ウルトライブ!サンシャイン!! ~Shine your heart~ (我道ラン)
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1話 ~俺達、死にました~

……作ってしまった…はいどうも!まさかの初雪の日に投稿とは…今作はシリアスとギャグの度合いがバラバラです。あと今回だけかもしれませんが色々大変です、申し訳ありません…

それでは待ちに待った(?)新作です!


 

皆はどんなヒーローを知ってる?

 

 

色々あるよね?人を守る正義感に溢れたヒーローや自分だけの信念を貫くヒーロー、そして復讐の為に戦うヒーロー……他にもそういったのがある。

 

 

 

俺は…守りたい。人を……出来れば敵も…救いたい。

 

 

 

 

…………本当は敵なんかいない。俺はそれを信じて、夢を追いかける。そうすればいつか…

 

 

いつか……そう………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……イチ………ユウイチ!」

 

 

「ん?何だよぉ……」

 

 

「何だじゃねーよ、駅のホームで寝んなよ?ったく…」

 

 

俺は神城優一(カミキユウイチ)、自分で言うのもなんだが身長が低い。今日で20歳になった新成人だ。その誕生日に東京をぶらりと巡り、アニメショップや玩具屋を回りまくった。そして酒場で誕生日会を行い、その帰りにものの見事に酔っぱらってしまった……うぁぁ、気持ち悪い……そこを心配してくれたのが俺の友達、いや…親友達だった。

 

 

「はぁ…だから無理すんなって言ったのに……」

 

 

 

「そんな時は歌おう!リクエストすりゃなんでも歌うぜぇ?」

 

 

「ん?今なんでもって言ったな?じゃあ黙ってろ」

 

 

 

「ファッ!?」

 

 

「テンション高いね……」

 

 

あー…一気に喋りやがって……まぁいいや、順に紹介することにしよう。

 

 

 

まず先程も俺のことを心配してくれた三伽歩夢(ミトギアユム)、動物や自然が好きな奴。見つけた野良猫を容赦なく可愛がり、そして必ず引っ掻かれる。料理が得意で身長が高く、俺達の中じゃ一番高いんだ。だから悔しくないからな…悔しくないもん。

 

次に酔っぱらいに向かって歌えなんて言ったのは陸前飛鳥(リクゼンアスカ)。はっきり言えば馬鹿だ。勉強はしないし、授業中もゲームか寝るかぐらいしかしなかった。体育ぐらいがアイツの正念場なんだが…なぜか失敗ばかりする猪突猛進タイプの奴だ。柔道では全国レベルだが向かうところ敵いまくりである。

 

そして次はその飛鳥を黙らせた屯雲伴和(ムラクモトモカズ)。高慢ちきな性格がたまに傷だが基本はいい奴。かつては痛々しい程の中二病だったが今は多方面の考えを持ち、俺達を仕切るリーダー的存在だ。

 

最後に大人びた雰囲気を持つ吉沢大冴(ヨシザワタイガ)、慎重な性格で喧嘩の仲裁役でもある。なんでも一人で抱えたりする時があるけどとても良い奴なんだ。とまぁ一通り…いや、まだ一人だけいたな。ダークホース的な存在が。

 

 

「ふぁぁ……」

 

 

呑気にあくびをした青の瞳の男、河本秀護(コウモトシュウゴ)だ。彼は寡黙な男で口数が少ない上にコミュニケーションが得意ではない(コミュニケーションしたい場合は半年程の時間が必要)。けれどもゲームが得意で、その実力は中々のものだ。

 

 

「シュウちゃん眠そうだね」

 

 

 

「早く帰って寝たい」

 

 

 

「そりゃそうだよなぁ…早く帰ってイベント走らなきゃ(使命感)」

 

 

「廃人じゃねーか!なぁユウイチ…カズの奴どうにかなんないのか」

 

 

「無理だよアユ、ああなったら徹夜確定なんだアイツ」

 

 

「なぁなぁ、ここでアスカのデビューライブするってのはどう?」

 

 

「お前は一体何を言ってるんだ」

 

 

「おぉ…シュウちゃんがツッコんだ」

 

 

「あ、終電来たよ」

 

 

 

「マジで!?」

 

 

 

タイガの言った通りに最後の電車がやって来て俺達はドアが空いた途端に走りながら席へと向かい座り込み、安堵の息を漏らした。

 

 

 

「ん~…やっぱ終電ってだけあって誰もいねぇな」

 

 

「逆にいてもそんな不思議じゃないでしょ?」

 

 

「あ~あ…どっか異世界に行けたらなぁ~…」

 

 

「そうだね」

 

 

「シュウちゃん…っておいユウイチ!車両の端なんかで何やってんだよ?」

 

 

 

「………リク。お前の言ってること、案外当たりそうだぜ」

 

 

「はぁ?どういうことだ…?」

 

 

 

「見せてやろうカズ……」

 

 

 

俺はそう言って振り返り皆にそこで拾ったものを見せた。それは誰もが見れば一発でわかるものであり、酔いも覚めてしまうほどの最悪のサプライズプレゼントだった。

 

 

「お、お前それ……」

 

 

「まさか…」

 

 

「「「「「爆弾!?」」」」」

 

 

「えっ…えぇぇぇぇ!?ウッソだろお前!?」

 

 

「やべぇよ…やべぇよ…」

 

 

 

「ど、どうする!?」

 

 

「…………………(遠い目)」

 

 

「アイエエエエエ!?ナンデ!?バクダン!?バクダンナンデェェ!?」

 

 

それぞれ良いリアクションしてるなぁ…カズは王道のビビり方してるし、アユは軽く絶望している。まぁタイガは俺らの中じゃ落ち着きがあるから良いけど…シュウちゃんは目に輝きがない。灰になったみたいだ…そしてリク、うるさい。しかし時間は待ってくれず爆弾のディスプレイに表示されたタイマーは刻一刻と進んでいく。

 

 

 

「どうすんだよ…!」

 

 

 

「もう諦めようぜアユム…運命には勝てないんだ」

 

 

 

「馬鹿野郎俺はお前勝つぞお前(天下無双)!」

 

 

 

「神様…あぁ、転生させてくれ!SAOの世界に行ってサチを救いたい!そして一生添い遂げたい!!」

 

 

「あっずるいぞカズ!俺は…俺はISの世界に行ってハーレムになってみたい!」

 

 

 

「俺は…俺は俺は……ボトムズとグレンラガンとマジンカイザーSKLと真ゲッターとビッグオーとイデオンと……あとガンバスターの世界に行きてぇー!!!」

 

 

「俺は…「お前だけ長いわ!」

 

 

シュウちゃんは俺のツッコミでカットされたが各々が死んだ後のことを必死に願っているその時、ふと目を爆弾にやるとタイマーがあと10秒を切っていた。あ、終わった……何もかも……

 

 

5…4…3…2…1……

 

 

 

…さよなら、俺。短かったけど、楽しい20年だったよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん……どこだここ…?」

 

 

目を覚ました俺が居た場所は真っ白な所。ビルも無ければ線路や駅もない。何もない場所で俺はただ一人残された。しかし瞬きをした瞬間にアユム達が現れた。流石に取り乱すか…?

 

 

 

「おーい、大丈夫?」

 

 

 

「んゅ…おはよ、ユウイチ君元気?」

 

 

「呑気だなタイガ…ここどこだかわかってるのか?」

 

 

「んー幻想郷?」

 

 

 

「幻想郷と聞いて」

 

 

 

「知ってるぜタイガ…愚かなBBA共の巣窟のことだろ?」

 

 

「やめろォ!」

 

 

 

 

よかった、こいつら変わらず元気だわ。

 

 

 

「てかここどこ?」

 

 

「そうそうそうだよシュウちゃんの言う通りだって!」

 

 

「全く急ぎすぎなんだよアユムはさぁ、もうちょいゆったり過ごそうぜ?」

 

 

「お前は逆に呑気すぎるんだよ…」

 

 

 

とりあえずここでボケとツッコミの繰り返しをしてもしょうがない。6人の情報を元に推理することにした。状況を振りかえることで何かわかるかもだし…

 

 

 

「えーと…まず俺の誕生日で東京歩きまくってー…」

 

 

「僕達、その夜に酒場で飲んだよね?」

 

 

 

「んで、ユウイチが酔っぱらったから終電で帰ることにした」

 

 

 

「けどそこで爆弾を見つけて対処しようとしたけど、何も出来ずに」

 

 

「ドカーン」

 

 

「爆発オチなんてサイテー!」

 

 

…まぁ、合ってるんだよ?合ってるんだけどさぁ……ツッコめんわ。うーん…やっぱりここは死後の世界なのか?全く……まだ人生満喫してないのに何で死ななきゃいけないんだ…神様絶対許さねぇ。

 

 

 

「悪かったの、神様で」

 

 

 

 

…あれ?急に俺達の目の前に現れたいかにも神様チックな老人……というかマジの神様?

 

 

 

「あの…貴方は?」

 

 

 

「誰も何も…ワシが神じゃ」

 

 

 

「じゃあ俺達をここに呼んだのは…?」

 

 

 

「ワシじゃ」

 

 

「俺達の未来を潰したのも…?」

 

 

「ワシじゃよ、ゴメンね」

 

 

俺とアユムとカズの質問に対し、頭に拳を軽く当て舌を出し、ドジっ子風に謝る神様。だがそんなので許してもらえる訳がなく罵倒を浴びせていく。可哀想だが…ぶっちゃけ自業自得なのでスルーしておこう。

 

それから数分後……

 

 

「…つまりなんだ?お前の手違いで殺してしまったと?」

 

 

 

「はい。しかしそんなお前らにもう一回チャンス…即ち転生をしてやろう!」

 

 

「えっ!?さっすが神様太っ腹ぁ!」

 

 

「よっ!日本一!」

 

 

 

「カズ君とリク君…テンション高くない?」

 

 

「気にしちゃだめだタイガ」

 

 

「ただし!条件がある…まず命は大事にしろ!今回は仕方無しのものじゃ、今度死んだら確実に人生終わってしまうぞ?そして次がとても大事じゃ!」

 

 

「「「「「「大事…?」」」」」」

 

 

「転生先では様々な事件が起こる!お前達はそれを解決しなければならないのじゃあ!」

 

 

 

色々長い話をしたのでまとめると、転生させてやるからそこで起きた事を解決しやがれってことだ。つまりそこの世界に「自分達の世界は平和だ」という認識がないことになる。それを解決しなければならないって…俺達転生しても気軽に過ごせないのかよ……

 

 

……でも、それって…

 

「なぁ神様!なら俺達はヒーローになれるってことだよな?」

 

 

「そうじゃ、しかしヒーローの理念は人それぞれに違う。お前らは6人もいるんじゃ、当然ヒーローの形は別々。だからこそ、ストーリー、ヒロインも変わるものじゃ。」

 

 

「つまりどういうことだ?」

 

 

「悔いのないように過ごせってことでしょ」

 

 

「おほん…さて前置きはこれぐらいにして、そろそろ行こうか。」

 

 

「それでは夢と希望に溢れた転生先の世界へ、レッツゴー!じゃ」

 

 

 

神様がいかにもな物語が始まりそうなセリフを言い終えた瞬間、俺達が立っていたところから大きな穴が開き、真っ逆さまに落ちていった。下に見えるのは綺麗な海…海!?

 

 

「うわぁぁぁ~~!!!!」

 

 

 

ここだけの話…俺、高所恐怖症なんだ。おまけにそんな泳げない………そして今海めがけて落下中…

 

 

 

 

 

俺達、もうおしまいじゃね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~東京都、あるモニターの前~

 

 

初めまして!私は高海千歌、明日からバリバリの高校2年生です!今私はあの大都会、東京のとあるモニター前にいるんだ。そこに映されてる映像にもう釘付け!もう一目惚れしちゃった♪その映像はね、私と同じくらいの9人の女の子が歌って踊ってるんだ。しかも制服で!制服だよ!?可愛い衣装とかじゃなくて学生が着て当たり前の制服!スゴいよねぇ~…♪私と変わらないのに…こんなに輝けるなんて…こんなキラキラしてるなんて♪

 

 

 

……私にも、なれるかな…

 

 

なんて思ってた拍子に前から来ていた人にぶつかっちゃった……

 

 

「きゃっ!あっ…ごめんなさい、その…よそ見してて…」

 

 

「……お嬢さん、人間には2つのタイプがあります。1つは夢を抱かずに目の前の暗い道を叶うはずがないと言い聞かせ歩く人間、もう1つは夢を抱きそれが叶うと信じて暗い道であろうが走る人間のどちらか…」

 

 

「えっ?えっと……」

 

 

 

 

「あなたは希望の光か…それとも、絶望の闇か……」

 

 

 

スマートな黒スーツに赤いネクタイの若いお兄さんは私の耳元にぐっと近づきボソッと言い残すとどこかへ行っちゃったみたい。なんだったんだろ…不審者?いやいやいや、こんな普通な私にまさかそんな人が来るわけ………

 

 

……普通、か。あそこに映っていたのは私と同じ普通の女の子…でもそんな彼女達はとてもキラキラしてたな…今まで色んなことにチャレンジしたけど…なんでだか続けられなくて…でも…これなら…!

 

 

 

……よし、始めよう!輝くために…少しでもあの人達に近づくために!

 

 

 

 

「あの人達に…μ'sに近づくために!」

 

 

 

 

これは、輝きを求めてひた走る9人の少女と輝くため生まれ変わった6人の少年の物語…

 

 

 




1話、どうでしたかね?
主人公は主含めた友達をモチーフにしております!
もし、この時点で「こいつはあの娘と合いそう」という意見やかお話のリクエストなどございましたらよろしくお願いいたします!
次回からウルトラマン登場、お楽しみに!


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2話 ~ゼロから始められた~

お待たせいたしました2話です!
まだ主要メンバーがいませんがご了承下さい…あと何話したら出てこれるのか………
そして予告通りウルトラマン登場!いったい誰と一体化するんでしょうねぇ?あ、今のは「いったい」と「一体」をかけた(re
それではどうぞ!


~宇宙のどこか~

 

 

遥か彼方の銀河にある一つの星。そこにはかつて光の巨人達に敗れ、怨念となった怪獣達がはびこる場所…怪獣墓場が存在する。

 

 

 

「怪獣の魂が一つも感じられねぇ…いつもなら気持ち悪いぐらい出てくるはずなのによー…」

 

 

そんな星に一人、足を踏み込んでいた者がいた。青に赤のラインが入った肉体、頭部には本人曰く(?)のチャームポイント、ツインゼロスラッガーを携えいつもと違う事態に悩んでいた。そんな時に腕に着けているブレスレットが光る。これは通信を示す光で気づいた本人もすぐに反応した。

 

 

 

「もしもーし?」

 

 

「やっと繋がりましたか…」

 

 

「どうしたんだよミラーナイト」

 

 

通信の相手はミラーナイト、別次元に存在するエスメラルダ星を守る鏡の騎士だ。

 

 

「実はですね…先程負のエネルギーを感知しまして、それがある星に向かっているという情報を手に入れたのです」

 

 

「負のエネルギー?怪獣ってことか?」

 

 

 

「その可能性は十分あり得るでしょう…」

 

 

「んで、一番近いであろう俺に連絡よこしたってわけか」

 

 

 

「申し訳ありません…また負担を掛けさせてしまって…」

 

 

「気にすんな、んなの慣れたからよ。じゃあとの奴ら頼むぜ、ミラーナイト」

 

 

「はい…では御武運を」

 

 

通信を切ると一息つき、負のエネルギーを居場所を突き止め、そのルートから降り立つであろう惑星を瞬時に探しだした。

 

 

「…なるほどな、やっぱり狙われる羽目になるわけか」

 

 

一言呟くと、決心を固め怪獣墓場を飛び出し出発した。

 

 

「待ってろよ…親父がかつて守った星、地球!また守ってやるよ…このウルトラマンゼロ様がな!」

 

 

瞬く間にゼロは怪獣墓場から姿を消した…

 

 

 

~地球~

 

 

 

…こんにちは、河本秀護です。えーと……状況が上手く説明出来ないので一言では…言えないので二言で言うと………

 

 

 

海、落ちた。

 

 

 

「がはぁっ…神様の野郎ォ……秘伝の屯雲流究極奥義でいつかとっちめてやる!」

 

 

「あービショビショ……なんでこんなことに…」

 

 

「え?皆疲れてんの?なんだよ弱っちいなぁ」

 

 

お前が体力お化けなだけだアスカ。

 

 

「4月の海に入って平気な奴がいてたまるか!」

 

 

 

「え?俺ですけどォ?」

 

 

「あ…悪魔たん……」

 

 

 

「化け物?違う……俺は悪魔だぁ」

 

 

 

……相も変わらずだけど、元気そうでよかった。

 

 

 

 

 

 

「それでさ…結局ここはどこなんだろ?」

 

 

 

議論はタイガの言ったこの一言から始まった…実際俺も気になってたし、それを聞いた途端他のメンバーも小首を傾げながら考えだした。

 

 

 

 

「えーと…まず海があって…見たとこ田舎っぽいな」

 

 

「田舎……過ごしにくそうだ」

 

 

「………………………」

 

 

 

「どうしたユウイチ、さっきから考え込んで…」

 

 

「いや、あの旅館…」

 

 

旅館?あぁ…横にあったな、りょか……

 

 

 

 

 

……十千万!?あれ…いや、マジ…?

 

 

「おーい、しゅーちゃーん」

 

 

気がつくとアスカが目の前で手を振っていたがその手を払いもう一度目を凝らして見てみた。けど…うん、完全に十千万だわこれ。え?何で知ってるかって?それは…

 

 

「どした?さっきから口ポカーンってなってるけど」

 

 

「な、何でもない…」

 

 

「おっ!こりゃいい…まずは寝床を確保しなきゃなぁ!」

 

 

 

「待てよカズ!まずはメシだろ!?」

 

 

「はぁ?どう考えても宿だろ?」

 

 

アユムとトモカズはメシか宿かで早くも口喧嘩になってるし…

 

 

 

「なるほど、この世界…だいたいわかった」

 

 

俺の一言でユウイチ以外の四人は途端に振り向き、さっきまで喧嘩していた奴らとは思えないほどのキラキラした顔で俺に問いだした。

 

 

 

「ねぇねぇシュウちゃん、何の世界なの?」

 

 

 

「暑苦しいアユム………だけどその前に宿行こ」

 

 

「へ?」

 

 

アユムはきょとんとした目で俺の目を見た。どういう風潮か俺が出した意見はなぜか採用されやすい……それもあり、満場一致で旅館へと足を向けた。

 

 

 

 

「お、おい…犬だぞ!」

 

 

入り口のすぐそばに犬小屋があり、そこに一匹の大型犬、しいたけが寝そべっていた。興味を持つアユムだがしいたけの方は俺達をじっと見ている。

 

 

「ど、どうしようリクくん…」

 

 

「んなの心配ねぇ!気前よく挨拶かけりゃ通してくれるさ」

 

 

「そういうものかなぁ…」

 

 

「なら、俺が行く」

 

 

「シュウちゃん…死ぬなよ」

 

 

 

「何敬礼してんのトモカズ…」

 

 

 

恐る恐る近づきしいたけに一声かける…なんでこんなに緊張してるんだろ…

 

 

「…こんにちは」

 

 

 

「わうっ」

 

 

軽く吠えると道を開けてくれた。よかった、ちゃんと通じて…

 

 

「おっ、通れた…でも次はどうなるか…」

 

 

「だったら俺が行くよ」

 

 

「ユウイチ…」

 

 

次はユウイチ、果たして通れるか…

 

 

 

「…通ってもいい?」

 

 

「わふっ」

 

 

「じゃあ次は俺だな…」

 

 

「おい、通せ」

 

 

「……わふっ」

 

 

トモカズの時だけ溜めてたな…やっぱり犬でも上から目線は嫌なのか?

 

 

「よし、僕も行くよ…」

 

 

「わうっ」

 

 

「ワンちゃーん、通りますよー…」

 

 

「わんわん!」

 

 

 

「よっしゃ!ウィーッス!」

 

 

「ばうっ!」

 

 

「いっでぇぇぇぇぇ!!!!」

 

しかし陽気に声を掛け通ろうとしたアスカだけがガブッと噛まれてしまった。打たれ強いのが特徴のアイツでも、流石に痛かったようだ…

 

 

 

 

 

 

 

「…いつつ…なんだよあの犬ぅ」

 

 

 

「ごめんなさいねぇ…しいたけがご迷惑を掛けて」

 

 

 

「そんなことないっス!お陰で美人の志満さんに会えたんですから!」

 

 

「まぁ、お世辞上手ねぇ」

 

 

「あはは…」

 

 

 

あれからアスカの悲鳴を聞いた旅館で働いている高海志満さんが助けてくれた。あ、志満さんというのは主人公である高海千歌の姉で長い黒髪におっとりした目のいかにもなお姉さんで、ついでに事情を話し俺達を泊めてくれることを約束してくれたんだ。しかし…やっぱりここはラブライブサンシャインの世界…なのか?だとしたら妹の千歌ちゃんがいるはずなんだが……

 

 

「志満さん、妹さんとかいます?」

 

 

 

「え?えぇ…下に二人…」

 

 

「末っ子さんは?」

 

 

「東京へ出掛けているのよ…私も行きたかったなぁ……」

 

 

俺の疑問をユウイチが代わって問いだしてくれた。彼女は東京…ということはまだ物語は始まっていないのか?いや、1話の冒頭でいたような…そう考えている内に俺は部屋へ連れてかれていたようでユウイチが他の四人にこの世界のことを話していた。そもそも原作を知っているのが俺とユウイチしかいない。故にさっさと教えればよかったのに長引いてしまった。まぁもう解決したんだけどね。もちろん皆の反応は…

 

 

 

「えぇ!?あのラブライブ!?」

 

 

「静岡県…通りで東京を羨ましそうに言うわけだ」

 

 

「へぇー……あんま詳しくないからわかんねぇや」

 

 

「チッ…妙な世界に来たもんだ」

 

 

 

こういう感じだと思ったよコンチクショウ。まぁリクは嬉しそうな顔をしてるし、変なところではあるがタイガも納得している…しかしアユムとトモカズの後者二人、せめて興味ぐらい示せ。二人みたいな反応が一番辛いわ。

 

 

「とにかく、俺達はこの世界で暮らさなきゃいけないんだ。何がなんでも順応してもらわなきゃ」

 

 

「でもよー…すること大抵決まってるんだろ?今更俺達に何が出来んだよ?」

 

 

 

そう、そこなんだ。今言ったアユムの言葉が俺の最大の疑問となっている。確かにあの神様が手違いで殺したとはいえ急に大きな使命も与えず転生させるとは思えない…

 

 

 

………と、この間約十秒。その考えが一瞬で覆されようとは夢にも思っていなかった…

 

 

 

キシャァァァァオオオン!!

 

 

 

 

 

「っ!?今の鳴き声…動物?」

 

 

 

「馬鹿言うなタイガ、こんな騒音出す動物聞いたことねぇぞ?」

 

 

「じゃあ何?音声?」

 

 

「あっ誰かの歌声だったりして!」

 

 

「はいはいさすが歌唱力No.1」

 

 

「アユム~トモカズがいじめる~」

 

 

「えぇいひっつくな暑苦しい…!」

 

 

「とにかく外に出ようよ!」

 

 

「あぁ!」

 

 

 

タイガの指示もあってか俺達は早急に外に出ることが出来た。そして扉を開けた時、やっと俺はあの神様の言っていたことが理解出来た…

 

 

 

「う…嘘だろ!?」

 

 

 

「……怪獣…」

 

 

「あれは古代怪獣ゴモラ!すげぇ…やっぱ本物はカッコいい…!」

 

 

「言ってる場合か!?」

 

 

ウルトラマンに出てくる怪獣…ゴモラが内浦の地に降り立っていた。ゴモラはその巨体でこちらに向けて移動し始めた。

 

 

「うわぁ…来た来た!」

 

 

 

「とりあえず逃げなきゃ…あっ、まず志満さん達の安全を確かめなきゃ……あっ!そういやここ旅館だから泊まっている客の安否確認も必要だァー!」

 

 

「あぁもう!とにかく行くぞお前ら!」

 

 

「………………………」

 

 

「シュウくん…どうしたの?」

 

 

「……俺が引き付ける、その間に志満さん達をお願い」

 

 

「はぁ!?何言って……」

 

 

「わかった、シュウちゃん…その代わり無理はしないでくれよ」

 

 

「ユウイチ……わかった」

 

 

「ユウイチまで…わかったよ!絶対死ぬなー!」

 

 

 

 

色々な意味で大変なことになってしまった…とりあえず人命救助を第一にあの5人を回したのは良いとして…俺が問題だな。その場の空気とはいえあっさり受け入れられるのもな……考えていても仕方ない、か…よし!

 

 

「ゴモラ!こっちに来い!」

 

 

 

ゴモラは大声で呼ばれ、声が聞こえた方向へ動き出した。それに続き俺も潰されないようにひた走る。しかし道端の小石につまずき倒れてしまった…ゴモラはそんなことを気にせず進む。

 

 

 

 

…………もうダメだ、せっかくまた生きれたのに…こんなんじゃ……まだ…会えてないのに…せめて……会ってから…!

 

 

 

 

 

 

 

「…助けたいのか?」

 

 

 

「…え?」

 

 

「だーかーらー、助けたいのかっつってんだよ」

 

 

 

「え、そりゃまぁ……」

 

 

 

「だったら交渉成立だな、よろしく頼むぜ」

 

 

「あの…話が見えないんですけど」

 

 

「えぇ?一緒に戦うんだよ」

 

 

「…………は?」

 

 

 

謎の声と会話をしている内に目の前に大きな光が俺を包み込み、次に意識を取り戻すと目の前にあのゴモラがいた。それだけじゃない、俺が倒れていたはずの場所から遥か上空にいた。何事かと思い周囲の景色を見回すと青空や雲が同じ高さにあった。何だこれ…まるで巨人になったような………ん?巨人?

 

 

 

…まさか……

 

 

 

「あ、あのー…」

 

 

 

「ん?どした?」

 

 

 

「あっさっきの…あの、名前は?」

 

 

「俺か?俺はウルトラマンゼロ!セブンの息子だ!」

 

 

「…あーはいはい、そういうことですね……」

 

 

 

 

 

 

「じゃあお疲れさまでした」

 

 

 

「おい」

 

 




どうだったでしょうか?
まさかあのゼロとシュウくんが…早くも噛み合わなさそうな二人ですがそれがどうなるかは今後のお楽しみということで……
次回、初戦闘となります!上手く書けるか不安ですが頑張ります!


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3話 ~友達にバレるなとか無理~


どうも皆さんこんばんは!
今回は前回の続きになります、ゼロの活躍(?)をお楽しみに!
ついにオーブが今週で最終回…感慨深くて泣きそうですが頑張ります!
それではどうぞ!


 

 

よっ、ウルトラマンゼロだ!え?前回のあらすじ?なんだよ面倒くせぇ…第一俺だってついさっきここに来たばかりだぞ?だがしゃーねぇ…ここはこのゼロ様がビシッと決めてやるか!

 

 

 

 

宇宙の亡霊はびこる怪獣墓場にいた俺は仲間からの連絡で地球に負のエネルギーが迫り来ることを知った俺はすぐに地球へ出発。一方地球では転生した6人の内の一人、河本秀護が突如現れた古代怪獣ゴモラに単身で立ち向かっていた。それを見ていた俺が力を貸したってわけだ。

 

 

「見てたんなら助けろよ」

 

 

「そんなに嫌か?」

 

 

「あぁ、というかなんで同化してんのかすらわからないんだけど」

 

 

「それはあれだよ、俺達そのままの姿で戦うにはちと大変でな…だから人間と同化して本来の力を使えるようにしてるってわけだ」

 

 

「ふーん…じゃあそういうことで」

 

 

「ちょちょちょちょ!どういうことだよ!」

 

 

「だって戦う気ないし…」

 

 

おいおいおい…まさかの拒否かよぉ!?このままじゃやられちまう…こうなったら…

 

 

「ふんっ!」

 

 

「え、おわぁぁぁ!?」

 

 

こうなったら無理矢理でも動かしてアイツ(ゴモラ)を倒す!腕さえ振れればなんとかいけるはずだ…!

 

 

「よっし!」

 

 

「なにがよしだ…わぁぁぁ…!?」

 

 

パンチを決める度にゴモラが悲鳴をあげる。それでも俺は腹部を蹴りまた殴る。遂に本気を出してきたからか突進攻撃で対抗、本来なら押さえることが出来たんだがそれがどうにも力を出せない。そのまま喰らってしまい内浦の地に倒れこんでしまった…くそっ!なんとかしねぇと…!

 

 

「………これ以上受けたら、負けるの?」

 

 

「シュウ…あぁ、このままじゃな」

 

 

「…だったら早く倒してくれ」

 

 

「はいはい…わかりましたよっと!」

 

 

「さっさと決めるぞ」

 

 

俺が倒れていたところには、倒壊した建物があった。今まで思いもしなかったが他人が作ったものを壊されたらたまったもんじゃねぇよな…多分それはコイツ(シュウ)がよくわかっている。だからこそ力を合わせようとしてるんだな…へへっ、それなら俺も本気を出せるからありがたいぜ!ヤツ(ゴモラ)が再び進んだところに回し蹴りでカウンターを決めることができた。体の感覚はさっきより軽くなっていたものだからここぞとばかりにワンツーコンボ、ラリアットなどでダメージを与えるとゴモラはふらつき、弱々しい声をあげた。

 

 

「よっし!まだまだ…」

 

 

ピコン…ピコン…ピコン…

 

 

「なっ!」

 

 

「カラータイマー…鳴ったらマズいんじゃなかったっけ?」

 

 

「あぁ…あと1分ぐらいが限界てとこだな」

 

 

「どうする…?」

 

 

「しょうがない…一気に決めるぜ!」

 

 

「あぁ!」

 

 

 

 

これ以上時間は掛けられない…口を開けたところだ。無防備な口を狙えば少しのエネルギーでも倒せるはず…と思ってたらちょうど口を開けやがった、ラッキー!

 

 

 

「いくぜシュウ!声合わせろよ…!」

 

 

「えっ?」

 

 

「いくぜぇぇぇ…!」

 

 

「あぁもう…こうなりゃヤケだ!」

 

 

 

「「エメリウムスラッシュ!」」

 

 

 

額のビームランプから出た一本の光線はゴモラの口に直撃。この技はピンポイントなところしか狙うことができないが威力は抜群、もちろんそれを防ぎきれずどんどん体内にエネルギーが入っていく。ついに耐えきれずゴモラは大爆発を起こし姿を消した。

 

 

 

「…終わったな」

 

 

「あぁ…」

 

 

「んじゃ、戻るとしますか」

 

 

「ひょっとしてアレ?俺もやるの?」

 

 

「当たり前だろ?ほらいくぜ…」

 

 

 

「「ジュワッ!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは、吉沢タイガです。さっきまで怪獣がいたんだけどそこに現れた青と赤のウルトラマンが倒してくれたんです。あ、僕はウルトラマンにあまり詳しくなかったけど避難してるときにアユムくんがたくさん教えてくれました。5分…いや10分ぐらい話しっぱなしで正直疲れたというのは秘密ということで…

 

 

「それにしてもまさかゼロとはな…!いやー感動した! 」

 

 

「もう被害もないみたいだし、帰って志満さんの胸に飛び込みてぇー!」

 

 

「そこはご飯とかにしとこうよ…」

 

 

「おーい」

 

 

 

「あ、シュウちゃんだ!ねぇねぇさっきのウルトラマンって…」

 

 

「うん、俺がなった」

 

 

「あっさりバラしやがった!」

 

 

「え?バラしちゃダメなのアユム?」

 

 

「当たり前だろ!?ウルトラシリーズにおける正体バレってのは超重要で必ず名シーンを生み出す大事な展開なんだぞ!?」

 

 

「えぇ…だってどうせバレるんだし…」

 

 

「まぁまぁ…これで一件落着なんだからいいじゃないか」

 

 

「ユウイチ…そうだな、これで出なくなるだろうし」

 

 

 

 

 

『そうとは限らないみたいだぜ?』

 

 

 

「えっ?この声…ゼロ!?どこから…?」

 

 

『ここだよここ!』

 

 

声の在りかを探すと、そこにはシュウくんが見たこともないブレスレットをしているのを見つけた。まさかここから…?

 

 

「もしかしてそのブレスレットじゃないかな?」

 

 

 

「ブレスレット…あぁー!ウルティメイトブレスレットじゃんかぁ!」

 

 

シュウくん自身も知らずに左手に装着されていたブレスレットはアユムくん曰く変身アイテムやら色々なものを収納できるものだそうで…これで融合者、即ちシュウ君との会話が可能になるみたい。というか皆と話してるけどね……

 

 

 

「あっ…いつの間に」

 

 

『おいおい、いつの間にはねぇだろ?せっかく人と話すのが苦手そうなお前に俺という話し相手と話せるようにしてやったのによー』

 

 

「そりゃどうも。えーと有害ゴミの日はいつだっけか…」

 

 

『おい!人様からのプレゼントをゴミ呼ばわりかよ!』

 

 

 

「二人とも落ち着けって…ゼロ、そうとは限らないってどういうことだ?」

 

 

「えーとお前は…ユウイチだっけか?実は俺が来たのは地球(ここ)に負のエネルギーが迫っているって連絡を受けたからなんだ。でも…」

 

 

 

「もしかして…消えてないのか?」

 

 

『あぁ…もしかしたら近々、また来るかも知れないな』

 

 

「そんなぁ…でもそん時はゼロとシュウちゃんがなんとかしてくれるんしょ?」

 

 

『おう!怪獣現るところにこのウルトラマンゼロ様ありだぜ!』

 

 

「うー…かっくぃー!」

 

 

「アスカ…さりげに俺も巻き込むな」

 

 

 

 

怪獣のエネルギーが途絶えてない…か……もしかしたら僕も…いや、そんなわけないか。こうして僕達の使命ってこういうことなんじゃ…でもまだ確証は持てないし、まず(十千万)に帰らなければならないので帰ろうとした…その時、シュウ君の一言であることを思い出したんです……

 

 

「…そういえばトモカズは?」

 

 

「あれ?いないね…」

 

 

「迷子か?」

 

 

「冗談きついぜユウイチ…アイツがそんなことすると思うか?」

 

 

「そりゃないけどさ…」

 

 

「とにかく先に帰ろう、じゃないと何も進まないぜ」

 

 

「チッ…リクにしては賢いこと言いやがって」

 

 

でも本当にどこに行ったんだろう……トモカズ君が勝手に消えるなんて考えられないし…もしかして宇宙人の仕業…なんてわことあるわけないか……予感が当たらないことを祈りながら、十千万へ僕達は帰った。

 

 




今作初の戦闘描写、いかがでしたか?いまいちピンとこないかもしれません。そう思った方、失礼致しました。
次回は消えたトモカズの話!彼は一体どこへ行き、何をするのか…!?
あ、次回から少なからずですがAqoursメンバーも登場します!お楽しみに!


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4話 ~人形の降る町~

お待たせしました…今回からAqoursメンバー登場です!そして怪獣もまた登場…どんな怪獣が出るのかお楽しみに!

それではどうぞ!


 

 

屯雲トモカズだ。ついさっきまでいたはずの怪獣が死んでびっくりしたがひとまずはいなくなって安心したぜ…あ?なんでアイツらから離れたかって?そいつを語るには少し時間がいるんだよ…

 

 

 

まず怪獣(ゴモラ)を倒した後に一筋の光が見え、俺はそれを追いかけた。光が消えたであろう場所に着くとそこには…ゴモラの人形があったんだ。やけに造形がよく、誰かの落とし物かと考えるがそもそも持ってないだろうしそもそも存在するのかすら疑うレベルだからイライラのあまりボソッと言ってしまった。

 

 

「こんの厄介者がよ…」

 

 

すると人形がほんの少しではあるが声をあげた…気がしたんだ。もちろん驚いた俺はなにか嫌なことが既に起こっていると考え、対抗策を練ることにした。そこで目に止まったのは一軒の寺だったんだ…止まっててもしょうがないと思い勇気を出してこのことを話そうとしたら……

 

 

「人形が喋るなど…そのような不可思議現象があるわけないですぞ!」

 

 

「だから本当だっての!俺が小言を言ったら喋ったんだよ!」

 

 

「その証拠は?あるのですか?」

 

 

「そ、そりゃあ…」

 

 

「ほれみなさい!その声は貴方の心の乱れが生み出した幻聴に違いありません!」

 

 

「あぁもう…だったらそいつをどうやって治せばいい!?早く教えろ!」

 

 

「答えは…貴方の心の中にあるのですぞ」

 

 

とこの調子……門を掃除していた坊主に相談したらこうなっちまった…ぶっちゃけ話しても信じてもらえないだろうとは思ったが…俺も馬鹿なことしたもんだ。おまけにその坊主の一つ一つの動きがオーバー過ぎてさらに腹が立ってしまう。ただでさえこんな世界に来たのに加えて怪獣騒ぎ…そして今の件、どこまで俺は神様に嫌われてるんだ…

 

 

「…だったらお祓いしてくれ」

 

 

「だーかーらーそんな世迷い言を聞いているほど拙僧は暇ではないのですぞ、さぁお掃除を早く終わらせねば…」

 

 

 

ダメだ…マジでぶん殴りたくなってきた。と、そこに…

 

 

「あれ?どうかしました?」

 

 

「こ、これは花丸殿!」

 

 

現れたのは茶色の長髪に黄色い瞳をした女の子だった。背丈は小柄だが出るところはしっかりと出ていて正直エrゲフンゲフン…可愛いなと思ったのは俺だけの秘密にしておこう…

 

 

「お前、ここに住んでるのか?」

 

 

「はい…でもお祓いとかは住職さんに任せっきりで…」

 

 

「充分だ…で、その住職は?」

 

 

「こちらの人です…」

 

 

彼女が指差した先にいたのはさっきの坊主。まぁ予想はしてたんだがなんだろうかこのガッカリ感は……それでもせっかくのチャンスなのでお祓いついでに家に上がらせてもらった。

 

 

「お待たせしました~…ととっ。どうぞ♪」

 

 

にっこりと笑顔で俺に差し出した湯呑み、熱いお茶が入っていた。湯気が立ち上り喉が渇いていたので迷わず口へ運ぶ。

 

 

「あちっ!」

 

 

「大丈夫!?冷たい方がよかったですよね…?」

 

 

「構わない…サンキュな、ちょうど飲みたかったんだ」

 

 

「いえいえそんな…せっかくのお客様ですから♪」

 

 

「そういやそうだったな…あのクソ坊主ちゃんと祓ったんだろうなぁ…!?」

 

 

「多分…出来てると思う」

 

 

「多分かよ!?」

 

 

「だってオラはよく知らないし…だから聞かれてもわからないだけずら」

 

 

「………ぷっ…」

 

 

「?」

 

 

「アッハハハハハ…アーッハッハッハッハッハッ!」

 

 

「え?何…?」

 

 

「オラとかずら…今時言わねぇっつのそんな…ヒィー…ヒィー…!」

 

 

「ひ、ひどい……」

 

 

「え?」

 

 

「ううっ…ひっぐ…」

 

 

うぉぉぉぉい!!なんでだぁぁぁぁぁぁ!?そんなにか!?そんなに傷ついちまったのか…このままじゃ信頼度0の存在になっちまう…!

 

 

「わ、わかったよ!悪かったって!」

 

 

「…意外と優しいんですね♪」

 

 

さっきとは比べものにならない笑顔…どうやら一杯食わされたみたいだな…コイツと一緒にいるとどうもいつものペースを狂わされてしまう……もっとイジりキャラだったはずなんだがなぁ……

 

 

「あの…お名前は?」

 

 

「屯雲トモカズだ、お前は?」

 

 

「オ…マルは国木田花丸です」

 

 

「気にすんなよ…もう笑ったりしない。あとタメでいいからな?」

 

 

「えっ…でも…」

 

 

「それとも、また笑われたいか?」

 

 

「わ…わかった、トモカズくん」

 

 

ぎこちなさそうに俺の名前を呼ぶ花丸。俺の顔をじーっと見る彼女の姿を逸らさずにはいられなかった。低身長でその…まぁまぁ大きいし何より上目遣いで見てくる彼女を見て一言思った。

 

 

コイツ(花丸)を妹にしようと…

 

 

 

「トモカズくん変なこと考えてたでしょ?」

 

 

「はぁ!?考えてねーっつの!」

 

 

「またまた~素直じゃないずら」

 

 

 

 

 

 

「ト・モ・カ・ズ・ど・の~?」

 

 

ふと呼ばれた気がして振り替えるとあの坊主(花丸曰く成谷(ナリヤ)という名前)が俺を見ていた。その表情は鬼というより鬼神のようなとても住職がするような顔ではなかった…

 

 

 

「くれぐれふしだらなことはせぬように」

 

 

 

「誰がするか!そういやちゃんと祓ってくれたんだよな…?」

 

 

「えぇ、バッチリ完了致しましたぞ!これでもうトモカズ殿には数々の幸せが訪れることでしょう」

 

 

「どうだか…んじゃ世話になったな、ありがとよ」

 

 

ふと外に目を向けると日は暮れていて真っ暗、すっかり夜となっていた。さすがに帰らなければと思い外へ一歩踏み出した瞬間…

 

 

ギャォォォォォォン…!!!

 

 

恐竜の出したかのような大きな雄叫び。ゴモラの声…いや違う!もうちょい低かったはずだ…成谷が今の音の正体を探りに部屋を出たが……大丈夫だよなぁ…?

 

 

 

 

 

 

「は、は、は、花丸殿ォ!不可思議現象ですぞォォォ!!」

 

 

「どうしたんですかそんな急に…」

 

 

「現れたのです…化け物が!」

 

 

 

「…チッ!」

 

 

何度も瞬きしていかにも動揺していた成谷から出た言葉は俺にとって嫌な予感でしかなかった。それを確かめるために外へ出た……

 

 

「そ、そんな……怪獣!?」

 

 

 

全身が青く頭の左右と額から生えた計三本の角、マントを羽織ったようなこれまた特徴的な肩。尻尾はタコの吸盤みたいな模様でゴモラに似たゴツゴツした腹…………いやそれよりもだ…………

 

 

 

コイツの名前…わからねぇ。

 

 

 

「あの化け物…拙僧が命名致します!ずばり……ミドリ殿と名付けましょう!」

 

 

「どうみても青だろうがぁ!」

 

 

「へぶっ!」

 

 

成谷のふざけたネーミングセンスに思わずチョップをかます…ってそんなこと言ってる場合じゃねぇ。またかよ…一日に何度も出てくるとかふざけんな!さすがに展開が早すぎるっての…

 

 

「とにかく逃げるぞ、成谷、花丸!」

 

 

「「はい!」」

 

 

 

 

 

………………タイヲ……

 

 

 

「ッ!……今…!?」

 

 

 

「どうかしたずら?」

 

 

「聞こえなかったのか?」

 

 

「聞こえたって何が…?マルには聞こえないよ?」

 

 

「バカ言うな…」

 

 

 

シンタイヲ………

 

 

「ほらみろ、また聞こえた!」

 

 

「成谷さん、聞こえました?」

 

 

「いいえ何も?トモカズ殿、もしやそれは幻聴では…?」

 

 

「幻聴だぁ!?んな訳あるか!」

 

 

……………ゴシンタイヲ…

 

 

「ゴシンタイ…………そうか!花丸、この寺の御神体はどこだ?」

 

 

「え?えっと…本堂の真ん中にある祭壇に…」

 

 

「本堂の祭壇か……わかった!」

 

 

「ちょっ、ちょっと待ってよ…どこ行くの?早く逃げなきゃ…」

 

 

「だったら先に行っててくれ、俺なら平気だ」

 

 

 

「そんなっ……トモカズくーーん!」

 

 

 

悪いな花丸…でも俺にはやることがあるんだ。

 

 

 

 

 

全力で走ったからか僅か十数秒で本堂に着いた…さて、問題はここからだ。確か真ん中の祭壇だったよな…事は一刻を争うので軽く一礼してから祭壇の扉を勢いよく開けた。さっきの声が俺にしか聞こえるものなら多分それはシュウちゃんよろしくウルトラマンが言ってるもの。だとしたらそこに…

 

 

「あ…あった!」

 

銀色に輝く剣…というより短剣を見つけ、手に持つ。手の甲に謎の紋章が浮かび、焼けるように熱くなる。思わぬ出来事で膝をつくが必死に耐える俺。次第に熱が覚め、閉じていた目を開けると空中に浮いた一個の人形があった。怪獣とは違い真っ赤で燃える炎のような人形を見たことがある。確か……

 

 

「おーい、聞いているのか?私は…」

 

 

「ウルトラマンタロウだ!」

 

 

「お、おぉ…その通り。君は何と言うんだ?」

 

 

「トモカズだが…」

 

 

 

「トモカズ!それを使ってヤツを…コスモリキッドを倒してほしい…!」

 

 

「コスモリキッド…?」

 

 

「あぁ、自由に液体になれる強力な怪獣だ」

 

 

「液体に!?最強じゃねぇか!」

 

 

「しかし、それでも倒せる手はある」

 

 

「この剣を使えばいいのか…」

 

 

 

「それはギンガスパーク、スパークドールズにライブすることが出来るアイテムだ」

 

 

「待て待て待て…話を聞くにそのスパークドールズがないと変身出来ないんだろ?そんなの持ってないぜ?」

 

 

「いや、君が持っている。というより持つべき運命だったのだ!」

 

 

「持ってる…ってまさか!」

 

 

来ていた上着の胸ポケットをまさぐり、拾ったゴモラの人形…いや、スパークドールズを取り出しタロウに見せた。

 

 

「これか!」

 

 

「そうだ、足の裏にあるライブサインをギンガスパークで読み込むのだ!」

 

 

「…面白ぇ!この屯雲トモカズ、こういうのを待っていたのよ!!見せてやる俺の戦いを…!」

 

 

 

 

『ウルトライブ!ゴモラ!!』

 

 

 

 

 

さぁ…始めようか!

 




今回はここまで、次回はゴモラにライブしたトモカズが戦います!
このクリスマスはオーブの最終回でいっぱいでした…戦闘演出もさることながらジャグラーの「何がしたいんだ俺…」でもう素晴らしい作品だと改めて感じました。ありがとうオーブ!そしてよろしくゼロ!
次回もお楽しみに!あばよ!!


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5話 ~ギンガに願いを~

あけましておめでとうございます!
今回はギンガ登場!
果たして初陣はどのようになるのか…お楽しみに!



こんばんわ…国木田花丸です。実は今マルはいきなり現れた怪獣から逃げてるんだ…あれから程なくとりあえずの意味で避難所(仮)に着いたの。といっても家の使われていない小屋なんだけどね…でもトモカズくんがまだ来てないし住職の成谷さんと相談していたところに…

 

 

キシャォォォォォン…!!

 

 

怪獣がもう一体出てきちゃった……と落胆していたらもう一体の怪獣を押し飛ばしたの。その時マルはまるで本の中にいるような感覚になったんだ。本を読んでるとまるでマルもお話の中にいるように感じてたんだけどそれよりもスゴくて……って今はそんなこと言ってる場合じゃないや、こうしたことに関する話が異様に長いのがマルの悪いところの一つです…

 

 

 

と言ってる間に怪獣二体が取っ組み合い(?)をしています……なんだかマル、実況者みたいだなぁ…

 

 

「花丸殿!あちらの怪獣様はきっと我々の救世主に違いありませんぞ!」

 

 

「怪獣が…救世主……」

 

 

「そこですぞー!パンチ!腹にパンチです!!あぁっ…倒れてしまった…頑張れー!立ち上がりなさーい!拙僧達は貴方を応援していますぞぉ!!!」

 

 

成谷さんの言葉を受けたからかすぐに立ち上がり再び向かっていく。さっきの戦い方から学習したのか今度は尻尾を当てて怯んだ隙に後ろから回り込んで押さえつける、はずだった…

 

 

「ふぉぉぉっ!?液体になってすり抜けましたぞ!?」

 

 

「あぁ…せっかく捕まえてたのにぃ」

 

 

あっさりと捕縛から抜け出し周囲を飛び回る。困惑する中、空中で姿を元に戻しズドーンと着地。そして怪獣(ゴモラ)目掛けて走り始めました。地を踏む度に土埃が立ち上り辺りに撒き散らされ…何かを察したのか防御の構えをとるが間に合わず突進攻撃を受けてしまい倒れると同時に姿が消えちゃった………

 

 

「花丸殿、逃げましょう!頼みの怪獣もああなってしまっては…」

 

 

「そんな…だってトモカズくんが!」

 

 

「そんなことを言っている場合ですか!」

 

 

「嫌!絶対にトモカズくんを見捨てるなんて出来ないずら!」

 

 

「あぁっ!今大声を出してしまったら…」

 

 

成谷さんが注意したときには遅く、既に怪獣(コスモリキッド)はマル達に視線を向け狙いを定めていて…逃げようにも前進を始めていたのと恐怖でマルは動くことが出来なかった……

 

 

「は…花丸殿ォォ!!」

 

 

 

 

…ごめんね……ルビィちゃん…

 

 

 

 

………あれ?

 

 

怪獣の声が止み何が起きたのかわからなかったマルは目を開く。そこにはマルの何十倍も大きい巨人が降り立っていたんだ…頭や腕、胸部に青色に輝くクリスタル。星空に煌めくその光を見てマルはこの時初めて運命というものがこんなに近くにいるということを知りました…

 

 

「ショウ…ラァッ!!」

 

 

「未来ずら~…」

 

 

 

 

 

 

 

 

よう、屯雲トモカズ…いや!今はウルトラマンギンガと呼ぶべきだろうか…ゴモラにライブ出来たのはよかったんだがイマイチ戦い方が慣れてなくてあっという間に負けてしまった…

 

 

だがここからだった。変身が解けて地に降りてしまった俺はただ力を求め、必死に願っていた。そこで大きな光に飲み込まれ気づいたらウルトラマンになっていた…というわけだ。ちなみに名前はタロウが教えてくれたんだが…厄介なことがもう一つ起きた。

 

 

「トモカズ!落ち着いてヤツの攻撃をかわすんだ!」

 

 

「わかってるっての…っておわぉ!?」

 

 

「それ見たことか…」

 

 

「やってくれるな…コズモリキッド!」

 

 

「コスモだ!」

 

 

今ツッコミを入れたタロウはM78星雲、光の国で若きウルトラ戦士を育てている教官という役職…もちろん俺も対象で新人兼素人の俺をみっちり指導している。つまり俺は不馴れな環境の中怪獣と戦闘していて且つその指導を受けているというトンデモ習うより慣れろ方式で戦っているわけだ……

 

 

ぶっちゃけクソキツい…だってそうだろ!?いきなり死んでこの世界に来て何の不自由なく余生を過ごせると思ってたのに怪獣は出てくるわウルトラマンになるわでもう勘弁して欲しいのに戦えってか!?俺は…俺はなぁ…ただ静かに暮らしたいだけなんだよ…!!!

 

 

「なのに…なのになんで邪魔すんだぁ!!!」

 

 

「!?クリスタルが光った…トモカズ、今何をした?」

 

 

「は?別にただ愚痴ってただけだが…」

 

 

「……そうか!トモカズ、やられたくなければその愚痴とやらを願うんだ!」

 

 

「はぁ?おいタロウ、世の中愚痴で勝てたらなぁ…」

 

 

「来るぞ!」

 

 

内心を思いきり叫ぶとギンガの手がヤツの頭を押さえつけた。タロウの言うことは本当だということとこれならいけると確信した俺は乱暴に振り回し地面に叩きつける。当然アイツは起き上がってこちらに向かうが華麗に交わしガラ空きの背中を某天の道を行くライダーのごとく回し蹴りを決める。

 

 

「っしゃ!」

 

 

「よし、トドメだトモカズ」

 

 

「おう!…ってコイツの必殺技、どうやって出すんだ?」

 

 

「知らないのか?」

 

 

「知るかよ!こっちはもう10年以上観てないんだから…」

 

 

「なんと…」

 

 

 

……なんだよ?悪いか?俺だってまさかこんな年でなるとは思わなかったんだぞ!?あぁもう!よりによってなんで俺なんだ……どうせなるんだったらユウイチとかアユムにすりゃいいのによ~…アイツらきっと大喜びするだろうなぁ…

 

 

 

このような誰にも届かない叫びを終えたとき、怪獣の姿がなかったので不審に思い周囲を見回すと液状化していたコスモリキッドが突進する。あの突撃の痛さは身をもって理解していたので間一髪回避することが出来た。そこでだ…そこでこの屯雲トモカズの天才的閃きがやってきた!

 

 

「…コイツに雷を落とせば…」

 

 

「雷…なるほど、君はどうやら頭は切れるようだな」

 

 

「へっ…ありがとさん」

 

 

「しかしどうやって雷を?」

 

 

「そんなの神頼みだ!」

 

 

 

 

とにかく祈れ、ギンガになれて戦えたのは祈ったからだ…だったら倒すのだって…!

 

 

「っ!クリスタルが…黄色に!?トモカズ!」

 

 

「よし!行くぜぇ…あ、名前どうするか…」

 

 

「言ってる場合か!?」

 

 

名前を考えている間にギンガの右手に雷が蓄積している。あ、ちなみに中の俺は全く感覚がないぞ?そしてチャージが終わり思いきりヤツへ投げつける。名前?もう決まってるさ!

 

 

 

「屯雲流奥義…銀河稲妻電光(ギンガサンダーボルト)!!!!」

 

 

 

 

ピシャァァァァァァン…!!!!!

 

 

 

当たると同時に怪獣は悲鳴をあげることなく一瞬で爆散。なんとか事なきを得た俺は大空へ飛び立った…

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい」

 

 

「あ!トモカズくん…」

 

 

「悪い悪い…って花丸!?」

 

 

あろうことか目の前の天使は今日会ったばかりの男子をぎゅっと抱きしめた。その感覚はどんな羽毛布団よりも柔らかく暖かくて、そしていい匂いがした。うん、めっちゃフローラル…あぁ、もうこれだけで来た意味あったなぁ…

 

 

「トモカズくん…その…苦しいずら///」

 

 

「おっ…おぉ、悪い」

 

 

「マル、ほんとに心配してたんだよ?」

 

 

「わ…わかってるって」

 

 

「わかってないずら!」

 

 

「……お前には敵わないよ」

 

 

「照れるずら…♪」

 

 

「んじゃ、そろそろ帰るわ」

 

 

「うん…また来てくれる?」

 

 

「おう、また熱い茶でも飲みに来るぜ」

 

 

「…ありがとずら♪」

 

 

幸せ満開な笑顔で花丸は俺を見送る。そして俺は帰るべき場所へと帰るのだった。そう、コイツと…

 

 

 

「というわけでだトモカズ、これからもよろしく頼む」

 

 

「タロウ、さすがにそれは無理がある」

 

 

「なぜだ!?私も君の友達に会ってみたいのに!」

 

 

「よせよ…ガッカリするぜ?」

 

 

「むぅ…なら、これからの戦いをサポートする条件でどうだ?」

 

 

「ちょいちょい!これから?まだ続くのかよ…」

 

 

「当たり前だ…それこそが君達の使命なのだからな」

 

 

「……はぁ、花丸……いい匂いだったな…」

 

 

「ん?何か言ったか?」

 

 

「なんでもねーよ…」

 

 

 

暗い夜道を歩き俺は大事な妹候補がいる寺より友達のいる旅館へと帰っていった…

 




いやー…コスモリキッドってわかります?さすがに「わからない」とか言われたらどうしようという不安でいっぱいでしたが何とか形に出来ました。
次回は十千万でお手伝い!果たしてどうなるか…
それでは、本日はこの辺で。
次回をお楽しみに!!


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6話 ~光が呼んだもの~


大っ変おまたせいたしましたぁ!今回のお話は日常回でギャグ満載です…多分。正直ニヤニヤしながら進めていたところもあるぐらいなんです…

そういえば、ラブライブ!サンシャイン!!アニメ2期おめでとうございます!

今回からはあの娘も登場!お楽しみに!


 

~十千万、調理場~

 

 

御伽アユムだ。俺…いや、俺達は十千万って旅館でお世話になっているので恩返しといっちゃなんだが朝食を志満さんと一緒に作っている。俺もそこそこ出来る方だとは思っていたが彼女の手際のよさには感服したぜ…やっぱりお姉さんらしいよなぁ…

 

 

「アユムくん、お茶碗取ってもらえる?」

 

「はっはい…どうぞ」

 

「それにしてもお手伝いさんが6人も来てくれて嬉しいわぁ、本当にありがとうね」

 

「いやいや…こんなのでよければいつでも引き受けますよ」

 

「だったら全部担当してもらおうかしら…♪」

 

「えっ…そう考えるとちょっと荷が…」

 

「うふふ、冗談よ…♪」

 

 

 

……こうして話しているとかつての世界を思い出す。かつては働き者の両親、生意気な妹がいて貧乏な暮らしを強いられていたがまぁまぁ幸せな家庭だったと思う。

 

 

……今頃、心配してっかな…

 

 

 

「おはよーっす!」

 

「うるせっての朝から…」

 

「おはようアユム君…」

 

「あー…すっかり熟睡だったわ…」

 

「…………ねむ」

 

 

 

アスカ、トモカズ、タイガにユウイチ、そしてシュウちゃんが起きたみたいだ。そうそう、昨日いなかったトモカズは夜遅くに帰って来て何しに行ってたと問うと本人は…

 

 

「……妹に会ってきた」

 

 

だそうだ…って理解できるかぁ!?つまりアレか?通りすがりの女の子をナンパしたってことか?年下の女の子だぞ?警察仕事しろやぁ!!…というわけで小一時間程説教してやった。

 

 

「飯出来たぞー」

 

「おう、今行く」

 

 

出来た朝食を手渡しで食卓へ運んでいく。そして運びきったところで座り、合掌をする…

 

 

「いただきまー…」

 

 

 

 

「わー!寝坊したぁ~!!」

 

 

ドタドタと階段を駆け降り朝からうるさく騒ぐ少女、高海千歌。オレンジ色の明るい髪に左サイドの髪を結っていて、黄色の小さなリボンがついていた。今日は学校の始業式だというのに昨日の夜東京からトモカズと一緒のタイミングで帰って来たんだ…最初は志満さんとはえらい違う娘だし普通だなと思っていた…がしかし!そんな彼女にも魅力があった。それは…

 

 

「いただきまーす!ねぇシュウ君…♪」

 

「なにさ…」

 

「ご飯、食べないの?」

 

「まぁ…うん」

 

「だったらぁ…その焼き鮭いただきっ♪」

 

「おっと」

 

「わわっ!もう、食べないって言ったじゃーん…」

 

「ご飯はね、おかずは食べるから」

 

「むぅ~…」

 

 

高校生らしい成長した体に純粋で甘えたがりな性格、このある種のギャップが彼女の大きな魅力であった。おまけに三人姉妹の末っ子ときたもんだ…シュウちゃんからおかずをもらおうとして失敗し頬を膨らませているその姿はいくらラブライブを知らない俺でもキュンとくるものだった…あ、うらやましくはないからな?にしてもこの娘が物語の発起人とは思えない。もう少し地味な娘がやるものかと予想していたので少し驚いてはいる…嫌な方じゃないけどな。

 

 

「全く千歌は…迷惑かけずにさっさと食べな!」

 

「ふん!みと姉に言われなくてもわかってますよーだ」

 

「なにを~…」

 

「ま、まぁまぁ食べましょうって…」

 

「なにさ!ユウイチ君もみと姉の味方なの?」

 

「別にそういうわけじゃなくて…」

 

「いいよーだ!千歌にはいっぱい仲間いるからね♪」

 

「仲間って…僕達のこと?」

 

 

…家族一同で食べる朝食は騒がしい。けどもご飯がいつも以上に美味しく感じる。俺はこんなうるさい状況を楽しみながらご飯と幸せを噛みしめていた……その時、テレビのニュースからとんでもない言葉を聞いた。

 

 

『続いてのニュースです、昨日沼津市の内浦にて謎の巨大生物が目撃されました。現れた2体の生物はいずれも鋭利な角に強固な皮膚という信じ難い体躯だったそうです。さらにそこで、2体に応戦する巨人の姿も目撃されました。現在政府は未知の生物を怪獣と認識し、それらを倒した巨人は協力的な宇宙人と定め、防衛省と共に策を考慮しているとのことです…』

 

 

「怪獣か…そんなのいっぱい出てきたら私退屈になっちゃうよ~…あ、今のは怪獣の『体躯』と『退屈』をかけたね…」

 

「考え中か…」

 

「はてさてどうなることやら…」

 

「ガン無視!?シュウくん慰めて~…」

 

「わかったわかった」←さりげなく推しの千歌を優しく撫でるラブライバーの鑑

 

「そういやここは防衛隊みたいなのないんだな」

 

「作られてもロクなものじゃない気がするんだが…」

 

「でも作られたら俺は入隊してみたいかも…」

 

 

タイガとトモカズはニュースのことについて、俺とユウイチは防衛隊、そしてアスカはなぜか入隊する気になっている…ホントコイツは能天気だな……

 

 

ってシュウちゃぁん!?今女の子の頭を…こほん、まぁそれは置いといて確かに俺も隊によっては入ってみたいな……ある種主人公の集まりみたいなものだし。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~…やっと掃除終わったぁ」

 

「お疲れアスカ、ほらよ」

 

「サンキュー!」

 

「ぜぇ…ぜぇ…ぜぇ…」

 

「大丈夫かシュウちゃん…」

 

「ユウイチ…これが大丈夫に見える?」

 

 

 

「うん全く」

 

「ですよね」

 

 

 

 

6人がかりで3時間という長い時間をかけて掃除を終えた俺達。やべぇ…旅館ナメてたな、まさかここまで掃除量が多いだなんて…おまけにこれ毎日とか体壊れちまうよ……

 

 

『おいおいシュウ、お前そんな体力ないのか?』

 

「誰のせいだと思って…大体昨日あんな無理矢理動かすから…!」

 

『そりゃ…皆を助けたんだ、これぐらいいいだろ?自称(笑)千歌推しさんよ』

 

「……昨日ここの近くに質屋を見つけたんだよなぁ…」

 

『千歌って可愛いよな、シュウ。わかるぜ…あの意地悪したくなる気持ち』

 

「わかってるじゃないかゼロ」

 

 

『トモカズ、こんなことで疲れていてはこれからの戦い何が起こるか…』

 

「わーってるの!ったく…なんでタロウはそんなお袋みたいなんだよ…」

 

『誰がお袋だ、せめて親父とだな…』

 

「そこじゃねぇよ」

 

 

 

 

「……ウルトラマンってあんなペラペラ喋ったっけ?」

 

「あれは近年のだから…ってかアスカウルトラマン知ってるんじゃなかったか?」

 

「ユウちゃん、俺はガイアまでなら知ってる」

 

「また微妙な…いや、3部作は知ってるからセーフ…?」

 

「はー…そういえばもうお昼過ぎてたのか」

 

 

 

 

 

「ただいまー!」

 

「おじゃましまーす♪」

 

 

出入口の戸をガラガラと開け千歌が帰って来た。しかしその隣には初めて見る女の子の姿があったんだ…青色の瞳に銀髪のセミロング。毛先は絶対フワフワしていて気持ちいいだろう(個人観)…当然向こうも知らないので俺達のことを聞いてきた。

 

 

「千歌ちゃん…この人達は?」

 

「よくぞ聞いてくれました曜ちゃん!彼らが学校で言ったマネージャー候補達なのだ!」

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

「マネージャー…だと…!?」

 

 

「……えーと、千歌ちゃん。何の?」

 

 

「えっとねー、スクールアイドル!」

 

 

 

 

 

 

「「「「「えぇぇぇぇぇぇ!?」」」」」」←急なスクールアイドルの勧誘に驚くタイガ、トモカズ、アスカ、アユム、曜

 

「「やっぱりな」」←なんとなく予想していたラブライバーシュウ、ユウイチ

 

 

 

 

 

「…で、どういうことだ」

 

 

「えー…どうも何もスクールアイドルを始めたくてーそれに合ったマネージャーが必要だなって思ってね♪」

 

「却下だ」

 

「そんなぁ…」

 

今俺達は千歌の部屋でさっきの話について詳しく聞いていた。何でも今日勧誘をしたらしいのだが結果はむなしく惨敗…誰も聞く耳持たず通りすぎってしまったそうだ。そして千歌はそれらを支えるマネージャー候補に俺達を指名した、だがトモカズがすっぱりと断ったのだ。

 

 

「そもそもメンバーはいんのか?」

 

「え?私だけだけど?」

 

「…曜も大変だな」

 

 

「そんなことないよ♪渡辺曜、どんな時も全速前進…ヨーソロー!で乗り越えるであります!」

 

「前向きだね…というかヨーソロ…?」

 

 

 

 

 

 

 

「ギャアァァ……オォ…!!」

 

 

「なんだなんだ!?」

 

「まさかまた怪獣!?」

 

「だって曜ちゃん!見に行こう!」

 

「えっ…危ないよ…?」

 

「いいからいいから!」

 

 

昨日ただでさえ怪獣が近くに現れたってのに千歌は曜を外へと引っ張り出してしまった……って見過ごしてる場合じゃねぇ!家に連れて帰らせないと…!

 

 

 

 

「わぁ~…おっきなクモ!」

 

「ち…千歌ちゃん?」

 

「ん?なぁに曜ちゃん?」

 

「アレ…クモなの?」

 

「わかんないけどクモっぽいじゃん?」

 

「結構ざっくりした決め方だね!?」

 

 

 

「おーい!何やってんだよバカチカ!」

 

「むっ!バカじゃないもん、全く…アユム君はデリバリーってものがないよね~」

 

「はぁ!?ってそれを言うならデリカシーだろーが!?」

 

「中々良いツッコミするね、芸人になれるよ♪」

 

「やかぁーしぃ!」

 

 

怪獣が近づいてんのになんでこんな漫才してんだ俺…隣の曜も苦笑いで俺を見ている。何これ?お手上げってやつか?

 

 

「グギャォォォ…!!」

 

 

 

あーそうだまだ怪獣がいたんだったよ不幸すぎんだろ今日の俺!あれ?でもアイツは……なんだっけ…

 

 

クモのようで岩みたいなゴツゴツした外面…うーん…えーと……

 

「お!アレダランビアじゃん!」

 

 

「あーそうそう思いだし…ってアスカァ!?」

 

 

「どうしたのよそんな変な声あげてさ」

 

 

「変な声もあげるわ…なんでお前が知ってんだよ」

 

「そりゃ覚えてるからさ!」

 

 

「…あぁ、そうだな」

 

 

 

俺の後を追って到着したアスカが名前を言ったがあの怪獣は合成獣ダランビア。宇宙球体スフィアが火星の岩石や砂を取り込んだ姿だ。見た目はクモのようで意外と動きが早かったりするはず…多分。と解説かましてる内にすぐそこにまでダランビアが接近してきた!

 

 

「とにかく千歌、曜、アスカ逃げるぞ!」

 

「「あいあいさー!」」

 

「Yes! Mybrother!!」←某ベルトさん風に

 

 

「だぁれが兄弟だあとネイティブに言うんじゃねぇ!」

 

 

はぁはぁ…勘弁してくれ…ただでさえ旅館の掃除で体力限界なのに今最後の気力振り絞って走ってんだぞ、ツッコミで体力減らすんじゃねーって……

 

 

 

あれから5分、揃って限界になってきてヘトヘトな俺達。ペースを保ち順調に俺達との距離を縮めるダランビア。もうこれ詰んだんじゃないですかね……せっかく怪獣に会えたのにこんなのが最期とは哀れだな………やがて走るのが疲れた俺はアスカにこう話を持ち掛けた。

 

「なぁ…もう諦めないか?これ以上走ったって……」

 

 

 

 

 

 

「バッ……カヤロォォォォ!!!!」

 

 

「ぐぇっ!!!」

 

 

なんとアスカは大きく振り返り俺の頬へ綺麗な正拳を決めた…衝撃に耐えきれず道へ倒れてしまう。

 

 

「アユムは…アユムはそうやって逃げんのかよ!怪獣がいるからって、逃げたまんまでいいのかよ!?そりゃ逃げたくなるのはわかる、スッゲェ怖いよ!でも、だからって逃げちゃダメだろ!?少なくとも…女の子が差し置いて逃げるなんて…男じゃねぇ!!!んなことする奴は最っ低のダメ野郎だ!」

 

「…っ!アスカ、お前…」

 

「だからさ…一緒に進もうぜ?ほら、曜っちだって言ってたじゃん」

 

 

 

「全速前進!ヨーソロー!ってな!」

 

 

……なんだよ、カッコいいじゃんか……コイツ今、めっちゃ主人公してんじゃんかよぉ…!勘違いしていた…普段は馬鹿にしたりで抜けてるところがあるがそれでもコイツは持ち前の芯の太さで困難にも立ち向かう…こういう奴が主人公、いわば物語を大きく彩る役割なんじゃないだろうか…

 

 

「といことはアスカ、お前は持ってるってことだな…逆転の策を!」

 

 

そう…アスカなら…!

 

 

 

 

「ごめん、全っ然わかんねぇや」

 

「期待して損したわぁぁぁ!!」

 

 

そこに先に進んでいた千歌と曜が戻ってきてしまった…くそっ!せめてあの二人だけでもと思ったのにどうしてこう計画が絶妙に狂うんだよ…

 

 

「きゃっ!」

 

「曜ーっ!」

 

 

ダランビアが地を踏んだときの衝撃は近かったこともあり強烈に伝わり曜がバランスを崩して倒れてしまった。このままじゃマジでスタンプの刑だ…早くなんとかしなきゃ…!

 

 

「グゥォ…ギャォォォォ…!!!」

 

 

駄目だ……やっぱり勝てない…俺は…この世界に来ても…

 

 

 

「…まだだ」

 

 

「あ、アスカ…?」

 

「諦めてたまるか、こっからが正念場なんだ…今更尻尾巻いて逃げれるか!」

 

 

 

「本当の戦いは…ここからだぁ!!」

 

 

 

 

一瞬あまりにも眩しい光が辺りを照らし俺達の世界は閃光に包まれた。その光が消えて目が次第に慣れ景色を見るとそこには一体の巨人が立っていた。銀色に赤と青のライン、そしてカラータイマーの両脇に付いているプロテクター…何より一番の特徴である額のダイナクリスタル。おっと…つい名前を言ってしまった…そう、俺達の目の前に立っていたのはあの……

 

 

「デュワァッ!」

 

 

ウルトラマンダイナ!…が現れたのは嬉しいんだが……おそらく中身は今いないアスカだし問題の怪獣は変身時の衝撃で粉々になってしまった…まぁしょうがない、本編のダランビアもこれぐらいあっけなかったからな…そのあとネオダランビアという強化された姿になるんだが起きることなくダイナは早々に大空へ飛んでいった。アスカ…ドンマイ。

 

 

 

 

 

 

 

「おぉぉーい!千歌っちー!曜っちー!」

 

「あ、アスカくんだ!」

 

「へへ…ただいまであります!いやー助けを呼びに行ってたらいつの間にかいなくなってたからびっくりしたぜ♪」

 

 

「ば、バカっ…どれだけ心配したか…ぐすっ」

 

「えっ!?わ、悪かったよ曜っち…」

 

「……ってよね…」

 

「へ?」

 

 

「だ…だから…これからは一言ぐらい言ってよね……次言わないで勝手にいなくなったら、もっと泣いてもっと怒るから///」

 

 

「よ、曜っち…そんなに俺のことを////」

 

 

 

 

 

「なんだあの甘ったるい空気、コーヒー飲みたくなってきた」

 

「おぉ…曜ちゃん運命の人に逢う!の巻だねこれは~…♪」

 

「「べっ!別に運命の人なんかじゃ…ハッ!?」」

 

 

…息ピッタリだなー…

 

 

「そ…その…ごめん///」

 

 

「私こそ…///」

 

「………帰るぞ、筋肉バカとみかんバカ」

 

 

「なっ!ちょっと待ってせめてさよならぐらい言わせて…せっかくの出会いをお前なんかに潰されたくねぇー!」

 

「むぅー!私だけでなくみかんまでバカにするなんて…許すまじ!さっきのセリフを取り消すのだー!」

 

 

 

「じゃかぁしぃぃ!さっさと歩けやぁぁ!!!」

 

 

こうして俺達一人ぽつんと立っている曜と別れて十千万へと帰った。

 

 




というわけで6話でした!今回は千歌ちゃんと曜ちゃんを可愛くしようと頑張ってはみたのですがいかがでしたかね?
そして次回からはいよいよ6人にも新たな展開が!ここからはアニメのワンシーンに近づけるよう頑張ります!
それでは、また次回!


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