妹に砲を向けられた時 (風月 雪桜)
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世界設定及び登場人物

登場人物のところはネタバレを含む可能性があるので、本編を読んでから読むことをオススメします


1997年12月、世界各国で商船や漁船、軍艦までもが行方不明になる事件が多発する

 

1998年1月、人類が深海棲艦を認識

各地の諸島陥落、シーレーン壊滅

 

1998年10月、本土強襲してきた艦隊を迎撃した日本海軍が謎の少女を深海棲艦との戦闘の後発見

のち、『艦娘』と名付けられる

 

1999年12月、日本海軍はカムラン半島、東部オリョール海、沖ノ島を解放

 

2000年4月、艦娘の艦隊が深海棲艦の艦隊の撃破に成功

 

2000年5月、艦娘用の鎮守府である横須賀鎮守府(後の横須賀第一鎮守府)が発足

 

2000年12月、舞鶴鎮守府、呉鎮守府、佐世保鎮守府が発足

 

2003年6月、初の外地の泊地(トラック泊地)が発足

 

2005年8月、民間人に『艦娘』の存在が公式に発表される

 

2011年4月、奏川 暦、駆逐艦吹雪が横須賀第一鎮守府に着任

 

2014年1月、艦娘が蜂起を起こし、軍人、民間人に攻撃を開始する

 

2015年5月、東京、大阪、名古屋、福岡陥落

非常事態宣言が発令

 

2016年10月、本州、四国、九州から全軍が撤退

 

2017年1月函館から撤退

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【横須賀第一鎮守府】

・奏川 暦(そうかわ こよみ)

両親が陸軍所属だったため陸軍に志願

ガ島に所属となり、激戦の毎日を送る

そんな中吹雪と出会い、横須賀第一鎮守府に転属となる

 

複数の艦娘と対等に渡り合える実力を持ち、艦娘への強い復讐心を持つ

吹雪を殺すことに躊躇う自分自身が許せない

 

・平山 信一(ひらやま のぶいち)

暦と同じ部隊で仲が良い

響とケッコンカッコカリをしていて、いつか本当の結婚をするのが夢だった

艦娘が蜂起してからは、実戦部隊として暦と共に艦娘に対し、激しい抵抗をし戦線を支えた

 

・狩山 彩(かりやま あや)

暦や平山と同じ部隊だった

戦闘はあまり得意でなく衛生兵の役割を担っていた

翔鶴と仲が良かった

 

・吹雪

何故か、暦をお兄ちゃんと呼んで慕っていた明るく真面目で優しさ溢れる特型駆逐艦の一番艦

睦月と夕立と仲が良く、変な所で不器用

 

暦と互角の実力を持ち、最強の駆逐艦の一人と言っても過言ではない

 

・睦月

明るく元気な睦月型駆逐艦の一番艦

吹雪と夕立と仲が良く、鎮守府の一般公開の時は三人で歌を歌っていたりしていた

 

・夕立

「~っぽい」が口癖の白露型駆逐艦の四番艦

おっちょこちょいだが、夜戦と白兵戦が得意

 

・響(ヴェル)

暁型駆逐艦二番艦で第六駆逐隊の古参の艦娘

平山とケッコンカッコカリをしていて、いつも指輪をしている

昔はよく笑っていたが、最近は人が変わったように冷酷になった

金剛とは同期で仲が良い

 

・金剛

金剛型戦艦の一番艦で、横須賀第一鎮守府所属の艦娘の指揮を行う

翔鶴とはよくペアを組み戦い、響とは同期

時に無謀な作戦を命じる非情な顔も持ち合わせる

 

・翔鶴

翔鶴型航空母艦の一番艦

金剛が横須賀第一鎮守府の提督とするならば、翔鶴は横須賀第一鎮守府の秘書的立ち位置

艦娘が反乱する前は金剛と翔鶴のペアで数多の深海棲艦を海の藻屑にした

 

【その他の鎮守府】

・長月

睦月型駆逐艦の八番艦で第二十二駆逐隊所属の艦娘

物静かで、人間を攻撃することに抵抗を感じているが、その事をバレないように周りと合わしている

 

・高雄

ラバウル基地所属の高雄型重巡洋艦の一番艦

ラバウル基地所属の艦娘の指揮を行う

 

【暦の分隊】

・神代 小波(じんだい こなみ)

ハキハキした印象を受ける、対艦娘分隊員

暦に憧れ、兵士に志願する

 

・信濃 五鈴(しなの ごすず)

暦と同じく艦娘に対し復讐心を持つ

復讐するため兵士に志願した

 

・横田 長州(よこた ながす)

家族を守るため兵士に志願した

内気な性格




ここは時たま更新したいと思います

酷いミスしていたので修正しました...3/20

登場人物に追加をしました...4/1

年表更新と登場人物を追加しました...4/25


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函館編
防衛戦


どうしても書きたくなってしまって...

こちらは、亀更新になるかと


息が白くなる程寒い中

俺は、海岸近くの林の中に息を潜めていた

 

双眼鏡で、海を見ると

異形の生き物...深海棲艦が蠢いている

 

その近くには、艦娘...かつて俺らと一緒に深海棲艦と戦った者達がいる

 

奴等が動きだし

砲をこちらに向け発砲する

俺が潜む林の近くの浜辺や飛行場に次々と着弾し爆発か生じる

無線を聞く限り友軍に被害はない

 

奴等の中で艦娘だけが、浜辺に上陸する

深海棲艦は上陸出来ないのだ

 

その瞬間浜辺に対して銃撃が開始され、艦娘達は浜辺に伏せる

 

艦娘は...20体

勝てない相手じゃないな

深海棲艦は、無視しても大丈夫だろう

俺らの任務は函館の民間人を逃がすまでの足止めらしいが、殲滅しよう

 

スナイパーライフル...64式7.62mm狙撃銃を構え...撃つ

一人の艦娘が仰け反り動かなくなる

 

接近戦担当班も突撃を開始し、タクティカルナイフやサバイバルナイフ、日本刀や軍用シャベルまで持って艦娘とCQCを繰り広げる

 

俺は、味方を撃たないように艦娘を狙撃する

ちなみに、普通の銃弾は艦娘や深海棲艦には効きにくい

友軍の持つ武器はすべて妖精さんと呼ばれる不思議な存在が作った対深海棲艦用の素材で作られた武器だ

 

5体狙撃した時、上空から嫌な音がした

 

深海棲艦と艦娘の艦載機だ

友軍も必死に銃を使い叩き落とすが、艦載機から落とされた爆弾で無線から悲鳴と怒号が流れる

さらに新たな艦娘の艦隊が出現する

その数50

 

『暦、撤退するぞ

函館の民間人も避難が完了している

直ちに合流ポイントに向かえ』

 

「ちっ

了解した」

 

武器をハンドガン...H&K USPに持ち替え、移動を開始しようとした時

 

浜辺の方から一人の艦娘が歩いてきた

そして、艦娘も俺の存在に気が付く

 

「お前か...吹雪

三年ぶりか」

 

「お兄ちゃん、覚えててくれて嬉しいです」

 

「ほざけ、俺はお前の兄貴じゃないし、お前にとって俺は殺す対象でしかないくせに」

 

吹雪は俺になんの感情も籠ってない目で見つめ、砲を向ける

 

「よく分かっているじゃないですか?

なら、大人しく私に殺されてください」

 

「俺がはい、分かりましたと言うわけないだろう!」

ハンドガンを向け、吹雪に撃つ

 

吹雪は、避けながら主砲を放つ

 

後ろで爆発が聞こえ、砂や石が降ってくる

俺は吹雪の顔に狙いを定めるも、撃つのを躊躇う

 

くそっ!

吹雪は、俺を人間を騙してたんだぞ

艦娘は敵だ

俺の...仲間の仇だ!!

 

「お兄ちゃんは、優しいから私を殺せないですよ

だから、早く投降して欲しいです」

 

「うるさい!

俺は、仲間の仇を取る!!」

 

俺は吹雪にハンドガンを放つが避けられ、接近戦に持ち込まれる

 

弾切れになったハンドガンを捨て、サバイバルナイフで斬りかかるが主砲で防がれ、腹をそのまま主砲で殴られる

 

俺は文字通り殴り飛ばされ、木にぶつかる

 

「くそが...

やっぱり、俺はCQC苦手だ」

 

内臓を傷めたのか、俺は血を吐く

吹雪が無表情で俺の元に来る

 

「早く殺せよ、吹雪」

 

「......」

 

俺は死を悟り目を閉じた




最後まで読んでくださりありがとうございます


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偽りの幸せ

想像以上に1話のUAが伸びていて驚きを隠せません

ただ、今後も期待に添えられるかとても心配です


日課のランニングを行う

鎮守府を20周し終わり、朝食を食べようと食堂に向かうとタオルを持った吹雪に会った

 

「お兄ちゃん!

ランニングで汗をかいたと思いますから、タオルで汗拭いてあげます!」

 

「だから、吹雪、俺はお前のお兄ちゃんじゃないって

ちょ、自分で拭けるから止めろ!」

 

汗を拭こうとする吹雪と押し止める俺

 

そんなことをしているとクスクス笑いながら、黒髪の女性が歩いてきた

 

「相変わらず仲がいいですね」

 

「赤城助けてくれ!」

 

「赤城先輩!

ちょっと、お兄ちゃんを押さえていてください

後で間宮さんのパフェ奢りますから!」

 

「あ、ちょ、吹雪狡いぞ!」

 

「パフェのために暦さんには、犠牲になって貰いましょう」キラキラ

 

「や、やめろぉ!」

 

その後、吹雪と赤城に挟撃されかけたが自力で脱出する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

射撃場でハンドガン...H&K USPやスナイパーライフル...64式7.62mm狙撃銃、M24、対物ライフルのバレット M82A1、ミニミ軽機関銃等色々な銃を訓練する

ちなみに今は、9mm拳銃を訓練している

 

訓練後、間宮の店に入りパフェを食べる

訓練の後の甘いものは最高だと思いつつ静かにパフェを堪能する

 

そんな俺をジッと見つめる吹雪

「なぁ、俺なんか見てて楽しいのか?」

 

「楽しいですよ♪」

 

「そうか...

ちなみに吹雪は、パフェ食べないのか?」

 

「えっと...赤城先輩に奢ってしまったから...」

 

「全く...

ほら、一口食べろよ」

 

「!

ありがとう、お兄ちゃん!

やっぱり、お兄ちゃんは優しいですね」

 

「あ!

こんな所に吹雪ちゃんいたっぽい~」

「相変わらずラブラブコンビにゃし!」

吹雪の友達...夕立と睦月だ

 

「いや、ラブラブコンビって俺ら付き合ってないんだが...」

 

「そんなお似合いカップルだなんて...///」

 

「そんなこと言ってないっぽい~」

「そんなこと言ってないよ~」

 

「えー」ショボーン

落ち込む吹雪を見て三人で吹き出す

 

「もう三人とも酷いよ!」

 

「ごめん、ごめん

吹雪が可愛くってさ」

そう言って吹雪の頭を撫でる

こうすると吹雪が大人しくなるからだ

 

「もう、仕方ないですね...お兄ちゃん...///」

幸せそうに撫でられる吹雪...不思議と俺も幸せな気持ちになる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......」

 

パンパン!

 

突然、発砲音が聞こえ目を開ける

 

吹雪が、右手を左手で押さえている

押さえている箇所からは、血が噴き出していてとても痛々しい

辺りの真っ白な雪が紅く染まる

 

「あ...

吹雪...大丈夫...か...」

俺は、吹雪に右手を伸ばす

後もう少しで届く所で、左手が掴まれ引っ張られる

 

「馬鹿!

暦何やってんだ!!

早く撤退するぞ」

9mm拳銃を吹雪に向けながら、平山が俺の手を引っ張る

 

「平山...でも...吹雪が...」

 

「吹雪は、敵だ!

しっかりしろ」

 

「そうだ...吹雪は敵...敵なんだ...」

俺は自身に言い聞かせるように呟く

 

悔しそうにこちらを睨む吹雪を見えなくなるまで睨み返した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんが遠ざかる

あと一歩まで来たのに

また、一からやり直し

 

「......」

 

私はお兄ちゃんの落とした拳銃やナイフを拾うと砂浜に引き返した




最後まで読んでくださりありがとうございます

基本、オリ主の暦視点で過去と現在を描いていきたいなと思っています
次回は戦闘描写ありの予定です
かなり、残酷な感じになるかもですが...


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吹雪の夢

凄く久しぶりの投稿になりました

戦闘シーンまではいきませんでしたので、グロシーンはないと思います!


俺はお気に入りの崖で水平線に隠れ始めた夕陽眺める

秋になると夕陽が綺麗で偶然この穴場を見つけた

それ以来天気が良ければ毎日来ている...このままだと皆勤賞だな

 

遠くには粉雪型駆逐艦と近くには訓練をする艦娘が見える

 

平和だなーとかぼんやり考える

 

半年前まで前線の島にいたから時々はぐれ駆逐艦が顔出す位の横須賀第一鎮守府は平和と感じてしまう

 

夕陽が中程まで隠れ、薄暗くなり始める

艦娘達も訓練を止め、寮に戻り始めた

 

さて、俺も帰るか...

 

「お兄...ちゃん?」

 

「ん...吹雪か...」

 

「こんな所で、夕陽見ていたんですね

通りで何処探しても見つからない訳です」

吹雪が隣に座る

 

「ここ、夕陽綺麗だからな

つい見来ちゃって

...ってあれ?吹雪いつもと服装が違うよね?」

 

吹雪はクスリと笑うと、

「私改二になったんです

どうですか?」

 

「いいんじゃないか?

大人っぽいし

でも改二って別人みたいになるって聞いていたけど吹雪はあまり変わらないね」

 

「残念でしたか?」

不安そうに訊く

 

「いや、安心したよ」

 

「そうですか...

良かったです♪」

 

夕陽は完全に隠れ辺りが真っ暗になる

代わりに鎮守府や奥に見える町が光り輝き、夕陽とはまた違う綺麗な景色が見える

 

「でも、吹雪

改二になるの早くないか?

同期の白露って子は、まだ改になったばかりと言っていたけど」

 

「実は先輩方に猛特訓してもらって...」

 

「全く...そんな強くなってどうするんだか...」

呆れたように呟く

 

「私夢があるんです

この戦いが終わって平和になったら、好きな人と一緒にのんびり日向ぼっこしたいんです...

だから...もっともっと強くなって人々を守るんです!」

暗闇でも分かるほど頬を赤く染めながら、吹雪は決意したことを言う

 

「なるほど...いい夢だな」

俺は吹雪が吹雪の好きになりそうな人と一緒に日向ぼっこをしているのを想像する

きっとそんな世界になるのには沢山の犠牲が必要だろう

だが、俺はそんな世界になればいいと心から思う

 

「所でお兄ちゃん

そんな格好だと寒くない?」

 

確かに夕陽が完全に落ちる前に鎮守府に戻ろうと思っていたからあまり着こまなかった

 

「まあ、確かに寒いが大丈──」

俺の首にふさふさもふもふした何かが優しく巻き付けられる

その時、吹雪からシャンプーのいい匂いがしてドキッとする

 

「このマフラーこの前お兄ちゃんと一緒に行ったショッピングモールで買ったんです

二人で巻けるんですよ♪」

俺の首に巻いてあるマフラーは長く吹雪の首にも巻いてある

 

「こういうのって恋人同士が巻くんじゃないのか?

吹雪の好きな人に嫌われちゃうよ?」

 

「大丈夫ですよ

私が好きな人は、優しいですから♪

きっと許してくれます!」

そう吹雪は微笑みながら断言した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガタン

 

「痛っ...」

 

「おっ、起きたか」

隣に座る平山が俺が起きたことに気がつく

どうやら、装甲車の中みたいだ

 

「なんで装甲車なんだ...

内蔵を痛めているから揺れると凄い痛いんだが...」

 

ヘリコプター(空飛ぶ棺桶)に乗ったり、艦娘と深海棲艦が跋扈する海をクルージングするより数倍ましだと思うぞ」

 

「...確かに...」

今や海と空は人類のものではない...

唯一残った陸さえも艦娘の存在によりほぼ喪ったが

 

「で、今何処に向かっているんだ?」

 

「ミーティングちゃんと聞いてなかったのかよ...

千歳基地だよ、現在保有する空軍戦力の半分が集まってるんだぜ」

何故かどや顔で言う平山

 

「確か...20機だったけ?

残存する戦闘機」

 

「40機だよ

二倍も違うぞ」

 

「......

で士気は?」

 

「やっぱり、艦娘が裏切ったというのは大きいんだろうな

本当はそんな甘えは許されないんだが」

 

「...そういう、お前も響と戦うことになったら戦えるのか?」

 

平山は左手の薬指に填めている何の装飾もないシルバーの指輪に目を落とす

 

「大丈夫だ

覚悟は出来てる...

ただ、昔みたいに名前呼ばれたら...ちょっと自信ないなぁ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中、俺はAK47を海に構える

洪水対策の土嚢を積み上げ、皆何かしらの武器を持っている

俺みたいに、闇市場やガンショップで銃を入手した者やロケットランチャーを持っている者もいると思えば、軍用スコップや鍬を持っている者もいる、全員軍の避難指示を無視し戦うことを誓った者達だ

 

闇夜の中、パッパッと沖の方が疎らに煌めく

 

「伏せろ!

敵の砲弾が飛んでくるぞ!」

 

積み上がった土嚢の近くに着弾すると、伏せていた人々を吹き飛ばし、建物に命中すると建物を瓦礫の山に変える

 

暫くすると砲弾が飛んでこなくなる

すると遠距離武器を持つ者達が海岸に武器を向け攻撃を開始した




最後まで読んで下さりありがとうございます

次回こそ戦闘シーンになると思います
ちなみに回想はないっぽいです


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絶望と破壊

今回は残酷な描写、アンチヘイト、コロコロ変わる視点等々が含まれております
苦手な方、食事中の方は読むのをお控えください

また艦娘を貶める意図はございません
これらを了承した方のみ本編へどうぞ!!


俺も銃を撃つ

 

敵も応戦し、機銃を放ち人間や塹壕をなぎ払う

 

曳光弾が闇夜を照らし死の幻想を見せる

 

「くそっ」

弾切れのため役に立たない塹壕に隠れリロードする

 

近くの奴が自前のロケットランチャーを放ち、歓声が湧く

 

殺ったのか、艦娘を!!

 

続けて、そいつは腰に付けていた手榴弾を投げつける...ことが出来なかった

 

そいつの頭が吹き飛び、脳漿をぶちまける

 

くそっ!

艦娘どもめ!

祖国を!故郷を荒らしやがって

何が『人間のために戦います!』だ!

何が『祖国を守れて嬉しい』だ!

 

お前らが...どんだけ期待されていたと思ってんだ

 

その時何故か妹の姿が思い浮かぶ

『私いつか艦娘になりたい!』

『なれる訳ないだろ

馬鹿みたいなこと言ってないで宿題しろ!ペシッ』

『痛い!

お兄ちゃんなんて嫌い!』

 

グシャと音とともに左腕に激痛が走る

 

塹壕を貫通し、機銃弾が左腕を吹き飛ばしたのだ

もう、銃を撃つことはおろか激痛で立つこともままならない

 

追い討ちをかけるかのように、近くに着弾した砲弾の破片が腹に突き刺さる

もはや痛みすら感じなくなった

 

辺りには味方の骸が積み重なり、艦娘がその山を乗り越え市街地へと侵入する

 

ああ...俺はこんな所で死ぬのか...

俺は辛うじて動く右手で家族の写る一枚の写真を取り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ながなが~

遅いよ、早く行こうよ!」

 

「ああ...

すぐ、行こう」

私は人間の死体を避けながら、市街地へ行こうとする

 

「ちょっと、そっちじゃなくてこっちだよ!」

 

私は水無月に引っ張られ、塹壕の方へ戻された

そこにも、無数の屍が転がっている

 

噎せかえりそうになるのをこらえ、皐月と文月のいる所まで来た

 

そこにも真っ赤な血溜まりがいくつもあるが、皐月と文月は一人の兵士の前にいた

 

兵士は左腕がなく、腹部に鉄の破片が刺さっていた

今すぐ治療しても助かるか分からない位の怪我だ

 

「......」

 

「どうしたの、ながなが?」

 

「なんでもない」

 

私にはどうしようもない

どうしようもないんだ

 

「私達を()()も沈めたくせに!

私達の苦しみを、知りなよ~」

 

文月は腹部に刺さっている破片を足で踏みつける

兵士は苦痛で顔を歪め、目には憎しみ色が濃くなる

 

「ながながもやろうよ!

ニンゲンが憎いんでしょ?」

 

「...ああ」

 

私はゆっくり兵士に近づき、踏みつける

文月や皐月、水無月にばれないように手加減しながら

 

「う......がぁ...げほぉ」

 

水無月も参加し、兵士が血を吐く

 

「実はボク、“いいもの”持っているんだ!

じゃーん!」

 

皐月が取り出したのは、人間の使う拳銃

それをおもむろに兵士に向け、発砲する

 

パァーン

 

「わっ!

結構反動大きいだね!」

 

「ズルい!

私もやりたいよぉ~」

 

「私もやりたい!

さっちんやふみちゃんばかりズルい」

 

「......」

 

皐月は何故か私に拳銃を渡す

 

「じゃあ...

はい、まず長月からでいいよ!」

 

「え...わ、分かった...」

 

皐月から拳銃を受け取る

凄く重く、冷たかった

 

私は拳銃を兵士の足に向ける

 

このまま撃てば、この射撃で死ぬ可能性は低いだろう

だが、兵士()はその分長く苦しむ事になる

 

...だったら、いっそ殺してしまった方が彼のためではないのか?

 

手が震える

 

...怖い...

 

何故か彼は驚くように目を見開いている

視界もぼやけて見える

 

泣いているのか...!?

ヤバい、皐月や文月、水無月にバレたら怪しまれる...

 

「長月どうしたの?」

 

「い、いや、なんでもない」

 

バレる前に狙いを定める

彼の頭に

 

後は引き金を引くだけ、覚悟を決めるだけ

 

彼が微かに微笑み口が動く

次の瞬間私は発砲し、反動でよろめく

 

彼は息絶えていた

 

「ちょ、ちょっと長月!

殺しちゃったらダメじゃん

ボクらも楽しみにしてたのに!」

 

「皐月お姉ちゃん、長月ちゃんを許してあげてよ~

それにニンゲンはまだ市街地にいるんだから、一人や二人我慢してよ!」

 

「仕方ない

じゃ、早く市街地にいこう」

 

「「「おー!」」」

 

掛け声と共に三人は市街地へ向かっていく

 

私は、彼に近づく

 

彼の右手を胸の上に乗せる、本当は左手を組み合わせたかったが、左手は吹き飛んでしまっている

 

その時、私は右手に何か握っているのに気が付く

それは彼と彼の家族と思われる写真だった

 

「長月~

早く、置いていっちゃうよ~」

 

「...すぐいく」

 

私は写真を手に取ると、手を合わせ皐月達に合流するため爆発音と発砲音が鳴り響く市街地へ足を踏み入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

函館の市街地を四人の少女は走る

所々、亡骸が転がっているが気にせず走る

普通、か弱い子羊のように怯えながら必死に逃げていると思うだろう

だが、少女達目を見れば分かる

か弱い獲物を何処までも追い詰める野獣のような目をしていることに

 

「暁...

金剛さんから命令だ...

この付近にいる()を掃討しろと...」

 

「了解よ

横須賀第一鎮守府、第六駆逐隊は掃討を開始する

雷、電はペアで行動しなさい

私とヴェルは単独で

何か危機に陥ったら独断専行せずに無線で教えること

何か他にあるかしら?」

 

「ないわ!」

「なのです」

「Нет проблем(問題ない)」

 

「なら、行動開始よ!」

 

雷と電は嬉々として建物の中へ入っていく

暁も違う建物に入る

 

響はポツンと一人で立っていたが暫くすると来た道を戻り、一つの家屋の敷地に入る

 

家屋に入ると地下へ続く階段がある

響は地下へ降り、躊躇いもなくドアを開ける

 

「......」

 

そこには数十名の子供や女性が隠れていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響は黒い制服だった物を着た何かを引きずり火の前まで運び火の中に投げ入れる

炎の光によって白く透き通るような髪は赤く染まっている

かなり苦戦したのか響の制服には返り血がべっとりと付き、左肩には刃物で斬られた傷がある

 

「あ、ヴェル!

無線繋がらなかったから心配したのよ?」

 

暁が響を見つけ、駆け寄る

 

「ごめん...

ちょっと、無線の調子が悪くて...」

 

「全く、まだ明石さんに見てもらってなかったの?

この前も突然繋がらなくなっちゃったんだから、ちゃんと調べて貰わなきゃ駄目じゃない!」

 

「...忙しかったんだ」

 

「まあいいわ

所で、なんでニンゲンの死体を燃やしているの?」

 

「金剛さんから疫病が発生する原因になるから燃やせ と命令されたんだ...

だからだよ...」

 

「ふーん

ならいいのよ」

 

そこに雷、電が合流する

 

「ここら辺のは粗方掃討したわ

戦い方も知らない民間人でつまらなかったわね」

 

返り血に染まった錨を持ちながらつまらなそうに報告する

 

「......じゃあ行こうか」

 

「ええ」

「そうね!」

「なのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「憧れあの人に、私近づけたってちょっと感じたい~」」

 

雪道を軽自動車がかなり危なっかしい運転で進んでいく

 

「大丈夫っぽい?」

 

軽自動車には二人のフードを被った少女と妖精さん達が呑気に歌を歌いながら雪景色を眺める

 

「お茶も、お風呂も、素敵な時間ね!

そーだよ、今夜は~お布団で話そぉ!」

 

「「そんな!ダメですぅ」」

 

二人は楽しそうに歌う

 

暫くすると、歌を歌いきり、運転していない方の少女が運転している少女に話しかける

 

「千歳基地まで後、どれくらいっぽい~?」

 

「まだまだ、だよ~

そもそも、ちゃんと作戦覚えてる?」

 

「大丈夫!

千歳基地に別動隊として潜入すればいいっぽい!!」

 

「間違いじゃないけど...」

 

運転している少女は、苦笑いする

 

「とにかく、これ以上犠牲を出さないように頑張らないとね!」




最後まで読んで下さりありがとうございます

投稿遅れて申し訳ありませんでした...
ながながのお話に苦労しまして(言い訳)

もうそろそろ中盤になりそうですね
思っていたほど長くなりそうになかったので

次の更新がいつになるか分かりませんが、のんびり待って頂けると幸いです!
後、質問等あったらいつでも受け付けています


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千歳基地編
到着


今日はエイプリルフールですね!

運営さんのツイッターを見た人は驚きましたか?
私は気が付かなくて返信みて気がつきました(笑)


装甲車に揺られること数時間千歳基地に到着する

 

道中いくつも町を通ったが、閑散としているか避難する人で溢れかえっているかのどちらかだった

 

「とりあえず、これからどうするんだ?」

 

「武器の整備とかじゃね

あ、お前は安静にしてろよ」

 

「つまり暇か...」

 

すると、おーい!と呼ぶ声と共にここにいるはずのない物が近づいてくる

 

俺は迷わず拳銃を出そうとしたが、拳銃とナイフは吹雪との闘いで落としてしまったことを思い出し、平山の持っていた拳銃を抜き取ろうとする

 

「おい!

ちょ、落ち着け」

 

「落ち着いていられるか!?

()()がこんな所にいるんだぞ!!」

 

当の本人はあたふたしている

 

「彼女は味方だ!

舞鶴第二鎮守府の明石は対艦娘用の装備を開発しているんだ」

 

「信用出来るかよ!

こいつが裏切らない証拠は!!」

 

「実際に装備開発をして実績をあげている」

 

「......」

 

「納得出来ないのは分かるが、彼女が味方というのは事実だ」

 

「分かったよ」

 

平山は明石に謝罪する

 

「済まない、同僚が失礼なことを」

 

「いつものことですから...

実際、艦娘のみんなが反乱を起こしたのは事実なんですし...

あ、一応自己紹介を!

工作艦明石です!」

 

「よろしく~」

 

「よろしく」

 

俺はぶっきらぼうに返事をする

 

納得出来ないが、慣れるしかない

 

彼女は門を通り、基地へと進んでいく

 

門では、黒いフード付きの服を着た少女二人が保護を求めているらしく基地へ入ろうとしていたが、門番に止められていた

フードを深く被っているため顔を伺うことは出来ない

 

そこに懐かしい人が現れる

 

「あ、お久し振り、彩」

 

「あ、こよみん!

ここに来てたんだ~」

 

「こよみんじゃねーよ

んで、彩は何しに来たんだよ」

 

はっ!と思い出したように、彩は言う

 

「そうだ!

今日は...えっと、下田くんと川橋くんだっけ?」

 

「そうですが...」

「はい!」

 

門番の二人が返事をする

 

「その子は基地に入れていいって

はい、これ」

 

片方の門番が書類を読む

 

「分かりました

では、中へどうぞ」

 

片方の少女がもう片方の少女に耳打ちして、耳打ちされた少女はクスリと笑うような仕草をしてお礼を言う

 

「ありがとうございます...」

 

...あれ?

この声どこかで...

 

函館...いや仙台か?

違う...もっと前、よく聞いた声だったと...

 

「こよみん~

この子達案内してくるね~」

 

彩が二人を連れて歩いていく

 

「ああ...」

 

「おーい

暦置いてくぞ!」

 

平山が格納庫らしき建物のドアの近くから俺を呼ぶ

 

「今行く!」

 

俺は平山の所に歩いていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

古参兵から新兵、戦艦娘から駆逐艦娘、が函館市中央図書館の会議室に集まる

 

「参加出来る娘は全員集まりました

金剛」

 

金剛の隣にいた翔鶴が報告する

会議室には咽び泣く艦娘が複数居て、隣にいる艦娘が慰めている

 

「...今回の戦いの報告ハ」

 

金剛の問いに答えるように、ヴェルが立ち上がる

 

「函館基地での戦いでは

おおよそだけど、艦娘二十人対二小隊つまり百人程度で戦い...

 

轟沈、駆逐艦五、軽巡一...

大破、駆逐艦四、軽巡一...

中破、駆逐艦四...

小破、駆逐艦五...

 

対して人間側は

戦死者四十三人...

負傷者不明...

 

艦娘側は六人...つまり、三割の損害を出し...

人間側は四十人程度...つまり、四割の損害を出したね...

だけど、函館の民間人は避難が完了したよ...」

 

後を続けるように金剛が話す

 

「戦術的には艦娘の勝利...ですが、戦略的には人間の勝利ってことデスネ?」

 

コクリとヴェルは頷く

 

「他にも、八雲町で深海棲艦の艦隊が航空機で避難民を攻撃して

民間人三十人、軍人十人程が戦死...」

 

次々と陸だけでなく海や空で起こった戦いの報告をしていく

 

「艦娘側は轟沈三十人

大破二十九人

中破五十人

小破多数

行方不明十人

 

人間側はおおよそ軍人三百人、民間人五万人が戦死だよ...」

 

辺りに重苦しい雰囲気が漂う

 

「報告、ありがとうございます

 

...私達は頑張りました

でも、犠牲を零にすることは絶対無理ということは分かりきったことでしょう」

 

翔鶴が悲しみにくれた艦娘達に叱咤激励する

 

「悲しみ、泣くことは悪いこととは思いません

ですが、今は戦う時です

これ犠牲を出さないよう全力で戦わなければなりません!」

 

全員が翔鶴を見る

数人の艦娘は覚悟を決めたように目に光が灯る

 

翔鶴が席に座り代わりに、高雄が立ち上がり発言する

 

「そろそろ本題に入りましょう

舞鶴第二鎮守府所属、明石の()()について」




最後まで読んで下さりありがとうございます!

登場人物の所も更新したので気になる人は是非!


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平和な時間1

束の間の平和...
二、三回に分けて、人間と艦娘それぞれどんなことをしているか
そして、何故艦娘が反乱したのかを書いていきたいと思います


「あ、お兄ちゃん、待ちました?」

 

「全然、待ってないから大丈夫」

 

確かにちょっと待ち合わせ時間過ぎているが、気にするほどじゃない

 

「よかったです!

あ、今日は何処に行きますか?」

 

憲兵詰所に吹雪は外出許可書を出しに行くと、俺に尋ねてくる

 

「別に俺は行きたい所とかないし、吹雪が行きたい所でいいよ」

 

「ええ...

いつも私の行きたい所じゃ、お兄ちゃんつまらなくないですか?」

 

「大丈夫だよ

心配すんなって」

 

「でも...」

 

「しゃーないな

じゃあ、俺の行きたい場所が一つあるからそこに行こう

それでいいな?」

 

苦笑いしながら、俺は吹雪の頭に手を置く

 

「は、はい...///」

 

詰所の奴等が横槍をいれてくる

 

「このリア充め

早く恋人になっちゃえよ!」

 

「俺と吹雪はそんなんじゃないですよ」

 

「全く...

お前だっていい年なんだからそろそろ家庭をな?」

 

「そういう先輩こそ家庭をって話でしょ

 

じゃ、そろそろ行きますね?」

 

吹雪も恥ずかしいのか、俯いてしまっている

俺はそんな吹雪の肩を軽く掴む

 

「まずはいつものデパートだよね?」

 

「...は、はい!」

 

ハッと我に帰った吹雪を軽く押して、出発する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々な場所を巡った後、俺が行きたい場所に来る

 

「...ここですか?

お兄ちゃんが来たかった場所って...」

 

「ああ、ここでお茶しよう」

 

「ふふ、お兄ちゃんがネコ好きだったなんて意外です」

 

クスクスわらう吹雪...こういう反応されるんじゃないかと思って連れてくるの嫌だったんだよ!

 

「早く入りましょう!」

 

吹雪は目を輝かせながらネコカフェのドアを開け、中に入ろうとする

俺も後を追って店内に入った

 

席につくと、吹雪はネコ達のいる所に行ってしまった

平日の昼間ということもあり、俺達以外に客はいない

俺は店員に紅茶を頼むと、ネコとじゃれあう吹雪を眺める

吹雪はネコの喉元を撫で、ネコは気持ち良さそうに喉を鳴らす

 

その様子を見て他のネコ達が吹雪の周りに集まってくる

終いには、膝の上だけでなく肩や頭の上にもネコが登り始める

 

「お、お兄ちゃん、助けて!(涙目)」

 

「あはは、吹雪はいい娘だから、ネコ達もそれを感じ取って集まってるんだよ」

 

「で、でも、いくらなんでも集まり──

ひゃん!

そんな所...

 

そんなっ、駄目ですぅ!?」

 

ネコ達に好かれ過ぎて大変なことになっている吹雪を助けるため、俺は二匹のネコを抱き抱える

 

「大丈夫か?」

 

「だ、大丈夫です...

ありがとう、お兄ちゃん」

 

顔を真っ赤にして吹雪は返事をする

その時、手にざらざらしたものが触れる

片方の白いネコが俺の手を舐めている

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にゃー

 

俺はネコの鳴き声で目を覚ます

まだ外は暗く、騒がしさもない

基地に来てから...いや、吹雪と再開してから、何度も吹雪の夢を見る

きっと俺が心のどこかで未だに吹雪が戻ってくる、そう思っているからだ

 

その時、夢と同じようなざらざらした感触がまた手にある

 

「お前だったのか、雪」

 

俺は手を舐める雪と名付けたネコをもう片方の手で撫でる

 

基地の外をランニングしていたら、こいつが雪の上で凍えていた

右前足に怪我をしていたのでほっとけず、保護したのだ

 

幸い、艦娘共や深海悽艦共の侵攻は数ヶ月間起こってない

こいつが回復するまではこの基地にいるだろう

 

俺はこいつの意図を汲み取り、餌を皿に出す

雪はガツガツと一心不乱に食べている

 

コンコン

 

「どうぞ」

 

「おっはよー

こよみん!」

 

「朝っぱらから元気だな...

俺はお前が凄いと思うよ(ある意味)」

 

「元気ないね?

どうかしたの?」

 

「なんでもねぇよ

で、用事は?」

 

彩は用事は?って訊かないと無駄話をずっと続けるからな

 

「えっと、こよみんの健康調査と平山くんからの伝言だね

 

じゃあ、まず健康調査から一応内臓損傷は治ったみたいだけど

他に何か異変はない?」

 

俺は彩に身体面や精神面での調査をされる

 

「最後に、吹雪と再会してから異変はない?

例えば、吹雪の夢を──」

 

「みてない」

 

「え、あ、うん...」

 

「これで終わりか?」

 

「うん...

あ、伝言は『朝飯食ったら、工廠に来い』って」

 

「了解」

 

俺は食堂に行くため部屋を出た

 

 

 

「暦くん...やっぱり、吹雪ちゃんの事気にして...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、こんな所に呼び出して何の用だよ」

 

「おお、やっと来たか

こいつらの紹介だよ」

 

平山以外に三人の男女がいる

全員緊張しているようだ

 

「俺は暦、奏川 暦だ」

 

「は、話には聞いています!

私は神代 小波です!

階級は1等陸士です!」

 

「俺は信濃 五鈴です

階級は2等陸士です」

 

「横田 長州でしゅ...です

階級は同じく2等陸士です」

 

一人が舌を噛んだのか、顔を真っ赤にしている

 

「こいつらは新兵だが、全員実力は確かだ

お前の指導があれば、十分戦力になれるはずだ」

 

「まさか、俺にこいつらの分隊長になれって言うんじゃ...」

 

「察しがいいな

そのまさかだ」

 

「はぁ...

じゃあ、前線は当分お預けか

そんな感じはしてたんだけどなぁ」

 

「今回の命令は提督からだからな、諦めろ」

 

「大将からの命令なら仕方ない...」

 

あの人には借りがあるしな

 

「ま、提督はもう元帥だけどな

んじゃ、よろしくな~」

 

平山は書類を俺に渡し、工廠から出ていく

 

「おう!

じゃ、とりあえずお前らの実力を確かめさせてくれ」




最後まで読んでくださりありがとうございます

最近スマホの調子が悪くて辛いです...
たまにいきなり再起動になって書いている物が消えたりするので新しいのに替えようと思います


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平和な時間2

なんか超久しぶりの投稿で今までの話の記憶に残っている人はいないはず…居ないですよね?

まあ、2年ぶりくらいの投稿なので文章の雰囲気が途中から変わってたり、キャラがブレてたりしそうで怖い…


駆逐艦吹雪は自室で1人、拳銃やナイフを眺めていた

 

1匹の猫が頬を吹雪の足に優しく擦り付ける

吹雪はちょっとくすぐったそうにすると、拳銃とナイフを仕舞い猫を抱き抱え、床に座って猫を撫でる

 

コンコン、ガチャ

 

「おはようございます」

「おはよう、吹雪お姉ちゃん」

 

入ってきたのは初霜も白雪で、2人ともマフラーにブレザーを着ている

 

「初霜さん、白雪ちゃんおはよう!

朝ご飯だよね?

行こっか!」

 

吹雪は猫を抱え立ち上がると、マフラーだけ首に巻き付けて部屋を出る

 

「吹雪さん!

この花はどこで摘んできたのですか?」

 

初霜は吹雪の部屋にある黄色いスイセンを見ながら尋ねる

 

「…近くにある花屋さんから取ってきたんです!

まだ、枯れてないと思いますし取ってきたら?」

 

「そうします!

ありがとう」

 

「どういたしまして!」

 

「吹雪お姉ちゃん、ドア鍵掛けておきますね」

 

「白雪ちゃん、ありがとう!」

 

吹雪達は雑談をしながら、間宮の運用するお店に着く

元はチェーン店だったらしく、特徴的なマークが目に付く

 

「「「間宮さんおはようございます!」」」

 

「おはようございます

注文は何にします?」

 

「うーん…

私はサンドイッチでお願いします」

 

「私もサンドイッチにします」

 

吹雪は暫く考えてから、いつもの和朝食にする

 

三人が談笑していると、1人の艦娘が近づいてくる

 

「おはよう、初霜、白雪…」

 

「あ、おはようございます、長月さん」

 

「おはようございます」

 

長月は吹雪に気がつき、自己紹介する

 

「…私は呉第二鎮守府所属の長月だ…

よろしく頼む…」

 

「よろしくお願いいたします!

私は横須賀第一鎮守府所属の吹雪です!」

 

「あの噂の…

あ、隣の席いいか?」

 

「大丈夫ですよ、長月ちゃん!」

 

「遠慮なく…」

 

「長月ちゃんは、どこ所属なの?」

 

「私は、第22駆逐隊所属だったんだが、その駆逐隊が壊滅して今はどこにも所属してないんだ…」

 

「そっか…大変だったね…」

 

「白雪と初霜とは、東京と仙台でお世話になったんだ…」

 

「それ以来よく一緒にご飯を食べているんです

今日は私服を持ってないそうなので、一緒に選ぶんですよ」

 

白雪が楽しみそうに吹雪に返事する

 

「吹雪さんも一緒に来ませんか?

大勢の方が楽しいですし!」

 

「参加したいけど、私今日任務あるから難しいですね

ごめんね、初霜ちゃん…」

 

「任務なら仕方なありませんね…

今度非番の日に一緒に行きましょう!」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初霜達と別れた後、吹雪は海に面した訓練所に向かう

海では艦娘達が砲撃訓練や発艦の訓練をしている

吹雪はその様子を一瞥すると訓練所の近くで待っていた四人の駆逐艦娘に話しかける

 

「おはよう!

待たせてごめんね…」

 

「おはよ、吹雪教官!」

「おはようございます」

「おはようございます

大して待ってはないから問題ないわ」

「おはようございます…」

 

陽炎、不知火、霞、霰の四人が元気に返事をする

吹雪は全員が元気そうなことを確認すると、訓練所に入り準備を整える

吹雪が戻って来る時には艦娘達は基礎訓練を始めており、吹雪は終わるのを見計らって声をかける

 

「訓練お疲れ様!

ちょっと休憩したら、予定通り実戦訓練しよっか!」

 

人の実戦訓練とは違い、艦娘の実戦訓練とは実際に対艦娘用のナイフや銃を使い負傷すること前提にした訓練なためより本格的な訓練となっている

 

4人の艦娘は2人ずつのバディに分かれ、お互いの艤装をチェックすると吹雪に準備が出来たことを伝える

吹雪は頷くと帯びていたナイフを抜き取り、戦闘態勢を取る

陽炎が相方に目配せすると、陽炎はナイフ片手に吹雪に切りかかる

そのナイフ捌きは無駄なく洗練されており、躱されても一撃ニ撃三撃と休む暇なく吹雪を切りつけるが、慣れたように躱していく

激しい攻防が一区切りつきお互いが離れた瞬間、不知火が構えていたP-90をフルオートで射撃する

吹雪はとっさに回避しつつ後退し、障害物に隠れやり過ごす

銃撃が終わるとすかさず陽炎の猛攻が始まり、吹雪に休まる時間を与えさせない

 

(想定していたよりも、連携が取れてます…

ですが…)

 

僅かな隙を吹雪は見逃さない

 

「…っ!?」

 

足を払われた陽炎は体勢を崩す、吹雪は容赦なく腹を切り裂く

 

「か、陽炎!?」

 

P-90で援護しようとする不知火を左手で取り出したM&P9を乱射することで牽制しつつ不知火の懐に入り込む

P-90を捨て素手で対応しようとするも、吹雪のナイフ捌きは最早芸術と呼べるレベルで完全に避けきれず服はさけ、切り傷が作られていく

 

(やはり、陽炎と比べて不知火はCQCに慣れてません…)

 

そして遂に不知火の首にナイフが突きつけられ、轟沈判定が下る

直ぐに吹雪は陽炎がいた所を見たが、未だ陽炎は立つことが出来てなくナイフを首に突きつけ轟沈判定が下り訓練は終了した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞、霰との訓練も終わり、一息つく

そこに1人の艦娘が話しかけてくる

 

「ヘーイ、ブッキー!

訓練はどうでしたカ?」

 

「あ、金剛さん!

訓練は順調でしたが…

まだ2対1では彼には勝てそうはないです…」

 

「ウーム…

作戦日を延長するべきでショウカ…?」

 

「私も参加しますし、4対1なら間違いなく勝てます!

だから延長する必要はありません!」

 

私は必死に金剛に訴える

 

「……わかったネ!

 

予定通り2週間後に作戦を開始することをあの子達に伝えてくだサイ!」

 

「了解しました!」

 

私は敬礼して金剛を見送る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に作戦日前日

移動は少しでも敵の目をくぐり抜けるために夜間に行わられることとなった

 

ナイフを腰に帯び、9mm拳銃をホルスターに入れる

 

最後に洗面台で顔を洗い目を覚ます

 

「よしっ!」

 

宿舎を出ると既に装甲車が待機していた

私は後部ドアを開け、車に乗り込んだ




最後まで読んで頂きありがとうございます!

昨日は吹雪の轟沈した日だったのですが、知っていましたか?
唐突にそれを思い出して無性に小説また書きたくなってしまったのです…
次はいつやる気が起きるのか正直分かりませんが期待せず待っていただければ幸いです…


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