リボーンの特典を得た男が間違って白兎に憑依した!? (□□さん)
しおりを挟む

プロローグ

どうも、□□さんです。

この度はこの作品を読んで頂きありがとうございます!!

読者の皆様が気分転換に気楽に読んでいただけたら幸いでございます。


確か俺は自分の部屋でREBORN全巻とアニメ全話見終わって寝たハズだった、なのにこんな真っ白い空間にいるのだろうか?

 

そう考え込んでいると、後ろの方から声をかけられた。

 

「申し訳ございませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

俺にそう言って土下座してくるのは金髪青目のイケメンで、その第一声が謝罪という奇妙な会話始まりだった。

 

っていうか、イケメンが土下座している姿って見ていて最高にイイネ!

 

そう思っていると、男が顔を上げてこう言ってくる。

 

「・・・・君、落ち着いて聞いてほしい。君はもう死んでしまっているんだ。」

 

・・・・・・Why?

 

イケメンの活きなり俺死亡宣言に唖然としまった。

 

「えっ、それってどゆこと?俺ってば召されちゃった訳!?」

 

俺は気が動転してしまい、訳の分からないことを口走ってしまっている。

 

すると、イケメンがこう言ってくる。

 

「落ち着いて下さい、君が死んでしまった事によって都合が悪いのは我々も同じなのです。」

 

イケメンの言葉を聞いて俺は疑問を投げかける。

 

「我々もってどういう事だよ?」

 

俺がそう言うと、イケメンはこう言って来る。

 

「実は本来あなたは死ぬ存在ではないのです。所が、神の部下である天使があなたの人生を示す書類をシュレッダーに掛けて細かくしてしまったのでそれで死にました。」

 

「ちょっと待てコラ、それじゃ何か俺はシュレッダーで死んだってのか‼」

 

俺は男の話を聞いてブチ切れ、胸ぐらを掴みながらそう言った。

 

「そうなんですけど、安心してください。」

 

男は胸ぐらを掴まれたまま、俺にそう言って来るが安心などできない。

 

「安心なんて出来る訳ねぇだろうがよ、ふざけんじゃねぇぞ‼」

 

俺は頭に血を上らせながらそう言った。

 

「怒りはごもっとも。ですから、あなたには転生をしてもらおうと思います。」

 

転生、その言葉を聞いた俺は掴んでいた胸ぐらを離した。

 

「転生ってどういう事だよ。」

 

転生と言う言葉を聞いて少し冷静になった俺は落ち着いた口調でそう言うと、男はこう言って来る。

 

「簡単に言えばあなたへの罪滅ぼしです。」

 

それを聞いて俺は顔をしかめながらこう言った。

 

「罪滅ぼしで転生させてやるから機嫌を直せって言うのかよ、ふざけんじゃねぇぞ。」

 

「いえ、そんなつもりは毛頭ありません。ですが、さっきも言ったようにあなたの死は我々にとって都合が悪い、と。」

 

「そうだった、その俺が死んだから不都合なことってなんだよ。」

 

男が言っている不都合な事とは何なのかを聞く。

 

「それはあなたが生きていた世界はいずれある疫病が蔓延する事になるのですが、それをあなたが救うハズだったのです。それが不運にも交通事故によって潰えてしまった。」

 

ですから、と言葉を続ける。

 

「あなたには転生をしていただきたいのです。」

 

真剣な顔をしながらそう言って来る男に対して俺はこう言った。

 

「分かったよ、転生してやる。だが、俺の望む特典とやらは付けてくれるんだろうな?」

 

俺の言葉に対して男は無言のまま首を縦に振る。

 

男の行動を肯定と見た俺は要求する特典について話した。

 

俺が求めた特典

 

1.全ての死ぬ気の炎(量はチェッカーフェイスの50倍で炎圧は5000万FV)

 

2.『ボンゴレの血(ブラッド・オブ・ボンゴレ)

 

3.超直感と六道輪廻

 

4.時雨蒼燕流とスクアーロと幻騎士の剣技

 

5.全てのボンゴレギア、時雨金時、ダイナマイト(無限)、XANXUSの二挺拳銃、電気傘(パラボラ)

 

6.XANXUSが使用していた特殊弾(無限)

 

7.リング(真ボンゴレリング、新ヴァリアーリング、覚醒を果たしたシモンリング、気配(セーニョ)のヘルリング、(マロッキョ)のヘルリング、残像骨(オッサ・インプレッショーネ)のヘルリング)

 

8.匣兵器(ボンゴレ匣、ヴァリアー匣、アニマル匣、恐竜匣、その他の匣兵器)

 

9.ボンゴレ・ヴァリアー・ミルフィオーレ・復讐者(ヴィンディチェ)・アルコバレーノ・シモン全員の戦闘能力

 

10.六道骸×クローム髑髏×フラン×マーモン×(デイモン)・スペード並の幻術が使える。

 

それを黙って聞いていた男は口を開いた。

 

「これらの特典ですね、わかりました。」

 

男はそう言って俺の頭に手を置き、呪文らしきものを唱えていく。

 

すると、俺の身体が光り始める。

 

それに対して呪文を唱え終えた男が俺にこう説明してくる。

 

「実はあなたに特典を与えました、その影響で身体が発光しているのです。」

 

それを聞いた俺は急に光り始めた身体の理由を聞いて納得をした後にこう言った。

 

「そうか、だったらREBORNの世界に転生させてくれよ。」

 

だが、俺の言葉に対して男はこう言ってきた。

 

「残念ながら転生する世界についてはくじ引きにて決めて頂くしかないのです。」

 

それを聞いた俺は舌打ちをしながらも男の出したくじ引きの棒を一本引き抜いた。

 

その棒に書かれた世界の名前は「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」だった。

 

それを見た男はこう言ってきた。

 

「転生する世界を確認しました、転生を開始します。」

 

その言葉を言った瞬間、俺の足元に魔方陣らしきものが出現し、俺の体が沈み始めた。

 

「では、新しい世界にてその力を振るって下さい。ついでと言ってはなんですが、その世界の情報も付け加えさせていただきました。」

 

魔法陣に沈んでいく俺に対して男はにこやかな顔でそう言った。

 

「けっ、もう二度とその部下がヘマしねぇようにしておけよ。」

 

「はい、肝に銘じておきます。」

 

悪態をつく俺に対して男は頭を下げながらそう言ってくる。

 

そうして、俺は魔方陣に完全に沈みきると意識を失った。

 

 

 

 

 

 

「ヤバッ、転生魔法陣が憑依魔法陣になってる!?ま、大丈夫ですよね、主人公(・・・)に憑依しても…。」

 

そう言って呟く男は口を三日月のように開き、ニタリと笑みをこぼしていた。




感想・指摘をお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

冒険者登録、ヘスティア・ファミリア入団

今回はタイトル通りです。




俺は魔方陣によって転生することが出来た、いやこれについては憑依と言うべきなのだろう。

 

何故なら俺はこの世界の主人公である『ベル・クラネル』になってしまっているからだ。

 

「どういうことだ、あの野郎は転生とかって言ってたハズだよなぁ…。それがなんで憑依になってんだぁ‼」

 

俺は人気のない路地で今の状況について叫んだ。

 

叫んだ後、冷静になった俺は自分の格好を確認していく。

 

その格好はベル・クラネルがオラリオでファミリアを探していたころの姿と同じだった。

 

「つまり、俺はオラリオに着いたばかりのベル・クラネルに憑依したって事か。」

 

確認を終えると、俺はポケットに入れていた手紙を取り出して読み始めた。

 

手紙の差出人は俺を憑依させた男だ。

 

{どうも、主人公に憑依した気分はいかがですか?

まぁ、悪いようになる事もないですよね。

特典についてなんですが…。

死ぬ気の炎はあなたが使用したい属性を選択すると、その属性の波動に変わります。複数の炎を同時に使う事も出来ます。憤怒の炎と夜の炎はリングが無しでも使用できます。

リング・匣兵器・ボンゴレギア・武器各種は魔法によって別空間に管理されているので好きな時に取り出せますし、盗難の心配はありません。万が一、盗まれたとしても居場所を知らせる機能が付いています。

ですが、この魔法を使用するにはどこかのファミリアに所属しなければなりません。改宗(コンバージョン)する際にも恩恵(ファルナ)が切れているときは使用できません。

超直感と六道輪廻とボンゴレの血(ブラッド・オブ・ボンゴレ)は既に発現していますが、六道輪廻は能力を使わない時は普通の眼に見えます。

戦闘能力と剣技と幻術の力量も既に適応させていますのでご安心を。

では、新たな人生を楽しんでください。

PS.転生じゃなくて憑依になってのは私が魔法陣を間違ったからです。ごめんね☆}

 

手紙を読み終えると、俺はこう呟いた。

 

「最後の方の文面がウゼェ。」

 

そう呟きながら俺は手紙を憤怒の炎で一瞬にして燃えカスにし、ため息を吐いた。

 

「とりあえずはギルドに行くとするか。」

 

そう言って俺はオラリオの中にへと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルドに着くと、俺は早速冒険者登録をするために受付にへと向かった。

 

「すまない、冒険者登録をしに来たんだが…。」

 

俺がそう言うと、受付の女性がこう言って来る。

 

「冒険者登録ですね、分かりました。では、こちらの登録用紙に名前・年齢などをお書き願います。」

 

そう言って女性は一枚の紙を取り出し、俺は紙を欄を埋めていった。

 

俺はその女性の顔には見覚えがあった、名前はエイナ・チュール、ギルドに所属するハーフエルフでありベル・クラネルのアドバイザーだ。

 

全て書き終えると、その紙をエイナに渡した。

 

「ベル・クラネル氏ですね、これで登録を完了とさせていただきます。新規の冒険者登録をされた方には簡単な講義を受けていただきますのでしばらくあちらの待合室にてお待ちください。」

 

「分かった、えっとあんたは…。」

 

俺はエイナの言葉に同意をし、情報で知ってはいても実際は初対面なため名前を聞こうとする。

 

「これは失礼をしました、私はエイナ・チュールと申します。これから君の専属アドバイザーを務めさせていただきます。」

 

「そうか、これからよろしく頼むエイナ。」

 

エイナの自己紹介の後、俺はそう言った。

 

「これからよろしくね、ベル君。」

 

この後、冒険者登録を終えて講義も終えた俺は『神の恩恵(ファルナ)』を得るためにヘスティアのいるじゃが丸くん売り場にへと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

エイナSIDE

 

私の名前はエイナ・チュール、ギルドの受付兼アドバイザーをしております。

 

今日は新しく冒険者登録に来た男の子がいました、容姿が白髪赤目で兎を彷彿させるとても冒険者に向いていなさそうな大人しそうな子でした。

 

名前はベル・クラネル、彼と話をしてみても冒険者には向いていないと感じましたが…。

 

でも、不思議と不安になりませんでした。

 

こんな事は初めてだったけど、講義ではアドバイザーとして強く念を押していた。

 

"冒険者は冒険をしてはいけない"

 

この言葉の意味は安全第一の意味を込めて冒険者に伝えている事を講義の最後にベル君にも伝えた。

 

それじゃ意味がないな、と言ってくる彼の言葉が軽く聞こえてしまった。

 

講義を終えたベル君はギルドを出て、自分の所属するファミリアを探しに行った。

 

ベル君、無茶しちゃダメだよ。

 

 

 

 

俺はじゃが丸くん売り場に行くと、そこには漆黒の髪に青い目をした女神がいた。

 

女神の名前はヘスティア、情報によるとベル・クラネルの所属するヘスティア・ファミリア主神である。

 

「いらっしゃいませー、どれにしますか?」

 

俺が店の前に行くと、客と思い声をかけてくる。

 

「…神様だよな?」

 

俺がそう言うと、ヘスティア様がこう言ってくる。

 

「うん、僕はヘスティア、君の言う通り女神だよ。」

 

「俺をあなたのファミリアに加えてほしい。」

 

俺の言葉を聞いて、ヘスティア様は目を見開きながらこう言って来る。

 

「ほ、本当かい⁉」

 

「あぁ、本当だ。」

 

俺に確認をとると、ヘスティア様は両手を上げて喜んでいる。

 

「じ、じゃあバイトが終わるまで待ってもらえるかい?」

 

「良いぜ、【ファミリア】に入れてくれるならいくらでも待つぜ。」

 

あれから一時間後、俺とヘスティアは様とある書店に入っていく。

 

店内には老齢のヒューマンがいて、ヘスティア様は二階の書庫を借りるというと老人は同意をする。

 

どうやら、ここの店主とは顔馴染のようだ。

 

書庫に入ると、ヘスティア様がこう言ってくる。

 

「さぁ、服を脱いでここに座ってくれ。」

 

「分かった。」

 

ヘスティア様の言葉に俺は素直に従って上着を脱いだ。

 

「それじゃあ、これから君に僕の『恩恵』を刻むよ‼」

 

ヘスティア様はそう言って嬉しそうな声音で『神の恩恵(ファルナ)』を刻んでいく。

 

「ベル君はどうして冒険者にどうしてなりたいと思ったんだい?」

 

その最中にヘスティア様が俺が冒険者になりたい理由を問いかけてくる。

 

俺は転生するはずだったのに憑依をしてしまったが、ベル・クラネルの目的を自分の意志でこう言った。

 

「俺は運命の出会いって言うのを求めてやってきたんだ。」

 

俺がそう言うと、ヘスティア様はこう言ってくる。

 

「出会いって…、そんな事の為に君は冒険者になるのかい?」

 

「出会いは偉大なんだぜ、男の浪漫なんだからな。俺を育ててくれたおじいちゃんも『ハーレムは至高』だと言ってたし。」

 

「それ、君は育て親を間違えてるよ。」

 

そう話しているうちに、ヘスティア様は俺の背中に『神の恩恵(ファルナ)』を刻み終えた。

 

神聖文字(ヒエログリフ)】の羅列が思わせるは一冊の本。

 

その本が綴るのは死ぬ気の炎を宿した異端の少年の物語、【眷属の物語(ファミリア・ミィス)

 

「さぁ、ベル君、ここからボク達の【ファミリア】の始まりだ‼」

 

「おう‼」




感想・指摘をお待ちしております。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

真実の告白とステイタス登録

今回は午前中での投稿です。
徹夜で執筆していたら出来上がったので投稿しました。


「な、なんだいこれはー⁉」

 

俺の【ステイタス】を見たヘスティア様はいきなり大声を上げて叫んだ。

 

「どうしたんだ、ヘスティア様?」

 

俺が声をかけると、ヘスティア様はこう言ってくる。

 

「君の【ステイタス】なんだけど、見てくれ。」

 

ヘスティア様はそう言って用意していた用紙に俺の【ステイタス】を共通語(コイネー)に訳したものを見せてくれる。

 

ベル・クラネル

level9

力:A896 耐久:B753 器用:A889 敏捷:S1039 魔力:A827

剣士A 耐異常F 拳打E 魔防F 覚悟S 超直感S

《魔法》

死炎の空間(モルテ・フィアンマ・スパッジオ)

・空間魔法

・リング、匣兵器、ボンゴレギア、武器各種を保管・使用できる。

・他にもヴァリスや魔石、ドロップアイテムも保管出来る。

・入れた時点で時間が固定されるため、腐敗などの心配もない。

・詠唱式『開け 死炎の門 彼の求めるものは愛する者を守護し、あらゆる悪を破壊し、希望を照らす者の想いを汲み力を与えよ』

《スキル》

憧景一途(リアリス・フレーゼ)

・早熟する

・懸想が続く限り効果持続

・懸想の丈により効果向上

死ぬ気の炎(モリレ・サラ・フィアンマ)

・大空七属性、大地七属性、憤怒、夜の炎をすべて純度100%で発動できる。

・使用する炎は選択可能・複合可能

・覚悟の強さで死ぬ気の零地点突破、初代(ファースト)・エディション、死ぬ気の到達点に至る事が出来る。

六道輪廻(ろくどうりんね)

・一の道:地獄道…相手に幻を見せ、永遠の悪夢により精神を破壊する

・二の道:餓鬼道…他人の技術を奪う

・三の道:畜生道…相手を死に至らしめるモンスターの召喚

・四の道:修羅道…眼から闘気(オーラ)を出し格闘スキルの強化

・五の道:人間道…身体に黒い闘気を帯び格闘スキルの超強化

・六の道:天界道…相手を精神支配(マインドコントロール)

 

なんだコレ…?

 

自分自身が見てもこの【ステイタス】は異常とも思えるだろう。

 

本来【ステイタス】の始まりはlevel1のはずなのに、俺の最初のlevelが9と言うのは異常としか言いようがない。

 

これも特典の影響なのだろう、それが【ステイタス】にも出ている。

 

そう思いながら見ていると、ヘスティア様がこう言ってくる。

 

「ベル君、君のステイタスなんだけどこれはどういう事なんだい?」

 

怪訝な顔をしながら聞いてくるヘスティア様に対して俺は真実を話すことにした。

 

「ヘスティア様、実は…。」

 

俺は全てを話した。

 

それを聞いたヘスティア様は口を開き、こう言ってくる。

 

「君が何者であろうともボクにとっては最初に出会えた最高の眷属(こども)だよ。」

 

そう言って向けてくれる微笑みに俺は感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。

 

「ヘスティア様、俺頑張ります‼」

 

俺はそう言った後、ギルドに申請をするために書店を出ていく。

 

書店に残ったヘスティアは自分の眷属となった少年を見守りながらこう呟いた。

 

「頑張ってね、ベル君。」

 

その声音と瞳は穏やかで子供の旅立ちを見守る母親のようであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルドに着くと、俺は真っ先にエイナの元にへと向かった。

 

「エイナ、ファミリアに入ったから登録を頼む。」

 

俺がそう言うと、エイナは笑顔でこう言ってくる。

 

「それじゃあ、所属するファミリアの名前を書いて。」

 

そう言われて出された紙に俺は【ヘスティア・ファミリア】と書いた。

 

「【ヘスティア・ファミリア】…、聞いた事のないファミリアだね。」

 

「さっき出来たばかりだからな。」

 

エイナの疑問に俺はそう言った。

 

「そうなんだ。それじゃあ【ステイタス】は…。何よこれー‼」

 

エイナはついさっき更新したばかりの俺の【ステイタス】(levelのみ)を記録した紙に目を向けて声を荒げた。

 

やっぱり、俺の【ステイタス】を見ればこうなるよな…。

 

「ベ、ベベベベベベベル君、この【ステイタス】本当なの⁉」

 

動揺を隠しきれずに声を上ずらせてそう言ってくるエイナに対して俺はこう言った。

 

本当(マジ)だ、俺のステイタスはその紙に記載されている通りだ。」

 

「…。」

 

「お、おい、エイナ⁉」

 

俺が【ステイタス】での問いかけにはっきりと言い切ると、エイナは白目をむいて微動だにしなくなった。

 

数時間後、エイナが意識を取り戻して俺にこう言ってくる。

 

「ベル君、昇格(ランクアップ)をした冒険者にはその理由を提示してもらう必要があるの。だから、この紙に書いてちょうだい。」

 

「分かった。」

 

エイナが持ってきた紙に成し遂げた偉業を書いていき、書き終わるとエイナに渡した。

 

「『人間の限界を超える修行をしていたから』に『恩恵無しでモンスターを倒していたから』って…。普通は出来ることじゃないんだよ…。」

 

そう言いながら俺に視線を向けてくるエイナの眼は疲れ切っていた。

 

「すまないな、迷惑をかけてしまって。今度、何かお礼をさせてくれ。」

 

「うん、今回はそれでいいよ。」

 

俺は謝罪をすると共にお詫びをするという約束を取り付けた。

 

そんなやり取りを終えると、俺は立ち上がりながらこう言った。

 

「それじゃあ、俺はこれからダンジョンに潜ろうと思っているからもう行くぜ。」

 

俺がそう言うと、エイナはこう言ってくる。

 

「ちょっと待って、ベル君武器も防具も持たないでどうやってダンジョンに潜るつもりなの⁉」

 

そう言ってくるエイナに対して俺は手をヒラヒラと振りながらこう言った。

 

「まさか、今から本拠(ホーム)に戻ってから行くんだよ。」

 

「そうだよね、良かった。君の場合、levelが高いからこのまま行くって言いそうだから。」

 

「流石に俺でもそれはねぇよ。」

 

そう話した後、俺はギルドを出るとそこにはヘスティア様が立っていた。

 

「ベル君が飛び出して行っちゃうから、本拠(ホーム)の場所を伝えそこなったから知らないと思って迎えに来たんだよ。」

 

「そうだったのか、申し訳ない。」

 

ヘスティア様の言葉に俺は頭を下げてそう言った。

 

「じゃあ、ベル君行こうか、僕らのホームに!」

 

「おう‼」




感想・指摘お待ちしてます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ミノタウロスと剣姫との出会い

今回の話は短めです。
アイズの口調ってこれで合ってますか?


オラリオの北西と西に挟まれたところにある廃教会の隠し部屋、そこが俺達ヘスティア・ファミリアの本拠(ホーム)である。

 

「ごめんねベル君、本拠がこんな所で…。」

 

ヘスティア様はそう言いながら顔を俯かせるのに対して俺はこう言った。

 

「そんな事ねぇよ、それにここからのし上がっていく方が面白れぇじゃねぇか!!」

 

俺の言葉を聞いたヘスティア様は笑顔になってこう言ってくる。

 

「そうだね、ベル君。これから頑張って行こうじゃないか!!」

 

「おう!!」

 

 

 

 

 

あの後、俺はヘスティア様と分かれてダンジョンに来ていた。

 

正直に言って、上層と呼ばれる階層のモンスターは弱すぎる。

 

有幻覚で出来たナイフの一撃で倒せてしまうのだから。

 

退屈な気持ちを抑え込みながら魔石を『死炎の空間(モルテ・フィアンマ・スパッジオ)』の中にへと放り込んだ後、俺は五階層にへと降りて行った。

 

五階層に降りて最初に思ったことはモンスターが少なすぎるということだ。

 

その原因は俺の目の前に現れた、それはミノタウロスだ。

 

本来、中層にいるはずのミノタウロスが何故この上層にいるのかは男の寄越した情報によって把握している。

 

遠征の帰り道、ロキ・ファミリアの前にミノタウロス大群が現れた。

 

だが、ロキ・ファミリアの冒険者には中層のモンスターは雑魚に等しい。

 

そんな戦力を本能で判断したのか、ミノタウロスの大群は一斉に逃げ出した。

 

モンスターの逃走に不意を突かれたロキ・ファミリアは急いで追いかけるも、ミノタウロスは散り散りに逃げていく。

 

しかも、最悪なことにミノタウロスは上の階層にへと登って行ってしまう。

 

それを追いかけるロキ・ファミリアも散り散りとなって討伐していく。

 

そんな時、ベル・クラネルはダンジョンの五階層にへと潜っていた為上がってきたミノタウロスと遭遇をし、襲われる。

 

そこをロキ・ファミリア幹部であり当時level5の『剣姫(けんき)』アイズ・ヴァレンシュタインに助けられ、憧憬を抱いた。

 

そう思いながら俺は詠唱を唱えた。

 

『開け 死炎の門 彼の求めるものは愛する者を守護し、あらゆる悪を破壊し、希望を照らす者の想いを汲み力を与えよ』

 

死炎の空間(モルテ・フィアンマ・スパッジオ)

 

ミノタウロスを視界に捉えながら『死炎の空間』から特殊弾が装填されたXANXUSの二挺拳銃を取り出し、銃口を向けた。

 

「散れ、カス。」

 

そう言いながら引き金を引き、銃口から憤怒の炎を圧縮させた特殊弾が放たれた。

 

その弾はミノタウロスに命中した瞬間、上半身が消し飛んだ。

 

ミノタウロスが死んだと判断した俺は魔石を回収しようとするが、上半身ごと魔石を消し飛ばしたため回収は叶わなかった。

 

俺はそれを見て溜息を吐きながら進もうとしたとき…。

 

「ねぇ、さっきのどうやったの?」

 

俺に声をかけてくる奴がいた。

 

その声の方向に目を向けると、そこにはアイズ・ヴァレンシュタインがいた。

 

 

 

 

 

 

アイズSIDE

 

私の名前はアイズ・ヴァレンシュタイン、ロキ・ファミリアの一員です。

 

私達は遠征から帰る途中、ミノタウロスの大群に遭遇したの。

 

でも、ミノタウロスくらいなら苦労することなく倒せる。

 

そんな時だった、仲間が一体目のミノタウロスを倒した瞬間他のミノタウロス達が逃げ出した。

 

「おい、テメェらモンスターだろ!?」

 

私以外の皆もその行動に驚いてたけど、すぐに意識を取り戻してミノタウロスを追いかけた。

 

ミノタウロス達は散り散りとなってダンジョンの中を移動をしていく、中には上の階層に行くミノタウロスもいた。

 

私達は確実に葬っていき、最後の一体と思われるミノタウロスに一撃を放とうとした瞬間強烈な何かを感じて後ろに飛んだ。

 

その後、一直線に伸びてきた橙色の光線がミノタウロスの上半身を魔石ごと消し飛ばしてしまった。

 

それを見た私はあれを会得できたら更なる高みに昇れる気がした。

 

そう思い、私は彼に声をかけた。

 

「ねぇ、さっきのどうやったの?」

 

純白の雪のように白い髪に紅石(ルビー)のように赤い眼をしている彼に…。

 

 




感想・指摘をお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

狼人と有象無象の処刑

一度、第五話投稿したのですが私作者の勝手な都合に削除したこと誠に申し訳ございませんでした。

ですので、修正を加えた第五話を投稿させていただきます。

本当に申し訳ございません。


「お前、誰だ?」

 

初めて会う事になっているアイズ・ヴァレンシュタインにそう言うと、こう言ってきた。

 

「私はアイズ・ヴァレンシュタイン、君の名前はなんていうの?」

 

「俺の名前はベル・クラネルだ。」

 

そう、と言って互いに口を閉ざしてしまう。

 

すると、そこへ灰色の髪に琥珀色の眼をした狼人(ウェアウルフ)の男がやってきた。

 

「アイズ、ミノタウロスを始末したんならさっさと戻るぞ!!」

 

そう言ってくる狼人の名前はベート・ローガ、【ロキ・ファミリア】の幹部でありlevel5の第一級冒険者、二つ名は【凶狼(ヴァナルガンド)

 

「ベートさん。」

 

そう言いながらアイズはベートの方に振り向くと、俺の姿がベートの目に留まる。

 

「ん、おいアイズ、なんだその雑魚は?」

 

そう言ってくるベートに対して俺はこう言った。

 

「るせぇぞ、カス牛を上層まで逃がした奴に雑魚呼ばわりされる覚えはねぇ。」

 

俺の言葉に呆気にとられるも早々に意識を取り戻し、ベートがこう言ってくる。

 

「おい、今なんつったテメェ…!!」

 

その言葉は低くドスの効いた声だが、恐怖など抱く事もなかった。

 

「聞こえてなかったのか。しょうがねぇからもう一度言ってやる、テメェらが油断しているからカス牛が上層までやって来たんだろうが。」

 

俺がその言葉を言い切った瞬間、長い脚が俺の横顔にへと飛んできた。

 

「ベートさん!?」

 

アイズがベートの行動に驚きの声を上げる。

 

が、俺はそれを片手で受け止める。

 

「「!!?」」

 

目の前で起こったことにベートとアイスが目を見開いている。

 

それもそうだろう、冒険者の中でもlevel5といえばオラリオが誇るトップクラスの実力者、その実力者の蹴りを片手で防げるなど同等、それ以上の実力者だけしかいない。

 

「テメェ、いったい何モンだ?」

 

先ほどよりも冷静になったベートはそう問いかけてくる。

 

それに対して俺はこう言った。

 

「今日オラリオに来たばかりの新米の冒険者だ。」

 

それを聞いた二人は目を見開き、こう言ってくる。

 

「level1の奴が俺の蹴りが止められるわけがねぇだろうが!!」

 

「どうやってベートさんの蹴りを止めたの?」

 

ベートは怒りが入り混じった声で、アイズは純粋な疑問の声でそう言ってくる。

 

「簡単な話だ、俺がそいつより上だってことだ。」

 

俺はベートを指さしながらそう言い切った。

 

それに対してベートはこう言ってくる。

 

「だったら、テメェのレベルはいくらなんだよ。」

 

そう言って睨み付けてくるベートとじっと見つめてくるアイズに向かって自分の今のlevelを答えた。

 

「俺のlevelは9だ。」

 

そう言うと、二人は目をギョッとさせながらこう言ってくる。

 

「ありえねぇ、テメェ何をしてそんなにも上がりやがった…。」

 

「どうやったらそんなに早く強くなれるの?」

 

そう言ってくる二人に対して俺はこう言った。

 

「それくらいテメェで考えたらどうだ?じゃあな。」

 

俺は二人に背を向けてきた道を戻り、ダンジョンの外にへと出るのであった。

 

 

 

 

アイズside

 

私は驚きを隠せなかった、ベルが私よりも強さの高みにいることに。

 

どうしたらベルの様に強くなれるの?

 

「それくらいテメェで考えたらどうだ?じゃあな。」

 

知りたい、どうしても…。

 

そう思いながらベルを引き留めようと歩き出そうとした時、ベートさんが肩を掴んでこう言ってくる。

 

「今は遠征の帰りだ、フィン達と合流するぞ。」

 

その言葉に対して私は反論できずにベートさんと共にファミリアの仲間と合流するために移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョンから出ると、俺は換金所に向かう事にした。

 

摩天楼施設(バベル)の換金所に着くと、そこでは換金所のスタッフとどこかのファミリアの冒険者が口論になっていた。

 

確か、そのファミリアってリリルカ・アーデって小人族(パルゥム)の女の子が所属していたファミリアだったっけ。

 

そう考えながら俺は空いている換金所の窓口に行き、換金を頼む。

 

数十分後、俺の持ってきた量の魔石に見合った金が置かれ、それを受け取ると換金所のスタッフがこう言ってくる。

 

「今度から上級冒険者が使う換金窓口で換金してくれ、でないと君の持ってくる量はこっちでは捌き切れない。」

 

その言葉に俺は苦笑をしながら分かりました、と言って換金所から出ていくのだった。

 

俺はバベルを出て人気の無い路地に入っていく、理由は俺の事を追ってきている連中がいるからだ。

 

路地を進んでいくと、丁度いい具合に暴れられる広場的な場所に出た俺はこう言った。

 

「さっさと出て来いよ、バベルからついてきてるのは分かってんだ。」

 

俺が声を荒げながらそう言うと、周囲の物陰から数十人の男が現れた。

 

「へへっ、俺達に気付いてるとは中々感が鋭いじゃねぇか、坊主。」

 

そう言ってくるのはでっぷりと太った男(デブカス)、それに対して俺はこう言った。

 

「るせぇ、カスが。」

 

俺はそう言った瞬間、詠唱に入った。

 

『開け 死炎の門 彼の求めるものは愛する者を守護し、あらゆる悪を破壊し、希望を照らす者の想いを汲み力を与えよ』

 

死炎の空間(モルテ・フィアンマ・スパッジオ)

 

魔法の詠唱に入った俺の姿を見て、男共は慌てだす。

 

「落ち着け、恐らくあの魔法の類は自分の強化するだけだ。」

 

が、デブカスは落ち着いた声でこう言って男共を冷静さを取り戻させる。

 

やはりカスだな、俺の魔法はそんなチャチなもんじゃねぇ。

 

「そうだったのか、驚かせやがって…。クソガキが!!」

 

冷静になった男の一人が剣を片手に俺に襲い掛かってくるが、剣が俺の身体に触れることはない。

 

何故なら、その剣を持った男は石化したからだ。

 

目の前で起こったことにデブカスを含む男共はどよめいた。

 

「どうしたカス共、さっきまでの威勢はどうした?」

 

俺はデブカス共に向かってそう言うと、デブカス共の顔は恐怖の感情に支配された顔になっていた。

 

「フン、所詮は数に頼っているだけのカス共か。」

 

俺は嘲笑を含んだ言葉を吐き、隣にいる生物にこう告げた。

 

「ベスター、このカス共をカッ消せ。」

 

そう、さっきの男を石化させたのはこのベスターである。

 

俺は『死炎の空間』から大空の新ヴァリアーリングを取り出し、ベスターを呼び出したのだ。

 

俺の命令にベスターは唸り声を上げながら俺の前に立ち、咆哮をカス共に向かって放つ。

 

天空の咆哮(ルッジート・ディ・チェーリ)

 

ベスターの咆哮を受けたカス共は全員石化をしたのち、粉々に砕け散り砂と化した。

 

「俺に盾突くからそうなんだよ、カス共。」

 

そう言い残した後、俺は本拠(ホーム)にへと帰っていくのだった。




感想・・指摘をお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

銀髪の給仕と下層への進行

前回の五話目と六話目の中途半端な投稿、申し訳ありません。

今回から区切りをつけながら書いていこうと思います。


カス共をカッ消した俺は本拠(ホーム)に帰ってくると、ヘスティア様が出迎えてくれる。

 

「おかえり、ベル君‼」

 

「ただいま、ヘスティア様。」

 

俺とヘスティア様は互いに挨拶をし終えると、晩御飯としてじゃが丸くんを食べ始める。

 

「ヘスティア様、明日もダンジョンに行くんだけど帰りが遅くなりそうだから俺の分の夕飯は無くていい。」

 

「そうなのかい、分かったよ。でも、無茶だけは止してくれよ、君は僕のたった一人の眷属(ファミリア)なんだからね。」

 

「分かってるって。」

 

そう軽く話しながらじゃが丸くんを食べていくのだった。

 

 

 

 

早朝、目が覚めた俺はヘスティア様に行ってきますという置手紙を残し、朝食にじゃが丸くんを三個ほど紙袋に入れてダンジョンに向かう。

 

「あの…、コレ落としましたよ?」

 

その途中、歩いている俺の後ろから誰かが声をかけてくる。

 

俺が後ろを振り向くと、そこには手の上に豆玉サイズの魔石を乗せた銀髪ツインテールの女の子がいた。

 

この女の子の名前はシル・フローヴァ、豊饒の女主人で働くヒューマンだったな。

 

「サンキュー、えっと名前は?」

 

俺はシルの手の上の魔石を取り、礼を言いながら名前を問いかける。

 

「私の名前はシル・フローヴァといいます、そこの【豊饒の女主人】という酒場で働いているんです。」

 

「俺はベル・クラネル、ヘスティア・ファミリアの冒険者だ。」

 

俺とシルは互いに自己紹介をした後、シルの指さす場所には【豊饒の女主人】があった。

 

「礼の代わりに飯を食いに来いってことね。」

 

「⁉ どうしてわかったんですか?」

 

俺の言葉にシルは驚き、その分かった理由を聞いてくる。

 

「簡単な事だ、言葉より目に見える礼の方が良いだろう?」

 

俺がそう言うと、シルはほほをぷっくりと膨らませてこう言ってくる。

 

「確かにそうですけど、もう知りません。」

 

ぷいっと顔を逸らすシルに対して俺はこう言った。

 

「それじゃあダンジョンの帰りに食べにくるよ。」

 

「はい、お待ちしていますね‼ベルさん、いってらっしゃい‼」

 

「行ってきます。」

 

俺がそう言ってからダンジョンに向かうと、シルは満面の笑みでそう言って送り出してくれた。

 

ダンジョンに入ると、俺は敏捷のスキルと最大限に発揮して移動を開始する。

 

俺の前に現れる上層のモンスター達は有幻覚で作った剣で肉を抉る形で振るい、露わになった魔石を採取する方法で攻略をしていく。

 

そうして移動すること15階層。

 

だが、それにも飽きた俺は走るのをやめて歩き始めた。

 

その時、ある一団が俺の隣を勢いよく通り過ぎた。

 

そんな事に気をやる事も無く俺は先に進もうとした時、目の前に大量のミノタウロス、アルミラージュ、ヘルハウンドが数百もの群れを成して迫ってきていた。

 

怪物贈呈(パス・パレード)

 

その光景を目にした俺は笑いながらこう言った。

 

「せいぜい俺を楽しませろよ、怪物(カス)共」

 

俺はそう言った後、有幻覚の剣を豪快に振るいながら特攻を仕掛ける。

 

鮫特攻(スコントロ・ディ・スクアーロ)

 

繊細さは皆無に等しい豪快にして凶暴な剣技は目の前にあるモノを猛進しながら斬り刻んでいく。

 

それが止まる頃には目の前にいたモンスター達は全て根絶やされている。

 

「中層もこの程度か、カスだな。」

 

俺は倒したモンスターの魔石やドロップアイテムを全て回収すると、さらに下にへと降りて行った。

 

手応え皆無のモンスターに苛立ちを隠せなくなった俺は溜息交じりにこう言った。

 

「ハァ、退屈だ。」

 

そう声を零した後、俺は更に下層にへと向かった。




感想・指摘をお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【ロキ・ファミリア】

今回はソード・オラトリアという面を強めて書いてみました。


【ロキ・ファミリア】本拠(ホーム) 黄昏の館

 

その最上階の一室には派閥(ファミリア)の主神であるロキが顔に皺を寄せながらとある案件が記された用紙に目を通していた。

 

その案件というのが新興派閥(ファミリア)である【ヘスティア・ファミリア】に世界初のlevel9の冒険者が現れたと言うものである。

 

「…どうゆうこっちゃ、コレ。」

 

ロキは信じられないという感情を隠す事もなく顔に出しながら言葉を発した。

 

それもそうだろう、発足したばかりの【派閥(ファミリア)】に迷宮都市(オラリオ)はおろか世界初のlevel9という最高保持者が所属しているのだから。

 

このあり得ない出来事にロキは頭の中で考えを巡らせて行く。

 

{ドチビの奴が神の力(アルカナム)を使ったちゅーことなんか?それはないか、そんな事したらウチを入れた神共に気づくしな。それやったら、このlevelの数字はそいつの本来の実力から引き出されたちゅうことなんか?もし、そうやったらこの情報はアイズには教えられへんな。}

 

ロキはそう考えながら己の眷属である金髪金目でヒューマンの少女の事を思い浮かべる。

 

幼き頃から少女は求め続けている、如何なる敵を圧倒する強さを。

 

その為なら身体がそれだけ傷つこうとも無関心に強さを求めてしまっている。

 

そんな少女が件の者と接触をすれば今よりも酷く強さを求めてしまうという危惧がロキの頭の中にはあった。

 

そう考えていると、部屋の扉をコンコンと叩く音が響く。

 

開いてるでー、ロキがそう声を掛けると扉の向こうから派閥の団員の一人が入って来てこう言ってくる。

 

「ロキ、団長達が遠征が帰ってきました‼」

 

そう言ってくる団員に対してロキのとった行動は…。

 

「帰ってきたか、ほな行くで‼」

 

遠征組の出迎えに行き、タイミングを見計らって遠征組の女性陣に向かって突撃を仕掛ける。

 

「おっかえりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ‼」

 

突撃を仕掛けるロキを女性陣は手慣れているのか簡単に躱していく。

 

が、列の最後尾にいた山吹色の髪を後ろにまとめているエルフの少女がきゃあーという声を上げながら抱き着かれ、押し倒されてしまった。

 

「うへへ、レフィーヤおっぱいおっきなったんとちがうんか?」

 

その言葉を聞くだけでエロ親父で、女神の要素が皆無である。

 

そんな事もありながら【ロキ・ファミリア】の遠征は終わりを告げたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

遠征から帰ってきた翌日

 

【ロキ・ファミリア】の主神、首脳陣、幹部全員が会議室に集結していた。

 

この会議の議題は勿論、【ヘスティア・ファミリア】べル・クラネルの事についてである。

 

最初にこの名前を言った瞬間、金髪金目でヒューマンの少女が反応する。

 

その少女の名はアイズ・ヴァレンシュタイン、ロキ・ファミリアの幹部にして【剣姫(けんき)】という二つ名を持つlevel5の第一級冒険者だ。

 

「アイズ、(べル・クラネル)の事を知っているのかい?」

 

アイズに優しく問いかけるのは一人の金髪碧眼の少年だった。

 

この少年は【ロキ・ファミリア】首領にして【勇者(ブレイバー)】の二つ名を持つ小人族(パルゥム)のlevel6の第一級冒険者、フィン・ディムナだ。

 

「うん、遠征の帰りにミノタウロスが逃げたでしょ。」

 

アイズがそう言うと、他の幹部達が反応をする。

 

「それって15階層の奴だよね、それがどうかしたの?」

 

そう言ってくるのはアマゾネスにしてはスレンダーな体型をしている少女ティオナ・ヒリュテ。

 

彼女もアイズと同じlevel5の第一級冒険者であり「大切断(アマゾン)」という二つ名を持っている。

 

そんな彼女の言葉にアイズを頭を縦に頷く。

 

「その時に5階層までミノタウロスが行っちゃって、そこでべルに出会ったの。」

 

アイズの言葉に耳を傾けていた三人が疑問に思った。

 

その三人というのはロキ、レフィーヤ、ベートである。

 

「アイズたん、何でべル・クラネルの事名前呼びなん?」

 

ロキは真相を知るためにそう問いかけると、アイズはこう答えた。

 

「だって、好きな呼び方でいいって言ったから。」

 

その言葉を聞いた三人のうち二人が吐血し、一人は身体ごとよろけてしまう。

 

「ロキにレフィーヤにベートさん、どうかし…。」

 

「アイズ、話の続きをお願いできるかな?」

 

「えっ、う、うん。」

 

※言わずもながら、吐血はロキとベートでよろけたのはレフィーヤである。

 

そんな三人にアイズはどうしたのかと聞こうとしたが、フィンの言葉で続きを話し始める。

 

「それでね、ベルはミノタウロスを変わった武器で消し飛ばしたの。」

 

「「「「「「「「!?」」」」」」」」

 

アイズがそう言った瞬間、全員の顔つきが変わった、…冒険者の顔に。

 

「アイズ、その消し飛ばしたと言うのは魔法を使用したと言う事なのか?」

 

そう言ってくるのは翡翠の髪と目をしたハイエルフの女性、リヴェリア・リヨス・アールヴ。

 

彼女は【ロキ・ファミリア】副団長で【九魔姫(ナイン・ヘル)】の二つ名を持つlevel6の第一級冒険者である。

 

「ううん、ベルはスキルって言ってた。」

 

リヴェリアの問いにアイズは否定をした後スキルであると伝える。

 

「フム、ミノタウロスを消し飛ばす事が可能なスキルか…。面白い奴が現れたものだな。」

 

そう言いながら笑い飛ばしているのは口と顎に髭をたっぷりと蓄えたドワーフの大男、ガレス・ランドロック。

 

彼もまた【ロキ・ファミリア】最古参の幹部として在籍しており、【重傑(エルガルム)】という二つ名を持つlevel6の第一級冒険者だ。

 

「でも、消し飛ばすなんて聞いちゃったら血が騒ぐわね。」

 

そう言いながら好戦的な笑みを浮かべているのはティオナの姉のティオネ・ヒリュテ。

 

彼女も妹と同様、【怒蛇(ヨルムガンド)】という二つ名を持つlevel5の第一級冒険者である。

 

「チッ‼」

 

ベートは周りの声を聞いていて気に食わないと言わんばかりに舌打ちを打つ。

 

「それでもスキルの効果だけで消し飛ばすなんて不可能なんじゃないんですか?」

 

そう言っているのは山吹色の髪をしたエルフの少女、レフィーヤ・ウィリディス。

 

【ロキ・ファミリア】の団員にしてリヴェリアの後釜とされている、【千の妖精(サウザンド・エルフ)】という二つ名を持つlevel3の第二級冒険者である。

 

「いや、相当なレアスキルが関係しているのかもしれんぞ。」

 

と、リヴェリアの言葉に全員が納得の意見せる。

 

「ま、この件に関しては保留にしとこか。ここで憶測を言うとってもしょうがないわ。」

 

ロキの言葉に誰も反対はせず、その場で解散となった。

 

全員が会議室を出ようとすると、ロキがこう言ってくる。

 

「あっ、そうや。今日の夜は【豊饒の女主人】で打ち上げやからなー。」

 

ロキはそう言って自室に戻っていくのだった。




感想・指摘をお待ちしております‼


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

調整と豊饒の女主人

新年あけましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします‼

新年初投稿です、これからも応援のほどよろしくお願いします。


中層で起こった怪物贈呈(パス・パレード)を撃退し更に下層にへと降りて行った俺は今51階層に来ている。

 

そこで俺はモンスターを使って匣アニマル達の調整を行っている。

 

「殺れ。」

 

俺の短くも分かりやすい命令に匣アニマルたちはモンスター達を蹂躙していく。

 

嵐豹(パンテーラ・テンペスタ)となった瓜やアーロはブラックライノスの首を噛み千切り、ロールがデフォルミス・スパイダーを球針態で串刺しにしていく。

 

ナッツとベスターが魔石ごとモンスターを消し飛ばしたり、牛丼が雷の炎を帯びた状態での突進でブラックライノスの大群を轢き殺していくなど苦戦皆無でモンスターを蹂躙していく。

 

俺は朝市の露店で購入した紅茶とサンドイッチで胃の中を満たしながら匣アニマル達の蹂躙劇を見ているのだが、…暇だな。

 

そう思っていると、匣アニマル達がモンスターを全て片付けて戻ってきた。

 

「よくやった、よく休め。」

 

そう言って匣アニマル達を空間に戻すと、俺はサンドイッチの最後の一切れを食べ終えると地上にへと戻っていく。

 

 

 

 

地上に戻ってくると、早朝だった空が夕方の空にへと変わっていた。

 

それだけの長時間ダンジョンに潜っていたことを教えているかのように思えた。。

 

俺は夕日の日差しを受けながら魔石を換金しに行くのだった。

 

換金を済ませると、俺は西のメインストリートにある酒場【豊饒の女主人】にへと向かうのだった。

 

西のメインストリートに入ると、ダンジョン帰りの冒険者やサポーターが眼に入ってくる。

 

そして、その中を歩いていくと、見えてくるのが目的地である豊饒の女主人だ。

 

扉を開けると、ある一団が目に入って来た。

 

それはオラリオ二大派閥の一角・【ロキ・ファミリア】である。

 

やべぇな、俺はベートを挑発してあるからな、どんな因縁吹っかけてくるかわかんねぇぞ。

 

そう思っていると、一人見覚えのある銀髪の女性給仕が近づいてくる。

 

「いらっしゃいませ、ベルさん。もうずっと待ってたんですよ‼」

 

そう言って頬を膨らませるのは、早朝ダンジョンに向かう途中に出会ったこの店の給仕のシル・フローヴァ。

 

「悪いな、今の今までダンジョンに潜ってたもんだからよ。」

 

「そうだったんですか、それじゃあお腹ペコペコなんですね?満足のいくまで食べて飲んでくださいね、私のお給金のためにも。」

 

「はいはい。」

 

「何ですか、その反応⁉」

 

「シル、いつまでも喋ってないで働きな‼」

 

俺の反応に対して頬を膨らませるシルだったが、ミアさんの怒声を受けて俺を席に案内をする。

 

その途中、シルがベルさんのせいですよ、と言ってくるが気にしない。

 

席に着くと、さっそく俺がメニューを見ると、そこにはステーキやパスタなどのメニューがあって中でも酒の種類が多いようだ。

 

「それじゃあ、ステーキとパスタを一つずつとドワーフの火酒を一本を頼む。」

 

俺がそう言うと、シルは戸惑った顔をしている。

 

「ベルさん、ドワーフの火酒を飲まれるんですか?」

 

「あぁ、何か不味い事でもあるのか?」

 

シルの問いかけに対して俺はそう問い返す。

 

「いえ、何でもないですよ。」

 

問題ないと言いながら笑みを浮かべた後、注文を厨房にへと伝えに行くのだった。

 

「(賑やかだな、結構好きな雰囲気だ。)」

 

俺が注文を終えてすぐにドワーフの火酒が小さめのグラスと共に運ばれてきたので小さめのグラスに注ぎ、煽ると喉が焼けるような感覚が起こる。

 

「なるほど、火酒と言うだけに辛口の酒だったのか。」

 

俺はそう言いながらグラスに残った火酒を一気に飲み干すと、次の火酒を注ぐ。

 

すると、俺の隣に誰かがやってくる。

 

「また会ったね、ベル。」

 

その人物はダンジョン5階層で出会った【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインだった。




感想・指摘をお待ちしております。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

飲み比べと帰路

「また会ったね、ベル。」

 

「あ、あぁ、そうだな。」

 

再会の言葉を言ってくるアイズに対して俺はそう返答をする。

 

すると、アイズの隣からもう一人がやってくる。

 

その人物は【ロキ・ファミリア】団長フィン・ディムナである。

 

「初めまして、ベル・クラネル。僕は【ロキ・ファミリア】の団長を務めているフィン・ディムナだ。」

 

「それはご丁寧にどうも、知っての通り俺は【ヘスティア・ファミリア】所属のベル・クラネルだ。」

 

そう言って握手を求めてくるフィンに対して俺は応じる事にした。

 

握手を交わした後、フィンがこう言って来る。

 

「君には感謝している、僕達が取りこぼしたミノタウロスを処理してくれたことに対してね。」

 

「どうでもいい。」

 

俺が興味ない感じにそう言ったのだが、フィンはそれを聞いても引き下がろうとしない。

 

「いや、僕達の不手際で君には迷惑を掛けてしまったからね、何かしらの謝礼をしたいんだ。」

 

そう言って来るフィンの眼は何が何でも引かないという目をしている為、ここは俺が折れるしかないと思った。

 

「解かった、酒代そっちで払ってくれりゃあそれでいい。」

 

俺の言葉を聞いて、フィンはこう言って来る。

 

「それは構わないが、本当にそれだけでいいのかい?」

 

「くどい、俺がそれでいいって言っている。」

 

フィンの言葉に俺は強めの声音でそう言った。

 

「それなら受け入れるしかないね…、そうだ、君もこっちで一緒に食事をしないかい?」

 

そう言ってくるフィンに対して俺はこう言った。

 

「いや、それは遠慮させて貰おうか。部外者である俺が参加するのは可笑しいだろ。」

 

俺がそう言うと、フィンとアイズは反応してくる。

 

「いや、僕以外にも君と話をしたいと思っている者達がいるんでね、それは大丈夫だよ。」

 

「私ももっとベルと話がしたい。」

 

そう言って来る二人に対して俺はこう考えていた。

 

{まぁ、これを機にヘスティア様と神ロキの仲を取り持つ事が出来るかもしれないな}

 

俺がそう考えをまとめると、再度フィンが問いかけてくる。

 

「それで、返事はどうかな?」

 

「折角の【勇者(ブレイバー)】と【剣姫(けんき)】の誘いだ、受けよう。」

 

それを聞いたフィンは満足そうに頷き、アイズはグラスを持っている俺の右腕を手に取ると引いてくる。

 

「こっちに来て。」

 

「あ、あぁ、解かった。」

 

俺はシルに席の移動の事を伝えた後、アイズに手を引かれるままに火酒とグラスを持った状態でロキ・ファミリアの打ち上げの場にへと足を踏み入れた。

 

ロキ・ファミリアの打ち上げの席にやって来ると、俺はまず自己紹介をする。

 

「初めまして、【ヘスティア・ファミリア】に所属しているベル・クラネルと申します。以後、お見知りおきを。」

 

俺がそう挨拶をすると、何人かを除いて歓迎の声を上げる。

 

その何人かというのはロキ、ベート、レフィーヤである。

 

まぁ、考えている事は丸わかりだな。

 

そう考えていると、一人のドワーフが話しかけてくる。

 

「お前さんの持っている酒はドワーフの火酒じゃな、飲んでも何とも無いのか?」

 

それはガレス・ランドロックだった。

 

そう言って来るガレスの言葉に対して疑問に思った俺はこう問いかける。

 

「すまない、俺は今日初めてこの酒を飲んだからよく分からないんだが、どういう事なんだ?」

 

それを聞いたガレスや周りの連中の視線が俺に集まって来る。

 

「??」

 

それに対して疑問が尽きない俺に対してガレスがこう言って来る。

 

「その酒は非情に度数がきつくてのぅ、ドワーフにしか飲めない代物なんじゃ。」

 

「そうだったのか、辛口の酒ではあるからきついとは思っていたが…。」

 

ガレスの話を聞きながら火酒を瓶ごと飲み干していくのだった。

 

それに対してガレスは大声で笑いながらこう言って来る。

 

「ガハハハハハッ‼よし、ベルよ、飲み比べと行こうではないか‼」

 

飲み比べの勝負を仕掛けてくるガレスに対して俺はこう答えた。

 

「いいぜ、勝負だ‼」

 

勝負受理の言葉に対してロキがこう言って来る。

 

「ヨッシャ、それやったらウチも参加すんで‼勝者はベル・クラネルに質問攻め出来る権利や‼」

 

しかも、勝者への報酬が俺への質問攻めとは中々に考えたな。

 

「…‼ 私もやる。」

 

ロキの一言に対してアイズが参加の意を示す。

 

その一言に俺以外のロキ・ファミリア全員が静まった。

 

「おい、どうしたんだ?」

 

俺がそう問いかけると、ガレスが小声でこう言って来る。

 

「実はアイズは酒に弱くてのぅ、昔酒によってロキの事を半殺しに仕掛けてな。」

 

それを聞いた俺は顔を引くつかせながらこう言った。

 

「そうだったのか、神ロキも災難だったな。」

 

「まぁ、ロキが酔ったアイズにセクハラしようとしたのが原因なんじゃがな。」

 

「自業自得じゃねぇか‼」

 

それを聞いて俺はツッコミを入れずにはいられなかった。

 

そうして、飲み比べが始まったのだがアイズは慣れない酒にも関わらずグビグビと飲み干していく。

 

だが、俺も負ける気は毛頭なく火酒の瓶を次々と空にしていく。

 

そうやって飲み比べを始めて三十分が過ぎた頃、ロキや参加していたロキ・ファミリアの団員達も酔い潰れてしまった。

 

俺とガレス、アイズが未だに飲み比べを続けている。

 

「タハッ、五十本目‼」

 

俺はそう言って空になった酒瓶をテーブルの上にへと置く。

 

すると、そこでフィンがこう言って来る。

 

「べル、もうそのくらいで終わってくれないかい?ガレスは酒に慣れているから大丈夫だとしても、アイズの方は…。」

 

フィンの言葉を聞いてアイズの方に目を向けると、苦しそうにしているアイズがいた。

 

「分かった、これ以上あいつに飲ませるのは危険だな。」

 

俺はそう言って酒を飲み手を止める。

 

結果から言うと、俺五十本・ガレス五十本・アイズ十本である。

 

打ち上げの方も終わりが近づいてきた。

 

俺は椅子から立ち上がると、足元がふらついてしまう。

 

すると、シルが俺に肩を貸してくれる。

 

「べルさん、大丈夫ですか?」

 

そう言って来るシルに対して俺はこう言った。

 

「あぁ、少し酔っているみたいだ。」

 

そう言っていると、一人のアマゾネスの少女が近づいてきてこう言って来る。

 

「私が送ってあげようか?」

 

俺にそう言って来るのはティオナ・ヒリュテだった。

 

「いや、酒を奢って貰った上に送って貰うのは流石に…。」

 

俺が断ろうとするが、フィンがこう言って来る。

 

「いくらlevel9だとしても今の状態だと危ないんじゃないかい?」

 

「…(そうは思えねぇけど)よろしく頼む。」

 

フィンの言葉に納得をし、ティオナの手を借りる事にした。

 

豊饒の女主人を出て、俺はティオナに肩を借りながら本拠にへと帰っている。

 

「ねぇねぇ、ベルってさどうやってlevel9になったの?」

 

「それについてはアイズにも言ったが、それは自分で考えろってな。」

 

「えーっ!?」

 

俺の言葉に対してティオナはぶうたれてしまう。

 

「だが、俺が強くなれたのはある人達がいたからだ。」

 

「ある人達?」

 

俺の言葉にティオナは疑問に思いながらそう言って来る。

 

「あぁ、俺はそのある人達に憧れていたから強くなる事が出来たんだ。」

 

「それじゃあ、その人達がベルにとっての英雄なんだ‼」

 

「英雄か、ある意味そう言えるのかな。」

 

「?」

 

俺とティオナが話しながら歩いていると、本拠近くまでやってきていた。

 

「ここまで送ってくれてありがとう、ティオナ。」

 

「いいよいいよ、私もべルと話せてよかったと思ってるし。」

 

俺が礼を述べると、ティオナは気にしなくてもいいと言って来る。

 

「またな。」

 

「またねー‼」

 

俺達は別れの挨拶をした後、それぞれの本拠まで戻っていくのだった。




感想・指摘をお待ちしております。





目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

【邂逅】

投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

次回は出来る限りは早く投稿したいと思っています。


遠征から帰ってきて翌日の夜、私達は【ロキ・ファミリア】の遠征組はその打ち上げ会場である【豊饒の女主人】に来ている。

 

そして、ここでもベルについての話が続いている。

 

「でもさ、スキルで消し飛ぶってどういう感じなのかな?」

 

ティオナが料理を食べながらそう言うと、レフィーヤがそれに答える。

 

「魔法でもないのにそんな事が出来る希少(レア)スキル、これは他の神達に目をつけられることは確定ですよね。」

 

レフィーヤの言葉に対して、私もこう言った。

 

「ベルは消し飛ばしたときに変わった武器を持ってた。」

 

私の言葉にティオナとレフィーヤが反応する。

 

「変わった武器ってどういうの?」

 

専用武装(オーダーメイド)という事でしょうか?」

 

「分からない。」

 

ティオナ達の問いかけに私は答えることは出来なかった。

 

そう答えた後、「白」が私の隣を横切るのが見えた。

 

私が急いで横を向くと、そこにはベルがいた。

 

私はベルを確認した後、すぐに話しかけたい衝動を抑えながらフィンの元にへと向かった。

 

「フィン。」

 

「どうしたんだい、アイズ?」

 

私が声をかけると、フィンはお酒を飲んでいて顔を赤くさせていた。

 

「ベルがいた。」

 

『‼』

 

私の一言に皆は食事の手と会話を止める。

 

「ベルって、あのlevel9の?」

 

「うん」

 

ティオナの言葉に私は肯定すると、皆は真剣な顔つきをする。

 

「アイズ、彼は今どこにいるんだい?」

 

「あそこ。」

 

フィンにベルのいる場所を聞かれて私はカウンター席を指さす。

 

そこにはベルがお酒を静かに飲んでいた。

 

「それじゃあ、僕は話をしてくるよ。」

 

そう言ってフィンは椅子から立ち上がると、ベルの所に向かおうとしている。

 

「フィン、私も行く。」

 

『アイズ⁉』

 

私がベルの所に行きたいと言うと、なぜか皆が驚く。

 

「分かった、アイズがいれば少しは警戒をしないでもらえるかもしれないしね。」

 

フィンの言葉に皆は口を閉じる。

 

「行こうか、アイズ。」

 

「うん。」

 

フィンの言葉に対して私は早足でベルの元にへと向かった。

 

 

 

 

 

 

「アイズってばベル・クラネルの事相当気になるみたいね。」

 

「そうだね、私もアイズがあんな事言うとは思ってなかったよ。」

 

「アイズさん…。」

 

「チッ。」

 

フィンとアイズがベルの所に行くと、他の団員達は思い思いに発言をする。

 

「まぁ、どんな奴かは話して見て分かるやろ。」

 

主神(ロキ)の言葉で全員が静かになる。

 

すると、フィンとアイズと共に件の中心人物であるベル・クラネルがやって来る。

 

「初めまして、【ヘスティア・ファミリア】に所属しているベル・クラネルと申します。以後、お見知りおきを。」

 

ベルがそう言うと、皆が歓迎ムードになるけどベートさんとレフィーヤとロキだけはそんな感じじゃなかった。

 

何でだろう?

 

私がそう考えていると、ベルにガレスが話しかけていた。

 

 

「お前さんの持っている酒はドワーフの火酒じゃな、飲んでも何とも無いのか?」

 

ガレスの言葉に対して、ベルはこう言った。

 

「すまない、俺は今日初めてこの酒を飲んだからよく分からないんだが、どういう事なんだ?」

 

それを聞いたガレスや周りの連中の視線がベルに集まっていく。

 

「??」

 

それに対して疑問が尽きないベルに対してガレスがこう言った。

 

「その酒は非情に度数がきつくてのぅ、ドワーフにしか飲めない代物なんじゃ。」

 

「そうだったのか、辛口の酒ではあるからきついとは思っていたが…。」

 

ベルはガレスの話を聞きながら火酒を瓶ごと飲み干していくのだった。

 

その様子を見ていたガレスは大声で笑いながらこう言って来る。

 

「ガハハハハハッ‼よし、ベルよ、飲み比べと行こうではないか‼」

 

飲み比べの勝負を仕掛けてくるガレスに対してベルはこう答えた。

 

「いいぜ、勝負だ‼」

 

ベルが勝負を受理したのに対してロキがこう言って来る。

 

「ヨッシャ、それやったらウチも参加すんで‼勝者はベル・クラネルに質問攻め出来る権利や‼」

 

私は目を見開いた、それは飲み比べの勝者にはベルへの質問攻めが出来るという事。

 

「…‼ 私もやる。」

 

ロキの一言に対して私が参加の意を示すと、その一言にロキ・ファミリア全員が静まった。

 

「自業自得じゃねぇか‼」

 

すると、いきなり大声でツッコミを入れていた。

 

飲み比べが始まって私は慣れない酒にも関わらずグビグビと飲み干していく。

 

だけど、ベルも負ける気は毛頭なく火酒の瓶を次々と空にしていく。

 

そうやって飲み比べを始めて三十分が過ぎた頃、ロキや参加していたロキ・ファミリアの団員達も酔い潰れてしまった。

 

私とガレス、ベルが未だに飲み比べを続けている。

 

「タハッ、五十本目‼」

 

ベルはそう言って空になった酒瓶をテーブルの上にへと置く。

 

そこで、私の限界が来てしまった。

 

「もう…無理…。」

 

「大丈夫ですか、アイズさん⁉」

 

そういいながらレフィーヤが背中を撫でてくれる。

 

「ありがとう、…レフィーヤ。」

 

「い、いえ、これくらい大丈夫ですよ‼」

 

私とレフィーヤがそう話していると、飲み比べの結果が出た。

 

ベルとガレスが五十本、私が十五本と言う結果だった。

 

負けた、これじゃあベルに質問できない…。

 

私がそう落ち込んでいると、ティオナがこう言ってくる。

 

「ねぇ、アイズ。ベルも相当酔ってるみたいだからもしかしたらうっかり喋るかもよ。」

 

『!!』

 

ティオナの言葉を聞いて私はその手があったと思ったが、すでに限界を迎えてしまった為、行動に移すには叶わなかった。

 

すると、ティオナがこう言ってくる。

 

「アイズ、私もベルの強さが気になるからさ、聞いてみるよ。」

 

ティオナはそう言ってベルの方に向かって行くのだった。

 

私はレフィーヤに肩を借りてホームにへと戻っていく。

 

 

 

 

翌日の朝、私は慣れないお酒を飲んで二日酔いになってベッドに寝込んで襲い掛かる頭痛と戦っている。

 

「アイズ、大丈夫?」

 

そう言いながらティオナが私の部屋に入ってくる。

 

「大丈夫じゃない。」

 

そう返事を返す私に対してティオナはこう言って来る。

 

「まぁ、あれだけ飲めばそうなるよね。」

 

私はその言葉に対して反論することは出来なかった。

 

「それでね、アイズ昨日ベルを送って行ったんだけど…。」

 

‼ ティオナのその言葉に私はベッドから飛び起きる。

 

「~~~~~っ⁉」

 

飛び起きたと同時に激痛が走り、頭を抱えてる。

 

「無茶しちゃダメだよ、アイズ。」

 

ティオナはそう言って私を支えてベッドに寝かせてくれた。

 

「ありがとう、ティオナ。それで…。」

 

私はお礼を言った後、ベルの事を聞こうとする。

 

「あぁ、ベルの事だよね。」

 

ティオナは私が聞きたいことを察して話を始めてくれる。

 

「どうやったらそんなに強くなれるのか聞いたんだけどさ、『自分で考えろ』って言われたんだ。」

 

私と言った事と同じだ、そう思っているとティオナが興奮気味にこう言ってくる。

 

「でもね、ベルが言ってたんだ。自分がここまで強くなれたのはある人達に憧れてたからだったんだって‼」

 

「ある人達って?」

 

ティオナの言葉に私はそう返答すると、こう言って来る。

 

「うん、ベルにとっては英雄なんだって‼」

 

英雄…、ベルにも英雄がいるんだ。

 

{アイズ、残念だが私はお前の英雄にはなれない。何故ならもうお前のお母さんがいるからね。}

 

お父さん、お母さん。

 

そう考えていると、ティオナがこう言って来る。

 

「アイズ、あんまり焦っちゃダメだよ。アイズにはアイズのペースがあるんだから。」

 

「うん。」

 

私は早くこの二日酔いを直してダンジョンに行こうと思った。




感想・指摘をお待ちしています。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

顔合わせと神会

今回は早めに投稿できてよかったです。


【ロキ・ファミリア】との酒宴から翌日、俺はこの日だけはダンジョンには行かない事を決めて本拠(ホーム)にてのんびりと過ごしている。

 

そこにヘスティア様が美青年の男神一人と犬人(シアンスロープ)の女性を連れてきた。

 

「ベル君、紹介したい神がいるんだ‼」

 

そう言って来るヘスティア様に対して俺はこう言った。

 

「ヘスティア様、もしかしなくてもそちらにいらっしゃる男神の方とシアンスロープの女性の事でしょうか?」

 

「そうだよ。」

 

俺の問いかけをヘスティア様が肯定すると、男神は自己紹介をしてくる。

 

「初めましてだな、ベル・クラネル。私の名前はミアハ、商業系ファミリア【ミアハ・ファミリア】の主神だ。」

 

「私はナァーザ・エリスイス、……よろしくね。」

 

「【ヘスティア・ファミリア】所属のベル・クラネルです、こちらこそよろしくお願いします。」

 

ミアハ様達の自己紹介の後、俺も自己紹介をする。

 

そして、疑問に思ったことを口にする。

 

「商業ファミリアって事は…アレ(・・)ですね。」

 

俺がそう言うと、ミアハ様は笑みを浮かべながらこう言った。

 

「そうだな、アレ(・・)が目的だ。」

 

俺達の会話の内容に対して疑問に思っているのはヘスティア様だけで、ナァーザさんはこの会話の真意を見抜いている。

 

「えっと、ベル君さっきから何の話をしているんだい?」

 

自分だけが除け者にされるのが嫌になったのか、ヘスティア様がそう問いかけてくる。

 

それに対して俺はこう言った。

 

「簡単な話ですよ、ヘスティア様。俺に【ミアハ・ファミリア】の顧客になってほしいって事です。」

 

「なるほど、そう言う事か‼」

 

俺がそう伝えると理解をしたヘスティア様は笑顔でこう言った。

 

「ミアハには何度も世話してもらった事があるからね、それくらい訳ないよ。」

 

「ヘスティア様、ミアハ様にも世話かけたことがあるんですか…。」

 

ヘスティア様の発言にほとほとと呆れながらそう言う俺。

 

「ち、違うんだ、ベル君‼これには深い事情があって…‼」

 

それを聞いたヘスティア様が慌てて訂正するために言って来るが、それはスルーしてミアハ様に話しかける。

 

「ミアハ様、ナァーザさん、俺なんかでよければ顧客になりますよ。」

 

俺の言葉を聞いてミアハ様とナァーザさんは笑みを浮かべてこう言って来る。

 

「そちらからそう言ってくれるとは嬉しいな。」

 

「うん、嬉しい。」

 

こうして、俺は【ミアハ・ファミリア】の顧客になるのだった。

 

 

 

 

【ミアハ・ファミリア】との顔合わせを終えた俺は街にへとブラリと出歩いていると、ある張り紙を見つけた。

 

「あぁ、怪物祭(モンスターフィリア)か。」

 

そう、張り紙に書かれている内容は三日後に行われるモンスターフィリアの事だった。

 

神フレイヤが(ベル・クラネル)を戯れるためにモンスターを逃がし、ベル・クラネルが神のナイフ(ヘスティア・ナイフ)でシルバーバックを倒す日だ。

 

そして、今日はガネーシャ・ファミリアの本拠(ホーム)で神の宴が開かれることになっている。

 

俺は張り紙から視線を外し、ある場所に向かった。

 

その日の夜、ヘスティア様はガネーシャ・ファミリアの宴に参加しに行った。

 

「ヘスティア様、喜んでくれるかな?」

 

そう呟きながら俺は夕食の買ってきたサンドウィッチを食べるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜空に月が浮かびこの迷宮都市オラリオを照らしている。

 

『本日はよく集まってくれたな皆の者! 俺がガネーシャである! さて、積もる話もあるが今年も例年通り三日後には怪物祭モンスターフィリアが行われるっ! 皆のファミリアにもどうか………』

 

今回の主催者であるガネーシャが神会(デナトゥス)の挨拶をする中、僕はいつもの服装に上着を着ただけの格好をして、パックにテーブルに並べられている日持ちしそうな料理を食べながら入れていく。

 

「あんた、あの頃から何にも変わらないわね。」

 

「!!」

 

突然、背後から声をかけられたことに驚き、喉を詰まらせるが、水を飲んで流し込んだ。

 

「へファイストス!」

 

後ろを振り向くと、僕が天界にいるときから神友である鍛冶神(ヘファイストス)がいた。

 

「まぁ、元気そうで何よりだわ。ヘスティア、ファミリアを持つ事になったんだからちゃんとした振る舞いをしなきゃダメよ。」

 

「それくらいは僕だって分かってるさ。でも、こればっかりは仕方ないじゃないか、僕の所は零細ファミリアなんだからさ。」

 

「そうは言っても主神であるアンタがそんなんじゃダメでしょ。」

 

「ウグッ!」

 

ヘファイストスの指摘に僕はうめき声をあげてしまう。

 

「ねぇ、二人だけで話さないで頂戴。一所に会場を回りましょうって言ったでしょ。」

 

そう言ってへファイストスの隣から現れたのはオラリオ最強の一角である【フレイヤ・ファミリア】主神フレイヤだった。

 

「ゲッ、フレイヤなんでここに?」

 

「さっき会場の入り口で偶然出会ったの、それで一緒に会場を回ろうってことになったの。」

 

ヘファイストスが軽いノリでそう言って

 

己の苦手とするフレイヤが目の前に居るだけでなく、その美貌に目を奪われた男神達が視線を集中しているから鬱陶しいことこの上無いとばかりに僕は顔を顰めてしまう。

 

そんな中、【ガネーシャ・ファミリア】の団員が僕達の元にへとやってきた。

 

「神ヘスティア、眷属の方から御届け物です。」

 

「ベル君から?」

 

その団員は僕に届け物である箱を差し出しながらそう言ってきて、僕はその箱を受け取る。

 

それを確認した団員はお辞儀をした後、この場から離れていく。

 

「一体何かしら、開けてみたら?」

 

「うん、そうだね。」

 

ヘファイストスに言われて箱を開けると、そこに入っていたのは蒼を基調とした清涼感溢れるドレスだった。

 

「まぁ、綺麗ね。」

 

「そうね、ヘスティアさっそく着てみたらどう?」

 

ヘファイストスとフレイヤもこのドレスを見て賞賛してくれる。

 

「そ、そうだね。それじゃあ今から着てくるよ。」

 

僕は二人にそう言ってドレスにへと着替えに行った。

 

「おーい! ファイたーん、フレイヤー、ひっさしぶりー!!」

 

「あら、ロキじゃない。一カ月ぶりね。」

 

「私は何時振りかしら?」

 

黒いドレスを着たロキの登場に二人は平然とした対応する。

 

「あれ、ドチビが居れへんな。この宴に来るっちゅーんはガセやったんか?」

 

ロキはそう言いながら周囲に目を向けるが、目的の人物が目に入ってこない。

 

すると、うおーっという男神達の雄たけびの上がる方向を見ると、そこには愛する眷属(ベル)が用意した蒼いドレスを身に纏ったヘスティアがいた。

 

「なんや、貧乏チビを笑いに来たのに、そのドレスはなんやねん!?」

 

「ゲッ、ロキ!?」

 

ヘスティアはいつのまにかいたロキに対して驚く。

 

「で、僕に何か用だったのかい?」

 

ヘスティアは何時もの喧嘩腰を控えようとする、喧嘩をしてせっかくベルの用意してくれたドレスを汚したくないからだ。

 

「おっと、そうやった。ドチビ、お前んとこの眷属(子供)何モンやねん。初めてのステイタス更新でlevel9なんて高レベル出せるわけないやろが。」

 

ロキは冷静かつ冷たい目をしながらそう問いかける、その問いかけの答えを聞くために他の神々もヘスティアに耳を傾ける。

 

「本当の事さ、僕が最初に恩恵を刻んだのが数日前の事だからね。」

 

『!?』

 

ヘスティアの言葉に神々は驚きを隠せなかった。

 

神々は嘘を見抜く力を所有している、それは嘘をついたとしても無意味だという事。

 

だが、その神々が驚きの表情をしているという事はヘスティアの言っていることは紛れもない事実であることを物語っている。

 

それに対して、ロキの反応は眉間に皺を寄せながらヘスティアを見てこう言った。

 

「何処で拾ってきたんや、ベルとかっちゅー子供。」

 

「拾ったんじゃない、やって来てくれたんだ。僕がじゃがまるくんのバイトしている最中に「眷属にしてほしい」ってね。」

 

『!!?』

 

ヘスティアの言葉に周りにいた神々はまたも騒ぎ出す。

 

それもそのハズ、一部を除いて【フレイヤ・ファミリア】【ロキ・ファミリア】といった第一級冒険者が多く所属しているファミリアを差し置いて発足したばかりの零細ファミリアにオラリオ最強と呼べるlevel9が誕生したのだから。

 

しかも、それまでもが嘘でないと言っているのだからたちが悪い。

 

それを聞いたロキは口を開く。

 

「なら、最後の質問や。」

 

「…なんだい?」

 

神の力(アルカナム)使ってへんやろうな?」

 

「あぁ、使ってないよ。男神(ゼウス)の名に誓ってもね。」

 

その会話の中で二人の女神を視線を逸らすことなく見続けている。

 

最初に視線を外したのはロキの方だった。

 

「それならえぇわ、ウチの用事はそれだけやさかい、帰るわ。」

 

手をヒラヒラと振りながらロキは会場を去って行った。

 

「なんだったんだい、アレは…?」

 

ヘスティアはジト目でロキの歩いて行った方に目を向けていると、フレイヤがこう言ってくる。

 

「ごめんなさい、私もこれで失礼するわ。」

 

フレイヤもそう言ってすぐに会場を後にする。

 

「何だったんだろうね、ヘファイストス。」

 

「そうね。でも、これからは気を付けた方がいいわよ、ヘスティア。」

 

「え?」

 

「アンタんとこの眷属(子供)が狙われてるかもしれないわよ。」

 

「どういう事だい、それは!?」

 

ヘファイストスの言葉に対して驚きを隠せずに大声を上げるヘスティア。

 

「だって、そうでしょ。最初の内から第一級冒険者の実力を持っている子供がいるなら娯楽に飢えている神々ならちょっかいをかけるに決まっているわ。」

 

ヘファイストスの言葉にヘスティアは急いで自分の帰りを待っているベルの元にへと走って帰る。

 

「ベル君!!」

 

勢いよく地下室の扉を開くと、そこには筋トレをしているベルがいた。

 

「お帰りなさい、ヘスティア様。」

 

自分に向かって投げかけてくるベルの言葉に、ヘスティアは涙を浮かべながら抱き着く。

 

「どうしたんですか、ヘスティア様?」

 

ベルはそんなヘスティアを優しく受け止め、涙を浮かべるその理由を問いかける。

 

「実は…。」

 

ヘスティアは今まであったことをすべて話し、ベルに問いかける。

 

「ベル君は僕の前からいなくならないよね?」

 

そう言ってくるヘスティアに対してベルは笑みを浮かべながらこう言った。

 

「勿論ですよ、俺は生涯【ヘスティア・ファミリア】のベル・クラネルです。」

 

「そうか、よかったぁ~。」

 

ベルの言葉を聞き、ヘスティアは安心したため眠ってしまう。

 

その姿を見届けたベルはヘスティアと共にベッドで眠るのだった。




感想・指摘をお待ちしております


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。