仮面ライダースナイプIS (カズミン)
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プロローグ

2017 09/30:一部改変しました。


白騎士事件から5年が経過したとある大雨の夜。

 

土砂降りの雨の中で2体の異形が戦っていた。

 

 

 

1体はハンドガンのような武器を持ち、レモンイエローのマントを着けた灰色の戦士。

 

もう1体は龍の牙のような双刀の武器を持つ、龍のような緑色の怪物。

 

灰色の戦士はハンドガンを連射するが、緑色の怪物の持つ双刀によって放った弾丸全てを薙ぎ払われた挙句、距離を詰められてしまい、双刀の一撃によってハンドガンを手から弾き飛ばされ、首に双刀を突きつけられてしまった。

 

『クククッ。・・・残念だったなぁ、藪医者。』

緑の怪物は灰色の戦士の腹に強烈な蹴りをお見舞いすると、灰色の戦士は後方に吹き飛ばされた。

『グッ。』

 

『お前には闘いのセンスがある。・・・が、急ごしらえのその装備では完全体となった今の俺を倒すには足りん!!!』

『それでも、それでも俺はぁ!!!!』

灰色の戦士は体勢を立て直すと腹部のドライバーから黒いゲームカセットのようなものを引き抜くと左腰にあるスロットに突き刺した。

≪キメワザ!≫

≪バンバン!クリティカルストライク!≫

『ウォォォォォ!!!!!』

灰色の戦士は緑色の怪物に向かって走り出すと飛び上がり、エネルギーを纏った右足を突き出して飛び蹴りを放った。

 

『面白い!その一撃に全てを賭けるという訳かぁ!!!!』

 

緑の怪物は双刀に紅いエネルギーを溜めると、十字の斬撃を繰り出した。

 

 

『激怒竜牙』

≪会心の一発!≫

 

2体の異形は爆炎に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆炎が晴れたそこには右腕を亡くし、左手に半分に折れた双刀――グラファイトファングを逆手で持った緑色の怪物が立っていた。

『どうやら、甘く見過ぎていたようだ。』

 

 

一方、十字の斬撃―――激怒竜牙に圧し負けた灰色の戦士はビルの壁に激突した後、アスファルトの地面に落下した。

 

地面に落下した衝撃で灰色の戦士の腹部からベルトが外れ、灰色の戦士の姿は光に包まれると、次の瞬間、白衣を着た黒髪の青年が姿を現し、全身血まみれの青年の身体に冷たい雨が降りかかった。

 

緑色の怪物は白衣の青年に近づくと、武器を構えた。

「グ、グラ、ファ、ト」

『今後のためにも、止めを刺しておくべきか。さらばだ藪医者、いや―――仮面ライダースナイプ』

緑色の怪物―――グラファイトが武器を振り下ろそうとした、その時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

グラファイトに向かって弾丸の雨が降ってきた。

『むぅっ!?』

グラファイトは弾丸の雨を後ろに飛び退いて回避しながら、半分になったグラファイトファングで弾いてしのぎ切った。

 

 

『チッ!・・・ん?』

グラファイトが灰色の戦士―――仮面ライダースナイプ(プロトシューティングゲーマーレベル2)だった白衣の青年が横たわる場所に目を向けると、パワードスーツを着た女性が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ISか。・・・ん?』

グラファイトはパワードスーツ――ISをまとっている女性の頭に機械の耳がついているのを見てその女性の正体を見破った。

 

『まさか、篠ノ之束かっ!?』

「うっさい!!!バ○キ○マン!!!!!」

『バ、バイ○ン.........。』

グラファイトは女性―――篠ノ之束の言葉にショックを受け、フリーズしてしまった。

 

ISを纏った束はその隙に白衣の青年―――立花大河を抱えると、その場を飛び去って行った。

 

 

 

『ハッ!?逃げられたか。・・・・・・まぁ良い、どのみち腕の再生には時間がかかる。』

フリーズから元に戻ったグラファイトは失った右腕に目をやりながらそう言うとデータ化して姿を消した。

 

 

 

 

これは、世界初のIS男性操縦者が現れる2年前の出来事だった。



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登場人物・ライダー設定(ネタバレ注意)

<登場人物>

<<仮面ライダー>>

立花大河(たちばなタイガ)/仮面ライダースナイプ

イメージCV:松本享恭

本編表記:タイガ

 黒髪に白メッシュを入れた元放射線科医の青年。25歳。

基本的に面倒事を嫌っているが、与えられた仕事は誠実にこなす。

2年前に患者の体からバグスターウイルスを発見したことでクロトにスカウトされ、CR所属の仮面ライダーとして、ただ一人バグスターと戦っていた。

しかし、連戦に次ぐ連戦によって蓄積していた疲労から手術ミスを犯し、グラファイトが完全体になることを許してしまった。

その戦いでは体調が万全でなく、急ごしらえのゲーマドライバーがプロトガシャットの力を引き出せなかったことから、グラファイトとの必殺技の打ち合いに敗れて、瀕死の重傷を負う。

その後、半年間の入院生活を余儀なくされ、ドライバーとガシャット没収の上で医師免許を剥奪されてしまった。

退院後は1年の間、世界中を飛び回り、高額な報酬と引き換えに治療を施す闇医者として活動していた。

また、戦地にも足を運んでおり、宿代代わりに治療を施すこともあった。

その1年間で、おでん好きの医師や各国の有力者と知り合っている。

そして半年前に帰国すると、闇医者として稼いだ金で一軒家を購入している。

全国IS適性検査に『面倒事はとっとと終わらせてのんびりしたい』という理由で参加し、ISを動かしてしまう。

その後、再会したクロトから医師免許剥奪取り消しを伝えられると共に、ドライバーとガシャットを託され、IS学園に行くことになる。

 

 

<<IS学園>>

ニコ

イメージCV:水樹奈々

本編表記:ニコ

1年1組の女生徒。

 

山田真耶

イメージCV:下屋則子

本編表記:真耶

1年1組の副担任。

 

織斑千冬

イメージCV:豊口めぐみ

本編表記:千冬

1年1組の担任。

 

織斑一夏

イメージCV:内山昂輝

本編表記:一夏

1年1組の男子生徒。千冬の弟。

 

<<幻夢コーポレーション>>

影宮玄斗(かげやまクロト)

イメージCV:福山潤

本編表記:クロト

 幻夢コーポレーション社長。

ゲーマドライバーとライダーガシャットの開発者。

ISを動かしてしまい、マスコミに追われていたタイガの窮地をリムジンで突っ込み救い、タイガの医師免許剥奪が取り消されたことを伝えた後、ドライバーとガシャットを託した。

 

 

<<バグスター>>

グラファイトバグスター

イメージCV:町井祥真

本編表記:グラファイト

 2年前にタイガと交戦したバグスター。

後述の経緯からタイガを『藪医者』と呼んでいるものの、見下しているというわけではなく、好敵手として認めている。

竜の牙のような双刀の武器『グラファイトファング』から放つ十字の斬撃『激怒竜牙』という必殺技を持つ。

2年前、タイガとの戦いの最中に完全体(感染者はブレイブの恋人じゃない)となり、体調が万全ではないタイガを圧倒し、瀕死の重傷に追い込んだものの、武器をへし折られ、右腕を失う結果になった。

 

 

<<その他>>

 

篠ノ之束

 

イメージCV:田村ゆかり

ISの開発者。

 

 

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<仮面ライダー>

 

仮面ライダー

『人間の自由』のために戦う戦士。世界各地で様々なタイプのライダーが目撃されており、都市伝説として人々の間で語り継がれている。

今作のメインとなるライダーは、ライダーガシャットとゲーマドライバーを使用して変身する。

ゲーマドライバー式ライダーにはバグスターを無効化するプログラムが組み込まれている。また、レベルアップを発動することで姿が変化する。

 

ゲーマドライバー式ライダーは、2年前の時点ではプロトガシャットを使用したスナイプが確認されていたが、スナイプは手術ミスを咎められたことでドライバーとガシャットを没収されたことによって、変身者不在となった。

現在はエグゼイドとブレイブというライダーが新たに確認され、スナイプは前述の理由で前線復帰が決定した。

 

 

 



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第1話

2017 09/30:一部改変しました。



2年前、灰色の戦士、仮面ライダースナイプとして戦った放射線科医の青年、立花大河は完全体のバグスター、グラファイトとの戦いに敗れて瀕死の重傷を負い、ISの開発者篠ノ之束により助け出された後、半年間の入院生活を余儀なくされた。

 

そして、グラファイトが完全体となったことにより、患者を死なせたことと、グラファイトを倒し損ねた責任を問われ、医師免許の剥奪・変身に使用していたゲーマドライバーとプロトバンバンシューティングガシャットを没収されてしまった。

 

タイガは退院後、自宅を引き払い、消息不明となっていた。

 

 

 

 

 

 

それから1年半。

 

 

 

 

 

 

 

 

タイガは今、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全国IS適性検査、か。」

日本で、世界初の男性操縦者、織斑一夏が発見されたことで始まった全国IS適性検査の会場を訪れていた。

 

 

「ありがとうございました。・・・次の、立花・・・大河さん、立花大河さん来て下さい。」

 

 

「ハァ。時間の無駄だろう。」

タイガはため息をつきながら、待合室から出て、検査室に向かった。

 

 

 

タイガが検査室に入ると、日本純国産の第2世代型IS『打鉄』が置かれていた。

 

「立花さんですね、ではこのISに触れてください。」

「はいはい。」

タイガは担当の女性の指示に従い、メンドくさそうに打鉄に触れた。

 

すると、タイガは眩い光に包まれ、光が晴れた瞬間、

 

 

 

 

 

 

「なん・・・だと!?」

タイガが困惑した顔で打鉄を纏った状態で立っていた。

 

 

 

 

 

 

面倒事を嫌ったタイガはその後、ISを素早く解除すると検査室から逃げ出し、こっそり隠れながら会場からの脱出を図ろうとした。

 

 

しかし、運悪く見つかってしまい、IS関係者や騒動を聞きつけて集まったマスコミから追われていた。

 

 

 

「ちっ!」

流石に多勢に無勢で、タイガは遂に取り囲まれてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、突如としてクラクションの音が鳴り響き、タイガを取り囲む人々に向かって黒塗りのリムジンが突っ込んできて、タイガを取り囲んでいた人々は車に轢かれることを恐れ、タイガから急いで離れた。

 

そして、リムジンはタイガの真横に停車すると、後部座席が開き、一人の男が顔を出した。

「早く乗るんだ。」

 

タイガはその男の言葉を聞き終わる前に素早くリムジンに乗り込むと、リムジンは制限速度すれすれのスピードで急発進し、会場を立ち去った。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

その後、タイガはリムジンの男と近くの地下駐車場で、黒塗りのリムジンからシルバーのバンに乗り換えて移動していた。

 

 

タイガは後部座席で自分の真正面に座るリムジンの男を睨みつけていた。

「どうやって俺の居場所を見つけ...いや、それより俺に今更何の用だ。

 幻夢コーポレーション社長、影宮玄斗。」

タイガに睨みつけられているリムジンの男こと、幻夢コーポレーション社長、クロトは睨まれていることを気にせず爽やかな笑顔を大河に向け、口を開いた。

「久しぶりですね、立花先生。先にどうやって居場所を見つけたかという疑問に答えましょう。

 全国にある適性検査会場に我が社の人間を張りつけました。勿論私もさっきの会場に。」

「俺があの会場に来ることが分かっていたのか?」

「いえ、場所までは分かりませんでしたが、貴方は面倒事は嫌いですが、関わらない、ではなく、

 とっとと済ませる性格ですからね。初日に必ず行くと思ってました。場所に関しては直感です。

 私の直感は結構当たるんです。」

「そうか......。」

「それで、用件でしたね。・・・・・・これを貴方に。」

クロトは自分の横に置いてあった黒いアタッシュケースを開いてタイガに中身を見せた。

 

 

アタッシュケースの中身はかつてタイガが使用していたゲーマドライバーだった。

「ゲーマドライバー、だと?」

タイガはゲーマドライバーを手に取ると、怪訝な表情でクロトを見た。

「それとこれを。」

クロトは空になったアタッシュケースを閉じて再び自分の横に置くと、懐から紺色のガシャットを取り出し、タイガに手渡した。

「こいつは。」

「それは君が2年前に使用していたプロトガシャットの正規版、バンバンシューティングガシャッ

 トです。」

「何故今更俺にこれを?」

「君に仮面ライダーとして、復帰してもらいたい。」

クロトは真剣な表情になり、タイガの目を見つめた。

「俺は医師免許を剥奪された身だぞ。」

「我が社は貴方の医師免許剥奪を不当な処分だと判断し、日本政府に抗議しました。」

「だが、俺は患者を死なせた。」

「君は2年前、ただ一人で大量のバグスターと戦った。それ故に連戦に次ぐ連戦で貴方達の身体は

 限界だった。そんな状態の貴方が4人チームプレイを基本とするハンティングゲーム<ドラゴナ

 イトハンターZ>のキャラクターを基にしたバグスターでしかも完全体となったグラファイト

 を相手にして勝て、という方が無理な話です。」

「・・・。」

「バグスターウイルス切除手術は、ドクターが自らの命を懸けて行う手術です。2年前の件につい

 ては貴方に非は無い。我々幻夢に非があります。ゲーマドライバーの量産に時間がかかってし

 まったことで、貴方に多大な負担をかけてしまった。」

そういうと、クロトは咳払いした。

「医道審議会と衛生省の協議の結果超法規的措置として特例で貴方の医師免許剥奪の取り消しを決

 定しました。」

タイガは顔を俯かせため息をつくと顔を上げた。

「ふん。」

顔を上げたタイガは不敵な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうですか、ありがとうございます。

 それと貴方にはIS学園で保険医をしてもらいます。勿論、授業も受けてもらいますが。」

「何?」

「実をいうと、IS学園をバグスターが狙っている可能性があるという情報が入りましてね、その対

 抗策として貴方に行って貰いたいんですよ。それに調整中のガシャットの制作が終わり次第、

 増援のライダーを送ります。」

「必要ない。仮面ライダーは俺一人で十分だ。ガシャットだけよこせばいい。」

「そういうわけにもいきません。不測の事態が起きる可能性がありますからね。」

「・・・勝手にしろ。」

そういうとタイガはシートに身を任せ目をつぶって眠りだした。




クロトに言わせたことは自分は思ってたことです。


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第2話 Part1

「此処がIS学園か。」

2人目の男性操縦者が発見された全国IS適性検査から2ヶ月が経ったある日の早朝。

タイガはIS学園の正面ゲート前に立っていた。

「ハァ...。」

タイガは面倒くさそうにため息をつくと、ボストンバッグが上に乗った大型スーツケースを牽きながら、本校舎の1階にある総合事務受付目指して歩き出した。

 

 

タイガは総合受付に着くと、受付担当の事務員に身分証を見せた。

「っ!貴方が例の...。少々お待ちください。」

事務員の女性は驚いた表情を見せた後、内線で誰かに連絡を取った。

 

しばらくすると、総合受付には、出席簿を持った、黒のスーツにタイトスカートの黒髪の女性が現れた。

「待たせてすみません、貴方の担任になる織斑千冬です。」

「織斑、千冬?・・・どっかで聞いた名だな、何処だったか。」

スーツの女性、織斑千冬の名前を聞いたタイガは首を傾げた。

「え!?し、知らないんですか!?世界最強のIS操縦者である『ブリュンヒルデ』の織斑先生の

 事!?」

「あぁ、確か第1回モンド・グロッソの優勝者の名前だったか。ブリュンヒルデだったか、悪いが

 興味が無かったんでな。」

「いえ、その呼び名は好きではないので。」

「そうか。で?なんでアンタは敬語なんだ?」

「一応貴方は私の受け持つクラスの生徒ではありますが、保険医も兼任される

 ということで同僚ということになりますから。」

「保険医と言っても、手が足りないときに手伝う、非常勤だがな。」

「それに私よりも一つ年上ですから。」

「て事はアンタ、24か。」

「えぇ、まぁ。」

「授業中は敬語じゃなくて構わない。」

「分かりました。では教室に向かいましょう。」

タイガは持ってきた荷物を受付に預けると、そうして千冬の先導で教室に向かって歩き出した。

 

 

1年1組の教室に向かう道中、タイガは千冬と雑談していた。

「なぁ、ブリュンヒルデ。」

「その呼び名はやめてください。」

「織斑と呼んでも良いが、一人目と被るしな。初対面の女を下の名前で呼ぶ趣味もないからな。

 それとも、下の名前で呼んでほしいのか?ち・ふ・ゆ・ちゃ・ん?」

「ブ、ブリュンヒルデで結構です。た、確かに弟は一組に所属しているので被りますし。」

千冬は赤面しながら答えた。

「弟?あぁ、なるほどな。織斑、か。・・・しかし、はた迷惑な話だな。」

「・・・申し訳ありません。」

「しかし、分からねぇな。何をどうしたら、一介の中学生がISなんぞに触れられるんだ?」

「その、実は、ですね。藍越学園を受験するはずだったんですが、あのバカは間違って、というか

 迷子になった挙句に適当にIS学園の試験会場に入り、入試用に安置されていたISに興味本位で触

 れたんです。」

「・・・なるほど、筋金入りの馬鹿か。場所なんて、受験会場の受付の人間にでも聞けばいいだ

 ろ。というか、IS学園の担当教員から受験時に説明があるはずだ。普通はソレで分かると思う

 が。」

タイガが呆れた口調で問いかけてくる度に、千冬の顔は徐々に赤くなっていった。

「・・・はい。実は、今年の受験生のテンションが妙に高くてですね、担当教員はベテランだった

 のですが、受験生の対応で疲れ果て、その時には判断能力が鈍っていて、顔を見ずに説明して少し

 休むために退出しまして。」

「ISを纏う訳だからISスーツに着替えるはずだな?」

「はい。」

「担当教員は一人目に着替えるように指示を出したわけだ。」

「はい。」

「普通ならそれで気づきそうだけどなぁ?」

「お、弟は、その、カンニング対策だと思ったらしく......。」

「そもそも、ISに勝手に触れる馬鹿がいるのか?」

「申し訳ありません。」

恥ずかしさから千冬の顔は既に、プレッシャー星人を超えるほど真っ赤になっていた。

 

 

その後、2人は無言で歩いていた。

 

 

「着きました。・・・どうやら自己紹介の真っ最中みたいですね、少し待っていてください。」

そう言うと、千冬はタイガを残して教室に入っていった。

 

 

 

 

 

千冬は後ろのドアから静かに教室に入った。

「以上です。」

クラス、いや学園唯一、ではなく唯二の男子生徒で千冬の弟である織斑一夏が自己紹介をしているところだった。

(なんだその自己紹介は。)

千冬は唯一の肉親の自己紹介に呆れ音を立てずに一夏の背後に立つと、背後から出席簿を振り下ろした。

「いっ―――――!?」

一夏は痛みに驚いて背後を振り向くと、

「げぇっ、ジャベル!」

千冬は再び出席簿を振り下ろした。―――かなり強めに。

その音に生徒が数名、否、生徒全員と副担任である眼鏡をかけた緑神髪の女性、山田真耶が完全に引いていた。

「誰がグンダリ無駄遣いオジサンか、馬鹿者。」

「お、織斑先生、会議は終わられたんですか?」

真耶は千冬に話しかけた。

「私は途中で抜けて、例の新入生の出迎えに行ったんだ。」

「そうですか。」

「それと山田君、クラスへのあいさつを押し付けてすまなかったな。」

千冬は一夏に投げかけた声とは天と地ほどの差がある優しい声で誤った。

「い、いえ、副担任ですから。」

真耶とのやりとりが終わると千冬は教壇に立った。

 

 

 

 

 

 

 

その頃教室の外では、タイガが知恵の環で暇つぶしをしていた。

 

「しかし、さっきの音は何だったんだ?」

さっきの音とは、千冬が一夏を出席簿で叩いたときの音だった。

「大砲みたいな音だったが。フッ、まさかな。」

 

しばらくしてタイガが知恵の環を外したと同時に教室前方のドアが開き、千冬が顔を出し、手招きして来た。

「入ってく、入れ。」

 

タイガは千冬の指示に従って教室に入ると、教壇の横で立ち止まった。

「彼は全国IS適性検査で見つかった、2人目の男性操縦者だ。自己紹介を。」

タイガは千冬に促されるように自己紹介を始めた。

「俺の名前は立花大河、歳は25。医者で一応、非常勤の保険医としてもこの学園に在籍すること

 になった。趣味は料理と、シューティングゲームだ、まぁ、よろしく頼む。」

 

 

 

 

 

 

 

「自己紹介はああやってするのだ、馬鹿者。」

「あべしっ」

千冬は気配を消して一夏の背後に移動すると、出席簿でもう一度頭を叩いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ~、面白そうじゃん。」

黒い長髪の生徒―――ニコはニヤリと笑いながらタイガを見つめていた。

 

「あの人、もしかして。」

そして真耶もタイガの事をじっと見つめていた。

 



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第2話 Part2

第2話前編を書いたときはニコが登場して間もないころだったんですが、その当時は小説に出すか考えてなかったんですが、第16話あたりから良いアベックだな~とは思ってたんですが、今日の放送を見て一部内容を書き換えました。




タイガの自己紹介の後、HRと1時限目のIS基礎理論の授業が終わり、今は休み時間になっていた。

 

 

「・・・。」

タイガは自分の席で1時限目に倣った内容をノートにまとめて復習していた。

一人の少年がタイガの席に近づいてくるとタイガの横で立ち止まった。

その少年こそが、

 

 

 

 

 

 

「なぁ、確か、大河って言ったけ?俺は織斑一夏。同じ男同士仲良くしようぜ。」

タイガがIS適性検査を受ける羽目になり、IS学園に入学する元凶になった、世界で初めての男性IS操縦者の織斑一夏だった。

 

一夏はそういうとタイガの腕をつかんだ。

「屋上で話でもしようぜ!」

「あ゛ぁ」

タイガは机に向けていた顔を一夏に向けると睨みつけた。

「お前、ふざけてんのか?」

「え?どういう意味だよ?」

「さっき俺は自己紹介で歳は幾つつった?」

「えっと、25って、」

「だったらテメェは、初対面の、しかも歳上に向かって、いきなりタメ口で話すのか?テメェ、一体何様のつもりだ?」

「いやだからさ、ここでは男は俺たち二人だけなんだし。だからお互いなk―――」

 

「あんたウザいんだけど。」

タイガの右隣の席、位置関係でいえば、ちょうど一夏の後ろにいる女生徒が一夏を睨んでいた。

 

「え?」

「アンタさぁ、ホント何様のつもりだよ。タイガはアンタと違って忙しいんだよ。」

 

「え?おっ、お「一夏、少しいいか。」い・・・ん?」

一夏がタイガの肩を掴もうとしたとき、横から声をかけられた。

そこにはポニーテールの少女が立っていた。

「?・・・・・あっ!お前、箒か!」

「ああ、久しぶりだな一夏。ちょっといいか。」

「あ、あぁ。分かった。」

一夏はポニーテールの少女、幼馴染の篠ノ乃箒と共に教室を出て行った。

 

 

 

「なんだお前?」

一夏と箒が屋上に向かった後、女生徒の顔を見ながら言った。

「アタシはニコ!まっ、よろしくね、タァ~イガッ!」

女生徒―――ニコは両手でNを形どりながら自己紹介をしていた。

「そうか。」

「あれ?慣れなれするな、とか、タメ口で話すなとか言わないの?」

「別に。お前はそれが平常運転なんだろ?それに俺は能天気なアイツが気に入らなかっただけだからな。」

そういうとタイガは机の上のノートに視線を戻すと、復習を再開した。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

休み時間が終わり、1組は2時限目の授業が始まり、生徒たちは真耶の授業を聴講しながらノートをとっていた。

 

 

 

・・・約一名を除いては。

 

 

 

 

 

「えーと、皆さん。今のところまでで何かわからないところはありませんでしたか?」

区切りのいいところまで教科書の内容を話し終えた真耶は教卓から教室を見渡しながらそう生徒たちに訊いていた。

「はい!」

元気いっぱいの声が教室全体に響いた。

 

タイガや一部を除いたクラスのほぼ全員がその声の主に目を向けた。

 

「はい、織斑君!どこが分からなかったんですか?」

真耶はめいいっぱい手を挙げている声の主―――織斑一夏に優しい声色でそう尋ねた。

 

「ほとんど全部わかりません!」

 

一夏のその一言で教室は静まり返った。

 

そして

 

「え....。」

真耶は顔を引きつらせ、

 

 

「ハァー、馬鹿が。」

タイガは溜息を吐き、

 

「ウゥ、馬鹿者が.....。」

千冬は頭を押さえ、

 

「アハハハハ!ウケるー!」

ニコはお腹を抱えながら盛大に笑っていた。

 

 

 

 

「え、えーっと、お、織斑君以外で今のところで分からなかった人っていますか?いたら手を挙げてください。」

真耶は何とか気を取り戻すと、クラスの現状を確認しようと、クラス全体に挙手を求めた。

 

一夏は自分以外にもわからない人がいると期待して周囲を見渡してみた。

 

誰一人として手を挙げている者はいなかった、一夏と同じ男子生徒であるタイガでさえもだ。

 

「おい、タイガ。恥ずかしがらずに手を挙げろって!最初躓いたまま進んじまうと後で絶対後悔しちまうぞ。みんなも!」

一夏はもう一度周囲を見渡して見るがやはり誰一人として手を挙げる者はおらず、ほとんどの生徒は困惑した表情を浮かべていた。

 

「おいタイガ!」

「俺に話を振るな。そもそも自分の考えを人に押し付けてんじゃねえ、迷惑だ!」

タイガは一夏を睨みつけながら怒鳴った。

「落ち着け、立花。・・・・・あー、織斑。入学前に学園から支給された参考書は読んだのか?」

教室の端っこで控えていた千冬はタイガに落ち着くように言うと一夏の横に移動すると、できるだけ優しい声色でそう聞いてみた。

「電話帳と間違えて捨てまsグへェッ!?」

 

千冬は一夏が『捨て』という言葉を口にした瞬間、出席簿をものすごい勢いで振り下ろした。

「必読と書いてあっただろう、この馬鹿者が!」

 

 

 

 

 

(なるほどな、さっきの音はこれか。しっかしどうなってんだあの出席簿?)

出席簿が一夏の頭を直撃したときになった轟音が自己紹介する前に廊下で待っていた時に鳴り響いた音と同じであることに気づいたタイガはどうやったら出席簿で大砲みたいな音を出せるのか疑問に思ったのだった。




ニコの名字を出してないのは、タイガの隣にしようとは思ったんですが、いいのが浮かばなかったので保留状態なので未定になってるんです。

しかし、スナイプにはレベル100がないんでしょうかね。


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第2話 Part3

二時間目の授業は、一夏が参考書を古い電話帳と間違えて捨てた、というなんとも嘘くさい事件?が発覚したがその後は滞りなく進み、現在は休み時間に入っていた。

 

タイガは面倒事に巻き込まれるような予感を感じたため、授業が終わるとすぐに教室を出て屋上に向かった。

「こういう時の俺の感は当たるからなぁ......、ハァ。」

タイガは缶コーヒーを飲みながら黄昏ていた。

「タイガの感大正解だよ。今教室戻んない方がいいよー、織斑と金髪ロールが揉めてるからさ。」

タイガは後ろを振り返ると、そこにはニコが立っていた。

「お前か、あまり聞きたくはないが・・・何があった。」

「それがさー、――――」

 

ニコの話を簡潔にまとめると

 

・金髪ロールが織斑に話しかけた

・織斑は金髪ロールの事を知らなかった

・金髪ロールはイギリスの代表候補生だったが、自分を知らない織斑に激怒

・さらに追い打ちをかけるように織斑が代表候補生って何?発言

 

ということがあったらしいが、ニコはそのやり取りにアホらしくなって、教室を抜けてきたらしい。

 

「金髪ロールの代表候補生?・・・あぁ、セシリア・オルコットとかいう奴か。」

「あれ、知ってんの?」

「何年か前にイギリスに行ったことがあってな、その時に見かけたことがある。」

「へぇ~。」

「しかし、オルコットも抜けてるな、織斑は電話帳と間違えて参考書を捨てるような馬鹿だぞ、

 そんな奴が代表候補生って言葉の意味を知ってるように思うか普通?」

「あー、確かに。」

ニコはタイガの辛辣な言葉に苦笑いしながら同意した。

「そもそも国家代表ならともかく、一介の代表候補生の顔と名前なんざ、知ってる奴なんざほとん

 どいねえだろ。腕の立つ優良株ならわかるがな。」

「まぁね。」

タイガは腕時計を見ると、時計の針は休み時間が終わる1分前を指していた。

「そろそろ戻るか。」

「そだね。」

そういうと、タイガとニコは教室に戻っていった。

 

 

 

◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇

 

 

 

「あー、すまない。授業を始める前に決めることがあった。」

3時間目の授業を始めようとした千冬はふと思い出したようにそう言った。

「えー、何を決めるんですかー。織斑センセー。」

ある生徒が千冬にそう聞いていた。

「それはだな。・・・再来週に行われるクラス対抗戦に出るクラス代表を決めなければならん。」

「クラス代表?」

その言葉に一夏は首を傾げていた。

「言葉の通りの意味だ、生徒会主催の会議や委員会への出席をする・・・一言でいえばクラス長の

 事だ。一度決まると1年は変更できんからな、そのつもりでいろ。」

 

その言葉に教室がざわざわと色めきだった。

一夏はイマイチ理解できていないのかポケーっとしていたが........。

 

「自薦他薦は問わんぞ。誰かいないか?」

「はい!織斑君を推薦します!」

「私もそれが良いと思いますー。」

「なるほど、候補者は織斑一夏か、他にいないのか?」

千冬は真耶を一瞥し、メモを取っているのを確認しながらそう聞いた。

「っ!?俺!?」

一夏は自分が推薦されているのに気付いて驚きの声を上げながら立ちあがった。

 

 

 

 

あいつ、自分が推薦されて他の気づいてなかったのか

バッカじゃない、フツー気づくでしょ。

まったくだな。

タイガとニコは小声で会話しながら一夏に呆れていた。

 

 

 

 

「だ、だったら、俺は!?タイガを推薦する!!!」

一夏はタイガにクラス代表を押し付けようとタイガを推薦した。

「ふむ、立花か、なるほどな。他n―――」

「待ってください。納得いきませんわ!」

その時、一人の生徒が異議を唱えて立ち上がった。

 

 

その生徒の名は

 

「男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ!このわたくし、セシリア・オルコットにそのよう

 な屈辱を味わえとおっしゃいるのですか!?」

 

イギリスの代表候補生―――セシリア・オルコットだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねぇ、タイガ。屈辱に耐えきれないんだったら自薦すればよかったんじゃないの?

まったくだ。



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第3話Part1

『スナイプIS』5か月ぶりの更新です。

結構一気に書いたから文章的におかしなところがあると思います。

戦闘シーンありますけど短いのでご了承ください。


結局、あの後タイガは、クラス代表の座を賭けた織斑一夏、セシリア・オルコットとのクラス代表決定代表戦に参戦することになった。

 

タイガは面倒なことに巻き込まれたくないと辞退しようとしたが、千冬が認めなかったのだ。

 

 

 

「やれやれ、厄介なことになったな。」

授業後、タイガは白衣を着ながら、IS学園の廊下を歩いていた。

「やぁ、立花先生。」

背後から聞き覚えのある声が聞こえてきたためタイガは一度足を止めたが、すぐに声の主を無視して歩き出した。

「無視なんてひどいじゃないか、立花君。」

タイガは溜息をつきながら、振り返った。

 

そこにいたのは幻夢コーポレーション社長・影宮玄斗だった。

「幻夢の社長がなんでこんなとこに居やがる、影宮。」

 

「実は君の専用機を我が社で用意することになってね。それに加えて例の件の事で此処の学園長と打合せの帰りだよ。」

クロトは満面の笑みでタイガの問いに答えた。

「なるほどな。」

「専用機の事で何か要望はあるかい?」

「射撃型で頼む。」

「ふむ、やっぱりか。しっかり承ったよ。」

 

 

タイガとクロトが廊下を歩いていると、女生徒がうつ伏せに倒れていた。

「君っ!大丈夫かい!?」

ザザッ!

女生徒の体にノイズが走った。

 

「まさか、ゲーム病か。」

クロトは倒れていた女生徒に駆け寄ると抱き起した。

 

「っ!?お前はっ!」

タイガは女生徒の顔を見て驚いた。

 

ゲーム病を発症し倒れていた女生徒は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ...、ハァ......、タイガ。」

 

 

ニコだった。

 

 

「と、とにかくCRに運ぼう、立花先生。」

「CRのある東京まで運ぼうってのか?」

「いや、君には黙っていたが、此処の地下にCRの設備を設置してある。そこにゲームスコープも置いてある。」

「なるほどな、とにかくそこに運ぶぞ。」

 

タイガはニコをお姫様抱っこすると、クロトの後についていった。

 

 

 

 

~IS学園・地下施設~

 

「ちっ。やっぱ、ゲーム病か。」

タイガはクロトの指示に従って、病室のベットにニコに寝かせた後、ゲーム病感染の有無を検査する聴診器型の機器――ゲームスコープで、ニコの検査を行っていた。

 

 

「これは、リボルのゲーム病だね。」

 

クロトはタイガが見ていた、ニコが感染したゲーム病の感染度合いや症状が空中に投影されているモニターをのぞき込むと、そう断言した。

 

「リボル?あぁ、コイツか。」

タイガはニコに感染しているバグスターの名前を聞くと、バンバンシューティングガシャットを取り出した。

 

「その通り、バンバンシューティングの敵キャラの隊長リボル。リボルを倒さない限りは敵兵を倒

 してもパワーアップして蘇生し続けるというハードすぎる難易度だったために発売中止になった

 代物さ。」

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ立花先生。CyberRescueClinic―――電脳救命診療室、CRCへ。」

 

 

ニコの診察を終えたタイガはブリーフィングルームに移動し、コーヒーを飲みながら、現在いる施設についてクロトの話を聞いていた。

 

 

「CRC?」

「あぁ。流石に、ロクな設備や資材がないまま、この広大な学園を一人で診て回ることはできないからね。衛生省に用意させたんだ。足りないものもあるが、少しずつ増やしていく予定だよ。」

「衛生省にか?よくそんな金を出したもんだな。」

「ふふふ、君の事も含めて、彼らには貸しがあるからね。交渉したんだよ。」

「内容は?」

「何、簡単なことさ、バグスターウイルスやゲーム病、2年前のゼロデイの事を公表しようか?とおd...話したら、二つ返事で了承してくれたよ。」

「お前今、脅したって言おうとしたろ。」

タイガはクロトに呆れつつ、コーヒーを口にした。

「あぁ、因みに君はここで暮らしてもらうことになっている。流石に成人の君を一緒の寮に、というのは問題もあるからね。」

「別に問題ない。」

 

「さてと、彼女をどう治療するんだい。まずはストレスの原因を突き止めないと。」

「必要ない。とっとと終わらせる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、起きろ。」

「(ハァ.....ハァ......、タイ、ガ?」

タイガは病室に戻るとニコの肩を揺さぶった。

強引に起こされ目が覚めたニコは起き上がると病室を見渡した。

「ここ....何処?」

 

「病室だ。急で悪いが入院してももらう。1ヶ月は絶対安静。読書ぐらいは良いが、TVやゲームは絶対禁止だ。」

「は?ゲームが、禁、止?ふざ、けんな!ゲー、ムはあたしのいの、ちだ!ゲーム、でき、ないな、んて......。」

ニコは息を切らしながらも、タイガの胸倉を掴んで睨みつけた。

「此処では俺がルールだ。ゲームは絶対させない。」

タイガはそれでもなお、冷たい眼差しでニコを見据え、冷淡にそう言い放った。

「タイ...ガァ!・・・ウッ!?ゥゥゥ!?」

ニコがタイガの言葉を聞いた瞬間、ニコの身体にノイズが発生する感覚が徐々に早くなってきた。

「やっぱりな。」

タイガはそう呟くとゲーマドライバーを装着し、バンバンシューティングガシャットを取り出した。

 

「待ちたまえ、立花先s―――!?」

病室にクロトが入ってきたのと同時にニコの身体からバグスターウイルスが噴出し始めた。

 

タイガは右手に持ったガシャットを正面に突き出すと、ガシャットについた起動スイッチ

を銃の引き金を引くように押した。

≪バンバンシューティング!≫

ガシャットが起動すると、タイガの背後にバンバンシューティングのタイトル画面が出現し、タイガは銃を回すようにガシャットを構えた。

「変身。」

そしてガシャットをゲーマドライバーに挿入すると、タイガの周囲にライダーの顔が描かれたパネルが複数出現し、スナイプの顔が描かれた顔が正面に現れた時、手を銃の形にすると銃を打つようにパネルを選択した。

 

≪レッツゲーム!メッチャゲーム!ムッチャゲーム!ワッチャネーム!? アイム ア カメンライダー!≫

 

すると、パネルはタイガの身体に吸い込まれ、ゆるキャラ然とした四頭身の白いボディが特徴の仮面ライダースナイプレベル1への変身が完了した。

 

≪STAGE SELECT!≫

スナイプはドライバー左腰部にあるキメワザホルダーの上部ボタンを押すことで、戦いの舞台となる仮想空間ゲームエリアへとクロトとニコへと転送された。

 

 

 

~ゲームエリア・工場跡地~

 

ストレスが最高潮に達したニコの身体から大量のバグスターウィルスが噴出し、ニコの身体を取り込むと強大な肉団子の集合体のようなバグスターユニオンへと姿を変えた。

 

『ミッション開始!』

≪ガシャコンマグナム≫

スナイプはプロトシューティングゲーマー時代から愛用していたガシャコンマグナムを召喚すると、バグスターユニオンに向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「流石だな、2年のブランクがあるとはいえ、ああも見事に正規版のガシャットを使いこなすとは。それに......。」

ゲームエリアへの転送に巻き込まれ、物陰に隠れていたクロトの視線の先にはスナイプレベル1と、バグスターユニオンの戦いが行われていた。

バグスターユニオンはその巨体に見合った大きな拳でスナイプに殴り掛かるもスナイプは逆にその鈍重そうな姿に見合わないほど軽やかなステップでやすやすと回避し、ガシャコンマグナムの正確な射撃でバグスターユニオンを牽制していた。

これが数度繰り返された後、ガシャコンマグナムの銃口はバグスターユニオンではなく近くにあったドラム缶に向けられた。

 

『バーン!』

スナイプのその言葉と共にマグナムから放たれた弾丸は正確にドラム缶を射抜いていた。

そして、ドラム缶が破壊されると中からメダル型のパワーアップアイテム―――エナジーアイテムが出現した。

『あれは!分身か。・・・フッ!一気に仕留める。』

≪分身≫

スナイプはエナジーアイテム分身をその身に取り込んだことで4人に分身した。

『てめぇはここで終わりだ。』

 

4人のスナイプレベル1はバグスターユニオンの四方を取り囲むと、その身を弾丸上のエネルギーに包み込み、一気に突進した。

 

4人のスナイプがバグスターユニオンを貫くと同時にバグスターユニオンを形成していたバグスターウイルスは霧散し、バグスターユニオンに取り込まれていたニコは本物のスナイプレベル1に(お姫様抱っこされて)救出されていた。

 

 

『ミッション開始であります。』

霧散したバグスターウイルスは人型に再構成されていき、バンバンシューティングの敵キャラである行動隊長リボルのデータを基にしたリボルバグスターになっていた。

 

『本丸のご登場か。』

「彼女は私に任せたまえ。」

「なんだいたのか。まぁいい、あとは任せた。」

スナイプは物陰から出てきたクロトに気絶しているニコを渡すとリボルバグスターに向って走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「その手に再び武器を取ったか、藪医者。面白い、またお前と戦える日が楽しみだ。」

民族衣装のような恰好をした青年がゲームエリアの片隅でスナイプの戦いを見ながらそう呟いた。

 




『平成ジェネレーションズFINAL』の告知映像観ましたけど、
遂にセンセ以外にも生身で武器を持ちだすという........。
今まで生身で武器持ったライダーでカッコ良かったの誰だろうなぁ........。

うーん、

ヒビキさん
竜くん
チェイス
花家センセ
ぐらいかな。

しかし、IS原作キャラのバグスターウイルスホルダー誰にしようかな。
今のところ原作のバグスターでウイルスホルダーきまってるのソルティしかいないし。
タドルクエスト・爆走バイク・ゲキトツロボッツ・ドレミファビートはCRに相手させるんで省きますけど。

正直、エグゼイドとブレイブは存在してるし戦ってるけど、いまのとこ本編出す予定ないんで。

仮バグスターウイルスホルダー(感染者)リスト
・ソルティ(Lv.3):確定
・リボル:ニコちゃん
・バーニア:未定
・カイデン:未定
・チャーリー:確定
・グラファイト:そもそも完全体
・ハテナ(パフェパズ枠):未定
・ラヴリカ(非完全体):未定
むぅ.....アンケートでも取るか。


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第3話Part2

今年最後の投稿です。

とはいっても、短いですが、説明回ですがね。


~ゲームエリア・工場跡地~

「・・・ン」

タイガが変身した仮面ライダー、スナイプシューティングゲーマーレベル1の活躍により、バグスターユニオンから分離したニコはクロトの腕の中で目を覚ました。

 

クロトはニコが目を覚ましたのに気付き、顔を近づけた。

「やぁ、目が覚めたかい?」

そう言って朗らかな笑顔を浮かべたクロトを待っていたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチーン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キモい」

ニコの強烈なビンタだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、此処何処?」

「此処はガシャット式仮面ライダーが生み出すことができる対バグスター用バトルフィールド、

 通称『ゲームエリア』だ。」

クロトは状況を把握できていないニコを座らせると、iPadを取り出し説明を始めた。

「ガシャット式仮面ライダーにバグスター?それにゲームエリア?」

ニコは知らない言葉ばかりで混乱し、首を傾げた。

「仮面ライダーは知っているだろう?」

「う、うん。都市伝説でしょ。」

「仮面ライダーは実在する。ほら、あそこにも一人。」

そういうと、リボルバグスターが指揮する重火器を装備し、迷彩服を着こんだバグスターウィルス達と銃撃戦を繰り広げるスナイプレベル1を指さした。

 

「え?あれが仮面ライダー?ゆ〇キ○ラじゃん!」

「あれは仮面ライダースナイプレベル1。ガシャット式仮面ライダーが変身する最初の形態だ。」

「だから、ガシャット式、ガシャットって何?」

 

クロトはニコにガシャット・ゲーマドライバー・バグスターウイルスについて詳しく説明した後、ラベルに何も描かれていない真っ白なガシャットを取り出した。

 

 

「因みにこれはブランクガシャット。ゲームのデータが入っていないガシャットさ。」

ニコはクロトからブランクガシャットを受け取ると、太陽に翳しながら興味深そうに見ていた。

「へぇー。・・・ん?なんで何のゲームも入ってないガシャットなんて持ち歩いてんの?」

「いつ新しいゲームのアイディアが浮かぶか分からないからね。いつでも新しいガシャットを作れるようにしているんだよ。」

「ふーん。」

「説明はこれくらいにしておこう。今は立花先生の戦いを見守るとしよう。」

「ハァ?アレってタイガなの?」

ニコはスナイプに変身しているのがタイガだと知るとスナイプを睨みつけた。

「?・・・・・・!あぁ、そうか。立花先生の事を許してあげてくれないかな、ニコちゃん。」

「え?」

「彼は君のストレスの原因を手っ取り早く確認するために、一番ストレスの原因の可能性がある

 『ゲーム』を禁止するといったんだよ。彼、ああ見えて結構面倒くさがりでね。2年前はそうで

 もなかったんだが。」

 

「2年前?」

「あぁ。2年前、ゼロデイと呼ばれる事件が起きた。」

 

クロトはニコに語りだした。

 

まだクロトの父が社長を務めていた幻夢コーポレーションが発売しようとしていた10個のゲーム。

 

マイティアクションX

タドルクエスト

バンバンシューティング

爆走バイク

ゲキトツロボッツ

ドレミファビート

ジェットコンバット

ギリギリチャンバラ

シャカリキスポーツ

ドラゴナイトハンターZ

 

これら10個のゲームにバグが発生し、テストプレイヤー達がバグスターウイルスに感染する事態が発生。

それにより、10個のゲームは発売中止。

 

そして、クロトの父はその責任を取られ、逮捕され、現在も服役中だという。

 

「それが、マイティアクションXの発売が延期になった理由?」

「あぁ。ゼロデイの発生直後から私はゲーマドライバーを開発した。そして一般の医療機器を

 使い、自力でバグスターウイルスを発見した立花先生が適合者として選ばれ、仮面ライダースナ

 イプとしてバグスターウイルス撲滅のため戦い始めた。」

「2年前から?」

ニコはバグスターウイルスと戦っているスナイプ―――タイガを見つめた。

 

 

 

 

クロトがニコに2年前の出来事について話し始めたのと時同じくして、タイガ―――スナイプはバグスターウイルスとの戦いに苦戦していた。

ガシャコンマグナムでバグスターウイルスの頭を正確に打ち抜き、倒していたもののバグスターウイルスからの銃撃を除けきれず、ダメージを喰らってしまう。

 

そもそもレベル1はバグスターユニオンとの戦いを前提として開発されており、バグスターウイルスとの戦いでは小回りが利かなかったのだ。

 

『ちっ!レベル1じゃ分が悪いか。』

スナイプがレベル1に対する愚痴を言っているその時、バグスターウイルスの一体がバズーカをぶっ放した。

 

バズーカの攻撃がスナイプに直撃すると、スナイプは吹き飛ばされ、地面に転がった。

スナイプのライダーゲージはそれまでのダメージもあり半分になってしまった。

 

 

 

 

 

 

「っタイガ!?」

ニコはバズーカの直撃を受けたスナイプのみを案じ、声を上げた。

「彼は唯一の適合者として、単身、バグスターと戦い続けた。・・・プロトガシャットの副作用と

 連戦によって蓄積されてきたダメージで自分の身体がボロボロになっていたにも関わらずね。」

「プロトガシャットの副作用?」

「ニコ君。プロトガシャットこそがゼロデイを引き起こした元凶なんだよ。」

「え?なんでそんなヤバいもん使ってんだよ。」

「時間が無かったんだ、安全なガシャットを作るだけの時間が衛生省の催促もあり、ゲーマドライ

 バーの開発だけで手いっぱいだった。」

「何それ。」

「プロトガシャットは非常に強力な力を持つ。だが、急ごしらえのゲーマドライバーではその力を発揮することができなかった。」

「メリットが全くないってこと?」

「あぁ、彼が2年前、最後に戦ったバグスターの推定レベルは5。当時のゲーマドライバーでプロト

 ガシャットの力を完全に引き出すことができていれば、余裕で倒すことはできた。だが、ゲーマ

 ドライバーはプロトガシャットの力を引き出すことはできず彼は苦戦し、結果としてそのバグス

 ター―――グラファイトは完全体となり、感染者は消滅した。」

「そんな........。」

「それに彼はバグスターと単身戦っていただけではない。バンバンシューティングを含む10本全てのプロトガシャットを使用し、全てのガシャコンウェポンとゲーマのテストを行っていたんだ、そのために彼の身体はバグスターとの戦いでの疲労だけでなく、プロトガシャットの副作用によって彼の身体はまさに、ボロボロの状態だった。彼の髪の一部が白いのは副作用さ。」

「なんであいつそんなこと。」

「彼は根っからのドクターなんだよ。

 人の命を助けるためなら、誰かに恨まれようとも、

 憎まれようとも、自分の体が、命がどうなろうとも関係ない。

 それが彼。仮面ライダースナイプ、立花大河なのさ。」

「・・・なんなのさ、アイツ。・・・バカじゃないの。」

目を潤ませながらニコはそう呟いた。

「どうか彼を許してあげてくれ。―――この通りだ。」

そう言うとクロトはニコに対して頭を下げた。

「そんな話聞いたら、許すしかないじゃん。」

ニコはその瞳に溜まった涙を制服の裾で拭うと、倒れ伏しているタイガの方へと視線を向けた。

 

 

 

 

 

「勝ってよ、タイガ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スナイプレベル1は立ち上がると、ドライバーのレバーを右に開いた。

『第弐戦術!』

 

ドライバーからガシャットに描かれたグラフィックを模したゲートが前面に放出された。

 

≪ババンバン!バンババン!(Yeah!)バンバンシューティング!≫

 

スナイプがゲートを通過すると同時にレベル1のボディが分離して等身大の姿へと変わった。

 

 

『バグスターは俺が一匹残らず、ぶっ潰す!』

 

 

孤高の狙撃手―――仮面ライダースナイプ シューティングゲーマーレベル2が2年ぶりにバグスターの前に現れた。

 

 

 

 

 




トゥルーエンディングと平ジェネFINALを見て改めて大我さんは患者のためなら自分がどうなっても構わない、自己犠牲の精神が人一倍強いって感じましたね。

これも最初の仮面ライダーになった始まりの男であるがゆえに、5年前に犠牲者を出してしまった責任を感じっててことなんでしょうが........。

それでも自分は衛生省の大我への仕打ちが許せないんですよね。

医師免許剥奪が大我を苦しめる一因になったってこともありますが........。




今年最後の投稿で暗くなっちゃダメだな、うん。

何はともあれ、来年一発目のビルドでは、我らが、ダディ。
1000年に一度の天才、紅音也
いや、武田航平さんがディケイドのゲスト出演以来、約10年ぶりに日曜の朝に帰ってくる。

『キバ』には、『響鬼』から財津原蔵王丸さんと、童子さんが出てたわけだし、
今度は逆に『キバ』から0108さん以外にもう一人出てくるんじゃないかと期待してる自分がいる。



仮面ライダービルドは0108のアドリブ天国に変わるのか否か今から楽しみです。
そして、ロボットゴースト∞云...新ライダーグリスの活躍に期待したい。




皆さん今年も大変お世話になりました。
来年もよろしくお願いいたします。

それでは、良いお年を♪

















ガンバライジングにグリスが出るなら、
イクサとダキバの0108Ver.期待してもいいかな?(●-●)/



○○○○----!!!!!


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