やはり一色いろははあざとい。 (ざきりん)
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1話

初めての作品です!
文章下手なので読みにくいと思いますが温かく見守っていただけると嬉しいです!

あと他の人と同じような作品にならないようにはしてるのですがもしかぶってたりしたらおしえてください!

俺ガイルの中ではいろはすが1番好きなのでいろはすメインです!


追記
2018/2/14
全文の書き方を変更しました。
内容や文章は同じです。


 

 

「あー…。」

ようやく長い長い卒業式が終わった。

今頃クラスの中ではリア充共がお別れの涙を流していることだろう。

しかしぼっちである俺はなにもすることがないので家に帰ろうとしているわけである。

いや、別に悲しくなんてないからね?

むしろ家にいる小町に会いたくて心が弾んでいるまである。

 

 

 

「せんぱ〜〜い!」

 

 

なにやら聞き覚えのある声がするがきっと他の誰かに話しかけているのだろう。

ここで振り向いてはいけない。

ソースは俺。

いやーばっちり目あったのに完全にスルーされるとか辛いよね。うん。とそんなことを考えていると後ろから手で目を覆い隠された。

 

「だーれだっ?」

 

俺の知り合いでこんなにあざとい声を出せるのは一人しかいない。

 

「一色か。」

 

「むー。こんなにかわいい女の子がせんぱいに声をかけてるんですよー?もっと何かないんですか?」

 

頬を膨らませ上目使いで話しかけてくるこの後輩は一色いろは、元生徒会長で今はサッカー部のマネージャーとして頑張っているようだ。

 

「はいはい。あざといあざとい。」

 

「ご卒業、おめでとうございます!!ビシッ(^_-)ゞ

あとあざとくないですし!」

 

「…おう。お前も頑張れよ。」

 

 

「……はっ、もしかして口説いてるんですかちょっとドキッとしましたが卒業式の雰囲気を利用するなんてずるいのでまた別の日にしてくださいごめんなさい。」

 

俺は何度こいつに振られればいいのだろうか。

 

「……じゃあな。」

 

「ちょ…ちょっと待ってください!なんで帰ろうとしてるんですか!?」

 

「だって早く小町に会いたいし。」

 

「うわ、シスコン……っていうか先輩がいないと誰も先輩の家に行けないじゃないですか〜。」

 

 

 

 

「・・・は?」

 

「あれ、聞いてないんですか?今日先輩の家でみなさんと卒業祝いするんですよ?」

 

「聞いてねぇし・・・しかもなんでうちなんだよ。」

 

「小町ちゃんからうちで卒業祝いしましょう!!!ってメールが来ました。」テヘッ

 

小町……なんて恐ろしい子!

 

 

 

「はちまーーん!」キラキラ

 

はっ!戸塚の声がする!ガバッ

 

あぁ今日も戸塚は可愛いな。・・・ん?戸塚?

 

「まさか戸塚も卒業祝いに来るのか?」

 

「はい。あと雪ノ下先輩と結衣先輩もですよ。」

 

前言撤回。

後の二人はどうでもいいが戸塚を呼ぶなんて小町まじ天使グッジョブ!これはもう俺の家まで案内するしかないだろう。

 

 

  〜〜〜〜〜〜比企谷宅〜〜〜〜〜〜

 

 

ガヤガヤ

 

 

「今日はお集まりいただいてどうもありがとうございまーす!今日はこんなごみぃちゃんの面倒を見てくださったお礼として小町が腕によりをかけてお菓子を作ったのでじゃんじゃん食べて行ってくださーい!」

 

ねぇこれ卒業祝いだよね?なんで卒業生の俺がディスられてんの?もうやだ泣きたい。

 

「全く、二年もヒキガエルくんの相手をするのは大変だったわ。」

 

「俺をカエル扱いするのやめてね?」

 

「ねぇ八幡!またテニスやろうね!」

 

「お・・おう。」

 

戸塚マジ天使。小町と同じぐらい天使。なんなら戸塚と同棲生活を送りたいまである。

 

「まあまあ!ヒッキーもゆきのんも楽しもうよ!せっかく最後にこうやってみんなで集まれてるんだしさ!」

 

「ですです!あ!先輩このケーキどうですか?はい、あーん。」

 

「自分で食えるからやめてくれ。」

 

「先輩照れてるんですか〜?」ニヤニヤ

 

「うっ・・うるせ。」//

 

 

 

結論を言うと楽しかった。ちょくちょく邪魔が入ったりしたが戸塚といっぱい話せたし。これ以上ない卒業祝いだったな…。

 

「じゃあ僕はそろそろ帰るね!」

 

「私もそろそろ失礼するわ。」

 

「ゆきのん帰るのー?じゃあ私もー!」

 

「みなさん帰るんですか〜?でわでわ私も失礼します!」

 

あぁ……戸塚帰っちゃうのか……。

 

全員外に出て帰ろうとしたその時耳元で

 

 

「先輩明日暇ですよね?デートしに行きましょう!10時に千葉駅で!お願いしまーす」ボソッ

 

「え、あ、、、」

 

 

断る暇もなく強制的に決まってしまった。

 

 

 

「はぁ……。」




もっと一色を全面的に出したかったんですが文章力がなくうまく出せませんでした…。
もし見てくださる方がいたら続きも書いていこうと思います!(字数をもう少し増やしていく予定です)


よければ感想や文章のご指摘などいただけると嬉しいです!


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2話

やっぱり小説書くのは難しい...

感想を書いてくださった方、お気に入りに登録してくださった方、ありがとうございます!
とても嬉しいです!

今回はいろはすと八幡のデート編です!

追記
2018/2/14
1話と同様です。


 

 

 

「…はっ…はっ……。」

 

どうして休日の午前中から走っているのか。次の電車に何としてもならなければいけないからだ。なぜその電車に乗らなければいけないのか。集合時間に間に合わないからだ。一色いろはとの。

 

 

 

駅について改札を通り階段を全力で駆け上がっていると無情にも電車のドアが閉まる音が聞こえた。

 

「はぁっ…はっ…はっ…。………メールしとくか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いなぁ・・・。」

 

いつもなら時間前か、遅くとも時間通りには来るのに今日はもうすでに5分すぎている。デートが楽しみすぎて集合時間よりも30分も早く来てしまったこともあって余計に待ち時間が長く感じる。

 

うざいって見捨てられちゃったかな…。

でももう先輩と学校で会えないと思ったら寂しすぎて、

昨日いつの間にか無意識にデートに誘ってしまっていた。

気づくと目にはうっすら涙が溜まっている

 

「もっといろんなことしたかったな…。」グスッ...

 

 

 

「…何をブツブツ言ってるんだ?」

 

「ひゃっ!!??」

 

「そ…そんなに驚かないでくれ…。トラウマになっちゃうだろ。。。」

 

「せ…先輩遅いです!待ち合わせ時間に遅れるなんてさいてーです!!…………もう来ないかと思っちゃいました…。」ボソッ

 

「いや、悪い。でもメールしただろ?」

 

「…へ?」

 

 

 

携帯の画面を見て見ると

 

20XX/3/15 9:57

from 先輩

Re:件名なし

 

遅れる。

 

 

 

本当だ。

気づかなかった…。

それにしてももっと書くことなかったんですかね…。

まぁ先輩らしいですけど。

 

 

「でもでも!私超待ちました!罰としてまたデートしてくださいね!」

 

「またするのか…ってかそこは全然待ってないって言わないとダメなんじゃなかったのかよ。」

 

「いつものお返しです!!!」プイッ

 

まぁまたデートの約束ができたので許してあげます!

 

 

……やっぱり私先輩のこと好きなんだなあ。

わかっていることだけどつい考えてしまう。だっていつも猫背だし、顔も全然タイプじゃないし、目は腐ってるし、でもその中にある下心のない純粋な優しさが好き。

 

決してきれいなだけのものじゃないけれど

私はそれに憧れているんだと思う。先輩のいう『本物』に。

 

とりあえず今日は先輩との、デートを楽しもう!!

 

「ほら!行きますよ先輩?」

 

そうして私は先輩の手を取って歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…一色は一体どうしたんだろう。

集合場所に来てみたら一人で何やらブツブツ呟いていたので声をかけると、一瞬、ほんの一瞬ではあるが今まで見たことがないほど悲しそうな顔をしていた。まぁ本当に一瞬だったので見間違いじゃないかと言われらの否定はできないのだが。

 

 

 

「…まぁいいか。」

 

今は楽しそうに俺の手を引っ張っている。

ん?一色が俺の手を…?

 

「っ//」

 

急に恥ずかしさが襲って来たので慌てて手を離す。

 

「なんで離すんですかー?デートなんですから手繋ぎましょう!あ、ちなみに拒否権はありませんよ?」

 

結局強引に手を握られる。

 

「っていうかどこに向かってるんだ?」

 

「そんなの決まってるじゃないですか〜?」

 

いや、全くわかんないんだけど。

 

 

 

 

一色の足が止まったのは卓球台の前だった。

 

「この前のリベンジです!あ、私が勝ったらもちろんお昼は先輩のおごりですよ?」

 

「…手加減なんてしないからな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふぅ。」

 

 

 

なんとか勝てた。危なかったー。

 

 

 

「むむむ……しょ…しょうがないですね。今回は私の負けってことにしてあげます。」ムスッ

 

「いや、完全に負けだから。あと今回『は』じゃなくて今回『も』な?」

 

「次は負けません!」

 

なんだかんだで1時間以上たっている。そろそろ腹も減ってきた。

 

 

 

「せんぱーい、お昼どうしますか?」

 

「今日はお前が決めてくれー。」

 

「そうですねぇ……あっ!じゃああそこ行きましょう。」

 

 

 

『カップル限定!ラブラブランチセット』あります❤️

 

そんな張り紙がしてある。

嫌な予感が…。

 

「先輩!ここで食べましょう!」

 

的中した。。。

 

 

店に入ると中では多くのカップルがイチャイチャしている。

俺一人では絶対に入らない場所だ。

 

 

 

「ご注文はお決まりですか?」

 

「この『カップル限定!ラブラブランチセット❤️』お願いします!」ニコッ

 

「え、いや、俺らカップルじゃな……いたっ!?」

 

 

足を踏まれて一色の方を見るとこっちを向いて睨んでいる。

怖い!なんで口は笑ってるのに目はあんなに冷たいの!?

いろはすこっわ!

 

「それではラブラブランチセットでよろしいですね?」

 

「はい!!」ニコッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




デートに入る前のくだり長すぎましたね。。。笑
一応次でデートは終わらせるつもりです!


あとこのキャラ出して欲しいって方いらっしゃったらどんどん言ってください!
よかったら感想もお願いします!


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3話

UAが1500を超えました!
みなさん、読んでいただきありがとうございます!
他の方が書かれたのを見ているとまだまだだなぁと思いますが、頑張っていきたいです!


今回でデート終了です!
いろはのかわいさを意識して書いたつもりです笑
楽しんでいただければと思います!

意識して行間を空けているつもりですが、いろは視点やら八幡視点にころころ変わるので見づらいかもしれません。ご了承ください。。。

追記
1話と同様です。


 

 

 

 

俺と一色の間にはなんとも言えない沈黙が流れていた。

 

 

……なんだこれは。

いや待て、一回状況を整理してみよう。

 

 

まず俺は一色に連れられてとてもオサレなカフェに入った。

そしてそこで『ラブラブランチセット❤️』なるものを頼まれてしまった。

よし、そこまではオーケーだ。いや、まぁカップル限定って書いてあるからほんとは頼んじゃいけないんだろうが。問題はそのあとだ。

 

 

 

「ドリンクでございます。」

 

そう言って店員は大きなグラス?を1つ持ってきた。当然もう1つ持ち運ばれてくるだろうと待っていた俺はそこであることに気づいた。

 

そう、ストローの形状が変なのだ。

何やら複雑な軌道を描いてストローの口(くち)が2つに分かれている。

よく見ると、ラブラブセット限定ストローと書いてある。

 

 

 

…嘘だろ……?

 

「いっ…一色……。」

 

一色を見るともじもじとしながらうつむいている。

そんなに嫌なら頼まなきゃいいのに・・・。

 

「すいませーん。あ、コップもうひとつもらっていいですか?」

 

店員は驚いたのか少し目を見開いたがすぐに営業スマイルを取り戻して新たなコップを持ってきてくれた。

 

 

 

俺はグラスの中の飲み物を半分ほどコップに移し、コップの方を一色に渡した。

 

「…ほれ。」

 

「あ…ありがとうございます…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

は……恥ずかしいーーーーー///

まさかこんなことになるなんて……。

さすがに口が分かれてるとはいえ同じストローで一緒にドリンクを飲むのはハードル高すぎるよーーー///

っていうかこんな時でもさりげなく持ちにくい大きなグラスじゃなく持ちやすい小さめなコップを私に渡す先輩あざとすぎです。

 

先輩を見てみるともう何事もなかったかのようにドリンクを飲んでいる。

もうちょっと意識してくれてもいいのに。

先輩だから仕方ないけど。

 

 

少し冷静さを取り戻した私はいつものようにあざとく

 

「今度は『同じ』グラスで、『同じ』ストローで飲みましょうね?」

 

と攻撃してみる。

 

「っ//…飲まねぇよ。」

 

よし!少しは動揺してくれてるみたい♪(๑ᴖ◡ᴖ๑)♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから先も何かが運ばれてくるごとにいろいろあった。

途中から一色も慣れたのか積極的にやろうとするし、練習だというのにやりすぎだろ…。

中学生の頃の俺だったら「あれ?これいけるんじゃね?」とか勘違いして告白して振られて夜に枕を涙で濡らしていたことだろう。

 

 

 

カフェを出てからは特に何をするでもなくブラブラと歩いて過ごした。いやほんとなんで女子というものは何も買わないのになんでいろいろなものを見て回るのだろうか。

そんな思いが顔に出てしまっていたのか一色には「いろは的にポイント低いですよ?」と言われてしまった。

そのうち由比ヶ浜や陽乃さんあたりも使い出しそうだな……。

それは八幡的にポイント低い。

 

 

 

日も暮れてきたので今日はもう解散ということになった。さすがに3月にもなると日が落ちるまでが長い。

 

「では先輩!またデート行きましょうね!予定空けといてくださいよ?まぁ先輩なんで、そこに関してだけは信頼できるんですけど。」

 

「やっぱり次もあるのか……。あと俺がいつも暇みたいにいうのやめてね?ちゃんと予定あるから。日曜とか朝7時半からレンジャーとか仮面ライダーとかプリキュアで超忙しいから。」

 

 

「うわぁ…さすがにそれはドン引きです。近づかないでください。」

 

「酷すぎる…そんなこと葉山には言うなよ?」

 

「心配されなくても葉山先輩にはこんなこと言いませんよー。葉山先輩、プリキュアとか絶対見ないでしょうし。」

 

「さいですか…じゃあな。」

 

「はい!帰り道にぼーっとして怪我とかしないでくださいよー?」

 

「しねーよ…。」

 

 

 

家に帰った俺は小町の作ってくれた晩御飯を食べた後、ベッドで寝転がっていた。

メールの着信音が聞こえたが、今日1日ずっと外出していたこともあって睡魔が襲ってきたので見ずにそのまま寝てしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 




またいろはと八幡の喧嘩話とか書きたいなーと思ってます。
需要があればですが…。


しつこいようですが、もしよければ感想やご指摘、評価などしていただけると嬉しいです!
よろしくお願いします。


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4話

お気に入りが少しずつ増えているのを見るととても嬉しいです!
モチベーションを上げて書いていこうと思います。





 

 

 

 

「ふぁ〜・・・。」

 

 

 

休日というものはなぜあるのか。平日に体がクタクタになるまで働いた体を休ませるためである。昨日は一色のせいで休日にもかかわらず働いてしまった。不覚・・・。

・・・二度寝するか。

 

バンッ!

 

 

「お兄ちゃーん!」

 

 

 

「・・・小町、人の部屋に入るときはノックを・・・」

 

 

 

「お兄ちゃんの部屋に入るのにそんなの必要ないでしょー?」

 

 

 

いや、むしろお兄ちゃんだからこそ必要なんだが・・・。

 

 

 

「で、お兄ちゃん!醤油切れたから買ってきてくんない?」

 

 

 

「え・・・。」

 

 

 

「え・・・。なんて言わないの!そんなこと言ってるからごみぃちゃんなんだよ?」

 

 

 

「どういうことだよ・・・。分かった、お兄ちゃんに任せろ。」

 

 

 

「ありがと〜!やっぱりお兄ちゃんは世界一のお兄ちゃんだよ!!あ、今の小町的にポイント高い!」

 

 

 

「最後のがなかったらな・・・。」

 

 

 

バタンッ!

 

 

 

まるで嵐のようなやつだ。

 

 

 

 

 

 

「・・寒い・・・。」

 

 

 

もう三月中旬だというのにまだまだ寒い。手袋、マフラーは必須だ。

 

 

 

スーパーで醤油をカゴに入れてから俺は小町に渡されたメモを見る。

 

 

「小町め・・・。」

 

 

 

〜〜〜〜〜〜出発時〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「お兄ちゃん!これ!」

 

 

 

「ん?えーっと・・たまねぎ、にんじん、・・・。」

 

 

 

「お願いしまーす!」<(๑❛ᴗ❛๑)ビシッ

 

 

 

「醤油だけじゃなかったのかよ・・・。」

 

 

 

「醤油が切れたから買ってきてとは言ったけど醤油だけなんて言ってないもーん。」

 

 

 

「さいですか。」

 

 

 

 

 

 

などということがあったのだ。一体どこでそんな屁理屈を覚えてくるのか。多分家の中だな。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「あれ?ヒッキーじゃん、何してんの?」

 

 

 

「・・・・・・。」

 

 

 

「何で無視するし!」

 

 

 

「ん?あぁ、俺のことだったのか。悪い、別の人を探してるのかと思ってな。」

 

 

 

「ヒッキーって言ったらヒッキーしかいないし!っていうかあたしのメールも無視するし!酷くない?」

 

 

 

「メール・・・?あぁ、そういや昨日寝る前にスマホがなってた気がするな。で、何の用だ?」

 

 

 

「どっか遊びに行こーよ!」

 

 

 

「やだ。」

 

 

 

「断るのはや!?・・・・・・・・・・ハニトー・・・。」ムスッ

 

 

 

「・・・っ!あぁ、そういやまだだったな。じゃあまたいつか行こう。じゃあな。」

 

 

 

「帰っちゃうんだ!?ちょっ・・ちょっと待ってよ!ヒッキー今日暇?」

 

 

 

「録画したテレビ見たり寝たり忙しいな。」

 

 

 

「めちゃくちゃ暇じゃん!じゃあ今から行こうよ!」

 

 

 

「い・・・いや、俺今小町からおつかい頼まれてて・・・。」

 

 

 

「小町ちゃんにはあたしから帰るの遅れるって伝えとくから!・・だめ?」

 

 

 

そんな上目遣いで俺を見ないでくれ。断れないだろ・・・。

 

 

 

「わかったよ・・・。ほら、行くぞ。」

 

 

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

「ハニトーおいしいね!」

 

 

 

「あぁ、結構いけるな。」

 

 

 

「また来ようね?」

 

 

 

「断る。」

 

 

 

「即答だ!?・・・・・・・」シュン

 

 

 

「・・・分かった、またいつかな。」

 

 

 

「・・・!うん!」パァァ

 

 

 

「・・・ほら、冷めるぞ。」

 

 

 

やはり由比ヶ浜といると調子が狂う。でもこいつとの関係は・・・「偽物」ではない、「本物」なんだと感じる。

 

 

 

「今日はありがとう!あたしのわがままに付き合ってくれて。」

 

 

 

「・・まぁお前がわがままなのはいつものことだしな。むしろそれがお前だ。」

 

 

 

「なんか全然嬉しくない・・・。・・・じゃあね!大学でもがんばろ!」

 

 

 

「おう。お互いにな。」




ようやく次回から大学編に入れます笑

メールは由比ヶ浜からか陽乃からか迷ったんですが陽乃にするとより長くなりそうなので由比ヶ浜にしました。陽乃好きの方々すみません・・・。
これからもよろしくお願いします!
そういやいろは忘れてた・・・笑


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5話

何も言わずに放置してしまい本当にすみませんでした。
言い訳になりますが、受験やら何やらで中断せざるを得ませんでした…。
読んでくださる方がいるかわかりませんが、またこれから書いていこうと思います。


春という季節は嫌いじゃない。

桜が辺り一面に咲いていて、爽やかな風が吹き、上を見上げると青空が広がっていて、自分という存在がいかにちっぽけであるかを感じ、自分の考えていることが全てどうでもよく思えてくるからだ。

俺が何をしても、何もしなくても、この世界はいつも通り回っているということを実感できる。そのことが俺に何とも言えない安堵感のようなものを与えてくれるのである。

長々と語ったがつまり何が言いたいかというと、やっぱ長年培われたぼっちの能力は大学でも遺憾無く発揮されるんだなということだ。

 

春を迎え、ようやく長かった高校生活を終えて大学生になった俺は、今までとほとんど変わらない生活を過ごしていた。変わったのは高校時代いつも聞こえていた「っべー」とか「まじないわー」とかいったあの耳障りな声がなくなったぐらいか。

自分で言うのも何だが、そこそこ頭のいい大学に入ったのでみんな真面目で堅いやつばかりだろうと思っていたが、できるやつにもチャラい奴はいるらしい。今も教室、いや、講義室の中心で茶色や赤色に染めた髪をバシッと整えた、いかにもなチャラ男たちと派手な格好の女子たちがワイワイはしゃいでいる。

 

今日の講義はもう全て終わったので、俺はそそくさと教材を片付け、帰ろうとすると、外にサークルや部活動の勧誘を行なっている生徒たちの姿が見えた。

 

面倒だな…。だがしかしこんな時に長年鍛え上げたこのスキルが役に立つのだ!秘技「ステルスヒッキー」!!!

 

 

あっちこっちから「テニスサークルでーす!全員仲良く活動してまーす!」「アニメ、漫画好きのひとー、僕たちと語り合いませんかー!?」

などといった勧誘の声が聞こえるが誰も俺には話しかけてこない。

 

やはり誰にもこのステルスヒッキーは敗られん、ふはははは!などと心の中で高笑いしていると急に耳元から声がした。

 

 

「…あの、、、もしよかったら文学研究部に入りませんか…?」

 

 

……まさかこの俺のステルス(以下略)を看破する者がいるとは…。

だがしかし声をかけられてしまったものは仕方がない。

 

「文学研究部…?」

 

「はい…、自分で小説とか、詩やエッセイなどを書く部活です…。ぶ、部室に案内するのでついてきてください…。」

 

だが断る、と高校までの俺なら言っていただろうが、俺は促されるままにその文学研究部員についていく。純粋に文学研究部が実際に活動している様子が気になったし、将来小説家になるのもありだと思っているからだ。

いやもちろん第一志望は専業主夫だが。そこは譲らない。ただ現実的に考えた結果、他の道も検討しておく必要がある。

しかも小説家だったら家から出なくていいじゃん?自分の好きな時に小説書いて締切破って編集者を困らせればいいじゃん?

ごめんなさい調子乗りました。小説家の皆さんごめんなさい。

 

 

部員の後から文学研究部の部室に入ると十数人の学生が活動をしていた。

そのうち人の良さそうな男子部員と見るからか元気いっぱいな感じ溢れる顔立ちの整った女子部員がこちらに歩いてくる。いや、女子部員にはものすごい勢いでハグされた。どこのアメリカンだ。

 

「おつかれ奈々(なな)ー!しっかり男子捕まえて来てくれてんじゃーん!」

 

「落ち着け桃花(とうか)。彼が嫌そうな顔してるぞ。」

 

「なにー?こんなにきれいな先輩に抱きつかれて嫌な顔するなんていったい後輩はどんな環境で育って来たらそうなるんだ!」

 

「その性格がなかったらなぁ…。」

 

奈々と呼ばれた俺を連れてきた部員は

 

「だって彼ぐらいしか私が話かけられそうな人いなくて…。」

 

彼女は非常に奥手な性格らしく、なかなか話しかけられそうな人がおらず困っていたところちょうど俺(のような大人しそうな人)を見つけたらしい。

 

彼女たちの会話に入れず、どうしようなどと思っているとアメリカンな先輩部員が話しかけてくれた。

 

「やーごめんごめんテンション上がっちゃって!私は斎藤桃花(さいとう とうか)!そんでこっちがきっしーと奈々!よろしく!」

 

「岸田健二(きしだ けんじ)だ。よろしく。」

 

「し…椎名奈々(しいな なな)です…。」

 

「や、まだ部活入るとか決めてなくて、ちょっと気になっただけなんで…。」

 

「それでも構わないよ、気がすむまで見学していってくれ。」

 

なんだか葉山に通ずる何かを持っている気がする…。この爽やかな感じ、整った容姿、岸田先輩には気をつけよう。

 

 

 

結局その日は文学研究部の活動を30分ほど見て帰った。

設備も整ってたし、何よりみんなでワイワイするのではなく個人個人で活動をしている感じが気に入ったので、俺は入部を決意した。

 

斎藤先輩を始め、椎名先輩、岸田先輩、その他の部員も歓迎してくれた。拍手をされた時は少し恥ずかしかったが…。

 

まあそんなこんなでアパートに帰ってくると、ちょうど家から俺宛の荷物が宅配便で届けられていた。

ハンコを押して荷物を受け取り中身を見てみると、たくさんの果物が入っていた。あと小町からのメモも。

 

 

お兄ちゃんへ

 

小町からのプレゼントも受け取ってね!

 

 

と書いてあるが箱の中には果物しか入っていない。とくに気にせず果物をキッチンへ運び、一息つこうとしているとインターホンが鳴った。

 

はい、といってドアを開けると

 

「こんにちは〜せーんぱいっ!遊びに来ちゃいました!」

 

「……一色?」

 

久しぶりに見た彼女は、やはりあざとく、小悪魔のように俺に笑いかけていた。

 

 

 

 

 




書き方を以前とは変えて見ました。
もし読んでくださって何か意見があったらいっていただけると嬉しいです。

ようやく八幡の大学生活が始まりました。
今回出て来た3人の先輩はオリジナルキャラということで、これからもちょくちょく出していこうと思います。笑


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6話

お気に入り登録してくださった方ありがとうございます!

感想でも言っていただいて、自分も前から思っていたことなんですがやっぱり文字数少ないですよね…。
もう少し長くしようとはしているのですがなかなかうまくいきません…。



追記
タグにオリキャラを追加しました。
ちょくちょく出すつもりなので一応...。


「ほんと信じられません!こんなに可愛い後輩が家に訪ねて来たっていうのに、なんでドア閉めるんですか!」

 

「いや、あれだ、そのー、不審者だと思ったんだよ…。」

 

「思いっきり『……一色?』って声に出てましたけどそーですか私不審者ですかー。」

 

「…いや、その…悪い…。」

 

だって急に来ると思わないじゃん?

そんで、ちょうど俺から見たアングルが某アニメの「嘘だ!」ってシーンに似てたんだよ…。あのアニメ超怖いよねー。え?知りませんかそうですか。

 

「てかどうやって俺の家知ったんだよ…。」

 

「あ、小町ちゃんに教えてもらったんですよ!いやー小町ちゃんめちゃくちゃかわいいですねー!」

 

「当然だ。俺の妹だからな。」

 

「本当に先輩に似なくてよかったですね…。」

 

え、それはひどくない?

いやまぁ事実すぎてなんもいえないけど。むしろ小町が俺みたいな目だったら俺は生きる意味を失うまである。

 

「てゆーかー、わたし超傷つきました!罰としてまたデートしてくださいね?」

 

「分かった…。でも人が多いところはなしで頼む。あとできれば日に当たるところもなしがいいな。」

 

「罰なんで先輩は口出しできませんよ?」

 

うわー、すごくいい笑顔!なのになんで声はこんなに低いんだろう!

たぶんこいつ俺をいじめる時が一番キラキラしてるよな…。

こんなぼっちをいじめてなにが楽しいんだ!

 

「…てかお前何しに来たんだ?」

 

「何をしに…って、先輩に会いに来たんですよ?」

 

「う……。」

さっきの刺々しく低い声から一転、今度は柔らかく甘い声を出してくる。上目遣いというオプション付きで。

なにそれ反則だろ…。

中学の頃の俺ならこの子俺のこと好きなの?とか勘違いしてアタックして夜に枕を濡らしていたことだろう。

てかこの前も同じこと考えた気が…。

いやほんとこいつと中学の時に会わなくてよかった…。

 

「…あーはいはいあざといわー。」

 

「あざとくないですよぅ!まぁほんとのこと言うと夜ご飯作りに来たんです!」

 

「…夜ご飯??」

 

「はい!先輩料理得意じゃなさそうですし、それに栄養あるもの食べないと風邪引いちゃいますよ!」

 

確かにそれはありがたい。

専業主夫志望として料理は必須スキルだ。だからちゃんと知識はある。だが残念ながら技量が知識に追いついておらず、ゆえに俺の夜ご飯はいつもオムライス、チャーハンなどのご飯もの一品で済ませている。

 

「あー…その…なんだ…、悪いな、なんか手伝えることあるか?」

 

「わたしだけで作らないと先輩のためにならないじゃないですかー!なので先に先輩はお風呂にでも入っちゃってください。」

 

「そうか…。じゃあそうさせてもらうわ。」

 

ふと携帯を見ると小町からメールが来ていた。

 

 

宛先:比企谷八幡

 

件名:プレゼント!

 

おにいちゃーん!私からのプレゼントは受け取った??

今頃ご飯作ってくれてるのかな?

それじゃあ楽しんでね!

小町

 

 

プレゼント?あぁそういえばそんなメモがあったような……

 

ん?

 

 

 

………一色のことかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

いかんつい悟◯口調になってしまった。

なるほど一色は小町からのプレゼントだったか。

あれ?そう思うとなんか余計に嬉しい。不思議!

 

まあ一色はせっせとご飯作ってくれてるし、風呂はいってくるか…。

 

 

 

風呂から上がるとちょうどご飯の準備が整ったところらしく、テーブルに色々並んでいた。

味噌汁、肉じゃが、焼き魚……

普段の一色からは想像できないほど家庭的な料理だ。

 

 

「あ、先輩!ご飯できたんで食べましょう!」

 

「おう、悪いな。」

 

「…こういう時は『悪いな』って言われるより『ありがとう』って言われた方が嬉しいんですよ?」

 

「……ありがとな。」

 

「はいっ!」

 

手を合わせてそれぞれの料理を口に運ぶ。

……うまい。専業主夫を目指すものとして見習わねば。

 

 

「どうですか?」

 

「…や、バレンタインのイベントの時で料理ができるってのは知ってたんだが…。ここまでだとは思わなかったわ。…毎日こんなのが作れたらいいんだがなぁ……。」

 

「そうですかそうですか!……はっ!もしかして俺じゃ作れないから毎日家に来て作ってくれって口説いてますか毎日先輩の家に来たいのは山々ですけど流石に週一が限度なんで毎日は無理ですごめんなさい。」

 

「いや違ぇよ…。」

 

また振られてしまった。

振られすぎてそろそろ振られるのが気持ちよく……なりませんねごめんなさい。

 

「ま、なんだ…、ありがとな。」

 

「はいっ!」

 

……この笑顔は反則だろ。

普段のあざとく、計算された笑顔ではなく、本当に心からの笑顔を見せる一色に俺はどこか愛しさを感じた。

 

 

 

 

 

 

「じゃあ先輩、毎日じゃなくてもいいんでたまにはちゃんとおかずも作って健康的な食事をしてくださいね?まあ先輩が病気とかになったら看病しに来れるんでわたし的にはプラスですけど!」

 

「心配してくれてるのかしてねーのかどっちだよ…。」

 

「でもやっぱり先輩が元気なのが一番なのでまたわたしも作りに来ますね!あ、今のいろは的にポイントたかーい!」

 

「いつからお前もポイント制導入したんだよ…。」

 

「じゃあそろそろ電車来るので!また来ますね!」

 

「また来るのか…。あー…まぁ、今日はありがとな。」

 

「はい!」

 

まああいつの料理はうまかったし、たまにならこういうのもいいか…。

あくまでたまになら、の話だが。

 

一色は改札を通ってもまだ俺に手を振っている。

やめて!恥ずかしくて死んじゃいそう!

てかもう電車の音聞こえてるから!早く行っていろはす!

一色もそれに気づいたのか慌てて階段を降りて行く。

 

 

 

一色がいなくなると急に静かになったような気がした。

やはり俺もどこかで楽しさを感じていたのだろう。

充実感を感じた後の虚無感は、なんとも言えないモヤモヤとした霧のように、俺の心に残った。

 

 

 

 

 

「さて、帰るか…。」

 

 

 

 

 

俺が家に帰ろうとしたまさにその瞬間、もう二度と関わることのないと思っていた人物の声が聞こえた。

その声はやはり変わらずあっけらかんとしていて、それが俺のもう忘れていた、いや、忘れようとしていた『思い出(トラウマ)』を呼び起こす。

 

 

「あれっ?比企谷じゃん、ちょー久しぶり!」




途中で出て来た某アニメとは「ひぐらしのなく頃に」というアニメのことです!
自分は小学生の時に見て怖くて夜寝られなかった思い出があります笑
ちなみに「嘘だ!」のシーンは鬼隠し編の2話に出て来るので興味があれば見てみてください笑

感想やご指摘等してくれたら嬉しいです!


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7話

評価に色がつきました!笑
これからも頑張りたいと思います!

あと最近ワールドトリガー×俺ガイルの創作小説を読んでいたんですが唯我の存在価値が雪ノ下姉を抑え込むためだとしか思えないくらいどハマりしてて笑いました。笑

今回はまだ多くかけたかな…?
まぁその文時間がかかってますが…。


「いやー、まさか比企谷と同じ大学だったとか、ウケる!」

 

「いやウケねぇよ…。」

 

どうしてこうなった……。

 

 

 

 

一色を見送り、さぁ帰ろうとすると聞いたことのある声が俺を呼び止めた。

 

「あれっ?比企谷じゃん、ちょー久しぶり!」

 

まだ大学生活が始まってそんなに経っていないので俺にはこっちの知り合いは文学研究部の3人ぐらいしかいない。

そして彼らは俺を「比企谷ー」などと呼ぶことはない。

つまりこの場所で俺を呼ぶ人などいるはずがない。ということはこれは俺を呼んでいるのではなくきっと別の比企谷さんを呼んでいるのだろう。と結論づけて、そのまま歩き続ける。

どこにいるかわかんないけど早く返事してあげて、俺じゃない比企谷さん!

 

「ねぇ、比企谷ー!なんで無視すんのー?ちょーウケるんだけど。」

 

そうそう、無視はよくないぞ比企谷さん。

 

 

 

いやちょっとまて……ウケる……?

そういえば俺の昔の知り合いに『ウケる』が口癖のやつがいたような…。

と考えていると急に誰かに両肩を掴まれた。

 

「つーかまえたっ!」

 

「っ……お…折本か…。」

 

びっくりしたー、いや急に捕まえないで?

危うく変な声出るとこだったわ。

 

「なんで比企谷返事しないのー?人違いかと思って焦ったんですけどー?」

 

え、そんな半信半疑の状態で俺を捕まえたの?

もし本当に違ったらどうするつもりだったんだろうか…。

 

「いや、俺じゃないと思ったんだよ…。」

 

「うちが比企谷って呼んだら比企谷しかいないに決まってんじゃん!」

 

呼んだのが折本(お前)だと気づかなかったってことなんだが…。

あともし新しく比企谷さんが出てきたら俺のことなんて呼ぶの?

八幡?うわー、それはウケないんですけどー。

 

「まあそんなことどうでもいいや、それよりなんでこんなとこに比企谷いんのー?」

 

どうでもいいのかよ…

 

「いや、それはお前もだろ…。」

 

「うち?あー、うちはこの近くの大学通うために一人暮らししててさー、家が近いんだよねー。」

 

え…なんか嫌な予感しかしないんだけど…。

まぁ漫画やアニメ、ラノベじゃないんだからそんなことはないはず…だよな?

 

 

 

あ、やばい今フラグ立てた気がする。

 

フラグ立てるとかないわぁー、それナニタニくんー?

 

やめろ戸部。出てくるな。

危うくヒキタニくんっしょーって答えそうになっただろ。

あれ?でもそういや俺ヒキガヤだよな。

ってことは大丈夫じゃね?

今だけは戸部が俺の名前間違えてたことに感謝だな。

 

「で?比企谷は?」

 

「あぁ…、俺も似たようなもんだ。」

 

「え、この近くってことは…もしかして◯△大学?」

 

「…そうだが…?」

 

「まじで!?うちもうちも!」

 

…フラグ立ててわずか数秒で折っちゃったわ。

俺ってもしかしてフラグ建築士の才能あるんじゃないかと真剣に考えちゃうレベル。

折っちゃうんだけどね。

 

「いやー、まさか比企谷と同じ大学だったとか、ウケる!」

 

「ウケねぇよ…。」

 

というわけだ。

まあ知り合いが1人もいないとは考えてなかったがまさかその知り合いが折本か…。

こう言っちゃなんだが俺の通ってる大学はぶっちゃけ頭がいい。

雨取隊員のトリオン量を東大レベルとすると出水隊員の一歩手前のレベルぐらい。

え?分かりにくいって?

じゃあかなりまあまあなレベルだと思ってくれ。

だめだまだこのアニメのワールドから抜け出せてなかった。

 

まあともかく、折本が頭いいのは予想外だ。

あの会議の時なんて『それある!』しか言ってなかったのに…。

なんでこの頭でそのポキャブラリーなんだよ…。

 

とかなんとか考えながら話しているうちに俺の住んでいるアパートに着いた。

 

「…じゃあ俺ここだか「あ!うちこのアパートだからー!」ら…?」

 

さっき立てたフラグは二本だったのか…。

「え、比企谷もここなの?ウケる!」

 

「ほんとにウケねぇよ…。」

 

 

 

 

部屋に入ってベットに寝転ぶと疲労感が襲って来る。

部活を見に行ったり一色が来たり折本と会ったり今日は色々あったからな…。

まぁ主に最後の折本が原因ではあるが。

 

そういえば折本の部屋は俺の隣………なんてことはなく下の部屋だった。

本当に隣じゃなくてよかった。

まあそれでも下なんだが。

これまで一度も会わなかったのは俺と折本でとっている授業が違うのと、俺がほとんど外出しなかったからだろう。

だからこれからもそんなに顔を合わせることはないだろうし、向こうも積極的に俺に関わって来ることはないはずだ。

などと考えていたら睡魔が襲って来る。

俺はそれに抗うことなく眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間ほど、俺は折本に会うこともなく、平和な(特になにもない)日々を過ごした。

何かあったといえば部活に何日か顔を出して、本を読んだことくらいか。

昨日は部活に行っていなかったので今日は行くことにする。

まぁ活動といっても大体本を読むだけなのだが。

 

「あ、比企谷ー!どこ行くの?」

 

「…あぁ、折本か。部活に行くんだよ。」

 

急に話しかけられたのでちょっとびっくりしたがなんとか噛まないで話せた。

危ない危ない、ここで噛んだりしたら黒歴史がまた一つ増えるところだったわ。

 

「へぇー、比企谷が部活とかウケる!まさかまた人助けする部活とか?」

 

「そんな部活がそうそうあるわけないだろ…。文学研究部だよ。」

 

「なんか面白そう!うちもついて行っていい?」

 

「…まぁいいんじゃねーの。」

 

 

 

 

 

「あ、比企谷くん、今日は来たんだー!っておやおやー?後ろの可愛い子は比企谷くんの彼女か?彼女なのか?」

 

「違いますよ…。なんか文研部に興味を持ったらしくて勝手について来ただけです…。」

 

斎藤先輩は今日も元気だ…。

あれだな、由比ヶ浜の明るさに雪ノ下姉のいじりを混ぜた感じだな。

まああの人みたいに含んだいじりではなく素だから特に嫌だとは思わないが。

 

「どーもー!折本かおりって言います、文研部?ってどんな部活なんですかー?」

 

すると斎藤先輩が椎名先輩が俺に説明したようにかつ椎名先輩よりはきはきと答える。

にしてもコミュ力高いな…。

初対面の先輩になんでそんな気軽に話しかけられるのか。

まあ特に俺には関係ないので一冊気になった本を手に取って読み始める。

 

 

いい時間になったので帰ろうとすると折本が気づいて荷物を持って近寄って来る。

 

「比企谷帰るの?じゃあうちも帰ろー。」

 

「いや、別に俺と一緒に帰る必要ないだろ…。」

 

ぶっちゃけ一緒になんて帰りたくない。

頼む、心変わりしてくれ。

 

「だってアパート一緒じゃん?そりゃ一緒に帰るでしょ、ウケる。」

 

ダメかー。

あ、このリアクションあの意識高い系の時以来だな。

声高くてしんどいからやらせないでほしい。

 

帰り道に話しているのを聞くと折本は文研部に入ることにしたようだ。

なぜかと理由を尋ねたら『比企谷がいるから』だそうだ。

なんでだ?俺をいじるのがそんなに楽しいのか?

やめて、俺のメンタルが持ちそうにない…。

それに折本の頭で大丈夫なのだろうかという不安もある。

なんていったってあの語彙力だからな…。

それある!の使い回しになりそうだ。

 

そんなことよりも問題はこれから部活から帰るときは折本もいるってことなんだよなあ…。

一人の方が何かと楽だし静かな方が好きなんだが…。

まあでも折本も中学、高校とはまた違った雰囲気になった気がする。

どこが、と言われると答えられないが何か俺に対して配慮しているような感じがする。

まああくまで感じがする程度なので気のせいだと言われたら否定はできないが。

そのこともあって今日の帰り道はそれほど苦痛ではなかった。

一人の方が楽だが。そこは譲れない。

 

「これから大変そうだな…。」

 

無意識に口から出た言葉に共感しながら、また少し楽しそうだと思っている自分がいることに気づき苦笑したが、すぐにこれからの話よりも先に今日の晩御飯だと思い直し、一色の世話にならないよう、買っておいた食材を使って晩御飯の調理を開始した。

 

 

 

 

 

 




折本の登場です。
ですが折本ルートはありません。
もし本編が終わった後に需要があれば…って感じですかね笑

感想、評価お待ちしてます!


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8話

ごめんなさい不手際で一週間ほど前に投稿したと思っていた第8話が投稿できておりませんでした。おかげさまで第9話はほとんどできているので一週間ほどで更新できると思います。
本当にお待たせして申し訳ありませんでした。

また、一応自分の中で2〜3週間周期で更新できればと思っております。


「ほら先輩!ご飯食べますよー。」

 

「おぉ、ちょっと待ってろ。」

 

俺は身につけていたエプロンを脱ぎ、椅子に座る。

 

「「いただきます!」」

 

そう言って俺と一色は作ったご飯を口に運ぶ。

一色は毎週末俺の家に来ては夜ご飯を作ってくれている。

最近では俺も平日にご飯を作るようにしているから、一色に任せるのではなく俺も手伝い、2人で作ることが増えた。

まあ一色がほとんど1人でやってしまうので俺はキッチンで棒立ち、なんてこともしばしばあるが。

 

珍しく、と言ってはあれだが俺が作った味噌汁を啜っているとおもむろに一色が口を開いた。

 

「そういえばわたしを不審者と間違えた時の罰のことですけどー、今度の週末空いてるのでその日にしましょう!」

 

いやなんで俺の予定聞かないの?俺だって予定とかあるよ?

まず朝はゴロゴロするだろ、それで昼にゴロゴロして、最後に夜にゴロゴロするんだよ………予定なかったですね、はい。

 

「先輩に週末予定入ってるとかありえないんで予定入ってるとかの言い訳はなしですよ?」

 

「いや俺だって週末に予定入ることくらいあるからな…?」

 

最近は部活にも入ってるしな。

やばい週末に予定とか俺リア充デビューしちゃったの?

え?部活で週末に予定なんてどんな陰キャでも部活に入っていればできるって?……勘のいいガキは嫌いだよ。

 

「まぁ百歩譲って先輩が週末に予定入ることがあったとしても、今週末はゴロゴロするしか予定が無いようなので決定ですね!」

 

あれ、俺そんなに顔に出てた?

ゴロゴロする顔ってどんな顔だよ……。

 

 

 

 

 

「さぁ先輩行きますよー!」

 

やって来ましたデートの定番遊園地!

強制されたとはいえまさかこんなリアリアしたところに女子と来るとは夢にも思わなかったぜ。

まあ一緒に来ている女子が一色だからなぁ…。

デートって感じじゃなく…なんというか…わがままな妹に付き合わされてる感がすごい。

小町も時々「お兄ちゃん!デート行くよ!」って誘ってくるけど基本ただの買い物だし…。小町とデート!なんて舞い上がった俺の心を返して!

と冗談はここまでにして、今非常にまずい事態に陥っている。

遊園地に入園してから言われるがままに一色のうしろについて行っているのだが非常にまずい。由々しき事態である。

何がそんなにまずいって一色の進んでる方向だ。

目の前には遊園地のド定番ジェットコースターがそびえ立っているのだが一色は完全にそれに向かって足を進めている。

自慢では無いが俺はジェットコースターが好きでは無い。いやむしろ嫌いすぎて一周回って好きまである。一周回っちゃったよ…。

そんな俺が一色と一緒にジェットコースターなんかに乗ってしまうとこれから生涯一色にいじられ続ける未来しか見えない。それだけは何としても阻止しなければ。

さあ、作戦開始だ!

 

「お…おい、一色。今どこに向かってるんだ?」

 

「目の前に見えるじゃないですかー、ジェットコースターに乗りに行くんですよー!」

 

よしここまでは想定内…。ここからが本番だ…!

 

「い…いや、ジェットコースターはやめたほうがいいんじゃないか?ほ…ほら、葉山もジェットコースター苦手って言ってたし、葉山の代わりの俺が乗る必要もないだろ?」

 

どうだこの完璧な作戦。

強く否定するのではなくやんわりとオブラートに包んだ否定。

そして疑問形にすることで最終決定権はあなたにあると主張。

きわめつけは葉山だ。葉山がジェットコースター苦手なら一色もわざわざ葉山とのリハーサルである俺とのデート(仮)で乗る必要もないだろう。まあ完全な嘘なんだが…だがしかし致し方ない。この際葉山にはジェットコースターを嫌いになってもらおう。

 

「むー、今は先輩と来てるんですよー、葉山先輩が苦手でも先輩とならない理由にはなりません!第一葉山先輩がジェットコースターが苦手なんて聞いたことないですしー。」

 

「い…いや…そ…それはだな、あれがあれで…そのー、なんだ…」

 

「あ、もしかして先輩ジェットコースター苦手なんですかー?」

 

「っ…!?にっ…苦手とかそんなんじゃないぞ。ただちょっとこれがそれだからな?」

 

「はいはい、苦手なんですね…。それならそうと言ってくれればいいのにー。ほら!着きましたよ先輩!」

 

鬼だ…鬼がいる…。

俺の作戦を完璧に打ち破っただけでなく葉山がジェットコースター苦手という嘘も見抜き、さらには俺のジェットコースター嫌いまで看破、そして苦手だと分かった上で乗せようとするその意地の悪さ。

きっと前世は人間ではなく鬼だったに違いない…。

 

「先輩なんか失礼なこと考えてませんかー?」

 

「…いや、考えてない…。」

 

なんで俺の考えてることがわかるんだよ…。そんなに顔に出てる?俺結構ポーカーフェイスな方だと思ってたんだが…。

 

「先輩の考えてることなんてわたしにはお見通しです!」

 

「超能力かよ…。」

 

テレパシーでも持っているのか?

じゃあこいつも斉木○雄みたいに苦労してるんだろうな…ってそんなわけないですねそうですね。

 

 

 

 

 

「さていよいよわたしたちの番ですけど…、怖いのなら一つだけアドバイスをあげます!手を横に出すと怖さが軽減されるらしいですよ!」

 

いよいよ俺たちの番が来てしまった…。

どうにかして逃げようと一色の顔を見るがいかにも「逃がしませんよ?」って顔をしている。もうダメか…。

ジェットコースタに乗り込み、先ほどの一色のアドバイス通りに手を横に出す。

え、これ怖さ倍増しない?安心感が全くないんだけど。

 

「それではみなさーん、空の旅にレッツゴー♪」

 

係員のお姉さんの声でジェットコースターが進み始める。

 

カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ

 

この登ってる時が一番嫌なんだよなぁ…。

地獄行きの列車に乗ってる気分だ。

 

山の頂点に達し、降り始めた。

やはり怖いので手をバーに戻そうと少し浮かせたその時何か柔らかく、温かいものがおれの右手を包んだ。

 

「せんぱいっ、手、繋いだら怖くないですよ?」

 

「っ……!?」///

 

その時の彼女は奉仕部の教室で初めて会ってから、今までで一番可憐で、美しくみえた。

 

 

 

その後は遊園地を満喫し、電車で一色と別れた。

家に帰って一人横になっていると、ある思いが俺の頭をよぎった。

それは今日初めて気づいた自分の気持ち。

そう、俺は一色のことを…小町のように妹のようにではなく、1人の女性として愛おしく思っているのではないか、そんな思いが消えることなく頭の中をぐるぐると廻っていた。

 




わたしの小説の更新を待っていてくださる人がいること、とても嬉しく思います。
そして本当にお待たせして申し訳ありませんでした。
感想でご指摘いただいて初めて気づく始末です。
こんなわたしですが、これからもこの小説を読んでいただけると嬉しいです。


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9話

お気に入りの数が増えていてとても嬉しいです。
更新は遅く、その上投稿をし損ねるような駄作者で本当に申し訳ありません。


今日は土曜日なので先輩の家に行って晩御飯を一緒に食べる日!

いつもなら駅から先輩の部屋までのこの道をふわふわした気持ちで満たされながら歩くんだけど…、歩くんだけど…、

…遊園地に遊びに行った後から先輩が少しそっけない…気がするんだよね…。

前まではご飯作った後とかに頭を撫でてくれて、突然ハッと気づいたように「すまん、無意識にお兄ちゃんスキルが…」なんて言って笑い合っていたのに、最近は頭を撫でるどころか、あんまり目も合わない。今度こそ本当に嫌われちゃった…?

でもそんな先輩に嫌われるようなことした覚えはないし…。

先輩は結構口では嫌だとかめんどくさいとか言うけど、実際本当にそう思ってることは少なくて、もう一回頼んだらちゃんと折れてくれるし。本当に嫌な場合はしっかり拒絶するし。

唯一ジェットコースターだけが苦手そうだったけど、ジェットコースター終わった後も結構笑ってたりしてたから、それが原因じゃないと思うし。

 

「うーん、ほんとになんでだろう…。」

 

歩いていると、無意識に顔がうつむいて下を向いてしまう。

人の歩く音がやけに耳につく。

そんな暗い気持ちに追い打ちをかけるように今日は雨が降っている。

ザーザーと私の耳にまとわりつく雨の音を突き抜けて、すれ違ったカップルの会話が聞こえてくる。

 

「ちょ…そんなにくっつくなよ…。」

 

「えー、いいじゃーん?あんまり人いないし、暗いし!さらにこの傘ちっちゃいからくっつかないと濡れちゃうよ。」

 

「まあ傘忘れたの俺だし…、我慢するけどさ…。」

 

「ひょっとして照れてるの?かわい〜。」

 

「そっ…そんなんじゃねぇよ!」

 

いいなぁ相合傘…。いつかわたしも先輩と………って、そんな場合じゃなかった。まずなんで先輩が最近素っ気ないのかを考えないと…。

 

…もしかして彼女ができたとか?

 

「っ、いやいやないない!だって先輩だよ?目は腐ってるしあんなひねくれた先輩…。」

 

いや全然ありえるかも…、、、

高校と大学とじゃ女子の()る男子の基準が違うし、先輩は確かに目は腐ってるけど逆に言えばそれだけで他は整ったきれいな顔をしている。

しかも高校のあの奉仕部のおかげで、中には自分のことを理解してくれることも知った先輩が、全ての人を拒絶するわけない。

きっと先輩のことを理解してくれる、いや理解してしまう人だって何人かいるはず。

確かにこれまでに時々週末に用事があると行って家にいなかったことがある。その時は特に何も気にしてなかったけど、今から思うと他の女の人と食事に行ってたりしたのかな…?

そんなの信じたくない。でも実際あり得てしまうのが現実なわけで…。

先輩は他人からの悪意にはとても敏感だけど、好意にはものすごく疎い。いや、疎いというよりは今までの経験(トラウマ)によって自分に好意を寄せる人間なんていないと自分の中で否定してしまっている。わたしがあんなにアタックしてもずっと『妹』の枠から出ないほどだから、大学でもし誰かが先輩に想いを寄せていても先輩がそれに本当の意味で気づくことはない…と思う。

でももしその人がめちゃくちゃ積極的で、もう先輩に直接想いを伝えてしまっていたら?

いくら先輩でも直接伝えられたその想いが、好意が嘘じゃないってわかるはず。そうしたら先輩はきっと真剣にその人とのことを考えると思う。

そうなったら……

 

自分の中にとめどなく溢れてくる不安。

多分先輩に「彼女いますか?」って聞いたら正直に教えてくれると思う。

でも、その答えがもし自分の望まない答えだったら、わたしはわたしを保っていられる自信がない。

多分泣き出してしまうだろう。好きな人の前でみっともなく、それでもきっと諦められないだろう。先輩を困らせてしまうだろう。それならいっそ今の曖昧な関係でも……。

 

いや、そんな関係本物とは言えない。

先輩は本物が欲しいって言ってた。今もその気持ちに変わりはないと思う。わたしは先輩とそんな関係になりたい。

よし、今日会ったら先輩に聞こう。茶化さずに、真剣に。

それで、先輩に付き合っている人がいたら諦めよう。…いや、嘘だ。諦められない、諦められるわけがない。あの人はわたしを変えてくれた、大切な人だから。それでも、自分の気持ちに区切りはつけよう。これはわたしなりのけじめだ。

 

 

そう決意して、足早に先輩の部屋に向かう。

もう雨の音は聞こえなかった。

 

先輩のアパートが見えてきた。

もう先輩帰ってるかな…?

 

澄んだ私の耳にある二人の男女の声が届いてくる。

 

「おい…、そんなにくっつくなよ…。」

 

「なに?照れてんの?ウケるんですけど!」

 

「そ…そんなんじゃねぇよ…。」

 

「だってうちが傘忘れたのに比企谷が濡れちゃわるいじゃん?うちのためだと思って!ね!」

 

「はぁ…。」

 

 

 

 

先ほど固めた決意が崩れ落ちる音が聞こえた気がした。

再び雨の音がわたしの耳を塞ぎ、わたしは今までの自分の足跡を辿るようにして足早にその場を立ち去った。

 

 

 

 

 

 




ひとつ誤解のないように言っておくと、この時点で折本は一切の恋愛感情を八幡に対していだいていません。
ただただ中学の頃とは違って『ウケる』やつ、という認識です。


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10話

今回は前話の比企谷サイドの話です!


追記:この話のすべてで『折本』が『折原』となっていました。
今後このようなことがないよう、しっかり読み直しをしたいと思います。読んでくださったのに不快にさせてしまった皆さん、本当に申し訳ありませんでした。


遊園地に行ったあの日、俺は自分の中に眠っていた一色に対する気持ちに気付いてしまった。

家に帰ってから自分に限ってそんなことはない、と思い直そうとしたが、一色への気持ちを忘れようとすればするほど笑った、困った、怒った、あざとい、いろんな一色が俺の中から顔を出す。

もう認めるしかないのだ。

俺は……比企谷八幡は一色いろはのことが好きなのだと。

小っ恥ずかしい気持ちもあるが、仕方がない。

ただその気持ちを認めてしまったあと、一色との接し方がわからなくなり、これまでと違う対応をしてしまっている。

バレてない…よね?これで一色がもうすでに感づいてたりしたら恥ずかしすぎる。穴があったら入りたいレベル。

 

「さて、帰るか…。」

 

今日は一色がくる日だ。

大学の講座も終わったことだし、部活もないし、まっすぐ家に帰ろう…。

 

「……雨じゃねぇか…。」

 

今日1日考え事してたから全く外に気を配ってなかったな、まさか雨が降っているとは…。まぁバス停で立っててもどうしようもないのでとりあえずバスに乗る。

 

「さて、どうするか…。」

 

もうみなさんお気づきかもしれないが俺は傘を持っている。

いや持ってるんかーいとつっこんだそこの君、ツッコミの才能があるぞ、これからツッコミキャラとして頑張れ。

というわけで全く問題のない俺はすんなりとバスに乗り、そして一番アパートに近いバス停ですんなりと降りた。

そう、ここまでは良かった。しかし1人の某ウケるさんの登場で穏やかだった俺の日常がぶち壊される。

 

「あれ、比企谷同じバスだったんだ、ウケる!」

 

「いや受けないから。」

 

こいつは一種の縛りプレイでもしているのだろうか?

自分が三回話す間に一回は『ウケる』という言葉を使わなければならない、的な。

人生ハードモードだなおい。

 

「ね比企谷傘2本持ってない?」

 

「いや傘を二刀流で装備してるやつはあんまりいないと思うぞ…。」

 

「だよねー。」

 

「お前傘忘れたのか?」

 

「そーなのー、朝持って行こうとしたんだけど傘自身が拒否ってさー。」

 

え、傘に自我あるとかウケるんですけど。

いかん口癖が伝染してきた…。

 

「ちょっと黙るとか酷くなーい?友達は笑ってくれるのにー。」

 

「そんなので笑えるほど豊かな人生送ってねぇよ…。」

 

てか友達ツッコめよ。笑ってる場合じゃねえよ。

え、まさかツッコミ役いないの?そんな地獄がこの世に存在するなんて…。

ましてや折本なんてボケ製造機みたいなもんだろ、ボケしかない世界の完成じゃねぇか。

 

「というわけで比企谷傘に入れてよ!」

 

「やだよ。」

 

どこから繋がって『というわけ』なんだよ…。そんなのダメに決まってるだろ。

女子と同じ傘に入って帰るとか拷問と同義だろ。

誰が自ら拷問受けに行くんだよ…。

 

「即答とか辛辣すぎてウケるんですけど…。ねーお願いー。ほら、女子が濡れるとか大変じゃん?」

 

「いや水もしたたるいい女っていうだろ?良かったな折本、お前もいい女の仲間入りだ。」

 

というか相合傘とか周りの人に見られたら恥ずかしいだろ、余計な噂が増えるし。

ただでさえ今文研部に幽霊がいるとかなんとか言われて傷ついてるのに…。

 

「そう言わずにー、もしこのまま帰らせたら斎藤先輩に『比企谷に濡らされましたー』って言っちゃうからー!いやでもそしたら比企谷死んじゃうじゃん、ウケる!」

 

いやウケないから…かくなる上は今から全力疾走して逃げるしかないな……ってあれ、折本力強いな、腕を掴んでる手が離れないぞ?

おやー?もしかして俺の腕と折本の手はS極とN極的な関係なのか?

そんなわけないですねごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

……そんなこんなで本当に折本と同じ傘に入ってしまいました。まさかこんなことになるなんて中学の頃の俺は微塵も思ってなかっただろうな…。その頃の俺に伝えてやりたい、いつか折本と相合傘できるようになるぞってな。そうすればおれもここまでひねくれることはなかっただろうに…。

 

「いやー、中学の頃はこんな風に相合傘するとか全く思わなかったー、ウケる!」

 

こいつ爆弾投げて来やがった…。

普通その話仮にも振った相手にするか?いやまあいいんだけどね…。

俺も折本のことはもう特になんとも思ってないしな。ほんとだよ?

ハチマンウソツカナイ。

 

「まぁ、そうだな…ってかお前から入ってきたんだろ…。」

 

みなさん何故俺がこんなにもおとなしく折本と相合傘しているか分からないだろう。いや、色々あったんだ斎藤先輩とは…。

大分端折って説明すると斎藤先輩は最近俺が女の子に優しくできるように俺を強化中なのだ。

頼んでないのに…。

でもまぁ嫌がらせではなく俺のことを考えてしてくれてるのでやめろとも言えず…。いや高校までの俺なら言っただろうが大学の俺は空気読む系男子だから…。

それで女子に優しくしなかったらめちゃくちゃ怖い。

なんというか普通に怖いんじゃなくて、陽乃さんのような怖さだ。

目が笑っていない笑みほど怖いものはない。

 

…と言うわけでやむなく折本と同じ傘に入っていると言う状況である。

 

「おい…、そんなにくっつくなよ…。」

 

何とは言わんが当たるだろ、というか由比ヶ浜ほどの存在感はないが折本もなかなか…。

 

「なに?照れてんの?ウケるんですけど!」

 

「そ…そんなんじゃねぇよ…。」

 

「だってうちが傘忘れたのに比企谷が濡れちゃわるいじゃん?うちのためだと思って!ね!」

 

「はぁ…。」

 

「それに比企谷のこともうなんとも思ってないし?問題なし!」

 

「いやそういうことじゃなくてだな…、周りの目とか気にしろよ…。」

 

「よーし、着いたー!比企谷、ありがとね!またなんか奢る!ばいばーい。」

 

無視ですかそうですか。まぁなんか奢ってもらえるみたいだしよしとするか…。

おっと、勘違いするなよ?俺は施しを受けるのは嫌いだが働きに対する報酬は喜んで受け取る主義だからな、今回もありがたく折本に奢ってもらうとしよう。

 

「そういや、そろそろ一色来る頃だな……今日はちゃんとしないとな。」

 

 

 

 

結局その日、一色は家に来なかった。

 




甘い話と書いておきながら甘くない話を書いてしまった…。
ここから甘くしていきたい…!


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