越前には確実に上級の鬼がいることでしょう。以前も話した通り、下級の鬼は上級の鬼に従います」

 「その上級の鬼が知恵をつけ、指揮をして今回の明らかに鬼とは思えない襲撃をしたということか。一先ずは軍議だ。皆がそろってから説明してくれ」

 「「はい!・うん!」」

 浅井夫婦は真剣な顔で頷いた。

 『さて・・・完全に私の知る歴史は役に立たない。どうなっていくのか』

 

 

 その後、壬月達に松平勢も到着したが評定の間では時間がかかるため早急に話し合うため陣を作りそこで話し合うことになった。

 

 「三百はいた三つの集落がたった五十の鬼に滅ぼされました」

 

 この言葉に全員が息を呑む。たったの五十で九百の民の命を殺したのだ。

 「・・・完全に組織化した動きになってますね」

 「今まではただの食事としての行動だった鬼が、今回は勢力としての動きだ。しかも、真琴達が来るや否やすぐに退却する。今までの鬼ではありえない」

 

 「戦局が次の段階になった。ということですね」

 

 エーリカの言葉にアキラは頷いた。そして、自分の考えを言った。

 「自分達の姿と戦いをまるで見せつけるような今回の襲撃。おそらく、鬼を操っている黒幕さんは越前を完全な鬼の国にするために今まで江北に手を出さなかった。そして、三好衆が今回の黒幕の仕掛けとも言えるでしょう」

 「仕掛け?どういうことですか?」

 「アキラ様は、どう見ているのですか?」

 真琴と葵の質問に少し考えて答えた。

 「真琴が越前の鬼を追い出すためにはもっと勢力も必要です。そこで久遠率いる織田と葵さん率いる松平も合流すれば、まだ越前を完全に落としてない鬼達もさすがにひとたまりもありません。そこで、時間稼ぎする意味も込めて白百合が見たというあの占い師が三好衆を鬼にして、この二つの勢力の足止めをした。その間に完全に越前を鬼の国にして、後は私達を迎え撃つ準備をする。知恵のある鬼がいるなら、自分達を成敗しに来ることくらいわかるはずです・・・ただ」

 「どうした?何をためらっている?」

 先の歴史を知るあの金ヶ崎の退き口。これだけはさすがに今の自分が知るこれからの歴史が役に立たないと言っても無視できなかった。でも越前侵攻は止めることができない。

 「いえ、何でもありません。私達は越前にいる鬼を全滅して、日の本を平和にする。これが優先事項です」

 結局アキラは言えなかった。大した情報もなければ、相手の戦力もわからない。ただわかっているのは小谷に侵攻した鬼達が統率の取れた行動をしたということと、その鬼達を指揮した上級の鬼がいるということだけだ。そこにこの事を言えば余計に混乱するのが目に見えている。

 本当は自分が越前に入り込んで調べてくる提案も考えていたが、あの夫宣言による同盟により中心的な存在になってしまった。そんな存在が草の真似事をするなんて絶対に反対されるに決まっている。アキラ自身そこまで自分の立場を自覚してなかったが、注目されるべき存在になったことだけは分かっていた。だから、それも飲み込むしかなかった。

 「アキラの言う通りだ!葵、真琴、力を貸せ!」

 「「御意!」」

 「皆のもの!今宵は無礼講を許す!思う存分楽しむがいい!そして、これからの戦いに英気を養っておけ!」

 久遠の言葉に武将も兵も嬉しそうに声を上げる。

 

 『やはり、言えませんよね・・・向こうの歴史とはいえ、この戦いで久遠が大きな痛手をうける負けをするなんてこと。ましてや、この戦いで全てが終わるかどうかすらわかってもいないし・・・もう止めることは出来ない。私にできることはただ一つ、もし本当にその展開になったら何が何でも久遠を助ける。これだけです・・・狂や四聖天の皆と一緒ならこんなに悩むことはなかったのですが・・・我が三本の刀よ。力を貸してください』

 

 珍しく弱気になっているが、しかしそれでも決して守るべきものは絶対に守り抜く決意をしたアキラだった。

 




 お嫁さんになるの!誰に言われたいです?自分は小波です!

 さあ、ついに越前討ち入り近しです!その前の間章です。よ~し、いろいろエロく書いてやる! あれ?何か書く内容がだんだんやばくなってきている気が・・・気のせいだよな?


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間章11-1 団らんと相談 R-18

 
 こんにちは、年末でもいつも通りの三MENです。

 今回からまた間章です!

 キャラ多くなったからな・・・今回は浅井夫婦と天守教の二人です!



 2017年7月9日 梅の自慰を追加!


 「ここをこう・・そうそう」

 「へ~、なるほどこれなら・・・」

 「さっすがお市様!」

 小谷城内を歩いていると、ひよと市と結菜の三人が何かをしているのを見つけた。

 「あ!お兄ちゃん」

 「あら、アキラ。どうしたの?」

 「ただ、何をしているのか?と思いまして」

 「あ、あの、金平糖を詰めているのです!」

 そう言ってひよが金平糖を入れたであろう袋を見せた。

 「・・・あれ?どうして袋の両端をひもで閉じているのです?」

 「この方がとりやすいと思って」

 「市が考えたんですって。それに金平糖って甘いでしょう。甘いものは疲れた体に効く。ってアキラ言っていたじゃない」

 「ええ。それに甘いものは気分もよくしてくれますし」

 「そうそう!お姉ちゃんなんか、これさえあればいい!って言うくらいだし」

 「全く・・・久遠は(やれやれ)」

 市と結菜の二人が笑い話をしているが、アキラは少し引っかかっていた。

 

 『あれ・・・確かこの結び方って何かがあった気が。朝倉に攻める際にお市が信長にこれを送って・・・まあ、どうでもいいですけど。私には関係ないですし』

 

 「お頭?どうしたのです?」

 「何でもありません・・・私も手伝いましょう。暇ですからね」

 結菜の隣に座って袋に金平糖を詰め始めた。

 「いいの?じゃあ、お願いしようかしら」

 「・・・結菜お姉ちゃん、お兄ちゃんと夫婦の共同作業だね」

 「うふふ、羨ましいかしら?」

 結菜のその嬉しそうな顔を見て、からかうつもりで言ったのに笑顔で肯定されてしまった残念そうな市。

 「ぶ~、照れて恥ずかしがると思ったのに」

 「ひよならともかく、私には通用しないわよ」

 「あわあわあわ!きょ、共同作業って!」

 結菜の言う通り顔を真っ赤にしてドタバタしていた。そこに話し合いが終わった当主二人がやってきた。

 「どうした?ずいぶんにぎやかだな」

 「あ、まこっちゃん!どう、話し合いは終わった?」

 「うん・・・越前に攻めるよ」

 「そう・・・そう、しないとね」

 二人の顔が暗い。

 

 『鬼に制圧されている国という認識は持っていても、強い繋がりのある朝倉義景の治める国を攻めることには違いない。市もそんな真琴の心境が分かるからこそ、あまり多くは言えないのでしょう』

 

 アキラもこうした場面での慰めはあまりしたことがないので、どうしようか思っていたら二人の肩を久遠が叩いた。

 「そう暗くなるな。義景の苦しみを解放させてやるためにも、真琴お前が頑張らなくてどうする」

 「・・・そうですね。いつまでも暗く考えてはいけません。義景姉さまの辛さを解放させるためにも、僕自ら介錯をします」

 「まこっちゃん・・・よし!この話はここまで!二人とも、手伝って!」

 手を強くたたき、暗くなった空気を一掃する市。これにはアキラも乗った。

 「私と結菜だけでなく、真琴と市の共同作業も見てみたいですし」

 アキラからそう言われて、久遠と真琴も座って作業を始めた。

 『市には頭が下がりますね。ああいう事は私には無理ですから』

 彼女の元気に感謝したアキラだった。

 

 女五人と男一人。こうなると必然的に話は誑し御免状を持っている話題になる。アキラの妻は何人いるのか?これから増えるのか?もうちょっと規則を作った方がいいのか?という話をしていると市がいきなり言い出した。

 「まこっちゃん・・・本当はお兄ちゃんのお嫁さんになりたいんじゃない?」

 「なあ!市!何いきなり言うんだよ!」

 真っ赤になっていく真琴。

 「でも、まこっちゃん。お兄ちゃんの事嫌いじゃないでしょう」

 「そ、そりゃ強いし、さりげなく支えてくれるし・・・あ!そうだ、お兄様。三田村の時の事で聞きたいことがあるのですが・・・僕が夕波千鳥を出した時に何かしました?」

 「え?まこっちゃん。私、それ聞いてないよ」

 「あの時はすぐ後に村の再興だの、今浜への準備でいろいろあったからね・・・さっきまで僕も忘れていたし」

 気づくと思っていたが、まさかここでその話をするとは思わなかったアキラ。

 「ええ。ちょっと細工をしました。でも、兵の士気を高めるにはよかったでしょう」

 「はい!それと、鬼の戦い方もいろいろ教授していただきありがとうございます。おかげで兵の犠牲も前より抑えられました!」

 嬉しそうにアキラと話す真琴を見て、何かひらめいた市。

 「ふ~ん。まこっちゃんのためにそういうことしていたんだ・・・よし!決めた。市もお兄ちゃんのお嫁さんになる!」

 「「「・・・は?」」」

 「まこっちゃんって今見ていたら本当にお兄ちゃんの事が好きみたいだし、市もお兄ちゃんのことはまこっちゃんと同じくらい好きだし・・・だったら、二人でお嫁さんになればいいと思ったの!結菜お姉ちゃん。いいよね!」

 「・・・まさか、あなた達もなるとは思わなかったわ。私は構わないけど・・・二人ともいいわね?」

 「もちろんです。二人が本気なら私も本気で好きになります」

 「・・・なりたいというなら我は構わん」

 と言いつつも、不機嫌の久遠。

 「というわけで、どっかの誰かさんがむすっと「うるさい!」るのは放っておいて、後は正室か側室のどちらかになるというわけだけど・・・」

 その後、二人そろって側室になった。市はともかく真琴は正室になるには十分な立場だったが、市と一緒にいたいのと正室には公方の一葉が一緒にいるから同じ立ち位置は恐れ多いという市の言葉だった。

 

 『それだけとは思いませんが・・・いいでしょう。せっかくの団欒ですし』

 

 真琴の顔を見てそう思ったが、空気を壊すのはまずいと思い胸にしまった。 

 

 その後、彼女達の話に入れなくなってしまったので抜け出したアキラ。さっきまでは楽しそうに話していたが、今は真剣な顔になっている。

 「あ、アキラ様!ちょうどいいところに・・・雫を知りませんか?」

 その時、雫を探している詩乃を見つけた。

 「雫ですか?今日は見てませんが・・・何か?」

 「ちょっと、今後の事で話をしたかったのですが」

 「なるほど・・・なら、少しだけ食料や弾薬増やせませんでしょうか?」

 「え?どうして増やしたいのですか」

 アキラが真剣な顔で考えていたのはこの事であった。越前への不安が抜けない中、自分なりにできることと言ったらこれだからだ。

 「・・・虫の知らせという奴です。後でひよに相談してみます。今は市達とせっかくの気分転換をしていますので」

 「分かりました。私もひよには後で相談してみます。では、雫に会ったら探していたと伝えてください」

 詩乃と別れた後、庭の方に出ると一つの建物に列があり、一番後ろには和奏がいたので聞いてみると、悩みや相談、愚痴を聞いてくれるとの事らしい。

 

 『なるほど、ストレス発散やちょっとした相談ということですか。金平糖は体の疲れを癒してくれますが、こっちは心の疲れをとるということですね』

 

 興味が出たのでアキラも並び、順番待ちをした。

 

 四半刻ほどかかったが、アキラの番になり中に入った。

 『これが和奏の言う懺悔小屋ですか。もともと物置か何かをそんな感じに・・・十字架がありますね。その戸の向こうの気配は・・・なるほど、あの二人がこれをやっていたのですか』

 覚えのある気配が二つあり、すぐに意図を見抜いた。せっかくだから乗ってやろうと悪戯心が沸いた。

 「ようこそ、迷える子羊たちよ」

 「あなたは何を迷っていらっしゃるの」

 声を聴いて間違いないと思った。だから、二人を惑わす発言をした。

 

 「自分は罪深い男です。最初は一人の女性を愛すると決めたですが、気づけば十人いやそれ以上に増え続けています。このようなことはいけないと思うのですが・・・どうすればわからないのです」

 

 向こうの気配は思いっきり動揺していた。しかも、一人はもう居ても立っても居られないって感じだった。そして、もう一人もその一人を抑えるのに必死だった。さすがに女性の気持ちを試すような言葉はまずかったと思い、戸に近づいた。

 「すみませんでした。あのようなことを言ってしまって」

 そう言って戸を開けると、そこには予想通り雫と梅がいた。

 「「あ・・・」」

 

 その後、話を聞くと皆の疲れが溜まっているみたいだったから、不満や愚痴を聞いて解消してあげようと思い、市に相談したらエーリカに懺悔小屋があると聞いたから実際にやってみて!ということらしい。

 「あ!ハニー!さっきの話は本当ですの!」

 「・・・ああ、一人だけのですか?そんなことしませんよ、妻となってくれた皆を平等に愛します。皆の持つ大切な想いには答えたいですから」

 「そ、そうですか・・・何かほっとしたような、逆にチャンスを失ったような」

 「さっきも、真琴と市の二人が側室になってくれましたし」

 「「・・・え!」」

 二人の動きが止まった。

 「とりあえず、後がつかえているようなので続けては?」

 「・・・は!そ、そうでしたわ!雫さん、さあ続けますわよ!」

 「あ、はい!」

 「・・・私も一緒にいいですか?」

 二人がどう兵達の不満を解決するのか興味を持ったと同時に、隊の隊長でもあるからそう言うことができるようにならないといけないと思ったからだ。だが、二人で何とか入れた隙間も三人になれば窮屈になる。

 「あ、お、お尻。アキラ様・・・」

 「でも・・・これ以上は動けなくて」

 「あ、あの、べつに、ああ、もう、少し優しく」

 「は、ハニー。わ、私の、あ、む、胸に」

 「梅、我慢してください」

 「いえ、いえ、むしろ・・・ハニーなら、ん!もっと押し付けても・・・」

 『・・・これが、ラッキースケベというものなのでしょうか』

 雫のお尻を鷲掴み・梅の胸が後ろから背中に押し付け状態で懺悔は再開された。二人とも、時間が経つにつれて熱い息を吐くようになってきた。

 

 「ありがとうございました」

 並んでいた兵の相談も全部終った。一刻ほど時間が経ち、ようやく時間が開いたので戸を開けてそこから出た。

 「「はあ、はあ、はあ(*ノωノ)」」

 「いや、暑かった・・・蒸し風呂みたいな感じでしたね」

 だが、二人がかいている汗は違う気がした。

 「あんなに狭いとは思わなかったもので・・・私達も限界ですし、もう終わりに「お~い!開いてるか!」・・・何か?」

 小夜叉が入ってきて、一気にさっきの熱が別に転換された梅。

 「あら、ちんくしゃが悩みなんて・・・槍でもふるのかしら?」

 「ああ!何だよ、ちょろぎが何でいるんだよ!」

 「あ、アキラ様~。こ、怖いです~」

 まるでひよですね。と思いながら二人の頭を撫でて怒りを収めた。

 

 懺悔小屋も終わり、ちょうど各務がやってきたので暴れそうな小夜叉を預け、二人と別れて後は市にお礼を言いに行った。そして、部屋に戻る途中で雫の部屋が明るかったので声をかけて入った。

 「あれ?アキラ様、どうしてここに?」

 「明りに気づきましてね」

 「え?目が見えないのでは?」

 「ふふ、心の眼というものがありまして、それで感じられるのです」

 「そう言えば、普通に生活できてましたね・・・でも、すごいです。武人ではないですが、それができるようになるって」

 「努力次第ですよ。でも、あなたはあなたの頑張れることをしなさい。真似する必要なんてありません」

 そう話しながら、雫の頭を撫でた。

 「あ・・・ありがとうございます」

 「後は隊に来てくれて本当にありがとうございます。これから先の戦いで、あなたの能力は心強いですよ」

 「そ、そんな・・・」

 照れていた雫の顔が暗くなった。動かしていた手を止めた。

 「どうしました?」

 「・・・小寺家にもアキラ様や詩乃殿のような方がいてくれたらな。と思ったのです。全く関心を持とうとしませんし、私が隊に入った時もそうでしたから」

 「ふむ。失礼を承知で言いますが、私はそれでよかったと思いますよ」

 「え?」

 キョトンとした顔になってアキラを見た。

 「そうじゃなかったら、私はあなたとずっと他人のまま、もしかしたら敵にすらなっていたのかもしれませんよ。それでもよかったですか?」

 「そ、そんなことありません!だって・・・いいえ、何でもないです。でも、そうですね。そう考えられますね・・・そういったことにすぐ気づくアキラ様は本当にすごいお方です」

 「そんな綾那みたいなことを」

 「墨俣城に稲葉山城、観音寺城に二条館。どれもアキラ様の名前が一番に耳に入ります。アキラ様がいたからこそできたことです」

 「それは、支えてくれる仲間がいたからこそできたことです。私は自分が出来ることだけをしたにすぎません・・・長居もいけませんね。では、おやすみなさい」

 「あ・・・はい、お、おやすみなさいませ」

 手を離し、部屋を出た。

 

 『頭撫でてもらえた・・・大きな手。気持ちよかったな・・・また撫でてほしいな・・・愛妾、なろうかな。あの手に包まれたい・・・抱きしめられたい』

 

 その部屋の明かりは消えたが、雫の興奮を消えなかった。

 

 

 そんな彼女よりも、もっと興奮が消えないものがいた。

 『ハニー、ああむ、胸がハニーに!ハニーの体に着いた!熱い、熱い・・・あと、ハニーの香りもとても心地よかった・・・ハニーは気づいてなかったけど、ハニーの腕が私のあのおま・・・あああ!だめ、我慢できませんわ!』

 こっちの興奮がいろんな意味で熱かった。

 「ハニーの事を想って・・・そう言えば初めてですわ」

 観音寺城で仲間になり、二条館で一段落はしたが越前までは油断ができない状況。その中で懺悔小屋で予想外の密着があり、これがずっと想い続けてきた梅の感情が理性を超えた。

 二条館で蹴鞠の時にひよ達がした話で思わず欲情したが、あの後久遠が来たことにより慌てて元に戻った。だから、本当の意味での自慰は初めてだった。

 「はあ、ああ。ハニー」

 自分の胸がアキラの体に密着した時に、アキラの匂いも嗅いだ。実は密着は胸だけでなく、梅の割れ目にアキラの肘が当たっていたのだ。

 「多分・・・ハニーは汗と思っていたでしょうけど」

 そこの蜜が彼女の下着を濡らしてアキラについたが、梅の思った通りその時はどちらかの汗と考えて気にしなかった。その濡れた下着を脱いだ梅。

 「こ、ここに、ハニーの肘が・・・匂いが、温もりが」

 その下着を自分の鼻に持ってきた。当然そんな匂いや温もりは既にないが、思い込みの激しい梅にはそんなの関係ない。アキラに触れられた部分から、彼女なりにアキラの匂いを妄想してかぎ取り、性欲を強く刺激した。今の梅は既にそれしか考えられない。その妄想が割れ目からの蜜を更に出した。

 「あん。もう・・・でも、エッチなハニーほど、好きですわ♡」

 匂いを嗅ぎながら自分の胸をあらわにした。そして、下着を自分の胸に当てながら揉み始めた。

 「ハニーの温もり、この体全部に・・・あああ!」

 妄想の温もりが更に欲情させ、体の感度も高め、蜜だけじゃなく涎まで出した。両手で二つのおっぱいの先をいじり、つねり、そして下着をアキラの口と妄想してくわえさせた。

 「もう~、ハニー。そんなに、あう!吸わないで・・・ぴゃ!」

 片手が彼女の割れ目に伸び、湧き水の如く蜜があふれ出るその壺に指を入れた。そこからの刺激が体をビクッとさせた。

 「あ、あああああ!は、ハニーのが!ハニーの・・・が!」

 指を少し動かし、一気に最高潮までに性欲が高まった。一応声は抑えていたが、ここでその理性を外した。

 「ハニー!ハニー!ハニー!つ、い、て!もっと!私を、淫乱に、して!」

 乳首と割れ目をいじり動かす手が激しくなった。体も感度に耐えきれなくなり、脚をⅯ字に大きく開いて蜜も止まることを知らない。

 「は、は、は、は・・・・・・」

 涎を出し、はずかしいおっぱいや割れ目をさらけだし、よがっている梅の姿はもはや性欲に溺れた淫らな女になっている。神の教えを持って生きている者とは思えない。

 「ああ、い、いいく!も、もう、だめですわ~~!」

 腰が持ち上がり、足も腰の下に移動した。ついには両手で割れ目を責め続けた。割れ目への責めが二倍になったことでどんどん蜜が出てきた。そして数分後に、大きな快楽の波が彼女の理性を全部流した。

 「あ、あああっはああああ~~~ハニ~~~!」

 欲情した全ての性欲が割れ目から大噴射した。そのまま力尽きて、胸も割れ目も出しっぱなしで眠りについた。

 

 次の日。梅の部屋に訪れたアキラ。雫を訪れたが梅には訪れなかったので軽く一声かけようと思った。

 「梅。いますか?」

 返事がない、再度声をかけたがやはり返事がない・・・襖に濡れた後があることに疑問を持ちながら開けた。その時の梅の姿を見たアキラはどんな反応をしたか、そして起きた梅はどんな行動をとったか。それはまた別の話。

 




 う~む、エロネタ何か思いつくな・・・ハプニング的なエロネタが。とあるシリーズのどこぞの主人公みたいなネタをここでもやろうかな。

 次回をお楽しみに!


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間章11-2 あなたを愛しています R-18

 こんにちは、三MENです。

 皆さんは年賀状って書きます?自分はもはやメールになってしまいめったに書かなくなってしまいました。後、足元が滑りやすいから気を付けてください。若者でも滑り方次第では骨を折ってしまうかもしれませんので・・・。

 本日は森一家と麦穂さんです・・・各務さんも加えるか。


 2017年3月8日、エロ表現追加。


 「くくくく、ひひひひ」

 「かかかか、ふふふふ」

 『何でしょう・・・この鬼親子の空気は・・・』

 アキラは森親子と一緒の部屋にいる。小谷城の中をぶらついていると各務に会い、久しぶりに歩きながら話をしているといきなり槍が突き出たので、その部屋に入ると二人がいた。自分の得物を手入れしていたので、アキラもやろうと思い部屋に入った。

 「各務?そんなにくっつかなくても」

 「・・・迷惑?」

 「・・・いいえ。問題ありません」

 「・・・よかった(ニコ)」

 「あと、そんなに胸を押し付けなくても」

 「ダメ?」

 「ダメじゃないです・・・(こ、断れない)」

 一緒に入った各務が、アキラの隣に座ってくっついた。アキラは無心で自分の刀を磨いている。

 「「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」」

 そして、目の前の二人は狂気な声がだんだん大きくなってきた。

 

 『得物で鬼達を惨殺しているところを妄想しながらやっているのでしょうね』

 

 苦笑いをしながら得物磨きを再開すると各務が腕を引っ張った。

 「ねえ、この後、いい?」

 「一緒にですか?構いませんよ」

 「ありがとう(キラキラ)」

 各務が嬉しそうにアキラの腕を握りしめた。

 「お二人とも、自分の得物の事に関しては真剣ですね」

 「ああん?当たり前じゃろう、わしらの命を預けているんじゃ」

 「そうそう、アキラだってそうだろう?」

 「・・・そうでしたね。この刀と人生を共にしていました」

 二人の指摘に当たり前のように思っていたが、大切なことだったと気づいた。

 

 『この二本があるからこそ私がいる。それを忘れてはいけなかった・・・ありがとうございます。これからも頼らせてもらいますので、よろしくお願いします』

 

 強く自分の愛刀に願いを込めて、再び手入れを再開した。すると、各務がとんでもない一言を放った。

 

 「アキラ・・・嫁、なっていい?」

 

 「「・・・は?」」

 アキラはともかく小夜叉までキョトンとした。

 「ほう~、各務お前そこまで考えていたのか」

 「うん。ねえ、なっていい?」

 「・・・っは!あ、そ、その、いい、ですよ」

 告白されるとは思ってなかったのか、いつもの冷静さを失っていた。

 「嬉しい(ニコニコ)」

 「お、おい!各務!お、お前、な、何を!」

 「かかか!なあクソガキ。お前もなったらどうだ?」

 「「・・・は?」」

 再びキョトンとする二人。

 「アキラ、こやつなお前の夫宣言があってから嫁になれるか聞いてくるんじゃ。しかも二刻に一回は必ずな」

 「なああ!おい、母!何言って」

 「本当の事じゃろうが。聞き飽きてしまうくらい聞いてきたじゃろうが」

 それを言われて、何も言えなくなり真っ赤になって俯く小夜叉。

 「その意思があるなら小夜叉も受け入れますよ。因みに桐琴はどうなのです?」

 「そ、そうだぜ!オレの事より母はどうなんだよ!」

 「ああ?そういえば、あまり考えてなかったな・・・ふふ。面白そうじゃし、わしもなってみるかな?」

 「「な!!」」

 このびっくりは小夜叉と各務だ。

 「ふふふ、クソガキに更に妹を作ってやるのも楽しそうじゃしな~」

 「うううう~~!!」

 「まさか・・・隊長まで」

 仕返しのつもりの一言がやる気の一言になってしまい、二人とも唖然とした。

 「「おっじゃましま~~す!」」

 そこにもっと騒ぎを大きくしそうな綾那と市が入ってきた。

 「お母さん!何やってるですか!」

 「久しぶりに二人と話しようと思って来たよ~!」

 「おお、お市様じゃねえか!この前のガチの手合わせ楽しかったぜ!」

 「おおよ!忠豊殿の坊主じゃないか!またやりあおうぞ!」

 小夜叉も二人が来たことで、さっきまでのテレがなくなった。このまま話が盛り上がりそうになるところだったが

 「アキラ、手入れ、終わった?」

 「ええ、数日前にやったので軽く拭く程度で終わりです」

 「なら、出る」 

 各務がアキラの腕を握って未だ楽しそうに(内容はぐじゃざしゅと物騒な擬音が聞こえているが)話す四人を放って、部屋を出た。

 

 そして、ある程度離れた中庭まで移動した。

 「ここなら大丈夫」

 「・・・ありがとうございます」

 「あの後、鬼を刈る予定」

 「・・・なるほど、そのための手入れでもありましたか」

 荒くれ共が少なかったのが疑問だったが、鬼がいないか偵察に出ていたようだ。

 

 『私も紫微垣を使えるようになるためにも頑張らないと。練習してダイヤモンド・ボルトを出せるほどの力を引き出せても疲労がひどい・・・しかも、あの力でもまだ紫微垣の全力じゃない。壬生京四郎が使った紫微垣の全力はもっと凄かった・・・あれくらいは必ず使いこなしてみせます』

 

 「・・・・・・素敵」

 真剣に考え事をしている横顔を顔を赤くして見る各務。さりげなく右腕に自慢の胸を押し付けている。

 「さて、各務も一緒に食事・・・あれ、麦穂さん?」

 考えもやめて食事にしようと思ったら、兵に指揮する麦穂の姿があった。うまいこと、一人になったところで近寄った。

 「・・・終わりました」

 「麦穂さん、どうしたのですか?」

 「あ、アキラ殿・・・何か?」

 一瞬びっくりしたが、視線が各務を見ると一気に冷静になった。

 「なんかおかしいですよ?いつもの麦穂さんじゃないというか」

 「何をおっしゃいます。私は私です」

 彼女の視線の先はアキラに嬉しそうに抱き着いている各務だ。

 「・・・もしかして、羨ましい?」

 「な!何を!何が!」

 「麦穂なら、いい」

 そう言ってアキラの左腕に指をさす。どうやら、一緒に抱き着こうと言っているようだ。

 「わ、私は、仕事が・・・」

 「でも、さっき終わりましたと呟いてましたよね」

 「一緒に食べよ」

 そう言って各務は麦穂の腕をつかむ。

 「ちょ、ちょっと!私は、一人で」

 「さあ、いくいく」

 『私だと逃げられそうですからね、各務がいてくれてよかった』

 各務の強引に負けて二人は歩きだした。

 

 三人の前にはアキラの手作り料理がある。因みに部屋は麦穂があてられた部屋だ。

 「食べてください。そこの山でとった山菜料理です」

 「「いただきます」」

 「私も・・・いただきます」

 「おいしい!」

 「うん、さすがアキラ」

 満足そうに食べ始める二人。麦穂も笑顔になって食事を勧めた。そして、終わって満足しているところを狙ったのか、

 

 「麦穂も嫁になる?」

 

 各務がまたもやいきなり言った。

 「な!か、各務さん!いったい何を?」

 「麦穂、焦ってる。アキラが遠くにいく。そう感じるの、私もだから」

 「・・・本当ですか」

 「うん。だって・・・手を伸ばしても、届かなそう」

 二人が確認しあうように頷き合い、決心した目でアキラに言った。

 

 「アキラ殿・・・私も、私も嫁にし、して、ください!」

 「気持ち、変わらない。私もなる!」

 

 二人の真剣な告白。そして、想いの丈を語りだした。

 「私はアキラ殿に抱かれることばかり考えてました。アキラ殿に愛され、子を授かり、いつも抱きしめてくれる・・・殿がいるのに、嫁になって幸せになる夢も見ました。そう、叶えられない夢だとずっと思っていました。殿があの宣言をするまでは」

 「・・・私、アキラとたくさん、話して、接して、いつか愛されたい。と思った」

 「お願いです・・・嫁に、してください」

 「アキラ・・・だけ、夫になってほしいの」

 二人はとても真剣だ。体を密着させて、

 「これが・・・私の想いです」

 「確かめて」

 それぞれアキラの手を掴み、自分の胸に押し付けた。

 

 『心臓がとても速い・・・そうですね、皆の想いに答えたいと言ったじゃないですか。なら、ここではっきり言わないと』

 

 二人の信念と書いた想いを受け止めるべきとアキラは決めた。

 「本当にいいのですか?私はもう十人以上嫁がいる立場ですよ」

 「あなた以外、考えられません!」

 「うん!」

 力強く頷き、アキラの前で服を脱いでいった。

 

 「「あなたの想いを私にください」」

 

 完全に裸になり、アキラに抱き着いた。自慢となる大きな胸も隠そうとせず、見られることを嬉しく思い、その時点で気持ちよくなって割れ目から液がでてきた。

 「なら、お二人の想いも私にください」

 アキラも彼女達の気持ちと決意。それに答える姿、裸になった。アキラの前にも後ろにも全てにある斬られ傷を見て、思わずギョッとする二人。

 「アキラ様!そ、その体・・・」

 「傷だらけ・・・とても痛そう」

 「努力し続けた漢の体です。気分を害してしまいましたか?」

 「そんなことありません!むしろ、とても格好いいです・・・アキラ様の凄さと体の傷が、心からあなたに抱かれたい気持ちを強くする。ああ、溺れてしまいそう」

 「麦穂、溺れよう。今も、これからも、アキラに、アキラだけに」

 その言葉にゴクリの唾をのむ麦穂。アキラの両手が座った二人のそれぞれのおっぱいを優しく愛撫するように揉み始めた。

 「あ、ああああ!い、いい!も、もっと、もっと!」

 「あ、ん!アキラ、もっと、もっと!」

 徐々に指を乳首に持っていき、両手の人差し指と中指で挟めた。そして、くすぐるように動かすと二人とも快楽の電撃攻撃で背筋が伸びた。

 「二人とも、いやらしい顔になってますよ」

 「も、もう・・・言わない、ああう!はあ、はあ」

 「アキラになら、あぐう!き、きた・・・見せたい」

 二人の手は、自分の割れ目にいっており麦穂は右手で各務は左手で激しくそこを出し入れしていた。残った手で、目の前にあるアキラの性刀を前後に動かしていた。

 「ん!ふ、二人とも、中々、ですね」

 「アキラ様の・・・欲しいですから」

 「は、はやく・・・入れて」

 二人ともこする手と自慰をする手を変えた。蜜壺をぐちょぐちょにしてびちょびちょになった手がアキラの性刀を前後に動かした。

 「刀の手入れ、しっかりお願いします」

 「はい。手入れして、私の、鞘に入れます」

 「アキラの刀、太い・・・でも、強そう」

 彼女達の蜜で濡れていくアキラの性刀。二人の股から床に落ちていく雫。

 「ください・・・ここに」

 「お願い、あげたい、アキラに」

  刀から手を離し、蕩けた二人が床に寝転がり、自分の股にある鞘の口を広げた。

 「そうですね。では・・・各務から。麦穂はしばらく我慢してください」

 各務の鞘に刀の先をつけて、麦穂の鞘には手を入れた。そして、どちらもついに入れた。

 「あ、あああああ!」

 「各務さん・・・アキラ様。早く」

 アキラの手首をつかみ、どんどん動かす速度を早くした。

 「アキラ・・・幸せ」

 「では、たくさん、幸せを、あげましょう」

 涙を流す各務。腰を動かしていき、開いている手で各務のおっぱいも揉んで喘ぎ声も高くなり、接吻もして舌も絡めていくとどんどん欲情し、喘ぎ声を聞きディープのキスを見た麦穂はアキラの手を更に動かした。

 「私!いく!アキラ!いく!いっく~~!」

 「ええ、私もです。受け取ってください!」

 「ああああ!中に・・・あああ!」

 ビクン!とはねた各務は、その場で動けなくなった。でも、幸せそうな顔で失神しており、アキラはそっと鞘から刀を抜いた。その刀の先には、欲情した顔と豊満でてかる汗が淫靡に見せる胸を持ち、割れ目がぐっしょりになっている麦穂がいた。

 「アキラ様!もう、もう我慢できません!」

 「ええ。さあ・・・むちゅ、くちゅ、ちゅ」

 濃厚なキスから始まり、そこで麦穂はもう快楽電気で脱力した。

 「では、入れます」

 「はい・・・あ、ああ、アキラ様!は、はい、入った!」

 麦穂の鞘に刀を入れた。

 「あん!もっと、ああう!動いて、ください!胸も、あは、いじって、ください」

 「では、これはどうです?」

 腰を動かし、右手で胸をいろんな角度から揉み、更に左手で尻も揉んだ。

 「あうん!ああ、アキラ様・・・今、私の体、全部にアキラ様の手が」

 「もっと、もっと、やりますよ」

 三つの刺激がどんどん麦穂を大胆にする。力が抜けているため、その刺激に飲まれていくように、顔がアヘっていった。

 「お、お願いです!も、もう、ダメ!い、いっちゃう、いっちゃう!!!あああああ!いい!アキラ様!!!!あつい、のが」

 「・・・愛して、ますよ」

 アキラも少し疲れたのか、そのまま麦穂の上に倒れこんだ。でも、

 「ずるい・・・私はあそこまで」

 顔を二人の方に向けていた各務が文句を言った。

 「アキラ・・・この胸。このお尻、そしてここも全部アキラのもの!だから・・・抱きしめて」

 「お願い、します・・・もっと、もっと、私達を、あなたのものにして」

 「「私の全てはあなたのもの」」

 「そうですか、では・・・もっと」

 そして、三戦目が開始した。

 「あ、ああ、だ、出して、身体にかけて~~!」

 「・・・幸せ。大好き、大好き。だ~~い好き」

 

 一刻後、三人は自分達で用意した布団に入った。アキラを真ん中にして、右に麦穂左に各務だ。二人の顔や体には白い何かがかかっていた。

 「麦穂・・・これからは一緒」

 「はい、そうですね、各務さん」

 「では、二人とも、お休みしましょう・・・今夜は一緒ですよ」

 「「うん(はい)、嬉しい。あなた」」

 三人は裸のまま、幸せそうに抱き着き抱きしめあって寝た。

 

 「は~~、全く用事があるから来たのに・・・これでは入れないではないか」

 実は少し前から壬月が部屋の前にいた。

 「・・・少し羨ましく思うな。あんなに熱く、麦穂も各務も嬉しそうに乱れて・・・私も、い、いつ、か、だ、だ、抱いて・・・もらお、うか」

 呟くように独り言を言っていると寝息が聞こえた。三人とも寝たと分かるとその場を立ち去った・・・微妙に内股で歩いていたのは気のせいではない。

 




 間章二つ目です!さて、今回はほぼオール各務といってもいい話でした。

 次も、濡れ場にしようと思ってます。


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間章11-3 夫婦でいろいろ R-18

 
 こんにちは、最近間章=エロになっていることにやばさを感じている三MENです。

 う~む、少し緩和するべきか・・・というわけで、今回は本来ならエロの展開だけどそれを少なくしたいと思います。

 今回は二組の妻達です。


 2017年3月10日、エロ修正。上でこう書きましたが、もっと大胆にいきます!


 

 「ほらほら!急がないとばれるよ!」

 「ばれるよって、知られているのに・・・」

 「やだな~!気分だよ!き・ぶ・ん!」

 「そうじゃぞ!幽にばれるとまずいからの!」

 「威張る必要ないでしょう・・・全く」

 「お、お姉さま・・・京にいる時のようです」

 越前侵攻の準備がもうすぐ終わり、近いうちに出撃する。さっきまでアキラはいろいろ武将達と話し合ったり、隊の配列の相談をしたり、自主練もしたりしたが、やっと一息ついたところだ。そこに、市と一葉、さらに双葉の三人がやってきてアキラを連れて街に出ようということになった。

 『この二人が仲良しな理由が分かる気がします。久遠もいれて三人とも脱走の常習犯ですからね。呆れて言葉が出ませんよ・・・それはそうと、何か双葉の顔が少し暗い気がします。一体どうしたのでしょうか?』

 

 その後、市の手引きの下小谷の街に降りた。

 「そう言えば、久遠と結菜の簪を買ったのはこの街でした」

 「何、そうなのか?」

 「あなたに会いに行くために、わざわざ彼女に頼んで城を抜け出す手配をしたのですからね・・・やっぱり姉妹なんだな。と実感しましたよ」

 「そうなのですか」

 「ええ、久遠と一葉が仲良くなれたのも同じように周囲から弾圧されても、お互い負けない気持ちを持っていたのもありますが・・・両者とも相手を困らせて楽しんでいるのも一因ではないかと思っています」

 「なんじゃと!余がいつ主様を困らせた!」

 「私じゃなくて、幽を困らせているでしょうが・・・」

 「・・・すいません。私もアキラ様と同じです」

 双葉までにそう言われて、ぐぬぬと困った顔の一葉。

 「でも、今は楽しみましょう。一葉は一緒でも双葉は小谷城で留守番ですからね。その分しっかり今日で埋めないといけませんから」

 「うむ!その通りじゃ!そのためのこれなのじゃ!」

 『立場が悪かったから、すぐ調子にのりましたね』

 「お姉様、旦那様・・・ありがとうございます」

 『双葉の方は嬉しそうにしている・・・気のせいでしたのでしょうか?』

 一葉には呆れていたが、双葉にはちょっと疑って見るアキラだった。

 

 いろんな店を回って食べ歩きをしたり、二人がアキラの左右から腕を組んだり、衣装が並んでいる店に入り双葉にどれが似合うか着せ替え人形にしたりと、二人とも楽しそうにしていた。

 「さて、最後に「お!主様。双葉。あそこに楽しそうなことをしているぞ!」あ!ちょっと!」

 双葉は隣を一緒に歩いていたが、一葉は少しでも楽しそうと思えるものを見つけると、引きずるように引っ張っていく。しかも一回ガラの悪い連中に喧嘩まで売って、ボコボコにしたところをいつも通り財布を巻き上げようとした。今回は双葉が見ている前ではまずいと思い、アキラが止めた。

 「やれやれ、でも悪くないですね」

 「え。ええ、そ、そうです・・ね」

 「・・・どうしました?何かまずいことでも?」

 一葉は何かの芸に夢中で見入り、二人が離れていることに気づいていない。

 「あの、その・・・旦那様」

 「隠し事は誰でもあることですので、別に喋らなくてもいいですよ」

 「い、いいえ。やはり、いけない事なので・・・こちらを」

 「・・・ああ、なるほど」

 双葉が取り出したのは、アキラの左後ろ腰につけている刀に結んでいたあの虎模様の布だった。

 「落としたのを見つけて・・・渡そうと思ったのですけど」

 「懐に入れてしまったのですね」

 「あ、す、すいませんでした!(ぐす)でも・・・ど、どうしても、旦那様のものだと思うと」 

 「・・・知ってましたよ」

 「・・・え?」

 アキラの言葉に涙を出しそうだった双葉が呆然とした。感慨深そうな顔で布の出所を説明した。

 「その布は私にとって大切なものです。向こうの世界で、私は強大すぎる敵と戦っていたのですが、そこに親友がやってきて当時刀を一本なくした状態で闘っていた私にわざわざそれを届けてくれたのです。その敵の百以上いた部下の中を命がけで、背中に十は超える刃を刺されながらね・・・」

 「え!」

 「届けてくれた時にその布を結んでくれたのですよ・・・この布が結ばれた刀には自分の魂を込めたものだと」

 そこまで重い意味のある布とは思ってなかった双葉。呆然としながらもただただ聞いていた。

 「その布がなくても、親友(とも)の魂はこの刀にあります。思いはしっかり込められています。だから、京であなたが拾ったことを知ってもそのままあなたに預ける意味も込めて気づかないふりをしたのですよ」

 「そ、そうだったのですか・・・」

 双葉は布に目を落とした。ただの布が、とても貴重なものに見えてきた。

 「でも、これから先は再び結んでいきたいので、すいませんが返してもらえないでしょうか。その代わりを近くの店で買い、今度からそれを私と思ってほしいのですが」

 「あ・・・はい」

 でも、双葉は差し出そうとしなかった。

 「手放したくない気持ちは分かります・・・でも、やはり私もそれはいつまでも手放したくないので」

 それを聞き、ちょっと残念そうな顔をして布を返した。ちょうどその時に芸が終わったのか一葉が戻ってきた。

 「二人とも!ずるいぞ二人っきりで!」

 「あなたが勝手に置いていったのでしょう~」

 「そこは後をついてくるのが夫じゃろうが!、とその布は・・・」

 「双葉に預けたのを返してもらいました。これがないと落ち着かないので」

 刀に再び布を結んだ。笑顔になるアキラを見て、二人はドキッとした。

 「では、双葉へのプレゼントを探しに行きましょうか」

 「「プレゼント?」」

 「贈り物や大切な人や愛する人にあげるものという意味です」

 「なら余も贈れ!久遠や結菜、更に双葉にはぷれぜんとをするのに余にはしないのは不公平じゃ!(ジタバタジタバタ)」

 将軍とは思えない地面に両手両足を振りまくって、子供みたいにその場で駄々をこねた。それを見た双葉は恥ずかしそうにした。

 「お、お姉さま・・・」

 「は~、そういうと思っていたので、最初からそのつもりでしたよ」

 「うむ、さすが主様!愛しておるぞ」

 「今それを言われても嬉しくないですが・・・まあ、行きましょう」

 三人は街を再び歩き出した。

 

 その後、夕方に近くなるころに小谷城に戻った。二人は何を買ってもらったのかというと、お揃いの布で、あの虎模様の布にそれなりに似ている布だった。何でも絶対にこれじゃないとダメだ!といっていたがアキラには意味が分からなかった。

 財布がそれほど軽くならなかったことにホッとしたアキラは、自分のあてられた部屋に入った。その部屋は夫婦三人用として市が用意した部屋なので、中には久遠と結菜の二人もいた。

 

 『市は本当に気の利く妹ですね。わざわざ三人一緒にいられる部屋を用意して、更に布団も一組しか用意しない・・・時々あまりの用意の良さに呆れることもありますが・・・そこは久遠の妹だからと納得するしかないですね』

 

 市の用意の良さに感心していたアキラだったが、

 「アキラ、いま失礼なことを考えなかったか?」

 それを久遠が不信そうに見た。

 「いいえ。やはり久遠と市は姉妹なんだな。と思っていただけです(ニヤニヤ)」

 「・・・絶対に考えていただろう!そのニヤニヤ顔は!」

 「もう~、そんなこといいじゃない」

 「よくない!いいかアキラ!「結菜は何をしているのですか?」おいこら!妻を無視するな!」

 文句を言う久遠を無視して、結菜が何かを書いていることに近づいた。

 「あんたの奥法度の法を考えているのよ」

 「・・・もう、ですか?」

 「当然よ。奥の乱れは、場合によっては同盟の乱れにも発展するわ。すぐにでも決めるべきことを決めておかないと大変なことになるわよ」

 『なるほど・・・紅虎の狸親父も幕府を作って日の本の一番偉い人になったが最も要注意の豊臣家はいまだ健在。そいつをどうにかしないとせっかくの幕府も台無しになりかねないということにもなる』

 それがまさか紅虎と幸村のおかげで同盟を結んだなんて、アキラは夢にも思わなかった。それを思い返したことで、結菜のやっていることを理解した。

 「よくわかりました。完璧な集団や組織はないですし、しっかり取り締まらないとあなたの言う通りになりますよね。確かに今すぐにでもやらないといけませんね」

 「そういうこと・・・それで、今ってどれくらい妻がいるのよ」

 「正直わからん。我と結菜、一葉と双葉はともかくとして、アキラ隊の皆はほぼ確実だろうし、一葉の言いつけで二条館防衛にやってきた小寺官兵衛という者もアキラの対に入りたいと言って、先日には嫁になりたいと言ってきた」

 「ちょっと、二条館のあの戦いってまだ会ってそれほど時間が経ってないじゃない。どうすればそういう気持ちにできるのよ(ジロ~)」

 「本当にどうすればそうなるのだ?アキラ(ジロ~)」

 「本人に聞いてください・・・」

 自分が原因だが、アキラが気づけるはずがない。

 「私達四人にアキラ隊の六人「麦穂や三若もなりたいと言っていたな」・・・ってもう十人以上いるじゃない!ちょっと久遠、このままでいいの?いい加減に早いところアキラとそういうことをしないと」

 「「!!!」」

 思わず顔が赤くなる二人。それを見てすぐに気づく結菜。

 「ま、まさか、二人とも・・・わ、わ、わ、私を・・・置いて」

 「・・・ま、まあ」

 「そ、そういう、事です」

 さすがに、アキラも恥ずかしいため久遠と一緒に照れていた。

 「う、うう、ひっく・・・あ、あ、アキラの浮気者~~!」

 すると、結菜が涙を出しながらいきなり雷閃胡蝶を出した。

 「ちょ、ちょっと!落ち着いて」

 「私だって、私だって・・・抱かれたいのよ!(どご~ん)」

 完全に油断していたせいで、数発くらってしまった。しかも、さらに増えていくので、慌てて庭に逃げた。

 「どうして、どうしてなのよ~~!(ToT)」

 

 その後、結菜の体力が限界になり、雷閃胡蝶はいなくなった。泣き続ける結菜を慰めていると、市と真琴から風呂の用意ができたから入ってもいいとのことだった。そこで結菜が、

 「・・・何で我まで」

 「いいじゃない。私達は夫婦なんだから~。うふふ」

 三人で入りたいと言ってきた。また泣かすわけにはいかないので、その希望を叶えてあげた・・・久遠は恥ずかしがっている、結菜の強い押しに負けて一緒に入浴中だ。

 「こうして三人でのお風呂は初めてですね」

 「そうね~、これからは家でもどこでも三人一緒にお風呂。うん、いいわね!」

 「よくない」

 「じゃあ、久遠は一人でいいから、私とアキラは二人で一緒に入るわね」

 「う・・・あ、アキラ~~(オロオロ)」

 「いいじゃないですか。三人でお風呂も・・・久遠は不満なら出てもいいですよ」

 「そうよ~、その間アキラを独占できるから私も文句ないわ」

 アキラは結菜の機嫌を直す方を優先しているため、彼女の味方をしている。

 「ほらほら、久遠も遠慮しないの」

 「そ、そんなことはしておらん!」

 嬉しそうな結菜。どうやら、機嫌が直ったようだ。

 「でも・・・やはり悔しかったな。久遠は仕方ないけど、公方様と双葉様ももう抱かれていたなんて」

 「それは申し訳ありません・・・では、その悔しさを全部嬉しさに変えてみせます」

 そう言ってアキラは彼女の隣に座り、巻いていたタオルをとった。

 「あなたのその傷・・・とても体を熱くさせるわ。抱かれたい、あなたになら全てを委ねたい。そんな気持ちになる」

 結菜はアキラの手を掴み、そのまま自身の胸に着けた。

 「アキラ・・・久遠にしたこと。私にもして」

 「なあ!ゆ、結菜、何をして!」

 「もっと、もっと!私の全てをあなたのその手で触って・・・滅茶苦茶にして」

 「ええ、分かりました。では、こちらを向いて」

 向いた結菜の唇にキスをした。舌の絡めあいをして、彼女のおっぱいを優しく揉み、空いている手を彼女のあの蜜壺に触れた。

 「!!!むむむ~~」

 何時の間にか乳首をいじり、同時に蜜壺の中で指を動かし、その刺激が全身を駆け抜けたのかビクンと跳ねたが風呂と同じくらい熱いキスを続けているので、そこまで動けなかった。結菜の壺からは液体がどんどん出ていて、湯の中に混ざっていた。

 「ううう、はあ、はあ、う、羨ましい・・・」

 風呂だからこそ久遠は気づけなかった。既に、自身の壺からも蜜が出て風呂に混ざっていたことに。胸を抑えるように自分もアキラが結菜にやっているように、乳首をいじりそこから来る快楽に酔いしれていた。

 「結菜・・・アキラ、も、も、もち、ろん、我、にも」

 「ぷふぁあ・・・久遠~羨ましい?でも、だ~め。あん!」

 キスを終えて、久遠の方を見てそう言った。

 「私をのけ者にして、あ、ああ!も、もっと奥まで、入れて・・・楽しんだんでしょう、あぐ!今、さっきよりビリって・・・だから、お仕置き。アキラ・・・好き」

 「そ、そんな~~!」

 アキラの性刀を結菜が握りしめ、自身の壺に着け・・・ついに入れた。

 「あああ!いつ!・・・ああ、アキラ。やっと、やっと・・・つながった。(ひっく)うれしい。もう、大好き、好き好き!アキラ・・・私を私をもっと溺れさせて!」

 「アキラ。我も、我も溺れたい」

 繋がったことが心から嬉しそうな顔をして、アキラを強く抱きしめた。その情欲の湧く二人の姿を見た久遠がついに我慢できなくなり、アキラの腕を掴んで懇願してきた。

 「久遠、ちゃんとお願いなら言葉と態度で示してください。私のこのお〇〇〇にアキラの太い大きな刀を差して、私を気持ちよくしてください。私をもっとあなたしか見れないように溺れさせてください。って」

 「なあ!」

 「そうよ、ああん!き、きた・・・お願いは、ちゃんと、ダメ!腰がもう、動いちゃううう~!口で、言わないと。ああうう!もっともっと、激しく~~!ダメ、でしょう・・・」

 余りにも卑猥極まりない言葉だったが、アキラに快楽の虜にされていく結菜の淫らな姿を見て、久遠の理性の壁がどんどん壊されていった。

 「わ、分かった・・・」

 そして、遂に全部破壊された。まるで犬の腹ばいみたいなポーズで言った。

 

 「アキラ・・・お願いだ。我のこのお〇〇〇にアキラの太い大きな刀を差して、我を気持ちよくしてください。我をもっとあなたしか見れないように溺れさせてください。そして、あなたの好きに・・・してください。滅茶苦茶に、してくだ、さい!」

 

 「よくできました。では・・・結菜との愛が終わったらね」

 「そ、そんな!」

 しかし、その姿に悪戯心が強くなったアキラに更にじらされた。

 「あ、ああ、あああ!駄目、駄目!何か、何かが、何かがきちゃう~~!!ああああああ!」

 その間に、壺に熱くそして強いものが放たれたのを感じた結菜。

 「アキラ・・・ありがとう。あなたの・・・感じたわ」

 涙を流し、アキラの首に手を回して強く抱きしめた。離れたくない、その気持ちを持って自分の中にあるアキラの熱にのぼせていった。

 「・・・待ったぞ。我慢、したぞ。さあ、我のここにアキラの強い刀を、太い刀を・・・さしてください」

 結菜の隣には、我慢の限界を突破したもう一人の妻が待ちかねていた。風呂から出した結菜を床に寝かした。

 「ええ、いきますよ。よく、我慢しましたね」

 「あ、あああ!あ、あの時とは、すごく、感じ方が・・・すごく強い!うう、やっと、待ちかねた、アキラの、刀」

 「アキラ・・・私、もう、もう、一回」

 つながっている二人に気づいた結菜が、潤んだ目でアキラに懇願した。

 「もちろん、二人が力尽きるまでやりますよ・・・覚悟はいいですか?」

 「「・・・嬉しい、アキラ、だ~い好き♡」」

 三人とものぼせそうになるまでずっと抱き合い、想いをぶつけあい、そして何回もキスをし合った。特に二人はアキラのいろんな箇所をキスした。まるで、自分達の愛を体のあらゆる箇所につけておきたいと言う気持ちも込めて。

 

 『うっわ~~。着替え持ってきたんだけど、これは・・・う~ん、お姉ちゃんは何となく予想していたけど、まさか結菜お姉ちゃんまでこんな声を出すなんて。もし、まこっちゃんと一緒にお兄ちゃんに抱かれる時が来たら・・・心の準備しっかりしておいたほうがいいね』

 

 着替えを持ってきた市がその後顔を真っ赤にして、三人が出てくる直前まで二人の喘ぎ声を聞いていた。

 




 
 やはり、アキラのあの刀にはあの布が結ばれていないとダメですね。ですので、双葉には悪いけど返してもらいました。

 次回はついに本章に入ります。

 さあ、どんな展開になるのか・・・


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三十九振り目 心と未来は分からない

 
 こんにちは!あと半日で一年が終わりですね!

 早いものです・・・一年もこの小説も・・・

 遂に越前に侵攻です!



 夜。エーリカは満月になる前の月を見ていた。

 「私はずっと思っていた。この世界に生まれて・・・使命を果たさなければならないって」

 その月を覆うような雲が流れていた。

 「でも、あの人に・・・アキラ様に会って分かった。使命なんて初めからなかった。頑張って一歩ずつ前を歩く。それが藪の中に進む道でも、茨の道だったとしても・・・あの人はずっとそれを繰り返してきた。あの人のように、私は私の進む道を行く」

 決意を決めた顔をしたが、すぐ後に疑問の顔になった。

 「じゃあ、何故使命があると思い込んでいたの?どうして、自分はあれを使命と思い込んでいたの?何かが私の記憶の中で消えている?そう思わせるようにさせられていたの?いったい誰が、何のために・・・」

 でも、この時点ではそれもわからなかった。

 

 久遠の号令でついに小谷城を出て越前に向かう道を進み始めた。

 「さて・・・ここからですね。どう転ぶかはもうわからない」

 真剣な顔で考え始めた。

 

 『おそらく、最終目的地は一乗谷。朝倉義景がいるであろう場所・・・私には誘い込まれているようにしか思えない。感じているのは私だけではないはず・・・でももう後戻りはできない。二条館でもそれなりに犠牲者は出たが、多分それ以上は確実に出る。やるべきことは二つ、隊の皆を守りつつ必ず生き残ることともし本当にそういう状況になったら真っ先に久遠を逃がす。この二つだ。一つ悔しいこと、それは紫微垣がいまだ全力で使えないことだ・・・いざとなったら、もう倒れること覚悟で全ての力を』

 

 「アキラ様~~!」

 「もう~、綾那ったら」

 さらに考えこもうとした時に、聞き覚えのある二人の声が聞こえた。

 「おや?どうしたのです?」

 「アキラ様とお話がしたかったです!」

 「そう言って、本当は先頭を行きたかったのでしょう」

 「そ、そそそ、そ、そんなことないです!」

 焦る綾那を面白そうに笑う歌夜。

 『・・・肩に力が入りすぎていたようですね。なまじ、先の敗北の未来を知っているばかりに』

 それを見て少し体が軽くなった。

 「まあちょうどよかったです。話し相手になってもらいませんか。隊への指揮は終わっていたので暇だったのですよ」

 「え。いいのですか?」

 「やった!あのですね!綾那一つ聞きたかったですよ!」

 目を輝かせて、綾那が訊ねた。

 「ええ、何ですか?」

 「アキラ様はいったいどうやってそんなに強くなれたですか!綾那、一回も勝てなかったです!」

 「・・・それは気になりますね。私も二条館で何度か手合わせしてもらいましたが、一度も勝てませんでしたし」

 「・・・ずっと、努力する。ただ、それだけです」

 アキラはただ一言、それだけ言った。

 「そうですか・・・なるほど、綾那はまだまだ努力がアキラ様より足りなかったのですね!」

 「うふふ。でも、アキラ様は今でも努力しているから果たして綾那は追いつけるかしら。余計に離されるかもしれないわ」

 「そんなことないです!絶対に追いついてみせるです!」

 やる気を見せる綾那に一言いう歌夜。

 

 『見てろ!必ずその背中に追いついてやるからな!』

 

 思わず思い出した自分の後ろを追いかけるあの女。すでに少女とは言えない背格好に体つきになっていて、それでもやはり心はまだ子供なのか時々寂しい顔で抱き着くあの女が必ず言った言葉。

 「ええ。追いつけるものなら追いついてみなさい」

 「よ~~し!頑張るです!エイエイオー!」

 自分に気合を入れた綾那。

 「・・・そうだ、私も聞きたいことがあるのですか?」

 「歌夜もですか。何でしょうか?」

 「はい。アキラ様は勢力拡大の為に夫になるという宣言が出ましたよね」

 「ええ。幕府も禁裏もいいよという許可付きでね」

 「・・・まるで道具のような扱いにされたみたいだったので、本当にアキラ様はそれでいいのかな?と思いまして」

 

 『優しいですね。本当に大和撫子と言ってもいい女性です』

 

 他人を気遣う歌夜の言葉に少し嬉しさを持った。

 「問題ないですよ。私は久遠と話し合い、彼女の信念を聞きました。だからこそ、私も信念をもってこの立場に立つことを決めたのです」

 「そうですか・・・すごいですね」

 「そうです!アキラ様は如来様の使いなのですから!」

 「・・・いい加減、その見方をやめてほしいのですが」

 「それは無理ですよ。三河者は頑固ですので」

 「そんなことないです!」

 なるほど、これは無理そうだと諦めたアキラ。

 「アキラ殿。私も一緒にいいですか?」

 「・・・葵もここまで来ていたのですか?」

 「あ!殿さん!」

 「葵様!ここまでいらっしゃったのですか!」

 今全軍の先頭にいて索敵をやっているアキラ隊のところに、まさか松平の大将が来るとは思ってなかったため、アキラは驚いた。

 「はい・・・あの、アキラ殿。小波はしっかりやれていますか」

 「ええ、既に小波はもう隊にとっても私にとっても大切です・・・小波」

 「っは!お側に」

 一瞬で姿を現した。そして、すぐに彼女の頭を撫でた。

 「ご、ご主人様!な、何を!」

 「いえ、いつもありがとうと思いましてね」

 「ああ、そ、その!」

 「珍しい・・・小波がそんなに顔を赤くするなんて」

 女の子らしい小波にビックリした葵。

 「ううう~~!!あの、も、もう「もっと続けてほしいのですね」え!い、いや!」

 「全く遠慮はいりませんよ。ほらほら」

 「・・・ずるいです。ご主人様」

 どんどん頭を撫でていくと抵抗の声もなくなった。

 「小波・・・変わったわね」

 「・・・っは(゚д゚)!しゅしゅしゅ、周囲のちょうちゃを再開しまちゅ!」

 恥ずかしさでテンパったままいなくなった。

 「三河にいた時はああではなかったのに」

 「あれが本来の彼女だと思います。葵も少し心の鎧を脱いではいかがです?三河の当主である前に一人の女性なのですし、これから先も仲良くしたいですからね」

 「・・・くすくす。私を誑すおつもりですか?」

 「同じ同盟の仲間として仲良くしたいだけでそういうつもりは無いのですが・・・皆からは何かそう見られているのですよ」

 「なるほど・・・小波があそこまで変わった理由が分かった気がします」

 さっきまでの仮面の顔が少しだけはがれたように見えた。

 「あの子はとても頑張ってくれますよ。もう、隊には欠かせない存在なので抜けられると困るくらいにね」

 「それは、よかったです」

 

 『そのよかった。は果たしてどちらでしょうね。純粋に力になれてよかったのか。それとも・・・これから先の自分達の為を思ってか』

 

 やはり、向こうの家康のイメージが強いせいで用心深くなるアキラ。

 「それでは失礼いたします」 

 「お互い頑張りましょう・・・そうだ、この越前の侵攻が終わったら食事しませんか?二人っきりで」

 「・・・考えておきます」

 一瞬、間があったがすぐに返答して綾那と歌夜を連れて隊に戻っていった。

 

 『心の鎧を脱いで・・・か。小波はそれを脱いだからこそあんなに女性らしい姿になったというの?いったい何が狙いなの?・・ダメ、油断しては。感情が不要な草の小波がああなってしまうくらいあの人の誑しは底知れない。そう・・・流されてはダメ。でも、あの人は私と仲良くしたいのは本心のはず・・・まさか、私をそう見てくれるのが嬉しいと思っている?当主としてでなく、一人の女性として見られたことに』

 

 アキラとの話で、いろんな感情が出そうになるのを葵は必死に抑えていた。

 

 その後、賤ヶ岳で本陣を作るよう指令を受け、そこで最後の軍議が開かれた。その内容はこの先にある織田と浅井は敦賀城攻め、松平は手筒山城攻めをして合流ということになった。その中で桐琴が先陣に出れないことに文句を言ったが、久遠は森一家は力を温存して決戦の一乗谷にぶつける予定なので、今はアキラ隊と数の少ない足利と一緒に行動ということになった。

 「かかか!アキラと一緒か!なら一度手合わせしようかのう!」

 「ああ!母ずるい!俺だってやるぞ!」

 「・・・壬月さん、押し付けですか?」

 「・・・その意図はないとだけ言っておこう」

 壬月は苦い顔でそう言った。その隣では、何やら久遠と白百合が裏切る裏切らないの会話で笑っていたが、そこで出てきた内容にアキラは興味を持った。

 「白百合、一つ聞いていいですか?」

 「ふむ?今夜我を抱きたいのか?構わんぞ。何なら、そちらの当主様も交えるというのも面白そうじゃのう。ふふふ」

 「鬼がはびこるこの世界で、生き残れて尚且つ危機を乗り越えられる勢力を言ってましたよね。久遠と葵に武田は出てましたが、越後の長尾は?あそこも相当大きな勢力のはずですが?」

 白百合の戯れを無視して質問したが、その答えをしたのは一葉だった。

 「白百合の言いたいことも分かる。余は越後の当主長尾景虎に会ったことがある。あれは人というより修羅じゃな」

 「そう、そのようなものがこの日の本を守れるとは思えん。強い勢力であることは確かじゃが、共に轡を並べて歩けん。そちらの公方殿がおっしゃった通り、修羅にふさわしい烈しい人柄も持っている」

 「なるほど、信奉者はいるでしょうけど友になれずついていけるのもごくわずかと言ったところですか」

 その言葉に一葉も白百合も頷いた。

 『まるでかつての狂ですね・・・あの狂を尊敬し、そしてあの狂を倒したいと思っていたかつての自分が懐かしいです』

 最後にかつてのあの漢を思い出して、思い出し笑いをした。

 

 その後、軍議が終了した・・・自分の隊に戻ろうとしたら、エーリカに会った。

 「エーリカ」

 「アキラ様・・・あの、どう、したのですか」

 顔を赤らめながら話しかけてきた。

 「いよいよ・・・ですね。あなたの願いがかなう時が」

 「あ・・・そうでしたね」

 二人は並んで月を見上げた。満月に見えるがまだなっていない。

 「確か、満月は鬼達が活発に動くのでしたね」

 「はい・・・ですから、すぐにでも動くべきなのですが」

 「ええ、焦ってやってもいい結果は出ません」

 「そうですね」

 エーリカはそう言いながら、アキラの手を握った。その行動に少し驚いたアキラ。

 「あの、いいでしょうか・・・こうしたいのです」

 「構いませんよ、あなたの望むままに」

 「私の望むまま・・・なら、もう一つだけ」

 アキラの前に立ち、ちょっと緊張しながら一言言った。

 「あ、あの、その、き、き、キスして、くれませんか(テレテレ)」

 「は?い、今なんて」

 「わ、私・・・アキラ様の事・・・で、できれば、こ、これから、の」

 なかなか言えてなかったが、自分への想いがあることは分かった。なら、彼女のその気持ちにこたえるべきと決めた。

 「・・・では」

 「はい・・・」

 そして、二人の唇が重なった。

 

 『ありがとうございます。ずっとあったあの明智十兵衛光秀としての使命・・・決別する決心がつきました。これからはアキラ様。ずっとあなたの傍に・・・そのためにも頑張ります。そして、あなたと幸せに』

 

 その想いを持ってエーリカは自分の気持ちにけじめをつけた。

 




 はい!ここまでです。エーリカの気持ちを完全にアキラ一択にしました!

 やはり、幸せになってほしいですからね。

 う~ん、この後はアキラ隊のメンバーといろいろだけど・・・飛ばすか。それとも書くか・・・どっちにしよう。


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四十振り目 おかしい時は必ず何かある

 今年最後の投稿です。

 アキラ隊とのあのR18は飛ばします。書くと・・・止まらなくなってしまいそうなので・・・すいませんが原作で楽しんでください。

 


 これはとある城にて。

 「御本城様~。越後に忍ばせていた草からの連絡です。何やら、長尾景虎が越後を出たそうですよ」

 「はあ?無能なお姉さんに城を任せたということかしら?いえ、それはあり得ないわね。となると、面白そうなものを見つけたからかしら?」

 「何でも、越前方面に向かって馬を走らせたという情報です~」

 「越前?確か越前と言えば、織田と葵ちゃんと浅井の連合が攻めるという話があったわよね」

 「姉さま。長尾はいったい何を考えているのでしょうか?」

 「多分、越前に何かあって、興味がわいたからじゃないかしら。それより、朧」

 「何でしょうか?」

 「何を見つけたのかは知らないけど、美空ちゃんが越後に戻った時一波乱があるわよ。出陣準備しておいて」

 「え?どうしてですか?」

 「うふふ、名月の為よ」

 「名月の・・・は!すぐに用意します!」

 「その一波乱が終わった後でいいから、そんなに急がなくてい・・・あらら、もう行っちゃった」

 「それでどうします~?越前にも草を放ちますか?」

 「いいわ、そんなことしなくても・・・織田と言えば、当主の信長ちゃんが目の見えない男を夫にした。という話があったわよね」

 「ええ、確か・・・アキラ。という名前でしたっけ?」

 「何!」

 「え?サイちゃん。どうしたの?そんなに驚いて」

 「いえ、何でもないです」

 「そう?ああ姫野は引き続き越後の調査をお願い」

 「了解~(しゅた)」

 「・・・それで、どうしてあんな驚いたの?ねえねえ(にやにや)」

 「私を救ってくれた男です。目が見えない男で名前がアキラ。間違いないでしょう・・・そうか、あなたもここに」

 「その話、たっぷり聞かせてね」

 

 エーリカとのキスから次の日。アキラはとても辛かった。

 「こんなに体力を使うことになるとは思いませんでした・・・紫微垣を使った時より疲れた気が・・・」

 「アキラ様!どうしたです?」

 「何やらとても疲れておりますが」

 綾那と歌夜が心配そうに見ていた。その二人の後ろには葵もいた。

 「いえ、大丈夫です。ちょっと鍛錬に身が入りすぎただけです」

 もちろん、そんなわけなかった。それは昨日の夜・・・

 

 『お頭!私達を本当のお嫁さんにしてください!』

 『私達、決戦前にお頭に抱かれたいんです!』

 『ハニー!さあ、この体思う存分好きに使ってくださいまし!』

 『あ。あの、その、わ、わ、私も・・・』

 『さあ、アキラ様。男らしくバシッと決めてくださいませ!』

 

 ひよ・ころ・詩乃・梅・雫から今後休息ができない日々が続くので、その前に女として、嫁としての喜びを受けたいと迫られ、五人全員を順番に体力の続く限り愛したのだ。因みに鞠は既に眠ってしまい、小波は恥ずかしさのあまりリタイヤだった。

 

 『ころちゃん、たくさん抱かれて幸せだね』

 『うん、ずっと夢見ていたものね・・・私だって幸せだよ』

 『ハニーのが、ハニーのが、つ、ついにここにハニーの白いのが!』

 『あうあうあうあうあう。あ、あ、あ、あ、アキラ様と!!!』

 『アキラ様。朝までずっとこうして・・・ああ。お腹の中にアキラ様のが』

 

 その疲労がアキラを襲っていた。この二人にその事を言うわけにはいかない。だから、話をすぐに変えるのが一番だった。

 「それより、松平勢は手筒山城でしたね。ケガのないよう頑張ってください」

 「はい。アキラ様もお気をつけて」

 「行ってくるです!」

 「アキラ様もお気をつけて」

 「葵も頑張ってください。後、約束忘れていませんから」

 「はい。ぜひご一緒させていただきます」

 笑顔でそう答えた。ただ、その笑顔が本心か仮面かはアキラにはわからなかった。

 

 葵達松平勢と別れた後、暇じゃ!ということで一葉と幽もアキラ隊のところにやってきた。その時、梅と烏と雀の三人がとんでもない大砲を皆に自慢した。それを見て興味津々の一葉を止めたり、詩乃と一緒に隊の指揮を頼んだ時に雫が緊張したり、梅に暴走しないようツッコミを入れたりしながら、和気あいあいしながら進んでいき、ついに敦賀城前までやってきた。

 

 「こ、これが、敦賀城?」

 だが、その城を見て全員が唖然としていた。

 「城というより・・・廃墟?それに近いような」

 「建物というのは人がいなくなると、あっという間にボロボロになりますからな」

 「もはや、ここには人は誰もいないと考えるべきじゃのう」

 つまりこの城の人間は鬼になったか、その鬼に食われたかだ。

 「でも一番疑問なのは、どうして鬼達が攻めてこないかです」

 「人より力が上の鬼がどうして籠城をしているのか?」

 「明らかに人より強いはずの鬼がなぜ攻めてこないのか・・・それは」

 雫の言葉に反応したのは幽だった。

 「策・・・ですな」

 「はい、二条館ではしゃべることができる鬼とアキラ様が戦ったと聞きます。そういう鬼は越前にもいることでしょう」

 「小波、周囲はどうです?」

 詩乃の言葉に姿を現した。

 「はい、この辺一帯を見て回ったのですが鬼の気配はありませんでした・・・後、人どころか動物の気配もないのです」

 「それって・・・鬼に?」

 「ひよ・・・うん、そうだろうね」

 『こうなっていると思ってましたが、実際目の当たりにするとさすがに辛そうですね。特にこの二人には』

 ひよの辛そうな顔を見てそう思った。

 「さて、とりあえず「わああああ!」?何の声です?」

 「まさか、もう先陣を切ったのですか!」

 「全く・・・状況が分からないままだけど、手をこまねいているわけにはいかないから突入したというところでしょうか」

 「どれ!じゃあ余が様子を「待ちなさい」にゃあ!」

 嬉々として行こうとする一葉の襟元を掴むアキラ。

 「どこに行こうというのです?」

 「離せ主様!状況が分からないから見て「本音は」、もちろん鬼達を見つけ次第、千切っては投げ、千切っては捨て・・・あ(;゚Д゚)」

 「はあ~~、そんなことだと思いましたよ・・・幽、この猫の世話と管理と躾をよろしく」

 そう言いながら幽の前に一葉を出す。

 「いや、ホント申し訳ありませんなあ~。うちの公方が」

 「幽も主様も、何故余を猫扱いするのだ!」

 「似たようなものでしょうに全く・・・とりあえず今は黙って待つのみです」

 「小波、城の様子を見てきてください。後、誰か森一家の二人を呼んでください」

 「「は!」」

 小波と兵の一人がいなくなると同時に隊の頭脳の二人に聞いた。

 「二人とも、これは罠だと思いますか?」

 「はい、それ以外考えられません」

 「私も詩乃と同意見です」

 三人でそう考えていると、ころからこう聞かれた。

 「あの・・・お頭。何か空気がおかしくありません?」

 「空気?それはどういう?」

 「ころちゃんも思った?私もお頭がピリピリしているような気がしていたの」

 「ハニー、どうしましたの?いつものハニーじゃありませんわよ」

 「いったい、どうしたというのです?」

 「・・・いえ『ご主人様、敦賀城壬月様率いる先鋒が優勢です。このまま進むともうすぐ落城いたします』・・・何?」

 自分の考えていることをごまかそうとしたが、そこに小波の連絡が入った。だが、その連絡がおかしすぎると言ってもいい報告だった。

 「・・・もうすぐ落城だそうです」

 「ええ!もうですか!これってどういうことなんでしょうか!」

 「おおい!アキラ!」

 「全く、どういうことじゃ呼びつけるとは」

 ひよやころはおろか詩乃達も落城の言葉に混乱していると、森の二人がやってきた。

 「ありがとうございます。ただ、ちょっと連携の確認をしたかっただけです」

 「わしらは一乗谷での戦いに温存するだけじゃ!」

 「そうそう!俺らがぼっこぼこにしてやるよ!」

 「頼もしい言葉です・・・そして、聞きたいことも一つ。どう思います、今までの鬼とは全く違う戦い方をする、この現状を見て」

 「・・・アキラ。何を苛ついている?」

 「ああ、何か匂いがいつもと違うよな。いったい何があったんだよ」

 アキラ隊だけでなく、森の二人にまでそう言われた。

 

 『そんなに私は今までと違っていましたか・・・やはり、気持ちが少し出てしまっているようですね。金ヶ崎の退き口・・・くそ、どうしても久遠の安全を考えると、その気持ちが表に出てしまっているということですか』

 

 歴史を知っていて、それが愛する妻に関わることだからこそ、滅多に態度に出さないアキラでも出てしまったのだろう。

 「アキラ、お前が何に苛ついているのか知らんし、いったい何を知っているのかも知らんが、別に喋らんくてもいいぞ」

 「そうそう!余計なこと考えると戦場で命取りになっちまう。だから、もし心配事があったなら俺達が力を貸してやるから心配するな」

 「・・・そうですね。ありがとうございます」

 二人から嬉しい言葉を聞いていると、小波からの連絡で完全に落城して中にいた鬼達は搦手門を通って逃亡との知らせがあった。しかも、同時に本陣の兵の一人がやってきて手筒山城を落とした松平勢と合流して、一気に一乗谷に乗り込むという指令が来た。

 「もうですか?いったい久遠は何を考えて」

 「久遠様がそんな拙速に動くなんて」

 「・・・本陣に行きましょう。これは直接考えを聞かないといけません。詩乃と雫と一葉は私と一緒に本陣に行きます」

 「「「は!(うむ!)」」」

 「ひよところは、あちらで火花を散らせている二人の世話をよろしく」

 顔を向けると、梅と小夜叉が言葉通り火花を散らせて口喧嘩していた。

 「「そ、そ、そんな~~!おいていかないでくださ~~い!そんなの無理ですよ~~!」」

 そんな悲鳴を背中に受けて、本陣に向かった。

 

 その後、本陣へ行ったアキラ達。何でもエーリカの言葉で拙速に動く理由は満月がそろそろ来るからとのことだった。満月になれば鬼達の力は増大するので、その前に叩いておこうと決めたようだ。久遠の結論に納得して隊に戻ったアキラ達。

 『なぜこんなに胸騒ぎがするのでしょうか。こんなことは向こうの世界でもそうそうなかった・・・そう、あの時と同じ』

 だが、その中で不安が止まらないアキラ。

 

 『おめえら・・・後は、頼ん、だ・・ぜ』

 

 慌てて首を横に振った。そんなことはないと悪い考えを振り切った。隊に戻って小波から話を聞くと、鬼達は撤退して一乗谷に決戦を選んだ。という結論が詩乃と雫の口から出た。

 そして、夜になろうとしているが満月になる前に鬼達を殲滅するため、強行ではあるが再び出陣することになった。 

 

 『そう、大丈夫です。頼れる仲間がたくさんいるのですから・・・』

 

 不安を消しきれないアキラの気持ちをそのままに・・・。

 




 はい!中途半端ですがついに一乗谷決戦まであと少しになりました。

 とある城はどこかわかりますよね?ついでに言うなら、会話の中に出てきたサイちゃんはいったい誰でしょうか?

 あっちの原作知っているなら予想できると思います!


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四十一振り目 存分に甘えなさい

 こんにちは!すいませんでした!

 一月一日はいきなり疲れたので、気づけば熟睡だったので・・・寝正月になっていた

 本日は間章も一つ入れての本章です!



 山の中をどんどん進む同盟軍。その軍の後ろの方を歩くアキラ隊。

 「主様。暇じゃ、手合わせしてくれ」

 「う~ん。いや、やめておきましょう」

 「何故じゃ!余より、強いのだろう!」

 「ええ・・・でもここで戦うと、一乗谷で全力が出せなくなると思うので」

 一葉の暇の相手もこれから戦う相手が人相手なら付き合ってもよかったが、さすがに鬼が軍と同じ動きと指揮をするとなると万が一ということもあるので断った。

 その後、一葉は鞠と手合わせをして時間をつぶしてくれた。その間にアキラはある人物を探していた。

 「お、やっと見つけましたぞ」

 「幽、ちょうどよかった」

 探していたのは幽だった。でも、向こうもこちらを探していたようだ。

 「某もでございます。公方様はどちらに?」

 「一葉なら、鞠と手合わせをしていますよ。暇だから戦ってくれって最初は私に言っていましたが」

 「なるほど・・・ずいぶんと、昔に戻られましたな。三好の連中に抑えられて窮屈な思いをしなくてもよくなった途端「待ちなさい」何でございますか?」

 「窮屈な思い・・・城を抜け出したり、喧嘩売ったり、財布を強奪したりしていたあれが窮屈なのですか!」

 「ええ。残念なことに・・・「はあ」」

 最後のため息は一緒にした。

 「前がいったいどんな一葉だったのか、知りたいのですが」

 「勘弁してください・・・某もどれだけ手を焼いた事か」

 「まあ、いずれ聞くとして・・・幽は私を探していたようですが、いったいどういう用件でしょうか?」

 「ええ、ちょっと気になりましてな」

 幽の目がギロリとした。

 「あなたの隊の事です。何やら、ほかの隊とは空気が違いますので」

 「・・・さすがですね。まあ、私の頼みというのもそれですが」

 「では、先に答えてもらいましょう。一乗谷に意識を向けていないアキラ隊の意識はどちらですか?」

  幽の質問に、無言で後ろを指さした。

 「後ろ?落とした二つの城ですか」

 「幽、ちょっと考えてみてください。あれは落としましたか?」

 「・・・いえ、どちらかと言うと拾ったが正しいですな」

 「そうです。鬼達は搦手門から逃げ・・・いえ、撤退した。じゃあ、どこに行く?皆の推測は一乗谷で鬼を集めての決戦。他の隊の皆もその考え」

 「そういう事ですか・・・その推測が外れた時の保険というわけですな」

 「小波も頑張ってくれましたが、結局鬼達は船を使って逃げたことしかわからなかった。その鬼達は、本当に一乗谷に行ったか」

 「こっそり戻ってきて後ろを狙っている・・・ですか」

 見事な回答に頷いた。

 「そういうことです。そして頼みと言うのが足利衆もアキラ隊と一緒にしたいという事です。その方が「構いませんよ」・・・ありがとうございます」

 「公方様もその方がアキラ殿と一緒で嬉しいでしょうし。手綱は持つつもりですが、某だけでは抑えきれないですからな」

 「・・・いいでしょう。お互い分かったみたいですし」

 「ええ。正直アキラ殿がその話を聞いた途端」

 

 「「狂ったみたいに笑いながら、鬼の集団に嬉しそうに入って刀を振るって鬼達を惨殺する一葉(公方様)の姿が見えました」」

 

 一字一句全く同じことを言って再びお互い溜息を吐いた。

 「では、某は足利衆を連れてまいります」

 「頼みます」

 二人とも呆れ汗を流して別れた。

 

 その後、久遠がアキラの下にやってきた。後ろに葵に浅井夫婦、桐琴がいたが全員二人っきりにさせようとわざといなくなった。

 「アキラ!」

 二人っきりになった途端、いきなり抱き着いてきた。

 「・・・寂しかったですか?」

 「ああ・・・いい匂いだ。頑張り続ける男の匂い」

 「ふふ、いい匂いなら久遠も持ってますよ。恥ずかしいので、今までずっと言うのを我慢していましたが」

 「そうか・・・アキラ、人の気配が」

 彼女の体が震えていた。

 「久遠、誰もいなかったのですか?」

 「・・・うん」

 辛そうな顔で頷いた。そんな彼女の頭に手を置いた。

 「あなたはそれを気にすることはないですよ」

 「そ、そんな!」

 「いいですか、あなたは最善を考え努力した。真琴も葵もあなたのために頑張ってくれていますが、二人の協力は言葉だけでは無理だったでしょう。あなたは必死に行動を皆に見せたからこそ、二人はあなたに協力したいと申し出てここまで来た。その事に悔やむことも責めることもありません。隣でずっと見てきた私が言うのです。あなたの事を一番好きな夫の言葉、信用できませんか?」

 アキラの言葉に涙を流す久遠。

 

 「アキラ・・・我は弱くなったな」

 

 「弱くなった?今更ですか?私は初めから泣き虫で弱い強がりの女性にしか見えてませんでしたが」

 「な!だ、誰が泣き虫で弱い強がりだ!ふん!だとしたら、それはお前の心の眼が節穴だったということだな」

 「・・・ふふふ、そうですね。夫ならもっと妻の事を見ないといけませんね」

 「ああ、全くだ!」

 いつも通りの久遠の顔になったことにほっとしたアキラ。ただし、離れた時少しだけ名残惜しそうな顔をした。

 「おや?もっと抱きしめてほしかったですか?もう、それならそうと言ってください。今夜は寝かせませんよ~」

 「/////な、何を言うか!こ、こここ、このうつけものが!わ、我はそんなことをしてほしいなど思っておらん!」

 「そうですか、残念です・・・・・・久遠、大丈夫ですか?」

 「何がだ?まさか落ち込んでいたように見えていたと言うんじゃないだろうな?」

 「いいえ、あなたはいつも通りおっちょこちょいな当主様であり私の妻です」

 「いい加減に我をおちょくるのをやめんか~!」

 最後にそう締めて、本陣に戻っていった。二人はこうした話をしても本心は理解しあっている。だからこそ、こんな会話でもお互い大丈夫だと理解した。

 

 『久遠の理想。思い、そして信念。絶対に叶えてあげたい。そして、誰もが笑って暮らせる世界・・・必ず、この私の全ての力をこの戦いにかける!』

 

 アキラもまた久遠を守るという自分の信念を再認識した。

 

 

 久遠としたこの話をもう一人の妻である結菜にしておこうと思い、彼女のところに行った。

 「結ちゃん、いますか」

 「し~」

 入ろうとした途端いきなり静かにするよう言われた。その理由は結菜の膝枕で寝ている鞠の存在だった。

 「なるほど、そういう事ですか・・・ふふ、こうして見ると私達って既に子を持っている父親と母親みたいですね」

 「そう見える?あなたとの子供として見えるのなら嬉しいわね」

 「久遠との間に子供も欲しいですが、あなたとの子供も欲しいですね」

 「も、もう、そんなこと言わないでよ!そりゃ、私だって・・・」

 真っ赤になって鞠の頭をなでる。

 「でも、こんな小さな子を戦わせるなんて・・・いくら強いと分かっていてもちょっと残酷ね」

 「・・・そうですね(私はそのくらいなら既に戦ってましたが、それは口にしない方がいいですね)」

 コッソリ内心思ったことは言わないようにして、一つだけ思い出したことを言った。

 「そう言えば、一人いましたね。鞠と同じくらいの子が」

 「それってどんな子なの?」

 「アンテラという子ですね。力が強い子でした・・・ただ記憶を失っていて、自分が誰なのかすらわかっていませんでしたが」

 「そんな子に戦わせた人ってひどいわね!」

 『言えない。向こうの世界の織田信長。つまり久遠だなんて』

 怒りを見せた結菜に苦笑いをするアキラ。しかも、その後の話は長くなるのですぐに切り上げるのが一番と判断した。

 「まあ、その子も今では幸せになっているでしょう。記憶を失っても今の鞠のように友達もたくさんできたようですし」

 「そうね。なら、鞠ちゃんも幸せのしないとね」

 「ええ、全てが終わったら、次は駿府ですし」

 寝顔を見てお互い笑顔になる。ただし、すぐに結菜の顔が真剣になる。

 「・・・ねえ、久遠。どんな感じだった」

 「自分を責めている感じでしたよ。越前の村や町はもう人がいませんでしたから。自分達が遅かったからではないのか?と」

 「そう・・・」

 「だから、言わせる前に抱きしめて好きと言って真っ赤にさせました。最後は寝かせませんよ。と言った時の久遠の顔は見物でした」

 「ちょっと、どうして私も呼ばないのよ!そんな面白そうなことに」

 「一緒にいたら言ってもらってましたよ。大好きって」

 「そうね。それならよかったわ・・・後はあなたね」

 「私ですか?」

 「あのね、私もあなたの妻よ。あなたが何か隠しているのもお見通しよ」

 その言葉に絶句した。

 

 『・・・驚きました。隊の皆や森一家のように空気を感じるのではなく、ぱっと見ただけで気づくなんて・・・これが愛の力というものでしょうか。しかし、確かに言ってもいいかは迷っていますね。この後の戦い、どうなるかわからない・・・しかし必ず何かあるという確信はある。それを結ちゃんに話していいものか』

 

 「アキラ。どうしても言えないの?」

 結菜の問いに返答が遅れた。

 「・・・迷っている。が正しいですね・・・確実に言えることは一つです。この後の戦いは必ず何かがある。おそらく、想像もつかないとんでもないことが」

 「そう・・・でも、言えないのね」

 「私も確証がないため言えないのです。そこで、結菜に頼みが一つあります」

 「頼み?何かしら」

 「そのとんでもないこと。もし起こったら久遠を支えてください。私もできる限り最小限にしようと考えていますが、もし」

 その続きを結菜は首を振って止めた。

 「それ以上は言わなくていいわ。もちろんよ、あの子の妻なんだから」

 「ありがとうございます・・・」

 溜息に近い息を吐いて少しほっとしたようだ。

 「ねえ、アキラ・・・本当に大丈夫なの」

 「大丈夫ですよ。久遠にいろいろ言って真っ赤にさせましたから」

 「もう・・・まあ、それがあなたらしいわね」

 でも結菜の顔は少し暗かった。しかし、アキラは大丈夫と言った。だから、信じたいが中々踏ん切りがつかない時だった。

 

 「アキラは、鞠が、守る、の」

 

 寝ている鞠の寝言だった。それが結菜の気持ちの踏ん切りをつけた。

 「そうね、鞠ちゃんが旦那様を守ってくれるんだったわね」

 「はい、だから大丈夫ですよ」

 「うん。わかった」

 「鞠、アキラが、好きなの」

 「・・・結菜、言ってくれませんか?」

 「え!も、もしかして。好きを!」

 「はい。できることなら」

 アキラらしくない頼みだった。でも、鞠が守ってくれる。その思いが結菜の不安を消し、一押しさせた。

 

 「分かったわ。好きよ・・・アキラ。大好き」

 

 この一言でアキラの笑顔が戻った。

 「私も好きです。久遠と同じくらい・・・愛しています」

 「嬉しい・・・本当に大好きよ」

 アキラが自分から結菜に近寄り口づけをした。一分ほどして離れた。

 「ん。好きな人からしてもらうのはやはりいいわね。とても心が躍るわ」

 「なら、続きは終わってからにしましょう」

 「そうね、楽しみにしてましょう。さて、鞠ちゃんを戻しに行かなくちゃね」

 「ええ。久遠の件、お願いします」

 「もちろんよ。何もなければいいわね」

 「その時は笑いあいましょう。では、おやすみなさい」

 「おやすみ・・・私の大好きなアキラ」

 隊に戻りに行ったアキラの背中を見る結菜。その顔はアキラに見せた笑顔ではなく、 

 『あなたなら必ず戻ってくる。私と久遠のところに・・・そう、信じていいわよね』

 

 不安そうな感じがする顔だった。少しだけの不安を胸に彼女は鞠を届けに行った。

 




 お待たせしました!やっと、できました。

 二人の妻の想いと気持ちと不安を書きました。
 
 次回から間章に入ります。

 エロ展開をお待ちの方お待たせしました!少し、大胆に書こうかと思っています。やはり、加減が難しかったけどやり過ぎ感と抑え感のエロを書くうちに少し慣れましたので次回はやっていこうと思います!


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間章12-1 想いは一緒、イライラも一緒 R-18

 今回はエロ話と思ってください。

 では始めます!さあ、いったい誰でしょうか?


 3月15日、エロ表現追加。


 結菜と別れて、そのまま隊に戻ろうと思ったがやめた。

 『ちょっと気になりますね・・・真琴の事が』

 今回の越前侵攻に一番心に傷を受けている女性の事が気になったからだ。立場はもうアキラの妻になっているので、落ち込んでいたら愚痴くらい聞いてあげようと思い、彼女のいる陣に向かった。

 

 「あ!お兄ちゃん。どうしたの?」

 「・・・市もどうしたのですか?」

 浅井の陣に行けば当然会える市。しかし、笑顔も声も無理矢理明るくしている感じだった。

 「え?市はいつも通りの市だよ」

 「そうですか?いつも通りなら、久遠の事を聞くと思いますが?」

 「あ・・・そ、そう!お、おねえ「真琴の機嫌が悪いのですか?」!!ど、どうしてそれを!」

 慌てて取り繕うとしたが、アキラの一言で失敗した。

 「やっぱり・・・市も真琴も私の嫁です。大切な人の事はしっかり把握できるように努力してますから」

 「そ、そうなんだ・・・うん、お兄ちゃんの言う通りなんだ。いろいろ気持ちが複雑な場所にいるからね・・・ちょっと」

 「ええ、大きな絆があるからこそ辛い気持ちになりますからね」

 狂と自分の絆を思いだした。ずっと背中を守り続け、それをずっとやり続けたあの時の自分と狂を。

 「さて、ちょっと会ってきますか・・・そうだ、一つ提案があるのですが」

 「???」

 疑問符を出す市の耳にその提案を話した。

 

 その後、真琴のところに着いた。少し大きな木の下で座っており顔つきも険しく、それを見ただけで複雑な心境でいることも分かった。

 「・・・兄様。こんばんは」

 「隣、座らせてもらいますよ」

 「はい・・・あの、何故ここに?」

 「やれやれ、あなたは私の何です?」

 「え?あ・・・妻でした」

 頷きながら、隣に座った。

 「妻が苦しそうにしているのです。なら、夫の私はその苦しみを緩和する。それが大切な人となった自分のやりたい事です」

 「・・・ありがとうございます」

 「単刀直入に聞きます。険しい気持ちになっている理由は朝倉義景の事ですね」

 ビクッとしたが、ごまかせるはずないので頷いた。

 「そうです。浅井にも、僕個人にも優しく、そして大きな恩のある素敵な姉様でした・・・でも、鬼になってしまった今では」

 「・・・討つしかないですね。悔しいことですが」

 「鬼としてでなく、朝倉義景として討つ。それが僕の役目だと思っています」

 苦しさを我慢するかのように拳を握った。

 「尊敬する状態で倒す・・・ですか。ええ、それが一番いいことです。私も倒せてはいませんがやったことはあります」

 「兄様もですか?」

 「心から尊敬し、その男の背中を守ることが自分の使命。そう考えていた時期がありました。その漢が拾ってくれなければ、私は死んでいましたから」

 「・・・すごい人だったんですね」

 

 『俺の背中は、お前に任せた。アキラ』 

 

 あの頃の自分が、一番うれしい言葉を思い出した。その為、その後の話が自慢話みたいになった。

 「すごいですよ。あなたも私の多少過去を聞いていると思いますが、その者は最強の漢で当時の私はその次に強い漢になりたかった。そうすれば、ずっと私に背中を向けていた漢は自分の方を振り向いてくれる。そう信じてね」

 「・・・立場は違いますが、私と一緒ですね。僕も義景姉さまの背中を見て姉さまに追いつきたいと思って、姉様みたいになりたいと信じて、当主になって必死になって頑張りましたから」

 「私の妻でもあるからこそ、あなたを支えたいのです」

 「・・・嬉しいです、本当に、嬉しいです」

 アキラの肩に頭を乗せた。

 「あの、ボクが兄様の妻になる時、側室になると言いましたね」

 「いきなりなんです?市のためだったと聞いてますが」

 「実はもう一つ理由があって、久遠姉様のためなんです。あの頃のボクはまだ兄様の事を姉様の夫として見ていて、本当に好きになってませんでしたから」

 「なるほど・・・確かに憧れの人を見るみたいな目でしたね」

 「はい・・・あの、いろいろと聞いてくれてありがとうございます。少し気持ちが楽になりました」

 「妻からそう言ってくれるなら嬉しいですね」

 方から頭を話して、照れくさそうにアキラを見た。

 「兄様、一つお願いが・・・できればここで話したことは市には内緒にお願いできますか?こんな弱弱しい姿を見せる「ふむ、それなら謝らないとね」はい?」

 意地悪そうな顔で、木の上を指さした。

 「実は丸聞こえだったんですよね~」

 「まこっちゃ~~~ん!」

 「なああ!い、いいいい、市!」

 木の上から降りてきた市が、びっくりした真琴に泣きながら抱き着く。ずっと最初からいて話を全部聞いたことに更にびっくり。お互い自分の本音を話し合って、夫婦の絆をさらに深めた。そんな二人を見て理解したことがあった。

 

 『いいところも悪いところも全部見せあって初めて認め合って、そしてそこでやっと初めて夫婦になれるのですね。それを旅でやっていた狂はゆやさんと夫婦になれた・・・そう考えると私も久遠に結菜、一葉に双葉と言った人達にはいいところよりダメなところの方を見せていたのに私を好きと言い、私の妻になってくれた。夫婦の絆と想いはダメなところを見せて初めて作れるのかもしれないですね』

 

 そう思い返していると、いつの間にか二人が自分の前にいた。

 「あ、あの、兄様・・・」

 「お兄ちゃん。市達ね、あのね」

 もじもじしながら二人は自分の胸に手をやった。

 「・・・いいのですか?」

 こうした場面は見たことがあるのですぐに察した。訊ねると、二人は頷いた。

 「話しているうちに一緒に気づいたのです。さりげなく支えてくれる兄様がとても好きになって「私達を大切な人と言ってくれて、分かるよう努力すると言った言葉がとてもドキってきたの」・・・そうです。僕達をそこまで想ってくれることがすごく嬉しくて今もドキドキが止まらないのです」

 「お兄ちゃん、市達を・・・もらって」

 「・・・ええ。久遠や一葉達と同じくらいの愛を持って二人を愛し、そして」

 二人の肩を抱いて顔を自分の目の前に近づけた。

 

 「抱かせてもらいます」

 

 真琴と市にキスをして、服を徐々に脱がせ始めた。上を完全に脱がせ、二人のおっぱいが丸見えとなった。恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にしたが隠そうとしなかった。

 「お兄ちゃん・・・次はお兄ちゃんの番だよ」

 「ええ、さあ、どうぞ」

 そして、二人もアキラの上を脱がせ始めたが、途中で手が止まった。

 「に、兄様!こ、これは!」

 「な、何これ!」

 「これは私の努力のしるしとでも言いましょうか。それしか言えませんね」

 「そうですか・・・目が離せません」

 「うん・・・すっごくドキドキする」

 再開して、上を全部脱がせた。二人の視線はアキラの上半身に夢中だった。

 「では・・・二人のを」

 「ああ、兄様。胸が・・・びりっと」

 「まこっちゃん、かわいいよ。ああ!い、市も胸が、感じた」

 二人の胸の突起を同時にいじりだした。同時に真琴、市の順に胸を揉みながら吸い出した。しかも、一吸いずつ変えるため焦らしも入る。

 「に、兄さま・・・そんなひどい」

 「もう・・意地悪」

 「ほう~~、そんなことを言う二人にはお仕置きですね」

 文句を言う二人にお仕置きとして、アキラは吸いをやめた。まだ着ている下の服の上から無理やり彼女らの股の割れ目に力任せでいじりだした。

 「に、兄さま!そ、そこは!ああ!だめ!ぬ、濡れちゃう!」

 「そ、そんな!無理矢理、はやめて!」

 でも、こういうシチュエーションをアキラにされることで二人とも内心ドキドキしているのか、どんどんその部分が濡れてきた。段々顔が蕩けてくると、いじりをやめてアキラは下を脱いだ。そこにあるアキラの性刀にゴクリとした。

 「・・・兄さま。どうぞ・・・欲しいです」

 「市も!市も、まこっちゃんと同じに、同じにして!」

 二人も下の部分を脱いで完全に裸となった。真琴が地面に仰向けになり、自身の割れ目をさらに広げた。市は真琴の上にうつ伏せで乗り、彼女も自分の割れ目を広げた。彼女らの脚には、発情の証である液の流れた後があった。

 「・・・怖い。でも、でも市と一緒なら」

 「うん、一緒に・・・ね。あ。あああああ、い、いつ!痛い!痛いよ!」

 「市・・・きれいだよ」

 「まこっちゃん!み、見ないで・・・い、市。へ、変になっちゃう。お兄ちゃんに滅茶苦茶にされて・・・おかしくなっちゃう!」

 市の割れ目に性刀を入れた後、アキラは彼女の胸も揉みといじりをやっていた。そのいじりで体をよがらせて今まで見たことのない妻の姿を見た真琴に、

 「市・・・真琴の胸を揉んであげてください」

 市に真琴をいじらせる案を提案した。

 「「え!」」

 「一人で寂しそうなので」

 市にそう言い、彼女はコクリと頷く。慌てる真琴だが止まらない。

 「やるよ・・・まこっちゃん」

 「だ、ダメだって。あ、ああうう!市!あ、ううん!く、くる。あ、に、兄様!そ、そんな!ああ、市!兄様!いた!痛い・・・ああ、あああ!つ、ついに・・・僕も」

 市が揉んでいる最中に、アキラは真琴の女の壁を貫いた。

 「まこっちゃん、可愛い。えへへ、大好きだよ。まこっちゃんもお兄ちゃんも、ん!だ、ああ!・・・好き」

 「ボクも市の事、あ!む、胸、また!・・・好きだよ。兄様も大、あああ!・・・好き!」

 「ありがとうございます・・・私も、二人を愛してますよ」

 今度はアキラが真琴のおっぱいを揉みだした。でも市への責めも忘れずに首筋を舐めて刺激を与え、次に真琴の耳を舐めた。

 「「あ、はあああ!か、感じる~~!!」」

 ビクンと体がはねた二人。びくびくしている間に、アキラはどんどん割れ目を交互についた。その快楽と気持ちよさに、さっき以上にふやけた顔になっていった。

 「も、もう・・・とんじゃう、とんじゃうよ」

 「市も・・・真っ白になるような、そんな気持ちが」

 アキラのつきで、彼女らの雫が飛んで草を濡らしていった。

 「市、い、こう」

 「うん、さ、三人で、三人で!」

 そして、三人のラストスパートが来た。

 「お互い揉んでください。っく!気持ちいい・・・こちらも、そろそろです!」

 「まこっちゃん、おっぱい、ううん!柔らかくて気持ちいい!」

 「市だっていい形して・・・あん!止まらない!」

 二人の悦もそろそろ頂点に到達しようといた。最後のアキラの突きが炸裂した。

 

 「「あ。あ。あああああああ!!!」」

 「・・・く!」

 

 快楽が全身を刺激させたとき、お互い強く抱いた。その真ん中の隙間にアキラの一撃が飛び出た。

 「あ、暖かい・・・兄さま暖かいね」

 「うん・・・まこっちゃんも、市も、今すっごく幸せ・・・」

 二人の体にはアキラの一撃がたっぷりついていた。

 「私の、想い。どうでした」

 「・・・兄様の妻になって本当に良かったです」

 「お兄ちゃん・・・また、やってくれる?」

 照れながら、もちろん頷いた。そして、二人が落ち着いた時は既にアキラは着替えを終えていた。

 「兄様、ありがとうございます。とても気持ちが充実しました」

 「うん!市もとてもスッキリした感じなの!」

 「それはよかったです。さあ、明日頑張りましょう」

 「「はい・うん!」」

 

 そんな二人と別れたアキラは、次に向かったのは森一家の陣だった。こっちでも気になることがあったからだ。

 

 『周囲を確認したときに感じた殺気。あれは確実に桐琴さんのでしたね。相当、うっぷんが溜まっているみたいですね』

 

 何回かガチで手合わせをさせられたので、桐琴の殺気は覚えていた。その殺気の下に特に大したことないと言った顔でやってきた。

 「なんじゃ、アキラか」

 「ええ。ずいぶんと機嫌が悪いですね」

 「ふん、それがどうした」

 顔も言葉も予想通り不機嫌だ。でも、その程度でアキラは引き下がらない。

 「・・・どうしたのです?私がここにいるのに戦わないのですか?」

 「そんな気分じゃない・・・と言うか、暴れん坊みたいな言い方は何じゃ!」

 「ほう~、違うのですか?」

 そう言われてダンマリした。

 「く、くくく、ははは!お前は本当に面白いな!こんなに機嫌が悪いのに、その機嫌を逆なでするようなことを言ってくるとはな!」

 「落ち着かせるような言葉は、逆に腹が立つでしょう?」

 「全くじゃ。そっちの方がすっきりするわい!」

 大笑いをして、すっきりしたのか殺気は消えた。だが、真剣な顔はすぐに戻った。

 「質問に戻ります。では、機嫌が悪い理由は?」

 「・・・鬼共が気に入らん。わざと頸を見せて切ってくれという態度が!」

 それを言われてアキラも納得した。彼女にとっての戦いが力と力のぶつかり合い。だが今回の鬼はそれをしないどころか首を出す態度が気に入らないとのことだ。

 「なるほど・・・力をぶつけ合って戦って勝つ。それが戦いの醍醐味ですからね」

 「そうじゃ、戦い自体を舐めきっている戦い方。それが気に入らんのじゃ」

 「・・・イライラは仕方ないにしても、殺気をだしていい理由にはなりません」

 そう言われてまたダンマリしたのだが、何か思いついたみたいで笑顔になった。

 「ふん・・・なら手伝ってくれんか?殺気を無くすのに協力してほしい」

 「まあ、手合わせなら「違う」え?違う?「こうじゃ!」!な!」

 いきなり押し倒されて、あっという間に裸にされた。月明りが桐琴の麦穂レベルの胸も腹の下にある女性の部分も全部見せていた。

 「ガチになるアキラとの手合わせはまずいから、こっちのガチでスッキリさせてもらうぞ!」

 月明かりで見やすくなったアキラの性刀を見た桐琴は心が高鳴った。

 「ふ、ふふふ!これは、また大きく太いのう!わくわくしてくるわい!」

 「・・・びっくりしましたよ。まさか、これなんて」

 「文句はなかろう!なあ、天下御免の男よ!」

 その絶賛した刀に、自分の股にある鞘でそれを収めた。しかも、一気に入れた。

 「むう!何と、これはすごい!奥まで届いたぞ!」

 「本気なのですね・・・あと、一つ言いたいことが」

 「全ては後じゃ!さあ、やろうぞ!」

 「・・・分かりました!では、戦いましょう!」

 腰を突き出した。同時に桐琴も動いた。お互い腰を動かしていき、快楽を感じあう。

 「おおう!いいぞ!これは、すごい暴れ刀じゃ!」

 上下に動かしていた腰を左右にも動かした。

 「ん!あおう!これは、最高にいいぞ!ん!」

 「何と・・桐琴さんも中々上手で」

 二人とも相当感じあっているみたいで、はあ、はあと息を吐いていた。そんな中、アキラの腕が桐琴の胸に届いた。

 「ふふふ、胸を揉む、く!いいのう!びりびりする・・・もっと」

 彼女はアキラの両手を掴んだ。右手はそのまま胸に、左手は自分の尻に持ってきた。

 

 「さあ!儂を・・・もっと女に戻せ!」

 

 濡れる速度は半端ない鞘にはアキラの刀が出入りを繰り返し、胸にはアキラの右手が揉み続けながら突起を転がす様にいじって欲情を強め、尻にはアキラの左手がそこの割れ目に指を持ってきてくすぐって快楽の余韻に浸らせる。

 「アキラ・・・うまいのう。女の情欲が強まったぞ。あ、あ、あ、ああ。ふふ、濡れる。これはどんどん溢れるぞ」

 自身の体をどんどんアキラに滅茶苦茶にされる感覚に酔いしれながら、アキラを自身の股の鞘から出る蜜で濡らしていく。いや、そこだけではない。口からの涎も欲情に耐え切れずに出していた。

 「・・・もっともっと欲しい。この刀で、もっと淫らに堕ちていこうぞ!

 自分でどんどん体を上下に動かしながら、右手で残っているおっぱいを揉みだし、左手で出し入れしている鞘に入れてそこの刺激を増した。アキラもそれに耐え呻きながら我慢した。今の桐琴がアキラは人間よりも欲情した虎に見えた。

 「お、お、お、お、も、もう、いくぞ。いくぞ。いくぞ~~!」

 「い、いきますよ!私の、わたしの・・・白いあれを」

 「受け止めるぞ!そのまま、力の全てを、出せ!出すのだ!こい、こい!こい~~~!儂の、一番奥に!お主の、力の全てを!」

 「いきますよ!うおおおおおお!」

 アキラの勢いのある一発が放たれた。体の奥にその一発の実感を持った桐琴は、満足そうにアキラに倒れこんだ。

 「か、かかかか!いった、いったぞ。アキラ、これ以上ないでかい刀。これはもうこれ以外でやりとうないのう・・・むしろ、はあ、これ以外考えられん」

 「そ、それは・・・光栄、です」

 やっと終わってほっとしたと思いきや。

 「第二戦じゃ・・・まさか、一戦して終わりと思うたか?」

 イライラはすっかりなくなったが・・・

 「儂の女の情欲はまだまだたんまり湧き上がっているぞ。くくく、今度はこっちを治めてもらおうかのう」

 アキラにキスをして、いつもとは逆にアキラが濃厚なキスを受ける側になった。

 

 二戦どころが三戦目もやり、しばらくしてアキラは体を動かせた。二人は未だ裸のままだった。ただ、満足していたのか桐琴は笑顔で酒を飲んでいた。

 「そう言えば、各務が嫁になると言っていたのう・・・わしもなるか」

 「私は構いませんよ。やっとあなたの心を見れた気がしましたので」

 「心の眼を持つお前が今まで見えなかったというのか。それは面白いのう・・・のう、旦那様」

 「だ、旦那様ですか?ふむ、あなたに言われると新鮮ですね」

 「そうじゃろう・・・わしもじゃ。さて、いい加減服を着るか」

 「そうですね・・・明日は絶対に生き残りましょう。小夜叉の妹をつくらないといけませんからね」

 「っぷ!あいつの妹か!そうじゃのう、あれほどの刀ならいいかもしれんし、何しろもうここに旦那様のが入っている・・・もう、できたかもしれんのう!」

 「・・・光栄なのか。久遠の事を考えるとまずいのか」

 「くくく、儂がアキラの子を産む最初の妻になるかもしれんのう!」

 「むむう。それはまずい・・・どうするべきか」

 アキラは悩みながら着替えを済ませ、森一家の陣を出た。そして、桐琴はいなくなってからやっと服を着た。

 

 『アキラ、わしは本気でお前が好きになったことに気づいておるか。わしとて女、好きならんと体を許さんぞ。獲物を必ず仕留めるのがわし等森一家じゃ。わしもクソガキも各務と一緒にお主を必ず旦那にするからな!』

 

 イライラは完全になくなっていた。代わりにアキラの子を産むと言う思いを強くして、再び酒を飲み始めた。

 




 今回のエロは浅井夫婦と桐琴でした。

 最後は桐琴の心境を出してみようと思いました。暴れることが好きな彼女にも女性としての魅力を出させたいと思ったからです。

 次もエロにしようと思っています


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間章12-2 思い・想いの強さは大きい R-18

 
 こんにちは!正月はニートになっている三MENです!

 明日からまた仕事はじめです。だから、今日までは思いっきり引きこもります!え?威張れない?・・・言わないでください!

 今回は三つの話です 

 2017年3月4日・・・み~ちゃんのH、少し表現増やしました。
 2017年4月2日・・・もう少し追加しました。


 桐琴との月に照らされての抱き合いも終わり、他の陣も一通り見てきて最後に壬月の陣になった。

 『??誰でしょうか?あ、出てきました・・・女性の草みたいですね』

 入ろうとしたら、女性とすれ違いで中に入った。

 「失礼します」

 「・・・アキラか」

 「どうしました?その顔は悩んでいるみたいですが」

 「・・・本当は目が見えているんじゃないのか?と疑うくらい、顔色を見るのがうまいな」

 皮肉の込めた文句を言ったが、否定はしなかった。

 「ここに入る際に女性の草とすれ違いましたが、何か言われたのですか?」

 「それも見ていたのか・・・ああ。その草だが、子を授かっているらしい」

 「ほう、それはめでたいですね」

 「私もそう思うが・・・この状況でそれはちょっとな」

 「なるほど、その子の為にもこの任務から外れたい。と言ってきたのですね」

 「一応、任務が終わるまではいてほしいから止めはしたが、私自身がそういう経験がないからどう対応すればいいのか分からなくてな」

 悩んでいる中、アキラは二人の女性を思い出した。

 

 『狂!私達の子供よ!』『この子達が絶対に幸せになりますように』『ねえ狂。私達親子仲良く暮らせるといいわね』

 

 一人は既に双子を産み、幸せな生活を送っている自分の初恋の人。

 

 『京、ついにできたね』『ずっと、ずっと夢見ていたわ。あなたとこの子と三人で仲良く暮らす日を』『これでゆやさんと一緒ね。京、もう一人お願いね』

 

 もう一人は少し大きくなったお腹をさすりながら、夫に嬉しそうに話しかける未来が見える女性。

 どちらも自分達の子をとても大切に、そして愛していた。

 

 「そうですね・・・向こうの世界で、ある二人の女性が子ができた時はとても嬉しそうにしていたのを覚えています。誤解のないように言っておきますが、違う男の人との間にできた子なので私の子ではありませんよ」

 アキラの捕捉に苦笑いをした壬月。

 「それくらいはさすがにわかっている。でも、やはり嬉しいものなのだな」

 「私も子を持った経験がないからわからないですが、子供は夫と妻の愛の結晶というものみたいですよ」

 「なら、今回の侵攻が終わったら休むようには言っておくか」

 「それがいいと思います。出来るなら、母体に影響を与えないよう自分の傍に置くことも進めます。子供は母体の調子が悪かったら、そのまま産まれずに死ぬこともありますから」

 「・・・難しいものだな。子供を産むというのは」

 「そうですね」

 とりあえず、さっきの草はすぐ安静にできるところに仕事をつかせるということで話がついた。しかし、壬月の悩みが解決したわけではなかった。そんな中、ある一言が彼女から出された。

 

 「アキラ、子作りをやってみないか?」

 

 その言葉に一瞬意識が飛んだ。

 「今、なんと?」

 「子供を作るあれをやってみないか?と言ったんだ」

 聞き間違いなかった。壬月はそういう意味を込めて言っていた。

 「ちゃんと理解している。男と女が抱き合って愛し合うあれの事だということも、それとただの興味でこんなことを言っているわけではない」

 「・・・あなたが勢いで言うような人でないことは理解しています」

 「あいつの気持ちも理解したいのは確かだが、お前とそういうことをしたいという気持ちは正直あるんだ・・・お前と水浴びしたあの時からな」

 「あの時・・・ですか」

 「あの体とお前の言葉を聞いて、女としての心が疼いた・・・恥ずかしい話、お前と裸で抱き合う姿を夢まで見た。そして、今回のあいつの件を聞いてやってみたいと思ってしまった」

 だが、アキラにとってその行為はある一つの肩書を手に入れることにもなる。

 「・・・最後に聞きます。それは私の妻になるということでいいですか?」

 「(こくん)ああ、嫁にしてくれ。私は、心からなりたいと思っている」

 彼女の顔はいつものからかう顔でも、武将の顔でもない。一点の曇りもない真剣な顔だった。

 「分かりました・・・壬月さん」

 

 「こちらに」

 「あ、ああ」

 両者ともに気持ちの整理がついた後に、壬月を座らせキスをした。

 「ん。ちゅちゅくちゅ、じゅる・・・ごく。ぷ、ぷふぁ・・・せ、接吻というのは、はあ、はあ・・・こんなに気持ちよかったのか」

 「ふふ、覚悟してください。今からやるのは、それ以上ですよ」

 壬月の服を少しずつ脱がしていった。そして、水浴びの時に見たあの大きな胸をさらけ出した。

 「あ、あの時も、裸を見せたはずなのに・・・恥ずかしいな」

 「恥ずかしがることはありません。あなたの全てが、美しいです」

 「う、美しいだと!く、か、からかうな!」

 言われたことがないであろう言葉に赤くなっていく壬月を見て少し悪戯心がわいた。もう一回キスをしたが、さっき以上に舌の動きを激しくした。

 「ん!おい、ん!ちゅ、あ、んちゅく。き。気持ちいい」

 その舌の動きに徐々に快楽が体を支配し始めたせいで力が抜けていった壬月。アキラはキスを続けながら右手で胸を上下に揉んでいき、左手で更に服を脱がせていった。ついには全裸になった。

 「もっとだ。もっとやって、くれ。ああ、そうか。これが愛し合うか」

 でも、快感に夢中になっている壬月は、アキラに求められる事が嬉しく裸になっても恥ずかしいと思わなかった。そんな彼女の乳首に手を付けた。ドキッとした彼女が視線を下にやると、既にアキラのあの固い刀が姿を現していた。

 「・・・大きな刀だな。でも、それが。わたしのここで」

 「では、いきますよ」

 少し震えたが覚悟はできていると分かり、そのまま胸を揉んだ時から蜜を出し続けている壺に刀をつけた。刀が蜜で濡れていった。

 「こ、こい・・・ああ!ん!こ、これが、これが、子作り」

 「壬月さん、愛してますよ・・・あなたの真剣な想い、しっかり受け止めます」

 愛している。この言葉で一気に彼女の気持ちは頂点に達しようとなった。壬月の体を机の上に乗せ、そしてついに壺に刀が入った。

 「うごく、ああ、すごい!こんなの、初めて・・・強く、だ。抱きしめて、お願い。アキラ、おま、いや、あなたに・・・」

 「もちろんです・・・でも、これもやりますよ」

 止めていた左手で強く抱きしめ、右手でさっきの乳首をころころ転がす様にいじった。すると、電撃が全身に走ったかのように壬月の体がのけぞった。体も左右に激しく揺らし、灯が照らした汗を流した彼女が、懇願するような求めをする姿が扇情的で余計にアキラに彼女をもっと抱きたい欲が産まれた。転がす勢いを更に増した。

 「も、いい!駄目になる。だめになる。ああ、くるくるくる!きてしまう~!」

 「ええ!でも、まだです!もっと、もっとあなたが、ほしい!」

もはや、乱れに悶えるその姿は、水浴びで見た姿とはもはや別物だった。接吻をするたびに彼女の顔を、両手で二つの乳首を転がしつねるたびに彼女の胸を、そして刀を動かす速度をどんどん上げるたびに彼女の体全てを、もっと求めたい欲望が強くなった。

 「ああん!ダメ・・・女に、女に・・・お前を愛する女に、なってしまう」

 「なりなさい。あなたは、私の女です。妻です・・・離しませんよ」

 その言葉が彼女の体の感度を上げたと言っても過言ではない。一気に快楽の海にもぐりこんだ。アキラの方も支配欲みたいなものが生まれたのか、思わずその言葉を言った。

 「なら・・・して、くれ。お前だけを、お前しか体を許さない、私に」

 「もちろん、です、では、いきますよ!」

 再度心の眼で全身を見た。初めてなのに、熟女の魅力というのか。それが一気にアキラに性欲を上げた。そして、ついに。

 「く!こっちも・・・すごい。いきましょう・・・あなたは、わたしの、もの」 

 「あああああ。お、お前の・・・もの。いい!いいいいいい、くくくくくく!」

 壬月もアキラを力強く抱きしめ、そして接吻をした。彼女の蜜の壺にはアキラの熱いものが入っていった。彼女の大きな胸もアキラの胸につぶされた。更に接吻も口の中で熱い愛を絡め合った。

 「ん。ちゅう~~ん、アキラ・・・好きだ」

 全ての心の鎧を脱いで、だたの壬月となった彼女が心から愛の言葉を言った。その言葉にドキッとしたアキラ。それをごまかすように

 「まだ・・・いいですよね」

 「・・・ああ、もっと、お前を、アキラをこの体で受けたい」

 ただの女の壬月がアキラの性欲と愛をまた受けた。  

 

 全てが終わり、お互い着替えが終わったころは顔を真っ赤にしていた。

 「まずい・・・これが、愛し合う。子供を作るか。本当に、まずい。溺れそうだ。何か麦穂がアキラの名前を言いながら悦に浸っていた気持ち、やばいくらいわかる」

 「そ、そうで、すか。で、では。私は戻ります」

 「あ。ああ。そ、そうだ、な」

 ぎこちない態度と言葉で何とかアキラは陣を出た。動きからして、恥ずかしがっているのが分かる。そのアキラの背中を見る。

 

 『やばい・・・あいつに抱かれたことばかり何度も思い返される。明日が大きな戦いだというのに・・・だが、悪くない気持ちだ。本気であいつとの子供が・・・欲しいと思った。私は麦穂じゃないのに・・・あんなに求めて・・・でも、本当に、欲しい。それに、もっと、もっとあいつに、抱かれたい!くそ、どうしてもこの考えが止まらない!ああもう!』

 

 やはり大きく感じるその背中に想いを強くしたが、初めての快楽と処女を失ったこととどんどん出てくる淫らな願望が彼女の体に力が入らなくなっていき、まっすぐ立てなくなってしまい苦戦していた。

 

 

 「アキラ様~~!」 

 今度こそアキラ隊の陣に戻ろうとしたら、綾那と歌夜と出会った。

 「すいません。夜分遅く」

 「構いませんよ、それより何かご用ですか?」

 「あのですね!アキラ様に会いたかったのです!」

 「綾那が会いたいと駄々をこねて「こねてないです!」・・・こういうわけで」

 「なるほど。ふふ、ありがとうございます」

 むすっとする綾那を見て少し笑顔になった。

 「それで、どうしてこんな夜更けに陣にいなかったのですか?」

 「・・・見回り、というところでしょうか」

 さっきまで浅井の夫婦に桐琴と壬月の四人といろいろやってきたなんて言えないので、間違っていない言葉でごまかした。

 「そうですか・・・アキラ様も何か感じたのですか?綾那も似たようなことを」

 「そうです。手筒山城を攻めても全然手ごたえがなかったです!森のお母さんと小夜叉とで鬼退治したあの時より手ごたえなかったです!」

 「私も綾那と同意見です。葵様も注意しながら指揮していたのですが、全くと言っていいほど戦おうとせずむしろ倒されようとする。更にはあっという間に搦手門から出て行って」

 手筒山城の方も敦賀城と同じだったことに、少し考えた。

 「こちらも同じです。あっという間に絡めて門から出て行って、船に乗って・・・歌夜、今回のこれが鬼じゃなくて人相手ならどうです?」

 「そうですね・・・不気味さを感じます。何を企んでいるのだろうと」

 「ええ、全くです」

 だが、二人で考えても答えが出ずにさらに悩もうとした時だった。

 

 「でも、考えても仕方ないです!どこからでもいいから来るなら来い!です」

 

 この綾那の言葉が響いたのは、そしてはっとした。

 「・・・そうですね。変に考えれば考えるほど悪い方向になってしまいます(向こうの時はいつもそれだったのに、どうして忘れていたのでしょう。出たとこ勝負、それが一番だったじゃないですか)」

 かつての自分と一緒にいた仲間達の基準がそれだった。だが、ここでは指揮をする立場になっていたことでその事を忘れていた。

 「綾那の単純な発想が、この戦いで一番大きなことかもしれませんね」

 「ええ。綾那、感謝します」

 「二人とも??どうしたです?・・・あ」

 ?を出し続ける綾那に感謝して、そのお礼として頭を撫でた。

 「・・・ほわ~~、気持ちいいです。体がほわほわになる感じです」

 「それは何より・・・歌夜もどうです?」

 「え・・そ、そんな・って、あ・・・気持ちいい」

 「ほわ~~。雲の上にいる気分です~」

 「そ、そう、そうね。天に昇るというか、とても暖かい気持ちになるというか」

 綾那は心地よさそうに、歌夜は照れながらも嬉しそうに撫でられていた。

 『何か不思議です~~母様に抱きしめられている気分です~』

 『以前見えたあの傷だらけの手・・・ただすごいとしか見なかったけど、今はこの人のこの手に包まれたい。そして、この人に抱かれ・・・って私、何を考えて///』

 綾那は純粋に母の温もりを思い出したが、歌夜はちょっとピンクな妄想をしてしまっていた。

 

 二人と別れ自分の陣に戻ったアキラ。だけど、隊の皆は少し暗かった。

 「?皆さん、どうしました?」

 「あ。お頭・・・えっと」

 「あの、その」

 「アキラ様?あれ?」

 「何かスッキリしてますわね」

 「アキラ~どうしたの?」

 「でも、少しほっとしましたね」

 皆がアキラを見て困惑していた。でも、何やら安堵感のある空気になっていた。

 

 『もしかして、私がピリピリしていたから不安にさせてしまったのでしょうか・・・それは悪いことをしましたね』

 

 ずっと緊張感を持ったことにより、隊の皆を心配させたことへの謝罪を心の中でした。越前に入ってから気づいていたからこそ、その気持ちは大きかった。

 「あの、アキラ様。何かありましたか?」

 「はい。さっき綾那に会いまして、彼女の単純だけどそれが一番な言葉にほっとしたんですよ」

 そう言いながら見せた笑顔に本当に六人はほっとした。

 「そうですか。よかったです」

 「うんうん!お頭はそうやって笑っていてほしいです」

 「はい、私をさらった時も」

 「鞠を見つけてくれた時も!」

 「私を仲間に入れた時も」

 「二条館で鬼と戦っていた時も」

 そして、六人が一斉に同じことを言った。 

 

 「「「「「「笑っていました」」」」」」

 

 それを聞き、自分の笑顔がどれだけこの隊では重要だったのか。その事を初めて気づいた。

 「分かりました。これからも皆さんのために笑っていきましょう」

 「はい・・・あの~それでですね」

 ひよの何か言いたげな視線に嫌な予感がした。

 「それとは別になるのですが・・・」

 「アキラ様。今夜誰と寝ますか?」

 「はじめは真面目な軍議でしたのですが・・・」

 「後ろからという言葉に・・・私もですけど皆さんが・・・」

 「鞠なの!アキラと寝るのは鞠なの!」

 さっきまでのシリアスな空気があっという間にコメディにかわった。

 「ハニー!私が一番槍ですわ。さあ、この体好きに」

 「ああ、梅ちゃんずるい!私だって最初に抱かれたい!」

 「まあ、私は殿でいいので」

 「詩乃、まさか朝まで寝るためですか?」

 「あ!それがあった!さすが詩乃ちゃん!あくどいことはすぐ気づく!」

 「鞠も!鞠も!皆と寝るの~!」

 あっという間に本人がOKを出してないのに第二回アキラに抱かれたい大会が開催された。だけど、その光景を見て笑顔になる。

 

 『やれやれ、私の意見も聞かないで・・・でも、これがうちの隊でしたね。この賑やかで騒がしく、そして笑顔が絶えない。四聖天の時や壬生一族と戦う時もこんな感じでしたね。隊長という立場に立ち、いろんなことがあったために忘れてましたよ。気づかせてくれて、本当にありがとう。必ず、守って見せますよ』

 

 それは心からの笑顔だった。因みに明日が大戦になるので、結局誰もアキラと一緒に寝れなかったとさ・・・ちゃんちゃん。

 




 というわけで間章でした。

 壬月の想いと綾那と歌夜のアキラへの思いと想い。そして、アキラへの隊の皆の不安な思い、それとアキラの存在の大きさを書きました。


 では、本章に戻ります。シリアス続きになることをご了承ください。


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四十二振り目 悔しい・・・辛い・・・でも、前を向け

 どうも!今日から仕事始めの三MENです。

 ついに金ヶ崎の退き口が始まります。アキラの苦渋の話です。


 とある森の中にて、ある武将が大将に報告した。

 「御大将~。織田が敦賀と手筒山を落としたって情報がきたっす~」

 「へ~、早いわね」

 「何でも鬼がぱっと城から逃げたそうです」

 「逃げる?あいつらが?そんな考えを持ってなさそうなあいつらが?」

 「どういうことっすかね?」

 「・・・調教師ね。そういう指揮をしていたということでしょう」

 「調教師すか?」

 「そう、それで織田の他には誰がいるの?」

 「旗を見る限り、浅井に松平・・・二つ引き両の旗もあったらしいっす」

 「公方様もね~、今は鬼とその連合の戦いを見物させてもらいましょう」

 「その二つ引き両の旗の隣に、何やら面白そうな旗もあったって話っす」

 「面白そうな旗?何よ」

 「旗の真ん中に努力と友情って書かれていて、その真ん中に打つあう刀が描かれている旗っす。柘榴的には好感がもてる旗っす!」

 「初めてね、そんな旗・・・多分例の男の旗ね。ふふふ、確かに面白いわね。いったいどういう狙いがあってそういう旗を作ったのか」

 大将はニヤリと笑って、その戦いを静観することにした。

 

 その森の別のところでは、詩を読み上げる一人の男がいたが、周囲に誰もいないので気づくことはなかった・・・。

 

 

 越後の最後の戦い。一乗谷の戦いが始まった。

 「ヒャッハー!!てめえら!死ぬ覚悟はあるか!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \。ま、答えは聞かないがな!」

 「おら!気合入れて殺されにこんかい!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \。森一家共!敵味方関係ねえ!全員血祭にあげろ!」

 「三河の勇者共よ!日の本を悪に染め、我が覇道を邪魔する鬼共の殺しつくすのだ!」

 「三河衆!みんないくですよ!死ぬ覚悟はいいですね!」

 「江北の皆!滾っている~!さあ、森と松平に負けないわよ~!全軍突撃~!」

 森一家の相変わらずと松平の暗黒面と浅井のファンクラブ的なノリで連合の先鋒は鬼が押されている。というか、森一家に恐れて押されていると言った方がいい。

 「押してますね」

 「ああ・・・エーリカ、お前はこの戦いに何を望む?」

 「望みですか?鬼を倒して、アキラ様とずっと一緒にいたい・・・それだけです」

 「そうか。(一葉と会った時は何やら裏があるような一面が見えたが、今は違う。あやつが、誑して変えたのか?)」

 まっすぐな思いをまっすぐな瞳で答えたエーリカに、少しだけ疑いを持っていた久遠は気のせいという形で受け止めた。

 

 『私はもう決めた。だから、あの者が襲い掛かってきても・・・あの者?どういうこと?・・・まさか、私の一部消えている記憶の中にいる人物なの?そいつが私とアキラ様を離そうとした者・・・だめ、どんなに頑張っても顔も名前も思い出せない。でも、誰かいることだけは分かった』

 

 エーリカは自身の消された記憶の中を必死に思い出そうとしたができなかった。

 

 

 アキラはというと、今は隊を三か所に別れていた。射線を三方向から交差する一点集中射撃で鬼達を倒すという考えを出し、道の真ん中に足利衆、右に自分とひよと詩乃と鞠、左に雫と梅ところで配置して待機だった。

 「ご主人様、ただいま戻りました」

 そこに周囲を索敵していた小波が戻ってきた。

 「よかった。ちゃんと戻ってきましたね」

 「あ、はい・・・」

 顔を赤らめるがすぐに報告に戻った。

 「いない・・・ですか?」

 「はい、この周囲一里は鬼の気配も姿もありませんでした」

 「しかし、油断は禁物です。ここは敵地、敵の手の中にいるようなものです・・・いきなり出てくることも考えられます」

 「そうですね。今は「!!」、どうしました小波」

 小波の顔が突然険しくなった。

 「先鋒の森一家の様子を見ていた伊賀衆の繋ぎが突然途絶えました」

 「途絶えた?それはどうい「説明いいです。今は集まることを優先します!」」

 詩乃の質問を遮って、隊の皆に命令を出した。

 「わ、分かりました!」

 「わかったの!」

 「かしこまりました!」

 『少なくとも、予想外の事態がこれから起こるとみていい。始まりましたね』

 アキラは、始まったと感じ皆と共に足利衆のところに行った。

 

 真ん中にいる足利衆と合流。すぐに事情を説明した。

 「お主、この書状を本陣に届けろ!」

 「は!」

 一葉からもらった書状を一人の兵が受け取り、すぐに馬で走り去っていった。

 「あの書状は?」

 「予想外が起こった時にどうやって久遠を逃がすか、話し合ったじゃろう。その逃亡経路を書いた書状じゃ」

 一葉の手の速さに感謝した。

 「・・・ありがとうございます」

 「礼は後じゃ。今は「来るの!」、さすが鞠じゃな。余も分かったぞ」

 「は、それがしも」

 「ま、まさか!急いで左にいるアキラ隊の皆を!「遅い!くるぞ!」く!」

 嫌な気配に気づいたアキラは刀を抜いた。一葉・鞠・幽も得物を抜いている。

 

 「そ、そんな!お気を付けください!敵は足元!地中から来ます!」

 

 小波の言葉に答えるかのように鬼が地を割って現れた。

 

 『『『『『ぐるおおおお、ごごごごご』』』』』

 

 いきなりの出現に全員驚いた。アキラも地中から出たことに驚いたが、意識より先に体が動いていた。長年の戦いの記憶が、意識を止めてもなお体を動かした。

 「皆!今は生き残ることを考えろ!」 

 襲い掛かってくる鬼達の前に躍り出て、一鬼一振りで斬っていった。

 「っは!そうじゃ!皆の者!体制を取り直すのじゃ!」

 「そうです!皆さん、アキラ様の言葉を忘れないでください!」

 その言葉とは、隊を分ける前に言った言葉だった。

 

 『あなた達はアキラ隊・・・私の隊の人間です。その隊長である私からの命令は一つ・・・必ず生きて私の下に戻ってきてください。そして、これは私とあなた達の誓いでもあります。いいですね!』

 

 頭を下げてまで皆にそう言った。

 「そうだ!お頭が俺達に生きろと言った!」

 「なら、それに答えるのが俺達だ!」

 「やってやるぜ~~!」

 気合が入り、襲ってくる鬼達を迎撃する兵達。

 「兵に負けておれん!幽、行くぞ!」

 「ふふ、行かせてもらいましょう」

 二人もまた鬼達の前に出てどんどん斬っていった。

 「退却します。向こうの隊にも「いえ、見捨てます!」・・・そうですか」

 まだ合流していない左のアキラ隊に伝令を出そうとしたが、詩乃が見捨てる選択を出した。

 「今は生き残ることが第一です!そのためにも・・・あなたが「分かりました・・・だけど、悲しむのは全てが終わってからです」・・・はい!」

 涙を出しながら、決断した詩乃の苦渋の選択。彼女の顔を見たからこそ反対できなかった。

 「よし!今は左の事を考えるな!必ず、合流できる。そう信じるんだ!。今はこの窮地を脱することだけ考えろ!」

 「「「「「はい!」」」」」

 いつものしゃべり方ではなくなった。つまり、アキラも精神的にそれだけ追い詰められていた。

 「烏!雀!血路を開くぞ!撃て!」

 「・・・」「絶対に開きます!とお姉ちゃんも雀も言ってます!」

 八咫烏隊の射撃により、鬼達の動きが止まった。

 「あ、あれ?なんか鬼達、おかしくない?」

 ひよの言葉の通りだった。

 「アキラ。刀が光っているの」

 「本当です・・・鬼達がこの刀を見ている?」

 そう、鬼は攻撃をやめて、アキラの持つ二本の刀をじっと見ていた。

 

 『そういえば二条館で三好の鬼がこの刀に引き寄せられる。と言ってましたね。それは今がチャンス!』

 

 「いきますよ・・・夢氷雹天!」

 アキラのこの言葉に空気中から雹があらわれ、動きを止めている鬼達に命中した。

 『『『『ぐぐ、ごごごごご!』』』』

 そして、その鬼が凍り付き粉々になって消えていった。

 「退路が開かれた!皆のもの、生きるための道を進むぞ!」

 一葉の言葉に生きている兵はその道を走り出した。

 「・・・すいません。あなた方を連れていけなくて」

 「いいんです・・・お頭、これからも生きてください」

 「あっしらは嬉しかったです。お頭の隊になれて」

 「こんな楽しい部隊はほかにないですからね・・・ありがとうございました」

 だけど、全員が無事なはずなかった。手遅れの一撃を食らった兵は置いていかなくてはならなかった。

 

 「私は、生涯あなた達の事は忘れません!」

 

 刀を収め、血が出そうなくらい手を握り締めてその場を去るしかなかった。

 

 アキラ達は退却した・・・その肩に悔しさ・辛さ、そして悲しさをのせて。

 「あの兵達は私に生きてくれと言った。この隊に入れて嬉しかったと言った。ならば、その兵の思いを答えるのが隊長としての役目!絶対に・・・絶対に生き残ってやります!」

 「そうです・・・それこそ、私の愛したお方です」

 「そうじゃ、それでこそ余の愛した主様じゃ」

 「うん!鞠の大好きなアキラなの!」

 「生きましょう!皆の為にも!」

 「ご主人様!私も皆さんと共に進みます!」

 アキラの言葉に答えるように、皆が笑顔を取り戻した。

 「!ご主人様本陣を見守っていた手のものから連絡が入りました!」

 その時、句伝無量を受け取った小波が報告した。

 「それで、久遠は?他の者達はどうです!」

 「久遠様は松永弾正小弼が先陣をもって、敦賀を抜けているそうです!結菜様や浅井様、そして壬月様に麦穂様、三若の皆さんと退却しております!書状通りに朽木谷に向かっているそうです!」

 その言葉を聞き心でほっとしたアキラ。だが、報告の小波は暗い表情だった。

 「ですが、隊の前方にいた松平衆は行方知れず・・・あと、森一家も」

 「小波、ありがとうございます。葵なら綾那に歌夜がいるので、大丈夫ですよ。あの二人が絶対に彼女を守っています」

 「・・・はい!」

 力強く返事をしたが、顔は暗かった。

 「よし!久遠が無事と分かったなら、後は私達です!必ず美濃に戻ります!」

 「「「「はい!」」」」

 「それなら、余が殿をしよう」

 「は!それがしも致します」

 「・・・お願いします」

 アキラの言葉に皆が心を一つにして、再び撤退を開始した。

 

 『後は私達が生きて戻る・・・だが、悔しいです。守れなかった・・・助けられなかった。でも、あの兵達の望みを叶えるためにも、私は前を進みます。あの兵達が命を懸けて開いた道を・・・』

 

 アキラにとって悔しく、痛い撤退となった。

 




 アキラ、悔しさを持ち前を進む。

 次回は逃亡途中です!


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四十三振り目 不安?絶望?皆いれば怖くない!

 
 こんばんは!どうしてもすぐに書きたいと思い書きました!

 越前逃亡途中です。

 因みに原作では小波はケガを負いましたが、ここではアキラが鬼を倒したためケガをしていません。


 「アキラ様。森の魑魅魍魎を口説いてはくれませぬか?」

 「口説く気はないですが、愛をささやくことは出来ますね」

 「ふふ、神様すら口説けそうですね。アキラ様なら」

 「主様。さあ、将軍であり神でもある余を口説け!」

 「・・・好きですよ」

 「いやっほ~~!やったやった!」

 「何故でしょう。アキラ様から好きと言われたのに、今だけは羨ましいと思えないのは」

 「夜叉を口説いたからでしょう」

 「あ、なるほど」

 「聞こえておるぞ!幽、貴様余をそんな目で見てたのか!」

 という雑談は屋敷や城でやっていれば楽しいものだが。

 

 「ここ、どこなんでしょうね」

 

 ひよの言葉で現実に戻る。アキラ達がいるのは初めて来た越前の森の中。しかも、鬼から無我夢中で逃げたので方角すらも分かっていない。

 「小波さん。お願いがあります」

 「は!今の居場所と鬼の集団の確認ですね!」

 「詩乃、それは「やらせてください!」・・・小波」

 「私は奇襲を予測できなかった。地中から攻めるなんて忍びでは当たり前の技。しかし、鬼だからとその考えを忘れてしまっていた!これは私の責任でもあるのです!」

 小波の目を見て、止められないと悟った。

 「・・・分かりました。でも、一つだけ」

 「必ず生きて戻ってきます!・・・私はこの隊とご主人様が好きです。だから、必ず戻ってきます!私の居場所を作ってくれたこの隊に!そして、皆さんと無事に脱出したときに笑いあいたいです!」

 そう言って小波は笑顔を見せて、姿を消した。

 「小波が頑張ってくれる間に、自分達は鬼の様子を確認しないと」

 夜でも目がきく烏によると、鬼達はゆっくり追いかけているとの事。理由は鬼も休んでいるのではないか?ということ。これなら鬼達は自分達に意識を向けているから久遠達も無事に戻れる可能性も高いということだった。

 「とりあえず、今は休むことと体力を戻すこと。これに限ります。波にんが戻るまではそれをしましょう・・・」

 

 一通り話を終えると、アキラは自分の今までのケガの治し方や疲れを取る方法を兵達に施し、水を与えたり、小腹がすいたなら食べ物を上げたりした。これ以上信念を持つ兵達を死なせるわけにはいかないので、アキラは最大限の手当てをした。

 彼らの手当てを終わらせると小波が戻ってきた。

 「報告させていただきます」

 報告によると、越前の東の方に移動していたつもりが北の方に移動していたこと。鬼達がいくつか集団でいたこと。その集団が少し集まりつつあり、自分達に迫っている。主にこの三つだった。

 次に自分達の今後の進路だが、越前の隣の加賀に向かってその後は越中・信濃を通って美濃に戻るということになった。ただ、信濃は今は武田の勢力下。無事に通れるかは分からずじまいだが、今はそれよりも生き延びることを第一に考えるべきだ。

 「では、加賀に向けて(パパパン!)、な!銃声!」

 「・・・これは北の方からですね」

 「もしや、余らのように逃げた集団が同じように北に逃げてきたのか!」

 「鬼が複数動いている(パパパ。ダダダ!)、ええ!こ、今度は別の方向から聞こえましたよ!」

 銃声に方角の方を見た一葉と幽。更に聞こえた銃声にひよが驚いた。

 「南と西からです。おそらく同じように」

 「なるほど、鬼達の集団がいくつもいるというのはそういう意味もあったからですか・・・ならば好都合!」

 小波の言葉に、好機と見てアキラは全員に言った。

 「鏑矢を上げなさい!その者達をここに呼び寄せるのです!」

 「な!そ、それだと鬼も呼び寄せることに!」

 詩乃の言葉に頷きながら、言葉を続けた。

 「構いません!このままではいずれ全滅になります。しかし、集まって戦えば万に一つの望みがあります!今はそれに賭けます!私も・・・もう躊躇いません。全力で戦います!」

 「はい!ころちゃんや雫ちゃんに梅ちゃんに会うためにも!皆で生き残るためにも!呼びましょう!」

 ひよの言葉に皆笑顔になった。

 「そうですね。可能性は低い・・・でも、ゼロじゃない」

 「夫がそう決めたのなら、それに従うのが妻じゃ」

 「それがしも妻ではないですが、アキラ殿に従います」

 「ご主人様のために戦う。それが私の喜び!」

 「やりましょう!絶対に生き延びましょう!」

 みんなやる気が入った。兵達も目に光が戻った。

 「むにゃむにゃ。おはようなの~(ふぁあああ)」

 「皆さん、山を背に隊列を組み戦います。逃げ道はなくなりますが、背後からの奇襲はなくなります」

 鞠も目を覚まし、皆戦う準備ができた。

 「鏑矢あげろ!」

 「アキラ隊の旗と源氏の白旒旗をあげるのだ!」

 アキラの言葉に答えるように鏑矢を上げて、一葉の号令で二つの旗を立てた。そして、少ししたら三つの鏑矢の返答が来た。すぐに隊列を組み皆準備に入った。

 「足音、百程度です!」

 小波の言葉に緊張が走る。仲間か、鬼か。二分の一の確率。しかし、アキラはすぐにわかった。覚えのある気配が三つとその後ろを百ほどの気配を感じ取ったからだ。

 「仲間です!迎え入れる準備を!」

 そのアキラの言葉を証明するかのように見えてきたのは

 「蒲生の鶴紋に万字の藤巴の旗・・・ということは」

 「ご、ご、ごろぢゃ~~~~ん!」

 幽の旗の説明と涙目で叫んだひよの言葉に答えるようにやってきたのは

 

 「ハニーーー!」

 「アキラ様!」

 「アキラ様~!ひよ~!」

 

 雫と梅、そしてころとアキラ隊の兵達だった。

 「ごろぢゃ~~ん!よがっだ、よがっだよお!」

 「もう、私まで泣きそうになるじゃない・・うう、ひ、ひよ~!」

 「雫・・・私は」

 「いいのですよ。詩乃は正しい判断をしました。だから、気にしないでください」

 幼なじみ・友そして兵達。数刻しか経ってないのにもう何年振りみたいな喜びを分かち合った。

 「ハニー、やっと、やっと、戻ってこれました・・・あの言葉、あれがあったからこそ戻ってこれました」

 「梅・・・ありがとう。皆を守ってくれて・・・そして、私の前に戻ってくれて」

 梅の体を抱きしめた。

 「あ、ハニー」

 「本当にこんなに冷えて、髪もぼさぼさになって、皆を兵達を支えるために前に出て・・・本当に頑張りましたね」

 頭を撫でて、梅の体を少しでも温めようと抱きしめる強さを増した。

 「今、とても幸せですわ・・・ハニーの匂いでこの体の疲れが取れましたから」

 「そうですか、それはよかった」

 「ハニー・・・ずっとこうしていたいのですが・・・お二方も」

 「ええ、「「アキラ様!」」二人とも、よかった!」

 梅が体を離し、次に雫ところが抱き着いてきた。

 「何とか、無事に合流しました!」

 「よかったです!も、もう、会えないんじゃないかと思って」

 二人の体も抱きしめた。

 

 『神仏など信じる気もなかった・・・でも、この時だけは信じられます。ありがとう、仲間と再会してくれて』

 

 心で思ったことを口に出さないで。

 「さて、再会の喜びはここまでです」

 だが、すぐに気合を入れ直して真剣な顔になった。

 

 無事、合流したアキラ隊の皆と共にこの場所を死守することになった。鏑矢は詩乃の言う通り、仲間への合図であると同時に鬼を呼ぶ合図でもあるのだ。

 「うて~~~!」

 「長柄隊!槍をつけ!」

 「幽!いくぞ!」

 「っは!」

 やってきた鬼達に負けないよう八咫烏隊は鉄砲をうち、長柄隊は槍をつき、足利衆は一葉と幽の二人が来る鬼を斬りまくる。弾を装填し直した鉄砲を撃てば、次は弓を射て攻撃し、再び槍で突き倒す。

 「疾風、烈風、砕雷矢!」

 鞠りんのお家流も炸裂。そして、

 「私が出ます!」

 アキラも前に出て、夢氷雹天を放ち鬼達を粉々にする。鬼達も少しずつ少なくなってきているが・・・こちらの方が体力の消耗が激しい。アキラや一葉、幽と鞠に小波。この五人ならまだ持つが、残りの皆がそこまで持つかわからない状態だ。

 

 『さすがに・・・やばいですね。向こうの頃とは勝手が全く違うから、これほど難しい戦いは初めてです』

 

 アキラ自身も将や兵の疲労に少しやばさを持った時だった。鬼の声が自分達の後ろから聞こえたのは。

 「な!あ、あんなところにもいるだと!」

 「お姉ちゃん!」

 「・・・(こく)」

 自分達の後ろは山。その山の上に鬼がいたのだ。烏が眉間を撃ったが、鬼は一瞬よろめいただけですぐ立ち直った。

 『く!こうなったら』

 紫微垣に手を回そうとした時だった。

 

 「ひゃぁぁぁぁぁっは~~~~~!」

 

 何とも聞き覚えのあるそして力強い掛け声が聞こえたのは。

 「ちょ、ちょっと、あれってちんくしゃ!何で崖を水平に走れるのよ!」

 梅の言葉にはアキラもこっそり賛同した。 

 「真っ二つにしてやるぜ!いっけ~~!刎頸二十七宿!」

 小夜叉の持つ愛槍人間無骨が光を放ち、その槍を振るうとそのまま鬼共々山の崖ごと真っ二つにした。その崖が斬られたところからひびが入りどんどん瓦礫となって落ちてきた。

 「な!あれじゃあ、崖が落ちてきて私達ぺしゃんこになってしまいますわ!」

 「全軍、つぶされたくなければ前に出なさい!」

 詩乃の指揮で必死の特攻で、目の前にいる鬼を押し返して前に出た。鬼達も崖が落ちてくる現実に唖然としてしまい、兵達の突撃に何匹かは倒された。

 「ふう、崖の破片という言葉をこの世界でも使うとは思いませんでした」

 「あの~、お頭。それって向こうの世界ではよく言っていたのですか?」

 「もちろんですが」

 「も、もちろんって!」

 「ひよ、お頭もキチ〇イに入っていること忘れてるね」

 アキラの言葉に絶句するひよに突っ込むころ。

 「その話は今度にしましょう。皆さん!無事ですね」

 「はあ、はあ、はあ。な、何とか、無事、ですわ」

 「よ!アキラ、無事だったな!さすがだぜ!」

 目の前にその崖を切り崩した張本人が笑顔で現れた。その張本人に一番焦った梅が怒りの言葉をかけるが、売り言葉に買い言葉で火花が散りそうだったので頭を撫でて怒りを鎮めた。

 「さて、あなたがここにいるということは」

 「ああ、母もそろそろ」

 

 「ひゃ~~~~はっはっはっは!」

 

 「タイミングがいいですね・・・」

 崖崩落で気配を感じるのを忘れていたが、あの声でやっと落ち着いた。

 「森一家!好き放題しまくった鬼共を全殺しじゃ!一匹残らずぶちのめせ!」

 「「「「おおおおお!よっしゃ~~~!」」」」

 藪の中から桐琴と各務に森一家が現れて、自分達の前にいた鬼達の横に突進して、そのまま全殺し惨殺虐殺撲殺etcを楽しそうにやっていた。

 「・・・・・・え、え?こ、これって」

 「おや、雫は初めてですか?なら、向後の為にも慣れるべきでしょう」

 「ちょ、ちょっと詩乃!目を閉じられないようにするのはずるいです!」

 「私は慣れました。友も道ずれ・・・もとい慣れるようにしているだけです」

 どう見ても道ずれが本音にしか見えない行動だった。

 「し、詩乃ちゃん、初めて詩乃ちゃんが鬼に見えるよ!」

 「楽しそうにしているところすいませんが・・・詩乃に雫、指示を!」

 「「っは!あ、はい!」」

 「お頭、あれが楽しそうに見えたのですか!」

 ひよのツッコミを無視して、反撃の合図とともに残っている鬼を森一家と一緒に全滅した。

 「いや~、やっぱりアキラは死ぬわけないよな!」

 「そちらは殺しても死ななそうですが・・・あの奇襲はすこし心配しましたよ」

 「まあ、あれは確かに驚いたな!まさか地面から来るとは思わなかったぜ!」

 小夜叉が笑っていると、服を鬼の血で真っ赤に染めた桐琴が前に来た。

 「アキラ、お前の予想通りだったな・・・それで、これからどうするんだ?」

 「加賀に逃げます。その後は越中・信濃を回って美濃に戻る予定です」

 「ふむ・・・信濃の武田がどうなるかは分からないが、とりあえずそれが妥当か。すぐに美濃に戻っては、まだ追いかけてくる鬼共も連れてくることになるからのう」

 「ですので、力を貸してください。二人とも」

 「もちろんじゃ!」

 「おう!アキラは俺が守るぜ!」

 森一家も数は減ったが合流できた。集まった数も多くなり、皆の気持ちも少しずつ余裕と勇気が出てきたのか、兵達も笑顔が戻った。

 

 『後は、皆と無事に逃げるだけ・・・それより気になるのは鏑矢ですね。返された三つのうち二つはアキラ隊の片割れと森一家と見ていい。だけど、後の一つはいったいどこでしょうか・・・』

 




 アキラ隊と森一家と合流しました。

 そして、ついに次の話でアキラ再びあれを使います!


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四十四振り目 断固たる決意・・・そして邂逅

 
 こんにちは三MENです!

 では、ついにアキラの力を見せます!


 

 アキラ達は今松平の陣にいる。何故かと言うと、森一家がアキラ隊に合流したすぐ後に別の場所から鏑矢があげられたのだ。最初のはこっちへの返事の意味がこもっていると見れるが、二本目となると話が別だ。

 『救援を要請している可能性が高い』

 雫の言葉に、すぐに助ける決断をした。ただし、その場所までうまく行けるものではなかった。

 

 『くらえ!鬼共!妙見菩薩掌!』

 『三千世界!』

 

 小波が葵の為に、最後の最後まで取っておきたかった奥義に一葉のお家流。後、鞠のお家流に八咫烏の射撃で追ってくる鬼達を何とか撃退し、やっと鏑矢を打ち上げられた場所に行くと松平勢が苦戦していた。そこに森一家の援軍のおかげで落ち着けたのだ。

 「ありがとうございます。アキラ殿」

 「お互いにやばい状況でしたからね。葵は大丈夫でしたか?」

 「はい、何とか・・・ですがこちらも犠牲が出てしまいました」 

 辛そうな顔で葵と話を始めた。アキラ達の逃亡進路に松平も同行することにしたこと、松平の持つ鉄砲も全部アキラ隊で所持していいこと、最後にその際の殿をたった二人でやることにした。その二人が桐琴と・・・アキラだった。

 「私が殿をします・・・桐琴さん、すいませんが一緒にお願いします?」

 「アキラ・・・わかった」

 怒りの感情を込めた返答だった。そして、陣を出た後桐琴から言われた。

 「お前。自分の言ったこと、分かっているのか?そもそもお前は!」

 アキラの立場を理解しているからこそ、彼女は怒りを抑えずに声を荒げようとした。でも、アキラはそれを止めた。

 「・・・分かっていますよ。本来の立場を考えれば私はそんなことをしてはいけないことを。人の上に立つ私は見捨てる覚悟も必要だということも。桐琴さん・・・殿は本来なら、あなた一人に任せるべきだということも」

 

 「そこまでわかっているなら、何故おまえが殿に立つ!こういう決断をするときも大前の立っている立場ならするときがある!今がその時じゃろうが!」

 

 ついに襟首まで掴んで、アキラを持ち上げた。

 「私自身がまだ全部出し切っていない。全てを出し切ってからその決断をしても遅くない、そう思っただけです」

 「それだけの為に「そのそれだけに・・・苦しんだことがあります」ふむ、経験済み・・・だから全部出し切ってからか。その決意、断固として変える気はないのだな」

 「ええ、絶対にね」

 悔しそうに桐琴はアキラを下ろして、手を離した。 

 「・・・お前のその提案を受けよう。本当なら、今この場で無理矢理気絶させるつもりでいたがな」

 「なんとまあ、恐ろしいことを」

 そう苦笑いしながら思い出した。一度は思い出した親友のあの言葉を。

 

 『わい、あんさんに出会って本当に良かったと思うておる。あんさんの背中を見て勇気づけられたんや!わいにとってあんさんは最高の親友や!頑張りや!』

 

 ええ、頑張りますとも・・・あなたのようにね。そう思い出しながら隊に戻った。もちろん、殿を二人のみでやることは皆は大反対だった。ひよやころは泣きながら止めに入ったが、桐琴と一緒ということで何とか納得した。

 

 そして、ついにその時が来た。桐琴は森一家と小夜叉に先陣を任せ、他の皆も隊列を組み先を進んだ。道中もやはり鬼達が現れたが皆の決死の戦いと幽のお家流・十木の御詠で何とか進んでいった。ただ、桐琴は小夜叉に殿を自分とアキラのたったの二人だけでやっていることは言わなかった。

 「来ましたね・・・」

 「ああ。いいか、わしの役目はお前を逃がすことだ。もし、危険と分かったらその時点で背中を蹴っ飛ばしてでも行かせるからな」

 「ええ、その時は遠慮なくお願いします」

 アキラは二本の刀を抜き、桐琴は愛槍蜻蛉止まらずを構えた。二人の前には、たくさんの鬼がいる。

 「鬼殺し、どっちが多くやれるか勝負です!」

 「こんな時ですら貴様はこうなのか!・・・でも、悪くない!」

 二人は突撃した。どんどん斬っていき、突いていき、時には背中を合わせて戦った。だが、どんどん増えていく。

 「く!よもや、愛槍が折れるとは!」

 四半刻ほど経過して、鬼を斬っているうちに桐琴は自分の得物が壊れてしまった。それを見て、もはや使うしかないとアキラは決意した。

 「・・・今から全力を使います。おそらく、動けなくりますので桐琴さんは私の足をお願いします」

 「・・・お前、まさかそのためにわしを?」

 「そうですよ・・・まあ、あの時に話したことも全部本心ですけど」

 「くくく、不思議じゃな。何かお前のやり方が少しずつ正しいと思えてきた」

 ずっと険しい顔だった桐琴も、笑顔が戻った。何しろ、アキラを自分も逃がせる状況を作り出そうとしているのだ。笑っている間にアキラは刀を戻し、紫微垣を抜いた。

 「いきますよ・・・あなたの全力を出しなさい!」

 光り輝く紫微垣に桐琴は驚く。そして、アキラの目が開かれたことに驚いた。

 「アキラ・・・貴様、いったい何者じゃ」

 「さあ、ただの人間ですよ。と言っても自分も最近疑問ですけどね」

 「ふん、後で聞かせてもらうぞ」

 「ええ、では行きましょう!」

 光の強さがさらに増していった。桐琴と鬼達は思わず動きを止めた。

 

 九頭竜川の少し奥のところに人がいた。

 「御大将~そろそろ来ると報告がありました」

 「さあ、あの男はいったいどんな人間かしら?」

 「目が見えないって、いったいどうやって生きているんでしょうね?」

 「普通じゃ考えられない」

 「それは会ってからにしま・・・」

 「あれ?御大将、どうし・・・」

 「柘榴も・・・」

 「「「な、な、な、何!あれ!」」」

 御大将と呼ばれる女性が動きを止め、視線の先を二人が見ると二人も止まった。

 

 九頭竜川までたどり着き、渡ろうとする松平勢。

 「アキラ様はどこですか!」

 「アキラ様・・・」

 「やれやれ・・・葵様、この二人はもうあの男に誑されたみたいですね」

 「悠季、その言葉は失礼ですよ。アキラ様がいるからこそ、私達はこうして逃げられるのです」

 「おや、これは失礼なことを」

 『アキラ様。どうか、ご無事で・・・え?な、何、あれ!』

 心配していた歌夜が後ろを振り向くと動きが止まった。

 

 森の中を必死に走り、九頭竜川に着いてないアキラ隊の面々は気づいてなかった。自分達の後ろで、一葉や小波のあのすごいお家流すら軽く見えるくらいのとんでもないものが出ていたことを。

 「あ、あ、アキラ・・・お前」

 「正直、自分も驚いています。まさか、これが使えるとは」

 桐琴は呆気に取られ、絶句している。アキラもまた心から驚いている理由・・・それはこの周辺の森の木を全部焼き払ったこの存在にあった。

 「無明神風流殺人剣・奥義の一つ朱雀・・・何故、私が使えるのか?それは今は関係ありません。今は、使えるなら使うのみ!」

 アキラが刀をダイヤモンド・ボルトと同じように上に掲げた。すると一本の光が空高く伸びていったら、朱雀が下りてきたのだ。

 そして、アキラが紫微垣を振り上げた。

 「この言葉、まさか言うことになるとは」

 超視野化で鬼達の居場所を確認。

 「鬼の皆さん。あなた方も、感じたでしょう?」

 鬼に話しかけた後、そいつらに朱雀がぶつかるように、刀を振り下ろし始めた。

 

 「不死鳥の息吹を」

 

 その言葉と共に刀を振り下ろした。すると、刀から扇状に斬られた衝撃がどんどん増えながら広がっていく。鬼達はどうしようもできないままその衝撃に押しつぶされていった。 

 「こ、これは・・・」

 唯一の目撃者である桐琴も言葉が出なかった。ここまでの破壊力とその効果の範囲は誰よりも戦場に出ていた彼女でも初めてだからだ。

 「後は・・・頼みます」

 紫微垣をしまうと、アキラはその場で倒れた。慌てて起こすと目は閉じており、意識も失っていた。

 『わしはこやつの手の中で動かされていた・・・たまには、好きになった男に手玉を取られるというのも・・・悪くない』

 桐琴はアキラをおんぶして皆の後を追いかけた。

 

 だが、これで鬼の進行が終わったわけではなかった。

 「く!まだいたのか!」

 てっきり小夜叉の先陣で全滅したと思っていた鬼がまだ残っており、そいつらが二人の前に現れたのだ。得物を失った桐琴と気を失っているアキラを見てこれなら大丈夫と出てきたのだろう。しかも、アキラを背負っているため桐琴は両手が使えない。

 「くそ!」

 走って抜けようとしたが既に進路を失った。絶体絶命の言葉が頭の中に出た。

 

 

 その頃アキラ隊は九頭竜川を渡り終えて、川の向こうに渡っていた。アキラの出した朱雀を見なかったからこそ動きを止めないで進んだから、動揺することなく川を渡れたのだ。

 「おい!本当に母とアキラは戻ってくるんだよな!」

 「・・・余とてそう信じたい!」

 今はただ、戻ってくると信じる二人を待つのみだ。九頭竜川に着いてから、やっと小夜叉は桐琴とアキラがたったの二人で殿をしていることを知らされた。当然それは怒りに体を支配されてもおかしくない話だった。だが

 

 『余だって、皆だって・・・止めたかった!』

 

 心から辛い顔を見せない一葉が、初めて見せたそれを見て拳が力強く握られ続けているのを見て、小夜叉も怒りを抑えた。誰もが必死に最悪の結果を考えないように二人が来ると待っていた時だった。

 

 「へ~、一葉様。そんなにその男が気に入ったんだ」

 

 後ろから声が聞こえたのは・・・全員が後ろを振り返ると三人の女性がいた。三人とも一葉には見覚えがあった。そのうちの一人に絞って話しかけた。

 「何故お主がここにいる?・・・長尾美空景虎」

 「ちょっとね・・・」

 「ふん。どうせ久遠の越前討ち入りの話を聞きつけて、見学していたのだろう」

 「か、一葉様。今長尾って・・・」

 詩乃の質問に頷いて答えた一葉。

 「間違いない。こやつは越後国主で関東管領の長尾美空景虎だ。後ろにいる二人も美空の部下だ」

 「確か、お二人は柿崎殿と甘粕殿でしたな」

 「それで、いつまで待つの?ずっと待つわけにはいかないわよね(うふふ)」

 「・・・頭でもなんでも下げる。主様を助けてほしい」

 にやついた顔で一葉に問いかけた長尾。断腸の思いで一葉は頼んだ。

 「・・・本気なのね。そのアキラという田楽狭間の天人に惚れたというのは」

 「アキラがもし死んだら、余はこの場で首を斬る」

 一葉のその決意に、珍しいものを見た顔になった長尾。

 「ふ~ん・・・せっかくここまで来たのに、本人を見ないというのも来た甲斐がないから・・・柘榴、お願い」

 「はいっす。ってあれ?誰か川の向こうにいるっすよ?」

 柘榴と呼ばれた女性がそう言うと、一斉に向こうを見た。

 

 「アキラ着いたぞ!皆、川の向こうだ!」

 「全く・・・来て早々あんなことになっているなんて。予想はしていたけど相変わらず戦いの場にしかいない男ね」

 「それがアキラさ。でも・・・無事でよかった」

 「本当に・・・あの鬼?という奴に囲まれているのを見た時はもう・・・」

 「・・・・・・とりあえず、ありがとう。三人とも」

 

 そこにいたのは見慣れない槍を持つ桐琴と、三人の女性、時人・朱雀・庵樹。そして意識が戻ったけど庵樹に背負ってもらっているアキラの姿だった。

 




 ここまでです!次の四十五振り目でついに第五章終わりです!

 遂に長尾美空景虎と会うアキラ!やっとアキラと会えた三人!

 三人がここまでこれた経緯を次の話の前の特別編でやります。



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特別編4 行ってきます!行ってらっしゃい!

 
 こんばんは!ついに三人がアキラと再会しました!

 今回は会うまでの経緯です。ただし、ある人物にとっては辛いことが起こります。



 場所はゆやの団子屋。そこにはアキラの関係者がいた。

 「今日で間違いないんだな・・・この鏡が光るのは」

 「間違いないわ。おそらく、その時が最初で最後の」 

 「チャンスってことだね・・・」

 時人の質問にゆやが答えた。最初で最後のチャンスに、庵樹の手に力が入った。

 「アキラ、元気だよね?」

 「灯はん、決まってるがな!アキラはんはずっと頑張ってるんや!」

 「ふん・・・ま、元気ならいい」

 「おい狂、少しくらいは心配してやれ」

 梵天丸に壬生京四郎、灯にほたる、紅虎に狂。他にも辰怜に遊庵などほぼ勢ぞろいだった。

 「京四郎さん、朔夜さんは大丈夫かい?」

 「大丈夫ですよ幸村さん。今は赤ん坊とぐっすりです」

 「にしても、未来を見る巫女の力は健在だったのか」

 「サスケ君、隠していたわけじゃないよ。使う必要がなかっただけだ」

 「でも、今回だけはそれがありがたいね。いきなりさよならはないから」

 四方堂の言う通りだった。アキラはいきなりさよならだったから、あの時の三人はもう気が気でなかった。

 

 アキラのいなくなった部屋に三人は集まった。村正の四つの武器とその前には鏡も設置している。

 「持っていくものは全部持ったね」

 「はい、自分達の武器にアキラ様の壬生一族特有の死の病に万が一感染していた時のための薬」

 「そして、決意だね・・・もう二度と皆と会えないから」

 アキラと同じ世界に行くという事はそういう事でもある。朔夜からの連絡があるまでは全員への挨拶をすませた。そして、今日という日を迎えた。

 「皆さん、向こうに行っても頑張ってください」

 「もちろんさ。絶対にあいつを見つける!」

 「私の存在はアキラ様以外考えられない・・・あの人が助けてくれたから、私を作ってくれたから」

 「兄貴・・・庵奈姉さん、ごめん。でも、でも・・・追いかけたい」

 ゆやの言葉にそれぞれの心中が口に出た。

 「では、おそらくそろそろだと思いますから・・・」

 ゆやがいなくなり部屋には三人だけになった。

 「紫微垣を最大限まで力を出さないといけないから、戦いの最中だろう」

 「だから、すぐに戦える準備はしておけということですね」

 「むしろ、戦わないあいつの姿が想像できないよ」

 「「全くだ(ですね)」」

 庵樹の言葉に呆れるように賛同した二人。そして、時人が本当の自分の刀・北斗七星を持った時だった。

 「・・・見えた。アキラが紫微垣を握った姿が」

 「ということは!」

 「くるね!」

 アキラの姿が見え、鏡が光り輝いた。その光の強さに、皆も気づいてその部屋の前にやってきた。

 「三人とも!強く想うんだ・・・会いたい人の事を」

 京四郎の言葉に三人の頭の中にアキラの姿を現れた。

  

 『『『アキラ(様)、会いたい!』』』

 

 時人の村正の妖刀の力を最大限まで出す力を使って、その場にある北斗七星と残り三つの村正の武器も光り輝いた。

 「く!眩しい」

 その光はとても強くなり、誰もが目を閉じるしかなかった。数分後にやっと光が弱くなり、みんな目を開けると三人の姿がいなかった。

 「・・・行ったか」

 狂の言葉で、皆思った。本当にいなくなったんだな、と。

 「三人とも、幸せになってね」

 ゆやの言葉に全員が頷いた。

 

 だが、三人がすぐには行けなかった。むしろ、行けなくなりそうになっていた。

 「急がないと!」

 「やはり負担が大きかったのでしょうか!」

 「今は走るんだ!あの出口に向かって!」

 三人は必死に走っていた。今いる場所はただずっと前に出口らしきものがあるそんな空間だった。だが、その出口が少しずつ小さくなっている。朱雀の言った通りアキラの時は一人だが、今回の三人はもともと無理があった。

 「まずい!閉じる!」

 「待って!お願い!」

 「会いたいんだ!あいつに!」

 出口が徐々に小さくなっていく。三人の目から絶望の涙が出た・・・その時だった。その出口が逆に大きくなっていった。

 「え!どうして」

 一人がやっと通れる狭さになっていた出口が余裕で通れる大きさになった。三人のその疑問は・・・とても懐かしい声が答えてくれた。

 

 『本当に、世話を焼かせますよね・・・あなたは』

 

 その出口に一人の男がいた。その男は時人には覚えがあった。

 

 『大きくなったな、時人』

 『姫時に似てきましたね。さすが親子です』

 『美人さんになったわね~』

 

 更に、三人の後ろから男二人女一人の声がした。

 「そ、そ、そ、そんな・・・ひしぎ、おじ様・・・母様・・・と、父様」

 「む、む、村正様!」

 「え?え!こ、この人達が!」

 時人と朱雀は震えていた。何しろ決して会うことのできない人達が目の前に現れたのだから。唯一村正・姫時・吹雪・ひしぎの四人と会ったことがない庵樹だけが、純粋に驚いていた。

 「ど、ど、どうして父様と母様がここに!」

 『あなたの事が心配だったのよ・・・母親としてね』

 『ああ、ちゃんと元気に生きているのか不安だった。魂だけになった時にあの鏡に入り込んだんだ・・・姫時もいた事には驚いたが』

 『朱雀・・・あなたとそちらの方が面倒見てくれたのですね。ありがとう』

 「村正様・・・こちらもお世話をさせていただきありがとうございました」

 『それより、急いだほうがいいですよ。私があれを広げている時間も短いですので、早く入らないと永遠に会えなくなりますよ』

 ひしぎの言う通り、今は出口に急がないといけなかった。村正・姫時・吹雪の三人が時人達の後ろに行き、三人の肩にそれぞれの手が乗った。ひしぎは再び出口が小さくならないように抑えていた。

 『ねえ、あなたいいお姉ちゃんになってくれているみたいね。あの子の母親としてありがとう。これからもよろしくね』

 「・・・私もいい妹ができたみたいで嬉しかったです」

 庵樹の肩に姫時の手が乗った。

 『朱雀、あなたも心から慕いたい男性ができたのですね。あなたも幸せのなってほしいと思っておりました』

 「村正様・・・はい、必ず幸せになります」

 朱雀の肩に村正の手が乗った。

 『ずっと、したかった。父親らしいことが・・・やっと出来た』

 「そんなことない!ずっと見続けてくれた・・・守ってくれた・・・最後に娘として、見てくれた・・・それで満足だよ!」

 『本当に、すまなかった・・・でも、ありがとう』

 最後の時人の肩に、吹雪の手が乗った。

 『さあ、行きなさい!あなた達の行く世界へ!』

 「分かっている!でも・・・一つだけ」

 ひしぎの言葉に頷き、時人は四人の顔を見て大きな声で言った。

 

 「ひしぎ!おじ様!母様!父様!ありがとう!行ってきます!」

 

 出口に向かって走り出した。朱雀と庵樹もすぐに後を追った。

 「最後に顔が見れて、本当に嬉しかった!お・・・いや私頑張るから!」

 そう叫びながら、ついに出口を通って向こうの世界に行った。その出口も完全にしまってその空間には四人が残った。

 『行ったか。本当に大きくなっていたな』

 『心も強くなってましたね・・・吹雪良かったですね』

 『同じ女として嬉しいわ。世界を超えてまで、好きな人ができたことに』

 『おじとしても嬉しいですよ・・・それより、吹雪一つ聞きたいのですが』

 『何だ?』

 『あなたの様子を見ると、あの子の為だけじゃないように見えるのですが』

 『そうね。あの子達の好きになった人にも何かしたかった感じね』

 『それは初耳ですね・・・いったい何があったのです?』

 三人の言葉に吹雪は少し黙ったが、すぐに答えた。

 

 『あの盲目のサムライには、借りがあったからだ』

 

 『『『借り?』』』

 『ああ、鬼目の狂に倒されてもう死ぬ前だった。時人が私の前にやってきたのは・・・ずっとだましていたことに怒りの言葉をぶつけてきたが』

 

 『時人、いい加減にしなさい。この人、もうじき死ぬのですよ・・・だから自分が思っていることを正直に伝えなさい!今、伝えなければ二度とできないのですよ。話すことも、見ることも・・・触れることも』

 

 『あのサムライがそう言ってあの子の肩を握り、あの子の背中を支え、あの子の心を一押ししてくれた。そのおかげで、時人は私を父と呼んでくれた。あれだけ酷いことをした私をそう呼んでくれた・・・おかげで私は、あの子の父親として死ねた・・・それができたのは、あのサムライがいたからだ』

 『だから、その借りを返したかったと』

 村正の言葉に頷いた吹雪。

 『そして、時人は今もあのサムライを追っている・・・ふふ、本当にあの平和な頃の笑顔を見せていた時人に戻っていましたね』

 『それもその盲目のサムライって子のおかげなのね。会ってみたかったな』

 『そういうことだ。やっと借りが返せた』

 『そうですね。じゃあ、逝きますか・・・吹雪、姫時、ひしぎ』

 『ええ、心残りはなくなりましたしね』

 時人の笑顔と元気な姿。これが四人にとって最高のプレゼントだった。本当に成仏しようとした時

 『待って!あと一つあるわ!』

 姫時の言葉に三人は振り返った。

 

 

 ゆやの団子屋に戻り、三人がいなくなった部屋ではちょっとした事件が起こっていた。

 「ない、ない、ない、ない!」

 紅虎が慌てていた。

 

 「北落師門がない!」

 

 そう、彼の愛槍がなくなっていたのだ。

 「もしかしたら、朱雀か庵樹があの光の時に握っちまったんじゃないのか?」

 「ああ、何しろあれだけの光だ。手探りで握ってしまったことも考えられる」

 「ぷぷぷ、残念だったね」

 「幸村はん!いい加減にしいや!」

 サスケと辰怜の言葉に幸村は笑いながらからかった。

 「それにしても驚いたぜ、京四郎の考えは本当だったとは」

 「全くだよ。あちきもこんなこと初めてだからびっくりだよん」

 「全然見えない」

 梵天丸と四方堂の言葉に突っ込むほたる。

 「庵樹・・・絶対に幸せになれよ」

 「遊庵、やっぱり寂しかったんじゃないのか?」

 「言うな・・・親父」

 こっちの家族は二人ともこっそり目を潤ませていた。

 「狂、あいつ、大丈夫だよね。元気だよね?」

 「灯、大丈夫だ。前を歩み続けるアキラに心配何て不要だ」

 「そうだね・・・ありがとう」

 それぞれ気持ちを吐露している時だった。鏡がまた光り、その鏡が割れた。

 「「「「「え?」」」」」

 その時に四つの光が現れたが、輝きが強く目をつぶったため誰も気づかなかった。その光がある一人の人物に入ったことも・・・。 

 

 『??ここって、何だい?』

 『久しぶりね。四方姐さん』

 『お久しぶりです、姐さん』

 『ふん、まあ、確かに久しぶりと言えばそうだな』

 『吹雪、ここではそういうことは言いっこなしですよ』

 『な!あ、あ、ああ、あんたたち!ど、どうして!』

 『あの鏡に四人して入っていたのよ』

 『時人が心配なお父さんのためにちょっとね』

 『・・・ふん、余計なことを』

 『嬉しいのでしょう?丸わかりですよ』

 『そうかい・・・壬生は今平和だよ。あの頃みたいにね』

 『そうか、辰怜が頑張っているみたいだな』

 『彼ならきっと更に大きなことをしてくれるよ』

 『そうですね・・・四方堂さん、これからも壬生を見守り続けてください』

 『ひしぎ、抜け駆けはダメよ・・・まあこれを言いたかったのよ。あの頃に、ううんあの頃以上にいい里になってほしいから』

 『お願いします姐さん』

 『頼んだぞ』

 『・・・全く厄介事を押し付けて、分かったよ。ただし覚悟しなよ。向こうで再会したら長い時間話すからな!』

 『ふふ、待っているわよ』

 『ええ、待ってます』

 『では、向こうで』

 『すまなかったな』

 『絶対だからな!』

 

 そして、四方堂は意識を取り戻してすぐに家を出た。その行動にみんな驚いたが今の彼女にはそれを気にする余裕はなかった。雲を作り出し、急いである場所に向かった。その場所に着くと、一人地面に寝転がった。

 

 『あいつら・・・何が頼むだ。何がお願いしますだ。何が見守り続けてだ。いろいろ押し付けすぎなんだよ!こっちの言い分はいつも聞かない。文句ばっかり!どんだけ迷惑かけたと思っているんだ!全く・・・まったく・・・まった、う、う、うううう、うわああああああ~~~~!!!!」

 

 あの北斗七星が見つかった吹雪の離れの瓦礫があり、平和な時の壬生の里ではよくあの四人と小さい頃の時人と自分の六人で集まっていた場所だった。その時の記憶がどんどん思い出されるのか、途中から声を出していることに気づかないまま泣き続けた。何百年も前のあの平和を思い出しながら。

 

 

 出口を出た三人は、アキラが奥義朱雀を使った現場に立った。

 「ここがアキラが飛ばされた世界だね」

 「やっと、追いつきました」

 「ああ、早速行こう・・・村正の力は向こうからだ」

 村正の血を濃く受け継いでいる時人だからこそ分かる感知だ。

 「ねえ朱雀。どうして北落師門を持っているの?」

 「・・・・・・え!どうして!」

 庵樹の指摘にやっと自分の手に北落師門があることに気づいた。

 「気付いてなかったのか?大方、あの光の中で握っちまったんじゃないのか?」

 「そうかもしれませんね」

 「紅虎は絶叫しているだろうけど、戻れないから持っていようか」

 三人は見事に彼の事はどうでもいいものとして片づけて、その力に向かって近づくとやっと見つけた・・・彼女らの大切な人が。

 「アキラ!・・・って何だよあいつら!」

 「気持ち悪い・・・アキラを背負っている人も危ないわ!」

 「急いで助けましょう!」

 だがその大切な人が意識を失っており、おんぶっている人も危険な状況に立たされている。慌てて武器を抜いて三人は取り囲んでいる鬼達を斬っていき、桐琴のところにたどり着いた。

 「何者じゃ!」

 「ご安心を、私達はアキラ様の奴隷です「違う!」「そうよ!恋人よ!」、まあそういうことです」

 いきなり出た三人に警戒したが、朱雀のとんでも発言に一瞬で警戒を解いた。

 「何が何だかわからんが、アキラの知り合いということでいいのか?」

 「はい、今はこの変な化け物を「おい!そこの女その槍貸せ!」え?これですか?」 「ああ!そこの女、こいつを頼んだ!」

 「え、え?」

 桐琴は北落師門を奪い、アキラを庵樹に押し付け鬼に襲い掛かった。

 「ひゃ~~~はっはっはっは!おらおららおら!何じゃ!体の調子がいいぞ!こんなこと初めてじゃ!」

 さっきまで必死だったのに、北落師門を手に取った途端この上機嫌。いきなりの変貌に三人は戦場なのに呆然としてしまった。

 「・・・何かでたらめだな」

 「簡単にあの化け物を倒すあたり、相当の腕利きね」

 「北落師門も力を貸しているみたいだし・・・どのあたりが気に入ったのか?」

 三人は桐琴のとんでもなさにただただ唖然として見ていた。桐琴が鬼達を倒して戻ってきたときはすっきりした顔になっていた。

 「よう!こいつだが、気に入ったし得物も壊れたからワシがもらう!いいな!」

 「・・・いいですよ、私達は刀が得物ですから」

 「ははは!そうじゃ、今は合流しないといけなかったな。お前らも来るか!」

 「・・・合流ですか。一体誰と」

 「くればわかる!さあ来い!」

 笑いながら、先を歩き始めた桐琴。

 「・・・分かることは一つ。こいつに話は通じないということだけだな」

 彼女ののゴーイングマイウェイな生き方に呆れながらも後を追った。

 

 庵樹が背負っていたアキラの意識が戻ったのは、九頭竜川についてすぐだった。

 




 これが三人のアキラと再会するまでの経緯でした。

 あっちの原作を見る限り、これは出したい!と思っていたのでこういう形で出しました。
 四方堂さん・・・辛いですよね。誰よりも思い出を持つからこそその量も多い。だからこそ、涙が出る。

 さあ、ついにあと一つで第五章終了です!


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四十五振り目 久遠、すいません。・・・アキラ、信じていたのに

 
 こんばんは、三MENです。

 個人的な見解ですが、北海道から出たボーカロイドのあのキャラクターが長尾美空景虎に似ていませんか?
 髪に顔立ち・スタイルも結構似ていると思います。違うのは性格だけでは?と思っているくらいです。ファンの方がいたら、こんなこと言ってしまってすいませんでした。

 あの三人と再会できたのは嬉しいですが・・・今は。

 ついに五章完結です!



 

 雨が降り水かさも増した九頭竜川を、四人の支えがあって何とか渡り切ったアキラ。庵樹の背中から何とか降りてその場で座った。三人は自分の後ろに、桐琴は小夜叉と何やら話していた。そして、初めて見る目の前の女性は、会ったことのある一葉が教えてくれた。

 「こんな状態ですいません。動くことができない状態でして。私が織田久遠信長の夫であり足利一葉義輝の夫でもあるアキラと申します」

 夫という言葉に、庵樹・朱雀・時人は驚いた顔をした。

 「長尾美空景虎よ。一つ聞きたいんだけど・・・火の鳥と言った方がいいかしら?それが見えたんだけど、まさかあなたがやったの?」

 「そうっす!あんなの見たことないっすよ!」

 「うん、あれは驚いた」

 長尾美空の言葉に後ろの二人も興奮した。

 「火の鳥じゃと!そんなの余らは見てないぞ!」

 「公方様、森を駆け抜けていた時だったから、見れなかったのかもしれません」

 「・・・私は見ました。船に乗ろうとした時に後ろを見たら全身が火だけの鳥が」

 「ええ!そんなのいたですか!」

 歌夜も見たという火の鳥と言う言葉に綾那を筆頭に皆がざわざわした。

 

 『やはり朱雀は見えていましたか。大きさは壬生京四郎の朱雀くらいでしょうか?更に大きな朱雀を出す狂にはまだ負けますが・・・そもそも何故私があの壬生一族、しかもあの二人ぐらいしか使えないあの技を使えたのか・・・それにこの三人がこの世界にいるのも疑問ですが・・・今は彼女との話ですね』

 

 あれを出せたのも時人達がいることも疑問だが、現状をまず安全にしないとその疑問も解けないので保留にした。

 「その通りです。だが、私も初めて出したので、体力も精神力も相当使ってしまい、こうしているだけでやっとなのです」

 肯定したアキラの言葉に唖然とする皆。

 「なるほどね・・・本当なら組み伏せたかったんだけど、抵抗ができないならする必要はないみたいね」

 「美空よ。主様にそんなことしてみろ。余が「一葉・・・よしなさい」ぬ、主様、わ、分かった」

 抜きかけた刀を収めた一葉。

 「へ~~、公方様が引き下がったわ」

 「本題に入りましょう。長尾さん、あなたは私をどうしたいのですか?」

 「さあ~、どうしようかしらね?」

 その笑みは、灯に少し似ていると思いながら

 

 「・・・あなたに投降します」

 

 この言葉を言って頭を下げた。

 「な!主様!」

 「アキラ様!それは!」

 「皆さん、選択肢はこれしかありません。このまま彼女と別れても、今後加賀・越中で補給ができるかどうかわからない。そうなると兵はもちろん私達も危険です。なら、自分がこうして頭を下げるのが一番です」

 隊の継続にもつながる補給の確保。それをしないと兵達も自分達も飢え死にする。それが大切と考えアキラは捕まる選択をした。皆も隊の今後の事を考えた結果と分かり、悔しい顔をしながらもこの選択は正しいと無理矢理納得させた。

 アキラ隊の事すらわかってない時人達は、今だ分からない顔をしていた。

 「あなたね、私が断るという考えはなかったの?」

 「それなら私達を見捨てたはずです。せっかく見つけた価値のある魚は捕らえて、その価値がなくなるまで有効に使う。それがあなたの性分だと思いますが?」

 「なるほど・・・結構な食わせ物ね。そうね~、京では雷を起こして鬼達を凍らせ、しかもあんな火の鳥まで出せる男。更にその男が一葉様の夫であの御免状を持っている。これ以上ない面白そうな道具ね・・・いいわ、受けてやろうじゃないの」

 これで一先ず安心ができたことに内心ほっとした。

 「ありがとうございます。すいませんが、一つだけお願いがあります」

 「何よ。受けてやるって「いえ、少しだけ時間をください。ちょっとですから」ま、いいわ」

 「感謝します・・・く」

 立ち上がろうとするアキラを、慌てて支える朱雀と時人。

 「あなた方がいる理由も後で聞かせてください。今はまず安心できるところに移動することが先決です」

 「もちろんですよ」

 「大変だったんだぞ・・・やっと、会えた」

 「夫ってどういうこと?こっちもいろいろ聞きたいんだけど・・・でも、今は本当に良かった」

 三人の顔から涙が見えていた。雨のしずくもあったが、それは確実に確認できた。

 「森の方に向けてください」

 

 『亡くなってしまった兵の皆さん・・・あなた方の命は必ずこの肩に乗せ続けます・・・全てを守ることは不可能。これほど悔しい言葉は初めてです・・・でも、それでもあなた方が生きてほしいと言った。その願いの為にも、これからもずっと生き続けます。皆さんの思いも持ってね』

 

 自分達の為に戦って死んだ兵に黙とうをした。それが終わり長尾の方を向いて、もう大丈夫と伝えた。

 「なら、来てもらいましょうか。天人さん」

 「なあ、アキラ。それは明日につながるのか?」

 背を向けた長尾。すると桐琴との話も終わった小夜叉が聞いてきた。

 「ええ、つなげますよ。絶対に」

 力強く答えて、前を歩きだした。

 

 『すいません。久遠・・・戻るのが遅くなりそうです。でも、必ずあなたの下に戻ります・・・結菜、しばらく頼みます』

 

 自分の事を一番に心配する妻の事を思いながら。

 

 

 場所が変わって二条館。

 「久遠・・・落ち着いた?」

 「ああ・・・何とかな。それで、皆はどうした?」

 結菜は状況を説明した。できるだけ簡潔に。そして、アキラの事になると言葉を詰まらせた。この言葉は彼女も相当の覚悟を持って言った。

 

 「久遠・・・アキラは行方知れずよ。あなたを、本陣を逃がすために鬼達を引き連れて、全く逆の方向に向かったらしいわ・・・その後は分からない」

 

 その言葉に絶句した。自分達と一緒に二条館に戻っていると思っていたからだ。すぐに草を使って探すように言ったが、それを止められた。怒りを抑えきれない顔で結菜を見たが、真っ向から同じ怒りを持って言葉で返した。

 

 「久遠、アキラが何を思ってあなたを逃がしたかわかっている?あなたはこの国の鬼を倒すために頑張っているから、アキラは一番にあなたを逃がしたのよ!夫だからというのも当然あるわよ。格好つけなあいつだからね。でもね、あなたはこの困難を絶対に乗り越えられる。あいつはそれを信じているからこそ逃がしたのよ!だから今は前を向きなさい。その命、アキラが必死になって守ってくれた命を大切にして、あなたを信じている者達の為にもあなたは自分のするべきことをしなさい!」

 

 結菜の言葉を聞いて、どんどんと目に涙を浮かべる久遠。怒りの顔が悲しみの顔に変わっていった。

 「あきら・・・アキラ・・・あ、う、うわあああああ!!!」

 そして、大きな声で大粒の涙を流し泣きだした。そんな彼女を抱きしめる結菜。

 『アキラ・・・あなた、絶対に、もどって、きな、さい、よ・・・う、ううう』

 結菜もまた涙を出して、共に体を震わせながら悲しんだ。

 

 数日後の評定の間。

 「そう、まだ時間が必要なのね」

 「あれほどの打撃を食らうとは、完全に予想外でした。まだ朽木谷を通って戻ってくる兵達もいるので、再編は時間がかかります」

 「それが今はよかった。と言えるのかもしれないけど」

 「傷ついている兵の手当てと回復もしないといけませんし・・・それに」

 今この場にいるのは三人。結菜と壬月と麦穂だけだった。和奏達も浅井夫婦も、今は必死に隊の再編と兵達の治療に忙しかった。だが、三人の頭の中にいるのはやはりあの男だった。

 「まだ、見つかっていないのですよね・・・アキラ様も、隊の皆さんも」

 「ああ、足利に八咫烏、森に松平もな。おそらく一緒だとは思うが」

 アキラがいない、それが織田にとって一番大きな打撃だった。あの後、結菜は何とか落ち着いて立ち直れたが、もう一人の方はというと。

 「殿はどんな様子です」

 「・・・まだね。そろそろ何とかなると思うけど」

 そう、久遠がまだ立ち直れていなかった。

 「そうですか」

 「麦穂・・・あなたは明日休みなさい。相当無理をしているでしょう」 

 「私は「休め。アキラがいなくて不安につぶされそうなのだろう。ここで倒られると迷惑がかかる」・・・はい」

 麦穂の目が赤いのを見て悲しんでいることも知り、休ませることにした。

 「じゃあ、私は一度屋敷に戻るわ。後の事はお願い」

 「分かりました。後、結菜様も目は赤いですよ」

 「・・・そうね・・・全く、何をしているのよ、アキラ。戻ってくるって信じていたのに」

 頬に一筋の雫が流れた。

 

 二条館の一室では食事をとらない久遠と、その姿を辛そうに見る双葉の姿があった。何度か食事をとるように言っても、いらないの一言だった。アキラに小谷で買った結菜とお揃いで買った簪を握り締めて、彼女からアキラ行方不明の報告を受けた時から落ち込んでいた。

 何とかしたい双葉は、次の手段に出た。

 「体を・・・拭く?」

 「はい、旦那様にはきれいな姿をお見せしないといけません。戻ってきたときにきれいな姿でないとまずいですよ」

 「・・・わかった」

 うまい双葉の言葉に上半身脱いだ久遠。彼女の背中をふく双葉。その時にやっとポツリポツリと話した。越前討ち入りの際のアキラの行動と思いを話していき、そしてアキラ本人の話となった。

 

 「あいつは・・・いつも自分の事が第一と言いながら人を優先にしていた。詩乃の時も、鞠の時も、一葉の時も、そして・・・今回の越前でも。そういう奴と分かっていたのに・・・我が、我があいつを「久遠様!アキラ様は必ず戻ってきます」!双葉、お前はあの鬼共を見てないから!」

 

 やっと出した久遠の本音。でも、それが彼女の精神を回復させる第一歩だった。

 「そうです。久遠様の言う通り、私は越前に行ってませんので鬼がどれくらいいたか知りません。でも、でも、旦那様は・・・それでも負けるようなお方でしたか?私はそんな方ではないと知っています!あの方はどんなに苦しい状況でも、どんなにつらい現実でも、決して屈することなく前を見て、進み、必ず乗り越えます!・・・だって私もアキラ様の妻ですから。あの人の事を見ていましたから!」

 双葉の言葉に、ようやく久遠の目に光が戻った。

 「・・・そうだったな。お前もあやつの妻だったな」

 「はい!」

 「双葉、強いな。我なんか何日も落ち込んでいたというのに」

 「旦那様は必ず生きています!それを信じているからです!」

 彼女のまっすぐな想いを持った目と心に響くアキラへの愛の言葉に、久遠もやっと少しだけ笑顔が戻った。服を着て食事をすることにした。

 「ふ~~、結菜め。あいつらしいな」

 「え?何がです?」

 用意された食事を見て、久遠らしい苦笑いをした。

 「豆腐の味噌汁があるだろう。アキラの好物なんだ・・・何でも、これがとても暖かい気持ちにしてくれるとあやつは言っていた」

 「旦那様が」

 「ああ・・・ははは、落ち込むだけ落ち込んだら逆に笑えてきた。どん底まで落ち込んだからな。むしろ、これから先どうやって落ち込めばいいんだとな」

 豆腐の味噌汁を飲んで、顔に元気が戻ってきた。

 「これは本当に暖かい気持ちになれる気がする・・・よし!双葉、我の面倒見てくれてありがとう。もう、大丈夫だ!」

 立ち上がった久遠を見て、双葉もまた笑顔になった。

 「久遠様!お姉さまも、アキラ隊の皆さんも絶対無事です!」

 「ああ!すまんがおかわりを頼む。まずは体に元気をつけないとな」

 「はい!」

 元気な声で、久遠の食べ終えた食事を下げていった双葉。

 

 「アキラ、お前は絶対に生きている。我も結菜も傷一つない状態だ。これもみんなお前のおかげだ!妻が無事だったんだ!なら、夫のお前だって無事のはずだ!だったら、早く騒動の一つでも起こして我を安心させろ!なあ!」

 

 心からの笑顔で、窓から見える太陽に向かって叫んだ。

 




 アキラにとっていろんな辛さを持つ第五章完結です。

 一応第六章のタイトルだけは決めています。『長尾美空景虎編』です。ここから更なる誑しとあの三人も加わり更なる間章の追加もあることでしょう。もちろん、あの三人のエロも出そうと思います!後、この六章では三人以外の原作キャラも一人出すつもりです。ただ、戦ったり隊に入ったりはしません。

 ではしばらくの間さようならです!


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第六章 長尾美空景虎編
四十六振り目 なるほど・・・そうですか


 
 どうも、三MENです。

 何やら忙しくなりそうと思っていたら、昨日は仕事が思いっきり暇だったのでその間に十分に構想を練ることができ六章を完成することができました。

 でも、本章だけであり間章がまだですので更新速度は多分まだ遅いと思います。

 春日山城到着までです。



 ここはとある館。

 「御屋形様、草からの報告です。田楽狭間の天人と越後の龍が加賀の九頭竜川にて会ったそうです。様子を見る限り、天人は長尾殿に降ったとのこと」

 「そう・・・」

 「京では越前から逃亡した織田が二条館に入った。という知らせもあります」

 「・・・使いを」

 「使い?織田にですか?」

 「(こく)」

 「田楽狭間の天人はいかがいたしましょう?御屋形様は、何やらこの男にたいそう興味を持っているようでしたが」

 「・・・今は様子を見る。越後にも草を」

 「「っは!」」

 「この天人が・・・いつか」

 

 そして、もう一つのとある城。

 「御本城様、越後にいるうちの忍びから連絡です。御本城様の思った通りの展開になったそうです」

 「うふふ、やはりね~。朧、お願いね」

 「は!必ずや名月のために!」

 「気合十分なのはいいけど、わかっているわね?」

 「大丈夫です。一騒動が終わった後に行けばいいのですよね」

 「その通りよ。それじゃあ頼むわね」

 「・・・なあ、私も行っていいか?」

 「サイ、何を言う。あなたは姉様の護衛だろう!そのあな「構わないわ」え?」

 「サイちゃんはどうやら会いたい殿方がいるみたいなの」

 「・・・いいなら支度をしてくる」

 「行っちゃいましたね・・・いったいどうしたのです」

 「照れているのよ。二度と会うことができないと思っていたみたいだから」

 「そうですか。では私も準備をしてきます」

 

 長尾美空景虎に降伏してから、数日後が経過した。今、アキラ達は加賀から乗った船にいた。その彼の周りには当然妻達と初めての顔合わせとなる時人・朱雀・庵樹がいた。

 「それで・・・お主達が主様の恋人というのは本当なのか?」

 「そうよ。それで、アキラがあなたが妻という・・・いえあなた達が妻というのは本当かしら?」

 「はい。その通りです」

 アキラを助けたとはいえ、やはりアキラ隊の愛妾達も時人達も気になる。

 「何でそんなにいるんだよ」

 「尾張や京にもまだいますよ「いるのですか!」ええ、アキラ様は・・・」

 時人の質問に詩乃が答え、その後、彼女が今のアキラの立ち位置を説明していった。

 「そう・・・アキラ。つまり、もう・・・そういうことをしたのね」

 「・・・はい。妻の愛を受け止めるのが、夫の愛ですので」

 「悔しいな、私達三人の他にもこんなにたくさんの女と関係を持ったなんて」

 「でも、アキラ様はどんな人でも信念をしっかり持った人には全力で答えるお方。それもまた仕方のないことです」

 朱雀はしっかり理解し、そして受け止めた。

 「お主らもそういう関係だという発言が気になるのじゃが、それはおいておこう」

 「そうしていただくとありがたいです。私もまだ混乱していますので、自分の事もそうですが、彼女達がどうやってこっちに来れたのか、それも分かってませんから」

 「そうね。私達の事も向こうの世界の事もある程度説明しないといけないわね」

 アキラの言葉で説明が必要とわかり、代表してそれが一番うまそうな庵樹が話し始めた。アキラがどうやってこっちに来れたのか?自分達が向こうでどれだけアキラと会うために奮闘したか。時人が再び北斗七星を手に入れたことや向こうでの日の本の様子や壬生の里の様子などいろいろ話した。 

 その中でアキラが驚いたのがやはり紅虎のやったことだ。

 「・・・何と、あのバカが豊臣に同盟を結んだとは」

 「ああ、その話を聞いた時はびっくりしたよ」

 「時人、良かったですね。心のつかえがとれまして」

 「・・・ありがとう」

 「朱雀、私と会う前は村正の世話をしていたのですか。通りで紅の王の情報を持っていたはずです」

 「はい、言えなくてすいませんでした」

 ただ、その内容をわかるのはやはりアキラだけだった。詩乃や一葉と雫と幽辺りは何となく分かる感じだが、それ以外のメンバーはちんぷんかんぷんな顔をしていた。お互いの事を説明し終わった時に、朱雀がアキラに確認した。

 「アキラ様、体は大丈夫ですか?」

 「体ですか?特に問題ないですが、それが何か?」

 「・・・なあ、おかしいと思ったことはなかったか?例えば、身体がとても軽くなったり、紫微垣が使えたり」

 「・・・何故知っているのです?」

 アキラの顔がまじめになった。何しろ、自分が知らないことを三人は知っていそうだからだ。

 「すまない。いままで隠していたんだが・・・」

 ここまでの状況証拠を掴んでいるなら話すしかなかった。正直に自分達がやったことと今のアキラの体の事を伝えた。

 

 一時の間言葉がなくなった。今までの事を思い返しながら、三人から聞いた真実を照らし合わしている最中だ。

 「そうですか・・・三人の血が私の中に。なるほど、紫微垣が使えたのもあなた達の血があるというなら納得ができました」

 「・・・すまない。人として狂を倒したいお前を見ると言えなくて」

 「いいのですよ・・・私の事を最大限に考えていてくれた。それだけ分かれば十分です」

 「「「アキラ(様)、ありがとう」」」

 それを聞き、三人はホッとした。でも、アキラはまだ分からない顔だった。

 「でも・・・そうなると、あれはどうして?」

 「まだ何かありましたか?」

 「無明神風流殺人剣の奥義が使えた件です。紫微垣を使えたのは壬生の血が入っていて、体が活性化するのも壬生の血が活動するから、そこまでは納得しました。でも、あの奥義は壬生の一族でもごく限られた人間にしか使えません。狂や壬生京四郎くらいの実力を持っていないと」

 これがアキラ一番の疑問だった。いくら壬生の血のおかげで刀との対話できる力を手に入れたとはいえ、あれまで出せるほどの力があるとは思ってなかったからだ。

 「・・・私の血が一番多く入っているせいだと思う」

 「時人・・・あなたの?」

 「そう言えば、輸血するとき時人が一番多く血を分けていたな」

 「貧血を起こしそうになるくらいでしたね・・・時人さんは村正様と同じ血筋。あの方の血を入れているならその奥義を使えるのも説明がつきます。それにアキラ様は心・技・体で、体以外はもう十分に努力して条件は満たしていたと思います。だから血を手に入れ少しずつ使ったことにより、体も適正になったからこそ使えたのではないでしょうか?」

 朱雀の考えを聞いて納得するアキラ。

 「あくまで多分ですが・・・」

 「それでもおおよそは分かることができただけでよかったです。そして、三人も私をそこまで想ってくれていた。それも嬉しいです」

 そう言われて、三人は顔を赤くする。

 「アキラ様、そろそろこちらにも説明してほしいのですが・・・」

 詩乃のむすーっとした顔がきた。四人だけしかわからない話なので、向こうの世界の話で自分達が入れないとはいえ、仲良く見えることに嫉妬していたようだ。

 「果たして、あなた方が理解できるかどうか・・・」

 「構いません、お願いします」

 四人で説明したが、結局誰も理解できなかった。何しろ、見方も価値観も歴史観もほとんどが違うのだ。あの詩乃や幽すらも??状態だった。結局、三人は強さがぴか一だということしか理解できなかった。

 

 船が越後の湊に到着して、長尾美空景虎の居城である春日山城に向かう時だった。

 

 「おんたいしょ~~~」

 

 何やら気の抜けた声が聞こえたのは。

 「はて?いったい誰が?」

 すると、雫が信じられないものを見た顔で前を指さした。

 「!!!・・・アキラ様・・・おっぱいが、おっぱいが走ってきます」

 「え・・・本当だ、おっぱいが向かってきます」

 「そんな!おっぱいが、おっぱいが、おっぱいが・・・」

 雫の言葉に次に見たひよところの目に光がなくなった。

 「全く、何を言うのですか。おっぱいが走ってくる・・・な、んて・・・」

 呆れながら三人の見ていた方を見ると、

 

 「おんたいしょ~~」

 

 そのおっぱいが走ってくるという現実を見ることになった。

 「な、ん、て・・・現実はありましたね。壬月さんと同じくらいじゃないですか?あの大きさは」

 思わずアキラもその現実にくぎ付けになった。ほかの皆もまた、違った意味で釘付けになった。

 「そ、そんな!私よりも大きい!そこの胸を自慢することしかできない牡丹な二人より大きいから自信あったのに!_| ̄|○」

 隣では敗北感に打ちひしがれた朱雀ががっくりしていた。

 「ちょっと、牡丹って誰の事を言っているんですの?」

 「そうじゃぞ!というか、胸の大きさはお主と互角じゃろうが!」

 「自覚を持ってほしいですな~~」

 牡丹な二人は朱雀に文句を言っていい、その二人にツッコミを入れる幽。

 「お姉ちゃん!あの人すごいね~~、雀達もあれくらいおっきくなるかな~」

 「・・・」「絶対にならないとダメって、お姉ちゃん羨ましいんだ・・・って銃口向けないで!(ぱーん)わわ!ごめんなさい!」

 鉄砲持つ姉妹は、漫才をしていた。

 「ふ~む、わしより大きいのう~。アキラはあれくらい大きい方が好みか」

 「なあ、母。俺絶対母より大きくなるからな!」

 「今より絶対に大きくする!」

 修羅な三人はおっぱい大きくしてやる!と意気込んだ。

 「アキラ様・・・あの、揉んでくれませんか?あの大きさになるまで」

 「アキラ!鞠もお願いするの!」

 詩乃と鞠は自分の胸を差し出してさあさあ!と迫っていた。

 「胸一つでここまで取り乱すなんて・・・」

 「アキラは胸で好みが分かれるような男じゃないっていうのに・・・まあ、大きい方が男は好きって紅虎も言っていたし・・・大きくする方がいいかも」

 庵樹はアキラ隊の皆がおっぱい一つであそこまで騒ぐことに呆れ、時人も呆れていたが紅虎の言葉を思い出し、何とか自分もできないか?と考えていた。

 アキラ隊が性的に乱れかけた時に、おっぱいさんが到着して言った一言が美空に衝撃を与えた。

 

 「か、かしゅが、やま、じょうが・・・お、おちまひた」

 

 「「「な!」」」

 自分の居城が落とされたと言う報告だった。

 




 短く、中途半端ですがここまでです。

 第六章始まりです!う~む、おっぱいって書くのちょっと恥ずかしかったけど、一度書くとどんどん書きたくなってくるな・・・。この際だから、もっと書こうか・・・映画でも「おっぱいバレー」というのがあるし。



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四十七振り目 手伝いますか・・・恩を売ることも大切です

 
 こんばんは三MENです。

 今回はついにアキラ隊完全集合です!




 春日山城が落ちた。長尾勢の話を聞いてみると落としたのは美空の姉らしく、その時はまだ喜んでいた。人修羅と呼ばれている長尾美空景虎だけあって、自分の居城を攻めるというのはめったにないということで逆に楽しそうだった。

 

 『御大将の娘の空様と私の娘、愛菜が捕らわれています』

 

 だが、この言葉を聞いて一気に顔が怒りに支配された。よほど、その娘を大切にしている何よりの証拠であり、自分達の方への意識もなくなっていた。

 話しも一通り終わったところに、一応自分達の身の振りをどうするか確認した際手伝えと言われたが、明らかに使いつぶしにしそうな感じだったので、その場で断るとさっさとどこかに行ってしまった。その後、おっぱいさんと部下の二人から自己紹介してもらい、話を聞くと恩を上げれば必ず返す主義だということが分かった。

 

 『あの能天気な子が柿崎景家で通称が柘榴、各務と同じくらいあまりしゃべらない子が甘粕景持で通称が松葉・・・そして、皆さんが思いっきり取り乱したおっぱいさんが直江与兵衛尉景綱で通称は秋子さんですか。何というか、大将さんはひよやころくらいの大きさなのにあちらの二人は麦穂と同じくらいありますね』

 

 いったい何の大きさを言っているのかはもう分かるだろう。

 

 その後、松平が陣をしいているところに向かい、葵と話をしたが彼女は一刻も早く三河に戻って兵を再編したいらしい。でも、今後の日の本の鬼を倒すにはこの越後の龍の協力も今後の久遠の同盟に必要と考えたアキラは、春日山城奪還に力を貸す提案をしたが彼女は力を貸そうとしなかった。

 

 『私と彼女では立ち位置が違う。私は久遠と一葉の夫という立場ではあるが比較的自由に動ける。だけど、彼女は三河の国持で、しかも駿府という不安要素が隣にある。だから早く戻りたいが、なかなか動けないというのも残念なことに事実。鬼の越前や武田の領地に囲まれたこの越後から出るのは、今は不可能。挙句には越前で相当痛手もおっているでしょう。そんな状態で手を貸すなんてとんでもないです』

 

 その為、アキラは彼女を無理に説得しなかった。とりあえず、手を貸してほしいときは声をかけることと、美空にも葵の事を伝えると言って別れた。その途中で綾那と歌夜に出会った。

 「アキラ様・・・何かありましたか?」

 「ええ。ちょっとね」

 「殿さんと喧嘩したですか?・・・殿さん、怖かったです」

 「ええちょっとね・・・意見が食い違ってしまって」

 「そうですか・・・あの、アキラ様はどうするおつもりですか?」

 「美空・・・長尾の春日山城奪還に力を貸そうと思います。これから先、鬼は確実に日の本全土に広がりますから、戦上手と呼ばれた越後の龍の力を何とか借りたいと思っています」

 「我が松平は・・・出れませんね。越前でとても痛手を負いましたから」

 苦い顔をして歌夜が言うと、アキラは頷いた。

 「ええ、葵もそう言っていました。彼女としては、一刻も早く国に戻って再び兵を再編したいと言っていました」

 「そうですか。葵様があれほど怖くなっていたのは、自分の意見を受け入れてくれなかったからですね・・・」 

 「間違ったことは何一つ言ってなかったですからね・・・自分は隊に戻ります。時間をかけてすいませんでした」

 そう言ってアキラは去っていった。

 

 残った二人は複雑な心境だった。何しろ、片方は自分達の主君であり命を懸けても守る存在で、もう片方は今自分達が守りたいと思う存在だ。どちらも大切だからこそ、喧嘩別れをしたこの二人の事をどうしようか二人は悩んでいた。

 「ねえ、綾那はどうしたい?」

 「どうしたいってどういうことです?」

 「私はアキラ様の事、大切に思っているわ。でも、葵様も大切に思っている」

 「それは綾那も同じです!」

 「でも、今回はそれだとダメなのよ。どちらかを選ばないと・・・」

 歌夜の言葉に?をだす綾那。

 「どちらかってどうしてですか?二人は仲良くできないですか?」

 「・・・難しいわね。お互い譲らない思いがあるから」

 「じゃあ、どうやって決めればいいのですか!」

 「私は松平に忠誠を誓う榊原歌夜ではなく、ただの歌夜として決めたいと思うの。あなたはどうする?本多忠勝としてではなく、ただの綾那として決めるとしたらどうしたいか」

 「・・・本当にそれでいいですか?」

 綾那の質問に頷く歌夜。

 

 アキラは隊に戻り、どう動くかを隊の皆に話した。その際、一つ驚いたことがあった。

 「アキラ、わしは森一家の棟梁をやめる。これからはクソガキが棟梁じゃ」

 桐琴が棟梁をやめると言った。理由を今彼女が持っている北落師門にあるらしい。

 

 「儂はもう一度武人となる!こやつを持っていると、力が湧いてくる。そして、思い出したのじゃ。初めの頃に持っていた気持ちを・・・今のように全殺しを楽しんでいた気持ちじゃなく、どんどん強くなるあの楽しい気持ちを・・・こやつが一緒ならどこまでも強くなれる!それをしたいんじゃ!」

 

 つまり、彼女は北落師門を手に入れたことにより、かつての自分を取り戻した。今より、更に強い力を求めるために自分の肩書がいらないを小夜叉に譲ることにした。小夜叉も最初は反対だったが、決めたことは絶対に変えない桐琴だという事は娘なだけあって分かっているため、結局了解したらしい。

 「桐琴さん・・・すごいですね。村正様のあの槍をもう自在に扱えるなんて」

 「武士の血を引いているのも一つの要因だけど、あれほどのまっすぐに進もうとする心を持っていたのね」

 「北落師門もそれを感じ取ったから、あの人を主と認めたんだと思うな。上にどんどん上ろうとする思いを決してやめようとしないから、力も貸したと思うぜ」

 朱雀に庵樹と時人は彼女をそう分析した。その分析にはアキラも内心頷いた。

 「森一家の新棟梁の話はここまでにして、これからの事を考えましょう」

 「越後勢を味方にするという考えですね」

 「果たしてうまくいくでしょうか・・・」

 軍師二人もさすがにまだ案が出ていないようだ。

 「あやつは人修羅じゃ、そううまくいかんぞ」

 「公方様と同族ですからな~~よくお分かりで」

 「なんぞ言うたか「いえ、何も(ぴ~ぴ~)」」

 白々しく口笛を吹いてごまかす幽。

 「柘榴さんや秋子さんの話を聞く限り、恩さえ渡せばその恩を必ず返す性分を持っているそうなので、うまい事それをすれば」

 「鬼退治に協力してくれるということですか」

 「はい。野武士の真似ごとになりますが、今は手段を選んでいられません。それぞれの隊の皆さんの意見を聞きたいです。私の考え、賛成ですか?」

 アキラはそれぞれの隊の代表を見た。

 「私達アキラ隊はもちろんですわ。ハニーの隊ですから」

 「足利と八咫烏も問題ない。余らも既にアキラ隊じゃ」

 「まあ~お給金をもらえるならやってやってもいいですよ!とお姉ちゃんが」

 「・・・(´・ω・`)」「雀さん、烏さんが何か言いたそうな顔をしていますよ」

 「姫路衆もアキラ隊ですので、問題ありません」

 「となると・・・問題は」

 幽が小波に視線をやった。居心地悪そうな顔をした。

 「小波、あなたの責任ではありません。そんな顔をしないでください」

 「つまり、松平衆は反対ということですか?」

 ひよの質問に頷いた。

 「ええ、何しろ葵は三河の国持ですから、早く自国に戻って民達を守りたいという気持ちもあるでしょう。しかも、隣国の駿府にも意識をしないといけませんからね・・・後、久遠の時間の掛け過ぎが今回の越前の敗因じゃないか?という言葉が悠季さんから出ていましたね」

 その言葉に詩乃は頷いた。

 「・・・確かに見方次第ではその言葉も間違ってないと言えば間違ってないですが」

 「でも、久遠のやり方は間違ってません。真琴の放った草が全滅したのです。情報がろくにない状態で拙速に動いても自滅するだけです」

 だが、悠季の言う事もアキラの言う事も一理あるため、否定も肯定もできない。

 「・・・どれが正しいかは結局分かりませんね」

 「そうですね。でも今はそれよりも」

 「春日山城ですね。一先ず美空様に協力することを伝えに行った方がいいのでは」

 「ええ、では「アキラ、話の最中で悪いがいいか?」何ですか?」

 アキラの話に割り込んだのは時人だった。

 「アキラ。一応私達もそれなりに皆から話を聞いたけど、私達があなたの隊でどう動くかはあなたが決めて」

 本題を話したのは庵樹だった。三人は自分達の身の振りを知っておきたいようだ。

 「・・・とりあえず、隊の皆と交流をしてください。戦いの時になったら活躍してもらいます」

 「「「はい(わかった)」」」

 アキラからの言葉に三人は頷いた。

 「では、まずは「待ってください!」?」

 早速自分達が協力することを美空に伝えように行こうとした時、いきなり声をかけられた。やってきたのは、さっき松平で会った綾那と歌夜だった。

 「はあ、はあ、はあ、綾那、速すぎ」

 「えへへ~、速く来たかったです!」

 「え?綾那さんに歌夜さん、いったいどうしたのですか?」

 詩乃の言葉を待っていたかのようなタイミングで綾那が言った。

 

 「綾那達もアキラ隊に入るです!」

 

 「もう言っちゃうの!・・・そういうわけです」

 歌夜も肯定した。その後、二人は葵から出向という形でアキラ隊に力を貸すように言われたらしい。幽曰く、使い道のない刀を預けて恩を売るらしく、将を出せば自分達も力を貸すという大義名分ができるからだ。

 でもアキラは別にそんなことはどうでもよかった。向こうがそういう意図なら別に構わないので、遠慮なくもらうことにした。

 「分かりました・・・二人も隊に入ってもらいます(綾那はともかく歌夜は大丈夫でしょうか?)」

 一つの懸念があったが無視して、美空のところに行く準備をした。

 

 こうして綾那と歌夜もアキラ隊となった。そして、アキラは一葉と幽を連れて美空のいる陣に向かった。その後、二人は小波のところに行った。

 「あの、歌夜様・・・葵様は」

 「それ以上言わなくていいわ、小波。多分同じことを考えているから」

 「は・・・離されたのでしょうね」

 「ええ、私達はアキラ様に近づきすぎた・・・殿は自分の理想の未来の邪魔になりそうな私達が危険に思えたのでしょう」

 「そんな!歌夜様を危険だなんて!」

 「・・・いいえ、殿の理想は武ではなく文で日の本を治めようとしていらしゃる。私達のような武しか持てないものはいずれこうなる運命だったのよ」

 「ねえ、さっきから聞いていたけど一ついいかしら」

 小波と歌夜が辛そうに話をしているところに、庵樹が入り込んできた。

 「何です?」

 「あなた達はアキラの事、どう思う?」

 「え?」

 「アキラ様ですか?」

 「ご主人様はとてもお優しいです。私のようなものにもとても優しく」

 小波の一生懸命に話す姿にニコッと笑った。

 「小波さんだっけ?それでいいのよ。あなた達がここにいる理由はそういう小さな事でいいのよ。優しいから一緒にいたい。そういう感情論でもね・・・あいつもそれを思っているわ」

 そう言って去っていった。庵樹の言葉に綾那も同意した。

 「そうですよ!難しいことなど考えても時間の無駄です!さっき歌夜から言われたです!ただの綾那で考えて答えを出せって!そうしたらここに来たいと思ったです!」

 「ただの・・・綾那様ですか?」

 「そうです。小波はどうです?草じゃないただの小波はどうしたいです?」

 「私ですか・・・ただの自分。私は、ご主人様の傍にいたい・・・ずっと、ずっと、最後の時まで」

 最後の方は恥ずかしかったのか、小さくつぶやいた感じで言ったので二人には聞こえていなかった。

 「小波、これからは同じ隊ね。よろしく」

 「そうです!小波仲良くするです!」

 「綾那様。歌夜様・・・はい!お願いします!」

 

 アキラ、美空への協力を決意。綾那と歌夜、アキラ隊入隊。

 




 
 以上、桐琴が棟梁辞めたこととついにアキラ隊全員揃いました。桐琴は森一家に引き続きいます。立ち位置は副棟梁的なものになると思います。
 
 実際綾那達三人の立場に立ったら辛いでしょうね・・・どっかいけ。と言われているようなものですからね・・・。


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四十八振り目 親の思いは大切にするべきです

 
 こんにちは、三MENです。

 そう言えば、長尾勢の皆の愛称まだ考えてなかった・・・

 どれにしようかな?


 2017年6月21日 雫のエロ表現追加!注意・彼女らしくないエロ展開です!


 美空の本陣に行き、顔合わせをした。やはり、娘の人質の事で機嫌が悪かった。

 「何よ、何の用よ」

 「協力しますよ。あなたの春日山城奪還に」

 「はあ?協力しないんじゃなかったの?」

 「あの時は状況がちゃんとわかっていませんでしたからね。でも、今は理解したうえで協力することを決めました」

 「・・・だったら、一葉様の後ろにある書状はどういう意味かしら?無条件で協力ってわけじゃないのでしょう」

 「ええ。でも、力を貸すのは本当です」

 胡散臭そうに見ていたが一葉がいることは、これは交渉だがアキラの言葉の証人としていることにもなる。

 「それなら、力を貸してもらいましょうか。その時になったら声をかけるわ・・・と言っても、ずっと。というわけではないでしょう?」

 「そうですね・・・こちらとしては一つの事に協力してくれるなら、力を貸してもいい。そう判断したまでです」

 「何よ、それ」

 「鬼、あなた達も確認したでしょう・・・あの時に」

 

 それは九頭竜川の時だった。自分達の身の振りを決めてついていこうとした、その時だった。

 『お頭!お、鬼が、鬼が川の向こうに!』

 一人の兵が叫んだ。すると、確かに十数匹の鬼の姿があった。しかも、川を渡ってこっちに来ようとしている。戦えそうな桐琴か小夜叉に頼もうと思った矢先、美空が前に出た。

 

 『三昧耶曼荼羅(さまやまんだら)!』

 

 彼女のお家流なのか、それを出した途端鬼達が全員蒸発した。全員が唖然としている中

 『さっさと行くわよ』

 そう言って先を歩いた。

 

 その時の事を言った。

 「まさか、あいつを倒すのに協力しろ。って言うの?」

 「その通りです。私がどういう立ち位置にいるかも分かっているでしょう。でも、今のあなたと私の関係では、まだあなたは約束を守ろうとしない」

 「それが分かっていながら、どうして力を貸すのよ」

 「そうっすよ。それに尾張の連中って弱卒じゃないっすか」

 「一緒に戦えるとは思えない」

 部下の二人もジト目でアキラを見た。

 「だから、ですよ。その働きを見て判断して、決めてほしいのです」

 「あなた、私がそれを見たら力を貸すと思っているの?」

 「ええ、思っています。でも、今の自分達は補給がない状態。なので無償というわけにはいかないのです」

 「なるほどね・・・それであなた達は何ができるの?」

 「何人かは柘榴さんより強いものもいますが、前に出る隊ではなく後方からいろいろと細工したり・・・偵察とか。例えばあなたの娘をこっそり攫ったりとかいわば搦め手専門の部隊です。武器は主に鉄砲を使用しています」

 「へ~、鉄砲「柘榴より強いってどういうことっすか!」・・・柘榴、気になるのは分かるけどせめて話が終わってからにしてもらえる(ぴくぴく)」 

 「す、すいませんっす・・・」

 やはり反応した柘榴に怒りの顔を出す美空。

 「それで、その鉄砲ってどれくらいあるのよ」

 「・・・何丁でしたっけ」

 「何丁じゃ?」

 「何丁あるのでしょうね?」

 「何で把握してないのよ・・・」

 鉄砲の数を把握していない三人のボケにツッコむ美空。因みに一葉と幽は本当に知らないけどアキラは知っていた。だが、正確な数を言うとその分貸してと言って返さない可能性もあるからあえてとぼけた。

 「私は肩書だけの隊長ですからね。皆さんが有能ですからやることがないのですよ・・・そちらの幽からは神輿扱いされていますし」

 「将軍である余だって神輿なのだから、担がれ「公方様はもうちょっと働いてもらいたいですな~どこかで金を巻き上げるより」・・・むう」

 「・・・はあ~~、いい加減な奴ら」

 将軍と側近の漫才に呆れた越後国主。

 「否定はしませんよ。話は以上でいいですか?」

 「いいわ。補給は秋子に頼んでおくから・・・後、ここはもう引き上げるわ」

 「行くのですね・・・春日山城に」

 「もちろんよ、しっかりついてきなさいよ。来れないなら置いていくし、補給も切るから」

 「ありがとうございます。では「・・・一つだけいいかしら」?何か?」

 後ろを振り向いて去ろうとしたら、声をかけてきた。

 「あなたさっき私の娘をさらうと言ったわね。そんなことも本当にできるの?」

 反応を調べるためにこっそり一言言ったが、案の定聞いてきた。

 「あくまで例として出しただけです。まあ、時と場合によっては・・・やろうと思いますよ」

 その言葉を聞き驚く。美空だけじゃない、彼女の隣にいる三人も驚いていた。

 「何でそこまでしようと思うのよ。まだ信用してないのに、その相手の為にそこまでする理由って何なのよ」

 その言葉に表情を無くした。

 「・・・個人的な理由です」

 「主様。それは初耳じゃぞ」

 「ぜひ、聞きたいですな」

 「一葉様達も知らないってことは本当なのね」

 皆の視線がアキラに集中した。その時アキラはあの人物を思い出していた。

 

 『私が、私が!杏樹を守らないといけないんだ!』

 『あなたのおかげだ・・・ありがとう、アキラ』

 『・・・倖せにおなり』

 

 体が震え、辛い顔をしていた。それを見た一葉と幽は驚いていた。

 「あなたと、秋子さん。お二人は親です。血はつながってないと聞きましたが、それでも大切にしていることは分かります。なら、必ず助けたい。そう思ったまでです」

 必死に感情を押し込めて、それだけ言って今度こそ出て行った。

 「どうしたんすかね?とても辛そうに見えましたが」

 「全身震わせていた」

 「・・・御大将。あの人はもしかして私達を思って」

 「・・・今は考えなくていいわ。そろそろを出るわ!」

 「「は!」」

 美空の言葉に反応したのは柘榴と松葉だった。秋子はアキラの方を見ていた。

 『あの人、私と御大将を心配してくれた・・・』

 『あんなことをいう奴とは思わなかったわ・・・でも、心配してくれていたんだ』

 二人の心に少しだけドキッときた。

 

 二人が話し合っている時、アキラ隊の陣の中では・・・。

 「「((バチバチ))」」

 詩乃と朱雀が火花を散らせていた。

 「今夜はアキラ様と寝たいというのに・・・どうしてダメなのですか」

 「アキラ様と寝るのは妻の私達です。妻でないあなた達はダメです!」

 「なら、妻になるならいいのね?うふふ」

 「京にいる結菜様にちゃんと報告してから出ないとダメです(むか)」

 本来ならこんなことを詩乃は言わないが・・・。

 

 『あなたのその胸でアキラ様は満足できないのでは?』

 

 朱雀が自分の胸を見せて言ったこの言葉が売り言葉に買い言葉となってしまい、こんな状態になっていた。

 「ううう、ころちゃん。怖いよ~~」

 「うんうん、しかも・・・向こうでもやっているし」

 抱き合って怖がっているひよところ。二人が別の方を見ると、

 「だから、私がアキラの護衛をするって言ってんだろ!」

 「何を言う!アキラを守るのが俺の役目だ!」

 「違うの!鞠なの、鞠の役目なの!」

 時人と小夜叉と鞠。誰がアキラを守るかでこうなっていた。鞠なら「みんなで守るの!」と言いそうだが、

 

 『私がずっと守るから、二人はやめていいぜ』

 

 時人のこの言葉に反応してしまい、こうなってしまった。庵樹はというと。

 「そうなの、胸って大きいと結構大変なのね」

 「そうですの・・・まあ、ハニーが好きそうなら嬉しいですけど」

 「・・・・・・羨ましいです(ぐすん)」

 「かかか!そんなに気にすることないぞ!ほら、わしはこうでも問題ない!」

 「うん、私も気にしない」

 「・・・・・・泣きたいです(うるうる)」

 胸の談義を梅と桐琴と各務でしていた。最初は梅と雫の三人で別の事を話していたが、秋子の胸の話になったら桐琴と各務も混ざってこうなってしまった。すっかり蚊帳の外になった雫は、自分の胸を見て涙を出していた。

 「へ~~、烏って自分でそれを作ったですか!」

 「すごい・・・鉄砲って職人でもすごい手間と技術を使うのに。しかも、それを自在に扱えるなんて」

 「二条館の時も、越前の時もとても見事な腕前でした」

 「・・・(*ノωノ)」「そんなことないとお姉ちゃんは言ってます!でも、照れている辺り褒められて嬉しいのだと雀は思います!」

 三河の三人は雀と烏と仲良さそうに話していた。

 

 そこにアキラが戻ってきた。顔は元に戻っていた。

 「ただいま」

 「あ!アキラ様!」

 朱雀がすぐに反応して駆け寄った。でも彼女だけじゃなかった。

 「アキラ様。この女に言ってやってください」

 「アキラ!私だよな!」

 「いいや!俺だ」

 「鞠なの!」

 喧嘩していた残り四人もやってきた。

 「あ、アキラ。戻ってきたね・・・それより、おっぱいが大きい女の人が好きになったって本当なの?」

 「ハニー!さあ、もっと大きくしてください!」

 「ほれほれ!あの時のようにもっと揉んでいいのじゃぞ!」

 「むしろ、ずっと揉んでて」

 「・・・・・・大きくしてください(てれてれ)」

 皆につられて、この五人までやってきた。

 「主様。そんなにこれが好きなら余が毎日主様の顔を挟めてやるのに」

 「ほほう、それはそれは・・・京に戻ったら早速久遠様と双葉様に伝えないと」

 「・・・何があったのでしょうか?」

 庵樹の言葉を本気にした一葉とニヤニヤしながら見る幽。唖然としているうちに、それは広がっていった。

 「アキラ様!それなら朱雀の胸を使ってください!」

 「ダメです、私です!」

 「アキラ・・・大きさはそんなにないが、わ、わ、私のを」

 「胸くらいで満足するような奴じゃないぞ!アキラ、俺は尻だ!」

 「鞠も!鞠ならぜ~~んぶいいの!」

 こっちの五人もいつの間にかおっぱいの話になっていた。鞠がとんでもない発言をしていたが聞こえていなかった。

 「ううう、ころちゃん。話に入れないよ~~」

 「何か、話がどんどん私達の手の届かないところまで行っているような・・・」

 「・・・二人も羨ましいです(ぎりぎり)。この際、同士討ちさせて巨乳の皆さんを消そうかな」

 二人にも負けている雫は暗黒面に入りそうになっていた。その後、唯一まともな鉄砲の話をしていた五人にもおっぱい談義は感染して、誰が一番アキラに満足のいく胸を持つか大会が開催された。当人を無視して・・・。

 

 『これなら三人は隊に馴染めそうですね。庵樹は心配なかったのですが時人と朱雀は我が強い部分がありましたからね・・・それはそうと、逃げた方がいいですね。とてもやばいような、男の夢がかなうようなそんなことが起こりそうな気が』

 

 「アキラ様!逃がしませんよ!」

 「そうです!絶対にいてください!」

 「ってあなた方、さっきまで喧嘩してましたよね!」

 朱雀と詩乃の喧嘩していたとは思えない見事なチームワークで陣から逃げようとしたアキラを真ん中に連れ込んで、皆で囲んだ。

 「さあ!やるぞ!皆!3,2,1・・・おら!」

 「「「「「「はい!」」」」」」

 時人の掛け声で、全員が服を脱いだ。

 「おやおや、アキラ殿・・・死なないでくださいね」

 唯一、脱がないで面白そうに鼻血を致死量レベルで出して倒れそうになっているアキラを見た幽が言った。

 

 『こんな仲の良さは・・・いらないです』

 

 そして、地面に倒れた。

 

 

 これはアキラが記憶の奥底に封じ込めた出来事。というか、忘れたいくらいの出来事。それは三百六十度おっぱい全見せ事件が終わり、食事も終えて本陣を出た時だ。

 「とりあえず、よかったです。補給は受けてもらえそうで」

 今回の春日山城で人質となった美空と秋子の娘救出。それをやるが、まだまだ課題は山積みだ。何しろ、まだやると決めただけであり今後の事は全く話し合っていない。

 「とりあえずは信頼づくりからですね・・・向こうでも再度狂の背中を守るときは怪しまれましたし。まずはそれをしないことには」

 そう言いながらふと別のアキラ隊の陣に足を延ばした時だ。

 「・・・んですか!」

 「??」

 何か誰かが叫んだような気がした。その陣に入ってみると。

 「何れすか、あれわ!ひろいですよ!」

 とても珍しい光景があった。何と雫が酒を飲んでいた。しかも、その酔いっぷりはもはや酔っ払いと化していた。

 「・・・・・・逃げましょう」

 何に対して不満を持っているのか分からないが、関わると絶対にまずいと経験と本能から分かったので気配を消して出ようとしたが、

 「いいところにアキラ様~。さあ、飲みましょう」

 何と、さっきまでいた場所から一瞬で自分の傍にいた。しかも、腕をがっちりつかんで離すかオラ!って感じで握っていた。

 『な、何で雫がこれほどの握力を!梵と腕相撲できますよ!』

 だが、そんなことを考えているうちにさっき雫がいた場所まで連れてこられた。

 「ろらろら、あきりゃさまみょ~~」

 「えっと、その・・・はあ」

 覚悟を決めて出された酒を飲むしかなかった。

 

 その後、雫が酒をあんなでろんでろんになるまで飲んでこんな状態になった理由はさっきの三百六十度おっぱい全見せ事件が理由らしい。

 「ら~か~ら~!梅しゃんや公方しゃまは何がアキラ様の為にこれいろう大きくしちゃいなんて!もう、大きいのに!桐琴しゃまや各務しゃんや朱雀しゃんに至ってはにゃんですか!余計にでっかじゃにゃいですか!なんれれすか!何れ、あんなにれかくなるのれすか!」

 つまり、自分はまあ・・・谷なのにほかの皆は山なのが悔しいようだ。

 「詩乃らって、山があるにょに!ひよしゃんやころしゃんらってそれなりにあるのに!何が、アキラしゃまに揉まれて大きくなりちゃいでしゅか!おら!わらひより大きいくせに何を言うとんのじゃごら!」

 離す言葉も日本語かどうか怪しいくらい口調がヤバかった。

 「落ち着きなさい。口調がやばめになってますよ」

 「揉んれおおきくなるのにゃら、ろうしれあびらしゃまをあみょってこっちょりにょんれいりゅわらしはおおりるなりゃにゃいにゃ」

 「・・・もう何言っているのかすら分からないくらい酔ってますね」

 何気にアキラで自慰をしている発言が出たのだが、酔いの酷さで口調がひどくなりすぎて聞き取れていなかった。これ以上は危険を思い、瓢箪を取りあげた。

 「ここまでです。後は、もう寝「あ~、あひらさま~。わらいをらいてくれるのれすね~」は?・・・って!」

 これまたいつの間にかアキラが寝かされていて、雫が上に乗っていた。

 「ほらほら~~あひらしゃま~。揉んれ~~」

 そのままアキラの両手を自分の胸のところにやった。しかも、服の隙間から入れて彼女のおっぱいを直に触った。

 「し、雫!お、おちつ「揉まないのなら・・・アキラ様、〇〇〇ますよ!」や、やらせていただきます!」

 思いっきり彼女の口から出てはいけない言葉が出て

 『な、何ですか!灯に言われたような全身から寒気がしたこの恐怖は!ど、どうしてここまでの暗黒レベルの黒い空気を!』

 過去のトラウマの本能で思わず要望に頷いてしまった。雫の巨乳への怒りに酒の泥酔いで理性がぶっ壊れ、暗黒面が強くなっていたのかもしれない。

 「おねぎゃいしましゅね~~」

 頷くと笑顔になって自分の下着を脱いで割れ目を出した。既に濡れており、手際よくアキラの袴の隙間に手を入れて

 「う!」

 「うふふ、いたちゃぎま~しゅ」

 性刀を出して、割れ目に勢いよく入れた。

 「あ、あああううう!ほ、ほりゃ~。やすめにゃいの~」

 「あ、は、はい・・・」

 もうされるがままだ。要望通り雫の両方の胸を揉み始めた。

 「あ~は~~~むにゅ~~。いいにょ~」

 「全く・・・何が何なのやら」

 控えめの彼女の胸を揉み出した。その間も雫は腰を上下に動かすのもちゃんと忘れない。おっぱいの先もいじくるのも忘れない。

 「あは、あは、あはは、あひらちゃま~。もっちょ~」

 「これは・・・ある意味辛いですよ」

 自分も腰の方で快感が徐々に高くなっている。でも辛いと思うのは、自分のペースでやれてないのだ。全部、彼女のペースだ。今までは自分のペースかお互い快感を高め合ってペースを譲り合いながら多くの彼女達を抱いてきた。だが、完全に雫の一人独走ペースのため自分の思った通りの快楽が得られていない。

 「・・・腹が立ちましたね」

 苛立ちも限界に達した。自分も腰を上下に動かし、更に揉む力も強くし、おっぱい全体に揉む幅を広げた。

 「あ・・・は・・・ん、んんん!」

 「いきますよ・・・ここからは私のターンです!」

 酔いまくっていた雫の顔が、快楽を感じてきて色っぽさのある顔に変わってきた。更に口も明けて涎が出た。

 「ほわほわすりゅ~。ぽわぽわしりゅ~~」

 「覚悟しなさい」

 それでも、まだ酔い口調の雫に一言それを言い腰を速度を早くした。雫の体がどんどん上下に動く速度が速くなる。快楽の感じる顔が更にアヘっていく顔になっていく。

 「あ。あああんん!で、で、でりゅにょ~~~」

 「んん!っく!いきますよ!」

 刀の限度もそろそろだ。アキラの突きもそろそろ限界を迎えてきた。胸の揉む方も完全に力加減を忘れ、全力で揉んでいた。

 「ああうう!むにぇが、ぬみぇぎゃ~~!」

 「おおおおお!!うう」

 そして、最後の一撃を彼女の秘所についた。そこと揉まれている胸からくるダブルの快楽の波に雫は

 「あ、あああ。あああああああ」

 ようやく絶頂した。数回ビクッとした後、そのままアキラに倒れこんだ。

 「・・・ふう、終わりましたか」

 「・・・う」

 ホッとしたアキラだが、そこに災難が来た。

 「雫?」

 雫が起き上がり自分の顔の上で口に両手を当てていた。しかも、現在進行形でそこから出そうなのを止めている。

 「!!!」

 「う、うううううう」

 すぐにわかったアキラ。慌てて離れようとするが既に遅かった。

 

        オロロロロロロロロロロロ・・・・・・

 

 この表現がぴったりの行動を雫が起こした。そして、その彼女の下にいたアキラは・・・どうなったかは読者の皆さんの想像に任せます。

 

 以上がこの夜起きたことであり、アキラがきれいさっぱり忘れることにした出来事であった。因みに雫の方はと言うと、きれいさっぱり記憶がなかった。と言うかアキラとあれなことをしたことはおろか一緒に飲んでいた記憶すらなかった。そして、記憶の奥底に封印した一番の理由は・・・

 

 『雫が灯レベルのあの暗黒の空気を出したことは絶対に忘れるべきです!』

 

 これだった・・・ちゃんちゃん♪

 




 お待たせしました!ちょっとした修羅場なアキラ隊でした。

 でも、最後は皆まとまっていい感じで終わりました・・・そのまとまり方がとんでもなかったですが・・・

 やはり、美空と秋子と言えばあの男が出てきますよね・・・同じ親の立場ですから・・・

 次は間章です。さてと・・・エロはどうしようか。


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間章13-1 いなくならないで・・・失いたくない R-18

 
 こんにちは!三MENです。

 では、間章突入です!今回はあの三人と詩乃とさっそくツンデレちゃんです!


 4月8日 四人のエロ表現、追加しました!



 「昨日はひどい。いや、いい思い・・・いやいや!とんでもない目にあいました」

 頭の中に思い出される視界三百六十度のおっぱい地獄・・・ではなく天国を思い出したアキラ。

 「どうしてあんな話が出たのでしょうか・・・勢いに乗りやすいアキラ隊や森の三人ならともかく、歌夜や小波まで参加するとは思いませんでした」

 あの後、次の日まで寝てしまっていた。そして、目を覚ますと裸のまま自分に抱き着いている時人と庵樹、そして朱雀がいた。

 「アキラ様、私の裸どうでした?」

 「・・・ああ、どうして勢いに乗ってあんなことを」

 「庵樹、いいじゃないか。恥ずかしかったのは一緒だけど・・・いずれ見てもらうんだからさ」

 朱雀は満足げに、庵樹は恥ずかしげに、時人は少し照れていた。

 「・・・そうだね。アキラ、いつか抱いてくれよ」

 「庵樹、あなたの口からそれが出るとは思いませんでした」

 アキラの中の庵樹は姉としての役割を持つ存在であり、彼女の方でもアキラがいなくなるまではそういう立場に立っていようと決めていた。でも、いなくなって想いに気づいた今では、二人と一緒に想いを果たそうと決めている。

 

 「それで、アキラはどこに行くんだい?」

 「食料調達ですよ。美空は気分屋ですからね、自分の気分次第で補給が切らされる可能性もあるので・・・それに隊の隊長が黙っているのもちょっとね」

 「そうだったな、アキラって隊の頭だったな」

 時人の質問に答えて、その時に改めて隊の隊長をしていたことに気づいた庵樹。

 「さて、獲物をいれる籠を・・・」

 「どうしました、アキラ・・・」

 「「・・・」」

 籠の上にある布をめくるとアキラは言葉を失った。問いかけた朱雀も残り二人も何やっているんだ?と言う目で籠の中を見た。

 

 「アキラ様、どちらに行かれるのですか?」

 

 その籠の中にはむすっとした顔の詩乃がいた。四人はすぐに行動に出た。

 「アキラ様、こちらなら空です」

 「さてと、私達も食料調達を手伝うか」

 「なあアキラ。軽く手合わせ頼めるか!」

 「・・・四人ともその反応はいかがなものかと」

 「「「「むしろ、これしかできないと思いますが?」」」」

 不満を口にしたが、それを四倍にして返されダンマリになった詩乃だった。

 

 その後、籠から出れなくなった詩乃を出してあげ(本人は頑なに認めなかった)、食料調達をすることを伝えたが信用しなかった。一緒にいればいいと言うことになり彼女も森に行くことになった。その道中、兵達も気分転換で狩りなどをすればいいのでは?と言われ、その案に感心した。

 途中で三人と別れ、半刻後に川で集まることにしてアキラは詩乃とそのまま川に向かって、すぐに到着した。

 「では、まずは食べられる野草探しをしますか」

 「あの・・・私もいいですか?」

 「構いませんよ、見つけたら私に見せてくださいね」

 川が見える範囲で野草探しを始め四半刻後にそれなりに取れたので、川の魚も取ろうと思ったが釣竿を忘れていた。だから、見える魚を刀で刺して捕ろうとしたが。

 「あの、詩乃・・・どうしましたか?」

 「・・・やめてください」

 「別に川に入るわけではないですが?」

 「お願いします」

 詩乃が服を掴み、アキラを川に近づかせないようにした。彼女をよく見ると少し震えていた。

 「どうしたのです?」

 「・・・九頭竜川の」

 「え?でも、あれは四人がいたから「そこではありません!」な!」

 いきなり大きな声を出した詩乃。そこから感情が爆発したのか、どんどん口から言葉が出てきた。

 

 「あの時・・・桐琴さんと二人だけで殿をすると言った時、私が、私達がどんな気持ちだったか!アキラ様は知らなかったのでしょう!そして、朱雀さん達とやってきたときに背負われていたあなたを見た時、どんなに心配したか・・・どんなに不安だったか!」

 

 彼女の目から涙が出てきた。

 

 「私は、私は、アキラ様しかいないのです!・・・アキラ様の傍でしか生きていけないのです・・・お願い、ですから、もう、無茶を、しないで、ください・・・いなく、ならないで、ください・・・う、う、ううう、うわあああああ~~~」

 

 そして、アキラに抱き着いて大きな声で泣いた。ここまで号泣する詩乃は初めて見たため、言葉を失った。

 「・・・アキラ様。私達も詩乃さんと同じ気持ちです」

 「アキラ・・・どんだけ心配したと思っていたかわかるか?私達が・・・ずっと追いかけていた背中がいきなり・・・う、ぐす。いなく、なった、あの気持ちが・・・」

 背中の籠に一杯の戦利品を入れて戻ってきた。朱雀も時人も涙を出していたが、

 

 「あんたがいなくなって・・・二人の世話をして・・・でも、ずっと前をいたあんたの背中がなくなって・・・とても心に穴が開いたような感じだった・・・それで、やっと気づいたんだ。親父って、こんな気持ちをずっと、持っていたんだって・・・」

 

 ボロボロに泣いていたのは庵樹だった。

 「アキラ、いなくならないでくれよ・・・もう、嫌なんだよ。あんたと一緒じゃないと嫌なんだよ。いなくなってから気づいたんだよ・・・嫌だ、もう、本当に、いなくなるのが嫌なんだよ!」

 背中に庵樹が抱き着いて泣いた。二人も左右から抱き着いて泣いた。アキラは四人の巣の姿を見て、自分の存在の大きさを改めて認識した。

 

 

 「アキラ様・・・私は、欲しいのです。あなたの、想いを、愛を、もっと」

 アキラに抱き着いた詩乃が服を脱いで、三人も続いてついに裸になった。四人ともアキラの体のいろんなところにキスをしながら脱がせていって・・・ついに、アキラを全裸にした。

 「アキラの、すごい・・・いつも見ていたけど」

 「女として抱かれると思うと・・・これ以上なく燃えてきます」

 「朱雀はいつもそれで悶えているでしょうに・・・傷も増えたね・・・でも、それ以上に・・・ここがあんたのを欲している」

 三人は自分の割れ目から流れる蜜をアキラに見せた。

 「アキラ様・・・私も忘れないでください」

 それは詩乃もそうだった。四人とも潤んだ目で自身の蜜壺を見せていた。

 「出てますね、四人とも。では、最初は・・・泣かせてしまった人を」

 詩乃に覆いかぶさり、彼女の壺にズブズブと刀を入れた。

 「ああう!あああ、アキラ様。いい。あああ」

 「では、いきますよ」

 嬉し涙を流しながら、力の限り抱きしめた。快楽に体を支配され始めた詩乃は、どんどん体がよがっていく。

 「う、ううう、つ、辛いです。抱いてもらえるのは嬉しいけど待つなんて」

 「我慢しろ、朱雀。詩乃の気持ちだってわかるだろう」

 「そうよ、私達は最後に抱かれましょう」

 早くして。という顔の朱雀を抑える二人。その間に、

 「な、あ、アキラ様!」

 「いいでしょう。もっと、いいことをしますよ」

 せっかくのアキラの刀が詩乃の鞘から抜かれた。そして、体を百八十度回した。

 「詩乃・・・見せてもらいますよ」

 「そ、そんな!は、恥ずかしいです!」

 「それはお互い様です」

 アキラは自分の性刀を詩乃の眼前に置き、自分は詩乃の割れ目が目の前に来るようにした。一気に真っ赤になった詩乃。

 「ふふ、さあ、いじらせてもらいますよ」

 「ああうう、ああ、あ、ぴゃう!ああ、ああ!」

 「す、すっげー。詩乃が焦っている」

 「淫らですね。でも羨ましい」

 「アキラって、あんなこともするの?」

 割れ目をいじりだして、そこからくる快感と見られた恥ずかしさに体が跳ねる詩乃。自慰よりその感度は倍で、見物客もいることで更に倍になった。

 「・・・ふむ(ペロ、チュ、チュル)」

 「む~~!あ、アキラ様!」

 恥ずかしさの頂点に立ち、アキラの性刀に何かしようという考えがなかった。割れ目を舐められていくことで、どんどん淫らになり、しまいには彼女のお尻にも手が行き、それを揉み始めた。

 「あ、あ、あああ、ああああああ!」

 「いいですよ。ほらほら」

 「あ、アキラ様!お、お願いです・・・やめて」

 そう言っても拒絶しない辺り続けてほしいのだろう。だからずっと続けていくと、数分後に詩乃の体がビクンとまっすぐになったと同時に、その割れ目からたくさんの蜜が出た。彼女の快楽の頂点も立ったようだ。

 「おや、これで終わりですか?」

 ひくひくとしている詩乃から三人に顔を向けた。三人ともドキン!とした。詩乃の方はというと、二つの頂点を絶頂したことでそのまま失神したようだ。

 「いいのですか?」

 「「「・・・(コクン)」」」

 照れながら、三人とも頷いた。そして、真ん中にいた時人にキスをした。もちろん、そのまま口の中で熱い舌の戦いが始まった。

 「む、むうう!う、あ、ちゅるちゅるり」

 最初は初めての事で驚いたが、女の快感の波が来るとそれに乗って抵抗がなくなった。

 「「ちゅば、ちゅぱ、ペロペロ」」

 庵樹と朱雀はアキラの手を掴み指を舐めていた。しかも、指一つずつ丁寧に舐めていたため、いやらしく見えた。それを交代でやり、庵樹にキスの時は時人が変わり、その次の朱雀は庵樹が変わった。三人とも顔が赤くなっていき、欲情もし始めてきた。

 「では、いきますよ」

 キスが終わり、次は胸になった。

 「あう!アキラ様・・・朱雀は、う、うれし、ぴう!」

 「あ!胸・・・なあ、もっとううん!乳首、乳首、ああ!」

 「も、もっと、大きく、したい・・・揉んで。好きなだけ、揉んで!」

 真ん中の朱雀にはそのまま顔をうずめ彼女の胸を舐め始めた。両サイドの二人は自分の手を使って胸のいろんな箇所を触り、撫でり、揉んだ。

 「アキラ・・・体が、体が」

 「も、もう、熱くなりすぎて・・・何が何だが、分からなくなります」

 「頼むよ・・・ここに、ここに、あんたのを」

 快楽にやられて足に力が入らないのか、三人ともその場に座り込んだ。アキラに脚を広げて、自分の割れ目を座って見せた。

 「もちろんですよ。行きます」

 「ようやく、抱いて、もらえる。あ!ああ、い、い、痛い!い、痛い~~!」

 「と、時人ばかり・・・あ、アキラ様。朱雀は、朱雀は。あ、ああ!いた!やっと、ひく、うう、アキラ様に、もらって、くれた・・・ひく」

 「あ、ああああ!うう、い、いたい・・・女の、痛み・・・これが。ああアキラ。よかった。あんたに、あげられて」

 順番に出し入れした。女の壁を貫かれて、アキラの本当の女になれた。それが彼女らの痛みを喜びに変えた。女の壁を無くしたここからは彼女らの想いの丈をぶつける番だ。

 「私は・・・これを舐めて。んんん!あああ、びりってきた」

 「アキラ・・次、いい、よね」

 「その次が、私も、です・・・はあはあはあはあはあはあ」

 「分かってますよ・・・三人とも、順番にですけど」

 三人は下から庵樹、時人、朱雀のサンドイッチが出来上がり、今度は重なった三人の女の割れ目が目の前に現れた。

 「あ、何、これって。とても、ダメに・・あ、アキラ、アキラ・・・一緒に!」

 「ああううんん!もう、もう、舐め舐め・・が、いい、いい!」

 「詩乃が、ああなるの、わか、あああ!すごい!すごいよ!」

 誰かのを舐めているときは指で二人の割れ目の中をどんどん濡らしていき、それが彼女らの気持ちを高揚させ、更に大胆な気持ちにさせた。

 「入れて・・・さあ、ここに、入れて」

 「朱雀の、ここに、淫らな蜜を出すここに」

 「その刀で・・・私達を、堕として!」

 アキラは頷き、さっきと同じようにまた始めた。時人、庵樹、朱雀の割れ目に出し入れを繰り返していった。さっきよりも速さがあるため、三人も淫らな動きがより淫乱になっていく。汗も光って更に体の色っぽさも増したことで、アキラの情欲が更に高まる。動きが激しくなっていき、彼女らのサンドイッチが崩れそうになっていき、

 

 「「「「あああああああ!!」」」」

 

 崩れて地面に降りた三人にアキラの熱い想いが、彼女らの胸と顔にかかった。その時、三人ともアキラと絶頂したことに嬉しかったのか笑顔だった。

 

 ついに詩乃だけでなく、三人とも関係を持った。そんな三人は体に違和感を持ちながらもとても嬉しそうにしていたが・・・詩乃はというと。

 「ううう、あんな泣き顔を見せてしまうなんて・・・アキラ様にあんなところをあんなに舐められいじられるなんて・・・挙句にはそれで絶頂してしまうなんて、竹中半兵衛重治、一生の不覚です!」

 唯一アキラの持ってきた籠がまだ空だったので、その中に入って羞恥に悶えていた。

 「やれやれ。あんなに乱れさせるようにしたのはあなたでしょう?」

 「ううう!アキラ様の意地悪!」

 ますます籠の中に入ってさらに顔を真っ赤にした。

 

 『ついに三人も抱いてしまいましたね。でも、庵樹があそこまで辛い顔をしたのは初めて見ました・・・以前、寿里庵はいなくなってから大切なものの大きさに気づくと言っていましたよね・・・それが彼女達の悲しさに繋がったということですか。詩乃もここまで悲しんでいましたし、もういなくなることはしないようにしないと』

 

 籠の中で顔を振りながら真っ赤になっている詩乃を見て、必ず傍にいる決意を強くしたアキラだった。

 

 

 その後、詩乃を籠から出して皆の熱も下がったのを見計らって陣に戻った。

 「たのも~~っす!」

 そんな声と共に、陣の外には柘榴と松葉がいた。用件は美空がアキラと話をしたいと松葉に伝令を頼んで、ついでに道場破りをしたい柘榴もやってきたとの事。同じ槍使いと手合わせがしたいらしく、誰とやるのかはまだ決まっていない。

 「柘榴さん。一つ言っておきます・・・死なないでくださいね」

 「やだな~!柘榴が負けるはずないっす!」

 「いや、死なないでと言ったのですが・・・聞こえてないですね。全く何も知らないというのは幸せですね」

 そう呟きながら、柘榴の冥福を祈って松葉の後ろをついていった。

 「さっき柘榴に死なないでと言っていたけど」

 「相手は綾那か小夜叉・・・やばければ桐琴さんになりますからね。あの三人に勝つことは彼女には無理でしょう。戦国最強と戦国最凶・・・そして最後の一人は超やばい戦国最凶ですからね(しかも桐琴さんは北落師門を自在に扱えるらしいですし)・・・美空、武将が一人死んでも問題ないですよね?」

 「・・・そんなにすごいの?」

 「ええ。私の方がまだ強いですけど、柘榴さんが勝てる相手ではありません」

 びっくりしたのか、少し目を見開いてアキラを見ていた松葉。その後、美空の本陣に着くと松葉はすぐいなくなった。

 「そう言えば、柘榴は?二人で行ったみたいだけど」

 「ああ、道場破りしましたね・・・死なないといいんだけど」

 「何!ずるいわよ!相手は誰!」

 死ぬの発言より先に同乗やぶりをされたことに腹が立った美空だった。

 「さあ?槍使いのだれかですけど」

 「それならいいわ。一葉様だったら許さなかったわね」

 「いいのですか?・・・柘榴さん、死ぬかもしれませんよ?」

 「負けるじゃなくて死ぬ?どういうことよ?」

 ここでようやくその言葉に気が付いた。

 「柘榴さんも強いのは認めますが・・・隊にいる三人の槍使いはその上をいってますから」

 「何?そんなに強いのがそんなにいるの!有能な人材多すぎじゃない!」

 「そうですね、私は幸せ者です。この隊の隊長ができていることに・・・後、補給ありがとうございます。おかげで皆さんを助けられました」

 来る途中で秋子とひよに会ってその事を聞いたので、手を回した彼女にお礼を言った。

 「その分、しっかり働いてもらうわよ」

 「もちろん、しっかりやりますよ」

 「・・・やっぱり変なやつ」

 アキラの返答にジト目の美空。

 「何が変ですか?」

 「あんた、どうして自分の立場をうまく使わないのよ・・・衰えているとはいえ公方様の夫ということは相当いい立場にいるのに、全く使おうとしないなんておかしいわ」

 「そういうことですか・・・私自身が彼女達の持っている権力を使えるわけじゃないですし。過去一回、雫を隊に入れる際は一葉の力を借りましたが「女!あんた、やっぱり女のために使ったの!」・・・あなたが私を見る目が分かった気がします」

 「妥当な見方と思ってもらいましょうか。御免状を持って女をあんなに誑している奴なんだから」

 そう言われて黙るしかなかった。とりあえず話を変えることにした。

 「それはそうと・・・あなた、義理とはいえ娘がいたのですね」

 「?空の事・・・あんたまさか」

 「私が聞きたいのは、その娘さんにどういう思いを持っているか?だけですよ」

 「そう?・・・そうね。あの子は大事な子よ。この乱世の中、あの子が私を癒してくれる。笑顔にしてくれる。娘として引き取る時も私は嬉しかったわ・・・本当に大切な子よ」

 

 『これが愛情を持った親の顔というものですか・・・クビラの時に見たことはありましたが、これ以上ないほど大切なことが分かります』

 

 とても幸せな顔をする美空を見て、親は偉大なものだと分かり一層助ける気持ちが強くなった。

 「なら、必ず助けましょうね。あなたのためにも・・・秋子さんのためにも」

 「本当に変なやつ。私の弱みになるような話なのに、それを受け止めて尚且つ助けたいと思うなんて」

 「あなたも信念を持っているからですよ。絶対に娘を助けたい・・・大切にしたいという信念がね。その存在を失ってからじゃ遅いんですよ」

 「まるで、見てきたような言い方ね」

 その言葉にアキラは一瞬辛い顔になった。そして、美空はそれを見逃さなかった。

 「・・・見ましたよ。娘を倖せにしたい。その強い信念を持ったサムライを」

 「そう・・・じゃ、時が来たらお願いね」

 もちろんです。というアキラを見て、内心考えた美空。

 『・・・一瞬だけど辛そうな顔をしたわ。一体、どんな奴を見たというの?まさかとは思うけど、そいつの娘が戦いの場にいて、彼の信念を見たからこそ知ったのかしら。親の子に対する思いを。だから、こいつは空や愛菜を助けたいと思ったのね・・・絶対に言わないけど、いい男ね。そういえば、秋子がこいつの名前をよく話に出していたけど、もしかして好きになりかけている?』

 彼の、自分と秋子に対する見方を少し理解した。 

 「ただいま戻りました・・・ってアキラさん!ま、まだいたのですか!」

 そこに秋子が戻ってきた。だが、アキラを見て顔を赤くしたその姿を見て間違いないと思った美空。その秋子の背中にはボロボロになって歩くことすら出来ていない柘榴がいた。

 「柘榴、どうしたのよ・・・そんなボロボロな姿、戦でもならないのに」 

 「アキラさん・・・あの人。とんでもないの更にとんでもないのとんでもないのとんでも・・・あれ?\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?「しっかりなさい!」っは!ううう、あ、あれは人じゃないっす」

 現実を見失いそうになる柘榴を、何とか美空の喝で復帰した。

 「もしかして、桐琴さんと戦ったのですか?」

 「あの見たことない槍を持った人の事っすか・・・槍が光ったと思ったら、気づいたら地面に倒れていたっす・・・しかも、何回も攻撃していて動かせなかったっす」

 「私も見させていただきましたが、あれは不思議でしたね。あれほどの実力・・・柘榴ちゃんがあと三人いても勝てないんじゃないでしょうか?最初に戦った綾那ちゃんって子も傷一つつかないでぴんぴんしてましたね」

 秋子の不思議そうに思う顔に、美空も興味を持った。

 「ふ~~ん、そういうお家流を持っているのかしら?あなたの隊って結構興味深い連中もいるわね」

 「私は彼女らよりも強いですけどね・・・それより、私は負けても二人と戦って生き残っているあなたを賞賛しますよ」

 「ううう、そう言われると戦ってみたいっすけど・・・今は無理っす」

 柘榴の動けなさそうな姿を見て、自分が太四老時人の戦った後ってこうだったのかな?と思ったアキラ。

 「では、お大事に・・・後、秋子さん。あなたの娘さんは必ず助けましょうね」

 そう言って柘榴を下ろした秋子の右手を力強く握った。

 「あ!あ、ああ、あ、ああああちょちょちょ、ちょうでしゅにぇ!」

 「・・・何言っているかわからないわよ」

 そして、手を離して陣を出ていったアキラ。握られた手を見て真っ赤になりながらもその手を自分の頬に着けてにやつく秋子。その姿を見て溜息をついた美空。

 

 『誑しの実力がここまでとは・・・秋子、完全に堕ちたわね。これ以上ない嬉しい顔をして・・・いい男と思ったけど、それと同時に遠い男とも思えたわ。柘榴をボロボロにしたあいつの隊の連中も興味あるけど、実際に話してみて、やっぱりあいつが一番興味があるわね。もっとあいつの事を知りたいわね』

 

 彼女自身は知らなかった。そうやってどんどん知りたいという気持ちが、自分も秋子同様だんだん誑されかけていることに。

  




 詩乃にとっても、三人にとってもアキラはもう一生傍にいないとダメなくらい好きになっていること。庵樹だけはまだちゃんとアキラに想いを示してなかったので今回でそれを見せました。

 そして、美空でも娘は絶対に失いたくない思いをだして、同時に彼女の気持ちがアキラを強く意識するようになりました。

 次は誰の間章にしようかな・・・?


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間章13-2 可能性はまだあります R-18

 こんばんは!三MENです。

 今回の間章は三河の三人にしました!



 3月18日 小波、エロ表現追加。


 アキラ隊にやっと補給が来たので、それぞれの将は自分の持ち場に行っていた。

 「アキラ様~!」

 幽と話している時にころが叫びながらやってきて、ちょっと涙目でアキラに抱き着いた。そのすぐ後にやってきた綾那と歌夜から隠れるようにアキラの背中に移動した。

 「どうかなされましたか?」

 「話して見なさい、ころ」

 アキラに言われて話しだした。どうやら家柄を気にする余り長柄隊にやってきた綾那と歌夜に指示ができないらしい。自分は野武士上がりだが、この二人は松平の武将というのがどうしても気になってしまうらしい。

 「あら?どうしたのですか?」

 そこに梅がやってきて、涙目のころの事情を説明したら綾那と歌夜を鉄砲隊に誘った。

 

 『距離を置くということですか・・・梅らしい優しさですね。ころはズバッと言われると立ち直れなくなりそうですし』

 

 梅の意図が分かったアキラもうまい事言って彼女らを連れていくことにした。その際、幽が軽く目くばせをしたのを見た。彼女もころの愚痴と悩みを聞いてあげるつもりだろう。

 

 その二人の心遣いに従って、早速鉄砲隊のいるところにやってきた。

 「お姉ちゃん!こっちの二人が鉄砲を使ってみたいって!」

 「・・・」「気をつけて使って。ってお姉ちゃんは言ってます!」

 「お二人は鉄砲は初めてですよね?」

 雫の質問に頷いた。

 「はいです!」

 「はい、これが火縄銃ですか・・・実際持つと結構重いんですね」

 「ええ、でもお二人なら問題ないみたいですね」

 二人にレクチャーする烏と雀。雫と梅からも教えてもらって、早速試し打ちをしたら見事に目標の枝に命中した。

 『二人は集中力がありますからね。銃というのは雑念があると刀同様手元が狂ってしまいますからね・・・』

 アキラも見事と思いながら、見ていると・・・

 「あれ?弾が出ないです?」

 「ちょっと、綾那!火縄がもうついているわよ!」

 「え、え?」

 「綾那さん!そのままじゃ危ないです!」

 「上です!銃口を上にむけてください!」

 「え、えええ!」

 「は、早く向けて!」

 銃口を上に向けたと同時に弾が出た。

 『歌夜はまだいいですが、綾那はいまいちですね。彼女はやはり槍で光るものがありますからね』

 とりあえず綾那に鉄砲は向かないと分かった。その後、梅はころと幽がいる陣に向かい、綾那と歌夜はアキラと共にそのまま別の隊のところに行った。

 

 「許してください!」

 「はや!」

 小荷駄隊の指揮をしているひよに事情を説明し終わる前に拒否られた。その速さに思わず突っ込んだアキラ。

 「ひよ、どうしてダメなんだい?」

 「だって~~、綾那さんと歌夜さんなんですよ~~。武将さんなんですよ~!」

 一緒にいる庵樹の質問に号泣しながら答える。ころ同様、びくびくしている。因みに庵樹がなぜ小荷駄隊にいるのかというと、

 

 「ほ~ら!皆、頑張ってなの!(* ̄0 ̄)/ オー!!」

 

 鞠の存在がいたからだ。彼女のような素直でかわいい子が妹としてほしかったとのことで、鞠の方もまた庵樹みたいな姉が欲しかったらしく、お互いいい姉妹みたいな関係でやっていけてる。

 小荷駄隊は弓部隊も兼任しているということで、その弓を持たせるとそっちも一流の腕を持っていたことが分かった。

 

 その後、別の隊に向かう途中で歌夜にころの話をした。

 「すいませんでしたね・・・こんな徒労をさせてしまって」

 「いえ、気にしていません。いろいろ新しいことも勉強させてもらいましたし」

 「ころの事ですが」

 「本当に気にしないでください。それに、ころさんの気持ちは何となくわかります・・・私も一葉様や鞠様に指揮しろと言われたら、ああなると思います」

 そう言う歌夜にアキラは疑問が出た。

 「・・・私には分からないですね。そんな身分なんて考えたことなかったですから」

 「・・・そういうところがこの隊のいいところなのかもしれませんね。身分や立場を一切なくしているから、団結力が他の隊より強い気がします」

 そう言われて、仲間達と一緒に行動したあの頃を思い出した。

 「そうですね・・・喧嘩をよくしたからこそ、隠しごとをする必要がなかった。それが、人と人をつなげる一番いいやり方かもしれませんね・・・懐かしいですよ、日の本の次期将軍のあばらを折ったり、叩きのめしたり、梵天丸を氷漬けにしたあの時が」

 ぼそぼそとつぶやいていると、歌夜が絶句した。

 「あ、あの・・・冗談ですよね」

 「いえ、本ですよ。私のいた世界の話ですが、親友が将軍様なんですよ」

 「え、ええええ!そ、そんなことしてよかったのですか!!」

 「大丈夫ですよ・・・そうやって喧嘩したからこそ、親友になれましたし」

 笑って大丈夫と言うアキラに、冷や汗を流した歌夜。すると、今まで黙っていた綾那が口を開いた。

 「アキラ様。梵天丸って伊達の独眼竜じゃなかったですか?」

 「そうですが・・・綾那、よく知ってましたね?」

 「とても強そうな武将は、いずれ戦うかもしれないので覚えているです!」

 「そういうところだけは記憶力がいいのですね・・・」

 「・・・久遠様のお城に行った時も壬月様と麦穂様は覚えていたのですが、三若の三人は・・・何度か会ってもすぐ忘れてしまって」

 「少し哀れな気がしますね」

 思わず三人の事を思いだしたと同時に、哀れに思った。

 

 「「「はっくしょん!」」」

 二条館のどこかで同時にくしゃみをする三人がいたそうな・・・。

 

 その後、軍師・・・つまり詩乃のところに行くと、そこには朱雀がいた。

 「なるほど・・・つまりそこに」

 「ええ。こう進ませて、そこで罠に」

 アキラに関してはライバルだけど、その愛するアキラを共に支える仲間でもあるので、こうしたときはしっかり仕事とプライベートを使い分けていた。

 「ふむ、ここは必要なさそうですね」 

 「はい!綾那、頭使うとぼっか~~ん!って感じにわからなくなるです!」

 「・・・それは自慢げに言う言葉じゃないわよ」

 綾那の言葉に呆れた歌夜。

 

 「ご勘弁ください!」

 最後に小波のところに行ったら、ひよよりも早く拒否られた。さすがに身分をひよやころ以上に強く意識する小波に任せるのは酷と分かっていたが、一応全体も見せようと思って連れてきた。

 「何だよ、別にどうってことないと思うけど?」

 「どうってことあります!だって、綾那様と歌夜様と言ったら」

 「それって身分の事か?まあ、自分も昔は・・・な」

 小波の隣で話しているのは時人だった。早く動ける小波を見て興味を持ったらしく、速さの競争も時々している。今のところ時人が勝っているが、気配を消しても早く動ける彼女に感心しているらしく、その事を聞いているうちに仲良くなった。会話がとぎれとぎれになったのは、太四老時代の苦い思い出を思い出したからだろう。

 

 『・・・あれ?そういえば、最近小波の気配がないことが多いですね。越後に来る前はずっとそばにいたはずなのに・・・なにかあったのでしょうか?』

 

 綾那と歌夜との会話に焦っている小波だったが、アキラはそんな彼女に違和感を持った。

 

 それなりの収穫もあったが、やはり前線のころの長柄隊に戻ることになった。本陣に戻るとすっかり気分も晴れたのか、ころは夕飯の準備をしていた。二人にも準備を手伝うよう言うあたり、幽と梅の活躍も無駄ではなかったようだ。

 『・・・小波のところに行きましょうか。以前は鞠のおかげで皆と食事もするようになっていましたが、ここに来てからはしていないですからね』

 後はさっきの違和感を突き止めるために、陣を出て小波のところに向かった。

 

 着いたところは陣から少し離れた森の中だった。気配が陣になかったので、少し範囲を広げて探すとそこで見つかったのだ。気配の元に近づくと見つかった。

 『少し寂しそうに見えます・・・やはり、何か隠していますね』

 座っている小波の後ろから近づき肩に手をのせようと思ったら、

 「ご主人様ですか?」

 いきなり声をかけられた。

 「よくわかりましたね・・・一応気配は消していたのですが」

 「ご主人様なら・・・その、匂いを覚えてますので、すぐわかります」

 「匂い、ですか?」

 「はい、とても素敵ないい匂いです。すごく逞しくて、とても安心できて、そしていつも包まれてたい匂いです」

 「・・・そう言われるとちょっと恥ずかしいですね」

 匂い一つでそこまで褒められたことに、頬をかきながら少し赤くなった。

 「あの・・・しばらく嗅いでいていいでしょうか?」

 「ええ。構いませんよ、好きなだけどうぞ」

 そう言いながら隣に座ると、匂いを吸い込むために大きく息を吸った。

 「す~~、は~~、とても、いい匂い、です」

 「それはよかったです・・・ところで一つ聞きたいのですが、ここ最近私の傍を離れるのは何故でしょうか?」

 「え・・・あ・あの、その」

 その言葉に嗅ぐのをやめて、慌て始めた。

 「もしかして、隠し事・・・葵のことですか?」

 小波がアキラに対しての隠し事と言ったら、彼女の事しかない。図星だったらしく驚きの顔をした。

 「そういうことでしたか」

 「はい・・・アキラ様。アキラ様は長尾勢に力を貸しますよね」

 「ええ、葵と話しましたが・・・彼女の方は現状維持、でしょうね」

 「はい・・・葵様は力を貸しません」

 「でも、あなたや綾那に歌夜を隊に入れさせて・・・小波?」

 だけど、小波は辛そうな顔をしていた。

 「自分や綾那様や歌夜様は・・・遠ざけられたかもしれません。私達はご主人様に近づきすぎました。葵様はそれが自分の為にならないと思って」

 「障害になるかもしれないから・・・ですか」

 その言葉に頷いた。

 「はい。だから、私の居場所は・・・もう、あそこ「波にん」え?あ、え、あああああ、ご主人様!な、な、何を!」

 どんどん苦しそうな顔になる小波を抱きしめた。

 「あなたはどうしたのですか?葵のところに戻りたいですか?なら、私がそう言いましょう」

 「私は・・・もう戻れません。あそこは、私の居場所が・・・ないのです」

 「大丈夫です。彼女は部下を見捨てるようなことはしません。必ず、あなた達三人を連れ戻しに来ます」

 安心させるよう言ったが、小波は首を横に振った。

 「・・・ご主人様。以前、私に本心を見つけてほしいと、言いましたね」

 「ええ、それが今と何の関係が?」

 「私は・・・ご主人様の傍にずっといたいのです。ずっと、ず~~っと、ご主人様の傍にいて、ご主人様のために働き、ご主人様に愛されたい・・・それが、私の本心なのです・・・そして、同時に見つけてしまったのです。葵様とご主人様、だったらご主人様を選んでしまう自分がいることを」

 ずっとこらえてきたものが、目から出始めた。

 「そうですか・・・葵に忠誠を誓っていたけど」

 「はい・・・止められないのです。どうしようもないのです!ご主人様に喜んでもらえるなら、どんなことでもやろうとする自分がここにいるのです!でも、それが葵様の為ではない・・・そう思うと、どっちを選んでいいのか」

 涙が頬を流れた。

 「・・・あなたが本心を見つけてくれたことが、とても嬉しいです。同時に私の想っていることも嬉しいと思っています」

 「ご主人様・・・私は、どうすれば」

 アキラの服を掴んで、すがる気持ちで訊ねた。

 「・・・自分の望むままに動きなさい。私もそれをしたからこそ、今の自分がいるのです」

 「私の・・・したいまま」

 「あなたの・・・心からのしたいと思う気持ちを、そのまま出しなさい」

 「・・・分かりました。ご主人様、わ、わた・・・私を、だ、抱いて、ください」

 そんな彼女の一生懸命の告白に、簡潔に言った。

 「・・・あなたが私の妻になるなら」

 「なります・・・ずっと一緒にいたい。ずっと、ご主人様に包まれていたい。私の心からの想いであり・・・本心です」

 「ありがとう・・・小波、愛してますよ」

 「ご主人様・・・」

 嬉し涙を流す小波の唇にキスをした。同時に、服も少しずつ脱がしていった。

 「あ、あの、その、わ、私は」

 「全てを見せてください」

 アキラの言葉に頷き、照れくさそうにしながら、裸にされた。

 「う、ご主人様。どうぞ、た、たくさん、抱きしめてください」

 「なら、お言葉に甘えて・・・あなたのその胸」

 「ひゃん!」

 「そのお尻」

 「きゃ!」

 「その唇・・・全てをいただきます」

 「はい・・・ご主人様の望むままに」

 二人の唇が重なって、口の中で舌も重なった。

 「ちゅ、ちゅ、くちゅ、じゅじゅる。ちゅるり」

 熱く燃えるキスをしながら、胸を優しく愛撫、尻をちょっと強く揉んでいった。

 

 『ああ、ご主人様・・・もっと、私を、温めてください』

 

 小波は体も心も段々温かくなっていった。その温かさがあの割れ目から雫となって流れてきた。

 「ああ、いい匂い・・・素敵な暖かさ。冷たい思いが、暖かくなる」

 アキラの匂いも間近で嗅げるので、小波は体が敏感になっていった。

 「小波。そろそろ、いいですか?」

 「////(こくん)」

 とても恥ずかしい顔になったが、覚悟を決めて頷いた。すると、アキラは前からではなく後ろにまわりそっちから小波を抱きしめた。 

 「う、あ、う、後ろ、から、ですか。で、でも・・・ご主人様なら」

 「・・・あなたの全てを、私に委ねてください」

 「は、はい!・・・きゃ!」

 近くの木に寄りかかり、アキラの性刀を彼女の蜜が出続ける壺の入り口につけた。だが、すぐに入れずに蜜で刀の手入れをしていた。

 「(うずうずうずうず)あ、あの、ご主人様」

 「(ニヤリ)小波~」

 「はい?な、何で!!!」

 自身の壺に入れないので問いかけると呼ばれたのでそちらに顔を向けると、さっきと同じキスをした。その驚いている隙に

 「!!むー!むー!ぎょ、ぎょじゅじんじゃま!」

 壺に刀が入った。思わずアキラを見ようとしたが、キスを続ける舌と性刀の二つの性撃にどんどん堕とされていった。

 「あああ!い、いいい!も、もう!すごい!」

 女の快楽、性欲、愛情が草としての彼女を捨て、アキラを愛するただの小波として悦んでいた。アキラもそんな彼女を見て胸や尻だけでなく腰や腹を触り、揉み、頬や耳や首筋を舐めていった。

 「いきますよ・・・」

 そして、ついに彼女の壺の中の壁を突き破った。

 「こ、これが・・・女の悦び。ああ、もう、何も考えられない。ご、ご主人様、お願いです。私を、もっと、もっと、ご主人様しか考えられないくらいに・・・滅茶苦茶に」

 小波の懇願に頷いた。

 「わかりました。あなたの願い・・・全部叶えましょう。だけど、小波。あなたも私をあなたしか考えられないようにしてください」

 「わ、私が・・・ご主人様を私しか」

 一気に真っ赤になった。

 「では、お願いしますね」

 「が、頑張ってみます・・・愛してます、ご主人様」

 満面の笑顔を見せ、そこから月明かりの下で二人だけの狂演が始まった。 

 「もう、もう!ご主人様の暖かさに、ご主人様の愛に、私の心がぜ、全部、溶けてしまい、そう、です」

 壺をさしている刀から流れる蜜を指にかけ、それを小波の口に入れた。

 「これが、私たち二人の想いと愛の水です」

 「はい・・・ご主人様も」

 小波も自身の壺を触れて、それをアキラの口に入れた。

 「大胆ですね・・・これが、私達だけの味、ですね」

 「い、い、言わないで、あう!く、くださ、い」

 小波の反論も快楽を与えて止めた。また彼女とキスをして、そのまま体をいじりまくった。小波がいじられて、体中が快楽に襲われていき、よがり続けていった。それが何分も続いたが、ついに絶頂の瞬間が来た。

 「ああああああ!い、い、いきます!!!!愛してます!ああああ!」

 「いきましょう・・・二人だけの絶頂を!」

 「はい、あ、あ、ああ、ご、ご主人様~~~!ああああ!」

 「う、け、とめ、なさい!小波!」

 叫んだと同時にアキラの想いが放たれて、小波の体が崩れ落ちた。地面に落ちたと同時にアキラの刀が抜かれた。

 「あ・・・ご主人様のが、で、出ちゃう」

 アキラの性刀から出る想いが、小波の体にかかった。小波はそれを指ですくい、口の中に運んだ。

 「これがご主人様の・・・おいしいです」

 自分にかかったアキラの想いを見て、手で少しずつ何回もすくい全部口に運んだ。

 「ごちそう、さま、でした・・・ご主人、様」

 そんな彼女を更に愛おしく思い、アキラは思わず欲で体を動かした。

 

 その後、しばらく抱きあったが小波の理性が元に戻ると、一気に恥ずかしくなって離れてしまった。だけど、彼女もまだ足りなかったのか、着替えが終わっても再度アキラに抱き着いてきた。

 「これが小波の匂いですか・・・いい香りですね」

 彼女の抱きしめからは、離れようとしなかった。代わりに彼女の匂いを嗅いだ。草と呼ばれるだけあって、本当に草の匂いがした。

 「あ、あの。その!わ、私・・・」

 「今だけは、月もこう言ってくれます・・・私達は夫婦だと」

 「・・・はい。ありがとうございます」

 二人は食事を忘れたことに気づいたが、

 

 『ご主人様・・・ありがとうございます。私は、もう離れません。ずっと、ご主人様の傍にいます。神が許す限り、ずっと・・・』

 

 とても幸せそうに、アキラの肩枕に頭をのせる小波を見てどうでもよくなった。

 




 
 ついに小波の本心が伝わり・・・そして、やっと結ばれた。 うんうん!幸せになってほしいですものね!

 次の間章で終わりにします。


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間章13-3 内緒ですよ・・・ R-18

 
 こんばんは!三MENです。

 最近、ゆったりできて幸せです。


 3月15日 エロ表現追加。


 「お買い物、楽しみだね!お姉ちゃん!」

 「・・・(ぶい)」

 「お二人とも・・・買い物ではなくて買い出しですよ」

 「そうですわよ!渡した紙に書かれているもの以外はダメですわよ!」

 暇つぶしに歩いているとそんな声が聞こえて寄ってみたら、楽しそうにしている烏と雀に説明している雫と梅がいた。

 「買い出しですか?」

 「ハニー。ええ、ちょっと私達はまだ仕事があって、手の空いているこちらの二人に任せようと思ったのですが・・・」

 「大丈夫だよ!お菓子以外は絶対に買いません!」

 「・・・(こくこく)」

 「それが買ってはいけないものですよ」

 なるほど、これは二人が不安になるのも分かる。

 『烏なら問題はないですが、こっちは明らかに問題ですね。雀ならお菓子を餌にした罠に簡単に引っかかりそうですからね・・・狂や梵が食料調達しないで酒しか持ってこないみたいに・・・あの時は本当に苦労しましたよ』

 「お兄ちゃん!そうだ、お兄ちゃんも一緒に行かない!」

 「・・・(こくこく)」

 二人がアキラの袴を掴んで頼んできた。

 「私ですか?ええ、いいですよ」

 「そうですね。買い出し先の魚津も治安があまりよくないですし・・・お願いできますか?」

 「う~~ん。できればもう一人いて欲しいですわ・・・いつの間にか雀さんがどっかに行って、いなくなってそうですし」

 梅の指摘はまさにアキラの不安に思ったことだった。

 「雀が迷子になると思っているの?そんなこと「・・・(゜-゜)」、お姉ちゃん、何でそんな目で見ているの」

 自信満々に大丈夫と言おうとしたが、姉には信用されていなかった。

 「だったら鞠が行くの!」

 そこに、鞠が元気な声でやってきた。

 「ほう、鞠も来ますか」

 「それなら問題ありませんね。鞠さんなら任せられます」

 「ええ、お願いします、鞠さん」

 こちらの二人もホッとした顔で鞠に頼んだ。

 「はいなの!さあ、お買い物に行こう!」

 「お~~!」

 「・・・(こくこく!)」

 三人のちびっこと一緒に買い物に行くことになった・・・と思ったら

 「あれ?アキラ。買い物?」

 庵樹に出会った。

 

 その後、庵樹も加わって五人で買い物に魚津の街までやってきた。

 「お菓子が楽しみだね、お姉ちゃん!」

 「・・・(こくこくこく!)」

 「アキラ~、庵樹お姉ちゃん!早く!」

 「??庵樹お姉ちゃん?」

 「ああ、そう呼ばれるようになったんだよ・・・鞠ちゃんなら大歓迎だけどね」

 照れ臭そうに、でも嬉しそうに鞠に手を振った。そんな呼び方をしてアキラはあることを思い出して、彼女に訊ねた。

 「兄弟達には別れはしたのですか?寿里庵や遊庵達には」

 「ああ・・・あんたを追いかけたいと言ったら、喜んでいたよ。やっと庵樹にも春が来たって・・・二度と会えないってのに」

 「それでもあなたの幸せの為に笑顔を見せていたのですね・・・なら」

 彼女の手を掴み、自分の腕に絡ませた。

 「これくらいはしましょうか・・・今もあなたの幸せを願っているはずですから」

 「・・・まあ今くらいなら」

 照れながら、少し嬉しそうにアキラの腕を抱きしめた。

 「ああ!ずるいの!」

 「お兄ちゃん!雀もやりたいです!」

 「・・・(じ~~)」

 それを見て羨ましそうに見る三人。だが、その手には団子があった。

 「・・・その団子は何ですか?」

 「おいしそうだったから買ったの!」

 「大丈夫だよ!ちゃんとお兄ちゃんとお姉ちゃんの分もあるから!」

 「・・・鞠ちゃんがいても変わらなかったな」

 やれやれと思いながら、その団子をもらって食べた。

 「えへへ~~、アキラと手をぎゅっなの!」

 「・・・(゚д゚)!」

 「鞠ちゃん、ずるい!とお姉ちゃんも雀も思います!」

 「すまないね・・・でも、離したくないんだ」

 「鞠もなの!ごめんなの!」

 とてもショボンとする烏と雀を見て、

 「まあ、順番ということで帰りにしましょうか」

 「・・・(〃´∪`〃)ゞ」

 「お願いします!とお姉ちゃんも雀も言ってます!」

 その提案をしたら二人ともすぐに笑顔に戻った。

 

 それから、団子も食べ終わって今度こそ買い出しを始めた。

 『ふと、思ったのですが・・・私の腕を絡めている庵樹と元気よく手を握っている鞠。この姿って何か』

 「なあアキラ。私達って・・・お、親子。み、みたいだな(テレテレ)」

 「・・・そうですね」

 「え!まさか・・・肯定するなんて」

 今まさに思っていた。そして、アキラが肯定したことに庵樹は驚いた。

 「あなた達に会う前にいろいろありましたから」

 「そうだったわね。妻が何人もいて・・・環境があなたを変えたのね。ねえ、私達も妻になっていい?」

 腕を握る力を強くして、自分の胸に腕を埋めた。

 「世界を超えてまで、私を追ってくれたのです。全力で想いに答えます」

 「・・・ありがとう(にこ)」

 肩に頭を置く庵樹。それを真似するかのように、腕に抱き着く鞠。早く変わってくれと揺さぶってくる雀と烏。微笑ましい光景に少しだけ笑顔になった。

 

 買い出しも終わり、帰り道は雀と烏の手を握った。二人とも顔を赤くしながら嬉しそうに握り返した。

 「さて、後はまっすぐ帰るだけですね」

 「・・・」

 「できるだけゆっくり帰りましょう!とお姉ちゃんと雀が言ってます!」

 「そうだね。さっきまでは私達が独占したからね」

 「うん!二人ともたっぷり甘えるといいの!」

 皆、笑顔になって陣に向かい始めた。庵樹も鞠もアキラに抱き着けて満足していた。

 

 陣に到着して、四人と別れたら

 「主様!ちょうどいいところに!」

 「申し訳ありませんが、お時間よろしいですか?」

 一葉と幽に捕まって、そのまま森まで引っ張られた。目的地には水を入れた器があり隣にはたき火をするための準備もあった。

 「ちょっと湯で清めたいのじゃ。でも、余の個人的な頼みを忙しそうに皆にするわけにはいかないのでの」

 「そこにちょうど暇そうなアキラ殿を見つけたというわけです。アキラ殿でしたら我々も問題ないですし」

 「大有りでしょう・・・裸を見せてもいいのですか?」

 「余は構わん!むしろ、妻だから思いっきり見るがいい!」

 「某も、アキラ殿は大丈夫と判断しております」

 二人がそういうなら、と無理矢理納得したアキラ。

 「・・・分かりました。ではお湯を作りましょう。枯れ枝を集めてきてください。いいですか一葉、枯れ木ですよ!その辺の木を切ってくるのはダメですよ!」

 「何故そこまで言うのじゃ!どうしてその辺の木を切るのはダメなのじゃ?」

 「水を含む木は燃えにくいからです。枯れている木の枝ならすぐ燃えるからです」

 「・・・公方様、三千世界で切ってはい出来上がり。何てことをしようとしていたのではないでしょうな?」

 「別に問題なかろう?」

 「「大有りです!」」

 二人してツッコんだ。枝探しにお家流はやり過ぎだと思った。

 「あ~~!!」

 でも、やってしまった。いくら、枯れ果てた木でやったから問題ない!と言っていたが、それとこれとは話が別だろうと本気で思ったアキラだった。

 

 とりあえず、彼女達の要望通りお湯を沸かした。その後、アキラは後ろを向いて心の眼でも見ないようにした。

 「背を向けるな。見てもよいと言ったのに」

 「アキラ殿、いいですぞ」

 そんなアキラの姿に、二人はからかっている。

 「全く、そういうからかい「ほれほれ!」うわ!」

 一葉に無理矢理顔を向けられた。二人ともそれなりに服を脱いでいるが、一応胸や下の部分は隠していた。

 「どうじゃ、余のおっぱいは」

 「某も見せているのですから、感想を言ってほしいですな」

 このからかいを見て、少しだけ反撃に出た。

 「では・・・まず幽は素敵な体つきをしていますね。もともと顔もかわいいですし、その艶やかな姿は美の象徴とも言えますね。できることなら抱きしめたいです」

 本気で答えた反撃に、言葉を失った幽。

 「・・・っは!あ、ああ、危ない危ない・・・やばすぎです」

 「幽よ。相当危なかったな」

 「はい・・・本気でいいと思ってしまいました」

 予想外でしかも心も動かされたのか、かなり顔を赤くした幽。

 「主様!今度は余じゃ!さあ、言ってくれたもう!」

 「分かりましたよ。では、かず「のわああああ!」??(ゴン!)ごば!」

 わくわくする一葉に、何を言うか決めた時だった。誰かがアキラの頭にごっつんこした。無防備で後頭部だったため、そのまま気絶してしまった。

 「ぬ、主様!」

 「あ、アキラ殿!」

 「いつつつ、こんなに飛ばされるとは」

 「いや~、結構すごい攻撃だったな。半分ほど本気で出しちゃったよ」

 そこにやってきたのは時人で、アキラにぶつかったのは桐琴だった。手合わせをしていたみたいで、時人はそれなりに本気で技を出して彼女は吹き飛ばされたようだ。

 「よもや、この槍を使っても勝てないとは・・・時人、すごい強いな。じゃが、絶対に近いうち勝ってみせるからな!」

 「私は半分とはいえ本気で戦える相手がアキラ以外にいたことに驚いたよ。しかも、その槍を紅虎より使いこなせているし・・・こりゃ全力でやらないとやばい時が来るかもな」

 だが、二人はアキラがどうなっているか気にしなかった・・・。どうやら、戦いの結果の方に意識がいっているみたいだ。

 「これはしばらくは目が覚めないだろうな」

 「そうですな・・・どうしましょう」

 残された二人の視界には山小屋があった。

 

 その後、アキラは起きたが少しぼんやりしていた。どこかの山小屋なのか、小さな建物の中にいた。

 「起きましたかな?」

 「・・・幽ですか?」

 「はい、それより大丈夫ですか?」

 後頭部をさすった。一応問題はなさそうだ。

 「まだぼんやりするような・・・」

 「そうでしょう・・・これはまだ夢ですから」

 「夢?」

 「そうです・・・夢です」

 不思議そうに思いながら幽の方を見ると・・・ほぼ全部服を脱いでいた。今になって気づいたが、アキラの服も寝ている時に脱がされていたのか全裸だった。

 「夢なのですから・・・夢でしかできないことをしましょう」

 「・・・あなたがそういうなら」

 彼女の上に覆いかぶさり、抱きしめてキスをした。ただし、ディープなものを何もしない。

 「・・・やらないのですか?」

 「ふふ、夢なら、すぐに覚めるのはもったいないでしょう」

 キスのターゲットを唇から頬に、耳に、そして首にした。

 「アキラ殿・・・某は、少し照れますぞ」

 「私の印を、たくさんつけますね」

 ついに幽の乳首に到着した。両方の乳首を一つにまとめるように中央に寄せて、まとめて口の中に入れて吸うように舐め始めた。

 「ああああああ!な、何が!こ、これは、くすぐったい、けど!すごく体がビリビリしますぞ!」

 そのビリビリに戸惑っている彼女に、アキラはおっぱいも揉み始めた。

 「う!その、胸を揉まれるのは・・・あ!だ、ダメです・・・某、感じる~~!」

 「なら、もっと揉みましょう。あなたの体を全て触れたいですから」

 「なああ!う、あ、く、くる!」

 アキラの言葉に一気に真っ赤になる幽。乳首舐めをやめ、胸で欲情したのを確認した後、もう一つの個所の欲情も確認した。

 「さて・・・あなたのここはもうよさそうですね」

 「い、言わないでくだされ・・・あう!」

 脚の内側が、濡れ濡れで床にもそのシミができていた。だから、その液体の出所に指を入れた。

 「ご、強引ですぞ・・・ううん!ああ、そんなに!」

 「強引にもなりますよ。あなたの艶やかな美の象徴であるその体を見ればね」

 さっき言った言葉をもう一度言った。それを聞き、心からドキッとして思わずアキラの背中に腕を回し自分からキスをした。

 「あ、暖かい、ん!・・・あああ!アキラ、殿・・・素敵な、ひゃ!か、体、です」

 「この傷だらけの体をほめてくれるのは光栄です」

 「はあ、はあ、はあ・・・もう、ダメです。も、もう・・・欲しい、です」

 自分の左手を割れ目に持っていき、そのままアキラの手を自分のペースで出し入れし始めた。どんどん濡れていく二人の手。

 「その体、某、楽しみに、ん!そ、そこは!」

 「私も・・・もう、我慢できません」

 「あ、ちょ、強引ですぞ・・・で、でも、それああ!」

 手を抜いて、脚を広げて女性の割れ目を丸見えにした。アキラの一太刀を。

 「あ、は、入・・・る。ああ、い、痛い!ああああ!うん!で、でも・・・でも、嬉しい。ああ、動く。痛い・・・のに、だん、だん、気持ちよく・・・あ、あ、あああ。お、おぼ、れ、溺れますぞ」

 アキラの動きに、あの壁を貫かれた痛みがなくなっていき、女の情欲と快楽、ただただ肉欲の波に流されていきたい願望がわいた。

 「もっと、動いてくだされ・・・もう、某は、某は!」

 完全に普段のあの顔ではなくなり、アキラに抱かれている心から喜ぶ女の顔となった幽。脚をアキラに搦めて快楽を貪る事のみに夢中になった。

 「・・・だ、出しますよ。幽・・・あなたの心に!」

 「ああああ、だ、出して、ああん、ああああ、く、くだされ~~~!」

 熱く濃厚で涎が出るのもお構いなしの情熱的なキスをしながら、アキラの太刀からの熱い想いに幽はすごく満足した。

 

 「・・・愛しております。アキラ殿」

 

 そして、最後に自分の立場を忘れてしまった心からの言葉を言った。

 

 幽との事の後、アキラは眠気が強くなり再び眠りについた。山小屋から服を着て出てきた幽の前に一葉が来た。

 「幽よ。どうだった?余の夫様は」

 「素敵・・・でした」

 「・・・やらんが、妻なら一緒にやってもいいぞ」

 「いえ、某は「双葉も喜ぶと思うが?」・・・すいません」

 「構わん。主様を意識していたのは二条館の頃から知っておった」

 その言葉に、また心から驚いた。

 「なんと!ど、どうしてそれを!」

 「・・・余や双葉が主様を想って、あれをしている声を聴いていただろうが・・・気づいてないと思っておったのか?」

 「声は出さないようにしていましたのに・・・気付かれていたとは」

 「そういうことじゃ。だから、お主が望むならいいぞ・・・どうじゃ、余はよき将軍じゃろう!家臣に優しき言葉をかけたぞ!」

 「・・・それを言わなければ少しは見直したのですが・・・考えさせてください」

 「構わん。時間はまだたっぷりある。よく考えて結論を出せ」

 「は!」

 背中を向けて一葉も陣に戻っていった。残されたのは幽と寝ているアキラのみ。

 

 『・・・どうしましょうか、私も妻になってよろしいものか。公方様はよく考えてと言っておりましたから、焦らずに結論を出しましょう・・・その間につまみ食いくらいなら、許されますよな』

 

 扉を開けて寝ているアキラを見て、再び彼の傍に服を着たまま寝転がり添い寝をした。ちょうど、腕を伸ばしていたのでそれを枕にして・・・。

 




 間章はここまでとなります!次は本章に戻ります・・・アキラ、予期せぬ再会があります。

 お待たせしました!感想に書いた三人以外の原作キャラついに登場します!


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四十九振り目 見世物は好きではないですが・・・

 こんにちは!寒さに負けて布団つむりになっている三MENです!

 では、お待たせしました!ついにアキラとあの三人以外の原作キャラです!

 皆さんの予想は誰でしょうか?


アキラは、一葉に幽、詩乃と雫の四人と一緒に美空のいる本陣にいる。秋子の放っていた草からの情報が手に入ったので、今後の方針をするために呼ばれた。一通り情報を確認した後、春日山の城下と城内の調査をしたいと言っていたのでそれを美空はアキラに頼んだ・・・だが、丸投げ状態だったので、しっかり確認すると感心させられた。

 

 『補給はしてやると言ってましたが、それ以外に関してはノータッチでしたからね・・・本当に言葉通りの事をしてくれますよ』

 

 アキラの方も内心、美空の手際に感心していた。本陣は何度か移動して場所を変えるらしいからその時の連絡手段も聞いたが、結局それすら丸投げだった。こうなると予想は出来ていたアキラは小波に頼んでいたお守りを渡した。句伝無量の説明をすると長尾勢は驚いた。

 「なんと!アキラ隊はそのようなものを使っているのですか!」

 「普通にすごい」

 「確かにそれは便利ですね・・・本当にすごいです」

 「ふ~ん、でもこれを使って久遠に連絡しないの?」

 「そこまでの距離はさすがにできません・・・使えていたら協力はしても、これを出していませんよ」

 「それもそうね・・・じゃあ、お願いね」

 美空はニヤニヤした顔をして、お守り袋を見ていた。

 

 その後アキラ隊の陣に戻って、今後の対策を話し合った。その際、春日山城を攻める際にアキラ隊が出るかもしれないという考えを詩乃が言った。アキラ本人が娘をさらうという言葉を美空に言ったのだ。だから、あり得るかもしれないらしい。

 その言葉に歌夜は信じられない顔をしたが、アキラの前歴・・・詩乃の誘拐・稲葉山城と観音寺城の侵入・観音寺城での梅の誘拐に二条館の乱入の経緯を言われるといつの間にか呆れられた。

 「そこまでやっていると、出張って当然に思えてきました・・・アキラ様って結構とんでもないことやるんですね」

 「いつもですよ・・・本当に私達の想いを知っているのに」

 「・・・褒められていると解釈させていただきます。今は城下街に潜入する人を決めなくてはなりません」

 すると、うずうずしている一葉がアキラの袖をつかんだ。

 「のう、主様」

 「却下です・・・村人に紛れるのが得意。と言いたいのでしょう?」

 「そうですぞ。それに公方様の得意なことはそれではなくて、街の影でたむろっているごろつきに喧嘩を売ることではないですか」

 「何を言う、ただで巻くだけじゃ!売ってなどおらん!」

 「いや、あれは質の悪い押し売りだったとお姉ちゃんが言ってますよ」

 「・・・(~_~)」「烏さん、首を横に振ってますが?」

 鉄砲姉妹の発言に呆れながらも、アキラからメンバーが言われた。自分に小波、ころに朱雀の四人がまず出された。朱雀が出るのは、ころと城内潜入で情報をとるためだ。かつてアキラの部下として、情報を仕入れてきた実績があるから選ばれた。

 「はいはいはい!綾那でるですよ!」

 「アキラが行くなら、鞠も行くの!」

 すると、この二人が出てきた。鞠はちゃんという事を聞くが、綾那だったらいきなり我慢できずに動く可能性もある。そんな不安もあったが連れていくことにした。

 

 次の日、城下街に向かう途中で雀が一葉と美空は京で三日三晩無頼漢に喧嘩を売っては金品を巻き上げていた黒歴史を暴露した。しかもその時の護衛の給料がその金品だったらしい。更に三好衆にも二人して喧嘩を売ったことを本人がばらして、幽は美空が京を去った後に三好衆が因縁を吹っかけてきた理由がここで分かって頭を抑えた。

 

 『やれやれ・・・美空の事を人修羅と言っていたのに、一葉も人の事が言えないじゃないですか』

 

 こっそりそう思いながら街に着きそうになったので隊の皆と別れ、まずは旅籠に行き先に潜入していた小波の情報を聞いた。その後、ばれないように活動するために小波が変装用の服を出した。そこで綾那が目を輝かせたのが

 

 「綾那!これがいいです!これが一番びびっときたです!」

 

 猿の着ぐるみだった。小波が笑いを取ろうとして出したのだが、思いっきり気に入ってしまった。

 『正直、似合いそうですけど。さすがにこれは・・・う、女装させられた過去を思い出してしまった。灯のやつ!自分と同じ服を着ろって言いやが・・・っは!今はどうでもいいことだった!』

 その際、いらない黒歴史も思い出したみたいだった。

 

 次の日。早速行動を開始した。

 「では、城に行ってまいります」

 「しっかり、仕事をこなしてまいります!」

 ころと朱雀が城に向かって出発した。

 「では・・・私達も行動を開始しますか」

 「「はいです(うん)!」」

 三人で芸人になって盛り上げる役として、アキラは皆の注意を引き付ける役をし二人で芸をした。綾那が失敗してちょっとまずそうになったが、

 「「「「おおお!すごい!」」」」

 鞠の蹴鞠を見て、皆拍手喝采だった。

 「よ!蹴鞠姫!」

 「素敵よ~!」

 皆も大喜びでおひねりを出した。

 「さあさあ、最後に私のこちらの芸を見ていただきましょう!」

 そんな中、最後にアキラは取り出した手のひらサイズの木を取り出し、上に投げて切り出した。

 「「「「な、何と!」」」」

 「は、速い!」

 「か、刀の動きが見えない・・・」

 木が地面に着いた頃には、猫の形に早変わりしていた。 

 『四聖天の時の宴会芸がこんなところで役に立つとは・・・』

 溜息をつきながらも、鞠と同じくらいの拍手が出た。

 「「「「「すごい!猫になった!」」」」

 「アキラ、すごいの!」

 鞠も含む皆がびっくりして、更におひねりが出た。

 「では、本日は終了でございます!ありがとうございました!」

 全員から拍手をもらって初日は終了した。

 

 そして、次の日。

 「おおお~~!すご~~い!」

 「槍の動きが普通じゃない・・・」

 そんな歓声を受けているのは綾那だった。

 「あの子らしいですね」

 綾那の考えた芸は槍の演武だった。確かに、これなら彼女の得意分野であり、今も皆綾那の槍さばきに夢中だ。

 「綾那に負けられないの!」

 その演武が終わると、待ってました!と言わんばかりの目で鞠に注目した。

 「待っていたぜ~!」

 「今日も魅せて~~!」

 「みんな~!ありがとうなの~」

 蹴鞠演武の始まりに、皆昨日以上に歓声を出した。そして、最後に今度はアキラが木を二つ取り出し、一つずつ削っていって地面に着いた時には犬と猫を作り上げた。

 「何と不思議な!」

 「天からの授かりものだ!」

 オーバーなことを言う人もいたが、喜んでくれたのでその際に情報収集もした。兵はとてもやる気がなく、美空が来るのを恐れており、今の晴景が抑えられず暴走する兵もいるから治安が悪くなったとの事だった。

 

 この日の芸も終わり、そろそろ撤退しようと思った時だった。

 「あの・・・」

 とても小さな子が鞠に話しかけた。

 「何?」

 「とても・・・すてき、でした」

 そう言って、ちょっと汚れた銭を鞠に手渡した。頭を下げて帰ろうとした時に

 「待って!これ、あげるの!」

 鞠が自分の持っている鞠を少女にあげた。

 「!!いいの?」

 「うん!喜んでくれて嬉しいからあげるの!」

 「あ、ありがとう!」

 笑顔になって嬉しそうに鞠を持って走っていった。

 「よかったです」

 「うん!」

 そう笑いあって言っていた時だった。

 

 「無礼者が!」

 

 その笑顔が怒りにかわった時は・・・。慌てて、声のする方向に走るとそこには。

 「な!き、貴様!」

 走り出しそうになった綾那を必死に抑えて口もふさいだ。そこにいたのは赤く染めた刀を持った武士と血まみれになって倒れているさっきの少女だった。

 「むぐぐぐ!」

 「ダメなの・・・綾那」

 表情を無くした鞠がそう綾那に言った。何とか抑えて武士は立ち去った。もちろん、綾那は怒りを抑えきれてなかった。

 「どうして!どうして、仇を取らなかったですか!」

 

 「綾那、仇討ちをしたい気持ちは鞠もあるよ。でも、それだけじゃダメなの・・・あのような人はまだ越後にたくさんいるの。一人だけ倒して騒ぎを起こしちゃダメなの。束ねる人を何とかしないともっと増えるから今はダメなの・・・だから、鞠は我慢するの」

 

 鞠の涙を出したくても出せない苦しそうな顔を見て、綾那も怒りが収まった。

 「・・・分かりました。我慢するです」

 「分かってくれて、ありがとうございます」

 だが、アキラも綾那を抑える前に刀に手を伸ばそうとしていた。綾那が先に行動に出ようとしていたから、そっちを抑えることに意識を強くしたからこそ何も起こらずに済んだのだ。

 

 『鞠には頭が下がります・・・私も綾那の事を責められませんからね』

 

 彼女がいてくれて、本当に良かったと心から鞠に感謝した。

 「今は、この子・・・え?」

 「あ、あれ?どうしてです?」

 二人が死んだ少女を見た時に疑問符が出た。そして、アキラもまた、え?となった。

 「・・・確か、ここであの子が」

 「うん・・・でも、この人、誰?」

 「何か、さっきの奴と似ているです」

 いつの間にか少女の死体がなくなっており、代わりにその場所にはさっきの武士と似たような武士が死んでいたからだ。

 

 『まさか・・・さっきの少女はこの武士がそう見えるように幻術をかけた?いったい誰がそんなことを?』

 

 そう考えていると、

 

 「いいかい。嬉しいのは分かるけど、危なかったんだから反省しないとね」

 「は~い、ごめんなさい」

 

 話し声が聞こえた。そのうちの一人の声に、三人は耳を疑った。そして、そっちに振り向くと・・・

 「あ!さっきの子が!」

 「ええええ!なんで、何で生きているです!」

 一人の男性に抱っこされている鞠から蹴鞠をもらった少女がいた。三人とも元気な姿に唖然とした。

 「あ!お姉ちゃん!鞠、ありがとう!」

 女の子も気づいてこちらに手を振った。父親らしき男性がその子を抱き上げたままアキラ達に近寄った。

 「ほう、あなた達でしたか。この子に鞠・・・」

 「・・・な!何故、何故、あなたが!」

 「あなたこそ・・・どうしてここに!」

 男性はアキラを見ると、驚きの顔を見せた。それはアキラも同じだった。二人ともしばし言葉どころか動きすら止めた。

 「・・・お父さん?」

 「アキラ様?どうしたです?」

 「え?アキラ、知り合いなの?」

三人が不思議そうに尋ねてくるが、その声は聞こえていなかった。何しろ、お互いに絶対に会うことのできないと思っていたからだ。

 「・・・クビラ、ですよね」

 「ええ・・・ではやはりアキラなのですね」

 お互い頷きあって、確認しあった。

 

 鞠を上げた少女の父親が、かつて互いの信念と思いを刀に込めて語り合い、最後は娘の倖せを願ってアキラの目の前で散っていったあのクビラだったからだ。

 




 では、答え合わせです!クビラでした!

 両方の原作を見てどっちも辛かったので、こういう展開にしてみました。幻術を使え尚且つその姿をかけた対象の体格・背格好が違っていても、本人そっくりの幻術の姿にすることができるクビラだからこそできたことです。

 では、次回を楽しみにしてください!


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五十振り目 悩みなら吐き出しなさい

 三MENです!本気と書いてガチと読みます・・・以前はそのままで読んでいたのに

 クビラが出ました。彼との話と綾那と鞠の悩みの話です。真面目要素が多いですので、今回は面白いところはあまりないかと・・・。


 クビラとの再会後、アキラ達はクビラと少女が住んでいる家にお邪魔させてもらった。少女と綾那と鞠は二人の動揺に未だ疑問に思っている。

 「お父さん、どうしたんだろう?」

 「アキラ様もです。何かすごくびっくりしていました!」

 「うん・・・でも、複雑そうな顔もしていたの」

 「でも、本当に蹴鞠が上手ね・・・私も練習しようかしら?」

 三人は家の庭で、少女の母親と蹴鞠をして遊んでいた。

 「壬生のいたころに比べたら、そこまで立派とは言えませんが・・・あの子が楽しそうにしてくれるなら」

 「・・・相変わらずみたいですね」

 「ふふ、お互い様でしょう」

 「そうですね」

 二人はお茶を飲みながら、今までのお互いの事を話していた。そして、彼にとって忘れられないあの少女の話になった。

 「それで、あの子・・・はどうしてましたか?」

 「私が知っている範囲でよろしければ・・・あの病は私がまだいた頃には既に完治できる薬もできていて、それを飲んだはずですので死ぬ心配はありません。身体もそれなりに成長し友達も増えて楽しそうでしたよ・・・庵樹の弟の庵曽新という男と仲が良かったですね。先の話ですが、仮に夫婦になれても幸せにしてくれるでしょう。見た目はヤンキーっぽいですけど、相手を大切に思う気持ちはしっかり持っています。それに同じ壬生一族ですし、幸せな時間は長く続くでしょう」

 「なるほど・・・よかった。本当に・・・よかった」

 アキラからの説明に心からほっとして、頬に一筋の水滴を流して嬉しそうな顔になったクビラ。

 「あなたが大丈夫というその男なら杏樹・・・いえアンテラを幸せにしてくれるでしょう」

 「そこまで信用しないでほしいものですが」

 「・・・あなたの方は結構変わりましたね。見た目は少し成長したように見えますが、あの時より優しさが大きくなったというか・・・まるであの頃の私のように、大切な人のために頑張っているみたいな」

 「・・・まあ、否定はしません」

 ぷいと横を向き、少し照れていた。

 「お父さ~~ん!お父さんもやろうよ~!」

 「あなた~、ほら、三人でやりましょうよ!」

 「ふふふ、呼んでいますよ」

 「さて、それなら行きますか」

 笑顔のクビラも庭の方に行き、五人で蹴鞠を始めた。その光景をみるアキラ。

 

 『まさか、クビラがこの世界にいるとは・・・私や庵樹達のように村正のあれを使ってきたのではなく、彼は死んでからここに来たということになる。もしや、あの世界で死んだ他の者もこの世界に来ているのでしょうか?』

 

 そんなことを考えているところに綾那がやってきた。

 「アキラ様・・・あの、お聞きしたいことがあります」

 「おや?あなたは蹴鞠をしなくていいのですか?」

 「五人もいたら、お庭が狭くなっちゃって蹴鞠ができなくなっちゃうのですよ」

 「なるほど・・・珍しいですね。真剣な顔で聞いてくるなんて」

 そう、綾那はいつもの明るい顔を見せず真剣な顔だった。

 「あの・・・あの子が無事だったのはよかったです。でも、もし本当に死んでいたら、どうなっていたですか?」

 「・・・あの夫婦に死体を渡して終わり。ですね」

 「しかも、鞠様も言っていたです。まだ、ああいった奴はたくさんいると。そいつらを束ねている奴をどうにかしないといけないと・・・それまで我慢しないとダメなのですか?」

 仇討ちをして当たり前な考えを持っていた綾那だから、鞠の言葉も理解は出来ても納得は出来なかったのだろう。

 

 「ええ、今もこうしている間に自分の気分次第で斬ったり、理不尽な理由で殺しているあのような奴らはいるでしょう。でも、無能な上を何とかしないとあのような連中は増え続けます。その為にも私達が美空に春日山城を取り返せるよう力を貸すのです。美空だってこのような連中は作りたくないと思っているはずです。でも、その為には目の前の事を解決するだけじゃダメなのです・・・その根本を無くさないと、あの子のあの笑顔をいつも出せるような平和な日常は来ません」

 

 アキラが顔を向けて蹴鞠をクビラと母親と鞠の四人で楽しそうにする少女を見た。綾那もまたその子を見た。

 「分かったです。綾那、頑張るです!えいえいおー!」

 どうやら、納得できたようでいつもの笑顔を出す綾那に戻った。

 

 楽しい時間もあっという間に過ぎ、とりあえず旅籠に戻ることにした。

 「ずいぶんと話し込みましたね」

 「ええ・・・それにしても、あなたがまさか嫁を持つとは思いませんでしたよ。しかも、一人ではなく際限なく増やし続けているとは」

 言い返せないのが、悔しいアキラだった。

 「鞠はアキラのお嫁さんになれてよかったの!」

 「そう言われるのを聞いていると・・・綾那もなった方がいいですか?」

 無言で返した。さすがに言えない。勘弁してくださいとは。

 「お姉ちゃん!また遊ぼう!(^O^)」

 「うん!お父さんの言う事ちゃんと守ったらね!」

 「は~~い!」

 「それじゃあ、そろそろご飯にしましょうね」

 「そうですね。では、頑張ってください」

 「ええ、クビラ。あなたも・・・今度こそ守ってあげてください」

 お互い手を握り、頷きあった。自分達の信念、かつては刀で語り合った二人が今回は握手で語り合った。

 

 そして、旅籠に戻ってきて食事も終わりすぐに休んだ。そんな中アキラは起きている気配を感じてそっちに意識を向けた。

 「鞠?どうしました?まだ寝ないのですか?」

 「あ、アキラ・・・」

 鞠が寝ないで、窓から月を見ていた。

 「悩み事ですか?」

 「・・・うん。あの子が無事で、本当に良かったけど・・・ずっと今まで知らなかった。あんなひどいことをする人がたくさんいるなんて」

 「そうですね。小波の報告でも理不尽な無礼討ちで三人死んだらしいですからね」

 「正しいことをしている人がどうして正しくない人に殺されるの?そう思って・・・そして」

 言葉を区切って、そして最後にやっと本当に思っている悩みを打ち明けた。

 

 「鞠は駿府を何とかしようと頑張ったのに、正しいことをしたと思ったのに、どうして皆・・・離れていっちゃったんだろうって。間違ったことをしちゃったのかなってそう思うようになったの」

 

 辛そうな笑顔でそれをアキラに聞いた。

 『・・・それはなかなか理解できないでしょうね。人は情より利で動くものが大半。駿府を乗っ取った武田信虎に多めの利をもらったからこそ、そっちに移動したのがおおよそでしょうし』

 アキラにとってもなかなか答えにくいことだった。ずばっと言いたいが、それでもおそらく綾那のように理解できても納得できないだろう。納得できる物言いをしなければおそらくまだ悩み続けるだろうと考えたアキラは何とか見つけた言葉で答えた。

 「鞠、あなたは間違ったことはしていません。そう、決して・・・」

 「でも、鞠の傍にいた人は皆・・・」

 口をふさいで、アキラは言葉を続けた。

 

 「人々の正しい間違いの判断の基準何て曖昧なのです。あなたは必死になって駿府の為に、亡き母の為に頑張った・・・自分が精いっぱいやったことなのです。あなたは駿府を取り戻すという信念を持っている。その信念を持ち、立て直そうという一からやり直すことをやろうとしている。そんな大きな信念を持った鞠が、まっすぐに頑張っているのです。あなたの背中を見ていた私が・・・そして、皆があなたのやったことは間違っていないと言います」

 

 「皆が・・・鞠を見て」

 「ええ。アキラ隊の皆に久遠や一葉に葵も・・・皆あなたを見ています」

 アキラが考えた言葉は鞠がアキラの背中を支えるように、皆が鞠の背中を支えていると感じさせるための言葉だった。綾那のように細かく言わなくても、鞠はさりげない一言でそれがどれほど大きな意味を持つのか理解する。まず間違っていないことを伝え、その後に仲間達も鞠のやったことは間違ってないと理解させる。それが、アキラの精いっぱいの慰めだった。

 効果は抜群だったのか、すっきりした笑顔に戻った。

 「ありがとうなの!アキラ、ずっと不安だったけどすっごくすっきりしたの!」

 「そうですか・・・それはよかったです」

 「・・・ねえ、一緒に寝ていい?」

 「・・・いいですよ。存分に甘えてください」

 うん!と今までで一番の心からの笑顔を出して、アキラと一緒に寝た。

 

 そして、次の日の芸では・・・

 「・・・なんとまあ」

 「いよ!お猿さん!」

 「かわいい~、でもすご~~い」

 「これほどの槍の使い手は滅多にいない・・・もしや」

 アキラが呆然としながら見ている先には槍の演武をする綾那・・・やはり猿の着ぐるみを着て。

 「綾那すご~い。今までで一番かも」

 「そうですね・・・鞠リン、負けていられませんよ」

 「うん!鞠も頑張るの!」

 その隣で鞠が蹴鞠演武を始めると、更に歓声は高くなり大喜びだった。

 「お姫様~~!」

 「本当にそう見えるよな!」

 「うん、あの子になら踏まれたい!」

 「お前・・・そんな目で見ていたのか」

 何やら暴走しかけているのもいるが、見事に繁盛していた。

 「お姉ちゃん~~、かわいい~~!」

 「ええ、本当に・・・娘にしたいわ」

 「あの頃を思い出します・・・いいものを見せてくれてありがとう」

 クビラ親子もそれを見ていた。彼の頬には一筋の涙があった。

 

 そして、演武が終わり旅籠に戻った。

 「それにしても、アキラ様も太っ腹ですね!」

 「うん!でもいいことだと思うの!」

 「いいのですよ・・・平等な取引ですので」

 アキラが一体なのをしたのか?それは今回の芸でもらったおひねりの半分をクビラの親子にあげたのだ。もちろん、彼は断っていたが・・・。

 『お茶を飲ませてもらったお代ですよ』

 と言って無理矢理納得させたのだ。こっそりクビラの耳元で「あの子のために使ってください」と呟いた。これがクビラがおひねりをもらうことにした最大の理由だった。

 「それにしても・・・皆やはり不安でしたね」

 「うん、早くいなくなった方がいいって言っていたの」

 「美空様の頃に戻ってほしいという声も多かったです!」

 「はい・・・私も変装をして情報を聞いていたのですが。美空様に早く春日山城に戻ってほしいという話が聞かれました」

 小波も含めた四人で今回得られた情報を整理した。街の皆は美空に戻ってほしいことと、ころと朱雀からの情報で人望が全くない無能な晴景に謀反ができたのか?それを成功させたのは長尾政景という切れ者がいたから。という話をして、明日には引き上げることを決めていたので、最後に残り半分のおひねりをこの街で使い切ろうと思っていた時だった。

 

 「すいません!お頭!しくじっちゃいました!」

 「もう!だから、抑えなさいと言ったのに!」

 

 ころと朱雀が旅籠に走りこんできた。焦っているところからすると、素性はともかく失敗したみたいだ。その証拠に呼び子の笛の音が聞こえてきた。

 「仕方ありません。逃げますよ!」

 「「はい!」」

 「うん!」

 明日には出る予定だったので、その準備は終わっていた。だから荷物だけを持って旅籠を飛び出した。アキラ達を追いかけてくる連中の中に、一人見覚えのある男がいた。そう、幻とはいえ蹴鞠を上げた少女を斬ったあの男だ。

 「・・・先にいって。殿は鞠がやるの」

 「・・・ええ、待ってますからね」

 「鞠様!待っていますからね!」

 鞠を置いて、皆そのまま走っていった。

 

 「あの子は無事だった・・・でも、許せないの!あなたみたいな人達が何の罪もない人たちを好き勝手に殺すことを!これは、その人達の無念と苦しみを込めた鞠・・・ううん、私からの怒りの一撃なの!どれだけ辛い思いをしたのか、どれだけ苦しい最期を迎えたのか・・・自分で味わうといいの!随波斎流!疾風!烈風!砕雷矢~!」

 

 

 隊のいる神社で待つアキラ。隣には朱雀ところ、アキラの膝には綾那が我慢できずに眠っている。 

 「アキラ様・・・探しに行かないのですか?」

 「行く気はありません。待つ、と約束をしたから待つだけです」

 「お頭・・・本当は探したいんじゃ」

 アキラは首を横に振った。

 「いいえ。それは鞠の信念に傷をつけます。自分から殿をかって出たのです。その思いを傷つけるわけにはいきません」

 「だから、小波さんに頼んだんですね」

 「今回の仕事で私達の存在を知られてはいけません。向こうは美空の少数の兵が潜入していたと思っている程度でしょう・・・今は待つのみです」

 「・・・分かりました。私達もここで待っていいですか?」

 頷いて、ただひたすらに三人は待った。そして、二人も疲れていたのか眠りについてしまい、朝方になりかけた時に・・・

 

 「ただいま・・・なの」

 

 小波が鞠を連れて戻ってきた。

 「おかえりなさい・・・終わりましたか?」

 「うん!絶対に美空を春日山城に帰して、あの街を平和にするように頼むの!」

 「そうですね・・・小波もありがとう。今日は二人ともゆっくり休みなさい」

 「・・・あの、自分はまだ大丈夫ですが」

 「小波、夫の私に心配させる気なのですか?」

 「わ、分かりました///」

 「小波!一緒に寝よう!」

 小波の手を握って神社に入っていった鞠。 

 「一安心ですね・・・越後が戻ったらもう一度クビラのところに行きましょうか。心配はしてませんが・・・あの子と鞠のためにね」

 やっと落ち着けたおかげで、眠気が一気に強くなったのでアキラも神社に入って眠りについた。

 

 春日山城のある部屋で

 「うさ様。春日山の城下街で騒ぎがあったそうです」

 「ふむ、そう言えば二人ほど城で働きたいと入ったものがいたな。なるほど、そやつらの仲間か」

 「何が目的だったのでしょう?この荒れている春日山城に」

 「・・・おそらくあのバカ殿だろう」

 「美空様が?でも」

 「ああ、正面からぶつかる主義のあのバカ殿が潜入みたいなことをする。あやつらしくない事じゃ・・・おそらく背後に誰かいるな」

 「誰か?それはいったい・・・」

 「さあ?それはわからん。でも・・・越前に行って戻ってきたところから考えると」

 「あの?うさ様?」

 「お主は空様と愛菜様の護衛を頼む。わしは政景様から見張られているから身動きが中々とれん」

 「は!」

 

 そして、しずかになった春日山の城下街にて

 「お~~い、そこにいたのか!」

 「もう~~、いたのか?じゃないよ、そっちが先にいなくなったんじゃない!」

 「ははは、すまんすまん・・・それで、どうだった?」

 「ええ。酷いものです・・・こっそり見ていただけでも無礼討ちが三件ありました」

 「なるほど・・・無能なお姉さんをもって妹さんは大変だね」

 「全くです」

 「それで、気になっていたあの演武の人達はどうだった?」

 「すごかったです。特に槍を持った少女はすごい槍さばきでした・・・おそらくこちらの陣営で勝てる人はいないでしょう」

 「ほう~~、まさかその言葉が出るとは」

 「ただ、蹴鞠をしていた少女が気になります。あの方・・・どこかで見たことがあるような」

 「私は城の方に専念していたから知らなかったけど。そんなに気になるなら調べてみたらどうだい?」

 「ええ。そうします」

 「では、引き続き調査と行こうか・・・越後の龍がどう動くのか、そして、田楽狭間の天人。一体どこにいるのか・・・ね」

 




 以上、記念すべき五十振り目でした!早いものでもうそこまで書いていたのですね・・・

 二人の少女の悩み解決となりました。

 
 200件特別小説書きたいと思います!・・・第二回王様ゲーム開催だ!


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間章14 和みますね R-18

 
 こんにちは!三MENです!

 今回は古参の二人と蹴鞠姫です!間章はこれだけです!


 2017年 3月10日 エロ修正。鞠の頑張りと言った方がいいかもしれない。


 「これならこの方法が・・・」

 「えー!それだと地味だよ!もっと一気に!」

 「・・・(~_~)」「お姉ちゃんもそれがいいって!」

 「烏さん、首を横に振ってますわよ・・・それにそれだとハニーの食事代がなくなってしまいますわよ!」 

 「梅さん・・・どうしてそこでアキラ様の食事が関わってくるのですか?」

 鉄砲隊は以下に限られた予算でうまく効率よく鉄砲を撃てるか考えている。

 「え~いなの!」

 「負けないですよ!」

 「今度こそ!時人!お主に勝つ!」

 「ふ、小夜叉、まだまだだぜ!」

 「庵樹さん・・・やりますね!」

 「ふふ、歌夜こそ中々だよ」

 「がははは!北落師門とわしに勝てるやつはおるか!」

 腕に自信のある者は、ガチの手合わせをして実力を高めあっている。

 「ふむ、一葉は幽に捕まっていて、詩乃は相変わらず朱雀と話している・・・」

 アキラも自主訓練が終わり、その後どこで弁当を食べるか迷っていた。そこで、神社の裏にある林を抜けた先で食べることにしたが、先客がいた。

 「あれ?アキラ様・・・どうしたのです?」

 「ここまで来るなんて珍しいですね」

 自分の隊の中で、古参のひよところだ。

 「食事をしようと思っていたのですが・・・皆さん忙しいので一人で」

 「え、それでここまで来たのですか!」

 「やった!私達も食べようとを持っていたのです!一緒に食べませんか!」

 「ふふ、構いませんよ」

 嬉しそうにするひよ。

 「もう。でも、私も嬉しいな」

 ころもまた笑顔になった。

 「そういえば、久しぶりですね。三人で食事というのも」

 「そうですね。昔は詩乃ちゃんが来るまで、この三人でしたからね」

 「それがいつの間にかこんなに増えちゃって・・・しかも、ほぼ皆がお頭のお嫁さんだもんね」

 やれやれという感じでアキラを見る二人だが、

 「ははは、気づけばそんなになってましたよね」

 当の本人は軽く流した。

 「最初は仲間が増えて嬉しいと思っていたけど」

 「恋敵が雪だるま式に増えていって・・・久遠様のあの宣言で更に増え続けて」

 「最近じゃ、幽さんも熱い視線を送るようになってきたもんね・・・お頭、いったいどうやって堕としたんです?」

 「・・・その認識はやめてほしいのですが」

 「「無理ですよ~。だって・・・」」

 二人の顔が赤くなった。越前のあの時を思い出したのだろう。二人が股をこすり合わせてたのを見て、慌てて話題を変えた。

 「そ、それで、二人はどんな話をしていたのです?」

 「そうです!ころちゃんから、どうやって城にもぐりこんだのか聞いてたんです!」

 「どうやってって・・・まずここの人になりきるために」

 その後、話を聞くとこの越後では上州弁という言葉遣いがあり、それを使いながら話をしたそうだ。

 「あははは!ころちゃん!それ面白い!」

 「ふふふ、そうですね」

 「もう~~!だから話したくなかったんですよ!」

 ただその上州弁は、語尾に「だんべえ」をつけて話すらしく、それがひよの笑いのツボにはまった。

 「ダメですよ、ちゃんと情報を仕入れてきたのですから笑っては」

 「ぷぷぷ!でも、お頭だって笑っているじゃないですか~」

 「ううう~、恥ずかしいですよ~」

 でも、ちゃんと情報は手に入れていた。この越後は鬼を全然いないのか、兵達は全くその存在を信じなかったこと。駿府がどうなっているかも知らないらしく、ころと話した二人の兵はここを出てそこに行こうとしていること。

 そんな中で、一番の収穫は人質となっている空と愛菜の二人がどこに監禁されているか?その場所の確認が出来たことだ。

 「逃走経路も朱雀さんと確認済みだったので、姿の確認をして逃げようと思ったのですけど」

 「朱雀が抑えなさい。と言ったのは、そこまでしなくてもいいと言うことだったのでしょうね」

 「でも、目で見るべきだと思った時に気づかれてしまって」

 「見つかったということだね?でもころちゃん、どうしてばれたの?朱雀さんと一緒なら、何となると思うけど?」

 「私もそう思います。結構隠れるのには自信のあるあの子ですし」

 既に食事を終えた二人の視線に汗を流すころ。目も泳がせていた。

 「実は草むらで隠れていたんですけど・・・気付いた兵に誰だ!と言われた際・・・つい・・・猫の鳴き声を上州弁で」

 思いっきり二人の笑いのツボに入った。

 「・・・・・・ぷ!」「・・・くくく」

 「「ハッハッハ、ハハハハハ!」」

 こらえられなくなり、大笑いをした。

 「もう~!そんなに笑わないでください!」

 「にゃ~だんべえ」「ひよ!それはくくくく!」

 「ワンだんべえ」「もう~~!やめてよ!」

 「ちゅ~だんべえ」「あ、アキラ様まで!」

 二人の大笑いはしばらくやむことがなかった。でも、越後に着いてからずっと気が抜けない状況だったから、ちょうどいい気分転換ができたことにアキラはこっそり感謝していた。

 

 存分に笑ったため、笑い声もようやく収まった。

 「あ~~笑った。こんなに笑ったの久しぶり」

 「もう~~、こっちの気も知らないで」

 「いやはや、すいませんでした・・・ふ~」

 一息ついた時に強い風がやってきた。

 「「くしゅん!」」

 「おや、大丈夫ですか?」

 「あ、はい大丈夫です」

 「こうしてアキラ様が私達を抱きしめてくれれば・・・」

 さっきは恥ずかしさの顔だったが、今は照れ臭い顔になっていた。

 「あの・・・アキラ様。もっと暖かくしてください」

 「お願いします・・・旦那様、らしく」

 もじもじしながら、股に手をやっている。つまり、そういうことを言っていることだとすぐに気づいた。

 「分かりました・・・愛するお嫁さんの為なら」

 「「(#^.^#)」」

 二人の服を少しずつ脱がし始めた。そして、上を完全に裸にした。

 「あ、その、あの時と一緒だね」

 「うん・・・あ!そ、そこは」

 最初にひよの胸を舐めはじめ、次にころは手で揉み始めた。

 「ああう!それは、初めて!で、でも、もっと、あん。お願いします・・・ああ!びりってきた!」

 「・・・もっと、強くで、ああうん!いいです」

 「お頭、交代・・・ああ!ころちゃんのを舐めて、私のを、も、揉んでください!」

 「ひよ・・・ありがとう」

 ひよの要望通り、交代でころの胸を舐めた。そんな行為を繰り返していくうちに、二人とも顔を赤くしていった。そこで、アキラは二人から離れた。

 「二人とも、寒いなら自分で暖かくしないと」

 「「え・・・お頭?」」

 「二人とも、慰めて暖まれるでしょう(にやり)」

 「「え、ええええ!」」

 アキラは彼女達に自慰をして暖かくなれ・・・しかも、自分の目の前でやれと言っている。恥ずかしい気持ちもあるが、ひよところはアキラに欲情している。

 「お頭~~、そんな、指令・・・ああん!ダメ、ですよ・・・あう!」

 「ころちゃん・・・ああ、手で指で!私・・・私も!」

 ころは下着をずらし自分の割れ目を見せるように始め、ひよも同じように始めた。

 「「ああうう!は、恥ずかしい・・・でも」」

 二人ともアキラに見られることで興奮が高まっていき、自分の体もハイペースで感じやすくなっていった。割れ目だけでなく、自分のおっぱいも使いながら自慰を続けていき、割れ目から出る蜜も熱くなっていった。

 「「お頭・・・ください。もっと、熱く、なりたい」」

 二人とも完全に蕩けていった。全てを脱ぎ一糸まとわぬ姿となって、完全に受け入れる体勢になっていた。

 「ええ、では、ころからいきますよ」

 「ん!あ、入る!入っていく!ああああああ!あの、激しく、して、ください・・・びくんってくる!も、もう!すごい!」

 「あの・・・私も・・・」

 熱くつかれて、体が揺さぶられる彼女を見て、我慢できなくなったひよ。

 「では、ころの上に乗ってください」

 つまり、サンドイッチみたいになって、それから・・・という事だ。もう、アキラの言葉ならどんなことでも従う二人はくっついた。濡れている壺の入り口をアキラに見せて、今はただ待つだけだ。

 「ころちゃん・・・一緒に、ね」

 「うん、ひよ」

 「「滅茶苦茶に、してください。旦那様」」

 「もちろんですよ、奥さん。次にひよ、いきますよ」

 「はい、きて、あ、あああああ!入った、入ったよ~~~!」

 ひよところ、二人の壺に刀をどんどん出し入れしていった。その度に二人は体をビクビクさせて、快感が体を走り抜ける。

 「ひよ!私も、何度も、んん!何度も、入れられて・・・」

 「わ、私も、あう!すごい・・・だめ!お頭!我慢でき、ません」

 二人は抱き合いながらアキラの動きにやられていき、ずんずん突いてくる刀の動きが我慢と快楽の限界をついに突破した。

 「い、いきますよ!二人とも!」

 「「はい!ああああああ!い、いい。いいいいい!ああ、いった」」

 出し入れの速度も速くなりついに絶頂に達した時、二人とも一緒にのけぞって力が抜けていった。ひよもころの隣に仰向けに倒れこんだ。その二人を温めるかのように、二人の全身にアキラのあれがかかった。

 

 夕日が沈むくらい時間が経ち、身支度が終わり二人は嬉しそうにアキラに抱き着いて神社に戻った。夜になった時に美空の陣を探しに行っていた小波が戻ってきた。だが、結果は見つからなかった。

 「ふむ、急がないとせっかくの情報が古くなってしまいます」

 「すいません」

 「いえ、小波が謝る必要はありません・・・ここは向こうの庭で地の利はあちらにあります。ですので、詩乃は悔しがるなら美濃でやられた時にしてくださいね」

 「・・・それをされたら立ち直れなさそうです。でも、絶対に見つけてやりますよ!ここまで見つからないなら、絶対に見つけてやる気持ちが強くなりました」

 「では、二人ともお疲れさまでした。休んでください・・・夫からのお願いです」

 あえて夫から。と言うことで休める気持ちにさせた。隊長からだと、小波が少し無理をしてでも頑張ろうとするからだ。

 「そうですね、夫を心配させてはいけませんね。休みましょう小波さん・・・妻の私達は常に心配してますが」

 「は、はい・・・」

 「・・・おやすみなさい」

 二人も神社に入っていった。自分も寝ようとした時だった。

 「むにゃ・・・」

 「おや、鞠?」

 森の方に歩こうとした鞠の姿を見たのは。慌てて彼女を止めた。

 「おや・・・これは、これは」

 その姿を、通りすがりの幽が目撃した。

 「何を考えているのは分かる顔ですね」

 「いえいえ。決して鞠殿を閨に誘って、森にで裸にして抱こうとしているなんて思っていませんぞ」

 「思いっきり思っていましたね・・・何なら、幽もしますか?」

 「何と!某まで裸にするおつもりですか!・・・いやいや、それならちょうどいい場所がございますぞ」

 ニヤニヤ顔をやめないまま、話を続けた。何でも小さいながらも温泉を発見したので二人で行ってみては?ということになった。鞠にも気分転換ができるからちょうどいいのでその言葉に乗ることにした。

 

 次の日、幽に見送られるまま二人は馬に乗って、目的地の温泉に向けて出発した。

 『こちらはお任せください・・・と言っていたのはどういう意味でしょうか?』

 少し不安もあったが、鞠の嬉しそうな顔を見てそれを考えないようにした。しばらく森の中を抜けていくと本当に見つかった。

 「わ~い!温泉なの!」

 「これは・・・うん、見事です」

 鞠はいきなり裸になって温泉に入った。一応、アキラも腰に布を巻いて入った。

 「気持ちいいの~~」

 「そうですね・・・湯につかること自体、久しぶりでしたからね」

 アキラも心から気持ちよく入った。

 「あ!お猿さん!」

 「ほう~、ここは猿の入浴場でしたか」

 「え!だ、だったら鞠達は出ないと」

 「いえ、大丈夫でしょう。ほら、猿達も嫌がってないですし」

 「・・・うん!」

 やってきた猿を見てはしゃぐ鞠。一緒に入っているうちに鞠がアキラの体に背中をつけた。

 「アキラ、ありがとうなの。鞠、とっても嬉しいの」

 「ふふ、それは何よりです。喜んでもらえてよかったです」

 「うん、鞠ね。とっても幸せなの・・・大好きなアキラとこうして二人っきりでいられることが・・・そして、アキラのお嫁さんになれたことが」

 本当に心からの笑顔だったのだろう。いつもとは違う笑顔にアキラは微笑んだ。

 「あのね・・・鞠、アキラが皆にしていること・・・してほしいの」

 そして、顔を赤くして体を反転させてアキラを見た。

 「・・・鞠。何を言っているのか分かっているのですか?」

 「うん。だって、鞠だけまだ愛してもらってないの・・・愛してもらいたいの」

 「・・・分かりました」

 鞠の肩を掴み・・・舌を絡める濃厚なキスをした。そこから来る気持ちよさに不思議に思いながらも、身を委ねていった。そして、キスも終わり唇を放した。

 「アキラ~、ほわほわってするの。とても気持ちよかったの!」

 「ええ、では、今度はここを」

 彼女の未成熟な胸を撫でるように、くすぐるように触れていった。

 「え!何、ビリってきたの!その後に・・・力が抜けたの」

 そして、片手を鞠のあの下の穴に触れた。

 「え?ああ!何?すごいの!ここってこんなにすごいの!力がもっと抜けたの!」

 「そうです。女の人はここがすごいのです」

 さするように何度も胸と一緒にその部分を触れていくと、鞠の顔がのぼせたかのようにほわ~~っとしていった。

 「鞠、のぼせたの・・・頭、ふわ~~ってするの」

 「では・・・」

 そこが濡れていることに気づかないまま、アキラのあの刀を見た。

 「あ、ここに、いれ、るんだね」

 「そう、です・・・頑張ってくださいね」

 アキラは頷いて、ついに入れた・・・と思ったが全部入らなかった。

 「い、痛い、痛いの!」

 「・・・やめますか?」

 首は横に振った。彼女の意志を尊重し、でも痛みを少しでも緩和できるようにあまり出ていない胸を、先にある突起をとことんいじっていき気持ちよくした。そうすることで、徐々に入っていく感覚が薄れていった。でも、痛さは続いていた。

 「痛い・・・でも、アキラと、皆と、一緒になれるなら」

 「ええ、最後まで、いきましょう」

 涙を出していたが、アキラと繋がれば皆と対等になれる。それが鞠を我慢させた。だからこそアキラもやめずに続けた。

 「!!!あ、ああ!アキラと・・・一緒に、なれたの」

 「ええ。つながっています。ほら」

 そこには確かに・・・一緒になれた繋がりがあった。ついに鞠もアキラとつながりを持つことができた。

 「うん!うん!あんなに痛かったのに・・今は気持ち、いいの。何か、さっきよりもぽ~~っとするの」

 「では・・・ここからが、本番です」

 出し入れを開始した。締め付ける快感がアキラを襲うが、

 「ああああ!何かが!何かが・・・きちゃうの~~!」

 快感の強さは、鞠の方が強かった。初めての快感に我慢できずに、彼女からすればお漏らしみたいな液体も出し続け、それを興味深そうに見る猿を無視して、

 「アキラ!ダメなの!何か、鞠、おかしいの!」

 「それは、大丈夫です。おかしいと思えるのはそのままでいいのです」

 「え?そうなの・・・うん!分かったの!」

 アキラの言葉を信じて、動かされていくにつれて、鞠の顔は段々女性の顔に次に喘いでいる時の女性の顔になっていった。

 

 「あ!あああ、アキラ~~!鞠、鞠~~~」

 「ええ、いきますよ!」

 

 遂にアキラと同時に快感の頂点にたった・・・その気持ちよさに鞠は気を失った。

 

 帰り道、鞠は嬉しそうにアキラと馬にのっていた。

 「アキラ!また来ようなの!」

 あの後、本当にのぼせかけたので温泉を出て、一休み後に服を着て馬まで戻ろうとしたが、鞠は立つことすらできなくなったのでアキラがお姫様抱っこをして乗せた。

 「そうですね・・・今度は「アキラ殿~~!」?あれ?幽ですね」

 「何か慌ててるみたいなの」

 「はあ、はあ、ようやく追いつきました・・・すいません、お二人の逢引きがばれました」

 「・・・・・・は?」

 逢引きという言葉に分からない顔になったアキラ。

 「何とか二人がいい関係になれる時間を作れるよう、隠していたのですが・・・あ!ああ、遅うございました」

 「まさか、お任せください。というのは隠すから任せろと言う意味だったのですか!皆に話しておくのを任せろじゃなくて!」

 そう言っている間に、幽の後ろから皆が馬に乗ってやってきた。

 「主様!鞠と二人っきりで温泉だと!」

 「アキラ様!どうして私達じゃないんですか!」

 「そうですよ・・・そりゃ、あの後でまた」

 「ころちゃん。今思い出すのはまずいよ」

 「ハニー!私のこの胸で全部を洗ってあげますのに!」

 「ダメです!アキラ様の体は朱雀の体で洗うのです!」

 「だめ、各務の胸が一番いい」

 「ううう、私じゃ洗える胸がない」

 「もう~~!綾那一緒に入りたかったですよ!歌夜もそうですよね?」

 「え・・・ま、まあ。あの体を見れるなら」

 「アキラと風呂か。久しぶりだな」

 「私は遠慮していたからな。でも、妻になったしこれからは入らせてもらおうか」

 手合わせ中の森一家の二人以外ほとんどやってきてしまった。そして、皆が来て混雑とした間にいつの間にか幽は姿を消した。

 『く!幽のやつ、逃げ足だけは早い!早く「鞠さん!ハニーと一緒にお風呂はどうでした!」!駄目です鞠!』

 

 「あのねとっても優しく抱いてくれたの!アキラ、気持ちよくしてくれたの!」

 

 無邪気な顔でクラスター爆弾級の発言が出してしまった。

 「よし!主様!余も気持ちよくしてくれ!」

 「私達もです!さあ、行きますよ!」

 「詩乃、小波さんも呼びましょう」

 「そうですね、仲間外れはいけませんね」

 そう言って守り袋を使って小波を呼び出した。アキラと一緒にお風呂に入ることを言うと逃げようとしたが鞠と綾那に捕まって、そのままアキラ同様温泉まで連行された。

 

 『どうして、温泉は疲れをとるものなのにここまで疲れないといけないのでしょうか。早いところ美空とも合流しないといけないのに・・・』

 

 それは美空に合流できた前の日の出来事だった。

 




 さて・・・ついに書きました鞠とのラブラブを!

 でもここまではまだ何とかなりますが・・・問題は烏と雀だ。う~む、まだ先の話だがどうやって書こうか・・・。

 次は本章に戻ります!


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五十一振り目 泥棒はともかく、誘拐は初めてですね

 こんにちは三MENです!

 ではついに五十一話目です!


 

 小波の頑張りと詩乃と雫の予測をやった結果、探していた長尾本陣の場所を突き止め仕入れた情報を美空に伝えた。

 「・・・私がいない間に、そんなことが」

 「小波の話では一日に二、三回は無礼討ちがあったらしいです・・・私自身も一回見ました」

 「春日山の城下でっすか・・・信じられないっす」

 「早くしないと」

 「・・・相当状況が危機に迫っているみたいですね」

 「うん・・・早く取り戻さないと、もっとひどくなるの」

 鞠の言葉に長尾の四人は言葉が出なかった。美空が険しい顔で考えをしている中、静かだったが秋子が口を開いた。

 「美空様・・・一つ提案があります」

 「何よ」

 「・・・空様と我が娘の愛菜をむぐ「それ以上は言ってはいけません」」

 提案を出そうとした秋子の口をアキラがふさいだ。

 「そうっす!絶対に言っちゃダメっす!」

 「私も賛成」

 何を言おうとしたのか長尾勢はもちろん、共に来たアキラ隊の面々も分かっていた。少し顔の赤い秋子の口から手を離した。

 「美空の部下として・・・そして、一人の母親として、絶対にそこから先の言葉は言ってはいけません」

 

 『絶対に幸せにするから!あなた達は私が守るから!』

 『このお腹の中の子は、私達のような生き方ではなく幸せになってほしいわ・・・』

 

 脳裏によぎった母親となったゆやと朔夜の笑顔。それはとても輝くものだった。

 「アキラの言う通りよ・・・絶対に言ってはダメ」

 「で、でも、じゃあ、どうしたら」

 却下を出しても案が出てこない。そこにアキラが提案をした。

 

 「私達が城に侵入して二人を攫いましょう」

 

 あっさりと言ったこの提案に長尾勢はキョトンとした。

 「え?アキラさん・・・何て?」

 「あなた達の娘を攫う、と言ったのですよ」

 「ほ、本気だったの!冗談と思っていたのに」

 美空の言葉は家臣三人の意見でもあった。

 「アキラさん・・・それは無理じゃないっすか?」

 「あの城、難攻不落」

 居城の春日山城がどんな城か分かっている四人にとっては、無理と思う提案だった。

 「難攻不落と言われる城ほど死角はたくさんあるので、そこを突けば大丈夫ですよ。街を出る際にちょっとだけ騒ぎになりましたが、美空の少数部隊が潜入して騒ぎを起こした。という見方になっているでしょう。私達織田の人間が入っていることなんて知る由もありません。それに、そういう城なら二度ほど落としたことがあります」

 「・・・その時に口説くことさえしなければ完璧なのですが」

 「全くじゃ!余だけを口説いておけばいいのに!」

 「一葉様~、今はそういう話ではないでしょう?」

 「詩乃に一葉ちゃん。アキラだから仕方ないの」

 アキラの言葉にツッコミを入れる詩乃と一葉。とどめの鞠の言葉に苦笑いのアキラと長尾勢。

 「織田の名を喧伝しておけば、美空様の名に傷もつきませんし・・・金ヶ崎の退き口でボロボロになったアキラ隊が金欲しさに空様を誘拐した・・・ということにしておけば大丈夫でしょう」

 「雫の言う通りです。あそこでは本当にボロボロになりましたし、名が傷つくのは織田で済みます・・・結局、こうなってしまうのですね」

 「すいません。でも、大切なことです」

 「分かってますよ・・・でも、今回だけですからね!」

 そうやって軍師二人の付け足しを聞いて、美空は決心した。

 「織田久遠殿の夫アキラ殿!力をお借りしたい」

 「任せてください」

 笑顔で答えた。そのすぐ後だった。

 「アキラ様。ご協力いたします」

 後ろから葵が声をかけてきた。

 「あら?あなた・・・誰だっけ?」

 「織田久遠信長様の盟友の松平葵元康と申します?ご挨拶したはずですが?」

両者ともに仮面の笑顔を見せていた。

 「化かしあいはまた今度にしてください・・・葵、協力というのは?」

 「アキラ様が人質を取り戻しても追手が来るでしょう。その追っ手を私達松平が撃退します」

 この言葉にアキラは内心驚いた。

 「へ~、引きこもっていたあんた達がね~~。どういう風の吹き回しかしら?」

 「人質を使って好き放題する城にいる者が許せないからです」

 「ふ~~ん、力を貸してもらえるなら遠慮なく頼むわ」

 「それは、我らが越後で動いていいと解釈しても?」

 「そう言っているのよ・・・アキラ、頼んだわよ」

 「ええ、もちろんです」

 予想外の松平の援護ももらうことになり、アキラは自分の隊に戻った。

 

 葵も自分の陣に戻った。

 「葵様、何故アキラ殿の力になることを?」

 「気になるからよ」

 「もしや、葵様。アキラ殿に誑されたのですか?」

 「・・・あの人は長尾を同盟に入れようとしている。少し静観していた間に、もう入れられる段階まで作り上げていた。人修羅とすら呼ばれた長尾景虎を同盟に入れようとするやり方・・・私とは全く逆のやり方。そのやり方を見ることが、私の理想を叶えるためにも必要と判断したからよ」

 「そうですか・・・分かりました」

 葵の目にはいったい何が映っているのか。それは悠季も分からなかった。でも、一つだけ分かったことがあった。

 

『葵様・・・アキラ殿と出会って変わられた。自然な素顔を時々見ることが多くなってきた。私以外には心に鎧を着て見せないようにしていたのに・・・やはり葵様もアキラ殿の事をあの三人と同じように』

 

 忠誠を誓った主が、アキラに心を動かしているということだった。

 

 

 神社に戻って、アキラ隊は対策会議をした。その際、美空からもらった春日山の縄張り図を見せるとみんなびっくりした。何しろ、それ一枚あるだけで城攻略の手口を何十通りも見つけることができる秘中の秘だ。それをよそ者のアキラ隊に渡すということは相当本気と見ていい。

 詩乃と鞠がいないことには軍師役が少ないからその援護と、美空の本陣がまた移動するだろうからその時の連絡役として残ってもらった。 

 「今回は少人数で行きます。二人の誘拐ですから、暴れることは控えないといけません」

 「・・・いつになったら暴れるのじゃ(グスン)」

 「暴れることが生きがいみたいな小夜叉さんみたいなことを言わないでください」

 「話を聞くところによると、空さんはとても人見知りらしいです。私や小波に綾那の三人で侵入するつもりですが、警戒される恐れがあるのでそういった子に慣れているであろう庵樹も来てほしいのですが」

 「別に慣れているというわけではないが・・・いいわ、手伝う。それで、もう一人の愛菜って子はどんな子なの?」

 庵樹が聞いたら、アキラやころは困った顔をした。

 「何でも、とても変な子・・・らしいです」

 「秋子さん直々に、扱いが面倒ですから無視していいというくらいです」

 「・・・公方様みたいですね」

 「何じゃと!余がそんな面倒な人間なわけないであろうが!」

 「・・・自覚してほしかったですな~~」

 「思いっきり迷惑しかかけないダメ公方様ですね」

 詩乃のツッコミに一葉は反論したが、幽と朱雀の二連口撃にぐさりと来た。

 「ぐ・・・主様~~」

 「はいはい・・・よしよし「(なでなで)えへへ」、さて漫才もここまでです。明日からは訓練に入りますよ」

 「「「「「訓練?」」」」」

 「ええ、山登りのね」

 ニヤリと笑うアキラに全員冷や汗を流した。

 

 次の日、早速山登りの為の道具を買いに街まで行った。その際に商人から話を聞いたりもした。

 「相当、期待していましたね」

 「そうですね・・・美空様が兵を集めていることは知られているでしょうし」

 「早くこの悲惨な状況を終わらせないといけませんね」

 「ふむ、そんなにひどいのかい?」

 ころと話していると、後ろから声をかけられた。その声をかけた女性の方を見るとアキラは驚いた。

 「?あなたは」

 「おや!奇遇だね」

 「?アキラ様?知り合いですか?」

 「知り合いと言えば知り合い・・・ですね」

 「ははは、安心したまえ。大津の団子屋で知り合っただけさ」

 油断できない笑顔でそう答えた。

 「それより・・・仕官はまだですか?」

 「これは痛いことを聞くね~。まあ、ここがそんなにやばいと聞けばさすがにやめようと思うさ・・・現に街も元気ないしね」

 「ええ、南の方がよさそうかもしれませんね・・・甲斐とか三河、駿府辺りがね」

 この言葉に一瞬の違和感をアキラは見逃さなかった。

 「そうだね。せっかく来たけど諦めてそっちに行こうかな?」

 「その方がいいですね。それにしても、私達って面白いところで会いますね」

 「うん・・・そちらの奥さんには悪いけど、運命みたいな感じだね~」

 「全くです」

 「「ははははは!」」

 「(何この人・・・お頭についていけてる)」」

 せっかく奥さんと呼ばれたのに、笑っている二人に冷や汗を流すころだった。

 「では、よい仕官ができることを願っていますよ」

 「ありがとう・・・じゃあね」

 女性が歩いて行った。その後姿を見て、警戒する顔つきになった。

 「アキラ様・・・あの方ってどんな人なんですか?」

 「確実に言えるのはどこかの勢力の人間・・・越後の内部を知るためにやってきたと言うところでしょう」

 「なるほど・・・間者ですか」

 「ええ。でもただの間者ではありません。幽と互角に戦える実力を持っています。そう・・・武将でしょうね(越後の情報を一番知りたい勢力と言えば南・・・あえてその言葉を出した時に一瞬だけど目を見開いた。つまり・・・)」

 あの女性が見えなくなったと同時に、買い物を終えた綾那と歌夜がやってきたので考えをやめた。

 「では、行きましょうか」

 「「「はい!」」」

 

 その女性はというと。

 「どうだった、一二三ちゃん」

 「湖衣はどうだい?前回の調査に比べて」

 「全く変わってないわね・・・少し辛さを感じた無礼討ちがあったわ」

 「こっちもそんなものさ。でもお土産は見つかったかな」

 「お土産?なにそれ?」

 「内緒・・・それはそうと、蹴鞠の少女の件はどうだった?」

 「とんでもない人だった・・・氏真様だった」

 「ほう~、ということは」

 「ええ、おそらく駿府は私達の推測通りに」

 

 

 アキラ達は崖の前に来た。その崖は今回の城の侵入口の下の崖だ。今回アキラ達はここから侵入することにした。

 『崖からの侵入なんて、普通はあり得ませんからね』

 対策会議の時にその一言を聞いて、朱雀・時人・庵樹以外の全員が唖然とした。三人は伊達に二年間後ろを追いかけてきただけあって、アキラの事をよく理解していた。ここの侵入口は、空と愛菜の二人が閉じ込められている屋敷のすぐ近くだからすぐに脱出もできることもあって、アキラはここを選んだ。

 「時間もあまりありませんので、しっかり覚えてもらいますよ」

 「こ、こんなところ・・・本当に登るんですか?」 

 「もちろんです。さあ、始めますよ!」

 びくびくするひよを無視して崖のぼりの訓練を開始した。でも、彼女以外はもともと体力もあり基礎もできているので、すぐにできるようになった。

 

 数日経過して、ついに決行日となりアキラと綾那、小波と庵樹の四人は登り始めた。残りの皆にはすぐに逃げられるよう撤退の準備を頼んでおいた。ちょうど半分くらい登ったところで銃声が聞こえた。侵入する際にばれないよう、美空には挑発するよう頼んでいたのだ。

 その中で詩乃からの句伝無量の報告で、呆れることも起こった。

 「・・・城方が出た?」

 何と大将が挑発で出てきたのだ。

 「私も二度確認しましたが、間違いないそうです」

 「・・・美空がバカという理由がよく分かりました」

 「挑発ごときで出るなんて、普通は籠城だろう」

 「綾那でも出ませんよ?」

 「とりあえず時間稼ぎは出来ているということで・・・先を急ぎましょう」

 全員で呆れ顔をしながら、登りを再開した。

 

 そして、同じようなことを本陣でも言っていた。

 「だから任せたくないのよ。バカだから」

 「本当ですね・・・私なら無視して籠城しますよ」

 「でも、大丈夫かしら?楽しくなって挑発以上の事をしたりしないかしら?」

 不安になる秋子に詩乃は笑顔で肩を叩いた。

 「大丈夫ですよ。そのための策もありますし・・・牡丹はアキラ隊にもいます」

 「詩乃さん・・・お互い苦労しますね」

 「全くです。しかも自重しませんしね」

 「・・・どうして私を見るのよ(むかむか)。私も牡丹だと言いたいの?」

 「「いえ、別に」」

 二人の言葉と態度に、更に怒りを増したが我慢した。

 「しかし・・・策を建てられる軍師がいるとこんなに楽なんてね」

 「長尾家は考えるより動く!が多いですから・・・胃が痛いです」

 「心から同情しますよ、秋子さん」

 自分の隊長であり、愛する人がそうなので本当に心から同情した詩乃だった。

 「ねえ、半兵衛家に来ない?禄ははずむわよ」

 「私は、アキラ様だけのものですので遠慮します」

 「鞠もアキラの護衛だからアキラのところがいいの~!」

 「二人とも即答ね・・・そんなにあいつがいいの?」

 「私も、鞠さんも、アキラ様に助けられました・・・身も心も。その時から私達の全てはあの人のものになりましたから」

 「そうなの!それに、詩乃ちゃんも鞠もアキラのお嫁さんなの!」

 「・・・羨ましいです」

 二人の惚気に聞こえる話に、独身秋子は羨ましがった。

 「あら?秋子もなる?別にいいわよ」

 「な!なななな、何をなると!」

 「・・・まあ、こうなるんじゃないかと思ってました」

 いつかこの話題が出るのでは。と予想していた詩乃は頭を抑えた。

 「秋子ちゃん!いいよ!アキラはとっても優しく抱いてくれるの!」

 「ま、まままま、鞠さん!だ、だ、だ、だだ抱くって!」

 鞠の抱く発言に焦る秋子。話を聞いてどんどん赤くなっていった。

 「二人は放っておいて・・・半兵衛、アキラは空を無事連れてこれるかしら?」

 「そうですね・・・難しいかと思いますが、アキラ様はどんな困難も乗り越えようと頑張るお方です。成功させますよ」

 「ふ~ん・・・そうね、でないと攫うなんて言葉出せないわね」

 城をじっと見る美空と詩乃。お互いどんな思いで見ているのだろうか。

 

 春日山城の内部に侵入成功したアキラ。予め先に入った小波に、二人の緊張をほぐすよう頼んでいたが。

 『ご主人様!助けてください!』

 句伝無量でヘルプが来たことにより、すぐに現地に急いだ。

 

 「どや~~~~~~~~!」

 

 だが、その途中でとても大きな声が聞こえた。

 「・・・何ですか今の声は」

 「・・・嫌な予感しかしないです」

 「・・・私も同じだけど、行くしかないよね」

 頭痛を抑えながら、襖を開いて中に入った。そこには困った顔の小波と見た目からしておしとやかそうな少女が一人。

 

 「長尾美空景虎様の娘長尾空景勝様は!空様の忠実な僕!樋口愛菜兼続が命を懸けてお守りいたしますぞ!どや!」

 

 そして、どや顔の変な少女が二人の間にいた。話すたびに必ず「どや!」と言ってどや顔をして、「どーん!」と言って表情をころころ変える。

 

 『・・・変な子ですね・・・本当に』

 

 呆れ顔をしながらどうしようか悩むアキラだった。 

 




 
 ( ・´ー・`)この顔のどや娘がついに登場です!

 次回は脱出と誘拐です!



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五十二振り目 親子再会・・・一度もしなかったですね

 
 こんばんは!三MENです。

 もう、二か月目・・・話も全部入れると90話を超えていた・・・一度総整理した方がいいかもしれない

 では、お待たせしました。脱出と行きましょう・・・アキラには似合わない言葉だな・・・




 

 アキラ・・・いや、アキラ達は困った顔をしていた。

 「あのですね」

 「おおっと!軒猿ごときが空様に話そうなど三万年早いですぞ!どや!」

 「私達は」

 「あの・・・愛菜」

 「空様は下がっていてください!樋口愛菜がどやっと片付けますぞ!どーん!」

 「・・・変なのです」

 「変とは何ですか!我が名愛菜は心あるもの!変に心を入れたら愛じゃなくなるです!どーん!」

 「それは文字ですらないよ・・・変に心入れても変な字になるだけ」

 『・・・・・・頭痛がします』

 話を全く聞かない。愛菜と名乗った少女の後ろにいる空という少女は聞いてくれそうだけど、邪魔ばかり・・・いや、愛菜の話自体もはや意味不明・支離滅裂だ。

 「小波。・・・あなたはよくやりました」

 「は、はい・・・」

 「この屋敷にいるはずの兵も気絶させたみたいで・・・おかげでこうし『どご!』ん?」

 「ぐへえ~、無念・・・なり」

 小波と話している間に変な音が聞こえたのでそっちを見ると。

 「ちょっと!綾那、何やっているの!」

 「秋子も言っていたです。好きにしていいって」

 床に倒れた愛菜の姿だった。どうやら、綾那が気絶させたようだ。

 「・・・気絶させたのですか?」

 「だって、話聞かないですし、時間もないですし」

 「ご主人様、やってしまった以上は空様に事情を「その子も気絶してるよ」は?」

 庵樹が空の目の前で手を振るけど、全く反応がない。どうやら愛菜が気絶する姿を見て、ショックだったみたいだ。

 「よかったです。手間も省けてその間に連れていけるです!」

 「急いでいますからね。意識が戻ったら説明といきましょう。今は脱出です!」

 「ああ、兵を全員倒したんだ。何かあったと気づかれる前に!」

 「「はい(です!どーん)!」」

 愛菜は綾那が空はアキラが背負い、落ちないようにしっかりしばりつけた。小波には先に行かせて進路の確保、庵樹は殿に立った。

 「綾那。愛菜の意識が戻ったら、また気絶させてください」

 「ひどいことするね・・・でも、それが一番だね」

 話を聞かない愛菜は、明らかに騒がしくして余計に見つかる可能性が高い。庵樹の言う通り、それが一番の手段だった。

 「分かったです!どや!」

 「・・・気に入ったのですか?」

 「言ってみると楽しいです!どーん!」

 さっきの返事よりボリュームが上がっている。

 「大声で言うなよ。敵地なんだから」

 「どうってことないです!ど~や~!!」

 

 「何者だ!」

 

 大声で叫んだ結果がこれだった。

 「・・・・・・で、何か言う事は?」

 「・・・ご、ごめんです~!」

 「全く、急ぎますよ!」

 綾那のボケに発見されてしまった。急いで侵入口に向かった。

 「ご主人様、こちらです!」

 「いきま・・・庵樹!」

 「ああ!わかっている!『ガキィ』」

 アキラは後ろから殺気を感じたので庵樹に迎撃を頼み、設置したロープを握って下に降りていった。

 「空様と愛菜様を返してもらいましょう」

 そこに来たのは相当な実力を持つ女性だった。だが、それ以上に秋子と互角の胸を持つ女性でもあった。

 「・・・二人とも先に行きな」

 ぶつけた刀を押して、相手をふらつかせた隙に二人を先に行くよう言った。

 「ええ!綾那が戦いたいです!」

 「急ぎましょう!お二人をお連れするのが任務です!戦うことは避けないと!」

 「・・・うう!分かったです!」

 小波が綾那を引きずるような感じで二人も下に降りていった。

 「っく!どきなさい!」

 「それは出来ないね・・・親子の再会をさせたいっていう私の旦那の願いでね」

 「親子の再会?それはどういう」

 これを聞いて、話せる相手とわかった庵樹は少しだけ口を開いた。

 「あんたはそこらの兵とは違うみたいだね・・・あの二人の誘拐の依頼者は、ここの城主ってことさ」

 「・・・そういうこと事ですか。嘘を言っているようには見えませんし。分かりました、行ってください」

 「ああ・・・それより、あんたも」

 「何か?」

 「いや、何でもない。ありがとね」

 疑問符を出す女性に背中を向けて、庵樹も下に降りていった。

 「はて?何か変なことでもしたのでしょうか?」

 

 『どうしてこの越後は胸の大きな奴が多いんだい!・・・今までスタイルを気にしたことなかったけど、あいつがおっぱい好きと聞いた以上は大きくしたいよ・・・壬生にいたころからずっとこの大きさだし』

 思いっきりどうでもいい事を思いながら、下に着いた。

 「よし、急ぎましょう!」

 「お待ちしておりました」

 「暇だったので、歌夜さんと逃走する道は探っておきました!」

 ころと歌夜以外は全員徹底済みであり、すでに自分達の馬も用意していた。

 「では、後は・・・」

 ロープを掴み、見える部分全部を凍らせた。これで追いかけてくる連中がその部分を掴むと滑って強制的に落下させられる。体も地面に叩きつけられるので動けなくなり、うまくいけば追手を少なくすることもできるということだ。

 「小波!詩乃と雫に報告を!」

 「は!」

 句伝無量で報告をした。 

 

 美空の本陣では、

 「・・・美空様、報告が入りました。お二人の救出は成功です。城を既に抜け出し、こちらに向かっています」

 「・・・本当にやったのね」

 「えええ!!アキラさん、やっちゃったんですか!」

 「驚く」

 柘榴はオーバーに驚いたが、松葉は驚いているように見えなかった。しかし、まだ美空の顔は緊張が解けていない。

 「でも・・・まだね」

 「はい、追手が来ているそうです。何とかうちと葵様のところまで行ければ」

 「じゃあ、柘榴が助けに」

 「ダメよ!あいつらの立場はあくまで金に困って侵入した賊。そこにあなたが行って助ければ」

 「今回のこの誘拐が美空様の依頼とばれてしまい、名前に傷がつきます」

 「そういう事だから・・・柘榴ちゃん抑えてね。御大将の名を傷つけるわけにはいかないから」

 でも、本当は助けに行きたい。そういう気持ちを持っている秋子からそう言われたため柘榴も我慢した。

 「後は・・・雫、あなたにかかっています」

 

 アキラの逃げている道のある程度先には、アキラ隊がいた。

 「アキラ様が逃げてきているそうです」

 「それで、雫。どうするつもりじゃ?」

 「・・・助けに行きましょう!」

 小波からの報告を聞き、一葉の質問に雫は決断した。

 「それは、撃って出るということですか?」

 「はい!悪名となりますが、アキラ様の名が噂となって久遠様に私達は生きていることを伝えられます!」

 「でも、お兄ちゃんのやっていることって小さな女の子を誘拐していることだよね?誑しだけでも悪名なのに、少女好きの変態も加わっちゃうよ?まあ、その方が雀もお姉ちゃんもいつか抱いてくれるからいいけど!」

 「・・・(*ノωノ)」

 幽の質問にビシッとした顔で答えたが、雀の言葉で全員が微妙な顔になった。

 「そう言われると、すごく悪いことをしている気がしますわね。あと雀さん、ハニーはおっぱいが好きな人ですから大きくした方がいいですわよ」

 「うん!お姉ちゃん、頑張ろうね!」

 「・・・(っぐ)」

 梅と雀のどうでもいいことに、烏はやる気が入ったのか力強く握った。

 「二人とも頑張るがよい!(ゆっさ)」

 「アキラ隊は巨乳隊・・・面白そうですな!(ぷるん)」

 「おほほほ!全然かまいませんわ!(ぼいん)」

 「巨乳隊・・・私が一番輝けそうです!(どん)」

 一葉に幽と梅に朱雀。バストサイズビッグ組は大きく笑った。

 「時人ちゃん、私達ってどっち?」

 「アキラのやつ、本当に巨乳好きになったのかよ?まあ、私達は中間じゃないか?」

 バストサイズ真ん中組は微妙な顔をしていた。

 「(ゴゴゴゴゴゴ)では、皆さん!迎撃準備!絶対に巨乳を・・・じゃなかったでかおっぱいを全滅させましょう!(」

 「雫ちゃん・・・本音隠せてないよ」

 「・・・(ポンポン)」

 「え?黙っていろ?敵を倒しに行こうってこと?」

 「・・・(こくこく)」

 暗黒面に落ちた雫の怒りの咆哮にツッコむ雀だけど、烏に止められた。

 「では、皆のもの!突撃!」

 

 この隊の後ろには松平衆がいた。

 「何やら変な会話が聞こえていましたが、行くようですね」

 「では、私達も行きますよ・・・それにしても、本当に誘拐を成功させるなんて」

 「ここまでの行動力を見せるとは・・・とんでもない男ですね」

 眼鏡を光らせて、要注意人物として警戒心を持った悠季。

 「でも、あの人は不思議と敵になりたいとは思えない・・・むしろ」

 「葵様?」

 「!!何でもないわ・・・さあ、悠季頼むわよ」

 「お任せあれ。ご期待にお応えいたします」

 『私は何を思ったの?あの人の隣に立ちたいって?同盟の仲間としてよね・・・でも不思議とあの人と一緒にいたい気持ちが強くなっていく・・・この思いはいったい』

 自分の中のアキラに対する感情が分からないまま、葵は約束通り追手の討伐に出た。

 

 逃げているアキラ達は、追手を迎撃しようという綾那の提案を却下した。

 「戦いたいのは分かりますけど。任務を無視するのはダメですよ」

 「ううう~~!」

 「ほら、綾那。グダグダ言わない」

 綾那が不満そうにしている中、ころが句伝無量の報告を受けた。

 「お頭!雫ちゃんからです!追手を伸ばしてくださいって」

 「その横を突くってことだね!」

 「皆様の気配が両隣の森から感じられます。よし、雫の指示通りにしましょう」

 雫の指示に従って逃げて、追手達もどんどんまっすぐ伸びていき、そこにアキラ隊と松平勢が横から突撃した。追手達は混乱してその間に全滅させた時に、やっと空の意識が戻った。

 「??ここって・・・あれ?ええええ!な、何で源氏の白旒旗が!」

 「お目覚めになられましたか。こちらは現足利幕府の将軍足利義輝様です。そして、今あなた様と一緒にいるアキラ殿の妻です」

 「ええええ!」

 「幽、ワザとそういうことを言うのは感心しませんが」

 「ついでに言うなら、アキラ隊の皆さんも妻です。京にはまだたくさんいますよ」

 「ええええええええ!・・・(がく)」

 幽の遊びの言葉に更にビックリして、また気絶してしまった。

 「やれやれ・・・後は本陣に戻るだけですし。起きた時に現状を説明しますか」

 「ほっほっほ!いいではありませんか・・・因みに自分も妻と思っていますよ」

 「??何か言いました?」

 「いいえ。さあ、感動の再会をさせに行きましょう」

 ぼそっと呟いた幽の言葉が聞こえなかったのを気にしたが、とりあえず任務終了を伝えるために本陣に向かった。

 

 待ち望んでいる人が多い本陣に、アキラ達が到着した。

 「美空様。アキラ様達が、到着しました」

 「え!あ、あの・・・」

 「行ってきなさい」

 「あ、はい!」

 秋子が嬉しそうに門の方に走っていった。

 「よかったすね・・・御大将も行ったらどうです?空様とやっと会えるんですよ」

 「喜ぶ」

 「ええ・・・でも、すごいやつね。いくらあのバカ姉のせいで隙があったとはいえ春日山城に忍び込み人質二人を救出する・・・誰でもできるようなことじゃない」

 「そうっすね・・・以前いたあの飛び加藤だってできなそうですし」

 「危険」

 会話を聞いてジト目で美空を見る詩乃。

 「・・・聞こえていますが?」

 「別にいいでしょ。だって、隠す意味がないもの」

 笑う美空にやれやれと頭を抑える詩乃。

 「詩乃ちゃん、今はアキラを迎えに行くの!」

 「・・・そうですね。アキラ様の顔を久しぶりに見たいですし」

 そして、残った五人も門に向かった。

 

 「「愛菜(母上)!!」」

 「本当に・・・よかった。ひっく、無事でよかった~!」

 「どや~~!会いたかったですぞ~~!」

 感動の再会。秋子・愛菜親子は、両者ともに力強く抱きしめあって感激の涙を出していた。

 「空!」

 「美空お姉さま!」

 「よかった・・・ケガはない?」

 「はい、私は価値の高い人質として捕らわれていたので大丈夫でした」

 こちらの長尾親子もまた、お互い愛情を持って強く抱きしめあった。

 「アキラ!」

 「アキラ様!」

 こちらは親子ではなく、夫婦の抱きあいをしていた。詩乃と鞠の頭を撫でて、労をねぎらった。そんな中心から嬉しそうな美空の姿に一葉や柘榴達がつぶやいた。

 「・・・越後の龍も一人の親という事じゃな」

 「言ったっすよ。本当は優しいって」

 「愛も憎も・・・どっちも深い」

 「さて、今度はどんな難題を言われることやら」

 「そうですな・・・まだ、城を取り戻した訳ではないですし」

 「よくわかっているじゃない」

 幽と今後どうなるか考えている時に再会の喜びも終わったのか、いつの間にか美空が近くに来ていた。

 「あなた以上に質の悪い人物が以前仲間にいましたからね・・・喜ばせておいて更に難題をぶつけてその苦しむ姿を見て楽しむ変態がね」

 「ちょっと、私はその変態の同類だと言いたいの?」

 「同類っす!」

 「異議なし」

 部下二人に言葉を失った美空。

 「と、とりあえず!次に、あんたのやることは・・・」

 真っ赤になりながらアキラに次の頼みを出した。

 

 『さて、最終段階まで来ましたね・・・後は城さえ取り戻せれば』

 

 アキラ、春日山城侵入。空、愛菜の救出成功。

 




 やっと、春日山城を攻めるところまで来ました!

 暴れさせようと思います!ふふふ、どんな感じにしようかな?

 何時の間にか、アキラ=おっぱい好きになっていたな・・・まあ、いいか。


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五十三振り目 想いは、必ず届く

 こんにちは!三MENです。

 今回は美空の間章をあえて本章に入れたいと思います。残りの間章は春日山城を攻略の後でも遅くないと思うのでそれが終わってから入れようと思います!
 
 というわけで、すいませんがこの話はまだ春日山城ではありません。


 アキラ隊のいる神社にて。アキラは一人、月を見上げていた。

 「二人を無事救出した・・・後は春日山城を取り戻しさえすれば、美空も鬼退治に協力をするはず。この越後にも鬼の勢力が侵攻するのも遠くない・・・駿府に畿内、越前・・・越後は少し遠いからまだ存在を実際に見た彼女ら三人以外信じていない」

 神社の中に入り、布団に入った。

 「今回の一件で、美空の娘誘拐の噂が久遠に届けばいいのですが・・・でも、彼女には支えてくれる人がたくさんいるので大丈夫でしょう・・・会いたいですね、寂しがり屋で一人で何でも抱えて・・・甘えることを素直にしない大切な妻。離れていると、こんなに愛おしい気持ちになるのですね・・・届いてください。愛してますよ、久遠、結菜、双葉」

 意識が少しずつ遠のき、眠りについた。

 

 その想い人達がいる二条館にて。

 「それにしても、高野は双葉のおかげで共に戦えると思っていたが・・・延暦寺まで手を貸すとは思ってもいなかった・・・あの坊主どもは無視の一点張りかと思っておったぞ」

 「朝倉と浅井は延暦寺では熱心に檀家だったという話だからね。真琴が朝倉義景の弔いとして鬼達を倒そう!と伝えれば協力してくれると思ったらしいわ。本当にそうなったわね」

 「はい。お姉さまの残してくれた書も役に立ちました・・・畿内では大きな力を持っていた松永弾正小弼も全面的に協力してくれますし、これで畿内は何とかなります」

 「後は・・・甲斐か。しかし、いったいどんな用だ。あの虎は」

 難しい顔をしたときに突然空を見た。

 「久遠?どうしたの」

 「・・・アキラの声がした」

 「え?アキラ様はまだ」

 

 『愛してますよ。久遠、結菜、双葉』

 

 実際に聞こえたわけではない。だが、三人にはそう感じた。

 「!!き、聞こえた・・・」

 「わ、私もです!」

 「・・・二人とも、あやつは必ず戻ってくる。そうだったよな」

 「はい!」

 「そうよ!」

 笑顔で久遠の質問に頷いた。

 「戻ってくる家は必ず守る・・・そうだったよな」

 「その通りです!」

 「ええ!」

 「だからこそ、我はもっと頑張らないといかん・・・あやつのようにな」

久遠がその時思い出したのは、アキラの背中だった。大きく輝いて見えるあの背中だった。

 「そうよ。帰ってきたら思う存分甘えて・・・たくさん 離れた分の想いをぶつけて愛してもらいましょう。子供も作らないといけないね」

 「うむ・・・っておい!結菜、今何を言った!」

 子供と言う言葉にさっきの真剣な顔が崩れた久遠。

 「(くすくす)久遠様、いいではありませんか。私達は妻なんですから」

 「う・・・まあ、そうだったな」

 「だから、妻同士でそういうことは隠しっこなしよ。今夜は久しぶりにあいつのことを語り合いましょう!」

 「そうですね。旦那様の話はしばらくできなかったですし」

 「・・・まあ、たまにはいいか」

 その後、灯は消えても話し声はしばらく止まらなかった。

 

 『そうだ。アキラはどんな時も頑張る男だ。だから我は・・・いや我達はお主が好きになったのだ。だから、お主はお主のやるべきことをやっているのだろう?それを成し遂げるために・・・もしやってなかったら全力で叱り飛ばしてくれる!』

 

 久遠も久しぶりにアキラを想うことで、笑顔を出した。

 

 

 越後のある場所では

 「朧お姉さま!こんな夜分に」

 「名月、元気そうで何よりです」

 「サイさんもお元気そうで!」

 「ええ。この人から、あなたの心配事をいつも聞かされるくらい元気でしたよ」

 「な!サイ!それは言わない約束では!」

 「守るとは言ってなかったですよ?」

 「でも、今日はどうしてここに?」

 「ええ・・・あなたの今後についてです。数日はまだ兵もそろえる必要があるため、ここにいます」

 「そうですか!・・・あれ?サイさんは確かお母様の護衛ではありませんこと?どうしてこの越後まで来たのですか?」

 「何でもない」

 「サイはね、会いたい殿方がいるそうですよ」

 「まあ!サイさんに好きな人が!」

 「いや、違う・・・って聞いてない」

 「さっきの仕返しですよ。それはそうと中に入りたいのですが」

 「まあ、私としたことが失礼いたしました!どうぞどうぞ!」

 

 『・・・でも、その殿方がもしかしたら名月の障害になるかもしれない。は言わない方がいいですね。果たしてアキラという男、姉さまはとても興味を持っていたみたいだけど、いったいどんな男なのでしょうか?』

 

 次の日、美空のいる屋敷に彼女からお呼ばれされた。アキラ以外で来たのは一葉に小夜叉、ひよと雫の四人だ。ただ、門の前には頭痛の種がいた。

 「さて、中に入りたいのですが」

 「どや~~!美空様と空様は、今親子の愛の抱擁を交わしている最中ですぞ。その邪魔をさせないためにも、この樋口愛菜兼続が阻止いたします!どや!(」

 これでもか!というくらい話を聞かない愛菜だ。

 「・・・相変わらずですね」

 「愛菜は空様の愛を守っているのですぞ・・・ああ何と素晴らしきかな」

 「主様・・・よく攫ってこれたのう」

 「公方と同じくらい面倒なやつだな」

 「小夜叉!それはどういう事じゃ!」

 小夜叉はともかく一葉ですら呆れていた。そこに秋子と空がやってきた。

 「愛菜!アキラさん達が来たら通しなさいって言ったでしょう!」

 「空様の家族愛を守っていたのですぞ!どや!」

 「全く!気持ちは分かりますが、ちゃんと連れてきなさい!」

 「ど、どや・・・」

 涙目になる愛菜。

 「本当にあなたは・・・無事で、よ、よかった」

 でも、秋子の方も涙目になっていた。

 「ど、どや~~!母上~~!」

 「愛菜・・・愛菜、本当によかった~~」

 「「う、うう、うわ~~~~~ん!」」

 お互い泣きながら抱き合う。

 「さて、野暮な俺らは美空のところに行くか」

 「はい、ご案内いたします」

 どうぞ。とアキラ達を屋敷の中に入れた。

 「空様、あの~、あのお二人は」

 「大丈夫ですよ。叱ることもありますが、最後にはああして抱き合うのです」

 「普段当たり前にいる人が、本当は一番の宝物・・・ということですね」

 「お頭~~、それって私達が宝物ってことですか?」

 「ふふ、当然じゃないですか。妻のあなた達ほど大切な宝物はいないですよ」

 ひよの質問に即答した。それを聞いてひよと一葉と雫は真っ赤になった。

 「・・・アキラ様、嬉しいです」

 「嬉しいのう~。今すぐにでも閨に入りたいと気分じゃ」

 「・・・さっさと行こうぜ(俺も入りたい。と思ったのは内緒だ)」

 小夜叉も内心嬉しかったのか、閨に入りたい一葉の言葉に心でのっていた。

 

 その後、空に案内された大広間で美空達と食事をすることになった。その前に一緒にいた柘榴が小夜叉を見て、槍使いの三番目と勝負がしたいと言い出したことに彼女が激昂した。柘榴的順位だと一番目は桐琴で二番目は綾那らしい。

 『母ならまだしも、あの鹿頭よりも下に見ているだと!』

 怒った小夜叉に受けてたった柘榴が、庭に出て戦いを始めた。そんな二人の闘いを見ながら食事は進み、話は自分達が二人を救出する話になった。

 「母上、愛菜は本当にこの目を開けない胡散臭そうな男にさらわれたのですか?」

 「愛菜!そんなことを言うんじゃありません!」

 「というか、何で本人が知らないのよ」

 「仕方ないですよ、うるさくならないよう気絶させましたから」

 「え?ええ!そうなのですか!!」

 アキラの言葉に驚く秋子。

 「私じゃなくて綾那がやったのですけど、あなた自身が言ったではありませんか。無視していいって」

 「ま、まさか、本当にするなんて・・・」

 「ちょっと待ちなさい・・・まさか」

 「美空、安心してください。空さんはちゃんと話を聞く方と分かったので説明をしたら理解してくれましたので、そんなことはしていませんよ」

 それを聞いてほっとした美空。実際は彼女と会う少し前まで気絶していたが、言っていることは間違ってない。言葉を減らして言ったことに、当の空は苦笑いをした。

 「よかった・・・手刀を入れて気絶なんてことはしてないのね」

 「もちろんです。そもそも、空さんみたいな子にそんなことできないですよ」

 「・・・愛菜みたいな子だったら出来ると言っているようなものですよね。それって」

 秋子のツッコミに?を出すアキラ。

 「??変ですか?」

 「お頭・・・女の子にそれをすること自体、やっちゃいけないことですよ」

 ひよのツッコミにアキラはふ~んと返した。反省していないことに雫とひよは呆れていた。

 

 空を守れなかった怒りなのか、いきなりアキラに襲い掛かってきた愛菜。でも手を伸ばして頭を押さえると、手をぶんぶんさせて攻撃しているが届かない。そんな彼女を秋子がゲンコツして止めた。

 「・・・何か三若を思い出します」

 「・・・三人には申し訳ないですが、私もです」

 「さて・・・それでは「アキラ、あなたは私と来なさい」は?」

 食事も終えてそろそろ引き下がろうしたが、美空に手首を掴まれてそのまま連れていかれた。たどり着いたのは離れになっているところだった。すると、引き出しから包帯を取り出した。

 「ケガしているのでしょう?手当てをするわ」

 「いえ、そんなことはないのですが・・・よくこれに気づきましたね」

 服の隙間から少しだけ見えて包帯が、今回の侵入で出来たケガと思ったのだろう。そろそろこの包帯も代えようと思っていたので上を脱いだ。

 「な!あ、あなた!何その体!傷だらけじゃない!!」

 「いえ、別に大したことじゃありませんよ」

 「思いっきりあるじゃないの!というか、どうしてそんなに傷があるのよ(や、やばい・・・とてもドキドキする)」

 筋肉質で傷だらけのアキラの体に胸を熱くする美空。

 「私は才能のない人間です。私の周りの人間は簡単に強くなれますが、私だけはその何倍も必死にならないとその者達に追いつけませんでした」

 「つ、つまり、その人達に追いつくために(収まれ!収まれのよ!私の胸!)」

 鼓動が早くなるのを抑えるのに必死な美空。

 「はい・・・その中で必ず追いつきたい漢がいまして、。その者に追いつくためならどんな苦しみも必死になって努力して乗り越えました」

 「ふ、ふ~~ん。そ、そうなのね(やばい、何かこいつの横顔がすごく格好良く見える。どうしたのよ、私!)」

 思い出を語るアキラの顔を見て、ついに顔まで熱くなった。

 「??大丈夫ですか?顔が赤いですよ?」

 「な、何でもないわよ!(今、近寄られるとやばいわ!)」

 もはや右往左往な美空。何とか、距離をとって平静を保とうとした。

 「とりあえず・・・包帯の代えをお願いします」

 「う、あ、そ、そうだったわね(と、とりあえず、集中しましょう。そうすれば、多分大丈夫・・・大丈夫)」

 自己暗示みたいに大丈夫を繰り返しながら、包帯を取り換えてあげた。

 

 服を着ると、美空もやっと平静を保てた。

 「そう言えば、私を同盟に入れたがっていたわね・・・私に何か利でもあるの?」

 「そうですね・・・私の妻になれ『すちゃ』」

 「真面目に答えなさい」

 鋭い視線の美空が刀を抜いて、アキラの首元にやった。

 「・・・これは久遠が考えた事ですが座の撤廃。これを同盟国でやろうと考えているみたいです」

 「・・・本気なの?」

 「ええ、彼女は本気ですよ・・・これをすれば同盟国同士で物流ができるので、更にこの国が発展すること間違いなしですよ。何より同盟国はあなたが取り戻す越後を敵としてみません。こういう点でも敵も減りますからいいかと思います」

 「なるほどね・・・確かにそれは」

 この話を聞き考え込む美空に、更に付け足した。

 「それに、私個人の利点もあります」

 「あなた個人の利点?何よそれ」

 「あなたという妻を手に入れることができて、嫁が増えます」

 「・・・はあ?」

 アキラの言葉に、美空は呆れた顔になった。

 「私は信念の持った女性が好きです。あなたも信念を持っています。だから、妻になってくれればうれしいと思ったのです」

 「それだけなの?もっと酒池肉林になって楽しいとか、女を手籠めにできて嬉しいとか考えたことないの!」

 「それだけですよ?私を好きになってくれたのです。久遠も、真琴も、一葉も、隊の皆も・・・全力でその愛に答えたいと思っています」

 「なるほどね・・・同盟の件、考えておきましょう」

 言葉に偽りがないと判断して、彼女は刀を引いて鞘に入れた。

 「ありがとうございます。一つだけ美空個人の利も伝えておきましょう」

 「私個人の利?」

 立ち上がり背を向けた状態で、顔だけを美空に向けて言った。

 

 「私は愛すると決めた女性をずっと愛します」

 

 そのまま襖をあけて部屋を出ていった。

 

 

 『ずっと愛するって、もし妻になったら私をずっと・・・って何考えているのよ!私は!・・・あの体で私を抱きしめて「愛しています」って言って私を・・・っは!『ぶんぶんぶんぶん』違うのよ!違う!これじゃあ、まるで、まるで、私が』

 

 その後、美空は空が迎えに来るまで一人で葛藤していた。

 




 では、別のところも少し加えて終了です。

 ついに次は春日山城侵入です!原作では美空は首を絞めてましたが、ここでは刀を突きつけるようにしました。


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五十四振り目 勝手に自分のものにしてはいけません

 こんばんは!春日山城侵入・・・いや暴れ話です!

 書きたかった・・・やっとここまで来た!
 すいません!今回はSDK要素が結構あります!でも、やはり書きたかったので!

 また、展開は結構強引かもしれませんので・・・。


 空・愛菜の二人を救出して数日後、ついに春日山城攻めを開始した。

 「全く越後の龍は・・・ハニーをどういった目で見ているのかしら?隊の皆さんだってまだ疲れが取れていないなのに」

 「大丈夫ですよ、春日山城に侵入して大手門か千貫門を開ける。前もうまくいきましたし、今回だってうまくいきますよ」

 「うん!アキラがそういうならうまくいくの!」

 鞠の言葉にアキラも笑顔で頷いた。この二人のやり取りに呆れる詩乃。

 「は~~、この二人は・・・怒りたくなりますよ」

 「へ~~」

 「・・・何ですか、小夜叉さん」

 「詩乃よ~、怒っているのではありません。呆れているだけです~。これを言わないのか?」

 「かかか!確かに、いつも言っていたな」

 修羅二人の言葉にムッとする詩乃。

 「何ですか、それは。言っていましたか?」

 「ほう、そう返すか」

 「詩乃、我慢してますね」

 「何と。詩乃さんずるいです!」

 「ちょっとお頭!詩乃ちゃんだけずるいです!」

 「うん、ずるい」

 全員がアキラにむっとした視線を向けた。朱雀だけは詩乃に向けたが。

 「ひよ、何が言いたいのですか?今回も忍び込みますが、暴れることもメインになるので時人と小夜叉に桐琴さんもお願いします」

 「かっかっか!いいぞ」

 「母に負けたイライラをぶつける相手がほしかったんだ!」

 「アキラの頼みなら何だってだ!」

 指名を受けた三人は既にやる気十分だ。

 「悔しいのう。崖を登ることがなければ余だって」

 「某がそれを許しませんぞ、本陣で待っていればアキラ殿が来ますので辛抱ですぞ」

 「アキラ様!詩乃ちゃんだけじゃなくて私達ももっと抱いてください!」

 ひよの言葉に皆も「そうだ!そうだ!」と言っている中、

 

 「この戦いが終わったら、主様を囲んで酒池肉林ぞ!思いっきり主様と淫乱なことをしまくろうぞ!」

 

 一葉が皆に激と飛ばした。しかし、その激はアキラ以外がやる気の入る激だった。

 「「お~!頑張ろうね!ころちゃん(ひよ)!」」

 「うふふ、酒池は結構ですけど肉林ですか。ハニーにたくさん愛される・・・ああ何と甘美な響き」

 「アキラ様がたくさん注ぎ込むあの悦び。ああこの朱雀、待ちきれないです」

 「私、裸で待っているから」

 「各務さん、まだ脱がなくてもいいのでは?」

 『・・・覚悟した方がいいですね』

 すでに諦めたアキラだった。

 

 そして、美空達本陣が春日山城を包囲して戦いを開始した。アキラ達は以前よりも角度が険しい崖を登りやっと城までたどり着いた。

 「では確認します。私と小夜叉、鞠が大手門に行き、時人に綾那、ひよにころが千貫門に行ってください。小波は句伝無量で異変が知らされた時まで城内の情報収集です」

 「そして、儂は自由に動いていい。だったな」

 桐琴の言葉に頷いた。一人で好きなだけ動いていいことに小夜叉が不満を出した。

 「ずるいぞ!俺だって」

 「大丈夫です。大手門で自由にしていいので」

 「おお!アキラ!ちゃんと考えてくれていたんだな!」

 「当然ですよ。しっかり働いてもらいますよ」

 「全殺ししてもいいなら!」

 笑顔でとんでもないことを言う小夜叉に怖がるひよところ。

 「それはそうとアキラ様?門なんてぶっ壊せるんですか?」

 綾那がこんなことを聞いたのかというと、美空の本陣で作戦会議をした時に大手門と千貫門をどうするか考えていた。美空はアキラ隊に開けさせることを提案した。もちろんそうなるだろうと思っていたアキラはこう美空達に言った。

 

 『その門は壊してしまっても、構わないでしょう。あ、弁償は出来ませんがよろしいですか?』

 『壊せるものなら壊してもらいましょうか?弁償はいいわよ。壊したら直したらいいだけだし』

 

 と、彼女は言ったので、アキラもやる気満々だ。

 「では、後は成功後に」

 「お主と酒池肉林じゃな!」

 だが、桐琴の言葉でやる気がなくなり、げんなりスイッチが入った。

 

 「おら!もっと気合い入れんかい!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 自由に動いている桐琴の笑い声と共に兵の断末魔が響く。

 「さて、私達はまっすぐ行きましょうか」

 そう言って堂々と歩きだした。

 「本当にやる気がないんだな」

 「なの。美空の戦いって相手側からすればとても怖いんだね」

 「・・・伝説の上杉謙信ですしね」

 三人とも直感で行ってはダメ。というところ以外そのまま歩いていった。そのおかげで敵兵に会うことなく、あっという間に大手門に到着した。

 「じゃあ、やりましょうか・・・小夜叉、鞠、よろしく」

 「はいなの!」

 「よっしゃ~~!ひっさしぶりの全殺しだ~~!」

 「な、何者だ貴様ら!」

 「ぐああ!ごふ!」

 やってきた兵をさっそく殺した二人。

 「ひゃっは~~~楽しいぜ!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 「そんなんじゃ鞠は倒せないの!」

 「・・・」「私達も忘れるな!とお姉ちゃんが言ってます!」

 どんどん兵を倒していく二人。しかも屋根の上にいる雀達の援護付きなのでなす術がない。小夜叉達が開いた道を歩くアキラ。その前には大手門とその門を守る何十人の兵がいた。

 「・・・試させてもらいましょうか。この二本の刀でも、あの技が使えるかどうか。私は更に強くなれるかどうか」

 腰の二本の刀を抜いて、自分の力を入れるよう意識した。壬生の血の力を紫微垣なしでコントロールできるよう訓練していた。

 「まだ、時間が限られますが・・・できそうですね」

 それぞれの刀の逆刃の根元の部分を重ね、少しずつずらしていき刀の先にまで持っていった。完全に刃の先までいったら、一気に離した。

 「聞かせてあげましょう・・・神風(かぜ)をね」

 

 その頃、千貫門の方は

 「楽しいです!」

 「綾那、どっちが多く倒せるか勝負しないか?」

 「のった!です」

 実はひよのミスで見つかり綾那と時人の二人が囮としてでたはいいが、倒していくうちに楽しくなっていき、いつの間にか勝負になっていた。

 「ふえええん!どうすればいいの。ころちゃん」

 「門の閂を抜いて開ければいいんだけど・・・」

 二人が周囲気にせずに兵を倒しまくっているため、閂を抜くためのその道には兵の死体の山が出来ていた。

 「ちょっと!お願いだから任務を忘れないでよ!」

 「あ!そうでした!」

 「何言っているんだ?忘れてないから」

 ひよの涙声に綾那は忘れていたようだ。時人は忘れてなかったが閂を開けるための道を彼女がふさいでしまった。

 「じゃあ、あの山の先にある閂までどうやって行けばいいの!」

 「小波ちゃんもまだ来ていないのに・・・時間だってかけられないのに」

 ひよだけでなくころも焦り始めた。

 「要は・・・あの門を開ければいいんだろう?」

 「そうだけど、何をするの?」

 「見てなって・・・私こそがアキラの護衛にふさわしいところを見せてやるよ」

 時人が千貫門とその前に立つ何十人の兵の前に立った。

 「さて・・・やりますか!」

 今までは綾那に合わせて一つの刀で戦っていたが、北斗七星はもともと二本の刀を一つにしていたもの。二つに分けそれを両手に持った。

 「久しぶりだ。アキラ以外に使うのは」

 妖刀・村正の力を最大限まで使える時人。でも、全力を使うまでもないと判断して半分の力だけを使うことにした。

 「手加減はしてやる。それで死んだら、諦めな!」 

 北斗七星が輝き始めた。

 

 北落師門も共鳴するかのように光った。それだけで桐琴は何が起こるかわかった。

 「ほう~、時人かアキラの技が出るか・・・見れないのが、残念じゃ!」

 桐琴はどんどん囲んでいる兵を斬っていった。兵達もその姿がまるで美空の掲げる毘沙門天その者では?と思うくらいの戦いぶりに恐怖すらしていた。

 「いくぞ!くらえ!」

 桐琴は北落師門の柄で地面を叩いた。何をしているんだ?と思うが、これが桐琴と北落師門のコラボ・アタックであった。

 「技名は決めてないが、くらうがいいわ!」

 すると、桐琴の間合いにある敵や木などが全て貫かれて倒れていった。もし、アキラがこの技を見ていたらこう言っていただろう。

 

 『あのバカの技・八寸がまるで琴ちゃんの間合い全てに放たれたようです』

 

 この技により、兵は更に恐怖に陥って逃げていった。

 「なんじゃ、終わりか・・・ん?あっちの方も終わったみたいじゃのう」

 逃げた兵に呆れながら大手門の方を見た。

 

 「二本使うので双龍ですね」

 「北斗七星の威力を見せてやる!」

  それぞれの門の前で二人が刀を構えるとその技を出した。

 

 「無明神風流殺人剣 双龍みずち!」

 「北斗七星・・・北斗七連宿!」

 

 アキラは✖にみずちを合わせてそのまま門に向けて放ち、時人は兵がいるのをお構いなしで門に向かって技を出した。アキラの技を食らっても何ともなかった兵は?を出しながら同時にこう思った。

 『春の陽気のような温かさを感じた』

 だが、次の瞬間彼らは一気にバラバラになった。

 

 「あなた達も聞いたでしょう。神風の清響(こえ)を」

 

 アキラが刀を鞘に納めると、兵だけでなく門全てがバラバラになった。

 「おいおい!アキラってこんなとんでもない技を使えるのかよ!」

 「すごいの。門が全部ばらばらになったの!」

 「鏑矢を上げて作戦成功を伝えましょう」

 この技に興奮した二人。鏑矢を上げて、作戦成功を本陣に伝えた。

 『基礎の技であれば、体力も大丈夫みたいですね。必ず全部の技を使えるようになってみせます・・・皆を守るために』

 今の自分の状態を確認して、まだ残っている兵の討伐に入った。

 

 時人の技を食らった兵は次々に死んでいった。普通の兵では視認できないくらいの速さで斬られていき、尚且つその一撃が大きい。それを七回連続で放つ。兵達はどんどん倒されていき、ついに門のところにたどり着いた。最後の六と七の攻撃を門にぶつけた。すると、爆弾で爆発みたいに門と隣接していた壁すら破壊した。

 「「( ゚д゚)ポカーン」」

 「お~い、ひよ、ころ。どうしたんだよ」

 二人の前で手を振ったが反応がない。

 「ととと、時人!今度手合わせするです!」

 「??まあ、いいけど」

 綾那は時人の強さを目の当たりにして自分の超えるべき壁。それを今知った。

 「あ、あの・・・おそらく時人様の技を見てああなったのではないかと」

 「あれくらいの技でああなるなんて。小波、成功したから鏑矢を上げてくれ」

 「は!(あれくらいって、あれ以上すごい攻撃があるのですか!)」

 小波は唖然としながらも鏑矢を上げた。

 

 そして本陣では。

 「・・・鏑矢。大手門と千貫門で上がりました」

 「・・・御大将。大手門、なくなっちゃいましたね」

 「千貫門の方でも大きな音・・・向こうの方も多分」

 「わ、分かっているわ!突撃させなさい!」

 本陣でも大手門が破壊されたのは見ていた。どちらも唖然としたが、美空側の方が先に意識を取り戻しついに城の中に入った。千貫門でも同じであり、相手側はどうすることもできずにどんどん倒されていった。夜になったが、戦いはまだ続いていた・・・と言っても勝ちはもう確定した。アキラ隊の全員はアキラの下に集まっていた。

 「ふう、やっと終わりましたね」

 「そうですね・・・お疲れ様だね」

 「ええ。お疲れ様」

 本陣にいた庵樹がやってきて、労いの言葉をかけたすぐ後に美空がやってきた。

 「寒梅に行きなさい。そこをとっているわ」

 「そうですか?手伝ってもいいのですけど」

 「これは本来越後の問題よ。これ以上あなた達に出しゃばられると」

 「なるほど、手柄がとられますね。では遠慮なく休ませていただきます」

 それでいいのよ。と言って美空は指揮に戻った。

 「アキラ様?寒梅というのは?」

 「前に潜入作戦で使った宿なの!あそこ、大きなお風呂もあったの!」

 「よっしゃ!風呂は久しぶりだぜ!」

 「何と、それは助かります。ゆっくりお湯につかるのはどれくらいぶりかしら」

 鞠の言葉に目を輝かせた小夜叉と梅。

 「なるほどのう!さて・・・お待ちかねの」

 「皆さん!肉地肉林ですよ~~!」

 一葉の言葉にころが続くように叫んだ。よほど、待ち望んでいたのだろう。

 「言葉が違いま「いいえ、間違っていません。アキラ様、私達をたくさん愛してくださいね」「私達という肉をたくさん楽しんでください♪」・・・確かに」

 詩乃と朱雀の言葉に冷や汗を流した。朱雀に至ってはある程度服を脱ぎ、アキラにおっぱいを見せていた。

 「さあ!あともう一仕事ですわよ!これが終わればハニーとお風呂に入って、私達を食べてくださいますわ!頑張りましょう!」

 「「お~~!」」

 雀と鞠の掛け声に皆も最後の仕上げに気合が入った。

 

 『・・・何故、疲れるために風呂に入らないといけないのでしょうか』

 

 約一名は肩を落としながら仕上げに入った。

 

 

 次の日。結局全員の相手をして体力も失った。でも、春日山城を取り戻した美空から話があると、朝一で兵から言われたので何とか城の評定の間に行った。門二つがなくなった文句も言われたが、やっと美空から聞きたかった言葉を聞くことができた。

 

 「織田久遠信長の夫、アキラ殿。あなたの申し出、鬼との戦いにおける同盟の申し出をお受けいたす!」

 

 ついに、越後を同盟に入れることに成功した。

 




 大手門と千貫門、なくなっちゃいました!

 今回はアキラの戦いにおいて、今後もあの流儀はまずは基礎を固めないといけないので、あの技を出しました。朱雀の時はやはり状況が状況で紫微垣も全力で使ったので特別でした・・・そう考えると、狂ってやはりすごく特別だったんですね・・・。

 次の間章をお楽しみに!


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間章15-1 信じていることが大切です R-18

 こんにちは!三MENです。 

 無事春日山城も取り戻し間章に入ります。

 今回は梅に歌夜です。


 2017年3月4日 あの場面での表現追加。


 無事春日山城を取り戻し今まで神社にいたが、美空と織田の同盟をこぎつけたことにより城の中でいれるようになった。ただ、よそ者ということで長尾勢とは少し離れたところにいる。

 

 「では、行ってきます」

 「俺に任せておけ」

 少し所用で出かけることになり、最初は一人でいいと言ったが小夜叉が護衛としてついてくることになった。

 「あら?ハニー、どこに行きますの?」

 「ちょっと、所用がありまして。梅はどこに?」

 だがすぐに梅と出会った。話を聞くと、近くに神社があるのでそこでお祈りをするために行くとの事。小夜叉と梅でひと悶着があったが、そこに桐琴がやってきて手合わせをしたいということで小夜叉を連れて行った。春日山城奪還の時に新技ができたので、実験台がほしいそうだ。ただ、お祈りが終わった後に護衛を頼むと梅に言った。

 「ちんくしゃ・・・連れていかれなくても私に頼むつもりだったのでは?」

 「でしょうね。居心地悪そうな顔をしてましたし」

 「なら、しっかりやらせてもらいますわ!」

 「宜しくお願いします・・・そういえば久しぶりです。祈る姿を見るのは」

 「あら?私以外に誰か見たことをあるんですの?」

 「久遠の頼みで、一度堺で教会に行くことになった時にエーリカのを」

 そのまましゃべりながら神社の方に歩いて行った。

 

 神社に着くと、梅が十字架を取り出し真剣に祈り始めた。

 

 『神なんぞ全く信じる気などないですが・・・でも梅は真剣に信じて祈っている。いると信じるなら、そのまま信じさせるのがいいでしょう・・・やる人にはその思い、いえ信念がある。梅はそれを持ってこの祈りをやっている。だからこそ、彼女のやることを邪魔してはいけない』

 

 信じる気は今もないが、彼女の信念を持ってやることは決して終わるまで邪魔してはいけないと思い、そのままじっと見ていた。祈りが終わり立ち上がった時に近寄った。

 「終わりましたか?」

 「はい・・・ハニーはこれから大きなことをします。その無事を祈りました」

 「それはありがとうございます・・・ところで、自分の事を祈らなかったのですか?」

 「私の事ですか?確かに祈りましたが、ハニーの方が大切ですわ。私の愛する人であり、大切な夫なのですから」

 「・・・そうですか」

 アキラは内心びっくりした。自分の事よりも夫である自分の事を祈っていた。その事実はとても大きかった。

 「ありがとうございます。改めて言わせてください」

 「え?それはどういう」

 「私は妻という存在を向こうの世界では持ったことがありません。ですので、夫婦で本当に大切なものが何なのか知らないのです。愛し合って、子供を作って、生涯を共に生き、満足のいく人生を生きていけばいいのだと思っていました」

 言葉を区切って、そして彼女の肩を掴み話した。

 

 「共に愛し合うだけでなく共に守りあう。男も女もどんなことでもいい。梅、あなたは信仰という形でも私を守ろうという意思を持っている。それをしてやっと本当に夫婦になれる。茨の道を進むためのトゲはずっと男が守るものだと思っていたけど、女も守る立場になる時がある。それを知ることができました」

 

 「ハニー・・・そうですわ!私は前に進むハニーの前に立ってその苦難という名のトゲから守りたい気持ちがありますわ!」

 梅のその信念に、愛で答えるべきだとアキラは思い、彼女を抱きしめた。

 「梅、愛してますよ」

 「ハニー、嬉しいです・・・こうして言ってもらえるのは越前以来ですわね。今、とても私の想いが強くなっていますわ」

 梅もまた、アキラを強く抱きしめた。

 「あなたの、その大きな想いに答えたいと思います」

 「え、えええ!こ、ここでですか!」

 「・・・ここは神聖な場。確かに失礼でしたね」

 離れようとしたアキラを止めた。

 「(ふるふる)いいですわ。私の想い、私の愛、そして私の全てをハニーに見せる。神様も許してくださいますわ。ハニー、たくさん愛し合いましょう」

 梅がその場にある机に座った。そして

 「ちゅ、ちゅ、むちゅ・・・ごく、ちゅ」

 熱い接吻をして、梅の体を触って、彼女の涎を、蜜を出させながら、唇を離した。

 「嬉しいですわ・・・越前の時は順番もあって皆さんの事も考えないといけなかったですけど・・・今だけは」

 「ええ、梅。今の私はあなた以外考えられません」

 「・・・最高の口説き文句ですわ。そして、最高の愛のささやき」

 そう言って、アキラにどんどん脱がされていった。でも、上の服だけにして

 「は、ハニー!そ、そんな!」

 下はスカートの中に無理矢理手を入れて、彼女の下着だけをとった。

 「前とは違ったやり方をしましょう。この下着、しばらく預かります」

 「・・・もう、でもハニーになら、あげてもいいですわ」

 話しながら梅の胸を撫でるように手を動かした。

 「あ、この胸・・・ハニーだけのですわ。あ、あ、いい。これがハニーの本当の、あん!揉み、方」

 その撫でが乳首に触れると揉みに変わった。それを数分続けているうちに梅の欲情が高まっていき、アキラの右手を掴み自分の手を合わせて自分のおっぱいを揉みだした。自由な左手でスカートをめくりあげ、彼女の足をつたって流れている蜜を出す壺を丸出しにした。

 「恥ずかしい、ですけど、ハニーなら・・・不思議ですわ。一度したのに、初めてするかのよう」

 恥ずかしかったが顔を隠そうとしなかった。そして・・・

 「あ、あああ、入る、入り、んんん!来ます!」

 「ええ、う!いいです、よ!気持ち、いい」

 アキラの性刀が梅の蜜壺に入ると、左手をおっぱいに戻し、そっちを揉みだした。

 「ああ、あ、あ、上と、下で、びりびりがりょ、両方!で、しびれ、る~!」

 それを証明するかのように、びくん!と体がまっすぐに伸びた。彼女の蜜が性太刀を濡らしながら出していて、乗せている机をびしょびしょにした。

 「ハニー!ハニー!か、顔を、見せて・・・大好き!大好き!ですわ、あなた以外、いや・・・ですわ」

 両手でアキラの顔を掴み、自分の顔の前まで持ってきた。顔を見ると笑顔になり、安心したのか、そのまま抱き着いた。

 「ああああ!いいい、いく・・・もう、だめ、一緒に!あああああ!も、もううううう!」

 アキラの腰の動きもどんどん早くなり、梅のそれに押されるようにどんどん激しくなり、そして、ついに。

 「あ、あああ!いいいいい!くううううう!!」

 彼女の壺深くにアキラの熱が出された。

 「あ、ああ。ハニー、ハニー、ハニー・・・」

 名前だけ言い続けて梅はそのまま抱き続けた。アキラも彼女のしたいようにさせた。

 

 その後も神社でたくさん梅と愛し合い、済ませるべき所用も済ませ(その間ずっと嬉しそうに抱き着いて)、城の割り当てられた自分達の居場所に戻ると客がいた。

 

 「どや~~~~!」

 

 あの時は頭痛の種だった愛菜が。

 「これ愛菜!そんなに叫ぶんじゃありません!」

 「愛菜・・・落ち着こうね」

 母親の秋子と主の空と一緒にいた。

 「どや!」

 「・・・相変わらずですね」

 「穴に入りたいです・・・_| ̄|○」

 「秋子、そんなに落ち込まなくても」

 相変わらずの娘のどや顔に母親は溜息。彼女の主は焦り気味。

 『これが当たり前の光景でしょうね・・・よかったです。クビラも今頃これとは全く違う当たり前の生活をしているのでしょう』

 こっそり思いながら笑顔を作った。

 「それで、本日はどうしてここに?」

 「あの、その、こちらを」

 空に渡された箱を開けると、何やら笹がくるまれていたものがあった。

 「笹団子、越後の名物です」

 「・・・愛菜を救ってくれたお礼です。隊の皆さんの分もちゃんと用意しています」

 箱を受け取ろうとしたら、秋子との手を触れあった。アキラは箱の方に意識していたが秋子は顔を真っ赤にした。

 「あ・・・(*ノωノ)」

 「母上?顔が真っ赤ですぞ」

 「な、あ、愛菜!あ、あの時のお礼を言いなさい!」

 慌てて気づかれないようにそう言うと愛菜が前に出てこう言った。

 

 「べ、別にあんたが助けに来なくても、この樋口愛菜兼続がいれば空様を身は安全だったんだからね~~!」

 

 「な!あなたはどこでそんな物言いを習ったの!」

 「御大将ですぞ!どうです!似ていましたか!」

 『ええ、思いっきり似てますよ。くくく』

 アキラは美空とそっくりな言い方に、笑いをこらえるのに必死だった。

 

 笹団子をそれぞれ皆のところに持っていくと、いつの間にか夜になっていた。自分のあてられた部屋に戻ろうとしたら、一人ポツンと岩に座っている歌夜がいた。

 「どうしたんですか?」

 「あ、アキラ様」

 「悩み事ですか?」

 「え?そう見えます?」

 「顔に書いているくらいにね」

 「そうですか・・・」

 そのまま言葉を止めた。アキラも隣に座った。

 「あの・・・空様、よかったですね」

 「?ええ、親子はやはり一緒がいいですから」

 「美空様も、春日山城を取り戻せてよかったですね」

 「そうですね。これで街も平和になるでしょう」

 「はい・・・綾那から聞きました。とても酷かったと」

 「・・・それで、本題は何ですか?」

 明らかに悩みを避けようとしていたので、真っ直ぐ聞いた。

 「あ、あの・・・私は」

 「しっかり言ってください。はっきり言わないと伝わらないですよ」

 「・・・私や綾那、小波は葵様から遠ざけられたのかもしれません」

 「その事なら、前に小波が言ってました」

 「はい。葵様は文を目的とした日の本を作りたいとおっしゃっておりました。でも、武しか持たない私達は」

 「なるほど。彼女は私にあなた方を渡したのは、そういう意味もあったということですか」

 「・・・はい」

 彼女らの意図をはっきり言われ、何も言えなくなった歌夜。実際はすでに分かっていたけど、やはりあえて口にすると重くのしかかるのだろう。

 「武しか持たない。だから使えない。それは早合点ですよ」

 「え?でも・・・もしそのような世の中になったら武は本当に」

 「武以外でもちゃんと居場所はありますよ」

 びっくりした顔でさっきまで聞き流すようにしていたアキラの話を聞いた。

 「そんな・・・どうしてあるって言えるんですか?」

 「私が作るからです」

 「アキラ様が・・・作る?」

 「ええ、必ずあります。武が必要ない、それしか持てない人にも絶対にそういう場所はありますよ。向こうの世界でそういう人物を見てきた私が言っているのです」

 梵やほたる。そういう人物だって武しかできない人間だ。でも、まだ生きている。つまりそういう場所があるからこそ生きていられるのだ。

 

 『何より、綾那や歌夜は葵の・・・そして私の為に戦っているのです。そのような人間を用済みと言っていなくさせたりする事は決してやってはいけない事です』

 

 「私達のような人間でも居場所が・・・ある?」

 歌夜の目に輝きが出た。

 「そうですね・・・あなた達が、もし松平で」

 この言葉を言うのは、少し躊躇った。自分の立場で考えれば、狂と縁を切ってはどうか。みたいなことを言うのだから。でも、彼女達のこれからの為にも言った。

 

 「居場所がないと思ったら・・・私のところに来なさい」

 

 来てはどうです?ではなく来なさい。と言った。彼女に選択肢を与えるのではなく、ここにあるから来ていいよ。という誘いだ。

 「アキラ様の・・・ところに?」

 「ええ。来なさい。歓迎しますよ」

 「・・・アキラ様」

 歌夜はアキラの肩に頭をのせた。

 

 「そんなことを言われると・・・私、何もかもを頼りたくなります」

 

 「いいですよ・・・頼っても。存分に頼ってください」

 「ありがとう・・・ございます」

 そう言って、歌夜はアキラに顔を近づけ

 「ん、ちゅ。くちゅ、じゅ、ずちゅ」

 接吻した。そのまま舌を熱く絡め続け、数分後に離れた。

 

 「アキラ様・・・私も、お嫁さんに、してください」

 

 歌夜の想いが、口から出た。熱い眼差しをして、心を出した。

 「分かりました。本当に・・・いいのですね」

 「はい、もう、決めました・・・アキラ様のところが私の、心の居場所」

 自分で服を脱ぎ始めた。

 「歌夜・・・きれいですよ」

 「恥ずかしいです。でも、嬉しい気持ちもあります」

 アキラが彼女の胸に手を当てた。一瞬、身体が震えたが

 「あ、その、も、もっと、揉んで、ください」

 勇気を出して、そのままアキラに揉まれた。

 「あ、あ、あああ!これが・・・愛する人に触れられる、悦び」

 「ええ。夫の私は妻のあなたにたくさん悦びを与えます」

 すると、手を伸ばしたのはあの蜜壺ではなく、後ろのお尻だった。そこを少しずつ力を加えながら揉みながら首筋にキスをした。

 「ん!あの、そこは・・・いえ、いやじゃないんです」

 キスされた場所が頬や唇じゃなかったのに疑問だったが、キスが段々下に移動しついに乳首に到着した。

 「もっと!もっと、いじって!滅茶苦茶にして!あああ!いい・・・アキラ様!私を・・・ダメにして」

 「はい、では」

 尻の真ん中に指を入れながら、乳首を舐めながら、彼女の蜜で濡れ濡れな壺についにアキラの性太刀を入れた。

 「きた!は、入った・・・ああ、嬉しい・・・ぐす。大好き」

 遂に愛が通じ合い、自分も本当にアキラの妻になれたことに嬉しさの涙を流した。

 「もう、だめ・・・もっと、してほしい・・・ああ。私を、アキラ様。体を全部、淫らに・・・あなたの好きにして!!」

 「えええ、や、く、いいでしょう。や、り、ましょう」

 「ああ、いいの。お願いします・・・一緒に、一緒に!!!」

 その後は彼女の願い通りに、乳首を何度もいじり、胸を何度も揉み続け、尻の割れ目に指で何度もなぞり、そして・・・壺をとことんついた。そして、

 「あああああああ!いく、いく、いく~~!!!!」

 最後に、快楽の頂点に達し満足そうにアキラに接吻を何度もした。

 「あ、アキラ、様・・・あの」

 「ふふ、まだまだですね?」

 まだまだ愛されたい。もっともっと淫らにされたい。それを指摘され、真っ赤になった。

 「・・・はい」

 消え去りそうな声で頷いた歌夜。アキラはその期待に応えた。

 

 

 愛の時間も終わり、服を着直した二人。歌夜はアキラに寄り掛かっていた。

 「アキラ様」

 「?何ですか?」

 「うふふ、何でもありません」

 「??変な歌夜ですね」

 そのしぐさに不思議に思うアキラ。

 

 『ずっとこうしていたい・・・アキラ様と二人っきり。アキラ様、すごく大好きです。私の心の居場所・・・私も隊の皆さんと一緒のお嫁さんなったのですね。これからもずっと、愛し続けます。ありがとうございます、私の居場所を作ってくれて』

 

 綾那が二人を見つけるまで、ずっと歌夜はアキラに寄り添った。

 




 というわけで、梅と歌夜でした!梅の方はちょっとエロを追加しました!

 次も間章です。今回は全部出しますよ!


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間章15-2 試したくなるものですね

 
 こんにちは、三MENです。

 最近更新速度が遅くなっています・・・リアルが忙しい。早く、元の勤務時間に戻ってほしい。

 今回はオリジナルと隊一番の暴走しやすい方です!



 

 「とおおりゃあああ!」

 「甘いですよ」

 襲い掛かってくる柘榴を簡単によけると同時に槍を蹴とばした。

 「ええ!そんなのありっすか!」

 「ありです」

 あっさり体勢を崩した彼女の首に、アキラは刀を突きつけた。

 「これで五戦全敗っすよ・・・しかもアキラさん。全然本気じゃないし」

 「だから勝てねえ。って言ったじゃねえかよ」

 「儂らに勝てないやつが、アキラに勝てるわけなかろう」

 「そうですよ!一番強いのはアキラ様なのです!」

 柘榴と同じ槍使いの三人が胸を張って言った。約一名はその胸が大きく弾んだ。

 「ううう!松葉!仇うってほしいっす!」

 「面倒」

 「そんな~~!大手門を全部ぶっ壊したからどんなに強いか試したのに、柘榴の全敗なんて~~」

 「それができる相手に勝てるはずがない」

 「あらあら、道場破りしておいて負け越しなの?」

 松葉に無理宣言をくらってがっかりしている柘榴のところに、彼女らの主が来た。

 「ええ。あなたが以前言っていた道場破りをしたいをしてきましてね。結果はこの通りです」

 「なるほど・・・ねえ、アキラ一戦しない?柘榴を簡単に倒せるなんて面白そうだし」

 「お!御大将がやるっすか!」

 「面白そう」

 「・・・いいですね。あなたと刀を合わせたいと思っていました」

 美空からの挑戦に、アキラもやる気十分だ。

 「やめとけって!負けるに決まっているんだから」

 「ああ・・・ガチでやってもアキラの勝ちは決まっている」

 「です!如来様の化身のアキラ様には敵などいないです!」

 「・・・ふふふ、大手門をあんなにしたんだから覚悟はいいわね」

 刀を抜いて、目に炎が見えるくらいに燃えていた。

 「いや、あなたが別にしてもいいと言ったんじゃ」

 「あんなことができるなんて、普通思わないわよ!」

 「越前であれ(朱雀)を見たのに・・・忘れていましたね」

 「・・・始めるわよ!(〃ノωノ)」

 その言葉に思い出したのか、慌てて開始の合図を出した。

 「あ、ごまかしたっす!」

 「絶対忘れてた」

 美空に合わせて、アキラも刀一本だけで戦うことにした。

 「そう言えば『ガキイ!』門の、『ドシャ!』修繕はどうです!」

 「修繕と言うより『ザシャ!』完全に一からの『ッバ!』作り直しよ!っく!何よあなた、『ズシャ』一本だけでもそんなに強いなんて『ッキ!』」

 会話しながら何度か刀をぶつけあったが、先読みされて避けられたり、抑えられたりされる。一端距離をとった美空。

 「全く・・・使おうかしら」

 「三昧耶曼荼羅ですか?城がさらにぶっ壊れますから、まずいのでは?」

 「いいえ、来なさい!我が妹達!」

 すると、美空の周りにいろいろな女性が現れた。ただし、サイズが小さすぎたり逆に大きかったりと多種多様で彼女ら全員がうっすらとしていた。

 「誰ですか。それは?」

 「御大将・・・毘沙門天の加護を受けているっす」

 「護法五神」

 「「「何じゃ(だ・です)?それは」」」

 やっぱり、この三人には四文字以上の漢字は難しかった。しかも、神は信じない口ので尚更だ。

 「つまり、毘沙門天同様の神を使役できる技ということですか」

 「ほほほ!さあ!あいつをやっておしまい!」

 「・・・・・・何か、女王様っぽいですね」

 「その通りっす!」

 「否定しない」

 アキラの言葉に部下二人も肯定だ。しかし美空は聞こえていないのか、笑顔でアキラに襲わせた。その襲い掛かってくる五体の神をよけながら、美空に近づいた。

 「そう言えば、アキラさんって目が見えないんですよね?」

 「どうしてよけられるの?」

 見えていないものをよけているアキラの姿に不思議そうな柘榴と松葉。

 「あいつの話じゃ、心の眼があるって言っていたぜ」

 「見てじゃなく感じてわかるって言っておったぞ」

 「とんでもなく苦労して手に入れた。って言っていたです」

 「でも、それが分かるようになるって・・・自分で目をつぶしたんですか!」

 「信じられない」

 五人の話が聞こえたのか、柘榴と松葉と同様に美空も驚いていた。

 「・・・あんたの凄さが分かった気がするわ」

 「褒めていただき光栄です」

 そういうと、一気に距離を縮めた。

 「え!」

 「隙ありです」

 感じるということは、いろんな方向から見えるというようなもの。だから、どうやって五神が襲ってくるのかアキラは分かる。五体の間の隙間をしっかり見極めていたので、一気に目の前まで来た。

 「っく!こうなっ「はい、終了です」・・・くう!」

 慌てて刀を上げようとしたが、既にアキラの刀が首に置いていた。五体の神も今攻撃することは美空に当たる可能性があるので動けない。

 「・・・負けよ」

 美空の敗北宣言と共に神は姿を消した。

 「御大将も負けちゃったっす・・・」

 「すごい」

 「まあ!アキラならな!」

 「さすが!儂の夫じゃ!」

 「やっぱり、アキラ様は追いかけがいがあるです!」

 負けることはないと確信していた三人も喜んでいた。

 「こんなものでしょう。まあ、でもよくやりましたよ」

 「・・・嫌味にしか聞こえないわよ」

 「ふふふ、その通りですけど」

 「ぐぬぬぬ!言い返せない!」

 二人とも刀を鞘に納めた。悔しそうにしていた美空にアキラは訊ねた。

 「さて、戦いもここまでにして・・・本題は何ですか?ここに自ら来たのは理由があっての事でしょう?」

 「ええ。そうよ」

 ちゃんとアキラは理由なしでここに来る美空ではないと分かっていた。

 「そうなんすか?大手門を壊されたむかつきにアキラさんをぶっ飛ばそう!と思ってたっすよ!」

 「柘榴・・・あなた、後で覚えてなさいね」

 「え、ええ?ど、どうしてそんなに怒っているっすか!」

 「自業自得」

 柘榴の言葉にこめかみに青筋を走らせたが、何とか抑えた。

 「それで、ここに来たのはあの大手門をどうやって壊したのか聞きたいからよ。千貫門の方は力任せで壊したのは壊れ方を見ればわかるけど・・・大手門のあんたの壊した方は大工が驚いていたわよ・・・まるで全部を均等の大きさに切ったとしか思えないくらいの細かい破片だったと」

 「ああ、それですか。私が使ったのは、そういう技ですから」

 みずちは相手に風が通り抜けるように切る技。それを二つ合わせて放ったのだから、そうなって当然だろう。と思った。

 「ずいぶんと常識はずれな技もあるのね」

 「三昧耶曼荼羅も十分常識はずれだと思いますが?」

 「・・・そうね、否定できないわね」

 「柘榴もやってみたいっす!」

 「無理」

 「松葉!即答しないでほしいっす!」

 美空にツッコミを入れて黙らせたアキラと柘榴にツッコミを入れて涙を出させた松葉。蚊帳の外状態の三人はアキラの戦いに血が騒いだのか、ガチの手合わせをしていた。

 

 また柘榴から挑戦を申し込まれたが、彼女と戦う前に小夜叉・桐琴・綾那と一回ずつ戦っていた。そこに柘榴の五回に美空の一回の計七回も手合わせをしたため、さすがに少し疲れたので三人の誰かと勝てたらいい。と言って部屋に引き下がった。

 「だあああ!何すか、その技!隙がないっすよ!」

 「かかか!どうじゃ!クソガキをボロボロにしたかいがあるってものじゃい!」

 「え!小夜叉、あの技くらったですか!」

 「・・・思い出したくない」

 その為、柘榴の悲鳴が聞こえていた。

 「さて、少し仮眠を「主様!失礼するぞ!」・・・何ですか?」

 床に寝転がろうとしたら、ノックもしないで一葉が入り込んだ。すると、今度は部屋の床の畳を引っぺがして隠れるように入って蓋をした。そのすぐ後だった。

 

 「ああ、アキラ殿。公方様を見ませんでしたか」

 

 幽が追いかけるように入ってきた。だが、アキラはやっぱりと思った。何をしたかは後で聞くとして、少し面白そうに思えたので一葉の言葉通りにした。

 「いえ、来ていません。それで、一葉はまた何かしましたか?」

 「そうなのですよ。全くあの風来坊は、将軍としての仕事をほったらかして」

 「そんなに仕事があるのですか?」

 「いえ将軍としての仕事自体はそんなにないですが、それ以外の仕事は山のようにございます」

 そこで、思わず笑ってしまった。

 「なるほど、一葉はそれが嫌で蝶のように窓から逃げだしたと」

 「その通りでございます。あのダメで文句しか言わないどこぞの牡丹な猪将軍はいったいどこに・・・」

 『本当にいないか確認していますね。そんな言葉はいない時でも使わないのに』

 この幽の言葉に彼女の糸を理解したアキラ。彼自身は自分の文句を言われても流せるが、あの将軍様はそれができない。幽からの文句はなおさらだ。

 「・・・ふむ、これだけ言っても出てこないということは。この部屋には本当にいないようですな・・・アキラ殿、あの暴君を見かけたら探していたと伝えてください」

 「分かりました。頑張ってください」

 『まるで、仕事から逃げ出す紅虎を探す真尋さんですね。そして、紅虎も一葉も同じ将軍様・・・』

 もう一人の将軍の事を考えながら、気配も完全になくなったのを確認した。下の人もそれが分かったのか、

 

 「あやつめ~~!よくもあれだけ言いたい放題しおったな!」

 

 姿を現した。怒りに燃える姿は暴君そのものだった。

 「よく我慢できましたね・・・ある意味褒められますよ」

 「必死に我慢しておったわ!」

 「でも我慢だけですか?一葉はそれだけでは無理と思っていましたが」

 「主様が近くにいたからのう。主様の匂いがあったから我慢できた」

 「私の匂い?」

 すると、さっきまでの怒りの顔が笑顔になった。

 「ああ・・・それを嗅ぐだけでとても落ち着くし、抱かれたい気持ちになる」

 そう言って、アキラの手を自分の胸に付けた。

 「あの文句しか言えん奴も今はいない。夫婦の営みをしようではないか・・・ほれ、余の体、好きにしてよいのじゃぞ」

 服の中に手を入れようとしたが、アキラがそれを振りほどいた。

 「私の匂いってある意味麻薬ですか?・・・魅力的な誘いですが、今回は遠慮します。仮眠をしたいので」

 欠伸が出た姿を見て、ムッとした一葉。

 「何じゃと!余との子作りより眠りを優先すると言うのか!」

 「あなたが、仕事よりごろつきに喧嘩を売って金銭を強奪する優先順位と同じようなものです」

 「そ、それを言われると・・・そうじゃ!主様、眠たいのじゃろう?」

 「そう言っているではないですか」

 正座になった一葉が、自分の膝に手を乗せた。

 「膝枕じゃ!寝るなら枕が必要じゃろう(ぽんぽん)」

 「・・・何かしませんよね?」

 「するわけなかろう!それとも、妻の枕で寝たくないと言うのか?」

 「いいえ・・・それなら、失礼します」

 嬉しそうにしている一葉の太ももに頭をのせた。

 「こうして、主様と夫婦らしいことをするのも初めてじゃのう」

 「そう言えばそうですね・・・いつもあなたが騒動を持ち込んで私が巻き込まれるということが多かったですから」

 「あれは余が持ってくるのではなく勝手についてきたのじゃ!」

 と言いつつも、額には汗が流れていた。

 「・・・まあ、いいでしょう(向こうでもほたるがよく・・・一葉より質が悪く、しかも持ってきた自覚を持たないし・・・それを思えば)」

 昔を思い出して、少しげんなりした顔になった。気を取り直そうと、大きな胸で見えにくくなっている一葉の顔を確認した。

 「主様・・・余はとても嬉しい。余を将軍と見ない。ただの一葉として見る主様と夫婦になれたことが。そして、主様も余を大切な人として見てくれることが」

 「私も嫁がこんなに増えるのは予想しなかったですが、あなたを嫁にもらえて嬉しいですよ。これからも夫である私をお願いします・・・ふぁあ」

 膝枕が気持ちいいのか、本格的に眠気が来た。

 「寝てもよいのだぞ。夫の寝顔を見るのも妻の楽しみじゃからな」

 「そうですか。ではお言葉に甘えて(膝枕なんて、結菜にして、もらって以来・・・です、ね』

 時々久遠の家に行き、食後にしてもらったことを思い出しながら、どんどん意識が遠のいていって、やがて眠りについた。

 

 ずっと目を閉じているアキラの顔だが、寝息が聞こえて本当に寝た顔を見て一葉は笑顔になった。

 「眠りについたようじゃな。ふふ、こんなに純粋な顔で寝るのじゃな」

 「公方様。ここに居られましたか」

 「幽・・・今余は動けない」

 「分かりました。夫婦の邪魔をするわけにはいきませんからな」

 「お主もしてもよいぞ。妻になるのじゃろう?」

 「某は、もう少し後で・・・では、失礼します」

 「ああ。仕事は主様が起きてから必ずやる」

 幽が出ていって、部屋は再び二人だけとなった。

 「主様・・・」

 頭を撫でる一葉。その時、あの言葉を思い出した。

 

 『信念を持たないお前が信念を持った我が妻を侮辱することは絶対に許せない!』

 

 二条館で鬼になった三好三人に言ったあの言葉。一葉が心にずっと残していた言葉だ。

 「あの言葉ほど、胸が高鳴ったことはない。絶対にお主に抱かれたいと思ったことはない。そして・・・」

 顔を赤くして、最後にこう呟いた。

 

 「死ぬまで、一緒にいたい・・・そう思ったことはない」

 

 その後、アキラが起きるまで顔を見続けた一葉だった。

 




 
 オリジナルで美空と戦ってみました!

 でも、やはりアキラが強かった!桐琴のあの技は力加減をつけられるように前回連れていかれた小夜叉を実験台・・・もとい対戦相手にして使ったおかげで既に加減がつけられるようになりました。ただ、トラウマができたようですが。

 本章に戻ります!

 女王様美空・・・うん、似合うな。


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五十五振り目 ぶつかり合うことは文句はないですが・・・

 
 こんばんは、三MENです。

 本章再開です!さて、どうなるかな?



 

 アキラ達は春日山城の評定の間にいた。最初は違う一室で、今後の同盟の話し合いをしていたのだが、その途中に入った兵の一報によりそうもいかなくなった。

 「・・・遠い親戚と言ってましたね」

 「いったい誰なのでしょうか?」

 「それにしても、ただ会うだけなのにここまでする必要があると言うことはおそらくよほど名のある実家なのでしょうね」

 アキラ隊からこの場に来たのはアキラと雫に詩乃と鞠、屋根裏にいる小波の五人だ。

 「確実に言えるのは、美空が会いたくない相手ですね」

 「はい。その通りかと」

 「苦い顔をしてましたからね」

 「ですので私達が「ほう、お主がアキラという男か」??」

 詩乃と雫との話の途中で割り込んできた人がいた。そちらを向くと少女がいた。でも、アキラはその少女からは食えない大人の空気を持っていることを感じ取った。

 「あなたは?」

 「わしは宇佐美定満じゃ・・・目が見えない男と聞いておったが」

 「その通りです。でも、よく言われますよ。本当に目が見えないのか?と」

 「その通りじゃ!それより、あの美空を助けてくれてありがとうな。宿老として礼を言う」

 「こっちもそれなりに考えがありましたから」

 「話は聞いておる。鬼を倒すための勢力集めじゃったか?」

 その話になると、お互い真剣な顔をした。

 「ふむ、内乱をまず治める・・・か。まだ晴景派はおるからのう。でも最大の問題が残っておるぞ?」

 「因縁の武田をどうするか?ですよね。ふふ、実は美空には言ってませんが一つ思いついた案があります」

 「案じゃと?いったいどうやると言うのじゃ」

 話してみろ。と楽しみしている子供みたいな顔で訊ねてきた。

 

 「仲間に引き入れます」

 

 アキラの案に、宇佐美は目を見開いた。明らかに心からびっくりしている顔だ。

 「同じ同盟に入れてしまえば、問題ないでしょう?」

 「ぷ、ぷぷぷ、かかかかか!そんな手を考えていたのか!お主、面白いのう!わしとて、その考えなんぞ思いもしなかった!」

 「昔の私ならあなたと同じでしたよ。でも、やる価値はあると思いますよ(紅虎が宿敵の豊臣と同盟を結ばせたのです。実例はあるのでやろうと思えばやれるはず)」

 内心は紅虎にできたなら、自分にもできるはず。という小さなライバル心もあった。

 「気に入ったぞ!よし、うささんと呼べ!」

 「却下します。私はちゃんとした名で呼びたいです」

 「何と!いきなり却下か。一応通称は沙綾じゃ」

 「なら、私だけが沙綾さんと呼びましょう」

 「分かった、お主は今日からそれで呼べ!」

 そう言って立ち去って行った。その後、沙綾は越後の怪人と呼ばれる有名人で、実は一番の年上であることに壬生一族という不老長寿の存在を見たアキラもびっくりした。

 

 親戚と会う時間になり、やってきたのは結構身なりのいい少女だった。挨拶して話をしていると、美空の機嫌もよかった。しかし、その少女から実家から使者がやってきたと言う話になると一気に機嫌が悪くなった。その使者が北条からだった。

 「なるほど、北条でしたから」

 「現当主北条氏康殿の使者ともなれば、確かに美空様の機嫌も悪くなります」

 「今は争ってないみたいですが、いつ寝返ってもおかしくない勢力ですものね・・・まさか空様以外にも娘を持っていてその子が北条家から引き取った子だったとは」

 「これは、明らかに一波乱ありますね」

 その使者は北条綱成だった。彼女は氏康の名代としてやってきて春日山での内乱の話になり、そこで案の定一波乱が起こりそうになった。後継者を作っておかないから城を制圧された。だから、その後継者を北条名月景虎にするべきだと推薦してきた。でも、話の中心人物である当の本人は隣で驚いていた。更に綱成は、美空のその判断が遅いから今回のような事件は起こったと挑発もした。

 

 「なるほどね~~、喧嘩を売っているのね。ならその喧嘩、買ってあげる!」

 

 『こうなるとは思いましたよ・・・全く!』

 ブチ切れた美空と受けて立とうとした綱成が刀に手を伸ばした時に、アキラは二人だけに殺気を飛ばした。それを受けた二人は動くのをやめすぐにアキラの方を向いた。

 「そこまでじゃ!」

 だが、アキラに何をしたか聞く暇もないまま沙綾の喝で二人は手を離した。その後、再び喧嘩になりそうだったが

 

 「私、長尾空景勝。美空お姉さまの娘であり後継者候補として名乗り上げます!」

 

 あのびくびくしていた空が自分から名乗り上げ、その後の話で後継者を決めるための戦をすることになった。話も終わりとなり、二人は引きさがるだけだったが綱成は引き下がろうとせず、アキラのところにやってきた。

 「・・・あなたがアキラですか?」

 「それが何か?」

 「ふむ・・・なるほど、確かにサイの言う通りだ」

 「??」

 自分の事を知っているにしては、観察するような行動に疑問を持ったアキラ。その行動も終わり、改めて顔を見た綱成。

 「失礼した・・・後、私に何をした?」

 「何を?何の事ですか?」

 この質問は、殺気を飛ばしたことと分かったが敢えてとぼけた。

 「・・・ならいい」

 そう言い残し、今度こそ去っていった。

 「アキラ様?誑しですか?」

 「詩乃、そういうとぼけはやめ・・・!」

 頑張って必死な思いを込めて立ち上がり、あれだけの言葉を言った空の緊張が解けてのか、倒れかかったので慌てて助けた。

 「ふう・・・よく頑張りました」

 「空・・・本当に言ってくれたわ。でも、本当にいいのね?」

 「は、はい!こうなるだろうと分かっていた事です!それが、今だったのです」

 そう言ってしっかり立ち上がって、感動した愛奈の涙だらけのどや・どーんを受けていた。だが、美空は浮かない顔をしていた。

 「あなたはどうです?ああ言った以上、もう鞘には納められません」

 「よくないに決まっているじゃない!私だっていつかこうなると思っていたけど、せめて・・・五分五分じゃないと」

 「なるほど」

 浮かない理由、それはごぶごぶじゃないと言う事らしい。詳しくは分からないが明らかにこれは氏康の策だということだった。

 

 城を出て、北条の二人が名月の屋敷に戻る途中。

 「それにしても・・・大手門がないというのは違和感があったな」

 「何でも、さっきお姉さまが話した男の人が大手門を壊したらしいです」

 「なるほど。あの男がやったのなら納得できる」

 「お、お姉さま?」

 顔つきが真剣になったことに問いかける名月。

 「あの男、私・・・サイを入れた二人で戦っても勝てないだろう。それほどの実力者だ。下手すると姉様よりも強いかもしれない」

 「え!姉さまやサイさん、母様が!勝てない相手!」

 「ああ、さっき美空様と私が刀を抜こうとしただろう?」

 「はい。怖かったです」

 名月の泣きそうな顔に思わず謝罪をした綱成。

 「すまない・・・それでだ。あの男は私と美空様だけに殺気を飛ばした。私達の動きが止まったのはそのためだ」

 「そうでしたの。それはそうと、美空お姉さまの後継者になれるよう頑張ります!」

 「ああ。私も全力で応援する」

 名月の頑張ろうとする顔に綱成は笑顔を出したが、

 

 『そう・・・確実に厄介になる。あの時、私は右腕を斬られる自分が見えた。もし、あの男が今回あの空という少女の味方をすることになるとしたら・・・これは相当厄介なことになる』

 

 内心は今後どうするか悩んでいた。

 

 その後、春日山城の城下街の宿では

 「典厩様。お待たせいたしました」

 「一二三、湖衣。ご苦労様でやがる!」

 「姉妹同士の対決となった越後の内乱。確実にあの男が関わっているのは間違いないみたいです」

 「なるほど・・・といっても、二人とも見てやがっていたでしょう?」

 「はい、本気でびっくりしました。大手門が壊されるとは思いませんでした」

 「千貫門も壊されましたからね。よほどの強者があの男の隊にいるのでしょう」

 「ふむ・・・姉上はあの男によほど興味を持っているみたいでやがる」

 「ということは・・・お館様の方針は」

 「変更はなし、でやがる」

 「ですが、動くなら少し後にした方がよろしいかと」

 「・・・何かあったでやがるか?」

 「先ほど、春日山城を北条綱成が北条景虎と一緒に出たという報告が入りました」

 「ほう~、小田原の女狐の名代でやがるか」

 「おそらくは後継者の事でしょう。氏康はこの時を狙って綱成をいかせて景虎を後継者にするべきと提案したと思います。敵ながら、面倒な人の娘を養女に取りましたね」

 「なるほど・・・確かに一二三の言う通り、その一件が片付いてからの方がいいでやがるな。長尾と武田は溝が深い・・・一致団結される恐れもありやがるから、その問題が片付いた後に行くでやがる」

 「かしこまりました。引き続き、調査をいたします」

 「頼むでやがる」

 「「っは!」」

 『ふふ、本当に騒動に愛されている男だね・・・さて、この騒動ではどんな動きを見せるか観察させてもらうよ』

 

 その後、自分達の部屋に戻ったアキラ達。名月が美空の娘になった経緯を聞いて、アキラは一人部屋を出た。すぐに覚えのある気配を見つけたが、明らかに隠れている感じだったので周囲に気配がないのを確認してからそこに入った。

 「何の用です?」

 「・・・あんた、本当にとんでもないわね。隠れている私を見つけるなんて」

 そう、気づかれないように隠れるように小さな部屋にいたのは美空だった。

 「誰にも見られないようにしたので大丈夫ですよ。今は本当に二人っきりです。用件を言ってください」

 「あの殺気の飛ばしといい、私の掌を軽く飛び越えることはしないでほしいわ・・・用件と言っても、大方検討はついているでしょう」

 それ以上は、美空の立場上言うわけにはいかなかった。誰も見ていない二人っきりの状況でも言ってはいけなかった。

 「勝負がちゃんと五分五分の戦いなら、私だって喜んで二人を戦わせるわ」

 「でも、越後内定に力を割いている中、どっちにつくかと言えば後ろ盾が大きいものに着きたい」

 「あの子はわかってないでしょうね・・・どれだけ大きい後ろ盾なのかが」

 「でも、あっちにはそれがない・・・いや、作れない。と言った方が正解ですね」

 「・・・実はあのバカ姉に着いた政景って、あの子の母親なのよ」

 「なるほど・・・後ろ盾になれってことですね」

 「そうよ。アキラ、あの子の「それ以上はいいです」・・・分かったわ」

 「美空・・・あなたの親としての思い、必ず果たして見せましょう」

 はっきりとそう言った。その事で安心したのかホッとした美空。そんな彼女にアキラは更に言った。

 

 「あなたのような当主として、親として、そして一人の女性として強く生きようとする女性は私は好きですよ」

 

 「なあ!」

 顔を赤くして、慌てふためいた。その顔を一瞬見てから出ていった。

 

 「あいつ何よ!一人の女性として好きなんていきなり言ってきて・・・でも、それってまるで告白じゃない。もし、私の持っている肩書を全部抜きでそう言ったのなら、嬉しいわ。ただの美空として見てくれるなら・・・」

 

 悶々としていたが、最後は頬を赤らめたまま真剣な顔になった。

 

 「やっぱり私、あいつに頼りたいと思っている。ううん、あいつだったら大丈夫って思う自分がいる。それにあいつの今までを見て、身体を見て、そして好きって言ってくれた。やっぱり・・・あいつの事、私」

 

 そして、美空は自分の中のアキラに対する想い・・・それに気づいた。

 




 では、越後後継者編始まりです!

 しかし、リアルの昔はどんな話し合いだったんでしょうね・・・一触即発はまず間違いなかったと思います。現実でも、実際にありそうですし。

 次回をお楽しみに!


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五十六振り目 自分の意思を貫くことです

 
 こんにちは、もう97話になるのですね・・・早い。

 ちょっと更新速度が遅くなっています。でも、たくさんの方が見てくれて頑張っていきます!

 では、始まります!


 美空との密談の後、部屋に戻ったアキラ。

 「出陣の準備をしてください」

 言った言葉はこれだけだったが、詩乃と雫はすぐに理解した。ひよは疑問そうにしていたが、ころに言われてとりあえず返事した。

 「・・・失礼します」

 「失礼するですぞ!」

 「早いですね・・・いいですよ。入っても」

 「「はい」」

 その時、アキラ達の部屋に訊ねてきたのは、皆の予想通りの空と愛菜だった。 

 

 まず二人は自分達を救ってくれたお礼を持ってきたが 

 「ここに来た本当の目的を言いなさい」

 アキラがすぐに本題を訪ねた。その言葉に空はビクッと震えた。だけど、

 「あの、今回の名月ちゃんとの勝負に・・・ある人から助言を受けたのです」

 弱弱しい、しかししっかりとした意思を持って言葉を続けた。自分の後ろ盾となる人が必要となるので、自分を支えてくれる人を探しなさい。とのことだった。あの晴景の一件で空にはあまりいない、でも名月には北条と言う後ろ盾があるため彼女につく人が多い。そんな中で空が選んだのが、

 

 「アキラ様・・・私に協力してくれませんか」

 

 アキラだった。既に答えは決まっていたが、アキラはただ一つだけ訊ねた。

 「長尾空景勝・・・あなたに聞きます。この質問は美空の後継者候補としてでなく、ただの空として答えてください」

 「ただの、私?」

 この言葉に?を出す空。

 「・・・あなたは美空の後継者として名乗り上げた。だが、その後継者には心からなりたいと思っていますか?それとも、美空の娘だからなるという立場を考えての名乗り上げですか?」

 「どや!アキラ殿!そんな「黙ってなさい」ど、どや」

 愛菜の割り込みを一睨みして黙らせる。にらみつける顔を空に向けて訊ねた。でも彼女はしっかりとその顔を見た。

 「私は協力しようと思っていますが、返答次第では断ろうとも思っています。さあ、あなたの心を聞かせてください」

 「・・・わ、私は、私は!」

 空は力強い意志を持って答えた。

 

 「心からなりたいと思っています!娘だからなるなんて思っていません!美空お姉さまの名に恥じぬ跡継ぎになりたいと心から思っています!」

 

 彼女の言葉には嘘偽りがないと感じ取れた。

 「・・・合格です。あなたの協力をします」

 「あ、ありがとうございます!」

 やっと空が笑顔になった。愛菜も後ろでホッとしていた。

 「・・・鞠の時と一緒なの」

 「あの場の宣言は、勢いで後継者になると言ったような感じでしたからね」

 「なるほど・・・空様。ご安心ください、アキラ様がこう言ったのです。私達は全力で後ろから応援します」

 「はい、では今夜早速話し合いましょう」

 詩乃の言葉で本当に落ち着いたのか、その場で肩の力が抜けた二人。

 「はい!」

 「どや!」

 二人とも笑顔で頷いた。

 「頑張りましょうね」

 「「あ・・・」」

 アキラの笑顔に見とれ、二人とも真っ赤になった。

 「その笑顔、決してがっかりにはさせませんよ」

 「「は、はい!」」

 『『『『『ああ、またライバルが』』』』』

 その様子を見て二人とも惚れたことがわかり、妻達は溜息を吐いた。

 

 二人が出たすぐ後に、アキラも外を出た。家臣達の様子を見ようと思ったが、皆口を閉ざして話を聞けなかった。下手言えばどっちに着きたいかわかるし、不公平が生じる可能性もある。だから、確実に決まるかまで話に出すことは禁ずる。と美空が命じたとアキラは感じた。

 「あ、アキラさん!」

 「元気か、アキラ」

 そこに柘榴・松葉の二人と会った。

 「突撃美少女と寡黙美少女ですか」

 「突撃って柘榴の事っすか!でも、美少女と言ってくれたのは嬉しいっす!」

 「口車に乗せられている・・・まあ、今回はいい」

 「ははは、二人とも可愛いしきれいですからね」

 「・・・アキラさんの事で照れている秋子さんをバカにできないっす」 

 「同感・・・それで何してた?誰かを閨に誘う事でも考えていた?」

 「閨に誘うのは妻ならともかく、なってない人を誘う気はありませんよ・・・今回の事でちょっと」

 「あ~、なるほど」

 「そう」

 かわいいと綺麗と言われて照れていた顔から真剣な顔になった。

 「無理を承知で聞きます。どう思います?」

 「そうっすね・・・どちらがなっても構わないと思っているっす」

 「松葉も同じ。なった人に尽くすだけ」

 つまり、どっちでも自分の主として認めるという事だ。

 「あの、一ついいっすか?どうして、越後の人間じゃないのにそんなに関わろうとするんですか?」

 礼を言って去ろうとしたアキラに、柘榴が聞いてきた。松葉も彼女の言葉に同意だった。

 「その事ですか?まず予想を聞きますが、二人は私がどうすると思います?」

 「・・・空様に着くんですか?」

 「うん、だと思う」

 「(こくり)ええ、彼女に頼まれたからです」

 その返答にますます分からない顔をした二人。

 「いや、余計にわからないっす。いくら同盟を結んでもここまで関わる必要はまずないっすよ」

 「うん、その通り」

 「そう・・・前の私なら、お二人の言葉通りくだらないと言って断っていました。でも、彼女は弱いながらも信念を持って美空の跡継ぎになると言った。嘘偽りなく、これから先の戦いがどれだけの意味を持つかも知って・・・だから、力を貸すことにしたのです。他者の私にそれを見せたお礼としてね」

 「ふ~~ん、そういう考えは嫌いじゃないっすよ!」

 「好感持てる」

 アキラの言葉に柘榴と松葉も笑顔になった。

 「それに・・・私の旗のようになればいいと思っています」

 「あの努力・友情の旗っすか?」

 「空と名月の二人は、後継者になれるよう努力しています。できることなら、この戦いの後に友情が芽生えてほしいと思っています。それもまた力を貸す一つの理由です。何しろ、評定の間で見た限り名月君も巻き込まれたみたいな感じですからね」

 「あ~~、確かに」

 「後継者の話にびっくりしてた」

 その時の彼女の驚きの顔を思い出してうんうん言った。

 「まだ分かり合っていないがこの戦いで分かり合い。友となってほしい。それが私の考えです」

 しっかりと今の気持ちを話した。その後、準備があると伝えて去っていった。

 「・・・松葉。アキラさんってとてもすごいっすね」

 「うん」

 「かわいいって言われたとき、どう思ったっすか?」

 「嬉しかった」

 「・・・やばいっすね。気になるようになっちゃったっす」

 「松葉も」

 二人の心を少しだけ奪って・・・。

 

 二人と別れた後も、いろいろ見て回ったからそろそろ戻ろうと思ったら、

 「おお、アキラではないか」

 沙綾に呼び止められた。隣には護衛なのか一人女性がいた。

 「おや、沙綾ではないですか・・・で、そちらは?」

 「ああ、こやつは小島貞興。通称は貞子じゃ。鬼小島と呼ばれておるぞ」

 「ちょ!うさ様!そんなことを」

 慌てて沙綾に文句を言う貞子。

 「気に入った相手を、ずっと後をつけて回る趣味を持っておる。お主も結構気に入っているみたいじゃから気をつけろよ」

 「そ、そんなことまで言わないでください!それに興味を持つのは、春日山城を二度も侵入して無事だと聞けば当然かと・・・」

 そう言っている間に刀を鞘の出し入れをしていた。その出し入れだけで、腕が立つことが分かった。

 『そう言えば、庵樹が相当腕の立つものと出会った。と言ってましたが、この人でしたか・・・胸も大きいと言ってましたし』

 彼女の胸に意識を向けたが、二人には気づかれなかった。だが、気づかれる前に話を変えた。

 「別に問題ないですよ。私は常に女性が傍にいるので、気になったら話しかけてきてください。つけ回すのもどうってことないですよ」

 「ほ、本当ですか?」

 「ええ、あなたのような美人ならね」

 「び、び、美人!ちょ、あああ!」

 沙綾に文句を言った時も顔を赤らめたが、それ以上に真っ赤になった。

 「かかか!アキラ、どうなっても知らないぞ」

 「どんとこいです。後、少し話が」

 「「断る(わります)」」

 貞子との話もここまでにして本題を聞こうとしたが、頭の回転がさっきの柘榴と松葉と違って結構はやいので、聞きたいことがすでに分かっていたので、すぐ断った。だけど、予想通りの返事なので別に気にしなかった。

 「やれやれ。結局無駄足、でもなかったですね・・・貞子さんという美人に出会えたのなら」

 「!!!ちょ!」

 「かかか!なら閨にでも誘えばいい」

 「ちょ!うさ様!」

 「すいませんが、閨に誘うのは妻のみと決めております。では、準備もあるので」

 「おお、ではの」

 そう言って去っていった。だけど、貞子はじっとアキラの背中を見続けた。その姿が見えなくなってもだ。

 「さて、わしらも評定にいこうか・・・貞子?」

 「閨・・・妻なら・・・」

 そう呟くのを聞いた。

 「・・・アキラ・・・本当にどうなっても知らんぞ」

 沙綾はやれやれと言いながら、貞子の襟首を掴んで引きずっていった。

 

 ついに夜の作戦会議の時間となった。内容は、やはり北条の後ろ盾がある名月に味方が集まっていること、でも空にもそれなりに味方がいること。最後にこの段階で逆にこういう状況になったのは好機であり、北条がこの戦いの場を用意したようなものだから、ここで空が勝てば今後北条は口出しができなくなるということだった。最後に今回は越後内部の戦いなので、他国のアキラ隊は表立って戦うことができず、あくまで空を下で支える補佐に回ることになった。

 

 次の日から早速両者ともに動き出した。それを感じ取った間者がいた。そう、アキラが二回会ったあの女だ。

 「敵地だけど、民の笑顔というのはいいものだね」

 「ええ、当主が美空様に戻ってから皆笑顔になりましたからね」

 「人が変われば皆も変わる。それは国もしかり・・・それより湖衣」

 「ええ、相模の草がそれなりにいますね・・・あ」

 「盲目の忠犬もいるみたいだし、いったん引き下がった方がいいね」

 「そうですね。全く厄介な」

 「でも、面白くなりそうだね・・・さあ、盲目さんはどうでるかな」

 

 そんな話の中心人物のアキラが何をするのかというと・・・何もしていなかった。何故なら、アキラは織田・長尾の同盟を結ばせた立役者としての立場。しかも、田楽狭間の天人という肩書も持っている有名人だ。空の後ろ盾になることは名月側にも知られていると思い、自分が動くと注目を浴びてしまう。それは避けないといけないので、アキラがやれることと言えば。

 

 「ふう、ここまでにしましょうか」

 

 あてられた部屋の中で自身の中にある壬生の血をどれくらい使えるようになるか。それの訓練しかできなかった。武闘派の皆と手合わせもしたかったが、自分が大手門破壊をした事は知られているので、それ以上の戦力を名月側の草に見せるわけにもいかないからだ。

 「まだ、五分程度ですか・・・やはり、これを使いこなさないと狂までたどり着けない・・・まだまだ努力が必要ですね」

 もう会うことがないにしても、やはり追いつきたい。背中を抜かしたい。その気持ちは未だ消えることはなかった。

 

 何日か経った日の夜。再び集まると、愛菜が戦いは十日後になると言い当てた。その事に詩乃と雫も驚きながら頷いた。

 戦いの日付が分かった以上、ここからが本番だ。自分達の戦力を相手に知られるわけにはいかないので、春日山に侵入している北条の草をどうにかしないといけない。後は名月が居城として構えている御館の情報も集める必要がある。だから、アキラ隊が出る必要があった。

 最初はアキラ自身が御館に行こうと言ったが、詩乃と雫のダブル軍師に断わられた。その人選は次の日にすることにして、今日は休むことにした。

 

 『さてと、誰にしましょうか・・・』

 




 中途半端な終わりですいません!

 柘榴と松葉がアキラに意識し始め、貞子が完全に意識しました。それにしても・・・ストーカーは現実だとガチで怖いですので皆さんも気を付けましょう。


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五十七振り目 二度と会えないと思っていました

 こんにちは!三MENです。

 今回は・・・ついに再会します。あの二人が。サイという人物・・・果たして誰か!


 名月・・・いや北条勢といつ戦うのかわかり、早速情報を抑える春日山勢と情報を手に入れる御館勢の二つに分けることにした。その際、小夜叉から面白いことが聞けた。

 「俺らアキラ隊の周りを調べているものがいたぞ」

 「私達ですか?空君達ではなくて」

 「ああ、間違いない。とりあえず十人ほどいたが全員ぶっ殺しといた」

 そう、自分達を調べている連中がいるという話だ。

 「何だ・・・できれば捕まえてほしかったです。情報を聞きたかったのに」

 「向こうの草が話すとは思えんが?」

 「尋問・拷問・痛めつけは得意分野です。ふふふ、今度はちゃんと捕まえるようお願いしますね。小夜叉と桐琴さんも一緒にやりませんか?中々、楽しいですよ」

 「「おう!やるぜ(かのう)!」」

 笑顔でとんでもないことを提案するアキラに、喜んで賛成する森親子。二人の目が輝いていた。

 「ひ~、とんでもなく怖いよ~」

 「お頭って、時々怖いと思う時ってあるよね」

 「でも、それもまた魅力的です(っぽ)」

 「ええ、ハニーはそういうところもあって素敵ですもの!」

 「詩乃も梅さんも、結構怖いですね」

 「のう、幽よ。余も参加したいのじゃが」

 「いいですよ・・・何て言うと思いましたか!駄目に決まっているでしょう!暴れん坊公方が、残虐暴れん坊公方になってしまうではないですか!大却下です!」

 「構わん。言いたい奴に言わせておけ」

 「ああ・・・胃薬がほしい。とこれほど思ったことはありません」

 「時々幽さんが哀れに思う時があります」

 「歌夜~、あれくらい日常茶飯事なのですよ!」

 「いえ、綾那様。あれは結構稀ですよ」

 三人の黒い笑顔に恐怖するアキラ隊に、その企みに仲間に入りたい一葉を必死で抑える幽を見て、かわいそうに思う歌夜にツッコミを入れる綾那にさらにツッコミを入れる小波。

 「まあ・・・だいぶ慣れたけど」

 「やはり、面白い隊ですね」

 「とりあえず、あれがアキラ隊ってことなんだろうな。変なやつが多いけど」

 ようやくアキラ隊の普段に慣れてきたこちらの三人も今は呆れていた。

 

 漫才もここまでにして、話を真面目に戻した。

 「御館には、今回は顔がばれてない人間を入れる必要があります。確実にばれている私は論外、と二人が」

 「「当然です」」

 アキラの目の前まで来て、それを言った。

 「ですので、まず小波と「私が行きます」歌夜ですか。・・・確かに大丈夫ですね。空君誘拐の時は裏方でしたし。戦ってもいなかったですからね・・・後は」

 「某が参りましょう。直接将軍の名代として堂々と茶を飲みに行く。それだけでも十分な情報は手に入ります」

 「こそこそより堂々・・・確かに、ではお願いします。でも、暴れ馬の調教は?」

 「アキラ殿に押し付けます」

 「やれやれ、分かりました。今夜の閨は彼女にします」

 『『『『『羨ましい!』』』』』

 今回の仕事は裏方の仕事。暴れたい一葉や綾那には向かない仕事の上に、戦力を隠すために手合わせすらできないため、イライラが溜まって今はふて寝をしている。だから、ストレス発散のためにも一葉と一緒に寝ることにした。周りの皆は「私も!」という願望のこもった眼差しがアキラに集中したが、無視をした。

 「後、小夜叉にお願いがあります」

 「ああ?何だ?」

 「各務を今回の御館行きに行かせようと思いますので、貸してください」

 「別に構わねえが・・・何故連れて行くんだ?」

 「三人には御館の町の様子を見てもらおうと思います。ただ、外の様子も確認したいのですが、気配を消しながら行動し観察できるのは小波と各務だけになります。小波は町の調査があるので後は各務だけです。朱雀や時人もできなくはないですが、朱雀は空君の潜入の時に、時人は千貫門を壊したことでどっちも顔が割れてます」

 「なるほど、各務は参加していないから大丈夫という事か・・・各務、頼んだぞ」

 小夜叉の言葉に頷く各務。

 「分かった・・・でもお願いが」

 「ええ、仕事が終わったその日の閨は、あなたと歌夜と小波にしますよ」

 「(ぐっ)頑張る!」

 「え!ま、まあ、妻ですし」

 「わわわわ、私が!」

 三人ともそれぞれ顔を赤くしているが嬉しそうだ。各務は先走って既に股を擦り合わせていた。

 そんな三人を羨ましそうに見ながら、アキラに揉視線を向ける愛妾達。

 「・・・ハニー、私達も忘れないでくださいね」

 「梅さんの言う通りです」

 「もちろんですよ。ただ、組み合わせはそちらでしてくださいね」

 「「「「「やった!\(^_^)/」」」」」

 『やれやれ・・・昼も夜も疲れる日が続きそうですね』

 呆れながら、今後の方針が決まった。

 

 その同じ頃。御館の大きな屋敷では名月と北条綱成、通称朧が作戦を立てていた。

 「名月。今日はもう遅いので、後は休みなさい」

 「そうしますの・・・むにゃ。朧お姉さま、お休みなさい」

 名月が眠そうにしながら、部屋を出ていった。すると、朧が襖を開けた。

 「・・・もういいぞ、姫野」

 「はいはい~、風魔の姫野。ただいま参上~」

 現れたのは、忍びと思えない派手な格好をしている女性だった。一昔前のギャルとも見える姿だ。

 「ご苦労・・・それで、早速だが調べてほしいことがある」

 「何でしょうか?」

 「相手・・・景勝側の情報だ。特に彼女の後ろ盾になっている者の戦力を明確にしておきたい」

 「え~。別にそこまで調べなくても、こっちでは朧様が名月様を支えているんだし大丈夫だと思いますが」

 その言葉に朧の顔が険しくなった。

 「・・・だとよかったんだが。何回か草を放ったんだが帰ってこない」

 「は?はああ~~!あ、あの朧様直属のあの草が!うちの風魔でも指折りのを選んだあの草達が!」

 「そうだ、相当、厄介な連中がいる」

 姫野と呼ばれた女性も真剣な顔になった。

 「それで、いったい誰を調べればいいのですか?」

 「織田につながりのある男・・・サイのいっていたアキラという男だ」

 「その男って、春日山城の大手門を壊したってやつですよね・・・分かりました」

 「気をつけろ。その者が率いているアキラ隊にはなかなか有名なものが多い。草の方でも伊賀の服部を入れている。おそらくそいつにやられたのだろう」

 「伊賀の服部?へ~~、そんな奴がいるの」

 ニヤリと笑った姫野。

 「ああ、頼めるか?」

 「やってやりますよ・・・でも、そいつと戦うことになったら殺っちゃっていいです?」

 「騒動を起こさないようにな」

 「承知~~」

 笑顔で去っていった、すぐ後だった。

 「失礼する・・・姫野か?」

 「ああ、どうした?今まで、部屋にいたお前が」

 「明日、春日山の街に行く」

 「な!何を言っている!これから戦いが「私は戦いに参加する気はない」!!さ、サイ!どうしてだ!」

 「そもそも、この戦いは相模本土には関係ない。朧、あなたが勝手に越後でやっていることだ。それに当主も出陣前にこう言っただろう「あなたの自由に動いていい」と。安心しろ。あいつに、アキラに会えばそれでいい。戦いの事も話すつもりは無い」

 そう言い残し、部屋を出ていった。

 「っく!一体何を考えているんだ・・・サイ、いや、歳世」

 

 次の日、早速行動に出たアキラ隊。御館に向かう四人。一葉の世話役から解放されて嬉しそうに詩を詩っていた幽だが、歌夜に寂しそうだと指摘されて焦っていた。 

 「それにしても敵陣に入って情報収集。歌夜殿も各務殿も恋する乙女ですな」

 「ふふ。そうね、あの人の為ならどんなところにでも行こう。そんな思いがあるのですよ・・・小波のようにね」

 「私も・・・アキラの為なら」

 「ほっほっほ、羨ましいですな~」

 和気あいあいと話していると、前から一人の女性が馬に乗ってきた。顔は布をかぶっていたのでわからなかったが、すれ違う際に三人は目を見開いた。

 「「「・・・・・・」」」

 そのまますれ違って進んでいった。

 「・・・歌夜殿、各務殿」

 「うん、あの人強い」

 「はい、私達でも勝てるかどうか」

 「御館側から来たということは・・・」

 「(ふるふる)今は考えなくてもいいと思います」

 「そうですね。旅の武人ということも考えられますし」

 「うん、先に行く」

 頷きあい、そのまま目的地に向かった。だけど、小波の情報により既に自分達が向こうの監視下にいることが知られ、迂回して時間をかけてやっと街に入った。各務は既に街の外の調査に出た。

 「幽さんはどうします?」

 「某はまっすぐ名月殿の屋敷に行ってきます。お二人は?」

 「小波が周辺を見て回っています。私は街の様子を見回るつもりです」

 「そうですか・・・敵の手の中ですので、お気を付けを」

 「はい」

 二人も離ればなれになった。

 

 その頃、春日山城下では、アキラ達が草刈りをしていた。街の警備を他国のものがやってもいいのか?ということについては、空に頼んで予め沙綾に許可を得ていた。もちろん、空の部下としてだ。

 「それにしても・・・怪人も見抜いて「やってもいい」というあたり、本当に見た目では想像もできないくらいの頭の持ち主みたいですね」

 「ええ!気づいていたんですか!」

 「ひよ・・・もう何回目」

 「あうあう~~」

 顔を真っ赤にして縮こまるひよ。

 「でも、お頭。良く草を見つけられますね」

 「ウンウン♪もう八人も捕まえましたもんね!」

 「まあ、向こうでもよくやりましたので(四聖天時代は狙われの身でもありましたからね。忍びこみなどよくされたものです。全て全殺ししてやりましたけど)」

 「それで、どうやって見極めるのですか?草と普通の人の違いって」

 「教えてください!」

 二人の頼みに、変装した草を見つけてのレクチャーをした。それが終わって更に数分後、アキラは一つ疑問が頭の中に浮かんだ。

 「う~ん。いくら情報を集めるためとはいえ、草の数が多い気がしますが」

 「そうですよね・・・あ!多分風魔忍軍だと思います」

 「風魔?」

 「はい、聞いたことがあります。北条家はそういう草の集団を持っているって」

 「あ、そうか!名月様は北条出身だから!」

 二人はそれで納得したみたいだけど、アキラは納得しなかった。

 『それだけとは思えません・・・それに、昨日小夜叉の殺した草は私達の隊の調べていると言っていた。もしかして、北条は私達をメインに調べをしている?いくら私の名が知られているからと言って空君より数が少ない私達を?ダメですね・・・まだ情報が足りない』

 まだ分からない事だったので、情報が入ってからにしようと頭を切り替えた時、前から一人の女性が歩いてきた。実力者であることは歩き方で分かった。

 「??」

 だが、アキラはその女性が不思議と引っかかった。

 「お頭・・・誑すおつもりですか」

 「ひどいですよ!そんなにたくさん妻を作りたいんですか!」

 「・・・全く、あなた達は」

 隣の二人からそんな言葉が出た途端、その女性が笑った。

 「ふふふ。やはり、あなたでしたね・・・結構面白い立場にいるですね」

 「は?」

 笑いが止まって、顔にかけていた布をとった。あらわとなった顔を見てアキラは驚愕の表情になった。

 「な!・・・あ、あなた!あなたがどうして」

 「私もここに来たときは半信半疑でした」

 「「お頭?」」

 ひよところが疑問そうにアキラを見るが、構う余裕がなかった。その顔はアキラが知っている顔だが、

 

 「・・・さ、歳世」

 

 会う事が絶対に出来ないはずの顔だからだ。

 「また会えるなんて・・・久しぶりですね、アキラ」

 何しろ、彼女は向こうの世界でアキラが倒した女性・・・サムライだからだ。

 「二人はすいませんが草刈りを続けてください。私はこの女性と話があります」

 「お願いできます?ご安心ください。私はこの人と本当にただお話がしたいだけ。あなた方がさっき言っていたようなことはありませんので」

 「「は、はあ・・・」」

 アキラの驚きの顔を見たすぐ後に、態度が変わったことに二人は頷くしかなかった。二人の姿がいなくなったのを確認して動いた。

 「それで、どこで話しましょうか?」

 「・・・近くにあなたと同じ立場の人間がいます。そこで話しましょう」

 「私と同じ?」

 頷いて歩き出し、見覚えのある家にやってきた。そう、あのクビラの家だ。襖をノックして出てきたのはちょうど本人だった。

 「おや、アキラ・・・ちょうどいい。今妻と子が出て一人なんですよ。当主が元に戻ったおかげで安心して外に出せるようになりましたから」

 「それはよかった・・・こっちもあなた一人の方がちょうどいい」

 そう言われて、?を出すクビラ。 

 「アキラ。この人が私と同じ?」

 「そうです・・・クビラ。この人は歳世。私達と同じ向こうの世界の人間です」

 「何と!それなら確かに・・・さあ、どうぞ」

 「ありがとうございます」

 「失礼します」

 そう挨拶して、二人はクビラの家に入っていった。

 

 『まさか、歳世まで会うとは・・・さすがに他は会いませんよね?』

 




 
 SDKキャラ三人会わせです!

 せっかく同じ場所にいるなら会わせようと思いました。すいません・・・どうしてもやりたかったのです。

 後、各務の登場が少なかったので今回出させました。原作で出たプロフィール見るとそれくらいできると思ったので・・・。


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五十八振り目 語り合う思いと気持ち

 
 こんにちは、SDK原作のクビラの話はガチで泣いた三MENです。

 三人の語り合うこととゆ~みんと名月の語り合いの話です! 



 4月10日 オリジナルのエロ展開のエロ修正。追加しました!


 

 『私と戦った事、その戦いこそがあなたの命の証であり魂の限り生きた証明ではないでしょうか』

 

 かつて自分と闘い、散っていく定めとなった女性にそう言ったアキラ。その女性が目の前にいる。

 「なるほど、あなたもアキラに救われたのですね」

 「はい。気づけばあなたと同じようにこの世界にいました」

 「・・・あなたも命以上に大切な人を守りたい。と思って戦ったのですね」

 「その思いと信念を守り続けることができたこと。その事を彼から教えられたことで私は救われました」

 クビラも歳世もアキラに倒されたが、同時に救われた。だから、感謝の思いでいっぱいの二人だ。

 「辰怜も無事に生きている。それが聞けて、本当に良かった」

 「私も、向こうの娘が倖せになれると聞けたときは心から嬉しかったです」

 そして、二人はアキラの方を向いた。

 

 「「ありがとう、アキラ」」

 

 「・・・私のおかげ。というわけでもないですが」

 顔を赤くして茶を飲んだ。照れている顔を無くしたいために、話を変えた。

 「ところで歳世は今はどんな生活を?」

 「私は、北条家の当主の護衛を務めているわ」

 「ほ、北条!相模を手中に収めている!」

 「・・・相模の獅子の護衛ですか」

 アキラの空気が一瞬張り詰めたが、歳世は笑顔で制した。

 「大丈夫よ、今回の後継者を決める戦いには参加しないことにしているわ。当主からは好きに動いていいと言われていたから」

 「なるほど・・・つまり、情報もないということですか」

 戦わないという事は情報も出せないという事だ。若干残念だったアキラ。

 「その通り、だから朧、北条綱成からは文句を言われたわ」

 「なるほど。なら別の事ならいいというわけですね?」

 「そうね、それで何が聞きたいの?」

 

 その頃の御館の名月の館。将軍の名代としてやってきた幽が朧と話していたが、ターゲットを名月に移した。

 「名月殿。あなたは今回のこの戦いをどう見ていますか?」

 「戦い、ですか?」

 「はい・・・急遽決まった越後の後継者の戦いですが、後継者候補となったあなたの気持ちをお聞かせいただきたい」

 幽の言葉に少し躊躇いがちの顔になった名月。

 「・・・私は越後を、娘として受け入れてくれた美空お姉さまの国をより良い国にしたいと思っております」

 「ほう・・・」

 「突然決まって驚きもしましたが、でもこれは逆にいい機会だと思っています」

 「ふむ・・・」

 「そして、この戦いに私が勝ったら」

 幽の目を見て、さっきのオドオドした顔からしっかりとした目つきと評定に変わってはっきり言った。

 

 「敗者である空様を友として向かい入れ、二人でよりよい越後にしたいと思っております!」

 

 嘘偽りない意志と信念のある言葉だった。幽もそれは感じ取れた。

 「なるほど・・・それは素晴らしいですな」

 「でしょう!」

 「っく!」

 嬉しそうに話す名月の隣で悔しそうな顔の朧。名月は自分の理想を共感してくれて嬉しそうに話を続ける。

 『なるほど。そういう事ですか』

 朧の、いや北条の思惑を感じ知った幽。

 

 クビラの家に戻り、アキラがサイに聞いたことは綱成の人物像だった。

 「そういう人物だ、朧は」

 「なるほど・・・家族を大切にするのが北条。しかし、その思いが綱成は強い傾向があると言うことですね」

 「私としては共感できますね。かつてのアンテラを守る私みたいだ」

 クビラの言葉に頷くアキラ。実際に彼のそれを見たのだから。

 「つまり、今回のこの戦は」

 「何としても名月を後継者にしたい。でも、空という少女が邪魔だ。だから」

 「空君に協力する私達も邪魔、というわけですね。本来なら、名月君の後ろ盾にまでなる必要はないのに進んでなっている。つまり、相当気にしているのでしょうね」

 アキラの推測に、その通りと頷いた歳世。

 「気を付けてください。この言葉は北条家当主の護衛としてでなく、あなたの友人として言わせてもらいます」

 「友人ですか・・・ありがたく頂かせてもらいます」

 友人、その言葉に一番の笑顔を出した。

 「では、引き下がりましょうか。クビラ、お茶ありがとうございます」

 「私の方こそよき出会いができた。また来てください」

 「そうですね。今回の戦いが終わったら・・・その時もまた友として」

 歳世の言葉に二人とも頷いた。そして、それぞれクビラの家を出た。

 

 その頃の御館の街では、

 「っく!」

 「ほらほら~!逃げてばかりじゃダメじゃない!」

 小波が姫野に追いかけられていた。情報を集め終わり、歌夜と話し合った際お互いアキラの妻になれたことにとても幸せを感じているところに姫野が割り込んできた。逃亡中に歌夜と別れ、今の状態となった。

 「もう~、伊賀ってそんなに逃げることしか考えないの!」

 「しつこい!」

 苦無を投げたりするが、撒くことができない。すると、そこに

 「・・・誰?」

 「各務様!」

 調査の終えた各務が二人の間に割り込んだ。

 「ちょっと!邪魔しないで!」

 「邪魔はそっち」

 姫野の投げた苦無を全部つかみ取り、逆に投げ返した。

 「げ!そんなのあり!」

 「うるさい「ごふ!」」

 何とか彼女はそれらをよけたが、すぐ後に来た各務の一撃は無理だった。

 「全く・・・小波、行こう」

 「待ちなさい!」

 背を向けた各務に苦無を投げた。

 「全く、物騒ですな。この街も」

 そこに歌夜から句伝無量で呼ばれた幽が、投げられた苦無をつかみ取った。

 「そいつ、うるさい」

 「そうですな。我が友に無礼を働こうとしたので、つい手が動いてしまいました」

 「何よ・・・公方の腰巾着が草を友にしているというの?」

 ニッコリと笑って肯定した。

 「そうですぞ。何しろ小波殿は、私ではかなわない力を持っておられますからな」

 「は?逃げていたばかりのこいつが?いったいなんだと言うのよ!」

 少し考え、そして答えた。

 

 「・・・女子力?」

 

 その答えが、言った本人も疑問形だったが・・・。

 「はあ?」

 「なるほど・・・確かにそれは私も敵わない」

 分からない顔をする姫野と頷く各務。だが、この反応を見て面白そうに言葉を繋げた。

 「何よそれ!いったいどんな考えをしているのよ!」

 「何をおっしゃいます、お草さん!女子力ほど女性に必要な力ではありませんか。その力の高さにこの細川与一郎は思わず頭を下げてしまいます」

 「小波、すごい」

 各務は話にのって頭を下げた。

 「では、話も終わったことですので帰りましょうか」

 「そうする」

 「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ!」

 「おやおや・・・動かないでもらいたいですな~」

 幽の出す殺気に、姫野は動けなくなった。

 「それでは、早く帰ってアキラ殿に愛されましょうぞ」

 「幽も?ダメ、私と歌夜と小波が先」

 「魅力的ですが、某はまた今度に・・・立てますか小波殿」

 「・・・はい!」

 小波も笑顔になって、三人で歩き出した。

 「ちょっと!待ち「動くなと・・・言ったでしょう!」、ぎゃふ」

 怒り心頭で掛かろうとする姫野を一撃で倒した幽。

 「では、今度こそ」

 「幽、強い?」

 「ええ。ですが、内緒ですぞ。余計に仕事が増えますので」

 「ふふふ、はい!」

 滅多に聞かない小波の笑い声を聞きながら、今度こそ街の外で待機していた歌夜と合流して春日山に帰った。

 

 アキラは城に戻り、城内部の調査もした。夜になり、アキラ隊の軍議が始まった。

 「情報の交換と参りましょう・・・まずは春日山城下」

 「はい、城下に入り込んだ草の数は、何と二十四人もいました!」

 「しかも、半数以上が風魔の草とのことですわ!」

 「残りの草は、他勢力のものでしょう」

 「なるほど・・・しかし、よく風魔と別の草の区別がつきましたね」

 その言葉に詩乃は苦笑いをした。

 「それなんですけど、愛菜さんが見極めたんですよ」

 「・・・は?」

 雫の言葉にアキラは唖然とした。

 「何でも、荷物を見ればわかるそうです」

 「越後きっての義侠人の名は伊達じゃないですぞ。どや!ということらしいです」

 似てない朱雀の言葉に苦笑いをして次に進めた。その部分を聞き流すことにして顔を幽に向けた。

 「・・・そうですか。次に幽、頼みます」

 「はい。当の名月殿と話して分かったことですが、おそらく彼女は北条家に担ぎ上げられただけでござろう。正々堂々、後継者を決めるための戦いという認識を持っておられるようで、空殿に関しては憎む目で見ることは一切なくむしろ褒め称え、勝ち負けが決まった後では友になりたい。とすらおっしゃっておりました」

 「つまり、裏の大人の汚い思惑が今の状態にさせた。ということかい?」

 「少なくとも、朧殿の様子から見るにそう思います」

 庵樹の質問に返答したそれを聞き皆少し怒りを覚えた。ただし、アキラはサイの話を思い出していた。

 

 『北条綱成はとても家族を大切にする人間よ。特に今回の名月に対しては強い溺愛を持っているくらい大切に思っているわ』

 

 「なるほど・・・綱成すら使われているということですか」

 「アキラ様?どうしたですか?」

 綾那に言われてハッと意識を戻した。

 「いえ、何でもありません。それで、そっちの街の様子はどうでした」

 「それなんですけど、今の話を聞いて何か納得できました」

 「納得できた?」

 歌夜のその言葉に、全員の視線が彼女に向く。

 「街には戦いがあると兵が良くも悪くも多くなり活気が出るのです。でも、御館にはそれがなかったのですが、北条が強く関わっているとなると納得できるんです」

 「つまり、地元の越後の兵と北条の兵が諍いを起こさないために別の場所にいると言う事でしょうか」

 朱雀の言葉に各務が頷いた。

 「うん、近くの神社に人の気配が結構いた。他にもいろいろと陣もあった」

 「そうなると、確実に北条の兵は多いと見て取れますね。地黄八幡は相当の覚悟を持っていることになります」

 詩乃の話でいったん皆の言葉が止まった。そこでアキラは考えをまとめた。

 

 『つまり、今回の後継者騒動はサイの護衛の当主の思惑に綱成すら利用されているようですね。彼女が名月君を大切に思う気持ちが強いからそれが予想でき、同時に自国の相模の被害は全くない。勝てば越後も手に入れられ、負けてもただ引き下がればいい。美空は越後再建に忙しいから、仕返しすらできないことを知って仕組んだ・・・でも、分からないのは北条家当主氏康の本当の狙い。越後を手に入れたいという理由にしては、穴がある。ガチンコで戦って決めると言う穴が』

 

 北条氏康の事もサイから少し話を聞いた。とても頭がよく先をよく見て行動し、見事と言えるくらいの戦略を立てる武将だと言う。そんな武将が正々堂々戦って決めるという戦いをさせるのか?とアキラを困惑させていた。

 「アキラ様!」

 考えに没頭していたのか、ひよの叫びで意識を戻した。

 「聞いてました?歌夜さんの話の続き」

 「すいませんでした・・・もう一度聞かせてください」

 「はい。向こうで襲われたときに気づいたのですが、視線が私達アキラ隊のみに注がれていたような気がするのです」

 「それは私も同じ意見です。空様の草もいたはずなのに、北条の草は私だけに視線を向けていました・・・しかも、草の頭らしきものがアキラ様を襲うなどと言って!」

 「小波が追われておかしいと思ったけど」

 小波の怒りに燃える姿にじーーっと見る各務と幽。

 「早くアキラ殿のところに戻りたかったのですな」

 「う・・・」

 「「なるほど、これが女子力(・_・D フムフム」」

 照れて赤くなる小波を見て、なるほどと思う二人だった。

 「えっと。今の話からすると、ハニーは北条に狙われているということに」

 「しかし、狙われたこと・・・あ、小夜叉が殺したという十人の草。その中に何人かいたということでしょうか?」

 「なるほど、それなら納得です」

 「アキラも命を狙われるほどの大物になったということか」

 雫と時人の言葉に皆は不安そうにアキラを見るが、当人は笑顔だった。むしろ、寒気がする笑顔だった。

 「アキラ様。笑顔が怖いですが、まさか」

 「ええ。これは逆に好機です」

 詩乃の言葉に、皆がやっぱりと思いながら話を聞いた。

 「向こうの主力が私達に目が向けているなら好都合です。いろいろ動いていれば、空君は好きに動けます・・・そうですね、調略する振りをしたり、戦準備をあえて見せびらかしたりして、もっと注目させましょう!」

 「ほうほう。北条をおちょくると言うことですか。楽しそうですな!」

 「うんうん。面白そうです!大軍を揺さぶるなんて!」

 「ハニー!ぜひともその役を私に!」

 「どうです。わくわくするでしょう!」

 「「「はい!」」」

 アキラの言葉に頷く幽、綾那、梅。それを見て呆れる他のアキラ隊だが、面白そうと賛成した。

 「では、早速明日からやりましょう」

 「「「「「はい!」」」」」

 

 そして皆が解散した後、アキラの布団では三人への褒美が行われていた。

 「ああ!アキラ様。そんな、お二人が見ているのに!」

 恥ずかしがる小波。裸になっていたが、両手で胸を隠ししゃがみこんでいた。

 「小波、私達の全てをアキラ様に見られる。これは嬉しいことじゃない」

 「ほら。ぐいっと」

 「あ、あう~~~」

 両サイドから歌夜と各務から腕を掴まれて、丸見えになった小波の胸。三人の胸がアキラの前に並んだ。

 「三人とも、とても素敵な胸ですよ。さあ、もっと見せてください。そして、私を興奮させてください」

 「「「はい(うん)」」」

 アキラに言われて、アキラの前に小波。左に各務、右に歌夜が座った。もちろん、アキラの顔の前は三人のおっぱいがある。

 「小波はよく頑張りましたね。たっぷり可愛がりますよ」

 「ご、ご主人様!わ、私より・・・お二人を」

 「ダメです。二人も頑張りましたが、一番はあなたですよ」

 小波に熱いキスをして右腕を背中に回し、左手で彼女の割れ目に入れた。彼女は裸を見られた時点で、そこから蜜がどんどん出ていた。

 「しゃう!ご、ご主人様、わ、私は」

 「きれいですよ、あなたのここも、あなたの体も・・・さあ、入れますよ」

 「アキラ様。あの、あう、ん!私も」

 「お願い、アキラの、んんん!ほ、欲しい」

 二人も寝っ転がって割れ目を見せ、自慰をしながらそこから出る蜜を見せた。

 「もちろんですが、最初は小波に決まっています」

 「お、お二人を先ああああ!は、あ、あ、あああ!」

 座っているアキラの刀に小波の壺が入った。その小波が自分の体を左右に動かす姿が二人から見ても魅惑的な女性に見えた。同時に羨ましい気持ちが強くなり、割れ目に入れる指の動きが速くなり性欲も高まっていく。

 「二人とも、淫らですね。こんなにぬらして・・・でも、綺麗ですよ」

 その言葉で二人の淫らにされたい気持ちが更に高くなり、おっぱいの突起が見ただけでも固くなったのが分かる。

 「ご、ご主人・・・様。お、お願い、です」

 「ふふ、すいませんね」

 二人に意識が行って自分を見ないことに女としての小波が妬いた。その焼きもちを焼く彼女が愛おしく思い、またキスをして更に激しく腰を動かして小波をもっと淫らによがらせた。

 「アキラ様!手が指が!すごい・・・ああ!」

 「いじって、強く!激しく!」

 「では、歌夜も各務も、その体を戴きましょう」

 小波を抱きしめていた腕をそれぞれ二人の股間に移動し、そこの割れ目に三本の指を入れた。刀ではなかったが、やっとアキラにしてもらえたため蜜の出る量が入っただけで倍になった。

 「あああ!アキラ様。も、もう!私!」

 「い、入れたばかり、でも、と、とぶ!」

 床でよがって狂って動く姿が淫靡に見え、ついには指を全部入れた。

 「「あああああああああ!」」

 それだけで二人はビクン!と跳ねて、そして一気に絶頂した。

 「あ、あ、ああ。あああ、ご主人様!わ、私も、私も~~!」

 アキラにしがみついていた小波も性の刀に快楽の海に沈んでいった。彼女の顔もさっきの二人と同様、もう情欲に溺れ愛に溺れる女の顔になっていた。 

 「さあ、小波」

 「はい!ご主人様。ご主人様~~。愛、愛してます~~!!!」

 割れ目から更に蜜を出したと同時に、アキラもその割れ目の奥に自分の愛を注いだ。ビクビク!と体が跳ね、後ろに倒れていった。アキラの刀も抜け彼女の割れ目からはアキラの愛が流れた。

 「・・・次は各務ですよ。まさか、もう満足というんじゃないでしょうね」

 「はあ、はあ、お、お願い。アキラ、あなたのあれ。欲しい」

 割れ目を広げられる範囲まで広げ、濡れ濡れとなったそれに入れてほしい気持ちを伝えた。

 「では、いきましょう」

 「うん!あう!ああ、あああんん!」

 各務の割れ目に入った。小波は歌夜と二人で胸をせめられた。

 「だ、あ、ああん。ああ」

 「小波、ふふ、淫らよ」

 「歌夜様。こそ・・・」

 割れ目をせめられたおかげで、体の感度がとても高くなった三人の体。各務は更に割れ目にせめられたので、快楽の深海までいったのか既に意識が保っているかどうか怪しい。二人の方は胸をいろんな角度から触られ、いじられ、揉まれて、じらされているためどんどん感度が高くなった。

 そして、数分ほど続くと、再び絶頂の時が来た。

 「「「ああああ!・・・大好き、アキラ様」」」

 「私も、心から愛してますよ」

 三人の体を最も敏感にしたのは、その愛のささやきだった。各務の割れ目から刀を抜いて、最後の歌夜の番となった。その彼女は既に

 「アキラ様・・・もう、もう。ダメ」

 体も心も、いや、魂すらもアキラを求めている。それを彼女自身感じていた。割れ目から出る蜜の量が誰よりも多いのがそれを証明している。

 「ダメです・・・あなたにすべてを、何もかもを捧げます。アキラ様、どうか、どうか。誰よりも、淫乱に、してくだ、さい」

 「わ、私も・・・私も」

 「ご主人様。お願いします。もう、もう・・・小波はあなただけのもの」

 「・・・分かりました」

 三人の必死とも見える願望を受け入れ、歌夜の蜜壺に自身の性なる太刀を入れた。

 

 その後も三人の嬌声が響いていた。そして、三人ともたくさんアキラの愛を受けて淫らな笑顔でなった。最後に三人は

 

 『『『この人の、妻に、女に、ものになれて・・・嬉しい』』』

 

 満足そうに、幸せそうに、アキラの愛を全身に浴びて眠りについた。

 




 
 原作では小波はぼこぼこにされましたが、各務が助けに入りました。

 最後は閨の様子を出しました。

 次は間章になります。そこでもエロを一つくらい書こうかな・・・


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間章16-1 気づけば好きになっていました R-18

 こんにちは、紅虎とアキラのあの刀を渡すところでもガチで泣いた三MENです。

 今回は間章です。相手は頑張っている二人とその一人の親です。



 3月18日 秋子とのエロ表現追加。


 

 北条への嫌がらせと春日山城下での草排除を続ける中、アキラ隊の準備はおおよそ完了した。今は城下に降りて、街の様子を見ているアキラ。

 「あの二人はどうしているでしょうか?」

 街も兵が多く、いろいろとにぎやかになっている。そんな兵をまとめるあの二人の事が頭によぎり、訊ねてみることにした。

 

 二人のいる空の屋敷に足を運んでみた。

 「ううう、忙しいよ。終わらないよ~」

 「何なのですか、この仕事の山は!しかも山の数が増えていきますぞ!」

 「愛菜、どうしようか・・・少し休む?」

 「いえ!この程度で休んでは、樋口愛菜兼続ともあろうものが空様の為に頑張っているとは言えませんぞ!」

 「うん、頑張ろうね!」

 明らかに忙しそうな声が聞こえていた。

 「ふむ、これは声をかけづらいですね」

 今、声をかけたら空気が読めない人間だ。しかも、他国の自分達がその仕事を手伝うのは、空の風評被害にもつながる。だから、二人には頑張ってもらうしかない。

 「私ができることと言えば」

 「ねえ、愛菜。ここってどうすればいいと思う?」

 「それは空様。こう計算すれば」

 「なるほど、ありがとう」

 「何の!空様の為なら・・・と言いたいのですが、こちらはどうでしょうか?念のため、確認をお願いしたいのですが」

 「そうだね・・・こう書き直せばいいんじゃない?」

 「おおお!素晴らしいですぞ!さすがです、空様!」

 「・・・食事の準備くらいですかね」

 忙しさと同時に声の量も増えた屋敷を後にした。

 

 アキラはあるものを庵樹に作ってもらって再び空の屋敷に向かったが、既に日が沈み夜になっていた。

 「お、終わったですぞ」

 「や、やっと・・・今日の分が終わったね」

 力尽きた二人の声が聞こえた。元気も明るさもない、本当に疲れ切った声だ。

 「ま、まさか食事をする間もないとは」

 「でも、今から食べても、遅いよね」

 「では、これくらいはどうでしょうか?」

 そう言い、部屋の戸を開けた。

 「どや!誰ですぞ!」

 「あ、アキラ様?」

 「はい、アキラ様です。疲れの頂上まで行ったお二人にお土産です」

 二人の前に、持って来たものを見せた。

 「なんと?これはいったい」

 「何なのですか?」

 「南蛮のお菓子、『かすていら』というものです」

 庵樹に作ってもらったものはカステラだった。旅をしていた時に庵樹が作り方を覚えたので、これなら仕事の後にちょうどいいと思ったのだ。

 『皆の分も作ってやらないとね!』

 でもアキラ隊の分まで作っていたら、後先考えずにどんどん作ってしまい結構な量になってしまい、持ってきた分も二人分どころか六人分はある。

 「な、南蛮の菓子・・・き、聞いたことがあります。何でも、一口食べれば天にも昇るような最高に美味だとか」

 「最高の美味・・・」

 「どうぞ、自分はもう既に食べた後なので全部お二人でどうぞ」

 二人の目の中にはハートマークがあった。完全に夢中になっている。

 「どや~!!これらを我らだけでいいと!黄金に輝く山が今目の前にありますぞ!」

 「そ、そうなのですか・・・それでは」

 「「いただきます!!」」

 二人の食欲はアキラも唖然とするくらい凄かった。

 

 よほど腹が減っていたのか、全部平らげてしまった。

 『残りはお二人の親の分と思っていたのですが・・・まあ、いいでしょう。満足させるために持ってきたのですから』

 空はお茶を飲んでホッとしており、愛菜は大の字で寝転がっている。

 「満足ですぞ・・・それにしても、どこに売られていたのですか?」

 「そうだね。こんなにおいしいなら、美空お姉さまにも食べてもらいたいです」

 「その事ですが、実は作ったものですよ。私ではないですけど」

 「どや!なんと!」

 「えええ!あれを手作りですか!」

 二人してアキラに迫った。

 「そうですよ。何でしたらお二人とも教えてもらって、秋子さんや美空に作ってあげてはどうです?そちらの方がもっと喜びますよ」

 「み、美空お姉さまに手作りを・・・」

 「う~む、確かに作れるようになれば母上にも空様にも喜んでもらえる。でも、今の愛菜は武を強くなるべき!でも、あんなに喜んでいたのなら・・・どや(@_@;)、どーん(;゚Д゚)、どやどや(◎_◎;)」

 何やら愛菜が考え込んでいって、どや・どーんと言いながら一人でそのままこちらの声が聞こえなくなった。

 「あの?愛菜は?」

 「あの、たまにああなるんです。考えがまとまらないと」

 「なるほど、まあ、もし作りたいと思ったら言ってください。先生もいますので」

 「はい!あの、この後お時間ありますか?」

 「ええ、大丈夫ですが」

 「できれば・・・一緒にいたいのですが、いいでしょうか?///」

 顔を赤くして、アキラの服を引っ張って言った。

 「ええ、いいですよ。では一緒に月を見ましょうか」

 「はい!」

 

 二人は縁側で寄り添うように座り、一緒に月を見上げた。

 「あの、アキラ様・・・本当にありがとうございました」

 「?何がです?」

 「私を、支えていることです。今日だって、こうして食事も作ってくれて」

 「いいのですよ、私がやりたいと思っただけです」

 「そこが優しくて・・・あの、私」

 さらに顔を赤くして、アキラの膝に空が座った。少し驚いたが、そのまま空のしたいようにさせた。

 「本当に嬉しいのです。美空お姉さまと愛菜以外で、こんなに一緒にいたいと思った人はいないのです。しかも、男性で・・・」

 「あなたは信念を持って私の質問に答えた。そのあなたの信念に答えるべきだと判断した。それだけの事ですよ」

 「それでいいのです。だって私は今・・・」

 空がアキラに接吻した。

  

 「ただの空として、いられるのですから」

 

 その行動に驚いたが、彼女の想いの籠った一生懸命な行動なので受け止めた。

 「私を美空お姉さまと会わせてくれて、あの言葉を言った後すぐに支えてくれて、私を安心させてくれる。私の為に一生懸命やってくれた・・・私は、そんなあなたが」

 次の言葉とした時だった。

 

 「空様・・・愛菜がお守りいたしますぞ。むにゃ」

 

 全然声が聞こえなくなったと思ったら眠っていた愛菜。寝言が聞こえて空は一気に顔を真っ赤にして、慌ててアキラの膝から飛び降りた。

 「あの、その、えっと・・・アキラ様、この戦いが終わったらお伝えしたいことがありますので、また・・・屋敷に来てくれませんか?」

 俯いて更に真っ赤になった。そして、頑張って想いを振り絞って言った。 

 「分かりました。終わったらまた参ります。では、失礼します」

 その気持ちをしっかり聞いて、アキラは屋敷を出た。

 

 次の日、アキラは一つ忘れていた。

 「さあ、アキラ様はっきりしてください(ジロ)」

 「そうっすよ。話してくださいっす!」

 「話せば楽になる」

 アキラは秋子に呼ばれて彼女からお茶をもらって飲んでいる。前には秋子と柘榴、そして松葉の三人がいる。

 「お茶を飲んで誤魔化しても無駄です。早く話してください、どうしてあの時間に空様の屋敷を出たのですか?」

 そう、愛菜の存在だ。彼女が中々屋敷に戻ってこないから、仕事の終えた母親の秋子が迎えに行ったら、その現場を見たらしい。

 「アキラさんって、空様とそういう仲だったんですね~」

 「何で、そういう考えになるんですか?」

 「空様の傍にいられる男って、アキラだけ」

 『・・・確かに自分で言ってましたね』

 空の言葉を思い出し、苦笑いをした。

 「いいですか、アキラ様。美空様が最近意識し始めている中、まさか空様まで「愛菜も」そう、愛菜ってなあ!」

 ぼそっと言った松葉の言葉に、秋子は大きく反応した。

 「確かに・・・愛菜って最初はアキラさんの事を嫌っていたけど、今はむしろ空様と同じように照れているっすね」

 「秋子・・・娘に先を越された」

 二人の言葉で、更に秋子の動揺が大きくなった。

 「なああ!あああ、そ、そんな愛菜・・・アキラさん!まさかあなた!」

 「・・・・・・何か、話の筋が変わっていっているような」

 松葉の小さな一言のおかげで話は変わったが、秋子が少し気の毒に思えたアキラだった。

 

 その後、何とか落ち着いた秋子は柘榴と松葉を説教した。だが、その説教の後に二人そろって部屋から出て行った。

 「・・・・・・」

 だから、今は秋子とアキラの二人っきりだ。

 「あの、さっきの事ですが」

 「は、はい」

 「あの二人の仕事があの時間まで続いたため、あの時間でしか会えなかったのです」

 「は、はい」

 「ですので、秋子さんが思っているようなことはありませんよ」

 「は、はい」

 秋子はさっきから同じ返答しかしない。

 

 『接吻したことは言わない方がいいですね・・・空君とだけでしたが、今の彼女にそれを言ったら愛菜にもしたと思われそうですし』

 『先は越されてないのよね!だったら、今、そう今でしょ!今しかないわ!とても気になるし。私や美空様の為に、娘を取り返してきてくれた・・・この人にだったら』

 

 お互い無言になった。アキラはそろそろ引き際と考え、

 「・・・あの、私そろそ「アキラさん!私!あなたの奥さんになりたいです!」はい?」

 引き下がろうかと思った時に、秋子からいきなり妻になりたいと言われた。

 「えっと、秋子さん?」

 「あの・・・私、以前から考えたんです。アキラさんの事、よそ者なのにどうしてここまで頑張ってくれるのかって」

 「それはさっきいなくなった柘榴と松葉からも言われましたね」

 「でも、そんなこと途中からどうでもよくなって・・・今はただアキラさんの事が、好き、なんです!」

 秋子自身も何を言っているのか、半分くらいわかってないのだろう。でも、それでも自分の想いを必死になって伝えた。

 「詩乃さんや鞠さんが妻になっていることを聞いて、羨ましいと思った時に美空様が妻になっていいと言ったことがあったのです・・・アキラさん、私本気です!本気で、あなたの妻になりたいのです!」

 真剣な顔でアキラの手を握り、勢いのまま服まで脱ぎ始めた。

 「お、落ち着いて」

 「無理です!お願いです、私を抱いてください!私をあなたの妻にしてください!あなたのものに・・・してください!」

 ついに出た自分の大きな胸を揉ませた。

 「・・・分かりました。本気ですね」

 「ん!は、はい・・・あなたの、あああ、あなたに、愛されたい、あん!です」

 アキラも服を脱ぎだした。下の袴を秋子が脱がせていき、出てきたアキラの性刀を見てゴクリと唾を飲んだ。

 「アキラさん。素敵です」

 「秋子さんの大きな胸も素敵ですよ。柔らかくて、揉みがいがあり、淫らな気持ちにさせるこの胸は素晴らしいです」

 「あの・・・私のこれを」

 「乳首も、いじりがいがありますね」

 両方の胸の突起をこするようにさすりながら、二つとも引っ張った。その刺激に秋子がビクンとはね、太ももの奥にある割れ目が濡れ始めた。

 「ああ!すごい・・・これが、女の、快感。アキラさん、わ、私が、胸で・・・あ、あなたのこれ、を」

 顔を赤くドキドキしながら、アキラの性刀をおっぱいで挟めた。おっぱいの暖かさが刀を通じて感じたため、アキラは顔には出さなかったがとても気持ちよかった。

 「どうです!気持ち、はあはあ、いいですか!」

 「・・・ええ、いいですよ」

 それが秋子の恥ずかしさを強くした。顔を見れなくなり、視線を体にずらした時に、やっとアキラの体の傷に気づいた。

 「え・・・あ、アキラさん!こ、この傷の多さって!」

 「今、気づいたのですか?まあ、強くなるためについたものですよ」

 あっけらかんに説明したアキラだが、秋子のドキドキはさらに早くなり、割れ目から出る水の量が多くなった。

 「・・・アキラさん」

 目も熱に侵されたみたいになった。そのまま刀をおっぱいで包んだまま、刀の先端にキスをして、口の中に入れて、絶対に離さないという思いで精いっぱい舌を動かした。おっぱいも左右から動かしていき、アキラはどんどん気持ちよくなった。秋子の方も自身の動かすおっぱいの快楽に、体と心がアキラを求めていった。

 「うん!うん!もっと、アキラさん・・・」

 「っく!で、出ます!」

 刀の先からアキラの熱いあれが、秋子の口の中に放たれた。出し終えたアキラは秋子の口から抜いた。熱いあれが秋子の口から出て、彼女の体を流れていき、あの割れ目にたどり着いた。

 口の中に残ったアキラのあれを飲み込み、完全に欲情しきった秋子。部屋の端に寄せた残っていたお茶で口をゆすいでそれも飲み込んだ。

 「出た・・・でも、ここに、出してほしかった」

 「大丈夫、ですよ。まだ、まだです」

 「あ、ああ、つ、ついに・・・あうううう!」

 アキラも秋子のそのいやらしい裸体に我慢ができなくなり、肩を掴みそのまま押し倒して太ももを開かせた。灯に照らされた秋子の熟れた肉体は汗もかいて艶やかな魅力も加わって、アキラの欲情はとても高まった。

 「では・・・」

 アキラは彼女の淫靡な雰囲気に感化され、性刀から性太刀になったものをすぐには入れずに先端でいじっていた。

 「びりっと、きま、した・・・女の、悦び。素敵です」

 「秋子さん、どうです?」

 「・・・もう、意地悪しないでください」

 はやく、一つになりたい。もっとアキラを感じたいという懇願するような眼をするが、そこで意地悪心が働いた。

 「そうですか・・・では、やめましょう」

 「え!そ、そんな!」

 「意地悪なのでしょう?だから、やめたのです」

 「い、いや、いやです!」

 涙を流し脚を広げるだけ広げ、割れ目をもっと広げた。よく見ようとすれば、彼女の恥部の奥まで見えそうなくらい広げていた。

 

 「アキラさん。お願いです、私のこの穴に・・・このお〇〇〇に入れてください。アキラさんの入れてほしいのです。アキラさんを感じたいのです。何でもしますから!」

 

 秋子はもう恥も外見もすべてを燃やした。ただただ、アキラに滅茶苦茶にされたいその気持ちだけでいっぱいだった。

 「・・なら、その願いを叶えましょう」

 秋子の濡れ放題のその割れ目に、ついに太刀を入れた。

 「いき、ますよ!っく!こ、これは!」

 「あ、ああ、ああああ!う、嬉しい、嬉しいです。アキラさんに、もっと、あ、あ、ああ。激しく、もっと強く!」

 既に秋子は自分で体を動かしていた。その大きなおっぱいが上下左右に動く。激しく動くおっぱいにアキラの心臓は早くなった。

 「アキラさん。アキラさん!」

 「・・・きた」

 ついに女性の壁に刀が到着した。

 「いきますよ」

 「・・・はい」

 頷いて了解した。

 「あああああ!い、痛い・・・けど、嬉しい。嬉しい!」

 アキラに壁を貫かれた際、抱き着いてキスをした。口の中では激しい舌の戦いが始まっていた。

 「ああ、ちゅちゅちゅ、幸、せ。じゅりゅりるり」

 上の口も下の口もアキラにせめられ、秋子はどんどん涎を蜜を出す。アキラの体に押し付けたおっぱいと乳首がこすれるたびにその量も増えていく。

 上の口の責めが終わり、お互いの顔を見せあった。

 「あああ!きますきます!あ、だ、出して!私を、私を~~!」

 「ええ!いきます、いきますよ!」

 下の方で動きの速さが増した。二人とも限界突破をしているが、まだ求めたい気持ちが強かったのか、必死に我慢していたがとうとう最後の時が来た。

 「で、出ます!い、一緒に!」

 「あああ!いいい、くくく~~~!あ、アキラさん・・あ」

 自身の体の中にさっきの口の中に入ったものが入ったのを実感した秋子。嬉しい気持ちが一気に沸き上がって涙を流した。

 「アキラさん・・・幸せです。嬉しいです・・・あなたに女をささげられて」

 アキラにまたキスをして、しばらく抱き合った。彼女の割れ目からはわずかな隙間を通って彼女の蜜とアキラのあれが混ざったものが流れ出た。

 

 あれから熱も冷め、落ち着きを取り戻した。ある程度掃除をした後に服を着て、秋子はアキラとの情事を思い出していた。

 

 『アキラさん♡。ああ、この人にならいつまでも抱かれたい。どんな時でも抱きしめられたい。本当に・・・この人にだったら私の全てを・・・嬉しかった。私、やっぱりこの人の事・・・うん!もう一度言おう!私の本当の気持ちを伝えるために!』

 

 その情事に酔いしれていたが、今度は妻として告白したいと思った。だが、その際に表情をいろいろ変えたのでアキラは不思議がった。

 「あの?秋子さん?」

 「はい!あの、ありがとうございます!後、私すごく嬉しかったです!これからはあなたの妻として「やっほ~~!終わったっすか!」ってきゃあああ!」

 せっかく秋子の一世一代の告白だったのに、柘榴が邪魔をした。アキラも秋子しか意識してなかったので気づかなかった。

 「そろそろかなっと思って「(ゴゴゴゴゴ)柘榴ちゃん」え、あ、しま!」

 秋子の手が柘榴を掴んだ。ミシミシという音が聞こえていたのは気のせいではなかった。

 「私の・・・一生懸命の、告白を」

 「あ、秋子さん。あの・・・わ、悪かったっす!」

 「謝って済むほど、私の心は許せないわ!」 

 「ああああ!あ、アキラさん!へるぷみ~~」

 呆然としたアキラに助けを求めるが、結局そのまま引きずられていった。

 

 「そこまで、一生懸命だったのですね・・・なら、こちらも一生懸命の愛を持って答えないといけませんね・・・これから先、妻として一生懸命愛していきますのでよろしくお願いします」

 

 アキラの久遠と同じくらいの熱い告白、しかし。

 「ざ~~く~~ろ~~ちゃ~~ん~~!」

 「ぎゃあああああああ、許してください~~」

 柘榴への制裁で聞こえていなかった秋子であった。ちゃん♪ちゃん♪

 




 というわけで記念すべき100話目は秋子さんのエロでいきました!

 100話記念話も書こうと思います!う~ん、何にしようかな?

 あともう一つ間章あります!


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間章16-2 もう、ごまかせない・・・/// R-18

 こんばんは、三MEN・・・ちょっと具合が悪く二日ほど留守にしてました。

 だいぶ良くなったので復帰します!今回はひねくれさんとツンデレさんです。


 3月30日、エロ表現追加。


 コンコンコンと小さな木槌をたたく音が聞こえる。

 「そうです。それくらいの力加減で」

 「分かりました」

 アキラは刀の調整をしている。その彼に指導しているのが、

 「これで、二本目とも終わりましたな」

 「ええ・・・でも、どうしてそんなに離れているのです?」

 「い、いや、何でも・・・」

 いつもの「いやはや」が出ない顔を赤らめている幽だった。最初は一葉と鞠も一緒にいたのだが、詩乃に呼ばれて今は二人きりだ。

 

 『おかしいですね・・・いつもならいじくってくるはずなのに』

 

 そういう話題を出してアキラをからかおうとする幽だが、全くなく刀の調整も指導だけだった。

 『ううう、どうしても二人きりですとあの時の事を・・・ああ、どうして某は』

 「ゆ~みん、どうしました?顔が赤いですよ」

 「な!ななな、何でもないです!ないですので、近寄らないでください!」

 ビクッとして、すぐにアキラから更に離れた。

 『・・・もしかして、あの時の(間章13-3)の事を考えているのでしょうか?』

 『ううう!そう見つめ・・・いや目蓋は開いてないですが!でも、何か見つめられる気持ちにさせられると、アキラ殿に抱かれたことを思い出してしまう!というか、どうしてここまで某が焦らないと』

 「ゆ~みん、夢と思わせたかったあの事を思い出しているのですか?」

 「!!!!Σ(・□・;)」

 見事に言い当てられてしまい、顔を更に真っ赤にして俯いた。

 「なるほど・・・私は夢と思わないでいましたが「い、い、言わないでください!あ、あれは」では聞きます。幽はどうして夢にしておきたいのですか?」

 ずいと近寄る。後ろに移動、更に近寄る。どんどん後退。

 「さあ、逃げ場はありません。正直に言ってください」

 そして、ついに壁に背をつけた。しかも、角に追い込んで両手で挟むように壁ドンをして退路を断ったので逃げられない。

 「私は、あなたが妻になろうとしてくれて嬉しかったというのに」

 「そ、某は。そ、そんな気持ちは」

 この言葉で、何故幽があれを夢にしたいのかがやっと分かった。

 「そ、某は、妻になる気はなかったのです・・・」

 「なかった・・・ですか」

 そう、なる気はなかった。それが夢にしたかった理由だった。夢ならあんなことをしても大丈夫。ということにできるからだ。

 「はい・・・でも、アキラ殿は妻になる女性以外とは抱かないとおっしゃりました。ですが、あの時。アキラ殿の意識がぼやけているのを見て・・・ここしかない!と思って」

 そこまで聞いたアキラは少しだけ考え、そのすぐ後に突然幽の服を脱がした。

 「な!あ、あ、あ、アキラ殿!だ、ダメです!・・・だ、だって」

 慌ててやめさせようとするが、アキラの力に幽が適うはずがない。

 「だって?一葉や双葉を裏切る行為になる。と思っているのですか?」

 「い、い、いいえ!お二人は、私がアキラ殿の妻になることは賛成です」

 「では・・・何がいけないのでしょうか?」

 「あ、あの、お二方と・・・同じ」

 同じ、この言葉を聞いた時アキラはついに押し倒した。そして、どんどん破かないように、だけど力任せに脱がしていった。

 「ど、どどど、どうして!」

 「幽、決めました。あなたを無理矢理妻にします」

 「そ、それは!だむぐ!」

 無理矢理キスをして、言わせないようにした。

 「(むちゅ、ぴちゃ、ごく、じゅる)!!!(バンバン)」

 力強く抱きしめ、唇を合わせたキスを熱い濃厚なキスに変え、

 『あああ!駄目です!そ、びりびりする!つよい、強い!』

 胸を力任せに揉み、下のあの部分も指を乱暴に動かした。

 『あ、ダメ・・・そ、それ、がし、何も・・・考え、られ。ない』

 その乱暴に叩いていた手が降ろされ、力も抜けていき、意識も手放そうとした時だ。アキラは突然すべての行為をやめた。

 「あ。何故・・・」

 「同じだから、いいじゃないですか。二人だって望んでいるなら、それで」

 そういうと、再び動かした。

 『ひぐ!あう!ち、ちく、びがああ!な、舐められる!』

 乳首いじりに、舐めも追加した。

 「あぐ!うう!だ、ダメ・・・です。あああ」

 もう拒絶しない。早く抱かれたいという顔だ。

 「いったい、どこが嫌なのですか?」

 「嫌、じゃ、ない、のです。私、だって、嬉しい・・・でも、私は」

 「私は?」

 遂にアキラのあの刀を出した。それを見てごくりと涎を飲んだ幽。

 

 「某、いえ私は・・・あなたに、滅茶苦茶にされたい・・・皆と、同じ、滅茶苦茶に・・・何も、考えられ、なくなるくらいに・・・抱かれたい」

 

 ついに、我慢できなくなり吐露してしまった。

 「つまり、一葉や双葉、アキラ隊の皆と同じ抱かれ方が嫌ということですね」  

 「い、いや。そうじゃなくて!」

 でも、間違った解釈をしたアキラは何も聞かずに刀を幽の股の鞘に入れた。以前は優しく愛を分かち合うように入れたが、今回は完全に無理やりだ。

 「ひぐう!!!」

 さすがの幽もいきなりの刺激に体がはねた。

 「なら・・・今はあなたを滅茶苦茶にします!」

 「あう!あああああ!すごい!駄目!ああ、でも!・・・もう」

 完全に意識がアキラに任せることを選択した。それだけ快楽に身を支配されており、目には♡が見えるくらい蕩けた顔になっていた。

 「では、やらせてもらいますよ」

 「は、は、はい・・・滅茶苦茶に、して、ください」

 この言葉でアキラの攻めが始まった・・・と思いきや、幽の蜜の溢れた鞘に刀を入れても、全く動こうとしない。

 「アキラ殿・・・どうして、動かして、くれない、のですか?」

 「・・・・・・」

 すると、無言で鞘から刀を抜いた。

 「え・・・どうして」

 「言ったでしょう。無理矢理すると」

 幽の後ろに行き、いきなり床に押し倒した。さっきの鞘に再び刀を入れた。

 「う、後ろから何て・・・もう、だ、だ、だ、ダメ・・・」

 ただ、彼女はアキラの姿が見えにくくなり不安になった。

 「ふふ、何を言っているのです。ここからはもっとすごいことをしますよ」

 「え?あ、な、め、目が!」

 ニヤリと笑い、今度は近くにあった布の一部をとって、幽に目隠しをした。

 「み、見えない!い、いやあ!」

 「・・・」

 不安を更に増長させるように、そこから先は喋らなくなった。

 

 『あ、アキラ殿!本当に・・・今、アキラ殿が私を・・・こ、怖い!』

 

 アキラ以外に抱かれていると思わせて、その恐怖を与えている。無言のままどんどん腰を動かして快楽の頂点にいかせようとした。幽も怖いと感じる中、鞘から蜜がどんどんあふれ出る。

 「ああ!もう、もう、腰が・・・勝手に!」

 幽の両腕を後ろに回し、縛った。更に顔を固定し、口も声が出せないように余った布を入れた。これで完全に拘束された状態になった。

 「あ、むむ~~!む~~!む~~~~!」

 その姿に、アキラは加虐心が生まれ、幽の方は自虐心が生まれた。

 

『ああ、何でしょう。アキラ殿にどんどん淫乱にされたい。淫らにされたい。アキラ殿ならどんな命令も喜んで聞いて、淫乱なダメ女になりたい・・・そんな気持ちになる』

 

 そして、その二つの心が一つになる。

 「む~~~~~~~!」

 アキラの刀から出た加虐の白が、幽の自虐の心に染められた。頭も心も真っ白にされたような感覚を幽は感じた。力尽きたようにぐったりした幽を見て、目隠しと口に入れた布をとった。

 「あ、アキラ殿・・・こ。怖かったです」

 「・・・」

 でも、無言のままだ。腕も後ろに回されたままだ。そのまま覆いかぶさり、胸を攻め始めた。

 「後ろから、ああ、揉まれる。たくさん、いじられる・・・アキラ殿。もっと、どうにでもしてくだされ。某、どんなことでも」

 そして、そう言った時だった。

 「幽さん、失礼しま!」

 「歌夜~どうしたです?」

 部屋の襖を歌夜と綾那が開けたのは。

 「え、ええええ!」

 「歌夜~、幽、いたです?」

 「お、お二人とも!え、ええと、これは!「幽がどうしても滅茶苦茶にされたいと言ったので」ちょ、むちゅう!」

 言い訳しようとした幽の口を左手の指を入れて言えなくする。そして、その間も胸を揉み続けて蜜を出させた。

 「あ、綾那!見ちゃダメ!」

 「ええ!どうして目をふさぐです!」

 「ダメですよ、言い訳しちゃ。さっきの言いたいことを言いなさい」

 「む、むぐう!むぐぐぐ!」

 まだ見られていることに恥ずかしさを持っていた。それを逆手に取り、

 「いやなら、やめますよ」

 「え・・・、そ、それは」

 こっそり耳打ちをした。そして、やめるの言葉に負けて、ついに・・・認めた。

 

 「歌夜殿・・・アキラ殿の、ひぐう!言う通り、で、です。そ、某・・・アキラ殿に、あん!、滅茶苦茶に、淫乱に、されたいと・・・うぐ!頼み、ました、あああ!」

 

 言っているときも責め続けるアキラ。それに負けて淫らな顔を見せる幽。その顔を見て歌夜は思わず股をスリスリした。

 「そ、そうですか!で、では!」

 綾那を引きずるように出て行った歌夜。いなくなったのを確認して、幽を褒めた。

 「どうでした?誰かに見られてやられるのは?おかげで、私のこれがあなたの出続けた蜜のおかげででびしょ濡れですよ」

 見えなくても、既に感触でそれが分かっている。今までで赤くなった幽。

 「い、意地、悪、ですぞ・・・うう」

 「でも、好きでしょう。ふふふ」

 「・・・・・・はい」

 小さく肯定して、もっといじってくるアキラにされるがままの幽。乳首をいじられ、ビクンとする。首筋を舐めり、更にビクンとする。尻を叩き、もっとビクンとする。アキラにされる全てが、幽の快感に変わっていった。

 「アキラ殿!アキラ殿!アキラ殿~~~~!某は、もう」

 「ええ、最後までいきましょう!」

 喘ぎ声をどんどん高くしていき、自分も知らないうちに腰を高くしていき、

 

 「あああああああああ!」

 

 幽の声に刀を抜き、彼女の背中を真っ白に染めた。

 「満足・・・え、まだ、ああ!駄目!あ、アキラ殿!な、何故!」

 幽はとても満足そうな顔をしていたが、彼女の状態などお構いなしで、アキラは第二戦に突入した。

 「あなたが言ったではありませんか・・・滅茶苦茶にしてほしいと。ですから、徹底的にしますよ」

 「あああああ!そ、そんな。某はもう・・・あああああ!」

 襲い掛かるアキラになすすべなく、幽はそのままアキラの好きにされた。

 

 

 「ずるいぞ!幽!お主だけそんなに強く抱かれて!」

 「鞠だってしてほしいの!」

 「二人とも、これが幽の私への愛なのです」

 放心状態になっている幽。結局勘違いしたまま、幽の自分への愛を説明した。羨ましいとギャーギャー言う二人を、何とかまだ残っている意識で幽は見た。

 

 『・・・何か、もうどうでも、良くなってしまい、ました・・・某が言った、同じというのは、妻になったらお二方と同じになると言う事だったのに。どこで話が、変わってしまった、のでしょうか・・・でも、アキラ殿の妻・・・もう、なっちゃいましょう。ここまでした以上、一葉様と双葉様同様ずっと離れませんからな。愛しておりますぞ、そして・・・離れませんぞ、我が主で・・・某が決めた愛する旦那、様』

 

 妻になる決意をして、意識を失った。

 

 それとは別に、

 『ううう!あんなに幽さんを乱れさせるなんて。アキラ様、あそこまで力づくに襲うこともするのですか!どうしましょう・・・あんな風に襲われたら、あ、ぬ、濡れちゃってる。あああ、もう、ダメ・・・わ、私も。されたい』

 目撃した歌夜の悶々とした夜が始まった。

 

 

 その後、戦いが終わったらやると言って二人を説得してその部屋を出ていった。

 「ふむ、何かとんでもない約束をしたような・・・でも、それで喜んでいたなら良しとしましょう」

 一葉ならともかく、鞠にするのはいささか危ないのでは?と思わないアキラ。

 「さて、とりあえず部屋に・・・?」

 その時、自分の隣を通り過ぎようとした侍女が自分の手に紙を渡した。

 「・・・美空様」

 それだけ言って通り過ぎた。

 「なるほど。さて、何のようでしょうか」

 紙に書かれている目的地に足を動かした。

 

 そして、目的地の毘沙門天堂に着くなり

 

 「このスケベ!」

 

 いきなり罵声を受けた。思わずキョトンとするアキラ。

 「・・・私の事ですか?」

 「当然じゃない!一体どれくらいの女を抱いたのよ!」

 「・・・それが私の用件ですか?」

 「・・・あ、な、何でもないわよ!」

 慌てて取り繕う美空。

 「最初の発言で、何を思っていたのか容易に見当がつきますね」

 「ふ、ふん!あんなに奥さんいるんだから、そう思って当然じゃない!しかも、全員あなたに抱かれたいと思っているし!というか抱いているし!」

 「でも、いきなりスケベと言われるとは思いませんでした(実際、さっきまでスケベをしてましたけど、これは言わないでおきましょう)」

 その鋭い指摘に、こっそり自分自身にツッコんだ。

 「それで呼んだ理由は?私を罵倒する趣味をするために呼んだのですか?」

 「そんな趣味ないわよ!ああもう!その話はここで終わり!私が聞きたいのは」

 からかいながらも用件を聞いた。今の空と名月の戦況をアキラなりに説明、二人はどんな気持ちを持っているかを説明した。

 「美空が聞きたい事と言ったら、それくらいだと思ってましたよ。でも、罵声を浴びせる趣味を持っていて、私にそれをする「いい加減にしなさい!」はいはい、分かりました」

 「くううう~~~!」

 手玉を取られたことに悔しそうにする美空。

 「ふふ、確かにここまでにしましょう。すいませんでした」

 そう言って頭を撫でた。

 「な、何をするのよ!」

 「ダメですか?久遠にやると大人しくなりますが」

 「・・・織田の当主様も、旦那には強く出れないってことかしら」

 「いいえ、妻として甘えたいのですよ」

 「何よ、私は」

 「妻じゃない。今はそんなの関係ないですよ」

 美空に顔を近づけた。その間も頭を撫で続けた。

 

 「あなたはずっと心に鎧を着ている。久遠もそうでしたよ・・・彼女はまだ私が来る前から妻もいたから脱ぐ機会もあったけど、あなたはいない」

 

 真剣に言う言葉に反論できなかった。

 「ずっと必死になって我慢するしかなかった。辛いのですよね・・・今回の事が」

 「・・・そうよ。娘が二人戦う。不安でいっぱいよ」

 遂に弱音が出た。俯き、泣きそうな顔になった。

 「その言葉を聞けて良かったです。あなたに親の思いがしっかりあること、それが確認できて安心しました・・・私は捨てられた身なので、自分の親なんて顔すら知りません」

 「捨てられた?」

 その言葉が出たことにビックリした美空。

 「ええ、商人の息子として生まれたらしいですが、おそらく儲けを優先して私を捨てたと思っています。そこからは悲惨でしたね・・・でも、それがあったからこそ狂に出会えましたけど」

 「狂?」

 「向こうの世界で一番強い漢です。私は彼の二番目に強い漢になる。その時こそ、ずっと背中を向けていた狂は私に向いてどっちが一番強いか。それを決めるために戦う。それがずっと私の持っていた目標であり、生きる意味でもありました」

 笑顔で話すアキラに見惚れる美空。

 「っと、私の過去の話はどうでもいいことでしたね。では」

 頭を撫でていた手を離した。

 「・・・ふ、ふん!」

 照れて横を向いたが、文句を言わない辺り撫でられたことに不満はなかったようだ。

 「ふふふ、喜んでいただけて何よりです」

 「ご、誤解するんじゃないわよ!」

 「(にこ)ええ、分かってますよ」

 だが、その笑みは確実に美空の焦りを大きくする笑みだった。

 「絶対に違う分かり方でしょ!ああ!もう、分かったからさっさと帰りなさい!」

 「そうですか・・・それと、頭を撫でてほしいなら、いつでもしてあげますよ」

 「(かああ)いい加減に「失礼します」なさい!」

 真っ赤になってアキラを追い払った美空。だが、

 

 『我慢している・・・か。悔しいけど事実ね。五分五分ならと言ったけど、やはり二人の娘が戦うのは正直見たくない。二人とも可愛がっているのに・・・こんな立場じゃなかったら』

 

 一人残った美空はアキラの言われたことを思い返した。

 

 『頭、撫でてもらったの初めてだったわね・・・あいつの言う通り、ずっと鎧着て生きてきたし、周りが脱ぐことを許さなかった。でも、今は関係ない・・・あいつの顔を見るたびに顔が熱くなる。あいつの顔が頭から離れない。何より、「あなたのような当主として、親として、そして一人の女性として強く生きようとする女性は私は好きですよ」・・・この言葉。これが私の気持ちを、想いを、そして愛を気づかせた。やっぱり私、あいつの事、アキラの事・・・好きになっている。愛している』

 

 自覚してもその言葉を出さなかった美空がついに心の鎧を完全に脱いで、今まで隠していた想いが出した。

 

 『妻・・・か。同盟は妻にならないとダメというわけじゃなかったけど・・・なってみようかな。あいつなら、どんな私でも・・・受け入れてくれそう。ただの美空として見てくれそう。私、自分をごまかすの、やめよう、かな』

 

 そのまま、一人で静かにアキラの事を想いこれからの自分はどうしようか考えた。

 

 




 今回は中々心を見せない二人を書きました。

 幽に至っては強引に開く必要もあるので、アキラを強引に動かしました。

 美空の方は優しくされることがあまりないので、それを出来る限りして想いをはっきり間違いないという自覚を持たせました。

 次は本章再開です。ついに戦いが開始です!
 


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五十九振り目 やるべきことをやりましょう。

 こんにちは、風邪がぶり返した三MENです。
 
 皆さんも気を付けてください・・・では空と名月の戦い、まだぶつかり合いまではいかないですが始まります!


 4月27日 最後に秋子と貞子の自慰を入れました!


 これはとある日の二条館。

 「久遠様!やっときました!アキラ様の情報です!」

 「本当か!和奏!」

 「ああ、よかった。やはり生きていたのですね」

 「あやつが死ぬわけなかろう。我らの夫がな」

 「・・・でも、その情報がちょっとね~~」

 「どうした雛?早く報告せい!」

 「うん、したいのですけど内容がとんでもなくて・・・」

 「とんでもない?犬子、アキラはいつもそれをやっているだろう」

 「そうですよ、驚きませんから早く!」

 「「「・・・分かりました」」」

 

 「「「織田久遠の夫アキラは越後の春日山城で当主長尾景虎の娘を誘拐して、その娘を手籠めにして当主、更には部下も我が物にしようとしている。という噂です」」」

 

 「ま、まあ、アキラらしいと言うか。でも、越後まで行っていたのだな」

 「た、多分すでに誑されていたのをそう勘違いしたのでは?」

 「壬月様と麦穂様の言う通りだと、ボク達も思うのですが」

 「普段のアキラ君を考えると、否定できないんだよね~」

 「うんうん、だから犬子達も半信半疑なんです」

 「(ゴゴゴゴゴ)アキラ。いくら騒ぎを起こせと言ったが、国の女を全員誑せとは言ってないぞ!」

 第一正室は怒りに燃えていた。

 

 そして、どうしてそんな噂が流れたのか?

 『誘拐だけじゃ、面白くないだろう?(・∀・)ニヤニヤ』

 『全く一二三ちゃんは・・・(;一_一)』

 面白好きな彼女の仕業だった。

 

 アキラは眠りから覚めたが、すぐ困惑した。

 『何で、布団の中に二つの気配があるのですか?』

 今日はついに空と名月の後継者を決める日ということもあり、奥さん達との閨もやめてしっかり休むために文句を言う彼女達を説得して一人で寝ていた。

 『この気配は、アキラ隊じゃないですね』

 隊の誰かであれば、まだアキラも困惑しない。自分の布団に忍び込むことはアキラ隊の妻達なら大体やっているからだ。だけど、この二つの気配は彼女らではなく、感触からすると裸であることも分かる。

 「さて、誰でしょうか」

 布団をめくると、そこには朱雀以外の隊の皆が持っていないメロンが四つあった。アキラはすぐに布団を戻した。

 

 『ううむ、私もついに幻を見るようになりましたか。クビラはいつ私に幻を「あ、おはようございます。アキラ様」「ひゃ!お、おはようございます!」・・・やはり現実でしたか』

 

 クビラの幻術に陥った現実逃避をしようとした時に、そのメロン四つの持ち主はアキラに向かって挨拶をした。

 「ええと、どうして私の布団に?貞子さんに秋子さん・・・」

 メロンレベルの大きなおっぱいを持つこの二人がアキラの布団に潜っていた。貞子は堂々と見せ、秋子はおっぱいの先端を隠して話している。

 「あの、その、貞子さんが・・・」

 「秋子がアキラ様の妻になったのなら、私もなろうと思いまして」

 「・・・それと布団に潜ることが何の関係が?」

 「妻ならアキラさんと布団でいろいろするのが役目ですから」

 「あの、私は止めたんですけど・・・一緒に寝る誘惑に抗えなくて」

 真っ赤になる秋子とアキラの肩に手をかける貞子。

 「では、おはようの接吻「おはようございます、お頭!今日は・・・え?」あら?少し待ってくださいね。おはようの接吻をしますから」

 唇を近づけようとした矢先にひよが襖をあけて入ってきたが、裸の二人を見て固まった。でも、貞子はそんなのお構いなしに接吻した。

 「ひよ~。お頭起きたって、どうして固ま」

 「ハニー!さあ、今日はついに・・・」

 「三人とも、どうして動か・・・」

 そこにころに梅、詩乃がやってきた。そして、ひよ同様固まる。

 「ほら、秋子さん。次はあなたですよ」

 「えええ!そ、そんなことを」

 「何言っているの。おはようの接吻くらいどうってことないでしょう」

 「・・・そ、そうですね!」

 先に貞子がやったことで、気合が入ったのか、未だ唖然としているアキラに接吻した。

 「「ああああああ!ずるいぞ(の)!」」

 一葉と鞠がやってきて大声を上げた。そのおかげでやっと四人の意識も戻った。

 「お頭。ついに長尾勢まで手を出して・・・」

 「一人になるってこういう事だったのですか!」

 「ハニー、そんなにおっぱいが好きなら私が!」

 「アキラ様・・・詩乃のおっぱい、大きくして下さい!」

 「二人とも!なぜここにいる!というか、主様~次は余の番じゃよな!」

 「アキラ!鞠も口づけするの~~!」

 「おやおや、ずいぶん刺激的な朝ですな~」

 「・・・(ゴゴゴゴゴ)巨乳死すべき(# ゚Д゚)」

 「歌夜~、おっぱいってそんなに大きい方がいいですか?」

 「ええっと・・・その、アキラ様が好きならいいんじゃないかな?」

 「・・・私も大きくするべきか。でも、それだとお守りするのに支障が」

 この幽達も二人の叫びを聞いてやってきた。雫は暗黒面に落ちて殺気を込めた視線を貞子と秋子の胸に送っていた。

 

 『えっと・・・今日は何をするんでしたっけ』

 

 どんどん騒ぎが大きくなっていく中、アキラは再び現実逃避をしていた。

 

 

 朝の騒がしいトラブルもあったが、二人の決戦が始まった。名月と空はこれから始まる戦いへの決意を兵に告げ、決戦の地にそれぞれ足を進めていった。

 「ついに戦いの幕が上がりますね」

 「はい。それにしてもアキラ様。本当にあの三人は参加させないのですか?」

 「ええ、決戦となれば三人も相当力になれますが」

 あの三人、というのはこの隊で最も高い力を持つ桐琴に時人と朱雀の事だ。

 「それも考えましたが、今回は越後の連中が手柄を得るための戦いでもあります。他国の私達が暴れまくってはいけません。それでも、一葉という不安材料もありますが」

 「そうですか・・・分かりました。朱雀さんの参加はなしですね」

 「それに時人さんと桐琴さんは大きな強さを持っていますからね」

 この三人が今回の戦いに参加しないのは、そういう理由があったからだ。空の勢力に手柄を取らせるために、二人を外し朱雀を世話係にした。

 「では、出陣と「先に行ってください」え?」

 「アキラ様?「ほらほら、先に行くの」あ、鞠ちゃん!」

 疑問に思う詩乃と雫を鞠が引っ張って行った。

 「・・・大丈夫ですよ」

 「うん」

 完全に自分一人だけになったのを確認して、声とともに姿を現したのは美空だ。

 「・・・始まりましたね」

 「ええ・・・あのね。二人とも私に大切な娘なの」

 恐る恐る必死に言いたいことを思いをアキラに言おうとする美空。

 「そうです」

 「アキラ・・・お願い。できることなら、できることなら、二人を」

 「はい、そこまでです」

 その先を言おうとした口をふさいだ。

 「いいですよ、そこまでです」

 「む、う、うん」

 彼女は赤くなって頷いた。

 「私も行きます。あなたは、二人が手をつないで戻ってくるのを待っていればいいのです」

 「・・・わかった」

 「信じてくれてありがとうございます。では、行ってきます」

 「うん、信じる。行ってらっしゃい」

 アキラは彼女の頭を少し撫でて、美空は嬉しそうにそれを受けた。

 

 戦が始まった。そんな中、ある二人が急いでいた。

 「はあ、はあ、一二三ちゃん。急ぎすぎ」

 「おや?そんなに急いでいたかい?」

 「そうよ。ふ~~、落ち着いた」

 「ふむ・・・そうかもしれないね。何しろ、いろいろと活躍しているあのアキラ殿が今回はどんな手を打つか。それを見たくてうずうずしているかもしれない」

 「そこまで入れ込んでいるなんて、一二三ちゃんにしては珍しいね」

 「自分でも驚いているさ。大津で会ったのは本当に偶然だったけど、春日山城下で会って以来、不思議と目と意識があの者を追うようになっているんだ。あのアキラ殿には何かあると」

 「こうした戦いに巻き込まれている辺り、否定できないね」

 「ああ。さて、任務の確認と行こうか」

 「同盟関係である北条に知られないように、長尾空景勝に勝たせる。しかも、私達の皆に存在を知られてはいけない。だったっけ?」

 「ああ、これほど難易度の高い任務は久しぶりだ・・・燃えるね~ふふふふ」

 「全く~背中は守ってあげる。でも、その乱を求めるその性格だけは抑えるようになってよ」

 「あれ?ある程度は抑えたと思ったのに・・・まだ足りなかったか」

 「・・・どのあたりが抑えているのやら」

 一人が笑いながら移動し、もう一人はやれやれと思いながら彼女の背中を追った。

 

 遅れて出たアキラが空の隊の中にいるアキラ隊のメンバーに合流したとき、何やら賑やかだった。

 「あれ、どうかしましたか?何かひよが落ち込んでいるように見えますが」

 「ああ、お頭。何、ひよさんが頼りになってきたな~って話です」

 兵の一人がそう言ってきた。つまり、彼女でいじくっていたという事だ。

 「そうですね~。ひよがいないと隊も成り立ちませんからね。ひよ、いつもありがとう」

 「そ、そんな!えへへへ~」

 『『『『『単純・・・』』』』』』

 ひよの頭を撫でて、状況の確認をした。その中で、詩乃から第三の勢力がいるという情報を聞いた。

 「小波がそう言ったのですね」

 「はい!私は、それが武田だと思っています」

 「雫の言う通り、私もそう思います」

 二人の話でアキラが思い当たったのは、春日山城下で会い仕官を探している名目でいろいろ見ていたあの油断できない武将だった。

 「「アキラ様?」」

 だが、彼女らが視線を向けても今はこの戦いが最優先だ。

 「その事は放っておきましょう・・・皆さん、私達にはやるべきことを伝えます」

 「やるべきこと、ですか?」

 「空様を勝たせることだけじゃなくてですか?」

 ひよところの言葉に頷き、全員の視線がアキラに集中した。

 

 「この戦で一番肝心なことは、空と名月を生かして春日山城に帰すということです。二人はまだ死んではいけない。これから先、成し遂げることもたくさんある子供なのです。それをできないまま死なせてはいけません」

 

 今は幸せなクビラ。でも、前の世界では・・・それが頭によぎった。

 「はいです!アキラ様、お任せください!」

 「そうですね・・・幼い子が血を見せるなんてことはしてはいけません」

 「アキラ様、存分に私達を使ってください!」

 「小波ちゃんの言う通りなの!」

 皆の同意を得られたことに内心感謝して先を進んだ。

 

 『これならできるかもしれませんね。両手を広げて待つ美空に飛び込む二人の姿を。必ず成し遂げて見せますよ』

 

 夜になり、進軍も止めて陣を作り、軍議が開かれた。どうやらアキラがいない時に空は、立場上親しげにしてはいけないのでそっけなくしたらしくその謝罪があった。

 「軍議を、始めます!」

 空の言葉で始まった軍議。ここでは米を抑えた名月勢と銭を抑えた空勢。長期戦となると名月側が有利になること、兵数は二千の差があり、名月側は地黄八幡の北条綱成がいるため参加していない武将達からは彼女が有利に見られていることだった。

 その中でアキラが疑問に思ったことは、相手の兵数は六千もいながら鉄砲を六十しか揃えてなかったことだ。

 「アキラ様、普通はそんなものですよ」 

 「うちの隊が異常なのですよ。三百という少なさで二百丁も持っているのですから。しかも、今は松平からも二百丁を借りていますので実質四百丁が今回使えます」

 「運送にはとても気を使って持ってきましたので、向こうには鉄砲の数は知られてないと思います」

 「はい!ころちゃんと一緒に春日山城下でも一生懸命草刈りをやったからね!」

 「なんとまあ・・・そんなものでしたか」

 詩乃達の話を聞き、唖然とした。鉄砲はとても高いものであることが知っていたが、百人に一つという感じにしか与えられないものだとは知らなかった。その後、鉄砲をどう有効に使うか話し合っていると、空が興味津々で話を聞き始め、詩乃と雫も策の立て方を教えたり、どんな主になってほしいのかを伝えると、彼女もも二人の先生の説教を喜んで聞いていた。

 

 『立場上、教えてもらうことがあまりなかったのでしょうね。ましてや、実戦での訓示はそれこそなかったでしょう。だから、詩乃や雫の話がとても新鮮で、参考になり、話を聞くことが楽しいのかもしれません』

 

 話を真剣に聞く空を見て、少し笑みを浮かべた。

 「あの二人も楽しそうだね」

 「ええ。素直に聞く生徒が嬉しいのかもしれないですね」

 「あんたは聞くような人間じゃないからね」

 「・・・庵樹、耳が痛いこと言わないでくださいよ」

 図星を突かれて苦い顔をするアキラを見て笑う庵樹。でも、説教はここまでとして軍議を再開した。

 

 『あの二人をどうやって生かして帰すか。ここからが踏ん張りどころですね』

 

 

 余談・・・空やアキラ達が城を出ていき、夜になるまでの間にちょっとした出来事が春日山城であった。

 「あ、あの・・・ほ、本当に、するん、ですか?!」

 「もちろん!アキラ様がいない今が好機なのだから!」

 アキラ達が泊まっていた部屋に二人の女性が入った。その二人はとても立派な胸を持つ秋子と貞子だった。

 「ううう、私、とんでもないことを・・・」

 「なら帰っていいですよ?止めませんから」

 そう言って貞子が取り出したのは、その部屋にしまわれた寝具だった。その中にある枕を一つ取り出し、今度は全く同じ別の枕を出してそれと取り変えて再びしまった。

 「ほら、これで分からないですし」

 「・・・はい」

 そして、その部屋を出た。次に向かったのは秋子の部屋だった。

 「こ、これが、アキラ、さんの」

 「さあ、始めるわよ」

 貞子はその枕に顔をうずめ、匂いを嗅いだ。

 「ああ、アキラ様。いい、いい匂い」

 顔が光悦とした表情になり、自身の股間に手を伸ばした。それを見た秋子も、

 「・・・すう、すう。アキラ、さん」

 同じように悦に浸った顔になり、彼女は両手で自身の胸を揉みだした。

 「アキラ様・・・あああう!」

 「アキラさん・・・あ、か、感じ、る!」

 貞子はもう滝の如く出ている液の口である女の割れ目に指を入れて自慰をはじめ、秋子もアキラに揉まれている妄想をしながら胸を愛撫し始めた。ここまでくれば分かる通り、二人が部屋に入りアキラの枕をとってきたのはこれをするためだった。

 「匂い、匂い、いい、アキラ様、アキラ様アキラ様アキラ様アキラ様・・・・・・(*´Д`*)」

 「う、ううん!アキラさん、私、私は・・・ああん!」

 貞子はアキラの名前しか言わなくなってきた。だが、指の出し入れは速度を上げ、液もぴちゃぴちゃと音を立てて流れていく。秋子も割れ目から液が出始めてきたので片手をそっちに向けた。

 「・・・我慢できない」

 すると、貞子はいきなり自慰をやめ部屋を出ていった。秋子は疑問に思ったが、枕からのアキラの匂いに顔に蕩けが入ってきた。

 「アキラさん・・・抱かれ、たい」

 秋子がついに服を脱ぎ、肌襦袢だけになった。そこに貞子が戻ってきた。その手には布団が握られていた。

 「あの、貞子さん・・・それって、まさか」

 「アキラ様の布団、ちゃんと、私の取り替えてきた」

 「つ、つまり、今朝の、あの、布団!」

 「うん・・・あとこれ」

 そう言って出したのは、二本の人参だった。そこからは口にしなくてもわかった。貞子も肌襦袢だけになり、両者ともに早速布団に入った。

 「これを、アキラ様の」

 「アキラさんの・・・お〇〇〇」

 「「(;゚д゚)ゴクリ…」」

 そして、彼女らはお互い一本ずつ持ち舐め始めた。アキラのあれと思って、愛おしく根元から先まで舐める秋子に、先を口に加えて上下に動かす貞子。二人ともすでに涎が口からはみ出ていた。

 

 『『アキラ様(さん)、あなたの。あなたの・・・』』

 

 今度は胸の間に挟めて先をちゅばちゅぱし始めた秋子。ドキドキして汗が全身から出てきた。貞子の方は、我慢できなくなって涎だらけの人参を、割れ目に入れた。

 「あ、あああ!アキラ、様~~!」

 そう思うだけで、既にびく!とした。顔がアヘってして、それを見た秋子はアキラの人参で・・・されたいと思った。

 「あ、ん、あ、あ、ああ、アキ、ラ、さん。あうううう!」

 貞子ほどではないが、秋子も割れ目に半分ほど入った人参を出し入れ始めた。

 「アキラ様のが、ああ、ぺろ、ちゅる」

 「アキラさん・・・もっと、汚して」

 涎が既に乱れておっぱいにかかっていた。それがアキラのあの液に見えたのか、下の動きをやめずにそれを舐めだした。

 「アキラ様の匂い、アキラ様のが、ついに・・・ああ、包まれて、無理やりやられて」

 「香り・・・今、抱かれて、入れられて・・・お、犯されて」

 二人は布団からくるアキラの匂いで、妄想のアキラに無理矢理犯されていることが快楽になっている。いや、アキラにならどんなことをされてもそれが快感になり

 「も、もう!だ、め、淫乱に、メスに、奴隷に・・・して~~!」

 「アキラさん、なら・・・もっと、もっと!あなたの、犬に、犬に~!」

 どんどん、やばい考えになっていく・・・秋子が左、貞子が右に布団の端を自分のおっぱいに挟め、割れ目の中のあの一番の快楽のボタンに当たるようにつけた。そして、体を上下に動かした。

 「「あああ、感じる!淫らに、淫乱になる~~!」」

 布団が割れ目からの液と口からの涎で濡れていき、脚でがっしり絡め、おっぱいの挟めている部分も感度が高くなっているため、もはやその布団は二人にとっては快楽を高めるための淫具(どうぐ)だった。

 そして、ついに・・・、

 「「あ、アキラ様(さん)!あ、ああああ!いいいい~~っく~~!」」

 二人は絶頂を迎え、アキラの布団はおろか自身の下半身全ても割れ目からの淫乱液でびしょ濡れにした。

 

 その後貞子はとても満足して寝てしまったが、秋子は頭が冷えて自分がしたことに唖然としていた。

 

 『ど、どうしましょう!あ、アキラさんに・・・滅茶苦茶にされたいと思って、淫らに慰めてしまうなんて!で、でも、私を、妻にしてくれたし。空様や愛菜の人質の時だって、私や美空様の為に必死になってくれたし。あああ!もう、駄目!あの人の事を考えるだけで、さっきみたいなことされたいと思っちゃう!それ以上のことだって、されたいと思っちゃう!貞子も、ここまでしたんだし。わ、私、も・・・され、たい』

 

 だが、彼女の中で大きなスイッチが入った瞬間だった。

 




 二条館の様子とアキラへの朝駆けをした二人もどうでした?

 では、次はアキラ隊。出動です!


 4月27日・・・朝駆けだけでは物足りないと思い、昼自慰もいれました!秋子に入ったスイッチ、そうそれはやる気と書いて淫らと読むスイッチです!


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六十振り目 隠して出す。それが面白い。

 こんにちは、三MENです。

 中々、風邪が治りません。でも、黙っているのも辛い・・・さあ、出ますよ・・・小夜ちゃんのあれが。



 6月8日 桐琴の自慰を追加しました!


 空、名月の両陣営の夜の軍議が行っている中。城の方はというと、

 「ほう~、アキラは巨乳好きか」

 「そうじゃ!儂の胸によく顔をうずめるのじゃ!」

 「私のもおっぱい枕にしてよく寝てました。ああ、あの時の快楽はいつも思い返しています」

 「よかったのう、貞子に秋子。妻となったのならお主らの胸は喜んでもらえるぞ」

 桐琴と朱雀の言葉に、沙綾は二人をからかった。

 「ええ・・・戦いが終わったらもっと・・・」

 「は、はい!あ、あう(*ノωノ)」

 「なら、柘榴のおっぱいも好きそうっすね!・・・アキラさんならいいっす!」

 「松葉も、アキラなら」

 「おお!松葉もついにアキラさんに!」

 「では、戦いが終わって戻ってきたら早速皆でやってみたらどうじゃ?」

 「それはいい案じゃ!よし、閨の時に侵入しておっぱい祭りをやるぞ!」

 「「「おおおおおお!」」」

 「え。えっと、やっていいのかしら?」

 沙綾の提案に皆に参加を持ちかけた桐琴。朱雀・柘榴・貞子はその言葉に乗り、松葉も無言で頷いており、秋子は恥ずかしがりながらも参加することを決めた。

 「・・・何でこうなったの?」

 「・・・アキラは一言もそんなこと言ってない気がするんだけど」

 何故か今回の戦いの話をするつもりが、アキラおっぱい好き談義になっていた。話しをし始めたのは沙綾で、そこから先はこうなってしまった。巨乳でない美空と時人は疑問に思いながらも、やはり気になるため皆の話をそのまま聞いていた。

 

 そのアキラおっぱい好き談義が終わり、それぞれの部屋に戻った。

 「うふふ、アキラ様・・・ああ」

 「(スヤスヤ)」

 二人ともしっかり寝ている。だが、朱雀は寝ながら自慰をしていた。自分の胸を揉み、秘所をいじり責め、夢の中でアキラにどんな責め方をされているのか。どんどん秘所を濡らし、布団も濡らしていった。もう一度言う、本当に彼女は寝ている。

 桐琴はと言うと。

 「思えば初めてじゃ。旦那の事を愛おしく想いながら酒を飲むのは」

 まだ起きており、部屋を出て縁側で月を見ながら酒を飲んでいた。

 「越前の時は無理矢理あやつを押し倒してイライラを納めてくれた。何だかんだで最後まで付き合ってくれた・・・全く、こんな気持ちは本当に初めてじゃ。じゃが悪い気分じゃない。むしろ、この想いがますます熱くなる」

 瓢箪の酒をグイッと飲み始めた。少しだけ口からこぼれ、それが彼女の首を伝って桐琴の胸に来た。そこで瓢箪から口を離した。

 「ふ~~、ん?零れておったか・・・どれ」

 彼女はその酒をおっぱいを持ち上げて舐めた。別に大したことなかったが一つ思いついた。

 「・・・もし、アキラが舐めたら」

 目をつぶり、アキラに舐められる想像をして、残っている酒を舐めた。すると、ビリっと快感の電気が体に走った。

 「ぬお!な、何じゃ・・・あやつに舐められると思ったらいきなりビリっと来たぞ!ふ、ふふふ、これはいい」

 今度は酒を少しだけ指にかけた。

 「これはアキラの指・・・そう、あやつの」

 酒のかかった指を口に含んで舐めた。そのまま指を舐め続けた。

 「ん、ふ、ぺろ、ちゅぺ。はあ、はあ、じゅる」

 徐々に舐めていた酒は既に舐め切ったが、やめることなく続けた。月明かりに照らされたその姿はとても魅惑的だった。指を口から離した。

 「アキラにされていると思うと、ここまで体が熱くなるのか。しかも、これ以上ないほど気持ちいい・・・越前の時の同じくらいに」

 笑顔で布の胸当てをどかしておっぱいを丸見えにして、両方のおっぱいを酒をかけて、同じように両方の胸をアキラに舐められている想像をして舐めだした。

 「はあ、ふふ、アキラ。ちゅちゅ、ぺろ、だ、大胆。じゃ」

 彼女の秘所から彼女自身の酒が出て下着も濡れまくっていた。おっぱいにかけた酒も体を伝って秘所にたどり着いていた。だが、気にせず続けた。

 「アキラ、お主、ううん!も、もっとじゃ、もっと・・・うう!お主になら!」

 下着を脱いでその秘所を右手で責めていた。廊下に横たわり左腕で両方のおっぱいを持ち上げ、左手で片方の乳首をいじり、もう片方の乳首に吸い付いていた。両方の責めで桐琴の体もビクビクしていく。顔も体もよがっていき、涎が頬を伝っていく。

 「あう!く!す、凄いぞ!は、ははは!さ、さすが、う、く、ああ!あ、アキラ、じゃ、わし、が、本気で、つ、う!が、がああ!ほ、惚れた、お。漢、じゃ」

 越前でのあの交わりを思い出し、桐琴の体が一気に快楽に支配された。周りの事を考えず、アキラにされている妄想と欲望で自慰を続けた。

 「アキラよ!嫁の、わ、しを、一気に、いかせろ~~!」

 ついに叫んだ。見られても構わない。胸の方も秘所の方も責め続けた。数分後・・・彼女は絶頂(た)った。

 「あ。は。ああああああ!あ、アキラよ~~~!」

 絶叫に近いくらいの高い声で自身の酒を秘所から出した。火照った顔で月を見ながら呟いた。

 「ふ、は、ははは、これは、はまる。アキラに。あやつにされていると思うと、これ以上ない快楽が襲った。満足じゃ・・・もっとやりたいところじゃが。今回はここまでにするか・・・続きは夢でじゃ。さて・・・ふふ、おやすみじゃ」

 彼女が寝る挨拶を言うのは珍しい。それを言う理由は、途中からだが彼女は気づいていてから、むしろ見せつけるような自慰を続けた。最後に、その者に向けて挨拶をしたのだ。

 『な、な、何てことを、私の城で、やっているのよ!』

 その気づきとは、とあるツンデレさんがその現場を見ていたことだ。

 『あ、あれって、ほ、本当に・・・気持ちいいの?あんなに気持ちよさそうに、淫らに、周りを気にせずやっていた、う、ううう!ち、違うわよ!』

 違う!と思っても、頭からは桐琴の痴態が離れないし体は正直だ。既に欲情して胸のドキドキが止まらなくなり、股から彼女の蜜が流れていた。

 『し、しかも、あいつの名前を叫んで・・・だ、ダメよ!そ、そんなことを!』

 慌ててその場を走り去った。だが・・・

 『ほ、本当に、あ、あいつに、されると、どれだけ、い、いいの、かしら?』

 徐々に、快楽への階段をのぼろうとしていた。

 

 

 「朝ですか・・・」

 アキラは空の本陣から少し離れた丘の近くにいる。昨日の軍議で、本陣の近くには六つの丘があり、そのどれかを抑えておけば存在をアピールでき嫌がらせにもなるということで、そこをアキラ隊で抑えることになり一番近い一の丘を制圧完了した。

 

 『・・・・・・まあ、いいでしょう。どうやら、邪魔はしないみたいですし』

 

 その制圧途中であの武将の視線を感じた。春日山城下で会った際に同じ視線の感じ方だったので覚えていた。もう一人いたみたいだけど、妨害はしないみたいなのでそのままにした。

 「最初はうまくいきましたが、おそらく私達の動きは向こうにも知られている。と考えた方がいいでしょう」

 「そうですね。何しろ、この先の丘は御館側からしても急所にあたる部分にありますから」

 「なら!次は二の丘ですね!」

 「でも、少し休憩が必要だね。休まずにここまで来たし、落ち着かせる必要がある」

 アキラの傍にいるのは綾那と歌夜、そして庵樹だ。もう一つアキラ隊を分けた別の隊で、一の丘より外側にある四の丘を制圧させるために大将を鞠にして小夜叉、梅に鉄砲隊を用意している。

 

 『何故じゃ!主様。何故余を出さない!』

 『先陣を切りたがるからですよ・・・しかも旗を立てて』

 『当然であろう!余の強さを知らしめるまたとない』

 『鬼相手ならいいですが、今回は越後の内乱です。将軍である公方様が空様の味方をしたと知られたら空様はおろか双葉様にも迷惑が掛かります』

 『う、なら、旗を立てない!これならよいじゃろう!』

 『そうしたら、声を出すでしょうが・・・あなたはおとなしくしてください』

 『鬼が出ればいいのじゃな!・・・出ろ、鬼。出ろ、鬼。出るのじゃ!』

 『は~~、とりあえず手綱は持ってますので行ってきてください』

 

 この隊を分ける際の悩みの種である一葉は、幽のおかげで抑えられた。でも、未だ導火線に火はついている状態だが・・・。

 

 余談は置き、時間も立ちアキラ達は一の丘に偽兵を置き、二の丘の確保も成功した。ここから三の丘の確保だが、アキラは句伝無量を持ちもう一つの隊に連絡を取った。

 『どうです。そちらは大丈夫ですか?』

 『ハニー!ああ、私の心配をしてくれるのですね』

 『ええ、敵兵は?』 

 『ちんくしゃという敵がいるだけで、周りはいませんわ』

 『こっちもちょろぎさえいなければ、敵はいねえぜ』

 『『やるのか(ますの)!!(バチバチ)』』

 『もう!二人とも、アキラの援護をしないとダメなの!』

 『『う・・・ごめんなさい』』

 『そういうわけだから、アキラ。こっちは・・・あれ?』

 『な!皆のもの鉄砲を構え!』

 『背中は任せておけ!』

 『うん!皆、頑張って!』

 そこで句伝無量から声が聞こえなくなった。アキラの険しい顔つきに何かあったと気づいた三人。

 「向こうで何かあったみたいです・・・聞く限り敵兵が出たみたいですが」

 「じゃあ、向こうが襲われたって事かい?」

 「そうみたいですね・・・三の丘。もう目の前ですが、どうします?」

 「捨てましょう。二つの丘を確保しただけでも、なんとかできます」

 「はい!じゃあ、皆。向こうのアキラ隊を助けに行きます!」

 「全員、駆け足!です、ドーン!(* ̄0 ̄)/」

 「・・・綾那、その口調。直してなかったんだね」

 アキラ達、一の丘・二の丘制圧できたが、三の丘制圧できず。

 

 その頃、鞠達はというと。

 「ひゃっは~~!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \。いや~~、血を見ることがあまりなかったから楽しいぜ!」

 「全く、本当に鬼じゃないか疑いますわね」

 「梅ちゃん!鉄砲隊は!」

 「大丈夫です。いつでも撃てますわよ」

 「よ~~し!」

 敵兵を討伐していた。そして、鞠の掛け声が響いた。

 

 「みんな~~、もうちょっとしたらアキラ達が来てくれるから頑張るの~~!」

 

 この声に兵達もやる気になった。

 「鞠様って本当にいいよな!」

 「ああ、絶対に守ってやりたいって思えるぜ!」

 「できることなら、鞭で打たれたい!」

 「「「何考えているんだ。お前は!」」」

 別の方向のやる気もあるが、士気は高まった。

 「皆さん!行きますわよ!鉄砲隊、構え~撃て~!さて、鞠さん・・・ってあれ?」

 「小夜叉!鞠も手伝うの!」

 「ああ、もう・・・鉄砲隊の皆さん!鞠さんを助けますわよ!」

 前に出た大将を助けるために梅も前に出た。  

 

 相手側は風魔の忍軍だったが、束ねている姫野は驚いていた。ただの隊として見て戦ったため、被害が五十を超えたからだ。

 「ナニコレ・・・ナンナノ。ウソヨ\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?」

 「お頭!片言になってますよ!」

 「っは!何でもないわ!っく、こんなにとんでもない強さなんて聞いてないわよ!」

 「それで、どうしましょう!」

 「こうなったら・・・私が出るわ!」

 こっちも大将が前に出た。

 

 鞠達の方は、前線で二人が戦っていた。

 「小夜叉ちゃん!結構派手な人が見えたけど、多分向こうの隊の頭だと思うの!だから、その人を捕まえてほしいの!」

 「おお!了解だぜ!それにしてもよく見えたな!」

 「鞠、目はいいの!それにアキラ達、必ず来てくれるから」

 「その時間稼ぎもだろ。ああ、大丈夫。任せておけ!」

 人間武骨を持ち直して、再び楽しそう敵の忍び達にかかった。

 「やれやれ、鞠さん。今はこの隊の大将なのですから、動かないでほしいですわ」

 「あ、梅!ごめんなの」

 「何だちょろぎ。鉄砲隊はどうした?」

 「おほほほ!大丈夫ですわ!しっかり立て直しましたから!それより、鞠さんと戻りますけどあなた一人で大丈夫ですの?」

 その質問に、ニヤリと笑って小夜叉は大きく叫んだ。

 

 「大丈夫だ・・・来い!蛇!」

 

 「蛇?」

 梅の疑問に答えるかのように、小夜叉の周りにいきなり大きな白い蛇が現れた。しかも、何十メートルにもなる巨大な蛇だ。それを見て絶句する梅。

 「ちょ!これって、す、諏訪の、蛇神様!」

 「ふわ~~。すごいの」

 「へっへ~、こいつがいるから大丈夫だ!」

 「ど、ど、ど、どうしてあなたが。血を人一倍浴びているあなたが神であるこの蛇を宿しているんですの!」

 いきなり蛇が出たのもびっくりだが、その蛇が神でもあったため更にビックリ度が大きかった梅。

 「う~ん。母と一度小牧に鬼をぶっ殺しに行った時に、でっけえ蛇が目の前に現れてな・・・殺して食った」

 「く、く、く、食った~!あなた、人間じゃなくて鬼なんじゃありません?というか、鬼以外ありえませんわ!」

 「へ~、鬼呼ばわりか。悪くないな!」

 「は?」

 「鬼小夜叉長可!よし、これで行こう!」

 唖然とする梅をほおっておいて、敵の全殺しを再開した。

 「夢を見ているのでしょうか・・・初めて見た神がちんくしゃに従っているなんて」

 「ほら!梅ちゃん。早く戻るの!」

 鞠に引っ張られて、元の位置に戻り始めた。その後、全殺しが完了したのか小夜叉も戻ってきた。

 「あ!今、アキラの匂いがしたの!多分、敵の後ろを突くつもりなの!」

 「なるほど。よし、それを信じて持ちこたえるだけだな!」

 「そうですわね。ハニーの匂いの事を後で聞けばいいですし」

 「よっしゃ!てめえら!わかっているな!」

 「皆!もう少しなの!頑張るの~~!」

 「「「「いよっしゃああああ!行くぞ!全ては鞠様の為に!」」」」

 この鞠の激に、再度兵達が違った気合を入れて敵にかかった。

 

 

 それぞれの隊が戦っている中、ずっと周囲の索敵をしていた小波は先に風魔忍軍の大将の傍まで来ていた。  

 『ご主人様が来るにはまだ時間がかかる。ここで私が時間を稼がないと・・・それにしても、あの派手な衣装の草。あれが本当にこの隊の大将なのか?う~~ん、どこかで見た気がするが・・・ダメだ!余計な雑念は捨てろ。ご主人様が来る時間稼ぎ!それだけを考えろ!』

 タイミングをうかがい

 『三、二、一・・・よし!』

 「!!」

 「っく!」

 絶好の一撃と思った攻撃も、大将の姫野に直前で気づかれ防がれた。

 「あんた!伊賀の服部!」

 「??私を知っているのか?」

 「ちょっと!あんた、御館で追いかけた私を忘れたというの!」

 「??確かに追われた記憶はあるが、お前だったのか?だが、そんなことはどうでもいい。私は私のやるべきことをやるだけ!」

 「どうでもいいですって!あんたね~~、いい加減にしなさい!」

 小波からすれば大したことない過去だったが、姫野からすれば相当屈辱な過去だったのだろう。どうでもいい扱いされて、怒りに燃えていた。

 「あんた達も手伝いなさい!」

 「「「は!」」」

 周囲の風魔も手伝い、小波討伐に意識を向けた。多勢に無勢の為、小波も苦しい立場に立った。

 「ほら!伊賀の服部!どうよ!」

 「私は、やることをやるだけ!」

 「きいい~~、まだ覚えようとしないなんて!」

 「・・・これが風魔の頭なのですか?」

 「!!!だ、誰!(どか)、っく!」

 小波への怒りで後ろを見なかった姫野が攻撃された。

 「小波、よかったです」

 「ご、ご主人様!」

 彼女の危機を救ったのはアキラだった。殺気のぶつかり合いを感じ、片方が小波と知り隊のペースに合わせて移動していたが庵樹と歌夜に隊を任せ

 「やあ、やあ、この本多綾那忠勝の武をしかと見るです!どや!」

 アキラと綾那の二人だけは先にやってきたのだ。

 「さて、それでは私達の実力を見せましょうか」

 「はいです!さあ、やってやるです~!」

 「アキラ隊、到着!さあ、皆さん、やりましょう!」

 「ほら!仲間達を助けるんだ!」

 「「「おう!」」」

 二人の登場で時間も稼げたので、その内に隊も到着して挟み撃ちにして風魔への攻撃を再開した。

 

 「くう、服部を倒せないばかりか」

 「お頭!もう、百を切りました。決断を!」

 「撤退するしかできないなんて!」

 「みな!撤退だ!撤退するんだ!」

 

 アキラと綾那が来た時点で風魔の負けは決まったようなものだ。一人で十人を簡単に倒せる二人が敵を斬っていき、その間に小波を歌夜が保護。更に、小夜叉達と合流を果たし追い詰められていく風魔。その為撤退するしか道はなかった。

 

 アキラは途中で鞠と合流して無事を確認した。綾那は風魔が撤退の際に投げ込まれた煙弾で見えなくなったのに勘を頼りに槍を振るい、煙が完全になくなった時は当たり一面忍軍の死者だらけとなった。さすが、戦国最強の武将である。

 戦いも終わり、こちらの作戦は終了ということになった。

 「ここまでですね・・・こちらの被害は?」

 「けが人はいるものの、死者はいません」

 「私達のやることは終わりました。詩乃に報告して、休憩を取りましょう」

 「は!」

 歌夜と梅に隊の皆に休むよう言った。

 

 『ふう~、一段落ですね・・・このままで終わればいいのですが』

 

 アキラはまだ終わらないだろうと思いながら、戦場の方を見た。

 




 VS風魔忍軍でした。いや~、やはり小夜叉のあの蛇はすごいですね。

 リアルに戻りますが、風邪が流行ってます。皆さんもお気を付けを!



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六十一振り目 共に手を取り合う、理想ですね。


 こんにちは、やっと風邪が治ってきた三MENです。

 年々性質悪くなっています・・・皆さんも気を付けて。

 では、話を進めます!・・・因みに空・名月の戦いは飛ばします。アキラいないですから・・・。


 「行きましょう」

 アキラ隊を一の丘に戻し、休養を取っていたらアキラが言った。

 「行くって今戦っているあの場所にか?」

 「アキラ、どうしたっていうんだ?」

 「もしかして何かが起こる。と思っているの?」

 小夜叉と庵樹と鞠の三人が訪ねてきた。

 「ええ。確実に・・・」

 そう言うと、アキラは刀を抜いた。すると刀が光っていた。

 「え?ハニーの刀が!」

 「アキラ様の刀って鬼がいる時に光るっていう?」

 「でも、光っていると鬼ってどんどん寄ってくるって言っていたです」

 歌夜と綾那の言葉に頷いた。

 「その通りです。どこかで鬼が出ている。しかし、この刀を持つ私の場所じゃない」

 「・・・もしかして、あの戦いの場に出現すると思って言うの?」

 鞠の質問に答えた時だった。怪我をしていたが索敵していた小波が戻ってきたのは。

 「アキラ様!大変です!鬼が!」

 「・・・どうやら命中したみたいですね。それで、どこで見ました?」

 「関川を泳いでいました。やつらがいた場所は今合戦をしているあの近くです!」

 小波の報告に、アキラはニヤリと笑った。

 「ほう・・・どうやら、しびれを切らしたみたいですね」

 「しびれを切らした?誰がです?」

 綾那の疑問は最もだ。全員がアキラを見た。

 「黒幕です。千人以上いるあの合戦に鬼を乱入させるのもそいつの仕業でしょう」

 「鬼が強くても、人数はあちらの方が上ですよ。いったいどうして」

 「歌夜、その理由は私を来させるためです。向こうの掌に乗ることは気に食わないですが、今回は乗ってやりましょう・・・約束もありますから」

 刀を鞘に納め、皆に指示を出しながら思い出した。

 

 『美空との約束・・・必ず守りますよ』

 

 不安そうな、辛そうな美空の顔を思い出し、そして自分も動いた。

 

 空の本陣では、アキラからの句伝無量を受けた詩乃と雫。

 「空様。今アキラ様の指示がありました。この戦い「た、大変です!い、異形の集団が乱入しました!」・・ここからは私達だけでは抑えきれない戦いになります。名月様とも連携をして、この窮地を脱しないといけません!」

 「は、はい!それに、名月ちゃんだって・・・越後を守りたいという気持ちは同じのはず!使い番そのように連絡を!」

 「っは!」

 「今はアキラ様達が来るまでここを持たせます!空様、今から言う戦い方を皆さんに伝えて下さい。犠牲を出さないまでも最小限にする戦い方です!」

 雫が伝えたやり方を空が皆に伝え、同時に激も飛ばし兵達の士気も上げた。

 『後は・・・向こうの判断次第ですね』

 詩乃は御館の方を見た。

 

 名月の本陣も混乱に襲われていた。鬼という存在を見たことも聞いたこともなかったから、いきなり現れた鬼にどうしようか焦っていた。かろうじて、朧が指揮をしているが彼女自身も混乱していた。

 「いったい、異形の集団とは何者なのだ!」

 「朧お姉さま!」

 「大丈夫!北条の兵が「申し上げます!春日山側より、使番が来ました!」・・・こんなときに、通せ!」

 通された使者はすぐに伝えた。

 「空様からのご伝言です!越後を守るためにも、手を取り合い協力し合って鬼を倒そう!との事です!」

 「な!きょ「使者さん、この北条名月景虎。それをお受けしますと伝えてください!」、な、名月!」

 名月の宣言に朧が驚く。

 「お姉さま!私は越後の北条名月景虎。越後が窮地に陥っているなら私は越後を守るために立ち上がらないといけません!」

 「・・・名月」

 「今まで守ってくれて、愛してくれてありがとうございます!私は行きます!」

 朧に一礼して、護衛の兵と共に空のいる本陣に向かって駆け出した。

 「・・・いつの間にあんなに成長して。ずっと子供と見ていた自分が恥ずかしい」

 その後、名月の言ったことを兵達に伝え連携して戦うように伝えた。

 『私も・・・成長しないといけませんね』

 

 その様子を、こっそり見ていた二人の武将。

 「ほう~~、あの子まだ小さいのにあんなに強い決意を出すなんて」

 「もしかして、助けようと思っているの?」

 「ああいうのを見ると、力になりたいって思うのさ」

 「命令とは逆のことをやっちゃうなんて・・・全く~」

 「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪、でも嫌いじゃないだろう?」

 「ええ、手伝ってあげる♪」

 

 空の本陣では、名月と合流でき二人とも喜び合った。 

 「空様!」

 「名月ちゃん。ありがとう!」

 「越後を守るためです!空様とそれができるなら!」

 「空様!名月様!アキラ様がつくまでもう少しです!お二人の激で兵を奮い立たせてください!」

 詩乃の言葉に二人とも首を縦に振った。 

 「うん!名月ちゃん、いくよ!」

 「はい!」

 「「せ~の!」」

 

 「「例え生まれが違おうと、国を守るが我らの定め!」」

 「「越後の民を守るため、猛る心で鬼を討つ!!」」

 「長尾空景勝!」「北条名月景虎!」

 「「推して参ります!」」

 

 その激を聞き春日山・御館の兵達が一気に奮い立った。ただし、その時だった。

 「どや!何ですか、地震ですか!」

 地震が戦場を襲った。

 「雫!」

 「ええ、決してあの時と同じにしてはいけません!」

 「三人とも集まって鬼が・・・足元、地中から来ます!」

 だが、そう言われてもすぐ行動できない。そして、詩乃の言葉に答えるかのように 

 

 『グルルルル!』

 

 鬼達が地中から出てきた。しかも雨まで降りだし、いきなり出たことで詩乃と雫以外は動きを止めた。

 「空様!名月さん!」

 「「あ!」」

 「お、お二人とも!」

 思わず呆然としてしまったため、隙だらけの二人にトドメを刺そうとしていた。

 

 「おおっと!彼女達は死なせないよ!」

 

 ずっと隠れていた一二三と名乗るアキラが要注意していた女性が現れ鬼を倒した。もう一人の湖衣と名乗る眼帯の女性もまたある程度離れているけど、姿を現した。

 「おお!誰か知らないけど助かりましたぞ!」

 空と名月同様呆然としていた愛菜は感謝して、すぐに二人の傍に寄った。

 「あ、ありがとうございます!」

 「助かりましたわ!」

 「何の、何の。無事で何よりだよ」

 空と名月も感謝したが、詩乃はまだ疑いの目で見ていた。

 「あ、あなたは・・・」 

 「なあに、今は、そろそろ聞こえる人達の迎えの方が大切なんじゃないか?」

 「迎え・・・あ!」

 その彼女の言葉に答えるかのように、馬の走る音が聞こえてきた。

 「おら!鬼武蔵、森小夜叉長可に斬られたい鬼はどこだ!」

 一番最初を走っていた小夜叉が名乗り上げた。

 「そんなこと言っている間に」

 「ああ!俺も獲物を取るな!」

 だが、そんな彼女を無視してすぐ後ろからやってきた綾那が鬼を斬った。

 「綾那、てんめ~!よくも~~!さっさと出てこい!蛇!」

 「へっへ~ん。早い者勝ちです!」

 小夜叉もあの蛇を出して、鬼狩りを開始した。

 「いいか!俺と蛇の殺した数が俺の点数だからな!」

 「綾那が負けるはずないです。小夜叉、勝負です!」

 最強と最凶の鬼殺し競争が始まった。

 

 「・・・え!ちょっと、あの蛇って」

 「うん、私も驚いているよ・・・守矢の神だね。こんなところにいたなんて」

 「あ、あ、あ、そんなことって。人に宿るなんて!」

 「まあ、逃げたい理由でもあったんだろうね。とりあえず、これは見なかったことにするべきだね・・・言っても信じないだろうけど」

 「目の前で見ても信じられません!」

 一二三がいつの間にか湖衣のところまで移動していた。そして、小夜叉の出した蛇を見て驚く二人。

 「よかった。ここにいましたか」

 「おや?君は・・・」

 「・・・」

 そこにアキラがやってきた。隊の方は既に詩乃に任せている。

 「話は聞きました。あなたが空君と名月君を助けたそうですね」

 「そうだよ。ま、子供が死ぬところは見たくないからね」

 「なるほど・・・ありがとうございます」

 アキラはそう言って頭を下げた。約束を守ることができる大きな仕事を彼女がしたのだ。心からのお礼だ。

 「おいおい、それは大げさ」

 「いいえ。あなたも言ったようにあの子達はまだ光輝く未来が見ることができる大事な二人です。死ぬには早すぎる。それに・・・いえ、何でもありません」

 待っている母親がいる。というのはさすがに飲み込んだ。前の二人はアキラの考えている通りなら、本来敵なのだから。

 「じゃ、素直に受け取っておきますか。私達はこれで」

 「そうですね・・・では」

 そう言い、背中を向けて一歩歩いたすぐ後に振り返った。

 「そうでした」

 眼帯の女性・湖衣に顔を向けた。

 「あなたにもお礼を言わないといけませんね。ありがとうございます」

 そう言って、再び背中を向けて去っていった。

 

 いなくなって、一二三が湖衣に呆れながら視線を向けた。

 「全く・・・って、湖衣!どうしたの!」

 「はあ、はあ、わ、私・・・生きて」

 その場で膝をつき、雨で濡れているけど汗も流していた。その姿に慌てる一二三。

 「ど、どうしたんだい?」

 「つ、強い・・・とても」

 「だから!どうしたんだい?」

 「刀に、手を」

 「うん、それをしたんだろう?」

 「かけた瞬間・・・斬られた」

 「はあ?」

 「頭の中に・・・十字に斬られる自分が、見えた」

 何とか、少しずつ落ち着きながら説明をした。

 「何と・・・私は全く感じなかったよ」 

 「手をかけなかったから、だと思う」

 「目が見えない代わりに、心が見えるという噂も聞いたけど・・・本当みたいだね」

 「うん・・・殺気を完全に私だけに、ぶつけた」

 「なんとまあ・・・とりあえず、任務完了だから典厩様に報告しよう。さて、お屋形様はどう動くかな?」

 やっと立てるくらいに回復した湖衣と一緒にその場を立ち去った。

 

 詩乃達のところに戻ったアキラ。

 「アキラ様?どこに」

 「助っ人してくれた人のところに、お礼をね」

 「あの人にですか・・・それで、何かわかりました?」

 「私の予想通りでしたね、詩乃」

 「予想通りというと?」

 「南の目と耳、と言えばわかるでしょう?」

 驚こうとする雫の口に指を着けた。言うな。ということだ。

 「これは内緒にしておくべきです。それで、鬼はどうですか?」

 「はい、鬼の侵攻がぱたりと止んだので犠牲者は出ましたが全滅させられそうです」

 「侵攻が止んだ・・・・・・なるほど」

 詩乃の報告に一瞬疑問だったが、

 「はい・・・アキラ様の予想通りです」

 「まあ、そのおかげで助かったというか」

 すぐにその理由が分かり、三人は苦笑いをした。

 

 「はっはっは!三千世界!三千世界!さ~んぜん、せっかい~~!」

 

 見てもいないのに、嬉しそうにお家流を連発する絶賛爆発中のとある誰かさんが脳裏に浮かんだ。そのそばでは呆れ顔の家臣の姿も。

 「よし、それなら後は時間・・・!」

 安堵しようとした瞬間に、刀を抜いて振り抜いた。

 

 「全く、挨拶に来てやったというのに・・・」

 

 振り抜いた先にいたのは青年だ。ただ、アキラは感じていた。

 「血生臭い・・・いいえ、鬼臭いと言った方がいいでしょう。あなたからはそんな匂いが感じます」

 こいつこそが黒幕だと。

 「やれやれ、嫌われたものだな」

 「嫌って当然。鬼を率いる者は殺すのみ」

 すぐ近寄ろうとしたが、何十もの鬼を出し壁にした。

 「聞く耳を持たぬと言うのなら、引き下がろうか・・・覚えておくがいい。この世は余が支配する世界になると。再び会うまでは鬼血を刀に浴びせるがいい」

 「あなたが言える立場じゃ・・・いなくなりましたか」

 黒幕の気配が消えたのが分かり、舌打ちをした。

 「とりあえず・・・雑魚を消しますか」

 アキラは右の刀を逆手に持ち、それぞれの刀の柄をつけた。それを前に出し

 

 「無明神風流殺人剣、ツシン」

 

 百八十度、円を描くように回した。すると、アキラから白い煙が出てきて鬼達を囲んだ。すると何故か鬼達が同士討ちを始めた。鬼達からすれば周りにいる鬼が全てアキラ達に見えているため、人間相手なら幻と気づくが考える力のない下級の鬼なら気づかないのだ。

 この技を知らない兵やアキラ隊の皆もいきなりの同士討ちに唖然としていた。だが、おかげで犠牲も一気に少なくなった。

 「さて・・・最後の一匹になりましたね」

 同志討ちを続けていったおかげで、鬼が最後の一匹になった。

 

 「あなたも見たでしょう。赤きまぼろしを」

 

 その一匹を斬って、完全にいなくなった。鬼が全部消えたと同時に雨も上がり、向こうでは兵達の歓声が聞こえた。

 「終わりましたね」

 「はい!」

 「よかったです!」

 詩乃と雫もやってきて笑顔で出迎えた。

 「乱入もありましたが、肝心の後継者はどうなりました?」

 「それなんですが、名月様が空様に後継者を譲ります。という話になりまして」

 「そうですか・・・なるほど。まさか、本当にあの旗の通りになるとは」

 自分の隊の旗を見て、小さく笑みを浮かべた。

 「アキラ様、なってほしいと願っていましたからね!」

 「刀で信念を語り合い、共に分かち合い友情を作る。今回は語り合わなくても、同じ信念だから分かち合えましたね」

 「はい!これも、アキラ様が一生懸命になったからです!」

 雫の言葉に詩乃も大きく頷いた。少し照れ臭そうに顔を向けると、空と名月の手をつなぐ姿が見えた。

 

 『美空。約束は果たしましたよ。後は待っていてください』

 

 春日山城の方を向いて笑顔でそう思ったが、すぐに真剣な顔になった。

 

 『あの男はいったい。鬼血を刀に浴びさせる?これで鬼を斬らせるのを目的にしているという事でしょうか?・・・何故、あの黒幕は鬼を斬らせる必要がある?何が目的なんでしょうか?』

 

 だが、一つの疑問も残ってしまった。

 




 シンを改良したツシン。シンは熱エネルギーで蜃気楼を起こすが、アキラは真逆のマイナスの力ヘルバーストを使って応用して作りだした技。

 今回これを出したのは、完全にあの剣技の基礎を極めたことを見せるためでもあります。

 では、あと一つ本章を書いて間章です。


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六十二振り目 う~ん、覚えていません R-18

 
 こんにちは、やっとぶり返した風邪も治りそうな三MENです。風邪というのはぶり返しが治すのに苦労しますね・・・

 では長かった第六章もそろそろ終わりになりそうです。今回は春日山城に帰った時の事です。


 6月10日 話の最後に美空の自慰を入れました!



 

 「「ただいま帰りました!」」

 あの戦いは途中で雨もあって服は汚れていたが、笑顔で手を繋いで空と名月は春日山城に戻ってきた。

 「二人ともお帰りなさい!」

 でも、構わず笑顔で出迎えて二人を抱きしめる美空。後ろでは

 「帰りましたぞ!どや!」

 「愛菜!お帰りなさい!」

 こちらもまた笑顔で出迎える秋子。

 

 『二人ともお帰りなさい!』

 『『ただいま、お母さん!』』

 

 それを見て、ゆやが双子を出迎える光景を思い出したアキラ。

 「いいものですね。やはり」

 「はい、親は子を大切に思うその姿はいいものです」

 そして、もう一つ親と子の出迎えもあった。

 「母~、帰ったぜ~」

 「おお、クソガキ。どうだった?」

 「いや~~、たくさん鬼を殺せてよかったぜ!」

 「鬼が出たという情報を聞いた時は出ようかと思うたが」

 「へっへ~~、母の出る幕はなかったぜ!」

 「言うたな、今度また手合わせでもしようかのう~」

 こっちもまたそれなりに楽しそうだ。

 

 空の後継ぎ決定の宴会が決まり、すぐに準備が始まった。アキラ達はひとまず自分達の部屋に戻った。

 「国の後継者の決定だから、相当な出来事だったのですね」

 「それはそうですよ。でも、よかったです。名月様がああいう方で」

 「綱成も名月様の考えを変えさせることをしなかったからこそ、今回の空様の後継ぎが決められたようなものです」

 詩乃と雫の言う通り、名月を溺愛しているから決まったようなものだ。

 「でも、二人なら絶対にいい国にしてくれるの!」

 「そうだね。あの二人ならやってくれると思うよ」

 鞠と庵樹の言葉に頷いた。

 「ふ~~スカッとしたぞ!それはそうと、後継ぎが決まったそうじゃな!余のおかげじゃ!(`・∀・´)エッヘン!!」

 「楽しそうに鬼を殺していただけのお人がよく威張れますね~」

 「でも、あれがあったから鬼も全滅できたし」

 「あながち、公方様のおかげと言えなくもないですものね・・・」

 一葉のドヤ顔に突っ込む幽。あの時一緒にいたひよところは苦笑いで呟いた。

 「ところでハニー。何やら黒幕に会ったと詩乃さんから聞きましたがどんな奴でしたの?私達は鉄砲で鬼を倒すことに意識を向けていたので気づけなかったですが」

 「何!それは本当か!」

 「何で一緒にいたちんくしゃが・・・って好き勝手に鬼を殺すのに夢中なら気づけないのも仕方ありませんでしたね」

 「おい、くそちょろぎ!何か言ったか!」

 「いいえ。何にも」

 「まあまあ、落ち着いてください。どうだったのですか?アキラ様」

 二人がいつも通りの喧嘩になりそうだったのを雫が抑えた。

 「ええ、梅の言う通りです。私と同じ背格好の男でしたね・・・ただ、はっきり言いますと三流ですね」

 「三流ですか・・・越前の時は上級の鬼。おそらく鬼となった朝倉義景が策や戦略を使っていたのに今回はただの乱入だけ。そう考えると確かにその通りですね」

 「詩乃の言う通り、戦いになれてない。でも、鬼を操れる。それに悦に浸っているだけの王様バカとでも言いますか」

 「それはそれで厄介ですよ。人より何倍も強い鬼を操れる。しかも、その鬼は三好衆を鬼にした薬で作ることができる」

 無知でも力を使えることに変わりない。確かに厄介と言えば厄介だ。

 「鬼の認知度が低い国でそれを使うと」

 「一気に鬼の国が越前の次にできてしまうと言うことですな」

 幽の言葉に一同言葉を失う。

 「でも、私に意識を向けているみたいなので、そっちまでは行く気配はないみたいです。それにわざわざ遠くへ行くのも面倒ですし。明らかに面倒なことはしないみたいな顔もしていましたから」

 「主様の言葉も一理あるが・・・でも奴は何故主様に?それはどうしてだ?」

 「そこまではまだ分からないですが・・・」

 やはり気になるのは

 

 『鬼血を刀に浴びせろ』

 

 この言葉だ。二つの刀に鬼血を浴びさせて何になる?でも、あいつはそれを目的で今回鬼を出したと言ってもいいのかもしれない。

 『これから先、斬り続ければ何かわかるかもしれない。気に入りませんが、あの言葉に乗せられるとしましょう。それに、この刀が手放す気は絶対にありませんし』

 「アキラ隊の皆さん!お待たせしたっす!」

 「宴会、準備できた」

 考えをまとめたところで柘榴と松葉が報告にやってきた。

 「とりあえず、今は楽しみましょう」

 「「「「「はい!」」」」」

 話しを区切り、楽しむために宴会の場に向かった。

 

 宴会場で空の「かんぱ~い」とちょっと弱弱しい声が大宴会の始まりだった。

 「ほれほれ!アキラ!飲まんかい!」

 「そうじゃぞ!楽しめと言うたではないか!」

 「まあ、某も賛同しましょう」

 酒を浴びるように飲む桐琴に一葉と幽。すでに彼女らの周りには酒の入ったお銚子・・・いや樽が見えるのは気のせいではない。

 「うん!越後の焼き魚も美味しいです」

 「そうですね、詩乃」

 「ころちゃん!お米も美味しいよ!」

 「全く、ひよはおかずよりそっちなんだから」

 アキラ隊の良心は静かに食事をしていた。

 「アキラ~~、こっちに来るの~」

 「そうですよ、アキラ様!綾那の演武を見るです!」

 「ちょっと!それはダメ!」

 「鞠様も蹴鞠をしてはダメです!」

 綾那と鞠は城下の街でやった演武をやろうとして、歌夜と小波に止められている。

 「・・・関わらないようにしよう」

 「賛成です。絶対に被害が来ます」

 「綾那が楽しそうだけど・・・まあ、だな」

 向こうの世界出身の三人は、被害にあわないよう身を小さくして食事をしていた。

 「柘榴~。まだ勝てないのか~」

 「ううう、せめて三番目だけには~」

 「何で、また」

 「だから!三番目じゃねえっていうの!」

 庭では小夜叉と戦ってボロボロの柘榴とまたつき合わされた松葉とニヤニヤしながら柘榴をからかう沙綾。

 「本当に・・・今回も無事でよかった」

 「よかったですね。秋子」

 静かにお酒を飲んで愛菜が無事でよかったことに泣く秋子に付き合う貞子・・・ただ、彼女らの傍にも酒樽があるのは気のせい、と思いたい。

 「美空お姉さま、私頑張ります」

 「私も、空様をしっかり支えられるよう頑張りますの!」

 「愛菜もしっかり空様をお支えいたしますぞ!どや!」

 「ええ、ありがとう・・・三人ともお願いね」

 主賓の空は名月・愛菜と一緒に美空に意気込みを言っていた。それを聞いた美空も嬉しそうに三人の頭を撫でていた。

 『宴会と言えば・・・う、無理矢理飲まされた記憶が、いや、ダメです。思い出すな。四聖天のあの飲兵衛共と一緒「ほれ!飲まんかい!」むぐう!』

 過去の痛い経験を思い出し、必死で忘れてようとしていた時に瓢箪を無理矢理アキラの口につけて酒を飲ます桐琴。

 「ほれ、一気、一気!」

 何時の間にか中心に連れてこられ、更に一葉の掛け声に皆も言う。

 『なぜ、さっきまで普通に食事していた詩乃や朱雀達まで!』

 考えられたのはここまでだった。そこから先、アキラの記憶は失った。

 

 次の日、アキラは自分の部屋で起きた。ちゃんと服も来ていた。いつも添い寝をするアキラ隊の皆もこの時はいなかった。

 『・・・何があったのでしょうか?昨日は一気飲みさせられた以降の記憶がありません』 

 部屋を出て確認しようと誰かを探した。

 「歌夜ぽん、おはようございます」

 「(ビク)、あ、あああ、アキラ様!お、おお、おおおお」

 「?どうしました?」

 「なななな、何でもありませしゅ!」

 すぐに見つかった歌夜に聞いたが、走り去っていった。

 「はて?何か「あ!」ん?」

 振り向いた先にいたのはひよところ、更には秋子に幽だった。

 「あ、おはようござ「「お、おはにょうぎょじゃいばじゅ!」」??」

 挨拶しようとして思いっきり動揺して舌を噛んだひよところが走り去っていった。

 「あああ、そそそ、ううう」

 「えっと、そのですな・・・あの」

 残った秋子と幽も顔を真っ赤にして俯いていた。

 「どうしました?」

 「「!!!な、何でもないです!」」

 顔を近づけると、二人も走り去った。

 「・・・秋子ならともかく、幽まであんな風になるなんて。確実に記憶がない時に何かしましたね。でも、いったい何を?」

 どれだけ思い出そうとしても記憶がない。とりあえず顔を洗おうと水場に向かった。

 

 その頃、ある部屋では昨日の被害者が集まっていた。何の被害者かというともちろん酔ったアキラに何かされた被害者である。

 「・・・まさか、主様が酔いつぶれるとあんなことをするとは」

 「役得と思えたのに・・・」

 「逆に、悶々としましたわ・・・」

 「あの、皆さん。あの後・・・やりました?」

 歌夜の質問に全員が頷いた・・・数人はその時の事を思い出したのか、股に手をやった。 

 「だって、当の本人は気づけばいなくなっていましたから!」

 「探しても見つからないなら、自分でするしかないですよ」

 「ううう、ご主人様の事を想ってすることがこんなに恥ずかしいことだったなんて!」

 「アキラは向こうの世界でも酒を飲まないから、まさかああなるなんて私達も思いもしなかったよ・・・」

 いったい何が起こったのか・・・。

 

  回想

 『ちょっと!アキラ様』 

 『ありゃ?気を失ったかな?』

 『全く、酒に弱いのか。つまらんのう!』

 『・・・でも、今なら何かするチャンスでは』

 『『『『『っは!((;゚д゚)ゴクリ…)』』』』』

 『皆!アキラに変なことしちゃダメなの!』

 『い、いえ、これは介抱であって変なことでは』

 『そ、そうですわ!鞠さん、誤解しな「(むく)」あ、起きましたわ』

 『『『『『(もう少し眠っていてほしかった)』』』』』

 『おう!起きたならもう一杯むご!』

 『な!あ、アキラ様!』

 『ぐちゅ、ちゅ、ぺろ、ごく』

 『『『『『う、羨ましい』』』』』

 『・・・っは!な、何をしているのよ!アキラ!』

 『(や、やばい!これは、お、堕ちる!せ、接吻が、とんでもない!)』

 『むぐ、ちゅちゅ、もろ、ごく、ぷぷぷ』

 『空や名月だっているのよ!そんなものを見せるの(。-`ω-)』

 『ぷふぁ・・・(がし、むちゅ)』

 『(!!!!な、何を!何をするのよ!)』

 『(・・・・・・ダメじゃ。何も、考え、られん、アキラ)』(バタ)

 『『美空お姉さま・・・』』

 『(パンパン!)(は、離れなさい!って駄目!こいつ、とんでも、う、む、あ、す、すごく、気持ち、いい・・・ダメ。ああ、何か、堕ちると言うか、そんな、感覚が・・・!!む、胸を、ああ!何を!何をする・・・の、だ、ダメ!)』

 『(っぱ)・・・』

 『(は、離れた・・・で、でも、せっかく気持ちよかった・・って何考えているのよ!でも、でも、もうちょっとして・・・ううう!)』

 『は、はううう!』

  回想終了

 

 このように酔いまくったアキラは最初は桐琴に次は美空とその場にいた全員に次々と接吻・・・しかも滅茶苦茶濃厚かつされた彼女らを欲情させるような接吻をしたのだ。しかも、快楽の頂点までもう少し!というところでやめて別のターゲットを見つけてやり、最後の松葉を終えるといつの間にかいなくなり何とか抱いてほしいが探しても見つからず、全員諦めて自慰で発散したのだ。

 「・・・今度は絶対に飲ませないようにしましょう。こんなことがまた起こったら」

 「余は発狂するぞ!」

 一葉の言葉に誰もツッコまなかった。結局あの時の事は夢ということで無理矢理納得させた彼女らであった。

 

 

 だが、頭では納得させても体はどうかと言うと覚えてしまった快楽はそう簡単に抜くことは出来ない。アキラに抱かれたことのある人達ならまだいい。そう言う快楽は少しは慣れているが・・・慣れていない者は、特にアキラを想う人物は頭から離れず・・・この人物は自室に戻って、誰もいないのを確認してやり始めた。

 「うう、ダメ。ダメなのに」

 それは何と美空だった。自分の下着が湿っていることに気づき、それを脱いで確認した。

 

 『ちゅ、むちゅ、じゅる、みゅちゅ。ぴゅりる・・・』

 

 アキラに無理やり舌を絡めた情熱かつ淫らなキスをされたことを思い出した。

 「も、もう!忘れる!って思えば思うほど」

 そう思うと、逆に走馬燈のように思い出すものだ。思い出すたびに、下着を自分の液が更に出てくる。

 「アキラ・・・接吻だけだったけど、も、もし、あれが」

 押し倒されて、無理やり脱がされて、抵抗できないようにされて・・・と思うと彼女はビクン!と体がはねた。

 「な、何!今、思っただけ、なのに、凄い、ビリってきた・・・」

 いじっていた秘所からの快感の電気に驚いた。

 「こ、こっちも、ぞくって、きた」

 こちらもいじっていた自分の乳首から全身をゾクゾクさせた。

 「あいつ・・・なら」

 アキラにされるとどう思うか・・・それを考えた時

 

 『あう!く!す、凄いぞ!は、ははは!さ、さすが、う、く、ああ!あ、アキラ、じゃ、わし、が、本気で、つ、う!が、がああ!ほ、惚れた、お。漢、じゃ』

 

 かつて目撃してしまった桐琴の自慰を思い出した。彼女もまたアキラを想ってやっていた。しかも周りの目を気にしないでやっていた。自慰に貪り悦ぶ桐琴の痴態と快楽に溺れていく姿を鮮明に思い出し、彼女のやっていた通りにやってみた。

 

 胸をいろいろ揉みながら、乳首をつねったり転がしたり

 「あうん!な、何、アキラにされると思うと、こんなに、体が、変になるの!」

 秘所をいじるだけではなく、桐琴は指を入れて動かしていたからそれをやった。

 「んく!こ、こんなの、これを、やったの!」

 一瞬で絶頂にいきそうになり、更に液が一気に出た。目を閉じてアキラにされている妄想をして、再びやりだした。

 「あ、あ、は、は、いう、あう!」

 少しずつ力加減を入れて、徐々に強くしていった。

 「あ・・・は・・・」

 数分続けていると蕩けていった。数分続けたら、

 「アキラ、アキラ・・・も、もっと」

 股を大きく広げて、指の動きが速くなっていた。あの時の桐琴同様お構いなしでやっている。そこから更に数分後、

 「好き。好き。好きよ、アキラ~~!」

 誰もいないことも影響して、ついに名前を呼びながら続けた。指がびしょ濡れになり、そこを見ながら出てくる液を見た。本来の彼女なら真っ赤になって

 

 『な、何をしているの、私は!』

 

 と言って自慰をストップするのだが、

 「もう・・・エッチ。アキラ。こんなに、濡らさせて」

 快楽に支配され、悦に浸った笑顔で名前を呼んだ。既に美空は欲情の波に飲み込まれており、アキラの名を一回呼ぶごとに、更なる快楽のスイッチが押されている。

 「いいわ!アキラ、アキラ、ああん~~アキラ~~~!」

 そして、喘ぎ声を高らかにだして自慰を続行した。数分後、

 

 「あっはあああああああん♡!ああああああああ!」

 

 最後の絶頂に達し、割れ目から液が勢いよく出た。脱力感が一気に体を襲い、その場で崩れ落ちた。

 

 「あ、あはははは、や、やっちゃった・・・あいつを、想って、やっちゃった。ど、どうし、よう・・・」

 体の熱も冷めて、落ち着きを取り戻した時はどうしようもなかった。アキラにされた妄想をして自慰までやってしまった。完全にごまかせることではなかった。

 

 「・・・うん。もう、吹っ切れましょう!私はあいつが好き!好きだからやった!そうよ、好きだからやったのよ!あ、あの女だってそうだったんだし!」

 

 桐琴がそうだから自分もそうだという認識で、自分の気持ちを受け止めた。

 「よし!好きだからやった・・・という事でいいんだけど」

 好きと言う気持ちは認めたのはいいが、今彼女を困らせているのは自慰をして出した液だ。床には結構濡れた後がある。それをどうするかが、今の彼女の問題だった。

 

 

 だが、問題はそれだけじゃなかった。その問題は美空ではなく

 「は、はうう、な、名月ちゃん。ど、どうしよう」

 「こ、ここは、こっそりいくしかないですわ!」

 「う、うん・・・すごかったね」

 「そ、そうですわね・・・はう」

 二人の娘の問題だった。

 




 
 今回のオリジナル話はどうでしたか?

 四聖天の頃はまだ酔いつぶれて眠りこけただけだと思いますが、ここではもういろんな女性を抱いているのでこんな展開にしてみました。

 では、次は間章です!


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間章17-1 姉妹の愛と病んだ愛のカタチ R-18

 
 こんにちは!やっと風邪が完治した三MENです。

 でも、更新ペースはこのままで行こうと思います。ネタがポンポンと出てこないダメ作者なので・・・。

 では、間章今回は北条姉妹とヤンデレビックボインです。

 後、今回もSDKのあの二人を少しだけ出します!


 3月25日 貞子のエロ修正しました!


 「そうですか。名月が自ら負けを」

 「ええ、空君を支えると宣言したそうです」

 「朧が、悔しいけど無理矢理納得させたような顔をした理由が分かりました。でも、今回の事は朧にもいい経験だったでしょう」

 ここはクビラの家。戦いも終わって、また三人で会おうという約束を果たした。

 「でも、残念です。せっかくよき友と会えたのに、近いうちに相模に戻るなんて」

 「歳世は北条家当主の護衛ですからね。用が済んだ以上は相模に帰るだけです」

 歳世はこの世界では、その役職を持っている。今回はアキラが越後にいると聞き、会うために朧と一緒にここに来たが、朧が作り出した戦いも納得がいかない終わり方だったが、終戦したので近いうちに相模に帰らないといけない。

 「歳世、また越後に来た際は寄ってください」

 「そうさせてもらいます。その時は名月も一緒にいいですか?」

 「はい。娘も喜ぶと思います」

 クビラは庭に目をやった。

 「上手になったの!」

 「えへへ~、お姉ちゃんに負けないもん!」

 「綾那も練習したです!」

 「うふふ、本当に楽しそう」

 娘と鞠と綾那の三人の蹴鞠を楽しそうに見るクビラの妻がいた。本当は一人で来ようと思ったが、二人に見つかって勝手についてきた。

 「空君も連れて来てみますか」

 「それは無理だと思いますよ。後継者の事と今回の戦いにおける事後処理が相当あると思うので、少なくともそれが終わらない限りは」

 「なるほど・・・明日辺りに訪ねてみましょう。アキラ隊の今回掛かった金も請求しないといけないので」

 隊の言葉が出た途端、二人が思わず薬と笑った、

 「あなたが隊の隊長というのは、何か違和感がありますね。ふふふふ」

 「確かにその通りだ。はははは」

 二人の笑いに否定できないアキラだった。

 

 ひとしきり笑われた後、アキラは歳世に聞いた。

 「歳世、一つ聞きます・・・今回の戦い、北条家当主はどんな意図があってやらせたと思いますか?」

 「今回の戦い、ですか?」

 かつて疑問だったことを、護衛の彼女なら読み取れると思い訊ねた。それに戦いも終わったので彼女も答えられる立場だ。

 「越後を手に入れるにしても穴があった。もっとすんなり手に入れる方法だって思いつくはずなのに、ガチンコの戦いで決めるというやり方だ。北条綱成がそのやり方を好んでいるということもあるかもしれないが、当主が別のやり方を言っておけばそれに従うはず・・・結果的にもう北条は越後を手に入れることが不可能になった。そういう結果になることも読めていたはず」

 「つまり、さく・・・氏康の護衛から見て彼女の真意を知りたいと言うことですね」

 歳世の問いに頷いた。しばらく考えて出した答えは

 

 「おそらく、単なる嫌がらせだと思いますよ」

 

 何と、嫌がらせだった。

 「嫌がらせ、ですか?」

 「長尾景虎は甲斐の武田を強く敵視していますから。自分達もいつでも攻められるよ。忘れるんじゃないわよ。と認識させるためだと思います?何しろ、彼女は結構悪戯好きですから・・・」

 苦笑いをしながら、頭痛がしたのか頭に手をやった。

 「そういう事ですか・・・何か逆に納得できたというか」

 「さて、そろそろ失礼しないと。私も戻る準備があるので」

 「それなら私もついていっていいですか?綱成と直接話もしたいので」

 「構わないですよ」

 「ありがとうございます」

 クビラに挨拶をして家を出た。鞠と綾那に遊び終わったら城に戻るよう伝えて、置いていった。ついてこようともしたが、クビラの子供が遊びたがっていたので断った。

 

 「ただいま戻りました」

 「失礼します・・・って、あれ?」

 「おや・・・」

 歳世に着いていって名月の屋敷に入るとそこには幽がいた。

 「アキラ殿?どうしてここに?というか、こちらの方は?」

 「ああ、何でも「初めまして、北条家当主北条氏康の護衛を務めているサイと申します。アキラ殿は武がすごいと聞き、手合わせをお願いした次第であります」ええ、そういうことです」

 割り込んで自己紹介したということは、余計なことは言わないでくれ。という事だ。

 「なるほど・・・アキラ殿に誑されて関係を求めたということではないのですな?」

 「ええ、断言します。あなたのその言い方は、関係を求められてそれを受け入れたように聞こえるのですが?」

 「な、何をおっしゃる護衛さん!そ、某が、アキラ殿に襲われてそれが嬉しかったなんてこと・・・っは!」

 あの時のこと(間章16-2)を思い出して動揺したのか、口から本心が出てしまった。

 「アキラ・・・そのようなことをしない人と思っていましたが。それが嬉しかったのなら文句はありません」

 「で、ですから!誤解しないで「いいのですよ。ほら、入りましょう」、うううう、あ、アキラ殿!」

 「そんな目で見ても、こちらも恥ずかしかったですよ」

 すがるようにアキラを見ても、彼も顔を赤くしていた。

 

 歳世に案内されて、二人は名月と朧のいる部屋に案内された。幽がいるのは名月に呼ばれたらしく、自分の夢を賛美してくれたことが嬉しかったので彼女が呼んだそうだ。歳世は別の部屋に行きお茶をもらい話をしたが、やはり帰る準備もあるのですぐに退散することにした。

 先に名月と幽が部屋を出て、朧と二人だけになったアキラ。

 「・・・アキラ殿、一つお聞かせいただきたい。あなたは名月を、あの子をどうするつもりでしたか?」

 「どうする?というのは」

 「あの異形の者が出てきて乱入されたからこそあのような結果になりましたが、もし出てこないで戦いがあのまま続いていたら」

 「そうなった時の答えを聞きたいと言うことですね」

 殺気を出してきた朧が頷いた。

 「その通りです。答えてください」

 「・・・私は約束がありました。空君の、そして名月君の母親のね」

 「・・・・・・」

 「彼女は血はつながってなくても二人を大切に思い、母として二人を愛しています。二人を生きたまま戦いを終わらせてほしい。二人を自分の前に元気な姿で連れてきてほしい。そう言ってました」

 もちろん、朧はその母親というのが誰かは分かる。

 「あなたの言う通り戦いが続いたとしても、必ず生かすつもりでしたよ。死なせてしまっては約束が果たせなくなります」

 「そうですか・・・」

 その回答にそれなり満足したのか、殺気を無くした。

 「私からも一つ。あなたは本当にこのままでいいのですか?」

 「どういうことです?」

 「名月君の後継者辞退は、北条としては思惑が外れたのでは?どうして、その辞退を撤回させなかったのです?」

 北条家当主の氏康の考えは歳世から聞いたが、ここでは朧の反応と真意を確認するためにこの質問をした。

 「できるわけないでしょう・・・あの子が自分で決めたことです。あの子の決意を変えさせるわけにはいきません」

 「・・・大切なのですね」

 「もちろんです」 

 「それが分かれば十分です。では、失礼します」

 「ああ、こちらも止めて失礼した」

 アキラが部屋を出た。そのすぐ後に姫野を呼んだ。

 「姫野」

 「は~、言われた通りあの男にくっついてきた服部には手を出しませんでした・・・せっかく来たのならボコボコにしようと思ったのに」

 「やめろ。これは名月の為にも、本国の為にもならん。調べてほしいことがある」

 「??何ですか?」

 「あの戦いに乱入した異形の集団だ。あれとアキラとの関係を調べるんだ」

 「異形の集団ってあのキモイ奴らですよね?分かりました」

 「報告は国で聞く・・・あいつらが何者なのか、アキラとはどんな関係なのか。多分だが、いつか私達北条にも大きく関わる時が来る。そんな気がするんだ」

 「ああ、確実にかかわる時が来るだろうな」

 「サイ、お前もそう思うのか?」

 部屋に入ってきた歳世も朧の言葉に賛成した。

 「もちろんだ・・・頼んだぞ姫野」

 「承知~」

 姫野がいなくなって二人だけとなった。

 「報告で聞いたと思うがお前はそいつらの事をどう思う?」

 「さあな?ただ、確実に私達相模でも来るときは来る。そう考えるべきだ」

 「・・・姉さまにも伝えるべきだな」

 「そうした方がいい」

 サイの頷きに朧の顔は一層真剣になった。

 

 

 アキラが玄関に着くとそこでは・・・。

 

 「この樋口愛菜兼続こそが!空様を一番に愛しているのですぞ!どや!」

 「いいえ!この北条名月景虎こそが!空様を誰よりも愛しているのですわ!」

 

 この二人の喧嘩があった。

 「どうしたのです?」

 「某もさっきまで忘れていた事ですが、空様を一番に愛しているという人物はほかにもいたということで」

 「つまり、どっちが一番愛しているのかを競っているということですか。ははは!仲のいい喧嘩だからいいではないですか」

 「そうですな。仲良く喧嘩せよ。とはこのことですな」

 屋敷に入っていく二人を見送って、アキラと幽は馬に乗って春日山に向けて出発した。だが、アキラはいきなり来たため乗る馬は一頭で二人ということになり、密着することになるので、幽は二人きりだとあの事を思い出してしまい動揺しまくってアキラとの会話が全然頭に入らなかった。

 

 春日山城下に着いたのが夜だった。アキラは降りて、幽はそのまま城に向かった。一応クビラのところで置いていった二人がまだいるか確認するためだ。すると、既に城に帰ったと聞き自分も戻ろうとした時だ。聞き覚えのある二つの声が聞こえ、それが一軒の飲み屋からだったので、中を覗いてみた。

 「おお!アキラではないか!」

 「あ、アキラ様!」

 そこにいたのは沙綾と貞子だった。

 「それで、ここに何しに来たのじゃ?」

 「っは!もしや、私を探しに!」

 「いえ、ただお二人の声がしたので」

 「そ、そうですか(ショボン)」

 「かかか!貞子、そういう時はもっと飲もうぞ!(* ´艸`)」

 「そうですね・・・アキラ様、当然付き合ってくれますね!」

 そう言って、アキラの腕のつかんだ。服の中に入れ、自分のおっぱいに挟めて絶対に逃がさないわよ、こら!って感じにしがみついていた。

 『・・・やばい展開になること間違いなしですね。四聖天のあの頃みたいにならないことを祈るのみです』

 抵抗は無駄と判断して、諦めて一緒に飲むことにした。

 

 ここに来た時から酔っていたのに、飲むのをやめずに酒をどんどん注文する。

 「どうじゃ~~、アキラ~~、飲んでおるか~~」

 「ダメですよ~~、アキラ様~~、飲まないと~~」

 まだ酔ってないと言うが、酔っ払いに化している状態で言っても説得力がない。

 「ちゃんと飲んでますよ」

 でも、向こうの世界の質の悪い酔っ払い(梵、灯)に比べたら、この程度ならアキラはまだ大丈夫だ。向こうは力づくで飲ませるがこっちはなくなるとすぐに湯呑につぐだけであり、無理矢理飲ませない。

 「アキラ様~~、妻の私を~いつ、抱いてくれるのですか~」

 「ほう~~、妻になったか~~、ほれ、だったら今はどうじゃ?」

 「ええ~、ここでですか~~?う~~ん、いいかも?」

 「何を言っているんですか。ダメにきま「ダメ?いま、ダメと言いました?」え?」

 急に貞子の雰囲気が変わった。

 「は、はあ、あくまで「もし抱いてくれないと・・・アキラ様の後をずっと追いかけ続けますよ・・・もちろん、抱いた後もずっと追いかけ続けます」酔っ払いは、やっぱり話を聞いてくれませんね」

 目が座っている貞子。しかも、もう片方の手を掴み半分ほど脱いで自分のおっぱいを揉ませていた。

 「はあ~~ん。あは~ん。アキラ様~~。もっと~」

 「かかか!やれやれ!ほれほれ!」

 それを見て、更に酒を飲んで煽る沙綾。

 『・・・これは別の意味で辛いです』

 

 何とか、この後で抱くと言って抑えさせ店を出た。勘定は騒ぎを大きくしようとした沙綾に任せ、貞子をおんぶして城に向かった。とりあえず、自分の部屋に連れていくことにした。

 「あああ、ききい、らああ。さあ、まああ??ほら~、抱いてよ~~。もう~~、貞子の~~お〇〇〇は濡れ濡れなの~~あっはあ~~ん」

 さっきからこのようなことしか言わない。一応三回ほど家の確認をしたが、返答があまりにも下ネタすぎので諦めたのだ。

 「我慢~~できません!ほら~~アキラ様~~」

 いきなり降りて、人ひとりやっと入れそうな家と家の隙間にアキラを連れ込んだ。

 「な、何を!「ほ~~ら~~、始めま、しょうよ~~」さ、貞子!」

 貞子は上半分を脱いでおっぱいを丸出しにした。

 「アキラ様のも~~丸出し~!」

 「こ、こら!」

 アキラの袴をどんどん外していき、あっという間に下半身裸にした。アキラの性刀を見て目がキラキラになる貞子。

 「あは~!アキラ様の刀だ~、ほ~ら~、挟んじゃいます~!あは!」

 刀をおっぱいで包み、刀の先端を頬ずりした。すると、

 「あは!大きく、なってます~」

 太刀に変わってしまった。更に目を輝かせる貞子の口から涎がどんどん出てきた。

 「ああ、おいしそう~~、いただきま~~す」

 刀を口の中に入れ、どんどん中で舐め続けた。

 「ちゅ、ぺろぺろ、あたたかい、うふ、何か、出ました~~。もっと、もっと、もっと~~、おいしい~~」

 嬉しそうに飲むように吸っている貞子。

 「はあ、はあ。我慢できませ~ん」

 おっぱいでせめるのをやめて、口でくわえながら右手で太刀を擦り、左手で脚の内側を濡らしたお〇〇〇に突っ込んだ。がら空きとなったおっぱいを見て涎を飲んだアキラ。二つの乳首をつまみ、彼女に仕返しをした。

 「はうん!ああん!アキラ様~~。もっと~!ああ、余計に、濡れちゃいます~~!」

 最初驚いただけで、その次以降は喜んでいった。再び一心不乱に吸い続けているうちに我慢ができなくなった。

 「ぐ、ぐぐぐ、っふ!」

 「ああ!あ、あ、あったかい~~うふ!アキラ様の、いい味~」

 太刀を口から出して、アキラのあれが自分の割れ目から出した蜜でびちょびちょになった手ですくって飲み込んだ。

 「はあ~~ん。いい、匂いです~~。はあ、はあはあ、ダメです~~!」

 ついに貞子は下も脱いで、完全な全裸になった。下半身の方が彼女の蜜でびっしょりになっており、蜜の漏れ具合をアキラにしっかり見せた。

 「ほら~~、もう、洪水ですの~~、入れちゃってください~。アキラ様が、わるいんですからね~~」

 「・・・分かりました。こうなったらやけです!」

 外でやっている恥ずかしさを完全に無視して、勢いでその割れ目にアキラの性太刀を差し込んだ。どんどん出して抜いて出して抜いてを繰り返した。

 「あ、ああああ!いいです~~、あ、あ、身体が~~」

 「文句は聞きません!あなたが頼んだのですから!」

 右足を持ち上げて、左足一本で立ち壁に寄りかかった状態の貞子。でも、それでも嬉しそうに、

 「もっと、どんどん、貞子を~~、滅茶、苦茶、にしてください~~!」

 アキラの顔を見て頼む。一応落ちないように彼女を抱えているが、体勢が辛くなってきたので彼女を持ちあげた。俗にいう駅で駅弁を売る人のスタイルになった。

 「素敵です~~!嬉しいです~~!淫乱に、して~~!」

 「ええ!やってやりましょう!」

 アキラの顔のあらゆるところにキスをする貞子。その貞子を上下に動かすアキラは彼女を壁に押し付けた。

 

 「い、い、いきます!アキラ様~、おっぱいも!お尻も!お〇〇〇も!もっと、刺激を!びりびりを!貞子を・・・ダメにして~~!」

 

 両手で彼女の乳首をどんどんつねって、こすって、更に今度はアキラが吸い上げる。尻の方も力任せに揉んだり、もう一つの穴に指を入れて刺激を更に強くした。

 「ああああああ、アキラ様~~~~」

 お互い、ついに限界が突破した。貞子は力いっぱいアキラを抱きしめ、アキラは出せる限りのあれを彼女に出した。その場で立ち膝になり、彼女を地面に寝かせ自分も割れ目から刀を抜いた。

 

 これでやっと満足しただろう。と思ったら。

 「え、ふ、えへへへへ、ああ、もっと、続けましょうよ~~、お嫁さんの、お願いです~~」

 おっぱいをどん!と持ち上げて、また自分の太刀を挟んでスリスリしていた。冷や汗を流したが、やけになったのか無理矢理彼女を押し倒して第二戦が開始した。

 

 

 四ラウンドもやってアキラも体力がギリギリのところで、ようやく満足できたみたいで辛うじて朝になる前に部屋に到着した。

 「・・・越前で五人とやった時より疲れました」

 布団は敷いていてくれたので、そのままばたんと倒れた。隣には辛うじて肝心なところが見えないようになっている状態の貞子がいた。ここまで連れてくるときに「暑いです~」と言って二回ほど全裸になったが、深夜だったので誰もいなかった。

 「アキラ様~~、また、やりましょうね~~」

 体力の限界で聞こえてなかった。そんなアキラに耳元にささやいた。

 

 「また抱いてくれないのなら、永遠にアキラ様のお側を離れません。永遠にアキラ様に抱いてくれるようどんな時も一生あなたを見続けます。何十回も何百回もあなたを無理矢理にでも抱きに行きますので、うふふふふ」

 

 思いっきり恐怖を呼ぶ言葉に、慌てて貞子の方を向くアキラ。

 「では、おやすみなさい~~」

 笑顔で眠る貞子に背筋がぞっとなったが、疲れがピークを越えたのかアキラも眠りについた。

 

 三時間後に起こしに来たアキラ隊の面々が、全裸になっている貞子といつの間にか全裸にされて眠っているアキラが、彼女から体中に接吻されている光景を見て一騒動が起こったのはまた別の話。

 




 
 というわけで妹を大切にする愛と・・・ヤンデレの愛。どうでした?

 実際のヤンデレってもっと狂気にかられた行動をするとおもうので、多分まだこれはぬるい方でしょうね・・・。

 では、次は空と愛菜の愛をお見せします!

 後、歳世ですがヒロインには入れませんので、すいませんがいつ攻略するのか?と思った読者の方申し訳ございませんでした!


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間章17-2 諦めない! R-18

 
 こんにちは、三MENです。

 眠い・・・ふぁああ~~。どんなに寝ても眠くなる。

 では、今回は目立ちたがりな忍びと前回の後書きに書いたお二人です!ちょっとしたオリジナルもあります!


 4月2日 エロ追加です。


 

 「・・・怖かったですね」

 眠りから覚めた時、貞子の行為にアキラはぎょっとした。自分が全裸だったことに関しては、アキラ隊との愛妾の皆と全裸のまま寝ることがあるからまだいい。

 「まさか、あの後すぐに起きてずっとこれをつけていたとは」

 あの後一時間ほどで貞子は目を覚ましたが、自分が起きなかったのでずっと体中にキスマークをつけていたらしい。起こしに来たアキラ隊の全員(幽も)が自分もキスマークをつけようと迫ってきたので、大急ぎで逃げた。

 「あれほどべったりとは思いませんでした。これからはあまり褒めたりしない方がいいかもしれないですね・・・」

 冷や汗を流し背筋がぞっとするなんて、灯の脅迫以来だったので長年の経験からそうした方がいいと思った。

 「・・・小波ですか?」

 「っは!」

 今は気配を消して、戻ってきた部屋で落ち着いていたところに小波がやってきた。

 「助けてほしかったです」

 「す、すいません・・・羨ましかったですので」

 「いいです。この話はやめましょう・・・それで、どうでした?」

 これ以上話をすると鬱になりそうなので切り替えた。小波もしっかりオドオドした顔から真剣に戻った。

 「っは!北条が引き下がったか、でしたね。隊の動きを見る限り、確かに越後から出ていくみたいです。こっそり戻るといった様子も見られませんでした」

 「ふむ、綱成本人が名月君の意志を尊重すると言ってましたからね。それを裏切ることはないでしょう」

 「そうですね」

 「これで、問題も」

 ここで言葉が止まった。何故なら、南の目と耳の存在がいたことで無事解決とは言えないからだ。あの場所にいたということは、既に自分達の大将に報告だってしているはずだ。その大将がどんな対応をしてくるのかそれが分からない。

 「とりあえず、後は南ということですか」

 「そうなりま・・・・・・何者!」

 天井にいきなり苦無を投げた小波。アキラも気配の存在は気づいていたが、敵意がなかったのでそのままにしていた。 

 「・・・・・・」

 「・・・何者だ!」

 降りてきたのは姫野だった。だが、小波は気づいていない。二度も会ったのに。

 「服部半蔵!いい加減にしなさい!」

 「何を言っている!ご主人様!曲者です!」

 「・・・小波、確かに曲者ですが気づかないのですか?」

 だから、姫野はむかついていた。そんな小波を見て二度あることは三度あるというのはこういう事を言うのでしょうか?と内心思ったアキラ。

 「えっと、私は会った事があるのですか?」

 「何よ!御館で追いかけまくって、合戦では追い詰めた私を忘れるなんて!」

 「??まあ、確かにそれをされた記憶はあるが・・・お前だったのか?」

 (・・?な顔をして本当に分からない小波。このままでは話が進まないと思い、アキラが訊ねた。

 「えっと、それであなたはいったい何のようでしょうか?」

 「そうよ!服部半蔵!あんた、私に負けたわよね!」

 

 その後の姫野の話は、自分はお前を追い詰めたのだから負けだよね!だから負けを認めろ!といった内容だった。それに対して小波は目の前の姫野がそれをしたとは思ってなく、何故お前にそれをしないといけないのか?と言うと

 「き~~~~~~ムカつくムカつく~~!!」

 怒り心頭の顔になった。彼女は風魔が伊賀より強い。封魔の自分が伊賀の小波に勝利した!という事実がほしいらしく、とりあえず言ってやればいいのだが

 「戦では風魔は負けたぞ。何故、忍びが個人の武勇を欲する必要がある?」

 そう言われて、むむむという顔になる姫野。その考えは間違っていないから、反論はできなかった。

 

 『小波は忍び同士ではなく属する勢力の勝利を優先に、そして彼女は忍びの勝利を優先に考えているというわけですね』

 

 そう考えていると、どんどん逆切れしていく姫野。しかし、小波の一言にどんどん追い詰められていき、ついには

 「勝てればいいのよ!」

 と言ってしまい、墓穴を掘ってしまう始末。これ以上は収拾がつかなくなると考え、とりあえず負けを認める発言を言わせるようにして、やっと満足していなくなった。

 「やれやれ、騒がしい人ですね。本当に忍びでしょうか?」

 「あの、ご主人様・・・私はあの者に会ったことがあったのでしょうか?」

 『そう言えば綾那も三若と何度か会ったけど忘れてましたね・・・三河者というのは、興味のないものは記憶から消す習性でもあるのでしょうか?』

 尋ねる小波に綾那の事を思い出し苦笑いのアキラ。

 「それより、あの戦いもあなたは本当によく頑張りましたね」

 「あ!ご、ご主人様!」

 とりあえず、抱きしめてあげた。

 「頑張ったご褒美です。好きなだけ私の匂いを嗅ぎなさい」

 「え!あ、そ、その、ありがとう、ございます。・・・す~~す~~」

 嬉しそうに匂いを嗅いで顔も赤くした。

 「本当に、ご主人様の匂いは、素敵です」

 「匂いが素敵ですか。何となく分かりますね」

 アキラも久遠の匂いを気に入っているので、その言葉も理解できた。

 「今回は追いかけられ、追い詰められましたが相手はどんな奴でしたか?」

 「それが全く確認しなかった、いえできなかったと言うべきでしょうか。何とか、ご主人様の為に動くことが第一でしたので」

 それを聞き嬉しい反面、姫野を哀れに思った。

 「私もまだまだ修行が足りません。頑張らないと!」

 「そう、ですね」

 ひきつり笑いを隠すために、さらに強く小波を抱きしめた。アキラのその顔に気づかないまま、とても嬉しそうに匂いを嗅ぐ小波だった。

 

 その後、夕方になる前に一度外に出てある屋敷に向かった。

 「どや~~!仕事が片付きませんぞ!しかも、戦う前より多いなんて!」

 「そうだね・・・でも、頑張って片付けないとね」

 空のいる屋敷だった。今回の戦いでアキラ隊の掛かった経費を請求するためだ。

 「・・・また、お土産を持ってきましょうか」

 そう思った時に使用人に見つかり、屋敷に入ることになった。残っている仕事が終わってからでいいと伝えて、空き部屋に案内された。

 『・・・相当時間がかかりそうですね。あれをやりますか』

 軽く二刻はかかりそうと思い、黙っているわけにもいかず自主訓練を始めた。

 

 二刻後に彼女達は仕事はその日の分を終わらせた。見事な読みだった。

 「アキラ様。お待たせいたしました(ぺこり)」

 「どや!お待たせしたですぞ!」

 「おや?もういいのですか?」

 「はい、今日の分は終わりましたので」

 「まだ仕事の山が残っておりますが、空様の言う通りですぞ。どーん!」

 「そうですか、なら・・・これを」

 二人がいいならと、さっそく今回の経費が書かれた手紙を空に渡した。

 「はい・・・うん、うん。分かりました。しっかりお支払いします」

 「ありがとうございます(雀と烏が何やら目に力を入れて、絶対にもらってきて!と言ってましたからよかったです)」

 この屋敷に来る前に会った二人から絶対に全部もらってきてね!と言われたので、少しだけホッとした。

 「アキラ様。あなたのおかげで名月ちゃんとも仲良くできましたし、これからの越後を協力し合っていけることもできました」

 「そうですぞ!ありがとうございますです!」

 二人とも、感謝の思いを込めて頭を下げた。

 「・・・今回の私達はあくまで裏方です。一緒にいた雫と詩乃から聞きましたよ。兵を奮い立たせるために大きく激を出したと。協力し合って鬼も倒したと。全部はあなた方が頑張ったからです」

 「そう言っていただけると、うれしいです」

 「ど、どや・・・」

 二人して顔を赤くなると、少し離れた。

 「空様・・・本当にやるのですか?」

 「うん・・・今しかないと思うし。愛菜だって嫌いじゃないでしょう」

 「ど、どや。そ、そうですけど」

 「頑張ろう、私はやるよ!」

 「く、空様がやるなら・・・愛菜も覚悟を決めましたぞ」

 「うん!よ、よ~~し」

 小声で話していたので、ぼそぼそとした聞こえていなかった。

 「あ、あの、アキラ様!」

 「あ、あのですな。お、お願いが、あるですぞ・・・どや」

 「お願いですか?」

 気合の入った空に恥ずかしがっている愛菜。その二人が言ったことは

 

 「あ、あの・・・アキラ様、私達も、お、お嫁さんにしてください!」

 「ど、どや!お、お願いしますですぞ!」

 

 何と嫁宣言だった。

 「あの、アキラ様。戦いの前に、伝えたいことがあると言いましたよね」

 「ええ。まさか、これだったのですか?」

 二人して頷いた。

 「はい・・・前から考えていたのです。アキラ様のお嫁さん」

 「あ、愛菜は・・・母上がアキラ殿のお嫁さんになったと聞き、とても嬉しそうにしているのを見ていたら、愛菜も・・・なりたいと思ったであります」

 「本当にいいのですか?私は拒みませんが」

 「いいのです!」

 「そうですぞ!」

 二人とも汗を流しているが、決意をした顔だった。

 「で、ですので」

 「お、お願いします・・・どや」

 二人とも服を脱いでいった。二人して、アキラにお尻を向けた。

 「どうか・・・私をもらって、ください」

 「愛菜も、愛を、ください、ですぞ」

 真っ赤に照れながら、自身の女性の空間をアキラに見せた。

 「ええ。お二人の想いの信念、受け取ります」

 その空間に手を伸ばした。触れた瞬間、二人に電撃が走った。

 

 「こ、これは!いきなり、びりっと頭にきたですぞ!」

 「でも、でも・・・何か、気持ちが、ふわっとして」

 「はい、よくなって・・・あれ?何か、濡れてきたような気がするですぞ」

 「え?も、もしかして、漏らしちゃった?」

 やはり、彼女らはこれから先のことをちゃんと知らないようだ。

 「大丈夫ですよ。これは、秋子さんもなったことです」

 「は、母上も・・・」

 「そうなのですか?」

 顔が真っ赤の二人の胸に、アキラは手を伸ばした。

 「あ、アキラ様・・・私達、胸」

 「母上より・・・小さいですぞ。それでも、いいですか?」

 「大きい、小さい。関係ありません。気になるなら・・・」

 「「ああ!あ、な、何」」

 「私が、大きくしますよ。揉めば、大きくできます」

 まだ、発展途上中の胸を優しく揉み始めた。

 「あ、あれ。何か・・・おかしく」

 「空様、もですか?愛菜も、です・・・最初は、何ともないのに、どや」

 揉まれた最初は分からない顔をしていたが、女のツボにアキラが刺激すると顔も声も蕩けてきた。

 「あ、はあ、あう、だ、ダメ・・・体が、力が」

 「ぬ、抜ける、ですぞ。どや」

 「愛菜・・・すごく、いやらしい、顔だよ」

 「空様・・・空様も、ですぞ、どや」

 二人を抱えるように揉んでいたが、その場に寝かせた。アキラもついに自分の服を脱いだ。

 「そ、それが・・・アキラ様の、アキラ様の」

 「うう、こ、怖いですぞ・・・これに刺さるなんて」

 二人の視線はアキラの性刀に集中していた。

 「では、いきますよ。空君は後ろを向いてください」

 「え?こっちを向いてって・・・むちゅ、あ、ちゅば」

 空にそう言って、後ろを向いた途端にキスをした。驚いて、離れようとしたが抱きしめてアキラが離さなかった。

 「く、空様?ああ!あそこがぐちゃぐちゃと・・・あ、アキラ様!あ、ぐう、だ、も、もっとですぞ・・・」

 アキラが抱きしめた際にさっきの空間にまた手を入れた。今度は更に手を動きを速くしたので、そこから出る蜜も多かった。もちろん愛菜の方も忘れていなかった。

 「アキラ様、接吻・・・え、ええええ!ああ、ああ!は、入る、入っちゃうううう!い、痛い、痛い!」

 先に空間に刀を入れたのは空の方だった。その空間の中にある壁。それを貫いた痛みに空は涙目になっていた。でも、必死に耐えていた。

 「せ、切ない・・・アキラ様。早く・・・愛菜のこ、ここにも」

 愛菜の方は指だけだったが、初めての快感が大波の如く押し寄せてきて理性がもう流されてしまった。

 「アキラ様・・・嬉しいです。ついに、お嫁さんに、なれたんですね」

 壁を貫かれた痛みがまだ残っていたが、それ以上の嬉しさが空にはあった。

 「お願いです。愛菜も、二人で一緒に」

 「は、はい・・・き、きてほし、あう!あああうううう!何ですか!この痛み!い、痛いですぞ!」

 刀を抜いて、今度は愛菜の空間に刀を入れた。痛さで我慢できそうになかったが、

 「大丈夫だよ、愛菜・・・ほら、ちゅ」

 「ちゅ、ぐちゅ・・・空様。ありがとう、ですぞ・・・」

 そこに空がキスをした。空も快楽に酔いしれたのか、濃厚でディープなキスを愛菜にした。更に強くなった快楽に身を任せていくうちに痛みを感じなくなっていった。

 「二人で、あう!ああ、こう、ご、に!」

 「ああ!そうです!お願いです、一緒に一緒に!」

 「「二人で、最後をいきたいです」」

 二人ともアキラの方を向き、お願いをした。

 「ええ、いきますよ」

 空の上に愛菜を置き、順番に彼女らの空間に出し入れを始めると、二人の口から喘ぎ声が出てきた。顔を見ると、二人はまたお互いキスをしていた。二人の胸もまたお互い揉んでいた。だが、アキラが揉んでいる錯覚にとらわれているのか

 「あ、アキラ様~~!き、気持ちいい、胸も、あそこも・・・」

 「いいですぞ!ああ、愛菜、空様と・・・い、い」

 快楽が思考すら奪ったのだろう。快楽の大波に身を任せ・・・全てがアキラにされている感覚になり、それが全て快感に変わっていき、

 

 「だ、出しますよ!」

 「「ああああ!アキラ様~~~~。は、果てます~~~」」

 

 彼女らの体が絶頂に迎えた時には、今までにない淫らな顔をした。そんな顔をした彼女らに、刀からの一発を体に与えた。

 「あ、暖かい・・・アキラ様の温もりが、体中に」

 「これが、アキラ殿の、いいですぞ・・・どや」

 飛び散った一発に悦に溺れた顔になってそのまま眠りについた。

 

 たっぷり愛し、満足そうに眠る二人に布団をかけて屋敷を出た。

 「越後の後継者すら嫁に・・・でも、彼女達は私を愛したいという気持ちを持ち、抱かれたいという想いを持って私に抱かれた。なら、私もずっとあなた達を愛していきます。これから先よろしくお願いします」

 一度屋敷を見て、それを言って立ち去った。

 

 

 後は城に戻って寝るだけだった。だが、実はこの日はここで終わらなかった。

 「おやすみなさい」

 いつもなら自分の布団の隣に何組か敷いて一緒に寝るのだが、珍しく誰もいなかった。

 『いつの間にかあの光景も慣れていたみたいですね・・・少し寂しいです』

 ちょっとだけ寂しいと思いながら、布団に入り眠りに着こうとしたその時だ。

 

 「待ったぞ・・・アキラ」

 

 いきなり数人が部屋に入り込んだ。灯は消えているが、声からすると桐琴だ。

 「お待ちしてましたよ」

 「はうう~、ほ、本当に・・・」

 「はっはっは!主様!夜這いじゃ!」

 「おっほっほ!ハニーを夜這い!何と素晴らしいこと!」

 「アキラ様、さあ私達を抱いてください」

 更に貞子に秋子、一葉に梅、そして朱雀が入ってきた。

 「な、何を?」

 皆の声を聴く限り、秋子以外は何やら気合が入っていた。しかも、一葉と梅の夜這いという言葉に嫌な予感がした。

 「いやな、お前が戦いに出ている時に」

 「私達、巨乳の皆で夜這いをしようということになりまして」

 「でも・・・アキラ隊にもまだいましたので」

 「その方達も誘ったのです」

 「感謝するぞ!おっぱい好きの主様を篭絡できるまたとない機会じゃ!」

 「ハニー!さあ、さあ、さあさあさあ!」

 既に六人とも裸だった。しかも、アキラを取り囲んでいた。

 「お、落ち着きなさい!」

 汗を流しながら見回したが、どこもおっぱいしか見えなかった。

 「落ち着いておるわ・・・ほれほれ」

 「では、私のおっぱいをどうぞ」

 「ううう~~、流されてきたけど、でもでも・・・どうぞ!」

 「もう・・・濡れてしまって、責任、とってくださいね。うふ」 

 「主様、ダメじゃ、抑えきれんのじゃ」

 「ハニー・・・さあ!どうぞ!」

 六人とも自分のおっぱいを持ち上げ、アキラに押し付けた。さっきまで空と愛菜に一発はなってきたというのに、閨に自信があるこのメンバーだとガチで危ないが、逃げられないためついに覚悟を決めた。

 「覚悟を決めました!全員、抱きます!」

 「さすがじゃ!それでこそ、わしの好きな旦那様じゃ!」

 「アキラさん・・・あの、お願いします」

 「・・・アキラさん。他の女と寝ました?」

 ヤンデレの脅威的感知発動だった。

 「はっはっは!さすが主様じゃ!」

 「さあ、ハニー。まだできますよね!」

 「くんくん・・・一人ではないです。二人ですね」

 ヤンデレ予備軍がもう一人いた。彼女らの迫りに

 

 『私・・・天国にいるのですか?』

 

 そう思ってしまった。気づくとアキラは全裸で寝かされており、顔には一葉が、右手には貞子が、左手には朱雀が、右足には梅が、左足には秋子が、アキラの性刀には桐琴が自身の蜜壺の入り口を擦り付けて濡らしていた。ここから彼女らの夜這いが始まった。そして、次の日の朝までその宴は続いたという。

 




 というわけで六十振り目で話していたおっぱい談義の夜這い作戦、実行でした!

 次の本章でついに長かった六章が終わりです!

 七章に入る前に後回しにしていた100話突破記念話を書こうと思います!


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六十三振り目 やっと、一段落になったのに・・・

 
 三MENです。ついに六章終了です!

 ついに、物語も三分の二終了ですか。さあ、行きますよ。


 

 まだ、空と名月の戦いの途中だったある日の京。

 「久遠様!双葉様からの伝言です」

 「うむ、ご苦労」

 「えっと、京都所司代でしたっけ?本人も双葉様も了解との事です」

 和奏からの報告に満足した久遠。

 「一応本人と話もしましたが・・・すごく気合が入ってましたよ」

 「そうか・・・あやつ、本当に・・・」

 「??何か考え事でも?」

 「いや、いい」

 「それで久遠様・・・いいんですか?あれ」

 「何々、どうしたの雛ちゃん?」

 犬子の疑問に、雛が相手には見えないように指さした。

 「あそこ・・・草がいるの」

 「え!それって本当にいいんですか!」

 「構わん。好きなだけ調べさせてやれ」

 「まあ。久遠様がそういうならそのままにしますけど・・・」

 「お二人が、後で話をしたいと言ってましたので」

 久遠の言葉に雛は死線を外し、最後に和奏からその伝言を聞いて頷いた久遠。

 「分かった・・・まあ、こっちも聞きたいことがあるからな(今なら、聞けそうかもな。あやつの以前の考えを)」

 館に向かって四人で歩き出した。

 

 空と名月の戦いが終わり、何日か経過した春日山城下。

 「お~~い、湖衣~。やっと見つけたよ」

 「はあ、はあ、もう~~、典厩様。やっと見つけましたよ」

 「はっはっは、すまんでやがる。一応見ておきたかったでやがるからな、この街の感じを・・・それでどうしたでやがる?」

 「そうです。京にいる織田が動きを見せたようで」

 「毎日のように姿を見せる報告は知っているでやがるよ。本当に、健気でやがるな。一体誰に見せるために姿を見せてやがるでしょうな」

 笑顔の典厩と呼ばれた女に一二三がツッコミを入れる。

 「知っているのでしょうに・・・後、新情報があります。何やら京都の所司代を決めたそうです」

 「ほう~~、我々のあれの後に何を考えていやがるかな?」

 「でも、もしかするとそれも・・・お屋形様は?」

 「迷いなし。でやがる」

 「わかり・・・ました」

 「どうしたの?一二三ちゃん」

 典厩への返事のすぐ後に別方向を見た一二三。そんな彼女を不思議に思う湖衣。

 「何でもないよ。敵地にいつまでもいるわけにはいきませんので、そろそろ戻りましょうか」

 「そうでやがるな」

 「うん」

 「・・・ところで典厩様?その団子は?」

 「うまいでやがるよ~~。二人もどうでやがる?」

 差し出した団子に一二三は笑顔で、湖衣は苦笑いで受け取った。

 「じゃあ、ありがたく」

 「い、いただきます」

 『何か一瞬見られた感じがした・・・でも、見逃すということはあの時の借りを返す意味かもね。なら、その通りにさせてもらうよ』

 三人は一二三の見た方向とは逆を歩き出した。

 

 そんな三人の存在を知ったものがいた。

 「??どうしたのアキラ?」

 「いいえ、何でもないですよ」

 「全く・・・また誑す女を見つけたの?」

 「あの、どうしてそういう考えになるのですか?」

 「仕方ないの、それがアキラなの!」

 「さあ、文句はあるかしら?」

 もちろんアキラだが、一二三の予想通り三人の気配を見逃した。

 

 『一瞬見えたあの気配は南の目と耳で間違いない。その二人が守るようにして真ん中にいたあの気配は確実に二人の上司でしょうね。でも、今回はいいでしょう。あの二人がいたから空君と名月君は生きていますし・・・』

 

 彼の傍には護衛に鞠、もう一人美空が一緒に歩いていた。どれくらい街が元に戻ったか、自分の目で確認したいとのことで一緒に散歩中だ。

 「いえ、何でもありません・・・それにしても、いくら私達が護衛とはいえよく城を出ましたね」

 一応、美空には気づかれないよう顔色を変えずに返答した。

 「民達の笑顔、それが確認したかったからね」

 「美空様!お疲れ様です!」

 「美空様!私達、頑張っています!」

 「おや、アキラ?美空様と散歩ですか?」

 何やら聞き覚えのある声も聞こえたりしたが、隣にいる当主は民の声を聴き嬉しそうにしていた。そんな中、美空が聞いてきた。

 「ねえ、一つ聞いていいかしら?同盟の国って今はどれくらいなの?」 

 「浅井の近江に松平の三河。そして、足利の京といったところでしょう。って前にも説明したはずですが」

 「その中で浅井と足利が嫁・・・なのよね」

 「ええ、その通りです」

 それを聞き、少し考えこんだ。

 

 『松平は同盟を結んでいるだけで嫁じゃない。でも、公方様は嫁になっているのよね。どうしようかしら・・・嫁、なろうかしら?』

 

 「美空?どうしたの?」

 「っは!な、何でもないわよ!さ、さあ、一通り見たから戻るわよ!」

 「「はあ??」」

 顔が赤いのをばれないように、慌てて二人の前を歩いた。

 

 『な、何を考えているのよ!でも、あいつの事、本気で好きになったし、秋子と貞子が嫁になったって聞いたし・・・本当にどうしよう』

 

 自分の考えに悶々しながら、城に戻った。

 

 

 だが、その決断はすぐにきた。次の日、

 

 「どや~~~~~~~~~~~!!!」

 

 ある部屋で織田に手紙を送ってもいいか?松平を三河に戻していいか?その許可をもらった後だった。その時は森の三人は自分達の陣に、松平の三人と雀と烏もそれぞれの陣に戻っていた。

 「・・・すいません」

 誰かさんの叫び声が聞こえたので母親は謝った。その誰かさんが用件を伝えようとしたが、慌てまくっていたので空に背中をさすってもらってやっと落ち着いた。

 「た、ただいま!とんでもないご注進がまいりましたですぞ!あまりにあまりのとんでもなさにこの越後随一の義侠人「それはいいから!」は、はう!あ、あの!じょ、じょ、じょ、城門に!」

 「城門に何?」

 「武田が攻めてきたんですか!」

 「柘榴、ボケは」

 

 「て、て、て、典厩様が参りました!どーーーん!」

 

 ボケはいい、と言おうとした松葉の言葉が止まった。 その名前に美空も顔色を変えた。

 「典厩!武田信繁が来たというの!」

 「はい!ど、ど、どうしましょう!修復中の大手門では大混乱です!どーん!」

 「・・・秋子。通してあげて、勅使と同等の扱いで」

 「え?は、はい!愛菜手伝いなさい!」

 「どや!」

 親子が出ていって、長尾勢が慌ただしくなった。

 「詩乃、武田信繁とは誰ですか?武田、と名乗る辺りおそらく」

 「はい、察しの通り武田家現当主武田晴信殿の妹君でございます」

 「武田家は三人の姉妹で成り立っております。三女の信廉殿は長女晴信殿にそっくりで影武者をやることもあると聞いたことがありますぞ」

 詩乃の説明に幽が付け足した。

 「ふむ、なるほど・・・美空、その三人の中の一人が来たということは」

 「ええ・・・向こうは相当本気と見ていいわ」

 苦い顔をした美空が答えた。何か相当な要求をするが、越後を建て直し中だから反抗ができる状態じゃない。それを理解してやってきた当たり、武田家当主の晴信は相当のやり手とも見える。

 

 評定の間で典厩と対面する美空と家臣達だが、今後の為にもアキラ隊もその様子を見ることができないか聞くと、武者だまりというスペースがあるからそこで確認するということになった。ただ、長尾と織田の同盟に関しては向こうも知らないだろうからアキラ隊と足利の旗は隠した方がいいということで、ひよところに朱雀・庵樹・時人は出ていった。

 残ったメンバーが全員そこに入ることになったのだが・・・本来一人か二人しか入れない間であるため、アキラに詩乃と雫、一葉に幽、鞠に梅の七人も入るのは無理があった。

 「あ、アキラ様。今、お尻触りました?」

 「・・・分かりません」

 「主様、それなら詩乃のではなく余の胸にしろ!」

 「ハニー、私のでもいいですわよ!」

 「某も、構いませんが?」

 「・・・こんなに詰まっていては、誰のを触っているのか分かりませんよ」

 「あ~~、誰か鞠のおっぱい触った~」

 「アキラ様、わ、私にしてください!」

 「分かりませんと言ったでしょう・・・私の股間に手をやったの誰です?」

 「余は気にせんぞ?」

 「・・・盛っていたのは公方様でしたか」

 完全にすし詰め状態なのだ。手足共に誰かのを触れているのは分かるが、それが分からないびっちりだ。

 「で、では、閉めます」

 空が戸を閉めて、ついに武田家次女と美空の対談が開始した。だが、開始早々彼女の話し方に驚かされた。

 「や、やがる?」

 「ず、ずいぶんと見た目とはかけ離れた話し方をしますね」

 やがる口調に詩乃も雫も唖然とした。

 「美空も苦笑いしていますね」

 「果たして、甲斐の虎はどんな要件を持ってきたのでしょうね?」

 「うん。あの子、鞠と同じくらいの背なの」

 ちょっとの雑談をしながら見ていると、美空が苦い顔になった。

 「ふむ。機嫌が悪くなったのう」

 「よほど、腹立たしいことという事だけは確かでしょう」

 「でも、断れない。だからこそ美空も機嫌が悪くなったということですね」

 二人の対談が終わり典厩が評定の間からいなくなって、やっと七人は武者だまりから出ることができた。ただ、自分達では出れなかったので旗の回収を終えた五人に手伝ってもらった。

 「全く・・・どうして、こんな奴らに越後を救われたのかしら?(;一_一)」

 辛そうに上段でぐったりしている七人を見て呆れる美空だった。

 

 肝心の用件の確認をすると、幽が手紙の内容を説明した。

 

 「やっほ~~、美空ちゃん元気~。こっちはとっても元気よ~。何か姉妹喧嘩したみたいね?でもね、こっちは仲良しなの~羨ましいかしら~?後継者でもいろいろごたごたがあったようね~。そっちってすっごく滅茶苦茶ね~、当主様があなただからかしら~。そうそう、その二つでと~~ってもお世話になった人がいるみたいじゃない。田楽狭間の天人だったっけ?私ね~、その人にとっ~~ても興味があるの。だからさ、その人こっちにくれない?というか、よこせ~~。そうすれば、今ゴタゴタなこの越後、攻めないで上、げ、る。さあ~、長尾美空景虎、返答はいかに!じゃあ、いい返事、待ってるね~~・・・・・・と、こう書いてありますな」

 だが、美空をバカにした話し方で説明した。

 「うむ!あっぱれじゃ!」

 「光栄の至り!」

 「(ムカムカ)あんたら~~天守の隅につるしてあげましょうか!というか、見世物にしてやるわよ!」

 「・・・何ですか。この漫才は」

 「何か、ほたる様と辰怜様の漫才を思い出します」

 三人の漫才を見て呆れるアキラと朱雀。その間に詩乃が説明を始めた。

 「漫才はともかく、武田晴信はアキラ様。あなたを欲しています。そうすれば、この日の本の中心的存在となっているあなたを手中に収められるからです」

 「ええ、ハニーは既に日の本の大名全てから注目されていますからね」

 「最初の空様誘拐で越後にいることが分かり、空様と名月様の戦いでアキラ様が越後にとどまっていることもわかった」

 ここからは雫が引き継いだ。

 「そこに、アキラを条件に越後を攻めないと言ってきたの?」

 「なるほど・・・中々したたかだねえ」

 鞠と庵樹の言葉に詩乃と雫が頷いた。

 「全く・・・あなた達が名前を広めなければこんなことにはならなかったのに」

 「もう過ぎたことっすよ、今は今の解決を考えましょう」

 柘榴の言葉にうっとなる美空。そんな彼女の雫が手を挙げた。

 「美空様、提案があります・・・まずは、織田との同盟。それを喧伝します」

 「なるほど・・・武田の持つ甲斐と信濃は背後に織田と浅井に下にはあの松平がいたわね。つまり、背後を警戒させるという手ね」

 「同盟にはそちらの公方様も入っています。もし、このまま攻め込むとしたら幕府と禁裏をも敵に回すことになります」

 雫と詩乃の説明に柘榴が驚いた。

 「ほえ~~。アキラ隊の頭脳さん達はすごいこと思いつきますね」

 「柘榴じゃ絶対無理」

 「松葉!ひどいっす!」

 松葉に泣きつく柘榴。そんな二人を無視して話は続く。

 「でもそれってまだ初手よね・・・次の手は?」

 「えっと、賭けみたいなものですが。久遠様が認めてくれるか?となりますが」

 その言葉だけで、アキラ以外のアキラ隊全員があっという間に理解した。ただ、その全員が諦めたような顔をしたので訊ねた。

 「あの、みなさん。どうしてわかったのですか?」

 「は~~、アキラ様は分からなくて当然ですよ」

 「また、恋敵が増えるんですね・・・何か増え方が雪だるま式というより雪山式になっているよな気がしますよ」

 「恋敵?」

 ひよところの呟きの中に出た恋敵という言葉に美空は疑問に思ったが雫が答えた。

 

 「はい、美空様。アキラ様の嫁になりませんか?」

 

 この一言は長尾勢の皆がビックリした。

 「美空様が嫁?」

 「何と」

 「み、美空様もアキラさんのお嫁さんに!」

 「ほ~~、中々面白い手じゃな」

 「っく!これだとアキラ様に簡単に近づけなくなる!」

 「み、美空お姉さまも!」

 「ど、どや!」

 家臣達がみんな驚く中、美空は唖然としていたが何とか話は聞いていた。

 「はい、日の本の為に鬼と戦うアキラ様の嫁になる。これは無形の力となります」

 「武田がどう動くかはまだ分かりませんが。越後内定には十分に効果を発揮することでしょう・・・って考えないとやっていけませんよ。ああもう!大きな恋敵ですか」

 途中からの本音を出す詩乃に全員が頷いた。

 「それがアキラだ。お前達もさっき納得しただろう。諦めろ」

 「「「「「う」」」」」

 時人の言葉に苦い顔になったアキラ隊。そんな彼女らを見ながら美空はアキラに訊ねた。

 「アキラ・・・あなたは、私が嫁になるとしたら、どう思う」

 だが、その質問は少しオドオドしているように聞こえた。

 「本心で言うなら、とても嬉しいですよ・・・でも」

 「でも?」

 「あなたが本当に私を好きなら。の話です。今回のようにどうしようもないから嫁になる。何て言うのはさすがにダメだと思います」

 「本当に・・・好きに?」

 「ふむ、美空よ。お主の本心はどうだ?」 

 「私の、本心?」

 一葉の問いかけに胸に手をやった美空。

 「ああ。ここにいる皆と外に出ているアキラ隊の皆は、アキラを心から愛している。アキラは厳しく、辛いことも言うが、余達の事をしっかり見て愛してくれる。素直になれ、アキラはどんなお前でも愛してくれるぞ」

 将軍という肩書抜きで愛してくれた一葉の言葉に、美空は口を開いた。

 

 「決めたわ!アキラ、あなたの嫁になる!私は・・・あなたの事が好きよ!」

 

 遂に、心に隠していた想いを言葉にした。思わず呆然となるアキラ。

 「返事は?」

 「っは!あ、はい。前に言った通り、私もあなたの事をずっと愛します。お互いを理解しあって、もっと好きになりあいましょう」

 「う、うん。そうね・・・えっと、よろ、しくね」

 アキラの言葉に照れ顔になりながら、でも嬉しそうに美空も返事をした。

 

 ついに美空もアキラの嫁となった。とてもめでたいことだが、現状はまだ一触即発に近い状態だ。

 「さて、問題は武田ですね」

 「そうっすね。アキラさんを差し出せば何とか今回は越後には手を出さないと言ってますけど」

 「御大将の旦那を差し出すのは反対」

 「じゃけど、軒猿の話じゃと片目の旗もあるらしいぞ」

 「山本勘助ですか・・・それは困りましたね」

 美空と家臣達はそう話すが、既にアキラの考えは決まっていた。

 

 「美空、私は行きますよ。武田に」

 

 その言葉に美空は言葉を失った。

 「ここはあなたの国。私のせいで、妻の大切な国を無くすわけにはいきません」

 「そ、そんな・・・あなた、あれだけの傷をもっているのに、また傷つきに行こうというの!向こうじゃどんな扱いされるかわからないのよ!」

 「そんな傷、つける気はありません。今回のこれは、むしろいい機会と思ってます」

 「アキラ・・・まさか、武田も誑すのか?」

 庵樹の言葉に苦い顔をしながら訂正させた。

 「誑すという言葉はやめてください。武田も同盟に入れると言ってください」

 「な!あなた、越後が入るだけじゃ満足できないの!」

 そう言ってくる美空の肩に手を置いた。

 「美空・・・そういう問題じゃないんですよ。鬼との戦いは絶対に負けられない。私は悔しい思いをして、兵達を助けられなかった・・・絶対に、二度と負けられない戦いなんですよ」

 悔しそうに残った手を力強く握りながら、アキラの脳裏によみがえった。自分に生きてほしいと言って死んでいった兵達の笑顔を・・・彼らの思いを肩に乗せ今も生きているからこそ、アキラは今回の武田行きを決めた。

 「皆さんはどう思います?私の考え」

 「アキラ様・・・私はどこまでもあなた様についていくだけです」

 「そうですよ!アキラ様、アキラ隊は一心同体です!」

 「私達はハニーの後ろをついていくのみですわ!」

 「そうじゃ。余らはお主の背中を見て、お主と同じ道を進むだけじゃ」

 「アキラ。私達だって同じ思いだぞ!」

 「ありがとう、ございます」

 全員がアキラと共にある。その意思を見れたことに心から嬉しかった。

 「全く・・・新しい嫁の言葉は無視かしら?」

 「すいません。でも、決まりましたよ。あなたを守るためにも、行きます」

 「・・・ごめん。こ「違いますよ。美空。私は自分から、そして自分がしたいと思ったことをやりに行きます。あなたがいう言葉はそれではありません」・・・そう、なら、あ、ありが、とう」

 もう一つの手も美空の肩に乗せ額をくっつけた。彼女の一瞬みせた弱い顔を皆に見せないようにするためだ。

 「必ず戻ります。その時は越後をしっかり元に戻してくださいね」

 そして、離れた後に見せた美空の顔は

 「当然よ!愛する旦那を取られてそのままだなんて、越後の龍と呼ばれた私の名が折れるわ!あなたたち!いい事!これからはアキラはいないんだからしっかり働いてもらうわよ!」

 長尾家当主の顔だった。

 「分かってますよ」

 「もちろんっす!」

 「やる」

 「かかか、老骨をまだ使うか?」

 「アキラ様を取り戻してくださいね!」

 「・・・いなくなっちゃうんですね」

 「どや、寂しいです」

 長尾の皆の意志も確認できた。後は、明日になるのを待つだけだ。

 

 『美空、すいません・・・久遠、すいません。まだ、帰れなさそうです。でも、必ずあなたを抱きしめに帰りますから・・・待っていてください』

 

 アキラ、武田が治める甲斐に行くことになる。

 




 お待たせしました!ついに第六章終了です!
 
 美空のあの間章は七章の最初に書きます!アキラ、ついに武田まで行きます・・・う~ん、どうやった書こうか。


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第七章 武田光璃晴信編
六十四振り目 本当は、ずっと一緒にいたい・・・いたいの R-18


 
 こんにちは!三MENです。

 遂に第七章開幕です!やっと、キャラが全員揃う!長かった・・・

 では、今回は美空の心境です。もう一人の当主の気持ちもある程度はっきりさせます。


 4月11日 美空との初夜。書きました。


 

 アキラが武田に行く決意を決め句伝無量でこっそり聞いていた小波が、森、八咫烏にも連絡して城にやってきた。話を聞くと小波はともかく綾那と歌夜もアキラ隊に残ることになった。向こうで何か言われたと、察しがついたので追求はしなかった。

 

 松平のいる陣に行き、三河に戻れることを伝えた。

 「本当にありがとうございます。戻れるなんて本当に嬉しいです」

 「やはり、いつまでも戻れないのは辛いですから」

 「本当に感謝しておりますぞ。それはそうと、あの三人はどうしてます?」

 にやつく顔で悠季が訪ねてきた。おそらく彼女が原因だろうが、アキラは別にどうでもよかった。どのみち隊から抜けないでほしいと思っていたからだ。

 「もう彼女達は隊の大切な存在です。いてくれるのはありがたいです」

 「そうですか(ふむ、盲信するくらい葵を大切に思っているけど、それだけではその人の為にならない事に気づいていないようですね・・・かつての自分を見ているみたいで腹立ちます)」

 今の悠季が、かつての自分に見えたことに内心怒りを覚えた。

 「あの、アキラ様。それでは明日から準備をしますが・・・あなたは?」

 「私とアキラ隊は戻れないんですよ・・・代わりに護衛の隊を用意しますので、その隊と一緒にお願いします。大丈夫、最強の隊ですので護衛にはうってつけです」

 「我々と一緒ではない。もしや、久遠様ではなくここの当主様にご執心に「悠季、失礼なことを言うんじゃありません」・・・これは失礼を」

 葵に注意されたが、彼女はにやつき顔はやめなかった。

 「察してください。そういう事です」

 「はい・・・あの、あなたと食事をするという約束」

 「何と、覚えていてくれたのですか。その約束はまた会えた時に果たしましょう」

 「(こくり)はい」

 小さな声でそう言うと、アキラはニコッと笑って去っていった。いなくなったのを確認して、悠季が話しかけてきたがその言葉が聞こえていない葵。

 

 『私、どうして落ち込んだの?どうして辛いと感じたの?母様が死んだ時も辛かったけどそれと同じくらい辛く思えた。あの人の姿を、あの人の顔を・・・あの人の背中を見れなくなるのがとても辛く苦しい。どうしてこんなに苦しく思うの?それに、あの食事の約束だってどうして口に出したの?どうして?どうして?・・・分からない、分からない』

 

 自分の中の感情と思い、初めての事に戸惑いを覚えていた。

 

 

 城に戻り、手紙を書き始めた。詩乃達と今後をどうするか話しながら書き、ちょうど書き終わった時に

 「たのも~~っす!」

 「入るぞ」

 柘榴と松葉が入ってきた。

 「アキラさん。本当に行っちゃうっすか?」

 「・・・寂しい」

 「そうしないと、まだ立ち直っていない越後に火花がきますからね。何、目的を果たしたらまた会えます」

 笑顔でそう答え、二人の頭を撫でた。

 「「・・・あ(*ノωノ)」」

 「おっと。詩乃や一葉達と同じような感覚で「いや、もっとやってくださいっす」「うん、お願い」、そうですか?」

 二人とも顔を赤くして続けてほしいと要望してきたので、そのまま続けた。

 『『『『『もしかして、この二人も?ああ・・・どうしてこうも』』』』』

 彼女らを見てその態度にある確信を持ち、アキラ隊愛妾連合は溜息を吐いた。

 

 何故二人が来たのか訪ねると、これから宴会を始めるから出席してもらうためだ。だが、アキラが出ることは禁止で美空に呼ばれていた。

 

 『・・・そうですね。せっかく夫婦になれたのに、その時間すらない状態で明日には向こうに行かないといけませんし』

 

 本来なら久遠や一葉のように一緒にいて、お互いをわかりあうための時間が必要なのに今回はこの一夜だけだ。

 「では、行ってきます・・・幽と詩乃、暴れ馬の躾をお願いしますよ」

 「主様!どうして余に顔を向けて言うのじゃ!」

 「「分かりました。行ってらっしゃいませ(ペコリ)」」

 柘榴と松葉の頭から手を離し、一葉の文句も無視して部屋を出た。

 

 美空の部屋の前に娘の空がいた。

 「どや!」「どや!」

 「どーん!」「どーん!」

 そして、空の傍には愛菜がいる。これは常識だが、もう一人何故か綾那もいた。

 「どうして、ここに綾那が?」

 「何か愛菜がこの人を気に入ったらしくて」

 「いや、面白いですよ、この人、どーん!」

 「この義侠人樋口愛菜についてこられるとはなかなかやるです!どーん! 」

 戦いの中でもそれを言うくらい気に入っていたことを思い出した。とりあえず、二人を無視して空に話しかけた。

 「あの、この先の部屋が美空の部屋でいいですか?」

 「はい・・・あの、アキラ様。本当に、甲斐に行くのですか?」

 「ええ。越後の為にも、私自身の為にも、そして美空の為にもね」

 「そうですか。一つ、お聞きしてもいいですか?・・・あの、私は美空お姉さまの養女としてここにいますが、もし私が、お姉さまの娘となったら、その時は」

 「??」

 ドキドキする顔で空はアキラに言った。

 

 「お父様?になるのでしょうか?」

 

 「!!!!」

 お父様。その言葉にすごく動揺した。

 「ああ、あの、その、だ、ダメでしょうか(オロオロ)」

 「その、あの、ですね。今はまだアキラ様でお願いします・・・ふう~」

 「は、はあ。分かりました」

 滅多に見られないアキラの動揺に、オロオロしていた空は頷いた。

 『破壊力抜群ですよ、これは・・・ちょっと待ってください。確か私は秋子も嫁にしましたから、愛菜君もそう呼ぶ時が来るのでしょうか・・・お父様と』

 未だ綾那とどや・どーんを言い合っている愛菜に意識をやった。

 『これ以上は考えてはダメな気がするのでやめましょう。ですが、父親の気持ちが少しわかった気がします。これは、にやつきそうです』

 にやつきそうな顔を戻してから、美空の部屋に入った。

 

 入った美空の部屋は、灯がされておらず月明かりの部分だけ明るかった。それが今の彼女の心境ともいえる部屋だった。

 「アキラ・・・」「美空」

 「宴会、やっているわね」「ええ」

 「あなた、行かなくていいの?」「あなたの方が大事です」

 「そう、ありがとう」「大切な妻ですから」

 そんな質問と回答を少し繰り返すとお互い言葉がなくなった。少しの間ができた後に再び美空が口を開いた。

 「ねえ・・・空も連れてどこかに行かない?」

 「私達三人だけで、いなくならない?」

 「あなたと空がいれば、私はどこでも行けるわ」

 「お願い・・・ずっといたいの」

 「あなたの傍にいたいの。あなたがいてほしいの」

 「うう、ひっく、でちゃう、涙が・・・止まらない」

 どんどん、少しずつ本心が出てきた。愛する人と二人っきりだからこそ、彼女は隠すことができなくなっていた。

 「美空・・・あなたの気持ちは本当に嬉しいです。でも、それができないでしょう」

 「分かっているわよ!分かっているけど、どうしても、それをしたいと思うのよ!あなたが・・・本当に、大好きだから。愛しているから!」

 涙もついに出た。

 「当主でもない、ただの美空。こうして心を見せてくれた弱い美空。そんなあなたを私は愛したいです」

 そこで言葉を止めて、彼女を抱きしめた。

 「ちょっと!な、何を!」

 「こうして抱きしめて、誰にも渡したくない。そんな気持ちでいっぱいです」

 「・・・ふん!どうせ、他の妻達にも言ってるのよね!」

 「言いましたが、これは本心です。あなたを愛したい。抱きしめたい。今、本当に思っていることです」

 アキラの抱きしめに応じるように美空も抱きしめた。二人とも力の限り抱き合った。温もりを分け合うように。

 「ねえ、これから先どうするの?私、何をすればいいの」

 「甘えてください。妻は夫に甘えていいのですよ」

 「それが、分からないのよ」

 それを聞き、キョトンとするアキラ。

 「子供の頃から、寺に預けられ出家して・・・越後の当主になった後も・・・空だって私は親だから甘える立場じゃないし」

 その呟きを聞いて、思わず笑った。

 「・・・ふふ、意外な共通点がありましたね」

 「共通点?」

 「私も、誰にも甘えることなく必死にある漢に追いつくために、一人で頑張り続けました」

 甘えることをしなかった。その共通点が二人にはあった。

 「そうだったのね」

 「はい。私も久遠に会うまで甘えるということを知りませんでした」

 時人や朱雀が自分に甘えてきたこともあったが、自分自身が甘えることは本当に彼女と会うまでは知らなかったので嘘ではない。

 「・・・何かあなたと同じところがあったなんて嬉しいわ。じゃあ、どうすればいいか教えて」

 「たいして難しくありませんよ。したいことをすればいいのです」

 「したい事?」

 「そうです。私に何をしたいですか」

 アキラの顔を、唇を見た美空。

 「あなたに抱かれたい。あなたにたくさん愛されたい・・・接吻してほしい」

 「私もですよ。では」

 「うん・・・アキラ、大好き。すごく、愛してる」

 「「ん、ちゅ」」

 二人の愛を確かめ合う接吻をして、一分ほどで離れた。

 「嬉しい・・・これが、好きな人とする接吻なのね。こんなに心が温かいと感じたのは初めて」

 そう言いながら、アキラを抱きしめていた力を強めた。

 「「ちゅ、むちゅ、くちゅ、ぐみゅ、ちゅ、ちゅ、ごく、ちゅ」」

 今度は濃厚な接吻をした。あの時(六十二振り目)はいきなりでお互いなかったことにしていたが、今回は愛を確かめ合うために本気の接吻で、五分ほどそのまま熱い想いを込めてやり続けた。

 「はあ、はあ、すごい・・・とても気持ちが熱くなる」

 「そうですか・・・美空」

 抱きしめていた右手を彼女の胸にかけた。

 「きゃ!」

 驚いて、思わず手を抓ってしまった。アキラの不意打ちに、ムカッとしたが

 「いい表情ですよ」

 「全く・・・ふん!」

 「では、いきますよ」

 「・・・いいわ」

 そのままアキラにされるがままに服を脱がされていった。

 「美空・・・とてもきれいですよ。今すぐにでも押し倒してしまいたいくらいに、理性を壊してあなたを求めたいです」

 「そ、そう、あ、りがとう」

 アキラもついに裸になった。後は、二人の想いをぶつけ合うだけとなった。

 「アキラ、あ、ダメ。そこは」

 「見せてください、全てを見たいです」

 「もう、変態・・・いきなり、そこを見るなんて」

 脚を閉じて見せないようにしていた美空の女性器に手を伸ばした。そして、無理やり開けて見えるようにした。

 「何をするのです?」

 「ふん!し、ししし、仕返しよ!」

 その仕返しとして、アキラの剛直したそれを握った。お互いいじり、こすり合った。

 「ああ!いじらないで・・・何?何か、出てくる!」

 「それは、こちらの、う!セリフ、です」

 お互い我慢しながら続けいる内に出るものが出た。アキラの方はすぐに止まったが、美空の方は止まらなかった。

 「恥ずかしい。どんどん、溢れる。どうして?」

 「あなたが私に抱かれたい。と心から思っているからです」

 「・・・うん、そうなんだ。だから、出るんだ」

 その言葉に恥ずかしさが少なくなった。さっきは抓られて止まった彼女の胸に手をやった。ビクッとしたが拒否をしなかった。だから、両手で胸をせめた。

 「あう!もう、両手で揉むなんて。でも、いい。アキラ。もっと」

 「あなたの胸、素敵ですよ。そう、いつまでもこうしていたいくらい」

 「・・・私、大きくないわ、よ」

 「気にしていたのですか?」

 「だって・・・秋子、抱いたんでしょう?秋子の方が大きいし」

 「それなら・・・」

 揉む勢いを速く、強くした。

 「あん!うん!何!すごく、体中が、しびれる!」

 「秋ちゃんと同じくらいになるまで、揉みましょうか?胸を揉むと大きくなるらしいですよ」

 「そ、そんな・・・でも、アキラになら、いい」

 ゴクリと涎を飲んだ美空の期待に応えるために、ひたすら揉み続けた。乳首も指でいじりだした。快楽にするツボも刺激していくと、彼女の体が少しふらふらしてきた。

 「あ、あ。何か、ぼーっとしてきた」

 「気持ちよくなってきた証拠です・・・いきますよ」

 割れ目にアキラの性の太刀をつけた。途中でいじるのをやめたのに、下の畳が既にびしょ濡れになるくらい蜜を出していた。

 「ダメ!やめて!い、入れるの・・・ごくり」

 「入れますよ。私とあなた、一つになりましょう」

 「う、う、う・・・うん。一つに、なりたい」

 一つになるという言葉におそるおそる頷いた。美空の蜜で濡れたアキラの性太刀を、ついに彼女の一番の秘所に入れた。 

 「ああああ!きたの!ううう!すごい痛い!痛い!駄目!やめて!やめて!」

 「ダメです、続けます」

 「う、動かないで!あう!ダメって言っているのに、ああああ、な、何かが今!壊れたような、貫いたような!」

 「そう、これであなたと一つになれた。美空、これで本当に夫婦になれました」

 それを言われて、美空は一気に心臓が高鳴った。

 「も、もう・・・でも嬉しい。一つに、あなたと一つになれた。夫婦に、なれた」

 アキラもまた心臓が高鳴った。涙を出しながらも、月の明かりが見せた笑顔になった彼女のその裸体に一気に性欲が高まった。その性欲が繋がっている美空をそのまま乗せた状態で、腰を動かした。

 「あれ?痛みが、なくなってきた。何これ、どんどんくる!何、何!溢れる!でも、出して、入れて、すごい!」

 彼女の体もどんどん性欲が高くなった。快楽に身を任せても恥ずかしいと思わなくなり、体中を触り、いじり、揉んでいった。

 「も、もう、アキラ・・・そんなに体をいじって」

 「あなたを、愛するあなたを、いじめたいです」

 「・・・いいわ。でも、お願い、接吻して・・・したままで」

 蕩けながら頼んだ彼女の願い。アキラは頷いてキスをした。そして、強く抱きしめながら口の中でもいじめ続けた。

 「むぐ、あう!ああいう!きちゃう!にゃんか、くりゅ~~!」

 美空も強くアキラを抱きしめた。ただ、キスを一心不乱に続けた。両者の口から顎にかけて涎が出続けた。

 「一緒に!一緒に!大好き、大好き~~!」

 最後の時が来たのか、キスをやめてアキラの顔を見た。横になってどんどんずっと割れ目の奥を、最後の場所をせめ続けたため、ついに快楽の頂点にたどり着いた。

 

 「あああああ!あ、アキラ、アキラ~~~!・・・え?何、これ、白い」

 

 その場所にアキラの渾身の一撃が出た。そこに出し続けたが、美空の壺が限界だったのか押し出されるようにアキラの性なる刀が出てそこから出る熱い愛が美空の腹に出し、胸にも出し、最後に顔にも出した。

 「これが、あは、嬉しい。嬉しいわ」

 体がその愛でいっぱいになり、彼女は嬉しかった。夫婦の本当の繋がりをでき、愛する人と愛の結晶ができるかもしれない。その可能性が彼女の気持ちを嬉しさでいっぱいにさせていた。

 「もう、顔にまで出して・・・ん、あなたの味。ふふ、力強い味ね」

 「その姿を見ると、まだ、やりたい気持ちでいっぱいになります」

 アキラの熱い愛を口に含み飲む姿。その淫らな姿に刀は再び太くなった。

 「いいわ。私も、もっと・・・ずっと、朝まで」

 「ええ。朝まで、離しません」

 言葉通り、ずっと離さないで抱き合った。愛を、想いを、そしていつまでも離さないという気持ちを確かめ合い、夫婦という絆を作った嬉しさをお互い持ちながら、眠りについた。その間もまた抱くのをやめなかった。

 

 

 ついに次の日。評定の間では典厩と対談を再度した。ただし、アキラ隊総出で、しかもアキラは上段に座ってだ。

 「ふむ、この男が田楽狭間の天人と言われる男でやがるか。なるほど・・・これはすごい。ただものでないのは空気で分かるでやがる」

 「そうね、とんでもない男よ。あと、アキラは私の夫になったから」

 「・・・はあ?」

 『なるほど・・・唯一の抵抗がこれというわけですか』

 自分をここに座らせたのは、典厩を驚かせてこの顔を見るためだと分かった。でも、これくらいならいいと思いそのままにした。一緒に行く歳、他にも妻がいて彼女らも連れていきたいと伝えて、その妻が下段でたまっているアキラ隊全員でしかも他にもいることが分かると、もう仮面を自分からはぎ取ってびっくりしていた。

 

 「こんなにいやがって!しかも、他にもいやがって!挙句には、長尾の家臣も全員妻になっていやがるのですか!そりゃ、これほどすごい男なら他にも妻がいてもおか

しくないでやがるが・・・ここまででやがるか!」

 

 いや、長尾の方は全員ではない。と言いたいが聞こえないだろう。

 「と、とにかく、こんなに大勢は無理でやがる!何人かに絞って後はここに置いていきやがれ!」

 その時間も必要ということで出ていった。満足そうな美空の顔を見て、アキラは連れていくメンバーを伝えた。

 「護衛として連れて行くのは綾那と歌夜にしたいと思います。駿府の一件のある鞠や公方の一葉はさすがに連れて行くのはまずいです。何より、隊を連れていけないので万が一が起こった時に隊を率いる存在が必要となります」

 「納得できん!正室である余を連れて行かんのは!」

 だが、こう説明しても一葉は文句を言っていた。

 「納得してください。公方様以外にはできないことです」

 「すいません・・・後、できることなら各務もお願いします」

 「私!」

 自分が呼ばれるとは思わなかったので、驚いていた。

 「あなたには草のようなことをさせることになりますが、小波と一緒に私達の後をついてきてほしいのです。そして、森一家と時人達は三河勢を連れて京に戻り久遠のところに行ってきてほしいのです。私達の生存を伝えるために・・・そして手紙を届けるために」

 「何だと!どうして俺を連れていかない!」

 「私達もどうして!」

 彼女らを納得させるための説明をした。

 「その道中に鬼が襲ってくると思うからです。手勢が少なくなっている三河勢では全滅する恐れがあるからです。それに三人の存在は京にいる久遠達は知らないので、それを教えるためでもあります・・・これは大きな仕事です」

 「わかった。各務、頼んだぞ」

 「仕方ない・・・各務わしらの旦那を守れよ」

 「必ず守る!」

 森親子からの言葉に気合十分の各務。

 「仕方ありません」

 「アキラ・・・絶対にまた会うぞ」

 「あんたと幸せになる。向こうで兄貴達と約束したんだ」

 「ええ、必ず会いましょう」

 何とか森の二人は納得してくれたが、三人は別の理由があると分かり、その事は聞かないで暗黙の了解をした。

 

 『長尾・・・上杉と武田と言えばあの戦いが有名。私が武田に行っている時にそれが起こると確実に彼女らと戦うことになる。出来る限り、それを避けなければならないが、もし戦ったら確実に被害者は増えます。そんなことになれば、鬼との戦いの勢力拡大も、愛する美空や秋子も危険になる』

 

 アキラが三人を森一家と同行させた本当の理由は、今後の同盟の活動と愛する人の命の危険も考えて三人をそちらにしたのだ。 

 「後二人ほど連れていこうと思いますが」

 「お頭・・・それなら詩乃ちゃんと雫ちゃんがいいと思います」

 「そちらに私達が行っても、お役に立てないと思いますので」

 ひよところの申し出に二人も頷き、連れていく人数が決定した。そして、典厩に連れていくメンバーを伝えて、ついに行く時となった。

 「アキラ!」

 評定の間を出ようとした時に、美空が叫んだ。

 「美空」

 「アキラ・・・あの、その」

 顔だけ彼女に向けて、

 

 「美空、ちょっと甲斐まで行ってきます。風邪をひかないでくださいね」

 

 笑顔でそれを言い再び前を向いた。

 

 「うん・・・いってらっしゃい!絶対に、絶対に、元気でいてよ!あんたは、私の、私の・・・私の大好きな夫なんだから!」

 

 最後に自分の愛を伝え、受け入れたアキラは右手を挙げて一言言ってそれに答えた。

 

 「妻を悲しませるようなことはしませんよ」

 

 そして、アキラはついに越後を離れ甲斐に出発した。

 




 何かこっちが六章最後にふさわしい感じになったな・・・

 さあ、アキラ。武田に向けて出発です!本来のメンバーに各務を加えた六人の妻と一緒です!さすがにあの戦いにあの三人を入れると完全にやばいので外すことにしました。

 後、この章ではSDKキャラを一人出します!それもお楽しみに!


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六十五振り目 流されて、甲斐の国

 こんにちは!一話に7000字オーバーしたことに驚く三MENです!

 今回は武田本拠地に到着です!


 5月27日 浅井夫婦の自慰を追加しました!半百合とも言えるかな?



 

 アキラが甲斐に出発した数日後、京では・・・

 「久遠様!アキラ様の情報が入りました!」

 「そうか・・・アキラはどれくらい嫁を増やしたのだ?」

 既に、報告=嫁増えると認識している久遠だった。だが、間違っていない。

 「はい。越後の当主長尾景虎を嫁にしたみたいですわん!」

 「すごいよね~。人修羅と呼ばれる長尾景虎を嫁にしたなんて!」

 「同盟に入れるためにやったとだろうが・・・何か楽しんでやっているように思えるのは気のせいか?」

 「久遠様、心から同意いたします」

 久遠のため息交じりの言葉に頷く麦穂。

 「大丈夫です。あやつは我々を心から愛しています」

 「うむ・・・って壬月。お前、今「さて、仕事に戻りますか」、自分の事も入れて言わなかったか!」

 そそくさと逃げるように出て行った壬月。

 「あいつも嫁になると聞いたが、あやつも悲しんでいたという事か」

 「そうですね。何より越後も同盟国になったのでしたら、アキラ様も戻れるようになるはずです!」

 「そうだな!よし、三若!もっと働いてもらうぞ!」

 「「「はい!」」」

 久遠も麦穂も三若も、笑顔で仕事を再開した。

 

 北近江で頑張っている浅井夫婦にも、

 「まこっちゃん!お兄ちゃん、すごいよ!」

 「市、頼むから少しは落ち着いて部屋に入ってよ」

 「もう~~!興奮して止まれないよ!」

 「はあ~。お兄様がどうしたの?前回のような変な噂じゃないよね?」

 興奮した市にため息をつくが、アキラがやはり気になるのか黙って聞いていた。

 「うん!人修羅と呼ばれるあの長尾景虎さんを嫁にしたんだって!」

 「・・・え、ええええ!越前で白百合さんが手を取り合えないと言っていたあの長尾景虎を!」

 「そうなの!それに嫁ってことは」

 「久遠姉様の同盟にも入るってことだよね。越後も入ったんだ」

 「お兄ちゃんの誑しパワーってすごいね!神すら誑せるんじゃない!」

 「そ、そうだね・・・誑しパワーって何?」

 呆れながら聞く真琴。

 「私も分からないけど、女の人をすっごくとろっとろのデレデレにしてお兄ちゃんしか考えられないくらいに蕩けさせるすごいものだよ!きっと!」

 「自分でもわかってないのに、よくそこまで言えるね・・・」

 「でも、否定はできないでしょう?だって、私達だって」

 「う・・・そ、そうだね///」

 「さあ!お兄ちゃんに会える日も近いから、市達も頑張ろう!」

 「そうだね。お兄様、待ってますからね!」

 二人もまた笑顔で仕事を再開した。

 

 相模の方では、朧とサイが到着していた。

 「姉様、名月は成長しておりました」

 「子は育つ。親としては嬉しいけど、寂しい気持ちもあるわね」

 「私も学びました。対等の立場になることも大切だと」

 「うんうん、溺愛していたあなたもそういう気持ちになってくれてうれしいわ~」

 「ははは、言われてますね」

 氏康の指摘に言葉を詰まらせる朧を見て笑うサイ。そこに姫野が来た。

 「(しゅた)御本城様~、何やら越後でいろいろあったみたいですよ~」

 「何々~。景虎ちゃんがアキラちゃんという子のお嫁さんになったの?」

 「姉様・・・そんな邪推は」

 「その通りです~~、長尾景虎があの男の嫁になったそうです~。越後ではその話題で大盛り上がりですよ~」

 「何と!あの人修羅が!」

 開いた口が塞がらない朧。

 「ふ~ん。アキラちゃんって自分にも他人にも厳しくって言っていたわね・・・それでどうだったの?最後に会った時と最近会った時では」

 「そうですね。自分にはいまだ厳しいですが、他人に対しては気持ちも理解するようになっていました。刀のような鋭さと氷のような冷たさを感じる空気がなくなってましたね。人を束ねる立場になったからでしょうか」

 「アキラ隊だったっけ?姫野~~、ずいぶん痛い目にあったそうね」

 「言わないでください!」

 泣きそうになっている姫野を笑う氏康。

 「それで、どうなったんだ?嫁になっただけじゃないんだろう?」

 「ううう~、はい・・・何でも、南がその男を分捕ったそうです」

 「なるほどね~~。それはそれは」

 氏康の目が一瞬光った。

 「姉様。虎は何を考えているのでしょうか?」

 「あの子は私も手こずるからね~。ただ言えることは・・・確実に一波乱、いいえ大波乱があるわ。アキラちゃんを巡ってね」

 サイも頷いた。

 「あの龍が黙っているはずがあり得ないからな」

 「そうでしょうね・・・それで我々はどうしましょうか?」

 「どうもしないわ、私達は相模を抑える。ここが大切だからね。朧。西をお願いね」

 報告も終わり、自分の場所を守るための戦いの準備をした。

 

 

 更に数日後。悪路続きだった山道が終わり、やっと整備された道になった。ずっと山道で苦しめられていた詩乃と雫は嬉しそうにしていた。何しろ、悪路に負けて途中で喘ぎ声を出すくらいのマッサージを典厩から毎日受けていたからだ。

 「残念です・・・二人の喘ぎ声は心地よかったのに」

 「もう!アキラ様のエッチ!」

 「閨の中でしたらお聞かせしますが・・・本当にエッチです!」

 「ははは!言われてもききませんよ」

 二人の文句をものともしないアキラ。

 「よ~~し!ここなら勝てそうです!」

 「ちょっと、綾那!」

 「ふふ~ん、勝てると思わないほうがいいでやがるよ!」

 道中、馬を使っての競争をしていた三人。ずっと負け続きだった綾那はここぞとばかりに馬を走られ、典厩と歌夜はそれにつられた。

 『小波に各務、どのあたりにいます?』

 『っは!ご主人様のお側に!』

 『すぐに飛び出せる位置にいる』

 句伝無量で二人の居場所を確認したアキラ。

 「二人は大丈夫ですか?」

 「疲れはまだ残っていますが、この道なら大丈夫です」

 「でも、この道だと攻めこまれたら相手が動きやすいと思うのですが」

 「それは武田からしても同じこと。だから、この道にしたという事でしょう」

 「「そうですね」」

 二人はアキラの言葉に頷いた。その時に競争していた三人が戻ってきた。また典厩が勝利したらしく、綾那が悔しがっていた。

 「武田の本拠地ももうすぐでやがりますよ!頑張るでやがる!」

 「・・・典厩さん。当主・・・あなたの姉は私をどう使うつもりですか?」

 この道中でそれなりに仲良くなった典厩に確認したが、首を横に振った。

 「ふむ、妹のあなたにも最小限の事しか話してないということですか?」

 「そうでやがる。アキラ殿を捕まえてこい。としか言われなかったでやがる」

 考え込む顔を見て、嘘は言ってないように見えた。

 「ただ、アキラ様を有効活用したいだけではないという事ですね」

 「夕霧さんにまで情報を伏せるほどの秘密。それはいったい何なのか」

 「夕霧が言えるのはただ一つ。姉上は間違った選択をしない、それだけでやがる」

 「今は、それで納得しておきましょう。情報がないことですし」

 彼女の回答に三人とも一応納得させた。

 

 甲府に一泊してようやく次の日に

 

 「着きやがりました~~!」

 

 武田の本拠地に到着した。

 「躑躅ヶ崎館・・・武田の本拠地、これが」

 「エーリカさんの喜びそうな風格がある建物ですね」

 「ええ。城好きの彼女なら確かに」

 三人がそう話していると、綾那と歌夜は本拠地にしては低いのでは?もう少し壁を高くするべきでは?と戦いの中に身を置いていたからこその感想を述べていた。

 「こんな感想ですが、そこにいるあなたはどう思います?」

 「拙の気配に気づくとは・・・典厩殿、お帰りなさいませ」

 「「「「え!」」」」

 「ただいま帰ったでやがる」

 アキラの顔を向けた方に武将が一人いた。気づかなかった四人は驚いていた。

 「さっきの感想の返答だが、取り囲まれたらその時点で勝敗は決まっている。人は城、人は石垣なのだから」

 「まさか、肯定の返事が来るとは思わなかったです。それより・・・あなたは感じからして大将みたいですが」

 「ええ、拙は武田家侍大将を務める馬場美濃守信房。通称は春日と申します」

 「大将ですか。通りで相当の実力者だと思いましたよ」

 壬月ほどの実力はあると見抜いていたアキラ。

 「春日山城大手門を破壊した力を持つアキラ殿からそう言われると嬉しいですな。そして、今孔明の竹中半兵衛殿に播州の賢人小寺官兵衛殿、更に三河の本多平八郎殿に榊原小平太殿ですな」

 「にゃ!どうして知っているです!」

 「何、こちらにいらっしゃるお客人の事は知ってないとおかしいでござろう?」

 「それだけとは思えないですが・・・妻が疲れていますから休ませたいです」

 胡散臭かったが、こっちの方が優先した。

 「さすが天下の女誑し!女性への気遣いはしっかりなさっておられますな!」

 「全く、どうしてそんな変な噂ばかり」

 「「「『『その通りです!』』」」」

 綾那以外が春日に同意して、居心地が悪くなったアキラ。典厩と別れ春日の案内で躑躅ヶ崎館の中に入った。

 

 やっとのんびりできる部屋に案内され、一先ず落ち着けた。

 「これで一段落ですね」

 「はい。やっと足が延ばせます」

 「それにしても、武田の情報網すごかったですね」

 その雫の言葉には全員が頷いた。

 「全くです。同盟やアキラ様の戦いの歴史の事ならともかく」

 「御館の戦いに出てきた鬼の背後にいた黒幕のことまで知っていたなんて」

 「詩乃と歌夜の言う通りです。そこまで知っていたとは」

 そう、春日はあの御館の戦いで会った黒幕のことまで口に出していた。

 

 『あの二人。一体どこで見ていたのか?大将が私に何を求めているのか?まずはそれが分からない限りは会うことは出来ませんね』

 

 南の目と耳。あの時の二人が見ていたと分かったが、まだ身の振りすらわかっていないので、それを聞いてからにした。

 「今一番の不安は、自分達の得物がないことですね」

 「そうですね。それにひとまとめになっているということは」

 「はい、簡単に始末ができる。ということですね」

 アキラと歌夜は、得物を越後から甲斐に移動する際に取られていた。抵抗できないようにとの事らしいが。

 「問題ないです!綾那の蜻蛉切りで対抗するです!」

 「え?夕霧さんに没収されたのでは」

 「ここにあるです!ええっと」

 そう言って、全く何もないところから。

 

 「じゃ~~~~んです!どや!( ・´ー・`)」

 

 「「「は?(゜o゜)」」」

 「綾那の蜻蛉切りは特殊なんですよ」

 いきなり出た蜻蛉切り。三人が唖然とする中、歌夜が説明したが聞こえてない。

 「えっと、どこにしまっていたのですか?」

 「ここです!収納できるところがあるのですよ!」

 そう言われても、どこにそんなスペースがあるのか分からない。

 「蜻蛉切りは便利な名槍なのです!何と、おにぎりや水筒をしまえるです!それに高い枝も切れるし、持ち運びも便利ですよ!」

 「そ、そうなのですか・・・ははは」

 『福島正則が受け継いだと言われる名高い槍の蜻蛉切り。それが、ここではこんなトンデモ機能が付いた槍になっているなんて・・・』

 苦笑いしている詩乃。しまうところを見せると言って一瞬で消えた蜻蛉切りを見て妖術と叫ぶ雫。アキラも本気で妖術では?と思うくらいだった。

 「時々、はずれを引くこともありますけど」

 「どんな外れですか・・・槍を出すのに当たり外れがあるのですか?」

 訳が分からなくなるので、話を変えることにした。

 「そ、それよりさっき雫が言った通り、武田の情報の速さもすごいものがありますね。私や詩乃や雫は呼ばれ名があるからともかく、二人のことまで知っているとは」

 「はい。相当優秀な草もいるのでしょう」

 「でも、どんな草の集まりなのでしょう?」

 「・・・小波、各務いいですよ」

 「「っは!」」

 それは同じ職を持つ人に聞こうと思い、上を向き声をかけると二人とも音を立てずに降りてきた。

 「お二人もお疲れ様です・・・どうです?」

 「気付かれている。でも、アキラの仲間と知っているのか。監視だけ」

 「アキラ様、よく私達が上にいることよくお分かりになりましたね」

 「アキラ様は女性の探知機ですから・・・」

 「詩乃、ちがいますよ。嫁の探知機と言ってください」

 「う~ん、それは嬉しい気持ちもありますが、同時にそれだけ多くいるいうことですから複雑な気持ちもありますね」

 雫の言葉に綾那以外の四人は頷いた。でも、言った通り嬉しいのか顔が赤かった。

 

 その後、小波から武田の草の話を聞き武田家当主武田晴信が甲斐にいても日の本中の情報が手に入ること。だからこそ、足長娘という異名も持っていること。甲斐には金山が多くあり金もそれなりにあるからそうやって草を多く使えることが分かった。

 「金の価値。情報の価値。そして、春日さんを見る限り人の価値もよく理解している。だからこそ、大国の当主になれたということですね」

 「ですね。その大国の当主がアキラ様に何を求めて「く~~」」

 詩乃の言葉を遮るように綾那の寝息が聞こえた。

 「もう~。綾那ったら」

 「でも、綾那さんのやっていることが今一番大事ですね」

 「私達も休みましょう。今は頭も体も休めることが大事です」

 そう言って、三人は布団を敷き始めた。すると、真ん中に一つそしてそれを囲うように四つ敷かれた。

 「あの・・・これは?」

 「アキラ様はもちろん真ん中です」

 アキラを置いてけぼりにして三人とも布団に入った。そして、綾那を残った布団に寝かせ自分も真ん中の布団に入った。三人の視線が集中する中、眠りについた。

 「いつも瞼を閉じているけど」

 「寝ている時はまた雰囲気が違いますね」

 「何か純粋に可愛いと思えるような感じがします」

 三人とも笑顔になって、そのままの体制で眠りについた。

 

 だが、一つ忘れてはいけない。後二人いることを。布団を出すときには天井裏に戻ったが、五人が寝たのを確認して降りてきた。

 「あ、あの・・・本当にやるのですか?」

 「やらないならいい。私はやる」

 各務が服を脱ぎ始め、胸にさらしがついている状態までになった。そして、アキラの布団の中に入った。

 「・・・ご主人様。お許しください」

 小波も同じ状態になって同じようにアキラの布団に入った。

 「いい匂い」

 「は、はい・・・ああ、アキラ様の匂い」

 「はあ、はあ、はあ。あ、ダメ・・・もう、我慢できない」

 「あ、ああ、アキラ様。アキラ様・・・もう、もう」

 二人ともアキラの体に抱き着き、胸も押し付ける状態になって眠りについた。だが、その眠りに着くまでに彼女らは自身の股をアキラの足にこすりつけとても激しく動かして熱い汗を流したみたいだ。

 

 『『アキラ(様)。とっても好き(です)』』

 

 

 そんな二人のように、アキラの事を想って熱くなっている人が北近江にいた。

 「まこっちゃん。市をのけ者にするつもり?」

 「そ、そんなことは!で、でも!」

 ジト目の市が見るのは、襦袢を着崩れて片乳が見えている状態の真琴だ。見える肌には汗も流れており、下着には湿った後もあった。

 「お兄ちゃんを想ってそういう事をするなら市も呼んでよ!市だって、お兄ちゃんのことまこっちゃんと同じくらい好きなんだから!」

 「だ、だって・・・こんな姿、は、恥ずかしいよ」

 「いまさら言うの?それにしても、いつの間にそんなものを隠し持っていたの?」

 「・・・・・・」

 真琴は何も言えなかった。今真琴が持っているのは自分が着ているのと同じ襦袢だ。だが、それは以前アキラが久遠達と泊まったときに着たものだった。

 「奥さんの市に隠し事はしちゃいけないよね~」

 そう言って真琴の前に座り、その襦袢の匂いを嗅ぎ始めた。

 「ねえ。す~、以前の報告があった後も、やったの?」

 「・・・うん。お兄様、無事でよかったから」

 真琴も市に続いて、匂いを嗅いだ。しばらくすると

 「はあ、はあ、お、お兄様」

 「え、も、もうなの」

 真琴が自慰を始めた。いや、再開した。市に見られる前までやっていたので、もともと欲情していたのだろう。目の前に自分の奥さんがいるのに気にならなくなっているのか、自分の女の入り口を慰めた。

 「う、うわ。まこっちゃん・・・う、でも、その姿見ると、い、市も」

 見えていた乳を再度揉みながら、女の入り口に指もいれて慰め続ける真琴の姿を見て市も欲情し始めてきた。

 「兄さま、兄様、真琴は、真琴は・・・ああ」

 犬のように襦袢に顔をうずめて匂いを嗅いでいる。ついに横になり、股から情水が出て床に垂れた。だが、お構いなしで続けている。

 「お兄ちゃん。ああ、まこっちゃんと抱かれて・・・」

 市の方は越前に抱かれた時を思い出して自慰を始めた。彼女はその時をことを徐々に思い出していた。

 

 『そんなことを言う二人にはお仕置きですね』

 

 そう言われて、アキラに入り口に指を入れられた。それを思い出した途端

 「あああ!お、お兄ちゃん!」

 自分の自慰の指がアキラの指に思え、いきなり快楽の電流が体を襲った。

 

 『まこりんの胸を揉んであげてください』

 

 その言葉を思い出した。すると、目の前で喘いでいる真琴のもう一つの胸を揉んだ。

 「ひゃう!い、市。な、何を!」

 「ま、こ、ちゃ、ん・・・市、市」

 いきなりやってきた市の揉みに、匂いを嗅ぐのをやめた。

 「あ、ああん!」

 「かわいいよ。まこっちゃん・・・その淫らな姿、綺麗」

 自分と市。二つの手で揉まれて、更に自慰の途中。体中に回っていた快楽が一気に倍増した。そんな彼女を見て市は更に欲情していく。

 「い、市。ぼ、僕も」

 「あ、あああ!ま、まこっちゃん!」

 真琴も負けじと市の胸を揉みだした。段々既に蕩けている真琴と同じように、市も顔が蕩けてきた。

 「お兄ちゃん、ひゃう!私達、んん!こんなに!」

 「そう、です。あう!お兄様。僕たちは、んああ!と、とっても」

 二人で抱かれた時はアキラが二人の胸を揉んだ。それを思い出したのか、二人は大胆になっていく。閉じていた股を大きく広げ、女の入り口を右手で激しく濡らして、感じて、しびれさせていき、左手で自分の前にいる同じ妻の胸を揉んで、愛撫して、突起をつねって感度を高める。

 「「大好きです(だよ)。お兄様(お兄ちゃん)」」

 

 『私も、二人を愛してますよ』

 

 これは市だけでなく、真琴も思い出した言葉だ。先に真琴が快楽の頂点に立ちそうになった。彼女の方が先にやっていたので当然だ。そこで、

 「市・・・市もその淫らになった姿、綺麗だよ。だから、もっと、綺麗に」

 「ま、ままま、まこっちゃん!ちょ、ちょっと、ひゃあああ!」

 真琴は市の開いているもう一つの胸に吸い付いた。いきなりの行動に驚いたが、そこから来た快楽が今までになかった強さだったので、市はさっき以上に喘いでしまった。

 「市、一緒に、いこう・・・お兄様を想って」

 「うん、だ、だからって、ああん!は、は、あああ!」

 仕返しする考えができないくらい市は快楽に溺れていく。市の方は真琴の胸を無意識に揉みしだいた。

 「市~~!ああ、す、すごいよ~~!」

 「ま、まこ、っちゃん、だって、あう!す、吸って、き、くる~!」

 その揉みに真琴もまた快楽に更に溺れていく。二人の女の入り口から出る情水も、止まることを知らないくらい出続けている。

 「!!く、くる、きた!」

 「ぼ、僕も・・・さ、最後は」

 二人がそろそろ快楽に体が達するのを感じた。そこでお互い考えが一致して頷いた。

 

 『こちらも、そろそろです!』

 

 アキラが自分達の体で達しようとした瞬間を思い出すことだ。これをすることで、

 「兄さま~~!ま、真琴は、真琴も、いきます~~!」

 「市も、市もだよ!いいいい、あああ!」

 この快楽全てがアキラにされてできたものと思える。二人の最後の追い込みも終わり、ついにその瞬間が来た。

 

 「「あああああ!で、で、でちゃああうううう!」」

 

 入り口からは勢い余って、お互いを掛け合うくらいの情水が出た。お互い胸を出しっぱなしで股を濡らしたままだが、笑顔で眠りについた。二人の間にはアキラの襦袢が二人の情水でびしょ濡れになっていた。

 

 次の日、その濡れた襦袢を見て二人してどうしようと慌てたのはまた別の話。

 




 やはり、各務はこれがいいですね。アキラ限定で口数が増えてきたような気が。

 後、それぞれの場所の様子も書いてみました。

 次はついに当主と対面です!


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特別編5 この想い、絶対に持ち続ける!

 こんばんは!三MENです!

 今回は本章ではなくある人の想いがどうやってできたかを書かれています。

 


 

 私は幸せだ。アキラと一緒に寝ている。アキラの匂いを嗅いでいる。アキラの温もりを感じている。あまりの幸せに思わず、興奮してあの秘所を濡らしてしまった。でも、それは仕方がない。アキラの匂いが、温もりが、身体があるなら私はこうなる・・・そう言えば、いつからこんなにアキラの事が好きになったのだろう。今まで一度もなかったのに・・・いつからここまで依存するくらいに好きになったのだろう。

 

 まだ、あれはアキラが現れる前の事。私の身柄を森一家の棟梁三左様に拾われ、棟梁のくせに全く仕事をしないから代わりにしていたら、家中から影の棟梁とまで呼ばれるようになった。三左様も娘の小夜叉様も私を頼りにするようになっていた。隊の居心地はよかった。以前いた家は仮面をかぶった連中ばっかりで、私の体目当てで見合いさせようとする奴らだっていた。

 森一家の皆は乱暴かつ粗暴なやつばかりだが、裏表がなくとことん殺しを好む連中しかいない。全く私の事をいやらしい目で見ないし、三左様と小夜叉様の手綱を掴むすごい人みたいな目で見られていた。とても解放された感じで心地がよかった。

 

 

 ある日の夜、二人が不機嫌になって帰ってきた。尾張の城下で鬼が出たという情報があり、一目散に殺しに行ったのに。

 『あの男!獲物を横取りしおって!』

 『そうだ!全匹全殺しできなかったぞ!』

 あの男?いったいどんな男が鬼を殺したというのだ?

 

 次の日に久遠様が家中にある男を見せた。私も一応森一家の代表として評定の間に出た。ずっと目蓋を閉じていて何を考えている?と最初は思ったが、久遠様から目が見えないという説明があり、そのすぐ後だ。

 

 『この男は我の夫となる男だ!』

 

 その言葉に、顔には出さなかったが驚いた。結菜様という妻がいるのに、男の妻になるなんて・・・私にとってはどうでもよかったが、三若や宿老の二人はやはり納得がいかなかったみたいで手合わせをすることになった。

 私はその手合わせを、気配を消して木の陰に隠れて見ていた。せいぜい、三若を倒せれば上出来だろうと思っていた。

 だが、その三若は三人同時で戦って勝ち、麦穂様と壬月様にも一対一で戦って勝った。この時は本当に驚いた。壬月様は三左様と互角に戦える力を持つ。その人に勝ったという事は三左様にだって勝てる力を持つという事だ。

 

 この男・アキラを知りたいと思い興味を持ったのは、そこからだった。それを知ることができたのは、あの弱いひよところいう二人と何故か結菜様と一緒に美濃に行った時だ。当時、まだ敵勢力にいた詩乃を誘拐するために向かい、その姿をたまたま見かけたので気配を消して後を追った。

 結菜様と木の陰で休んでいると突然アキラが走り出して森の中に入ったので、後を追ったら詩乃の短刀を掴んでいた。結菜様を守るために肩に軽いけがをしたその後だ。あの氷を見たのは・・・あの傷だらけの体を見たのは。

 傷だらけの体を見て私は知った。アキラは田楽狭間の天人と呼ばれているので天から授かった力を持っていると思っていたが、壬月様すら打倒した力は命がけで一つ一つの死闘を潜り抜け、誰よりも傷ついて、ずっとそれを繰り返していって、やっと手に入れたものだと。あの後、閉じられている眼も自らつぶして心の眼というものを手に入れたと聞いた・・・すごい。本当にすごいと思った。

 

 その後、壬月様の声がしたからすぐに離れた。結菜様が危なかったのに助けなかったことに、文句を言われるかもしれないからだ。でも、それ以上に私の眼にはアキラのあの体が焼き付いてしまった。あんなにすごい体は初めて見た・・・もしかするとこの時点で私は好きになっていたのかもしれない。

 

 この出来事の後に、稲葉山城を攻めアキラが忍び込んで門を開ける作戦。それが成功して後は城の内部を攻めるのだが、三若の遅さに三左様と小夜叉様が苛つきを抑えられず自分達が出ようとした時にアキラを見つけ、私に隊を任せ二人はアキラと戦いに行った。とても興味が出た。あれだけの傷ついた体で壬月様にすら勝てる力を持つアキラと森の親子の戦い。林のおばあさんに更に指揮を頼み、私は三人の戦いを見に行った。

 

 戦いの場に着くと、何と二人が氷漬けにされていた。すぐに抜け出したが、アキラがそれができるように弱く技を放ったように見えた。そうやって見てるといつのまにか久遠様がいた。まだ敵地の中だからこれ以上はまずいと思い、観戦していたことを隠して二人に説教して戦いに戻らせた。

 

 この稲葉山城制圧の後、アキラは尾張から姿を消した。何でも、久遠様が堺とかいろいろ行く際に連れて行ったらしい。結菜様からその説明を受けた時、ガクッとした気持ちになった。姿を消す前に一度だけ会ったことがあった。そして、離しをしているうちにこんなことを言われた。

 

 『どんな環境に生きてきたか知りませんが、あなたのような信念を持つ女性は好きですよ』

 

 信念・・・そんなものがあるのかわからないのに、まるであると確信して言うから驚いた。いなくなってからもずっと考えたが結局分からないままだったので、三左様に聞いてみた。

 

 『わしが分かるわけなかろうが・・・だが、あやつがどんな奴かは分かった。あやつは刀を使って会話する男じゃ。そして、その会話で相手を理解しようとする気持ちがある男じゃ。これはわしの直感だが・・・あやつはいずれとても大きな男に、更に強くなる。そう、わしらの想像を超えるような男にな』

 

 私はその刀の会話すらしてないのにどうしてそんな言葉をかけたのか・・・話を聞き終わり、最後に一言だけ三左様がこういって去っていった。

 

 『物を見れない代わりに心を見る目があると言っていたな・・・もしかすると、お前の中にある信念を見たからそう言ったのかも知れんぞ』

 

 ・・・アキラの持つ心の眼はそんなものを見ることができるのか?目をつぶしてまで手に入れたその眼で私の心を見た?・・・戻ってきたら確認しようと思った。でも、中々戻ってこなかった。何をしているのか・・・どうして、戻ってこないのか・・・私の信念、いったい何を見たのか・・・早く聞きたい。聞きたい。その気持ちが徐々に強くなっていった。

 

 やっと戻ってきて、ようやく評定の間で再会できた。でも、緊張感が漂う空気の為話ができる感じじゃない・・・だけど、私は自分の信念を見つけたい。アキラが見つけたならを教えてほしいのに、どうして強さをそこまで求めるのか聞きたいのに・・・久しぶりに会えて、とても嬉しかった。アキラと一緒にいることに嬉しさを感じていた。それさえできれば、他はどうでもいい。アキラの笑顔が見られるなら、今まで考えていた私の信念やアキラの強さの事など全部忘れてもいい。そんな考えが浮かぶくらいアキラの事だけしか考えられなかった。

 

 私がアキラの事を好きだと自覚したのは観音寺城の時だ。落城し、既に六角も滅亡した。私は森一家の陣を敷いて隊員達に指揮をしていた時だ。

 

 『待つの~~!』

 『お頭!接吻、受けてください!』

 『ハニー!さあ、熱い口づけを~~!』

 

 アキラ隊の皆の声が聞こえた。気になって顔を向けるとアキラが隊員達に追われている。しかも、声を聞く限り接吻をしようとしている。イラっとした。アキラに接吻するのは私だ。その気持ちになり、気配を消して追いかけた。壁を飛び越えたのを見て私も飛び越えた。早く、接吻したい。早く、抱き着きたい。出来ることなら、抱かれたい・・・え?今私どうしてそんなことを?今まで出さなかった女の気持ちをアキラに見せたいと思っているみたいだ。そんなことない、そんなこと・・・え?

 

 『『私達は愛し合っている・・・そう、ずっと』』

 

 自問自答しながら違うと思った時に、久遠様とアキラが裸で抱き合っている姿を見てしまった。気まずい気持ちなどなかった・・・むしろ辛かった。何故、アキラが抱いているのが私じゃないの?その思いでいっぱいだった。気配を消しながらその場を去ったがその途中で目から水がたくさん出ていた。ずっと聞きたかった信念の事も強さの事もどうでもよかった。

 

 分かった・・・アキラの凄さを知った時から、まだまだ強くなるために必死の思いで頑張っている努力を知った時から・・・アキラの事が好きになっていた。でも、アキラは久遠様の夫・・・形だけの夫婦だったが、あの二人はもう本当に愛し合っていた。その事実が私の想いに気づかせたと同時に私は失恋した。

 

 その後、気持ちが沈んだままで、顔には出さなかったが三左様は気づいていたらしく二条館防衛の時は私を指揮から外してくれた。ただただ、この悲しみを鬼にぶつけることしかできなかった・・・気持ちを少しでも晴らすために。

 二条館の防衛に成功した後、久遠様が言ったあのアキラ様の夫宣言。どんな人間でもアキラ様の妻になれるというあの宣言。諦めるしかないと思ったこの想いが実現できる・・・失恋したと思ったこの気持ちを叶えることができる!そう思うともう居てもたってもいられなかった。でも・・・正直恥ずかしい気持ちでいっぱいだった。何しろ、初めての事だ。せめてもう一人誰かと一緒なら・・・そう思いながら小谷城に移動したときに、同じ気持ちの麦穂様を見つけたので一緒に抱かれた・・・そして、ついに妻になった。もう、抱かれた後はすごく満足していた。すごく嬉しかった。アキラ・・・分かったよ、私の信念。

 

 『アキラへの愛をずっと持ち続ける』

 

 多分、アキラは心の眼を持っても見えていなかったのかもしれない。逆に三左様はアキラの相談をしたときから、この信念を知ったのかもしれない。だから、アキラへの意識を強くさせる言葉を言ったのかもしれない。三左様・・・ありがとうございます、私はこの信念を一生持ち続けます。

 

 『アキラ、覚悟して。私は絶対に離れないから』

 

 この想いがあれば何があっても怖くない。アキラの妻でいられるなら、どんな困難でもぶつかって壊す!それが、今の私各務を強くする気持ち!大好きだよ・・・アキラ。

 

 

 んん、あれ?夢・・・だったの。そうだね、夢だとアキラの温もりや匂いを感じることができないよね。それにしても懐かしい夢だったな~。一度は終わったと思った想いと信念を続けられるなら最後まで続ける。私はもうアキラ無しでは生きられない。アキラ以外は考えられない。依存していると言われても構わない。アキラしか私にはいないんだから。アキラ以外の男など絶対に考えられないし、一緒になりたいとも思わない。

 

 『ずっと、ずっと一緒。一緒、だから』

 

 再びアキラの温もりと匂いを堪能した。だけどそれだけじゃ我慢ができなくなり、アキラの上に乗り股間の太くなっている刀を取り出し自分の鞘に刺した。喘ぎ声で隣の小波も気づいて顔を真っ赤にして見ているが、気にしないで腰を動かしていった。喘ぎ声も大きくなっていくが気にしないで続けた。もちろん、そんなことをしていたからアキラも起きた。そして、そのまま私を抱きしめて耳元で呟いた。

 

 「かわいいですよ」

 

 アキラのこの一言が、私を女に・・・愛に貪欲な牝にする。あなたを愛する私にする。この言葉と刀の強さに私は果てた・・・アキラも出してくれた。ああ、幸せ。周りの人達は羨ましそうにしているが関係ない。構わない。だって・・・

 

 『私は、この人の、妻なの、だから』

 

 妻の悦びと嬉しさをかみしめながらアキラの体で動けなくなった。

 




 各務の想い。どうでした?

 自分の愛を気づけたのがアキラと久遠の愛し合いを見た時でした。一度は諦めかけたけど、夫宣言で絶対にもう諦めない信念を持ちました。

 では、次は本章再開です!


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六十六振り目 あれ?なんか同じことがあった気が・・・

 こんばんは!六十五振り目の「流されて、甲斐の国」を「流されて、甲斐蘭島」と書きかけた三MENです。

 いきなり特別編を出してすいませんでした・・・各務のアキラへの想いを全く書いてなかったのでここで出しておこうと思ったのです。

 では当主とついに対面です!


 

 各務の熱烈な起こし方に意識が戻ったアキラ。

 「アキラ様・・・」

 「私達もお願いします」

 「あの、いいですよね」

 「えっと、その、あの・・・」

 四人がじ~~っと求める目でアキラを見る中、まだ寝ていた綾那が突然目を覚まして、真剣な顔になった。アキラもまた、空気を感じ取った。

 「・・・何かありましたね」

 「です!戦の匂いがするです!」

 「小波と各務は戻ってください」

 「は!」

 「・・・う、うん」

 一瞬で着替えた小波と未だ裸に近い状態の各務。何とか着替えを持って天井裏に移動した。

 『ずるいです・・・』

 『小波も後でやってもらえばいい』

 そんな小さな声が聞こえたが、今は状況確認だ。走る音や兵達の急ぐ声が聞こえた。得物を持とうとしたが、没収されたままだったので丸腰だ。

 「いったい何が」

 「いろいろな音と声が聞こえます」

 詩乃と雫もそれらを聞こえてから真剣になった。そんなとき、走る音が自分達の前に止まった。警戒心を高めた中で

 

 「お前達、お召しら!・・・ひ、ひいい!な、何をするのら!」

 

 襖を盛大に開けて姿を現したのは、雀と同じくらい背の小さい少女だった。だが、警戒していたアキラと綾那はつい体が動いてしまい、アキラが一瞬で背後に回り腕を掴み背中に回し、綾那が取り出した蜻蛉切りで顔に突きつけた。

 「・・・あなたは?」

 「と、兎々は高坂弾正(らんじょう)昌信!通称は兎々ら!」

 泣きそうな顔で自分の名前を言った。

 「らんじょう?何を言っているのですか?」

 「弾正では?」

 歌夜の訂正に頷く兎々。

 「そう、言っているのら!早くこれをろけるのら!」

 「・・・どうやらここの武将みたいですね。綾那、大丈夫ですよ」

 「はいなのです!」

 アキラと綾那は警戒を解き、兎々を解放した。

 「こ、怖かったのら・・・ひどい目にあったのら」

 「せめて一声かけてから入ればこんなことはしませんでしたよ。ああいう開け方をすれば、それなりの対応をするのは当然です」

 「ですよ!気を付けるです!」

 「な、何れ兎々は注意されているのれすか・・・それはそうと。お前ら、おしめら!」

 「おしめ?・・・さっきので漏らしたのですね。戦場に行く前に着替えた方がいいですよ。武将がお漏らしなんてみっともないですからね」

 「ま、間違ったのら!お召しら!お前ら!戦があるからくるのら!」

 冗談もここまでにして、真面目になった。

 「まあ、この空気ならそれでしょうね」

 「ええ!綾那達も参加していいですか!」

 目が輝いている綾那。その後、移動中にこの少女の事やここの武将の噂や当主や典厩の話になり兎々はドヤ顔をした。途中で粉雪と呼ばれる語尾に「だぜ!」をつける活発的な女と、心と呼ばれるエーリカと同じくらいのおしとやかさを感じる女性と会った。

 

 その二人と別れて、自分達の得物がある蔵に着くとちょっとした珍事が起こった。

 「のわああ!何れ刀が動くれすか!」

 「す、すごいです!紫微垣って意思があったですか!」

 紫微垣がアキラがいないことに腹をたてたのか、蔵の中を動き回っていた。その光景に驚く皆。アキラが来たことが分かると、刃を向けて襲い掛かってきた。

 「「アキラ様!」」

 「ふふ、すいません。もう大丈夫ですよ」

 うまくかわし、刀を掴んで転がっていた鞘に入れた。その平然とやる姿に綾那は目を輝かせ、歌夜はうっとりした。

 「・・・すごいです」

 「アキラ様・・・本当にかっこいいです!」 

 「っは!早くいくのら!もう、みんな集まっているのら!」

 我に戻った兎々が慌てて歌夜に武器を返した。

 

 その後、皆のところに行き春日に叱られた兎々。蔵の事の話しても信じてもらえず、緊迫とした空気の中で軍議が始まった。

 どうやらこの甲斐にも鬼が出ていて、その集団がいくつか現れたから召集されたようだ。粉雪と心の隊が既に出陣していて自分達はその後だった。その時にお屋形様と呼ばれる少女が一人アキラ達の前に姿を現した。名前を言おうとしたが、夕霧が現状を解決するのが先。と言って言わせなかった。出陣となったが詩乃と雫は館に残った。

 

 『人質、と見えるけど真意は違うでしょうね。それに、お人よしそうなあの子。お屋形様と呼ばれてましたが、名前を言わせなかった辺り・・・おそらく』

 

 夕霧の態度から、ある結論を出したアキラ。困惑もしているようだが、その理由まではこの時はまだ分からなかった。

 「出陣する!」

 春日の号令に出陣した。

 

 鬼の集団と会うまでにどうして甲斐に鬼が出たのか聞くと、結構前から出ていたらしくアキラが田楽狭間に現れる前から出始めたらしい。最初に見たのが、武田の痛い敗北となった砥石城だった。

 「砥石崩れ・・・そのようなことがあったなんて」

 「当時は、鬼なんて存在自体知らなかったからな」

 「いきなり現れてどうしようもなかったのれす!」

 春日と兎々は悔しそうな顔をした。

 「いきなり現れてたら、そりゃ無理でしょうね。存在に驚き、力にも驚き、その事で隊列も作戦も無意味になってしまいますから」

 「それにしても畿内、近江、越後、そしてこの甲斐にも出ていたんですね・・・しかも、越前では知恵を持った上級の鬼に奇襲を食らって負けてしまいましたし。鬼の勢力はどんどん増えてますね」

 歌夜の言葉にアキラだけでなく、お屋形様と言われた少女も頷いた。彼女から興味深い話も聞けた。話題の砥石城で一人の若物が城に入り、その後で鬼が現れたらしい。

 

 『十中八九、あの三流ですね・・・試したのでしょう。鬼を本当に作れるかどうか。そして成功した・・・それが武田の砥石崩れにつながった。うまくいったから次は畿内や近江に行って鬼を増やしたといったところですね』

 

 アキラの中で考えが結びついた。

 「砥石城の鬼は根切りにしたのれすが」

 「また鬼が出るようになったのだ・・・南、駿府の方から」

 「す、駿府ですか!」

 二人の話に綾那だけでなくアキラも驚いた。忍ばせた草も全滅して今はどうなっているかすらわかっていないらしい。鞠の故郷、その話が本当なら彼女の故郷は既に・・。

 「見えてきたれす!」

 でも、今は鬼との戦いだ。

 

 現場に着いたが、越前の時のように上級の鬼がいなければ策を使った戦いをするわけでもない。越後のように数が多くなく、ただの下級の鬼の集まりで簡単に倒せる鬼だけだった。

 「では、参りましょうか」

 「はい!」

 「です!」

 アキラの言葉に綾那と歌夜は笑顔で続いた。

 「ちょ、ちょっと待つのら!」 

 「まさか!三人だけで!」

 兎々と春日の驚く声が聞こえたが、

 「( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 「う~む、綾那が小夜叉化してきているような気がします」

 「はい。アキラ隊では十分に戦う事が少ないので」

 「越後で存分に暴れたと思っていたのですが、足りなかったのですね」

 「そうですね・・・あはは」

 こんな雑談をしながら、鬼の集団をあっという間に倒しきった。

 「す、すごいのら・・・今まれの噂って本当に本当らったのら」

 「春日山城の大手門を壊した。というアキラ殿岳でなく、この二人もまた相当の実力者だな」

 二人とも感心していたが、別の集団を見つけたのでそこに行くことにした。

 

 「とおりゃああ~~!」

 「せいや!」

 「ふむ、さっきより多いですね」

 「甲斐の兵達よ!三人に後れを取るな!」

 「手柄を取られてしまうのれす!」

 さっきよりも数が多い集団にどんどん挑む皆。アキラ達の戦いに火がついたのか、春日と兎々も兵に激を飛ばす。

 「さて、これ以上は時間の無駄ですから、蹴りをつけましょう」

 お屋形様と呼ばれたあの少女に聞きたいこともあるからこそ、さっさと片付けたいと思い、腰に刀をしまい紫微垣を抜いた。

 「皆さん、どいてください。一気に片付けます」

 「はあ?」

 「何をする?」

 「アキラ様!まさか」

 「皆~~、離れるです!」

 紫微垣が光っているのを見て、何をするのか察した二人は兵達に離れるよう告げた。兎々と春日は刀が光っているのを見て驚いていた。

 『だんだん、体が壬生の血に適応してきたのか・・・もしかすると』

 ある予想を抱きながら刀を先までなぞった。

 「では、参りましょう・・・みずち!」

 兵達は綾那達に従ってくれて、前には鬼しかいなかった。その鬼に向かって横一線で刀を振り抜いた。だが、そのみずちを受けた鬼達は何ともなかった。

 「ちょ、ちょっと!何「あなた達も聞いたでしょう」。無視するな!」

 兎々の文句を無視して、紫微垣をしまった。

 

 「神風の清響を」

 

 決め台詞を言うと、鬼達が全員バラバラになった。それを見て、唖然とする甲斐の兵達と春日と兎々。

 「お、鬼が、バラバラに、なったのら」

 「これはすごい・・・」

 「おお~い、春日~~こっちは終わった。ってどうしたんだぜ!そんな呆けて!」

 「春日様!鬼はどこですか!」

 そこに、別の鬼の集団を倒した粉雪と心もやってきた。その二人にアキラが地面に指さした。?を出しながら下を見た。

 「な~~~!何でバラバラなんだぜ!」

 「い、いったい、誰が!」

 「アキラ様です!」

 バラバラの鬼を見て絶句する二人とドヤ顔の綾那。

 「ほら、春日さん。引きあげましょうよ」

 「っは!み、皆のもの!村は守られた!引き上げるぞ!」

 冷や汗を流しながら、引き上げの指揮をした。だが、アキラはみずちを使う前の一つの予想を考えていた。その予想とは、

 

 『体に変化はない。超活性化しない状態で紫微垣を使えた・・・やはりこの体壬生一族になりかけている。いったい私の体はどうなっていくのでしょうか?』

 

 壬生一族の体に変わり始めていることである。

 

 

 帰りは鬼の襲撃もなく、無事躑躅ヶ崎館に戻ってきた。

 「「アキラ様!おかえりなさいませ!」」

 「ただいま。無事帰りましたよ」

 「「はい!」」

 詩乃と雫が抱き着いてきたので笑顔で返した。その後すぐに評定の間に行くことになったのだが・・・そこに着くと同時に武田の家臣全員がアキラを見た。

 「・・・空気がおかしいですね」

 「はいです。ただの戦後報告なのに」

 「それだけではないという事ですね」

 「そうですね・・・明らかに皆さんアキラ様を見ています」

 綾那達も彼らの出す異質な空気に気づいた。

 「くるのら!」

 皆で疑問に思っていると、兎々がやってきて座る場所まで案内した。四人は空いている場所に座るように言ったが、アキラには何と上段に座れと言った。

 「本当にいいのですか?」

 「・・・いいでやがります。武田が決めたこと、アキラ殿は気にする必要ないでやがります」

 

 『久遠の時を思い出します。あの時は面白がって見せしめにされましたが、今回は違った意味での見せしめですね・・・ん?』

 

 かつて久遠にされたことを思い出していると、上段の間にある二つの座布団の真ん中には朱塗りの三ッ組盃が置かれていた。座布団の方は自分とお屋形様が座るものだから納得できるが、

 『何故こんなものが。いったい何に使うので・・・!』

 とりあえず、座布団に座ろうとしたら視線を感じた。その感じた方を向くと、

 

 「・・・・・・!」

 

 こっそりと自分を見ていた一人の少女が隠れた。しかし、すぐに姿を現した。

 『ふむ、なるほど。彼女ですか』

 だが、すぐに彼女が本人だと気付いた。

 「アキラ?」

 「ええ、そうですよ。当主さん」

 当主と言われてキョトンとする少女。

 「さっきのは影武者・・・あなたの妹なのでしょう?」

 「・・・(こくん)」

 少女が皆の前に姿を現し、自分の隣の席に座った。同時にアキラも座った。

 

 「武田家棟梁!武田太郎光璃晴信様!御出座!」

 

 春日の声と共に家臣全員が頭を下げた。夕霧の隣にあった空席も今は埋まっている。

 「あなたの妹の一人があなたそっくりと聞きましてね。その方じゃないかと思ってましたよ晴信さん」

 「うん、その通り・・・光璃」

 「え?」

 「光璃」

 アキラに顔を近づける。

 「ああ、そう呼ぶようにとの事ですね。では光璃、その影武者さんは?」

 「薫」

 「はい!お姉ちゃん!武田孫六信廉!薫と言います!よろしくお願いします!」

 「・・・なるほど。これはそっくりだ。ぱっと見だと確かに間違える」

 「えっと、ごめんね・・・だましちゃって」

 頭を下げる薫に、やっぱり素直でいい子だと思った。

 「いいのですよ。分かってましたし」

 「え?分かっていた?」

 「ええ。初めからね」

 ニヤリと笑顔を春日に向ける。

 「何と・・・拙の策と知っていて敢えてのったのですか」

 「大方、自分と仲間の戦力確認に薫君の顔合わせが目的でしょう?」

 「そこまで分かっていたとは・・・しかしどうして初めから分かって?」

 「簡単な理由ですよ。鬼の集団があれだけで棟梁が自ら出るなんて、大きな力と国を持つ武田からすればおかしい話です」

 その推察に、ふむと呟く春日。

 「夕霧君が影武者の薫君の自己紹介を遮った。これがダメでしたね。当主の紹介を遮るなんて妹でもやってはいけない事です」

 「余計なことを聞かれないようにと思って、やったのでやがるが・・・」

 「紹介を終えてから話をさせないやり方がよかったですね。不自然すぎましたよ」

 そう言われて何も言えなくなる夕霧。

 「そして、最初から気づいた最大の理由・・・薫君には」

 薫の方に顔を向けて、はっきり言った。

 

 「この子には当主の器がない」

 

 彼女を侮辱する言葉を。

 「な、何を、言いやがる!」

 「薫様を侮辱するとは!」

 「よして」

 「な!光璃様!」

 「話して」

 夕霧と家臣達が怒りに燃えたが、光璃が抑えてその理由を尋ねた。

 「私は今まで、織田、足利、浅井、松平、そして長尾の当主と会った。彼女らに共通して言えることが一つある。それは・・・切り捨てるという覚悟を持っている。兵に死ねという指令を苦しい思いを持ちながらも出す事を彼女らはできる。しかし、薫君はそれができない。まだ、会ってそれほど時間は経ってないですが、そういう人物だという事は分かりました」

 薫はそれを聞き俯いた。言い返せないからだ。

 「光璃のように棟梁ともなると、家中を束ね、自分を慕い、忠誠を誓う家臣達の気持ちを裏切ってはいけない。五つの家の当主は全員その気持ちも持っていた。自分の気持ちを押し殺してね・・・」

 久遠も真琴も美空も、葵や一葉、名前を出さなかったが今川・・・そう鞠だって気持ちを押し殺していた。そんな彼女らの顔が頭にでた。

 さすがにここまでの正論を言われると、家臣達も言葉が出なかった。そんな中で言葉を出したのが、大将の春日だった。

 「アキラ殿の言葉ももっとも。でも今は」

 「私を越後から分捕った理由ですね。一体どういう事でしょうか?」

 顔を光璃に向けた。すると、ぽつぽつと語りだした。それは、鬼が自分がこの世界に現れる前に出始めたという事。出て原因は自分にあるという事。そして、鬼達は日の本中に広がっているという事だった。

 だけど、家臣達は別の理由で自分に敵意を向けているような言葉で反論していた。

 

 『反論する言葉を聞く限り、光璃君は同盟に入る意思はあるように聞き取れる。でも、自分と同盟を別物として見ているのも気になる。彼女はどんな考えを持って、自分をここに連れてきたのか』

 

 そうやって考えていると、光璃は驚きの言葉を言った。

 

 「皆の言葉ももっとも、しかし時間なし。光璃は御旗・楯無に誓い、アキラと祝言を挙げる」

 

 それを聞いたアキラは一気に考えを放棄した。

 




 一気に祝言宣言まで行きました!

 会ってまだ数分しか経ってない人から「この人と結婚する」といわれたらそりゃ唖然としますよね・・・

 アキラ、だんだん体が壬生一族の体に進化していきます。

 では、次回もお楽しみに。


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六十七振り目 ええっと、デジャヴですか?

 こんにちは、三MENです!

 ちょっと調べたらUAも5万突破ですか・・・小説初めて三か月目。よし!また王様ゲームを開催するか!

 では、アキラと光璃の祝言です!


 いきなり、アキラの現実逃避から始まります。

 

 『皆さん、長らくお待たせいたしました。アキラ先生教えて!のコーナーです。まさか、第三回目がこんなに後になるとは思いもしませんでした。では、今回お教えする言葉、それは「デジャヴ」です。これは以前体験した出来事が、違うところで似たような体験をする時にふと思い出す言葉です。例えば夜の閨で誰かを抱いて寝た時に、違うところで別の人を抱いて寝た時に同じ抱き方をした時に前の時を思い出す・・・え?何、そんな経験ない。羨ましい?って、ちょっと待ちなさい!このリア充野郎ムカつく?ボコボコにしろ?いや、むしろ殺せ?何ですか!その木の棒に小さな鉄がいくつも刺さっているような武器は!というかあなた方、まさかそれで私を!うわあああ!』

 

 そこで、現実逃避が終わった。

 『っは!つい久しぶりに現実逃避をしてしまった・・・私に暴行しようとした連中の中に梵や紅虎に狂や京四郎がいたような気がしたのは・・・気のせいですよね?』

 

 ここはアキラのいた世界。

 「うおおおお!何か知らねえが猛烈にアキラが憎く思えたぜ!」

 「アキラはん!あんさんがごっつう羨ましく思えたで!ニクイ!憎い!」

 「・・・アキラの野郎・・・絶対に殺す!」

 「う~ん、何かアキラ君に猛烈に怒りがわいたのは何故かな?」

 アキラの現実逃避は四人に影響を与えていたようだ。

 

 やっと少し落ち着いたので、改めて光璃に確認した。

 「私と祝言をあげる。という言葉が聞こえたのですが」

 「うん。光璃、アキラの嫁になる」

 聞き間違いではなかった。

 

 『なるほど・・・皆さんの敵意ある視線も、夕霧君の困惑した表情もそれなら納得できます。ここに来たばっかりの男で、しかも女を誑し放題の御免状までもらっている私の嫁になるなんて、確かにいい気分はしないでしょう』

 

 「あ、あいやまたれい!(;´・ω・)」

 まだ少し混乱しているアキラをよそに、雫が待ったをかけた。皆の視線が集中する中、何とか勇気を振り絞って光璃に越後から策略を使ってまでアキラを奪い取り祝言をあげる意味があるのか訪ねた。すると、簡潔に一言。

 

 「始まりのきっかけ、終わりのきっかけ」

 

 それだけ言った。すると、雫と詩乃に当人であるアキラも彼女の意図に気付いた。

 「つまり、私が鬼を出した原因であり」

 「その鬼をいなくさせるのもアキラ様」

 「光璃様はそう言いたいのですね」

 三人の言葉に光璃は頷いた。すると家臣達はアキラと殺せば鬼はいなくなるという考えになり、アキラに対する殺意の視線が出てきた。綾那がアキラを守ろうと蜻蛉切りを出そうとしたがアキラに止められた。

 「でも、その考えが本当なら、私が越後にいる間に殺せばよかったのでは?例えば・・・御館の乱の時にでも」

 アキラがそう言った。何しろ、目と耳が現場にいたのだ。彼女らに頼めばうまい事実行できたはずだ。しかも、あの時は鬼だっていた。鬼に倒されたとでもすれば、守れなかった越後のせいにだってできた。言われて気づいたのか、殺意が薄まった。

 「では、光璃に聞きましょう。私を殺せば鬼はいなくなりますか?」

 「ならない」

 即答した。その後、詩乃が鬼を倒す意思があるのなら、同盟関係である越後と協力すればいいのでは?と聞いたら、

 

 「信用できない(# ゚Д゚)」

 

 これも即答だった。しかも、さっきと違い怒りの感情を込めた即答だった。同盟も入る意思はあるけど、金ヶ崎の退き口で逃げ帰った織田も信用できないから入る気持ちにはなれないらしい。だが、それ以上の理由もあるみたいな感じでそこから先の言葉を止めた。

 「まさか・・・」

 詩乃もその感じを見て何か気づいたみたいだ。

 『何となく私も分かります。でも、その考えは今は保留にしましょう』

 アキラ自身も自分事なので、何となく気づいていた。しかし、今は彼女が話さないという事は話すべき時じゃない、ということだろう。

 「まあ、あなたがいつ話すかは後回しにしましょう。でも、鬼と戦う意思と信念を持っているなら、私もそれを見せる意思と信念を見せましょう」

 「うん」

 笑顔を見せて、杯を持った。

 「では、祝言をあげる」

 「・・・そうでした」

 話が脱線しかけていたが、光璃と祝言するのは変わりなかった。

 「アキラ、あなたは覚悟を見せた。武田は美空や松平と違い覚悟を見せたなら、相応の覚悟を見せる」

 「な!どうして殿さんを出すですか!」

 「そうです!葵様の家臣としてほおっておけません!」

 「二人の覚悟は見せてもらった。二人のことは否定しない。でも、武田は走狗を煮たりはしない」  

 その言葉に歌夜は言葉を失った。綾那は不思議そうに見ているが、言葉の意味を知っている彼女だからこそ何も言えなくなった。

 

 『美空も覚悟は見せたことはありましたよ・・・でも、それは言えないですね』

 

 空を助ける時にまだよそ者のアキラに全てを託した覚悟、空と名月の戦いのときに二人を助けてほしいと頼んだ思い。それを思い出した。

 「ですが、何故久遠様の同盟に賛成なのに入らないのですか?」

 「私もそれが疑問です。何故でしょうか?」

 「・・・アキラは信用できる。でも、織田はまだ出来ない」

 二人の質問にアッサリと答えた。つまり、同盟に賛成という事は久遠の考え方には共感できるが、本人は信用できないからまだできないという事だ。

 『まだ、ですか。ここから先は私次第という事ですね』

 だが、可能性はまだあるという事だ。久遠の信念の為にも必ず同盟に入れようと決めた。

 「アキラも、持って」

 「・・・光璃、私はその杯を、受けられませんね」

 アキラに杯を持つよう言ったが、彼は否定の言葉を出した。夕霧と家臣一同が全員怒りの言葉を出すが、アキラは全て流して理由を話した。

 「光、私の事をどれくらい好きですか?」

 「好き?」

 「私は御免状を持っている身ですが、嫁になる女性は必ず自分への愛をしっかり持った女性と決めています。ここにいる嫁達は皆私の事を真剣に愛してくれる女性達です。私も彼女達を真剣に愛しています。ですが、あなたは私の事を好きになっていない。後、今のあなたは武田家の為に犠牲になろうとしているようにも見えます」

 その言葉に家臣達は言葉を失った。大将の言葉を否定された事には怒りを覚えたが、アキラの言葉に同意できてしまった。一方、アキラから真剣に愛していると言われ、綾那以外の三人と天井裏の二人は顔を真っ赤にした。

 「でも・・・これから私の事を好きになり、愛を持つ。そして、私自身の事を知っていきたいという気持ちがあるなら受けましょう。私は大きな愛を持つ二組の夫婦を知っています。夫婦というのはそういうものです」

 「好き。愛・・・知る」

 アキラの言葉に考え出した光璃。そして、結論を出した。

 「うん、アキラの事を知りたい。どんな人なのか。知りたい・・・そして、アキラ自身も私がどんな人か知ってほしい」

 『・・・うん。嘘偽りない気持ちで言ってますね』

 少し赤らめた顔を見て、目を見て、しっかり自分の気持ちを隠すことなく言っていることが分かった。

 「分かりました。私も全力であなたを知り、好きになり、愛したい気持ちになるよう誓いましょう。それなら、杯を受けます」

 「うん、嬉しい」

 「アキラ殿、自分のその誓いを証明できるものが何かないですか?」

 「誓いを証明?」

 杯の酒を飲もうとした際、春日から言われた。誓いを形として証明するものが必要らしい。もちろんアキラが思いつくものと言ったら一つしかない。

 

 「この我が人生をずっと共にした刀に誓いましょう。辛い時も、大きな壁に当たった時も、そして苦しみ続けた時もずっと共に頑張り、私を支えてくれたこの刀に」

 

 持っていた三つの刀を前に出した。紫微垣も出したのは、これからも共によろしくという意味も込めてだ。

 

 『誓いの証明としてこれ以上ないものです。私そのものと言っても過言ではないこの刀ですから』

 

 夕霧からの説明で、三回に分けて飲み、春日の宣言で光璃と夫婦になったことが皆に伝えられ、解散した。

 「・・・春日さん。一ついいですか?」

 「何ですか?」

 「私が夫になることに家臣達は否定的だった。兎々みたいにそれなりにいう人もいましたが、光璃が決めたからなる事に納得したみたいな感じでした」

 「ほう、やはり気付いたか」

 感心してその理由を話した。武田家当主は代々伝わる武具御旗・楯無に誓いを立てた以上はその誓いを絶対に果たせるよう家臣達は全力を持って支えるらしい。だからこそ、家臣達は一言も文句を言わなかった。

 「・・・なるほど、昔の私がやったことと同じという事ですか」

 アキラは自分の両肩をそれぞれ掴んだ。

 

 『おめえら・・・後は、頼んだぜ』

 『これは四聖天の血の誓いじゃねえ、漢と漢の魂の誓いだ。必ず生きて俺の所に戻って来い!』

 

 あの戦いに立てた自分の誓い。その誓いが託された両の肩。仲間達がその誓いを果たせるよう支えてくれた。今でも、アキラの大切な思いの中にある。

 「素晴らしいですね。分かりますよ・・・信念を貫き通すのと同じです」

 「ありがとう」

 アキラに褒められたのが嬉しいのか、光璃が微笑んだ。

 

 評定の間はアキラ達五人と武田三姉妹と四天王だけとなった。アキラがこれから話そうとすることはあまり口外するべきことじゃないので、この人数になるのを待った。

 「それでは春日さんと薫さん。話の続きをしましょうか」

 「話・・・鬼退治の時のですか。そういえば、綾那殿が駿府から鬼が来たと聞いてひどく驚いていたみたいですが」

 「駿府の事をどうしてそこまで・・・って、そういえば綾那さんは駿府の隣の三河出身でしたね。隣国だから知りたいのですか?」

 薫の質問には、歌夜が否定した。

 「違います。確かに隣国ですので気にはなりますが」

 「そうか、歌夜さんも三河出身でしたね。お二人「三人。あと一人は美濃」え?お屋形様。今三人って?それにあと一人っていうのは?」

 心がキョトンとしていると、光璃が見上げて屋根裏の二人に降りてくるよう言った。アキラは光璃が気付いていた事に純粋に驚いた。アキラが許可したので小波と各務が降りてきて、自己紹介したら粉雪から嫁か?と聞かれた。

 

 「うん、私はアキラの嫁。一生アキラのもの」

 「・・・わ、私も、あ、アキラ様の、お嫁さんです!」

 

 二人は照れながら答えて、アキラに大切な妻だと言われると顔を赤くして嬉しそうにしていた。夕霧と光璃から越後や京にも嫁がいることを聞いて唖然とする四天王。

 「私の嫁の事はともかく、今は駿府の話がしたいですのでそこまでしてください」

 「そうでやがるね。何かごまかされた気がするが、確かにその通りでやがる」

 夕霧も頷いて、皆も真剣になった。

 「それで、旦那はどうして駿府を気にするのだぜ?」

 「話す前に一つ、決して他言無用でお願いします」

 刀に手をかけてそう話した。それほど聞かせられない事だと理解させるためだ。薫がちょっとビクッとしたが頷いた。

 「うん、わかったよ。でも、どうしてなの?」

 「私達の同盟ですが、実は今川もいます。正確に言うなら氏真一人だけですが」

 「「「「「「何!」」」」」」

 光璃以外の六人が驚いた。彼女が驚かないという事は、今から話す内容も知っているという事になる。

 「光璃、知っているのですか?」

 「うん(こくん)」

 「という事は。今の駿府がどうなっているかも?」

 「うん、知っている」

 どうやら、アキラが話すことを完全に理解しているようだ。

 「な!お、お屋形様!それをろうして言わないのら!」

 「・・・言えるはずがないでしょう。でも、本当に言っていいのですか?」

 「うん、今が知る時」

 光璃が決心したのか、頷いた。だから、アキラはその決心の為に話した。

 

 「今の駿府は武田家の三人の母親、武田信虎が支配しています」

 

 彼女らも感づいていただろう現実を、アキラは言った。

 「氏真・・・鞠からその事を聞いた時は私も驚きました。信虎が駿府屋形で反乱を起こし現当主の鞠を追い詰めて乗っ取ったんですよ。駿府から鬼が来ている、という情報があるとすると・・・駿府は鬼の国になり、信虎も鬼になっていると見るべきです」

 「そんな・・・お母さんが、鬼に」

 アキラの説明に顔を青ざめる薫。

 「助けてくれた恩を忘れて仇で返すとは、許せないでやがる!」

 怒りに燃える夕霧。

 「今、鞠は私の護衛をしています。ですが、甲斐に連れてきたらあなた達が駿府を攻める大義名分を得て、そのまま駿府も武田領にされてしまうという考えから越後に置いてきました・・・あの子には駿府を取り戻すという約束もしましたから」

 ここにいる皆がアキラの説明に納得した。

 「連れてきてほしかった」

 光璃の言葉にアキラも頷いた。

 「ええ、今ならそう思いますよ・・・光璃や皆さんの様子からすると駿府を武田の領土にする意思はないみたいですし」

 「当然でやがります!身内の恥でやがりますから、このまま領地になどできないでやがる!」

 「今川には恩がある・・・氏真公には駿府を返してあげたい」

 その光璃の言葉にアキラは微笑んだ。

 「あの子はとても器が大きい。そして、心優しい・・・なのに苦しく辛い生き方をしています。どうしてもあの子の願いをかなえてあげたいのですよ。あの子に協力する意思を持ってくれてありがとうございます」

 光璃の手を握り感謝した。

 「う、う、うん」

 顔を真っ赤にして頷いた。

 「でも、問題は越後にいる鞠を美空が渡してくれるかどうかですね」

 「はい。アキラ様を手に入れたやり方があの時いた私達もいやらしいと思えるくらいでしたから」

 「それに、光璃様との婚姻も近いうち越後に知られることになると思いますから、その事でヤキモチも焼かれるかもしれませんし」

 アキラと詩乃と雫の言葉に歌夜達も頷いた。

 「一葉様達は・・・大丈夫でしょう。いつもの事ですみたいですから」

 「簡単に想像できるです!」

 「よくやった!というと思う」

 「右に同じくです・・・」

 全員揃って苦笑いした。綾那の言う通り、アキラ隊の皆は

 「やっぱりですか~お頭」

 「ふむ!さすが主様!」

 「それでこそアキラなの!」

 などの返答が容易に想像できる。しかし美空はそうはいかない。

 

 『あれだけ愛を見せあいましたし・・・「光璃の奴~!私の旦那を寝取るなんて絶対に許せないわ!出陣よ!」っと言って、攻めてきそうですね』

 

 その未来予想図が容易に想像できた。

 

  

 その後、鞠を連れてくるために越後に使者を送るよう頼んだ。その際、アキラ隊も連れてこれないかと頼んだが却下された。アキラの戦歴を考えれば、無理があるからだ。越前で鬼を数百匹倒したり、森一家との鬼退治の旅の事を話すと、粉雪や兎々はびっくりしていた。その後、兵の犠牲を減らせる戦いの事も話した。

 一通り鬼に関する話が終わり、最後にアキラの今後について話をした。

 「ここで私がすることは、鬼退治と武将達との触れ合いと光璃との夜の布団の中での熱い語り合い・・・ですが、まだ気持ちの整理がついてませんので、明日以降にしますね。誰かさんが奇襲を仕掛けてきそうですから(チラ)」

 「な、なんれ、兎々に顔を向けるれすか!」

 ニヤニヤして兎々に追い打ちをかける。

 「私達の部屋に来た時の事を、忘れたとは言わせませんよ~」

 「兎々・・・」

 光璃のジト目に焦る兎々。

 「ち、違うのれす!兎々はそんなこと・・・れもお屋形様にあの男が(ムムム)」

 「ダメだぜ、兎々。そんなことをしちゃ」

 「そうだよ、兎々ちゃん、夫婦の邪魔をしちゃ」

 「ふむ、少し教育が必要だな」

 「さ、三人まれ!らから~!」

 兎々がどんどん責められる。気持ちの整理は本当についていなかったので、嘘は言ってなかった。

 

 『さて・・・これから先、どうなりますか』

 

 兎々の悲鳴を聞きながらアキラ隊は評定の間を去った。

 




 では、今回はここまでです!

 次もまた原作では間章ですが、本章として書こうと思っています。

 梵にトラに狂に京四郎の嫉妬団・・・面白そうな気がする。



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六十八振り目 知っていこう、お互いの事を

 こんにちは、家にいる時はパジャマの三MENです。

 そろそろ、久しぶりの王様ゲームを書こうと思います!

 何気に鞠とそれをするのは危ない気がする・・・。



 光璃からいきなりの祝言から一夜経ち、次の日の朝。

 「アキラ!せーせーろーろー勝負ら!」

 「昨日の仕返しですか?」

 「そう・・・じゃないのら!勝負なのら!」

 「はあ・・・でも、サムライとして勝負を挑まれたのなら受けましょう」

 朝早く、襖の向こうから兎々の声が聞こえる。さすがに、昨日の一件で開けるのが怖かったのだろう。

 「言っておくけろ、襖を開けないのは同じ目に合うのが怖いからじゃないのら!開けるまでもないからなのら!早く来るのら!」

 そう言って、足音が遠ざかっていった。

 「結構怖がっているみたいですね」

 「え、ええ。確かに」

 「自分の本陣で殺されかければ、怖がりますよ」

 詩乃と雫が苦笑いをして答えた。だが、兎々は入らなくてよかったかもしれない。何故なら、

 「皆さんはゆっくりでいいですよ・・・でも、その前に放してもらえません?」

 「残念です。あん。もっと、していたかった」

 「初めてでしたけど、とても気持ちよかったです!」

 「もっと抱いていたかった。でも、仕方ない」

 「あの、その・・・ご主人様。また、お願いします」

 アキラは肌襦袢を着ていたが、彼女らは全員全裸なのだ。もし、入ってきたら確実に大混乱になること間違いなかっただろう。

 前回の現実逃避に出た梵達が、激怒しそうな羨ましい拘束から解放されて、彼女らの喘ぎ声を背に部屋を出た。

 

 評定の間に行くと、その部屋の前でふんぞり返っている兎々がいた。評定の間には他の四天王やまだ顔を覚えていない光璃の家臣達も数人いた。

 「・・・見せしめですか?」

 「すまん。私達でいい。と言ったのだが」

 「こいつが負ける姿を皆に見せる!といって聞かないんだぜ」

 「申し訳ございません」

 春日と粉雪と心の言葉を聞き呆れた。昨日のあの恐怖を味わっておきながら、勝てるつもりでいるのがある意味すごい。

 「さあ!勝負なのら!」

 庭でスタンバイしている兎々。得物を持ってない辺り、拳で戦うスタイルとわかったので、アキラは刀を抜かないで庭に降りた。

 「なんれ、抜かないのら!まさか、必要ないとれも言うのら!」

 「ええ、その通りです」

 「バカにして~~!始めなのら!」

 合図を言ったと同時に殴りかかってきた。あえて、そのままくらった。

 「ろうなのら!兎々の一撃は!」

 「おおい!もろにくらっちまったぜ!」

 「噂通りの方なら、避けると思ったのですが」

 「・・・避ける必要すらないという事か」

 春日の言葉に全員がアキラの顔を見た。全く、効いてない顔だ。

 「これがあなたの一撃ですか?(残念ですね。これなら、市の一撃の方がまだ強いですよ)」

 「兎々ちゃんの一撃って結構強いはずなのに」

 「旦那の方が、頑丈ってことだぜ!か~~、すごいんだぜ!」

 「これは、もう勝負は決まったな」

 三人と他の家臣達も驚く中、腕を掴み後ろにまわり、そのまま押し倒してもう一つの腕も後ろにまわした。

 「さて、降参してください。動けないでしょう」

 「嫌なのら!こ、これくらい・・・ふぬぬぬ!」

 降参を否定して、何とか抜け出そうとする。

 「なるほど、仕方ないですね」

 「や、やめ、はははは、く、くすぐ、あ~ははははは!やめ、やめ~~」

 ニヤリと笑うと、細い両腕を右手で掴み、開いた左手で兎々をくすぐった。

 「あ、遊ばれているね」

 「あ、ああ。でも、相当実力がないとできないんだぜ」

 「これは・・・拙が戦っても勝てるかどうか」

 三人はそれぞれの感想を述べている間にやっと降参して解放された。全身から汗を流して、大の字で力尽きていた。

 「さて・・・他の方はどうします?」

 まだまだ戦えるので、ほかの皆に顔を向けると粉雪が立ち上がった。

 「なら、あたいがやるんだぜ!」

 「粉雪さんですか。いいでしょう」

 「なら、拙はその後にしようか」

 「春日様。嬉しそうですね」

 「全力で戦える相手だからな・・・それでも、負けるかもしれんが」

 春日の言葉に全員が絶句した。武田家の中で一番強い大将が戦う前から負け発言をしたからだ。

 「よっしゃ!それじゃ「粉雪様!」って何だぜ!せっか「鬼です!鬼が出ました!」な、何だって!」

 意気込みバッチリな時に割り込んだ兵に文句を言おうとしたが、鬼の言葉に全員が真剣な顔になった。兵の話では、まずは典厩と作戦を勝てるために評定の間で作戦会議という事になった。

 「ふむ・・・なら、鬼をどっちが多く倒したかで勝負はどうです?」

 そこで、鬼殺し勝負を提案するとあっさりとのった。

 「よっしゃ!のったぜ!」

 「こ、こなちゃん」

 「やれやれ、ま、いいか」

 鬼退治に意気揚々の二人を見て。苦笑いをする春日と心だった。

 

 そして、評定の間で作戦会議が始まった。だが、ここに集まったのはアキラ隊のメンバーと典厩に粉雪に心だけだ。春日と兎々は光璃、薫と一緒に別件でいなくなってしまい、更に典厩と心は躑躅ヶ崎館を離れられないので、戦えるアキラと綾那と歌夜と粉雪と出陣していた。

 「ほえ~~。真っ赤っかです~~」

 「赤備え隊と聞いたから赤をメイン・・・たくさん使っているとは思いましたが」

 粉雪が率いる赤備え隊と一緒に行動しているが、見事に赤一色と言ってもいいほど兵も粉雪自身も赤の鎧や服を着ていた。

 「へへ~~。そんなに褒めなくてもいいんだぜ!この隊はな、あたいの姉ちゃんが作ったんだ!それをあたいが引き継いでもっと強くしたんだぜ!」 

 「お姉ちゃんがいたんですか~。綾那は一人っ子だけど、アキラ隊の皆にはお姉ちゃんみたいな人がいるから寂しくないです!」

 「そうね。大きな家族みたいな感じがするアキラ隊は居心地がいいわね」

 『・・・隊が家族ですか。なるほど、悪くないですね』

 二人の言葉にアキラは思わず笑顔になった。

 「へ~~。そんなに大所帯の家族は羨ましいんだぜ。あたいもなりたいんだぜ」

 「粉雪もなりますか!綾那は大歓迎です!」

 だが、粉雪は首を横に振った。 

 「・・・遠慮しておく。お屋形様を守るのがあたいの役目だし、隊に入るという事は旦那の嫁になるってことだろ?信用できてないやつの嫁になる気はない」

 「別に、嫁になる必要はないですよ。私の嫁部隊と見られていますけど、元々はそういう隊ではなかったので」

 「本当は搦め手専門の部隊なのですけど、暴れたい人が多いですものね。一葉様とか梅さんとか」

 苦笑いの歌夜に心から同意した。

 

 行進しながらの作戦会議で、アキラ達が先手で行くことになった。その理由がアキラ達の戦力確認と分かり、敢えて粉雪の案に乗った。 

 

 『春日と兎々の時はいませんでしたからね・・・ま、綾那が喜んでいるからいいでしょう』

 

 「そういえば旦那って相当強いって聞いたけど、どれくらい強いんだ?」

 「ふむ・・・尾張にいた頃は掛かれ柴田と手合わせで勝ち、二条館では鬼を数百匹ほど越前では千近くを殺したり、越後では春日山城の大手門をぶっ壊して、柘榴・・・柿崎と美空にも勝ちましたね」

 アキラの戦歴を聞いてげんなりした粉雪。

 「それを聞いただけで、あたいより何倍も強いことだけが分かったんだぜ。勝負はやめにするぜ・・・負ける未来しか見えない気がするし」

 しょぼんとした(´・ω・`)こんな顔になった。何となく気の毒に思え話を変えた。

 「そんなことより、本当にあの二人に先手を譲って良かったのですか?」

 「ああ。囮も必要だからだぜ!」

 「なるほど・・・でも、あの二人なら問題ありません。鬼の百や二百程度ならどうってことないですし、正直綾那はあなたより強いですよ」

 「何だって!それは聞き捨てならないんだぜ!」

 「今度勝負したらどうです?」

 「おうよ!」

 綾那と自分どちらが強いかの話をしていると、綾那の笑い声が聞こえてきた。

 「どうやら鬼と対峙しているみたいですね・・・あなたの読み通りになりましたよ」

 「おう!赤備えの皆!行くんだぜ!」

 粉雪の激に隊の皆のボルテージが高まった。先手の二人のところに走っていった。

 

 鬼との戦いが始まった。

 「おらおら!お前ら!鬼なんかに負けるんじゃないぞ!」

 「・・・何か、感情が高ぶってませんか?」

 「いつもはここが抑えてくれるんだぜ!」

 「いないから、こうなっているという事ですか・・・」

 綾那同様、粉雪もいざ戦いの場に入ると周りが見えなくなり敵を倒すまで感情が高まってしまうようだ。

 『まるでほたるですね・・・あいつも周りを全く見ないで戦いますし』

 興奮すると本当に自分の体を燃やしながら戦うあの漢を思い出しながら、粉雪の背中に立った。

 「この程度で時間を取りたくないので、一気に片付けますか」

 腰の二本の刀を抜いて、

 「夢氷月天!」

 一気に五匹葬った。更に襲い掛かってくる鬼を次々に斬っていくと刀が光りだした。

 

 『鬼血を刀に浴びせる・・・確実に以前より鬼を斬る鋭さが増していますね。この刀をより強く斬れるようにするのが、あの三流の狙いという事ですか?・・・確信はないが確実にそれだけは言える』

 

 まだ全て分からないが、一つの答えは出た。

 「すっげ~~ぜ!お~い、皆~旦那の強さに負けるな!天の力を得た刀を持ったアキラ殿がいる限り、あたいらに負ける理由はない!いくぜ~~~!」

 「「「「「おおおおお!」」」」」

 間違った解釈をした粉雪の檄で、兵達の気合も高まり鬼達を押していった。やつらが全滅するのもそんなに時間がかからなかった。

 

 「いや~~!旦那!天からの力があるならそう言ってくれればいいのに!°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°」

 鬼を全滅し終わった後、粉雪が笑顔でそう言ってきた。すると、綾那と歌夜もあの光る刀の現象はそれだと思っていたらしい。それと、今回の戦いは粉雪なりにアキラが光璃の旦那にふさわしいかを見極めていたことも分かった。一応、合格らしい。

 後は帰ったら心の食事が待っていると楽しみにしていた粉雪と綾那だったが・・・周辺を確認して帰ってきた物見からまだ鬼がいることが分かった。ご飯を楽しみにしていた二人は怒りに燃えて・・・

 

 「赤備え隊!全軍、鬼を皆殺しだぜ~~!!」

 「ご飯を遅くした鬼は全殺しです~~!!」

 「「突撃~~!!」」

 

 鬼のいる場所に向かって走り出した。二人のテンションについていけない歌夜と一部の赤備え隊。後を追うことにしたが、それが楽しかった昔を思い出せたきっかけになったので、綾那と粉雪にこっそり感謝していたアキラであった。

 

 鬼を今度こそ全滅させて、躑躅ヶ崎館に戻った時は夜も遅かった。心はこうなると予想していたのか、おにぎりを作っておいてくれて二人はガツガツ食べた。アキラも三個ほど食べて部屋に戻ろうとしたら、

 「あ、アキラ様。お屋形様が部屋に来てほしいとの事です」

 心からの伝言を聞いて、彼女の部屋に行くことになった。

 『本来は昨日が初夜でしたからね・・・でも、まだお互いを知らない状態ではそれは出来ませんね』

 歌夜にこの事を伝えると、残念そうな顔でアキラ隊の部屋に戻っていった。

 

 「失礼します」

 「うん、入って」

 光璃の部屋に入ると、布団が敷かれ、灯も弱め、彼女も少し顔が赤い。しかも肌襦袢を脱いですぐに裸になろうとしていた。

 「アキラ・・・早速「光璃、今日はしませんよ」・・・え?」

 「お互いを好きになるためにお互いを知り合おうと言いましたよね。いきなりその展開をするのは失礼に値します」

 「・・・じゃあ、何を?」

 脱ぎかけの肌襦袢を持って、キョトンとしながら訪ねた。

 「話し合いましょう、お互いの事を。本当に好き・愛しているという自覚ができるまで、毎日話し合いましょう」

 「じゃあ、その気持ちが本当の好きになったら」

 「ええ、あなたを抱きます」

 「うん・・・分かった。アキラの言う通りにする」

 あと一歩でおっぱいの先端が見えかけていた肌襦袢を着直した。元通りに戻って、少しほっとしたアキラ。

 「分かってくれて何よりです。女を好き放題抱いている的な印象を持たれていますが、抱く女は真剣に愛し合う女性だけと決めています。それだけは絶対に譲れません」

 「・・・あの御免状なら、そうみられても仕方ない」 

 はははと思わず笑って、肯定したアキラ。

 「話そう。お互いの事を」

 「はい、では・・・」

 そして、二人は一緒の布団に入り話し合った。

 

 「甲斐を立て直すために、三人で頑張った」

 「私は二、三歳の頃に捨てられまして」

 「みんな私に着いてきてくれた」

 「その漢の背中を追いかけていましたよ」

 「どうして、嫁がそんなに増えたの?」

 「久遠に出会わなかったら、今の私はいなかったでしょう」

 「蜂須賀小六?会ってみたい」

 「あの頃は力のみでしたね。自分を強くできると信じていたのは」

 

 お互い、自分のいろんな過去を話し合った。ある程度経過すると、光璃の目蓋が重くなってきたのか、うとうとしかけた。

 「今日はここまでにしましょう」

 「え?・・・もっと、聞きたい」

 「大丈夫です。続きは明日の晩に話しますよ」

 「本当!」

 笑顔で嬉しそうに声を出した。

 「楽しみはまた明日にしましょう。では、おやすみなさい」

 「あ・・・がっかり。一緒に寝てくれると思っていたのに」

 布団から出て行ったアキラを見て、がっかりした光璃。布団の中にいたアキラの入っていた空間に移動した。

 「暖かい、アキラの温もり。心が温かくなる・・・何だろう。もっとこの暖かさに身を委ねたい。そんな気持ちになる」

 自分の左胸に手をやった。

 「ここがドキドキする。とても心地いい・・・アキラの温もりを感じていると、こうなる・・・私ってアキラに包まれている?」

 そう考えると、段々暖かいから熱いに変わっていった。

 「・・・何なの。段々熱くなる。どうして・・・こんなこと。そう言えば、誰かが言っていた。こうなると、ここをいじっていくと」

 あの禁断の場所に手をやり、いじっていくと

 「何!余計に熱くなる・・・でも、ん!でも。もっと、いじっていたい。アキラの事を、考えると、どんどん熱くなる!」

 顔も熱くなっているが、彼女は気づいてない。

 「ダメ、ダメじゃない・・・アキラ。もっと・・・アキラにもっと、いろいろされたい!あああ!熱い、熱い!これ、何か濡れてる。え?漏らしているの・・・恥ずかしい」

 蜜があふれたのを漏らしたと勘違いしたことで、彼女の熱が冷めてしまいここまでとなってしまった。でも・・・

 「あの気持ちよさ・・・またしたい。今度は、アキラと一緒に」

 覚えてしまった快楽。それを忘れることもやめることも出来ない。それが、少しずつ彼女は変えていくだろう。

 

 「アキラ、おやすみ・・・あなたに抱かれて寝るね」

 

 そう、アキラの知らないところで。

 




 今回はあの間章三つを書きました。やはり、光璃との語り合いは必須ですからね。

 では、次もお楽しみに!


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六十九振り目 ふむ、それはあり得ないはずですね

 こんにちは!パジャマが普段着!三MENです。

 今回は四天王と鬼退治です!

 あと、久しぶりのあの技も出します!


 アキラが光璃の夫になって数日後。

 「く、く、久遠様!た、たたた、大変です!」

 二条館の評定の間に慌てて駆け込む和奏。

 「も、もど、戻ってきました~~!」

 同じく雛。

 「え、越後から!隊が!戻ってきました!」

 その二人と同じくらい慌てる犬子。この三人が息を荒げながら久遠の前に来た。その報告に久遠と一緒にいた麦穂、壬月も大きな声をあげた。

 「そ、それで!あ、あいつは、アキラは!」

 「それが・・・いないんです」

 「雛達が見たのは、森一家と見覚えのない三人の女性と、松平勢です」

 「アキラ様とアキラ隊の皆は、いませんでした。とってもがっかりだワン」

 三若の報告を聞きがっかりの久遠。壬月と麦穂も心なしか落ち込んでいるように見えたが、すぐに立て直した。

 「えっと、もう門まで来ているので、入れてもいいですか?」

 「ああ。そいつらからの報告も聞きたいからな」 

 「雛ちゃん。見覚えのない三人というのは?」

 「ちょっとしか話を聞かなかったですけど、アキラ君と同じ世界にいた三人みたいです」

 麦穂の質問に答えた雛。アキラと同じ世界という言葉に目を見開いた久遠と壬月。

 「アキラを追いかけてきたという事か・・・つまり」

 「はい!アキラ様の妻になる人みたいだワン!」

 「やっぱりか・・・とりあえず、ここまで連れてきてくれ」

 「「「はい!」」」

 三若が再び走り出した。

 

 評定の間には森親子と時人、朱雀、庵樹に葵の六人が入った。葵以外は足を崩して座っていたが、気にしないで話を始めた。

 「皆、よく、よく戻ってきてくれた!本当に、よかった!」

 「かかか!わしらが死ぬわけなかろう・・・と言いたいが、悔しいが死にかけたな。そこの三人と会わなかったらわしも、アキラも死んでいた」

 「ああ、母からそれを聞いて俺も驚いたよ」

 「そうか・・・ありがとう。夫を、愛する夫を助けてくれて」

 久遠は三人に頭を下げた。同時に彼女がアキラが一番愛する人だと知った三人。

 「あんたが久遠、アキラの一番の妻・・・あたしは庵樹だ。よろしく」

 「私は朱雀。アキラ様の妻になるために来ました」

 「私は時人。あいつの背中を追いかけ続けるために来た」

 三人の返事を聞いて久遠は笑った。

 「同じあいつの妻なら、私達は仲間だ」

 「私達の他にも妻はいますので、今度紹介します・・・はあ、また恋敵が」

 「だが、今はその話よりアキラだ・・・何故、一緒に戻ってこなかったんだ?」

 壬月の質問に、六人が顔を歪めた。その説明は桐琴と時人と庵樹がした。

 「儂らが聞いた話では、アキラは数人の仲間を連れて甲斐に行ったらしい」

 「越後で後継者問題があってな。それが終わった後に武田の人間がやってきてゴタゴタな越後を攻められたくなければ、アキラをよこせって言って分捕ったんだ」

 「私らはそこの女性の隊の護衛としてここまでやってきたんだ。それ以降はどうなっているのかは知らない」

 「武田晴信・・・一体、何を考えているのでしょうか?」

 初めてそれを聞いた葵は驚きながらも思わず口にした。

 「・・・その件は保留にする。今は休め。本当に良く戻ってきたな!」

 ちょっと無理矢理な笑顔だったが、仲間が戻ってきて嬉しいのは本心だ。

 

 『アキラ・・・まさかとは思うが、当主を妻にしてないだろうな?』

 

 その懸念が見事に的中していたことを知ったのは、次の日またあの三若が持ってきた報告でだった。

 

 

 尾張にもアキラと光璃の祝言の話が舞い込んだ日に、躑躅ヶ崎館では事件が起こっていた。アキラと護衛の小波と各務の三人は兎々に連れられて海津城にいた。着いてその日は休んだ次の日。明らかに物々しい雰囲気にアキラは自然と警戒をした。

 「・・・どうしたのです?あなた方までいて」

 「夫殿、おはよう」

 「おう、旦那。おはようだぜ」

 「アキラ様。おはようございます」

 そう、ここにいるのは兎々だけじゃない。春日、粉雪、心。つまり、四天王全員が海津城に集まっていた。

 「アキラ殿は頭がよく回るお方。見当はついているのでは?」

 「・・・四天王全員が集まらないとダメなのに光璃や夕霧などを連れてこないという事は、国内で光璃達に刃を向けるものがいてその反乱に参加している人数が相当な数がいる。私を連れてくるという事は、その反乱者は鬼にも関わっている・・・といったところでしょうか?」

 四人は絶句した。まさに、その通りだからこそ驚いた。

 「夫殿の洞察力は驚くしかないですな。全部その通りですよ」

 「軍議に出てないのに・・・旦那は絶対に敵に回したくないぜ」

 「本当だね。こんなに先読みできるなんて思わなかったよ」

 「ふ、ふん!それくらいれいばるな!」

 「別に威張ってないですよ・・・それで、数は?」

 「物見の報告だと、千です」

 「ほう・・・千の鬼が敵という事ですね」

 さりげない言葉に一瞬四人の言葉が止まった。

 「夫殿の言う通りなのだが・・・ただ、一つ変な情報もありまして」

 「変な情報ですか?」

 「草の一人が、鬼と一緒に歩く男を見たって話だぜ。襲われないで一緒に歩く。それだけでおかしな話だぜ!」

 粉雪の言葉にアキラも頷いた。

 「確かに・・・意思を持つ上級の鬼ならともかく、反乱に出る連中がそれになるなんてありえない。つまり」

 「はい・・・その者が鬼を指揮しているとみて間違いないかと」

 心の言葉に、アキラの頭に真っ先に思い浮かんだのがあの三流だ。

 「それで、その男の顔は?」

 「武田の因縁が深い男、寅ってやつなのら!」

 一瞬、呼び方が同じのあの顔が浮かんだがすぐに消して、考えをまとめた。

 「ふむ、そいつが鬼になる薬を買って、反乱に出る連中に強くなれるから飲め。武田を潰すことができる。とでも言って飲ませて鬼にしたのでしょう」

 「なるほど、それなら寅が襲われないのも納得ができる。自分が偉い立場と認識させて飲ませれば」

 「襲われることはないってことだぜ!」

 「薬を売ったのは越後の御館の乱に現れたあの三流で間違いないでしょう。日の本を鬼の国にしたがっていました。この甲斐と信濃のような大国は、必ず鬼の国にしておきたいはずです」

 アキラの推測は間違ってない。彼女らも頷ける話だ。

 「絶対に、そんなことさせないのら!」

 「その通りです!アキラ様。力をお貸しください!」

 「勿論です。妻の国を鬼だらけにするのは私も許せないですから」

 アキラもこれは見逃せない一件なので、進んで協力することにした。

 

 情報整理が終わったところで、春日と粉雪がアキラに感心していた。

 「それにしても、アキラ殿がいるだけでこんなに情報を整理できるとは」

 「あたいらじゃ、ここ一人に押し付けるような感じだからな」

 「鬼に対する知識も豊富だからね。あの戦い方も実際やってみると、視野が広がって効果的だったし」

 「ま、まあ!少しは見直してやってもいいのら!」

 兎々もアキラの有能に焦りながらも褒めていた。

 「それで、いつ出陣ですか?」

 「夜だぜ!やっぱり鬼は夜に現れるからな!」

 その夜になるまでの間、何回か粉雪と手合わせをすることになった。

 「おいおい!避けてすぐに槍を蹴とばすなんてありかよ!」

 「ありです・・・あれ?何かデジャヴが」

 「くそ!まだ「はい、終わり」ううう、また負けちまった」

 刀をすぐに首に突きつけられた。負けが決定した。

 「敵わないのは分かっていたけど、子供扱いされて負けるのは悔しいんだぜ!」

 「こなちゃん。落ち着いて」

 「ほう、粉雪すら子供扱いか・・・夫殿、一度手合わせよろしいかな?」

 春日がアキラの前に立って、真剣な顔つきになった。アキラも刀を構えた。

 「では、始めましょうか!」

 「ああ!」 

 刀がぶつかり合い残りの一刀で切りにかかったが、春日はアキラの間合いに逆に入りこみ刀を持つ手を直接つかんだ。しかし、春日の腹を蹴って距離をとった。

 「ほう、逆に間合いに入るですか」

 「距離をとるよりは、入った方がいいと思いましてな」

 「そ、そうか!そういうやり方もあったんだぜ!」

 「では・・・半分ほど本気で行きますか」

 すると、一瞬で春日の目の前に移動した。春日は何とか攻撃を受けないように、今度は両方の手を掴んだ。アキラはその手を凍らせて自分の手とくっつけた。

 「私相手ではそういうやり方はやめた方がいいですよ」

 「く!そうだ・・・夫殿はこの氷があった!」

 「な!おい!卑怯なのら!」

 「兎々、卑怯じゃない。これは旦那の力なんだぜ」

 「この事を忘れていた私達が悪いよ」

 これで春日は動きを制限された上に、驚いた隙に手を両方とも背中に回されたため刀も振り下ろせない状態になった。

 「でも、これだと夫殿も刀を振れない!」

 「ふふふ、では・・・」

 「な!!」

 そこから何と、アキラは春日に接吻をした。

 「「「なああ!」」」

 「!!!(じたばた)」

 「くちゅ、ごく、ちゅつ、じゅりゅり」

 いつも妻達にやるのと同じ、ディープなものを春日にやった。手も後ろにあり、止めることができない。顔を横に振る手もあるが、初めての女の快感に驚きその事を忘れ、五分ほどされるがままになった。顔もどんどん赤くなっていった。

 やっと解放されたときは、三人が今まで見たことがないくらい蕩けていた。

 「反則勝ちですね」

 「はあ、はあ、はあ・・・」

 今だけは、息をする春日の姿が色っぽく見えた。

 「なあ、春日ってあんなに色っぽかったっけ?」

 「いつも武将として見ていたから、女として見ていなかったよね」

 「・・・すごい接吻らったのら」

 三人も初めて見る顔に内心ドキドキして見続けた。

 「すいません。女性であるあなたの体を傷つけるわけにはいきませんから。それができる勝ち方があれしか思いつかなかったのですよ」

 頭を下げるアキラ。

 「いや、はあ、はあ。よ、よい。ああいう一手もあることが分かった」

 「まさか春日にあんなことをするなんて思わなかったぜ」

 戦いの中でキスは確かに誰も思いつかない。

 「でも、アキラ様以外は出来ないと思いますよ。アキラ様が強かったから春日様も抵抗できなかったでしょうし」

 「あ、ああ、そうだ。あれがなくても、夫殿は拙に勝てる」

 冷や汗を流して二人そう言った春日。その理由が、

 

 『あの接吻の快楽に負けて身を任せていたとは言えない』

 

 快楽に溺れそうになっていたからだ。顔は平静を保っているが、内心は結構ドキドキしていたようだ。

 「さて、そろそろ夜になりそうだから行こうか」

 「はいなのら!」

 身を引き締めて、今日の本命を倒すために指揮に入った春日だ。

 

 

 完全によるとなり、鬼と寅の目撃場所までやってきた。

 「・・・ふむ、皆さん戦闘準備です」

 「ああ、来る」

 春日と話すと、向こうから寅という男がやってきた。四天王全員がいることに満足そうに笑うと、すぐに自分達を囲むように鬼達を出した。

 「ほう~すっかり囲まれてしまいましたね」

 「皆のもの!鬼達を全滅するぞ!」

 「赤備え隊も負けるな!」

 「国を守るためにも!負けないで!」

 「いくのら!お屋形様を守るのら!」

 鬼と四天王達の戦いが始まった。そんな中、自由に動いているアキラとアキラの背中を守るように戦う小波と各務。

 「二人とも、私の背中任せましたよ」

 「はい!」

 「うん!」

 アキラを守れる嬉しさに、二人とも気合が入った。

 「早速・・・夢氷雹天!」

 自分達の周りにいた鬼をそれで粉砕した。二人も後ろの鬼をそれぞれ倒した。

 「おらおら!赤備え隊隊長のあたいに勝てる鬼はいないか!」

 「あの男がこの鬼の集団の大将だ!奴を討ち取れ!」

 粉雪・春日を筆頭に武田軍の将も兵も鬼を倒していくが、寅が鬼を盾にするかのように増やしていく。

 「では、やりましょうか!」

 刀を二本から紫微垣に変えて力を込めた。

 「だ、旦那!め、目が!」

 「ど、どうして!開けられないはずじゃ!」

 傍にいた粉雪と心はアキラが目を開けたことに驚いた。アキラにはその声が聞こえていなかった。

 『以前の二条館では失神ぎりぎりだったあの技。今はどうでしょうか!』

 紫微垣を天に掲げ、そしてあの言葉を言った。

 

 「ライトニング・ボルト!」

 

 刀から光が天に昇り、天から雷が鬼にめがけて落ちた。

 「こ、これが二条館で出した夫殿の技!」

 「何なのら!お、鬼共が皆凍ったのら!」

 兎々の言葉通り雷に打たれた鬼達が全て凍り、そして粉々に散っていった。将も兵も思わず固まった。

 「さあ。大将への道は開けました」

 「・・・っは!そうだ!天の力を持つ夫殿が力を貸してくれた!この好機を決して無駄にするな!」

 「「「「「おおおおお!」」」」」」

 『・・・まあ、いいでしょう。士気が高まったし』

 春日の言葉に、天の力ではない。とツッコみたかったが、それをするのは野暮だと思い出てくる鬼を斬り続けた。

 

 『これで確実ですね。私の体は壬生の血の力を引き出しているうちに、壬生一族の体になりかけている。あの時と同じ力であの技を使ったのに、少ししか疲れがない』

 

 自分の体の変化に気づきながらも、戦いを続けた。

 「すっげ~~ぜ!旦那!あんな技も使えるなんて!」

 「アキラ様って本当に天の力を持っていたのですね!」

 キラキラした目で行ってくる粉雪と心に汗を流した。

 「ま、まあ、そういうことにしてください。あの男を早く退治しましょう」

 「おおよ!」

 「はい!」

 鬼という盾を失った寅を指さした。だが、すぐに鬼が現れて奴の姿が消えた。

 「全く、面倒な・・・このままじゃ逃がしてしまいます」

 「鬼の出る数も旦那のおかげで少なくなってはいるけど」

 「さすがに、これ以上時間をかけられませんね」

 「ああ。夫殿、ありがとうございます。兵達に気合が入りました」

 「あ、あんな技、初めて見たのら」

 四天王全員がアキラの傍に集まった。早く寅を倒そうとする中、アキラは粉雪に顔を向けた。

 「この中では、粉雪さんがベストですね」 

 「??ベスト?何だぜ?それは」

 「一番いいという事です。ちょっと協力してください」

 「あ、ああ。あいつを倒せるならな」

 「ふふ、ちょっと驚きますよ」

 紫微垣をしまい、また目が閉じられ再び腰の二本を抜いた。

 「いいですか・・・そのままですよ。皆さんは少し離れていてください」

 「「「???」」」

 四人ともわけわからないまま。一応言う通りにした。

 「じゃあ、いきますよ!」

 アキラが二本の刀を地に刺した。すると、

 「お。おわ~~!」

 「な、何と!粉雪が!」

 「え?ええ~~!こなちゃんの足元から巨大なつららが!」

 「ろ、ろうなっているのれす!」

 心の説明通り、粉雪の足元から大きなつららが現れ、そのまま粉雪を乗せて斜め上に伸びていき、ついには鬼の奥にいた寅の近くまで伸びていった。

 「今です!」

 「お、おおよ!寅~~!覚悟しやがれ!」

 鬼も寅も、武田の兵も突如現れた巨大な地面のつららに唖然としていた。その為、そのつららから飛び降りた粉雪に対応ができなかった。

 「とどめだ!」

 彼女の一振りをそのままくらい、二つに斬られた寅は地面に落ちた。

 「よっしゃ~~!赤備え隊隊長、山県粉雪昌景!鬼の大将寅を討ち取ったり!」

 「「「「「おおおおお!」」」」」

 「よし!大将は討ち取った!皆の者!鬼共の殲滅せよ!」

 「あと少しだよ!頑張って!」

 「突撃なのれす!」

 大将討伐成功の言葉に皆の士気がさらに高まった。指揮する者がいなくなった鬼達は、ただ討たれるだけとなり最後の一匹も討ち取った。

 

 勝鬨をあげた後、皆満足げに躑躅ヶ崎館に戻っていった。粉雪や兎々はさっきの氷柱の事で大興奮してアキラに問い詰めていたが全部スルーした。何故なら、アキラはある一つの懸念があった。

 

 『あの寅と言う男、斬られた後体が散っていった。ということは中身は既に鬼という事になる。人の姿をした鬼がいるとは、さすがに思いませんでした。という事はあの三流も中身は鬼になっていると考えるべきでしょうか?』

 

 あの三流も、既に中身は鬼ではないかという懸念だった。

 





 春日に少しデレ要素を入れて見ました。何かそういう春日も見てみたいと思ったからです。

 そろそろ間章を入れようかな?それとも、あと一回本章をしようかな?

 まだ、次はどっちにしようか決めてませんがお楽しみに


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七十振り目 アキラ、暖かい・・・やっぱり


konnnitiha,sannMENdesu!
 あえてこんな始まりにしてみました!・・・え?つまらない?すいませんでした。

 では本日は光璃との距離が縮む話です。

 ついでに、越後の皆さんどうなっているのかも出します!
 



 

 アキラ達が寅率いる鬼を倒す前。森一家と松平勢が二条館に着いた時と同じくらいの時の越後。

 「お、お、御大将!た、たたた、大変(こけ)」

 「ご注進!ご注進でございますぞ!あまりにもとんでもなくもはや天変地異すら起こるのではと思えるとんでもなさに、越後きっての義侠人(こけ)」

 春日山城の評定の間で、美空はアキラ隊に家臣達と今後の越後に着いて話し合っている最中だった。この時は越後も落ち着いて、晴景派もほとんどいなくなっていた。

 「「落ち着きなさい!」」

 そんな話し合いに焦りまくった柘榴と愛菜が焦って入ってきた。途中でこけてそのまま評定の間の中間あたりから上段までの畳を顔で引きずった。見事に上段に頭を「ゴン」と音を立ててぶつけて止まった。

 「「い、痛いっす(ですぞ)」」

 美空と秋子の一声でやっと落ち着い・・・ていなかった。

 「落ち着けないっすよ!」

 「あああ、アキラ殿が!アキラ殿が!」

 「アキラが何!」

 アキラの名前が出た途端、美空も焦りだした。

 「あの、御大将?焦ってません?」

 「当然じゃ!やっと主様の情報が来たのじゃぞ!それで、何があったのじゃ!」

 「そうですわ!落ち着いてなどいられません!・・・ああ、ハニー。あなたを想い、毎晩自慰をして慰めておりました!」

 「梅ちゃん。同じ部屋だからそれが目に入っちゃうんだよね」

 「それで私達もついつい・・・って思い出しちゃったよ~!」

 「ほほほ、皆さんやっていることは同じですなー・・・某もですが」

 「ふ!甘いですわね皆さん!この貞子もアキラ様の事を想って一日五回!盗み出した布団からアキラ様の匂いを嗅いでは股を濡らしております!どうです!参りましたか!」

 この貞子の自慢にならない大声で、幽の小さな呟きが聞こえなかった。

 「・・・通りで濡れた後があると思った」

 「秋子だけでなく、貞子の洗濯物が多いと思うたらそういうことか」

 沙綾はニヤニヤしながら秋子を見た。

 「な、なああ、そ、そそそ、そんなこと!わ、私は自慰などしておりません!アキラ様を考えて股を濡らすことは確かにありますが!自慰は」

 「おや?一言もそんなことは聞いた覚えはないがのう?」

 「・・・っは!あうう///」

 自爆して顔を伏せる秋子。もう一人の方は・・・

 「そうです!あの人の髪の毛も手に入れ、いつもお〇〇〇に貼り付けて・・・あの人がいつもこのお〇〇〇にいると思うだけで。ああ、濡らしてしまいます!」

 口に出せることではないが、さすがヤンデレ。誇りに思って言うあたりとんでもなさは半端なかった。

 「空ちゃん、お〇〇〇って何?」

 「私も分かりません。あの、美空お姉さま?お〇〇〇って何でしょうか?」

 「し、静かにしなさい!報告が聞けないでしょう!」

 何とか誤魔化そうとする美空だが、二人の純粋な眼差しに焦って汗を流す。

 「美空ちゃん?教えて」

 「美空お姉さま?」

 「あ、あなた達が知っていいことじゃないのよ!」

 「こらこら、バカ娘よ。教えてやるのが親というものではないのか?安心せい、わしが教えてやろう」

 「うさ!あんたは黙ってなさい!二人とも、聞いちゃダメよ!」

 どんどん騒ぎが大きくなっていくのを見て唖然とする二人。

 「・・・こっちの方がとんでもなかったっす」

 「どや・・・焦るのが馬鹿らしく思えたです」

 周りの騒動を見て、焦っていた自分に反省して落ち着いていった。

 

 評定の間の嵐も過ぎ去り、全員汗を流した状態で二人が報告を始めた。約一名ほど股を濡らしながらお〇〇〇に指を出し入れしているが。

 「それで、アキラがどうしたの?」

 「はい、アキラさん。武田晴信の夫になったらしいです!」

 「そうです!甲斐に忍ばせていた軒猿達が全員その情報を持ってきた当たり、間違いない情報かと思うのです、どーん!」

 それを聞き、まず反応したのが。

 「さすが主様!武田をもう堕としたか!」

 「えええ!いくらなんでも早すぎますよ、お頭!」

 「お頭の誑しの力が日に日に強くなっているんじゃ・・・」

 「アキラ殿は常日頃、誰よりも強くなろうと頑張るお方です。その時に誑しの力も強くしておられたのでしょう」

 「うん!アキラは日の本で一番の男なんだから!」

 「そうですわ!・・・でも、恋敵がまた増えたのですね。ああ、喜べるのか喜べないのか微妙ですわ」

 やっぱりアキラ隊だった。本当は光璃からアキラに求婚したのだが・・・普段から口説く姿を見ていたため、そうとは思ってなかった。

 「御大将?」

 「あの・・・えっと大丈夫ですか?」

 「秋子、今は何も聞くな」

 「(ゴゴゴゴゴ)南の虎め(くちゅくちゅ)。私のアキラ様を(びちょびちょ)」

 「えっと、御大将。それで・・・アキラさんの事ですが」

 「どや・・・あの、その」

 「美空お姉さま?どうなされました?」

 美空が何も言わなくなったことに焦りの顔を出す長尾勢。いらないことをしている貞子は、指を動かしながら殺意に満ちた顔になっていた。

 

 「(ゴゴゴゴゴ)光璃・・・私の旦那を・・・夫を・・・寝取ったわね!」

 

 アキラの未来予想図通りになりそうな展開だった。

 

 「出陣よ!アキラを絶対に取り戻すわ!そして・・・光璃を!光璃の頸を!」

 

 見事、命中。長尾勢、甲斐に向けて出陣準備に入った。

 

 

 時は元に戻り、アキラは今日も光璃と語り合うために彼女の部屋に行った。だが、そこには妹二人もいた。

 「今までは二人っきりにしようと思って遠慮してやがりましたから、こうして三人そろうのは少し久しぶりでやがる」

 「うん!とても仲良くなっているみたいでよかった!」

 「ふ、二人とも!///」

 光璃も嬉しそうに顔を赤らめた。

 「三人とも、仲がいいですね」

 「そ、それより報告」

 「今回の事なら明日まとめるつもりですから、別の話をしましょう」

 「そうでやがるな・・・まずは」

 四人とも真剣な顔になった。

 「信濃だね。鬼の増える声が聞こえるよ」

 「報告だと操るものが国内に入っているらしいとの事」

 『操るもの、あの三流「今はいい。心当たりがある」・・・は?』

 光璃の「心当たりがある」という言葉に考えるのをやめた。三流がやっているという確信はあるが、それがどこの人間かまではアキラは知らない。光璃のこの言葉はそれすら知っているという事だ。だから、アキラは光璃に問い詰めた。

 「光璃!あなた。心当たりがあるのですか!」

 「うん。まだ確実とは言えない」

 「なるほど・・・分かりました。確信が持てたら教えてください」

 光璃は頷いて、話を次にずらした。

 「・・・駿府でやがるな。そう言えば兄上は駿府が鬼の国になっていて、母上が鬼になっていると言ってましたが、どうしてそこまで確信が持てたでやがるか?」

 夕霧が何故?いう顔でアキラを見た。彼女らからすれば駿府方面から鬼が流れてくると言う情報だけで、確信を持つアキラの言葉が疑問だった。

 「越前という実際になった国を見たからです。人の気配が全くと言っていいほどなくなったあの国を見たから」

 「人・・・誰もいなかったの?」

 薫の悲しそうな言葉に頷いた。

 「越前からの鬼も北近江のまこ・・・いえ浅井長政の治める国に侵略してました。同じものを見たからこそ、駿府がそうなっていると分かったのです。鬼を指揮できるのは力の強い武将くらいの鬼にしかできません。それができるのはあなた方の母以外にいません」

 「そうか・・・お兄ちゃん、戻すことってできないの?」

 「薫君、これは仕方のないことです。完全に鬼になってしまったものは倒す以外方法がありません。戻す方法は、私も知りたいくらいです」

 その言葉で辛い表情を出した薫。心優しいからこそ、その現実が辛い。

 「薫、兄上の言う通りでやがる。甲信の民を苦しめようとする母上はもはやただの鬼。討って皆を安心させることが我ら三姉妹のやるべきことでやがる」

 「・・・うん。分かった」

 まだ辛そうな顔をしているが、気持ちのケリはつけたみたいだ。

 「駿府は様子見を継続、という形でいいでやがるな?」

 「うん。お願い・・・でも、問題もある」

 「越後でやがるな」

 苦い顔して言った夕霧に、アキラもまた苦い顔になった。

 「でしょうね・・・私もそう思います」

 「そう言えば、お兄ちゃんって長尾景虎さんの夫だったよね」

 「だから、容易に想像がつきます。因縁が最も深い光璃との祝言。それを知った美空が怒りに燃えて出陣命令を出す姿が」

 「うん、光璃も思う」

 アキラの言葉に光璃も心から同意した。ライバルだからこそ、どう行動するかも予想できるのだ。

 「でもまさか、そんな理由で出陣するなんて「美空はそのまさかをする」「やりますよ、必ず」・・・そ、そうでやがるか」

 夕霧の言葉を二人で遮った。ライバルと夫からの言葉に何も言えなくなった。実際、本当に二人の言った通りになっていた。

 「話も終わったことだし、引き上げるでやがる」

 「うん!お姉ちゃんもお兄ちゃんとゆっくりね」

 「そうですね。そのためにここに来たのですから」

 「ちょ、二人とも!」

 「「失礼しました(したでやがる)」」

 二人が部屋を出て、アキラと光璃の二人だけになった。

 「とりあえず、いつも通り・・・布団に潜りますか?」

 「・・・(コク)」

 照れながら敷かれている布団に入った。だが、入った途端アキラに睡魔が襲った。

 「あれ?なん・・か、眠気、が」

 「寝る?」

 「そう、ですね。ちょっと、寝させて」

 そこでアキラの意識が途切れた。寝息も出て、本当に眠りについた。

 「・・・海津の戦い、やっぱり疲れていた」

 寝顔を見てそう考えた。

 

 「・・・アキラ。いつもは意地悪なことを言って、厳しいことも言って、それを自分にも言う人。でも、決して挫折しない・・・すごく、頑張る人」

 

 服の隙間から見えるアキラの体。たくさんある傷。それを見て光璃はドキドキが強くなった。

 『すごく、ドキドキする。止まらない。やっぱり・・・アキラの事。こんなに、熱くなるの、初めて・・・アキラ』

 アキラが目の前で寝ている。

 『・・・あ、やっぱり、濡れて。はあ、はあ・・・アキラの温もり、それがとっても興奮・・・する。私、もう・・・と、止められ』

 彼女の手があの蜜を出す口に伸びていた。でも、何とか理性が欲望をやめた。

 『っは!駄目!目の前にアキラがいるのに、こんな淫らなことを・・・アキラ本人になら、されても・・・ううん!何を考えて!べ、別の事を』

 どんどん妄想が淫らになっていくのをやめるために、何とか別の事を考えた。

 『どれくらい頑張ったんだろう・・・アキラはずっとある人の背中を追いかけ続けるために。と言っていたけど、その人ってどれくらい強かったの?春日山城の大手門を壊せるほどの力を持つアキラが勝てないの?』

 傷と話でアキラの過去に段々興味を持つようになった光璃。そんな中、光璃はアキラの唇に目がとまった。すると、一気に目が離せなくなった。

 『今なら起きてないし、いいよね?だって、夫婦なんだし、接吻なら・・・』

 「アキラ・・・起きてる?起きて、ない?」

 顔を赤くし、ドキドキを強くしながら、近づいた。数センチというところで

 「ん?あれ?光璃。どうしました?」

 不運にも、アキラが意識を取り戻した。

 「あ、あ、起きてた?」

 「いえ?本当に今起きたばかりですが・・・何故、そんなに近くに?」

 「な、何でもない!」

 さっきより顔を赤くして、布団まで出て距離をとった。そんな光璃に疑問を持ちアキラも布団を出た。

 「どうしたのです?そんなに真っ赤になって」

 「だ、大丈夫だから!ち、近づかないで!」

 近づくにつれてどんどん赤みが増す。

 「・・・分かりました。でも、何かあるなら言ってくださいね。夫なのだから」

 「う、うん!あ、ありがとう」

 近づかなくなったことで少しだけ落ち着きを取り戻した。でも、光璃の目はアキラの唇から離れなかった。

 『起きなかったら、やっていた。恥ずかしいけど、やりたかったな』

 「あの?何か?」

 光璃は気づいていなかった。そう考えてしまったことで、彼女の指がアキラの唇に触れていたことに。

 「!!あ、そ、その・・・男の人って固いなって」

 やっと気づいて、慌てて手を離しその指を自分の唇に触れた。その行為にアキラは「あっ」と小さく叫んだ。

 「女は柔らかいのに・・・」

 『・・・気づいてないのでしょうか?』

 ある一つの事をしたのに、気づいてないことに不思議そうなアキラ。

 「??どうしてしゃべらないの?」

 「何でもないですよ。まあ、男はいろいろ固いですからね。自分も理由は分からないですよ」

 何とか話を変えられたことにほっとしている光璃。

 

 『やはり気づいていませんね、間接キス。説明はしない方がいいでしょうね。あれだけ動揺していたので、それをしたらもっと焦るでしょうし』

 

 顔はおろか、全身から汗を出す光璃の姿を想像したアキラ。

 「とりあえず・・・寝ましょうか」

 「え!一緒に寝るの?」

 「ええ。そのつもりですから」

 ニヤリと笑って、再び布団の中に入った。いつもは話し終わると、部屋に戻っていたので驚いた光璃。

 「それとも、嫌ですか?」

 「ううん!そ、そんなことない!」

 嬉しそうに布団に入る光璃。

 「では、おやすみなさい」

 「うん、おやすみ」

 すると光璃は、枕ではなくアキラの腕を枕にした。

 「おや?」

 「いいよね?だって・・・夫婦なん、だし」

 「ふふ、そうですね。では」

 「「おやすみなさい」」

 でも先に少し眠ったため、アキラはすぐには寝つけなかった。光璃の方はというと、既に寝息が聞こえていた。

 「・・・彼女も久遠や美空と同じ妻で国を持つ当主。その肩には私とは比べ物にならないくらいの人の命を乗せているのですね」

  

 『お頭・・・生きてください』

 『俺達、この隊に入って良かったです』

 

 越前で死んだ自分の隊の兵。その命を肩に乗せて生きると決めたあの決意。光璃、いや、夕霧に薫の三人は、その決意以上のものを肩に乗せている。とアキラは思った。

 「辛いでしょうね。倒すべき鬼となった母を討つ・・・顔には出さないけど、心は泣いているのかもしれない。でも、久遠や美空と同じように当主の顔を崩してはいけない。自分を支える部下の為にも、自分を信じる民の為にも・・・苦しい茨の道を選ばないといけない。私も、夫なら支えないといけませんね」

 彼女の額にキスをした。 

 「すいません。こんなことくらいしかできない夫で・・・あなたの事、愛していますよ。信念を持ち、苦しみ壁を姉妹の力で乗り越えようとする必死なあなたを見て、好きになりました・・・あなたも、私の事を愛してください」

 最後に彼女の頭を軽く撫でて、アキラも再び眠りについた。

 

 『・・・アキラ、ありがとう。光璃も・・・あなたの事』

 

 まだ意識が眠っていなかった光璃はこの言葉を聞いて、想いを完全に自覚した。

 




 越後でアキラ・光璃の祝言報告があった時、変なちょっかいが入ったけどこんな感じじゃなかったのかな?と思います。

 光璃も本当にアキラの事を愛するようになりました。

 さあ、次がやっと第七章初の間章です!ここでSDKキャラ一人出すつもりです!お楽しみに!


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間章18-1 秘密にしておいてほしい

 
 こんにちは、三MENです。

 間章は久しぶりですね。今回は姉妹の末っ子と武将さんです!

 SDKのキャラは次回の間章に書きます!


 光璃と一緒に寝た次の日。アキラは昨日の報告をまとめる為に来てほしいと言われ、案内された部屋には既に春日と心がいた。アキラの方も一応雫も連れてきた。現場にはいなかったが、いないからこそ分かる見方の意見も聞きたいからだ。

 「夫殿、お待ちしておりました」

 「来ていただいて、ありがとうございます」

 「ええ。お二人ともお待たせました」

 「話は聞いています。早速本題に入りましょう」

 雫の言葉に三人は早速話し始めた。しばらく話していたが、寅の正体の事になると、春日、心、雫ともゴクリと唾を飲んだ。

 「人の姿をした鬼・・・ですか」

 「ええ。あの男は確実に中身は鬼でした」

 「つまり、鬼と一緒にいた。という報告がなければ」

 「私達はその事に気づけないままだった。という事ですね」

 雫と春日の質問にアキラは軽快に答えたが、その答えに三人は冷や汗を流した。

 「私も鬼はその姿で動くものと思っていました・・・だが、今回のあの寅は中身は完全に鬼だった。どうして人のままでいられたのかは知りませんが、そう考えて間違いないかと」

 「あの場にいませんでしたが、アキラ様の考えは私も同意見です」

 アキラと雫の言葉に二人は難しい顔をした。

 「夫殿、越前はどうでした?拙達も退き口は知ってますが、実際に見たわけではありませぬので、その場にいた者の意見をお聞きしたい」

 「・・・あの時は朝倉義景が鬼となり、部下の鬼達に指揮している。とは思ってました」

 「同盟軍はただの鬼の集団として見て戦って、その甘さから奇襲を受け結果的に金ヶ崎の退き口になってしまいました」

 アキラの言葉に雫が付け足した。その話を聞き、二人は更に難しい顔になった。

 「あの男は人としての意識も持ててましたので、鬼を指揮できたのもそのためかと思います」

 「・・・怖いですね。そう考えると」

 雫の言葉に三人とも頷いた。

 「人の姿で動けて鬼を操れるという事ですからね・・・報告には、その事もいれるといいでしょう」

 「うむ!心、頼むぞ」

 「何を言っているのですか?春日様。あなたも協力してください」

 「あのな、拙が書類仕事苦手なのは知っておろう」

 「ダメです!現場で兵を指揮した立場の意見もいれる必要もあります。逃げるのはなしですよ」

 心の言葉に観念したのか、春日は苦笑いしながら報告をまとめ始めた。

 

 その報告がまとまり、雫と心がその書類を持って部屋を出た。今、部屋にはアキラと春日しかいないので暇つぶしを始めた。

 「いや~書類仕事が苦手だったとは」

 「言い返せないのが悔しい・・・その通りなのだ」

 「まあ、気にすることはないですよ。得手不得手は誰にでもありますよ」

 現に壬月は作り笑顔が苦手だった。その事をこっそり思い出してこっそり笑った。

 「そう言ってもらえると助かります・・・ふう、ちょっと気分転換がしたいですな」

 「ははは、頭を使いましたからね」

 襖をあけて太陽の光を浴びながら風に当たった。それが気持ちよかったのか縁側に春日が座った。アキラも彼女につられて隣に座った。

 「こうした穏やかな時間が、いつまでも続けばいいですな」

 「そうですね・・・でも、戦いも恋しいと言えば恋しいですが」

 「拙も戦いをやめたいとは思いませぬ。ですが・・・こうした、穏やかな、時が、たまに、は・・・」

 会話がとぎれとぎれになっていく。彼女の方を向くとうとうとしていて、次の瞬間彼女の頭がちょうどアキラの太ももに乗った。

 「( ˘ω˘)スヤァ・・・」

 どうやら眠りについたようだ。さっきの書類整理で疲れていたようだ。

 「膝枕はしてもらったことはありますが、誰かにするのは初めてですね」

 「うう、心~~書類は勘弁~~、やめてくれ~~」

 あどけない寝顔から嫌そうな顔になり、春日が出した寝言を聞いて思わず笑った。

 「ほう~、そんなに嫌でしたか」

 「嫌だ~、書類の波が来る~~」

 今度は辛そうな顔で言った。自分の声に反応したのを見て、悪戯心がわいた。

 「ご飯は何が好きですか?」

 「(ニコ)湯漬け~、湯漬けがいい~」

 「では、それを食べましょうね」

 「わ~い、嬉しい~!」

 面白い反応にアキラが思わず頭を撫でた。

 「可愛いですね・・・この人にもこんな一面もあったのですね」

 常に光璃の為にしっかりした顔を出している姿しか知らなかったため、こうした顔を見れて新鮮な気持ちになった。

 「さて、今度は「・・・ん?あれ?」・・・終わってしまいましたか」

 頭の撫でに気づいて、起きてしまった。

 「おはよう、春日さん」

 「・・・!!!お、夫殿!」

 「そのままでいいですよ、撫でていたいので」

 「ちょ!そ、それは!」

 「いいではありませんか。かわいい寝顔でしたよ」

 「な、なななな!何を言うのですか!」 

 そう言いながらも飛び起きない辺り、撫でられるのが心地よさそうだ。

 「寝ている姿は寝転んでいる猫みたいでしたよ」

 「や、やめてください・・・撫でられるなんて何年振りでしょうか」

 「私は捨てましたから、頭を撫でられたことは一度もないですね」

 「捨て、られた?」

 「拾われたチビの時に、仲間の梵天丸になら撫でられたことならあります。今思えば、梵は私を息子として見ていたのかもしれないですね」

 空を見上げて、記憶にあるチビの自分を撫でる梵天丸を思い出した。

 「・・・待ってくだされ。梵天丸って、伊達の独眼竜政宗じゃないですか!アキラ殿はその者の仲間だったのですか!」

 綾那や幽と同じように梵天丸の本名を知っていたのか、とても驚く春日。

 「私の世界の話ですけどね・・・大切な仲間です」

 「夫殿がとんでもないのって、そういう人に育てられたからでしょうな。それほどの武将に育てられたのなら、お強いのも納得ができます」

 アキラの話に、思わず苦笑いをする春日。その時に足音が聞こえた。

 「アキラ様。心さんが湯漬けをお昼にしましょうと・・・」

 「な、なあああ!」

 膝枕から飛び上がった春日。

 「こ、心にだけは内緒にしてくだされ~~!」

 大慌てで顔を真っ赤にして、どこかに走り去っていった。

 「あ、アキラ様?」

 「心には湯漬けでいいと伝えてください。ご飯には戻ってくるでしょう」

 「そんな、犬か猫みたいに言うのは春日さんに悪いですよ」

 走り去っていった春日を見て、こっそり笑ったアキラだった。

 

 『あ、頭を撫でてくれたのは気持ちよかったし、かわいいと言ってくれたのも嬉しかったな・・・な、何を考えているのだ、拙は!これじゃあ、またやってほしいと思っているみたいではないか!・・・で、でも、誰も見てないなら』

 

 春日は照れながらも、またやってほしいと思いながら走っていった。

 

 

 用意された湯漬けを食べたが、春日は結局食べ終わるまで戻ってこなかった。アキラが部屋を出ると、夕霧と薫に会った。

 「あ、兄上」

 「お兄ちゃん!どうしたの?」

 「さっきまで光璃への昨日の報告をまとめて、食事も終わったので何をしようか考えていたところです」

 「そうでやがるか」

 「お兄ちゃん、食べちゃったんだ。よかったら薫が作ろうと思ったのに」

 がっかりする薫。そんな彼女にある依頼を頼んだ。

 「それなら、今から城下に行こうと思っていますが、よろしければ案内してもらえますか?」

 「え!か、薫が!」

 そのアキラの言葉に目を輝かせた薫。夕霧も頷いた。

 「いいでやがるよ。薫の仕事はもうないでやがるから」

 「じゃ、じゃあ、行こう!こっちだよ、お兄ちゃん!」

 元気よく手を引っ張る薫に着いていくアキラ。門を抜け城下に降りていった。

 

 「お兄ちゃん!こっちにいい飾り物のお店があるんだよ!」

 薫はいつも笑顔だけど、こんなに楽しそうな笑顔は初めて見たアキラ。

 「嬉しそうですね」

 「うん!だって、お兄ちゃんと街を歩けるんだもん!」

 「その元気ぶり・・・何かひよところを思い出しますね」

 「ひよ?ころ?誰それ?」

 聞いたことのない名前にキョトンとした。

 「私の隊の仲間です。あなたみたいに私といるのが楽しいと言っていました」

 「そうなんだ・・・という事は越後にいるんだね」

 「いつか紹介したいですね。絶対に仲良くできますので」

 「うん!楽しみ!」

 そうやって話していると、二人とも子供達の困っている姿が目に入った。

 「ねえ、どうしたの?」

 「あ、薫様!あのな、こいつが引っかかっちまって・・・」

 木の上を指すと凧が枝に引っかかっていた。子供達に代わって薫がとろうと必死にジャンプするが、結構高いところにあるので全然届かない。

 「ふむ、それなら・・・私が取りましょう」

 「「「え?」」」

 子供達と薫が声を出すと、アキラがジャンプをして凧を取った。

 「はい、取れました・・・って、皆さんどうしました?」

 だが、人一人軽く飛び越えられるジャンプをしたため、子供達だけでなく近くを通り過ぎようとした人達まで唖然としていた。

 「あ、ありがとう・・・ってすっげ~~!」

 「薫様!この人だれ!」

 「かっこいい~~!」

 子供達はすっかり凧の事よりアキラの方に夢中になった。

 「なあに、努力を続ければできるようになります。結構、時間もかかりますが」

 「本当!よ~し、頑張るぞ!」

 「うん!目標は・・・えっと「アキラと言います」うん!アキラ様だ!」

 戻ってきた凧を再び飛ばしたが、ジャンプを繰り返していた。

 「薫君。さあ、行きましょう」

 「っは!う、うん!」

 意識を取り戻して再び歩き出した。薫は隣を歩くアキラの横顔を見た。

 

 『格好いいな~。頼りがいがあって、優しくて、人気があって、がっしりして、一緒にいると安心できるみたいな感じもあって・・・ちょっと悪戯好きなところもあるけど、それがアキラ様なりの心の許し方なんだろうな・・・』

 

 子供達と別れたら薫がぜひ見せたいものがあるといい、彼女に従い一緒に歩いた。しばらく歩くときれいな花畑のある丘の上に到着した。

 「ここですか。私を連れてきたかった場所というのは」

 「うん!あのね・・・ここってお姉ちゃんたちも知らないんだ。私だけの秘密の場所なの」

 「・・・本当に私を連れて来て良かったのですか?」

 「うん!お兄ちゃんだから、見てほしかったんだ!」

 満面の笑顔で頷いた。話を聞くと、ここの花畑は全部薫が世話をしていて元々花は数本程度しかなかったらしくそれをここまで増やしたそうだ。

 「すごいですね・・・花に関しては全く無知ですが、それをするには何年もかかることくらいは分かります」

 「うん。でも、楽しかったから」

 嬉しそうにしている薫に頷いたが、花が好きで、花を愛し、そしてよほどの思いがないとこれを作ることは出来ない事だ。

 

 『この子の事を人を斬れない優しい子と思っていたが、その優しさの強さは底知れないですね・・・そういえばゆやさんもそうでしたね。狂の為に必死に体を張ってあの戦いに身を投じた。それもまた優しさの強さと言えるものですね。本当に、まだまだ私の知らない強さがこの世にはある』

 

 巻き込まれた形で戦いに身を置く羽目になった初恋の人。でも、彼女もまた必死で想い人に彼女なりのやり方で、役に立とうと癒してやろうと優しさをその人・・・狂に与えた。

 アキラもまた、その強さをもらって太四老の時人に勝った。あの時はまだ自覚できていなかったが、今なら自覚できる。この世界で、もうそれをやっているのだから。

 「お兄ちゃん!」

 「っは!あ、薫君?」

 「もう~~、話しかけても上の空なんだから!」

 「ああ、すいません。ちょっと考え事をしていまして」

 薫の声で意識を戻し、謝罪した。

 「うん!よろしい・・・お兄ちゃん。あの、あのね」

 「はい、今度はしっかり聞きますよ」

 「うん、こうした時間がいつまでも続けばいいな~。と思うの。でも「戦いが止まない」・・・うん、どうしてこんなに戦いって続くの?お兄ちゃん、あんなに強いから分かるかなと思って」

 「戦う理由は人それぞれですからね・・・お互いを納得させるにはそれが一番だからだと思います。お互いの武を見せあい、実力を高めあい、そして敵から友になる。何より、戦いほど本当の自分を見せる絶好の機会だからだと思うからこそ戦いが続くのだと私は思いますよ」

 あの戦いがその証明だからこそ、こう説明した。

 「本当の自分?」

 「全員がいい意味で戦うのではなく、悪い意味で私利私欲で戦う人もいるでしょう。それができる人もいる。でも、私は戦いを相手とわかりあう友情を作る儀式と思っています」

 「うん、そうだね・・・でも」

 「大丈夫です。いつまでも戦いたいとは思いませんよ。穏やかで静かな時間も欲しいと思う時もありまよ。何しろ、春日もまたさっきそう言ってましたし」

 「そうなんだ、一人じゃない。皆もそう思っているんだ」

 「そうです。だから、その時はここで休みましょう。また来てもいいですか?」

 「うん!もちろんだよ・・・あ、でも、二人っきりでね!」

 

  結局薫からはこの花畑は二人きりの秘密という事になった。

 




 今回はいつもピリッとする春日ににゃんにゃんにさせてみました。

 あと、薫はこの時はまだ頼れるお兄ちゃんという認識で接しているので、まだ恋や愛には気づけていません。

 では、前書きの通り次回ではSDKキャラを出します!ただし、この話だけのキャラになると思うのでクビラや歳世のように何度か出ると言う期待はしないでください。でも、その分力入れて書こうと思います!


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間章18-2 子供は城、子供は大きな宝

 
 どうも!まだ寒い朝に暖房命になっている三MENです。

 お待たせしました!SDKキャラおそらく最後になる?いや、どうなるか?と、とりあえず登場です!

 タイトルを見て分かった方が多いと思います・・・ではスタート!


 「くう~旦那!少しは手加減「してますが?」こ、これでかだぜ!」

 「でなかったら、得物が手から離れてますよ」

 今アキラは粉雪と庭で手合わせをしている。部屋で綾那と歌夜の二人とゆったり(綾那は膝に座り、歌夜は背中から抱き着き)していたところに、入ってきて手合わせを申し込まれたからだ。

 「あ、アキラ様。本当に強くなっているです」

 「そうね。粉雪さんの槍をはじいてすぐ間合いに入り込んだ時の一撃。以前は少し遅かったはず・・・これで手加減なんて」

 その様子を見ている二人。ただし、手合わせと聞いて黙っていられないのが綾那。粉雪の前に頼み込んだけど、結局負けてしまい今は縁側で横になっている。

 「くっそ~~!負けられるか!」

 一端距離を取り槍を構えた。そして、突撃してきた。

 「甘いですよ」

 そんな見え見えの攻撃は簡単によけられる。でも、粉雪は避けた方向に飛んで体ごとアキラに攻撃した。その行動はさすがに驚いた。

 「これならどうだぜ!」

 思いっきり接近して槍の間合いではないが、驚いた一瞬の隙で攻撃しようとしたが。

 「今のは、少し良かったですね」

 その隙を経験豊富なアキラが出すわけない。刀の一つを手放して、粉雪の槍を掴み力づくで動けなくした。動かせない槍に驚いた粉雪の隙をついてアキラが刀を首に着けた。チェックメイトだ。

 「はい、終了です」

 「くっそ~!また負けた!」

 悔しがっている粉雪を前に刀をしまうと二人が駆け寄ってきた。綾那は興奮して、歌夜は格好良さに顔を赤くしていた。

 「アキラ様。絶対に追いついてみせるです!」

 「ええ、待っていますよ。綾那が私を倒す日はいつになるでしょうね」

 「おい!あたいが先に倒してやるんだってばよ!」

 「・・・柘榴がいたら、違うっす!柘榴っす!って言っていたでしょうね」

 二人の言いあいを見て柘榴を思い出した。歌夜はこっそりアキラの腕に自分の腕を絡めていた。

 「こなちゃ~ん・・・って何しているの?」

 「ここ!旦那に挑んだけど、また勝てなかったんだぜ・・・」

 「うん。それは分かっていたけど「分かっていたのかだってばよ!」、何でそんな変な語尾になっているの?それはそうと、そろそろ行くよ」

 興奮してどこぞの忍びの里の当主の言葉になっている粉雪。気にせず話を進める心。

 「いったいどこに行くのでしょうか?」

 

 その後、心の話では城下に彼女が先生となって子供達に勉強を教えている学問所というところがあり、そこに行くことになっているらしい。粉雪が一緒なのはお昼に弁当を子供達と食べるのでそれを持つためだ。

 一度も行ったことがないアキラは興味がわき、着いていくことにした。綾那は学問所と聞いた時点で頭から煙を出して倒れ、歌夜は看病のため着いてこれなかった。

 「それにしても、さすが光璃ですね。未来の事もしっかり見通している」

 「おう!お屋形様はすごいんだぜ!旦那、尾張で真似しちゃだめだぜ」

 「う~ん、久遠ならすでにやっていると思いますが?あの子も今後の日の本の事を考える頭を持ってますから」

 その話を聞き、再会したら聞いてみようと思ったアキラ。

 「甲斐に草もいれてると思いますので、知っていると思うよ」

 「むう、草を入れるなんて卑怯だぜ!」

 「そちらも、尾張に入れているでしょう?歩き巫女とか」

 「だから、怒らないの。お互い様なんだから」

 プンプンの粉雪だが、心からそう言われて何も言えなくなった。しばらく歩くと学問所に到着した。すると、中から何人もいる子供が一斉に心に抱き着いた。

 「ずいぶん子供達からは慕われているのですね」

 「そうだぜ!心先生って懐かれて・・・あれ?何かむかむかしてきたような」

 「子供相手にそれはダメですよ」

 「ふ、ふう~~。落ち着くんだぜ。そう、相手は子供。旦那みたいにここを狙って・・・あれ?そうなると旦那が敵に」

 「・・・なんでそういう結論になるのですか?狙っていないです」

 そう言っていると、既に子供達と建物に入って自分達だけ取り残されていた。二人も入り、部屋の一番後ろで彼女の先生ぶりを観察した。

 

 『子供達にこうした教育の場があるのは、確かにいいことですね。子供達の知識を広げていき、お互い仲良くなり友情がうまれ同じ仲間になったり、競い合うライバルになる。成長するにとてもいいところですね・・・京の親を亡くした子達もこのような場があるといいのですが』

 

 ふと、京の子供達を思い出し大丈夫か心配になった。その後、半刻ほど経ったら時間的に昼になった。

 「皆、それじゃあご飯だよ」

 「「「「「やった~!!!」」」」」

 「ご飯だぜ~!」

 子供達より粉雪の歓声の方が大きかった。

 「粉雪、あなた「ここのご飯が唯一の楽しみなんだぜ!」・・・その言い方だと心の教育はどうでもいいと聞こえるのですが」

 「ねえ、こなちゃん。そんなに暇だったの(ゴゴゴ)」

 プレッシャーを感じる心の怒りに、アキラも冷や汗を流した。

 「ち、違うんだぜ、ここ!そ、そんな意味で言ったんじゃ」

 「さっき、見えないように欠伸してましたね(ボソ)」

 「粉雪~がんばれ~」

 「お弁当は僕たちが配っておくから」

 「お、お前達、助けるんだぜ!」

 「子供に助けを求めるとは情けないですね・・・やれやれ」

 子供に助けを求める姿を見て苦笑いのアキラ。その後、心にしぼられた粉雪は配られた弁当をありがたそうに食べた。

 「ううう、お弁当無しと言われたときは世界が終わったかと思ったんだぜ」

 「これに懲りたら、少しは彼女のやっていることもしっかり理解することですね」

 「全く、調子がいいんだから」

 みんなで仲良く食べる子供達を見ながら、三人でその様子を見る。

 「アキラ様、ここの子供達。どう思います?」

 「子供達ですか?とても元気でいいと思いますが」

 「そうですか・・・この子達はいずれの武田を支える大切な子達。人は城、人は石垣、人は堀。私の夢はそんな子達が飢えることも戦乱に巻き込まれることもない世の中を見ていきたいのです」

 切なそうに子供達を見ている心。

 「そんなことは不可能。と言いたいのですが、可能性はありますからね。根拠も、保証もない未来。でも、その思いを信じる未来があるなら賭けるのもいいと思います。例え、はるか遠い未来であり未だ混乱続く戦乱の中でも」

 実例を一人、そう親友の頑張りを知っているからこそ否定はしなかった。

 「アキラ様は夢物語と笑わないのですね・・・私の夢を共感してくれる人がほかにもいるなんて・・・あの人みたいです」

 「あの人みたい?私みたいなことを言う人が他にいたのですか?」

 「はい、実はここにはもう一人先生がいるのです。以前、この夢をその人に話したのですが」

 「ああ!(モグモグ)ここが話しているのってあいつなんだぜ!(クチャ)あいつすっげ~つえんだぜ!(ブハ)まだ一度も勝ったことがないんだぜ!」

 「お行儀が悪いよ!こなちゃん!」

 「ご、ごめんだぜ・・・」

 米粒が飛び散らせながら話す粉雪に怒鳴った心。ショボンとする粉雪。

 「ほう、粉雪が一度も勝ったことがない?珍しいですね、なぜその人が武将になってないのですか?」

 「あたいも何回か誘ったけど、全部断るんだぜ・・・春日や夕霧様も残念がっていたんだぜ。どれだけ高い報奨を見せても学問所が一番大事と言って聞かなかったんだぜ」

 心もその人を思い出しながら頷いた。

 「その二人も入れたいと思ったほどの人ですか」

 「でも、おかげで学問所も回っていますし・・・私としては助かってます。子供達が飢えることのない未来。とても難しく不可能に近い事だが、やろうと踏み出さないとそれは作り出せない。ある一人の男の戦いと言葉で気づかされた。と言っていました」

 「戦いと言葉・・・ですか」

 「最後にこう呟いていました。殺す気で戦っていたのに、自分を信じろと言われた。だからその漢を信じて、そして全てを託した・・・と」

 「何か、まるで死んだことがあるみたいな言葉だぜ」

 この話にアキラはある考えを持った。何しろ自分は身に覚えがある。

 

 「失礼する」

 

 その時に誰かがこの学問所に入ってきた。

 「あ!やってきたんだぜ!」

 「「「「おじちゃ~~ん!」」」」

 まだ弁当を食べていたが、それをいったん止めて子供達は一斉に玄関に駆けていった。ワイワイ騒ぎながら、この部屋までやってきた。

 「今日こそ、一撃くらいは入れてやるんだぜ!」

 「こなちゃん、ここでやったらお弁当取り上げるよ」

 「・・・や、やめにするんだぜ」

 お弁当を人質、いや物質(ものじち)にされ立ち上がろうとしたがやめた粉雪。ここで一言アキラがツッコミを入れるのだが、その人物・・・その漢を見て言葉を出せなかった。いや、二人のやり取りを見てなかったと言った方が正解だ。

 「心殿。お待た・・・」

 「いえ、いつも来てくれて・・・?どうしました?」

 その男がアキラを見ると言葉を止めた。お互い信じられない気持ちで見ていた。

 「そなたは確か」

 「あの時は自己紹介してませんでしたね。アキラと言います・・・あの後いろいろありまして、あの紅虎の親友になりました」

 「そうか。あの男は、今何を?」

 「私も今は分かりませんが、必死にあなたとの誓いを果たすために頑張っているそうです。あなたの守っていた大切な子供達もあなたを心底慕っていたあの三人もちゃんと生きていますよ。あの三人は結婚もしたそうです」

 「そうか・・・それが気がかりだった。幸せに、生きていてくれたか」

 二人の話に全然ついていけない皆。

 「アキラ様?太白さんとお知り合いなのですか?」

 「太白の親父もどうして旦那を知っているんだってばよ!」

 その漢は親友・紅虎が自分の信念を決めた大事な戦いと言っても過言ではない対戦相手であり、アキラもまた敵でありながらサムライとして尊敬できる太白だった。

 

 

 学問所の別室で二人きりになった。子供達は弁当を食べ終えて勉強の続きとなり、粉雪は二人の話に興味津々だったが、自分の授業をないがしろにされた心が許さず、授業が終わるまで一緒に勉強させられることになった。

 「初めてだな。顔を見て話をするのは」

 「しかも、あなたは死んだはず、かなう事のない対話です」

 「でも、出会えた。聞かせてくれ・・・あの後の事を」

 「私の知っている範囲でいいなら」

 そこからアキラの説明が始まった。特に紅虎の頑張りをしっかり伝えた。自分の事は特に説明はしなかった。太白が一番知りたいのは向こうの世界と子供達が無事かどうかだからだ。

 「先代・紅の王を倒し、吹雪・ひしぎも死に、壬生の里もいろいろと生まれ変われかわったそうです。時人の話だと辰怜が率先して作り変えているそうです」

 「そうか。あいつはまっすぐだが、周りを見ないところもある。だからこそ、だまされるのでは?と思ったが」

 「実際騙されてましたよ。あなたが私達に殺されたと吹雪に聞かされて、ほたるから真実を聞いてもなお信じませんでしたから・・・戦った後にゆやさんの呪いを解いて本人の所に行って聞くまでは結局私達を疑っていましたし」

 「だが、今は里の中心的人物。しっかり成長したんだな」

 「敵対してもなお、吹雪をすごく尊敬していましたからね。負けないくらいに頑張ろうと思ったんじゃないでしょうか?」

 吹雪という名前にいったん話が止まり、数分後に再開された。

 「・・・吹雪様も今思えば辛い立場だっただろうに」

 「そうですね。吹雪自身も覚悟を持ってあなたを殺したと思います」

 その言葉に太白は頷いた。

 

 少しだけ時間を遡り、子供達が勉強している部屋に戻る。

 「こなちゃん。字が歪んでいるよ」

 「ううう~、いつのもここじゃないんだぜ・・・」

 「心先生~これ、どう~」

 「どれどれ・・・うん、よく書けているね」

 「やった~~!」

 笑顔を見せて子供達も笑顔になる。そんな中、心は前の壁に目をやった。

 『太白さんにアキラ様。いったいどんな関係なんだろう・・・そういえばお茶を出してなかった。少しだけ実習にして出しに行こう』

 やはり心も二人の関係が気になる。

 「皆、少しだけ実習にするね。その間にこれらの文字を書いてね」

 「「「「は~~~い!」」」」

 「こ、ここ~。あ、あたいは~?」

 「こなちゃんもだよ。わかった?」

 「わ、分かったんだぜ・・・_| ̄|○」

 笑顔だが寒気を感じ、弱弱しい声で頷き筆を持って書き始める粉雪。お茶の用意をして二人のいる部屋の前まで持ってきた。襖を開けようとした時に聞こえた話が彼女の手を止めた。

 

 「・・・吹雪様も今思えば辛い立場だっただろうに」

 「そうですね。吹雪自身も覚悟を持ってあなたを殺したと思います」

 

 とても信じられない話だった。まるで太白が殺されたと聞き取れる内容だった。

 『え・・・太白さんが殺された?しかも、アキラ様はそれを知って、太白さんもその事を否定しない?吹雪って人に殺された?ど、どうなっているの?』

 殺された。でも生きている。わからないまま、どんどん話は続く。

 「それにしても、あなたは随分変わりましたな。かつては氷のような感じがするくらい冷たい空気を持つあなたが、今では温泉のように温かく気持ちのいい空気を持つようになっている」

 「・・・言わないでください」

 「ふふ、それは妻を持ったからか?」

 そう言われて顔をそっぽ向いたが、照れていたことが分かり太白は笑った。

 『氷のよう?アキラ様が?光璃様の夫になったあの方がそんな冷たい方だったというの?いったいどんな人だったの?』

 だが、話を聞いている心はもっとわからなくなってしまった。

 「そろそろ戻ろうか。子供達も待っているしな」

 「ええ・・・あなたの方は変わらないですね。子供を大切にし、子供を何が何でも守ろうとするその思いは」

 「もちろんだ。それに、紅虎の話を聞いて私も頑張らないといけない。心殿が自分の夢をかなえようと頑張っているなら、私はそれを応援し後押しする。以前の私がやろうとしなかったことを心殿がやろうとしている。もう後悔はしたくない」

 「心さんも嬉しそうでしたよ。自分の夢を笑わなかったことが」

 「私は彼女のような、紅虎のような子供の為に未来を諦めない人を応援したい。それが私の夢なのかもしれない」

 「なら、頑張ってください・・・努力は積み重ねればキセキとなります。心さんはそれを作れるだけの努力が出来る人なのでしっかり背中を支えてあげてください」

 二人とも頷き合った。

 「そうだな。今日は出会えてよかった。また会おう」

 「甲斐にいる間なら会えますよ。本当は戦ってみたいのですが」

 「子供達の前ではしたくないな・・・あの時みたいに」

 「そう言うと思ってましたよ。ふふ、今のところは諦めます」

 二人の話を、お茶を出すことを忘れて聞き入っていた。だが、立ち上がる音を聞き慌てて引き上げていき、子供達のところに戻った。

 

 『何の話だったの?聞いても話を理解できなかった・・・でも、最後の方は私を応援するみたいなことが聞こえた。アキラ様が努力を積み重ねればキセキになるって言っていた。すごい才能を持った選ばれた人と思っていたけど・・・努力する人だったんだ』

 

 アキラを立場だけで見ていたため選ばれた人として見ていた心だが、この話で考えが変わっていった。

 

 その後、粉雪に揺さぶられて意識を取り戻し、皆から心配される中何とか授業を再開した。途中で二人が戻って太白と一緒に授業をしたが、アキラを見るとドキッとするようになった。

 『アキラ様ってどんな人なんだろう。知ってみたい、今度聞いてみようかな?あれ。顔が熱い・・・どうしたんだろう?』

 アキラへの興味が出てきた心。少しドキドキしながら授業を続けた。

 

 夕方になり、太白が子供達をそれぞれの家に連れて帰るのが日課になっているため、彼と子供達がいなくなった。

 「旦那~、帰るんだぜ」

 「アキラ様。お待たせしました」

 学問所の扉も閉め、三人も館に歩き出した。

 「旦那、太白の親父と何話していたんだぜ?」

 「私も気になります(あの話はいったい何なのか?)」

 「何でもないですよ。太白は私の親友と戦った事があり、その時の感想を言ったり、子供好きが相変わらずですね。と言ったりです」

 「ふ~ん、そっか」

 「そうですか(それだけじゃない・・・でも、今は聞けない)」

 粉雪は納得したが、心は納得しなかった。でも、今は聞けないと判断しここでは追求しなかった。

 「なあ、旦那。太白の親父と旦那ってどっちが強い?」

 「・・・おそらく私でしょう。ただ」

 「「ただ?」」

 「何でもないです。とりあえず私ですね」

 あの時のような戦いだったらの話ですけど。とは言えなかった。何しろ二人はその時はいなかったのだから。

 「それより、粉雪は何故太白を親父と呼んでいるのです?」

 「何かとっても大きい人だからだぜ。見た目も、心も、何もかもが大きくそして憧れるんだぜ!」

 「うん、私も。あの人はとても偉大な人に思えるの」

 「それがあたいには親父みたいな人に見えるから親父って呼んでいるんだぜ!」

 「私も時々、お父さんって呼んじゃうときがあります」

 その時アキラは梵天丸を思い出した。アキラは彼が自分の父親代わりみたいなものだったのかな?と、ふと思った。

 「とりあえず、話はここまでにして早いところ帰りましょう」

 「「ああ・はい」」

 そして、三人は館に戻った。

 

 『太白までいたとは・・・出会えたのは幸運でしたね。いつか戦いたいと思っていましたし。何とか頼んでみましょう』

 

 アキラは手ごたえのある相手と戦えそうで嬉しそうだった。

 

 

 子供達を無事に送り届け、太白は一人になった。夕陽を見て思った。

 

 『紅虎・・・世界は違えどお前をいつまでも応援している。信じているぞ』

 

 子供達に見せた笑顔とは違う笑顔を出し、自分も自宅に向けて歩き出した。

 




 以上、太白さんでした!もう、自分も親父!って言いたい!
 
 いてほしいな・・・現実に。

 間章はここまでです。次は本章になります。


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七十一振り目 気晴らしをしましょう。

 
 こんにちは!やっと暖かくなってホッとしている三MENです!

 本当に、早いところ春になってほしいですね・・・。今回は甲斐の案内と・・・アキラの忘れていること。それをあの三人が気づきました。


 京では、三河勢が出発した次の日に重大なミスをした事に朱雀、時人、庵樹は気が付いた。それに気づけたのは二条館の三人の部屋で荷物の整理をしていた時だ。他の妻達へのあいさつや、アキラの奥の仕組みを知るために荷物の事を忘れていた。

 「あら?これは・・・は!」

 「お、おい!これって!」

 「そうだ!最初にしないといけないことを忘れていた!」

 朱雀の袋の中からあるものを見つけ、三人の顔が青ざめた。

 「アキラ様のピンチを見て忘れていました」

 「異常が全く見られなかったからな」

 「それにアキラに抱かれて、嬉しくて浮かれてもいたし・・・とりあえず!今すぐにでも甲斐に行かないと!」

 庵樹の言葉に頷き、急いで久遠のところに向かった。幸い、評定の間で壬月と麦穂とエーリカの四人で密談をしているところを見つけた。

 「ちょっといいですか!」

 「すまない!甲斐に行かないといけないことができた!」

 「急がないといけないんだ!」

 「ど。どうしたお前ら?ちょっと落ち着け!」

 もはや一刻の猶予もない状態の三人に、四人もただことではないとすぐに分かった。

 「あの?いったい何が?」

 「ああ、行かないといけないとは?」

 「とりあえず、教えてください」

 落ち着いて話すことができないのか、かろうじて言葉を拾って時人が伝えた。

 

 「あいつが・・・アキラが死ぬかもしれないんだ」

 

 その言葉に全員が青ざめた。久遠と麦穂に至っては、全身が震えていた。

 「ど、どう、どういう、こ、とだ」

 「死ぬって。何で!」

 「は、早く、続けろ!」

 「あ、あの、あの人、が」

 壬月ですら心中穏やかではなかった。怒鳴るように話を続けるよう言った。

 「もちろんだ。でも、これは私達の事をまず話す必要がある」

 庵樹が説明したこと。それはまず自分達の世界にいる壬生一族の存在。隠れるように生きている不老長寿の一族であり、三人はその一族の血を引いている。しかし、この血には死の病という厄介なものがある。かつては全くと言ってもいいほど治せなかった病だが、今は既にそれを治す薬ができているので治すことができる。

 アキラは普通の人間だったが、ある戦いで瀕死の重傷を負い自分達の血を与えたことで何とか一命をとりとめた。だが、同時に壬生の血を入れたという事にもなりこの世界に来てからは戦いのたびにその血の力を使っていた。

 庵樹と時人は死の病を完治した血だが、朱雀はアキラがいなくなってから壬生一族だと分かったため、その死の病が完治していない状態の血をアキラに入れたという事になる。今は朱雀も薬を使って完治したが、もし今後も壬生の血がどんどん使いアキラの中でその血が広まってしまったら、その死の病もアキラに発病する恐れがある。

 

 話を聞き終えた四人は震えていた・・・そう、壬月ですら震えていた。

 「じゃ、じゃあ、もし、死の病が発病したら」

 麦穂の言葉に無言で頷く三人。

 「アキラも知っていたから、血の事は伝えても病の事は言わなかったんだ」

 「越後でも全く異常がなさそうに見えたので、忘れてしまったのです」

 「死の病は発病してもすぐには死なないが、いつ死ぬのかもわからないんだ!もし既に発病していたら・・・頼む、行かせてくれ!」

 自分の夫の危機に、久遠もすぐに頷いた。

 「もちろんだ!三人ともすぐに準備してくれ!」

 「「「分かった!」」」

 「わしも行くぞ」

 三人が立ち上がった時だった。森一家の顔とも言える女が、評定の間に姿を現したのは。

 「桐琴!何故ここに!」

 「そこの三人が血相変えて走る姿が見えたから興味があって来たのじゃが・・・わしらの夫がまずいみたいだからな。森一家はクソガキが棟梁に任せておけば大丈夫だ」

 「頼むぞ!あいつを、アキラを。助けてくれ!」

 「当然じゃ!行くぞ、三人とも!案内はわしがする!」

 桐琴も越前のあの時と同じくらい真剣な顔になっていた。やはり、彼女も心中穏やかではないのだろう。

 「急ごう!」

 「アキラ!死ぬなよ!」

 「あなたを絶対に死なせません!」

 こうして、四人が甲斐に行くことになった。

 

 

 今に戻り、夕方アキラは夕霧と共に躑躅ヶ崎館に戻る途中だ。信濃の諏訪というところで鬼が出現したからそこに行こうという事になった。ただ、この情報を聞いた時夕霧は驚いていた。

 

 『あそこは神の結界があるところ!そこに鬼がいるなんておかしいでやがる!』

 

 諏訪には神社がありそこを中心とした四方に四つの木・・・御柱と言うものがあり、それが結界の役目をして邪悪な存在は入れないようになっているはずなのに・・・最初に確認した二本は既に折れており、途中で現れた鬼を全滅させた後に残り二本も後からやってきた春日と小波から折れていたと報告が入った。

 

 『今まで・・・ありがとうでやがる』

 

 どれだけの思いを込めて夕霧は最後に一本にその言葉を言ったのだろうか。アキラの隣にいる夕霧の空気はがっかりになっている。いつもなら、光璃との仲はどうか?姉上とはもうやったのでやがるか?とか聞いてくるはずだが、一度も話をしようとしない。彼女の兄としての立場もあるので、気持ちを切り替えるために口を開いた。

 「夕霧。明日、案内をしてくれませんか?」

 「・・・城下なら薫がやったのでは?」

 「外の方です。城下ではない外側を見てみたいのです。明日仕事は?」

 「今回の報告を朝一で済めば問題ないでやがるが」

 「なら、お願いしますよ。可愛い案内役さん」

 「な!何を言うでやがるか!」

 かわいいと言われて一気に真っ赤になった。

 「可愛いのは事実でしょう。そんな否定することはないですよ。ねえ、春日さん」

 「そうですぞ、アキラ殿のお言葉を甘んじてお受けしてはどうです?」

 「か、かか、春日~~~!」

 真っ赤が取れないまま春日をにらんだ。

 

 『あれ?さっきまでの辛い気持ちがなくなっている・・・まさか、兄上。夕霧の気持ちを切り替えるために?恥ずかしいけど、気が楽になったのは確かでやがるな』 

 アキラの気配りに少し嬉しさを感じた夕霧だった。

 

 これは誰もいなくなった諏訪の神社。

 『くくく、これでここも鬼の国にできる段階に入った。鬼が全滅させられたのは予想外だったが、まあいい。どうせ使い捨てだ。あとはあいつを使ってあの場所にさらに多くの鬼を増やせば・・・ははははははは!』

 三流が大きく笑って姿を消した。

 

 次の日、アキラ達の部屋に元気な声でやってきた夕霧。報告も朝一で終わらせて、早速アキラを甲斐の外を紹介をするためにやってきた。

 「な、ななな。何をしてやがるですか!」

 「・・・すいません。何か最近こうなることが多くて」

 夕霧がアキラの止めの言葉を部屋の中に聞かずに入ると・・・

 「「アキラ様~♡」」

 「あ、むぐ、むちゅ」

 「く~~」

 「「あ、あの!その!」」

 いつも通り全裸でアキラに抱き着いて寝ている彼女らの姿があった。綾那は足元で寝ており、歌夜と小波は布団で裸体を隠して焦っていた。ここまではまあいい。だが、雫と詩乃はアキラの腕を左右から握り自分の蜜壺にアキラの指を出し入れしており、各務は上に乗ってアキラの顔に自分のお〇〇こを見せて自分はアキラのあの性太刀をくわえていた。そうあの体勢・・・6と9になっていた。

 

 「い、い、い、今すぐに着替えるでやがる~~!!!」

 

 夕霧の怒声でドタバタもあったが、とりあえずアキラは起きれた。皆、急いで着替えたが雫と詩乃と各務は余韻に浸っていて連れてこれる感じではなかったので、着いていくのはアキラと綾那と歌夜という事になった。小波は護衛のため姿は見えていない。

 「あ、兄上は向こうではどんな一日を過ごしていたのでやがるか?」

 「尾張や越後でですか?う~ん、朝起きたら三人ほど抱いて、評定の間で軍議が終わった後は別室に連れ込まれて四人ほど抱いて、昼飯後に二人ほど抱いて」

 「・・・姉上。離縁を考えた方がいいでやがるよ」

 「朝と昼は本当ですが、評定の間の部分は冗談ですよ」

 冗談も込めていったのだが、信じてしまった。

 「綾那達はとても嬉しいです!」

 「そうね、私も隊の皆も、京や越後にいるたくさんの妻の皆さんはこの人に抱かれる。この人に愛される。それがとても幸せですから」

 しかも、二人のこの言葉で更に信用性が増してしまった。

 「と、とりあえず、どこに行くのですか?」

 「・・・追求は今度にしてやるでやがる。じゃあまずは」

 嘘から出たまことになってしまい、苦笑いするしかなかったアキラだった。

 

 山見物に寺巡りをやり、次に着いた場所は川だった。御勅使川と釜無川と言いその川を見て泳ぎたそうな綾那だが、氾濫した川を泳ぎたいと言った時は全員冷や汗を流した。その際に、川の問題である氾濫をどうするのか?というのは光璃も頭を悩ませているみたいで夕霧が悩んでいる時に、アキラは一人の人間を思い出した。

 

 『ころなら専門家ではないでしょうか?確か木曽川を牛耳っているはずでしたし。光璃も気にしていましたし』

 

 でもころは越後にいるから、詩乃と雫の名前を出すと一気に笑顔になった。小波に頼んで、伝言として伝えるために引き返してもらった。

 

 この川でおおよそ見せるものが終わってしまったらしく、どうしようかと考えていた時にある一つの城に気づいたので、それを聞いた。

 「夕霧、下山城はどれくらいで着きますか?」

 駿府に近いその城だった。春日からその城には将の二人武藤と山本がいると聞いていたので顔合わせをしたい。のと同時に確認もしておきたかった。

 

 『この二人が間違いなく越後で会った目と耳でしょうね。さて、どんな出会い方をしましょうか。山本が甲斐の片目と言われた眼帯をつけた方でしょうから、武藤と呼ばれた方が・・・ふふふ、私を騙した罰は受けてもらいますよ』

 

 今まで黙っていた事と、士官を探していると言いながら既に将をしている騙しをした罰に何かしようと企みも考えていた。

 

 移動中にアキラは気になることがあったので夕霧に訊ねた。

 「武田と長尾。いったいどうしてここまで因縁が深くなったのでしょうか?私の世界でもその両家はよく戦ったという話を聞いたことがあるのですが、その理由が分からないのですよ」

 こうした歴史は本来アキラは無関心だが、既にその両家の当主が自分の妻だ。因縁があるなら何とかして解消するべきだと考えていたからこそ、ここまで憎みあう関係になったのかを確かめたかった。光璃は露骨を見せるくらい美空を嫌っており、美空の方も光璃を嫌っていた。

 「私は両家の当主の夫です。仲良くしてほしいですが、まずはそこまで火花を散らせるのかを知りたいのです」

 「そうでやがるか・・・なら話すでやがる」

 渋い顔をしながら、説明を始めた。

 

 まず、武田信虎。この者を追い出した後必死に三人でボロボロになった甲斐を立て直した。でも、甲斐だけでは国を持たせることができない。そこで隣の信州に足を延ばした。そこで砥石崩れ・・・砥石城の主の村上が鬼の力を借りて武田に痛い敗北を与えた。しかし、再度戦いに行った時に砥石城の鬼は根切りにしたが村上は逃亡し行きついた先が美空のいる越前長尾だった。長尾が武田に手紙を出したのだが、その内容が

 

 『やっほ~。関東管領になった長尾景虎ちゃんで~~す!管領になった私はどんな立場わっかるよね~~。私がどんな人になったのかね~~。面倒なんだよね~~、信州を侵略した武田の皆さ~ん、もしかして、海を狙っているの~?だから、信州やって次に越後の私を狙うの?うっふふふ~、あげたくないから、あ~っげない!な~に?文句あるの?むしろこっちがあるわよ~~。だって~、甲斐は関東の一部なのにあんた達がいるんだから~~。信濃の北の村上ちゃんがこっちに頼ったんだから、文句があるなら喧嘩受けて立ってあ~げる!じゃ、山猿ちゃんばいば~い』

 

 といったものだった。

 「見事じゃ!幽!」

 「光栄の至り!」 

 「あんたら!その辺の松にでもつるしましょうか!それとも、そっちの杉にする?木は選ばせてあげるわよ!」

 幽がその手紙の内容を自分流に読んで一葉があっぱれと褒めて、その二人に美空が切れる。 

 

 手紙の説明の所だけ、何故かそんな三人の漫才が頭に思い浮かんだ。しかも、その後一葉が威張り、幽がいつも通りやれやれといった感じで突っ込んだところまで見えた。

 『・・・はて?何故そんな光景が見えたのでしょうか?まあ、そんなことはどうでもいいですね』 

 話を元に戻し、戦うことになってその戦いを調停したのが一葉だったが、二回目からは呆れて出なかったと言う。夕霧は村上を打ち首にして仲間の仇を討ちたかったことに悔しそうな顔をした。

 「仇を討てずじまいでその仇を美空が匿った。そこから因縁の関係という事ですか」

 「そうでやがります!あの雌猫は何回も邪魔をして!」

 「それは向こうも同じことを考えているでしょうね・・・見方というのは人それぞれであり、全員が同じではないですから」

 歌夜も頷いて同意した。

 「長尾には長尾の、武田には武田の、譲れない理由や考えがあるからこそぶつかり合っていったのでしょう」

 「・・・これは溝が深そうですね」

 自分のしたいこと。なすべきこと。それが水と油と言ってもいいくらい反発しあう事だった。だからこそ、憎みあう関係になってしまった。

 「でも、妻達が殺しあうのは見たくないですから、やらないといけませんね」

 「そうですね!」

 「です!」

 だけど、まだどうするか決まってすらいない。まずは、下山に行くことだけを考えることにした。

 

 やっと下山に着きそうになり、その向こうには駿府・・・そう鞠の故郷が遠くにあることを思い出した。

 『取り戻してあげたいですね・・・あの子は光り輝く未来を見れるのですから』

 そう考えた時だ。小波からの句伝無量がきたのは。

 『ご主人様大変です!下山の温泉近くで少数の鬼の影を見つけました』

 『分かりました、すぐに向かいます。そのまま様子を見てください』

 『分かりました!』

 すぐにその内容を悠きりに伝えた。

 「鬼が少数ですが下山の温泉近くで出たそうです」

 「なんですと!・・・ってどうしてわかったでやがる?」

 「そこは秘密という事で。今は急ぎましょう」

 句伝無量の事は秘中の秘。秘密にして今やることを言った。

 「そうでやがるな。こっちでやがる!」

 「この綾那が退治してやるでやがる!」

 「綾那。愛菜さんのときみたいに口調がうつっているわよ」

  歩かせていた馬の走らせ、下山に急いだ。

 

 『やれやれ、せっかくあの人をどんな驚かせ方にしようか考えたというのに、一仕事ですか。まあ、いいでしょう』

 




 
 そう、アキラは壬生のあの病の事を忘れていました。無明神風流・朱雀を使えたことと、壬生の血を自分の意志で使え、越後では立て続けに事件があった事で、その事を忘れてしまったのです。
 三人の方も再会したときに身体に入っている血の事は説明しましたが、再会の嬉しさと抱かれた嬉しさ。あとアキラもその事は知っているので、病の説明を今まで忘れてしまっていました。

 アキラはその事にいつ気付くのか・・・あの人との再会はどんな驚かせかたなのか?本当はここで書くつもりだったのに思った以上に多くなったので次回にしました。



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七十二振り目 誰かを騙すのはまず味方から

 
 こんにちは!二十四時間眠りたい三MENです!

 お待たせしました、やっとあの人がやっと本当の意味で登場です!

  


 

 アキラ達が句伝無量で聞いた鬼は既に退治されていた。いきなり現れた一人の女性があっという間に倒したとのこと。そして、ついにアキラは三度目の再会となるその女性と顔を合わせた。

 

 「やあ、無事士官が叶「会いたかったです!運命の恋人!」・・・は?」

 

 ニヤニヤしながら自己紹介しようとした女性の言葉を遮って、アキラはいきなり抱き着いた。

 「ちょ!ちょっと!」

 「まさか、ここで会えるなんて・・・あなたと越後で会った時に運命で結ばれていると言ってましたが、本当に私達は結ばれているのですね!」

 いつものアキラらしくない行動に眼帯をしている一人を除く全員が唖然としていた。

 「あ、あのね。あれは、そういう意味で言ったのでは」

 「私達は運命の赤い糸で結ばれた恋人同士!遮るものはあなたの私への愛でぶち壊し、主である光璃から私を寝取ろうと考えているのですね!」

 「・・・どうなってやがる?」

 アキラの豹変に、夕霧もどうすればいいのか分からない。

 「一二三ちゃん・・・お屋形様からそんなことするの?」

 「何を言っているんだ湖衣!というか、この人を」

 相方に疑いの眼差しをされて、さすがに焦り始めた一二三。

 「さあ、今から光璃の所へ行って話そうではありませんか!「あなたの夫は私が奪い、愛の逃避行をしますので探さないでください」って!さあ、参りましょう!」

 「だ、誰か。この人を止めてくれ~~!」

 「では、再会を祝して・・・接吻を」

 助けを求める彼女を無視して、両手で頬を抑え唇を近づけた。

 「な、なああああ!ちょ、ちょっと!」

 「恋人ならできますよね♪」

 「そんなんじゃないでしょうが!」

 接吻できる距離まで来て、言葉も乱暴になった。

 「恥ずかしがらなくてもいいのですよ。さあ、私の思いを受け止めてください」

 「「「「「(;゚д゚)ゴクリ…」」」」」

 ついに指二つ分くらいまでになった。動揺しまくって突き飛ばすなり、口を抑えるなりすればいいことに気づけないほど慌て、思わず目を閉じた。皆も注目する・・・

 

 「これが・・・私の思いです(バチーン!)」

 

 その中で、アキラは彼女の額にデコピンをした。

 「い、いった~~!」

 思わずきた不意打ちに額を抑えて涙目になる。

 「これで伝わったでしょう。あなたへの思いが」

 「これが思い?痛いだけじゃないか!」

 「今まで騙していた罰(思い)です。そちらがそういう事をするなら、こちらも同じ手を使わせてもらいましたよ」

 「く、くう~~。罰を思いと書く人なんて初めて見たよ」

 引っかかったことに悔しがる女性。芝居だったことにまた唖然とするギャラリー。

 「でも、運命でつながっているというのは本心ですよ。ここまで縁があると、赤い糸みたいなものが本当にあると思ってしまいそうです」

 「・・・あ、ああ、そ、そう、かもね」

 さっきの展開をまだ引きずっているのか、恥ずかしがりながらも答える女性に皆も少しずつ落ち着きを取り戻した。

 「改めて、織田久遠、長尾美空、武田光璃の夫を務めているアキラと申します。よろしくお願いします、運命の人」 

 「そ、その言い方はやめてほしいな・・・(す~は~)よし、少し落ち着いた。ではこちらも・・・我が名は武藤喜兵衛一二三昌幸。下山城代をしているよ。湖衣、君もしたらどうだい?」

 「・・・は!あ、そ、その、えっと」

 思わぬ演技に見入っていたが一二三に言われて意識が戻った。彼女はアキラの事を怖がっているのか一二三の後ろに隠れた。越後のあれが原因と、すぐに気づいた。

 「あの時は不可抗力ですよ。それは分かってますよね」

 「(こくん、こくん)」

 「今はこちら側にいますので味方です。大丈夫ですよ」

 「夫殿は言う通りだ。本人も大丈夫と言っているし」

 「は、はい・・・えっと山本勘助湖衣晴幸と申します。えっと、よろしくお願いします」

 「はい、よろしくお願いします。湖衣ちゃん」 

 そう言いながら、アキラは湖衣にも抱き着いた。

 「なあ!んふぉあをwんろ!」

 「湖衣。びっくりするのは分かるけど、せめてわかる言葉で頼むでやがる」

 「あ、アキラ様!な、何を!」

 「いえ、一二三さんに抱き着いたのですから、湖衣ちゃんにも抱き着こうと思いまして。片方だけというのは不公平ですからね」

 「わ、わりゃひわ、べちゅに!」

 「湖衣~、まだ分からないよ~」

 顔を真っ赤にして慌てる湖衣に悪戯心がわいた。

 「かわいいですね。純粋で・・・愛らしい顔をして・・・何より一緒にいると落ち着く雰囲気を(バタ!)・・・ん?バタ?」

 抱きしめながら耳元でからかおうとしたら、アキラの抱きしめをすり抜け地面に倒れた。さっき以上に真っ赤になっていた。

 「はう~~かわいい・・・愛らしい」

 「ははは、湖衣は恥ずかしがり屋だからね。夫殿に抱き締められながら言われて、恥ずかしさの頂点を突破したんだろう」

 湖衣の恥ずかしい姿に、やっといつもの調子を取り戻した一二三。

 「さて・・・典厩様。こんな遠くまで来ていただけるなんて光栄です」

 「兄上が二人に会いたいと言ってやがっていたから」

 「ええ。一二三さんから私と運命でつながっているという情熱的な言葉をもらったので、彼女の想いに答えたいと思い来たのですよ」

 「一二三・・・姉上の夫を本気で奪うつもりでやがるか」

 「お願いですから、典厩様までそう言う目で見ないでください。というか、そんなことしないくらいわかっているじゃないですか」

 一二三の言葉に夕霧は頷いた。

 「妻に本気でなりたいのなら、その想いを受ける気持ちは持っていますよ」

 「アキラ様、お願いですから増やそうとしないでください。少し目を離した隙に妻ができたなんて詩乃さん達が知ったら」

 「もう諦めているので大丈夫ですよ」

 「あの、笑顔で言う言葉じゃないと思うのですが」

 アキラの言葉に、小波が冷や汗を流しながら呟いた。夕霧と一二三は湖衣を助けようともしないで、話し合いをした。

 

 気が付くと、もう夕方になっていたので下山城で泊まることになった。その際、自分とやっと意識を取り戻した湖衣ちゃんの二人だけとなり皆が行ってしまった。

 「出発しましょう」

 「・・・はい」

 残った一頭の馬の手綱をアキラが掴み、後ろから湖衣が抱き着く。という事になった。

 「湖衣、一つ言っておくことがあります」

 「ひゃ!な、なんでちょうか!」

 「落ち着いてください。すいませんでしたね、越後では」

 「あ、い、いえ!わ、私が得物に手をかけなければ・・・」

 「威圧するくらいにしておけばよかったのですけど、鬼が近くにいたので殺気も追加してしまったみたいで」

 「わ、私も悪いのですから、謝らないでください」

 「なら、ありがとうございます」

 謝らないでといったすぐ後にお礼を言われて、キョトンとする湖衣。

 「あの時も言いましたが、あなた達がいなければ空君も名月君もあの場で死んでいました。救ってくれてありがとうございます」

 「あ、あれは、一二三ちゃんが助けようって」

 「でも、あなたは止めなかった。親友のすることに応援したいという気持ちもあったでしょうけど、命令違反に変わりはない。自分の立場も危なくなる行為だったのに」

 「だ、大丈夫です。典厩様もお見通しだったみたいですので」

 「なるほど・・・私は友の為に頑張ろう、支えようとするあなたみたいな女性は好きですよ」

 「・・・な!」

 好きという言葉に固まった湖衣。

 「もうそろそろつきそうですね・・・って、湖衣さん?」

 「な、なななな、何でしょうか!」

 「もうすぐ下山城に着きますって」

 「あ、そ、そうですね!(さ、支える私が好きという事であって、一人の女として好きと言ってないわよね!うん、そう!)」

 慌てて取り繕って、冷静になろうと深呼吸をしている間に城に到着した。

 

 到着してすぐ一二三と湖衣、夕霧の三人は城門の前で駿府がどういう状況か?を話し合っていた。

 「そういうことで、それが駿府の今を推測した兄上の考えでやがる」

 「そうですか・・・北近江と同じような出来事が甲斐でも起こっている、ですか。確かにその考えは正しいですね」

 「私達もその推測には同意します。そして、越後で鞠様を見た時に確信しました」

 「なるほど。約一名、鞠を見て驚いた人がいたので誰かと思っていたのですよ。湖衣だったのですね」

 皆が喜ぶ中、眼帯姿で驚くのは印象が強かったのか、アキラはしっかり覚えていた。

 「綾那達の越後でやっていた芸。湖衣、見ていたですか!」

 「はい。鞠様の蹴鞠も、綾那さんのお猿の槍も素晴らしかったですよ」

 その言葉を聞き嬉しそうになる綾那。また猿になってやりたいと言い出すと、句伝無量でその衣装を今持っているという小波のツッコミが来た。

 『いいです・・・ないことにしてください』

 こんなことに、句伝無量を使わないでほしいと思ったアキラだった。

 

 城に入り、食事が来る間にここの状況と今までの鬼との戦いを話し合った。

 「ふむ、地面からの奇襲か。それはただの鬼の行動とは思えないね」

 「ええ。あれは完全に私達も予想外でした」

 「はい、おかげで同盟軍は大きな痛手を受けました」

 「いつも正面からでしたので、ここもそうじゃありませんか?」

 「その通りです。今後はそういう奇襲もあるという考えも持った方がいいですね」

 「(こく)姉上にも言っておくでやがる」

 鬼の話はここで一区切りとなって、夕食の時間となった。

 

 その日の夜は三人と一緒に寝たが、今朝の夕霧の目撃もあったため、綾那はすぐ寝たが、歌夜と小波は添い寝で止まった。

 『久しぶりですね。こうしてゆったり眠れるのは・・・』

 京でも越後でもほぼ毎日誰かが夜這いに来たりもしたが、躑躅ヶ崎館に来てからというものの京や越後の妻達に差をつけたいのか、詩乃達や恥ずかしがり屋の小波ですら大胆にアピールしてきて、特に夜寝る時は必ずと言っていいほど裸で押し掛けてくることが当たり前になるくらいに迫ってきていたので、添い寝だけどこうして何事もない夜は本当に久しぶりだった。

 『それにしても、よく今まで彼女達の夜這いをくぐり抜けられましたね。越前のアキラ隊五人夜這いや越後の春日山城奪還後の酒池肉林など、いろんな女性を何度も抱いたという事もあったのに、私の体は疲労がなくいつも通りに戻ったのでしょう?』

 そこで考えたのは、今までのたくさんの妻との夜だった。

 『もしかすると、これも壬生一族の血のおかげ?・・・いやいや、それは無いでしょう。まさか、女との愛欲でそれが使われているなんて。だけど、それ以外に考えられない気がするんですよね』

 こうして落ち着いた夜だからこそ、今までの波乱ともいえるアキラ隊や他勢力とのセ〇〇スの連続の後の自分の体に疑問がでた。

 もし、向こうの世界の人達が聞いたら

 

 『皆の者!右の者アキラは不特定多数の女を好き放題抱いた罪がある!』

 『よって!アキラはんはサンドバックの刑に処すことが決定したで!』

 『アキラ・・・俺がやることを、勝手にやった・・・覚悟はいいな』

 『僕だってそう言う夢がある!答えは聞かない、覚悟しな!アキラ君!』

 『庵樹を幸せ・・・って建前はいい!俺だってそんなハーレム経験したかったぜ!』

 

 この前の嫉妬団に遊庵が加わった五人が、アキラを処刑台に立たせ丸一日サンドバックの刑にするくらい羨ましい悩みだ。

 『しかし、この前のダイヤモンド・ボルトも二条館のあの時からそれほど時が経っていないのにしっかり使えた。いくら何でも速すぎる・・・壬生の血を使えるよう特訓しているといってもそこまで速く使いこなせるものでしょうか』

 今まで使ってきた技も壬生の血の力を使っていたが、ここ最近では身体への負担が全然ない。今までは特訓が花開いたと思って来たが。

 『これ以外考えられないですよね・・・まさか、妻達との愛の語り合いが壬生の血の訓練と壬生の体になるきっかけになっていたなんて・・・衝撃の事実ですよ』

 呆れながら右腕を枕にする小波を見た。

 『でも、そんな思いを持って彼女達を抱きたくありません。私を愛し、抱かれたいという信念を持った妻達の想いを真剣に受け止め、私も心から愛したいです』

 そう思いながら、アキラは眠りに着いた。

 

 次の日はすぐに躑躅ヶ崎館に戻ることにした。何しろ、急にこっちに泊まったのだ。妻達に小波が連絡したとはいえ、心配はしているだろう。

 「では、何かありましたら鏑矢三本あげます」

 「分かったでやがる。頼むでやがるよ」

 「では、頑張ってください。湖衣も体に気を付けて」

 挨拶した時点でいつの間にか、二人の目の前に移動し右手を握っていたアキラ。そして、紳士が見せる片膝ついてそれぞれの掌にキスをした。

 「・・・本当にアキラ様って女を誑して、堕として、手籠めにして、抱かせるように誘導して、その人を抱かないと死んでしまう病に侵されているのですね」

 「・・・歌夜様の言う通りです」

 「アキラ様は女誑し超強化人間です!」

 「思いっきり、頷けるでやがる!」

 「前に詩乃から言われたことがありますが、さらに増えている気が・・・」

 掌にキスをされた二人が呆然としているのを見て歌夜の言葉に力強くうなずく三人。湖衣に至っては頭から煙を出して、立ちながら失神していた。

 「・・・もう~。本当に夫殿は油断も隙もあったものじゃないね。危なく・・・いや、何でもない(身も心も任せてもいいと一瞬思っちゃったよ)」

 「私の事はともかく、問題は越後ですね」

 一二三の言葉にこれ以上はやばいと思い、話の矛先を変えたアキラ。全員のジト目を受けて、冷や汗を流した。

 「アキラ様へのお説教は館に戻ってからとして・・・そうですね。長尾と武田の和平、うまくいけばいいのですが」

 「でも、夫殿とお屋形様の祝言の話は既に耳に入っていると思うし」

 「ただでさえ、両家の関係は溝が深い。そんな状態で龍がどう反応するか。でやがるな・・・姉上と兄上はブチ切れて出陣させる。と言ってやがりましたが」

 「できることならば、その期待が外れて「典厩様~~!」・・・この声は兎々ですか」

 アキラの言葉を遮って兎々が早馬に乗ってやってきた。

 「・・・こんな朝早くに来るという事は」

 「ああ。しかも四天王が自ら来るという事は、火急の出来事が来たという事だね」

 皆の前に馬を止め、それを下りた兎々が放った一言。

 

 「越後勢が信州に向けて行軍を行っていると言う報が届きました!至急躑躅ヶ崎館におもろりくらさい!」

 

 まさに、話のタネになっていた美空・出陣の報せだった。

 

 「噂をすれば何とやら、だね」

 「全くです。ふふ、はははは!・・・はあ」

 

 一二三の言葉に苦笑いしか出なかったアキラだった。

 





 原作では腹の探り合いだったけど、ここでは彼女を恥ずかしがらせたかったのでこんな展開にしました。

 さあ、ついに対戦前の作戦会議です!後、少し先になりますが、アキラを救う時人達四人の話も書こうと思っています。お楽しみに!

 彼女達の愛のセ〇〇スが自分の強さになっているのでは?と思い始めたアキラです。 


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七十三振り目 うまく、こっちのやり方にさせましょう

 グットアフタヌーン!三MENです!

 今回は軍議風景です!果たしてどんな展開になるやら・・・。


 越後勢・・・美空が信州に行軍しているという情報を兎々から聞き、急いで躑躅ヶ崎館に戻ってきたアキラ達。一端落ち着くために部屋に戻ってきた。

 「ただいま」

 「「おかえりなさいませ!」」

 「おかえり」

 詩乃と雫は笑顔で出迎えたが、

 「・・・ダメです(スパン)」

 「残念」

 各務はアキラの袴を脱がそうとしたが、叩かれて残念そうに諦めた。

 「そうですよ。今夜たっぷりと」

 「各務さん、我慢です」

 「うん・・・はあ~」

 二人もやる気満々だったが、我慢という事で落ち着いた。

 「さて、今夜の閨も決まったことで・・・もう話は聞いていますよね」

 「「「もちろん(です)」」」

 全員円になって部屋の中央に座り込んだ。

 「美空様の此度の出陣は間違いなく」

 「アキラ様の、予想通りかと思います」

 「それ以外に思いつきません・・・夫としては嬉しいのですが」

 両兵衛もその回答だった。

 「綾那は殴りあって武田の真意を知りたいから出陣させたと思うです!」

 「・・・私もそう思います。出陣もノリでやったのではないかと」

 「右に同じです」

 三河三人も同意であり、アキラの腰に抱き着いている各務も頷いた。その姿に五人とも羨ましそうな視線を向けていた。

 「全員、同じですか」

 彼女らの意見を聞いたアキラの頭の中にはこのビジョンが出た。

 

 『(ゴゴゴゴゴ)光璃・・・私の旦那を・・・夫を・・・寝取ったわね!』

 『出陣よ!アキラを絶対に取り戻すわ!そして・・・光璃を!光璃の頸を!』

 

 自分と光璃の祝言の報告を受けた美空の怒りに燃える姿と、

 

 『そうじゃ!我らが主様を取り戻そうぞ!取り戻した暁には再び酒池肉林をやろうぞ!』

 

 戦になると分かり、嬉しそうに叫ぶ一葉の姿。更に、

 

 『お、落ち着いてください~~!』

 『牡丹が二つ、大輪を咲かせて・・・』

 『そうですわ!ハニーとの甘いはちみつのような日々を取り戻すためにも!』

 『アキラ様を取り戻し、二度とどこにもいかないよう監禁して私達以外何も考えられない『落ち着け、貞子!』っは!・・・な、何でもありませんです!』

 『・・・四輪でしたか。は~~、牡丹園を作るつもりなどなかったのですが』

 

 その二人に賛同して立ち上がる二人の姿と、溜息を吐く二人の姿もまた見えた。

 「幽と秋子さんがかわいそうです。牡丹な二人とその部下二人を止められそうにありませんからね」

 「「「「・・・そうですね」」」」

 両兵衛と歌夜に小波が、心から二人に同情した。

 「ボケはここまでにして・・・美空が攻めてくることが分かった以上、妻同士の殺し合いという事になります。それだけはどうしても避けたい」

 もちろんアキラはノリで出陣させたとしても、美空がそれだけで戦いをするとは思っていない。でも、現状は言った通りになりそうだ。

 「詩乃」

 「はい」

 「雫」

 「は!」

 だからこそ、自分以上の頭脳を持つ二人から知恵を欲しい。

 

 「止めましょう。この戦い・・・大切な人を失いたくないですから」

 

 その言葉を待っていたかのように、詩乃も雫も笑顔になった。そして、既に対策を考えていたらしい。だが、今アキラの考えに賛同できるメンバーはここにいる六人のみであり、武田と長尾の戦いを止めるには余りにも少なすぎる。アキラが力づくで止めようとしても、余計に戦いが激化する可能性があるのでそれは出来ない。

 長尾勢と共に出陣しているであろうアキラ隊がいれば何とかなるかもしれないが、合流するために六人だけの行動はおかしいし怪しい上に、光璃も許さないだろう。

 だが、二人はそんなアキラの考えすらも見抜いていた。

 「話は聞かせてもらったよ!お兄ちゃん!」

 なら、移動してもおかしくないよう兵を持てばいいだけの話という事らしい。

 

 昨日、アキラ達がいない内に詩乃と雫、更に小波と各務が薫と仲良くなっていたらしく、こうした可能性も話したうえで協力すると言ってきた。詩乃と雫はともかく小波と各務とも仲良くできるあたり、中々のやり手では?と内心思ったアキラ。後は自分達の考えと薫の出陣が、光璃や四天王の軍議で受け入れられるかどうかだ。

 「お前ら!お召しら!」

 ちょうどいい時に兎々がやってきた。

 「お召しという事は、私達も軍議に参加できるのですね」

 「もちろんら・・・って薫様!何れここに!」

 「何でって、友達だからだよ」

 薫はにっこりとした笑顔で言って対応した。堂々と笑顔でそう言える当たり、アキラは本当に感心した。

 

 そして、評定の間で軍議が開始となった。何故美空が攻めてくると分かったのかは、鞠の件の使者が越後に向かう途中に長尾勢が南下している様子を見て、途中で引き返し狼煙を上げて伝えたようだ。そして、兵の収集も既にしているらしい。

 今の長尾勢の行き先は飯山城という城で、最終目的地は

 

 『予想通りでしたね・・・武田と長尾。この両家の戦いと言えば川中島の戦い。自分がそれに参加することになるとは思いませんでした』

 

 予想していた通りの場所、川中島だ。

 「疑問なのは、あの長尾景虎がこんな拙速な行動をとったという事だ」

 「そうですね。準備をあまりしないで越後を出たという報告でしたし」

 春日と心の話を聞き、アキラはもう確信した。

 「・・・アキラ、どう思う?」

 「光璃、もう分っているじゃないですか・・・私達の予想していた通りになったという事ですよ」

 「兄上・・・まさかあの時の?」

 「本当に、そうなったんだね」

 アキラの言葉に妹二人は苦笑いになった。その事を知らない四天王は?を浮かばせていた。

 「詩乃。彼女らに説明お願いします。私よりも状況を理解しているあなたの方が分かりやすく説明できるでしょうから」

 「は!」

 そう言われて立ち上がる詩乃。

 「いつもとは違う長尾勢の動き。その理由は、ほぼ確実にアキラ様を奪還するためでしょう」

 「確実に?どうしてそんなことが言えるんだぜ」

 「こなちゃん・・・アキラ様は光璃様以外に誰の夫だったの」

 チンプンカンプンな粉雪をみて呆れる心。

 「考えなくてもわかるでやがるな。自分の愛する夫を目の前で奪われて、更には祝言まで上げたでやがるからな」

 「うん。立場関係なしで怒るよね」

 「そうです。光璃様との祝言の情報が耳に届いてすぐに出陣を決めたと思われます。今回の出陣は美空様の気性的なところが大きいでしょう」

 「私も、そう思う」

 詩乃の推測に光璃も頷いた。

 「私の妻となったのが夕霧か薫だったら、ここまで速く動かなかったでしょう。武田家当主が私という日の本の中心的人物を手中に収めた。と見て取れますから手駒として使う。という認識になるでしょうし」

 「兄上の嫁でやがるか」

 「お兄ちゃんのお嫁さん・・・えへへ、いいかも」

 二人の呟きをむしして、アキラは続けた。

 「だけど、最も因縁が深い光璃が私の妻となった。これが理性の壁をぶち壊して、今回の出陣させたのだと思います」

 「・・・(こく)」

 アキラの言葉にも頷く光璃。

 

 その後も詩乃の話は続いた。今回の戦いは長尾に有利な条件が二つあり、一つ目が何度も戦った武田であったこと。もう一つはアキラが戦いの最前線に出ることを好んでいることだ。そして、考えた策がアキラを最前線に出すという提案だった。もちろん皆は長尾が有利となる提案に疑問だったが、

 「今一番大事なのは駿府です。私が美空を説得します」

 「・・・ああ、夫殿の言う通りだ。甲斐の民の脅威となる駿府からの鬼を退治することが最優先だ。ここで戦をして兵を減らすのはまずい」

 「それに長尾は久遠の同盟に入っているので、そちらの被害も出したくありません」

 「アキラ。同盟はまだ」

 「光璃。その事は後でもいいのです。今は避けるべき事態を避けないといけません」

 アキラにそう言われ、言葉が止まった。そこに追い打ちをかけるかのように、詩乃と雫も話に加わった。

 「アキラ様の言う通りです。それに鞠さんが越後勢にいるので、駿府攻めの大義名分がない状態です」

 「でも、今回はアキラ様を奪還するための戦い。アキラ隊も出陣することは間違いないと思われます。そうすれば、鞠さんもアキラ隊の一員として出てきます」

 「そこに私が隊に合流できれば、鞠もアキラ隊も力を貸してくれますから何とかなるでしょう。後は説得ですが・・・」

 これが一番難しいことだ。美空はアキラを奪われて怒りに燃えている。その怒りの一撃食らわさないと気が済まない性分だ。それをさせないための説得が果たしてできるかどうかだ。苦い顔をしているアキラを見て、ダメと言い張る光璃。

 「氏真殿を手に入れられるなら、詩乃の策は有効という事か」

 「まあ、向こうから喧嘩を仕掛けたんだ。殴り返しても問題はないんだぜ」

 春日に粉雪の言葉は、まだ武田は長尾と戦う意思がある言葉だ。だが、さっきの提案は鞠とアキラ隊を武田に移動させるための策であり、肝心の武田と長尾の戦いを停戦させるための策ではない。だが、両家の戦いを停戦させるしかないほどの大きな案が出てこない。そんな中、雫が長尾勢の旗の確認をした。

 「長尾勢の中にアキラ隊の旗は確認できませんでしたか?アキラ様の努力・友情の旗か二つ引き両の旗があれば確実なのですが」

 この言葉に武田勢全員が反応した。正確に言うなら、二つ引き両の旗・・・一葉の旗だ。

 「アキラ殿。まさか、公方様が越後におられるのですか?」

 「え、いますが・・・知らなかったんですか?」

 「な、なんれすと~!」

 これにはアキラだけでなく、詩乃達もキョトンとした。武田には知らぬことなどないと言っていたため、一葉が越後にいることを知らなかったとは思わなかったからだ。

 『・・・ここですね』

 だが、すぐにアキラはここがせめるポイントと気づいた。足利幕府の将軍であり、同じ源氏の血を引く一葉と対峙するのはまずい空気になっているのを感じて、一気にせめることにした。このまま越後勢と戦うとしたら一葉とも戦うことになること。アキラ隊の一人でも戦いが好きな人であり、立場上長尾勢本陣にいる可能性が高いという事。

 すると、停戦の方向に話が進んだ。後は、アキラ隊と合流するために薫の隊を預かる提案だが。

 

 「もし、この頼みが聞けなかったらお姉ちゃんのお茶にワサビ入れるから!」

 「・・・わかった」

 

 まさか、これで許されるとは思わなかったアキラ。その後、春日がアキラ隊の詳細を聞きたいと言ってきたので、詩乃が説明をした。

 「今のアキラ隊は兵も鉄砲も金ヶ崎で減りましたが、人数は三百ほどで鉄砲の数は二百丁ですね」

 「さ、三百の兵で!」

 「鉄砲が二百も!」

 「と、とんれもないのら!」

 鉄砲の数に光璃以外は全員驚いた。

 「しかも頭である夫殿は、春日山城の大手門を壊せる技や鬼を何百匹も倒せる技を持って、城落としの名人・・・異能集団と言われるのも納得ですな。それにしても鉄砲が二百丁。それが味方になるのはでかいですな」

 「そうでやがるな。姉上、これは大きなことでやがる!」

 「うん、薫。必ずアキラ隊を取り込んで」

 「了解だよ!お姉ちゃん!」

 笑顔で頷く薫。ようやく全てが決まり、御旗・楯無に今回の作戦の誓いをしてやっと軍議が終わりを迎え、それぞれに命令を出して評定の間を出ていった。アキラ達も出て、自分達の部屋に戻った。

 「・・・アキラ、一緒に寝たかったな」

 少し寂しそうな顔で光璃も評定の間を出た。

 

 部屋に戻って落ち着き、作戦通りにいったことに満足したアキラ達。

 「何とかうまくいってよかったです」

 「ええ、一葉と鞠が越後にいたことがうまくいってくれました」

 「後は、本当にうまくいくかですね・・・」

 「そうですね。あの美空がどんな手を使うか・・・それ次第ですね」

 三人は難しい顔をした。そう、彼女の戦い方次第なのだ。今回の作戦がうまくいくかいかないかは。

 「綾那としては、松平の名前が一回も出なかったことが不満です」

 「殿なら多分大丈夫だと思うのだけど」

 「最強の護衛が京まで一緒ですし、そろそろ三河に戻っていると思いますよ」

 「ええ。雫の言う通りでしょう。でも、彼女は今回の件には全く無関係ですからね。出てこないでしょう」

 「・・・分かったです。小夜叉やお母さんに時人達と一緒なら、問題ないです」

 とりあえず、無事であることは見なくても確実なので何とか納得しておいた。

 「後は、決行日までの出陣準備と武田の皆との交流といったところですか」

 今後の予定を口に出すと、

 「・・・誑さないでくださいね」

 「ただでさえ、光璃様を妻にしているのですし」

 「下山でも誑していましたし」

 「ご主人様~(うるうる)」

 「アキラ、私だけを見て」

 「??みんなどうしたです?」

 詩乃と雫と歌夜はジト目で、小波は犬がうるうるするような目で、各務はむすっとした目でアキラを見た。綾那はそんな目をする五人に疑問を持っていた。

 「何でそんな風に見られているのでしょうか?」

 『『『『自覚してほしいな・・・はあ』』』』

 そう呟くアキラに心からがっかりする小波と綾那以外の四人だった。

 

 因みに今夜の閨はというと。

 「アキラ様、綾那のおっぱいどうです?」

 「あう!アキラ様・・・お尻に」

 最初は綾那と雫を相手に

 「太ももばかり・・・じらさないでください」

 「首筋を・・・ご主人様!舐めないで、ああ!か、感じる!」

 次はその情事を見てそれなりに欲情していた詩乃と小波。

 「う、後ろから!・・・アキラ、強引。でも、いい!も、っと、私を・・・無理矢理に・・・力づくに、やって!」

 「お、おねがい、します・・・歌夜のこ、この淫らな姿を見て・・こ、ここに・・・アキラ様の、ふ、とい刀を、い、入れて、ください。もう、もう、またされて・・・ずっと、いじり続けて、我慢が、できないんです」

 最後は四人との愛欲をずっと見続けて、自慰を自分の番までやり続けて、やっと出番になった時は理性をぶっ壊して快楽に飲み込まれていた各務と歌夜が相手だった。

 そう、結局全員相手することになった・・・。

 

 『さて、明日から頑張り・・・ま、しょう』

 

 さすがに六人相手はつらかったのか、すぐに意識が夢に移動した。

 





 さあ、アキラ隊の策が無事通りました!あとは当日です!

 次は間章です!

 一つ番外編も書こうかなと思っています。内容もおおよそできているので、間章を書き終えた当たりに書くつもりなのでお楽しみに!


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間章19-1 そんなにおかしいですかね?

 おはこんばんちは!三MENです!

 一つ報告です。活動報告の「エロ修正しています」に興味のある方は、時々その報告を確認してみてください。
 修正済みがどの話かをそれに書き足していますので。
 絶対に今まで言葉だけにしていた部分を全部大胆にエロ表現したいと思っています!

 今回は四天王の間章です!


川中島への出陣命令が光璃から下された次の日。早速、躑躅ヶ崎館はいろんな兵や将で動いていた。

 

 そんな中、アキラはのんびりしていた。アキラ隊は越後にあり、薫の隊も八十と少ないため、連携も作りやすく今は本人と詩乃と雫が対応して時間が空いている。

 本来ならこうした時間こそ壬生の血を使える時間を長くする訓練をするのだが、

 

 『あの訓練は時々しかやっていないのに、それなのに血を使える時間が長くなっている・・・やはり、妻達とのあれが』

 

 毎晩六人とぐちょぐちょのイチャイチャの濡れ濡れのずぼずぼをしているあれが、訓練になっているらしいのだ。越後の時から一日十人近く閨で相手をして、体がなまらないようにいろんな武将と手合わせはやるが、それ以外は夜に向けての体力回復が一番の為、こうしてのんびりしている。

 

 そうやって時間を過ごしていると光璃に会ったが、何かを困っているようだ。

 「光璃、どうしました?」

 「あきら、これ・・・」

 視線の先には垣根の一部が壊れていた。でも、戦準備に忙しいから修理を頼めない。それで困っていたようだ。

 「では、私が直しましょう」

 「え?」

 光璃がキョトンとしている間に、工具を取ってきて僅か数分後にはもう元に戻してしまった。

 「すごい・・・もう直った」

 「向こうでは日常茶飯事でしたので」

 壊しは得意直しは無視、の狂と梵とほたるがいたのだ。修復は必然的にアキラになってしまうためすっかり得意になっていた。

 「ねえ、どうしてこんなにうまく直せるの?」

 「そりゃ、何回もやっていたら慣れていってうまくなりますよ。こうした工事も料理もね」

 料理という言葉に反応した光璃。

 「アキラ、料理できるの?」

 「できますよ。それもまた慣れてですけど」

 苦笑いをしながら頷いた。すると少し元気のない顔になった光璃。

 「・・・料理、私、できない」

 「?何でそんなことを?」

 「男は、料理ができる女が好き・・・ねえ、アキラ。料理できない私、好き?」

 おどおどした目で問いかけてきた。

 「でしたら、訓練してみたらどうです?」

 「訓練?」

 質問の答えを言わないで、そう言った。

 「そうです。努力すれば作れるようになりますよ。私はいつかあなたの料理を食べてみたいですね」

 「・・・努力。うん!頑張ってみる!」

 元気な目に戻って、笑顔でこぶしを握った。

 「心や薫・・・作戦がうまくいけば私の隊で一番の料理上手のころ、蜂須賀小六から教えてもらえれば大丈夫ですよ」

 「蜂須賀小六ってそんなこともできるの?」

 「ええ。私よりうまいし、多分二人と同じくらいうまいです」

 「・・・教わりたい」

 笑顔になった。その後、兵に呼ばれて去っていった。

 『さて、ころがどんな反応するか楽しみですね。会いたいだけでなく教えも請いたいと思っていると知ったら』

 ニヤリと笑ったアキラ。同時刻に寒気を感じたころがいたそうだ。

 

 

 アキラは再び館を歩き回った。ただし、手には何個かの桃を持ってだ。途中でまた光璃に会うと、桃が贈られ、かなりたくさんあるからともらったのだ。

 『詩乃に雫に薫は隊の備蓄の準備に、綾那に歌夜と各務は夕霧や粉雪と手合わせ中。一緒に食べる時間がない』

 皆忙しいので、うまく声をかけられない。だが、一人で食べるのは何か寂しい気もする。そこで思いついたのは、

 「小波」

 「お側に」

 彼女と食べようという事だった。一緒に桃を食べようと言うと驚いていたが、夫婦なんだから一緒に食べたいと言うと、嬉しそうに皮をむくための短刀を出した。

 「貴方と二人っきり。あの時を思い出しますね」

 「あの時・・・あ///」

 「私達が夫婦となったあの時。嬉しかったですよ、私の妻になる。そう言ってくれたあの時」

 「お、思い出させないでください・・・恥ずかしいです(てれ)」

 夫婦の繋がりを作った思い出に小波は顔を真っ赤にした。でも嬉しそうにアキラが皮をむくのを待ち、むき終わった時だ。

 

 「この~~!アキラ~~!勝負、て、あーー!Σ(・□・;)」

 

 どこかの猪突猛進がとびかかってきたのは。でも気配が向かってくるのが分かっていたため、とび蹴りしてきた足を掴んでそのまま庭の池にめがけて投げた。そして、一口サイズに切った桃を小波に差し出した。

 「はい、小波。あ~ん」

 「あ、あの(どっぼ~ん)、いいのでしょうか?」

 「はい?何が「無視するな!」でしょうか?何かありましたか?」

 「えっと・・・「こっち向け!」その」

 気になる小波は、どっちに対応すればいいかわからない。

 「ほら、あ~ん」

 「・・・あ、あ~ん」

 結局、欲望に負けてアキラからのあ~んを受けた。

 「いい加減にするのら!」

 「おや?全身ずぶぬれになって・・・早く湯につかった方がいいですよ」

 「お前というやつは~!こんろこそ「許さないのはこっちの方だ、兎々」みぎゃ!」

 濡れ雑巾になった兎々が怒りの一撃を出そうとしたが、上から春日の一撃を食らいそのまま地面に倒れた。

 「全く、いきなり走り出したと思ったら」

 「お疲れ様です、春日。あなたも食べませんか?」

 「おや、いいのですかな?」

 「ええ、妻の小波にはもうしてあげましたので」

 斬られた桃を差し出すと、笑顔で口を開けた春日。

 「では(ぱく)、ふむ。悪くない気分だにゃ~♥」

 「「にゃ~?」」

 「?何か変なことでも言いましたか?」

 『無自覚なのでしょうか?何か時々猫的な空気を出していることに』

 あの膝枕の一件以来、春日が時々猫に見えることがあり、猫の声みたいなことも無意識で時々言ったりする。今のように肩の力を抜いている感じの時には頭に猫耳、尻には猫しっぽの幻覚が見えたりする。

 「い、痛いれす。春日様」

 「拙の話の途中でいきなりいなくなるからだろうが!」

 「うう、れももう何回も聞いたのら・・・」

 「それでも、それを忘れたことをするから言っているんだ!」

 強く言われ、ショボンとする兎々。

 「ふむ。兎々には、先の戦いの訓示でも?」

 「ああ。武田の未来すらかかっている戦いだ。だから、説法をしていたのだが」

 「私が見えて、思わず攻撃をするために抜け出したですか」

 「・・・こんな調子では思いやられる」

 ちょっと暗くなりそうなので話の内容を変えた。すると、三河の草で代表的な家柄の服部である小波に甲斐の草と戦うと勝てるか尋ねた春日。

 

 「勝つ方法はあります。でも、ご主人様は私が妻であることに喜んでおられます。ですので、戦うことは避けたいです。もし、傷ついたりしたら悲しませますので」

 

 真剣な顔でそう言った。つまり、勝つことより、草としての立場より、アキラの傍に居続けたいという想いの籠った言葉だ。勝ちより自分を選ぶ。思わず、嬉しい気持ちになったアキラ。

 「・・・・・・(てれてれてれてれ)」

 自分の本心を言って、小波は一気に恥ずかしくなり真っ赤になった。

 「そうだな!隊の皆も夫殿の嫁だったな」

 「ええ、大切な妻です」

 「ご主人様!」

 改めて行ったアキラの言葉に、目をキラキラにして喜ぶ小波、

 「あ、暑いのら・・・何か冷たくなるものが欲しいのら」

 「ふむ、ではこれをどうぞ」

 「桃なのら!」

 兎々の呟きに反応して、アキラは桃を差し出した。するといきなりかぶりつき、あっという間に切られた分を食べきった。

 「もっとないのら!らすならさっきの所業を許してやるのら!」

 「・・・食べ物につられるとは」

 再度やれやれと思う春日。斬られていく残りの桃にもかぶりつく兎々。どうやら、桃が大好物のようだ。

 

 そして、桃大好物人間が桃を食べ終わった時だ。

 「さて、夫婦の仲の良さはここまでにして・・・夫殿一つ訪ねてもよろしいですか?」

 春日が、アキラに訪ねた。

 「昨日は驚きました。まさか、夫殿の隊が三百という少数なのに鉄砲の数が二百もあることに」

 「そ、そうなのら!あれはびっくりしたのら!」

 「なるほど、私の隊についてもっと知りたい。という事ですね」

 隊の話題が出たという事はそういう事だ。

 「ああ。本当は織田がどんな戦いや軍の使い方をしているのか。そういった内情も聞きたいのですが」

 「兎々がいろんな国の軍のいいところを見つけて書にまとめているのら。名付けてこーよーぐんかんと言うのら!」

 「ふむ・・・残念ながら織田の事は全部奥さん任せなので私もわかりません。私の隊の事なら構いませんよ」

 「「「は?!」」」

 小波もいれて、三人で驚いた顔になった。

 「おや?どうしました」

 「いや、まさか本当に聞いてもいいとは思わなくて」

 「普通は教えないのら!」

 「ご主人様、本当にいいのですか!」

 「構いませんよ(多分、参考にならないでしょうし)」

 こっそり無駄だろうと思いながら、説明に入った。

 

 隊の説明した後、二人の反応は。

 「「・・・・・・」」

 唖然としていた。鉄砲は久遠が用意してくれた。足利や姫路などの部隊も混ぜた混合部隊であることは昨日説明したとおりだが、

 『足利一葉が副大将です』

 幕府の将軍が副将。この時点で、もう参考にならない。

 『大将、副大将以外の役職は決まっていません』

 兎々曰く、それぞれの役職を持った奉行がいるはず。だが、アキラ隊は一応、奉行らしき者はいるが余り関係ない。将が別の奉行に変わることはよくあるので、これもまた参考にならない。

 『指揮する者はころころ変わる』

 主な指揮は詩乃だが、戦い次第では前線の指揮はころや梅や一葉とかに代わることもあるし、戦いの途中でいろいろ部隊の指揮者を変えることもある。これもまた参考にならない。

 

 「参考にならないのら!」

 「異能集団と聞いていたが・・・これは余りにも異質すぎる。他の隊でやろうとしても絶対にできないだろう」

 隊の変わりすぎたやり方に、怒鳴る兎々と頭を抱えながら無理と言う春日だった。

 「そういう反応になると思いましたよ。部隊を持ったのはあの隊が初めてですけど、おかしいな?とは思ってましたから」

 隣で頷く小波。やはり、春日の言う通り相当異質なのだろう。

 

 そして、話が終わった後三人と別れた。だが、そのすぐ後に

 『兎々はまだお腹が空いています!お屋形様!桃が食べたいです!いっぱいいっぱい食べたいです~(´;ω;`)』

 という声が響いたが、声が切羽詰まっているようにも聞こえた。

 『・・・どうやら、また光璃が桃を持ってきたみたいですね。光璃が大好きな兎々は相当食べたはずですけど、悲しませたくない一心で食べようとしているのですね』

 やれやれと、笑いながらそのまま歩いていると、

 

 「お~い、旦那~」

 

 声のした方を向くと、大きな器に入っているご飯をがつがつ食べている粉雪とその器にご飯をよそっている心の姿があった。

 「おや?粉雪。さっきまで綾那達と手合わせしていたのでは?」

 「それが終わったから腹減ってここに頼んで食べてるんだぜ!」

 「全く、いきなり『ここ~、ご飯~』と言ってくるんだもん」

 「へへ~、やっぱりご飯はここが作ったのじゃないとな!」

 食べ続ける粉雪を見て、まんざらじゃない心。それを見ていると少し小腹がすいてきた。さっきの桃は兎々にあげてしまったので、あまり食べてなかった。

 「私もいただいていいですか?ちょっと、小腹がすきました」

 「構いませんよ。多めに炊いてありますので」

 「おお!旦那も食べるんだぜ!あたいのおすすめは湯漬けだぜ!」

 「では、それをもらいましょうか」

 そのリクエスト通りの湯漬けをもらったが、更に梅干しが入っていた。その梅干を混ぜるように梅の味を広げて食べるとうまかった。

 「ほう~。ころと同じくらい美味いですね」

 「何!ここと同じ腕の奴がいるのかだぜ!」

 「ええ。うちの隊で蜂須賀小六というのですが、隊一番の料理上手ですよ。私も料理は出来ますが、彼女には負けます」

 「むむむ!ここ!これは負けられないんだぜ!」

 「なにが負けられないの?別に勝負しているんじゃないんだから」

 勝手にむむむ!と唸る粉雪に呆れる心。

 「今回の作戦がうまくいってアキラ隊と合流したら、食べ比べしてみたらどうです?心の料理ところの料理。どちらがうまいか」

 「受けて立つんだぜ!」

 「何で、こなちゃんが言うの・・・」

 『ころ・・・武田に違った意味で注目されていますよ』

 本人は受けるとは言ってないのに、決定してしまったようだ。しかも、受ける方も受けられる方もどっちも了承していないのにだ。

 「そう言えば、さっき光璃と会ったのですが」

 「お屋形様がどうしたんだぜ?」

 「何か言ってましたか?」

 「ええ、光璃が料理を習いたいと言いまして」

 そう言うと、二人とも驚いた。

 「はあ?お、お屋形様が!だぜ」

 「それは驚きですね。食に関することは私か薫様に任せっきりでしたから」

 「それで、光璃の料理を食べたいと言ったら、作りたいと言っていたので今回の作戦が終わったら見てやってくれませんか」

 「ほえ~~、多分それは旦那のおかげなのかも。だぜ」

 「そうだね。でも、それはいいことなのかもしれないね。分かりました」

 そう言われると嬉しかった。自分のおかげで良い方向に変わっていくのなら・・・かつての時人のように。

 「男は料理の好きな女性が好き。という情報を聞いて、しょんぼりしていたところにそれを言ったのですよ。私としてはそんなのどうでもよかったのですが・・・光璃には光璃の魅力があるのに」

 「アキラ様に喜んでもらいたい。という気持ちがあるのですよ」

 「それは分かってますけど人それぞれですし・・・そうそう、料理が得意で子供達のために頑張る心も可愛いし、ご飯を美味しそうに食べる粉雪も可愛いですよ」

 「「・・・ふえ!」」

 アキラの付け足すように言った一言に、二人は真っ赤になった。

 「あ、あの、その、えっと・・・」

 「だ、旦那・・・そ、その、だぜ。それは・・・」

 「二人とも魅力的なのですから、もっと自信を持った方がいいですよ。かわいいし、笑顔も輝いているし、素敵な女性ですよ」

 そう言いながらアキラは頭を撫でた。二人とも更に真っ赤になった。

 「こ、これが・・・詩乃達が言っていた旦那の誑し入道」

 「も、もう、これは、とっても、危険だよね・・・」

 撫でる手を払わず、気持ちよさそうに撫でられていた。

 「さて。ご飯も頂いたので、隊に戻ります。ごちそうさまでした」

 手を離して去ろうとしたところで、心が止めた。

 「あ、あの!アキラ様!・・・一つ聞きたいことが」

 「聞きたいこと、ですか?」

 「ここ、どうしたんだぜ?」

 さっきまで撫でられ、誑されかけて真っ赤だったが真剣な顔になっていた。

 

 「あの・・・太白さんの事なんですか。一回死んだって本当なんですか?」

 

 訪ねたことはアキラも粉雪もびっくりした。だが、二人のびっくりは意味が違っていた。

 「な、何を言っているんだぜ!し、死んでいたら今生きているなんて!」

 「・・・まさか、私達の会話」

粉雪は今生きているのに死んだという事実に、アキラは二人との会話を聞いていたという事に驚いていた。

 「はい・・・途中からでしたが、吹雪って人が太白さんを殺したって聞こえて」

 「・・・これは言えませんね。出来るなら本人にも聞かないでやってください」

 何しろ向こうの世界の事という事だけではなく、太白にとってもその事は辛い出来事なので言いたくないのだ。

 「そうですか。分かりました」

 「・・・気になるんだぜ。でも、分かったんだぜ」

 「ありがとうございます。あれは、太白にとって苦しい出来事ですので」

 そこで話が終わり、アキラは隊に戻っていった。

 「なあ、ここ。本当かだぜ?太白の親父が死んだって」

 「うん。本人も否定しなかったし」

 「旦那の世界でってことなのかな?旦那すら言いたくないって、親父って相当辛い死に方をしたってことなのかだぜ?」

 「・・・これは聞かなかったことにした方がいいね」

 心の言葉に頷く粉雪。空になった器を置いて立ち上がった。

 「ごちそうさまだぜ。じゃ、あたいは行くんだぜ」

 「え?まだ半分も食べてないよ。もう終わり?」

 「旦那の・・・あの誑しで、だぜ」

 「はう!そ、そうだね・・・あれは、反則だよね」

 再度真っ赤になった二人。

 『悔しんだけど、嬉しかったんだぜ。あんなに可愛いとか言ってくれるなんて初めてだったし、それに建前じゃない言葉みたいだったし・・・詩乃達の気持ちよ~く分かったんだぜ。これが惚れるってやつなんだぜ』

 『ううう~、こなちゃんのバカ!思い出さないようにしていたのに・・・アキラ様の言葉。でも、嬉しかったな・・・武将や仲間としてでなく、女の人として見てくれたことに、ちょっと照れちゃうな』

 二人も段々誑されかかっていた。

 




 
  次は三姉妹の間章です!

 太白さんは出さなかったですが、話として出しました。心が気にしていましたからね。


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間章19-2 これが私の想い R-18

 
 こんにちは、三麺です・・・じゃなくて三MENです!

 今回は三姉妹です!


 4月23日 光璃の自慰を追加しました。


 

 部屋で詩乃と雫と今後の事を話し合っていた。

 「では、後日アキラ様も参加お願いします」

 「分かりました。隊の連携は一度見ておくべきですからね」

 「後は、隊の備蓄ですが」

 半刻ほど話し合い、無事に決まった。

 「これで決まりました。アキラ様、ありがとうございます」

 「肩書だけの隊長ですからね。これくらいはしないと」

 「それでいいのです。私達はアキラ様の愛が欲しいですから」

 熱い眼差しを出す二人。つまり、夜はやりましょう。という事だ。

 「そう言えば、薫は?一緒にいることが多かったですが、今日はいないですね」

 目をそらして、部屋の中を見回った。

 「逃げないでくださいね。薫様でしたら夕霧様と一緒ですよ」

 「働きすぎな夕霧様を無理矢理休ませているそうです」

 「・・・私とは正反対ですね」

 何しろ前科が多い。北近江に下山。向こうの世界でもそうだったから耳が痛かった。

 「いいのですよ。アキラ様はアキラ様しかできない仕事をやってください」

 「ありがとう二人とも。では、仕事をやってきますね」

 「アキラ様、どこに?」

 「二人の所です。そんなに働く夕霧なら気づけば仕事しようと動くかもしれませんからね。薫の助太刀です」

 「「いってらっしゃいませ。今夜は楽しみにしております」」

 二人の笑顔と同時に出した言葉に冷や汗を流しながらアキラは部屋を出た。

 

 姉妹のところに行くと、

 「うう~、じっとしているのは苦手でやがる」

 「だ~め。そうしてくれないと描けないでしょう」

 『なるほど、これなら確かに動けないですね』

 夕霧に絵のモデルをさせて動けなくしている。別の意味で疲れそうな気がするが、これなら仕事へ逃げることは出来ない。

 「こんにちは、二人とも」

 「あ!お兄ちゃん」

 「兄上」

 「どうです?うまく描けてますか」

 絵を見ようとしたが、薫に阻止された。

 「ダメだよお兄ちゃん。出来上がりまでお楽しみなんだから」

 「おや、それは失礼」

 「ううう~、早く終わってくれやがれです~~」

 そわそわしている夕霧。

 「えっと、ここを・・・うん!終わったよ!もう動いていいよ」

 「ふ~~、よかったでやがる」

 その場で息を吐く夕霧。薫が絵を見せてくれた。

 「ほう~~、これはよく描けていますね」

 「でしょう~。中々の力作だと思うんだ~」

 薫の力作という言葉に夕霧も絵を見たが、にやついているように描かれているのが気に入らなかった。

 「どうしてピシッとしてないでやがるか~」

 「これがいいと思いますけど?」

 「うん、薫もそう思う」

 「光璃も思う」

 「ほら、光璃も・・・ってあれ?」

 何時の間にか、アキラの隣に光璃もいた。何気にピタッとくっついている。

 「あ、姉上もこれがいいでやがるか?」

 「うん。夕霧、いい笑顔」

 「ほら~~、お姉ちゃんだっていいって言っているじゃない」

 「ところで光璃。何のようでしょうか?」

 「夕霧に頼みたい仕事があるの」

 「いいでやがる!何でやがるか!」

 夕霧が休むことは光璃も知っているはず・・・つまり、この言葉は。

 「ふふ、冗談」

 「はあ!じょ、冗談!」

 光璃の冗談だ。引っかかってビックリの夕霧とそれが分かって笑う薫。

 「な~んだ、夕霧お姉ちゃんを休めることはお姉ちゃんも知っているはずなのにおかしいと思った~」

 「今日はしっかり休みなさい。姉妹三人でゆったりできる時間もこれから先ないでしょうし」

 夕霧の頭を撫でて、そう言うと赤くしながら頷いた。

 「「じ~~(羨ましい)」」

 

 光璃が来たのは三人で食事をするためであり、手にはそれが入っている袋があった。これなら問題ないと思って部屋に戻ろうとしたが、光璃が子犬みたいな愛くるしい目で「ここにいて」と言ってきたので腰を下ろした。

 四人で食事を楽しみ、夕霧をからかったりして笑顔を出した。むきになる顔が子供みたいだと思った時に一つ聞きたいことがあった事を思い出した。

 「そうだ、夕霧に聞きたいことがあったのですが」

 「何でやがるか?」

 「学問所で心以外のもう一人の先生、太白の事ですが」

 「あの漢でやがるか。立派な漢でやがるよな~」

 「光璃も一回会った。アキラと同じくらい背中が大きかった」

 光璃も太白の事を賞賛した。

 「へ~、私は会ったことないけどお姉ちゃん達がそこまで絶賛するくらいすごい人なんだ」

 「粉雪から聞いていると思うでやがるが、隊に誘っても、子供達を大切にしたい。と言って、来なかったでやがる」

 「子供達も慕っていましたので、それがいいと思います。あの男は本来戦いを好まないですからね」

 向こうでとても慕われている姿を思い出し、そう口にした。

 「どうして太白の事を聞くでやがる?」

 「あの学問所で働いているのか気になりまして」

 太白と武田家との接点に気になったアキラ。いくら学問所で働いていても、心や粉雪はともかくそこに縁がなさそうな春日や夕霧との接点がどこかが知りたかった。

 「それは、鬼でやがるよ」

 「鬼?」

 まさか、鬼がつなげたとは思わなくてキョトンとした。

 「砥石城の鬼を根切りにした後の事でやがる。館に引き返している最中に」

 「甲斐の城下に鬼が十数匹入り込んでいたの!」

 「うん。草から聞かされて急いで戻ったら、あの人がいた」

 『ふむ・・・砥石城にほとんどの将が出払っていた時を狙ったという事ですか。あの三流らしい単純な手ですね』

 簡単な手口だから、すぐにあの三流がやったことに気づいた。

 「すごかったでやがる。刀を抜いてないのに、鬼達がどんどん斬られていった姿を見た時は、どこかの妖術使いと思ったでやがる」

 「私は城にいたから見てなかったけど、戻ってきた皆がその事で興奮していたの」

 「彼の後ろに子供が数人いた。守るために戦っていた」

 「なるほど、そこで出会ったのですか」

 子供達の為に戦っていたなら、と納得したアキラ。

 「国主として姉上がお礼を言ったら」

 「子供達は大切な国の宝。その宝を守れて、健やかに育てられる場所がほしいと言ったでやがる」

 「それであの学問所ができた。という事ですか」

 何となく予想はしていた。いくら光璃でも簡単に決められることではなく、誰かの一押しがあったと思ったが、それが太白とは思わなかった。

 「元々、姉上も考えていたでやがるが」

 「心の強い勧めとその後のあの人の言葉で決めた・・・あの子達が幸せに暮らせる日々が見たい。そう言っていた」

 それを聞き、思わず笑った。どんな時もそれを信念として生きている男だという事が確認できたことに。

 「アキラ?どうしたの」

 「ふふ。いえ、絶対に変えない信念。あの男らしいと思いまして」

 「え?それって「では、三人の邪魔をしてはいけないので失礼します」あ、兄上!」

 夕霧の言葉を遮って、去っていった。

 「どうしたんだろう、お兄ちゃん」

 「太白殿の事を知っていたようでやがるが」

 「話したくない、という事・・・」

 光璃の目はアキラの行った方をずっと見ていた。

 「姉上、行ってきていいでやがるよ」

 「うん!夕霧お姉ちゃんは薫がしっかり見張っているから!」

 「いや、夕霧は敵兵ではないでやがるが」

 「・・・ありがとう。薫お願い」

 二人の後押しを受けて、光璃はアキラを追っていった。

 「うまくいくといいでやがるな」

 「うん・・・お姉ちゃん。お兄ちゃんと会って変わったよね」

 暖かい目で見ている二人。食事も終わり、もう一度夕霧を描きたいと言った薫に彼女は了解したが、更に笑顔な夕霧の絵に抗議をしたが、薫の返事はこうだった。

 

 『さっき頭を撫でられた時の夕霧お姉ちゃんの顔だよ』

 

 それを聞き、思い出して悶える夕霧を見て薫は笑った。

 

 

 アキラを追いかけた光璃は、部屋ではなく屋敷を出ようとすることに疑問に思った。だが、その疑問はすぐに解決した。

 「光璃、一緒に出ませんか?」

 理由は、追いかけてきた光璃とデートするためだ。

 「貴方なら追いかけてくると思いましたよ。さあ、行きましょう」

 「・・・うん!」

 アキラの差し出した手を握って一緒に門を出た。

 

 嬉しそうな光璃の案内で、御勅使川までやってきた。その川を見ながらアキラは訊ねた。

 「そういえば・・・一葉がが越後にいたことを、何故知らなかったのです?」

 「越後には草をたくさん放っていた。でも、それをはねのけた手勢がいた」

 その時にアキラは気づいた。

 

 『もしかしたら、春日山城奪還の時は小波や詩乃の指揮で美空探しついでに邪魔な密偵も排除をしていましたし、御館の乱の時は春日山城の城下で草刈りを徹底していましたからね・・・一葉も城にいさせましたし、一二三と湖衣も私の存在に意識がいっていて、一葉には意識が回らなかったのでしょう』

 

 「ふむ・・・半分ほどは私達のせいかもしれませんね」

 「え?」

 キョトンとしてアキラの方を向いた。

 「あの時はいろいろあった頃でして草を排除していたのですが、武田の草達もその中にいたかもしれません」

 「それはそれで悔しい」

 むすっとした顔になった光璃に笑顔を向けた。

 「ふふふ。まあ、その悔しさを糧に次回頑張ればいいだけです」

 「次回?」

 「ええ。私は何度も経験しましたよ。強くなるため、強さを手に入れるためにどれだけ頑張ればいいのか・・・どうやって限界を超えればいいのか」

 

 『あんたはもう強くなれない・・・限界だ』

 

 「・・・皆は超えられたのに、自分は超えられない。どれだけ悔しかったか」

 川の下流方面を見た。とても悔しかった言葉を思い出し。

 

 『お頭、これからも生きてください』

 

 「自分のために命を投げた。その命を助けられなかった。どれだけ辛かったか」

 金ヶ崎で苦しい決断をしなければならなかった時の兵達の言葉も思い出した。

 「光璃、悔しさというのは成長するための階段です。悔しいと思うなら、それをこれから先しないように努力するのです」

 「・・・うん。分かった、頑張る」

 「その意気です」

 光璃が、両手を握り頑張る姿勢をとった。

 

 その話が終わると光璃は語りだした。

 「川はこれから先の未来と同じ・・・今は穏やかに流れていても、雨が降ると洪水になる。大雨になれば大洪水になる」

 「大洪水、ですか」

 「(こくん)その降らせる雨がアキラ」

 「私が?」

 「うん、日の本は大きなうねりの中。いつ大洪水になってもおかしくない。アキラの雨の降り方次第で、危険になる」

 先を見通せる光璃からの言葉。つまり、自分の行動次第で鬼達の戦いが有利にもなれば不利にもなるという事だ。

 「洪水ですか・・・でも大丈夫ですよ。そうなっても流れを弱めたり、止めるための堤はあります。私の大切な愛する妻達、私に着いてきてくれる兵達。そして・・・」

 

 『向こうの世界にいる仲間達との絆・・・二度と会えなくても、この肩に、この刀に・・・この心に確かにある』

 

 空を見上げ、向こうの仲間達の顔を思い浮かべていると光璃がアキラの手を握ってきた。

 「光璃も・・・その堤になれる?」

 「何を言っているのですか。なっていますよ、もう」

 握る手に空いているアキラの手を乗せた。

 「私を愛してくれる。私を信じてくれる。そして、私を支えてくれる。行動じゃなく、想いなのです。あなたは私にそれをくれた。それだけでもう十分になっていますよ・・・っふ、昔の私じゃこんなこと絶対に言わなかったでしょうね。でも、私はたくさん愛する人ができたからこそ気づけた。光璃、あなたは私を愛している。そして私もあなたの事を愛している。それだけで私の堤になってくれています」

 「光璃も、もう」

 目蓋が閉じられているが、見つめられているような感じがした光璃。

 

 「光璃もアキラの事が好き・・・大好き。たくさん、たくさん、愛してる」

 

 そのアキラの顔を見て、笑顔で赤らめながら告白した。

 「ありがとうございます。あなたの想いは気づいていましたが、こうして言ってくれるのは初めてですね」

 「うん。アキラ。すごく、大好き」

 手を離し、今度はアキラに抱き着いた。アキラもまた、右手で彼女を撫でた。

 「私も愛してますよ、国主でもない、武田家当主でもない、ただの、一人の女の子の武田光璃の事を愛しています」

 「ありがとう・・・嬉しい」

 「・・・光璃。私は出来ることなら同盟云々関係なしに美空と戦ってほしくない。二人とも大切な妻なのだから」

 ライバルの名前が出ると、むっとした。

 「光璃、あなたは今までは川中島の美空しか見ていなかったのではないですか?」

 「うん。美空は信用できない」

 「なら、私の奥さんとしての美空はどうです?」

 「アキラの、奥さんの、美空?」

 キョトンとする光璃。

 「これから先はそう言う目で彼女を見てほしい。私は、二人を失いたくない」

 「・・・・・・」

 光璃はぎゅ~っとアキラを抱きしめて離れた。その顔は真剣になっていた。

 「うん。アキラ・・・今度の戦い、光璃と美空。私達を信じて」

 この言葉に一瞬疑問を持ったが、すぐに理由が分かった。

 

 『今回の戦いは譲れない想いがあるのももちろんですが、二人だからこそぶつからないといけないこともあるという事ですね』

 

 だからこそ、それをしても私達二人を信じてほしい。そういう意味を込めて、この言葉を言ったと分かった。

 「帰りますか。奥さん」

 「うん!」

 アキラにくっついて、仲良く館に帰った。

 

 帰った館では、薫が一枚の絵を描いている最中だった。真剣に描いていて、夕霧も何を書いているのか分からない。

 そして、夕飯前に

 「できた~~!」

 出来上がって、食事を光璃の部屋でアキラもいれて四人で食べた。その時に見せてもらったら、

 「えへへ~~!すごいでしょう!」

 四人の集合絵が描かれていた。アキラを両隣から光璃と薫が抱き着いていて、前に夕霧が座っている四人とも笑顔の絵だった。夕霧以外のモデルがいないのに描けたことに、大絶賛を受けたこの絵は光璃の部屋に飾ることになった。

 

 『必ず、成功させましょう・・・停戦を』

 

 その絵を見て、自分のやるべきことを確認し成功させるために頑張ろうと誓った。

 

 

 その日の夜。光璃の部屋では彼女が一人笑顔だった。

 『私も愛してますよ、国主でもない、武田家当主でもない、ただの、一人の女の子の武田光璃の事を愛しています』

 その言葉を思い出していた光璃。そして、顔を赤くした。

 「アキラも、光璃が、好き・・・嬉しい。えへへ」

 寝ようとしていたが、アキラとのデートを思い出し中々寝付けなかった。

 「手を握った、抱き着いた、頭撫でてくれた・・・そして、好きと言ってくれた」

 アキラがたくさんの愛を自分に与えてくれたことが嬉しすぎて、眠れなくなりドキドキする光璃。

 「この手・・・アキラの温もり。まだ、ある」

 ドキドキが強くなるのを感じながら、その手を自分の唇につけた。

 「アキラ、アキラ・・・ああ」

 次に両手を自分の胸に移動した。アキラが自分の胸を揉もうとしている、そう思いながら揉んだ。

 「ああん!な、何・・・前に、ちょっと、やった時より、ううん!感じ、る」

 左手を女性の割れ目に持っていった。その部分は、もう濡れていた。

 「アキラを、想うと、出る・・・もう、いいや。アキラが悪い。アキラが、光璃をこんなに、ダメにした・・・いいよね」

 割れ目から出る蜜に以前は恥ずかしがったが、今はアキラの顔が頭の中に出ると気にしなくなった。すると、布団の一部の匂いを嗅ぎ始めた。

 「この布団、アキラも、寝た・・・だから」

 布団にあるアキラの匂いと温もり。それを思いながら、濡れ濡れの割れ目と感じやすくなっている胸をどんどんせめ始めた。乳首もたってきた。

 「あ、あ、あああ、アキラ。アキラ!や、やめ、ないで。もっと、光璃を淫らに、いいの、光璃は、アキラ、なら」

 動きが激しくなり、襦袢から既におっぱいが両方とも出ていた。乳首も布団にこすれて、そのたびに感じ、その度に彼女の蜜が出てきた。

 「アキラ、もっと、もっと!」

 そう言って、自身のおっぱいを揉みだした。ビクンとなり、次に一度割れ目から指を抜いて、布団の一部を絡めて、再度また入れ上下に動かした。

 「アキラ、入って、出て、入って・・・あああ!」

 布団の布を絡めた指を、アキラのあの刀と思っているようだ。快楽がさらに上乗せしたのか、顔の赤みが多くなっていく。

 「光璃、今、アキラに。包まれて、いる!」

 おっぱいを揉んでいた方の手も布団にからめて、匂いを嗅ぎながら揉む力を強くした。もう、布団がしわくちゃになったが構わず続けた。ただただ、自分の全てがアキラに包まれている、そう思いながら自慰を続けていった。

 「光璃、も、う、い、く」

 ただ、割れ目の中を出し入れするだけでなく、内部で指もがむしゃらに動かしていたので、感じる速さがアップしていた。動きも激しく荒くなり、布団から半分ほど体が出て痴態が現れた。

 「いいの、幸せ。ああ、んんん!だめ、あ、アキラ!~~~~!!!!」 

 でも、包まれている嬉しさがその事に気づかない。うつ伏せになって、布団の一部をかみあげて指を速くしていった。顔も真っ赤になりながら、最後は

 

 「(ああ!!い、いい、あああ~~!!)」

 

 声を出さないで、体をのけぞらせて、割れ目からたくさんの蜜が出た。手も布団も、畳すら濡らしていった。

 「はあ、はあ、はあ。アキラ・・・抱かれたい。温もり、だけ、じゃ、足りない」

 絶頂したが、アキラ本人にされてないことに不満だった。少しがっかりしながら、でも満足もしたので、そのまま眠りについた。

 

 次の日、起こしに来た薫と夕霧が布団も襦袢も乱れまくって、布団が濡れていたことと半裸状態の彼女を見てビックリした。起きた光璃が、顔を真っ赤にして言い訳した姿は二人も初めて見た姿だったとさ、ちゃん、ちゃん。

 




 太白がどうやって武田と出会ったのか、学問所ができた理由、それにも鬼が関わっていました。

 ついに、光璃がアキラに正式に告白しました!

 さあ、とうとう川中島・・・始まります!


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七十四振り目 お互い、気合十分のようで・・・ただ

 
 こんばんは!一日三食MENです!

 すっかりこれが自分のネームであることを忘れてました!

 さあ、出発です!

 


 三河勢を持つ葵が自分の国に戻った。一番不安なのは国が無事かどうかだ。もはやどこに出てもおかしくない鬼もそうだが、自分がいない間に別の者が乗っ取っていないかということもあった。だが、それに関しては大丈夫だった。葵を裏切るような人もいなければ、実はそれができる暇がなかった。

 「・・・ちょっと複雑ね」

 「はい、葵様に反抗する者が出なかったのはよかったのですが」

 今葵と悠季の二人は苦笑いをしながらある場所を見ていた。

 「おらおら!もっと気合い入れやがれ!」

 「その程度で勝てるわけないだろう!」

 「これならまだ越後の連中の方が歯ごたえあったよ」

 「私もそれなりに戦えますよ!」

 複雑と言ったのは、実は鬼がこの三河にもそれなりに出ていたのだ。その鬼の討伐が時々あったため、下心を持つ連中が裏切り行為に手が回らなかった。

 「全く、もう終わりか」

 「これくらいじゃ、準備運動にもならないな」

 「後は路銀をもらって、一日休んで出発ね」

 「葵さ~ん。悠季さ~ん。終わりましたよ」

 何故、桐琴に時人と庵樹に朱雀が三河にいて鬼退治をしているのか?その理由は、桐琴のミスが原因だった。

 京を出る準備が終わり、出てすぐに桐琴が急ぐならこいつを使え。と瓢箪から百段という馬を出し他の馬より大きく四人でも乗せられたので、それに乗りあっという間に清洲城まで戻れ、その日は城に泊まった。次の日からは百段を封印して、普通の馬で長久手まで来た時だ。

 

 『桐琴さん。北落師門と瓢箪以外は持ってないのですか?』

 

 百段の大きさや走る速さに驚いた三人は普通の馬でようやく落ち着いた。その時に軽装な桐琴の姿に気づいたのだ。城に泊まった時は、百段のとんでもない走りに三人とも酔ってしまい次の日まで治らなかった。

 

 『あん?そんなの用意してくれるだろう?』

 

 この言葉で、彼女は何も準備をしていないことに気がついた。理由を聞くと、森一家の棟梁の時は各務に頼んでいれば全部やっていたので、今回も自分の分は用意してくれていると思い込んでいた。つまり、何を用意すればいいのかすら分からなかったのだ。せめて、金くらいは分かるだろうと心で突っ込んだ三人だった。

 

 三人分の路銀を四人に分けるにしても、すぐになくなる可能性が高い。少し稼いでから甲斐に行った方がいいという事になり、長久手の近くは三河があるから護衛の件を利用して葵に数日間のバイトみたいなことができないか頼み込んだのだ。そしたら、三河にも鬼が出ていることが分かりそれを倒す代わりに金を出すという事になった。

 

 その鬼退治も終わり、葵の居城・岡崎城に戻ってきた。今は、六人が城の一室で話をしていた。もちろん、四人とも正座はしないでだ。

 「ありがとうございます。兵も犠牲を最小限どころか全く出さずに済みました」

 「すごいお方達ですわね~。アキラ様は修羅すら手なずけておられるのですのね~」

 悠季の皮肉った言葉だが、四人とも気にしなかった。

 「かかか!正直に言うところが気に入ったぞ!」

 「えっと、こちらもありがとうございます。この分なら大丈夫だと思うので」

 「全く、好き勝手もこれからは控えてくれよ」

 「時人の言う通りだぞ」

 朱雀の手にはお礼の金があった。笑っている桐琴は時人と庵樹からジト目で見られたが無視した。

 「こうして路銀も手に入り、戦えたじゃろうが」

 「ちゃんと用意していれば今頃は甲斐に入れていたのですが?」

 「・・・ところで、お主らに一つ聞きたいがいいか?」

 だが、さすがに形勢は不利なので話を変えた。でも、聞きたいことは本当にあった。

 「何でしょうか?」

 「修羅殿が私達に何か?」

 「あの鬼共、どこから来たと思う?」

 誰よりも鬼を倒している桐琴はここで倒した鬼は、三河で出来た鬼だけじゃないと踏んでいた。聞かれている二人も同じ答えだ。

 「・・・駿府、でしょうね」

 「私も同じです」

 「じゃろうな。鬼の目撃場所も出現場所もそこに近かった。氏真・・・鞠が追い出されてから鬼が出てきた。これはつまり」

 そこから先は、三人も話に加わった。

 「駿府が越前同様、鬼の国になっているのでしょう」

 「しかも、鞠ちゃんを追い出した武田信虎が自分も鬼になってその鬼達を率いているだろうね」

 「大方、調べようとした草は全員死んでいるんじゃないのか?」

 最後の時人の言葉に葵は頷いた。

 「そうなると、一つ疑問があるな」

 桐琴の言葉に全員が注目した。

 「あやつらは儂が森の棟梁をしていたころと同じように、人を餌と見てそれを求めるだけの鬼共だった。越前にいたような隊列や策を使うような連中じゃなかった」

 「なるほど。武田信虎が本当に鬼を率いているなら、三河にきた鬼達にそのようなことをするのか?という事ですね」

 「ああ。一応それに関する予想は二つある」

 「ほう~~修羅殿の答え。お聞かせ願いませんでしょうか?」

 悠季のニヤニヤする問いに、笑いながら頷いた。

 「まず一つ目・・・というか、これは外れと見ておる」

 「いきなり外れですか?」

 「聞いとく価値はあるじゃろう・・・まず、信虎が阿呆であることじゃ」

 「阿呆なんて・・・本当のことをはっきり言いますね」

 「そ、それで、どこら辺が阿呆と思っているんですか?」

 悠季と葵も否定しない辺り、中々はっきり言うなと内心思った三人。

 「鬼をほったらかしにする。連中の動きを見るのが面倒がってのう」

 「でも、それはないと思いますが?」

 「それって、自分の無能さを見せるようなものだぜ」

 「だから、外れという事なのね」

 時人達の言葉に頷く桐琴。

 「そうじゃ。元はつくが武田の大将であり、当主をしたやつじゃ。相当の阿呆をして追い出されたみたいじゃが、自分の強引なやり方に文句を言わない鬼共を手放すと思うか?」

 「人間は力無きものでも抵抗する意思を持っているが、鬼はそれがない。力が全てであり力が上位の鬼の言う通りにする」

 「確かに、文句を言わないなら好き放題に命令し放題ですからね。だから、一つ目はありえないという事ですね!」

 葵と悠季は外れだという事に納得した。

 「となると、二つ目という事かな?」

 「ああ。信虎が超ド阿呆なやつという事じゃ」

 庵樹の頷いていった言葉、さっきの罵声に更に超とドがついた。

 「三河は眼中にないという事で、ある所にしか目が行ってないという事じゃ」

 「じゃあ・・・甲斐?」

 時人の答えに指をさした。

 「大当たりじゃ。自分を追い出した娘達に復讐するという、自分のしでかしたことを棚の上どころか雲の上にあげてやっている。でも、まだ甲斐に攻めておらず鬼共が三河に流れてくるあたり、駿府も完全に自分のものにできておらん。中心の駿府屋形をとったが細かいところが取れてないから、甲斐を攻めようにも攻められない」

 「では、私達は攻められる心配は今はないと」

 葵の言葉には、朱雀が否定した。

 「いや、それも時間の問題ですね。駿府を完全に取り、甲斐を攻め終えたら次は隣国の三河か相模に意識が行くと思います」

 「いつ銃口から鉄砲の玉が来るか。それに注意しておけ。という事だな」

 「・・・分かりました」

 「なあに、アキラの嫁なら死なれると困るからな」

 「え!Σ(・ω・ノ)ノ!」

 時人の言葉に思わず声を上げた葵。深刻な顔が一気に真っ赤になった。

 「あれ?もしかして、違った?」

 「わ、私はまだ・・・いえ、久遠姉様の同盟に参加しただけです!嫁にはなっていません!」

 慌てて否定したが・・・。

 『葵様・・・あの男の事』

 隣にいた悠季は「まだ」の言葉は聞こえていた。とっさの事で出た言葉とはいえ、なりたい意思があるという事だ。

 

 『どうしよう、あの人を考える気持ちが強くなっている。アキラ様の妻・・・何か不思議、こんな風に考えるなんて今までなかった。どうしてかしら・・・もしかして、これが久遠姉様や草から嫁になったと聞いた長尾景虎が持った恋なのかしら?いえ、そう決めるのは早いわね。そうよ・・・きっと違うわ』

 

 アキラへの気持ちが変わりつつあるが、まだ気づきかけの段階と認めない気持ちが強かった。

 

 

 その同じ日に、甲斐ではついに武田が川中島に向けて出発する日でもあった。

 「出発ですね」

 「それにしても・・・すごいですね」

 「そうですね。武田一万五千。そして、長尾八千。その戦いがついに」

 「兵数は倍近く。でも、驕らず、称えず。それがこの武田の強さでしょう」

 「うう~、光璃様の喝を聞いたら綾那も黙っていられないですよ~~!」

 「落ち着いて綾那。まだ、始まってすらいないわよ」

  アキラと詩乃に雫が感心していると綾那が興奮して、それを歌夜が抑えていた。

 「お兄ちゃん!行くよ」

 薫の声掛けに頷き、ついに移動が開始となった。

 

 その頃の長尾勢。

 「それにしても、本当に川中島って遠いっすね。武田よりうちの方が近いと言っても、何回も行きたくないっすよ」

 「それをすることになったのも、皆」

 柘榴の言葉に反応して、秋子が誰かさんをジト目で見る。

 「何よ、文句あるっていうの?光璃の頸をとることに!」

 「そうじゃぞ、戦は頸をとってなんぼのものじゃ。それができるのじゃから喜べるじゃろうが!」

 アキラの妻美空と一葉は聞く耳ももたず。

 「公方様、忘れては困りますぞ。戦の目的」

 「御大将もですよ!私達は今回は私達の旦那様を取り返すために行くのですよ!」

 「「わかっているわ(おる)」」

 側近二人は言う。何故なら、この二人はそれを忘れる行動をとるためだ・・・でも、二人とも牡丹だから結局やるだろう。

 「全公方様は日本中をグダグダにしているのですぞ。よもや、これくらいのグダグダも追加したって問題ない。と思っているのではないでしょうな」

 「うるさい、余とて女じゃ。愛しの主様を取り戻すくらいなら何個でもグダグダを増やすわい」

 「気持ちは分かるから突っ込まないけど・・・いつもより落ち込んでいるように見えるけど、どうしたのかしら?」

 ちょっとだけ落ち込んでいることに気づいた美空。幽以外の皆は驚いた。

 「え?これで落ち込んでいるんですか!」

 「見えない」

 「そうなんですよ、これで落ち込んでいるのです」

 「ふふん!偉いからのう!」

 柘榴と松葉の驚きに肩を落としながら言う幽。三人はドヤ顔する一葉を白い目で見た。

 「それで、どうして落ち込んでいるの?」

 「・・・貴様のせいで、ひよところに怒られた」

 その言葉に、大笑いをした美空。アキラ隊の句伝無量のお守りを全て一葉が取り上げていた。時々小波からの連絡があったが無視していることを二人に漏らしたら「返せ」と言われて、その後説教をしたらしい。将軍様に説教する二人に驚く秋子。

 「とりあえず、返してはいないわよね」

 「もちろんじゃ。全く、貴様のせいで」

 「それでいいわよ。あんなの使われたら、こっちの策が丸わかりだからね」

 「その通りですな。ところで、今回の出陣を勢いで決めましたが・・・それなりに理由もおありでしょう?一体どんな理由ですか?」

 「・・・それを聞く?」

 どうやら心に隠しておきたかった理由みたいなのか、苦い顔をした。

 「今だから聞くのです」

 「は~~、分かったわ。面子よ、面子。それでいいでしょう」

 「ほ~、面子で国を巻き込む戦を起こしたと?くだらないことで戦を起こさないでほしいものですな」

 「何を言っているのよ、くだらないからこそ戦を起こすのよ!」

 「そのたびに後片付けを私に押し付けないでほしいのですが・・・」

 秋子が泣きそうになっているところに使い番がやってきた。どうやら、一葉宛に二通の手紙が届き、一通は葵にもう一通の方はあの人物らしい。

 「ふふふ、なるほどのう~」

 さっきまでの落ち込みがなくなり、面白いものを見た顔になった。美空にもその手紙を見せた。

 「へ~、来るんだ。あいつ」

 「余らが戦う理由、一つ増えたのう」

 「ええ!楽しみだわ!」

 笑顔になった二人を見て、頭痛がした家臣二人であった。

 

 出発したアキラ達含む武田勢が止まったのは若神子城。兵の数も一万五千とたくさんの為すぐには出発しない。綾那は数の多い兵と三河とは違う兵の割り振りなどに興味津々だった。

 そんな中、アキラが見たのは美濃の方だった。

 

 『もう少し・・・もう少しですよ。待っていてください』

 

 愛する妻に会いに本当は抜け出したい。美濃に戻り、尾張に行って、京に行って妻達に再会したい。でも、妻達の戦いを何としても止めたいので我慢するしかなかった。

 「帰りたいですか?」

 「いいえ。とは言えないですね。もう何日何月経過したのか・・・でも、戦いあう妻を止めるためにもまだ戻れません」

 「そうですね。それに引っかかっていることもあるので、それがいいでしょう」

 「・・・詩乃。やはりそうですか」

 「私も同意見です・・・お二人の懸念である鬼を操っている黒幕の意図が分からない限り、アキラ様はあまり動かない方がいいです」

 「「「黒幕の意図?」」」

 三人の話から出た言葉に、綾那に歌夜と各務がそう訊ねた。小波は周辺の調査に出ている。草の習性らしい。

 「私達がまず疑問に思うのは、あの春日山城の攻防で、何故三流は鬼を乱入させなかったのか」

 「はい。その後の御館や海津では鬼を出している」

 「春日山城とこの二つ・・・いえ、越前や二条館も北近江での戦いなど。それらを踏まえて考えても、その時だけはおかしい」

 始まった三人の話に、歌夜と各務はしっかり聞いていたが、綾那は既にちんぷんかんぷんだった。

 「じゃあ、春日山城はどこが違うのか?思い返して気づいた点、それは私の周りにいた兵や将の数です」

 「御館での丘攻防の時は少数だったから出さずにいて、空さんと名月さんのぶつかり合いの時に出した」

 「アキラ様を殺さないように鬼を出させているように思えるのです」

 「なるほど・・・確かにそうですね。私や綾那も御館や海津ではアキラ様と一緒でしたので今そう言われて考えると雫さんのその言葉が納得できます」

 詩乃の推理に綾那は?を出していたが、歌夜は納得した。

 「私なりに考えた理由は二つ。私に鬼を斬らせたい。でも、万が一にも殺されたら意味がない。だから守ってくれる人が多い時を狙って鬼を出す」

 「では、黒幕はどうしてそんなことをする必要があるのか」

 「それはもう一つの理由です。この二本の刀です」

 両兵衛の言葉に、アキラは努力と友情を抜いた。

 「鬼を呼ぶ刀。この刀に一体どんな理由があるのでしょうか?」

 「今までの推測が正しいとしたら、この刀で鬼を斬らせたいという事になります。でも、いったい何のために」

 「・・・本当に、何故でしょうね」

 でも、アキラはおおよそ見当がついていた。

 

 『人を斬れなくして鬼しか斬れない刀にする。何年もこの刀で戦い、対話ができるようになったからこそ分かる。そうすれば・・・』

 

 最終的な結論もすでに出ていた。だが、まだ確信の段階まではまだ早い。だからこそ、とぼけて言わなかった。

 そんな中、詩乃と雫はアキラに質問をした。

 「アキラ様・・・一つ聞いてよろしいでしょうか?」

 「私もです・・・詩乃と同じ質問です」

 「何でしょうか?」

 「アキラ様は、エーリカさんの事をどう思いますか?」

 「ルイス・エーリカ・フロイス。またの名を明智十兵衛光秀。二つの名を持つ。そんなことが果たしてあり得るのでしょうか?」

 「彼女ですか」

 アキラは出来るだけ考えないようにしていた。でも、もうごまかせない段階まで来てしまった。

 「私はあの方が何かを知っている。いえ、やっていると思っています。そう、鬼に関わる大きなことを」

 「これは私だけじゃないはずです。エーリカさんはアキラ様に似ていると思えるところがある。どうです?」

 雫の言葉に、綾那達は少し考えて頷いた。

 「はい、アキラ様みたいに別の世界から来たような感じです!」

 「私も、そうやって話を聞くとそう思えます」

 「あまり会ったことないが、二人に同意」

 アキラもそれは思っていた。初めて会った時から感じていた違和感。それが自分と同じように別の世界から来たと考えれば納得ができる。二つの名前を持っていることも、ちょっと強引だけど分かる気がする。ただ・・・

 

 『あ、あの、その、き、き、キスして、くれませんか』

 『わ、私・・・アキラ様の事・・・で、できれば、こ、これから、の』

 

 考えたくなかった。自分に想いを持つ女性が、自分の妻になりたいと願っている彼女が鬼に関わることをやっているなんて。

 

 『・・・信じますよ、エーリカ。あなたの想いを』

 

 再び美濃の方を見て、自分とキスして嬉しそうな顔を見せた彼女を信じた。

 




 あの四人は三河まで来ました!でも・・・路銀稼ぎです。

 そして、長尾でも武田でもそれなりに進展がありました。原作と違う展開も考えるって本当に難しいですね。

 次は開戦前かな?


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七十五振り目 それぞれの今・・・そして、もうすぐ R-18

hello!maineimuizusannmenn!
 え?おかしい?そんなことないですよね!

 では、川中島、開戦前です!いろんなところでの展開もあります!

 2017年5月4日 真ん中ら辺にエーリカの自慰を追加!


 京の二条館の評定の間にて。

 

 「人間五十年」

 

 久遠が扇子を持ち舞っていた。

 

 「下天のうちをくらぶれば」

 

 周りの部下達はそれを見ていた。

 

 「夢幻の如くなり」

 

 織田信長が出陣前に必ずやると言われている敦盛。それをやっていた。

 

 「一度生を享け、滅せぬもののあるべきか」

 

 敦盛が終わり、家臣達は一人を除いて全員が出て行った。残ったのは、その一人と久遠と結菜だった。

 「お疲れ様。田楽狭間以来の敦盛ね」

 「もう、そんな前か・・・なら、アキラは見たことがなかったな」

 「なら、再会したときに見せなさいよ」

 「・・・そうだな。見てもらいたいな、我の舞を」

 「惚れ直すかもよ~(ニヤニヤ)」

 「う・・・そ、そんなことを言うな!((ノェ`*)っ))タシタシ」

 結菜のからかいに照れる久遠。

 「それにしても、本当にかわいくなったわね。久遠」

 「は?ちょ、いきなりなんだ?」

 分からない顔をしている久遠にいきなり抱き着いた結菜。

 「私が嫁に来ても変わらなかったのに・・・あいつがこんなに変えたなんて、ちょっと悔しいわね」

 「何を言っている?おい!」

 「いいじゃない。私だって変わったんだから・・・でも、いよいよね」

 「ああ!やっと・・・やっとだ!」

 待ち望んだ時がもうすぐなことにウキウキしている二人に乱入者が来た。

 「夫婦の仲睦まじいところすまんのう」

 「白百合か・・・どうだった?」

 「畿内の鬼の封じ込めは無事完了いたした。しばらくは大丈夫であろう」

 「あとの要注意はお前だが、アキラが大丈夫と言ったからな。信じてやる」

 「ほっほ、アキラ殿の言葉が我の身の保証とは・・・天人様からはいつかこの体が狙われるかもしれぬのう?」

 「な、ななななな!」

 結菜から白百合にからかいが変わった。

 「そんなことを言わないの。むしろ、私達からアキラを寝取ろうと思ってない?」

 「ほっほ、これは失礼・・・そういえば、一つお伝えしたいことが」

 「??」

 寝取りの言葉に白百合が否定してないことに気づいてない二人。

 「全力で追いかけるので、先に行ってもよいとの具申が、ああ、近江も同じ具申が来ておりましたな」

 「なあ!」

 久遠の心情をしっかり理解している家臣と妹夫婦であった。

 「うふふ。みんな、わかってくれてるじゃない~」

 「さあ。織田久遠信長殿。家臣の心遣いを蹴るか、それとも受け入れるか。返答はいかに!」

 「そうよ、く~ちゃん。さあ、どうする!」

 二人がニヤニヤして言ってくるが、何とか返答はした。

 「くう~~!か、陣貝をふけ!出陣だ!」

 「っは!」

 「さあ、行きましょう!私達の旦那様を迎えに!」

 「うむ!」

 結菜と白百合は出て行った・・・ずっと、ただ一人座っていた人物に久遠は近寄った。さっきの笑顔や照れ顔が一転、真剣な顔つきになっていた。

 「・・・本当に大丈夫なのか?」

 「大丈夫です」

 その者は久遠が金柑と呼んでいる女性だった。

 「お前の懸念が当たったら、狙われることになるのだぞ。私達は助けられる場所にはいないか「自分が決めたことです。私のするべきことです!」・・・そうか」

 久遠の言葉に割り込むように、彼女は自分の気持ちを言った。その思いはもう変えられないことを久遠は悟った。

 「わかった。だが、これだけは言っておく」

 日の本の人間の目の色ではない水色の目を見て久遠は言った。

 

 「必ず、生きて私達の前に姿を現せ。特にアキラの・・・あやつの事を想っているなら絶対にな!」

 

 女性・・・エーリカは頷いた。それを見て、久遠は去っていった。皆が出陣する中、ただ一人、この京に残ることを決めたエーリカが思っているのは一人の愛しい男の人。

 「アキラ様。私は・・・いえ、これが私の決めた道。そして、あなたのように進むと決めた茨の道」

 彼女も評定の間を出て外に出て、空を見上げた。

 

 『愛しています。アキラ様。私は、あなたの為に努力します。そして、必ずあなたのもとに。その時こそ、あなたの妻になります』

 

 アキラへの想い。それが今の彼女を支えている信念なのかもしれない。 

 

 久遠、出陣。京を出る。

 

その日の夜。自分の館に戻ったエーリカ。思う事は二つ。まず一つ目は

 『あの男がいつ来るか。向こうは自分は味方と思っているはず。おそらく、久遠様が向こうに着いたときに・・・来る』

 敵がいつ来るか?でも、すぐに予想できた。相手の動きは単純。だから、単純に考えればわかることだからだ。そして、もう一つは・・・。

 

 『アキラ様・・・』

 

 自分があの男を裏切ってまで想いを選んだ、その想い人だった。

 『私は妻になる。あの人の・・・そして、あの人に、抱かれる。はあ、はあ、と、とても体が、熱く』

 アキラに抱かれる。それを思うと顔が赤くなり、胸がドキドキし始めた。汗をかき始めたのを感じて、

 『お風呂に入りましょう』

 風呂で流すことにした。

 

 裸になって、風呂に入った。でも、一度アキラの事を想うと風呂で気持ちよくなっても、汗を流しても、さっぱりしても、逆に強く想うようになる。同時に

 『・・・も、もし、い、一緒に、入って、いたら』

 抱かれたいと思ったら、今のシチュエーションだとどんな抱かれ方になるのか?エーリカほどの真っ直ぐな想いを持つと、より鮮明な妄想になる。

 『多分、ともにこの風呂桶に入り、まずは・・・隣同士で肩をつけ合って』

 すると、エーリカはドクン!と心が高鳴った。

 『そ、そして、あの人が、私の肩を抱き、わ、私の・・・ここを』

 自分のあの秘蜜の割れ目に手をやった。

 『私の、これをこ、このように、いじって・・・そ、そして、肩を抱いて、こ、これを!』

 自分の左手で割れ目をさすり始め、右手で胸を揉み始めた。

 『わ、私の、唇を・・・き、キス』

 あの時にしたキスの事を思い出し、一気に体の快感が高まった。

 『あああ!な、何!何!この、何かが通り抜けた感覚!』

 知識はあっても実践はしたことがないため、初めての快感に戸惑った。

 『はあ、はあ。で、でも、アキラ様に、されたと思うと・・・もっと、したい』

 割れ目に指を入れ始め、乳首を触れるようになった。体がビクッとして、彼女の顔も蕩け始めた。

 『アキラ様、ああ、もっと、揉んでください。んん!!こ、こっちも、い、入れて!』

 指の速度が速まり、揉む力も強くなった。既に顔が情欲に染まっていた。

 『アキラ様。あの、あの太い、あれを・・・ここに、い、入れて』

 ついにそこまで妄想がいき、

 『い、いいいいい!』

 実際は指だがあれを入れられた妄想で、快楽を強くした。胸を揉む強さも更に強くした。

 『も、もっとです!アキラ様!わ、私を、私の、私の~~!』

 出し入れも速さが増し、湯には彼女の蜜が混ざっているが気にしない。

 「アキラ様!抱いて!抱きしめて!強く、愛して~~!」

 ついに恥ずかしさより快感が上回り、声まで出した。

 「おっぱいを、乳首を、いじって~~!こ、このお〇〇〇を滅茶苦茶に、して~~!私を、私を・・・妻、ううん!牝にして~~!」

 一気に秘められた言葉が出た。本当に望む本音を吐き出していく。

 「く、くる!い、一番、一番、のが!」

 誰にも見せられない彼女の欲に溺れた姿。唯一見ていたのは妄想のアキラのみ。そのアキラにどんどんせめられ最後の瞬間が来た。

 「あ、あああん!アキラ様あああ~~!」

 快楽の大きな波が彼女を襲い、初めての自慰が幕を閉じた。

 

 脱力して湯に顔を突っ込んでしまい、自分のしたことに気づき真っ赤になった。

 『ど、どうして!あんなことを・・・で、でも!でも!アキラ様に抱かれると想うと。と、止まらなく、なって』

 風呂から上がり、襦袢を着て布団の上で顔を隠しながら右に左にごろごろしていた。

 『こ、これじゃあ、今度会うのが・・・うん、必ず再会して妻になって・・・あれを本当にしてもらう。そうよ!私はアキラ様に抱かれる!だから、負けない!』

 会えるかどうか自分でも不安だったが、必ず妻になり抱かれる。その想いがその不安を消した。同時に、これからの戦いへの意気込みにもなった。

 

 『で、でも・・・牝は、ならなくても、だ、だけど、悪くない気も・・・』

 

 今だけは全ての事を忘れて、アキラに抱かれる事だけを考えた。嵐が近いうちにやってくるから、その前の楽しみとして・・・。

 

 

 少し時間が戻り、同じ日に甲斐の下山城で、

 「ひ、ひ、ひ、ひ、一二三ちゃん!」

 「どうしたんだい?ありえないものを見たような顔をして?」

 「そ、その通りだよ!ひ、ひ、人が!」

 湖衣が後ろを指さして、全身を震わせて一二三の前に立った。

 「人がいるくらいでそこまで騒がなくても」

 「す、す、駿府からの道でだよ!四人が馬に乗ってきているんだよう!しかも、馬もとんでもなくでかくて」

 「何!鬼だらけとなっているあの駿府から・・・それで、その人達というのは?」

 「それが、越後で見たアキラ隊みたいで」

 「はあ?アキラ隊は今長尾と一緒にいるはずだろう?アキラ君を取り戻すために、彼女らも川中島にくるはずなのに、どうして?」

 「私も知らないよう!と、とりあえず、どうする?」

 もはや、訳が分からない状況に、涙すら出している湖衣。

 「話を聞くことにしよう。何故ここにいるのか聞く必要がある」

 時人達四人。途中で道に迷ったりもして鬼を斬りながら進み、ついに甲斐に入る。 

 

 相模のある城では・・・。 

 「御本城様。長尾、武田。川中島に向かっているそうです」

 「やっぱりね、そうなると思っていたわ」

 「決着をつけるのでしょうか?」

 「・・・朧。あなた、わかってないわね」

 「サイ、何を言っているの?」

 「サイの言う通りよ。これは決着をつけるための戦いではないわ」

 「では、何のための戦いなのですか、姉様?」

 「女の意地よ。美空ちゃんも光璃ちゃんも勝敗なんて関係ないのよ」

 「そういう事、分からないかしら?」

 「勝敗の関係ない戦い?どういう事?」

 「あの、私もわからないですが~」

 「分からなければそれでいいわ。私達には関係ないし」

 「そうね。いま私達に大切なのは西よ。姫野、そっちはどうだった?」

 「あ~~、ちょっと・・・」

 「なるほど。朧、対応お願いね」

 「私達はそっちを?」

 「そうよ。この相模をしっかり抑えることが大事。頼むわよ」

 「分かりました!」

 「それはそうと・・・サイちゃん。私の言いたいことが何ですぐわかったの?そんな戦いをしたことがあったの?」

 「・・・私はこっちの対応が今一番大事だな」

 「ほらほらほらほら~、教えなさいよ~」

 「はあ~、頭が痛い」

 

 若神子城を出た武田勢。川のある所で小休憩となった時に川中島の様子を見に行った小波が戻ってきた。無事戻ってきた褒美として、頭を撫でたら思いっきり真っ赤になった。彼女の頭に犬耳とお尻に勢い良く振っている尻尾の幻覚が見えたのは気のせいではない。

 「軒猿の警戒が厳しく、句伝無量にも反応はなし」

 「まあ、それは予想の範囲内ですね」

 「あれは異常ですからね。美空が一葉に回収させたのでしょう。もし使えたら、策が筒抜けになりますからね。一葉の応答がないのもそのためでしょう」

 「それは怖い」

 アキラの反応に詩乃と雫は頷いた。各務も軍議には出ているので、そうした内容が敵に回る怖さは知っていた。

 「軒猿の警戒が異常なほど多いというのは」

 「多分、小波さんを警戒してのことだと思います」

 「美空様は私達がアキラ隊に合流することを予想していると思います」

 「今のアキラ様は武田に属するもの。もし合流したら隊はアキラ様側、つまり武田に着きます。アキラ隊が敵に回るというのは、鉄砲二百が敵に回るということになりますからね」

 「・・・それだけとは思えないですけど、まあそれが妥当でしょうね」

 二人はそう考えていたが、アキラは何となく少し違うと思っていた。そこに光璃と薫がやってきて、話をしようとしたが川の音が大きくなり声が聞こえにくくなったのを光璃が何かをして、それを消した。どうやらそれが、光璃にとっては秘中の秘だったが句伝無量の存在を湖衣を通じて知っていたので、これでお相子という事らしい。

 

 ついに軍議が始まった。美空達は妻女山を陣取って旗を立てているとのこと。予想通り隊の中には一葉の二つ引き両の旗もあった。ただ、美空が吹っかけてきた喧嘩なのに籠城しているという不自然な報告もあった。

 アキラが隊に合流する案については、まだしないと光璃から言われた。

 「それがいいです。何しろ美空様はアキラ隊の戦歴を知っています」

 「多分軒猿が多いのもそれが理由かと」

 「そんなにすごかったの?」

 薫に聞かれて、頬をかいた。

 「一二三からの報告を聞いていると思いますが・・・それなりに」

 少人数での移動は、増えた軒猿の中を通るのは危険という事だった。

 

 駿府の警戒のため、川中島に一二三同様来ていない湖衣が伝えた策でキツツキみたいに後方を突き、前に出たところを戦うという策をすることになった。

 

 『あれ?このキツツキ戦法って確か、あれ?何かあったように気が・・・いや、多分気のせいですね』

 

 アキラはこの戦法に疑問を持ったが、すぐに考えるのをやめた。こうした戦いの歴史の経過も、きちんと知っていたら口をはさんでいたのかもしれない。

 その後、背後を突くための奇襲部隊に粉雪と兎々、後方にいるかもしれないアキラ隊とこっそり合流するためにアキラ達と薫の部隊が行くことになった。

 『この策、美空は見抜いていると思うんですよね。宿命のライバルが、こうした攻め方をすることも予想の範囲内かと思うのですが・・・』

 アキラは光璃を見た。頷いたように見えた。

 『なるほど、本気でぶつかり合うための場を用意。という事ですか』

 宿命のライバルだからこそ、彼女も美空の戦いの意図を理解している。だから、この案を通したのかもしれないとアキラは思った。

 

 その後、粉雪・兎々達と別行動となったときに口を開いた。

 『あの二人には言わなかったですけど、長尾はこの奇襲には気づいているはず・・・軒猿の数が多かった本当の目的は』

 妻女山に続く山道。彼女らはそれを登って行ったがアキラはこの時点を美空の手のひらに載ってしまったことに気づいていた。でも、それを言ったとしても彼女達は受け入れないだろうと思った。自分の言葉と光璃の言葉、どっちをとるかと言えば当然後者だ。却下するのが目に見えている。

 『気配が少なすぎる。旗のある本陣まで距離があるとはいえ、籠城しているには人数が少ない・・・やはり、これはそういう事でしょうね』

 気配を実際に感じることのできるアキラだからこそ、その数の少なさに違和感を覚えそして気づけた。でも、自分のすることと彼女らのすることは違う。そう結論付けて、薫の隊とそこにいる妻達に合流した。

 「さて・・・薫、ありがとう」

 「え?何が?」

 いきなりのお礼にキョトンとした薫。

 「隊の旗ですよ。私の隊の旗にしてくれたことのお礼です」

 「ううん!薫、お兄ちゃんの旗すっごく好きだよ!戦った後に友情を分かち合おうという意味がこもっているんでしょう。その旗の下にいられるって嬉しいの!」

 アキラ隊とアキラ達の合流が目的の作戦。存在を目立たせるためにこの隊の旗を出す必要があるので、薫に頼んだら快く受けてくれた。

 「そう言ってくれると嬉しいですね」

 「綾那も好きです!」

 「戦いの後に理解しあって仲よくしよう。アキラ様の素晴らしい理想です」

 「うん。アキラ、好き(ぎゅ)」

 各務がどさくさにアキラを抱きしめた。

 「各務さん。どさくさに抱き着かないでください」

 「詩乃達もすればいい(くんくん)」

 「その意見に激しく賛成したいのですが、いざ動くときに邪魔になりますよ」

 詩乃に言われて、しぶしぶ離れる各務。

 「さて・・・先手はお互いもう読みあっているはずです」

 「光璃様がこの奇襲を仕掛け、美空がその手を読む」

 「その手にどう対応し、光璃様もどう返すか。ふふ、楽しみですね」

 軍師二人は策の読みあいとその打開策をどうするかをワクワクしながら予想していた。専門分野であり、それを娯楽としている二人の目が輝いていた。 

 「ううう~!戦いたいです~!」

 東国無双はやはり不満そうだ。先陣に立って敵陣に突っ込むことが好きな彼女にとっては、こうした裏方はやはり不満だ。だが・・・

 『わかりますよ、その気持ち・・・私だってたまには暴れたいですよ』

 同じように前に出て戦っていた経験のあるアキラも、それなりに不満だった。

 「問題はアキラ隊が本当に後方にいるかどうかですね」

 「はい、何しろ越後で十分に活躍しましたから、悩むところですね」

 「春日山城奪還の時も、御館の乱のときも、活躍しましたしね」

 「へ~~、すごいんだね!」

 いろいろの活躍を聞いて薫の目が輝いた。

 「今のアキラ隊を指揮っていると言えば」

 「「「「「「梅(さん)です(ね)」」」」」」

 全員一致でその名前を言った。唯一、隊の内部を知らない薫だけは?を出して皆に訊ねた。

 「その、梅さんって人が今のアキラ隊を隊長なの?」

 「アキラ様や私達が抜けている状態で隊を仕切れるのは牡丹さんしか」

 「そうですね。牡丹さんしかいないですね」

 「ええ、牡丹なら面倒くさがりの一葉が隊を任せる!と言ったら、「喜んでお引き受けいたしますわ!お~ほっほほほほ!」っと言って引き受けそうですね」

 「「その光景が目に浮かびます・・・」」

 苦笑いして頷く詩乃と雫。

 「あれ?さっきは梅さんって呼んでいたのに、どうして牡丹さんになっているの?」

 「間違ってないですね・・・」

 「うん」

 「です!」

 歌夜の指摘に各務と綾那は頷いた。

 「は、ははははは。後は駿府を取り戻すための鞠ですね」

 「隊と一緒にいると思いますが・・・」

 「早いところ、合流したいですね」

 鞠の話題になると、また薫が話に入った。

 「その鞠様。今川治部大輔様がアキラ隊にいること、やっぱりまだ驚くよ」

 「大丈夫。薫様ならすぐ仲良くなれますよ」

 「ええ、ご安心ください。私もそうですが、一葉様の妹君の双葉様ともすぐに仲良くなりましたから」

 出した名前が悪かったのか、ますます体が固くなった薫。

 「なんか余計に緊張しちゃった」

 「ははは・・・それにしても、元気でしょうかね」

 ボソッとつぶやくくらい小さかった一言。すると、

 

 「うん!鞠は元気なの!」

 

 その一言に、元気な返答が来た。

 「そうか・・・ん?あれ?」

 聞こえるはずのない声・・・この声の持ち主は隊にいないとおかしい声だ。

 「アキラ!久しぶりなの!」

 そう言って抱き着いてきた、今まさに噂をしていた鞠本人が何とアキラ達の目の前にいるのだ。

 

 「は、はああああああああ!!!!」

 

 思わず、大声をあげてしまったアキラだった。

 




 ついに、川中島開戦・・・の前のそれぞれの状況です。

 久遠はエーリカを残して出陣。エーリカの決意と想い・・・そして、自慰。時人達四人、甲斐の下山に到着。相模の現段階。アキラ達の作戦開始・・・と思ったら鞠現る!

 さあ、開戦です!


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七十六振り目 教えて、答えて、会いたくて

 こんにちは!三MENでありんす!

 川中島中盤まで来ました。いや、難しい・・・原作じゃないように、でも筋はそのままで書くというのは。

 


 

 森のところどころに朝日がさす。だが、それに気づかない驚いて大声を出したアキラ。ほかの皆も声こそ出さなかったが、同じように驚いていた。

 「えへへ~~、アキラ~(ギュ)」

 「ま、ま、鞠!」

 今アキラに抱き着いている少女。本来なら長尾の陣にいるアキラ隊にいるべき少女。その子・・・鞠が何故かここにいた。雫に詩乃も( ゚д゚)ポカーンとしていた。いきなり目的の一つが目の前にいるのだ。唖然とするのも無理はない。

 「え。えっと・・・鞠ちゃん。どうしてここに?」

 「梅さん達と一緒では?」

 「あのね、アキラが川中島に来ているって聞いたから、来てみたの!」

 声も裏返っている軍師二人。

 「でも、危なかったのでは?軒猿の警戒もあったはずですし。隊の皆さんには黙ってきたのでしょう?」

 「大丈夫!危ない、と思えるところは行かなかったし、城攻めのお勉強も役に立ったから!」

 いや、このための勉強じゃないのですが。と突っ込みたかったがまだ驚きが強く、それができなかった。

 「そうでした。鞠の直感は並外れたものだということを忘れていました」

 「でもね、中々進めなくなった時に小波ちゃんと各務ちゃんに会ったの」

 その時、アキラの前に二人が現れた。

 「ちょうど、軒猿の警戒の外におりましたので、お戻しするのも危険と思いましたので、お連れしました。あの・・・お役に、立てましたでしょうか」

 「どう?よかった?」

 「小波、各務。よくやりました!」

 二人を抱きしめて頭を撫でて、頬にキスまでした。小波だけでなく各務の尻にも幻の尻尾が見えて勢いよく振られていた。

 「あ、あわわわわ!ご、ご主人様!」

 「嬉しい!ああ、欲情しちゃう」

 「一番の手柄です!よくやりました!あなた達が隊にいてくれて心からよかったと思っています!」

 「ご、ご主人様(うるうる)はい!」

 「アキラ(じゅん)ずっといるから」

 顔を真っ赤に舌二人から離れ、鞠に意識を向けた。小波は恥ずかしがっていたが、各務は内股になって股間に手をやっていた。変な音が聞こえたが気のせいだ。

 「鞠、今の隊はど「あのね、アキラ・・・その前に聞きたいことがあるの」、聞きたいこと、ですか?」

 さっきの嬉しそうな顔じゃなくて、真剣で少し寂しそうな顔になった。

 

 「アキラは、私達と戦うの?ひよもころも、辛そうな顔をしていたよ」

 

 鞠がここにいる理由がよく分かった。だから、彼女に説明した。

 「鞠、今から言うことをしっかり聞いてください」

 「うん」

 「私は戦いませんよ。私がここにいるのは、美空と光璃を仲直りさせるためです」

 「仲直り?」

 「あなたも知っているでしょう。美空だけじゃなく光璃も私の妻になったこと」

 「うん(こくり)」

 「だから仲直りです。妻同士で殺し合いはしてほしいと思っていません」

 「じゃあ!」

 「でも私は助けてくれる人がここにいる人達以外いません。ですので、助けてくれますか?」

 「うん!アキラがそう思っているなら鞠助けるの!」

 笑顔になってアキラにまた抱き着いた。

 「・・・あと、一つ伝えておくことがあります」

 「伝えておくこと?」

 「アキラ様!」

 「それは、言うべきことですか?」

 詩乃と雫がアキラと鞠の間に割り込んだ。

 「ええ。言うべきことです。隠すのは、鞠の為になりません」

 そう言われて二人は黙ってどいた。そして、鞠の肩を掴んで彼女の目を見て言った。

 

 「今のあなたの故郷、駿府が越前と同じ状態になっています」

 

 「す、駿府が・・・」

 鞠の顔から表情が消えた。驚きすらも忘れて、ただ茫然として聞いていた。

 「はい。どうやら甲斐に出現している鬼が、駿府から流れているそうです」

 「・・・・・・」

 「でも、その駿府を光璃は何とかしたいと思っています」

 「光璃ちゃんが」

 光璃の名前を聞いて、感情が戻った。

 「ええ、光璃はあなたの力になりたいと言っていました」

 「本当!」

 「ですので、絶対に仲直りさせましょう。彼女はあなたと同盟を結びたいと言っていました」

 「うん!駿府を取り戻すのが鞠の夢!絶対に、仲直りさせるの!」

 鞠は笑顔になって答えた。 

 

 その頃の下山城。

 「これが川中島に向かうための地図だ」

 「ありがとうございます。まさか地図までくれるとは」

 「なあに、お屋形様の夫殿が命の危機ならさすがにね」

 「それにしても・・・間に合うでしょうか」

 湖衣の言葉に庵樹達は首を横に振った。

 「正直わからない。でも、嫁二人の戦い。力を使ってでも止めるのが分かる」

 「その時に壬生の血の力を使うと、あの病が進行していく」

 「そうなると危ないわけか。よし、百段。川中島だ!」

 とりあえず駿府からやってきた理由は保留となり、今はアキラの命を優先させるために川中島への地図をもらった。

 「急ぎな。多分戦いはもう始まっているはずだよ」

 「おうよ!早く乗れ!」

 四人は百段に乗り、目的地に向かって走り出した。

 

 場を川中島に戻し、武田本陣。

 「静かですな。やはり、奇襲は読まれていたか」

 「美空なら当然」

 「ええ。越後の龍はやはり一筋縄ではいかないというわけですな」

 夕霧の言葉に、春日と光璃は頷いた。

 「お屋形様!大軍が接近するとの報告がありました!」

 「よし、拙が行こう。お屋形様はここで」

 「夕霧も行くでやがる」

 「それは心強い。では、参りましょう」

 心の報告に、夕霧と春日が陣を出た。 

 

 アキラはというと。

 「ええっと、そろそろ離れてくれると」

 「ダメなの!久しぶりにアキラの温もりと匂いなんだから我慢するの!(#^.^#)」

 鞠がずっと抱き着いたまま離れない。薫に自己紹介したが、その時もずっと抱き着いたままだった。

 「・・・いいなあ」

 「薫様。大丈夫です、戦いが終われば好きなだけ」

 「うん、裸になって布団の中で」

 「え、えええ!そ、その中で!」

 「各務さん、薫様はまだ妻じゃないですから」

 「あ、あの・・・皆さん、よろしいのでしょうか」

 うずうずしながらも、アキラの服を引っ張る小波。

 「そろそろ、作戦を」

 「「「「「あ!」」」」」

 各務に薫はともかく、詩乃と雫も忘れていた。その時に鏑矢の音を聞いた。

 「鏑矢・・・一本ということは」

 「失敗ですね。まあ、予想通りと言いますか」

 「はい。軒猿が厳重すぎたのは移動を悟られないためでしょう。気配が少なすぎたのですぐわかりました」

 「そして、入れなかったから武田側も旗が見えるその位置にいる。という認識になったと思います」

 両兵衛の確実とも言える美空の行動の説明に、アキラは褒めた。

 「さすが美空様です。私達も行きましょう、妻女山の裏から降りますよ!」

 「「「「「は!」」」」」

 全員馬に乗り、すぐ移動を開始した。

 「鞠、何がきっかけで美空は出陣を?」

 

 鞠の話ではみがアキラと光璃の祝言の話を聞いて出陣を決めたらしく、一葉も思いっきり賛成して牡丹二輪の暴走を誰も止められなかったそうだ。ただ、その話の中に久遠が美空と手紙のやり取りをしていることもわかり、小夜叉達は無事松平を京まで届けたことも分かった。

 「本当に予想通りになっていたとは」

 「それだけ光璃様との祝言が、美空様の理性をぶち壊す報告だったという事ですね」

 詩乃の言葉に複雑な気持ちになった。

 『ご主人様!』

 『アキラ!』

 そこに先行していた小波と各務が句伝無量で呼んだすぐ後だった。銃声が聞こえたのは。しかも一発や二発ではなく、何発も一気に撃っている。

 「この銃声だらけの撃ち方って」

 「こんな連発する撃ち方をするのは」

 「日の本、どこを探しても一つしかないです!」

 歌夜と綾那の言葉に答えるように、句伝無量から二人の声が聞こえた。

 『長尾勢の前線に二つ引き両の旗が!』

 『対(むか)い鶴もある!』

 「・・・私の隊が前線ですか!」 

 アキラ隊、前線にいるという報告が来た。

 

 その頃のアキラ隊。

 「さあ!どんどんと撃ちなさい!何千の兵をたったの三百の兵で止めているという武功を立てるのです!」

 「やっほ~~い!」

 「・・・(ぐ)」

 嬉しそうに雀と烏が鉄砲を撃っている。

 「ちょっと~梅ちゃん」

 「そんな命令しないでよ!」

 「これでいいのです!」

 ドヤ顔の梅にひよところは涙を出す。

 「ううう~、やっぱり牡丹さんは止められないよ」

 「うんうん。何考えているのかわからないからね」

 「全く・・・愛称筆頭の二人がそんなでどうするのですの!」

 文句を言ったのに二人は照れた。

 「えへへ、文句言われているのは分かるけど」

 「愛称筆頭と言われると嬉しい気が」

 顔を赤くするひよところ。やれやれという顔をしながら梅が説明した。鞠がアキラの匂いに気づいてすでに合流していること。アキラ達は自分達と合流したがっていること。だから玉薬を空にして補給という形で部隊から離れれば合流できること。そして、アキラが戦を止めるために隊を使うことを説明した。

 二人ともいつもと違う冴えた梅に、おお~~っと感心した。その時、好き放題連発して楽しいはずの雀が不満を漏らしていた。玉薬が少なめで撃った気がしないと・・・

 

 同じころ、長尾本陣は少しずつ移動をしていた。

 「はて・・・いったいどうするつもりなのでしょうな」

 幽がつぶやいた。血の気が多い当主と同僚、更に銃声を聞いて玉薬の事で悩んでいた秋子は?を出した。

 「どうするとは?」

 「この戦の終わらせ方です。どうするつもりなのかと思いまして」

 「さあ?私もわかりません」

 秋子の答えに、大雑把に驚いたふりをする幽。

 「何と!長い間当主に仕えてわからないですと!年相応に煮ても焼いても食えないのに嘘はよしてください!」

 「と、年の事は言わないでください!それに、年以外の言葉はそっくりそのままあなたにお返ししますよ!」

 「何をおっしゃいます、軍師さん。某、そのような嘘をつくことなど一切ない雪のような真っ白な腹をお持ちだと評判なのですぞ!」

 「それを言った人は白目をむいていたのでしょうね。正反対の色の腹なのについ自分の目の色を言ってしまって」

 火花が散る二人。そこに一葉がやってきた。

 「全く、腹の探り合いは別の時にやれ」

 「そのようなことはしておりませぬ。それより、どうして美空殿はこの戦いをやったのでしょうか?」

 「あの場に一緒にいたくせに、よくそんなことが言えるのう」

 「いえいえ、浅学非才の某ではわからないこともありますので」

 『すごい、よくそんなにぽんぽんと言葉が出るものです』

 幽の次々と言葉が出ることに冷や汗を流す秋子。

 「ふん。まあいい。女の意地じゃ」

 女の意地という言葉に幽は本当に分からない顔になった。

 「そうじゃ。愛しの旦那様を憎き相手にとられたのじゃ。しかも、その相手もまた旦那様の事を愛しておる」

 「つまり、自分を納得できる愛を持っているかどうか。でございますか?」

 「そうじゃ、因みに余はもう認めておるぞ。余は器がでかいからのう」

 「はあ~、それなら同じ正室殿をお止めくださいよ。こんな戦いよりせっかく甲斐まで来たのですから、善光寺参りでもしたいものです」

 「結局、アキラさんがこの戦を起こした張本人というわけですね」

 秋子はそう呆れながらつぶやいたが、

 

 『御大将が越後の当主や関東管領になってからは、女性はおろか女の子らしいこともできなかったけど、アキラさんと会ってからそれが出てきた。アキラさんを好きになって、妻になって、恋を知って、やっと年相応の女性になった。私もアキラさんの妻になれて嬉しいですけど、御大将を変えてくれたことが一番嬉しいです』

 

 内心は恋する女性となった当主と変えたアキラに感謝していた。

 

 

 アキラ達は妻女山を下り目の前に川が流れていた。その向こう側では夕霧と兎々が長尾勢のどこかの隊とぶつかっていた。

 「お兄ちゃん。援護に行く?」

 「ダメです。私達の目的はあくまで戦を止めること。戦いをさらに誘発させる危険もあるのでやめましょう」

 そんな中、銃声がいまだ続いていた。

 「ふむ・・・対い鶴があるから梅が隊を指揮しているのは分かります。でも、あそこまで派手に撃ちますかね?」

 「公方様や小夜叉さんみたいに、ただただ撃つことに夢中になっているのでは?」

 「敵は鬼じゃないですし、それはないでしょう・・・多分」

 『歌夜も詩乃もひどいですね・・・梅はそこまで危ない人ではないのですが』

 その考えは一葉と小夜叉はそこまで危ない人だ。ということになることに気づいていないアキラ。その時、雫が顔を上げた。

 「そうだ!牡丹・・・いえ梅さんは、玉薬を調整して空砲で威嚇する案をだしていました。おそらくそれでは?」

 「なるほど。あの銃声は結構派手に聞こえますが、実は空砲だったと」

 「それなら効果は抜群ですね。私も今の話がなくて武田側として戦いに参加していたら、あそこは絶対に近づこうとしません。むしろ、兵や馬が怖がって行こうとしないでしょう」

 「綾那なら銃弾を全部よけてやるです!」

 現武将の歌夜がこう評価したのだ。参考にならない綾那の言ったことは流して、これなら確かに近づきたくない。

 「多分、梅さんも鞠ちゃんが私達と合流していることは気づいているでしょうし」

 「あれだけ早く打てば玉切れになるのも早いですから、補給しているふりをして長尾の隊から離れたところで」

 「一気に討ち取ってやるです!」

 「うん!早い者勝ちよ!」

 『・・・三河勢は戦場にたてば敵を絶対に討ち取る頭になるのでしょうか?綾那はともかく歌夜までやる気とは』

 苦笑いをしながら、二人に突っ込んだ。その後、アキラ隊が長尾の隊から少しずつ離れていく小波の報告が入った。

 

 武田本陣。

 「銃声すごいですね。異能集団と聞いていましたが、本当にその通りです」

 「旗は?」

 「二つ引き両とあと一つは分かりません。ですが、まさかアキラ隊が前線に出るとは思いませんでした」

 心と光璃の話の途中で春日が戻ってきた。

 「ただいま戻り申した。矢の補給に参りました」

 「そちらはどうです?」

 「ケガ人はあの銃声で驚いて転んだ程度だ。死人も出ていない」

 「状況は?」

 「今は典厩様が前線を指揮しております・・・それにしても、夫殿の隊はすさまじいな。あんなに乱射されては兵も馬も怯えて近づけない」

 「そうですね。高い武器ですが、価値はあるということですね」

 「うん」

 心と春日の話に、光璃の表情は険しい。

 「何か不安でも?」

 「美空らしくない」

 「ふむ。確かにその通りですな。攻め切れぬ戦い方、いつもの戦いではない」

 「はい、こちらもいつもらしくないですが・・・お屋形様?」

 「・・・音がやんだ」

 あれほど響いていた銃声がぴたりと止まった。

 

 長尾本陣。

 「音がやんだのう。あれだけにぎやかだったのに」

 「ああもう!いったいどれだけお金が・・・」

 「苦労が絶えませんな~同情しますぞ」

 「さて、そろそろ行きましょうか」

 「・・・は?行くって。ま、まさか!」

 ニヤリと笑う美空をみて秋子の顔が真っ青になった。

 「柘榴と秋子は来なさい。松葉はここで待機」

 「わかったっす!」

 「え、えええ!ほ、本気ですか!」

 「わかった」

 「もちろん本気よ。秋子、頼むわね・・・光璃。待ってなさい!」

 「(チラ)はあ~~。わかりましたよ・・・_| ̄|○」

 「秋子さん、何で柘榴達見てそんなにため息ついてがっかりするんですか!」

 「分かっているくせに」

 「本当に、矢の如き主ですと大変ですな」

 「その同情はむしろ追い打ちですよ・・・(トボトボ)」

 幽の一言で更に肩が落としながら美空、柘榴と一緒に陣を出た。

 「では、余らも元の場所に戻ろうかのう」

 「ええ。そうしたいのですが(チラ)」

 「かまわない。二人の事は聞いてないから」

 「ほう、なら遠慮なく行かせてもらおうか」

 「そうですな。松葉殿、ご立派な忠義ですぞ」

 松葉を本陣に残し、一葉と幽も陣を出た。

 

 アキラ達は森の中にいるが、既にアキラ隊が見える位置にいる。

 『ご主人様。アキラ隊、長尾勢の護衛隊からも離れていきます。あの距離なら無事に合流できるかと!』

 『梅達も弁当を食べているから、動かない』

 二人の報告で頷いた。

 「よし・・・行きましょう!」

 「「「「はい!」」」」

 「うん!隊の皆!我らが当主の夫、アキラ様に今こそ力を貸すときだよ!」

 「「「「おう!」」」」

 アキラ達は自分の隊に向かって、一気に馬を走らせた。

 

 アキラ隊では弁当も食べ終わり、補給も終了させた。あとは自分達の主を待つだけとなったが・・・。

 「どうして裸にならないといけないんですの!」

 「だって、梅ちゃんが先に言ったじゃない」

 「そうだよ。だから、言い出しっぺが」

 「例として言っただけです!それに私はハニー以外に見せたくないですわ!」

 他に何かないのか?と話していたら、何故か裸になろうという話になった。

 「それは、私達も(くいくい)?烏ちゃん何?」

 「・・・」「耳を澄ませてとお姉ちゃんは言っています」

 「静かになって聞け。ということ?」

 烏が頷いて、皆話を止めてその通りにした。ドドドという音が全員聞こえた。

 「何か、音が聞こえるね」

 「うん、馬で地面をかけるときに聞こえるような音が」

 「・・・!」「あっちを見て!とお姉ちゃんが言ってます!」

 烏の指す方を向いた。そこには一つの集団が自分達めがけて駆けてきた。その集団の旗を見て全員が笑顔になった。

 「あ、あの旗って!」

 「うん!間違いないよ!!」

 「努力・友情の旗ですわ!」

 「・・・」「待ってました!と雀もお姉ちゃんも言っています!」

 彼女らが待ちわびた愛する人の到着だった。

 

 「皆さん、お久しぶりです!」

 

 アキラ、無事アキラ隊に合流成功。

 





 ついにアキラが隊に合流しました。あと、四人も川中島に向けて駆けています。

 次で大きな展開を迎えます。お楽しみに!


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七十七振り目 嘘・・・こんなの噓よ!信じたくない・・・!

 
 こんにちは!ラーメンソーメンワンタンメンの三MENです。
 え?意味が分からない?・・・失礼しました。

 さあ。川中島。ついに終盤です!だけど・・・。




 アキラ達が、無事アキラ隊に合流することができた。

 「びええええ!お頭!」

 「会いたかったです!」

 「ハニー!お待ちしておりました!」

 「・・・(*ノωノ)」「抱き着きたいと雀とお姉ちゃんは言ってます!」

 感涙を流すひよ達が、アキラに抱き着いた。

 「皆さん。早速で悪いですが、力を貸してください!」

 「もちろんです!」

 「お頭の隊ですよ。当たり前ですよ!」

 「ころさんの言う通りですわ!」

 「・・・(*^^)v」「お任せあれ!と雀もお姉ちゃんも言ってます!」

 その時、遅れてきた詩乃達がやってきた。お互い再会を喜び合っていた。

 

 その隊の少し後方で、

 「おお!幽、主様の旗が!」

 隊に戻ろうとした一葉と幽の視界にも旗が確認できた。

 「ふむ、二つ引きと鶴が努力・友情が寄り添っておりますな。いやはや、無事合流ができてよかったですな、公方様・・・あれ?」

 アキラの合流に一葉の喜ぶ声が聞こえない。

 「主様~!」

 何と、歓喜の声を出しながら既に馬を走らせていた。

 「・・・句伝無量を握りつぶしておられた件、忘れてますね」

 合流後の展開が予想でき、頬に冷や汗を流しながら後を追った。

 

 二人も無事、合流したのだが。

 「アキラ殿。公方様の件は」

 「仕方ありませんよ。一葉、あなたのやったことを怒るつもりなどないですよ」

 「・・・ご、ごめんなさい」

 合流して早々、ひよところから句伝無量のお守りを返してください!と言われ、その時にやっと一葉はそのことを思い出した。とりあえず遅れてやってきた幽がフォローを入れ、アキラも理解していたのですぐに許した。

 「後は美空ですね。今はどこにいますか?」

 「我々が本陣を出る頃には、一応まだいましたが」

 「おそらくもういないだろう。じゃが、本陣には松葉が待機しておる。やつなら知っているはずだ」

 主従コンビの言葉に長尾本陣に顔と意識を向けた。

 「行きましょう。今は、金よりも時間が大事です」

 「はいですわ!ハニーも戻り、アキラ隊全員が揃いました。出陣ですわ!」

 梅の出陣の声に、全員が嬉しそうに(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!と叫んだ。

 

 長尾本陣にはすぐ着いたが、一葉の言う通り、松葉しかいなかった。

 「来た」

 「松葉、美空はどこに?」

 「・・・向こう」

 彼女の指した先・・・武田本陣だった。

 「た、武田の本陣です!」

 「ま、まあ、美空様らしいというか」

 「あの人なら、考えられることでしたね」

 綾那の叫びに驚きと苦笑いの雫と詩乃。

 「分かりました。では「通さない」」

 すぐ行こうとしたが、松葉が立ちふさがった。

 「忠義、ですな。本当に尊敬できますぞ」

 「あなたは美空に大きな忠誠を誓っていましたから、こうなると思いましたよ。でも、行かなくてはなりませんので」

 アキラは足元から氷の力を使い凍らせていき、松葉の鎧を地面を伝って足元から氷漬けにして地面にくっつけた。

 「!!う、動けない!」

 「そのままでお願いします。行きますよ!」

 「「「「はい!」」」」

 彼女を横切って走り出したが、

 「(バリーン)い、行かせない!」

 力づくでアキラの氷を砕き攻撃しようとしたが、

 「(ガキン)アキラ様!ここは綾那に任せるです!」

 綾那が蜻蛉切りでその攻撃をはじいた。彼女に殿を任せて長尾本陣を出た。

 「綾那はアキラ様の願いをかなえるために、ここでお前を止めるです!」

 「相手にとって不足なし・・・行くぞ!」

 二人の殺気がぶつかり合った。

 

 その頃の美空。

 「御大将!本陣で、松葉の殺気爆発してますよ!ここまでの爆発は久しぶりっす!」

 その殺気を感じた柘榴が隣の美空に声をかけた。

 「多分あの槍使いが相手しているんでしょう。でも、私達はやるべきことをやるわよ!」

 「そうっすね・・・でも、やれやれっすね」

 「何よ、いきなり力が抜ける言葉なんか出して」

 「だって、御大将。本当はアキラさんに来てほしいんでしょう?でもちゃんと待とうとしないから、そう言ったんっすよ」

 「(照れ)・・・ふん!それより、光璃があれそろそろを出るわ。気を付けなさい」

 「ハイっす。嫌なんすよね~あれって」

 「文句は本人に言いなさい!・・・光璃、見せなさい。あなたの全てを!」

 「じゃ!御大将、後で!」

 柘榴が兵を連れて、美空から離れていった。 

 

 武田本陣。

 「心、状況を」

 「越後の一番槍、柿崎がやってきます!こなちゃんと兎々はまだ距離が!夕霧様と春日様も前線での指揮で・・・」

 「アキラは?」

 「連絡ありません!」

 「・・・風林火山を使う」

 「っは!兵の皆!お屋形様の力を持って死力の限り戦いなさい!」

 

 「其の疾(はや)きこと風の如く」

 「其の徐(しず)かなること林の如く」

 「其の侵掠すること火の如く」

 「其の動かざること山の如し」

 「・・・人、それを風林火山と呼ぶ」

 

 光璃のお家流、風林火山、発動。

 

 柘榴が率いる隊達。 

 「・・・やれやれ、相変わらず卑怯臭いお家流っすよね。兵の数が増えるような技なんて」

 「柿崎!ここは通しません!」

 苦笑いしていると心がやってきた。だが、すぐに笑顔になった。

 「お!来たっすね。それじゃあ・・・御大将~~!いいっすよ~!」

 「え?・・・鏑矢、ま、まさか!」

 すると、本陣に向かう毘沙門天の旗の隊が林から出た。

 「こ、心様!向こうの林から毘沙門天の旗が!ほ、本陣に向かっています!」

 「そんな!柿崎が、お、囮!」

 「へっへ~~ん!勘助連れてこいっす!お前で柘榴を止められるっすかね!」 

 「ここ~~!」

 「心~~!」

 焦っている心の傍にやっと粉雪と兎々がやってきた。

 「こなちゃん!兎々ちゃん!急いで本陣へ!」

 「く!そういうことか!兎々、お前が行け!あたいが柿崎を倒す!」

 「わかったのら!お屋形様!今行くのら~~!」

 戦いはそれぞれで火花を散らそうとしていた。

 

 一方アキラ達は馬を走らせているが、やはり美空に追いつくには無理がある。

 「どけどけ!足利の旗が通るぞ!」

 一葉の気迫に押されて長尾・武田の兵が道を開けるが、間に合うは思えない。二人の意図には気づいているが、やはり不安があるから急いでいる。

 「やりますか!」

 だからこそ、壬生の血を使うことにしたアキラ。意識を集中して自身の体に血が全体に回るようなイメージをした。目が開き、超視野化を使った。

 

 「・・・いた」

 

 美空の場所を確認した。だが、もう既に武田本陣の幕を斬りかかろうとしていた。

 「一葉、降ろしてください」

 このままでは間に合わない。だから、さらに力を使うことにした。

 「はあ?何を言っておる!急がないといけないであろう!」

 「美空は武田本陣に入りました。私だけが先に行きますので、追いついてください」

 「な、何故そんなことが分かる!それに、今馬を止め「では、降ります」、な!主様!」

 馬から飛び降りた。

 「紫微垣。あなたの力、借ります!」

 紫微垣を抜き、そのまま着地と同時に地面に刺した。

 「アキラ様!何を!」

 「え?お、お頭の刀が、光っています!」

 「まさか、二条館や海津の時の力を!」

 「え、え?これが、お兄ちゃんの力?」

 いきなりアキラが飛び降りたことに刀が光っていることに驚いたが、さらに驚くことが起こった。

 「先に行ってます!」

 アキラの足元から大きな氷柱が現れた。その氷柱にアキラが乗り、先端に紫微垣が刺さっていた。その氷柱はどんどん長くなっていき武田本陣まで伸びていった。その氷柱を見ていたのはアキラ隊だけじゃなかった。

 

 先陣を指揮していた夕霧や春日。

 「な!なんでやがるか!あれは!」

 「夫殿がいる・・・まさか、夫殿が!」

 その二人と対峙している秋子。

 「アキラさん!な、なんてとんでもないものを!」

 

 武田本陣近くの柘榴と心と粉雪。

 「な、なんすか!あれ!長い氷柱っす!」

 「え、えええ!あ、あれって確か・・・」

 「ああ、旦那だぜ!だけど、あたいが乗った氷柱より長さが違う!」

 

氷柱に乗って移動中のアキラ。

 「・・・粉雪の時は長さも短めでよかったが、っく!さすがに、これはきつい」

 本陣まで距離があり、空は障害物もない。本陣も高いところにあるため、馬より速く着ける。だが、壬生の血と紫微垣の力を使ってもまだ届かない。速く本陣に行かないと!そう思った時だった。

 

 『ドクン!』

 

 アキラは自分の体に違和感を感じた。

 「??何だ、今苦しさが一気に倍になったような気が」

 氷柱に全力を注いでいるため、その疲れが一気にきたものと思った。

 「く、は、早く『ドクン!ドクン!』い、行かないと」

 だが、この苦しさが氷柱の速度を遅めてしまった。

 

 武田本陣では、美空と光璃が対峙していた。

 「ほらほら!その程度かしら!」

 「まだ」

 「あんたとの腐れ縁もここまでよ!」

 「・・・美空、悔しいの?」

 悔しい。この言葉に反応した美空。

 「何よ!何が悔しいっていうの!」

 「アキラ、とられたの。私が嫁になったの・・・私が、アキラを好きになったの」

 馬に乗って刀で攻撃する美空の顔が笑顔から怒りの顔になった。その刀を軍配で受け止めて語り掛ける光璃。

 「・・・なら、私がどんな気持ちでいたか。わかるわよね!」 

 「うん。でも、今のあなたには渡せない」

 「何でよ!」

 「・・・今の美空、心が揺らいでいる」

 それを言われて動きが止まった。それでも、刀を振るうのだけはやめない。

 「っつ!な、何でそんなことが分かるのよ!」

 「何度も戦った。そう、何度も・・・だからわかる。だから、渡せない」

 「何故よ!」

 「アキラは、一人のものじゃない。私のものでも、美空のものでもない。みんなのものだから・・・織田はそのことに気づいた。だから、皆の夫にしようといった。でも、あなたはそのことで心が揺らいでいる。だから、渡せない!」

 美空は焦りの顔になる。うすうす感づいていたが、やはり口に出してはっきり言われると焦ってしまう。光璃がどんどん口を開く。

 「アキラは、突然流れが変わり日の本の行く先が分からなくなった中で、光を放ち前を進む希望。皆の方向を指し示す道を作ってくれる未来そのもの」

 「・・・う、うう」

 「己の役割を失えば、あなたはその前を進むアキラの進む道から外れてしまう。それでもいいの?」

 「わ、私は、私は・・・!あああああああ!」

 美空が焦りで刀を振り上げた時だった。その叫びに近い声にびっくりしたのか、もしくは荒ぶってしまったのか馬が前足を上げながら叫んだ。

 「「!!!」」

 これには二人とも驚き、動きを止めてしまった。動きを止めたことで、馬の前足が光璃の頭の上に落ちようとしていた。

 

 アキラはやっと武田本陣の上空近くまで来たので、そこで氷柱を止めた。だが、苦しさが止まらず、むしろ強くなっている。

 「どうした・・・この苦しさが何だ?見つけたが、美空が迷っているように見える。光璃が説得しているのか?」

 見つけたことで苦しさを我慢して意識をそっちにずらした。今のアキラの場所では二人の会話は聞こえないようだ。

 「震えている。まずい!」

 感情に捕らわれて美空が刀を振り上げようとしていることが分かり、氷柱をある程度伸ばし完全に本陣の上空になった時に紫微垣を抜いて飛び降りた。本陣の地面に降りてすぐ光璃の後ろに行き、手を伸ばせば届く距離まで来た。

 だが、その場にいる全員が荒ぶって前足を上げた馬にびっくりしたためアキラの存在に気づかなかった。その馬の足の蹄が光璃の頭に落ちようとしていた。

 

 『この状態で・・・だが、使うしかない!』

 

 完全に疲労していて、しかも何故か苦しみが強くなっている。その苦しみがアキラを辛くさせていたため、前に出て守るという選択をできなくさせた。あの技でしか守れないと判断させ、再度紫微垣と壬生の血の力を最大限まで高めて・・・使った。 

 「無明神風流殺人剣。奥義、玄武」

 

 

 光璃も美空も玄武を見て、やっと意識を取り戻した。 

 「え?・・・何これ?」

 「透明な、甲羅?」

 馬の蹄が光璃の前に現れた透明な甲羅に止められた。美空の方も、馬ごと何かに包まれて動けなくなった。玄武とは絶対防御技。相手の動きを止め、その前に出た攻撃を止める技。

 

 「美空、あなたも抱(いだ)かれたでしょう」

 

 この言葉で、アキラの存在にやっと気づいた。

 

 「玄武の腕に」

 

 馬の蹄がずれるように地面に降りていった。それを見てほっとして、アキラの目は元通り閉じたが、紫微垣は手に持ったままだった。

 「「アキラ!」」

 「良かったです。間に合って・・・」

 息切れしているアキラを見て慌てて近寄る光璃と美空。だが、今は二人の意思を確認しないといけない。

 「二人とも。まだ、戦い、ますか」

 「・・・戦わないわ」

 「・・・私も」

 「本当、ですか」

 「当たり前よ!あなたが、そこまでして止めに来たんだもの」

 「うん。そこの兵、あげて」

 「こっちもよ。この戦いは終わりよ」

 二人は近くの自分の兵に撤退の合図となる鏑矢を上げさせた。下を向いて息を吐いた。

 「よかった・・・最後に予想外もあった『ドクン!ドクン!ドクン!』、何とか、丸く収まりそうですね」

 アキラの苦しさが強くなり辛そうな顔をしていたが、下を向いていたため二人は気づかなかった。

 「収まるかはわからないわね~。そっちが喧嘩売らなければ」

 「・・・こっちのセリフ」

 喧嘩口調で火花を散らせる二人。そんな中でもどんどん苦しみが悪化していく。

 『ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!』

 ついに我慢ができなくなりその場に膝をつく。紫微垣を捨てて右手で胸を抑え、左手を地面についた。文句の言い合いをしていた二人は、その音でアキラの方を向いた。

 「え。あ、アキラ!」

 「ど、どうしたの!」

 苦しんでいるアキラに気づいて、慌てて近づく二人。だが、それに気付ける余裕すらなかった。

 『何ですか!こ、この苦しみは!』

 どんどん苦しみが強くなっていく。どんどん辛さが増していく。

 『疲労状態で紫微垣を使ったとはいえ、意識を失うならともかくこれほどの苦しみはないはず!壬生の血も使った・・・壬生の血・・・そうか!』

 『ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!』

 そう、やっとアキラは気づいた。今まで壬生の血を強くなるために使い続けていたために、忘れていたある一つのリスクに。

 「アキラ!しっかりしなさい!」

 「な、何が、何があったの!」

 ゆすっているが、アキラからの反応がない。意識も遠ざかろうとしている。大きな技を二つ使って疲労もピークを突破してしまったからだ。

 

 『死の、やま・・・い・・・だ、ダメ、だ』

 

 自分の体を襲っている苦しみ・・・壬生一族の死の病。それに自覚したときはもう遅かった。

 「ほら、大丈夫?」

 「アキラ、ねえ」

 二人はアキラの体を起こしてしまった。それが、二人の最も見たくないものを見えるようにしてしまった行動だった。 

 

 「ぐ、げ、げふうう!!」

 

 アキラが血の塊を吐いてしまった。

 「「え!!」」

 それを目の当たりにして、思わずアキラを掴んでいた手を離した二人。アキラの体が、そのまま地面に落ちた。

 「「え、ええ(ガタガタ)」」

 美空も光璃も体を震わせていた。どんな相手にも負けないアキラ。どんな困難も潜り抜けてきたアキラ。あの体が証明するように、強くなるために必死に頑張り続けたアキラ。彼女達にとってアキラは自分達ができないと思ったことを体を張ってやってのけるとても輝かしい存在であり、そんな存在を二人は愛するようになった。

 その存在が血を吐いて倒れた。倒れたアキラの隣にはその血の塊があった。信じられなかった。信じたくなかった。でも、現実は変わらなかった。

 「「あ、あ、アキラ!」」

 慌ててかけより左右からアキラをゆすった。

 「お、お、起きなさい!アキラ!」

 「起きて!アキラ!」

 「冗談でしょう!ねえ!」

 「私達、もう戦わないから!」

 だが、全く反応がなかった。

 「ねえ!ねえ!返事、してよ!」

 「お願い!お願いだから!」

 ついに、二人の目からは涙が出た。

 「嘘・・・こんなの嘘よ!」

 「信じたくない・・・!」

 体が左右にすごく揺らすがアキラは反応しなかった。そして、彼女達は叫んだ。

 

 「「い、い、いやあああああぁぁぁぁ!」」

 

 戦場全てに響いたんじゃないか。と思えるくらいの大きな悲鳴を出した。また力強く揺すっているうちにうつ伏せから仰向けになった。口の周りには血を吐いた後が残っていた。それを見て更にパニックになった。

 

 「「アキラあああああああぁぁぁぁぁ!」」

 

 二人の大粒の涙がアキラの顔に落ちた。だが、やはり反応はなかった・・・。

 




 アキラ、死の病がついに出てしまった。

 次で川中島は終わりです。さて・・・どうなるのか。


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七十八振り目 戻りなさい、愛する者達のところへ

 グットモーニング・・・そして、グットナイトの三MENです!

 お待たせしました!川中島最終回です!

 
 リアルの方で、驚いたことが一つ・・・冬が再来しました。せっかく解けたのに、雪が、雪がどっさり・・・。




 二人が叫ぶ少し前。

 「言っておくが、襲うんじゃないんだぜ!」

 「それはこっちのセリフっすよ!」

 「二人とも!戦いは終わりだからケンカしないの!」

 武田本陣に向かって馬を走らせる柘榴と粉雪に心。鏑矢を見て、三人とも武田本陣にいる大将の所に向かっていた。

 「粉雪~~!」

 「兎々!まだ本陣に着いてなかったのかだぜ!」

 「あのれっかい氷柱に気を取られたのれす!・・・あ!夕霧様!」

 「柿崎!何でここに!」

 敵将の柘榴がいることに驚いた兎々と夕霧。

 「御大将を迎えに行くためっす!後、戦いは終わりっすよ!」

 「分かっているでやがる。姉上の意思を無視「お姉ちゃ~~ん!」あ、薫!」

 更に薫とアキラ隊の皆がやってきた。

 「お主らも本陣に行くのか!なら余らも行くぞ!」

 「そうでやがるね。今は口喧嘩なんてしている場合じゃ」

 

 「「い、い、いやあああああぁぁぁぁ!」」

 

 その時だった。二人の悲鳴が聞こえたのは。

 「姉上の悲鳴!」

 「御大将の悲鳴も聞こえたっす!」

 「二人に何かあったのかだぜ!」

 「急ぐのれす!」

 彼女らの顔に焦りが出た。

 「よし、皆の者」

 共に行こうぞ!と一葉が言おうとした、その時だった。

 

 「「アキラあああああああぁぁぁぁぁ!」」

 

 「先に行ってるぞ!主様~~!」

 アキラの名が響いた。すると、もう一葉が先を走っていた。しかも、

 「「アキラ様に、何が!」」

 「ご主人様、すぐ行きます!」

 「ハニー!あなたの梅が助けに参ります!」

 「助ける!」

 アキラ隊の嫁達も走っていった。馬乗りがうまくないはずの詩乃や雫も今だけは夕霧レベルかと思える乗り方だった。彼女らの行動に一瞬呆然としたが、

 「夕霧達も急ぐでやがる!」

 この言葉に我に返り、彼女達も本陣に向かった。 

 

 

 同じ頃の長尾本陣。さすがにここまでは二人の叫びは聞こえない。

 「じゃあ、行くです!」

 「うん、行ってら(ドカーン!)何奴!」

 松野が馬に乗った綾那を見送ろうとした時だった。幕の一部がいきなり何かに突っ込まれたかのように崩れた。松葉と兵達は武器を抜き、綾那も馬から降りて蜻蛉切りを持った。

 

 『いたたた、百段!急げと言ったが突っ込めとは言っとらんぞ!』

 『と、とりあえず、川中島。着いたみたいだね』

 『止まり方に問題がありましたが』

 『でも、ここって何処だ?それに、何かの幕に突っ込んだみたいだけど』

 

 幕の中から聞こえた四人の声。綾那と松葉は聞き覚えがあった。

 「森のお母さん!それに時人達!」

 蜻蛉切りをしまい、布をめくるとその四人がいた。巨大な馬が四人の下にいて、それを見て思わず後ずさった長尾の兵達。

 「ん?綾那じゃないか。ここってどこだ?」

 「あの!アキラ様はどこに!」

 「急いでいるんだ!どこにいるんだ!」

 綾那を確認した三人がすぐに尋ねた。その間に桐琴が百段を瓢箪にしまった。それを見て( ゚д゚)ポカーンとする長尾の兵達。

 「アキラ?それなら、あっち」

 「武田の本陣にいるです!」

 松葉と綾那が武田本陣を指した。

 「間に合えばいいんだが」

 「時人。あんたが行きな」

 「そうですね。馬よりも早い時人様なら一番早くたどり着けるでしょう」

 朱雀は持っていた薬を時人に渡した。

 「分かった!必ず飲ませてくる!」

 「ちょ!あ、綾那も・・・って、あれ?」

 一緒に行こうと言おうとしたが、すでに時人の姿はなかった。

 「わしらの夫を必ず助けて来いよ。時人」

 その時、桐琴の背負っていた北落師門が光った。

 

 武田本陣。

 「アキラ!アキラ!」

 「ねえ、返事して!」

 ボロボロに涙を流してずっと叫ぶ美空と光璃。だが、返事がない。

 「主様!」

 「アキラ様!」

 「アキラ!」

 「御大将!」

 「姉上!」

 「お屋形様!」

 その時に全員が到着した。

 「起きてよ・・・」

 「目、覚まして・・・」

 彼女らも二人の間で血を吐いて意識を失っているアキラを発見した。

 「あ、あ、ああ、あああああ、アキラ様!」

 「ぬ、主様!」

 「そ、そんな!ご主人様!」

 「お、おお、お兄ちゃん!」

 「おおお、おおおお、お頭!」

 「あ、アキラさん!どうしたっすか!」

 皆も慌ててアキラの元に駆け寄る。一葉やアキラ隊愛妾達も涙を出した。

 「美空!光璃!何があった!」

 「・・・ひっく、アキラがなんか技を出したら」

 「・・・ぐす。急に血を吐いて、倒れた」

 「と、と、とにかく、い、医者を!」

 幽も右往左往するくらい慌てていた。全員がアキラしか見えなかったため、転がっていた紫微垣が光っていることに気づかなかった。

 

 移動中の時人。

 「く!綾那を連れてくればよかった!」

 陣のある山を下りはしたが、どっちに行けばいいのかわからなくなってしまった。焦りすぎが方向感覚を失わせていた。その時いきなり北斗七星が光り、その光が天に上った。更に、その光が自分の武器だけじゃないことに気づいた。

 「後ろの山からと向こうの山にも!ということは!」

 時人の刀の対話は、村正の武器を共鳴することができる。彼女のアキラへの想いが北斗七星に反応して合図を頼んだのかもしれない。そう思えるような現象だった。

 「アキラ!待ってろ!」

 時人は光に向かって急いだ。自分の持つ自慢の速さをフルに使い、アキラに薬を飲ませる。その為に全力で走った。

 

 『少しわかった気がする。あの時、紅虎が必死になって刀を届けたかった理由が。今の私みたいに大切な思いがあるから。だったんだな』

 

 かつての戦いの中の理由。今やっと分かって光の柱がある武田本陣に急いだ。

 

 武田本陣では、やっとこの現象に気づいた。 

 「なんなのら!この光って!」

 「まるで、気づかせるみたいに光っているような」

 それに気づけたのは兎々と心の二人だけだった。他は大切な人であり愛する人でもあるアキラの方が優先順位が高いので、気づけても意識しなかった。

 美空、光璃、アキラ隊、武田姉妹、柘榴や粉雪の全員の顔色が暗い。

 「とりあえず、ちゃんと寝かせられるところに」

 「なら、善光寺じゃな・・・そこに連れて行こう」

 幽と一葉の提案に皆頷いた。小荷駄の荷車にアキラを乗せた時だった。

 

 「アキラ~~~~~~!」

 

 時人が武田の陣を破って突入したのは。その時の皆は、時人の登場に驚く感情すらわかず何故ここにいるのか?という考えしか思い浮かばなかった。

 

 

 場所は善光寺に移された。そこには、アキラ隊から一葉と幽に詩乃と鞠。長尾から美空と秋子。光璃と春日がいた。残りは隊の撤退と後片付けがあるため川中島に残ったままだ。残りのアキラ隊も行きたがっていたが、後で合流した庵樹達が納得させた。

 布団を用意してアキラを寝かせた。

 「じゃあ、飲ませるぞ」

 時人が口に水と薬を含み口移しでアキラに薬を飲ませた。

 「ほ、本当に、大丈夫なの?」

 「多分、としか言えない。悔しいけど」

 あの後、時人はアキラが既に血を吐いて倒れている姿を見て、焦りながらだけど説明をしたが、壬生一族や死の病と言った言葉を理解できたのは半分もいなかった。ただ全員が分かったのはその薬でアキラは助かる、それだけだった。

 

 薬を飲ませた後、時人はアキラの左胸に耳をつけた。

 『どくん、どくん、どくん』

 ちゃんと心音は聞こえていた。つまり、生きているということだ。アキラのように人の身に壬生の血を入れて死の病に発病、というケースは向こうの世界でも初めてのことだが、どうやら自分達と同じみたいで時人はホッとした。

 「大丈夫だ。落ち着いた」

 「じゃ、じゃあ!」

 「薬の効果はこれからだ。同じ病を持っていた私や庵樹と同じだ。数日もすれば、病は消えるだろう」

 その言葉を聞き、心からほっとした皆。

 「良かった・・・アキラ様」

 「余も、怖かった」

 「アキラ、もう!」

 「某も、ドキドキしましたぞ」

 詩乃はボロボロに涙を流し、一葉と鞠も目が潤んでいて、幽も肩が少し降りた。

 「本当に、不安だったわ」

 「全くです。アキラさん」

 美空と秋子は、どっちもボロボロに涙を流していた。

 「アキラ、離れないで」

 「今回ばかりは、肝を冷やしましたぞ・・・全く」

 光璃も詩乃や美空同じくらい泣き、春日はほっとしていた。

 「後は、意識が戻るのを待つだけだな」

 時人の言葉に光璃は右手、美空は左手を握り、ひたすら願った。

 

 ここはある場所。

 『・・・ここはどこでしょうか。私は、死の病に侵され血を吐いて倒れたはず』

 アキラの傍に川が流れていた。そして、周辺はきれいな花が沢山咲いていた。

 『こんなところ、川中島にはない。そもそも、私は何故こんなところに?』

 周りを調べた。すると、

 『全く。ここに来ないでほしかったな』

 そんな声が後ろから聞こえた。振り返ると川の向こうに一人の男がいた。いや、その男の周りには三人の人がいた。

 『へ~~、この子か。私達の娘の想い人って』

 『早く戻りなさい。ここはまだあなたが来るには早い』

 『何しろ、吹雪があの子をあなたに託したのですから』

 『余計なことを言うな、ひしぎ』

 そのうち、二人は壬生一族との戦いの時に会った吹雪とひしぎだ。死んだはずの二人がここにいる。隣の顔立ちが似ている二人も村正と姫時だろうと察した。

 『ここは、三途の川?』

 『ほう、私達がいるから理解したみたいですね』

 『私、ここに来たときは大パニックになったのに』

 『姫時のボケは置いておいて・・・何故おまえがここにいる』

 吹雪の視線が鋭い。時人をおいて、ここにいることに怒りがあるようだ。

 『落ち着いて吹雪。ところで、あなたは人間のはずなのに私達と似た感じがします。どういうことですか?』

 ひしぎの言葉にアキラはそれなりに説明して、最後に玄武を使ったら死の病が発病して倒れここにいたことを話した。

 『なるほど、お前が無明神風流を』

 『人の体に壬生の血ですか。考えもしませんでしたね』

 『でも、薬があるなら何とかなりますね。死の病が発病したということはあなたも壬生一族と同じになったということ。あの子達がそれを忘れるはずがありません』 

 『うんうん!多分、今頃あなたに薬を飲ませているんじゃない?』

 さすが村正姉妹。察しが鋭かった。

 『早く戻りなさい・・・私の隣の父親が更に激怒しますよ』

 『誰のことを言っている、ひしぎ』

 『あなた以外にいるかしら?ねえ、兄さん』

 『そうですね、ふふふふ』

 『やれやれだ、頭が痛い』

 『・・・これが太白の言っていた幸せだった壬生、ですか』

 思わず笑ってしまい、川と四人に背を向けた。

 『では、失礼します・・・あと』

 『『『『??』』』』

 『もう、来るつもりはないので、安心ください』

 『当然だ』

 そう言って歩き出した。しばらく歩いていると、アキラが光輝きこの場から姿を消した。だが、消える前に吹雪が何か光をアキラに放った。

 『さて・・・これでいいか』

 『これは、時人と子供を作ってもらわないといけないわね~。ぱ~ぱ』

 『楽しみですね。時人に朱雀。あとは、庵樹でしたっけ?どんな子を産むのか』

 『吹雪はどんな名前がいいですか?』

 『・・・お前ら、いい加減にせんか!』

 からかい口調の三人に、吹雪は怒鳴った。

 『ところで吹雪。さっき何をしたのですか?』

 『そうね。一体何をしたの?』

 『・・・大したことはない。ただ』

 『『『ただ?』』』

 『あいつの顔をしっかり見てほしいと思っただけだ』

 ?を出す三人を放っておいて、吹雪は歩いた。

 

 アキラは再びあの世界に戻ってきたが、魂のままだった。しかも、出てきた場所は川中島ではなく田楽狭間の上空だった。

 

 『ここから私の物語が始まった・・・まだ終わらせるわけにはいきません。終止符ははるか先です!』

 

 川中島へ向けて飛んで行った。その途中で長い集団を見つけ、その中に見覚えのある顔を見つけた。

 『久遠』

 馬に乗って自分と同じ方向に進んでいる。だが、顔色が少し暗い。

 『ふむ、ここは一つ』

 愛する妻に向かって降り始めた。

 

 その久遠は馬の上で不安だった。あることの為にみんなと一緒にある場所に向かっている。その場所には自分の大好きな人がいるが、あの三人の話で不安だった。

 『アキラ、無事、だよな?』

 一瞬、本当に一瞬だった。何かが自分の中を通り抜けた感覚があった。

 

 『待ってますよ。久遠』

 

 愛する人の言葉が確かに聞こえた。思わず、周囲を確認したが姿はない。だけど、絶対に聞こえた。いきなりの行動に傍にいた壬月と麦穂は疑問だったが、

 『ああ、待っていろよ!アキラ!』

 すぐに笑顔になった久遠を見て、気のせいと思った。

 

 その時アキラは気づいていなかった。いや、魂の状態だから気づけなかったのかもしれない・・・自分のまぶたが開かれていることに。

 

 川中島の善光寺では、まだ起きないアキラを見守り続ける皆がいた。

 「いつ、起きるの?」

 「分からねえよ。でも、死なないから大丈夫だ」

 「・・・起きるならいいわ。光璃、やりましょう」

 「・・・うん」

 まだ暗い顔をしているが、この善光寺に来たもう一つの目的をすることにした。長尾と武田の戦いを停戦、武田も同盟に参加することだ。その為に一葉と幽がいるのだ。

 「主様のこともあるが・・・戦いはもうしない。でいいな」

 「もう、アキラに・・・あそこまでしてほしくない」

 「光璃も同じ・・・あれはもう見たくない」

 やはり、アキラの吐血が大きな衝撃だったのだろう。両者、共に頷いた。

 「アキラ様は常に体を張るお方。でもここまでとは思いませんでした」

 「ああ、夫殿の強さは知っていたが、体の中がそうなっているとはな」

 「アキラさん。もう、心配させないでください」

 詩乃に春日、秋子もそれぞれ不安を感じながら、寝ているアキラを見ていた。

 「大丈夫なの!絶対に戻ってくるの!だって・・・私達をおいていかないの!」

 鞠の言葉に、全員が少しだけど笑顔になって頷いた。

 「うむ、後は待つのみじゃ!・・・二人ともどうじゃった?試し合いは?」

 一葉の言葉に二人は見つめ合った。二人が戦いをした理由はそれだった。自分の夫にふさわしい妻になっているかを見極めるためだった。

 「合格よ」

 「光璃も」

 だけど、二人はアキラを見て何か言いたげでもあった。

 「どうしたのじゃ?お主ら?」

 「あいつの妻。私達はそれで満足していたのかもしれない」

 「アキラの事を愛してずっと一緒にいたい。そう思っていた」

 「でも、これ以上あいつがこうなるのはごめんよ」

 「うん。これからは私達がアキラを守る番」

 二人は自分達を愛して守ってくれるアキラに、依存していたのかもしれないという考えを持っていた。それじゃあ、ダメだと思ったのだ。その言いたいことはこの場にいる妻達も理解した。

 

 「うん!皆でアキラを包んであげるの!」

 

 鞠の言葉に全員が頷いた。そして、武田勢も同盟に参加する意思を表明した。

 

 

 無事和平会談も終わりを迎えた時だ。アキラの体にめがけていきなり上から光がやってきて体に入った。

 「!!な、なに!」

 「あ、アキラ!」

 皆が驚く中、アキラの体が動いた。声も小さくだが聞こえた。

 「アキラ!」

 時人の叫びに全員が息をのんだ。

 

 「・・・ん。ここは」

 

 アキラが体を起こした。皆、何も考えられなかったが、すぐに笑顔になった。

 「あ、あ、アキラ!」

 「よ、よかった・・・」

 手を握り続けていた美空と光璃は涙を流した。

 「アキラ、よかった!」

 時人がアキラに抱き着くのを見て、我慢ができなくなり一斉に抱き着いた。

 「主様、主様」

 「アキラ様。いなくならないで・・・そう言ったのに!」

 「うえええーん!アキラ~アキラ!」

 アキラ隊の三人は絶対に離すものか!と言わんばかりに抱き着く。

 「アキラさん。妻を悲しませて・・・・ううう!」

 「お屋形様の悲しむところは、もう見たくないですぞ」

 「某も、公方様の涙は初めてです」

 抱き着かなかった秋子と春日と幽も目に涙を浮かべていた。

 「あの、落ち着「無理!」即答ですか?」

 抱き着かれた時にアキラは一つおかしいことに気づいた。皆はアキラが戻ってきて嬉しすぎて気づいていなかった。

 

 『目が、見えている?まぶたが開いている?』

 

 アキラの二つのまぶたが開かれていた。これが三途の川で吹雪のしたことだ。娘の顔をちゃんと見てほしいというちょっとした親心だったのだ。だが・・・これが一つの副産物を生んだ。

 「もてもてですな」

 「ああ、本当にな」

 「ううう、私も抱き着きたい」

 「あのですね。ちょっとは助け・・・」

 いつもの感じに戻った幽に春日、うずうずしている秋子に一言言おうとしたが、三人を見て絶句した。

 「何か?」

 「拙がおかしいですか?」

 「あれ?アキラさん?」

 何と超視野化が弱いながらも発動していて、三人の服がない状態に見えている。つまり、全裸が見えるのだ。

 『まさか!』

 抱き着いてきた四人と手を握っている二人も見た・・・やはり全裸だ。しかも、

 「何か光が落ちたのですが!」

 「ハニーは大丈夫ですの!」

 「アキラは!」

 「ご主人様は無事ですか!」

 「おい!どうしたのじゃ!」

 「アキラ様!朱雀です!」

 外で待っていたアキラ隊の愛妾達がやってきた・・・やっぱり皆も全裸だった。

 

 「な、な、な、皆さん!来ないでください!」

 

 彼女らの肌を感じて、愛を確かめ合って、その時に見たが、ここまで多いと恥ずかしい。彼女らを振り払い布団をかぶったが、それでも見えたので目を閉じてやっと見えなくなった。

 その後、唯一超視野化のアキラと戦ったことのある時人だけが、何を見ているのか分かった。体を隠しながらアキラが皆の裸を見ていたことを話してしまった。そこからまた小さな一波乱があったのだが、アキラが思ったことはただ一つ。

 

 『ただいまです・・・皆』

 

 必死に目を閉じて、我先に裸を見せようとする妻達の追及に耐えながらも笑顔でそうこっそり思った。

 

 

 川中島の戦い無事停戦。長尾、武田和平成立。武田、同盟加入。

 




 長尾・武田停戦完了です!

 特別編で出したあの四人をまた出しました!正直出す事をこれを書くまで考えていなかったのですが・・・途中から一回きりは寂しいなと思い、出しました!

 タイトルの盲目じゃなくなってしまいましたが・・・このままいきます!


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七十九振り目 心配かけました・・・が逃げます!

 
 グットモーアフタニング!三MENです!

 本章、この話だけやってその後の間章やって七章を終えたいと思います!

 躑躅ヶ崎館に着いたアキラ隊の様子・・・というか暴走です。


 川中島で長尾と武田の和平が成立し、武田も久遠の同盟に参加することになった。その会談も無事に終了して、武田とアキラ隊は躑躅ヶ崎館に向かって出発した。

 兵を越後に戻さないといけないため、美空達とは一端別れることになったが、美空と秋子はアキラの服を掴んで離れようとしなかった。だが、柘榴に言われしぶしぶ離れるしかなかった。

 

 だが、それは些細なことであり一番大切なことは

 

 「(-_-)zzz」

 

 荷台で眠っているアキラだ。あの後、そのまま眠ってしまいその姿を見て心底ほっとした彼女達。でも、病はまだ治療中のため安静にすることが大事なので、越後にいたアキラ隊メンバーが最もしたかった閨を感知するまで禁止になった。

 

 『ううう~、主様に可愛がってもらえると思うていたのに~』

 『公方様。我慢です・・・某も我慢しております』

 『お頭の体が第一ですからね。ころちゃん、また二人で抱かれようね』

 『そうだね。今は自慰で我慢だよ』

 『そうですわ!ハニーが完治したら、私達を満足するまで抱いてくれますわ!』

 『お姉ちゃん!雀達、大丈夫かな!』

 『・・・(っぐ)』『頑張ろう?うん!そうだね!』

 『アキラ!鞠も抱いてほしいの!』

 『うむ!越後以来じゃから、思いっきり搾り取ってやる!』

 『アキラ様、朱雀は我慢しませんからね!』

 『う~ん。今回ばかりは私も参加しようかな』

 『時人、遠慮はいらないさ。たくさん甘えよう』

 

 館に戻るまでの間、甲斐で抱かれた六人の妻以外は妄想で涎を垂らす者もいれば、夜に自慰で慰める者もいた。というか綾那・鞠・雀・烏以外の全員だった。

 

 数日後、館に到着した。到着した日は疲れもあってすぐに眠ったが、次の日朝早くアキラは庵樹と二人っきりで部屋にいた。その数日の間もしっかり安静にしたので、日常生活には支障がないくらい体力は回復した。

 

 「・・・うん。大丈夫、もう少しで完全に治るね」

 

 完治したかわかるよう灯から診察の手ほどきを受けていた庵樹がアキラを診て、笑顔で頷いた。

 「そうですか。ありがとう庵樹」

 「礼を言わないでくれ。もとはと言えば、すぐにやるべきことなのに・・・あんたに会えて浮かれてしまった私達が」

 「いいのですよ。ちゃんと薬を飲むことはできましたから」

 「・・・ありがとう」

 暗くなりそうだった庵樹の頭を撫でて、彼女を慰めた。

 「移動中はずっと寝ていましたが、今日からは大丈夫ですか?」

 「ああ、手合わせも問題ないさ。ただ、ガチになるのと血の力を使うのだけはまだ禁止だよ」

 「それくらいわかっていますよ。でも、やっとなまった体を鍛えなおすことができるのですね!」

 やっと強くなる道を、また歩けることにうれしそうなアキラ。そんな彼に庵樹がちょっと疑問そうな顔で訊ねた。

 「いつまで目を閉じているんだい?」

 「・・・超視野化の力をしっかりコントロールできるまでは」

 吹雪の一件で盲目じゃなくなったが、超視野化がまだコントロールできてないため目を開けると全員の裸を見えてしまう。その為、しばらく心の眼だけで生活することにしたアキラ。

 「本当は女の裸を見れて嬉しいんじゃないのか?隊の皆だって喜んで見て欲しいだろうし・・・そ、それに、私だって」

 「いえ、男の裸も見えるので、それは見たくないです」

 「・・・あ、そうか」

 善光寺の時は女しかいなかったが、今は男の兵達も大勢いる。彼らの裸を見るのはさすがにごめんだ。

 「と、とりあえず、診察ありがとうございます」

 「ああ。コントロールと・・・まあ、頑張りな」

 「??ええ」

 一部聞こえないところもあったが、庵樹に礼を言って部屋を出た。

 「今日から大変だよ、アキラ。夜以外もね」

 この後どうなるか分かっている庵樹は苦笑いをして、診察道具をしまった。

 

 まず、光璃に会うために、評定の間に向かった。長尾の使者が来るのでその相談をしていた。間に入ってきたアキラの姿を見て立ち上がった光璃。

 「あ、アキラ!(ぎゅ)」

 涙を流しながら、走ってアキラに抱き着いた。

 「どうしたのです、光璃」

 「も、もう、大丈夫。なの?」

 「ええ、まだ完治はしてませんが、もう大丈夫です」

 「良かった(ぐす)本当に」

 アキラの服を掴み、ボロボロに泣いた。

 「光璃・・・心配かけてすいませんでした」

 アキラの姿に他に妹や家臣達も涙ぐんだり、ホッとした顔をしていた。

 「本当に、心配したでやがるよ。特に、血を吐いて倒れている兄上を見た薫がどれだけ動揺したか」

 「でも、それは夕霧お姉ちゃんもでしょう」

 「春日の焦る姿も見ものだったぜ」

 「その言葉、そっくり返そうか。粉雪」 

 「ふふん!二人ともまらまられすね!兎々は」

 「お屋形様の泣く姿に、焦って走り回っていたでしょう?」

 「そ、それは、言わないれほしいのら!」

 笑顔になっていく皆。やはり、彼女達も相当心配していたようだ。

 「あと少しで治るらしいのでそれを伝えようと思ってきました。では「アキラも一緒に会議する」え?」

 間から出て行こうとしたアキラを、光璃がギュッと掴んで離さなかった。

 「お願いでやがる。ずっと悲しんでいたので離れたくないでやがるよ」

 「私からもお願い!」

 妹二人も頭を下げた。結局、話し合いが終わるまでずっと光璃はアキラの手を離すことはなかった。アキラに抱き着いたり、膝に座ったりと少しでも温もりを感じたい行動をとった。

 

 話し合いの後も光璃は離れようとせず、捨てられた子犬が「お願い、拾って」というような眼差しに断り切れず彼女の部屋の前まで一緒だったが、

 

 「主様!今度は余らだぞ!」

 

 無理矢理一葉が光璃からアキラを奪い取って、アキラ隊の部屋に連れてこられた。

 「アキラ様、お待ちしておりました」

 「お頭!絶対に抱いてもらいますよ!」

 「私も参加させてもらいますぞ」

 「覚悟しろよ、旦那様!」

 「もう、もう、我慢できません!」

 そこにはアキラ隊全員がいて、皆が襦袢だけになっていた。それが色っぽく見え、巨乳派の桐琴や朱雀に一葉はワザと着崩しておっぱいを見せていた。

 「余らの想いと心配と、我慢の限界を超えた愛欲を受けてもらおうか!」

 「ごめんです!」

 まだ昼にもなってないのに、襲う気満々の彼女ら。急いで逃げだしたが・・・。

 「「「「逃がさない!」」」」

 彼女らも全員追いかけてきた。既に欲情していた人達もいて、何人かは足元が濡れていたが気にしないで追いかけてきた。半裸状態の彼女らを見た兵がビックリしていた。

 「ふははは!余らは止まらんぞ!主様に抱かれるまでは!」

 「ハニー!受け止めてください!この欲情(おもい)」

 「アキラ、各務をめちゃくちゃにして!」

 「ごめんなさい、ご主人様。私も、私も、抱かれたいです!」

 「アキラ様、お願いです!巨乳にしてください!」

 アキラが鬼の躑躅ヶ崎館での鬼ごっこが始まった。

 

 「はあ、はあ。ひと先ずはここで」

 まずアキラが逃げ込んだのは、心がいる台所だった。

 「すごかったですね。こ、怖かったです」

 米の入れている壺の陰に隠れていた。そこにやってきた詩乃と雫、ひよところが目を血走らせてアキラの居場所を聞いたのだが、聞かれた心は恐怖に捕らわれながらもいないと言うと四人は出て行った。

 「お、鬼よりも怖かったです」

 「本当に、すいません」

 静かに陰から出たアキラ。そのアキラに話しかける心。

 「でも、それだけ不安だったということですよね」

 「それは分かっているのですけど・・・話を聞く姿勢を持ってくれれば」

 「あ、あははは」

 心が苦笑いをした。あの四人の形相を思い出し、アキラの逃げたい気持ちを理解した。そこに粉雪がやってきた。

 「お~い、ここ~って旦那!ここにいたのかだぜ!」

 「ええ・・・できれば内緒でお願いします」

 「あ、ああ。でも、できるだけ早く諦めてくれよ。歌夜と各務に桐琴さんに会ったが、殺されるかと思ったんだぜ。ううう、怖かったんだぜ~~(ガクブルガクブル)」

 「こ、こなちゃん!」

 その場で、恐怖で震えた粉雪。

 「で、では、失礼します」

 「は、はい。頑張ってください」

 「・・・逃げ切っての頑張れですか?それとも諦めた後の頑張れですか?・・・聞かないでおきましょう」

 肩を落として、台所を後にした。

 「ごめんなさい・・・後者のつもりで言いました」

 「ううう~、怖いよ~。怖いよ~(ガタガタガタガタ)」

 謝った後、震えが止まらない粉雪をよしよしと慰める心だった。 

 

 アキラはある場所に移動した。

 「小波がここにいないなんておかしいですね?」

 そこは天井裏だった。ここだと小波か各務に発見されるかもしれないが、その場で抱いた後で口止めをすればいい。場所が場所だけにアキラを見つけられるのはその二人だけだ。誰にも見つからないという選択肢を諦めて、見つかる人数を最少人数にするという選択肢にしたのだが・・・二人ともいなかった。そこで、

 「・・・そこのあなた。話し相手になってくれませんか?」

 「・・・!」

 見張りの草がいるのは知っていたので、その人に話しかけて暇を紛らわせようとしたのだが、すぐに移動するべきだった。とこの後すぐに思い知った。何故なら、

 「ご主人様!」

 小波がいきなり現れて、足を掴んで天井裏から降ろされたからだ。

 「こ、小波?」

 小波らしくない行動に驚いたが、もう後の祭りだった。

 「見つけたぞ、主様!」

 「やはり、小波に頼んだのが正解でしたね」

 「はい、アキラ様・・・私達の心配を、想いを、受け取ってください!」

 一葉を筆頭に、ばらばらで行動していたはずの妻達が集合していた。部屋全部に布団が敷かれており、もうヤル気満々だ。

 「さあ、お頭!」

 「やりましょう!!」

 「アキラ様、詩乃は離れません!」

 「ハニー!」

 「アキラ様。私、雫を巨乳にしてください!」

 「主様、ふふふ、ぐふふふふ!」

 「アキラ殿、某も頼みますぞ!」

 「アキラ!温泉の時みたいに頼むの!」

 「・・・」「二人ともお願いと雀もお姉ちゃんも言ってます!」

 「かかか、ワシと一緒に明日の朝日までやろうぞ!」

 「各務とも朝日を見よう!」

 「あの。私も・・・歌夜ももう、やりたくてやりたくて」

 「アキラ様!何をやるのか教えてください!」

 「ご、ご主人様。すいません・・・今だけは女として抱かれたいです」

 「アキラ、いいだろう」

 「そうです。全員の相手、お願いしますね」

 そこには庵樹以外の全員がいた。前後左右上下、すべてにおいて逃げ場がない。冷や汗を流しまくるアキラの前に全員が一言ずつ言った。それは、彼女らの本心だった。

 「アキラ様。私達はあなたがいないとだめなのです」

 「そうですよ、お頭!お頭がいないと、生きていけません」

 「大げさじゃないんです!本当にいてくれないと(ぐす)」

 「ハニー、血まみれで倒れていた姿を見た時、とても怖かったですわ!」

 「お願いです。妻を、おいていかないでください!」

 「その通りじゃ。余らはアキラがいるからこそ、生きる意味があるのじゃ」

 「そうですぞ。某達はもうあなたにぞっこんなのですから」

 「・・・(ぐす)」「傍にいてほしい。と雀もお姉ちゃんも言ってます!」

 「アキラ!皆の言う通りなの!」

 「アキラ様。綾那達の前からいなくなるですか?やめてほしいです!」 

 「綾那の言う通りです。いなくならないで、ください。ううう」

 「ご主人様。私は、ご主人様以外の人のそばにいたくありません!」

 「お願い。アキラの全てを感じさせて」

 「そうじゃ、わしも妻じゃ。夫とは一緒に死にたい」

 「背中。まだあるよな。追いつけるよな?」

 「アキラ様。死んだら朱雀は自殺します」

 それを聞き、諦めるしかなかった。本気の想いだからこそ、受け入れるべきだと実感したからだ。

 「さあ、私達の想いを受け止めてください」

 詩乃の言葉で全員が肌襦袢を脱ぎ全員が裸になった。

 「私達の、気持ちを見てください」

 ひよの言葉で全員がその場でうつ伏せに寝転んだ。

 「アキラ様の、想いを私達に」

 歌夜の言葉で尻をアキラに向けて高く上げた。

 「滅茶苦茶に、してくれ。余らはそれを望んでおる」

 一葉の言葉に全員が女性器・・・あの割れ目を広げてアキラに見せた。

 「アキラ・・・頼むよ。お前の温もりを私達に、くれ」

 最後の時人の言葉に全員が頷いた。彼女らのいなくならないでほしい本心を聞いて、夫として受け止める覚悟を持ち

 「分かりました。いきますよ・・・寝かせませんからね」

 夫の愛を彼女達にプレゼントしていった。

 

 次の日、完全に真っ白になって指すら動かせない状態になった。まだ眠っていなかった幽に昨日はどうやって自分を捕まえたのか確認すると、まず自分達がいくつかの集団で行動していると思わせるために、四天王達にアキラの場所の確認を実際にしたすぐその後に全員がこの部屋に集まったのだ。アキラなら彼女らに会って自分達がどう動いているのか確認すると思ったからだ。

 その後は小波に頼んで伊賀衆の何人かに頼んでアキラを探してもらって、見つけ次第句伝無量で居場所を連絡してもらい小波が捕まえに行く。という作戦だったらしい。自分達の集まっている上の天井裏にいたことだけは予想外だったようだが。

 

 『この館にいる草は、全員武田の草と思い込んだ時点で私の負けということだったということですか』

 

 二条館や越前・越後で共に戦った兵の皆ならともかく、草の方はアキラは小波以外は会ったことがない。だから、あの時の草が隊の草と気づけなかった。アキラの思い込みを利用した両兵衛の作戦に素直に敗北宣言をした。

 

 

 皆、満足そうに嬉しそうに寝ている。さっきの幽も既に眠りについた。彼女ら全員の裸体に白いねばねばしたものがかかっているのは気のせいだ。下半身にある割れ目からも同じようなものが流れているのも気のせいだ。

 「・・・やれやれ、こうなっていると思った」

 「た、助けて、くだ、さい」

 唯一参加しなかった庵樹があきれ顔で部屋にやってきた。

 「あんたのことだ。全員の想いを聞いて相手をするしかない。と思ったんだろう?」

 「・・・・・・はい」

 反論できないアキラに庵樹は笑った。

 「ふふふ。まあ、だから好きなんだけど///」

 アキラの体を起こし、隣の部屋に向かった。アキラは着替える体力もなかったので全裸のままだった。

 「ここで休みな」

 その部屋はやってきたアキラ隊の皆に充てられた部屋だった。既に布団が敷かれていた。庵樹はこうするつもりだったのだろう。

 「ありが、とう、ござい、ます」

 「礼は・・・今度デートと私を抱いてくれれば・・・な」

 照れながらそう言う庵樹に頷いたが、布団に入るとすぐに眠りについた。

 「本当に、こいつは心配させることしかしないやつだな。時人から血を吐いて倒れたと聞いたときは、その場で崩れ落ちたことも知らないんだろうな・・・絶対にいなくならないでくれよ。頼んだよ」

 アキラの頭を持ち上げ、膝枕をした。

 

 「お前は、私達の心の中にいるんだ。ずっと一緒だ」

 

 愛おしい眼差しで、アキラの頬をさすり、その手が唇に着いたとき自分の唇に持っていった。

 「これくらい、いいよな・・・ふふ(〃´∪`〃)ゞ」

 庵樹は顔を赤くして、もう一回間接キスをした。

 

 

 ある大きな屋形で・・・。

 「あのバカ娘は越後の手を組んだ?ふん、甘すぎるところは相変わらずか」

 ある一人の女性の声がした。その人・・・いや、その者から漂う悪の気配。傍には一匹鬼がいて、そいつから報告を受けていた。

 「この世は力が全て。何でも力づくでやるのが一番。そんなこともできない癖してよく当主などやっているものだ。逆らうものなど殺せばいい」

 「そういえば下山近くにいた鬼達が全滅したという話。一体だれがやったんだ?百以上いた鬼を倒すなど、数百くらいの兵がいないと簡単にできることじゃない。ましてや、手出しさせずにいたあのバカ娘がそれをやるとは思えない」

 「はあ?たったの四人だと!ばかばかしい、そんなことありえない。人が鬼に勝てるはずがない・・・本当だ?うるさい、貴様。これ以上口を開くな。殺すぞ」

 その殺気のある目つきに鬼はいなくなった。

 「さて、駿府もおおよそ手中に収めた。そろそろバカ娘に教えてやろうか。力がどれほど素晴らしいか。鬼の力を得たこの私こそが選ばれたものだということをな。くくく、吉野の御方の命により、親不孝な逆賊を討とうぞ」

 その者、人間であった頃の名はこういわれた。

 

  武田信虎・・・と、

 




 では、第七章の本章終了です!

 ドタバタで終わるのがアキラ隊らしいし、ひかみんも妻の心配と想いを持ってアキラと接するようになりました。

 後は間章です!

 当然、エロを入れますぜ・・・くくく、お楽しみに!


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間章20-1 夫婦円満。夫婦愛満。 R-18

 
 ( ゚Д゚)ネムヒー・・・な三MENです。

 仕事終わりで疲れました。でも、これが本当にいい気分転換です。

 今回は原作の間章は一つだけです。次回もそのつもりです。

 まずは当主様です。




 庵樹の膝枕で眠っている時に愛妾達が戻ってきた。

 

 『あんた達は抱いてもらって十分に満足しただろう。今は私の番だよ』

 

 羨ましそうな視線を送っていた愛妾達だが、彼女の文句で諦めるしかなかった。その間も眠り続けたアキラが起きたのは、晩飯前だった。朝はおろか、昼すら食べてなかったのですっかり腹が減った。

 「アキラ様。ご飯の準備が整いました」

 「お兄ちゃん!こっちだよ!」

 詩乃と薫が迎えに来て、案内されるがまま行くと少し大きな部屋に着いた。

 「「お頭!お待ちしておりました!」」

 「アキラ様!早くついてください!綾那、食べたいです!」

 「う~む、酒はないのか。それが残念じゃ」

 「そうじゃな。せっかくの無礼講なのに」

 「公方様も桐琴様もあの時の悲劇。また起こしたいのですか」

 「そうです。あの悶々とした夜を過ごすのはごめんです」

 「「すまんかった」」

 部屋には全員が座っており、食事の用意がされていた。一葉と桐琴の二人は何で朱雀と歌夜に謝ったのかが、アキラには疑問だった。

 「アキラ様、こちらに」

 詩乃の隣に空いている席がある。そこがアキラの席らしい。先走りそうな綾那も我慢していたということは、

 

 「では、無事、アキラ隊全員集合できたということで・・・いただきます」

 「「「「いただきま~す♪」」」」」

 

 隊全員で食べようと決めていたようだ。いただきますを言って皆が嬉しそうに食事を食べているが、皆必ずアキラの姿を見ながら食べている。やはり、アキラと一緒に食事ができることが嬉しいのだろう。

 

 『昔ならうっとうしいと思えることも・・・今はとても嬉しいですね。私の帰りを待ってくれる人がこんなにたくさんいる。それを実感できるのですから』

 

 アキラも笑顔で食事を始めた。もちろんいろんなところから雑談も飛ぶ。梅が寂しかったことや、貞子が光璃の名前の付いた藁人形を打っていたことや、酒が入って思わず皆して自慰をしていた。など様々だ。

 「余が美空と出陣をしようと言ったから!今こうして主様と「だったら、アキラ様との連絡ちゃんとしてくださいよ!」「そうですよ!お守り取り上げて!」・・・う」

 その中で、この食事会の手柄は自分にある!と言いたそうな一葉だが、ひよところに説教を受けて反論できないようだ。隣にいる幽も「自業自得ですな」と助けるつもりはないようだ。

 

 そんな時ちょっと離れたところにいた薫が声をかけてきた。

 「お兄ちゃん。どう?おいしい?」

 「ええ、おいしいですよ・・・もしかして、これは薫が作ったのですか?」

 「うん!私が作ったの!」

 「そうですか。上出来ですよ」

 「えへへ~、よかった~!」

 「やはり、料理はできるようになれた方が・・・」

 アキラに褒められ嬉しそうな薫を見て、詩乃は羨ましそうに見ていた。

 「アキラ様は料理ができる女性は好みですか?」

 そこで彼女が、単刀直入に聞いてきた。その途端、皆の箸が止まって『ギロ!』と殺気すら感じられそうな視線がアキラに飛んできた。興味がなさそうな桐琴すら耳をダンボにしていた。

 「いいえ、そんなことはありませんよ・・・ただ」

 「「「「「ただ?」」」」」

 「味見をして人に出せる料理を作れる女性が好きですね」

 その後の料理できない組の行動は早かった。

 「雫、今度料理を教えてください!」

 「え?それならころさんの方が」

 「おやおや?詩乃さん、私は出来ますよ?ふふふ、私が教えましょうか?」

 「結構です!(バチバチ)」

 ライバルの火花が散った。そして、こちらの方でも火花が散った。

 「幽!余に料理「お断りします」何故じゃ!」

 「何故って、某はアキラ殿を殺したくありません」

 「何!余の料理はそんなにひどいというのか!」

 「はい!」

 幽の迷うことない断言に一葉の怒りは最高潮に達し、文句の言い合いになった。

 

 そんな騒がしくなってきた風景を見て薫は( ゚д゚)ポカーンとしていた。

 「薫。どうしました?」

 「ううん。賑やかだな~っと思って。お姉ちゃんや春日達と食事することはあるけど、こんな賑やかで楽しそうなのは見たことがなかったから」

 彼女の前には配膳がない。最初に気づいたのは鞠だった。

 「ね~ね~、薫は一緒に食べないの?」

 「え?でも、薫・・・アキラ隊じゃないし。武田だよ(オドオド)」

 そわそわしているが、遠慮しがちな薫にアキラが遠慮なしで言った。

 「ははは!何を言っているんですか。ここにはアキラ隊じゃない隊もいますよ」

 「はい!雀達は八咫烏隊です!」

 「・・・(コクコク)」「気にしないで、とお姉ちゃんが言ってます!」

 「棟梁引退したが、一応今も森一家じゃな」

 「私も、心はアキラ隊だけど」

 彼女達がそう言うと、ほかの皆も後押しをした。

 「だから、薫さん。そんなこと気にしなくていいのですよ」

 「詩乃さんの言う通りですわ!」

 「私は播州の姫路衆でしたが、そこからアキラ隊に入った身ですし」

 「大将の誰かさんがそんなことをまったく気にしない人ですからな~」

 「うむ!さすが、主様!」

 「・・・褒められていると受け取っておきましょう」

 詩乃達の言葉に目が輝いた薫。

 「私や綾那も越前までは松平にいましたが、越後でこの隊に入りました」

 「です!殿さんも大切ですけど、アキラ様も大切です!」

 「御覧の通り、織田に足利、姫路に松平などいろんな人がこの隊にいます」

 「他の勢力だから、というのは考えない方がいいよ」

 「ああ。幽の言った通り、気にすることすらしないからな」

 歌夜や朱雀達の言葉で気持ちもすっきりしたのか

 「じゃ、じゃあ・・・お兄ちゃんいい?」

 ようやくこの言葉を言った。頷くと、笑顔で自分の分を取りに行った。

 「やった~~!薫とご飯なの~~(((o(*゚▽゚*)o)))」

 「良かったですね、鞠」

 鞠の頭を撫でていると、皆が集まって何やら話をしていた。

 『お兄ちゃん?確か、お市様もそう呼んでいたような』

 『アキラ様がお兄ちゃんか~~。うん、そんなそんな感じだよね』

 『それにしても・・・お兄ちゃんはちょっと強敵ですわね』

 『そうですね、薫様もアキラ様の事を・・・今まではお市様だけでしたから油断してました』

 『あれ?雀もそう呼んでるんだけど』

 『アキラ様、お兄ちゃんですか?』

 『綾那、そういう意味じゃなくて・・・でも、頼りがいのある兄って感じですよね』

 『・・・そうだな。なんかわかる気がする』

 『ふふ、時人って時々寂しくなってアキラに抱き着いて寝たりしたよね』

 『はい。兄に甘える妹のようでした』

 『///よ、余計なことを言うな!』

 『あの~皆。雀もお兄ちゃんって呼んでいるんだけど』

 『・・・』『諦めなって、お姉ちゃん、慰めになってないよ』 

 「お兄ちゃん?鞠!お兄ちゃんができたらうれしいの!」

 会話の内容が聞こえていたようで、鞠が嬉しそうに抱き着いてきた。そこに、食事を持って戻ってきた薫。珍しく、詩乃がアキラの隣を譲って

 「じゃあ、いただきま~~す!」

 嬉しそうに薫もいただきますを言った。

 

 「失礼するでやがる」

 楽しい食事もあっという間に終わったところに夕霧がやってきた。

 「あ、お姉ちゃん!どうしたの?」

 「兄上に姉上が用があると言っていたので、呼びに来たのでやがる」

 「私ですか?」

 「そうでやがる。川中島のことについて聞きたい。と言ってやがりました」

 「なるほど、私一人で十分ですね」

 「え?薫は行かなくていいの?私も呼ばれていると思ったけど」

 「いいでやがるよ。呼ばれていたけど、兄上とずっと一緒でしたからな」

 それを聞いて、薫は鞠に手を引っ張られ「遊ぶの!」と言われて嬉しそうだ。そんな中、アキラは一人の人物にターゲットを絞った。

 

 「ころ、あなたも来てくれませんか」

 

 武田から違う意味で注目されているころだ。アキラに呼ばれてキョトンとした後、 

 「は、はひ!な、にゃんで!」

 案の定ビックリした。

 「ころちゃん、猫が入っているよ」

 「えっと、アキラ様。何故、ころさんが?」

 もちろん、みんな不思議がっている。思惑通りの展開にニヤリとした。

 「雫、それはですね・・・光璃が会いたがっているからですよ」

 「「「「は?」」」」

 その言葉に、ほぼ全員が言葉を失った。

 「ほう~、あやつがころにな」

 「ええ。ころ殿は優秀なお方。しっかり目をつけるとは、さすが光璃様ですな」

 「かかか、一国の主が注目するほどの人物だったか!」

 一葉、幽、桐琴だけはいつも通りだ。

 

 「は、はああああああ!!!\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?\(◎o◎)/ワタシハコロコロ!」

 

 そんな中、ビックリしたころは自分を見失った。

 「ころさん、落ち着いて!」

 「そうです!しっかりするです!」

 「っは!ふう~、歌夜さん、綾那さんありがとうございます」

 深呼吸をして我に返って、すぐにアキラに問いかけた。

 「ど、ど、どうして!どうして、私が!」

 「武田家の棟梁として、木曽川を牛耳っている川並衆の棟梁に興味あるそうです」

 「と、と、棟梁の格が、とんでもなく違うじゃないですか!」

 汗を流しまくって、顔も百面相しながら驚いた。

 「ころちゃん、いいじゃない。光璃様に注目されるなんてすごいよ!」

 「だったら、ひよ!変わってよ!そんな、いきなり会うなんて・・・」

 思っていた通りの反応だった。

 「今回はやめますか?機会はまだありますし」

 「そ、そうしてください。(す~は~)心の準備ができたら」

 「何を言っておる。公方たる我に説教と文句を言えるころがそのようなものをする必要はなかろう」

 「いえ、公方様。暴れまくって呆れまくることしかしないあなたと光璃様では見方は相当違ってきますよ」

 「なんじゃと、幽!余より光璃の方が偉く見えると言いたいのか!」

 「そのようなことは誰も言っておりませんよ」

 「だったら、目をそらすな!」

 だが、幽の言葉にはアキラ隊全員が内心頷いていた。光璃を待たせるわけにもいかないので、二人は部屋を出ようとした。

 「そうだ!ころちゃんって、料理が上手って聞いたから聞かせてほしいんだけど」

 「え?まあ、それならって誰に聞いたのですか?」

 「詩乃ちゃんと雫ちゃん。そして、心ちゃんと粉雪ちゃん!」

 「ちょ、ちょっと!二人とも!」

 「事実は話したまでですが?」

 「あ。あはははは・・・」

 詩乃のしれっとした態度に苦笑いの雫。

 「心さんに粉雪さんがどうしてその事を?」

 「それはお兄ちゃんがすっごく上手だって言ったのを聞いて・・・そういえば、お姉ちゃんがころちゃんに料理を教わりたいって言っていたような気が」

 「お、お頭~~!!」

 『ころ、あなたは輝いています。だから、自信を持ちなさい』

 そう思いながら、逃げるように部屋を出た。

 

 雑談をしながら、光璃の部屋の前まで来た。

 「兄上の隊って賑やかでやがるな。毎日が宴会でやがる」

 「私も、ここまでの隊になるとは思いませんでしたが」

 「隊の皆が兄上の嫁で、姉上や美空殿も嫁・・・体は持つでやがるか?」

 昨日のアキラ隊愛妾連合突撃愛欲淫乱攻撃でダウンしたことを思い出し、冷や汗を流しながら頷いた。

 「それは頑張ってもらうとして・・・ありがとうでやがる」

 「何がです?」

 「薫をアキラ隊と一緒にしてくれてでやがる。あんなに楽しそうな薫は本当に久しぶりでやがるよ」

 その時の顔に少し陰りがあった。やはり、戦うべきあの敵が頭にあるのだろう。

 「いいのですよ。私が単独行動をとるまでは本当に一緒でしたから」

 「そう言ってくれると、ひゃ!」

 アキラが彼女の頭を撫でた。その事に夕霧が驚いた。

 「あなたはいい姉ですね。妹のことを大切に思って」

 「と、当然でやがる!」

 「さて、入りますか」

 頭から手を離すと、物足りなそうな顔をした。

 「姉上。連れてきたでやがる」

 でも、我慢して部屋の中にいる光璃に声をかけた。

 

 部屋では、それぞれ当時の自分達の事を報告し合った。

 「それで、巨大な氷柱に乗って兄上が本陣まで行ったでやがるか」

 「一刻も早く止めに行くためにね」

 「・・・うん」

 光璃の顔が暗い。あの時の倒れたアキラを思い出すからだろう。

 「本陣で戦っている姉上と美空殿を見て」

 「はい。止めました」

 「・・・うん」

 「一応、ここまででいいですね。その後は鏑矢で停戦になりましたし」

 「そうでやがるね。夕霧も見ていたでやがるから」

 「・・・お願い」

 光璃が暗くなっていくのを見て話はここまでにしたが、やはり暗いままだった。

 「では失礼するでやがる」

 「ええ、では・・・」

 夕霧が退室すると同時だった。

 「アキラ!」

 光璃がアキラに抱き着いたのは。彼女の持つ力の限りギューっと抱きしめている。

 「光璃?」

 「やっと・・・やっと。これができた」

 「え?でも、昨日も抱き着い(ちゅ)!!」

 光璃がいきなりキスをしてきて驚いたが、必死にする姿にアキラは受け入れた。数分後に彼女が唇を離した。

 

 「あの時のギューは生きていてくれて嬉しいのギュー。でも、このギューは・・・光璃を抱いてほしいのギュー・・・光璃もなったのに、アキラ隊の皆はたくさん抱かれているのに・・・光璃はまだ。光璃だって、アキラの事大好きなのに!」

 

 二人っきりで寂しく辛い気持ちが言葉が少ない彼女を多くした。

 「昨日だって、公方様や隊の皆とすごく抱き合って、すっごく羨ましかった」

 「なあ!み、見ていたのですか!」

 全員の相手に集中して部屋の外に意識を向ける余裕がなかったとはいえ、光璃がやってきたことには驚いた。

 「光璃だって・・・あれくらい」

 服をどんどん脱いでいき、ついに裸になった。

 「アキラに、抱かれたい。愛されたい・・・淫らに、されたい」

 抱き着いてアキラの手を自分の胸に押し付けた。

 「分かりました。今夜は、ずっと一緒にいましょう。そして、あなたをたくさん愛して、あなたを私なしではダメなくらいに抱きましょう」

 「本当!」

 それを聞いて光璃は笑顔になった。

 

 アキラも服を脱ぎ裸になった。裸になったことで、まだ超視野化の力で裸が見えるずっと閉じていた目もあけた。

 「アキラ、傷だらけ・・・すごく、格好いい」

 「そう言われると照れますね」

 「アキラ。目、開いている」

 「お互い裸ですからね。あなたの裸体をしっかり見させてもらいますよ」

 しっかり、彼女の裸をその目で見た。

 「うん。見て・・・私、今ここがとくんとくんいっている」

 「私もですよ」

 お互い、それぞれの左胸を触った。そして、アキラは揉み始めた。

 「本当に、ん!あ、アキラ」

 「おや?光璃のとくんとくんが早くなりましたね」

 「も、もう・・・分かっているくせに」

 右胸の方も揉みだし、光璃の声も段々喘ぎが出てきた。

 「ずるい・・・光璃も、あう!」

 「では、すればいいではないですか」

 「じゃ、じゃあ。やめ、あああ!」

 揉んでいる手が乳首に移動して、つねったりくすぐったりした。

 「こ、これじゃ、で、できない」

 「じゃあ、諦めてください。それとも、私に抱かれたくないのですか?」

 「ずるい・・・もう」

 むすっとした顔になったが、顔を赤らめて抵抗しなくなった。そんな中、アキラの右手が光璃の女性器の部分に伸ばした。

 「湿っているのは気のせいですか?」

 「き、決まっている。アキラに抱かれるから・・・すごく興奮してる」

 「そうですか。なら」

 乳首と女性器を同時にいじりだした。上と下の刺激が一気にきたことで、

 「あああ!」

 一瞬で小さな頂点に達してしまった。

 「な、何、今の(一人で自慰をしたのより、すごいのが)」

 「まだですよ。ちゅ」

 今度はねっとり度満点のキスも加えた。さっき以上の快楽が光璃を襲い、びくん!とした体の跳ねが数度起きた。

 「む~~!む~~!」

 ますます強くなる快感とそれをアキラが起こしていることで、彼女の割れ目からの蜜は出続けて止まることを知らない。

 「ぷふぁ、ふふ、こんなに出ました・・・では」

 「う、ううう」

 右手がびっしょりになったのを見せられて俯く。その間にその部分にアキラの性刀が触れる。

 「あ、アキラ」

 「そろそろ、いいですよね」

 「うん、でも、光璃に入れさせて・・・あと、手を繋いで。お願い」

 頷いて光璃の要望に応えた。手を繋ぎ、お互い顔を見合って、

 「あ、ああ、ああうう!ああああ!」

 「い、く!いきますよ!」

 光璃がおそるおそる自分の割れ目の中に性刀を入れた。その入れた拍子にまた小さな頂点を達した。だが、そのすぐ後に激痛が来た。

 「あ、あああ!い、い、痛い、痛い!」

 涙を流して、女の壁が壊れる痛みに耐えていた。でも、これを乗り越えればアキラと本当に結ばれる。その思いが痛みを乗り越えた。

 「痛かった。(ぐす)で、も、アキラ。これで」

 「はい。一つになれました。私と、あなた」

 「嬉しい。やっと、本当に・・・アキラの妻に、なれた」

 痛みで離した手を、再度握った。

 「光璃、いきますよ」

 「うん。アキラの、好きにやって」

 アキラの今までの女を抱いた経験を発揮した。女の快楽のツボを重点的に攻めて、抱いていくうちにそういう知識も理解してきたのだ。

 「ああん!すごい!だめ、ああ、アキラ、狂っちゃう!」

 そのツボを刺激されてどんどんよがる光璃。処女があった女とは思えない、もはや愛しい男に抱かれるための魅了ある体に見えてきたアキラ。

 「最後!いき、ますよ!」

 「うん!一緒に、一緒に!」

 でも、ずっと手を離さないでお互いの顔を見た。

 「この目に焼き付けます!」

 「あ、ああ!見て、見てアキラ!あ、あああ!くる、きちゃうう~~!」

 アキラはしっかり見た。彼女の最高潮に達した淫らな姿を、絶頂に達した時の顔を、しっかり目に焼き付けた。

 

 

 このまま裸で布団にもぐった二人。

 「アキラ・・・つながっていたい」

 「いいですよ。朝まで、ずっと」

 自分の上にいる光璃の頭を撫でた。布団の中で、まだアキラの刀は光璃の壺に入っている状態だが、彼女はこの状態のままでいたいのだ。

 

 「アキラの温もり、アキラの繋がり・・・そして、アキラの愛。全部感じられて、とっても幸せ」

 

 本当に朝まで繋がったままで二人は眠りについた。起こしに来た妹二人は恥ずかしかったけど、姉の本当に嬉しそうな顔を見てホッとしてそのまま部屋を後にした。

 




 光璃、ついに抱かれました!

 どうしても、これは一話使って書きたかったです!

 というか、エロを書くのもなかなか難しい・・・何しろR15になる表現がこれで正しいのかもわからない。とりあえず、これでいいのかな?と思っています。
 
 次も間章一つを丸々一話分使おうと思ってます。

 次はもう一人の当主様の想いを書きますので、お楽しみに!

 


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間章20-2 嬉しい・・・良かった・・・大好き R-18

 
 どうも三MENです!

 多分気づいている方もいると思いますが、SDKキャラと戦国キャラの強さを比較するとどうなるか?という項目は削除しました。書くのがめんどい!というのと、ちょっと今後の話でそれがあると複雑になりそうな感じになるので消させてもらいました。
 
 今回はもう一人の当主様です!・・・プラスαもあります。


 

 この日は長尾勢がやってくる日だ。その出迎えをしようと館の前で待っていた。

 「思えば、いろいろありましたね。越後に行ってからが・・・春日山城奪還、空君に愛菜君の誘拐、名月君と空君の後継者争い、御館の乱。その後に夕霧が来て武田に来て・・・光璃と祝言を上げて。川中島で因縁の武田と長尾を停戦させて、武田も同盟に入った」

 空を見た。雲が太陽を隠していたが顔を出した。

 「そして・・・」

 「アキラさん!会いたかったです!」

 使者の秋子が目に涙をうかべて、アキラに抱き着いた。

 「秋子さん、どうしましたか?」

 「だって!アキラさんが血を吐いて、意識を取り戻したけど・・・その後のことが分からないままでしたから。ずっと不安で心配で!・・・これ以上、お願いですから心配させないでください!」

 ボロボロに出た涙を、アキラの服でふいた。

 「病ももうすぐ治りますので、安心してください」

 「はい。でも、本当にこれ以上はやめてくださいね!」

 「できる限りは」

 「・・・本当は絶対しない。と言ってほしいのですが、アキラさんはそういう人ですからね」

 溜息を吐いてアキラの言葉に納得した秋子。

 「えっと、あの、いつまで、抱き着いているのですか?」

 「え・・・はう!///」

 今になって自分のやっていることに恥ずかしくなってアキラから離れた。

 「別にくっついてもよかったのですけど・・・あなたのとても柔らかい胸が気持ち良かったですから」

 「い、言わないでください!もう~///」

 からかってさっきの暗さを無くそうとしたが、その照れ顔に少し悪戯心が沸いた。

 「ふふ、これからは一緒に寝起きですね。また、あなたを抱きたいです」

 「え。本当ですか!そ、それなら・・・こ、こん「ちょっと~~。私は抱かないというのかしら」はう~~!お、御大将!」

 そこに美空がやってきた。何か言いかけたが、言えないまま俯いた。

 「おや、やっと来ましたか。待っていましたよ」

 「ええ、アキラ。ま、待たせたわね」

 「?どうしました。声が震えていますよ」

 「・・・当然よ」

 目に涙をうかべて秋子同様アキラに抱き着いた。

 「あなたのあの姿・・・もう、見たくないわ」

 「本当、ですよ。目を・・・覚まさないと思ったんですから」

 「・・・本当に、すいませんでした」

 「分かればいいわ。もう、本当に私から離れないでよ」

 「はい。離れませんよ。美空」

 慰めにと美空と秋子の額にキスをして、真っ赤にさせた。

 

 数分後、二人ともキスで照れていたがやっと落ち着いた。

 「アキラさんの事で忘れていましたが、ここが武田家の本陣。躑躅ヶ崎館なんですね」

 「ええ。私も敵ではなく同盟相手としてここに来るなんて思いもしなかったわ」

 「全部、アキラさんが頑張ったおかげですね」

 「そうね。本当に、頑張ったわよね」

 「いや、褒めてくれると嬉しいですね」

 そんな話をしていると、

 「やあ~やあ~、お二人ともお待ちしておりましたでやがるぞ!」

 夕霧がやってきた。彼女を見て苦い顔の美空。

 「・・・やがる女」

 「典厩殿、ありがとうございます」

 「では、夕霧が案内するでやがるよ」

 「却下よ!あんたにしてほしくないわ!」

 即替え希望の美空。相変わらずだった。

 「相変わらず気まぐれてやがるな・・・一応、姉上から夕霧に頼む。と言っていたでやがるが」

 「あの足長娘が~」

 「ふふ、一本取られましたね。美空」

 「ねえ、だったらアキラのところは?旦那と一緒に寝るのは変じゃないでしょう?」 「で、では!ぜひ私も!」 

 ニコッ笑いながら言う美空と目を輝かせて頼む秋子。

 「無理ですね。隊の皆がいつも一緒なので」

 「あ・・・そうだったわ」

 「アキラ隊の皆さん。羨ましいです」

 「姉上も羨ましがってやがりましたな」

 「ははははは・・・好かれているということで」

 苦笑いのアキラにため息の三人だった。

 

 とりあえず、話を変えようと雑談を始めた。

 「典厩殿。そういえば飛び加藤がお世話になっている。と聞きましたが」

 「飛び加藤でやがるか。あいつなら春日が追い出したでやがるよ」

 「へ~~。ま、当然よね」

 その当たり前だと頷く美空に話を続けた。

 「仕事を完ぺきにこなす。それだけならよかったでやがるが」

 「完璧すぎよね、あいつ。だからこそ、怪しすぎたし」

 「裏切ったことすら気づかせないで裏切れそうでしたしね」

 「ふむ。そこまで言うなんて・・・すごいですね。飛び加藤も」

 素直に感想を言うと、じ~~っと怪しい人を見る目で見る三人。

 「あの、何か?」

 「あのね。他人事のように言うけど、あんたも初対面はそんな感じだったわよ」

 「そうですね。反対できないです」

 「でやがるな。怪しすぎな空気を思いっきり持ってやがりましたし」

 「・・・言い返せないですね。向こうの世界でもよく怪しまれましたし」

 前科を持っているだけあって、さすがに言い返さなかった。

 「それにしても、その飛び加藤。どれくらいの人が裏切る!と予想したんですか?」

 「十人の将の内十人でやがる」

 「うちもそうね。満場一致だったわ」

 「はい。だからこそ追い出しました」

 「ある意味快挙ですね・・・越後に甲斐。どちらからも追い出されたなんて」

 他人事のように言っていたら、夕霧が待ったをかけた。

 「兄上も人のこと言えないでやがるよ。兄上がどれくらい女を誑して惚れさせて寝床に連れて身も心もトロトロにする男か?を冗談半分で聞いてみたら」

 「全員だったんじゃないの?」

 「私も同意見です」

 二人の答えに、見事に頷いた夕霧。

 「その通りでやがる。粉雪や心は「されたみたい」と少し赤くなりながら小さく声を出してやがりましたし、春日に至っては「悪くないにゃ~(=^・^=)」なんて幻聴が聞こえやがりましたよ」

 それは幻聴ではない。

 「誑すことに関しては何も言いませんが、自分って女を連れ込むような男と思われていたのですか?」

 「「「えΣ(・ω・ノ)ノ!」」」

 三人一緒に同じ疑問の言葉を言った。完全に何も言えなくなった。

 「もう、いいです。それ以上聞くと更にショックが大きくなりそうなので」

 「分かってくれたようで何よりよ。私、ちょっと散歩してくるわ。秋子、部屋の事はお願いね」

 話が終わると、美空が門を背に歩き始めた。

 「は?ちょ、ちょっと待つでやがる!越後の国主が護衛なしで甲斐の街を散歩なんて!」

 「じゃあ、アキラ来て。アキラなら光璃の夫でその強さは知れ渡っているし。護衛としてなら文句ないし・・・私の夫でもあるし」

 最後はボソッとつぶやくように言った。どんどん前を歩いていく美空。

 「ふふ、では行きましょうか」

 「すいません、アキラ様」

 「いいのですよ。お礼は秋子さんの体で、たっぷりかえさせてもらいます」

 最後のこれは秋子の耳元で言って、美空の後を追った。当然、秋子は大パニックになって夕霧の案内が耳に入らなかった。

 

 街を見て歩くアキラと美空。途中、団子屋に入って話をした。

 「春日山城下をあなたと歩いたことありますが、今のように夫婦として歩いたことはありませんでしたね」

 「まあ、仕方ないわね。あの頃はまだいろいろごたごたがあったし」

 「今度は、夫婦として歩きたいですね」

 「ええ、そうね」

 夫婦という言葉に照れる美空。食事も終えて出たところに、

 

 「あれ?お兄ちゃんに・・・美空様?」

 「あ、アキラ様」

 「おお、旦那だぜ!」

 

 薫に心と粉雪の三人と出会った。その薫の顔を見てきょとんとする美空。

 「・・・え?光璃?」

 「こんにちは、美空様。武田薫信廉と申します!」

 本当は川中島で武田本陣で一緒にいたはずだが、アキラの血まみれに意識が行かず善光寺にいたメンバー以外はいたことに気づかなかった。

 「光璃の影武者をやる夕霧じゃないもう一人の妹ですよ」

 「そうです!よろしくお願いします!」

 「この子が?うわ~~、その顔で礼儀正しい挨拶されると違和感があるわね」

 「ははははは、あなたからすれば確かにそうですね」

 美空からすれば、光璃はライバルだ。その相手が礼儀正しいのは確かに違和感ありまくりだ。

 「ところでお二人はどうしてここに?」

 「城下の案内がてら、夫婦で仲良く散歩です」

 「あ、アキラ!」

 「む!旦那、お屋形様を忘れちゃ困るんだぜ!」

 「こなちゃん、アキラ様は美空様の旦那様でもあるんだから別におかしくないでしょう。それにアキラ様がお屋形様を放っておくはずないでしょう」

 「私としては、別にそれでもいいけど~」

 「大丈夫です。平等に愛すると決めていますし・・・いや、何でもありません」

 自分の信念を伝えたが、昨日光璃を抱いて愛を確かめ合った。とは言えない。隣にいるライバル心が強い美空が怒るのが目に見えるからだ。

 「ところで三人はどうして?」

 「えっとね、学問所に行っていたの」

 「薫様が親父に会いたい。って言ってたから連れてきたんだぜ」

 「なるほど、太白にですか。どうでした?実際に会った感想は」

 「・・・すごい人としか言えないよ。あれほどの人なら国を治めてもおかしくない立場なのに」

 「へ~~、光璃の影武者のあんたがそれを言わせるくらいの人がね~」

 美空も薫の言葉に興味を持った。

 「前にも言った通り、あれが太白にとって一番やりたいことですのであのままが一番ですよ」

 「うん!そうだね!」

 「だから美空、越後に引き入れようとしても絶対に首を縦に振らないのでやめた方がいいですよ」

 「そんなことしないわよ・・・ちぇ~」

 アキラの忠告に、こっそり残念がっていた。

 

 アキラと美空は薫から御刺使川に行ってみては?と言われてやってきた。何とか、二人っきりになれる場所がないか尋ねたためだ。その川のそばに寄り添うように腰を下ろした二人。

 「ねえ、本当に大丈夫、よね?」 

 「・・・ずいぶん、心配しますね」

 「意識が戻らない、私の名を呼ばない、どんなに揺すっても起きない。心配して当然よ、怖かったわ。あなたが、いなくなるんじゃないかと。あなたが、私をおいて」

 そんな暗くなりそうな美空を抱きしめた。

 「大丈夫です、絶対に置いていきませんよ。みんな一緒です」

 「うん。私も、空も、皆・・・一緒」

 美空もアキラの背中に手を回した。

 「私の温もり。どうです?まだ、いなくなると思いますか?」

 「ううん・・・この温もり、抱かれた時のあの心が温かくなる温もりと一緒。うん、アキラ。一緒」

 「ええ、一緒です」

 「ん。ん・・・///」

 唇を合わせただけのキスのため、数秒で離れた。

 「美空、あなたが、欲しい」

 だけど、愛の深さが分かるには十分な時間だった。アキラが彼女の肩を掴んで迫った。「いい加減にしなさい!」とツンなところを見せる美空だが。

 「・・・私も、アキラが、欲しい」

 完全にデレデレになっているため、美空もアキラの言う通りにした。そして、二人は今度は

 「「ちゅ、ちゅじゅる、ちゅちゅる、じゅ」」

 熱く、愛を深め合い、お互いの服を脱がそうとした・・・その時だった。

 

 「うわあ~~!すご~~い!」

 

 すぐ目の前に男の子がいた。

 「「なああ!」」

 「おじさ~~ん!この人達すごい!」

 見られた恥ずかしさで、真っ赤になってキスも体も慌てて離れた。

 「こらこら、二人は大切な時間・・・を過ごしているから邪魔をしてはダメだよ」

 「あ、そうだったんだ。ごめんなさい」

 「い、いえ・・・だ、だい、じょぶ、よ」

 「え、ええ、わ、私た、ちのちゅ、うい」

 そこに現れたのは太白と子供達だった。どうやら散歩をしていたようだ。アキラとしても、とても恥ずかしいところを見られて、言葉もちゃんと言えないでいた。太白の方も気まずいから、子供を捕まえて早々に去って行った。

 「・・・帰りましょうか」

 「・・・そうね」

 すっかり気まずくなったので、続きをしようと言う考えはさすがに出なかった。館に向かって歩き始めた。

 

 

 館に戻ってきたときには夕方になっていた。それぞれの部屋に戻ろうとした時に

 「私の部屋に来て」 

 小声でそう言われたので、食事後に美空の部屋に行った。ただ、アキラは忘れていた。今夜とは言わなかったが、明らかに今夜を楽しみにしている的な言葉を言ってそれを本気にした女性が一人いたことを。

 「さっきは思わぬ邪魔が入りましたね」

 「ええ・・・一瞬しか見なかったけど、あれが太白という男ね。光璃や典厩に聞いてみたけど納得よ。どうしても武将として入れたい気持ちがわかるわ」

 「相当の実力も持っていれば、民からも信頼が厚い。特に子供達、そう未来の希望に繋げる存在からはあこがれの的です」

 太白の話もここまで、本当にしたいことはこれからだ。

 「それで、用というのは」

 「もう、分かってるくせに///」

 お互い顔を赤らめて、服を脱がせ合った。

 「私、今日はあなたの温もりに包まれていたいの」

 「私もです、あなたと一緒にいたい」

 ついに二人とも全裸になった。

 「愛してますよ」

 「私もよ・・・寂しかった」

 二人の今日三回目のキス。二回目と同じくらいねっとりとしたものだった。

 

 その部屋の廊下では・・・

 『ど、どうして美空様のところに・・・あの後部屋に案内されてからすぐに妄想してしまって慰める羽目になったのに・・・夜を楽しみにしていましたのに』

 お胸の立派な女性が、蜜をどんどん出している割れ目と服に手を入れて胸を揉んで興奮しながら二人の部屋の中を覗いていた。

 

 二人の意識は既に目の前の愛する人のみ、美空を布団に寝かせた。

 「あの時は、時間が一夜しかなかった・・・けど今回は」

 「会いたい時に会える。のよね」

 再びキスをした。何度も、唇から離してはまたキス。それを繰り返した。離さないという気持ちと愛をもっと伝えたいという気持ちをアキラに伝える。ただそれだけ、でもとてもしたかったことだ。

 「今日は変なことはしません。ただ、あなたに入れたい」

 「・・・しないの?してもいいのに」

 「抱きたいよりも、あなたの温もりが私も欲しいですから」

 その時になって、アキラは目を開けた。

 「(ぽろ)嬉しい。よかった・・・愛してるわ、アキラ」

 一筋の涙。それにどれだけの嬉しさがこもっていたのか。その嬉しい顔をしっかり目に焼き付けた。ついに彼女の濡れ続けている割れ目に刀が入った・・・その時だった。

 『ああ!入った!』

 そんな声が廊下から聞こえたのは・・・。

 『み、美空のお、お〇〇〇に!あ、アキラ様のが!』

 興奮して声が高くなり、二人に聞こえていることにその人は気づいてない。美空は声で、アキラは声と超視野化で透けた襖(服も)を見て分かった。

 

 「入ってきなさい。秋子~」

 「入らないと、どうなることやら」

 

 アキラのヘルバースト並みの冷たい声が美空から聞こえた。さすがにアキラもこれは切れる。襖が震えながら開けられ秋子が入ってきた。

 「あ、あの、その、えっと」

 「ねえ、私、覗きをする部下を持った記憶はないんだけど(ニコ)」

 「素直に入ってくるならまだいいですけど、これはさすがに」

 「だ、だって~!アキラさんが期待させること言うから~」

 涙目でそういうと、今度はアキラに絶対零度視線を向けた。

 「どういうこと?」

 「・・・あ、今夜とは言わなかったですけど、抱きますので的なことは言いました」

 「なるほどね~。アキラも言葉足らずで悪いけど・・・でも、覗きをしたというのは事実よね~」

 「あ、あの、その、な、何をするんですか・・・」

 「アキラに無理矢理襲わせる、はダメね。秋子が喜ぶわ・・・あ!」

 蜜壺がアキラの太刀が刺さったままで、彼女への罰を少し考えると思いついた。

 「秋子。そのまま見てなさい」

 「え?」

 「アキラ。続きをしましょう」

 「は?え、ええ・・・なるほど」

 一瞬キョトンとしたが、すぐに美空の意図が分かり続きを始めた。

 「アキラ、もっと抱きしめて・・・あなたを感じさせて」

 「その言葉、私も一緒です。あなたをずっと抱きしめたい」

 「嬉しい・・・ちゅ、ちゅ」

 抱き合い、お互いの背中に手を回してキスをした。

 「アキラ。また傷、増えた?」

 「美空は、胸が少し大きくなりました?」

 「あなたを想って・・・やった時に」

 「それは、嬉しいです。なら、もっと大きくしましょう」

 アキラはその言葉にニコッとして、彼女の胸を揉み始めた。

 「あ、うん。アキラ。やっぱり、あなたのが、いい」

 喘ぎ声を出し始めた。優しく、時には速く、そして乳首をつねり、最後に

 「きゃうん!も、もう・・・」

 二つの乳首をそれぞれ吸った。一瞬ビクンときて、笑顔になって今度は頭をそのまま自分の胸に着けるように抱きしめた。

 「はあ、はあ、ず、ずるい・・・」

 それを見ている秋子は服を半分ほどはだけさせ、胸を同じように揉みいじり、下の割れ目の指を出し入れの速くした。

 秋子はようやく理解した。こんなのを見たら、我慢ができない。自分も同じことをされたい。抱かれたい。淫らにされたい。その願望がわく。でもそれをしてくれる相手が目の前にいて、別の女性を抱いている。悔しい。でも、自分が悪い。我慢しかない。その我慢をするのは自慰しかない。そう、じらさせるのが罰だった。

 「あ、あ、あああ!ああ」

 胸のせめに腰のせめも加えた。喘ぎ声も大きくなり、アキラも吸いをやめ再び美空の顔を見た。そして、

 「全部、あなたを私色に染めます」

 「!!う、うん!(コクコク)」

 二回頷くのを見て、再びキスをした。もちろんあの濃厚なキスだが、

 『何!今までと違う!え、ええあああ!か、快楽が、悦が、加わると、こんなに接吻って変わるの!』

 二か所の攻め、そして・・・

 『んん~~!!!や、やめて!お、お尻は~~!』

 そう、あの部分に侵入した。これが、ますます彼女をよがらせた。

 「す、すごい!美空が・・・あんなに乱れて、よがって、淫乱になっていく・・・わ、私も、わたしも!私も~~!」

 秋子の方も、ますます興奮していく。服がみっともないくらいはだけて、その場で寝転んで指の速度をもっと速めていく。胸も片方を持って自分で乳首を舐めり、かじり、だんだんアキラにすり寄っていく。

 『お、お願い!お願い!もっと、もっと、もっと~~!』

 舌の勢いが増したことでアキラも彼女がもうすぐ果てるとわかった。口、胸、割れ目、尻。四か所の責めを一気に強くした。

 『いきますよ!二人で、いきましょう!』

 『いく!ああ、あああああ!アキラ~~!あなただけの、私は~~!』

 「あああああ、やりたい!やりたい!あ、アキラさん~~!」

 もう一人の方も自慰のラストスパートに行ったみたいだ。三人の絶頂はもうすぐ・・・そして、ついに。

 『「あああああああ!アキラ(さん)~~~!!!」』

 美空の方はアキラの愛が放たれ、それを見ていた秋子はこれ以上ないほどの割れ目から蜜が流れてきた。

 

 美空は気を失った。あの四か所からの快感攻めは、意識を失うほど気持ちよかったのだろう・・・もう一人の方は。

 「反省しました・・・もう、あんな覗きは、しません。はあ、はあ、私も、私も、してください。この、濡れていくこの私の淫らな、穴に、あなたの刀を入れて、ください。滅茶苦茶にして、ください。私は、あなたの、メス犬にだって、なりますから・・・お願いします!」

 もはや、自分の立場すらどうでもいい感じに出来上がっていた。彼女の欲望は無事叶い、犬になれたかどうかは・・・それは二人だけの秘密だ。

 




 
 というわけで、美空の愛と秋子の過ちでした!外はやはり目立ちますからね・・・館にしてしかも一人追加。だけど参加させない。そういう感じにしました。

 次回は、う~ん。原作やって決めよう!この二人はすぐにやろうと思っていたけどこの後はまだ決まってなかったです・・・。

 次の間章お楽しみに!


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間章20-3 こうしていたいな・・・

 
 こんばZZZ(ノД`)・゜・。っは!失礼しました。三MENです!

 いや、エロの展開って地味に難しいですね・・・。原作どおりはダメですし、じゃあどんな展開にするか、他にこんなキャラ入れてなど、考えが多くなってしまい書くのが遅くなります。でも・・・待っている皆さんのため、頑張ります!

 今回は長尾の武将と当主の妹さんです!
 
 エロはないですよ・・・。



 

 美空と久しぶりの愛の語り合いと秋子のペット入門・・・もといお仕置きも終わった次の日に柘榴と松葉もやってきた。やはり敵としてでなく、仲間としてここを入ることに驚いていた。

 『それだけ長尾勢にとっては因縁の強かった相手。ということですね』

 途中で空と愛菜にもあった。二人の話からすると、越後は沙綾に任せているらしく、少し遅れて名月も来るらしい。

 『沙綾さんは灯みたいに弱みを握って逆らえないようにすることもできそうだから、打ってつけでしょう・・・ちょっと待ちなさい。空と愛菜がいるという事は』

 この二人がいると思った瞬間、いきなり寒気がして後ろに飛んだ。

 「はあ、はあ、はあ、はあ。アキラ様・・・アキラ様!」

 自分のいた場所には完全に目がいっている貞子がいた。服も半分乱れていて、彼女の股から雫が流れていた。目も血走らせて、涎もだらだらに出していた。

 『空君の護衛ですからいるとは思ってましたが・・・何か彼女が狂気にかられた鬼にしか見えません!というか、鬼と神が重なった鬼神!』

 「アキラ様~~!!」

 黙って考えていることが失敗だった。その一瞬の間に押し倒され、目にもとまらぬ早業で貞子に下着だけにされて、最後の一枚も脱がそうとした時に助けが入った。

 「こ、怖かった・・・あれほどの恐怖。向こうでもなかった」

 危うく公衆の面前で冗談抜きで犯されるところだった。途中で美空に会わなかったら、確実になっていただろう。美空に引きずられながら

 

 『アイシャルリタ~~~ン(。◕ˇдˇ​◕。)』

 

 と叫んでいた。現場を見た空と愛菜は抱き合って恐怖に震えていた。

 

 服を着て、気持ちを落ち着かせようとアキラ隊の部屋に戻った。

 「あ、アキラさん!」

 「アキラ」

 そこには柘榴と松葉に綾那と歌夜がいた。

 「だ、大丈夫っすか!」

 「心配した」

 二人がアキラに駆け寄り、それぞれ腕をつかんだ。

 「ええ、大丈夫ですよ。この通りです」

 「それはよかったっす。御大将、越後に戻った時もすっごく心配してたっす」

 「ちゃんと慰めた?」

 「もちろんですよ。しっかり満足するまで慰めました」

 力強く頷い愛妾の歌夜はすぐに気づいた。

 「アキラ様。慰めたって、そっちの方ですか?」

 「歌夜~、そっちってどういうことです?」

 「アキラさん。何ですか、そっちって?」

 「・・・///」

 この意味が分かったのはアキラと松葉だけで柘榴と綾那は?だった。

 「ええ、体も、心も・・もね」

 「む~、私もしてほしかった」

 「でも、歌夜は皆と一緒にやったでしょう?」

 「歌夜、エロい」

 松葉の指摘に真っ赤になる歌夜。

 「綾那ちん。わかる?」

 「全然です~。三人ともずるいです~」

 こっちの二人は、全然わからないままだった。

 

 この四人は川中島の話をしていて、長尾と武田で別れて戦っていたからどんなことをしていたのか聞きたかったとの事。その話の最中、

 「松葉~、暑いっすね~」

 「うん、うん」

 柘榴と松葉のある方向に視線を向けて、熱がるふりをした。

 「やっぱり、アキラ様の膝が落ち着くです!」

 「そ、そうね。私も、ここが一番です」

 二人の視線の先には、綾那がアキラの膝に乗って嬉しそうに、歌夜がアキラの右腕を抱きしめて肩に頭を乗せて幸せそうにしている姿があった。

 「二人とも、そんなにそこがいいんですか?」

 「もちろんです!」

 「ええ、アキラ様と一緒が嬉しいですから」

 即答する二人に疑問な顔の松葉。

 「分からない」

 「実際にやってみればわかるのです。そうすればわかるです」

 「そんな、もん?」

 「綾那の言う通りです。好きな人と一緒にいられることがとても嬉しいのです」

 綾那はニコニコと言い、歌夜は蕩けた表情で言った。そんな二人に興味がわいた松葉だが、柘榴は違うことを考えていた。

 「う~ん、柘榴は分からないからどうでもいいっすけど・・・」

 「そう言えば、柘榴は湖衣・・・山本勘助に異様に執着していますが、どうしてそこまで?」

 「そうっす!勘助とは絶対に勝負して勝ちたいっす!」

 「越後に帰った後もこればかり」

 松葉は呆れ口調でそう言った。

 「彼女は駿府からの鬼を警戒していたので、川中島には出れなかったのですよ」

 「そっちだったんですか・・・でも、鬼って越前や御館に出た奴らっすよね。あいつらって、そんなに強いんですか?」

 柘榴の言葉に松葉も頷いた。彼女らの見た鬼は美空のお家流で倒されたため、強いイメージが持てないのだろう。

 「・・・ええ。一体ずつなら脅威ではないですが」

 「集団でくると、厄介です!」

 「はい。越前ではそれで一杯食わされました」

 三人が真剣に話す姿に、柘榴と松葉は真剣になった。

 「そうっすか。それって、詩乃や雫がいてもっすか?」

 「ええ、その二人がいてもです」

 その言葉に頷くと、二人とも信じられない顔になったがアキラの顔を見て、

 「でも、アキラさんなら鬼の数百匹くらいどうってことないんじゃないっすか?軒猿から聞いたっすよ。二条館では五百近い鬼を倒したそうですし」

 「確かに・・・越前じゃあの凄い火の鳥も出した」

 鬼は大したことないという発言をした。それだけの戦果を挙げたアキラなら確かにそういう考えを持てる。でも、それこそが危険なので伝えた。

 

 「その考えはダメです。戦いは予想通りにいかずにそれが外れるものです。大きな力があるから大丈夫。というのは危険です」

 

 現に自分は小さな力の時に、大きな力を持つ時人に勝った。自分という実例がいるからこそ、アキラは過信しない。

 「そうですね・・・川中島でも美空様がまさか少数の兵で武田本陣にかかるなんて思いませんでしたから」

 「あれは驚いたです!」

 「・・・そっすね」

 「うん、気を付ける」

 三人の言葉に、同じ武を持つ者として二人は受け入れた。

 

 話が川中島に戻り、松葉と綾那が長尾本陣で戦った話になりもう一回やりたい!という綾那に面倒と一蹴した松葉。柘榴が手合わせをしたいけど、なんか違うという複雑な気持ちを持った時に教えてもらったら?と歌夜が言った。

 「教える、ですか」

 「はい。私達は同盟仲間です。そうやってみるのもいいのではないでしょうか」

 「なるほど。私は独力でこの強さを手に入れたので、教わるという考えは思いつかなかったです」

 狂や四聖天の仲間はいたが、強さは自分一人で死力を尽くして手に入れた。そういう経緯から教わるという考えはなかった。梵から聞かされた兵法とかは無理矢理覚えさせられたので、教えてもらったという考えではなかった。

 「アキラさんの真似は、絶対にできそうにないっす」

 「同感」

 「アキラ様って本当に、すごいです!」

 「ええ、全部一人で・・・アキラ様、素敵です~」

 歌夜の悦に浸った顔は置いておいて、綾那も問題ないみたいなので教えてもらおう!ということになった。ただ、

 『できるのですか?綾那が・・・』

 一葉同様、教えると書いて見て感じろ!と読む綾那に不安のアキラだった。

 

 その不安はまさに確信だった。

 「わからないっすよ!」

 「べ~ですよ!ヴャ~じゃないですよ!」

 庭で困っている完全武装の柘榴と同じく完全武装でプンプンな綾那。

 「ま、こうなりますよね」

 「あ、あははは・・・」

 「同意(うんうん)」

 そんな二人を苦笑いするアキラと歌夜と表情を変えない松葉。

 「歌夜。それ、いいの?」

 「はい。本当に幸せなんです。アキラ様に包まれている感じで」

 「ふふ、妻を包むのも夫の幸せですよ」

 顔を少し赤らめてアキラに身を寄せている歌夜に腕を回し抱きしめる。こっそり欲情しかけていた歌夜だが、何とか我慢していた。

 「・・・やってみる」

 すると、残っている右腕に興味を持った松葉が抱き着いてきた。だけど、すぐ分からない顔になった。

 「・・・分からない」

 「大丈夫。いずれ分かるようになります」

 「そういうもの?」

 「はい。松葉さんもアキラ様を愛するようになったら分かります」

 やっぱりまだわからない松葉だが、そのままアキラに抱き着いていた。

 

 『わからないけど、何かいい感じがする。とっても落ち着くそんな感じ・・・これからもやろう』

 

 感情がおぼつかないため、心地いいという感じだけで満足した松葉だった。

 「ほ~ら!だからヴァーじゃないって言っているじゃないですか!」

 「・・・もう、やめたいっす」

 お手上げ状態の柘榴に、理不尽な説教する綾那だった。

 

 

 二人の頭を撫でると、歌夜はこれ以上ないくらい蕩けて松葉は照れた。しばらく庭で二人の漫才を見ていたが、結局できないってことで指導は終わった。これ以上は見ても意味がないと思い、アキラは部屋を出て別の場所に行った。

 「さて、この後はどうし「あ、アキラ~~!」・・・鞠ですか?」

 「うん!鞠なの!」

 後ろから呼ばれたので振り向くとそこには鞠がいた。

 「えへへ~、やっぱりアキラの抱き心地が最高なの!」

 気が付くと、既に抱き着いていた。

 「さっき歌夜からもそう言われましたが、自分ではわかりませんね」

 「いいの!これはお嫁さんにしかわからないことだから!」

 分からないままにされたが喜んでいるなら。と納得した。そんな二人を陰から見る人がいた。

 「・・・羨ましいなあ~」

 薫だった。その言葉は抱きしめている鞠に対して言ったのか、その鞠が嫁であることに言ったのか。それとも両方なのか?どんな想いか分からないまま羨ましそうに見ていると、

 「薫~。薫もこっち来るの~」

 鞠の人並み外れた直感が薫の存在に気づいて、呼ばれたので二人の所に行った。アキラと薫の手を握って

 

 「三人で一緒に城下に行くの!」

 

 鞠の行動力ある発言で二人は流されるまま、城下に行くことになった。

 

 街に着くと、鞠は目を輝かせた。

 「こっちすごいの!」

 「あ、おいしそうなのがあるの!」

 「アキラ~速く~」

 アキラの手を引っ張っていろんな店に行った。

 「落ち着きなさい。薫だっているのですから」

 「あ、そうなの・・・薫、ごめんなの」

 「ううん、いいの。楽しそうだし」

 だが、薫は少し我慢しているように見えた。

 「薫?どうしたの」

 「え!どうしたのって別に」

 「何か、我慢してるの?」

 「確かに、遠慮しがちですよね。そんなことしなくてもいいのに」

 「で、でも、鞠ちゃんはお嫁さんだけど、か、薫は」

 つまり、嫁じゃないから遠慮しないといけないという考えだったようだ。

 「大丈夫、やりたいようにやればいいの!」

 「そうですよ。やりたいようにやればいいのです。みんなで食事をした時みたいに我慢なんて必要ありません」

 「そ、そう・・・じゃ、じゃあ」

 恐る恐る空いているアキラの手を繋いだ。

 「・・・薫。お兄ちゃんの手を繋ぎたかったの」

 でも、まだ遠慮しがちに見えるが、薫なりに頑張ってこれなのだろう。

 「アキラ~、鞠、お腹減ったの」

 いろいろ動いた鞠が空腹を訴えた。

 「そうですね。私も小腹がすいたので、どこかで軽く食べましょう」

 「そ、それなら、あそこの饅頭屋が」

 おずおずと薫が指した先は、饅頭屋の旗がある店があった。

 

 そこで饅頭を三個買った。

 「アキラ、あ~ん」

 「ふふ、では鞠もあ~ん」

 「うん!あ~ん」

 アキラと鞠が、食べさせあっこをした。また羨ましそうに見ていた薫に、

 「薫~、あ~ん」

 「え、えええ!」

 「ほら、あ~ん」

 「じゃ、じゃあ、あ~ん」

 鞠があ~んをしてきた。少しずつ、遠慮がなくなってきたところに

 「私も、あ~ん」

 「ふ、ふええええ!」

 アキラがやってきた。まさかやるとは思わなかったので驚く薫。

 「薫もやるの」

 「え、で、でも・・・」

 「我慢は無しですよ。遠慮することありません」

 「そうなの!」

 二人からの押しに負けて、口を開けた。

 「じゃ、じゃあ・・・あ、あ、あ~ん」

 「あ~ん」

 「(パクリ)えへへ!」

 食事も終わると、遠慮がほとんどなくなった薫が両手でアキラの腕に抱き着いた。

 「こ、こう、したかったの・・・本当は。お兄ちゃんの手も、腕も、抱き着きたかったの」

 どうやら、軽い食事が気持ちに余裕を持たせ行動力を持たせたみたいだ。

 「では、続きといきましょうか」

 「「うん!」」

 鞠もまたアキラの腕に抱き着き、両手に花になった状態で再び歩き出した。

 

 三人がついたのは御刺使川だ。

 「この川はいつ見ても見事ですね」

 「うん!・・・アキラ、この川って海まで続いているのかな?」

 「続いていますよ。すぐ海に着くというわけではないですが」

 「そうなの?なら!」

 そう言って取り出したものは笹船だった。

 「それ、どうしたのです?」

 「庵樹お姉ちゃんが作ってくれたの!」

 「なるほど、散歩の目的はこれでしたか」

 「うん!鞠、お船さん流してくる!」

 笹船を持って川まで行った。微笑ましい顔で見る二人。鞠が「頑張ってね~」と笹船に手を振っていたが、途中で涙を流して戻ってきた。

 「アキラ~お船、止まっちゃったの~」

 「あら・・・」

 岩に止まっている笹船を見た。残念でしたね。と言おうとしたが飲み込んだ。何とかして!的な目を鞠だけじゃなく薫もしているからだ。

 「その辺で棒を見つけてきますので、ちょっと待ってくださいね」

 「「うん!」」

 アキラがどこかに行き、薫と鞠の二人だけになった。二人きりになるのを狙ったかのように鞠が薫に質問をした。

 「ねえ、薫ちゃん。アキラの事、好き?」

 「え?ええ!」

 「だって、薫ちゃん。アキラの腕、すっごく嬉しそうに掴んでいたよ」

 「・・・・・・////」

 顔を真っ赤にして、俯いた。そんな薫に鞠は言った。

 「薫ちゃん。素直に伝えた方がいいよ。アキラは薫ちゃんと本心で仲良くなりたいと思っているよ」

 「え?」

 自分の我慢している心、それを見抜いたかのような言葉に思わず鞠を見る。

 「アキラね、以前戦った人の中で願いも望みも一つも叶えられないまま死んだ人がいたんだって。でも、その人死んだときはとてもきれいな笑顔で死んだんだって」

 「笑顔で、死んだ」

 「アキラ見たくないんだって。望みをかなえられないまま死んでいく姿を見るのを。だから、何か思っているなら素直にアキラに見せた方がいいの!」

 「素直に・・・見せる」

 アキラの過去の戦いを聞き、心の中で考えが出てきた。

 

 『素直に、見せる。望みを叶えられないままじゃ、ダメ・・・お兄ちゃんはそれを、願っている・・・うん、お兄ちゃんがいいと言っているなら!』

 

 鞠の後押しで、結論を出したみたいだ。

 

 

 その後、無事笹船を先に進めた。

 『何を話していたのでしょうか。薫の顔がスッキリした感じになってましたが』

 川から館に帰るときも、遠慮のない抱き着きを薫がやってきた。その彼女はとても嬉しそうにしていた。

 『おそらく鞠が悩みを解決してあげたのですね』

 「ねえねえ。鞠ね、アキラの事だ~い好きなの!」

 「ええ。私も好きですよ」

 そんな会話をしながら、館に着いた。

 「隊の皆に言い訳をしないといけませんから、先に戻りますね」

 「うん!ひよや詩乃達に黙って連れてきちゃったから」

 「お兄ちゃん、今日は楽しかったよ!本当にありがとう!」

 「今度は薫の笹船を流しましょうね」

 「「うん!」」

 二人とも笑顔で頷いて、アキラがいなくなった時だ。

 「薫~~」

 「おかえり」

 姉二人が迎えに来た。

 「お姉ちゃん達。ただいま」

 「アキラは?」

 「もう部屋に戻っちゃったよ」

 「そうでやがるか」

 その姉二人に恐る恐る声をかける薫。

 「ねえ、お姉ちゃん。あの、あのね」

 「何?」

 「どうしたでやがるか?」

 「お姉ちゃん、か、薫ね・・・」

 緊張している様子なので、鞠が代わりに言おうとした。

 「光璃ちゃん!薫ちゃんの気持ちね」

 「大丈夫。わかっているから」

 「「え?」」

 「夕霧達は薫の姉でやがるよ。言いたいことはわかっているでやがる」

 夕霧の言葉に光璃も頷いた。

 

 「うん、薫の幸せが、光璃の幸せ」

 

 つまり、彼女の想いを尊重するということだ。

 「あ、あ、ありがとう!お姉ちゃん!」

 泣きそうな顔で嬉しそうに姉に礼を言う。

 「良かったね!薫ちゃん!」

 「うん!」

 「後はちゃんと本人に言うでやがるよ!」

 「うん!薫、頑張る!」

 「夕霧」

 「何でやがる?」

 「夕霧の幸せも光璃の幸せ」

 「そ、それを今言うでやがるか!」

 光璃の言葉に夕霧の顔が真っ赤になった。

 「へ~~、夕霧お姉ちゃんもなんだ」

 「夕霧ちゃんも、頑張ろうね!」

 「うん、頑張って」

 「さ、三人とも~~!」

 夕霧の悲鳴に近い叫びが、館に響いた。

 

 『うん!お姉ちゃん達と鞠ちゃんから勇気をもらったんだから、絶対に言うんだ!お兄ちゃんに、薫もお嫁さんになるって!』

 

 でも、薫の気持ちはしっかり整理がついたみたいだ。

 




 
 というわけで、主に松葉と薫がメインの話になりました。

 松葉は顔には出さないが内心興味津々でやってみたいという気持ちがわき、今後も続けたい欲求を持つようになった。
 薫は姉を優先しないと。でも、自分も・・・我慢しないと。という考えで気持ちを押し殺したが、鞠と姉たちの一押しで決心した。
 今回はこの二人の気持ちを開いてやりたかったので書きました。

 次回はどっちにしようか悩んでいます。将軍様逃亡劇か武田武将の一日か・・・。

 あと二つ間章書こうと思ってます。では、お楽しみに!


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間章20-4 やることはしっかりやること

 いただきます!三MENです!・・・あれ?何か変だな。ま、いいか。

 今回は武田武将の一日ととある武将の思いにしました!




 

 ある日の早朝。いつもならアキラの周りにはヌード姿(白い液体つき)の嫁達がいるのだが、その日は襦袢姿で添い寝にしていた。ある一人が襖を開けた。そして、思いっきり息を吸い込んで。

 

 「お~(ガシ、スチャ)、ぎゃ~~~!!」

 

 開けた音に気づいたアキラが瞬時に目の前に移動して、刀を首元に着けた。その現状に気づいた兎々が途中から悲鳴を上げた。

 「なんだ、兎々じゃないですか。ちゃんと声をかけてから入りなさい。といつも言っているでしょう。聞き分けの悪い子ですね」

 「ころも扱いするな!寝ているところに声なんてかけても返事がないらろうが!」

 その言い争いが寝ている皆を起こした。どうして兎々がやってきたのかというと、ひよところが武田の武将達がどんな生活を送っているのか興味を持ったらしく、同行したいと申し出ていたらしい。

 いきなりだったが、行くメンバーはアキラにひよ、ころ、綾那、梅、各務に朱雀の七人になった。他のメンバーはまだ眠いとさっきの悲鳴など気にせず寝続けているからだ。七人が部屋を出た後、

 『詩乃、アキラ様の布団に入らないでください』

 『ずるいぞ!俺が入る!』

 『ZZZ・・・むにゃ?』

 『アキラさんの匂いに無意識に寄っているのでは?』

 『わ、私も、ご、ご主人様の・・・入りたいです』

 『あ~~!ずるいの!鞠もアキラの布団で寝たいの!』

 『鞠、落ち着いて。二人で入ろうな』

 何やら、寝るのが遅くなりそうな騒動が起こりそうだ。

 

 朝早く春日、粉雪、心がいる館の門の前に集まった。 

 「夫殿も来たか。兎々!来るのが遅いぞ」

 「そうだぜ。大声出そうとして旦那に返り討ちにあったってとこだぜ」

 「だから静かに起こした方がいい。と言ったでしょう」

 「ど、どうしてそれを!」

 そんなやり取りを見ているうちに、皆も目が覚めた。

 「今日は皆さんと一緒に行動ということですが、実際は何をするのです?」

 「二つに分かれて、この辺りを警邏して戻ってくる」

 「そうなると、こちらも二つに分けないといけませんね」

 その言葉を聞くと、

 「アキラと一緒。アキラと一緒。アキラと一緒」

 「ハニーと、ハニーと、ハニーと!」

 「アキラ様と、アキラ様と、アキラ様と」

 約三名ほど、これでもか!というくらい集中している。

 「文句なしです!行きますよ!」

 「「「「はい!」」」」

 

 「ハニーと一緒!幸先いいですわ!」

 「アキラ様と私は絶対に離れない運命なのです!」

 アキラと一緒になれたメンバーは梅と朱雀だ。

 「おおい!早く~」

 「そうですよ。しっかりついてきてください」

 この三人と一緒に行動する武田側は、粉雪と心だ。

 「さすがやり慣れているだけあって、山道だというのに動きが早いですね」

 今五人はこの言葉通り、足場の悪い山道を行動している。

 「へっへ~ん。でも、旦那も大したものだぜ」

 「そうですね。いつもより遅めに行動してますがしっかりついてこれてますし」

 「この世界に来る前は、山道での訓練がいつもでしたから」

 「はい、アキラ様は朱雀をおんぶして山道を三往復をしてましたから。負荷をかけて動けるようにということで」

 「ほえ~~、旦那って訓練方法もあたい達とは違うんだぜ」

 「敢えて体に負担をかけて訓練ですか。私達も取り入れようかな?」

 「す、朱雀さん!それって密着っていうことですわよね!ずるいですわよ!」

 粉雪と心はアキラの訓練に感心して、梅は合法的に密着した朱雀を羨ましがった。

 「アキラ様の背中の感触、良かったですわ。匂いと温もりが今でも思い出して」

 「梅、なら今度はあなたにお願いしますよ。朱雀、止まるなら置いていきますよ」

 「帰ってきてからにしましょう。あれはいつでもできますし」

 「は、はい!ハニーにおんぶされる。ああ!何と甘美な響き!」

 股間に手を入れようとした朱雀に注意して、二人の後を追いかけた。

 

 アキラはともかく、朱雀と梅が中々ついてこれないので休憩することになった。

 「ふう、良かったですわ」

 「アキラ様は大丈夫ですか?」

 「ええ、足腰の鍛錬はしっかりやってましたので」

 「さすが旦那だぜ!」

 「私達が本気でやってもついてきそうですね」 

 「え?これって、遅い方ですの?」

 「そうだぜ。いつもならもっと速いんだぜ」

 それを聞き顔を青ざめる梅。

 「・・・アキラ様。向こうって大丈夫でしょうか?」

 「それは、私も思っていました」

 向こうは春日と兎々だ。

 

 『ほら!もっとしっかりついてこないか!』

 『これくらいれ疲れるなれす!』

 『『ふええーーんんん(´;ω;`)』』

 『綾那はしっかりついていけるです!』

 『森一家の訓練の方が過酷だった』

 

 手加減をしなさそうな二人だ。綾那と各務はともかく、ひよところは今頃辛さに泣いているだろう。そう思っていると粉雪から問いかけがあった。

 「そう言えば、旦那。鉄砲を持ってきたみたいだけど、どうしてだぜ?」

 そう、アキラは鉄砲も背負ってきた。

 「使うのが目的じゃなくて、これも結構重いですからね。さっき言った負担をかけての訓練も込めているのですよ」

 「・・・本気で尊敬するぜ!」

 「私達も明日からは、この訓練だね!」

 この時代の火縄銃は一丁でも七キロ近くあるので、ちょうどいいみたいだ。

 「鉄砲と言えば、やはり川中島ですね。あの時は凄かったです」

 「お屋形様も本陣まで聞こえていて少し怖かったと言っていたぜ。いつもあんなに撃っているんだぜ?」

 「いいえ、いつもはあんなに撃てませんわ」

 「はい、長尾が懐から出したからこそできたことです。いつもは隊で玉薬を出していましたから」

 梅と朱雀の返答に驚く二人。

 「え、隊で?織田ではなくて?」

 「へ~、アキラ隊って金持ちなんだぜ」

 「お二人に聞きますが、ここでは玉薬って一発でどれくらいします?」

 この反応を見て、認識が少しずれていると感じたので朱雀が質問した。すると、返ってきた答えに隊の鉄砲隊を指揮している梅はもちろん、アキラも唖然とした。

 『ひゃ、百文ですか・・・』

 『これは、隊で出せる金額ではないですわね』

 次にこっちが玉薬一発分の値段を言うと、今度は二人が唖然とした。

 「な、な、何で二十文という金額が出るんだぜ!」

 「鉄砲も四十貫なんて、甲斐だとどれくらい買えるのでしょうか」

 アキラ隊の鉄砲と甲斐の鉄砲では、玉薬も鉄砲も値段は甲斐の四分の一くらいしかしないことが分かった。確かにそれだけの差があれば驚くのは当然だ。アキラもすぐ買える尾張や堺と、ここまで運んで売る甲斐とは、こんなに差があるとは思わなかった。

 そんな中、朱雀が声を出した。

 「私は桐琴さん達と一緒に来たときは、既に戦いが終わっていたみたいですから知りませんけど、そんなに撃っていたのですか?」

 「ええ。そうですね・・・?」

 朱雀の言葉に一つ思い出したアキラ。

 「そう言えば、朱雀。あなた達はどうやって川中島まで来たのです?綾那から聞いた話では、大きな馬に乗って長尾本陣に突っ込んだと言ってましたが」

 「それは桐琴さんの持つ瓢箪に封印されている百段という馬に乗ってきたのです。速さは確かに良かったのですが、時々見当違いな道を走って大変でした。山道に入るならまだしも、駿府にも入ってしまいましたし」

 それを聞き、全員がえ?になった。

 「・・・駿府、ですの?」

 「はい、三河の葵さんのところで路銀稼ぎで鬼退治に協力した後、北に向かうつもりが百段が駿府に行ってしまって・・・鬼がうじゃうじゃいましたが全殺ししながら、何とか下山に行く道に入れて甲斐に着きました。そこで下山城の武藤さんから地図をもらい、川中島までまた百段を走らせて到着。ということです」

 「そんなこと、聞いてないのですが」

 「言う暇がありませんでした。すいません、報告が遅れて」

 「まあ、私は気にしないのですけど」

 今の駿府は入ることも出ることもできない。武田の粉雪と心には驚くべき内容だ。

 「な、な、な、あの、駿府に入って生きて戻ってきたのかだぜ!」

 「あ、あの!後で、話を!」

 「は、はあ・・・」

 もはや、パニック全開の二人だった。

 

 警邏も終わり、門に戻ってくると

 「はうう~~~」

 「も、もう・・・ダメ」

 予想通り、二人と綾那と各務についていけなかったひよところがダウンしていた。まだパニクっていた粉雪と心に春日が理由を聞いてさっきの話をすると、二人ほどではないが春日と兎々も驚いた。

 「お、夫殿の妻は、とんでもない、強さを持っているな」

 「し、信じられないのら・・・あの駿府から生きてもろってくるなんて」

 その後、昼食を作るために心ところに朱雀も抜けた。

 

 次に野良作業だが、梅とひよはダウン状態から更に体に鞭打ってやることになったので、その場で動けなくなっていた。作業が終わったら昼食が来たので、食べさせてやりながら尾張にいた頃の話をした。その時に尾張の市にいる人達がここでやった祭りに集まった人達と同じくらいだと聞いて、四人とも唖然とした。

 「懐かしいですね。何かそう思います」

 「そうですね。尾張も美濃も早く戻りたいです」

 「一発屋の焼き魚が恋しいですよ」

 「私も、あの店はよく行く」

 「ちょっと、羨ましいですね」

 「ええ。私も上洛の途中で織田に加わりましたから。尾張は行ったことがないですし」

 懐かしそうにする四人に、その場所でアキラと一緒の時間を持った四人を羨ましそうに見る朱雀と梅。その後の堺の話も武田の四人はビックリの連続だった。

 「拙らの知らないことが、まだまだあるものだな」

 「堺も人が多くて売っているものもすごいって聞いていたけど、実際に見た旦那達から聞くとやっぱり驚くんだぜ・・・このまま住みたい的な歩き巫女もいたし」

 「行ってみたいものですね」

 「お菓子も興味があるのれす!」

 「武田も同盟に入りましたから行けると思いますよ。一日や二日で周りきれない広さですから、何度かに分けて行く楽しみもありますし」

 「もし、その時は私にお声をおかけください!堺をご案内しますわ!」

 アキラと梅の言葉で、四人共ワクワク顔になった。

 「よし!その為にも午後の鍛錬も頑張ろうぞ!」

 春日の言葉に武田勢と綾那は(* ̄0 ̄)/ オゥッ!!と気合を入れたが、

 「ううう。まだあったんだ・・・」

 「もう、こりごりだよ~~」

 「動けませんわ・・・」

 この三人は、再び地獄の始まりだった。

 

 全て終わると案の定三人は動けなくなってしまったので、ひよはアキラが、ころは各務が、梅は朱雀がおんぶって館に戻ってきた。ひよはせっかくアキラのおんぶだったが、疲れが強く眠ってしまったため役得を味わえなかった。だから、館に着いたときにアキラにおんぶされたことを聞くと

 『そんな、お頭の匂いを堪能したかった』

 泣きながらそう言った。今はお湯を用意してくれて、自分以外の今回の鍛錬の参加者は風呂に行った。

 「一緒に入りましょう!」

 「アキラ様とお風呂でぐちょぐちょに、うふふ」

 もちろん妻達に風呂場まで連れていかれたが、武田の武将達が既に入っていて彼女らが恥ずかしいということで遠慮できた。というか、妻と武将達で満杯になった。。

 「さて、私もできれば汗を流したいのですが」

 だが、風呂場に行けば余計な汗を流す事、疲れが増す事、妻達を全員のぼせさせること間違いなしの展開が待っていそうなので、井戸で汗を流すことにした。

 「おお!夫殿!」

 井戸に着いたが、そこには上半身裸の春日が水で体を拭いていた。

 「え?春日?風呂では?」

 「お屋形様に警邏の報告した後に風呂場に行ったら、アキラ隊の皆が入っていくのが見えてな。粉雪達が入ることは知っていたからあの人数では入れない、と思ってこちらに来たのだ。そういう夫殿はどうして?」

 「同じ理由です。まあ、余計に疲れる展開になることが見えていたので」

 「ははは!お屋形様に美空様、隊の妻達を愛さないといけませんからな」

 「全く、言ってくれますね」

 でも、言われた通りなので反論は出来ない。

 「それはそうと、夫殿も汗を流しに来たのでしょう?ともにどうです?」

 「・・・それより、あなたは私の前で裸でいることに恥ずかしいと思わないのですか?」

 ここまで普通に話したが、春日は上半身裸だ。善光寺で偶然とはいえ見た麦穂や一葉レベルのおっぱいを堂々と出している。

 「夫殿はそういう男ではない分かっています」

 「妻が十人以上いますが」

 「愛する人にだけする。そう聞いておりますぞ、拙はどうです?」

 「そうですか。じゃあ、私も」

 アキラの言葉を簡単に返答して、参ったと思い言われた通りにすることにした。すると、今までの皆と同じ反応だった。

 「・・・何と」

 「皆もそんな反応でしたね」

 アキラも上半身を裸にして、その体に着いた無数の傷に春日は驚いていた。

 「夫・・・いや、アキラ殿。これは、こんなにたくさんの」

 すっかり汗拭きをやめて、アキラの体の傷を触った。

 「これは刀に・・・こっちは槍にでしょうか。こ、これは・・・どんな攻撃を食らったらここまでの傷が」

 「あの、汗がふけないのですが」

 「っは!あ、す、すまないにゃ」

 思わず猫語になったが、アキラは気にしなかった。

 「いえ、では・・・」

 「あの、できれば。拙が・・・拭きましょうか」 

 顔を赤らめてアキラの体を自分が拭く提案をした。拒否しようとしたが、すでに背中に回り込み拭き始めた。結局そのままやらせることにした。

 

 『あ、アキラ殿は、どれだけの死戦を、激戦を、潜り抜けたというのだ!こんなにたくさんの傷なんて、この若さでつくようなものじゃ。いや、それ以前に何故拙は体を拭くなんて言ったのか?・・・顔が、体が熱い。こんなにすごい体は初めてだ。まさに、戦場で生きる戦士の体!何だ?ドキドキする。せ、拙はどうなっているんだ!』

 

 考えているうちに拭き終わったが、気づかないまま拭き続けていた。

 「あの、春日。もう、終わっているのですが・・・どうしたのですか?」

 春日の顔を持ち上げ、アキラの顔の前に持ってきた。

 『ドクン!』

 一気に春日の心が動いた。

 「あ、あああ、あの、その、ああああ」

 「ほら、春日の番ですよ」

 「拙の番?・・・あ!せ、拙のか、体を、あ、あああ、は、恥ずかしい!」 

 慌てて手を払い、恥ずかしそうに自分の胸を隠すように後ろを向いた。

 「どうしました?さっきまで堂々としていましたが」

 「い、いや、その、あの、ま、前に来ないでください!」

 「そうですか?でも、あなたの体は綺麗ですからちゃんと拭いてくださいね」

 「い、いや!それくらい・・・って、き、き、綺麗!せ、せ、拙の、拙の体が!」

 「ええ、美の象徴と言ってもいいくらいです」 

 そう言われて一気に全身が真っ赤になった春日。ついにはしゃがみこんで必死に隠そうしている春日の前に来た時だった。

 

 「ア、キ、ラ~~~。何しているのかしら?」

 

 ブチ切れた顔の美空が二人の隣に立ったのは。

 「あ、な、た、は、嫌がっている女に無理矢理服を脱がせて・・・」

 「へ?・・・これは、汗を拭くために脱いでいるのであって」

 と、こうした切れている人にはどんなに真実を伝えても、

 「そう言うことは妻の私に・・・じゃなくて、女にそんなことしてはいけないことをしっかり教えてやるわ!来なさい!」

 「い、いた!み、耳を、引っ張らないでください!」

 聞いてくれないのがオチである。しかも、美空のような人物であるならなおさらだ。美空がアキラを連れていき一人になった春日。ようやく落ち着いて服を着た。

 

 『・・・何でアキラ殿に裸を見られると、あんなに恥ずかしくなったんだ?綺麗と言われてあそこまで動揺してしまったんだ?これが、恋、なのか?だが、アキラ殿が好きなアキラ隊の皆はむしろ脱いで見せたがっていたが・・・一体何なんだ?』

 

 その感情が恋なのかどうかは、初めてだから分からない。顔を赤くして、それを風呂上がりの兎々に指摘されて照れ隠しに一撃食らわせたのは別の話。

 

 

 そして、もう一つの別の話。

 「だから、美空。わかってください」

 「だ、だめ。ちょっと、ああ!ちょ「ふふ、濡れてますね」い、言わないで」

 「そう言えば、無理やり脱がせて。でしたよね」

 「ちょ、ああ。や、や、め。あ。あ、ああああ~~アキラの、エッチ~」

 誤解はしっかり布団の中で解きましましたとさ、ちゃんちゃん♪

 




 
 武田武将の一日と春日の恋の芽生えにしました。

 春日がアキラの呼び方が夫殿からアキラ殿になったのは、光璃の夫という見方から一人の男という見方になったからです。

 さあ、最後の間章と七章の最後です!将軍様!出番ですよ~~!


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間章20-5 悪いことしたら謝る・・・子供でもできるのに

 夢の中で寝ていた三MENです!

 この間章でついに第七章が終わります!第八章もそれなりに考えていますが、ちょっと休憩したいと思います。

 さあ、最後は楽しんでください!将軍様!


 

 川中島の戦いが終わり、アキラが倒れたショックから立ち直れた次の日。館を歩いていると誰かが走る音が聞こえる。

 「お!主様!」

 「一葉、今度は何「今はすまん!」!!」

 走ってきたのは一葉だが、いきなり口をふさがれ隅に追いやられた。

 『全く、あの公方は』

 『どこに行ったのでしょう?』

 『とにかく、向こうを行ってみましょう』

 詩乃と雫と幽の声が聞こえた。三人の声が遠ざかったのを確認してアキラを解放した。

 「それで、何をしたのです?」

 「ここでは話せん。城下に行こう!」

 早い話、逃げたいということだ。とりあえず、このまま付き合うことにした。途中、歌夜と会ったが、適当にごまかして城下まで来たので口を開いた。 

 「今度はどんな悪事をしたのです?」

 「主様、その言い方は余がいつもやっているように聞こえるのじゃが」

 「したのです?」

 「・・・川中島の事じゃ」

 言い分を聞き流されて、ショボンとしながら一葉は話し始めた。

 「主様も、余が美空と一緒に長尾本陣で指揮をしていたことは知っておろう」

 「ええ。立場的にもそうだと思っていましたし」

 「その指揮の事で、両兵衛が文句を言ってきて、更に説教まで始めたのじゃ」

 「・・・なるほど。でも、何故幽まで向こうの味方に?」

 「文句の言われ役を押し付けたら、向こうに寝返ったのじゃ」

 それを聞き、絶句するアキラ。つまり、幽に全責任を押し付けて自分はのほほんと逃げたということだ。二人の味方になる理由もわかる。

 「つまり、三人に謝るために私に協力しろと」

 「いや、一緒に城下を歩き楽しむためじゃ!夕方になれば怒りが収まっておろう」

 反省する気もなければ、謝る気もない将軍に呆れを通り越して尊敬した。

 「・・・確実に説教が倍になるだけかと。今なら説教が半刻増えるだけで勘弁してくれるでしょう。夕方まで延ばせば余計に説教時間が長くなりますよ」

 「主様も、梅や鞠と同じことを言うのか!どの道説教の時間が増えるなら徹底的に逃げてやるのじゃ!」

 「・・・確実に追ってきますよ」

 「それでいいのじゃ!さあ、主様。楽しもうぞ!」

 アキラの腕をつかみ、自分の自慢の胸の谷間に入れて引っ張った。溜息を吐きながら、結局一葉のわがままに付き合うことにした。

 

 躑躅ヶ崎館のアキラ隊の部屋にて、雫が歌夜に訊ねていた。

 「歌夜さん。一葉様はアキラ様を連れて城下に行ったという事ですね」

 「間違いないです。詩乃さん達から逃亡しているとは思いませんでした」

 「アキラ殿と二人っきりでいることが嬉しかったのでしょう」

 「「「「「羨ましい!」」」」」

 アキラ隊一同。全員、悔しい顔をした。

 「私達も黙っていられません。庵樹さん。アキラ様はもう大丈夫なのですね?」

 「ああ。ほぼ病はなくなった。後一日くらい時間は必要だけど、順調に回復しているよ」

 「ありがとうございます。いいですか皆さん!必ず一葉様を捕まえ説教をします。そして、今夜は徹底的にアキラ様に抱かれましょう!」

 「「「「「おう!」」」」」

 詩乃の言葉を聞き、全員がやる気を出した。一葉のみならず、アキラのお仕置きも決定した瞬間だった。

 「・・・いや。だから、あと一日安静が必要だと」

 「庵樹、諦めろ。もう、聞こえていない」

 時人の突っ込みを聞き、全員に対して呆れの眼差しを送る庵樹だった。

 「あれ?どうしたの、とっても騒がしいけど」

 「なにかありやがりましたか?」

 そこに二人の姉妹がやってきた。

 

 体に寒気が走り、震えるアキラ。

 「どうしたのじゃ?主様」

 「いえ・・・何やら嫌な予感がして」

 「ふむ、ほれ!なら、余が抱いて温めようぞ」

 皆が見ている中、抱き着いてきた。

 「ほれ。あ~んじゃ」

 「・・・はいはい、あ~ん」

 途中で買った団子の最後の一個をあ~んで食べさせた一葉は満足そうにしていた。

 「おや?主様、口に団子の粉が残っておる。どれ、余が」

 顔を近づけて、キスで舐め取ろうとした・・・のだが。

 

 「ああ!一葉様!見つけました!」

 「公方様!さあ、覚悟してくださいまし!」

 「今、接吻しようとしましたね!覚悟を!」

 

 そこにころと梅、朱雀が二人を見つけた。

 「全く、いいところで・・・まあいい。腹ごなしじゃ!」

 「どんどん騒ぎが大きくなっていく気が」

 アキラの手を掴み、そのまま逃亡した。

 「ころさん!皆さんに連絡を!」

 「私達は後を追う!」

 「分かりました!」

 「さあ、急ぐぞ主様!」

 「・・・誰のせいでこんなことになったと」

 そう言いつつも、アキラはそのまま付き合った。狭い路地を入るなり、隠れるなりして、三人をまくことに成功した。

 「これからどうするのですか?あの三人から逃げられたということは、詩乃達は次は本腰を入れて私達を捕まえに来ますよ」

 「じゃな。そうなると、このままでは少し不安じゃ」

 「じゃあ、あきらめますか?というかそうして欲しいのですが」

 「そんなことするわけなかろう!でも、装備が今一つじゃからな」

 一葉はある方向に向かって歩き出した。やれやれと思いながら後を追った。

 

 その頃の館では、詩乃達が焦っていた。

 「え?いなくなった?」

 「はい。一応アキラ隊の草を使ったのですが、見つからないと」

 小波の言葉にムムムと唸る両兵衛。

 「いったいどこに・・・」

 「公方様は楽しんでいるし、共に行動しているのはアキラ様のみ。私達の監視は見られてなんぼな方です。その方がいなくなったとは・・・」

 一葉を誰よりも知っている幽の意見には皆も頷いた。

 「とりあえず、あの三人にも注意深く探すよう伝えてくれますか?」

 「っは!自分も探しに行きます!」

 「私も行く」

 詩乃の指令に、小波と各務がいなくなった。

 「いったい、お二人はどこに行ったのでしょうか」

 「そうでやがるな。夕霧の予想だとこの当たりかと」

 「そういった大きな通りより、こうした細い道から更に逃げ道を作り出すお方です。ここら辺も捜索した方がいいかと」

 「すごいですね、公方様・・・分かりました。伝えておきます」

 幽と夕霧は街の地図で何か所か指し、それを見た雫が句伝無量で伝えた。

 

 その二人がいる場所はというと

 「一葉・・・これはいくらなんでも予想外ですよ」

 「ははは!そうであろう!」

 「詩乃達もまさか戻ってきてるとは思わないでしょうし」

 「策の裏をかくのが、戦いの基本だろう?」

 いや、かきすぎでしょう。と心で突っ込んだ。二人がいるのは何と躑躅ヶ崎館。つまり彼女らのいる本拠地に戻ってきたのだ。さすがにこれは彼女らも、そしてアキラもまた予想外すぎて、戻ってきたときは唖然とした。

 「装備を整えるためだけに戻るとは考えませんでしたよ」

 「どうじゃ!すごいじゃろう!」

 「ええ・・・心からすごいと思います。大胆を飛び越えたあなたの行動力に」

 「ふふん!後・・・余の裸はどうじゃった?感想を聞きたいのじゃが」

 戦闘服にした際、彼女の裸体をしっかり拝んだことに気づかれていた。

 「・・・今聞きます?」

 「今じゃ!」

 「・・・やれやれ、襲いたかったですよ。あなたの体は魅力的過ぎて」

 その感想を聞きたがる一葉に、半分嘘半分本音で賛美した。

 「いやっほ~~!やったやった~~!(((o(*゚▽゚*)o)))」

 「あら一葉様、ずいぶんご機嫌ね」

 喜んでいるところに美空がやってきた。

 「美空か。済まんが、今日の主様は余のものじゃ。やらんぞ」

 「いいわよ。私はもう・・・いいえ、何でもないわ」

 先日抱かれたことを思い出し、顔を赤らめた。恥ずかしがる美空を見て、すぐ一葉は分かった。

 「なるほどのう~。なおさら今日はダメじゃぞ!」

 「分かったわよ。楽しんできなさい」

 「では行こう!主様」

 「ハイハイ、捕まるまでお付き合いしますよ」

 美空に手を振って、館の門に向かっていった。

 

 美空と会ったアキラ隊は、彼女から話を聞いて絶句した。

 「ま、まさか、ここに戻ってきてたなんて」

 「これは、さすがに思いませんでしたぞ」

 一番が長い幽もさすがにこれは意外すぎた。

 「へ~そういうことだったの。アキラを独り占めしているからとっても機嫌がよかったわよ」

 「あの、美空様。どこに行くとかは言ってなかったですか?」

 「言ってないわね・・・それで、どうする?私達も手を貸してもいいけど」

 そのニヤリは明らかにそれ以外の事もするぞ。と言っているニヤリだ。

 「私達も今手を打ってますが、打つ手なしになった時はお願いします」

 「いいわよ~~、じゃ、準備してくるね~~」

 詩乃の頼みに笑顔で答えて、去っていく美空。

 「いいのですか?長尾の手を借りることはないと思います」

 「公方様を追いつめられる!という感じで嬉しそうに出ていきましたな・・・某も雫殿と同意見なのですが、詩乃殿はどうして手を借りようと?」

 「断ってもあの人は出ますよ。公方様同様、楽しいことに首を突っ込んで大騒ぎしないと気が済まない人ですから・・・なら、監視がある状態にした方がいくらか手の打ちようがあります」

 雫と幽は詩乃の判断に疑問だったが、その答えを聞いて納得した。

 「そういう事ですか」

 「確かにそうですな・・・京にいた頃は目を離した隙に二人していなくなって、気づけば楽しかった的な感じで戻ってきてましたからな」

 「・・・何をしてきたのか想像できるあたり呆れます」

 詩乃と幽の想像は、倒した無頼漢達の財布を強奪している二人だった。

 「それなら詩乃殿の言う通りにした方がいいですな」

 二人して重いため息を出したときに梅からの報告があった。

 「鞠さんから報告です!ハニー達を見つけたらしいですわ!」

 

 呆れながら走るアキラと嬉しそうに走る一葉。その二人を追うのは

 「待ちやがれです!」

 「待つの~!」

 「ま、待ってくださいよ~」

 「逃がすか!」

 綾那と鞠、ひよに時人だった。

 「ほう、中々逃げがいのあるメンツじゃのう!」

 「時人まで出ましたか」

 本来の時人の速さを使えばすぐ捕まるが、多くの人の小さな間という間を潜り抜けながら逃げているため、複雑に動くことが慣れてないのか本来の速さを出せず、まだ捕まえてない。だが、それも時間の問題だ。少しでも人が少なくなれば時人の速さは短くても発揮できる。アキラはそれを知っていた。

 「どうします。このままじゃ捕まりますよ」

 「なら、ここじゃ!」

 曲がり角を曲がったすぐ後で、藁を自分達にかけて隠れた。同じ場所にやってきた四人達。

 「あれ?どこに行ったです?」

 「いなくなりました・・・」

 「う~ん。そんなすぐにいなくなるものか?」

 「・・・くんくん。あ!アキラの匂いがするの!」

 三人が?を出している中、鞠がアキラの匂いを嗅ぎつけた。

 「・・・あ!確かにするです!」

 「はい!向こうから匂いがするね」

 綾那とひよもまたその匂いに気が付いた。

 「えっと、何でそんなものが分かるんだ?」

 「時人は分からないですか?」

 「アキラ隊の皆は、全員アキラの匂い知っているよ?」

 「いない時でも探し当てられるように覚えました!」

 匂いが分からない時人は唖然とした。

 

 『ある意味とんでもないな・・・待てよ?ほぼ全員と言ったな。一葉はともかく歌夜や幽まで匂いを覚えているのか?アキラの匂いってこいつらからすれば麻薬みたいなものか?それとも・・・』

 

 「ここです!ここにアキラ様の匂いが!」

 「今じゃ!」

 二人の隠れている藁に近づくと、一葉が藁を四人にかけた。時人は考え事をしていたため、完全に不意打ちだった。

 「うひゃあ!」

 「え?何だよ!」

 「うわーん!」

 「真っ暗です!」

 「行くぞ!主様!」

 「やれやれ、すいません、四人とも」

 一応謝罪を言って、再び逃げだした。

 

 四人から見失った。という報告を受けて、更にムムムとなった。

 「時人でも捕まえられなかったのかい?」

 「ちょっと、考え事をしててな・・・」

 「でも、出せる限りの手はもう出しましたぞ」

 「ええ・・・仕方ありません」

 お守りを手に持ち、句伝無量で美空達に報告した。

 「ここから美空様が、アキラ様達をどう追いつめるか。ですね」

 「私達が出る幕はありません。とりあえず、状況を見ましょう」

 「ですな」

 三人がそう言うと、時人は質問をした。

 「なあ、ちょっと聞きたいんだが。皆ってアキラの匂い、知っているのか?」

 「匂いですか?もちろんです」

 「はい。いつも嗅いでますし」

 「某も越後からですが、それをするのが趣味になりましたな」

 三人とも肯定だった。更に聞こえていたほかの皆も肯定だった。

 「・・・そうなのかい?」

 「ええ、いない時も居場所を確認できますし」

 「ご、ご主人様をお、想って・・・あの、その」

 「その匂いで慰めてる」

 各務の言葉に全員が頷いた。そう、幽ですらだ。庵樹と時人は言葉を失った。

 「・・・すごいくらい皆ってアキラにべったりなんだね」

 「ああ。ここまでとは思わなかった」

 「これが当たり前です!」

 詩乃の堂々と言った言葉に再び言葉を失った二人だった。

 

 

 街にいる美空はとても嬉しそうだった。

 「うふふ!公方様を追いつめる機会が来るとは思わなかったわ。楽しくなりそう!」

 「・・・御大将、趣味悪いっす」

 「いいじゃない。秋子もいないし、空も愛菜も今は館の案内を受けているし。楽しめることは楽しまないと!」

 「・・・どうなっても知らないっすよ」

 「どうとでも言いなさい!さあ、行くわよ!」

 柘榴のジト目をまったく気にしない美空。兵に指示を出した。

 

 その事にすぐ気づいたアキラ。人気のない狭い路地に身を潜めていたが、気配で感づいた。

 「長尾まで出たみたいですね・・・壁の向こうに松葉の気配がします」

 「ほう、ついにあやつまで出たか・・・ふふふ、燃えるわ!」

 笑顔で嬉しそうに言った一葉。だが。これはまずい展開になった。アキラも自分の隊が相手だからまだ付き合っていた。それなら国主の光璃からちょっと説教くらう程度と踏んでいたが、美空まで出てくるとは思わなかった。

 『全く、やばいですよ。私の出来ることは一つだけです』

 「じわりじわり追いつめられている感がある。さすがは美空じゃ。ここが見つかるのも時間の問題じゃな」

 「なら、一つ案があります」

 「案じゃと?」

 一葉の言葉に頷いた。

 

 館では、美空の兵の置き方に詩乃も雫も感心していた。

 「すごいですね・・・隙を与えない兵の置き方です」

 「ええ、これではアキラ様も一葉様も手が打てないでしょう」

 「両兵衛がそこまで絶賛するほどとは。それで、お二人はどうすると思いですか?」

 「元々アキラ様は巻き込まれた立場。アキラ隊だけだったから付き合っていたけど、美空様まで来るのはさすがに計算外でしょう」

 「ですから、おそらくやれることは一つだけかと」

 詩乃も雫もアキラのやろうとしていることを読んでいた。

 「なるほど、では某達も参りましょう」 

 幽の言葉に皆が立ち上がった時だ。

 「お待たせ~。連れてきたよ~」

 「・・・何の騒ぎ?」

 最後の守護神が登場した。

 

 アキラが一葉と、美空達を連れてきたのは御刺使川だった。

 「これしかないでしょう」

 「うふふ。アキラ、最高の場を用意してくれてありがとう。愛しているわ」

 「ここならガチでやっても問題ないからのう。主様は渡さんぞ」

 美空と一葉は既に刀を抜いて火花を散らしていた。民に迷惑のかからない場所まで一葉と美空と長尾勢を連れてくるのが、アキラにできる精いっぱいだった。

 「お願いですからガチだけはやめてくださいよ」

 「「わかっておる(いるわ)!」」

 それを聞き、どうせすぐ忘れる。のわかっておる。と思った。

 「アキラさん。すいません、あの御大将を止めるのはできません」

 「ごめん」

 「いいのですよ。力づくでもあの三人に謝らせなかった私が悪いのですから」

 柘榴と松葉の言葉にアキラも謝罪した。

 「さあ、やるわよ。一葉様」

 「うむ!いくぞ!勝った方が今夜主様と子作りじゃ!」

 本人が了承してないのに勝手に景品にされた戦いが始まった。

 

 四半刻くらい経過した。二人とも互角の戦いだった。

 「うふふ、準備運動はここまでよね」

 「ああ、ここからじゃ!」

 それを聞き、確実にやばい展開になると踏んだ。

 「やめなさい!ここまでです!」

 「「いやよ(じゃ)!」」

 制止を試みたが、二人は無視した。

 「本当に、やめる気はないのですか?」

 「当り前じゃ(よ)!」」

 二回目の制止も無視した。二人はお家流を発動させる体制に入った。

 「・・・しょうがない」

 二本の刀を抜いて、二人の前まで歩いて行った。

 「どくのじゃ!主様!」

 「そうよ!どきなさい!」

 「最終確認です。やめないんですね」

 「「うむ(ええ)!」」

 「分かりました。では・・・」

 刀をそれぞれ二人に着ける足利・長尾の当主が氷漬けになった。柘榴や松葉、長尾の兵は大将と一葉が氷漬けになったことに唖然とした。

 「その中で反省しなさい。仏の顔も三度までです」

 アキラの顔には青筋があった。それなりに怒っていたようだ。

 

 詩乃や雫のアキラ隊。そして、守護神光璃が到着したときには、

 「何てことをするのじゃ!」

 「そうよ!嫁を氷漬けにするなんて何考えているのよ!」

 アキラに文句を言っている一葉と美空の姿があった。二人とも何とか力づくで脱出した。

 「あなた方がやめないからです。どうです?反省しましたか?」

 「「主様(アキラ)が反省しろ(しなさい)!」」

 「・・・何やっているの」

 二人の後ろから光璃が声をかけた。その声を聴き、ビクッとする。

 「お家流だして、この辺をボコボコにしようとした二人を止めました」

 「な、何を言っているのじゃ主様!」

 「そ、そうよ!そんなことをするはずが」

 「本当は」

 冷や汗を流す一葉と美空だが、光璃の言葉に

 

 「「辺りがどうなろうと、徹底的に戦うつもりだったわ(でおったわ)!!」」

 

 ドヤ顔で堂々と言い切った二人。

 「そう」

 「「・・・あ」」

 近寄ってくる光璃に後ずさる一葉と美空。

 「二人とも・・・・・・っめ!」

 「「う、ご、ごめんなさい」」

 素直に光璃に頭を下げる二人。

 「すいませんでした、光璃。私が早いうちに止めればよかったのですが、まさか美空まで参加するとは思わなくて」

 「いい。その代わり、今日は一緒に寝る」 

 「分かりました・・・奥様のおっしゃるがままに」

 光璃の手にキスをした。真っ赤になって、今度は光璃がアキラの手にキスをした。

 「ちょ、ちょっと待ちなさい!今夜は」

 「そうじゃ!余と美空が」

 「何か?」

 「「何でもありませんです・・・はい」」

 今度は土下座になった。光璃の底知れないプレッシャーが二人をそうさせた。

 

 その様子を見ていたアキラ隊と美空を連れ戻しに来た秋子。

 「今日はたっぷりアキラ様に抱かれる予定でしたのに」

 「これは諦めるしかありませんね」

 「・・・残念」

 「よかった。光璃のとこならあいつも安静にできそうだ」

 アキラ隊の残念そうな顔のメンバーと、安静にできることが分かりホッとする庵樹。

 

 

 そして、その日の夜。

 「光璃。あなたの体、全てを愛します」

 「うん、ありがとう。アキラ・・・私も、アキラの体、全部愛する」

 最後に登場した光璃が漁夫(アキラ)の利(あい)を得た。彼女にアキラをとられたことに、皆悔しがりながら眠りについた。

 

 もちろん、

 「幽よ、眠たいのだが」

 「説教が終われば寝ていいですぞ。だが、途中で寝たら起こしますが」

 「秋子!いつ終わるのよ!」

 「この際ですので、今までの分全部やらせてもらいます!」

 この二人は、なが~~い説教を受けることになったとさ。ちゃんちゃん♪。

 




 どうでしたでしょうか?アキラ隊の皆はほぼ全員匂いを覚えて、オ〇〇ーをしていました!光璃のっめ!は地味に心に響きそうだな・・・。

 ここで七章終わりです!とりあえず、まだ残っているエロ修正予定の話を終わらせてから八章に入りたいと思います。

 八章は少し先になります!一応タイトルだけはここで発表します!『連合集結・駿府侵攻編』です。ついに、最初の妻と再会です!



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第八章 連合集結・駿府奪還編
八十振り目 会いたくて・・・


 
 御休みなさい!三MENです!・・・ぐ~~。

 ついに来ました!エロ修正終了!・・・でも、実はエロの修正をまだ続けます!そのことに関しては後書きを見てください!

 さあ、新章開幕です!ここからはオリジナル設定もそれなりにありますので、それもご了承の上でお願いします。


 これは今から始まる話の数日前の話。久遠から金柑と呼ばれる女性が京の五条大橋の前にいた。とても険しい顔をしていた。

 「出迎えご苦労」

 「・・・・・・」

 「どうした?わが手駒よ」

 「私は、あなたの手駒ではない!」

 そこにやってきたアキラが三流と呼ぶ男。そして、鬼を操る黒幕。

 「我に歯向かうつもりか?」

 「・・・思い出しました。私の消されていた記憶。あなたが私の記憶を消して、私に変な思い込みをさせた」

 「ほう~、よく思い出したものだな」

 「私には使命などなかった!外史からやってきた私に、生まれた時から明智十兵衛光秀と思わされ、自分が解放されるにはアキラ様が元凶でありその者を・・・殺すという使命を持った思い込みの記憶を植え付けた!・・・私の愛する男性に」

 「くくく、愛する男性?面白いものだな。殺すべき男を愛するとは」

 「そう思わせるようにしたのは!吉野、あなたです!」

 彼女がここまで怒りに燃えた顔は、初めてだろう。愛するアキラを殺す使命の記憶を植え付けられたのだから当然かもしれない。

 「神たる我が使ってやったというのに、それを裏切るとはな」

 「ふざけないでください。使命と思い込んだ時も不思議だった。何故、この使命にこだわる必要があるのか・・・だけど、アキラ様に会って分かった。勝手に思い込んだことに、そうしないと自分が自分でなくなると思ってしまったから」

 彼女の愛剣を抜いて、黒幕・吉野に向けた。 

 「でも、努力することが大事だとわかった!アキラ様は死に物狂いで努力を繰り返し続けた・・・あの人の背中を見たことあります?命を懸けて、前に進むために死に物狂いで努力をするあの人の背中を!・・・その背中を見たからこそ使命はない。いや、いらないとわかったのです。自分も努力しないといけない、あなたのように自分は楽して全部やらせているだけではだめだと気が付いた!」

 「そして、愛したというわけか?ふん、くだらん。努力?そのようなもの神たる我に必要ないものだ。王たる我に必要なのは」

 笑い顔になったと同時に百、いや五百を超える鬼が吉野の後ろに現れた。

 「この鬼共の操る力と、この日の本という国のみ。くくく、さあ止められるかな?」

 後ろにもどんどん鬼が出ていた。既にその数は既に千はいる。

 

 「私は、自分自身に、久遠様に、そしてアキラ様に誓った!必ず生きてあの人の元に戻ると!そして・・・アキラ様の妻になると!」

 

 そう叫び、剣が光輝いた。襲ってくる鬼にエーリカは単身で戦い始めた。

 

 

 躑躅ヶ崎館の一室。

 「今日、ついに来ましたね」

 アキラが一人で呟いていると、ひよところがかけつけてきた。

 「今日なんですよね!やっと、やっと・・・」

 「長かった。本当に長かったですよね」

 二人が興奮している。でも、それは無理もない。何故なら、

 

 「ええ、やっと会えます。久遠や皆にね」

 

 同盟の一員となった武田。その武田の本拠地躑躅ヶ崎館に織田・浅井・松平の同盟連合軍がやってくるのだ。その事を知ったのは実は昨日だった。光璃との閨をした次の日に、評定の間でその事をアキラ隊全員に伝えたのだ。サプライズとして隠していたみたいで、アキラのびっくりした顔を見て武田家一同ニヤリとしたのは新しい記憶だ。

 「久遠様や真琴様とも会えるんですね!」 

 「もう、朝から興奮しぱなっしですよ!」

 「ははは。さて、行きますか」

 「「どこにですか?」」

 「正門ですよ。誰が最初に来るかは見当がついているので」

 その言葉にひよところもわかったので、いってらっしゃいと見送った。

 

 躑躅ヶ崎館へ向かう同盟軍内では。

 「殿、何か御用でしょうか?」

 「自由になりたい。隊の指揮を頼む」

 久遠が壬月に指揮を頼んだ。彼女が了解すると、久遠が先に走っていった。そこに白百合がやってきた。

 「おやおや、一刻も早く会いたいようじゃのう~」

 「それもそうだろう・・・麦穂、行くなよ」

 「う、わ、わかっています!」

 顔を赤くして、俯く麦穂。

 「馬の腹を蹴ろうとしていたくせによく言うな」

 「かかか!女として愛を持つ姿を見ると、少し羨ましいのう」

 「何の用だ?麦穂をからかうために来たのではないだろう」

 「ああ。この遠征、信州くんだりまで来た理由を聞きたくてのう。わざわざ旦那に会うのが理由なわけないであろう?」

 梟雄の目を光らせて壬月に聞いた。

 「もちろんだ。でも、それは殿から聞け。我らからは言えん」

 「やれやれ、信用されずか」

 「仕方ありません。殿と私と壬月様。留守番のあの人の四人だけの内密でしたから」

 「あの異人殿か。ふむ、大丈夫かのう?」

 「どういう事だ?」

 白百合の言葉に耳を傾けた二人。

 「あの化け物。最近いろんなところで姿を現してはすぐに消える。しかも、その情報が以前よりもどんどん耳に入る。どれが現実なのか、虚なのか・・・それが分からないのだ」

 「殿も、我らも、似たような考えを持っていた。だが、それはあの者が答えた。かつての自分の姿を。でも、今は違う」

 「ええ。あの人は殿を・・・いえ、アキラ様を裏切らない」

 麦穂の言葉にニヤニヤする白百合。

 「なるほどのう。そこまで誑されたという事か、異人殿は」

 「まあ、そうだが、その誑しが功を生んだということだ」

 「・・・今回ばかりは文句が言えません」

 「全てはアキラに会ってからだ。それまでは我慢しろ」

 「・・・そうじゃな。それからでも遅くはない。我も正直言ってあやつと会うのは楽しみじゃからのう」

 その言葉を聞き二人は唖然とした。一瞬だったが、仮面を外した白百合の笑顔を見たような気がしたからだ。

 『み、壬月様・・・まさか』

 『それはない。アキラとこやつはそこまで親しくない・・・心から楽しめる相手という事だろう。と信じたい』

 二人とも複雑な気持ちを持って、ケラケラ笑う白百合を見ながら馬を歩かせた。

 

 その彼女らの後方では側室の四人が一緒にいた。

 「うふふ。もう少しで、旦那様に会えます」

 「はい・・・本当にようやくですね」

 「それにしてもお兄ちゃんってすごいね・・・大国の当主二人を嫁にするなんて」

 「その噂を聞いたときはびっくりして心臓が止まりそうだったよ」

 「お兄ちゃんの誑しぱわあに堕とせぬ女はいない!ってね」

 市の言葉に冷や汗を流す結菜と真琴。だが、双葉は笑顔で応対した。

 「その誑しぱわあですか?考えてしまいますね」

 「何がです?双葉様」

 「この乱世の中でそれがあったからこそ、長尾も武田も同盟に入れることができましたし。こうして平和に顔を合わせることだってできました」

 「・・・そう言われるとそうですね。武田と長尾は溝の深い因縁があったのに、それを埋めてしまったのですから」

 「うんうん!さあ、もう少しでお兄ちゃんに会える!私達だって妻なんだから、たっぷり甘えようねまこっちゃん!」

 「そ、そうだね(てれ)」

 三人の話に思わず本気になりかけた結菜。

 「で、でも、双葉様。これから先、忙しくなりますよ」

 「忙しくですか?」

 「はい!さっきの話に出てきた当主二人、長尾景虎に武田晴信がアキラの嫁になりましたが、二人だけを嫁にしたとは思えません!」

 「そうだね!景虎さんの娘さんも誘拐されてた時に誑されて、多分妻になりたいと言ってそうだし」

 「武田晴信には二人妹がいて、二人も言っていそうな気がするよ」

 浅井夫婦は鋭かった。その通りだった。

 「そう!奥の仕事が舞い込んできます!私達が奥の管理をしないといけないので頑張らないといけません!」

 「まあ、それはそうですね。頑張りましょうね、結菜さん!」

 嬉しそうに言う双葉に苦笑いの結菜。その様子を見て笑う市に苦笑いの真琴だった。

 

 そして、門の前ではアキラの他に二人いた。

 「・・・・・・」

 「あら?どうしたの」

 「いえ、緊張してしまって」

 「あなたが?どんな時もドン!といるあなたが?」

 「久しぶりですからね・・・わたしも、久遠も」

 「・・・うん。会うの楽しみ」

 アキラのあまりしない緊張に一緒に待っていた美空と光璃が驚いていた。その緊張を無くすためか、光璃に話しかけた。一つ疑問に思っているところがあるからだ。

 「光璃、一ついいですか?」

 「何?」

 「これは策ですか?」

 「?策って何?」

 「うん」

 アキラの短い一言。美空は聞いてないから分からなかったが、光璃は頷いた。

 「そうですか」

 「ねえ、どういう事?」

 「動きやすくする」

 「光璃!ちゃんと説明しなさいよ!私、聞いてないわよ!」

 だが、彼女はそれ以上言わなかった。つまり、今は言えないという事だ。

 「ちゃんと後で説明してくださいよ。私もおおよそ推測はしてますが、確信に至ってないので話せないのですが」

 「分かった」

 「・・・まあ、いいわ。ちゃんと後で言うならね」

 美空も納得してそれ以上の追及はしなかった。その後、美空が駿府の事を確認した。アキラも気になっていることだが、光璃にとって苦しいことなのであれ以降はあまり言わないようにしていた。

 「あまり、よくない」

 ただそれだけだった。でも、その一言が相当危険な段階まで来ていることを物語っていた。美空も理解したため力を貸すことを伝えたら気味悪がられて、それに切れて文句を言おうとした時だった。

 「お兄ちゃん~。お姉ちゃん~」

 薫が馬に乗ってやってきた。

 「あら、薫。先触れの人が来たの?」

 「うん!そのことを伝えに来たの!」

 「どんな人だった?」

 「それがね、ちょっと怖い感じがするけどとっても美人さんなの!目もまるで炎が入っているくらいに熱い感じがして、髪も声もとっても綺麗な人なの!」

 『・・・やっぱりですね』

 薫が先触れの人の特徴を話した。その特徴にアキラは案の定と思った。

 「ねえ、織田の先触れ。アキラは誰だと思う?」

 「気になる」

 二人の視線がアキラに向いた。そのアキラは笑顔で答えた。

 「怖い感じだけど美人。目に炎が入っていて、熱く感じる。髪も声もきれいな女と言ったら一人しかいないですよ」

 少し歩いて道のあるところで止まった。三人はじっと聞いていた。

 「先触れは」

 その時に馬の蹄の音が聞こえた。どんどん近づいてくる。

 

 「織田家当主。そして、私の最初の妻。織田三郎久遠信長ですよ」

 

 蹄の音が止まったと同時に、

 

 「アキラ!」

 

 馬から久遠が飛び降り、アキラに抱き着いた。

 「アキラ、アキラ!会いたかった。ずっと、ずっと」

 「私もですよ。あなたの事、毎日考えていました」

 やっと会えた嬉しさに久遠は泣いた。そんな久遠を抱きしめ背中をたたいた。

 「我を、我を、放って、お前というやつは」

 「離れませんよ・・・絶対にね」

 「ほ、本当、本当だな・・・う、ううう」

 アキラの温もり、アキラの声。アキラの愛を受けて久遠が涙を流していく・・・その時だった。

 

 「「こほん(-_-メ)」」

 

 二人の妻がワザと咳払いをした。それを聞いて、アキラは美空・光璃・薫がいたことに気づき、久遠は誰かが見ていたことに気が付いた。

 「初めまして、織田久遠殿」

 「どの」

 「睦みあいの最中で申し訳ないわ。気持ちも理解はできるけど・・・でも、こっちも限度というものがあるの」

 「離れて・・・はやく、アキラから」

 笑顔だけど冷たい視線の美空と頬を膨らませてむーっとした視線の光璃が見ていた。

 「いや~、嬉しさのあまり忘れていました」

 「あ、あ、あああ!い、いつから」

 「「最初から」」

 見られた恥ずかしさに真っ赤になった久遠だが、二人が自己紹介をすると久遠も妻から国主の顔に戻って二人に自己紹介をした。ただし、

 

 「「「(バチバチバチバチ)<(`^´)>」」」

 

 アキラの妻である三人はともに負けず嫌い。自分が一番の妻という考えを持っているのか、三人で火花を散らしていた。

 

 『何故でしょう。久遠の背中には鷹が、美空の背中には龍が、光璃の背中には虎が見えるのは・・・幻覚でしょうか?』

 

 「あはは、お兄ちゃんの取り合いになっちゃったね」

 幻覚が見えて背筋がひやっとしていると、アキラのそばに寄る苦笑いの薫。

 「ええ。夫としては嬉しいですが」

 「でもこうなるのはしょうがないよ。お兄ちゃんの一番になりたいんだもん」

 「まあ、気持ちはわかります」

 アキラもまた狂の事を誰よりも知っている。自分が一番わかっている。そういう時もあったから何となくだが理解できた。

 「この人を誰よりも分かっている。誰よりも知っている。誰よりも理解している。そういう気持ちは自分が一番と思ってしまいますからね」

 「ここにいないアキラ隊の皆や他のお嫁さんの人達だって、そう思っているよ」

 「・・・そうでしょうね」

 自分に抱かれて幸せそうな顔をする彼女達を見てきたから、アキラも頷ける。

 「でも、お兄ちゃんの事だから全員が一番と思っているんじゃない?アキラ隊の皆を全員平等に抱いていたのを見ると・・・羨ましかったな~」

 ちょうど考えていた事を言われ、言葉が詰まりそうになった。

 「それを言われると・・・最後になんて言ったのですか?」

 「う、ううん!何でもない!でも、とても難しいことだってわかったでしょう」

 「でも自分自身に決めた想いであり、皆が私を想ってくれるなら全力で答えたい。そう決めました」

 久遠があの御免状を出した時点で決めた信念。彼女も本当は結菜の二人だけでアキラを愛したかったはず。でも、自分の信念の為に決めた決断。なら、その信念を尊重するのが久遠を愛すると決めた夫としての信念と思ったから、自分を愛する女性は全員愛すると決めた。 

 「全員を愛する。聞こえとしては誑し男全開ですが、気持ちは本気です」

 「・・・大丈夫。お兄ちゃんの本気、薫もわかるよ。だって」

 そう言うと、薫がアキラに抱き着いた。

 

 「薫だってお兄ちゃんの事大好きだもん!薫もお兄ちゃんのお嫁さんになる!」

 

 いきなりの薫の告白。アキラは唖然とした。

 

 「な!」「ん!」「と・・・!」

 

 火花を散らしていた三人も、いきなりの妻が増えたことに絶句した。 

 「お兄ちゃんの奥さんが増えること。薫は全然気にしないよ。お兄ちゃんが薫もしっかり愛してくれるとわかったから!」

 「・・・・・・」

 アキラはいまだ意識が飛んでいた。薫がそのアキラの手を握って館に入っていった。

 「さあ、先に行っていよう!お兄ちゃん!」

 

 残った三人。

 「・・・うすうす空と似たような感じがしていたけど・・・光璃、気づいていた?」

 「うん。でも、止められなかった」

 「文句が言えないわね」

 自分の娘も同じだから、強く出れない美空だった。

 「長尾、武田よ。そちらの勢力では自分以外にどれくらい嫁がいる?」

 「うちの方は・・・秋子に貞子。空に愛菜に松葉も怪しいわね。五人かしら」

 「うちだと、薫に夕霧に春日。粉雪と心・・・うちも五人?」

 人数を聞いて言葉を失う久遠。

 「そ、そんなにか!・・・あやつは、どうして自重できんのだ!」

 「全くよ・・・しかも、まだまだ増えそうだし」

 「うん、断言できる」

 光璃の断言には否定できない二人。

 「そっちはどうなの?ちゃんと話してね」

 「歩き巫女から報告は受けているから嘘はダメ」

 「ああ、ちゃんと話す・・・ぷ、ふ、ふふふ」

 そうやって話していると、久遠が笑い出した。

 「どうしたのよ?いきなり笑って」

 「???」

 二人の目を見てしっかり本心を話した。

 「我はお主達に会うまで不安だったのだ・・・アキラを勢力拡大のための道具として使われていないかと。でも、心からアキラを愛しているみたいでホッとした」

 「う!ま、まあ、いい男であることは認めるわ!」

 「うん、アキラ大好き」

 「うむ!我らは同じ妻だ!あやつを共有し合おうではないか!」

 二人とも頷いた。

 

 「光璃、美空。共に、天下を治めようぞ!」

 「「ええ(うん)!」」

 

 織田、長尾、武田。三家がついに合流を果たした。

 




 久遠、アキラと再会!エーリカ、記憶を取り戻し元凶と対決!の話でした。エーリカはアキラへの愛とアキラの努力の背中を見て、自分の進むべき道を見つけました。そして、吉野が来るとわかっていたからこそ京を守るために残ったのです!吉野に記憶を消されて偽りの記憶を持たされたのはオリジナル設定のつもりですが、原作でもそれっぽかったので半オリジナル設定・・・かな。

 そして、前書きに書いたエロ修正の件ですが、正確には自慰追加です。三章くらいまではそれぞれのキャラに自慰をしているシーンもそれなりに書いていたのですが、四章になったらあまり書かなくなってしまったので、それを書こうと思います。
 ですので、それもまた書き終えたら活動報告に書きますのでそれもまたお楽しみに!

 後、この章ですが・・・多分間章の方が多くなると思います。エーリカと沙綾以外はほぼ全員揃ったので原作以外のオリジナル間章もかこうと思ってますので・・・そちらの方もお楽しみに!


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八十一振り目 大集合!・・・ま、待ちなさい!

 六時でも明るいね!三MENです!
 今回は同盟軍大集合です!ただ、ちょっとしたことが怒っちゃいます!(誤字ではない)

 リアルのまじめな話をします。間章1の前書きで車は危険な乗り物と言う認識を持ってください的なことを書きました。でも、もっと気を付けないといけない乗り物があります。それは自転車です。車以上に誰でも乗れ運転も車よりも楽。でも、これが落とし穴です。楽だからってスマホやアイフォンを使いながら運転して誰かにぶつかってその人が重傷を負ったり亡くなったりすると、例えそれが中高生でも責任を負う義務があります。そう、中学生でもです!場合によっては数千万円の賠償をする必要があります!
 普段から使う人も多いかと思います。だから、運転はしっかり安全を心がけてください!スピードを出したり、競ったりすると周りも自分も危ないです!



 

 相模のある城。

 「(シュタ)御本城様~。甲斐に織田が入ったそうです~」

 「ほう、ということは」

 「武田も織田の同盟に入ったという事ね・・・すごいわね。川中島の戦いが始まった時から予想はしていたけど」

 「本当に仲直りするとは、さすがの朔夜も思わなかったか?」

 「ええ、因縁が深いからねあの二家は・・・ふふ、ますます興味がわいたわ。皆、愛する人のためって事かしら?早く会う日が来てほしいわね~」

 「え?御本城様?そんな約束してます?」

 「そういう予感があるのよ。この相模で絶対に会う予感がね」

 「・・・それがどういう予感か知らないが、朔夜がそう言うということは」

 「姫野からすれば嫌なんですけどね・・・あれを思い出すから」

 「それとは別に・・・どう?駿府の方は?」

 「う~ん、何かおかしいんですよね。鬼だらけであまり調べられなかったんですけど。一か所に集まってきているというか」

 「・・・なるほど。つまり」

 「決着の時が近い。という事だな」

 「決着?どういうことです?」

 「姫野、聞くな。とりあえず、朧にその件を伝えろ」

 「は、はあ(シュタ)」

 「同じ親として、何とも言えないわ・・・娘の立場のあの子はどれだけ苦しいのかしらね。敵だけど今回だけは同情するわ」

 「そうだな。アキラ・・・助けてやれよ」 

 

 時は戻り。

 「夫殿?どうしたんだい?」

 「あの・・・アキラ様?」

 「ほ~ら、お兄ちゃん。早く戻って~」

 躑躅ヶ崎館に引っ張られて、三人に声をかけられてようやく意識を取り戻した。

 「あれ、一二三に湖衣がいるってことは、ここは下山城?」

 「ははは、大丈夫。ちゃんと躑躅ヶ崎だよ」

 「緊急招集がかかったので参りました」

 下山城にいるはずの運命的な出会いをした一二三とこちらもその出会いをした湖衣が薫のそばにいた。

 「そうですか・・・ついに私を光璃達から寝取る決断をしたのですね」

 「一二三~。薫、初めて聞いたけど?」

 アキラの言葉に、さっきの光璃みたいにむ~っとした顔で一二三を見る薫。

 「夫殿の冗談ですよ。本気にしないでください、薫様」

 「で、でも、一二三ちゃん。夫殿はどうなったか?って気にしてたじゃない!」

 「死ぬかもしれない病を持っていれば気にするのは当然だろう?お屋形様がどれだけ動揺するか分からないからね・・・湖衣。さっきの言葉そっくりそのまま君に返すよ」

 「え、えええ!ちょ、ちょっと!ひ、一二三ちゃん!」

 いきなりのブーメランに動揺しまくる湖衣。

 「そんなに慌てることないよ。ふふふ、本当に気にしているんだろう?」

 「は、はう~~」

 小波と同じくらい照れまくって顔を俯かせた湖衣。

 「さて、ふたりをいじるのはここまでにして・・・どうです?駿府は?」

 「湖衣だけじゃなくて私もいじっていたのかい・・・からかいも確かにここまでにして、正直あまりよくないね・・・そして、状況下で君の四人の嫁が駿府から来たときは本当に驚いたさ」

 この言葉に声には出さなかったが、薫もびっくりした。

 「はい、あれはビックリしました。あの四人はどこです?詳しく話を聞きたいのですが?」

 「アキラ隊の皆と一緒だと思いますが、聞けることはないと思いますよ。方向音痴な馬に乗って、気づけば駿府にいて鬼を全殺ししながらあの道にたどり着いて下山に着いた。と言ってましたから」

 「それを聞いただけでもとんでもないことをしたんだけど・・・私達と同じくらいの情報しか持ってないと考えるべきかな?」

 頷いたのを見て、腕を組む薫。

 「それじゃあ、行こう。お兄ちゃん!」

 「そうですね。では、二人とも妻になるのを楽しみにしていますよ」

 「・・・じゃあね」

 「つ、つ、妻~~!!あ、ああの!あの!」

 『も~~、お兄ちゃん。こんな時でも誑して!』

 二人が照れながら去っていったのを見て、さっきの三人が火花を散らしていた気持ちが少しわかった気がした薫だった。 

 

 評定の間に入り、アキラは堂々と上段に上がりそこに座って薫はどこかに行った。

 

 『・・・ついにここまで来たのですね。久遠、あなたの信念がここまで同盟を大きくすることができましたよ』

 

 すでに評定の間には何人かいて、腰を下ろしていた。まだ、それぞれの国の集まりで区切って座っている。でも構わない。これからであり、ここからだ。無理にくっつけることはない。地道に一歩ずつ歩み寄り、お互い手を握り合えるようになればいい。

 『かつての私とトラのように・・・ね』

 「ハニー。アキラ隊、ただいま着きましたわ」

 そう思ったいたら、アキラ隊愛妾連合が前にいた。

 「あれ?雀と烏は傭兵扱いだから分かりますけど、時人に庵樹に朱雀はどうしていないのですか?」

 「特に興味はない。だそうです」

 「それでお頭。久遠様との再会はどうでした?」

 「ええ。しっかり抱きしめて接吻・・・といきたかったのですが、美空と光璃に止められました」

 久遠の名前が出て、皆やっぱりという表情をした。

 「ほう~、やっぱりあやつが先触れだったか」

 「そうでしょうな。この方と同じように前に出たがる方ですからな」

 「うむ、そうであろう!」

 「一葉様、幽さんは褒めてないのですよ」

 雫の言葉は聞こえてないのか、ドヤ顔を崩さなかった一葉。 

 「では、お頭。私達はあちらで座っています!」

 「あちらで、同盟の行く末を見させていただきましょう」

 詩乃の言葉で皆が端の方に移動した。

 

 「織田家家臣一同ご到着!長尾家家臣一同ご到着なされました!」

 

 織田家家臣、つまり皆と久しぶりの再会という事だ。

 「楽しみですね。皆に会うのが」

 笑顔で舞っていると、評定の間に三若が入ってきた・・・いや、入ったというより突き飛ばされた。

 「もう~!壬月様!いきなり突き飛ばさないでくださいよ!」

 「そうだ、そうだ~!」

 「畳に顔を擦り付けたじゃないですか!」

 「さっさと入らんお前らが悪い!」

 「ふふふ、三人とも早くいかないとげんこつが飛ぶわよ~」

 そんなやり取りが見えた。

 

 『やっぱり、これがあって織田家ですね・・・本当にやっと会えたんですね』

 

 清洲城でも岐阜城でもやっていたこのやり取り。それを見て、心から笑顔になったアキラ。

 最初にアキラの前にやってきたのは三若だ。

 「痛かった~。あ、アキラ。アキラ~!」

 「うっわ~~!本当だ!本当にアキラ君だ~!」

 「あ、会いたかったワン!」

 三人が走って上段までやってきた。後ろにいる壬月は呆れたが、気持ちはわかるため許してやった。

 「お久しぶりです。相変わらずですね」 

 「会いたかったよ~。よかったよ~」

 「和奏ちん、泣かない泣かない。まあ、気持ちはわかるよ~」

 「うん。噂は聞いても、やっぱり会いたかったよ!」

 「「「うわ~~~~ん!!!」」」

 気持ちが抑えきれなくなったのか、三人が抱き着いてきた。

 「もう、我慢できないよ!」

 「アキラ君!」

 「アキラ様!接吻します!」

 「は?」

 抱き着いてきた三人がキスをしてきた。それを見たアキラ隊は皆が叫んだが、アキラには聞こえていなかった。

 「アキラ、絶対に抱いてくれよ!」

 「うんうん。してくれないと泣いちゃうんだから~!」

 「楽しみにしているからね!アキラ様!」

 そう言って、三人が離れていった。そのすれ違いにお姉さま二人がやってきた。

 「久しいな、アキラ。会えてうれしいぞ」

 「ええ。ようやく会えました・・・ぐす」

 笑顔の壬月と泣きそうになっている麦穂だ。

 「お二人とも、やっと会えましたね」

 「ああ・・・よく無事だったな。とても心配したぞ」

 「本当ですよ!う、ううう、ど、どれだけ、不安だったか・・・会いたかったか!」

 麦穂もアキラに抱き着いた。そして、三若のキスが背中と心を押したのか彼女もまた涙を出しながらキスをした。しかも、強い想いが理性を上回ったのか唇にやった。

 「・・・私もやるか」

 壬月も額にキスをした。しばらくされるがままのアキラだった。

 「ぷ、ぷふぁ・・・む、麦穂さん」

 「か、必ず、私も抱いてください!」

 「私も、だ、抱いてくれよ」

 麦穂は真っ赤に壬月は少し赤くなって、三若が座っているところに向かった。気になってアキラ隊を見ると、全員悔しそうな顔をしていた。評定の間でなければ自分に突撃していただろう。特に一葉は何とか幽に抑えられていた。

 

 まだ森一家が来ていなかったが、次に長尾家が来た。

 「アキラさん。見てたっすよ」

 「・・・元気か?」

 だが、長尾は柘榴と松葉の二人だけだった。

 「おや?空に愛菜と名月は?秋子さんがいないのもおかしいですが?」

 約一名は意図的に頭から抜かして訊ねた。

 「三人は出ないっすよ。たくさんの人の前に出すと、空様が緊張して失神しそうですからね」

 「その通り」

 「そして、愛菜がどやどや言って場を騒然とさせるのが目に見えますね。名月君の方は北条出身ですから、それ関係で出せないという事ですか」

 「そういう事っす。秋子さんは心と打ち合わせがあるらしくまだ来れないみたいっす。ところでさ「それ以上は聞かないでください」・・・は、はあ」

 「どうした?」

 あの人は空と愛菜の護衛だから、任務を放棄してここに来ることはないだろうけど、それでも話題にしたらすぐに来そうな気がするのだ。だから、何とか言わせないようにするのが精いっぱいだ。

 「温める」

 顔を青くして震えていると、松葉がアキラに抱き着いた。

 「ああ!松葉ずるいっす!」

 更に、それを見た柘榴も抱き着いた。

 「抱きしめると何か心地いい」

 「うわ!松葉、大胆っす!・・・う~ん、こうなったら柘榴も!」

 「ちょ、ちょっと待ちなさい!」

 「待たないっす!」

 「覚悟!」

 すると、二人がさっきの五人のようにキスをした。 

 

 薫がお茶を持ってきてくれたので、何とか落ち着けた。何しろキスが七連発くるとは思わなかったからだ。お茶を片付けに出た薫と入れ違いに市と真琴がやってきた。

 「お兄ちゃん!」

 「お兄様!」

 「二人とも、お久しぶりです。元気そうで何よりです」

 「うん!と言いたいけど、それはこっちのセリフ!」

 「そうですよ!噂話で兄様の事は聞きましたが。やはり、お姿を見たかったです!」

 「そうだ!お姉ちゃんにはちゃんと会った?」

 「ええ。ちゃんと会って、しっかり抱きしめて、満足いくまで接吻・・・とまではいかなかったですが、愛は伝えましたよ」

 久遠の面目を立てるために、真っ赤になったことは言わなかった。と言っても、この二人ならわかっていそうだが。

 「ならよし!じゃあ、今度は市達だね、まこっちゃん!」

 「う、うん!お、お兄様!」

 すると二人もキスをしてきた。

 「お兄ちゃん、私達もお姉ちゃん同様寂しかったんだから」

 「で、ですから・・・あの、だ、抱いて、ください、ね」

 「はい、その想いをしっかりこたえたいと思います」

 二人の気持ちに答える返答をすると、満足したのか浅井の場所に座った。ちょっと後に白百合がやってきた。

 「ほほほ、随分と手厚い歓迎をうけたのう~。女蕩かしの天人様よ」

 「・・・何ですか白百合、その呼び名は」

 「さっきまでの接吻の嵐を見れば、そう言ってもおかしくなかろう?」

 既に九人から接吻を受けたので言い返せない。

 「どれ、我も」

 ニヤニヤしながら顔を手で押さえて、彼女もまたキスをしてきた。

 「む、ちゅちゅぺろ、ちゅる」

 しかも、唇だけでなく舌を口の中に入れた濃厚なキスだ。

 『ぐぐぐぐ!幽、離せ!』

 『鞠様!離してください!』

 『お気持ちはわかります。我慢してください』

 『ダメなの!後なの!』

 導火線の火が、爆弾に着くのも時間の問題だった。

 「ぷふぁ・・・気持ちいいのう。お主の接吻は、癖になりそうじゃ」

 「いきなりは、やめてほしいです」

 「なら、我も妻になろうか?そうすれば、好きなだけしてもいいのじゃろう?」

 「冗談も、ほどほ「冗談ではないぞ(ニヤリ)」・・・は?」

 「後で結菜殿に伝えておくか。そうそう、妻になるのじゃから我も抱くのじゃぞ」

 「・・・・・・は?」

 アキラを唖然とさせて、白百合も自分の場所に座った。

 

 とりあえず、顔を叩いて仕切り直した。

 「アキラ殿!よかったです!」

 そこに、やってきたのは松平一行だ。

 「葵、無事三河に戻れたようで良かったです」

 「アキラ殿のおかげです。でも、本当に大丈夫なのですか?三人から血を吐いて倒れたと聞きましたが」

 「ええ、ちゃんと診察してもらったら病はなくなったと聞きました」

 「本当に良かった、よかったです」

 アキラの手を握り、それを自分の顔まで持ってきた。その顔は涙があふれそうになっていた。

 「アキラ殿。お元気そうで何よりです」

 「ええ、あなたも葵の貞操を狙う計画をするくらい元気そうで何よりですよ」

 「な、な、なんと!何を言います!そのような本当のことを」 

 「腐れワカメは黙っているです」

 「なんですって!脳筋が!」

 いつも通りの喧嘩が始まった。

 「・・・ご主人様」

 「アキラ様」

 その喧嘩を無視すると、小波と歌夜が歩み寄ってきた。

 「二人とも、どうしました?」

 「私は葵様の部下ですが、ご主人様を心から愛する女としてアキラ様に尽くす所存でございます」

 「小波の言う通りです。私も、あなたを愛する一人の女として・・・妻として傍にいたいのです」

 「です!綾那も、ただの綾那として!アキラ様を守るのです!」

 小波と歌夜は顔を赤くして二人もまたキスをして、話が聞こえていた綾那は悠季を押しのけて手を上げて言った。

 「あ・・・わ、私。い、いえ!そ、そんなこと!」

 葵の口から何か言いかけたが、すぐにやめてアキラに一礼して悠季を引っ張って自分達の場所に行った。ただ、三人は二人と一緒ではなくアキラ隊と松平のちょうど真ん中の位置だった。

 

 『三人とも葵に忠誠を誓っているのに私を選んだ。彼女達も葛藤があったはず・・・でも、選んだ答えは私の傍にいること。ありがとう三人共』

 

 彼女達の気持ちが本当にうれしいと思ったその時。

 「もう、我慢できん!歌夜達がやったなら!」

 「私達もやります!」

 「もう~!鞠もいくの!」

 「ハニー!私達もしたいですわ~!」

 アキラ隊の皆が突撃してきて、そのまま押し倒した。

 「ちょ!ま、待ちな「むちゅうう!」む~~~」

 隊のブレーキ役の幽も含めて全員がキスをした。それを見たアキラを知る人達は笑い、初めて見る者は唖然とした。

 

 そんなもみくちゃになったところで

 「皆、何しているでやがるか!」

 夕霧が助けに入ったおかげで、何とかキス以上は阻止できた。

 「仕方ありません。退却です」

 「そうですね、残念です」

 「詩乃と雫の言う通り、もっとしたいの!」

 「そうじゃぞ!主様、いいじゃろ?」

 「公方様!これ以上はダメですぞ!」 

 ひよ達は不満そうに、元の場所に戻った。

 「あ、ありがとう、ございます」

 「いいでやがります・・・はあ」

 「どうしました?疲れているみたいですが?」

 「分かるでやがるか?実は」

 先触れを迎えに行ったが置いてけぼりを食らってしまい、必死に追いかけたが逆に離される始末。自信のあった馬乗りで負けてしまったことにがっかりしたとのことだ。愚痴を聞いてもらいひとまずほっとした夕霧。先触れが久遠であることに驚きもしたが自分の席に向かった。

 

 そして、最後に。

 「「「・・・・・・」」」

 森一家の小夜叉、桐琴の二人が来た。各務はいなかった。二人はずんずんとアキラのところまで来た。

 「各務さんは?」

 「久しぶりに隊に戻ったから、隊の皆と顔合わせじゃ」

 「ずっと借りてしまってすいませんでした」

 「かかか!あいつはお主と一緒で幸せそうじゃったぞ!」

 桐琴は話すが、小夜叉は話さない。ただ、とても強い眼差しを感じる目をアキラに向けていた。

 「アキラ」

 小夜叉はずっと我慢していた。アキラの頼みを聞き、鬼殺しも控えた。だけど、その我慢もやっと終わりだ。アキラは右手を上げた。

 

 「やるぞ、アキラ!」

 「ええ!存分に!」

 

 その右手を叩いた。小夜叉は笑顔になって織田のところに行った。だが、桐琴は止まったままだ。

 「アキラ。わしはお前の女としてお前を守りたい気持ちもある。それを忘れるな」

 アキラの顎を上げ、皆同様アキラにキスをした。唇に強く長く、女としての愛を込めて長くキスをした。

 

 これで会える人は全員会えた。たった一人を除いて。

 

 『エーリカ・・・あなたは今どうしているのでしょうか?』

 

 ここにいないということは京にいるという事。自分の推測通りなら彼女は。

 『信じましょう。必ず会える。そう信じて』

 だが、今はそれしかできない。不安と可能性を考えながら・・・ついに時間が来た。

 

 評定の間に今回の同盟国の主や侍大将が集結して、最後に上段の間に久遠・美空・光璃がやってきたので、一名を除いて全員頭を下げた。

 「何でお前まで頭を下げているのだ?」

 その一名はアキラではなかった。アキラもまた頭を下げていた。

 「え?変ですか?」

 「変よ・・・相変わらずね」

 「三人は偉いですから、礼儀を無知な私でもこれくらいは」

 「その偉い三人の夫がアキラ」

 「でも、私自身が権力やら何やらを持っているわけではないでしょう?」

 それを聞き、美空と光璃が今まで苦労してきた久遠にねぎらいの言葉を言った。そんな中、一名頭を下げていない一葉が突っ込みを入れて全員頭を上げた。

 

 「「「(ピキ)(#^ω^)」」」

 

 アキラも一緒に上げたが、その顔を見た三人のこめかみに青筋が走った。

 「アキラ、なんだ?その接吻だらけの顔は」

 「まさか、ここにいる皆にしてもらったの」

 「これは許せない」

 「・・・は?」

 言われたアキラは理由が分からずだ。キスは口紅を使えばその後が残るが、使わなくても長い時間かけてキスをすれば薄っすらとだが残るのだ。ここまで十人以上にキスをされ、皆それなりに長かった。だから、彼女らのキスが顔に残ったのだ。

 「始める前に妻として」

 「ええ。お仕置きが必要ね」

 「覚悟」

 彼女ら三人、共に手を振り上げた。

 「ま、待ちなさい!」

 「「「問答無用!バカ~~(バチーーン)!!」」」

 慌てるアキラの顔に、三人の怒りのビンタが力強く振り下ろされた。

 

 『何で・・・こんな目に』

 

 アキラの顔に三つの紅い手形が見事についた。

 




 アキラ、愛をもらってビンタを食らうの回でした!え?おかしかったですか?

 最初は織田の皆さんだけにしようと思ったのですが、この三人のビンタが何故か頭に浮かんだ途端この際だからどんどんキスさせよう!と思い、この話になりました。松葉のキスはちょっと無理やりだったかな・・・?

 さあ、次はついに同盟軍初の軍議です!の前に、そろそろ長尾勢の王様ゲームも書こうかな?と思っています。


 前書きに書いた自転車運転の事故。実例は何百件以上、高額賠償は何十件以上もあります!本当に気を付けてください!


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八十二振り目 やるしかない・・・決めるとき

 
 朝はごはん?パン?それとも食べない?自分はヨーグルト!の三MENです!

 今回は軍議開始と・・・娘さんの辛い決断です。


 上段にアキラを中心に三人がそれぞれ左右に座った。加賀や越中などの当主らからすれば、この同盟はとりあえず入ろう。という形で入ったようなものだ。その同盟のトップである織田・長尾・武田の三人が入って

 

 『『『問答無用!バカ~~~~(バチーーン)!!』』』

 

 旦那へのビンタ。しかも、同盟の軍議だという事を忘れてだ。みんなの見ている前であんな振る舞いをして、呆れ汗を流した。でも、彼女らはこう思った。

 

 『『『面白い同盟だ』』』

 

 この乱世は弱みにつながるものは見せないものだが、彼女らは見せた。さっきもいろんな侍大将や国主もアキラに抱き着いたり、接吻したりした。女誑しとして名高いアキラだが、人前でここまで気持ちを表に出させるものは珍しい。退屈しなさそうだと思ったと同時に警戒心も解いた。アキラの顔に三つの紅葉を作ったのは、無駄ではなかったようだ。

 

 この同盟の意図と今後の活動を三人が語りだし、これからは争うことがないようにしたいといったことを語りだした。次に光璃が、アキラがいなかったら、鬼が出現しなかったらこの世界はどう動いていたかを話した。それを聞いたアキラは絶句した。

 

 『何と・・・その通りですよ。まさか、ここまで言い当てるとは』

 

 その予想は見てきたのでは?と思うくらい見事に言い当てたからだ。だからこそ、絶句した。もはや、足長娘というより予知娘と言ってもいいくらいだ。

 

 『壬生京四郎の妻の朔夜の血がここでもあるのでしょうか?』

 

 このようなことまで真剣に考えるくらいだ。その後、アキラが出る前に鬼が出始めた。つまり、アキラが出たから鬼も出たという話を悠季がした。その際、かつてここで武田家とも話したアキラが死ねば鬼もいなくなるのでは?という話になった。が、

 「そんなことは断じてさせないです!」

 「主様をそのようなことさせん!」

 「そうです!お頭は大切な人です!」

 「御大将の旦那を死なせないっす!」

 「その通りだ!お屋形様の夫は決して死なせん!」

 アキラの妻や仲間は、全員が反対した。悠季の味方と思われた葵も

 

 「アキラ様はこれほどの方に慕われています。確かではない推測でそのような行動をとるのは同盟としても、先の日の本としても不利益になります」

 

 アキラ生存賛成の意見を出した。主に言われては彼女も口を閉ざすしかない。そんな中、光璃が鬼の黒幕ともいえる名前を言った。

 「吉野・・・そして」

 

 「あはれとは 汝も見るらむ 我が民を 思ふ心は 今もかわらず」

 

 この歌が出た途端に美空も久遠も顔色を変えた。この吉野の歌の後に、鬼が出たのを目撃したこと。吉水の里に怨念がこもっておりそれが吉野を鬼と変えたこと。最後に、この同盟自体が策で自分達を一か所にまとめ、吉野を動きやすくしてどこで活動するのかわかりやすくする。と言う事だった。

 

 『エーリカ。まさか、あなたは一人で』

 

 アキラの不安が一気に大きくなった。かつての自分と同じことを彼女はやっている。巨大な敵にたった一人で挑んだ自分と同じことを・・・。

 吉野の存在が確認でき次第すぐに対応できるようにすることと、まだ他勢力同士の集まりみたいな感じだから話し合って、喧嘩し合って仲よくすることを伝え、軍議は終了となった。その後で・・・

 「アキラ、後で来てくれ。話がある」

 「・・・ええ」

 小声で久遠が言ってきた。自分達だけで話したいという事だ。

 

 夜となり、アキラは久遠の部屋に行った。

 「来たか」

 「おお、主様」

 「待っていたわ」

 「うん」

 久遠だけでなく、一葉、美空、光璃もいた。彼女ら四人を見て思わず息をのんだ。

 「やってきました・・・私の愛する大切な美しい妻達」

 「「「「なあ!!」」」」

 「ふふふ、これくらい言わないとね。愛しているのですから」

 実は内心ドキドキで、自分の恥ずかしさを見せないために言ってごまかしたが、本心の言葉なので余計に恥ずかしくなったのは本人だけの秘密だ。

 「そうだった。これがアキラだったな」

 「嬉しいが・・・完全に不意打ちじゃったのう」

 「そりゃ嬉しいけど、他の嫁には言わないで欲しいわね」

 「アキラじゃ無理。でも、嬉しい」

 四人とも気づかないまま顔を真っ赤にして、もじもじしながらアキラの顔を見た。

 

 十分に愛する妻をいじれたので、本題に入ろうと真剣な顔になった。

 「さて、本題に入りましょう」

 「「「「そ、そうだな(ね)」」」」

 彼女らも大きく深呼吸して、落ち着きを取り戻して真剣になった。

 「それでは、まず久遠に聞きたいことがあります」

 「ふむ、何だ?」

 まず、久遠と美空に顔を向けた。

 「久遠と美空の繋ぎは納得ができます。森一家と時人達が三河勢と共に京に行ったときに繋ぎができた。と予想できますので」

 一呼吸置き、次は久遠と光璃を交互に見た。

 「ただ、あなた方の繋ぎが分からないのです。合流が簡単にできていたので、どこで繋ぎをとっていたのです?」

 この質問に、二人とも感心して説明した。金ヶ崎の退き口で京に戻った時に光璃から使いを久遠に出して、そこから繋ぎを作ったらしく、武田からの使者が来たときは久遠も驚いたとの事。お互い鬼が出る国を持っているので、光璃は久遠にその鬼に近しい人物がいないかと訪ねた。

 「思い浮かんだのが」

 「・・・エーリカですね」

 アキラもすぐ頭の中に出た。

 「ああ、そうだ。光璃からこの問いをされた時、本人に直接確認したんだ」

 「え?それは聞いてない」

 「・・・よく無事だったわね」

 光璃は初めて聞いたことでキョトンし、美空は無謀ともいえる行動に絶句した。

 「主様に誑されていたから無事だったんじゃろうな。よ!主様の女たらし!」

 「・・・彼女は何と?」

 一葉の言葉はあっさり流された。

 「我らと会うまで・・・いや真琴達の時までは鬼を出す側についていて、自分にはそうしないといけないという使命があると思っていたらしい」

 「使命・・・明智十兵衛光秀としての使命でしょうね」

 「明智十兵衛光秀として?どういう事なの?」

 だが、アキラは口を閉ざした。久遠がいる前で言えるはずがない。

 「でも、アキラと会ってから?」

 「裏の存在がいると気が付けた。そいつが自分に接触すると推測して・・・」

 「一人で戦う道を選んだ。ってところかしら?」

 「・・・そうだ」

 苦い顔をして久遠は頷いた。

 「自ら京に残る、と名乗り出た。我らがこの場に来ることで、助けに行けないことを承知でな」

 つまり、京に吉野が行くという事になる。

 「彼女をそんな使命を植え付けたのは吉野で間違いない。自分の私利私欲を満たすために、自分と同じ存在のエーリカを利用したのでしょう。何しろ、エーリカもあの三流も・・・この私も、本来ならこの世界ではありえない存在ですからね」

 アキラが確実に気づいていることはエーリカが自分同様別の世界から来たもの。そして、吉野もまた同じであることだ。

 「エーリカも同じ意見だった。だからこそ、自分が一人でやらないといけない。と言っていた。まるで、今までしたことへの謝罪をしているようだった・・・」

 自分の罪滅ぼしみたいな気持ちを持って、残る決意をしたのだろう。一人で吉野と戦う事を選んだのもその決意があるからこそ、ということになる。

 「この策は、エーリカには話したのですか?」

 「ああ。エーリカに麦穂と壬月。我以外ではこの三人だけだ」

 「そうですか・・・」

 本当は今すぐエーリカを助けに行きたいが、彼女は一人を選んだ。かつての自分のように・・・なら、彼女の信念のためにその気持ちを抑えた。

 

 その後、エーリカと合流して吉野を倒そう!と言うことになった。

 「必ず、吉野を倒し、日の本もエーリカも助けましょう!」

 「ああ!」

 「うむ!」

 「ええ!」

 「うん!」

 四人がアキラの手を握り、笑顔で頷いた時だった。

 

 「あ、あ、あ、姉上~~!!い、一大事でやがる!!」

 

 夕霧が大慌てでこの部屋に入り込んだ。

 「夕霧、何?」

 「し、下山方面から狼煙が三本上がりやがりました!」

 「下山から?しかも三本は確か緊急の時にのみにあげると言っていたような」

 「つまり、その緊急になったという事ね」

 「夕霧、皆を評定の間に」

 「分かりやがりました!」

 頷いて、夕霧が走り去っていった。

 「・・・光璃、大丈夫ですか?」

 アキラは・・・いや、久遠と一葉と美空も気づいていた。

 『決着の時、それが決まったのですね』

 この報告は、駿府にいる彼女の母親と武田三姉妹との・・・。

 

 その後、評定の間に全勢力が集まった。下山からの狼煙は、駿府にいる武田信虎が鬼を集めて出陣準備をしているとのこと、その矛先は甲斐もしくは隣の相模か三河に攻めると言った内容だった。

 だが、鬼となった武田信虎が人のように鬼を集めて攻め込むという武将としての行動をしていることに疑問を持った久遠だったが、それこそが信虎の拘りだと光璃は言った。自分が強者であり兵を率いて畏怖を植え付け、威を見せつけて進軍する。それにこだわっていると言った。

 「鬼を駿府中から集めているから、すぐに攻め込むことはないでやがるが」

 「時間の問題でしょうね。後は、信虎が人としての行動ができるという事は、鬼の本能に捕らわれていないという事になりますね」

 「・・・うん」

 アキラの言葉に隣の光璃は呟くように頷いた。それだけでも心中が相当複雑な気持ちになっていることが分かる。

 「とりあえず、こっちも戦準備ができることは幸いね」

 「ああ、美空の言う通りだ」

 「互いの勢力の連携をとれるようにする時間があるのも幸いじゃな」

 「あの、お話し中申し訳ありません・・・お願いがあります」

 準備期間があることにホッとして話し合っていると、葵が申し出た。

 「我々を三河に帰してくれませんか?」

 「まあ、言いたいことはわかります。例え推測でも、大切な国元が危機に陥ろうとしていますからね」

 「気持ちはわかる。でもやめた方がいい」

 葵の言葉を光璃が却下した。

 「何故です!鬼の数千との数、我が三河武士が負けな「一万」・・・え?」

 何とか意見を通したかったが、光璃の一言で言葉を失った。

 「一万か・・・ずいぶん集めたのう」

 「それが全部、鬼」

 葵も心からの驚きの顔を見せた。そんな数をどうやって集めたかはともかく、さすがにそれでは意見を通すには無理がある。

 「一万なんて、どうやって増やせたのかしら?」

 「ふむ、三好の時と同じと考えるべきじゃろう」

 「人を鬼に変えるという、あの毒ですか?」

 「何と・・・民を無理矢理鬼にしたというのか!」

 「確実とは言えんが、前例がある以上はそう考えられるという事じゃ」

 「ええ、私が信虎の立場ならそうしますね」

 久遠と一葉の言葉に夕霧が激昂し、アキラの付け足しに薫が悲しい顔になった。

 

 「駿府が主、今川治部大輔氏真が言上仕る!」

 

 そんな中、鞠が立ち上がり大声で皆に言った。いつもの笑顔の鞠ではなく、名乗った通り今川治部大輔氏真の顔をした鞠だった。

 「我が故郷駿府が鬼により蹂躙されている中!今川の棟梁として立ち上がるの!同盟の皆さん!鞠に力を貸してほしいなの!」

 その言葉で同盟軍による駿府奪還が決まった。武田・長尾が下山方面から鬼を討伐しながら南下していき、織田・浅井・松平が鞠を頭として三河方面から鬼を討伐していき駿府に入るという作戦だった。

 ただ、越後でちょっかいかけてきた北条には念のため話を通しておこうという事にもなり、その使者が空と名月、その護衛で愛菜と貞子がつくことになった。

 

 皆が戦準備に取り掛かるために評定の間を出ていく中、綾那がそわそわしていた。

 『・・・そうですね。かつての私もそうなるでしょうし』

 それを見たアキラは葵に言った。

 「葵、綾那・歌夜・小波を一時的ですがそちらにお返しします」

 「「「え!」」」

 三人はアキラを見た。

 「ど、どうしてです!」

 「アキラ様、な。何故!」

 「わ、私達は・・・もう」

 「そんなはずないでしょう。全く、悪い方に考えすぎです」

 三人にしっかり説明した。

 「今回の戦いは、あなた達の大切な国を守るための戦いでもあります。葵と共に守りたいという信念を持っているから、返すのが正しいと思っただけです。だが、この戦いの間だけですので、戦いが終わったら隊に戻るということでよろしいでしょうか。三人共愛する大切な妻ですので」

 大切な妻という言葉に三人とも顔を赤らめ、同時にそこまで自分を愛していることに感激していた。

 「その申し出は願ってもないことです。一騎当千の三人が戻ってきてくれるのはこちらとしても嬉しいです。綾那・歌夜・小波!お願いしますね!」

 「「「あ、は、はい!」」」

 三人とも葵についていった。アキラに近寄った久遠が尋ねた。

 「いいのか?」

 「いいのですよ。抜けてほしくないというのは本心ですが、信念をもって主と共に国を守りたい思いを持つあの三人の気持ちを優先させたかったのです。自分もそういう時がありましたから、彼女達の気持ちはとてもよくわかります」

 あの時の守りたいという信念。

 

 『狂の背中を俺が必ず守る!それが四聖天アキラの使命だ!』

 

 三人の背中を見て、それを思い出した。

 「そうか。ふふ、変わらないな」

 「そうですか?・・・昔はもっと冷たかったですよ」

 「そういえば、お前の昔話もまだ途中だったな。ちゃんと聞かせてくれよ」

 「確かに途中でしたね・・・ひと段落したら話しますよ」

 そう話し合っていると

 「それは聞き捨てならん!余も聞きたいぞ!」

 「アキラ、もちろん私もよね~」

 「光璃も聞きたい」

 当然、正室の三人やほかの妻達も聞きたいと申し出た。

 「全員に聞かせてあげますよ。ちゃんと時間のある時にね」

 笑顔でそう返して、自分も隊のところに向かった。 

 

 同盟軍、駿府奪還作戦開始。

 




 戦国時代は家族内でも殺し合いがよくあったそうですよね。現代でも、時々あるけどこういう時のは辛いですよね。アキラのように覚えてもいない時に捨てられたのならともかく記憶に優しかったころの母の姿がある三人からすれば・・・何も言えないです。

 次は間章です!エロも出しますよ!


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間章21-1 整理整頓、疑問解消 R-18


休みの日は晴れていてもカーテンしめる、三MENです。

 では、間章始まりです!ただ・・・どの章もエロが入りそうな気がします。ここからはもう原作でもそんな感じでしたし・・・。

 今回は三河勢の皆さんです!



 

 駿府への戦が決まった。あの急ぎの報があった後の夜は、

 『アキラ、当然ずっと会えなかった我と寝るのだよな!』

 『いいや!余とて最近主様と寝ておらん!一緒に寝るのは余じゃ!』

 『ちょっと!私だって妻よ!久しぶりに一緒に寝たいんだけど!』

 『ここは躑躅ヶ崎館。その主の夫なら光璃と寝るのが正しい』

 と正室四人の大喧嘩が始まったので、こっそり逃げた先には別の追手がいた。

 『アキラ様!ずっと待たされていた閨!今日こそやらせてもらいますよ!』

 『そうですよ、お頭。どれだけ我慢したと思っているんですか!』

 『そうですわ、ハニー。抱かれたい私達の気持ち、受け取ってください!』

 『あの、その、自分も、だ、抱かれ、たいです』

 『アキラ、もちろんわし等も忘れてないじゃろうな!』

 アキラ隊と森一家が迫ってきたので、なりふり構わず必死になって逃げのびた。

 『全く、仕方ないね』

 『私も想いは彼女達と一緒ですが・・・今回は我慢します』

 『そういえば久しぶりだな。この四人で寝るのって』

 最終的に庵樹・朱雀・時人の三人と一緒に寝ることにした。彼女らなら夜這いすることはないからだ。しかも、

 『お前たち、邪魔だ!』

 『『『『『ぎゃああああ~~~!!』』』』』

 時人に勝てる人物はアキラ以外いないので、安心して寝てられる。一掃して戻ってきた時人も、アキラに抱き着いて嬉しそうな顔で眠りについた。両隣には庵樹と朱雀もおり、彼女らの寝顔を見ながらアキラも眠りについた。

 

 

 次の日、朝起きると早速部屋の外は騒がしかった。

 「ふむ、戦準備ですね」

 駿府への鬼討伐が決まり、各勢力の準備が始まっていた。アキラが向かったのは綾那・歌夜・小波の三人がいるところだった。やはり、彼女達の信念を考えて葵のところに返したが、三人の意見を聞かないままやってしまったことが気になっていた。

 『駿府の件が終わったら返してほしい。とは言いましたが、今の状況をどう思っているのか聞きたいですね』

 そのまま足を自分達の部屋に向けて歩き出した。  

 

 「これが小波のよね」

 「はい。綾那様、それは歌夜様のです」

 「あ、そうだったですか?」

 「全く、無くなってどこにいったのかと思ったら」

 「ごめんです!」

 「「・・・・・・」」

 笑顔の綾那に比べて、歌夜と小波は少し表情が硬かった。そこにアキラが来た。

 「失礼します」

 「あ、アキラ様!」

 「どうぞお入りください」

 「は、はい!」

 部屋に入り、片付けの最中を見てすぐに戻る準備とわかった。

 「準備は進んでますか?」

 「はいです!また殿さんと戦えるなんて嬉しいです!」

 「え、ええ。そ、そうね」

 「はい・・・」

 アキラも二人の表情にすぐ気づいた。

 「二人とも、どうしてたのです?」

 「え、あの、その」

 「な、何でもない、です」

 「どうしたです、二人とも。殿さんのところに戻るのが嬉しくないですか?」

 「そ、そんなことないわ!ただ・・・」

 「もちろんうれしいです!で、でも・・・」

 二人とも、アキラの方をちらちら見ていた。

 「あ!そうか、アキラ様と一緒じゃないからですね!」

 「「!!!」」

 その反応を見て、アキラもそうだと思った。

 「そうでしたか。すいませんでした、勝手に決めてしまって」

 「あ、謝らないでください!私達、本当に嬉しいのですから!」

 「そうです、ご主人様!一度は離されたと思っていたのに、葵様の元にまた戻れるのですから!」

 だが、二人の顔は赤いままだ。

 「そうですか?ならいいのですが・・・私としては寂しいですね。三人が一時的とはいえ隊からいなくなるのは。何より、愛する人が傍にいないのは心細いです」

 「そうですか?照れちゃうです!」

 「あ、アキラ様、私達の事をそんなに!」

 「ご、ご主人様・・・」

 アキラの言葉に綾那は照れて、歌夜はもじもじして、小波は感涙を流した。

 「ですので三人が戻ってきたら、たっぷり可愛がって腰をたたなくしてあげますので覚悟してくださいね」

 「愛ですか?はいです!」

 「あ、アキラ様・・・もう、エッチ何ですから(もじもじ)」

 「ご、ご主人様の愛・・・体が、疼きそうです(もじもじ)」

 綾那は分かってないが、二人はもう体が求めているのか、股を擦り合わせていた。

 「それで、歌夜と小波は表情が硬かったですが何かあったのですか?」

 とても熱くなりそうな空気だったが、アキラの一言でそれがなくなった。

 

 アキラの疑問は綾那も思っていた事なので、その事を彼女も聞くと小波が話した。この隊ではお互い友人として、アキラの妻として接していたが、松平ではただの草として扱ってほしいという事だった。松平の扱いでないと、アキラへの不平や久遠への不平につながり、同盟への不平にも繋がりかねないかららしい。

 「なるほど、悠季なら文句を言いかねないですね」

 「全く、腐れワカメはそういうところが腐れているのです!」

 「そういう事ですので、お願いします」

 「私もそういう事なら仕方ないと思うわ。綾那、我慢しなさい」

 「分かったです・・・でも、大丈夫です!小波が気にすることないですよ!」

 その綾那の言葉に二人はもちろんアキラも疑問だった。

 

 「松平は強さでその者を認めるです!小波が綾那と歌夜と一緒に鬼の千や三千を倒してしまえば、小波も皆から認められるです!」

 

 鬼をどんどん倒せば小波も認められるという単純な考えだった。

 「ふふふふ、小波そういう事らしいです。綾那にここまで頼られたならそれに答えないといけませんね~」

 思わず笑ったアキラ。何しろ、アキラ自身がそれをやってきたのだから。確かにこれは単純だが一番わかりやすいやり方だと気が付いた。

 「え、えええ!わ、私が」

 「なるほど。小波、頼りにしてるわよ」

 歌夜も笑顔でそう言った。遠慮しがちな小波に綾那が問いかけた。

 「小波は綾那や歌夜と一緒に戦いたくないです?」

 「い、いいえ!そんなことありません!お二人と戦えるなんて光栄です!」

 「ならいいです!頑張って、アキラ様にご褒美をもらうです!」

 「「あ・・・(てれてれ)」」

 ご褒美=閨という考えになっているのか、また真っ赤になった二人。でも、綾那の言葉はまだ終わってなかった。

 「でも、それでも、小波を認めようとしないのなら」

 アキラを見て、

 

 「アキラ様にお願いです!」

 

 真っ直ぐ信じている目で言ってきた。

 「私ですか?」

 「え~、何とかしてくれないですか~」

 「・・・妻が困っているなら、夫は全力で助けますよ。ふふ、任せなさい」

 そう言うと、綾那は嬉しそうに万歳した。

 

 『全く・・・ま、いいでしょう。妻を守る。それが夫の愛なのですから』

 

 実例を二人知っているので、その二人に習い自分も守る決意をした。部屋を出て、次は三人の主に会いに行くことにした。

 『あれ?これ、何です?』

 『あ、綾那!返して!!』

 『これって、歌夜の下着です?何か、下着に穴が開いてるですが?』

 『・・・(シュタ)』

 『小波、これって・・・あれ?いないです』

 『も、もう~!返してよ~!後、小波、逃げないで~』

 彼女らのギクシャクも解けたようだ。これなら大丈夫だろうと笑顔になった。

 

 

 松平の陣に着いた。やはり、自国の危機も迫っているという事もあり兵達は皆気合が入っていた。

 「失礼します」

 「あら、アキラ様」

 本陣に入ると、葵一人だった。いつも一緒の腐れワカメ・・・悠季はいなかった。

 「そうですか。あ、あの、それで、な、んの、用ですか?」

 「どうしたのです?一応、様子を見に来ただけですが」

 「そ、そうですか・・・」

 葵がしどろもどろになりながら質問に答えるとショボンとした顔になった。キョトンとしながら理由が分からないアキラ。

 

 『私に会いに来てくれたと思ったのに、そうじゃないとわかるとどうしてこんなに落ち込むの?・・・時人さんからアキラさんの妻と思われた時から、この人の顔を見るだけで嬉しいと思う。血を吐いて倒れたと聞いたとき、目の前が真っ暗になった感じになった。私、本当にどうしちゃったの?』

 

 「あの、どうしたのです?」

 考え事をしていると、目の前にアキラの顔が現れ思わず後退りをした。

 「な、何でも、何でもないです!」

 「そうですか。では、ちょっと確認したいことが・・・」

 

 その後、隊の確認と出陣工程、駿府の前までの道を確認し合った。だが、今回は長尾・武田とは別行動で地理的にも離れている。そのチームと連絡を取り合うために必要なのが、

 「今回は、小波の句伝無量。これを使わせてもらいます」

 小波の伊賀のお家流、句伝無量だった。

 「はい・・・あれをこんな使い方にするなんて思いませんでした」

 「私の世界でも彼女のあれは驚きですよ。でも、使えるものは使い、そして鬼たちを倒す。それが私の決めた信念です。勝手に決めてしまい申し訳ございません」

 「いいのですよ。鞠様の故郷を取り戻してあげたい気持ちは私も一緒です。私もその為ならできる限りのことをします」

 しっかりと意見を話し合い、納得のいく言葉も聞けたところで葵から疑問が出た。 

 「あの、一つ聞いてもいいですか?」

 「何でしょうか?」

 「あなたは、どうしてそんなに前に出て戦おうとするのですか?」

 「前に出て、ですか?」

 「アキラ様は久遠姉様だけでなく武田光璃晴信に長尾美空景虎の夫でもあり、連合の中心的存在です。どうして後ろではなく、前に立とうとするのです?」

 葵からすれば、アキラは大将的存在だから後ろにいるべきと思うからの質問だった。

 「その質問には二つの回答があります。一つ目はそういう立場に立っているからです」

 「立っているから、ですか?」

 「前に出て、自分の意志と覚悟を見せる必要があります。後ろでは見せられません」

 「それを見せるために前に立つと?」

 信じられない顔をした葵。その顔を隠せないままもう一つの確認をした。

 「そ、それで、もう一つは?」

 「私が綾那や歌夜同様、前線に立つのが好きな人間だからです。向こうの世界でもずっと私は前に出て戦ってました」

 「・・・あなたのそのやり方は賛同しない人もいるかもしれないのですよ?それでもやるのですか?」

 「関係ありません。私は信念を貫き通すまでです・・・それをすることが私の肩に乗っている魂達へのはなむけです」

 「魂達?」

 「越前で死体を埋葬も家族に返すことができずに散ってしまった私の兵達の魂です。あの者達は私に生きてほしいと願った。その兵達に自分の信念を見せることが隊長としての役目と思っています」

 その言葉に葵は言葉を失った。自分も確かにそういう立場に立っているが、アキラのようにその兵達の魂を肩に乗せて戦うという考え方はしたことがなかった。それほどの思いを持っていることに驚いた。

 「そのやり方、命がいくつあっても足りませんよ・・・どうして、他のやり方をやろうとしないのです?あなたほどの頭の良さなら思いつくはずです」

 「私はこれ以外できない人間です。それに、命を無駄にする気などありませんよ」

 そう言うと、アキラは自分の服を上半身の部分を脱いだ。

 「な、何・・・」

 そこで言葉が止まった。アキラの体に刻まれたたくさんの傷。斬られ、刺され、撃たれ、そのような傷が数多くあった。

 「修羅場はこの通り数多く潜り抜けてきました。今回以上にどうしようもない苦しい戦いもやったことがあります。ですので・・・」

 葵の耳には、アキラの話が聞こえてこなかった。たくさんの傷に、目も意識も奪われていた。

 

 『すごい・・・この人。どれだけの修羅場を、死線を抜けて、どれだけの痛みを受けてきたというの。こんな体を持つ人がいるなんて思わなかった』

 

 「あの、どうしました?」

 「・・・っは!」

 さっきよりも顔が目の前に来たところでやっと意識が戻った。また、慌てて離れた。

 「大丈夫ですか?」

 「は、はい!だ、だだだだ、だ。だいじょうびゅだみょ!」

 「大丈夫ならいいです。この戦い、頑張りましょうね。光璃に鞠、あなたにとっても大切な戦いです」

 「私より前に、お二人の名前が出る辺り奥さんを大切にしてらっしゃいますね」

 「勿論ですよ。久遠も大切な妻です」

 「そこですぐ久遠姉様の名前が出るあたりがさすがです」

 言葉が出せないアキラ。葵の方はようやく調子を取り戻した。

 「アキラ隊の皆さんや綾那や歌夜、小波もこの旦那様では大変そうですね」

 「それを言いますか・・・その三人ですが、あなたと戦えることが心から嬉しいみたいです。様子を見に行った際に確認したらそう言ってました」

 「こちらとしても戻ってくれたのは嬉しいです。それに、そこまで私を思っていてくれたことも嬉しいです」

 この返答は、答え次第ではどうしようか考えていたアキラとしては嬉しかった。

 「今思えば、名前が出た人は全員あなたの妻ですね・・・ふふふ、注意しないと私も誑されるかもしれませんね」

 「え?そんなことはしないですよ」

 否定の返事にキョトンとする葵。

 「いろんな人から呼吸するたびに女を誑しているだの、女を虜にしないと死んじゃう病気にかかっているだの言われてます・・・そのつもりはないのに」

 この場に妻達がいたら

 

 『過去に行って今までの自分の行いを見てきたらどうです?』

 

 こめかみに青筋を浮かべて、全員がそう口を開くだろう。

 「そ、そう・・・ですか」

 「あれ?どうかしました?」

 「な、何でもありません!鞠様の故郷、必ず取り戻しましょう!」

 慌てる葵に疑問を持ちながらも、とりあえず納得したアキラは陣を出ていった。その際に悠季と入れ違いになった。

 「ただいま戻りました。兵の方はしっかり準備が整っております」

 「そう」

 「遅れもなし。万端の状態で出陣できそうです」

 「そう」

 だが、返事はそれだけ。さすがにおかしいと気付く。

 「・・・あの葵様?どうかなされました?」

 「いいえ、別に」

 「・・・あの誑し殿に何か「何もないわ!」、そうですか」

 アキラの話題を無理やり止めた葵。誰が見てもイライラしている。そして、かすかに悠季の耳に聞こえた言葉。

 「・・・誑してくれないの」

 ぼそっと言った言葉。普通なら聞こえないくらい小さな言葉。だが、悠季には聞こえた。彼女がそれを望んでいる言葉を。

 「これは・・・厄介な」

 

 その日の夜。躑躅ヶ崎館のとある一室にて、

 『アキラ様。綾那達は誑したのに、私は誑さないなんて・・・あれ、何で私誑されなかったことに苛ついているの?』

 一人でアキラに文句を言う葵の姿があった。

 『それにしても、あの体・・・本当にすごかった。あの人の、あの・・・あの、体。一つ一つにどれだけの痛みを持って、どれだけの戦いを潜り抜けて・・・もし、もし、あの体に、抱かれたら』

 少しずつ頭の中のアキラが裸になっていった。あの傷だらけの体は今までの皆同様、彼女の中でもインパクトが大きかった。自分のあの割れ目に手を伸ばして、自分を抱くイメージが浮かんでいた。

 『アキラ様、葵は・・・あなたに』

 畳に横になって、下着の中に手を入れついに、

 『ん!あう!あ、あ、あ、アキラ、様』

 蜜を出し始めている壺に指を入れた。

 『私、私、なんで、こんな、ことを!こ、これじゃあ、あああ!』

 自問自答しながら、今自分のしていることに夢中になった。そっちだけでは我慢ができなくなり、胸の方にも手を伸ばした。

 『アキラ様!の、ことを、あうん!好きに、なって、やって、いるみたいに!』

 自身の乳首の先端に指を置いた。すると、全身がビリっときたのか、背筋が伸びた。

 『分かった・・・あなたの事が、ああん!好きに、なっている。だから、こんなことを、んん!して、いる』

 服が乱れていくが、お構いなしにアキラに抱かれるイメージを強くしながら、壺の中の指をどんどん速く動かした。胸の方も揉む速度を速めた。

 『あの人は、これくらい、すごいことをする人』

 畳にうつ伏せになると、胸を押し付けて腰を上げた。その体制でアキラにされる思いを持って自慰を激しくしていった。

 『あああ、も、もっと、もっと強く!アキラ様!葵は、葵は。あなたの、事が~!』

 蜜が体を伝って流れ落ち、指から跳ねて畳に落ちていく。欲情に火照られた顔。明りに照らされているその姿は淫靡であった。

 『い、いい!あなたの、それを、私の、私の奥に~~!』

 

 『葵、お前の全てを、もらうぞ』

  

 イメージの中のアキラがそんな声を出した。そういう妄想をしたら、一気に彼女の快感が最高潮に達した。

 「あ、アキラ様。いいです、あなたに、貰われ、たい。葵は、あなたの、もの」

 現実のように思いながら、声に出して、指の動きを更に激しくした。そこからは

 「あ、ああ、ああ、あ、ああい、いい、いいいい!いいいいいの~!」

 声を高らかに上げて自慰を続けた。胸を力任せに揉み、乳首も力任せに抓り、割れ目にも指を無意識にどんどん入れていき、指も更に動かしていく。快楽が絶頂に近づくにつれ体もよがっていき、その姿勢が段々保てなりそうになっている。

 「あ、アキラ様~!い、いきます。いきます。で、でちゃうう!」

 指をできるだけ奥まで入れて、そして痙攣をおこしたかのように、

 

 「あああ、あああ!な、な、なかに~~~!」

 

 体をひくひくしながら、その場で崩れ落ちた。割れ目からはどんどん蜜が流れ出て畳を濡らしていった。だけど、心から満足した顔になっていた。

 

 一通り終わり、体の熱が冷め今までやったことに恥ずかしさを覚えた。

 『わ、私は何でこんなことを!も、もう、誰かが聞いてなくてよかった・・・でも、わかった。私は、あの人が好き』

 だが、同時に自分の想いを確認した。

 『あの人の笑顔』

 京で子供たちと遊んだ時の笑顔を思い出した。

 『あの人の頑張り』

 越後で長尾を同盟に入れようと頑張る姿を思い出した。

 『そして・・・あの人の生き方』

 数刻前に見せたアキラの傷だらけの体を思い出した。

 『それら全てがまぶしくて・・・愛おしい』

 全部を思い出すと、再び体の熱が戻ってきた。同時に、彼女の割れ目も湿ってきた。

 『・・・あなたのことを想うだけで、こうなってしまう。やっぱり、どうしようもないくらい、好きになっているのね』

 割れ目に手をまた伸ばし、そのまま二回戦が始まった。

 

 『いつかは久遠姉様みたいに抱かれたい。でも、まだ恥ずかしい・・・それまでは、あの人の背中を見ていたい。あの人の生き方。あの人の全てを見て、それから・・・あの人のものになりたい』

 

 葵、自分の想いに自覚した。

 




 ここまではいいのですが、問題は悠季をどうやって想いへ発展させるか?です。う~ん、まだ先かな?次からはどうしよう・・・。頑張ってオリジナルも半分くらいは入れないと。

 では、次回もお楽しみに!

 自慰のシーンって、やはり短い。ワンパターンなところもあるし、バリエーションを何とかして増やせないかな?


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間章21-2 アキラ最愛選手権! 正室編

 
 昼から夕方にかけて三時間寝ても、夜もぐっすり眠れる。三MENです。

 今回は完全オリジナルの間章です!正室の三人がもしアキラの一番の妻は自分だ!をしたらどうなるか?それをやりました!・・・今回、ある衣装が出ます。決して、この時代にはないものなのでツッコミは無しでお願いします!


 それはちょっとした一言だったが、大きな展開を迎えるフラグになった。

 「ころ殿や薫殿、心殿に双葉様はアキラ殿のいい妻になりますよ」

 台所で料理上手の四人が料理をしている時に、幽が四人にそう言った。

 「な、何を言っているのですか!幽さん!」

 「お兄ちゃんのいい妻?えへへ、嬉しいな」

 「旦那様の妻ならなっておりますよ?でも、いい妻ですか。確かに嬉しいですね」

 「ちょっと!私はまだ!」

 「ほう、まだですか。では、心殿は将来はなると」

 「う、ううう・・・」

 「でも、某は冗談で言ってはおりませぬ。周りへの配慮も忘れず、アキラ殿への心遣いもしっかりしている。某では真似できませぬ」

 褒められて四人とも真っ赤になった。次の一言が大展開へ一歩となった。

 

 「何といっても料理がうまい。アキラ殿の胃袋を見事に掴んでおりますからな」

 

 その言葉に双葉やころや薫はともかく、心まで満更ではない気持ちになった。

 「褒めても何も出ませんよ」

 「そうだよ、幽さん」

 「うふふ、旦那様も喜んでいるなら何よりです」

 「そ、そこまで言われると・・・本気で考えちゃうな」

 「某も料理は出来ますが、皆様や結菜様ほどうまくできませんぞ。何十人もいる妻の中で、結菜様を含む皆様が最も愛を注いでいる妻かもしれませんな」

 その言葉に、ころはニンジンを落とし、薫は水を鍋に入れすぎてあふれさせ、双葉は大根を落とし、心は包丁を滑らせて幽の顔のそばを通過させて柱に刺した。

 「「「「うあ!」」」」

 「び、ビックリしましたぞ」

 「「「「それはこっちのセリフです(よ)!」」」」

 慌てて幽に文句を言う四人。双葉もいるため、弁解が必死だった。

 『はて、あと三人の悲鳴が聞こえた気がしたのですが』

 

 その声を出した人物は台所から離れていた。

 『聞こえたか?』

 『ええ、料理ができてアキラへの世話もできる妻が』

 『アキラの心を一番掴める』

 『く!我を一番愛していないのか!』

 『そんなことはないと言いたいけど、あれを聞くと』

 『うん、不安になる』

 『・・・結菜に教わるか。あやつに我が料理のできるところを見せてやれば我が一番愛してもらえる!』

 『ちょっと!それは聞き捨てならないわ!こっちは秋子に頼むしかないわね!』

 『心と薫に頼む』

 何やら波乱が始まる予感がした。

 

 「えっと、何か用ですか?それぞれの隊の準備の確認ですか?」

 久遠・美空・光璃の三人に真剣な顔で呼ばれたので、駿府との戦いにむけての準備の途中経過を知るために呼んだのだと思った。

 「あ、あのな、ちょっと、聞いたのだが」

 「あんた。私達を一番に愛してないって本当なの?」

 「薫や双葉様や心といった料理のできる人が一番好きって聞いた」

 だが、駿府とは全く関係ないことを三人が言ってきて?を出すアキラ。

 「あの、何でそんな話が」

 「アキラ!我を一番愛しているのではないのか!」

 「私よね!アキラ!」

 「二人に言って。光璃が一番好きって」

 三人が言い争いを始めた。当の本人を無視してだ。

 「さ、三人とも落ち着いてください」

 「っは!そうだった。それでだ、我らの夫のお主にちゃんと決めてほしいのだ。我たちの中で誰が一番好きなのかを」

 「そうよ!だから、あんたを呼んだの!」

 「ちゃんと判断して決めて」

 何やら昨日の「アキラは料理ができて世話もできる女性が好き」からいろいろ変わっていき、最終的に「アキラは正室三人の中で誰が一番好きか」という話になったのだろう。三人ともやはりアキラの一番になりたいし、何より負けず嫌いだ。話の内容が変わるのは必然だったのかもしれない。

 そんなことは全く知らないアキラは唖然としていた。

 「えっと、とりあえず、一番を決めてほしい。と言う事でしょうか」

 「「「そう(だ・よ)!」」」

 「自分は一番は三人「「「却下!」」」ですよね」

 三人の気迫に負け、付き合うことになった。

 

 今アキラは上段に一人で座り、目の前には正室三人がいる。

 「それで、勝負の方法は決まっているのですか?」

 「ああ!料理、世話、そして閨だ!」

 久遠は、勢いがあるためとんでもない言葉を言ったことに気づいてない。

 「その三つでそれぞれ誰が一番か判定して」

 「最終的に、愛が一番大きい人を決めてほしい」

 何とも判断基準があいまいな勝負だが、もはや止まる気はない。とりあえず、無駄とわかっているが抵抗を試みた。

 「えっと、仕事は?駿府の事もありますし」

 「その辺は抜かりない!ちゃんと空いた時間を見つけてある!」

 「その時間に、これをやることにしているわ」

 「だから問題ない」

 三人の才能の無駄遣いに呆れたアキラ。

 「最後に、その恰好は何ですか?」

 「これが世話をするための服だろう?」

 「久遠が、エーリカから聞いたそうよ」

 「南蛮はこれを着て世話する義務がある」

 今三人が着ているのは洋風の服に白タイツにミニスカート、肩掛けエプロン。更にメイドハット。誰がどう見てもメイドさんスタイルだった。三人ともスカートの短さに恥ずかしがっている。

 「何か、恥ずかしいな」

 「ええ、このすかーとだったっけ?下着が見えそうで」

 「アキラなら別にいい」

 「・・・始めましょうか(危うく見せてください。と言いそうでした)』

 光璃の言葉に内心冷や汗を流したアキラだった。

 

 勝負が始まり、まずは料理だがもちろん三人ともできない。そこでそれぞれ一人ずつ助っ人を頼んで彼女らの指示のもと料理を作ったらしい。

 「久遠!いいわ!その恰好!」

 久遠は結菜。

 「その服、うさ様が見たら大爆笑でしたよ」

 美空は秋子。

 「がんばろうね!お姉ちゃん!あと、すっごくかわいいよ!」

 光璃は薫だった。三人は一品ずつ料理を作った。料理一式だと仕事が残っている三人にとっては相当労力になるし、三人分食べるアキラの体も不安なので、それを察した助っ人の三人の助言で一品だけにしたのだ。

 「で、では、頂かせてもらいます」

 「「「(;゚д゚)ゴクリ…」」」

 「アキラ、遠慮しないでいいわよ」

 「正直に言ってください」

 「お兄ちゃん、頑張って!」

 久遠は豆腐入りのみそ汁、美空は卵かけごはん、光璃は野菜炒めであった。手の込んだものは絶対に作れないため、手軽にできるものを考えてこれになった。

 

 『三人共ありがとう!これならちょうどいい具合に腹いっぱいになります』

 

 アキラの状況を考えた結菜、秋子、薫に心から感謝した。それぞれを食べて腹八分になった。

 「・・・ごちそうさまでした」

 「「「判定は!」」」

 自分だよね!という視線が痛いくらい刺さっているアキラ。

 「最後にまとめて発表するという事で・・・」

 「「「・・・わかった(ムス)」」」

 結果は、最後の発表にまとめてということにした。不満そうな三人だが、ちゃんと言う意思はあるとわかったため我慢した。

 『・・・どうしようもないくらい辛いですよ』

 「アキラ、頑張ってね」

 「アキラさん。頑張ってください」

 「お兄ちゃん、後でお茶入れるね」

 三人の慰めが唯一の救いだった。

 

 ここで一度勝負はお預けになり、元の服に着替え三人とも仕事に戻った。そして、夕方前に第二戦の開幕となった。その場所は光璃の部屋で、またメイド服になった。

 「次は私の世話と言ってましたが、実際はどうするのですか?」

 「「「・・・・・・」」」

 無言になって汗を流す三人

 「まさか、考えてなかったのですか?」

 「し、仕方なかろう!や、やったことないのだから」

 「そ、そうよ!あんたの世話と言ったら・・・」

 「その後の閨」

 やはりそっちの方しか考えてなかったようだ。三人とも真っ赤になりつつも、期待しているような眼でアキラを見た。

 「ツッコミを入れたいけど、ツッコんだら負けな気がします」

 「「「ツッコむ・・・もう、エッチ///」」」

 「助っ人を呼んでいいですか?私も世話に関しては思いつかないので」

 案が出ない三人から異議は出なかった。

 

 助っ人として読んだのは、アキラの世話に関しては右に出る者はいない!とすら思える人だった。

 「失礼いたします、旦那様」

 同盟一おしとやかな双葉だった。三つ指立ててしっかりと頭を下げる。

 「旦那様にお呼ばれされて、双葉はとても嬉しいです。あら?久遠様に美空様に光璃様、とてもかわいい服を着ていらっしゃいますね。何をなさっておられるのですか?」

 「あ、あの、なあ!」

 「ちょ、ちょっと、アキラの事で、ね!」

 「そう。大事な、夫だから」

 双葉の質問にしどろもどろになって答えた。さすがに、アキラの一番の妻をかけて勝負している。は純粋度100%な笑顔を見せる双葉に言えなかった。というか、一葉の耳や全員の耳にも入って大混乱になることが目に見えているからだ。

 「そうなのですね。それにしても、素敵な服ですね。双葉も着てみたいです」

 その言葉にアキラは一瞬、双葉がメイド服を着ている姿を妄想した。

 

 『・・・あまりにも似合いすぎです』

 

 三人だと着せられている感があるが、妄想の双葉は着こなしている感がある。

 「えっと。双葉、お茶をください」

 「はい、そう思って一緒に持ってまいりました」

 ニコッと笑って、アキラにお茶を差し出した。その姿に一瞬妄想のメイド服を双葉が着ているように見えた。

 「あ、ありがとうございます」

 「旦那様に喜んでいただけることが双葉の一番の喜びです」

 「そうですか「あら?」双葉、どうしました?」

 「旦那様、指に傷があります。少々お待ちください」

 彼女が袖の中に手を入れると、小さな包帯が出てきた。

 「いつケガしても治せるように用意しておりました」

 「そ、それは、ありがたいです」

 ここまでの用意の良さに、感心を通り越して凄さを感じたアキラ。

 「これ以上傷つかないでください。あんなに傷跡があるのに・・・双葉はいつも心配しております」

 話しながら指に包帯を巻く作業をやめない。

 「申し訳ありません。できる限りつかないようにします」

 「はい、そういう方だと知っていますので、もし傷ついたら双葉に言ってくださいね。いつでも治します・・・はい、終わりました」

 包帯巻きは終了すると、アキラの手を握った。

 「双葉は、ずっと旦那様の味方です。久遠様や美空様、光璃様にほかの皆さんも全員旦那様の味方です。いつでも頼ってくださいね」

 「・・・ありがとうございます。では、今夜のご飯はあなたに作ってもらえると嬉しいのですが」

 「まあ!では愛を込めて作りますので楽しみにしてください!」

 「ふふ、楽しみにしていますよ」

 「では、早速準備に入りますので、失礼「双葉」、何でしょうか?」

 何でしょうか?という顔の双葉の頬にキスをした。

 「だ、旦那様!な、何を!」

 「お茶と包帯とご飯のお礼ですよ」

 「あ、あ、ありがとうございます!」

 真っ赤になった双葉が部屋を出ていった。その時もまた三つ指立てて襖をしめた。

 「今見たのが、私への世話と言えるものだと思うのですが」

 

 「「「・・・負けた」」」

 

 三人とも_| ̄|○の姿勢になって落ち込んでいた。

 「あまりにも見事すぎる」

 「自然すぎるくらいにアキラの世話をしていたわね」

 「傷の手当も見事」

 「私達の事も立ててくれたし」

 「同じことをしろ。と言われても不可能ね」

 「その通り」

 双葉のパーフェクトなお世話に白旗状態だった。今の三人は敗北感でいっぱいだ。

 「・・・この勝負は無効でいいですか?」

 「「「(コクリ)」」」

 異論はなかった。

 『双葉を呼んだのは間違いではなかったみたいですね』

 無効試合になって、ほっとしたアキラだった。

 

 夕飯は約束通り双葉の作ったご飯を頂いた。しかも、アキラだけじゃなく久遠・美空・光璃の分まで作っていた。彼女の女子力ならぬメイド力の高さに更に敗北感を味わった三人だった。食事後に仕事を再開し、寝る時間に最後の閨対決となった。

 「・・・今思えば、なぜあんなことを言ったんだ」

 「興奮していて気づかなかったわね」

 「光璃は問題ない」

 閨の時間になって、久遠は自分の発言に気づいた。美空もアキラだけならともかく、ほかの二人に見られるという事に恥ずかしくなっていた。光璃の方は、大丈夫だ問題ない。といった感じだった。光璃用の布団と同じ大きさの布団の二つが敷かれていた。

 「な、何か、照れるな。これは」

 「服の仲ならともかく、ねえ」

 「うん・・・恥ずかしい」

 閨用に選んだのが、胸にサラシをまいた下着だけの姿だった。

 「きれい、ですよ。三人とも」

 「「「う、嬉し、い////」」」

 顔を真っ赤にした三人に近寄り、久遠にキスをした。

 「アキラ、久しぶりだな」

 「やっと、あなたの唇を感じることができました」

 「ちょっと、私達を」

 「忘れないで」

 「もちろんですよ」

 すると、アキラは三人にあることをした。

 「「「!!!」」」

 その事にびっくりしたが、そのままされるがままになった。

 「あ、アキラ!な、舐め、る・・・な」

 久遠は首筋を舐められた。肩から首までベロリとやられて、ゾクゾク感が一気に体全部を襲ったが、もっとされたいという気持ちになってしまった久遠。

 「ちょっと、一層の事・・・触ってよ」

 美空は腰の割れ目をいじられ、触られ、指を入れられる・・・と思いきや、そこには手を回さず、彼女の太ももを上下にゆっくり手を動かす。そう、じらすようにただそれを繰り返しやるので、ムズムズする美空。

 「・・・ねえ、まだ?」

 光璃は胸、おっぱいを揉まれ、乳首もいじられ、つねられ、引っ張られる。そう思っていたが、それらを一切しないでおっぱいの周りを撫でるだけだった。美空同様周りだけしかしないことに段々そわそわしてくる光璃。

 三人とも体が敏感に、正直になっていく。アキラにそんなせめ方を続けられて・・・淫乱になっていく。

 「あ、アキラ・・・た、頼む」

 「お、お願い。よ」

 「や、やって。めちゃ、くちゃ、に」

 彼女らの太ももから既に滝が流れていた。両方の脚の内側がびしょびしょになっているが、アキラはまだ続ける。

 

 十数分後、じらされ続けて我慢ができなくなりその場でへたり込んでいた。

 「どうして、だ。ここまで、意地悪、する、んだ」

 「言ってよ。私、たち、何したの?」

 「何でも、聞く、から」

 サラシにしみこんだ汗が三人の乳首も見せており、下着の方もぐっしょりになっていた。アキラのあの刀が欲しいと目で訴えていた。

 「あなた達が喧嘩するからです。一番の妻になりたいと」

 「そ、それ、は」

 「なり、たい、わよ」

 「アキラ、の、一番」

 「私は皆が一番です。皆が一番大切な妻です。それを守ろうとしないのなら、お仕置きして当然です」

 アキラがここまでじらすのは三人が平等に、という考えにするためだった。

 「・・・結菜と双葉を呼びましょうか。三人が一緒にしないなら、あの二人を抱き「「「わ、わかった!」」」」

 ここまで欲情しているのに放置して二人を抱こうとするアキラに、切羽詰まった顔ですがりついた。

 「も、もう!しない!しないから!」

 「お願い!私達に、して!」

 「呼ばないで!三人一緒にやって!」

 サラシがほどけ、三人の先端が固くなった胸があらわになった。

 「誓いますか?一番は全員だという事に」

 「ち、誓う!誓うから!お願い!」

 「ええ!誓うわ!だから」

 「光璃達を、淫乱にして!」

 三人とも下着を脱ぎ、脚を全開にして割れ目を丸見えにした。

 「「「もう、我慢できないの」」」

 更にその割れ目を指で開いた。あふれ出る蜜を見て、

 「では、やらせてもらいますよ」

 アキラは袴を脱いで刀を出した。待ち望んだアキラの刀に目の中に♡が出た。

 「あ、あああ!アキラの、アキラの・・・」

 「ううん!もう、入っただけで・・・いきそう」

 「ひ、光璃、は。あああ!い、いった」

 三人は交互に抱かれ、体のありとあらゆるところをアキラの今までの女性抱き経験値を生かし、今まで感じたことのない快楽をその身で受けてアキラの刀にますます彼女らの性欲が高まった。

 

 半刻後。

 「ふう・・・三人とも、どうでしたか?」

 「く、くうう~~ん」

 「にゃ、にゃあ~~ん」

 「ちゅ、ちゅう、ちゅ~」

 三人とも、動物の言葉になっていた。快楽が余りにも強かったのか、理性どころか人の思考すらをもぶち壊したようだ。

 「では、これからはみんな平等に・・・いいですね」

 「ワン!」

 「にゃん!」

 「ちゅう!」

 四つん這いになって座っているアキラの腕に、胸に、顔に自分の顔を擦り付けた。アキラの体のいろんなところを舐めていくその姿はペットそのものだ。彼女らが力尽きるまでアキラに体の全てを快楽づけにされた。

 

 次の日、目を覚ました三人は昨日のことを思い出して思いっきり恥ずかしくなり昨日の閨の事はなかったことに・・・できるはずがなかった。

 「三人とも、平等ですよ」

 「ワン!」

 「にゃん!」

 「ちゅう!」

 もはや、アキラには逆らえない。そんな体にされたが、

 

 『『『アキラに責められるのが、こんなに欲情するなんて!』』』

 

 三人共虜になったようで、嬉しそうに今まで以上にアキラを愛するようになった。もちろん、平等に、仲良く・・・。

 




 と言うわけで、アキラの閨のテクニックで勝負をうやむやにしました!でも、これが一番いい終わり方ですね。
 メイド双葉は・・・やばい、恋姫無双のあの穏やかメイド月ちゃんと同じくらい似合っているかもしれない。

 もう一人の正室さんは?と言う事に関しては、今回はこの三人をメインにしたかったので除外しました。今度は側室編をやろうかな?でも・・・この三人と違って譲り合いができるあのメンバーにそれができるだろうか?

 次回もお楽しみに!


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間章21-3 ありがとう R-18

 
 残業で一日更新が伸びた、三MENです。

 今回は原作三つ分の間章を書きました!後、二つ間章は書こうと思っています!

 相模に行く三人の出立前の状況と鞠の様子、そして薫の思いを書きました!


 

 駿府への出陣が近づく中、相模に行く空・愛菜・名月の三人に会いに行ったアキラ。一つ不安もあったが、今の彼女達がどういう気持ちを持っているのか確認するためだ。三人の部屋の近くまで来た。

 『・・・いないみたいですね』

 最大限に警戒している約一名の気配が三人の部屋の中にいなかった。超視野化の力まで使って、屋根裏や隣の部屋などいろいろ調べたがいなかった。公衆の面前で犯そうとした前歴を持っている彼女をここまで注意するのは当然のことだ。

 

 三人の部屋に入ったが、結構和気あいあいとしていた。

 「おや?仲がいいですね」

 「あ、アキラ様。こんにちはです」

 「アキラ様。どうかしたのですの?」

 「相模に行くあなた方がどんな様子か見に来たのですよ・・・あの人は?」

 「あの人と言うのは、貞「し!」・・・は、はあ」

 名月が名前を言おうとしたが、言わせなかった。

 「もう一度聞きます。あの人は?」

 「え、えっと、相模までの物資の買い付けに城下に行っております」

 「と言う事は、しばらく帰ってこない。と見ていいですね!」

 「さ、さっき出たばかりなので、後一刻ほどは戻ってこないかと」

 「・・・ほう~~」

 心からほっとして、息を吐いた。いつ襲ってくるか分からないから神経をとがらせていたが、すぐには戻ってこないと分かりそれを解いた。名月はアキラが犯されそうになったところを見てないので疑問だったが、空は恐怖がよみがえったのか震えた。

 「お二人とも、大丈夫ですの?」

 二人とも、ガタガタ震えていた。

 

 その頃の城下では、貞子はイライラしていた。

 「折角アキラ様と一つ屋根の下なのに、全然会えてない気がします。何度か気配を消してあの人の部屋の屋根裏に行って、匂いを嗅いで自慰をしながら中を確認しても全くいないことが多いし。いても私以外の人達と毎日会って愛し合っているみたい・・・我慢ができません。アキラ様を犯したい、滅茶苦茶にしたい、襲いたい・・・監禁して、私だけのものに」

 「貞子~、何を言ったのかしら?(ピク)」

 「っは!な、何でもないですよ!」

 「あら?私の耳には私の夫のアキラを襲って、犯して、監禁して自分だけのものにしたいと聞こえたのだけど~」

 「な、何をおっしゃいます!美空様!したくてしたくてたまらないことをするはずないでしょう!したことといえばアキラ様が着ていものを盗んだくらいです!」

 思いっきり、本音としていることを暴露した貞子。

 「へ~~、随分楽しいことをしているみたいね」

 「・・・あ」

 何故、貞子の買い物に美空が一緒にいるのかというと、大切な二人の娘の初めてのお使いなので念には念を入れての万全な状態の確認をするためだった。

 「ちゃんと仕事をしっかりすれば私から会わせてあげる」

 「は、はい!アキラ様に会わせていただけるなら、しっかりやります!!」

 敬礼をして、何度も頷いた。

 「・・・続けるわよ。ただし、この準備は私がいいと認めるまで帰さないから、いいわね!」

 「はい!」

 『┐(´д`)┌ヤレヤレ、不安だわ』

 美空のお眼鏡が適うまでなら、まだ館に戻ることはなさそうだ。

 

 貞子の問題は解決したが、今は別の事に頭を痛めていた。

 「あ、アキラ様~~(うるうる)」

 空が自分に泣きながらすがっている。その理由は。

 

 「空様!このですわ女に言ってやってください!愛菜こそが空様を一番大切に思っている家臣だと!」

 「空様、どやどや女の言葉に耳を貸すことはありませんわ!むしろ、この北条名月景虎こそが空様にふさわしい女だと、言ってくださいですわ!」

 

 この二人の水と油レベルに相性の悪い二人の喧嘩だった。空の自慢をしているうちに、火花が散ってこうなったのだろう。

 「な、何とか、してください~」

 「こらこら、二人とも空君が泣きそうになっていますよ」

 「どや!この女が泣かせたのです、どーん!」

 「いいえ!愛菜さんが泣かせたのですわ!」

 「・・・いい加減にしなさい!」

 これ以上はアキラもいい加減にしてほしいから、二人の頭にチョップをしてヒートしている頭をクールにした。

 「人のせいにしてはいけません!ここに美空がいたらそう言ってましたよ」

 「「う・・・」」

 さすがに美空の名前が出たら、引っ込むしかない。

 「あ、ありがとうございます(ペコリ)」

 「でも美空と光璃みたいに気持ちをぶつける必要もあります。この二人は、このまま引き下がるとは思えませんし」

 その言葉を証明するように、口を閉じているだけでまだ火花を散らしていた。

 「は、はあ。二人ともいい子なんですけど」

 「このままだと、刀傷沙汰になるのが目に見えますからね・・・それなら、空君がお題を出してそれを二人がやるというのはどうです?」

 平和的に解決する案を出すと

 「空様のお題なら喜んでやりますぞ!」

 「いいですわ!乗ります!」

 二人とも手を挙げて賛成した。

 「と、二人もいいと言ったので、後は空君次第です」

 「は、はい・・・」

 う~ん、としばらく考えて、そして顔を上げた。

 「じゃ、じゃあ・・・くすぐりあいで」

 

 三人の部屋を出て、どこに移動しようか悩んでいると薫の姿を確認した。

 「あれ、お兄ちゃん。どうしたの?」

 「ちょっと皆の様子を見ようと思いまして」

 「ふ~ん。だったら、薫と一緒に行かない?ちょうど、みんなのいるところに行こうと思っていたんだ~」

 「なら、ご一緒しましょうか」

 

 何やら声が聞こえる庭に着くと

 「おほほほ!柘榴さん!越後で鍛えた蹴鞠の腕を今こそ見せましょう!」

 「そうっす!武田の二人とも、覚悟はいいっすね!」

 「へっへ~ん。それくらい、返してやるぜ!」

 「長尾には負けないのら!」

 「「でええ~~~~いいいい!」」

 蹴鞠の概念を疑う蹴鞠?を梅と柘榴と粉雪と兎々でやっていた。梅が蹴り上げた回転の付いた蹴鞠を柘榴が飛び上がって、粉雪と兎々に向かって蹴った。その姿はまるでキャプ〇ンつ〇さだ。

 「くう~!兎々、手伝うんだぜ!」

 「任せるのら!」

 粉雪が蹴鞠を蹴り返そうとしたが、その鞠が重いのか上げられない。兎々に頼んで足事蹴鞠を蹴って何とか上にあげた。

 

 『えっと・・・蹴鞠?』

 

 アキラに薫、更に四人と一緒にいたひよところも唖然とした。でも、そんな中で鞠だけは楽しそうにしていた。

 「皆~、鞠も入るの~」

 入って大丈夫なのか?とアキラは思ったが、気合十分の四人はあっけなく鞠に負けた。四人の蹴鞠と言えない蹴鞠でも、鞠が最強だった。

 「さ、さすが鞠さんですわ・・・」

 「くう~~!武の腕前じゃアキラさんや桐琴さんに勝てない。蹴鞠も鞠さんに勝てない・・・柘榴はいったい何なら勝てるっすか!」

 「鞠様って、こんなに凄腕だったのかだぜ!」

 「柘榴をバカにれきないのら」

 柘榴は号泣して、それを見た兎々ももらい泣きをした。

 「終わりましたか・・・全勝とはすごいですね、鞠」

 「やった~、アキラに褒められたの!」

 「鞠ちゃん、本当にすごいね!」

 「あの四人の蹴鞠?に勝てちゃうんだから」

 ひよところの心からの賛辞に笑顔の鞠。

 「皆~、お茶飲まない?」

 そこに薫がお茶を入れようとしたが、

 「いいんだぜ!薫様、ちょっと息抜きしたかっただけだったから」

 「そうなのら!それに、兎々達は行かないといけないのら!」

 「柘榴は続けたいっすけど・・・そろそろ行かないと秋子さんの怒りを買う羽目になるっすから(ガクガクブルブル)」

 「そうですわね。ひよさん、ころさん、私達もハニーの隊の準備を再開しましょう」

 「うん!そうだね」

 「お頭はいいですよ、鞠ちゃんと二人でいてあげてください」

 「そっか~。そういえば薫もお姉ちゃんに呼ばれていたんだっけ。じゃあ、お兄ちゃんと鞠ちゃんの分は用意しておくね」

 仕事があるからと言っているが、皆鞠に気を使っているようだ。

 「ありがとうなの!」

 「お茶はそのままでいいよ。薫が片づけておくから!」

 一気に人がいなくなりアキラと鞠だけとなった。縁側に座り、お茶を飲み始めた。

 「楽しかったの~。皆、鞠の為に時間をとってくれて、嬉しかったの」

 「ふむ、やはり気づいていましたか」

 この先の戦いは、皆の中で鞠が一番大きな意味と思いがある戦いだ。だからこそ、気にかけているのだろう。

 「ねえ、アキラ。鞠ね・・・」

 隣に座った鞠が真剣な顔で話しかけてきた。

 

 「ずっと、待ったの。アキラが、久遠が、約束を守ってくれると信じて。そして、光璃ちゃんも、美空ちゃんも協力してくれて・・・とっても嬉しいの」

 

 アキラの手を握って言った。

 「・・・あなたが私の背中をずっと守ってくれた。だからこそ、妻のあなたが力を貸してほしいと手を差し出したから、私はその手を握ったのです」

 「うん!本当にありがとうなの!」

 すると、鞠はアキラの膝に座り

 「ちゅ・・・ちゅ・・・むちゅ」

 「(な、なな)!!」

 アキラにキスをした。最初は唇を合わせるだけだったが、アキラの口に彼女は舌を入れて動かしている。その間に鞠の腕がアキラをギュッと抱きしめた。

 「ん、じゅる、れる、れろ」

 必死にやっているので、全部受け止めるべきと思いアキラはされるがままになった。アキラもまた、鞠をしっかり抱きしめた。

 「ちゅむ・・・ちゅぱ、ぷふぁ~」

 数分後に唇を離した。二人の舌に涎の橋が一瞬で来たがすぐに切れた。顔を真っ赤にした鞠が話しかけてきた。

 「アキラ長久手で鞠を見つけてくれたの。アキラに見つけてくれなかったら、鞠はここにいなかったの。一緒にいなかったら、みんなと出会ってなかったの。全部、アキラのお加減なの!」

 そこで言葉を止め、ニコッと笑顔になって続きを言った。

 

 「だからこれは、アキラにありがとうのちゅーなの!言葉ではたくさんたくさんありがとうを鞠はもらったの!だからちゅーなの!」

 

 アキラはこの言葉に照れてしまった。ここまで純粋にありがとうを言われるのはもしかしたら初めてかもしれないからだ。

 「でも、もっともっとアキラとちゅーをしたいの!だから、またありがとうのちゅーしようね!そして、その時は・・・もっともっとありがとうをしたいの!」

 そう言って、鞠は行ってしまった。残った冷めたお茶が、アキラの熱くなった顔を覚ますことはなかった。

 

 

 時が過ぎて、何とかいつもの顔に戻すことができた時に薫が戻ってきた。

 「あれ?お兄ちゃん、まだいたんだ」

 「え、ええ、せっかく薫が入れたお茶なので、しっかり味わおうと思って」

 「え!そう言われると嬉しいな」

 「さて、薫はこの後は暇ですか?」

 「うん。部屋で絵でも描こうかな?と思っているけど」

 「・・・ならご一緒していいですか?」

 その申し出をしたのは、やはり鞠と同じくらい気になっているからだ。そして、茶具を片付けて薫の部屋に入ったが、先客がいた。

 「兄上、一緒でやがりましたか」

 夕霧だった。この二人が一緒のところを見ると、夕霧の絵を描いたときのことを思い出す。

 「夕霧はどうしてここに?」

 「薫に呼ばれたでやがる」

 「うん!夕霧お姉ちゃんの絵、また描きたくて」

 「・・・え?」

 言われた夕霧は唖然として・・・また夕霧の絵を描くことになった。

 

 その後、絵を描きながらの話題はやはり駿府だ。今度こそ、母親の信虎に光璃が引導を渡さないといけないこと。鞠に駿府を返してあげたいと思っていること。甲斐の民を安心させないといけないこと、そして・・・必然として信虎への思い。

 「薫・・・もう止められないでやがるよ」

 「うん、わかっているけど・・・お姉ちゃんも気をつけてね」

 「夕霧は大丈夫でやがる。夕霧としては薫の方が」

 「お姉ちゃんの方が心配だよ!」

 「いや、薫の方が」

 そこから口喧嘩に発展しそうになったので、止めに入った。

 「全く・・・喧嘩してどうするんです」

 「「喧嘩じゃないよ(でやがる)!」」

 「二人とも、気持ちは同じでしょう?それに、お互い大切でしょう?その競い合いをして何になるのですか?」

 「「あ・・・っぷ、ふふふ、あはははは!」」

 その事に気づいて笑い出す二人。

 「あと数日で、出陣でやがるな」

 「うん・・・一緒に頑張ろうね」

 「そうでやがるな。薫、二人で姉上を支えるでやがるよ」

 「うん」

 力弱い返事、でも頷きには嘘は見えなかった。

 「なら、私は三人を支えましょう。三人共私がこの刀にかけて守りましょう」

 笑顔でアキラにそう言われ照れた二人。

 『何か薫が妻になったと言ったけど、あんなこと言われると夕霧もなりたい気持ちになるでやがるよ』

 『お兄ちゃんって、それが誑しになっていることに気づいてないんだろうな』

 照れた二人はこっそりそう思った。

 

 薫の描き終えた絵を見せてほしいと言ったが、

 「み、み、み、見せられないでやがる!(;゚Д゚)」

 夕霧が真っ赤になって部屋を出て二人だけとなった。薫が出してくれたお茶を飲んでいると、

 

 「ねえ、お兄ちゃん。お兄ちゃんの絵、描かせてもらっていいかな?」

 

 と言ってきた。特に断る理由もないので頷いて、モデルになった。

 「お兄ちゃん。やっぱり不安なの・・・民や鞠ちゃんのためにも、お姉ちゃんと一緒にお母さんを倒さないといけないのは分かっている・・・でも」

 筆を止めて、震わす薫の体の肩を叩くアキラ。

 「・・・薫。あなたは、私の何ですか?」

 「お兄ちゃんの?・・・あ」

 「薫も私の妻なのですから、夫に甘えなさい」

 「・・・ありがとう」

 だけど、薫は抱き着いたりしなかったが、落ち着いたのか手は再び動き出した。

 

 そして、絵は完成したけど、自分の宝物にしたいと言って見せてくれなかった。

 「さっきは絵を描いていたから我慢したけど・・・」

 筆をしまい、絵を裏返しにして置いた薫はアキラに抱き着いた。

 「ありがとう。本当に、ありがとう・・・お兄ちゃん、目を開けられるんでしょう。開けてくれない?」

 「分かっているのですか?私が目を開けたら」

 「うん。特別な目の力があって・・・裸が、見えちゃうんだよね」

 「そうです。制御もまだできていません」

 無意識に発動しているので、中々コツがつかめない。既に目を開けているが、彼女の裸体が丸見えだった。

 「でも、いいの・・・だって」

 すると、薫はアキラにキスをした。

 

 「お兄ちゃんの本当のお嫁さんに、なりたいから・・・薫を、抱いて」

 

 「・・・わかりました」

 薫は自分の舌をアキラの口の中に入れて、彼の舌を絡めた。

 「む、むうう~~!う、う~~!」

 反撃に何十人相手に濃厚なキスを薫にした。アキラの行為に薫はビックリしたが、止めることなくに続けた。

 「お兄ちゃん・・・薫、とってもドキドキする」

 「それは私もです」

 「でも、お兄ちゃんってお姉ちゃんや久遠様や美空様に隊の皆を抱いているじゃない。慣れているんじゃないの?」

 「・・・それは、私に対する文句ですか?」

 この言葉には、アキラもカチンときた。彼女達を抱くのは愛を確かめ合うための行為であり、何度もやっているから慣れていると思われるのはムカッときた。何より、意図的でないにしろ彼女達の愛を無下にするような言葉に聞こえたのは確かだ。

 「い、いや!そういう意味で言ったんじゃ」

 「ダメですね・・・まさか薫がそういう子だったとは」

 視線をずらすと筆を見つけた。それを一本取り、

 「ひゃ、ひゃん!お、お兄ちゃん!」

 その筆の毛先を彼女の頬に当てて、くすぐるように動かした。

 「お仕置きです。あなたをこれでくすぐりましょう」

 「え、ええええ!」

 

 それからアキラは本当に全身を筆でくすぐり始めた。

 「お、おにい、ちゃん・・・」

 首筋を、

 「そ、そこは!」

 おっぱいを、

 「あ、ああん!ダメ、か、感じ、ちゃう!」

 乳首を、

 「こ、こんなに、き、気持ちよく、なるなんて」

 腹を、

 「ああう!だめ、ダメ、駄目~~!」

 そして、女性の秘所とも言える場所をくすぐっていった。

 「ああああ!も、漏れちゃう~~!」

 秘所からどんどん薫の雫が出てきた。

 「どうです?反省、しました?」

 「う、うん・・・ごめんなさい」

 顔を赤くして、それ以上を期待する眼差しをした。

 「次は、どうするべきだと思います?」

 「も、もう、お兄ちゃんのエッチ・・・」

 薫は自分の服を脱いでいった。下のタイツを脱いで、下着も脱ごうとしたところでアキラに止められた。

 「それは脱がないでください」

 「え?」

 「素直に謝るかと思ったのに・・・そんなに抱かれたかったのですか?」

 「え。えええ!だ、だって、お兄ちゃんはこうして皆を(どん)」

 すると、薫を押し倒した。

 「お、お兄ちゃん!な、何を!」  

 「あなたの期待・望みをするんですよ?」

 下着の上から、濡れている箇所を更に筆でこすった。

 「あうう!な、何で!」

 「ふふふ、薫のいきそうになっている姿は可愛いですよ」

 「そ、そう・・・何か恥ずかしいはずなのに、あん!お。兄ちゃんに言われると、ああ!か、感じる~~!、はあ、はあ、とても、嬉しい」

 その真っ赤な薫に悪戯古頃の湧いたアキラは筆をおいて、自分の剛直した刀を出した。中途半端で止めた薫の下着をずらして、見えた秘所に刀を・・・刺した。

 「あ、あああ!な。何!だ、駄目~~!何か。こ。怖い、あああん!」

 「大丈夫です。私が、います」

 「う、うん!お、お兄ちゃん、が」

 「いきますよ!いいですね!」

 怖がっている中、薫の女の子から女性に変える壁を、ついに壊した。

 「い、痛い~~~!あああ、う、うう、痛いよ、お兄ちゃん」

 「でも、それをしないと妻になれませんし、私の子を産めません」

 「え?お兄ちゃんの子?」

 「・・・妻なら、産んでくれますよね?」

 その言葉が一気に薫の女性への痛みを無くした。

 「うん!薫、お兄ちゃんの子供、産みたい!」

 「そうですか、それは嬉しいです・・・さて、ここからですよ!」

 「うん。お兄ちゃん、好きにして・・・お兄ちゃんになら、どんなことされても、薫・・・受けたい」

 アキラの頸の後ろに両手を回し、顔を見た。そして、再びキスをして営みを始めた。

 「あ、あああ!すごい、お兄ちゃん・・・」

 痛みや不安を考えられなくなるくらいの秘所の中やおっぱいにある快楽のツボをつく抱き方。

 「ん、あちゅ、じゅる、ちゅちゅ、ちゅりゅん」

 頭の中を真っ白にしてしまうキス。

 「ちょ、ちょっと!お、あああにい、ちゃん、そ、そんな!」

 頬や首筋を舐めり、ゾクゾク感を作り、そこに乳首をつねり、どんどん感じるツボを作っていく。

 「はあ、ああ、何かもう、わけが・・・分からない」

 何もかもが初めての薫は、全てを受けて放心状態になった。だが、アキラはお構いなしにラストスパートをした。

 「さあ、出します!いいですね!」

 「う、うん、お兄ちゃん、出して・・・薫、受けるから~~!」

 「・・・・・・んん!で、出る!」

 「あ。ああああ!お兄ちゃん~~~!あっああああああ!」

 最後の一突きで完全に秘所の一番奥まで行き、そこにアキラの熱いものが出た。

 

 

 その後、二人はそのまま抱きあった。アキラは既に眠っているが、薫はまだ起きていた。

 

 『お兄ちゃん、えへへ、薫とっても幸せ。だって、本当の奥さんになれたんだもん。これでお姉ちゃんと一緒。子供もお姉ちゃんと一緒に産みたいな~。お兄ちゃん、薫もお姉ちゃんも頑張って産むから、これからもお願いね!・・・あと、ありがとう。薫、頑張るからね!』

 

 アキラに抱き着いて幸せそうな顔で眠りについた。その二人の前にある机の上の絵が寝る前に開けた窓からの風で飛び、ちょうど月明かりがあるところに絵が描かれている表になって落ちた。薫がアキラをモデルに描いた絵は、アキラの後ろ姿だった。

 




 鞠と薫。共に辛い立場ではあるが、やはりアキラがいるからこそ前を見ようと頑張る。その姿を書きたいと思い書きました。
 
 最後に、薫の描いたアキラの後ろ姿。あれは薫の心で感じるアキラの姿です。すぐ傍にいるのに、なぜか遥か遠くを歩いているように思える。その姿を描いたのです。

 では、次は久遠とのデートです!お楽しみに!


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間章21-4 二人っきりだな・・・ええ。そうですね R-18

 
 二度寝が当たり前!三MENです。

 前にもこんなこと書いた気が?気のせい?

 では、今回は久遠との一日デートです!デートと言えば当然・・・ですよね!


 

 準備もほぼ完了となり、駿府への出陣もあと三日となった。その日は久遠と一緒にお茶をと思い、彼女の部屋に赴いた。

 「久遠、いますか?」

 「あら、旦那様」

 「お兄ちゃん!ほら、入って入って!」

 「お前の部屋じゃないだろうに」

 「兄上!」

 「お兄ちゃん!」

 彼女の部屋には、久遠の他に市に双葉、更に夕霧と薫もいた。

 「おや、夕霧と薫もいたのですか」

 「親睦を深めるためでやがる」

 「そうなのですよ、旦那様」

 「今思ったけど、夕霧お姉ちゃん以外はお兄ちゃんの奥さんだね」

 薫の言葉に久遠が笑った。

 「ははは、そうだな。ここだけで四人もいるんだな」

 「これこそ、お兄ちゃんの誑しぱわあだね!」

 「誑しぱわあ?」

 「・・・女を誑して、蕩けさせて、骨抜きにして、抱かれてとろとろになり、気づけば私に依存するくらいべたべたになる力。とでも言いたいのでしょう?」

 アキラが確認したら、見事に頷いた市。すると、

 「ほう~、そんな力を持ってやがりましたか」

 「うんうん!私や光璃お姉ちゃんもそのおかげで大好きになったんだね!」

 「はい。旦那様に抱かれること、愛されることがとても嬉しいです」

 「・・・まあ、その変な力のおかげと言うわけではないが」

 「もう~、お姉ちゃんったら!素直に嬉しいって言いなよ~」

 皆が納得してしまった。

 「そ、それで、何の話を?」

 「兄上が尾張や美濃ではどんな活躍をしていたのか?を聞いてやがりました」

 「お兄ちゃんって、たくさん活躍したんだね!」

 「そうですよ。辛そうな久遠に接吻したり、ショボンとする久遠を抱きしめたり、苦しそうな久遠に愛を見せあった「そんなことは話してない!」?あれ、違いました?市、どうです?」

 「残念だけど話してないね・・・でも、それは本当だよね!お姉ちゃん!」

 アキラの問いに市が肯定した。久遠も、本当にしたので反論が出来なかった。

 「久遠殿、兄上相手なら仕方ないでやがるよ」

 「そうだよ。薫も、先日・・・その」

 「か、薫!ま、まさかあの後!」

 「え、えへへ」

 薫の思わぬ告白に夕霧が驚いた。

 「お兄ちゃん、相変わらずだね」

 「それが、旦那様です」

 「市からだと皮肉に聞こえますが、双葉からだと褒められているように聞こえます・・・どっちでしょうか?」

 「ハッハッハ、一本取られたなアキラ!」

 さっきの仕返しとばかりに笑う久遠。その後も彼女に責められ続けた。

 

 話が終わると、皆出て行き久遠と二人っきりとなったが、言葉が出なかった。お互い言いたいこと、伝えたいことたくさんあるけど、こういう時ほどそれが出てこないものだ。

 「久遠」

 「アキラ」

 同時に名前を呼び、気まずくなった。

 「あ、アキラは何の用だ?」

 「い、いえ、久遠の方、から」

 「・・・分かった。あ、あ、あのな」

 照れくさそうに、少しずつ口を開いていった。

 

 夕霧から馬を借りられるから二人で久しぶりに乗らないか?とのことだった。空気と場所が変わればいろいろ話せる、と思い一緒に館を出た。城下を抜けたあたりから

 「何か、あなたと尾張を抜け出した時のことを思い出しますね」

 「ははは!あの時か。いや~、うまくいったものだな!」

 さっきの気まずい空気がなくなり、二人とも笑顔で会話を始めた。

 「それができたのは、結菜がいたからこそでしょうに」

 「あの時はひよ達もいたが、今は本当に・・・ふ、二人っきり、だ、な」

 嬉しそうに話しているが、館を出る前から違和感を感じたアキラ。

 「ところで、どこに向かっているのですか?」

 「知らん!馬の進むままだ!」

 「・・・ぷ、ふふふ。そうですか」

 「そうだ!」

 久遠が楽しむ姿を見て、違和感の事は忘れることにした。

 

 「やっと来たか」

 「やれやれ、随分飛ばしましたね」

 途中で彼女が馬を走らせたが、夕霧にも勝ったその腕前にアキラが勝てるはずもなく離されていき、久遠が止まってやっと追いついた。

 「追いつけんお前が悪い」

 「ごもっともで・・・それで、ここには何があるのです?」

 「し、知らん。たまたまだ!」

 「馬を走らせたのだって、本気じゃないのに?」

 「・・・・・・」

 問い詰めていくと黙ってしまった。おかしいと思いながら、馬を走らせる前に久遠がしてきた妙な質問を思い出した。

 

 『尾張と美濃、越後と甲斐、どっちが長く暮らしていた?』

 

 普通に考えて尾張と美濃だ。久遠なら簡単に分かるはずなのに、そんな質問をした。何かを隠し、何かを知られたくないという気持ちがあるという事だ。

 「黙っているなら、別のところに行くという事でいいですね?」

 「い、いや!わ、分かった・・・せん・・・おん、せん」

 その後の説明でこの近くに何個か温泉があるらしく、久遠はそのうちの一つを目指して向かっていたとの事。さっき夕霧から武田家の人間でしか入れない温泉もあるらしく、光璃と薫の夫となったアキラなら入れるから、連れてきたという事だ。

 「そういう事だったのですか。ふふ、それならそうと言えばよかったのに」

 「そ、そんなこと、い、言えるか!」

 「相変わらずですね~、久遠」

 「わ、笑うな!」

 でもアキラは安心した。これでこそ久遠で、自分の愛した女だと。

 『それだけとは思えないですけどね』

 久遠がしたあの質問の答えではない。その事を頭の片隅に置いて、目的地の温泉に並んで進んだ。

 

 ある程度進むと、数軒しか家が建ってないところに着いた。

 「ここだと、夕霧は言っていたが」

 「確認してみましょう」

 一軒の家を訪ねるとそこにいる夫婦が温泉を管理しており、アキラの事も川中島での戦いで知っていた。更になぜか二人が来ることも知っていた。

 「手が速いですね」

 「影武者は姿だけじゃなかった。と言う事か」

 薫が既に早馬で知らせていたらしく、温泉は自由に使ってもいいとのことだった。夫婦は引き下がり、アキラと久遠は目的の建物に入っていった。

 「久遠、いいのですか?」

 「何がいいと言うのだ?お前は」

 アキラはそう質問したが、久遠は分かっていなかった。

 

 そう・・・あの質問は、

 「あ、アキラ!み、見るんじゃない!」

 「いいではないですか。私達は夫婦ですよ」

 「いいとか悪いとか!そういう話ではないだろう!」

 「だから、確認したのに。やれやれ」

 混浴になってもいいのか?と言う意味だった。小谷の時と同じ展開になる。と思ったからこそ聞いたが、彼女は分かってなかった。

 「くう、こうなることが予想できたならちゃんと説明しろ!」

 「したら、一緒に入れないじゃないですか」

 「お前と言うやつは~~!」

 今は一緒に露天風呂で、背をつけ合って入っている。恥ずかしがっていたが、少し落ち着いたのかアキラに質問をした。

 「なあ、アキラ・・・夕霧達から聞いた。とても大変だったようだな」

 「ええ、説明が追い付かないくらい大変でしたね」

 すると、また言葉が止まった。その無言の時間がしばらく続いた。

 『な、何を・・・話せば』

 「アキラ・・・聞いていいか」

 何を話すか悩んでいると、久遠がやっと言葉を出してくれた。

 「我は田楽狭間から越前まで、お前といた日がとても楽しかった。他愛のない話や大したことない雑談。どんな内容だったかは思い出せないが、とても楽しかったという事だけは覚えている」

 「私もそうですね。あなたと出会い、あの越前までの日々は今思い出しても楽しいと言えるものでした」

 「だが、越前でいなくなって、ここで再会するまでとても大変だった。麦穂や三若に結菜に・・・我も、お前がいないことがとても辛くて、でも生きていると信じて。そんな風に思い返していると」

 「他愛のない話や大したことのない雑談。それらがとても大切なものだった」

 繋げたアキラの言葉に頷く久遠。

 「お前と再会できたあの時まで、その時間がとても長く感じた。少し考えれば、我達といた尾張・美濃の方が長いことくらいわかるのに」

 「・・・そういう事だったのですか」

 それほどまでに自分がいなかった越後・甲斐の期間が長く思えたからあの質問をしたのだ。

 「やっと、お前と再会できて・・・でも、忙しくて、、やっと、やっと、こうして二人っきりになれたのに・・・言いたいことも、たくさんあったのに、こうしていると、何を話せばいいのか、分からなくなって」

 段々トーンが下がっていく。泣きたいけど、悲しいけど、必死に我慢しているような声だった。

 「・・・同じですね」

 「え?あき、らも、か?」

 「ええ、私もいろいろあなたと話したかった・・・でも、二人っきりになると、何を話していいのか分からなくなって」

 「そ、う、か」

 「でも、こうしているだけで(バシャン!)」

 アキラも自分を笑うように話していると、いきなりお湯の跳ねる音が聞こえた。

 

 布団に寝かせ、しばらくすると目を覚ました。

 「アキラ、我は」

 「どうやら、のぼせたみたいですね」

 「そうか・・・っておい!まさか」

 自分が着てくる襦袢を見て焦る久遠。

 「ええ、私です。あなたが今の状態になってしまったから、緊急と言う事で」

 それを言われてダンマリの久遠。

 「なあ、ど、どう、だった?」

 「どうだったとは?」

 「く~~、わ、われ、我の体だ!」

 「それだったのですか・・・観音寺城で見た時と同じで美しかったですよ」

 「う、そ、それを真っ直ぐ言うか」

 のぼせて赤くなった顔が、更に赤くなった。

 「水、入りますか?」

 「ああ、熱いし欲しいな」

 「ええ、では」

 湯呑に水を入れたが、渡さないで

 「お、おおい!ま、まさ、むう、うう!」

 久遠に口移しで飲ませた。ビックリしたが、入ってきた水をそのまま飲んだ。

 「ぷふぁ、アキラ、お主」

 「悪かったですか?このまま飲ませても起き上がれないようでしたのでこぼしそうでしたから・・・まあ、一番の理由は接吻したかったですけど」

 「・・・全くお前は。でも、わ、我も、接吻、し、したかった」

 最後のアキラの言葉に、彼女も目を背けながら呟いた。

 「では、続けましょう」

 「こ、こぼしたら、しょ、承知、せんぞ」

 次も、口移しで水を飲ませた。もちろん、奥さんは最後まで抵抗しなかった。水を空にしたところで、口を開いた久遠。

 

 「なあ、アキラ。お前と、ずっと二人きりで、いたいと、思うんだ」

 

 その言葉と火照った久遠の姿に、アキラの心は高鳴った。

 「久遠、あなたを、抱きたいです」

 「・・・ああ、我、いや、私も、アキラに抱かれたい」

 そう言うと久遠は起き上がり、アキラに抱き着いた。

 

 「「ちゅ、つう、ちゅちゅ、じゆ、じゅるり、ちゅぱちゅば」」

 

 そして、熱いキスをした。さっきの口移しはそれだけだったが、今は二人の想いと愛を伝えるためのキスだ。その間に、アキラは久遠の帯をほどいて久遠もアキラの帯をほどいた。お互いの前の体が見えた。

 「久遠、やはりあなたは美しいです」

 「アキラ、お前のその傷だらけの体。とても、ドキドキさせる」

 「私はあなたの体で、こうなりました」

 「・・・アキラ、私も濡れてしまった」

 唇を離し、お互い視線を下に移動した。アキラの剛直なる刀と、久遠の蜜が止まらない鞘があった。アキラは目を開けてその目で久遠を見た。

 「いきますよ」

 「ああ」

 どうやら、アキラの目が開いていることは雰囲気で気づいてないようだ。

 「本当に、久しぶりです。あなたの温もり、あなたの匂い、そして、あなたの愛」

 「アキラ、私も・・・お前の温もりに匂い、そして愛を感じたい」

 アキラの言葉に覚悟を決めたのか、蜜で濡れ濡れになった刀を鞘に納めた。

 「あ、ああ、あああああ!」

 「んん!く、久遠・・・ま、まだ、入らない!」

 だが、刀が半分までしか入らなかった。

 「お、お前、のが、大き、すぎる、んだ」

 「あなたの、ですから、こう、なりま、す」

 顔を真っ赤にして、アキラの肩に頭を乗せた。その言葉に嬉しさを隠しながら、必死に我慢して・・・ついに

 「あああ!はい、った・・・アキ、ラ」

 「久遠・・・嬉し、いです」

 「わ、私、もだ」

 彼女の鞘にアキラの太刀が全部入った。力強く久遠を抱きしめて、再びディープかつ情熱的なキスをした。久遠の胸がアキラの胸に押し付けられた。

 「動かし・・・く!」

 「ああ、す、すごい、な、何だ!これは!」

 アキラの腰が動き出した。その時二人に凄い快楽を襲った。でも、アキラは構わずに動かす。だが動かすペースは乱れている。思わずキスができなくなり、再びアキラの肩に頭を置く久遠。

 「久、遠。あなたの、す、すごい。これは」

 「お、お前、だって、観音寺城のあああ!う、うう!時とは、全くちが!」

 久しぶりの愛する人との営み。だが、その間にアキラはたくさんの妻とそれをやったが久遠はずっとできないまま。その差が二人の快楽を強くしているのだろう。

 「でも、でも、久遠。今は」

 「ああ!このままで!」

 「「ああああ、い、いいい!く~~!」」

 腰をどんどん動かしていき、ついに二人の我慢が頂点を達した。久遠の体の中に、たくさんのアキラの想いが入り込んだ。達した時の二人の顔は、今までの中でも最高の笑顔を出していた。

 

 

 そのまま一緒の布団に寝転んだ二人。

 「アキラ、嬉しかったぞ」

 「私もですよ。あなたと再び繋がれたことが、心から嬉しかった」

 お互い嬉しそうに顔を見合った。

 「・・・そういえば、お前の目が開いていたな。真っ直ぐに前を進み、挫折を決してしない眼差しだな」

 「そして、愛する人と必ず共にいることを誓った目です。久遠、あなたと共に」

 「ふん、我以外にもいるだろう」

 「ええ。でも、今の言葉はあなたが一番最初です」

 久遠の上にアキラが乗った。

 「あ、アキラ!お、おい!まさか」

 「ずっとあなたを、抱いていたい。抱きたい、あなたの体をどこまでも愛したい。あなたの心に私の愛を注ぎたい・・・ダメですか?」 

 せっかく直した久遠の襦袢を再び脱がした。今度は遠慮なしで、全力で愛するために女の快楽のツボを徹底的に責め始めた。

 「あ、んん、アキラ。も、もう、そんなに、されたら」

 「久遠。もっと、あなたの淫らな、素直な・・・淫乱な姿を見せてください」

 胸に首筋、割れ目に尻といろんなところを触り、舐めて、揉み、いじる。

 「ああ、ダメダメダメダメ。私、私、もう、滅茶苦茶になる。体が、動けなくなっていく、ああん、ふわふわ、する」

 久遠も快楽の余韻が残っているため、どんどん顔がよがっていく。アヘっていく。体の動きも淫らに淫靡に動いていく。

 「隠さないで見せてください。その姿を私は愛したい」

 「ず、るいぞ。そんなこと、を、言われたら」

 「愛する人には、とことん意地悪をします・・・でも、嫌いじゃないでしょう」

 「うう、うん(コクリ)」

 「さあ、第二回戦です。まだまだ愛を伝えたりない」

 さっきの剛直の刀を久遠に見せた。心なしか彼女はさっきより大きく見えた。

 「あ、アキラ」

 「久遠」

 でも、恐れることなくアキラの首に手を回して、そのまま魅惑的な顔でキスをした。そのキスが朝までやる合図だった。

 「覚悟してくださいね」

 アキラもそれを理解し、久遠の体を徹底的に自身の想いの全てをかけた。

 「お前も、全部、見せてくれ」

 体中に浴びたその想いを久遠は丁寧に舐めて、口に含んで、自身の鞘の中に入っていくことに悦んで、アキラが満足するまでずっと抱かれた。

 

 

 「全く・・・こんなになるまで」

 「でも、よかったでしょう?」

 次の日の朝、温泉からの帰り道。アキラと久遠は同じ馬に乗っている。何故、行きは別々の馬に乗っていたのに帰りは同じ馬なのか?

 「お兄ちゃ~ん」

 「お姉ちゃ~ん」

 そこに市と薫が馬に乗ってやってきた。

 「二人とも迎えですか?」

 「うん!ってあれ?二頭で行った、って聞いたけど?」

 「どうかしたの?久遠様?」

 「/////な、何でもない!」

 『・・・それは言っているようなものですよ』

 何でもないと言ったが、それは自滅だった。

 「へ~~、そんなにお兄ちゃんに愛してもらったんだ~」

 「よかったね!久遠様!」

 「なあ!ち、違うぞ!アキラに腰をたたなくされたのでは・・・あ」

 また自滅。ニヤニヤが止まらない二人。

 「先に行こうか。薫ちゃん」

 「そうだね。二人ともゆっくりでいいからね!」

 「ああ、おい!こら!っく!いたたたた」

 市と薫を追いかけたかったが、さっき言った通り腰がたたなくなっているためアキラにしがみつかないと落ちてしまうのだ。つまり、一人で乗ることができないため馬は一頭なのだ。

 「ほらほら、無理しない」

 「この姿にしたお前がそれを言うか!」

 「でも、あなたは止めなかった。私は嬉しかったですよ。私の愛の全てを受け止めてくれて」

 「く、くうう~~!」

 それを言われて真っ赤になって力強くアキラにしがみついた。

 

 「この、うつけものめ・・・・・・我も愛しているぞ(ぼそ)」

 

 その言葉への返答はしなかった。いや、できなかったという方が正しい。最後の小さな声で言った久遠の告白に、アキラは顔を真っ赤にしたからだ。その後、館に着くまで一言も話せないままだった。だが、二人とも

 

 『私も愛してますよ・・・あなたを絶対に離しません』

 『もう離れんからな・・・ずっと愛しているぞアキラ』

 

 考えていることは同じだった。

 




 
 デートでエッチは当然ですよね!ましてや、長い間離れていたのなら!

 次の間章で最後にしようと思いますが、ちょっと悩んでいます。今回の二人がいない間のオリジナルにするか、原作のあの光璃にするか。どっちにしよう。

 では、お楽しみに!


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間章21-5 いつも間違えた・・・ R-18

 
 布団は魔性のアイテム・・・マジでそう思う三MENです。

 結局光璃にしました。更新速度も遅くなりましてすいません・・・。


 ついに駿府奪還作戦が明日となった。緊張がピリピリと伝わるのが分かる。特に武田勢は、因縁が強いあの武将が敵の大将だ。夕霧と薫も二日前は笑顔で久遠と話していたのに、この日は笑顔がなかった。

 

 『一体どんな馬鹿をやって光璃達にこの甲斐から追い出されたのでしょうか?』

 

 そんな状況の中で、アキラは武田信虎とはそもそもどんな人物だったのか確認しようと思った。でも、実の娘の光璃に聞くのはさすがに酷だ。

 「あ、兄上!」

 「夫殿、いいところに」

 「ちょっと、顔貸してほしいんだぜ」

 そこに、ちょうど聞けそうな三人と出会った。

 

 夕霧・春日・粉雪に連れられて、どこかの部屋に入った。

 「話は何ですか?」

 「兄上、分かっているんじゃないでやがるか?」

 「・・・今回の敵の事です」

 「誰にも言わないでほしいんだぜ」

 「ほう、私の用件もそれです」

 「なら、都合がいい」

 「ここと・・・お屋形様や薫様には言わないでほしいんだぜ」

 それを聞き少し驚いた。光璃と薫は自分の母親・・・討つべき相手とどれだけ因縁があり、夫でも聞かれたくない気持ちはあるだろうから口止めするのは分かる。でも、心にまで内緒にする理由が分からなかった。

 

 その理由は三人の話で明らかになった。

 「夕霧達の母・武田信虎は武将としてはとても強く、その頃はまだそれなりにいいところもあったでやがる」

 「だが、甲斐の当主になってからは民に重税を押しかけ、自分に反抗するようなことを言うものは即処刑していった」

 「春日やあたいの家もつぶされて、ここの家族も殺されてしまったんだぜ」

 つまり、武田信虎は心の家族の仇でもあるという事だ。本人も知ってはいるだろうが、自分達が話したこととその事を思い出させたくないという事だろう。

 「光璃達が皆と共に信虎を駿府へ追放した。ということですね」

 「そうでやがる・・・今川義元殿に身柄を預かってもらったでやがる」

 「その後で拙らの家はお屋形様のおかげで元に戻すことはできた。しかし、心の家だけはつぶされたままだ。しかも、今川への恩を忘れて氏真公を追放して駿府を無理矢理手に入れた」

 「人の身を捨てて鬼になってだぜ!いくら何でも許せないんだぜ!」

 それを聞いて、武田家が鞠に全面的に協力する理由が分かった。鞠が路頭を迷い、駿府がああなってしまったのは自分達に非があると思っているのだろう。

 「そういう事ですか。鞠に代償無しで力を貸す理由がやっとわかりましたよ」

 「むしろ、責めてほしかったでやがるよ・・・」

 夕霧のこの一言が、どれだけ大きな謝罪の思いを持っているのか分かった。

 「妻の鞠のためにも、私も全力で戦わないといけませんね」

 「ありがとうございます。本来なら武田家が片づけるべきことなのに」

 「光璃と薫の夫ですから、私も武田家の一人ですよ」

 「薫様も妻になったのかだぜ!でも、それなら心強いんだぜ!」

 「さて・・・そろそろ行きますか」

 「頼むでやがる」

 話も終わり、立ち上がったアキラ。三人はすぐに行き先がわかったので、夕霧が頭を下げた。

 「ええ・・・それと」

 「「「?」」」

 襖を開けたところで三人に振り返った。

 

 「光璃の為に戦う信念を持つあなた方のような女性は好きですよ。もし、妻になってくれるなら全力で愛します」

 

 そう言って、出ていった。

 「「「//////」」」

 三人とも言葉が出なかった。

 『くう~~、姉上と薫が妻になって羨ましくてどうしようと思ってやがったのに。全力で愛するって・・・ううう、夕霧もなりたくなってきたでやがるよ!姉上も夕霧の幸せを望んでやがるし・・・って何考えてやがるか!』

 『ううむ。あの体の傷を見てから、時々夢にまでアキラ殿が出るようになった。せ、拙を「愛してますよ」と言って、だ、だ、抱く夢を・・・愛しますって、つ、妻に、なるべきか。くう、悩む!』

 『だ、旦那~。その言葉は湯漬け食べた時以上に照れるんだぜ!そりゃ、旦那は強いし、意地悪だけど優しいところあるし、夫になってほしいと思える人だぜ・・・ううう、どうするんだぜ!』

 アキラの妻になる気持ちは、三人ともあるようだ。

 

 アキラが向かった場所は光璃の部屋だった。今夜は一緒にいようと決めていた。

 「光璃。いますか?」

 「アキラ?」

 「ええ、入ってもいいですか?」

 「うん」

 了解ももらい、入ると本を読んでいた。だが、隣にいると嬉しそうな空気を出すのに、それがない。やはり、複雑なのだろう。

 「光璃、あな「母様の事、聞いた?」」

 信虎の事を言おうとしたら、光璃の方から言ってきた。アキラが来た時点で、わかってたのだろう。

 「相当好き勝手やったそうですね」

 「・・・本当なら光璃から話すべきことなのに」

 「話せないことがあるのは誰にでもあります。そう気にしなくてもいいですよ」

 「ううん。光璃は、いつも間違う」

 本を閉じて、アキラの前に来た。

 「光璃は間違った・・・駿府に母様を出した。そのせいで、鞠は駿府を失った」

 「それは、ち「光璃はいつも、失敗する」・・・」

 アキラの言葉を遮って言い続けた。

 「母様は、夕霧に武田を継がせたかった・・・光璃も夕霧ならいいと思った。そうすれば、鞠は・・・駿府にいれた。失わずに、済んだのに」

 どんどん弱音が出てきた。

 

 「光璃は・・・いつも、間違う」

 

 泣き顔を見て、やっとアキラは理解した。

 『民のため、臣のため、家族のため・・・いろんなものを背負って生きていることは理解していましたが、信虎を今川に送り、鬼になって駿府を鬼の国にした事。それらは自分がやってしまったこととして苦しんでいたのですね』

 光璃が夕霧や薫にも言えない苦しみを、信虎を追い出した時から抱え・・・当主としての顔をし続けてきた。

 「誰だって間違えはしますよ」

 「ううん、光璃は」

 「それに勘違いしています。今川義元・・・彼女が信虎を受け入れなくても久遠がいずれ戦いを挑んでいた。駿府は偶然いた信虎がとっただけのことです。鞠もそのことに関してはもう恨んでないと言ってます・・・自分が弱いから負けたと」

 「鞠が・・・でも、でも」

 「なら言いましょう。あなたは足長娘と言われていますが、先の未来が見えるわけでもない。一瞬の出来事で未来はたくさん変わる。そのたくさんの未来の中で必死に考えて、もがき苦しんで、最善と思える一手を選ぶ。あなたはそれをしたのです・・・だが、どうしようもない時だってある」

 彼女の肩を握り、目を開けて、彼女の目を見て言った。

 「私はあるサムライと戦ったことがあります。大切な家族が治療不可能などうしようもない病にかかってしまった。家族の為に命がけになって、必死になって、治したかったが方法は見つからず。治すことはできなくても命を延ばすことはできる手段を見つけたが、自分が修羅の道に染まる結果となった。大切な家族のためなら、身を修羅にしてもいいと思ったからです」

 かつて語ったクビラの話を、光璃にも話した。

 「サムライは、どうなったの?」

 「何とか家族は助かりましたが散ってしまいました。倖せになる家族を見届けたかったのに・・・でも、サムライは後悔しなかった。光璃、あなたは自分の出した選択はいつも間違っていると言った」

 「うん・・・だって」

 「では、私はどうやって鞠に会えましたか?越前の一件もありましたが、越後で夕霧がいたからこそあなたと会えた。そして、私はあなたの夫になれた。それらはすべて間違ってますか?あなたと夫婦になれたことが間違いだったのですか?」

 光璃の目に涙が浮かんできた。顔も段々泣き顔になりかけている。

 

 「本当は・・・仲直り、したかった」

 

 振り絞るような思いの一言が出た。

 「手紙を書いた・・・仲良く、暮らしたかったのに、声、届かなかった(ぐす)」

 光璃の頬に涙が流れた。

 「でも、あなたは逃げずに決断した。民のため、家臣のため、家族のために頑張った。今話したサムライのように・・・必死になった。だからこそ、この甲斐という国がある。武田は大きくなった。民達は皆あなたが当主だからこそ、この国がよくなったと口をそろえて言います・・・本当に、よく頑張りましたね」

 光璃の頭を優しくなでた。

 「う、ううう、ううう(ぽろぽろ)」

 「全部吐き出しなさい。全部私が受け止めてあげます」

 この一言がきっかけで、

 

 「う、うううう、うわああああぁぁぁぁ!!!」

 

 光璃の目から、滝のような涙が出てきた。

 「本当は、怖かった・・・怖かった!間違っていたら・・・そう思うだけで、すごく、すごく怖かったの!」

 もう止まらない。言葉も涙もどんどん出た。

 「光璃、あなたは本当に、よく頑張りました。もっと、もっと出しなさい」

 「う、う、う、うわああああ~~~ん!」

 『今まで光璃の夫としていたのに・・・ようやく本当の光璃の夫になったような気がします。今まですいませんでした。こんなダメな男が夫で・・・』

 彼女の苦しみや葛藤を気づけなかった事にアキラは謝罪した。光璃はアキラにしがみつき、ただただひたすらに泣いた。やっと、出せなかった本音を出し続けた。

 

 

 弱音や涙を出し終えて止まったと思ったら部屋を出ていった・・・がすぐに戻ってきた。いつも通りの顔に戻り襦袢に着替えて。だが、心なしか顔が赤くなっているように見える。

 「光璃?」

 「アキラ、忘れて」

 「忘れて?さっきの事ですか?」

 「うん、あんなに泣いた姿。恥ずかしい」

 「でも、それは「無理矢理忘れさせる」っは?」

 すると、襦袢の前を開け自分の裸を見せた。更に、アキラに抱き着いた。

 「ひ、光璃?」

 「絶対忘れさせる」

 アキラの袴を脱がせて、裸を見て固くなった性刀を握った。

 「アキラ、固い」

 「そりゃ、あなたの裸を見れば」

 「・・・もっと固くする」

 今度はそのまま刀を上下に擦り始めた。突如やり始めたことに戸惑いながら、快楽がアキラを襲う。 

 「なあ!ひ、光璃!ちょ!が、我慢、できなく、なります!」

 「うん、いいの。我慢、しなくていい」

 「・・・本当にいいのですね」

 「うん、忘れるまで・・・」

 アキラの我慢していた理性が壊れた。

 「私のこれをもっと固くしたいのなら、あなたのその口でやってください」

 「・・・私の口で?」

 「そうです、やってくれますね?」

 恥ずかしそうに頷くと、光璃は口の中に入れた。舌を動かして、性刀の先を舐め始めた。ビクッとしたアキラ。

 「そ、そう。です!」

 「むぐ、むうう、むちゅうう」

 「できるなら・・・手も動かして、ください」

 「むん(こくん)」

 止めていた手を再び動かし始めた。その動きにアキラの体に快感の電気が走った。

 「!!!い、いいですよ!」

 「あひふぁ、あひふぁ」

 光璃は次の段階に入った。刀の先端部分を舐めていたが、刀全体を舐め始めた。

 「はあ、はあ(ペロペロ)」

 そうしている内に、光璃自身も欲情してきた。アキラの性刀を愛おしそうに舐め続けている中、彼女は自身の女の割れ目を自慰していた。アキラも、自慰をしながら自身のこれを必死にくわえている姿に性欲が強くなっていき、刀が太くなってきた。

 「くう、ううう、だ、駄目だ」

 「むぐ、むぐう、むぐ~~~!」

 お互いに我慢の限界が来た。アキラは熱い液体をそのまま光璃の口の中で出して、光璃の割れ目からも滝のように勢いよく蜜があふれ出た。

 「ひ、光璃、よか、った、です」

 「む、うぐ・・・(ごくん)アキラの・・・熱い」

 口からアキラの刀が抜けて、こぼれそうな液体を全部飲み込んだ。アキラのものを絶対にこぼしたくない気持ちが見えた。

 

 

 両者共に、乱れていた服を全部脱いで裸になった。

 「では、入れてください」 

 「う、うん」

 「ふふ、あなたの望み通りになりましたよ」

 「・・・バカ」

 横になっているアキラの腰に体を乗せた。

 「でも、あなたがこうしたのですから・・・さあ、どうぞ」

 アキラはニヤニヤしながら乗った光璃を見た。彼女の方は自分が大きくしたアキラの性太刀を見て、ゴクリと涎を飲み・・・ついに、割れ目に入れた。

 「あ、ああ!え?ち、違う!あの時にやったのとは・・・す、すごい!」

 「ふふ、愛するあなた・・・特に、心を完全に見せたあなたとやっているのです。私もとても興奮します」

 「あ、アキラ・・・その時の光璃と、今の光璃、ど、どっちが、好き?」

 「あの頃のあなたももちろん好きです。でも」

 そう言うと、腰を突き上げた。その衝撃に思わず体全部が震えた。

 「んんん!!!」

 「あの頃以上に淫らで、何もかもをさらけ出し、私のそれを飲んだ今の光璃の方が好きですよ。もっと、いやらしく、エッチになれば、もっと好きになります」

 「あ、あ、あ、ああああ!な、な、なる、なる!アキラ・・・光璃、エッチに、なるから!」

 「では、もっと愛しますね」

 すると、アキラは起き上がり、腰を動かさなくなった。

 「ど、どうして、動かないの?」

 「光璃が動いてください。腰をもっと、私だけやるのは不公平です」

 「・・・(こくん)」

 言われるがまま、腰を不器用なりに動かす。

 「き、気持ち、いい?」

 「ふふ、どうでしょうかね?」

 刺激を感じながら、彼女のおっぱいを揉みだした。

 「ほらほら、もっとやってください」

 「そ、そんな!ひ、光璃、そんなに、責められたら、揉まれたら~!」

 「おや~、口答えする人はお仕置きですね~」

 更に耳を舐めた。そこが、彼女の一番の敏感なところだったのか一舐めで一気に背筋が伸びた。

 「あああん!」

 そこからは、無意識に腰を動かした。しかも、不器用な動きは変わらないがそれを補うかのように、汗をかく姿と揺れ動くおっぱい。更に涎をこぼしながらアキラを見る欲情を高ぶらせる顔に、アキラも快楽が最高潮までいった。

 「さあ、いきましょう!」

 「うん!うん!アキラ、アキラ!!」

 二人の腰の動きがさらに激しくなった。アキラは耳を更に舐め、おっぱいを揉みながら乳首も抓る。光璃はそれらをされてもっと動きが激しくなり、顔もアヘってきた。

 そして、絶頂の時が来た。

 「ああ、いい、いいの!アキラ、光璃、私、ダメに、なる~~」

 「わ、私も、で、出る!く、うううう!!」

 「ああああ!か、感じる~~!あ、アキラのが、お、お腹に~!」

 力強い声とともに光璃に全力の愛を注ぎこんだ。二人して布団に倒れたと同時に、光璃の割れ目からアキラの刀が抜け、割れ目からは全力の愛が零れた。

 「アキラ・・・大好き」

 「私もです。朝まで一緒にいましょう」

 「うん、いて、いてほしい・・・あと、やっぱり、忘れないでほしい。今夜の事、忘れないで」

 「もちろんです。生涯忘れませんよ、あなたの乱れまくったあの姿を」

 「・・・バカ。でも、アキラなら、いい」

 その言葉に嬉しくなった光璃は、アキラに抱き着いていろんなところにキスをした。アキラの全てを愛したい、その印をつけたい。そんな気持ちを見せる行動だった。

 

 

 その後力尽きて、ぐっすり寝ている光璃を見た。

 

 『明日、ついに出陣。最後まで、あなたを支えます。信念をもって、覚悟を決めて、悲しみを抱えて・・・でも、それらを全て出さない。私にだけ出した。光璃、心から愛してますよ』

 

 光璃を温めるように抱きしめて、アキラも眠りについた。

 




 現代でも親を殺す子のニュースを見ますが、どんな思い何でしょうね。その時の気持ちと言うのは・・・。

 さあ、ついに駿府へ向けて出陣!・・・と言いたいですが、謝ることがあります。

 前に今月から残業になるので更新速度が遅くなることは書きましたが、あの後会社でちょっとした大会が今月中旬にあり、その代表に選ばれてしまいました。その為、訓練もしないといけないので、更に遅くなります・・・大会が終われば何とかなりますが、それまでは申し訳ありませんが駿府出陣の話がしばらく先になります。

 では、少々時間がかかりますがお楽しみに!


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八十三振り目 あなたが、決めることです

 
 疲れは寝てもとれない。三MENです。

 本章もこれを書くのが久しぶり・・・今回は浜松城到着までです。

 来週が終われば、少しはペースが戻せそう・・・。


 

 京のある寺にて。

 「ん?どうした?・・・ほう、なるほど」

 そこには吉野がいた。

 「逃がすなと言っただろうが・・・まあ、いい」

 その吉野のそばには鬼が数匹いた。京に鬼・・・それはそういう事だ。

 「こうなった以上仕方あるまい。くくく、はははは!さあ、どうする?貴様はどうするつもりだ!」

 どこを見ているかはわからない。だが、とても愉快に、とても卑しい笑いをした。

 「ここは我のものになった。信虎の奴は・・・まあいい、所詮あやつはただの駒だ。どうなろうが関係ない。あの男の刀に鬼血を浴びせるんだ。それで我は・・・は、ははははは!」

 笑い声が響く。

 

 

 光璃と熱い愛の交じり合いを終えた次の日。ついに駿府に向けて出陣するために全勢力が門に集まった。だが、その前に久遠が京に残ったエーリカの事を話した。

 

 『皆、今から話すことは全部事実だ』

 

 そう言って話したことは、エーリカが鬼を操っている黒幕・吉野の仲間だったこと。だが、アキラに誑され、好きになり、妻になりたい気持ちを持っていること。その為に吉野を裏切って自分達側になった事。最後にエーリカの希望で京に残り、吉野は自分達がいない時を狙って京を襲いに行っていることだった。

 『そんな、エーリカさんが・・・』

 『まさか、そんなことが』

 エーリカと特に親交が深いアキラ隊の皆はショックだった。観音寺城で、京で、小谷で話をしたり、交流を深めたから尚更だ。鬼を操る側にいたこともショックだったが、

 『エーリカは、自分から残ると言った』

 久遠の悔しそうな顔で言ったこの一言が、更に大きなショックを与えていた。吉野と操る数多くの鬼相手にたった一人で戦う事になるからだ。自分達は駿府に行かないといけないし、鞠に駿府を返してあげたい。彼女らにできることはただ一つ。

 

 『『『『『お願い!生きていて!』』』』』

 

 これだけだった。

 

 久遠の話が終わり、出陣式が始まった。織田・松平・浅井が三河の浜松城まで行く。長尾・武田が下山に行く。そこからは小波の句伝無量を使って連絡を取り合うという流れだった。

 「光璃、美空。駿府で会いましょう」

 「ねえ、アキラ。無茶をしちゃだめよ」

 「しちゃダメ」

 「当然ですよ。鞠とともに動くのですから、いきなりいなくなるなんて・・・な、何です、その目は」

 「「「・・・自覚しない夫」」」

 正室三人にジト目で見られ、何も言えなくなった。

 「うふふ、言われてますね。アキラ様」

 「でも、それがアキラなの!」

 笑う葵に頷く鞠。それを言われ、更にダンマリなアキラ。

 「だが、そっちも気をつけろよ・・・特に光璃」

 「大丈夫よ、こいつの手綱は私が握るから」

 「美空に?猿に握らせた方がまし」

 「よし、その喧嘩買った!」

 「・・・アキラ、鬼がいる」

 二人のいつも通りの口喧嘩を見て、少し安心した。心の中は苦しい気持ちでいっぱいだが、美空が緩衝材がわりになってくれそうだ。

 「行きましょう!鞠の故郷を取り戻しに!」

 「うん!皆!出陣なの~~!」

 鞠の一声で、兵達は威勢のいい声を上げた。一番大きな声を出したのが、アキラ隊の兵達だったのはご愛嬌。

 

 浜松城に向かう途中、久遠、真琴、葵、鞠、アキラの五人は作戦を立てたが、本陣を危険にさらす作戦でもあった。提案者はもちろんアキラだ。

 「アキラの作戦は、本陣が危険になるが」

 「駿府の鬼を押し込めるには、兄様が立てたこの作戦しかないと思います」

 「・・・私もそれ以外にないと思います」

 その作戦は、本陣の兵を浜松城から掛川城、更に田中城へ移動するが、その道中の兵を南北に分散させて扇状に隊列を立て、そこから鬼を駿府屋形へ押し込めるというものだった。鬼を多く倒すという意味ではいいかもしれないが、大将を守る兵も減らすという事だ。

 「それで、鞠。どうします?」

 そして、作戦をするか決めるのは久遠でも真琴でも葵でもない。この駿府奪還の戦いの大将は今川氏真・・・鞠だ。だから、彼女が決めないといけない。

 

 「苦しい戦いになるのは分かるの。でも、駿府だけじゃない。これからの日の本の為に、アキラの作戦を使うの!」

 

 大将としての決断と未来のための判断をしっかりやった。

 「よく言いました!来なさい、小波!」

 「っは!おそばに!」

 アキラの声に一瞬で姿を現した小波。

 「この戦い、あなたの句伝無量がカギになります。使わせてもらいますよ!」

 「は!ご主人様のご指示に従います!私も、鞠様の為に全力を尽くします!」

 「いい返事です。では、この作戦を下山に伝えてください」

 お守り袋に手をやって、作戦を伝えた。

 

 その頃の相模の城。

 「姉様、連合軍が駿府へ向けて出陣したと報告が入りました」

 「そうなるわよね。予想通りだったわね、サイ」

 「当たり前だ・・・全く、親ならクビラを見習うべきだ」

 「クビラ?誰それ?」

 「越後で知り合った友だ。あの男は自分の妻と娘をとても大切にしている」

 「それは北条もですよ・・・あの、私達はどうしましょう」

 「どうもしないわ」

 この当主の返答に驚く朧。

 「え?何もしないのですか?」

 「言いたいことはわかるわ。相模に入る鬼をどうするか?でしょう?」

 「東の人鬼も気になりますが、西から来るであろう鬼への対処も必要と思います」

 「朧の言う事も一理ある。でも、東は大丈夫だろう。北の独眼竜にも意識・・・あの男よりは弱いだろうけど」

 「あら?あなた、自分の世界で独眼竜に会ったことあるの?」

 「少なくとも朔夜と同じくらい強い」

 「姉様と同じ!アキラといい、その男といい、サイといい、あなたの世界はどれだけ強者がいるのですか!」

 「朔夜と同じかそれ以上がごろごろいたな」

 自分より強い当主がごろごろいる世界。想像できなくなり放心した朧。

 「絶句した朧は置いておいて、鬼への対処はしておきましょ」

 「当然だな。ただでさえ、こっちもいい隣人がいないんだ・・・私としては連合に加わるのも一つの手だと思うがな。鬼の対処も慣れているし、私以上の一騎当千もそれなりにいる。何よりアキラが味方になるのは、今後の北条のためにもいいと思う」

 「う~ん。でも今はやめておくわ。北条にとって大事な相模。連合に加わっちゃったら、北条の相模じゃなくなっちゃうしね」

 「全く・・・「御本城様~(シュタ)」、姫野か」

 「連合から使者が参りました。名月様に景勝に樋口の娘。だったかな?」

 「名月ですって!」

 溺愛する姪の名前ですぐに意識を取り戻した朧。

 「ふ~ん。名月がね~」

 「姉様!すぐ迎え「やめんか、シスコンが(ゴン)」あいた!」

 「えっと、しすこん、って何ですか?」

 「姉や妹を溺愛することだ」

 「ああ。名月は姪だけど、それなら確かにそうね~。朧、しすこんね~」

 「な、何が悪「対等の立場に立つと言ったのは誰だったかしら?」・・・う」

 「朧いじりもほどほどにしろ。それで、どうするんだ朔夜?」

 「わ、私、いじられていたのですか!」

 「わかってるわ・・・姫野、追い返して」

 「な!ね、姉様!」

 名月に会えないことに大声を上げた。

 「あの、本気ですか?」

 「ええ、本気よ。駿府を攻めてそっちに鬼が来るから気を付けろ。というものでしょうし。顔を合わせたら返答をしないといけないけど、追い返せばする必要ないしね」

 「でも・・・」

 「今度会えばいいじゃない。私達が今大事なのは相模。断っておけば向こうも私達を警戒するし、その間の時間が大きなものになるわ」

 「そういう事だ。姫野、頼んだぞ」

 「は、はあ、分かりました(シュタ)」

 「はあ~、名月に会えないなんて」

 「全く、さっさと妹達と鬼の対処に行ってこい!」

 「・・・はい(トボトボ)」 

 「名月が絡まなければ立派なのに」

 「それが朧の持ち味よ。それはそうと、親の例を出した時に何で私を出さなかったのかしら~?」

 「・・・自分の胸に聞いてみろ」

 「おっぱいが大きくて聞こえな~い」

 『そういうところが例に出せないところだ・・・と言っても自重しない癖に』

 

 場所が変わって同じころの下山城。 

 「お待たせして申し訳ございませんでした。お屋形様、美空様」

 「問題ないわ」

 「うん」

 「では、軍議を始めましょう」

 城の一室で一二三、湖衣、光璃、美空の四人が集まって話し合いを始めた。

 「兵の皆の禍根はなさそうです。あの頃の戦いを良き思い出として語りあう姿もありました」

 「何回も戦ったからこそ、兵達の間でも通じ合うものがあったのだと思います」

 「そうね」

 「(コク)」

 アキラの想いとライバルとして美空と光璃は通じ合った。だから、兵達のその考えも理解できた。

 「下山に侵攻しようとする鬼は何とか阻止しております」

 「え?手練れがいるのに、何とかなの?」

 「我が隊・吾妻衆はぶつかるための隊ではありません」

 「うん、情報収集が主」

 「なるほどね。あいつがいないのが結構響いているわね」

 美空の言葉に少しだけムッとした三人。

 「失礼いたしますが、アキラ様とその隊を比べるのは失礼かと思います」

 「・・・そうね。あいつ自体とんでもないけど、部隊の皆も結構とんでもなかったわね。悪かったわ」

 アキラとその隊は名高い武将の二人からしても異質すぎる隊だ。それを比べてしまったことに謝罪した美空。その時に一二三宛てに句伝無量が届いた。

 「失礼・・・分かった」

 「ん?アキラの草?」

 「はい、小波からです。あちらの作戦が届きました」

 その作戦を伝えると美空は当然怒った。でも、駿府の今後の事を考えた作戦でもあるため光璃に抑えられ我慢するしかなかった。一呼吸置いたところで、話が進んだ。

 「そう言えば、北条ってどうなっているかしら」

 「その事も句伝無量で確認したら、彼の人は出ないそうです。以前聞いた当主の護衛の話では、相模を大切にするのが一番らしいです」

 「それなら空達は追い返されるかもしれないけど、それはそれでありがたいわね」

 娘二人が無事に戻ってこれそうなことに、内心ほっとした美空。

 「北条は敵が多い」

 「佐竹を中心にした連合もおりますし、北には伊達もいるのでこちらに意識する暇もないと思います」

 「佐竹には英雄もいますし、連合の邪魔はないでしょう」

 「なるほど、私達はアキラ達と息を合わせて行動。といったところね」

 美空の言葉に三人とも頷いた。出陣準備をさせに湖衣が出ていって、残った待ち時間でアキラの話をした三人。

 「伊達と聞いて思い出したけど、幽から聞いた話じゃアキラって向こうの世界の独眼竜に育てられたらしいわね」

 「光璃も春日から聞いた」

 「こちらと向こうの伊達・・・どちらがお強いのでしょうか?」

 「あっちじゃない?アキラがあれだし」

 「うん、そう思う」

 「夫殿は、どんな世界にいたのか。武人として興味があります」

 「「(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン」」

 一二三の言葉に、光璃も美空も心から頷いた。

 

 浜松城に着いたアキラ達。既に夜なので、作戦を武将達に伝えてその日は終わりなのだが、

 「和奏達が文句を言っている?」

 「ああ、暴れたいと言っている」

 織田勢を指揮している壬月が苦い顔で言った。隣の久遠も苦い顔をしていた。

 「気持ちはわかるな。越前以降、大きな戦いが今までなかったから、思いっきり戦いたいのだろう」

 「あの作戦は扇上に広がりながら鬼を押していく。本陣より現場の網役の方が暴れられるのですが」

 「だが、私が言っても本陣の方が手柄がある、と思って聞いてくれないんだ」

 「・・・分かりました。私が説明してきます」

 立ち上がったアキラに謝罪する壬月。

 「すまんな」

 「このお代は、今度あなたの体で」

 「ああ、いいぞ。私もお前の妻だ。抱かれたい気持ちは皆と一緒だ」

 冗談を真で返されて唖然とするアキラ。

 「・・・つまらないですね。てっきり恥ずかしがると思ったのに」

 「ははは!残念だったな」

 「やれやれ、行ってきます」

 「アキラ、我も忘れるでないぞ!」

 「鞠もなの!」

 二人の妻のブーイングを背に受けて、アキラが部屋を出ていった。

 

 『くっそ・・・越前を思い出してしまったではないか!アキラの馬鹿者が!これじゃあ、またあいつに抱かれた時を夢で見そうではないか!』

 

 結構恥ずかしかったみたいで、誰も自分を見てないのを確認して股を擦りつけた。割れ目から水が少し出ていたのは壬月だけの秘密だ。

 

 三若のいる部屋にいったアキラ。

 「失礼します」

 「あ、アキラ!」

 「アキラく~ん」

 「アッキラ様~!」

 アキラの姿を確認するや否や、雛と犬子は抱き着いた。

 「和奏は抱き着かないのですか?この二人は抱き着いたのに」

 「い、今はいいんだ!」

 だが、うずうずしているのが分かる。

 「和奏ちん、遠慮はしない方がいいよ~」

 「そうそう!抱き着いちゃおうよ!」

 「お前らは少しは遠慮しろ!」

 「ふふふ。あなた達との漫才も見たいところですが、今はあなた方の立ち位置について話をしようと思いまして」

 抱き着いている二人をはがして三人の前に座った。

 「壬月さんから聞きました。本陣で暴れたいとか」

 「「「(・∀・)ウン!!」」」

 「では、本陣よりも暴れられる場所がある。ついでに手柄もとれる場所がある。と言ったら?」

 「「「何それ!」」」

 その後、しっかり言質をとって網役でいいと言わせた。ただ、アキラの説明を聞いて分かったのは雛だけで二人は分かっていなかったことに呆れ汗を流したのは内緒だ。

 

 部屋に戻ると、さっきまでいなかったアキラ隊の頭脳が二人いた。 

 「壬月さん。三若達、網役でいいとのことです・・・ただ、三人とも自分達を抱くよう強く言ってきました」

 「おやおや、私を抱いた後はあいつらもか。体持つか?」

 「大丈夫ですよ、壬月様。私達が保証します」

 「三日三晩、ずっとでも大丈夫な方です」

 詩乃と雫の言葉に、なるほどと納得した壬月。

 「詩乃、雫、それはさすがに無理ですよ」

 「では、軍議を始めましょう」

 「はい、まずは・・・」

 「無視しないでくださいよ!」

 アキラの文句はその場にいた全員が無視したため、結局アキラの方から引き下がることになった。

 

 

 その後の軍議で網役の配置、その網役の兵の数と進み方。下山から降りてくる武田・長尾軍との連携。これらの確認をして解散になった。解散となる前に、

 「アキラ様、決して無茶をしないでください!」

 「アキラ隊愛妾連合一同、心からお願いします」

 「ええ、もちろんです」

 「「・・・はあ~~」」

 溜息を吐かれた。その溜息に笑う久遠が最後の号令をかけて、本当に解散となった。

 

 『・・・ため息をつかれる理由、分かりますけどね』

 

 彼女達がそうなる理由、アキラは分かっていた。

 




 
 吉野が逃がしたのは何かはもう予想できますよね?

 何気に壬月を照れさせました!ついに駿府へ向けて出発です!



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八十四振り目 あなたがいるから、変われると思った

 
 緊張はあまりしない、三MENです。
 
 やっと現実で大会が始まります。それが終われば少しはペースが戻ります!すいませんでした、長引かせてしまって。

 今回はあの刀のイベント終了までです!


 

 軍議が終わり解散した後、アキラは今回の戦いの大将のところに行った。

 「見つけましたよ・・・鞠」

 「あ、アキラ」

 駿府の正当な後継者・鞠だ。彼女からすれば、この戦いは光璃以上に思い入れがあるはずだから、様子を見に来た・・・弁当を持って。

 「一緒に食べましょう。どうせ、緊張して食べてないのでしょう」

 「(ぐ~)う、うん・・・ありがとうなの」

 少し恥ずかしそうに弁当をもらい、一緒に食べた。

 『やはりですね。まあ、無理もないでしょう』

 

 食べ終わると、鞠はアキラのそばに座った。

 「さっき詩乃と雫から言われてしまいました。無茶はするなと」

 「アキラはいつも無茶しているから、言われて当然なの!」

 「う~ん、私は無茶の段階はいってないと思ってたのですが」

 「いっているの!」

 雑談をして、鞠の気晴らしをしてから本題に入った。

 「雑談はここまでとして・・・どうです?少しは気が晴れましたか?」

 「う、うん」

 頷いたが、どう見てもまだ体に力が入っている。

 「あなたは、今までは私の背中を守っていた。でも、今回は」

 「うん、こんな大戦初めてなの」

 「でも、あなたは駿府の国主として立たないといけません」

 「それは分かってるけど、この戦いは絶対に負けられないの・・・そう思うと」

 アキラの服を掴んだ。少し震えているのが分かる。

 「絶対に負けられない戦い・・・私も経験があります」

 「アキラも、あったの?」

 「ええ、今の私を作り上げたと言っても過言ではないとても大きな、そして負けられない戦いをね・・・」

 空の月を見上げて、懐かしむように呟いた。

 「アキラは、どうやって勝ったの?」

 「・・・仲間ですよ」

 思い出しながら、その言葉を言った。

 「仲間、なの?」

 「そう、仲間がいたからこそ勝てた。仲間がいたからこそ苦しく困難で、巨大な壁を壊すことができた。私ができたのなら、あなただってできます。あなたにだって仲間がたくさんいるでしょう?」

 「・・・うん!いるの!ひよやころ!詩乃に梅に雫!久遠に美空ちゃんに光璃ちゃん!たくさんいるの!」

 緊張していた鞠の顔に笑顔が戻った。

 「一人では無理かもしれません。でも、仲間がいるなら可能かもしれません。鞠、皆あなたを大切に思っています。助けたい、力になりたいと。だから、その仲間の力をもってこの戦いを勝ちましょう」

 「うん!皆がいるなら、勝てる。勝てるの!」

 「その思いがあるなら大丈夫ですよ。駿府を必ず取り戻しましょう」

 「うん!」

 最後のこの「うん!」はもう緊張を感じさせない元気な返事だった。

 

 その同じ時間の躑躅ヶ崎館では。

 「どうしたの?時人」

 「ああ、ちょっと。アキラがいなくなった時を少し思い出してな」

 「縁起でもないこと言わないでください」

 駿府への出陣でしばらく帰ってこれないので、その間の館を守るのに庵樹・時人・朱雀の三人が留守番することになった。一騎当千が二人、それ以上の力を持つ時人がいれば問題ないとアキラが判断した。

 「大丈夫だ。アキラは私達を置いていかない」

 「その通りです。でも、どうしてあの時の事を?」

 「傍にいないから・・・それだけだ」

 「まあ、もう体の方も問題はないし・・・後は」

 「「後は?」」

 「あ、あいつの子供を、産むだけだ」

 「「・・・そ、そうですね」」

 庵樹の言葉に二人とも照れて言葉が止まった。館は静かに時が流れていった。

 

 そして、次の日。

 「みんな~~出陣なの~~」

 鞠の掛け声に皆が答えた。特にアキラ隊の兵の一部は

 「は~い、なの!鞠様!」

 「鞠様のあれって、本当に癒されるよな!」

 「うんうん!あの鞠様になら頭を撫でられたい!」

 「お前、またそんなことを・・・いや、それなら俺もされたい!」

 いつも通り、暴走していた。だが、これがアキラ隊らしい。

 「さて、ここからが本腰入れないとダメなところです」

 昨日まで一緒に行動していた織田勢と浅井勢は既に移動していた。その為、今残っているのは鞠を守るためのアキラ隊と松平勢だ。

 「も~~。折角鬼を全殺し出来ると思ったのに」

 先陣きって鬼に突撃!と思っていた綾那だったが、葵から鞠の護衛を言われて黙っていることに不満だったが、そこに鞠がやってきて戦ってきていいと言った。後ろにいるはずの鞠が、何故隊の方にいるのか疑問だったが

 「「お頭のせいですよ・・・全くもう~」」

 いつも前に出るアキラのせいとひよところに言われた。葵の許可を得て早速走っていった綾那と追いかける歌夜。そんな中、アキラは一つ疑問があった。

 

 『何でしょう、葵の雰囲気が柔らかく感じます?』

 

 初対面の時から彼女から感じていたうさん臭さや、アキラに探りを入れようとする感じを持っていた。越後でその感じが少し薄まったが消えたわけじゃなかった。でも、今は完全に消えていた。

 「あ、葵?」

 「何ですか?アキラ様?」

 向けてきた顔も仮面ではない、本当に自然な笑顔だったので更に疑問に思った。

 「・・・変わりました?」

 「変わった?そうですね、自分でもそう思います・・・それはアキラ様。あなたのおかげです」

 「私の?」

 そう言うと、葵は嬉しそうに言った。

 「はい。あなたの生き方や頑張りを見て思ったのです。私も頑張らろうと・・・でも、一人では限界があります。鞠様は皆さんと駿府を取り戻そうと頑張っています。なら、自分も一人でやろうとせず、抱え込もうとせず、皆さんと頑張ろう。そう思ったのです」

 「そうですか。私としては今まで以上に仲よくなれて嬉しいですよ」

 「はい、私も嬉しいです・・・本当はそれ以上の関係になりたい(ぼそ)」

 照れる顔の葵を見て、本当に変わったと思ったアキラ。

 「何か、嬉しいですね。私の生き方や頑張りがあなたをそうやって変えたのは」

 「嬉しい。ですか?」

 「まあ、これは当人にしか分かりませんね」

 説明しても理解ができなかった葵。そんな彼女の右肩に手を乗せた。

 「あ、あの?」

 「私は、かつて誓いを託された。その誓いの為に、必死になって頑張った。その誓いは私を私と見てくれた証拠でもあるのです。当時、私はある男の部下。それを誇りに思い、その肩書が自分の人生とすら思っていた」

 「人生・・・」

 「だが、大きな出来事が起こりその肩書を捨てた。自分の人生すら捨てた私に、その男は誓いを残してくれた。だからこそ、かつての自分を決別し新しい自分になれた。あの時ほど、嬉しいと思ったことはありません」

 思い出すアキラの顔に見惚れながら、右肩に乗っている手の上に自分の手を乗せた。

 「アキラ様・・・お願いがあります。私にも、誓いをくれませんか?」

 「誓い、ですか?」

 「はい。アキラ様がそこまで自分を変えたと言える誓い。そこまでの誓いが欲しいとは言いません。でも、あなたとの誓い。小さくてもいい、それが欲しいのです」

 真剣な顔でアキラに頼んできた。

 「そうですか。では・・・」

 アキラはある言葉を彼女に言った。耳元で言ったので、周りにいる兵には聞こえなかった。葵にとっては驚く言葉で、キョトンとした。

 「はい!それを、誓わせてください!」

 「ええ、誓いましょう」

 こうして、アキラと葵の間に二人だけの誓いが交わされた。

 『アキラ様。その誓いは今までの中で一番嬉しいです』

 葵は、愛おしそうにまだ右肩に乗っているアキラの手を見ていた。

 

 その後、小波から句伝無量が届いた。葵の肩から手を離した時、名残惜しそうに見ている彼女に気づかなかった。報告は浜松城の次の目的地掛川城での攻防だった。その報告の中で一番驚いたのが

 「纏まっていない?」

 『っは、軍の行動としての統率が取れていません。ばらばらに、行動しているように見えます』

 自分達が駿府に向けて進軍している。それはもう大将の信虎だって知っているはず。なのに、統率をとっていなかった。

 「先遣部隊としての鬼の集まりでしょうが、それでもそこまで統率が取れなくなるものでしょうか?」

 「それはありません。でも、それなら好都合です」

 「小波さん。隊の正確な場所をお願いします」

 アキラの言葉に頭脳の二人は否定した。でも、現状は有利に動けるとのことなのですぐに二人は策を開始した。

 

 『・・・まるで一乗谷前の越前、自分達を切ってくれという行動ですよ。鬼になった信虎がこれをするとは思えない。光璃も鬼を集めて進軍するのは信虎の拘りと言っていたのに、今だ掛川城を落とせずじまい・・・つまりこれは』

 

 その鬼達の行動が、アキラの脳裏にはかつての敗北を思い出させた。

 「アキラ様?どうしました?」

 「いえ、何でもありません」

 「鞠ちゃんも号令を出して、先に行きました。私達も行きましょう」

 ひよところに言われて頷きながら、

 『・・・あの三流の指示といったところでしょう』

 この鬼の行動は、黒幕の指示だとアキラは思った。

 

 進んでいき、掛川城を攻めていた鬼は殲滅した。

 「第一段階突破ですね」

 「そうですね。ここからが本番です」

 「そうなの!でも、負けないの!」

 「うむ!その意気じゃ!・・・と言いたいが、余も暴れたいぞ!」

 「公方様、我慢です。大人の対応をすれば、アキラ殿に褒めら「将軍である我が暴れるのはみっともない!ここは待とうぞ!」・・・チョロいですね~」

 数少ない心許せる鞠と一緒の上機嫌の一葉だが、暴れたいと文句を言いつつも幽の言葉であっさりとやめた。それを見た全員が、「子供」と真逆の見られ方をされたのを一葉は知らない。

 「お頭!報告があります!」

 そんな漫才が終わった頃に、一人の兵がやってきた。

 

 その兵に報告によると、何やら変なものが出て進めなくなったらしい。何とも説明しずらい変なものなので、アキラに報告がしたとのこと。しっかり確認しておく必要があると思い、自らその現場に行くことにした。

 「ハニーは私がお守りいたします!」

 「某もですぞ」

 その時、アキラの護衛として指名したのが梅と幽だった。二人とも、アキラの両サイドから腕を自分のおっぱいに挟めた。

 「あの、まじめに」

 「着いたら、離しますわ!それに、これくらいは!」

 「梅殿の言う通り、いいではありませんか。体がアキラ殿を求めているのですよ」

 おっぱいどころか、見せつけるように体をアキラに擦り付けた。二人とも嬉しそうにアキラの匂いと温もりに堪能していた。

 「「「「(ピキ)むかむか 」」」」

 「さあ、参りましょう!」

 「アキラ殿の匂いと温もり、しっかり堪能させてもらいますぞ」

 幽がそれを言うのは珍しい。彼女も抱かれてないのが寂しいのだろう。後ろからぐさぐさに刺さる視線を食らいながら、三人は現場に向かった。 

 『『『『『この戦いが終わったら、絶対抱かれよう!』』』』』

 二人の行動にそう決意した妻達だった。

 

 現場に到着すると、まだその変なものはあった。

 「確かに変なもの。ですね」

 「・・・あれって、どう見ても鬼ですわね」

 「某もそう思います」

 「鬼になった猿でしょうか?」

 「そうとしか思えません。それにしても、人以外にもなるのですわね」

 「おそらく、武田信虎が飼っていたという白川という猿でしょう」

 その変なものは、鬼の顔をした猿だった。

 「見張りみたいなものですね」

 「ええ、私達の姿が見えているのに襲ってこない。襲い掛からないから襲わないという事でしょう」

 「そうなると厄介ですから、ちょっと遠回りに「・・・お、お頭」・・・ん?」

 堂々と姿を見せているのに襲わないから放っておこうと思った矢先、自分達を連れてきた兵が震えながら白川の下を指した。

 「あ、あれ・・・お、俺の、友達」

 大きな足が邪魔していたが、よく見るとアキラ隊の鎧を着た兵が数人死んでいた。その内の一人が仲のいい友人だったのだろう

 「・・・昨日楽しそうに俺と話していたのに」

 「落ち着きなさい。悔しいのは分かります」

 「こ、こいつのせいで!」

 「ダメですわ!」

 「っく!不覚!」

 悲しそうに震えていた兵が、突然刀を抜いて白川に斬りかかった。いきなりの行動だったので、三人共止められなかった。

 「へ、へへへへ!や、やった!やったぞ!か、仇とったぞ!」

 白川はあっさり斬られた。だが、その兵の様子がおかしくなった。

 「やった、やった、ヤッタ、ヤッタやややややや」

 仇討ちができたことに喜んでいると、兵の体が人の肌の色じゃなくなっていった。

 「な!」

 「ど、どういうことですの!」

 「一端離れましょう!」

 言葉遣いだけでなく、体も変わっていったので離れた。その姿はまるで・・・

 

 「ややややややかかかかかかやややややや!」

 

 何と鬼に変貌した。理屈は分からない、だが自分の他の兵が突然鬼に変わったことに三人とも驚いた。

 「復讐心が鬼の呪いに反応して、鬼に変えた?」

 「ま、まさか、ハニーの兵が鬼になるなんて!」

 「残念ですが、こうなってしまった以上は」

 「・・・ええ、分かっています」

 幽の言葉は分かっていた。斬る、それしかない。そして、それは。

 「二人はそのままで、私がやります」

 「ハニー!危険「梅殿、アキラ殿に任せましょう」・・・はい」

 隊長の自分の役目だ。それを実感しながら、アキラは刀を抜いて前に出た。梅が前に出ようとしたが、幽が止めた。アキラの腕が悔しさで震えているのが見えて、梅も後ろに引き下がった。

 「越前のようなことをまたするなんて・・・悔しいですよ」

 「あああああああああ!」

 鬼となった兵が襲い掛かってきた。鬼に反応して輝く刀となった自分の二本の刀で止めた。その刀で切らないといけない。しかも、自分の部下を。

 「・・・言いなさい」

 「ハニー」

 「アキラ殿」

 「あなたの望むことを!」

 力任せに後ろに飛ばしたが、鬼の兵は起き上がった。

 「おおおお、お頭、おかしら、オカシララララララ」

 「言うのです!」

 望みを叶える。それが精いっぱいのはなむけだった。

 

 「お、お、おでを・・・、おでを・・・こ、ころ、し・・・て」

 

 そして、鬼の兵は言った。最後の言葉を・・・。

 「ええ、それを望むなら!」

 両手に力を入れて、アキラ渾身の一撃を与えた。

 

 「夢氷月天!」

 

 自分の持つ一番の技を、最大の力で鬼の兵を斬って氷漬けにした。

 

 『何でしょうか?体を斬った手ごたえがなかった・・・代わりに何か黒い煙みたいなものが斬ったところから出た?』

 

 変な感じだったが、今は氷漬けとなった兵だ。

 「あなたの命もまた、私の肩に乗せます」

 死を確認して、刀を納めた。覆っていた氷が完全に壊れ、中の兵が地面に倒れた。

 「ハニー!ご無事でよかったですわ!」

 「アキラ殿・・・細川与一郎、あなたの思いしかと見届けましたぞ」

 「ええ、それでは彼を・・・」

 二人がアキラに走り寄った。兵を抱きあげようとしたが、言葉を失った。

 「ええええ!な、何故ですの!」

 「っく!これでは、先の兵が無駄死にではないですか!」

 「・・・実体を持つ幻みたいなやつですか」

 斬られたはずの白川が姿を現したのだ。これでは幽の言う通りだ。

 「・・・行きましょう。私達は行かなければなりません」

 更に悔しさが出た。これでは、この兵の無念が浮かばれない。

 「あ!逃げましたわ!」

 「ふむ、用はないという事ですか」

 その思いが出た時、白川が後ろを向いて駆けだし、あっという間に姿が消えた。

 「放っておきなさい。今は、この兵を・・・え?」

 怒りと悔しさで気づかなかったが、自分に斬られて倒されたはず鬼の兵がチリになっていない。しかも、鬼の肌の色から元の人の肌の色に戻っていた。そのすぐ後に、更に驚くべきことが起こった。

 

 「あ、あれ?お頭?」

 

 何と意識を取り戻した。確かにアキラは、兵を斬って倒したはずだ。その現場を自分だけじゃない。梅も幽も見た。だけど、今目の前で兵は動いている。

 「え、ええええ!ど、どうしてですの!」

 「こ、これは・・・だけど、現実」

 「あの・・・俺、何か?」

 鬼の気配が完全にない。鬼に変貌したときは、気持ち悪いあの鬼の気配をとても漂わせていたのに・・・今は完全に人の気配だ。

 「何でもないですよ・・・よく、戻ってくれました」

 そう言って先を歩いた。疑問に思う兵も後に続き、驚いている梅と幽も続いた。

 

 『考えるのは後・・・今は、ただ嬉しいです』

 

 先を歩いているから三人は気づいていない。アキラがこれ以上ない心から嬉しい笑顔になっていることに。

 




 鞠ほどの年齢で大軍を率いる。相当緊張しますよね、ゲームでも本当によくやれるなと感心します。

 葵とアキラ。どんな誓いをしたのかは後々です!あと、自分を慕う人を斬るというのは相当苦しいかと思います。

 次回、ついに三河を出て駿府へ入ります!

 


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八十五振り目 ・・・大丈夫、任せた。・・・光璃、我慢して

 
 風が強くて家にこもる。三MENです!

 気温が低いし雨が降るしでもうやってられないです!

 今回は光璃我慢の回です・・・大変です。


 

 三人と共に、隊に戻ったアキラは考えをまとめた。

 

 『あの兵が何故鬼から人に戻れたのか?やはり、考えられるのはこの刀・・・確か、あの三流は鬼血を浴びせろ。と言った。つまり、その血を浴び続けたせいで鬼しか切れない刀になったという事か?今までの鬼は身も心も鬼だったから斬ったら消えたが、あの兵は鬼になって数分も経たない上に心は人間だった。だからこそ切り口から呪いが出されるような感じになり、人間に戻れたという事でしょうか。鬼を斬って人間を斬れなくする刀・・・つまり』

 

 そこで結論を出した。吉野の狙い・・・この刀をそれにした理由を。

 『・・・まあ、泳がせておきますか。いい機会です』

 アキラらしい嫌味な笑いをした。昔らしく、相手を苛立たせる挑発的な笑いだった。

 

 

 その後、出陣し田中城、駿府に入る前の最後の三河の城へ向けて出発した。

 「これからが執念場です。頑張りましょうね、葵」

 「そ、そうですね」

 隣にいる葵と話をしているが、何やら葵の様子がおかしい。アキラと傍にいることが嬉しいのか、アキラの話を半分くらいしか聞いてないみたいだ。

 「話、聞いてました?」

 「・・・っえ?ええ!き、聞いてました!」

 その答え方は、聞いてない人の答え方だ。

 「それにしても、珍しいですね。あなたの傍にいる金魚のフン・・・もとい、悠季君がいないのは」

 「あ、あの!本当に、ちゃんと聞いてましたから!・・・悠季なら、詩乃殿と雫殿のところにいます」

 「あの二人のところに?」

 「はい、何でも軍略を勉強をしたいらしくて」

 「勉強?悠季君が?」

 「ああ見えて努力家です。本当にあの子には助けられてます」

 皮肉をよく言う反面、必死に頑張る人間。まるでアキラのようだ。そして、その事はアキラ本人も思った。

 「いい家臣ですね。ちょっといき過ぎの部分もありますが」

 「うふふ、そうですね。私も思います」

 笑顔で話しながら、進んでいると先を進んでいるアキラ隊の兵から報告があった。

 

 「誰もいないですわね」

 「うむ、いないのう」

 「完全に立ち去った後ですな」

 その報告は、田中城に鬼はもういないというものであり、その田中城に着いて確認したが本当にいなかった。つまり、撤退したという事だ。

 「武将・武田信虎ともあろうものがこのような愚策を使うなんて」

 「某も、同意見です」

 「・・・目的を考えてみましょう。愚策をしてでもおびき出す理由を」

 武将ではあり得ない指示に、詩乃・雫・幽が理由を話し合うと一つの結論に達しアキラを見た。

 「アキラ様ですね」

 「はい、私もそれだと思います」

 「鬼をよく斬れる刀をお持ちですからな」

 三人とも同意見だったが、アキラは違った。

 

 『あの無能に従っているからでしょうね』

 

 これが吉野・・・無能にランクダウンしたあいつの仕業だと見抜いた。

 「なるほど、間違ってないでしょうね」

 「その通りと言わないという事は、アキラ様は違うのですか?」

 「そうです、詩乃。答えは、京にあるでしょう」

 「・・・なるほど吉野ですか」

 「鬼を操る存在。確かに、関わっていないとは言えないですな」

 「でも、今はこっちです。ここから本番ですよ」

 「「っは!」」

 その返事とともに、田中城を後にした。

 

 『なるほど、ありがとうございます』

 『っは!続きに参ります!』

 句伝無量で小波の報告を受けた。駿府屋形に向かう道中では、中級の鬼が出てきて館に進むにつれて多くなっていることと、北から連携をとる武田、長尾は比較的順調に進んでいるとのことだった。比較的と言う言葉に疑問だったが、鬼を北と東から同時に抑えているらしく、鬼も手間取っているらしい。当初は北を抑えてから東を抑える。という策だったが、変えたのは一二三と湖衣だった。

 「なるほど、彼女達なら思いつけますね」

 皆はよくできるものだと感心したが、アキラは出来て当然だろ。と思った。

 

 『真田昌幸。私の世界では真田幸村の父親。真田の血を引く彼女と山本勘助。この二人ならできるでしょうね』

 

 アキラの世界では、ひねくれ者の真田幸村の親だ。幸村ですらあれだったのなら、親はそれ以上のひねくれ者だろうと思っていた。

 

 『それにしても、勢力が集合した時に薫から彼女の素性を聞いたときは本当に驚きました。真田が武田にいたとは知りませんでした』

 

 内心、ニヤっと笑って二人を称賛した。 

 「あの二人に加えて龍と虎がいるのです。心配はないでしょう」

 「そうですね。私達は私達のやるべきことを」

 「ええ、お願いしますよ。皆さん」

 「「「「はい!」」」」

 話しも終わり、あの作戦を動かすために左右に軍師である詩乃と雫が行き、護衛にひよところ。自分達の護衛は梅になり、そのまま進んだ。だが、いつも一緒に動いている鞠は辛そうな顔をしていた。

 「鞠、何もできないの。皆、頑張っているのに」

 「そんなの気にしなくていいですよ。皆、あなたのために戦いたい。そう思っている者達ですから」

 「でも、お礼できないの」

 「ははは、何を言っているのです。いりませんよそんなの」

 「え?」

 お礼をいらない。その言葉にキョトンとする鞠。

 「私達は助けたくて動いているのです。そうですよね、葵」

 「はい。ですから、気に病まないでください」

 「そうですぜ!鞠様!」

 「鞠様の笑顔が俺達の太陽でさ!」

 「うんうん!時々叱ってくれればいいのです!」

 「お前は何を言っているんだ!でも、その通りですぜ!笑顔を見せていただければいいのです!!」

 葵にだけ聞いたが、傍にいたアキラ隊の皆もついでに答えた。だが、これは鞠にはいい影響を与えた。

 「この通りですよ。あなたは大将なので戻ってくる皆を笑顔で出迎える。それが一番のお礼なのです」

 「「「「その通りです!鞠様!」」」」

 兵のさらなる一言。この言葉で笑顔が戻った。

 「うん!皆、頑張ってなの!」

 「「「「は~~~~~い!なの!」」」」

 「・・・あなた達は返事しなくてもいいです」

 兵達の乱れのない返事に呆れたアキラだった。でも、彼ら鞠ファンクラブ・・・もといアキラ隊の兵達が自分達のアイドルを復活させた。

 

 作戦は詩乃と雫の指揮のもと順調に進んでいったが、ついに来た。

 『ご主人様!朱の武田菱の旗が見えます!おそらく出てきたかと』

 「・・・信虎おばさんなの」

 「でしょうね。それ以外考えられません」

 因縁の大将が、ついに姿を現した。猿のような鬼と一緒とも言ったので、白川も一緒に行動している。

 『鞠はけじめをつけたので大丈夫ですが・・・あの三人は』

 『『アキラ様!大変です!』』

 その因縁の娘三人は大丈夫かと思っていると、詩乃と雫から一大事の報が入った。

 

 『武田衆の一隊がものすごい速さで信虎に向かっております!』

 『黒地に白餅の旗・・・夕霧様の旗です!』

 

 夕霧が信虎に突進しようとしている報だった。

 「バカな!光璃がそんな無茶させるわけなかろう!」

 「我慢が・・・できなかったのでしょうな」

 一葉と幽の言葉に頷くアキラ。

 「・・・急ぎましょう。夕霧がしたとなると、薫もやる可能性があります!」

 一人ではやれないが、姉がやったら自分も一緒にやろうとするのが薫だ。だから、その可能性もすぐに気づけた。

 「うん、アキラ!行ってきて!」

 「鞠様!申し訳ありませんわ!」

 「ご安心を、私達松平衆がお守りします!綾那と歌夜はアキラ様と一緒に行きなさい!夕霧様をお助けするのです!」

 「「わかりました(わかったです)!」」

 大将の鞠の兵が少なくなるが、二人の事も放っておけない。葵に任せるとして、信虎の場所に急いだ。

 

 その頃の武田・長尾本陣。

 「光璃」

 「分かっている・・・春日と心に任せる」

 だが、光璃の軍配を握っている手は震えていた。

 

 『・・・本当は一緒に出たいのでしょうに、必死になって我慢しているのね。その気持ち、空を人質に捕らわれていたころと同じでなんとなくわかるわ』

 

 だからこそ、美空はそれ以上何も言わなかった。

 「お屋形様」

 「今は何も聞かないで上げて・・・頼んだわよ」

 光璃を横目で見ながら、一二三に頼んだ。

 「ええ、美空様もお屋形様をお願いします」

 「分かったわ」

 本陣を出た一二三。すぐに湖衣が訊ねた。

 「一二三ちゃん」

 「堪えているよ。姉として、妹と一緒に行きたい。娘として、母親と話したい。それらを全て堪えて、その母親を討つ隊の将としての顔をして・・・見ていても辛さを感じるくらいだ」

 「じゃあ、辛さを悲しみに変えないように」

 「そうだ「申し上げます!か、薫様が!」・・・どうやら、夫殿に頼るしかなさそうだな」

 「・・・そうだね。報告しないと」

 苦渋な顔をしながら、二人は兵からの報告を聞いた。

 

 『アキラ様、夕霧様の黒備えの隊の後ろに白地に黒の武田の旗も見つけました』

 「・・・どうやら、主様の予感あたってしもうたな」

 「そうですな」

 詩乃の報告が届いた。白地に黒の武田の旗は薫の旗。自分の予感が当たってしまったということだ。

 『武田・長尾本陣では今だ混乱。春日様と心様に連れ戻すよう出させましたが』

 「ですが、夕霧様も薫様も馬の扱いは上手です。追いつけていないのでは」

 『歌夜様の言う通り。薫様は徐々に近づけているのですが、お二人の方はむしろ離されています』

 「薫は夕霧と行くでしょうから、助けるべき人間が二人になりましたか・・・時人を連れてくれば良かったです」

 馬より早く動ける時人であれば、出会う前に二人を止められる。躑躅ヶ崎館の護衛に残してきたことを悔いたアキラ。

 「今は二人を止めることを優先します。鬼もいるので、いつでも迎撃準備も」

 「大丈夫ですわ、発砲準備はしております!」

 「頼もしい言葉ですよ、梅(チュ)」

 「ははは、ハニー!こんなときですが、とっても嬉しいですわ!」

 「主様!余はしないのか!」

 梅の頬に接吻したのを見ていきり立つ一葉だが、

 「こうした準備をちゃんとしたのなら、してあげますよ?」

 「ほっほっほ!確かに、公方様には絶対にできませんな~」

 この言葉で悔しい顔をした。幽任せの一葉には確かにできない。自分が突撃して、狂喜乱舞して鬼を倒す。できることはそれだけだ。

 「さて、雑談もここまで。急ぎますよ!」

 「「「は!」」」

 「余をオチに使うな!」

 一葉の怒鳴り声は、全員聞き流した。 

 

 

 鬼を率いる信虎は、目の前にやってきた隊にいる二人を見て笑った。

 「さて、親不孝な奴にはしっかりお仕置きしないとな」

 笑っている隣にいる白川が何やら言った。猿の鳴き声にしか聞こえないが、信虎は何を言っているのか理解した。

 「あの刀の小僧もこっちに来ているのか。ちょうどいい、行ってこい。くくく、戦局は一つの駒の動きで大きく変わる。さあ、来い!」

 「逆賊!武田信虎!覚悟でやがる!」

 そのすぐ後だった。夕霧と薫が信虎のところに着いたのは。

 

 ついに対峙した二人と信虎だが、止めるべきアキラ達は少しずつしか進めていない。

 「異常じゃな、この鬼の数」

 「ですな・・・しかも、信虎が使っているとは思えないほど無謀すぎます」

 「簡単に倒せてつまらないです!」

 「まるで殺される・・・アキラ様に殺されることを望んでいるみたいな」

 「ですわね。私達も傍にいますのに、目もくれずにハニーに向かっていますわ」

 その理由が、鬼達が壁となって進めなくしているからだ。だが、奴らの襲うターゲットがアキラのみに絞って襲っているため、アキラは正面から倒しているがほかの皆は横から倒している。鬼の討伐数はアキラが一番多いくらいだ。

 「主様」

 「これが吉野・・・あの無能の狙い。何、大丈夫です。こっちもそれは分かっています。今は、十分に使わせてもらいましょう」

 「・・・アキラ殿がよろしいのであれば」

 一葉と幽は切れ者のアキラがわかっていたことには驚かなかったが、それをそのままでいいという事に驚いた。

 「さあ、急ぎますよ!」

 霧氷雹天で周りの鬼達を散らせて、どんどん前に進んだ。

 

 もう一つの急ぐ隊・・・春日と心は信虎と対峙する二人と兵達の姿を見た。

 「夕霧様に薫様!行くぞ!我らが甲斐の希望を救うのだ!」

 「皆!準備はいい!」

 「「「「「おう!」」」」」

 二人を囲もうとする鬼に向かって突撃した。

 

 その頃のアキラ達。だいぶ鬼も倒せたが、まだ進むには多かった。

 「あの旗は春日殿と心殿ですな」

 「やっと追いつけましたか。しかし・・・」

 「うむ。間に合うには、まだ遠い」

 「・・・綾那。二人で行きますよ。皆さんは後から来てください」

 「「「「え?」」」」

 アキラの綾那と二人で行く。この言葉に皆?を出したが

 「主様。まさかあれを!」

 「だ、大丈夫なのですか!」

 血を吐いて倒れた姿を思い浮かんだ一葉と詩乃。

 「大丈夫ですよ。あの時はまだ血をうまく使えていなかった。でも、今は完全に使えます!」

 「また!あのでっかい氷柱。出すですか!」

 「ええ、いきますよ!」

 紫微垣を抜いて、壬生の血を発動させた。時間制限や不治の病といったものはもうない。完全な壬生一族の力を使える体で、川中島の時と同じ氷柱を出した。

 「さあ、一直線です!」

 「うっわ~~!早いです~~!」

 今度の氷柱は上に上がるものではなく、真っ直ぐ前に進むものだ。その氷柱に乗っている二人はまるでバイクに乗っているかのように、あっという間に進んでいった。

 「よし!余らも主様に追いつくぞ!」

 「そうですわ!急いで鬼達を全滅させましょう!」

 「「「「「おう!鞠様のためにも!」」」」」

 アキラのためより鞠のために戦っている兵達に汗を流す歌夜。

 「・・・何か、兵達に変な気合が入ってませんか?」

 「この隊の将は変人ぞろいですからな。兵も変人ぞろいということですかな?」

 『・・・それって、自分も変人と認めているんじゃ』

 訊ねた幽にこっそりツッコミを入れた歌夜だった。

 

 薫・夕霧と合流した春日と心だが、鬼の多さと信虎の強さに苦戦していた。いや、押されていた。

 「薫!逃げるでやがる!」

 「ダメだよ!お姉ちゃんを置いて逃げれないよ!」

 「先代の強さは知っていましたが・・・鬼の力が入るとここまで強くなるとは!」

 「っく!鬼も多くなっていくにつれて、兵が減っていく!」

 四人とも強がっているが、兵がどんどん減っていき、しかも信虎を傷つけても元通りに体が戻る。その現実に顔に辛さが出てきた。

 「不忠義者に謀反者、そして親不孝の娘二人。そろそろ、とどめを刺すとするか!」

 「お姉ちゃんを死なせない!」

 すると、夕霧を二人の方に突き飛ばし薫が前に出た。

 「か、薫!」

 「「薫様!」」

 「ふ、孫六・・・母に逆らったことを後悔して死ぬがいい!」

 

 「う、お、お姉ちゃんは、間違ってない!民の為に、甲斐の為に、お母さんを追放したことは間違いではない!」

 

 必死に恐怖にかられながらも、母にそう言ったが聞く耳持たなかった。

 「薫~~~!!!!」

 夕霧の叫び声とともに信虎が刀を振り下ろした。薫は目を閉じた。夕霧も目を閉じた。心も目を閉じた。だから、それを見たのは春日だけだった。

 

 「これが、あなたの刀ですか?」

 「薫様!大丈夫ですか!」

 

 その刀を紫微垣で簡単に止めているアキラの姿を見たのは。

 「あ、あ、あ、アキ、ラ、どの」

 さっきまでいなかった二人が目の前に現れて、自分達が手も足も出なかった信虎の刀を抑えている。いくら強いと言っても、かつての信虎に鬼の力が加わってはどうすることもできないと思っていた。

 「さて、綾那。こいつの相手を頼みます。少々役不足ですし」

 「え!綾那がやっていいです?」

 「ええ、頼みますよ。一先ず、彼女らを安全にしないと」

 「やったです!さあ、信虎!綾那の友達に危険な思いをした仕返しです!」

 なのに、役不足と言って綾那に戦わせる。無謀なことにしか思えないのに、

 

 『あまりにも頼もしすぎる・・・本当に、すごい方だ。アキラ殿は』

 

 既に安心している自分がいることに気づいた春日だった。

 




 
 アキラは無能の企みに気づきました。

 鞠を励ますのは原作では主人公だが、ここでは鞠を慕う葵と兵達にしました。信虎との対決は次回でやります!

 やっと、大会も終わりホッとしております。さあ、書くぞ~~!


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八十六振り目 当たり前・・・これが大切です。

 
 最近、太ったのを気にする三MENです。

 やばいな・・・やせないと、がちでやばい。皆さんも体重は気を付けてください!

 さあ、ついに信虎と初対決です!・・・綾那が。



 

 「あ、あの、あのバカ!いつの間に!」

 武田・長尾本陣では美空が焦っていた。

 「失礼します・・・美空様?」

 「一二三、湖衣!大変よ!あいつが!」

 「ま、まさか!」

 「我慢、できなかったのですか!」

 「ちょっとだけ本陣を出ていたら、いなくなっていたわ!急いで周りに気づかれないように捜して!武田の大将がいなくなったなんて知られたら・・・妹二人が、突進して混乱状態なのに!」

 本陣に入ってきた一二三と湖衣に、美空は慌ててある人物の捜索を頼んだ。二人とも急いで出て行き、一人残った美空。

 「バカ光璃。どれだけ迷惑かければ気が済むのよ!」

 机に残された軍配を見て叫んだ。

 

 

 その頃、妹二人のいる信虎の場所では

 「どうしてだ。どうして!貴様は!」

 「ふん!お前にはわからないです!」

 信虎と対峙している綾那。その信虎は焦っていた。

 

 「何故!人間の分際でそこまで強い!」

 

 信虎は強くなるため、力づくで国を治めるために鬼の力を手に入れ、気の向くままに人間を殺していったが、目の前にいる綾那は明らかに強い。どんなに戦っても致命傷はおろか、かすり傷すらつけられない。その事実を認めたくないために焦っていた。

 「綾那がしたのは、強くなるために努力しただけです!」

 「ふざけるな!たかが努力して強くなるわけない!選ばれた者だけが力を手に入れられる!」

 「・・・もしかして、強くなりたいから鬼の力を手に入れたです?」

 「当り前だ!今より更に強くなるためには鬼しかない!」

 信虎は怖かった。努力をしたことがなかった。自分は選ばれた存在だからこそ、鬼の力も自分の意志で使えるから、努力する必要はないと思っていた。

 

 「努力すれば、その分ほんのちょっとでも強くなるです!その努力をずっと繰り返せばもっと今より強くなれるです!」

 

 だが、目の前の存在はそんな考えを否定する。人の身で努力して強くなった。

 「何より、アキラ様は綾那よりすっごいです!アキラ様は綾那よりももっともっと強いんですから!そのアキラ様に追いつくためにも綾那は努力をやめないです!」

 蜻蛉切りを構えた。

 

 「努力をやめたお前に、綾那の友達を斬ろうとしたお前には分からないです!強くなるためには近道などない!地道に少しずつ、遠い道のりを進んでいくしかないです!」

 

 信虎に向かって走り出した。

 「黙れ!黙れ黙れ黙れ黙れ!」

 綾那の言葉を忘れたい一心で、大振りで刀を振った。

 「そんな感情に振り回された攻撃なんて綾那に届かないです!」

 「ぐああああああああ!」

 簡単によけて、懐に入り刀を持つ右腕を斬った。

 「どうだ!です!」

 「ふ、ふん!こ、この程度で、この程度が所詮人間の限界!!見よ!これが鬼になったからこそできることだ!」

 すると信虎は右腕を拾い、斬られた腕をつけるとくっついた。

 「どうだ!どんなに斬られても我は死なない!死ぬことはない!」

 「その程度で喜んでいるのですか?」

 腕が元通りになり、叫んでいるところにアキラが来た。既に周りにいた鬼は全員氷漬けになり、チリになっている鬼もあった。

 「綾那、よく言いました。あなたの言ったことは正しい。信虎、あなたの言ったことは間違っている」

 「何を言う!ふん、まあ、いい。とりあえず退いてやる。今頃、向こうがどうなっているか楽しみだ!」

 『私がいるのに驚いていない?私が目的ではないということか?』

 信虎の目的と思った自分が目の前にいるのに驚いていない。しかも、言動から察するに目的はアキラではない感じだ。

 「ははは!最後に勝つのは私だ!」

 そう言うと、鬼を更に出して姿を見えなくした。

 「あ~~~!逃げるなんて卑怯です!」

 その鬼達をアキラと綾那で全員殺すと、信虎の姿は既にいなかった。危機がなくなったのを確認して、薫と夕霧の前に立った。

 「・・・兄上」

 「お、お兄ちゃん」

 「・・・あなた達は、光璃を一人ぼっちにしたかったのですか?」

 「あ、アキラ殿」

 「そ、それは言い過ぎ」

 「言わないとだめです。口で言って理解させないと」

 春日と心の言葉にも耳を貸さない。真っ直ぐ二人だけを見た。

 

 「大切な人はいなくなってから、やっとその人が大切だったと気付くんですよ」

 

 アキラは聞いた。時人・庵樹・朱雀が自分がいなくなってとても悲しんだ。

 

 『ゆやあああああぁぁぁぁ!』

 

 灯から聞いた。当時自分はいなかったが、漢をかばって彼女が刃を受けて倒れ死にかけたことを。それを見て、強く悲しみ、怒りに燃え、心から叫んだことを。そう、あの漢ですら悲しんだのだ。

 「その思いを、光璃にさせるつもりだったのですか。二人でいなくなるつもりだったのですか!」

 三姉妹は必死な思いで、母がめちゃくちゃにした甲斐を立て直したからこそ三人の絆はとても強い。でも、それは同時に常に一緒にいることになり、いることが当たり前になる。その当たり前がなくなった時ほど、人は苦しみ、悲しむものだ。その漢も常に彼女が傍にいた。その彼女がいなくなるかもしれない思いがあったからこそ叫んだ。

 何よりアキラもその経験がある。

 

 『狂!何で、俺ら四聖天を捨てるんだよ!』

 

 あの四人と一緒にいる。それが当たり前。その当たり前が漢の一言でなくなってしまい、喪失感が大きかった。その経験があったからこそ、気づかせる必要があった。

 「「・・・・・・」」

 夕霧も薫も俯いていた。アキラに説教されたのもあるが、自分がその立場になった時を考えたのだろう。二人とも目に涙をうかべていた。

 「・・・でも、それをさせることなく終えてよかったです」

 「「・・・う、ううう、う、う、う、うわああああん!」」

 二人の頭を撫でた。その最後に見せた優しさに二人は泣き、抑えていた感情を噴き出した。春日と心も黙って見ていた。とりあえず兵達に二人の泣く姿を見せないように指示を出して最低限の数だけにした。

 

 二人が落ち着いて、アキラは綾那のところに行った。

 「綾那。引き返しましょう」

 「です!」

 「え?アキラ殿。どうしたのです?」

 「倒せはしなかったですけど、一先ず危機は」

 綾那はちゃんと信虎の言葉を聞いていたが、四人には聞こえてなかったようだ。

 「信虎は、向こうがどうなっているのか楽しみ。と言った」

 「はい!鞠様に何かしたかもです!」

 「私を見ても何も反応がなかったという事は信虎の目的は鞠という事になる!」

 二人に言われて、四人共驚いた。

 「春日、心!この二人を頼みましたよ!」

 アキラの言葉に二人は頷いた。

 「主様!」

 「アキラ様!」

 その時にアキラ隊も到着した。

 

 隊の皆に事情を話し、鞠のところに急いで引き返していった。

 「信虎のそばに白川がいないことも疑問でしたが」

 「そいつに鞠を誘拐させるつもりか!」

 「あの巨体であの速さなら、それも簡単でしょう。それに鞠殿を捕らわれてはこちらも手が出しにくくなる」

 アキラの一言に、一葉と幽が付け足した。そして、梅が兵に号令した。

 「急ぎますわよ、兵の皆さん!鞠さんを守るのです!」

 「「「「おう!鞠様のためなら、例え火の中鬼の中!(* ̄0 ̄)/ 」」」」

 兵達も変な気合のおかげでUターンしても文句はなかった。そして、引き返して数分くらい経過した時だった。

 

 『ご主人様!大変です!本陣に敵の伏兵が!あの猿の鬼もいます!』

 

 小波からその報告があったのは・・・予想は見事命中してしまった。

 「信虎も腐っても武将、ですか。自分に注意をひかせて本陣を攻める策を使った」

 「そんなことを言っている場合ではありませんわ!急い「アキラ~~!」「アキラ殿!」・・・え?」

 梅がアキラにツッコミを入れようとしたら、何と信虎お目当ての鞠が悠季と一緒にこっちに向かっていた。

 「ま、鞠!無事だったのか!」

 「ど、どうしてここに!」

 「あ、あのね!葵ちゃんが大変なの!」

 「そうなんです!巨大な鬼の顔をした猿が来る報告を受けて、私達を逃がすために葵様が殿に!」

 普段は見せない心から焦っている悠季の言葉に絶句した。いくら何でも無謀だ。

 「と、殿さんが!」

 「葵様がそんなことを!」

 「く、急ぎ「お、お頭!あれ!」な!!」

 急いで戻ろうとしたら、兵の一人が指をさした。そっちに意識を向けると

 「し、白川!葵殿を担いでいます!」

 先に見た幽がその姿を確認した。

 「駿府屋形の方に向かってますわ!」

 梅の言う通り、主のいる場所・駿府屋形に向かっていった。

 「どういうことじゃ?鞠はここにいる。何故葵が?」

 一葉の言葉はもっともだ。鞠ならともかく、葵が攫われる理由が分からなかった。だが、殺してはいないので葵の身はまだ無事だと言う事だ。

 「と、とりあえず、葵様は無事と言う事ですね」

 だから、綾那と歌夜は一端ホッとした。

 「鞠ではなく葵をさらった理由は大将をさらってこい。と言われたからでしょう。いたのが葵だったから彼女をさらったのかと。しょせんは猿ですね、間違えるとは」

 「それは話し合わなくてもいいのでは?それより、じっとしていないでやってほしいことがあるのですが」

 悠季の顔に少しだけ余裕が見えたのが、アキラにはわかった。

 「ようやく少しだけ調子が戻ったみたいですね。いいですよ、その言葉に乗ってあげます」

 「・・・断らないと思っていましたが、随分と乗り気ですね。何か理由でも?」

 「大したことはありません。どの道、無理やりにでもさせようと思っているのでしょう?わが主を助けてほしいと」

 「何と!私の心を・・・その心の眼があるから丸見えでしたね。いや、失礼しました」

 悠季らしい口調、本当に落ち着いたようだ。そんな彼女を見ながら、

 

 『私達だけの誓い。それを果たすためにも、必ず助けないと』

 

 彼女には言わなかった理由、それを考えていた。

 

 

 その後、悠季は葵を助けるためにさらわれたことを隠すことなく小波に句伝無量で他勢力に伝え、連合軍の皆に助けてくれるよう伝えた。鞠のお願いも効いて、連合軍は協力に参加した。駿府屋形の大手門で派手に暴れて注意をひかせて、その隙に侵入して葵を助ける。という作戦だ。

 だが、今回の鞠は大将でありまた鞠が狙われるかもしれないので、一葉が鞠の護衛として残ることになり幽も同じく残る。その為、屋形に侵入して葵を救うのはアキラと綾那に歌夜と小波、梅にアキラ隊と松平からの兵何人かと言う事になった。

 後、向こうにいる美空は句伝無量を持っておらず、持っている一二三は光璃がいないことを伝えないように美空に言われたため、その件をアキラに伝えなかった。

 

 駿府屋形に向けて森の中を馬で走っていた。

 「・・・やっぱり、話したい!」

 その馬に乗っているのは、さっきまで本陣にいたはずの光璃だった。森の中を走っているのは、兵達に気づかれると連れ戻されるためだからだ。

 

 偶然にも、一瞬だがその姿を見た二人の女もいた。

 「な!あ、あれって!薫!」

 「うん!間違いないよ!」

 たまたま、本当にたまたま森の方に視線を一瞬向けた時だった。

 「??どうしました?夕霧様、薫様」

 「何か見つけたのですか?」

 「・・・ごめんなさい!」

 「ごめんでやがる!」

 「あ!ちょっと!どこに!」

 「どちらに行くのですか!」

 兵も退散させ、残った四人に馬が二頭。そのうちの一頭に二人が乗り込み、光璃の後を追うように馬を走らせた。

 「く!心、拙はこの馬で「ダメです!」な、何だと!」

 「私達は句伝無量を持っていません!一度、本陣に戻ってこのことを伝えないと!」

 「そ、それでは遅くなる。拙が「ダメです!まずは光璃様に伝えないと!」・・・わかった」

 春日は苦渋の決断をしたが、その句伝無量を持っていないことと兵を全員退散させたことが不幸だった。そして、その光璃が本陣にいないことを二人は知らなかった。

 

 武田三姉妹が駿府屋形に向かい、アキラも葵を救うために向かい、そこには武田信虎がいる。舞台は整った。

 

 連合軍が駿府屋形に着き、作戦を決行した。

 「おらおらおら!俺ら一家に近づく奴は全殺しだ!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 「敵味方関係ない!てめえら!皆殺しだ!( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \」

 「どんどんやる!殲滅する!」

 門では森一家が暴れまくっていた。いつも通り、彼ららしい光景を作り上げていた。おとなしい各務も、二人に負けないくらい鬼を惨殺していた。

 『たくさん殺して、よく頑張ったって言ってもらって、アキラに抱かれる!』

 私利私欲が彼女をそこまで動かしていた。 

 「相変わらず、とんでもないな~」

 「やっぱり、キチ〇イはやること違うね~」

 「絶対真似できないね」

 三若は冷や汗を流しながら引いていた。

 「貴様らもサッサと戦わんか!」

 「「「ぎゃん!(((ゴン!)))」」」

 動かない三若に壬月が拳骨をくらわせた。

 

 森一家の活躍で十分に注意をひくことができ、潜入することができたアキラ達。だが、その潜入した駿府屋形はひどいことになっていた。

 「これは・・・ひどい」

 「全部、血ですね」

 「信虎に反抗したもののですわね」

 綾那と彼女の兵に門の方に行ってない庭にいる鬼達の殲滅を頼み、残った皆で入った屋形は乾いている血がそこら中についていた。故今川義元の居城であり、鞠の実家。その家が無残と言ってもいいくらいひどいありさまだった。

 「こんな屋形に住んでいられるものの気が知れませんね」

 「その通りですわ。さて、ちんくしゃが暴れている間に早く見つけましょう!」

 「そうですね。時間がありません!」

 急いで葵を探す皆だが、思ったより早く見つけられた。居たのは、城の主が住むようになっている部屋だった。

 「葵様!」

 「歌夜、ダメです!」

 俯いている葵を見て、走った歌夜を止めた。すると、白川が現れて手を振り下ろした。間一髪、あと一歩前に出たら爪の餌食になっていた。

 「こ、これが、白川!」

 「簡単に取り戻せるとは思ってなかったですが」

 「ハニー、ここは私が!早く葵様を!」

 梅が白川と対峙した。その間に葵のもとにたどり着いた。

 「葵!しっかりしなさい!」

 「葵様!どうかなされたのですか!」

 「・・・鬼の気配が中からします」

 「え!そ、そんな!」

 反応しない葵をよく見ると、その気配を見つけて歌夜に伝えた。

 「信虎がその呪いをかけたのでしょう。でも、まだ可能性はあります。今は連れて戻ることを優先します!」

 「は、はい!」

 鬼の呪いという言葉で顔を青ざめた歌夜と小波だが、まずはここから抜け出すことが先決だ。白川と戦っている梅が苦戦しているので兵達も加勢する事になり、その間に小波が葵を背負って外に出た。

 「殿さん!ど、どうしたですか!」

 「綾那!説明は後!」

 「さあ、急ぎ・・・先に行きなさい」

 「え!ご、ご主人様。な、何故!」

 「アキラ様。ここは綾「あなたの主が危ないのです。急ぎなさい!」・・う、わ、わ、分かったです!」

 そう言われて三人は葵を連れて走り去っていった。

 

 「いいのか?貴様が連れて帰らなくて」

 

 アキラも綾那も気づいていた。鬼の気配がぷんぷんする信虎が自分の刀を肩にかけて歩いてくる姿を。

 「一度あなたと話したいと思っていましたから」

 「・・・貴様は愚かな娘の夫だったな。死ぬ前に話すのも、悪くないな」

 「はい、あなたが行く地獄の鬼との世間話のネタにはもってこいでしょう」

 「鬼たる我に勝てるものなどいない。吉野の御方からもらったこの力があればな!」

 吉野、確かに信虎はそう言った。

 「予想通りですね。この戦い、武将のあなたらしくない戦い方だと思っていましたが、そいつの指示に従っていただけでしたか」

 「不満もあったがな。甲斐を攻めるときだけでいいし、滅ぼした後は自由に他の国を攻めるするつもりだ」

 「使われているだけなのに、そのことにすら気づいていない。愚かを通り越して戦う価値すら見出せない三流以下の鬼ですね」

 「言っていろ。ここでお前を殺して、あいつの悲しむ顔を見るのも楽しそうだな」

 「話は終わりですね・・・さあ、やりましょうか」

 肩にかけていた刀をアキラに向けた。アキラも二本の刀を抜いて

 

 「かかってらっしゃい、信虎さん。あなたのその自信と傲慢をこなごなに吹き飛ばしてあげましょう」

 

 ニヤリと笑いながら、かつての戦う前にやっていた挑発行為を信虎にした。

 「上等だ!我に歯向かうとどうなるか思い知らせてやる!」

 信虎は挑発に乗り、アキラに襲い掛かった。

 

 

 駿府屋形の城壁が壊れている誰もいないある場所で。

 「姉上!」

 「お姉ちゃん!」

 ついに光璃に妹二人は追いついた。

 「夕霧、薫!何故!」

 「それはこっちのセリフでやがる!」

 「わかるよ・・・お母さんと話したいんだよね」

 「・・・うん」

 「なら一緒に行くでやがる!」

 「うん!私達は三人そろって武田だから!」

 そして、三人は駿府屋形の中に入っていった。それと同時に、

 

 『上等だ!我に歯向かうとどうなるか思い知らせてやる!』

 

 敵であり母である信虎の声が聞こえたのは。屋形の庭にいた鬼は綾那がほぼ全部倒してたようなので、鬼に会うことなくすんなり声のところまで行けた。

 「いた!・・・お、お兄ちゃん!」

 「な、何で、兄上が!」

 「アキラ!」

 二人の姿を確認できるところまで来た。だが、刀をぶつけ合う姿だったのでそこからは動けなくなった。ついに、駿府での戦いも終幕を迎える時が来た。

 




 
 我慢できずに飛び出た夕霧と薫に説教。だが、もう一人飛び出した姉がいた。

 葵が鞠をかばってさらわれました!だが、救出したときは呪いがかかっていた。ついに駿府屋形奪還戦も終わりに近づいてます!

 アキラVS信虎です!



 森一家の( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \。久しぶりに書いたな。




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八十七振り目 決着、決別・・・そして、決意

 
 どうも!久しぶりの次の日の更新、三MENです!

 本当はこの話を八十六振り目に入れたかったのですが、ちょっと長くなったためここになっちゃいました。

 ついに、信虎の最後です!





 

 アキラと信虎の戦い。

 「く、くそ!」

 「ほらほら、どうしました?」

 「こいつ、いい加減に!」

 「当てられない方が悪いですよ」

 どんなに信虎が攻撃しても、簡単にアキラがかわしてしまう。鬼の力を使った渾身の一撃もよけて、その後に必ずこう言う。

 

 『遅いですね。あなた、のろまです』

 

 更に怒りがまし、感情に任せた攻撃になっていく。アキラの手のひらに踊らされている信虎。もはや、勝者が見える戦いだった。

 

 「あ、兄上、すごいでやがる」

 「夕霧お姉ちゃんもあんなに苦戦したのに」

 「アキラ。うん、すごい」

 姿が見えないように木と草の陰に隠れて見ている武田三姉妹は唖然としていた。特に夕霧と薫は信虎と戦って死にかけた。相手の力が分かっているだけに、今のアキラの戦いに驚いていた。

 

 戦いが始まって十分ほど経過した。

 「ふ、ふふふ、だが、どんなに攻撃を与えられても鬼の我を倒せない!」

 そう笑いながら言う信虎に、アキラは訊ねた。

 「・・・二つ聞きます。一つ目、どうして鬼の力がいいのですか?」

 「愚問だな!人間を超えた力だ!その力を手に入れ、さらなる強さを手に入れるためだ!貴様こそ武人ならわかるだろう!その思いが!」

 「ええ、サムライとして強さを欲する気持ちはわかります。私もその時期がありましたよ・・・でも、そこまでして手に入れたくないですね。綾那の言った通り、必死な努力をしてこそ強くなり、本当の力を手に入れられます。楽に手に入る力など、欠陥だらけなものですよ。現に、あなたは私を傷つけていない」

 「それは貴様も同じだ。どんな傷をつけても貴様は我を殺せない!」

 その発言に、アキラは無言で信虎の間合いから出て刀をしまった。

 「どうした?傷つけられないことに諦めたのか?」

 「・・・二つ目の質問です。娘三人の事をどう思っていますか?」

 「下らんことを聞くものだな。娘だろうと従わなかった時点で殺す、それだけだ」

 「つまり、自分にやったことに腹が立って殺しに来た。と言う事ですか?・・・くだらない。呆れるしかありませんね」

 「ふん。聞きたいことも終わりだな。死ぬ準備もできたみたいだし、晴信の悲しむ顔を早く見させてもらおう」

 「・・・私はこの世界に来て分かったことがあります」

 今度は二本ではなく一本、つまり紫微垣を抜いた。

 「上に立つものはあらゆるものを自分の肩に乗せる覚悟を持つことを」

 「何を言っている」

 「上に立つものは自分を信奉する者をしっかり見る必要があることを」

 「独り言か?」

 「そして・・・」

 閉じていた目を開けた。

 

 「上に立つものは・・・自分に関わって死んだ者の命と信念、それを生涯肩に乗せ、その者達をいつまでも忘れてはいけない!死なせたらそれ相応の覚悟と決断を持たなければならないことを!私はこの世界に来てそれを学んだ!」

 

 紫微垣を信虎に向けた。

 「それをやらない貴様は上に立つ資格はない!娘達の苦渋の決断の意味にすら気づけない貴様は選ばれていない!今の貴様は武田信虎ではない!ただの野良の鬼だ!」

 壬生の血と紫微垣により力が介抱され、開けられたアキラの目はいつもの黒い目ではなく、壬生の一族が感情が高まった時のみに出す紅い眼だ。アキラは壬生の血をそこまで使えるくらいの体に作り上げていた。

 「覚悟するがいい!光璃の、夕霧の、薫の、そして家臣や民達の悲しみと苦しみを全部まとめてお前にぶつける!」

 アキラが居合の体勢に入った。

 

 そのアキラの言葉を聞いた三人。

 「アキラ、ありがとう」

 「兄上。母上を、止めてくれでやがる」

 「お兄ちゃん、お願い」

 アキラの宣言に嬉しい気持ちを持ったが、同時に覚悟も決めた。母の最期をしっかり見届けること。そして、自分の思いを最後に伝えることだ。

 「光栄に思いなさい。本来ならあなた如きに出す技ではないのですが、全力で倒さないと光璃達や春日達、民達の苦しみを伝えられません。見せてやりましょう・・・光璃の呼び名である甲斐の虎。その虎であなたに葬りましょう」

 そう言われて完全に信虎は恐怖した。目の前の存在は自分の持つ強さでは絶対にかなわない。本能でそれを悟り、その恐怖からついこの名前を呼んだ。

 「し、し、白川!我を守れ!」

 

 駿府屋形の中。今だ、梅と兵は白川と交戦中だった。

 「皆さん!無事ですか!」

 「疲れてますが、死人はいません!」

 「ですが、倒せるかどうかと言うと」

 「・・・悔しいですが、そうですわね」

 兵の言葉には、悔しいが同意だった。梅の持つお家流、それを使えば倒せるかもしれないが屋形を壊してしまうこと間違いない。鞠が待ち望んでいるこの屋形への帰城、それができなくなるかもしれない。

 「ハニーにああ言った手前・・・どうすれば」

 壁に追いやっているが、倒せそうもない。そう思った時だった。

 「ぐる!」

 いきなりその壁をぶち壊して、部屋から出ていった。

 「な、何が!」

 「分かりません!」

 「お、追いますわよ!鞠さんのところに行くのかもしれません!」

 「「「っは!」」」

 ぶち壊した壁の穴を通って梅達は追った。穴は外まで繋がっており、そのまま外に出ようとした時だった。梅は驚くべきものを見て、足を止めた。

 

 

 アキラは信虎にあの奥義を放った。

 

 「無明神風流殺人剣!奥義、白虎!」

 

 そう叫んで刀を抜いた。すると、本当に白き虎が現れた。それを見た三姉妹は唖然とした。

 「と、虎!は、ハニーがだ、出し!」

 同じく、それを見た梅が呆然とした。

 「わ、我を守れ!白川!」

 「ぐ、ぐ、るるる」

 信虎の前に立った白川だが、この時だけは鬼の力より野生の本能が上回ったが、逃げたくても既に恐怖で体が動けず震えていた。

 「ぎゃぎゃぎゃ!!!」

 白川に白虎がぶつかり、そのまま潰した。すぐに絶命し、あっという間に白川はチリとなって風に飛ばされていった。目の前の光景に絶句する信虎だが、白虎の姿がなくなり危機は脱したと思った。

 「ふ、ふふふ!これでお前の技はやぶれた!」

 大技を出して大きな隙があると思い、アキラに近づこうとした時だ。

 

 「信虎」

 

 だが、アキラは焦っても戸惑ってもいない。冷静に信虎の名を呼んだ。

 「な、何だ!これは」

 近づこうとしたが、体が動こうとしない。なのに、アキラに近づけている。

 「動けないのに、どうして、近づくんだ!」

 

 「あなたも、触れたでしょう」

 

 「ま、まさか、これが」

 やっと理解した。まるで掴まれてアキラに吸い寄せられるこの感覚。これが本当の白虎の奥義だと。白虎とはその目に見られたものをつかみ

 

 「白虎の爪牙を」

 

 絶対に防ぐことのできない白虎の牙でかみ砕く。それがこの奥義だ。だが、この最後の牙にアキラは自身の力であるヘルバーストを使っていた。つまり、紫微垣にはアキラの必殺技グランドクロスのその力が宿っている。その牙で

 「があああああああ!」

 信虎を斬りつけた。動けないまま、なす術もなく斬られた信虎はその場で倒れた。アキラの目が黒に戻って目を閉じた。

 

 その瞬間を見た光璃達。

 「す、すごい。あんな技を持っていたなんて」

 「あ、兄上。と、とんでもないでや、やがる」

 「か、勝った。よね」

 倒れて動けそうもない信虎を見て勝ちを確信した。そして、

 「・・・行こう」

 「そうでやがるな」

 「・・・うん」

 三人はアキラのところに向かった。

 

 同じ瞬間を見た梅。

 「( ゚д゚)ポカーン」

 この状態だった。やはり、白虎が白川を潰したのが衝撃的だったのだろう。でも、そのおかげで彼女の目の前を三人が通ったのだが気づけなかった。

 

 信虎の最後となった。

 「信虎。私の力が入った刀で斬られた以上、そこからどんどん凍りついていき最後は命をも凍らせて散らせる。つまり、死ぬしかない」

 だが、その凍り付きが三好の三人の時より遅い。

 「さすがは武田信虎の鬼ですね。抗う力で凍らせる力が全身に行くのが遅い。認めましょう、あなたは確かに力ある武将だった」

 「くそ、くそ、くそ!!」

 そう言うアキラに一太刀浴びせたいが、大きな一撃だったため体を動かせない。その悔しさを持ちながら凍っていくのを待つしかなかったその時だ。

 「母様!」

 「母上!」

 「お母さん!」

 「な!あ、あなた達!」

 三姉妹がその現場に現れたのは。信虎に意識を集中していたので三人、特に光璃がこの場にいることに驚いた。

 「貴様ら。何故、ここに」

 「話したかった。もう一度・・・最後に」

 「母上、どうして鬼になったのでやがる!」

 「私達、ずっと、ずっと仲良く暮らしたかったのに!」

 信虎もこれは驚く。三人は凍りかけている母のそばに座った。

 「仲良く・・・か。下らん、この乱世に必要ない。必要なのは人を超え、人を屈し、そして誰も逆らえない力のみ!」

 「「「・・・・・・」」」

 三人の顔が悲しみだけでなく、辛さが増すその時だった。ずっと狂気にかられ人を殺すことが楽しいという顔から、人らしく笑った顔になったのは。

 「だが、その仲良くが我を追いつめ、倒した。長尾と和平を結び、織田との同盟に入り・・・そいつの妻となった。悔しいが、認めるしかない」

 「母様。光璃は、光璃は、間違ったことしかしていなかった」

 「・・・貴様はいつも我と違う選択をした。逆らうものを処罰しようとせず、夕霧を後継者にせず、力で兵や民を屈服させることもしない。甘い、甘い・・・だが、その甘さがこれからの武田、いや日の本に必要な力になるのかもな」

 光璃の言葉を聞き、否定をせず、自分と逆の考えを持つ娘を肯定した。それを聞き驚く光璃。同時に、涙があふれ出た。

 「母上!夕霧は姉上が当主になった事は正しいと思ってるでやがる!姉上が当主になったからこそ、民は喜んでいるでやがる!」

 「お母さん!お母さんがいなくなっても私達は忘れなかった!優しかった、あの、あの頃のお母さんを!」

 「当主になれなかったというのに後悔しないで、光璃を支えようとするのか夕霧。薫は薫でいつまでも昔を忘れないとは、二人ともそう言うところを直せというのに結局直さずじまいか」

 夕霧と薫も涙があふれ出た・・・三人のその涙が信虎の顔に落ちた。

 「・・・不思議なものだ。最後の技を食らい、鬼の力を持っても治せない。このまま死ぬしかない時はこれ以上ない悔しさがあったのに・・・お前達がこの私をまだ母と呼び、母と思ってくれる。それが分かっただけで、その悔しさが消えていく。むしろ、人の頃に捨てたはずの忘れていたものを思い出す」

 既に胸のところまで凍り付いた。後は首から上だけとなった。

 「・・・最後はその思い出したものを娘達に伝えたらどうです?」

 背を向け、アキラがそう言った。

 「ふん、乗せられてやる・・・光璃・・・夕霧・・・薫」

 氷がついに顔まで来た。

 

 「・・・倖せに、なれ。母の、願い、だ」

 

 ついに顔も氷に覆われた。凍ったその顔は、三人が思い出の中で見た顔だった。

 

 『母様って、やっぱりすご~い!』

 『絶対に母上よりも馬を乗れるようになるでやがる!』

 『見て見て!きれいなお花があったの!お母さん!』

 『・・・っふ。ああ、そうだな』

 

 そう・・・娘達に囲まれ、その娘達に見せる母らしい笑顔だった。人だったころの、自分達が愛した母だったころの笑顔だった。

 「「「母様(母上・お母さん)!!」」」

 その笑顔を見て凍った母の死体に触れようとしたが、その死体がこなごなに散った。だが、まるで信虎がそれをさせないがためにやったように見えた。鬼だから、その遺体に触れてはならない。それをさせないために・・・。

 「う、母、様。うう、ううう」

 「母、う、え。うう」

 「お母さん、お母さん。ううう」

 アキラは梅のいる場所に歩いて行った。白川が乱入してきたときにそちらの方にも意識を向けていたので、彼女がいることは知っていた。

 「梅、梅」

 「っは!あああ、は、は、ハニー!あ、「静かに、静かに」・・・え?」

 ずっと呆然としたため、現状が分からずアキラの言葉の意味が分からなかったが、

 

 「「「うううああああ・・・母様(母上・お母さん)~~~」」」

 

 三人が抱き合って泣いた。姿は見えなかったが、それで理由が分かった。

 「・・・分かりました。全て、終わったんですわね」

 「ええ。終わりました」

 梅はそれ以上聞かないで兵達に静かに退散させて、自分も静かに出ていった。今はただ、母を思う娘が全ての思いを吐き出す。それだけだった。

 

 『信虎、あなたは確かに存在した。人から鬼に堕ちたが、最後の最後に、母としての心を娘達に見せた。そう・・・娘を倖せに。その思いを告げて散った。その母としての信念を私は忘れません』

 

 背を向けながらでも、最後に娘達に見せた信虎の姿を覚えていようと決めたアキラだった。彼女らの悲しみも終わった。その後にアキラが、

 

 「連合の力のおかげで、ついに駿府を取り戻しました!」 

 

 そう高らかに叫び、周りから歓声が聞こえた。

 

 

 「やった!鞠様万歳!」

 「鞠さま!やったなの!」

 「鞠様、褒めてください!」

 その歓声が一番高かったのは、アキラ隊の兵達だったのは気のせいではない。その後、武田の本陣から春日と心がやってきた。三人を連れ戻しに来たが、二人は何も言わなかった。倒すべき敵とはいえ、母親が死んだのだ。複雑な気持ちを落ち着かせることが優先であり、説教は後でもいいからだ。

 でも高らかにそう言っても戦自体はまだ終わっていない。だが、駿府屋形の手前まで来たアキラ隊の前方に鞠の姿があった。勝ちは確定しているが、大将を前に出すのはまずいのでは?と一葉に訊ねた。すると、

 「己の駿府屋形に真の主として、今川の棟梁としてするべきことじゃ。鞠もそのことは承知しておる」

 納得のいく回答が来た。先導をすると張り切る梅を筆頭にアキラ隊の兵達も喜んで今川の旗・今川赤鳥を掲げて前を歩いた。ついに・・・

 

 「頭を垂れよ!この駿府の屋形に、ついに戻られた今川治部大輔殿に!」

 

 出会った時から駿府屋形を取り戻す。その信念をもって頑張っていた鞠の願いがついに果たされた。一葉の言葉に兵達、将達が頭を下げた。

 

 『よく頑張りましたね鞠。あなたほどの信念と心の強さ、これを持っているなら大丈夫でしょう。その姿は立派です』

 

 無邪気な笑顔を出しながらも、その裏で必死に頑張り、必死に耐え、必死に前に進む姿を見てきた鞠に、アキラも頭を下げた。

 

 

 だけど、まだ全てが終わったわけではなかった。鞠を久遠や隊に任せ、アキラはすぐにある場所に向かった。そこは葵が運ばれた屋敷だ。そう、彼女は信虎に鬼の呪いを受けた。その呪いをどうにかしないと、完全に終わったとは言えない。

 

 「葵、必ず助けますよ・・・誓いを果たすために」

 

 二人だけの誓いを果たす時が来た。

 




 鞠、ついに駿府屋形に戻りました!本当に、お疲れ様!
 
 信虎の最後の瞬間を三人に立ち会わせたい。と言う考えもあったためこの話にしました。姉妹が話した優しかった母の姿。それを見せたいという気持ちもありました。

 因みに信虎が凍るのを遅くしたのは突っ込まないでください。

 次回は葵を助けます!お楽しみに!


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八十八振り目 誓い、果たすまでは・・・アキラ様、嬉しい R-18

 
 風呂は眠りたくなる三MENです!

 第八章もそろそろ本章が終わりです!やはり、連合と駿府は美空と光璃に比べて短くなりますね・・・。

 アキラと葵の二人の誓い。予想はできていると思います!では、スタート!


 

 葵のいる屋敷に到着したアキラ。門前では悠季が待っていた。

 「どうです?」

 「・・・よくありません。私の力で結界を張っておりますが、時間の問題です」

 悠季の顔と声が、本当に葵は危険な状態だという事が分かった。事態は一刻を争う状況らしい。

 「それにしても、本当に来てくれるとは思いませんでした」

 「言ったではないですか。葵を助けると」

 「でも、正直ほっとしております・・・では、本題に入らせてもらいます。アキラ様、鬼になった兵をその刀で元に戻したそうですね」

 「その話も耳に入っていたのですか。ええ、覚悟を決めて殺したと思ったら、鬼から人に戻り意識も戻った。あの時は本当に驚きました」

 今話してもおかしな話に聞こえるが、事実だ。現にその兵は今は鞠の近くにいる。

 「私も滑稽な話と思っていましたが、葵様がこうなった以上はそれにかけるしかありません・・・アキラ様、お力をお貸しください」

 悠季が頭を下げた。本当に心から助けてほしいという気持ちの現れだ。

 「ええ、構いませんよ」

 「( ゚Д゚)」

 「どうしました?」

 驚いた顔になっている悠季にアキラは聞いた。

 「いえ、面食らったのです。私は自分の体を好きにされる覚悟すらもあったのに、それすらもいらない。と言っているみたいですから」

 「・・・私はどこまでそう言う目で見られているのでしょうか」

 「ふふ、何十人も妻を持たれたらそうやって見られますよ」

 「どうやら、少し気が晴れたようですね」

 「・・・本当に手ごわいですね。あなたは」

 一刻も早くという気持ちが彼女を焦らせていたが、アキラとの会話でそれがなくなり、見抜かれていたことに手ごわいと感じた悠季。

 「ご案内します。どうぞお入りください」

 落ち着いたところで、すぐに葵のいる部屋まで来た。

 「この中にいらっしゃいます。どうか、お願いします」

 「ええ、必ず・・・この刀にかけて」

 アキラは部屋の中に入って、じっとアキラの事を考える悠季。

 

 『アキラ様は、本当に手ごわく気が抜けない。でも、葵様は心を許した。私だけ許した心をアキラ様にも許した。ずっと私以外には心を見せなかったのに・・・どうして葵様はそこまでアキラ様に心を許したのか?少し、興味がある。私も誑されないように近づくべきかしら?』

 

 自問自答する悠季。アキラへの注意を強くする一方、葵が何故気持ちを見せるようになったのか?それに疑問に思いながら、その場で座り込んだ。

 

 

 すぐに葵の姿を見つけたが、少し焦った。

 「・・・悠季の趣味ですか?」

 布団に横たわっている葵。その姿は襦袢の前を開けており、彼女の胸の乳首がほぼ見えかかっていてへそは丸見えだ。結界を張る際に、欲望が出かかったが何とか理性が勝ってこの状態になったのだろう。

 「う、く、ううう」

 「あおちゃん、すいませんが・・・やりますよ」

 抜いた二本の刀は青く輝いていた。鬼の呪いが彼女にかかっているその証明だ。

 「・・・頼みますよ」

 その刀をそれぞれ左右の足の先に刺した。

 「う、く!」

 「頑張って、ください」

 すると、刺した先から黒い煙が出た。あの兵を斬った際に、切り口から出た煙と同じもの・・・つまり、この煙が呪いの形となったものだ。

 「続けていきますよ」

 脚の部分からの煙がなくなり今度は手だ。そして、腕、ふともも、腹・・・最後に胸に刺した。その度に煙がどんどん出ていき、苦しそうな声を出す葵、

 『葵には悪いが、いやらしいですね』

 苦しむたびに体を左右に動かし、汗をかき襦袢が透けて、完全に乳首が丸見え状態になり、その際に見せるいやらしさで少し欲情していく。

 「これで、終わりです」

 それぞれの個所に刺して煙を出し切った。刀を鞘に収めた時だった。

 「・・・・・・」

 「葵!」

 葵が目を覚ましたが光がない。肩を揺さぶるが反応がない。

 『鬼の気配は消えている』

 鬼の気配はなくなっていた。では何がこの状態になっているのか?疑問を持った時に思わぬ事態になった。

 「アキ、ラ?」

 「そうです!アキラで・・・え?」

 「アキラ、アキラ、あ、アキラ・・・アキラ!」

 「な!」

 彼女がアキラの名前を呼んだので叫んだが、次の瞬間いきなり押し倒された。その際、襦袢が脱げ上半身が完全に裸になった。

 「な、何を!」

 「アキラ、アキラ・・・アキラ」

 アキラの袴を無理矢理脱がせ、下着もとり、アキラの性刀を握った。

 「っく!な、何を!」

 「あきら・・・」

 その性刀を口に入れて、愛撫し始めた。その顔はもはや欲望に染められた顔だった。

 「く!あ、あああ」

 一心不乱に口の中で舌を暴れさせている。頭を掴み離そうとするが、腰にしがみついて離れようとせず、完全に性刀を口の中に入れた。

 『まだ、ん!残っていたと、く!、いうのか?う、く!』

 愛撫される快感が襲ってくる中考えた。

 

 『の、呪いが、染み込んだと、む!考える、うう、くう!べきだ。あの兵は、つう!すぐに抜いたから、あぐ!元に、もどった。が、葵は、く、くそ、やばい、で、出る!だ、ダメだ・・・!もう!』

 

 だが、その推測を整理する前にアキラの我慢が突破した。

 「くうううう!出る!」

 「む、むむ!んんんん!」

 葵の口の中に一気に出された。アキラの精の波が。

 「ん、ん、ごく、ごく、んふふ」

 彼女は勢いよく出たそれを少し時間をかけたが何と全部飲み込んだ。性刀を口から出してアキラを見て妖艶な顔を見せた。

 

 『はあ、はあ、葵は、呪いを出すのがあの兵より遅かったから、体に呪いが少しだけ染み込んだ。だから心の眼でも見えなかった・・・その染み込んだ呪いが、ただただ欲望の限り動く鬼と同じように動かしているという事か!』

 

 精を出して、再度考えをまとめた。その推測が証明しているかのように

 「アキラ、アキラ・・・アキラ」

 心の奥底にある欲望を出している状態だ。その整理をしている間に彼女はアキラの腰の部分に座っており、彼女自身が広げているビショビショに濡れているあの一番の秘所にアキラの性刀を入れた。

 「あ、あああああ!あ、アキラ、アキラ!」

 「あ、葵!葵!」

 汗も蜜も飛び散らせながらよがらせると、そこからは葵のペースだった。アキラは横になったままで、彼女の性を求める動きに心の眼が奪われた。

 「何と、淫ら・・・いや、魅惑的だ」

 彼女の腰を動かすたびに涎を流す顔、慎ましい胸から流れる汗と二人の繋がっている秘所から聞こえる欲情を刺激する音、更にせめてもの抵抗で尻を力いっぱいつかみ、その真ん中の割れ目に指を入れると「あああ!」と言いながら体をよがらせるその姿にアキラは見惚れた。

 「葵、で、出る。出る!」

 二回目の精の波の準備ができた。後は、刀の先の入り口を開けるのみ。すると、

 「アキラ、あきら、アキラ~~!!!」

 単調に上下に動いていた腰の動きが前後左右に変わった。

 「くう!か、変えてきた。ま、負けられない!」

 アキラも負けじと尻の割れ目に入れている手を一つ彼女のおっぱいに移動し、そちらを揉み始めた。

 「あ、あああん、あん、あ、あああ、アキラ」

 「や、ば、い・・・」

 「アキラ~~~!!!」

 両者共に腰を一気に動かして、一気に快楽のてっぺんにたどり着こうとした。

 「く、くうううう!」

 「ああ、あああ、ああああああ!」

 葵の奥まで精の波を届け、それを受け止めて体をのけぞらせた彼女がアキラの体に身を預けた・・・この時だった。

 

 『・・・あれ、私、何を』

 

 葵が意識を取り戻したのは。

 『え、な、何。何がどうし・・・え!ええ!あ、アキラ様!ちょ、わ、私!は、裸!そ、それだけじゃない、つ、つ、つながって!』

 とても焦っていたが、顔はまだ妖艶な表情のままだ。どうやら、意識と体がまだ別々に行動するみたいだ。

 「アキラ。アキラ」

 「いいでしょう。最後まで、付き合います」

 『ちょ!か、体の中が、暖かい。もしかして、アキラ様のあれがわ、私の中に!』

 頭の中では大パニックだ。気が付いたのはいいが、裸でアキラに抱かれ、しまいにはアキラの精が葵の中にある。パニックになるのは当然だろう。

 『う、うう、ど、どうすれば』

 どうすればいいのか分からなくなっている葵。体は思い通りに動かずアキラを今だ求めている。できるなら、自分の意志でしたいのにそれができない。

 『したい・・・アキラ様と、アキラ様と、もっと、もっとしたい!』

 でも、その考えが光明を生んだ。

 『したい、したい!アキラ様に抱かれたい!アキラ様に愛されたい!』

 動かせない体を動かして、アキラに抱かれ愛されたい気持ちを強くしていった。

 

 「アキラ様」

 

 すると、自分の意思で声が出せた。 

 『だ、だせ、出せた!声が、アキラ様!私』

 「アキラ様、アキラ様」

 だが、意思で出せたのはそれだけだった。

 「様?という事は、少し良くなったのですね。なら」

 動かしてなかった腰を上下に動かし始めた。

 『あああ!アキラ様!そ、そんな、い、いきなり!』

 体の快楽が伝わるのか、突かれるときの快感でまたよがり始めた。

 「葵、戻ってきなさい」

 「アキラ様。アキラ様」

 『あ、あ、あ、んああ!アキラ様、アキラ様に女を、女にされている~~!』

 求めていく欲望を出し始めた時に

 「あなたとの誓いを果たしたいのです」 

 『・・・誓い。あ、あれを』

 アキラの誓いという言葉、それを聞いて葵は思い出した。二人だけの誓いを。

 

 浜松城を出てすぐの時、二人だけで話した時のあの誓い。

 『アキラ様・・・お願いがあります。私にも、誓いをくれませんか?』

 『誓い、ですか?』

 『はい。アキラ様がそこまで自分を変えたと言える誓い。そこまでの誓いが欲しいとは言いません。でも、あなたとの誓い。小さくてもいい、それが欲しいのです』

 『ふむ。あなたを誑して私の嫁にしましょう』

 『・・・え?』

 『ダメですか?あなたともそういう仲になりたいのですが』

 

 アキラから葵を嫁にするという誓いだった。あの時ほど彼女は心から嬉しく、心からアキラの嫁になりたいと思った。

 『私の為に・・・あの誓いを、あの誓いを果たそうとしている。嬉しい、アキラ様のお嫁さんに、なれる』

 その気持ちが一気に最高潮まで行き、体の感度が一気にアップした。

 「アキラ様、アキラ様・・・」

 今まで情欲ある呼び名だったが、今のは愛情ある呼び名だった。その呼び方の変化に気づいたアキラは、一気に最後の一発を葵の中に出す事にした。

 「葵、いきますよ」

 『はい、ください。あなたの大きな愛を』

 お互い腰を動かしていき、欲情を高めていく。求める心も強くしていく。

 「あう!あぐ!葵、葵!」

 「アキラ様。アキラ様・・・」

 『ああ、あああ!いいの!きちゃう!もっと、もっと~~!』

 「さあ!一緒に!」

 葵のおっぱいを揉んでいた手を葵の首の後ろに回し、彼女を自分の体の上に倒して力強く抱き、濃厚な愛情を伝えるキスをした。

 『アキラ様。すごい。あああ。もう、もう・・・このまま溶かされたい。アキラ様にずっと、滅茶苦茶に、されたい』

 完全に葵も快楽に身を任せた。アキラにされるならどんなことでも。それくらいの想いを持ってアキラにされ続けた。

 「ぐちゅり、じゅり、ちゅちゅる、ちゅぱ」

 口からは舌で、胸からはアキラの体に乳首がこすれて、秘所からは性刀で突かれ回され、尻からはアキラの手が揉んで・・・更にその尻の割れ目の中のあのもう一つの秘所にアキラの指が入った。それが、彼女の一番の快感のポイントだったようだ。

 『あ!あああああああああああ!い、今!と、とんでもないのが!』

 葵の腰の動きが止まった。快楽の電流が全身に行き、一気にびりっと来たからだ。その間もアキラの動きが速さを増しそこからの快楽も増した。ついに、

 

 『く!で、出る。出しますよ!』

 『あ、アキラ、様!あああ、わ、わたしも、出る~~~!!!』

 

 キスしながらなのでアキラも声に出せないまま、最後の絶頂を迎えた。葵の体に全ての精を出して、彼女は嬉しそうに全部受け入れた。そして、疲れた二人はそのまま眠りについた。

 『アキラ様・・・大好き』

 最後の絶頂を迎えた後にようやく体の動きもできるようになったのか、葵はアキラにしがみついて離さないように抱き着いて、眠りについた。

 

 

 意識が戻ったアキラは体の調子を見ていた。

 『白虎を出した反動。少しあったみたいですね・・・』

 葵の鬼の毒浄化前に、奥義・白虎を出していた。いくら壬生の血に適した体になったとしても、体力は結構減っていたようだ。ダルそうな体を起こして、全裸の葵に布団をかけて自分は服を着た。彼女の体にあの刀を近づけた。

 『・・・よかった。完全になくなったようですね』

 青く光ることはなかった。彼女から感じる気配も完全に人間のものだ。完全に鬼の呪いが解けたという事だ。後は、部屋の外にいる誰かさんに頼むだけだ。

 「・・・入ってきてもいいですよ。あおちゃんはもう完全に人間に戻ったようです」

 「おやおや、気づかれてましたか(ニヤニヤ)」

 「覗いていたくせによく言えますね・・・そういえば、私に抱かれる覚悟があったそうですね。その覚悟、叶えましょうか?」

 「私まで抱きたいと!いえいえ、葵様に悪いので遠慮させていただきます」

 悠季が入ってきて葵を見せた。健やかに眠っている姿を見てホッとしたのか、普段の悪態つく彼女に戻っていた。

 「後の事は任せます。さすがに、疲れました」

 「そうですか・・・でも、葵様を救っていただきありがとうございます」

 アキラの弱音に笑ったが、すぐに真面目になって礼を言った。

 「彼女とは誓いがありました。その誓いを果たすためにも、絶対に鬼にしてはいけない。そう思ったからです」

 「誓いですか・・・どんなものか聞きたいですが、それより疑問があります」

 アキラの顔を真剣に見て言った。

 「アキラ殿の刀が鬼の呪いを取り除くものだと思っていましたが、アキラ様自身にもそれを取り除く力があるとは思いませんでした」

 「・・・私も驚きました」

 悠季の指摘はアキラも思っていたことだ。鬼の呪いを刀でとったが、その刀でも取れない細かい呪いをアキラが抱くことで消すことができた。より正確に言うなら、アキラの精で消すことができた。

 『この刀を長年使っているからこそ、その刀に着いた鬼殺しの力が私にもついたのでしょうか?』

 一応、考えてみたが結局分からないままだった。

 

 「あなたは、何者でしょうか?」

 

 最後に言われたこの言葉。アキラはただの人間、とは言えなかった。

 

 

 アキラがいなくなって、葵は眠りながら悦に浸っていた。

 『私はアキラ様に抱かれた。まるで天に昇るくらいの嬉しさが私にあるけど、アキラ様は私を愛して抱いたのではない。鬼の呪いを解くために抱いた事だけが悔しい。必ず一人の女として、妻として、愛する女として、いつか抱かれたい・・・あの人との誓いだけだった。鬼の呪いに身を焼かれるような苦しみの中、あの人の私を妻にする誓いだけが私を止めた。そして、あの人の必死な思いが人に戻してくれた・・・ありがとうございます、アキラ様』

 そ最後に自分の一途な思いを口にした。

 

 「アキラ様・・・あなたをずっと愛します」

 

 悠季がちょうどいない時につぶやいた言葉。彼女は笑顔で眠り続けた。

 




 
 葵への誓いは嫁にすることでした。これは久遠の宣言無しで葵を好きになりたいという気持ちがあったからです。

 本章はあと一つ書こうと思っています。でも、その間に間章です!そして、次がいよいよ吉野決戦章・・・ではありません!ちょっとした章を間に入れます!

 では、次回からしばらく間章になりますのでお楽しみに!(エロもね!)


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間章22-1 気になってしょうがない! R-18

 
 枕がないと寝れない三MENです。
 
 今回は心と粉雪です。あともう一人もですが・・・彼女はまた今度。


 

 信虎を倒し駿府屋形を取り戻したアキラ達。だが、あの館に入った時に血の跡を鞠が見た時、どんな気持ちだったのだろう。でも、彼女は真摯に受け止め新しい駿府を作ろうと頑張っている。

 

 

 葵を助けた次の日。早速駿府屋形の立て直しに入るが、まだ自分達には戦いが最後の大一番が京にあるので、屋形にかかりきりになるわけにはいかない。一体どうするべきか?と思ったが、奥さん達はそのプランをしっかり考えていた。自分達の国からまず屋形を立て直す職人を呼び寄せ、今後の金銭や食料などを鞠に無償で上げるらしい。これを聞いたときは本当に頭が下がったアキラ。

 

 『国を持ち、先の目を持つものは本当にすごいですね』

 

 そのアキラはまだ体が本調子に戻ってなかった。奥義・白虎の反動はもうないのだが、葵の解呪の抱き合いが想像以上に辛かった。何しろ、理性を完全無視した欲望のままに性行為を行ってきた葵は、性に飢えた鬼と言ってもよかった。アキラ隊の皆もそれに近いように見えるが、まだ理性はある程度あるのでアキラも何とか全員の相手ができるが、今回の葵はそれがなかった。理性のリミッターを外した相手がどれほど困難な相手か、それを改めて思い知った。

 「アキラ様、戦いは終わりました。早く抱いてください」

 「詩乃ちゃんの言う通りですよ。それに葵様を救うためとはいえ、そこまで疲労がたまるものですか?」

 「信じられません。アキラ様はそれくらいで疲れないお方です」

 「アキラ。儂も今回はしっかり働いたからいいじゃろ?」

 「鬼たくさん殺したから誉めて、抱いて、今すぐやって」

 「・・・治したくなくなってきました」

 縁側でひと段落していると、妻一行がじ~っと睨んでいた。体が戻ったら、今以上の疲れが毎日来る。それが容易に想像できたのでげんなりした。今も、詩乃やひよに雫、桐琴に各務が欲情のこもった目で自分を見ていた。

 「アキラ様?大丈夫ですか?」

 「・・・近いうちに女体の山につぶされる未来が見えて」

 「あ、あははは・・・私もいそうですね」

 歌夜のツッコミに表情を失ったアキラは、自分の味方はいないのか?と本気で思った。歌夜が焦りながら話を続けた。

 「えっと・・・お疲れなら、心さんのところに行ってはどうでしょう?」

 「心ですか?」

 「按摩がうまいらしく、春日様や夕霧様も時々やってもらっているらしいです」

 「ほう、体をほぐしてくれるのですか」

 「私も一回やってもらったのですが、本当に体が軽くなりました」

 確かに気分転換もできそうと思い、行くことを決めた。

 「それなら、やってもらいましょうか」

 「それでですね・・・終わったら、えっと、できることなら」

 「さようなら!」

 彼女が言おうとしたこともわかったので、急いでその場を去った。

 『もう・・・私だって抱いてほしいの知っているのに』

 

 心のいる部屋に入ると、彼女の他に粉雪がいた。彼女らも駿府屋形で泊まっているが、ボロボロになり使えない部屋もある。修復するまでは、将でも一緒の部屋で泊まっているのだ。

 「あれ、旦那。どうしたんだぜ?」

 「ちょっと、心に用があるのです」 

 「私ですか?」

 「歌夜から聞きましたが、按摩がうまいらしいですね。やってほしいのです」

 「お、旦那もやるのか!ここはうまいぜ!本当に体がすっきりするんだぜ!」

 「そうなのですか。アキラ様、お疲れなのですか?」

 「え、ええ。詳しくは言えませんが」

 さすがに葵を抱いて疲れた。とは言えないが、

 「旦那の疲れる理由って」

 「はう~、お、お盛んですね」

 「・・・始めてください」

 想像で真っ赤になった二人。本当にそれで疲れたので、ツッコめなかった。

 

 心の按摩が始まった。

 「く!おおお、き、効きますね」

 「え、ええ。春日、様、達も、ここらが」

 「こ、ここらも、やって、も、もらったら、どう、だぜ」

 用意してもらった布団にうつ伏せになり、背中をマッサージしてもらう。最初は座って肩だけでやっていたが

 『すごいですね。ここまでこっているなんて』

 『何なら、全身やってもらったらどうだぜ!』

 粉雪の言葉にしてもらう事にして、布団を用意して今に至るという事だ。服を着たままやるのかと思いきや、

 

 『しっかりやりたいので脱いでもらいますか?』

 

 心がこう言ったため、上半身を裸にした。

 『アキラ様って、こんなに傷があったの。い、いったいど、どんな戦いを続け、たらここまでなるの?す、凄すぎて、もう、目が背けられないよ~』

 『な、何だぜ!だ、旦那の体を見たら、もう、止められないくらいドックンドックンしてるんだぜ!』

 二人は完全にくぎ付けだった。心は何とかマッサージをしているが、アキラの体に顔も体も熱くさせていた。粉雪の方も既に胸に手を当てて、何とか心臓が収まるよう抑えていたが無理だった。

 「く!ほ、ほう。確かに、歌夜の言う通り、気持ち、いいですね」

 「「・・・・・・(ぽ~~)」」

 「二人とも!」

 「「・・・っは!」」

 「どうしたのです?返事がなかったですが」

 「な、な、なんれもないれす!」

 「そ、そうだぜ!あ、急用、が、あ、あったんだぜ!」

 焦ったあまり、心は兎々と同じ口調になり、粉雪は急いで部屋から出た。

 「い、いった~~!廊下から落ちたんだぜ!」

 「あ、こ、こなちゃんずるい!」

 「心、続けてください」

 「は、はい!」

 粉雪が逃げてしまい、一人でアキラの相手をするしかなくなった心。自分だって逃げたいが、マッサージを続けるしかない。

 『ど、どうしよう~。すっごく意識しちゃってうまくできる自信がないよ~』

 頭の中が大パニックになっていた。

 

 その後、何とかマッサージを終わらせられた心。アキラは仰向けになり、満足そうにしていた。

 「本当にありがとうございます。まさか、ここまでよくなるとは」

 「は、はい。気に入ってもらえてよかったです」

 「・・・どうしたのです?按摩してもらっているときから、おかしいですよ」

 「あ、あの、その、えっと」

 もう、心の頭の中はアキラの傷だらけの体しかない。焦っている中、今までの事を思い出して原因が分かった。

 「私の体、ですか?」

 「!!・・・は、はい」

 「妻達と似たような反応でしたからね。同じかな?と思ったのですよ」

 「と言う事は、お屋形様も?」

 「う~ん、光璃はどうでしょうか?焦ってはいませんでしたが、何かすごく甘えるようになりましたね」

 「な、なら、私も」

 心の中で何か決めたのか、アキラの隣で同じように横になった。

 「あの、アキラ様。お願いが、あります」

 顔を見ると、彼女の顔は恥ずかしそうだが真面目だ。

 

 「私も、妻に、な、なりたいです」

 

 何も聞き返さず、心の想いを聞くアキラ。

 「太白さんの時から、アキラ様の事、気になっていたのです。話を聞いて、アキラ様って、この体でも分からないくらい、努力してきたんだって・・・あの時に可愛いって言われて・・・すごく嬉しくて、もう、こ、この、想い、が、我慢できなくて」

 アキラに抱き着く心。

 「いいのですね」

 「はい、お嫁さん。憧れていました・・・後、母様の、遺言が」

 「あなたの母親の?」

 「はい・・・絶対にいい男を見つけて幸せに、なれ。と」

 彼女の目から涙が出た。母が死んだのを思い出しただけでなく、おそらく誰にも、そう粉雪にも言っていない母の遺言だったのだろう。でもそれをアキラに言った。それだけ、本気だという事だ。

 「分かりました。この時だけは、あなただけを愛します」

 本気の想い、それを見たアキラはそれに答えることにした。

 

 その後アキラは袴も脱ぎ、心も服を全部脱いだ。

 「あなたの唇、奪います」

 「・・・はい////」

 アキラは心にキスをしたが、彼女の口に舌を入れることはしなかった。唇を離し、笑顔でこう言った。

 「次は、あなたの体を、愛します」

 「は、はい・・・ど、どうぞ」

 横にいた心の上に移動したアキラ。胸を揉み、さするように腹を撫で、そして彼女の壺に手をやった。

 「!!!」

 ビクッとして思わずアキラの手首を握った。でも、アキラは構わずその壺の入り口を撫でていった。

 「ここも、ですね」

 「ひゃう!そ、そんな!」

 彼女の胸をもう一つの手で優しく揉みだした。左右交互に、荒々しいことをせず、傷のつかないように優しく・・・すると、彼女の壺の入り口から段々水が出始めた。その水で自身の性刀を濡らしていった。

 「どうです?」

 「は、はい・・・何か、ふわふわしているような感じが」

 「それでいいのです。もっと、その感覚を持ちなさい。光璃や薫も同じでしたよ」

 「お二人もですか?・・・はい」

 もうされるがままだった。アキラを全面的に信用している。そして、ついに・・・入り口に性刀を入れ、徐々に奥に入れた。

 「あ、あああ!あ、アキラ様!」

 「いきますよ」

 「・・・(こくん)」

 そして、そのまま一気に貫いた。

 「い、うううう!」

 「大丈夫ですか?」

 「はい!う、ううう、くう!」

 「では、いきますよ」

 アキラの言葉に頷き、彼が動き出した。

 「あ、い、痛い!う、ううん!くう!・・・あ、あ、あれ?な、何か少しずつ、痛みがなくな・・・あ、何か、さっきより、ああん!ふわふわするような」

 心の痛みに耐える顔から、徐々に風呂にのぼせたような顔になっていった。

 「どうです?気持ち、いいですか?」

 「はい・・・いい、で、す」

 「では、もっと、いきますね」

 「はい・・・あ、あき、ら様」

 口調がおぼつかなくなっている。快楽に耐え切れなくなってきている証拠だ。手もだらんとしているあたり、もう体も力が入らないのだろう。

 「では、いきますよ」

 「あ、あ、ああああ!す、すごいです!あ、うううああああ!」

 自分に襲う快楽。初めての体験に彼女の思考すらおぼつかなくなる。

 「だめ、らめ、も、もう、わらし、らめになる~~!」

 

 その後、彼女は強くなる快感の波に耐えられなくなり失神してしまった。その失神した状態のままアキラは彼女の待ち望んだ想いを体にかけた。

 「え、ええええ!こ、これって!も、もしかして、わ、私!」

 その後、意識を取り戻した心がアキラのあれだらけになっているのを見れば、当然パニックになる。

 「あ、あの、アキラ様。私・・・」

 「気持ちよすぎたみたいですね。ふふ、可愛い寝顔でしたよ」

 アキラはもう服を着ていた。心だけが裸のまま布団をかけられていた。

 「う、ううう~、は、反則ですよ・・・途中だったのに」

 「また、今度にしましょう。あなたは私の妻ですから、いつでも望みを答えますよ」

 「・・・あ!」

 あの壁を貫いたことを思い出して、真っ赤になった。でも、妻になれたことも思い出したから、笑顔で返事した。

 「はい!」

 「では、失礼します」

 心にキスをして、部屋を出ていった。

 

 『本当にアキラ様の妻になったんだ・・・嬉しい。お屋形様や薫様もこんなに気持ちが満ち溢れるような感じだったのかな?まさか、お屋形様と同じ立場になるなんて思いもしなかったな・・・でも、やっぱり嬉しい!母様、私幸せになるから!』

 

 天井を見上げて、亡き母親に笑顔で報告した。

 

 

 部屋を出ると、既に暗かった。どうやら、マッサージと心との愛の語り合いで時間を忘れていたようだ。

 「さて、部屋にいる皆にはどう言い訳をしましょうか」

 心が妻になった。それを部屋にいるであろう隊の皆に話すと、

 『怒りませんよ。いつもの事ですから』

 『心さんを抱いたのなら、妻の私達も抱いてくれますわよね!』

 『アキラ様。お待ちしておりました。歌夜は我慢していました』

 『朱雀のここに、はやくお入れください』

 『アキラ。正室の我も、忘れてはならんぞ!』

 久遠も交じっていろいろとんでもないことになりそうだ。とりあえず、その言い訳を考えながら庭を歩いていると、

 「あああ!頭から抜けないんだぜ!」

 木に寄りかかって、頭を抱えて横に振っている粉雪の姿があった。何か困惑している姿なので近寄った。

 「粉雪ですか?」

 「何だ・・・って、だだだだだだ、旦那!」

 「?どうしたのです。そんなに焦って」

 「だだだ、だって、こ、こ、こここここここことああああ、あんな!」

 思いっきり焦りまくって言動がおぼつかないが、言いたいことは分かった。

 「・・・見ていたのですか?」

 「頭も冷えて、戻ったら・・・ここと繋がって・・・あああ!もう!こ、これじゃあ、どうしようもないじゃないかだぜ!」

 「??何か悩んでいるのですか?」

 「う!・・・そ、そうなんだぜ」

 アキラの質問に頷くと、深呼吸をしてアキラの方を見た。

 「な、なあ、旦那・・・旦那って武田の為に、が、頑張って、くれたよな」

 「???え、ええ。光璃の旦那になったり、美空と仲直りしたり」

 「そ、それに、こ、今回の駿府のことだって・・・旦那がいなかったら、絶対にできなかった。だ、だから・・・その」

 「・・・正直に言いなさい」

 「ああもう!わ、わ、分かったんだぜ!」

 顔を真っ赤にしてアキラに言った。

 

 「旦那!あ、あ、あたいも、あたいも、ここと一緒に嫁にしてほしいんだぜ!」

 

 それを聞き、一瞬我を忘れたアキラ。

 「・・・は?よ、嫁?」

 「そ、そうだぜ!あたいも、嫁になりたいんだぜ!」

 まさか、粉雪までなりたいとは、さすがに思わなかった。

 「ほ、本当に、いいのですか?私を夫にして」

 「・・・だ、旦那だから、いいんだぜ。旦那って、あたいのこと女性として見てくれるし、すっごく強いし、意地悪だけど優しいところもあるし、そ、それに・・・お屋形様や薫様を見ていると、羨ましかったんだぜ・・・女として、妻として愛されているのを見ると・・・って何言わすんだぜ!」

 俯いてアキラのそばに寄って、服をぎゅっと握りしめた。

 「そ、それに、ここを嫁にして・・・抱いているのを見ちまって、どうしようもないくらい頭がおかしくなって、気が付いたら旦那がいたんだぜ!そ、それに・・・ここも我慢ができなくなって」

 下の服を持ち上げて自分の下着を見せた。色は赤備え隊の赤だが、その下着がぐっしょりになっていたのが夜暗くてもわかった。

 「あたいも、抱かれて愛されたいんだぜ。旦那、頼むよ」

 「・・・分かりました。あなたのその気持ち、受けとめます」

 粉雪を抱きしめてキスを額にした。

 「だ、旦那。こっちにしてほしいんだぜ」

 「ふふ、そうですか。ならこちらへ」

 木の陰まで移動し、彼女の後ろに周り上を脱がせて胸を出した。

 「ちょ!い、いきなり脱がすんだぜ!」

 「愛するなら、あなたの体全てを愛したいですから」

 「う・・・もう、旦那って、本当に、ずるいんだぜ」

 「では、先ほどの要望をこちらに顔を」

 「な、なん(ちゅ)!!むーむー!」

 不意を狙ってキスをして、両手で粉雪の胸を揉み始めた。

 「ちゅ、ぺろ。ちゅちゅ、じゅる」

 『ちょ、ちょっと待つんだぜ!だ、旦那・・・だん、な。あ、ああ、何か、考え、られなく・・・ああ、ん、も、もっと、もっと、や、やって、ほしいん、だぜ』

 どんどん続けていく行為に慌てる粉雪だが、キスを続けているため言う事が出来なかった。キスからくる快楽だけじゃなく、胸を揉まれ突起をいじられる快楽も加わって次第にとろ~んとしてきた。抵抗もなくなり、そのままされたい気持ちになってきた。実は片手が濡れ濡れの下着の上から割れ目をいじっていたのだが、それに気づけないくらいとろっとろになっていた。

 「粉雪は、とてもいやらしくかわいいですよ」 

 「ほ、本当?か、だぜ・・・うれし、いん、だぜ」

 キスをやめて口から涎がだらしなく出ていたが、それすらわかってない。完全に体もアキラに委ねていた。

 「あ、旦那、何?」

 「よし・・・では、やりますよ」

 アキラは粉雪を抱え、廊下に戻った。そこに粉雪を上半身裸の状態のままで降ろした。今だ蜜が出続ける割れ目に自身の太刀を濡らして、下着をずらし・・・ついに太刀を入れた。

 「あ、あああああ!だ、旦那~~!」

 「静かに・・・誰か通るかもしれませんよ」

 「で、でも!む、あああ。むり、なんだ、ぜ!」

 彼女は理性より愛欲の方が上だった。少しずつ突くたびに、どんどん乱れ、蜜も出続けた。見られることより、愛されることを選んだ。

 「だ、旦那の、嫁に、なれるんだ・・・どこだって、いい。ここも、きっと・・・そう言うん、だぜ」

 こんな時でも心の事を考える粉雪に笑顔になったアキラ。廊下に手をつかせて片足を持ち上げて

 「やりますよ」

 「・・・いいぜ」

 粉雪の了解も得たところで・・・奥まで進み、彼女のあれを開通させた。

 「あ。あああああ、い、いた、い・・・これが、さっき、ここが受けた、痛み」 

 「ええ。同じ日に一緒の痛みを受けたのです」

 「そうか・・・ここと同じ痛みを」

 「次のこれも、同じです」

 そして、前後運動を開始した。痛みで一瞬理性が戻ったが、再びきた快楽の波に流されていった。

 「ああ。あああ。ああああ・・・も、もう、旦那。あたい、あたい」

 「ええ、やりましょう」

 どんどん動きを速くした。粉雪も知らない間に腰を動かしていた。更に快感が大きくなっていく。月明かりに照らされた彼女の裸体と快楽に溺れている顔が、アキラにはきれいに見えた。

 「んん!いいです。私も、きます!」

 「うん、旦那・・・あたい、も、もう、と、とんじまう」

 粉雪は支えの手を床から離し床に体を下ろした。どんどんよがっていき・・・最後の時が来た。

 

 「ああああああ!だ。だん、な~~~~!!!!」

 「くううう!」

 

 太刀を抜いて、自分の想いを彼女の体にかけていった。少量がそのまま彼女の口の中に入った。

 「こ、これが、旦那、の・・・まずいんだぜ」

 そこまでが限界だった。粉雪の意識がなくなった。

 

 アキラが粉雪を部屋に連れて行った後だった。

 「全くなんてところで・・・でも」

 やはりいたのだ。二人の合体を見たものが。

 「拙は・・・今何を考えている」

 それは春日だった。自分の部屋に戻るところにあれを見てしまった。全部ではなく途中からだが、それでも二人のあのシーンはばっちり見た。

 「う、粉雪、いや話を聞く限り心もやったみたいだな。やはり、拙はあの二人が羨ましく思う。この想いは・・・やはり、恋か。前々からアキラ殿を見るたびに顔を赤くしていたし・・・嫁になった二人が羨ましいと思えた」

 ようやく春日は自覚した。アキラに惹かれていること、アキラに恋したこと、

 

 「拙も、二人と同じくらい抱かれたい・・・そう思った」

 

 そして、一番強く自覚したのは、アキラに抱かれたいと思ったことだった。

 

 

 次の日、心も粉雪もアキラと顔を合わせた時、昨日のことを思い出して顔を真っ赤にして逃げ出した。それを隣にいた詩乃と幽が見てすぐにアキラを問い詰め白状させた。その後アキラは部屋に連れ込まれた。その部屋にはかわるがわる妻達が入っては満足そうに出る姿は目撃されたが、アキラが出なかったのは別の話・・・ちゃんちゃん♬

 




 
 二人の想いが通じ、妻になった。そして、春日もまた自分がアキラに恋をしたことを自覚し、抱かれたいと思うようになりました!原作では心は主人公に犯罪レベルなことされたのに許したのですが、ここではしっかり想いを持った告白とオリジナルで母親の遺言を出しました!やはり、抱くなら双方合意じゃないとね!

 感想で、R18じゃないのか?と言うのがありましたが自分はまだこれはいってないと思うので、これからも書いていきます!


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超番外編IF アキラ様・・・うふふ、離しません R-18

 たまにはこんな話もいいかな?三MENです!

 今回はタイトル通り番外編です!本編は全く関係ありません!IF話です!

この話は、連合軍が躑躅ヶ崎館に集合したときに起こったであろう可能性の一つだと思って読んでください。この話を読む前に間章21-3の最初の話を読むことをお勧めします。これから起こる話はその話の後に起こった事件の話です。




 ある一室。そこには三人の人物が集まっていた。

 「よし、決行じゃ。今なら大丈夫じゃ」

 「はい!これで私達だけのものに!」

 「・・・楽しみ」

 三人の目が怪しく光っていた。

 

 アキラが朝食も終わって、自室で落ち着いている時だった。突然寒気がして、辺りを見回したが、心の眼で見ても誰もいなかった。ホッとしたのが彼の敗因だった。

 「うふふ、捕まえました」

 「アキラ、ごめん」

 「ふふふ、面白そうだからのう~」

 その声がしたと同時に意識を失った。

 

 緊急事態という事で、一部を除いて全員が評定の間に集まった。

 「殿!どうしたのですか!」

 「御大将!まさか鬼が!」

 「お屋形様!いつでも兵は出せます!」

 久遠・美空・光璃の緊迫とした状況に、各勢力の将の代表壬月・秋子・春日も真剣な顔をして訊ねた。

 「ああ、皆を呼んだのはほかでもない」

 「ええ。これ以上ない緊急事態が起こったわ」

 「皆、力を貸して」

 「「「「「もちろんです!」」」」」

 三人の言葉に全員が反応した。

 「それで、鬼はどこ何ですか!ぜひ、僕達三若が先陣を!」

 「何言ってるっすか!柿崎柘榴が先陣を切るっす!」

 「ずるいぜ!先陣は赤備え隊だぜ!」

 「いいや!この本多綾那忠勝がやるです!」

 皆、鬼との戦いと思い気が高ぶっていた。

 「落ち着け!緊急事態と言っても鬼ではない!」

 だが、久遠の言葉に全員が?となった。

 「でも、大変なのは事実なのよ」

 「兵とかはいい。ここにいる皆に協力を頼みたい」

 美空と光璃の言葉にますます分からなくなった。鬼ではない。兵も使わない。自分達だけに協力を依頼。一体どういうことか?

 「では、いったい何が?」

 その困惑を、壬月が三人に代表して訊ねた。

 

 「・・・アキラがいなくなったんだ!」

 

 この言葉に美空と光璃以外の皆、はあ?と呆れの入った表情になった。

 「何言ってるんだ?と思うのも無理ないけど・・・本当なのよ」

 「どこを探してもいない」

 「えっと、最初から説明してくれませんか?」

 手を挙げた詩乃が説明を求め、全員が頷いた。

 「うむ、半刻前に我ら三人がアキラの部屋に訊ねたのだ」

 「これから先の大戦の作戦をしっかり立てないといけないからね」

 「それでいったんだけど、いなかった」

 「最初はお前達の誰かといちゃついているか、厠に行っているのかと思っていた。だから、ちょっと待てば誰かが一緒だろうけど戻ってくると」

 「だけど、四半刻待っても現れない。私達だけで探しに行って、あんたらの何人かとは顔を合わせたけど肝心のアキラは姿を見せない」

 「小波に句伝無量で確認しても見てないという」

 小波に視線を送ると、頷いた。

 「あの、それなら外に」

 「それに気づかない我らと思っているのか?」

 「城下に行ったと思い、小波に確認してもらったけど」

 「城下のどこを探しても見つからなかった」

 春日の質問を一蹴し、再度小波に視線を送るともう一度頷いた。

 「え?小波ってずっとアキラ様を陰から見ているのにですか?」

 「はい・・・雫様の言う通り、私はずっとアキラ様を見守っておりました。ですが、少しだけ気を失った時があったのです」

 「どういうことですの?」

 梅の言葉に俯いて答えた。

 「まるで、私の隠れ場所を分かっているかのように背後から襲われたのです。すぐに意識を取り戻したのですが、その時は既に」

 「いなかった。ということかだぜ!」

 粉雪の言葉に頷いた。

 「そういう事だ。これは兵達に知られたら一気に広まりやばくなる」

 「アキラは同盟の中心的存在。それが行方不明と知られたら」

 「同盟軍勢力の分裂も考えられる」

 そういう意味では確かに緊急事態とも言える状況だ。アキラと縁の深い国ならともかく、あまり縁のない小国であれば出ていく可能性もある。

 「直言失礼します。何か手掛かりはないのですか?」

 「そうですね。姉様、何かありませんか?」

 一二三と真琴の言うことももっともだ。探そうにも手掛かりがないことには手あたり次第探すことになり、それでは兵達にもばれるかもしれない。

 「小波が襲われた。それが手掛かり」

 「どういうことっす?何故それが手掛かり?」

 「・・・居場所が分からないように潜んでいたはずなのに、小波さんの隠れ場所が分かっていた。それがおかしいという事ですね」

 「確かにおかしい」

 光璃の言葉に柘榴が疑問を持ったが、湖衣が分かり松葉も同意した。

 「なるほど、そこに隠れるとわかっている人じゃないと襲えないという事ですね」

 「小波。襲われた時の事、何か分からないかしら?」

 秋子と葵の言葉に、全員の視線が集中して小波は焦る。

 「あ。あの・・・私を気絶させたのは、おそらく各務様かと」

 「・・・そうですね、あの人も確かに草みたいなことを越後でもここでもやってました。小波さんの隠れる場所もあの人ならわかります」

 「各務殿がやったして、どうしてアキラ殿を攫うようなことをしたのですか?」

 「桐琴よ、分からないか?」

 小波の言葉に頷いた詩乃だが、幽の言う通り攫う理由がない。一葉に問われた桐琴は少し考えて答えた。

 「今の各務はわしらよりアキラで動く。あやつといちゃつける、とでも言えばおかしな頼みでも協力するじゃろうな」

 「私達もそうだけど・・・では、いったい誰が?」

 「ここにいない人間と見るべきじゃない?全員来ているわけじゃないし、実際その各務さんってきていないみたいだし」

 結菜の言葉に妻全員が頷いた。市の一言で皆が評定の間を見渡した。

 「貞子がいないね」

 「白百合もいないぞ」

 「この三人がいないですね」

 庵樹・時人・朱雀の言う通りその三人が来ていなかった。緊急事態で白百合ならまだ気まぐれで来ないという事もあるが、各務と貞子が来ないのはおかしい。

 「じゃあ、その三人がアキラを襲ったという事か!」

 「なるほど。白百合なら好んでやりそうだな。我達を困らせて、楽しむ奴だ」

 「・・・そう言えばこの前の買い物で貞子のやつ、アキラを監禁したいと言っていたわね。本気でするとは思わなかったわ」

 「そこに各務も口車にのった」

 小夜叉の叫びに、三人の正室が結論を出した。

 「白百合の奴、見つけたら説教だな」

 「貞子も一度きつく言っておかないとダメみたいですね」

 「それにしてもその各務というものも中々だな。気配に敏感な小波を出し抜くとは」

 「かかか!そりゃそうだ。でなければわしらの陣におらんわ!」

 壬月と秋子は自分の陣営の将が勝手に暴走したことに頭を押さえ、各務の小波を出し抜いた実力に春日は感心して桐琴が大笑いした。

 「皆!異変を察知されないように探してきてくれ!」

 「「「「「は!」」」」」

 こうして、アキラ捜索隊が結成された。

 

 そのアキラはと言うと。

 「・・・辛い」

 意識を取り戻したが、自分の居場所が分からなかった。確実に言えるのはどこかの部屋の中で自分は・・・裸だった。そして、最後に一番現実と思いたくないことが目の前にあった。

 「ちゅ、ちゅ、ぺろ、じゅり」

 「あ、ああん!は、は、は、は!」

 「む!あ、おう、ふ、ふふふ、いいわい」

 自分の体をむさぼるように体中を舐めながら激しく自慰をして割れ目を濡らしている各務と、アキラの剛直な刀を濡らしまくった割れ目に入れて自慢のおっぱいを揺らしまくって淫らに動きまくっている貞子、最後にアキラの顔に洪水レベルで濡れている割れ目を押し付けて舐めさせ貞子よりも大きな胸をアキラの両手を持って無理やり揉ませ、目が離せない腰を動かしている白百合。この三人が、自分同様裸になって乱れに乱れていることだ。

 「アキラ・・・おいしい」

 「アキラ様。素敵です!ああ、もっと、責めて~~!」

 「くくく、疼くわい。徹底的に、やってもらうぞ」

 各務はペットが愛を込めて主人を舐める姿に見えるが、貞子と白百合は欲望でしか動かない鬼にしか見えない。実はこの乱交は二刻も経過しているが、今だにやめようとせず、欲望が高まって彼女らの淫乱な動きが激しさを増している。

 意識を取り戻した当初は三人の魅惑的なスタイルに大きいおっぱい、喜んで見せる濡れ濡れの割れ目にアキラも涎を飲み込み、強く欲情して自分の性刀も反応したが二刻もやらされれば辛くなる。

 「あ、あああ、あああ!」

 アキラが限界に達し、貞子に注入した。彼女は歓喜の顔で涎を出しながら果てて、後ろの方に倒れ割れ目から刀が抜けた。抜けた勢いで飛び散ったアキラの液が三人の顔に着いた。

 「お、お願いです・・・休ませて」

 「だ~~めじゃ!ほれ、まだ欲しいと言っておるぞ!」

 「次、私の舐めて」

 「は~~満足です~♪」

 必死の懇願も却下され三人は笑顔でその液を飲み干した。アキラの絶頂を、彼女らに注ぐのが今ので三週目に入っていた。一番目に貞子、二番目に白百合、三番目が各務でやっている。今回の事をやる前に何回も抱かれた各務が最後にされ、貞子がすぐにやりたいため最初になり、白百合が真ん中となったわけだ。

 だが、ここまで休みなしでやらされているのだ。押しのけられればいいが、両手を縛られ近くの柱に結ばれているのだ。足の方も角度九十度開かれて、それも縄で柱に結ばれていた・・・本当に監禁・拘束されている状態なのだ。

 「・・・助けて」

 意識がない時にそれをされたので、氷の力を使って三人を凍らせても自分が脱出できる状況でなければ意味がない。むしろ、三人の方が先に抜け出して自分に更なる淫らな罰が追加される。貞子と白百合がいる時点でそれが予想できたので、今は助けが来るのを待つしかないのだ。

 

 その後、白百合と各務にも液を注ぎ込み、やっと彼女らも休憩するみたいなので落ち着ける・・・と思ったのが間違いだった。

 「ぺろ、ちゅる。アキラ、だして」

 「(^ω^)ペロペロ、アキラ。のどが渇いているのじゃ」

 「体の全てをあなたで染めたいのです、永遠に。」

 アキラの液だらけとなった三人は自慢のおっぱいを使ってアキラの刀をスリスリして、三人同時に魅惑的な舐め舐めをして無理矢理さらに液を出そうとしている。そう、水ではなくアキラの液を飲もうとしているのだ。既に三人に二回ずつその割れ目の奥の方に出して、さっき彼女らの体全身に浴びせたのだ。アキラも限界だった。

 『こんな限界は、超えたくないです・・・』

 しかし、快楽が体を反応させ・・・そして

 『で・・・た(がく)』

 「やっぱり、アキラのこれが、一番」

 「(ゴクリ)うむ!これこそ、酒以上の美味なものよ!」

 「髪にもかかった。全身がアキラ様の匂いでいっぱいに!」

 とても満足かつ嬉しそうに噴水のように飛ぶアキラの液を彼女達は浴びた。だが、アキラは肉体・精神どちらも限界突破したため完全に失神した。

 「アキラ?」

 「ふむ、連続十発じゃからのう。休ませるか」

 「はい!ああ、これ以上ない幸せ。体全部に、体の中に、全てがアキラ様のものでいっぱい・・・二人とも本当にありがとうございます!」

 液を顔に着いた分飲んだ三人は拘束していた縄を外した。液を一番浴びた貞子は、今回の作戦に協力した各務と白百合に礼を言った。

 「・・・最近、抱かれなかったから」

 「わしは面白そうじゃったからのう。かかか!織田殿や他の嫁達を出し抜いたから楽しかったぞ」

 二人とも嬉しそうに液をすくって口に入れた。その飲み込む姿がとてもいやらしくとても淫靡すぎるその姿に、アキラが失神していなかったらまた性刀を太くしただろう。

 「ふふふ・・・後はお願いします」

 「「は?」」

 満足して座っているその二人の背後に貞子が立った。

 

 

 アキラが捕まり、三人が絞り取りまくっていた部屋。実はそこは躑躅ヶ崎館の光璃の部屋、何とここで乱交をしていたのだ。こんな近くにいたのに、小波はどうして気付けなかったのか?答えは簡単で、小波がそこに行かなかったからで、その部屋に近づくのは武田の草以外できないからだ。それに光璃の部屋にアキラがいるなら、その草が光璃に報告していると思ったからこそ気づかなかった。

 もう一つ気づかなかったことは各務の能力であり、小波ほどの草を気づかれずに気絶させる。彼女は自分だけやられたと思い、報告でも自分を気絶させた。としか言わなかった・・・実は館にいる武田の草全員にやってのけたのだ。だから光璃も草からの報告が聞けなかった。

 久遠達三人がアキラの部屋に行ったときに、アキラを各務と貞子が屋根裏から運び、白百合は彼女らの気配に武将達が気づかないようにするため、話し相手になったのだ。

 

 やっと草が機能していないことに気づけ、光璃が小波だと入れない場所を考え自分の部屋にたどり着いた。だが、

 「う、裏切られた」

 「かかか!一本食わされたか!」

 皆が部屋に入るとそこは当主の部屋と言えなく、淫らな匂いと雰囲気がぷんぷんするラブホテル顔負けの部屋になっていた。アキラの液だらけで横たわっている各務と白百合の姿があった。各務は悔しそうに、白百合は一杯食わされたが満足そうにしていた。

 「二人とも、アキラは?」

 「貞子が連れて行った」

 「どこによ!」

 「分からんのう~。わしらはアキラとの蜜時をやれて満足した隙を狙われ、後ろから気絶させられてついさっき起きたばかりじゃ。いや~、アキラはあれほどいいもの持っていたとは・・・くくく、これは本気でわしも嫁になろうか!アキラの子なら孕んでもいいからのう!」

 「・・・探そう」

 二人は座ったままそう話した。白百合の言葉を聞かなかったことにしてアキラの捜索に戻った。

 因みに、白百合はともかくどうして各務は追いかけないのか?というと、二人とも腰が抜けているのだ。さすがに二刻ずっとやり続けたのはアキラだけじゃなく彼女らも結構疲れと体に負担があったようだ・・・それらを無視できるヤンデレ根性を持つ貞子を除いて。

 

 貞子がアキラを持って、人目の付かない森を通ってついた場所は御刺使川だった。使われていない小屋を見つけており、そこに入り込んだ。その小屋は狭く、木で陰になっているため気づける人がほとんどいない。用意周到で布団も既に敷いていた。

 「ふ、ふ、ふふふふふふふ・・・つ、ついに、アキラ様を。アキラ様と二人っきり。アキラ様との愛の日々が、二人だけの永遠の蜜時がやれる!さあ、我慢ができません!あっきら、さま~~!」

 今だ失神中のアキラに、某怪盗三世ダイブであっという間に裸で抱き着いた。

 「・・・っは!あ、あれ?自分は」

 「アキラ様~~」

 「・・・ぎゃああああああああああ!」

 向こうとこっち、どちらの世界でもこれほどまでに恐怖の悲鳴を上げたのが、これが初めてなのかもしれない。そんな悲鳴なんて聞こえてない貞子は、アキラに自慢の胸を擦り付け、更に既にアキラの性刀を割れ目に入れていた。

 

 「永遠に、そう、永遠に・・・あなたはわたしだけのもの」

 

 この言葉に更なる恐怖で体が動かなくなったアキラ。光りのない目で無理やりキスをした。

 「ちゅ、じゅる、ぺる、ぺろ、ぐちゅぐしゅ」

 もちろん、思いっきりねっとりしたキスだ。これが淫猥かつ地獄が合わさった淫獄な一日の始まりだった。

 

 

 次の日の昼に、ようやく淫猥な言葉を嬉々として言っている女性のいる小屋があることを聞き出し、その中で「助けて」と言う言葉も聞いた草からの報告でそこにいることが分かり、急いで皆で向かった。

 「アキラ様!アキラ様!アキラ様!」

 小屋の扉を開けると、合体中の貞子とアキラの姿があった。ただし、

 「・・・・・・」

 アキラはもはや屍では?と思うくらい、生きている人とは思えないくらい白くなっていた。貞子はお構いなしで、性刀を割れ目に刺して自分のおっぱいの先端も抓って、その痛みで快楽を増長させながら腰をすごい速さで振っていた。その二人の周りは三人で乱交した時以上のアキラの液があった。あのキスから、ずっと休むことなくやり続けていたのだろう。

 「あ、ああ、あああ!アキラ様~~~!」

 アキラの絶頂が貞子の中に届いた。何度目の絶頂なのだろうか?首ががくっと動いた。まるで、ドラマで死を迎える人が死ぬ表現で動かすあれのようだった。

 「あ、あああああ、アキラ!!!」

 久遠の悲鳴のような叫びで唖然としていた皆も意識を取り戻して、貞子を気絶させてアキラを救出した。

 

 その後、妻達が交代で必死に看病したかいがあって五日後にようやく意識を取り戻した。その頃の記憶だが、あの小屋に連れ去られた後から先はきれいさっぱり忘れていた。恐怖が記憶を忘れさせるという言葉があるが、まさにそれが発動した。

 ただし・・・、

 「アキラ様。あの、抱いて」

 「いやです!」

 女を抱くことがトラウマとなったのか、抱くというキーワードが出ただけで逃げ出すようになってしまい、妻達はずっと欲求不満でストレスが溜まっていった。

 

 何日かして、ようやく溜まりに溜まった欲望を持って抱いてもらおうと迫った。

 「アキラ!今夜は・・・いや!ずっと寝かせんぞ!」

 「そうよ!子を宿すまでやるわ!」

 「我慢した。だから、やる!」

 「余らの欲情を納めてくれ!」

 ずっと我慢した彼女らの性欲はあの時の貞子以上だ。しかも、一人じゃなく何十人もいる。その相手をするとなると・・・今まで味わったことのない苦しみと快楽がアキラを襲う事になる。そうなるとあの苦しみの二の舞になるのが簡単にわかる。

 

 「・・・た、た、だ、誰か!助けて~~!!」

 

 その妻達から必死に逃げるアキラだった・・・ちゃんちゃん♬

 




 
 と言うわけで、貞子メインのアキラ監禁話でした!

 感想で貞子との絡みを増やして!と言うのを見た時思いつきました!でも一人じゃさすがにばれると思い、各務と白百合に協力してもらいました。


 書いてきて結構面白かったな・・・こんなIFの番外編ならまた書いてもいいな。


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間章22-2 だ~~い好き!なの! R-18

 朝は六時起きだけど二度寝で八時起きの三MENです。

 今回はもうわかりますよね。この子一択です!

 次辺りで駿府の間章を終わりにしようと思っています!


 

 駿府屋形の上段の間。以前は今川義元・・・鞠の母親がいて、信虎が乗っ取った後はおそらく信虎がいて

 

 「うん!ありがとうなの~またね~」

 

 今は、駿府の正当な後継者の氏真・・・鞠がおり、その隣には一葉とアキラもいる。

 「置物は辛いのう」

 「二条館では、その役目を双葉様に押し付けていたではありませんか」

 「そうですよ。今はこの置物が鞠さんにとても大きな力となるのですから」

 「安心せい。ちゃんと心得ておる」

 駿府の後継者と言っても、今の鞠は国を治める力と人手がないに等しい。いくら連合軍を率いて駿府を取り戻して各国から協力が来ると言っても、駿府全部が鞠に戻ったとは言えない。反逆する者もいるので、そういう連中の抑止力として、剣豪将軍と名高い一葉と、日の本で数多くの鬼相手に無明神風流殺人剣で葬ったアキラがいる。

 「今は、私達が鞠の背中を支えるときです」

 「ハニーの言う通りですわ!」

 仮面をかぶって面会に来て鞠に取り入ろうとしても、一葉とアキラは強さだけでなく人を見る観察眼も並大抵ではない。企みなどはすぐ気づけるし、口も上手く、白状させることもできるので鞠にとってはこれ以上ない価値の高い置物だ。

 「次で最後ですな。次は後日としましょう。一気に顔合わせをしては、簡単に取り入れられると思われますし」

 「明日は休みにしていますので、アキラ様も鞠様も十分にお休みください。因みに公方様はダメですよ」

 「詩乃、何故アキラと鞠がよくて余は「公方様は公方様の仕事があります。逃がしませんよ( ̄ー ̄)ニヤリ」・・・ううう、主様~助けてくれ~」

 幽の言葉にがっかりして、一葉はアキラに助けを求めた。

 「幽、手加減してあげてください」

 「もちろんです。ご安心ください」

 「主様!助け「本気じゃなく手加減する約束をさせたじゃないですか」・・・主様も敵じゃ!」

 助けたと言えない助けをして、文句を言う一葉。

 「最後の人を呼んでください。一葉、機嫌直しなさい」

 「だったら、助け「終わったら、額に接吻してあげますよ」本当か!なら頑張るのじゃ!梅、呼んで来い!」

 接吻の言葉で上機嫌になったが、結局助けてないことに全く気付いてない。

 「後で、皆さんにもやりますから、針を刺すような視線を向けないでください」

 「それならいいのです」

 「某も頼みますぞ」

 「鞠も頑張るの!だから、ご褒美頂戴なの!」

 「では呼びますわ!ハニー、お願いしますわ!」

 面会後、ちゃんと彼女らの額に接吻したが、その事を聞いた他の妻達全員の耳に入り、彼女達にもする羽目になった。

 

 

 次の日、アキラは気分転換に小夜叉と駿府屋形を出て周辺を探索していた。鬼の生き残りの確認のためだ。その際、小夜叉から自分に宿っている蛇神の話になり、梅から諏訪の蛇神で武田が大事にしている神社の神であることを聞き、そのことが知られるとヤバいことになりかねないと考え距離を取っているそうだ。織田陣営の人間が武田の大事としている神を奪ったような形に見えるので、同盟の為にも隠しておいた方がいいと思うみたいだ。

 

 『光璃辺りは越後で出した現場にいた一二三から聞いていると思いますが・・・何も言ってこない辺り見なかったことにしてくれているのでしょう。どの道、鬼が出てそこまで意識も回せなかったと思いますし』

 

 小夜叉の気遣いに、アキラは二やつきながら先に進んだが、

 「何でもういないんだよ!」

 鬼が全くいないことに怒る小夜叉。もっと奥のほうまで行って全殺したい!と言ったが、鞠の件もあるので断った。小夜叉も鞠には頭が上がらないのか、鬼殺しを諦めた。

 

 だが、鞠においしいものを食べさせてやろうとシカやイノシシを狩って帰った。

 「うわ~~!おいしそうなの!」

 「すごい、さすがお頭です」

 「へ~、この植物って食べられるんだ。今度、見つけたら取ってこよう」

 「ううう、アキラ様の料理の腕上がってませんか?」

 「ですがハニー。まだ仕事が残ってますわよ」

 「ひと段落です。皆さんで食べましょう」

 「そうだぜ!後でいいって、そんなの!」

 それらの肉や採取してきた野草を使って鍋を作り、鞠とサポートをしている詩乃やひよ達にふるまった。

 「鞠さん。アキラ様と食べてきてください。後は私達が仕事を終わらせますので」

 「ダメなの!皆で食べるの!皆で食べたほうがおいしいの!」

 「ふふふ、そういう事です。皆、鞠の言葉を無下にするつもりですか?」

 鞠にそう言われると断ることができない。

 「そうですね。空腹で作業が遅くなるのも困りますし、アキラ様お手製のお鍋を頂きますか」

 「わ~い!お頭の鍋は久しぶり!」

 「そうですわね、越後以来ですわね」

 「皆、鞠の部屋で食べるの!」

 「お~し!そうと決まれば、さっさと行こうぜ!」

 仕事を中断して、皆鞠の部屋に向かった。

 

 そして、皆で肉も野菜も締めの雑炊も全部平らげた。

 「く~~!食った食った!」

 小夜叉が満足そうに寝っ転がっている。鞠もアキラの膝枕で横になった。

 「うう、満腹で動きたくないよ。ころちゃん、どうしよう」

 「だ、だから、最後はよそうと・・・だけど、美味しかった」

 「アキラ様の作ったものを残すわけにはいかないじゃないですか」

 「詩乃さんの言う通りですわ。ハニーの料理は残せません」

 「ま、まぶたが重たい・・・っは!だ、ダメです!まだ書類が残っていますから頑張らないと」

 ほかの皆も眠たそうだが、雫の言う通り仕事を再開しないといけない。

 「ほらほら!書類仕事なんて、できるやつがやればいいんだ!」

 「・・・説得力がありすぎますわ。これでもか!と言うくらい書類仕事ができないちんくしゃが言いますと」

 「ははは!満足しているから聞き流してやるぜ!よかったな、ちょろぎ!」

 小夜叉の顔に汗が流れている。桐琴から棟梁譲られてから各務がいない間の仕事の分も、ここで戻ってからは全部各務に投げてきたみたいだから言い返せない。ここ最近各務に会えてないのもそれが原因だ。

 「アキラ様。鞠さんをお願いします」

 「今日は鞠ちゃんに譲ります」

 「お頭、許しますよ!」

 「ハニー、構いませんわ」

 雫と詩乃の言いたいことは分かったが、ひよと梅は意味が分からなかった。皆出て行き、アキラと鞠の二人だけとなった。

 「アキラ、ご馳走様なの」

 「ふふ、喜んでいただいて何よりです」

 「うん・・・鞠、とっても嬉しいの」

 「そうですね。この駿府屋形の自分の部屋に戻ってこれたのですから」

 「うん、それもあるけど・・・」

 鞠が起き上がり真剣な顔でアキラを見た。

 

 「皆にしてもらってばっかり。何もしてないの・・・ねえ、アキラ。本当に鞠って頑張っている?」

 

 アキラは一瞬唖然とした。鞠ほど必死に頑張っている者はいないと思っているからだ。

 「なぜ、そう思ったのです?」

 「だって、いろんな人と会うけど皆に用意してもらって、書類も鞠がやらないといけないのに詩乃達がやってくれて・・・」

 信虎に追い出される前は味方が全然いない状態のため、鞠は一人で頑張っていた。だから、ここに戻ってそれをやってないことで無力感を感じているのかもしれない。

 『それだけ、彼女を支えようとする者がいなかったという事ですね』

 それが分かり、アキラは少し考えて言葉を出した。

 「してもらってばかりと言いますが、上に立つ人間はそれを信じることが仕事です」

 「信じることが仕事?」

 「そうです。久遠は壬月さん達を、美空は柘榴達を、光璃は春日達を、葵は綾那達を、自分の為に必死に頑張る彼女達を信じています。鞠、詩乃や梅、雫にひよところ。自分の為に頑張ったアキラ隊の兵達などを、鞠は信じられませんか?」

 「ううん!信じられるの!皆がいたから鞠はここにいるの!」

 「それをするのが、あなたが上に立つ人間としてやる仕事です」

 そう言いながらアキラは絶対最強で必ず倒すと決めた漢を思い出した。

 

 『狂も私達に会う前は、いろいろ辛いことに直面しても必死に生き延びた。そんな中で私達四人に会った・・・もしかすると、狂も私達に出会ったことで今のような立場に立ち、私達を信じたからこそ四聖天が作れたのかもしれない』

 

 果たしてそこまで考えたどうかは分からないが、少なくともそう思えた。

 「ねえ、アキラ」

 そう思っていると鞠がいつの間にか自分の膝の上に乗った。

 「鞠、アキラの事、だ~~い好きなの。鞠の為にいっぱい、いっぱい助けてくれて」

 「それは私のセリフですよ。私の背中を守ってくれた。だから、私もあなたの背中を守った。それだけのこと」

 「それだけ・・・でも、鞠はそれがとっても大きいの。だから」

 鞠はそこで言葉を止めて、アキラにキスをした。以前のありがとうのちゅーと同じように頑張って熱いキスをしてきた。

 

 『もっともっとしたいの!だから、駿府を取り戻したら・・・また、ありがとうのちゅーしようね!そして、その時は・・・もっともっとありがとうをしたいの!』

 

 そのキスをした後にこの言葉をアキラに言った。鞠は望んでいる・・・ありがとうをしたい。キスも、それ以上の事も。

 「鞠。あなたを抱きたい」

 「うん!鞠、お嫁さんだから」

 お嫁さんだから。その一言で知った。かつての温泉と同じことを望んでいることを。

 

 二人とも全部脱いで、鞠を布団に寝かせ、アキラは彼女の上に乗り

 「あ、あああ!な、何!お、温泉、の時と、ち、違う!」

 「ええ、たくさん愛しますよ」

 鞠の蜜の出る小さな壺に己の刀を入れた。温泉の時と明らかに違う事に驚きながらも、

 「でも!すごい!アキラ・・・大きいの。すっごくすごいの!」

 今までアキラはたくさんの妻を抱いた。しかも、ほぼ毎日だ。駿府奪還の時は抑えていたが、ここでその性欲がアキラの刀を太刀にしたのか、鞠は襲ってくる快楽に未知のすごさを感じていた。

 「鞠、あなたを愛おしいから私のこれも大きくなったのです」 

 「うん。鞠も、アキラ大好き。だから、もっとやって!」

 「ええ。あなたの想いを爆発させるまでね」

 まだ三分の一くらいしか壺に入ってなかった太刀を徐々に入れていく。

 「ああああうううう!んんんん!」

 「まだですよ」

 まだ三分の二だ。残り三分の一が残っている。だが、

 「い、いいい、いいいちゃああああああああ!」

 鞠の快楽が登頂してしまったようだ。布団の上でビクン!と跳ねて、くたっとなったが、アキラはやめない。

 「あ、アキラ!ま、鞠」

 「やめますか?まだですよ」

 「・・・つ、続けて!」

 ここでアキラは目を開けた。彼女の全てをしっかり見届けることにしたからだ。どんどん入れていき・・・そして、ついに入りきった。だが、ここでも

 「はあ、はあ、あああ、鞠、また・・・何かがきちゃった」

 二回目の登頂をしたようだ。でも、これはアキラが鞠の体の快感のツボを無意識についているせいでもある。

 「鞠、動かしますよ」

 「うん、鞠を、もっと抱いて」

 鞠の手を握り、体を動かした。鞠の口からはどんどん喘ぎ乱れる声が出てくる。温泉の時は初めてだらけで快楽の波に流されてしまったが、今はアキラへの想いがあの時以上に強くなっているため何とか受け止めている。

 「鞠、綺麗ですよ」

 「え、えへへ、う、嬉しいの」

 綺麗と言う言葉を使ったアキラ。それは一人の大人の女性として見て言っていることになり、鞠はそれを理解して笑顔になった。

 「では、いきますよ、ちゅ」

 「うん。じゅる、ちゅん、みゅる」

 情熱のキスをしながら、体を動かし鞠の体も、想いも、快楽も熱くしていった。更に速さも増していき、離れようとしない両者の唇の隙間から涎が出て、鞠の頬を伝った。鞠の顔も段々蕩けてきた・・・ついに本当の快楽の登頂の時が来たのだ。

 「「・・・・・・(コクン)」」

 お互いの視線が合った。それだけでラストスパートをすることが分かった。キスが離れない程度に頷きあい、

 

 「~~~~!!!!んんんんん!!!!」

 

 声を出せないまま鞠が力いっぱいしがみついて、アキラの熱い情液を受け止めた。

 「!!!」

 アキラの情液が予想以上の勢いにキスが離れ、壺に入っていた太刀も離れ、体も離れた。

 「あああ!アキラ、アキラのが!ま、鞠に、鞠に~~!」

 鞠の顔や胸や脚など、体全てに情液がかかった。出し終えたアキラはその姿の鞠を見て思わず、

 『・・・美しい』

 そう思ってしまった。

 

 鞠の部屋で眠ったアキラ。さすがに、一緒に寝るのは気恥ずかしいのか離れて寝た。その二人が起きたのは昼に近い時間だった。

 

 

 その日は数人の面会を終えて、駿府屋形を調査しているアキラ隊のところに向かった。面会者の中にはかつて鞠を追い出して信虎に着いたものも何人かいたが、鞠は彼らを謝らせるどころか逆に自分が弱かったと謝罪した。その姿にはアキラは感服した。自覚しているからだ。自分なら絶対に謝らせる、と。

 「鞠、あなたは本当にすごい人ですよ」

 「??何がなの?」

 思わずつぶやいてしまった。 

 

 それも終わり、ひよ達のいる部屋に入って鞠は嬉しそうにひよや梅に抱き着いた。

 「アキラ様。それで、どうでした?」

 「本人に聞いたらどうです?」

 「えっと、鞠ちゃん・・・」

 詩乃と雫が聞いたことは、アキラの思っていたことだ。だが、自分が弱く力がなかったからと謝罪する事はそう簡単にできることではない。だからこそ、面会者にした彼女の選択に驚いた。

 

 「鞠は、正しいと思ったことをしたの!でも、力がないの。皆協力してくれる?」

 

 そんな二人が驚く中で、鞠は頭を下げた。

 「うう~!もちろんだよ~!」

 「鞠さん!いつでも力を貸しますわ!」

 「そうだよ鞠ちゃん!私達アキラ隊は一心同体だよ!」

 「ありがとうなの!鞠、皆の事だ~~い好きなの!」

 ひよところと梅が涙を出しながら、鞠に抱き着いた。

 「ふふ、鞠。ここには私達以外にもあなたの力になりたい人がたくさんいます。久遠に光璃に美空に葵。綾那や歌夜に小波もあなたの為に何とかしたいと思っているはずです。こんなにたくさん、あなたの為に何かしたいと思う仲間がいるのですよ。だから鞠はその思いを持って頑張ってください」

 「うん!絶対に駿府を立て直すの!立て直したらアキラ達を招待するの!」

 「鞠さん!いつまでも待ってますわ!」

 「鞠さんがどこまでやれるか、見てみたいですね」

 「はい、楽しみにしてますね」

 五人も鞠の言葉に嬉しそうに返した。アキラ隊らしい明るい空気になったのだが

 

 「そう言えば、鞠さん。昨日はハニーと楽しめました?」

 

 そんないい雰囲気になったのに、梅がそれをぶち壊す発言をした。

 『なあ!う、梅!それを聞きます!・・・あれ何かデジャブが』

 何か以前も似たようなことがあったことに疑問に思っているが、それをしている間にも鞠は笑顔で答えた。

 

 「うん!アキラ、鞠をたくさん愛してくれたの!それに、アキラがたくさん熱いの鞠にかけてくれたの!」

 

 穢れのない純粋な言葉にアキラは汗を流した。

 「鞠。それはさすがに」

 「アキラ様。大丈夫です、アキラ様なら鞠さんにそういう事をしていることはちゃんとみんな知ってますから」

 「詩乃の言う通りです。だから心配しないでください」

 「と言うか、あれだけ好き好きと言っている鞠さんの想いに答えない方がおかしいですわ」

 三人に言われて、言葉が止まった。というか、そういう目で見られていたことにちょっとだけショックだったアキラ。そこに

 「そう言えばお頭。私達はいつ抱いてくれます?」

 ひよの言葉に全員の顔つきが変わった。

 「ひよの言う通りです!私達、待っているんですから!」

 「ま、待ちなさい!それは心と粉雪のとき」

 「それはそれ、これはこれです」

 「詩乃さんの言う通りですわ。さあ、私達にも鞠さんにしたことと同じことをしてください!」

 「さあ、アキラ様。今すぐにでも」

 「アキラ!皆にもしてあげて!」

 鞠以外がアキラに迫ってくる。徐々に後退して、壁に背中がついた時だ。

 

 「主様!余も抱いてくれ!」

 「某も抱かれたいです!」

 

 一葉と幽が乱入してきた。

 「話は聞かせてもらった!主様!余とて抱かれたい!抱かれたい!抱かれたいぞ~!(ジタバタジタバタ)」

 「公方様、そのようなことをしなくても裸になれば抱いてくれますぞ」

 「ふむ、そうじゃな!よし、主様!さっそくじゃ!」

 そう言って一葉と幽が脱ぎだした。

 「負けられません!」

 「うん!ひよ、頑張ろう!」

 「ハニー!さあ、見てください!」

 「アキラ様、いつでもどうぞ」

 「滅茶苦茶にしてください」

 迫ってきた五人も脱ぎながら、更に近づいた。

 「ま、待ちなさい!そのようなことをされても」

 「アキラ大丈夫!鞠もお手伝いするの!」

 「いや、手伝わないでください!と言うか離れて!」

 アキラに抱き着いてきた鞠。彼女の抱き着きで動きが止まってしまった。皆全裸になってアキラを囲んだ。鞠以外の目が血走っているのは気のせいではない。

 「さあ、行くぞ!皆のもの、主様の精をたっぷり浴びようぞ!」

 「「「「「「おう!」」」」」」

 「ま、待ちなさいと言っておわ!」

 皆が襲い掛かってきた!アキラは逃げられない!

 「お、落ち着むぐう!」

 動けない!抱き着かれて押し倒された!キスをされた!そして・・・夫と妻の愛が始まった。

 

 『え~え~、わかりましたよ。それが望みなら、やってやろうじゃないですか!』

 

 その後、全員の腰をたたなくしてやったアキラだった。

 




 
 やっぱり鞠はこうでないと!笑顔の裏には大きな悩みを持つが、アキラが仲間がいるからこそそれを解決できる。

 現代でもそうですね。好きな人が、仲間がいるから助け合って苦難を乗り越える。その思いが大切ですよね。

 次で最後かな?


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間章22-3 勢いでいこう! R-18

 
 やはり、飯でラーメンは外せない!三MENです。

 今回は当主三人とその一人の妹です!後、今回でこの章の間章は終わりです!


 

 駿府屋形の補修作業も職人が来たことでやっと入ることができた。もちろん、長い時間と長い思いを持ってやらないと館は修復しない。

 

 『でも、鞠なら大丈夫でしょう。期待していますよ』

 

 アキラはそう思える確信があった。その理由は、庭で久遠と二人で話している鞠の話にあった。

 「久遠、ここも直しておきたいの」

 「分かった。だが、鞠よ。どうして誰かに任せないんだ?」

 「鞠は今までいろんなところやたくさんのものを見なかったの。だから、駿府も屋形もボロボロになっちゃった・・・これからは小さなところも見て行こうと思うの」

 「なるほど・・・だが、それは長い時間が必要だぞ」

 「うん!分かっているの!」

 この元気な声とまっすぐな信念、そして諦めない精神を持っているからだ。だからこそ、アキラは心配しなかった。

 

 

 その場を去り屋形に戻ると光璃に会い、一度甲斐に戻る話を聞いた。今回の奪還作戦で兵にも犠牲が出て、その立て直しを駿府でやろうにも時間がかかる。越後の長尾の方は、武田より更に時間がかかるので甲斐でやろう、という事になった。

 織田・松平は最終決戦の京への通り道に拠点があるからその途中で出来、浅井は被害が少なかったので、そのまま上洛しても大丈夫とのことらしい。

 そんな会話をしていると、

 「山本勘助!待つっす!」

 「もう~~、勘弁してください」

 困った顔の湖衣を追いかける柘榴の姿があった。

 「おや。柘榴に湖衣ちゃん、どうしました?」

 「アキラさん!勘助が戦ってくれないんすよ!」

 「いやだって言っているのに、しつこいんですよ」

 「頑張って」

 隣にいる光璃はあっさりと部下を見放した。ガーンの文字が湖衣の背後に見えたのは気のせいではない。

 「やれやれ、それくらいにしてあげなさい」

 「そう言われると、じゃあ一回くらいなら!」

 「そんなアキラ様みたいなこと言われても」

 「・・・どんな想像したのか、詳しく聞きたいですね~湖衣ちゃん♪」

 「はう!は、はわわ!あ、あわわ!Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)」

 こめかみに青筋を立てて、ずずいと湖衣に迫るアキラ。焦ってテンパる湖衣だが、柘榴は納得した。

 「分かったっす。アキラさんみたいに一回から二回、二回から三回、三回からたくさんと好き放題奥さん達を抱くみたいな感じは確かに悪いっすね」

 「分かってくれて、って、何故それで納得するのでしょうか?」

 『本当に、自覚してないんっすね。あれだけ抱いているのに』

 『何十人も抱いているのに・・・い、いやいや!私も入りたいなんて思って!』

 『もっと抱かれたい・・・アキラ隊の皆、羨ましい』

 三人ともそれぞれ違う事を考えながらジト目をしていた。見られているアキラは本気で分からなく、理由を考えていた。だから、

 「・・・うん」

 既に光璃が違う目になってアキラを見ていることに気づかなかった。

 

 居心地が悪くなり、庭に逃げると、小夜叉と雀と烏がいた。

 「・・・」「こうすれば、もっと鬼を倒せるってお姉ちゃんが」

 「へ~、俺だったらこうしてこうすれば」

 「・・・」「いい考えってお姉ちゃんが言ってます!」

 鬼の戦いの考えを話し合っているようだ。興味を持ったアキラも、話に混ざることにした。

 「三人とも混ぜてもらっていいですか?」

 「あ!お兄ちゃん!わ~い!」

 雀と烏はアキラに抱き着いた。小夜叉の方はうずうずしていた。

 「いいのですよ」

 「な、何がいいんだ!な、何でもねえよ!」

 「そうですか(ニヤニヤ)。さっきの話、中々興味深かったですよ」

 「そうなんだよ!聞いてみると面白くてよ!」

 「・・・」「小夜叉ちゃんの話も参考になったってお姉ちゃんが!」

 『なるほど、同じ敵を違う視線で戦いますからね。話し合って戦いの幅を広げる。そういう事をしていたのですね』

 三人の会話でそれが分かり、アキラもいろいろ意見も出していると

 「あら?アキラ」

 そこに美空がやってきた。

 「おや、美空。どうしました?」

 「通りすがっただけよ。それより何の話をしているの?」

 美空にもさっきの話をしてやった。もちろん、持ち場と配置の違う戦いを聞いて何の得か?と聞いてきたが、逆に知るからこそ戦いの幅も戦略の組み方も広がっていくことを伝えると、

 「・・・ふ~ん、なるほどね」

 何か意味ありげな笑みを浮かべて去っていった。

 「何だあいつ?」

 小夜叉の疑問はアキラも同じだった。

 

 三人と別れると、屋形内で雫と梅に声をかけられた。鞠の今後をアキラからも意見が欲しいとのこと。さっきの久遠の話を伝えたがそれは駿府屋形だけであり、今川の棟梁としての立場や、駿府の民の事などはどうするべきか?という事らしい。もちろん、アキラがわかるわけがないので久遠に聞くべきと判断した。

 「久遠様、ちょうどいいところに」

 「あの、鞠様の事で」

 そこにちょうど彼女が来たので雫と梅が訊ねたが、久遠は知らんと返した。何でも自分と鞠は状況が違うとのことらしい。

 「なるほど、久遠も必死で家を建て直したが、家中であなたを慕うものがいたからこその話。鞠は全くと言っていいほどいませんですからね」

 「そういう事だ、まあ鞠はうまくやるだろう。我や光璃達だって協力しているのだ」

 その通り。と内心思いながら頷いた。

 「ええ。ところで何か用ですか?」

 「ああ、アキラに用があったんだ・・・って食事中か」

 「急ぎですか?」

 「いや、急ぎではない。食事が終わったら、我の部屋に来てくれ」

 「分かりました。食後に二人を抱いた後で参ります」

 「そんなに待てんわ!食後に来い!いいな!」

 真っ赤になって部屋を出て行った。意地悪をして楽しめた後に食事を再開したが、二人は期待する眼差しでアキラを見ていた。そんな彼女達に一言。

 「冗談ですから」

 「そ、そんな!」

 「ひどいですわ!ハニー!」

 二人は恨みがましい目でアキラを見たが、あっさり流した。

 

 ちゃんと、食後に真っ直ぐ久遠の部屋にやってきた。

 「やってまい・・おや」

 その中には久遠だけでなく、美空と光璃もいた。

 「お二人もいましたか。折角久遠の腰をたたなくなるくらい愛でてあげようと思いましたのに~」

 「なあ!き、貴様は何を言っている!」

 「へ~、羨ましいわね久遠。アキラ、私は愛でないの?」

 「光璃もされたい」

 「はいはい、分かりました・・・光璃、一つ聞きたいことが」

 「何?」

 久遠をいじって楽しんだが、真剣な顔で聞いたので光璃も真剣な顔になって聞く姿勢になった。アキラが発した言葉は

 

 「大丈夫ですか?私はあなたの母を殺した人間ですよ」

 

 光璃のトラウマをえぐるような発言だった。だが、しないといけない。

 「・・・・・・」

 「「アキラ!それは」」

 「仕方のないことで片づけるわけにはいきません。どんな結果であろうと私が言ったことは事実です。あなたがどうしたいか、その答えを聞きたい」

 久遠と美空が言おうとしたことを先に抑え、光璃からの答えを待った。

 

 「アキラは母様を殺してない。止めてくれた。そして、母様を戻してくれた・・・あの頃の母様に・・・ありがとう。感謝の気持ちでいっぱい」

 

 彼女からの答えは感謝だった。最後の最後で思いが通じ合ったことで、トラウマを乗り越えたようだ。

 「そうですか・・・なら、私はあなたの夫のままでいいのですね?」

 「うん。アキラが夫やめるなんて、いや」

 「それを聞いて安心しました。光璃、これからもよろしく」

 「うん。アキラ、よろしく!」

 アキラに抱き着いた。光璃の頬を伝った涙を見て、久遠と美空は止めなかった。

 

 その後、一段落してアキラを呼んだ理由を聞いた。それは同盟内におけるこれからの事で、お互いの国の川の濁流対策や道の整備や物流の交易など、たくさんあったがアキラにとっては分からないことだらけだった。

 「アキラは別にそういう事を気にしなくていい」

 「そうよ。ただ、これらをするには金がかかる。それは分かるでしょう?」

 「だからこそ、抑えるべき場所がある」

 それを言って、彼女らの目的が分かった。

 「さすがにここまで言えば分かるか・・・そう、堺だ」

 久遠の言葉に頷いた。金が最も動き、最大限に抑えておくべき場所だ。

 「疎い私でもそれくらいは分かります。これから先の同盟で、必要な金をその堺からもらいたいという事ですよね」

 「その通りよ。ただ、一つ問題もあってね」

 「私達じゃ無理」

 「はあ?何がですか?」

 三人がその問題を解決できないことに、アキラは驚きながら聞いた。

 「その問題の解決のためにアキラ、そなたに堺を任せたい」

 「はあ?どうして私ですか。あなた達堺で働きたい商人を集め、店を出せるように手を回せば自然と金が回ると思いますが?」

 アキラの言葉に笑顔になった。

 「やはり、アキラしかいないな」

 「ええ、異議なしよ」

 「うん。お願い」

 更にわからなくなるアキラに、久遠達が説明した。

 「お前も言ったようにあそこは商人の町だ。我々のように武将で治めていない」

 「だから、私達の命令を聞かないのよ」

 「でも、アキラは違う。そういう見方は私達ではできないし、何よりアキラは差別しない・・・むしろ分かってない」

 商人は金が命であり、その為なら武将や当主の言葉すら聞こうとしないし命令も従おうとしない。でも、アキラはサムライという立場だが、壬月や春日達のように正式なものではない。しかも身分や立場を全く考えないでいろんな人に接している。だからこそ、抜擢したとのことだ。

 「身分を無視して接するからですか・・・まあ向こうの世界では将軍をボコボコにしたり、あばらを折ったしましたからね。そういう事なら納得です」

 「・・・ま、まあ、そういう事だ」

 「と、とりあえず、頭の中に入れておいて」

 「詳しいことはまた今度」

 「ええ、分かりました」

 平然と日本で一番偉い人を痛めつけた過去があることに彼女達は汗を流した。部下づてで聞いたことがあるが、本人から聞くとやはり冷や汗をかく。

 「向こうの世界の将軍と仲がいいと聞いていたが、そんなことまでしていたのか」

 「あんた、よくそんなことして仲良くなれたわね」

 「普通なら処刑される」

 「当時は身分を隠してましたからね。一緒に行動しているときはよくケンカをしましたよ・・・美空と光璃、あなた達のようにね」

 ニコッと笑い、見せた笑顔に三人は見惚れて顔を真っ赤にした。

 

 話も無事終わり・・・と思いきや、問題がこの後発生した。

 

 「アキラ、今夜誰と寝るの」

 

 光璃から閨の相談が来た。これが久遠と美空の妻の導火線に火をつけた。

 「そうだな、我を愛でるのだろう」

 「当然、私も忘れてないでしょうね」

 「なあ!ま、待ちなさい!」

 久遠も二人の乗り気に乗っているのか、いつも見せる恥ずかしさを出していない。

 「「「さあ、アキラ。返答はいかに!」」」

 「わ、分かりました!やらせてもらいます!」

 冗談と言える状況ではなくなった。

 「さあ、存分にやろうぞ!」

 「アキラ、最初は私よね?」

 「ダメ、最初は光璃。美空は最後」

 三人が一斉に抱き着いて、アキラを押し倒してキスをした。それが始まりの合図だった。今夜ではなく今になったのは四人にはどうでもいいことだった。

 

 

 夕方になって、アキラが部屋を出た。その部屋には火照った顔の三人が寝ている。もちろん三人ともヌード姿だ。

 「ふ~、良かったです。ここで終わってくれて」

 その三人の体にはところどころ白いものがついており、満足そうに寝ている。夕日に照らされた汗と蜜と白いもののかかった三人の体が蠱惑的に見えたので、涎を飲み再び抱きたい気持ちを持たせたが、理性をフルに使ってその部屋を出た。

 「やばいですね・・・女を抱きたい気持ちが強くなってます。とりあえず落ち着きましょう」

 深呼吸をして、考えを切り替えた。

 「さて、次は夕霧と薫ですね」

 光璃に話した信虎の件。後の二人は大丈夫か?を確認しないといけない。

 

 歩いている途中でうまいこと薫は見つけた。部屋に案内してくれ、夕霧もいた。

 「兄上・・・母上の事でやがるか?」

 「お兄ちゃんが聞きたいことって、それでしょ」

 やはりアキラの用件に気づいていた。アキラの姿を見た時点で感づいていたのだろうから、すぐ聞くことにした。

 「二人とも、私はあなた方の母親を「違うよ!」、薫?」

 「違う!お兄ちゃんはお母さんを止めてくれた!お母さんを戻してくれた!お母さんを「落ち着くでやがる。薫」で、でも」

 「夕霧も、薫も兄上がやったことは正しいことを思っているでやがる」

 アキラが言おうとした言葉を薫が止めた。続けて言おうとした言葉を夕霧が止め、彼女が代わりに言った。

 

 「最後に、夕霧達が大好きだった母上に戻ってくれた。最後にそれが見れて満足でやがるよ」

 「そうだよ!好きなお母さんを戻してくれた!だからお兄ちゃんがそれを言わなくていいの!」

 

 どうやら、二人も乗り越えたようだ。

 「そうですか。光璃も同じことを言っていました。よかったです」

 「姉上も、本当に兄上に感謝しているでやがるよ」

 一段落した中で、薫が反応しなかった。

 「薫?どうしたでやがる?」

 「ねえ、お兄ちゃん。悪いと思っているなら、お願い聞いてくれる?」

 「はあ!か、薫!な、何を言って!」

 薫がそんなことを言うのはおかしい。夕霧はビックリしたが、それ以上にもっとびっくりする言葉を薫は言った。

 「お願い、それは何ですか?」

 

 「あのね、夕霧お姉ちゃんもお嫁さんにしてほしいの!」

 

 二人して唖然とする。だから、薫は止まらなかった。

 「光璃お姉ちゃんも私も、お兄ちゃんのことすっごく好きだよ。でも、夕霧お姉ちゃんもお兄ちゃんの事大好きなの!夕霧お姉ちゃんもお嫁さんになってくれたら、私達も嬉しいの!だから」

 「ちょ、ちょちょちょ!か、かかかかか、薫!」

 「それに、お兄ちゃんの事を想って、私達みたいに慰め「わあ!や、やめるでやがる!」」

 薫の爆弾発言の連発に、夕霧は真っ赤になって止めに入った。

 「な、なんてことを言うでやがる!」

 「本当の事じゃない。だから、お兄ちゃんお願いね!薫、しばらく出ているから!」

 だが、薫は止まらない。部屋に出て夕霧と二人だけになった。彼女なりに二人っきりにしたつもりなのだろう。

 「//////」

 アキラの顔を見るのも恥ずかしいのだろう。更に真っ赤になって俯いた。

 「本音を聞かせてください」

 「・・・薫の言う通りでやがる。夕霧も兄上の事、好きでやがる」

 ごまかしができる性分ではない夕霧。素直にアキラに告白した。

 「ううう、薫に言わされた感じでやがる」

 「でも、光璃も薫もあなたが嫁になることには反対しないですよ」

 「・・・そうでやがるな(どうするでやがる。もうこのまま引き下がってもらうか。うん、そうしてもらうでやが・・・い。いや!)」

 いきなりの展開で告白するだけでもういっぱいいっぱいの夕霧。今日のところは引き下がってもらおうとしたが、

 「あ、兄上!き、きき、聞いてくれでやがる!(夕霧の覚悟と想いを、み、見てもらわないと!こうなったら勢いでやがる!勢いで、いくでやがる!)」

 彼女らしく勢いで覚悟を決めた。

 

 「あ、兄上。だ、抱いて、くれ、で、やがる(*ノωノ)」

 

 「・・・本当にいいのですか」

 アキラの質問に夕霧は無言で抱き着いて、キスをした。

 「いいんでやがる・・・夕霧は、兄上の温もりが、欲しいんでやがる」

 「・・・そうですか、では」

 抱きこむように、夕霧を抱きしめた。

 「あ、ん、あ、ああ、ん、んん」

 「どうです?気持ちいいでしょう」

 「あ、そ、そんな、事、聞くな、で、やがる」

 抱きしめた後、夕霧の背後に回って手を彼女の服の中に入れて胸を揉み始めた。指で乳首を刺激しながら揉む。

 「ん、ちゅちゅ、ちゅ~~。じゅる。ぴゅる」

 同時に熱く燃えるキスをやる。夕霧にしているのはそれだけであり、割れ目をいじったり、尻を揉んだり、敏感そうな首や他の部分を責めたりはしない。単調な行動の繰り返しだ。

 「んああ、ああ、ぬ、濡れる。ぬれちゃう、でやが、る」

 同じ快楽の繰り返しも積み重なっていくと、発情のテンションが上がっていく。それが証明するかのように夕霧の顔は蕩けていた。割れ目の方も、彼女の下着は愚か、その上にはいている服すら既に濡れていた。

 「では、いいですね」

 返事を聞かないで、夕霧の下の部分を全部脱ぎ取った。アキラも袴からの隙間を使って自身の性の刀を出して彼女に見せた。

 「あ、兄上、のす、すごいでやがるな」

 「違いますよ・・・今の私は、誰ですか?」

 「・・・夕霧の夫」

 「そう、これは妻の欲情した姿のいやらしさにこうなったのです」

 「お、夫は意地悪でやがる」

 「今頃気づきました?私、好きであればあるほど意地悪したいのですよ」

 彼女の後ろの首筋をベロ!っと舐めた。その行動に一気に夕霧の体がぞくっとした。同時に割れ目からの蜜の量が増えた。

 「な、何をするでやがる!」

 「ふふ・・・愛してますよ」

 「ひゃ、ひゃあああ!ああ!」

 その行動を繰り返した。体がゾクゾクとしながらも、感度が今までの焦らしで高まっていたために、寒気と欲情がダブルで夕霧を襲った。その二つで戸惑っているところに

 「あ、ああああ、ああ!は、入って!」

 彼女の割れ目に侵入した。そのまま入れ続け

 「あう!い、いた、い!あ、ああああ!」

 女性の体への階段をのぼった。彼女の体をいじろうとせず、アキラは始めた当初と同じように胸だけをいじり続けた。

 「あう、ああ、そ、そんなに、夕霧のお、っぱい。気に入ったで、やっ、がるか?」

 「ええ。とてもかわいいですよ」

 「は、恥ずかしい・・・でやがるよ///」

 腰を動かすのも当然忘れない。痛みが徐々に消え快楽になって意識も混雑してきたため、話が半分ほど聞こえていない。

 「ああ、うう、ええ。だ、ダメで、も、もう」

 「そうですか・・・もっと続けたいですが」

 彼女の体を十分にいじっているうちに、達したい気持ちになった。だから、揉みも突きもペースアップした。

 「あああ、あ、アキラ殿!アキラ殿!ゆ、夕霧は!夕霧は~~!」

 「いいですよ!そのまま突っ走りなさい!」

 アキラも夕霧も絶頂の時が来た。アキラはそのまま抱きしめ、夕霧も腕を後ろの回してアキラを離さないようにしながら

 

 「あ、ああああああああ!あ、アキラ、殿~~!」

 

 アキラの渾身の一発が彼女に炸裂した。その一発にとても満足したのか、力が抜けてそのまま前に倒れてしまった。

 「あ、アキラ、殿・・・と、とっても、よかった、で、す」

 疲れと快楽、アキラと繋がった嬉しさが重なり、夕霧はそのまま眠りについた。

 

 

 彼女が目を覚ました時には既にアキラはいなかった。代わりに、

 「夕霧お姉ちゃん。どうだった?」

 「・・・聞くなでやがる」

 薫がいた。興味津々で聞いてくる彼女に背を向けて耳を貸さないようにするが、妹の薫には既にその行動が全てを言っているようなものだ。

 

 「良かったね!夕霧お姉ちゃん!」

 

 それだけ言って薫は部屋を出た。

 

 『薫には叶わないでやがる。でも・・・嬉しかったでやがる。姉上も薫も、こんなに満たされた気持ちになったのでやがるな。愛されるのがこんなに幸せだったなんて、初めて知ったでやがる・・・アキラ殿、三人そろってよろしくでやがる』

 

 心を言い当てられたが、それを受け入れ女として、妻としての嬉しさを十分に実感しながら、再び夕霧は眠りについた。

 




 
 原作だと駿府からそのまま上洛していったけど、ここでは甲斐に戻します。まだ、甲斐の間章も残っていますし、時人・朱雀・庵樹とも合流したいですからね。
 因みにその間章は次の章で書こうと思っています!

 後、三姉妹は無事アキラが倒した信虎の死を乗り越えたことを今回出しました。三人ともアキラのおかげで信虎の昔に戻ったと思っていますが、三人の親への愛と情がそれをさせたとアキラは思っています。

 あと一つ本章を書いて、八章目ついに終了です!甲斐に戻ってからの話です!


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八十九振り目 もう、あなたしか目に入りません

 
 最近、脂肪を燃焼する炭酸を飲んでいる三MENです。

 いや~、やばい。仕事先で人が辞めていく・・・ますます人手が足りなくなり残業も続く。でも、しなくてもいい日はあがらせてくれるし、無理やり長時間残そうとしない分去年の社会現象にもなったあれよりはましです。仕事先の人達も本当に優しい人達ですし。

 今回は甲斐に戻る前と戻った時の話です!第八章はこの話で終わりです!


 駿府の戦いも終わり、再建の予定も決まった。織田・武田・長尾、更には松平がいろいろと金銭面・食面などといった、今川に必要なものを全部無償で鞠に与えることにした。それらをどうするか、当主の鞠が出した結論は・・・

 

 『ぜ~~んぶ!民の皆にあげるの!』

 

 全てを民にあげるという答えだった。義元の死後、鞠を裏切って信虎に着いたがついていけず姿をくらませたかつての臣は反対したそうだが、それらを押しのけて鞠は民にあげた。今までの苦しい思いをさせたお詫びだろう。

 自分の私腹を肥やすことができなくなったその者達は鞠から離れていった。中には離れないで鞠のところに残ったものもいた。鞠の寛大な思いに感銘したのか、それともここ以外はないのか、それは知らない。でも、駿府を修正できるスタートはできた。

 『後はあなた次第です。頑張りなさい』

 アキラは鞠のその姿を見て、エールを心で送った。

 

 

 駿府屋形の評定の間で甲斐に戻ることを武将達に伝え、各勢力は戻る準備を始めた。アキラ隊も準備をしているが、アキラは手が出せないので日向ぼっこをしていると一人の武将が近づいた。

 

 「アキラ様」

 

 鬼の呪いを受けた葵だった。あの情熱的かつ蠱惑的な一夜から何日も経過した。悠季の話では、体の方も問題なくなり仕事に戻ったと聞いた。

 「葵、本当にもう何ともないのですね」

 「はい。アキラ様のおかげです・・・」

 少し顔を赤らめもじもじしている葵。

 「それは何よりです。頑張った甲斐がありました」

 「はい・・・アキラ様。隣に、座ってもよろしいですか?」

 「構いませんよ」

 近くにあった座布団を取り、葵を座らせた。その際、葵がその座布団をアキラの座布団にくっつけ、わずかな空間を埋めてくっつくようにアキラの傍に座った。

 「あの・・・アキラ様の傍に、い、いたい、のです///」

 「構いませんが、どうしたのです?そんなに甘えて」

 「アキラ様、あの、お聞きしたい、ことが、あります」

 アキラの質問を聞き流した葵。いや、聞こえていなかった。アキラと二人っきりで一緒にいたい。葵からすればそれが照れくさく嬉しかった。アキラの質問が聞こえなかったのはその為だ。

 「何でしょうか?」

 「あの、アキラ様は私を必死に人に戻してくれました・・・ですが、怖くなかったのですか?鬼の呪いが、アキラ様にも移るかもしれなかったのに」

 「・・・あ、ははは!そうでしたね。気づきませんでした。あの時は必ずあなたを助けたい。その一心だけでした」

 「そう、ですか」

 真っ赤に俯いている葵の隣で笑うアキラは気づかなかった。彼女の顔がとても蕩け、緩んでいたことに。

 

 『私を絶対に助けるために・・・嬉しい。こんなに想われたの初めて。そんなに必死に求められたのも初めて・・・アキラ様。もう、もう。あなたしか目に入りません』

 

 「ですから、あなたの無事な姿を見れてホッとしているのですよ」

 アキラの言葉一つ一つが葵を更に蕩けさせる麻薬になっている。彼女はアキラの肩に頭を乗せた。

 「アキラ様・・・私、とても苦しかった。辛かったです・・・鬼の呪いが自分を焼く炎みたいに私を焼いていました」

 アキラの手に自分の手を乗せ、握り、自分の膝に持ってきて語り始めた。アキラは抵抗せずただ聞いていた。

 「このまま鬼になるしかないのか、と思うくらい苦しかったです・・・でも、その時でした。聞こえたのです・・・あなたの声が」

 アキラの手を自分の胸に置いた。一瞬ひっこめようとしたが、握る葵が離そうとしなかった。

 「私の名前を呼ぶ声・・・ここに届きました。同時に、あなたの愛が、私に注がれ」

 「・・・まさか」

 「はい。途中からでしたが・・・意識だけは戻ったのです。でも、体の方は呪いがついたままで、ずっと求め続けて」

 葵はアキラの体に自分の体をくっついた。

 「私の為に必死になってくれて、私を抱きしめてくれた・・・そして、アキラ様が、誓いを、果たそうとしてくれた。それに気づいた時でした」

 アキラの頬にキスをした。驚いて葵に顔を向けた。彼女の顔は恋する乙女の顔になっていた。

 「愛は、鬼の呪いすら打ち破ることができる力を持っていることを。その愛は無限に強くすることができる。それに知ることができました。この愛があったからこそ私は呪いを破れたのだと思います」

 アキラに抱き着いて、ついに告白した。

 

 「愛しています。アキラ様・・・あの誓い、果たしてもらえませんか?」

 

 自分を誑して、嫁にする。アキラは確かに葵にその誓いをした。彼女はそれを望んでいる。だから、葵を抱きしめ返してアキラもしっかり想いを伝えた。

 

 「葵、私も愛しています。あなたをずっと愛します」

 

 頬を両手で包み、アキラは目を開けて葵を見た。

 

 「あなたのその心をもっと私に見せてください。そうですね・・・京での一件が終わったら、一度会いましょう。その時は、あなたの全てを私にください」

 

 お前が欲しい宣言と同時にキスをした。だが、あくまで唇を合わせるだけのキスでそれ以上はしない。何故なら、

 「はい、お待ちしております。それが終わったら、私は身も心もアキラ様だけのものになります」

 京で全てが終わってからだ。だからここまでにして、キスをやめ二人見合った。アキラも顔を赤くした。

 

 「葵、妻になってくれますね」

 「はい、喜んで。あなたの妻になりたいです」

 

 両者合意の夫婦宣言。これで、葵も妻になった。

 

 その後、葵は残念そうに松平勢の準備のため去っていった。

 『葵もついに妻になりましたか。まさか、あの時に意識を取り戻していたとは思いませんでした。愛の力は無限・・・そうですね。狂や京四郎も愛する人の為に必死になりましたし・・・私も』

 葵の言った愛の力に頷けた。例に出した二人もだが、自分も今はたくさんの愛する妻がいる。その妻達の愛があるからこそ、アキラは自分はもっと強くなれると思っている。

 『最後の戦いは必ず勝利しませんとね・・・あの無能に思い知らせてやりましょう。こちらの持つたくさんの愛の力、それがどれだけ強いのかを』

 アキラもその場から去っていった。

 

 

 松平の陣に戻る葵。後ろから見ると、酔っぱらっているのでは?と思うくらいふらついていた。

 

 『アキラ様の妻、アキラ様の妻、アキラ様の妻、アキラ様のもの、アキラ様のもの、アキラ様の犬、アキラ様の牝犬、アキラ様の〇〇〇〇・・・』

 

 妄想でアキラの妻からもの、犬とどんどん過激になっていく。それほどまでに葵は嬉しく、欲望に溺れたい一言だったのだろう。

 「葵様?」

 悠季の言葉すら聞こえていない。悦に浸りまくっているその顔は彼女が初めて見た顔だ。その顔を見て面白くない悠季。

 

 『アキラ殿のところに行くと言ってましたが、一体あの人は何をして葵様をここまで「アキラ様の、妻。うふふ」・・・まさか!葵様がアキラ殿の妻に!そ、そんな、悔しい、悔しい!あの人の心は私だけだったのに、完全にあの男のものになってしまった・・・でも、何故でしょう。アキラ殿にとられたのに、快楽に感じるこの気持ちは?ドキドキする、ああ、何か体が疼く。どうして、どうしてかしら?』

 

 葵を捕られて悔しい気持ちになったが、逆に興奮していた。疼いて自慰をしようとしたが何とか我慢して、再度葵に声をかけて報告した。

 

 

 時が経ち、無事甲斐に戻ってきた。駿府を取り戻した鞠はというと、京にいる無能を倒すまでは共にいることを決めていたので、アキラと共に甲斐に戻った。アキラ隊の皆が嬉しそうにしていたのが分かった。

 ついに京への上洛。そして、エーリカを救い、日の本を救う。これをアキラが皆に伝えた。連合軍のそれぞれ勢力の連携も前回の駿府でよくなってきた。後は京に着くまでの行軍の進路の確認や食料・馬の飼い葉の確保。他には将達のさらなる交流とチームワークの向上などいろいろある。これらを美空と光璃の兵の補充などを行っている間の済ませて、全てが終わった時に上洛を開始するという事になった。

 

 久遠・美空・光璃や他の大将の激を飛ばし、ついに最後の準備に入った。アキラ隊の皆も仕事が入ってドタバタだったが、アキラは決行日までそんなに仕事がなかった。部屋でくつろいでいると

 「「「アキラ」」」

 「おや、三人一緒ですか」

 朱雀・時人・庵樹がアキラの両隣と前に座った。甲斐での留守番も終わり、ほかの皆もまた忙しくなったので、今のうちにアキラを三人占めをしている。

 「随分暇そうだな。アキラ」

 「私の仕事は、時々ですからね。隊も肩書大将ですし、軍の方は妻がやってますし」

 「ダメ公方よりましですよ。さっきも幽から逃げてましたし」

 「ふふふ、朱雀。それが一葉ですよ」

 「紅虎も時々逃げては、真尋につかまっていたな」

 「時人の言う通り、日の本の大将はそんなに逃げたいほど仕事が多いのですかね?」

 少し笑い話をしながら、お茶を飲んだ。

 

 そうやって話も終わり、夕日が沈んでいくところを見ていた。

 「それにしても、この世界に来てどれだけの時が流れたのでしょうね?」

 「アキラは尾張からだけど、私達は越後だからな」

 「でも、確かに長く感じますね」

 「だけど、実際は一年どころか半年も経ってないんだよな」

 この世界での出来事が、あの大戦並みに内容が濃かった。だからこそ、四人はそういう気持ちになっていた。

 「久遠が織田信長と知った時は本当に驚きましたよ」

 「向こうじゃアキラ、あいつを裏切ったもんな」

 「それ以上に、武将が全員女と言うのもびっくりしましたね」

 「ハーレム気分だった。という事だな?アキラ様」

 庵樹の言葉に、時人と朱雀もジト目で見た。

 「怪しい男として見られることの方が多かったですよ・・・まあ、現状はその通りになってしまいましたが」

 「しかも、増え続けている最中・・・これはもう急がないとな」

 すると、庵樹が二人に耳打ちした。すると二人とも頷いた。

 「アキラ。しっかりここ守ったから、ご褒美くれるよな」

 「抱いていただけますよね。約束したのだから」

 「撤回は無しだよ。楽しみにしていたんだから」

 三人とも服をあっという間に脱いだ。

 「なあ!ちょ、ちょっと!三人とも!」

 「ふふふ、安心しな。あんたを脱がそうとしないさ」

 「押し倒して抱くというのも、ちょっとマンネリ化してますから」

 「今回はアキラに、されたいんだ」

 そう言いながら朱雀がヒョウタンを取り出した。もちろん中身は酒だ。

 「まずは私からだ」

 庵樹がそれを口に含んだ。そして、

 

 「ん、ん、ちゅ、ちゅ、しゅる。べりゅ」

 

 口移しで飲ませた。だが、何回も舌を絡めながら酒を飲ませ

 「はあ、アキラ・・・も、もう一杯」

 もう一口含み、再度口移しという名の快楽キスに酔いしれた。庵樹の股の割れ目からは液が流れ出た。

 「アキラ・・・おね「庵樹さん、三人で飲ませた後の約束です」う・・・わ、わかったよ」

 アキラの手を自分の割れ目に持っていこうとしたが朱雀に止められた。どうやら約束をしていたようだが、我慢できなく快楽に体が支配されているのか見られているのに自慰を始めた。自分の胸の乳首を舐めながら、割れ目に指を出し入れし続けた。

 「はあ、はあ、もう、切ない、よ」

 「アキラ様、次は私」

 そんな庵樹を無視して、朱雀は自分のおっぱいをまず持ち上げた。

 「アキラ様、ここにお酒を」

 朱雀は自分のおっぱいを真ん中に寄せながら、持ち上げてできた凹みに酒を入れてアキラに飲んでもらおうというのだ。そう・・・おっぱい酒だ。

 「さあ、アキラ様。あなたの好きに」

 「朱雀・・・いただきます」

 アキラは朱雀のおっぱいを揉みながらその酒を飲み始めた。

 「ああん!もう、アキラ様」

 「動かないで」

 「そ、そんな、じ、じらさないで、ください・・・」

 指の動きが快楽のツボを刺激する。愛する人に揉まれるだけで、既に彼女の割れ目も濡れ濡れなのに、自分のおっぱいに顔を埋めながら揉んでいる。完全に身も心も蕩けてしまった。既に手が離れ、アキラの手で酒をこぼさないようにしている。

 「ごく、ごく」

 「はあ、はあ、あ、あき、アキラ、様」

 目もうつろになって、焦点が定まっていない。アキラの顔を見ているが、本当に見えているかどうか。

 「はい、ご馳走様でした」

 「あ、ああ、は、はい」

 やっと終わった。それと同時にアキラに向かって体を倒そうとしたが、

 「はい、ストップ。今度は私の番だ」

 「は、はい・・・ま、待って、ます」

 その朱雀を時人が止めた。止められた朱雀は、約束を律儀に守った。が、庵樹同様我慢できないのか、彼女もまた自慰を始めた。時人はアキラを自分の方に向けた。もう既に準備はできていた。

 「と、時人!」

 「・・・の、飲んでくれ!」

 顔を真っ赤にして、酒を見せた。

 「・・・・・・ええ」

 アキラは意を決して顔を近づけた。その酒が、脚の太ももをくっつけてさっきのおっぱい酒のようにできた凹みに酒を入れて、相手に飲ませる。そう、あのワ〇〇酒だ。

 

 『ううう、や、やばいよ・・・確実に、わ、私のあ、あの液も、混ざって』

 

 さっきの二人の飲ませ方と今やっている自慰を見て、時人も既に半分以上欲情していた。だから、アキラが飲もうとしている酒には自分のあの液もミックスしているという事になる。その事実に時人は真っ赤になっている。恥ずかしいが我慢して、飲むアキラを止めなかった。

 「い、いい、よ」

 「じゅる、ちゅる、ごく」

 飲む姿に悶えそうになった。体も震え、更に欲情したが必死に我慢した。

 「ごくり・・・ふう、ご馳走様」

 「あ、ああ、お、おそ、ま・・・あああ!」

 飲み終わってご馳走様にこたえようとしたが、我慢ができなかった。でも、ばれたくない。だから

 「どうしました?」

 「あ、あ、アキラ・・・じゃ、じゃあ!いいよな!」

 アキラに抱き着いて、彼の股間に手をやった。抱かれることであやふやにすることにしたのだ。それに、

 「アキラ様・・・私のおっぱい、まだお酒が残っています」

 「なあ、アキラ。どうだい?私のおっぱい酒も」

 この二人も黙っていない。朱雀は自分のおっぱいをアキラの顔に近づけ、庵樹も朱雀より少ないおっぱい酒を作り、アキラに迫った。

 

 「「「さあ、好きに、して/////」」」

 

 もちろん、答える。自分を追って世界の壁をも飛び越えたこの三人の誘惑に抵抗も拒否もしなかった。

 

 

 三人の体にたっぷりアキラの液がついた。割れ目からも出てきて、胸や顔にも流れ落ちた。満足そうな笑顔で横たわっていた。

 「アキラ・・・ずっと一緒」

 「アキラ様、朱雀はあの時から、あなたの事だけを」

 「あんたを想えて、本当によかったと思っているよ」

 右から時人、左から朱雀、アキラの上に庵樹がいる。三人は嬉しそうに抱き着いている。

 

 「私も、あなた達が妻になったことも、世界を飛び越えて追いかけてくれたことも・・・共に生きることを誓ったことも、全部嬉しいです」

 

 三人の顔を目を開けて見て笑顔で頷いた。そして、四人は眠りについた。

 

 

 躑躅ヶ崎館は見張りの兵を除いて、ほぼ全員が眠りについた。その時、アキラ達四人の部屋から光が出た。その光の元はアキラの三つの刀と時人の北斗七星だ。四つの刀はくっつくように置かれており・・・光は躑躅ヶ崎館全部を覆い、すぐに消えた。兵は何だ?と思ったが、変化がなかったので気のせいで片づけた。

 

 その光は眠りについているアキラを慕い、想い、愛する者達にのみ効果のある光だった。刀が彼女らにあるものを見せるために・・・そして、伝えるために。

 




 
 甲斐に戻ってまいりました!その前に葵がついにアキラの妻になりました!そのことを知った悠季・・・自分は寝取り・寝取られ、両方の属性があるのでは?と思い、ああしました。
 久しぶりの庵樹・朱雀・時人と四人で過ごし、彼女ら流の酒の出し方でアキラと一緒に過ごす展開にしました。
 ついに八章終わりです!次の九章は戦国恋姫より、SDKの話をメインにする章です。

 九章・・・タイトル『アキラ・過去編』です!お楽しみに!


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300件突破!記念 こちら甲斐躑躅ヶ崎館前妻専用誘惑服屋専門店

 
 お気に入り300件突破に歓喜な三MENです!

 と言うわけで特別小説です!この世界のある忍びとSDKのある人物がもし似ていたら?と思いこの作品を書きました!

 ではどうぞ!


 

 同盟の勢力がそろった躑躅ヶ崎館。数々の武将に国の当主、同盟と彼女らの中心的存在のアキラがいる館。同盟に入っていない他国の当主も内情を知りたいために、何度か草を放ったが全部失敗。放たれた草も殺されることなく国に返される。そんな当主達が草から聞いたことは当主や武将の大半がアキラの妻であること、同盟は人ではなく増えつつある鬼を敵にしていることとアキラの妻は増えつつあることだけだった。

 他国の当主達は何とかして内情を知りたい。情報を手に入れて先手を打ちたい。という気持ちを持つ。館以外は好き放題調べられるが、そこだけは無理だった。そんな中、当主達はある人物の事が頭に浮かんだ。あの人物なら調べられるのでは?と。

 

 

 躑躅ヶ崎館の前に一件の店が開かれていた。店名は『愛妻服』であり、女性専門の服屋であった。その店の前には『愛しい旦那様を誘惑!』や『無理矢理夫にヤられたい妻さん必見!』などの看板があった。何とも、アキラの妻なら興味が出る看板だ。むしろ狙ってやっているように見える。

 「開店しましょう」

 その店の店主が若い女性だった。顔は見ただけで引かれ、服も着崩して魅惑的な格好をしており、何を着ても色っぽく、白百合に負けないくらい妖しい女性だった。和服を着ているが、肩が丸見えになり、胸も秋子と同じくらい巨乳であり、おっぱいの谷間が丸見えになるくらい開けて、乳首が見えそうになるところまで着崩しているのだ。

 そんな女が館の目の前にいるのだ。兵達は鼻の下を伸ばしたり、だらしない顔になったり、仕事を失敗して将に怒られたりする。

 

 残念なことにその店は男性禁制であり、店の外ならその魅惑的な女性と話すことはできるが、中に入ることは断固として禁止だ。

 「いらっしゃい」

 「今日も来たわ。何かある?」

 その店最初に入ったのは結菜だ。どうやら既に何回か来ているようだ。

 「どうでした?あの服は?」

 「良かったわ。あの『みに襦袢』だったっけ?腕と脚の部分の布が半分ほどなくその部分の肌が見えるあれ。あいつ、ずっと私の脚を見てくれていたわ」

 「これはどう?南蛮から取り寄せた『すくーる水着』というものだけど」

 「・・・いいわね。肌をもっと見せるけど、あいつになら」

 「うふふ~。じゃあ、こちらへ」

 「ええ、いつも通り着てみるわ。ここは確認のために着れるのがいいわね。しかも、着た後でも断れるし」

 結菜は店の奥に入った。この店は奥に客が商品を着るスペースを用意しているのだ。鏡も設置しているので着た自分を見て、買うか買わないかを決められる。

 男性禁制の理由はそこだ。着替えている最中に、服を脱いだ裸の女性を見たらまずいことになる。ましてや、この店に来る女は結菜みたいな身分が高い客ばかりの為、一歩間違えれば打ち首ものだ。そんな事が起こったら商売できなくなるから、男は絶対に入ってはいけないのだ。

 「どうかしら?」

 「・・・いいわね。ただ、旦那様を誘惑するにはちょっといまいちね」

 「え、肌を結構見せているのに?」

 「誘惑することと肌を見せることはちがうわ。そうね・・・それを着て、その上に襦袢を着て抱かれたらどうかしら?」

 「襦袢を脱がせて裸と思いきや・・・ってやつね。そこでじらさせて、更に興奮させれば私をもっと力任せに・・・いいわ!」

 結菜はすくーる水着を買った。さっそくさっきの助言を実践するのだろう。

 「結菜さん。もう一つ助言よ。お風呂でも着れますから、襦袢をわざと濡らして水着を見えるようにすれば、淫らな感じがしてより強く誘惑できるわよ」

 「なるほど。ふふ、いつもありがとう!」

 「こっちもひいきにしてもらって嬉しいわ。双葉様の分も入れておいたわ」

 「分かったわ・・・ああ、もうこの時点で濡れちゃいそう」

 いったいどんな妄想をしたのだろうか?嬉しそうに館に戻っていった。

 

 結菜がいなくなると、兵達が一気に押し寄せた。少しでもお近づきになりたいのか、それとも色っぽい姿を目に焼き付けたいのか頑張って話をした。その兵達も大将に怒鳴られしぶしぶ仕事に戻り、再び一人の時間となった。

 「今日も早速一着お買い上げ。以前の商売に比べてこっちの方が性に合っているわね。あの兵達も面白いわ。面白いくらいに情報を聞かせてくれて」

 のんびりお茶を飲んでいると、次のお客がやってきた。

 「あの、初めてきたのですが」

 「ゆ、結菜様の紹介で」

 次に来たのは秋子と麦穂だった。

 「そうなの。これはまた中々いじくりがいのある人達ね(ぼそ)」

 「「は?」」

 「何でもないわ。それで、何が欲しいの?」

 「あの、その、えっと(*ノωノ)」

 「わ、私達、じ、実は(*ノωノ)」

 もじもじしている姿を見て、すぐに気づいた。

 「くすくす、旦那様を誘惑できる服ね」

 「え!な、何故分かったのですか!」

 「あ、秋子さん!「あ!」・・・そ、そうです」

 言い当てられたことに、二人とも真っ赤になって俯いた。

 

 『うふふ、これだから初々しい空気を持つ人は楽しいわ』

 

 心で笑いながら、背を向けて服を探した。

 「どうしてわかったの?と言う質問は、あなたと同じような客がいて同じような反応をしたからよ。さっき来た結菜様に双葉様も最初はそういう反応をしたわ」

 「え、双葉様も来ているのですか!」

 「あの二人は常連よ。よほど、旦那様に愛されたいのね。いろいろと買ってくれるわ~。お二人もそうでしょう?そうね~、お二人にはこれがおすすめね」

 そう言って二人の前に出したのはそれぞれ違う服だ。

 「あの、これって何ですか?下着が見えそうですけど」

 「ちょっと、ふとももが見えそうで恥ずかしいのですが」

 「まず秋子さんに渡したのが『なあす』という人達が着る服で、麦穂さんに渡したのが明の国の人達が着ている服よ。これなら想い人も興奮すること間違いないわ。見えそうで見えない、そこがいいのよ。より強く旦那様を欲情させるわ」

 秋子に出したのがナース服で麦穂に出したのがチャイナ服だ。二つとも、二人なら着るだけで蠱惑的に見える。

 「「アキラ殿(さん)を・・・(;゚д゚)ゴクリ…」」

 「一応着てみる?奥で着てみていいわよ」

 「「本当ですか!」」

 二人が買ったかどうかは、荷物が増えたことが物語っている。

 

 二人が店を出た後に意外な人がやってきた。

 「失礼する」

 「ほう、ここか。いろいろあるな。楽しそうじゃ」

 「ふむ、皆が勧める服屋、か・・・ん?」

 壬月に白百合、春日だ。すると、春日が店主を見て首を傾げた。

 「店主、前に会わなかったか?」

 「いえ、お会いしていません。人違いではないのですか?」

 「・・・そうだな。それはそうと、中々好評みたいだな」

 「そうですわ。先ほどもお三方に負けないお胸を持つお二方がいらっしゃいまして、服を買っていかれました」

 「・・・麦穂と秋子だな」

 「二人ともそわそわして部屋に戻っていったが、ここの服を買ったからじゃな。アキラ殿を誘惑するための服をな。かかか!」

 壬月の言葉に、白百合が鋭い指摘をして笑った。店主はすぐに店の顔に戻って

 「お三方も買っていかれては?似合う服を用意しますわ」

 服を進めた。

 「いや、遠慮しておこう」

 「拙も、そのようなものは似合わん」

 「ほう~、我は頼もうか。誘惑できるものを頼もう」

 壬月と春日は遠慮したが、白百合は誘いに乗った。

 「ほう、中々いいのう」

 「うふふ、あなたほどの淫らな空気を持つ方ならこれがいいかと」

 そんな彼女に、店主が渡した服が結構危なかった。

 「こ、これは・・・薄いではないか!」

 「ほ、本当に、服なのか!」

 「正確には寝間着です。でも・・・十分に誘えるでしょう」

 「ああ、満足じゃ!」

 自分の体をぎりぎり隠せるようで隠せていない、男を淫らな行為に誘う時の女用の寝間着・ネグリジェスケスケ版だ。満足そうな白百合がその場で脱ごうとした。

 「何をしている!!」

 「着てみるのじゃ。ちゃんと確認しないとな」

 「すいませんが、奥でお願いします。さすがにここでは」

 「迷惑か・・・しかし、いい買い物をしたのう」

 奥に行く白百合を見て汗をかく壬月と春日。

 「本当に買われないのですか」

 「同じことを言わせるな。私には似合わん」

 「拙もだ」

 「残念です。折角、お二人も想い人を誘惑できそうな服用意したのに・・・では、これはどうです?」

 店主が二人に見せたのはジャージだった。魅せるものを全部隠しているので、二人も見ている。

 「こんなものもあるのか」

 「誘惑は出来なさそうだがな」

 「体を動かすのがお好きそうなお二人ならこれがいいですわ」

 「あれみたいに派手ではないから買ってみるか」

 「簡単に着れていいかもしれん」

 そう言って二人は試着しないで買う事にした。白百合の買ったネグリジェのように派手で淫猥な感じではない服だから、問題ないと判断したからだ。

 『ふふふ、引っかかりましたわね』

 だが、当然この店主がそんなまともなのを売るつもりがない。さあ、このジャージの本命は何なのか?正解は話の最後で!

 

 

 昼も過ぎ、客もさっきの白百合達から来ていない。昼食が終わると

 「ここですね。結菜さんから聞いた自分を変われる服屋は!」

 「はい、間違いありません。アキラ様、待っていてくださいね」

 「よ、よ~し、が、頑張るぞ~!」

 「ひよ。頑張るって何を?」

 「あ、あの、なぜ、わ、私まで?」

 詩乃と雫、ひよところに何故か小波までいた。ひよ辺りに連れてこられたのだろう。

 「「「「失礼します」」」」

 「あら?随分とお胸が残念な方達がいらっしゃいましたわね」

彼女らの怒りを産む一言を堂々と言う店主。だが、四人の胸より店主の方が大きさも形もどっちも軍配は彼女の方に上がる。

 「「何か言いました?」」

 「「もう一度、お願いします」」

 「は、はわわ!こ、怖いでしゅ~」

 四人の怒りの顔に、小波が恐怖で某今はわわになってしまった。

 「ふふふ。ごめんなさいね。悪気はないのよ」

 「その笑顔が腹立ちます」

 「・・・巨乳への怒りで、久しぶりの感覚が(ゴゴゴ)」

 「うう、確かに店主さんに私達負けてる」

 「どうして、そんなに大きくなれるの」

 店主の腹立つ笑顔に一人は怒り、もう一人は暗黒面に入りそうになり、後の二人はしょぼんとした。

 「そんなあなた達にはこれで、そっちの子はこれね。これで愛する人を誘惑しちゃいなさい」

 店主が出した服は詩乃達は幼稚園児の服を彼女達の大きさに合わせた服で、小波だけはセーラー服だった。

 「・・・思いっきり馬鹿にされている気がします」

 「はい、雀ちゃんや烏ちゃんが着るべき服だと思います」

 「店主さん!私達って、そんなに子供ですか!」

 「いくらなんでもひどいです!」

 「大丈夫、絶対に似合うから」

 「「「「嬉しくないです!」」」」

 幼稚に見られているとわかり、怒りに燃えてクレームをした。だが、全て聞き流して余計に詩乃達の怒りを買った。

 「わ、私は、ど、どうすれば」

 セーラー服を持って、アキラを誘惑する妄想をした小波は悩んでいた。結局、四人は突っ返して小波は大事そうにその服を持ち帰った。

 

 それからは、兵は話に来るが客は来なかった。夕方になり、そろそろ店じまいしようと思ったところに二人の客が来た。この二人で今日は最後みたいだ。

 「ここか!」

 「うん」

 来たのは桐琴と各務の二人だった。さっきの壬月達同様場違いな人達だ。

 「いらっしゃいませ。お二人ともどんな服をご要望ですか?」

 「そうじゃな。旦那を欲情させられる奴じゃ!」

 「私も・・・あとできれば滅茶苦茶にしてもらえそうな服を」

 「ふ、ふふふ、さっきの白百合さんみたいな面白そうな服を出せそうね」

 妖しい笑いをしながら、服を持ってきた。

 「ほう~、これはこれは」

 「・・・気に入った」

 桐琴の手にはバニーガールの衣装があり、各務は犬耳に犬しっぽと最後に『旦那様用』と書かれている首輪だった。桐琴は満足して、各務もとても気に入っている。

 「では、頑張ってください」

 「おうよ!かかか!楽しい夜になりそうじゃ!」

 「アキラ、待ってて。あなたの犬が行くから」

 二人とも嬉しそうに服を持っていった。

 「ありがとうございました~」

 

 店を閉めて、今日の売り上げの計算も終わった。食事も終わり、今はお茶を飲んで落ち着いている。

 「本当に楽しいわ。草をしていたころは充実した日なんてなかった。怪しまれて、追い出されてが続いて・・・武田も長尾も私を最後まで使えなかったしね」

 ふと、視線を躑躅ヶ崎館の方に向けた。

 「兵達が私に魅了されて、ぺらぺら話してくれたから結構内情も知れたわ。もし、この情報を持って他勢力のところに行ったらそこで雇ってもらえるかしら?」

 すぐに首を横に振った。

 「・・・やめましょう。もう草に戻るのはごめんだわ。あの春日さんに怪しまれたし、ここでそんなことをしたらこの楽しい商売もできなくなるわ」

 奥に行き、沸かしていた湯に入るために服を脱いだ。白百合と互角と言えるくらいの女でも目を引かれるであろうスタイルがあらわになった。

 

 「飛び加藤はもういないわ。ここにいるのはただの服屋の店主、それだけよ」

 

 店主・・・飛び加藤は満足そうに湯に入り今日の疲れを取って眠りについた。

 

 

 その日の夜は・・・。

 「ねえ、アキラ。どう?ムラムラってしない?」

 「だ、旦那、様。ふ、双葉は、双葉は」

 右からスクール水着を着て誘惑しようとする結菜と双葉。左には

 「あ、アキラさん。わ、私、どうです?」

 「アキラ殿、あなたなら・・・脱がせても」

 ナース服を着た秋子とチャイナ服を着た麦穂が迫ってきて、

 「ほれほれ、どうじゃ。このわしを押し倒したいと思わんか?」

 ネグリジェを着ても、ほぼ裸同然の、いや、裸の時以上の魅惑の姿となった白百合が目の前からやってきて、

 「アキラ、こっちを向かんか」

 「アキラ、ワン!命令してワン!お手してワン!おかわりしてワン!」

 バニーガールの衣装を着たが、胸の部分がサイズが合わなくてその部分が丸見え状態で迫る桐琴と犬そのものの心情になってアキラの顔や首を舐めてすり寄る各務。

 「ま、お、落ち着きなさい!」

 「ダメよ、アキラ。さあ、私達を抱いて」

 「旦那様、も、もう、我慢が」

 「アキラさん、私も、ぬ、濡れちゃって」

 「アキラ殿、お願い。体、どこ揉んでもいいですので・・・」

 「さあ、まずはお主の顔をこの胸で挟もうかのう!」

 「いやいや!白百合、それはわしがやることじゃ!」

 「ワンわんわん!アキラ、お仕置きしてワン!」

 全員がアキラに抱き着き、濡らした股を見せ・・・始まった。

 

 

 時間が深夜になった時にやっと終えてアキラは部屋を出た。

 「はあ、はあ・・・つ、辛かった」

 エロに関して大きな力を発揮する白百合に桐琴、アキラ相手なら無限の力を発揮する各務がいたせいで、全員満足させるまで二刻かかった。

 「どうした、アキラ」

 「ほう~、どうやら、事後みたいだな」

 庭で一段落していると、ジャージ姿の壬月と春日がいた。仕事がようやく終わり、やっとこの時間になって着れたみたいだ。

 「さっきまで性欲をかき立てる服を着た連中が襲ってきたもので・・・そうです、事後です」

 「ははは!大方白百合辺りに誘惑されたのだろう?」

 「そうじゃ、わしらの部屋に来るか?安心しろ、アキラ殿。拙らは何もしない」

 「そ、そうですか、まあ二人なら心配ないですし・・・落ち着きたいですから」

 笑われた後、部屋に誘われたので二人の後をついていった。この二人なら安心できると踏んだのだが、それが間違いだった。

 

 一方、セーラー服を買った小波は・・・

 「ご、ご主人様を・・・ゆ、誘惑。そ、そんな、恐れ多い・・・で、でも、女の忍びは、色事で、体で誘惑して・・・いや!それをご主人様に使うのは、で、でも、やはり、ご主人、様が」

 さっきの部屋の天井裏でアキラを誘惑したいが、恐れ多い。でも、やっぱりしたい。と彼女らしい戸惑いが、時間を過ぎさせていった。

 「う、う~~ん。ど、どう、しよう。準備、してあるけど・・・ああ!」

 セーラー服はすでに着ていた。本能では抱かれたいのが分かる。小波は自発的に誘惑する性分ではないので、もしアキラがその姿を見たら賞賛しただろう。結局朝になるまで、彼女は悩み続け誘惑はおろかその服をアキラに見せることはなかった。

 

 二人の部屋に入ったアキラ。春日一人の部屋だが、癖の多い将達を束ねる立場の二人は酒を飲んで愚痴り合っているうちに共に寝ることもあったため、今では二人で使っても違和感がなくなった。

 「ほれ、飲まんか」

 「ここに来た以上は飲んでもらいますぞ」

 「ええ。それは問題ありませんよ」

 入って早速酒を飲むことになったが、問題なく受けいれた。だが・・・

 「アキラ~、我等も抱いてくれ~」

 「拙も、構いませんぞ~」

 「・・・なぜこうなった」

 自分と会う前に相当飲んでいたらしく、あの時出会ったのも休憩らしい。飲み始めて気づいたが、部屋の隅に酒樽が二つあって、しかも一つは空だ。だがそれは大した問題ではなく、今は・・・

 「「飲め、飲め~~」」

 この酔いどれと化した二人から逃げないとまずい。距離を取ることが大事と思い二人の肩を掴み、離れようとした。

 「ふ、二人とも、まずは(シュル)・・・へ?」

 「「あん?」」

 その時だ。何かが、ほつれ、それが一気に外れる音がしたのは。そして、一瞬後にアキラの目の前で起こった。

 「ほほう。我等もやはり抱きたかったか~」

 「拙は構いませぬぞ。ふふふ」

 何と、ジャージの上半身の方が、肩から首の部分の糸が一気に取れて袖の部分を残して体の部分が下に落ちた。二人とも裸の上にジャージを着ていたから、二人のおっぱいを目の当たりにしているアキラ。

 「ほれほれ、来ないのならこっちから行くぞ(* ´艸`)クスクス」

 「巨乳が好きなのでしょう。拙らのこれを好きにしていいですぞ(*`艸´)ウシシシ」

 二人は酔いどれになっているので、服のことはどうでもいい。アキラを誘惑して楽しんでいる。酔っている二人の裸は、ある程度汗もかいて、限られた灯で照らす二人は魅惑的にに見える。口からは溢れた酒が流れており、それが更に淫靡に見せる。二人の隠された魅惑に性刀が反応してしまった。

 「どれ、アキラの持つ酒がどれほどうまいか」

 「飲んでみたいですな・・・では、いきますぞ!」

 「ま、ままま、待ちなさい!」

 二人に押し倒され、無理やり脱がされ・・・その後、アキラは二人の巨乳と尻、二人の全てを十二分に味わったとさ。

 

 次の日の朝に起きた壬月と春日は、アキラの液をその身に浴び、その体に注がれ、おいしそうに飲んだ記憶がよみがえり、彼に抱き着いている現実を見て、思いっきり焦り尚且つ立派に固くなっているアキラの剛直なる刀を見て涎を飲み、二人してまたその美酒を飲みたいと思い、口なり胸なり舌なり使って出させたところに自分達の大将がやってきた。その時の二人はこれ以上ないほど焦っていたと目撃者の大将二人は語った。

 

 

 愛妻服の開店時間になってすぐに二人の客が来た。

 「あら?どうしました?」

 「・・・白百合に売ったあれが欲しい」

 「・・・拙もだ」

 「うふふ、分かったわ」

 『成功ね。一瞬で裸になるあれで想い人を誘惑したみたい。この二人も常連になるわね・・・うふふ、更に淫らな服を作っていきましょう。もっともっと、楽しくなるわ』

 ジャージはダメになったが、アキラを誘惑することがこっそり快感になったみたいで二人してネグリジェを買いに来た。果たしてそれを着たのか・・・それはまた別の話。

 




 と言うわけで飛び加藤のコスプレ店話でした!完璧すぎる仕事のこなし方。SDKのあのお色気満点のあの人も似たようなことを結構完璧にやりますからね。だから、モデルをその人にして尚且つ草から離れた仕事をするなら何をやるかな?と思ってこれが思いつきました!

 最後の壬月と春日。どうでした?この二人はアキラを誘惑するとは思えないが、ちょっとしたきっかけでああなるという展開も欲しいと思い書きました。

 今度は、そろそろ王様ゲーム武田家編を書こうかな?


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第九章 アキラ・過去編
九十振り目 アキラ・・・最強との出会い


 
 温泉に入るときは先に体洗う派、三MENです!

 では、新章突入です!前回の後書きの通り、アキラの過去です!ただ、自分はSDKの方は原作を全部持ってません。記憶と半分以上オリジナルで書きますので、セリフが違ったり、キャラが違うのでは?と思うところもあるかもしれませんが、そこはお許しください。

 では、始まります!


 

 久遠は妙な感覚の場所にいた。

 「ここはどこだ?」

 「久遠?」

 傍には結菜がいた。いや、結菜だけじゃない。

 「殿!」

 「久遠様!」

 壬月や麦穂、三若もいて、

 「ここって何!」

 「分からない」

 向こうには美空や光璃に二人の部下達もいる。更に、

 「お姉ちゃん!皆もいるんだ!」

 「いったいどういう事でしょう?」

 「これは、何が」

 市や真琴、葵に

 「こ、ころちゃん!ここって何処!」

 「私が聞きたいよ!詩乃ちゃん分かる?」

 「いいえ、全くです」

 「ねえ、小波。周辺に何かある?」

 「・・・いいえ、何もないようです」

 アキラ隊の皆に時人達もいた。一先ずお互いの勢力で集まり、そして、全員一塊になった。

 「いったい、ここはどこだ?」

 「さあ?周りが雲みたいなものばかりで分からないわ」

 「全く分からない場所にいる」

 美空の言う通り、薄い雲みたいなものが辺りにたくさんある。しかも、彼女らの一番ヤバいことは。

 「得物がないのう」

 桐琴の言う通り、得物がないことと

 「なあ、何で俺達襦袢姿なんだ?」

 小夜叉の言葉通り、いつもの服ではなく襦袢姿だ。つまり、戦える恰好すらしていないという事だ。

 「とりあえず、警戒『どうやら、集まったようだな』!誰じゃ!」

 白百合の言葉を遮るように男の声が聞こえた。皆、警戒して主を守るように囲んで周りを調べた。

 『大丈夫だ。我々は敵ではない』

 「なら、姿を見せろ」

 『すでに見せておる。まあ、姿はないがな』

 「どういう事よ?」

 二種類の男の声が聞こえ、今だ姿を見せないことにいら立つ久遠と美空。すると、

 「・・・もしかして、この二つの光?」

 光璃が目の前にある二つの光の玉を見つけ、それかと尋ねた。

 『『その通りだ』』

 「・・・本気か?」

 『無論、因みにお主らのいる場所は現実ではない』

 「だったら、どこだというのです?」

 『夢の中だ。現に、皆寝るときの姿であろう?』

 「・・・確かに。それに何やら拙らの体が透き通っている・・・仮にその話を信じるとしてそれで拙達に何の用だ?」

 壬月や麦穂の質問に答え、最後の春日の質問には少しの間が開いて答えた。時人達はアキラに抱かれて裸では?と思うが、そこは気を使ったのだろう。

 

 『我が主、アキラとそなたらは深い関係だ。知る必要があると思った』

 『主と深い関係の者は、ここに呼んだ』

 

 そこに出てきたアキラの名前で、皆の顔色が変わった。

 「どういう事だ!あやつが主とはいったい!」

 久遠の言葉ももっともだが、光はその質問には答えなかった。

 『・・・今から見せるものを見ればわかる。とだけ、言っておこう』

 『見る気があるならその場にいろ。我等を信じず、見る気がないなら目を覚まさせてやる』

 話を進めた。見るか起きるかどっちか選べという事だ。少しだけ間が開いたが全員その場を動かなかった。

 『・・・誰も言わないという事は見るでいいな』

 「ああ、見せろ。我らは妻だ。夫の事を知りたい」

 「ええ。見せたいというなら見てやろうじゃないの」

 「アキラの事、知りたかった」

 三人の言葉に全員が頷いた。白百合や悠季と言ったものですら頷いていた。おそらく彼女らは興味半分だったのかもしれないが。

 

 『なら、その場を動くな・・・最後に一つ言っておく』

 『今から見るのは夢の中の主の過去だ。どんなに苦しくて辛い場面があっても、お主らは介入できない。それを忘れるな』

 

 その言葉を最後に二人の男の声はなくなった。すると、雲がいきなり強い風に吹かれたかのように流れていき、無くなった。次の瞬間、どこにでもある城下の風景が見られた。

 「ここは?」

 「いったいどこでしょうか?」

 「どこかの城下らしいけど」

 皆いきなり変わった風景に驚いていた。

 「え?え?何です!」

 「どうなっているのですか!どや!」

 「空!名月に愛菜、それに貞子まで!」

 相模に行っていたはずの四人もいた。いつの間にか館に戻ってきていたようだ。彼女らがいる空間と城下の風景の空間に分かれている。水族館にある巨大な水槽と同じくらい大きなテレビを見ているような感じだ。

 「いったい、何ですか?これは!」

 名月の質問に答える美空。納得も理解もできなかったみたいだが、皆もいるのでとりあえず無理矢理納得した・・・その時だった。

 

 『このクソガキ!返せ!』

 

 怒り心頭の商人がある一人の少年を追いかけていた。少年の手には食べ物が握られている。

 「盗んだ、のか?」

 「お金も払わないで?ダメな子供ですね」

 「親は何をしているのやら」

 そんな雑談をしながら、少年の顔を見るとみんなびっくりした。

 

 「え?あ、あれって・・・アキラ?」

 

 結菜の言葉に全員が唖然とした。少年時代からの顔立ちは今もそれなりに残っているので、すぐにわかった。

 「そう言えば、あやつは親に捨てられたと言っていたな」

 「つまり、食べ物を盗んでいたってこと?」

 「・・・かわいそう」

 久遠と美空に光璃が辛そうに見ていた。必死に逃げているうちに、商人がどうやら見失ったようだ。くそ!と言って背を向けて引き返していった。

 『ふ~、全くしつこいぜ』

 人込みから抜けて、持っていたものを食べ始めた。だが、

 『こいつ!前はよくも盗んだな!』

 さっきとは別の商人がいて、そいつがいきなり子供アキラを殴った。

 「!」

 思わず助けようと小波が動いたが、ゴン。と言う音と共に見えない壁に当たってそれ以上行けなかった。

 「な、何で!」

 「夢だからだろう・・・だが」

 ぞろぞろと別の商人達もやってきて、子供アキラを痛めつけていた。

 「子供相手に・・・ひどい」

 「アキラ様、こんな生活を」

 「お頭、痛そうだよ~」

 「お兄ちゃん・・・辛いよ」

 優しさを強く持つ双葉やひよ、ころに薫は涙を出していた。今の彼女らはいわば魂の状態だが心から悲しく思うと、その状態でも涙が出るのだ。他の者達も涙を出す者もいれば手を強く握って我慢している者もいる。

 『親の顔が見てみたいぜ!こんなくずのようなガキのな!』

 一人の商人が大きな声で言った。すると、痛めつけられたアキラが立ち上がり腹に思いっきり殴った。

 『俺も見たいよ!』

 だが、子供の思いっきりは大人には余り効かない。再び商人達のリンチが始まった。

 

 その後もそのような光景は続いた。

 「ハニー。うう、こんなに苦しい生活だったですのね」

 「アキラ様・・・私なんかまだよかった」

 「ふえええ~ん!アキラ~~!」

 「それでも、負けずに生きている・・・すごい」

 それら先のアキラの生活に梅や詩乃、鞠に雫も泣き出した。

 「ご主人様、人売りに攫われそうになるなんて」

 「川に沈められてもいた・・・辛い」

 「野犬に食われそうになるなんて。主様、余はまだ幸せ者だったのだな」

 「某もそう思います。まさか、崖から落とされたなんて・・・木に引っかかってなかったら死んでおりますぞ」

 他の妻達も涙を出していた。特にアキラ隊はアキラへの想いは正室や双葉や結菜に負けないくらい強い。小波や歌夜だけでなく一葉と幽も目を潤わせ、妻じゃない武将達も泣いている者はいた。まだ、始まったばかりだが既に涙の池ができそうだった。

 

 話は進み、今度は捕まって牢に入れられたシーンだ。

 『よっしゃ!これで寝床は確保できた!雨の心配もないし安心して寝られるぜ!』

 この言葉に全員言葉を失った。

 「ろ、牢に入れられて喜ぶなんて」

 「信じられない」

 「ま、まあ、確かに今までのを見れば遥かにましだぜ」

 「れも、とんれもないのら」

 柘榴や粉雪達の言葉に全員頷いた。

 「起きたらおいしいものたくさん作って、アキラ殿にあげましょう」

 「そうですね。私も協力します」

 「私もやるよ。あいつの好物は知っているからね」

 麦穂の言葉に朱雀と庵樹も他の料理できる妻組のメンバーも乗った。料理できない妻組や時人は悔しがっている。そんな話をしている間に少年アキラは寝た。その寝顔に皆が注目した。

 「か、かわいい」

 「寝顔はいいですね」

 「じゅるり。・・・はあ、はあ」

 心と秋子は寝ているアキラの顔を見てほっこりしたが、約一名がもはや危険な領域に突入した。

 「貞子!やめなさい!」

 「はあ、はあ、はあ、はあ・・・あああ!」

 美空の声も聞こえず、あっという間に果てた。しかも、第二回戦も始まっているのか、寝顔から眼を離さないで自分の胸と股間をいじり続けた。彼女の暴走に呆れた目で見る者もいれば、白い目で見る者もいる。

 

 『『『あ、あぶな、かった・・・』』』

 『(可愛い、かわいい。ああ、アキラ)』

 

 結菜や詩乃に一葉のように理性で止まった者もいた。各務はすでに手遅れ段階に入っていて、貞子ほど乱れてないが自慰を始めていた。

 「湖衣も危なかったんじゃない?」

 「な、何がよ、一二三『どがあああん!』え、な、何!」

 一二三に反論しようとした湖衣だが、いきなりの破壊音に彼女だけじゃなく全員が驚いた。

 「あ、あれ見て!」

 「・・・」「誰かいる!ってお姉ちゃんが言ってます!」

 雀と烏が指した方向は、牢が壊されており、その先に誰かがいた。

 『誰だよ。気持ちよく寝ていたのに』

 小刀を持ち、壁の向こうをにらみつけた少年アキラ。

 「・・・誰だ、あれは」

 「明らかに空気が違うっす」

 「何か、戦いたい!って気持ちになるです!」

 「綾那もか?余もじゃ!」

 「うむ、儂もじゃ。ゾクゾクする!」

 武の力の高い者達や闘争本能が強い者達がそこにいる人物を見てそう言った。そこにいた者こそ

 

 『お前、誰だ!』

 

 アキラの生涯の目標ともいっていい人物・鬼目の狂だ。自分をにらみつける子供アキラをじっと見る。

 『・・・・・・』

 「こんな出会いだったのか。アキラと狂って」

 「狂?時人、今そう言ったか?」

 「言ったが、それが何か?」

 「そうか・・・こやつか。アキラのいう最強の漢」

 それを聞き、アキラから聞いたことのある者もない者も注目した。その狂がアキラを見てふっと笑った。 

 『小僧、誰だ?』

 『名前なんてない!捨てられた!』

 『捨てられた?・・・くくく』

 『何笑ってんだ!』

 『そうか。なら、俺が拾ってやる』

 狂は猫を掴むようにアキラの襟首をつかんで、自分の壊した壁から出て行った。

 『な、何するんだ!』

 『拾ってやると言ったんだ。ちゃんとついて来いよ、来れなかったら、おいていくからな』

 そう言いながら、誰もいない道を歩き始めた。

 「随分いきなりですね。子供とはいえ敵意を向けた者を拾うなんて普通はしないよ」

 「そうだね。でも、これでお兄ちゃんは一人という事はなくなったよね」

 真琴は狂の行動に呆れた。

 

 『しっかりついて来いよ。俺の次に強くしてやるからよ』

 

 だが市の言う通り、狂と出会ったことでアキラの人生がやっと始まった。

 

 

 狂がアキラを拾い、一月ほどの時が流れた。

 『・・・・・・』

 『っく!』

 どこかの林の中を狂は歩いていき、後ろにはアキラがいる。

 「必死についていっているな」

 「目の前の背中に追いつくことだけに頑張っているな」

 「アキラさん・・・かわいいですけど、この頃から頑張っていたのですね」

 年長者の壬月と春日、秋子は感心していた。

 「こなちゃん。アキラ様って本当にすごいね」

 「旦那って、小さい時からこんなに必死に生きていたんだな」

 「何か、アキラの見る目が変わっちまうよ」

 「和奏の言う通りだよ。アキラ様って意地悪だけどビシッとした感じも持っている素敵な人だよね。でも、こんなに苦しい過去を乗り越えていたなんて・・・涙が出ちゃうワン!」

 「・・・子供のアキラ君の絵。欲しいな~」

 「「雛(ちゃん)、話聞いていた!?Σ( ̄□ ̄|||)」」

 話の中で、一人雛だけが全く別の考えをしていた。思わず突っ込む和奏と犬子。

 「じゃあ、二人は欲しくない?あのアキラ君の絵」

 「「・・・欲しい」」

 和奏と犬子の答えは、全員同じだった。そんなツッコミ満載の会話の中で夢の世界の方も続きが出た。

 

 『お前か。俺の庭で好き勝手しているってやつは!』

 

 そこに上半身裸で『征夷大将軍上等』と背中の方に描かれた半纏を肩から来ている片目の巨体の男が狂の前に現れた。その時はまだアキラは追いついてなかった。

 『何だ、お前』

 『この俺様を知らないっていうのか!へ!この奥州の支配者!伊達独眼竜政宗様とは俺様の事だ!』

 『・・・なるほど、楽しませてくれそうだな』

 『それはこっちのセリフだ!』

 その名前を聞き、アキラから直接聞いたことのある者達は驚いてその男を見た。

 「こ、この男が、アキラの世界の独眼竜か」

 「何かただのワルにしか見えないんだけど・・・」

 「でも、強そう」

 「この男が向こうの独眼竜か。戦ってみたかったのう」

 「夢の世界であることにホッとしました。向こうも血の気が多いようですからな」

 正室達の言葉の中で、一葉の言葉に幽はホッとした。

 

 その後、二人がガチの戦いと言う名の喧嘩を始めた。狂は刀で梵天丸は木刀と己の肉体を武器に戦っていた。その数分後に

 『狂、やっと追いついた。って何やっているんだ?』

 『・・・・・・はあ?』

 狂に追いついたアキラを見て唖然とした。梵天丸からすれば、狂は自分と同じように楽しませてくれそうな敵を見つけ自由に戦って楽しむ、そういうタイプだからだ。だが、その男が子供を連れていた事に心からビックリしていた。

 『どうした?』

 『お、おい、どうしてガキがいるんだ?』

 『拾った』

 『拾ったって・・・』

 まだ動揺を隠しきれてない梵天丸は二人を交互に見た。

 『何見てるんだよ!というか狂、戦っていたのか?』

 『・・・くくくく、は~~ははははは!!これは面白い!まさか、お前のような奴がガキを連れているとはな!気に入った!おい、俺も仲間にしてくれよ!おう、ガキ!よろしくな!』

 『ガキ扱いするな!』

 そう言って、梵天丸はアキラを持ち上げる。もはや、戦いはどうでもいいみたいだ。

 『名前は何だ?』

 『知らねえよ。捨てられたから』

 『捨てられた?おい狂、だったか。こいつの名前は何だ?』

 『知らん』

 『知らねえならつけろよ。いつまでもガキと呼ぶつもりか?』

 完全に敵意を無くしてアキラに親しげに話す梵天丸を見て、狂もやれやれと思いながら刀をしまった。その後、やっと狂がアキラと言う名を付けた。その名前にした理由はただ一つ。

 『俺を追いかけるのを諦めない男だからだ』

 諦めないからアキラ。と言う事だ。

 

 

 その後、三人で行動するようになったが、

 

 『お前が・・・鬼目の狂?』

 

 何を考えているのかわからない。いや、戦うこと以外考えていないであろう漢、ほたるが仲間になり・・・最後に、

 

 『ついて来い、俺達はお前の敵じゃねえ』

 

 女顔の大きな力を持つ人間、灯が仲間となっていった。その五人でいることが段々当たり前になり、アキラも成長していく。常に五人で動き、敵が来れば戦い、時々他の勢力争いをしているところに暴れたいだけで入り込んで両方の勢力をつぶす。そんなことを繰り返していき、アキラもまたそれが楽しかった。

 「アキラ様って本当にすごい人達の中にいたのですね」

 「そうですね葵様。この悠季も驚きの連続でしたわ」

 「相変わらず、嘘しか言わない腐れワカメです」

 「本当に、アキラ様って独眼竜と一緒だったのね」

 「お強いのも、周りの皆さまが強いからですね」

 葵達松平勢も、アキラの子供時代の壮絶さに驚きの一言しか言えなかった。

 「いや~~!悔しいぜ!あの世界に行きたかった!」

 「クソガキの言う通りじゃ!こんなに暴れられる奴らと一緒なら思いっきり戦い放題じゃったのに!」

 「私も行きたかった・・・子供のアキラを独り占めして、服を脱がせて、おっぱい飲ませて、アキラの初めて、無理やり奪えたのに」

 森一家もまた自分の欲望を素直に言っていた。各務は相当危険な欲望を抱いていたようだ・・・。他の勢力の武将達もまた小夜叉と同じようなことを言っていた。彼らの戦いを見て、興奮してきたのだろう。

 「楽しそうだな・・・あいつ」

 「そうね。笑顔がいいわ」

 「・・・かわいい(ぽっ)」

 笑顔のアキラを見て、久遠達妻の皆もまた笑顔になった。

 

 だが、その楽しい時間も終わりがいきなり来てしまった。 

 




 
 自分で書いておきながら、アキラって本当にすごい子供時代だったんだな。と思いました。狂だけでなく、四聖天の三人の出会いも書きました!四人との思い出は、これから先少しずつ書きます。

 あと、ここの章は本章全部書いてから間章となります。ですので、エロを期待していた読者の方は申し訳ありませんが、本章が全部終わってからになります!ここの本章はエロは期待しない方がいいかと思います・・・まあ、もしかすると貞子や各務辺りがアキラを見て暴走するかもしれませんが(;´・ω・)。


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九十一振り目 アキラ・・・思いの果て、企みの始動

 
 扇風機の出番ですね!三MENです。

 自分ちはエアコンがありません・・・でも、これもいいですよ!最近は置き場所に困らない送風機も出ているみたいですし。こっちの方が自分は好きです!

 ついにあの戦いに乱入、そしてその後です!



 

 彼女らの夢の中で始まったアキラの過去。

 「ここまで見てどうだった?あなた達」

 「そうだな・・・ただ、ただ、すごい奴としか言えない」

 「私達もいろいろ頑張ったけど、アキラの方が上」

 「あの男の人に出会うまで、苦しい生き方をしていた姿に涙が出ました」

 「それでも、負けないその姿に感銘を覚えました」

 美空の問いかけに久遠・光璃・葵・真琴達当主組は答えた。他のメンバーもみんな同じ意見だ。悠季や白百合も苦痛とも言える過去を持つアキラを見直していた。

 

 今は四人が喧嘩して、それを楽しそうに見ている狂のシーンだ。特に注目すべきところはないからこそ聞ける間があった。

 「アキラ様、アキラ様、アキラ様・・・はあ、はあ、はあ(じゅるり)」

 「アキラ・・・アキラ・・・アキラ・・・(ガン見)」

 「ああ、幼いアキラ様。とても、可愛いです~~(ポポポ)」

 「本当ですわ!あの頃のハニーにこの体を使っていろいろ教えてあげたいですわ!」

 だが、欲情して自慰をしてしまうものもいるのだが・・・貞子と各務は周りの目を気にせず欲望に負けてやっている。詩乃と梅も一緒にやりたいと内心思っているが、恥ずかしいため参加していない・・・でも、時間の問題だ。

 

 話を過去に戻し、アキラは子供から少年の体となって少しずつ戦えるようになり、アキラ達四人も狂を守り共に戦う部下・四聖天として名が知られるようになった。

 

 『アキラ、俺の背中はお前に任せた』

 

 そこに狂がアキラにその言葉をかけた。それはアキラがずっと見続けた狂の背中。それを守る役目を言い渡された。だが、その言葉に不安を持っているアキラ。

 「アキラのやつ、不安そうな顔しているね」

 「どうしてなのかな?犬子だったら嬉しいのに」

 「そうっすね。柘榴だったら御大将の背中守るのはとっても嬉しいっすよ!」

 「あたいもお屋形様の背中守れるなら喜ぶぜ!」

 若い武将達は疑問に思っていたが、

 「全く、お前達はそれくらいもわからないのか!」

 「やっぱりまだまだだな」

 「綾那は分かったです!」

 「当然、俺もだぜ」

 彼女らより年上の壬月達と高い実力を持っていながらアキラを追いかけている綾那や小夜叉は分かったようだ。後、

 「我も、あの頃のアキラと同じ気持ちだ」

 「そうね・・・時々不安になるわ」

 「いてほしいのにいない感じがする」

 「じゃな、余らは本当に今主様の傍にいるのか考えるときもある」

 正室の四人もだ。そして、この四人が説明をした。

 「お前ら・・・あの狂と言う男。どう思った?」

 「ここまでであの男の戦いを見た。感想はどうだ?」

 「・・・勝てないです」

 「同じだワン」

 「うん。雛も同じ~」

 「死ぬ気になれば何とか傷くらいはつけられるかもっす」

 「あたいも同じだぜ」

 若者達の回答は絶対に勝てないだ。

 「そう、余りにも強すぎる。正直我等でも引き分ける自信すらない・・・あの頃のアキラはその男を目標としていた。常人は愚か、武将すら軽く上回る力を持つあの者を」

 「対するアキラは今のあんた達と同じ・・・いえ、条件はあいつの方が厳しいわ」

 「私達は武の力を持つ血筋を持って生まれた。生まれながらに武の才能を持ち、実力も持っている。でも、アキラは持っていない。成長は私達や仲間の三人よりも遅い」

 

 「殿達の言う通りだ。そして、この不安もある。あの男の背中は本当に今自分の前にあるのか。と」

 

 最後に付け足した壬月の言葉で理解した。過去では、少年アキラは梵天丸の話で狂の気持ちを理解し笑顔に戻り、前を行く狂に向かって走っていった。

 「だが、それでもあいつはその言葉に従い、自分の前にある果てしなく遠い男の背中に向かって近づくために努力し続ける道を選んだ」

 壬月の説明を頷きながら、最後に久遠達が言った。

 「私達以上にトゲの多い茨の道を命がけで傷つけながら進んでいっているのだ」

 「お主らの中にもあやつに抱かれたものがいるだろう?」

 「だったら、わかるんじゃないかしら。抱かれた時に見たあいつ体がどれだけの努力をし続けてきたか」

 「だから、不安。自分は追いつけるのかって」

 その頃のアキラの気持ちを理解して、若者達は大騒ぎになった。うるさくなってしまい壬月と春日達はまだまだだ。と思いながらゲンコツをした。

 

 

 その努力を続ける中、五人はある一つの大戦に乱入することにした。それは現代で大きく知らされている1600年に豊臣軍の西軍対徳川軍の東軍の戦いである『関ヶ原の戦い』。だが、ここではまだ戦いが行われていないし、そもそもアキラが降り歴史が大きく変わったためこの世界ではこれから起こることがないかもしれない戦い。先の時代の戦いの事をさすがに今教えるわけにはいかない。だから、

 

 『この戦いは、主の世界で八万対十万の最大の戦いだ』

 『この戦いの勝者の大将が日の本を手に入れる戦いだった』

 

 皆をここに連れてきた二人の光がそれだけ説明した。詳しく聞こうとする者もいるがそれ以上は言葉を出さなかった。だが、その戦いがどれほどアキラの世界で大きな戦いか、ということは理解した。

 『・・・行くぞ』

 『おう!俺ら四聖天の力を日本に見せつけるチャンス!』

 『ははは!誰が一番倒すか競争だ!』

 『うん、楽しそう』

 『よ~し!やったやろうじゃないか!』

 五人はその戦いに乱入した。そう、たったの五人でだ。

 「す、すごいです!」

 「こ、これは、兄様。本当に万の兵相手に」

 「誇張してなかったんですね!お頭」

 少しだけこの話を聞いていたひよやころ、真琴達は唖然としていた。いや、彼女らだけじゃない。

 『足りないな』

 『俺達四聖天!俺は狂の背中を守るアキラだ!』

 『がっはっはっは!この梵天丸様に勝てるわけなかろう!』

 『楽しい・・・やっぱりこいつらといるといい』

 『狂のお嫁さんのあたしがいる限り、指一本触れさせないよ!あ・・・他の三人は殺してもいいし、ボロボロにしてもいいから。こいつらの弱みがまた聞けるから』

 『『てめえはやっぱり最悪だ!』』

 『うんうん』

 雑談・ボケツッコミしながらどんどん兵を斬っていき、彼らが通った後は兵の死体ができていく。梵天丸の体に刀や槍が刺さらなかったり、ほたるが刀から火を出して燃やしながら兵を切ったり、灯が光を出すと次の瞬間三人の傷が治ったりしたのを見た時は全員ビックリした。

 『ちょっと、行ってくる』

 『お、ついに大将首か!』

 『おおよ!行ってこい!』

 『うん。こいつらは俺らがやる』

 しかも、全くといっていいほど余裕でそれをやっている。自分達を束ねる狂が大将のところを見つけたのか力づくで襲い掛かってくる兵達を笑顔で斬りまくって進んでいく。綾那や桐琴辺りは同じことできそうだが、ここまで多い兵を相手だとさすがに断言はしかねる。

 『ううう、必ず嫁のあたしのところに戻ってきてね(うるうる)』

 『『『いや、嫁はおま(バキバキボコボコグシャバシャドゴ~~ン)』』』

 『そ、れ、で、何か言ったかい?あんたら?(ギロリ)』

 『『な、何でも、ない、です』』

 『痛い』

 敵だけじゃなく、味方にボロボロにされるいらないところまで出てきた。それには全員呆れ汗を流した・・・戦いは圧倒的に五人の有利となって一端引き上げた。

 「アキラと他の四人は、本当にすごい奴だな」

 「全くよ、思わず我を忘れたわ」

 「うん。光璃も」

 「・・・皆に聞く!あの五人相手に余らが戦って勝てると思うか?」

 一葉が突然全員に訊ねた。武人としてやはり知っておきたいからだ。

 「・・・無理です」

 「・・・北落師門を使えばいい勝負は出来ると思うが無理じゃな」

 「・・・認めたくないが」

 この連合の中で最も高い実力を持つ綾那、桐琴、小夜叉がそう言うと、ほかの皆も言葉が出なかった。

 「一人を狙うのであれば、何とかできると思いますが」

 「麦穂の言う通りですが、あの狂だけは全員でやっても無理でしょうな」

 「拙らは四聖天と呼ばれるあの四人と戦っても確実に勝てません」

 「皮肉なしで言わせてもらうと、あれが本気であればの話だがな」

 白百合も含めた年長者組の言葉にますます沈黙が強くなった。だから、

 

 『何でだよ、狂!何で天下を取らないんだよ!』

 

 映像の少年アキラの声は大きく響いた。夢はアキラが狂に文句を言っているシーンであり、話の内容からすると戦いの乱入はやめて四聖天を解散すると言ってきた。これは、見ていた彼女らも驚いた。何しろ、いきなり乱入した日の本の天下を取れる戦いにもう勝ちは確定段階まで言ったのに、それを狂は放棄すると言っているのだ。アキラは反対したが、残りの三人は別にいいんじゃないか?と言って反対しなかった。

 

 狂の宣言通り本当にその戦いから去って、四聖天も解散しアキラは一人になった。

 『・・・狂、何で、せっかく、狂がこの国のてっぺんに立てるのに、どうして!』

 唖然となって歩いている姿を見て、心配する妻達。

 『そんなことはない。狂がいらないのは・・・天下を取ることなのか?何でだよ、天下を取ることがどうしていらないことなんだよ!』

 まだ少年のアキラにとってはショックが大きい出来事だ。何しろ五人でいて当たり前の生活がいきなりなくなり、しかもそれを作ったのは自分が追いかけ続けている男だ。考えたくないことを考えないように必死にごまかしていた。

 「アキラ様、辛そう」

 「そうだな、ここ。裏切られた気持ちでいっぱいなんだろうだぜ」

 「「・・・・・・」」

 「?どうしたです?歌夜、小波?」

 「な、何でもないわよ!」

 「は、はい!気にしないでください!綾那様!」

 そんな少年アキラを見て二人は越後の時の自分を思い出した。葵との繋がりが切れてしまったと思った辛い気持ちが・・・。

 「夕霧お姉ちゃん。私達、あの時」

 「そうでやがるな・・・」

 こっちの姉妹は母の信虎の事を思い出した。母を甲斐から追い出す苦渋の決断をした時のあの辛い気持ちが・・・その時、

 

 『・・・そうだ、俺が、俺が・・・その舞台を作ればいいんだ』

 

 この言葉で少年アキラから聞こえてきた。

 「な、何か、お兄ちゃん。怖い」

 「・・・熱い情熱を感じるさっきのアキラとは正反対になっている」

 「こ、これが、本当に、あ、あいつ、なの!?」

 「兄様、その笑顔・・・冷たいです」

 織田、浅井夫婦はその変貌に恐怖し

 

 『狂が立てるように、作ればいいんだ』

 

 「美空お姉さま・・・あ、アキラ様が」

 「ど、どや・・・は、母上、寒気がするです」

 「アキラ様、傷ついて変わったのですの?」

 「これが、アキラなの・・・信じられない」

 「はい、私も信じられません」

 長尾の二組の母子は驚き、

 

 『その為なら、どんなことでもしてやる』

 

 「こ、怖いの、アキラ・・・怖いの」

 「鞠さん。でも、私も、双葉も、怖いです」

 「主様・・・こんな過去を持っていたのか」

 「信じていた。でも、裏切られた。しかし、諦められないから無理矢理させてやる。そんな思いを抱いてしまったのですね」

 血のつながりがある三人と従者は辛そうに少年アキラを見て

 

 『例え、狂に敵として見られても、作り出してやる!!』

 

 「夫殿が・・・これはぞっとするね」

 「そうだね一二三ちゃん」

 「アキラ・・・光璃、初めて見た。そんな怖いアキラ」

 武田の主と目と耳は背筋がぞっとした。

 

 皆、変貌したアキラを見て怖さを覚えた。双葉や空、名月と言った者は我慢できずに傍にいる一葉や美空に抱き着いた。他のものも手を握ったりしてその恐怖をしのいでいた。

 「こ、こんなアキラ様・・・も、さ、最高!」

 「アキラ・・・冷たい目で見られて、罵声をかけられたい(」

 こんなアキラですら、欲情する救いようのない二人もいたが・・・。

 

 だが、すぐ作れるはずがなく狂をその舞台に立たせるには、自分がさらなる強さを手に入れないといけない。だからこそ、さらなる強さを求め森に行き・・・

 「こ、これが・・・心の眼を手に入れるために」

 「あいつが、目をつぶした修行」

 「いったい、何年の時を使ったの?」

 死に物狂いの修行の結果、ついに三年半の時間を使って第六感・心の眼を手に入れた。正室三人はその途方もない努力に改めて凄さを感じた。

 「・・・・・・」

 そんな中、朱雀が真剣な顔になった。両隣の庵樹と時人は不思議そうに見る。

 「この時・・・だったのですね」

 「朱雀?」

 「どうしたんだ?」

 「いえ・・・すぐにわかります」

 朱雀の言葉にますますわからなくなる二人。夢の方は少年から青年のアキラになっていた。そのアキラが修行のために自分の目に巻いていた包帯をほどいた。その目はやはり閉じられていた。

 「ここからだね。盲目になったのは、それにしても思い切ったことをしたもんだ」

 「一二三ちゃんの言う通りだよ・・・私達では絶対に真似できません」

 「うんうん、犬子たちも無理!」

 「・・・ふ、ふん!と、兎々なられき「無理に決まっている」、う、か、春日様」

 「その通り、だから柘榴も無理」

 「松葉!ひどいっす!・・・で、でも、その通りっすね」

 彼女らもアキラのすごさに感心していると、

 『・・・誰か来ますね』

 すっかり熱さを失った冷静な口調で顔をくる気配に向けた。そこに、

 

 『はあ、はあ、はあ!』

 

 やってきたのは、何と朱雀だった。全員、見ている方の朱雀に注目した。

 「え!す、朱雀さん!」

 「ど、どうして、ここに?」

 「・・・見ての通りです」

 ひよところの質問には簡単に答えた。夢の通り、朱雀はアキラの修行が終わったすぐ後に出会ったのだ。だが、夢の朱雀は何かに逃げているように見える。

 『待ちやがれ!』

 『商品が逃げるな!』

 『・・・っく!』

 朱雀が夢のアキラの前まで来た。ニヤッと笑い、

 『・・・ちょうどいいです。この心の眼を試すには』

 『あ、あの!』

 『私の後ろに隠れなさい』

 『え?あ、はい!』

 朱雀を後ろに隠して、すぐ後に追いかけてきた男達が来た。言葉から察するに人売りの連中のようだ。アキラも子供時代に同じような目にあったからすぐにわかった。

 『おい、てめえ誰だ!』

 『商品を返せ!』

 『手間かけさせたんだ!まずは俺らで楽しまないとな!』

 怒りと下劣な笑みを浮かべる連中にアキラは見下した。

 『見苦しいですね。ふふ・・・見苦しい姿を感じて分かる。どうやら完全に心の眼を手に入れたみたいですね』

 『『『何言ってやがる!』』』

 『では・・・カスを消しますか』

 寒気すら感じる声と笑みを浮かべながら、自分の二本の愛刀を抜いた。

 

 もちろんアキラが負けるわけがない。あっさりと男達を氷漬けにした。

 『あ、ありがとうございます!』

 『別に。では・・・』

 礼を言う朱雀を無視して森を下りることにして、下り始めた。

 『・・・・・・』

 『・・・・・・』

 だが、その後を彼女がついてきた。もちろん、最初は別に構わなかった。だが、下りて街に着いた時もずっとついてきた。

 『あなた。何故ついてくるのです?』

 『・・・ダメですか?』

 『ふむ・・・まあ、いいでしょう。手足となる者がいないと、私一人であの野望を実現させるには無理がありますし』

 『構いません。私はあなたに助けられました。私の命、あなたの自由に』

 真っ直ぐアキラを見る目。その目は、嘘偽りないアキラの為に何かしたいという思いがこもった眼だった。アキラもそれを理解した。

 『わかりました。なら、使ってやりましょう』

 『はい』

 『なら、まずは・・・』

 こうして、朱雀はアキラの部下となった。

 

 

 それを見ている朱雀は、独り言のように語っていた。

 「当時のアキラ様は、確かに氷の冷たさを感じるくらい寒さがありました。ですが、私は見つけました。アキラ様には何かを思う強い何かがあると・・・当時の私はそれを知りたい。その為にアキラ様の部下になりました」

 実年齢で言えば、朱雀の方が年上だ。ましてや、心を読めるサトリの村正の傍にすらいたことがある。だから気づけたのだろう。

 『ですが、アキラ様の傍にいたい。そう思った理由は・・・』

 こっそり胸の中で言った。

 

 『村正様とアキラ様は辛い現実を見てもなお、それに負けない気持ちを持ち何とかしたいという信念を持っていた。その気持ちに惹かれたから傍にいたいと思った』

 

 自分の胸に手を当て、当時思った気持ちを思い出した。

 

 『例え危険な道に進むことになっても、歪んだ考えだとしても・・・アキラ様は真っ直ぐに必死に、命がけで成し遂げようとしていた。それを物語る背中を見て、あの人に仕えたいと思った・・・そして、この想いを持った』

 

 同時に、想いを持つようになった理由も思い出した。朱雀は改めてアキラへの想いを再確認できて嬉しかった。これからも仕え、傍にいようと決心した。

 




 
 四聖天解散後のアキラは心の眼の会得以外は完全オリジナルです!朱雀との出会いも人売りの商人から助けたことと、彼女がそんな思いを持ったからアキラに仕えたという感じにしました!人売りって今もわからないところでは続いていますしね・・・本当に人の金への欲望と言うのは怖いです。

 因みに心の眼の会得を三年半にしたのは、残り半年で情報収集と狂の居場所と現状確認や関わっている組織の潜入とそこになじむまでの時間などが必要な時間が半年と思ったからです。

 次回はついに四年後のアキラと狂の再開です!


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九十二振り目 アキラ・・・再び、背中を

 
 こんばんは!いつも夜食を食べてしまう三MENです・・・だから太るのにやめられない!

 今回はちょっと無理やり感がある話です。展開を繋げに繋げてとかなり無理矢理です。ただ、それらを見る奥さん達は出来る限り半分シリアス半分コメディにしたつもりです。

 後、以前も書いたがSDK原作全部持ってないので、こんなセリフじゃない。この展開が抜けている。と思う方もいると思います。すいませんです・・・このままでいきます。


 

 過去の夢の続き。心の眼を手に入れ朱雀を部下にしたアキラ。

 『なるほど、壬生一族で間違いないですね』

 『はい、間違いありません』

 『信じられません。まさか、狂が負けたなんて』

 『ですが、負かさないと魂を移動させることなどできないかと』

 『・・・悔しいですが、受け入れるしかないですね』

 朱雀と情報の交換をして、狂の存在を確認した。その時、朱雀はある人物・・・壬生京四郎に目が行った。彼女は直接会ってはいないが、壬生と言う名字が気になっていたからだ。ただ、彼を知ったのが、

 『全然似てませんね』

 『そっくりに描くことなどできませんので、仕方ないかと』

 町の瓦版に貼られている壬生京四郎の手配書だ。そう、賞金額百文という極めて少ない額のあの手配書の顔を見て朱雀は気づいた。そして、アキラも気づいた。

 『目つきは確かに狂ですね。この男の中に狂がいると』

 『肝心の体の方はどこにあるかはわかりませんでした。ですが、壬生一族はそういうこともできるはずです』

 『・・・朱雀。どうしてそこまで知っているのですか?壬生一族は私が四聖天の時でもあまり聞かなかった情報です。それなのに、あなたはすぐ気づいた』

 『・・・知り合いがいたからです。その人は今どうしているかはわかりません。ですが、これだけは覚えてください。私はもうあなたのものです。決して裏切る、騙すは致しません』

 アキラの問いに朱雀は言葉を選んだ。確かに間違ってはいないからだ。

 『ええ、分かってますよ。次はその壬生一族が狙っている狂の体ですね。それを確保しないことには始まらない』

 『分かりました』

 二人はどこかの洞窟みたいなところにいたが、次の目的が分かり出て行った。

 

 それらを見た久遠達はちんぷんかんぷんだった。

 「魂が移動?」

 「何の事?」

 「・・・分からない」

 久遠達当主の顔が皆の顔だった。何しろ、歴史の裏でここの世界ではなくアキラの世界。こうなるのは必然だろう。

 「朱雀さん、アキラ様のものって!それは私のセリフです!」

 「説明してください!あと、詩乃ちゃんどさくさに言わないで!」

 「あのそのあの!し、雫も、その」

 「そうじゃ!羨ましいぞ!」

 「説明ですか?そのままの意味ですが?身も心もあの人のもの。ふふ」

 アキラ隊の面々はそんなことはどうでもよく、彼女の発言に反応して問い詰めていた。朱雀はそんな彼女らにドヤ顔して満足げだった。

 そんな彼女らを置いて、やっと狂の体のありかを知ることができたところだ。

 『よく調べました。ありがとうございます』

 『私は、アキラ様のためにやりたかっただけです』

 『狂の体を隠しているその組織には、私自ら入りましょう。これで、やっと野望がスタートできます』

 『・・・アキラ様、頑張ってください』

 朱雀はただそう言うしかなかった。そして、アキラが潜入した『十二神将』に入って数か月が経過した。

 

 

 そこまで見て彼女らは息を吐いた。さっきのことは忘れることにした。

 「・・・あやつは自分が昔冷たかったと言ったな」

 「本当だったわね・・・でも、今は温かいわ」

 「どうやって変わったの?」

 「見ていくしかあるまい。じゃが、ここまでは冷たさがさらに増しているように見える」

 一葉の言葉に辛そうな顔をして久遠・美空・光璃が頷いた。

 「狂という男の傍にいないからかと。当時のあやつはあの男と共にいることが当たり前という考えみたいですから」

 「そうですね。どんなに突き放されても、アキラ様はその人をずっと追いかけ続けていましたから」

 「さて、どんな展開になるのやら・・・不思議と楽しみですな」

 光璃の質問に答えるような壬月、秋子、春日の言葉に耳を貸しながら、夢のアキラの行動に注目した。

 

 四聖天解散から、ついに四年が経過した。もちろん夢では、あっという間だ。

 『狂の居場所が分かったですって!』

 『はい、近くの宿場町にいます。実際に確認しました』

 子供の姿でも実際に見たことがあり顔つきは全く変わらないので朱雀はすぐにわかったが、アキラは当時その事を知らなかった。

 『ふふふ、やっと再会ができます。楽しみですね~』

 『でも、一人ではなく三人で行動していました。一人は女性、もう一人は頭に布を巻いた軽そうな男でした』

 『女性はともかく、そんな男が狂の傍に?』

 『はい・・・その男で一つになることが』

 『気になること?』

 『はい・・・という事が』

 朱雀が小声でアキラに伝えた。

 『なるほど・・・どういう意図があって近づいたのかも確認する必要がありますね』

 『お気をつけてください。十二神将の連中はアキラ様を怪しんでいます』

 『好きにさせなさい。私はただいるだけであって、その肩書を持っていません。四聖天以外は持つ気はない』

 『分かりました・・・私は何を?』

 『引き続き狂の体を探しなさい。奪った後で保存できる場所の確保です』

 『分かりました。お気をつけて』

 

 そんな二人のやり取りを見て思ったことは。

 「・・・お頭の最初の部下って聞いて羨ましいと思ったけど」

 「お頭、全然朱雀さんのこと女性と見てないですね」

 「朱雀さん。残念でしたね」

 「詩乃。それは失礼ですよ」

 「女としては、全く見ていないですわね」

 「その狂っていう人しか興味がないみたいに見えるの!」

 朱雀を女性と見ていない事だ。さっきまでドヤ顔していた朱雀に詩乃がニヤニヤして挑発した。

 「ふん!ですが、一緒にいた時間は誰よりも長いです!」

 「それは、女として見られてない時間が長いとも言えますね」

 「あなたより早く裸は見られましたわ」

 「あなたより早く抱かれましたよ」

 「「((ゴゴゴゴゴゴ(# ゚Д゚)、バチバチバチバチ<(`^´)>))」」

 詩乃と朱雀の火花が散った。

 「二人ともそうい「「久遠様(さん)は黙ってください!」」・・・う」

 主にすらかみつく姿勢に思わず後ずさる久遠。他の人達も二人から離れていく。

 「放っておいて、続きを見ましょう」

 「美空の言う通り」

 火花を散らし続ける二人は、美空と光璃の言う通り無視して皆は続きを見た。

 

 夢の方はゆやとワザと出会い、一緒に行動して宿に潜入したところだった。そこに紅虎が戻ってきた。

 『な・・・こ、こいつ。どうして、こんなに気配を感じないんや!』

 ゆやは戦う人間じゃないと見ていたから気にしなかったが、武人の紅虎は気配を全く感じれなく、目の前にいないと分からないほどの気配の無さに警戒を高めていた。その紅虎を見て、彼女らは分からない顔をしている者が多かった。

 「この男、どうしてわからないんだ?」

 「目の前にいるよね~」

 「うん、犬子達はばっちり見ているのに」

 「どういう事っすかね?」

 「理解不能」

 「ここ、こいつって変だぜ?」

 「そう言うことはいっちゃだめだよ!こなちゃん」

 「粉雪の言う通りなのれす!」

 若者達は理解できていなかった。でも、壬月達年上組や桐琴達一流武人達も半信半疑だ。紅虎の言葉に理解はできても、距離を取り夢で見ているから分からないのだ。

 「アキラ様って、そんなことまでできるんですか!」

 「私達は距離を取ってみているからこそわかるけど」

 「・・・もしあの場所にいたら私達も同じことを言っていたかと」

 「ああ、小波の言う通りだな」

 「さすがはアキラ。と言うべきじゃな」

 「あの二やつく顔も、あうん!いい、いい、じゅるり、欲情する」

 だが、アキラ隊に入っている松平三人と森一家はアキラの凄さを改めて実感した。だが、各務は・・・

 「はあ、アキラ様アキラ様アキラ様アキラ様アキラ様アキラ様アキラ様アキラ様」

 欲情している貞子同様別の意味で盲目になった目でアキラを見て自慰を続けていた。

 

 『アキラか。ずいぶん久しぶりだな』

 『ええ、狂。あなたは随分変わってしまいましたね』

 

 夢では、ついにアキラと狂が再会をした。その場は少し話した後十二神将のほかの皆と合流して去っていき、隠れ家で戻ると、ようやく欲しかった情報・・・そう、狂の体の場所が分かった。

 『朱雀、あの三人に連絡を取りなさい。いよいよ、我らの出番だと』

 『分かりました・・・あの、アキラ様』

 『何ですか?』

 『・・・いえ、何でもないです。では、連絡を取ってきます』

 そう言い、朱雀は出た。アキラは笑みを浮かべて、

 『狂、待っていてくださいね。ふふ』

 体を奪いに、再度隠れ家を出た。

 

 「アキラ様」

 詩乃との火花を散らせていた朱雀は、それを見て真剣な顔になった。詩乃もその顔を見て、火花を消した。

 「どうしたのですか?朱雀さん?」

 雫の言葉に耳を貸さなかった。

 「朱雀さん?」

 「朱雀?」

 庵樹と時人の言葉も聞こえていない感じだ。

 

 『アキラ様。もし狂様の体を取り戻したら、私をどうするつもりでしたか?あの時はそれを聞きたかった・・・狂様の体を取り戻す期間だけ使って捨てる。そんな感じでしたので、不安だったのです。でも、よかった。私を捨てないでくれて』

 

 あの時の心配がよみがえったが、今はアキラの傍にしかも妻にまでなれた。その嬉しさで辛い気持ちが吹き飛んだ。

 「何でもないです。アキラ様とずっと一緒にいられる。それを確認できて嬉しい気持ちになれただけです」

 自分の胸に手を置き、幸せそうな顔をした。

 

 

 少し時が飛び、アキラがついにその狂の体のところまでやってきた。

 「「「「「・・・・・・」」」」」

 皆は怖いものを見る目でアキラを見ていた。その理由は、ここに来る前の一つの出来事にあった。行動中に十二神将のある一人と出会い、その者が狂の知ってはいけない過去を知り、それを聞いたアキラが問答無用で氷漬けにしたのだ。

 

 『全てを、無へ。狂の全てを知っていいのは私ただ一人。そして、狂を殺すのもね』

 

 かつてのアキラの冷たさを見て、絶句したのだ。まるで別人ではないかと思えるくらいの今と昔の違いだ。夢の方ではやっと目の前ある体に喜びを隠せないアキラ。

 

 『さて、もうあなた達とはお別れです』

 

 だが、辺り一面氷を出してその場にいる十二神将を凍らせようとした。

 「なあ!ぬ、主様!」

 「ま、まさか、そのようなことをアキラ殿が!」

 「だ、旦那様が・・・う、嘘」

 「い、市。に、兄様が」

 「お、お兄ちゃん、そんなことまでするの」

 さっきは口封じとして納得できるが、十二神将にはアンテラとサンテラと言う小さな彼女達すら凍らそうとするアキラ。この時の皆は本当に恐怖を覚えていた。ついに狂の体を手に入れて退散しようとしたところで、取り戻しに来た狂と再び会った。そこでかつてやめていた天下を取ろうと誘った。

 「別れるときに言っていた鬼目の狂を天下の舞台に立たせる。その為だけに」

 「ここまで冷酷になった。ということじゃな。さすがに怖いのう」

 「これは・・・私もぞっとしましたぞ」

 ひねくれた頭を持つ一二三に白百合、悠季も背筋がぞっとしていた。そんな一面を見て皆の言葉も出なくなっていた。

 

 『何でだよ!狂!どうして、天下を取ろうとしないんだ!』

 

 狂の体を返して天下を取らせようとしたが、拒否したためにそれすら失敗に終わった。怒りを持ちながら体を持ち、その場をそのまま去っていった。

 

 

 隠れ家に戻り、狂の体を安置した。

 『何故だ・・・どうして、どうして!』

 かつての狂に戻してともに天下を取る事がアキラの目的。それができなかった。そこでアキラは考え方を少し変えた。

 『狂の体でも天下に動かないのなら・・・何か別の動かせるものがあれば』

 それが必ずある。そう考えて、調べなおそうとした時に朱雀が戻ってきた。

 『お待たせいたしました、アキラ様。あの三人に連絡を届けてまいりました』

 『そうですか。ご苦労様です』

 『はい・・・あの機嫌が悪そうですが、断られたのですか?』

 『・・・ええ』

 『それでしたら、一つお聞かせしたい情報が』

 朱雀は三人への連絡の他にもう一つこっそりとやっていたことがあった。狂がアキラと別れて再会するまでの間にこっそり調べていたのだ。そして・・・手に入れた情報を話した。

 『朔夜?誰です、それは?』

 『狂様が壬生京四郎に負けましたよね。その男と一緒にいた女らしいです。その女を狂様がどうやら大切に思っていたみたいです』

 『ふむ・・・なるほど』

 『ただ、今いる場所はおそらく壬生一族のところかと。壬生京四郎と共にいたということは、向こうとしても壬生京四郎を手駒にできる貴重な人質ですので』

 『それはいいことを聞きました。どの道、そこには行く必要があります。狂の体を閉じ込めているこの封印、私の力でも解けませんですからね。壬生京四郎がそこの最も力の強いものに頼んで封じさせたのでしょうから、そいつに解かせる必要があります』

 『おそらく、紅の王。その人だと思います』

 朱雀は言うのを少しためらったが、どの道知ることになるから早いうちに言っても問題ないと思い、言葉にした。

 『わかりました・・・どうやらこの体、私には必要なさそうですね』

 アキラの方はどうしてそこまで知っているのか?と言う事に問い詰めなかった。裏切らないと言ったから、聞くこともないと判断したのだろう。

 『あの、今度は何を?』

 『しばらく私と共にこの体の監視です』

 『はい』

 こうして、二人はしばらくこの場にいることになった。その時の生活に共に寝たり、湯に入ったり、転んだふりして抱き着いたりしたが、アキラは反応しなかった。

 

 それを見た妻一同は、本当に狂と言う男以外はどうでもいいという考えだという事を改めて知った。

 「あれだけ、朱雀さんが自分を見せているのに反応しないなんて」

 「何か、かわいそうでやがる」

 「ふふ、見せるところが足りませんわ!ちゃんと、ここを!」

 「うん、これを見せればアキラも」

 「あんた達は少しは自重しなさい!」

 「「無理(です)!」」

 「・・・・・・」

 武田姉妹が同情しながら朱雀を見ると、貞子と各務が自慰をした濡れ濡れの割れ目を堂々と出した。慌てて美空が注意したが、即答で無理発言に光璃は汗を流した。

 「各務、ここで出してもアキラに見せるわけじゃないぞ」

 「ここは夢なんだからよ。無駄だぞ」

 「無駄じゃない。見られていると思う。それが大事・・・ん!」

 「そうです!ああ、そう、見られる。それが・・・あふん!」

 桐琴と小夜叉の言葉に否定して、絶頂した二人。二人の存在をもはや見なかったことにして再び夢の方に集中する皆。

 

 その後、巨乳の情報屋出雲阿国がその隠れ家にやってきた。その彼女にアキラは取引をした。命を差し出すなら、狂の体を返すと。今までのあの冷酷なアキラを見た彼女らは殺すと思っていた。だが、髪を切ってそれで女の命を切ったとして情報屋としての腕前を使って、壬生一族の内部を調べることを依頼した。その依頼料として、狙われる立場の狂を守るという代金を払って。

 「ふむ、あの男のために戦いつつ、朔夜と言う女も手に入れて、あの漢に天下を取らせる場に立たせられるという事か」

 「本当に抜け目ないわね。あいつ」

 織田夫妻で話していると、夢ではアキラが狂の前に姿を現した。他にはゆやと、紅虎の代わりに梵天丸がいた。もちろん警戒をしていたが、狂の体を出したらその警戒もそれなりに解き、狂の全力でも封印を解くことができなかった。朱雀からの情報を伝え壬生一族の王である紅の王に頼まないとこの封印は解けないことを話した。もちろん、朔夜のことは伏せてだ。阿国の情報料として、狂の護衛として動くことにした。

 『よろしくお願いします、ゆやさん』 

 その際、なれなれしくゆやに寄るアキラの姿を見て

 「「「アキラ・・・(ゴゴゴ)」」」

 「我慢よ、久遠(ゴゴゴ)」

 「お、姉様、こ、怖いです(ビクビク)」

 「お、落ち着くでやがる!(オロオロ)」

 怒りに燃える当主三人。慌てて諫める夕霧。結菜も怒りに燃え、空は怖がっていた。他の妻達もムカッとしたり、誑しの元はここからか?と呆れたりしていた。

 「時人、大丈夫か?」

 「大丈夫です。皆さん、受け入れてくれます」

 「・・・わかって、いるよ」

 そんな中、時人は顔色が悪い。何しろ、彼女にとってもこれから先の展開は大きな意味を持つと同時に、自分の見たくないものを見るようなものだからだ。

 

 ついに始まる。アキラの持っていた戦いへの意味。そして、信念を変えていったとも言える戦いが・・・

 




 
 う~ん、やはり話の繋ぎが無理矢理すぎたな・・・各務もストーカーからヤンデレにジョブチェンジさせてしまったし。朱雀も詩乃と久々に火花散らせたな。

 この分は次回の話で挽回するぞ!次回はついに過去のアキラが戦います!原作持っている方、お楽しみに!持っていない方もブック〇フとかで立ち読みしてはどうですか?


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九十三振り目 アキラ・・・死人の信念(おもい)

 
 ごはんとパンどっち派?と聞かれたらごはん派の三MENです!

 ついに始まります・・・思いをかけた戦いが。



 

 アキラの野望と狂の魂を体に戻すため、再び狂と共に行動することになった。

 

 『皆のもの、先に伝えておくことがある』

 『ここから先を見る際に重要なことだ』

 

 再びあの光の二人が現れて、皆に話しかけてきた。

 「・・・あんた達。いきなり話しかけるのをやめてくれない?」

 「美空。驚いたのか?」

 「なあ!そ、そんなわけないじゃない!」

 「ぷ~、驚いてた」

 「よし、その喧嘩買った!」

 「・・・それで何だ」

 二人のいつも通りの口喧嘩を無視して、光の話は続いた。

 

 『この時の主は壬生の血は入っていない。だから、お主達が見た無明神風流殺人剣の技は使えない』

 『紫微垣もまた持っておらず、わ・・・いや、二本の刀で戦っていた。だから、ライトニング・ボルトも使えない』

 『そのことをしっかり理解しておくように』

 『では、お主ら・・・ゆっく、ではなくしっかりその目に焼き付けろ』

 

 間違った言葉を言いかけていたが、なかったことにした。

 「今のような強さもない。という事か」

 「過去だから、当然じゃが・・・それでも十分強い気がする」

 「そうですね。兄様はどれだけ強かったかを見たかったですし」

 「見ましょう・・・妻として、愛する人として」

 最後の葵の言葉に久遠・真琴・一葉はもちろん他の妻達も頷いた。口喧嘩していた二人も、アキラの戦いが始まるので夢の方に集中した。

 「冷たいアキラが温かいアキラになったいきさつ」

 「しっかり、見ましょう。最後まで」

 「ああ、お前らもしっかり見届けろよ!」

 「「「「「おう!」」」」」

 春日の言葉に若者組は元気良く返事した。

 「湖衣、どう思う?この先の夫殿に起こる戦いは」

 「何でそれを聞くのかわからないけど・・・ただ言えることは私達の想像ははるかに超えるものを見ることになると思うわ」

 「うむ、儂も同意見じゃ・・・決して見ることのないものが見れる。そんな予感がする」

 「やれやれ、暑苦しいものを見ることになりそうですね」

 ひねくれ連中も何だかんだで楽しみにしていた。

 

 

 夢の方では、壬生の里への入り口までやってきた。すると二人のナース服を着た女達がやってきた。そのうちの一人に名月は驚いた。

 「え、ええ!さ、さ、ささ、サイさん!」

 彼女の実の母親の北条氏康の護衛をしているサイだった。この中で唯一会ったことのある名月はびっくりしていた。

 「な、名月ちゃん?」

 「どや?どうしたです?」

 驚く名月に二人が訊ねる。

 「あ、あの人は、私の実の母、北条氏康の護衛をしているサイという者です!ど、どうして、このアキラ様の過去に?」

 「という事は、その者もアキラ殿の世界から?」

 「そう考えるべきじゃな」

 「アキラ様だけじゃなかったのですね・・・」

 「親父もそうだったし・・・他にいてもおかしくないんだぜ」

 一葉と幽の言葉に驚く皆。ひよところも一回会っているが、すぐに別れたため二人とも気づかなかった。

 そんな中サイ・・・いや、歳世がゆやの命を残り十二時間にした。元々、辰怜がある術をゆやにかけていたのだが、その時間を短くさせた。二人がいなくなり、閉じられた入り口の門を怒りに燃えた狂が力づくで壊して、急いで術をかけた辰怜のところに行くため四人は入っていった。

 

 急いでいる内にアキラ・梵天丸と同じ四聖天のほたるが現れた。元々、この壬生の里を守る太四老の部下の五曜星の一人だった。そのほたるには狂が相手をした。

 

 『俺、狂を倒したかった』

 『ははは!俺を倒すか。やってみろ!』

 

 二人はお互い戦好きなので、激しさを極めた戦いになる。火を操るほたる相手に楽しそうに戦う狂。それを目の当たりにした彼女達。

 「す、すっごいです!さ、最初から、こんなにすっごいの見れるなんて!」

 「・・・あいつの世界。本当に強い奴ばっかりだな」

 「行きたかったのう!悔しいわい!」

 綾那・小夜叉・桐琴は目を輝かせた。他のものも、

 「向こうの世界に生まれなくて、よかった」

 「うんうん、雛達死ぬね~」

 「柘榴、興奮するっす!ああもう、暴れたいっす!」

 「全くだぜ!俺も熱くなるぜ!くっそ~~!」

 「「落ち着いて、柘榴(こなちゃん!)」」

 ぞくっとしていたが、ワクワクもして見ていた。

 

 『無明神風流殺人剣!奥義!朱雀!』

 

 戦いも終盤になり、狂がこの技を放った。越前で間近で見た桐琴や、遠目で見た美空や柘榴に松葉と歌夜はビックリした。

 「え。こ、この技って、アキラが・・・」

 「え、ええええ!ど、どうしてこの人が?」

 「分からない」

 「・・・も、もしかして、元々この人の技をアキラさんが?」

 『この技は、元々この男と壬生京四郎のみが使える技』

 『主はこの世界に来る前に壬生の血を得て、頑張ってあの流儀を手に入れた』 

 疑問に思っている四人に光の二人が答えていると、その技でほたるをついに倒した。そのほたると少し話をして、通してくれたので先に進んだ。 

 

 二つ目の門で、壬生の入り口で会った歳世と歳子がいた。この二人が二つ目の門を守るものだった。その二人の前に鬼のようなものが二体いた。その二体が何と源義経と武蔵坊弁慶を蘇らせたものだという。

 「あの伝説の、義経と弁慶だと!」

 「しかし、おかしい。どうしてあんな奴に従っているのじゃ?」

 「もしかして・・・鬼が人を食料として襲うように、この二体も同じ様にされているのでは?」

 森一家の疑問に麦穂が答えて、

 「人の知性なしで蘇させられたという事か。向こうの世界の鬼と見ていいな」

 久遠が付け足した。実際、その通りだ。

 「何と外道な!無理矢理生き返させて奴隷のように使うとは!」

 壬月の激昂に皆も同じ気持ちで頷いた。その二体が狂に襲い掛かった。ほたるとの戦いで疲れていたため押されていたが、

 

 『狂、あなたが雑魚如きに出る必要はありません。私が戦います。私はあなたの背中を守る男であり、あなたの刀なのですから』

 

 そこにアキラが入り、狂を休ませて自分が前に出た。

 「アキラが出たという事は・・・戦うのね」

 「うう、旦那様・・・大丈夫でしょうか」

 「結菜お姉ちゃん、双葉様、お兄ちゃんだよ!大丈夫!」

 「うん!お兄ちゃんは強いんだから!」

 不安そうにする結菜と双葉を市と薫が慰めた。

 『さて、狂に無礼をした分たっぷりとお返しさせてもらいますよ』

 自信たっぷりの笑みで二体の前に立ち、戦いとなった。この戦いを見ながら夢の中の梵天丸はアキラの生い立ちを語った。

 

 『あいつは、狂が拾った時は俺らのようなサムライの血をひかないただのどこかの商人のガキだった』

 『だがな、あいつはただ一つ。俺達サムライよりも勝るものがある』

 『努力だ。アキラはずっと狂の背中を追いかけ、その背中に必ず追いつくために、必死に、負けずに、ずっと努力し続け追いかけ続けた』

 『あいつは、戦いながら学び、そして勝つ・・・努力の天才だ』

 

 話しているうちにアキラが二体を押していた。すると、今度は歳子が何かして気配も音もない状態で二体が襲い掛かってきた。

 『うふふ、これで終わりです』

 『力のないことを悔いながら死ぬがいい』

 「・・・さ。サイさん、そんな残酷なことを」

 「名月ちゃん」

 震える名月の肩に手を乗せる空。だが、

 『・・・狂、チリも残さず、ですよね』

 『ああ、やれ』

 その攻撃全てを全部かわしていた。しかも、笑顔で余裕だ。

 「・・・これが心の眼。あんな速さじゃ私達だと受ける攻撃を!」

 「へ、平気によけている。ご、ご主人様。本当にすごい」

 「アキラ!すごいの!」

 「ハニーですもの!当然ですわ!」

 「「お頭!いっけ~~!」」

 『夢氷月天!』

 アキラ隊の皆が応援すると、二体を言葉通りチリも残さず消した。二体が完全に消えたのを確認して刀をしまうアキラ。

 

 『あいつは努力だけで俺達サムライ・・・超人の世界に入り込んだ人間だ。しかも、サムライは愚か常人じゃ不可能とすら言われる第六感・心の眼も努力だけで開眼させた。サムライの血はひいちゃいない。だが、誰よりも強いサムライの魂を持っている本物のサムライなのよ』

 

 梵天丸の言葉に、半分以上の嫁達が拍手をした。思わずそれをするくらい感激したからだ。そして、ついに・・・

 

 『では、この歳世がお相手しよう。本気でいかせていただく』 

 

 アキラと歳世の戦いが始まる。

 「サイさん。あれが本気で戦う姿、美しいですわ」

 名月の言葉には皆も頷いた。周りが桜で舞っているから余計にそう見えた。

 『では、参る!』

 そう言った途端、彼女の武器である長刀の刃先がアキラの目の前にあった。慌てはしなかったが、驚きはして彼女の攻撃を防いだ。また、攻撃はそれなりに重いみたいで、徐々にアキラが押されてきた。

 「すごい。結構やりますね」

 「ああ、儂といい勝負ができそうじゃ」

 「あの武器であの速さ。十分に強い。粉雪、勝てるか?同じ武器を持つものとして」

 「どうだぜ?結構厳しいかもだぜ」

 「そうっすね。柘榴も厳しいっす」

 歳世の強さに感心していると、アキラと彼女を囲むように氷が出てきた。そして、ドームのように完全に囲んだ。

 『やりますね。私も女性だからと油断しました・・・ですので、この四聖天アキラも本気を出させてもらいましょう』

 アキラも本気を出して戦う姿勢に入った。自身の得意技・氷繭星霜を出し、三百六十度ある氷の壁に自分を映し攻撃させる技。そして、斬られた氷は歳世を襲い、体力も削られていく。

 「これが、アキラの本気か」

 「徐々に体力を削っていき、弱ったところにとどめを刺す」

 「戦いとしては間違っていない」

 「強敵ほど、自分のやり方に持ってこさせることが大切です」

 「術中にはめて倒す。いいやり方です」

 国主達が真剣に見て、武将達も真剣に見る中

 「ああああ、アキラ様がアキラ様が周りに一杯!もう、もう、貞子は何度でも、淫らになってしまう~~」

 「うん、うん!私も、各務も!濡れちゃうよ、ずっと、欲情する!」

 こちらの二人はもはや言うまでもない。というか、氷全てにアキラが写った途端に欲情と二人の割れ目から噴水が出た。全員見ないようにして、二人の戦いを見ている。

 『『『『『その気持ち、わかります!!』』』』』

 だが、アキラに身も心も蕩けた妻達はこっそり同意した。

 

 そんな雑談の間にも、歳世はどんどん追いつめられていく。

 『これで、終わりです!』

 薙刀の刃を地につけて息を吐いているところにアキラが斬りかかった。

 「「「「「やった!」」」」」

 「!!」

 皆が喜ぶ中、名月だけは目を閉じた。自分の家族を守り、自分も家族のように接していた護衛が斬られるのは見たくない気持ちがあるのだろう。だが・・・

 『ぐ・・・く』

 苦しんでいるのは歳世ではなく、アキラだった。

 「え?お頭、斬ったよね」

 「うん、なのに、どうして?」

 ひよところが不思議がっていると、氷繭星霜が壊れ苦しむアキラ。再度歳世を刺しにかかった。すると、

 

 『ぐふ!』

 

 彼女を刺した刀が自分の背中から出てきた。

 「・・・・・・な!」

 「あ、アキラ様!」

 「ど、どうしてお頭の刀がお頭の背中から!」

 「ハニー!」

 アキラ隊も皆も分からない顔をしながら、アキラの苦しむ姿に慌てた。

 「な、名月ちゃん。あれって」

 「わ。わからないですの。あんな技持っているなんて知らないですの!」

 この世界で、サイをよく知っている名月もびっくりした。

 「あの女のお家流だろうか?」

 「こ、怖いですね。自分を刺すのと同じですから」

 一二三と湖衣が寒気を持った時に歳世が種明かしをした。心霊手術というものを戦っているときにやり、自分の体をアキラの体につなげていた。だから、歳世を刺した刀がアキラを貫いたという事だ。

 「何と!こ、これでは、トドメがさせない」

 「あ、アキラ殿・・・あんなに血が」

 「こんなの、見たことがない」

 武将歴の高い三人もこんな技は見たことがない。麦穂は涙目になってアキラを不安そうに見て、壬月と春日も不安になった。

 

 『私は、負けるわけにはいかないのだ!この巴紋にかけて!命あるものとして!』

 

 その言葉にアキラは動きを止めてしまい、その隙を狙って

 『絶・百花櫻蘭!』

 必殺技をぶつけ、アキラを吹き飛ばした。

 「「「「「アキラ!」」」」」

 吹き飛ばされたがアキラは必死に起き上がった。梵天丸がすぐに駆け寄り、次は俺が戦うと言ったが断わった。 

 『ここは・・・私が、やる。狂に、そう言ったのです!』

 刀を杖にして立ち上がる。

 「だ、旦那様!も、もう!やめてください!」

 「アキラ!た、立たないで・・・お願い」

 「そうだよ。うう、任せればいいのに」

 双葉と結菜と薫は目に涙をうかべ、見えない壁に手を付けて叫んだ。

 『アキラにやらせろ。あいつが任せろと言ったんだ』

 座っている狂の言葉にアキラは笑顔になり、傷口に直接氷をつけて止血した。

 『ええ、任せてください。必ず、あなたを門の向こうに送り出して差し上げますよ』

 立ち上がり、そしてアキラは再び構えた。

 

 『行きますよ・・・四聖天、アキラ!参る!』

 

 傷つきながらも、決して折れないその魂と姿に

 「かっこいいぜ!アキラ!」

 「うん!素敵だよ~~!」

 「アキラ様~、抱いて~!」

 「松葉、嫁になろうっす!」

 「うん、なる」

 「ずるいぜ!柘榴、あたいもなる!」

 「こ、粉ちゃん。粉ちゃんはもうなっているでしょう」

 「あ、そうだった。てへぺろ」

 「な!粉雪ずるいっす!」

 三若や長尾・武田の若者達は完全に惚れた。既に妻になっている粉雪を羨ましそうに見る柘榴・・・と松葉。

 「じゃが、どうやって勝とうというのじゃ?」

 「ああ、攻撃が全部自分に食らうあの技を」

 「そうです!いったいどうやって」

 『あいつが確実に勝てる方法がある』

 桐琴・小夜叉・綾那が悩んでいると、狂がこの言葉を出した。

 「今、勝てる方法があるって」

 「じゃ、じゃあ、それをやれば!」

 「ええ!勝てますわ!」

 「やったの!アキラ、頑張って!」

 アキラ隊の四人はその言葉に嬉しそうにしたが、

 「・・・まさか」

 「・・・でも、それしか」

 軍師の詩乃と雫は顔を青くしていた。他にも笑顔を出す者もいたが、二人のように青くなるものもいた。

 「詩乃さんに雫さん。どうして顔が青いのですか?」

 「ご主人様が勝てるかもしれないのですよ!」

 歌夜と小波も疑問に思って聞いたが震えていた。だが、意を決して

 

 「皆さん!覚悟を持って見てください!」

 「アキラ様は、とんでもないことをします!」

 

 二人は全員に聞こえるようにそう言った。大半は疑問に思いながら見て、その言葉で気づけた一二三・湖衣・白百合は息を飲んで見ていた。

 「そうだね。とんでもないよね」

 「はい。アキラ様はここまでの事をしたのですね」

 「今回だけは、同意見じゃな」

 その話を聞いていた皆は結局分からないまま、見物を再開した。

 

 二人の戦いが再開された。傷ついたアキラが再び歳世に挑み、武器をぶつけ合い必死に戦っている。

 『私は、何としても勝たないといけないのだ!』

 『その思いは私も同じ!』

 『なら、その刃で自分を殺すがいい!』

 『いきますよ!おおおお!』

 歳世の必殺技を夢氷月天で防ぎ、彼女に斬りかかる。

 「「「「「アキラ!」」」」」

 皆の叫びと共に、アキラが二本の刀を突き刺した。

 「「「「「な!」」」」」

 だが、歳世ではなく・・・自分自身に。その行為に全員が驚き叫んだ。

 

 『う、あ、あ、く』

 

 アキラが自分を刺したその刀は歳世を貫いた。刀を引き抜き、彼女から刀がなくなると同時に歳世は倒れた。

 「え、え?な、何故だ?」

 「ど、どういう事、なの?」

 「・・・何が起こったの?」

 久遠・美空・光璃の疑問はあの五人以外全員の疑問だ。

 「・・・あの人はあの術でアキラ様の体とつなげたと言いました」

 「アキラ様が自分を刺せば、その攻撃は全部彼女にいきます」

 「だから、夫殿は自分を刺したんだ。よく、思いついたものだよ」

 「でも、あの術はアキラ様が必勝の一撃をかけに来る瞬間にだけ発動するようにしていたのだと思います。ずっと、かけっぱなしじゃ簡単に負けますから。でも、アキラ様はそこを見極めて自分を刺したのです」

 「かけてなかったら自分を刺し殺す。その事も承知で刺したんじゃろ。本当にすごい精神力じゃ。自分を刺すなんて普通じゃ思わないぞ」

 そんな彼女達の疑問に詩乃達五人が答えた。その説明を聞いて、やっと五人の顔が青かった理由が分かった。

 

 『あいつの努力が、歳世の技を打ち破ったんだ』

 

 アキラのやったことに驚きはしたが、梵天丸の言葉でアキラが勝利を掴めることに皆も笑顔になった。でも、

 

 『わ、私、はま、負けるわけに、は、いかない!』

 

 歳世が薙刀を杖代わりにして、必死に立ち上がろうとしていた。

 「・・・同じ武人として見事じゃ!」

 「素晴らしい心意気です。某も同じ気持ちです」

 一葉と幽が賞賛する中、梵天丸が気付いたことは歳世もまた死人であること。先に倒した源義経や弁慶と同じ時代の人間、巴紋をかざして戦った巴御前であること。そして・・・歳世を蘇らせたのは歳子であり、彼女もまた奴隷のような扱いを受けていたことだった。特に最後の部分は歳子が楽しそうに説明していた。

 「ひどい・・・いくら何でもあんまりだ!」

 「どこまでも腐りまくっているっす!」

 「ここまで怒りに燃えたのは初めてだぜ!」

 歳子の話に和奏・柘榴・粉雪だけでなく、ほとんどの皆が怒りに燃えていた。

 『私は確かにそういう立場だが、心までは奪われていない!私の心はただ一つ!』

 この歳世の言葉を聞いて、

 「ねえ、小波ちゃん・・・歳世って人って」

 「はい、間違いないかと・・・アキラ様が戦っていて忘れていましたが」

 名前とその最後を聞いた鞠と小波は思い出した。

 

 『あの人は・・・私に、死ぬなよと、言ってくれた!私を、人として、見てくれた!命あるものとして、見てくれた!だからあの人を、守りたい!・・・命あるものの証として!辰怜を守りたい!それが私のただ一つの信念(想い)だ!』

 

 後ろにある門を抑え、大きな声で必死な思いで自分の心を叫んだ歳世。

 「サイさん。そこまでの想いを持つほど、その人の事を・・・」

 「名月ちゃん、見届けようよ」

 「そうですぞ、それが名月殿のやるべきことですぞ!どや!」

 「空様、愛菜さん・・・はい!例え過去でも、あの人の思いを見届けます!」

 名月と同じく泣いている空と愛菜。泣いているのは三人だけじゃなかった。

 「ううええええ~~ん!ころちゃ~~ん!」

 「ひよ~~!悲しすぎるよ~~!」

 「小波ちゃん・・・歳世さんが、歳世さんが!」

 アキラ隊も正室も側室も皆が涙を出していた。鞠が叫ぶ中、

 「アキラ様、本当に昔の私に似ています・・・叶えたい気持ちを持っているのに」

 

 『だから、私はここで、散るわけにはいかないんだ!』

 『夢氷月天!』

 

 だが、襲い掛かった歳世にアキラはとどめを刺した。

 

 「叶えられなかった。でも、今の私はご主人様の傍にずっといたい、という願いを叶えている・・・前の私だったらこうなっていたかも知れない」

 

 倒れていく歳世を見ながら小波は頬に一筋の涙を流した。

 




 
 アキラと歳世は決着のところまでにしました。この続きは次回にします!

 小波はかつての自分が歳世に見えて、自分自身がずっとアキラに出会わなかったら同じ結末になっていたかもしれないことに涙を流しました。

 次回は・・・う~ん。ちょっと、考え中。少し時間をください。


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九十四振り目 アキラ・・・変わりつつある気持ち

 
 こんにちは!最近は動画を見ることにはまっている三MENです!

 すごいですよね、一人でたくさんの物語やギャグを作ったり、ゲームの実況も目を引かせるように注目させるポイントを作ったりと、感心します!

 では、歳世の最後とアキラの変化です!



 

 相模の小田原城にて、

 「起きたか」

 眠っていた歳世。いや、サイが目を覚ました。

 「ここに来て初めてだな。あの時を夢に見るのは」

 「へ~、それで、何を見たの」

 「・・・(ゴン、バキ、ドゴ)殴るぞ」

 無言で布団に入っている氏康を殴った。

 「殴ってから言うのはひどいんじゃない?しかも、蹴りもあったわよね」

 「一人で寝ていたはずなのに、いつの間にか入っていて、しかも服も脱がされていたら当然だろう」

 言葉通り、丸出しになった胸を隠すように襦袢を気直したサイ。

 「も~~、冗談じゃない。全く」

 「ほう~、前日の入浴中に乱入して一緒に風呂に入る。ここまではまだ許せる。だが、そこから私の胸を揉んだり、尻を触ったり、あの部分に指を入れようとするのもまた冗談と言うのか?」

 「(ぽん、ぽん。ぽん・・・ち~ん)うん!」

 「・・・死ね」

 無言で部屋の奥に行き、薙刀を取ってきた。

 「ちょ!そ、それはさすがにやりすぎ!」

 「貴様もやりすぎだ!覚悟しろ!」

 「ああ~~ん、ごめんなさ~~い」

 「心を込めて言え!どうせ、あれのおかげで助かるだろう!」

 まだ夜中なのに、小田原城は大騒ぎになってしまい一時当主VS護衛の戦いになりかけた。だが、かけつけた朧が止めて原因を聞いて、罰として上段で朝になるまで正座をさせられた氏康であった。

 氏康も来なくなり、再び眠りにつくサイ。さっき見た夢を思い出した。

 

 『あの時は最後辛かった。辰怜を守りたかったのに、あの人に最後を見届けてほしかった・・・でも、アキラ。あなたのおかげでそれが報われた。今も無事とわかって本当に良かった・・・ありがとう』

 

 笑顔で再び眠りについた。

 「ご、ごめんなさ~~い。お願い、許して~~。脚はともかく、誰もいないのが辛いの~~、うえ~~ん」

 上段では氏康の悲鳴が響いたが、結局朝まで誰も来なかった。

 

 

 そして、夢の世界では歳世が倒れたところだ。

 「終わったな。アキラの勝ちだ」

 「・・・何かしら。あいつが勝てて嬉しいのに、この複雑な気持ちは」

 「あの人の気持ち、わかる」

 「そうですね。辰怜という人をそこまで愛する気持ち。僕達が兄様を愛する気持ちと一緒です」

 「相手は違えど同じ恋をする女同士。できれば、死なないでその人と結ばれてほしかったです」

 久遠達当主は歳世のような強い想いをアキラに持っているので、生きて辰怜と結ばれてほしかった気持ちだった。

 「この時のサイさんの気持ち。同じ女として、家族として応援したかったですわ」

 「はい、この人は本当に素晴らしい想いを持っています」

 「名月ちゃん。今は生きているんだよね?」

 「はい!小田原で母様と一緒にいるはずです!」

 「でしたら、名月さんは今のサイさんを応援してください」

 「詩乃さん。雫さん・・・分かりましたわ!」

 彼女の事を知っている名月もまた同じ気持ちだった。空からちゃんと今生きていることを確認して、詩乃と雫からそう言われ笑顔になった。

 『『ライバルにならないようにお願いしますね・・・ふふふ』』

 内心はこんな腹黒な気持ちを持っていた。

 

 倒れた歳世を、アキラが抱きかかえた。

 『歳世さん。あなたは、私に敗れました。あなたは、ここで散っていきます』

 「あ、アキラ殿!それを言いますか!」

 「その通りですが、言わなくても!」

 『ですが、私とあなたは信念を持ち、魂を持ち、誇りを持って戦った。それらを全部持ってぶつかり合い、この結果になりました』

 「・・・いや、アキラはもしかすると」

 「そうだな。この者を・・・」

 麦穂と秋子はアキラを非難したが、続いた言葉に壬月と春日は真意を理解した。

 『あなたは命を燃やし、魂を輝かせ、信念を強く持って私をここまで追いやりました。これほどの戦いをあなたは私相手にやったのです。そこには生きる者も死人も関係ありません』

 そう、アキラは

 

 『私との戦い。この戦いこそが、あなたが魂の限り生き抜いた、命を持つものとして生きた証ではないでしょうか?』

 

 後悔することなく、成仏するために言っているのだ。

 「ううう、アキラ。言ってくれるよ~」

 「と、止められないよ~」

 「犬子もだよ~~」

 三若は、散ろうとする歳世に涙が止まらない。

 「武人としても女としても、この人に負けた気がするっす」

 「柘榴と同じ」

 「ここ・・・あたい、もっと旦那を好きになるよ!ここもなろうな!」

 「うん。想いの強さを初めて見た気がするよ」

 「う~ん。兎々はわからないれす。れも、あの人、格好いいれす!」

 長尾、武田の方も目から出す水を止められなかった。

 「のう双葉「はい?」・・・今度料理、教えてくれないか?「な!く、公方、様!」あの者を見ると、主様にもっと愛されたい気持ちが強くなってのう。でも、ただ愛されるのではなく別の愛され方もあるのでは?と思うようになってのう」

 「で、でしたら!私もお願いしますわ!ゆ、結菜様!お願いします!」

 「え?私なの?いいけど・・・」

 「わ、私もいいですか!」

 「・・・私もです。ひよさん、ころさんお願いできますか?」

 「「え。えええ!わ。私!」」

 「鞠も!鞠も、もっとアキラに愛されたいの!ひよ、ころ、お願いなの!」

 アキラ隊の方も料理できない組の代表格の一葉が言い出したことで、他の詩乃や梅、小波に鞠も名乗りあげた。彼女らも歳世の想いの強さに影響されたようだ。ついに最後の時が・・・歳世の姿がうっすらと透けてきた。

 

 『四聖天アキラ・・・ありがとう』

 

 今のアキラも忘れられない美しい笑顔。その笑顔で歳世がいなくなっていった。彼女らもそれを見届けた。

 「綺麗だったね・・・見惚れてしまったよ」

 「はい。素敵な笑顔でした」

 「武人としても、女としても・・・羨ましい気がしたのう。あれほどの想いを持って死ねるのは」

 「私も葵様に対してあれほどの想い、もてるでしょうか?」

 ひねくれ組の彼女らですら見とれた笑顔だった。悠季も素直に自分の気持ちを確認していた。彼女の死に全員がしんみりしていた時だった。

 

 『もう~!くだらないっていうの!死人のくせに、奴隷のくせにそんなこと考えているなんて!仕事もできない癖によく言うわ!くだらないこと考えて戦ってるんじゃないわよ、全く!これで私の出番きちゃったじゃないのよ~』

 

 歳子の言葉が響いた。

 「あの女!あれだけの思いを持つ歳世殿を!侮辱するなんて許せないでやがる!」

 「わ、私も許せないよ!あの人が・・・あの人が、どんな想いで!」

 「どや!愛菜も絶賛怒り大爆発大噴火中ですぞ!ドドドーーン!」

 「市も、まこっちゃんやお兄ちゃんが大好きなのと同じくらいの気持ちを見せた歳世さんの想いをバカにするのは(斬!)許せ・・・お、お兄ちゃん?」

 夕霧と薫、愛菜や市の言葉に全員が同意だった。そして、それは

 

 『歳子・・・私は別に正義感を振りかざすつもりはない』

 

 夢の中にいるアキラもまた一緒だった。歳子を頭から斬りつけたが、彼女の体が元に戻っていく。

 『私は、壬生一族が死者を蘇らせて、その者を奴隷にすることは別にどうでもいい。私には関係もなければ、知った事でもない』

 斬りつけたアキラを見て、驚く皆。

 「あ、アキラ・・・」

 「お、怒っている・・・わね」

 「う、うん」

 『だが、これだけは、許せない!』

 だが、その感情は全員が理解した。

 

 『信念を持つ者の魂を、信念を持たない者が踏みにじることだけは絶対に許せない!』

 

 顔を上げたアキラ。その顔は、怒りに支配された顔だった。

 「鞠、これは」

 「うん、一葉ちゃん。あの時と一緒なの」

 二条館で一葉を侮辱した三好三人に激昂したアキラ。それを見た二人は本気でアキラが怒りに燃えていることが分かった。だが、見てない者でも、

 『夢氷月天!』

 アキラがどれほどはらわた煮えくり返っているのか分かった。だが、

 『歳子ちゃんにはそんな攻撃、効きませんよ~~』

 その攻撃で全裸になり、胸と下のあの部分を手で抑えていた。その状態でもアキラは斬りつけていく・・・だが、さっきと同じで歳子には傷一つつかない。

 「まるで水を斬っているようだ」

 「こやつを許すことは出来ないが・・・これでは」

 春日と壬月も全力でこぶしを握っている。だが、アキラは歳世との戦いで体力も消耗しており傷ついている。それが、体に来てついに膝を地につけた。

 「あ、アキラ殿が!」

 「あれだけ傷ついていれば・・・でも、あの者は傷がつかない」

 『さあ、さっさと、消えちゃって頂戴ね~』

 一二三と湖衣が叫ぶ中、歳子はバニーガールになった。頭からウサギの耳を出して胸から股間の部分まではウサギの毛みたいなもので覆われ、肘から手まではウサギの手、膝から足の先まではウサギの脚になった。ふざけているとしか思えない姿だが、

 『ぐうう!』

 殴り飛ばしたアキラが、さっきの歳世より遠くに飛ばされた。

 「な、なんです!あ、あれって!」

 「とんでもなくふざけた恰好なのに・・・さっきの歳世って姉ちゃんより数倍も力があるじゃねえかよ!」

 「・・・アキラよ」

 綾那と小夜叉は驚いて見て、桐琴は助けたい気持ちでいっぱいだった。

 『ほらほら、さっさと死んで、歳世のところに行ってきなさい!』

 斬りつけたアキラを思いっきり殴って地面にたたきつけ、その勢いが止まらずそのまま周りにある木々まで激突した。何本か折れて、アキラの上に落ちた。

 「「「「「アキラ!」」」」」

 全員が見えない壁に手を付けて、アキラを見た。アキラの信念すら馬鹿にする言葉を出す歳子に梵天丸が怒りに燃えて半纏を脱ぎ捨てた時だった。

 『・・・歳子』

 飛ばされたアキラを中心に凍り付いていく。

 『言ったはずです・・・絶対に許さないと!』

 起き上がったアキラを中心に絶対零度を超える冷気の風が巻き上がっていた。梵天丸がその冷気・ヘルバーストの説明をしたとき一葉と鞠だけは思い出した。あの時の三好を倒したあの技を。

 「・・・主様。それほどの技を使ってまで余を」

 「一葉ちゃん。見届けよう・・・皆も!」

 一葉は再度感激し、鞠の言葉に全員頷いた。

 『あなたの作り出した罪。償う覚悟、ありますか』

 アキラの周りの冷気の力が、どんどん刀に集まってきた。

 『四聖天アキラ!地獄で歳世と傷の舐めあいでもしてきなさい!』

 アキラ最大の技がでた。

 

 『氷魔十字霜舞・グランドクロス!』

 

 襲ってくる歳子にその技をくらわせた。その後、アキラはその場で再び膝をついた。

 『あ~~、はははは!全く、効かないって言っておきながらやるなんて、バカもバカ、大馬鹿じゃないの~~!』

 十字に着られた傷が残っている歳子は大笑いしてアキラを見た。全員も顔を青ざめた。

 「お、おい!どうするんだ!」

 「あ、あれじゃあ、アキラが!」

 「助けたい、助けたいのに!」

 久遠と美空、光璃がとても焦って壁を叩く。他の者も殴る蹴るをするが、夢だから向こうに行けない。アキラがあれほど傷つく姿を見て、これが夢だと忘れているのかもしれない。

 「大丈夫じゃ。戦いは終わった」

 「うん。アキラの、勝ちなの!」

 この技を見たことのある一葉と鞠だけは安心していた。え?と思いながら皆がアキラに襲い掛かる歳子を見ると、

 『ちょ、な、何で!何で、私、凍り付いていくの!』

 斬った十字の傷からどんどん歳子が凍り付いていく。

 『あ、姉上。あれって』

 『あれは、あの時の』

 『お、お母さんを・・・』

 辛いが三姉妹も思い出した。彼女らもすぐにわかった。

 『あなたのその無限に回復できる能力も、この力では無力。斬られたところから凍らせていき、力も、体も・・・そして、命をも凍らせて、死滅していく』

 『え、えええ!い、いやよ!私、祝言上げてないのに!』

 体中を凍らせていく歳子に振り向くこともしないで言った。

 『己の傲慢と過信。そして、歳世への侮辱と信念の踏みにじり。それらが招いた敗北を悔いりながら、散っていくがいい』

 最後に、刀を鞘に納めた。

 

 『全てを、無へ』

 

 それと同時に歳子は完全に凍り付いた。アキラの完全なる勝利が確定した。

 「か、勝った。勝ったよな!」

 「うん!勝ったよ!」

 「ううう、よかったよ~!」

 三若の言葉で皆歓声を上げ、ホッとしてその場で座り込んだり、笑顔に戻って改めてアキラを見た。ちょうど、ゆやが話しかけていた。

 『ゆやさん、私は歳世みたいな死に方をしたくない。だから倒したのです』

 その言葉で全員の笑顔が再びなくなった。話は続く。

 『どんなに相手に願っても、望んでも、それを裏切られたら、その思いはどうぶつければいいのでしょうか・・・歳子を倒したのもあくまで自分のため。私は、望むことを叶えられないまま死んだ歳世のように死にたくなかった・・・それだけです』

 狂に天下を取ろうと言って裏切られた。その思いも込めて言ったアキラの言葉。だが、彼女らは非情にも聞こえる言葉がアキラから出たことに絶句していた。

 「そ、そんな・・・アキラ様。あの人の、あの人のあの想いを、あの人の気持ちを笑顔で認めたではありませんか!」

 双葉が涙を出して叫んだ。皆も叫ぼうとした時だった。

 

 『ですが、何故でしょうね。そんな死に方をしたあの人の笑顔が、あんなに美しいと思えたのは・・・望みも願いも叶えられない、気持ちも伝えられない。そんな無念な死に方だったのに、あの笑顔がとても綺麗で輝いていたように見えたのは』

 

 その言葉で口が止まった。狂以外は冷酷なアキラからは出ないはずの言葉だった。すると、いきなり後ろから狂が斬りかかってきた。

 『アキラ、いろいろ成長したみたいだな。いいだろう!壬生での一件が終わったら本気で相手してやる!・・・命の保証はしないがな』

 その言葉にアキラは震えながら感動した。この頃のアキラは狂が本気で自分と戦ってほしい気持ちを持っていた。だから、アキラからすれば最高の誉め言葉だ。

 『狂、お、俺と、ほ、本気で、本気、で、た、た、かって、く・・・れ・・・』

 嬉しそうにその場で崩れ、眠りについた。その崩れ落ちた時は心配したが眠っていると知ったらホッとした。そして、その時に

 「・・・そうだ、あやつの苦しい姿ばかり見たから忘れていたが」

 「ここって、あいつの過去の夢だったわね」

 「うん。こんなに激しい戦い、初めて」

 「途中から忘れてました」

 「でも・・・素敵でした。アキラ様」

 狂の姿で過去の戦いであることを思い出した。この五人の当主の言葉は全員が頷けることだった。

 その後、アキラを梵天丸が背負い二つある門の内、歳世が必死の抑えた門の方を開けて先に進んだ。アキラも寝ているので、今後しばらく戦う事はない。安心してアキラの今までの戦いを話し合い、賛美し合い、戦いを称えた。

 

 でも・・・

 「アキラ様~~!ああ、あんなに傷ついて!くそ、くそ!あの女、あのアマ。私が殺してやりたかった・・・っは!アキラ様が寝ている・・・ああ、寝ているすきにアキラ様を、ああん!濡れる、よがっちゃう!」

 「アキラ、痛そう、でも、よかった・・・はあ、はあ、寝顔、いい。やはり、アキラは、寝ているときに、あの刀をくわえるのがいい・・・くわえたい。じゅるり、ああ、口でも。こっちでも、くわえたい」

 この二人だけは、どんな時もアキラに欲情することしか考えてないみたいだ。既に自慰も二桁目に突入している・・・全くやれやれだ。

 『この者達だけは連れてこない方がよかったな』

 『うむ、失敗した。帰そうにも一度全員起こす必要があるしな・・・』

 それを見た二人の光も、呆れ汗を流していた。

 




 
 アキラ、初めて狂以外のための怒りでした。

 歳子は本当に許せません!このような人物が現代では詐欺に働き、生活費を必死に稼いでいる人や今後の老後のための貯蓄した年配の人から金を分捕ろうとしていると思うので、皆さんも気を付けてください!正直このような詐欺の被害は皆さんや家族も狙われるので他人事ではありません!名前を言わないオレオレ電話や「お金簡単に稼げますよ~」の広告や「身に覚えのない有料サイトの高額請求書」とかはまず詐欺と思ってください!
 そして、ついその話を聞いたら絶対に周りに相談を!一人で何とかしないと・・・という考えは向こうの思うつぼです!皆で解決するようにしてください!

 っと、真面目な話になってしまいましたね・・・。次回はちょっと息抜きで、次はUA85000突破記念として武田家の王様ゲームを書こうと思います!お楽しみに!


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九十五振り目 アキラ・・・悪についた男VS情の熱い男

 半そでを中々着ない三MENです!

 気温が中々定まらないですね~。半そでと長袖の間の七分袖の服を着ています!中々着心地いいですよ。皆さんもどうでしょうか?

 では、本日は・・・私がSDKでアキラの次に好きな男の戦いです!え?どっちの方の漢が好きかって?それはもちろん、刀を持つ方です!


 

 アキラの過去を見ている皆。さっきまでアキラが必死に戦い、今は寝ている姿を見て落ち着いている。

 「・・・美空様、痛かったです」

 「久遠様・・・加減して」

 「あそこまで乱れなければ殴らなかったわよ!」

 「双葉や空の前であれはないだろう」

 そんな中、アキラの戦う姿や寝ている姿を見て欲情と自慰をし続けた貞子と各務を見てられなくなったのか、美空と久遠は叩いて止めた。

 「二人があんなに淫乱なら、久遠と美空もあれくらい」

 「「違う!」」

 光璃にそう言われて一緒に否定した。

 「「・・・・・・と思う」」

 ・・・が、完全に否定できないので、その分をこっそりつぶやいた。

 

 

 夢の方は三つ目の門にたどり着き、ちょうどアキラも意識が戻った。そこでは鎮明というサングラスをかけた男が狂に過去の思い出話を語った。狂に姉を殺されたと思った真尋と北落師門を持った紅虎と紫微垣を持ったサスケがその時にやってきた。二人が持っているそれに一部の人間は気づいた。

 「あれって、アキラの刀じゃないか?」

 「うん、紫微垣だったよね。どうして、あの少年が?」

 「儂の北落師門を持っているあやつは誰じゃ?」

 「あれは元々あの少年の刀だったんだ。そして、あの槍の方は・・・」

 その説明は庵樹がした。その説明と並列に夢の方も続いて、真尋の姉を殺したのは鎮明だったことが判明した。その後に彼が発した残虐すぎる行為や言動に

 「許せん!さっきの歳子と同じくらい下種だ!」

 「夢でなかったら斬っていたぞ!」

 「狂とやら!必ず倒すのだ!」

 さっきの歳子の時同様、皆が怒りに燃えた。ただ、一瞬だけ見せた

 

 『涙か・・・そんなものはとっくに枯れ果ててしまいましたな』

 

 辛そうな苦しみを必死に抱えている顔を見て戸惑いを持ったが、狂を挑発した姿を見て気のせいで片づけた。狂と鎮明の戦いが始まり、ほたるの時同様朱雀を使って狂が勝った。無理をして出した朱雀だったので、その場で気を失い起きた時にはゆやの命が残り一時間・・・半刻までに迫っていた。

 狂が寝ているときに、

 『何であんさんがここにいるんや!』

 『はあ?私は狂の背中を守る男ですよ。むしろあなたの方が何でいるのです?』

 『あれだけのことをしといて、今更味方面かいな!』

 『そう言えば、折ったあばらはどうです?また折りましょうか?』

 『そんな傷だらけでやれるんかい!』

 『ふふふ、やってあげましょうか?』

 そんな喧嘩をする紅虎とアキラの姿があった。その中で何人かは聞き捨てならない言葉を聞いた。

 「あやつ、今あばらをアキラに折られたと言ったな?」

 「向こうの世界で一番偉い将軍のあばらを折った。と言っていたわね」

 「身分は隠していたとも言っていた」

 「はい、私も聞きました・・・確か、ぼこぼこにしたと」

 「氷漬けにもしたと、私は聞きました」

 久遠・美空・光璃の話に、ひよと歌夜もそれに続いた。今の会話に、当てはまる人物が目の前にいる。

 

 「この男があっちの世界の将軍ということか!!」

 

 久遠の言葉に全員が驚いた。こちらの将軍である一葉と見比べたら、

 「何か、公方様を見ているような感じですね」

 「仕事をすぐに投げて逃げていそう」

 「その通りですな・・・他人には見えません」

 詩乃と各務の言葉に一番の被害者である幽は頷いた。どちらもそういう空気を持っていたため、他の皆も頷いた。

 「なんじゃと幽!余はちゃんとするときはするだろうが!」

 「ええ、十回に一回はですけどね」

 「ふふん!ならよし!」

 「・・・はあ~~」

 その回数で威張る一葉に、思いっきり重いため息を吐いた幽。ほかの皆も真面目にやる回数がそれしかない公方なら日の本をドタバタにして当然だな。と思った。

 

 

 夢の方は、狂の前に鎮明と戦い腕の骨を折った真尋が引き返し、残った皆が先に進んで第四の門のところに到着したが、狂がまた倒れそうになった。

 「あの火の鳥を二回も出したのじゃ。少し休めたとはいえ、ずっと走り続けていては回復もできていないはずじゃ」

 「それはアキラも同じだな。あれほどの傷を負った状態で走り続けていたから」

 「あのサスケと言う少年も結構疲れていますね。おそらく、合流する前にどこかで戦って相当傷を負ったのでしょう」

 狂の分析をした桐琴。アキラとサスケも壬月と麦穂の言う通りでボロボロだった。

 「闘えるのは、梵天丸と紅虎だけという事だな」

 「この門の番人は一体誰なのでしょうか」

 白百合と秋子の言葉に皆、息を飲んだ時だった。現れたのは・・・人と鬼が合わさったような三人だった。その三人の前に立ったのは紅虎だった。

 

 『何でや!あんさんらを苦しめた壬生一族に味方するんや!』

 

 三人の攻撃を食らって立ち上がった紅虎とサスケが、三人の姿を見て気づいた。アキラ達と合流する前に彼らと同じ人達を見た紅虎が問いかけた。この夢ではそのシーンがないため、その彼の言葉に疑問に思う皆。

 「?何を言っている?あの漢」

 「・・・もしかして、死者を蘇らせる以外にも何かしていたのでは?」

 「じゃあ、あの人達ってもとは人間?」

 「・・・情報がないので何とも言えませんが、何かを壬生一族が作っていてその出来損ないのようなものが彼らでは?」

 一葉と幽と雫で話していると、最後の悠季の言葉に全員に鳥肌が立った。そんな鬼を作るようなことをやっていたことにぞくっとしたのだ。

 「ひどいことを・・・どうしてそんな」

 「全くよ!生きているのにどうして簡単に捨てられるのよ!」

 「僕のような国の主はそのような決断はする必要がある。でも、決してその命を捨てるような決断はしない!」

 「まこっちゃんの言う通りだよ!」

 側室四人の叫びに頷いた時だった。

 

 『我々は太白様の部下だ。壬生一族の部下ではない』

 

 三人を代表した男の言葉に武田勢は動揺した。何しろ彼女らの聞き覚えのある名前が聞こえたからだ。

 「なあ、ここ。今」

 「・・・太白様って」

 「夕霧お姉ちゃん。まさか、ここの門を守っている人って」

 「・・・いや、まだわからないでやがる」

 自分達の予想している人物を頭の中に出た時、三人は語った・・・最初は壬生一族に復讐しようとしたが太白に倒された。その後、頭を下げて謝罪して命を無駄にしないでほしい、この報いは必ず償う。そう言われて生きながらえた。この時の太白の行動に三人は心から感銘した。

 

 『あの時から、決めたのだ!太白様がここの門を守るなら我らもここの門を守る!我らはあの方のためなら死んでもいい覚悟がある!この門を通ろうとするならこの命を捨ててでも守るのが我らのすべきことだ!』

 

 この言葉に三人の本気と覚悟に信念がこもっている。その信念を聞き、アキラは紅虎が勝てないと言った。紅虎はこの三人ほどの信念と覚悟も持っておらず立場もわきまえないから勝てないと語った。

 「間違いない・・・あの人」

 「光璃。あの人とは誰だ?」

 「そうね、教えなさいよ」

 「・・・すぐわかる」

 光璃は確信した。太白の名前も持ち、この三人がここまでの信念と覚悟を持たせる男はあの男だと。

 夢では、紅虎が北落師門に力を借りて何とか倒した。ただし、ダイナマイトを身に着けて自殺する覚悟すらして紅虎を道連れにしようとした。そこまで必死な覚悟を持った三人に彼女らも驚いた。

 「そ、そこまでしなくても」

 「それをするほどの覚悟を持つ信念・・・いったい誰なんだろうね。この三人にこれほどの気持ちを持たせた男って」

 武田勢の中で、唯一会っていない一二三と湖衣がつぶやいた時だ。

 

 『命を粗末にするな』

 

 その声と共についに現れた。武田勢の予想していた通りの人物だった。

 「やっぱり、太白さん」

 「お、親父」

 「この者が太白。粉雪様でも春日様すら勝てなかった漢」

 「・・・とても穏やかな人に見えますね」

 心と粉雪は信じられない目で見て、一二三と湖衣は粉雪と春日を負かした人物とは見えないほど、穏やかそうに見えた。その感想は初めて見た人達も同じ感想だった。

 三人は紅虎から離れ、太白が皆の前に出た。辰怜がかけた術は何とかするからここを立ち去るよう言って解決しようとしたが、ゆやが絶対にそんなことは出来ない・壬生一族の言う通りになりたくない。と拒否をして、紅虎もそれに賛同した。

 『わかった。ならこの太白が相手になろう』

 さっきまでの穏やかな表情が一変、とても怖い表情に変貌した。

 「!!こ、怖え!」

 「ぜ、全身寒気がしたよ!」

 「み、壬月様より怖いワン!」

 「ま、松葉・・・」

 「か、勝てない。絶対」

 「親父のあの顔・・・初めてだぜ」

 「太白さん、戦うのですね」

 「も、漏らしたかと思ったのら・・・」

 若い者達は全員腰が抜けた。表情だけで、体が恐怖で支配されたのだ。だが、彼女らよりも恐怖に支配された者達がいた。

 「こ、ころちゃ~~ん!」

 「ひよ~~怖いよ~~」

 「し、雫(ブルブル)」

 「ええ、詩乃・・・怖かったです」

 「う、梅ちゃ~ん!」

 「鞠さん!大丈夫です・・・と、言いたいですけど(ガタガタ)」

 「ふ、双葉!大丈夫か!」

 「双葉様!しっかり!」

 「・・・・・・」

 「く、草の私すら、こんな恐怖を」

 「小波、恥じゃないわ。私だって・・・」

 アキラ隊の皆だった。六人は腰が抜けるだけでなく震えていた。隊の皆と一緒に見ていた双葉は意識すら飛んでいた。ほかの皆も恐怖に震え、意識を失ったり、かろうじて立っている者も震えながら見ていた。

 

 ついに紅虎と太白の戦いが始まった。最初の一撃を繰り出しフェイントも使って不意を突いた紅虎。当たったと思った瞬間、紅虎の方が斬られてその場で膝をついた。

 「あれは、甲斐の城下で鬼を倒した時と同じ」

 「そ、そうでやがる。刀を抜いていないのに、鬼が斬られた」

 「だけど、いったいどうやって」

 「わからないです。何をしたのか」

 「・・・まさか」

 春日と夕霧はかつて見た太白の攻撃を思い出した。だが、太白の刀は鞘に収まったままだ。誰も抜いたところを見ていないので、どうして紅虎が斬られたのか誰もわからなかった。唯一、北落師門を使っている桐琴だけは予想ができた。

 『く!まだや!今度こそ!』

 立ち上がった紅虎が再度挑んだ。桐琴は予想を確認するために最大限に意識を集中して見て、やっと見えた・・・紅虎の周囲に輝く三つの刀の筋を。その三つが紅虎を斬って倒した。これで、桐琴の予想は確信になった。

 「・・・・・・とんでもないことをしておる」

 桐琴の呟きに皆が反応した。

 「桐琴!分かったのか!あの太白という男が何をしたのか!」

 「母!どういうことだ!」

 「お母さん!何が見えたですか!」

 「ああ・・・何も変なことはしておらん。ただ斬っただけだ」

 「どういう事ですか?」

 桐琴の答えが分からない皆。追及した麦穂の言葉には、梵天丸の方から答えが出た。太白はただ刀を振っただけだが、それが速すぎて見えなかったということだ。

 「つまりだ、あの男は狂と言う男は変な力など使っておらん。刀を振るうだけ・・・だが、その振るう速さが速すぎるのじゃ。意識を集中して見ても、三つの刀の筋が見えたくらいで、もし全力で振るったらもっと増えるじゃろうな。刀を振るう、本当にそれだけしかやっておらん。じゃが、それだけが儂でも怖いと思えるほどじゃ」

 『よく見ろよ・・・あいつは一歩も動いていない。本当にこの男は確かな強い力を持っている。己を真に極めている』

 二人の言葉に、全員が息をのんだ。紅虎を斬る時に刀を抜いて、斬って、鞘に納める。この動作すら見えないくらい速かったという事だ。もし自分達が戦っていたら、と武将達は思いそしてすぐに結論が出た・・・勝てないと。

 話し出した紅虎と太白。壬生一族がした罪は大罪と言ってもいいくらいだが、この現状を作り出した一族の王である先代・紅の王がなくなれば一族がなくなり、その一族がなくなればさっきの三人のような造られた命もなくなるという事になる。その命を守りたいからこそ太白は壬生一族を守る立場に立った。

 「辛いな。同じ守る立場の我々からすれば」

 「悪とわかっていながら、でも守りたいものがあるから」

 「その為にその悪を守る」

 「こういう思いを持つ人もいたのですね」

 「ここにいる人は全員が悪と言うわけではなかったのですね」

 その太白の言葉に辛いながらも共感できた当主五人。その話の中である一つの事に気づいた心。

 『もしかして、子供達を大切にする理由がその造られた命と一緒だとするなら』

 現実での太白の行動を思い出した心は、この時の太白が何を守りたいのか分かった。

 『太白さん。だから、あなたは子供達を守りたかったのですね』

 同時に太白の潜り抜けた過去に涙を出した。粉雪に気づかれないようにその涙を拭いた。

 その話で紅虎は逃げているだけであり、さっきの三人のような造られた命を作らせないべきだ!と指摘して、自分の持つ思いと気持ちを伝えた。必ずここの人達も守ると、世の中を絶対に変えてやると・・・だが、太白は否定した。

 

 『笑わせるな!力無き正義など無に等しい!そんな重みのない言葉をいったい誰が信じられる。貴様の言う事が自分のその思いが・・・自分の情が正しいというのなら、私の事を否と言うのなら!この太白の信念を打ち砕いて見せよ!』

 

 さっき見せた恐怖の顔。威圧だけだった顔が今度は殺気もこもった完全に殺しにかかる顔になった。

 「・・・はう」

 「・・・」

 「く、空様!な、名月殿!」

 「(ばた)」

 「あ、愛菜!しっかり!」

 双葉に続いて、空と名月に愛菜は意識を失った。慌てて貞子と秋子が介抱をした。彼女らだけじゃなく、ひよやころ、詩乃に雫、薫もその殺気に耐えられず意識を失った。

 「太、白、さん・・・」

 「親父・・・」

 太白の睨みで体の力すら抜けて座り込んだ粉雪と心は、涙目になりながらも必死に我慢して立っていた。壬月や麦穂、春日に白百合ですら膝をつくくらいのプレッシャーの中、二人以外で立っている者は桐琴と綾那に小夜叉、後は庵樹と時人だけだった。

 

 『ワイも絶対に負けられんのや!それに、ワイの言葉が正しいことをあんさんに勝って絶対に証明したる!』

 

 だが、紅虎も思いが正しいことを証明するために北落師門を構えた。

 「正直、あの漢は勝てないな」

 「実力が違いすぎるです」

 「ああ。三若と俺ら位にな」

 桐琴・綾那・小夜叉の指摘は的確だった。本当にそれくらい実力が離れているのだ。

 

 太白の悪の中の一つの思いのための情の力と、紅虎の己が決めた正義のための情の力がぶつかり合う戦いがここから本当の意味で始まった。

 




 
 太白と紅虎。本当の戦いは次回になります!やはり、アキラの戦いの後の経過も少しは書かないといけませんしね。それに太白に自分の夢の応援してくれた心の心情も書きたかったので・・・。

 それらをまとめて一話で終わらせたくなかった!のが本音です。うう、次回で決着着ける予定ですが・・・やっぱりあれも書かないといけないよな。ちょっと辛いな。


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九十六振り目 アキラ・・・叶えるべき夢、残酷な現実(ゆめ)


 腹痛で苦しんだ三MENです。ちょっと、熱出した際にそっちも苦しみだして、しばらくこれも書けませんでした・・・すいません。

 ついに、紅虎VS太白も決着です!ちょっと、これ書いて辛かったです・・・。


 

 『斬・阿修羅掌!』

 『ぐああ!』

 戦いが再開され、攻撃があっさりと返された。紅虎の技・八寸すらも防がれた。

 『どうした。終わりか』

 『く、くく!』

 北落師門を立てて立ち上がる。

 『全く、期待外れだな。その程度でくたばるとは』

 『何でや・・・何で勝てないんや』

 『勝てない?当然だ』

 殺気ある顔を向けられた紅虎。

 『口だけの正義を言うやつが、私には勝てん!私の信念を打ち砕くこともできん!』

 何とか立ち上がった紅虎。一度目を閉じて、開いた。

 

 『そうやな。ワイは軽い気持ちを持っていたかもしれん。あんさんによく似ている奴がいてな。そいつから逃げていただけかもしれん』

 

 槍を持ち上げ再び構えた。

 『だけど、逃げてばかりのワイを認めてくれた仲間もいるんや。どうしても、その仲間に迷惑かけたくないんや』

 その顔は決断をした顔だ。

 

 『ワイはもう逃げん!逃げない!そして、ワイは・・・己に克つ!』

 

 『ふ、いい顔だ。その顔がはったりか本気か。見せてもらうぞ!』

 太白も真剣に刀を紅虎に構えた。

 「すごいな」

 思わずつぶやいた小夜叉。

 「そうです!確実にさっきと違うです!」

 頷いた綾那。

 「・・・四つしか刀の筋が見えなかったが、斬られた数からすると七つか八つは出しているな。どう攻略するのか、こやつの勝利への道じゃな」

 笑顔で観戦する桐琴。同じ槍使いの三人は、どうやって勝機を生むのか楽しそうに見ていた。

 

 『いくで!神影流奥義、八寸!』

 『斬・阿修羅掌!』

 

 そこに、二人の技が衝突した。

 「さっき破られた技をまた?」

 「どういう事でしょう」

 「技は向こうが上だ!負けるに決まっている!」

 壬月達三人の言葉通り、技が打ち破られ太白の刀でその身に刺された紅虎。

 「思った通りだね。彼の負けだ」

 「・・・いえ!」

 一二三の言葉に湖衣が待ったをかけた。

 『どや!これなら、ワイの八寸が食らえるやろう!』

 刺されたまま刀を掴むニヤリとした紅虎。

 「わ、ワザとやったっていうのか!」

 「ま、真似できないよ~」

 「うん。できないワン!」

 「・・・柘榴もこれしか思いつかないっす!」

 「残念だけど、松葉も」

 自殺行為とも言える賭けに、三若もこの二人もびっくりした。

 『おらああ!これが八寸の味や!』

 紅虎の八寸がついに出された。慌てて後ろに飛んだ太白の左腰に命中させて、その部分が吹き飛んだ。それを見た心は、思わずビクッとした。

 『随分と自滅的な手段ですね。彼らしいですよ』

 『でもあの鋼の精神を持つ太白が刀を手放したぜ。これは、どうなるかわからんぞ』

 アキラの言葉に梵天丸はフッと笑った。ようやく、勝機が見えたからだ。

 『ど、どや・・・わ、ワイの八寸は』

 『ふ、よくぞ・・・己に克ったな!』

 二人もニヤリと笑った時だった。

 

 『おじさんをいじめるな~~!』

 『やめろ~~!』

 『きずつけるな~』

 

 太白に七、八人の子供が駆け寄った。

 「あの子達は、何だ?」

 「あの子達の顔・・・さっきの三人と同じ」

 「造られた命の子供達?」

 「守ろうとしている・・・本当に優しい人だったのですね」

 「あの人、あの子達の為に戦っているのですね」

 久遠達は太白の本当の姿を見て驚いた。あれほどの恐怖を生む顔が、今は子供達が出てきたことにより困った顔になっている。さっきまでの相手とは思えないくらい穏やかに見えた。

 

 「(ぐす)太白さん・・・やはり、子供達の為に。その子達の為に、ううう」

 

 心はもう涙を隠せなくなり、膝をついてボロボロに流した。

 「ここ・・・」

 心の涙に粉雪も声が出せなかった。こんな苦しい戦いをして、子供達の為に必死になっている姿を見て、子供達が太白を守るために石を紅虎にぶつけるシーンを見て、双葉やひよ達も涙を出していた。

 「あ~~ん!格好いいよ~!」

 「そう、だね・・・(う、ぐす)ひよ」

 「優しいんだね~~うう、う、梅ちゃ~ん!」

 「そうですわね、鞠さん。ああいう人だったんですわね」

 「あの人は、本当にすごい人です・・・(ぐす、ひっく)」

 「そうですね、双葉様。子供の為に必死に頑張っているものね・・・市達も胸が打たれたよ」

 「太白さんって、本当に子供を大切に思っているんだね」

 「そうでやがるな。もう、武将に誘うのはもうやめるでやがる」

 「残念ですが、これを見てはそうするしかないですな」

 アキラ隊と側室はもう泣くことをやめなかった。そんな中、まだ太白を武田家に入れようと思っていた夕霧と春日だが、これをみてもうやめることにした。

 夢の方は子供達を三人に預け、太白は戦いの続きをしようとしたが、紅虎は何と刺さっている刀を抜いて彼に返した。

 『バカな、やっと勝機を手に入れたのに』

 『へ、あいつは馬鹿だからな・・・だが、そんなバカもいいもんだぜ』

 アキラの言葉にサスケがニヤリと返答した。サスケの言葉に武将の皆も頷いた。

 「です!全力で戦って勝つ!それが武人です!」

 「かかか!バカじゃのう!本当にバカじゃ!」

 「ああ!でも、面白いぜ!」

 綾那・小夜叉・桐琴は特に紅虎をほめていた。

 『いくで!』

 『うむ・・・お主の漢。見せてもらおうぞ!』

 再び二人の思いがぶつかり合った。泣いていた皆も、見届けようと涙を拭いた。

 『おおおおお!ワイは、勝つ!』

 『ぬうう!こい!』

 武器をぶつけ合い、思いをぶつけ合い、そして己をぶつけ合って戦っている。見ている彼女達も、夢の皆も集中していた。

 『なあ、ゆやちゃん。あの二人、あれだけ傷ついているのにまだあれだけ闘えるか。不思議に思わねえか?』

 この注目している闘いの中で出た梵天丸の言葉に、

 「そう言えば・・・あの人は刺されたっていうのに」

 「太白さんも、あの攻撃を受けてただじゃすまなかったはず」

 「そうですね。暑苦しい戦いですが、結構血を出しているのに」

 「うんうん!どうしてあれだけ動けるんだろうね?お姉ちゃん!」

 「・・・」「おじさんが教えてくれる?うん!わかった!」

 詩乃に雫、悠季と雀が反応した。そして、烏の言った通り説明した。

 

 『あの二人はな、自分達の持っている想いの重さが分かっているんだ。だから戦うんだ。刀を交じり合わせてこそ、伝わり伝えられる、その魂を』

 

 この説明に、全員が言葉を出さないでただただその結果を見届けようとじっとした。

 『へ、へへへへ。太白はん・・・』

 『ふ、まだ、何か隠しているな』

 刀のぶつけ合いが終わり間合いの外に出た時、紅虎が八人になった。

 『・・・ワイ、あんたと闘えてよかったと思うとる!』

 『それは私もだ!行くぞ!』

 ついに決着がつく時が来た。

 「どうやら、決着がつくときだな」

 「とても血潮が沸いた戦いも終わりね。」

 「うん。どうなる?」

 彼女達の常識が通用しない戦いもあったので、皆は紅虎が八人になってもさほど驚かない。久遠・美空・光璃のセリフが出た後だった。

 

 『神影流秘奥義、裏・八寸!』

 『斬・阿修羅掌!』

 

 両者の最後の攻撃がぶつかり合い、全身から出血して二人とも倒れた。

 「太白さん!」

 「親父!」

 思わず叫んだ心と粉雪。夢の中でも子供達が叫んだ。その言葉に反応するかのように太白が必死に起き上がろうとしたが、紅虎の方は反応がない。

 『・・・く!さっさと起きやがれ!バカ野郎!』

 思わず叫んだサスケ。すると、北落師門が光り輝やき紅虎が起き上がった。

 

 『わいが守る・・・子供達も樹海の人達も、みんなわいが守ったる!絶対にみんな幸せになれるように!穏やかに暮らせるように!・・・だから、だからわいを信じて力を貸してくれ!』

 

 紅虎に太白は聞いた。

 『・・・根拠は』

 『ない!』

 『確証は』

 『ない!・・・でも、力は気持ち、思いから生まれるんや。だから、信じてくれ!』

 その言葉に笑みをこぼした太白。

 『全く、殺す気の相手にそんなことを言うとは』

 思わず笑った太白が、敗北宣言を出した。

 

 『紅虎、お前の勝ちだ』

 

 その言葉を聞き、葵はアキラから聞いたことを思い出した。

 

 『こ、これがアキラ様が見たサムライと親友の思いをぶつけ合った戦い。助けたいと願う思いと助けると決めた思いの戦い。本当に、凄かった・・・私も持てるかしら。あれほど強い想いを持てるかしら』

 彼女がそう思う中、夢の方では二人の治療に入った。治療中にアキラが紅虎に切れて説教したが紅虎の戦いの考え方を少し認めたことらしく、当時は力が全ての考えのアキラからすれば珍しいことだった。

 その後、子供達と三人を無事に樹海の外に逃がし、身の安全の保障のために紅虎の本名入りの書簡を渡した。その際に

 『あれ?紅虎ってどうしてそんなの出せるの?真尋さんも従っていたみたいだし、もしかして偉い人なの?』

 『なああ!い、いいや!あ、あれはやな!』

 『ああ、ゆやさん。それはですね、この男がひ』

 『ああ、アキラはん!アキラはんも重症だから黙ろうやね!』

 『(バキ)『いった~』全く、いきなり掴まないでください』

 『???』

 ゆやにアキラが紅虎の本名を言おうとしたが、止められたために言えなかった。

 「将軍の名前か・・・興味はあるな」

 「そうね。名前を聞ければ、役に立つかもしれないし」

 「聞きたかった」

 「でも、まだ先はあるみたいですから。焦らなくても大丈夫かと」

 「そうですね。今は、先を見ましょう」

 当主達は今後の日の本の事を考えてそう思った・・・実は、約一名がその名前に深く関わっていることも知らずに。

 「そうでしたな。まだ先がありましたな」

 「もうここで終わりと思えるくらいの戦いでした」 

 「ほんとっすよ!そう思っていたっす!」

 「親父が負けたのはちょっと不満だけど・・・だぜ!」

 真琴の「先はある」で、まだ終わっていないことに気が付いた。そして、太白がゆやの兄には実の妹がいる話を終えた時だ。

 

 『ぐ・・・』 

 

 太白がいきなり倒れたのは・・・その背中には刀が刺されていた。

 『な・・・た、太白はん!』

 その刀を見て、アキラ達は太白に駆け寄った紅虎を守るように戦闘態勢に入る。

 「は?え、えええ!ど、どうしてです!」

 「・・・な、何じゃと!」

 「お、おい、何で、何で刺さっているんだ?」

 実力者トップスリーの綾那・桐琴・小夜叉の言葉がこれだった。他の武将達も全然気づけなかったことに信じられなかった。太白を揺すりながら、紅虎が大きな声を出す。

 

 『太白はん!言うたやないか!力を貸してくれるって!い、一緒に、倖せな世の中をつくるって!』

 『紅虎・・・子供達を、頼む。お、お前なら、おま、え、なら・・・つく、れ、る。皆を、倖せに、できる・・・世界を』

 『太白はん!あんさんが一緒やないとだめなんや!見ていかないといかんのや!』

 『た、頼ん、だぞ』

 

 最後、吹雪には気を付けるよう言って・・・

 

 『・・・た、太白は~~~ん!!!』

 

 夢の中の太白は、生の道を閉じた。

 「・・・う、嘘。ううううう、うわあああああん!」

 「お、親父~~~!」

 紅虎の叫びでようやく太白が死んだことに気づいた。夢でも、過去でも、その姿を見るのはとても辛い。特に太白を親父と慕う粉雪や、夢を応援してくれた心にはトラウマとも言えることだ。

 『いくで・・・ゆやはんが危ないんや』

 その死を乗り越え、紅虎は先に進むことを言った。辰怜の術で彼女の命が、あと少ししか時間がなかった。

 「な、なにいうのれすか!弔いくらい!」

 「兎々、あいつの背中を見ろ」

 兎々が文句を言おうとしたが、春日がそう言って紅虎を見るよう言った。

 「・・・震えているのら」

 「あいつだって時間があればそうしたかった。でも、今はやるべきことを優先させたのだ・・・悔しさと悲しさを我慢してな」

 その言葉に兎々と同じ考えを持った三若や柘榴もなるほど。と思った。今だ涙のとまらない心と粉雪はアキラの言葉を思い出した。

 

 心は太白とアキラの話をこっそり聞いたとき

 『ああ、吹雪様もひしぎ様も今思えば辛い立場だっただろうに』

 『ええ、吹雪自身もいろいろと覚悟を持ってあなたを殺したと思います』

 粉雪は心がアキラに聞いたときのことを思い出した。

 『あの・・・太白さんの事なんですか。一回死んだって本当なんですか?』

 

 あれが本当だったことを、悲しみを抱えながら知った。

 「これは夢だよ。現実では生きているんだろ?」

 「落ち着いてください。大丈夫です」

 「・・・分かっているよ。でも、辛いよ。あんなに必死に自分よりも子供の事を大切にしていた太白さんを、どうして」

 「こんなのが、こんなのが親父の死に方なんて・・・知りたくなかったんだぜ!」

 今だ涙が止まらない心と粉雪を慰める一二三と湖衣。だが、残酷な現実(ゆめ)にその涙は泣き止むまで止まることはなかった。

 

 最後の五の門に向かって走り出す夢のアキラ達。それを見ながら

 「壬月、麦穂、気づいたか?」

 「いいえ。全く」

 「私もです。恐ろしい手練れとしか言えません」

 「二人はどう?」

 「柘榴は気づけなかったっす」

 「松葉も」

 「春日は?」

 「拙もです。皆が見ている中あんなことができるなんて」 

 「公方様は、どうでした?」

 「悔しいが余もじゃ。幽はどうじゃ?」

 「某もです。情けない限りです」

 「歌夜と小波はどうだったかしら?」

 「・・・ダメでした」

 「申し訳ありません」

 それぞれの当主が家臣の中で指折りの実力者にさっきのを確認したが、答えは全員分からないだった。

 「恐ろしい手練れがまだ先にいるという事ですね」

 「アキラ・・・そいつらと戦う」

 「じゃな。ふふ、武人の血が騒ぐ・・・ワクワクするな」

 貞子と各務、白百合の言葉に太白の死をまだ悲しんでいる二人には不謹慎だと思ったが、ワクワクすることは否定できない武将達だった。

 

 

 そして、これはアキラ達が先に行った後の話。夢を見ている彼女らも知らない話。

 『・・・ふう、着いた。何かあちこち行っていたような気が』

 第四の門の前に一人やってきたものがいた。

 『・・・ここって、確か辰怜だったよね。えっと』

 その者が、門の前にいる死んでいる太白の存在に気づいた。

 『あれ?どうして太白がいるの?ああ、じゃんけんで負けたんだね。だからいるんだね。うん、でも太白も偉いね。辰怜に譲るなんて、そうだよね・・・あいつって結構頑固なところあるし・・・・・・ねえ』

 話しかけている男・・・ほたるは、ついにこの言葉を言った。

 

 『どうして、死んでいるの?』

 

 傍にある太白を刺した刀を見て誰が刺したか分かった・・・太白の袖をつかみ、

 『ねえ、太白。俺ね、壬生一族って、すっごく嫌いだけど・・・あんたは嫌いじゃなかったよ・・・本当に、嫌いじゃなかった。そう、思っていた』

 太白と門を燃やし始めた。だが、それはほたるの涙の代わりのように思える。

 『ばいばい・・・太白。安らかに眠ってね』

 その刀を持って、ほたるも五の門に向かっていった。

 




 
 紅虎にとっても、心・粉雪にとっても辛い決着でした。ついに次で五曜星も終わりです!と言っても五の門の戦いはあまり書きませんが・・・アキラが戦わないし。

 原作では、太白の最後にほたるは自分の炎で太白を燃やしましたが、自分にはあれがほたるの涙に見えたので今回そう書きました。

 でも、その後は・・・う~ん、どうやって面白く書こうかな?だいぶ体調も回復したので、またいつも通りにかけそうです!では!


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九十七振り目 アキラ・・・四聖天だよ!全員集合!

 
 まだ、完治してない三MENです!

 皆さんお待たせしました!アキラの弱みをたくさん持っているあの方の登場です!嫁の皆さんはどれだけ笑うか・・・ではどうぞ!


 

 五の門に着くときに、心と粉雪は泣き止んだ。

 「心、粉雪・・・大丈夫?」

 「はい、すいませんでした」

 「お屋形様。ごめんだぜ」

 「いい。気持ちはわかる」

 光璃も母信虎を失った。似たような気持ちなので、それ以上言わなかった。

 「それにしても、あの太白という男をいったい誰が刺したのでしょうか?」

 「春日さんが勝てないってことは、壬月や麦穂も勝てないってことだよね?」

 浅井夫婦は、刺した人物とその強さに凄さを感じていた。

 「三人はどうだ?あの戦いを見て」

 「綾那は勝てるです!・・・でも、多分ぎりぎりになると思うです」

 「俺もこいつと同じだぜ」

 「わしは北落師門があれば勝てる。だが、腕の一本は覚悟しないと勝てんな」

 久遠に聞かれた三人は何とか勝てるという返答だったが、あの戦いを見たから言えることであり、初見だったら負けていただろう。

 

 『・・・吹雪さんと言う人が太白さんを殺した。どうして、どうしてそんなことをしたの?調べるためにも、見続けないと!』

 

 そんな武将達が話し合う中、心は太白を殺した吹雪の思いを知るためにも夢を見続ける決心をした。そんな中で、もう一人少し複雑な思いを持つ者もいた。

 『・・・父様が太白を殺した。どうしよう、私その父様の娘って言うべきかな』

 吹雪の娘の時人だった。あれだけ号泣した二人を見て話すべきか悩んでいたが、反応に恐怖を持ったため口に出せなかった。

 

 ついに五の門についた。そこに待っていたのは辰怜だが、

 『待っていたぞ!鬼目の狂!よくも我が親友の太白を殺したな!』

 その目は復讐に燃えた目だ。その台詞にアキラ達も彼女らも唖然とした。

 「今、あいつ何て言った?」

 「何か、太白さんを殺した~って」

 「どうして!どうしてそうなっているの!」

 「おかしいっす!どういうことっす!」

 「・・・太白殺した奴がそう吹き込んだんじゃ」

 「な、何を言っているんだぜ・・・そ、そっちが殺したくせに!よくそんなことが言えるんだぜ!」

 和奏・柘榴達がそういう中、粉雪が怒りに燃えていた。

 「そうなのら!これはいくら何れもおかしいのら!」

 「うむ。松葉の言う通り、そう思わせたのだろう」

 「あの人はよっぽど太白さんを殺した人を信用しているみたいですね」

 「だから嘘と思わないか・・・非道な!」

 「じゃが、あれはいい手じゃ。怒りに燃えれば燃えるほど周りが見えなくなるし死ぬ気で殺しにかかる。あの男のように一点しか見ようとしない人間は、その感情を使うにはうってつけの人材じゃ」

 兎々と大人組がいう中、そういう謀略を使う白百合だけは吹雪のやり方をほめた。

 

 話の中で、歳世の死もまた狂が殺したものと思い込んでいる発言を飛ばし、そこにアキラが待ったをかけた。

 『随分と好き勝手言いますね。あの人を倒したのはこの私ですよ。あの人は自分が命を持つ一人の人間として私と命がけで戦い、刃で信念を語り合い、最後はとても美しい笑顔で散っていったのですよ。その場を見てない癖に、よくその闘いを見てきたかのように言えますね』

 『太白はんと闘ったのはワイや!ワイと太白はんはお互いの思いと伝えたい信念と誇りを持って闘ったんや!そして、あの人からワイはたくさんの事を教えられたんや!太白はんと一緒に未来を見ようという約束だってしたんや!あの人が死んで悲しいのはワイも一緒や!』

 紅虎もまたアキラに続いた。だが、結局辰怜はその言葉を聞こうとしなかった。

 「ど、どうするの!これって!」

 「も、もう、止まらないよ!」

 「これほどまでに梅さん以上に話を聞かない人は公方様くらいです」

 「詩乃さん!それってどういうことですか!」

 「そうじゃ!余とて話は耳にちゃんといれるぞ!」

 「反対の耳から流すでしょうに・・・だが、厄介なことになりましたな」

 「はい、闘うしかありません」

 「うん。あの人、もう止まらないの」

 「鞠さんまでそう言うなんて・・・本当に止められないのですね」

 「はい。完全に感情を抑えるには倒さないと無理かと私も思います」

 アキラ隊もその辰怜を見て諦めるように見ている。

 

 そして、辰怜と狂の戦いが始まった。だが、狂はここまで二回も戦い尚且つ朱雀を二回も出して休む間もなく移動してきたので体力もほとんど底に近い状態だ。そんな状態で戦っても勝つことは愚か引き分けることもできない。怒りで目が曇っている辰怜が狂を追いつめていきとどめを刺そうとしたが、

 『辰怜、待った』

 『な!貴様、ケイコク!何をする!』

 やっと追いついたほたるが二人の間に入った。そして、あの刀を辰怜に見せた。

 『こ、これは!吹雪様の刀!何故貴様が!』

 『それ、太白を刺した刀』

 この言葉で辰怜は絶句し、驚愕した。ほたるから、太四老くらいじゃないと太白の背後は取れないんじゃない?と聞いた。だが、もはや混乱状態の辰怜。最も尊敬し、信頼している人物が親友を殺した犯人。

 『嘘だ!嘘だ嘘だ嘘だ!』

 その考えを信じたくないがために、この現実逃避にたどり着いた。

 「それほどまでに信じたくないのですね」

 「うん。もはや暴走状態」

 「・・・さっきまでのあなた方ですね」

 「「??何か?」」

 「いいえ、何でもないです」

 暴走状態と言う言葉に見られていたにも関わらず、喜んで自慰をずっと続けてきた貞子と各務にボソッとつぶやいた悠季。

 

 更に激情した辰怜は自分の持つ水の力を使い、狂だけでなく重症のアキラやサスケ達にも被害を与えていった。ほたるも辰怜を止めるために闘いに入ったが、もはや理性のリミッターを完全に壊して戦う辰怜に今一歩力が及ばなかった。そんな中、

 『っへ。あいつ、たまには役に立つじゃないか』

 立つことも辛かったはずの狂が立ち上がった。今までの疲労も無いように見えた。

 「どうしたんだ?あれほど苦しんでいたのに今は楽そうにしているぞ」

 「まるで、体が元に戻ったみたいね」

 「どういうこと?」

 分からないのも無理はない。これは体の持ち主である壬生京四郎が狂に力を与えたからだ。調子が戻った狂はどんどん辰怜を押していく。傷つきながらも狂に攻撃していくが、どんな技も立ち続ける。

 『お前、何で戦うんだ?』

 狂は辰怜に訊ねたが、彼は答えられなかった。

 『お前の攻撃にはな、何もこもってないんだよ!勝つためのものがな!』

 その言葉に大人の武将達は頷いた。

 「ああ、友の復讐を果たそうとするだけだ」

 「気持ちはわからなくないですが」

 「確かに勝つために戦っている。とは言えないな」

 「おそらく次に出す攻撃が」

 「最後、ということじゃな」

 桐琴の言った通り。最後に狂が放った技は、

 

 『無明神風流殺人剣奥義・白虎!』

 

 アキラが信虎に放ったあの技だ。

 「え!あの技って」

 「あ、兄上が・・・母上を」

 「うん。うん」

 三人にとっては辛いことを思い出すことになったが、それでも何とか持ちこたえた。だが、もう一人は

 「え、ええええええ!は、ハニーの技を、どどどど、どうしてこの方が!」

 大混乱である。光の二人からの説明を既に忘れているようだ。

 「よっしゃあああ!いっけ~~!」

 市の言葉に答えるように白虎が炸裂。辰怜を倒しとどめを刺そうとしたが、ほたるが止めた。四聖天に戻ったので、下僕の頼み聞くことにして彼を助けた。その後、辰怜はゆやにかけた術を解いて、真実を確認するために門を開けて居なくなった。

 傷の手当てをするためにその場で一時休憩をすることにした。その様子を見てこっちの方もひと段落ついた。

 「こ、これで、終わりましたね」

 「で、でも、まだ三分の一くらいなんでしょう?」

 双葉と結菜の言葉に光の二人が再び現れた。

 『その通り。これで三分の一が終わった』

 『これから先。主と仲間たちは更に奥に進む』

 『まだまだ、強敵が出てきて』

 『苦難が続く』

 『『とくと、最後まで見ていき、主を知れ』』

 それを聞いた皆。その言葉と共に光はまた消えていった。

 「よし!皆。我らの夫の凄さをもっと見ていくぞ!」

 「「「「「「「おう!」」」」」」」

 久遠の言葉に全員が頷いた時だった。

 

 『よしてください!ほたる!それ以上言ってはダメです!』

 『そうだぜ!お前の嫌な感はこれでもか!ていうほど当たるんだから!』

 『え~、あいつがいれば回復できるよ。もしかしたら、狂の殺気に反応して来たりして』

 『『だから、言うな!』』

 

 青い顔をしたアキラと梵天丸がほたるに文句を言った・・・その直後だった。

 『うふふ。狂、久しぶりね』

 『ああ、久しぶりだな・・・灯』

 四聖天最後の一人、灯がやってきた。ほたるはやっほ~って感じで挨拶したが、アキラと梵天丸はこの世の終わりのような顔をした。

 「確か、あの人って」

 「うわ~、綺麗な人」

 「前の時も結構綺麗だったけど更に綺麗になったわね」

 「うむ、同じ女として悔しいな」

 四聖天結成の時の頃は彼女らも見ていたので灯の存在は知っていた。あの事実を除いてその頃に灯の能力も見たから、その事も知っている。灯の顔を見て浅井夫婦と織田夫婦、ほかの皆もそう話していると

 『あはははは!あんたらの今までのケガは誰が治したと思っているのさ!このあたしだろうが!あんたらはあたしにとっちゃただの奴隷よ奴隷!あんた達はあたしと狂の為に動けばいいのよ!』

 そんな声が灯から聞こえた。その姿を見て思わず呟く人達。

 「・・・公方様がいますね」

 「ですな」

 「詩乃!幽!余はあそこまでひどくなかろう!」

 「否定できませんね」

 「「うんうん」」

 「歌夜にひよところまで・・・」

 一葉はぐぬぬ。と歯ぎしりを鳴らす。

 「御大将にも似てるっす!」

 「ざ~く~ろ~。何か言ったかしら~」

 「似てる」

 「似てますね」

 「ここにうさ様がいたら、同意してますね」

 「み、皆さん。そこまで言う事」

 「ないと思うのですの!」

 「そ、う、です、ぞ・・・ど、どや」

 長尾側からも娘二人以外から似ている発言を言われ、必死に否定する美空。

 「・・・我等はああじゃなくてよかったな」

 「うん、ちょっと笑えない」

 「そうですね・・・うふふ」

 久遠と光璃はホッとしており、葵はこっそり笑った。灯の能力で全員の体の傷がなくなった。ただ、

 「いやはや、アキラの奴が・・・くくく」

 「いい弱みが聞けたわね~、使えるわ」

 「み、皆さん、笑っちゃ失礼ですよ」

 「ひよ~、その顔じゃ説得力ないよ~」

 回復前に秘密を一つ暴露するという条件を出す灯。一つばらしたせいでみんな笑っていた。特に、織田夫婦は何かを企んでいる顔になった。

 

 その後、灯の事をほたるが説明したが、

 『ほ、ほたるはん!い、今、女装した漢が・・・って言わんかったか!』

 その言葉に全員も目を大きく見開いて、とどめの言葉を狂が言った。

 

 『何言ってやがる。灯はれっきとした男。四聖天は女人禁制だぜ』

 『もう~、狂ったら~。そのことを言わないでよ~』

 

 前回出されなかった事実、灯が漢であることを知らされた。狂と四聖天の三人以外は固まり、こっちの方も

 「「「「「「「( ゚д゚)ポカーン」」」」」」」

 白百合や悠季までこんな顔になって固まっていた。そして、次の瞬間

 

 「「「「「「「はあああああああ~~~~!!!」」」」」」」

 

 大絶叫が響いた。ガラスは愚か建物が壊れてしまうくらいの絶叫だった。

 「お、お、男!こ、この美しさで!」

 「し、信じられない!」

 「そんな・・・男に負けて」

 「ううう、泣きたいです」

 「まあ、そりゃビックリするよな」

 「私達は知っているから驚かないけど」

 「あははは・・・まあ気持ちはわかりますよ。私も初対面はそうでしたから」

 自分よりも美貌な灯を見てがっかりする皆。そんな彼女らを見て、汗を流して頷く時人達。

 「と、とりあえず。アキラ達は回復したな」

 「そ、そうだな。こっちは重症者が増えたが・・・麦穂と秋子もがっかりしてるし」

 「むう、今回だけはわしも悔しいと思ったわい」

 「向こうにはあんな男もいたのか。かかか!本当に面白いわい」

 「皆、どうしてあの人が漢と知っただけでそんなにがっかりするです?」

 「だよな。別にどうってことないのに不思議だぜ」

 時人達を除いて無事だったのは壬月と春日に白百合、そして戦好きなあの三人だけだった。

 

 灯も加わって、先に進むと彼らの前に壬生の兵が現れた。その数はもはや数えられないくらいいる。

 「な、何だ!この兵の山は!」

 「ちょっと、千は軽くいるんじゃない?」

 「いや、三千はいると思う」

 「これじゃあ、せっかく回復したのに」

 「また疲れるんじゃ・・・」

 当主らは驚き、不安が高くなる彼女達だが、

 『なあ、久しぶりにあれ。やらないか?』

 『ふふ、面白そうですね・・・いいでしょう』

 『勝つのは俺』

 『何言ってるんだい!あたしに決まってるじゃないか!』

 アキラ、梵天丸、ほたる、灯の四人が前に出た。

 『お前ら、そこで見ていろ。面白いもの・・・見れるぞ』 

 狂が座ると、四人が兵の集団の中に入っていった。

 「な!ま、まさか、四人だけで全員倒そうというのか!」

 「確かに、こういうことは前にもやってましたけど」

 「ここの者は、あの時の兵より更に強いことだけは私達でもわかる」

 「でも・・・楽しそうです」

 壬月、秋子、春日の言葉に不安げな皆だが、双葉は四人の顔をしっかり見ていた。

 『あいつらは誰が一番敵を倒したか。その数の多さを競う遊びをやっているんだ』

 「え?こ、こんなにいるのに、遊びで戦おうというの!」

 「ご、ご主人様!そ、それは危険では!」

 「・・・大丈夫なの。アキラも皆も強いの!」

 歌夜と小波は狂の言葉に不安を高めたが、鞠もまた双葉と同じように四人の顔を見て心配してなかった。

 『灯吉郎!手を組もうぜ!』

 『いいよ・・・ってあたしをその名で呼ぶな!』

 梵天丸を兵の集団に投げる灯。だが、二人とも楽しそうだ。

 『おや?向こうも組みましたか・・・って!ほたる!さぼってないで戦いなさい!負けますよ!』

 『え?それはやだ』

 斬りながら文句を言うアキラに兵を火だるまにしていくほたる。この二人もまた楽しそうだ。そんな楽しそうなアキラを見る皆。

 「あんなに楽しそうに戦うアキラは初めて見たな」

 「そうだね~三人も嬉しそうに戦っている」

 「アキラ様にとってあの人達と戦うのが嬉しいんだね!」

 「にしても・・・倒した数をちゃんと数えているのがすごいっす」

 「松葉は数えない。面倒」

 「といっても、兵の連中まだまだ出てくるぜ!」

 「アキラ様達。囲まれちゃったよ!」

 「ろうするのら!」

 若将達はアキラの初めて見る一面に興味津々だが、心の言う通り兵が増えていき四聖天が囲まれてしまった。その数はもはや三千以上ではないかと思えるくらいだった。

 『囲まれちゃったな』

 『ええ。でも・・・久しぶりですね』

 『うん、楽しい、あの頃に』

 『戻ったね!あたしら!』

 だが、四人は楽しそうにしてむしろワクワクしているように見える。

 『あれ・・・やろうか』

 『『『おう!』』』

 ほたるの言葉に三人が頷いた。それぞれが四方別々に向き背中を合わせた。

 『出るぜ。あいつら四人そろって発揮する無限大の力の技が!』

 四聖天の四人そろって出す最強の技が放たれた。

 

 『『『『四聖死天翔!』』』』

 

 四人を中心に大きな光ができ、その光が兵達をどんどん消していった。しかも、その範囲はさらに広がっていく。

 「すごい技じゃのう。越前で出した火の鳥より強く範囲も広いぞ」

 「眩しいです~~!」

 「こりゃ本当に無限大だな!」

 「・・・( ゚д゚)ポカーン」

 「お~い、ダメだ。完全に呆然としちゃっているね」

 トップスリーはその技に驚き、湖衣は今だ見たことない技の凄さに呆然として、そんな彼女の顔の前に手を振る一二三。

 「アキラがとんでもないことは知っていたけど、向こうの人のほぼ全員がとんでもなかったのね」

 「私、心底向こうで産まれなくてよかったと思いましたわ」

 「わしは産まれたかったのう~。あの灯と謀略勝負したかったわい!」

 『『『『『『『よかった。別々の世界で』』』』』』』

 改めてアキラ以外の皆もとんでもないことを知った結菜。彼女の呟きに本気でそう思った悠季。白百合のこの発言には、全員が別々でよかったと思った。

 

 四聖死天翔のおかげで兵は一人残らずいなくなったことに、更に驚いた皆だったが

 「「「「「「か、かわいい~~~!!!」」」」」」

 「「「「「「は~ははははっはっはっは!!!」」」」」」

 「「「「「「お、面白い~~!!!」」」」」」

 ある人物の姿に、蕩け、笑い、そして受けていた。その人物は

 『・・・・・・(プルプル)』

 アキラだった。さっきの遊びでビリになり、その罰で猫耳をかぶり、猫のひげを顔につけ、猫の尻尾を尻の部分の袴に着けていた。どこにそんなものを用意していたんだ?と言うツッコミは誰もしなかった。ただ、

 「・・・起きたら、やろうな」

 「「「「「「おう!」」」」」」

 彼女らのアキラへのコスプレ熱を作り出してしまった。久遠の言葉に全員が笑顔になった。もし現実でアキラがそれを見たら確実にこう言うだろう。

 

 『自分の大事なものを奪う気がする笑顔だ』

 

 夢にきて、彼女らが初めて大笑いしたシーンだった。

 




 
 やっぱり向こうのアキラはいじり役でありいじられ役でもあるので、こういう場面もあった方がアキラらしいですね。
 灯の性別を知ったら嫁達もああなるし、アキラのあの姿を見たらああもなるでしょうね。

 さて、次は・・・あ、あの人がそろそろ出番ですね。


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九十八振り目 アキラ・・・修羅に自ら進んだ男

 
 調子をようやく取り戻した三MENです!

 いや、治りかけでちょっとまた具合が悪くなりかけました。本当に風邪は治りかけが重要ですね、油断禁物です。

 今回はついにあの人の登場です!あと、茶番がそれなりに多い回でもあります。


 

 『もういいでしょう!』

 猫セットを取り外したアキラ。罰ゲームでつけていた猫アキラからただのアキラに戻ってしまった。

 「「「「「あ!もったいない」」」」」

 「「「「「でも、いいものが見れた」」」」」

 「いやはや、本気で笑ったよ」

 「わ、私は、かわいいかと」

 「う~む、アキラ殿の趣味も中々ですな・・・でもちょっと、本当にちょっとだけですがかわいかったのは事実でしたわ」

 「かかか!あやつを夜這いするときは儂もやってみようかのう!」

 「「「「「「「!!(わ、私も、やろうか、な?)」」」」」」」

 ひねくれ組の言葉、特に白百合の言葉に反応した嫁達。照れて顔を赤くしていた。

 

 

 さっきの事がなかったかのように、ほたるに話しかけた。

 『それにしてもほたる。よく五曜星を裏切りましたね』

 『四聖天(こっち)が居心地よかったから』

 『なるほどな。はは!そりゃ俺だって伊達の当主よりこっちの方が気持ちがいいわ』

 『そりゃ歳子や鎮明が一緒じゃ裏切りたくなるわな』

 『太白はんと歳世はんだけは別やな!』

 『ですが、ほたる。裏切りはよくありませんよ』

 『全くだぜ!』

 『それは俺も同感だな』

 『言えてるわ!』

 『『『『( ̄∇ ̄;)ハッハッハ』』』』

 アキラの言葉に梵天丸とサスケと紅虎が反応して、最後には笑った。そんな彼らを見て嫁達は汗を流した。

 「いや、お前。十二神将を裏切っただろう」

 「独眼竜も実の母親に裏切られた話がありますし」

 「同意している二人も多分似たようなことしたと思うぞ」

 「まさか、天下の将軍様も?」

 年上組はアキラ達の笑いで余計に唖然としていると、光の二人がまた現れた。

 

 『一つ捕捉させてもらうと、十二神将という組織も壬生一族が作ったものだ』

 『鬼目の狂の体を見つけるために作り上げた組織であり、その組織の大将が・・・向こうの世界の織田信長だ』

 

 二人が話の中で出た名前に全員の時が一瞬止まった。

 「・・・は?お、織田、信長?」

 「え。そ、それって・・・」

 「向こうの世界の・・・久遠姉様!」

 結菜と市と真琴の言葉で全員が久遠に集中した。

 「わ、我が・・・向こうの我をアキラが、裏切った?」

 『安心しろ。あくまで向こうの世界の話であって、ここではそんなことはしない』

 『そなたは、今までの主の愛を疑うのか?』

 「そ、そんなことはない!我とて・・・愛している。たくさん、愛されて、抱かれて。と、とても・・・倖せだ」

 不安になりそうな久遠をすぐに安心させた。その間も、アキラにたくさん愛された時のことを思い出して顔を真っ赤にした。

 『だから、安心しろ。そなたの事は主も心から愛しているのだから』

 『もちろん、そなただけではない。ここにいる皆もまた主は心から愛している。長年傍にいる我らが言うのだ。自信を持て』

 「「「「「「「う・・・」」」」」」」

 光からそう言われて、嫁達は真っ赤になった。本人からではないが、そう言われるとさすがに照れてしまう。

 『長年傍にいる我ら』

 だが、ここまでの過去を見てアキラの傍にそんな人は見られなかった。では、この光は何者なのか?という疑問が残ったが、それは先送りにした。

 

 夢の方も話が終わり先を進んでいくと、

 『あ、人が落ちてきた』

 といきなり言うほたる。夢のメンバーも嫁達も「何言ってるんだ?」と言う顔になったが、本当に落ちてきたことに驚いた。その人が出雲阿国で、彼女曰く狂の体が壬生一族にとられたという事だ。

 「そういえば、あの狂は自分の体じゃなかったな」

 「アキラの戦いも現実だと思ったし気を付けないとね」

 「でも・・・すごい戦いの連続。忘れても無理はないと思う」

 「その通りです。どのみち夢ですから、忘れても問題ないかと」

 「はい。起きてしまえば、夢だったとわかるのですから」

 そう話し合い、ここで夢だと忘れても問題はない。と判断して続きを見た。

 『うふふ、ごめんなさいね。秘密って私ないの』

 『ああもう!さっさと治すよ!』

 『ああ、代わりと言っては何ですが私のこの胸の大きさは・・・』

 『いい加減に黙ってな!』

 阿国が灯に向かって「どうだこの体、羨ましいだろう」と言う感じで挑発している話が聞こえてきた。その話が聞こえたこっち側の方はというと

 「「羨ましいよ~」」

 「本当に・・・羨ましいです」

 「あの人は~ここでも(暗黒面が)出そうです(ゴゴゴ)」

 「鞠、絶対にあの人位に大きくするの!」

 「お姉ちゃん、頑張ろうね!」

 「・・・」「勝てなそう?う、うん。雀もそう思うの」

 「み、美空お姉、さま?」

 「く、久遠?」

 「あ、あの、葵様?」

 アキラ隊が号泣するくらい悔しんでいる中、当主の久遠と美空・葵が黙った。結菜と空、悠季が汗を流しながら問いかけた。

 「ふ、ふん!胸が大きいくらいで自慢するな!」

 「そうよ!そんなに大きいと肩こって大変よね!」

 「それにアキラ様はそんなの関係なく愛してくれます!」

 「「・・・は、はあ」」

 悔しそうな顔でそう言いきった。三人よりバストがある真琴と光璃はいきなりの言葉に思わず汗を流した。

 「そうですぞ!胸が大きいと大変です(ぽよん)」

 「久遠様、美空様、葵様。お気になさらず(どどん)」

 「そ、そうですよ。葵様の言う通りですから(ズズン)」

 「お三方、アキラ殿は嫁を全員を愛しますぞ!(じゃん)」

 「そうじゃぞ。お主らはアキラに毎日揉んでもらって大きくしてもらえばいいじゃろうが。それとも今すぐ欲しいか~。かかか!ほれほれ~(ゆさゆさ)」

 「全く、それくらいで気にするな!全員アキラに巨乳にしてもらえばいいだけじゃろうが!(べろん)」

 「ですから、皆さんはそうがっかりしなくてもいいのですよ(ふぁさ)」

 「うん、なれる(ぬぎ)」

 「その通りですよ。まあ、何年かかりますやら(おほほ)」

 「うむ!公方たる余は胸も一番じゃ!(どさ)」

 「肩がこる悩みがない皆さんの方が羨ましいですわ~(ばん)」

 壬月・麦穂・秋子・春日はしっかりフォローをしていたが、白百合からそれがなくなり、桐琴では無自覚の挑発になり、貞子・各務・朱雀・一葉は確実に意図的な挑発に変わっていた。梅に至っては殺意すらわく一言だった。計十一人の巨乳連合の言葉は普通乳・微乳の皆にとってはぐさりと確実に心に刀が刺さる一言だった。

 

 「そ、そんな巨乳(おっぱい)を見せびらかして言うお前ら何て」

 「「「「「「「大っ嫌いだ!!!」」」」」」」

 

 久遠の言葉に巨乳組以外の全員が言った。その組に属しているが言わなかったのは双葉と空に綾那くらいだった。

 

 

 夢の方では、阿国も仲間になって先を歩くと目の前に四つの扉が出た。その四つの扉の内一つだけが先に続き、残り三つは行き止まりらしい。ただ、ここにいたほたるもあまり詳しいことは知らなかった。四つのグループに分かれるが、大体が狂と一緒に行く人間が多くアキラもその一人だった。誰も離れようとしないので、ゆやがくじを作って恨みっこなしで分かれることになった。

 その結果・・・一の扉に

 『ようやく顔を見なくてすむと思ったのに!』

 『そりゃ、ワイのセリフや!』

 『喧嘩しないでいこうね』

 アキラと紅虎、ほたるとなった。後の二の扉が灯とゆや、三の扉がサスケと阿国、四の扉が狂と梵天丸ということになった。

 

 一の扉に入り、しばらく歩きはじめるとアキラが説教を紅虎に始めた。

 『紅虎さん。あなたの戦い方は感情に振り回されすぎです。目の前だけじゃなく、もっと周りに目を向けないと』

 『はん!あんさんかて、狂はんの事になると同じやんけ!人のこと言えんやんや!』

 『ほう、よく言いましたね』

 『ぷぷっ!こめかみに青筋がでてるで~図星つかれてるんや!』

 『・・・つまり二人は似た者同士』

 『『どこがですか(や)!!』』

 「「「あ、似ている」」」

 ほたるへの息ぴったりの返答を見て、三若の言葉に全員が頷いた。

 「へ~、この二人って意外な共通点があったんだぜ」 

 「そうですね。この頃のアキラ様って狂と言う人のためなら、という考えの方が強かったみたいですし。その人のことになるとそうなってしまうのね」

 「ふふん!兎々はそんなこと「しないとは言わないよな。それをしてどれだけ説教されたと思っておる」・・・しょぼん」

 ここぞとばかりに兎々がドヤ顔しようとしたが、春日に突っ込まれて何も言えなくなった。

 「兎々もまだまだっすね!」

 「柘榴も人のことを言えない」

 「ま、松葉・・・ひどいっす」

 「本当の事」

 そして、柘榴も同じような目にあった。

 

 待ち伏せの兵がいたので全員倒したが、壁に印をつけながら移動したのに、どっちから来たか分からなくなっていた。アキラと紅虎が口喧嘩をしているとほたるが向こうだと言った。その理由が、

 『どうも私、真の十二神将のクビラと申します』

 何と敵が向こうからやってきたからで、それを教えてもらったからだった。だが、アキラは当然警戒した。敵というだけでなく、人肉を食う者独特の匂いがするからとのことだった。

 「へ~。アキラってそんなこともわかるんだ」

 「さすがだよね~。私たち以上に戦っているんだからね~」

 「しかも、向こうって明らかにここより強い人ばっかりだし」

 和奏達がそういう中、

 

 『三人同時でかかってきてはどうです?私はあなたよりも強いですよ・・・そう、あなた方の強い想いによってあなた方は倒されるのです』

 

 クビラはそう宣言した。三人は反応して同時にかかった。

 「・・・嘘」

 「え?え?」

 すると、その結果を柘榴と粉雪が疑問に思いながら夢を見た。だが、皆もまたそういう見方だった。

 「アキラ様が、倒れている」

 「あの二人も」

 「ろ、ろういうことなのら!」

 心と松葉の言った通り、アキラ・紅虎・ほたるの三人が簡単に倒された。だが、殺されたというわけではない。

 「のう、二人とも分かったか?・・・って綾那?どうした」

 「わ、わからねえよ。でもおかしくなかったか?」

 「かかろうとしたらいきなり動きが止まって、強い衝撃を食らって倒れたな」

 「はい。某の目にもそういう風に見えました。ただ、あの男の攻撃を無防備に食らったようにも見えました。まるで信じられないものを見たような顔をして」

 小夜叉・桐琴・一葉・幽の目でもそこまでだった。だが、綾那はアキラが倒されたとは別の意味で驚いていた。

 「何か分からないものを見た。という事だな」

 「ええ。あの男はいったいどんな技を使ったのでしょうか」

 「だが、それが何かは分からないな。拙らには見えない何かはいったい何か?」

 「でも、倒されただけでよかったです」

 壬月達もまた同じ答えだった。だが、クビラの覆っていた仮面と鎧を外した姿を見て別の意味で驚いている者もいた。

 「あ、あの、鞠、様」

 「うん。あの人って・・・クビラって言っていたよね」

 「じゃ、じゃあ・・・あの時の」

 「ううん。まだ、まだ分からないの」

 綾那と鞠だった。まだ信じられない気持ちでいっぱいだ。

 

 アキラ達が起き上がって、襲い掛かったがやはり同じ目にあった。

 『さっきはゆやはん。次は親父や』

 『私はゆやさん、次は灯です』

 『俺は灯ちゃんと・・・えっと、次、誰?』

 『『何で分からないのですか(んや!)』』

 『ふふ、それが私の技ですよ』

 ほたるにツッコミをした二人の言葉に続いて、クビラが自分の技の解説をした。問われた質問に心の中で思い描いた人物にクビラが変わる。それが彼が持つその能力・変幻術、その名を変移想外(フェノメン・フェイズ)と呼ばれるものだ。人間の思い、それが心の中で思い描いたものであるなら尚更だ。クビラが使うのはそれを体に出して攻撃する能力だ。

 「心の中に思った人物に変わる?」

 「クビラがその人物に変わって驚いた隙に攻撃された。という事か」

 壬月の言葉通りで、因みに最初は怖い人物。次は苦手な人物らしい。

 「そういう事ですか。厄介な能力を持っていますね」

 「しかも、彼の説明からするとその者の力と能力まで持っているというじゃないか。これは一筋縄ではいかないな」

 「でもそれはいいかも。葵様の裸を思い浮かべれば・・・ぐふふ」

 「そうですね!アキラ様の裸、アキラ様の裸、アキラ様の〇〇〇」

 「・・・アキラの裸、アキラの体、アキラの〇〇〇」

 秋子と春日が唸り、悠季と貞子と各務が妄想をしている間に、夢ではアキラがゆやの事が怖いことが分かり紅虎にバカにされた。その間にクビラがまた三人に質問をして、引っかかって攻撃されたが、彼女らは見逃さなかった。

 「なあ、今確実にアキラ攻撃されたよな」

 「ということは、気になる女性がいる。と言う事よね」

 「・・・いったい誰?」

 今回は気になる女性という質問・・・つまりそういう事だ。久遠・美空・光璃の言葉に嫁達は一気に意識をそっちに向けた。そこに、ひよところと詩乃が口を出した。

 「あの・・・多分二の門に灯さんと入っていったゆやさんではないかと」

 「最初はなれなれしいところもありましたが、今はしなくなっていますし」

 「それに、一度聞いたことがあります。好きな人はいなかったのか?と。名前は言わなかったのですが、ここまでのアキラ様の行動と今の態度を見ると」

 かつて四人で鍋をした際に好きな人の話題をしたことを思い出した三人。詩乃の言葉は、この話題に関しては説得力がある。

 「そっか・・・でも、不思議じゃないよね。お兄ちゃんだって好きな人いたって別におかしくないし」

 「なるほどのう・・・少し悔しいのう。過去でも、主様の想い人となったそのゆやという女にちょっとだけ嫉妬するぞ」

 「はい。羨ましいと思います」

 市と一葉と葵の言葉に嫁の全員が同意した。久遠や双葉、詩乃や幽達だけでなく壬月や桐琴もまた頷いていた。そんな姿を見て白百合や一二三はにやにやしていた。

 そんな中、何故かほたるだけは攻撃を受けてなかった。理由を聞くと、最初は灯を思い浮かべたが男か女か考えているうちに分からなくなって、思う浮かばなったから攻撃を受けなかったらしい。そこで紅虎は誰も思い浮かばないように強く思えばいい!と気づいた。

 気づかれてもクビラは余裕の笑みを浮かべていた。簡単に人の思いは変えられないし消すことは出来ない。と言った後だった。

 

 『例えこの身を人の肉を食らう凶悪な戦士へと堕ちたとしても、自分の全ての・・・信念をかけて、想いを持ち続けて闘おうとする大切なものだってあるのです』

 

 その後に見せた顔が、大切なものを愛おしく想う顔だった。その顔を見てあの二人はやはりと思った。

 「鞠様、あの顔は城に帰る前に見せた顔です・・・やっぱりこの人は」

 「う、うん。間違いないの。この顔はあの時のなの」

 「あの、綾那様。鞠様。何か知っておられるのですか?」

 「どうしたの綾那?」

 「なにかあったでやがるか?綾那」

 「鞠ちゃんも、どうしてそんな顔をしているの?」

 小波・歌夜・夕霧・薫が訊ねた。いつもと違う綾那に気になっていた。

 「えっとですね。綾那と鞠様は、あの人と会ったことがあるのです」

 「越後で、まだ美空が春日山城と取り戻せてない時に調査をしたときに会ったの」

 「という事は、歳世さんの時みたいに死んでからここに来たという事かな?」

 「ですね。太白さんと言う前例もいますので間違いないかと」

 二人の話に一二三と湖衣がすぐに結論を出した。サイという前例を見たため、すぐに皆も納得した。

 『問います!あなたにとって一番強いと思う人は!』

 『『『自分自身!』』』

 その問いにすぐ答えて攻撃を仕掛けた三人。だが、逆に食らった。しかも、三人ともその攻撃に反応できなかった。いや、攻撃どころか姿すら確認できなかった。

 「・・・こ、怖いよ~」

 「く、空様。だ、大丈夫で、ですの」

 「そ、そうですぞ!これは、夢。夢なのです!ど、ど~ん」

 その三人の前に、クビラは三人が強く思った姿を現した。その姿を見て怖さで思わず抱き合う空・名月・愛菜達。

 

 『どうやら、三人とも同じ人物を思ったようですね。言ったでしょう、心の奥底で強く持つ思いは簡単に変えられないと・・・ある者は伝説としてその者を思い描き、ある者はその者の強さに惹かれて仲間となり、ある者はその者の背中を追いかけ続けている』

 

 クビラが変わった姿はこの場にいる全員が震えを生むには十分な姿だった。恐怖だったり、興奮だったり、好奇心だったりそれぞれだ。

 

 『あなた方を死へと誘う者は・・・四年前の伝説の鬼目の狂です』

 

 アキラが思う狂気に満ちていた頃の、四年前の狂の姿だった。

 




 
 では、ついにクビラ登場です。この人の話は結構しんみり来ました。

 本格的な戦いは次回です。茶番を書いているうちにこうなってしまいました・・・。悪ふざけもほどほどにしないとな。

 次回、どうしよう。いや、書く内容はもう考えていますが・・・まあ、とりあえずお楽しみに!


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九十九振り目 アキラ・・・諦めない男の信念

 
 あっという間にあと一話で百振り目!三MENです。

 何というかもう半年以上も書き続けていたのですね・・・。自分も驚きです。

 さて、今回はアキラと偽の狂との闘い!そして、ある真実が明らかになる話です。


 

 四年前の狂が三人の前に出た。

 『おおい!何でや!いったい誰がこないなことを考えたんや!四年前の狂はん思い浮かべたら勝つのは無理やないか!』

 『今無理って言った?と言う事は自分より強いって認めているんじゃない?』

 『え?・・・\(◎o◎)/!』

 『大丈夫。俺だって、あの狂相手だったら厳しいと思うから』

 その現実に慌てる紅虎に全然慌てないほたる。

 『やれやれ、全くあなたは騒々しいですね。まあ、騒々しくないあなたと言うのも気持ち悪いですが』

 『何気に酷いこと言うたやな!というか、アキラはんはどうなんや!』

 『ふふ、あなた方じゃないんですよ。四年前の狂が私達より強いと思うのかと?』

 紅虎のツッコミに笑顔で答えた。

 

 『当たり前でしょう。(* ̄▽ ̄)フフフッ♪』

 

 しかも得意げな笑顔だ。それを見て呆れる紅虎とほたる。

 『そのようなこと日が東から昇るのと同じくらい当たり前のこと。それともあなたは西から日が昇るような考えを持っていたのですか?』

 更にドヤ顔で言ったこのセリフに呆れ顔になった二人。だが、その顔になったのは二人だけではない。

 「何というか、あそこまで清々しく言うと何も言えないな」

 「こ、この頃のアキラって本当にあの漢しか考えてないのね」

 「しかもあの笑顔。反応に困る」

 「あ、あははは・・・」

 「これは凄いですね。別の意味で」

 当主達の汗を流す顔を見て頷く皆。だが、アキラの牡丹発言ともいえる言葉を聞き、各勢力内である大会が開催された。

 「この頃はまだ若いからな」

 「そ、そうでしたね・・・何か、三若の皆を見ている気分です」

 「「「麦穂様!どういうことですか!」」」

 「どうもこうも、考えが似ているじゃろうが」

 「そうそう!他の事を考えられる脳がないってな!」

 「二人はともかく、何で雛まで~。というか小夜叉ちゃんに言われるなんて~」

 「「どういうこと!雛(ちゃん)!」」

 織田勢は約三名が候補にあがり、

 「柘榴が似ている」

 「松葉!どういうことっすか!」

 「松葉ちゃん、本当のことを言うものじゃありません!」

 「秋子、あなたもひどいこと言っているわよ」

 「え、え?柘榴さんとあのアキラ様が似ているって」

 「空様!考えなくてもいいのですわ!」

 「そうですぞ!どや!」

 長尾勢は約一名。

 「「粉雪」」

 「粉雪ちゃん」

 「こなちゃん」

 「こなゆき!」

 「な、なんだぜ。どうしてあたいを見るんだぜ!」

 「ふふ、その通りだね」

 「・・・否定できません」

 「み、皆・・・ひ、ひどいんだぜ!」

 武田勢もまた一人が出された。そして、アキラ隊や他の勢力でいくと

 「うふふ!羨ましいかしら!」

 牡丹・・・いや梅に視線がいった。だが、アキラと同じという考えで捕らえて嬉しがった。そんな彼女に白い眼を送る仲間達。

 「今回だけは羨ましくないね」

 「うん、あれはちょっとね」

 「まあ、牡丹さんらしいですね」

 「そうですね・・・あれよりはマシですけど」

 そういいながらひよ・ころ・詩乃・雫は、もう一人の牡丹に目がいった。

 「余は違うよな!幽」

 「ええ、違います・・・あれよりひどいですから」

 「お姉さま。ちょっとだけ、双葉は・・・恥ずかしいです」

 「いつも通りだね!お姉ちゃん」

 「・・・」「その通りと言ってます!」

 「何か、市にも似ている気がするわ。いろいろと」

 「結菜お姉ちゃん!どういうこと!」

 「ほう、気が合うのう。儂もそう思っていたところじゃ」

 「「従妹殿(腐れワカメ)に似ていますね(です!)」」

 「・・・小波、我慢しましょうね」

 「・・・はい」

 このように誰が牡丹か大会を開催していた。だが、せっかく各勢力の牡丹有力者が決まったのに誰が一番かは決められなかった。何故なら、

 

 『おら!狂の姿で、狂の声で!余計なことを言うな!』

 

 夢の方でアキラがガムシャラで戦っていたからだ。アキラが戦っていれば皆黙っていられない。だが、その戦いが・・・

 「ちょっと、あれじゃあただの子供の遊びじゃない」

 「いつものアキラじゃないな」

 「どうして?」

 美空・久遠・光璃の言う通りチャンバラレベルだ。

 

 『アキラは狂にだけ情が偏っちゃっているんだよ。他の者より狂の事しか考えられないところをクビラは利用しているんだよ・・・まあ、仕方ないけどね。ずっと狂を追いかけ続けていたんだし。アキラは狂の為なら強くなれるけど、逆に狂の事になると脆くなっちゃうんだよね・・・そこがアキラの最大の弱点』

 

 見物しているほたるの説明を聞いて、年上組やひねくれ組は納得した。

 「なるほど、その追いかけている男の姿をして声を出していれば」

 「アキラ様も平静ではいられないというわけですね」

 「ニセモノとわかっていても、その思いが出てしまうという事か」

 「つまり、それを乗り越えない限りは・・・」

 「勝てないね。確実に」

 「ええ。しかし、どうやって」

 「早い話、今のあやつの敵はあのニセモノではなくその思いという事じゃな。一体どうやって乗り越えたのやら」

 彼女らの話で理解したアキラ隊や他の若者組。その会話の間に、

 『みずち!』

 偽狂のみずちをくらって吹き飛ばされた。

 『どうした?俺の次に強くなる?ばかばかしい、お前がなれるわけないだろう。サムライの血をひかないお前がな』

 そして、どんどんアキラの怒りを誘う言葉を言う偽狂。

 『く、き、貴様』

 『だから、俺はお前を捨てたんだよ。追いつけるわけないお前をな』

 『それ以上、言うな!』

 完全に怒りに支配されたアキラ。また、ガムシャラにツッコもうとした時

 

 『おら!逆さ八寸や!』

 

 槍を反対に持って、柄の方でアキラの後頭部を叩いた。痛がって後頭部を抑えるアキラを見て嫁達は

 「「「「「「あの漢・・・許さん!」」」」」」

 紅虎に怨念を送っていた。

 『あなたは何をするんですか!戦っているときに!』

 『仕返しに決まっとるやろ!あんさんにあばらを折られたな!・・・だが、どや?目が覚めたかいな?』

 『は?』

 『ええか。あんさんはな、冷酷で、グダグダ文句ばかり言うて、ずる賢くて、根暗な何を考えているのか、わかりとうもない男や・・・だがな』

 槍を肩にかけてアキラの顔をしっかり見ていった。

 

 『今持っているその強さは、紛れもないあんさんが努力をして手に入れた力や。死に物狂いで一人で必死になって手に入れた力や。それは、偽物でもない。誰もが認める本物の力や』

 

 それを聞き、アキラは段々冷静になった。

 「ううむ、目を覚まさせるためにあれをやったというのか」

 「これは、文句が言えないわね」

 「うん、声じゃ聞こえないだろうし」

 「でも、これで元の兄様に戻りますね!」

 「はい、ここからです!」

 

 『そうでしたね・・・私はこの心の眼。それを手に入れた。狂を超えるために、一人で必死になって、手に入れた』

 

 当主達の言葉通りアキラはいつも通りに戻っていった。

 『そうそう、トラ。さっきの一撃は、百倍にして返させてもらうので覚悟していてくださいね』

 『はあ!なんやねんそれはΣ( ̄□ ̄|||)』

 『うん、根に持ちそう』

 そのやり取りを見て、本当に元通りに戻ったと冷や汗を流した皆。

 『もう、終わりですか。とどめだ!みずち!』

 今だ背を向けているアキラにみずちを放つ偽狂。だが、夢氷月天でそれを壊した。同時に攻撃を食らい元の姿に戻ったクビラ。

 『さて、クビラさん。お待たせいたしました。この心の眼。もう二度とあなたの見せる偽者の狂に惑わされないことを誓いましょう・・・そして、あなたの死を持ってそれを証明しましょう』

 ニヤリと笑いながら構えるアキラ。ほたるは乗り越えたことを確信して安心した。再び戦いが始まろうとした時だった。

 

 『とりゃああああ!』

 

 いきなり紅虎とほたるの近くの壁が壊れ、一人の少女が乱入してきた。

 『あ、アンテラ?』

 『あんた達覚悟!』

 乱入したのはアンテラだった。彼女が持つ鉄球の付けた棍を二人に振り下ろすがほたるが止めた。何度か攻撃するが当てられなかった。

 「すげえな。鞠様みたいな子が、よくあんな武器を振り回せるな」

 「あれ?アンテラ・・・もしかして越前で話した子ってこの子の事?」

 和奏が素直に褒めていると、名前に聞き覚えがあり思い出した結菜。呟くように口に出したため、誰も結菜の変化に気づかなかった。

 『無理、俺は倒せない』

 『くう~~、な、なら!これで強くなって『やめた方がいい』、え?』

 ほたるに敵わないと思い彼女が取り出したものが注射器で、それを刺そうとしたがクビラに止められた。そして、それを見て反応したのが

 

 「(・・・辛いな。今なら本当にひどいことをやったと思える)」

 

 その注射器を渡したのは当時太四老の時人だ。昔の自分のしたことを見ることにやはり辛さを感じていた。

 『大丈夫、私が全員倒します。だからそのまま見ていてください』

 『もう~~、分かったわよ、しっかり倒しなさいよ!』

 『・・・そういう感情的なところは、変わらないのですね』

 ふくれっ面をしながら注射器をしまったのを見て、ホッとしたクビラ。同時に、懐かしい顔もした。

 「妙だな。アキラとまだ戦っているのに」

 「一時的とはいえ、放棄してまであの子のところに」

 「何かあるのか。アンテラという少女に」

 クビラの行動に壬月、麦穂、春日がそう言う中。

 『・・・何故でしょう。一瞬ですが、とても慈愛のある顔になりました。あの子をとても大切にしているような顔を』

 秋子だけは皆が気付かなかった隠されたクビラの顔に気づいた。

 『失礼しました。では、続けましょう』

 『構いません・・・ふふふ』

 するとアキラは挑発した。

 『クビラさん。教えてあげましょう。本当の鬼目の狂の実力はこの程度ではないことを。そして、あなたのその自信をこなごなに砕いて差し上げましょう!』

 だが、クビラはその言葉を聞き流した。そして、偽狂へと姿を変えた。

 

 『では、最後のとどめといきましょう・・・見せてあげましょう。私が人を食らう戦士になってでも手に入れた力を、その力を手に入れるために掲げた信念を!』 

 

 「・・・さっきもだけど、信念って言ったよね」

 「うん。あの人って、守りたい人がいるってことなのかな?」

 ひよところの言葉は皆も思っていたことだ。守る人として挙げられるのが

 「乱入してきたアンテラって子だね」

 「そうですね、さっきとは雰囲気が違います」

 「じゃな。あの娘が来てからは、大きな思いを持つ戦士の顔になっておる。一体どういう関係なのやら」

 一二三たちの言う通りだ。彼女達の意識がアンテラにも行く中、

 

 『行きますよ・・・無明神風流殺人剣奥義・朱雀!』

 

 「「「「「「な!」」」」」」

 偽狂から何と朱雀に変わった。

 「あ、あれって!狂と言う男が出した奥義!」

 「雫の言う通り、でも、どうして!」

 「まさか、人だけじゃなく技の姿にまで変われるというのか!」

 「公方様。あの技は防御不可能な技のはずです!」

 「は、ハニー!に、逃げてください!」

 「で、でも、あれって当たるまで追ってくるの!どうするの?アキラ!」

 「ご主人様!ど、どうかご無事で!」

 「アキラ様、勝ってください!歌夜は信じています!」

 アキラ隊の皆は必死に祈った。やはり、過去とわかってもこれほどの技を仕掛けられたらその事を忘れるようだ。その朱雀にアキラはヘルバーストを仕掛けてよけたが、朱雀は再度襲い掛かる・・・だが、そこにいたのは無数の氷に映されたアキラの姿だった。その技の正体にすぐに気づいた皆。

 「あ、アキラさんが・・。分かったっす!」

 「歳世って人との戦いで見せたあの技であいつを困惑させるんだぜ!」

 「アキラがたくさん」

 「しかもこの技は壊せば壊すほど、相手を痛めつけることができる!」

 「す、すごいのら。それをすぐに思いつくなんて」

 「そうじゃ、これでこそわしの夫、アキラじゃ!」

 「お!あいつ、ついに限界にきたみたいだぞ!」

 「やったのです!」

 小夜叉の言った通り、クビラが朱雀から元の姿になった。そんなクビラにアキラは強く言った。

 

 『クビラ、あなたがどんなに昔の狂を映し出しても今の狂には敵わないのですよ。何故なら、想像もつかない速さで強くなっていく。それが鬼目の狂!どんなに本物に似せても所詮はニセモノ!本物の強さには届かない!』

 

 そして、アキラのヘルバーストの力が刀に宿った。

 『氷魔十字霜舞・グランドクロス!』

 『く!うううう!』

 クビラは右腕でその技を防いだが、その右腕が凍り付いていく。どんどん凍り付いていき最後には命も凍らせる技であることを伝えた。

 『これならどうです!』

 すると、何とクビラはその右腕を切り捨てた。つまり、凍り付く前に肉体から切り離してしまえばそれ以上は凍ることはない。と言う事だ。落された右腕が完全に凍り付いて壊れ、クビラ本体には言った通り影響はなかった・・・が血が出ている。

 「う、うう、腕が。腕が!」

 「く、空様!落ち着いてください!」

 「そうです。それにアキラ様はもう勝てます!」

 「そ、そうですぞ!ど、ど、どや」

 『はあ、はあ・・・か、勝つのは、この、私です!』

 空がビックリする中、クビラが必死になって立ち上がった。その姿を見て欲望に忠実な戦士になったはずなのに、クビラは信念を掲げて闘っていると言った。疑問に思いアキラは訊ねたが、クビラは拒否して戦いの続きをしようと言った時だ。

 『い、いった!』

 アンテラが悲鳴を上げた。彼女の近くには中身が空になった注射器があった。

 『ば、バカな!な、何でそれを使ったんだ!』

 『だ、だって、あんたすっごいピンチじゃない!それに・・・このままじゃ、どっちみちあたしも殺される』

 アキラとの戦いを忘れたかのように、慌ててアンテラに叫ぶクビラ。

 「どうしたのだ?あれほど取り乱して」

 「何を使ったかは知らないけど・・・危険なものという事だけはわかるわね」

 「戦いを忘れているみたいに叫んだ」

 久遠達三人が話すと、アンテラが女の子から女性の姿になった。

 「え、えええ!何か、すっごい美人さんになったよ!あの子」

 「成長させる薬か何かでしょうか?・・・あれ?何か、庵樹さんに似てません?」

 ひよがビックリする中、葵の言葉に全員が庵樹とアンテラを見比べた。

 「確かに似てますね・・・でも、何で?」

 『その薬は力が増すと同時に、本人を元の姿に戻す薬なんだぞ!今のあなたがそれを使えば死んでしまうかもしれないというのに!』

 『え?な、何言ってるのよ。あんた』

 湖衣のセリフを遮って、半狂乱状態で叫ぶクビラ。その言葉に訳が分からないアンテラがいきなり血を吐いた。アキラ達も嫁達も驚く中、

 

 『あ、あ、杏樹~~~~!!!』

 

 クビラの全力の悲鳴とも言える叫び声が響いた。同じ「あんじゅ」という呼び名に一瞬返事を返そうとした庵樹。だが、次のアンテラの言葉が口・・・いや、全員の意識が止まった。血を吐き終えて少し落ち着いたアンテラがクビラを見て出した言葉。

 

 『・・・と、父様?』

 

 それは、父と呼ぶ言葉だった。

 




 
 アキラもクビラも諦めない信念を持って闘う漢。アキラは狂を倒す信念、クビラの信念は最後の部分を見れば何となくわかると思います。

 次でクビラ戦終わりです。それが書き終わったらちょっと休憩でありえない番外編でも書くか・・・アキラが子供の姿になったら嫁達はどれだけ醜い欲望を見せるか、もしくは女好きな性格になったらどれだけ態度が変わるか・・・自分も見てみたいな。

 では、お楽しみに!


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百振り目 アキラ・・・親の信念、願う思い

 
 どうも!ついに本筋が百話突破!しました!三MENです。

 この百話突破記念で前回のラストで書いた子供のアキラか、女好きになったアキラか、どっちかの話を考えた結果・・・女好きのアキラの話を書くことにしました!思いっきりキャラ崩壊全開の話になりそうですので、その話を読むときはアキラを見て読むのではなく・・・どこかの煩悩を霊力に変えるオープンスケベすぎる霊能力者を見るつもりで読んでください!それくらいのぶっ壊れとエロを書こうと思います。というか、エロをあまり書いてないので反動がどれくらい出るか・・・それが問題だな。

 さて・・・クビラ戦終わりです。


 

 アンテラの言葉に全員の動きが止まった。

 「え?父様?ええ?」

 「あの漢が、あの子の、父親?」

 「で、でも、若いよ!あの若さであの女性の親って、おかしくない?」

 慌てながら口を開いた和奏・雛・犬子の言葉で、意識を取り戻した皆。

 「さ、三人の言う通りだ。どういうことだ?」

 「確かに、いくら何でもおかしい」

 「そうですよね。あの容姿で親子は無理があります」

 「あ、あの人、ほたるさんが、何か分かったみたいです」

 三人の言葉に壬月・春日・秋子も同意だったが、麦穂の言葉で静かになった。

 

 『もしかして、二人とも壬生一族じゃない?』

 

 ほたるの説明だと、子供では分からなかったが大人のアンテラを見れば壬生一族特有の顔立ちに雰囲気を持っているとのことで、それを聞いた嫁達も庵樹達から壬生一族の事は既に聞いていた。しかも、かなり似ている庵樹とアンテラを見れば納得もできた。アンテラも自分が壬生一族である記憶を取り戻していく中、クビラもさすがに隠せないところまで来てしまったので説明をした。

 

 『私とアンテラ・・・いや杏樹は壬生一族だ。かつては親子二人で幸せに暮らしていた。身分も高く不自由ない幸せな日々を送っていた・・・だが、それが壊れた。杏樹、お前が壬生一族にだけかかると言われる死の病。それにかかってしまったんだ』

 

 その話の中で久遠に美空と光璃、そして他の嫁達もまた聞き覚えのある言葉を聞いた。そう、死の病だ。

 「確か、アキラがかかったという」

 「でも、あの時は治せる薬があったから治せたわ」

 「この時ってその薬がなかったの?」

 最後の光璃の言葉を証明するように、その病の情報が全くなく、治す方法も全くなかったが、絶対に杏樹を死なせたくないクビラは神とすら言われていた太四老の一人であるひしぎを頼った。

 「ああ、なかった。絶対に死ぬと言われたから死の病と呼ばれていたんだ」

 「今はもう大丈夫だけど、あの頃は絶対に治せない病だったと言われている」

 「私も壬生一族がそのような病を抱えていたなんてアキラ様がいなくなってから初めて聞きました。村正様も多分私を心配させないためにそのことを話さなかった。だから・・・アキラ様がそれにかかってしまったのですが」

 庵樹と時人が説明する中、朱雀だけは暗い顔をした。

 

 『ひしぎ様から二つの条件を控えに杏樹を助けてもらった。一つ目は術の秘匿を守るために杏樹の記憶を消し、壬生一族のために働かせること。そしてもう一つ、かつていた共や仲間の関係を全て絶ち、私が人を食らう戦士・・・バーサーカーになる事。この二つを守ることで杏樹からアンテラにしてもらい、命を救ってもらった』

 

 続く夢の話を聞いて、徐々に涙を出す者が出てきた。

 「う、ううう~。す、凄いよ」

 「うん、うん。あの人、それをしてまで守りたかったんだね」

 「命をかけてでも娘を、アンテラさんを」

 「親の強い愛が、その戦士の欲望を抑えていたのですね」

 「このお方のその気持ち、もう涙が止まりませんわ~~!」

 「うわ~~ん!あのお父さんってこんなに苦しい思いをしていたなんて~!」

 「すごいです!本当にあの子の父様は凄い人です!」

 アキラ隊の六人はもう号泣状態だった。綾那と鞠は越後で幸せそうな姿を見ていただけに体を震わせていた。

 『そ、そんな・・・わ、私、そんなことを知らないで』

 自分の事情を知り、杏樹もまた泣いていた。

 『いいのだよ。私は記憶がなかったことはよかったと思っている・・・こんなに醜い姿になり、血を求める姿を見られたくなかった。覚えてほしくなかった』

 クビラの言葉に感動して、織田・長尾・武田等からどんどん涙を出す人が増えていった。 

 

 『私は、杏樹が生きている・・・動いている。それだけでいいんだ。それだけが、私の幸せなのだから』

 

 その言葉が出た途端、膝をつき、両手で顔を覆い、誰よりもボロボロに泣いている一人がいた。

 「わ、わかり、ます。その、気持ち・・・う、うう。痛い、ほど」

 「・・・母上」

 秋子だった。同じ親であり、同じ子を愛する者として、クビラの言葉が心を貫いた。

 「わかるわ・・・私だって、国主じゃなかったら」

 「美空お姉さま」

 「美空様」

 同じ立場の美空も背を向けて、目の部分を手で覆った。

 『アキラがあの時に言った個人的理由って、これだったのね。娘を命がけで、全てをかけて守るあの男の姿を目の前で見たから』

 二つの雫が流れていた。二人の娘はそれを見て、言葉が出なくなった。

 『だから、死なせたくない。その為にも、ひしぎ様にまた術をかけてもらわないといけない・・・アキラ。続けましょう、私は、負けられない!』

 杏樹に笑顔を出していたが、すぐに刀を残った左手で掴みアキラの前に出た。

 「え!ちょ、ちょっと!そ、そんな体で!」

 「う、うううう、も、もう、イヤです・・・苦しいです」

 「もう、いいじゃない!やめようよ!」

 「そうだよ!そんなになりながらもまだ戦おうなんて!」

 ふらふらになってもアキラと戦おうとするクビラの姿を見て、側室の四人は秋子と同じくらい泣きながら、戦ってほしくない気持ちでいっぱいだった。

 

 『私は!杏樹の為にも勝たないといけない!』

 

 その思いが届かず、アキラとの戦いが再開された。

 「涙、止まらないっすよ~~!ううわ~~ん!」

 「うん。松葉も、出る」

 「本当だぜ。勝手に、涙、出るんだぜ」

 「もう、もう。終わらせて!」

 「びえええええ~~~ん!」

 柘榴達もクビラの必死の姿に泣き続けた。

 

 『だから!私は!何が、何が何でも・・・勝つ!』

 

 アキラを少しずつ押すクビラ。

 「何というか、とても強い人だね」

 「う、そ、そう、だね・・・う」

 「ひしぎという男のやり方は共感は出来るが・・・これは心が痛いのう」

 「わ、私はそれほど、でも、あ、ありま・・・せん、わ」

 一二三と白百合は泣いてないが、湖衣は涙を止められないくらい泣いていた。悠季も目が潤んでいた。秋子や美空を見て、葵があの杏樹の立場だったら・・・という考えが浮かび他人事と思えなかったのだろう。

 

 『私が、勝たないといけない!杏樹を・・・あの子を!守れるのは!救えるのは!私ただ一人だけなんだ!』

 

 必死の顔になってアキラに迫るクビラ。

 「さっきの歳世と同じくらい守る思いが強い男だな・・・うう」

 「あれがあの人の信念。ぐす」

 「はい。皆さんがああなるのもわかります(ゴシゴシ)」

 久遠・光璃・葵もまた流していた。既にほぼ全員がクビラの信念に感動していた。だが、アキラの夢氷月天がクビラを襲う。その場で倒れたクビラに駆け寄る杏樹。しかし、その行動すら彼女にダメージを与えるのか血を更に吐いた。

 『お願い!殺さないで・・・父様を殺さないで』

 『・・・これ以上、私を苛立たせないでください!』

 それでも必死の懇願にアキラは激怒した。

 『人の為、他人の為、その者の為に危険も顧みず守ろうとするのですか・・・叶うわない望みを言うのですか。そんな滑稽なことを口にするのですか!』

 その時のアキラの頭の中には歳世の最後の笑顔が浮かんでいた。

 

 『私は情に流される男ではない!私が欲しいのは絶対の勝利!それだけ!その為ならそんな涙を誘うような劇を見せられてもどうとも思わない!なぜなら、私が進むべき漢の背中はその先にあるのだから!』

 

 刀を構えた。最後の攻撃に入るための構えだ。

 「主様・・・どうするつもりじゃ」

 「過去でなかったら・・・入り込んでましたな」

 そういう一葉と幽。だが、既に

 「や、やめてください!お願いです!」

 「お頭!やめてよ!」

 「間違ってないけど・・・やめてほしいよ!」

 秋子やひよや市達は見えない壁を叩きながら悲鳴が響いた。

 『夢氷月天!』

 だが、最後の攻撃をした。思わず「「「「「ひ!」」」」」と叫ぶ皆。怒りに燃えた紅虎が駆け寄って胸ぐらをつかんだ。

 「・・・え?い、いき、生きて、る?」

 だが、貞子の言葉に全員がクビラと杏樹のいる場所に目をやった。

 「ほ、本当ですね」

 「え?あの技を受けたんじゃ」

 「でも、よかった・・・本当に、よかった」

 心からよかったと思った秋子はへたり込んだ。

 「でも、何故?あれほど、宣言していたのに」

 春日の言葉に答えたかのように紅虎に答えたアキラ。

 

 『私が欲しいのは絶対の勝利のみ。それを証明する戦利品が手に入れれば私の勝ちは証明されますので、もう戦いは終わりです』

 

 そのアキラの手には杏樹のリボンが握られていた。そのリボンを握りしめながら語りだした。そう・・・あのサムライの事を。

 『私はあるサムライと戦ったことがあります。あの人は・・・命が尽きるまで戦う事で命の証を見つけようと必死でした。その人の最後は、とても美しい笑顔でした』

 「歳世の事だな」

 「そ、そうね。確かに、美しかった、わ」

 久遠の言葉に美空が答えた。何とか涙は収まったようで、今は顔を見せていた。

 『まだ生きているなら、その命の限り生き抜くことが・・・あなた方の命の証ではないか?と私は思ったのです』

 「はい、ご主人様。生き抜きます・・・ずっと、ずっと」

 「小波」

 歳世にかつての自分を見た小波は、呟くように言った。そんな彼女を見守る歌夜。

 

 『私が二人を生かしたのは・・・滑稽なほど美しいものだから。そういうものはなくすのはおしい。そのままあってもいいのではないか、と思っただけです』

 

 そういいながら、二人に背を向けて歩いた。その姿を見て、

 「少しだけ、今のアキラに見える」

 「じゃな。あの冷酷な部分が少し和らいだな」

 「あっちのアキラも嫌いじゃなかったけど、こっちのアキラの方が好きだな!」

 「はい!雀も好きです!」

 「・・・」「お姉ちゃんも?うん!照れることないと思います!」

 各務の呟きに、森親子や他の皆も頷いた。そのアキラの優しさに杏樹が礼を言い、昔は怖かったけど今は怖くない。そう言われ思わず言葉を止めたアキラ。それを見て、ニヤニヤしながら余計なツッコミをした紅虎を氷漬けにして気分を晴らした・・・が

 

 『ごふ!げほげほ!』

 

 まだ杏樹の事が解決していなかった。死の病が元の姿に戻って進行中だ。親子愛を見て感動していた皆の顔色が蒼くなった。

 『灯ちゃんがいれば、何とかなるんじゃない?』

 「あ!そうだ。あの凄い能力があれば!」

 「うん!救えるよ!」

 「しかし、別々に行動しておったよな?」

 「でしたら、一度あの扉まで戻って二の扉に入るしかないですな」

 ほたるの言葉に彼女達の顔も明るくなった。だが、灯が苦手なアキラは

 『ちょ!何であいつの力を借りないといけないですか!あの漢にキスをしてそれをコレクションにするようなとんでもない変態の力を借りるですって!しかも、狂の嫁になることが夢なんて性別をこれっぽっちも考えない救いようのないド変態の力を『あらあら~それってだ~れのことかしら~(o^―^o)ニコ』・・・は?』

 真っ青になって反対したが、思わず出た本音をいつの間にか後ろにいた誰かさんに聞かれていた。

 『ねえねえ~もっと聞かせて頂戴。あなたの言う誰かさんのは、な、し♪私、すっご~~く興味があるの』

 『な!な、何で!』

 『い、い、わ、よ、ね♪』

 その後、アキラを見たものは誰もいなかった・・・。

 

 

 いや、ここで終わるわけない!というボケツッコミもここまでにして、そのアキラはどうなったかと言うと、

 『どうして、こんなところからくるのです!しかも、サンテラまでいるし!』

 クビラとの戦い以上にボロボロになって包帯を巻いていた。向こうは行き止まりまで行って、目の前の壁をサンテラの能力で穴をあけたらここに出たとのことだ。アキラのとこはともかく、治療を開始した灯。眩しい光が出て、それが収まると杏樹からアンテラの姿に戻った。それを見て夢の皆も見ている彼女達も喜んだ。

 「良かった!これで安心だね!」

 「うん!よかったよ!」

 「うむ、何とかなったな・・・アキラがボロボロだが」

 「まあ、自業自得よね。あはははは」

 浅井夫妻が喜び、織田夫妻と他の皆が汗を流す中

 『よかった。これで、死の病も一先ず・・・よかった杏樹』

 クビラも嬉しそうにしていたが・・・

 

 『・・・ねえ、おじさん誰?』

 

 アンテラのこの言葉で表情がなくなった。

 「え?い、今、何て」

 「な、何で?何で!」

 「まさか、あの体に入っていたものの影響なのかな?」

 「クビラの事はおろか、自分の事も・・・今までの記憶すらないみたいだぞ」

 三若の言葉に続いた、壬月の言う通りだった。誰かと遊んでいた記憶はあるだけで、他は思い出せなかった・・・その誰かが本当は目の前にいるのだが。紅虎は記憶を少しでも戻せないか頼んだが、灯もさすがにそこまでは出来なかった。

 でも、クビラは満足そうな顔をしていた。

 『ありがとうございます、紅虎さん・・・そこまで私のために言ってくれて。でも、いいのですよ。どの道、私は助からないのですから』

 笑顔でそう言うと、クビラの体が少しずつ崩壊を始めた。

 「え。えええ!く、クビラさんの体が!」

 「ど、どうして!どうして崩れそうになっているの!」

 「いったいどうなっているんだ!」

 「こ、これじゃあ、サイさんの時と、同じ・・・です、の」

 ひよところの言葉に全員が驚き、名月は歳世の事を思い出てし涙を出した。ひしぎに杏樹を助ける条件をやる際に、自分の体に血の契約というものもつけられて、その契約を破ると消滅させられるとのことだ。

 

 『でも、いいのです・・・だって、私が、一番守りたいものを、守ることができたのですから・・・アキラ、あなたのおかげです。ありがとう』

 『・・・クビラ』

 

 「そんな、こ、こんなの・・・あんまりです」

 「や、やっと、娘が助かったのに」

 「辛いでやがる。目の前のあの子は自分の父親が死にそうになっているのに、それが分からないなんて」

 二人のやり取りを見て、ボロボロに泣いている双葉と薫と夕霧。クビラの前に立ったアンテラに笑顔で話し始めた。

 『お嬢ちゃん。いいかい、お嬢ちゃんはこれから先、辛いことが起こるかもしれない。でも、負けちゃだめだよ』

 『うん』

 『何よりお嬢ちゃんの事をとても大切にしていた人がいるんだ・・・その人の事も忘れちゃだめだよ』

 『うん』

 とりあえず話を聞いて頷くアンテラ。だが、クビラにとっては遺言だ。自分の最後の思いを娘に伝える姿を見て、再び皆が涙を流した。

 『そして、絶対に、倖せになるんだ。誰よりも・・・どんな人よりも』

 そして、クビラの体が完全に崩れていき、

 

 『倖せに・・・おなり』

 

 ついにその姿がなくなってしまった。唯一残ったのは帽子だけだった。

 「う、ううう、うわああああ!!!」

 声をあげて、さっきよりも多く泣いた秋子。愛菜と空が傍に付き添ってあげた。そしてこれが引き金でもあった。

 『こ、こ、こんな、こんな終わり方、あるかい!こ、これじゃあ!クビラが、クビラが!悲しすぎるやんか!』

 全身を震わせて怒りに燃えながらも、悲しみに耐える紅虎。

 「本当ですよ!これじゃあ、あの人が!あの人が!」

 「うううう!悲しすぎです!かわいそうすぎです!」

 「さっきよりも涙が出るの!と、止まらないの!」 

 「悔しいわよ・・・同じ親でこんな終わり方!」

 生きていることを知っている二人も、もう一人の親もまた隠すことなく涙を出した。さっき泣かなかった一二三も涙を出した。秋子の号泣が皆の涙を誘い、白百合以外の全員が頬を濡らした。

 『ねえ、どうして、あのおじさん。いなくなっちゃったの?』

 「しかも・・・娘は、分かってないなんて」

 「報われない!悲しすぎる!」

 「う、ううう。辛すぎる終わり方ですよ!」

 きょろきょろするアンテラを見て、当主達も涙を止められなかった。

 

 『どうしてかな・・・どこも痛くないのに、ケガしてないのに・・・何で涙が出るんだろう。う、ううう、どうしてなの。ひっく、ひく』

 

 泣きだしたアンテラを見て、更にさっき以上の涙を出す皆。

 「ここまで悲しい思いは・・・初めてだ」

 「はい、その通り、です、うう」

 「拙も、これほど泣くとは思わなかった」

 「親の命以上のものをかけた戦いも見事だったが・・・最後のあの言葉が、このわしすらこれを流させるとは」

 「・・・・・・母」

 桐琴もまた一人の親。育て方も娘への思いもクビラや秋子・美空とは違うが、それなりに感じるところがあったのか頬を濡らしていた。小夜叉はそんな母を見て見ぬふりをした。母の弱いところを見ないようにしてあげることが小夜叉の娘としての思いだ。

 「夫殿が、近寄っていくね・・・ぐす」

 「うん、何を言うんだろう・・・うう」

 『お嬢さん・・・いいのですよ。あなたは気にすることはないです』

 一二三と湖衣が泣く中、近寄ったアキラがアンテラに言った。

 『(そう、アンテラは覚える必要はない。だから、私が覚えていよう)』

 この時だけは、アキラの思ったことが彼女らに聞こえた。

 『(ここには確かにいた。刃を持って、信念を持って、思いを持って、それを語り合ったサムライがいた。そのサムライはかつてのあのサムライのように強い信念を持っていた。大きな思いを持っていた)』

 クビラのかぶっていた帽子を拾った。

 

 『(娘を倖せに・・・その強く大きな信念を持った烈火のサムライがいた事を、私は絶対に忘れない)でも、今あなたが流しているその涙、その事だけは忘れないであげてください。その、思いが込められたその涙だけは』

 

 そして、帽子をアンテラに渡した。彼女は泣きながら大切にかぶった。

 『(クビラ・・・私もありがとう。あなたのおかげで強くなることができました。だからこそ、私も言います・・・本当にありがとう)』

 帽子をかぶるアンテラの姿を見て、感謝の思いを持ちながらクビラの冥福を祈った。

 




 
 自分、涙もろくこの話を書くとき何回か泣きました。クビラの身を消してもなおアンテラが倖せになることを願うその姿が衝撃すぎて・・・。

 百話突破記念を書き終えたら・・・ついにアキラと時人の大きな転換の話が始まります。そして・・・嫁達はどう思うか。時人もどう思いながら、過去の自分を見るか・・・お楽しみに。


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百一振り目 アキラ・・・時人、ついに邂逅

 
 ついに百一話目!・・・三MENです。

 さて、今回はついにあの宣言にあの人がどう反応するかです!
 


 

 クビラ戦も終わり、サンテラ・アンテラとは別れて、そのまま先に進んだが二の門同様行き止まりだった。

 『全く、とんだ無駄足やわ!』

 『そうなると三の門のサスケ君か阿国さん。四の門の狂か梵天丸さんのどっちかが正解の道と言う事になりますね』

 紅虎の文句にゆやがそう答えたら、

 『サスケ君達が正解ですね』

 『そうだね』

 『うん、それで決まりね』

 即座にアキラ・ほたる・灯が決めつけた。そしてゆやが『何故?』と聞くと、

 

 『バカ梵の勝ち誇った顔がむかつくからです!』

 『(こくこく)うんうん!』

 『あの野郎だけがゴールにまっすぐ行くのは絶対に許せない!』

 

 三人とも負けず嫌いの顔になった。それを見て嫁達は笑った。

 「ははは、負けず嫌いか」

 「まあ、気持ちはわかるわ。私も光璃に負けるなんて我慢できないもの」

 「それはこっちのセリフ」

 「「バチバチバチバチ<(`^´)>」」

 「私は久遠姉様だったら負けても問題ないです」

 「私は・・・アキラ様を巡ってだったら負けたくないですね」

 美空と光璃が火花を散らせて、真琴と葵が自分だったら、を話した時だった。

 『ぎゃは!』

 サスケの悪口を言った紅虎に、当人が見事と言ってもいいほどばっちりの位置で落ちてきた。三の門は上に昇っていき、出てきた敵を撃退した後この穴があって飛び込んだらここに、という事だった。もう一人の阿国は別の通路を探して、壬生一族の情報収集をすることになった。三の門も行き止まりだったという事だ。

 

 『許さん。あのバカ梵にこんな幸運が来るなんて!(バカ梵に天罰を!というハチマキをまいているアキラ)』

 『許せない(全身が燃えているほたる)』

 『筋肉ダルマが!いい目見やがって!(筋肉ダルマに制裁を!のハチマキをまいている灯)』

 

 三人の怒りが梵天丸へ最高潮に達しようとしていた。苦笑いする嫁達と大笑いする白百合や一二三に桐琴。そして、アキラがある人物に声をかけた。

 『紅虎さん、あの百倍返しを今やらせてもらいます』

 『ちょ、ちょっと待ちいや!まさか、怒りの矛先をワイに向ける気か!』

 『俺もしたい』

 『ちょうどいいね。紅虎つきあいな』

 『な!ほたるはんに灯はんまで!』

 『誤解しないでください。これはあくまで気合入れみたいなものです』

 『そうそう、だからうけて』

 『今回だけはただで治療してあげるよ♪』

 『じょ、冗談やないで!納得で『『『覚悟!』』』ぎゃあああああ!』

 紅虎の悲鳴が響く。百倍・・・いや三百倍返しを食らって九死一生状態の紅虎を見て汗を流す皆。

 「「「「「「あ、あははははははは・・・」」」」」」

 こちらの方で乾いた笑いが響いた。

 

 歩きながら文句を言いまくっている紅虎をちゃんと治療して集まった皆は四の門に入り、壬生一族の本拠地である陰陽殿の前の広場でやっと二人と合流した。

 『幸村!』

 『お!サスケ。久しぶりだね!』

 そこには真田幸村と数人の部下がいた。

 『狂さん。戦ってくれるかい?』

 『ふ、いいだろう。体を動かしたかったからな』

 二人が戦った。幸村も相当実力を持っていたが、やはり狂が勝った。

 『あ~ら。私なら治せるわよ~~。治してあげましょうか~~』

 幸村と部下の傷を治すのに灯が名乗り出た。治す条件が『接吻して』だった。

 「あいつ、男同士で接吻をするのか?」

 「女と思わせて、やった後に漢と教えて絶望する姿を見たいんじゃ」

 「白百合と同じくらい怖い考えを持つな」

 「かかか!褒めるな褒めるな!」

 「・・・そうですね、あなたなら誉め言葉ですね」

 壬月達年上組の言葉に、白百合の満足そうに笑い秋子が突っ込んだ。灯の条件通り、接吻をしたが・・・その相手が幸村ではなく、幸村に変装していた女だった。確かに「キスをして」とは言ったが、「幸村が私にキスをして」とは言ってない。だから、ちゃんと幸村は条件を満たしたことになる。

 「うまい!上手にかえしたね!」

 「・・・一二三ちゃんと同じくらいにずる賢いね」

 「全く持ってその通りですね」

 「ははは、褒めないでくれ」

 一二三の褒めに湖衣と悠季が突っ込んだが、白百合と同じ返しが来た。世界が違えど一二三と幸村は同じ真田の血を引く者。湖衣のツッコミは結構的を射ていた。とても悔しそうな顔をしながら幸村と部下を治した後、灯の失態に笑顔で近寄る四人。

 

 『いや~~、灯。残念だったな~~ははは!お前の趣味であるいい漢キスコレクションを増やせなくて』

 『全くです。しかも、幸村さんだけじゃなく部下の皆さんも治す羽目になるなんて。大盤振る舞いしてしまいましたね~~ふふふ、大きな痛手ですね』

 『あんさんの真っ黒で汚れに汚れまくった企みも、幸村はんの純粋な思いにはきかんかったということやな~~』

 『や~い、や~い、失敗してやんの~。勘違いしてやんの~』

 

 灯にさんざん痛い目にあった四聖天三人と紅虎は、ここぞとばかりに言いまくっていた。そんなことをすれば、

 『まだ何か、言うことあるかい・・・あんたら(ゴゴゴゴゴゴ)』

 四人ともボコボコにされるのは当然であり、あっという間に地に伏せた。

 「じ、自業自得、第二弾ね」

 「そうだね。でも、面白いね~お兄ちゃんも皆も!」

 結菜はボコボコにされた四人を見て汗を流したが、市は笑っていた。

 

 

 ここでまた休息をとったアキラ達。食事も始まり、嫁達も肩の力を下ろした。

 「さて、三分の二が終わったな」

 「そうだね。アキラ君、あの冷酷なころに比べて結構変わったね」

 「うん!でも、まだ今のアキラ様じゃないね」

 「それより、柘榴はここまで出てきた奴らがすごいと思うっす!」

 「それは言える。相当の実力者ばかり」

 「うちらだったら、誰相手だったら勝てるんだぜ?」

 「う~ん。綾那さんや小夜叉さんくらいなら太白さんにも勝てると言っていたけど、私達だったらせいぜいアキラさんがいた十二神将どまりじゃないかな?」

 「悔しいが、その通りらと思うのら」

 自分達の戦力を評価し合っている若者組。

 「あ、アキラ様!服を半分脱いでいる!」

 「久しぶりに見た・・・アキラ様の体」

 「思い出します。あの素敵すぎる体に抱かれたことを」

 「そうですわ。傷だらけで、強さを感じるあの体。ああ、ハニーに今すぐにでもまた抱かれたい」

 「い、言わないで下さい!考えないようにしていたのに・・・」

 「無理じゃ!あの体を見たら・・・止められん!」

 「今回だけは、頷けます」

 「そうですな。某もあれを見て嫁になりたいと心から思いました」

 「綾那も段々分かってきたです!お嫁さんってとても心地いいことに!」

 「ダメ。各務さんみたいに、欲情しちゃう・・・うあ」

 「はい。私も貞子さんのように。だ、ダメダメ・・・で、でも」

 アキラ隊と双葉は、自分で手当てをしているアキラのさらけ出した傷だらけの体を見て。抱かれた時のことを思い出して自慰を始めた。他のメンツもアキラの体にくぎ付けになり、何人かは欲情しかけた。

 

 夢の方では食事も終わり一段落していると、

 『ねえねえ、ゆやさん。ずっと狂さんと一緒だけど、もしかしてもう抱かれたの?』

 『は、はあああ!な、何を言うんですか!』

 『『『そんなこと、あるわけないでしょう(やろ)!』』』

 そんな雑談が聞こえていた。その否定で大声を出したのが紅虎に灯に、アキラだ。その反応を見て、やはりと全員が思った。

 「アキラ様・・・やはりあの女の事。憎い、妬ましい、羨ましい(ギリギリ)」

 「貞子、大丈夫。あの人と結ばれている」

 「そうじゃぞ。アキラはわしらのものじゃろ?」

 「そうそう、嫉妬なんて見苦しいぜ!」

 「・・・そうですね(ホッ)」

 ヤンデレの闇を出しそうになった貞子だが、森一家で抑えてくれた。

 

 『いい加減、そろそろ行かないといけませんね』

 欲情した皆の自慰が終わり、夢では皆の腹も満たされケガも治った。真田の面々も別ルートで壬生を調べてみるという事で離ればなれになった。だが、サスケは幸村とではなくアキラ達と一緒に行動することになり、アキラが先の扉に立ったその時だ。

 

 『『『『『!!!』』』』』

 

 その扉が開かれ、すごいプレッシャーを感じた皆。

 「・・・みんなのあの顔から察するに」

 「相当手ごわい敵が出てきますね」

 「今までも十分に手ごわかったのだが、それ以上か」

 「アキラさんは、本当にとんでもない修羅場を潜り抜けたのですね」

 年上組がそう言っている間に太四老の吹雪にひしぎに遊庵・・・そして、時人の姿が現れた。

 『・・・あの頃の私か。本当に今とは大違いだな』

 かつての自分と今の自分を見て、本当に変わったと実感した時人。それと同時に不安が一気に多くなった。どんな目で見られるか心配なのだ。

 「ふむ、まだまだ強い敵と戦うのか。ワクワクするね!」

 「不謹慎ですけど、一二三ちゃんの言う通りだね」

 「それにしても・・・今とこの頃のアキラはやはり強さが違うな。どうやって今の強さを手に入れたのじゃろうな?」

 白百合の言葉に全員が頷いた。夢の方では太四老の四人が壬生の兵が里を出て日の本を侵略する話をしていた。それに反応したのが・・・

 

 『ふざけるんやないで!そないなことを絶対にさせてたまるか!太白はんともみんなで仲良く幸せに暮らせる世を作ると約束したんや!ええか!天下を納めている松平元康こと徳川家康の息子のこの徳川秀忠がそないなことを絶対に阻止してやるで!』

 

 紅虎だった。堂々とそう宣言した・・・が、すぐにゆやに隠し続けていた本名をばらしてしまったことに気が付いた。思いっきりまずい顔になっている。

 『(やはりそうでしたか。朱雀からは真尋さんが徳川お抱えの忍びで、その彼女が紅虎に従っているので、徳川の血筋かもしれないという話は聞いてましたからね。自分からゆやさんに正体をばらすとは・・・ふふふ)』

 その時のアキラは朱雀から聞いた情報を思い出し、自分からばらしてくれたことに笑顔になった。そして、この宣言に反応したのが

 「あ、あああああ、葵様!き、きききき、聞きましたか!あ、あの漢、確かに松平元康と名乗りました!息子とも名乗りました!つ、つつつつ、つまり!」

 葵を天下人にしたがっている悠季だった。大興奮して葵の肩をゆすっていた。何しろ次期将軍と聞いた男からその言葉を聞けば無理もない。

 「ほう、向こうの世界の将軍は葵だったのか」

 「私達がどうなっているのか、少し気になるけど」

 「気にすることはない。私達は私達」

 「・・・悠季さん。すごい興奮してますね」

 「す、すごいです!殿さんが日本で一番偉い人になっていたのです!」

 「向こうの世界の話だけど、おめでとうございます!」

 「葵様!よかったですね!」

 紅虎が向こうの世界の葵の息子だという事がわかった。当主達は葵の肩を全力でゆすっている悠季を見て、家臣の綾那達は向こうの世界の話とは言えめでたいことなのでおめでとうを言った。

 「落ち着きなさい!そんなに興奮しないの!」

 「で、ででで、ですが!アキラ殿の世界では向こうの葵様が天下を!なら、こ、こちらの世界も葵様が天下を取らないと!」

 「落ち着きなさいと言っているでしょう!」

 名を変えているが天下人になっている事実が、悠季を焦らせまくっている。彼女を落ち着かせるために葵が口を開いたと同時に、夢でもゆやが口を開いた。

 『ねえ、トラ?』

 「全く・・・いいこと、悠季」

 二人の話すタイミングが一緒になった。トラはびくびくしながら、悠季はワクワクしながら言葉を待った。

 

 『・・・妄想癖でもあるの?』

 「妄想を信じてはいけませんよ」

 

 ゆやと葵。二人から出た言葉はどっちも紅虎妄想癖説だった。その言葉にトラはずっこけ、他のメンバーはゆやに対して『鈍すぎ!』と思い、アキラは『その考えはありませんでした』と残念がっていた。こっちの方はというと

 「も、ももも、妄想って!葵様何を!」

 「いいですか。私とアキラ様の息子があのような妄想を言うはずありません」

 「「「「「「「だああ!?(ズコ)」」」」」」」

 葵なとんでもなく素っ頓狂な言葉に、全員がずっこけた。

 「ぷ、ぷぷっ!あっははははは!」

 「くくく、いや~、そう言うか!」

 「かかかか!いやはや、これは笑うしかないのう!」

 一二三と白百合と桐琴だけは、大笑いをしていた。

 「な、何を!言うのですか!というか、向こうの世界の話なのに、どうして葵様とアキラ様の子供の話に!」

 「例え向こうの私の息子でも、アキラ様との子です。そう・・・もっと立派で素晴らしい子のはず。『ダメじゃない。あんな妄想を言うなんて』『い、いや~~!せ、せやな!ワイまたやってもうた!』自分で認めたわ。あんな妄想を言う男が、私の子であるはずがないわ」

 「「「「「「な、何でよ!?(コケ)」」」」」」

 明らかにごまかそうとしている紅虎の姿は雀や愛菜ですら分かったのに、葵のその言葉にようやく立ち上がった全員が再度こけた。今度は大笑いした三人も予想外の言葉に皆と同じようにこけた。

 「あの、もしかして本当はすっごくビックリして、パニクってます?葵様!意識をしっかり持ってください!」

 「大丈夫よ悠季。私は、アキラ様にずっと愛され続けて、毎日肉欲の日々と夫婦の愛の時間を過ごせれば」

 「葵様~~~」

 顔には出してないが内心とんでもなくびっくりしていた葵の妄想していく言葉と最後の本音とも思える言葉に、悠季は涙を出しながら彼女の肩をゆすりまくった。アキラと自分の子供という話に正室や側室、アキラ隊の愛妾も本来なら黙っていないはずだが、葵のあの姿と悠季の焦りを見てツッコめなかった。

 『・・・あれ?・・・あそこに私がいることもしかして気づいてない?』

 紅虎の宣言とその後の二人の漫才に、夢の方で時人がいることに全然気づけていない皆だった。

 

 最後まで時人の存在に気づかないまま夢は進み、足場がいきなり無くなってアキラ達が落ちていった。それを確認して扉を閉めて居なくなった四人。

 『全く!またですか!』

 『壬生の里では誰かを落とす礼儀でもあるのか!ほたる!』

 『ないよ』

 『ああもう!文句を言いあっている場合じゃないだろう!』

 四聖天で叫びあっているうちにまた離ればなれになっていった。やっと足場についた時、アキラの傍にいたのは、

 『因縁でしょうか?』

 『ははは!アキラ諦めろ!』

 『ワイは別に問題ないで』

 梵天丸と紅虎だった。話しながら進んでいくと解放されている門があるのでどんどん進んでいくと、ついに目的地に到着した。

 『これが、紅の塔ですか・・・大きいですね』

 『ああ、天に届いているんじゃないか?と思えるな』

 『ここに紅の王はんがいるんやな』

 『そうですよ・・・でも、あなた方は行けないですよ』

 『『『・・・何?』』』

 周囲の警戒をやっていたのにいきなりもう一人加わった。

 『誰でしょうか?』

 『私はスペードと申します・・・梵天丸さんはどちらですか?』

 『ああ、それなら。あの人や』

 『なるほど。では』

 『・・・く!どうやら、歓迎するみたいだな!』

 いきなり梵天丸の傍に現れて驚いたが、気を取り直してスペードに突撃した。

 「クソガキ、綾那。気づけたか?」

 「気付けなかった」

 「綾那もです」

 「・・・ここからはとんでもない奴が相手。と言う事じゃな」

 「気持ちを切り替えて見た方がいいでしょう」

 「なの。鞠もそう思うの」

 武闘派+幽と鞠からの言葉に、それほどの相手が来ることとスペードの行動にゾクッとした皆。スペードの出した布に梵天丸が入ると何と消えてしまい、二人も突っ込んだが彼らも布にくるまれると違う場所に移動した。

 「す、すっご~~い!ねえねえ、お姉ちゃん!あのでっかいおじさんがいきなり消えちゃったよ!すごかったね~」

 「・・・」「え?集中しろ?・・・う、うん」

 雀の興奮に烏が釘を刺した。アキラと紅虎の周りにいきなり灯が出て、暗かった部屋が明るくなった。

 

 『ようこそ、ボクの居城・・・月影城に』 

 

 夢の時人が上段みたいなところに座っていた。そして、この時に本当の意味でアキラと時人の顔合わせとなった。

 




 
 どうでした?紅虎のあの宣言に反応した悠季とあの言葉を言った葵は?原作では松平元康とは言ってないので、徳川家康と言っても気づかないと思い敢えて言わせました!

 後、太四老とアキラ達の対面の時に時人が全員に占いをしたのですが、それは飛ばしました!何か、特に意味がないように思えたので・・・

 さあ、次は・・・アキラ苦悩の話になります。お楽しみに


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百二振り目 アキラ・・・苛立ち、悔しさ、焦り

 
 やはり、二度寝最高!三MENです。二度寝は本当に頭をすっきりさせてくれます。本当は以前書いたように三度寝もしたいですが、段々できなくなってきました。
 
 今回はギャグ少なめ、シリアス多めです。アキラの辛いことが続く話です。後、時人にとっても・・・あの人にとっても辛い話です。

 では、どうぞ!なお、夢の方の時人は夢時人と書きます!


 

 久遠は、美空は、光璃は・・・いや全員が呆然としていた。今、彼女達の前ではとんでもないことが起こっていた。そうなる前の夢では、夢時人と顔を合わせたアキラと紅虎の前に現れた梵天丸をアキラが無言で斬りつけた。その姿にえ!と皆は思ったが、幻で本人は別のところに隠されていた。そして、梵天丸が夢時人に戦いを挑んだ。ここまでが呆然となる前の出来事だった。

 

 夢時人と梵天丸の戦いが始まり、わずか数分で全員がああなった。その理由は、

 「・・・速すぎるわよ」

 「見えない」

 美空と光璃の言う通り、二人・・・梵天丸の動きも夢時人の動きも目で追う事が出来ない部分が多いからだ。

 「分からないぞ」

 「ええ。どうなっているの?」

 「梵天丸は何とか時々見えるが、もう一人の方の動きが・・・」

 壬月、麦穂、春日の三人ですら全くなのだ。他の一葉や幽に鞠も似たようなものであり、若者連中に至っては梵天丸すら余り見えない状態だ。見えていそうな桐琴と小夜叉に綾那の三人はと言うと、

 「あの漢、まずいな」

 「・・・あまり見えてないが、確かに」

 「やばいです!」

 この三人も他の皆よりは見えているが、やはり半分も見えていないようだ。

 「三人とも教えてくれ。どうなっているんだ?」

  久遠の申し出に真剣な顔で答えた。

 「まず、夢の中で時人がいるのかは、後で聞くとして」

 最初に言ったのはこれだ。一緒に見ている時人は夢時人とは感じも顔つきも体つきも違うが、気づいた者はかなりいた。

 「夢の時人が圧倒的におしているぞ」

 「です!あの巨大な人もとても速いですが」

 「夢の時人の方が全然余裕だ。むしろ、遊んでいる」

 小夜叉の言葉に、皆だけでなく白百合や一二三もえ?と驚いた。彼女達もまたすでに見れてないので、三人の言葉だけが頼りなのだ。

 「理性をふっ飛ばして本能で戦っているあの梵天丸をどんどん痛めつけている。しかも、痛めつける度に更に速さを増している」

 「・・・『れべるふぉお』と言ったあたりからは夢の時人、綾那達でも見えなくなったです」

 「綾那の言う通りだ。しかも、梵天丸の速さは全力らしいが・・・夢の時人はまだ半分じゃないのか?一瞬止まって見える顔にはまだまだいけるように見えた」

 それを聞いて、全員絶句した。三人がかろうじて見えた部分から推測して話してくれたが、完全に自分達では手の届かない戦いだ。梵天丸の速さすらあまり見えていないのに、その上を遊びでいっている夢時人。

 『はあ、はあ、はあ』

 そんな中、梵天丸の意識が戻った。動きも止まり、ようやく彼の状態を見ることができた。

 「・・・ひ、ひどい、あ、あんなに、傷だらけに」

 「嘘、まだそんなに経ってないのに。も、もう」

 「あ、あれだけの傷を受けたでやがるか!」

 「薫達は、どうなっているのすらわからなかったのに」

 「姿は大人と子供なのに強さは全く逆だね・・・勝てっこない」

 「まこっちゃんの言う通りだよ。意識が戻ったのも痛みが重なったからで、もし市達だったら激痛で動けなくなっているよ」

 側室達と夕霧の言葉は的確だ。特に市の言葉には、ほぼ全員の顔を青ざめさせた。特に武将達は、あっという間に倒される図が簡単に思い浮かんだくらいだ。そして、彼女らの視線は

 「・・・ああ、やったよ」

 「皆さん、気持ちはわかりますが」

 「とりあえずこの戦いが終わってからで。終わったらある程度は説明するから」

 時人に向かった。辛そうに言う彼女を、朱雀と庵樹はフォローしていた。

 『おや~。これで終わりかな~』

 血まみれになっている梵天丸と全く余裕の夢時人。結果がひよやころですらわかるくらいにひどい状態だ。その二人の間に入り込むアキラと紅虎。

 

 『梵はん、わいらはなどんなに相手が強くても、あんさんを見捨てるようなことは出来へんがな』

 『私は単に見てられなくなっただけです。それに、トラの言葉にも一理あります。死んで化けてでそうですからね』

 

 二人も自分達が入っても勝てないのは分かっているが、見捨てることはできないため三人で戦うと決めた。彼女達も勝てそうな戦いであれば応援するが、

 「む、無理だよ・・・」

 「で、でも、でも!」

 「勝てる策が、ない」

 「逃げる策も、ないです」

 「ど、どうするのですの、ハニー」

 「アキラ。無理しないでなの!」

 「ご主人様を、助けにいけない。それが悔しい!」

 「夢とわかっていても、アキラ様を助けたい!」

 「歌夜の言う通りじゃ!」

 「理解していても・・・苦しいですぞ!」

 「雀達は無理だね。でも、でも」

 「・・・」「悔しいのがわかる?うん、鉄砲もきかないよね」

 絶対に勝てない、それが分かってしまった。アキラ隊の嫁達はひよところが涙目になっており、詩乃と雫はどうしても策が思い浮かばない。ほかの皆も過去とわかっても絶望の状況に助けに入りたい気持ちでいっぱいだった。

 『おめえらは、全く・・・』

 フラフラの梵天丸が二人のところに歩いた。そして、紅虎の右肩をアキラの左肩を掴んだ。眼帯のあった右目も既に血まみれだ。

 『どうしようもねえ、馬鹿共が・・・』

 そして、笑顔を見せて

 

 『おめえら、あとは・・・頼ん、だぜ』

 

 二人を戦いで空いた壁穴に投げた。アキラも紅虎も驚きながら梵天丸を見た。

 『ぼ、梵!』

 『ちょ!ぼ、梵はん!』

 「な!まさかあの人!」

 「自分を犠牲に、逃がすつもり・・・だね」

 「そんな・・・ど、どうなるの!あの人!」

 「わ、分かりま、せんわ・・・どうなるのですの!」

 「ぶ、無事を願いたいですぞ。ど、どや」

 「あれだけの負傷を受けていては無事でいられるとは・・・しかし底知れない生命力もあるので・・・多分」

 一二三と湖衣の言葉に空達は涙目になって震えていた。貞子もこう言っているが、やはりそこから先は言えなかった。その時アキラはあることを思い出し、それは彼女らには聞こえていた。

 

 『(左肩の、この温もり・・・そうだ、俺がまだガキの時に狂の背中を必死に追いかけ続けていた時だ。遠ざかっていく狂の背中、追いつけない悔しい時に・・・無理と思いそうになった時にこの肩にぬくもりを感じた)』

 

 刀を抜いて壁に突き刺したが、どんどん落ちていく。だが、落ちる速度は減速していた。紅虎の方も槍を刺して、落ちる速度を落としていた。

 

 『(いつも、俺を・・・俺を、狂の背中に向けてくれた。ずっと、俺を後ろから見守ってくれた、一つ目の漢・・・そうだ!)』

 

 上を向いて叫んだ。子供のころからずっと支えてくれ、育ててくれ、見守ってくれた漢の名を。

 

 『梵天丸~~~!!!!』

 

 アキラと紅虎はたまたまあった水溜りに落ちて無事だった。だが・・・

 『・・・・・・』

 アキラは震えていた。悔しかった・・・梵天丸を助けられなかったことが。その男がわが身を犠牲にして自分を助けたことが。

 『あの野郎、あの野郎!くそ、くそ!余計な、事を・・・くっそ~~!!(バキ!)余計なことをしやがって!何が・・・何が後は頼むだ!』

 感情が高まって水溜りを凍らせていき、その氷の一部を殴って壊した。

 「すごい悔しがっているよ・・・アキラ」

 「きっと、お父さんみたいな存在だったんだね」

 「アキラ様もいたんだ。家族が」

 「気づけたのが遅かったっすけど」

 「だから、余計に悔しい」

 「旦那も、親父みたいな人がいたんだ」

 「そうだね、こなちゃん」

 若者勢が同情する目で見ていると、紅虎がもっと強くなって梵はんを助けに行くんや!と言うと、氷を全部壊した。少しだけ落ち着いたが、

 

 『くそ・・・くそ!・・・ちくしょう~~~!!!』

 

 やはり悔しい思いでいっぱいだった。

 「アキラ様。抱きしめて慰めたい」

 「ああ、妻としてな・・・」

 「でも、聞きたいことがあったわね」

 「うん。時人の事、聞かせて」

 葵の言葉に同意した三人だが、戦いは梵天丸の敗北と結果で終わった。アキラ達も移動を始めたばかりなので、話せる時間もある。

 「この先の展開の事もあるから、あまり多くは話さないよ」

 「構わん。進んでいけば分かることは見た方が理解できる」

 「ありがとうね。では」

 久遠の時人に気を使った言葉に感謝しながら、庵樹が説明した。この頃の時人の立場の事と父親となっていた村正の事を。

 

 話が終わると、時人への視線も若干和らいだ。壬生で聖人・村正の子として産まれたが、彼は壬生の里を出た裏切り者扱いされていた。村正への罵声や文句は全部時人に向けられていた為、時人は村正を憎んでいて吹雪は彼女を受け入れて太四老にさせたから、吹雪の存在は安心できる存在でもあった。吹雪の名前が出た時、心の表情が暗くなり粉雪は気付いたけどそのままにした。

 

 話しも終わると、夢の方で展開があった。

 『あ!ほたるはん・・・と、あれ。辰怜はん!』

 『あ、アキラと紅虎』

 時人の領域でうろついていると、ほたると辰怜に会った。

 「あやつは確か」

 「太白さんを狂さんが殺したと思い込んだ人ですね」

 「何でここにいるんだ?」

 「しかも、ほたるさんといるということは敵対する様子もないですし」

 年上組が疑問を言いながら見ると、お互いの状況を話し合っているアキラ達。辰怜の話では鎮明が太白を殺したのは吹雪だと話し本人が肯定したため、親友を殺された怒りで戦ったが負けて牢に入れられた。でも、抜け出すことができ、ほたると合流し太白の仇を取るため、こちら側に着いたという事だ。

 その際、アキラは梵天丸の事で、辰怜は太白の事でお互い言い争いになったがほたるが止めて先に進むことになったが、三人の時人の部下に襲われた。うまいこと回避して返り討ちにしたが

 「アキラ様の攻撃が効いてないです!」

 「ほたるってやつの火も効いてないぜ!」

 「時人の部下というくらいだから相当強いという事かのう」

 「・・・ダイヤにクローバーにハートか」

 「それがあやつらの名前か・・・にしても、四人いるのに傷一つつけられてないぞ」

 白百合の言う通り、四人で必死に戦っているが三人は余裕だった。人数は一人アキラ達の方が多いのに、強さは三人の方が上だ。三人が更に追いつめようとしたら、一つの白線を超えたことに危機感を持っていた。そのすぐ後だった・・・三人が針だらけになって意識を失ったのは。

 「な!ど、どうしたっていうんだい!」

 「い、いきなり針を体中に刺されて気を失いましたね」

 「ハリネズミ、みたいですね・・・ちょっと、気持ち悪いです」

 ひねくれ組が驚いていると、後ろから一人の男が現れた。

 「・・・また見ることができるなんてね」

 「そうですね。過去なら、この方もいますよね」

 庵樹と朱雀は懐かしい人を見る目で見た。特に、庵樹は少し涙目になっていた。その男はヤンキーような姿をしていて、紅虎がお礼を言おうとしたらアキラ達もまた針を体中に刺されて意識を失った。

 「な!あ、アキラ!」

 「ちょっと!だ、大丈夫なの!」

 「あんなに針が・・・」

 「で、でも、死んでいるようには見えないですが」

 当主達と嫁達が不安になる中

 「久しぶり、と言うべきなのかな。庵曽新(アンソニー)」

 ただ一人、彼の姉である庵樹は呟いた。アキラの意識が失ったので真っ暗になった。

 

 

 不安な嫁達だが、ちゃんと意識を取り戻して周りの風景も出たことでホッとした。

 「・・・何かおっ母を思い出すな~」

 「私は川並衆の棟梁をしていたころを思い出すよ」

 ひよところがその場所を見てそうつぶやいた。

 「この家をまた見れるとは思わなかったよ・・・ただいま、とは言えないけどさ」

 涙を流した庵樹。アキラが起きたところは、

 『あ。ここ、遊庵の家だ』

 ほたるが呟いた通り、太四老の一人遊庵の家だった。夢時人の城を見ただけあって、こんなに平和や安堵できそうな家があったことに驚きを隠せない皆。しかも太四老の一人が住んでいるのに、家族達が友好的であることにも驚いていた。だが、最も皆が驚いたのが、

 

 『私は次女の庵樹理華、よろしく』

 

 夢の方で庵樹が現れたことだ。当然、何度も見比べていた。

 「変わっていませんね」

 「まあね。そのせいでちょっと不満だけど」

 「私はアキラ様への想いで、これを大きくしました(ゆさ)」

 「うん、私もアキラへの想いと欲情で・・・(ドン)」

 「(ドゴ)言わないでくれるかい」

 不満の理由は朱雀が語り、各務がそれにのった。青筋を出した庵樹の一撃で二人ともその場で苦しんだ。それを見て、冷や汗を流す皆。

 「と、とりあえず、ここで庵樹さんはお頭と出会ったんだね」

 ひよが汗をかきながら言っている間に、庵曽新が部屋に入ってきて食事を始めた。ほたるは一時期世話になっていたため、全く遠慮しないで食べ始めアキラ達も続いた。

 

 食事後、庵曽新から潜在能力を解放でき、刀と対話をして数倍強くなれるツボがあり針で刺すと手に入れることができると聞き、ほたるはそれをしてもらうために彼と戦った。引き分けみたいな感じだったが、庵曽新はほたるを認めてツボを刺した。

 「なるほど!アキラさんはそのツボを刺したから強くなったんすね!」

 「むう、余も刺してもらいたいのう」

 「綾那もです!」

 「アキラ殿に勝つためなら・・・拙もやるべきか?」

 「だけど・・・ちょっと悩むね。あれを見ると」

 『ふにゃ~~(*´▽`*)』

 皆も刺してもらいたいと言うが、そのツボは何と尻にあり刺された紅虎は脱力しきった姿になっている。でも、今より強くなれるならと武将達はやりたいと言い出したが、待ったをかける者がいた。

 『それは無理だ』

 『お主達は既にやっている』

 そう、いつも唐突に出る二人の光だ。

 「やっている?どうしてそう言える?」

 壬月の質問に静かに答えた。

 『まず、そう言える理由はお家流を使えることだ』

 『あれを使うには、まず耐えられる体でないといけない』

 『使えなくても鬼を一人で倒せることも理由だ。おそらく、産まれてきてすぐにされただろう。その後で鍛錬すればお家流に耐えられる体が出来上がるという事だ』

 『武士の血筋とはいえ、人の何倍の力を持つ鬼を一人で倒すのは本来不可能だ。だが、そのツボを刺すことでそれも可能になる・・・あの者のようにな』

 その理由はお家流が使える体を手に入れていることと、使えなくても鬼を一人で倒せる力を持っていることだ。実際、そのツボを刺された辰怜が

 『死にぞこないは・・・貴様らだ!』

 死んでなかったハート・クローバー・ダイヤが強襲してきたが、攻撃を全てかわし、なおかつ一人で三人を葬った。

 「むう、残念じゃ。アキラに追いつけると思ったのに」

 「だよな~。まあ、いいか。追いかえがいのある背中だしな!」

 森親子が楽しそうに言っていると数倍強くなった辰怜を見て、アキラも刺してもらうよう頼んだ。今の強さはここで手に入れた。と皆が思った瞬間だった。

 

 『ダメだ、あんたはもう強くなれない。限界だ』

 

 その言葉にアキラも、皆も驚いた。その理由は、ツボを刺して能力を手に入れられるのは、戦うの体と血を持っている武士の血筋の者と、老いることのない不老長寿の壬生一族の血を持つ者だけだった。それらを持っていない商人の子供として生まれたアキラには刺しても効果がないらしく、ここまで強くなれたことが奇跡だと庵曽新は言った。それらを聞き全員が絶句した。

 「そ、そんな・・・アキラが、限界?」

 「いや、じゃあ、あいつ。どうやって・・・」

 「今の強さを、持ったの?」

 久遠・美空・光璃の疑問は全員そうだった。時人・庵樹・朱雀以外の皆は。

 「あ!アキラ様!」

 アキラは、その場を去っていった。詩乃が思わず叫んだが、その背中はとても悔しそうで、とても苛立っているように見えた。誰もいないところで壁を殴りつけた。

 

 『狂・・・まただよ。どうして、どうして、あんたの背中が見えないんだ!』

 

 苦しそうに、辛そうに、悲しそうに言うその言葉に心が痛くなった皆。

 「アキラ様。皆が強くなれたのに、自分は強くなれないと言われた」

 「ハニー、とても苦しい一言だったでしょうに・・・」

 「アキラ、諦めちゃいやなの!」

 「ご主人様が、限界?そんな・・・」

 「そうよ!アキラ様が、限界なんて」

 「ですが、あの者は体が限界とも言っておりました。そう言われると・・・確かに痛々しく見えます」

 「その事は本人が一番理解しているのじゃろうな・・・主様」

 幽と一葉の言葉を聞いた後に、アキラを見た皆はその通りに見えた。あれだけの傷を何十も受けてここまで来た姿を見ると、どうしてもそのように見えてしまう。

 

 

 皆がアキラを見続けていると、俯いていたアキラが急に顔を上げた。

 『この殺気はほたる。これだけの爆発的に上げているという事は』

 ほたるの殺気を感じ、大きな敵と戦おうとしていることが分かった。援護に行こうにも、自分では力になれない。しかも、先を行く狂どころかほかの皆から置いてけぼりになる、と思った。

 『・・・今より、もっと強くなりたい。でも、どうしたら』

 悔しそうにつぶやいた時だった。

 

 『強くなりたいか?』

 

 この言葉がいきなり聞こえてきた。同時に夢の光景が再び真っ暗になった。

 




 
 アキラ、限界にぶつかる。時人自分を振り返る。そして、庵樹久しぶりに家族を見るでした!。

 時人はかつての自分の行いがどれほどだったかふりかえり、なおかつその目で見ることになるので心が苦しくなり、庵樹は二度と会えない家族を見ることができた。お互い、耐えないといけない過去です。アキラ、いったいどうなったのか?ついにアキラにとって大きな戦いが始まります!お楽しみに!

 後、ちょっとだけオリジナル設定として武将の嫁達は既にあのツボを刺したという事にしました。実際、そう考えられるな~とも思いましたので。え?じゃあ森一家のあのヤンチャ達はどうかと?あれは・・・キチ〇イだからです!


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百三振り目 アキラ・・・決断

 
 どうも!暑さに負けてぐったりしていた三MENです!

 昨日はひどかったですね・・・三十度越えですし。家はクーラーもエアコンもないので扇風機だけが頼りでした。

 では、アキラのあの宣言です!


 

 「ど、どうなったんだ!」

 「また、暗くなったわよ!」

 「アキラ、無事なの?」

 夢がまた暗くなった。久遠達が焦る中、狭い部屋でアキラが倒れている姿が映し出された。

 「「「「「「アキラ!」」」」」」

 倒れている姿に思わず叫んだ皆。だが、起きなかった。

 「意識を失っているみたいだけのようだな」

 「ですが、どうして?さっきとは、場所も違いますし」

 「誰かに攫われたのか?」

 「だとしても、捕まっているようには見えません。拘束もされてないですし」

 「じゃな・・・刀が一本しかないぞ。どこかで落としたのか?」

 壬月達が言う中、白百合の指摘にやっと気づいて、その時にやっと起きた。

 『う・・・そうか、私はあれで』

 「お頭。良かった」

 「うんうん!無事だったよ!」

 「しかし、どうして意識を失っていたのでしょう?」

 「それは、進めばわかりますわ!」

 「今回は梅さんに同感です。私もそう思います」

 「うん!鞠もそう思うの!」

 「じゃが、問題はどこにいるかじゃな」

 「狭い空間みたいですが・・・」

 「雀だとこんな狭い部屋我慢できないです!」

 「・・・」「関係ないこと言うな?は、はいです!」

 「小波、どこだと思う?」

 「誰かの隠し部屋かと、周りは石壁だらけですし」

 アキラ隊の嫁達もホッとして安堵した。起き上がったアキラに、それぞれ心配させないで的な文句を言っていた。

 『・・・待ちますか(ギュ)』

 正座で座ったが、その両手は力強く握られていた。

 「どうしたのだろうね?あの握り方は普通じゃないよ」

 「まるで、決断をする前みたいです」

 「まだ、分からないからどうでもいいでしょう」

 悠季の言葉は乱暴だがその通りだ。数分ほどアキラも皆も待っていると、ギターを背負った一人の男が部屋に入ってきたが、一人だけじゃなかった。

 『アキラ!』

 『・・・きょ、狂』

 後ろには狂とサスケと灯がいた。そして、そのすぐ後だった。

 『お~い、親父。くたばってないか~』

 太四老の一人遊庵がほたると辰怜を連れてやってきた。どんどんメンバーが集まってきたことに皆は唖然とする。

 「親父、兄貴」

 目に涙をうかべながらその二人の姿を見ている庵樹の姿があった。彼女の涙に気づいたものは誰もいなかった。

 

 夢では話し合いが始まった。まず、この部屋の主は寿里庵というお気楽そうな男だが庵曽新や庵樹に遊庵の実の父親であり、次に遊庵だが彼の前は母親の伊庵と言う女性が太四老をやっていたが、ある秘密を知ってしまい太四老の誰かに殺されてしまった。このままでは一族全員抹殺されるかもしれないこともあり、遊庵が太四老になって忠誠を誓う事で免れた。また、母の仇と母が何を知ったのかを調べるためにも太四老になったとのことだ。

 「軽い性格していたが、結構重い過去もあったんだな。遊庵って」

 「私達とアキラ様の仲をからかう姿しか見たことがなかったからこうしたことがあったのは知らなかったです」

 同じ元太四老の時人もこのことを初めて知り、朱雀もあまり会ったことがなかった。遊庵の母親と言う事は、つまり

 「母さん。皆、しっかり生きているよ・・・私だけとんでもないところにいるけど」

 庵樹にとっても、伊庵は母親だ。思い出の母親に感慨深くなった。

 

 ほたる・辰怜となぜ一緒にいるのかというと、アキラが出て行った後に遊庵があの家に行き師弟関係であるほたると戦う中で監視の目の隙を見つけて、何とか幻覚をかけてごまかすことで母親・伊庵の仇を探すべく遊庵も仲間になった。父親の寿里庵が壬生一族一の刀匠であるので会っておくべきだという事でここに連れてきた。その際、庵曽新の針の師匠もまたこの親父だったことを知った。

 ただ、狂の傍にいるべきゆやの姿がなかった。ある戦いで狂は自分の体に戻って相手に勝つことができたが、壬生京四郎の魂が狂の体に入り、再び壬生京四郎の体に狂の魂が入れられて、彼が連れ去ってしまい今は紅の王の近くにいるという事だ。

 

 他にもいろいろな話をしていたが、大体は聞き流していた。アキラを優先している彼女達なので、アキラに関係のない話は一部の人以外は聞く価値はないと判断していた。

 

 夢の中では話も終わり、移動を開始した。ただ、自分達を探している壬生の兵達にばれないように通気口での移動で、アキラは一番後ろにいた。

 『なあ、親父。ダンマリ君には針を刺したのか?』

 アキラの前にいる遊庵が訊ねた。それを聞き、全員が言葉を失った。いや、声を出せなくなったと言った方が正解だ。何しろ、庵曽新の言葉を聞いたアキラの顔が今でも彼女達の心の中で残っている。

 

 『俺に触るな!』

 

 紅虎に苛立ちをぶつけた時のあの顔。悔しさと苛立ちと辛さ、それらが混ざったあの顔が記憶にある。その時のアキラの姿に気持ちが暗くなる。

 「・・・アキラ様。お願いです、気を落とさないで」 

 葵の不安な声が皆の思いだ。

 『大丈夫だ。そいつの願い通りの事をしてやった。問題ないさ』

 返答をした寿里庵に疑問を持った皆。庵曽新からはもう強くなれないと言われた。何もできないはずなのに、何故そう答えたのか疑問だった。

 「いったいどういう事だろうね?市」

 「まだ、手はあったというふうに聞こえるけど・・・」

 「だとするとどんな手かしら?」

 「旦那様・・・あれ、何か傷が増えてませんか?」

 双葉の疑問に全員がアキラに視線を集中した。

 「本当でやがる。何か、いろんなところが傷ついているでやがる」

 「・・・これが願い通りの事?何を頼んだというの、お兄ちゃん?」

 だが薫の、いや皆の疑問はまだ分からない。そうしている間にも、夢時人の月影城に到着した。夢時人が悠然と座っていた。遊庵が裏切ったことに怒りを覚えたが、

 『裏切ったのなら、ここで始末しないとね!』

 腰の刀・・・北斗七星を抜いた。抜いたときに光り輝くその刀に

 「これが、庵曽新君の言っていた刀の対話とやらか?」

 「あれだけでも、梵天丸さんの時以上の凄さがあるのがわかります!」

 「・・・あれが刀の力も使った時人の力。あんなので戦ったら儂らはおろかここにいるもの全員相手でも簡単に勝てるぞ」

 「しかも、あの刀もただの刀じゃないって言っていたです!」

 「妖刀か、実際見てその力を見ると、お家流以上の力があるんだな・・・俺のあの槍以上じゃねえかよ」

 「従妹殿だけじゃなく修羅の親子様すらその返答ですか。とんでもないことだけは私にもわかりますが、それを聞くと寒気がしますね」

 湖衣の言葉に桐琴の言葉に綾那と小夜叉も頷き、従妹をけなす事も森親子の言葉で出来なかった悠季。狂達が構えて戦おうとしたが、

 

 『狂・・・私が、四聖天のアキラがここを引き受けます。ですので、早く先に行ってゆやさんを救ってあげてください』

 

 アキラがそれを抑えた。

 「おお!ついに来たっす!」

 「旦那の出番が来たぜ!」

 「待っていたぜ!」

 柘榴・粉雪・和奏は歓声を上げたが、

 「・・・無謀すぎる。今度は得物を抜いているんだ」

 「ああ、死ににいくようなものだぞ。これは無茶すぎる」

 「二人の言葉の通りじゃ」

 壬月に春日、桐琴は厳しい言葉を出した。

 「え、壬月様!それってどういうこと!」

 「でも、私もあの刀の光具合を見たらそう思うな~」

 「無理にもほどがある」

 「うん、そうだね・・・梵天丸さんがああなったんだよ。しかも、あの時の夢の時人さんは本気どころか刀すら抜かなかったし」 

 犬子の言葉に松葉に雛と心が言った。それを聞き先の三人と兎々があっと気付いた。

 

 『ダメだ、アキラ。お前に任せられない』

 

 そして、夢の中でも狂はアキラを否定した。

 「うん、それが正しいね。私でもそう言うよ」

 「アキラさんがやる。と言っているけど」

 「助けたい気持ちはわかりますが、勇気と無謀は別物ですぞ」

 「さて、どうすることやら。本人はひこうとしないが」

 一二三達の言う通り、自分の部下なら口答えするな。と命令して狂が前に出ようとした時だった。あの言葉を、アキラの一大決心の言葉を言ったのは

 

 『狂。なら、俺・・・四聖天をやめる!』

 

 それを聞き、狂だけでなくほたるに灯も驚いた。嫁達もまた驚いた。

 『狂、俺は梵に・・・梵天丸に誓いを託された。だが、それは、四聖天としてでない。漢ととしてだ!・・・そう、漢としてこの俺の肩に託したんだ!』

 左肩に掴むアキラ。その言葉を聞き、

 「これが、まさか」

 「アキラ様の人生の肩書を捨てた決断?」

 詩乃と葵がつぶやいた。それを聞いて、何人かの嫁もそれなりにこの時の話を聞いており、その時のことを思いだした。

 

 『俺は梵を助けると誓った!限界、無茶?そんなものを言われようと、何があったとしても!その誓いが四聖天のせいで果たせないのなら俺は四聖天をやめる!』

 

 「アキラ、そこまでして助けたいのだな」

 「ええ、格好いいけど。あの姿が素敵だけど」

 「勝ち目ない・・・」

 当主三人はアキラの思いに賛成したいけど、壬月達の話を聞き複雑な気持ちもあった。宣言後、アキラは前に進み狂に背中を見せた。

 「旦那様、止まってくれないのですね」

 「アキラ、こうなったら勝ちなさいよ!」

 「結菜お姉ちゃんの言う通りだよ!勝ってよ!」

 「そ、そうだね・・・」

 我慢してアキラを止める言葉を言わなかった側室達、本心は止めたくて仕方がない。

 『わかった。お前は四聖天クビだ。今この時からただのアキラだ』

 「夕霧お姉ちゃん。これってつまり」

 「そうでやがる。この漢も決めたのでやがる」

 薫と夕霧・・・皆も狂の言葉の意味が分かった。

 『・・・だから』

 そのアキラの右肩に狂は手を乗せた。

 

 『よく聞け。今から言う事は四聖天の血の誓いでも、俺からの命令でも何でもない。漢と漢の魂(いのち)の誓いだ。必ず生きて俺のところまで戻ってこい。いいな!』

 

 その言葉が、誓いがアキラの心に大きく響いた。同時に、嫁達は狂がアキラに戦わせることを知った。

 『漢と漢の・・・』

 『ああ、だから、さっさと終わらせて来い!いいな!』

 アキラの背中をたたいて、狂は皆を連れて先に行こうとした。

 

 『狂。ええ、必ず追いつきます。私は、この誓いを必ず果たします』

 

 右肩を掴み、体を震わせた。

 「旦那様・・・素敵です」

 「はい・・・格好いいです」

 「双葉様、空様!そんなことを言っている場合ではありませんよ!」

 「そうですの!アキラ様、一人になっちゃったですの!」

 「お兄ちゃん。本当に一人で戦うんだね・・・やっぱり不安だよ」

 「どや・・・だれもいなくなっていくですぞ」

 「兄様。勝てるのですか?本当に・・・」

 双葉と空はアキラの宣言と狂からの誓いをもらった姿に顔を赤く染めた。そんな二人に突っ込む名月達。

 「アキラ様・・・素敵です、はあ、はあはあ、あの顔とあの言葉・・・ああ!もう、貞子は我慢できません~~」

 「アキラ。どうして、各務をダメにするの」

 そして、状況を全く関係なくアキラの宣言を聞いて欲情が我慢できなくなり、割れ目から滝のような液を出しまくって自慰を始めるどこぞの二人。だが、

 『『『『『う、ううう。この状況じゃなかったら』』』』』

 状況を気にしてできない人もそれなりにいた。麦穂や秋子は股を擦りよせ、詩乃や梅は胸を抑え、正室達は両方とも何とかこらえていた。

 

 夢の方では、アキラと夢時人の一対一になった。

 『ねえねえ、最後の別れ終わった~。親切に待ってあげたんだけど~』

 『ええ、ありがとうございます。ですが、別れるつもりはありませんよ・・・追いかけないといけませんからね。あなたを倒して!』

 『何?』

 「・・・始まるね。二人の戦いが」

 「時人さん。辛いなら見なくても」

 「それはダメだ。受け入れる必要があるし、あいつのあの姿をもう一回見たい」

 時人は見ないとダメだとしっかり自分に言い聞かせた。朱雀・庵樹は、話を聞いていても戦い自体は見てないので興味はある。

 

 『(私の名はアキラ。かつては四聖天と呼ばれた鬼目の狂の部下の一人。だが、今はそれをやめたただのアキラ)』

 

 心の声が響いた。

 

 『(二刀流だが、一本落としてしまい今は一本。体はボロボロ。強さは限界)』

 

 その声がどんどん彼女達の心にも響いてくる。

 

 『(寂しい気持ちもある。後ろには仲間がいてくれたのだから・・・でも、今は一人。だが、後悔はしない)』

 

 刀を抜いて、笑顔を出した。

 

 『(これが、私の選んだ道なのだから!)』

 

 そして、笑顔をすぐにやめて真剣な顔になって、構えた。

 

 『・・・アキラ、参る!』

 

 ついには始まる。四聖天ではなくただのアキラの戦いが。そして、彼女らもまたアキラへの見方が大きく変わっていく戦いが。

 

 

 

 この戦いの事をアキラから聞いていた者達は結果も聞いていた。その者達は少し安心した思いを持って見始めた・・・だが、その考えはすぐになくなった。その考えをする余裕すらなくなった。

 『ほら、そんなのなの~』

 『・・・く!』

 アキラが絶対的に追い詰められている。

 『この北斗七星で君を倒してあげるよ』

 『・・・強い!』

 アキラの氷が一瞬で壊される。相手の刀も尋常じゃないくらいの力を出している。辛い立場に立たされているアキラが目の前にいる。

 「・・・ど、どうなるの・・・アキラ様」

 歳世とクビラの戦いの時も夢と忘れて見ていたが、その時はまだアキラの後ろに仲間がいたので、不安もある程度抑えられた。

 今は完全にアキラ一人だけであり、序盤から苦しく、辛く、誰もいない・・・詩乃の呟きには誰も答えられなかった。この時点で半分以上の嫁が既に現実として見ていた。

 




 
 すいませんでした。前回の後書きで時人との対決と書きましたが、こんな終わり方で。暗くなった後の事とあの宣言とそれを見た嫁達の様子を書いているとこうなってしまいまして、これならここで区切った方がいいと思いこうなってしまいました・・・。

 今度はついに対決です!そして・・・あの展開が。


 それにしても貞子と各務はぶれないですね。アキラの宣言で自慰をするなんて・・・現実では既に液を出しまくって布団濡らしているかも。


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百四振り目 アキラ・・・痛みを超えて

 
 暑さは続くよ。八月まで・・・三MENです。

 戦国恋姫の方の話をお待ちの皆さん。長らくお待たせしてすいませんでした。後三話ほどでアキラ過去編も終わります。これが終わったら、間章に入りますので・・・。

 今回はアキラ大きな一歩を踏み出します。


 

 『これは遊びなんだよ。僕が楽しむね・・・こんなのはどうかな?』

 膝をついて辛い顔するアキラを楽しそうにする夢時人。指を鳴らすと柱を残して壁が上がっていき、そこには

 『な、トラ!』

 『あ、アキラはん!』

 夢時人の百を超える兵に追いつめられていた紅虎がいた。階段を挟んでお互い必死に戦っていた。

 「何と、あやつもいたのか!」

 「あの兵達、クビラと戦う前の兵とは明らかに違います」

 「・・・もしや、死者だった奴らじゃないのか?」

 「可能性はありますね、歳世さんという例がありますし。どう見ても自分の意志で動いているように見えません」

 「指揮っている男がいるのう。確か梵天丸やアキラに布をかぶせた男じゃな」

 年上組の皆はスペードに視線を向けた。

 『おい、スペード。まだそいつを倒してないのか?』

 『大丈夫です。すぐにやります』

 『ふん。まあいい・・・この死にぞこないを倒すとするか。僕はね・・・お前みたいな努力する人間が大嫌いなんだよ!努力すればできると思うようなお前がな!』

 かかってくる時人に夢氷月天をくらわせたが、

 『こんな技で倒せると思っているのかい?』

 その氷をぶち壊して、アキラに攻撃した。

 「そ、そんな!あれが効かないなんて!」

 「じゃ、じゃあ・・・お頭のあの技も効かないってことに」

 「へるばあすとが・・・う、嘘」

 「こんなの・・・どうやって勝つんですの!」

 「ダメ、どうしても負ける姿しか見えない」

 「ううう、アキラは諦めないの・・・諦め」

 「く、公方様」

 「余は信じておる・・・必ず勝つと」

 「はい。公方様の言う通りです。私達は信じ・・・ます」

 「私もです!ご主人様なら・・・」

 アキラ隊の皆は勝つことを信じているが、頭の中では敗けの未来が見えていた。それを見たくない怖さで体が震えていた。

 『全く!イライラするんだよ。世の中は僕のように選ばれた者が上に行くことができる。お前はそれがない、ただの凡人なんだよ。僕のように才能ののないただのな!』

 更に一撃食らわせたが、アキラは倒れようとしなかった。

 『限界があるってのに、見ようとしないお前がな!最高に腹立たせるんだよ!』

 もう更に一撃食らわせた。それでも、アキラは立っていた。

 「旦那、様・・・辛いです」

 「アキラ。もう、もう・・・」

 「結菜お姉ちゃん。言っちゃダメ・・・私だって、言いたいよ」

 「市、僕もだよ。だけど、兄様が、倒れないなら」

 「うん、止めちゃダメ」

 「・・・あれを見て止められないのは、苦しいでやがるよ」

 側室の皆は苦しいアキラの姿に涙を流した。

 『ええ、あなたの言う通りかもしれませんね。無駄な努力・・・そうかもしれません』

 必死に顔を上げて、自分の本音を言った。

 『一度は限界を超えて手に入れたいものを入れたかったのに、また限界にぶつかった。何故皆はそれにぶつからないのに私はぶつかるのか・・・正直ばかばかしくてやっていられませんよ』

 誰も口を挟むことなくそれを聞いていた。

 『でも、私は・・・ちっぽけでも可能性があるならそれにかけたい。どんなに無理だと言われようと、どんなに限界だと言われようと』

 力強く言った言葉に

 

 『私は、今より、そう、今よりも、もっともっと強くなりたい!』

 

 全員の心に響いた。

 『こんな私に誓いを残してくれた漢達の為にも、私はここで止まるわけにはいかない!どんなにあなたの言う通りでも、私は抗う!必ず前に進む!』

 桐琴は頷いた。

 「そうじゃ、強さはあやつの言う通りじゃ。才能ある者がより強い力を手に入れる。だが、アキラはそれがなかった。ひたすらに努力だけしてあれだけの強さを手に入れた。儂らの想像を超える努力をしてな」

 「です!だから、アキラ様が負けることなんてないです!」

 「ああ!俺らが追っている背中が倒れるはずがない!」

 綾那と小夜叉も元気よく言った。

 「そうだな・・・それが、アキラだ!」

 「ええ、信じましょう!あいつの努力を!」

 「うん!大好きなアキラ。信じないと!」

 そして、当主達の言葉に暗くなっていた皆も少しだけ笑顔が戻った。

 

 『私の最後の攻撃・・・それであなたを倒します!』

 ヘルバーストを発動したアキラがそう言った。そして、氷繭星霜を使い攪乱させ戦いの中で見つけた隙を見つけて背後を取った。

 「「「「「「よし!いけ~~!」」」」」」

 皆が大声で叫んだ・・・だが、時人以外に一人だけ険しい顔をした人物がいた。

 「え、確か、あの刀って!」

 それは・・・小波だった。春日山城の千貫門破壊の時の彼女の刀の数を思い出した。そう・・・二本だった。ひよところは千貫門を壊したショックが大きく、綾那は敵兵を倒すのに夢中で、時人の方を向いたらもう鞘に納めていたため知らなかった。

 『へ~~、まあ、頑張ったね~。二本使わせるなんて、ね』

 だが、その隙すら作っていた隙だった。夢時人は北斗七星を二本にして、一本をアキラを刺して笑っていた。

 「な、何だって!私達ですら気づかなかったあの隙すら作りだしていたっていうのかい!」

 「信じられません・・・やっとの勝機すらワザと見せていたなんて!」

 「・・・限界。ですかね」

 「そんな、そんなことって」

 「まけて、しまうんですの」

 「ど、や・・・」

 一二三に湖衣も驚いていた。やっと見つけた隙すらわざとだった。思わず悠季はあの言葉を呟いてしまった。空達ももう絶望した顔になっていた。

 

 『わかっただろう・・・これが凡人の、限、界だ!』

 

 力任せの一撃をアキラにたたきつけて、ついに倒れてしまった。

 「・・・よく、頑張ったな」

 「誰も責めないわよ・・・誰も」

 「うん・・・立派だよ」

 「私は、私は、信じたく・・・ない」

 やはり、結果を知っている時人以外の全員アキラ敗北の文字が頭に出た。四人の当主は悔しそうに体を震わせていた。

 「だよ、な・・・本当に必死だったのに」

 「でも、勝てないね」

 「うん、無理、だったね・・・ううう」

 「柘榴は・・・う、ううう」

 「でも、格好良かった」

 「だぜ!、だぜ・・・い、嫌だぜ!負けてほしくないんだぜ!」

 「無理だよ。見て分かるでしょう」

 「何もいえないのれす」

 若者組も元気がなく、涙を出す者が多かった。全員が暗くなった時だった。

 

 『ほれ、あんさんが落としたもう一つの刀、持ってきたで』

 

 アキラの前に紅虎がやってきて、落した刀を差しだした。

 「え、あれだけの兵に囲まれていたのに!」

 「持って、きたの?」

 貞子と各務の言う通りだ。百近くいるあの兵を潜り抜けて持ってきたという事だ。

 『アキラはん、あんさんの背中・・・あの筋肉質な傷だらけの背中。ワイ、見てしもうたんや。その背中を見たワイが言うんや・・・あんさんは絶対にまだまだ強くなれる!』

 その刀には、紅虎のバンダナと同じ虎柄のバンダナが結ばれていた。

 『自分を信じるんや!もっともっと強くなれるって!今アキラはんが持っているずっと頑張り続けた努力の太刀。そして、ワイの魂がこもったこの友情の太刀。これらを持って見せてやるんや!アキラはん、更に強くなった自分の姿を!』

 そして、アキラは顔を上げた。見えてしまった・・・紅虎の背中に十以上の刃が刺さっていたのを。

 「ただでは済まないと思っていたが、こ、こんなに刺されていたのか!」

 「あんなに、あんなになってまで・・・アキラ殿の為に」

 「無茶しすぎだが、よく持ってこられたな!」

 「う、うう、も、もう・・・我慢できません」

 麦穂や秋子も涙が出始めた。その中で

 「も、もしかして、この人が・・・旦那様の刀に魂を込めた」

 「双葉様?どうしました?」

 「何か知っているのですか?」

 「ちょっと!あの人が倒した兵が起き上がったわよ!」

 双葉の様子に市と真琴が気になったが、結菜の叫びに全員が顔色を変えた。その兵達に向かって紅虎が構えに入った。そして、アキラも立ち上がった。だが次の瞬間、紅虎が一気にすべての柱を壊し・・・瓦礫の壁を自分とアキラの間に作った。

 「ちょ、ちょっと!あ、あんなことをしたら!」

 「覚悟を決めたでやがるな、兄上の戦いに邪魔が入らないようにもして」

 夕霧の言葉が全員の空気を重くした。

 『な!なんてことを!トラ!』 

 『なあ、アキラはん・・・ワイな、あんさんに出会って本当に良かったと思うておる。あんさんの背中を見て勇気づけられたんや!』

 まるで最後の別れみたいなことを壁の向こうから話す紅虎・・・そして、

 

 『わいにとってあんさんは最高の親友(ダチ)や!頑張りや!』

 

 この言葉が聞こえた。その後、アキラが叫んでも紅虎の言葉がなかった。

 

 『・・・く、くううう、トラ~~~!!!』

 

 力強く握られた拳を地に叩きつけて叫んだ。この悲しみのアキラを見て、ほぼ全員が完全に現実と見るようになり、共に見ている時人と夢時人の事も段々忘れていった。それほどまでに彼女らの心が痛く響いた。

 「うわ~~~ん!おがじら!」

 「おがじらが、おがじらが!」

 「アキラ様。う、うううう!こんな、別れが、あった、(ぐす)なんて」

 「ハニー!ああああ、と、とても悲しいですわ!!うううわあああ!」

 「と、止まりません・・・ううう」

 「アキラ、た、大変なの!!!ああああん!」

 「・・・く!主様!」

 「某も・・・ううう」

 「親友が、最後の言葉を、ぐす」

 「・・・ご主人、様。うううう、ひっく」

 「お姉ぢゃ~~ん!お兄ちゃんが、お兄ちゃんが!」

 「・・・( ノД`)シクシク…」「泣いていい。う、あああ~~~ん!!」

 アキラ隊では一葉と幽もまた泣いていた。白百合と時人の二人以外は全員涙を流した。正室、側室、愛妾、そして仲間・・・もはや関係なかった。皆がアキラの心の痛みに涙した。

 「・・・越前で言っていた苦しんだこと、とはこのことか。煩い同行者だったが、向こうはそれほどまでに大きく見ていた。その事にやっと気づいたのが・・・この時だったのか。これは、苦しいな」

 越前で殿をともにやった際に聞いた話を思い出した桐琴。手が強く握られていた。そして、アキラは友情の太刀と努力の太刀を持って立ち上がり構えた。

 「アキラ様、また戦うです!」

 「立ち直ったのはいいが・・・二本に戻ったからって勝てるのかよ?」

 小夜叉の言葉は最もであり、全員が思っていた。

 『ふふ、美しい友情・・・とでもいうのかな?そんなもの、無意味だという事を見せてあげる!この北斗七星の力でね!』

 夢時人が刀の力を十二分に使った技を放った。

 

 『北斗七連宿!』

 

 春日山城千貫門を壊したあの技である。手加減はしても、あの門を壊したのと同じくらいの威力をアキラにぶつけた。二本の刀でところどころ防御したが大きなダメージを受けた・・・が、刀を地に刺して倒れなかった。

 『はあ、はあ・・・はあ』

 『本当に、どうして、そこまで』

 倒れないことに分からない顔で問いかけようとする夢時人だったが、アキラがまたヘルバーストを発動した。だが、それをぶつける相手は・・・自分自身だった。

 「な、な、な!何をしているんだ!」

 「あ、あんなことしたら自分を凍らせてしまうわよ!」

 「や、やめて!お願い!」

 「死ぬつもりですか!葵は・・・そんな姿見たくないです!」

 「そうですよ!美空お姉さまや・・・私達を置いていかないでください!」

 「ですわ!私だって・・・まだ想いを伝えてないですのに!」

 「どや!空様や名月様・・・あ。愛菜もも、もっと、愛されたいですぞ!」

 「やめてやめて、貞子は、貞子は!!」

 「アキラ!止めて!各務は見たくない!」

 凍り始めるアキラを見て、久遠達は号泣しながら必死に見えない壁を叩いて止めようとした。だが、止まらず氷は足元から腰まで来た。すると、

 

 『強くなりたいか?』

 

 夢には映らなかったが、そんな声が聞こえ、ある話が彼女らの頭に直接聞こえた。

 『どういうことです?私に強くなりたいかって』

 『ああ。お前さんが覚悟を持っているなら、話してやろうと思ってな』

 それはアキラと寿里庵の話だった。

 『覚悟?』

 『あんたはサムライの血をひかない人間だ。大方、庵曽新は限界や強くなれないと言ったんだろう』

 『はい。でも、本当にあるのですか?』

 『あいつがそう言うのは、教えてないツボがあるからだ・・・それは体を苦しめ傷つける危険なツボだ。そういうツボは教えないように俺がしたんだ』

 『・・・教えてください』

 『超冷点と言うツボだ。氷系の技を使うあんたが、限界を超えた今以上の力を手に入れるにはそのツボ以外ない』

 そのツボの説明に入った。体中にあるそのツボを針で刺して、自分自身にヘルバーストをぶつける。そうすればツボの効果で莫大な熱量を作り出す作用を最大限まで高めて、限界を超えたさらなる大きなエネルギーを手に入れるという話だった。限界を超える可能性に声を荒げたアキラ。ただ・・・

 『だが、可能性が低い。まずは絶命してもおかしくないほどの激痛があんたを襲う・・・それに耐えきったとしても、その力を手に入れられる可能性はわずかに十分の一、いや二十分の一と言ってもいいかもしれない』

 条件があまりにも厳しすぎるのだ。

 『手に入れたとしても、その時間は5,6分・・・四半刻を更に五分の一にしたくらいの時間だ。しかも、その力はとんでもなく膨大すぎて体が耐えきれなくなり、体中の骨や筋肉や細胞をどんどん壊していくぞ』

 しかも、クリアしてももてる時間は短く、体がボロボロ・・・その表現すら生ぬるいくらい体を痛めつけるツボだった。

 

 『最後にその時間が過ぎてしまった時、あんたの体は戦うどころか二度と立ち上がれない・・・下手をすれば起き上がることも指を動かすこともできなくなる体になるぞ。本当に、やるのか?』

 『・・・ええ、時間がないんです。助けたい仲間がいる・・・限界を超えて、更に強くなりたいんです!』

 

 この話に全員が絶句した。白百合や一二三、悠季といった、アキラを利用価値の高い男程度としか見ない彼女らも驚愕の表情を浮かべた。これほどのリスクが高すぎることをしていたなんて思わなかったからだ。肩のところまで氷が昇っていき、絶命レベルの激痛に耐えながら叫ぶアキラの姿に壬月・春日・桐琴達まで見るに堪えられなくなり、壁を叩きながら叫んだ。

 『わかった。だが、俺は針師として活動してないから腕前は庵曽新(あいつ)より下だ。痛みを最小限にして刺すことができない。刺す痛みもあんたを『構いません!』それほどの覚悟を持っているなら、やるぞ!』

 そして、全身にある超冷点を刺して、その刺した針を抜く。全身を一気に襲った痛みに、大きな悲鳴を上げて倒れる音が聞こえた。

 「双葉と夕霧が見つけた傷は、これだったのか。何と無茶を」

 「全身にあるそのツボに刺すなんて・・・どれだけの激痛だったのでしょうか」

 一葉と幽は背筋がぞっとしたのか体を震わせた。それは皆も一緒だった。

 『気を失ったか。俺は鬼っ子を探しに行くからそのまま寝ていろ』

 アキラがこの部屋で倒れていたのは、この激痛に耐え切れなかったためだ。

 

 話が終わり、ついに氷が顔まで行き・・・アキラが完全に氷に覆われた。

 『『『『『『『『・・・・・・お願い』』』』』』』

 必死に涙を出しながら願った。うまくいくように・・・死なないでほしいと。

 

 アキラが氷漬けになり、それを見て死んだと思った夢時人が背を向けようとした時に部屋全体が氷に覆われた。その現象に皆は涙を止めた。

 「や、や、やややや、やったのですね!」

 「だね・・・あれだけ苦しんでいたのに。心から尊敬するよ」

 「とんでもない忍耐力ですね・・・驚きです」

 湖衣の言葉に一二三と悠季が感服した。

 『あなた・・・心が醜い割には、かわいらしい顔をしているのですね。その顔、見えますよ』

 氷がはじけ飛び、アキラの姿が現れた。

 『親友が・・・私の友が命がけで教えてくれた。先を進むべき限界を超えた力への道筋を!』

 立ち上がった姿に歓声が響き、思わず万歳をする者もいた。

 「「「「「「「や、や、う、ひっく・・・や、やった!!!」」」」」」」

 大号泣して、閉じられていた目を開けたアキラを笑顔で見た。

 

 『二つの目と心の眼、両方揃った私に負けはない!覚悟はいいですね、時人!』

 

 賭けは成功した。彼女達はここから先、アキラの本当の強さを目の当たりにする。

 

 

 彼女らは、アキラの苦しみを見続けたせいで一つの認識違いをした。それはこの戦いを現実と見ているがために、この時のアキラの強さと現実のアキラの強さが同じと見ていた事だ。

 




 
 アキラ・・・友の思いを持ってついに限界越え。

 次の話で時人戦終わりです!


 今更ですが、この章、序盤以外はSDKの原作通りの展開ですいません・・・やはり過去はあの展開以外思いつかなかったですし、変えたくなかったです。


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百五振り目 アキラ・・・手に入れたもの

 
 熱い時はカレーが食べたい。三MENです!

 特に自分はキーマカレーが好きです。それのいろんな味が食べてみたいですね。

 さあ、ついに過去編も次の一話のみとなりました・・・でも起きてもう一話書くつもりなので、実際は二話か。夢時人編。決着です!


 

 「「「「「「や、やった!か、勝ったよ!」」」」」」

 皆が両手を上げて喜んだ。彼女らの視線の先は当然アキラだが、もう一つあった。

 「何と、綺麗な」

 「そうね。アキラってあんなものもできたのね」

 「素敵な聖母の像」

 「ですね・・・私の氷像も作ってほしいです」

 アキラが無事の姿に、表情も気持ちも落ち着いた久遠達が話した氷像。しかも、その氷像には夢時人が入っていた。こうなった経緯は・・・。

 

 体を傷つけながらも賭けに勝ち、アキラは超冷点の効果で超活性化を手に入れた。夢時人が速さで姿を消したが、超視野化でその姿をとらえ攻撃を止め、今度は反撃までした。吹き飛ばした先にあった壁に夢時人を埋め込んだ。

 ただし嫁達からすれば、そこまでの行程が速すぎる上に気づけば夢時人がそんな目にあっていた状態だった。近づいたアキラに夢時人は、本気の北斗七連宿を放った。皆が悲鳴を上げたが、何とアキラはその攻撃に耐えた。

 

 『私は、もう・・・二度と倒れない!』

 

 力強い眼差しをして叫んだその姿に、皆が涙を止めて歓喜の叫びをした。一気に応援が始まり、そんな中で出したアキラの新必殺技ヘブンズバーストを夢時人にぶつけ聖母の氷像ができたという事だ。

 

 「か・・・勝ったんだよね!お、おがじらが、がっだ!」

 「うん、うん!ううわあああん!生ぎでるよ~~!!よがった~!!」

 ひよところの大歓喜と大号泣が混ざった声に、皆も嬉しそうに叫んだ。

 「よ、よかった・・・よかった。アキラ、さ、ま(ボロボロ)」

 「詩乃、ええ、本当によかった・・・う、ひっく」

 「鞠さ~~ん!勝ちましたよね!ハニーが、ハニーが!」

 「うん!勝ったの!アキラ、勝ったの!」

 「ぬ、主様が、や、や、やりおったぞ!」

 「よ、よかった、ですな・・・本当、に」

 「あんなに、ひく、強すぎる相手に、ぐす、勝てるなんて・・・」

 「ご主人様!ずっとついていきます!」

 アキラ隊がこんな調子である。若者組は同じ様に大叫びをし、年上組も麦穂と秋子が大号泣する中壬月と春日はアキラのさらなる強さに興奮しており、ひねくれ組もあまりの凄さに頭に昇った血が爆発していた。一番涙もろい側室の人達は、

 「だ、旦那・・・様。ひっく、ひっく」

 「アキラ、アキラ・・・生きているわよね?」

 「兄様、凄いよ。限界を(ウルウル)超えたよ」

 「うん、まこっちゃん。お兄ちゃんって本当に・・・止まらないね」

 二人は生きていたことに、もう二人はアキラの諦めない努力に感激して泣いていた。そんな歓喜の渦に包まれていたが・・・

 

 『く、う、うううう!っぐうう!』

 

 突然、アキラが膝をついて苦しみだした。その顔から尋常じゃない痛みが襲っているのが分かる。それと同時に、

 『バン!バリン!ガン!ミシミシ!ピキピキ!』

 この叩かれるような、壊れるような、割れるような音が響いた。

 「え、な、何!この音!それに、すっごくお兄ちゃんが、苦しんでいる!」

 「どうなっているでやがる!この音と兄上に何の関係が!」

 「どうなっているも何も、さっきアキラとあの大きなヒョウタンみたいなやつを担いでいた奴の話が聞こえていたじゃろう。手に入れた力が膨大すぎて体が耐え切れなくなり傷つけていくと」

 薫と夕霧が困惑していると、白百合の言葉に皆はっとした。

 「じゃ、じゃあ。聞こえた音は」

 「アキラ様の体が、壊れる音、ですか?」

 「・・・じゃろうな。何故音が出るかは知らんが、アキラがああなってから聞こえたからな・・・どれほどの痛みだというのじゃ。全身が壊れる痛みというのは」

 綾那と小夜叉の問いに答えた桐琴の言葉に全員が一気に真っ青になった。つまり、この音が聞こえる限りアキラの体は壊れ続けるという事だ。

 「あ、あんなに苦しむ姿は、は、初めて、だぞ!」

 「あ、アキラ殿。やっと、やっと勝てたのに、辛すぎます」

 「あといくつなんだ!四半刻の五分の一の時間は!」

 「は、早く、早く・・・おね『(ドガン!)』え?な、何?」

 年上組が必死に早く終わるよう願っていると、別の大きな音が聞こえた。氷の破片が飛んだのか、それがアキラの肩の部分に当たり、その部分の服が破れ血が流れた。

 「ああああ、ああ、あれ!」

 「・・・( ゚д゚)ポカーン」「早く見て!と言ってます!」

 雀と烏がすごく震えながら指した方を向いた。そこには、

 「氷像が・・・こ、壊れている!」

 「しかも、中のあの人がいません!」

 「あれを、あれを受けてもですか!」

 氷像が壊れ、中の夢時人がいなくなっていた。その事に一二三・湖衣・悠季も唖然としていた。彼女らもアキラが勝ったと思っていたからだ。

 

 『まさか、貴様がここまでやるとはな・・・見せてやるよ、神と言われた太四老・時人の本当にすべての力を出すこの姿を!』

 

 そこにいたのは、共に見ている時人とほぼ似ていた。唯一違うのは、胸の大きさくらいで夢時人の方が小さいくらいだ。見ている方が大きい理由はアキラに愛され、揉まれたからだろう・・・その事は置いて、今と全く同じ顔の時人が現れたことに全員がまた時人への意識が強くなると思いきや、

 『さっさと戻りたいんだよ!この姿は嫌だから!』

 この叫びと共に出した気迫で部屋全部に張り巡らせた氷が全部割れ、

 『こ、の、くたばれ!』

 いきなりアキラの前に現れたと思ったら、力任せの一撃が床を全部壊して下の部屋にアキラを落とした。更に、

 『く、あ、く、うううぐ!』

 『バリバリ、ピキピキ、ベキ、ボキ』

 超活性化の代償でアキラの苦しむ姿と破壊音で、意識を回せるものがいなかった。

 『ふふ、どうした。もう終わりか!この血と才能を持つ僕に本当に勝てると思ったのか!』

 再び斬りかかった夢時人だが何とか防ぎ、一瞬驚いた隙をついて再び吹き飛ばした。だが、今度はアキラと壁の中間あたりで止まった。

 「アキラ様、か、勝てるの、でしょうか(オロオロ)」

 「く、空、様。だだだ、大丈夫・・・です、わ」

 「そ、そう、で、ですぞ・・・どや」

 「・・・アキラ様。貞子は見ます!」

 「うん。私も、最後まで見届ける」

 「そうです!私達はアキラ様の妻!なら、夫の命以上のものをかけたこの戦いを見届けなければなりません!」

 各務の呟くような一言に、葵は叫んだ。その決意ある言葉にハッとさせられた。

 「葵の言う通りだわ。それに、あいつが、あいつが負けるはずがない!」

 美空の言葉と同時に必死に立ち上がるアキラがいた。そのアキラの諦める気がない目つきに皆もそうだ!と叫んだ。

 「皆、信じるのじゃ!信念、誓い、友情、そして・・・努力をその体に乗せた主様の勝利を!」

 構えに入るアキラに、力強く拳を作った一葉が叫んだ。

 『何とでも言いなさい・・・私は、決して、諦めない。負けない』

 『ミシ、パン、ピシ』

 「うん・・・信じる。これが一番大事。アキラが勝つのを、信じる!」

 破壊音に光璃の目には涙が浮かんでいた。

 

 『この戦い、勝つのは私です!』

 『本当に、諦めが悪いやつだな!お前は!』

 

 二人とも駆けだした。

 「我らの、夫の・・・魂(いのち)の全てを出した戦いだ!見逃すな!」

 「「「「「「「おう!」」」」」」」

 久遠の大きな掛け声に全員が叫んで答えた。そして、二人の刃がぶつかった。

 

 

 そこからは、誰も声を出さなかった。理由は一つ、あまりにも凄すぎたからだ。

 ひよやころ、詩乃や悠季達といった武を全く持たない者には、二人の速さや止まっているときの刀の応酬が目で中々追えないので戦いがどうなっているのかすら分からない状態だ。

 和奏や柘榴に粉雪、歌夜に小波、市や真琴達といった結構な武の力を持つ者は、二人や刀の動きは半分以上は分からないが、刀のぶつけ合いで二人がどれだけ強い力で戦っているかはわかる。自分達が十人、いや二十人いたとしても勝てないくらいの高いレベルの戦いだと実感していた。

 壬月や春日、一葉や綾那、森親子といった者達だとアキラと夢時人の戦いがいかに自分達とはかけ離れているかを痛感させられる。彼女らはアキラの実力は山の頂上の更に上にある雲の上だと思っていた。だが、ここの戦いで雲の更に上である・・・月の上だと痛感させられた。しかも、そこにはアキラ一人ではなくもう一人いる。自分達はこの日の本では名の通っている武人だが、二人の前では全く意味を持たない。まだまだ自分達は未熟だった、と気付かされた。

 最後に久遠に美空、光璃に葵、結菜、双葉は戦いの意味など考えなかった。ただただ、アキラが必死に、命がけで、自分の為に、誰かの為に戦うその姿を必ず最後まで見届け、勝つ姿をその目に焼き付けよう。そう決意して見ていた。

 それぞれの思いを持って見る彼女達だが、共通している事が一つだけあった。

 

 『『『『『『『死なないで!』』』』』』』

 

 愛するアキラが死なずに生きて戦いを終えること・・・それだけだった。

 

 『くたばれ!これで最後だ!蒼天銀星雲!!』

 

 夢時人の最大の技がでた。北斗七連宿の七つの攻撃を完全に一つにしてそれが光の玉となってアキラを襲っている、そんな感じの技だ。必死に抑えるアキラに

 「ま、負けないで!アキラ様!」

 「いくっすよ!アキラさん!」

 「アキラ君なら勝てるから!」

 「そうだぜ!旦那なら!」

 「うん、皆の言う通り」

 「そうだ!アキラ!いっけ~~!!」

 「見せてください!全てを!」

 若者組も、アキラ隊も、ほかの皆も叫んだ。

 

 『く、うう、ううおおおおお~~~!!!』

 『バキン!ヴァン!ピシ!』

 

 アキラは叫びと共にその技を破ったが、同時に聞こえた最も高い破壊音と共に超活性化で傷ついていき内出血して溜まった血の塊が、さっき氷がぶつかり服が破れて傷ついた肩の部分から噴き出したのだ。彼女達がそれを見て、思わず体を震わせた。

 そんな中、アキラは夢時人に友情の太刀で刺して、ヘブンズバーストを直接ぶつけた。二人を中心に大きな白い光が放たれた。

 

 「ど、どうなった!」

 光が収まって、久遠の叫びと共に全員が目を開けると、

 「ふ、二人とも、倒れているわ」

 美空の言う通り、二人とも倒れていた。

 「アキラ。目、閉じてる」

 光璃の言葉通り、アキラの目は閉じられていた。

 「それ以上に、痛々しいです。とっても」

 葵が辛そうに言った。倒れている姿は、本当に寿里庵の言った通り指も動かせないのでは?と思うくらいボロボロすぎた。

 「お、終わったの、ですか?」

 「アキラは、も、もう、お、起き上がれない」

 「そ、そんなことありません、結菜様!兄様!立ってください!」

 「まこっちゃん!そんな無茶・・・を、た、立って!そうだよ!立ってよ!」

 「お兄ちゃん!立たないと勝ったことにならないよ!」

 「そうでやがる!立つでやがる!」

 真琴の言葉に市が続き、薫に夕霧に皆も必死に叫んだ。だが、それに答えたのは

 『・・・はあ、はあ・・・くそ』

 夢時人の方だった。全員の顔が一気に青ざめた。

 「な。ああ、ぬ、主様!」

 「あ、あれでも、ですか!向こうも相当辛いみたいですが」

 「お、お頭の方がひどいよ!は、早く助けないと!」

 「そうだよ!・・・(ドン)う、ど、どうして!」

 アキラの危機にアキラ隊は進もうとしたが、見えない壁に遮られた。

 「な、何でだよ!どうしてだよ!」

 「壊すっす!こ、こんな壁!」

 「旦那を助けるんだぜ!」

 だが、それはアキラ隊だけじゃなかった。

 「くそ!なぜ、壊れない!」

 「アキラ殿!おねがいです!動いて!」

 「何故じゃ!得物があれば、こんな壁など!」

 「そうだ!おいアキラ!早く起きろよ!」

 若者組に年上組に森親子。

 「何て奴だ!ここまでなのか!」

 「嫌です!ここで、ここで終わり何て!」

 「し、し、死んでは嫌です!」

 ひねくれ組までこの焦りだった。特に悠季は今まで見たことない焦りと叫びを出した。

 『これで、終わりだ!』

 夢時人が刀を振り上げた

 「あ。アキラ!アキラ!!」

 「い、嫌です!アキラ様!!」

 「「「「「「「アキラ!!」」」」」」」

 庵樹と朱雀、皆が叫びながら見たくない最悪の未来。それを見ないよう目を閉じた。時人と・・・一人を除いて。

 

 

 皆と一緒に目を閉じた壬月。

 『・・・アキラ。ダメだったのか、み、見たく(ゆさゆさ)、なかった。負けた姿(ゆさゆさゆさ)・・・など。し、しん(ゆさゆさゆさゆさ)??何だ?』

 拳を体を震わせながら、アキラの負けを思っていたら揺さぶられていることに気づき、アキラの方を見ないようにそちらに向けて目を開けた。

 「白百合、どうした?」

 「・・・・・・( ゚д゚)」

 揺すっていたのは白百合だが、彼女は今まで誰にも見せたことないくらい唖然として前を見ていた。見たくない方向だが、覚悟も決めないといけない。息をのんでそっちを見た。

 『・・・な、何故。う、動け、る』

 「な!な、な、な・・・」

 壬月は絶句した。その先には最悪の未来があるはずだった。実際、アキラはそれを受けるしかできないくらい体がひどい状態だった。だが、今ある過去(答え)は

 

 「か・か・・・かか、かか、か・・・勝った!?」

 

 この言葉だった。裏返った声で叫んだ。それを聞いた皆は、嘘と思い、躊躇いもあり、少しだけ間があったが、覚悟を決めて目を開けた。

 

 『き、キ、セキと、でも、言うの・・・か』

 

 彼女達が見た光景は、夢時人が地に落ちてアキラが後ろで刀を地に刺して倒れないようにした姿だ。まさに勝者と敗者の図だ。だが、すぐには信じられなかった。壬月同様皆も敗北の未来しか考えなかった。

 

 『アキラの死なない都合のいい夢が目の前にあるのでは?』

 

 これ自体夢だが時人以外は現実と見ているため、そう思うくらいすぐには受け入れられなかった。女性から少女に戻った夢時人が兵達にアキラを殺す指示を叫ぶまでその状態だった。

 「な、なななななな!」

 「ど、どど、どうすれびゃ!」

 「お、おお、落ち着いて!」

 「そ、そそそ、そうぢぇ!」

 その叫びが彼女達の意識を戻したがパニック状態だった。美空と葵は思わず舌を噛んでしまいそんな語尾にしてしまった。彼女達だけじゃなく、ほかの皆も大焦りだ。

 だが、叫びに答える兵が誰もいない。もう一度叫ぼうとした夢時人が視線をある方向に向けると、囚われの身の梵天丸がいた。そこでは更に大混乱が彼女達を襲った。本来なら一二三や幽、悠季や白百合辺りなら彼の登場で夢だと気づけるはずだが、彼女達もまだパニック状態継続中だった。

 梵天丸が慌ててアキラのところに行き、何とか座らせたと同時に紅虎を襲った兵達に声をかけた夢時人。だが、遊庵の兄弟・・・そう夢の庵樹達がスペードを逃がしはしたが全滅させた。

 

 『時人、お前の負けだ』

 

 今だパニック状態だが、夢時人に敗北宣言をした梵天丸の言葉は理解できた。そう、アキラが勝ったことと・・・死んでいないことは理解できた。

 

 「「「「「「「や、や・・・やった~~~(´;ω;`)ウゥゥ!!!!」」」」」」」

 

 その事実が、皆の溜め込んでいた感情を爆発させた。そこからはナイアガラの滝に負けなくらいの涙が全員から流れ出た。皆、泣きながら抱き合って語り合っていくと落ち着くことができた。そして、アキラの傍にいるある一人の存在にやっと気が付いた。

 「あれ?何であそこに庵樹お姉ちゃんがいるの?」

 「何を言ってますの、鞠さん。庵樹さんならそちらに」

 鞠の一言と梅の指摘にやっと気付くことができた。全部アキラの過去の夢だったことに。だが、過去だからと悠季みたいな言葉を出す者はいなかった。

 「す、すごい。すごいぞ!アキラ殿はあんな戦いをやって勝ったなんて!」

 「あ、アキラさん!も、もう、何言っていいのか分からないくらいすごいっす!」

 春日と柘榴の言葉でさっき以上の大騒ぎになった。

 

 皆が自覚した夢の方では夢時人が負けは自分のせいではない!そう言いだした。アキラはボロボロの体を動かしてまで近寄って話を始めた。

 

 『時人・・・血や才能は確かに強さに大きく影響する。その事は間違っていない。だが、心の強さだけはその二つがあってもどうしようもない!それを鍛えないと、私に勝つことは出来ませんよ』

 『・・・ふん!何を言う!この村正の血筋の僕に説教なんていい度胸だな!』

 『あなた、それを嫌がっていませんでしたか?どうして、盾にするのです?』

 『・・・く、そ、それは』

 

 アキラの指摘に言葉を出せなくなった夢時人。それを見ている時人もその時の気持ちを思い出しているのか、俯いていた。

 「ふん!何も言えないれすね!」

 「全くですぞ!どや!」

 兎々と愛菜はドヤ顔をしたが、

 「私は・・・わかるな。あの子の、(ちら)時人さんのあの頃の気持ち」

 「ひよ?わかるの?」

 ひよがそう言いながら、時人の方を見た。この二人の認識も元に戻ったようだ。

 

 「だって、私産まれは農民だもん。ころちゃんならともかく詩乃ちゃんや梅ちゃん、雫ちゃんとか他の隊の皆や、本来なら久遠様や壬月様に美空様や光璃様、他の皆さんにだって会う事も話す事もできない身分だよ。アキラ様の部下で、愛妾で、妻という肩書があるから話せるんだけど・・・もしそれがなかったら、久遠様にかわいがってもらえてなかったら、その肩書だってなかったんだし」

 

 この場にいる皆はアキラがいるいないに関わらず肩書がある。それがもしなかったら・・・ひよのこの話でそう思うようになり、言葉を失った皆。時人は顔を上げてひよに向けた。

 「・・・ありがとう」

 「いいよ。でも、今は違うんだよね」

 「・・・本当に、ありがとう(ぐす)」

 ひよに抱き着いて感謝した時人。夢の方ではアキラが夢時人に背中を見せた。

 

 『苦しいのなら、辛いのなら、死ぬ気で努力することですね・・・あなたが嫌いと言っていた努力をね。果たして、できますかね?』

 『な。何だと!』

 『悔しいのなら、その気持ちを持って頑張ることです。そして・・・この私に追いついてみるといい!』

 

 夢時人から離れた・・・その時に見えた右肩の数多くの傷とどれほどの努力をしたのかを物語る背中。夢時人も今の時人も・・・それを見た多くの彼女達。

 「アキラ様~~~貞子は永遠に追い続けますよ!(〃艸〃)ムフッ」

 「各務も永遠に一緒!(〃艸〃)ムフッ」

 この叫び声で追い続けるぞ!という思いに共感して皆も叫んだ・・・アキラも無事だったことだし、レッツ自慰!という二人の行動には共感しなかったが。

 

 夢では、いつの間にかいた四方堂が時人の本当に父親が村正ではなく吹雪であることと母親が村正の妹の為村正の血を引いていることを話した。すると、現れたスペードが北斗七星を奪って消えたことで、裏切られた夢時人が自暴自棄になりそうだったが、

 

 『がははは!俺なんて実の母に何度も殺されかけたんだぜ!』

 『私は、狂が拾うまで捨て子だったので拾い食いして死にかけたこともあれば、野犬に食われそうになったことも何回もありました』

 『うちの貧乏話なんて何年分あると思っているの!』

 『ふふふ、あたいの不幸話は軽く十数年はないと語れないね~~』

 

 不幸自慢大会をして彼女の気持ちが落ち着いていった。ただ、その中で・・・

 

 『わ、ワイが・・・ワイが、あのくそ狸が、くそ親父が、いるかぎり、い、一生不幸や~~!うぎゃあ~~!く、来る。脳裏に、恐怖を植えつける狸が~!\(゜ロ\)ココハドコ? (/ロ゜)/アタシハダアレ?\(◎o◎)/ワイヒデタダ!』

 

 庵兄弟に助けられた紅虎が、不幸自慢話で意識を取り戻したことにはびっくりした。その後、夢時人は涙を流し皆の優しさにツンなことを言いながらも嬉しそうだった。

 

 

 和やかな空気になったが、アキラの体は戦える、いや動くこともできるかどうか怪しい状態だった。庵兄弟達が手当てをしてくれるが、やはり戦える状態ではない。

 「アキラ、様。う、ううう」

 「空様!大丈夫ですの。アキラ様は笑顔ですの!」

 その事実に空が泣きそうになったが、名月がそう言った。

 『私は満足しているのです。この戦いでとても大きなものをたくさん手に入れることができました。そして、ある一つの大きな事も知ることができました』

 「大きな事?」

 「一体、何を」

 詩乃と雫の問いかけに答えるように

 

 『努力を重ねれば、キセキが起きる。それを知ったのですから』

 

 満足そうに辛そうな顔をしている紅虎に言った。それを実際にアキラが起こしたところを見た皆が頷いたり、同意を出している中、

 「そんな都合のいいキセキがあるか!と言いたいが」

 「それを起こした後だけに、この言葉は本当に聞こえますわね」

 「儂も、アキラの言うキセキなら信じてもいいと思えるくらいにな」

 否定しそうな一二三・悠季・白百合も楽しそうに同意を示した。

 

 アキラの言葉で話し合う中、一人だけ参加していないものがいた。

 『そのキセキを起こすために努力し続けて・・・でも、まだ起こすべきキセキの為に努力を続ける。そんなあいつだから私は好きになったのかもしれない。ずっと続けると物語るあいつの背中を見たあの時から・・・』

 あの場で、アキラの治療をしている夢の自分を見ている庵樹だった。自分の想いが作られたあの場所。それを見て、自分の愛はこうして作られたことを知った。

 




 
 時人戦、決着!まず、アキラの体が壊れる音ですが、あの光の二人が聞いていたのをそのまま皆にも聞こえるようにしました。光の二人も次回で正体を明らかにします。
 次に時人はあのシーンで落ち込みますが、それをひよが慰めました。肩書のあるないの話で時人を慰められるのはひよ以外いないと思いました。産まれはお互い両極端といっていいほど違いますが、それが逆にいいと思ったからです。
 最後に吹雪の娘と判明したことの心と粉雪の反応は次回にかきます。この時はアキラの事で頭がいっぱいでしょうし、本人がいるところで二人の心境を書きたいので。

 う~む、次回で夢は最後にするつもりだけど・・・こうなると何字になるのか不安だな。


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百六振り目 アキラ・・・進め、前にある光へ

 
 どうも!アイスで暑さしのぎをしている三MENです!

 アキラの過去夢今回で終わりです!いや~、この章は書いていて結構長引いたな。と思っています。関係ないことを書いたのがこうなったのか・・・でも自分は楽しんでかけた・・・時には泣いて書いたのでよかったと思います。

 って、まだ続くのに最後みたいな前書きになってしまいました!では、どうぞ!


 

 「努力を重ねれば」

 「キセキは起こる、ね」

 「アキラは起こした」

 「なら、妻の私達も起こさないといけませんね」

 アキラのこの言葉を呟く久遠・美空・光璃・葵。アキラのあのキセキを目の当たりにした以上は、自分達も必ず!という思いが強くなった。

 「旦那様・・・双葉が、双葉が、ずっと看病したいです」

 「私もです。過去の夢じゃなかったら、絶対に動かしませんよ」

 夢の方では、別れた庵兄弟から治療を受けたが松葉杖を使って何とか歩ける程度だ。その歩くのも辛そうなアキラを見て、涙を流す双葉と結菜。他の皆も、体の何もかもがボロボロのアキラの歩く姿を見て涙を出していた。

 「そうだよ。お頭、行かなくても」

 「あんなにひどいのに、まだ行こうとするなんて。うう」

 「あの人は・・・本当に無理ばかりして(ぐす)」

 「でも、それがハニーですわ(ぐす)」

 「はい。妻として、支えたいです」

 「雫ちゃん!鞠も支えたいの」

 「アキラ様。そこまでして進むのですね(ボロボロ)」

 「狂という人の、誓いの為に(ボロボロ)」

 「お姉ちゃん!お兄ちゃんがまだ進むよ!」

 「・・・」「誓いがまだ?そう、だったね。うん」

 だが、狂との誓いがまだ果たされていないから前に進んだ。その姿には、アキラ隊だけでなく皆も心が打たれた。

 

 そんなとき、気持ちが落ち着いたのか

 「あの、時人さん。聞きたいことがあります」

 心が時人に話しかけた。彼女が聞くことと言えば一つしかない。

 「太白を、吹雪・・・父様が殺したことか?」

 「・・・はい」

 時人も理解していた。ただ、話せることは一つだけだ。

 

 「かばうような言い方になるが・・・父様は必死に壬生を守ろうとしたんだ。例え悪の立場になり、悪の道に進んでもなお、壬生の為に・・・どうすればいいのか考えていく中で決めた必死の決断だったと思うんだ」

 

 辛そうな顔で、自分の心の中を伝えた。

 「心、どうするんだぜ?」

 「私はどうもしないよ。太白さんは今は生きているし、恨んでいない感じだから・・どうして殺したのか。それを知りたいだけだよ」

 心の気持ちの整理もそろそろだ。

 

 夢ではアキラと梵天丸と紅虎に夢時人はやっと狂達に追いついた。因みに四方堂は別ルートで先に行っており、サスケもその場にはいなかった。

 『・・・時人』

 狂に倒された吹雪に呼ばれて傍に寄った・・・夢時人は、今までだましていた恨みを晴らそうと思いっきり罵声を飛ばした。

 「・・・文句が言えんな」

 「ええ、吹雪さんも時人さんの事を思ってやったのでしょうけど」

 「それでも、何も聞かされないことは腹が立つものだ」

 「・・・吹雪さんとクビラさん。同じ親で同じ気持ちだったんでしょうね」

 年上組の四人の言葉に、誰も口を出さなかった。

 『時人、もうやめなさい』

 『離せ!こいつのせ『この人は、もう死ぬんですよ』・・・え?』

 アキラの言葉に夢時人が動きを止めた。

 

 『本当は分かっているのでしょう?今しかないのですよ、あなたが本当に思っていること、心にしまっていることを正直に伝えなさい。今しないと、二度とできなくなるのですよ。話すことも、見ることも・・・触れることも』

 

 この言葉が後押しとなり、夢時人は紅の王に吹雪を助けてほしいと頼み泣き叫んだ。吹雪は悪の道に入ったがために、賢人と呼ばれる村正の娘として生きてくれた方が幸せになれると言ったが・・・

 

 『私の父様は、あなただけです!』

 

 この言葉に吹雪は驚いたが嬉しそうな顔になった。その顔を見た心と粉雪。

 「本当に、必死だったんだね。吹雪さんは恨まれる覚悟を持って、必死に守りたいものを守ろうとしたんだね」

 「これじゃあ、確かに何も言えねえな」

 心の気持ちに決着がついた。最後に吹雪が夢時人の顔を見ようとしたが、いきなり守るように起き上がった。

 「「「な!なあああ!」」」

 三若が驚いた。だが、それは皆もだった。吹雪が一瞬で散ってしまったからだ。

 

 「『と、と、父様~~!!!』」

 

 夢時人・・・そして、時人本人が叫んだ。見るのが二回目でも、やはり辛いものがある・・・時人は涙をぼろぼろに出していた。

 「ど、ど、どうなったっす!」

 「分からない」

 「・・・湖衣、何か怖いよ」

 「わ、私も、だよ。ひ、一二三ちゃん」

 「(ガタガタガタガタ)」

 「何じゃ、この心からゾクッと来る感覚は」

 柘榴と松葉は?を出して疑問だったが、ひねくれ組は寒気を感じていた。特に悠季は恐怖で震えていた。

 ついに紅の王が姿を現した。

 「結菜!目を閉じろ!」

 「双葉!見るな!」

 「だめよ!空、名月!」

 「薫も見ちゃダメ!」

 久遠達は一斉に名を叫んだ彼女達の目をふさいだ。本能が体を動かし、理性が危険と察知した。目をふさがれた五人は疑問に思ったが、久遠達の手、いや体全部が震えているのを見てすぐに分かった・・・恐怖で震えているからだ。紅の王の隣には、囚われのゆやもいた。

 『おい!ほたる!辰怜!』

 『遊庵はん!寿里庵はん!』

 『時人・・・時人!』

 だが、夢の方でいきなり仲間の壬生一族達が一斉に動きを止めた。

 「え?あの男、何を?」

 「・・・五人が動かない」

 貞子と各務の指摘通り、五人は置物のように止まっていた。

 「まさか、あ、あの漢が?」

 「ど、どうなっているのでしょうか!」

 「これは、こ、怖い(ガタガタ)」

 「悔しいが、同感じゃ!」

 紅の王の所業に白百合ですら恐怖した。そんな中、狂の体に入った壬生京四郎が現れ狂との戦いが始まった。目を閉じられた五人の意識をそちらに向けるように手を離した。初っ端から狂は朱雀、白虎を出したが簡単に消す京四郎に全員が驚いた。

 だが、さらに驚いたのは

 

 『あの狂相手に、向こうは同じ技を使えるにもかかわらずそれを出していない上に、簡単に奥義の二つを消しました』

 『狂、様子見している余裕はないはずだよ。全力で来ないと僕に勝てないよ』

 

 アキラと京四郎のこの言葉だ。この時点で、アキラと夢時人以上の戦いが始まろうとしていることが分かった。戦いは京四郎のペースで進み紅き眼となった京四郎に一度は倒されそうになった狂だが、ゆやの叫びに起き上がり無明神風流殺人剣の最終奥義・黄龍を発動した。

 『な、こ、これは!』

 京四郎もこの奥義に驚いて、玄武の盾を出したが壊されダメージを受けた。これで、狂は互角の状態にまで持っていくことができた。だが、青龍以外の奥義はアキラが出したが、その奥義を二つ同時出しや四つ全部出し、そこから新たな奥義・・・見ていて唖然とする者が殆どだった。やっと、理解が追い付いた時はボロボロになった狂と京四郎が刃をぶつけ合っていて、最後に狂が斬られた。

 「え?ま、負けた?」

 「そんな、ここで負け・・・あれ?何かおかしいですね」

 庵樹と朱雀の疑問に、京四郎に集まった夢の皆もそうだった。

 『え?もしかして、狂?』

 灯の言葉に全員がえ?となった。狂の体に狂自身が戻っていて、斬られた京四郎の体には本人が戻っていた。つまり、最後に狂の体で斬ったのは狂本人であり斬られたのが京四郎だったのだ。

 

 その時、サスケ・幸村とゆやと同じ人質の朔夜がやってきて全てわかった。京四郎は狂を強くして、紅の王を倒すあの黄龍を会得させるために敵として戦ったことを・・・それを聞いて怒りに燃えた狂は彼の胸倉を掴んだが、多大なダメージを負った京四郎の体が壊れようとしていた。だが、狂の特殊な血の効果で何とか体が戻った。元に戻って嬉しそうな朔夜は、京四郎とこれからも生きたいとプロポーズをした。

 「て、照れてしまいます~」

 「ほ、本当ですわ~」

 「ど、どどどど、どやややや」

 「貞子も、アキラ様に言いたいです。永遠に傍を離れない。そして、永遠に貞子はあなたをわが物・・・もといあなたのものと(グフフ)」

 「各務も、永遠にアキラのもので妻で奴隷・・・じゃない好きな人(ゴクリ)」

 幼い三人は純粋にかわいい事を想っていたが、この二人は何か別の恐怖を感じる。

 「・・・あやつに告白された時のことを思い出すな」

 「私もね。う、空達の言う通り照れるわ」

 「えへへ、アキラに抱かれた」

 「ああ、アキラ様・・・葵は、葵は」

 当主陣もまたデレデレしていた。ほかの皆もアキラに抱かれたものは四人のように思い出しては顔を赤くしていた。

 

 『ゆやさん。狂って子供だから、好きな人にはつい意地悪したくなるんだよ』

 『え?じゃ、じゃあ』

 『うんうん!何しろ狂の頭の中って三歳児だから!ほんと(ゴゴゴゴゴゴ)あれ?殺気が・・・っておわ~~!!』

 『てめえ、殺す!』

 『あはは、ごめんごめん!そうだよね~成長したよね~テヘペロ』

 『待ちやがれこら!』

 『四歳児になったもんね~~』

 

 さっきまで殺し合いをしていたとは思えないくらいのボケツッコミをするコメディチックな二人になっていた。そんな穏やかな一時を決戦の場でしていた。

 

 狂と京四郎の漫才も終わり、最後の紅の王との戦いの時が来ると思いきや、ゆやを連れて奥に引き下がった。追いかけようとしたが、紅の王の血で作った日の本を攻めるための血の兵士がアキラ達に襲い掛かってきた。まだ、ほたる達は動けない状態だ。

 「ま、まずいよ~~」

 「あれじゃあ、あの人達斬られるよ!」

 ひよところの言葉通り、兵達が襲い掛かってきた。

 「あ!アキラの氷なの!」

 「ハニー!さすがですわ!」

 「で、でも、あれを出すのも辛いはずじゃ!」

 「体も、戦える状態じゃないはずです!」

 「す、雀達が!って夢だから入れないよ~~!」

 「・・・(´;ω;`)」「我慢する?うん・・・分かった」

 アキラの氷がほたる達を守り、共に梵天丸と灯が兵士を追い払っていた。既に戦うどころか立つこともやっとのアキラに再び目が潤んだ。

 「こんな時でも、う、無茶をして!」

 「でも、これしかありませんよ。詩乃」

 詩乃は涙を出しながらそう言うが、雫の言葉に俯いた。

 

 『私はここでやっと見つけた気がするんです!命を懸けてでも守りたいものが!それを何が何でも守り通したい!それが分かった気がするのです!だから、あなた達も行きなさい!あなた方の命を懸けてでも守りたいものの為に!』

 

 そこに聞こえたアキラが、紅虎・サスケ・幸村に言ったこの言葉が皆にも響いた。

 「これじゃ。これこそ、余らの主様じゃ!(ウルウル)」

 「そうですな。某達の、愛する、大好きなアキラ殿です!(ウルウル)」

 「ねえ、市。僕達とても素敵な人を夫にしたんだね!」

 「うん!お兄ちゃん!起きたら私達を抱いてね!」

 アキラのその信念に、感激の涙を流す一葉と幽に真琴と市。

 「かかか!そうか、あいつはここでやっと今のアキラとなったのか!」

 「格好いいです、アキラ様!やっぱり如来様の化身です!」

 「綾那・・・いい加減その考えやめろよ」

 待ち望んだ姿に大笑いする桐琴と今だその認識の綾那に突っ込む小夜叉。

 

 『狂、早く紅の王を倒して最強の漢になってください!私はもうあなたの次に強くなりたい。とは言いません!戦いが終わったら体を治して、更に強くなって・・・そして、最強のあなたを倒して私が最強になります!』

 

 「くううう!格好いいぜ!」

 「うん!和奏ちんの言う通り!」

 「アキラ様~~。起きたら抱いて~!」

 「柘榴を嫁にしてくださいっす!」

 「松葉もなる!」

 「旦那~!今度はここと二人であたいらを抱いてくれ~~!」

 「こ、こなちゃん!ま、まあ・・・アキラ様になら、何度でも」

 「粉雪と心がそこまれ惚れたのら!」

 兎々以外の若者組の皆はもはや抱いて~!の勢いだった。

 「うむ!これこそ、アキラだ!・・・今回だけは同意だな」

 「壬月様、まさか、抱かれたいと?・・・私もですが」

 「拙もだ・・・この気持ちを伝えよう!」

 「何か今回のこの夢で、恋敵が余計に増えた気が」

 壬月が照れている姿にニヤニヤする麦穂。春日も告白する決意をした姿を見て秋子が汗を流した。

 

 夢では、氷も出すのがやっとのアキラなのに、兵は増え続ける。さっきまで喜びの叫びをしていた彼女らも今は不安でいっぱいだ。

 「夫殿を助けにいけないのが悔しいね」

 「でも、これは過去の夢。一体どうやって」

 「そうで・・・あ!こ、氷が!」

 ほたる達を守っていたアキラの氷が壊れ、更に兵からの攻撃も受けて膝をついた。

 「・・・絶体絶命、じゃな」

 完全に囲まれ、白百合の言葉に彼女らも慌てて壁を叩こうとした時、

 

 『『『『『待たせたな!』』』』』

 

 活動停止のほたる達が動いて、アキラ達を守った。そして、五人が一気に兵達を蹴散らしていった。ようやくそれなりに落ち着いたときに、ほたるが狂のところへ一番早く行く競争をしようと言い全員が同意した。それを見て、最後が近いと悟った皆。

 「そろそろ、最後だな」

 「ええ。長かったわね・・・」

 「アキラの事、たくさん知れた」

 「はい。あの人の猫の姿・・・ではなく大きな背中が印象的でした」

 「「「・・・確かに猫の姿もよかった!」」」

 葵の思わず出た本音に、真剣な顔から欲望が詰まった笑顔に変わった三人だった。

 

 その後、狂は無事紅の王を倒して血の兵達もいなくなったが、紅の塔が崩壊時に彼は行方不明になってしまった。

 『わが主の事は分かったか?』

 『あと少しあるが、我達はここでお別れだ』

 その崩壊の映像が出た時に、光の二人が出た。

 「・・・二人に一つ聞きたい。お前達はいったい何者だ?」

 「主と言っていたけど、ここまで見た感じ仕えていそうな人はいなかったわ」

 「向こうで仕えていた朱雀ならここにいる」

 「いい加減、言ってください。最後ならなおさら」

 「そうじゃ。聞かないと安心して起きられん!」

 真琴以外の当主がギロと二人の光を見た。最後の時なので、二人は力強い声で自分の正体を話した。

 

 『わが名は努力!主がアキラの右の刀なり!』

 『そして、わが名は友情!紅虎(とも)の魂が込められた左の刀なり!』

 『『皆よ・・・主を、アキラを愛し、そして守ってくれ』』

 

 久遠達に二人の思いを託して、二つの光が消えた。

 「旦那様の刀。あの光が」

 「なるほどね、それなら納得ね」

 「僕達に守ってくれ、と頼んだという事は」

 「認めてくれたんだよ。お嫁さんである市達の事を!」

 「なら、期待に応えないといけないでやがるな!」

 「うん!お兄ちゃんはずっと薫達を守ってくれた!だから今度は」

 薫の言葉には全員が答えた。

 

 「「「「「「「私達がアキラを守る番だ!」」」」」」」

 

 

 夢では、戦いからあっという間に三年の月日が流れた。

 『くそ!待てよ!』

 『そうですよ!』

 アキラは砂漠のどこかを歩いていた。後ろには夢時人と夢朱雀がいた。

 『二人とも、勝手についてきただけでしょう。ついてくるなら別に何も言いませんよ。ただし、甘やかすつもりはありませんから』

 歩き方からして、体の調子は元に戻っている。その状態を見て嫁達はホッとした。

 『どうしてこんなところ歩いているんだよ!』

 『砂漠を歩くなんて、理由でもあるのですか?』

 『ええ・・・』

 問いかけた二人に背中を見せたまま、アキラは言った。

 

 『足腰の鍛錬と共にはやる気持ちを抑えながら試しているのですよ・・・己の心の強さ。それがどこまで進めるのかを!』

 

 その背中はとても大きく、今まで見てきた中で一番彼女達の目を、心を奪った。全員がアキラの背中に魅入られた。

 『・・・待っていろよ!必ず追いついてやるからな!その背中に!』

 「待っておれ!絶対に追いついてやるからな!」

 夢時人と共に言った久遠のこの言葉が、最後の言葉だった。その後に皆の姿がどんどん薄れていき・・・夢の世界そのものが完全に真っ白になった。

 

 彼女らはそれぞれの部屋で目を覚ました。起きた際に、夢の出来事を再確認するかのように思い返し、同じ部屋にいた仲間と内容を話し合った・・・そのすぐ後にあの夢を見た者限定で評定の間に来る命令が来た。

 




 
 皆が夢から目を覚まし、最後の話は皆の思いを語り合う話です!それぞれがどんな思いを持ったか、どれだけ妻になろうと決めたか。う~ん、大ハーレムになるのが目に見えるな~~。光の二人も皆さん予想通りでしたよね。

 間章の方は第九.五章という形で書こうと思います!原作の間章以外にも妄想で考えている話も何話かあるので、別にすることにしました!

 エロとスケベをお待ちの皆さん。もう少しだけ待ってください!


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百七振り目 夫への彼女達の想い

 
 どうも、マリカー8DXやりたい!でも、スイッチない・・・三MENです。

 ( ̄∇ ̄;)ハッハッハ買いたくても高い・・・どうしようもない。動画で我慢しています。ううう、泣きたい。

 今回は起きた後の久遠達の想いと、アキラとあの人の戦いです!


 

 評定の間に集まった彼女ら。上段の間には久遠、美空、光璃の三人がいた。

 「集まったか・・・呼んだ理由は察しているだろう」

 「あんた達も見たわね。あいつの・・・夢を」

 「答えて」

 三人の問いかけに、全員が肯定した。

 「アキラの背中はいつも大きいと思っていた理由がやっとわかりました」

 「あの人は努力をやめない。信念を変えない・今でも強くなるために頑張っている」

 「拙らは止まったがアキラ殿は止まらない・・・だから、大きく見えました」

 「しかも、ただ強くなるだけじゃない。心もまた強くしようと頑張っている・・・ワシらがやらない事すらやる」

 「私達がやらないことをやり、成し遂げようと努力する。アキラさんに惹かれ愛するようになったのはそれを見たから・・・」

 「です!アキラ様は大きな人です!」

 「絶対に追いつきたいぜ、あの背中に!」

 壬月・麦穂・春日・秋子に森親子と綾那の言葉には全員が頷いた。

 「ところで、アキラ様はどこに?」

 彼女らの夫は、ここにはいない。詩乃は全員に確認すると

 「アキラなら朝起きたらいなかったよ」

 「でも、書置きがあった。城下に行くって」

 「一応、小波も一緒です。句伝無量で確認しましたので間違いありません」

 庵樹らが答えた。小波も一緒なら、と納得して話を続けた。

 「それで、過去のアキラを見てまず思ったことを言ってほしい」

 「あいつの妻なら・・・愛しているなら、もっとあいつのことを知りたいの」

 「だから、聞きたい。皆の想いも」

 三人の言葉に最初に反応したのが

 「私は、これ以上、無茶を、させたくないです」

 アキラの無茶を軽く通り越した大無茶を見てずっと泣いていた詩乃だ。

 「私も・・・旦那様が、これ以上あんな目にあうのは、見たく、ないです」 

 次に反応したのは双葉。この時点で二人は泣き、同じ言葉を出す妻が出てきた。

 「私もよ・・・でも」

 「結菜様。無理かと思います・・・私達の為に必死になるのが、アキラ殿ですから」

 「麦穂様の言う通りです。でも、あの姿を見ると和奏達も頑張りたいです」

 「あ、あの、あの!わ、私も、頑張りたいと思ったです!」

 「空ちゃん。薫達もだよ!だから、お兄ちゃんを無茶させないように私達が頑張っていこうね!」

 話がアキラの無茶すぎる話になっていった。だが、まだ脳裏に焼き付いているアキラの過去の夢を話題に出されては無理もない。

 

 一通りその話も終わると、壬月が白百合に声をかけた。

 「白百合、一つ訊ねたい。いいか?」

 「何じゃ?」

 「お前、アキラと夢の時人の戦いを最後まで見たよな。私達は思わず目を閉じたが、その閉じているときに一体何があったんだ?」

 「ふむ、その事か」

 「興味がありますね」

 「聞かせてくれるかい?」

 虎の目と耳から言われ、皆も集中していた。軽く流そうも、後でしつこく聞いてきそうな連中が何十人もいそうなので素直に話すことにした。

 「確か、夢の時人が刀を振り上げたところじゃったな」

 「そうじゃ、余らは・・・もう殺されるしかないと思った」

 「寿里庵と言う男の言う通り、体の全てが動かせそうにないひどい状態でした」

 「ああ。私達ですらそう思ったよ」

 「あそこからああなるなんて、考えられませんでした」

 「私も同感です」

 白百合の確認に、一葉と幽にひねくれ組も頷いた。

 「わしもあの体を見てそう思ったわ。逆転なんて不可能と・・・限界と信念と誇りを持った戦いを目に焼き付けないのは武人としてもったいないと思い、見ておった」

 「だけど、アキラが勝ったの!」

 「そうですわ!でも、どうしてなんでの!!」

 鞠と梅の質問に少し苦い顔をした白百合。

 「・・・こんな言葉は、公方と同じくらい阿呆じゃないかと思われるが」

 「何故、余を例に出すのじゃ!」

 「落ち着いてください・・・それで?」

 「否定せんか!幽!」

 この漫才も無視して、白百合は苦い顔をしながら言った。

 

 「アキラの刀・・・努力と友情。この二つがあいつの体を動かして勝利に導いたように見えたのじゃ」

 

 本当に白百合らしくない言葉だ。努力と友情が勝利を作ったなんて・・・でも、勝ちを手に入れたのを彼女らは目の当たりにしたから、その言葉を否定できなかった。

 「そうですね。兄様はそれで勝利を勝ち取った!」

 「それにお兄ちゃん言っていたもん!努力を重ねればキセキが起こるって!」

 「そうでやがるな。白百合の言う通りでやがるな」

 「そうだよ!お兄ちゃんはとっても頑張ったんだから!」

 彼女らの言葉に皆もどんどん頷いていった。そんな中、

 「そうだね・・・努力によるキセキだな。四方堂さんの言う通りだ」

 「え?庵樹さん。どうしたの?」

 「何か、あるの~」

 庵樹が口を開いた。聞こえた和奏と雛が訊ねた。

 「ああ、二人の戦いを見た人がいたんだ。笠をかぶって胸にサラシをまいた人がいただろう?その人さ」

 「え、ええええ!あ、あの戦いをみ、見たって!」

 犬子の叫びに全員が庵樹を見た。

 「四方堂って言うんだけど、彼女がこう言ったんだ。アキラがあのキセキを起こして勝てた理由を」

 その言葉を彼女らはしっかり聞いた。

 

 「キセキというのは必然の中にあるもので、時々顔を出すものらしい。アキラはずっと努力を続けてきた・・・体に刻まれた何十以上もの傷が、体に覚えた動きをするために一撃を作った努力のキセキ。これが勝った理由だと言ってたよ」

 

 庵樹のこの言葉に全員が考えさせられた。

 「努力のキセキ。そうですね、アキラ様らしいです」

 「それに、あの体の傷が言っている気がするぜ!旦那はもっと先に行くって!」

 「私達は置いていかれないように、私達も努力しないといけないね!」

 「「「「「「その通りだ!」」」」」」

 歌夜・粉雪・心の言葉に皆が叫んだ。

 「空様。アキラ様はずっとそれをし続けてきたからこそ、勝つことができたという事ですわ!」

 「名月様の言う通りですぞ!空様も美空様の跡取りになるのですから、もっと頑張るんだ!とアキラ殿は言っているのですぞ!どーん!」

 「うん!名月ちゃん、愛菜ちゃん。頑張ろうね!」

 「はい!」

 「お任せあれですぞ!」

 こちらは仲の良い友情を見せた。美空もこれなら期待できるとこっそり思った。

 

 皆の心境と今後の戦いへの意気込みもできたところで解散・・・といけばよかったのだがある一人の一言がそうはいかなくなった。

 

 「そうだ!柘榴、アキラさんのお嫁になりたいっす!誰に頼めばいいっすか?」

 

 この一言が、まだ嫁になっていない将の気持ちを奮い立たせた。

 「松葉も!誰に頼めばいい?」

 「それを言うなら、拙もだ!アキラ殿を愛している!」

 「わ、わわわ、私」

 「おや、湖衣。君もかい?」

 「・・・う、うん」

 「本気なんだね」

 松葉と春日の勢いに乗ろうとした湖衣。一二三がニヤニヤしながらツッコミをした。だが、肯定したためそれ以上はからかわなかった。

 「(ど、どうすれば。わ、私は葵様だけ!葵様ただ一人と決めているのに・・・あんなにすごいアキラ殿の姿を見たら・・・だ、ダメダメ!考えてはダメ!そう!しっかりしなさい悠季!アキラ殿の妻な、んて。う、ううう)」

 悠季は脳裏に繰り返されるアキラの死に物狂いで戦う姿に顔を赤らめていた。葵の顔を思い出して、違うと考えていたが逆にドツボにはまっていくことに気づいていない。

 「ワシも妻になるぞ。今までは冗談で嫁になると言っていたがが、確か奥の管理は、結菜殿でしたな。ワシもならせてもらうぞ」

 柘榴・松葉・春日・湖衣が嫁になろうと言っていると、何と一番そういうことに興味がなさそうな白百合もなると言いだした。

 「し、白百合!ほ、本気なの!」

 

 「本気じゃ!魂の全てを出したと言ってもいい戦い。女の心が燃え上がったわ!早いところアキラと裸で抱き合って、子作りしまくって、情欲に燃え滾りたい気持ちが沸いてきたわい!嫁に・・・子を産みたいと本気で思ったわ!」

 

 結菜の驚きにかかか!と笑いを加えて答えた。そこまで断言するくらい嫁になろうと思う白百合に全員が驚いた。

 「・・・失礼するぞ!」

 「公方様!ダメですぞ!」

 「ちょっと、厠へ」

 「詩乃!まだですよ!」

 「「・・・・・・こそこそ」」

 「各務!気配消して出るでない!」

 「貞子もですよ!」

 「・・・・・・」

 「葵、無言で去ろうとするな!まだ終わってないぞ!」

 「そう言う久遠もよ!」

 「美空も人のこと言えない」

 「姉上もでやがるよ!」

 裸で抱き合い、子作り。の言葉に皆も情欲が沸いた。我先にと評定の間をでようとする者が出てきた。

 

 「ええい!こうなれば、早い者勝ちだ!」

 

 終了の合図が出てないのに、久遠が立ち上がって駆けだした。その姿を見て

 「「「「「負けるか!」」」」」」

 一人を除く全員がそれに続いた。

 「(ううう!もう、もう・・・ダメ。アキラ殿に抱かれる妄想しかできない!葵様に意地悪される妄想も、今はアキラ殿に縛られて首輪をつけられて屈服されて、滅茶苦茶にされる妄想しかできない。やっぱり、私はアキラ殿が好きのでしょうか?)」

 その一人である悠季の思っていることがもし口に出ていたら、おそらくこのツッコミが出ただろう。

 『それは妻ではなくメス犬だと・・・』

 

 

 そのアキラはというと、ある人物のところに行った。

 「ふむ。それで戦いたいと」

 「京での最終決戦も近いですし。正直体も少しなまっていますから」

 学問所にいる太白のところだった。その理由は戦いの申し込みだった。

 「あなたにも利はあると思いますよ。上洛するために出陣したら、光璃や心達がこの甲斐からいなくなります」

 「そうなると、ここにいる子供達やその親を守れるのは自分だけ。と言うつもりか」

 「そうです。鬼の脅威はあらゆるところで子供達に危険を及ぼしています・・・そういう子供達をかつて京で見たことがあります」

 アキラは戦いたいだけでなく、自分と同じような子供がまた出てほしくないという気持ちもあり、実力をお互い確かめる意味も込めて今回申し出た。

 「・・・よかろう。紅虎にあれだけ文句を言ったそなたとも闘いたいと思ってた」

 太白はアキラの申し出に了解した。

 「おじちゃん、戦うの?」

 「え~、お兄ちゃん。勝てるの~」

 「とっても強いよ~!」

 「ふふ、どうかな?」

 「では、御刺使川に行こうか。あそこが広くていい」

 「ええ。では・・・」

 アキラと太白、そして子供達は外に出て歩き出した。

 『一応、伝えた方がよろしいでしょうか?』

 念のため、アキラは太白と戦う事を久遠達に句伝無量で伝えるよう小波に頼んだ。その報告を受けた彼女らは、門を出て城下に向かおうとしていた。

 

 二人の戦いの前に全員が到着した。後れを取った悠季も何とか合流できた。御刺使川の広い場所で、二人は見合ったまま動かない。アキラは努力と友情を、太白は刀を一つ抜いており、二人は三メートルほど離れていた。

 

 「「・・・・・・(ジロ)」」

 

 戦いはもう始まっていた。

 「ど、どうして、二人は動かないのですか?」

 「そ、そうですわね。何故ですの?」

 「空様、名月様・・・違うのですぞ」

 「そうよ、愛菜の言う通り。むしろ動けないのよ」

 疑問に思った空と名月に答えた愛菜と美空。聞こえた双葉は一葉に訊ねた。

 「あの、お姉さま。どういうことですか?」

 「双葉、あの二人の間合いじゃ。どちらかが後一歩、いや半歩でも進むと」

 「某達でも、よけるのが精いっぱいになるくらいの攻撃が来るのです」

 「え!で、でも・・・お互いあんなに離れているのに!」

 「驚くことでもない。あれくらいならわしや一葉にもできる・・・ただ、あれほどの間合いの広さはとれんじゃろうがな」

 双葉に説明した一葉と幽の言葉にひよが驚いたが、桐琴がキセルを吹きながら真面目な顔で呟いた。

 「でも、動かないのはじれったいっす!」

 「ああ、旦那と親父。どれだけ強いか見たいんだぜ!」

 「です!早く、動いてほしいです!」

 「ああもう!じれったいぜ!」

 柘榴・粉雪・綾那・小夜叉はそわそわしていた。

 「・・・全く、しょうがない奴らじゃ」

 桐琴が近くの木から数枚の葉をちぎって風に乗せた。すると、二人の間を数枚流れた。うち一枚が、太白の視界を遮った瞬間だった。

 「夢氷月天!」

 「む!」

 アキラは持ち技を放ったが、太白は動かないで破った。いや、夢で出てきた通り、あの速すぎる攻撃で技を破ったのだ。

 「あ、アキラの技が」

 「あれが・・・太白さんの攻撃」

 「す、凄いのら。何もしていないようにしか見えないのら!」

 「桐琴!あの者は何回切った?」

 松葉・心・兎々、いやほとんどが太白の太刀筋を見ることができなかった。夢の中では彼女だけが見ることができたので、壬月は訊ねた。

 「四回じゃが・・・あれはまだ手加減じゃな」

 「え!あれでなの!」

 「夢でもそうでやがったが・・・やはり生で見るのと違うでやがるな」

 夢で見ると現実で見る、この違いは天と地の差がある。薫は驚き、夕霧は太白の凄さに体を震わせた。

 「これは、時人さんの時と同じくらいの戦いが見れそうですね」

 「ぱっと見でもわかる。あの夢では、途中から紅虎に合わせて戦っていたが、今回は完全に自分の戦いでやる」

 「つまり、あの時とは違う。という事ですね」

 秋子の言葉に全員が息をのんだ。

 

 「斬!阿修羅掌!」

 「く!(パチ)・・・ここだ!」

 太白が自分の技を出してアキラを襲った。まずいと判断したアキラは目を開けて、超視野化を発動させてその技の隙間を見切ってよけた。

 「ほう、よけたか!」

 「この目がなかったら危なかったですが・・・それにしても」

 だが、服が二か所ほど少しだけ斬られた。それを見て笑顔になった。

 「あの時より強くなっていますね」

 「子供達の為を守るために、一人で修業したのだ!」

 「だが、強くなったのはこちらも一緒!参ります!」

 「こい!」

 二人は刀をぶつけた。すると、太白がニヤリと笑った。

 「(ゾク)っは!」

 「遅い!・・・双!阿修羅掌!」

 何と、太白が隠していた刀を抜いて左右で斬・阿修羅掌を放った。左右の光の刀筋は超視野化で見えるが、囲まれるように斬りかかってくるため全部はよけられない。夢氷月天を盾替わりしようとしたが、

 「ふ、それだけと思うな!」

 「な!」

 一瞬の隙をついて太白がアキラの間合いに入り込み、渾身の一撃を出した。努力と友情で抑えたが、

 「ぐ、くうう!」

 動きを止められたため、双・阿修羅掌の刀筋を全部はよけられなかった。

 「「「「アキラ!」」」」

 皆の悲鳴と共に片膝をついた。

 「すごいな。太白がもしケガしてなかったら」

 「吹雪さんはあの刀を刺せてなかったかもしれませんね」

 「気配に気づけたくらいだからな。それにしても二刀流とは思わなかった」

 悲鳴を出さなかった時人達は想像以上の強さに感服した。

 「ふふ、ははは!やはり、こうでないと面白くありません!」

 「ああ、そうだな。さあ、戦おうぞ!」

 アキラは血を流していたが、嬉しそうに立った。太白もまた二本の刀を構えてアキラに笑顔を見せた。

 「お頭、楽しそう」

 「うん、とっても喜んでいる」

 「あの人はそう言う人です。はあ、こちらの心配なんて知らないんでしょうね」

 「ああ!ハニー!格好いいですわ!」

 「でも、今回は安心して見られます」

 「アキラ~、頑張って~なの~」

 「すごい。太白さんって、ここまで強かったなんて」

 「はい、ご主人様だからこそ戦えるのでしょう」

 アキラのその姿に喜んだり、呆れたりするアキラ隊の面々だった。

 

 「いきますよ・・・朱雀!」

 壬生の血を発動させ、アキラの目が赤くなった。そして、紫微垣なしで朱雀を発動させた。ついに紫微垣なしで壬生の血を使えるようになった。

 「なるほど!ならばこちらは!」

 太白は斬・阿修羅掌を出してその朱雀を切り裂いた。だが、

 「お返しです!」

 白虎も出していた。その白虎ももう片方の技で切り裂いたが、そこから動けない状態にされアキラに引き寄せるのがその技の真骨頂。

 「く!体が!」

 「ふふ、背後も気にした方がいいですよ」

 「?な、何!」

 切り裂いたはずの朱雀が元通りに戻って太白に襲っていた。

 「そうだ、朱雀って不死鳥だったね」

 「どんなに切り裂かれても元に戻って相手を攻撃する。恐ろしい技ですね」

 「決まりそうですよ!」

 悠季の言葉に全員が注目した・・・だが、太白もただではやられない。もう少しでアキラのところに着く時に

 

 「全!阿修羅掌!」

 

 太白の体全体から刀筋が現れた。それが出た時は、アキラも驚いてしまい動きを止めた。それが白虎の見えない腕を切り裂いた。そのままアキラを襲おうとしたが、すぐに意識を戻して間合いの外に逃れて背後に回った。

 「太白・・・あなたも感じたでしょう」

 「決着のようだな!」

 太白は後ろに振り向きながら、自分の技を放った。

 

 「不死鳥の息吹を!」

 「双!阿修羅掌!」

 

 お互いの技をぶつけて、通り過ぎた。アキラはいろんな箇所が斬られ、太白もまた朱雀の一撃をその身に受けて、そのまま二人は倒れた。

 「「「「「「アキラ!」」」」」」」

 「「「「おじちゃん!」」」」

 嫁達の、子供達の、二人を叫ぶ声が聞こえ、立ち上がった。

 「・・・ここまでですね」

 「ああ。楽しかったぞ!」

 その場でアキラも太白も座って笑った。これ以上は命にかかわるので、ここで手合わせは終了した。

 「アキラ!全く、お前と言うやつは!」

 それが分かると、久遠を筆頭に大急ぎで皆がアキラと太白のもとに向かった。それぞれ、賞賛と文句と手当てをやりに・・・。

 

 この日は手当てが優先となり、彼女らの目的である抱かれて子作り!は断念することになった。悔しそうに残念そうな顔をしていた彼女らを見て疑問に思うアキラだった。

 




 
 というわけで、いろんな人がアキラの嫁に!何と白百合まで本気になりました!悠季は別の意味で本気になりましたが・・・。

 アキラは太白と戦いました。太白を二刀流にしたのは、彼ほどの武人なら無事に使いこなせ、左右からあの技を出せると思ったからです。ただし、白虎に掴まれた時に使ったあれは人気忍者漫画の主人公のライバルが別の技を使っていたのを参考にしました。

 ここでこの章は終わりです!やっと、エロ満載の間章突入です!


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第九.五章 この章と書いて間章23と読む
双葉・結菜 いったい何人増えたの? R-18


 
 どうも、リアルが忙しく寝る時間が増えた三MENです。

 ここからの第九.五章は一話二話と書きません。その話のヒロインを書きます。何故なら、そう書かないとどの話でヒロインにしたか分かりませんから!え?完全にお前の頭悪さだって?・・・とりあえずこの章だけはそうしますので・・・すいません。

 では、久しぶりの間章です!


 

 アキラと太白の闘いが終わった次の日、久遠達は上洛の用意を始めた。その際、活躍したのが詩乃が勧めたころだった。万単位の兵の移動の食料や馬の飼い葉、移動速度などは、川並衆の棟梁をしていたころならうまく計算できるのでは?とのことで、実際その計算を見せてもらった久遠達当主陣は異論なしでこの大役を彼女に任せた。

 「ころ、頑張りなさい」

 「うう、大役だよ~こんな仕事、したことないよ~(ビクビク)」

 詩乃は、嬉しそうにころにエールを送った。

 「それはそうとアキラ様。昨日のケガは大丈夫なのですか?」

 「そうよ、話し合いにはあんたも参加してほしかったから出てもらったけど」

 「辛いなら、言って」

 体から血もそれなりに流したので、やはり彼女達は心配だった。

 「問題ありませんよ、あれくらいのケガなら向こうでは日常茶飯事です」

 「あ、あれで日常茶飯事か」

 「ええ。灯の十分の九殺しの方がもっと苦しかったですし」

 その言葉にアキラ以外の皆が冷や汗を流した。実際、クビラ戦後に灯の悪口を言った後ボロボロにされたアキラを見たから、その例えは分かりやすかった。

 「そ、そうか・・・分かった」

 「・・・そうだ、ころに頼みたいことがもう一つありました(ニヤリ)」

 「え?な、何ですか。お頭?・・・何か、とっても嫌な予感がするんですが」

 「大したことありませんよ。以前、隊の皆で食事をした際に光璃の料理の先生をしてもらおうという話がありましたよね。それを近いうちにと思いまして」

 「うん、お願い。アキラの食べたいものはころが一番知っていると聞いた」

 「(ノД`)・゜・。は?」

 一瞬放心状態になったころ。言葉の意味が理解すると、

 「な、ななななな、なああああ、思いっきり大事じゃないですかあああ!わ、わわわわ、私が!ひ、ひひ、光璃様の!」

 だが、光璃一人で止まらなかった。

 「それなら我もやるぞ!ころ、頼む!」

 「それは聞き捨てならないわね。光璃に負けたくないし、私も頼もうかしら」

 「おや、二人生徒が「私もお願いしますね、ころ」ふふ、更に増えましたね」

 「え、えええええええええ~~~~~Σ( ̄□ ̄|||)!!!!」

 詩乃はともかく、残り三人が国の主。ころにしてみたら、今回の仕事以上に大きな役目を与えられたようなものだ。しかもそこに、

 「ころ!余も習いたいぞ!」

 「う~む、ころ殿の料理の腕は某も一目置いておりますからな。ここは某も」

 共にいた一葉と幽も参加したいと言ってきた。日の本の将軍とその側近までもがころ先生のお料理教室で学びたいとのことだ。

 「な、何で!こんなことになっているの~~!!」

 彼女らの申し出を断ることは、ころには絶対にできないことだ。汗と涙を流しながら大パニック状態になった。

 『葵や真琴辺りも学びたいと言ったらさらに面白そうですね・・・声をかけて見ましょうか』

 その彼女を見て、あくどいことを考えながらアキラは評定の間を後にした。

 

 自分の部屋に戻ると

 「旦那様!もうケガは大丈夫ですか!」

 双葉が涙目で抱き着いてきた。さっきの彼女達同様大いに心配していた。

 「ええ、問題ありませんよ」

 「心配させないでください。双葉は・・・旦那様がいつも、心配で、心配で」

 「すいませんでした。あと、お茶をもらえませんか?」

 「あ、はい!」

 頭を撫でながらお茶を頼み、飲んでリラックスした。だが、双葉は傍を離れない。

 「旦那様、お聞きしたいことがあります・・・旦那様は姉様や久遠様達と一緒に京へ・・・戦いにいかれますよね」

 「それが何か?」

 「ふ、双葉はその前の坂本城で・・・留守番です。一緒に戦えません」

 ここまでで分かったが、最後まで言わせた。

 

 「あの・・・私も旦那様の力になっているのでしょうか?」

 

 オドオドしながらアキラの顔を見て言った。やはり、不安があるのだろう。

 「不安なのですね。自分は何もできていないと思って」

 「・・・はい」

 「大丈夫ですよ。あなたは私を愛するだけでいいのです。それが私の力になります」

 「で、でも、それじゃあ」

 実際に何かしたいという気持ちが強いのか、その言葉だけではまだ不安が高い。だから、アキラはあの漢の話をした。

 「ある漢はですね。ある一人の女性に愛されたから最強になれたのですよ」

 「え?な、何の事です?」

 「その漢はですね。自分の為に戦っているように見えて、その女性の為だけに戦っていた。その思いが最強の肩書を手に入れた」

 突然話し始めたが、双葉はそのまま聞いた。

 「その女性もまた、その漢の事を心配して・・・とても愛していました。その女性は双葉、あなたに似ている」

 「わ、私に!」

 「そうです。その女性も力がなく、優しい。その女性がした事はただ一つ。愛することだけです・・・そう、私はあなたから愛という無限の力をもらえるのですよ」

 「私が、旦那様に、力を」

 「だから、大きく役に立っていますよ」

 

 『もしかして、その漢の人って狂という人で女性がゆやさんっていう人じゃ・・・』

 

 夢で二人の事は知ったので、容易に想像できた双葉。ゆやの例えは、双葉にとっては

 「はい、旦那様!双葉は・・・旦那様をとっても、とっても愛しています!」

 元気にするには十分な例えだった。嬉しそうにアキラの肩に頭を乗せて、アキラの手を握った。

 「旦那様・・・」

 顔を赤らめながら、アキラにキスをしようとしたが

 「アキラ。いる?」

 そこに結菜が入ってきて、慌てて離れた。何をしようとしたのかすぐにわかった結菜は謝罪した。

 

 

 用事があるからと、双葉と一緒についてきてほしいと言われて部屋を出た。

 「どこにいくのですか?」

 「くればわかるわよ」

 そう言われたが、アキラは分からなかった。何故なら、結菜の部屋とは反対に向かって歩いているのだ。

 「「あ!お兄ちゃん!」」

 「兄様!」

 「兄上!」

 すると、浅井夫婦と武田姉妹がいた。

 「四人そろって何をしているのですか?」

 「うん!真琴さんとお市さんに側室の事を聞いていたの」

 「か、薫だけでやがるよ!ゆ、夕霧は」

 「な~に、照れてるの。夕霧ちゃんもお嫁さんなら、一緒に聞けばいいじゃない」

 「は、ははは」

 夕霧が否定しても、薫と市が追いつめる。その光景に真琴が汗を流す。

 「あ!お兄ちゃん。薫ちゃんに夕霧ちゃん、双葉様と結菜お姉ちゃんもいれた私達五人がしっかり支えてあげるね!それと、今度市達を抱いてね♪」

 「あの、市。僕も側室だよ。でも、兄様。お願いします」

 「そうそう!夕霧ちゃんの説得は任せてね。だから、薫達も忘れちゃダメだよ」

 「だ、だから~~!今は薫に側室の心構えを「今って言うなら、すぐだね」ううう~お市殿って、こんなにぐいぐい押す人だったでやがるか~」

 「あははは、僕は慣れたから」

 どんどん追いつめられる夕霧を更に追いつめる市と薫。さっきよりも多く汗を流して見る真琴。結菜の約束があるので、場を離れた。

 

 再び三人に戻る。

 「市を見て思いだしましたが・・・小谷に泊まってからでしたね。夫婦で寝るしきたりを作ったのは」

 「そうね・・・今思うと久遠もよく続けられたわね。あの頃は今ほどデレデレじゃなかったから」

 「お市さんも、妹としてアキラ様の事を気にしていたのでしょう。双葉も妹なので、よくわかります」

 「おかげで久遠の真っ赤な顔を見れて楽しいですよ」

 「私もよ。アキラと一緒に寝られるの」

 「羨ましいです。双葉も旦那様と」

 そこで口を止めて、二人は赤くなった。今、結菜と双葉の頭の中には抱かれた時のアキラの傷だらけの体がある。鮮明に思い出して、恥ずかしくなった

 「どうしました?」

 「「な、なんでもないわ(です)!」」

 顔を横に振ったその時だった。

 

 「アッキラ様~~!!!(ドッゴーーン!)「ぐふ!」」

 

 大砲の玉と書いて綾那と読む破壊力抜群の攻撃がアキラに命中したのは・・・完全に不意打ちをくらったアキラはそのまま意識を失った。

 

 

 意識が戻ると、そこは庭だった。そこでは

 「僕ら織田に挑むとはいい度胸だ!」

 「弱小織田が一番強い長尾に勝てると思っているっすか?」

 「何を言うのら!武田の方が一番のら!」

 「三河武士の力を見せるです!歌夜!小波!やるですよ!」

 四つの勢力に分かれて戦いが始まろうとしていた。ただし、武力ではなく

 「アキラ~!アキラも蹴鞠するの!」

 蹴鞠勝負だった。それぞれの腕、いや脚ききの戦力が集まった。

 「武ではなく、蹴鞠の戦いですか」

 「昔じゃ考えられなかったわね」

 「これも、旦那様が頑張ったからです!」

 「ふふ、ありがとうございます」

 双葉と結菜の手を握ったアキラ。妻二人と微笑ましい空気を作った時に

 「で、アキラ様はどこに入るです?」

 綾那が訊ねてきた。

 「・・・は?」

 「何のために綾那がアキラ様を連れてきたと思ってるですか!」

 これで、ちょっとした騒ぎが始まった。

 「お頭。織田ですよね!」

 「長尾っす!人数少ないっすから!」

 「武田に入るんだぜ!」

 「鞠となの!アキラ~いいでしょう!」

 「双葉様と結菜様もやりませんこと?同じ織田なら大歓迎ですわ!」

 「お願い、嫁の松葉のところに来て」

 「ああ、あの、心のところに」

 「私達の三河にどうぞ!」

 「ご主人様。き、来て、ください・・・ご主人様、小波は・・・身も心もご主人様と一緒に・・・」

 「アキラ様!犬子達を捨てる気!」

 「あ~ん、あ~ん、アキラ君にすてられた~(棒読み)」

 ・・・いや、大騒ぎとなった。

 

 大騒ぎとなったあの場は、結菜との約束を持ち出して何とか抜け出した。

 「危なかったです・・・何処入ってもまずかったですし。というか、松葉が嫁という言葉を出していたような」

 「柘榴ちゃんもそうだけど、あなたの嫁になるって言っていたわ」

 「は?あの二人もですか?いったいどうし・・・ってどうしたんです、結菜。そんなあんたのせいでしょ!的な目で私を見て?」

 

 『あの夢の事を知らないのよね。でも、あのアキラを見て言いだしたんだから』

 『私達ですら、あの旦那様を見て更に好きになったのですから・・・うふふ、旦那様らしいです』

 

 結菜は呆れた目で、双葉の方は嬉しそうな目で見ていた。そうやって歩いていると、

 「おう、愛しの夫ではないか」

 「アキラ。あんたも飲むかい?」

 白百合と庵樹の声が聞こえた。そっちに振り向くと、年上組と時人と朱雀がいた。

 「庵樹はともかく二人もこっちにいるとは珍しいですね」

 「ははは!確かに、向こうの皆と蹴鞠をしていそうだな」

 「その発言にツッコミを入れたいんだが・・・アキラ忘れてないか?」

 「私達、アキラ様より年上ですよ?」

 この三人は不老長寿の壬生一族。いつ生まれたかは知らないが、最低でも二十歳以上にはなっている。

 「はは、時人と朱雀がそういう風に見えなかったので忘れていました」

 「そういうことだから」

 「拙らと酒を飲むのも、問題ないってことさ」

 そんな彼女らの手には杯があった。というか、白百合と壬月は既に楽しんでいる。

 「私らも、顔を合わせて話をしているという事さ」

 「アキラ殿もどうです?結構いける口でしょう?」

 「・・・そ、そう、ですね」

 共に飲もうと誘うが、秋子だけは暴走アキラを思い出した。

 「う~ん、今回は約束があるので遠慮します。また今度で」

 「何じゃ。嫁のわしがこの胸で飲ませようというのに、この一杯だけ・・・どうじゃ?」

 白百合が自分の胸に先を注ぎ、朱雀のおっぱい酒をやってアキラに迫った。

 「う~む・・・じゃ「ア・キ・ラ」、頂きますか」

 結菜の怒りも流して、胸に顔をつけてズズズと飲んだ。その際パフパフをやってきたり、小さく喘ぎ声が聞こえたのは気のせいにした。

 「御馳走様・・・と白百合。嫁という言葉が聞こえたのですが?」

 「かかか!わしも春日も嫁になることにしたわ!」

 「よ、よろしく頼む!///」

 「春日まで・・・いったい何が?」

 さっきの二人といい、とことん疑問に思うアキラだった。

 『本当に本気だったな』

 『はい・・・うう、私もやればよかった』

 『恋敵が増える一方です・・・どうすれば』

 「これからはわしも抱くんじゃぞ!ふふふ、この体以外目に入らないくらい性の技を叩き込んでやるわ!」

 「拙はそこまで求めないが・・・アキラ殿との子は産みたい。よろしく頼む!」

 『本気でヤバいぞ!一刻も早く手を打たないと』

 『はい!も、もう・・・ためらっていられません!』

 『貞子ちゃんに聞いた、いやらしすぎる方法を実践するときです!』

 既に嫁の壬月・麦穂・秋子はこの二人の本気度の高さに不安を高めた。さすがの壬月も女の魅力が相当ある白百合が相手では不安なのだろう。

 「ふふ、アキラ・・・ますますモテモテだな」

 「狂や梵天丸のやつが見ていたら激怒するな」

 「女を抱きまくって楽しむ。昔はそれが楽しみでしたからね」

 アキラとの絆は正室らより強いこっちの三人は、余裕で二人の言葉を流した。

 

 部屋を出たら結菜がもう白百合に手を出したのか、聞いてきた。どうやら白百合のあの言葉が二人を不安にしていた。

 「大丈夫ですよ。嫁と言っても貞子ほどではないでしょうし・・・(((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

 自分で貞子の名前を出した途端、恐怖に震えた。

 「し、しっかりしなさい!」

 「さ、貞子さんって、旦那様に一体何をしたのでしょう?」

 「聞かないで、くださ、い」

 深呼吸をして落ち着こうとしていると、

 「アキラ、様!ど、どうしたのですか!顔が真っ青ですよ!」

 「おや、誑し殿・・・(プイ)」

 前から葵と悠季がやってきた。葵はアキラの顔の青さに抱き着いてきたが、悠季は顔を真っ赤にして横を向いた。

 「な、何でも、ありません」

 「そうですか・・・よかった。大好きなアキラ様が苦しそうな姿をするのは葵はとても辛いです・・・何か不安があったら言ってください(ぎゅ)」

 抱き着きながら、アキラの手を握り自分の胸に置いた。

 「そ、それに・・・葵は、いつでも・・・あなたを(ウルウル)」

 「あ、葵様!さ、さあ!い、行きましょう!それでは、夫・・・ではにゃく、たらちどの!しちゅれいしまちゅ!」

 とろんとした熱のある目と顔になって求める姿を見て、悠季は慌てて手を引っ張って去っていった。彼女らしくない焦りがおかしな言葉にさせていたが。

 「・・・おかげで落ち着きました」

 「それは、よかったわね」

 アキラその焦りで落ち着きを取り戻し、結菜と二人が行った方を見ていたが、

 「あの方・・・アキラ様の妻になって変わりましたね。以前は幕府にご機嫌取りに来る人達みたいな顔をしていましたのに。今はとても明るくなっています」

 双葉だけは初対面と今の違いを見ていた。

 

 館を一周するかのように歩いていると、

 「おら!これでどうだ!」

 「かかか!まだまだじゃ!」

 「でも、アキラの方が上」

 森親子が手合わせをして、各務がそれを見ていた。

 「(くんくん)!!アキラ!」

 匂いで傍にいることに気づき、その場からジャンプしてアキラに飛び込んだ・・・五メートルくらい離れていたのに。

 「はあ、はあ、はあ・・・ダメ、もう」

 アキラの顔を見て匂いを嗅いだだけでさっきの葵以上の蕩け顔になり服も乱した。

 「か、各務!止まりなさい!」

 「無理!アキラ・・・私の、ここ(ドゴ、バタ)」

 下着を脱いでびしょびしょになっている自分の秘所を見せようとしたが、背後から桐琴が彼女を気絶させた。

 「全く、盛るならわしらも混ぜろって」

 「母!俺もいれているのか!」

 「何じゃ?今までもアキラに可愛がってもろうたじゃろうが」

 「い、言うな~~!」

 「ま、まあ・・・ありがとうございます」

 「じゃが、各務の気持ちはわしらも一緒じゃ。近いうちに抱いてもらうぞ」

 そう言いながら胸当てを外して、秋子や白百合に負けないその胸をアキラに見せた。それを見た結菜と双葉は、

 「い、行くわよ!ほら!」

 「そ、そうです!」

 「かかか!今回は側室殿に譲るかのう!」

 桐琴の笑い声をバックコーラスにしてその場を走り去った。

 

 

 やっと結菜の、いや結菜と双葉の部屋だ。アキラの側室で奥の管理も一緒の部屋がやりやすいという事で二人一緒なのだ。

 「いろいろありましたが・・・用は終わりましたか?」

 「あら?気づいていたの?」

 「何の用かまでは知りませんが、皆さんと話をすることが用だったのでしょう?」

 「そうだったのですか?」

 「ええ。今のアキラのお嫁さんが何人いるかの確認だったんだけど・・・ほぼ全員だったわね」

 呆れ汗を流す結菜に反論できない。

 「そうでしたね。やはり、旦那様は素敵です!」

 「あ、あははは。そうね(あの夢がなくてもこうなっていたでしょうし)」

 「えっと、小夜叉や悠季は「なろうと思っているわ。心の整理がついてないだけ」そ、そうですか」

 「それで、後は」

 二人の事も既に見抜いている結菜が双葉に視線をやった。

 「そうですね、後は私達二人だけです」

 すると、二人がアキラを左右から抱き着いた。

 「では、二人の意思表示を見せてください」

 「・・・もう、相変わらず意地悪ね」

 「はい、旦那様」

 二人は服を脱ぎ始めた。

 

 すぐ裸に・・・と思いきや、中に別なものを着ていた。

 「ふふ、中々面白いものを着ていますね」

 「・・・あなたが喜ぶと思って買ったのよ」

 「はい、どうです。旦那様」

 着ていたものは某長編シリーズのRPGに出てくる服だった。結菜が踊り子用の服で双葉がビスチェだった。その着ている雰囲気が結菜はいやらしい色っぽさが出て、双葉の方は清楚な色っぽさを出していた。

 「あなたの好きにしていいのよ」

 「旦那様。私達を一杯愛してください」

 二人とも、葵や各務と同じくらいの蕩けを見せた。

 「ええ、愛してますよ」

 まず結菜の胸のブラを取り払っておっぱいをいじり、双葉は脱がさないでそのまま手を入れて同じようにいじりだした。

 「あ、ああ、ん、嬉しい・・・私も」

 「はい・・・もっと、お願い、します」

 よがり始めた彼女達の顔が欲情を高めた。しばらくおっぱい全体や乳首を責め続けて、じらし続けて彼女達を更に喘がせていると、

 「ふふ、下が濡れてますね」

 「「もう、意地悪(です)」」

 秘所から流れ出た液が二人の脚を濡らしていた。そこで、責めるのを胸ではなくそこにした。ただし、

 「ふふ。ここは」

 「「(ズン!)ひゃう!あ、ああ!(どさ)」」

 指を一気にその秘所に入れた。敏感になっていたために、それだけで軽く達した。腰も抜けてその場で座り込んだ。

 「まだまだですよ」

 少し放心した二人に情熱的なキスをした。涎が結菜は胸に、双葉は秘所に流れ落ちて・・・そのまま二人を寝かした。

 「双葉。綺麗ですよ」

 「は、はう・・・だって」

 双葉の秘所をどんどん指でいじり、舌も使って液を出していった。その責めに体をビクンビクンさせて体を左右に揺すった。

 「あ。あああ。ひゃん!あうん!す、すごい・・・旦那様」

 「ちょっと、私は!」

 「ふふ、結菜はこれを頼みます」

 「え?・・・ええ、いいわ」

 双葉に構うアキラにむ~としていた結菜だが、アキラの性の太刀を見て涎を飲み込み、自分の両胸で挟んで遠慮なく舐め始めた。

 「アキラの味、アキラの匂い・・・そして、アキラの熱を私が」

 すぐに股をもじもじした。両手で胸を動かして、アキラの性の太刀に刺激している一方、秘所も双葉と同じくらい液を出していた。

 「う、くう!ゆ、結、菜!」

 「あなたにこれをすることを考えていたのよ。アキラ、さ!!な!」

 責められるアキラを見て嬉しそうにしていた結菜だが、アキラの足の指が彼女の秘所を刺激した。手ほど丁寧ではないが、結菜をよがらせるには十分な責めだ。

 「きゃ!も、ああ!!」

 「さあ、皆で・・・」

 「「ああん!あああ!(こくん)」」

 アキラの二つの責めと結菜の頑張りのおかげでついに三人は・・・絶頂した。

 「ぐ、う、ぐううう!」

 

 「「ああああああ!あっく~~~~!」」

 

 最後に結菜は性の太刀を顔の穴の奥に入れて、そこに熱いアキラのあれが出た。二人もまた快感が全身を駆け巡って秘所からの液がどどっと出た。結菜が体を引きずって、横になっている双葉にアキラのあれを半分ほど口移しをした。

 「アキラのよ。たくさん、くれたわ」

 「・・・旦那、様」

 熱すぎるくらいの蕩けた目で二人は愛おしそうに飲み込んだ。そして、顔だけアキラに向けて、

 

 「「御馳走様(です)」」

 

 そう言った・・・その姿に、アキラは更に欲情を駆り立てた。口から若干残ったあれと涎が流れ、二人のおっぱいには汗が流れ、秘所の部分の布が完全にぐっしょりになるくらいに濡れている。ここから先は、欲望が体を動かした。残っていた布の部分を完全にはぎ取って全裸にした。

 「「きゃ!」」

 「覚悟はいいですね!」

 アキラは目を開けて、二人の艶姿をしっかり目に焼き付け、抑えていた理性もやめて欲望だけで体を動かした。

 「「あ、あああ~~~ん。アキラ(旦那様)~~」」

 とても嬉しそうに悦んだ声で、二人は高らかに喘ぎ声を出した。

 

 一刻後に、同じ側室の三人とまだ認めない一人がこの部屋に入って、三人の予想は出来たその姿を見て、約一人が騒いだのはまた別の話。

 




 
 というわけで最初はこの二人です。まずはやはり双葉・結菜のあの間章じゃないと始まらないですし。ここからがいろんな人を出していきます。

 今回のこの九.五章と書いて間章23と読むこの章はそれなりに長くなると思います。原作の間章を今までは二つ付けて一つの間章の話にしていましたが、ここでは一つずつになりそうなので・・・。

 それに、あることに気づきました。いろんなゲームの装備の衣装がそれなりにエロい!そのゲームの登場キャラの服装も結構エロい!そう、例えば代表的なあのDQの踊り子さんとか!そう言う服も彼女らに着せていこうと思っているので・・・え?その衣装を彼女らはどこで手にいれたのって?それはもちろん、お気に入り300件記念小説のあの店からです!・・・という事にしてください!


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小夜叉・桐琴 遠い目標と決めた自分 R-18

 
 朝起きて 気づけば二度寝 三度寝に の三MENです!

 疲れがたまるとそうなりますよね!一時間だけから三時間プラスされていたり。

 今回は完全オリジナル、この二人の話です!もちろんこの二人と言えば・・・アキラへのリベンジです!


 

 双葉と結菜とのあれを目撃した夕霧が大きな悲鳴を上げ目撃者が増え・・・そんな騒ぎもやっと収まった。

 「全く、逃げるのに一苦労でした」

 二人が愛されたなら私も!と言い出す者が後を絶たず、すぐに逃げ出したアキラ。もちろん彼女らも後を追うが、上洛準備もあるため少しずついなくなり、仕事のない妻も持久力で負けて完全に逃げ延びた。

 「ここまで来てしまいましたか」

 城下まで来たアキラ。ひと段落しようと思った矢先に、

 「ぐふふ、アキラ様を独り占め~」

 「・・・さっきよりもヤバい展開に」

 灯レベルで苦手な貞子に偶然見つかり、逃がさないよう腕を掴んでいる。

 「ねえ、アキラ様。何人子供を作ります?」

 会って早々、何をしようかわかる話しかけである。

 「できれば、離れてほしいのですが?」

 「十人、二十人?それとも三百人?」

 「できすぎでしょう!」

 「もう~、だったら何人がいいのですか?」

 「・・・まず離れてください」

 腕を掴む貞子に離れるよう頼むが、当然彼女が離すつもりはない。しかも・・・

 「双葉様と結菜様を抱いたそうですね」

 この言葉で貞子の目に光がなくなった。更に、

 「もちろん、私も抱きますよね(ギロリ)」

 掴んでいる腕を力いっぱい握りしめ、殺気すら感じる視線をアキラに送った。心の中で人生オワタ\(^O^)/と思った。越後の路地裏で抱いた後、散々な目にあったのでそれが頭によぎった。彼女の秘所は準備万端で、内股の部分がびしょ濡れだった。

 「絶対に逃がしませんよ・・・永遠に私のもの。さあ、二人だけの永遠の花園へ行きましょう(じゅるり)」

 アキラの腕をおっぱいに挟めて逃がさないようにした。人生に絶望した顔をして連れていかれると思った時だった。

 

 「アキラは私の!」

 

 各務が貞子を蹴り飛ばした。一瞬だけ助かったと思ったが、今度は各務がアキラの手を持って自分の胸を無理やり揉ませた。

 「アキラ、んん、悪魔は倒した。あん。だから、で、る。天使の私を」

 どう見ても天使の姿をした悪魔にしか見えないアキラだった。各務の内股もまた既に洪水警報だった。蹴とばされた貞子が戻ってきて、再び空いている腕に抱き着いた。

 「各務さん・・・どきなさい」

 「どかない。永遠の花園は私とアキラが行く!」

 「いいえ私です!そこで子を五百人産むのです!」

 「ちがう!私が千人産む!」

 騒動に人々が集まり、二人して妄想の産む子供を増やしながら、殺意ある目で睨み合い、武器を抜こうとした時だった。

 

 「何やっとるんじゃ!」

 「アキラを連れて行くな!」

 

 貞子と各務の後頭部を二人の拳が炸裂して、彼女達が倒れた。その際に力が抜けたのか二人の拘束も解かれた。救世主・修羅の親子の参上に涙を流した。

 「桐琴さん!小夜叉!た、た、助かりました!」

 「おお、大胆じゃのう!」

 「う、あ、あアキラ!おれ、俺だって助けたんだぞ!」

 助かった嬉しさで抱き着いたが、桐琴のおっぱいに顔をうめる形になったことに気づいていない。それを見た小夜叉は思わずムッととなった。

 「旦那様~そういう事は、館でやろうぞ」

 「・・・っは!私としたことが!」

 「は、早く、離れろ!」

 アキラの体を掴んで、桐琴から離す小夜叉。その姿は、恋人が他の女に気を取られているのを気に入らない図に見える。

 

 

 落ち着きを取り戻して、気絶中の貞子と各務も偶然会った壬月と麦穂に頼んで連れて行ってもらった。

 「アキラ、助けてもらった借りができた。という事じゃな」

 「俺達に付き合ってもらうぞ!」

 「いいですが・・・どこに?」

 アキラの腕を桐琴はおっぱいで腕を挟み、小夜叉は自分の体をつけた。

 「桐琴さん。そこまでつけなくても」

 「何じゃ?嫁の胸が気に入らないとでも?」

 「いえ、ちょっと・・」

 「旦那様が照れておるとは、これはいいものを見たのう!」

 アキラの意識は、おっぱいの大きさで桐琴に軍配が上がった。

 「なるほど、胸だけでは不満という事か・・・ほれ!」

 更に腰の布の中に手を突っ込んで秘所の下着を触らせた。その下着はおっぱいを触れさせた時から既にぐっしょり濡れていた。

 「な、なあああ!」

 「やはり。愛する旦那様に触れられると・・・用件が終わったら、わしを抱けよ。我慢ができん」

 「わ、分かったので、その用件を済ませましょう!」

 桐琴のペースにアキラは翻弄されていた。その様子を見る小夜叉。

 『母にアキラを取られているみたいで気に入らねえ!お、俺だって、やればできるんだってところを見せないと!』

 何とかしてアキラを奪いたい。それが、小夜叉の中で焦りを生んだ。

 

 

 着いた場所は、太白と戦った御刺使川の広場だった。

 「用件は、予想通りと言いますか」

 「おう!戦ってもらうぞ!」

 「どうしても、勝ちたいからな!」

 二人らしい借りの返させ方だ。既に、自分の槍を持って構えていた。

 「私も戦いの勘を取り戻すにはちょうどいいですし・・・それに」

 桐琴の持つ北落師門に顔を向けた。

 「それを完全に使いこなすあなたの実力も見てみたいと思っていました。聞いた話じゃ時人が北斗七星を二本にするくらい強くなっているみたいですからね」

 「越後の時はまだ手こずっていたからのう。今なら・・・十分に使いこなせる!」

 「く!お、お、俺を忘れるな!」

 どちらも槍を光らせたが、光の輝きの大きさは北落師門の方が上だ。

 「さて、始めましょうか」

 アキラも腰の二本を抜いた。

 「いくぞオラ!」

 まず小夜叉が向かってきた。後ろの桐琴は力をためている。

 「夢氷月天!」

 「何回見たと思っている!」

 いつもの技を出したが、小夜叉は見事にそれを回避して、桐琴はその氷を何個も貫き、そのままアキラに攻撃した。

 「八寸!」

 「いいや、これは」

 アキラはそれを紅虎の八寸と思った。あれは槍の攻撃部分のみであり、

 

 「千染(ちせん)。儂とこやつの技じゃ!」

 

 今回のこの技は北落師門の力で槍の攻撃が十個以上になり、一回の攻撃で十か所以上その攻撃を食らう技だ。春日山城で出した技もこれだが、時人との手合わせでよけられたことがあるため、アキラもよけられるのでは?と桐琴は考えていた。

 だから、一対一の戦いでは背後と上に出す分を無くし前と横の攻撃に集中させた。これも、アキラに勝つためだけに作り出した。アキラの方は、氷の貫かれた箇所を見て気づくのが遅れた。目を開け超視野化をして、隙を見つけてようとしたが、

 「くらえ!」

 小夜叉が背後にいて、前後からの攻撃になってしまった。

 「夢氷月天!」

 またこの技を出したが、今度は小夜叉には攻撃、桐琴には防御の意味を込めて自分の周りに放った。

 「無駄じゃ!」

 「この野郎!」

 千染で氷を壊し、小夜叉も力づくでそれを破壊した。

 「ぐは!」

 「な、何で俺まで!」

 そのまま来た千染を両の刀で抑えたが、威力は大きい。アキラに攻撃しようとした小夜叉すらその技を食らって後方に飛ばされた。

 「よし!まずは受けたな!」

 「全く、太白のあの技と同じくらい厄介ですよ」

 「こら母!俺まで攻撃するな!」

 「かかか!そこにいるお前が悪い!」

 だがアキラと小夜叉はすぐに持ち直した。

 「さて、仕切り直しですね・・・では、かかってきなさい」

 「ふふ、いいだろう!乗ってやる!」

 「俺だって、やればできるんだ!」

 挑発に乗って、二人が襲い掛かってきた。もう少し冷静であれば夢の戦いを思い出せたが、桐琴はアキラに攻撃を与えた嬉しさと小夜叉は母も当てたなら自分も!という焦りで忘れていた。

 

 「千染!」

 「刎頸二十七宿!」

 

 自分の持つ一番の技をアキラに放ち、見事命中した・・・が、

 「こ、氷じゃと!」

 「え!いつの間に!」

 それは氷で擬態したアキラだった。そして、周りを見て気づいた。

 「「「「ほらほら、どこを狙っているのです?」」」」

 氷繭星霜だ。自分達の周りにたくさんの氷が出てきて閉じ込め、その全ての氷にアキラが写る。しかも、苛立った小夜叉がそのうちの一つを攻撃したが、氷が壊されその破片が二人を襲い少し食らった。

 「馬鹿者が!」

 「ぐえ!(ノД`)・゜・。」

 げんこつを食らって痛そうな小夜叉。破片より桐琴のげんこつの方がダメージがでかそうなのは気のせいではない。

 「そうじゃ、アキラにはこれがあった。朱雀に白虎。大きな技を見ていたせいでこうした地味な技を忘れておったわ」

 「「「「さあ、破ってみなさい」」」」

 「・・・ふむ、なら!」

 桐琴は氷繭星霜の中心に移動し、北落師門に力を込め光を強くした。

 「見せてやるぞ!アキラ!」

 「「「「・・・これは」」」」

 写っているアキラ全員の顔が真剣になった。

 「お、おい!母!まさか!あれをやる気か!」

 「ふふ、アキラ相手ならこれくらいやらないとな!」

 「ちょっと待て!俺まで被害が!」

 「諦めろ!行くぞ!」

 小夜叉が焦りまくる中、北落師門で地を強く刺した。

 

 「千染円天!」

 

 すると、地から千染の攻撃が出てきて、氷繭星霜を完全破壊した。

 「く、これは・・・」

 この攻撃は予想外でもろに食らい、アキラは片膝をついた。もう一人、焦りまくった小夜叉はというと、

 「何でこうなるの!・・・ぐへ!」

 その千染の攻撃で上に弾き飛ばされて、泣きっ面で地に落ちて気絶した。

 「はあ、はあ」

 だが技を仕掛けた桐琴は息を荒くはき、彼女もまた片膝をついた。

 「すごいですよ・・・ただ、範囲内全部に攻撃するから」

 「千染よりは攻撃力が低くなるのが難点だ」

 千染は防御しても後方まで吹き飛ばされるほど勢いはあったが、この技は小柄な小夜叉ならともかくアキラはすぐに防御に入ったため上空に飛ばされることはない上に、範囲全部となると威力も小さくなるという事だ。

 「じゃが、これで破ったぞ!」

 ただし相手の不意をつく一撃にはちょうどいい。すぐに立ち上がり、アキラに向かって突撃した。

 「ふふ、いきますよ!」

 アキラもすぐに立ち上がり、構えに入り・・・あの技を放った。

 

 「白虎!」

 「千染!」

 

 アキラの放った白虎を桐琴の千染が壊した。白虎の技の本質は太白との戦いで確認済みだ・・・だが、彼女はあえて壊した。

 「桐琴、あなたも「これで最後じゃ!」・・・な!」

 あのセリフを言う途中で、桐琴は得物を手放した。いや、地に向かって投げたと言った方がいい。地面に北落師門が刺さると

 「ふふふ、油断したな」

 「ぐ、得物を手放しても発動できるとは」

 そう、千染円天が発動した。この技は得物を地に投げて刺しても発動できる。でも、一つ問題点があり効果範囲が狭まる。手に持った状態では北落師門も持ち主の力をダイレクトに受けて発動できるため範囲も広くなるが、このやり方では込めた力の分だけの為、攻撃範囲が必然的に狭まる。アキラが勝てる油断をしていることを、桐琴は見抜いていた。

 「・・・ぐ、あなたも、受けたでしょう!」

 ただし、アキラは全力時人の北斗七連宿を受けただけあり、威力ではそっちの方が上の為、耐えることができた。

 

 「白虎の双牙を!」

 

 打つ手の無くなった桐琴は白虎を食らい倒れた。

 「か、かか。やはり、アキラは、最高じゃ!」

 「私も満たされました。ありがとう桐琴」

 太白の時と同じくらい夢中になれたことがアキラは嬉しかった。感謝をして気を失った彼女を背負い、気絶中の小夜叉をたたき起こして館に戻った。

 

 

 その夜、桐琴は目を覚ました。傍には小夜叉がぐっすり寝ている。

 「ふ、楽しかったぞ。アキラ」

 「私も満足しましたよ」

 呟くと、隣にアキラがいた。二人とも寝っ転がりながら話し始めた。

 「アキラよ、お前はどこまで強くなるのじゃ?」

 「そうですね・・・生きているなら目指そうと思いましてね」

 「目指す?」

 「ええ。最強の座をね」

 その言葉を聞き理解した。アキラが目指すのはやはり狂という男だと。世界は違えど強さは身に染みているから、それを超えるまでは強くなるのをやめない。

 「ふふ、昔の儂もそんなことを考えていたな」

 「考えていた?今もじゃないんですか?」

 「そうじゃな・・・今は」

 すると桐琴は布団を抜け、アキラの布団に入った。

 「桐琴さん?」

 「・・・お主のせいじゃぞ。今の儂はな」

 ついにアキラの上にのっかった。

 

 「お主の妻に、女になりたい。そして、お主と共に生きたい。その願いの方が強い」

 

 戦いが全て!望むは修羅道!を名言とする彼女からのその言葉にアキラは驚いた。

 「確かに強くなりたい気持ちは残っておる。お主に負け越しているのは武人として悔しい。勝ちたい気持ちもある・・・だが、お主の妻という肩書を手に入れた時から、女としての生き方も悪くないと思うた。あれだけお前に愛されたらのう」

 話しながら桐琴は、服を脱ぎ始めた。

 「今回の戦いはどちらかを決めるための戦いといってもよかった。勝ったら武人を続け、負けたらお前の女になると」

 裸になって、アキラの服を脱がした。その間、心でこっそり思った。

 

 『じゃがのう、アキラ。儂がそう思った最大の理由はお主の夢でお主が武人としての生きざますら懸けて、体を再起不能する覚悟までして時人に勝った姿を見たからじゃ。あの時からお主に武人としてでなく、女として見られたい。そう思ったのじゃ』

 

 桐琴の言動の理由はアキラの夢の姿が、最も大きかったみたいだ。

 「アキラ・・・ワシを完全な女にしてくれ。お主の・・・子を作らせてくれ」

 アキラも完全に裸にして、桐琴はキスをした。

 「「ん、ちゅ、ぐしゅ、ちゅつ、じゅる、ぴちょ」」

 濃厚な愛を伝えるキスだ。アキラは桐琴の両方の胸の先をくすぐった。

 「ひゃ!」

 「・・・本当にいいのですか?」

 先からその周りを揉みだした。

 「・・・いいのじゃ、うう!た、たの、む!」

 快楽が高まる中、桐琴の顔がとても発情していた。

 「続けましょう」

 「ああ、はあ、あん」

 桐琴はアキラの性太刀に自分の鞘の入り口を付けた。すでに鞘は受け入れ万全だ。アキラの手も腰に移動していた。

 「入れてください」

 「う、く、ううう!な、何故・・・今まで、あ、ああん!何回も、やった、のに!」

 「それが、女の気持ちです」

 「お、女の・・・気持ち」

 今までは快楽を求めていた桐琴だが、女としての快楽を求めたわけではなかった。だが、女の気持ちを求めてやっているので、感じ方が違うのだ。

 「皆さんもそうやっていたのですよ」

 「う、うう、く、く!あ、あああ~~~ん!」

 気持ちの持ち方でここまで快楽の感じ方が違う。桐琴にとっては初めてでどんどん無意識に腰を上下に動かすごとに、彼女の淫らな女の顔が出てきた。その涎をだらしなく出す力の抜けた顔、腰と同じく上下に揺れ動く胸、更に襖の隙間から月の明かりで照らす彼女の裸体にアキラはゴクリと涎を飲み、おっぱいを鷲掴みにして乱暴に揉んだ。

 「は、はあ、ああ、んん!いい、いいの・・・アキラ」

 「もっと、溺れてなさい。さああ」

 腰の動きが上下をやめて前後左右になった。更に魅せる淫乱な動きにアキラもついに腰を動かした。

 「あう!あああ!」

 ビクッとなり、彼女の鞘から蜜が出てきてアキラの腰を濡らす。だが

 『く!こんなにすごい動きは!』

 アキラもいつもと違う桐琴に感じ方が違い、快楽がいつもより強いのだ。

 「桐琴!そのままいきますよ!」

 「ああう、うん、い、いこう!」

 桐琴はおっぱいを揉んでいるアキラの両手に自分の両手を重ねて、自分への快楽をもっと強くするために揉みだした。

 「はあ、はあ!は~~ああ~~!」

 「く、うう、い、く、そろそろ・・・」

 更に出てくる快感に我慢できなくなった二人。

 「桐琴!」

 「あ、ああアキラ~~!!」

 二人は一気に絶頂して、自身の想いをお互いの体に濡らし注いだ。アキラはそこで満足したが・・・

 

 「アキラ・・・もっと、じゃ」

 

 彼女は満足していなかった・・・どんなに女になると言っても体はまだまだ求めている。何故なら、闘争本能と性分である『満足するまでやる!』が染みついているのだ。

 「ちょ、え」

 「続き・・・いいよな」

 女の顔から一気に彼女らしい武人の顔に戻った。そんな桐琴を見て思った。やはり、こうなるか・・・と。結局日が昇るまでS〇Xと書いて闘いと読む行為を続けた。桐琴の顔は、時間が経つにつれてかつての顔に戻っていった。

 

 

 そして、朝日が昇った時に終わった。やっと眠れるとホッとしたアキラに

 

 「アキラ。わしはやはり武人を捨てられないな。じゃが、お主に愛された女の顔も捨てる気はない。これから武人と女、両方持って生きることにする!・・・各務の言葉じゃが、これからはずっとお前から離れんから覚悟しろよ旦那様」

 

 そう言って、アキラの腕枕で眠りについた。その寝顔はアキラをさっきまで追いつめた顔とは思えないほどあどけなかった。

 『こうなると思いましたよ・・・私も時人の時に狂の背中の守りを卒業すると言いながら、その後で守りましたから人の事は言えないんですけど』

 笑顔でそう思い返しながら、アキラも眠りについた。

 

 

 この二人のやり取りを

 『くっそ~~!完全に俺を忘れてやがったよ!母もアキラも!』

 隣で寝ていた小夜叉が気付かないはずがない。既に起きていて、さっきまであれだけ激しく淫らに動いていた二人を見ていた。真っ赤になって、心で文句を言った。

 『でもよかった・・・母が武人をやめなくて。母を超すことが目標だからな!だからこそ、絶対にやめてほしくなかったよ』

 桐琴の武人をやめる発言も聞いていて不安していたが、撤回したためホッとしている。だが、彼女の言ったことが分からない小夜叉。

 『武人と女を両方持つって、俺ら女で武人だよな。どうして母はそんなことを言ったんだ?』

 だが、考えるのが苦手なためすぐに考えるのをやめた。

 

 『難しいことはどうでもいいや!とりあえず、母とアキラに勝つ!これだ!』

 

 小夜叉も自分の目標を再度決めて、これでよしと思い彼女も眠りについた。

 




 
 待った人はいないでしょうけど、やっと越前のあの技の名を作りました!最初は血染にしようと思ったのですが、さすがに生々しい気がしたので千染にしました。そして、そこから更に周辺攻撃の技千染円天も作りました!桐琴さんならできると思ったからです!因みに正確な範囲は氷繭星霜と同じくらいです。

 小夜叉ですが・・・完全にお邪魔&ギャグキャラになってましたね。でも、この二人で戦うとどうしてもこの扱いになってしまいます。武人ではなく女の顔をした桐琴さんはどうでしたか?武より女の本能が上回った彼女も書こうと思っていたので今回書きました・・・最後に戻っちゃいましたが。

 次は誰にしよう・・・一応原作の間章にしようと思っています。お楽しみに!


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柘榴・松葉 人の噂はほどほどにね


暑さに負けて、アイス食べる三MENです!

 今回はこの二人です!まあ、実際は四人かもしれませんが・・・。


 

 「今日は絶対に手合わせも禁止だからね!」

 「わ、分かったので・・・落ち着いてください」

 「落ち着けないわよ!太白さんとあんな激しい戦いをして、更に桐琴・小夜叉の二人とあんなボロボロになる戦いまでして!私達の事も少しは考えなさい!」

 「は、はい・・・すいませんでした」

 アキラは自室で結菜から説教を受けていた。理由は今言った通り、傷だらけになるくらいの手合わせをやってくることだ。妻としての心配もあるが、それ以上に

 

 『あの夢を見て以来・・・本当に不安なのよ。いつあなたがまたあんなことになるんじゃないかと』

 

 時人戦の再起不能レベルの重症の姿が目に焼き付いているのだ。だから、どうしても傷ついた姿をこれ以上見たくないのだ。

 「本当に、やらないわよね?」

 アキラは必死すぎる結菜の言葉に思わず

 「はい!やりません!」

 と、言うしかなかった。

 「そう・・・なら、信じてあげる」

 何とか信じてもらえたが、気持ちがまだ暗い感じだ。

 「ありがとうございます。結菜に一つ頼みがあるのですが」

 「何かしら?」

 「膝枕、いいですか?少し眠気が出てきて」

 「何だ、そんなこと?うふふ、いくらでもいいわよ」

 アキラの珍しい甘えに笑顔になった結菜は自分の膝を叩いた。

 「では、さっそく「ア~キ~ラ~さ~~~ん!」??」

 突然自分を呼ぶ名が聞こえた。それと同時に襖が開き、

 

 「見っつけたっす!」

 「見つけた」

 

 柘榴と松葉は入ってきた。柘榴が後ろからアキラの頭に抱き着いた。彼女のおっぱいがアキラの頭にのっかった。

 「探したっすよ!やっと見つかってよかったっす!」

 「会いたかった」

 松葉の方も、アキラの右腕に抱き着いて自分のおっぱいを押し付けた。

 「・・・歌夜の言ったこと分かった。アキラを好きになると、こうしているだけで幸せな気持ちになれるって」

 「っす!アキラさんといると、と~~っても気持ちいいっす!」

 「誤解されそうな言葉ですが・・・せっかく結菜の久しぶ「じろ~」こ、これは私のせいではないでしょう!」

 二人とも顔を赤らめながら、自分のおっぱいでアピールしていた。

 「ふ~~ん、アキラって、越後じゃそうやって楽しんでいたんだ」

 当然、膝枕ができると思った結菜は不機嫌だ。

 「誤解のないよう言いますが、こんな抱き着きはされたことないです!」

 「松葉はある」

 「綾那と柘榴の槍授業の時ですか?ここまで強く抱き着いてこなかったです!」

 「じゃ、これからは裸で抱き着くっす!」

 「って、何でそんなことになるんですか!」

 「公方様が言っていた。裸で抱き着けば抱いてくれるって」

 「やっぱり、楽しんでいたじゃない!」

 『・・・一葉は京の決戦が終わるまで接触禁止にしましょう』

 二人の更なる誤解を招く発言に、結菜はもはやプンプン状態だ。元凶である一葉へのお仕置きが決定した。

 

 評定の間では、久遠達国の当主達が今後の話し合いをしていた。

 「は、はくしょん!」

 「どうした一葉。風邪か?」

 「いや、これは主様が余を抱きたいと言っているのであろう。ふふふ」

 「それはないと思うわ」

 「はい、私も美空様の意見に賛成です」

 「・・・わ、私もです、公方様」

 「むしろ、その逆」

 「主ら酷くないか!」

 当人以外の五人はいい感をしていた。

 

 結菜がプンプンしていると、

 「結菜様もどうっすか?」

 柘榴が誘ってきた。その途端、笑顔に戻った。

 「あら、私もいいの?」

 「アキラの嫁なら」

 「じゃあ、早速させてもらいましょう」

 頭に柘榴、右腕に松葉、そして左腕に結菜が抱き着いた。そこに、

 「二人とも、ここにいたのね。私のところに来てと言ったでしょう」

 「「あ、秋子(さん)!」」

 柘榴と松葉を呼んだ秋子がやってきた。

 「アキラ様、ごめんなさいね。って結菜様まで!」

 「うふふ、二人が羨ましくなっちゃってね」

 「そ、そうですか・・・うずうず」

 二人だけじゃなく結菜まで抱き着いている姿を見て、そわそわする秋子。

 「アキラさん、秋子さんも抱き着きたいそうっすよ!」

 「秋子もいいでしょ?」

 「な、ななな、なに言うてまんのよ!」

 図星だった。口調がおかしくなった。

 「秋子、言葉が変よ」

 「・・・秋子は柘榴と松葉を探していたようですが?」

 「(うう、恥ずかしい)えっと大きな戦いが始まりますので、その前に気分転換してはどうかと、御大将に言われたもので」

 「じゃ、ここでアキラさんに抱き着きながら話すっす!」

 「賛成」

 「そうね、私もいいかしら?」

 「い、いいですけど・・・あの、私も、抱き着くのですか?」

 「「「勿論(っす!)」」」 

 「二人はともかく、結菜様まで」

 だが、勇気が振り絞れないのか距離を置いて話を始めた。

 

 最初の話題は久遠の次に妻になった結菜の事だが、本当に最初だけで

 「へ~、アキラさんってやっぱりスケベなところもあったんっすね」

 「そうよ。私と久遠の裸をこっそり見ていたし」

 「アキラ、スケベ」

 「松葉ちゃん。そうやって困らせない」

 「べ、別にいいのですよ・・・ははは」

 すぐにアキラの話題となった。たくさん妻を作り彼女達を何回も抱き、越前までのアキラを知っている結菜の発言でアキラ=スケベで納得がしてしまった。しかも、彼女から女の扱いがひどくなったと言われ、嫁が増え続けているため文句が返せない。結局、身が縮まる思いで彼女らの話を聞いていた。

 

 そのアキラの話題もやっと終わり、次に出た話題は、

 「ねえ、美空様ってどんな人なの?皆が集まった時にお会いしたけど」

 三人の主、美空の事だ。

 「私も興味がありますね。自分の事を話してくれませんし・・・仏門に入っていたことくらいしか知りません」

 アキラの視線が秋子に、結菜の視線が柘榴に向いた。

 「変わり者」

 「ええ、分かっています」

 「アキラ・・・ちょっとひどくない?」

 「否定できないっす!」

 「まあ・・・その通りね」

 松葉の言葉に即同意するアキラに否定しない柘榴と秋子を見て唖然とする結菜。そこでふと気づいたアキラ。

 「私が甲斐に行った後は、出家癖は出ませんでしたか?」

 「空様がいましたので、問題なかったです」

 「でも、アキラさんがいなくて寂しそうにしてたっす」

 「出家癖?」

 「嫌なことがあるとそう言う」

 美空の身の上話をしていると、更に気付いたアキラ。

 「仏門に美空ですか・・・あの性格で尼さん。どうなるか興味ありますね」

 「(コクリ)弁慶」

 アキラの言葉に松葉も頷き、その名前が出た。

 「刀狩りをしていた時の、ですか?」

 「っすね!」

 「ずいぶんと酷いこと言うわね。私達の主なのに」

 「秋子、反対?」

 「・・・間違ってないわね」

 結菜第二回目の唖然が出た。

 

 再び評定の間。

 「くしゅ!」

 「今度は美空様ですか?」

 「風邪じゃないし、どんな噂かしら?」

 「越後きっての破壊神?」

 「修羅の女帝?」

 「言ってくれるわね、あなた達!」

 「お、落ち着いてください!」

 光璃と久遠のツッコミに青筋を出す美空。真琴が必死に止めに入った。

 

 その後は美空の戦いの話になり、秋子が汗を流しながら話した。敵陣に並足で柘榴と松葉と数人の兵を連れて入ったことがあり、別の戦いでも『神の加護があるから矢など当たらない!』と言って敵の前に堂々と出て、三昧耶曼荼羅で敵兵をぶっ放した過去を明かした。

 「アキラさん!お願いですから、御大将を無茶させないでくださいね!」

 ここまで話して、必死に頼む秋子だが・・・

 

 「でも、アキラさんが一番無茶してるんじゃないっすか?」

 

 柘榴の一言で、ハッと気づいた。それは結菜と松葉もそうだった。

 「稲葉山城に観音寺城、更には春日山城に忍び込んだし」

 「春日山城は大手門をぶっ壊したっすよね~。大分出来上がってはいるっすけど」

 「駿府では、武田信虎と一騎討ちをしたとも聞いた」

 「・・・川中島では、美空様と光璃様を止めるために苦しむ体を押してましたね」

 四人の視線が一気にアキラに向いた。

 「ははは、その程度無茶に入りませんよ」

 「「「「思いっきり入るわよ(っす)!」」」」

 「そうですか?う~ん、おかしいですね」

 本当に不思議そうにする姿を見て、秋子は悟った。

 「・・・アキラさんも同じ種類の人だったのですね」

 「そうよ。どんなに無茶をするな!と言ってもやっちゃうわね。私や久遠、詩乃達に何回も約束したのに」

 その話で不安な目でアキラを見る秋子。汗を流して、話題を変えた。

 「えっと・・・美空は趣味とかないのですか?」

 「話かえたっす!」

 「無茶はやめて。御大将も私達も悲しむ」

 松葉の悲しそうな目に、思わずウッときた。

 「趣味ですか・・・あれは趣味と言っていいのか」

 「そうっすね。御大将って、刀を集めるのが趣味なんですよ」

 「別におかしくないですが」

 「一日中、部屋に閉じこもって刀の輝きを見て二やついたり、磨いて「フフフ」と寒気がする声で笑ったりしてたっすよ」

 「いい歳の女性がする趣味じゃなかったわね~」

 「うん、御大将一日ず~~っと部屋から出なかった」

 「それ、久遠も同じよ」

 「・・・はあ!」

 美空の趣味を久遠もやっていると聞き、アキラは思わず声を出した。

 「久遠の場合は鉄砲だったけど」

 「あ、納得しました」

 ただし、『鉄砲』の言葉ですぐ納得した。

 「鉄砲を分解すると、さっきの美空様みたいに「ククク」と笑みを浮かべては楽しそうにしていたわ。あれは、さすがにちょっとひいたわ」

 「・・・二人とも地味に似たもの同士ですね」

 「「「うんうん」」」

 この言葉に長尾の三人は心から頷いた。

 

 三回目の評定の間。

 「「くしゅん!」」

 「何じゃ、今度は久遠もか」

 「三人もくしゃみをするなんて、どんな噂なのでしょう?」

 「えっと、アキラ様の事だから」

 「変な噂」

 「「・・・納得できてしまう(わ)」」

 真琴の言葉に続いた光璃。その言葉に思わずガクッと肩を落とした久遠と美空。

 

 話も終わり柘榴・松葉・結菜が、またアキラに抱き着いた。

 「アキラさんの妻になったのは、やっぱり嬉しいっすね~」

 「秋子がデレデレになる気持ちわかる」

 「ちょ!あ、アキラさんの前でそんな!」

 「秋子、気にしなくていいわよ。私達は全員その想いを持っているから。それに、いい加減我慢もやめたら?」

 三人は遠慮なく抱き着いているが、秋子だけは抱き着いていない。

 「秋子、遠慮はいりませんよ。さあ、どうぞ」

 「そうっす!それに、今度いつできるか分からないっす!」

 「抱きしめられるまたとない機会」

 「ほらほら、やったもの勝ちよ」

 「う、うううう~~!あ、あ、アキラさ~~ん!」

 皆からの誘いに欲望が負け、正面からアキラに抱き着いた。三人よりビッグなボインをアキラに押し付けた。

 「あ、アキラさん!あなたを想って・・・ま、また、大きくなりました!」

 「「え!また!」」

 「あ、秋子!まだ大きくなるの!」

 「はい!もう隠しません!」

 どこが大きくなったのか、言わなくてもわかった。そう言われて、アキラは無意識に彼女のビッグボインを見た。

 「秋子さん・・・乳神様と呼んでいいっすか?」

 「巨乳神の方がいいかも」

 「秋子乳神様!私達もどうか大きくしてください!」

 「「してください(っす)!」」

 三人もそれなりにあるが、秋子に対してはもはや神扱いだった。

 「ちょ、ちょっと!それはいくら何でも!」

 「ははは。その胸、気持ちいいですよ秋子」

 抱き着きをやめて秋子に土下座して頼む三人。解放されたアキラは唯一抱き着いている秋子を抱きしめた。彼女のおっぱいがむにゅと大きくつぶれる。

 「あ、アキラさん・・・ああん!もう、ああ」

 「ふふふ、好きですよ秋子」

 「はうん!もう、もう!」

 「秋子!ダメよ!」

 アキラからの好きで欲情して、脱ごうとしたが慌てて結菜が止めた。

 「さすがに止めるわ!もう、アキラもアキラよ!」

 「愛しているのは本当ですから」

 「う、と、とりあえず、秋子は我慢しなさい!」

 「そうっすよ!桐琴さんとの戦いの疲れが取れてないっすから!」

 「我慢して」

 「も、もう~~!じゃ、じゃあ!じ、自分を・・・な、なぐ~~/////」

 「あ、ちょっと待ちなさいよ!二人とも悪いけどアキラを見てて!」

 「「わかった(っす)!」」

 欲情した秋子が我慢できるはずがなく、自慰をしようと思ったが言葉にするのが恥ずかしくなり逃げていった。結菜は秋子を追いかけていき、三人が部屋に残された。

 

 柘榴と松葉は何をしているのか?というと。

 「このままず~~っと、いたいっすね」

 「いたい」

 「二人が気に入ったならいいですよ」

 アキラを左右から抱きしめて、それ以上の事はしなかった。秋子とは違って、好きな人として見ても

 

 『御大将や秋子さんみたいに抱いてもらうのは・・・まだ恥ずかしいっすね』

 『抱かれたいけど・・・やっぱり二人っきりで、たくさんアキラに』

 

 そこまでの踏ん切りがつかないので、これが精いっぱいだ。

 「アキラさん、どうっすか?松葉より柘榴のおっぱいが気持ちいいっすよね?」

 「松葉が上。柘榴が下」

 お互いの言葉に、二人の間で火花が散った。

 「それは聞き捨てならないっす!柘榴の方が上っす!」

 「松葉の方がもっと上」

 「ほらほら、落ち着いて。二人とも」

 「「アキラ(さん)は黙って(ください)!」」

 自分にそう言ってくる姿が、とある二人に見えて思わず笑った。

 「何、笑っているんすか!」

 「どうして?」

 

 「今の言い争うあなた方・・・美空と光璃でしたよ」

 

 「「・・・え!」」

 「柘榴が美空で、松葉が光璃でした」

 確かに言葉が多い美空が柘榴で、言葉が少ない光璃が松葉。そう考えれば見えないこともない。その言葉を聞き汗を流す二人。

 「そ、それは、勘弁っす」

 「松葉達の喧嘩があの二人と一緒なんて・・・いや」

 あの二人の喧嘩がいきたくない境界線らしく、言い争いが止まった。

 「あの二人の低レベルな喧嘩と一緒なのは、勘弁ですよね~」

 二人とも、同じテンポで頷いた。

 

 最後の評定の間。

 「「くしゅ!」」

 「美空様が三回連続で、ついには光璃様まで出しましたね」

 「アキラに三回も噂されて羨ましいと思うべきか」

 「その噂が変な噂だから気の毒と思うべきか・・・ですね」

 「・・・ふ、ふん!アキラは私の事を何回も話すくらい想っているのよ!」

 「美空様・・・強がりもほどほどにした方が」

 「美空と一緒の噂なんて、鳥肌が立つ」

 「それはこっちのセリフよ!何、喧嘩売っているなら買うわよ光璃!」

 「「「まあ、まあ、落ち着いて」」」

 「余は見てみたいぞ!」

 当主三人は止めに入ったが、将軍様はむしろやれと煽った。

 

 その後、アキラと柘榴に松葉はどうしたか。

 「・・・ZZZ( ˘ω˘)スヤァ」

 アキラは仮眠を取っていた。元々、結菜に膝枕を頼んでいたがいなくなったため

 「幸せ」

 「ずるいっす!」

 「柘榴じゃ暴れて落ちる」

 「うう、言い返せないっす」

 松葉が代わりにやっている。羨ましいが、彼女の指摘にがっかりした柘榴。

 「・・・柘榴。アキラってすごいね」

 「夢の事っすか?・・・そうっすよね。柘榴達より身分が低く、柘榴達より戦う才能がないけど、強くなるために柘榴達より命がけで戦かってたっすからね」

 「あの背中」

 「柘榴も目に焼き付いているっすよ。一生忘れられないっすよ」

 話していると顔を赤くしてきた。そんな中、松葉がアキラの唇を指で触れて、それを自分の唇に触れた。

 「(かああああ)」

 さっきよりも更に真っ赤になった。松葉自身間接キスの事は知らないが、それでも触れたことに照れた。

 「何か柘榴も・・・眠くなったっす。おやすみっす、松葉」

 「え・・・あ、ずるい」

 柘榴がアキラを抱き枕にして寝た。今度は松葉が柘榴を羨ましがった。

 

 『アキラさんに抱き着くと、幸せな気持ちでいっぱいっす・・・柘榴、夢でアキラさんの凄さを見て、と~~っても大好きになったんっすよ。だから、京での戦いが終わったら抱いてくださいっす・・・すや』

 『ずるい、松葉もしたかった。今度してもらおう。秋子みたいに・・・裸で・・・な、なにを考えて!それならむしろアキラが松葉に・・・ううう、も、もう、考えないでおこう』

 

 柘榴も内心照れていたが、少ししたら眠りについた。松葉の方は、徐々にそっち方面の考えの方が出てきてしまい、膝枕してなかったら秋子同様逃げていただろう。深呼吸をして落ち着きを取り戻して、アキラが起きるまで美空はおろか柘榴すら見たことがない幸せそうな顔で彼の寝顔を見ていた。

 

 

 逃げ出した秋子はというと・・・

 「あ、あああ!アキラさん!もっと、もっと・・・私を、私の体・・・蹂躙して」

 結菜を振り切って部屋に戻り、欲情を自慰で発散していた。

 「母上!久しぶりに、二人・・・っきりで・・・は、なし・・・」

 そこに、娘がノックなしで入ってきた。

 「アキラさん~~!おっぱいを揉んで~ここに入れて~、私の淫らで卑猥なこの姿を見て~~み・・・て・・・」

 「・・・し、失礼したですぞ!(^▽^;)」

 「あ、愛菜~~!ま。待って~~!」 

 アキラではないが確かに見た。慌てて逃げていく娘を追いかける母親。その後、愛菜はしばらく秋子との会話ができなくなり、秋子はしばらく避けるようになった愛菜の姿を見てショックを受けたとさ。ちゃんちゃん♪

 




 
 ここでは、この二人が本当の妻になりたい気持ちを持たせる意味を込めて、敢えて秋子と結菜を外しました。秋子はエロ担当のキャラになりつつあります。というか、あの体はその為のキャラとしか思えない・・・自分本当に煩悩高いな。

 次回も続きます!ただ、原作にするかオリジナルにするか・・・まだ悩んでいます。お楽しみに! 


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麦穂・壬月 待ち望んだあなたの温もり R-18

 
 肉より魚が好きな三MENです!

 今回はお姉さま二人です!


 

 上洛への準備も順調で、まずは美濃になる岐阜城を目指すことが決定した。そこで補給をして、最後の休憩地である坂本城に行き・・・決戦の京という流れになった。

 

 桐琴との戦いの傷も癒え、結菜の許可が下りていつも通りの生活を始めたアキラ。

 「やはり、皆さんの表情も一気に変わりますね」

 だが、兵や将の動きや表情が昨日までとは違っていた。何しろ、この一戦は日の本の運命・・・自分達の運命すらかかっていると言ってもいい。だからこそ、

 「必死、ですね」

 彼らの動いている姿を見ていると、懐かしい姿の将の声がした。

 「ほら、そっちへ運んでください」

 「「「へい!」」」

 麦穂だ。とても真剣に指示をしている。懐かしくなって思わず声をかけた。

 「麦穂さん」

 「!!!あ、アキラ殿!」

 「忙しい。ですよね」

 「・・・ええ、大事な戦の前ですからね」

 「あの、準備「すいませんが失礼します。準備の最中なので」え?」

 少しだけ声をかけようとしたくらいだったが、それすら途中で打ち切られ去っていき、思わず唖然とした。

 「・・・いくら日にちが迫っていると言っても、話を途中で止めるほど差し迫っているわけではないはず」

 理由が分からないまま、アキラの別の方を歩いた。

 

 次に向かったのは

 「こら!たらたらするな!」

 もう一人のお姉さまだ。兵の指揮をしている最中なので終わるのを待ち、数分もしたら終わったので早速話しかけた。

 「壬月さん」

 「アキラ・・・不思議なものだ。連合集結や駿府の時に少し話をしたはずなのに、お前とこうして話すのは越前以来のように思える」

 「あの時は肩の力を入れて話してましたからね。少し気楽に話すのは、確かにその時以来かもしれないですね」

 話しているうちに、お互い笑顔を見せた。

 「そうだ。越前と言って思い出したが、子を宿した草だがちゃんと産んだぞ。わざわざ自分のところに連れてきてその子を見せた」

 「そうですか。それはよかった」

 「今は旦那と尾張にいる。お前が気にかけてくれたことを話したら、旦那ともども感謝していた。お前も一度顔を出すといい」

 「戦いが終わったら、そうさせていただきます」

 その草の事は、彼女が話に出すまで忘れていた。いろいろあったから無理もない。

 

 話も一区切りしたところで壬月が口を開いた。

 「ところで、私に何か用か?」

 「用、ってほどではないのですが、先ほど」

 麦穂にそっぽ向けられたことを話すと

 「なるほどな。まあ、そうしたくなる気持ちもわかるが」

 「どういうことです?」

 「あいつは、仕事が忙しくてそうしているわけじゃない。そこまではお前もわかるだろう」

 「ええ」

 頷いた後に見た壬月の顔は、

 

 「これは、私も思っていることだ・・・アキラ、お前があまりにも先を行きすぎているんだよ」

 

 少し寂しさを感じさせる顔だった。

 「私が、先を?」

 「そうだ、あの評定の間以来、麦穂と話をしたか?」

 「・・・作戦の打ち合わせくらいでしょうか」

 「誑し御免状をもらって越前までは今ほど人数がいなかったが、今はどんどん増え続けている。人修羅と言われている美空様すら惚れてしまった」

 「嫁が多くなりすぎたから不安という事でしょうか?」

 「そうだ」

 そう答えたが、壬月は最大の理由は別の事だと思った。でも、それはアキラには言えない。何故なら自分もその事で不安だからだ。

 

 『お前の・・・夢で限界を超えたあの戦いで見たあの背中とあの信念。武の力だけじゃない。全てにおいて先に、背中を向けてずっと前に歩いているように見えるんだよ。あいつも、私も・・・ほかの皆も』

 

 壬月はアキラに抱き着いた。顔色は変えなかったが内心ビックリした。

 「だから・・・こうして温もりを感じても、本当にお前なのか?と不安になる。本人はもう遥か先に行っているんじゃないか?そう思えるんだよ」

 「そう言う事でしたか・・・ん!」

 彼女の背中に手を回そうとした時だった。

 「!!!」

 「麦穂!」

 ちょうど門をくぐって走り去ろうとする麦穂の姿があった。

 「すいません!」

 「あ・・・」

 彼女から離れ、急いで麦穂の後を追った。

 「そうやって、離れていくように思えるんだよ・・・アキラ」

 「壬月様!あの、こちら久遠様からの書状です!」

 その追う背中を、切なそうに見ていると兵が書状を持ってやってきた。

 『麦穂、すまないが私も我慢できなくてな。これが終わったら、私も後を追うか』

 兵に礼を言って書状を見た。その内心、すぐに行動を決めた。

 

 

 すぐに彼女に追いついたアキラ。腕を掴んで、自分に顔を持ってこさせた。

 「逃げないでください!」

 「!!・・・アキラ殿」

 でも、その顔は涙目だった。

 「逃げられると、悲しいですよ」

 「(ぐす)わ、私の方が・・・悲しかったですよ」

 「ええ、本当にすいませんでした」

 彼女を抱きしめた。アキラの温もりを感じられて

 「う、うううう」

 大泣きとまではいかなかったが、麦穂はボロボロと涙を流した。ずっと感じたかった温もりがやっと感じられたことで我慢していたものが出た。

 

 少し落ち着いたところでアキラが一緒に歩こうと提案した。これから先の戦いで一緒にいられる時間が作れないので、今のうちに。と言うと

 「は、はい!喜んで」

 満面の笑顔で頷いて、二人で歩き始めた。もちろん彼女の手を握ってだ。

 『アキラ殿・・・私の隣にいる。うん!いる!』

 その手から感じる温もりと、隣に存在を感じられる喜びに、暗かった心も晴れたようだ。

 

 麦穂は初めての甲斐の街。商品の値段の違いや味噌の違いも話すと、料理が上手な彼女らしい反応をしていた。たまたま団子屋で軽い休憩をした際、

 

 「アキラ様。嫁さんとお楽しみですか~」

 

 何回か尋ねた店の為、店主から顔を覚えられていた。

 「よ、よ、嫁!わ、私が!」

 「ええ、尾張からわざわざ来てくれたのですよ」

 「おおお!奥さん。あなた、アキラ様の事をそこまで愛しているのですね」

 「あ!あああ、あああああ!」

 あ、しか言えないくらいテンパっていた。

 「でも、アキラ様。光璃様や他の皆さんもそうですが、たくさん愛してあげろよ!そうしないと俺が許さねえぞ!」

 「大丈夫ですよ。私も絶対に離れたくないくらい愛してますから」

 アキラのこの言葉に更にテンパって

 「あ、アキラ殿も・・・あああ(バタ)」

 「「あ( ゚Д゚)」」

 嬉しさと恥ずかしさの両方が限界を突破したのか、どこかの南の目と同じように気絶した。

 

 その後、麦穂を背負って風の心地いい場所に移動することにした。というか、あのままいては好奇の的になるのが目に見えていた。

 「何回も来てますね、ここにも」

 着いたところは御刺使川だ。ただ、太白や桐琴と戦った広場ではなく深い草むらの中に寝かせてアキラも隣を座った。ここなら人目がつかないからだ。

 「ん、あれ?ここは」

 「御刺使川の傍ですよ。ふふ、寝顔がかわいかったですよ」

 「////も、もう!」

 慌てて体を起こして、アキラの隣に座りなおした。

 「でも、本心ですよ。あなたを絶対に離したくありません。私の事を心から愛してくれ、私の嫁になって嬉しいと思ってくれる麦穂。あなたを妻にすることができて、心から嬉しいのですよ」

 「あ、アキラ、殿・・・わ、私も、嬉しい。あなたに、想われて、愛されて・・・温もりを感じられて」

 そう言いながらアキラの肩に頭を乗せ、アキラの腕を自分の胸に挟めて、アキラの手を両手で握った。

 「不安だった。たくさんお嫁さんができること。でも仕方のないことだと思っていました。アキラ殿は、とても素敵ですから」

 「自分は、そこまで」

 「いいえ!あなたはとても素敵で、とても格好良くて・・・とても優しい」

 アキラの肩や腕に、顔を擦りよせた。

 

 『歳世さんを優しく成仏させて、クビラさんを決して忘れないと誓って、梵天丸さんや紅虎さんの為にあんなになるまで戦ったあなたは、世界中の誰よりも素敵です!』

 

 「アキラ・・・殿。お願い、です。わ、私を」

 とろんとした目をしてアキラを見た。だが、

 

 「麦穂、私も混ぜてもらうぞ」

 

 二人の前からこんな声が聞こえた。驚いた麦穂は思わず手を離した。

 「な!み、壬月様!」

 「ど、どうしてここに!」

 アキラも意識を麦穂だけに向けたので、目の前の壬月には驚いた。

 「仕事を終えた後、お前達を追いかけた・・・先に言わせてもらうが意地悪とかそんな気持ちはない。私も、お前に抱かれたい」

 ただし、いつもの壬月ではない。

 「麦穂は、お前がいない時はずっとお前を思って慰めていた」

 「そ、それを言「だが、それは私も同じだ」、え?」

 止めようとした麦穂だが、壬月の言葉に口が止まった。

 「私も慰めていた。お前を想って、早く会いたい。抱かれたい・・・お前に愛していると言われたい。越前のあの時以来そう思うようになった」

 壬月が顔を近づけた。いつもの力強く、気合が入って、姉御のような気迫を感じるような顔ではない。はかなげで弱弱しく、麦穂同様想われたい女の顔をした壬月がそこにいた。

 「アキラ、二人一緒でもいい。私は、今日はずっとお前を感じていたいんだ」

 「・・・アキラ殿、お願いします。私達を、愛して、淫らに・・・してください」

 麦穂も初めて見る壬月の顔に共に愛されようと決めた。

 

 「分かりました。では・・・」

 アキラは服の隙間から手を入れて、彼女らの下着の上から割れ目をいじり始めた。だが、すぐに手の動きを止めた。

 「あああ!」

 「ん、ああん」

 壬月が体を震わせて、麦穂の方は体が熱くなった。だが、アキラはそれに気づけなかった。何故なら、

 「み、壬月さん。あなた」

 「も、もっと、や、やって、くれ」

 「わ、私も・・・指を、あそこに、い、いれ、て」

 麦穂の方は既に濡れている下着があり、その上から彼女の割れ目を刺激している。だが、壬月の方は実は穿いていないのだ。彼女の袴は腰の左右の部分が丸見えで、いつもはそこから彼女の下着の紐が見えるはずだが・・・それがないのだ。だから、壬月の割れ目を直に触っており、しかも

 「も、もう、いい」

 「あ!・・・わ、私も!」

 二人とも袴を下ろした。そこで麦穂は初めて壬月のそれを見た。当然驚いたが、

 「アキラ。いい、指、もっと・・・い、れて」

 アキラの手を掴み、自分の割れ目に入れていった。そこからどんどん動かしていき、壬月の蜜も出て行き内股を濡らしていった。

 「・・・う、な、なら。私は!」

 それに刺激して、麦穂は上も脱ぎ彼女の自慢の胸をさらけ出した。

 「アキラ殿・・・全部、お願い、します」

 蕩けた顔でもう片方の手を掴み、下着も脱いでさらけ出した割れ目に壬月同様アキラの指を出し入れしていった。

 「「あ、あああ!す、ごい!ああん、で、出ちゃう!」」

 二人は乱れながらも息だけは段々あっていく。

 「二人とも・・・淫乱ですね」

 「う!お、お前が、悪い」

 「そ、そうです!・・・でも、好きですよね」

 「ええ。蠱惑的な誘惑をするあなたのその体。徹底的に私がいじめましょう」

 そう言うと、二人が動かしていた自分の手を自分で動かした。

 「「あ、ああああ!」」

 二人より何倍も速く、指も割れ目の内側をもっと刺激する。二人とも自慰をしてもこの刺激は初めてだった。だから・・・

 「ああく!アキラ、だ、ダメ、だ!」

 「アキラ殿~~!わ、私は~~あああああ!」

 その刺激からくる快楽にあっさりと全身にその電気を襲わせてしまった。今まで以上に二人の蜜が放出され、その場で腰を抜かした。でも、アキラは更にこう言った。

 「二人とも、私のこの刀・・・鍛えてください」

 アキラも自分の袴を脱いで、そこにある性の太刀を見せた。間近で見たその刀に二人はゴクリと息と涎を飲んだ。

 「は、い・・・」

 焦点があってない麦穂がその刀に自分の胸を当ててしごき始めた。

 「私も、やるぞ・・・ああ」

 フラフラとなりながらも、壬月も残っていた服を完全に脱いで麦穂と同じように自分の胸をアキラのそれに当てて上下に動かした。自身の刀に左右からの二人の秋子レベルのおっぱい攻撃に、

 「ん、あ、く」

 アキラも快楽が体を襲っていた。

 「アキラの刀・・・ぺろ」

 「剛直だな・・・ちゅる」

 二人はおっぱいだけで刀を刺激するだけでなく、その刀の先を舐め始めた。

 「「ぺろれろ、ちゅるちゅる、あむ、はむ」」

 息の合った責めをしている。顔をぶつけることも、お互いの舌がぶつかることもなくしっかり自分の舐める領域をアイコンタクトで決めてやっている。

 「ふ、二人、とも、さすがですね。んん!」

 襲ってくる快楽が倍になった。このままでは負けると思い、アキラは二人のそれぞれの乳首をつねりだした。

 「「あ、あああうううん!」」

 そこから来た電撃に一気に顔を上げた。

 「ダメですよ、やめては」

 そう言いながらもどんどんアキラも責める。

 「ず、ずるい・・・」

 「でも、負け、ま、せん」

 アキラは刀から、二人は乳首からくる快楽が更に強くなっていく。麦穂も壬月もただただ一心不乱にアキラの刀を舐め続け、時には頬張り、アキラも乳首をつねる力を強めたり、おっぱいを愛撫して、それぞれがお互いの快感のポイントを刺激し合っていた。

 「「「う!」」」

 そして、三人の快楽がついに、限界を迎えた。

 「う、うおおおおお!!」

 アキラの刀から熱い液が間欠泉の如く噴き出た。

 「「あ、ああああああ!」」

 二回目の絶頂でよがった顔をした麦穂と壬月に熱い液がかかった。顔や胸にたくさん掛かり、その液を見て、

 「ふ、ふふ、アキラ・・・本当に気持ち、いいぞ」

 「もう、もう・・・あなただけ」

 顔だけでなく、体全てが蕩けたようでその場に倒れこんだ。

 「二人とも、魅力的ですよ」

 「あ、ああ、アキラ。そう言われるだけで」

 「また、欲情して、しまいます」

 二人の丸見えとなった割れ目が、アキラの刀を待ち望んでいるように見える。

 「・・・二人とも、いいですね」

 その言葉に頷いた二人。壬月を軽く持ち上げて、麦穂の上に乗せた。そして・・・

 「あ、あああ、こ、これ、だ!これを、待ち望んでいた!」

 「み、壬月様、そんなに胸を揺らして」

 壬月が待ち望んだ快楽が来た。その嬉しそうな顔を麦穂が見た。そして、

 「あああん!アキラ殿・・・ああ、お願い、もっと!」

 「麦穂、その顔、淫らだぞ」

 今度は麦穂の淫猥な顔を壬月が見た。

 「二人とも。お互いの胸を揉み合ってください」

 「「(コクリ)」」

 アキラのその言葉に、一瞬戸惑ったが二人とも互いの胸を揉み合った。

 「くおおお!!む、麦穂・・・貴様!中々、ビリってくる!」

 「み、壬月様だって、ひゃああ、ぴゃあああん!きちゃい、ます!」

 「ふ、二人も、こちらも・・・んく!く、ぬう!」

 壬月と麦穂のそれぞれの更なる快楽の攻撃がすごい体を揺らしていた。その揺れがアキラに今まで以上の快感を与えた。無意識に二人の尻も掴んで揉みしだいた。二人もそこからの快楽で、より激しい動きになって更にアキラを責めていく。

 

 『『ずっと、こうしていたい』』

 

 一瞬こんな考えをした二人だが、終わりが来た。アキラの最後の突きが

 「がああああ!くううおおお!」

 「き、く、ああ、くるの~~!」

 「い、いき、ますよ!」

 「「あああ、ああああんん!で、でる~~!!!」

 二人の割れ目を責めていき、ついに二度目の噴射が彼女らに注がれた。

 「さ、最後の、です!」

 「「あ、あああうああん!」」

 そして、アキラの最後の一押しが彼女らの体に想いが塗られた。

 

 

 しばらく彼女達は放心していた。誰にも気づかれなかったとはいえ、ここまで乱れたことに心ここにあらず状態だった。四半刻後に持ち直して、顔や胸についたアキラのあれは自分達で飲んだが、さすがに下半身の方は川で洗った。勿論、これも人がいないのを確認してだ。だが、ここで問題が起きた。かろうじて服を着たはいいが、

 「は、恥ずかしいぞ、これは!」

 「で、でも、仕方ありませんよ!」

 「ははは、可愛いものですよ」

 「言うな!」

 「言わないでください!」

 二人とも腰が抜けたのだ。着替えも座りながらやっていたため、アキラは予想していた。何しろ、久遠をそんな状態にした前科を持っているからだ。

 「三若には見られたくないぞ」

 「同感です」

 「むしろ、羨ましがられるのでは?」

 その後、麦穂を背負い、壬月を前で持ち上げて帰ることになった。正確に言うなら、麦穂の尻を持ち上げて彼女がアキラの首に腕を回し、壬月の背中から尻までを手と腕に乗せて持ち上げて彼女もアキラの首に腕を回している。その細身に見える体でよく持ち上げられるものだと内心感心しながら、

 

 『『でも・・・嬉しい』』

 

 アキラにしがみつけることが嬉しかった。

 「そうそう、二人に言う事が一つありました」

 その気持ちを持つ中アキラが口を開き、二人は耳を傾けた。

 

 「愛してますよ。二人とも、ずっと離れないでくださいね」

 

 その言葉に歓喜に震えた二人。

 

 「ああ、そのつもりだ。絶対に離れないからな!」

 「勿論ですよ。アキラ殿、むしろ覚悟してくださいね!」

 

 二人はしがみつく力を強くした。若干アキラは苦しいと思ったが、二人がここまで嬉しそうにしているならと我慢した。そのまま館に向けて歩き続けた。その道中、壬月・麦穂は心から嬉しい笑顔だった。

 




 
 そして、館に戻ってきたときに三若がそれを目撃。更にアキラ隊の皆も見て・・・二人は恥ずかしさの最高潮に達し・・・なんてことも考えましたが、一応ここまでにしました。

 麦穂はともかく、壬月がこんなに女っぽいところは彼女らしくない!と思うかもしれないが、越前のあの時以降待ち望んでいたのは間違いないでしょうし、それに桐琴と違って武人と女と割り切ることは出来ない人だと思っていたので完全に女一択でこう書きました。

 次回は久しぶりのあの鉄砲姉妹でいこうと思います!


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雀・烏 温かいな~

 
 やはり、朝は眠たいな~~。三MENです!

 煩悩先生の多忙なる日々も書くようになってこれを書く速度が少し遅くなりました。でも、頑張って続けたいと思います!では、この二人で行こうと思います・・・でも、一つ謝罪が。

 ・・・原作のようなエロはありません!後、今回は短いです!


 

 隊の上洛準備も大詰めになってきた。出陣日も近くなり、アキラの仕事も徐々に増えていった。

 「ふ~~、体だけでなく頭も使う作業が加わると疲れも溜まりやすいですね」

 その仕事の量に、肩が凝ってきて疲れも出てきた。昼を過ぎたところでやっと久遠達との軍議も終わって美濃の岐阜城までの行程を、隊の準備をしている詩乃達に伝えたことで今日の仕事も一段落出来た。

 「台所にいきますか。何か残っていてくれると嬉しいのですが」

 そう思い、早速行こうとしたが、

 

 「あ!やっと見つけた!わ~~い!お兄ちゃ~~ん!!」

 

 向こうの廊下から、雀が嬉しそうに走ってアキラに向かってきた。

 「わ~い!お兄ちゃんに抱き着き~~!」

 「・・・(o^―^o)ニコ」「お姉ちゃんも抱き着けて嬉しいと言ってます!」

 いつの間にか烏も一緒にアキラに抱き着いていた。

 「えっと、何か用でしょうか?」

 「うん!あのね、お兄ちゃん。お仕事は終わりましたか?」

 「ついさっき終わりました。昼もまだだったので」

 「それなら!雀達と一緒に食べませんか!」

 そう言うと、雀はアキラの前に弁当を見せた。

 「それはいいのですが・・・何処でですか?」

 弁当にしているという事はここで食べるというわけではないようだ。

 

 雀の話では、近くの山に登ってその頂上で一緒に食べよう!つまり遠足のお誘いだ。烏が何も言いださないところを見ると、八咫烏隊の方の準備もほとんど終わっているだろう。そう思ったアキラはその誘いに乗った。部屋にいったん戻り、置いていた刀を身に着けて門に向かって歩くと二人が手を握ってきた。

 「えへへ、お兄ちゃんのお手て握るの久しぶり~」

 「そうですね。越前以来ですね」

 「・・・(*ノωノ)」「お兄ちゃんの手、暖かい。とお姉ちゃんは言ってます!」

 「ふふ、そうですか」

 あの時は庵樹と共に夫婦みたい。と思いながら歩いたことを思い出した。すると、

 「おお!主様!」

 「おや、アキラ殿」

 漫才コンビ・・・もとい主従コンビと会った。三人で遠足に行くことを言うと、楽しんできなさい。と幽は言ったのだが、

 「では!行こうかのう!」

 一葉はついてくる気満々だった。でも、

 「公方様。まさかついていくおつもりですか?確か今日は久遠様と話をする約束があったのでは?まさかお忘れですか?

 幽が久遠達との約束のことを言うと、忘れていた顔をしながら悔しそうに諦めた。

 「主様!今度は余と幽じゃぞ!」

 「いや、某は「分かりました。では、次の機会に一葉と幽と双葉の四人で行きましょうね」・・・むう」

 一葉の言葉に幽は断りを入れようとしたが、アキラがすぐにそれを消すように双葉の名前も出して約束した。こうでもしないと、彼女はついてこないことは既に知っているからだ。

 「うむ!よくわかっておる!さすが、愛する主様!」

 「・・・双葉様まで出されては反対できませんな。わかりました。某もお付き合いしましょう」

 そう言うと、幽はいきなり自分のおっぱいを見せた。

 「はあ?な、何を?」

 「そうじゃ!いきなり」

 「きゃあああ!幽さん痴女!!」

 「・・・!」「公方様と同じくらい変になった?と言っております!」

 主と姉妹は叫んだが、アキラは何回も見ているため冷静だった。何気に烏が主をバカにしたことを口走ったが聞こえていなかった。

 「ええっと・・・ここに、ああ、あった。これをお持ちなさい」

 懐におやつを入れていたらしく、それを取り出すのに胸当ての布を取ったようだ。おやつを貰えて姉妹は喜んでいるが、

 「お主!主様を誘惑するとは卑怯なり!」

 「公方様、某はあれを探していただけでございます」

 「く!こんなことなら残しておくべきじゃった!そうすれば、余の胸に主様が釘付けじゃったのに!」

 「ふふ、公方様は全部食べてしまわれたのでしょう」

 服を直して去っていく主従コンビの会話を聞く限り、

 

 『今度とはいえ、自分の敬愛なる二人の主とのデートに誘われたことが嬉しかったからそのお礼。と言ったところでしょうか』

 

 彼女がおっぱい見せたのは、誘ってくれたお礼。という事みたいだ。

 

 

 その後で雫と梅にも会い。ちゃんとアキラと行っていい。という許可を得た遠足だったことがわかり、烏が雀の行動を止めない理由も判明した。その時、彼女らからもおやつをもらい、更に上機嫌の二人。

 「置いてけぼりなんて、ずるいです~~!!」

 今度は門のところで綾那・鞠・歌夜に会い、三人で遠足に行くことを言うと綾那がついていきたがった。でも、鞠が空気を読んで行かせないようにして、彼女の行動の意味が歌夜もわかり、阻止する鞠の手助けをした。その時に彼女からもおやつをもらい、綾那をズルズルと引っ張って館に入っていった三人だが、

 「「°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°」」

 二人はその様子に気づかないくらい、いっぱいになったおやつに釘付けだった。既に嬉しさマックスになっていた。

 

 たくさんのおやつを嬉しそうに抱えて、山登りに入った。腹がすいているとはいえ、アキラも伊達に幼少時代に盗み・拾いで飢えをしのいだ経歴の持ち主。この程度であればどうってことない。何より、

 「楽しいね!お姉ちゃん!」

 「・・・」「お兄ちゃんもいるからもっと楽しい?うん!」

 狂とゆやの子供にせがまれて、同じように手を引っ張られて散歩したことを思い出した。目が見えなくても、ちゃんと生活できることを話すと「「すっげ~~!」」と驚いていた顔を覚えている。

 

 『私も、本来ならこうした子供を持っていてもおかしくない年齢なのかもしれませんね。愛する妻との間に子供をつくる。これに関しては真面目に考えていますが、改めてそう思うと・・・・・・少し照れますね』

 

 戦いの中だけで生きてきたアキラだが、向こうの世界で恋を覚え、ここに来て、愛を覚え、それを実践した。それをたくさんの妻とやってきた。

 『たまには一時でも刀を置くことも・・・いいかもしれませんね』

 あのままずっと向こうの世界にいたら、今でも狂に挑戦していただろう。そう思いながら、少し空を見上げた。

 『あの時にあの宣言をしなかったら・・・狂も刀を置いていたのかもしれないですね。狂がそれをする姿は想像できませんが・・・ゆやさんと幸せに暮らすなら、それも一つの選択肢だったかもしれないですし』

 でも、やはり達成できるまでは置きたくない。そう思った時だった。

 「ほ~ら!お兄ちゃんもはやく!」

 「・・・」「楽しもう!と言っています!」

 「・・・ふふふ、そうですね。今は、何も考えないで楽しみますか」

 この楽しそうな二人を見て、純粋にそう思った。

 

 ついに山の頂上に着いた。だが弁当を食べる前に・・・

 「ふぉいふぃいめ、おふぇえひゃん(´~`)モグモグ」

 「・・・(´~`)モグモグ」

 もらったおやつを、既に食べている二人がいた。

 「やれやれ、そんなに食べてはお弁当が入らなくなりますよ」

 「ら~い、じょうぶ、れす!」

 「(コクコク)」

 足元には、そのおやつを包んでいた紙が落ちていた。

 「まあ、ともかく・・・いったんおやつはやめてお弁当にしましょう。後、足元の髪はちゃんと持ち帰る事。いいですね」

 「は~~~い」

 「(コクリ)」

 敷物を敷いて座り、頂上からの景色を見ながら弁当を食べた。アキラ自身気付かなかったが、その時の顔はとても穏やかな顔だった。とその顔を見た烏はこっそり思った。

 

 弁当後もおやつもおいしくいただいたが・・・皆からもらったおやつは、結局全部雀と烏で食べきってしまった。

 「う~~ん、おいしかった~~。大まんぞ~く!」

 「・・・」「お姉ちゃんもとっても満足!って!」

 「それはよかった・・・と言いたいですが」

 上を向いたアキラ。そこには雨雲が覆っていた。

 「急いでおりましょう。絶対にふってきますよ」

 「ええ~。お腹いっぱいなのに~」

 「・・・(ムス)」「お兄ちゃんの言う事を聞けって、うん!分かってるって!」

 荷物をまとめて、急いで山を下り始めたが、まるで狙ったかのようについに降り始めた。二人を濡らさないように敷物で傘代わりにしたが、濡れてしまった。

 

 下山途中でうまいこと山小屋を見つけてそこに避難した。だが、アキラも二人もびしょ濡れになったので裸になって、囲炉裏もあったので火をつけて暖まった。

 「通り雨みたいですから、半刻もすればやむでしょう」

 「そうだね。あったまってようね。お姉ちゃん!」

 「・・・(*ノωノ)」「顔赤いよ?風邪ひいたの(フルフル)違う。うん、わかった」

 アキラは下着姿だが、二人はすっぽんぽんだ。雀の方は別にどうってことないが、烏の方はアキラの体を見ることも、自分の裸を見られることも恥ずかしいのか、胸も股間も隠すように暖まっている。

 「ほら、来なさい。温め合いましょう」

 「え!いいの、わ~~い!」

 「!!!」

 アキラがおいでと言ったら雀は喜んで抱き着いたが、烏は顔を真っ赤にしてその場で止まってしまった。

 「お姉ちゃん、どうしたの?」

 「・・・(〃ノωノ)」「・・・え?恥ずかしい。雀は大丈夫です!」

 「それに、そのままじゃ風邪をひいちゃうよ!」

 「・・・(コク)」

 「お兄ちゃんとっても暖かいよ!ほら、お姉ちゃん」

 「・・・(抱き)」

 だが、雀の説得で烏も抱き着いた。顔を俯かせてアキラに密着してみせないようにしているが、とても真っ赤になっていた。

 「さて、しっかり温まりましょうね」

 「は~い!」

 「(コクコクコク!)」

 両サイドから抱き着いた二人をしっかり抱きしめた。しばらくすると、二人ともそのまま眠りについた。

 「本当に、寝顔は子供ですね・・・こんな子供を私もいつか」

 二人の頭を撫でた。すると、嬉しそうな寝顔になり自分も眠りについた。

 

 

 意識が戻った時には雨も止んで、雀はまだ寝ていたが烏は起きていた。服も乾いたのか着ていた。

 「おはようございます」

 「・・・(こく)」

 「では、山をおりましょうか」

 再度頷いた烏は雀を起こした。だが、中々起きない。しかも・・・

 

 「お兄ちゃん、雀とお姉ちゃんも、お嫁さんに・・・」

 

 そんな寝言を言った。

 「・・・!!(すちゃ)」

 「ま、待ちなさい!それはヤバいです!」

 その言葉に思いっきり恥ずかしくなったのか、銃口を眠っている雀に向けた。起きている時ならともかく、寝ているときはまずいと感じすぐに止めた。

 「!!!(*ノωノ)」

 アキラが抱きしめて止めた。すると、思いっきり顔を真っ赤にしてその場でしおらしくなって、大人しくなった。

 「それより、さっき雀の寝言ですが・・・烏は私の嫁になりたくないのですか?」

 「(ぶんぶんぶんぶん)」

 首を左右に力いっぱい振った。

 「では、なりたいのですか?」

 「・・・・・・・・・」

 だが、今度は首を左右にも前にも振らなかった。

 「烏、あなたの意思に任せます。気持ちをしっかり聞きたいです」

 烏から体を離し、彼女の前に移動した。

 「ふぁああ、あれ?お兄ちゃん、お姉ちゃんに何しているの?」

 ドキドキが止まらない中迫ってくるアキラ。その時、雀が目を覚ました。そこで、彼女にターゲットを変更した。

 「雀、あなたは、私の妻になりたいのですか?」

 「お兄ちゃんのお嫁さんですか?はい!なりたいです!」

 「では、烏。次はあなたです・・・どうですか?」

 雀の即答に焦る烏。

 「お姉ちゃん、お兄ちゃんのことが好きならお嫁さんになろうよ!雀はお兄ちゃんのこと大好きだよ!」

 「・・・」

 「それにお姉ちゃん。お兄ちゃんと一緒の時は、お兄ちゃんしか見てなかったよ!」

 「・・・!!」

 どんどん暴露されていく気持ちと行動に、慌てて雀の言葉を止めようとするが言葉を続けた。 

 

 「雀は後悔したくないからお兄ちゃんのお嫁さんになるの!お姉ちゃんも好きなのに、言わないでそのままはよくないと思います!」 

 

 この言葉は烏の心に刺さった。恥ずかしがっていて、違いますと態度に出してずっと隠していた・・・だからこそ、雀のこの言葉は烏の心を強く前に押した。

 「・・・(くいくい)」

 「結論は出ましたか?」

 「・・・(コク)」

 頷いた彼女は想いと勇気を込めて、アキラにキスをした。ほんの数秒だったが、しっかり分かった。

 「烏、しっかり受け止めます」

 「お兄ちゃん!雀は!」

 「ええ、雀もね」

 「わ~い!お兄ちゃん、雀とお姉ちゃんをよろしくお願いします!」

 「(ペコリ)」

 二人ともアキラに頭を下げた。アキラはその頭を撫でて

 「こちらこそ、お願いします・・・奥さん」

 そう、優しく言った。

 

 

 三人は着替えを終えて山を降り始めた。すっかり夕日が出ていた。

 「なんだかんだで長居してしまいましたか」

 「とっても楽しかったです!」

 「・・・」「お姉ちゃんも嬉しいことがあってよかった!と言ってます!」

 「二人が喜んだなら何よりです。では、報告をしませんとね」

 「「うん!」」

 二人は嬉しそうに先を歩くアキラに走って追いつき、両サイドから手を握ってアキラと一緒に館に向かって歩いていった。

 

 『お兄ちゃん!とっても心があったかくなりました!雀、絶対に素敵なお嫁さんになります!』

 『・・・好き。可愛がって』

 

 嫁になれたことを心から嬉しく思った姉妹だった。

 




 
 う~ん、書いていてアキラじゃない主人公のような気がしてきた。でも、自分としては情や愛を知ろうとしないアキラがここでどんどん変わっていくアキラとして書いているつもりですので・・・すいませんがSDKのアキラがいい!と思う方はご容赦ください。

 次の二人で甲斐での間章が終わり、その次は美濃になります。次は犬猿の仲・・・でも時には竹馬の友なあの二人の当主です!



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美空・光璃 なんだかんだで仲がいい R-18

 
 大変お待たせしました!三MENです!

 大修正、終了しましたので再会(誤字ではない)です!

 この二人の話からです!


 

 「じゃあ、お願いね。貞子、愛菜」

 「・・・・・・はあ~」

 「愛菜にお任せですぞ!どや!」

 「ちょっと、貞子。気持ちは分かるけど、我慢しなさい」

 「ええ、分かっていますよ・・・分かって」

 上洛するための準備もほとんど終わり、後は甲斐を出て美濃に向かうのみ。その前に、越後に空・名月・愛菜・貞子を帰ることになった。最終決戦に娘二人をさすがに連れて行けないし、まだまだ未熟だ。その事は彼女らも承知しているので、寂しい気持ちもあるが帰ることにした。

 「アキラ様、必ずまた越後に来てください!」

 「私からもお願いします。それと、あの(ぽっ)私もアキラ様のお嫁さんになりたいのですわ」

 「え、えええ!な、名月ちゃんも!」

 「どや!空様と愛菜だけでなく、名月殿まで!」

 「アキラ様の嫁改めメス犬の貞子も忘れては困ります!」

 寂しさが気持ちを押したのか、名月から突然の告白が出た。貞子の声は聞こえないふりをした。

 「・・・・・・はあ~、仕方ないか」

 「あれ?「どうしてあなたは娘まで誑すの!」と文句を言うと思ったのですが」

 「ええ。言おうと思ったけど、諦めることにしたわ」

 「それはそれで、ちょっと寂しい気が」

 美空の予想外の反応にちょっと残念そうなアキラ。

 

 『あの夢を見たら、名月がああなるのも無理ないわ・・・私だって、すっごく惚れ直しちゃったんだから///』

 

 過去の夢が名月に想いを作ったのだと予想できた。それを思い返して顔が赤くなった美空。アキラに見られないように、空と名月の前に立った。

 「と、とりあえず。気を付けないね!」

 「はい!」

 「ですわ!」

 「愛菜にお任せですぞ!どーん!」

 「アキラ様はあはあはあ」

 「えっと、その・・・が、頑張ってくださいね」

 約一名締まらない顔をしていたが、見なかったことにして館を出て行く四人を見送った二人。

 「は~~、何とホッとしました」

 「あなた、貞子が苦手だからね」

 「苦手というより、もうちょっと愛情表現を抑えてくれれば私もちゃんと接します」

 「無理ね」

 「即答ですか・・・まあ、言えてますが」

 「上洛が終わったら、来なさいよ・・・私だってあの後の越後を見てもらいたいし(ぼそ)」

 姿が見えなくなったのを確認して、館に入った。

 

 美空は用事があるとのことで、それが終わったら買い物に付き合う約束をして途中で別れた。とりあえず、久遠か光璃辺りに空達が無事出発したことを伝えようと捜していると目的の人物の一人を見つけた。

 「あ、光璃」

 角を曲がると前の方に光璃がいた。すぐに呼んだが、

 「(チラ)・・・(すたすた)」

 顔をアキラに向けたが、そのまま歩いていった。念のため、もう少し大きな声で呼んだが一瞬止まったがまた歩いていった。

 「気づいたはずなのに・・・何が?」

 光璃の行動に疑問に思いながら、その場からいなくなったため仕方なく彼女の部屋に行くことにした。そこなら必ず会えるし、どこかに行くこともないからだ。

 

 その途中で、

 「柘榴がこう行くっす!」

 「私がいれば、ここで罠を張ります」

 柘榴と以前彼女に追われていた湖衣が地図を広げて話し合いをしていた。

 「何をしているのです?」

 「お、アキラ殿。ちょうどいいところに」

 「主様。本当にちょうどいいところに」

 「お、アキラ!何だ、お前も呼ばれたのか?」

 二人の傍には春日・一葉・小夜叉がいた。春日に聞くと、湖衣と川中島の事を話し合いアキラの横入れがなかったらどんな結果になったか話し合っていると、それを聞いてかけつけた柘榴は美空が、そこにむっとした湖衣は光璃が・・・という事でこの状況になった。だけど、二人で言いあっても公平さに欠けるし春日も武田側だ。だから一葉と小夜叉がたまたま通ったのでジャッジを頼んだという事だ。

 「いや、この二人に審判は無理でしょう・・・自分が手に入れる!と言いますよ」

 「うむ!」

 「勿論だ!」

 「・・・さすが、アキラ殿。嫁の性格をよく分かっておられますな(だが、少しだけ羨ましく思うな)」

 アキラの言葉に即答した二人に呆れつつも、嫁の肩書を持つ彼女達を羨ましく思った春日。

 「ふむ、ならアキラ殿はどちらが勝つと思いますか?」

 「(う~む、どう答えましょうか・・・よし、夫の立場を利用して)引き分け、でしょうね」

 「「引き分けっすか!(ですか?)」」

 「ええ、どちらも戦上手です。お互いの戦いの癖や性格だってわかっています。美空の奇襲には虚を突かれましたが、でも光璃がそれでやられるとも思えません。何より、二人とも大切な私の妻ですから片方が勝ったとは思いたくないので、引き分けです」

 こうして話の中に、うまく夫の言葉を使えば、

 「そうですな。アキラ殿ならそうお思いになられますな」

 「主様!余も妻じゃぞ!」

 「ははは!そりゃいいや!それこそアキラだ!」

 話も簡単に着けられる。それに歴史ではその勝負結果なので、間違ったことは言っていない。

 「そういう事です。既に終わった事なのでそれでいいではないですか」

 その言葉に湖衣は納得したが、

 「納得できないっす!やっぱり勝負で決めたいっす!」

 根っから武人の柘榴が納得しなかった。戦いたい!という柘榴だが戦いたくない湖衣。この二人の勝負は将棋でつけさせることにした。湖衣も将棋は策を使う勝負だし、何より武ではなく頭の戦いだ。だから、彼女もこの戦いにはOKした。その準備の間に春日にさっきの光璃の事を話すが、彼女も覚えがないという。とりあえず本人に確認しようと思いその場を去った。

 

 「光璃、いますか?」

 「アキラ?」

 「いますね。入っていいですか?」

 「・・・うん」

 部屋に入ると、いつもなら夕霧か薫がいるが今は一人だ。彼女の前に座ると、さっそくさっきの事を聞いた。

 「光璃、今日はどうしたのです?さっき私のこと気づいてましたよね」

 「・・・うん」

 「何故、無視したのです?それとも何か急用でもありましたか?」

 「ううん・・・」

 だけど、光璃は口をあまり開かない。アキラが疑問に思っていると、

 

 「ぴた」

 

 小さな声でそう言って、胡坐をかいているアキラの太ももに座った。

 「ぴったり」

 「えっと、何をしているのですか」

 さっきまでは話しかけてもまるで反応がないのに、いきなり密着するかのようにアキラの太ももに座る。どうなっているのか意味不明なところに、

 

 「光璃、入るわよ。あの件・・・って何やってるのよ!」

 

 美空がノックなしで入ってきた。そして、アキラに密着している光璃に文句を言った。

 「うふ、夫婦の時間」

 「(ピキ)離れなさい」

 「いや、離れない」

 「離れなさい!」

 だが離れない光璃。ずんずんと目の前まで来た美空。

 「美空のおかげ、ありがとう」

 「私の?・・・あ!」

 「美空?どうしました?」

 「くうう~~、まさか、あれのせいで」

 美空が悔しそうな顔をした。しかも、自分の仕業で光璃はこうしているようだ。

 「二人とも、説明してくれますね」

 一人置いてけぼりなアキラは二人に説明を求めた。

 

 「うふふ、ここって座り心地いいわね」

 「・・・狭くなった」

 「狭いならそこに広い座布団があるわよ。ほらほら」

 「我慢する」

 「えっと、まあ、よしとしましょう」

 さっきまで光璃が座っていたアキラの太ももの片方に美空も座っている。満足そうな彼女をじろ~と不服そうに見ながらもう片方の太ももに座る光璃。

 二人の説明を聞くと、光璃の不可解な行動は美空が原因らしく、最初は何日か前に当主同士の会話として甲斐で不足している塩の流通をしたいと光璃が言ったけど、美空がそう簡単に許可するはずがない。そこで彼女が思いついたのが、ツンデレになって見ろ。と言うものだった。つまり、さっき自分と話そうとしなかった態度がツンであり積極的に密着したのがデレらしい。因みに、何故美空がその言葉を知っているのかというと、アキラが以前美空はツンデレだ的な話を柘榴と松葉に話していたのを、そのまま二人が彼女に話したとのこと。

 

 『上杉謙信が敵の武田信玄に塩を送った話は私も知ってますが・・・まさか、ツンデレを要求して塩の流通を許可するなんて思いもしなかったですよ』

 

 一応、国の主同士の話し合いなのに途中からただの罰ゲーム的な内容になっていたことに汗を流すアキラ。

 「何か、ずっとこうしていたいわね」 

 「それは同意」

 「そんなに私のももはいいのですか?」

 「アキラだからいいのよ・・・それに、こうしてくっつけるし」

 「うん、その通り・・・アキラの匂い、いい香り」

 「そうですか。喜んでくれているなら何よりです」

 満足そうな顔の二人を見て、下りるよう言うことは出来なくなった。

 「そういえば、さっき騒がしかったけど何していたの?」

 「その事ですか。川中島・将棋決戦と言ったところでしょうか。私が介入しなかったら戦いはどうなっていたか?その勝負を将棋で柘榴と湖衣がするそうです」

 「え?湖衣は戦いに」

 「彼女曰く、自分がいればもっと有利に戦えた。との事なので」

 「アキラがいなくて、自分がいた場合の戦いを将棋で再現というわけね」

 「なるほど・・・うん、確かに湖衣がいれば」

 「あら~~、勝てる。とでも言いたそうね~」

 火花を散らせる二人。

 「再現してあげてもいいのよ~」

 「美空なんかに、負けない」

 「「バチバチバチバチ」」

 「ほらほら、二人ともそこまでです」

 睨み合っているところに頭を撫でたアキラ。

 「「う・・・」」

 「それに、もう戦わないのではないのですか?もし戦うのなら」

 「「なら?」」

 「二人ともこの太ももから降りてもらいますよ」

 「「・・・ご、ごめんなさい」」

 素直に二人とも頭を下げた。

 「ええ、許してあげますよ・・・ただし」

 「「ただし?」」

 アキラに顔を向けようとしたら、二人の胸に手が乗っていた。

 「あ!ちょ、ちょっと!あ、ああ」

 「え、あ、ああん!あ、アキラ?」

 「お仕置きは、必要ですね~。夫の私がいるのに、戦おうとするなんて」

 好き放題に揉んでいくと、二人の顔が蕩け始めた。

 

 数分後には、

 「あ、アキラ。ねえ、お願い」

 「もっと、ここにも・・・」

 美空も光璃も欲情して、アキラに下着を見せた。既に蜜で濡れ濡れだった。

 「いいですが、約束しないとダメです」

 「「や、約束?」」

 ここでいったんアキラは胸から手を離した。

 「ええ。喧嘩ならまだいいですが、争いはもうしないと。もし、できないなら・・・もう抱きませんよ」

 「そ、そんなの嫌よ!」

 「する、するから!」

 愛する旦那が自分を抱かない。これ以上ない約束ができる言葉だ。

 「では、望み通りに」

 「「ひゃ!」」

 濡れ濡れの下着のまま、秘所いじりを開始した。

 「あ、あ、は、ちょ、ちょっと。もっと、強く」

 「アキラ、お、おねが、い。激しく」

 「ふふ、当主の顔とは思えませんね~。性欲に支配された顔ですよ」

 「も、もう、意地悪・・・でも」

 「うん。アキラなら、いい」

 「ふむ、ここまで濡らしてましたか・・・では、私の刀を濡らしてください」

 「「・・・うん」」

 その刀が、自分達を快楽と愛欲に導く刀だとすぐに分かった二人。両手がそれぞれの秘所いじりをしているので、彼女らがアキラの袴と下着を脱がせてその刀をあらわにした。

 「う・・・」

 「アキラ。ん!今慰める」

 美空はその刀に躊躇いを持ったが、かつてその刀を濡らした光璃は握って舐め始めた。

 「な!ひ、光璃!ひゃ!」

 「ん、むぐ、んあ、ああ・・・ぷふぁ、美空。みゃ!やらないの?」

 「・・・ああ。もう!やってやるわよ!きゃん!」

 「うん、あん!二人で気持ちよく」

 躊躇いがちだった美空もついに舐めだした。その姿に、刀を太くしたアキラ。ついに下着を脱がせて、いじっていた指を秘所の中に入れて動かした。

 「あは、ああ、アキラ・・・いいの」

 「うん、あはああ・・・もう、ダメ」

 「こらこら、う、ん。休まない、ように、む」

 二人の秘所をどんどん責め、光璃と美空もアキラの刀をどんどん責める。お互い、踏ん張りながら快楽を与えることに頑張っている。

 「っく!こ、これは!」

 「「あ、あああ。で、で、でるううう!」」

 アキラの刀から二人への熱いものが出て、二人の秘所からも蜜がドバっと出た。熱いものは二人の顔にかかり、蜜は床を濡らした。

 「さすが、ですね・・・思わず出てしまいました」

 「あ、当たり前、よ。うふ」

 「あ、美空。そこに」

 顔が熱いものまみれになった二人。すると光璃が美空の顔をいきなりなめた。

 「「な!」」

 「ここにも、ここも」

 熱いものを口に含んで飲んでいく光璃。おおよそ飲み終わって離れようとすると

 「光璃・・・あなたもね」

 「うん、やって」

 今度は美空が光璃の顔にかかった分を飲み始めた。

 「ふふ、二人とも、そんなに好きなら」

 「「きゃ!」」

 密着している状態で座っている二人を押し倒した。美空の右足と光璃の左足を持ち上げて、秘所を丸見え状態にした。

 「今から、たっぷり注いであげます!」

 理性が壊れ、二人の秘所に刀を交互に入れた。

 「ああ、きゃう、あう!あ、あ、ああああ!」

 「あ、あき、ん!ん!も、もっと、あ、ひゃうう!」

 「どうです?いいですか?」

 「「う、うん!いい!」」

 入れる速度を速くしていき、彼女らもその快楽に段々思考も蕩けていき、

 「ひ、光璃・・・おいしそう」

 「美空も、唇が、いい香り」

 二人は何とキスをした。そして、そのまま

 

 「「ぎゅつ、ぐちゅ、ちゅじゅる、くちゃ」」

 

 アキラの熱いものを出し入れするかのように、舌を使って貪っていく。

 「あんたの、胸も、ああ!見せなさい」

 「美空、ん!きゃう!見せて」

 唇を離すと、お互い剥ぎ取るように服を脱がせて、胸も揉んでいく。

 「ふふ、そうです!そうやって、仲良くしなさい!」

 「「う、うん!わかった!」」

 「三人で、いきましょう!」

 「ええ、光璃」

 「うん、美空」 

 彼女らは再び抱き合ってキスをして胸を揉んでいき、アキラは足を掴むのをやめて彼女らの尻を揉んでいく。彼女らの快楽もアキラの快楽もどんどん高まっていき、

 

 「「ア、アキラ~~~!!」」

 「で・・・る!!」

 

 ついにアキラの熱い愛が二人の秘所の奥に入っていった。

 「やっぱり、アキラが・・・いい」

 「大好き、アキラ」

 「さあ、まだまだやりますよ。仲のいいところを見たいですから」

 「もう、スケベ・・・でも」

 「スケベなアキラも、好き」

 足が床に降りた二人は、その秘所を広げた。熱い愛が出てきた。

 

 「「大好きだから・・・私達にもっと愛をちょうだい」」

 

 息ぴったりの仲のいい二人を見れたアキラ。その期待に応えるために、気合を入れて二人の体に襲い掛かった。

 

 

 

 半刻後、どたどたどたどたと走る音が聞こえる。その音は三人のいる光璃の部屋に止まった。

 「お屋形様~~!」

 「御大将~~!」

 粉雪と柘榴が力いっぱい襖を開いた。

 「川中島・・・・」

 「参加・・・」

 だが、二人はその部屋のあるものを見て固まった。それは・・・

 

 「「「ZZZZZZ」」」

 

 上半身服を着て下半身を丸出しで寝ているアキラに、全裸の光璃と美空が抱き着いて寝ている姿だった。

 「・・・えっと、ざ、柘榴?」

 「こ、粉雪。お邪魔っすよね?」

 「あ、ああ。そう、だぜ」

 「公方様が来ると、まずいっすから・・・退散っす」

 自分達の大将とその夫の愛欲の後の姿は、さすがに気まずい。とりあえず、襖を閉めて見なかったことにした。

 「えっと、引き分け。で、いいっすか?」

 「そ、そうだぜ。ふ、二人とも・・・仲良さそうに、眠っていたし」

 川中島の将棋勝負を二人にやってもらいたかった柘榴と粉雪だが、三人のあの姿で引き分けという決着がついたようだ。

 

 

 真ん中にアキラ・右に美空・左に光璃だが、美空の左手と光璃の右手ががっしり握られた状態でアキラの胸の上に置かれていた。

 「アキラ、光璃・・・好きよ」

 「アキラ、美空・・・好き」

 「愛してます。光璃、美空」

 そんな寝言を言いながら、対決部屋に戻った柘榴と粉雪の気まずい表情を見て察した一葉と久遠がこの部屋に突撃するまで、三人は幸せそうに寝ていた。

 




 
 本当に待たせてしまい申し訳ございませんでした!まだちょっとだけ間章23の話で修正部分がありますが、再開します!

 次回からは、甲斐から美濃に変わります。ただ、その道中の話も間章として書こうと思います。

 では、煩悩先生も含めてお楽しみください!・・・ただ、二つの作品を書くのでペースはちょっと落ちるかもしれません。ですが、完結まで絶対に書く!気合入れて、頑張るぞ~~!


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真琴・葵 当主より・・・女として R-18

 
 こんにちは!虫が結構苦手な三MENです!

 今回もオリジナル、この二人です!ただ、一つ謝罪が・・・前回の後書きで場所が美濃になります。と書きましたが今回だけ三河です!次回から美濃です。すいませんでした。

 では、スタート!


 

 上洛の為に、ついに甲斐を出た。最初に行くのは三河の岡崎城、葵の居城だ。そこで松平の隊の編成と補充をすることになった。

 「こちらですよね。詩乃さん、雫さん」

 「違います。ここですよ、悠季さん」

 「ここも少しずれてますよ」

 「そ、そんな!あああ!確かに・・・ううう、葵様が傍にいればこのような失態など起こさないのに」

 「むしろ、失態の数が多くなると思いますが・・・いいところを見せようとして失敗して」

 「悠季さん。落ち着いて。ほら、深呼吸をしましょう。失敗は成功に行くための大切なことなどで、落ち込むことありませんよ」

 その城の中の一室では悠季が、詩乃と雫を教師に勉強していた。

 

 『ふふ、私も長屋にいた頃はいろいろ詩乃から学んだものです・・・あの頃は私とひよところと詩乃に百人もいない隊でしたのに。今では三百人ちょっとだけど、鬼を対峙していくにつれて日の本全土に知られるくらい有名になった。四聖天の頃もそうでしたね、関ヶ原で大暴れして有名になった・・・本当に大きく変わったものです』

 

 懐かしみながら、自分がここまで変わったことに少し驚いていた。その後も、悠季の悲鳴が部屋から聞こえてきた。

 

 「アキラ~!」

 「アキラ様!」

 「あ、お兄ちゃん!」

 部屋を離れてしばらく歩くと、鞠・綾那・市の元気な三人がやってきた。

 「どうも、三人共。綾那どうです?久しぶりの岡崎城は?」

 「いや~!やっぱりいいです!殿さんを一緒にいられるのが一番です!」

 「鞠も葵ちゃんちは久しぶりなの!」

 「市は初めてだね。へ~、これが葵さんの城か」

 「今、綾那が案内してるです!」

 「鞠もあまり来れなかったから、楽しみなの!」

 「お願いね、綾那」

 綾那が一番テンションが高い。駿府奪還の時は戦いを優先していたために、居城にいられる時間も短かった。こうして、仲間と一緒に葵の居城にいられる時間ができて嬉しいのだろう。

 「アキラも一緒に行こう!」

 「そうしたいのはやまやまですが、ちょっと行くところがありまして」 

 「残念です・・・」

 「まあまあ。ホラ綾那、案内続けて」

 「はいです!次に綾那がいつもいく広場に行くです!」

 一緒に行けないことに残念がる綾那を鞠と市が元気に戻して、案内を再開した。

 「綾那の案内するところって、訓練や鍛錬をするところしかないと思うのですが・・あの二人ならむしろ喜びそうですが。さて、私も用を済ませますか」

 綾那の城案内にちょっと不安になりながら、用件を済ますために動いた。

 「綾那!そっちじゃないの!こっちなの!」

 「あ!そうでした!」

 「どうして、鞠ちゃんの方が詳しいの?」

 ・・・どうやら、案内役は鞠になりそうだ。

 

 アキラの用というのは、

 「ご主人様、わざわざありがとうございます!」

 「いえ、大切な妻なので元気が戻ったのか心配だったのですよ」

 「アキラ様。そこまで・・・嬉しいです!」

 「小波も歌夜も、よかったですね」

 この二人の様子見だ。さっきの綾那同様、葵の居城にいることが嬉しいようで少しほっとしたが・・・綾那には聞けなかったが、訪れたのはもう一つ理由があった。

 「それで、結論はでましたか?」

 「いえ、もう決まっています」

 「私もです、ご主人様」

 「では、聞かせてもらいましょう」

 その理由とは・・・

 

 「「はい、アキラ隊に戻ります」」

 

 彼女達はこのまま松平に残るのか?それともアキラ隊に戻るのか?だった。この岡崎城まで葵と共に行動していたが、駿府奪還前に一時的に返して終わったら戻してくれと言ったが、その言葉通りにしていいかを確認しておきたかった。

 「本当にいいのですね。また、葵から離れることになっても」

 「はい。これは綾那も同じ意見です。私達三人はアキラ様の元に戻ります」

 「ご主人様、いいですよね」

 「勿論です。嬉しいですよ、あなた達が戻って来てくれて」

 「「(じわ)私も、嬉しいです!」」

 戻ることを歓迎してくれたことに、小波と歌夜は嬉し涙を流してアキラに抱き着いて力いっぱいしがみついた。

 「私達はずっとアキラ様の傍にいます」

 「ご主人様、大好きなご主人様の傍にずっといさせてください!」

 「その想い、しっかり受け止めました。歌夜、小波、これからも私の隊の一人として、私の妻の一人として・・・私を愛する女としていてくださいね」

 「「はい!アキラ様(ご主人様)!!」」

 彼女らは笑顔でアキラの頬にキスをした。

 

 

 二人と別れたアキラが向かったのは、岡崎城の主・葵のいる部屋だった。さっきの綾那・歌夜・小波の三人が自分の隊に戻ることを伝えるためだ。

 「葵、いますか?」

 部屋に入ったが、誰もいなかった。出払っているようなので待たせてもらおうと部屋に入ると、まだ夜になってないのに布団が敷かれていた。

 「はて、私と閨をするため?いえ、それはさすがにないですね。というか、どうしてすぐにこんな考え・・・毎日のように妻の皆さんを抱いたからでしょうか?」

 簡単にこんな考えが出てしまったアキラは少しだけ自己嫌悪に陥った。そこに、

 「葵さん、失礼ってあれ?兄様!」

 真琴が現れた。

 「あれ?どうしてここに?」

 「はい、我等浅井衆の宿の手配を葵さん自らしてくれたのでお礼を言いに」

 「なるほど。私も隊の事で来たのですが」

 「僕は待ちますが、兄様は?」

 「私も待ちましょう」

 真琴も部屋に入って、二人で待つことにした。その際、二人っきりを意識してか彼女はアキラの隣に座ってぴったりくっついた。

 「そういえば、さっき綾那が鞠と市を連れて城案内をしてましたよ」

 「ええ、二人で話していると「お市様!お城を案内するです!」と言って、連れて行っちゃいましたから」

 「越前前も連合で集まった時もよく三人で鍛錬してましたからね。そういえば、桐琴も市の事を気に入ってましたね」

 「あ、あははは・・・市のあのはしゃぎっぷりは森一家から貰ったのかもしれないですね」

 「正直に言ったらどうです?暴走って」

 「・・・お願いですから、言わせないでください」

 苦い顔でそう言う当たり、否定できないようだ。

 

 笑い話に盛り上がっていると、葵が帰ってきた。

 「あ、アキラ様!私の部屋に来てく・・・真琴様もようこそ」

 「ははははは。気持ちは分かりますよ、葵様」

 アキラ一人だけかと思いハイテンションになったが、すぐ隣にくっついている真琴を見てクールダウンした。だが、真琴も同じ立場ならそうなると思うのか悪く思わなかった。

 「えっと、私の隊の事で・・・」

 「私は宿のお礼で・・・」

 それぞれ用件を言った。さっきの顔が嘘のように真剣になった。

 「・・・なるほど、アキラ様。それでしたらあの三人をお願いします。真琴様、お礼などそこまでの事はしていませんから」

 「分かりました。あの三人は必ず私が責任を持って預かります」

 「そんなことないですよ。ありがとうございました」

 アキラと真琴は礼をして、出て行こうとしたが。

 「あの、よろしければお話しませんか?実は、悠季から今日は最低限の仕事をしたら後はお休みください。と言われてまして、時間が空いているのです」

 「つまり、そこの布団は」

 「その為の布団という事ですね」

 「でも、すぐに眠れないですし・・・アキラ様と一緒なら」

 「葵様、余計に眠れなくなりますよ」

 「ですよね・・・残念です」

 二人して顔を真っ赤にして、その時の事を想像した。

 「では、お二人でどうぞ。私はまだちょっと行くところがあります。それが終わったら戻ってきますね」

 「そ、そうですか、で、では、必ず来てください!」

 「僕はしばらくしたら戻ります。では、兄様」

 そう言ってアキラが出て行った。

 

 アキラがいなくなり、正面に向き合った真琴と葵。その顔はさっきのような笑顔がなかった。

 「こうして、二人だけで話すのは初めてですね。葵様」

 「ええ、同じ同盟軍で、同じ国を持つ当主でも、軍議の時くらいしか顔を合わせないですし、何よりさっきのような話など無縁でしたから」

 「「・・・・・・」」

 お互い話題がなかなかない。アキラがいれば、まだ彼を通じて話が出来たがいなくなってしまったためどうやって話をすればいいのか分からないのだ。あの三人や一葉のような堂々とした話し方がこの二人は出来ないため、うまく笑顔になる話ができない。

 「えっと、他に何「・・・ねえ、真琴様。今からただの真琴様と葵として話しませんか?」え?」

 静けさにちょっとムズムズした真琴が他の話題がないか聞こうとしたら、葵からその提案が出た。

 「葵様。ただの僕とあなたというのは?」

 「言葉通りです。お互い国の主と同盟軍の仲間というのを忘れて、何の肩書のない私達で話しましょうと言う事です」

 「・・・なるほど。そうですね、それならいろいろ言えそうです」

 つまり、当主や仲間という肩書があるとそれなりに気を使うが、ここからはそれらを全部なくして話そうという事だ。

 「でも、一つだけ・・・アキラ様の妻。これだけは持って話しましょう」

 「あはは、そうですね。多分、その肩書がなくても話すことはアキラ様の事だらけになりそうですからね」

 「「ふふふ(あははは)」」

 この時にやっと二人に笑顔が出た。

 「では・・・葵様。正直に言うと僕はあなたの事が苦手でした」

 「私の方は、油断できない方だと思っていました」

 その笑顔で話を始めた。

 「越前で見せたあの激はちょっと怖かったですよ」

 「あなたも、中々の実力をお持ちのようで。正面からは戦いたくないですね」 

 「同盟軍の中でも、あなたはいつ敵に回るか分からないと思っていました」

 「光璃様の言われた通りの歴史だったら、それはあなたにそのまま返される言葉ですよ」

 「そうですね。はは、痛いところをつかれました」

 「ふふ、私もそう見られてましたか」

 話の内容は空気にひびが少し入ってもおかしくない会話だが、二人は笑顔で話している。しかも、その笑顔は無理に作ったものではなく両者ともに自然だ。

 「それにしても、あなた相手にこんな話を気楽にできるとは思いませんでした」

 「私もです。それも、全部・・・」

 「そうですね・・・」

 二人の頭の中にさっきまでいた男を思い出した。

 

 「「兄(アキラ)様のおかげですね」」

 

 一緒に言ったことで、さっき以上に笑った。

 

 

 笑いも終わって、話題がアキラになった。

 「兄様と初めて会った時は驚きました。目が見えないのに普通に生活できるのが」

 「私はどうやってあの人を陥れるか、それを考えていました」

 「でも、兄様は逆に陥れる人ですよね」

 「その通りです。今では、もうあの人の虜に、なってしまいました(ぽ)」

 笑顔から蕩けた顔になった葵。

 「僕も、です。今じゃ兄様を想って」

 それは真琴もそうだった。そこから

 「私は、駿府に行く前に・・・私を、誑してくれる。そう言ってくれて」

 「僕も、越前の途中で、市と一緒に抱いてくれて」

 徐々に二人の空気が妖しくなって

 「鬼の呪いが体に・・・はあ、はあ」

 「兄様の、刀、とても大きかった」

 アキラに抱かれた時の事を思い出して、二人の下着が濡れた。敷かれている布団に乗って、

 「あ、アキラ、様」

 「兄様、兄様・・・ああ!」

 そこで自慰を始めた。二人とも、自分の胸を揉み、自分の割れ目をいじり、その蜜が出ている割れ目に指を入れて動かした。

 「アキラ様に、たくさん。たくさん、入れられて」

 「兄様に、揉まれた・・・胸も、尻も」

 「はあ、はあ、中に、どくどくって」

 「抱かれた時も、市と慰めた時も、ずっと、兄様の匂いに包まれて」

 寝転がって、二人とも既に目の前の存在に気づいていない。ただ、頭の中のアキラに責められた過去を思い出して、そこからもっと責められたいと思い、

 

 「「あぐ!ああ、ああん!」」

 

 割れ目の隣にある、もう一つの秘所に指を入れた。そこからは未知の領域で、彼女らの知らない強烈な快楽だった。

 「もう、でも、アキラ様なら・・・全てを触られても」

 「兄様の好きに、兄様になら、全部あげます」

 その快楽で更に周りが見えなくなった二人は、自慰に没頭した。途中で喘ぎ声を高らかに出しても構わずに続けていった。

 

 「お待たせしました。葵・・・え?」

 用件も済んで戻ってきたアキラの前に、自慰に没頭して絶頂した後の布団に寝転がっている葵と真琴がいた。二人とも服を脱いで襦袢姿になったがとても乱れており、下半身が完全に丸見えになっていて、おっぱいも真琴は二つとも見えて葵は一つ見えていた。ただ、葵は真琴より割れ目から出た蜜の量が多く布団の濡れ具合も葵から出た方が多かった。

 「あの、ふ、二人、とも?」

 アキラはこうした現場を見るのは初めてではないが、葵ならともかく真琴はこうしたことを見せないので少し混乱していた。

 「な、何を・・・」

 「「・・・え?」」

 自慰で少しのぼせた状態になっている二人は、声のする方を見てやっとアキラがいることに気が付いた。

 

 「アキラ様~~待っていました!」

 

 乱れた姿のままアキラに抱き着いた葵。部屋に入れて、布団に押し倒した。

 「あ、葵様!」

 「葵、何を!」

 「アキラ様、私と真琴様は、あなたを想って慰めていました。ですので、今度はあなたが私達を慰めてください」

 「な!」

 驚く中、既にアキラの服を脱がしにかかっている葵。だが、

 「(ちら)」

 「!」

 一瞬真琴の方を見て、今度はアキラにねっとり熱いキスをした。見られた真琴はこの行動の意図を理解した。速く来ないと目の前で自分だけがアキラに抱かれるぞ。あなたの目の前で大いに愛されるぞ。と。

 こうした奪い合いは譲るタイプの彼女だが、

 「兄様!ぼ、僕も!」

 「な!」

 女の想いと本能に火が付いたのか、股間に飛びついてアキラの刀を出した。その刀に、

 「ぼ、僕が先に!」

 「ふふ、どうぞ。私はあなたが終わるまで待ちます・・・それでも勝つ自信がありますよ」

 「ま、負けない!絶対に負けません!」

 「真琴、いったいどうしたのですか!」

 葵が求めるようになってきたのは駿府以降から見られてきたが、真琴がここまで行動するのは驚きだ。されるがままのアキラは

 

 「アキラ様。さあ、私達を存分に愛してください」

 「兄様の好きなだけ、ぼ、僕達を、僕達を抱いてください!」

 

 二人の愛と欲望に答えるしかなかった。

 

 

 既に夜、裸のアキラに左右から抱き着く葵と真琴。何時間も二人を愛したアキラはさすがに疲れてその場で眠りについた。アキラの寝顔を見て嬉しそうな二人。

 「うふふ、ここまでやってしまいましたね」

 「そうですね。でも、どうしてここまでやったのか?」

 「その答えは簡単ですよ、真琴様」

 「え?そうですか、葵様?」

 アキラを求めたことに関しては後悔してない真琴。でも、挑発されたとはいえ明らかに自分らしくない求め方だった。疑問に思う真琴に、

 

 「私も、あなたも女だからです」

 

 葵は簡潔に答えた。

 「女だから?」

 

 「はい、愛する男性に求められたい。愛する男性を求めたい。かつて当主であった私はそれを知らなかった。でも、駿府でそれを知って・・・それからはあの人に女として求められたいと思うようになりました。あなたはどうです?アキラ様からは、久遠様の義妹として接してほしいですか?北近江の当主として見られたいですか?それとも・・・」

 

 「・・・僕も女として求められたい。そうか、そうだったのですね」

 真琴はその説明に納得した。遠慮しがちな部分が強い彼女は、義姉の久遠や立場が自分より強い美空や光璃に一葉。同じ側室の双葉や結菜に譲る傾向がある。でも、アキラはそんな自分でも愛してくれると思っていた。

 だが、それだとアキラが愛するという事だけであり、自分がどれだけ愛し、求めたいかと言うものではない。つまり、ここでも遠慮してしまっていた。

 

 「僕も、もっともっと兄様に愛されたい。久遠姉様やアキラ隊の皆と同じくらいに、求められたいし・・・女として、妻として見られたいし、求めて欲しい」

 

 葵はそんな部分を見抜いたからこそ、挑発したのだろう。同じアキラの妻として、同じ立場に立つものとして・・・。

 

 

 数日後、美濃に移動を開始した。その道中、

 「アキラ、それはどういうことだ?」

 「そうだよ。説明してよ、お兄ちゃん」

 「どういう事と言われても」

 「アキラ様。一緒に行きましょう」

 「兄様、もうすぐ着きますよ!」

 馬に乗るアキラの両隣を真琴と葵で占領した。しかも、馬がぶつかるギリギリまで近づいてアキラに寄っていた。後ろの久遠と市は疑問そうに真琴と葵を見ていた。二人とも仲よさそうにアキラに話しかけていた。

 『あの後、いったい何が?』

 真ん中にいるアキラは、何が起こったのか分からないまま馬を歩かせた。

 

 『アキラ様。これからも、愛してくださいね』

 『兄様!僕はもう遠慮しません。もっともっと愛してください!』

 

 分からない顔をするアキラを、二人は蕩けた目で見ていた。

 




 
 どうも!この二人にした理由は原作で絡みが全然なかったからです!あと、真琴が麦穂と同じくらい我慢するタイプだと思い、その我慢を取るために同じ立場の葵を使いました。

 いや~、駿府以降は葵がエロキャラになりつつあるな・・・。原作でも誰よりもでれでれになっているんじゃないかな?

 次回こそ美濃です!・・・でも、誰からにしようか?原作やって決めるか。お楽しみに!


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一葉・幽 違う道を見ることも必要

 
 ZZZ・・・書いている途中で眠りについた三MENです。

 今回はこの二人にしました・・・いや、メインはこっちになるかな?では、どうぞ!


 

 美濃に到着して、その日は岐阜城に泊まった。次の日、早速城下に降りた。

 

 「懐かしい」

 

 やはり、内容の濃い越前・越後・甲斐・駿府だったため一年も経ってないのに、思わずその言葉が出た。

 「・・・久しぶりです。ここは」

 四聖天が揃った時と同じ満足感があった。やっと、来れた。その気持ちが強かった。

 「さて、久しぶりに一発屋で焼き魚定食でも・・・きよちゃんや親父さんにも会うのも何か月ぶりでしょうか」

 「そうですね。あの焼き魚。あれは神が与えた至高の「大げさだろ。それは」いいえ!時人さん!食べればわかります!」

 「いつの間にいたのですか?」

 きよと親父さんの顔を思い出していると、いつの間にか右に詩乃と時人。反対側には庵樹と朱雀がいた。

 「ははは、詩乃がその一発屋に食べに行きたい!と駄々をこねてな」

 「でも、偏屈なこの人がそこまで言うなら行ってみよう。ということにしたのです」

 「駄々などこねていません!私は本当のことを言ったまでです」

 「それで、アキラも行くんだろ?一緒にどうだ?」

 「いえ、もう少し後にしましょう。しばらく、この久しぶりの城下を見て回ろうかと思います」

 そう言うと、不思議と詩乃は納得した。いや、

 「・・・そうですね。私も後で見て回ります」

 彼女が一番感慨深い美濃の城下だ。やっと戻ってこれたこの城下を一人で見たいと思う気持ちもあるから納得したのだろう。その顔は一体どれだけの感情を込めていたのか?それは本人しか知らない。

 「ほら!その至高の焼き魚。食べに行こうぜ!」

 「場所はあんたしか分からないんだから、案内は頼むよ」

 「どれ、私が本当か鑑定してあげましょう」

 「・・・ふふ、驚かないでくださいね!」

 でも、この三人がいれば気分も晴れるだろう。四人は詩乃を先頭に歩いていった。

 

 彼女らとは反対に歩くと、

 「だから、いいって言ってんだろ!」

 「で、でも・・・ダメだって」

 ビシッとした声とオロオロした声が聞こえた。小夜叉とひよだ。

 「おや、どうしました?」

 「お、アキラじゃないか!アキラも言ってやってくれ!」

 「お、おがじら~~」

 涙目のひよと彼女を指す小夜叉。何か小夜叉が泣かしているように見えるが、さっきの言葉からすると何かをしてあげようとしているがひよが断っているみたいだ。

 「それで、どうしたのです?」

 二人の話からすると、ひよが目の前の刀屋で短刀を見つけて買おうとしたがお金が足りなかった。そこに小夜叉が通りかかって、事情を聞いたら京での戦いに少しでも頑張ろうと思って買おうとしたため、その心意気が気に入って彼女が足りない分を貸してやると言ったらしい。でも、金の貸し借りはしてはいけないと母親から言われていて、それを律儀に守っているため断っているとの事。

 小夜叉はその母親が死んでいるみたいな言い方をして、まだ生きています!とひよが必死で否定していた。

 「ふむ、私なら遠慮なく借りて買いますがね」

 「ほら!アキラも言ったじゃないか!遠慮するなって!」

 「びええええん!誰か助けて~~」

 小夜叉側に着いたアキラにどうすればいいか分からなくなったひよ。更にそこに

 「ん?主様、どうしたのじゃ?」

 「妻を泣かすのは感心できませんな」

 日の本一の漫才コンビ・・・もとい主従コンビがやってきた。

 

 

 「しかし、本当に良かったのですか?」

 「ひよ殿なら文句はありませんよ。死ぬまで大切にしてくれそうですし、何より彼女は自分が思った以上の才能を持っていることに気づいておりません。それほどのものを貰えるくらいの人物だと気付かせるにはちょうどいいです」

 「そうじゃ!ふふ、さすがは余じゃ!」

 一葉・幽と話をしながら城下を歩く。その話がさっきのひよと小夜叉の事だが、何と一葉が自分の短刀をあげてしまったのだ。幽の話では、その短刀はそこの刀屋の刀全部買えるくらいの価値があるものらしく、小夜叉から金を借りて短刀を買うか、一葉の短刀を貰うかどっちか選べ!という困った選択を迫られた結果、貰う事になった。

 ひよも将軍の一葉の短刀だから結構な値のものだと分かっているだろうが、そこまでのものとはさすがに気づいてないだろう。

 「そうですね。ひよは私も有能だと思っています。それに彼女にはそういった褒美もできなかったので、それをしてくれてありがとうございます」

 何しろ、後の豊臣秀吉だ。隊の仕事ぶりを見ると、アキラもそういう目で見ることはたまにあるのでそう答えられる。

 「ほほほ、そう言われると少し照れますな」

 「どうじゃ!ふふ、さすがは余じゃ!」

 さっきからドヤ顔をしている一葉だが、二人は見て見ぬふりをしている。

 「ところで、二人はどうしてここに?」

 「ええ、先の川で茶を楽しめる場所を見つけまして。たまには、気楽に飲もうかと思いまして」

 「ほう、それはいいですね。肩の力を抜くことも大切ですし」

 「・・・のう、主様。幽。そろそろ本当に気づいてくれぬか?」

 「では、アキラ殿もどうです?」

 「うん!それがいい!行くぞ主様!」

 無視されて、しょんぼりしてきた一葉だが幽の一言ですぐに元気を取り戻してアキラの腕を抱きしめた。

 「構いませんがいいのですか?私は無頓着ですよ」

 「ほっほっほ、さっきアキラ殿も申していたではありませんか。肩の力を抜くと。そのような作法なしで飲んでくれても構いません」

 「そういう事じゃ!行こうぞ、主様!」

 何気に幽も一葉の反対側からアキラの腕を抱きしめていた。どうやら、一緒に行くことは決定みたいだ。

 「ふふ、では、お供させていただきます」

 

 

 川に着くと、てっきり麓で飲むのかと思ったら

 「船の上ですか」

 「はい、川の麓では邪魔が入ります」

 「そうじゃ。愛する旦那様と幽の三人きりでいるのに邪魔はいらん」

 舟の上で茶を飲むことにしていた二人。既に川の真ん中あたりで船を止めて、幽が茶の用意をしていた。

 「主様。周りを見てみろ」

 「周り?どういうことですか?」

 「アキラ殿、あちらの木をご覧ください」

 退屈そうにしていたアキラに、一葉と幽が言ってきたので言われた通り見た。

 「ただの木ですが?」

 「ええ。ですが、葉の色に違いがあることに気づきませんか?」

 「葉の色・・・そう言えば」

 緑色だったり、少し黄緑だったり、もっと薄い黄緑だったりとその違いは確かにあった。

 「そう、小さな違いや変化を探したり、四季折々こうした変化を見つけるのも遊びの醍醐味ですぞ」

 「そうなのですか?」

 「先ほど、退屈そうにしておりましたが。そういう時間にこそそれらを見つけて、日々を生きている幸せを感じ取る。それこそが生きていると言うものではありませんか?」

 幽から言われて強く納得した。そういったことをまったく意識しないでずっと生きてきたからこそ、小さいものでも見つけることが楽しみという彼女の言葉は理解できた。小さな発見でもそれが大きな意味を持つ時があるのだから。

 

 「では・・・お茶を入れます」

 その茶を入れる幽の姿が、一瞬で空気が変わった気がしたアキラだった。舟の上で地面とは違い少し揺れるのに、全く気にせず茶を入れる彼女の姿は

 

 『美しい』

 

 純粋にそう思えた。これもまた小さな発見だ。

 『なるほど、確かにこれは楽しみだ』

 もし、この考えが彼女に知られたらどれだけ嬉しい気持ちになっただろう。

 「アキラ殿、どうぞ」

 出された茶碗の茶を飲んだアキラ。ただ、苦かったので口に出して苦い顔をした。半分ほど飲んで一葉に渡して、残った半分を彼女が飲んだ。

 「苦い」

 やはり、彼女もそう思ったのか幽にそう言った。すると、秘蔵の茶があるのでそれを用意するとの事。その間に茶菓子を食するよう言われた。

 「主様。あ~んじゃ」

 「・・・あ~ん」

 「次は余にしてくれたもう!」

 「ええ、いいですよ。では、あ~ん」

 茶の席とは思えないほどリラックスして茶菓子を食べていた。だが、同時に気づいた。あの茶の苦さが、この茶菓子の甘さを強くしていることに。

 『この茶菓子、以前食べた時はこんなに甘くなかったのに・・・』

 「ほれほれ!もう一回あ~んじゃ!」

 「・・・」

 アキラの腕を掴んで駄々をこねる一葉に答えてあ~んをしながら、茶をまた入れている幽を見る。少しだけ笑みを浮かべていたことに気づいた。

 『もしかして、これをするため?』

 「では、こちらをどうぞ」

 そう考えていると、幽が二杯目を出した。

 『そして、もしあの苦みがあの茶菓子だけじゃなく・・・この茶の為に先に出したとしたら』

 「ええ、頂きます」

 その茶を飲んだ。

 

 「・・・うまい」

 

 本心からその言葉が出た。

 「ありがとうございます。どうです?茶葉の違いでここまで味が違うのです」

 「ええ。これは純粋に驚きました。茶はどんな葉でも同じ味だと思っていましたから」

 「ふふ、主様の驚く顔などめったに見れないからな。よかったのう、幽」

 驚いた顔を見て一葉も幽も笑顔になった。

 「そういえば主様。知っておったか?茶碗には正面があるのじゃ。そして、そこに口をつけるのは不作法と見られておるのじゃ」

 「ほう。と言われても私には意味が分からないのですが」

 「ふふふ、私達の唇と思ってください。我々は妻ですが、いきなり口づけをするのは失礼だと思いませぬか?」

 それを聞いて納得した。ただ、そう例えたという事は・・・だが、その考えは置いておくことにした。

 「後、何故私より主の一葉を後にしたのです?」

 いくら今は主従関係なしでやっているとはいえ、幽らしくない。と考えていた時に一葉が上機嫌でその理由を言ってきた。

 「それはの~~、主様の唇、ご馳走様なのじゃ!」

 「御馳走様?・・・あ、もしかして茶碗を敢えて回して飲んでいたのって」

 「はい、間接接吻でしたか?それをさせる為です」

 「幽は本当に主想いじゃ!」

 確かにそれならこれ以上ない主へのもてなしだ。愛するアキラとの間接キスは一葉にとっては最大級の喜びだ。

 『・・・本当に、隙がないですね。この従者は。おそらく、これを二杯目にしたのも茶の味わいを私にわからせるためと一葉に満足してもらうため。飛び入り参加だったのに、そこまでの考えを持って茶を入れて出した』

 一葉の為の気遣いを絶対に忘れない幽に内心汗を流したアキラだった。だが、同時に感心もした。

 『茶を飲むだけでこれほど周りが変わって見えるとは思わなかったです』

 茶を楽しみで飲むという理解が全くないアキラには大きな発見だ。

 『・・・?もしかして、この茶菓子。一葉と幽が食べるのではなく初めから』

 思わず幽を見たアキラ。もしそうなら・・・

 「主様。ふふふ」

 一葉に呼ばれて顔を向けると、唇を人差し指で抑えていた。わかっていても言うなという事だ。

 「・・・・・・」

 幽の姿を見て、これ以上ない熱い気持ちが沸いたアキラ。だが、今はそれを抑えて

 「一つ聞きたいのですがいいですか?」

 確認しておきたいことがあったのでそれを聞いた。

 「何ですか?アキラ殿」

 「結構な不作法で飲んでいたのですが、本当に良かったのですか?」

 ここまで、自分のペースで飲んだのでそれに不快に思ってないのかの確認だ。

 「ふむ・・・気にせんでよいぞ主様」

 「はい、私は満足しております」

 顔を見る限り、確かに二人とも満足そうにしている。

 「ですが、こういう場の茶というのは上品に飲むのでは?」

 「そんなことはありません。茶を飲むというのは本来集まって楽しむためです」

 「じゃが、京の貴族共は茶の席やその時やる歌を詠むことの方を主(おも)としておるのじゃ」

 「そういう事ですか。幽の作法が綺麗だったものでつい」

 「褒められると照れますな。ですが、それは茶をうまく入れる為の手段だけにすぎませぬ。アキラ殿も刀を扱うのならわかるでしょう?あなたの長年連れ添った刀、それを扱うために修練を絶やさなかったのではありませんか?」

 それを聞いたアキラは、これ以上ないほどの衝撃だった。

 

 『そうでした。人生の半分以上を共にしたこの刀達。ずっとずっと、狂に勝つためだけに振るってきたが・・・その為にこの刀達は私と共に』

 

 常に使っている努力と友情。自分と共に生きる刀として当たり前に振るってきたが、その為の修練。まさに幽が言った通り、死に物狂いでやった。彼女の言葉でそれを思い出した。

 「幽、感謝したいのですが。この場では礼をするときはどうすれば?」

 「頭を下げるだけでよい」

 一葉の言われた通り、頭を下げた。

 

 「それでいいのですアキラ殿。最初の一歩が、奥義にして根底。それをお忘れなきよう」

 

 そして、幽の更なる一言が

 

 『最初の一歩が奥義にして根底・・・狂を背中を追いかけようとした気持ち。それが私が強くなる根底でもあった。幽、本当にありがとうございます。その時の気持ちを忘れていないつもりで、忘れかけていたようです』

 

 初心を思い出したことで、アキラの熱い気持ちを更に熱くさせた。

 「主様。茶の面白さを理解したのなら・・・京での戦いが終わったら、桂川でまたやろうぞ」

 「それはいいですな。その時はひよ殿や小夜叉殿も誘いたいですな」

 「そうですね。その時は・・・」

 周りを見回してから一言。

 「また違う景色を楽しめる。という事ですね」

 「そうじゃ!」

 「ええ、ではもう一杯いかがです?」

 嬉しそうな幽の笑顔を見て、三杯目を注文した。

 

 

 ゆったりとした茶の時間を楽しみながら屋敷に戻った。途中で会ったひよは何度も一葉に頭を下げてお礼をした。それを見たころは、

 『そりゃ、私達の給料を軽く一年分、いや五年分は吹っ飛ぶ短刀をただでもらえたのだから、ねえ』

 他人事のように言いながらも、ひよの手の中にある高級短刀に汗をだらだら流していた。屋敷に戻りひよの慌て続ける動きにアキラ隊の皆が不思議に思い、アキラが理由を話した。

 『公方様らしいですね』

 『えええ!そ、それって来国光じゃありませんか!う、うう、羨ましいですわ!ひよさん!』

 『ま、まあ、ひよさんならいいんじゃないでしょうか?』

 『ひよ!言ってくれたら、鞠も駿府で見つけてきてあげるの!』

 『綾那も、三河で見つけてくるです!』

 『鞠様も綾那もそんなことしなくていいの!』

 『す、凄いですね。私と似た立場なのに将軍様から直々に短刀を貰えるなんて!』

 詩乃と雫は呆れ、梅は羨ましがり、鞠と綾那は自分達も何か上げようと思っているところに歌夜がツッコミをして、小波は似た立場でそのようなものを貰えたことに驚いた。梅が食い入るように目力入れて見ていた姿に、若干引いた。

 

 

 「あ、アキラ殿!ちょ、ちょっと!」

 「幽。今夜は、あなたを抱きたい」

 「あ、ああ!だ、ダメ!」

 「我慢できません。茶を入れたあなたの綺麗な姿と、あなたの言葉。これ以上ないほど心が燃え上がりました」

 皆が寝静まった頃、幽の部屋に行き熱く燃え上がった気持ちをぶつけるために彼女を押し倒した。そう・・・アキラ隊の皆がアキラによくやる夜這いを、何と幽に仕掛けたのだ。茶の席の言葉とその時の姿が、幽への気持ちを燃やしたのだろう。

 「で、ですが!」

 「幽、あなたは茶碗の正面の例えを自分の唇に例えた。つまり」

 「い、いや!本当にあれは」

 「あなたの言葉、使わせてもらいますよ・・・最初の一歩が奥義にして根底」

 何とか言い訳する彼女に、それ以上話を無視してキスをした。最初の一歩が愛を見せる事で、奥義にして根底がその愛を彼女に与える・・・そう、自分の想いを全力で幽に与えるという事だ。

 『そ、そういう意味で、(ずん)あ、あああああ!』

 押し倒された時点で期待してしまったのか、濡れていた割れ目にアキラの刀が入った。キスされて喘ぎ声を出せないまま、快楽電流が全身に回りアキラの快感を責める抱き方にあっという間に愛欲に溺れて行った。

 

 その後も、幽の体をたくさん揉み、触り、舐めり、愛撫した。彼女の方からアキラを求めるようになり、その想いにアキラも全力で想いで答え・・・熱い愛を何度も彼女に浴びせた。

 

 

 次の日、アキラと共に寝ている愛まみれになった幽を見て、まだ寝ているアキラに隊の皆がル〇ンダイブしたのはいつもの事・・・ちゃんちゃん♪

 




 
 アキラ、茶の面白さに目覚める、でした。刀と強さの道を進んでいたが、違う道を見て自分の根底を思い出して、そのきっかけの言葉をくれた幽に愛をぶつけました!というわけで、最終的に幽がメインになった気がする話でした!

 でも、山の木々たちを見ると、本当に自然を見る楽しさというのは分かります。今は赤や黄色や緑などの色とりどりの葉が鮮やかに見せてくれます!

 次回は・・・白百合にしようか、三若にしようか、春日にしようか。う~ん、どうしよう!


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白百合・春日 目利きとひっかけ R-18

 
 どうも!仕事疲れが残っている三MENです!

 今回は年上の二人です!白百合間章初登場!・・・番外編ではよく出していたのに。

 では、スタートです!


 

 この日は武将に呼ばれた。誰かというと、

 「アキラ様!今日こそ勝つです!」

 「お兄ちゃん!本気で行くよ!」

 「勝てなくても一撃いれるっす!」

 「旦那に勝てないのは分かっている。だけど、諦められないんだぜ!」

 「アキラ。私もやらせてもらうぞ」

 「主様!余が勝ったら、抱いてくれ!」

 「アキラよ。ワシもまだ諦めんぞ!」

 「母!俺だってそうだ!」

 綾那・市・柘榴・粉雪・壬月・一葉・桐琴に小夜叉といろんな勢力の代表的な武将達からだ。京への意気込みとして、アキラに戦いを挑んだのだ。

 「楽しみにしておるぞ!アキラ!」

 「勝つところを見せてね!」

 「格好いいところ、見たい」

 「市を応援したいけど、兄様も応援したい!」

 「アキラ様・・・どんな姿も素敵」

 それぞれの主は既にアキラが勝つのを確信しているが、戦う姿を楽しみに見物していた。他の妻達もそんな感じだ。

 「では、開始です!」

 審判の麦穂の声で武将達は襲い掛かった。アキラも、努力と友情を抜いて構えた。誰が勝ったのかというと・・・

 「さすが、アキラ殿だな!」

 「アキラさん。とっても格好良かったです!」

 「そうですね。秋子さん!」

 「当然」

 当然アキラだった。春日・秋子・心・松葉は喜んで、アキラのところに行った。その彼の周りには、

 「「「「「「「(ぐったり)」」」」」」」

 「ふ~~、さすがだな。アキラ」

 壬月が愛用の斧を地につけてアキラを称賛し、残り七人はぐったり地面に大の字で倒れていた。

 「やったです!一撃いれたです!」

 「市は、入れられなかった・・・」

 「柘榴もっす。お市様」

 「旦那~、手加減もうちょっとしてほしいんだぜ」

 「ううう、主様に抱いてもらえない」

 「くそ。人が多いと千染はともかく回天千染は出来ない」

 「母・・・千染もしないでほしかったぜ」

 この中で唯一アキラに一撃いれた綾那を羨ましがる市・柘榴・粉雪。勝てなかった一葉は抱かれないことに悲しんで、千染を間違って受けてボロボロになった小夜叉の文句が聞こえない桐琴は自分の技の事で考え事をしていた。

 「さすがはアキラだ!我の夫は格好いい!」

 「ええ、久遠!素敵・・・って!アキラが格好いいのは当然の事よ!」

 「美空、ツンデレになってない」

 「市、兄様なら仕方ないよ」

 「・・・アキラ様。素敵、です///」

 当主達は満足そうにアキラに抱き着いた。その中で葵は一番蕩けた顔をしていて、

 「アキラ様・・・私「「「ダメ!」」」、あ、そんな」

 アキラにキスしようとしたが久遠・美空・光璃が止めた。真琴は悔しがる市を慰めていた。

 

 残念そうな葵を三人が引きずるように連れ去った。倒れている七人は春日達が連れて行くことになり、唯一動ける壬月と共に岐阜城に戻ると何やら行列を見かけた。その行列を作る人達は、共通して茶碗や掛け軸などいろんなものを持っていた。

 「アキラ。これが何か知りたいのか?」

 「知っているのですか?」

 「ああ、彼らは白百合に頼みごとがあるんだ」

 「彼女にですか?」

 壬月の説明によると、白百合は鑑定の目利きがとてもよくその噂は先祖代々持っている者達からすれば、必ず彼女に頼みたいくらいらしい。

 「そんな目を持っているのですか。では、私の刀を出したらどうでしょうね?」

 「さあな・・・でも、紫微垣を出すのだけはやめろ」

 「冗談ですから大丈夫ですよ。何より、頼まれても断ります」

 「多分、国の財政が傾くほどの値がつくと思うぞ。底知れない力を持っているみたいだし、鬼との戦いに使ってキズ・ゆがみが一つもない。挙句には田楽狭間の天人の肩書があるお前が使っている。武人なら喉から手が出るほど欲しがる一品だろうな」

 「この国で私以外で使えるとしたら、時人か桐琴さんくらいですよ。彼女らほどの武人でないと、こいつも力を出さないでしょうし」

 「時人はともかく、桐琴も使えることに私は驚きだぞ」

 そう話していると、怒鳴り声が聞こえた。

 

 『ふざけるな!十両も出して買った茶器だぞ!五両はおろか一両にもならないだと!』

 『わしの目に狂いはない。騙されたのじゃろう』

 

 「どうやら去った方がよさそうですね」

 「そうだな。巻き添えを食らうかもしれない」

 足早にその場を立ち去った二人だった。

 

 

 夜になり、行列もなくなり白百合の部屋に訪れたアキラ。

 「おや、夫殿ではないか」

 「・・・本気でなるのですか?私の夫」

 「当然じゃ(ふむ。夫殿の顔を見るだけで、夢を思い出して欲情するわ)」

 アキラの質問に即答した白百合。だが、その内心は既に発情していた。

 「随分と忙しかったようですね」

 「壬月辺りからわしの目利きの事を聞いたのか。ああ、文句を言うやつが多かったわ。人をハメて騙すのは好きじゃが、ああいう目利きに関しては騙すことなどしないと言うのになかなか信用せん」

 「(ハメると聞こえたのは気のせいか?)それは普段の言動が悪いですよ。ですが、あなたもそこは譲らないのですね」

 「ははは!中にはいい逸品を持ってきたのもあったな。今度騙し取ろうかのう」

 「ふふ、あなたらしいですね」

 少し物騒な話だが、二人にとっては笑い話だった。

 「そう言えば、何故こんな時間に?ふふ、ワシを夜這いしに来たのか」

 「あなたにそれができる人間がいたら見てみたいですよ。ここに来たのは、意見を聞きたくて」

 「意見?京での戦いの事か?」

 「いいえ、個人的なことです。私の紫微垣を鑑定して見たら国が傾くほどの金が必要なくらいの代物だと壬月から言われたので・・・見せるのはやめろ、と言われたのですが気になってしまって」

 「なるほどのう、わしも気になっておった。どれ見せてみろ」

 白百合も興味津々な顔で見せるよう言った。アキラは紫微垣を抜いて見せた。ただし、それだけで渡そうとしない。

 「渡せ。よく見れんじゃろう」

 「灯で見えるようにすればいいでしょう?それに、渡すのは危険ですよ」

 「どういう事じゃ」

 「こいつは、気に入らない相手には斬りかかりますよ。これは冗談ではありません。私だから落ち着いていますが、他の・・・時人と桐琴以外の武人であれば本当に斬られますよ」

 アキラの言っていることは間違いではない。刀を叩いた村正の血を持つ時人と北落師門の使い手の桐琴ならともかく、他の武人ならまずいだろう。

 「まるで意思を持っているかのような言い方じゃのう・・・じゃが、確かに武人の本能が触るな。とも言っておるからやめるか」

 アキラの言う通りにして、灯に照らしながら紫微垣を見た。

 

 白百合の鑑定後、傾くどころか小国であれば潰れるほどの金を出しても足りない逸品だと言う事が分かった。欲しいか尋ねたが、彼女は金より騙しが好きな人間。そこまでの金は欲しくないと断った。そして、用件も終わって部屋を出ようとしたが、

 「夫殿、ちょっと待たんか」

 「え?なん!「女の部屋に入ってこのまま終わり。というわけはないよな」」

 いつの間に近寄った白百合に袴を下ろされて、そのまま下着までおろされた。

 「ふふ、これが、多くの女の虜になった夫殿の刀か。その刀の目利きが必要じゃったことを忘れておったわ!(じゅるり)」

 「な!し、白百合!」

 「では、まずは・・・しごこうか」

 アキラの出された性の刀に目を妖しく光らせ、脇に挟んでしごき始めた。

 「く!な、な」

 「おや?どうした?太くならないぞ・・・ふふ、なるほど」

 変化のない刀に白百合が胸当てを外して、自分の乳首をあらわにした。麦穂や秋子に匹敵するおっぱいにアキラの体が反応した。

 「ほほほ、いいではないか。いい太さになったぞ。どれ」

 太刀となった刀を舐め始めた。我慢するアキラの顔を見て、楽しそうにする白百合。だが、アキラも黙っているわけにはいかない。

 「・・・分かりました。あなたが望むなら」

 「お?夫殿も(むにゅ)!!ほ、ほう、(むにゅむにゅ)んんん!」

 もう片方の胸当てを外して、そっちの方のおっぱいを揉み始めた。

 「ふ、ふふ。いいのう。あ、ああ!これは、すばら、しい」

 「では、もっとやりましょうか」

 「もちろんじゃ!」

 白百合は喜んで太刀を頬張り丹念に責め、アキラも彼女の二つの乳首を持ち責めていった。

 「う、ん、く、ああ」

 「はあ、はあ、はあ、ふふ」

 アキラは我慢している顔だが、白百合は快楽に浸り欲情していく顔だ。どちらかというと彼女の方に分があり、

 「(まずい!)」

 「(ふふ!いい!こんな強い快感は初めてじゃ!)」

 実際、アキラはそろそろ限界に達しようとしたが彼女はまだだった。何とか踏ん張って乳首を責めて続けた結果。

 「く、ううう!」

 「む、は、あああああ!」

 何とか同時に絶頂した。だが、アキラは少し悔しい気持ちだった。

 「(貞子や葵と同じくらい性欲が強いが、経験があるのかペースが持てない!)」

 熟女との経験は初めてのアキラ。性の経験も中々でアキラは自分のやり方で責めることができないので、どうすればいいか考えた。

 「ほ、ほほ、これは。中々・・・ふむ、いい味じゃ」

 出されたアキラの液を飲む白百合。

 「ふふ、今宵はいい月じゃ。こんな月の下で夫殿とヤれるとは幸運じゃ」

 愛おしそうに飲む白百合の言葉に、アキラが思いついた。

 「そうですか。私もそう思いますよ」

 「ふ、ほう~、はよう、もっと、楽しませてくれ」

 そう言って、彼女は腰の布をほどき下着も脱いで下半身を完全に丸出しにした。そして、床に座って割れ目を開いた。蜜が既に流れ落ちていた。

 「ええ、楽しませましょう(ガシ)」

 「・・・ほ?」

 ニヤリと笑うと、後ろに回って開脚している状態で彼女の両ひざの後ろから持ち上げた。そして、そのまま襖をあけて廊下に出た。

 「な、何と!」

 「月の下でヤりたいのでしょう。なので」

 「あ、あああ!こ、こんな状態でじゃと!」

 完全に前から誰か来たら、白百合の痴態が全部見えてしまう姿で歩いていた。

 「いきますよ」

 「く、あ、おおおおおおお!」

 見られるかもしれない刺激と興奮で更に蜜が出るその割れ目に、太刀を差し込んだ。一気に背筋を伸ばした白百合。しかも、移動で自然と上下に動くので快感が襲ってくる。しばらく歩くと、開けた庭に出た。

 「は、は、は、お、夫殿。ははは、面白いことをするのう!」

 「ふむ、庭に降りましょうか」

 「あ、あああ(こくり)、いいぞ」

 頷くのを見て、敢えて廊下から飛び降りて庭に着地した。一瞬太刀が抜けて、着地時にすぐ入ったが、どうやら割れ目の一番奥まで入ったようだ。

 「あ、ああああああ・・・はあはあはあ」 

 「どうです?いいものでしょう?」

 外に出て繋がるところまでは彼女も楽しそうにしていたが、その飛び降りで勢いよく刀が一気に奥に行ったときの快感の強さに放心状態になった。性欲が強く、見られてもいい白百合だが、一瞬で意識が飛ぶ快楽に襲われたのは初めてなのだろう。

 だが、アキラがそこでやめるはずがない。

 「さて、今度は・・・」

 「あ、ぐ、や、やめ」

 「見られるのもまずいですし、木の影に行きましょうか」

 「あうぐ、はあ、はあ。ひゃう!ああ!」

 これまた意地悪で、今まで感じなかった強い快楽が白百合の体全部を襲っており、体に触れるもの全てが彼女の快感になる。それを見切ったアキラはたくさんの葉が彼女の体に触れられる木を選んだ。到着すると、

 「あ、はあ、あ」

 多くの葉から快感を与えられて、その性欲に夢中で目が映ろになっていた。その朧気になって責められる姿が、淫靡かつ蠱惑的でアキラの性よくも強くなった。そんな彼女をもっと責めたいと思い、大きなおっぱいがつぶされるくらい押し付けて、腰を一気に動かした。

 「いきますよ!白百合!」

 返事がない。もはや、聞こえていないくらい快楽に夢中なのだ。脚を持つのをやめて地に着かせて開いた手で彼女の胸を責めまくっている。

 「い、い、いいいいい!い!!く!!」

 「っく!す、すごい!ぎゅうぎゅうに!」

 アキラも踏ん張って、どんどん責める。時には濃厚なキスをして、時には首筋を舐めて、更に時には背筋をなぞって、たくさん快楽責めしたがそれでも粘る白百合だったが・・・

 

 「ああ、あああっはあああああ!」

 

 やっと、大きな絶頂を迎えた時にはアキラも一瞬意識が飛んだ。すぐに取り戻すと、刀が抜けて彼女が尻を高く上げた状態で地面に倒れていた。そのままにしておけないので、お姫様抱っこをして部屋に運んだ。だが、この時アキラは気づかなかった。

 

 『は、はは。夫殿・・・あと一歩で失神させられていたぞ。体も動かせないし、腰ももう限界じゃ。でも、それだけ夢中になってくれたという事じゃな・・・ふふふ、やはりワシの目利きにまちがいはなかったということじゃ!こんなに快楽に溺れたことも、これほどまでに女心を満たされたことはない!アキラよ。ワシをここまでにしたのなら、しっかり責任取ってもらうぞ!』

 

 白百合がかろうじて意識を持っていたことに。

 

 

 彼女を寝かせて部屋を出て、自分もいい加減に寝ようとした時だ。

 「忘れろ、忘れろ!忘れるんだ!」

 そんな声と水が跳ねる音が聞こえたので、そっちに行くと。

 

 「アキラ殿と白百合のあれは忘れるんだ!」

 

 頭からパンティ一枚だけで水を被っている春日の姿があった。しかも、独り言からするとあの行為を見て熱くなった体を冷やすためにやっているようだ。

 「(ニヤリ)どうしました、春日」

 「(ドキ!)な、なななな、アキラ殿!」

 「私の名前が聞こえたので来てみたのですが」

 「な、な、何でもないですぞ!せ、拙は白百合とのあれは見てないですぞ!」

 彼女らしくないくらいの焦りで自滅した。語尾が愛菜になっている。

 「ほう~、見たのですか?」

 「い、嫌!繋がっているところなど!」

 「おや?てっきり私は抱っこした彼女の姿を見たのか?と聞こうと思ったですが?」

 「・・・ううう!そ、そうです!見たのです!それが何か!」

 真っ赤になってさっきの水浴びが無意味なくらい顔が熱くなっている。焦りすぎでどんどん自爆していくので、これ以上は勘弁と吹っ切れて肯定した。

 「そして、こう思ったのですね。羨ましいと」

 「ええ!拙は羨ましいと思いました!白百合が・・・粉雪が・・・」

 「粉雪?」

 「駿府屋形の時・・・」

 それを聞いてアキラも粉雪を抱いた時は外だったことを思い出し、その時もまた見ていたことを知った。

 「ほう~、まさか光璃の侍大将様が覗きをしていましたか」

 「あなたがあんなところで・・・す、す、する方が!」

 「する方が?」

 「く、くうう!お、お願いですから拙をからかわないで下され!」

 「そうですね。すいませんでした」

 真っ赤に俯く春日を抱きしめて、キスをしながらおっぱいを揉み始めた。

 「(!!!な、何を!あ、アキラ殿!)」

 「羨ましいのなら、その想いを叶えましょう。それが私にできる謝罪です」

 「(あ、ああん!そ、それ・・・あ、ああ。きゃう!)」

 キスで口をふさがれ言いたいことが出ないが、乳首をいじられ、更に尻も愛撫するように揉んでいるためどんどん蕩けてきた春日。

 「あ、ああ」

 「ふふ、さすがに白百合と同じは無理でしょうから」

 立つのもやっとなくらい快楽に襲われている春日の後ろに移動して、背後から胸を責め、下着の中に手を入れて割れ目も責めた。

 「あ、ああん。あ、アキラ、殿」

 「春日、美しいですよ。その裸体と蕩けたその顔が」 

 「う、そ、そんなこと・・・言わないでくだ「綺麗ですよ」!!!」

 嬉しい気持ちでいっぱいになりそうなところにとどめの一言を言われ、とても満足した春日。それだけで彼女の体はアキラに抱かれる準備が万端となった。

 「その美しく、綺麗な体をたくさん愛しましょう」

 「・・・お、お願い、する」

 この春日を見て、誰もいつも見るあの誇り高い甲斐の大将とは思わないだろう。今の彼女は恋して愛されることに喜んでいる女の顔をしている。

 「あ、あん。ふぁああ、だ。ダメ・・・これ」

 「春日、濡れ濡れですよ」

 割れ目からの蜜で濡れた手を彼女に見せた。

 「と、当然。だ。拙は。拙は・・・アキラ殿が、す、好き」

 「ありがとうございます。では」

 彼女を井戸の一部に捕まらせて、背後から割れ目にアキラの太刀を少しずつ入れた。

 「は、あ、あああああ!あ、アキラ、殿」

 「いきますよ」

 そして・・・あの壁を壊す感覚があった。その痛みに彼女は必死に耐えたが、

 

 「アキラ、殿。これで、拙も・・・拙も嫁に」

 

 耐えた顔に出た涙。アキラの嫁に慣れたことが嬉しい気持ちから出た涙。

 「ええ、春日。私の嫁です・・・愛する大切な、妻です」

 彼女の純粋な想いに、しっかり返答した。その顔が美しく、本心から傷一つない体と同じくらい綺麗と思ったアキラ。

 「つ、ま」

 そうです。と言って、腰を動かした。手を動かした。彼女の蜜が太刀をどんどん濡らして、アキラの手と指で彼女のおっぱいの先も固くなり、耳や首筋などなめられ更に欲情して、思考ができなくなっていく。

 「あ、は!あ、ああ!う、うれ、嬉しい!」

 「春日、これからもよろしくお願いします」

 「あ、う、うん!お、お願い。こ、こっちも!」

 強くなる快感に侵食されていく中でアキラに言われて返答した。だが、もはやここまでだった。ここからは

 

 「アキラ殿!もっと、拙を!わ、私を、淫らに、滅茶苦茶に!」

 

 理性を無くし欲望に支配された春日という名のメスがアキラを求めた。その言葉に答えるかのように割れ目を指す刀の速度が上がった。

 「ええ、覚悟なさい。あなたの体、全部を私のものにします」

 「(ぽろ)ああ、うん!して、やって!拙を、私を・・・アキラ殿だけのものに!」

 更に嬉し涙を流して、どんどん突かれていきその奥に感じた温もりに春日は天にも昇る気もとになった。

 

 

 春日はその場で倒れこんだ。その彼女の割れ目には、胸には、そして顔にはアキラの液があった。あの後もたくさん彼女は愛され、アキラも満足するまで愛した。

 「春日。きれいにしますね」

 着替え終わったアキラが、彼女の体に水をかけて行き落していった。

 「あ、あき、ら、どの」

 「着替えは、あなたがやってくださいね」

 意識は少し残っていて、頷くとアキラはいなくなった。そのわずかな意識で歩いていった方を見た。

 

 『拙は、淫乱にしてや、体の全てを触ってや、もはやアキラ殿に身も心も任せたいみたいなことを!いや、任せてもいいかもしれない。あんなに強く、あんなに頼りがいがあり、何より努力して必死になる姿を見た以上、あの方の傍にいたい気持ちでいっぱいだ。アキラ殿、拙はこんなに愛しています。この熱い想いをもっと、いや全部伝えたいです』

 

 夢のアキラの生きざまを見てこれ以上ない熱い気持ちが出てきた春日。今日は抱かれて満足したので、いつかまた・・・という気持ちで自分の部屋に戻ろうとしたが。

 「う、あ、く!」

 あの壁を失ったことで、体が慣れてないのかふらふらだった。一瞬だけ、白百合がされたお姫様抱っこが思い浮かんだが、頭を振り記憶から消して何とかよろめきながらも部屋に戻ったのであった。

 




 
 二人ともアキラのテクニックに骨抜き状態になりました!春日はともかく白百合は本当にそうしようか悩みましたが、原作では最後まで彼女のペースだったのでこっちではアキラのペースにさせたいと思い、することにしました。春日も完全に半オリキャラ化してしまっているくらい変わってしまった・・・でも、この彼女がいいと思う自分がいる。

 次回は三若か、各務・秋子の話にしようかと思います!・・・それとも越後に戻ったあの四人にしようかな?


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心・薫 たくさん、食べてね!

 
 どうも、間章が段々オリジナルになっている三MENです!
 
 というわけで、今回もオリジナル間章です!最初は心と粉雪、夕霧と薫に分けようと思ったのですが、ありきたりだな~。と思い、料理上手な二人にしました!

 では、どうぞ!・・・ある将軍様のみっともない一面もあるよ!


 

 その日、すぐに二人は動いた。まだ、明け方になったばかりだ。

 「心ちゃん。今日しかないね」

 「はい!しっかり食べてもらいたいです!」

 台所で料理上手な二人が気合を入れて料理をしていた。

 

 

 「「「はあ、はあ、はあ・・・」」」

 「ふふ、三人とも随分と腕を上げましたね」

 アキラは地面で大の字の三人に声をかけた。

 「いや、アキラ。からかいにしか聞こえないよ」

 「そうだよ、アキラ君・・・そりゃ、敵うわけないと分かっていたけど」

 「でもでも、それがアキラ様だワン!」

 早朝、アキラはいつも通りアキラ隊の皆の裸の海の真ん中で目を覚ました。昨日は正室四人・双葉・結菜で、一昨日は壬月・麦穂・白百合・葵に浅井姉妹だった気が・・・いつも通りなので気にしないように。

 とりあえず、起きてすぐに体を動かした。決戦前なので血も気持ちも高ぶっていたので、狂やほたるのイメージでトレーニングをしていた。そこに

 

 「「「おはよう!アキラ(君・様)!」」」

 

 三若がやって来て、彼女ら相手にトレーニングをして・・・和奏・雛・犬子が地に倒れているという事だ。

 「では、頑張って起きてくださいね。私は朝食を食べてきます」

 「ちょ!僕らこのままなの!」

 「奥さんなのに、それは無いんじゃない~」

 「せめて起こしてよ~!アキラ様がこうしたんだから~」

 「結菜のご飯が呼んでますので、失礼します」

 「「「置いてかないで~~」」」

 三人のエコーを聞きながら、アキラその場を去った。

 

 

 自分の部屋に着くと、そこにはアキラ隊の皆が既に出て行って代わりに

 

 「お兄ちゃん!待っていたよ」

 「お待ちしておりました、アキラ様」

 

 薫と心が三人分の朝食を用意して待っていた。

 「あれ?アキラ隊の皆さんは?」

 「「え、え~と、その、あ、あははは」」

 「・・・まあ、いいでしょう」

 アキラの流しにホッとする二人。どうやら、三人になりたいために出てもらったようだ。

 「それで、何か用ですか?」

 「う、うん!あのね、今日一日お兄ちゃんのご飯を作らせてほしいの!」

 「はい、お願いします!」

 二人が頭を下げてきた。

 「そ、それは問題ないですが。どういう心境の変化が?」

 そう言われて、薫も心も真っ赤になって黙った。

 

 『ど、どうしよう。どう答えよう・・・お兄ちゃんのあの夢の事、話す?う、ううん!それはダメ!』

 『夢の事は、やっぱり話せません!あ、あのアキラ様を見て、少しでも何かしたいと思ったなんて・・・恥ずかしくて言えません!』

 

 夢のアキラを見て、自分ができることを考えた結果料理を食べてもらうということにしたようだ。二人とも結構奥手なので、直接話すのは恥ずかしい。そこで何とか思いついたのが、

 

 「え、えっとね、心ちゃんといろいろ研究した成果を見てもらいたくて!」

 「そ、そうです!まずはアキラ様に食べてもらおうと!」

 

 研究結果を見てもらいたいという言葉だった。

 「ふむ、甲斐にいた時も結構頑張っていましたからね。なるほど」

 二人が試行錯誤しているところはアキラも見たことがあるので、うまく納得させられた。

 「では、早速いただきましょう」

 「「は、はい!」」

 二人の料理の味はばっちりなので、アキラも楽しみだ。だが、二人の方は

 『『う、うう、ちゃんと食べられるかな?』』

 恥ずかしいのか、ドキドキしていた。

 

 

 朝食後、仕事に向かうために部屋をでたアキラ。その入れ替わりに二人の女性が入った。

 「どうでした?うまくいきましたか?」

 「・・・その顔からすると、何かあったみたいね」

 アキラの世話なら代表的な二人とも言える双葉と結菜だった。話からすると、どうやらこの二人に今日一日変わってもらったようだ。

 「は、はい・・・緊張して、味が」

 「わ。わからなかったです。あ、アキラ様と一緒に食べられるだけで」

 研究成果を食べてもらいたいと言うのは嘘じゃなかったが、アキラが喜んで食べていたのと一緒の時間を過ごせたことが嬉しかったのか、そっちに夢中になっていつの間にか食べ終わっていたのだ。

 「うふふ、その気持ち分かりますよ。私も喜んで食べてくれて、天にも昇るくらい嬉しかったですから」

 「私の場合は最初はただ世話をする人という立場だったわね。だから、味なんて考えもしなかったけど・・・今考えるともったいなかったわね。ずっと二人きりだったのに」

 結菜は出会ってしばらくは胡散臭い人として接していたので、その頃はそこまでの考えはなかった。それに、アキラも上手いと言って食べていたので文句はなかった。

 「えっと、次はお昼ですが・・・」

 「それは無理ね。今日は一発屋に行くという話を聞いたわ」

 「「「一発屋?」」」

 薫と心、双葉も訊ねた。

 「とっても美味しい食事処ね。特に焼き魚定食は私でも勝てないわ」

 「ええ!結菜さんがそこまで言うくらいの腕なんですか!」

 まさか、結菜が敗北宣言したことに双葉は驚いた。

 「そうね。料理を作っている親父さんの腕は、見習いたいくらいよ。アキラは尾張にいる時もほぼ毎日そこに行っていたわ」

 「どの道、夕飯が最後と言う事ですね」

 「あの、何か好きな食べ物ってないのですか?」

 ラストチャンスに何とかして挽回したい二人は必死な顔で訊ねた。

 「絶対に外せないのが、豆腐の味噌汁ね。あれは喜んで食べていたわ」

 「ですが、主となる料理を何にすれば・・・」

 「アキラだったら、どんなものでも喜んで食べるけど」

 結菜の言う通りだが、薫も心も喜んでもらいたい気持ちを持っている。それでは、アキラに気をつかわせてしまうという考えになるのでダメだ。

 「他に何か。ないでしょうか?」

 「厳しいわね。それしか思いつかないわ。どれもおいしいと言ってくれたのは嬉しいけど、特別好んで食べたものはそれ以外なかったから」

 双葉と結菜も一緒に考えてくれるが、どれもおいしそうに食べた姿しか思い出せないので、どれがいいか思いつかない。難しい顔をする中

 「・・・あの一発屋って、どこでしょうか?」

 心が一発屋の場所を訪ねた。

 

 

 夜。アキラの食事を作る薫と心。

 「心ちゃん、よくあんなことを思いついたね!」

 「私も最初は考えませんでした。ですが、よく行っていると結菜様も言っていたのでもしかしたらと思ったのです」

 どうやら、光明が見えたようだ。笑顔で話しながら、作業をしている。

 「きよさんって人、すごいですね。鞠さんと公方様が食べに来たのに、全く態度を変えないで接客してましたし」

 「・・・鞠ちゃんはともかく、公方様だって気づいてないんじゃない?」

 「あ!」

 どんな人にも気軽に接するきよに感心した心だが、鞠の事は知っていても一葉がまさか将軍だと気付いてないのでは?と突っ込んだ。

 確かに、まず顔を知っているはずがないので気付かないし、鞠は「一葉ちゃん」としか呼ばないので、それが将軍の名だなんて思いもしない。そもそも、日の本の一番偉い将軍がまさか護衛なしで城下に降りて、自分の店にご飯を食べに来るなんて絶対に思わないだろう。かつて鞠が今川氏真と知った時は、思いっきりびっくりして自分が打ち首になるんじゃないかと思ったくらいだ。もし、知ったら屋根を突き破るくらい驚くだろう。

 「教えない方がいいかもしれないね」

 「そうですね・・・聞いたところ久遠様も食べに行ったことがあるとか」

 「あ、あははは。近い内、お姉ちゃんや美空お姉ちゃんも招待しそう」

 「葵様や真琴様も呼んだら、とんでもないことに・・・」

 顔を青ざめた二人。というか、心はともかく薫もそれに近い立場にいることに気づいていないようだ。

 「こ、この話題はやめよう!今はお兄ちゃんに喜んでもらう事が大事!」

 「そ、そうですね!」

 話を無理矢理やめた。四人の名前を出した瞬間、訊ねた時の一葉を思い出したからだ。

 

 『ははは!これほどうまい店があるとは!うむ!感心じゃ!』

 『一葉ちゃん、落ち着いて食べるの!』

 『別にいいだろ。幽もいない。たまには好きに食べたいのじゃ!』

 『も~~、ごめんね、きよちゃん』

 『う~ん。鞠ちゃんにそう言われちゃ仕方(がちゃ~ん)・・・』

 『あ~~!一葉ちゃん、お皿割ったの!』

 『おお、すまぬ。悪い、ちゃんと弁償『ねえ、鞠ちゃん』(びく!)な、何じゃ!こ、このぷれっしゃあは!幽でも、出さんぞ!』

 『え、えっと、ごめんね』

 『鞠ちゃんは謝らなくていいのよ~。でも、この人にはちょ~~っとお仕置きが必要と思ってね~~』

 『ちゃ、ちゃんと弁償すると言うておるじゃろうが!た、頼む!勘弁してくれたもう!そ、それに余はしょ『あのね~、あなたが誰であろうとやっていいことと悪いことの区別くらいは分かるでしょう!』ひ!』

 『と、言うわけで、借りていくね(ずるずる)』

 『ま、鞠~~、助けてくれ~』

 『あ、あははは。ごめんね一葉ちゃん・・・えっとこれってじごうじとく。だったけ?』

 『さああ~、お父さんと一緒に説教するからね~~!』

 『主様~~!助けてくれ~~!』

 

 その光景を目の当たりにしたのだ。ここまで行儀が悪かったら将軍と思うわけもない。余りの展開にこの時の薫と心は放心状態だった。村娘に引きずられて、二人の怒鳴り声を受けて戻ってきたときは

 

 『ごめんなさいなのじゃ、もう騒がないのじゃ、静かに食べるのじゃ』

 

 長年付き従った幽ですら見たことがないくらいへこんだ一葉となっていた。もし、本当に当主達が一発屋に行くことになったら、真琴と葵はともかく三人が一葉と同じようなことになる可能性が高い。万が一、本当にそうなったら・・・と思ってしまったのだ。

 だから忘れることにした。

 「と、とりあえず!きよさんからの助言をもとに頑張ろうね!」

 「はい!薫様!」

 料理に集中した二人だが、顔は引きつっていた。

 

 

 そして、夜。

 「お兄ちゃん!お待たせ!」

 「これが薫様と私の合作です!」

 そう言って出したのは、

 「鍋?ですか?」

 「「うん(はい)!」」

 かつて、アキラが妻や隊の皆によく作った鍋だった。ひよやころと食べに来たときに鍋をよく食べた話をして、それをきよが覚えていたのをあの茶番の後で聞いたのだ。心も、鍋なら甲斐でよく作って粉雪や春日達と一緒に食べたので簡単に作れる。

 何よりアキラは手の込んだものより、大雑把に出来るものの方が好きと双葉や結菜以上にアキラの好みを知っているひよところにも聞いたので、今回これに決めたのだ。だが、そうなると鍋だけで足りてしまい豆腐の味噌汁がいらなくなってしまうが、双葉・結菜のアドバイスを無駄にしたというわけではない。

 「鍋の中に、豆腐ですか?」

 現代なら鍋に入れるのは当たり前に思えるが、この時代ではおそらくあまり考えないだろう。久遠が以前言った田楽にするくらいなので、アキラもこれは初めてらしくキョトンとしていた。

 「「さあ、どうぞ!」」

 「では、いただきます」

 豆腐や肉を器によそってアキラに渡した。ドキドキしながら食べる姿を見る二人。

 「いいですよ。豆腐によく味が染みています」

 笑顔で答えるアキラに

 

 「「やった~~!」」

 

 思わずハイタッチする二人。二人も安心して、食べ始めた。その時の会話できよが一葉に説教したことを話すと、

 

 「ははは!さすがの一葉もきよちゃんには敵いませんか!」

 

 豪快に笑った。その後、アキラの方から美空や光璃も連れて行ったらどうなるか?という話になり、思いっきり内心冷や汗を流した二人だった。

 

 

 鍋も食べ終わり、満足そうにするアキラ。

 「二人ともご馳走様でした」

 「「はい、お粗末様でした」」

 そんなアキラを見て、二人も満足している。

 「それで、お二人はどうして今日私に料理を食べさせたい。と思ったのですか?」

 彼女らの目的も果たしたようなので、訊ねることにした。

 「「え、それは」」

 「もう、本当の事を話してください。食の研究成果を試したいのは本当でしょうけど、あなた達の本当の狙いを聞かせて欲しいです」

 そう言われて、顔を真っ赤にした。もじもじして照れくさそうに言った。

 

 「お兄ちゃんの奥さんとして、食べてほしかったの・・・///」

 「アキラ様の妻ですから・・・愛する人に食べてほしくて///」

 

 それを見て、少しだけ照れくさくなったアキラ。

 「で、でしたら、甲斐にいた時にでも」

 「うん、したかったんだけど」

 「仕事が多くて出来なかったのです」

 そう、彼女らはアキラのように比較的動ける立場ではない。薫は光璃の影武者として動くときもあるし、心は武田軍の食事係や秋子と一緒に同盟軍の書類整理を担当しているため中々時間が取れない。だからこそ、何とか今日一日という時間が取れたチャンスを無駄にしたくなかったのだ。

 「そうですか。ありがとうございます」

 二人の頭を撫でて、キスをした。

 「「あ・・・」」

 

 『おそらく、いろいろ聞きまわったのでしょうね。結菜やひよ・・・きよちゃんや親父さんにも。それも全部私を喜ばせたいがため』

 

 二人が休める時間なのに自分のために使ったことに嬉しくなった。

 「ふむ、満足はしましたが、まだ満腹ではないですね」

 だからこそアキラは、

 「え?でも、もう食べきってしまって」

 「あの、これで・・・」

 不安そうな二人を、

 「何を言っているのですか?目の前にあるじゃないですか」

 「「え?」」

 押し倒して、

 

 「あなた達というご馳走が残っているじゃないですか」

 

 この言葉を言った。

 「「え、えええ!」」

 もちろん、ご馳走の意味は理解できた。自分達を抱きたい、そう言っていることに。

 「おや、いけませんか?ご馳走を残す主義ではないのですが」

 「あ、あの、その・・・(ふるふる)」

 「そ、そう、ですね。残しちゃ、ダメ・・・ですよね」

 二人とも抵抗しない。ビックリしたが、アキラが求めるなら答えたいのだ。

 「では・・・」

 服を脱がさないで、そのままで二人の胸を揉み、順番にディープなキスをした。

 

 「お、お兄、ちゅむ、ちゃんの、ああ」

 「はあ、あ、アキラ、様。わ、ちゅ」

 

 蕩けて行き、二人の下着に少し濡れた。今度は服の隙間に手を入れて、直に二人のおっぱいを揉み始めた。

 「「あ、ああん!」」

 感じた顔と喘ぎ声と共に、下着の濡れが一気に広がった。

 「おや、二人とも濡れちゃってますね」

 「も、もう、意地悪・・・」

 「は、恥ずかしいです」

 キスをやめて下に顔を向けた。胸の先の突起を優しく愛撫しながら、今度は首筋にキスをした。まるで、吸血鬼が血を吸うみたいにその個所を吸い始めた。

 「あ、あん、きゃう!」

 「も、う、あ、うん!」

 どうやら、二人の一番弱い敏感なところだったようで更に下着を濡らしていき、ついに床にまで彼女らの蜜が来た。

 「おやおや、私の部屋を濡らして」

 「「はあ、はあ。だ。だって~」」

 二人の顔はもう欲望に負けて、ただただ性に溺れようとしているメスの顔だ。

 「ふふ、いい感じに出来上がりましたね」

 服を脱がせて裸にして、自分も裸になった。

 「あ。お兄ちゃん・・・素敵」

 「体も、それも、そして・・・何もかもが、すごいです」

 脱がされていることに気づいてないのかもしれない。何もかもが見られているが、二人とも隠そうとしない。アキラは女性一番の二人の秘部に手を付けた。

 

 「では、メインディッシュ。ご馳走になりますよ」

 

 二人の秘部に指を入れて、動かした。

 「「あ、ああああ、ひみゃああああん!」」

 感じた顔と喘ぎ声、さらに綺麗な体に指にかかる彼女らの蜜、そして・・・

 

 「お兄ちゃん。薫を、薫を・・・食べて」

 「アキラ様。私を、もっと、食べて、ほしい、です」

 

 愛を求めてアキラに伸ばす二人の手。アキラの性欲は最大限まで高まり、

 

 「では、頂きます。最後まで、食べさせてもらいますよ」

 

 今日最後の食事に入った・・・完食は、次の日までかかりそうだ。

 

 

 

 因みに、きよに説教を受けた一葉はというと・・・

 「幽よ!今日の仕事頼んだぞ!」

 「ダメです!やってもらいますよ!・・・は~、昨日のあの大人しすぎて仕事も進んで取り組んだ公方様は、やっぱり夢だったのですな」

 一晩寝たら、すっかり忘れて元に戻ったとさ。ちゃん♪ちゃん♬

 




 
 というわけで、最後はやっぱり自分が食べられるという終わり方でした。まあ、定番ですが、外せませんよね~。

 きよの一葉説教はどうでした?中々、ありえそうなことだと思います。さて、当主が一発屋に行く・・・果たしてフラグになるかならないか。

 次回は・・・さすがに三若にするか。結構伸ばしているし。では、お楽しみに!


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和奏・雛・犬子 三人の想いは一つ R-18

 
 どうも、最近食戟のソーマにはまっている三MENです。

 食べてみたいな~、あの出てくる料理・・・作れるほどの腕前じゃないし。

 今回は待ちわびたこの三人です!


 今岐阜城の一室でアキラは秋子と心の二人と話をしている。上洛のいろいろな手順や金などの準備を確認し合っていた。

 「これで終わりですね・・・ふう」

 「では、この書状を壬月さんに渡しておいてください」

 「光璃様達には私達がやっておきます」

 「ありがとうございます」

 堅苦しい話だったので、終わったことで肩を下ろした。

 「やはり、いろいろ忙しいですね」

 「この一戦で日の本の運命すら決まりますので」

 「これだけ必要にやるのも当然かと」

 「なるほど・・・向こうの時はいつの間にかそんな展開になっていて、終わったら解決していたのですが」

 『『いや、それと同じにしないでください』』

 アキラのあの過去を見て言いたいことが分かった二人は、内心で突っ込んだ。だから、二人は話を変えた。

 「あの、アキラ様。お疲れではないのですか?」

 「おや、そう見えますか?」

 「見えますよ。それにアキラさんは無茶なさるお方です」

 「無茶はしてないですよ」

 「「してます!絶対に休んでください!」」

 アキラの返答に力強く反論して、休むよう言った。

 

 『『夢で見た、あの体の全てをぼろぼろにしてまで戦ったあなたのどこが無茶はしてないですか!』』

 

 夢の時人との戦いを思い出して、思わず目が潤んだ二人。

 「わ、分かりました。渡し終えたら休むことにします」

 「「絶対ですよ!」」

 やはり愛する人が苦しむ姿を思い出すと、その状況じゃなくても心配になる。だからこそ、必死な顔で言った。

 「えっと、どうしてそこまで必死に言うのです?私の事を心配しているのは嬉しいのですが、それ以外にも理由があるように見えますが」

 勘の鋭いアキラにそう言われて、思わず焦る二人。そこで何とかごまかしたのが、

 「もし倒られると、大変なことになりそうですから」

 「私達もですけど、御大将や光璃様が」

 自分達の当主の名前だ。彼女らの名前なら効果は絶大だ。

 「確かに・・・何か未来が見えますよ」

 「はい、お屋形様と美空様の看病役争いが目に浮かびます」

 「久遠様や葵様、双葉様や結菜様にアキラ隊の皆もその争いに参加しそうですね」

 苦笑いをする三人。だが、心と秋子の内心は

 

 『『私達も争いに参加していると思いますけど・・・』』

 

 やはり看病に回りたい側だった。そこまで妻の名前を出されたら、さすがにアキラも引くしかない。

 「だから、ちゃんと休んでください」

 「さもないと、余計に疲れることが起こりますので」

 「はい、わかりました」

 最後の注意を受けて部屋を出た。

 

 

 言われた通り、ちゃんと壬月に書状を渡した。その際、さっきの二人の事を話すと

 『うむ、二人の言う通りだ。休めよ!』

 彼女まで同じことを言った。その後、梅・歌夜や春日・松葉などに会って『自分って無茶してますか?』と尋ねると、全員が『している』だった。

 「う~ん。そんなにしているのでしょうか?」

 「あ~~!アキラ様!わ~~い!」

 「ん?あ、犬子!」

 「いっきま~~す!ど~~ん!」

 彼女らの言葉を思い返して自分の行動を顧みている途中で、犬子が嬉しそうにアキラに抱き着いた。

 「ああ~!犬子、ずる~~い!」

 「ちょ、ちょっと待てよ!」

 「行くよ~、和奏!」

 「えへへ~~!雛も~、ど~~ん!」

 「く、くうう!ええい!受け止めてくれよ!」

 「二人もですか!」

 前に抱き着いている犬子を見て、左に雛、右に和奏が抱き着いた。

 「ねえねえ!アキラ様、暇?」

 「ええ。壬月さんに書状を渡して仕事も終わりです」

 「だったら、一緒にいない?雛達も、終わったの~」

 「ふむ、一応無茶しているから休むように言われてまして」

 「ああ~。確かに」

 「「うんうん」」

 和奏の言葉に二人も頷いた。

 「なあ、お願いだよ~アキラ」

 「行こうよ~アキラ様~」

 「アキラく~ん、雛達を見捨てないで~(よよよ)」

 「・・・そうですね。妻を悲しませるわけにはいきませんね」

 「「「やった~~~!」」」

 大げさに泣きそうな顔を演じる雛を見て、それに乗ったアキラ。とても嬉しそうに喜ぶ三人は、アキラの腕を掴んで城を出て行った。

 

 「なんか懐かしいですね」

 抱き着いている三人に話しかけるアキラ。

 「そうだね~、四人で歩くなんてあの時以来じゃない?」

 「前の上洛後の京を順番に二人っきりで歩いた時だよな」

 「そうそう!あの時に犬子達・・・アキラ様に、きゃワン!」

 「「・・・そうだね。お嫁さんになったんだよね///」」

 犬子があのプロポーズの事を言うと、二人も思い出したのか真っ赤になった。

 「嬉しかったですよ。私を好きになってくれて」

 「「「も、もう~!アキラ(君・様)ったら~!」」」

 「越前に行った後、久遠や麦穂さん、双葉や結菜達の事も気がかりでしたが、あなた達の事も心配していました。元気でやっているか、私がいなくて落ち込んでないかって」

 三人の頭を撫でながらそう言う。

 「・・・ああ、落ち込んだよ。アキラがいなかったとき、とても辛かった」

 「久遠様も、結菜様も、麦穂様も・・・そして、私達も泣いたんだよ」

 「アキラ様、お願いだから・・・もういなくならないでね!」

 涙を出しながら、さっきよりも力強く抱き着いた。

 

 「ええ、二度と、妻を悲しません」

 

 久遠、結菜、双葉などたくさんの妻が越前後に悲しんだことは想像できる。どれだけ自分を大切に想い、いなくなってほしくない事もわかった。だからこそ、アキラはその誓いを言った。何故なら、自分も本気で彼女らがいなくなってほしくないからだ。

 「「「絶対だよ!」」」

 さっきの心と秋子の同じ言葉を言った三人。ただし、その意味合いは大きく違っていた。

 

 

 三人に引っ張られるように歩いていき、着いたところは森の中に流れる川だった。周りには誰もいない。まさに秘密の場所とも言える場所だ。

 「ほう、これはいいところですね」

 「だろ!絶対にアキラを連れてきたいと思っていたんだ!」

 「私達三人だけの場所だけど~」

 「アキラ様なら、いいの!だって、旦那様だから!」

 そう言いながら、三人はどんどん服を脱いでいった。そして、サラシと腰の布以外は全部脱いだ。

 「ほらほら!アキラ君も!」

 「そうだよ!犬子達だけじゃ不公平だよ!」

 「お、おい!あ、アキラの体って・・・」

 「ふむ、いいなら脱ぎましょう」

 雛と犬子にせかされて脱いだが、和奏だけは顔を赤くした。アキラが下着以外脱ぐと

 「・・・や、やっぱり、違うね。あの時と今じゃ」

 「犬子、も、もう・・・ダメ」

 「うう、悔しいが、どうしても目が離せないよ~。雛のバカ~!」

 見た目とは違ったごつい体で、その体に何重にも斬られた痕があり、それが一つや二つではなくいくつもある。夢でその体を見た彼女らだが、今のアキラにはその傷が増えているように見える。いや、それだけじゃない。

 

 『『『あの時以上に、格好良く見えるよ~~!もう、心が熱くなって熱くなって止まらないよ~~!』』』

 

 夢の中で見た過去の命がけの戦い・・・何日経過しても、アキラを愛する妻にとっては死ぬまで忘れられないし、思い出すたびに愛する原動力として心に残る大切な出来事だ。

 「ふふ、これは気持ちいいですね」

 アキラは川で一息ついているが、その姿すら三人にとっては更に愛を熱くさせる行動に見える・・・だから、決めた。

 「な、なあ・・・雛、犬子」

 「うん、言いたいこと分かるよ」

 「勿論だよ。犬子もその気持ちだから」

 ちょっとだけアキラから離れて、小声で話し合う三人。頷き合って、何かを決めた決意ある顔になった・・・でも、

 「アキラ~今行くぞ~~!」

 「覚悟~!私達の水攻撃に耐えられるかな~!」

 「わっふ~、とおおりゃああ!」

 先に遊ぶことを優先したのか、楽しい顔になった。アキラも、一瞬だけ驚いたがすぐに三人の遊びに付き合った。

 「ふふ、さあ、来なさい!」

 「「「言ったな~~!とりゃああ~!」」」

 三人が思いっきりアキラに川からすくいだした水を浴びせた。四人の水遊びの始まりとなった。

 

 

 水遊びも終わり、一段落した四人。地面で四人とも寝っ転がっている。

 「休めと言われたが、こういう休みも悪くないですね」

 「そうだな~。仕事考えないで遊ぶなんて久しぶり~」

 「うんうん、それもあの京の時以来だね~」

 「犬子、やっぱりアキラ様が傍にいてくれると楽しい!」

 「僕もだ!」

 「雛もだよ~」

 犬子の言葉に二人も同意した。

 「それより、いいのでしょうか?そんな格好で」

 四人のサラシや腰当てもびしょ濡れだ。サラシの役目がほぼなくなってしまい三人の乳首が見えに近く、腰当ての方も割れ目のあの入り口が少し見えているくらいびしょびしょになっている。

 「・・・ほ、本当は恥ずかしいんだけど」

 「あのね、アキラ君だからいいの」

 「そ、それに、それに・・・」

 三人とも真っ赤になって返答したが、犬子だけ中々口に出さない。でも、アキラは邪魔をしないで最後まで言わせた。

 

 「あ、アキラ様に、全部見て欲しいの。後・・・温めて欲しいの」

 

 犬子がサラシと腰当てを取って、立ち上がった。真っ赤になりながら、アキラの上に体を乗せた。

 「アキラ様、ずっと・・・抱いてほしかった。奥さんは、皆抱かれたのに、犬子達だけ、まだ」

 「そうだよ~。雛達、まだ本当の奥さんに、なってないんだよ」

 「なりたいんだ。アキラの奥さんに、アキラの・・・女に」

 雛と和奏もとって、左右から抱き着いた。

 

 「「「お願い、アキラ(様・君)の本当の妻にして」」」

 

 そう言うと、三人は少し離れて座り、自分の割れ目を見せた。既に言いたいことは分かっている。だから、答えるべきと判断したアキラ。

 「分かりました。三人とも、愛します」

 頷くと、アキラは目を開けてまず真ん中にいる犬子にキスをして、胸を揉み、割れ目をいじりだした。

 「ひゃん!あ、アキラ様!」

 「ああ~!雛は~!」

 「ちゅ、ちゅ・・・ふふ、次です」

 「ちょ、ちょっと!ぼ、僕は・・・ま、まあ、最後でよかったかな」

 犬子一人だけにやっていることに二人とも嫉妬した。だが、ちゃんと順番を守ってやることを知ると、笑顔に戻った。そこに・・・

 「ねえねえ、和奏~。ちょ~~っと悪戯しない?」

 「はあ?悪戯って?」

 雛がニヤリと笑って、提案を出した。耳打ちで話しているため、その話の中身が分からないアキラと犬子。そのままにして、アキラの出した刀を犬子の割れ目にこすりだして彼女の蜜が完全に刀を濡らした時だ。

 

 「あ、アキラ、様・・・いい、よ」

 

 犬子の覚悟を決めた一言が出たのは。頷いたアキラは、割れ目に刀をついに入れた。その刀はそのまま、あの壁の手前に着いた。

 「あ、あああ!い、犬子、やっと、これで」

 「・・・いきますよ。あなたを嫁にするために」

 「う、うん!」

 笑顔の彼女だったが、貫いた瞬間苦痛に耐える顔になった・・・だが、その時だった。

 「いくよ~!和奏ちん!」

 「あ、ああ!」

 犬子の左右から雛と和奏が彼女の標準以上のおっぱいに吸い付いてきた。

 「ひゃああああん!!ちょ、ふ、二人とも!」

 痛みのすぐ後に来た快楽に驚いて二人を見ようとしたが、

 「「ちゅちゅ、じゅるじゅる」」

 「ひゃあ、あああん!や、やめて!」

 どんどん襲ってくる快楽によがっていく。そこに、

 「あ、ああああ!アキラ様~~!ああ」

 アキラの方も動きを再開した。二人に負けないと腰を動かした。水遊びで着いた水滴が彼女の体を淫靡に見せた。二人の吸い付きで快楽が倍になって、彼女が自分から腰を動かしていった。

 「犬子、いいですか?」

 「うん!いい!もう、どうなってもいい!」

 「ふふふ~、和奏ちん」

 「う、うう!どうなっても知らないぞ!」

 どうやら、雛と和奏の吸い付きすらアキラにされていると思っているみたいだ。完全に気にすることなくどんどんアキラに快楽を植え付けられていく。そして、

 

 「犬子!い、だ、し、ます!」

 「うん!お、お願、あ、あ、あああああ!」

 

 絶頂が三か所責めで頼む途中で来てしまったようだ。アキラの愛を受け止めた犬子は、そのままぐったりした。

 「あ、あああ・・・アキラ様」

 ただし、アキラを愛おしそうに見つめていた。そんな彼女に、

 「じゃあ、私だよ~」

 「雛・・・あれはちょっとまずいでしょう」

 「そ、そうだよ。手伝った僕も、まずいけど」

 見せつけるかのように、アキラに抱き着いてキスを数回する雛。

 「あ。あああ!」

 「ひ、雛!お、おい!」

 「アキラ君、だ~~い、好き!」

 驚く二人に雛は気にせず、自分の割れ目にアキラの刀の先を入れた。

 「ひゃ!あ、きゃん!」

 「ふふ、濡れてますね」

 「と、当然、だよ~~。だって・・・」

 顔を真っ赤にして、照れてそれ以降は言えなくなった。でも、アキラは言わせたいので、

 「だって?」

 「ぎゃん!」

 一気に割れ目に刀を入れて、一瞬の大きな快楽を与えた。

 「言わないのなら、やめますよ」

 「言う!言うから!や、やめ、ない、で・・・大好きだから。愛しているから!アキラ君の事!だから、濡れちゃうよ!」

 やめるの一言で観念して白状した。もじもじする雛に

 「私も、愛してますよ」

 「嬉しい・・・あ、ああああ!」

 一言愛しているを言い、彼女は心からの笑顔を出した。そのすぐ後だ・・・壁を壊したのは、

 「うわ~~、雛ちゃんが、すっごくいやらしい」

 「ああ、さっきの犬子もだけど、あんなに照れる雛も初めて見たな」

 「うん、でも・・・このまま黙っていられないよ」

 「う、最後の僕もやられるなら・・・」

 何とか起き上がれた犬子は雛に近寄り、彼女の胸とお尻を揉みだした。和奏も覚悟を決めて、同じように二か所を揉みだした。

 「きゃああん!ちょっと!和奏ちん!犬子ちん!」

 「仕返し、だよ」

 「どうせやられるなら、やってもいいだろ!」

 「ふふ、いいですよ。二人とも、もっと気持ちよくしましょう」

 「「うん!」」

 「ふ、ふええええ~~!」

 アキラも二人に声をかけて、三人で責めることにした。でも、

 「あ、あああ、アキラ君~~!も、もっともっと!」

 雛はさっきの犬子同様アキラしか見えていない。体の全ての快楽はアキラによってやられている考えが、

 

 「さあ、受け止めなさい!」

 「うん!出して!あ、ああああああ!!!」

 

 彼女の絶頂を速め、アキラも雛の欲情させる顔を見て一気に達した。

 「ひゃああん~~、あっは~~」

 ふわふわな感じの雛から刀を抜いた。アキラの顔は

 「ほ、ほら・・・アキラ。ま、待って、いたよ」

 横になって、自分の濡れた割れ目を広げている和奏に向いた。

 「和奏。可愛いですよ」

 「!!お、おい!そんなことを」

 「へっへ~ん。嬉しいんだ」

 「・・・そ、そりゃ、好きな旦那から、言われたら」

 犬子の言葉に真っ赤になって返答した。それが尚更かわいく見えた。

 「では、入れますよ」

 「う、うん」

 和奏の割れ目に刀を入れた。それだけで、

 「ひゃああああ!」

 「え、わ、和奏!」

 そう、まだ壁についてないのにもう絶頂してしまった。最後という事で、よっぽど待ち遠しかったのか快楽も溜め込んでいたようだ。

 「和奏、いいですか?」

 「うん!いいんだ、お願いだ!」

 和奏の言葉にアキラも頷いて、奥に刀を差していき・・・ついに、壊した。

 「あ、うううう!く!」

 「大丈夫?和奏」

 「はあ、はあ、和奏ちん」

 いつの間にか左右に二人もいた。そして、今度は胸と尻だけじゃない。首筋を舐めてきた。

 「うひゃあああああ!!」

 寒気と快楽のダブルアタックを受けて、二回目の絶頂に達した。

 「ちょ!雛、犬子!」

 「うふふ~、いくよ~!」

 「うん!和奏~、覚悟~!」

 「ふふ、さあ、未知の領域ですよ」

 「う、うわあああ!」

 左右からの三か所からのアタックに割れ目にアキラの突きが、どんどん彼女の思考を止めていく。そして、

 「は、はあ、あああん、あああ!」

 快感に支配された体と頭になっていく。動きが淫らで、魅惑的になっていく。でも、やはり・・・

 「アキラ、アキラ・・・」

 愛する人の名前だけは呼び続ける。三人とも、求めるものはただ一つ。

 「私の、を、出します!」

 「うん!だ、出して~~!感じたいんだ!アキラのを~~!」

 アキラの愛ただ一つだ。彼女の奥にも愛を出した。

 

 「あ、ああん!ひゃあああん!アキラ~~!大好き~~!」

 

 自分の想いを伝えて、三回目の絶頂を迎えた。ただし、アキラもここまで三人からの快楽を受け続けたおかげで、

 「く!ま、まだか!!」

 このアキラの三度目の愛は大きかった。彼女の割れ目から刀が抜けてしまい、

 

 「「「きゃああああ~~~ん。あ、あっつ~~い」」」

 

 三人の体にたくさんかけてしまった。顔や胸、脇や腰などいろんな箇所がその色で染まった。

 「はあ、はあ・・・三人とも、愛してますよ」

 「うん、僕らも」

 「アキラ君の事」

 「とって~~も、愛してるんだワン!」

 三人は気にしないで、むしろアキラが自分達にたくさんの愛をかけてくれたことに嬉しくなった。

 

 「「「ねえ、アキラ(様・君)・・・もっと、愛してほしい」」」

 

 恥ずかしがり屋の和奏ですら、今は貪欲にアキラに愛されたい気持ちでいっぱいだ。もちろん答えは、

 「ええ、私の愛、受け取ってください」

 この一言だ。

 

 

 四人が城に戻ったのは夕方になった。

 「和奏、ずる~い!」

 「和奏ちん、ずるいよ~」

 「ず。ずるくない!あ、アキラが悪いんだ!」

 「ふふ、可愛いですよ。和奏」

 顔を真っ赤にする和奏に追い打ちをかけるアキラ。何故、和奏が二人からずるいと言われているのか?というと、

 「途中からは、もっと僕を抱いて!と言っていましたね」

 「う、ううう~~~!」

 あの一言の後、四人は時間を忘れて愛し合った。さすがにそろそろ帰らないとまずいというところで、

 「た、立てない」

 あの壁をなくしたため犬子と雛はアキラに掴まれば何とか歩けるが、和奏が何回も絶頂した事と、快楽電気をたくさん浴びたせいで起き上がる事すらできなかったのだ。そのままにしておけないからアキラがお姫様抱っこして、そんな和奏がずるいから二人は文句を言っているのだ。

 

 『ゴメン、雛、犬子。今はこのままずっとしていたいんだ。だって、アキラの温もりをまだ感じていたいから・・・出来るならずっと、もっとこの暖かくて力強くて安心させてくれるアキラの腕の中に、い、いたい』

 『和奏ちん、顔に出てるよ。アキラ君の温もりを感じていたいって。雛だって感じたいよ!やっと、アキラ君の温もりを・・・ここに感じられたんだから。はやく、代わってほしいよ~~!』

 『もう~~、和奏ったら~!でも、分かるんだワン。犬子だって、今の和奏と同じだったらず~~っと抱っこされていたいもん!えへへ、やっとアキラ様に抱いてもらえた!すっごく、嬉しい!・・・でも、早く代わってよ和奏!』

 

 和奏はこのままでいたい気持ちが強く、二人は早く代わってほしい気持ちでいっぱいだった。

 「「早く代わってよ!」」

 「う、うう~~、も、もう少し」

 抱っこを離れようとしない和奏を下ろそうと、彼女の服を引っ張る二人。そんな三人の様子を見てこっそり笑った。

 

 『三人とも、気づいてないみたいですね・・・前にいる人物に』

 

 アキラの顔を向ける先に久遠と壬月がいることに気づいたのは、数分後に声をかけられた時だった。理由を話すと抱っこしたい人物が三人から五人になってしまった。更に麦穂とアキラ隊の皆とも会ったがそれから先はどうなったかは別の話。

 




 
 やっと、この三人を書けた!本当なら美濃に着いてからすぐにしたかったのですが、他のキャラの話を考えていたら後々になってしまった・・・。

 次回は一二三・湖衣にしようと思います!何か・・・ほぼ全員の間章を書いてしまいそうだな。


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一二三・湖衣 先を見て、あなたを見て

 
 1000話以上書いている作品があることに驚く三MENです!

 すごいっすね。ほんと・・・自分も頑張ろう!

 では、このお二人をどうぞ!


 

 「・・・ら!アキラ!」

 「・・・っは!」

 久遠の声に意識を覚ましたアキラ。

 「ちょっと、大事な話なのよ。寝ちゃダメじゃない」

 「ああ、すいませんでした」

 美空の言葉に謝罪した。

 「ハニー、もしかしてお疲れではありませんか?」

 「アキラ様。無茶しないでください」

 「何か前にも言われたような気が・・・してるつもりはないのですが」

 「「「「「「しているな(います)!」」」」」」

 アキラの一言に、久遠や美空だけでなくこの場にいる一葉・幽・梅・雫の四人も否定した。

 「余らをいつも抱いて愛してくれるからのう」

 「ですが、さすがに休む時間くらいは作った方がいいかと」

 「と言ってもな~」

 「・・・・・・なんですか、その目は」

 久遠のジト目に全員が同じ目をした。

 「ちょっと、言わせる気?」

 「そうですわ、ハニー。目を離した隙に妻を作っているのですから」

 「お願いですから、今日は休んでください」

 「・・・・・・確実に反論できないみたいなので、聞かないことにします」

 皆の言いたいことが分かったが、身に覚えがありまくるので口を閉ざした。

 「だけど、アキラはまだ仕事が残っているぞ」

 「うむ、ここは余が引き受ける」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ひょ!」

 アキラの仕事を自分が引き継ぐと言う一葉の言葉に幽は心から驚いたのか、その表情のまま固まった。

 「幽、貴様。何故そこまで驚く!」

 「いや~~、その~~、ねえ?」

 ギギギという擬音すら聞こえてきそうな首を少しずつ動かして皆を見た。だが、

 「「「「「・・・・・・」」」」」

 皆が目をそらした。それを見て、居心地の悪くなった幽。

 「ちょっと、皆さん。この空気をどうするおつもりですか!」

 「「「「知らん(知りません・知らないわよ)!」」」」

 「全く、空気が読めておりませんな」

 身を縮めた幽の文句を全く聞かない皆はアキラの事で相談していた。

 「ですが、ハニー一人を置いて大丈夫ですか?」

 「そうですね。一人という事は、自由にいろんな女性を抱けると言う事ですから」

 「監視役が必要ね」

 「ああ、でもここにいる皆はダメだな。う~ん」

 『あの、自由に女を抱くという言葉にはツッコミはないのですか?』

 雫の言葉に違和感なく話を進める皆に同じく居心地の悪くなったアキラ。そこに、

 

 「失礼しま~す!少しいいですか~」

 「壬月様が確認したいことがあるって~言ってました」

 「お時間いいでしょうか?」

 

 和奏・雛・犬子が用件を持って入ってきた。彼女らの視線が三人に向き、頷き合った。

 

 

 庭の見える一室にいるアキラ。監視役としているのは

 「いや~、いいね~、こうしての~~んびりできるなんて」

 「うんうん」

 雛と三人のすぐ後にやってきた松葉だった。

 「和奏や犬子はまだ仕事しているのに、雛はこ~してぼーっとして時々アキラ君を見ていればいいなんて~」

 「これ以上ない楽な仕事」

 二人はアキラの膝枕でゴロンと横になっていた。

 「えっと、一応私休むよう言われ「でもアキラ君って雛達を抱く?」い、いえ「だったら大丈夫」・・・それは何か複雑な気分が」

 何気にアキラのペースを崩す二人。

 「だ~か~ら~、のんびりしようよ~」

 「アキラもゴロンとなる」

 「まあ、お二人がそう言うなら」

 二人に促されてアキラも横になり、徐々に眠りに入りかけた・・・時だった。

 

 「アキラ殿、アキラ殿」

 「ちょ、ちょっと、一二三ちゃん」

 

 そんな声が聞こえたので体を起こした。座る姿勢に変えて雛・松葉も顔をそっちに向けた。

 「おや、運命の恋人と湖衣ちゃんではありませんか」

 「え、えええ!一二三さんってアキラ君とそんな関係だったの!」

 「驚き」

 「ははは、そうなのですよ。いや~、私達の出会いは運命的だと言ってくれて」

 「・・・もう流されないよ。さすがにそう何度も」

 「一二三ちゃん。顔赤いよ」

 「う!い、言わないでくれ!」

 そんな一二三をからかう雑談をしながら、一二三と湖衣に意識を向けた。

 「何か用ですか?」

 「一二三ちゃん。ほ、本当に言うの?」

 「も、勿論さ!その為にここまで来たんだから」

 いつものからかい口調ではない一二三。一度深呼吸をして、アキラの顔を見た。

 

 「アキラ殿、私達も嫁にしてくれないか?」

 「え、えええ!ちょ、わ、私まで!」

 

 一二三の告白に、湖衣は自分まではいっていることに驚いた。

 「私の、嫁ですか?」

 「ああ、そうだ」

 だが、一二三の目には裏があるとアキラは見た。そんな二人を尻目に、

 「あれ~。湖衣さんって、もう奥さんになってなかったっけ?」

 「うん、みんな集まったときに言った」

 「・・・(かああ)あ、あああああ、あれは!」

 雛と松葉のツッコミに顔を真っ赤にした湖衣。彼女らの会話が耳に入ってない二人は話を続けた。

 「どんな意図があるのですか?」

 「おや、随分真っ直ぐに聞くんだね」

 「あなたほどに油断できない相手がいましたからね」

 「(それって、あの幸村って人かな?夢では名前しか聞いてないけど、何か他人って気がしないんだよね)ま、確かに嫁になるなら腹割って話さないといけないね」

 ニコッと笑って、アキラに迫って頬に手を付けた。アキラはその笑みが幸村に見えたため、

 『世界違えど血筋からくる性分は一緒という事ですか』

 こっそりそう思った。

 

 一二三が話したことはこの同盟のもろさだった。アキラがいるからこそ成り立つこの同盟だが、もしいなくなったりしたら簡単に壊すことができる。他にも乗っ取ることもでき、更に鬼との戦いを目的に作られた事もあり、それがなくなると各勢力ごとの解散や、内部での争いが始まる恐れなど、何とも先を見る目はここまで見れるのか!ということまで彼女は言った。

 「そういった輩は同盟の外にも中にも既にいるさ。そして、その機会を虎視眈々と狙っているんだよ」

 「そうですね。私もそれをやったからよくわかります」

 「ああ、そうだね(あの狂と言う人の体。うまいこと奪ったし)」

 「??何か見たことがあるみたいな言い方でしたが?」

 「いや、やれそうだな。という見分だよ」

 一二三は思わず出た一言をうまくごまかした。

 「つまり、そういう輩への対策をあなたならできると」

 「そういう事。私はいろいろと伝手もあるから、それを使えば、ね」

 「だけど、光璃の家臣という立場では動きが制限されそうだが、私の嫁という立場のならそれもなくせるかもしれない。という事ですね」

 「アキラ君は話が速くて助かるね」

 「伊達に当主達の夫はしてませんよ」

 「そうだったね~」 

 「「ははははは」」

 ころが見たら、越後の春日山城奪還の時みたいと言いそうな笑いだった。

 

 一通り笑い終わると、一二三の視線が寝っ転がっている二人に移った。

 「そう言えば、雛君と松葉君は嫁に増えることは賛成かい?」

 「雛は構わないよ~。アキラ君がお嫁を増やすのはいつもの事だし~」

 「松葉も、既に嫁」

 「・・・・・・不潔です」

 「おやおや~、それも承知で嫁になったんじゃないのかい?」

 嫁が増えることに不潔と言った湖衣に突っ込む一二三。

 「い、言わないでください!」

 「は?湖衣ちゃんが、私の嫁?」

 これは初耳のアキラ。真っ赤なお顔の彼女に顔を向けた。

 「あ、あううう、これは~~(ぼぼん)」

 「さあ、さあ、湖衣。感想を聞かせてくれないか?」

 「ちょ!な、何が感想」

 「だったら、雛君と松葉君に聞こうか。二人はどうなんだい?」

 「雛は、やはりと~~っても嬉しかったよ。だって、アキラ君といるとほわほわって気持ちよくなるもん」

 「うん。わかる。松葉もそう・・・抱き着いた時も、膝枕した時も、そんな気持ちだった」

 「へ~、それが二人の感想なんだ」

 それを聞き、一二三と湖衣はそれぞれ考えた。

 

 『ふ~ん、それが嫁って言うものか~。私がなる理由はお互いの利害が緩和できそうだからなるけど・・・さっき、アキラ君から運命の恋人なんて言われたね。結構ドキドキしたけど、そういう気持ちを持っているのが嬉しいんだろうね。この二人は・・・私はどうなんだろうね』

 『ひ、雛さんも松葉さんもき、気持ちいいっ・・・い、いや!これは嬉しいって言う事だよね!何を考えているの!私は!・・・でも、少し、本当に少しだけど、分かる気がする。だって、アキラ様の夢の活躍と必死の戦いを見て、あの人の凄さと頑張りがわかって、それが・・・今私のこの、う、ううう~!』

 

 一二三はまだからかわれている部分もあるためアキラを異性として見れないが、湖衣はほぼ完全に見ている。その為、

 「湖衣~、ちょっと~」

 「ああああああ!」

 違う違う!と思いながら頭を振っている。それをちょっと呆れながら止めに入る一二三。

 「ほらほら~。湖衣さんも認めなって~~」

 「うん、認めれば楽になる」

 「み、認めればって!私変なことしてませんよ!」

 「はははは!(不思議だね~。私は乱世を好む人間なのにこうしたやり取りを見ている方が楽しいと思えるよ)」

 二人に湖衣がいじられている姿を見て、こっそり今の自分の変化を思いながら笑う一二三。そんな彼女にアキラが声をかけた。

 「どうです?悪くないでしょう」

 「そうだね。この連合は楽しいという実感はあるよ」

 「なら、お願いしますね」

 「ほう、それは私が嫁になってもいいと言う事だね。君を利用しようとする私を入れても本当にいいのかい?」

 「そんなのはお互い様ですから気にしてませんよ。何より、優しいあなたなら歓迎しますよ」

 「・・・は?」

 優しいという言葉に動きが止まった。

 「おや?聞こえなかったのですか?優しくて頼りがいのある素敵なあなたなら歓迎しますよと言ったのですが」

 「いや、聞こえてたけど・・・というか誉め言葉が増えてるじゃないか!」

 固まった一二三を更に褒めると、一気に真っ赤になった。

 「あ、一二三ちゃんが恥ずかしがってる」

 「ちょ、湖衣!」

 「おおお~。可愛い」

 「うん、いい顔」

 「そういう顔をいつも見せてください。夫としてのお願いです」

 「くうう、は、恥ずかしがってない!」

 だが、焼け石に水だ。とりあえず、無駄な反撃だが

 「あ、アキラ殿は、ど、どうしてそんなことを言うんだい!」

 いきなり褒めた理由を聞いた。

 「理由ですか?あなたがちゃんと全てを話したからですよ。お互いの立場や利害だけではない。あなたのやる事や気持ちも全部話してくれた。だから、優しいと言ったのですよ」

 「そうだね~。隠してもいいことだってあるのに~」

 「うん。素直」

 「あう、そ、それは!お、同じ立場じゃないから!」

 「こんなに恥ずかしがる一二三ちゃん初めて」

 「ううう~~こ、湖衣だって、さっきとても恥ずかしがっていたじゃないか!」

 「はうわ!お、思いださせないでください!」

 何とかターゲットを変更させたいのか、湖衣に反撃して案の定引っかかった。さらに追い打ちをかけて落ち着きたいのか、もっと押した。

 「湖衣はそこの二人と同じ立場なんだろう?いつになったら閨に行くんだい?私はまだ奥に入ってないけど、湖衣は入ったんだろう?ほらほら~」

 「は、はううう~~」

 「アキラ殿、いっそうの事今夜閨に誘ったらどうだい?『お前が欲しい』と言って押し倒せば」

 「ひ、一二三ちゃん!」

 「雛はこの間だよ~。と~~っても、アキラ君に愛されちゃった~」

 「・・・松葉もまだ。雛、羨ましい」

 えへへ~と言いながら顔を赤くして悦ぶ雛にむすっとした顔で見る松葉。

 「ふふふ、それも悪くないですが」

 「ふ、ふえええええ!」

 「湖衣ちゃんが、心に決めた時にしたいですね。そのようなことをしたら彼女の想いが踏みにじられることになりますから。皆さんと愛し合いたい時は、本当に想いがつながった時にしたいです」

 「「「「・・・・・・」」」」

 焦る湖衣にそう言うと四人とも黙った。

 「おや?どうしたのです?」

 「あ~~。忘れていたよ。これがアキラ殿だったって」

 一二三は自分のうっかりに少し悔いていた。

 『アキラ様、そこまで考えてくれていたんだ・・・って!何で今アキラ様なら抱かれてもいいって思ったの!ち、違う!違う!』

 『本っ当に、アキラ君ってずるいよね~。でも、これがアキラ君だし~』

 『アキラ、やっぱりいい。いつか、抱かれたい』

 湖衣もアキラの言葉にドキドキしながらも、そんな考えが浮かんだことに恥ずかしがった。二人の方も、雛は呆れ、松葉はときめいた・・・そこに、

 

 「あいやまたれい!山本勘助!勝負っす!」

 

 柘榴が湖衣の目の前にやってきた。さっきの恥ずかしい顔が一変困った顔になった。

 「は、はうう~~、勘弁してください~」

 「あ、お兄ちゃん!やっほ~」

 「綾菜もいるです!」

 柘榴の後ろから元気な市と綾菜もやってきた。そこからはどんどん騒がしくなっていった。何やら、柘榴が戦おうとするから、二人も戦いたい!と言いだしたり、雛と松葉がアキラの膝枕で気持ちよさそうにしているのを見て、綾菜が戦いと膝枕どっちにすればいいか真剣に悩んだり、アキラが「腕枕をしてあげましょうか?」と尋ねたら、雛と松葉もそっちがいい!と言い、いつの間にかアキラの腕枕争奪戦が始まった。

 

 そんな様子をアキラと隣に座った一二三が見ていた。湖衣はすっかり巻き込まれてしまった。

 「随分と騒がしくなったね」

 「ええ。でも、これがこの連合ですよ」

 「ああ・・・ふむ、なるほど」

 「どうしました?納得したような顔をしてますが?」

 アキラの言う通り、すっきりした顔をしていた。

 「いやね。雛君の言う通り確かに隠してもいいことだってあるのに、どうして君に嫁になる理由を全部話す気になったのか・・・アキラ殿がこれほどまでに人を惹く力があるからこそ、私も惹かれて話してしまったんだろうね」

 「なるほど。そんな力があるとは思えませんが・・・ところで、今回の事は皆に話すつもりですか?」

 「お屋形様や典厩様には伝えておくよ。最低人数だけにしておく」

 「どの道、明日にはあっという間に広まりそうですけどね」

 「ははは!雛君がいるならそうだね。じゃ、そういう事で。休み中悪かったね」

 「いいえ、こちらも素敵な嫁ができて嬉しいですよ」

 背中を向けて「じゃあね」と言って、去っていった。

 

 『全く、本当にアキラ殿は油断ができない。湖衣じゃないけど、これじゃあいつの日か本当に抱かれたい気持ちになるじゃないか。そりゃ、今までも何回かは嫁になってもいいかな?と思ったけど・・・ここまでの気持ちは持たなかったぞ。はあ~、こりゃ覚悟する日があるかもね。ふふ、でも悪くない気持ちだ』

 

 一二三本人は気づいてないだろう。きれいな笑顔になっていることに。

 

 

 

 アキラの腕枕争奪戦勝ち残ったのは、戦いたいもの同士で戦っているうちに漁夫の利的な感じで手に入れた

 

 「は、はうううう~~ど、どうしてこんなことに」

 「ぶい~」

 

 戦いを嫌がる湖衣とめんどくさがる雛だった。

 




 
 実際、現実で考えると彼女くらいの先を見る目はあまりいないですよね。戦があるからこそ、先を見る必要がある。でも、戦がない現代はそれを見る目がない。
 
 さて、そろそろ本章に近づいてきたな。この間章も後三話ほどかな?予定は次が各務・秋子でその次が夕霧・粉雪。最後に久遠・市にしようと思います。

 というわけで、次は各務・秋子・・・この時点でエロ話になるのが分かるな。お楽しみに!


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各務・秋子 あなたの好きにしていいから R-18

 
 どうも、暖房必須な三MENです。

 今回はもう、エロしか思いつかない二人です! 


 

 夜、久しぶりのアキラ隊の長屋でアキラは寝ていた。今までは岐阜城で寝ることが多く、美空・光璃といった国主達はそこで寝食をするのだが彼女達がアキラと一緒にいたいがためにそこで泊まらせるため、長屋の部屋で寝ることがあまりなかった。

 「・・・・・・」

 「・・・やっと、やっと」

 「・・・すや」

 「(じゅるり)素敵な寝顔。ああ、濡れちゃう」

 そこに気配を消して入る一人の女。彼女は目を光らせた。もし、その目は獲物を見つけて狩った森親子のようなギラギラな目つきだった。

 

 

 次の日の早朝、アキラはある違和感で意識を覚ました。

 『?何か気持ちいいような、私の私が・・・!』

 自分の性の刀に温もりと刺激を感じるのだ。そこで完全に眠気が亡くなり、布団を取り払った。

 「ちゅ、ぺろ、はむ、ちゅうう~~」

 そこには刀をおいしそうに頬張っている各務の姿があった。固まるアキラだが、彼女は気にせず続ける。そして、刀からの熱いものが各務の口の中で出された。

 「ごく、むぐ・・・はあ~~、あ、アキラ。おはよう」

 愛おしそうに飲み干して、顔を上げるとやっとアキラが起きていることに気づいた。

 「な、ななな、何をしているのですか!」

 同時にアキラも意識を取り戻して、大声で叫んだ。そんなことをすれば当然

 「あああ!各務さん!羨ましい!」

 「お頭!私達もしたいです!」

 「そうなの!鞠達もしたいの!」

 「アキラ様。もちろん、いいですよね?」

 同じ長屋で寝ているひよ・ころ・鞠・詩乃も駆けつけて、参加するに決まっている。結局、実際体を起こしたのはその一刻後だった。

 

 朝食後、早速各務に尋問をした。何故、忍び込んであんなことをしたのか?その質問をした途端、

 「ずっと我慢してた!」

 彼女は叫んだ。ずずい!といきなり迫ったのでアキラは驚いた。

 「えっと、我慢していたというのは」

 「ずっと森一家の仕事!」

 「あ~、前棟梁も現棟梁も仕事しませんもんね」 

 何しろ甲斐で再会した時も、ためていた仕事を全部各務に押し付けたくらいだ。今までアキラの前に現れなかったのはその為らしい。

 「ずっと会えなかった・・・寂しかった。欲情した。何回も自慰をした」

 「うん、後半は聞かなかったことにします。えっと、すいませんでした」

 「やっと、終わった。だから、付き合って!」

 つまり、今日一日はずっとそばにいて欲しいと言う事だ。

 

 

 各務の願いをかなえることにした。今は、美濃の城下に二人で歩いていた。

 「嬉しい。二人きり」

 「喜んでくれるなら何よりです」

 「アキラ、こっち。誰も通らない道がある」

 既に各務の目は蕩けていた。

 「その道で何をする気なのかは聞ききません。というか、夜なら許しますがまだ昼にもなってませんので許しません!」

 「・・・今すぐも?」

 「当然です!」

 もはや、彼女の頭の中はR21な展開になっているのか、この場で裸になることも躊躇いを持ってなさそうだ。

 「とりあえず、今はいろいろ歩きましょう」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」

 「どれだけそっちの方を考えていたのですか!」

 かなり溜め込んで頷いたことにアキラを突っ込んだ。

 

 二人がまず向かったのは一発屋だ。眠っている時に各務の奇襲があり、起床した後アキラ隊の突撃もあったため朝食を取れなかったので、遅いけどそこで食べることにした。すると、そこには珍しい人もいた。

 「あれ?秋子に春日さん」

 「どうしたの?」

 「あ!アキラさんに各務さん」

 「おう!アキラ殿に各務ではないか」

 秋子と春日が店内がいたのだ。だが、まだ来たばかりで注文してないため、料理が二人の前に無い。

 「皆から勧められたのですよ。ここは絶対に一度食べに行くべきだと」

 「なるほど」

 「柘榴ちゃんと松葉ちゃんもここで食べたみたいですけど、越後にもできて欲しい!と悔しそうに言ってましたね」

 「粉雪も心の料理と同じぐらい美味かった!と言っていたな」

 「ははは!越後・甲斐にいた時も、この店の味は恋しかったです」

 「うん、それは言える」

 「へ~~。それは嬉しいね~」

 話していると、きよがやってきた。

 「久しぶり、アキラ!元気そうでよかったよ!・・・ほらほら!早く座って!立っていられると邪魔だよ!」

 「すいませんでした、将軍様に説教したきよさん」

 秋子と春日の前がちょうど開いていたので二人で座った。

 「焼き魚定食を「私も」二つで」

 「私達もそれで」

 「頼む」

 「あいよ!待ってな!」

 威勢のいいきよの言葉に自然と笑顔になる。この声とあの笑顔を見て本当に一発屋に来た実感がしたアキラ。同時に、あの元気がかつての初恋の人を思い出させた。

 

 『何かゆやさんを思い出しますね。まだ出会った時のお金に執着していたころのゆやさんもあれくらい元気でしたね』

 

 狂と一緒になってすっかり丸くなりお金には興味がなくなったゆや。前のちょっとがめついゆやを思い出したアキラ。

 「あの、ちょっと聞こえたのですが」

 「将軍様に説教をしたって・・・まさか、公方様を叱ったのか?あの娘が」

 「ええ、ちょっと一葉が粗相をしてしまって」

 「えええ!す、すごい!」

 「拙にはできないぞ」

 「いや、将軍と気付いてないからだと思いますよ。仕事をさぼる・無頼漢に喧嘩を売る・財布を強奪する・迷惑な騒動を作る。どうです、将軍のやる事だと思いますか?」

 「「・・・・・・思わないです(な)」」

 「うん、迷惑な人としか思えない」

 三人の答えは同じだった。

 

 「はっくしょん!」

 「おや、公方様。噂されていますな」

 「風邪と思わないのか!ううむ。寒気がするし、ここは」

 「寒いのでしたら厚着しましょう。では、仕事を続けますぞ」

 「ううう!誰でもいいから、代わってくれ~~!」

 「・・押し付ける気満々ですな。早く再開してくだされ」

 

 焼き魚定食が来たので早速食べるアキラ達。

 「確かにおいしいですね。魚の油も詰まっていますし・・・私でもここまでうまく焼けないです」

 「ふむ、これがこっちの味噌汁か。甲斐より濃いが、これもまたいい味だ」

 「どうです?あの三人に鞠や久遠が気に入る理由。わかるでしょう」

 「ええ。これは柘榴ちゃんの言う通り、越後にも店ができて欲しいです」

 「甲斐でも欲しいな」

 「国の主が気にいる。ある意味凄い店」

 各務の言葉に三人とも頷いた。

 

 

 一発屋での食事も終わり、店を出ると春日はすぐに仕事に戻ったが、

 「あの、アキラ様。ご一緒してよろしいですか?」

 「いいですが、仕事の方は?」

 「実は今日は休みなんです。いつも放り投げる人に押し付けてきました」

 「・・・各務、同類がいましたね」

 「うん。仲間」

 秋子の手を握る各務。同じ苦労者がいて嬉しかったのだろう。

 

 「はっくそん!」

 「柘榴が風邪?・・・ありえないから噂?」

 「ちょっと!何でっすか!」

 「それより仕事する。今日中にやらないと秋子の雷が飛ぶ」

 「うううう!ちょっと一か月の間ほったらかしにしただけなのに~~」

 「・・・十分に怒る。私はちょくちょくやっていたから少ない」

 「ずるいっす~~~!」

 

 秋子はすぐに察した。

 「各務さん、今日は仕事を忘れましょう!」

 「うん。秋子、美濃を案内する」

 頷き合うと左から各務、右から秋子がアキラに抱き着いて二人とも自慢の胸に腕を挟めた。

 「そして、アキラを二人占め」

 「はい!」

 腕が動かせなくなったが、

 「やれやれ・・・ま、いいでしょう」

 二人の胸の感触を味わえるので、されるがままで歩き始めた。

 

 

 だが、アキラはすぐに後悔した。秋子に会う前に、エロ展開になりそうなことをやろうとしていたのだ。その事を一時的に忘れていた自分を責めた。

 「どうしたの?アキラ」

 「いえ、あなたに何を言われたのかを忘れたことに後悔しているのです」

 「か、かかかかか、各務さん!こ、ここって!」

 「???旅籠だけど?」

 「「それは分かっている(います)!」」

 各務に案内されて、二人が入ったところは旅籠だった。まだ明るいし、それぞれ泊まる場所もあるから行く必要がないことを言うと、

 『ただの休憩。大丈夫、二刻ほどいるだけ』

 わけが分からないまま各務に腕を掴まれて入った二人。その旅籠の看板にはこう書かれていた。

 

      『羅撫帆手瑠(らぶ〇てる)』

 

 アキラも秋子も看板を見ても全く意味が分からなかった。だけど、案内された部屋に入ると危険な場所に入ったことに気づいた二人。入った部屋には真ん中に敷かれた一組の布団があるだけ。ただし、問題はその周りにあるものだ。縄やら、鞭やら、おっぱいや割れ目の部分が切られている襦袢やらといかにもヤル為だけの場所だった。

 「さあ。アキラ」

 「か、各務!いつの間に!」

 「秋子も」

 「ふええええええ!」

 唖然としている間に各務が全裸になっていて、アキラと秋子の服も目にもとまらぬ早業で脱がせて二人とも全裸にした。

 「アキラ・・・ここ、ずっと、待ってた」

 座って、自分の割れ目を広げてアキラに見せた。もうぐっしょりで、おねしょレベルで床を濡らしていた。

 「毎晩、慰めて・・・やっと、抱いてくれる」

 各務の目から涙が流れた。ようやく時間が取れてアキラに抱かれることが、嬉しくなって出したのだろう。その涙を見たアキラも小さく息を吐いて、

 「分かりました。時間いっぱいまで付き合いましょう」

 彼女の目の前に座って、キスをした。すぐにアキラの口の中に舌を入れてたくさんねっとりとお互いの唾液を交換し合った。

 「あ、ああああ」

 秋子はそんな二人を見て体が熱くなった。無意識にアキラの隣に座り、各務とのキスが終わると

 「アキラさん」

 「おや、ふふふ」

 目を閉じて唇を差し出した。彼女もまた鏡のように欲情し始めているのだ。希望にこたえて、秋子にも同じキスをした。そこからは胸・尻・割れ目を愛撫し、太くなった刀で二人を絶頂させた。

 

 

 

 「あれ?」

 ふいにアキラが目を覚ました。どうやら、羅撫帆手瑠で二人を責めているうちに気を失ったようだ。

 「秋子、うまい」

 「わ、私も、あの時(柘榴・松葉話)以来我慢していたんですよ」

 デジャヴを感じる光景が自分の股間であった。その時は各務一人だったが、今度は秋子も一緒だ。二人は自慢のおっぱいでアキラの怒張している刀をこすっていた。

 「二人とも・・・」

 「「おはよう(ございます)」」

 二人とも裸だったのですぐに気づかなかったが、布団が違ったのでここは羅撫帆手瑠ではないことが分かった。確認の為、壁一面に貼られまくっている何かを見てアキラはぎょっとした。この瞬間だけ二人からのパイ〇リを忘れた。

 「あの、ここは?」

 「私の家。時間になってもアキラ起きなかった」

 「各務さんの家が近いとの事だったので、お連れしました」

 「そ、そうですか・・・」

 「アキラが私の家に・・・ああ、それだけで濡れちゃう」

 「わ、私は、たくさんのアキラさんに見られている気がして・・・」

 今いる各務の家の壁に貼られている何か・・・それはアキラの絵だった。顔だったり、上半身だったり、全身だったり・・・しかも、体も描かれている方は裸だった。とにかくいろんな表情・異なるポーズのアキラの絵が四方の壁全部に貼られていたのだ。秋子のその言葉はそういう意味がある。

 

 『さ、貞子に襲われた時の同レベルの悪寒が!』

 

 秋子の方はこんなに多く描くくらい各務はアキラの事が好きなんだ。という認識だが、アキラの方はこの家の意味を理解していた。これらは全部被写体であるアキラ本人を見ないと描けないが、アキラは薫以外に被写体になった記憶がない。つまり、全部こっそり描いたことになる。現代で言う盗撮のようなことを彼女はやってのけたのだ。その証拠に、絵のアキラは全員目は開いてないが視線が別方向だ。

 「ず、随分・・・ありますね。私の絵」

 「うん、頑張った!」

 「すごいですね。絵も上手いですし」

 『秋子!違います!あなた、絶対に気づいてないでしょう!』

 二人とも愛おしそうにアキラの刀を舐め続けている。だが、アキラの意識は秋子の鈍感と各務の隠れた趣味に快感を感じるどころじゃない。しかし、体の方は限界だったのか、

 「「ああああああ!」」

 「く、う!」

 刀からの白液に二人の顔は染められた。

 「各務さん。白くなりましたよ」

 「秋子だって」

 二人はお互いその白液を舐め取った。そっちに意識が集中している中、

 『・・・決めました!お仕置きです!』

 気合を入れて、二人にお仕置きをすることにした。これがヤンデレの貞子だったら無理やりにでもやり続けるが、各務も秋子も逆にアキラにされることを望んでいる。

 「今って夜ですか?」

 「はい。私達も家に着いたらいったん寝ちゃいましたから」

 「一応、小波に皆には私達と一緒だと伝えてと頼んだ」

 アキラが外を見ると確かに夜になっていて、しかも結構更けている状態だ。これは好都合とニヤリと笑った。

 「二人とも、すっかり熱くなりましたね」

 「うん。アキラの愛のおかげ」

 「は、はい。もう、ここも・・・」

 二人の割れ目からはびっしょりあふれた蜜が出ていた。すると、その蜜の中からさっきの白液も出たのが見えた。おそらく、意識がない時に我慢できずにこっそりやったのだろう。

 「なら、少し散歩しませんか」

 「散歩?」

 「そうですね、頭を少し覚ましたいですし」

 「では、参りましょうか」

 そう言って、アキラは何と全裸の二人の腕を掴んでそのまま外に連れ出した。

 「「あ!アキラ(さん)!!!」」

 「ほら、これなら覚めるでしょう」

 アキラの方は羅撫帆手瑠で二人に着替えさせてくれ、さっきの二人のパイ〇リも袴の隙間から刀を出してやったようのでちゃんと服を着ている。

 「こ、これは・・・恥ずかしい」

 「そ、そうで「大声で言うと気付かれますよ」!!ううう~~」

 だが、二人は本当に何も着ていない。しかも、片腕はアキラに掴まれている。何とか胸をもう片腕で隠して、割れ目も小さく前かがみにして見えないようにしている・・・だがそれだと

 「ふふ、そんなにお尻を出して。見せたいのですか」

 尻が強調されることになる。それを指摘されて、リンゴレベルに赤くなった。

 「その辺を歩きましょうか」

 『『・・・わ、悪くないかも』』 

 でも、アキラにそうされるのなら悪くないと思い始めた二人だった。

 

 アキラは周辺の人の気配を見て、うまく誰もいない道を歩いていく。その事に気づかない二人はびくびくしながら、ついていく。

 「その辺の飲み屋にでも入りましょうか?」

 「「い、嫌!」」

 「はは、冗談ですよ。なら、そこのわき道に入りましょう」

 「「う、うん」」

 そう言われて、気配がないのを確認してわき道に入った。そして、そこで二人の腕を離して割れ目に指を入れた。

 「「ひゃう!!」」

 「おや、濡れ濡れなのは仕方ないにしても、随分と敏感ですね」

 「と、当然!見られる、かも」

 「いつみられるかと、びくびくしますよ!」

 「いいではないですか・・・見せつけましょう!」

 そう言い、指を一気に奥まで入れて二人を更に快感の波にのませた。

 「二人とも、その腕を離してください」

 「「・・・(こく)」」

 ずっと腕で隠していた胸を見せた。二人の乳首が固くなり、とがっていた。それをつまんで引っ張った。

 「「あう!」」

 「どれ、もうひとつは」

 それぞれ開いている乳首に噛みつくアキラ。交互に引っ張っては離し、舐めては吸い付き、その繰り返しをした。

 「ふふ、どうやらいいみたいですね」

 「あ、あ、アキ、ラ・・・ああ」

 「蕩けちゃ・・・ああん。アキラさん」

 すっかり二人の顔は蕩け切っていた。目もトロンとして、だらしなく涎も出し、地面もどんどん濡らしていく。

 「では、いきますよ」

 各務と秋子、二人を重ねて壁に押し付け交互に割れ目にアキラの太刀を出しいれした。

 「あ、あ、あ・・・」

 秋子は既に快楽に負けて理性も崩壊気味で、放心状態だった。余り声を出せない状態でどんどん脱力していった。

 「アキラ!アキラ!ああ、ああああ!」

 秋子の下の各務は太刀が入るたびに興奮が増していく。蜜の量も彼女の方が出ており、各務は秋子の胸を揉みしだいている。秋子は各務の尻を揉みしだいている。お互いがアキラ以外の快感のツボをついていた。

 「ん!いい、です!いい、感じです!」

 「は、い・・・いい、ああ」

 「アキラ!もっと、もっと!」

 三人とも興奮して、求め続けた。二人のいろんな箇所をアキラは舐め、吸い、噛んだ。各務と秋子も負けじと、何回も濃厚で濃密な熱くなるキスをして抵抗した。

 そして、三人の絶頂がついに来た。

 

 「ぐううううう!」

 「あああっはあああああ~~!」

 「アキラさん~~~!!」

 

 二人の割れ目の奥にアキラの男の白液を流し込んだ。

 

 

 

 各務の家に戻る際秋子が完全に腰が抜け、更に意識もなくなりかけていた。その為、おんぶしようとしたら

 「アキラ、背中ゲット」

 各務が乗ってきた。仕方ないのでお姫様抱っこをしてわき道を出た。

 

 「あ、アキラさん!」

 「何と、そのようなところで!」

 

 出てすぐに麦穂と壬月に出くわした。しかも、

 

 「かかか!何と裸で外に出したのか!」

 「何じゃ、ワシに言えばあの時と同じことをしてやるのに!」

 

 桐琴と白百合も一緒だ。どうやら、春日を抜かしたお姉様達の飲み会の帰りだったようだ。この後どうなったかは・・・それは、四人も裸なのが物語っている。

 




 
 というわけで、各務のちょっとしたヤンデレな一面を描くためだけにこの話を書きました!最後は、各務の家まで六人全裸で行ったのかな?桐琴と白百合は進んで脱ぐだろうし、そんな二人を見て麦穂も負けじと脱ぎそう。壬月は・・・空気に負けて脱ぎそうだな。酒が入っていれば、な。

 次回ですが、粉雪・夕霧は出さないことにしました・・・ネタが思いつかなかったからです。そこで、悠季を出します!そして、最後に久遠・市にして長かった第九.五章を終えたいと思います!


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久遠・市 ただいま。おかえり!

 
 どうも!三麺・・・ではなくMENです!

 ついに長かった間章23も終了です!いよいよ、次回から第十章に突入です!

 先に書きます。間章最後なのにエロなしです・・・すいませんでした!


 

 同盟軍はついに美濃の岐阜城を出た。そして、尾張の清洲城・・・つまり、久遠の居城に到着。ついにここまで、そうアキラのこの世界に来た最初の地に戻ってきた。

 「戻ってきましたか」

 「ああ。そうだな」

 「本当に、長く感じるくらい離れていたわね」

 アキラは久遠と結菜の三人で清洲城を見ていた。

 「へ~、ここが久遠の居城なの」

 「小さい、けどいい城」

 「姉様の城は久しぶりです!」

 「私も久しぶりです」

 それぞれの当主は笑顔で見上げていた。

 「アキラ様。ここから始まったんですね!」

 傍にいたひよの言葉に頷いた。

 「そうですね。その始まりがいいことか悪いことかはわかりませんが」

 「悪く終わらせようとする吉野を倒さないと」

 「日の本は終わる、という事ね」

 「だから、必ず私達が終わらせる」

 「頑張りましょう!日の本の未来の為にも!」

 「そして、アキラ様との生活の為にも」

 「「「「「ああ!」」」」」

 葵の言葉に皆が気合を入れ、武将達も兵達も気合の叫びを出した。何気に、日の本の平和よりアキラとの生活の言葉で気合が入ったのは気のせいか?とアキラは思った。

 

 

 清州城に到着した同盟軍のすることは特にない。久遠があらかじめ早馬で頼んでいたそれぞれの勢力への補給をする程度であり、そんなに長くいない。それが終われば、次の日には最後の集合場所である坂本城に向けて出発だ。そこで最終決戦への作戦を告げて・・・決戦だ。つまり、ゆったり過ごせるのはこの短い日数のみという事だ。

 「アキラ、どこにいるんだ?」

 三若に補給の指揮を頼んだ久遠。彼女はこれで仕事は終わりなので、愛する夫と過ごしたい。と思い、アキラを探したが

 「アキラ様。隊の補給はこれでいこうと思います」

 「じゃあ、早速城下に買い出しに行きます!」

 雫ところと隊の補給の話し合いをしていた。さすがにこれは話しかけられないと思った久遠。

 「ま、まあ、後でも大丈夫だよな」

 

 だが、その大丈夫が・・・

 「アキラ殿!拙らと長尾の策、どちらがいいのですか!」

 「そうっす!馬の攻めがいいに決まっているっす!」

 「何を言うのら!京れは歩兵の方がいいのら!」

 「こっちも譲れない」

 ちょっとずつ

 「アキラ殿。ちょっとお話が」

 「お願いします。悠季がちょっと策の提案があると」

 大丈夫じゃ

 「アキラ!約束の時間すぎているぞ!」

 「全くじゃ!嫁を待たすな」

 「桐琴、人のこと言えるか!お前も来たのはさっきだろう!」

 「かかか!さあ、駆け足じゃ!」

 なくなっていった・・・。

 

 「ハニー!鉄砲隊の確認をお願いします!」

 「お姉ちゃんも、お願いしますって言ってます!」

 「・・・(こくこく)」

 隊のチェックで梅・雀・烏に連れていかれた。

 「・・・(グスン)」

 遠ざかっていく夫の背中を見て、涙が出た久遠。

 「あら、久遠。どうしたの?」

 「久遠様。泣いているのですか?」

 その時、たまたま通りがかった結菜と双葉が話しかけた。

 「・・・うう、結菜、双葉」

 「「???」」

 疑問そうな顔をする二人。そこに、

 

 「ううう、うっわああ~~~ん!!」

 

 結菜に抱き着いて、泣きはらす久遠だった。

 「ちょ!何、どうしたのよ!」

 「く、久遠様!?」

 訳が分からないまま、泣き止むまで待つ二人だった。

 

 

 泣き止んだ久遠から話を聞く二人。構ってほしいのに構ってくれないから泣いていたとの事。本人は否定するが、取られるかもしれないという言葉にあっさりとその否定を否定した。

 「アキラを追いかけて、好きなだけ構ってもらいなさい」

 「そうですよ。寂しかったと言えば、たっぷり甘えさせてくれます」

 「!!!ふ、双葉!わ、我は別に」

 「ダメよ双葉様。本当のことを言っちゃ」

 「ゆ、結菜!」

 否定しようにも、真っ赤になって言葉を詰まらせた。

 「うふふ、すいませんでした。久遠様、旦那様は梅達と別れた後、向こうに行きましたよ」

 「そうか・・・いいか!余は寂しかったわけではないからな!」

 「分かったから。ふふ、行ってらっしゃい」

 「く~~~(テレ)」

 今度は否定したが、あっさりと流されて悔しがる久遠。双葉の指した方に走っていった。その行った方向を見て、あれ?っと思う結菜。

 「どうしました。結菜様?」

 「いや、確か向こうの方って・・・」

 じ~~っとしばらく見ていたが久遠の姿が見えなくなると、双葉と共に別の方に歩き出した。

 

 

 アキラが梅達と別れて向かった場所は、久遠にとってとても馴染み深い場所だった。

 「ここは、我の家」

 そう、アキラの目的地は久遠の家だった。門の前で足を止めたアキラが久遠の隠れている方に顔を向けた。

 「いるのでしょう。久遠」

 一言、それだけ言った。そう言われて、え!と思いながらも姿を現した。

 「私は盲目ですから、人の気配はすぐに分かりますよ」

 「そ、そうであったな!」

 「ですから、あなたが城の時から後を追ってきたのは知ってましたよ」

 「な、何を言う!そ、そんな各務のようなことをしていたというのか!」

 この言葉に、各務の事は国の主すら知っている行為なのか?と一瞬呆れたアキラ。

 「ふふ、してましたよ~~」

 「それは聞き捨てならんぞ!いいか、我がここにいるのは」

 「久しぶりに我が家に行きたいから。ですか?」

 「そ、そうだ!決して、お前の言うようなことではない!」

 だが、慌てて顔を真っ赤にして顔をそむける仕草は説得力がない。

 「入りましょう。結菜はいませんが」

 「そ、そうだな!(・・・っは!という事は、我の家で本当にアキラと二人っきりという事ではないか!)」

 家に入ろうとする前に、二人っきりでいられることに気づいた久遠。甲斐を出発してからは二人っきりになることが滅多にないため、内心ワクワクした。当然、閨の事が頭によぎり期待しながら戸を開けると、

 

 「おっかえり~~、お兄ちゃん!お姉ちゃん!」

 

 待っていました!とばかりに市が出迎えた。アキラも久遠もびっくりして彼女を見ていた。

 「な、何故、市がここに!」

 「いや~~、尾張も久しぶりだからさ。前に住んでいたここに来てみようと思ったの!ほんと、かわってないな~。懐かしいな~」

 「そ、そうですね。市は真琴に嫁ぐ前は久遠・結菜と一緒に暮らしていましたね」

 元気よく話す市に苦笑いしながら応対するアキラ。

 

 『ふ、ふ、二人っきりが~~!!アキラと二人っきりが~~~!!』

 

 心底残念がる久遠。二人っきりになれないフラグを見事に回収した。

 

 

 久遠の部屋で落ち着いた三人。

 「それで、真琴はどうした?」

 「も、もう、お姉ちゃん。そんなににらまないでよ~」

 二人っきりが無くなってその原因ににらむ久遠。

 「あのね、私がここにいるのはまこっちゃんが言ってくれたからなの!今日くらいは久遠様の妹として楽しんできなって」

 「真琴がですか。なるほど、彼女らしい気の使い方ですね」

 「むう、そう言われたら文句が言えんではないか」

 つまり、今日だけは真琴の妻の肩書抜きで遊んできていいよ。という事だ。

 「と、いうわけだから・・・あ~~、こうやって寝っ転がるのも久しぶり~」

 「・・・そうだな。この家にいた頃はよく寝っ転がっていたな」

 「壬月さんとのガチの戦いをした後に、ですか?」

 「あったり~~!お兄ちゃんよくわかったね~!」

 「大方そのまま寝込んでしまって、次の日結菜に三人前の朝食を作ってもらって全部一人で食べた・・・どうです?」

 「ははははは!市、そこまで当てられてしまったぞ!」

 「うっそ~~!そこまでわかったの!すっご~~い!」

 この家での市の行動を見事に当てて、久遠は笑い、市は驚いた。

 「更に、久遠が鉄砲いじりの最中に乱入して部品をばらまいて、姉妹喧嘩。という事はありませんでしたか?」

 「「え!どうしてわかった(の)!」」

 「ははは!やっぱりありましたか!いや~、予想通りです」

 今度は二人とも驚いて、アキラが大笑いした。

 

 その後も、アキラの二人の過去予想に全部ではないが大体当てて笑った。

 「それにしても、お兄ちゃん凄いね。よくそこまでわかったね!って感じだよ」

 「市がまだここにいる頃から、こっそりいたのではないか?と思うくらいに言い当てたからな」

 「そうなんだ。市がここを出てもう結構経つんだ」

 「そうだな。あれから、いろいろあったな」

 二人の視線が庭に移った。

 「ねえ、お姉ちゃん。久しぶりにやらない?」

 「ふ、いいぞ。やろうではないか!」

 ニコッと笑うと二人はサラシと下着だけになって、庭にある少し大きな池に飛び込んだ。市はともかく久遠はアキラが目の前にいるのに恥ずかしがってない。

 「市!確か私が十戦中六勝四敗だったな!」

 「何言っているの!私が六勝四敗だよ!」

 「「・・・・・・なら、これで勝った方が七勝目だ!」」

 すると、二人は水の掛け合いを始めた。その姿はとても楽しそうだった。サラシや下着がびしょ濡れになって、あられもない姿になっているが、

 

 『ふふ、国の主とその妹とは思えないくらい楽しそうですね』

 

 今は、ただ楽しんでいる二人の姿を見てアキラは微笑んだ。同時に、思い出した。

 

 『ほんまに、あんさんは陰険な奴やな!』

 『そういうあなたはいつも騒がしいですね。少しは落ち着くという事を知らないのですか?』

 

 なりふり構わず本音でぶつかり合える親友の存在を。

 

 

 ただ、二人が黙って見ているだけのアキラをそのままにするわけがなく、

 「全く、あなた達は」

 「「でも、こやつ(お姉ちゃん)が」」

 「言い訳無用です!」

 「「う、ご、ごめんなさい」」

 縁側で座っていたアキラにも水をかけ、すっかりびしょ濡れにされてしまった。今は腰に布を巻いているだけの状態であり、服は彼女らの服と一緒に干して乾かし中だ。彼女らもバスタオルのように大きな布を体に巻いている。

 しかも、今はもう一人。彼女らにとっての脅威がいた。

 「あんた達ね~。アキラ達がこの家の方角に歩いていったから、久しぶりに帰って見れば・・・随分と、面白いことをしているじゃない?」

 「「ゆ、結菜・・・」」

 二人が頭の上がらない存在・結菜もまた久しぶりに家に帰ってみると、三人がびしょ濡れになっていた。しかも、家の中も少し濡れている。これには彼女のこめかみに青筋が走る。

 「アキラもこの二人と一緒に濡れるなんて」

 「いや、私は「そ、そうだ!三人で水浴びをしていたのだ!」あの、くお「そ、そうなの!久しぶりで気分が高まってつい三人で!」」

 結菜にジト目で見られて、否定しようとしたが二人が巻き添えにしようと割って入った。だが、結菜は

 「ふ~~ん。アキラもね~~」

 「「そ、そうだ!」」

 「・・・・・・そんな嘘で騙されないわよ。というか、その手を何度見たと思っているのよ?(ゴゴゴ)」

 「「あ。あううう~~」」

 二人が何回も使っていた手のようで、すぐに見破った。眼力に負けて、頭を下げた久遠と市。

 「「ご、ごめんなさい」」

 「分かればいいわ。さて、このままじゃ風邪をひくから、お湯を入れるから後で入りなさい。ただし、アキラは私と入るわね♪」

 「な、何!」

 「あら?この惨状を作っておいて文句でもあるの?」

 「お、お姉ちゃん。諦めよう。私達が悪いんだし」

 アキラと二人っきり。久遠はそれをしたかったのに、自業自得で結菜がその権利を手に入れてしまった。 

 「あ、あの~~結菜」

 「な、に、か、し、ら?く、お、ん?」

 「・・・な、何でもないです」

 結菜の笑顔が怖く、諦めるしかなかった久遠だった。

 

 

 その後、久遠は市と、結菜はアキラとでお風呂に入った。しっかりと愛された結菜は笑顔で夕飯を作っていた。アキラ達は今は襦袢を着ている。

 「結菜お姉ちゃんのご飯もここで食べるのは久しぶり!」

 「そうだな。行進中でも食べていたが、この家で食べるのは久しいな」

 「ええ、そうですね」

 三人とも久しぶりの家で久しぶりの結菜の食事を楽しみにしていた。そんな中、アキラがちょっとだけ複雑な笑顔を出した。

 「・・・・・・」

 「アキラ。どうした?何か、笑顔が固いが」

 「お兄ちゃん?何かあったの?」

 「いえ。ちょっと、実感したんですよ」

 「「実感した?」」

 二人がキョトンとして聞いてきた。

 

 「これが、家族の温もりなんだなって」

 

 そう言いながら、目を開けて結菜を見た。もちろん、全裸になっているがアキラはそれを気にしなかった。

 「こうして、愛する人の料理を食べ、愛する人と話をして、愛する人と一緒にいるいる時間を分かち合う。今更ながら、それが温かいと気付いて」

 話しながら二人にも顔を向けた。

 「そうか・・・」

 「うん、そうだね」

 二人はアキラの幼少時代の夢を思い出した。家族と言える存在はアキラを捨てたから、こうした温もりを知らなかった。気づけなかった。それがやっとここで気づけたのだ。

 「アキラ~、ちょっと手伝って~」

 「分かりました」

 結菜に呼ばれて、目を閉じて台所に行くアキラ。それを見送る二人。

 「お姉ちゃん、お兄ちゃんのこと」

 「ああ、分かっている。風呂の時の話だろ」

 そう言いあって、お互い風呂の時の事を思いだした。

 

 『ううう、アキラと二人っきりになりたかったのに』

 『あはは!残念だったね』

 『そもそも、お前が家にいたから!』

 『別にいいでしょう。ここは私の家でもあるんだから。それとも、帰ってきちゃダメだったとでもいうの?』

 『いや、そういうわけでは』

 『分かってるって!でも、本当にお姉ちゃんってすっごく変わったよね』

 『変わった?・・・そうだな、こんなに感情を出すなんて考えられなかった』

 『お姉ちゃんだけじゃないよ。まこっちゃんも見たことない顔を見せるようになったし、葵さんなんか完全に恋する乙女の顔になっちゃって。前の仮面かぶっていた顔が嘘みたいだよ!』

 『アキラを好きになったから、愛するようになったからだな』

 『わお!お姉ちゃん、認めた!』

 『ううう、ああ、そうだ!認める!我もアキラを愛するようになって変わった・・・でも、市。お前も変わったぞ』

 『え?私も?』

 『真琴がアキラを好きになったから一緒に奥に入ろうと言ったよな』

 『う、うん』

 『越前であいつがいなくなって・・・我や皆ががっかりする中、お前は元気にふるまっていたが、その元気に心がこもってなかったように見えた』

 『そ、そうなの?全然気づかなかった』

 『ああ・・・あいつは不思議な奴だな。こんなに我達を変えた。美空と光璃なんか、手を取り合う事なんか不可能とすら言われていたのに、それすら成し遂げた』

 『あんなに苦しい過去を持って、それに負けずに必死に努力をずっと続けて・・・私達もお兄ちゃんに置いてけぼりにされないよう頑張らないといけないんだけど』

 『悔しいが、まだあいつの背中が見える気がしないな』

 『(こくん)そうだね』

 『でも、諦めるわけにはいかないな。あいつを・・・いや、あいつの隣に立たないとあいつの妻と呼べない!』

 『うん!絶対に追いつこうね!』

 『ああ!絶対に追いついてやる!』

 

 市と久しぶりの風呂での話はやはりアキラの事だった。

 「あやつから貰った温もりなのに、あやつ自身がその温もりに気づいてなかったのか」

 「あんな過去じゃ気づけないのも無理ないけど。でも、これからはその温もりを私達が与えなきゃね!」

 「ああ。そうだな」

 二人とも、アキラを見て心が少し暖かい感じがした。 

 「じゃ、食べましょうか」

 「二人も手伝いなさい」

 「「は~~い」」

 二人に呼ばれたので、久遠と市も台所に行った。

 

 

 そして、食事も終わって寝る時間となった。もちろん寝る時は、

 「小谷の決まり。ですね」

 「そうね!」

 「お姉ちゃん、文句ないよね!」

 布団は一つ、枕は・・・だが、家に置いてある布団で四人はきついので布団は二つ、枕は四つになった。

 「あ、ああ。わ、我もこうしたいと思っていた」

 「おおお!お姉ちゃん積極的!」

 「ふふ、随分と素直ね」

 ふ、ふん!悪いか!と言いながら真っ赤になって布団で顔を隠す久遠。

 『ふふ、一時的とはいえ、本当にこの家に帰ってきましたね・・・あ、忘れてました』

 そんな三人を見て一つ忘れていた事を思い出したアキラ。

 「三人とも、一つ忘れていたことがありました」

 「何?私達を裸にすることかしら?アキラが脱がせたいの?」

 「も~、お兄ちゃんったら、慌てなくてもいいって」

 「あ、アキラ!お、お、お前!」

 三人とも状況が状況だけに、それが真っ先に思い浮かんだ。

 「それもそうですが。言うべき事を忘れていたのですよ」

 「「「言うべき事?」」」

 何それ?と思いながら、三人に目を開けて笑顔で言った。

 

 「ただいま」

 

 この一言はアキラが彼女達の元に帰ると意思表示であり、彼女達の顔を見て言い続ける言葉である。

 そう、これからも家族である自分達の元にずっと・・・その事がすぐわかり、三人はとても嬉しくなった。

 

 「「「おかえり!アキラ(お兄ちゃん)!」」」

 

 襦袢を脱いで、一糸まとわぬ姿となってアキラに抱き着いた。久遠の家で久しぶりの愛を伝えあった一夜だった。

 




 
 家族とこうした平穏な時を過ごすのが一番大切なことであり贅沢でもある。アキラはそういう考えを持たないので、ここでそれを持たせるようにしました。妻を持っても、幼少時代があれなだけに中々その考えにならなかった。それができるのは久遠と結菜だけど、市もいれてしまおう!と思って今回入れました。

 お待たせしました!ついに、次が第十章・決着編です!そして、その第一話目がアキラ隊の原作にあるあの膝枕の話です!楽しみに!


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第十章 決着編
百八振り目 皆の想い・・・ついに


 
 どうも!長らくお待たせしました!間章も終わり、ついに本章再開です!

 今回は坂本城到着までです!原作でのアキラ隊の間章を本章に持ってきました!


 

 尾張での補給も完全に終わり、次の日に清洲城を出て坂本城へ出陣。その行程の準備も全勢力ばっちりなところまで来た。この報告を午前の内に済ませ、気合入れと交流の意味を込めて、最後の大戦前の無礼講が昼から始まった。兵同士、武将同士、軍師同士、当主同士、皆が酒や食事をして大いに騒いで皆との交流と団結を深めた。ただ、全員ある一人の男の存在がいないことに少しがっかりしていた。

 

 

 その一人の男・・・アキラはというと。

 

 「皆さん、素敵な姿ですね。とても綺麗ですよ」

 

 長屋の自分の部屋にいた。そして、その部屋にはアキラだけじゃない。

 「も、もう~。お頭ったら~」

 「で、でも、お世辞でも嬉しいです!」

 「ふふ、アキラ様も素敵な格好ですよ」

 「詩乃の言う通りですよ、アキラ様。ああ、目が離せません!」

 「ああん!ハニーのこれが私を快楽の頂点に!」

 「ありがと!鞠、と~~っても気持ちよかったの!」

 「綾菜、天に昇る気分です!」

 「アキラ様。もう、腰が立ちません」

 「ご主人様の(ごく)・・・おいしい」

 「お兄ちゃん~~。雀もお姉ちゃんも、ふわふわなの~」

 「(テレテレ)」

 「えへへ。やっぱりアキラの温もりが一番だ!」

 「そうですね、時人さん。ああ、このまま時が止まってほしい」

 「今回だけは、朱雀の言う通りだな。私もそう思うよ」

 仕事でいない一葉(幽に連れていかれた)と幽を除くアキラ隊全員がいて、彼女達は全員満足そうに横になっていた。一つ共通点があり、彼女達もアキラも全員裸だった。つまり、さっきまで大乱交スマッシュお嫁ーずをやっていたという事だ。

 「正直、一葉様がいなくて助かりました」

 「ふふ、随分とはっきり言いますね」

 「詩乃の言う通りです。いつの間にか公方様が独り占めになると思いますから」

 「そうですね。私達じゃ鞠さん以外太刀打ちできなさそうですし」

 「・・・確かに、アキラとの閨に関してならあの暴れん坊はエロ朱雀すら敵わなそうだしな」

 「(うんうん)」「間違いない!とお姉ちゃんが言って・・・まだ、ふわふわな感じだよ~~」

 詩乃の言葉にアキラ・雫・歌夜・庵樹が突っ込んだが、反対はしなかった。烏も同意したが、その翻訳の雀が快楽に浸っている最中だったのか途中からできてなかった。だけど、ツッコミ役の梅もまた

 「ああん。ハニーの力強いあれが私の中にあると思うと~~」

 同じ状態であると同時に他のメンバーも内心はまだ悦に浸っているので、誰もその事には突っ込まなかった。

 

 

 その後、それぞれ襦袢を着てアキラを囲んだ。鞠と綾菜はこのままでもいい!と言い裸のままでいようとしたが、ひよと歌夜に言われてしぶしぶ着た。

 「さて、夢心地もここまでにして。ちょっと皆に聞いてみたいことがあります」

 「「「「「聞きたいこと、ですか?」」」」」

 「ええ。これから先の事です」

 真剣な顔になったので、まだ少し残っていた淫らな空気を無くして彼女らも真面目になった。

 「上洛するというのは、エーリカに会うという事ですが・・・」

 「「「「「あ・・・そうですね」」」」」

 ただ一人、京に残った大切な仲間。全員内心はとても心配していた。

 「今、彼女は大丈夫かどうか・・・それだけが気がかりです」

 「アキラ様の言う事ももっともです。私達も甲斐で久遠様から話を聞いてからは心配でした」

 「でも、エーリカさんが望んで京の残ったのなら」

 「わかってます。わかってますよ」

 両兵衛からそう言われ、アキラの辛そうな顔になった。その顔を見て、すぐにでも行きたい気持ちを必死に抑えていることを知った皆。

 「こんな気持ちは久しぶりですよ・・・」

 そこから先は口に出さなかった。何故なら、時人がいるからだ。かつて梵天丸が彼女に圧倒された時、必死に我慢していたあの時の気持ちだからだ。口に出しては彼女の気持ちを苦しめるかもしれない。だからこそ、我慢していた。

 皆もそのアキラの我慢にしんみりしてきた時、

 

 「もう~~!皆もそんなにつらそうな顔をしたらエーリカががっかりするの!」

 

 鞠の元気な声が飛んだ。

 「そ、そうですよ、お頭!エーリカさんは待ってますよ!」

 「うんうん!お頭がやるべきことは再会したエーリカさんを抱きしめる事です!」

 「そうですわね!あの人もハニーに誑されたお方。ですから、ハニーは笑顔であのお方を迎えてください!」

 「そうですよご主人様!そんな顔のご主人様は私達もエーリカさんもみたくありません!」

 「はい!雀も「コクコク」お姉ちゃんも小波ちゃんの言葉に賛成です!」

 その声にエーリカと会ったことのあるひよ・ころ・梅・小波・雀・烏は頷いた。

 「そうです!アキラ様は笑顔が一番です!」

 「私達もあの人ともっと話したいと思っています。アキラ様、それなのに暗い気持ちを持っては怒られてしまいますよ」

 「そのエーリカって娘。私達も会いたいです」

 「ああ、誑されたってことはアキラの嫁になりたいってことだし」

 「それなら仲間だ!そいつが辛いなら助けよう!」

 全然会ったことがない綾菜・歌夜・朱雀・庵樹・時人も頷いて、アキラに強い眼差しを見せた。

 「ふふ、そうですね。確かに、このままではいけませんね」

 そう言われて笑顔に戻ったアキラ。越前でした彼女とのキスを思い出した。そして、再会したら一言・・・嫁になりませんか?と言うことを決めた。もしかしたら、エーリカは越前でそれを言いたかったのかもしれない。でも、恥ずかしくて言えなかった。だから、こちらから言うべきだとアキラは思った。

 

 パン!と手を叩いて、皆の気分を今に戻した。

 「彼女とは再会した時にいろいろ話すとして・・・今は、この後何をしましょうか。時間が空いてしまいましたね」

 「アキラ様は夜の為に休んでください!」

 「ご主人様。あの、その(もじもじ)」

 「ハニーはゆったりしてください♪」

 「・・・そうですね。休ませてもらいます」

 ころ・梅から結局夜もやることを言われ、小波の情熱的な眼差しを見て諦めたアキラ。どうあがいても無駄だと理解したから、半分やけになって休むことにした。

 「アキラ様。どうぞ」

 詩乃に言われてそっちを向くと膝を叩いていた。頷いて、彼女の膝に頭を乗せた。

 「「「「ああ!ずるい!」」」」

 「ふふ、早い者勝ちです」

 「く!それなら私もやれば!」

 「仕方ありません。順番にしましょう。ね、皆さん」

 詩乃の嬉しそうな顔に皆が羨ましがり、時人も悔しがったが雫の止めに納得した。

 『・・・おやすみなさい』

 アキラは全員の相手でやはり疲れていたのか、彼女らの話は耳に入らないですぐに眠りについた。

 

 寝息を立てたのを聞いて、詩乃が人差し指を口の前にたてた。

 「すぐに眠ったね。結構疲れたのかな?」

 「私達全員を平等に愛してくれましたから。体は相当な負担のはずです」

 「でも、私達だけじゃなく他の嫁も平等に愛しているところが、アキラ様の凄いところです」

 「それがハニーですわ!そして、私が身も心も捧げた方ですわ!」

 「梅さん。それは私のセリフです」

 庵樹の言葉に歌夜と朱雀が音を立てないようにアキラの顔を見た。梅の言葉に詩乃が突っ込んだ。

 「いつも目を閉じて話をするときはちょっと意地悪な人だけど、こうして寝ている時って「可愛いです?」はい、それです!」

 「私もそう思います!おちょくって、でも守ってくれて、愛して・・・くれて」

 「草の、わ、私も。つ、妻に、し、してくれて・・・大切にしてくれて」

 「だから、大好きなんですよね。私も、皆さんも」

 「うん!鞠も、ずっ~~っと大好きなの!」

 ひよのセリフに綾菜が突っ込んでそれに同意していく皆。アキラの頭を撫でて愛おしそうな顔で見る詩乃が

 

 「では、そろそろ誰か変わりませんか?」

 

 バトンタッチを提案した。

 「え?詩乃ちゃん、いいの?」

 「はい。このまま寝顔を見続けていたい気持ちもありますが、別の角度からも見てみたいですので」

 「じゃあ、雀がやりたいです!」

 「(くいくい)」「お姉ちゃん、どうして首を横に振るの?」

 「うふふ、雀さんでは頭を落としそうですね」

 「梅ちゃん!そんなこ「(こくり)」お姉ちゃん頷かないで!」

 八咫烏姉妹の漫才を横目で見て、誰もがしたそうな顔をしていたから詩乃が決めて。という事になり、

 

 「あ、アキラ様にひ、膝枕(ドキドキ)」

 

 ひよがすることになった。これ以上ないほど嬉しそうな顔をした。

 「ひよ、どう?」

 「うん、すっごく幸せな気分・・・大好きな人を膝枕するってこんなに心が温かくなるものなの?」

 「ええ。私もさっきやって同じ気持ちになりました。そう、戦いなどどうでもいいくらいになるくらいに・・・」

 詩乃とこの膝枕の良さを分かち合うひよ。

 「それは分かります。私達も向こうの世界ではやってましたから」

 「狂との戦いの後、起きそうもないところをやったよね(まあ、私は甲斐でやったけどそれは言わなくていいか。みんな知ってるし)」

 「必死に頑張った後にこの寝顔だから・・・すっごくドキドキしたよ」

 こちらの三人も経験者なので、笑顔で話に参加した。

 「皆さん、そんなことでいいですの?これから大きな戦いがあるのに」

 「じゃあ、梅ちゃん変わる?すごく気持ちがわかるから」

 「ええ、ぜひとも受けて立ちますわ。ああ。待っていました!」

 「なんだかんだで、凄く心待ちにしていたのですね・・・」

 ひよの言葉に受けてやると待ってました!の両方を混ぜて言う梅に、若干呆れた雫。

 

 「はああ~~。し、幸せ、ですわ~~」

 

 バトンタッチをした三人目の梅は、やってすぐに顔が蕩けた。

 「どう、すっごく幸せでしょう~」

 「はい。愛しい人を膝枕するのがこんなに心温かくなるなんて・・・新しい発見ですわ~」

 思わずアキラの頭を撫でた梅。少しだけ表情が変化したが、起きなかった。

 「・・・・・・ハニーの唇(ごくり)」

 「「「「「う、梅!」」」」」

 「っは!わ、私としたことが!あ、危なかった」

 「でも、気持ちは分かるよ。以前した時、私達もこっそりしたからね」

 「「・・・(こくり)」」

 アキラの唇に見入った梅をみんなで止めた。そんな彼女に同意する庵樹と顔を赤くして背ける朱雀と時人。

 「え、えっと、次はどなたが?」

 「梅さんが決めてください」

 「いいんですの?」

 「はいです!綾菜もやりたいです!」

 「鞠もなの~~!」

 欲望に負けそうなので次に回そうとしたが、歌夜達からそう言われた。一通り彼女達を見て回って、

 

 「では、小波さんで」

 「・・・は、はい!?」

 

 小波を指名した。自分が当たるとは思ってなく心底ビックリする彼女。

 「皆さんの中でとてもやりたそうな目をしていらしたので。さ、どうぞ」

 「あ、あの!わ、私は・・・」

 「小波~。早くやらないと、アキラ様頭落ちちゃうですよ~~」

 「あ、綾菜様~」

 「ほらほら。小波ちゃん、やりたいならやりたいって言うの!アキラも、そういう小波ちゃんになってほしいって想っているの!」

 「ま、鞠様まで・・・は、はい」

 遠慮しがちだったが、綾菜と鞠にせめられて赤くなりながら梅のバトンタッチを受けた。膝に乗るアキラの顔を見て、ますます赤くなるが焦らないでじっと見る。

 「ご主人様・・・」

 「どう?小波ちゃん」

 「私は草なのに・・・とても幸せです。こんなに幸せでいいのか?と思ってしまいそうです」

 「小波ちゃんも私達と同じアキラ様の妻ならいいじゃない」

 「小波さん、遠慮はいりませんよ。それに、私は絶対にアキラ様の子を作るつもりです」

 「「「こ、こここ、子~~!!!」」」

 いきなりの詩乃の爆弾発言にひよところと雫が驚く。

 「ふふ、詩乃さん。その勝負、勝たせてもらいますわよ!」

 「鞠だって負けないの!」

 「・・・(ぼそぼそ)」「え?お姉ちゃんも!雀もだよ!」

 「その勝負、詩乃さんにだけは絶対に負けたくない!」

 「あはは、朱雀燃えてるです!」

 「でも、アキラ様の子を産む、か・・・」

 「文字通り、無明神風流殺人剣奥義・朱雀の如く燃え続けるってか?」

 「時人、うまい!」

 その言葉に梅・鞠・朱雀は燃え、烏と歌夜はそのシーンを妄想し、雀と綾菜は訳が分かってないのかただ皆の行動を面白がっている。時人の朱雀と奥義朱雀のダジャレで庵樹が座布団を一枚渡した。 

 「本当に、ご主人様と出会えてよかった・・・」

 だけど、小波は彼女達の騒ぎなど聞こえてなく、ただただアキラの寝顔をずっと集中して見続けた。アキラに抱かれた時と同じくらいの幸せな笑顔で見ていた。

 

 

 その後、小波はころに、ころは歌夜に膝枕を譲って、

 「鞠様。次どうぞ」

 

 「え!いいの!」

 

 歌夜はそわそわしていた鞠に声をかけた。

 「はい、お待たせしました」

 「雫ちゃんは?雫ちゃんも従っていたよね?」

 「鞠ちゃんの次でいいですよ。もうちょっとだけこっちで見ていたいですから」

 「わ~~い!」

 雀くらいに小さな膝枕だが、

 「すや」

 心なしかその寝顔に笑顔が浮かんだ。

 「うふふ~、アキラ、かわいいの~」

 「本当ですね・・・ああ、こんな時間がずっと続けばいいのに」

 「大丈夫だよ、ひよ。この後の戦いが終わればやまたれるから」

 「そうそう!私や庵樹がパパっとやってやるぜ!」

 「あ~~、時人ずるいです!」

 「ふっふっふ、そういう事は私に勝ててから言うんだな~(といっても、二刀流にしないと勝てないくらい強くなっているからな)」

 ぐぬぬと悔しがる綾菜。まだ一度も時人に勝ててないが、内心思っているのを見ると確実に強くなっているようだ。

 「鞠ちゃん。次お願いできますか?やりたくなりました」

 「いいよ、朱雀ちゃん!み~~んなでアキラの膝枕なの!」

 「そうだな。私も久しぶりにやるか」

 「ああ、でも雫や雀も残っているからその後でな」

 「え!いいの!庵樹お姉ちゃん、時人お姉ちゃん!」

 「(ぺこり)」「お姉ちゃんもありがとうございますって言ってます!」

 「あの、わたしは別に後でも」

 「私達はやったことがあるからね。ほら、遠慮しない」

 雀と烏が喜んで雫は遠慮しがちだったが、庵樹の一押しに笑顔で頷いた。その後、残った皆もアキラに膝枕をして幸せそうな笑顔になった。

 

 

 次の日、ついに最後の集合場所である坂本城に向けて出陣した。各勢力が気を引き締めて出陣していった。当主達も真剣な表情をして、進んでいった・・・だが、気が引き締まってない隊が一つあった。

 

 「ははは!すまんすまん!」

 「全く、まさか出陣式に遅刻はおろかでないとは呆れましたぞ」

 

 暴れることが大好きな将軍様が寝坊したため彼女を待ったアキラ隊だった。共に来た幽も呆れてながら一葉に説教をしていた。

 「幽、ありがとうございます。おかげで今日中には城に着けそうです」

 「アキラ殿は夫ですから、ちゃんと公方様の手綱を掴んでくださいよ」

 「それができるのはあなたくらいですよ。お願いしますね、愛する奥さん」

 「・・・////むう、そう言われると引き受けるしかないではないですか(ずるいですな~、そんなこと言うなんて。でも、嬉しいですぞ)」

 しっかり幽に公方を一任することに成功したアキラだった。ただ、

 

 『『『『『じろ~~~(私達にも言ってほしい!)』』』』』

 

 幽の女心を刺激することを言ったため、それを聞いたアキラ隊愛妾連合から城に着くまで鋭い視線を浴び続けた。何故、言葉に出さなかったのかというと昨日の夜、大乱交スマッシュお嫁ーずの時に全員言われたからである。唯一言われていない、忙しい一葉のお世話係の幽に気遣ったのだ。

 

 

 もうすぐで坂本城に着くとき、アキラ隊のところに早馬が来た。その早馬が何と

 「アキラく~~ん!早く来て!一大事~~!」

 連合軍の中でも速さには自信のある雛だった。つまり、火急の用レベルの出来事があったという事だ。

 「雛が来るとは、いったいどんな一大事です?」

 「あ、あのね、あのね~~!!!」

 いつもののんびりとは違い、慌てている雛。これでは話ができないので、肩を掴んで落ち着かせて一息吐かせた。

 「落ち着いて」

 「うん。お、落ち着いたよ~」

 あまりそうは見えないが、ブイサインを出すあたり気持ちに余裕ができたようだ。

 「では、お願いしますよ」

 「うん。あのね、城門前にね」

 彼女からの報告は

 

 「エーリカさんが倒れていたんだよ!」

 

 アキラの心臓を大きく動かした一言だった。

 




 
 膝枕は原作と違ってアキラは本当に夕方まで寝て・・・後はご想像通りの展開になりました。

 さあ、エーリカとの再会です!


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百九振り目 私・・・お願いします。

 
 寒くて休みの日は外に出ない。三MENです。

 今回は少し短いです。坂本城に入ってエーリカとの再会です!



 相模・小田原城にて。

 「御本城様~、美濃にいた連合軍が出陣したという情報が入りました~」

 「いよいよね。この日の本が人の手のままなのか鬼の手に落ちるのか。その戦いも間近になってきたわね」

 「そうですが・・・姉様。我々は本当にこのままでいいのですか?そのような戦いなら北条も出れば」

 「前にも言ったでしょ。向こうの事は向こうの人達に任せればいいのよ。それに、アキラちゃんがいれば大丈夫なんでしょう。サイ?」

 「ああ、問題ない。でも、私も本心は朧と同じだ。前にも言ったが、同盟に入ればアキラ達の同盟との敵対もなくなり、甲斐・越後との険悪な隣人関係もなくなる。物流も広がって南蛮のものを取り入れることもできるから、国だけでなく民にとってもいいことがあるぞ」

 「う~~ん。あくまで予想であって確定ではない。北条が北条のままでいられる保証が出てこない限りは乗れない相談ね・・・それに、険悪な隣人関係はまだほかにもあるでしょう?背後の美空ちゃんと光璃ちゃん、ついでに鞠ちゃんもいないから、そっちを整理しときましょう」

 「北関東の佐竹ですか?確かに今ならそっちに意識を向けても問題ありませんが」

 「ええ、朧。出陣するわよ」

 「え?ええええ!母様自らですか!」

 「おおお!すっげ~~!こりゃ見ものだぜ!」

 「十六夜姉様、落ち着いてください。三日月姉さんは逆に興奮しすぎです」

 「朔夜、私はどうするんだ?」

 「サイは残ってこの子達を守ってもらえる?家内の隣人関係もちょ~~っと問題があるからね」

 「・・・分かった。姫野、お前は距離を置いて二人の後を追え。この城から朔夜と朧がいなくなる以上、この二人が万が一にあった時の連絡手段はお前だけだ」

 「御本城様と朧様に万が一なんて起こるとは思えないのですが「いいな」わ、分かりました!」

 「も~~、心配しすぎだって!」

 「お前の心配などしていない。それくらいの事をしないと(ちら)」

 「ああああ、がががが、くくくく」

 「・・・後継者候補が不安いっぱいでたまらなくなりそうだからな」

 「あはははは。じゃ、ちょ~~っと留守にするわね~。サイ、頼んだわよ~~」

 「行ってくる。サイ、後は頼んだぞ」

 「分かった」

 「い、いっちぇらちゃいまちぇ!」

 「「行ってらっしゃい(ませ)!」」

 「行ってきま~~す」

 『アキラ達が何事もなく吉野を倒せれば、それでいいんだが・・・壬生の里があの後どうなったか、クビラのところで聞いた以上用心しないとな。頼んだぞ、アキラ』

 

 

 エーリカが坂本城の城門前で倒れていたという報告。これはアキラだけでなく、親睦の深いひよやころ、詩乃や鞠なども驚くことだった。京にいるはずの彼女が何故ここにいるのか?それは考えても分からないし後で本人に聞けばいいだけのこと。既に城内に入れて部屋に寝かせているらしく、エーリカの事を同盟軍で一番知りたがっているアキラ隊の面々にはすぐに知らせた方がいいと言う事で雛が来たとの事だった。

 

 

 その後、坂本城に到着。アキラはひよ・ころ・詩乃・鞠を連れてまず久遠のところに向かった。ほかの皆には隊を仕切ったり、壬月達に報告したり、一葉を説教したりなど別々に仕事に入った。

 「久遠!」

 「アキラ、雛から聞いたか!」

 「「久遠様!ほ、本当なんですか!」」

 「間違いない。京にいるはずのあやつが何故ここにいるのか・・・」

 「まだ起きていないのですか?」

 「起きてない。起きていても食事もとってなかったようで、よほど衰弱していたからな、事情を聴くと言うのは明日以降でないと出来なさそうだ」

 「ひどいの・・・鞠と同じなの」

 「・・・そうかもしれんな。鞠の時と同じかもしれん」

 鞠が涙目で言うと、久遠が同意した。アキラ、詩乃もすぐに理解した。

 「裏切ったことで追い出されたという事ですね」

 「そして、吉野は京を牛耳った・・・つまり完全に京は吉野の支配下になった」

 鞠は信虎に追いつめられて追い出され駿府を取られた。そして、エーリカは京を守ろうとしたが吉野に追いつめられて追い出され京を乗っ取られた。確かに、似ている。

 「それで、どこにエーリカはいるのです?」

 「会ってみたいです!」

 「会わせてください!」

 「落ち着け、ひよ、ころ。さっきも言った通りまだ寝ていて、結菜が様子を見てくれている。とりあえず、部屋に案内するぞ」

 「「「「はい!」」」」

 「では、お願いします」

 久遠の顔が辛辣としていた。何しろ、エーリカを京に置いていくような形をとったのだ。いくら本人の意思とは言え、少し苦しい気持ちなのだろう。

 

 

 部屋について、中に入ろうとしたら結菜がちょうど襖を開けた。

 「あら、アキラ。ついたのね」

 「ええ。それで彼女は」

 「「どうだ「ひよ、ころ、静かに」あ、あううう」」

 「心配する気持ちは分かりますから、二人とも落ち着きましょう」

 「そうなの・・・騒いでも何も分からないの」

 すぐに彼女に聞こうとするひよ・ころだが、感情が抑えられなくて大声で聞きかけたところを止められた。詩乃と鞠も気持ちは分かるから、穏やかに注意した。

 「まだ寝ているわ。寝息も穏やか・・・とは言えないわね。苦しいのか汗をかいていたわ」

 「・・・傍に行ってもいいですか?」

 「いいわよ。でも、静かにね」

 「勿論です。ひよ、ころはここで。詩乃と鞠で入ります」

 「「うう、はい~~」」

 「はい、わかりました」

 「うん、鞠静かにしてるの」

 騒ぎかけたので、それを理解して二人は了解した。詩乃と鞠の三人で中に入った。

 「・・・う、く」

 「確かに、苦しんでいられますね」

 「だけど、一体何でなの?」

 『・・・・・・まさか』

 二人はエーリカが苦しんでいるのか、その理由が分からなかったがアキラは彼女を見てある一つの考えが浮かんだ。

 「出ましょう。今エーリカには、急用が必要です」

 「「うん(はい)・・・アキラ(様)?」」

 「どうしました?」

 「どうしたの?何か、怖いの」

 「鞠さんの言う通りです、怒りを抑えるのに必死に見えます」

 「・・・何でもないです。出ますよ」

 二人に今の顔を見られて、分かりやすいごまかしをして部屋を出て行った。この時の二人にはあのアキラが見えた。

 

 『『あの怒りに燃えた顔・・・夢の歳世さんの信念をあの女が踏みにじった時に出したあの時の顔に似ていた』』

 

 夢で歳世の死を歳子が踏みにじった時に出した怒りのアキラに・・・。

 

 

 部屋を出て、美空や光璃達と話を始めた。

 「あの子はまだ目が覚めないの?」

 「今の京の状況を聞きたい」

 「いえ、聞かなくてもわかるでしょう。エーリカがここにいる時点で」

 二人の要望を却下して、予想させたアキラ。

 「もう京は吉野に支配されているってことね」

 「間違いない」

 「久遠と詩乃も同じ意見です。起きていても聞けるのはこれくらいだと思いますよ」

 アキラの言葉に頷く二人。ただし、

 「ねえ、アキラ。何を隠しているの?」

 「教えて」

 「は?何の事です?」

 「私たち嫁にも言えない事なの?」

 「妻だから、夫が何かを隠しているのかもわかる」

 「・・・どこかで聞いたような言葉ですね」

 かつて越前で未来の事で悩んだ時に皆に様子が違う事を指摘された。あの時はアキラ隊や織田勢だったが、今回は美空と光璃だ。彼女らも心からアキラを愛しているから感じが違うと分かった。

 「いえ・・・隠してなどないですよ」

 確かに隠してない。いや、アキラの考えはまだ確証が出てないから話せないのだ。だから、このごまかしの言葉も嘘ではない。

 「分かったわ。でも、結論が出たら話してね」

 「お願い」

 「ええ、ちゃんと話しますとも(すいません、確証を得ても話せないです)」

 内心謝りながら、言葉だけは肯定した。

 

 二人と別れ、次にアキラはやっと来たアキラ隊愛妾達の集まっている部屋に向かった。エーリカの事は既に詩乃と鞠が話をしたので、彼女達も理解していた。

 「ハニー!」

 「アキラ様!あの、エーリカさんは・・・」

 梅と雫が、いの一番にアキラにかけつけ訊ねた。この二人はエーリカと同じ天守教の人間だ。もしかすると、あの報告を聞いてアキラと同じくらい不安が大きかったのかもしれない。

 「詩乃から聞いたと思いますが、大丈夫です。ちょっと苦しんでいるみたいですが、今は静かに休ませるべきです」

 「「そ、そうですか・・・はあ~~」」

 命に別条がないと分かると、大きく息を吐いてほっとした。

 「いつ話せるのでしょうか?」

 「う~ん、ちょっと分からないですね。結菜が診てくれましたが、いつ起きるか分からないと言ってました」

 「そうですか・・・エーリカさんとは会えたら、いろいろと話したいと思っておりましたのに」

 「まあまあ、梅、雫。今は生きていることを喜ぶべきです」

 「「はい!」」

 二人ともそう言われて、笑顔で頷いた。

 「本当ですね。たった一人で鬼の頭と何百匹入るであろう鬼と戦って無事だったのですから!」

 「そのエーリカって人と一度戦ってみたいです!」

 「結構な腕をお持ちですよ。多分歌夜様と同じくらいかと」

 「(・・・無事、とは言いづらいですけど言わない方がいいですね)なら、京の戦いが終わったら挑んでみては?」

 「はいです!」

 「小波がそう評価するなら私も戦ってみようかしら?」

 綾菜はともかく歌夜も目を輝かせて戦ってみたい気持ちになった。小波は観音寺城からアキラ隊に入り共に行動する彼女といたから、エーリカの武の腕前は知っていた。だが、二人は明智衆を率いる将の姿しか見たことがないため武の腕前が分からない。だから、小波の評価を聞いて武の性分が出た。

 「エーリカの事は起きないとどうすることもできないので後にするとして、今は最後の決戦前の最後の休憩です。数日後にはもう日の本の運命を握る戦いになるので、しっかり休むように」

 「「「「「「はい!」」」」」」

 アキラからの指示に全員が元気よく返事した。

 

 

 皆、エーリカの事を気にしているがその日は休むことになった・・・アキラを除いて。

 「・・・・・・」

 アキラは気配を消し、音も出さないようにエーリカの寝ている部屋に入った。

 「ううう、あああ!」

 苦しむ声が聞こえたので、すぐに彼女のそばに寄った。その苦しむ際に上に突き出した手を握ったアキラ。

 「ああ、あ、あれ?」

 「・・・起きましたか?」

 その感触で意識を取り戻したエーリカ。

 「あ、アキラ、様?」

 「ええ。そうです。ここは坂本城・・・記憶はありますか?」

 「は、はい・・・う」

 アキラの顔を見た途端、エーリカの目から涙があふれ、こぼれた。

 

 「あ、ああああ、アキラ様~~!!!!」

 

 そして、ボロボロに流してアキラに抱き着いた。

 「な、え、ええ、エーリカ!」

 「あ、ああああ!ああああ~~~ん!」

 驚いたが、ひたすらに泣き続けるエーリカ。しばらく、そのままにしてやることにした。

 

 『やっぱりおかしい。ここまで苦しむエーリカは初めて見た。何より、寝ている時に見た違和感・・・間違いない』

 

 アキラは推測が確信に変わったことを知り、怒りに燃えた。だが、顔に出す事も声に出す事もしなかった。今はただ、

 

 「アキラさまああああああ~~~!!!」

 

 泣きじゃくる彼女を優しく抱きしめることと

 

 『・・・誰も来ていませんね』

 

 廊下の気配をチェックして、誰にも見られないようにするだけだった。

 

 

 完全に落ち着いたのは半刻後だった。その後、アキラはまだ涙を出す彼女に少しずつ確認していった。そして、最後に確認した・・・違和感の正体を。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 このことには答えず、体を震わせて、辛そうに俯き、何も喋らないで沈黙するだけだったが、十分すぎるほどの答えだった。

 「エーリカ・・・もう、大丈夫です」

 「う、うう、ううう」

 「あなたは私が守ります」

 「あ、ああ、あぎらざま・・・」

 顔をアキラに向けた。涙まみれの顔、その唇にキスをした。

 「!!!あ・・・」

 びっくりしたが、力強く抱きしめると彼女もアキラの背中に手を回し抱き着いた。その時にいつもの神に仕える司祭の服ではなく、襦袢姿だったことに気づいた。おそらく、服が汚れていたから結菜が取り替えたのだろう。

 「あなたのその姿、いいですね」

 「あ!も、もう~、恥ずかしいです」

 「どこがです?」

 「だ、だって・・・み、見えているし」

 アキラは襦袢姿が珍しかったのでそう言ったが、エーリカは胸の谷間を見てそう思ったのか慌てて隠した。

 「そういう意味で言ったのではないのですが」

 「・・・ええ、分かっています」

 一瞬だけ恥ずかしがったが、すぐに彼女は真剣な顔になった。

 「アキラ様、お願いがあります」

 「何でしょうか?頑張ったのですから、願いは叶えますよ」

 笑顔で訊ねるが、彼女の顔は苦しそうな顔だった。しばらく時が流れたが、

 

 「私・・・「な!え、エーリカ!何を言うのです!」お願いします。アキラ様、あなたにしか頼めないのです!」

 

 その願いを言ったがアキラは思わず声を荒げた。それは、余りにも予想外な頼みだったからだ。

 

 「お願いします。私の、本当の、願いは・・・もう叶えられません。だからこそ、せめて、せめて・・・」

 

 辛い表情でそう言った。その後の彼女の話で、気持ちがこれ以上ないほど苦しんでいることが分かった。今度はアキラが体を震わせた。

 「これしか、私にはできないのですか」

 「お願いします。私は、もう・・・」

 エーリカの必死とも言える頼みにアキラはついに頷いた。

 

 「・・・分かりました」

 

 一言だけ言って、彼女に近づいた。

 





 中途半端ですがここで終わりです。エーリカの頼みとは何か?そもそもなぜ彼女は苦しんでいるのか?そして、アキラが気付いた違和感。それらは後々で分かります。

 次はついに上洛です!


 その前にUA10万突破いつの間にかしてました!記念小説を先に書きます!


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UA10万突破記念小説! 当主よ!団結せよ! R-18

 
 どうも!既にUA11万突破しているのに、遅すぎる記念小説を出す三MENです!

 今回は当主達のエロ話です!この六人の絡みは本当にあまりないので、絡めたいと思いそうなるとやはりエロ!

 第十章が終わるまでもうエロ話はありません!ですので、ここで出します!ではどうぞ!因みに、IF話として見てください!


 

 アキラとの愛の日々が続く毎日。それは、嫁達もとても嬉しい気持ちでいっぱいだ。もちろん、不満はない。誰もがそう思い、アキラとの子を早く産みたいと心から願っている嫁達。そんな中、

 「お前達に集まってもらったのはほかでもない、アキラの事だ」

 久遠は尾張の自分の屋敷にいた。そこには彼女が呼んできてもらった人たちがいた。

 「でしょうね。私達で共通することと言ったらそれだけだし」

 「それで、兄様の何の話です?」

 「うん。その通り」

 「アキラ様の事なら、例え火の中水の中です」

 「む!葵に負けておれん!」

 その人たちというのは、美空・光璃・一葉・真琴・葵だ。つまり、同盟軍の大きな国の当主全員だ。鞠も今川家当主だが、彼女はまだ国が建て直せていないので呼ばなかった。

 「我は正直今から話す事をためらったが・・・このままではいかんと思って、覚悟を決めてお主らを呼んだ」

 「覚悟ってそんなに大事なことなの?」

 「ああ、我にも、お主らにとっても大事なことだ」

 「何?気になる?」

 「兄様に関わることで大事なことですか?」

 「その通りだ。これから先の人生にも大きくかかわってくることだ」

 「アキラ様に関わること自体が大きなことですが、久遠姉様がそこまで言うほど大きなことなのですか?」

 「早く教えんかい!気になって仕方がない!」

 うむ、と頷き五人の顔を一通り見て、宣言した。

 

 「我等、目的のために一度団結しないか?」

 

 これにはまず五人共頭の上に?をうかべた。もう既に団結をしている状態なのに今更何でまた言っているのか?と。

 「今言った団結というのは、同盟の事ではない。我々だけでという事だ」

 「つまり、同盟や国の事抜きの私達で団結しようと言う事?」

 「だけど、何に対しての団結?」

 「そうです、教えてください」

 「別にしても構いませんが、その目的というのも気になります」

 「・・・・・・のお、久遠。もしや」

 四人は団結の意味が理解できてないが、一葉は出来た。彼女に見られた久遠は顔を真っ赤にした。

 「・・・そうだ、一葉」

 「やはりのう。ふふふ、そういう事なら喜んでやるぞ!」

 「ちょっと、何嬉しそうに言っているのよ。分かったのなら教えなさいよ」

 「もったいぶらない」

 美空と光璃にジト目をされたが、気にしない一葉。

 「それは久遠、お主が立案者なのだからお主が答えろ。いいな」

 「・・・・・・わ、分かっておる!」

 ニヤニヤして言わせようとする一葉に、言われて更にもじもじする久遠。恥ずかしがっていたが、ついに口にした。

 

 「あ、アキラとの閨を六人で団結してやろうと言いたいのだ!」

 

 その言葉に、一瞬だけ「は?」となった四人だが、

 「なるほど~~、それはいいわね~」

 「久遠、ないすあいであ」

 「姉様!素晴らしいです。これこそ夫の為に妻の一致団結と言うものです!」

 「ああ、アキラ様の為に一致団ケツ。素敵です!」

 皆すぐに賛成した・・・葵の団結のケツの言葉が尻に聞こえたのは気のせいではない。既に、頭の中は抱かれて尻を揉まれているのだろう。

 「と、い、言う事だ!いいな!」

 「ははは!安心せい、皆賛成のようだ」

 「「「「勿論!」」」」

 六人が団結してアキラと夜の戦いをすることはもう決まった。しかし、どうやって戦いを攻略するかだ。何しろ、アキラはアキラ隊十人以上の愛妾全員を抱いているので、半分の六人相手では勝てる気がしない。そう簡単に攻略できないのは、この場にいる皆もわかっている。

 「それでも光璃はいい」

 「僕も愛してくれるなら」

 「葵も問題ないです」

 「う~む、お主ら三人はつまらんのう~。たまには余らから責めたいと思わないのか?」

 「一葉様の言うとおりね。たまにはアキラの上に立ちたいわ!」

 光璃・真琴・葵は愛してくれるならどんな抱かれ方でもいい。とのことだが、美空と一葉は自分のやり方でやりたい!と思っていた。ちょっと団結力が弱いが、

 「と、とりあえず作戦を考えよう!明日、アキラを呼ぶつもりだから!」

 「「「「「おう!」」」」」

 明日の来たるべき戦いに向けて作戦会議が始まった。

 

 

 そして、次の日の夕方。アキラが久遠の家にやって・・・いや、帰ってきた。

 「久遠、ただいま」

 「おお!帰ってきたか!」

 「結菜はいないのですか?」

 「ああ、市のところに行っている(いたら、確実に混ざるだろうからな)」

 「なるほど、そっちの義姉妹の語り合いをするってことですか」

 内心は邪魔者扱いの結菜だが、市の名前を出したことでうまく納得させた。

 「そうだ!では、中に入ってくれ!」

 「ええ。でも、食事は大丈夫なのですか?」

 「ふふふ!安心せい!ちゃんと結菜が人数分を用意してある!」

 「人数分?」

 二人だけと思っていたので、それ以上的な言い方に疑問のアキラ。

 

 そして、久遠の部屋に行くとさっきの彼女らがいた。既に皆の前には食事が用意されていた。

 「待っていたわよ」

 「待ちわびたぞ!主様!」

 「一葉様を止めるの苦労した」

 「こうしてみると、凄い集まりですよね。僕達って」

 「傍目からは五人の当主とその夫の集まりですからね」

 五人の当主が目を輝かせてアキラを見た。

 「えっと、今後の話し合いですか?」

 「まあ。そう思うのも無理はない」

 「でも、安心して。今回はあなたの妻以外の肩書は全部ないわ」

 「そうじゃ!余も、将軍ではなく一葉としてきたのじゃ!」

 「うん、その通り」

 「ですので、堅苦しい話はありません」

 「アキラ様。さあ、食べましょう」

 アキラの質問に皆がその反応に納得したが、今の六人はアキラの妻以外の肩書は持っていない状態であることを告げた。それを聞いて、難しいことを考えなくてもいいことにホッとした。

 「分かりました。では、頂きましょう」

 「うむ!いただきます!」

 「「「「「いただきます!」」」」」

 笑顔で皆、箸を持って食事を始めた。

 

 

 食事も終わり、みんな満足したところで

 「さて、今夜はどうするのです?」

 早速アキラが訪ねた。アキラの妻としてここにいる。それはつまり、今夜の閨は彼女らの誰かという事になる。とアキラは読んでいた。そして六人ともこの質問はそういう意味を込めて言っていると理解した。

 「アキラ。一つ、頼みがあるのだがいいか?」

 「何がです?」

 「あのね、今夜の閨は六人全員相手してほしいの」

 「六人というと、あなた達全員という事ですか?」

 「そうじゃ!もうそわそわ・・・じゃなくてワクワクしているのじゃ!」

 「アキラ。お願い」

 「僕達、決めたんです」

 「今夜は六人でアキラ様を愛し、愛され、そして求められたいって」

 話しながら一葉と光璃と葵は既に服を脱ぎ始め、襦袢姿になった。一歩遅れて久遠と真琴と美空も脱ぎ始めた。

 「なるほど。わかりました」

 「そ、それでだな・・・ちょっと頼みが」

 「頼み?」

 「ええ、今日は私達に全部任せて欲しいの」

 「主様はじっとしているだけでいいのじゃ、余らが奉仕したい!」

 「「「(こくり)」」」

 彼女らが全員裸になった時に皆からそう言われた。アキラが来る前の作戦会議だが、結局のところ直球勝負しかないと結論が出た。アキラは企みを暴くのが得意な人間だ。だから、いっそうの事隠すことなく玉砕覚悟でやろう!という事になった。

 「じっと、ですか」

 「うん、脱がすのも愛するのも求めるのも全部光璃達がやる」

 「兄様は、僕達の愛を受け止めるだけでいいんです」

 「はい・・・ああ、アキラ様にご奉仕ができる。これ以上ない幸せです」

 小さな質問にこの三人が答えた。

 「分かりました。全部任せます」

 「じゃ、じゃああ。は、は、始めるぞ」

 アキラを脱がせることと、既に裸を見られている事。ダブルのドキドキが六人を襲ってそれが快感になり、割れ目から蜜が流れ出た。

 

 アキラの服を脱がせて、何も着ない状態にした。その体を見て、

 「「「「「「はああああ~~~♡」」」」」」

 もう蕩けてしまった六人。アキラの体は今までも見てきたが、やはり漢の中の漢の体と数多くの傷痕に見た目以上に大きく感じるその背中。一気に欲情し、割れ目の蜜の出る量が倍になった。

 「い、いかんいかん!皆、正気に戻れ!」

 「「「「「っは!あ、危なかった・・・」」」」」

 慌てて久遠が自分で頬を叩いて、皆に声をかけて彼女らを正気に戻った。だが、

 「ああ、葵は、葵は・・・」

 「くうう!はあ、はあ・・・」

 葵と一葉は既に理性が壊れかけており、立ちながら自慰をして蜜も滝の如く出ていた。このままじゃ自分達もこうなると確信し、すぐに行動を開始した。

 「じゃ、じゃあ、まずは「余からじゃ!」・・・頼む」

 葵はまだ自慰をしてある程度発散できたから先に決めた久遠からの順番を守っていたが、一葉はそれをしてもなお無理だった。目が血走っており、寝かせたアキラの性刀に飛び掛かった。

 「ふ、ふふふふ・・・主様。やらせてもらうぞ!」

 「ええ、どうぞ」

 しかし、アキラは彼女の狂気すら感じる顔を流して受け身の体制をとった。何故なら、アキラ隊の愛妾達に襲われた時も同じ顔をしていたからだ。

 「では、余は・・・この胸で」

 六人の中で一番の巨乳の彼女は性刀を挟めて、こすり始めた。左と右のおっぱいを同時に上下に動かしたり、別々に動かして刺激を与えた。その刀の先も丹念に舌を使って気持ちよくした。

 「のう、主様。主様も、頼むぞ」

 一葉はそのまま自分の割れ目を目の前に出した。頷くと、アキラは既に蜜が出ている割れ目を舐め始めた。

 「「!!」」

 一葉は胸を丹念に動かして刀を労り、アキラは割れ目という鞘をいたわっている。そこからくる刺激が一気に快楽電気を全身に走らせた。アキラはその刺激で目を開けた。自分の刀を舐める一葉の顔が、情欲を強くした。

 「ぐううう!主様、ま、負けんぞ」

 だが一葉が不利だ。何しろ、先に自慰をして快楽をため込んでいたからアキラ以上に快感が強くなっている。そこで彼女は自分の固くなった二つの胸の先をアキラの刀の先端に付けてこすった。

 「「が、ああ!」」

 アキラはそれが強く感じたのか、思わず声を出した。しかし、それは一葉もそうだった。その行為を続けていくにつれて、一葉の意識が薄っすらとなっていく。

 

 「ぬ、し、さ・・・ま・・・・・・ああああ~~~!!」

 

 体も顔も意識もトロトロになっていき、最後のアキラが鞘に指を入れたことで絶頂に達しその場で崩れ落ちた。ただし、アキラも同じく絶頂して熱い想いを噴き出して一葉の顔をその色で染めた。

 

 その様子を見ていた葵以外の皆も既に自慰をしていた。我慢できなくなり、真琴がフラフラと前に歩み寄った。

 「に、兄様。さあ、つぎは、ぼ、僕」

 そう言うと、真琴は後ろを向いて尻をアキラに差し出した。

 「ぼ、僕のお尻、に、兄様の、そ、それを挟めて、くだ、さい・・・」

 「ふふ、そういうやり方ですか」

 さっきの一葉の尻バージョンというわけだ。立ち膝になり、尻の割れ目にアキラは要望通り自分の刀を挟めた。そして、腰を動かした。

 「ああう!に、兄様・・・のがあると、思うと!」

 「ええ、どうです?(もみ)」

 「ひゃ!あ、ああん!」

 刀を擦り合わせるだけでなく、尻を揉み始めた。びく!として、割れ目から蜜が流れ落ちた。

 「真琴、あなたの尻はいいですよ」

 「よ、喜んみゃん!、くれて、う、うれあうん!」

 「このお尻は本当に、揉み心地がいいですね(もみもみもみもみ)」

 「ひゃう、あうわうあう~~」

 もはや、蕩けまくってしまいどうにも考えられない。真琴は腰をいやらしく動かしていき、尻も心なしかマシュマロみたいに揉みやすくなったように感じたアキラ。しかもそこに、

 「こんなに淫らに動いて、お仕置きが必要ですね(ぱああん!)」

 「あ、ああん!」

 尻たたきまで加わった。アキラにお仕置きされる。それが真琴を更に欲情させていったのか、数発叩かれたら

 「に、い、さ、ま・・・も、もっと」

 Mに目覚めた感じになった。ふふ、と笑い、左右交互に揉むと叩くを変えながら彼女の尻を責めていった。そして、

 

 「に、に、にいいさまああああ!」

 

 アキラに尻を揉まれ続け叩かれ続けていたら、ついにそのまま絶頂してしまった。でも、彼女の尻の感触は予想以上に良かったのか、力尽きた真琴の尻と背中にアキラの熱い想いがかかっていった。

 

 その場に座ったアキラ。少し休憩しようとしたが、

 「アキラ。ダメ」

 それをさせないと光璃が目の前に座った。そして彼女は・・・

 「ん!」

 「大きくして」

 何とアキラの刀を足の裏で包んで、そのまま擦りだした。

 「どう。気持ちいい?」

 「う!な、何と・・・」

 光璃はまだタイツをはいていて、そのタイツの感触が刀全体を覆い今まで感じたことない快感をアキラが襲った。そのおかげで、小太刀に戻りそうだった刀が太刀に戻った。

 「ほら、ここ。これで」

 「む、く、ま、けられませんね」

 「あ、あう!はう!」

 刀をいじられ快感に耐えるアキラだが、このままではいけないと思い彼女の乳首を両方とも抓った。しかも、力いっぱいぎゅっと。痛みと快感が体中を襲った光璃。その時の我慢と淫靡が合わさった表情にアキラは笑顔になった。

 「ほら、どうです?おや、足が止まりましたね」

 「あ、あ、う、ま、負けない!」

 ここからはお互い我慢対決だ。アキラの方はタイツの感じたことのない感触に、光璃は胸からくるびりびりとした刺激に耐えながらお互いを責めていたが・・・

 「ここはどうです?」

 「あ、そ、そこ、ああああああ!」

 片手を乳首から割れ目に移動したアキラ。胸だけが割れ目からも出てしまい、一気に形勢不利になってしまった。それでも、必死に抗ったおかげで

 

 「あ、あああううん~~!!!」

 

 光璃が絶頂した時にはアキラも出した。未知の快楽で強く感じたのか、熱い想いも足多く出て足足以外に胸まで届いてその温もりに光璃は満足そうに横になった。

 

 「アキラ様・・・やっと、やっとなのですね」

 次は葵だった。また休憩する間もないまま、相手をすることになった。匍匐前進してくる彼女の姿に、一瞬ゾンビみたいと恐怖したアキラ。

 「あの、そんなに待っていたのですか」

 「当然です!さあ、アキラ様。はあはあ」

 半分ほど目がいっちゃった状態でアキラの刀を握った葵。すぐに不満になった。

 「アキラ様。どうして・・・葵がやろうとするのに」

 「いえ、三回休む間もなく出したらこうなりますよ」

 そう、小太刀になった刀。しかも、固さも抜けて葵はムッとする。現代では、無理やり太刀に戻す方法もあるが、この時代ではまだだ。何かないかと周りを探していると、葵の髪がアキラの刀を通り抜けた。

 「!!」

 「・・・アキラ様」

 彼女の髪が刀に刺激を与えて、アキラは一瞬ゾクッとした。アキラとのこうしたふれあいに貪欲な葵は見逃さなかった。

 「これがいいのですね」

 「い、いあ、ちょ!」

 葵は自分の髪を掴み、アキラの刀に巻いた。しかも、先端には髪の毛の先をひとまとめにしたやつでいじった。

 「く、あああう!」

 「ふふふ、元に戻りました」

 さっきのタイツ以上に強い刺激と快感が襲って、再び太刀に戻った刀。

 「ふふ、新しい発見です。アキラ様、たっぷり葵の髪で感じてください♡」

 髪で刀をいじりだす葵。寒気が全身を襲われ、思わず目に入った彼女の尻を鷲掴みにした。

 「ひゃう!」

 「はあ、はあ、こっちも遠慮しませんよ!」

 その尻を力の限り揉みだした。尻の割れ目にも指を入れ、そこにある穴もいじりだした。

 「あう、あん!あ、ああ、アキラ、様~~」

 腰をどんどん振るう。無意識に刀を握っていた手を自分の割れ目に持って行き、自慰を始めた。自分で割れ目をアキラが尻を責めて、腰も淫らに動く。ついには髪だけでなく刀を丹念に舐めていった。

 「ちゅちゅ・・・ふふ、アキラ様の強い想いが、ああ、美味しい~~」

 先の三人の責めで出したのが刀のところどころに残っていたのを、葵が全部舐め取って幸せそうだが蠱惑な顔をした。

 「もっと出してあげますね」

 中断していた髪責めを再開して、更に舐めも加わった。重点的に二つの刺激が来たため、完全におされ気味になりそうだったので、片手を尻から胸に移動して、両方を揉み始めた。

 「ひゃん!あん!いい、いいです。アキラ様、もっと、ああん!もっと~~!」

 どっちも責めていくが、アキラは我慢だけど葵は完全に欲望に身を任せている状態だ。既に腰だけではなく全身を動かしているがアキラへの責めは忘れずにやる。そして、

 

 「あああっはあああ~~~~ああん!!」

 

 割れ目から一気に噴き出た蜜。そして、顔と髪を白くした。

 

 

 四人相手に疲れたアキラ。今まではまとめてという事が多かったが、一人ずつ順番には越前のアキラ隊以来だ。床に寝転がりそうなところを

 「アキラ、まだだぞ」

 「私達も忘れちゃ困るわよ~~」

 久遠と美空に止められた。

 「安心しろ。我等は」

 「疲れが取れる場所でやるわ。うふ」

 『いや、結局疲れますよね・・・』

 その言葉にげっそりしたアキラだった。三人とも裸のまま、家の中を移動して着いた場所は、

 「やはりここですか」

 「さあ、たっぷりやろうぞ!」

 「隅々までやるから覚悟してね~」

 風呂場だった。三人ともかけ湯をして、すぐに入った。アキラを真ん中に、前に美空後ろに久遠だ。

 「アキラ、さあ、我等に」

 「たっぷり愛されてね♪」

 二人は抱き着いて、そのままお互い体をこすり合わせた。美空も久遠も自分の胸を使って、上半身を洗うようにこすっている。そして、下半身の方は

 「「はあ、あ、あん。ひゃん!」」

 自分達の割れ目だ。そこをこすっているものだから、

 

 『二人の喘ぎ声が、感触が、蕩けている顔が・・・悔しいですが、復活してしまいますね』

 

 アキラの刀が固さを取り戻して、大きさも達に戻った。

 「うふ、久遠。元気に、ううん、なった、わ・・・あ」

 「ほう、そう、ああ、か。じゃ、じゃあ、やる、か」

 それを確認した二人はアキラの前に来て、アキラを立たせると

 「「・・・アキラ」」

 右から久遠の、左から美空のおっぱいで太刀を挟めた。お世辞にもそれほど大きいとは言えないが、それでも頑張って擦りはじめ刀の先を愛おしそうに舐め始めた。

 「く、ん!」

 「いいんだ、我慢するな」

 「最初に言ったでしょう。全部私達に任せてって」

 「久遠、美空・・・」

 「「だから、好きなだけ出して」」

 上目遣いで言ってくる二人に更にドキっとするアキラ。

 「なら、頼みますよ」

 「「ああ(ええ)!」」

 おっぱいサンドイッチと風呂のダブルの温もりで段々気持ちよさが強くなっていく。二人もアキラの刀から出る想いの香りに欲情が留まるところ知らず、既に風呂のお湯の中に自分の蜜も流れていた。

 「アキラ~ちゅぺろ、ああ、この味」

 「もう、ちゅる癖に、なるわ。あん」

 二人の目に♡が見える。顔の赤みが、頸筋を流れる汗が、彼女らの胸に残る水滴が、その状態で太刀を擦り付ける姿が余計に卑猥に見せる。思わず、

 「出ます!受け止めなさい!」

 二人の頭を掴んで、そのまま最後のひと想いを二人の顔に出した。

 

 「「ああ、あああああ~~~~ん。アキラ~~~♡♡」」

 

 顔に髪に想いがかかり、二人はこぼさないよう両手でその想いを受け止めて、

 「「ごく・・・アキラの、ああ、暖かい」」

 残さず飲み込んだ。その姿もまた強く欲情させたが、さすがに限界だったために刀を固くすることは出来なかった・・・。

 

 

 その後、風呂から上がり体を拭いたが襦袢を着ることはなく裸のまま久遠の部屋に戻った。そこには

 

 「待っておったぞ・・・もう、我慢が、我慢が」

 「できません。狂いそう・・・なくらい」

 「滅茶苦茶に、して」

 「アキラ様、ああ、今の私達は、私達は妻であり・・・あなたの牝です。どうか、いやらしい牝の私達を淫乱に、してください」

 

 自分の脚を持ち上げて、V字に開脚して蜜を出している割れ目を見せている四人の牝の妻の姿があった。

 「アキラ。当然、我等も」

 「するわよね」

 二人も両脇に移動して、同じ姿勢になって割れ目をアキラに見せた。六人の卑猥な姿に涎を飲み込んだ。

 

 『・・・覚悟しましょうか』

 

 再再度復活した太刀を見て、六人の元に歩いていった。その日、久遠の家からはずっと喘ぎ声が聞こえてきた・・・。

 




 
 結論、どんなに作戦を立てても、団結してもアキラの上に立つことは不可能。下でいることに悦びを感じ、快楽になり、愛されることで幸せになると言う事です。まあ、次の日はアキラも立てないでしょうから物理的に上に立つことならできそうですね。

 どうでした?一葉は胸で、真琴は尻で、光璃は足で、葵は髪で、そして久遠と美空は全身でアキラにスリスリする姿は?自分が彼女らにされる姿を妄想して楽しんでください!・・・エロ話になると、最初に書いたことはどうでもよくなっちゃうな。

 では、本章に戻ります!ついに上洛・・・京に進出です!


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百十振り目 開戦!

 
 どうも、そろそろカイロを使おうか考える三MENです。

 ついに戦いが始まりです!今回はあの親子がメインになっている気が・・・。


 越後では、

 「・・・空気が重い。何かが始まる」

 「お父さん!どうしたの?」

 「どうかしたのですか、あなた?」

 「何でもない。今日は出来る限り家にいるように、いいね」

 「??は~~い」

 『アキラ。向こうの世界でアンテラを救ってくれたように、この世界も救ってください・・・この子の為にも』

 買い物から帰ってきたクビラ親子が家に帰ってきた。

 

 甲斐では、

 「む・・・この感じは」

 「おじちゃん。どうしたの?」

 「今日は何をするの?」

 「そうだな。ちょっと剣術の特訓をしたらもう帰るか」

 「「「え~~。もう~」」」

 「ははは、お父さんやお母さんと一緒にいることも大切だぞ」

 「「「はあああい」」」

 『・・・アキラ、頼んだぞ。私はこの子達を守る。お前はお前の守るべきものを守れ』

 子供達に剣術を教える太白が皆の頭を撫でて、それぞれの家に帰し始めた。

 

 

 アキラ達は、上洛するために京への道を歩いていた。

 「いよいよですね」

 前を見て呟くアキラ。だが、その顔は険しい。

 「ああ・・・だが」

 「ねえ、アキラ」

 「・・・・・・聞きたいことは分かりますが、敢えて聞かないでください」

 久遠と美空がアキラの横顔を見てその言葉を受け入れた。

 『『いったいどうしたの(だ)?アキラ』』

 あと少しで京というのに、ここまでずっとこの調子なのだ。二人・・・いや、

 「お頭どうしたのかな?」

 「とても、辛そうに見えるんだよね」

 「ハニーに聞いても、何でもないの一点張りですの」

 ひよ・ころ・梅の会話で分かる通り、彼女ら愛妾達もまたアキラの様子がおかしいことに気づいていた。

 こうなったのは、今この時ではなく・・・坂本城を出る時だった。

 

 

 上洛の為の作戦を壬月が各勢力に伝達した。まず織田はアキラ隊・長尾衆・森一家・浅井衆と共に五条大橋に向かって正面突破。次に武田は京を別の入り口から入りそこから鬼を討伐していく。松平は最重要任務として、吉野が手に入れた村・吉水に行きそこを調査するという事になった。

 『アキラ、終わったら子作り』

 『アキラ様、葵は何人でもあなたの子を産みたいです』

 その際、作戦上離れてしまうこの二人は舌入れの情熱的なキスをして、続きは戦いが終わってからと言った・・・当然、

 『アキラ!我もだぞ!』

 『光璃に負けてたまるもんですか!』

 『兄様、お願いします!』

 『『お頭!私達も忘れてないですよね!』』

 『(ゴゴゴ)アキラ様。朱雀は今ほど切れそうになったことはありません』

 アキラの嫁達も皆アキラに二人と同じようなキスをした。しかし、

 

 『そうですね。終わったら、やりましょうね』

 

 そのキスに答えたアキラは、無表情でそう答えた。この態度から、様子がおかしいことに気づいた彼女達。しかもその後、

 

 『何!アキラ、今なんて言った!』

 『・・・エーリカは尾張に帰しました。と言ったのです』

 『ちょっと!私達そんなこと聞いてないんだけど!』

 『当然です。今朝皆がまだ寝ている時に行かせたのですから』

 『・・・嘘。どうしてそんなこと言うの?アキラが、一人で帰すなんてありえない』

 『何もありませんよ。後、エーリカからの情報はちゃんと仕入れてます』

 

 エーリカがいないことに気づき、彼女達がアキラに訊ねるとこの返しだった。自分に想いを持つ彼女を、しかも苦しそうなのに尾張に帰したと言った。明らかにアキラらしくない行為だ。何故そんなことをしたのか?と聞いた質問に対する返答は

 

 『全てが終わってからです』

 

 それだけだった。これ以上は追及しても無駄であり、何よりアキラ自身も答える気がない。だから、エーリカの事は後で聞くことにした。

 

 

 その後、坂本城に非戦闘員の双葉と結菜を残して、出陣をした。すぐ後で作戦を開始するために武田衆と松平衆と別れ、つい先ほど先陣の長尾衆とも別れ、もうすぐで五条大橋のところまでやってきた。アキラの様子がおかしいのはまだ続いていた。いい加減に元のアキラに戻ってほしい気持ちを持っているが

 「アキラ様。そろそろつきます」

 「・・・ええ」

 「あの、森一家と長尾衆はどう動かすのですか?」

 「・・・うむ」

 詩乃と雫の言葉もあまり聞こえていないように見える。どんなに話しかけても返答もそっけないのだ・・・そこに、

 

 「アキラ!(ばきい!)」

 「く、な!」

 

 桐琴が森一家から抜け出し、目の前にやってきてアキラを殴った。

 「いい加減にしろ!お前が何を隠しているか。今は全部後にしろ!」

 「あ・・・」

 襟首を掴んで叫んだ。

 「いいか!お前の指揮一つでここからの戦いが勝つか負けるかに別れる!それなのに、貴様がそんな態度でどうする!」

 「・・・桐琴」

 久遠は思わず止めようとしたが、桐琴の言っていることはすべて正論であり自分が言おうと思っていた事でもあった。

 

 「いいか!ワシが心底惚れた男はな!どんな苦しみも!辛さも!悲しみも!全部背負ってもなお自分を見失わないいい男だ!その男が、何をふさぎこんでいるんだ!そんな男を好きになった記憶はない!」

 

 全員が桐琴の叫びで夢のアキラを思い出しながら、力強く頷いた。

 「アキラ様。桐琴さんの言う通りです。お願いですから・・・私達を導いてください!」

 「そうです!アキラ様らしくないです!」

 「主様、余も同意見じゃ!余が心から愛する男はうじうじするような男ではない!」

 「某もですぞ。そのような男に体を、心を、許した覚えはありませぬ」

 「「「「そうですよ!いつものアキラ様に戻ってください!」」」」

 皆がそう言ってきた。それを聞いてアキラはやっと

 

 『・・・そうでした。あの頃の、限界の壁にぶつかった時のあの自分に戻るところでした。あの事があったからと言ってうじうじしてはいけない。前に進まないといけない!そして・・・吉野を斬る!これこそが、やるべきこと!』

 

 自分自身の気持ちに整理をつけた。

 「ええ、皆さん。すいませんでした。いつまでもこのままではいけませんね」

 「その通りだ、アキラ!」

 「兄様、よかった。元に戻って」 

 「うんうん!これがお兄ちゃんだよ!」

 「よかった~~。お兄ちゃんが元に戻ったよ!」

 「・・・」「心配していた。とお姉ちゃんも言ってます!」

 「歌夜は、そんなアキラ様が大好きです!」

 皆がアキラ復活したことに喜んだ。

 「さあ、さっさと終わらせて皆に私の子を産んでもらわないといけませんね。ふふ、覚悟しなさい。腰をたたなくしてあげますから」

 「「「「「え、ええええ!そ、それは楽しみです!」」」」」

 恥ずかしがりながらも、目を輝かせる皆。そんな彼女達を見て心から笑った。

 「ははは!なら、頑張りましょう!」

 「「「「「はい!」」」」」

 久遠達、皆がいつも通りのアキラらしい振る舞いに元気になって決戦の地まであと少しなのに、緊張が抜けた笑い声を出しながら歩を進めた。その中で、

 『・・・・・・ご主人様』

 アキラをじっと見る小波の目が不安そうだった。ただ一人、アキラの護衛として影からずっと見守り続けている小波。それをずっとしていたがために、彼女はアキラの隠し事を目撃していた・・・知っていた。

 『全て終わるまで話すな・・・その命令、辛いですよ。ご主人様』

 だが、アキラから話すな、という命令を受けたために口を閉ざしていた。だが、それに草らしからぬ人らしい気持ちを持って辛く感じていた。

 

 

 ついに、五条大橋に前を歩く長尾衆が到着した。 

 「随分といるわね~~」

 「いいお出迎えっす!」

 「うん。血が騒ぐ」

 「はあ~~、本当に、暴れるのが好きな子達だ事」

 その五条大橋に隙間がないほど鬼達がいる。好き放題暴れられそうと三バカ・・・もとい長尾の暴れん坊三人組はワクワクしていた。その三人の目を輝かせている姿に秋子は頭を抱えた。

 「さて、後は本陣からの命令を待つのみね」

 「ええ!すぐに戦わないんっすか!」

 「全く、本陣から鏑矢が上がってからって言ったでしょう」

 「柘榴、やっぱりバカ」

 「松葉ひどいっす!」

 家臣三人の漫才を見ながら、美空は

 

 『アキラ、いい加減にしなさいよね。この戦いはあなたのための戦いと言っても過言ではないのよ。さあ、出しなさい。あなたの答えを!』

 

 アキラが自分の望む答えを待っていた。

 

 

 本陣では、

 「長尾衆、五条大橋まで到着しました!」

 「苦労、アキラどうする?」

 「どうする。ですか・・・ふむ」

 早馬からの報告を聞き、長尾衆への指示を考えるアキラ。そんなアキラに、

 「おいおいおい!忘れたのか、アキラ?」

 小夜叉が声をかけた。

 「小夜叉、忘れたとは何を?」

 「俺達の目的だ。言ってみろ!」

 「私達の、目的・・・鬼を殲滅する事」

 「やっぱり忘れてんな・・・何が何でも、が抜けてんだろ!」

 「かかか、そうじゃ!アキラ、ワシらの目的は何が何でも鬼を全殺しにすることじゃ!」

 そこに桐琴も加わった。

 「だからな、アキラ」

 「いいか。アキラ」

 森親子が二人そろって口を開いた。

 

 「今、何が大切か。それを口に出してくれればいいだよ!」

 「おうよ!そしてわしらは、その言葉に、夫の想いに命を燃やして戦おうぞ!」

 

 二人の言葉にアキラはまぶたを開いた。そこには二人の笑顔があった。任せろ!と言わんばかりの頼もしい笑顔が。

 

 『この時ばかりは、あいつになりましょうか・・・変に考えず、ただただ一つの目的のために必死になり、そして・・・熱く燃えるあの親友に!』

 

 常にクールでいようとする自分とは対照に熱く燃える親友・紅虎。この時だけは、彼を見習うべきだと思い、皆を見回した。

 「ふ、やりましょう!この肩に乗せている魂達の為にも・・・今から出す命令はその魂の数をさらに増やすひどい命令になる。だが、決めた。覚悟を持「何を言っているんじゃ、主様」は?一葉?」

 決意の言葉を言っている途中で一葉が割り込んだ。

 「主様。余はお主の妻じゃ、愛する夫が背負うと決めたその業。妻の余も背負う!」

 「一葉の言う通りだ。それが夫婦だ。皆でその業を背負い、魂を肩に乗せよう!」

 「そうですよ、お頭!私達だって、背負わせてください!」

 「私もその覚悟を持っています。私は全てをあなたに捧げたのですから」

 「詩乃さん!ここであぴいるはずるいですわよ!私だって全てを捧げてますわ!」

 「綾菜も、ず~~っとアキラ様と一緒です!」

 「ご主人様、お願いします。私もご主人様と同じものを背負わせてください!」

 「太四老の頃は背負う事をしなかったが、今なら背負いたいと思う。アキラ、お前と共にいたいんだ!」

 一葉が宣言したのと同時に、久遠・ひよと妻達がどんどん言ってきた。彼女達も皆、小夜叉・桐琴と同じ笑顔だった。最後に、

 

 「アキラ!鞠達はみ~~んなアキラの事だ~~い好きなの!久遠も、美空も、光璃も、葵ちゃんも、アキラ隊の皆がアキラの事を支えたいと思っているの!だから、支えさせてほしいの!」

 

 鞠の純真な笑顔と言葉にアキラは決めた。

 「皆さん。私の背中、頼みますよ!!」

 「「「「「おう!」」」」」

 力強い笑顔と声に、彼女らも力強い笑顔と声で答えた。

 

 「五条大橋の鬼どもを殲滅せよ!その勢いで京に入ります!」

 

 そして、ついに命令を出した。 

 「鏑矢三本、空高く放ちなさい!」

 詩乃の命令に兵が答えた。鏑矢三本・・・総攻撃の命令をアキラが出した。

 

 『かつて狂は私に背中を任せた。今は私が皆に背中を任せた。これがあの時の狂の気持ちなのですね。ふふ、こんなに背後の心配をする必要がないのは初めてです!』

 

 アキラは彼女らの頼もしさと力強さそして愛に、ただ前だけを見る決意をした。

 

 

 鏑矢三本を見た長尾衆の前にいる美空。

 「三本ね。うふふ、嬉しいわ」

 それを確認した彼女は嬉しかった。

 「御大将、どうした?」

 「嬉しいって、どういう意味っす?」

 「鏑矢三本は総攻撃の合図ですよ!鬼が充満する五条大橋にその合図は無謀ですよ」

 「いいのよ、それで!アキラは元に戻ったと言う事なんだから!」

 この鏑矢で美空は無言だったアキラが元に戻ったことを知った。悩んでいたら、総攻撃という命令は出さないことを知っているからだ。だが、そのこと以上に、

 「あの、どういう事っす?」

 「この戦いは大きな犠牲が出るわ。アキラは自分がその業を背負う覚悟、そう上に立つものの覚悟を持ったのよ」

 「上に立つものの覚悟・・・業、ですか?」

 「どんなものでも、ただで手に入るものなどない。絶対に対価が必要になる。今回の戦いだって、この日の本を平和にするためにはたくさんの兵の命が無くなるわ。その命と魂を背負う覚悟をアキラは持ったのよ」

 アキラがこうした覚悟を持ったことが、美空は何よりうれしかった。

 「だから、あいつがそれを背負うのなら妻の私も正面から受け止めるわ!」

 「・・・そうですね。あの人はどんな時も前に進むお方。どんなに苦しい時も、辛い時も・・・あの夢で見たように立ち上がるお方」

 「そんなあいつだから、私は心底惚れたのよ。これ以上ないくらい、あいつになら身も心もあげたいくらいにね」

 「はい・・・私もそんなあの人だから、抱かれたいと思い、この人生を捧げたいと思った」

 美空と秋子は頷き合った。共に、アキラに抱かれ愛を貰った二人。はた目から見ている柘榴と松葉は羨ましそうに見ていた。

 「松葉~、羨ましいっすね~」

 「松葉は戦いが終わったら抱かれるつもり」

 「な!ま、松葉!く、柘榴も負けられないっす!」

 「ふふふ、じゃあ、どっちが速く抱かれるか勝負」

 「受けて立つっす!」

 「こら!何しているのよ!さあ、先陣きるわよ!・・・あと、抱かれるのは私が先だからね!」

 「ず、ずるいです!私が・・・」

 「・・・みんなで抱かれよう」

 「「「それだ!」」」

 誰が一番早く抱かれるか言いあっているうちに、松葉の一言で結論がついた。そして、

 「いくわよ!柘榴!」

 「はいっす!」

 長尾衆の毘沙門天・不動明王の記す旗を掲げ、兵達の意気を最大限まで高め

 

 「かかれええええ~~~~!!!!!」

 

 美空の号令で五条大橋の鬼達に突撃していった。

 

 

 長尾衆が突撃した報告を受けた壬月と三若。三若の少し腰抜けな会話に壬月は頭を抱えたが、長尾衆のすぐ後に突撃予定の森一家の会話に笑顔で入り込んだ。

 「そろそろ、あの荒くれ共の番か」

 「うう、あのキチガイさん達。本当に周りを見ないで暴れまくるからな~」

 「でも、アキラ君の話じゃあれでも自分から見たら大人しい方だって」

 「そ、そうだね。夢で見た四聖天だったっけ?あの人達と狂っていう人と比べたら、不思議と大人しいっていうのも納得しちゃうね」

 「あの夢と比べること自体間違いだが・・・私は森一家の中だと桐琴と小夜叉より各務が一番のキチガイだと見ているぞ」

 「「「え?あの人が?」」」

 思わず聞き返した三人。アキラにベタ惚れで恋するヤンデレモードの(見えている部分は)大人しいイメージだったので、壬月がそう言ったことに疑問だった。

 「今の各務はアキラ大好き人間になっているからな。あいつに会う前の各務を知っているものからすれば信じられないと思うが・・・」

 「僕達もですよね~」

 「「うんうん」」

 「聞きたくないのか?」

 「「「聞きたいです!」」」

 アキラ大好き人間ってところにツッコミを入れた和奏。顔を少し赤らめてギロッとする壬月に大人しくなって各務の過去を聞く三人。かつては鬼兵庫と呼ばれるほどの武の腕前を持ち、各務一人で相手の屋敷に入り計五十五人を斬り殺した経歴も持ち、その頃から桐琴に可愛がられていたとの事。身分は元美濃国主の妹でお嬢様だったが、森一家の空気ですっかり森化したことに三人とも怖れた。

 「でも、今はアキラ君にべったりだよね~。ちょっとおかしいと思う行動をすることもあるけど」

 「うんうん、隊の仕事がない時は必ずと言っていいほどアキラ様の後をおいかけていたよね」

 「あの時の各務さんの空気と顔も別の意味で怖かったな・・・うう、寒気がした」

 「「和奏(ちん)ヘタレ~~」」

 「う、へ、ヘタレ言うな~~!」

 だが、説得力がなかった。すぐ後の、壬月の一喝で三人とも真面目に戻ってそれぞれの隊に戻った。

 

 

 「桐琴姉御!まだですかい!」

 「お嬢!オラ、ゾクゾクすっぞ!」

 「各務姉さん!まだ動かないんすか!」

 五条大橋手前で暴れたくて暴れたくて仕方がない!って感じの森一家が元頭・現頭・裏頭に訊ねた。

 「馬鹿者が!今行ったらごちゃごちゃになるだろうが!能無しのクズ共が!」

 「全く!ちった空っぽの頭使いやがれ、てめえら!」

 「それまで我慢・・・アキラ隊にいたかった」

 桐琴と小夜叉はいつも通り罵声を隊の皆に飛ばしたが、各務はアキラの傍で戦えないことにがっかりしていた。

 「でも、早くしないと長尾に」

 「いいか!橋の中央は長尾の奴らがいる。だから、動きが止まった時を狙って端から俺達が突入だ!」

 「え、でも、端って長尾の連中が埋め尽くされているんですが?」

 「まだあるじゃろう・・・欄干が!それで移動して、あそこに入るんじゃ!」

 「「「「え、えええええ!む、無茶苦茶な!」」」」

 「「ああん!森一家ならやって見ろや!出来ねえって言うなら頸狩るぞ!」」

 森親子の案にビックリ知る兵達。二人の恐怖すらする殺気を込めたガン飛ばしに

 

 「「「「「うっひょおおお!これだ!これこそ姉御とお嬢だ!!!」」」」」

 

 彼らは大興奮した・・・三若曰く森一家全員がキチガイ。それは間違ってなかった。

 「行くぜ馬鹿ども!さあ、この戦!俺達が仕切る!」

 「バカクズ共!叫べ、叫べ、叫ぶんじゃ!」

 「「「「ひゃっはああ~~!!!!俺達は姉御達に一生ついていきますぜ!」」」」

 二人の叫びに一家の兵達はさらに大興奮した。

 「行くぜ、てめえら!三途の川喜んで渡ろうぞ!」

 「馬鹿ども!森鶴の旗を掲げんかい!」

 「おおよ!」

 兵の一人が旗を掲げた。それと同時に

 

 「織田の家中!一番槍は、悪名高き森一家!」

 「神だろうが、仏だろうが、頸を狩って狩って狩りまくる!それが、ワシら一家の心意気じゃ!」

 「そして、望むは茨の修羅道!」

 「「さああ。推して参るぜえええ!」」

 「「「「「ひゃあああっはあああああ!!!!」」」」」

 

 森一家の突撃は始まった・・・そして、ついに鬼VS人との決戦が始まった。

 




 
 今回は桐琴と小夜叉が主役回のような気がする話でした!アキラの様子がおかしかったのは、前回のエーリカ同様後々に明らかになります。

 次回はついに京突入です!


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百十一振り目 二条館・禁裏へ進め

 
 どうも!三MENです!

 今回はタイトルの通りの展開です!原作通りに進んでますが、あの人がいないので一部違う内容になってます!


  相模の小田原城。

 「ううう、母様と姉様がいなくなってしまいました」

 「大丈夫だぜ!三日月や暁月にサイだっているんだから!」

 「そうです。十六夜姉様は、信じて待っていればいいのです」

 「そ、そうだよね!よ、よ~~し!」

 「・・・ふふ」

 「あれ?サイ、どうしたんだ?」

 「いや、何でもない」

 「変なの・・・って、姉ちゃん。何してるの?」

 「あ、あの!母様と姉様が無事に帰ってきますようにって、お祈りしてるの!」

 「なるほど!じゃあ、三日月もやる!ほら、暁月も!」

 「そうですね。やらせてもらいます」

 『朔夜。少しだけ母親の気持ちが分かったよ。娘が必死に頑張ろうとする姿を見ると、優しい気持ちになれるのだな・・・ここに辰怜がいてくれたら、私も・・・あの人の子を』

 「お~~い!サイもやろうぜ~~!」

 「あ。あの、お願いします!」

 「お二人とも!申し訳ありません、サイさん」

 「いいんだよ・・・じゃあ、祈るか」

 「「「はい!」」」

 『三人は朔夜と朧の無事を祈ってるけど、すまないが私は・・・辰怜。あなたの事を想って祈りたい。もし、会えるなら・・・最後に伝えたかったあの言葉を』

 

 

 五条大橋では大乱戦が始まった。 

 「「「「「ひゃあああっはあああああ!!!!」」」」」

 「やれ!ヤレ!殺れ!!yare!皆殺しだ~~!!!」

 「敵味方関係ない!ワシらの狩場に入った奴は誰であろうと敵じゃ!」

 「ほ、本当に擬宝珠を使ってこれるなんて・・・」

 「さすがキチガイ」

 「あはははは!八艘飛びをこの目で見られるなんて!さすが、アキラの一番槍ね!」

 「うっわ~~!これは柘榴も負けられないっす!」

 乱入と書いて合流と読む森一家が入り込んだ方法に秋子が驚き、松葉は妥当な評価を出し、美空は楽しそうに賞賛し、柘榴は闘志を燃やした。

 「・・・秋子、ゴメン」

 「いえ、慣れてますので」

 ただ、このぐちゃめちゃぐしゃな効果音が聞こえる戦いは、長尾の兵達には気持ち悪い光景だった。

 「ちょっと~、何その同類を見る目は!」

 「ひどいっす、二人とも!柘榴はあそこまでひどくないっす!」

 「・・・私は違う」

 森一家の兵と桐琴・小夜叉が、五条大橋でそれはそれは心から楽しそうな笑顔でサイコパスな人間かと疑うくらいに鬼達をバラバラに狩っていく。その間に、各務は秋子に謝罪した。だけど、秋子は後ろにいる頭痛の種に視線を向けて気にしないよう言い、その種は不満そうにしていた。因みに長尾の兵達は、その森一家の異常すぎる戦いに一部耐え切れなくなって吐いていた・・・。

 

 その光景を後方で見る織田勢を連れている壬月と麦穂。その顔は、それはそれは心から呆れかえっている引きつった笑顔だった。

 「あいつらにとっての合流は乱入だからな。それに関しては別におかしくないが」

 「久しぶりに見ましたが、やはり慣れませんね。あの一家の戦いは」

 「慣れる必要はないが・・・もう少し常識をわきまえた戦いをしてほしいものだ」

 「それは無理かと」

 「麦穂、何故だ?」

 「・・・常識の方が嫌がるからかと」

 その麦穂の言葉に壬月は本心から同意できた。その後、三若に状況を告げて織田勢も戦いに参加するよう告げた。その際、彼女自身も血がたぎったのか

 「ふふ、私も出るか・・・よし、久しぶりにあれを使うか」

 「あら?ふふ、それは楽しみです」

 「ああ、後ろは頼むぞ」

 「勿論です。ご存分に」

 自分の得物に視線を向けて楽しそうに呟いた。麦穂も久しぶりの壬月の武将ではなく、武人の顔を見れて嬉しそうだ。

 

 

 本陣では、戦いが順調である報告を受けた。だが、金ヶ崎での痛手もあるためアキラはもちろん皆もその報告で楽観はしない。そう話し合う中、

 

 「詩乃、全軍の指揮。お前に任せる」

 

 詩乃が、竹中半兵衛重治としての実力を存分に発揮しろという久遠からの命令を受けた。だが、彼女は受け取らずにアキラを見た。彼女にとって自分を命令できるのは、この世でアキラただ一人だけだからだ。

 「任せますよ。詩乃」

 「・・・はい!」

 「その前に(ちゅ)」

 「・・・!!」

 だから、アキラはその命令に従う命令をした。笑顔で頷き、早速指揮をしようとした彼女にアキラは額にキスをした。まさか、こんな状況でするとは思わなかったのか、彼女も皆も目を大きくした。

 「見事指揮を終わらせたら、もっと熱い接吻をしてあげますよ」

 「・・・楽しみにしてますよ」

 ウインクをするアキラに顔を赤らめて笑顔で頷く詩乃。そして、

 

 「前進して、先陣の長尾・森と合流!北上します!アキラ隊は浅井衆と共に本陣の先手を務めます!」

 

 今公明・竹中半兵衛重治はその頭脳をいかんなく発揮し始めた。

 「「「「「「ぶ~~ぶ~~ぶ~~」」」」」」

 「一葉やアキラ隊はともかく、久遠まで」

 「ちゃんと余にもするのだぞ!」

 「我もだ!」

 「「「「私達もですよ!」」」」

 詩乃にキスをした事で、嫉妬した妻達。

 「安心しなさい。全部終わったら、皆さんの体全てに接吻してあげます」

 「「「「「「おおおおおお!やるぞぞおおおお!」」」」」」

 だが、この一言ですぐに戦に戻った・・・人間、欲望に忠実な部分はちょっとだけ鬼に似ているのでは?とアキラはこっそり思った。

 

 

 先手の長尾衆。美空はアキラの姿が見えるとすぐに

 「アキラ!」

 抱き着いて、アキラの顔を見た。

 「ふふ、大胆ですね。それと、最初の仕事お疲れ様です(ちゅ)」

 「う、皆の前で・・・でも、嬉しい」

 「ははは、そんな顔がかわいくていいですね」

 「(かあああ)ふ、ふん!今更ね!」

 彼女の額にキスをして、可愛いと褒めて恥ずかしがらせるアキラ。でも、美空はアキラのいつも通りのアキラであることに嬉しかった。

 「これ以上の事は胸のつかえを無くしてからにして・・・詩乃」

 「はい。出来るなら、別の道で来てるであろう光璃様と連絡をつけてからにしたかったのですが」

 「・・・あいつ、連絡ないの?」

 「ああ。句伝無量も届いてない。まだ範囲内に来ていないからだろう」

 「夕霧に薫君と四天王がいるから心配はしてませんが、ここの地理は彼女らは初めてですからね。山道などで方向が分からなくなっているのかもしれません」

 自分達の土俵である甲斐ならすぐに分かるけど、初めての場所は誰でも目的の場所に着くには時間はかかる。特にルートが山・森の中にあるなら尚更だ。

 「あの・・・自分が」

 「却下だ」

 「久遠の言う通りです。あなたが行ってしまったら、万が一光璃から連絡があった時私達は気づけないし作戦を伝えることもできない・・・何より」

 おろおろしながら捜しに行くと言おうとした小波を久遠が止めた。アキラも同意して彼女を止めた。最後に彼女の額を合わせて

 「鬼が充満しているかもしれない中に、妻のあなた一人を送り出したくない。それをわかってください」

 隊長としてでなく、夫としての頼みで小波を止めた。顔を真っ赤にして、頷いた。久遠と美空と詩乃が羨ましそうに見ているが

 「では、京に入った後の作戦といきましょう」

 軽く流して、次の段階の話を持ち出した。

 

 五条大橋は無事通り抜けた。そうなると次は二条館と禁裏、この二か所の確保である。もちろんそうなると戦力を二つに分ける必要になる。そこで、

 「なら、我らと三若が二条館に向かおう」

 壬月が名乗り上げた。

 「お願いしますね」

 「ああ。久しぶりに暴れてくるわ」

 「あらあら、こちらの鬼も目覚めましたね」

 「それは頼もしい。頼むぞ!」

 「「っは!」」

 久遠の激に二人は答えた・・・だが、それが終わるとアキラに視線を向ける二人。

 「「・・・・・・」」

 「・・・分かりました」

 アキラは意味が分かり、二人に近寄りそれぞれの頬にキスをした。赤くなった壬月と麦穂は嬉しそうにキスされたところを手で抑えた。

 「「「あああ!ずるい!」」」

 三若は自分達は!という眼差しを送った。

 「三人には、仕事が終わったらしてあげますよ」

 「ほ、本当だろうな!」

 「よ~~し!頑張っちゃうぞ!」

 「アキラ様!忘れないでね!」

 「ははは!なら、我等も加わるとするか!」

 「ええ!さあ、皆さん行きますよ!そこまで送ります!」

 それを見て三若が羨ましそうに見ていたが、アキラの一言ですぐに機嫌を直した。キスされて気合の入った麦穂を先頭に森一家以外の織田勢はいなくなった。

 

 

 彼女らを見送った麦穂が戻ってきたところで話し合いを再開した。五条大橋で疲れを癒した森一家は洛中を回り、鬼達を殲滅すると同時に家屋を燃やすよう指示。長尾勢は先手で禁裏に行って鬼を倒して解放するよう指示をした詩乃。

 「家屋を燃やす?」

 美空のこの言葉に頷く詩乃。

 「はい。隠れている鬼達を最小限の被害で倒すのはこれしかありません。また、障害物もなくなることで不意打ちされる可能性も低くなります」

 「だけどよ。そんなことしていいのか?」

 反対はしないが、確認する小夜叉。

 「やってください・・・私が業を背負います」

 「何言ってるんじゃ!さっき、皆でアキラに言っていたじゃろうが!」

 「そうですよ。私が背負う業をあなたや皆が背負うと言った。だから、その業は」

 「俺たち、皆で背負うんだ!それが仲間だろう!」

 詩乃の辛そうにいう中で桐琴・アキラ・小夜叉は笑顔でそう言い切った。

 

 「私に身も心も捧げる。私の妻になる。あなたはそう言いました。その信念を持った妻の持つ業をともに肩に乗せるが夫の私がするべき事!詩乃。さっき皆から言われた言葉をあなたに帰します。ここにいる皆はあなたが好きなのです。あなたの事を支えたいと思っているのです。だから、遠慮せず私達の肩に乗せなさい!」

 

 最後のアキラの言葉に詩乃は泣きそうになるが、必死にこらえた。そして、自分の頬を叩いて気合を入れ直して、竹中半兵衛重治の顔に戻った。

 

 「長尾衆は禁裏に向かってください!そして、必ず解放をお願いします!」

 

 美空達長尾衆に指揮をして、他の隊への指揮を開始した。

 

 

 そして、作戦は開始された。二条館には壬月が率いる柴田衆に三若率いる母衣衆が行き、禁裏には長尾衆が行き、洛中掃除を森一家に行かせて、本陣とアキラ隊と浅井衆は進むたびに念入りに鬼を対峙しながら禁裏に向かう事になった。ただ、この時アキラは一つ違う命令を出した。それは、

 「ああ、分かったよ」

 「任せとけ!」

 「アキラ様、必ず追いつきます!」

 庵樹・時人・朱雀の三人を壬月と一緒に行かせた。二条館と禁裏の拠点確保と解放は時間勝負でもある。禁裏は戦上手の美空達が行く上にアキラ達が向かうので問題ないが、二条館には強力な力を持つ者は壬月しかいない。三若も頑張っているがまだ彼女には届かない。それを補う意味も込めて三人を同行させたのだ。

 今は慎重に進み、アキラは自隊の指揮を一葉に頼んだのだが・・・

 「幽よ!アキラ隊の指揮、頼んだぞ!」

 「では、梅殿に指揮を委譲します!」

 この主従コンビは相変わらず面倒くさい嫌いだった。やれやれと思いながら梅は指揮を受け取って、雫は幽に突っ込んだ。そんな茶番をしながら、

 「小波、地中は?」

 「・・・気配を感じません」

 「ですよね・・・もっとゴロゴロいると思っていたのに」

 「私もそう思っておりました」

 小波と鬼の気配を感じ取るのを忘れないアキラだった。だが、結果はいないだった。

 『・・・誘っていますね。おそらく一か所に集めて後は拠点に適当に置いておく、といったところでしょうか』

 そして、すぐにこの考えが思いついた。

 

 『上等です。それは私も好都合。誘っているなら行ってやりましょう!』

 

 吉野の思惑にニヤリと笑顔を浮かべた。梅の号令に先を進む。

 

 

 禁裏に着きそうな長尾衆は鬼の数を聞いて驚いた。

 「千?それが禁裏にいる鬼の数だというの!」

 「何人もの軒猿がその数を確認したので間違いないかと」

 「少ないっすね。てっきり駿府の時と同じくらいいると思ったっすのに」

 「疑問」

 四人共その数に疑問を持った。

 「御大将、どう思います?」

 「私もそれを秋子に聞きたいわ・・・でも、考えられることは一つ」

 「「目的はアキラ(様)のみ」」

 お互い訊ね合った質問を、お互い自分の智を使って答えたのはそれだった。

 「アキラさんだけってどういう事っすか?」

 「柘榴・・・本当にバカ」

 呆れた視線を送る松葉に悲しむ柘榴。

 「松葉、こういう時にまで言わないで欲しいっす!」

 「柘榴ちゃん。吉野にとって、私達は眼中にないってことなの」

 「あいつの目的は日の本を鬼で支配する事。しかし、奴はその障害となるものをアキラだけと見ているの。私達は敵とすら見ていないわ。だから、禁裏・・・いえ二条館も多分それくらいね。鬼を置くべき場所には多少置いて、後は」

 「アキラに全部ぶつける」

 最後の松葉の言葉で話をしめた。

 「つまり・・・柘榴達、舐められているって事っすか?」

 結局、話の半分も理解できなかった柘榴だが、相手にされていない事だけは分かった。その言葉に三人とも頷いた。

 

 「・・・だったら、柘榴達人間が、鬼よりどれほどの力を持っているか思い知らせてやるっす!」

 

 目に炎が見えるくらい燃えた柘榴。

 「当然よ!越後の龍を舐めた報いは受けてもらうわ!」

 「でも、その為にはまずは禁裏を開放しないと」

 「話、わかった?」

 「わかったっす!いくっすよ~~!!!」

 柘榴の叫びに美空と松葉だけでなく秋子も気合が入り、禁裏を囲っている鬼達に突撃命令を下した。

 

 

 長尾衆が禁裏に到着して鬼と交戦中という情報を受け、それをアキラに伝えた小波。

 「禁裏にいた鬼が千ですか」

 「鬼自体が少ないのでしょうか?それとも」

 「どう思います。アキラ様」

 この鬼の少なさに、両兵衛はアキラに意見を訪ねた。

 「無能の考えることは簡単です。二人と同じ考えですよ」

 「やはり、そうですか」

 「単純が正解。という事ですね」

 雫の言葉に頷く二人。

 「あの、どういうことです?」

 柘榴と同じように綾菜も分かってなかった。歌夜は秋子・美空と同じ説明をすると、

 「プンプンです!綾菜、そんなに弱く見られていたですか!」

 これまた柘榴と同じように切れた。そんな彼女をそのままにするとして、ここまで出た鬼を計算することにした。

 「小夜叉さん達の鬼を倒した数を含めても」

 「おそらく一万超える程度かと」

 「これにさっきの五条大橋・禁裏・二条館を合わせても約二万五千」

 今までの戦いからすれば多い方だが、アキラ達は少ないと見ている。自分達が何万もの兵を連れてくることが分かっているなら、もっと多く用意するからだ。だからこそ、この鬼の数が三人の予想を確信に変えた。

 

 「吉野は、アキラ様を脅威と見ている。だからこそ、鬼の数を少なめにして残りをためている」

 「そして、顔を合わせた時にためた鬼を出すつもりでしょう」

 

 両兵衛の確信にアキラも頷いた・・・その時だった。

 「お頭!鏑矢です!」

 「二本です!長尾衆、禁裏に入れたってことですね!」

 ひよところが嬉しそうにアキラに言った。

 「無能の事は後回しです。今は禁裏に行きますよ!」

 「だな、行くぞ!」

 久遠の号令に皆が元気よく声を出した。

 

 

 その頃の武田衆。ようやく京まであと少しというところまで来た。湖衣のお家流・金神千里で洛中の様子を探った。

 「どうだい、湖衣?」

 「・・・おかしいですね。鬼の数が少ない。ぱっと見でも一万ちょっとです」

 「一万ちょっとでも十分に多いと思えるが、最終決戦の地でその数は確かにおかしいね」

 「どういう事でしょう・・・罠でしょうか?」

 湖衣の困惑している顔に一二三は笑顔で答えた。

 「奇策を用意しているんだね。でも、どんな種類の奇策なんだろうね?」

 「奇策?一二三ちゃん、それって一つじゃないの?」

 「おやおや、智将・山本勘助はそんなこともわからないのかい?」

 「もう~~、そんなことを言っている場合じゃないでしょう!」

 「ははは、すまんすまん・・・話の続きだけど、奇策の種類は三つある。一つ、逆転の一手としての奇策。一つ、状況を有利にするための奇策」

 「・・・それで、最後の一つは?」

 湖衣の真剣な顔に笑顔で答えた一二三・・・だが、

 

 「奇策があると思わせるための奇策さ」

 

 声色は真剣だった。

 

 アキラ達は禁裏に向かうが、鬼が出てくるがために少しずつしか進めない。アキラが本気を出せばすぐに進めるが見落としがある可能性もあるため、結局慎重に殲滅したことを確認しながら進むしかない。アキラ隊は浅井衆と連携して鬼を倒すが、

 「ゆ、う、さ、ん~~。いい加減に働いてくださいな~~!」

 その隊の中で約一名が全然働こうとしないので、梅が怒っていた。

 「ええ~。某、そんな面倒なこと」

 「鞠さんはしっかりと働いているのに・・・そんなに働きたくないなら」

 「おお!わかって「烏さん、雀さん!幽さんを先頭に出してください!」なかった!」

 「おお!!」

 「(こくこく)」

 動かなかった幽を三人で引きずり出して、隊の先頭に連れて行こうとしている。

 「く、公方様~~!!」

 「三人とも「お、お願いしますぞ!」たっぷりと運動させろ!「そのお願いではないですぞ!」ま、たまにはいいではないか。体を温めて来い」

 望みの主にも見捨てられた。そして、

 「か、勘弁してください!そ、某、筆と茶杓より重いものは持てなく」

 「さあ!皆さん!幽さんを先頭に押し立てて、鬼を殺戮しましょう!」

 「おおお!殺戮は任せろ~~ぱんぱん~」

 「(ぐ!)」(拳を強く握った)

 ついに、幽が先頭に立たされた。そして、

 

 「さあ、皆さん!突撃ですわ~~!!!」

 「は、話を聞いてくだされ~~!!」

 

 梅の号令と幽の悲鳴に近い叫びが徐々に遠ざかっていった。

 

 

 その頃、二条館では。

 「オラオラ!僕達に倒されたい鬼はどこだ~~!」

 「ワンワン!邪魔する鬼は倒しちゃえ~~!」

 館の正面の門で和奏と犬子が兵と共に鬼を倒していた。

 「全く、時間との勝負だと言ったのに」

 「ありゃ、まだしばらく時間がかかるね~」

 「あいつら、まだまだだな」

 「そりゃ、若いからね」

 「そうなると、ここらで一発大きいのが欲しいですね」

 だが、手こずっているところもあり、壬月・雛・時人・庵樹・朱雀は呆れて見ていた。朱雀の言った通り、一発大きいのをぶつけてさっさと門を開けたいところだ。

 「さて、雛。私が行くから用意を頼むぞ」

 「ほ~い!鏑矢二本あげま~す」

 そう言って一本目と二本目の時間を少し開けた鏑矢をうった。すると、和奏の黒母衣衆と犬子の赤母衣衆がザザザ!という効果音が聞こえるくらい道を開けた。壬月が出ることに気づいたようだ。

 「あ、壬月。私もいいか!」

 「時人か・・・ああ。構わない」

 「一層の事、門全部ぶっ壊さないか?その方が兵も中に入りやすいだろ?」

 「ふ、ふふふふ!私も同じことを考えていた!なら、やろうか!」

 「おう!」

 「「頑張ってきな!」」

 「うわ~~。織田家最強とアキラ君の妻最強のたっぐだよ・・・とんでもないものが見れそう」

 雛の言葉は見事に的を射ていた。壬月は愛用の斧・金剛罰斧、時人は愛用の刀・北斗七星を持って門の前までやってきた。すっかり、母衣衆の皆はいなくなった。

 「「さて、鬼ども・・・覚悟はいいか」」

 壬月も時人も得物を手に取り、殺意ある眼で門の前にいる鬼達を見た。

 「おい。壬月、斧がどんどん大きくなっているぞ」

 「ふふ、これが柴田家の金剛罰斧だ。見せてやろう、柴田家お家流の威力を!」

 「上等!だったら、アキラの妻最強の私の本気も見せてやる!」

 「なら、どっちが門を大きく壊せるか勝負だ!」

 「ちょ、ちょっと~~何か話がおかしく「いいぜ!やってやる!」・・・あ~。こりゃもう聞こえてないや」

 二人の間に火花が散った。雛が呆れる中、二人とも目の前の鬼と門をめがけて

 「この、柴田家お家流で地に帰すことを誇りに思うがいい!」

 「光栄に思え!貴様らにこの私が全力を使った技を出す事を!」

 最強の技が放たれた。

 

 「五臓六腑を、ぶちまけろーーー!!!!!」

 「北斗七連宿に、ぶち消されろ~~!!!」

 

 目の前の鬼達が二人の技であっという間に消されていき・・・門をぶち壊し、更に地面すら揺らした。二条館の門が完全になくなり、その前の地面が大きく削られていた。その惨状を作った二人は笑顔でハイタッチをして、得物を納めた。

 「ふ、二人とも、満足そうな顔にならないでよ~」

 寿命がガチで縮んたと思っている雛が、冷や汗をたくさんかいて二人に突っ込んだ。足はガタガタ震えており、雛の傍にいる和奏と犬子も同じ様に震えていた。そんな三人を見て、やっぱりまだまだだなと思った二人だった。

 

 

 二条館・禁裏、内部の鬼殲滅開始。

 




 
 原作だとあの人がうまく陥れる策を使ってましたが、無能だけだと策とすら呼べない展開になりそう・・・。

 実際、原作で見ても格はあの人の方が上ですからね。では、次回をお楽しみに!




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百十二振り目 決められた戦場(ち)へ・・・そして、真実

 
 どうも。三MENです!

 この話でエーリカの事が全てが分かります。覚悟を持って読んでください。


 

 壬月・時人の必殺技による地震はアキラ達を驚かせた。

 「ほう、懐かしい揺れだな」

 「懐かしい?どういうことですか?」

 「大方、壬月が柴田家お家流を使ったのだろう。かつて織田家の勢力争いで、当時我の妹側についていたあいつがそれを使った時と同じ揺れ・・・いや、これはそれ以上の揺れだな」

 「その敵の将を引き入れたあなたもすごいですが・・・それ以上の揺れというのはおそらく時人も加わってやったからだと思います。これほどの威力のある技を使えるのは時人以外いませんし」

 「「・・・・・・(ガタガタガタガタ)」」

 アキラの説明に、ひよところがいきなり震えだした。

 「ひよ!ころ!どうしたの!」

 「多分、春日山城で千貫門を壊した時のあの技を思い出してるです!あれは、今思い出してもすごかったです!ね、小波!」

 「はい・・・自分も呆けてしまいました」

 「綾菜が絶賛して、小波が呆然とするなんて・・・そこまで凄かったのですね。あの時はアキラ様が細切れにした大手門しか見えてなかったので」

 震えだす二人に駆け寄る鞠に綾菜が説明をする。その説明と小波の一言に歌夜は見てみたいと言う気持ちになった。

 

 その後、時間をかけたが無事長尾衆が開放した禁裏までたどり着いたアキラ達。その時に、壬月達もやはり二条館の鬼を一掃して開放したという鏑矢が見えた。

 「アキラさん!お願いです!早く角隠しを私にかぶらせてください!」

 だが、その報告後いきなり秋子からそんな言葉が出た。

 「あの?何の事で?」

 「角隠しとは嫁が祝言の時に被るものです」

 「雫、別にそれくらいは分かってますよ。ただ、どうしていきなり言われたのか?と言う事を聞きたくて」

 「ああ、それなら」

 美空の説明で、さっきの地震を起こした壬月を化け物呼ばわりしていたら長尾では秋子が化け物扱いされてしまい、そのせいでまだ未婚をさす意味を込めて美空がそれを被れるといいわね。と言ったところにアキラが到着して・・・との事だった。

 

 その後、禁裏に拠点を置き今だ現状は鬼達に囲まれている状況なので長尾衆は森一家と合流。共に鬼殲滅をするようにとの事。森一家にも説明した家屋を焼き払う事には驚いたが、詩乃の信念を聞き共に支え合おうと妻の連帯の強さを見せた。

 「じゃあ。そろそろ行くけど、アキ・・・旦那様」

 「・・・はい」

 今まで旦那様と呼ぶのは楽しんでいる時くらいだった。しかし、今回は違う。彼女は気持ちを込めて言っている。だからこそ、アキラも真剣に返した。

 「いいこと。これだけは約束して・・・無茶をしないと」

 「ええ、しませんよ」

 そのお願いに返答した。そして、美空は

 

 「私達は、ここにいない光璃やほかの皆も、あなたに幸せにしてほしいの。だから、無茶して・・・いなくなったりしたら、ゆ、許さないんだから!」

 

 顔を赤く、でも真剣な顔を言葉でアキラに自分の想いを言った。

 「・・・分かりました。必ず皆を幸せにするためにも、無茶はしませんよ」

 「うん。よろしい!」

 その言葉で笑顔に戻り、久遠に禁裏を任せて彼女は鬼殲滅に向かった。

 

 

 長尾衆が出て行き・・・ついに

 「詩乃、大軍の指揮苦労。持ち場に戻って、後は夫を支えてくれ」

 「っは!」

 詩乃がアキラ隊の頭脳が戻り、そして

 

 「さあ、行きますよ皆!」

 

 アキラ隊出陣、黒幕・吉野を倒しに行く。この準備が整ったのだ。

 「おおおおおおお!!!!」

 「やれやれ、暴れられると知ってこの張り切りよう・・・普段の仕事の意気込みもこれなら嬉しいのですが」

 「何を言う!余は隊の指揮という重要な仕事をしていたではないか!」

 「その指揮、某に投げてよく言えますね」

 「その台詞もあなたが言うのはおかしいのではありません?全く、呆れるほど似たもの主従ですわね」

 「「よしその喧嘩買った!」」

 「茶番はそこまでですよ」

 ようやく、暴れられるので大興奮の一葉。そんな彼女に突っ込む幽・・・更にその彼女に突っ込む梅。コンビがツッコミを入れたすぐ後に今度は雫が突っ込んだ。

 「綾菜!鬼がいたら二人で突っ込もうぞ!」

 「お~~!です!」

 「もう~~、二人とも、やめてください!」

 「歌夜はうるさい姉じゃのう~」

 「・・・公方様がダメな妹。自分で言いますか、それ?」

 「そんな扱い、したくありませんよ・・・」

 更に、血の気が多い二人がワクワクしているところに突っ込む歌夜に文句を言うが、幽がその文句に物申した。そして、歌夜はがっかりしてそうつぶやいた。

 「ま、これがアキラ隊ですからね・・・」

 だが、アキラはこれが自分の隊らしいと流した。

 「ですが、ハニー。黒幕の居場所が分からないと話が始まりませんわ」

 「はい。この京は広いです。捜しているうちに囲まれては元もこうもありません」

 「ですね、せめて目的地がないと出陣もできません」

 梅・詩乃・真琴の言葉は最もだ。吉野の居場所は京にいると言う事だけであり、どの場所にいるかまでは知らない。しっかり絞らないとアキラ隊は浅井衆と共に行動するとはいえ、余計な労力を使う事になる。

 だが・・・

 『もし私が吉野の立場なら・・・』

 アキラは既に行く場所を予想していた。

 「あの、私が「いえ、場所は分かります」え?」

 小波が調査に出ようと言いかけた時に口を開いた。それは、ほかの皆も同じだった。だが、それに気にせずアキラは幽に振り向いた。

 

 「幽、本能寺はどこですか?」

 

 そして、その場所の確認をした。

 「本能寺ですか?禁裏からはそんなに離れておりませんが、もしやそこにいるのですか?黒幕が」

 「ええ。私が吉野として考えるならここ以外考えられません・・・挑発もできますからね」

 「主様。どういう事じゃ?」

 「・・・エーリカ。もう一つの名は明智十兵衛光秀。私の知る歴史では、その者の最も因縁深い場所がそこです」

 幽と一葉の疑問に答えた。アキラが思ったこと・・・それは

 

 『エーリカが苦しんだ。そして、それを私が気付いていることに奴も気づいている。だからこそ、奴は挑発する意味も込めてここにした。(ぎり)悔しいが、乗せられてしまいそうなのが否定できない!』

 

 エーリカの本来の因縁深い場所を選ぶことで、アキラを苦しめられる。それを吉野は楽しそうにやろうとする。

 

 『お願いします。私の、本当の、願いは・・・もう叶えられません。だからこそ、せめて、せめて・・・』

 

 彼女のあの苦しみを吉野の嘲笑う姿が見えてしまい、思わず歯ぎしりまでした。これもまた狙いだろうと分かっていても、アキラは抑えられない。顔には出さないようにしたが、両手は力強く握られていた。

 「じゃあ、行きましょう!そこに!」

 「お頭が言うなら間違いありません!」

 「うん!行こう!全てを終わらせに!」

 そんな辛そうなアキラを見て元気な声を出すひよ・ころ・市。その声にアキラ隊・浅井衆ともに叫ぶ。アキラも自分の頬を叩いた。

 「ええ、終わらせましょう!出陣です!」

 「「「「「はい!」」」」」

 アキラの掛け声に全員が気合の入った顔で答えた・・・ついに出陣した。

 

 

 その道中、鬼の襲撃も考えていたが一匹も来なかった。しかも、鬼はおろか生き物の命の気配すら感じない。お家流により精霊を感じられる幽も、それすらいないことに不気味に感じていた。そんな道をアキラ達は通っている。つまり、向こうは既に近づいていることに気づいているということであり、妨害なしで進ませてやるから早く来い。とも意味とれる。だからこそ、

 

 「構いません。どうせ私が来ることは向こうも知っています。道を用意してくれるのなら進むのみです」

 

 アキラはそう言って、先を進ませた。ほかの皆も不気味がったが、進むしかないので言われた通り進んだ。

 

 

 ついに・・・本能寺の前に到着した。

 「静かですね」

 詩乃の言葉に皆が頷いた。そして、それは

 「・・・・・・」

 アキラもだった。本能寺の門を見た時に口が開かなくなった。そして

 「開けますです!」

 一番前にいる綾菜が開けて、皆が入った。全員が入りきり、中をじっと見回したがどこにも気配が感じられない。だが、アキラは既にビンゴと確信していた。

 「主様。いないようじゃぞ」

 「ですな・・・外れ」

 幽が外れのようですな、と言おうとした時にひとりでに門が閉じた。

 「な!」

 真琴が驚き、十数人の兵が開けようとしても開かなかった。

 「ほう~、中々いい演出じゃのう!外れと思わせて当たりとは!」

 「そんなことを言っている場合ではありませんよ!公方様!」

 「私達閉じ込められちゃいました!」

 一葉がワクワクしたところにひよ・ころが突っ込んだ。

 「!!みなさん!地中から来ます!すごい数の鬼の気配が!」

 小波の叫びにアキラ隊・浅井衆はまとまったところに何百もの鬼が姿を現した。

 

 「くくく、よく来たな」

 

 そして・・・その鬼達に守られるように宙に浮かんでいる吉野の姿があった。

 「吉野!!!」

 アキラがそこまで飛びあがり、愛刀・努力と友情を抜いて斬りかかった。

 「おおっと!ふふ、随分と熱いな」

 「貴様だけは!貴様だけは!」

 だが、数体の鬼が守るように斬られた。同時に、着地したアキラを何匹か襲おうとしたが

 「邪魔をするな!」

 夢氷月天を放ち、その鬼を倒した。

 「アキラ様!何を!」

 「も、戻って来て下さい!」

 アキラのいきなりの行動に呆然としていた詩乃と雫が慌てて戻るよう言った。

 「・・・すいませんでした」

 更に襲い掛かる鬼達にもう一発夢氷月天を放って倒してから、隊の方に戻っていった。

 「ハニー!何をしていますの!」

 「アキラ!ダメなの!」

 戻ってきたアキラに説教をする梅と鞠だが、聞こえていない感じだ。

 「な、何がどうしたのです!」

 「アキラ様らしくありませんよ」

 綾菜と歌夜もいつものアキラじゃないことに疑問だった。そんな中、

 

 「ご主人様・・・初めて命令を破ることをお許しください」

 

 その理由を知っている小波が口を開いた。

 「や、やめなさい!」

 その事にアキラが止めようとしたが、首を横に振り

 

 「皆さん・・・今まで隠していたことを話します。エーリカさんは尾張に戻っていません。いえ、もうこの世にいないのです」

 

 苦渋の決断と想いを持って、口を開いた。

 

 「「「「「「・・・・・・え?」」」」」」

 

 彼女と親しいアキラ隊や浅井夫婦は絶句した。そんな彼女達に小波は苦しそうに語り始めた。それは、坂本城で夜エーリカがアキラに泣き付いて、少し落ち着いた時の事だった。

 

 『アキラ様。お願いがあります』

 『何でしょうか?頑張ったのですから、願いは叶えますよ』

 『私・・・私を刺してください』

 『な!え、エーリカ!何を言うのです!』

 『お願いします。アキラ様、あなたにしか頼めないのです!』

 『・・・・・・』

 『お願いします。私の、本当の、願いは・・・もう叶えられません。だからこそ、せめて、せめて・・・』

 ここから少し沈黙があり、そして涙まみれの顔になって口を開いた。

 

 『鬼に、鬼に・・・犯されたんです私。もう(ぐす)、もう!私の願いであるあなたの妻になれない!いいえ、それだけじゃない!このままでは、また鬼を作り出してしまう!そんな体になってしまったのです!せめて、せめて!これ以上作らないためにも!私は、この世界を苦しめたくない!その為にも・・・私を刺してください!』

 

 彼女の口から出た言葉は余りにも残酷なことだった。鬼に犯された。そして、また鬼を作り出してしまう。つまり・・・あの鬼子を彼女は作ってしまったという事だ。

 『吉野・・・あの外道が!あなたの気配から、かすかに鬼の気配も感じていた。最初は鬼の血か何かを飲まされたと思っていたが』

 アキラが感じた違和感というのは今言った通り、エーリカの気配に鬼の気配も交じっていた事だった。当初はそう思っていたが、自分に抱き着きこれ以上ないほど泣き喚いた。そこで予想が、かつて桐琴・小夜叉と倒した鬼子の考えにいった。

 もし、その考えが正しかったら・・・鬼の気配が彼女の気配に混じるのも納得できてしまうからだ。最悪かつ考えたくない事実だったが、

 

 『これしか、私にはできないのですか』

 『お願いします。私は、もう・・・』

 

 刺される覚悟を持っている彼女の姿を見れば、それが真実だと嫌でも理解してしまう。悔しかった・・・これしか助ける方法がないことが。

 『・・・分かりました』

 一歩前に出て、アキラは努力・友情を抜いた。エーリカはそこで襦袢を脱いだ。月明かりに照らされて彼女の裸体が見えた・・・その姿は聖女と呼ぶにふさわしい美しいものだった。

 『この美しい綺麗な体に・・・私の妻になるためだけに、鬼達を裏切ってまで私の為にやってくれたあなたに』

 『アキラ様・・・お願いです。あなたの事を想い続けたまま散りたいのです』

 この鬼の気配・・・これを持ったという事はいつかは鬼になってしまう。葵の時のように呪われたけどすぐにアキラが解呪すれば問題よかったが、既に時間が経ちすぎていた。しかも、この刀の事は彼女も知っている。彼女自身も既にこれ以外方法がないと理解していたからこそ、最愛の人に刺されることを望んだ。

 だが、アキラは

 

 『・・・・・・できませんよ』

 

 その場に努力・友情がアキラの手から抜けて落ちた。

 『私への愛を誓い、その信念を持った女性を殺すなんて・・・刺すなんて』

 その手が力強く、悔しさと辛さを込めて握られた。前のアキラであれば刺していたが、今のアキラはたくさんの女性と会い、好きになり、愛を知り、そして数多くの皆が自分を愛している。その彼女達の愛を、彼は本当はとても嬉しかった。

 だが、今はそのうちの一人が自分を殺してほしいと言ってきたが・・・どうしてもできなかった。その力なき手をすぐ目の前まで近寄ったエーリカは優しく掴んだ。

 『・・・アキラ様。私はあなたを愛した。努力して、苦しみぬいても前に進もうとするあなたを心から好きになりました。でも・・・私が進む障害となっているなら』

 彼女は努力・友情を拾って、アキラから離れた。

 

 『や、や、やめなさい!』

 『アキラ様・・・愛してます』

 

 慌てて手を伸ばすが・・・エーリカは自分でその二本で・・・・・・自分を刺した。

 『え、エーリカ!!!!』

 倒れようとする彼女を慌てて抱き起こす。

 『アキラ様・・・お願いです。最後に・・・キス。を、誓いの・・・キスを』

 『・・・・・・分かりました』

 苦しい顔をやめ、目をしっかり開いた。

 『エーリカ。これは、夫と妻のキスです』

 『夫と・・・妻、の・・・あ、アキラ、様』

 『あなたは私の妻です!あなたは・・・必ず、戻ってくるのです!私の元に!』

 『・・・はい。アキラ様、必ず戻ります・・・あなたに愛されるために、愛してもらうために』

 この先は、キスをした後に言った。

 

 『絶対に・・・戻って、来ます。あき・・・いえ、あな、た』

 

 そして、最後に妻として名前ではなくあなたと言い、その場で光の粒子になって・・・姿を消した。その光が無くなり、アキラの腕にあった彼女の温もりが無くなった。

 『・・・・・・』

 この時、アキラは生まれて初めて愛する人を失う悲しみに襲われた。泣くことも、叫ぶことも忘れ、

 

 『エー、リ・・・カ』

 

 彼女を抱きしめた手のひらを呆然と見ていた。

 

 

 「その後、私が屋根裏にいるところを呼んで・・・この戦いが終わるまではエーリカさんは尾張に帰った事にするようにとの命令を受け、今まで誰にも話しませんでした」

 小波の話が終わった。アキラも止めるのを忘れた・・・いや、その時の事を思い出したがために動けなかったのかもしれない。ただただ、全身を震わせてその時の悲しみを思い出したのか我慢している姿が、この場にいる皆には痛々しく見えた。

 そんなアキラに

 

 「はははははは!何だ、自害したのか。てっきりお前が殺したと思っていたがな!」

 

 大笑いする吉野。その態度に、

 「許せん・・・こやつだけは、首を切っても、バラバラにしても許せん!」

 一葉の怒りの激昂に皆も続いた。

 「エーリカさんがどれだけ苦しんだと思っているの!」

 「しかも、お頭も心の痛みを、悲しみを抱えたんだよ!」

 「同じ妻として、必ずエーリカさんの仇を撃ちます!」

 「同じ天守教の信者としてだけでなく、同じハニーの妻としてあの人の想いをバカにすることなど許しませんわ!」

 「私も、絶対に許せません!」

 「エーリカを、エーリカをバカにするのは許せないの!」

 「それがしも、これほど怒りが沸くのは初めてです」

 「エーリカは信念を持って散ったのです!それを踏みにじるなんて、この本多綾菜忠勝が許せないです!」

 「アキラ様に大きな悲しみを抱えさせた。その報いを受けさせます!」

 「ご主人様は・・・心で泣いておられました!!」

 「エーリカさんにはたくさんの事を教えてくれました。この浅井長政、彼女の仇を必ず討つ!」

 「うん!まこっちゃん!私達の力で絶対に倒そう!」

 その叫びにアキラは顔を上げた。全員の想いが一つとなった・・・エーリカの仇を討つ!これだけが、今の皆が動かす想いの力だった。

 

 「アキラ隊・浅井衆!目的は一つ!吉野を倒し、日の本を救い・・・エーリカの仇を討つ!皆、行くぞ!」

 「「「「「「おう!」」」」」」

 

 アキラ隊・浅井衆VS吉野・鬼集団。最終決戦が幕を開けた。

 




 
 以上・・・これがエーリカに起こった事でした。彼女の苦しみを知ったアキラも皆も怒りに燃えて戦いに挑みます!

 次回は、アキラ怒りの攻撃です!

 


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百十三振り目 咆哮と集結

 
 こんばんイブニング!三MENです!

 今回はオリジナルの戦いがあります!では、どうぞ!


 

 洛中のいたるところで、本能寺での開戦を知らせる銃声が響いた。

 

 禁裏にいる織田勢。

 「銃声!こんなに連続で聞こえるという事は・・・アキラ、戦いを始めたか!」

 「!!久遠様、小波さんから念話が入りました!敵は本能寺にあり!」

 「本能寺か・・・よし!我は行く!麦穂、ここを頼む!」

 「そんな!久遠様が「夫が死地にいるんだ!妻も行かなくて何が妻だ!」う」

 「ははは、懐かしいですな。織田家の紛争の時もそれくらい意気込んでましたな」

 「壬月様!久遠様「止まるようなお方ではないさ。お前もわかってるだろ」・・・分かりました」

 「ですが、一人では行かせません。未熟な三バカを連れて行ってください」

 「「「三若です!」」」

 「二条館の方はどうだ?」

 「時人達に任せました。大丈夫です、しっかり守ってくれます」

 「よし!行くぞ、和奏!雛!犬子!我らの夫の元に!」

 「「「おう!」」」

 『・・・小波さんらしくない怒りの感情が入った報告だったけど。アキラ殿、いったい何が・・・私も、行きたい!』

 

 洛中で森一家と鬼殲滅中の長尾衆。

 「ん?この銃声は!」

 「これだけ連続の銃声って」

 「アキラ隊以外ない」

 「御大将!アキラさんが黒幕・吉野と対峙したようです!場所は本能寺だそうです!」

 「本能寺ね・・・柘榴!あんたは森一家と一緒に掃除を続けなさい!私は松葉と一緒に本能寺へ行く!夫の傍にいくわ!」

 「ほう~~、言いおったな!小娘!」

 「か~~、焼けるね~。アキラが関わると越後の龍も乙女になるんだな~」

 「ふふ、何言われても恥ずかしくないわ!さあ、行くわよ!」

 「松葉!御大将を頼むっすよ!」

 「任せる」

 「御大将、気を付けて!」

 「各務!お前も行きたいじゃろう!行ってこい!」

 「俺達も掃除が終わったら行くぜ!」

 「・・・ありがとう!」

 『小波さん。どうしたのかしら・・・感情を必死に抑えた草らしくない報告だった。アキラさんに何かあったのでしょうか?』

 

 ようやく、京に入った武田衆。

 「銃声が!」

 「しかもこれだけ鳴り響くってことは」

 「アキラ隊以外ありえないのら!」

 「つまり、最後の決戦が始まったという事だぜ!」 

 「姉上!」

 「うん。二手に分ける。禁裏に行く隊と」

 「お兄ちゃんのところだね!お姉ちゃん、私と夕霧お姉ちゃんが禁裏に行くから、お兄ちゃんを助けてあげてね!」

 「姉上、兄上をよろしく頼むでやがる!」

 「二人ともありがとう・・・一二三」

 「は!先の銃声の場所ですね。小波の句伝無量があればよかったのですが・・・麦穂殿に渡してしまいましたからな。おそらく、中心よりやや東かと」

 「分かった」

 「よし!これより二手に分かれる!各々、健闘を祈る!」

 『夫殿。待っていてくれ』

 

 吉水の村に着いた松平衆。

 「・・・始まりましたね」

 「葵様?」

 「悠季。戦いが始まったわ」

 「戦う音など聞こえませぬが、女の勘ですか?」

 「ええ。アキラ様が必死に戦っている・・・私も傍で」

 「・・・葵様」

 「分かっているわ。私たちの使命はここを調査すること・・・でも」

 「ですが、それが終われば後は自由ですので、京に行っても咎められません」

 「・・・ありがとう」

 「兵達には早急に済ませるようにいたしますので、お待ちを」

 「ええ・・・アキラ様。ああ、葵が必ず参ります」

 『アキラ殿。用が終わったら、参りますからな。これは葵様の為であり、あなたの為ではありませんぞ!』

 

 

 織田・長尾・武田が共に本能寺に向けて出陣を始めた。その本能寺では、

 「く!邪魔が多い!」

 「全くじゃ!進めない!」

 「これは、手間がかかりますぞ」

 「でも、頑張るの!」

 銃声がやみ、弓・槍隊で攻撃をして、弾を装填中にアキラ・一葉・幽・鞠が出て鬼達を斬りまくったが、

 「ははは!まだまだいるぞ!」

 吉野がどんどん鬼を出すため、中々前に進めない。憎い敵が目の前にいるのに、鬼が多すぎるためすぐに行けない。アキラも夢氷雹天を数回やり、一葉と鞠もお家流を使って既に百以上の鬼を消しているが、少なくなる気配がない。

 自分達以外にも

 「浅井衆、ここが死に場所ぞ!」

 「市も頑張るから、皆も頑張って!」

 「ああもう!鬼が多くなりすぎですわ!」

 「ううえええん!多すぎだよ!」

 「・・・」「弱音吐く暇あるなら指動かせって、分かっているよ!」

 真琴や市、梅達鉄砲隊も必死に頑張っている。だが、やはり減っている気配がない。

 「この洛中は本当に人が多くてよかったわ!これほどの鬼を作れたのだからな!」

 「ええ!な、なら、この鬼達って!」

 「洛中の、民!」

 笑いながら言った言葉にひよところが反応した。ほかの皆もその事実に驚いた。

 「ひどい・・・皆、必死に生きてきたのに!」

 「歌夜!悲しむ暇などないのです!綾菜はそれでも戦うです!その民の人達が安らかに眠れるために!」

 「・・・綾菜。そうなの!鬼になった人を救うためにも、鞠も戦うの!」

 残酷な事実に歌夜は悲しんだが、綾菜と鞠は倒すことで救える!と皆にいって自分の得物を振り続けた。

 「綾菜、鞠さん・・・ええ!私も頑張るわ!」

 その言葉に歌夜も気合が戻った。

 

 

 鬼をまだまだ出す吉野だが、

 

 「ふふ、そろそろ本命を出すか!」

 

 腹立たしい笑顔を出したと同時に、手を前に出した。

 「さあ、そいつらを皆殺しにしろ!」

 すると、ある一匹の鬼が出てきた。だが、周りの鬼達とは明らかに雰囲気が違っている。しいて言うなら、武田信虎を更に上手にしたような感じで刀を持っていた。

 「ほう!どうやら手ごたえのあるやつが(がき!)な!は、はじかれた!!」

 その鬼が一葉に襲い掛かった。彼女は攻撃をかわして、間合いに入って刀を一閃して倒そうとしたがその刀が何と効かず、その体にはじかれてしまった。

 「何と!公方様の刀をはじくなど、どれほどの固さなのですか!」

 「だったら綾菜がやるです!」

 次は綾菜が斬りかかったが、

 「えええ!信虎のように斬られたところが治ったです!」

 「ど、どうなってるの!」

 彼女の槍はその鬼を斬ることは出来たが、かつての信虎のように治ってしまった。しかも、あの女のように腕をくっつけてではなくあっという間に傷口が無くなった。その事実に全員が驚いた。そんな中で、

 

 『・・・まさか、こいつが!』

 

 アキラは感じていた・・・この鬼から感じるある気配に。その推測がほぼ間違いないだろうと思い、刀を握る手に力が増した。

 「はははは!どうだ~、一体しかいないのが残念だが、強さなら最強の鬼だ!」

 一体しかいない。これで確信に変わった・・・彼女の気配を感じる理由が。

 「・・・吉野。まさか、これが」

 「ふふ、察したか。そうだ・・・こいつが」

 腹立たしい笑顔が、殺意の湧く笑顔になった。

 

 「あの女を鬼に犯させて、産まれさせた鬼子だ!」 

 

 この時ほど、アキラは感情を抑えられない顔になった。でも、それは彼一人だけではなく、彼女らも殺意が沸いた。この中で心優しいひよですら、この時は殺意が出た。

 「これが!これが・・・どれほどの辛さだったのか!」

 怒りに燃えたアキラ。目蓋を開けたその目は真っ赤だった。その時、感情が爆発しそうなアキラは気づいてなかった・・・紫微垣が光っていたことに。そして、その光が空に飛んで一塊になったと同時に四か所に向けて飛んでいったが、全員が吉野への怒りで我を忘れていたので気づかなかった。

 「傑作だったぞ!泣き叫び、助けを乞うあの女の悲しむ顔はな!せっかく朕の役に立てたというのに」

 「私は、私は・・・これほどはらわたが煮えくり返る経験は初めてです!」

 「ははは!さあ、こいつを倒せるかな?」

 徐々に前に歩いていった。怒りを抑えきれないアキラはパッと見るだけでもわかるくらい震えていた。

 「アキラ様!それ以上は危険です!」

 「気持ちは分かりますが、いったん戻ってください!」

 詩乃と雫が止めるがやはり聞こえてなく、鬼子の前まで歩いた。そして、

 

 「おおおおおおおおおおお!!!!!!」

 

 これ以上ないほどの怒り・殺意・憎しみの込めた叫びをした。

 

 

 紫微垣の出した光の一つが

 「な、何だこりゃ!」

 「ええ?どうなっているの!」

 「久遠様。空を見るんだワン!」

 本能寺に向かう久遠達のところに止まった。そして、その光が

 「あ、アキラ!」

 アキラの叫んでいる姿を映していた。

 

 それは、久遠のところだけでなく

 「あ、アキラが・・・こんなに叫ぶなんて!」

 二つ目は美空のところに。

 「アキラ!急ぐ!」

 三つ目は光璃の所に行って、同じようにアキラの叫ぶ姿を映した。そして、その映った映像には

 

 「「「アキラ・・・泣いている」」」

 

 アキラの赤き眼となった目から一筋の雫が頬を流れ落ちたのを、三人は見た。

 

 

 「エーリカ・・・心を楽にしてあげます」

 「主様!そやつ、今までの鬼とは違うぞ!」

 「です!信虎より手ごわいです!」

 「大丈夫です。今の私は負けない。エーリカを、私の妻の、本当の苦しみから解放させるためにも!」

 努力・友情を構えて、鬼子と向き合った。

 「さあ、鬼子。その異物を殺せ!」

 「吉野。教えましょう・・・私の怒りを!」

 アキラはその刀を一つにして振りぬいた。そして・・・

 

 「無明神風流殺人剣!奥義・青龍!」

 

 最後の奥義を発動させた。すると、とても強い風が出てきた。

 「こ、これって、まさか夢のあの技!」

 体が吹き上げられそうな強風に思わず小波が叫んだ。過去の夢の青龍の技を思い出した皆。

 「皆さん!飛ばされないように!」

 「皆!今は体を飛ばされないようにするんだ!」

 詩乃と真琴の指示で何とか、アキラ隊と浅井衆はそのままだったが。

 「ぐ、ぐぬぬ!何だこれは!」

 吉野や鬼子、他の鬼達はどんどん風に負けて、いきなり出た竜巻に飲み込まれていった。奥義・青龍は、みずちを十六個も放ちそれを渦にして、竜巻にする技。どんどん吉野と鬼子が竜巻の上の方に持ち上げられていく。

 

 「吉野、鬼子」

 

 そして、体を持ち上げられた二人が無防備となったところに

 

 「あなた方も、知ったでしょう」

 

 竜巻のてっぺんにいるアキラが一撃をぶち込む技。それは・・・

 

 「青龍・・・そして」

 

 まさに龍の放つ怒りの一撃だ。

 「く!鬼子!我を守れ!」

 竜巻によって無防備の上、動くこともできない吉野。うまいこと隣にいた鬼子を盾にして、

 

 「私の怒りを!」

 

 アキラの龍の一撃を防ぐことができた。だが、鬼子は致命的な一撃を受けた。

 「っく!ふ、ふふふ、ははははは!残念だったな!鬼子はどんな攻撃も全部治すことができる!」

 青龍が無くなり、地面に落ちた吉野達。無駄な一撃とののしったが、

 「さあ、鬼子!その愚か者にトドメを刺せ!」

 鬼子は返事がなかった。いや、動こうとしなかった。

 「どうした!何をしている!」

 「ふ、愚か者はどっちでしょうね」

 命令を聞かない鬼子に怒りを出す吉野を嘲笑うアキラ。

 「もう、その鬼子は死んでいますよ」

 「何!」

 「これが・・・無明神風流ではない私だけが持つ最大の技。グランド・クロスの更にその上のエンド・クロス。斬った瞬間全てを凍らせる技」

 これは、ヘルバーストではなくヘブンズバーストでグランドクロスをしたのだ。ただ、ヘルバーストの時とは違って凍り付く速度が半端ではない。人間であれば、瞬き数回で体が凍り付き、十回もしないうちにその体の内部も全部凍り付かせる技だ。しかも、

 「ふざけるな!鬼子が、この程度の技で!」

 「この技は斬られた相手すら、知らないうちに命の炎を凍らせて散らせる技。人であろうが鬼であろうが、その命が凍ってしまっては散っていく定め・・・エーリカ、あなたの心。無事に解放させましたよ」

 どんなものであろうと、少しでも斬りさえすれば凍らせて倒せる技だ。これで、体を残して命を無くした鬼子は

 

 「全てを、無へ」

 

 アキラの一閃で真っ二つにされ、地面に落ちた拍子に完全に割れて散っていった。

 「・・・ふふふ、なら、あれをやるか!」

 だが、吉野はそれに動揺しなかった。むしろ、新しいおもちゃで遊んでやろうとする子供のような楽しそうな顔をした。吉野が地面に手を付けて、何やら力を送っている。

 

 その頃の森一家。

 「あれ?妙だな」

 「ああ。変だな」

 「あの、お嬢に姉御。何が変なんですか?」

 「相変わらず能無しだな、お前は」

 「全くじゃ・・・鬼共が一斉に姿を消したのじゃ」

 「鬼共が?あ、そう言えば!」

 「・・・林のばあさんは何と言っている?」

 「へえ、一か所に集めているという事だそうで」

 「ほう~~。と言う事は」

 「・・・へへ、母も同じ考えか!よし!おいお前ら!ばあさんと共に鬼掃除をしろ!俺と母は行ってくる!」

 「へ?行くって何処に?」

 「決まっているじゃろうが!」

 「「神殺しじゃ(だ)!」」

 これ以上ない楽しみのこもった顔の二人が、本能寺に向けて出発した。

 

 鬼子が消え去ったことで皆が喜びに満ちた。

 「皆さん!アキラ様が道を開きました!」

 「私達も負けずに道を作りましょう!」

 「さああ!いっくよ~~!」

 「「「「「「おおおおおお~~~!!!」」」」」」

 詩乃・雫・市の激で兵達も気合が入った。そして、次々に現れる鬼に負けてなるものか!と気合を入れた。

 そこに、

 

 「アキラ!妻が来たぞ!」

 

 久遠が到着した。

 「僕達もいるぞ!」

 「三若、とうじょ~~!しゃきん!」

 「アキラ様!お待たせだワン!」

 その後ろには三若もいる。更に、

 「甘粕衆、せんと」

 「アキラ!やっと会え」

 

 「うちの旦那を・・・よくも泣かせたわねえええええ!!!」

 

 美空も到着した・・・松葉と各務の言葉を遮って叫ぶほど、アキラの涙で心配していたようだ。

 「久遠、美空!」

 一気にこちらも味方が増えたことにより、形勢も有利になってきた。

 「アキラ、無事か!」

 「大丈夫!泣いていた姿が見えたけど!」

 「え?何の事ですか?」

 アキラは、いやアキラ隊と浅井衆もあの光の現象を知らないので、美空の言葉にキョトンとした。そうしているところに、

 

 「アキラ!よかった!」

 

 光璃達も到着した。彼女らもまた到着した。これで、アキラ達の方も多くの心強い味方が揃った。

 「さあ、私達(ゴゴゴ)む!何が」

 アキラ達が吉野に顔を向けると、地震が起こった。その時、

 

 「はははははは!さああ、これでこの世は朕の望む世界になる!」

 

 吉野が狂った笑いをした。それと同時に本能寺の境内からとても黒い柱が出てきた。しかも、その柱は遠くに見える山や林からも出ているのが見えた。

 「吉野!貴様、何をした!」

 「言ったであろう。朕の望む世界になると・・・この世界は鬼の世界になるのだ!」

 「まさか、その黒い柱って」

 「ああ、鬼の元となる怨念だ!日の本の全部に送り届けてやったわ!」

 「・・・いつまでも、迷惑な存在」

 「何を言う!朕こそが王にふさわしい存在!貴様らは朕の部下になるべき存在!そもそも、民は人間ではない!民は鬼!それこそ朕の求める日の本の民だ!」

 「・・・三人共、あの無能な妄想家吉野は一体何者ですか?」

 久遠達と吉野の話で、日の本中にこの鬼の怨念(たね)とも言うべき黒い柱が出ていることを知ったアキラだが、そもそも吉野はいったい何者なのか?それを知らないので確認した・・・十分に挑発も含めて。

 「あやつはアキラと同じ、この世界ではない存在。そして、アキラと同質の者」

 「その正体は持明院統に喧嘩を売った野心家・吉野よ」

 「確かに英傑呼べる頭脳はある・・・でも、地位と立場を欲するあまり、怨霊になっていたなんて」

 「ふん!そもそも、そいつほど王にふさわしくない人間はいない!ただの商人の息子として産まれた選ばれることのないその男より、代々の血統から言って朕が王にふさわしい!そして、貴様らは朕に仕えるべきだ!」

 「・・・聞くに堪えないくだらない妄想話ですね。私はからすれば選ばれることなどどうでもいいことです」

 三人の説明の後に自分をバカにした吉野の言葉を流したアキラ。

 

 「私のしたいことはただ一つ・・・信念ある妻を死なせたあなたを斬って彼女の仇を討つ!王にふさわしいだの、自分が選ばれただの、そんな誇大妄想などどうでもいい!そもそも、無能なあなたに王になれるわけがない・・・血筋だけで王になれると思いこみをしている時点で、貴様は無能の更に下の大無能です!」

 

 そして、怒りを込めながら逆に侮辱したアキラ。その言葉に、

 「貴様、朕を大無能呼ばわりだと!断じて許せることではない!その言葉、後悔に変えてやる!」

 見事にのって激怒した吉野。

 「そもそも、貴様はもう用済みだ!一人、孤独に殺してやる!」

 そう言うと、いきなり別空間に一人移動させられたアキラ。周りには、久遠も美空も光璃・・・そのほかの皆も誰もいない。いるのは、

 

 「ここで貴様を殺してやる・・・この、たくさんの鬼達に食われてな!」

 

 吉野と百以上の鬼だった。

 




 
 エーリカの産んだ鬼子をしっかり殲滅したアキラと紫微垣が彼女達を一刻も早く来させるためにあの映像を作って久遠達に見せました!久遠・美空・光璃に行った光、残り一か所はいったいどこに行ったのか・・・。
 アキラ、オリジナル最強技エンド・クロス。グランドクロスを壬生の血とヘブンズバーストで強化した技。

 最後に、アキラが彼女達から切り離されてしまった・・・。次回、お楽しみに!


 因みに、原作では遅れた武田勢が、何故織田・長尾に後れを取らないで本能寺に来れたのかと言うと。
 「お、お屋形様!あれ見るんだぜ!」
 「あ、あれは、竜巻か!なぜあんなものが!」
 「え、えええ!てっぺんにアキラがいるのら!」
 「じゃ、じゃあ、あれって。アキラ様がだしたの!」
 と言う感じで、青龍の竜巻とアキラが目印になったためです。


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百十四振り目 魂の絆

 
 どうも、そろそろ終盤です!今回のこのタイトル、とある漫画のとあるキャラが言った言葉を使いました!

 さあ、アキラは、久遠達はどうなるかな?今回は、ちょっとだけ短いです!


 

 禁裏に向かう夕霧達の武田衆。

 「ねえ、湖衣。あの黒い柱って何かな?」

 「・・・これは最悪です。おそらく、鬼になる元とも言える種のようなもの。しかも、金神千里で見ても日の本のいろんな場所から出ているようです」

 「つまり、この日の本に鬼がたくさん出てしまう。ということかい?」

 「ええ。この近くで一番大きいのは本能寺です」

 「え!そこって、お兄ちゃんやお姉ちゃんのいる!」

 「・・・これは、急いだ方がいいでやがるな!」

 「そうですね。禁裏に向かい、そこで拠点に兵を置き、すぐに我等も本能寺に向かいましょう」

 「待ってください。もう一つ・・・あれは大和の吉野ですね。あそこも」

 「皆!急いで禁裏に行くでやがる!」

 『お兄ちゃん!お姉ちゃん!無事でいてね!』

 

 大和の吉野。

 「葵様!巨大な黒い柱が!」

 「ええ、見えています。何でしょうか・・・何か感じたことのあるものの気配が」

 「おそらくあれは、鬼の元となるこの地に眠る怨念ともいうものでしょうか。生前であれば儚い夢で終わりも、悪霊となれば毒となる」

 「つまり、私がかつてかけられた呪いの根本となるもの」

 「はい。そして、京にも大きな黒い柱が経っています。おそらく、あそこが」

 「・・・京に行きましょう。アキラ様の元へ!」

 「は!」

 『アキラ様!今すぐ参ります!』

 

 二条城。

 「な、何だよあれ!何か、真っ黒な柱がいろんなところから出てるぜ!」

 「すごくヤバいものですね」

 「ああ、間違いなく危険なものだね。こんなものを出すと言う事は」

 「黒幕の悪あがきってところだよな・・・追いつめているかどうかわからないが」

 「時人さん行ってください。私と庵樹さんでここを守ります」

 「だね。行ってきな。そして・・・旦那を守ってくれ。頼んだよ」

 「ありがとう。行ってくる!」

 『待ってくれ!アキラ!』

 

 相模では・・・

 「く!な、何だこの柱は!」

 「何か嫌な予感がするわね・・・皆、いったん引き下がるわ。佐竹の方も混乱中だから背後をつかれることはないわ」

 「ご、御本城様!急いでください!退路は姫野達が!」

 「分かりました姉様!皆、戦は中止だ!急いでひき「今すぐここから離れなさい!」え。な、何を姉様?」

 「!!朧様、下、地中からです!とてつもなくやば「ダメ!間に合わない」ああ!」

 「な、う、うわああああ!」

 「きゃああああ!」

 「御本城様と朧様が黒い柱に!ど、どうすればいいの!」

 「・・・いいこと姫野ちゃん。私達を、封印、しなさい。そして・・・あの子を、ア、キラ・・ちゃん・を、連れて、きて(どさ)」

 「お、お二人とも~~!!!」

 『頼んだ、わよ。あの子が、私達を・・・北条を』

 

 

 日の本で多くの黒の柱が出現により、いろんなところでパニックと被害が出た。そして、最も大きい柱となっている本能寺では、

 「アキラ、アキラ!」

 「ど、どこに行ったの!」

 「吉野もいない!」

 「アキラ様。どちらに!」

 「きっと吉野が連れて行ったんだよ!」

 「くそ!鬼達は出続けるし!」

 アキラがいなくなったことにより、大パニックに陥りかけたが、

 「落ち着くです!アキラ様は、必ず戻ってくるです!」

 「綾菜さんの言う通りですわ!まだ子を産んでないのです!私達を置いて、いなくなりません!」

 「そうなの!鞠も、アキラの子供を産むの!」

 この三人の言葉で落ち着くことが、

 「違います!最初に産むのは私です!」

 「ずるい詩乃ちゃん!私だって産みたい!」

 「え-、お兄ちゃんの子供はこの」

 「・・・」「え?自分だと言うつもりって?い、嫌だな~~もちろん二人でっていうつもりだったよ!」

 できてなかったが、立ち直ることは出来たようだ。

 「皆のもの!主様の子は皆で産めばいい!今は耐えるときぞ!」

 「戻ってくるまで、持ちこたえる。ですな」

 一葉と幽の言葉に意識を原状に戻した皆。

 「そうです。皆さん、正念場(ゴゴゴゴゴ)え、また地震!」

 「さっきより、大きい!な、何が!」

 「・・・地中から気配が!え?お、大きすぎます!」

 また来た地震に雫と歌夜が不信そうにしていると、小波が注意した。

 「大きすぎるってどういう「来ます!」・・・・・・え?」

 「う、うそ・・・何これ」

 「大きいにもほどがある」

 真琴が聞こうとしたがその大きすぎる気配が、地中から鬼が姿を現した。その姿に彼女と市・松葉は唖然とした。

 「な、何なのだ・・・この大きさは」

 「まるで城を相手にしてるみたいなんだぜ!」

 「こ、こわいのれす!」

 「か、勝てるの・・・アキラ様がいない今で」

 武田衆も絶句する中、粉雪の言う通り現れた鬼がそれくらいの大きさに彼女らは見えた。周りの兵達も絶句した。兵も将も大将も、皆不安な顔をしていた。

 

 

 その頃のアキラ。

 「ずいぶんと面白いところですね」

 「ふ、貴様を殺すにはちょうどいい場所だろう」

 「むしろ、あなたの死ぬ場所だと思うのですが?」

 「この鬼の数を見てそれを言える当たり、状況を分かってないみたいだな」

 別の空間に飛ばされて一人で吉野と何百という鬼と対峙していた。だが、修羅場を何十回も超えてきたアキラがこの程度で心が乱れるはずがない。

 「この黒い空間はあなたの心そのものという事ですね。誰もいないし、周りのものを認めようとしない。あなたにお似合いですね。王になれると言う妄想を抱いた無様な男にはふさわしい場所です」

 「貴様・・・ははは!これを見てもなおそんなことが言えるというのか!」

 挑発に怒りを持ったが、すぐに持ち直した吉野は手を上に掲げた。すると、

 

 『く!大きすぎるぞ!この鬼は!』

 『ちょっと!私のお家流があまり効かないなんて!』

 『風林火山も押せるけど・・・効き目が余り』

 

 紫微垣が久遠達に見せた光の映像と同じ現象が起こり、そこにはあの巨大な鬼と戦う久遠達の姿があった。

 「どうだ?この鬼は。洛中の民・・・一万以上の民の命が一つにまとまったのがあの鬼だ!そして、この巨大な鬼とお前の仲間は戦っている!」

 「一万以上の命を・・・あなたはどこまで人の命を見下せば気がすむんだ!」

 「人はただのゴミだ!鬼こそ、朕に服従な鬼こそ、これから先の日の本にふさわしい民だ!」

 「・・・・・・」

 そんな発言をする吉野にまぶたを閉じるアキラ。

 「そして、どうだ?その鬼に殺されるざまを見ることになるのだ。これは、貴様のせいだ。貴様がこの世界にいるから、朕に従わないから、あやつらは鬼に殺される。ははははは!いいざまだな!」

 「吉野・・・一つ教えましょうか」

 「何だ?命乞いか?どんなに言っても貴様は殺す!これは「くだらないですね。そんな挑発は挑発とは言わない」・・・何?」

 アキラの発言にいい気になっていた吉野の顔がしかめた。

 「王になるのなら、民の命をそんなゴミを見る目で見ることはしてはいけない。下のものにも生きる力がある」

 「ふん!民は王の為なら踏みにじられてもどうってことない!」

 「王になるのなら、責任を持つ必要がある。鬼に殺される?私のせい?お前が作り出した鬼を、何故私がその責任を負わないといけない?まさか、責任は持つことは王のすることじゃないとでもいうつもりか?」

 「責任?くだらん、そんなもの王に必要ない!全て、下のものに持たせればいい!」

 「最後に・・・王を名乗りたいのなら、まず努力をしろ!久遠も、美空も、光璃も、葵も、真琴も、一葉も、そして鞠も・・・皆必死な思いで、苦渋の決断をして、その立場に立って努力をしている。立つ前もまた必死に努力をしていた!それをしない貴様は永遠に王になれない!そう・・・どんな世界にいてもな!」

 「王に努力だと?笑わせるな!あの女もまた同じことを言っていたな。努力をしないから何たらとか・・・選ばれたものはそんなものをする必要はない!ふん、どうせ貴様は」

 だが、そこから先の言葉は言えなかった。

 

 『ひゃあああ~~、はっああああ~~!!』

 『おうおう!これはこれは、中々手ごたえのある鬼じゃのう~~!!!』

 

 光の映像に、苦しむ久遠達の前に森親子がやってきた。

 「貴様は・・・何ですか?」

 しかも、この二人だけじゃなかった。

 

 『な、何だよこれは!でっけ~~!だが、本気のアキラの方がまだ上だぜ!』

 

 時人もやってきた。

 『おう!時人!こいつをぶっ殺そうぞ!』

 『ああ、アキラがいないのがおかしいけど・・・へへ、いいじゃないか!』

 『いくぞ!北落師門!全力でじゃ!』

 『北斗七星、やってやろうぜ!』

 『『連合軍最強のコラボ・アタックだ(じゃ)!』』

 村正の武器のコラボアタックが

 『行くぞ!的がでかい分思いっきりぶつけられる!』

 『アキラに勝つために・・・もっともっと出して来い!』

 炸裂した。

 

 『一閃千染!』

 『蒼天銀星雲!』

 

 時人の出した蒼天銀星雲の光の玉を巨大な鬼にぶつけようとしたところに、桐琴が渾身の力を込めた千染を一つだけ出してその光の玉にぶつけた。すると、大きな爆発を起こし辺り一面に強い光がはなたれ皆は目を覆っていたが、光が無くなると、何と鬼の足のみしか残ってなくそこから上の部分全部が無くなっていた。そして、その足が地面に落ちると粉になって散っていった。

 

 『『やったぜ!』』

 『す、すっげ~~。くそ!時人に母!どこまで強くなるんだよ!』

 『皆のもの!あの巨大な鬼がいなくなった!さあ、今度は我らが頑張る番だ!』

 『そうよ!アキラが戻ってくるまで、必ず持ちこたえるのよ!』

 『アキラばっかりに頼ってられない』

 『『『『『おおおおおお!』』』』』

 

 二人のとんでもないワザと、あのどうしようもないと思っていた鬼をやっつけたことに小夜叉は悔しがった。そして、久遠・美空・光璃が兵達に喝を入れ、残っている鬼の殲滅を指揮した。

 「な、な、なななななな!」

 吉野は絶句した。

 「残念でしたね~。彼女らは努力をしたからこそ、あれを倒す力を手に入れた。そう言えば、話の続きでしたね。貴様は・・・さあ、続きをどうぞ。言ってください」

 「う、くくくううう!ふ、ふざけるな!」

 アキラにゆさぶりをかけるつもりが、逆に気合の入る映像になってしまった。その事に悔しがる吉野は映像を消した。

 「あと一つ、言っておきましょう。私は彼女達の心配などしていませんし、彼女達もそれをしてほしいと思っていませんよ」

 「何だと・・・」

 「あなたにはわからないでしょうね。かつての私もわからなかったですが・・・私と彼女達、そしてこの世界にはいない私がいた世界の仲間達とは魂の絆がある」

 「魂の、絆・・・だと!」

 目を開けて、今だ悔しさで震える吉野に挑発に見える笑みを浮かべた。

 

 「ええ、その絆でつながっているからこそ、私達はお互いを心配しない。その絆で分かり合っているからこそ、笑顔でいられる。その絆が大きければ大きいほど・・・たとえ目に見えなくても、立ちふさがる壁を打ち破る大きな力となることができる!」

 

 そして、構えに入った。左手の友情の太刀に結ばれている虎模様のバンダナを見せるように構えた。アキラにとって、絆を形としたものがそれだからだ。

 

 「さあ、かかってきなさい!今の私は一人じゃない!たくさんの頼れる仲間がいる。愛する者達がいる!その者達との絆は貴様や鬼ごときで切れるものではない!その絆がこの私を強くした!そんな私が負ける道理など、何一つない!」

 

 そう叫んだ時だった。

 

 「くくく、アキラ。お前が愛や絆という言葉を使うとはな」

 

 忘れることのできないあの漢の声が背中の方から聞こえたのは、

 「え・・・」

 思わず動きと思考を止めた。しかも、その漢の声だけではなかった。

 

 「いや~、これはいいものを見れたぜ」

 「うん。アキラとは思えない」

 「しばらく見ない間に、いい漢になったじゃない。ま、狂には負けるけど!」

 

 かつてのあの三人の声も聞こえた。後ろにいる四人の気配は、間違いなく向こうの世界で感じていた気配で間違いなかった。そして・・・

 

 「アキラ様・・・戻ってきました」

 

 その四人の後ろに、アキラが決して忘れられない女性の声が聞こえた。

 「え。え・・・え」

 「あ、あき、ら。様・・・アキラ様!!」

 そして、その女性・・・エーリカがアキラに抱き着いた。彼女の姿はかなり変わっており、髪がアキラと同じくらい短くなり、着ている服もあの天守教用の司祭の服ではなく、巫女のような服を着ていた。

 「え、エーリ、カ。エーリカ!」

 「な!何故貴様が!それに、そこにいる奴らは何だ!」

 アキラは混乱していたが、本人で間違いないことが分かると力強く抱きしめた。吉野もいきなり現れたエーリカと四人の・・・いや、狂・梵天丸・ほたる・灯に混乱していた。

 「・・・こいつだね。エーリカちゃんを苦しめたのは!」

 「女を泣かせる奴は俺が許さねえぜ!」

 「ねえ、全員斬っていいの?」

 「くくく、元下僕が女を抱きしめているんだ。邪魔する奴は皆殺しだ!」

 しかも、エーリカの事を四人は知っているみたいだ。どんどん湧いてくる鬼に笑顔になる四人。

 「ええい!貴様らも敵なら殺すまで!鬼ども全員殺せ!」

 何百匹の鬼相手に四人が飛び掛かった。

 

 「アキラ様・・・ありがとう、ございます!あの、鬼子を倒してくれて!」

 「な!何故それを!」

 「全ては終わってから話します。でも、ここから抜け出すことが先決です!」

 「ええ!あなたが戻ってきた!今はそれだけで十分です!」

 そして、アキラは彼女にキスをした。再会のキス・・・そして、夫婦のキスを。

 「続きは、終わってからですね」

 「(かああ)は、はい!」

 そんな二人のキスシーンを、

 「「ひゅ~ひゅ~あっついね~~」」

 戦っている四人が見逃すはずがない。鬼をぼこぼこにしながら、梵天丸と灯はからかった。

 「狂もゆやちゃんにあれくらいやればいいのに」

 ほたるも鬼を燃やしながらボソッと呟いた一言に二人も頷いた。じ~~っと見られている狂は顔を背けた。

 「・・・黙れほたる。アキラ!今だけは下僕に戻ってもいいぞ!暴れまくれ!」

 笑いながら楽しみながら鬼を斬りまくる狂がそう言った。下僕に戻れ。それはつまり、かつてのあの五人に戻ろう。強さを求め、最強を欲し、そのてっぺんを手に入れようとしたあの頃の五人に・・・そう言っているのだ。

 「ええ!では、今この時だけ・・・」

 エーリカとのキスが終わり、もっとしてほしそうな彼女の額に軽くキスをもう一回だけして、彼女から離れて四人の元に向かった。

 

 「四聖天・アキラ。参る!」

 

 四聖天アキラが、この時復活した。

 




 
 あの空間で吉野はアキラを追いつめるつもりが逆に追い詰められました。原作で出たあの巨大な鬼は時人と桐琴のコラボアタックで倒しました!この二人のタッグは個人的に見たいのと、この世界で狂と四聖天を揃えたいとも思ったので出しました!

 何故エーリカは戻ってこれたか?それだけでなく、何故狂と梵天丸・ほたる・灯までいるのか?それは次回の特別編で明らかになります!

 


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特別編6 愛をとりもどせ!

 
 さ~~~、むい!布団被ったまま起きる三MENです!

 今回は散っていったエーリカのその後です!


 

 『アキラ様、必ず戻ります・・・あなたに愛されるために、愛してもらうために』

 『絶対に・・・戻って、来ます。あき・・・いえ、あな、た』

 

 坂本城でアキラの努力・友情で自分を刺したエーリカの遺言を聞き、散っていった彼女を呆然と見るアキラ。アキラはそのまましばらく動くことはなかった・・・。

 彼女はたくさんの光の粒子となって散っていった。だが、彼女の魂は生きていた・・・では、魂はどこに向かったのか?

 『ア、キ、ラ・・・様』

 彼女はまるで波に乗るかのように流されている感覚に捕らわれた。何も抵抗が出来なくて、そのまま流され続けてもいい思いを持った。

 『ああ、でも、最後に、アキラ様に・・・妻として、抱かれた、か、った』

 その流される中で残された唯一の後悔、無意識に何かを求めるように腕を伸ばす考えを持った。すると、

 

 『死んではならん。我が主の妻なら、主を支えるべきだ!』

 『その通りだ。主を悲しませたのなら、喜ばせもしろ!』

 

 そんな声が聞こえた気がして、その腕を掴まれた感じがした。すると、いきなり彼女は投げ飛ばされたような感覚に捕らわれ、逆らえないまま飛ばされ続けた。

 

 

 ここは、ある団子屋。夜で既に閉店していたが、店内には酒を手に囲んでいる六人の漢がいた。

 「アキラの奴がいなくなって一年経ったな」

 「そうだね。それに時人達もいなくなって数か月経ったし」

 「だが、心配はいらん。あの四人なら問題ない」

 「うんうん。辰怜の言う通り」

 「その通りだよ・・・だから、狂。心配しなくていいよ」

 「・・・何か言ったか?」

 アキラと死線を潜り抜けた梵天丸・ほたる・灯・辰怜・壬生京四郎、そして狂だ。梵天丸が今日でアキラがいなくなって一年が経過したため、集まって語らないか?という事でゆやに許可をもらってこうして店内に入って酒を飲んでいるのだ。

 因みに一番来たそうな親友の紅虎は、真田幸村・サスケと一緒に徳川と豊臣の同盟を今だ壊そうと企む不穏分子のあぶり出しと説得、今後の日の本の話し合い等をやっているため来れなかった。

 壬生の里の中心的人物である辰怜が何故この団子屋にいるのかというと、

 「ゆやさん、すいませんでした。押しかけてきて」

 「いいんですよ、辰怜さん。壬生の里の事は気にしていたので、一番知っている人から聞きたいと思っていましたから」

 「にしてもよ、壬生一族を里の外に出すなんて・・・昔のお前じゃ考えられないな」

 「禍根が残っているのは分かっている。だが、このままでは新しくできないのもまた事実・・・吹雪様も、ひしぎ様もそれを望んでおられるはず。人間も壬生一族も平等に手を取り合ってほしい。と」

 庵樹の家族や太白の匿っていた子供や家臣のようにやむを得ない理由で外に出るのではなく、本格的に人間達と手を取り合い共に仲良く暮らしていけるようにするためだ。

 「ははは!相変わらずの吹雪様か」

 「あの方を目標にしていたのだ。だが、今は超えることを目標にしている」

 「へ~、狂に勝とうと頑張っていたアキラみたい」

 「否定はせん。その為にも、もっと頑張らないといかん」

 だから里を出て紅虎・幸村のところを訪れて、衣食住と働けることができるところはないか?と相談を持ち掛けたのだ。壬生の里も安定してきて四方堂・遊庵に任せても問題ない段階になったので、見聞の意味も込めて辰怜自ら出てきたのだ。

 今までも何回か外に出たが見て回る余裕がなかったため、ゆやの団子屋しか来たことがなかった。今回はやっと余裕もできてそれも終わった時に梵天丸から話を聞いて、自分も話に参加したいからここにいるのだ。

 「ゆやさん。どう、あの子達は?」

 「今は朔夜さんと一緒に寝ているわ。ふふ、あの子達朔夜さんが好きみたいで手をがっしり離さないで寝ているわ」

 「ううむ。ちょっとジェラシーかな」

 「・・・みっともないぞ、京四郎」

 「狂だって人のこと言えないでしょ!双子が僕らの方に懐いていること、ショックなんでしょ~~」

 「あらあら狂。見抜かれたわね~~」

 「「「ははははは!」」」

 「???」

 双子に朔夜を取られた気がする京四郎と自分より懐くことを見抜かれてムカッとする狂に笑う梵天丸・灯・辰怜。ほたるは何で三人が笑っているのか分かってない。

 

 

 酒の席を退散したゆやは、アキラのいなくなった部屋に入った。いなくなる前は狂に倒されて寝るアキラとそれを見る三人の女性のたまり場ともいえる部屋。時々、誰が膝枕をやるかで揉めたりして楽しかったが、今は少し寂しい。

 「本当にいなくなって・・・でも、幸せをつかむために行ったんだから」

 そんなゆやはあるものに目が行った。それは、アキラがあの三人が別世界に行ったあの鏡を立てられるようにする金具だ。これもまた、鏡と一緒にあったものだ。だが、既に鏡は割れて今は一応記念に。と残しているだけだ。

 「ふう~~、しんみりしちゃったわね・・・久しぶりに私も一杯飲もうかしら」

 酒の席に戻って自分も楽しもうとした時だった。後ろから光が出たのは、

 「え?」

 慌てて後ろを向くと、何と金具が光っていた。その光は時人達がいなくなった光にそっくりだった。光がどんどん強くなっていき、

 「きゃあああああああ!」

 思わず叫んで目を覆って立ち尽くした。ようやく光が収まって、目を開けると

 

 「え?え・・・ええええええ!」

 

 今度は驚きの叫びをした。誰もいなかったその部屋に金髪の女性が倒れていたのだ。しかも何も着ない状態、完全なオールヌードだった。だが、不思議とその姿はとても神秘的でいやらしい感じが一切しなかった。

 『まるで、神様がそのまま女性になったみたい・・・』

 そんな感想が出るくらい綺麗に見えた・・・その時だった。

 「ゆやさん!どうしたの!」

 「「ゆやちゃん!何かあったの(か)!」」

 「何々?」

 六人が一斉に押し寄せてきた。

 「だ、ダメ!灯さん以外は来ないで!」

 と叫んだが、既に遅し。辰怜だけはその声が聞こえたのか姿は見せなかったが、残り五人は部屋の前に来てしまった。だが、幸いゆやの体が目隠しになったのか胸や下半身の大事な部分は見えなかったが、それ以外は見えてしまった。

 「「「・・・・・・あ」」」

 狂・京四郎・梵天丸はまずいと思ったが既に遅い。

 「「男は見るなあああああ!」」

 ゆやは狂と京四郎、灯は梵天丸とほたるを殴り飛ばした。

 「灯ちゃんもおと「何か言った!」(どごごおおおん!)」

 「・・・いらん事言いおって」

 ただ一人被害を免れた辰怜は、追撃をくらって外まで飛ばされたほたるを見て呟いた。  

 

 その後、女性に巫女服のような服を着せた二人。何故、そんな服があるのか?というと、灯のプレゼントだ。

 『それで狂に迫りなさい!』

 いらないお世話だったが、今回だけはこれがあって良かった。他にも何着かあったが、色っぽすぎてまともなのがこれだった・・・服を着たことでやっと部屋に入れた五人。辰怜以外はたんこぶ(ほたるはプラス青アザ)を作っていた。

 「それで、この人はいったい誰なんだ?」

 「分からないわよ。これが光ったと思ったらこの人が現れたんだから」

 「それって、村正様のあの鏡の支えとなっていた金具じゃないか」

 「そうだね。にしても、何でかな?」

 梵天丸の問いかけにそう答えるしかないゆや。この中で頭脳派の京四郎と辰怜は疑問に思いながら、金具を見た。

 「それにしても、綺麗な人だね」

 「うん。灯ちゃんよりき(ぼご!)」

 また余計な一言で殴られるほたる。狂は考える気がないのか、酒を飲んでいた。

 「とりあえず、このまま寝かせましょう。明日になれば起きるでしょうし」

 「そうだな。すっぽんぽ(ぐしゃ)いったあああああ!」

 「全く、これだからデリカシーのない男は」

 「(危なかった)は、ははは。じゃ、じゃあ、このまま「う、ん」?」

 梵天丸は無防備の意味を込めてあの言葉を言おうとしたが、灯に足を踏まれた。京四郎も同じことを言いかけたのか、苦笑いしながらごまかしてこの場は解散・・・と言いかけた時に女性が苦しそうな顔をした。それを見て全員が真剣な顔になった。

 「灯さん。どう?」

 「・・・体は異常ないよ。ただ、心が苦しそうだね」

 「何があったのだ?この者もそれ相応に実力があるのはぱっと見でもわかる。その者が苦しむなんて」

 「っし!」

 灯の診断に辰怜が疑問を飛ばした時だった。

 

 「アキラ、様。ご、め、ん・・・な、さい」

 

 彼らにとって、聞き流せない名前が聞こえたのが。

 「あ、アキラだと!」

 「ちょ!梵天丸!静かに!」

 「アキラ・・・これが僕達の知っているアキラ君なのか?だけど」

 「・・・知ってると思う」

 「ほたるの勘は当たるからな・・・だが」

 「でも、どうして謝ったのかしら?」

 アキラの名前で皆が彼女に集中した。そこに、

 「う、あ・・・あああ!」

 涙を流して、辛そうな顔になった。それを見て焦る皆。

 「ちょ、ちょっと!」

 「こりゃ、起こしたほうがいいな!」

 「そうね!大丈夫?ねえ、大丈夫?」

 その様子に慌ててゆやが体を揺すった。そのかいあって、目を覚ました。

 「・・・・・・?」

 「起きた?よかった~~」

 女性は意識を取り戻し、ゆやとほかの皆もホッとした。だが、女性の方は何が何だかわからなかった。

 

 

 その後、場所を居間に移動した。

 「あ、あの「落ち着いて・・・ああ、こいつは上半身裸で変態に見えるけど危害は加えないわ」「おい!誰が変態だこら!」「あんた以外にいるかしら~」」

 「あの二人は無視していい。それで、あなたは?」

 灯と梵天丸が口論して唖然とするが、辰怜が話を続けた。

 「・・・私、は」

 ここで女性を一度口を止めた。名乗るにはどうすればいいか迷ったためだ。あの名前を使うか、それとももう一つの名前を使うかだ・・・考えた結果

 

 「私は・・・明智十兵衛光秀。通称はエーリカと申します」

 

 二つとも言った。だが、ルイス・フロイスを取り除いてだ。

 「明智光秀だと!それって、織田信長を倒した!しかも、女?」

 「あなたは、いつの時代から飛ばされてきたのですか?」

 「私は、くお・・・いえ、信長が生きている時代です。長尾景虎も武田晴信も松平元康も生きています」

 皆が信長を倒した人物だと理解したことで、エーリカはすぐにあの世界より未来の世界とわかった。だから、他の有名武将の名を言った。

 「松平元康は紅虎の父親の前の名だから分かるが・・・武田晴信は信玄か?」

 「すると、長尾景虎は上杉謙信?」

 「その通りです・・・?」

 辰怜とゆやが聞いてきたが、エーリカは聞き覚えの名前があった。

 「あの、今紅虎・・・って言いました?」

 「言ったけど、え?聞いたことあるの?今は秀忠と名乗っているのに」

 「聞いたことがあるからです。将軍になった親友がいると・・・アキラ様から」

 「「「「「「な!」」」」」」

 「あ、やっぱり」

 灯の質問にまたアキラの名前が出た。しかも、紅虎の事をアキラから聞いたと言った。ほたるは自分の勘が当たったことに嬉しそうだが、残りの皆は本当だったことに驚いた。 

 

 そこからは大騒ぎだった。そんな状態でも子供はぐっすり寝れるが、

 「もう、目が覚めちゃったじゃない」

 「ご、ゴメン。朔夜」

 朔夜の方は気づいてしまった。今は一緒に話をしている。

 「驚きました。ここがアキラ様のいた世界なんて・・・何故、ここに来れたのでしょう。自分を刺したのに」

 「え?いま、何て?」

 その自分を刺したというところから徐々に語り始めた。

 

 そして、話が終わる頃にはエーリカは泣いていた。そして、聞いていた彼らは、

 「何て野郎だ!その吉野ってやつは!」

 「断じて許せないよ!」

 「女を、何だと思っているのよ!」

 エーリカの受けた苦しみ・・・そうあの苦しみを聞いて激怒した。特にゆやと灯は怒りが最高潮まで行っていた。

 「そんなことが、ひどすぎる」

 「鬼を産ます。人の身でそれをさせるとは・・・外道めが!」

 「僕も、これは腹が立つよ!」

 狂とほたるは何も喋らなかったが、いつも持つ刀を握りしめる力が強くなっていた。

 「灯さん。診察をお願いできるかい?一応、確認しといたほうがいい」

 「そうだね。いいかい、エーリカさん」

 「はい」

 「じゃ、こっちに・・・覗いたら駄目だよ!」

 ゆやと灯とエーリカはあの部屋に行った。そして、数分後三人が戻ってきたが

 「ほ、本当・・・なん、ですか?」

 「あ、ああ。間違いないよ」

 「う~ん、どうなのかしらね?」

 三人は分からない顔をしていた。その理由は、

 

 「私の体・・・鬼の呪いがないんですね」

 

 彼女は確かに鬼に犯されて、鬼の呪いが体に染みついた。さっき寝ている時にそれで苦しめられた夢すら見た。しかし、灯の診察結果は何もないだった。

 「女のあの膜も戻っているなんて・・・信じられない」

 これはゆやが確認したことだが、何と女性のあの膜すらあったのだ。つまり、犯される前の清純な体に戻り記憶だけが彼女の中にある状態という事だ。

 「思い当たる事ってない?」

 「・・・あ」

 灯に問われて、思い出した。

 

 『死んではならん。我が主の妻なら、主を支えるべきだ!』

 『その通りだ。主を悲しませたのなら、喜ばせもしろ!』

 

 この声を。そして、気づいた。我が主の妻・・・つまり自分が愛したアキラの妻と自分に言った。

 

 「(アキラ様・・・ここでも私を、救ってくれたのですね)」

 

 つまり、アキラを主と言えるのはあの二つの刀のみ・・・アキラの魂とも言える刀が自分を・・・体を戻してくれた。とエーリカは思えた。その後、想いを込めて話しているうちにアキラと自分の愛が体を戻した。という話になった。

 「そうか~。あいつとの愛か!」

 「いい話だね~~」

 「ううう、エーリカさん。良かったですね」

 「愛の絆は世界を超えてもなおつながる・・・だね!」

 情に厚い梵天丸やゆや・朔夜・京四郎は信じた。実際、大きな愛を持つ二組の夫婦がこの場にいるから尚更信じられた。

 「なら、早いとこ戻ってアキラを安心させないと!」

 「でも、どうすればいいんだ?あの鏡は壊れちまったし」

 「そうだな。それに村正様の武器もここには天狼とゆやさんの短刀の二つしかない。仮に鏡があっても、向こうへの入り口が開けない」

 アキラを強く想うエーリカに再会させたい!と大きく言う梵天丸だが、灯と辰怜の指摘通りどうすればいいか分からない。う~んと考えていると、

 

 「あ、光った」

 

 全然話に参加しなかった(聞いてなかったが正解)ほたるが突然言った。彼の視線の先は、調べるために部屋から持ってきた鏡の金具がある。

 「さっきもその金具が光って、それでエーリカさんが現れたわ」

 「・・・光が丸いな」

 狂の言う通りさっきはあの部屋全体を光らせたが、今度は光の範囲が狭い。わかりやすく言うなら、久遠達に届いた光に似ている。いや・・・同じだ。

 「消える気配がないな」

 「何だ・・・あれ?何か見えない」

 「あ、アキラ様!」

 「「「「何!」」」」

 その光が消える様子がないことに疑問そうにしていると京四郎が何か見えた。よく見ると、アキラの姿が見えた。

 

 『おおおおおおおおおおお!!!!!!』

 

 だが、その姿は怒りに燃えたアキラだった。大きく叫び・・・一筋の涙を流す姿だった。そのアキラの前には・・・

 「何、あれ・・・あれが向こうに出ている鬼?」

 「気持ちわりいな」

 「ど、どうしたの。エーリカさん!」

 「しっかりしてください!」

 「あれは・・・あの鬼が・・・私が、私が!」

 「いい!分かったから、それ以上言うな!」

 体を震わせてその場にへたれこむエーリカを見て、全員がすぐに正体が分かった。これが・・・産まされた鬼だという事が。すぐにゆやと朔夜が落ち着かせ始めた。辰怜も慌てて彼女の背中をさすって落ち着かせる。

 「アキラ、それが分かったから・・・」

 「好きになった女が、これを産まされたと分かれば悲しいよな」

 「大丈夫。アキラならすぐ倒す」

 「その通りだ。見届けるぞ」

 残りはアキラのあの涙の意味を知り、見届けることにした。

 

 『吉野、鬼子・・・あなた方も知ったでしょう!』

 『青龍・・・そして、私の怒りを!』

 

 青龍とエンド・クロスで吉野は鬼子を盾にして無事だったが、鬼子は粉々になった。

 「あ、アキラ『エーリカ、あなたの心。無事に解放させましたよ』・・・様」

 鬼子を倒し、最後に発した言葉にエーリカはアキラがずっと自分を心配していたことを知り、嬉しかったと同時に・・・会いたくなった。

 そんな彼女をよそに、鬼子撃破に使った技は彼らにとって驚くべき光景だった。

 「な、何で・・・何で、アキラ君が青龍を使えるんだ!時人君の血が入っているからにしてはおかしい!」

 京四郎の叫びは皆も同じだった。いくら壬生一族の中でもとびっきりの剣士の血の村正の血を引く時人の血を体に入れて、刀の対話もできるようになったとはいえこれほどの技を使えるのはさすがに驚く。

 「多分だけど、庵樹ちゃんと朱雀ちゃんの血も入っているからじゃないか?庵樹ちゃんは村正の刀の師匠と元太四老の娘だし、朱雀ちゃんも元村正のお世話役だ。その三人の血が入っているからこそ、使えるようになったんじゃないのか?」

 「・・・梵天丸の言う通りとしか思えないな。おそらく、ほぼ完全に三人の血で体も壬生一族になっているはずだ。でなければ、サムライの血を持たないあいつがこれを出してただで済むはずがない」

 梵天丸と辰怜の推測に反論はなかった。

 「・・・・・・ふふふ。今はあいつも使えるのか。試してみたいな」

 「うん!俺もアキラと戦いたい!」

 戦闘狂の二人はこの技に血が燃えた。エーリカとは違う意味で会いたいと思った。

 「全くこの二人は・・・エーリカさん?」

 「会いたい。アキラ様に・・・会いたい。愛し合いたい!」

 灯がちょっと呆れているとエーリカが会いたい気持ちを強くした。だけど、ここは別世界・・・会いに行けない。それが尚更、愛をとりもどしたい気持ちを強くした。

 

 「行きたい!会いたい!う、ううう、ああ、アキラ様!」

 

 涙を流して映像に叫ぶエーリカを見て、同じ女のゆやと朔夜はいたたまれない気持ちになった。

 「・・・何とか行けないものか?会わせることが出来ないのか?」

 辰怜の一言が全員に重くのしかかった。ついに、その映像に手を触れようとしたが、すり抜けて金具に触れた時だった。

 「「「「「うわ!」」」」」」

 金具が一気に光り輝いた。その光の強さにエーリカが思わず手を離すと、その光が無くなり映像も消えた。

 「ど、どういうことだ?まるで、時人達が行く時と同じくらいの光だったぞ」

 「・・・もしかして、あの鏡はフェイク!」

 京四郎はあることに気づいた。

 「狂、ほたる君。アキラ君と戦いたいかい?」

 「「ああ!」」

 そして、ある試しをした。

 「なら、その気持ちを強くしてこの金具に触れてみてくれ」

 「「???」」

 理由は分からないがとりあえず言う通りに従った。すると、

 「な、何だい!また同じ光が!」

 「よし!放してくれ!」

 手を離すとさっき同様、また光が消えた。

 「思った通りだ。あの鏡はあくまで見せかけだったという事だ!」

 「おいおい、説明してくれよ」

 確信を得た京四郎に、梵天丸が代表して説明を求めた。

 「勿論だよ。多分、村正さんはこの金具に世界を移動する力を込めていたんだ!鏡はずっとつけていたために、その力を少しだけ手に入れていたんだ」

 「なるほど!誰もが常に鏡に目がいってこの金具など気にもしない。これにその力が宿っているなんて、思いもしない」

 「時人達が向こうの世界に行くときに天狼達の力が必要だったのは、あたい達が鏡にその力が宿っていると決めつけていたし、その力が少なかったからだけど」

 「こいつには鏡以上の力があるから、想いがあれば行けるってことか!」

 「その通り!エーリカさんはアキラ君を強く想って、狂とほたるくんは戦いたいと強く願った。だから、思いと願いがもっと強ければ入り口も開けられるはず」

 京四郎の説明に灯・梵天丸・辰怜が付け足していき、最後の言葉に皆が笑顔になった。可能性が出来たからだ。

 「さっきのアキラ君の様子が見れたのは、多分紫微垣がアキラ君の気持ちをエーリカさんに見せたかったからだと思う・・・この金具を目印にして」

 「つまり、俺達は向こうの世界にある紫微垣を目印にしていけば!」

 「アキラのところに行ける」

 「その際にこの金具ごと持って行って、帰りはゆやちゃんの短刀を目印にすれば帰れる!」

 向こうの世界に行き来できる手段を見つけることが出来た。

 「あ、あああああ!会える。あの人に・・・会える!」

 このことに、エーリカは嬉し涙を流した。ずっと悲し涙だったので、ゆやと朔夜もホッとして彼女の肩に手を置いた。

 

 気持ちも落ち着いたところで彼女は笑顔で皆に礼を言った。

 「ほ、本当に!ありがとうございます!」

 そして、金具に手を置いた・・・だが、彼女の手の上に四人の手が置かれた。

 「俺達も行くぜ!あいつとは俺達の方が長い縁だから、あんたが戻る後押しになれるかもしれないぜ!」

 「うん、楽しみ」

 「よ~~し!いっちょ、あいつの恥ずかしい過去をばらしまくろうかね!」

 「・・・あいつを見るのが最後かもしれないからな」

 梵天丸・ほたる・灯・狂の手だった。長年共にいた仲間だからこそ、たとえ異世界でもその仲間の元へ行く。それが、彼らだ。

 「俺は、明日には壬生に戻らないといけないからいけないな」

 「僕も、万が一に備えて残るよ。じゃ、頑張ってね!」

 「「「「おう!」」」」

 「エーリカさん!今度こそ、幸せにね!」

 「たくさん、愛し合ってきてね!」

 「はい・・・はい!」

 行く皆の気合が入った。そして、

 「「「「アキラの元へ!」」」」

 「アキラ様・・・夫のところへ!」

 想いと願いを最大限に高めていき・・・光が収まった時は金具ごと五人は消えた。

 

 

 

 こうして、アキラと魂の絆で繋がっている四人は世界という壁を打ち破って再会できた・・・エーリカは

 

 『アキラ様・・・戻ってきました』

 

 吉野と鬼に汚されて、一度は消滅したアキラとの愛をとりもどすことが出来た。

 




 
 以上がエーリカ復活・狂達が来た理由でした。紫微垣が出した光の最後の一つは、彼女に送ったものでした。ちょっと、強引な部分もありますがお許しください。

 想いと願いを強く持てばキセキは起こる。それを書きたかったです。さあ、次回はついに・・・!です。


 エーリカは狂達にアキラの状況・・・超特大ハーレムだという事を伝えてません。あくまで、自分が鬼からされた所業とアキラを愛している事だけです。まあ、言う時間もなかったし、言える状態でもなかったので・・・。


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百十五振り目 決着の先を求めて

 
 この話が二百話目!三MENです。

 ついにここまで来ましたか・・・そして、話もここまで来ましたか。更に、書き始めて一年以上経過しましたか。

 今回で決着!・・・です。


 

 吉野は焦っていた。何故なら、鬼をどんどん出しているのに

 「「「「ひゃあああっはああああ~~~~!!!」」」」

 「・・・何故でしょう。森一家がここにいると思えてしまうのは」

 アキラが入って、復活した四聖天と狂の五人にすぐに減らされているからだ。その楽しそうに鬼を殺す姿に思わずあの一家を思い出して冷や汗を流すエーリカ。

 「ええい!無能な鬼共め!」

 「はあ~~、詰まんねえな。手応えない癖に」

 「多い」

 「だったら、こういう時は」

 「ええ、久しぶりにやりましょう!」

 吉野の文句すら聞こえない楽しそうに話す四人。

 「おう、あいつらから離れろ。アキラの女」

 「(ぼん)は、はい!」

 アキラの女。エーリカにとってはとても嬉しい響きだ。真っ赤になりながら、狂に従って四人から離れていく。

 「久しぶりのものが出るからな」

 「え?それは?」

 「「「「いくぞ!」」」」

 四人が鬼に囲まれた。だけど、追い詰められた表情をせずむしろもっと楽しみが増えたみたいな顔になり、お互い背をくっつけた。

 「あいつらはな、四人そろえば」

 「よし!殺せ殺せ!」

 吉野の声を聞き流す狂。というか、エーリカも全然気にしなかった。

 

 「無限大の力を発揮するんだ」

 「「「「四聖死天翔!」」」」

 

 もはや、心配する気持ちがなかったからだ。これほどまでに頼もしいアキラとその仲間達がいるからこそ、安心すらしているのだ。

 「ぐ、ぐおおおお!」

 吉野は半円状に何重も合わせた鬼の盾を作ったが、四聖死天翔の勢いが速く威力も強い。鬼がどんどん消されていく中、

 「うおおおおお!」

 ついに吉野のところまでそれが来た。何重もあった鬼の盾のおかげでかろうじて無事だったが、無傷で済むわけにはいかず思いっきり痛めつけられた。それが

 

 『ピシ!』

 

 彼の力を弱め、空間に亀裂を作った。その亀裂がどんどん多くなり、大きくなり、空間全体がヒビだらけになっていき

 

 『パリーン!』

 

 ついに、吉野の空間を壊して、元の世界にやっと帰ってこらた。

 

 「「「「「「アキラ(様)!!!!」」」」」」

 

 アキラの帰還に妻達は一斉に叫んだ。

 「???おいおい、何だ?この子達は?」

 「アキラ、ハーレム?」

 「ははは!アキラがそんなことするわけないだろ!」

 数多くの妻達がアキラの元に駆け寄り、涙を出しながら力いっぱい抱き着いた。その姿に梵天丸・ほたる・灯はそれぞれ言うが、まさか本当にほたるの言う通りだとは思わなかった。何故なら、前の世界の狂を追い続けるアキラのイメージが強いのと、エーリカとアキラの愛し合う姿が両想いのカップルに見えたからだ。

 「ほう~、ここも多いな。おいお前ら!」

 「「「OK!」」」

 戻って来てもなお、鬼は数多くいる。早速、狂・梵天丸・ほたるが飛び掛かった。

 「本当に、背中を気にしなくてもいい仲間は心強いです!」

 「あ、アキラ様!あ、あの人達って!」

 「そ、そそそそ、それに、え、エーリカさんが!」

 詩乃と小波が慌てて問いかける。詩乃は夢の四人が現実いることと、小波は屋根裏からとはいえ姿が消えたエーリカをいることに動揺が半端じゃない。

 「あの三人と「死んでないなら誰でも来な!!四聖天復活祝いだ!ただで治してやるよ!」あのへんた、じゃなくてあの一人も気にしなくていいです。仲間ですから」

 「小波さん。アキラ様が、私を・・・救って、戻してくれました」

 それぞれアキラとエーリカが答えた。

 「ちょ、ちょちょ!アキラ、な、何でこいつらがここにいるんだよ!」

 「私もわかりません。全て終わってから聞きましょう・・・今は」

 時人も、まさかこの四人がこっちの世界にいることに混乱する。だが、今はするべきことがある。

 

 「さあ、アキラ隊!旗を掲げろ!」

 

 吉野に顔を向けた。大きな返事と共に掲げた旗をアキラ隊の皆が

 

 「天にはためく努力・友情の旗は!」

 「日の本鎮守の祈りの証!」

 「悪を成敗するために!」

 「全ての人が力を合わせて!」

 「「「「日の本の皆が手を取り合い、平和になる願いが込められた旗!」」」」

 

 その旗の意味を叫んだ。そこに、

 

 「その悪。二度と生まれないようにするために」

 「かつては因縁の敵だった私達も力を合わせる!」

 「越後の龍に甲斐の虎!その爪牙がここに揃いぐみっす!」

 

 禁裏に向かっていた一二三・夕霧・薫達に洛中の鬼掃除をしていた柘榴・秋子もまたやってきた。さらに、

 

 「三河の主!松平元康!ここに現る!」

 

 吉水に行っていた葵までやってきた。連合軍の皆がここに集まった。

 「何だなんだ?可愛い子ばっかりいるぞ!」

 「梵。そっちに意識がいくの?」

 「あれ?あの子・・・松平元康って言った気が?それって」

 「・・・気のせいだろ」

 たて続けに現れた救援に驚く四人。その中で葵の自己紹介に疑問を持つ灯だが、狂が気のせいで片づけた・・・向こうの世界で、紅虎の父親であるいかつい本人を見ただけあって、同一人物と見たくないのかもしれない。

 

 

 数多くの仲間が来て、どんどん出してくる鬼に皆もひるまずに戦い、予想外で来たあの三人が(もっと出せ!と言いたそうな感じで)倒している。その鬼も徐々に出る数が少なくなっていく。しかも、連合軍側の兵は灯がどんどん治していくため減りそうもない。

 「く!貴様ら!何故、朕に従わない!何故、王と見ない!朕は、この日の本の王となるにふさわしい血筋を持っているのだ!何故、それを認めようとしない!」

 用意していた鬼が打ち止めになりそうなことに信じられない気持ちで叫ぶ吉野。

 

 「その明日を見たくないから、我達は戦っているんだ!」

 

 叫び返す久遠。彼女に美空・一葉・光璃も続く。

 

 「私達が頭を下げる人物はこの世界で、アキラただ一人!」

 「努力をして、苦しみぬいて、辛い現実にも戦い抜いていく主様が余らの王だ!」

 「努力の痕がたくさんあるアキラの背中。その背中についていく道こそが皆の求める道!」

 「「「「何もしないお前に頭は絶対に下げない!」」」」

 

 最後は久遠も加わって叫んだ。

 「貴様ら~~!!!」

 「・・・あなたのその怒りもわかります。私もかつて、ある漢が全てを持つにふさわしいと思い、その者が天下を統一するべきだと思った時期がありました」

 アキラの視線が梵天丸達と鬼を斬りまくっている(楽しそうな)狂に行った。

 「ですが、男はそれを望まなかった。自分はそれが気に入らなかった。何より、自分の理想を肯定しなかった。そう、今のあなたと同じです」

 その時、アキラは目を開けた。

 「だが、漢達と旅をして、この世界で数多くの仲間と会って分かった。理想は押し付けるものじゃない、分かり合うものだと!自分勝手な理想を無理矢理押し付けてはいけない!語り合って、譲り合って、時には断念して、いろんなものを潜り抜けて、仲間を見つけて、そしてぶつかり合う事が必要だと!」

 努力・友情の先を吉野に向けた。

 

 「それをしないお前がこの日の本を統一できるはずがない!今ここで、その狂った無理矢理な理想を貴様ごと斬る!」

 

 そう叫び、ついにケリをつけに駆け出した。

 「「「「「「「「「「アキラ!」」」」」」」」」」

 「「「「行ってこい!」」」」

 嫁達が叫び、仲間達が笑顔で言う。

 「吉野!!」

 「おのれ~~~!!!」

 吉野は鬼を出そうとしたが、

 「・・・な!」

 出てこなかった。本当に打ち止めになったようだ。

 「覚悟!」

 努力の太刀でついに吉野を刺した・・・が、

 「く、くくく、はははははは!我は神だ!神の我に人間の貴様が殺せるか!」

 人間の吉野からは血が一滴も出なかった。しかも、傷ついている様子がなかった。

 「何と、これが狙いでしたか・・・あなたが私に鬼を斬らせた理由は」

 「ふふ、ああそうだ!貴様はこれで我を殺せない!」

 すると、隠していた短刀を取り出した。

 「この邪魔ものが!し「知ってましたよ。その狙い」何!」

 大笑いしていた顔が、アキラの一言で歪んだ。

 「ヒントを出しすぎですよ。鬼の切れ味がよすぎる。鬼の毒が消える。更に、人を刺しても傷がない。これが狙いということくらい、バカでも見抜けます。まあ、感謝してますよ。あなたみたいな下種以下の血でこの二つの愛刀を汚さなくてもよくなったのですから・・・ついでに言わせてもらうなら、あなたが神?ふふふ、好都合です」

 吉野が持っている短刀を友情の太刀で止めて、挑発した。

 「く!」

 「私は、私があなたを斬るとは一言も言ってませんが?」

 「何?」

 「何より、神相手ならふさわしい狩人がいます」

 歪んだ顔に困惑が加わった・・・その時、

 

 「神だ?そいつはいい!大好物だ!」

 「おうよ!神の頸、ワシらがもらった!」

 

 残っていた鬼を斬って、吉野の左右からいきなり桐琴と小夜叉が現れた・・・そう、神・仏であろうとその頸を狩ると豪語するこの親子が。

 

 「鬼とそんなにいたいなら!!」

 「あの世で好きなだけ楽しんでくるんじゃな!!!」

 

 そして、吉野の体を丁度クロスになるように二人は斬った。

 「あなたの敗因はたくさんありますが、最大の敗因を言うのなら」

 吉野の体が地に落ちて、自分の足下に来た顔に向かって言った。

 

 「たくさんの仲間と愛する人がいる私と、それが一人もいないあなた。これが敗因です」

 

 だが、その言葉を聞かずに悔しがる吉野。

 「くそ!くそくそくそ!!!ははは!だが、鬼の種は日の本にまき散らされた!この国が鬼に支配されるのはそう遠くない!見ていろよ、この国が鬼の国になる日を!」

 歪んだ顔で叫び続けて・・・そして、鬼が消えるのと同じように霧散して消え去った。それと同時に鬼の種となる黒い柱も消え去った。

 アキラは、吉野の顔があった場所に

 

 「上等です。世の中はきれいごとばかりじゃ済まされない。醜い、苦しい、辛い、痛い、そういったもので埋め尽くされています。あの世で見てなさい・・・その中で泥まみれになりながらも必死に生きる私達を」

 

 そう言いながら刀をしまおうとしたが、

 「アキラーー!!!」

 「!!」

 その瞬間いきなり狂が斬りかかってきた。しまうのをやめて、刀で止める。だが、狂の攻撃は止まらない。因みに鬼はもういなくなっていた。既に、それぞれの勢力の兵に洛中の鬼の調査と殲滅を指示して、その隊の将として兎々が出て行った。今この本能寺にいるのは、梵天丸達とアキラの嫁だけだ。

 「「「あ、アキラ!」」」

 久遠・美空・光璃が叫ぶ。いや、皆も叫んだ。慌ててアキラの元に行こうとしたが、

 「やめときな」

 「うんうん」

 「あれが、あの二人のじゃれ合いなんだよ」

 梵天丸・ほたる・灯に止められた。

 「あ、あれがか!」

 「ああ、あいつらはあれがあいさつ代わりだ」

 「ほ、本気でやっているように見えるけど!」

 「全然本気じゃないよ」

 「・・・嘘」

 「だったら、見てごらん。あの二人の顔」

 灯に言われて、二人の顔を見た・・・とても楽しそうだった。それを見て、殺し合う気はないと分かり、皆の動きが止まった。

 

 そして、数分後に二人が離れた。ドキドキしていた嫁達も少しほっとした。だが、二人の目は真剣そのものだ。

 「さて、分かっているな」

 「ええ。もちろんです」

 「前の勝負で俺が九勝一引き分けだ」

 「・・・は?一引き分け?どういうことです?」

 自分は十連敗していると思っていたのに、狂は一引き分けと言った。

 「最後の勝負・・・悔しいがお前が最後の攻撃をするとき、俺は立ちながら少しだけ気を失っていた」

 「な!」

 まさか、ここに来る前のあの勝負で狂が少しだけ気を失っていた。それを聞いて驚く。

 「お前が地面に落ちた音で俺は意識を取り戻した。もし、お前が攻撃をしていたら俺は完全に負けていた。しかし、その攻撃が届かなかった。だから、引き分けだ」

 狂があの戦いで自分の負けと呟いたのはそれを理解したからだ。それを聞いたアキラは

 「・・・なら、今度はその攻撃を当てましょう!」

 ギラギラに燃えた。

 「ああ。最後の、本当の決着をつけるぞ!」

 二人の目に闘志が宿った。そして・・・今の今まで内に秘めていた殺気を一気に開放した。

 「「「危ない!」」」

 いち早くそれに気づいた梵天丸とほたると時人が全員の前に立った。

 「な、お、おい「出てくるんじゃねえぞ、嬢ちゃん達」な、何を」

 「ちょ、ちょっと「ダメ。出たらまずい」ど、どう言う事?」

 「あの「殺気だけで、死ぬよ」・・・え?」

 「三人の言う通りだ!この三人より前に絶対に出ちゃダメだよ!」

 いきなり現れた三人に文句を言おうとしたが、灯に止められた。そして、やっと気づいた・・・この三人がこれ以上ないほど震えていることに。さすがの時人も狂とアキラ、二人の本気の殺気は辛いようだ。

 「あ、あああ、こ、っここここ、怖い!」

 「な、なに、こ、腰が抜けてしまう」

 「震えが止まらない。こ、こんな・・・武人として情けない!」

 「す、凄いっす!・・・で、でも、怖いっす!」

 「本当、だぜ・・・怖さが先に出ちまうぜ」

 「綾菜、情けないです。殺気だけで動けなくなるなんて!」

 「悔しいのう、儂はまだアキラにたどり着いてないのか!」

 同時に、やっと自分が直接浴びてないのにそれ以上に震えていることに気づいた。この三人が、二人から出る膨大な殺気をある程度抑えているからそれで済んでいるのだ。もし、前に立ってなかったら・・・確実に半分以上が失神していただろう。

 「全く、完全に理性が壊れているね!」

 「仕方ねえさ、あれは納得のいかない終わり方だったんだからよ」

 「それがなくせる。最後のチャンス」

 「まさか、この世界でそれができるなんてな」

 時人の言葉に頷く三人。そして、

 

 「行くぜえええええ!!!」

 「ラストチャンス、絶対に勝つ!!」

 

 二人の火花が、闘志が、魂が燃え上がる本当の決着が幕を開けた。

 

 

 

 ここはある場所。

 「く、ここはどこだ?」

 その場所で、吉野は目を覚ました。周りを見ても暗くてわからなかった。

 「朕は斬られ、いや傷がない。という事は、ははははは!そうだ、神の朕が斬られるはずがない!」

 自分のいる場所に気づかないまま、大笑いをした・・・そこに

 

 「やっと来たか。全ての元凶が」

 

 吉野の後ろから声が聞こえた。そちらに向いたが、暗くて見えなかった。

 「まさか、ここがどこか知らないのか?」

 「ふん!神の朕にふさわしい場所だろう!」

 「・・・・・・ああ、確かにふさわしい場所だな。お前や我にふさわしい場所だ!」

 そう言うと、暗かった周りが一気に見えた。そこは・・・

 

 「そう、地獄という場所だ!」

 

 針の山や血の海にたくさんの鬼。どう見ても地獄にしか見えない。そして、話している人物の顔も見れた・・・武田信虎の顔が。

 「ここで再会とは、運命としか言えないな」

 「な、何故だ!何故朕が、神で王の朕が!」

 「・・・全然変わってないな。この状況を見てもなおこれか」

 溜息を吐く信虎。そして、そんな二人の周りを、

 「そんな悔やんでいる暇などないぞ。これからが本当の地獄だ」

 「何!」

 「「「「「「「「があああああああああ!!!!」」」」」」」」

 何十万以上の鬼が囲んでいた。

 「おお!朕の民ではないか!よし、こんなところを早く出るぞ!ほら、さっさと出口を案内しろ!」

 その鬼達を見て喜ぶ吉野だが、

 「・・・・・・」

 「信虎!貴様もさっさと朕のために働け!」

 そんな彼を呆れた目で見る信虎。周りの鬼達も呆れた目で見ていた。

 「疑問に思わないのか?何故、我や周りの鬼達がお前に従わないのか?」

 「ふん!従わないはずなかろう!朕の民が!」

 「・・・ダメだなこれは。さて」

 信虎は背を向けて歩き出した。鬼達が彼女に道を作った。その道を歩こうとする前に吉野に向いた。

 

 「ここにいる鬼は既に人間の頃の意識を持っている。つまり・・・貴様に無理矢理鬼にされた記憶を持っているという事だ。そして、この地獄では鬼を支配しているのは貴様ではない・・・ここまで言ってもわからないなら、お前はもう救えない」

 

 忠告をして、遠ざかっていった。

 「何を戯言を、ふん!おいお前ら!さっさと朕に道をつくらんか!」

 吉野はいまだに気づいていない。これから始まる地獄に・・・

 「「「「「「「「がるがるがああああああ!!」」」」」」」」

 「何だ?貴様ら、まるで王の朕を敵みたいに見て・・・どういうことだ。な、何故、朕の鬼を操る力が利かない!」

 殺意みなぎる何十万の鬼に吉野はやっと少しずつ様子がおかしいことに気づいた。そして、持っていた鬼を操る力・・・利かないと思っているが、本当はなくなっているのだ。あれは生きている時のみに仕える力であり、死んでいる今はもはや使えないのだ。

 「く、来るな!何を、何をする!朕は貴様らの王だぞ!」

 その王にこの鬼達・・・いや、人間だった人達は人生を台無しにされた。理性を無くされ、ただただ人を喰う存在にされ、そして殺された。全部、この王にされた。平和に暮らしたかった人もいれば、欲望に従った人も強くなれるとそそのかされて使った人もいただろう。そんな彼らが鬼の姿のままで共通している考えはただ一つ。

 

 『元凶のこの男に、今までの恨みを憎しみを怒りを、全部ぶつける』

 

 これだった。もう、これしか考えてなかった。完全に逃げられないように何重にも囲み、その間も吉野は叫ぶが、鬼達は聞かない。

 

 「く、来るなあああああ!」

 「「「「「「「「がるがるがああああああ!!」」」」」」」」

 

 鬼達の残虐な復讐の始まりだった。その吉野の悲鳴と鬼達の雄叫びを聞いた信虎。

 「・・・身をもって知るんだな。私も、貴様が来るまでずっと駿府の民だった鬼に復讐を受けていた。そして、やっと知った。鬼にされた者達の苦しみが・・・悲しみが・・・痛みが。お前は私の何十倍のそれらを味あわないといけない」

 足を止めて聞こえた方を見た。

 「しかも、地獄では生きるという概念がないため、体がバラバラになっても必ず元に戻る。無限に痛みを受け続ける・・・果たして意識は持つかどうか。だが、これが愚を犯した者の受けるべき罰だ。私は終わったが、お前は始まったばかり・・・光璃、夕霧、薫。もし来世と言うものがあるのなら・・・私はまたお前達三人の母になりたい。そして「ぐわああああああああああああ!!!!!」」

 最後に小さな声で口を動かしたが、吉野の悲鳴で聞こえなかった。そして、彼女は再び歩き出した・・・光の見えるところへ。もし悲鳴が聞こえてなかったら・・・こう聞こえていた。

 

 『親子で、幸せに暮らそうな』

 




 
 狂の暴れるところが少なくておかしい?と思いませんでした。こういう事だったのですよ!さあ、次回は狂が、アキラが暴れますよ!でも、どれくらいにしよう・・・本能寺崩壊くらいにしようかな?あまりやりすぎると京崩壊になりそうだし。
 やはりあの二人がとどめを刺しました!というか、この二人以外考えられなかった。個人的にアキラのあの刀に吉野の下種の血をつけたくなかったですし。

 吉野の末路はこうなりました。やはり、自業自得・身から出た錆ですからね。でも、アキラも自分がこうなっていたかもしれない。と思う当たり、やはり仲間と愛する妻の存在が大きいという事ですね。
 そして、信虎は・・・最後の立ち合いに娘達がいたからこそ、また母になりたいと願った。

 では、次回をお楽しみに!


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百十六振り目 楽しい時間

 
 どうも!三MENです。

 今回の話は戦国恋姫ではなく、ほぼSDKの流れになっちゃいます。でも、やはりアキラと狂はこうでないといけませんので・・・戦国恋姫の話の流れを望んでいる方は申し訳ございません!
 では、戦い開始です!


 

 二条館

 「この殺気って、まさか」

 「アキラ様と・・・狂様で間違いないかと」

 「あ、あいつらもこっちに来れたのか?」

 「私達と同じ方法でしょうが、これは鬼以上にまずいことになりそうですね」

 「あの二人の戦いは被害を増やすからな・・・五回目の時なんか、森をはげさせたことあるからな~。ゆやさんがブチ切れて二人を一日中正座させたんだっけ?」

 「余計なことまで思い出しましたが、久しぶりに会って戦えることで二人ともテンションも高いでしょうし」

 「黒い柱も、鬼もいなくなったが・・・下手すれば、洛中全部」

 「何とか最小限で済むことを祈るのみですね」

 朱雀と庵樹は向こうの世界で、何度も二人の戦いを見ているので殺気で狂達が来たことが分かった・・・同時に周囲をどれだけ壊したかも見てきたので、何とか被害最小限で収まってくれるよう祈った。

 

 禁裏

 「・・・うん、いなくなっている。皆さん、黒幕は倒されました!黒い柱はなくなりましたが、鬼自体はまだ存在するので油断は禁物です!念入りに調査してください!」

 「は!かしこまりました!山本様」

 「・・・麦穂様も壬月様もやはりアキラ殿が心配だったのですね。私が来た途端に、指揮を渡して本能寺に行くなんて。でも、もうその心配は・・・え?何、何でアキラ殿が戦っているの?しかも、その相手が・・・あの夢に出てきたとんでもなく強い人!」

 どうやら、禁裏にいた麦穂と壬月は湖衣が来た途端に指揮をバトンタッチして、本能寺にとんで行ってしまったようだ。その後から、金神千里で周りの様子と本能寺の戦いを見ていたのだ。だから、すぐに吉野が倒されたことも知ったがアキラが夢で見た狂と戦い始めたことにビックリした。

 「あの人もアキラ殿もとんでもない技を使って戦う・・・う、何か嫌な予感が」

 その予感、当たらないよう彼女も祈った。

 

 

 そして、本能寺では殺気を出し続ける二人が戦っていた。

 「やるな。腕が上がってるじゃないか!」

 「狂こそ、育児で腕が落ちているのでは?と思ってましたよ!」

 「くく!そのストレスは梵やほたるでやったからな!」

 「ははは!確かにあの二人はいいサンドバックですからね!」

 「おいこら!人を何だと思っている!」

 「狂ならともかく、アキラに言われたくない」

 楽しそうに刀を打ち合う二人に突っ込む二人。

 「楽しそうだなあ。何かそわそわするぜ!」

 「さあ、アキラはどう出るのかな?」

 「「「「「「こ、これが、二人の戦い」」」」」」

 狂とアキラの戦いを楽しそうに見る時人と灯だが、後ろにいる皆はぶつけ合う刀の激しさに言葉を失っていた。

 「これは、どうだ!」

 笑顔で朱雀と白虎を出す狂。その威力を夢で見た彼女らは慌てたが、

 「エンド・クロス!」

 朱雀と白虎をエンド・クロスで切り裂いて、二つとも消した。

 「ほう~、随分と強くなっているようだな。青龍を出せるくらい壬生の血も馴染んでいるみたいだからな」

 「わくわくワクワク、そわそわソワソワ」

 「ほたる!興奮しすぎて自分を燃やすんじゃない!後ろにいる子達がビックリしているよ!」

 「アキラの奴、あんな技を使えるようになっていたのか・・・こりゃ、また努力しないと離されそうだな」

 奥義二つを一振りで斬ったアキラに感心する梵天丸。ほたるは自分も戦いたくて仕方ないのか自分を燃やしていることに気づいてない・・・久遠達が驚いているので灯が注意した。時人はアキラの新たな技にまだまだ努力をする決意をした。

 「あ、あの、だ、大丈夫なんですか?」

 「というか、どこから火が!」

 「ああ、大丈夫。あいつは火を出す力を持っていて、興奮するとああなるんだよ。全然問題ないし、アキラだって氷を出せることは知っているだろう?」

 「・・・説明と質問の答えになってない気がしますが、とりあえず納得するしかないですね」

 秋子と心の質問に笑顔で答える灯だが、答えになってないので詩乃が突っ込もうとしたが、アキラの名を出されたら納得するしかない。

 「今度は私です!」

 夢氷月天を放った。もちろんそんなものが効くはずないことは、お互い分かっている。狂はそれを斬り壊した・・・そこに

 「な!」

 氷の破片が狂に張り付いていく・・・夢氷雹天の効果だ。月天の中にそれを隠していたのだ。

 「この程度で止め「十分!」何!」

 狂は着いてくる破片を全部振り払った・・・だが、既にアキラは準備完了だ。

 

 「白虎の爪牙、感想はどうです!」

 

 力がこもった白虎を放った。狂は白虎そのものはすぐに斬ったが、腕に掴まれてしまいアキラに引き寄せられる。

 「よし!いけ!」

 久遠の歓声と共に皆も応援した。だが、

 

 「アキラ。玄武の腕、気持ちいいだろう」

 

 掴まれた時、既に玄武を発動していた。アキラは動けなくなってしまい、白虎の腕が無くなったのと同時に狂の一撃を受けてしまった。

 「「「「「「アキラ!」」」」」」

 だが、アキラもただではやられない。玄武の腕で掴まれているのは体だけであり、刀は掴まれていない。そこで、刀を手放して地面に刺した。すると、

 「ぐああ!」

 狂の足下から氷柱が突如出て、宙に押し出した。玄武も地面には貼られてなかったので、もろに受けて地面に落ちた。その時に玲の張り付いていた玄武の腕もなくなった。

 「そうだったな・・・こいつはお前の基本の技だったな」

 「狂こそ、白虎を出す直前にこっそり玄武を使っていたなんて」

 お互い一撃をくらわせ、楽しそうに見合った。

 

 ここまでの戦いで既に彼女らの常識を超えていた。夢で見たとはいえ、やはり現実で見ると体感もできるので感じ方が違っていた。

 「殺気もとんでもなかったけど、アキラってこんなすごい戦いができるの!」

 「夢で見たが、現実で見ると改めてとんでもなさが分かるのう」

 「お家流も児戯に見える」

 「僕も氷のお家流ですが、兄様の方がすごいし、あの人もあれで凍らなかったことがすごい!」

 お家流が使える当主四人は既に唖然としていた。何しろ、自分の持つお家流に絶対の強さを持っていたが、この二人を見てそれが壊されたのだから。

 「「久遠様(殿)!」」

 そこに、壬月と麦穂がやってきた。

 「お、お前達!禁裏はどうした!」

 「湖衣さんが来てくれたので指揮を任せて、アキラ様と久遠様を助太刀に来たのですが」

 「黒い柱が消えたところで戦いは終わったと思ったのですが・・・どうやら、我等はとんでもないものを見ることになりそうですな」

 壬月の言葉に久遠は頷いた。

 「お前達、絶対に見逃すな・・・あの夢の時みたいに目を閉じることはするなよ!我も、今度は絶対に閉じない!」

 「「「「「おう!」」」」」

 壬月と麦穂に傍にいる三若にそれを伝えて、戦いに集中した。

 

 刀を肩に乗せながらアキラは不満そうに言った。

 「狂、分かり切った手の内を見せるのはやめましょう。様子見はここまでにしてペースを上げてくださいよ」

 「ふん、それはそっちもだろう。まあいい、お前もそろそろ本気を出せよ!」

 その不満をブーメランで返した狂。この言葉に彼女らは全員驚いた。

 「い、今のが、様子見じゃと!」

 「おいおい・・・どう見ても最初っから飛ばしているようにしか見えなかったぞ!」

 「これが、武の頂点の戦いですか!綾菜、絶対にたどり着くです!」

 連合のトップスリーである桐琴・小夜叉・綾菜は普段見せない驚きを出した。強者を見て血を燃やす彼女らでも、あの攻防がまだ様子見だとは思わなかったからだ。

 もちろん、ほかの皆も同じ気持ちだった。

 「ここからが、本気の・・・戦い(ごくり)」

 「うん。そうだね・・・お兄ちゃんとあの人の」

 「しっかりと、見届けるっす」

 「ああ、これは一生・・・いや生まれ変わった来世でも見ることが出来ない戦いだ」

 歌夜・市・柘榴・春日の話に頷くこともしないで、全員意識を集中した。

 「さて、狂はどう出るかな?」

 「アキラは狂の戦いを知っている。狂もアキラの事を知ってはいるが人間の時だけ」

 「今のアキラは壬生一族で無明神風流殺人剣の技を使える。しかも、四つの奥義も使えるときた」

 「でも、流石に黄龍は出せないだろう。あれは真の壬生一族・・・狂しか出せない。その血を濃く受け継いだ壬生京一郎も存在しないしな」

 「それでも、狂と同等の実力を持っている。と見ていいかもしれねえな」

 「壬生一族になったことにより、さらにパワーアップしたからね。こりゃ、あの時以上の戦いになるね」

 「もっと激しい戦いになる・・・狂、羨ましい」

 梵天丸・灯・時人はもはや予想がつかない勝負に楽しみな反面冷や汗を流した。ほたるだけは、戦えないことに悔しんでいる。 

 

 居合の構えをする狂。

 『くる!』

 すぐに何をするか理解したアキラ。

 「行くぜ!四神!」

 「やはり!」

 朱雀・白虎・玄武・青龍の四つの奥義を同時出した。しかも、それは一つずつではなく、二つずつ・・・つまり計八つだ。

 「分かるよな。これが出るという事は!」

 「もちろんです!」

 かつての戦いを思い出すアキラ。この四つの奥義を出すという事は、

 

 「さあ、どうする?この後のあいつを!」

 

 何とか、計六つの朱雀・白虎・青龍が襲い掛かってくるのをところどころ喰らいはしたが避けきった・・・ところに二つの玄武の腕で動けなくなってしまったアキラ。

 『やはり、これは動かせない!』

 ヘブンズバーストを発動させて腕を凍らせて壊そうと思ったが、狂の本家本元の玄武の腕は壊せなかった。そう思っている間に、空から二頭の龍が降りてきた。

 

 「無明神風流殺人剣!奥義、黄龍!」

 

 龍が降りてきたことに、久遠達は絶句した。もはやさっきまでの鬼との戦いすら遊びに思えるくらいに、現実味がないのだ。

 「「お、お頭逃げて!」」

 「く・・・」

 ひよところの叫びに皆も必死に逃げるよう促すが動けないままだ。ついに、

 「「「「「「いやああああああ!」」」」」」

 黄龍がアキラに命中した。同時にアキラの横にあった本能寺の境内が、全部その大きな破壊力に負けて崩壊した。

 「ほ、本能寺の、け、境内が・・・」

 「こ、壊れ、まし、たね」

 一二三と悠季が滅多に出さないビックリした顔で粉々になった境内を見た。傍にあった周りの木や石畳、灯篭なども全部だ。それらの破片の下敷きになったのか、アキラの姿が見えなくなった。

 「あ、あ、アキラ様!だ、だだだ、大丈夫ですか!」

 葵が涙目で叫ぶ。

 「お、おにいいちゃああああん!」

 「姿を、見せてくれでやがる!」

 「そうだぜ!起きてくれだぜ!」

 「お願いです・・・お願いです!!」

 薫・夕霧・粉雪・心が必死に声を出した。だが、あれだけとんでもない技を見て内心無理なんじゃないか?と思った時だ。

 

 「・・・アキラ様は立ちます!あの人は、絶対に負けません!」

 

 エーリカが力を込めて叫んだ。その叫びに

 「ハニー!私達、信じてます!」

 「そうです!アキラ様は、どんな困難も立ち上がるお方です!」

 「アキラ、見せてなの!夢をかなえるのを!」

 梅・雫・鞠が笑顔で頷いた。

 「ご主人様、起きてください!小波は・・・私も信じています!」

 「そうだよ、お兄ちゃん!立って!」

 「・・・(コクコクコク!)」

 アキラ隊の他の嫁達も叫びだした。

 

 「・・・そうだ。早く姿を見せんか!」

 

 久遠が一番大きな声を出した。それに答えるかのように、

 「破片が、凍った!」

 「と、いうことは!」

 浅井夫婦が笑顔で叫んだと同時に凍った破片が粉々に砕けて、努力を地に刺したアキラの姿が現れた。ただ、結構ボロボロになっていた。

 「どうやら、とことんやらないとダメみたいですね」

 「へ、これでくたばるタマじゃないことは分かっていたぞ」

 「よ、よかった・・・よかった」

 「うん、うん!」

 「主様!信じておったぞ!」

 万全とは言えない状態だが、元気な姿に見えるので喜ぶ美空達。

 「しかし・・・エンドクロスで防いでもなお、このダメージですか(二頭でこの威力なら、三頭だと余計にやばいという事ですね)」

 「ほう、さっきの朱雀と白虎を消した技で威力を軽減したのか。くくく、向こうの時は一頭の黄龍でくたばっていたのに、随分としぶとくなったな」

 肩で息をするアキラは何とか目を開けて狂を見た。今は自分の刀・天狼を肩に乗せて楽しそうにアキラに話しかける。だが、アキラには聞こえてなかった。

 

 「(何を考えているのですか、私は・・・やばい?そんなの当たり前じゃないですか!狂は常識を超えた強さを持っている!そんな相手と戦うのは最初からヤバいに決まっているじゃないですか!その漢を倒すことを考えていたのに、何を弱気になっている!考えることはただ一つ、必ず狂に勝つ!それだけだ!)」

 

 生涯かけて倒すべき相手を見て、あの黄龍をどうするか考えていたことに気づいたからだ。そんなことは時間の無駄と思い、同時に弱気になっていると思った。だから、余計な考えを全部捨て、ただ倒す事だけを考えて戦う決心をした。

 「行きますよ。ここからは当たって砕けろです!」

 「こい!アキラ!」

 無謀にも突撃していくアキラ。それに答えるかのように待ち構える狂。両者共に笑顔で、刀を交える。

 

 仕切り直しで戦う二人。アキラは奥義をくらって、狂はその奥義を出して、お互い力をためる時間が欲しいので、今は刀でのつばぜり合いとなった。

 「ここまでくると、もうどうにでもなれ。と思えてしまうな」

 「そうですね。アキラ殿はこんなにも非常識な世界に自ら飛び込んだのですね」

 「本当に凄い人・・・素敵です」

 「「ああ、そうだな(ですね)」」

 壬月・麦穂・秋子は夢で見たアキラを思い出して、想いを更に強くした。そんな様子を見る灯。

 「・・・ねえねえ、ちょっと聞きたいんだけど」

 彼女、もといこの漢の目が悪戯心満載・・・いや詐欺師が相手の気持ちをどうでもよく思いながら金を騙しとっていくような、かつての四聖天時代によくやった何とも恐ろしい顔になった。

 

 

 刀の打ち合いも終わり、お互い体の調子が元に戻った。

 「おい、アキラ。目が開いているぞ。しかも、紅いじゃないか」

 「・・・気付かなかった。興奮して忘れてました(・・・あれ?超視野化で裸が見えていたのに服のままだ。まさか!)」

 今までは目を開けると無条件で超視野化で裸が見えていたのに、それがなく狂は服を着ている状態だ。視線を一瞬見ている皆にずらすと、皆も服を着ている状態だ。今までは目を開けるのは戦いの間だったし、集中して使っていたため見えても筋肉や骨レベルだったので意識してなかった。そこで、意識をして使うと

 「(予想通り。三百六十度上下左右前後、全てが見える!しかも、二条館の時とは違って、体がもう壬生一族になっているから血の作用による体の負担もない!)」

 思っていた通り、超視野化をコントロールできていることに気づいた。

 「行きますよ。狂!」

 「ふ、どうやら。もっと楽しめそうだ・・・な!」

 狂が言い終わる前に、一瞬で間合いに入って斬りかかったが止められた。

 「使えるものは全部使わないといけませんね!狂と久しぶりに戦えることと無明神風流殺人剣に意識がいっていて、この力の事を忘れてましたよ!」

 「く、つ!」

 再び打ち合いが始まったが、アキラが押している。その理由は超活性化も使ってきたからだ。だが、それはアキラが意識して使ったというわけではない。

 「・・・紫微垣。あなたも戦いたいのですか?」

 紫微垣が光り、そして震えていた。自分も混ぜろ!と言いたげに、アキラの体に力を与えたのだ。

 「ふふ、そうですね。あなたも私の愛刀。一緒に戦わないと失礼ですね」

 「おいおい、そいつも使うのかよ!」

 「ええ。やはり、こいつも使わないと狂、あなたに勝てそうにないですからね!」

 一端両手で努力と友情を持ち、紫微垣を抜こうとしたが、何と自分から出てきた。

 「お、おい。まさか!」

 「これは、初めて見る」

 「どうなるんだろうな・・・」

 一番前の三人も、後ろの皆も、そして狂も驚いていた。

 

 「さあ、参りましょう。努力よ!友情よ!紫微垣よ!わが愛刀であり、人生を共に歩む唯一無二の半身よ!ともに、狂を倒しましょう!」

 

 三つの刀が光り輝いた。宙に浮いている紫微垣を持ち・・・それを口に銜えた。

 「三つ同時に使うのは、これが初めてです。狂!私達の全て、出し切ります!」

 光も収まり、構えていたアキラがまた一瞬で間合いに入って攻撃を仕掛けた。驚いていたため反応が遅れたが、戦いの本能で体が動いて止めた・・・だが、それは銜えている紫微垣だった。つまり、

 「はあああ!」

 「しまった!」

 両手からの攻撃が来るという事だ。何とか開いている左手で努力の太刀を抑えた、が友情の太刀までは無理だった。

 「ぐああああ!」

 吹き飛ばされて、転がっていく狂。

 「や、やったです!」

 思わず叫んだ綾菜の歓声に、

 「行くのじゃ!そいつを倒せ!」

 「おうよ!見せろよ!アキラの全てを!」

 桐琴・小夜叉と続き、ほかの皆も続いた。だが、アキラは油断はしていない。さっき思った通り、相手は常識が通用しない相手。倒すなら、これでもか!と言えるくらいの大きな一撃をぶつけないといけない。

 「へへ、俺の顔に泥と着けるとはな。アキラ、本当にデカくなったな」

 「あなたを超える為なら、あなたを倒すためなら、いくらでもデカくなります!」

 立ち上がる狂に叫ぶアキラ。

 

 「だが、楽しい時間もここまでだ!」

 「ええ!!全力を込めて・・・この一撃を放ちます!」

 

 まだ余力がある二人だったが、それがあるうちに全力を込めた一撃をぶつけることにした。そして、それは狂も同じ考えだった・・・二人の戦いが、もうすぐ終わりを迎える。

 




 
 アキラ、三刀で戦います!やはり、紫微垣も使わないとね!次回がついに二人の決着です!最後の戦い・・・どうなるか。
 本能寺、やっぱり粉々になったか・・・まあ、仕方ないか。

 第十章もほぼ終わりに近づいてきています。ついに・・・この話も終わりが近づいているな。

 次回をお楽しみに!


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百十七振り目 二人の全て・・・そして、終わりと別れ


・・・三MENです。

 本当はまだ途中なのですが、とりあえずここまで出します!

 次で完全に十章終了です!


 

 相模では、小田原城に北条氏康と北条綱成が運ばれて大慌てになっていた。

 「か、かかかか、母様!」

 「朧姉ちゃんまで、い、一体どうしたってんだよ!」

 「おおおお、お二人とも、あああ、焦らずに!」

 「・・・姫野。何があった?」

 「あ、あああの。あの、あの黒い柱に、おおお、お二人が!」

 「なるほど、もういい。それで、ただで巻き込まれるような朔夜ではない。一体どんな指示を出した?」

 「えっと、その・・・あの男を連れて来いと」

 「そうか。だが、まずは兵にも巻き込まれたものがいないかと、鬼の呪いを進行させないための二人の封印だな。姫野、頼んだぞ」

 「は、はい!」

 「十六夜!三日月!暁月!そんなに慌てては朔夜も朧も悲しむぞ!お前達も動け!」

 「「「は、はい!」」」

 「どうやら、朔夜の言ったことが的中したみたいだ・・・アキラ、相模を救ってくれ」

 サイ・・・歳世はさりげなく京の方を見て、呟いた。

 

 

 場所を本能寺に戻し、先手を打ったのは狂だ。

 「行くぞ!」

 無明神風流殺人剣の四大奥義の同時出し・・・それを三つも一気に出した。しかも、

 「狂の奴・・・真紅の目をしていたぞ!」

 「ということは」

 「背中のあれも出している状態ってことだね」

 「いよいよ、最後の時が来たみたいだな」

 狂の状態を見て、時人達四人はついに決着の時が来たとすぐに分かった。それに対してアキラは、

 「来なさい!」

 襲ってくる朱雀・白虎・青龍に動かないで受け続けた。刀の力も使って必死にガードしているが計九つの奥義はさすがに全部は止められない。叫び声が聞こえ、痛々しい姿になって倒れる。

 「アキラ!な、何故避けない!」

 「そうよ!そんなに傷ついて!」

 「こ、この後は」

 「あの龍が!」

 超活性化状態とはいえ、かなりボロボロになりながらも立ち上がるアキラ。その痛々しい姿に不安になる久遠達。そこに、

 「み、三つの頭のりゅ、龍が!」

 「さ、さっきの二つの頭の時より大きいです!」

 真琴と葵の叫びに全員も驚いた。

 「「「「「「ダメ!避けて~~~!!!!」」」」」」

 彼女らが夢で見たあの先代との戦いに出た大きさの黄龍。あれと同じだが、今はそれ以上に大きく見える・・・必死に叫ぶ彼女達。

 

 「くらえ!アキラ!」

 「・・・・・・こい!」

 

 だが、アキラは地に踵をつけて完全に受ける体制に入った。

 「努力よ、友情よ、紫微垣よ・・・私の全力を使ってください!」

 壬生の血・刀の力、そして自分の全力を、三本の愛刀に込めて・・・襲ってくる黄龍を受け止めた。

 「ぐ、ぐぐぐ、うううおおお!」

 「な、正面から受け止めた!」

 「信じられない」

 「三頭の龍の口に、刀でそれぞれ抑えている」

 「嘘だろ・・・」

 アキラは黄龍の三つの口に、一つずつ刀を合わせてそこで抑えたのだ。それをやっていることに久遠達も、梵天丸達も・・・そして、狂も驚いた。

 「く、くく!!」

 「ま、まさか、あれを、狂に返すつもりか!」

 「「「「「「え!あ、あの龍を!」」」」」」

 時人の一言に全員が絶句した。ありえない、いくら何でも無茶すぎる。そんな考えが四人の頭に出た・・・だけど

 「あ、アキラ様・・・が。頑張れ!」

 「お頭!負けるな~~!!」

 「アキラ様!アキラ様ならやれるです!」

 「そうです!ずっと頑張り続けたアキラ殿なら!」

 「そうだ!努力をずっとやめなかったお前なら!」

 「「「「「「絶対に出来る!」」」」」」

 久遠達は、アキラならできる!と信じていた・・・今まで必死に頑張る、努力する姿を見続けていたからこそ彼女達は信じた。

 「く、ううう、おおお!」

 「アキラ、お前」

 「わ、た、しは・・・負けない!」

 「・・ふ、だったら、やってみろ!」

 必死に抑える姿に狂は応援した・・・まるで、打ち破るのを望んでいるかのように。

 「「「「「「いけえええええ!アキラああああああ!!!」」」」」」

 久遠達の一喝でアキラはさらに力を込めた。刀達もそのアキラの力に答えるかのように、更に輝きだした。

 

 「私は、狂を、倒す!」

 

 決死の叫びをして、自分自身に喝を入れた時だ。

 「ぐお、な、何!」

 何と、黄龍がアキラをそのまま宙に押し上げてしまった。必死に踵に体重をかけていたが、勢いが強かったようでどんどん上にあげられていく。

 「く、地面に叩きつける気か!」

 「どうしたアキラ!そのまま終わる気か!」

 「そんなわけ、ないですよ!ああああああああ!」

 上がっていくアキラに対して叫ぶ狂。全身全霊の力を込めたアキラ・・・・・・そして、

 

 「返します!狂!」

 

 ついに黄龍を跳ね返し狂に向けて放つことが出来た。

 「「「「「「やったああああああ!」」」」」」

 「つ、ついにやりやがった!」

 「アキラ、やる~」

 「きょ、狂!!」

 嫁達はとても喜び、梵天丸達三人はアキラの成し遂げたことに驚いたが、

 「アキラ!危ない!」

 時人だけは気づいていた。黄龍の全てを返したわけじゃなかったことに・・・よく見ると、狂に返された黄龍の頭が二つになっている。残りの一つが、大きさが三分の一くらいに小さくなったが、地面に落ちようとしているアキラに当たろうとしている。全身全霊の力を込めて跳ね返したつもりだったが、頭の一つが斬れてしまったらしくそれがそのままアキラに向かってしまったのだ。

 「皆、逃げろ!」

 「「「「「「「え?」」」」」」」

 時人の叫びに久遠達はおろか、梵天丸達もキョトンとした。だが、もう遅かった。二頭の黄龍が狂に、一頭の黄龍がアキラに当たった。狂の出している三つの玄武の盾もあっという間に壊された。

 「伏せるんだ~~~!!!」

 必死の叫びに、全員が無意識に言う通りにした。すると・・・まるで本能寺の敷地全てで爆発みたいなものが起こり、

 「「「「「「「うわあああああああ!」」」」」」」

 全員が吹き飛ばされていった。幸いだったのは、地に伏せていたのでそのまま地面を転がっていっただけだったという事だ。もし敷地が高いところにあったり、立ったまま吹き飛ばされたらケガ人が出ていたかもしれなかった。

 

 「いたたた、何だったんだ?」

 最初に体を起こしたのは壬月だった。傍には春日と柘榴もいた。

 「大丈夫か?」

 「ああ、だが、何だったんだ?」

 「皆は・・・ってななななな!何っっっっすか!これ!」

 お互いの無事を確認し合って起き、柘榴がほかの皆の確認をしたが、

 

 「な、何で何もないんっすか!」

 

 皆は無事であることは確認できたが、本能寺の敷地やその周りの十数軒の家がきれいさっぱりなくなっていた。しかも、

 「「・・・・・・」」

 本能寺は地理的に二条館が近い上にその近くまでの家も吹っ飛んでしまったため、そこにいる庵樹と朱雀がいきなり起こった爆発に絶句している姿も確認できた。

 「何が起こったんだ?」

 「本当に、何が起こったんでしょうね?」

 それしか言えない。とりあえず、それぞれに転がっていった皆が起き上がった。それと同時に、

 

 「はあ、はあ、く、やってくれたな・・・アキラ」

 「ふ、ふふふ、期待に、応えた。だけです」

 

 現場をこうした二人も起き上がった。完全に二人ともボロボロで、着ているものが無残になり上半身がほとんど見え、更に立っているのがやっとだった。。アキラは黄龍と落下のダメージで紫微垣と努力の太刀が離れてしまって、今持っているのは友情の太刀だけだった。目蓋も開かれているが、人間の目である黒に戻り超活性化も切れて超視野化もなくなっている。狂の方も眼も真紅ではなくなっている。

 「さあ、決着をつけようぜ!」

 「ええ!勝たせてもらいます!」

 もはやお互い力はかろうじて残っているだけ。だが、それでもかまわずに二人は刀をぶつけた。起き上がった皆も

 「あんなにボロボロなのに、どうしてあんなにまだ戦えるのでしょうか?」

 「夢で見た時と同じくらい酷いケガなのに・・・」

 「詩乃さん、ひよさん。おそらく、信念が二人を立たせているのです」

 「はい・・・太白さんと紅虎さんの戦いの時みたいに」

 詩乃とひよは倒れていても不思議じゃないのに戦えることが疑問だったが、歌夜と小波がそう答えた。

 「信念・・・そうじゃな、アキラはあの漢に勝つ信念」

 「そして、あの漢もまたアキラに勝つ信念がある」

 「それが、二人を立たせている」

 「しかも、その信念の強さと大きさは互角・・・何が勝負をつけるのでしょうか?」

 森親子と各務の言葉に納得する皆。そして、麦穂の言う通り互角に見える刀のぶつけ合い。一体何が勝負をつけるのか?みんなわからなかった。

 「見届けるしかないな。どっちが勝つのか」

 「そして、何が勝敗を分けるのか」

 「最後まで見る」

 「余らができるのはそれだけじゃ」

 「はい、兄様の全てを見届けましょう」

 「私達は、信じる未来を信じるのみ」

 「うん!だから待っているの!」

 七人の当主が言ったことに全員が頷いた。

 「何なんだろうな?この子達とアキラの関係って」

 「エーリカちゃんは恋人同士」

 「(くくく、もうちょっと後でもいいね。あの子達とアキラの関係を言うのは)」

 彼女達のここまでアキラを信じる姿を見て、梵天丸はどんな関係なのか疑問だった。ほたるもちょっと気になっていて、そんな二人を驚かせるために既に麦穂と秋子から関係を聞いた灯はニヤニヤしていた・・・二人も時人から聞けばよかったのに、それだけ戦いに集中していたという事だ。 

 「く、おら!」

 「何の!っつ!」

 体に悲鳴が走りながら戦う二人。だが、決着がつかない。勝つ信念が必死に立たせる。既に奥義はおろか、みずち・夢氷月天を出す力もない二人。

 「いつ終わるのでしょうか」

 「心、それは二人もわからないんだぜ」

 「その通り」

 「私達でも、もはや分からないよ。この二人の決着は」

 心の疑問に粉雪・松葉・一二三は首を横に振った。

 「どうなるの!お姉ちゃん!」

 「・・・(ふるふる)」「待つのみって、まあそれしかないよね」

 「そうですわ、雀さん。最後にハニーが立っている。それを信じるしかないのです」

 「そうです。私達は鞠ちゃんの言う通り待つだけです」

 興奮して烏に訊ねる雀。そんな彼女を梅と雫が納得させる。いや、多分これは自分自身も納得させるための言葉だろう。何故なら、

 

 「「「「「「(出たい・・・もう、傷ついてほしくない!)」」」」」」

 

 本当はこれ以上アキラに傷ついてほしくない気持ちが全員にあるからだ。でも、それは二人の信念を邪魔することになるので我慢して決着がつくのを待つのみだが、その我慢が出来そうにないかもしれないので皆が自分自身に言い聞かせているのだ。

 

 

 そして、最後の力を込めた攻撃を二人とも出した。

 

 「おらああああ!」

 「おおおおお!」

 

 二人の刀がぶつかり合った・・・すると、

 「二人の刀が飛んでいった!」

 「持つ力もなかったんだ」

 「こりゃ、引き分けかね?」

 天狼と友情の太刀が勢いであさっての方向に飛んでいった。取りに行く力も残ってない二人は、

 「「こんの!」」

 ついには殴り合った。もはや、武器を選ばずだ。

 「アキラ!てめえ!いつになったら倒れるんだ!」

 「狂の後です!」

 「相変わらず、後ろにいようとするやつだな!」

 「だったら、前を譲ってください!」

 「下僕の後ろに立てだ?俺は常に前じゃねえと気が済まねえんだよ!」

 「ふ、ふふ、だからこそ!倒しがいがあります!」

 どんどん殴り合う。だが、笑顔になっていき文句の言い合いをした。

 「楽しそう」

 「ああ・・・何しろ、本当に最後だからな」

 「最後までやらせようね。長年思っていたことを吐き出させながら」

 「・・・そうだな」

 梵天丸達はとても嬉しそうに二人を見ていた。

 「羨ましいものだな」

 「そうね。ボコボコにしてされて」

 「でも、分かり合える」

 「主様は世の皆がこんな風になってほしい。そう願っているのだな」

 「・・・そうですね」

 「まるで綾菜みたいな考え・・・でも、それが一番大切ですね」

 「隠すことない気持ちでぶつかっているから、楽しくやれるの!」

 一葉の言葉に当主達はアキラ隊の旗、努力・友情を見た。こうして、目の前で見るからこそその意味の大きさを知る。

 そして、ふらふらになりながら

 

 「くたばれ~~!!」

 「こっちの、セリフ、です!!」

 

 最後の拳をお互いの顔にぶつけた。殴られて、何もかも出して、笑顔になる二人。そのまま崩れ落ちる・・・時だった。

 

 「「「「「「「立て!立つんだ!アキラ!」」」」」」」

 

 アキラの愛する妻達の声が聞こえたのは・・・ほぼ無意識だったかもしれない。必死に倒れないように、首から下を全部凍らせて無理やりにでもその場に立つようにした。だが、狂の方はそのまま倒れ地に落ちた。アキラを覆った氷もすぐに壊れたが、冷たさと痛さが体を襲ったので意識が閉じなかった。膝と手をついて倒れないように必死に耐えていた。

 

 「・・・・・・・・・・・・アキラの、勝ちだ」

 

 梵天丸の信じられない気持ちで言った勝利宣言。それを聞き、

 「どう、です・・・あなたの、後・・・でした、よ」

 そう言ってアキラも倒れた。これ以上ないとっても嬉しい笑顔で・・・同時に、

 

 「「「「「「「や、や、・・・やったあああああああ!!!!!」」」」」」」

 

 久遠達の大歓声が響き、大急ぎでアキラの元に向かった。ついに十一戦目にして、アキラは人生の目標だった鬼目の狂に勝つことが出来た。一勝・・・だが、この一勝は彼にとってこれ以上にない大きなものだった。

 

 

 二人の戦いが終わり、早速灯が治療をした。狂はばっちり完治したが、

 「あの、何故、私はけがの治療だけなんですか?」

 「ふふん!狂をあれだけボコボコにしたんだ!ふん!」

 どうやら愛しい人を痛めつけたことに怒っているようだ。けがの治療だけで、疲れは残されたままだったため寝転がったままだ。そのアキラの膝枕を

 「アキラ様。とっても、格好良かったです(ポポポ)」

 エーリカが勝ち取った。悔しそうにして見ている嫁の皆。そんな中で、

 「アキラ、お前何故あの時よけなかった?」

 「何のことですか?」

 「・・・四大奥義を全部くらったことだ。お前だって、あれを出せるんだから、全部は無理でも少しは狂の出した分を消せたんじゃないのか?」

 梵天丸がアキラに訊ねた。

 「うん、そうだね」

 「確かに、最初はよけていたのに・・・どうしてだい?」

 ほたると灯も、そう言われて疑問に思い聞いてきた。ほかの皆も頷いていた。そんな皆に玲はいつも通りの挑発じみた笑みを浮かべて答えた。

 

 「奥義も出さないし、あれを避けないに決まってるじゃないですか。狂の全力を受けてもなお立ち続け、その状態で狂に勝つ。これが、私の求めた勝利ですから」

 

 それを聞き、アキラは狂の技や力を全部受けてもなお倒れないで勝つことが、本当の意味で狂に勝てると考えていたのだと皆は知った。よけたり、相殺したりしながら攻撃して勝っても意味がない。だからこそ、アキラは全部の技をあえて受けて戦い・・・そして、勝利を掴んだ。それこそ、かつての自分達が壬生の里に入って待ち受ける敵と戦った時みたいに・・・。

 「く、くくく、ははははは!そう言うことか!」

 「命がいくつあっても足りないよ」

 「ほたる・・・人のこと言えるかい?あんた」 

 「確かに、ケイコクも同じだね」

 「その通りです」

 三人の傍に何時の間にか来た庵樹と朱雀も灯の言葉に同意した。そして、皆が笑ってひと段落ついた時だ。

 

 「さて・・・そろそろ帰るか」

 

 狂が帰ろうと言った。確かに、あまり長い時間居続けるのもよくない。元々いる世界が違うし、アキラのようにすでに存在をこの世界から認められているわけではない。変なことになる前に退散した方がいい・・・まあ、狂の場合は楽しかったとはいえ負けてしまったのだ。ちょっと悔しいからかもしれない。

 「そうだね・・・って、え!」

 「?どうした、灯」

 「こ、これ!」

 「・・・金具にヒビが入っている」

 この世界に来る道筋を作った金具にヒビが入っていたのだ。それを見て、意味が分からない皆は何を話しているのか分からない。

 「どういうことだ?」

 「やはり、いきなり五人こっちに来るのは負担が大きかったという事だろうね。時人達の時だって無理して、鏡が割れたんだ。これも五人一気は本来なら無理だったという事だ。力を蓄えていた時間が長かったからこそ来れたんだ・・・でも、あと一回使えば完全に壊れて使えなくなるだろうね」

 「じゃあ、本当のサヨナラ?」

 「そうなるね。アキラ、あんたはどうするんだい?一緒に向こうに帰るかい?」

 灯の言葉に嫁達全員がえっ!と驚き、不安な顔になった。

 

 「・・・そうですか。でも、私はここに残りますよ。もう、私の居場所となっているのですから」

 

 何とか起き上がって、笑顔でそう言った。それを聞いて皆ホッとした。中には嬉しさで涙を出す者もいた。

 「アキラ。お前はまた四聖天じゃなく、ただのアキラだ。そして・・・」

 そして、アキラの両肩に手を乗せて狂は言った。

 

 「これは漢と漢の魂(いのち)の誓いだ。もう二度と会えなくなっても、お前はずっとお前のままでいろ。俺も、ずっと俺のままでいる」

 

 つまり、狂に勝つという目標を果たしたがその目標を変えるなという事だ。どんな意味を持って狂はそれを言ったのか、アキラはちゃんと理解した・・・つまり、一勝したくらいでいい気になるな。という事だ。

 「ええ、もちろんですよ・・・まだあなたの全てに勝ててませんから!」

 そう言うと、お互い笑顔で頷き合い肩から手を離して三人の元に向かった。そして、四人で金具に掴んで

 「アキラ!元気でやれよ!」

 「む~~、戦いたかった」

 「狂と戦えばいいじゃないか!」

 「ほたる。いつでも受けるぞ」

 帰るためにゆやの短刀を思い浮かべた。

 「そうだ。紅虎・辰怜に伝言をお願いできますか?・・・太白と歳世がこの世界にいます」

 だが、その前にアキラは頼みごとをした。そう、この二人の事だ。

 「はああ?あの二人が、いるって!」

 「ええ、元気でやってますよ・・・だから、二人も頑張っているのでお前達も頑張るよう言っておいてください」

 「・・・クビラは?」

 「ああ、クビラもいますよ。幸せに暮らしていますので安心してください」

 「不思議なもんだね。向こうの世界にいた人間がこっちに来ていたなんて」

 「本当ですよ・・・でも、気にしても仕方ありませんし。じゃ、お願いしますよ!」

 「ああ!言っとくぜ!」

 頼まれた三人は元気良く頷いた。金具が大きな光を出していく・・・そして、

 

 「「「「じゃあな!」」」」

 

 笑顔で四人の姿が消えていった。光が消えると、やはり四人共いなかった。代わりに、別の光・・・朝日が姿を見せた。

 「・・・長い夜だったな」

 「そうね・・・ねえ、アキラ。本当に良かったの?」

 「うん、向こうに帰れたのに」

 「余らの為を思って「いいえ、違いますよ」・・・え?」

 久遠達はオドオドしながらアキラの方を見た。そんな彼女達の気持ちを察し、一葉の言葉を遮ってアキラは言った。

 

 「これは私の為です。これからも、あなた達と共に生きること・・・これが私の今とてもやりたいことなのです。だから、気にすることはありませんよ。言ってしまえば、私の願望ですから」

 

 そう言って彼女達の顔を笑顔に変えた。心からホッとした彼女達に

 

 「さあ、これからが大変ですよ。まだまだ整理しないといけないことがたくさんあります・・・でも、皆さん。ついてきてくれますよね?」

 

 アキラはとても幸せそうな笑顔で訊ねた。

 

 「「「「「「「「「はい!大好きな旦那様!!」」」」」」」」」」

 

 彼女達もまた、同じくとても幸せそうな笑顔で答えた。

 

 




 ミスっちまった・・・。本当は向こうに帰った狂達の事を書いて終わりにしようとしたけど、間違って投稿をおしてしまった。

 と、とりあえず、文字数的にもいい感じなので、無理やりですが、ここで止めます!

 次回、ついに十章終わりです!


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終の振り目 これからも、皆の想いは一つだけ

 
 どうも!三MENです!

 一応、今回で戦国恋姫 盲目のサムライの本章を完結にします!え?あの家の話は?と思う読者の方、後書きに詳しいことを書きますのでまずは話をどうぞ!


 

 狂とアキラの死闘が終わり、無事元の世界に戻ってきた四人。向こうの世界に行ったときは夜だったのに戻ってきた時は昼だった。

 「あ、おかえり!」

 「良かった、戻ってこれたんだね!」

 「うむ、どうやら無事に彼女を送り届けられたようだな」

 ゆや・京四郎・辰怜が出迎えた。壬生の仕事があると言ってた辰怜も、エーリカが無事に着いたか気になっていたようだ。朔夜は朝までは粘っていたが、流石に限界だったのか眠りについた。

 「ちょっと!アキラはんに会って来たってほんまか!」

 「う~ん、これはもったいなかったな~。向こうがどんな世界か興味あったのに」

 「く、紫微垣を取り返せるチャンスだったのに!」

 出迎えたのは三人だけじゃなく、一日遅れだがアキラの事を語り合おう会に参加予定だった紅虎・真田幸村・サスケと

 「庵樹はどうだったんだ!」

 四方堂に仕事を押し付けて逃げてきた遊庵だった。辰怜はその事を聞いて呆れた。

 「まあ、落ち着きなって。順に説明するから」

 「座って茶でも飲みながらな」

 「僕ら説明苦手」

 「・・・酒をくれ」

 説明がうまい灯と梵天丸が引き受け、ほたると狂は早々に引き下がった。やけ酒なのか、二度と会えなくなったアキラに乾杯なのか・・・おそらく前者だろう。

 

 まず話したことは、やはり狂とアキラの戦いだ。アキラが狂に勝ったことを話すと全員が驚いた。紅虎は飛び上がり、サスケも絶句して、幸村と遊庵は「ついにやったんだね(な)」と言いながらも動揺が止められないのかお茶をこぼした。ゆやはというと

 「あははははは!狂ったら、ついに負けちゃったんだ!」

 「・・・うるさい」

 狂の肩を叩きながら笑っていた。アキラの頑張りを時人達と同じくらい見ていたから、内心応援していたのかもしれない。

 

 その次に話したのはエーリカの事で、彼女を知らない三人にまずこの世界に来たいきさつとエーリカが受けた苦しみを話した。それには紅虎がこれ以上ないほど怒りに燃え、幸村とサスケも拳を固く握った。でも、無事にアキラと再会できてラブラブな空気を作った。と梵天丸がニヤニヤしながら話したのを聞いてほっとした反面、

 「なあなあ梵はん!そのエーリカさんってどれくらいの美人やったんだ!?」

 とても興味深く聞いていた。ちょっと遅れている真尋が見たらこめかみに青筋が出来ていただろう。

 「ゆやちゃんと同じくらい綺麗だったぜ!」

 「ほんまか!会ってみたかった~~!」

 「ははは!そうか、アキラ君も恋人ができたのか。サスケも早いところ作った方がいいよ~」

 「考えとく・・・あれ?そうなると時人達って、どうなるんだ?」

 「庵樹もだ!あいつ~~、妹を捨てやがったな!」

 悔しがる紅虎に、アキラが恋人を作ったことに笑いながらサスケをつつく幸村。そのサスケの疑問に遊庵は妹の事で切れかかった。

 「それに関しては大丈夫だよ。ちゃ~~んとあの子達も愛してるって」

 灯の言葉に疑問形になる皆。

 「え?エーリカさんという恋人がいるのに愛してるって?」

 「まさか恋人が二人?いえ、庵樹さんや朱雀さんもいれると四人?」

 ゆやと朔夜の言葉に全員が更にわからなくなる。それを見て、ニヤニヤ度が最高潮になった灯。そして、

 

 「私達が会った女性全員がアキラの嫁なんだって!」

 

 過去、部下を回復させるために幸村にキスさせようとしたあの笑顔で言った。この瞬間、全員の動き・・・いや息も止まった。

 「三十人以上の女性がいたんだけど、全員がアキラの嫁だって聞いたよ(あ~はっはっはっは!ほたるはともかくほかの皆の顔は見ものだわ!)」

 この一言で今度は心臓すら止まったのかもしれない。これを言った灯は大成功!という文字が、頭の上に見えるくらい内心大笑いしまくっていた。ただ、ほたるはどうでもいいのかふ~ん。で片づけていた。

 皆が再起動し始めた頃にやっと説明を始めた。アキラは向こうでは田楽狭間の天人と呼ばれて日の本中から注目を浴びていること、最初は久遠という女性といきなり結婚したが今では鬼に対抗するために、誰でも、何人でも、どんな身分でも結婚していいという事になった事を笑顔で話した。

 「聞いたことある国主や武将や文官ってこの世界じゃ男だったけど、向こうじゃみ~~んな女なんだって。しかも、そのほとんどの女をアキラは抱いたそうだよ。幼女に巨乳・超巨乳に年下・年上などいろんな女性をね~(ニヤニヤニヤニヤ)」

 もはや、笑顔というより皆の驚く顔に笑いながら話している。

 「織田信長や豊臣秀吉、徳川家康に武田信玄、上杉謙信、浅井長政など誰でも聞いたことのある人達も女性で、全員がアキラにめろめろのラブラブでぐちょぐちょのびちょびちょで〇〇〇〇なんだって~(さあ、これを聞いてどう反応するかな?)」

 麦穂と秋子はほぼ全員が妻という事は話したが、抱かれた・めろめろ・放送禁止用語のようなことは話していない。照れながら話す二人を見て灯が誇張したのだが、まさか本当にその通りだとはさすがに思わないだろう。もし見ていたら、

 「「「・・・・・・(ぽか~~~ん)」」」

 灯も辰怜・サスケ・幸村のように絶句して固まっていたに違いない。壬生一族でもそんな一夫超多妻はないので、こうなるのは当然だ。

 「あ、あはははは。す、すごいねアキラさん・・・こっちじゃ、時人さん達の三人が頑張ってもあまり意識しなかったのに」

 「三十人以上のいろんな女性がアキラさんに。しかも既に夫婦の関係だなんて・・・そ、想像がつかないです」

 ゆやと朔夜は苦笑いしながら顔を引きつらせている。まあ、夫婦のスケールがでかすぎるために無理もない。そして、

 

 「アキラの野郎・・・こっちは一年間心配していたのに、女といちゃつきまくっていただと!俺にも何人か分けろ!」

 「アキラはん!親父が何人も愛人作っていたけど、それ以上になっていたなんて・・・羨ましすぎるで、こん畜生!」

 「(ゴゴゴゴゴ)あいつ、俺がやろうと思ったことを(元)下僕の分際で・・・俺によこしやがれ!」

 「僕だって男だ!女体の海に溺れたいと思っていたさ!アキラ君、君は毎日それができるっていうのかい!代わってくれよ!」

 「あのダンマリ君が庵樹以外の女といちゃつ・・・いや、そんなのどうでもいい!あああ、俺もそっちに行きたかった~~~!!!」

 

 こちらの五人は欲望を交えた大絶叫が響いた。

 「「「「「行くぞ!!アキラをぶちのめして、ハーレム王に俺はなる!」」」」」

 その欲望を叶えるために、再び行こうとしたが、

 「無理だって、ほら」

 「あ、壊れてる」

 金具は灯の予想通り、限界を超えたのか壊れていた。だが、その程度で止まる五人ではない。

 「構わん!やるぞ皆!」

 「「「「おう!」」」」

 五人の思いが一つになった。金具の破片をひとまとめにして手を置いて、ぶちのめす対象・アキラを思い浮かべて無理矢理行こうとした。

 「「「「「殺殺殺殺・・・」」」」」

 嫉妬と殺意を一心不乱に込めた・・・その甲斐あって、金具は光ったが、

 『・・・・・・だ!』

 『・・・・・・でしょ!』

 何か声が聞こえただけで、やはり行けそうもなかった・・・悔しそうに、何が聞こえるのか耳を澄ませた。すると、

 

 『み、皆さん!お、落ち着いて!』

 『落ち着けるか!さあ、我ら全員の相手をしてもらうぞ!』

 『皆あなたに抱かれたいの!頼んだわよ』

 『だから、全て脱いだ。アキラも脱いで』

 『見よ!余らの裸を!さあ、主様のたくましい体を見せよ!、そして来い!』

 『私達の体、心、魂・・・そして、人生全てをアキラ様で染めてください!』

 『兄様、もう我慢できません!!』

 『『『『『『『『私達の体、たくさん味わってください!!』』』』』』』』

 『『『『『『『『アキラ様~♡滅茶苦茶にして~♡』』』』』』』』

 『わ、私の方が、滅茶苦茶にされます!』

 

 アキラと三十人以上の妻との性夜の戦いが始まる様子が、まるでラジオのように聞こえてきた。どうやら、行けない代わりに様子を知る事だけは出来るようだ。

 「「「「「(ゴゴゴゴゴ)」」」」」

 だが、女体の海に溺れるアキラの様子が分かり更に殺意を持った五人。その怒りと嫉妬のパワーは半端ない・・・そう、半端ないのだ。

 

 (バリバリ、バキ~~~ン)

 

 手を置いた金具を力強く握りしめて粉々ニスルクライ・・・五人は気づいていない、これで完全に行けなくなり、しかもさっきのR18確実な放送も聞こえなくなった。

 「「「「「あ、あ、あの野郎ううう!!!」」」」」

 そして、ここまで怒りに燃えると周りも見えなくなる。そう・・・

 

 「ねえ、狂~~。ちょ~~っと(包丁で)話をしない~~?」

 「京・・・私じゃ足りないという事ね。ふ~ん、そうなんだ」

 「秀忠様、私だけを愛していると言ってくれたのに・・・これは(拷問レベルの)お仕置きが必要みたいですね」

 

 狂・京四郎・紅虎の後ろに般若に匹敵する怒りの顔をしたゆや・朔夜と遅れてやってきた真尋がいることと、

 

 「ゆ、あ、ん~~。このあたしが仕事押し付けられて、はい分かった。というと思ったのかい~~(ぴくぴく)」

 

 遊庵の後ろに仕事を押し付けられたアキラのヘブンズバーストに匹敵する寒さを感じる笑顔の四方堂がいるのだが、四人共気づいてなかった・・・唯一、彼女らの怒りの対象外だった梵天丸が、始まった彼女達の死んだほうがまし級のお仕置きを見て恐怖に震えながら語った・・・女は恐ろしいと。

 

 

 向こうの世界の話もここまでにして、鬼との決戦が終わり、アキラ達はまずは体を休めるために坂本城に戻って数日が経過した・・・だがアキラはその数日間の間、結菜・双葉・白百合も含めた嫁達の尽きることのない愛のナイアガラをずっと受け続けていたため休めなかった・・・。

 だが、そんな愛を受け続けた日も終わり、今は二条館にいる。鬼も森一家が頑張ったおかげで洛中内には完全にいなくなったと報告を受け、吉野が来る前にエーリカが何とか洛中の住人達をある程度避難させており、その住人達を戻しても問題ないくらい大丈夫になったらしい・・・ただ、まだ洛中の外は残っているので注意は必要だが。

 「・・・ヤバいですね」

 だが、今のアキラはそれが気にならないくらい心臓がすごく高鳴って緊張している。何故なら、目の前の光景が余りにもヤバいからだ。

 

 「どうした、アキラ?」

 「主様。いつもと違うぞ」

 「そうよ。ほら、こっちを向きなさい」

 「ねえ、早く」

 

 久遠達四人がせかす。ただ、その四人の衣装がいつもの服ではなく、和式の花嫁衣装だからだ。しかも、

 

 「兄様!ど、どうです・・・に、似合いますか!」

 「アキラ様・・・葵は、とても幸せです」

 「うふふ、ねえ、アキラ。私達、綺麗?」

 「あ、あの!き。綺麗ですか!」

 

 真琴・葵・結菜・双葉も同じ衣装を着ている。更に更に、

 

 「「お頭!わ、私達、ドキドキしてます!」」

 「アキラ様の・・・本当の嫁になれる日が来ました!」

 「ハニーのお嫁さん。ああ、今日から・・・ああああ!」

 「梅さん!でも、そうですね・・・嬉しいですよね!」

 「わ~い!アキラのお嫁さん!駿府をとりもどした後、絶対になろうと思っていたの!」

 「・・・綾菜、やっぱり着替えてくるです」

 「ダメ!今日からアキラ様の正式なお嫁になるのよ!今日くらいはそれでいること!小波を見なさい、ちゃんとしているでしょう」

 「あ、あの歌夜様!わ、わわわわわ、私・・・き、緊張して。う、動けなくて!」

 「なあ、似合っているか?どうだ?」

 「大丈夫ですよ、時人。美しいですから」

 「でも、それを言うのは・・・あんただよ」

 「いやはや・・・まさか某まで許されるとは、悔しいが照れますな」

 

 同じ衣装を着ているアキラ隊の皆もいた。アキラの嫁になったと言っても、こうした正式な祝言を今までした事がなかったので、鬼の黒幕を倒した大手柄として挙げられることになった。

 手順としては、まず同盟の中心的存在である久遠・一葉・美空・光璃が入室、次に真琴・葵・結菜・双葉達が入室して、正室・側室の皆で三献の儀をする。そして、アキラ隊の愛妾達もアキラをずっと守り続けた褒美として、特別に彼女達も三献の儀も行う事を許された。

 しかも、後日には同じ花嫁衣装を着た愛妾達との祝言もすることになっている。今回は正室・側室とアキラを守り続けたアキラ隊の皆だ。そんな彼女達を見ているアキラは

 

 『普段見慣れている彼女達なのに・・・この衣装を着ると、こんなに美しく、綺麗で、愛おしく思えるなんて』

 

 ただただ彼女達全員に見惚れていた。しかも、超視野化も完全にコントロールできたので、ずっと閉じていたその目で見ることが出来るので尚更彼女達が美しく見える。

 「え、ええ。皆とっても綺麗すぎて圧倒されてしまいましたよ」

 「そうか!それはよかった!」

 「ふふ、アキラが圧倒されるなんて」

 「それほど綺麗という事じゃな!」

 「嬉しい!」

 「っは!な、何を恥ずかしいことを!」

 「うふふ、アキラったら~照れてる♪」

 「旦那様。双葉、精一杯支えます!」

 「兄様。僕達も恥ずかしいです」

 「でも、それ以上に嬉しいです!」

 正室・側室共に嬉しそうにアキラに駆け寄る。アキラ隊の皆もそうしたいが、まずは彼女達だ。

 「え、えっと」

 抱き着かれるのは慣れているが、いつも以上に綺麗に見える彼女らにはさすがに戸惑ってしまう。だが、そんなアキラに優しくフォローする正室達。

 「アキラ。そう戸惑うではない」

 「そうよ。あなたはあなたらしく」

 「それが主様じゃ」

 「だから、言う事は一つ」

 「・・・そうですか」

 一度、体の中の空気をはいた。少し落ち着いた気がしたので、アキラはいつも通りに戻って想いを伝えた。

 「皆さん。前も言った通り、日の本の整理はまだまだこれからです。ですが、私は必ず成し遂げようと思っています。そして、大切で愛する妻であるあなた達を最後まで愛し続けることを刀に、自分自身に、そして愛する妻のあなた達に誓います・・・そんな私と人生を共に歩むことを誓ってくれますか?」

 二つの信念を全員の顔を見て、真剣な気持ちで言った。

 

 「「「「「「「「「「はい!誓います!」」」」」」」」」」

 

 彼女達は、とても幸せな笑顔で答えた・・・そして、最後に

 

 「「「「「「「「「「旦那様!末永く、愛してくださいませ!」」」」」」」」」」

 

 彼女達の全ての想いにアキラは笑顔で答えた。

 

 『ええ、これからです。ですが、皆と一緒なら成し遂げられる。そう信じられます・・・私こそ、末永くよろしくお願いします!』

 

 祝言の行う式場に全員で向かった。もちろんアキラが先頭で進み、その後ろをアキラの背中を見ながら妻全員が笑顔で着いていった。その背中を一生見続けていたい・・・そんな想いを持ちながら愛する人と共に歩める幸せをかみしめながら、彼女達はアキラと式場に着いた。

 

 

 

 

 

 だが、相模の小田原城はそんな幸せとは裏腹に大騒ぎが続いていた。

 「さ、サイさん!母様と姉様は!」

 「ど、どどどど、どうなったんだ!」

 「ひとまず、封印したから鬼の呪いのこれ以上の進行はない・・・だが、あくまでひとまずだ」

 「その内に解決しないといけない。という事ですね」

 「暁月の言う通りだ。姫野、封印はあとどれくらい持つ?」

 「え!えっと・・・四月(よつき)くらいは持つかと」

 「あ、あの!こ、これから、ど、どうすれば!」

 「そ、そうだよ!どうすればいいんだ!」

 「・・・まずは、情報を最小限にするために兵達の口止めだ。当主と北条きっての武将がこんな状態だと佐竹に知られるのは非常にまずい。向こうもただでは済まなかったと思うが、それだけは確実にしないといけない。十六夜と三日月、やれるか?」

 「は、はい!(たたた)」

 「おう!やるぜ!(だだだ)」

 「行ったか。次に暁月と姫野だが・・・お前達は洛中へ行け」

 「え!ど、どういうことですか!」

 「・・・天人を連れて来い。という事ですね」

 「そうだ。鬼の呪いを何とかするにはアキラが必要不可欠だ。朔夜もおそらくそこに気づいていたから連れて来いと言ったんだ。頼めるか?」

 「で、でも、それなら面識があって友好関係もあるサイ様が」

 「ダメだ。もし意識を取り戻した二人が封印を壊したりしたら誰があの二人を守る?ただでさえ、鬼となった兵だけでも相当な力を持つのに、この二人だったら朔夜かそれ以上の実力者でない限り対抗ができない」

 「確かに、それだと母様と互角の実力を持つサイさんは残るしかないですね・・・姫野、参りましょう。後、献上品の用意も・・・同盟軍の中心人物を連れてくるのです。ただで受け入れてくれるとは思えませんし」

 「わ、分かりました・・・あ~あ、服部にまた会うのか~」

 「だが、急ぐな。洛中も相当被害が出ているはずだ。京の建て直しのために向こうもすぐには対応できないはずだからな・・・二月後に行け。それまでは十六夜達と兵と草の口止めと佐竹の様子見だ。いいな」

 「は~~い(しゅた)」

 「・・・それにしても、本当に朔夜の予想通りになったな」

 「予想通り?」

 「アキラがこの相模に来る。という予想だ。多分、朔夜には何か思惑がある。それが果たして吉か凶か」

 「・・・母様は北条を、相模を愛しています。吉に決まっています」

 「だな・・・だがどんな考えかまではアキラが来ないと分からない。それまでは十六夜と三日月の事、頼んだぞ」

 「分かりました(すたすた)」

 「・・・アキラ、相模を救ってくれ。友としてのお願いだ」

 

 日の本の整理、アキラは無事に出来るのか?だが、アキラは止まらない。背中に大切な存在がいる限り、アキラはやめないし諦めない。果たして、無事達成できるのか?それは次の話を待て。

 

 

        戦国恋姫~盲目のサムライ~本章・完

 





 以上で本章終了です!次は後日談の間章をやっていきます。

 お待たせしました。最後にも書いた北条家の方ですが、ここでいったん区切って、新たに続編としてそこから始めたいと思います。理由は、アキラが超視野化を完全にコントロールできて目を開けられる・・・つまり(本当は途中からだけど)盲目じゃなくなったことと、後日談も含めると話数も多くなりそうなので一層の事こうした方がいいと思ったからです。

 北条編のタイトルは『戦国恋姫 信念のサムライ』です。後日談が終わるまでは、戦国恋姫二つと横島忠夫のそれぞれの話を交互に書く形になるので、投稿ペースも遅くなることをご了承ください。

 では、ここまで見ていただきありがとうございました!後日談をお楽しみください!
 

 地味に最後のこの話、SDK世界の部分が長かった・・・。


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後日編
エーリカ・時人 似た立場同士 R-18


 
 どうも、後日編開始です!実質これが盲目のサムライの最終章みたいなものです。やはり、最後は手に入れた平穏をかみしめながら終わらせたいと思いこうしました。

 最初はこの二人です!

 


 鬼と吉野との戦いが終わり鬼の呪いは日の本に広まってしまったが、元凶を葬ることは出来た。そして、久遠達正室と結菜達側室とアキラ隊の愛妾連合との祝言も終了。近いうちに麦穂や秋子、心といった愛妾達との祝言も行われることになった。その為、

 「アキラ・・・ふふ、お前の妻に正式になれる時が来たのだな」

 「アキラ殿、私、今度愛のこもったご飯を作りますので楽しみにしてください!」

 「あ、ああああああ、あきら、アキラと!」

 「和奏ちん。おち・・・つけないよね。雛もドキドキが止まらないよ~」

 「アキラ様!犬子、たっぷり可愛がってね!」

 「かかか!アキラ、小夜叉や他の娘達の妹、作るの楽しみにしておるぞ!」

 「はん!それを言うなら、孫を楽しみしているじゃないのか?武の腕ならともかく、アキラの子作りは絶対に母には負けねえからな!」

 織田の皆は既にこんな感じでデレデレ状態だ。壬月も今までに見たことないくらいの笑顔を出している。

 「え、えっと、祝言っすか?あの、その、えっと!」

 「柘榴、照れてる。(ぼそ)松葉もだけど」

 「うううううう、私、私、本当に、本当に!祝言をうううう!」

 越後に戻っているメンバーがいる為この三人しかここにはいないが、照れている二人に祝言を上げられるなんて思わなかった秋子は嬉し涙を流している。

 「アキラ殿と祝言・・・女の幸せを得られるなんて、思わなかった」

 「春日、その気持ちわかるぜ。あたいも同じだぜ」

 「春日様もこなちゃんも、アキラ様なら絶対に幸せにしてくれますよ!」

 「さ、三人共、ろうしてそんなにうれしそうなのら!」

 そわそわしている三人に突っ込む妻にはならない兎々。他にも湖衣や悠季もまた言葉では恥ずかしがったり憎まれ口をたたいているが、顔が真っ赤になっていた。アキラを最初は奪って裏切るつもりだったが、完全に嫁になる気満々の白百合は

 

 「祝言の時にもう既に子供が出来たと言うて他の嫁達を焦らすのもありじゃのう!」

 

 どうやって嫁達を仰天させるか考えていた。

 

 

 だが、そんな中で一人だけ俯いている女性がいた・・・それはエーリカだった。彼女もまたアキラの妻になっているが、一つだけ彼女らとは違う点があった。

 「皆さんは気にしないでしょうが・・・私は、私は」

 「あら?どうしたの、エーリカさん」

 その点を思い悩んでいると、結菜がやってきた。

 「あ。結菜さん」

 「何か暗い顔しているけど。悩み事かしら?」

 「・・・何でもないです」

 「そんなわけないじゃない。親戚の私には話せないかしら?」

 「え?親戚?」

 「そうよ。尾張の家で会った時にそう言っていたじゃない」

 結菜は笑顔で彼女の腕を掴んで歩きだした。

 「あ、ああ!」

 「とりあえず、二人っきりになった方がいいみたいね。さあ、行くわよ!」

 こうされると断れない。結局そのまま引きずられるように連れていかれた。

 

 二条館の一室に入った。

 「あの、えっと」

 「アキラやほかの皆は大忙しだから大丈夫よ」

 「そ、そうではなくて・・・」

 「ほらほら!」

 強引に迫る結菜。思えば、彼女の親戚にはろくなのがいなかった。その中でエーリカは親しめる感じを持っているのだろう。だから、結菜は力になりたいのだ。

 因みにアキラやほかの皆が何故大忙しなのかというと、この洛中の復興工事の話し合いをしているからだ。家屋に火をかけたり、アキラと狂の戦いで木端微塵になったりと、結構な被害が出ているからそれを直すためとその際にかかる費用、人手などいろいろと手配をする必要がある。

 それに洛中の外で鬼が出現したら倒しに行くため、人手がその時に減ったりするのでそういう対策も立てないといけない。その為、アキラや久遠達のみならずアキラ隊の愛妾達も忙しいのだ。

 その中で結菜は奥の管理のみの仕事で、エーリカは今だ仕事を貰える立場じゃなく、ボランティアみたいな感じで親のいない子供達の世話をしている。だから、こうした話をできる時間があるのだ。

 「お茶も飲んで落ち着いたら話して!」

 お茶を出して、リラックスさせようとするが中々口を開かない。そこに

 

 「同じアキラの妻なんだから、遠慮しない!」

 「あ。アキラ様の、つ、妻」

 

 この一言が逆に彼女を沈ませてしまった。

 「え!な、何!私何か落ち込ませるようなこと言った?」

 「いえ、な、何でも、ないです」

 落ち込んだ顔をしているのを見て、明らかにこれが原因だと気付いた。

 「・・・ねえ、エーリカさん。私って信用できない?」

 「い、いいえ!そんなことは!」

 「もし話したくないなら、そのまま黙秘してもいいけど・・・問題は解決しないわ。誰にも話さないって約束するから話して」

 自分を思ってくれる。それは分かっているが、果たして口にしていいのか。それに悩んでいたが、

 「・・・話します」

 話すことにした。結菜も真剣に聞く。彼女の口から出たのは

 

 「私は・・・祝言を上げられないですよね」

 

 祝言を上げる立場じゃない。という言葉だった。

 「え?どうして?同じ妻じゃない。立場は違うけど、あなたも「いえ、私はその資格がないのです」何故?」

 「だって、私は・・・吉野に、鬼側だった立場」

 この言葉で分かった。つまり、一時的とはいえ敵の立場だったから妻の立場でもそれは出来ないのでは?それを彼女は気にしていた。これが、エーリカと他の妻達の違う点であり、ずっと彼女が不安に感じていた事だ。

 「エーリカさん。別にそんなの気にしなくても」

 「でも!私も、鬼を」

 「ここにいる皆はこう言うわ。あなたはもう私達の味方であり、共に同じ人を愛する妻だと。だから、気にすることはないの」

 「・・・いえ、気にします。皆さんがそうでも、私は」

 かなり重症だと思った。以前、久遠が将軍の一葉と会わせる条件として鉄砲を仕入れる際にとても世話をした事は聞いたが、これほど気にする人とは思わなかった。これはさすがに自分がいくら言っても無理だと思った。

 『これは、夫に何とかしてもらうしかなさそうね』

 だから、彼女の愛する人に頼むことにした。

 

 

 その日の夜、エーリカのいる部屋に向かうアキラ。

 「エーリカ、入っていいですか?」

 「え。あ、アキラ様!え、はい!ど、ど、どうぞ!」

 予想外で焦ったが、すぐに襖を開けた。だが、

 「失礼します」

 「失礼するぜ」

 アキラだけじゃなく時人も一緒だった。二人っきりじゃないことに少しだけ残念に思いながら、二人に茶を出して世間話を始めた。

 「前がルイス・エーリカ・フロイスで今は南光坊空海だったっけ?」

 「はい、でもいつも通りエーリカとお呼びください。私は、ただのエーリカです」

 「ああ・・・あとエーリカって、この世界で消滅したと同時に私達の世界に行って、おじ様が作ったと思った鏡を支える金具で、こっちの世界に戻ってこれた。だったっけ?私達の時はアキラに会うために結構苦労したのに」

 「それで、もし金具が壊れてしまったらエーリカは戻ってこれなかったし、狂との戦いも実現できなかった・・・終わったことを言っても仕方ありません」

 「だな!しっかし、本能寺で会った時はちゃんと話はできなかったが、あんたも同じようにこの世界の外から来たんだって?」

 「ですが、その記憶を吉野に封じられてしまって・・・代わりにアキラ様の敵になるよう鬼を作る記憶を「ふ~~ん。でも、それがあったからアキラを好きになれたってことだよな!」・・・え?」

 話しているうちに暗くなるエーリカだが、時人の解釈にえ?と思いながら顔を上げた。

 

 「だってよ、もし最後までその事すら思い出せなかったら向こうの私達の世界に行けなかっただろうし、アキラの妻にだってなれなかったと思うぜ?だけど、それがあって自分を思い出して、その鬼を作った分苦しいこともあったらしいが、あんたは乗り越えてアキラと再会できたし妻にだってなれた。さっきアキラも言っただろう。終わったことを言っても仕方ないって!」

 

 そう言われて、そういう解釈もできるのかと唖然としたエーリカ。

 「それによ、アキラの敵になっていたことを悔いているなら私はどうするんだよ。向こうの世界じゃ、私だってアキラの敵だったんだぜ」

 「・・・え?アキラ様の、敵だった?」

 「そうですよ。しかも、当時は結構残酷なこともしていましたし」

 「そういうことだ。だから、いつまでも過去を気にするなよ!」

 彼女は嘘と思った。何しろ、今の時人は自分と同じようにアキラを心から愛している女だ。祝言を上げた時の顔がとても幸せそうだったのを覚えている。そんな彼女が以前はアキラの敵で、しかも残酷なことをしていた。

 「(あ、そうか。あの夢をエーリカは見てなかったもんな)それに、頑張って償いだってしているんだろ?聞いてるぜ、洛中の身寄りのない子供の世話をしているって」

 「そんなあなたを祝言の式に出さない。なんてことをしたら、他の妻達に叱られてしまいますよ」

 二人の笑顔に目に涙を潤ませるエーリカ。

 「・・・本当に、本当に、いいのですか?」

 「勿論!」

 「当然です!」

 「う、うう、う、れ、嬉しい(ぐす)」

 その涙をこぼして、本当に嬉しい顔をした。

 

 「怖かった・・・本当に、自分はアキラ様の、妻をしていいのか。あんなことをしたのに、アキラ様に、愛されていいのか。アキラ様がよくても、皆さんが、よくないかもしれないって、思って」 

 

 優しい彼女だからこそ、こうして罪をした後の周りの皆からの不安が強い。そして、同時に怖くなる。

 「エーリカ、分かるよ。その気持ち・・・私だってアキラと戦った後、自分が本当にそのまま一緒に行動していいのか不安だった。自分を認めてもらえるか、心配だったよ・・・でも」

 「でも?」

 彼女の肩を掴んで、同じ不安をした時人が語る。

 

 「アキラの仲間が手を差し伸べないで、見せてくれたんだ・・・自分が進むいばらの道を。必死にあがきながらも立ってその足で進むべき道を。だからさ、エーリカにも見えるはずだ。エーリカが進むべきいばらの道が」

 

 あの時のアキラ達の励ましがどれだけ自分を救ってくれたのか。そして、今の自分を作り上げたのか。

 「私の、進む・・・いばらの道」

 だから、今度は時人がそれをする番だ。そう感じて、彼女の気持ちを立たせるよう話した。

 「そうだよ。私もいまだその道を歩き続けている。エーリカ、お前も歩き始めているんだよ、その道を」

 そう言われて、ここに戻ってきた時からの事を思い返す。親のいない子供達の世話をして、少しでも頑張った自分を、

 『エーリカ姉ちゃんが無事でよかった!』

 『私、エーリカ様みたいなお姉ちゃんになりたい!』

 『ねえねえ、エーリカ様ってアキラ様のお嫁さんなの?』

 元気な笑顔を見せてくる子供達を。そして、

 

 『あなたが戻ってきた!今はそれだけで十分です!!』

 

 自分が戻ってきたことを心から感動していたアキラの姿。それらを思い出して、

 「はい、私も歩かないといけませんね・・・いばらの道を」

 ようやく笑顔を取り戻した。心の整理がついたみたいで、二人ともホッとした。

 

 

 二人とも満足のいく結果を結菜に報告できそうなので、ここで退室しようと思ったが、

 「あ、アキラ、様。あの、その」

 エーリカがアキラの袖を掴んで離そうとしない。代わりに自分の服を脱ごうとしている。つまり、そういう事だ。

 「ははは、どうやら私だけ「いえ、あの、時人さんも、い、いてください」へ?」

 彼女の様子を見て時人がアキラを置いて出ようとしたが、時人の袖も掴んで部屋から出そうとしなかった。

 「私・・・あの、お、お二人に・・・」

 「・・・そうですか。で「おい、何だそれは」??」

 アキラに抱かれたい気持ちもあるが、自分を立ち直らせてくれた時人も一緒に抱かれるべきと考えてそう言ったのだが、エーリカが服を脱いで出したあるものを見て機嫌が悪くなった。

 「え?と、時人さん?」

 「なあ、前にここで会った時は違ったよな」

 「え?あの、何の事でしょうか?」

 「どうしたのですか?時人」

 「何のこと~。とぼけるな!」

 時人の機嫌が悪い理由が分からない二人。彼女がイライラしている理由は、

 

 「何で胸が大きくなってるんだよ!」

 

 エーリカのバストサイズが以前より大きくなっていたことだ。

 「前は私と同じぐらいだったじゃないか!それなのに、今じゃ麦穂くらいにデカくなってるじゃないか!何でだよ!」

 「あ、え、えと(思い当たることといったら、アキラ様のあの二本の刀が何ですよね。何か喜ばせもしろと言われたので・・・もしかしたら)」

 時人のずるいぞ!を連発する中で冷や汗を流す。思い当たる事はただ一つ、自分で努力の太刀と友情の太刀だ。おそらくアキラの世界の送る時に、彼女の体を綺麗な状態に戻す際に何かしたのだろう。だが、これはさすがに説明に困る。何しろ体験しない事には理解は不可能だからだ。だからといって簡単にできるものじゃない。

 「い、いつの間にか「それで納得できるか!(むにゅう)」ひゃ、あ、ああ!」

 それしか言えないが、当然納得できるはずがない。その胸を揉みだす時人。

 「こ、れ、の!どこがいつの間にだ!」

 「で、でも、あ、ああん!そ、それ、にゃ、あん!しか、言え、あ、みゃん!なくて」

 揉まれていくうちに感じていくエーリカ。

 「ああもう!私だって大き(もみもみ)きゃう!な、あ、アキラ!」

 「なら、そうなるよう、頑張って大きくしますね」

 「「う、あ、ああん!や、うう!」」

 アキラも時人の胸を揉み始めた。だが、時人は一瞬手を止めたがすぐにまた動かした。そのまましばらく揉み続けているうちに、

 『『あ、ああ、ぬ、濡れちゃう』』

 下着を濡らしたのを感じた。二人とも足が震えたのを見て、

 「二人とも、遠慮せずにどんどんどうぞ」

 「「あ、アキラの、ううん!え、エッチ・・・」」

 アキラは時人の胸を揉むのをやめて、二人の濡らした割れ目に指を入れた。そこからどんどん動かしていき、二人の喘ぎ声を響かせる

 「あ、う・・あん!」

 「ひゃ!あ、アキラ、はあ、た、頼む、よ」

 「ええ。もちろんです(ちゅ)」

 「ひゃ、あ、ああ!」

 快楽に耐えているエーリカ。その隣で既に耐えないで負けた時人はアキラを求めた。それに答えたアキラは彼女にキスをして、それを見たエーリカは今だ動かしている指に悶えながらも驚きの声を上げた。

 「「ちゅ、むちゅ、じゅる、ちゅちゅ、じゅるり」」

 「あ、ああ。(う、羨ましい・・・わ、私、私も、あ、ああ!)」

 二人の濃厚かつ欲情を誘うキスにエーリカは心底羨ましいと思った。そして、いつの間にか時人は彼女の胸を揉むのをやめてアキラに抱き着いて更に情熱的な姿を見せた。その姿にもっと羨ましくなり、ついには自分で胸をいじり慰め始めた。

 「「ぷふぁ、はあ、はあ」」

 熱いキスが離れ、二人の口の間に涎の橋が出来た。それが落ちた時に、エーリカは自分の胸とアキラの手で割れ目の責めで絶頂に達した。時人もキスの間ずっと割れ目を責め続けられていたので、彼女もまた蕩けていてその場に座り込んだ。

 「あ、アキラさ、ま~。あ、ああああ!はあ、はあ、お、お願い、しま、す」

 エーリカはもう我慢が出来ない。二人の熱いシーンを目の当たりにしたのもあるが、

 「わ、私の。私を、愛して、ください」

 愛する人に抱かれたい欲望が抑えきれないのだ。

 「そうですね。ようやく、本当に、ようやく」

 「は、い・・・」

 アキラは全部脱ぎ、エーリカも残していた下着も全部取り、二人とも全裸になった。

 「エーリカ、あの時見た時よりいやらしいですよ」

 「も、もう、当然ですよ・・・だって、アキラ様に抱かれるために」

 「これ以上ない嬉しいことです(抱き)」

 「あ、あああ、う、ううう」

 抱きしめると、彼女が泣きだした。

 

 「嬉しい。私、アキラ様に抱かれている。アキラ様に愛されている・・・アキラ様に女を、あげられる。とても、とても嬉しい」

 

 それを聞いて床にそのまま二人で横になった。

 「愛してますよ、エーリカ」

 「はい・・・アキラ様。私、辛かった。鬼に犯され、捧げたかった体を弄ばれ、更に鬼子まで作らされて・・・アキラ様にこうして愛されることが出来ないと思った。それがとても辛かった」

 涙を流して、アキラの顔を見た。

 「でも、奇跡が起こって。私は新しい私になって・・・そして、こうしてアキラ様に愛してくれる体になった。心になった。もう、嬉しくて嬉しくて涙が・・・止まらないんです」

 「私も、妻が苦しんだのに何もできなかった。それが苦しくてつらかった・・・でも、こうしてあなたが戻って来てくれた。私の妻になるために・・・ちょっと痛みの涙が出ますが、我慢してくださいね」

 「・・・はい。アキラ様、存分に私の体を愛してください」

 「ええ、満足してもなお更なる満足を得るまでずっと愛します」

 笑顔で言うと、ついにアキラの性の太刀が姿を現し、彼女の割れ目に刺していく。

 「アキラ様・・・キスして」

 「ええ、共に、一緒に」

 涎がはみ出るくらい熱いキスをしながら思いっきり抱き合って、ついに彼女の女の壁を・・・貫いた。

 「あ、い、あ・・・う、アキラ様。やっと、やっと」

 「ええ、私の女に、妻になりました」

 「ううう、あああああ!う、あ、あん!」

 貫いた痛みでキスが離れる。だがそれ以上に嬉しさの涙が出るエーリカ。念願だった想い・・・やっと、かなったのだから。

 「このまま一気に行きますよ」

 「はい、あ、ああきて!アキラ様。もっと、もっと!ぐちょぐちょの滅茶苦茶にして~~!!」

 ここからはアキラのペースで腰を動かす。彼女はすべてをアキラに任せ、そして快楽と愛欲に溺れていった。

 「あ、ああ、ひゃ!きゃ!あう、あああ!」

 「淫らな顔、素敵です」

 「も、もう・・・でも、あなただけにしか」

 「ええ、私以外に見せてはいけませんよ」

 笑顔で頷き合って、もう一度キスをする。今度は絶対に離れない、そんな思いが見えるくらいの力強くアキラに抱き着いてよがりながらも淫猥に乱れていくエーリカ。

 『あ、あああ!もう、もう!私、い、いい!』

 心でどんどん溺れていく実感があるが、もっと溺れたい気持ちでいっぱいだ。そして、ついに二人の絶頂の瞬間が来て・・・

 

 『『んん!ああああ、アキラ様(エーリカ)!!!』』

 

 キスでふさがっているため、心で叫んでお互いの目を見て・・・絶頂に達した。アキラの想いが、彼女の奥深くに届く。それを感じたエーリカは、

 「アキラ様・・・絶対に離れません」

 「ええ、もちろんです。離れないでくださいね」 

 アキラに再度抱き着いて、一度離れ離れになった辛さを温もりで癒し合った・・・時だった。

 

 「アキラ・・・もう、見せつけるなよ」

 

 時人の自慰をしながら文句を言ったのは。既に服も全部脱いで準備万端だ。

 「ふふ、もちろん忘れてませんよ」

 「すいませんでした。では・・・」

 そう言って起き上がろうとするが、エーリカは腰が立たない。それでも何とか体を転がして、時人の傍まで来た。そして、正座をして

 「時人さん。存分に溺れてください」

 「え?」

 時人に膝枕をした。そして、

 「きゃああ!ああ、な、何を!」

 「お返しです。それにアキラ様が言ったではないですか。大きくしますって、協力しますので」

 エーリカが時人の胸を揉みだした。

 「時人。では、行きますよ」

 アキラは時人の両足を広げて、完全に割れ目が見えるようにした。その割れ目に性の太刀を少し入れた。

 「ちょ!い、今あああ!びりびり来る!こ、こんな時にされたら!」

 「だから、溺れてください」

 「そうですよ。快楽に溺れましょう・・・三人でね」

 アキラとエーリカの顔がちょっと怖く見えた時人。

 「あ。ああああ!ふ、二人とも~~!!」

 その後、時人の悲鳴に近い喘ぎ声が響いた・・・。 

 

 

 そんな三人の愛の語り合いも終わり、アキラと時人は寝ている中エーリカだけは目を覚ました。当然、アキラが真ん中だ。

 

 『女の幸せ。私には無縁と思っていた・・・あの時の、明智十兵衛光秀の頃の私はただただ使命を果たすだけの存在。そう認識させられていた。でも、今は違う。今はアキラ様の妻・・・これは使命でも何でもない。私が心から望んだ想い』

 

 アキラの手を握り、自分の胸に手を置いた。

 

 『ドキドキする。これからはこうした日々を過ごせるなんてとても幸せ・・・でも、私の罪が消えたわけではないし、償わないといけない。その罪で出来たいばらの道。でも、アキラ様は時人さん。他にもたくさんのアキラ様の妻の皆さんも一緒・・・そう、一人じゃない。背中を支えてくれる人がたくさんいる。だから、いばらのとげに恐れずに進みます。ありがとうございます、アキラ様。これからも、ずっと一緒です♡』

 

 自分のこれから先の償いと幸せを思いながら、彼女はまた眠りについた。

 

 

 

 数日後、愛妾達の祝言の中に笑顔でアキラと誓いのキスをするエーリカの姿があった。

 




 
 お互いアキラの敵だったという共通点があります。また、辛い出来事を潜り抜けたという共通点もです。だからこそ、この二人の絡みを入れたいと思いました。


 次回は誰と誰にしよう・・・一人じゃさすがに話がすぐに終わりそう。余り絡むことのなさそうな人たちにしたいから。例えば、ひよと白百合とか。双葉と春日とか。う~ん、難しいな。

 徐々に出していくので、お楽しみに。


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ひよ・壬月 IF and NOW

 
 どうも三MENです!

 今回はこの二人にしました・・・分かりますか、歴史でのこの二人の因縁。だからこそ、この二人にしました。では、どうぞ!・・・今回はちょっと短いです。あと、エロもありません。すいませんでした!


 

 アキラは、昼前だが食事をしようと洛中の街に出た。それと同時に民達がどうなっているのか確認をすることにした。久遠達はまだ忙しさ故に中々外に出れないが、アキラは基本仕事はあってもこうして外に出ることが出来る。何より、同盟軍のトップ的存在の目で街の状態を見ることも大事な仕事の一つだ。現に、越後で同じように美空の姉のせいで散々になった街を彼女が確認していたので、それを習ったのだ。

 

 

 一通り見終わって、今度こそ食事をすることにした。だが、まだ復興が始まってそんなに日が経っていない。食事処を開いているところは全然なく、しばらく探しているとやっと小さいながらも人がそれなりにいるところを見つけてそこに入った。

 「あ!お頭!」

 「一緒にどうですか?」

 「ちょうど、アキラ様の噂をしていたのですよ」

 すると中には、ひよと詩乃と歌夜が食事をしていた。三人に誘われて、同じ席に座って食事を始めた。アキラの注文の料理が届いたら・・・

 「おお。アキラじゃないか!」

 「相変わらず、嫁と一緒だな」

 「かかか!それが我らの夫よ!」

 壬月・白百合・桐琴が入ってきた。当然彼女らはうまいこと開いたアキラ達の隣の席に座り、一緒に食事を始めた。

 

 十数分後に、白百合と桐琴は酒がメニューにないので飲めないことにムカッとしてさっさと退散した。詩乃と歌夜は洛中に入り込もうとしている鬼がいることをやってきた兵の報告を聞いて出陣した。最初は壬月も出ようとしたが、

 『大丈夫です。少数との事なので我々で何とかします』

 『壬月様とアキラ様はゆっくり食事を続けてください』

 二人からこう言われてじゃあ・・・という事で残ったのだ。因みに、ひよが残っているのは二人が忘れてからではなく

 

 『『アキラ様の妻増やし阻止の監視、お願いしますね!』』

 

 愛妾の彼女達から、鬼の討伐以上に重要な任務を任されたためである。最初はしっかり監視しようと気合を入れたが・・・

 「ううう~~、どうして、どうして気づかなかったの~~」

 「どうした、ひよ。何を緊張しているんだ?」

 ここに残るという事は、壬月と一緒に食事をするという意味でもある。アキラがいるからまだ何とかいれるようだが、今では彼女の方が気になってしょうがない感じだ。対する壬月は、あわあわするひよが不思議な様子だ。

 『それにしても・・・』

 だが、アキラはそんな二人をじっと眺めていた。何故ならこの二人、アキラの知っている本来の歴史なら今頃は敵同士だからだ。

 

 『久遠・・・いえ、織田信長ですか。二人ともあいつに使えていたけど、あいつが死んだことになった際にひよ・・・当時の豊臣秀吉が明智光秀を倒して敵討ちをした。その事で秀吉が信長の後継者として見られるようになったが、それが気に食わなかったのが壬月・・・いえ柴田勝家でしたからね。最終的には戦って、秀吉が勝ったんですよね。そんな二人が、この世界では柴田勝家は私の嫁になり、秀吉が私の一番最初の部下と嫁ですからね。ふふふ』

 

 そう・・・向こうでは同じ主に仕えていたが、倒されたことで殺し合う関係になってしまったのに、本能寺の戦いが終わってもなお久遠は生きているのでそんな関係にならないばかりか、アキラの嫁になっている。その現状に思わず笑みを浮かべるアキラ。

 「どうした?我等を見て笑って」

 「おがじら~~!少しは助けてくださいよ!」

 そのアキラを不思議そうに見る壬月に涙顔で文句を言うひよ。

 「いえ、ちょっとおもしろい組み合わせだな。と思って」

 「・・・そう言えばそうだな。麦穂や三若や他の勢力の皆と食事はたまにするが、お前の隊の連中との食事はめったにないな」

 「わ、私なんかが壬月様と一緒に食事なんて・・・」

 「何を言う。清州城や岐阜城、躑躅ヶ崎館ではこいつや久遠様の前に一緒に評定の間にいただろう」

 「あ、あの時は、仕事でしたし・・・お頭が無理して入れてくれて」

 「ははは・・・あ、そう言えばひよ。一葉から貰った来国光は大事にしてますか?」

 「は?えええええ!な、何でそんな話になるんですか!」

 「ちょっと思い出したので」

 もちろんワザとだ。壬月との緊張を忘れさせるためにそれを言ったのだ。

 「ほう~~、公方様から直々に短刀を貰えたのか」

 「ええ、小夜叉と公方に脅されてね」

 「はうわあああああ!や、やめてくださいよ~~~!!!」

 「・・・その時の状況は理解できないが、少なくとも寿命が縮んだ思いをした事だけは分かった」

 「そうなんですよ~~!壬月様、聞いてください!とっても不安で仕方なかったのに、アキラ様も含めて三人が・・・」

 涙顔のまま壬月にその時あったことを話し始めた。アキラの思惑通り、すっかり壬月への緊張が無くなったひよ。

 

 『ふむ、これなら大丈夫そうですね。ひよはアキラ隊のメンバーなら平等に接することは出来ますが、それ以外の勢力の皆とはあまり接する時間がなかったからまだ緊張する面もありましたからね。少しずつ、気持ちも余裕を持てるようになってほしいものです』

 

 ひよがあ~だこ~だと言う中、笑顔で聞く壬月。その光景を見て少し笑顔になったアキラは食事を終わらせた。

 

 

 その後、三人で店を出て、そのまま二条館に向かった。そして、跡形もなくなった門の場所に立った。

 「それにしても壬月さん、随分と派手に壊しましたね~」

 「本当ですね・・・壬月様のお家流、凄いですね。何しろ地面まで揺らしちゃったんですから!あの時は思わずころんじゃいましたよ!」

 「いや、あの時は時人も一緒にやったぞ。確か、北斗七連宿だったか?あれも一緒だったからこの威力だったんだ」

 門の場所とひびが入っている地面を見て説明する壬月。

 「なるほど、それなら門もなくなっているのは納得ですね。春日山城でも千貫門をぶっ壊しましたから」

 「・・・時人さんって私と同じくらいの体格なのに、本当にすっごいですよね。どこにあんな力があるんでしょう?」

 「何、ひよも努力をすればあれくらいできるように「ぜっっっっったいに無理です!!!」「っぷ、ははははは!!」」

 ひよが若干引き気味になるところにアキラがニヤニヤしながら言う。すぐに出した無理の一言に壬月と二人して笑った。一通り笑った後、今度は壬月がニヤニヤしながらアキラを見た。

 「だが、一番すごいのはアキラだろう。本能寺や周辺の家を跡形もなく吹き飛ばして、私たちをも飛ばされたんだからな~。禁裏から竜巻を作ってその頂上でお前が見えた時は麦穂と一緒に絶句したし、巨大な光り輝く龍を空から降ろしたりした時は夢でも見ているのかと思ったぞ・・・隣にいた麦穂に至っては「ここはだれ?私はどこ?」と呟いたくらい現実感を失っていたぞ」

 「いえ、竜巻は確かに私ですが、龍は私じゃないですよ」

 「それでもそれを跳ね返したんですから、十分にとんでもないですよ!お頭、もしかして人間やめてませんか!」

 「うむ、天人なのだから人間じゃないのかもな」

 「いえいえ、私はちゃんとした・・人間ですよ」

 二人の人間卒業説に否定しようとしたが、壬生一族になっていると言ってもいい体だ。だから、ちょっとだけ間をあけてしまってから人間と答えた。

 「おお~~い!アキラ!」

 「「殿(久遠様)!」」

 「おや、久遠。どうしました?」

 ふたりしてじ~~っと見ていると久遠がやってきた。

 「ちょっと話がある。来てくれないか」

 「(ニヤニヤ)殿、まだ日が出ているうちに閨の相談ですか?」

 「ふふ、久遠。それなら人のいないところで」

 「え、えええええ!わ、私も混ぜてください!」

 壬月とアキラは当然ワザと、ひよは本気にして久遠に迫った。

 「な、なななななな!何を言う!ひよ!本気にするな!」

 「ははは、では行ってきますよ」

 「アキラ!否定せい!」

 アキラの隣から文句を言う久遠。その久遠の頭を撫でて、真っ赤にさせて言葉を失わせて手を繋いで歩くアキラ。そんな二人を見届けた壬月とひよ。

 「あ~あ~、羨ましいな~」

 「うむ、同じ嫁だからな」

 「え?壬月様もですか!」

 「私も嫁だぞ。忘れたのか?」

 「あ。え~その~、あの~」

 「ま、普段は見せないようにしているから無理もないか。これでも、アキラの子なら宿してもいいと思っているぞ」

 「はええええええ!」

 壬月から出たまさかの言葉にひよはとてもビックリした。

 「驚くことはないだろう。あの夢でも、そして現実でも、あれだけの信念を貫くために頑張る男などこの日の本であいつしかない。そんな男になら私も惹かれるさ」

 「そ、そう、ですね。お頭は今でも頑張っていますからね・・・そう言えば、白百合さんもあの夢を見た次の日には嫁宣言してましたからね」

 「あいつのあの宣言は私も驚いた。いつ裏切るのか?と思っていたが、完全にアキラに添い遂げる覚悟を持ったみたいだからな」

 「もう、お頭の女誑しはどうやっても止められないじゃないでしょうか?」

 「全く持ってその通りだな・・・ははは!」

 「笑い事じゃないですよ!奥の順番が余計に遅くなるんですから、壬月様も他人ごとじゃないですよ!」

 「そう言われると、確かにな」

 慌てるひよの言葉を流す壬月。だが、その顔は笑顔のままだった。だが、アキラと久遠の姿が完全に見えなくなったところで、壬月は真剣な顔になった。 

 「・・・ひよ、一つ聞くがいいか?」

 「え?な、何です?」

 その顔に思わず少し後ずさったひよ。だが、気にせずに訪ねた。

 

 「もしだぞ。もし、躑躅ヶ崎館で光璃様が言った通りアキラのいない状態の歴史で進んでいたら、どう思う?」

 

 前触れもなくいきなり尋ねられてキョトンとしたひよ。だが、壬月は止まらない。

 「時々、考えるんだ。アキラがいるからこそ、こうして本来殺し合う立場だった織田・長尾・武田に足利・・・浅井に松平も入って皆が手を取り合った。だが、本当にいなかったらどうなっていたのかとな」

 「あ、あの、ど、どうして、私に?」

 そのような話は麦穂や春日とかにしそうなのに、自分にした理由が分からなかった。

 「ひよ、私はな・・・もしかしたらお前には、天下を取れる器があったんじゃないか?と思っているからだ」

 「・・・・・・へ、え、はあああああああ!わ、わわわわわわあわ」

 「落ち着け!」

 「おお、おおおおおお、落ち着けませんよ!わ、私が天下を!!!」

 壬月が彼女に話した理由に、気が動転して焦りまくるひよ。落ち着くまで待った壬月。

 「落ち着いたか?」

 「はあ、はあ、はあ、ま、まだ落ち着けませんが、つ、疲れました」

 焦ってドタバタして疲れて、やっと話を聞く姿勢にはなった。

 「あ、あの、そ、それで、じょ、冗談ですよね・・・わ、私が天下なんて」

 「いや、本気だ・・・もちろん最初はそう思わなかったさ」

 思い出すように少し顔を上げた。

 「ど、どの辺りから、ですか?」

 「アキラと墨俣城を作った時からだ・・・私や麦穂ですらできない作戦をお前達はやってのけた。誰もが無理な作戦だと思っていたことをやってのけた」

 「そ、そんな!お、お頭がいたから」

 「その辺りからお前を見る目が少しずつ変わった・・・もしかしたら、殿がお前を傍に置いていたのは気に入ったからだけではなく、お前の中にある何かを見たからかもしれないとな」

 「い、いや!私は!」

 ひよは壬月にそんなふうに見られたことにビックリした。話が脱線しかけていたので、咳払いをして元に戻した。

 「話を戻すぞ。光璃様の言ったもしかしての歴史・・・お前はどう思う?」

 「あの、えっと。も、申し訳ありませんが、分からないです!」

 「私はな、もしかしたらお前と戦っていたのかもしれないと思うんだ」

 「え?わ、私がみ、壬月様と!」

 「人望は私よりお前の方があると思っている。人を集め、しかも隊の運営もうまいお前なら味方をたくさん集められる。久遠様がいるからこそこうして共にいられるが、もし鬼との決戦で久遠様が亡くなったら・・・アキラがいなかったら・・・そうなっていたんじゃないか?と思っていた」

 武将だからこそ、戦う可能性は常に考える。そして、壬月は久遠が気に入っていたひよに目が行き、ここまでの功績でいつか久遠と同じくらいの器を持てるんじゃないか?と思っていた。そして、万が一久遠が亡くなったら少なくとも織田勢は分裂して、いつか・・・その考えがあったからこそ壬月はひよに訊ねた。

 「もう一度聞く・・・お前はどう思う?」

 「・・・・・・」

 しばし無言になるひよ。

 

 「わ、私は、戦いたくないです!そんな考えなんて、持ちたくないです!だって、今せっかく争っていた皆が、お頭の、お頭のあの旗のように手を取り合って、仲良くして、お頭を愛しているのに!その人達同士が戦うなんて・・・考えたくないです!」

 

 そして、本心を壬月に伝えた。

 「・・・悪かったな。そうだな、もう既に過ぎ去った可能性だ。考えても仕方ないな。聞かなかったことにしてくれ」

 涙目で俯くひよに謝罪した。

 「うう、ひっく・・・お頭が大好きなのに、みんな大好きなのに」

 「すまなかったな。そうだな、アキラが好きなもの同士で戦うのはよくないな」

 ひよの頭を撫でて、安易に聞いたのを悪く思った壬月。

 「今を大事に生きる。それを考えていくべきだったな」

 彼女のその思いに反省して、今したいことを考えていく。そうして頭に浮かんだのは、アキラの嫁になったのだからひよに言ったアキラの子を作る。これだった。

 

 『全く、アキラの事になると武将より女の考えをするようになるとは・・・私も殿やひよと同じになっていくな。越前や甲斐でも、アキラに抱かれたい気持ちも強かったし。確かに、無粋な考えだった・・・反省しないとな』

 

 これからも鬼との戦いがあるのに、アキラの子を作るのが一番に思い付いたことに武将の自分より女の自分が表に出やすくなっていることに気づいた壬月。だからこそ、女の考えであることを思いついた。

 「なあ、ひよ。ちょっと聞きたいんだが・・・」

 「え・・・さっきみたいなのは嫌ですよ」

 「大丈夫だ。むしろ喜ぶことだ。お前の・・・は、いつだ?」

 「え?えええ!そ、それ聞くんですか!」

 「答えろ。ちょっと思いついたことがあってな」

 「ううう、・・・です」

 「ほう~、なら好都合だな。詫びと言っては何だが、こうしないか?」

 そして内緒話をした。この内緒話がいったい何なのかは・・・次の話で明らかになる。

 




 
 最初は因縁ならひよと葵にしようかと思ったのですが、原作のひよは完全に現実の歴史の立場とは違っているので、これじゃあ二人はすれ違う事すらできないのでは?と思い、壬月にしました。

 次回は、ころと麦穂にするつもりです。後、最後に書いた壬月の提案もこの二人に関わるのでその時に明らかにします!お楽しみに!


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ころ・麦穂 お仕置きもご褒美 R-18

 
 どうも!三MENです。いや~、今日って成人の日なんですね。仕事していると、そういう日すら忘れてしまいます。

 さあ、前回の壬月の考え。今回分かります・・・ってR-18と書いている当たり、なんとなくわかりますよね・・・アキラが二人とデートしている間では、スタート!

 


 台所、いつもなら作る人が一人か二人いるだけだが、今日だけはたくさんいる。

 「あうあうあうあうあうあう・・・で、でででで、では、ははははは、始めます!」

 「そんなに緊張しなくても「無理です!」まあ、無理もないわね」

 がちがちに緊張して焦りまくるころ。そんな彼女を背中で支えてフォローするが、速攻で無理の一言に仕方ないかと思う麦穂。何しろ目の前にいる人達が

 

 「緊張することないぞ、ころ」

 「そうよ。いつも通りでいいから」

 「お願い、蜂須賀小六」

 「僕達も誘ってくれてありがとうございます」

 「アキラ様の為に頑張ります!」

 「ころ!よろしくなの!」

 

 この同盟軍の中で、名の知れた国主達なのだから。

 「久遠様だけならともかく、美空様や光璃様に真琴様と葵様。更には鞠様までいるからね・・・私も一人だけだったら、こうなっていたかも」

 「ま。ままままま、まずは、材料を、きききき、切ります!」

 テンパりまくっているころを見て、そう思った麦穂である。今、ころは彼女らに料理を教えているのである。

 

 

 何故、ころが久遠達に料理を教えているのか?それは、朝の国主達の会議に遡る。これから京をどうやって建て直すか、今だ残っている鬼の国と化した越前への対処、駿府の今後や京の民達の生活など、課題は山積みだ。そんな話し合いを朝食後から二刻ほどしていた・・・因みに一葉は面倒くさいと逃げた。

 

 そして、ちょうど昼前になったのでそろそろ昼食だと思った時だった。

 「失礼します。あ。あの・・・光璃、様はいらっしゃいますか?」

 「蜂須賀小六・・・あ、そうか」

 会議をしていた評定の間にころが頭を下げて入ってきた。

 「どうした、ころ。光璃に用とは珍しいな」

 「そうね。確かに・・・何か頼んだの?」

 皆の視線がころに集中する。光璃がころの腕を掴んで間を出ようとする。

 「何でもない。さあ、行こう」

 「え、で、でも・・・」

 「おいおい、話してくれてもいいじゃないか」

 「そうよ。何をしようと言うの?」

 「光璃ちゃん!教えて!」

 久遠や美空に肩を掴まれた。しかも鞠にまでそう言われると、さすがに答えるしかない。

 「えっと、戦いが終わったら料理を教える約束をしてまして」

 「アキラが頼んでくれた」

 アキラ経由でころから料理を教わりたい。と言う光璃の要望を受け入れたのだ。それを聞いたころは、立ちながら失神したのは内緒。すると、

 「あの、僕もいいですか?」

 「私もお願いします」

 「鞠も!鞠も教えて!」

 真琴・葵・鞠も手を挙げた。彼女らもアキラに料理を一番作っているのがころだと知っている。だから、そんな彼女からの料理の指南を受けたいと内心思っていた。そして、そうなると。

 「なら、我も頼もうか」

 「当然、私もやるわ!光璃に負けるのはごめんよ!」

 久遠・美空も黙っちゃいない。

 「は。え?え、ええええええええ~~~!!!!」

 光璃だけかと思いきや、一気に生徒が増えたことに絶叫するころだった。

 

 その後、じゃあ台所に行くか!という事になったが、当然ころが彼女達を前に平常でいられるはずがない。台所までの道が、ものすごく過酷に見えたころ。何とか助けて欲しいと思った時に、

 『久遠様!何か悲鳴が聞こえたのですが』

 運よく麦穂がころの悲鳴を聞いて駆けつけてきた。地獄に仏レベルで助かったと思ったころは、すぐに泣きついて協力を要請した。麦穂も料理は結構できるし、協力としては打ってつけだ。麦穂の方も彼女の様子を見て断れなかった。

 

 

 そういう理由で台所ではころが先生になり、麦穂が助手で、久遠達が生徒となってお料理教室が開かれているのだ。だが、何とかサポートしてくれる人が一人増えてもころはいまだにテンパっているので・・・

 「ころちゃん!味噌入れすぎ!」

 「あ、ああああ!」

 「切った材料の厚さがバラバラですよ!」 

 「も、申し訳ありません!」

 こんな状態である。久遠達も苦笑い中だ。

 『このままじゃ、終わった後ころちゃん絶対に落ち込むわ。何とかできないものかしら?』

 麦穂は、ころの状態を何とかできないものかと考えた。

 『そうね。今目の前にいるのが久遠様達じゃなくて、いつものアキラ隊の皆なら大丈夫だと思うし・・・後は、この料理をアキラ様に食べてもらうものだとすれば気合も入って何とかなると思うんだけど』

 考え付いたのが、いつものメンバーに作る料理だと思って作る気持ちを持たせるだった。しかし、そうするにはどうすればいいのか?

 『・・・やってみるしかないわね』

 どうやら方法を思いついたようだが、上手くいくかどうかは麦穂にかかっているので、不安な表情だ。

 「すいません。ちょっと、失礼します」

 「あ、ああ。とりあえず、落ち着かせてこい」

 「あうあうあうあうあう~~~」

 がちがちに固まって震えているころをつれて、一先ず廊下に出た。

 「あ、ありがとうございます~~~」

 「まずは深呼吸しなさい」

 「はい~~。すううう、はあああ。すううう、はあああ」

 「大丈夫?」

 「はい。さっきよりは・・・あ、あの!や、やはり私には」

 「ダメよ。ころちゃんがやらないと。皆はころちゃんに頼んでいるんだから」

 もはや自信喪失だ。あれだけ失敗したから当然かもしれない。涙目で頭を下げて、必死に懇願した。

 「お願いです~~。麦穂様、代わってください~~」

 「・・・いいこと、ころちゃん。涙を拭いて、目を閉じなさい」

 「は、はい?」

 真面目な顔で言われてキョトンとするころだが、とりあえず言われて通りにした。すると、麦穂は後ろに回ってそのまま肩を掴んだ。

 「あの、麦穂様?」

 「いい?今、ころちゃんはアキラ隊の陣所にいるわ」

 「え?え?」

 「目の前にいるのは、ひよちゃんや詩乃ちゃんといったいつも一緒にいるアキラ隊の皆よ」

 「で、でも、久遠様「違うわ。アキラ隊の皆よ!」は、はい」

 訳がわからないまま頷く。今のころの気持ちを変えるために麦穂も一生懸命だ。

 「今から作るものはアキラ殿への愛妻料理よ」

 「お頭への?」

 「そう、愛するアキラ殿への想いを込めた料理を作るのよ」

 「・・・はい!ここはアキラ隊の陣所。そして、今から作るのはお頭への愛情料理!」

 段々、その気になってくるころ。やはり、アキラに愛情を込めて作る。で気持ちの持ち方が変えられたようだ。

 「そうよ。アキラ隊の皆に頼まれて、アキラ殿への愛情料理を作る・・・今ころちゃんはそれをやっている最中!」

 「分かりました!誠心誠意、しっかり作ります!」

 「さあ、私も手伝うから頑張って作りましょう!」

 「はい!」

 すっかりその気になってくれたようだ。これなら大丈夫と判断して、目を閉じさせたまま皆のところに戻った。

 「お待たせしました」

 「皆さん・・・(ぱち)では、作ります!」

 そして、久遠達の前で目を開けて再び一から料理を作るのを始めた。さっきみたいながちがちになっておらず、いつも通りに動きで料理を始めた。久遠達もアキラ隊の皆と思い込んでいるようだ。

 

 

 そこから先はすっかり手慣れた手つきで作りだしたが、アキラに作ると言う気持ちになっているので真剣かつ無言になってしまった。しかし、麦穂はそこを見越しており、彼女が全部口頭で作り方や手順・材料の説明をしている。久遠達もわかりやすい説明で、すぐに理解していく。最後の仕上げも終わって、

 「はい!できました!」

 無事に料理も完成した。無事に完成して、ホッとする麦穂。

 「さあ、アキラ様食べて・・・って、あれ?」

 「ころちゃん、終わったわよ」

 「あ・・・そうでした。皆さんに料理を教えるために作っていたんだ」

 「私が説明したから大丈夫よ」

 「ううう~~、ありがとうございます!」

 元に戻ったころは、しっかりサポートしてくれた麦穂にお礼を言った。一方、ここまでの作り方を教わった皆はというと、

 「これは、料理というのは結構手間がかかるんだな」

 「そうね。今まで食べる側でいたけど・・・ころは一人でやっていたわね」

 「薫や心は、これを楽しそうにやっていた」

 「市もです・・・作ってくれる人の凄さを思い知りました」

 「私も頑張ります!」

 「鞠も、駿府の皆に喜んでくれるくらいのを作れるようになるの!」

 六人はいつも料理を作る人の立場の凄さを知った。

 「では、皆さんも同じものを作りましょう。わからないところがあったら言ってください」

 「あ、あの!ちゃんと味見もしてくださいね!食べて欲しいものは自分でちゃんと美味しいか確認する必要がありますので」

 「「「「「「わかった!」」」」」」

 六人は台所で実習が始まった。ころも自分のやることが終わったので、見られる緊張は解けたようだ。

 

 そして、半刻後に頑張った成果が目の前に出たが、

 「こ、これでいいのか?」

 「何か、ころが作ったのとは見栄えが良くないけど」

 「不安」

 「だ、大丈夫ですよ!き、きっと!」

 「そうですよ!頑張ったんですから」

 「うん!アキラに食べてもらうの!」

 見栄えは美空の言う通り、ちょっとボロボロだった。

 「大丈夫ですって!私も時々失敗して、見栄えが悪い時もあります!」

 「それに皆さん。料理は味だけではありません」

 「「「「「「味だけではない?」」」」」」

 キョトンとする六人に、ころと麦穂が頷き合って

 

 「「料理は愛情です!」」

 

 笑顔で言った。

 「食べて欲しい。その思いを込めて作ったんですから」

 「アキラ様は食べてくださいます!」

 二人の言った言葉に六人は笑顔になった。

 「なるほど・・・結菜や双葉もそういう想いを持って作っていたのか」

 「勉強になったわ。もっともっと練習しないといけないわね」

 「うん。今回は美空の言う通り」

 「今度からは、市にありがとうって言ってから食べよう」

 「鞠様。一緒に頑張りませんか?」

 「うん!葵ちゃん、うまくなろうね!」

 そして、更に頑張るよう気持ちを新たにした。

 「では、アキラ様を呼んできましょう」

 「やっぱり、食べてもらった時の気持ちも知ってほしいですからね」

 「よし!なら我が呼んでくる!」

 早く食べて欲しい。そんな気持ちを持ちながら走っていく久遠。そう、ひよと壬月といた時に久遠がアキラを呼んだのはこのためだったのだ。

 「では、私達の分も合わせて部屋に持っていきましょう」

 「一緒に食べるのもまた楽しいですから!」

 二人の言葉に笑顔で頷く五人。料理を器に移して、部屋に運んでいった。

 

 

 そして、アキラを呼んで食事を始めた。食べるのにずっと注目されていて少し居心地の悪い気がしたアキラだが、ころと麦穂からみんなで作ったことを聞いて納得した。それと同時にすぐに分かった、感想が欲しいことに。だから、食べ終わってすぐに

 

 『まずかったです』

 

 この一言を言った。アキラも料理は出来る方なので味の鑑定は出来る。実際、アキラの舌ではそんな味だった。皆はガッカリしたが、

 

 『でも、頑張った味はしましたよ。次も期待してますね』

 

 この一言で皆が笑顔で返事した。ここでうまいと言うと、満足してしまう気持ちも出てしまい料理に飽きる可能性もあるのでこの言い方にしたのだ。皆は次こそは!という気持ちで片づけに入った。

 

 

 無事ころ先生の料理教室は終わり、彼女は麦穂のいる部屋に行った。

 「本当に、ありがとうございました!」

 「無事に終わって良かったわね」

 「はい!麦穂様のおかげです!」

 「いいえ、ころちゃんも頑張ったからよ」

 何とか一日が終わり、ずっとサポートをしてくれた麦穂に頭を下げっぱなしのころ。麦穂としては頭を上げて欲しいが中々上げないことにどうしようか悩んでいると

 「失礼する」

 「あ、あの、失礼します!」

 そこにひよと壬月が入ってきた。

 「あら、珍しい組み合わせですね」

 「え!ひよ!どうして、壬月様と?」

 「その事は聞かないでやってくれ。ところで、二人いるならちょうどいい」

 「あの、あの、麦穂様ところちゃん。ちょっと話を聞いてくれませんか!」

 「え?私まで?」

 「何のことでしょうか?」

 二人がいることにちょうどいいと言う壬月とひよが二人にある話をした。その話の内容にビックリした二人だが、

 「どうだ、やらないか?」

 「「やります!」」

 壬月の提案にすぐに頷いた。そして、四人は部屋を出て・・・向かった場所はアキラの部屋だった。

 「あれ?ひよにころも?今日は壬月さんと麦穂さんだけでは?」

 「ああ、四人で話し合ったんだ・・・今日は私達四人を抱いてくれ」

 「そして、明日もこの四人でお願いします!」

 「明日がひよちゃんところちゃんですので、この際一緒にしてもらおうと思いまして」

 「二日連続で抱いてくれる。これ以上ない嬉しいことです!」

 「・・・分かりました。今日と明日の奥はあなた方四人という事ですね」

 「「「「はい!」」」」

 アキラの質問に笑顔で答える四人。前話で壬月がひよへの謝罪として思いついた事がこれなのだ。自分と麦穂が今日の奥で、次の日の奥がひよところだ。なら、いっそうの事四人まとめてやれば・・・それをさっきころと麦穂に話したのだ。よく思いついたと思った同時に、二日連続で抱いてくれるという誘惑に負けて即決した。

 奥は正室なら人数も少ないのでアキラと一対一だが、側室からは人数が増え、愛妾ともなると何十人以上にもなる。しかも、現在進行形で増え続けているのでどうしても一対一で出来ない上に一人ずつになると待つ日数が長くなる為、愛妾の皆との奥は必然的に二人以上でやってもらう事になる。今回、それをうまく利用して二日連続という形をとれた。

 

 アキラの前で服を脱いで、襦袢姿となったが・・・

 「「ど、どうですか?」」

 「似合ってますか?」

 「素直に言ってくれ」

 雀や烏が着るくらい小さい襦袢だった。ひよところが着るならまだいい。女子学生の着る体操服みたいな感じで健康的に見える。ただし、麦穂と壬月はもはや犯罪的だ。麦穂はAV女優に見え、壬月に至っては熟女に見える。

 ひよところはまだかろうじて下着が隠されているが、麦穂と壬月は胸の大きさで襦袢が持ち上げられ下着が丸見えになっている。その下着の色はひよところは黄色で明るい感じだが、麦穂が赤で色っぽさ満点で壬月は黒でしかも紐パンティーの為、完全に勝負下着だ。そして、見間違えじゃなければ四人の下着はもう・・・濡れていた。

 「アキラ、さあ、やろう」

 「「お、おおお、お願いします!」」

 「もう、いいですよね」

 襦袢の帯を外して、四人は前を出しておっぱいを丸見えにした。まずは壬月と麦穂がアキラに近寄り、

 「楽しんでくれ」

 「好きなだけ、どうぞ」

 自慢の巨乳を左右からアキラの顔を挟んだ。そして、愛おしそうにスリスリして、

 「どうだ。我らの胸は」

 「アキラ殿、いいでしょうか?」

 某龍玉漫画のスケベ爺がよく天才さんに要求していたパフパフをやり始めた。

 「二人とも、大胆ですね」

 そんな二人の胸を揉み始め、快楽のツボを刺激して、乳首も重点的にくすぐっていき、

 「ぐ!うあ、あう!」

 「ひゃう!あん、あ、あ、あ、アキラ、殿」

 二人の割れ目からの蜜も出る量を増やしていった。

 「お頭、気持ちよくしてあげます」

 「任せてください」

 その時にひよところは膝をついてアキラの袴を脱がせて、大きくなった性太刀をあらわにした。その太刀をこちらも愛おしそうに舐め始めた。

 「「はあ、はあ、はあ・・・あ!」」

 「ちゅる、ぺろ、れろ」

 パフパフ中のアキラは彼女達の胸を揉むだけではなく、舐め始めて二人の顔を赤くしたり、二人の下着を下ろして濡れ濡れの割れ目を出して、指を出しいれして喘ぎ声を出させた。

 「「あうう!」」

 性太刀をちゅぱちゅぱしているひよところも、自分の胸を責め、自分の下着に手を入れ、割れ目に指を入れて自慰を始めた。立っている二人の脚が震え始めて喘ぎ声のトーンも高くなった。しかも、

 「ひよ、ころ。二人の尻を揉みなさい」

 「「え?あ、はい」」

 「「!!ううわあ!」」

 蕩けている顔でアキラの性太刀を舐めている二人に、壬月・麦穂の尻を揉むように指示した。ひよは壬月の、ころは麦穂のを揉みだし、二人は割れ目と尻のダブルの快楽に立っていられなくなり、ついには快楽電気が全身に行き絶頂した・・・おっぱいで挟めていたアキラの顔を解放して、その場に座り込んだ。だけど、ひよところは尻揉みを続けている。

 「っく!あ、う!私達も負けるか!」

 「二人とも、あん!ひゃん!行くわよ!」

 「「あ、ああああうううんんん!!!」」

 仕返しに壬月はひよの、麦穂はころの割れ目をいじめだした。今度はひよところに快楽電気に身を溺れさせている。

 「お二人とも、私を忘れないでください」

 「安心しろ・・・ぺろ、ちゅり。愛おしい旦那を忘れるか」

 「そうです・・・もっと、気持ちよくします」

 お互いいじめ合いながら、壬月と麦穂もアキラの性太刀を蕩けながら舐め始め、自慰もやり始めた。四人が自慰をしながらも、アキラへの性太刀への刺激も忘れない。一気に四人の責めにアキラも段々気持ちよくなっていき、最初の限界が来た。

 

 「っく!で、出る!」

 「「「「あ、ああああああん!」」」」

 

 アキラの精液が四人の顔にかけられた。四人共、精液をそれぞれ手に取りながらお互いの顔を見て、淫靡な笑顔を出した。白く、いやらしく、そして淫らな空気を漂わせるようになった四人に、

 「全部脱ぎなさい。もっと可愛がってあげます」

 アキラの性太刀はさっきより大きくなった。

 「「「「・・・ごくり」」」」

 その大きさと太さに四人の割れ目はいじめられた時以上に濡れ、漏れだした。言われた通り、四人は襦袢と下着を全部脱いで何も着ない状態になった。

 「ひよの上に壬月さんが、ころの上に麦穂さんが乗ってください」

 ひよところはその指示にビックリしたが、壬月と麦穂は理性をもう半分以上壊れているので、言われるがままひよところを仰向けに寝かせてその上にうつ伏せになるように壬月と麦穂が乗って顔を見せあうようにした。二人の精液がついている蕩けた顔を見て

 「壬月様。淫らな顔もするんですね」

 「麦穂様。いやらしいです」

 そんな感想を言った。だが、二人は首を横に振って認めなかった。

 「「そ、そんなこと・・・な、ない」」

 「ふふ、全く。認めないのですね・・・そんな二人には」

 すると、アキラが

 

 「お仕置きです(ぱああん)」

 「「!!!あ、ああああ!」」

 

 二人の尻を叩いた。

 「な、何を」

 「正直に言えばやめますよ(ぱん!)」

 「言えばって」

 「当然、自分達はこうして私に淫らなことをされて悦ぶ女だと(ぱん!)」

 二人は疑問を投げかけてそれに答えるアキラだが、その間も叩くのをやめない。しかも、時々揉みや割れ目・もう一つの穴をいじりもする。

 『『あ、ああ!アキラ(殿)に叩かれる・・・気持ちいい!』』

 お仕置きの尻いじりが二人の快感に大きく刺激した。

 「「ち、違う!」」

 否定の言葉もアキラに腰を振って、もっとお願い・・・と懇願しているように見える辺り説得力がない。

 「全く、私の部下にここまでダメな姿を見せるなんて・・・ダメな上司ですね!(ぱああああん!)」

 「「あああああん!」」

 とどめの結構本気のたたきで、二人は感じまくった。その淫らかつ牝に見える顔をひよところは見た。

 

 『『・・・う、羨ましい』』

 

 そして、そう思ってしまった。アキラになら、詩乃と同じくらい何されても嬉しい二人もお仕置きされたいと思った。

 「おや?」

 叩かれた尻を突き出したままで、壬月と麦穂は気を失った。下にいたひよところの顔に二人のおっぱいがのっかった。

 『『・・・こっちも羨ましい』』

 自分達より何回りも大きい胸に埋もれて、更にそう思った。

 

 何とか脱出したひよところは

 「おや?どうしてここが濡れているのです?」

 「「え?ひゃ、あ、ああみゃん!」」

 アキラにいきなり割れ目をいじられた。

 「いけませんね~。私がまだあなた方に何もしてないのに、ここまで濡らすなんて」

 あれほどの淫らな光景を見れば、自慰もしたくなるし、されたい気持ちも出る。何人も妻を抱いているアキラなら当然知っているが、

 

 『『(ドキドキドキドキ)こ、これって!』』

 

 自分達がされたいと思ったお仕置き。それをするために技といっていることに気づいた二人。恐る恐る訊ねた。

 「あ、あの、どうすればいいのです?」

 「お、教えてください。お、お頭」

 「当然。お仕置きです・・・分かってますね?」

 ニヤリと笑うと、コクッと頷いて二人も尻をアキラにつきだした。そして、

 

 「「お、お願いします。先走った私達を、お、お仕置き、し、してください」」

 

 言ったことに恥ずかしながらも、内心待ち望んでいたことに、

 「望んでお仕置きを受けたがるとは・・・エッチな部下ですね!(ぱああん!)」

 「「は、はい~~!わ、私達は、エッチな部下です~~~!!」」

 アキラからの一発を、二人は悦んで受けた。

 

 

 そして、次の日。

 「「「「・・・・・・」」」」

 昨日の事で意識が呆然としている四人。

 「どうしたんだ?壬月、麦穂」

 「ひよ、ころ。しっかりしてください」

 そんな四人に久遠と詩乃は声をかける。

 「「「「だ、大丈夫だ(です)!」」」」

 「そうですよ。ほら(ぱああん!)四人共、気合入れて(ぱああん!)」

 『『『『あ、ああああんん!』』』』

 赤い顔をしながら大丈夫といったが、いきなりやってきたアキラに尻を叩かれて思わず、快感が全身に走った。四人とも尻を抑えたいが我慢した。そんな彼女達に二人は疑問に思いながらも、

 「さ、行きましょう。今日も仕事が待っているのですから」

 「「あ、ああ(はい)」」

 アキラに言われて先を行った。そして、残った四人に

 

 「今夜も、楽しみにしてますよ」

 

 この一言に思わず、履き替えた下着をまた濡らしてしまった。そして・・・

 

 「「「「は、はい・・・わ、私も楽しみに、待って、ます」」」」

 

 悦に浸った顔で、四人は返事した。

 




 
 今回はこんなお仕置き話にしました。壬月も強気に出れば、めろめろになるのは原作でもやってましたからね。そこに少しM気な要素も追加しました!ひよ、ころ、麦穂は喜んで受けそうですね。
 料理はすぐにはうまく作れませんからね・・・でも、これが彼女達にいい対応だと思います。

 次回は、葵さんやほかの人達をそろそろ地元に帰そうと思いますのでしばらく三河勢ともう二、三人の話を四話ほど書こうと思います。

 まずは、綾菜ともう一人の話です!


 ころ先生と書いて、触手のあの先生を思い浮かべた人は何人いるだろうか?


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綾菜・夕霧 決めた生き方

 
 今回はこの二人です!

 因みに、今回から京を離れて尾張に行きます!では、どうぞ!


 

 アキラは今、馬に乗って移動している。

 「アキラ様。一緒に食事してくれますよね?」

 「ええ、もちろんです」

 「美濃まで来てくれるんですよね?」

 「岐阜城まで、となりますが」

 「その間、毎日一緒に寝てくださいますよね?」

 「・・・一人ではないですが」

 彼の後ろには、葵が背中からギュッと抱きしめてべったりくっつき、閨に入る一歩手前の蕩けている顔になっている。

 「葵様があそこまで女性らしくなってしまわれた・・・」

 「でも、殿さんとっても嬉しそうです!」

 「あんな葵様を見るなんて今までなかったですね」

 「はい。それに私にも声をかけることが多くなりました」

 後ろには悠季と綾菜・歌夜・小波がついてきている。松平勢が揃っている隣では

 「せっかく京にいれたのに、もうちょっといたかったでやがるな」

 「仕方ないよ。余り甲斐から離れるのも危ないし」

 「夕霧様、薫様!辛抱なのれす!」

 夕霧・薫・兎々がいた。計七人の嫁と一人の武将と共に今は京を離れて、尾張に向かっているのだ。

 

 何故彼女らが京を離れたのかというと、当主がいつまでも自分の国を離れるわけにはいかないからである。だが、日の本の中心であるボロボロとなった京の建て直しを放っておくわけにはいかない。越後は、次期当主の空と彼女を支える名月に愛菜。更に立場・発言力の強い沙綾に護衛の貞子がいる。だから、当主の美空がある程度離れても問題ないが甲斐・三河はそうはいかない。

 甲斐は当主代理や影武者の夕霧や薫に四天王の兎々が先に戻り、三河は当主代理が出来る人材がいないため葵自らが戻る必要があるのだ。そして、アキラと綾菜・歌夜・小波はその見送りと岐阜城までの護衛・・・というのは建前で、葵が少しでもアキラといる時間が欲しいため一緒に来てほしいと申し出たのだ。

 実際、建て直しといっても方針を決めている段階なので、アキラは何をすればいいのかすらまだ決まってないので、葵のこの申し出を受け入れた。

 「アキラ様・・・ずっとこのままでいたいです」

 「ははは、そうですね」

 だが、同じ馬に乗り、背中から抱き着く申し出は出発当日いきなりだった。若干の苦笑いと冷や汗を流すアキラ。

 「羨ましいな~。葵様」

 「薫も頼めばやらせてくれるでやがるよ」

 「綾菜もやりたいです!歌夜と小波もやりたいですよね!」

 「えええ!え、えっと、あの、か、帰りなら」

 「その、あの、草の私が、あんなにくっつくなんて・・・」

 「お二人はもう何回も裸で密着していたのではなくて?」

 「「きゃあああああ!い、言わないで(ください)!」」

 「な、何回もれすか!と、とんれもないれす!」

 羨ましそうに見る薫と綾菜。夕霧もああは言っているが、うずうずしている。綾菜の言葉に慌てる歌夜と小波だが、更に慌てることを悠季に言われ、それを聞いた兎々は驚いた・・・そんなドタバタもあったが、数日後に無事尾張に着いた。

 「ふう、到着ですね・・・やはり、ここが一番落ち着きますね」

 「うん!薫も躑躅ヶ崎館が落ち着けるね」

 「綾菜は岡崎城です!」

 清洲城が見える位置に馬を止めて、その城を見て心を撫でおろして思わず呟く。その呟きに背中から薫が、前から綾菜が頷いた。

 「城に行きましょう。城で泊まっていいと、久遠が先に伝えていますので」

 「です!出発です!」

 笑顔で綾菜が城を指差した。

 

 その伝えるために清洲城に向かった使いが、

 「やっほ~~!おかえり~、アキラ君!」

 アキラに抱き着いた雛だ。当主と壬月・麦穂がいない状態で今この清洲城を守っているのがこの雛だ。彼女一人で大丈夫か?と思うが近いうちに麦穂も戻ってくる予定らしく、京が一段落すれば壬月も戻ってくる。久遠はまだ先だが、今のところはそれで間に合っている。

 「あれ?雛だけですか」

 「ああ、犬子のこと?犬子は岐阜城の方を守っているよ・・・というか、アキラ君知らなかったの?」

 「ええ。和奏は壬月さんの手伝いで残っているのは知ってましたが」

 「ぶーぶー、雛も犬子もお嫁さんなんだからちゃんと知っていてよ~」

 「ええ、すいませんでした。では、お願いしますよ」

 「お~け~」

 アキラの手を掴んで城に入っていく。

 「それにしても、まさか久遠姉様のいない時にこの城に入るなんて」

 「それだけ、私達を信用してくれている。という事ですね」

 「久遠殿の居城は綺麗でやがる」

 「上洛の時に入ったけど、余りいれなかったからよく見れなかったよね」

 「れも!躑躅ヶ崎館の方が綺麗れす!」

 「兎々、いきなりどうしたです?」

 「別に差をつける必要はないですよ」

 「ご主人様!草の入っている様子はありません!」

 一人一人、思い思いに話しながら、彼女らも城に入った。

 

 

 それぞれお互い別行動をしようと解散した。葵は悠季と三河に戻ったらどうするか話し合うために、薫は兎々と城の中を見て回るために、歌夜と小波は尾張にあるアキラ隊の長屋を見たい。とのことでアキラについていった。

 「な~~んにも、することがないですね~」

 「本当でやがるな」

 そんな中、街に出た綾菜と夕霧。明日には岐阜城に向けて出発するため、遠くに行くことが出来ないので馬を使う事も出来ない。

 「綾菜、まだ同盟じゃない時にこの街に来ましたけど、あまり変わってないです」

 「いろんな店があるでやがるね。それに皆楽しそうでやがるな」

 「はい、久遠様がしっかりしている証拠です!」

 「甲斐の城下を見ている気分でやがる」

 「そうですね!あっちも民が笑顔だったです!」

 「・・・久遠殿も姉上も、仲良くなれてよかったでやがる。もし、兄上がいなかったら、姉上の予想通りの歴史の進み方だったら・・・二人は」

 笑顔の民達を見て、少し感慨にふける夕霧。そんな彼女の肩を叩く綾菜。

 「大丈夫ですよ!そんな歴史はなくなったです!」

 「綾菜・・・そうでやがるね。よし、しっかり楽しむでやがる!」

 「じゃあ、向こうに行くです!」

 「案内、頼むでやがるよ!」

 二人とも、この時だけ武将・当主代理という肩書を無くしてただの綾菜と夕霧として笑顔で走り出した。

 

 だが・・・、

 「綾菜。ここ、どこでやがる?」

 「えっと、わからないです!」

 綾菜に道案内を任せたのが間違いだった。戦場では敵の場所を超人的勘で見つけ出す彼女だが、こうした遊びや楽しみは勢いとノリでいろんな場所に行く。後先考えずに動きまくった結果・・・迷子になり、しかも今いる場所は林の中だ。ここが地元の三河なら、本能で城の場所までたどり着けるだろうが尾張ではそれも無理だ。

 しかも、日が暮れ始め夜になろうとしていた。

 「とりあえず、今いる場所を確認するでやがるよ」

 「はいです!では、早速」

 「待つでやがる!やっぱりだめでやがる!」

 早速どこかに行こうとした綾菜を止める。ただでさえ、勢いでここに来たのだ。このまま行かせたら確実に戻ってこない。と思ったからだ。

 「??どうしてでやがる?」

 「真似するなでやがる!というか、方向が分からない今、変に動くのは危険でやがる!」

 「綾菜、今までもいろんなところに適当に行ったけど、最後にはちゃんと殿さんやアキラ様のところに着いたですよ」

 「何でそんな行き当たりばったりで最後は着けるでやがるか!」

 綾菜のデタラメに唖然とする夕霧。 

 「そんな勢いでうまくいくはず「アキラ隊はいつもこうですよ?」・・・もう、諦めたでやがる」

 「??どうしたです?」

 「いや、何でもないでやがる」

 綾菜が原因でやがる!と言えなかった。

 「じゃあ、どうするです?」 

 「焚火を作るでやがる。煙で気づいてくれるでやがるから」

 「はいです!」

 早速、木の枝を集め始める二人。

 「いいでやがるか!ちゃんと、乾いた枝を拾うでやがるよ!「大丈夫です!綾菜、こういうのは慣れてるです!」・・・頼むでやがるよ」

 ひょいひょいと枝を拾う姿に不安になる夕霧だった。

 

 

 だが、綾菜はちゃんと水気のない乾いた枝を拾ってきた。おそらく、歌夜からそうするよう教えられていたのだろう。焚火を作って、それを真ん中にして向き合うように座った。

 「少しは先を考えないと、これから先を生きていけないでやがるよ」

 「う~ん、綾菜は今が楽しければいいです!」

 「それが、この結果でやがるよ・・・そう言えば、綾菜は葵殿の将でやがったな。どうして、兄上の部下になったでやがる?」

 最初は今後の彼女の事を考えて説教をしたが、一つの疑問が出たので訊ねた夕霧。それを聞いて、少し顔が険しくなった綾菜。

 「・・・綾菜、前にその事で悩んだです。少し前ですが、越後で殿さんとアキラ様、一度喧嘩したです」

 「え?あの二人が?」

 確かに葵とアキラが少し距離をとっている時期があるのは夕霧も見たことあるが、喧嘩までしたとは信じられなかった。

 「はい、越前で美空様に助けられて越後に行って、アキラ様は越後も同盟に入れられないかと提案したけど、殿さんは早く三河に戻りたいと言って喧嘩になったです」

 「・・・まだ夕霧達と会う前の事でやがるな」

 「そうです。綾菜は殿さんもアキラ様もとっても大事だから、その二人が喧嘩してほしくなったです。でも、歌夜からどちらかを選ばないといけないと言われてとても困ったです」

 それを聞いて夕霧は思い出した・・・かつて甲斐を、民を苦しめて自分達姉妹と残った春日達で追い出して、駿府を乗っ取ったが最後には母の顔でなくなっていった母・信虎の事を。

 

 『姉上達と共に甲斐の為、民の為に追い出したことに関しては後悔してないし、母上は夕霧を当主にしようとしていたが、それを断って姉上を当主にした事も後悔してない。でも・・・母上と共に甲斐にいたかった。追い出した時に見たあの背中を見て、追いかけたかった気持ちはあったでやがる』

 

 辛い気持ちになったが、顔には出さないでそのまま話を聞いた。

 「どうすればいいか分からない。って歌夜に言ったら、こう言われたです。松平の将でもない、本多忠勝でもない、ただの綾菜で考えて決めろって!そうしたら、すぐに答えが出たです。アキラ様と一緒にいたいって!」

 「なるほど、そこから兄上の部下になったでやがるな」

 「そうです!」

 頷きながら笑顔に戻って、元気よく言った。

 

 「そして、決めたです!綾菜はこれからもただの綾菜として生きていくって!自分の考えと思いに正直に生きていくって!」

 

 それを言った綾菜の姿は夕霧には眩しかった。特に、甲斐・信濃の国主・武田光璃晴信の妹という立場の彼女にはとても輝いて見えた。 

 「すごいでやがるな。夕霧には真似できないでやがる」

 「そんなことないです!だって、綾菜は夕霧の方がすごいと思っているです!」

 「夕霧が、でやがるか?」

 「アキラ様や薫様から聞いたです!たくさんいろんな仕事を全部一人でやっていたって!兵の人達が心配するくらい、光璃様の為に頑張っていたって!」

 「そんなことないでやがるよ。夕霧はただ武田の為に」

 「それって、光璃様の妹としてやっていたですか?それとも夕霧の意思でやっていたですか?」

 「は?何をいきなり・・・」

 だが、夕霧はそこで言葉が止まった。武田の為・・・それが姉の為にやっていたのか、自分の意思にやっていたのか。今まで両方同じと思っていたが、綾菜の話で考えさせられた・・・少し考えて、結論を言った。

 

 「夕霧は・・・夕霧は、武田を立て直す姉上を自分の意思で支えたいと思ったでやがる。だから、自分の意思でやっていたでやがる」

 

 光璃を支えたいと言う気持ち、それは間違いなく自分の意思。自分のやると決めた気持ち。当たり前のようにやっていたが、実は忘れていた思い。それを確認できた。

 「・・・(ぼそ)ありがとうでやがる。綾菜」

 「はえ?何か言ったです?」

 「何でもないでやがるよ」

 感謝の気持ちをこっそり聞こえないように言った夕霧。

 「さて、夜になってしまったでやがるな。いい加減に「話は終わりましたか」終わったでやがる・・・・・・「へ?」」

 お互いの気持ちを語り終わったところに、二人の聞き覚えのある声が聞こえた。二人ともえ?っという顔でその声がした方を向いた。

 「「あ、あ、アキラ様(兄上)!」」

 「綾菜、あなた、またやったのね・・・」

 「と、殿さんまで!どうしてここにいるのです!」

 そこにはアキラと葵がいた。葵は三河時代と同じ状況なのか、すぐに綾菜の仕業とわかった。

 「それはこっちのセリフです。ここは久遠の家の裏の林ですよ」

 「「・・・・・・え?」」

 「久遠姉様の家でゆったりしていたのですが、煙が見えてやってきたら綾菜と夕霧さんが話をしていたので(せっかく二人っきりだったのに・・・たっぷり愛してくれる数少ない機会だったのに)」

 そこまで言われて、綾菜の言葉を思い出す夕霧。

 

 『綾菜、今までもいろんなところに何も考えないで行ったけど、最後にはちゃんと殿さんやアキラ様のところに着いたですよ』

 

 本当に着いていた。ちょっとだけ離れていただけで、彼女の言った通りだった。何故この二人が久遠の家にいるのかは、最初からこの家で泊まる予定のアキラに葵がついてきたのだろう。二人だけになって抱かれる気でいたようで、邪魔者が入ってしまいがっかりした。

 『帰るべき場所があれば何も考えないで帰れるってことでやがるか!と、とんでもないでやがる!』

 改めて綾菜のとんでもなさに絶句した夕霧だが

 

 『でも、夕霧も甲斐だったら姉上のところに、躑躅ヶ崎館に、絶対に帰れる自信があるでやがる・・・たまには何も考えないで、ぱっと出した答えも重要という事でやがるね。夕霧もたまには武田の将のではなく、ただの夕霧として考えることも大切という事でやがるね。まさか、綾菜から教わるとは思わなかったでやがる』

 

 学ぶべき事もあったので、心でまたお礼を言った。その綾菜は、

 「全く、三河でどれだけ暴走したと思っているの?」

 「ふえええ~~ん!殿さん、ごめんなさいです~~」

 「夕霧さんまで巻き込むなんて・・・何より、アキラ様との甘い蜜時をしようとした時だったのに!」

 葵はアキラとの情事をする前に邪魔されたことが相当腹立ったのか、めったに見せない怒りの顔で怒っていた。その顔を見て正座で泣きながら謝罪していた。

 

 『だけど・・・行き過ぎるとああなるという事ですね。本当に綾菜からいろいろ教わったです』

 

 土下座で頭を下げまくる綾菜を見て、汗を流しながら反面教師の部分も必要だと分かった。呆れる余り、語尾が綾菜になっていることに気づいてない。

 「夕霧、大丈夫でしたか?」

 そんな彼女に、アキラが声をかけた。

 

 「大丈夫でやがる!夕霧はいつもの夕霧でやがる!」

 

 その質問に、笑顔で返事をしたのでアキラも笑顔で返した。

 

 

 

 その日は夕霧も久遠の家に泊まり、葵が望んだアキラとの夫婦の愛の営みは出来なかった・・・因みに綾菜はというと、

 

 「お願いです~~!許してくださいです~~!(ぐううう~~~~)」

 

 罰として晩飯抜きにされ、アキラの作った食事を食べているところを見せつけられた。夜寝る時は、久遠の屋敷の庭にいる虫の音より、綾菜の腹の虫の音と空腹を訴える声の方が高く響いたという・・・ちゃんちゃん♪

 




 
 綾菜は真っ直ぐに、夕霧はいろいろ考えた中で決めてから、勢いで行く。という感じなので、シンプルな時も必要だと気付かせたかったのです。それを気づかせるのは綾菜しかいませんですから・・・ただ、全てがそれでいいというわけでもない。それもまた綾菜が身をもって教えました。

 次回は薫・葵か悠季・小波のどちらかにしようと思っています。ちなみに、どちらもR18にします。では、ごきげんよう。


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葵・薫 気持ちを受け取って R-18

 
 どうも、今回はこの二人です!

 地味に似ているな~。と思っています。想い人に貪欲になる辺りが。



 「違います。まだいれません」

 「あ。はい!」

 「そして、火加減を見ながら・・・」

 「わ、分かりました」

 そんな声が、台所から聞こえる。その声の主は

 

 「葵様。焦らないで」

 「はい、薫さんありがとうございます」

 

 この二人だった。薫が葵に料理の個人レッスンをしている。

 

 

 何故二人が料理をやっているのか?それは尾張を出発して次の美濃の岐阜城に到着した時だった。

 「やっほ~~!アキラ様!」

 「ふふ、お久しぶりです」

 岐阜城の守りを任されている犬子が城門前で抱き着いてきた。彼女の胸がアキラの胸につぶされる。

 「(クンクンクン)ひっさしぶりの、アキラ様の匂いだワン!」

 「ははは、どうぞいくらでも」

 「あああ!綾菜もやるです!」

 「あの、ご、ご主人様。わ、私もいいですか?」

 「・・・えっと」

 「三人も構いませんよ」

 「「やった~~!」」

 夕霧や葵達が見ている中、嬉しそうにアキラに抱き着き、近寄って、匂いを嗅ぐ綾菜・歌夜・小波。犬子も含めた四人が幸せそうな顔になる。

 「そう言えば、アキラ隊は兄上の匂いが分かると言っていたでやがる」

 「しかも、居場所もわかるって言っていたよね。現に甲斐で鬼ごっこみたいなことをした時、それで探していたみたいだし」

 「兎々もお屋形様ならわかるれす!」

 「三人ともいつの間にそんな特技を・・・みっともないですよね~葵様」

 「(私もしたい)「葵様?」え?な、何?何か言った悠季?」

 「・・・・・・いえ、何でもないです」

 そんな彼女らを見て夕霧・薫は汗を流し、兎々は威張る。ちょっと白い目で三人を見た悠季が葵に同意を求めたが、その彼女もしたそうにしていたので若干引きつりながら笑顔で流した。

 

 彼女らの様子に気づかない犬子が提案した。

 「そうだ!アキラ様!一発屋に行こうだワン!きよちゃんからもアキラ様を連れて来いと言われていたんだワン!」

 「ほう、そうですか・・・久しぶりに焼き魚定食も食べたいですし、行きますか」

 「やった~~~!!」

 「じゃあ、行くです!」

 犬子と綾菜に両手を掴まれ、さあさあ!と言われて歩き始めた。

 「「「一発屋?」」」

 「ああ、夕霧お姉ちゃんや葵様達は行ったことないんだ。とっても美味しい食事処だよ」

 「薫様はいったことあるんれすか?」

 「うん!心ちゃんと一緒に!あの味は勉強したいと思ったくらいだよ!」

 「何と!薫殿と心殿は料理がとても上手と聞きます。そのお二人がそんな食事処の店主に教えを乞いたいとは」

 「私達も行ってみていいですか?アキラ殿と薫さんが絶賛されているみたいですし、ぜひ食べてみたいです」

 「勿論構いませんよ。皆さんで参りましょう」

 こうして皆で一発屋に行くことになった。その様子を

 『・・・何か一発屋にいく人達がとんでもない人達ばかりになっているような気がします。鞠ちゃんから聞いたけど、一葉様も行ったようですし』

 歌夜が汗を流して、鞠からの話を思い出しながら歩き始めた。

 

 

 「おお!アキラ!話は犬子から聞いたよ~。日の本を救ったんだって~~」

 一発屋に入ると、いつも通り元気な笑顔を見せるきよが出迎えた。その笑顔がゆやに見えて、アキラも笑顔になった、

 「救ったとはとんでもない。私は、妻を助けるためにやっただけです」

 「天狗にならない辺り、アキラらしいね~~。さあ、今日は新作を食べてもらいたくて来てもらったんだ!」

 それを聞いて、昔だったら天狗になっていたと思ったアキラ。

 「新作?」

 「ああ!お、そちらの皆さんもお客さんかい?ちょうどいい!意見は多い方がいいからね!皆も食べていってよ!」

 「やった~~!一番最初に食べられるなんて、さっすがアキラ様だワン!」

 「そうなのです!アキラ様は凄いのです!」

 アキラよりも新作を食べられる喜びの方が強い二人。そんな二人を見て呆れる六人だが、

 「では、食べましょうか。自信作みたいですし、期待していましょう」

 「もちろん!じゃ、ちょっと待っててね!」

 元気な笑顔で奥に入っていくきよ。奥の計八人座れるところに座る皆。

 「それにしても、アキラ殿に葵様に夕霧さんに薫さんという大物がいるのに全く態度を変えなかったですね」

 「それがきよちゃんですよ。鞠が今川氏真と知った時は驚きましたけど、今じゃどんな人でもああですから」

 「どんな人でも・・・あ!」

 その時、薫は心と店に訪れたあの時の事を思い出した。

 「薫。どうしたでやがる?」

 「そう・・・たとえ幕府の将軍でも説教する人ですから」

 「「「「「・・・・・・え?」」」」」

 その言葉に葵・悠季・夕霧・歌夜・小波が絶句した。綾菜はキョトンとしている。

 「そ、そうなんだよね・・・その現場見ちゃったんだよ。私」

 その時の目撃者・薫も苦笑いして頷いた。その後、思いっきり絶叫してその叫びにこめかみに青筋をうかべたきよちゃん。その後、彼女がアキラや犬子とアキラ隊はもちろん三河の国主にその家臣、更に武田家当主の妹二人に怒鳴るというすごい光景が見られた。

 その後、無言で新作料理を食べて感想を伝えて、一発屋を出るまで余計な話を一切しなかった皆。特に、悠季に至っては怒鳴られた時立場を使って反論しようとしたが、

 

 『あなたが誰であろうと、やっていいことと悪いことの区別くらいは分かるでしょう!』

 

 将軍様を黙らせたこの言葉に彼女も黙ってしまい、すっかり知らないところに無理やり連れてこられて恐怖に怯える子犬の如く、岐阜城に着くまで恐怖で体を震わせながらアキラにしがみついた。どうやら、一葉同様トラウマになりそうだ。

 

 

 皆が戻ってきた美濃・岐阜城には数日泊まるつもりである。理由は鞠を待つためであり、彼女の駿府もまた葵の三河同様いつまでもそのままにしているわけにはいかないのだ。

 一緒に来なかった理由は、アキラ隊や皆としばらく会えなくなるので一緒にいる時間が欲しかったからだ。また斎藤家三代目の暴走とも言える政治により一度は落ち込んだが再び発展に成功させた美濃の街を見学したいという葵と悠季の考えもあり、三河で応用できるものがあるか調べたいようだ。

 夕食も終わり、自分に当てられた部屋に戻った葵。

 「あの店、あのきよって人が元気でした。そして、食べに来た人達もとっても元気でした。多分、皆さんにとってあの人が太陽みたいな人なのね。私達妻が、アキラ様をとても大切な人と見ているように」

 一発屋での事を思い出す葵。だが、あのトラブルではなくきよも明るい笑顔の方を思い出していた。

 「まるで鞠様みたいな人でしたね・・・笑顔で周りを明るくする。私もアキラ様がいたらとても嬉しいし笑顔になれる。これから先、国を民を更によくするためにはこうしたことも必要かもしれない」

 アキラといる時なら笑顔をよく出せるが、それ以外は中々出せない。今後、自国の民をもっと笑顔に出来るようにするにはどうすればいいのか?そう考えるようになった。

 「でも、じゃあ、どうすれば・・・」

 何とかできないか?と考えているうちに、一発屋で新作を一緒に食べた時のアキラの笑顔を思い出した。

 「そうだ、食事中のアキラ様がとても笑顔でした・・・それに私もあんなにおいしい料理を食べて笑っていた気が。皆と作ってそれをアキラ様に食べてもらった時も・・・よし!」

 アキラと自分、さらにほかの皆の笑顔を思い出す。それらを思い返していくうちにある一つの目標を決めた。それをするために、ある人のところに行くために部屋を出た。

 

 

 それが、冒頭で出た薫のところであり、葵が決めた目標が料理を作れるようになるだった。ここには当主達のお料理教室で先生だったころも麦穂もいない。料理が出来るのは薫だけだったので、彼女にお願いしたのだが・・・

 「・・・無理ですね。これじゃあ」

 久遠達と作った時はまだ皆でフォローし合っていたから作ることが出来たが、ここではそれがいない。正直にいうなら、葵はちゃんとその時の料理の仕方を学んで覚えていたので、教えられたものなら作ろうと思えば作れるのだ。薫がいるのも、あくまで一人じゃ不安だったからだが・・・食べてもらうのがアキラというのがまずかった。

 

 『ああ、美味しいと言ってくれるアキラ様の姿』

 『『うまいよ葵』そう言って、笑顔を向けたアキラ様』

 『『次は葵を食べたい』そして、押し倒して・・・』

 

 こんな感じでエロ方面に妄想してしまうのだ。注意されてもそれを何回も繰り返しで、しかも内容がどんどん危険になっていく。これじゃあできない・・・現に薫は今目の前にある黒こげだらけの料理を見て汗を流しながら無理の判決を出した。

 「あうう、ど、どうしましょう」

 「どうしよう。もうお兄ちゃんの晩御飯は任せてと言っちゃったし。薫が作りますか?」

 「うう、お願いします」

 「うん。じゃあ、手伝ってくれますか?」

 「はい・・・」

 がっかりした顔で諦めた葵。そんな彼女を見て、何とかできないか考える薫だが、

 『お兄ちゃんにお願いするしかないかな?』

 残念だが何も思いつかなかった。

 

 その後、薫が料理をしてアキラのところに持っていった。

 「なるほど、薫が作ったのですね」

 「う、うん・・・そ、そうだ、よ」

 「??どうしました?それに、どうして葵がいるのですか?」

 「い、一緒に、食べたくて・・・悪いですか」

 「いえ、問題ありませんが・・・」

 アキラは二人が来たことにも疑問だったが、葵が何故居心地悪そうなのかそれが分からなかった。後、何故か薫も遠慮しがちな顔もしていたことに疑問だった。

 「じゃあ、頂きます」

 「「ど、どうぞ」」

 「・・・もしかして、これって二人で作ったのですか?」

 葵もどうぞと言ったことに一瞬何故?と思ったが、すぐに気づいた。

 「い、いえ、私は「うん葵様も作ったんだよ!」・・・いえ、私のは失敗し続けて、これは全部薫さんが」

 「ううん!手伝ってくれたじゃない!」

 「でも、料理を器にうつすくらいしかしてなくて」

 二人の会話でなるほどと思ったアキラ。つまり、最初は葵が作ろうとしたがどうしても出せる味じゃなかったので、薫に頼んだという事だと気付いた。

 「ふむ、つまりそれくらいしかできなかったという事ですね」

 「・・・・・・はい」

 薫は何とかしてほしい。という気持ちでいっぱいだった。弱弱しく頷く葵を見て、一つ思いつくアキラ。

 

 「では、葵。あなたが器になってください」

 

 その言葉に?を頭に浮かべる二人。

 「さあ、葵。全部脱いでください」

 「え。え?」

 「この料理。あなたという器を使って食べます。いいですよね」

 困惑する二人をよそに、アキラは葵を脱がせ始めた。

 『『え。え?ええ~~!!』』

 葵はどんどん脱がされていき・・・オールヌードにされ仰向けに寝かされ、彼女の体のいろんなところに料理を置いた。

 「では、器は何も喋ったり動いたりしてはいけませんよ」

 「は、はい・・・」

 恥ずかしいけど、期待もしながら頷く葵。

 「お、お兄ちゃん、何これ?」

 「ふふ、女体盛りと言うものです。これは妻になった者は必ず夫に一度はやるものですよ。ですから、葵がやるのは当然なのです」

 堂々と嘘を言うアキラ。

 「え、そんなのお姉ちゃん達から聞いてないよ」

 「彼女達にはまだやってませんからね・・・では(がし)」

 「きゃう!」

 「おや、変ですね。器が口を開きました(ぐる)」

 「ぴゃ!」

 「おやおや?動きました、どうしたのでしょうか(つつつ)」

 「ひゃひゃううう!」

 アキラは葵の乳首を箸でつまんだ。感じやすくなっている葵が反応したのを、ニヤリとしながらくるっと回したり、そこからお腹まで移動した。

 「う、うわ・・・」

 「では、まずはこの野菜を」

 お腹にある野菜をつまんで食べた。

 『あ、アキラ様がわ、私の体に乗っていたや、野菜を!私の温もりのこもった野菜があ、アキラ様がた、食べ!』

 妄想が強い彼女は、これだけで秘所から愛蜜を出すには十分だった。

 「次は・・・これを(ぱく)」

 「ひゃあああ!」

 次は箸を使わず、そのまま胸に乗っているご飯を食べた。そのまま行儀悪く食べて、舐めて、一粒残さず口の中に入れていく。その間、胸全部を舐められて、乳首もかまれて、おっぱいも愛撫されてもはや器になりきれない葵。ついには、

 「おや、主食が・・・」

 閉じて乗せていた愛蜜でびしょ濡れになった焼かれた肉が、感じまくって脚を開けたせいで地面に落ちた。

 「全く、器がこんな動くとは(パク)」

 「「!!!!」」

 愛蜜というドレッシングが加わった肉をアキラはそのまま食べた。葵も薫も思わず動きを止める。

 「残りもしっかり丹念に食べないとね」

 開かれた脚の真ん中・・・秘所に顔を近づけ、出ている愛蜜を

 「ぴゃあああ!ああああん!」

 「肉の残り香とあなたの愛蜜。いい味ですね」

 「にゃああああん!」

 飲み始めた。更にどんどん舌でいじりまくっていき、まだ残されている料理はどんどん床に落ちていく。もはや快楽に溺れていき器になりきれない。ついには、

 

 「あ、あああああん!」

 

 愛蜜を思いっきり噴き出してアキラにかけてしまった。その愛蜜を拭きとりながらアキラは真っ赤になる葵を見るが、すぐに薫に視線をずらした。

 「薫、あなたはどうします?」

 「う、も、もう・・・お兄ちゃんの意地悪」

 そう言いながら、襦袢すら抜けて、着ている和服から既に彼女の愛蜜がにじんでいた。恥ずかしがりながら、彼女も裸になる。そして、同じように仰向けに横になる。ただし、彼女はごはんや野菜や肉と言ったものではなく

 「では、全身にかけますよ」

 「え、ひゃああううう!」

 味噌汁を全身にかけていき、味噌汁まみれとなった。

 「ま、まさか」

 「いただきます(ぺろり、じゅる)」

 「きゃうう!あ、ああん。ひゃん、あうん!」

 まずはおっぱい、乳首を舐める。十分に舐め終わると、そこから腹にそのまま移動しその間も

 「お、お兄ちゃん。薫、も、もっと、舐めて」

 「ふふ、行儀のいい器ですね」

 感じても何とか我慢してされるがままになる薫。丹念にいろんなところを舐めていくアキラ。

 「ううう。羨ましいです・・・」

 感じまくって動いてしまった葵は悔しそうに薫を見る。

 「あ、あああん!にゃう!」

 そして、舌はついに秘所まで着いた。だけど、脚を閉じていて秘所の部分には味噌汁と薫の愛蜜が加わった愛蜜汁があった。

 「おや?味噌汁じゃない汁もありますね。薫、これはどうしてです?」

 「わ。わかっているくせに~~!そ、それに薫は今は器!」

 「これは一本取られましたね。では」

 その愛蜜汁を飲み始めた。

 『お、お兄ちゃん、私の、私の・・・あれも!』

 その姿を見る薫はもはやドキドキが止まらない。更に愛蜜も出始めた。

 「おや、飲み終えたはずなのに」

 「で、出ちゃう、でちゃうよ・・・」

 だが、アキラはそれを無視して

 「残してないか確認しないといけませんね」

 「え、ええええ!」

 何とまた彼女の体を舐め始めた。しかも、

 「ちょ!そこはかかってない!」

 「いいえ、嘘は行けません」

 「あああううん!ああん!」

 耳や脇、腕等、味噌汁のかかってない部分を重点的に舐めていき、彼女の快楽を更に高めていく。愛蜜もまた出る勢いが増した。そして、最後に

 「あなたの愛蜜もいただきます」

 葵と同じようにまた秘所を勢い良く舐めていく。しかも、手が無意識に薫の胸を揉んでいきどんどんよがらせていく。

 「あん!も、だめ。でりゅうううう!!」

 「ふふ、飲ませてくださいね」

 ついに最後の瞬間が来た。

 

 「お、おお、おにいいちゃあああああん!!」

 

 彼女の愛蜜もまたアキラにかかった。

 「あ、あああああうううう!」

 葵の方もまた我慢できなかったのか、自身の秘所を指で出しいれていつの間にか辞意をしていて、そっちの方も愛蜜がアキラにかかった。二人の愛蜜シャワーをかけられたアキラの服は濡れてしまった。

 「やれやれ、これは脱ぐしかありませんね」

 服を脱いでアキラも裸になった。あの多くの戦いの勲章が残る体を見た二人は、絶頂を迎えたすぐ後だったが再び愛欲が沸いた。

 

 

 だが、それを知らないアキラは

 「二人とも、素敵な食事をありがとうございます」

 空になった器を片付けようとした。

 「アキラ、様」

 「お、お兄、ちゃん」

 だが、ふらふらになりながらも二人がアキラの脚を掴んで止めて、その場に座らせた。

 「どうしました」

 その問いかけに答えるかのように、四つん這いになってアキラの性太刀を舐め始めた。

 

 「私達も、飲みたいです。アキラ様の愛蜜を」

 「ちょうだい・・・お兄ちゃん」

 

 愛おしそうに、貪るように、性太刀を舐めるのに夢中になった。

 

 「では、残さないように。いいですね」

 

 それだけ言って、アキラは二人の秘所を責め始めた。その後、彼女達もアキラの愛蜜を飲んで、満足そうに全てをアキラに委ねていった・・・。

 




 
 二人の女体盛り話でした!この話をやってなかったので、この二人で使いました。最初は料理中の二人に悪戯していく・・・という感じを考えましたが、こっちがいいと思いこれにしました!

 次回は悠季・小波です!


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小波・悠季 もっと、やってください R-18

 
 どうも!今回はこの二人です。

 悠季ですが、ちょっとキャラ崩壊しています。


 

 悠季は今ピンチに陥っていた。だが、身の危険というわけではない。

 「あ、ああん、あう、あああ!」

 『私はどうしてこの場にいるのでしょう?』

 「ご、ご主人様~~!!い、いっくううう!」

 『でも、あく、今は、どうして』

 はた目から見れば彼女は拘束されて、口を手ぬぐいで抑えられ、床に倒れている状態なのでピンチに見えるが、彼女自身はそうは思ってなかった。

 「小波、もっとよがりなさい。そして、この人がたっぷり焦らされるように見せつけなさい」

 『小波の淫らな姿に目が離せないの?あ、濡れてる』

 「ああ、そんな・・・悠季様に、私の、ち、痴態を見せるなんて」

 「いいではないですか。この後、彼女の痴態を見るのですから」

 『しかも・・・それを言われて、何故抵抗しようとしないの?』

 では、何がピンチなのかというと・・・。

 「それは話が別のような(ぐりぐり)ああう!」

 「何か言いました?(くちゅくちゅ)」

 「ひゃあああ!な、何でも、ない(ちゅちゅ)なああん!です」

 『どうして・・・私は、私も、あんなにされたいと思っているの?』

 目の前でアキラと小波が淫らな展開を繰り広げられている。それは別に構わないと彼女のそう思っている。だが、疑問が二つあり、一つはこの光景を見て段々自分もそれをされたいという気持ちになっていること。そして、もう一つが

 

 『そして、どうしてこんなに拘束されていることに、欲情しているのです!』

 

 彼女が裸体で亀甲縛りをされて、口に詰め物をされて喋れないようにされていたが、それが逆に彼女の割れ目をどんどん濡らしていき、体の感度も強くしていった。

 そう、小波のように胸や尻など自分の体をアキラに滅茶苦茶にされたい欲望が強くなっているのだ。今までアキラをそんな目で見たことないからこそ、理性が弱くなってきている彼女にとっては自分が自分でなくなるピンチなのだ。

 

 

 こうなる前のその日の朝。

 「皆!久しぶりなの!」

 「お、アキラ。ちょっとぶりだね」

 この日は鞠がと彼女の護衛として庵樹も一緒に来ることになって岐阜城にやってきた。早速二人ともアキラに抱き着いた。

 「アキラ様、綾那もいいですか!」

 「あの、わ、私も」

 「葵も嫌じゃなければ・・・」

 「お兄ちゃん!薫もやっちゃう!」

 それを見た嫁達があっという間に真似をして、

 「おやおや、モテモテですな」

 「う~む、薫も積極的でやがるな」

 にやにや顔で幽の口癖を言う悠季。その隣では夕霧が薫の行動に少しびっくりしていた。

 「ふふ、皆大切な妻ですからね」

 だが、皮肉を込めた悠季の言葉を笑顔で返すアキラ。

 「仲睦まじいのはいいことですが、お互いの報告をしないといけませんね~」

 「ははは、そうですね。では、皆さん心苦しいですが・・・」

 「「「は~~い!」」」

 皆アキラから離れて、それぞれの場所に座って報告を始めた・・・と言っても、特に変わりがなく京も少しずつ役割分担が決まっていっているという程度だった。

 それが終わると、アキラは鞠と庵樹に掴まって久しぶりのデートという事で城下に降りて行った。小波や綾那達ももちろんついていった。葵は薫と料理の訓練で夕霧も見守ろうと兎々と一緒に台所に行った。つまり、悠季は一人で暇になったという事だ。

 「何をしましょうか。葵様のところはもはやこれ以上行っては邪魔になりそうですし・・・そうだ、あれをやりましょうか」

 そう言って、悠季は城を出た。

 

 

 悠季がやりたいと思っていた事、それは

 「どんな誑しっぷりを見せるのか・・・観察させてもらいますよ」

 アキラの観察だった。まさに暇人のやる事だった。

 『従妹殿や歌夜殿に小波は一緒にいた時間が長かったから、あんなに誑されて身も心もアキラ殿の腕の中に入りたがるのは分かりますが、葵様もまた同じくらい入りたがっている。また、他の皆さんも同じ様に・・・普段を見ればその理由がわかるでしょう。この同盟は、あのお方の誑しで出来たと言っても過言ではありませんし』

 悠季が観察をする理由は、アキラの誑しがどれほどのものかを調べたいとのことだ。実際彼女の思っている通り、アキラがいたから同盟が出来たのは本当の事だ。だが、それは建前であり本当にそれをする理由が他にあった。それは・・・

 

 『うう、あの時からアキラ殿の顔と体と・・・あの太い刀が頭から離れません!』

 

 ひねくれ顔の裏にある本心がアキラを求めていたのだった。

 『ダメです!今思い出すと・・・あああ!』

 そう、思い出すなというほど記憶を思い出す者だ・・・その時の事を。

 

 あれはまだ、

 「な、何をするのです!」

 「あなたは私を求めている。だから、それに答えたいだけです(ばさばさ)」

 「く、あ、や、やめなさい!」

 「そう言っても・・・ここは既に濡れてますが?」

 吉野との最終決戦前の坂本城であり

 「そ、あ、やめて・・・許して」

 「・・・絶対に許しません」

 「だめええ(むぐ)」

 「気がすむまでやらせてもらいます!」

 あのエーリカの出来事の後だった。

 アキラは悔しい思いを持って、坂本城に戻り自分の部屋に戻ろうとした時だった。ある部屋から何やら小さな声が聞こえたので、覗くと何と悠季が自分と葵の名前を言いながら自慰をしていた。アキラは一瞬だけ動揺してしまい、襖で音を立ててしまって覗いていたのがばれてしまった。焦る悠季にお詫びをしながら入り、彼女も身を正しながらいつも通りの対応をしたが・・・

 

 『あの金柑殿との逢瀬は終わりましたか?』

 

 この一言がまずかった。とても苦しい思いを持って、だけど笑顔で散っていったエーリカをまるで笑うかのようにアキラは見えてしまった。だからこそ、

 「あ、ああああ!い、いた!あああん!」

 「あなたの処〇。いただきました、どうです。女になれましたよ」

 それが感情を爆発させてしまい、気づけば彼女を無理矢理抱いていた。更に、

 「あ、い、痛い!」

 「お仕置きはまだまだです。しっかり、全部受けてもらいますよ」

 「そ、そんな。ああ、ひゃう!」

 「ふふふ、あなたには最大の快楽を与えましょう」

 ありとあらゆる女のツボをどんどんついていき、彼女の敏感な部分を見つけると躊躇いなくいじり続け、しまいには口だけでなく尻の穴にまで性太刀をさして攻めまくった。抵抗もしたが、

 「あ、ああ、すごい・・・これが、屈服される、よ、悦び」

 理性の高い者ほどそれが壊れた時の変貌はすさまじい。一気に屈服される扱いに喜びを持ってしまった悠季。それは彼女が失神するまで続き、その間のうちに痛みと快楽と

 

 「いいですか。あなたは死ぬまで私の好きにされるです。そう、どんな時も」

 「はい。アキラ殿の、奴隷、に、なります」

 

 隷従をその身に植え付けられてしまった・・・最後のお仕置きが終わって失神した時の顔には満足そうな淫靡な笑みが浮かんでいた。

 

 

 それ以来、彼女は毎晩のようにアキラにその時されたことを思い出しては股を濡らしてきた。

 『あ、あの時、どうしてあんなに乱れ狂ったのでしょうか。次の日、アキラ殿は苛立っていましたが、それ以外は何事もなかったかのようにしかも私に何もしてこない。い、いえ!また、されたいというわけでは・・・(じゅん)う、か、体が、求めている。悔しいが・・・それは事実』

 そして、こうしてアキラの後をつけるのも本当はされたい気持ちがあるという事だ。だが、葵の事を考えるとそれは口に出せない。だからこそ、こうして建前を持って後をつければいいわけができる・・・本当は滅茶苦茶にされたいという気持ちを隠せて、ごまかせる。

 『(ブンブンブン)い、いけません!いつまでもあの時を思い出しては!さあ、アキラ殿の内なる力を見せてもらいましゅぺら!・・・いたた』

 だが、建前も本当に調べたいと思っているので調査を再開したが、最後に舌を噛む辺り欲望が中々抑えられてないみたいだ・・・今も、必死に股から流れる愛蜜を擦って隠している。

 

 そんなアキラに

 『ご主人様・・・悠季様がつけてきています』

 小波が、句伝無量で報告した。彼女の存在を忘れる辺り、悠季も間が抜けていた。

 『ええ、分かっています。ま、好きにさせなさい。彼女も気づかれているのを知っていてやっていると思いますし』

 『・・・分かりました(そうには見えませんが)』

 アキラの返答に、そうとは思えない小波だった。もちろん、アキラも最初から彼女の存在には気づいていた。

 『あと、一応悠季が何をしているのかの確認をお願いします。後で城で直接教えてください』

 『すぐではなくて、後で直接ですか?』

 『はい。急ぐことではないですし』

 『承知しました』

 小波と句伝無量も終わると、

 「アキラ!小波ちゃんも出してなの!」

 「そうだよ、あの子だって鞠ちゃんの友達なんだろ?」

 「鞠、小波ちゃんとも遊びたいの!」

 「ははは、分かりました」

 アキラの服を掴んでお願いする鞠と顔を近づける庵樹。

 『とのことです。彼女はお互い時々確認するという事で、出てきてください』

 『ま、鞠様からですか・・・しょ、承知しました』

 鞠からの要望と言われ、姿を現した小波。彼女に手を繋がれて、困惑しながら走っていった。

 「ふふ、あの子。離れた時にアキラの次に会いたいのが小波だったんだよ」

 「そうだったのですか」

 「無理してないかな~。ってね」

 「なるほど・・・(ちら)」

 一瞬、悠季を見て特に変化なしとわかると、腕を組んできた庵樹と共に歩き始めた。

 

 

 その日の夜。アキラの部屋で小波からの報告を聞いた。

 「それで、悠季は何をしていましたか?何やらもじもじしていたようですが」

 「あ、あの・・・その・・・えっと・・・」

 小波は言うのにためらったが、

 「小波?」

 じ~~~っとみてくるアキラに負けてついに口を開いてしまった。その報告を聞いたアキラは絶句した。

 『あの・・・こっそり、自慰をしていたようなのです。地面に、あの・・・ぬ、濡れた後が少し』

 まさか、陰に隠れながら慰めていたなんて思わなかったからだ。少し頭の整理をして考えた。そして、

 「なるほど、あの時のあれが忘れられないのですか」

 ニヤリと笑って原因が分かってしまった。まさか、悠季が・・・とも思ったが、小波は報告の間違いを絶対しない。そこで思いついた、否思いついてしまった。

 「小波、彼女の部屋に行きますよ」

 「は、はあ」

 キョトンとしながら、アキラの後を追う小波。

 

 

 そして、部屋の襖を開けた途端すぐにアキラは悠季の口をふさぎ、小波に両手を縛らせて、後はアキラがあの亀甲縛りをして・・・冒頭のような展開になったという事だ。因みにどうして小波が淫らにされているのかというと、

 『小波、あなたは本能寺での戦いで命令違反をしましたので。そのお仕置きです』

 とのことだ。もちろん最初は見られながら抱かれることに抵抗を持ったが、今では

 

 「ご主人様・・・小波はダメな草です。ご主人様の言いつけを破ったどうしようもない草です。どうか、淫らなお仕置きを・・・どうしようもない小波を・・・ご主人様だけの淫乱な草にしてください」

 

 心のブレーカーが完全に壊れたらしく、もはや見られることもどうってことなくなっている。それ以上に、アキラにそれをされることをとても喜んでしまっている。

 「そうですね。なら、ダメな草の淫らなところを上司の方に見てもらいましょう」

 「・・・はい」

 そう言うと、アキラは小波の割れ目が悠季に見えるように運んで、目の前まで持ってきた。そして・・・目の前でアキラの性太刀を小波の割れ目に、刺した。

 「!!!」

 「ああん!ご主人様・・・ご主人様!」

 「小波、もっとダメになりなさい。それが、私の喜びです」

 「はい!小波は、ダメになります!アキラ様のエッチでダメな草になります!」

 『こ、これが、あの・・・小波なのですか!アキラ殿の誑しの力はここまでとんでもないものなのですか!』

 昔のあの感情がないといってもいい小波を知っているため、この女を通り越してメス犬な姿に絶句する悠季。

 『こ、ここまで・・・ごくり。すごい』

 「あん!あん!ご主人様!小波、もうだめでりゅううう!」

 「こちらも、出します!」

 『え、わ、私の目の前で!』

 最後の瞬間が彼女の目の前で

 

 「あ、あああああ!出てりゅううう!小波の、小波の、中に~~!!!」

 

 小波は果てた・・・彼女の割れ目からはアキラの精が流れ出た。とても満足そうに彼女はそのまま床に倒れた。

 

 裸体と欲情した表情の小波をそのままにして、アキラは悠季の前に座った。

 「では・・・悠季。望みを叶えましょう」

 そう言いながら、口を抑えていた手ぬぐいを取り払った。

 「な、何を言うのです!私が、の、望んでいるなんて!」

 内心を言い当たられて焦る悠季。

 「ここやここは、十分にされたがっていますが?」

 「か!あ、きゃん!」

 固くなっている乳首とびしょ濡れの割れ目を乱暴にいじると、彼女の体がはねた。

 「私を尾行して、観察することは別に構いませんが・・・せめて、一言言うべきでしたよね」

 「な、何故それを!」

 「小波にずっと私の草でいさせるようにしたのはあなたのはずですが?」

 実際は葵がさせたのだが、おそらく小波を推薦したのは悠季だろう。それを言われて、思い出した彼女はやっと気づいた。

 「さて、ここでやってもお仕置きになりませんし・・・移動しますか」

 「な、な!」

 「さあ、行きましょう」

 「ちょ、ちょ!」

 「余り声を出すと、その裸体を見られますよ」

 それを言われて、何も言えなくなる悠季。抵抗できないまま持ち上げられて、アキラは部屋を出た。

 「ご、しゅ・・・じん、さ、ま」

 「小波も来なさい。いいですね」

 「は、はい」

 フラフラだがまだ意識が残っている小波も、一緒に連れて行った。ただし、一人で歩けないのでアキラに掴まって歩いた。

 

 

 『こ、ここって!』

 そして、アキラが連れてきた場所は

 「葵、いますか?」

 「!!あ、アキラ様ですか!」

 「ええ、でも、開けなくていいですよ。そのままで話をしましょう。そんなに長くいるつもりはないので」

 「あ、そうですか・・・」

 彼女が仕えている主、葵の部屋の前だった。襖一枚向こうに自分の主がいる全裸で亀甲縛りの悠季と同じく全裸で蕩けまくっている小波に

 「(小声)これを、鎮めなさい」

 アキラはその場に座って、今だ固いままの性太刀を二人に見せた。そして、フェ〇〇オをするよう言った。

 『『こ、ここで!』』

 「(小声)やらないと、開けますよ」

 「「は、はい」」

 二人とも不安もあるが、それ以上に期待と欲情を持って性太刀を舐め始めた。

 『うう・・・小波をあんなに淫らにして、わ、私の・・・処〇を破ったこれを、って!小波がこんなに蕩けた顔で舐めてる!』

 『ご主人様・・・ずっと、こうしたい』

 ちょっとずつ舐める感じの悠季とは反対に、大胆に愛おしそうに口を全部使って吸い付く感じでやっている小波。

 『う、これを見せられたら!!!』

 「(小声)悠季、しっかりやりなさい」

 『(こくこく)もう、やってやりますよ!』

 小波の大胆すぎる舐め方に見ていると、アキラに胸を揉まれて注意された。そして、どうにでもなれ!と思い彼女も小波と同じやり方でやりだした。

 「アキラ様。明日・・・時間あいてますでしょうか?」

 「そうですね。(もみもみ)明後日にはしばらく別れますからね。二人っきりには(くちゅずりゅ)なれませんが、それでいいなら」

 『『あ、ああん!やん、わ、割れ目を!』』

 小波にも同じように胸を揉んで蕩けさせると、今度は二人の割れ目を責め始めた。

 「あ、ありがとうございます!」

 「いえいえ、(こりこり)・・・ん」

 『『ひゃあああ!な、中で、つ、つまんでる!!』』

 割れ目の中の一部分をつまんではいじっていく。どんどん二人の愛蜜も流れ出る。だが、二人も負けてない。性太刀をどんどん舐め続けるので、アキラもその快楽に思わず言葉を止めた。

 「どうしました?」

 「何でもないです。では、明日は(ぐちゅ!ぐちゅ!)楽しみにしてますよ」

 『『う、あ、は、激しすぎ!あ、あああ!』』

 「はい!私も楽しみにしています!」

 「!!!ええ、楽しみです!(く、こ、これは!)」

 「では、おやすみなさいませ!」

 ここで葵が明かりを消した。

 「はい、く、おや、すみ・・・でる!」

 『『あ、ああ、た、たくさん。たくさん出て、浴びて・・・そして、美味しい』』

 「(小声)しっかり、綺麗にすること。いいですね」

 「「は、い・・・」」

 アキラの精を顔に浴びた二人はそのまま性太刀を舐め続けてついている精を飲んだ。

 「では、部屋に戻りましょう」

 「は、い」

 アキラは立ち上がり、部屋に戻っていく。

 「ま、待って」

 「ご、ご主人様」

 だが、既に快楽が体全体に侵食している二人は立ち上がることもできない。二人して必死にアキラの後を這いつくばるようについていった。数分後に、何とか部屋に戻ってこれた二人は

 「では、本番といきましょう」

 何とか亀甲縛りから解放された悠季だが、隷従の悦びから理性をとりもどす事が出来ない。小波もいまだ大きい快楽から理性をとりもどすことが出来ない。そんな二人に、

 

 「あなた方が二度と違反をしないように、しっかり調教してあげましょう」

 

 アキラは迫った。悠季と小波は、淫靡で期待と悦びがこもった目で頷いた。

 

 

 次の日、アキラの部屋には

 「アキラ殿。悠季はもっと、もっとあなたから・・・罰を」

 「ご主人様。小波はこれからもご主人様の傍で・・・淫らな草として」

 体中にアキラの精まみれとなった二人が快楽の虜になって、夢の中でアキラにお仕置きされ続けていた。

 




 
 原作での坂本城のあの一件をこうしてみました。そして、そこでアキラから屈服されることに悦びを得て、命令違反した小波と共にどんどんはまっていく。という展開にしました。

 次回は、鞠と庵樹にしようと思っています。後、この話はエロなしで行こうと思います!


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鞠・庵樹 ありがとう!お姉ちゃん!

 
 最近、短い話が多い気がする三MENです。こう書いておきながら、今回も短いです・・・。

 今回は、この二人です。越後で何かと仲良くしていたので、この際二人の話を作ろうと思って、出しました!


 

 岐阜城の一室で皆が集まり、明日の行程について話し合っていた。

 「では、庵樹は長久手まで一緒にという事ですか?」

 「ああ、鞠がね。もうちょっといて欲しいと言ってきてね。それに、綾那がそこまで一緒に行きたいと言ってるし」

 「殿さんと鞠様を守りたいです!」

 「じゃ、綾那に任せますよ」

 「はいです!」

 エイエイオー!と気合を入れる綾那。隣で歌夜が申し訳なさそうにしている。

 「すいません、アキラ様」

 「ははは、庵樹がいれば大丈夫ですよ・・・歌夜も行ってもいいのですよ?まだ葵と一緒にいたいでしょう?」

 「いえ、アキラ様がお強いとはいえ護衛なしで京に帰らせるわけにはいきません。私がお供につかないといけません」

 「いや、小波がいますが・・・大丈夫ですよね?」

 「はい!お任せください!・・・と言いたいですが、歌夜様の意見は私も賛成です」

 「アキラ様。傍にいる護衛と隠れている護衛。二人揃って初めて護衛がいると言えるのですよ」

 「そうなのですか?そう言われると、そのような気がしますね」

 『そんなわけないでしょう!と言いたいけど、葵様の言葉を覆すわけにはいきませんから・・・ふふふ、アキラ殿が騙されるところを見れるとは思いませんでした』

 葵にそう言われてアキラは納得した・・・それを見た悠季は、アキラが騙されたことに陰でこっそり笑っていた。

 「夕霧達は駿府までずっと一緒でやがる!」

 「よろしくね。鞠ちゃん!」

 「うん!よろしくなの!」

 「鞠様、よろしくなのれす!」

 アキラ達の後ろでは、夕霧・薫・鞠・兎々が笑顔で話し合っていた。

 

 最終的には、三河に向けて出発する葵と鞠達。綾那と庵樹が長久手まで、葵と悠季が三河まで、夕霧と薫と兎々が駿府屋形まで鞠を送り届けて、そこで別れて甲斐に戻る。という道筋になった。

 「それにしても、随分賑やかになりましたね・・・従妹殿が一緒の時点で十分に賑やかでしたが」

 「ははは、尾張ではお茶目しちゃって怒られましたからね」

 「ふふふ、次の日の朝には綾那のお腹が屋敷中に響いてましたからね」

 葵・アキラ・悠季はワイワイ話している彼女らを見て笑顔で話をしていると、

 「アキラ!遊ぼうなの!」

 鞠が抱き着いてきた。

 「ええ、鞠。今日は存分に一緒にいましょう」

 「本当、アキラ!」

 「鞠の望むままに」

 「やった~~!じゃあ、皆でお出かけなの!」

 喜ぶ鞠はアキラと庵樹の手を掴んで駆け出した。綾那や夕霧達も後に続いた。そんな鞠の陽気な姿を見て葵が訪ねた。

 「ねえ、悠季」

 「何でしょうか、葵様?」

 「もし、私が鞠様みたいにはしゃいでいたら、どう思う?」

 「・・・愛するアキラ様と一緒ならそれもいいのでは?」

 「なるほど・・・ふふ、あなたも随分アキラ様には心を許しているみたいね」

 「は!?な、ななななな。何を!」

 いきなり葵にそんなことを言われて、小波と二人で淫らにされた事を思い出す。

 「さっき、皮肉を一つも言わなかったわ。いつもなら何個か入れて言うあなたが、それを言わないという事はあなたもアキラ様を「あ、葵様!さ、参りまちょう!」そうね、ふふ、覚悟しなさい。たっぷり聞かせてもらうから」

 『も、もう、十分にはしゃいでいるではないですか!というか、まさかあの時私達がいたこと、気づいているのですか!ああああ、どっちなのですか~~!!』

 動揺が止められない悠季。慌てて話を終わらせてアキラ達の後を追うが、葵のニヤニヤに冷や汗だらだらだった。

 

 

 美濃の城下に元気よく歩く鞠。彼女の手は庵樹の手を握りしめている。アキラの手は今は葵が握っている。

 「そういえば、ここって葵ちゃんと来たよね!」

 「・・・そうですね。あれはまだ一葉が京にいて、白百合率いる三好衆を倒して、彼女を助けるために上洛することとなって、共に戦ってくれる仲間として葵が岐阜城に来たときでしたね」

 「その白百合さんも今はアキラの嫁「今はいいでしょう」全く・・・それで、鞠とアキラは長久手で出会ったんだって?腹を空かせて倒れたって」

 庵樹の余計な一言にアキラが割り込んだ。やれやれと思いながら、鞠に話しかける。

 「うん。あの時はアキラと会わなかったら・・・鞠、多分ここにいないの。駿府も、今頃信虎おばさんが「鞠、全て終わった。そして、今生きている。それでいいじゃないか!」・・・庵樹お姉ちゃん」

 自分がいない状態の今を想像して暗くなりそうな鞠だったが、庵樹がそれを止めた。

 「・・・鞠、私やアキラは本来この世界にいない人間だよ。もしアキラがいなかったら、この世界は今だ殺し合いが続いていたかもしれないんだよ。久遠だって、美空だって、光璃だって・・・そして、鞠だって死んでいたかもしれないんだ。そんな既に終わったことは考えなくてもいいじゃないか」

 「・・・ごめんなさい」

 「庵樹・・・」

 庵樹が妹のように思っている鞠にそこまで言うとは思わなかったアキラは、彼女の行動に少し驚いている。

 「私やアキラの知る歴史とは大きく違っているけど、皆仲良くなっているならそれでいいじゃないか」

 「・・・うん!そうなの!」

 

 『なるほど、鞠は今まで苦労の連続だった。その苦労は国を建て直すために更に重くなる。そんな中で不安をなくすために説教をしたのですね』

 

 駿府をとりもどしても、まだまだ国として再出発したばかり。これから先、更なる困難が来るからこそ、終わったことをグダグダ考えなくてもいい。とその事を教えるために説教をしたのだと分かった。

 「さ、アキラとは明日でしばらくお別れだ。存分に遊ぼうじゃないか!」

 「うん!アキラ、葵ちゃん!綾那!薫ちゃん!ほら、早く早く!」

 元気を取り戻した鞠は皆に手を振った。綾那と歌夜と薫達が向かっていく。

 「・・・葵、鞠の事頼みますよ」

 「はい。お任せください」

 「全く「(ぼそぼそ)しっかりできたらたっぷり可愛がってあげますから」!!!!(す~は~す~は~)ふ、ふん!言われるまでもありません!さ、ささささ、さあ、行きましょう!」

 耳元でそんなことを言われてドキ!となる悠季。顔を真っ赤にして慌てながら、彼女も鞠の元に向かった。

 「悠季、どうしたのかしら?」

 「さあ・・・葵、また京に来たときは」

 「はい、二人っきりの食事の約束。越後のあの約束を果たしましょう」

 「そして、あなたとの逢瀬。楽しみにしてますよ」

 「はい!・・・ですが、今は」

 握っている手に視線を落とした。

 「今は・・・こうしていうだけで、幸せです(テレ)」

 「なら、握り続けましょう。時間が許すまで」

 そう言われて、葵の手の力が増した気がした。すると、右手の葵の他に左手にも握る感触を感じた。そっちに視線をずらすと、

 「・・・あ、あの、その、えっと」

 小波が恥ずかしそうに、でも嬉しそうに、アキラの手を握っていた。

 「ふふ、いいわよ。小波、一緒に行きましょう」

 「葵も小波も同じ私の妻なのですから」

 「あ。は、はい!葵様!ご主人様!」

 国の主とその主の草が共通の夫の手を握る。葵も小波も、これができる日が来るなんて考えられなかっただろう。

 

 『『小波(葵様)と一緒に歩くなんて昔じゃ考えられなかったわね(です)・・・これも全てアキラ様(ご主人様)のおかげなのですね』』

 

 だが、アキラがいるからこそそれが出来た。二人とも、それをできるようにした最愛の夫の手を握りながら腕に抱き着いて、べったりくっつきながら鞠達のところに行った。当然、鞠達が羨ましそうに抱き着いてきたのは別の話。

 

 

 そして、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまい、次の日になり、鞠は庵樹や葵達と共に馬に乗って長久手に向かって出発する。アキラと小波、歌夜も京に向けて出発した。

 「あ~~あ、アキラとさよならしちゃったの」

 「ははは、駿府が一段落したらまた会いに行けばいいさ」

 鞠は庵樹と一緒の馬に乗りたい。と言い彼女も頷いたので、今は庵樹の背中にしがみついて馬に乗っている状態だ。

 「そうだけど、でも・・・」

 「鞠様、葵が力になります!」

 「夕霧達もやるでやがる!元はと言えば、武田の責任でもあるから!」

 「うん!光璃お姉ちゃんも手伝うって言っていたから頑張って復興させようね!」

 「綾那も、手伝うです!」

 「従妹殿はアキラ殿を守るために京に帰るのでしょう?」

 駿府再興、言葉で言うと簡単だが実現させるには結構時間がかかる。鞠もその間アキラに会えないことは承知だけど、やはり会いたい気持ちが強い。そんな彼女の気持ちを分かってか葵や夕霧達は元気になるよう声をかけたが、

 「うん・・・ありがとうなの。鞠、頑張るの」

 やはり、まだ元気がない。今川家当主としての気持ちも持っているが、アキラの妻の気持ちも持っているため、中々うまく元気に出来ない。そこに、

 

 「なあ、鞠。そんなにアキラの傍にいたいなら、駿府いくのをやめる?」

 

 庵樹が馬を止めてその言葉を言った。

 「「「「な!何を!」」」」

 綾那以外の四人がその言葉に反応した。

 「な、何でそんなことを聞くの?鞠、駿府を元に戻したいの!」

 涙目になって文句を言う鞠。

 「でも、アキラの傍も離れたくないんだろ?だったら、駿府はやめて戻ろうかと言ったんだ。私はそれでもいいんだよ」

 「庵樹お姉ちゃん、どうしてそんなこと、いうの・・・ずるいの」

 「・・・悪かった。でも、決めることは決めないといけないんだ。私も、この世界に来るために、家族と別れたんだ・・・もう、二度と会えないんだ」

 「あ・・・」

 そう、庵樹はアキラを諦めたくない。ずっとそばにいたい。その意志を貫くために家族と離れ離れになって世界を超えたが・・・二度と会えなくなった。

 「私も、本当は会いたいさ。何十年も苦楽を共にした家族と一緒に暮らしたいさ・・・それでも、私はアキラを選んだ。あいつの背中を追いかけたかったから」

 「うん」

 「鞠。お前は駿府奪還の時、大きな声で言ったじゃないか。駿府をとりもどすために、皆に力を貸してほしいと。その選択をしたからこそ駿府は戻った。そして、駿府を元に戻したい。その選択をしたんだろ?だったら、貫き通せ・・・それに、こうした選択は今後の人生まだまだ出てくるんだ」

 その話を聞いて、葵が話に加わった。

 「鞠様、私もかつては武を捨て文を選び、そこからこの日の本を平和に出来ないか?と考えたことがあります」

 「葵ちゃん?」

 「ですが、それは私一人だけの考えでした。だけど、アキラ様と出会ってたくさんの人とふれあっていくうちに、一人で考えてはいけないと気付きました。仲間がいるなら皆と相談する。手を貸してほしいなら、あの時の鞠様のように声を出す。私達は同じ同盟軍の仲間であり、アキラ様の妻です。一人で悩んでいると、自然と選択肢はなくなってしまい気づけば追い詰められてしまいます。ですが、みんな一緒ならその選択肢も多くなります。ですから・・・遠慮なくこれからも私達を頼ってください」

 昔の考えと今の考えの大きな違いを持つ葵。幼き頃の経験で出した選択だが、アキラを愛し、たくさんの妻と出会い、別の選択肢を見つけられるようになった。鞠もいろんな人と出会ったのだから、そういう人に頼って選択肢の幅を広げて欲しいと葵は思ったのだろう。

 「じゃ、改めて聞くよ。駿府に行くかい?アキラのところに戻るかい?」

 「ううん、駿府に行くの!」

 「ふふ、いい顔だね。よし、長久手に行こう!」

 二人からの話で気持ちにゆとりが持てたのか、笑顔を取り戻して駿府に行く決意をした。

 「それに鞠、こうも考えられるだろう・・・アキラを駿府に連れて来て、自分の作り直した駿府を見せられるって」

 「うん!そうなの!鞠、その為にも頑張るの!」

 すると、鞠は馬から降りた。皆がその行動に不思議に思っていると、

 「(ぴょん)えへへ、庵樹お姉ちゃん、頭撫でて!」 

 庵樹の前に移動した。そして、彼女に寄りかかるように甘えた。

 「(妹達を思い出すね)ああ、いいよ」

 頭を撫でる庵樹。それに嬉しそうにする鞠を見ながら、手綱を動かして馬を歩かせた。葵達も馬を歩かせて、移動を再開した。

 

 

 その日の夜。

 「(すやすや)」

 鞠がアキラと出会ったあの宿に今日は泊まることになった。すると、鞠が庵樹と一緒に寝たいと言い出したので了解して一緒の布団で寝ている。

 

 『本当なら、もっと元気に遊んで、もっといろんな世界を見て、家の妹達のように友達だってたくさん作れる年頃なのに・・・国の主の子供というのは、とても重いものをこの肩に乗せているんだね』

 

 抱き着いて寝ている鞠の肩に左手を置き、右手で頭を撫でた。

 

 「・・・お姉ちゃん。ありがとう、なの」

 

 その時鞠の寝言が聞こえた。その言葉に、心が温かくなった庵樹。

 

 『鞠、こっちもありがとうだよ。家族と離れ離れになって、アキラと一緒にいても寂しさはあったんだ・・・でも、鞠がいたから、妹達のように慕うお前がいたから、私はその寂しさを埋められたんだ。これからも、血は繋がってなくても私はお前の姉でいるつもりだ。たくさん支えてやるから、たくさん頑張るんだよ』

 

 鞠を力いっぱい抱きしめて眠りについた。二人とも笑顔で幸せそうだった。

 




 
 駿府を建て直す想いとアキラと離れたくない想い、二つの想いで揺れる鞠。それを決めさせたのは、姉のように慕う庵樹と幼いころ共に生活した葵でした。庵樹は鞠と似た立場でもあるので、何とか気持ちにけじめをつけさせたいと思ったのでしょう。

 次回は、ちょっと番外編的な話です。アキラも久遠達も一切出ません。恋姫無双の話の中で、各勢力の兵達の話を見て面白そうだ!とおもい次回は織田・長尾・武田・松平・浅井。そして、アキラ隊。これらの兵が語り合う話にします。


 それと一つ謝罪があります。後日談ですが・・・もう少しペースが落ちます。その理由は、信念のサムライと横島忠夫、〇〇〇〇と付き合ったらどうなる?のペースを上げたいためです。今までそれぞれ一話ずつの投稿でしたが、信念と横島を二話出して後日談を一話というペースにしようと思います。
 勝手に決めて申し訳ありませんでした。


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番外編 兵達の雑談

 
 こんにちは!今回は番外編です!

 主に、アキラ隊の人にスポットを当てました。今回だけ、それぞれの兵がしゃべる時に彼らの所属勢力の頭文字を「」の前に着けました。


 

 これは、ある居酒屋の一場面。

 織「いや~、うまい酒だな」

 松「全くだ。こうして酒が飲めるだけでもありがたいよな」

 長「いろいろ犠牲もあったが」

 武「鬼達の元凶を潰せたからこそ、こうして飲めるんだな」

 浅「・・・俺達の同胞達の冥福を祈って」

 「「「「「乾杯」」」」」

 ある一区間では五つの勢力、織田・浅井・松平・長尾・武田のそれぞれの兵達が集まって酒を飲んでいた。五人とも笑顔で、楽しそうに飲んでいた。

 松「それにしても・・・こんな同盟ができるなんてな」

 武「全くだ。長尾と手を組めるなんて思わなかった」

 長「同じセリフだよ。武田を倒すことに執念を燃やしていた美空様が、まさか手を結ぶと言う予想外なことをするなんて」

 浅「でも、出来たからこそ、この宴会が実現した」

 織「すっげえ人だよな・・・それを成し遂げたアキラって人はよ」

 ア「?呼んだか?」

 五人で話し合っていると、アキラ隊の兵が入ってきた。

 武「呼んでないけど、入れや!」

 浅「今日はたっぷり語り合おうぜ!」

 織「そうそう、ここにいる俺らは皆が仲間だからな!」

 ア「いいのか?それなら・・・」

 長「それにお前の隊長、アキラって人の事も知りたいんだ!こんな同盟を作ったんだから、どれほどの人物か聞きたくてな!」

 松「我らの当主も嫁にしているからな!どんな逸話があるのか、知りたいんだ!」

 ア「お、そういう事なら任せておけ!聞かせてやるぜ、隊長の事!」

 六人の兵が、また酒を注文して飲み始めた。どうやら、長くなりそうだ。

 

 

 まず口を開いたのは、長尾の兵だ。

 長「田楽狭間の天人と呼ばれていたよな。アキラって人は」

 ア「田楽狭間で久遠様が今川義元を討ち取った後に、天から光の玉が降りて来てその中にアキラ様がいたって話だ」

 織「ああ、その戦に俺いたぞ。中に入っているかどうかまでは確認できなかったけど、光の玉が天から降りてくるのは見たぞ」

 松「そう言えば、本多様と榊原様もあの場にいて、アキラ様が玉の中にいるのを見たって聞いた気が」

 武「という事は、デマではなく本当だったという事か」

 浅「実際に見たお前と話しているからこそ信じられるが、普通じゃばかばかしいと言って聞き流す話だよな」

 五人「その通りだ」

 浅井の兵の言葉に、彼以外の五人とも頷いた。

 

 次はその浅井の兵が問いかけた。

 浅「アキラ様って、どれくらい強いんだろうな?前に小谷城に来たときにお市様と手合わせしたけど、攻撃を受けてもびくともしなかったぞ」

 ア「あの方の強さか・・・それに関しては、考えないようにしているんだ」

 武「何故だ?隊の頭の強さは、兵なら知っておきたいはずだと思うが」

 ア「・・・・・・余りにも強すぎるからさ」

 アキラ隊の兵の言葉にキョトンとする五人。そこに付け足した。

 ア「壬月様に麦穂様に森一家。美空様に柘榴様。春日様に粉雪様。綾那様に歌夜様。そして剣豪将軍様に側近の幽様等、この同盟には数多くの名が知れた武将がいる。そして、その強さはお前達も聞いているよな?」

 五人「うんうん」

 ア「だけど・・・アキラ様はこの武将達全員と戦っても簡単に勝てちまうんだ」

 武将全員と戦って、簡単に勝てる。アキラ隊の兵以外はポカーンとなった。

 五人「・・・は?」

 ア「それに・・・お前達だってアキラ様の逸話は耳にしているだろう?それを思い出せば納得できるはずだ」

 そう言われて、それぞれその逸話を思い出した。

 織「確か、公方様救出の時の二条館では三好三人衆を倒して、周りの鬼達を倒すために雷を呼んだって聞いたな」

 長「春日山城の大手門を細切れにしたんだっけな・・・今はもうほとんど完成しているけど。千貫門の方も別の奴が壊したって話だ」

 武「川中島での我ら武田と長尾との決戦では、美空様と光璃様の一対一の戦いに入り込んだな。あの毘沙門天と風林火山の戦いに」

 松「駿府奪還の時は、春日様と夕霧様が手も足も出なかった武田信虎をたった一人で討ち取ったと聞いたな」

 浅「黒幕との決戦の本能寺では、公方様と綾那様の攻撃すら効かない鬼を倒したって話だな。しかも、その後いきなり現れた長い刀を持つ男と戦って本能寺と周りの家をぶっ壊したんだよな」

 ア「本能寺は現場にいなくても皆見ただろ?・・・な、考えるだけ無駄だろ?」

 五人共、頷いた。もはや、自分達の考えをはるかに超える強さを持つアキラがどれくらい強いのか考えるのをやめた。

 

 三番目は松平だ。

 松「それにしても、葵様がアキラ様の嫁になってとっても変わったな~。前は黒い内面を顔と態度に出して怖いこともあったけど、今は正反対になっちまったよ・・・そこがいいっちゃいいけど」

 長「それ美空様もだよ。人修羅とすら呼ばれたのに、今じゃ皆の前じゃツンツンしているのに、アキラ様と二人っきりじゃデレデレするツンデレっていうのになっちまっているよ。松平の意見は同意だな、ああいう女性らしい顔がまたいいしな」

 織「久遠様も似たようなものだな。今じゃ、皆の前でもアキラ様が来ればあっという間にデレデレになるみたいだな。この前も指令を出していながら、アキラ様にべったりくっついて蕩けていたし」

 武「光璃様も表情をあまり変えないお方だけど、アキラ様にはたくさん変えるって薫様が言っていたな。確かに・・・笑顔を見るようになった気が。昔は顔色を全く変えずに指令を出した板が」

 浅「真琴様もお市様やいろんな方々にいろいろ遠慮することがよくあったけど、今は勢いがついているような気がする」

 ア「へ~、当主様達も結構変わっていったんだな」

 各勢力の兵達は当主の様子もよく見るからこそ、彼女達の変化にも気づける。だが、

 松「アキラ様の方はどうなんだ?あれだけの妻を持っているんだ。いろいろ変わったこともあるんじゃないのか?」

 ア「・・・・・・いや、稲葉山城を攻める時にアキラ隊に入ったけど、その頃から全く変わってないな。せいぜい、取り巻く女が増え続けているってことくらいかな」

 アキラもまたそれなりに自分を変えているが、それは彼女らのように劇的に変化するくらいのものじゃない。だから、隊員でも気づけない。

 織「う~~ん。確かにそうかもな。我ら織田勢も越前まではアキラ隊と一緒に行動だったし、あのお方の様子は俺も見ていたけど今とあまり変わってないな」

 織田の兵もまた同意見だった。二人からそう言われれば、なるほどと納得するしかない四人。

 

 四番目は武田の兵だ。

 武「にしても、アキラ様って、俺ちょっと羨ましく思うな」

 浅「羨ましい?何がだ?」

 武「幕府と禁裏から誑し御免状を貰って、たくさんの嫁さんを貰えることだよ。しかも、村娘から国の当主まで身分関係なく何十人もだぞ。俺だって男だからさ、たくさんの美女に囲まれたいって思うさ」

 それを聞いてアキラ隊の兵以外は頷いた。

 織「あ~~、確かにそれは言えるかも。でも、実際今いるアキラ様の嫁って凄いよな・・・麦穂様や結菜様に三若の皆ならまだ納得できるけど、壬月様に森一家すら嫁になっているんだからな」

 長「美空様だけじゃなく、次期当主の空様に秋子様や松葉様もなっているし」

 松「こっちも、今はアキラ隊にいる綾那様と歌夜様に・・・葵様以外興味がないと思える悠季様もなっているって話だ」

 武「俺、薫様や心様って憧れていたんだけど・・・お二人とも嫁になって、更に夕霧様に春日様に粉雪様まで嫁だからな。一二三様と湖衣様もなったというが、本気でなったという感じではないようだけど」

 浅「聞いた話じゃ、あのいつ寝返るか分からないと言われた松永弾正小弼まで本気で嫁になったって話だぜ。一体どうやってあの曲者をそこまで惚れこませたのか・・・そして、アキラ様はこの人達の女体を味わえるのか」

 五人共、彼女らに囲まれる妄想をして

 

 五人「羨ましいよな~~~!!」 

 

 また頷き合った。そこにアキラ隊の兵が、口を開いた。

 ア「ま、その気持ちは分かるよ・・・だけど、俺はあのお方なら皆が引かれても無理はない。と思うんだ」

 嬉しそうに笑いながら、杯の酒を飲んだ。

 武「どうしてだ?アキラ隊にも結構美人がいるって話だし、その人達もアキラ様の嫁なんだろう?その人達だってアキラ様は抱いているってことになるし、羨ましいと思わないのか?」

 武田の兵の言葉に、他四人も同意した。でも、アキラ隊の兵は

 

 ア「あの人はな、そんな気持ちを持たせなくなるくらいにすごい人なんだ」

 

 その同意を全部跳ねのけた。そこまで言い切るアキラ隊の兵に五人は顔を彼に向けた。そして、そのまま話を続けた。

 ア「俺さ、好きな女の子がいてさ、何とか振り向かせてやろうと思ってたまたま募集していたアキラ隊の兵に入ったんだ」

 織「俺も久遠様の兵になったもそんな感じだな」

 ア「そこでアキラ様と会って・・・稲葉山城を攻略するために無理矢理作戦に参加させてもらって。それが終わったある日、当時まだ百人もいなかった隊員を相手にこう言ってきたんだ・・・あなた方は弱い。と」

 浅「うわ。完全に喧嘩売っているな」

 ア「ああ、だから隊員全員対アキラ様一人で戦ったんだ。あの頃はまだ俺を含む隊員全員があのお方の強さを知らなかったし、一人で数百人以上相手に勝ったという話も聞いていたが信じなかった・・・結果は言わなくてもわかるだろう」

 松「数多くの武将相手に勝てるんだ。負けたんだろう?」

 ア「その通り・・・その後も隊の人数も増えても考えが甘くずっと負け続き。その頃の俺らはその強さは田楽狭間の天人が持つ特別な力。と思っていたんだ」

 長「だよな。常識が通用しない強さだ。それ以外考えられない」

 ア「・・・だけど、それが違うという事を知ったんだ。越前侵攻前に、俺達隊員が湯につかれるときがあってな。その時にアキラ様と一緒に入ったんだ、たまには男同士で語り合わないかって」

 武「嫁から逃げて来たんじゃないのか?その時点で既に嫁が十人はいたんだし」

 ア「ははは、そんな感じだったな・・・だがな、その時に見ちまったんだよ。あの人の体を」

 今まで出したことないくらい真剣な顔で、彼は言った。

 

 ア「服に隠されていた数えきれないくらいの傷、あの顔から想像がつかないくらいついていた筋肉の付いた体を・・・」

 

 それを聞き、五人は驚いた。

 ア「アキラ様に負けた後、必ずこう言われていたんだ。勝てない理由は三つあると、その体を見るまではその理由なんて一つくらいしかわからなかったが・・・それを見て全部分かったんだ」

 浅「三つの、理由?」

 ア「一つ目が経験の差。これは皆もわかるだろう」

 織「ああ。それで、残りの二つは?」

 ア「二つ目はその経験で培われた技術の差」

 長「うん、そう言われると確かに・・・武将の皆はそれを持っているしな」

 ア「最後の三つ目は・・・信念の差だ」

 武「信念の、差?」

 ア「あの人は絶対に勝ちたいと思っている人がいる。その人に勝つためにずっとずっとずっと・・・努力し続けていたんだ。つまり、あの人が持つ強さは武将が持つお家流が使える選ばれた血筋が持った人の強さじゃない。全部、ひたすらに努力をやめないで、何年も続けて、やっと手に入れた強さなんだってな」

 松「それが、本能寺の時に現れたあの男ってわけか」

 重い気持ちを持ってアキラの兵は頷いた。

 ア「それを見て以来、あの人への気持ちの持ち方が完全に変わったよ。あの頃は、お前達と同じように嫁がたくさんいて羨ましいという気持ちもあったが・・・それほどの体と信念を持っているのなら、嫁になりたいと思う女性が多いのも納得だと。だから、今は羨ましいという気持ちは完全にないんだ」

 そして、最後の清々しい笑顔になった。五人の兵はアキラ隊の兵が本当に今心からそう思っていることが分かった。

 ア「口で言っても納得しないかもしれない・・・だから、いつかお前らも見ればわかるさ。あの人のあの体を・・・そして、あの、背中を」

 彼は入れ直した杯の酒を一気に飲み干した。そこで宴会もお開きとなった。

 

 

 店を出た六人。それぞれの陣所に帰る時に織田の兵が口を開いた。

 織「なあ、一ついいかな?」

 ア「何だ?」

 織「お前は、今アキラ様の事をどう思っている?」

 それを言われて、脚を止めたアキラ隊の兵。

 ア「それは・・・」

 顔を上げていき、

 

 ア「あれ、かな」

 

 ある一点を見て、そうつぶやいた。その一点を五人の兵も見た。そこにあったのは半分欠けている月だった。

 

 ア『久遠様達がこれから先の日の本を明るくするための太陽で、アキラ様は見えないところであの人達を支えようと頑張るいわば反対の月。何より、あの人は強く光り輝こうとしないで小さく輝き続ける。そう、アキラ様は月だ。お頭・・・あんたが嫁を支えるのなら、俺達はあんたを支え続けます。絶対に倒れないよう、ずっと前を歩けるよう、背中を支え、押し続けます。それが、俺らアキラ隊の信念だ!』

 

 彼はその笑顔になって、その月に自分の気持ちを心で伝えた。

 




 
 今回これをしたのは、アキラ隊の嫁以外の隊員の気持ちを書きたいと思いました。どんな気持ちでアキラにしたがっているのか。因みに負ける三つの理由は、SDK原作からとりました!

 次回はアキラは京に戻ります。次のヒロインは、秋子と双葉にしようかな?それとも、柘榴と市にするかな?



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秋子・柘榴・梅 侵入者は誰だ!! R-18


 今回はこちらの三人にしました!最初は秋子と柘榴というリクエ・・・もといコンビにしようと思いましたが、梅も加えたいと思い三人にしました。

 うまく書けたでしょうか・・・では、どうぞ!


 

 「じ~~」

 「では、復旧の手配はそれでお願いします」

 「じ~~~~」

 「・・・久遠様への報告は、あなたがお願いします」

 「じ~~~~~~」

 「あの、どうしたのですか?心さん?」

 とある屋敷の一室にて、京の復旧の手はずを心と一緒にしている秋子。さっきまでは真剣に話し合っていたが、兵に使いを頼むときになってから心の視線がある一点のみを見るようになったのだ・・・そう、秋子の胸に集中していた。

 「いえ、どうしてそんなに大きくなれたのかな?と思って」

 「わ、私だって知りませんよ!それを聞きたかったんですか!」

 「長尾勢って胸の大きい人が多いですよね。柘榴さんに松葉さんに貞子さん・・・織田勢も壬月さんに麦穂さんに犬子さん、桐琴さんに白百合さん・・・どうしてそんなに大きくなれるのか疑問に思って」

 心は別に妬んでいるわけではなく、純粋に不思議に思っているのだ。だが、同性でも胸をそこまで見られるのはやはり恥ずかしい。

 「えっと、その「秋子さ~ん!いるっすか~?」「すいません、ハニーから来てくださいと伝言が」あ!二人ともいいところに!心さん、ちょっと用ができたので行ってきます!」

 「あ、はい。お気をつけて」

 しかも、女の胸の話題はデリケートだ。誤魔化したいところに柘榴と梅がやってきて、ここから出られる用を持ってきてくれたのでうまく離脱することができた。残った心は自分の胸を触った。

 「う~ん。これからはアキラ様のお嫁さんなんだし、赤ちゃんに乳を上げられるように大きくするべきだと思うんだけど・・・方法ってないのかな?麦穂さんか白百合さんあたりに聞いてみようかな?」

 麦穂はともかく白百合に聞くのは間違っている気がするのだが、あいにく彼女に突っ込む人が誰もいなかった・・・。

 

 

 梅が二人を長屋へ案内している間に、さっきの話になった。

 「なるほど、慌てて出たのにはそういうことがあったのですね」

 「え?みんなこれになるんじゃないっすか?(ゆさ)」

 「ちょ!柘榴ちゃん!そんな見せつけるようなことしちゃだめ!」

 梅もアキラ隊では、時々同じ隊員のひよや詩乃達に妬み込みで見られることがあるので秋子の気持ちは分かったが、柘榴は全く気にしないので大きい胸を持ち上げて疑問そうにしていた。というか、すでに彼女らの胸に何人かの男達が注目していることに三人とも気づいていない。

 「ですが、秋子さんだと・・・私を妬むひよさんや詩乃さん達の気持ちが少し理解できそうですわ(じ~)」

 「ちょ、う、梅さん!」

 「越後の時からうすうす思っていましたが、この大きさはやはり羨ましいですわ。それだけあれば、ハニーもむしゃぶりつ「い、いい加減にしてください!」・・・っは!い、いけませんわ。私としたことが」

 柘榴より大きい秋子の胸を羨ましいと思う梅は、少し暴走しかけた。

 「う~ん。おっぱいが大きいって、どんな得があるっすかね?」

 「柘榴さん。大きければ大きいほどハニーは貪欲に求めようと「ひゃああああ!」秋子さん、そんなに大声を出さなくても」

 「だ、誰のせいだと思っているんですか!」

 「というか・・・私の前でよくそんな話ができますね」

 話に夢中でとある誰かさんの声に気づくのが遅れた。

 「「・・・え?あ。あああああ!」」

 「あ!アキラさん!来たっす!」

 話している間に長屋に到着してアキラに聞かれた梅と秋子は顔を赤くした。柘榴は全く気にせず、アキラに抱き着いた。

 「まじめな話をしてから・・・後で、お二人のエロ話を聞きましょう」

 「「ち、ち、違うんです~~!!」」

 「さあ、さあ、お二人がどれだけエロいかの話を聞くっす!後、やっぱりアキラさんって抱きしめると心地いいっす!」

 「「や、やめてください!」」

 柘榴は抱き着きながらアキラに乗っかり、標的にされた秋子と梅は誤解を解くのに必死だった。

 

 数分後に部屋に案内して、二人が落ち着くのを待った。

 「もう大丈夫ですか?」

 「「は、はい・・・」」

 「二人とも、よかったすね。誤解が解けて」

 「「・・・・・・」」

 お前のせいだろ!という梅と秋子の鋭い視線が柘榴に当たったのが、気にしない彼女はアキラの頭に自分のおっぱいをのせている。

 「「(ぱん!)・・・よし!はい、もう大丈夫です!」」

 自分の頬を叩いて、気持ちの切り替えをした梅と秋子。柘榴も笑顔で抱き着いたままだが、余計なことを言わなくなった。

 

 話の内容は、二条館のことだった。

 「二条館の夜間の確認、ですか?」

 「ええ、幽からの依頼です」

 「ですがハニー。鬼はもういないはずでは?」

 「そのはずなんですが・・・どうも、誰か忍び込んでいるみたいなんですよ」

 「忍び込むって、金目当てにしてはおかしいっすね。一葉様の足利幕府って貧乏じゃなかったっすか?」

 「私も疑問に思っているのですよ。初めて会ったときすら、一葉は荒くれから金を強奪してそれを油代に「「ちょ、ちょっと待ってください!」」・・・何です?」

 話の途中で秋子と梅が割り込んだ。さすがに聞き流せなかったようだ。

 「荒くれから金を強奪って・・・」

 「ほ、本当ですの!ハニー!」

 「ええ、本当ですよ・・・ああ、因みに美空もまだ私がこの世界に来てないときにやったことがあるそうですよ。本人が楽しそうに言ってました」

 「・・・何か納得出来るっす」

 「御大将。明日説教しないと」

 「思えば、お二人とも甲斐の街で暴れようとしたことがありましたわね」

 アキラの説明に、三人ともあの二人ならやる!と納得した。

 

 話を戻し、二条館に本当に忍び込む輩がいるかの確認と、本当にいたら確保をアキラは幽に頼まれた。本来ならアキラに頼むことではないが、京再建にみんな右往左往しており手が空いているのがアキラだけだったのだ。

 だが、貧乏幕府の館に果たして誰が忍び込む価値はあるのか?とアキラだけでなく梅達三人も疑問だった。

 「せっかく建て直しの目処もたってきたのに、そんな輩がいたら不安みたいで・・・まあ、金はなくても金になるものはありそうですからね。現にひよにかなり高額の短刀を渡しましたし」

 「あの来国光ですわね。羨ましかったですわ・・・それはともかく、ハニーだけで行かせるわけにはいかないので、私もご一緒することにしたんですの!」

 嬉しそうにアキラの腕に抱き着く梅。「あ!」と叫ぶ秋子だが気にしない。

 「えっと、ど、どうして私に声を?特にお役に立て「今夜の奥は誰ですか?」・・・あ、私でした」

 「あと、柘榴もっす!」

 一見関係なさそうな話を二人に話した理由は、今日の奥だから誘ったのだ。

 「これが終わったら、梅も混ざりますがどこかでしましょうね」

 この言葉に、秋子はちゃんと奥の順番を覚えていたアキラに嬉しくなって、感極まって胸に飛び込んだ。

 「アキラさん・・・嬉しいです」

 「ハニー。私もいいなんて、最高ですわ!」

 「な、なんか、どきっ!と、きたっす!」

 梅と柘榴まで顔を赤くして、アキラに抱き着く力を強くした。そして、三人の心は一つになった。

 『『『すぐに終わらせて、存分に抱かれよう!』』』

 ・・・人は欲で動く生き物だ。

 

 

 夜になり、二条館に入って確認中なのだが・・・

 「三人とも。どうして、その格好なのです?」

 アキラは三人の今の姿が疑問だった。

 「ハニーに抱かれるのが待ちきれませんの!」

 「柘榴、アキラさんのあの体に蕩けたいっす!」

 「う、ううう、二人に乗せられてしまいました」

 三人は・・・何故かビキニ姿だった。あの後、頭を冷やそうと外に立たのだが・・・やはり興奮が抑えきれず、梅と柘榴が今夜の奥に何かいいのがないか?という感じで探していたら、これを見つけて秋子は二人に負けられない気持ちができ・・・最終的には買って、着た後そのままビキニ姿で来てしまった、というところだろう。

 梅は彼女らしい赤のビキニで、柘榴は明るい黄色のビキニで、秋子は何と黒のビキニだ。しかも秋子のビキニに至っては、おっぱいがブラが収まりきらず下乳も見えている。よく、恥ずかしがり屋の彼女がこの姿でここまでこれたものだと感心した。

 「ハニーを誘惑しようと思って買ったのに、秋子さんが一番気合入ってますわね」

 「仕事をさっさと終わらせたいと思っているっす!」

 「う、それは否定しないけど」

 「・・・そうですね。そこまで気合入っているなら、たっぷり愛しますので覚悟してくださいね」

 彼女達の色っぽい姿にアキラも気合が入った。

 「「「は、はい(っす)///」」」

 照れ顔になった三人は、恥ずかしくなって思わずアキラの後ろを歩いた。

 

 

 四人で、それぞれの部屋を見て回った。

 「は、はははは、ハニー!物が急に落ちました!」

 「まあ、それなりにボロボロなので落ちるでしょう」

 「アキラさん!物音が聞こえるっす!」

 「風で建物がきしむ音ですよ」

 「ああああ、アキラさん!あ、あそこに・・・光が!」

 「大丈夫です。死者の魂でしょうから」

 「「・・・全然大丈夫じゃないですわ(よ)!」」

 「いや、冗談ですよ。月明かりがそう見えるのでしょう」

 「ハニー、笑えないですわ」

 時々、アキラの発言に引きつりながらも調査をしたが不審者はおらず、最後の場所である二条館の評定の間についた。ここまで柘榴は陽気にこれたが、

 「はは、ハニー。ななな、何も、ななな、ないですわね」

 「そそそ、それが、何より、で、です」

 こちらの二人はアキラの両腕をがっしり掴んで、自分のおっぱいにその腕をもろに挟めて震えながら歩いている。いい感触を常に味わったアキラは一人疑問に思っていた。それは気配をこの屋敷から感じているからだ。

 『確かに誰かが入り込んでいるようですね。人数は二人、ここから少し遠いところにいるし障害物も多いせいで特定まではできない。超視野化を使えば見えるでしょうがそこまですることではないですし・・・』

 侵入者は確実にいるが少し遠いところにおり、捕まえようにも移動中に逃げられたら元も子もない・・・そこで、

 

 「三人とも、今日はここで奥をしませんか?」

 

 思いついたのはこの場で三人を抱くことだ。

 「「「・・・・・・へ?」」」

 「どうやら、誰かいるのは確実なのですが・・・」

 その後の説明を聞いた三人は、アキラ以外の男に肌を見せることに反対だったが、アキラは男ではなく女だと指摘した。何故なら、二人とも気配に胸の形があり、一人は柘榴くらいの大きさで、もう一人は詩乃くらいの大きさだった。つまり、向こうが興味を引くことをしようということになり、それなら男と女の蜜時が最適だ。

 「じゃあ、アキラさん!やるっす!」

 そうなると、善は急げ的な感じで柘榴が密着した。

 「な!柘榴さん!」

 「あ、アキラさん!」

 「あ、秋子さんまで・・・負けられませんわ!」

 梅と秋子もぴったり抱き着き、アキラの股間に手をやる三人・・・すでに割れ目から蜜が出ており水着にしみこんでいるのですぐにわかった。その様子を見ながら、袴を脱いでアキラは上段に座った。

 「三人とも、お願いしますね」

 「「「はい!」」」

 アキラの太くなった性太刀を見て、すぐに何を頼んだのか分かった梅達。

 「梅さん、柘榴ちゃん・・・やるわよ」

 「「(こくり)」」

 左から梅、右から秋子、前から柘榴が、自分たちのおっぱいでアキラの性太刀を包むようにつけた。そして、

 「これが、アキラさんの・・・ちゅ、ペロ」

 おっぱいをそれぞれ動かしながら、まず柘榴が性太刀の先を舐め始めた。その先から出た汁を舐める柘榴。

 「なんか、苦いっす」

 「ふふ、でも・・・これが、はあ、ハニーの味、あう、ですわ」

 「そうよ、柘榴ちゃん。あん、今に、おいしく、あああん!なるから」

 柘榴に言いながら、二人は腰も動かしている。よく見ると、アキラが二人の割れ目に指を入れて動かしていた。

 「そう、ぺろぺろ、っすか・・・なら、続ける、じゅ、っすひゃあ!」

 梅・秋子に言われて続ける柘榴。徐々に彼女の顔も赤くなり、乳首の方も硬くなっていく。

 「「あ、あ、アキラ、さま・・・も、もっと」」

 二人の乳首の方も、もう固くなっている。三人とも欲情ラインに入ったようだ。それがわかると、梅と秋子の情欲をあえて中途半端な状態でやめて指を抜いた。

 「「あ、な、なんで」」

 「私を満足してからです。う、つ」

 「ほ、本当っす・・・おいしく、なって、きたっす」

 「二人も、お願いします」

 「「はい!」」

 「ちょ!柘榴がやっていたっす!」

 不満な柘榴を横目に、割り込んできた嬉しそうな梅と秋子。

 「三人とも、今度は自分で慰めてください。あなた達のその顔が淫らになっていくのを見ていたいので」

 「もう・・・エッチなハニー」

 「でも、スケベなアキラさんも好きっす!」

 「ええ、好きなだけ見てください」

 『見させて!!・・・もらいますよ』

 三人が自分を慰めながら、乳首を性太刀に押し付けて、欲望に溺れながら、夢中にむさぼる姿と顔。アキラもまた彼女らの胸の水着の布と乳首の硬さからくる刺激を受け、蕩け淫靡な表情を見せていく三人の顔を見て欲望に溺れていく。

 「「「あ、は、あん、ちゅ、ひゃ、あ、れろ・・・ひん!」」」

 「う、く・・・で、る」

 その三人の理性のゲインラインが突破しそうになる。それはアキラも同じだった。そして、ついに・・・

 

 「ぐ、う、おおおお!」

 「「「(ぼたぼた)あ、あああん!た、たくさん!あっひゃああああん!!」」」

 

 アキラの精と自慰の絶頂が梅・柘榴・秋子の淫靡な顔を更に蠱惑的にした。顔と胸と水着を精だらけにして、蕩けた顔になる三人。

 「さ、三人とも・・・ここに」

 「「「・・・はい」」」

 上段を叩くアキラ。本来なら上るべき立場ではない三人だが、もはや判断ができなくなるくらい欲情しているため三人ともふらふらと動いて、上段の間に上がった。

 「随分と私の精だらけになりましたね」

 「はい・・・幸せ、ですわ」

 「アキラさんの精・・・蕩けそうです」

 「ふわふわな気分です・・・このままでいたいっす」

 顔や胸などにかかったアキラの精。アキラはその精を、三人のおっぱいにかかっている分を自分の手に乗せた。そして、

 「どうぞ。お飲みになってください」

 飲むよう言った。彼女らにとってはもはや媚薬を飲むのと同じ行為。蕩けた目をしながら、

 

 「「「ごく、ちゅ、れろ、ぺろ、ちゅる」」」

 

 目が虚ろになりながら飲みだした。一滴も残さない気持ちでアキラの手や指すら舐め続けた。ますます、三人は悦に浸った。

 

 「お願いします。私たち、もっと、もっと・・・」

 「滅茶苦茶のぐっちょんちょんにして、ください」

 「アキラさん、柘榴のここ・・・我慢できない、っす」

 

 極めつけはこの求める顔だ。アキラだって我慢ができない。彼女達も身に着けていたビキニを上下両方とも外した。プルンと揺れる三人のおっぱいと、割れ目から出続ける彼女らの味がする蜜の酒ががおいしそうだ。

 「三人とも・・いい「「待てええええ!」」「「「!!!な、何!」」」」

 最初に梅の割れ目に入れて、二人の割れ目に指を入れようとした時だった・・・いきなり大声で乱入してきた侵入者が来たのは。さすがに欲望に溺れていた四人もその大声にどきっとして、声のした方を向いた。

 

 「余の座る場所で何をしている!」

 「アキラはともかく、何で梅と秋子と柘榴がどうしてここにいるのよ!」

 

 そこにいたのは、一葉と美空だった。

 

 

 その後、話を聞くと侵入者はこの二人とのこと。最初は忍び込む理由を言わなかったが、アキラと秋子の眼光に負けて口を開いた・・・ただ、裸のままでの尋問なので問い詰めている雰囲気には見えない。

 「街の無頼漢達から巻き上げた金をここに隠していた。ということですね」

 「泊まっているところだと見つかる恐れがありますけど、ここならどこに隠せば見つからないかはわかりますし、出入りだって限られますからね」

 つまり、戻ってきたガラの悪い連中をぶちのめした後巻き上げた金をここに隠していたということだ。まさか、雑談で話題にしたことを本当にしていたことにアキラ以外の三人は呆れた。

 アキラはこの二人に対する罰を思いついた。

 「二人とも、罰としてそのまま動かないように」

 二人を座らせたまま、上段にいる梅・柘榴・秋子の順番にキスをした。

 「「ああ!」」

 「私達の情事に決して邪魔をしないように。それがあなた達の罰です」

 「見ていろというのか!」

 「我慢できるはずないじゃない!」

 二人は抗議して近寄ろうとしたが、途中で見えない壁にぶつかった。

 「な、なんじゃ、これは!」

 「・・・氷の壁?」

 見えない壁はアキラが作った氷の壁だった。これで完全に遮断した。

 「いいですか。もしその壁を壊そうとお家流を使ったりしたら・・・」

 「「したら?」」

 「一葉と美空の奥の順番をしばらく回らないようにします」

 「「な、なんだって~~~!」」

 これは二人にとっては深刻な問題だ。つまり、手を出さなければいつも通りだが手を出せば何か月かは抱かれないということだ。言う通りにするしかなく、泣く泣くその場に座った。

 「わかりましたね・・・梅、秋子、柘榴。たっぷり見せつけましょう」

 「そ、そうですわね。たまには罰も必要ですわ!」

 「御大将、我慢っす!」

 「今回は助けませんからね。自業自得です」

 そして、この三人からも見放された一葉と美空。

 「「くうううううっそおおおおお!!」」

 後ろを向ければ余計にじれったくなるので、見続けるしかない当主二人。

 「梅、あなたのここ、うん、あく、気持ち、いいですよ」

 「あ、あ、あ、ああ、ハニー!もっと、私を、もっと、淫乱に~~!」

 梅の割れ目を腰を突き上げて責める。性太刀によがっていく梅。涎が口から出るその顔が淫らに見える。

 「すごいですね、秋子。あなたのここは・・・私の指に絡みついてきますよ」

 「あうん!ああん!だ、だって・・・大好きな、ひゃん!アキラさん、ん!だもの」

 秋子の割れ目の中に指を入れて暴れさせる。彼女は座るのもやっとなくらい震えている。その震えからくる胸の揺れがまたいやらしい。

 「柘榴も秋子に負けないくらい、びしょ濡れですよ」

 「は、は、は、あ、こ、こんなに。みゃく!こんなに興奮するの、初めて、あああ!戦いでも、ここまでなうううう!あ、アキラさん~~!!」

 柘榴は割れ目の中を指で乱暴にされて蜜が滝の如く出てアヘ顔になる。もう、意識がまともかすら怪しい。

 

 「「「ああ、あああああ!」」」

 

 三人が絶頂に立つと、今度は柘榴が性太刀を入れられておっぱいを大きく揺らせながら喘ぎ、アキラの顔に秋子・梅のおっぱいを挟めて、乱暴に彼女らの汗が染みついた乳首を舐めながら二人の割れ目の内部を指で刺激を与えていく。

 そして、また快楽に全身が支配されて頭が真っ白になると最後に秋子を性太刀でよがらせておっぱいを大きく上下させていやらしくさせ、柘榴と梅を指で淫乱にしていく。

 一葉と美空は自分がされたい立場だが、罰なのでただ見ているだけ・・・これ以上ない悔しく、これ以上ない耐え難い罰だった。せめてできることといえば、

 「ああ、はあ、ああん」

 「ぬう、悔しい、悔しいぞ~~んんん!」

 四人の乱れていく姿を見て、自慰をすることだけだった。横になり、目の前の欲情させる光景を見ながら、自分の胸や割れ目や尻や乳首など揉んで舐めて慰めていた。

 

 

 次の日、幽が二条館に入ると評定の間の上段で乱交後の寝ている四人と、愛蜜を床にしみこませて悔し涙を流す一葉と美空の姿があった。最初の一瞬だけ唖然としたが、すぐに状況を理解した。

 まず、アキラの匂いをぷんぷん漂わせる梅・柘榴・秋子にはアキラから誘惑があったことをアキラ本人が白状した。幽もその誘惑に負ける自信があるので説教だけにして、アキラに対しても、一応侵入者をあぶりだしたことの功績で上段の間で乱交したことの説教だけで済んだ。ただし、こっそり耳元でこの日の奥は自分も必ず入れるよう言われた・・・どうやら、アキラの匂いで少し欲情したようだ。

 そして、一葉と美空には忍び込む程度ならまだ許すが、すでに無頼漢を叩きのめして金の強奪をして、それをここに隠していたことは幽も知らなかったことだ。呆れながら出した罰は、今までの強奪分を全部二条館の建て直しにまわし、更に近々する予定だった奥も一週間ほど後回しということになった。我慢したのにこの仕打ちに嘆いた剣豪将軍と人修羅だった。

 

 

 最後に三人が買った水着だが、

 「あ、ああん!アキラさん~~!」

 「匂い、染みついたっす。アキラさんの・・・も、漏れるっす!」

 「濡れる、濡れる。あ、あああ!」

 アキラの精がついたことで、三人の自慰の道具となったそうだ。

 




 
 今回はこんな話にしました。だんだん、作れる話も少なくなっていく・・・ヒロインも増えていく。

 次回は幽・心・白百合にしようと思います。心のおっぱいを大きくする相談相手として、この二人を選んで・・・という話にするつもりです。


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心・幽・白百合 心ちゃんのおっぱい作戦! R18


どうも!結構遅れてしまった・・・今回はこの三人ですが、この後日談もあと五話くらいで終わりにしようと思います。ネタもなくなってきてますので。



 武将・・・主に巨乳の持ち主は困っていた。それは、心がある悩みを打ち明けたことがきっかけだった。

 「あ、あの、心さん?な、何と?」

 「聞こえませんでしたか?麦穂さんはどうやっておっぱいを大きくしたか知りたいんです」

 「え、ええと、その・・・あの」

 麦穂は恥ずかしがり、

 「心殿。胸は自然と大きくなりますぞ」

 「いえ、私大きくならないので・・・何をしているか知りたいんです!」

 「えっと(・・・これは、どう答えればいいんだ!)」

 壬月は悩み、

 「そ、っそそそそそ、そんなこと聞かないでください~~!(だだだだだ)」

 「あ、行っちゃいました」

 秋子は逃げ、

 「心。皆にそのようなことを聞いていると聞いたが」

 「はい。そうですが、いけませんでしたか?」

 「ま、まあ・・・人前で聞くようなことではないぞ」

 「は、はあ」

 春日は戸惑い、

 「胸を大きくしたい?そんなの当然!誰かにも「お姉様・・・それ、私にも言いましたよね。そして、遊びましたね」ふ、ふふふ、双葉!ちょ、ど、どうしたのじゃ!え、笑顔が怖いぞ!」

 「いえ、旦那様の為に胸を大きくしたいと真剣に悩みを言った私で遊んだお姉さまに怖いなどと・・・そのようなこと、致しませんよ」

 「そ、そそそ、そうじゃよな!よ、よよよ、余の勘違「さあ、向こうでたっぷり話(説教)をしましょう」ではなかった~~!あああああ(ずるずるずるずる)」

 一葉は心と同じ悩みを持つ妹で遊んだ報いを受ける羽目になり、

 「そうですね。やはり、愛するアキラ様を想い続けることですね」

 「想い続けるですか?」

 「うん、アキラを想うとドキドキして・・・」

 「あ、ん。もっと、ああん!(もみもみ)」

 「きゃう、あん!ひゃああ~!(くちゅくちゅ)」

 「あ、あの・・・えっと、お、お話を」

 「「あ、ああん。アキラ(様)~~、淫らに、淫乱に~~!」」

 朱雀と各務は心が目の前にいるのに自慰を始める始末。

 

 

 結局、アドバイスらしいアドバイスをもらえなかった心。秋子の胸の大きさに、自分も何とか大きくなれないかと考えて胸の大きい彼女らに訪ねていたのだ。ただし、麦穂・壬月・春日は何もアドバイスができず、一葉は双葉に引きずられて行って、朱雀と各務はアキラを妄想して慰めるといった行動に出た。

 「他に誰かいないでしょうか?」

 「あ!心お姉ちゃん!」

 「・・・」「こんにちは!とお姉ちゃんが言ってます!」

 「おう、どうしたんだ?」

 そこに八咫烏姉妹と小夜叉達に出会った。

 「あ、雀さんに烏さんに小夜叉さん」

 「・・・」「悩んでいる?ってお姉ちゃんが言ってます!」

 「悩み?なんだよ、言ってみろよ!」

 「あ、はい。あの、えっと」

 若干の不安を持ちつつも、同じ体系なので同じ悩みを持っているのかもしれないと思い聞いてみた。

 「いつか、アキラ様の子供を産みたいですので・・・赤ちゃんの為に(てれ)」

 「「「(ぽか~~ん)」」」

 それを聞いた三人はあっけにとられた。

 「あ、あの?ど、どうしました?」

 『あ、あいつとの子供だと!う、アキラとのこ、子供・・・産みたいな。母が俺を産んだみたいに、お、俺も、アキラの・・・』

 『心さん大人だああああ!』

 『・・・すごい』

 小夜叉はアキラとの子供を産むことに願望が芽生え、姉妹はただただ驚いていた。

 「えっと、私、変なこと、聞きました?」

 「い、いや!え、えっとな・・・そういう事は幽に聞けばいいと思うぞ!」

 「幽さん、ですか?」

 「あ、ああ。あいつ結構物知りだから!」

 「そうですか・・・ありがとうございます」

 焦った小夜叉は慌てて幽の名前を出して難を逃れた。このとき、この姉妹が意識をちゃんと持っていれば止めていただろう。人をからかって遊ぶ性分を持つ幽の性格を知っているのだから。

 

 

 そして、幽のところに行って相談した。だが、そこには

 「ほう~~、胸を大きくしたいのか?」

 「そして、ここに来たというわけですな」

 この同盟で一番といってもいいくらいの巨乳(本当の一番は秋子)と妖艶な空気を持っており、男を誘惑する姿をしている白百合がいたのだ。

 「は、はい・・・幽さんなら知っているかと、小夜叉さんが」

 『小夜叉殿、某に押し付けましたね・・・でも、面白そうですな!』

 『細川の目が怪しく輝いた・・・完全に獲物を見つけた目だ。まあ、楽しそうなのは確かだな!』

 二人の目が怪しく光った。一葉やアキラがいれば、確実にこう言っただろう。

 

 『『からかう気満々の目だ』』

 

 そんな二人にいろいろされそうな心・・・まず最初は

 「あ、あの、その、本当に、これでいいんですか?」

 「そうですぞ。これが第一段階です」

 「うむ!誰もが通った道じゃ!」

 「恥ずかしいですが、よ、よく、ありましたね・・・こんなの」

 「いやはや、甲斐からここまで来てくれたのですぞ!」

 「うむ!あの店の店主はわし等を欲しいものを実にわかっておる!」

 バニーガール姿に(騙されて)された心。そのバニーガールの付箋らしきものにはこう書かれていた。『愛妻服』と。

 「ほ、本当に皆着たのですか?こなちゃんが着た姿は見たことないんですが」

 「ほほほ、恥ずかしいから見ないところで着たのですよ」

 「ああ。恥ずかしいなら、わしらも着ようか!皆で着替えれば恥ずかしくなかろう!」

 「そ、某は遠慮「ほれ!幽着るぞ!」あ、あああ!」

 白百合にずるずる引っ張られていく幽。別室に言った二人を見て、

 「・・・なんか遊ばれている気が。で、でも、もし、アキラさんが喜んでくれるなら」

 遊ばれている感はあるみたいだが、アキラの反応が楽しみでもあるようだ。

 

 そして、二人が着た衣装は

 「どうじゃ、中々だろう?」

 「うう、策士策に落ちてしまいました」

 「・・・ほ、本当に、衣装なんですか!」

 思わず声を高らかにして問いかける心。白百合がちょっと動くだけで乳首や割れ目が見えそうなスリングショットで、幽はくノ一の姿をした。ただし、小波のような姿ではなくどこぞのKOFに出るあの不〇火舞の衣装だった。肌の露出や妖艶な雰囲気は白百合が上だが、裸から着たせいか服から出る乳首の先や若干食い込んでいる割れ目の形、動くたびにちらりと見えるチラ見せなどの部分的な魅力は彼女の方が上だ。幽はともかく白百合のその姿は衣装というより、水着なので問いかけるのは無理もない。

 「ははは!さて、第二段階じゃ!アキラに見せに行くぞ!」

 「「え?」」

 今のこの姿を見せに行く。幽と心の動きが止まった。

 「ほれ!行くぞ!」

 「「ちょ、ちょっと待って~~!!」」

 「何を言っておる!というか、細川。普段と今の服はさほど変わってないだろう(がし)」

 「それとこれとは別ですぞ!って、ああああ!(ずるずる)」

 普段焦らない幽も、今の姿が恥ずかしいのかじたばたするが白百合は止まらない。

 「こ、心殿も何か言ってくだされ!」

 「え!あ、あの・・・本当に胸、大きくなるんですか?」

 「もちろんじゃ!最終段階で必ずな!」

 「な、なら」

 「ちょ!心殿!あなたはだまさ「細川!いい加減あきらめろ!」のおおおお!」

 最後のストッパーの心までこうなる始末。まさに自分が掘った落とし穴に自分で落ちた幽だった。

 

 

 アキラの部屋までやってきてしまった三人。途中、何人か顔を知る人たちにすれ違ったが、大体の人間がすぐに悟った。アキラを誘惑するために着ているのだと。

 「アキラ!入るぞ!」

 「お、お邪魔します」

 「・・・・・・失礼いたします」

 気合の入る白百合に、恥ずかしながらも頑張る心に、もう消え去りたい気持ちの幽。

 「おや、心さん。かわいいですね」

 「え!か、かわいい!」

 「ええ、愛らしいですよ」

 「あ、愛らしい・・・(ぼん!)」

 心のバニーガール姿はアキラにとっては色っぽいより、子供が頑張って着ているような感じなのでほほえましく見える。そして、白百合はというと、

 「何というか、あなたのいやらしい姿には・・・慣れたというか。普段と変わらないというか」

 「む!そんな感想か!」

 いつも男を誘惑するような服を着ているのを見ているため、スリングショット姿の白百合を見てもそこまで欲情しなかった。というか、今までやりすぎていたところもあるので慣れてしまったようだ。

 最後の幽はというと、

 「・・・幽、いやらしいとかわいいが一緒になってますね」

 「ちょ!アキラ殿。か、からかわないでくだされ!」

 「いいえ、照れながらそんないやらしい姿をするところがかわいいのですよ。本当に・・・その胸当ての布を取っ払いたいくらいに」

 襲いたいといっているような言葉に、幽はびくっとしたが同時に期待もした。

 「あの、アキラ様。今回はお願いがあって・・・」

 「お願い?それとこの衣装は何か関係が?」

 「そうじゃ!心の胸を思う存分揉むのじゃ!」

 「え?あ、あの、白百合さん。ど、どういう」

 「胸を大きくするには、愛する人から揉まれるのが一番じゃ!だが、それをするには欲情させられる姿でないといかん!」

 白百合の言葉にアキラは心がどうしてこんな格好をしているのか、その理由がわかった。

 「・・・おおよそ読めました。心、あなたどうして胸を大きくしたいのですか?」

 「あの、その」

 彼女は自分の思いと考えをアキラに話した。

 「私との子のため、ですか」

 「は、はい(かあああ)」

 「あなたにしては妙なことを頼むと思いましたが(これがひよや詩乃だったら、大きくしてください!と言って迫ってくるのですが)」

 心は自分の体に劣等感など持たないので、胸に関することをいうのはおかしいと思ったが、まさかそういう理由があったことに心底驚いたアキラだった。

 「なら、しっかりあなたの想いを受け止めかなえないといけませんね」

 「・・・お、お願いします!」

 顔を赤くしながら背後に回ったアキラ。抱きしめながら、彼女の胸の部分に手をやり、

 「ひゃ!あ、あああ」

 「たくさん、感じてくださいね」

 バニースーツの中に手を入れて揉み始めた。

 「は、はああ、な、ああ~~ん♡」

 乳房に優しくなでて快楽に酔いしれ、

 「あう!ひゃ!く、くすぐったいです!みゃあああうう!」

 乳首をつついたり、指ではじいたりして敏感になってとがらせたり、

 「心。こちらを向いて」

 「はい?あむ!「ちゅ、あう、ちゅちゅ、じゅるじゅる・・・」」

 お互いの口で涎の渡しあいをして、ますますバニースーツの割れ目の部分を濡らしていく。

 「アキラ。はあ、はあ・・・わしらは」

 「う、うう、だ、ダメです。か、感じます」

 そんなやり取りをされては、元から抱かれる気満々の白百合はもちろんさっき褒められて期待した幽も割れ目から蜜が出てきている。二人とも、既に胸当て部分の布が落ちおっぱいが丸見えになり自分で乳首をいじり、布の上から割れ目を慰めていた。

 「ダメです。大方心さんを辱めて楽しもうとしたのでしょう?今回は放置します」

 「「な!」」

 「頑張って、自分で発散してくださいね」

 「「そ、そんな!」」

 バニーガール姿の心を見て二人がいじる愉しみ目的で着せたことが予想できたので、二人はそのまま放置プレイにすることに決定した。

 「心、続きをやりましょう」

 「え、えっと、その」

 「いいのですよ。いいお灸です」

 「は、はい」

 「何ということじゃ・・・予想外じゃぞ」

 さすがの白百合もこれは予想外だ。心の胸を揉んでいる最中に自分も、とおっぱいを出して揉まれてそのまま四人で乱交。というのが彼女の狙いだったのだろう。

 「助かったのか・・・がっかりなのか・・・」

 幽はほっとした反面、がっかり感もある。

 「これは、本当にこのままかのう」

 「ですな・・・うう、策士策に溺れるとはこのことですぞ」

 全くもってその通りだ。

 

 

 そんな二人を放置して、続きを始めたアキラと心。横になって、重点的に胸の責めを続けている。

 「あ、きら、さん・・・もう、私」

 「心、子供のことを考えていたこと。とてもうれしく思いますよ」

 「だ、だって・・・ああん、笑って、暮らせる、ん!あ、世の中に」

 「そういえば、あの学問所はどうしてますかね?太白がいるから、心配はないでしょうけど」

 「はい、いつか、ひゃん!も、戻ったら・・・」

 「その時は、私達の子を見せませんか?」

 「え。えええええ!」

 「そのためにも、たっぷり愛を注ぎましょう」

 バニースーツの股の部分をずらして見えた割れ目に、アキラの性太刀を入れた。高く声を上げる心。

 「ぬううう、はあ、あ、うう、あ、羨ましいぞ!」

 「そ、某も、もう、あん、はんあああん!」

 胸を揉み続けながら、心を喘がせるアキラ。その姿を見て自分の割れ目に指を出し入れする速度を上げ、指の本数も二本から三本に増やした。顔もすでに涎が出たり、その涎が乳首にかかりいやらしく見えたりともう襲いたい気持ち満々にさせる淫乱な動きをしている二人だが、

 「心、ん、気持ち、いいですよ、うく!」

 「は、あ、はああああ~~わ、私も、です!」

 アキラは心だけしか見ていない。心もアキラしか見えなくなっている。二人はいつの間にか向かい合い、キスを何回もして、愛を何回も伝え合い、そして

 

 「あ、ああああ!はああああ~~ん!!」

 

 心に大きな愛を注ぎ込んだ。

 「あ、は、う、うれ、し・・・い」

 体と気持ちが満たされていく感覚になる心。そのまま、満足な顔で眠りについた。

 

 

 その二人の絶頂を見て、

 「は、あ、ほし、い」

 「ほしい、ですぞ・・・」

 心の割れ目から抜かれたアキラの性太刀に目が行く二人。目がうつろになっており、もはやそれ以外見えてない状態になっている。

 「さて、お二人とも。これが欲しいですか?」

 「「もちろん!」」

 「もうこういうことはやめますか?」

 「「やめる!だから!」」

 アキラにすがるように下半身に抱き着いて、性太刀を奉仕する二人。ただし、おっぱいを使わないで手と口だけで奉仕を始めた。

 「「あむ、ちゅ、ぺろ、ごく・・・おいしい」」

 性太刀のアキラの精液と心の蜜を飲む。白百合も幽もおいしそうな顔をした。

 「では、もっとしてください」

 彼女の蜜が止まらない割れ目にアキラは指を入れた。

 「あん!い、いいぞ。アキラ、も、もっと!」

 「アキラ殿・・・ひゃ!あ、切ないです。某、されたいです!」

 「わかりました」

 頷いて、アキラは二人の割れ目の中を乱暴にいじくりまくり、二人はアキラの性太刀をいろんなところを隅々までなめていく。

 「随分、念、入り・・・ですね」

 「あう、と、はう!当然、じゃろ・・・お主、の体、は、隅々まで、あぐ!あああ!はあ・・・味わい、たい」

 「その通り、あう、ああん!ダメ(ぶんぶん)いえ、もっと!・・・アキラ殿を、んん!味わいたい。のです」

 かなり強い刺激が来るアキラ。それをする二人にもっと指を動かして割れ目からの蜜を洪水にする。

 「これは・・・今までですごいのが」

 「浴びせてくれ!思いっきり!」

 「何も、かもを・・・アキラ殿だけに」

 そろそろ精液溶岩が出る感覚になったアキラの言葉に、二人の目に光が宿った。そして、

 

 「い、いきますよ!」

 「「おお、おおおお!出たああああ!はあああ~~~・・・」」

 

 出された精液の溶岩は彼女らの顔を汚していき、

 「・・・出たてが、一番じゃ」

 白百合はそれらを口の中に飲み込んでいく。

 「そ、そう、ですな」

 幽もまた、自身にかかった分を全部飲み込む。その二人の姿に再びさっき以上に固さを増したアキラの性太刀。

 「二人とも、飲み終えたら」

 「ふふ、嬉しいのう、やっとじゃな・・・待ちわびたぞ」

 「はい。某を蕩けさせてくだされ」

 自分たちをやっと抱いてくれることに嬉しさを持った二人。飲み終えた二人は後ろを向いて四つん這いになり、びしょ濡れになった割れ目の部分の布をずらして、それをアキラに見せた。

 

 「さあ、満足させてくれ!」

 「好きなように、してくだされ!」

 

 二人の誘惑に乗ったアキラ。二人のおっぱいを重点的に責め、割れ目も存分に責め、口の中もたくさん責めた。

 

 

 そんな様子を、意識を取り戻した心は見ていた。

 

 『す、すごい、アキラさん、胸ばかり責めているけど、他もたくさん責めている。な、なんかドキドキしてきちゃった。で、でも、私もう限界だから体、動かないし・・・そういえば、子供の為に胸を大きくしたい。と思っていたけど、まだ考えなくてもいいかな?先の話だし、何より・・・アキラさんは私の全てを愛してくれる。今は、それでいいと思う。だって』

 

 アキラ・白百合・幽の3Pを見て、最初は欲情したが体が動かないので諦めた。そこで彼女の根本の問題を思い出したが、結論として今は考えなくてもいい。という考えになった。その理由が、

 

 『とても、幸せだから』

 

 女としての、妻としての、愛する人から愛されるという幸せを持てたからである。そんな気持ちを持ちながら、笑顔で眠りについた心だった。

 




 
 この二人の策に溺れてじらされる姿も書いてみたかったので書きました!女性の価値はたくさんあるので、おっぱいで決めるのはいけませんね!

 前書きにも書きましたが、あと五話ほどで完全に後日談も終わらせて、この盲目のサムライも完結しようと思います!

 次回は詩乃・各務・朱雀にします。アキラにくっついて離れない三人です!


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詩乃・朱雀・各務・貞子 絶対に離れません! R18


どうも!投稿と保存のクリックを間違えた三MENです!すいませんでした・・・中途半端なものを出してしまって。

 今回は貞子も足しました!彼女もまた、離れない人ですから!


 夜、京の一日も終わろうとしていた。

 「や、やっと。見つけました!」

 誰もが目が引く巨乳さんがアキラ隊の陣所を見て目を輝かせた。

 「ううう、甲斐の時以来です・・・ようやく、ようやく!」

 感激して涙を流しているが、

 「ふふふ、ああ、アキラ様~~!今すぐぐちょぐちょのちゅぱちゅぱをしましょう!」

 何とも淫らなことを声高らかに言って彼女に声をかけようとした男達をドン引きさせた。よく見ると、言った通り足の内側全部がすでにびしょ濡れになっている。喜々として陣所に入り込んだ。

 

 その数分後に、

 「アキラに夜這い。さっそく」

 同じくらいの巨乳な口数少ない誰かさんも陣所に入った。

 

 その陣所内で

 「アキラ様、待ち望みました」

 「詩乃。今夜はたっぷりとアキラ様に愛されましょうね」

 「朱雀・・・はい!」

 ライバルである二人も今だけは手を握ってアキラに愛されるために、

 「「アキラ様、失礼します」」

 笑顔で入った部屋の中では、

 「ふ、二人とも、た、助けて、ください!」

 「「はあ、はあ、はあ・・・アキラ、様!」」

 既に全裸になっている貞子と各務が血走らせた目で、アキラを壁際に追い詰めていた。これ以上ない恐怖にアキラもさすがに逃げ腰だった。

 「貞子さん、各務さん。何してるんですか!(ごす、ごす)」

 「あ、アキラ様!ご無事ですか!」

 朱雀が二人をげんこつして、詩乃がアキラの身の安全を確認した。

 

 心から詩乃と朱雀が来たことにほっとしたアキラ。ようやく一息ついて、とりあえずまだ不安が大きいが少しだけ冷静になれた。

 「それで、貞子はどうしてここにいるのですか?」

 「「「うんうん」」」

 まずは、越後にいるはずの彼女が何故京にいるかの確認だ。

 「はい!アキラ様に会いたくて、愛されたくて、愛欲ただれた日々を送りたくて「やめなさい!ちゃんと理由を言いなさい!」はい・・・空様と名月様の納めた越後の現状報告です。鬼のあの黒いのが出たので腕のある使者がいいとして私が選ばれました」

 「愛欲ただれた日々を送りたい気持ちはわかりました「いや、使者になった理由の方をわかるべきかと」でも、一人でやるのは禁止です!」

 「愛されたい気持ちも理解できますが「朱雀、あなたもですか」詩乃の言う通り、奥でそれをするのは決まってますので・・・誰かと一緒ならいいのですが」

 「なら、明日の私とやる。ただし、今日も入れて。明日、詩乃と朱雀もいいから「・・・・・・」」

 「「二日連続!喜んで!」」

 報告をする最中に突っ込んだが、詩乃と朱雀もまた突っ込まれる返しだったが無視をされ、各務に至っては二日連続で四人相手という内容だったが既に諦めた。その日の夜は・・・もし誰か覗いていたら、アキラの姿が肉食動物に囲まれた草食動物のように見えた。と思うだろう。

 因みに、明日が奥の各務が何故前日の今日の段階でいるのか?深夜に時間が次の日になった瞬間に襲うことを考えていたが、貞子がいた事で元々弱いブレーキの理性があっという間に壊れて一緒に襲うことにしたのだろう。

 

 

 次の日、起きようとしたが体が起きない。

 「・・・動けない」

 理由はわかる。あの四人はアキラへの愛を貪欲に求める。そのため普段の奥より精力も使う。何しろ、

 

 詩乃『私は身も心もアキラ様のものです』

 朱雀『私の全てはアキラ様の手の中です』

 各務『体も、心も・・・何もかもアキラだけのもの』

 貞子『私のおっぱい、私のお尻、私の乳首、私のお〇んこ・・・そして私の体は全てアキラ様に汚されるためにあるもの』

 四人『そう・・・永遠に』

 

 四人とも情事中にここまで言うくらい求めてくる。だが、奥を毎日して尚且つ今回のように乱入者や人数が増えることもしばしばあるので、体力は減るけど起き上がれないことはない。じゃあ、何故動けないのかというと、

 「はあ~~、四人ともどいてください」

 アキラの視線の先は布団がある。とても一人が入っているにはおかしいくらい膨らみ、しかも一枚ではなく三枚もある布団に向かって言った。だが、返事がない。代わりに聞こえたのは、

 「「「「ちゅ、ぺろ、ぺろ。じゅる、しゅる、はあはあはあ」」」」

 何かを舐める音と興奮する声だ。

 「四人とも・・・どいて下さい!」

 さすがに起き上がれない上に自分の声が聞こえないことに腹を立てたのか、次は声を荒げた。すると、誰かが布団をどかしてその中が現れた。そこにいたのは、

 「アキラ様。ああ、こんなに傷が・・・全部、舐めます」

 「アキラ、アキラ、アキラ・・・全部、吸い付く」

 腕を力いっぱい握りしめて首や胸にある傷跡を一つ一つ舐めている朱雀と各務に

 「アキラ様。アキラ様の、匂いが、いっぱい」

 「ちゅちゅ、ごく、朝の一番固い・・・ん、ごく」

 脚に決して離さないくらいにしがみついている詩乃と貞子だ。四人とも、アキラの精液を顔につけて悦に浸り割れ目からの蜜も出している。その蜜にも白いものが混ざっている。布団をよく見るといろんな個所に蜜の濡れた跡があり、敷布団に至っては下半分はもうびしょ濡れだ。

 四人ともアキラに二度と離さない!と言うくらい抱き着いているから起きれないのだ。

 「四人とも、離れてください」

 「「「「嫌(です)」」」」

 「食事をしたいのですが」

 「「「「私達が持ってきます」」」」

 「・・・外の空気を吸いたいのですが」

 「「「「ダメです。今日はずっと私達だけ相手してください」」」」

 何とか一服したいが、四人が離れようとしない・・・説得に時間がかかりそうだ。

 「う!」

 「「「あ、うふふ。嬉しい」」」」

 新たな精も出し、それに喜ぶ彼女達の淫靡な表情に悔しいが興奮したアキラだった。

 

 

 その後、起き上がるくらいはさせてくれたが本当に離れようとせず、左右の腕に詩乃と貞子が抱き着き、背中に各務で胸に朱雀が抱き着いている。しかも、朝食も各務と朱雀が持ってきたが

 「「「「さあ、どうぞ」」」」

 詩乃と貞子が自分の胸にご飯やおかずを置いて吸わせるように食べさせ、各務と朱雀は自分の尻を全部舐めさせるようにみそ汁と塗って舐めさせて、最後のお茶に至ってはぬるいお茶に自分達の蜜を入れて飲んでもらい、その嬉しさに四人とも快楽の絶頂で噴射した。

 朝食後も、本当に部屋から出させてくれないのだ。しかも、自分の仕事も

 「大丈夫です、今日一日のは私と朱雀で済ませました!」

 詩乃の才能の無駄遣いをもろに発揮して昨日のうちに済ませてしまっているため、外に出られる用事をつぶされてしまった。

 

 

 昼食も朝食と似たような感じで食べ終わらせて、

 「私達も、のどが渇きました」

 「ずっと、飲み続けたいです」

 「アキラ様の、精液茶」

 「もっと、もっと・・・浴びたい」

 今は四人で自分のおっぱいを使ってアキラの性太刀を挟めて、順番に先端を舐めて出てくるアキラの汁を飲んで欲情していた。

 「あの、外に出なくても空気くらい」

 「私達の裸、皆さんに見せたいんですか?」

 「朱雀。もちろんふk「アキラ様!私は構いません!」・・・貞子、そのようなこと「アキラが求めるなら、私も裸で出る」あの、各務。言いたいことを「あ、アキラ様が、私達を辱めることを趣味に・・・い、いいです!」

詩乃、あなただけは話を聞く人と思っていたのですが」

 ちょっと外の空気を吸いたいと言っただけでこれである。詩乃はアキラがそのような趣味を持っていると言うが、むしろ自分が露出の趣味に目覚めているような感じであることに気付いていない。

 「はあ~、わかりました。つまり、今日はどんなことがあっても私から離れないのですね」

 「「「「もちろんです!」」」」

 「(何か忘れているような?まあ、気のせいでしょう)そこまで言われたら夫として覚悟を決めないといけませんね」

 「「「「(ワクワク、ドキドキ)」」」」

 一つ忘れていることがあったが、アキラはそれを気にせいにして覚悟を決めた・・・この四人と今日は徹底的に愛欲ただれた一日を送ることに。

 

 まず、最初に

 「では、四人ともあるものを着てもらいましょう」

 「え?私達はこのままでも」

 「詩乃、何を言うのです?裸程度で満足できると思うのですか?」

 「・・・確かにアキラ様は見慣れてしまっているかもしれません。男からしてみたら、とても贅沢な悩みとも言えますが」

 「朱雀の言う通りです。だから、恥ずかしくなるものに着替えてほしいのですよ。文句はありませんよね?」

 「アキラ、嬉しい」

 「さあ、辱めるものを早く!」

 「各務と貞子は少し恥じらいを持ってほしいのですが・・・まあ、いいです。白百合と桐琴と秋子が興味本位で買って結局自分に合わなくて、置いていったものですが」

 立ち上がり、部屋の片隅に隠すように置いていたものを取り出して、貞子以外の三人に渡した。

 「アキラ様、何故私には渡さないのです?」

 「あの三人分しかないからです。でも、安心しなさい。あなたは・・・」

 アキラから耳打ちされたことで、また割れ目を濡らしたが・・・それから数分後、

 

 「あの三人らしいですね・・・ふふ」

 「私達よりおっぱいが大きいですからね、胸の部分が止められないのも納得です」

 「秋子、感謝」

 「私も着たかったですが・・・これも悪くないです」

 

 詩乃・朱雀・各務は渡された衣装を着て満足し、貞子もまた楽しそうに自分の今の衣装を見ている。まず最初の三人が動物のコスプレであり、詩乃は犬耳を頭につけ犬尻尾をお尻の穴に入れている。同じように朱雀は猫耳猫尻尾で、各務が狐耳で狐尻尾だ。三人にふさわしい動物だ。あの三人で言うなら、秋子が犬で白百合が猫で桐琴が狐だろう。

 最後の貞子は、何と綾那のあの頭にかぶる鹿のフードだ。アキラ隊の陣所なので彼女や詩乃達の替えの服もここにあるのだ。彼女は服に無頓着なので、こうしたことしても気づかないと踏んだのだ。鹿のしっぽも上手くひもを使って代用した。

 しかし、四人とも耳と尻尾(貞子は角と尻尾と言ったほうがいい)だけであり、胸や割れ目は丸見えのままだ。

 「「「「アキラ様・・・どうですか?」」」」

 そんなコスプレをした彼女達はアキラに上目遣いして聞く。

 「ふふ、とってもかわいく、いやらしく、淫らですよ」

 四人の乳首を軽くつつく。

 「「「「ひゃ!」」」」

 「でも、まだ足りないですね・・・」

 感じる彼女たちを無視して、立ち上がるアキラ。そこで思いついたのは、

 「四人とも、ちゃんとなりきらないとだけですね」

 「「「「・・・なりきる?」」」」

 「そうです。四人とも四つん這いになって動き、詩乃は犬なので語尾にワンをつけること・・・後は何を言いたいかもう分かりますよね」

 彼女達へのなりきり命令だった。それからしばらく、アキラ指導の動物のなりきり特訓が始まった。

 

 

 そして、夜。彼女達は・・・

 「アキラ、さま~~、ワン」

 「ごろ、にゃ~~にゃん」

 「コンコン。ほしいコン」

 「アキラ様~~さ、さだ、こ。ぐしょぐしょだひ~~ん!」

 語尾にそれぞれの鳴き声を加えた口調になった。動きも、犬の詩乃は人懐っこいように顔や体を摺り寄せ、猫の朱雀はアキラの脚を枕にしてごろんとしながら腹這いして、狐の各務は気まぐれにアキラの体のいろんな個所を舐めていき、鹿の貞子はアキラの性太刀を餌の藁を食べるかのように加えてフ〇ラしている。

 四人ともなりきることで、さっき以上に欲情しているのか蜜の噴射も半端なく出ている。乳首もすっかり固くなり、顔もだらしないほどに蕩けきって、

 「ふふ、四人とも、淫乱な姿でいいですよ」

 「「「「ワン!にゃん!コン!ひん!」」」」

 軽く髪をなでる程度でも快楽電気が全身を襲うくらい敏感になっている。だいぶ、出来上がっていることに満足したアキラは、

 「四人とも、準備はいいですね」

 そう言いながら蜜を救って舐めた。その姿を見て彼女達はすぐに理解した。

 「くうう~~ん」

 「にゃにゃ~~ん」

 「こんこ~~ん」

 「ひい~~ん」

 だから、人の言葉をやめて動物の言葉にして、割れ目を広げた・・・が、

 「そっちは、まだですよ」

 にやっとしながら、貞子と詩乃の尻尾を掴んでそれを割れ目に触れさせた。

 「「ひゃああん!」」

 尻尾の毛がさっきよりさらに強い快楽電気が全身を襲い、それだけで絶頂を迎えた。次に、

 「「きゃなああああん!」」

 朱雀と各務の尻尾で同じことをすると、同じようにまた絶頂を迎えた。

 「おやおや、飼い主の私はまだ満足してないというのに」

 

 『『『『か、か、飼い・・・主。私、アキラ様の、メス』』』』

 

 飼い主という言葉に一気に興奮が高まり、再び割れ目の蜜が出て、乳首が固くなり・・・そして、

 

 「「「「わん!(にゃん!こん!ひん!)」」」」

 

 今度は尻を向けて四人一斉に左右に振った。

 「ふふ、なるほど・・・では」

 にこっとすると、順番に彼女達の尻を・・・叩いた。

 「「「「あああああ!あひゃあああなあああ!」」」」

 「ほらほら、鳴き声が違いますよ」

 「「「「・・・(こくり)」」」」

 そこからは、叩くたびにそれぞれの成りきっている動物の鳴き声になった・・・数分後に、お尻も徐々に赤くなってきた。だが、アキラにされることが全て快楽になるこの四人にとっては

 「「「「・・・(だら~~ん)」」」」

 もはや体に力が入らなくなるくらい蕩けきっている。立ち上がることすらできそうもないくらい四人は自分の痴態を思いっきりアキラに見せていた。

 「では、私のこれで・・・いいですね?」

 ついに待ち望んだアキラの性太刀に、だらしない格好でも目を輝かせる四人。アキラが朱雀に割れ目に性太刀を入れた・・・と同時に

 「きゃあああうううう!」

 お尻の尻尾も動かした。そう、尻の穴に入れた尻尾を落とさないよう先端があのビーズが数個ついており、それに刺激が加わったのだ。一気にきた未知の快楽に思わず背筋を伸ばした。

 「す、すごい」

 「早くされたい」

 「も、もう、私」

 三人とも朱雀のいきかけた姿に釘付けだ。ドキドキしながら、その尻尾に手が行き・・・彼女達も自ら割れ目に指を入れて自慰をしながら、尻尾を動かした。

 「「「ひゃうううんんんん!!!」」」

 もはや、動物になりきることを忘れて未知の快楽に夢中になった。

 「あ、あ、は、ひゃ!」

 アキラに責められている朱雀は、無意識なのか自分の乳首を自分でつねって更に胸からの快楽も加えた。どんどん、朱雀の顔がアヘっていき、涎も零れ落ち、でも口元は笑っている。

 「いきますよ」

 「は、はい!」

 割れ目と尻からの刺激がまた強くなり、自分も乳首をつねる強さを増した。大きなおっぱいもプルンプルンと揺らす。そして、

 

 「ひゃううううみゃああああああ!」

 

 アキラの精液が彼女の中に熱く出ていく。かろうじて、猫の鳴きまねをしながら絶頂を迎えて・・・彼女の意識も現実から出ていき、夢の世界に行った。

 「「「あ、は、はへ」」」

 自慰をしている三人はそんな失神した朱雀を見て、もの欲しそうな顔をしてアキラにすり寄った。

 「ええ。忘れてませんよ」

 「「「(ぱああああ、こくり)」」」

 三人の目が嬉しそうに輝き、自分をめちゃくちゃにしてくれ。という意味を込めて頷いた。

 

 「詩乃、あなたの声は・・・わかってますね」

 「きゃん!わん!きゃわ、くううう~~~ん!」

 「各務は・・・問題ないですね」

 「こんこん!こここ~~~ん!」

 「貞子、今まですいませんね。でも、襲うのだけはやめてください」

 「ひいいいん!ひんひん、ひいいい~~~ん!」

 

 朱雀と同じ責めを彼女ら三人にもした。二番目にした詩乃にした質問で、三人とも必死になりきりに戻って動物の鳴き声をした。そんな彼女らは朱雀と同じように自分の乳首を自分で責めて、最終的に彼女らの割れ目の奥にアキラの精液が解き放たれた。だが、

 「アキラ様~~、も、もっと~~」

 詩乃と各務は夢の世界に行ったが、貞子はまだ求めてきた。朱雀・詩乃・各務は京で一緒にいるのでいいが、貞子は越後に戻らないといけない。だからこそ、もっともっと欲しいのだ。

 「ええ、貞子。思いっきりやりましょう」

 「はい、ずっと、ずっと・・・絞りきるまでやりますよ」

 一瞬見せたヤンデレの顔。だが、すぐに消えて目を輝かせて抱き着いた。

 『やれやれ。ま、仕方ありませんね・・・あれ?何かあったような』

 だが、アキラは仕方ないとあきらめたが、また貞子で何かあった気がしたのだが気のせいにした・・・それが、間違いだった。

 

 

 深夜・・・珍客が現れた。その珍客というのは

 「あん!ひんひい~~~ん!」

 「ふ~~ん。私を忘れて、アキラとうらやま、もとい代わりた、もとい羨ま代わりたいことをしていたのね。しかも、動物に変えて随分と楽しい、もといやってみたいことを!」

 「す、すい、ません・・・でした。というか、本音出てますよ」

 美空だ。アキラが忘れていたこと・・・そう、越後の現状報告に美空をすることだ。彼女は待っていたのに来貞子が来ないことに疑問に思い、貞子とともに来た兵に確認するとアキラ隊の陣所に行ったことを聞き、すぐに理解した。こめかみがぴくぴくと動き本音を出してしまっている当たり、相当怒っている。

 「当然でしょ!空と名月が頑張っているのか、聞きたかったのに・・・ううう!羨ましいわよ!」

 当主の顔と母の顔も一瞬出したが、やはり、妻と女の顔が隠し切れなかった。

 「すいませんでした・・・兎さん」

 「う、兎さん!」

 自分を兎と呼ばれびっくりしたが、

 「兎さんは寂しいと震えるんですよ。あなたもそうですよね(ぎゅ)」

 「あ、う、そ、そうよ。さみしいんだから・・・兎さんを、私を、温めて」

 望む展開になりそうなので、そのまま流されることにしたが

 「あっひゃあああああああん!」

 再び絶頂を迎えた際に出した貞子の高らかな声が雰囲気を台無しにした。

 

 

 当然、越後の報告が次の日までずれてしまったのは言うまでもなかった。

 




 
 エロの描写は朱雀だけですが、同じ妄想を三人に当てはめれば・・・ただ、貞子はちょ~~っと危ない要素もあるかもしれないっすね。

 次回は春日・犬子・松葉にしようと思います。一応、その後のヒロインをかくとすると、和奏・雛・粉雪が次の次。それからは双葉・雫・歌夜に久遠・光璃・結菜・真琴でその次が美空・一葉・桐琴・市の予定です。和奏・雛・粉雪以外はR18にして、これらが終わったら最後の話にします。

 では、春日・犬子・松葉の巨乳達をお楽しみに!


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春日・犬子・松葉 悩みは一緒 R18


 今回はこの三人、胸のでかい三人です!胸が大きいで定番の悩みと言えば・・・。


 

 「犬子、それって自慢か!」

 「分からないこと、聞かないでよ~」

 「そ、そんなつもりで言ったんじゃ・・・」

 犬子は和奏・雛に責められていた。

 

 「う~ん。柘榴はわからないっす!」

 「私は気持ちはわかるけど、今まで余り考えたことなかったわね。ごめんなさい」

 「わかった」

 柘榴はキョトンとして、秋子は謝罪した。そんな二人に松葉は頭を下げた。

 

 「私は、特に意識したことなかったな」

 「私は・・・あの、あったけど諦めていました」

 「いや、変なことを聞いてすまない。ちょっと言われて気になっただけだ」

 壬月と麦穂に質問した春日。だが、返答は望んだものじゃなかった。

 

 

 そんな三人が

 「「「はああ~~」」」

 たまたま同じ食事処に入って溜息を吐いた。この時に周りを意識してなかったが、お互いの存在に気付いた。

 「あれ?春日様に松葉さんだワン?」

 「そっちは三若の一人」

 「二人とも、いったいどうした?私と同じくらい溜息はいて」

 「「う~~ん」」

 少し話すべきか悩んだが、春日のある一部分を見てもしかしたら知っているかもと思い訪ねた。

 

 「おっぱいが大きいから肩が凝って」

 「肩こりをどうするのか聞きたい」

 

 その二人の言葉に目を大きくした春日。

 「・・・お前達もか?」

 「「え?」」

 キョトンとする犬子と松葉。その後、春日からの話もまた同じようにおっぱいの大きさで肩が凝るので、その凝りをとるにはどうすればいいのか質問していたのだ。

 「やっぱり春日様も、肩凝るんですか?」

 「まあ、私の場合武田の侍大将でもあるから、そういう理由でも凝るんだが・・・胸で凝るのも確かにあるな」

 「秋子も御大将や私達で肩が凝ると言っていた・・・おっぱいじゃなくてなんで私達?」

 松葉の場合は少し行動を顧みればわかるのだが、気づいていない。

 「それにしても、少し肩が固い気がするのは確かでは・・・少しは軽くしたいと思っている」

 「あれ?心様が確かそういうのが得意じゃありませんでした?」

 「無理、さっき秋子と仕事に行った。しばらく戻ってこない」

 「そうなんだ。胸の事は仕方がないにしても、何とかしたい」

 「ですよね~。おっぱいはもう育っちゃいましたし」

 「仕方がない」

 三人とも、少しばかり場を考えて話をするべきだ。おっぱいと言ってから、同じ食事処にいる男たちの視線が彼女達に向いた。話に夢中で気づいていない三人。

 「他に胸の悩みを持ちそうな人」

 「私達みたいに大きい胸の人」

 「相談に乗ってくれそうな人」

 三人は考えていき、そして

 「「「いた!」」」

 思いついて、その場で思わず立ち上がった。その際に三人のおっぱいが大きく上下に震えた。それを見た男達は眼福なものを見れて思わず股間が固くなった。三人とも、そういう視線には疎いので全然気づかないままだった。

 

 

 彼女らが相談に選んだ相手というのが、

 「そうですね。私も同じ悩みと解決をしたことがあります」

 「・・・羨ましい悩みですね」

 朱雀だった。彼女も結構な巨乳の持ち主で悩みもあるかもと聞いたらビンゴだった。隣にいる詩乃が羨ましいと憎いの両方の感情がこもった視線を四人に送った。雫もいるのだが、声に出せないくらいの殺気を出している。

 「やはり、最初は肩もみですね。一時的でも軽くなるので」

 「一時的か。それじゃあ、意味がないな」

 「だね~。犬子達は今後もないようにしたいし」

 「他はない?」

 四人の肩こり談議に、

 「・・・羨ましい悩みですね(ぎりぎりぎりぎり)」

 「本当、ですよね・・・あ、久しぶりの感覚が」

 食事しながら歯ぎしりしてイライラを大きくしている詩乃。その詩乃よりバストサイズががっかりな雫は久しぶりの暗黒面が出そうになっていた。

 「でも、やはり私達のように胸が大きいとその悩みは(ちら)贅沢に思われますので我慢するべきです」

 「「なぜこっちを見て言ったの!!」」

 「それはもちろん、あなた方の殺気と声が出てたので」

 「「合戦じゃあああ!」」

 理性が限界突破した詩乃と雫。世にも珍しい両兵衛ダブルパンチを受けた朱雀だが、

 「あら、この程度でしたら蚊が止まったかのようですわね」

 元々頭脳派で肉体派ではない二人の拳はダメージにならなかった。

 

 

 でも、一応朱雀からはある人物のところに行くといい、というアドバイスはもらえた。あの後、二人の文句大会に付き合わされることになった朱雀は一緒に行けなかった。

 「なるほど、そういうことですか。まあ、そういうことなら手を貸しますよ」

 それがアキラだった。なぜかと言うと、

 

 『アキラ様はすとれっち、と言いますか・・・体をほぐすことが上手ですよ。肩こりに聞くかどうか知りませんが、一度訪ねてみては?』

 

 体に疲れや重みを感じないよう、アキラは四聖天時代からそういうことをしていた。どんなに必死に努力して戦っても、やはりそれらをごまかすにも限度がある。だからこそ、ストレッチをして万全、とまではいかないが戦える状態に戻せるテクニックも持っている。朱雀・庵樹・時人達と旅をしていた時も、手合わせが終わったらそれをやっていたので彼女は受けてみては?と思い、アキラの名を出したのだ。

 「では、誰がやります?」

 「「え・・・」」

 春日と松葉はドキッと来た。体をアキラに任せるようなものなので、思わず自分の体を好きにされるいやらしい妄想をしてしまったからだ。二人とも体が硬直してしまったので、

 「は~~い!犬子から!」

 犬子が最初に手を挙げてしまった。最初じゃなかったことに少し残念ながらも、ホッと思ってもいた。

 「では、まず服を脱いで」

 「「「え!」」」

 「でも、襦袢は残していいですよ。裸でやるほど、私も・・・って何ですか!その視線は!」

 「「「いや、説得力ないな~っと思って」」」

 松葉はまだだが、彼女らだけでなく他の妻達もたくさんアキラに抱かれて、その際体のありとあらゆるところを触られ、揉まれ、舐められてきた。それをされて気持ちよく体も軽く天に昇る気持ちになったのだ。だから、三人ともそれをされると思ったので、アキラの反応に思わず嘘!と思ったのだ。

 「・・・やりますよ」

 否定しない当たり、ちゃんと自覚はあるようだ。

 

 アキラの手取り足取りのマッサージが始めて数分後、

 「くう~~ん。わっふ~~ん。ごろにゃああ~~ん♡」

 「猫が入ってますよ。犬子」

 「仕方ないよ~~。気持ちいいんだも~~ん」

 襦袢姿の犬子がまずそれなりのストレッチをして、体をほぐさせた。それだけでも、多少は効いたのか機敏な動きになった犬子だが、次に敷かれた布団にうつ伏せにさせて背中をほぐし始めた。

 「すごいな。あんなにだらんとなって」

 「しかも、全然動こうとしない」

 二人ともは服を脱いで襦袢に着替えている。いつも、奥で見せる快楽に蕩ける顔とはまた別の悦に浸った顔になっている犬子。

 「どうです?」

 「うん~、アキラ様、と~~っても上手だよ~~奥の時と同じくらい、ふわ~~って感じがするよ~」

 話し方もだらけ度が強い雛みたいになっている。思わず、まぶたもとじそうになっている。どうやら、上手くいったみたいなので、ここまでにした。

 「次は「では「私!」」、はい、松葉ですね」

 二人に顔を向けて尋ねると、今度は松葉が手を挙げた。いや、春日も上げようとしたが松葉が先だった。

 『ま、まあ、拙もしてもらえるから別に最後でも』

 年長者の春日は少し残念だったが、目を輝かせている松葉の為に引いた。そして、松葉にもエロなしのちゃんとしたマッサージをしていった結果。

 「・・・ZZZ」

 こっちは完全に眠ってしまった。

 

 「松葉さん。起きないね~~」

 「う、くお!そ、そう、だな」

 最後の春日にマッサージを始めているアキラ。それを受けて、さっきの二人とは別に少し痛みも感じている。その痛みに耐えている春日と話す犬子。

 「なるほど、暴れ好きな粉雪達を束ねていますからね。壬月や麦穂と同じくらい凝ってますね」

 「え?あ、あの二人も、やったこと、う、く!あ、あるのか?」

 「ええ、奥の時にどさくさ紛れにやったので二人とも気づいてないでしょうね」

 「な、なるほど・・・でも、確かに、肩こりとは、う、ん。別だが・・・これはこれで」

 確かに最初の肩凝りから体の凝りと話が変わっているが、かなりいい感じで体も軽くなっているのを感じているので文句はなかった。

 「さあ、これでしっかりほぐしてください」

 アキラが襦袢の襟元を掴み、見えた首筋をなぞるように指を動かした。

 「ひゃ、あああああ!」

 大きな寒気が来て思わず体をのけぞらした。彼女の胸が大きく動いて、思わずアキラの襟首をつかんでいる指が動いた。

 「・・・あ、春日様。乳首が」

 「う、あう」

 その動きで彼女の胸の部分がさらけでてしまい、おっぱいが出てしまい、更にさっきので乳首が固くなってしまったのを犬子が見た。

 「な、何を、す、ひ!」

 「ほぐす。と言ったはずですが?」

 アキラの指が彼女の腰の部分まで来た。つまり、上半身が裸になってしまった。そして、そのまま彼女の背中を揉み始めた。

 「ひゃ、あ、あん!きゃ!」

 女性らしい悲鳴を上げる春日。さっきまでは、体をほぐすという目的で襦袢も着ていたので感じなかったが、今ので体の感度が高まってしまい裸にもなったので、少しでも感じるようになってしまった。

 「どうしました?」

 「や、やめ。ああああ!」

 アキラの指がはみ出ている彼女の横乳に触れた途端、一気に全身に快楽が襲った。

 「か、春日様・・・腰が、濡れてます、よ」

 「いう、言うな!」

 しかも、心から想っているアキラにされていることもここまで乱れてきた原因だ。既に、女の体になった春日はアキラに抱かれたい気持ちでいっぱいなのだ。

 「じゃあ・・・犬子も、もう、が、我慢、が」

 「え?・・・あ」 

 だが、それは犬子も同じだった。見ていて、とっくに欲情していた犬子も襦袢を脱ぎ、既に割れ目や自分の胸・乳首をいじって自慰をしていたのだ。彼女の割れ目も、蜜だらけになり腰を濡らしている。

 そこに、アキラが意地悪をした。

 「では、どこをほぐしてほしいか。言ってください・・・ただし、後二か所だけですよ」

 「「え!そんな」」

 「私もそろそろ休みたいですし・・・その代わり、その二か所は丹念にほぐさせてもらいますよ」

 言い方を変えれば、選んだ二か所は徹底的に滅茶苦茶にしてくれるという意味だ。もちろん、二人が選んだ二か所は、

 

 「「こ、拙(犬子)のおっぱいと・・・こ、ここで!」」

 

 自分のおっぱいと割れ目を見せた。春日も腰に残っていた襦袢を脱いで全裸になった。

 「分かりました。でも・・・これ(性太刀)は使いませんから」

 「「そ、そんな!」」

 「今日は体をほぐすのが目的。使っては、ほぐれないでしょう」

 「「う、ううう」」

 がっかりする二人に

 「でも、安心しなさい。しない分、ずっと(ぐちゅ)「「ああうん!」」やりますから」

 割れ目にそれぞれ指を入れて、動かした。そこからくる快楽に二人の先端が見ただけでも固くなっている巨乳が大きく揺れ動き始めた。

 「ほらほら、どうです?(ちゅちゅ)」

 「そ、そんな、きゃう!雛ちゃんみゃう!みたいなことあにゃああん!」

 「あう、ひっく!わ、わかるで、あん!しょう!」

 割れ目の中の肉をくすぐるように動かされて、体が跳ねるように動き左右前後に揺れるおっぱい。

 「ほう~~、随分、広がりましたね」

 「うう、恥ずかしいよ~~」

 「あ、アキラ殿が、こう、し、て」

 更に入り口を広げて中を見て、見られる二人の恥ずかしがる姿を楽しそうに見る。

 「随分出ましたね・・・(ちゅうう)いい味ですね」

 「あ、あ、はあ、アキラ様の中に、わ、犬子のがああああ!」

 「あ、ああああ!はあ、お、思っただけで、ああ」

 二人の蜜だらけとなった両方の手をそれぞれ数用に飲み込んだアキラ。それを見て、思わず小さく絶頂した。

 「まだまだ続けますよ」

 「「ひゃああああ~~~んん!!」」

 だが、割れ目を責めるのはまだ終わっていない。どんどんとアキラの指が割れ目の中に入っていく・・・。

 

 

 ふふ、と笑って蜜だらけの両手と

 「あ、あはあわ~~~ん♡」

 「も、もう、あふう」

 存分に割れ目を責められて、その度に何回か絶頂して、既にぐったりの犬子と春日を眺めるアキラ。武将の体ではなく、メスの体になっている。

 「では、最後のお二人自慢のここを」

 「「え・・・(ビリビリ)!!!!」」

 たくさん責められ、たくさん絶頂して、たくさん蕩けまくった体になった二人の乳首をつまんだ。それだけで、

 

 「「くうううう!!」」

 

 二人は達した。犬子は激しく動いて涎があふれ、春日は動かなかったがその代わりに蜜があふれ出た。そんな二人に話しかける。

 「お二人とも、胸のせいで肩が凝る。でしたね。そんなにこるのなら、いつでも私のところにきなさい」

 「はあ、はあ、え?」

 「アキラ殿、のところに?」

 「そうです。今はどうです?やってきてから、肩は凝ってますか?」

 そう言われて、今まで快感に支配されていた頭で肩を意識して、全然凝ってないことに気づいた。

 「犬子はともかく、春日は深く考えすぎなのです。何も考えられないことも、大切です」

 「何も、考えない」

 「ちょっと、アキラ様。犬子はともかくってどういう意味!」

 「大将という立場でたくさんのものを抱えています。だけど、たまにはそれを全部なくして、忘れて気分転換をすることも大切なことです」

 そういいながら、二人の胸を揉み始めた。

 「「ううう!」」

 「でも、普段ではそれができない。だから、私のところにきなさい・・・何も考えられなくしてあげますよ」

 「そ、それって、溺れさせる(ぎゅうう)きゃん!」

 「あ、あの、犬子の言い分(ぎゅうう)ぎゃわん!」

 二人の言い分を聞かずに乳首を再度つまむ。しかも、そのまま二人のおっぱいに押し込む。

 「いいですね」

 「あ、あ、う(こくり)」

 「も、もう、いいだワン」

 結局、押し切られた。だが、

 「それでいいのです(ばちん)」

 「「ひゃううう!!」」

 頷いた二人を見て、満足そうに今度は乳首をできる限り引っ張って、手を離した。二人とも、その引っ張りに痛みを感じたが、

 

 「あ、アキラ殿・・・拙、褒美が、ほ、欲しいです」

 「わ、犬子も・・・ちゃんと答えたから」

 

 何も考えずに、後さき考えずに・・・そして、アキラの妻として頭にぱっと思いついた欲しいものを言った。その反応に満足したアキラは、

 

 「では、褒美を差し上げましょう」

 

 二人の胸に自分の性太刀を挟めて、三人でただただ周りを考えないで貪欲に求めあった。

 

 

 

 そう、周りを考えないで・・・そのため、

 

 『・・・ずるい。思わず寝て起きたら、二人ともされているなんて。でも、今から三人に入る勇気が、な、ない。恥ずかしいし、何より、わ、私は、一対一で愛されたい。抱かれたい。うう、が、我慢するしか、あ、ああ、んん!ああん!・・・これしかない』

 

 松葉が目を覚ましていたことに気付いてなかった。アキラに愛されたいけど、一対一がいい彼女は自慰で我慢するしかなかった。

 

 「あ、アキラ殿!あ、あ、い、いいですぞ!」

 「きゃわあああ~~ん!もっと、犬子と春日様を、淫らの淫乱の淫らの淫乱にして~~!」

 「淫らも淫乱も同じ意味ですし二回も言っているのですが、そこまでしてほしいのなら、お望みならやりましょう!」

 「「う、嬉しい~~~!!」」

 

 この声がする中、彼女はひたすらに自慰をして、意識しないように我慢して、ただただ割れ目をぐちゃぐちゃにいじり、胸を揉んでいき、乳首をつねり舐めりくすぐって、妄想でアキラに全部されていると思いながら自慰をしていくうちに・・・そして、最終的には

 

 『ああ、アキラ。気づかれない、無視されている、忘れられてる・・・でも、放置されるのが、いい』

 

 彼女なりの放置プレイにはまっていった。

 




 
 そう、肩が凝るです。まあ、話ではごちゃごちゃになりいつの間にか春日の疲れの解消法みたいになってしまいました。でも、時には頭を空っぽにして好きなことをすることも気分転換でそういった疲れをとるにはいいと思います。
 実際のマッサージをするなら、肩より背中の筋肉をほぐすといいですよ。首から腰まで筋肉がつながっているので、ほぐすと本当にそれなりに効果はあるみたいです。


 次回は和奏・雛・粉雪ですが、一気にその次予定の双葉・雫・歌夜も交えてR18にしようと思います。この際だから、最終話以外はR18にしちゃいたいので!

 松葉を抱かなかったのは、信念のサムライの彼女の間章を見るとわかります!


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和奏・雛・粉雪・双葉・雫・歌夜 イメチェン!

 
 どうも、今回はR18にしようと思ったけどいつも通りにしました。あと、今回は先にネタバレしますが、三国版の恋姫の衣装を彼女らが着ます!誰のを着るかは読んでください!


 ここは二条館から見えるとある店。その店に、

 「甲斐にあった時は、麦穂様と壬月様が入ったことあるらしいぞ」

 「麦穂様はともかく、壬月様もってちょっと意外~」

 「俺も春日が入ったって聞いて驚いたんだぜ」

 和奏・雛・粉雪がやってきた。甲斐にあった店がここにやってきたという話を聞いてやってきたのだ。しかも、お互いの上司が入ったことがあるということに驚きを隠せない。そこに、

 「あ、和奏さんに雛さん」

 「粉雪さんも、どうしました?」

 雫と歌夜がやってきた。だが、二人だけでなく

 「「「ふ、ふふ、双葉様!」」」

 「こんにちは皆さん」 

 自分達の上司より偉い双葉もいた。

 

 そんな六人がきた店の名前は『愛妻服』(こちら甲斐躑躅ヶ崎館前妻専用誘惑服屋専門店を参照)。甲斐から京への上洛前まで、躑躅ヶ崎館の前で開いていたアキラの妻達のための専用店と言ってもいいコスプレ店である。決戦で無事京を取り戻したことを聞いて、そっちの方が儲けられると察し移動してきたのだろう。

 焦った三人も落ち着きを取り戻して、店の中に入った。

 「うふふ、私や結菜さんはよく入りましたわ。こちらに移動してくれて嬉しいです」

 「双葉様と結菜様のお二人が一番の常連だなんて」

 「でも、納得~。アキラ様に愛されたいですからね~」

 だが、双葉と結菜が最もよく来ていたことに驚く和奏と雛。

 「それにしても、甲斐の時よりとても広くなりましたね」

 この店、甲斐の頃はまだ五人用の家だったのでそこまで大きくなかったのだが、今回は京での決戦で犠牲になってしまった民の家を有効活用しているのだ。その民の家自体は二人程度住むくらいの広さだったが、五軒分ともなれば甲斐の時の二倍の広さだ。しかも、中でつなげれば感じられる広さも更に倍だ。もちろん、店に入れるのは女だけで男は一切立ち入り禁止にしてある。ただ、今回は一つ違うところがある。

 「すっげ~な。本当にいろんな衣装がある」

 「ほんとだね~。あ、麦穂様の言っていた『ちゃいなふく』だ」

 「春日は何を買ったんだろうな?入ったことは言っていたけど、何を買ったかは顔を真っ赤にして逃亡したから知らないんだぜ」

 いろんな個所にいろんな衣装を見て、試着室も前はそこまで店も大きくなかったので一つだったがここは三つになっている。和奏・雛・粉雪はいろんな服の多さに感心している。

 『あれ?前は結構いやらしい服があったのに、どこにもない』

 入店歴があるのか、この店の本性を知っている歌夜は甲斐時代の服がどこにもないことに疑問だった。そう、甲斐の頃は堂々とスケスケなネグリジェやビキニや下着が丸見えな薄い襦袢などを置いていたが、今回の店はそういったものがどこにも見当たらない。不思議そうにしていると

 「・・・あの店主には、一度話をつけないといけないと思っていました(ゴゴゴ)」

 「あ、あの、雫さん?顔が怖いのですが?」

 店主にいじられた過去を持つ雫は仕返しに燃えていた。その顔に引いた歌夜。

 

 「あら?双葉様に・・・小さい胸のあなたじゃない」

 

 店主がやってきた。実は彼女の正体は飛び加藤で甲斐の時と同じように蠱惑的な空気を持ち、白百合レベルの男を誘惑できる体を持っている元草だ。その体は洛中の男達にとっては目に毒であり、ガラの悪い連中が何度かここに来て体の関係を求めたこともあるが、草の経歴は伊達じゃなくそう言った連中を全員検非違使に簀巻きにして渡したことがある。

 以前、美空と光璃の元で働いたこともあるが、あまりにも優秀すぎて怪しまれてしまったため追い出された過去もある。

 「お久しぶりです」

 「(ぴきぴき)よく堂々と言えますね!」

 あいさつされた双葉は笑顔で返し、雫はさっそくいじられて怒鳴った。その後、雫が暗黒面に支配されて

 「ちょっと外出ろや!」

 どこぞの不良みたいなセリフを言ったが、

 「旦那様を誘惑できる服にちゃんとしてあげるわ」

 と言ったら、

 「早く出してください!」

 すぐに切り替えた。どうやら、衣装次第で判断することにしたようだ。双葉もお願いします。と言って共に持ってくる衣装を待った。

 

 

 数分後に、二人だけでなく和奏達の分も衣装も持ってきた飛び加藤。

 「まず、あなた達二人は・・・これなんかどう?」

 先に渡されたのは和奏と雫だ。

 「これって、何です?」

 「まあ、ごく普通の服みたいですが」

 そう、別にどうってことのない衣装だ。だが、次の言葉に一気に興味を示した。

 「ふふ、実はそれね。和奏さんが持っている方は何でもあの有名な趙雲が着てきた服らしいわ。同じ槍使いとして興味ないかしら?」

 「へ?ま、待てよ!趙雲って、あの五虎将の一人って呼ばれているあの!」

 和奏が叫ぶと、皆も彼女の持つ衣装に釘付けとなった。

 「まあ、本当かはわからないけど・・・ベセ〇ンっていう南蛮から流れて、ここに来たの」

 「つ、つまり、これを着ればあの常山の昇り竜と呼ばれたあの・・・よっしゃあああ!」

 「それで、これは誰が来ていたのでしょうか?」

 槍使いですぐに思いつく名前の一人が着ていた(かもしれない)ものに嬉しくなり、すぐに試着室に駆け込んだ。一方の雫は半信半疑で、誰が着ていたのかを訪ねた。

 「それはね、諸葛亮だったはずだわ」

 「え・・・・・・えええええ!こ、こここ、諸葛孔明のののの!」

 まさか、孔明の名が出るとは思わなかった雫。さっきまでの疑惑をなくして大叫びをした。

 「は、はわわわわわ・・・き、きききき、着替えてきましゅ!」

 和奏と同じく、大急ぎで試着室に駆け込んだ。この二人に渡した衣装と、今手に持っている衣装。疑問に思った双葉が訪ねた。

 「あの、まさか・・・ここにかけられているのって」

 「ええ、かけられている衣装全部、三国の英雄達や将達が着たと言われる衣装よ」

 この言葉に、四人も大叫びをした。

 「じゃ、じゃあ!劉備や孫権に曹操が着ていたのもあるの~!」

 「お、おおおれ!馬超が着ていたやつ着てみたいんだぜ!」

 「すごいです・・・そんな有名な人達の衣装を着れるなんて」

 「ま、まあ、本当かどうかわかりませんが・・・興味ありますね」

 そして、一気に興味が増した。飛び加藤が次に衣装を渡した相手は雛と双葉だ。

 「これは誰なの~」

 「こちらは・・・どちら様のでしょうか?」

 「まず双葉様に渡したのは、魏の国の創始者ともいえる曹操の衣装よ。そして、君に渡したのが孫権を陰から支えた呂蒙の衣装ね」

 「そ、それで!俺のは、俺のは!」

 「粉雪さん、落ち着いて!」

 飛び加藤の腕を揺さぶって早く早く!とワクワクが止まらない粉雪を止める歌夜。

 「そうですね。山県殿には、こちらの張飛さんのはどうです?」

 「馬超じゃなくてもいいぜ!何か、服の大きさが小さい気がするが、趙雲と同じ五虎将で槍使いだからな!全然気にしないぜ!」

 「そちらのあなたは、さっき双葉様に渡した曹操の部下の于禁でどうかしら?」

 「えっと、私も槍使いなのですが」

 「別にこだわる必要はないと思いますよ、歌夜さん」

 「そ、そうですか?ま、まあ、確かにそうですね」

 試着室を先に雛に譲った双葉が歌夜にそう言った。そのついでに、加藤に訪ねた。

 「あの、店主さん。どうして、私は曹操の衣装を?」

 「ふふふ、不思議なのよね。あなたが似合うのは、この衣装しかない!と思っちゃって」

 「あの、私からも質問いいでしょうか・・・甲斐の頃は誘惑するための衣装がありましたが、今はその頃の衣装は置いてありませんよね。」

 「あら?そっちの方が欲しいの?」

 「え!い、いや、その・・・気になっただけで」

 だが、質問した歌夜は真っ赤になっている。隣の双葉も赤らめていた。やはり、アキラのためなら欲しいという気持ちもあるようだ。

 「安心して。ちゃんとそういった服も用意しているわ。ちょっとした理由があって、出せないのよ」

 「「理由?」」

 「甲斐の時より店が大きくなったからね。店に入れるにはどんな衣装があるのかをそれなりに見せる必要もあるのよ。以前は全部店の中に置いていたし、お客は天人・アキラの奥さんたちだけだったから誘惑用の勝負服も出していたけど」

 「あ、そうですね。京の中心の二条館からも近いですし、そんなものを置いていたら」

 「いやらしい店と見られて、洛中の民から不評を買うかもしれませんね・・・まあ、いやらしい店というのはあながち間違ってないですけど」

 「あら酷い。私の店の衣装で旦那さんにはいっぱい愛してもらえたでしょう」

 つまり、街の景観の為にまともな服(一部は白百合や桐琴みたいな服もあるがまだ許容範囲内)を置いているのだ。歌夜の突っ込みに笑顔で返されて、双葉も含む二人は顔を真っ赤にした。

 「おおおい!早くしてくれ~~!」

 しばし無言になった二人を楽しそうに見る飛び加藤の耳には、粉雪の声が聞こえた。

 

 数分後に和奏・雛・雫が出てきて、残りの三人も試着室に入った時だ。

 「おや、三人とも珍しいですね」

 「「「アキラ(様・君)!!」」」

 「ふふ、店主。久しぶりね」

 「あら、結菜様。お久しぶりです」

 そこにアキラと結菜がやってきた。どうやら、結菜もこの店の事を知り来たかったようだ。そして、アキラが護衛として結菜にくっついて来させられたのだろう。

 「あら、三人ともさっそく着替えたのね」

 「あ!結菜様!見てくれ、趙雲になったんだ!」

 「雛は、呂蒙だよ~」

 「わ、私は、諸葛孔明でしゅ!」

 自分で言った通り、和奏は趙雲、雛は呂蒙、雫は孔明の衣装だ・・・何気に雫は本人がいるように見えるのは気のせいだ。そう話していると、

 「あ、結菜様。え、えっと、于禁になりました」

 「俺は張飛だぜ!」

 「え、えっと・・・その、私は、曹操らしい、です」

 歌夜・粉雪・双葉も試着室から出てきた。

 「双葉様も着替えたのね。それで、どう?」

 「どうとは?」

 「そりゃ、この服を着た感想よ」

 「「「「「「どうですか!」」」」」」

 みんな大好きなアキラがやってきたから、目力入れて感想を聞きたがる。

 「ちょ、ちょ・・・皆さん落ち着いて」

 「「「「「「早く聞かせて!」」」」」」

 おしとやかな双葉すら、気迫を感じるくらい迫っている。とりあえず、それぞれ一人ずつの感想を言った。

 

 感想を言うと、それぞれこんな反応になった。

 「とても明るい感じって、もう~、褒めないでくれよ!」

 「う~ん、おしとやかに見える・・・か。ちょっと照れちゃうよ~~」

 和奏・雛は嬉しそうに顔を赤らめる。

 「む、胸が見えそうって・・・は、恥ずかしいんだぜ」

 「・・・子供っぽいって、子供っぽいって!」

 粉雪は下乳が少し見えることを伝えると照れて、雫はアキラから子供っぽいと言われてがっかりした。

 「遊び人に見えるって・・・うう、確かに見えます。しかも、胸をここまで出して」

 歌夜は、胸が開放的な衣装に恥ずかしがりがる。そして最後の双葉は

 「とても女性との恋愛を好きそうって・・・私はアキラ様一筋です!」

 同性愛者みたいに見られたのがショックで、思わず本心を言った。

 「何故か知らないのですが、その衣装は誰が着ても同性愛者として見られそうな気がするのですよ」

 「曹操ってそんなに女の人が好きだったのかしら?」

 「不思議とそんな気がするんですよね。何しろ、相当な万能人間だったらしいですからね。料理がうまく、絵も上手で、多才だったみたいですからね。カリスマも相当でしたでしょうし、惹かれる女性も多かったのでは?」

 「衣装だけでも風格を感じられそうね。元々双葉様は一葉様の妹ですから王の血筋もそう見せているのかもしれないし」

 現代では全員男なのだが、この世界では双葉と結菜は元から女だが、他の皆も女性なので昔の武将も女性だと思っている。結菜の言葉に呟くように返答した。その結菜の言葉に

 

 『ですね・・・あのトラも将軍としての風格を時々感じさせる顔をしますし』

 

 親友の将軍の事を思い出した。ふと思い出に浸っていると、いつの間にか結菜の姿がなかった。

 「あの、結菜は?」

 「着替えに入りましたよ。皆さんを見て、自分もあなたに褒められたいのでしょう」

 「そ、そうですか(何でしょう。この人、出雲阿国さんに似ています)」

 説明する店主の顔と雰囲気があの人物に不思議に思っていると、

 「アキラ~~。どうかしら!」

 着替えた結菜が出てきた。

 

 

 その後、結菜と共に店を出た。孫権の姿をした結菜とアキラがいなくなって少しほっとした六人。

 「う~ん、別にいやらしい服じゃなかったけど」

 「でも、アキラ君に褒められると照れちゃうよね~」

 「う~ん、春日が来る理由。少しわかったかもだぜ」

 「・・・もう、文句を言う気持ちすらわかないです」

 「今回は結菜さんに負けてしまいました」

 「(双葉様が勝っていたような気がします・・・目立つという意味では)」

 和奏・雛はアキラの褒め言葉に少し誑されていた。粉雪はこうしたファッションには興味がなかったが、今回着てみて春日が来る理由も分かりちょっと興味が出たようだ。雫は子供っぽいと言われたショックで店主への文句が言えなくなり、双葉は結菜に負けたと言ったが、歌夜は結菜も含めても服のインパクトは彼女が大きかったのかこっそり突っ込んだ。

 「あらあら、結菜様に愛する人を持っていかれたわね」

 「いや、仕方ないよ」

 「だね~」

 「双葉様と同じ側室だしな」

 「アキラ隊で一緒にいられますので問題ありません」

 「はい。私も同じです」

 「私もアキラ様の妻になれた。それで満足「本当に思っている?」・・・?」

 加藤がからかってもすでにその状況に慣れているため、六人は軽く流した。それにちょっと面白くないと思ったのか、最後の双葉の言葉を遮った。

 「ちょっとくらいは、結菜様みたいに旦那様に抱き着いて胸を押し付けたり、前みたいな淫靡な服で誘惑して襲われたい。と思わない?」

 「な、ななな!そ、そそそ、や、やってみたい、かな?」

 「う~ん、ちょっと興味あるかな~」

 「だ、旦那をゆ、誘惑・・・で、できるのかだぜ」

 「汚名挽回、じゃなくて名誉挽回です!」

 「ということは、新作があるのですか?」

 「それはもちろんされたいですが・・・それより双葉様。どうしてそんなに冷静なのです?」

 加藤の言葉に皆のって食いついたことに目を光らせた。ただ、双葉が一番冷静に返したことに歌夜はこれが目的で来たのでは?と思った。

 「ええ。あるわ。結構子供向けな服だけど。でも、あなた達ならこれを着てなり切れれば・・・」

 持ってきた服と説明に六人とも真剣な顔で聞き耳を立てた。 

 

 

 その日の夜。

 「今日の奥は粉雪と和奏ですね。何か似たもの同士の二人ですね」

 奥の二人を部屋で待つアキラ。ちょうどその二人の気配を感じたが、

 「あと四人いますね・・・まさかね」

 ふと、今日いた双葉・和奏・雛・歌夜が頭によぎった。まさかと思ってふすまが開くと、案の定だった。

 「あの、皆さん・・・その格好は」

 「ど、どうで、す?」

 双葉が真っ赤になって訪ねる。今彼女らは六人は子供の服を着ている・・・が、その衣装でも結構危なげな孟獲の服を双葉が着ていて、ほかの五人は彼女の兵の衣装だ。子供が着るなら可愛げがあるが、彼女らが着ると見えそうで見えない感じでいやらしいのだ。胸の小さい雫や雛達すら淫猥な感じがして、アキラは涎を飲む。

 「双葉様(ひそひそ)」

 「・・・は、はい」

 目を奪われていると、歌夜が双葉に耳打ちをした。それを聞くと、元々赤い顔がさらに赤くなった。そして、

 

 「だ、だ、旦那様。みゃ~達を、か、かわいがって、ほ、ほしいにゃ~~///」

 

 猫語を含めた言葉でアキラに抱き着いた。すると、

 

 「「「「「お願い、するにゃ~~///」」」」」

 

 五人も同じように抱き着いた。頭についている猫耳と尻についている猫尻尾に衣装についている猫毛。それらが動いているようにみえ、余計に淫らに見える。

 「にゃ、にゃ、にゃ~達は、あ、アキラに・・・いろいろ、さ、されたい、にゃ~!」

 「そうみゃ(ぺろ)早くにゃ」

 「う、た、頼むにゃ~~・・・だぜ」

 「(アキラ様、効いている!)みゃ~も、もっとたくさん、愛してほしいにゃ~!」

 「(恥ずかしいけど)さあ、やって、ほしいにゃ~」

 和奏達が桐琴と同じくらい面積度がない胸当てをはずして、自分達の胸をさらけ出してアキラに抱き着き胸の感触を与えた。双葉に至っては

 「旦那様、みゃ~はも、もう、ダメですにゃ」

 完全に出来上がっている。首や頬を舐めている。残り五人も乳首からの刺激とアキラの温もりに欲情している。

 「ふふ、準備はいいみたいですね・・・子猫ちゃん達」

 欲情しきった彼女らの顔を見て、アキラは嗜虐心がわいた。その後、彼女らの歓喜の「にゃ~」が部屋から響いたのを、股を濡らして羨ましがる天井裏の小波が聞いた。

 

 

 翌日、愛妻服に行って同じ服を買う小波の姿があったそうだ。

 




 
 孟獲と兵達のって地味に大人が着ると危ないな。と思い、やってみました。何気に結菜に孫権(蓮華)のを着せました。結構似合いそうだな。
 R18の内容も考えていたのですが、最終話の方にずらした方がいいかも。と思い、今回やめました。というわけで、最終話をエロで終わりたいと思います!

 次回は久遠・光璃・結菜・真琴のエロです!


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久遠・光璃・結菜・真琴 見てもらいたい! R-18


どうも、また風邪ひいた三MENです。皆さん、風邪などが治った。もう大丈夫!と思って薬を飲むのをやめる。というのはやめましょう。風邪の菌は想像以上に手ごわいです!病院でもらった日数分は全部飲みましょう!

 という、自業自得を書きながら、後三話となった盲目のサムライ始まりです!


 「ほらほら、アキラ!これはどう?」

 「結菜は何を着ても似合いますよ」

 結菜は今着ている服をアキラに見せて感想を聞いている。だが、忌憚ない返答に彼女は不満顔を見せた。

 「もう~~、そればっかり。私が言いたいのは」

 「言いたいのは?」

 「・・・アキラ、まさかわかってやってる?」

 「さあ~~」

 どうやらアキラは言わせるつもりでわざとそうしているようだ。結菜もその事に気付いたが、

 「全く~~、私が言いたいのは・・・襲って私を淫らにしたいか?よ!///」

 抵抗むなしく、顔を赤くして本音を言った。もじもじして、照れくさそうにしている姿が愛らしい。前回の孫権の服以来どうやらコスプレにはまっているようだ。

 

 「ええ、その甘寧の姿・・・特に下着が丸見えになっているところを見ると、誘惑に負けてしまいます」

 

 結菜は今甘寧の姿になっている。その者の服はスレンダーな体系が着る服なのだが、結菜はおっぱいが結構ある。しかも、動きやすいように脚を隠すものがない下着が見え隠れする服なのだ。それを結菜が着れば・・・完全に丸見えだ。ピンクな下着がアキラを誘惑している。

 「うふふ、嬉し(さすり)ひゃん!あ、アキラ!」

 「言ったでしょう。負けてしまうと(すりすり)」

 「あうん!あはん。はあ~~ん♡」

 その下着にアキラが指で割れ目の部分をさすり始めた。結菜はそれであっという間にその部分を蜜で濡らした。

 「全く(もみ)「あん!」部屋の中とはいえ、こうご馳走を用意されてはさすがに食べないわけにはいかないですね」

 「(むにゅもみゅ)そ、そうよ、は、あ、きゃ。た、食べなさい・・・みにゅう!の、残さず、ね」

 快楽で脱力して立てなくなり、その場に座り込むと服の上からおっぱいを揉み始めた。快楽が二つになり、彼女の顔はもう蕩けている。

 「ふふ、ではいただきましょう」

 その場であおむけで押し倒すと、右手で下着を脱がし左手で服を一気に頭まで脱がせた。両腕を頭の上に移動させてそのまま腕に服を絡めさせた。

 「ちょ、何で」

 「決まっているでしょう。隅々まで、あなたを味わうためです」

 結菜に企みの笑顔を見せると、彼女の右わきの部分に移動してそこを舐め始めた。

 「ひうううんん!!」

 「ほう、相当敏感みたいですね。ふふ、胸や割れ目以外にもどうやら女性は人それぞれですが、敏感部分があるようですね」

 「はあ、はあ・・・ま、まさか」

 「ええ、結菜の隅々まで全部の敏感部分を探らせてもらいます!」

 そういうと、両足を掴んで足の裏を舐め始めた。

 「あ、あん!ああはん!だ、だめええええ!も、もう~~、勘弁して~~♡」

 「ふふ、尻も相当ですね」

 喘ぎ声でやめるよう言ったが、途中からむしろ続けてほしい声に変わったのは言うまでもない。最後までやった時は完全に動けなくなった。

 そんな二人の情事を聞いている者がいた。

 「・・・姉様」

 「おけい、真琴」

 義理の姉妹の久遠と真琴だ。

 「結菜、ずるい」

 隣には光璃もいる。この三人がどうして結菜の部屋の前にいるのかというと、アキラに食べてもらう料理を教わるためだ。今回はこの三人が何とか時間をとれたので、料理番の結菜に教わろうとしたらこの現場だ。

 「とりあえず、いったん引き下がろう」

 「「(こくり)」」

 彼女らの割れ目から出る蜜が既にあふれ出そうになっている。この場でばれるとまずいので、急いで音を立てないように外に出て一息ついた。

 「はああ~~、結菜姉さん。とても乱れてましたね」

 「アキラにされたい・・・でも」

 「我らはそれを頼める度胸がない」

 結菜を羨ましく思いつつも、彼女のようにずいずい迫る気持ちが三人にはない。いや、あるにはあるがただきっかけがないのだ。

 「思わず外に出たが、ちょっと街を見て回るか」

 「そうですね。僕も近いうちに北近江に帰らないといけないし、南近江の事も気になりますし」

 「自分の目で見ることも大切」

 さっきの件は保留にして、ずっと三人は洛中を自分の目でどれくらい復興しているのか確認してなかったので、ちょうどいい機会と歩きまわることにした。

 

 

 住民たちの家の建て直しに、親のいない子供達の遊び相手、ガラの悪い連中の処理など自分の目で見て今後の対応を考えながら進んでいると、

 「あれ?ここって」

 「ん?どうした光璃?」

 光璃がある店が視界に入って足を止めた。

 「この愛妻服って店がどうしたのです?」

 「確か、甲斐にあった」

 「そういえば、双葉や結菜がよく話していた店だな・・・壬月も行ったとか聞いたが」

 「へ~~、そうだ。市のお土産に何か買ってあげよう」

 「私も、興味ある」

 「いいかもしれないな。結菜のあの服もここのらしいし」

 三人とも店に入っていく。店内は前回と同じように、あの衣装が店内に飾られている。

 「結菜や双葉からだと、孫権や曹操といったあの英雄たちの服があるという話だったな」

 「・・・着てみたい」

 「ぼ、僕も、似合うものがあったら!」

 「うふふ、着てみます?」

 「「「!!」」」

 衣装に気を取られていて、後ろにいた店主に気付かなかった・・・というのは嘘で、飛び加藤がわざと跪拝を消して後ろに立ったのだ。

 「いらっしゃい「・・・飛び加藤。何してる?」あら?何のことです?」

 「おい!飛び加藤って」

 「完璧すぎる草で有名なあの忍びですか!」

 「・・・答えて」

 今までの武将は誤魔化せても、有名な武田信玄こと光璃はさすがにごまかせなかったようだ。彼女が警戒の眼差しをする。隣の久遠と真琴も飛び加藤に眼光を光らせて迫る。

 「いいえ、何もしませんわ。現に、双葉様や結菜様に何もしていないでしょう・・・まあ、いろんな衣装を渡したからしたと言えなくもないですが」

 「・・・信じてもいいのか?」

 あの二人はとても喜んでアキラに見せる姿は彼女らも見ている。だから、本当に言っているのだとわかった。

 「そこはそちらの判断に任せますわ。何より、あの頃より今のこの仕事が本当に楽しいですから・・・草の仕事は既にしておりません」

 「分かった。ただし」

 「言いたいことはわかります。他国に変なことを言うな。ですよね。うふふ、そんなことをしたらこの楽しみがなくなってしまいますので、致しませんわ」

 「・・・白百合さんと同じくらい掴みどころがないですね。体の色っぽさも似ているし」

 とりあえず、飛び加藤が自分達の敵にならないことを確認できたので三人とも警戒を解いた。

 「では、愛妻服の店主に戻って・・・どんな服をご要望ですか?」

 張りつめていた空気が解け、前回みたいな艶のある笑顔に戻った。

 「私達に服を見繕って」

 「かしこまりました」

 光璃との空気も柔らかくなり、客と店主に戻った・・・数分後

 「これらはどうでしょうか?」

 三人にそれぞれ衣装を渡した。

 

 

 夕方、

 「そうか、頼んだぞ」

 「詩乃、雫、梅。期待してますよ」

 「おまかせください。アキラ様の期待に答えてみせます」

 「八咫烏隊も一緒なので心強いですわ!」

 「皆さん、納得してくれるといいのですが」

 久遠の部屋でアキラ・詩乃・雫・梅の四人が話をしていた。それは、以前雫のいた播磨を同盟に入れられないかということだ。雫曰く、播磨の人々は頑固であり自分の紹介でもすぐに納得は不可能とのこと。だからと言って、すぐに力づくでやると同盟の風評被害にもなりかねない。そこで頭脳明晰で口も上手い詩乃と、万が一ぶつかることになっても大丈夫なように梅と八咫烏隊も連れていくことにした。

 ただ、それは京にまだ残るアキラと離れると言うことになるので、

 「ですので、アキラ様」

 「今日は、たっぷり、私達を」

 「ねっとりぐっちょんちょんに愛してくださいますわよね!」

 三人は期待と欲情を込めた視線をアキラに向けた・・・が、

 「すまないが明日にしてくれ。今日は我達と一緒だ」

 久遠に止められてしまった。彼女の方は少し恥ずかしがりながらも期待している顔だ。誰かがいればまだこうして言えるが、一人で閨の事を言うのは珍しい。何より、正室で一番の妻がこう言う以上アキラは頷くしかない。

 「分かりました。三人とも、明日にしてください」

 「「「・・・わかりました」」」

 とっても残念な顔で頷く三人。出立する日時を決めて、部屋を出て行った。

 「久遠、他には誰がいるのです?」

 「な、ななな、何を言う!」

 二人きりになったのを確認して、ほかのメンバーを訪ねた。すぐに、他にもいることを見抜いていたアキラ。

 「よほどの事じゃない限り、あなたが私を取ろうとはしませんからね。さあ、誰です」 

 「わ、わわわ、わかったから近寄るな!」

 キスできるくらいまで顔を近づけたので、思わず真っ赤になって距離を取る久遠。そこに、

 「・・・ずるい、久遠」

 「姉様、後は姉様だけです」

 光璃と真琴が入ってきた。ただ、いつもの服や襦袢ではなく、

 「・・・あなた達、それって」

 「愛妻服で買った」

 「に、似合いますか!」

 あの店で買った服を着ていた。前回の六人と似たような衣装なので、すぐに気づいた。

 「それで、いったいどんな武将が着ていたやつなのです?」

 「私が、孫策」

 「わ、私は、張遼らしいです」

 二人とも結構な色気のある服だった。光璃の着る孫策の服は前と後ろは隠せるが横は丸見えで、胸が標準よりある光璃の横乳が見え更に下着の紐まで見えているので、肌の上からじかに来ているのが分かる。一方の真琴が着ている張遼はほとんど桐琴の着ているのと大差ない服だ。とりあえず袴をはいているので下半身は隠せているが、肝心の上半身はさらしで胸を隠しているだけで後の肩や腹や脇などは全部見えている。一応、上着を肩にかけているがさほど意味がない。見えそうで見えない光璃と前の歌夜が来た于禁に近い姿の真琴。

 「光璃は内面の私に愛されたいと言う熱い気持ちが見える服ですね。真琴は肩書を全部なくして本来の可愛いあなたが分かるような服です・・・二人とも、素敵ですよ」

 「うん、私・・・アキラに抱かれたい///」

 「は、はい!ただの、真琴として・・・抱いてください!///」

 二人ともアキラに褒められ、そして自分の想いを描いた姿を理解してくれ嬉しくなった。アキラに抱き着いて、手を自分達の胸に押し付けた。

 「こんなにドキドキしてる」

 「ですので、お、お願い、します」

 「ふふ、それは・・・「アキラ~~、ま、待っておれ!」久遠が着替え終わってからですね」

 「「(こくり)」」

 早く抱いてほしい。でも、アキラはあえて久遠を出してじらしていじった。視線を受けた久遠は真琴から渡された服を持って別室に行った。ここで着替えてほしかったとこっそり思ったアキラだった。

 

 

 数分後にふすまが開かれたが、

 「ううう、何か恥ずかしい」

 恥ずかしがって部屋に入ろうとしない久遠。

 「久遠、早く」

 「姉様、さっきの勢いです」

 「くうう~~、わ、わかった!じゃ、じゃあ、行くぞ!」

 二人にせかされて覚悟を決めて前に出た。

 「うう、本当に着ていたのか!肌がほとんど見えているじゃないか!」

 「一番色っぽい」

 「恥ずかしがっている姉様。かわいいです」

 久遠が飛び加藤から渡されたのは曹操の従妹の曹仁の服だ。身動きがとりやすい服であり、そういう服というのは久遠が言った通り最低限女性の部分を隠すような服なのだ。おっぱいを隠せているが腹は丸見えで、腰回りはホットパンツをサスペンダーで止めておりそれをはずせばストンと大事な部分が丸見えになりそうな気がする服だ。いくらアキラに何度も裸を見せても、いつ脱げそうな服は初めての久遠なので恥ずかしがるのも無理はない。

 「あ、ああ、アキラ・・・ど、どうだ」

 恥ずかしがる姿が余計に色っぽさを増す。隠そうとするしぐさや照れて上目遣いになる目つき。何より、光璃と真琴と同じくらい見えそうで見えない服なので、

 

 「久遠・・光璃・・真琴・・襲い、たい」

 

 自制心が耐え切れなくなった。完全に無意識に胸を隠す布を無理やり挙げておっぱいをさらさせた。

 「お、おい!」

 「あ」

 「きゃ!」

 しかも、光璃の方も服を無理やり中心に持ってきておっぱいを丸出しにして、真琴もさらしを取り払って実は結構大きいおっぱいを目の前に出させた。

 「誘惑するあなた方が悪いんですからね」

 まず、久遠と真琴を押し倒した。ホットパンツと袴を脱がすと、光璃同様紐のパンティーが姿を現した。蝶結びをほどき、彼女らの蜜が出る割れ目が姿を現した。

 「いい感じに濡れてますね」

 アキラも自分の袴を下し下着も脱いで、性太刀を彼女らに見せた。

 「だ、誰が、濡らしたと思っておる」

 「兄様、も、もっと、漏らしちゃいます」

 左にいる久遠の左脚と右の真琴の右脚を持ち上げ、アキラの肩にそれぞれ乗せ、更に残った脚に乗って二人の割れ目からあふれ出る愛の蜜が見えるようにした。

 「もう、してもよさそうですね」

 「あ、ああ、我達を・・・その」

 「淫乱に・・・おとしてください」

 「う、羨ましい」

 二人とも観念・・・いや、待ち望んだアキラとの性交に涎を飲み、懇願する目つきでアキラを見た。唯一外された光璃は乳首を片方を抓り、もう片方を舐めて噛みを繰り返し、そして下着をぐっしょりに割れ目に指を出し入れして慰めていた。目つきも既に二人同様トロンとしている。そんな光璃を見るアキラは、

 「久遠、真琴」

 「「何だ(ですか)?」」

 「光璃を慰めてあげてください」

 「「「・・・え?」」」

 光璃も混ぜるならともかく、二人に慰めてあげてくれと言った意味が分からなかった。一時的に体を一気に二人の顔まで近づけた。そして、耳打ちをした。

 「・・・・・・です」

 「そういうことか」

 「分かりました」

 アキラの言いたいことが理解した二人は、自分達の前にいる光璃に顔を向けて

 「すまんな、光璃」

 「すいません」

 「え・・・あ」

 彼女の足首を掴んで、光璃の体を引き寄せた。そして、彼女のひくついている割れ目が二人の目の前まで来たときに、

 

 「では、始めますよ」

 「「「!!!」」」

 

 アキラの一言で三人の顔は一気に切羽詰まった顔になった。その理由は

 「あ、あ、アキラああ!!」

 久遠の割れ目に性太刀を入れて激しく動かし、

 「あ、う、ひゃあああうん!」

 真琴の割れ目にアキラの指を入れて暴れさせ、

 「あ、アキラ、こ、これは!」

 光璃の割れ目に久遠と真琴の指が入り、激しく動かしている。そう、アキラは久遠と真琴の割れ目を責めさせるよう言ったのだ。

 「二人とも、光璃が淫らに絶頂する姿を見せてくださいね」

 「あう!わ、わかって、ひゃあああ!お、るうううう!」

 「に、い様、みゃ!きゃ!あ、は、入る~~!!」

 「こ、これ、す、すごい!アキラ・・・見られて!んん!感じて~~!」

 アキラは久遠から真琴の割れ目に性太刀を入れ替え、久遠の方を指に変え、光璃は割れ目の衝撃に体がビクビクしていき、いじっていた乳首を握る力が増す。そこに、

 「久遠、真琴」

 アキラが久遠に入れていた指を出し、二人の乳首を抓った。

 「「ひぐううう!」」

 更に、くすぐり、いじり、優しくなでた。

 「アキラ、せ、ひゃぐ!・・・切ない」

 「も、もう、とろけ、おぼれ」

 交互に割れ目の中に性太刀が入るたびに二人は顔を赤らめる濃さが増していく。それと同時に快楽の電流も増していく。そこに、更に倍加される快楽が追加されて

 「ううん!は、あ、ひゃく」

 光璃の割れ目をいじる指の動きが鈍くなる。しかし、震えが割れ目の内側の壁に影響を与えている。それが彼女の快楽の強さを増した。

 

 「「「あ、は・・・ひゃ、あ・・・は、ん」」」

 

 三人の声がおぼつかない感じになっている。既に心身ともに快楽に溺れているのが分かる。特に光璃は腰に力が入らなくなったのか、二人の体に力尽きる様に乗せた。

 「とても、素敵な淫靡な姿ですよ・・・三人とも」

 久遠の曹仁の服はほとんど脱げており、唯一残っているサスペンダーがかろうじて彼女の乳首を隠すようになって全身から汗をかく姿がいやらしい。

 真琴の張遼の服もほぼないので、アキラは一度とったさらしを彼女の右胸に置き、左のおっぱいは見せたままでそのままさらしの長さを利用して、割れ目の部分に置いた。蜜と汗で濡れたさらしを体に乗せる真琴が涎を飲むくらいに淫らだ。

 唯一、まだ孫策の服を着ている光璃は顔がもう二人に責められ続けて意識が白濁としているように見える。そんな状態でもずっと二つの乳首を責め続け、口から涎が滝のように出てそれがおっぱいや服にどんどん落ちて濡らしていく。下半身を蜜で濡らせば、上半身を涎で濡らす姿が蠱惑的で今すぐにでも襲い掛かりたい。

 それぞれにそんな劣情を持ったアキラは一気にラストスパートを久遠と真琴の割れ目でやっていく。割れ目の中の肉の感触と三人の喘ぎ声で劣情と快楽を強めていく。

 そして、久遠と真琴と光璃の蜜でどろどろの割れ目も限界が近くなり・・・

 

 「「「あ、ああ、アキラあああああ!!!」」」

 「っつううううあああ!!!」

 

 白濁液が飛び散った。久遠と真琴は胸に腹に脚に、光璃は顔に髪に・・・何もかもが真っ白になった彼女達。そんな中、

 「おや、久遠に真琴。随分といい顔になったじゃないですか」

 光璃の割れ目のすぐそばにいた二人は彼女の噴射した蜜も顔にかかった。つまり、二人分の愛欲液を受けたと言うことだ。光璃もゴロンと久遠の方に体を転がして、床に落ちた。その時に二人の蜜まみれの顔が見えたのだ。

 「はあ、はあ・・・ふ、ふん」

 「い、言わないで、く、ください」

 「では、第二戦と行きましょうか」

 「「「・・・え?」」」

 彼女達はもう起き上がることができない。でも、性欲がまだ満たされていないアキラは光璃の割れ目にガッチガチの性太刀を差し込んだ。

 「!!!」

 言葉に出せない状態で体をのけぞらした光璃。二人には何をするのかというと

 「光璃・・・いい味ですね」

 光璃の蜜まみれの顔になった二人の顔を丁寧になめ始めたのだ。そう・・・結菜の全身の性感帯を確かめるかのように。

 「ちょ、お、あ、アキラ!」

 「に、にい、様!」

 かろうじて声を出す二人を無視して、三人に呟いた。

 

 「結菜との情事を見たのなら・・・この後どうなるか、わかりますね」

 

 そう、結菜との淫らな調査の時に、気配に敏感なアキラは三人がいた事は気づいていた。だからこそ、同じことをしてやろうと決めていたのだ。

 

 『『『で、でも・・・楽しみ♡♡♡』』』

 

 寒気と欲情が同時に出た三人。この後・・・翌日まで三人は性感帯調査に体をささげた。

 

 

 

 

 

 

 と、ここで終わらなかった。その翌日に、

 「アキラ!わ、わわわわ、私にもしなさい!」

 「当然、余にもだよな!」

 美空と一葉がアキラの部屋で放心状態の三人と現状を見てすぐに気づき、既に着替えていて逃げ出したアキラを追いかけた。

 「お!何じゃ!アキラと戦うならわしも混ぜろ!」

 「私も行くよ!お兄ちゃんに再挑戦だよ!」

 その追いかけている姿を戦うものだと勘違いした桐琴と市も参加した。

 

 『やばいですね。綾那がいませんが暴れん坊がそろってますよ!』

 

 追いかけてくるメンバーのやばさにひとまず逃げきることを優先した・・・・・・つづく。

 




 
 今回はコスプレエロです!そして、今回も恋姫無双キャラ使いました!巨乳・爆乳キャラがいれば、黄忠や黄蓋さんの服でいろいろエロエロできたのですが・・・。


 次回は最後の四人の大暴れです!戦闘的にもエロ的にもです!


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美空・一葉・桐琴・市 う~ん、やばいかもしれない R-18

 ついに、次で最後のところまで来ました!本当に長かった・・・。


 「「「「これ、やばいかもしれないわ(のじゃ・よ~)」」」」

 そんな口を揃える前回光璃・久遠・真琴を愛欲のとりこにしたアキラを追いかけていた美空・一葉・桐琴・市。そんな彼女達の視線は、

 

 「・・・・・・」

 

 アキラが眠っている。いや、正確には意識を失っているといった方がいい。よく見ると後頭部に若干たんこぶがある。これが原因のようだが、それを作ったのは汗を流しているこの四人と見て間違いなさそうだ。

 

 

 なぜ、こんなことになったのかというと、

 『いい加減に諦めなさい!』

 『そうじゃ!早く余らを久遠達のようにしろ!』

 『そういうことなら、わしも混ぜてもらうぞ!』

 『まこっちゃんにして、市にしない。はないよね!お兄ちゃん!』

 『だったら!その得物を納めなさい!』

 『『『『断る!』』』』

 得物を持ってアキラを追いかけている。完全に頭に血が上っているため、

 

 『『『『倒すまで、あきらめない!』』』』

 

 もはや、追いかけている原因を忘れている。本当は美空と一葉が前回の久遠達が羨ましく同じことをやってもらおうと追いかけていたら、面白そうに見えた桐琴と市がついてきた。だが、四人とも追いかけている途中で捕まらないアキラにだんだん意地になり、得物を取り出し・・・こうなったということだ。しかも、一度血が頭に上ると後先考えない四人だ。

 『行きなさい!かわいい姉妹達!』

 美空が精霊たちを出し、

 『三千世界!』

 一葉は御家流を出し、

 『一閃千染!』

 桐琴は北落師門とコラボアタックして、

 『愛染挽歌~~!』

 市もお家流を使った。既に、周りも考えずにアキラを倒すことだけを考えている。アキラは何とか逃げながらもそれらの技をよけながら洛中の外に出た。街中はせっかく再建のめどが立ち、尾張や三河から職人や大工がやってきて民の家や二条館に手を付けようとしているのだ。それを台無しにするわけにはいかない。

 四人から逃げていると近くの山の頂上にまでたどり着いた。ここならとりあえず戦いになっても問題ないと思い、刀を抜こうとした時だ。

 「「「「くらええええ!」」」」

 「何の!それく(ぐしゃん!)ん?・・・な!」

 「「アキラ!」」

 「主様!」

 「お兄ちゃん!」

 四人のお家流をよけたのだが、自分の立った地面がそのお家流の威力で壊れてしまい、そのまま崖から落下してしまったのだ。あわてて、四人がどこに落ちたのか確認すると、

 「アキラああああ!」

 何と、桐琴が飛び降りた。残った三人も黙っていられなくなり

 「「「おおおおお!」」」

 彼女らも飛び降りて行った・・・そして、四人が降りたところにアキラが倒れていたのだ。心音も聞こえ、特にケガもないので心底ほっとしたが、とりあえずまずは安全なところに寝かせることを優先した。時々仕事を抜け出してここに来たことがある一葉が山小屋があると言うことなのでそこに連れて行った。

 

 

 山小屋を見つけ、まだ気絶中のアキラを寝かした。そして、ここで冒頭のあのやばいと感じている四人に戻ると言うわけだ。

 「それにしても、どうして主様は気絶していたんじゃ?」

 「多分、枝に乗ろうとしたら足を滑らせたのじゃろうな」

 「そして、頭から落ちて気を失ったと言ったところかしら」

 「でも、この程度で済むなんてさすがお兄ちゃんだね!」

 眠るアキラを見ながら、とりあえずどうして気絶しているのか話し合う四人は、不安そうな顔でアキラを見る。こうしたことには一番何ともなさそうな顔をする桐琴すら、妻の想いを持つようになってからは女性らしい感情を持つようになった。

 「う~ん、このまま桐琴が背負って京に帰る?」

 「わしは別に構わんぞ。大したことない距離だしな」

 「じゃが・・・ちょっと、もったいない気がせんか?せっかく、余らだけしかいないのに」

 「あ~~。確かに戻ったら看病に向かないと言われて、お兄ちゃんとられちゃいそうだね」

 一葉の言葉で確かにと思い、市の言葉で女の欲望を出した。そこに、

 

 「・・・脱がすか?体の傷も確認する必要があるからのう」

 

 桐琴の言葉にその欲望が一気に性欲に変わった。四人とも今までアキラに脱がされることはあっても、アキラを脱がすことはない。

 「そ、そうね。ちゃんと確認しないとね」

 「そうじゃ!だが、それは余らを好きにしていた主様を、余らが好きにすると言うことか」

 「楽しそう!やっちゃおうか!」

 理性、何それおいしいの?もはや、四人ともそんな状態だ。目も正気じゃない。

 「さあ、アキラの体を隅々まで見るわよ!」

 「うむ!いつも見られる側じゃったからな!」

 「ぐふふふ!鬼退治以上の楽しみじゃ!」

 「お兄ちゃん・・・ごめんね~」

 欲にかられた顔をしながら、徐々に脱がせていった。

 

 

 上着と袴と肌襦袢を脱がせ、下着だけとなったアキラの肉体が現れた途端

 「「「「ごくり」」」」

 涎を飲み込んだ。たくさんの傷があり、傷の上に傷が出来てその傷の更に上にまた別の傷があり、それらの傷ががっちりした筋肉質な体にできている。更に言うなら、夢でアキラの過去を見てきてこの体が出来上がるところも見てきたので、その時の行程も思い出してしまい欲情が強くなっていく。

 「や、やはり、すごいわね。胸の高鳴りが止まらないわ」

 「ああ・・・余らは、こ、この体に抱かれたのだな」

 「・・・我慢できん、わしも脱ぐ!」

 「あ!う、うん!市も!」

 美空と一葉が興奮を抑えきれない顔で魅入っていると、一番自分を抑えない桐琴が着ている服を脱ぎ始めた。それに市も続いた。

 「「負けられるか!」」

 彼女らもまた服を脱ぎ、ついに四人ともオールヌードになった。四人とも、既に割れ目から欲情した愛蜜が止まることなく流れている。

 「これだけの体・・・じっくり味わう必要があるな!」

 「「「もちろん!」」」

 一葉の言葉に美空達も頷き、アキラにとび掛かった。彼女らが始めたことは

 

 「「「「ちゅ、ぺろ、ぺろ、れろ、じゅるううう」」」」

 

 アキラの傷をキスして、舐めて、吸い付いた。

 「アキラ。あなた、本当に///・・・あの時から」

 美空は左上半身を

 「主様がいるだけで・・・余らは、止まらないのじゃ」

 一葉は右上半身を

 「アキラ、お主の体は全てが・・・わしらの性感帯じゃな」

 桐琴は左下半身を

 「お兄ちゃん、はああ~~。市、こんなに何も考えられないの、初めて・・・」

 市は右下半身を

 「「「「もう・・・ダメ」」」」

 ただただ、欲情に負けて一心不乱にそれぞれのところにある傷あとに、四人は乳首を立てながら、全身が敏感になりながら、匂いで蕩けながら・・・とめどなく出る愛蜜でアキラを濡らしていきながら、

 「「「「アキラ(主様・お兄ちゃん)、全部蕩けさせて」」」」

 四人は体をアキラに胸や尻をこすりつけて自分の愛欲を高め、どんどん体中にある傷を舐めていきアキラの体を彼女らの涎だらけにしていった・・・が、

 「も、もう、我慢できない!」

 もちろんそれだけで済むはずがない。美空が体中に着た快楽に我慢できなくなり、

 「「「あ!」」」

 三人より先にアキラの性太刀を割れ目に入れた。すると、

 「~~~!!」

 一気に割れ目の奥までいったのか、体をのけぞらせて・・・そのままアキラに倒れこんだ。どうやら、それだけで既に我慢と快楽の限界だったのか絶頂にいったようだ。倒れる際に、彼女のまだ出ていた涎が自分のおっぱいと乳首にかかり、それが光った。もしアキラが起きていたら、むしゃぶりついていただろう。

 「「ずるいぞ!」」

 次は桐琴と一葉が自分がやろうとしたが、顔を合わせると

 「余が先じゃ!」

 「いいや!わしじゃ!」

 火花を散らせた。そこに、

 「間を取って私がやるね!」

 こっそり美空をどかせて、市が割り込んだ。美空の割れ目からアキラの性太刀を抜き・・・そして、市は割れ目の奥の手前で止めた。だが、それでも十分に快楽に支配された体には大きい快感だったのか、

 「え!あ、ああああ!」

 これ以上ない愛蜜が割れ目から出て、入れている性太刀を濡らした。

 「こ、これって、今まで、こんなの!」

 彼女は今まで感じたことない快楽に体中が震えた。そんな彼女に

 「横入りは反則じゃ!」

 「というわけだ。お市、お仕置きをやらせてもらうぞ!」

 一葉と桐琴は自分達を飛ばして、アキラの性太刀を奪った市の小さな胸を揉み始めた。

 「ちょ!え、ああ!く、公方様!と、桐琴さん!」

 「ふふ、いいじゃろ。どうじゃ~~」

 「それにこれはアキラも喜ぶぞ~~」

 まさか、こんなことになるとは思わず焦る市に、二人は気にせず乳首をはじいたり、抓ったり、空いた手で尻を揉みしだいたりと好きにやっている。幼顔が残る彼女の乱れる姿はこの時だけは成長途中の少女を女性二人が責めているように見え、少し同性愛感が湧く。しかも、二人は性欲はかなり強いので

 「あうう、あん!う、あ、あうううう!」

 責めも彼女の弱い所ばかりなので我慢もそうできなくなり、市は体中がビクンとなってすぐに達した。絶頂でふらふらの目が虚ろになって、そのまま後ろに崩れていった。市の割れ目から抜けたアキラの性太刀に彼女の愛蜜が付き、二人分の愛蜜が光る。

 「「ふ、ふふふ」」

 その光る性太刀を見た一葉と桐琴は怪しい目着きになった。

 「のう、公方。ここは一緒にやらんか?」

 「ふ、それも楽しそうじゃな!」

 そして、頷きあった二人は自分の割れ目を左右からアキラの性太刀につけた。美空と市の愛蜜がついたままになっているが、そんなの二人には関係ない。

 「さあ。主様、やらせてもらうぞ!」

 「まだ起きないか・・・だが、好都合!」

 一葉と桐琴はそこから腰を上下左右に動かした。二人の大きな巨乳もまた上下左右に揺れ動く。

 「「お、おお、おおお!」」

 左右に揺らして割れ目の入り口からくる快楽電気が全身を襲い、

 「「ぐううおおお!」」

 上下に動かし、割れ目の中の肉に性太刀の温もりで思考を奪っていき、

 「「ひゃっく!こ、これ、あう、あああああ!」」

 彼女達は自分で二つの乳首を二つの手でいじって、そこからのビリビリが腰の動きをさらに早くさせる。その姿は真ん中に性太刀がなければ、レズの現場と思えるくらい割れ目のこすりつけあいに見える。

 「これは。想像以上じゃ!」 

 「ああ、最高じゃああああ!」

 アキラは何もしていないが、既に酔いしれてしまっている二人は蕩けきった顔でアキラの顔を見た。決戦前までは普段から目は閉じていたが、完全に開けられる今では目蓋を開けるようになったが、今は閉じている。それに寝息も聞こえているのでまだ寝ている。

 「ふ、ふふふ!寝ているアキラに」

 「ああ!出そうぞ!」

 どうやら、興奮といつ起きるかわからない緊張感にこの二人も快楽の限界突破が近かった。

 「う、うう。わ、私も」

 「市も、出す~~!」

 いつの間にか復帰した美空と市もアキラの手を持って、大きく開脚した中心にある自分の割れ目にどんどん出し入れして自慰をしていた。アキラの性太刀や腰、腕に手が涎の上に愛蜜がかかっていく。自分達の体液がかかるアキラの姿を見る四人の顔は、口を開けたままで涎をこぼすだらしないが淫猥な表情になっていく・・・そして、

 

 「「「「ううう、ああああああ!出るウウウウウ!」」」」

 

 絶頂に、快楽の頂点に、四人の意識が真っ白になり、割れ目から勢いよく愛蜜がアキラの体にかけられた。ただ、起こさないように顔だけにはかけないようにして・・・四人は満足そうに意識を失った。

 

 

 彼女らも満足して服を着たが・・・一つ問題があった。

 「ねえ、いつになったら起きるの?」

 「いくらなんでも遅いな」

 「ここまで乱れに乱れたわしらの姿を最後まで見なかったな」

 「・・・おかしいよね」

 アキラがまだ起きなかったのだ。満足してアキラに着いた自分達の体液を全部拭いて服を着せて、彼女らも服を着たがその間もずっと起きなかった。

 「桐琴お願い」

 「分かったのじゃ」

 『小波、皆にアキラの今の状態を伝えて、すぐに休めるよう準備させろ』

 『御意!』

 桐琴はアキラを背負い、一葉が句伝無量で小波に皆に伝えるよう指示した。美空と市はアキラの得物を持った。

 

 

 そして、拠点に戻ってきてすぐにアキラを寝かして、事情を(四対一の喧嘩は話したが、四人で意識のないアキラで乱れまくったことは伏せて)説明した。とりあえず、様子を見ることにした。

 「多分、今まで仕事もたくさんして、我達の奥もしてくれた。そのたまった疲れが気を失ったことで出てしまったのだと思う」

 「だから、このまま寝かせる」

 久遠と光璃の言葉に皆が頷いた。何しろ、皆たくさん愛をもらっているという思い当たる節があるからだ。その為、急きょアキラの静養日ということになった。この日の奥だった小波と双葉はちょっと残念ながらも、添い寝をしてアキラの温もりと匂いに包まれる喜びを持ちながら眠りについた。

 

 

 

 そんなアキラはいったいどんな夢を見ているのか?見始めた最初からに遡る。

 『ここは・・・どこでしょうか?』

 夢の中では大きな家の中で目を覚ました。体を起こすと自分は何も来ていない裸だった。

 『・・・まあ、いつもの事ですね』

 左右や自分の脚には、同じくオールヌードの詩乃・ひよ・ころ・梅・雫もいた。だが、毎日かわるがわる妻を抱いているアキラにとってはもはや見慣れた光景だ。とりあえず、詩乃を起こした。

 『あ、アキラ様。うふふ、とても素敵な快楽の大波に乗せていただきありがとうございます』

 『詩乃、聞いていいですか?』

 『どうしました?』

 『ちょっと寝ぼけてしまって、ここはどこです?』

 その質問にキョトンとする彼女。だが、すぐに呆れた顔で

 『・・・まあ、日の本のいろんなところに嫁がいますからね。分からなくなっても無理はないですね』

 そういった。

 『いろんなところ?』

 アキラの覚えている限り、まだ日の本では同盟は二割ほどのはず。しかし、詩乃はいろんなところといった。まるで半分以上はできているような言い方だ。

 『はい』

 その次の言葉にアキラは絶句した。

 

 『日の本全部を同盟に入れて、数多くの当主や武将を全員嫁にしたではありませんか』

 

 どうやら、この夢は先の未来を予想した夢のようだ。

 




 アキラが目を覚まさないのは久遠と光璃の言った通りです。まあ、嫁全員の相手だけでもしぶとい彼でも疲れますし。
 さあ、日の本の国を全部を同盟に入れた理想の未来の夢を見ているアキラ。その夢をアキラはどう思うのか!

 ついに次回のアキラで盲目のサムライ。本当に最後です!


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後日談・最終話
アキラ 続く、いばらの道 R-18


 お待たせしました。そして、今までありがとうございます!今回でついに、盲目のサムライが最終話です!書き始めて、いろいろやっていきついにここまで来ました!
 後日談から北条編を別に書いて、煩悩先生を中断して、別のを書いて・・・途中で修正するために一時止めて。本当にたくさんの事がありました。

 では、最後の話スタートです!・・・でも、最後がエロというのは終わり方としてはどうなんだ?


 前回の不意打ちで気を失っているアキラはまだ夢の中にいた。

 

 『何か、信じられないですね』

 

 全裸の詩乃やひよ達に抱きつかれながら五人に現状を確認した。説明を聞いた後状況をまとめると、どうやらここは各国の同盟が完成した世界の夢らしい。

 ここでは、久遠・美空・光璃達といった同盟のトップや壬月に麦穂や春日、更に覚えている限りの嫁達は一部を残して既に引退していて、彼女らとアキラの間に生まれた子供が国を治め守っているが、同盟が完成しても日の本を平和にするためにまだ残っている・隠れているかもしれない鬼を探しているとのことだ。

 『私と彼女達の間に子供・・・現実ならまだ信じられないですが、夢だから信じられますね』

 子どもという言葉に驚きながらも信じたアキラが目を覚ました場所・・・そこは一つの島だった。引退後アキラとずっと幸せに暮らしたい嫁達のために、邪魔が入らないよう佐渡に嫁達全員と転居した。佐渡は罪人の島流しする島として使われていたが、子供と一緒にいたら甘えさせてしまうかもしれないという考えから、離れてもすぐに戻れるにはちょうどいい距離がこの島だったので、そこをアキラと嫁達の愛の拠点にした。

 

 ただ、そんな状態でも現在進行形でアキラの嫁になる女が増えているのだ。女誑しは現役で引退した彼女達はここにいるが、アキラはまだ鬼が残っている可能性がある以上、自分の信念である鬼全滅を行うためにそれぞれの国に行っている。そこで戦う姿を見て惚れるなり、酔いの席で誑されて体を許すなり、あの偉大な背中を見てぞっこんになったりして嫁になりたい!と言う女が出てきているようだ。だけど、彼女らの気持ちはかつての自分達の気持ちと一緒でよくわかるので、

 

 『『『『『どうして、各国の当主だけでなく当主の妻や多くの武将や草。果ては尼さんまでをも妻にしてしまうのですか!』』』』』

 

 と不満は言うけど、その女性達をアキラの奥に入れるのをやめるのはできないらしい。

 

 

 話を戻し、目が覚めた五人のいる部屋を出ていった。

 『アキラ~、みんな集まったから来てって~』

 『わかりました』

 そこに、結菜がやってきて一緒に部屋を出た。

 『『『『『『おはようございます、旦那様!』』』』』』

 アキラと嫁のための佐渡に作られた屋敷に織田勢の嫁達がアキラに頭を下げていた。案内された部屋の柱には『織田』という表札がある。どうやら身分の差はこの屋敷では取り払っているのか、勢力ごとに部屋を分けているようだ。因みに『アキラ隊』だけは別であり、さっきいたのもアキラ隊の彼女達の部屋だ。

 勢力ごとに分けていることに関しては問題ではない。その皆が・・・

 『『『『『『今日もたくさん愛してね!』』』』』』

 全員裸なのだ。いや、一部は何かを着ている者もいるが、絆創膏のようなものを乳首や割れ目につけるや、ネグリジェなどほとんど裸に近いので装着しているだ。だが、恥ずかしがるようなことをせず全員がアキラに見られて嬉しそうだ。よく見ると、既に割れ目を濡らしている嫁が何人もいる。やっぱり同じように全裸にだった結菜に廊下を歩いているときに聞いたが、

 

 『私達はこの家では絶対に裸でいないとダメなの。まあ、本当は服を着てもいいけど・・・あなたになら見られて体も心も悦ぶから着る気はないでしょうね。着たとしても、あなたに襲われるための淫らなものを着るくらいでしょうし』

 

 体をアキラに押し付けて、少し欲情した顔で答えた。キスも求められて、軽くしたつもりが彼女の方から舌を入れられて濃厚かつ情熱的なキスになり、その場で彼女の足元に割れ目から愛蜜が零れた。

 更に、彼女ら妻がこの家で着ていい服も限定されていて愛妻服で売られている淫らの領域に入る服でないといけないと言うことになっている。結菜の言った通り、アキラを誘惑するためと無理やり襲われてもすぐに脱げるようにするためだ。

 『もはや、私の家と書いてヌード集合場所と読める感じになってますね・・・昔の狂が思いっきり喜びそうな光景ですよ』

 まるで四聖天時代の狂が大満足するような光景に、その彼女らの裸をしっかり自分の目に焼き付けた。

 『さあ、私達のこの愛蜜あふれるここに!あなたの刀を入れて!』

 結菜の言葉に全員でアキラを囲い、その愛蜜をあふれ出している割れ目をM字開脚で見せた。

 『アキラ、ん!あ、こら、雛!』

 『えへへ、あう!犬子・・・ちょっと』

 『いいじゃない。ちょ!和奏!』

 和奏は雛、雛は犬子、犬子は和奏。それぞれの割れ目に指を入れて、三人一緒に慰めている。アキラに見られている悦びで顔が既に蕩けており、彼女らの指が自分のではない愛蜜で濡れる。

 『は、早く、してくれ』

 『アキラ殿、あう、はうん。私、私・・・』

 壬月と麦穂は二人してネグリジェを着て、上目遣いで自分で割れ目と乳首をいじくって、自慰をしながら欲している顔をした。麦穂はともかく、壬月がここまで牝の顔を見せたことにアキラは涎を飲んだ。

 『ふふ、旦那様。わしらを早く悦ばせろ』

 『あう、はう、ううあああ!』

 『棟梁、いい姿。さあ、アキラ。私達を早く』

 桐琴と各務が小夜叉を責めている。胸を楽しそうにいじる桐琴に尻と割れ目を重点的に責める各務。襲ってくる快楽に喘いでいる桐琴と同じくらい背も胸も成長した小夜叉に、桐琴の元々大きかったおっぱいがさらに大きくなっている胸に、今まではなかった妖艶な空気を感じさせる各務にドキッとする。そして、

 

 『『アキラ・・・好きにして』』

 

 久遠と結菜のうるうるした目で、求めて差し出す手と二人も大きくなった♡のおっぱい当てを乳首につけている胸と濡らしている割れ目を見せて誘惑する。これが始まりだった。

 

 

 一刻後、彼女らとの濃厚で淫らな挨拶も終わり、更に詳しく聞いた。この世界はあの京での決着が終わってから、何と五十年も経っていることが分かり、アキラは驚いた。

 壬生の血を引く時人・庵樹・朱雀に、彼女らの血が入って壬生一族になったアキラなら話が分かる。だが、彼女らは人間のためそんなに生きるはずがない・・・生きれるにしても五十年前から姿が変わらないのはおかしい。おっぱいや体つきはアキラにたくさん愛され、弄ばれ、好きにされたおかげで、より女性らしく淫らで蠱惑的になった。まだ織田の皆しか見てないが、おそらくほかの皆も同じように淫靡な体になっているだろう。だが、老けないというのが疑問だ。

 その理由を聞くと、アキラの精液を皆の割れ目に何十回もそそがれて、口に出されたのを飲んで、体全部に浴びせられ、他にも汗や涎なども愛欲中に飲むうちに彼女らも同じようになったらしい。庵樹の推測だが、彼女の兄・伊庵は人間の嫁をもらったがごく普通の夫婦として愛し合っているので彼の妻は年を取っていったが、アキラと多くの嫁達は異常ともいえるくらいに濃厚に愛し合い、数多くの熱い愛情を注がれ、嫁全員がアキラに深い愛の強さを持っている。

 これが壬生一族の本来の慈愛の強い血に大きく反応して、それがアキラの精に影響を及ぼして、注がれ続けた彼女らも壬生一族に近い存在にした。との事だが、彼女も詳しくわかっていない。

 つまり、アキラの精をもらい続ければ久遠達もまた壬生一族と一緒の不老長寿になり、ずっと愛し続けることができると言うことだ。それこそ永遠とは言わないが、かなりの年月は女の魅力をどんどん増していく嫁達とアキラは愛欲の時間を過ごすことができると言うことだ。

 

 

 そんな説明に無理やり納得するしかなかったアキラは、次の『足利・浅井』の表札のある部屋に入った。

 『アキラ!来てくれたか!』

 『旦那様!』

 『ふふ、純粋にうれしいですな』

 『お兄ちゃん!雀もお姉ちゃんもうれしいです!』

 『・・・』『待っていたよ!と言ってます!』

 『兄様。私達、待ってました!』

 『お兄ちゃん、もって、もっと揉んで!』

 立派に作り直された二条館の中にすでにいて、双葉の部屋に行くと一葉・双葉・幽・雀・烏・真琴・市がいた。ここでアキラはすぐにある場所に目がいった。

 『(やはりここは夢なのですね。ひよと雛に小夜叉でしたが。ここでは双葉と雀に烏に市ですか)』

 この七人の共通点は現実では胸が小さいと言うことだ。だが、この五十年後の夢の世界では六人とも一葉と同じくらい大きくなっていた。実はころや詩乃に和奏もまた同じくらいの大きさのおっぱいになっていた・・・ただ、雫だけは現実と同じ大きさだったが、そこは突っ込まなかった。

 話を戻し、彼女らはさっきの久遠達みたいに全裸でいて、

 

 『『『『『『『今日もたくさん淫乱にしてください!』』』』』』』

 

 自分達の乳首が固くなった胸をアキラに見せて準備万端だった。現実の幽はそういうことはしないで、見て楽しむ女だがすっかり積極的に参加している。そして、その乳首を

 『では、いただきましょう(つんつんつん)』

 『『『『『『『あっは~~~ん♡♡♡!!』』』』』』』

 軽くつついた。それだけで彼女は軽く絶頂して、割れ目から愛蜜を出して床を濡らした。口からも涎を出しており、もっとされたい顔をしている。

 一葉の体は現実とあまり変わらないが雰囲気が白百合と同じ熟女が漂わせる淫乱なものになっており、双葉が何と姉を抜いて壬月と同じくらいの胸になっていて、姉妹共に裸エプロンをしていた。幽の胸は一葉と同じ大きさになり心なしか尻の方が大きくなっているように見える。この中、いや同盟の中でも子供な雀と烏だが身長は変わってないが胸が結菜くらいの大きさになっており、ロリ巨乳姉妹となって実においしそ・・・いや揉み応えのあるおっぱいを揺らしている。最後の真琴と市だが、市が真琴のスリーサイズに追いついていた。しかも、二人は絶頂した際にお互いの胸を半分つぶすくらい抱き合ったが、その抱き合いが誘惑しているように見える。この夫婦の仲の良さを知っている分、その姿がレズにも見えて涎が出そうだ。

 そんな彼女らが、その後のアキラのテクニックで欲望に溺れた顔はもはや性の奴隷の顔に見えた。

 

 

 次は『越後』の部屋。ツンデレなあの彼女が出迎えたが、

 『アキラ。わ、私達、もう、ダメなの』

 五十年もの間揉み続けたおかげで巨乳になった美空が、トレードマークのマントだけで後は全裸になっていた。その見えそうで見えない姿に欲情が湧く。

 『アキラさん~~、たっくさん、お願いするっす』

 『全部、好きにして』

 『三人の言う通りです・・・滅茶苦茶に、してください』

 自慢のおっぱいを持つ柘榴・松葉・秋子が、そのおっぱいでアキラの脚に擦り付けている。しかも、スリングショットで乳首と割れ目をぎりぎり見えないようにしている姿が悩ましくいやらしい。

 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 『こらこら貞子。無言で頬張るのはやめい』

 貞子は何も言わないでパイ〇リを始めながらアキラの性太刀にむしゃぶりつき、沙綾は後ろの尻を舐め始めた。空・名月・愛菜がいないことに疑問だったが、彼女らはこの夢では当主・空と家臣・名月、愛菜という国を治める立場のため、まだ引退してないのだ。だが、彼女らも越後でかなりアキラに愛されたので体つきは柘榴と同じくらいに成長したらしい。あと数年で引退してここに来て、同じ生活をする予定だそうだ。

 『アキラ、ほら・・・ここ』

 彼女らからのアピールの中、美空も負けじとマントをはずして自分の裸を見せた、ビッグ乳から腹にかけて

 

 「私はアキラの女」

 

 と体に書かれており、割れ目の部分には

 

 「アキラだけのもの」

 

 と矢印まで書かれていた。かつてのツンデレは完全になくなり、超デレになっていた。

 『たくさん、た~~くさん、私達をダメに、してね』

 『『『『お願いします!アキラ(様)!』』』』

 『頼むぞ。わしも、存分に侵されたいからのう!』

 美空の言葉に柘榴・松葉・秋子・貞子は満面の笑みを込めて言った。ただし、沙綾だけは現実と変わらない背と胸と性格で言った。

 

 

 次の『甲斐』の部屋では、

 『アキラ、食べて』

 『ど、どうぞで、やがる』

 『たくさんあるからね!』

 武田三姉妹、いや全員が床に寝転がっていた。そして、彼女らの体・・・おっぱいの部分には料理がある。織田・足利・浅井・長尾の彼女らを愛していたら、昼食の時間になっていたので、ここで妻全員の女体盛りをいただくと言うことらしい。

 『では、もらいますね(ぱく、もぐ)』

 『『『ひゃ、あ、ああああん!!』』』

 三人の乳首を隠すように置かれている米を順番に食べる。その際に、ついているご飯粒を舐めとるために、乳首も一緒に舐めた。やはりそれだけで彼女らも絶頂した。どうやら、割れ目の部分伊料理を置かなかったのは愛蜜でダメになるのを防ぐためであり、だらしなく漏らしているのが丸見えだ。

 『あ、アキラ、にゃ』

 『なあ、だ、旦にゃ~』

 『お、お願いにゃ!』

 『た、食べるのら!』

 今度は四天王が出てきた。五十年の間に兎々も誑したのか、四人ともおかずをそれぞれの乳首の上に置いているが、この四人は猫のコスプレをしている。猫耳をかぶって猫尻尾をア〇ルに入れてそれらしく見せている。女体盛りならぬ、にゃん体盛りだ。

 『こっちも忘れ、な、いでくれ』

 『うう、で、でも・・・嬉しい』

 一二三と湖衣の胸にも別のおかずが置かれていて、六人で半円状になるように寝転んでいる。六人の割れ目は既にさっきの光璃・夕霧・薫の姿を見て欲情したのか、愛蜜が出ている。湖衣に至っては、その量が多くほかの妻達より床を濡らしていた。

 『もちろん、全員の分。しっかり食べますので』

 背は伸びたが、胸は雫同様成長しなかった兎々のおかずを最初に食べた。

 『にょう、うにょおおおお!』

 『待っていてくださいね』

 その言葉に、五人が興奮した。光璃達もまだ足りないのか、同じようにおかずをおっぱいに置いて待った。どうやら、腹がいっぱいになっても出れなそうだ。

 

 

 そして、腹がいっぱいになり次に向かったのは『風呂』だ。さすがにここまでずっと妻達を抱き続けたので、疲労回復・・・とはいかない。何故なら、風呂の下にも表札がある。『特妻』と言う表札が。その表札の意味を知らないまま浴場に入ったアキラ。そこには

 『待っていたよ』

 『アキラ様。存分に愛してください』

 『ふふ、どうやら正解みたいだね』

 『ぐふふふ!体全てに快楽の寒気が来たぞ!』

 『わ、私は、私を・・・』

 時人・朱雀・庵樹・白百合・エーリカがいた。アキラが来るや否や、すぐに風呂に入れて全員で抱き着いておっぱいで体をこすって欲情していく。ただ、白百合はいの一番に性太刀に自慢の胸を挟めてフ〇ラを始めた。

 そんな状態で『特妻』とは何か?を訪ねると、どうやらどこの勢力にも属さない特別な立場の妻の事らしく本当はまだ何人かいるが、それぞれ国に戻っているようで今はこの五人だけらしい。

 『『『『『ちゅ、ぺろ、れろ、あむ』』』』』

 その説明が終わると、四人はアキラの体を舐め始めた。自分の手を割れ目に入れて自慰もしている。白百合も同じように自慰も一緒にフ〇ラをしている。

 『アキラ。出せ・・・いや、出してくれ。くれ、ほしい・・・欲しいのじゃ』

 その白百合が何と懇願してきた。欲望に忠実でその為なら桐琴と同じくらいやり方を曲げない彼女が、久遠達と同じくらい蕩けて上目遣いをしてきた。この行動にドキッとしたアキラ。

 『もちろん』

 『私達も』

 『いいよな』

 『が、我慢できなくて』

 同じ上目遣いをした彼女らは、のぼせる手前までアキラの体をむさぼりつくした。

 

 

 一応アキラは何もしないで彼女達の好きにさせたので、それなりに疲れが取れて別の部屋に行った。

 『アキラ様!』

 『『ご主人様!』』

 『やっと来たです!』

 『ああ、我慢したかいがありました』

 『やっぱりアキラは来てくれるの!』

 今度入った部屋は『松平・今川』の部屋だ。つまり、葵・悠季・綾那・歌夜・小波・鞠だ。

 『『早く、して!です(なの)』』

 やはり、綾那と鞠も女性らしく成長しており、女っぽさと魅惑な空気を出すおっぱいも出ていた。いつもアキラには自分が一番に抱き着く!という気持ちをここでも出しており、二人の乳首がアキラの顔についている。

 だが、この中で一番変貌したと言うなら

 『『ご主人様・・・早く、いかようにも』』

 小波とこのセリフを言っている悠季だろう。すっかり、二人ともアキラの牝という気持ちに目覚め、彼女は小波レベルの従順さになっている。しかも、二人とも首輪をつけてロープをアキラに持ってもらいたそうにうるんだ目で見る。最後に、

 『『ああ。アキラ様がいるだけで・・・い、いくううう!』』

 スタイルが結菜くらいになった葵と歌夜だ。これ以上ないくらいの淫らな雰囲気を出している。どうやら、視界にアキラが入るだけで絶頂するくらいに欲情しているようだ。二人ともアキラに襲われたくてたまらないのか、織田勢の様に自慰をしている姿を見せていた。しかも、この時代にあるのが疑問に思う・・・大人のあのバイ〇を使ってやっている。喘ぐ姿と声と飛び散る汗と愛液が淫猥な空気を濃くする。

 『お待たせしてすいませんでした。その分、たっぷり可愛がりますよ』

 そう言ってアキラは葵と歌夜の割れ目に刺さっていたバイ〇を取り、六人全員に思う存分やっていき、喘ぎ声を存分に出させた。

 

 

 そして、晩飯の時間。ここは妻達全員と食べる決まりになっている。もちろん、その時も妻達は全員全裸か淫乱な服装着のどちらかだ。ほとんどの妻がアキラのおかげで巨乳のため、すごい壮観な光景だ。雫や兎々・沙綾のような微乳もいるが、気にしない。いただきます!を言って食事を始める・・・が一つおかしいことがあった。

 『私の分が、ない?』

 アキラの前には食事の膳がないのだ。疑問に思っていると、

 『アキラ(ちゅ)『!』』

 久遠が口に料理を含んだまま、いきなりキスをした。そして、口移しをした。その際、舌の絡め愛をして濃厚な唾液もアキラの口に移動させた。思わず、巨乳となった久遠の胸を無意識に揉んだ。

 『ん、あん、ん・・・はあ』

 顔を真っ赤にして蕩けながらも口を離し、箸で別のおかずを掴み今度は自分で食べた。

 『ねえ、まだ?』

 『早く』

 美空と光璃が今度は口移しの準備をしていた。

 『(なるほど、そういう事ですか)』

 つまり、アキラの食事がないのは彼女らが自分のから口移しで食べさせるからいらない。ということだ。ちょっと周りを見ると、いつの間にかアキラを囲むように妻達が円になっていた。どうやら順番待ちらしいが、その彼女らのおっぱいが何十個も目の前にあるので、欲望もでる。何故なら、性太刀を今日はまだ彼女達の割れ目に入れてないのだ。

 

 実はこの屋敷では二つのルールを設けている。まず一つ目はアキラに逆らってはいけないこと。アキラからの要求はどんなものでも絶対に受け入れる事。そして二つ目が・・・この食事の時と寝る時以外で営みをしてはいけないだ。フ〇ラまでなら許すが、割れ目に差し込んで精液を流すところまではやってはいけないと言う決まりだ。何故かというと全員そろって愛することをこの夢のアキラが決めたから、とのことだ。だから、どんなに体を好きにされても性太刀は入れてなかった。だが、

 『アキラ・・・さあ、我達を』

 『立てなくなるくらい』

 『愛して』

 今からはどんなにやってもいい。しかも、アキラの性太刀は五十年後の未来の夢ということもあり、その間も増えていく妻達とたくさんやっていったおかげで今や絶倫レベルなのだ。懇願する彼女達に笑みをこぼし、

 

 『私を、満足させなさい・・・いいですね!』

 

 その言葉にこの場にいる妻全員に快感が走った。すると、彼女達は自分の胸を揉み始めた。

 『も、もちろん、あ、あ・・・じゃ!』

 『それに、ん!あ、い、いつも、ひゃう!私、た、ち、ううん!が』

 『満ぞ、あ!うん・・・はあ、く、してます、ふうん!から』

 『今日は、逆に、あ、ああ!』

 『私達いう!にゃ、う、アキラを』

 『思いっいいい!・・・きり、満足はあ、はあ、さ、させるから!』

 『『『『『『『覚悟しああ、あああ!・・・て、ね!』』』』』』』

 一葉・詩乃・秋子・市・春日・朱雀が快楽に耐えながら言い、皆も同じようにかろうじて快楽に負けずに頑張って脱力しても崩れないよう立っている。全員の割れ目から愛蜜が出てくる。おおよそは同じペースで流れるが、貞子や各務に朱雀や白百合は貪欲が表現しているかのように出る量が半端なかった。

 全員をそれぞれじっと見ていると気づいた・・・彼女らの乳首から白いものが出始めていることに。

 『ま、まさか・・・出そうというのですか!』

 この夢の世界では既に彼女らはアキラとの間の子供をもうけている。つまり、赤ん坊の時に自分達の乳をのませたということにもなる。彼女達はそれを

 

 『『『『『『『あああ、でるううう!あきゃあああああんんんん!!!!』』』』』』』

 

 アキラに飲ませようとするために、自分自身で快楽に身を任せて、絶頂に達した。何十人もの彼女らの乳首から噴き出た乳がアキラにかかった。こうなると誰がどの乳かわからなくなってしまう。なにしろ、アキラの頭から足まで全部彼女らの乳まみれになってしまったのだから。

 『『『『『『『はあ、はあ、あは・・・たっぷり、の、飲んで、ね♡♡』』』』』』』

 でも、快楽に染まってアキラを心底愛して輪廻転生生まれ変わっても、必ずまた夫婦に慣れると信じている彼女達はアキラに飲んでもらえれば満足なので、誰一人気にしなかった。

 誰の乳かわからないままとりあえず飲むアキラ。

 

 『皆、ありがとう・・・では、私も返さないといけませんね!』

 

 全身が乳まみれになったアキラは大きな声でお礼を言って、これ以上ない大きな性長太刀を出した。大波の如く飛びかかってきた皆を何度も絶頂に導き、快楽漬けにして、しまいにはどこからか出した首輪を蕩けている全員につけていき、大喜びした妻達を再び淫猥かつ卑猥な世界に導いていった。

 

 

 

 淫らかつ大乱交へと発展した食事も終わり、アキラは裸のまま庭に出た。

 『この夢はいったいどういうことだ?』

 今の自分の現状をようやく考えることができた。ずっと、妻達への愛と妻達からの想いにかかりっきりだったため、おかしいと気づいても時間がなかった。

 一人でこの屋敷を全部歩いてみた。各勢力の部屋は本当に全部あった。毛利・伊達・島津・北条など・・・だが、アキラの覚えている限り織田・長尾・武田・今川・足利・浅井・松平の七つが今の同盟の勢力だ。それが日の本銃が全部同盟に入ったなんて、いくら夢でもおかしすぎる。

 『誰が私にこの世界を見せたいのでしょうか?敵意はないみたいですし』

 もし、自分を陥れるのならもっと残酷な夢にするはず。だが、その逆で平和で久遠達妻達と毎日が愛欲に満ちて、更にそれが何十年も続けられるという夢だ。もし、普通の男ならずっと見続けて溺れたいと思える夢だ・・・でも、アキラにとっては

 『だが、こんなの邪魔です』

 夢はただの夢だ。早く現実に戻り、妻達と鬼を全滅するために戦わないといけない。

 『どんなに快楽がずっと続く夢でも、それが現実で起こせるかもしれなくても』

 それに、夢ではあるものがない・・・そのないものというのが、

 

 『過去・・・そう思い出がない。現実でないと、それが作れない』

 

 自分のここまで生きてきたまでの経歴、過去である。アキラはここまで苦しみをたくさんしてきた。その苦しみを乗り越えるために努力をたくさんしてきた。そして、愛する人をたくさん作り、彼女達とたくさん愛を通じ合った。どれもアキラの体についている傷と同じくらい覚えている大切なことだ。

 だが、夢ではそれがないからこそ、現実に戻らないといけないのだ。

 『このままずっと夢の世界にいれば、確かに幸せと思える時間を過ごせるかもしれない』

 『だが、所詮はただの空想の世界。自分の都合のいい世界なんて、くだらないにもほどがある』

 『何より・・・』

 アキラは自分の体を見た。その体には現実にはたくさんついていた傷が一つもなかった。この強さになるまでの努力・苦悩・痛み・辛さ・喜び・・・この無傷の体が、その全てがなかったことにされた気分がして

 

 『私が今まで歩んできたいばらの道。その道を歩いた証拠がないのが・・・腹立たしい!』

 

 怒りをあらわにした。アキラの手に愛刀・紫微垣が現れ、

 『消えなさい!』

 まっすぐ力いっぱい振り下ろした。すると、今までの景色が全部切られ、辺り一面が真っ暗になった。

 『私はまだ歩き続けないといけない。進むべきいばらの道を、それを中断するなんて言語道断!』

 『夢なんぞに現を抜かす暇など私にはない!早く現実に戻らないと』

 『・・・現実(そこ)には』

 アキラはその目印も光もない真っ暗な道を歩き出した。だが、その顔は不安や疑念などない笑顔だった。

 

 『ともにいばらの道を歩む妻達がいるのですから』

 

 どんどんと歩き続ける。だんだんその背中が小さくなった。すると

 『主・・・それでこそ我らの主です』

 『そんな主だからこそ、我らは最後まで共にいると決めたのです』

 さっきまでいたところにそんな声が聞こえた。小さな声でアキラには聞こえなかったが、その声には喜びがこもっていた。

 

 

 

 目を覚ましたアキラ。

 『・・・傷がある。やはり、これがないと私ではないですね』

 現実に戻ってきたことに少しほっとした。ただ一つ疑問なのは、

 『何で全裸なんです?いや、だからすぐに確認できたのですが』

 アキラは何も着ていなかった。だが、すぐにわかった。

 

 「「「「「「ZZZZ~~」」」」」」

 

 同じ全裸の妻達が部屋いっぱい・・・いや廊下にもいっぱいにいた。アキラの意識が戻らないのをいいことに脱がしたとわかる。ただ・・・アキラに淫らなことをした形跡はない。彼女らも裸の理由は、アキラの数多くの傷を見ているうちに、欲情して自慰をしているうちに熱くなって脱いだのだろう。その証拠に全員が自分や隣にいる妻達の乳首を抓ったり、割れ目に入れたままの指が愛蜜だらけになったりしていた。

 状況を理解したアキラは呆れもしたが、

 「・・・あの夢、現実になりそうですね」

 さっき見たあの半永久大ハーレム増強中ともいえる夢が現実にできるかもしれないことに笑みを浮かべた。その嫁達の中で自分の手を掴んで寝ている久遠に目がいった・・・ただその手が彼女の割れ目に入っているのは気のせいにしておいた。

 『久遠。あなたの天下布武の信念・・・それは天下ラブになりそうですね。だけど、それも悪くない』

 鬼殲滅を決めて、皆と共に日の本を平和にすると決めて、戦うことを決めたアキラの信念。その始まりは久遠が天下布武の言葉を出した時だ。その言葉を、自分を中心に寝ている裸の妻達を見て天下ラブと言い換えたアキラ。その言葉に笑みを浮かべた理由はただ一つ。

 

 『いばらの道を愛する妻達を歩く。これ以上ない、嬉しいことです』

 

 彼女達とずっと歩き続けるいばらの道。これからもたくさんの苦難という名のトゲが襲ってくるが、

 

 『行きましょう。あなたの・・・いえ、皆が望む未来に。そう、光り輝く先に』

 

 狂の背中を見るのをやめて、彼を抜かして見た自分の光り輝く新しい先への未来。そこへ彼女達と共に進めるのならかかってこい。そう思ったアキラだった。

 

 

 最後に、指を少し動かし久遠の割れ目を刺激させて、

 「あ、ん。ああ・・・あ」

 彼女を起こした。アキラが自分の裸を見ていることに恥ずかしそうになる前に、

 「!!」

 キスをして、指をもっと動かして快楽を与え続けた。久遠も一瞬抵抗したが、口と割れ目からくる電撃に逆らえなくなり身を委ねていった。その光景は、徐々に目を覚ます妻達も見て羨ましそうに、蕩けた顔でじ~~っと見てきている。だが、アキラは気にしない。

 

 「ふふ、いいでしょう。全員、相手しますよ」

 

 あの大乱交かつハーレムな夢を見たことはあながち無駄ではない。何故なら、妻達への愛を今以上に強くすることができ、これからもずっとともにいようという気持ちを更に大きくすることができた。

 

 『あの夢にどれだけ近づけるか、やってみましょう・・・それがあなた達の望みですよね』

 

 前後左右上下から襲ってくる妻達を笑顔で迎えるアキラ。彼と彼女達の先は、まだまだ終わらない・・・そう、光の先にある未来に着くまでは。

 

 

 

          盲目のサムライ・・・完全完結

 




 ついに終わりです。次は信念のサムライを頑張っていきます!ここで一つ連絡事項を追加します。
 話自体は完全にこれで終わりですが、今ちょっとずつですが再々修正をやっています。理由は、昔と今で見ると変えたいと思う部分も出てきたのと、以前はそれなりに自重していたエロもR-18になったことで開放的になったので、エロをもっと描写細かく書きたい!と思ったからです。

 もう一つ連絡あるのですが、そちらは活動報告に書こうと思います。

 では・・・・・・最後まで読んでいただき本当にありがとうございました!


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