ストライクザブラッド ─真の零番目─ (本条真司)
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ファーストコンタクト
1話


前回のストライクザブラッドは、休載します
なにせ、二巻がロストしたので、探さないといけないので
なので、ほぼオリジナルストーリーのこれを出します


街の端にて、二人の男が愚痴を言い合っていた

それは、昼間ナンパ使用としていた少女のものだった

そんな男たちに、一人の少女が近寄る

「私と遊んでくれませんか?」

「ククク、こんな夜中に男を連れ込もうとはやるじゃねぇか、ガキ」

男のうち一人が、その少女の後ろに男を見つけた

「なんだ、てめぇ?」

「今その子が言ったでしょう?私たちと遊びませんか?と。武器が必要なら、こちらからお好きなものをどうぞ」

そういいながらその男は、武器の入ったバックを投げる

「なめやがって・・・!後悔すんなよ!!」

魔族の一人は心臓を狙い、銃を撃った

 が、男は倒れない

見えない何かがあるように、当たらないのだ

「.......もう時間ですか、仕方ありませんね。アスタルテ、慈悲を」

「命令受託 実行せよ、『薔薇の指先』」

「なんだ、それ。眷獣なのk」

それ以上言葉を紡げないまま、男たちは動かなくなる

 

 

 

「桜坂、いるか?」

「那月ちゃん?なんかようかってふごぉ!?」

 少年の眉間に本が当たる

「教師をちゃんづけで呼ぶな!!」

「わ、わかったから落ち着いて!で、何の用だ?」

 那月と呼ばれた教師は、少年──桜坂久遠を一瞥し、

「ここ一週間、複数の魔族が連続で襲われている。お前らも気を付けろよ?」

「わかりました、ありがとうございます。那月先生」

 

 

「.....今日も補習か....」

 少年──暁古城は愚痴を呟いた

 隣には監視役の少女、姫柊雪菜が歩いている

 さらにその隣には久遠と、久遠の監視役である紅幼励奈がいた

「こっちの台詞だよ、古城」

「悪かったな、久遠。別に来なくてもいいんだぞ?」

 古城は正論を呟く

「ここの図書館はいい本が多いからな、来て損はない。私はな」

「まったく、そもそもなんで補習になるんですか?」

 雪菜に古城を助ける気はないようだ

「しかたねぇだろ?殺されたり、無人島に放置されたりしたんだからよ....」

その時、正面に男が現れた

「...お前、誰だ?」

古城はその男に問う

「俺か?俺は黒鉄(くろがね)。彩海学園ってとこの転校生なんだが、道が分からなくてな。同じ服装だったから、道を聞こうかと思ってな」

男──黒鉄は久遠を一瞥したあと、古城に向き直り、説明した

「俺は暁古城、彩海学園高等部の一年だ。よろしく」

「私は桜坂久遠、彩海学園高等部の一年だ。よろしく」

「私は紅幼励奈、彩海学園中等部三年です。よろしくお願いします」

「私は姫柊雪菜、彩海学園中等部三年です。よろしくお願いします」

四人は自己紹介を終え、古城は黒鉄の自己紹介を聞き、驚愕する

「俺は松下黒鉄(くろがね)だ。彩海学園高等部の一年Bに編入となっている。よろしく」

「「同じクラスかよ!?」」

五人は、絃神島に、危険が迫っているのを知らない




いかがでしょうか?
こっちをメインにする予定ですので、ご了承ください
ご視聴ありがとうございました‼


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2話

はい、二つ目です
ああ、心がピョンピョンするんじゃ〜(棒)


とあるカラオケボックスにて

「えぇと、俺の名前は黒鉄。好きなものはないが、嫌いなものは平穏を崩すものだ。よろしく」

黒鉄は転校生としての自己紹介をした

「質問!」

一人の女子が手をあげる

「なんだ?」

「名字はなに?」

ほとんどの女子が頷く

「あ?俺の名字か?松下。松下黒鉄だ」

質問した女子はメモをとっているが、黒鉄にとってはどうでもいいことだ

「質問いい?」

また一人の女子が手をあげる

「あ?なんだ?」

「好きな人とか、今まで付き合ったこととかは?」

女子に緊張が走る

黒鉄はそれに気づかない

「好きな人はいねぇよ。付き合ったこともねぇ」

女子に安堵の色が見えた

「人気だな、黒鉄」

「久遠もそうだっただろ?時期に収まる」

はしっこで座って会話する久遠と古城

「めんどくせぇ....他に質問はねぇか?」

手が複数上がる

「ああ、こんなあがんのか...んじゃ委員長」

「黒鉄くんてさ。暁くんと知り合いなの?」

「古城は道案内を頼んだこの島初の友人だ」

女子は何故か古城を睨む

何故睨まれたのか分からない古城は、外に出た(久遠付で)

外に出た瞬間、轟音が響く

「おい、久遠」

「眷獣だな。行くか?」

「当たり前だ。行くぞ、古城、久遠」

突然黒鉄があらわれ、キーストーンゲートを示す

「は!?なんで黒鉄がここに!?」

「そもそも黒鉄は魔族じゃないでしょ?」

古城と久遠は疑問符を浮かべる

「言い忘れてたな、俺は吸血鬼。「原初の真祖」だ」

 

 

 

キーストーンゲート

『嬢ちゃん、ここに侵入者だ』

「またぁ?立て続けに迷惑ね...攻めてきたのはどこの軍?」

「いや、軍じゃない。一人の吸血鬼。

平行世界の吸血鬼(パラレル・ヴァンパイア)」だ」

平行世界の吸血鬼(パラレル・ヴァンパイア)」ってのは久遠がいた世界の吸血鬼だな....ん?来たぜ』

「もう平行世界の吸血鬼(パラレル・ヴァンパイア)が来たの!?」

少女──藍羽浅葱は慌てるが、人工知能であるモグワイは、落ち着いている

『いや、第零真祖が、だ』

その時、キーストーンゲートに和音が轟く

その音が止んだ時、モグワイが驚きの声をあげた

『ん?破壊されてた柱が全部修復されている!?』

「ああ、久遠ならやりかねないわね」

 

 

 

 

「で、なんだ?その眷獣は?」

「俺の眷獣、幻想の焔(リーンフレア)だ。能力はリーンラインと同じものと、焔属性だな」

黒鉄は事も無げに答える

古城は浅葱を探すために、内部に入った

「じゃあ俺から質問だ。お前は誰だ?」

黒鉄はそう言いながら久遠の後ろを指す

「人に指を向けちゃいけないって教わらなかった?」

「あいにく、不審者には向けていいという教育だからな」

久遠が振り向くと、風の覇王(ハスター)を従えた男が立っていた

「僕は四季。紅幼四季だよ。以後よろしく」

久遠は疑問符を浮かべる

「妹に励奈っているか?」

「それに答える義理はないね。ハスター!クトゥグア!」

男──四季から濃密な魔力が吹き出し、眷獣の姿に変わる

それは、黒鉄がよく知る「クトゥルフ」の邪神だった



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3話

オリジナルストーリーはこれ限りにする
さすがに二つも三つも思い付かない・・・
それじゃ本編へ


黒鉄はハスターに斬りかかる

が、防がれる

久遠が式神を召喚し、クトゥグアに仕掛けるが、効かない

「ふん、ならこれでどうだ?メル!」

『Yes、my master』

「スペルON!」

『spell active』

「『恋符、マスタースパーク』!」

黒鉄がどこからか取り出した八角形の角柱から野太いビームが飛び出した

四季は避けない

「無駄だよ。コピー〈励奈〉消<IOS 10>」

その瞬間、マスタースパークが消えた

「もう少し遊んでいたいけど、時間がないんだ。また今度ね」

そう言い残し、ハスターの能力を使い、逃げた

 

 

 

 

「神話シリーズの眷獣か.....」

「ん?知ってるの?」

久遠は黒鉄に尋ねる

「神話シリーズは使えるやつが四人しかいないんだ」

「え?」

「ギリシャ神話、クトゥルー神話、日本神話、そして全ての神話だ」

黒鉄は空間に画面を展開し、説明する

「いやその画面なんだよ」

古城が帰ってきてそうそうにつっこむ

「言うな」

「お、おう」

「話の続きだ。ギリシャ神話はリリカっていう女性が、クトゥルー神話は不明、日本神話は霊斗っていう平行世界(ほかのいとがみじま)に住む吸血鬼、そして全部を操るのは」

「お前、か?」

「そうだ。だが、俺は眷獣がまだ使えない」

久遠と古城は納得したような顔になる

そして、久遠が切り出す

「リリカっていう女性の話を聞かせてよ。君の知り合いなんでしょ?」

黒鉄は少し考えたあと

「いいんだが、俺は家がねぇんだ。古城、泊めてくれ」

「いいぞ。泊めたら聞かせてくれるのか?」

古城は間髪いれずに答える

「ああ、リリカの話と俺が原初の真祖(ルート・ブラッド)になった経緯をな」

古城がそれを聞くとたんに緊張した面持ちになったのに、黒鉄は気付かなかった

 

 

 

「風牙狼!!」

少女は立っている黒鉄に斬りかかる

「甘いな、氷月歌!」

黒鉄は魔法書から剣をとりだし、受け止める

「終わりだ、人鬼、未来永劫斬」

その瞬間、黒鉄の姿が消えた

一瞬あとには、少女は倒れた

黒鉄は少女を受け止め、一言呟く

「安心しろ、峰打ちだ」

 

「やっぱ黒鉄は強いね」

「氷月歌を作ったあとからずっと言われてるぜ」

少女と黒鉄は、寮で会話している

「あとさ、何故俺らは同室なんだ?リリカ」

「それは聞かないお約束だよ」

その時、辺りに轟音が鳴り響く

六刃神官を育てるこの施設に侵入者が入ったと連絡が入った

「いくか?リリカ」

「もちろん、仕留めるよ。この風牙狼でね」

そういいつつ、寮の部屋を飛び出し、現場に向かった

それがあんなことにあるとは、黒鉄でさえもわからなかった




黒鉄、最強
とまあ、今回はこの辺で
また他の作品も見てください


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4話

うん、原作混じりまーす
風邪ひいてしまったため、描くことが出来ませんでした
申し訳ない


そこで黒鉄とリリカが見たものは、地獄と呼べるものだった

辺りには血痕があり、日々共に訓練してきた仲間たちの変わり果てた姿があった

そして、その中心には一匹の魔獣がいた

「く、リリカ。援護を...っておい!」

黒鉄が言葉を言い終える前に、リリカは飛び出していた

「風牙狼!」

そのまま風牙狼を魔獣に突き立てようとするも、硬い皮膚を破ることはできなかった

「おい!くそ、氷月華!」

黒鉄は氷月華を起動し、術を発動する

「地獄で凍り、眠ってろ」

黒鉄の周囲が凍り始め、膨大な冷気が魔獣に押し寄せる

極寒地獄(ニブルヘイム)!」

黒鉄が叫んだ瞬間、冷気がさらに膨張する

が、魔獣には一切効かない

構えていた爪を、リリカに降り下ろした

「リリカ!ちっ、氷月華『箒形態』彗星『ブレイジングスター』!」

「グッ」

魔獣は高速で飛行する黒鉄に驚き、身を引いた

リリカは見てすぐに重症だとわかる傷をおっていた

が、治そうにも本人が嫌がるだろう

ならばと黒鉄はリリカに尋ねた

「リリカ、眷獣は使えるか?」

「なんとか、一回だけなら使えるわ」

「俺が支える、使ってくれ」

「いいわよ。おいで、『全知全能神(ゼウス)』!」

黒鉄が体を起こした瞬間、リリカは眷獣を使用

気付いたときには、周囲は焼け野はらだった

そして、リリカは動かなかった

「リリカ.....やはり今のやつは貴様の命を削るやつだったのか...」

そして黒鉄は、リリカが事切れる前に告げたこととを思い返していた

「ふん、俺も好きだったぜ、リリカ。そしてこの原初の真祖の力(ルート・ブラッド・ブレイズ)、使わせて貰うぜ」

このとき黒鉄は、自分の愛する人が、原初の真祖(ルート・ブラッド)であったことを知り、黒鉄自身が原初の真祖になったことを悟った

 

 

 

 

 

 

「そんな顛末があったんだね」

「俺らとはずいぶん違う渡し方だな」

しかし、それ以上の会話を許さない者がいた

四季と名乗った男である

「ごめん、話し込んでいるところ申し訳ないんだけど。あれ倒すの手伝ってくれる?」

そう言って四季が指差したものは、一人の大男と小柄な少女だった

「ごめん、状況が読めない」

「俺もだ」

「クハハハ、貴様、やはり六刃だったか!」

黒鉄以外は状況がわかっていないようだ

「そうだよ、僕はあのルードルフオイスタッハっていう男がこの島を破壊しないように派遣された、六刃神官だよ」

「話は終わりましたか?どのみちあなた方は死ぬのです。私がお相手しましょう」

「クハハハハハハ、いやー、笑った笑った。お礼に俺がやってやる。てめぇら手ぇ出すなよ!」

黒鉄は腕を組み、叫んだ

「こい、獅子の氷塊(レグルス・イーチェ)!」

黒鉄の真上の空の一部が凍り、巨大な氷を生み出した

そして、黒鉄の眷獣(レグルス・イーチェ)は姿を表す

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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聖者の右腕
5話


失踪から帰って参りました
これからもよろしくお願いします


久遠と黒鉄を見つめる影があった

「ふふん、これはなかったことにしようかなー....時を刻む時計、逆回転」

そして、久遠は(・・・)帰路につく

 

 

 

「古城!」

「なんだ、久遠?いきなりだな」

久遠が寝起きドッキリよろしく、飛び込んできた

「ご、ごめん」

「いいから本題に入れよ、眠いからさ...ふぁあ」

大きくあくびをしてから久遠を促す

「あ、うん。えっと....今日、私の家族が来るんだけど、部屋空いてる?」

「ああ、一つならな」

そういいつつ、古城は一つの部屋を指し示す

「あ、じゃあそこ借りていい?その家族、吸血鬼なんだ」

「いいぞ」

古城は軽く返事をした

このあと古城は、大きく後悔することになる

 

 

空港、ターミナル

「魔族特区、ねぇ....」

ロビーにたたずむ少年はそう呟いた

「主、迎えの方は?」

少年の隣には、可憐な少女が控えている

「まだ来ないみたいだ....あ、きた」

「ぜぇ...ぜぇ....ぜぇ...遅れてごめん、羣雲」

「やっと来たか、久遠。俺は構わないよ。ん?そちらは?」

久遠と一緒に走ってきた古城を示す

その古城の視線は、羣雲と呼ばれた少年の隣にいる少女に注がれている

「....ハッ、すまん。俺は暁古城だ、よろしく」

「元祖櫻坂ファミリー創設者にして、桜坂ファミリーの代表である、櫻坂羣雲だ。よろしく頼む」

そういいつつ、二人は握手をかわす

「刀剣名称『翠漣』が付喪神、翠漣です」

「姫柊雪菜です、よろしくお願いします」

翠漣と雪菜も握手をかわす

「暁凪沙です、よろしくお願いします」

「敬語なしでいいよ、凪沙ちゃん

櫻坂香苗だよ、よろしくね♪」

凪沙と香苗も(ry

「今日からしばらく居候させて貰うぜ」

「ごめんね、古城」

「大丈夫だ、問題ない。姫柊が布団とか買ってくれたからな」

といいつつ古城は雪菜を振り返る

肝心の雪菜は翠漣と話をしていた

「ったく、昨日姫柊が転校してきたかと思えば....」

そして古城は小声で呟く

「勘弁してくれ....」

 

 

 

次の日、羣雲の転校手続き&古城の補習完了後(久遠は図書室にて読書中)

「那月ちゃん、話があるん..ガフッ」

部屋に入るなり、本の角アタックを受けた古城はその場に崩れ落ちる

「教師をちゃん付けで呼ぶな!」

「失礼しまーす、櫻坂羣雲でーす。那月先生に御用があって参りましたー」

遅れて羣雲が入ってくる

「その呼び方は嫌がらせか?櫻坂羣雲...いや、六刃神官」

「その呼び方はやめてくれ、那月ちゃん」

古城と雪菜は状況が掴めない

「まぁとりあえず、着いたよって報告に来た」

「ふん、吸血鬼の六刃だから仕方あるまい

表向きは魔族特区で管理してやる」

「ありがとう」

「ちょ、ちょっと待ってくれ那月ちゃん!」

「教師をちゃん付けで呼ぶなと何回言えば分かる!」

そういいながら那月は扇子で古城を叩く

「いだっ!?そ、そんなことより、羣雲を知ってるのか!?」

「俺と那月ちゃんは知り合いだ、顔のきく友人づてにな」

「だいぶ話に取り残されてたけど、私は人工生命体でありながら、六刃神官だよ」

古城は面食らったようになり、呟いた

「勘弁してくれ」

「昨日の私たちの苦労っていったい....」



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6話

本編にどうぞ


古城たちが空港にいたころの夜の街

そんな夜の街を一人の男が歩いていた

昨日、雪菜にボコボコにされ、逃げた吸血鬼である

その吸血鬼に声を掛ける者がいた

「遊んでくれませんか。私達と」

男が振り向くと、ケープコートを羽織った小柄な少女がいた。

「なんだ?まだガキじゃねえか。そんなに遊んでほしけりゃ遊んでやるよ!」

男が登録証をむしり取り、砕いた

そして、吸血鬼としての本性を現す

そして少女に飛びかかろうとしたその時だった

「堂々と魔族か闊歩する。まさに呪われた島ですね。ここは」

「なんだテメェ。今のはこいつが言ってきたんだぜ」

「いかにも。ですから、遊んで下さいと言っているのです。この私達と」

そう言って現れたのは法衣と鎧を着た男だった

彼は吸血鬼の前にバッグを放る

中には大量の武器が入っている

「丸腰では戦えないというならばお取りなさい」

「テメェ…。舐めやがって‼」

吸血鬼は刀を掴むと男の顔面を目掛けて投げつける

しかし、刀は男の持つ斧に弾かれた

男は自らの身長と大して変わらない戦斧を片手で軽々と振り回し告げる

「これで終わりですか?」

「クソッ、来い!灼帝!」

「ほう…。街中で眷獣を使った愚か者ときいて探し当てた甲斐がありましたね。''薔薇の指先''の腹の足しにはなりそうですね。やりなさい、アスタルテ」

「命令受諾、実行せよ、''薔薇の指先''」

次の瞬間吸血鬼の眷獣が弾けとんだ。

「なっ!何をしやがった!?」

「簡単な事です。眷獣にはより強い眷獣を当てれば倒せる」

「馬鹿な……それが眷獣だと!?」

少女の背中からは虹色に光る腕が生えていた。

「もういいでしょう。アスタルテ、止めをさしなさい」

少女の感情を写さない瞳が吸血鬼を見る

「実行せよ、''薔薇の指先''」

 

 

 

 

「古城!補習に遅れるぞ!」

「はぁ!?もっと早くに起こせよ!」

古城は飛び起き、支度を始める

「おはよう、明々後日から新学期なのにまだ補習なんだね?」

久遠はそういいつつ、コーヒーを差し出す

古城はそれを受けとり、飲みながら支度を進める

「全教科は伊達じゃねぇな」

そのとき、部屋にインターホンの音が鳴り響く

久遠が応対し、中に入れた

「姫柊、悪いな、いつも」

「そう思うなら早くに支度をしてください」

「ごめんね、羣雲と同じ部屋だと眠れなくて(いろんな意味で)」

描写が.....

そして香苗は羣雲の隣、雪菜は古城の隣、久遠は翠漣を従えて登校する

突然、羣雲が呟く

「マラソン、めんどいなぁ....」

 

 

 

補習が終わり、買い物に向かう途中

辺りに轟音が鳴り響いた

「あれは....眷獣か?まぁいい、古城」

「だいたいわかるけどなんだ」

「雪菜と香苗を連れて家に帰れ。久遠はこい」

香苗は何かを言いたげになるが、諦めたようだ

「じゃあ久遠、行くぞ!」

「了解!」

そして久遠と羣雲は、久遠の空間転移で現場に急行した



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7話

「うぉ!?」

羣雲が現場に着くと同時に、吸血鬼が落ちてきた

「ナイスキャッチだ、久遠」

羣雲はそう言いつつ、目の前にあらわれた大男に目を向ける

「おや、投げる場所が悪かったようですね」

「そうだな、お前は俺に捕まる」

「そうはいきませんよ。アスタルテ」

命令受託(アクセプト)執行せよ(エクスキュート)薔薇の指先(ロドダクテュロス)』」

男の後ろから少女があらわれ、手のような形状の眷獣を召喚。羣雲に攻撃を仕掛ける

「ふん、俺に逆らったことを後悔しろ」

すると、羣雲の右足から闇が放たれた

「な!?眷獣ですと!?アスタルテ!」

大男は焦りつつ、少女に指示を出した

「十三番目の眷獣『薔薇の指先(ロドダクテュロス)』!」

「ロドダクテュロスですと!?そんなバカな!」

「残念だったな、その眷獣を構築しているのは、俺の魔力だ!」

羣雲は、アスタルテの眷獣(ロドダクテュロス)を追い詰めていく

が、その魔力にあてられたのか、久遠が呻く

「きたれ.....『破滅の呪文(ラクーンレシア)』」

久遠が、眷獣を召喚した。が、眷獣は、形になっていなかった

久遠の様子もおかしい。いつもは霊力が放出されるが、今回は違った

羣雲が久遠に注意を向けた瞬間、大男と、アスタルテは逃走を終えていた

「ぐ....ぁぁぁぁぁぁ!!」

そして、久遠から膨大な魔力(・・)が放出された

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい久遠、どうすんだよ、あれ」

羣雲はそう言いつつ、テレビを指差す

「う、どうすると言われても、自衛権を主張するよ」

「また霊力の暴走か?久遠」

古城がコーヒーを持ってきつつ、尋ねた

「いや、今回は魔力だ」

「ん?久遠は霊力を使う吸血鬼だろ?」

「だから困惑してるんだよ、私から魔力が出たっていうから.....」

そのとき、インターホンが鳴り響いた

「凪沙ー、出てくれー」

「じゃあそのまま朝練行くから、戸締まりちゃんとしてってね。あと火の管理と、あとは」

「いいから行きなよ、遅れるよ?」

久遠はやんわりと嗜めた

「うん、わかった。って雪菜ちゃん?おはよー!」

「おはよう、凪沙ちゃん」

「げっ!姫柊!」

「剣巫!?」

古城と羣雲がうめいた

 

 

 

 

 

 

 

「暁、桜坂久遠、櫻坂羣雲、矢瀬は後で私の部屋にこい」

「呼び出しだってよ、基樹」

「まぁ仲良く行こうぜ、桜坂は隣のクラスだよな?」

そうして四人は南宮那月の部屋に向かった

「最上階.....学園長室より上かよ...」

「失礼するぜ、那月ちゃん」

羣雲がドアを開け、中に入った

「おお、よく来たな昨日眷獣を暴走させて500億の損害をだした零番目の真祖」

「言わないでくださいお願いします」

「とにかく、お前らであれを片付けろ」

那月は、久遠と羣雲を見て告げた

「もちろん」

「「そのつもりだ(です)」」




昨日の分も投稿now


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8話

獅子王機関の三聖が四聖になってるのは気にしたら負け♪
今回はかなり長く書いてみました
それでは本編へ


「と、言ってもどうやって居場所を調べるか...」

羣雲は一人、唸っていた

すると突然、隣に一人の少年が現れた

「よう、羣雲。元気か?」

「零!?久しぶりだな」

天血零。それがこの少年の名前だった

そしてその実、獅子王機関の四聖である

「あの、実は昨日転校してきてましたよ?」

零と共に現れた翠蓮が少し遅めの報告をする

「先に言え!と、ともかく居場所を...」

「調べてある。行くぞ」

零がそう言った瞬間、羣雲と翠蓮は目眩のような感覚と共に、周囲の景色が変わっていることに気が付いた

「遅いよ、零。いや、天血当主様?」

「その呼び名はやめろ、桜坂当主」

「え?」

翠蓮は混乱している

「遅かったな、羣雲」

「古城?お前も来たのか?」

「さて、あの研究施設らしいぞ」

零が一つの建物を指差す

「......この鍵、使われた形跡ないぞ?ハズレか?」

「いえ、アタリです」

翠蓮はそう言いながら鍵に手をかざした

すると、鍵にかけられた魔術が解除され、開けられた鍵があらわれた

「初歩の魔術です。第四真祖、この程度は見破ってくださいよ」

「クラスではその呼び名で呼ぶなよ!?」

「はぁ....行くぞ、翠蓮」

「はい」

羣雲は翠蓮が大太刀になったのを確認し、中に入った

「なんだ....ここ...!」

周りを見渡すと、人工生命体(ホムンクルス)の培養槽があった

そこには目を疑うような生物が入っていた

「こんなものが.....人工生命体(ホムンクルス)だと...!?」

古城がうめくと同時に、零は魔術を起動した

「隠れてるのはわかってるぞ、アスタルテ?」

零が告げるのとほぼ同じタイミングで、培養槽のかげからアスタルテ(人工生命体)があらわれる

そしてアスタルテが、零に告げる

「今すぐここから立ち去ってください、天血様」

「は?」

零はアスタルテに問い返す

「“この島は、龍脈の交差する南海に浮かぶ、儚き仮初めの大地”」

「.........」

零は黙ったまま聞いている

「“要を失えば、滅びるのみ”」

「その通りです。我らの望みは要にある不朽の至宝。貴方にだけは邪魔されたくないのですよ、獅子王機関の四聖である貴方には」

そういいつつ男──ルードルフ・オイスタッハは零を示す

「ふん、知ったことか。俺は俺。俺がやりたいことを、やりたいようにやるだけだ」

四聖にあるまじき発言である

執行せよ(エクスキュート)薔薇の指先(ロドダクテュロス)

零が言い終わるとほぼ同時に、アスタルテが眷獣を召喚

零を通りすぎ、古城を襲った

古城は反応できずに、攻撃を受け、死んだ

 

 

 

 

 

「起きたか、古城!」

「先輩!」

「お、おう。てか俺は、どうなったんだ?ここどこだ?そして、久遠と羣雲は?」

「先輩は...一度死にました。ですが、いきなり時間が逆再生されたかのように、傷が治り始めて、この状況です」

「久遠と羣雲は帰らせた。久遠の眷獣が暴走しかけたから、血を吸うためにな」

「ほほう、なるほど。んでここは?」

「さっきの研究所の裏にある公園的な何かだ」

説明が適当すぎる二人である

「古城、キーストーンゲートにあの二人があらわれた

今から向かうぞ」

「....俺が行っても、何も出来ないぞ?」

「眷獣無いから、とかだろ?」

「ああ、そうだ」

古城は自分の右手を見ながらそう言った

「そのために姫柊雪菜をここに連れてきた」

「せ、先輩が、良いなら、どうぞ」

雪菜はそう言いながら、雪霞狼で首筋を切った

「ひ、姫柊?」

「先に行ってるぞ」

零はそう告げると、虚空に“スキマ”を展開し、その中に入った

「.....ありがとう、姫柊」

「お礼なら四聖様に」

古城は、本能の赴くままに雪菜の首筋に牙をたてた

 

 

 

 

 

一方そのころ久遠は

隠れて久遠を監視していた神楽坂莉琉と押し問答をしていた

「久遠、吸いなさい」

「莉琉、君は何を言ってるのかわかってるの?」

莉琉と久遠は、ずっとこの問答をしていた

「隠れて見張ってたのは謝るわ。でも」

「完全空気な俺氏」

羣雲は部屋の隅っこで式神を量産している

「.......いいんだね?」

「ええ、良いわよ」

久遠は莉琉の首筋に、控えめに牙をたてた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キーストーンゲートにて

「さあアスタルテ、あの忌まわしい鎖を引き抜くのです!今こそ、この島に裁きの鉄槌を....!」

「そこまでだ、オイスタッハ」

突如として要石の上に零があらわれる

「邪魔をしないでいただきたい、獅子王機関の四聖。いや、真の零番目の真祖よ...!」

「......さっき俺も血を貰ってきた。伴って、眷獣も手にいれた」

「な、なんですと...!?」

「お前に勝ちはない....全ては零に始まり、零に終わるんだ!」

そのとき、オイスタッハの後ろから声が轟く

「ここから先は、第四真祖(オレ)戦争(ケンカ)だ!」

それは、零がよく知る真祖の声だった

 

 

 

 

 

 

 



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9話

聖者の右腕、完!


「古城、早かったな」

零は、妖力を放出しながら言った

「まぁな。今回はお前が解決するんだろ?」

「当然だ」

そう言うと、アスタルテが眷獣を召喚した

「闇に染まりし血脈に、流れる光を解放す!」

零の妖力が固まり、一つの眷獣を作り出す

踊れ(こい)、三番目の眷獣『妖櫻ノ真髄』!」

膨大な妖力が零を覆い隠し、姿が見えなくなる

妖力が収まり、零が姿をあらわしたときには

伝説の大太刀、『妖櫻ノ真髄』が零の手にあった

「よ、妖櫻ですと!?バカな、それは冥界にあるはず!」

「勘違いすんな、妖櫻は冥界にいる(・・)んだ。それに」

と言い終わった瞬間、零はアスタルテの眷獣の真横にいた

そして零は、アスタルテの眷獣を妖櫻ノ真髄で斬りつけた

アスタルテの眷獣の召喚が解除される

「アスタルテ!?何故召喚をやめたのです!?」

「否定。強制的に解除されたもよう.....」

アスタルテは、そこまで言うと倒れた

倒れたアスタルテが地面にぶつかる一瞬前に、古城がアスタルテを支える

「終わりだ、オイスタッハ」

零はそう言いながら、オイスタッハを1割以下の力で殴った

1割以下であっても真祖なのだ。オイスタッハは、かなりの距離をふっ飛んで気絶した

 

 

 

 

 

零は眷獣の召喚を解除し、古城に話をしていた

「と、いうことでこいつ(アスタルテ)をどうしろと言うんだ?」

「血を吸え。疑似吸血鬼にすれば、眷獣召喚の負担が消える」

「あー、そうか。無理して召喚してたんだもんな

てかお前がやればいいだろ?」

古城はもっともな意見を言う

「メタい話、親友と設定が被る」

「ごめん、聞いた俺が悪かった」

そう言いながら古城はアスタルテの横に膝をつき、体を起こさせた

「悪いな、アスタルテ。そういうことだからさ」

古城はそう言いながらアスタルテの首筋に牙をたてた

その瞬間、零は雪菜に雪霞狼で斬られたが、古城は何故なのかがわからなかった

「....零、お疲れ」

「おうよ、妖櫻」

零の隣には美少女が立っていた

その美少女が放つ“妖力”は、妖櫻のものだった

十分、設定が被っているだろうと思うが、気にしないことにしよう

「なぁ妖櫻」

「はい?」

「あいつの設定と被ってるとかツッコミいれていいか?」

「...多分、後から出てくるのでその時に文句言われて殴られて」

零は「それもそうだ」と言いつつ、恋人のことを思い出していた

 

 

 

久遠はそのとき

「ありがとう、莉琉」

「構わないわ」

そう言う莉琉の背中には、翼が生えている

左の翼は白く、右の翼は黒い

「ならいいんだけどさ」

そして、久遠にも翼があった

左の翼は黒く、右の翼は白い

「彼女、いるのに私と生涯一緒でいいの?」

「この前桜坂と神楽坂は統合されたじゃん?つまりは莉琉は妹。妹と一緒にいるのが嫌な兄なんて、そうそういないよ」

久遠は笑いながら言いつつ、翼を消した

「私と二人一対の半天使。莉琉こそいいの?」

「私が望んだことだもの、貴方に彼女がいてもずっと一緒よ」

莉琉も笑いながら言いつつ、翼を消した




久遠の隠し設定、公開だ
読んでくれてありがとうな


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10話

「クリスマスだな」

零は一人、呟いた

「...そう、だね」

妖櫻が答えた。今年は、答えてくれた

去年は、いなかったからである

「羣雲さん、クリスマスですよ♪」

香苗は、まぁ元気である

羣雲と手を繋ぎ、零の前を歩いていた

「あんまり言うな、殺されるから」

羣雲は笑いながら言った。去年には笑えなかった羣雲が笑いながら

「去年、俺は天血の当主として向こうにいたんだもんな」

「....冥界の...こと?」

「ああ、そうだ。それも彩斗が管理する、妖櫻がいたところのな」

その時、零の隣にいた古城と雪菜が呻き声をあげた

そして、古城と雪菜の意識は一年前の冥界に行った

 

 

 

 

 

 

 

過去の冥界

「で、当主さん。書類は?」

「今はライフラインの計画で忙しいから久遠にやらせろ!」

「わかりました。頑張ってください、天血様」

「ああ」

そう言いつつ、零は書類に向かった

そして零の周りに、空間投影技術を用いた、仮想ディスプレイなるものが展開された

 

「また私!?零は何をやってるのさ!こっちは絃神島の演算もやってるのに!」

そういいながら、仮想ディスプレイを更に展開していく久遠

「いやはや、申し訳ありません」

「妖櫻の調子はどう?」

そういいながら、久遠は窓に目線を向けた

そこからは、美しく光る櫻が見えた

「相変わらず、供給している妖力を受け付けません」

彩斗も櫻を見た。しかし、櫻にはどこか、元気が無かった

「今日も、行くかね」

零は立ち上がりながら言った

 

 

 

「妖櫻、大丈夫か?」

『....ううん、大丈夫じゃ..ない』

「妖力、喰えよ。俺のでもいいから」

『...ダメ。食べ過ぎて、貴方が』

妖櫻の前には、美少女が立っていた

その姿は、古城がいた絃神島の、零の眷獣と同じ見た目だった

古城と雪菜は、妖櫻の根本にきた

どうやら零たちには見えていないようだ

「お前が消えるのは、俺が嫌だ」

『...それは、私も..同じ』

どうやら同じ問答を、毎日繰り返しているらしかった

(妖櫻は、零の眷獣じゃなかったのか...?)

(そうみたいですね)

「お前、ホントに優しいな」

『...零も、ね』

その時、冥界に異変が起きた

周囲にいた妖怪が、妖櫻を襲いにきたようだ

「またか」

『...逃げて...私が、いなくなれば、いい』

「させねぇよ」

零はそう言いつつ、眷獣を召喚する

「光に染まりし血脈に、流れる時を解放す!」

それは、古城の知らない言霊だった

『...逃げ、て..!』

狂え(こい)!五番目の眷獣『幻想の音源(リーン・ライン)』!」

零の真上の上空を膨大な魔力が覆い隠した

魔力が晴れ、姿をあらわしたときには

古城が見慣れている、久遠の眷獣が現れていた

(こいつは....!久遠の眷獣だと!?)

(零番目の真祖は、桜坂先輩ではない!?)

 

 

 



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戦王の使者
11話


そろそろヒロイン(夏音)を出したい
それでは本編へ


「チッ、このままじゃあ負けるな....」

『...早く、逃げて...!』

零は、襲い来る妖怪を全員斬り倒していた

「見捨てねぇよ!俺は...諦めが悪いんだ!」

「その根性はいつまで続きますか?」

零が最後の妖怪を斬り倒した直後に、目の前の魔方陣から人間....に見える存在が現れた

「いつまでもだ、剣帝」

剣帝、と呼ばれた少年は、零の友人である

「そろそろ気付いていますよね?その櫻が天使共を呼んでいる」

「だからこそ、こいつを守るんだ!」

『ッ.....!?』

零は叫ぶやいなや、剣帝に眷獣をぶつけた

が、剣帝が腕を降っただけで眷獣が消えた

(零番目の真祖の眷獣が消された!?)

(悪魔の...上位種...?)

「ケッ、やっぱり消されるか」

「何回戦ったと思います?消せるにきまってるじゃないですか」

『...そうとは、決まってない...!』

妖櫻の前に立っている少女が、妖しく光る

『...零、契約。私と、ずっといて』

「......!...当たり前だ、一緒に外の世界を見に行こうぜ!」

そう言いながら、零は光っている妖櫻の霊体に手を伸ばす

妖櫻の霊体も、零に手を伸ばし、手が繋がれると

妖櫻が消えた

「?何をしたんです?」

「眷獣契約、だ」

零は不敵に笑いながらそう言った

『....これで、零とは戦わなくて、いいよね?』

「...!そのために!?」

『...うん』

「これからもよろしく頼むぜー、剣帝、妖櫻?」

『...もちろん』

「仕方ありませんね」

妖櫻は笑いながら、剣帝は肩を竦めながら答えた

それと同時に、古城と雪菜の意識は、過去に行く

 

 

 

 

 

古代日本

「そうか....俺は、こんなにも....愛されていたんだな....」

一人の青年が倒れており、その周りを人が取り囲んでいる

その青年は、羣雲を大人にしたような容姿だった

(あれが...昔の羣雲...?)

(そうみたいですね。それなりの人望がある様子です)

そのうち、一人の取り巻きが声を上げた

「大和武様!」

(大和武尊だと!?)

(そんなまさか!?)

そのとき、青年の体から白鳥が飛び去っていった

古城と雪菜は、その後を追った

『やれやれ、草薙剣を置いていっちまったから、死んだな』

青年──大和武尊は、冥界に向かって飛びながら呟いた

その姿は、元の羣雲──青年の姿に戻っていた

「ふふん、まだ生きたいのか?大和武?」

『...あんたが誰かはわからないが、そうだな。人間として生きたかった』

大和武は飛ぶのを止め、振り返った

同時に古城たちも振り返る

そこには、零がいた

「なら、俺とこい。俺と共にこの乱世で躍り狂おうぜ」

『....お前となら、楽しめそうだ。俺が愛した彼女たちのためにも、足掻いてやるさ』

零が伸ばした手を取り、大和が光に包まれる

するとそこには、古城たちが知る羣雲の姿があった

「お前の名前は、櫻坂羣雲だ。俺の率いる天血分家の当主となったものよ!」

『俺の...名前は、櫻坂...羣雲...。ありがとうな..っと、お前の名は?』

「俺か?俺は天血零。平行世界を旅する者(パラレル・トラベラー)だ」

平行世界を旅する者(パラレル・トラベラー)....か....他のファミリーにも会わせてくれるのか?零』

「当たり前だろ!俺の愛する家族よ!」

それを聞くと同時、古城たちは現実世界に帰っていく

 

 

 

 

 

 

「古城どうした?」

「...雪菜も、大丈夫...?」

目の前には、妖櫻と零がいた

妖櫻は少し魔力を纏っていた

どうやら、古城たちは急に倒れたようだった

「大丈夫だ、買い物を続けよう」

「そうしましょう」

古城と雪菜は立ち上がりつつ言った

 

その四人を見つめる者がいた

『妖櫻....』

「安心して冥櫻、すぐに会わせてあげるからさっ!」

冥櫻と呼ばれた少年は、刀となって少女の手に収まった

「みょん桜。それが私の名前...。聞こえているなら、キーストーンゲートまで来て」

 

 

「ッッッ!?」

『ッッッ!?』

零が突然呻いた

『みょん桜。それが私の名前...。聞こえているなら、キーストーンゲートまで来て』

(脳に直接...だと...!?)

(...まさか..みょん...?)

そして、絃神島の昼は過ぎていく

 

 



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12話

キーストーンゲート屋上

「やぁ、よく来たね」

「とりあえず脳に直接語るのは金輪際やるなよ...?」

『久しぶりだな、妖櫻?』

『...一昨日、会ってる』

「えっと、混乱しないように説明するよ?」

「ああ、頼むぜ」

そこで少女─みょん桜は一息おいて、告げた

「ナラクヴェーラが来るらしい」

「は?」

『...え?』

零と妖櫻は、ほぼ同時に驚愕の声を上げた

「な、ナラクヴェーラって、あのナラクヴェーラか?」

「古代兵器、ナラクヴェーラだよ」

零は絶句し、笑みを浮かべた

「OK、わかった。報告ありがとう」

『...みょんは、こないの?』

妖櫻がたずね、零が目線でたずねた

「うん、もう少ししたら転校って形で行くよ」

「そうか、まぁ待ってるぜ」

そう言うとスキマを展開し、零と妖櫻はその中に入った

 

 

 

 

 

 

 

学校に行くと、テニスコートに古城と雪菜がいた

そして古城は手紙を持っていた。そして、浅葱がそれを見て驚愕し、帰っていったところだった

「よっ!古城、元気か?」

「元気じゃねぇよ....俺らも今日は帰るとしようぜ」

『...雪菜、帰ろ?』

「あ、うん」

「買い物行くかね?」

「ああ、行こう。あ、久遠と羣雲がコード5を実行する、と伝えてくれと」

「わかった、羣雲と久遠は明日から半年ほど学校こないから、用があるなら今のうちにな?」

『...霊夢たち、元気かな...?』

「お、おう。わかった」

そして四人は帰路についた

そしてスーパーにて

「アルデアル?ディミトリエ・ヴァトラーじゃねえか」

『...戦闘...狂...』

「今日の夜、パーティーやるから、零と俺もこいってさ」

零はため息をつき、妖櫻は諦めの表情を浮かべた

「パートナーは雪菜にしろ。俺は、知り合いを頼るから」

「よ、よくわかったな。パートナー連れてこいって書いてあるって言ってないのに...」

そのとたん、零の心臓が跳ね上がり、妖櫻は笑いを堪え始めた

「か、勘だ。深い意味はない」

零は焦りながら言った。特にツッコミもせず、古城は納得したようだ

「ちと電話するから、会計頼む」

買うものをポンポンかごに入れていた雪菜にお金を渡し、妖櫻と共に外に出た

「......あ、もしもし?......うん、それ。妖櫻も連れてくけど、パートナーとして連れてくと冥櫻に消されそうだからさ........うん、了解」

零は携帯を仕舞いながらため息をついた

『...みょん、なんだって...?』

「行くのはいいけど、明日の昼飯奢れって言われた」

零は泣きそうな顔で言った

『...頑張れ』

パーティーが始まる二時間前になり、古城たちと共に会場に向かった

 

 

 

 

 



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13話

「招待状を見せないといけなかったりと面倒だな」

「正式なパーティーですからね。先輩がこのパーティーの主賓なんですから、もっとしっかりしてください」

俺だけじゃないだろと言いながら、古城はネクタイを直した

「明日のお昼、奢ってね?」←お金持ち

「構わないぜ」←金欠

(『...みょんに、甘いね....?主』)←眷獣として零の中にいる

「ほっとけ....」

そう言いながら零は屋上に向かって歩き出す

階段を登りきると同時に、零は眷獣を、みょんは刀剣を召喚した

狂え(こい)、妖櫻ノ真髄!」

「冥櫻!」

二人で襲ってきた眷獣を斬り倒した

すると奥から拍手と共に、足音が近付いてきた

「さすがだねぇ、やはりこの程度の眷獣では、役に立たなかったネェ」

「お前が、ディミトリエ・ヴァトラーか?」

「はじめましてだね、暁古城。いや、愛しの第四真祖よ!」

「は?」

「はい?」

雪菜と古城の声が重なった

 

 

 

「で、こいつは誰だ?」

古城はヴァトラーとの話し合いが終わったあと、雪菜の同級生、煌坂紗矢華と話(?)をしていた

尚、零とみょんは帰宅したもよう

「煌坂紗矢華、獅子王機関の舞威媛よ。私の専門は呪詛と暗殺。つまり貴方みたいな雪菜につきまとう変態を殺すのが、私の仕事よ」

「つきまとってねぇよというか付きまとわれてんのは俺の方だ!」

「何勝ち誇ってるのよ!?別にうらやましくなんかないんだけど!」

「うらやましがらせようと思って言ってんじゃねぇよ!」

互いに激昂しながら古城と紗矢華が睨み合う

と、そこに雪菜からフォローが入る

「(紗矢華さんは、一人を除いて男性を嫌ってるんです)」

「(なるほど、どうりで俺に敵意丸出しな訳だ)」

「でも、どうして紗矢華さんが?外事課で多国籍魔導犯罪を担当していたんですよね?」

「今もそうよ。この島には任務で(あと羣雲に会うために)来たのよ」

別人のように優しげな口調で答える。小声で何かを言っていたが、古城には聞こえなかったようだ

「任務?」

「あなたと同じよ、雪菜。吸血鬼の監視役。アルデアル公が絃神島の住民を危険にさらさないよう、監視するのが私の任務」

「ちなみに羣雲先輩はいませんよ?」

「えぇ!?」

紗矢華の叫び声に、全力で驚いた古城であった

 

 

 

そして

「古城!古城ってば!」

不意に耳元で聞こえてきた声に、古城は驚いて目を覚ます。

決して不愉快な声ではない。むしろ耳に馴染んだ響きだ。ただ強烈な違和感がある。なぜ彼女の声がここで聞こえてくる?

「いつまで寝てるの。ほら、早く起きないと遅刻するわよ」

乱暴に身体を揺すられて、古城はゆっくりと起きた

「何で零は早起きなのにあんたは遅刻ギリギリなの?」

「いつもは零が起こすからもっと早い」

「悪いな、浅葱がくるの知ってたんだ。起こしてくれるってから、放置してた」

「おいぃ!?」

「ふふ、やりたいことはやったわ」

「てか浅葱、何しに来たんだ?」

古城は気になったことを尋ねた

「んー...なんだろ....宣戦布告、かな?」

「なんだそりゃ」

三人は笑いながら、部屋を出た

この後、凪沙からの説教があったことを追記しておこう

 



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14話

やっとヒロイン登場だぜな


「やれやれ、学校終わって一人になりたくてここに来たんだがな....」

零は学校近くにある修道院の跡地でため息をついた

なぜならそこに、中等部の制服を着た少女がいたからである

「おいお前、ここで何をしている?」

零が声をかけると、少女は振り向いた

「猫の....お世話でした」

「捨て猫か?てかこいつらを全員お前一人で?」

「はい。みんな、捨てられた子でした」

零の足元には、数十匹に上るであろう猫がいた

「ふ〜ん、なるほどな。俺は天血零。彩海学園高等部一年だ。お前は?」

「叶瀬夏音。彩海学園中等部でした」

(この言葉使い....何か面白いな)

「そうか...俺は金が余ってるから、手伝おう」

零は、獅子王機関の四聖であるため、大金を所持していた。古城には教えていないのだが

「いいのですか?」

「構わんよ。俺はお前に興味がわいた」

「では、お願いしますでした」

「ククッ、ああ」

 

 

次の日

「授業中だよな?」

屋上にいた。浅葱も一緒である

少し前に、古城が浅葱に頼んで、ナラクヴェーラなる古代兵器について調べていたときに、ちょっとしたハプニングで古城が鼻血を出したので、落ち着くまで屋上にいることにしたのだった

「あんたが抜け出させたんでしょ?大丈夫よ、私は成績も出席日数も足りてるから」

「俺は足りてねぇんだよ」

といいつつ、浅葱の手元にあるものに気付く

「なんだそれ?」

「朝、食べれてないんでしょ?そう思って心優しい私が、教室から持ってきておいたのよ」

「お、おう。ありがとな」

古城は、浅葱が手渡してきた弁当を開き、虚空から現れた割りばしを手に取り一言

「零、いつまで見てるんだ?あと割りばし持ち歩くのやめね?」

「お断りだ。ちなみに最後まで見る」

虚空にスキマが現れ、そこから零が出てきた

「零、それ使わない方がいいわよ?」

「そうか...?てか古城、さっさと食えよ」

「もう食ってる。旨いな」

「でしょ?お母さん(あの人)の料理の腕は、私も認めてるのよねー」

そういいつつ、自分の箸で弁当を食べる

そして思い立ったように席をたち

「あ、ジュース買ってくるわね」

「お、おう。いってらー」

そのとき、零は古城が気付かないように霊力を起動した

「避けろ古城!」

零は古城が座っていたベンチから古城を蹴り落とし、ベンチを上に蹴りあげた

するとベンチが粉々に砕け、呪力の残淬が漂った

「授業をサボってクラスメイトと逢い引きとは、ずいぶんいいご身分なのね、暁古城」

古城が振り向くとそこには、昨日のパーティーにいた、獅子王機関の舞威媛、煌坂紗矢華がいた

「おい舞威媛。これはどういうつもりだ?」

零が威圧しながら、紗矢華に訪ねる

「よ、四聖様!?い、いえ、この性犯罪者に粛清を!と思いまして」

紗矢華が急に敬語になった

「なんだその著作権違反一歩手前の言い訳は!それに呪術の心得が無い者に呪力を使うとは何事か!」

「うっ、すみませんでした....」

「反省してるならいい。お前らそこで正座してろ」

「.....俺もかよ」

何故か巻き込まれた古城であった

 

 

 

 

 

 



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15話

テスト近いな〜。まぁうん、いいや
本編へどうぞ


「.....何で俺まで」

「知らないわよ!」

そういいながら斬りかかる紗矢華

「うおっ!?あぶねぇ!」

「何で避けるのよ!」

「避けねぇと死ぬだろ!」

「死になさいよこの変態真祖!」

「誰が変態か!」

言い争いながらも、紗矢華を攻撃を放ち、古城は避けていく

「あなたに決まってるでしょ!私の...大切な家族を!」

そして古城が避けきれず、斬られる

そのとき、傷口から魔力が放出され、最悪の事態を招く

「なっ!待て...!」

すなわち、古城の眷獣の暴走である

「古城!?」

為す術なく立ち尽くす古城の耳に、少女の悲鳴が聞こえてくる

悲鳴の主はペットボトルを抱えた浅葱。買い出しを終えて戻ってきたのだ。

「ちょっとあんた、なにやってるのよ!? その剣、まさか本物!?」

古城と対峙する紗矢華に気づいて、浅葱が走り寄ってくる。浅葱の気の強さが思い切り裏目に出た恰好だ

立て続けに起きた予想外の事態に、紗矢華も対応できずにいる。

「まずい!来るな、浅葱っ!」

なりふり構わず古城が絶叫した。古城は眷獣の暴走を押さえこむのに精一杯で、魔力の漏出を制御するだけの余裕はない。

「え!?痛っ……あ……ああああっ!」

紙差別に放出された大気の震動が,破壊的な超音波となって浅葱を襲う。

浅葱は両耳を押さえて苦悶し、その場にがっくりと倒れこんだ。急激な気圧の変化に耐えきれずに、意識を失ってしまったのだ。

「やめなさい......!暁古城っ!」

紗矢華が剣を構えて怒鳴る。浅葱と同じように超音波を浴びながらも紗矢華が無事なのは、その剣が彼女を守っているのだろう

しかし雪菜の雪霞狼のように、古城の魔力を完全に無効化する力はないらしい。膨大な魔力の放出に耐えきれず、屋上が崩壊し始める

「天血当主権限行使・七式突撃降魔機槍」

そのとき、零の声が響き渡りスキマから零が現れる

その右手は、銀色の輝きを伴っていた

零は古城に走りより、古城の肩に触れた

「雪霞狼!」

零が叫ぶとほぼ同時に、古城の眷獣の暴走が収まった

「藍羽先輩!」

収まると同時に、雪菜が屋上に姿を現した

「舞威媛、懲戒処分でも下されたいのか?」

「すみませんでした」

「次は無いから、覚悟しろ」

零はそう告げたあと、雪菜に視線を送った

「暁先輩と紗矢華さんは、私と夏音ちゃんは藍羽先輩を保健室へ運ぶので、そこで正座していてください」

「俺一方的に襲われたんだが...?」

「正座していてください」

「「....はい」」

雪菜と一緒に来ていた夏音は、保健室へ運んでいった



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16話

本日三本目です←死にかけ


「零、寝てるのか?」

「.....眠い」

「四聖様?何故此島にいらしてるのですか?」

紗矢華の口調がおかしいと思ってしまった

「ああ?俺は四聖の中でも立場が上だからな、ここの魔族全員監視してんだよ、弧亜とな」

「「弧亜?」」

聞き慣れない名前に同時に首を傾げる古城と紗矢華

《俺だ》

「いや誰だよ」

古城の疑問はもっともである。何故なら、古城の携帯から声が聞こえたからだ

「弧亜ー、自己紹介しろよー」

《ククッ、了解。俺は禊弧亜。幻想郷維持管理システムだ》

「へ、へぇ?」

「なるほどわからん」

《古城の携帯にしばらく居座るぜ。零の端末は五分いると消し飛ばされかけるからな》

「構わないけどよ」

紗矢華はいまいちよくわかってない様子

「そうだ、舞威媛。俺を四聖と呼ぶな。零でいい」

「え?ですが他の四聖様に」

「あー....じゃああいつらの前以外では呼び捨てタメ口を命ずる」

「わかりm....わかったわ」

「それでいい」

零に睨まれ、すぐにタメ口に直したようだ

そのとき、屋上から見えていたヘリが、爆焔とともに撃ち落とされた

「「な!?」」

「.....きたか」

零はそう呟くと、立ち上がりながらスキマを展開し、二人を連れて保健室に移動した

そこでは、人工生命体──アスタルテが倒れており、その体には銃創があった

「DEの50AE弾六発か....舞威媛、摘出しろ」

「わかったわ、ちょっとどいて」

紗矢華はアスタルテの前に膝をつき、弾を取り出した

「お、おい。姫柊とあの中等部の子は大丈夫なのか?」

古城は慌てつつ訪ねる

「誘拐された。が、先にこいつを助ける」

そう告げると、零から霊力が放出される

「四番目の霊能力・完治回復」

すると、アスタルテの体にあった銃創が塞がった

「少し寝てろ、アスタルテ」

零がそう言うと、アスタルテは深い眠りについた

「さぁて、夏音を誘拐しやがったゴミを燃やしに行くかね」

「雪菜を誘拐したやつを捕まえないとならないわ」

紗矢華と零が同時に立ち上がり、古城は遅れて立ち上がった

「場所はわかってるのか?零」

「当然だろう?」

そういいながら端末を取り出し、画面を見せた

「さっきヘリが撃ち落とされた増設人工島のところに、アイランドガードが集まっている。つまり、そいつらを新兵器の実験台にするつもりなんだろう。すなわち、ナラクヴェーラのな」

「「な!?」」

 

 

 

 

 

「ここは何処でしたか?」

夏音は雪菜に訪ねた

「わからないけど、あまり長い距離飛んでた訳じゃないから、多分学校近くだと思うよ....」

「姫柊ちゃんだっけ?何でそんなに落ち着いてるの?」

部屋の奥にあるスーパーコンピューターの前に座った浅葱が、作業しながら訪ねた

「慌てても仕方ないので。それに、藍羽先輩も落ち着いてますね」

「あー、私は慣れちゃったから。よくあるのよ、バイトの関係で」

凄腕ハッカーである浅葱は、人工島管理公社でバイトをやっているのである

「なるほど....すみません、携帯お借りしていいですか?」

「いいけど、何かあったの?」

そう言いながらポケットから携帯を取りだし、雪菜に投げ渡す浅葱

雪菜は受け取ったあとで一言

「....嫌な予感がするんです」



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17話

さすがに四個目って、書きすぎたかな....?
本編へどうぞ


「もしもし!?浅葱か!?」

古城は浅葱からの電話をとったつもりだった

『暁先輩、私です』

「ひ、姫柊?浅葱はどうしたんだ?」

『藍羽先輩は、ナラクヴェーラの制御コマンドを解析してます。終われば、今から行われる無差別攻撃は終わる、らしいです』

「雪菜!?無事なの!?」

「自重しろよ舞威媛」

『はい、無事です。夏音ちゃんも私も藍羽先輩も』

「とりあえず朗報ってところだな。そこがどこかわかるか?」

『おそらく、オシアナスグレイヴかと』

「やっぱりな。そこに転移するのもできるから、俺が行こう。古城と“紗矢華”はナラクヴェーラを食い止めろ。壊さなくていい」

「壊さなくていいのか?あの兵器を?」

「教えてやる。あの兵器は、攻撃を受けると成長し、同じ攻撃は受け付けなくなる」

「な!?」

「そんな!?」

『え!?』

三者三様に驚きを表す

「だから、食い止めろ」

「わかった、気を付けろよ」

「ああ」

そう言うと、零はスキマを展開し、オシアナスグレイヴに移動した

「暁古城、食い止めに行くわよ!」

「わかったよ。タクシー呼ぶから待ってろ」

 

 

 

 

 

オシアナスグレイヴ内部

「さぁて、ここに誘拐犯がいるのかなー....って、ここに来ちまったか」

転移してすぐに零が見たのは、ナラクヴェーラの大群だった。ただし動いてはいないようだ

「ふむ?獅子王機関の四聖とあろう者が、外交権を侵害してもいいのかね?」

「いいんだよ、俺の権限行使するからな」

零は振り返りながら答えた

そこには、クリストロフ・ガルドシュなる獣人がいた

「てめぇが夏音を誘拐しやがったのか?」

「正確には私の部下が、だが。その指示を出したのは私だ」

「じゃあてめぇをぶっ殺す!」

そういいながら端末を取り出し、操作した

「広域振動減速魔法・ニブルヘイム!」

零が叫ぶとほぼ同時。周囲が凍り始め、クリストロフ・ガルドシュも凍りつく

が、獣人の脚力で氷を破壊し、ナイフ片手に肉薄してきた

「二番目の霊能力・障壁」

その時、ガルドシュのナイフが、謎の壁に弾かれた

「若雷・零の陣」

零は、霊力を右手に集めつつ拳を固め、ガルドシュの鳩尾に叩き込んだ

「効かぬよ」

「知ってるぜ!鳴雷・三の陣!」

そのまま飛び上がり、回し蹴りを頭にうちこむが、それでもガルドシュは倒れない

「脳を揺らすつもりだったか?残念だったな。それに、私の勝ちだ」

ガルドシュがそう告げると、ガルドシュの後ろに夏音と浅葱を抱えたガルドシュの部下が現れた

「四聖様!」

そして零の後ろから雪菜が現れる

「さらばだ」

ガルドシュは振り向きながら、手榴弾を投げてきた

蹴って飛ばしたとしても飛距離が出ないだろう

ガルドシュたちは夏音と浅葱をその場に放置し、立ち去ったようだった

「天血当主権限行使・火気厳禁」

手榴弾が爆発するかと思われ、雪菜が夏音たちを庇おうとしたときに、零が呟いた

すると、手榴弾は爆発せずに消滅した

「剣巫。否、雪菜。人間を守ったこと、感謝する」

「ありがとうございます、零先輩」

「夏音、無事か?」

「はい、無事でした」

「よかった」

そう言うと零は、夏音を抱き締めた

当然、その場にいた全員が絶句した。ただし、夏音は顔を赤らめていた

「す、すまん。まぁ事が終わったら話をしよう」

「はい、待ってます」

「行くぞ雪菜」

「あ、はい」

零はスキマを展開し、増設人工島に向かった



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18話

五本は、1日じゃ読みきれなくない?←読みきれない人
なんかすみません。では本編へどうぞ


疾く在れ(きやがれ)獅子の黄金(レグルス・アウルム)!」

古城は、ナラクヴェーラのもとにたどり着くと同時に、眷獣を召喚。攻撃を仕掛けた

ナラクヴェーラはまともに攻撃を受け、脚がへし折れた

「な!?空に逃げる気か!?」

ナラクヴェーラは飛行機構を動かし、飛んで逃げようとしていた

「撃ち落としなさい、暁古城!」

「わかってる!撃ち落とせ、獅子の黄金(レグルス・アウルム)!」

そして、古城はやり過ぎたことに気付く

獅子の黄金は、増設人工島の表面を打ち砕き、ナラクヴェーラを増設人工島の底まで叩き落とした

当然、近くにいた古城と紗矢華も巻き添えをくう

「暁古城のバカー!!」

「うおおっ!?」

二人は、増設人工島の斜めになった表面を滑り落ちていった

 

 

 

 

 

 

「あのバカ共が.....」

零はその光景を見ながら、呆れていた。雪菜も呆れているようだ

「零先輩、どうします?」

「弧亜が気合いで作ったウイルス流せば勝てるさ」

《軽く言ってくれるねぇ、事実だけども。終わりの言葉、とでも言っておこうか》

「じゃあ俺と雪菜だけで解決するか。漁夫の利感あるけどな」

「そんなことを言ってる場合じゃないですよ。ナラクヴェーラ、向こうから浮上してきてますし」

「となると、増設人工島の底をぶち抜かれたな。速攻で終わらせる」

零は妖力を放出し、叫ぶ

狂え(こい)幻想の音源(リーンライン)!」

出現したのは、雪菜が見慣れた“久遠の”眷獣であった

過去の冥界にて召喚されていたが、現実世界で見ることになるとは思っていなかったのだろう

雪菜は槍を起動し、構えた

「さぁ、抗らえナラクヴェーラ。天血の呪縛を越えて!」

 

 

「で、どうしようか」

「どうしようか、じゃないんだけど!?加減を知らないの!?」

「仕方ないだろ、あいつは最近やっと俺を主と認めたんだし。それも姫柊の血を吸ってようやく」

「なるほど、だから雪菜は血を吸わせたのね」

二人は壁を伝って歩いていた。しかし、出口は一向に見つからない

「ねぇ、暁古城」

「なんだ?おわっと」

何かにつまづいて古城がよろける。それに対応できず、紗矢華が古城にぶつかった

二人はそろって転び、古城は掌に伝わってきた程よい弾力に眉をひそめる

「──ひゃっ!?」

「す、すまん!」

胸を触ったことに気が付いた古城は謝りつつ手を離した

「あ、謝るってことは故意なの?やっぱり邪な下心があったの?」

「違うって。そうじゃないけど、さっき姫柊が教えてくれたんだ。悪かったな、お前が男に触られるのを怖がっているなんて知らなかったんだ」

곧うして謝るのよn,故意なの?: やっぱり邪な下心があったわけっ

/-違うって。そうじゃないけど、 さつき姫柊が電話で教えてくれたんだ」

紗矢華が当惑したように首を傾げた。

r雪菜が? なにを?]

「おまえの男嫌いの理由」

古城が自分の足元を見下ろしてぼそりと言った。

ぎし?と紗矢華の表情が人形のように強張った。

「悪いな。おまえが男に触られるのを恐がってるって知らなかったからさ」

雪菜は詳しく説明してくれなかったが、おおよその事情は古城にも想像できる。

優れた霊能力を持って生まれた子どもは、しばしば実の両親にも疎まれて虐待される。紗矢華の唯一の肉親だった父親も、やはり彼女に恒常的に暴力を振るうような男だったらしい。

その父親は、紗矢華が小学生になる前に死んで、彼女は獅子王機関に引き取られた

だが幼い頃に刻まれた父親への恐怖は、

そのまま男性への嫌悪に姿を変えて今も彼女の虐

残っているらしい。安っぽい同情をする気はないが、そのことで紗矢華を責めるのは筋違いだ

《古城、浸水が始まっている。さっさと脱出しねぇと死ぬぞ。お前さん、泳げないんだし》

「何で知ってるんだよ!?...とはいえ、マジで浸水始まってるな」

そういいつつ、足元を見た。そこには、かなりの高さまで迫ってきていた水があった

「ねぇ、暁古城。新しい眷獣が、欲しかったりする?」

「まぁこの状況だとな....」

《腰までつかるのに、あと五分と無いぞ》

「なら……雪菜には内緒だよ」

呟く紗矢華の声が震えている。寒さと、そして恐怖のせいだろう。

しかし、覚悟を決めたように古城に体重を預けてきた瞬間、彼女の震えは止まっていた。

「一度だけ、お礼に私の血を吸わせてあげる。それとも、やっぱり私じゃだめかな」

見上げてくる紗矢華の潤んだ瞳を、古城は動揺しながら見つめた。

「いやそんなことはないけど。だけど、いいのか煌坂、おまえは......」

気遣うように問いかける古城の背中に、紗矢華がそっと手を回した。

古城たちの身体は冷たく濡れそぼったまま。だが密着した互いの肌からは、柔らかな温もり

「あなたのことは、恐くないわ。不思議ね……世界最強の吸血鬼のくせに」

紗矢華はそう言って、古城の口元にそっと触れる。鋭く尖った、古城の牙に

通路に流れ込む水が勢いを増していた。二人で強く抱き合っていないと、そのまま流されて

しまうほどに。やがてふたつの影が融け合うようにひとつに絡まり、紗矢華のか細い喘ぎ声が、

水面に反響して広がっていった。

 

 

 

 

 

零は叫ぶやいなや、眷獣に攻撃を命じ、自分も走ってナラクヴェーラに肉薄する

雪菜も、霊力で筋力を強化しつつ、零を追う

「獅子の巫女たる高神の剣巫が願い奉る!」

雪菜が詠唱を始めると、雪霞狼が光輝いた

それに気付いたのであろうナラクヴェーラが、雪菜に攻撃を仕掛けるが、零が殴って消した

「破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の真意を持ちて、我に悪神百鬼を討たせたまえ!」

雪霞狼の輝きが増し、雪菜がナラクヴェーラに飛びかかった

「雪霞狼!」

雪菜がナラクヴェーラに雪霞狼を突き刺して魔術を消し、魔術の消えたナラクヴェーラの装甲に、零が蹴りを叩き込んだ

すると、装甲が割れ、ガルドシュが乗っている操縦席が見えた

《──────────────終わりだ》

弧亜が人間には発声できないのであろう言語で、終わりの言葉を実行

すると、全てのナラクヴェーラが自己修復能力を暴走させ、崩壊した

「まだだ....まだ終わらんよ!」

ガルドシュがナイフを構えて、零に飛びかかる

が、間に人影が現れる

「終わりだ、オッサン!」

割り込んできたのは、古城であった

古城がガルドシュを殴り飛ばし、意識を失わせた

「雪菜、大丈夫だった!?」

「は、はい。大丈夫ですよ」

雪菜と紗矢華は抱擁を交わしていた

「古城、眷獣を手に入れたんだな」

「ああ、そうだ」

《ククッ、後でCADに音声データ送ってやるよ》

「了解。んじゃまぁ、帰るか」

「待て!録音してやがったのか!?」

「聞いてないんだけど!?」

《ククッ、言ってねぇよ》

古城の携帯から笑い声が聞こえる

そして、零はスキマを2つ展開し、片方に古城たちを通した。もうひとつで、夏音のもとへと向かった



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天使炎上
19話


「えーっと、だな。改めて言うとなると恥ずかしいものだ....」

零はオシアナスグレイヴの中で待たせていた夏音の元に来ていた

「そうでしたか....?」

そう言う夏音は、顔が赤い

「まぁいい、俺は初めて会ったときにお前さんを好きになった」

「私も、でした」

「.....!ありがとう」

そう言いつつ、零は夏音を抱き締めた。それを見ている人影が、あるのを知らずに

 

 

 

 

 

キーストーンゲート屋上

「零、リア充になったんだな」

「うるさいです。お前より後だし」

「そうだけどさ」

「リア充否定派のお前が、そういうの書いたしな」

「うるせぇ!──!」

零と話していた少年が、眷獣を召喚したようだ

「バカ者!何故眷獣を出すか!てか自分の世界へ帰れ!」

零はスキマを展開し、眷獣ごと少年を送り返した

 

 

 

「古城、いるか?」

「いーるーぞー?」

「何故に疑問形....」

しかし零は構わず話を続ける

「猫の里親探しを手伝え」

「やっとるよ、今」

「マジで?」

古城は、凪沙が告白されるのではないかと焦り、いろいろやって、実は里親を探していただけだとわかり、安堵しているところだった

しかし、里親探しを手伝わされることになった

「あ、零くん聞いてよ〜古城くんったらさ〜」

「はいはい」

零は凪沙の話を聞きながら、別のことを考えていた

(恋人って、具体的に何をすればいいんだ?)

夏音と付き合い始めた、それは良いだろう。だが、零は女子と付き合うのが初めてなのだった

 

 

 

 

 

 

 

「那月ちゃん、話ってなんだ?」

零は次の日、那月に呼び出しを受けていた

「仮面憑き、と言えばわかるか?」

「....遂に出やがったか」

「お前の予言通りならやっと、だがな」

零は霊能力によって、未来を見ることが出来る

それは、数瞬先から、十年、二十年と制限はない

「じゃあ、今日捕まえに行くか」

「そのつもりだ。アスタルテ、こいつにお茶はいらん

私に新しい紅茶を頼む」

「命令受諾」

那月の隣には、先日零たちが戦った人工生命体──アスタルテがいた

「保護観察処分か」

「ああ。ちょうどメイドが欲しかったのでな、重宝してる」

アスタルテが注いだ紅茶を飲みながら答えた

「てか今日の夜?それだと祭りだよな?」

「そうだがどうした?」

「....仕方ない、夏音に伝えて...っと、電話か」

零は那月に目で断りを入れてから電話をとった

「俺だ。....って夏音か。どうした?.....ふむ、そうか...わかった」

「中等部のあいつか、何て言ってた?」

「家族と予定があるから、祭り行けないって」

「良かったな、仕事ができるぞ」

零は少し悲しそうな顔をしてから、引き締め

「わかった。時間はあとからメールしてくれ」

「元よりそのつもりだ、遅れるなよ?」

「ああ(あんたがな)」



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20話

「.....言い訳を聞こうか?」

「アスタルテに縁日を体験させたかった、それだけだ」

「そうか、楽しかったか?アスタルテ」

「肯定。待たせてしまい、申し訳ありません」

「楽しめたなら構わん」

その時、飛翔してくる物体を、零の第六感が捉えた

「来たみたいだ」

「そのようだな。アスタルテ」

「命令受諾。執行せよ、薔薇の指先」

アスタルテが眷獣を召喚し、通り抜けざまに叩き折られた鉄塔を支えた

「博麗霊夢の能力」

そう呟くと、零は生身で空を飛び、仮面憑きと戦い始めた

「くっそ、全然効かねぇな。知ってたけどよ!霊符[夢想封印]!」

零は夢想封印を放つが、仮面憑きにはダメージが無いようだ

「那月ちゃん、鎖は!?」

「無理だ、アスタルテの眷獣だけでは、倒れかかっている二本の鉄塔を支えきれん!」

那月は虚空より鎖を召喚し、アスタルテとは別の鉄塔を支えていた

(まだアレは使いたくない。予言通りなら、明日使うことになるが....それまでは、誰にも知られたくないからな)

零は攻撃をかわしながら、対策を練っていた

が、その時。祭りをやっている方角から飛翔してくる何かが、零と戦っていた仮面憑きを殺した

「な!?仮面憑きがもう一体...!?しかも、この霊力波動は....」

その、結果的には零を助けた仮面憑きの仮面が外れ、顔が見えた

「夏音!」

それは、叶瀬夏音の顔。零の恋人だった

そして、夏音は、自分が殺した仮面憑きに目を向け、口を開いた

「待て夏音、やめろ...!」

零が飛んでいくより、夏音の行動がはやかった

仮面憑きを喰ったのである

「夏音ー!!」

そして夏音は、飛んできた方向へと戻っていった

 

 

 

 

 

「叶瀬賢聖か.....夏音の父親がやった可能性があるな」

『...零、メイガスクラフト行こ?』

「弧亜が調べたあいつの家、か」

そう言いつつ立ち上がり、スキマを開いた

「手がかりがありゃいいんだがな」

 

メイガスクラフト・本社

「.....夏音の霊力波動、熱源反応は無い。不在だな」

『...どうするの?』

「あの受付ロボットに、叶瀬賢生について聞くか」

数分後

「なんか、そこで待ってろって言われた」

『...何でだろう、ね?』

「さぁ...?」

さらに数分後

「ごめんなさい、お待たせしてしまったかしら?」

「そう思うなら早めに来てくれ」

尚、妖櫻は零の中に入ったもよう

「改めまして、開発部のベアトリス・バスラーです。叶瀬賢生の....そうですね、秘書のようなことをしています。本日は賢生のどのような御用件で?」

「う〜む、本人にしか言えねぇな」

「そうですか.....とはいえ困りましたね、賢生は今島外の研究所にいるんです」

それならばと零は答えた

「その研究所ってところに行く。場所さえわかればな」

「そうですか.....ここです」

そう言いつつベアトリスは取り出した地図の、ある一点を示した

「ほう?そうか、ありがとう。無駄な時間を過ごさせたな」

「結界があるので、魔術では入れませんし出られません。うちの飛行機でご案内しましょう」

ベアトリスがそんなことを提案してきた

零は少し考えたあと、

「じゃあ頼む」

「かしこまりました。少しお待ちくださいね」

ベアトリスは、そういってどこかに行った。零は騙されたふりをしてある島に行ったのだった



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21話

「やれやれ、ここが金魚鉢か」

そこは、トーチカなるもの以外、本当に何もなく、何もいない島だった

「妖櫻、いるか?」

『...もちろん』

零から妖力が溢れ、その妖力が妖櫻をかたどった

「想像以上に何もないな」

『...うん』

どうしたものかと辺りを見回すと、零は、熱源反応があることに気が付いた

「向こうに人がいるな、それも救命ポットを持ってるやつ」

『...食べ物、分けてもらお?』

「そうだな」

そういって、反対側にスキマで移動したのであった

尚、外に出られるかを試したところ、外に出口を設定しながらスキマを開こうとしても、全く開けなかった

「.........何これ」

『...大きい、金ぴか』

二人は、そこにあった救命ポットを見て、驚きを通り越して、呆れていた

こんなもの、王族でもなければ用意出来ないだろうと

「あら、こんにちは」

そしてその救命ポットの中から現れた人を見て、二人は驚愕する

「ラ・フォリア!?」

『...何でここに...?』

「ああ!獅子王機関の四聖、零じゃないですか!」

「.......ランヴァルド、撃ち落とされたのか

「えぇ、そうです。救命ポットに押し込まれて流れていたら、ここに辿り着きました」

全略したシーン(ランヴァルドが撃墜されたとき)の話を、ラ・フォリアが零にした

「あらら、ベアトリス・バスラーもロウ・キリシマも黒幕ですかい」

『...知ってたよね?』

「まぁな」

そして、そこで零の腹が鳴った

「ラ・フォリア、何か食い物をくれ。昼から何も食ってねぇんだ」

「わかりました、少し待っていてください」

 

 

 

 

 

夕食が終わり、さて寝ようと言うとき

『...ラ・フォリア、ベッドあるじゃん』

「貴女こそ、零の中に入ればよいではないですか」

「お前らケンカ好きなの?てか予言がただしけりゃあと三分で古城くるぞ?」

『....え?私たちを、追って?』

「古城....?」

「ほーら、プロペラ機の音が聞こえてきた。迎えに行ってくる」

 

 

 

 

 

迎えに行くと、そこではロウ・キリシマと古城が言い争っていた

『ちょっと待てオッサン!!』

『誰がオッサンだ!俺はまだ28───』

そこからさきは、聞こえることはなかった

そして零は古城に近づき

「古城、久しぶりだな」

「そうだな....あー、まさか俺らまで置き去りとはなぁ」

「すみません暁先輩、私の落ち度です」

雪菜が頭を下げる

「飛行機をあんだけ怖がってたらなぁ....」

「怖がってません、怖がってませんよ」

零が呆れたように肩をすくめた

「俺はこっちで人を見つけた。こい」

「「アッハイ」」

雪菜と古城は零について歩いていった

 

 

 

 

 

 

「あの、零?」

「なんだ、ラ・フォリア?」

「古城....といいましたか、一目惚れです。ドストライクゾーンです」

「ありがとうこれなら原作通りにいきそうだ」

『...メメタァ』



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22話

もう、何本目なのかすらわかんない


「広域熱源探知機に反応。船だ」

「救援か!?」

古城が飛び出し、船の音をたよりに海岸に出る

「バカ!メイガスクラフトだ!」

零が音速で駆け寄り、草むらに伏せさせる

次の瞬間、背後の木に弾痕が穿たれる

「実弾....生かして帰すつもりは無いってか?」

そして船から、大量の自動人形──オートマタが出てきた

「古城、剣巫たちを守ってろ」

そう言うやいなや、草むらから出て、右腕を空に向けた

狂え(こい)獅子の暗黒(レグルス・テネブリス)

零が召喚したのは、獅子の黄金(レグルス・アウルム)を深い闇の色に変えたような眷獣だった

「獅子の....黄金...?いや、違うな...」

そして零が召喚した、獅子の暗黒(レグルス・テネブリス)は、自動人形を蹴散らし、船を沈めた

 

 

 

「あー....あの船、ハッキングすれば乗れるの忘れてた」

「ですが、中にはもっとオートマタがいますよ?」

「じゃあ結果オーライだな」

「あの眷獣は....」

「帰ったら説明するさ」

と言いながら、零は手元に目を向けた

「これは何だ?剣巫」

「ヤシの身の刺身です」

「これは?」

「ヤシの身の千切り、こちらが海水スープです」

「中々独創的だな」

古城が冷静に突っ込みを入れ、スープを飲んだ

「お味はどうですか?」

雪菜が、恥じらい、ためらいながら訪ねた

「....そういえば昔、凪沙のままごとに付き合わされて腹壊したことがあったな」

「何故そのエピソードを思い出したのかは、不快になりそうなので聞かないでおきます」

すると零が立ち上がり、ラ・フォリアが反応した

「きましたか」

「また来たな、だが」

零は全員を海岸に転送した

そこで、古城は呆れたようにため息をついた

島にきたのは、白旗を掲げたメイガスクラフトの船だった

 

 

 

 

「用件は?」

「尺が足りなゲフンゲフン....時間がもったいないから軽く話すわ。ラ・フォリア・リハヴァイン。あんたは抵抗せずに私たちに捕まりな。第四真祖、獅子王機関の四聖。あんたらにはチャンスをあげる」

「なげぇんだよ」

零は、ベアトリスが喋り終わる前に斬りかかっていた

「ジャグラ!」

ベアトリスが眷獣を召喚。意思を持つ眷獣であるジャグラが、零に襲い掛かる

「この程度か。天血当主権限行使・七式突撃降魔機槍」

零は、右手を銀色に輝かせると、ベアトリスの眷獣を掴んだ。するとその眷獣は召喚が解除される

「さっさと仮面憑きでも何でもだしてこい」

「チッ調子に乗りやがって!!」

ベアトリスが持っている端末に、降臨の文字が表れる

「古城、ラ・フォリア、剣巫。仮面憑きは任せる!俺は夏音を迎えに行く!」

「わかった、任せろ」

「存分に、零」

「気をつけてください」

三者三様の返答をうけ、ベアトリスに目線を向ける

「ナメやがって...!」

そして、夏音が模造天使(エンジェルフオウ)として、動き出す

「それでいい。俺の彼女は、俺が助ける」

そして、古城と雪菜の叫びが聴こえた

『ここから先は、第四真祖(オレ)戦争(ケンカ)だ!』

『いいえ、私たちの聖戦(ケンカ)です』

「さぁ、今からそっちへ行ってやる。模造天使の呪縛を越えてな!」

すると、零の服装が変化した

古代日本で着られていた、服装へと

「俺は天血零。本名はスサノオだ、覚えておけ!」



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23話

『俺は天血零。本名はスサノオだ、覚えておけ!』

(な!?)

(ただの吸血鬼では無いとは思っていましたが、まさかスサノオですか)

古城は獅子の黄金(レグルス・アウルム)。雪菜は雪霞狼で仮面憑きと戦いながら、考えていた

「くっそ、こいつら無駄に性能高いな!」

古城は獅子の黄金(レグルス・アウルム)を仮面憑きにぶつけた。が、弾かれる

雪霞狼の人工の神気も、本物の神気には敵わないようだ

「おいで、幻想の音源(リーンライン)!」

虚空より響く声。そして現れたのは、桜坂久遠だった

「久遠!」

「間に合ったみたいだね。神化!」

久遠の服装も、零と似たものへと変化する。古代日本の、神々の服装へと

「私はイザナギ。本物の神気に近いもので、神に勝とうなんて思わないでね?」

そう言いながら、鉾を構えて仮面憑きに挑んだ

 

 

 

 

「スサノオ.....!?バカな、獅子王機関四聖には、魔族なんて」

「俺は魔族じゃねぇよ。スサノオに認められ、魂を融合した吸血鬼だ」

そう言いつつ、手にある剣を顕現させる

「こい、天羣雲剣!」

神の剣と言われた、天羣雲剣。それが、スサノオたる零の手に現れた

「夏音、俺とこい!」

そして、夏音を浅く強く斬り、魔術を消し飛ばした

その時点で、模造天使の魔術が、暴走を始める

「夏音!くっ、天血当主権限・七式突撃降魔機槍!」

零は夏音を抱き締めることによって、魔術の暴走を完全に抑え込んだ

 

 

 

 

「天鯱鉾!」

久遠は仮面憑きの片方に鉾を突き立て、魔術ごと存在を消し飛ばした。クローンだとわかっていたからである

そして、古城は何故か使えるようになっていた新しい眷獣を、戸惑いつつも召喚した

疾く有れ(きやがれ)龍蛇の水銀(アル・メイサ・メルクーリ)! 」

それは、銀色の双頭龍だった

零が密かに与えた、ラ・フォリアの血の情報と、雪菜の血の情報を飲みこみ、古城を主と認めたのが、この眷獣だった

仮面憑きの片方を、完全に喰い尽くした

 

 

古城が賢生に話しかける

「越えられなかったな、叶瀬賢生」

「そのようだ、天血当主の呪縛は強すぎた。それに──」

「零...さん...?」

「目が覚めたか?夏音」

抱き締めたまま、零が答えた(ただし、地上に降りていた)

「人間を助ける何てことは俺ら神々に任せておけ。お前は、俺の側にいてくれ」

「.....はい!」

夏音は顔を赤らめながら答えた

「どうやら夏音の許嫁を見つけることができた」

「......おい賢生、今何て?」

零は、言われたことが信じられず、聞き返した

「天血零...君を夏音の許嫁としてもいいかね?」

「お、俺は構わんが、夏音の意思は...?」

「大丈夫、でした。零さんなら」

こうして、零は夏音の許嫁となった

 

 

数分後

沿岸警備隊の巡視船が到着したのは、それから間もなくのことだった。

巡視船の船上には南宮那月そして煌坂紗矢華の姿もある

予想外に早く救助が訪れたのは、彼女たちが苦労して古城たちの行方を捜してくれていた証拠だろう。

「雪菜!」

エンジン付きのゴムボートで上陸してきた紗矢華は、焼き払われた島の惨状には目もくれず、出迎えに出た雪菜に抱きついた。そのまま自分の頬を雪菜にぐりぐりと押しつけて、

「はー、雪菜よかった無事で雪菜雪菜雪菜!大丈夫?怪我は?怪我はない?」

「さ、紗矢華さん!? く、くすぐったいです!」

むしゃぶりついてくる紗矢華の勢いに、雪菜が困ったように身をよじる。しかし紗矢華は,不安から解放された反動で欲望が暴走気味らしい

鼻息を荒くして雪菜の首筋に顔を突っこみ、怪しげな手つきで彼女の制服の下に手を入れる

「紗矢華さん......ちょっ、ちょっとそこは……っ!?」

「おい」

蹂躙されている雪菜を見かねた古城が、暴走する紗矢華にチョップを叩きこんだ

「さて、帰るか」

零は夏音に手を差し出す

夏音は差し出された手を握り

「はい♪」

と応じ、二人はスキマで先に帰った

余談であるが、何故新しい眷獣が使えるようになったのかを、古城は雪菜と紗矢華に説教を受けた

そして、ラ・フォリアが古城にキスをしたことにより、再度説教となった



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蒼き魔女の迷宮
24話


「波朧院フェスタ、か。夏音とデートと行きたいところだが、まぁた仕事かこのやろう」

零は愚痴を言いながら、とあるコンピューターの前にいた

《ククッ、仕方ないだろ?アルティギアのお姫様が、空間転移させられてんだからな》

そのコンピューターから聞こえてくるのは、弧亜の声だった

そう、このコンピューターは、禊弧亜の本体。幻想郷維持管理システムであった

「ったく、あの舞威媛は何をやってんだよ」

そういいつつも零は、とあるアプリを作っている

空間転移させられるのは、完全にランダム。街のど真ん中から路地に転移させられたり、逆に路地から街のど真ん中に転移させられたりと様々だ

《ククッ、モグワイとその相棒は別の仕事をやってるんだ。頑張れよ》

「わーってるよ!古城のやつ、楽しんでるんだろうなぁ.....」

 

 

 

「.....零は?」

「えっと、仕事が入ったと言ってました」

「僕も内容は聞かされてません」

「叶瀬、細かいことは聞いてるか?」

「いえ。機密事項だそうでした。すみません」

「謝ることじゃないけどさ。っと、そろそろ時間だな」

この四人(と物陰の二人)は、古城の幼なじみを待っていた

どうやら、波朧院フェスタのために来るらしい

「ほら、あそこだ」

そう言って古城が指さしたのは、空港のビルの三階の展望台だ。そこには窓は無く、柵のみだった

「優麻ー」

古城が手を振ると、相手も手を振った

そしてそのまま、青空に身を投げ出した。古城は冷静に落下地点に移動し、お姫様抱っこという形で受け止める

「だからやめろって。姫柊たちがびっくりしてるから」

「せ、先輩。今飛び降りましたよね?」

「あのくらいなら余裕ですね。L」

「おっと、それ以上はまだ言わないで?」

優麻と呼ばれたボーイッシュな少女は、少年の唇を指でふさぐ

「いやてか誰だよ」

「僕ですか?僕は神無月彩斗です。そうですね....当主くんの家族、とだけ」

「この人の言う当主くん、というのは、久遠先輩のことでした」

夏音のフォローが入る

「あいつの家族、キャラ濃いな」

「そうですか?僕はそれほど濃くないと思いますけど」

そこに優麻からの横槍(?)が入る

「あー、ゴメン。話してるところ申し訳ないんだけどさ。何か食べに連れていってくれない?昼から何も食べてないんだ」

「いいぞ。俺は金欠だから彩斗、頼んでいいか?」

「構いませんよ。全員分負担でも問題ありません」

「やった!じゃあいこう!」

そう言いつつ、優麻は近くのファミリーレストランを指差す

「はいはい、わかったよ」

「暁先輩のご友人って、キャラ濃いですね」

「同感、でした」



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25話

「五人ほど負担したはずですが、あまり減りませんでしたね」

そう言いつつ、黒いカードをしまう彩斗

「おいそれ、ブラックカードじゃないか?」

「えぇ、そうですよ。天血様に与えられたものです」

「零、金持ちなんだな(遠い目)」

古城たちは、そう言いながら街を歩いていた

途中から零が合流したため、六人になっている

「古城、今何時だ?」

「13時半。波朧院フェスタ自体は始まってるだろうし、行くか」

「うむ」

古城たちは、波朧院フェスタの中心地に向かった

 

 

 

「ナニコレどゆこと?」

「アイランドガードが、全滅....?」

前者は久遠。後者は久遠の隣にたつ、莉琉のセリフである

「どうも、図書館の連中が入ったみたいだね」

「そうね。まぁ何もしなくても零がやるわよ。幻想郷に戻りましょう」

「この魔力....メイヤー姉妹だね。まぁ零に任せよう」

 

 

 

 

「......古城」

「ん?なんだ?」

「どうしてこうなった」

「叶瀬がお前の家に泊まりたいと言って、そしたら浅葱と築島がのってきて、優麻も泊まることが確定してたからこうなった」

古城と零が目線を向けているのは、暁家のリビングでコスプレをしている後輩たちである

「浅葱たちが帰ったからいいようなもので、帰ってなかったら犯罪者認定間違いなしだな」

「それを言うなよ、古城」

零は端末を取りだし、弧亜に指示を送る

「弧亜、幻想郷管理に戻れ。こっちは俺がやる」

《ククッ、了解》

「なぁ零」

「なんだ古城」

「寝てていいか?」

「おまっ、この地獄に俺だけ取り残そうってか!?そうはさせ...ってもう寝たぁ!?」

古城は疲れていたのであろう、横になるとすぐに寝息をたてた

「無理するなっていつも言ってるんだがな」

そう言いながら零は、黒い魔力を纏い、古城を浮かせて部屋に移動させた

「あれ?古城君寝ちゃったの?」

「ああ、起こすなよ?片付けならやってやるからお前らももう寝ろ。夏音、俺の部屋の鍵だ」

そう言いながら夏音に鍵を渡し、台所に向かう零

「鍵開けっ放しで帰ってもいいからね?あと洗剤は自前じゃなくてうちにあるのでお願い。シンクの水気まで取らなくていいよ?」

「わーったから寝ろ!明日は早いんだろ!」

「うん!じゃあおやすみ♪」

「ああ、おやすみ」

そして零は一人になる。つもりだった

「何のようだ、久音?」

「桜シリーズを試験的に此島で動かすよ。管理公社の許可は取った」

「そうか....来るのは誰だ?」

「桜音、影月、凛、桜牙、夜桜だよ」

「夜桜もか。まぁいい、わかった。お前はどうするんだ?」

「私はまだ、黄泉の国にいるよ。───と一緒に」

「そうか....───によろしくな」

「うん」

そうして、久音と呼ばれた久遠の姉は姿を消した

「やれやれ.....ん?あそこにいるのは、オイスタッハ?」

窓の外には、ルードルフ・オイスタッハがいた

零はスキマを開き、オイスタッハの前に姿を現した

「オイスタッハ、お前ここで何をしている?聖遺物の返還は決まっただろ?」

「貴方にだけは邪魔されたくないのですよ、獅子王機関の四聖である貴方だけには...!」

(記憶の混合?いや、洗脳....ではなさそうだ。となると、過去のオイスタッハか。それなら)

「こんなものか?」

零は、魔力の塊をオイスタッハにぶつけた

するとオイスタッハは、虚空に溶けるように消えていった

「これは、空間制御術式の応用だな。俺は刻々帝(ザフキエル)にやらせるが、これは魔女のやり方か....」

零は月を見上げた

「今夜は荒れるな。用心のしようがねぇけど」

 



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26話

「はぁ、おはよう」

そして零は気付く

「声、高くなってる?」

「零さん、でしたか?」

やけに聞き慣れた声が、零は喋ってないのに聞こえる

「夏音、か....?」

「はい」

「うわ、入れ替わってるよ」

「....みたいでした」

二人は天井を仰いだ

 

 

「零!助けてくれ!」

「優麻?どうした?」

「優麻じゃない!古城だ!て叶瀬?」

たっぷり一分フリーズ

「お前らもかコラ」

「入れ替わったんだな、何かすまん」

「楽しいので大丈夫、でした」

「俺的には大問題」

三人は零の部屋に固まっていた

「.....キーストーンゲートに第四真祖の魔力を確認。優麻だな」

夏音の声で零が語る

「スキマ使えるのか?」

「無理だ。が、これを使う」

そして自分の体(今は夏音)のポケットを漁り、ある扇子を取り出す

「よーし、夏音の体に霊力があってよかった。古城、夏音。俺に掴まれ」

「はい」

「お、おう」

夏音は手を、古城は服を掴み、何が起こるのかを見ている

「火・水・木・金・土・日・月」

零が唱えたあとには、三人の周りに、火水木金土日月の字が浮いている

「何だこれ?」

「見てろ。月の陣」

そう唱えると、三人はキーストーンゲートの屋上にいた

「マジでなんだこれ!?」

「古城、もう追い付いたんだね」

古城の声で、他の誰かが話す

「仙寄木優麻。さっさと古城に体を返せあと俺と夏音を戻せ」

「古城の魔力が必要なんだ、邪魔しないでよ」

優麻がそう言うと、後ろに控えていた二人の女子が動き出した

「そうですわ、邪魔しないでいただけます?さもないと殺してしまいますわよ?」

「お前らごときが?俺を殺す?ククッ、笑わせてくれる」

その声は、零の体から聞こえた。同時に魔力が放出される

「な!?どうやって空間制御術式を!?」

「この程度、俺なら解除出来るんだよ、残念だったな」

零は右腕を右に向けた

狂え(こい)刻々帝(ザフキエル)

姿を現したのは、身の丈の倍はあるであろう、時計であった

七の弾(ザイン)

「な!?体が...!」

二人は突如、動かなくなる

七の弾(ザイン)は、相手の時間を止める。お前らはもう動けない」

「僕は...まだここで終わるわけにはいかないんだ....!それが、僕の生きる価値なのだから!」

優麻がそう言うと、後ろに控えていた悪魔──(ル・ブルー)が動き出す

蒼が手を合わせてから離すと、そこから獅子の黄金が姿を現した

「獅子の黄金か....まさか!」

「残念だったね、僕の勝ちだ!」

零は島外に目を向ける。そこには、石のような材質で出来た建物───監獄結界が姿を現していた

 

 

 

 

 



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27話

昨日はね落ちしてしまった。申し訳ないです



零が振り返り、優麻に目を向けると、もうそこにはいなかった

「くそっ、監獄結界に移動されたか...!」

「火・水・木・金・土・日・月」

零が呟いた直後、夏音が詠唱を始めていた

「夏音...?」

「月の陣、でした」

夏音がそう言うと、零と古城、雪菜、夏音は、監獄結界の中に移動していた

「もう使いこなしてるのか。さすがだな、夏音?」

「ありがとうございました」

「優麻...!」

「さすがに早いね。獅子王機関の四聖と一緒だからかな?」

優麻が振り返り、古城──自分の肉体に(ル・ブルー)が剣を振るう

そこに割り込んだのは雪菜だった

雪菜が七式突撃降魔機槍(シュネーヴァルツァー)で攻撃を防ぎ、そのすきに古城が距離をとる

「そこまでだ、優麻」

気が付くと、零が妖櫻ではない刀で古城の肉体を斬っていた

「もうちょい加減しろよ、零?」

古城が、古城の肉体で零に抗議する

「悪かったな。ってか、今の戦闘の余韻で那月が起きちまった」

「起きた....?」

「監獄結界ってのは、那月の夢の中に囚人を収監する結界魔術だ。それが、那月が魔女になるにあたって悪魔と交わした契約」

「あまりベラベラ話すな、零」

那月の本体が目を覚まし、零に目を向ける

「あ、ダメだった?」

「いや、どうせ話す予定だったが「何で止めたんだよ」あれは話すなよ?一連のことが終わったら、私が言う」

「アイアーイ」

そして那月が、不意に真面目な表情で優麻2と向き直った。

「……仙都木阿夜の娘。どうする、まだ続けるか?」

優麻が静かに立ち上がって首を振る。

「やめておくよ。あれだけ強烈だった焦燥感が消えてるボクにはもう、監獄結界をどうこうする理由はないみたいだ.....(ル・ブルー)もこの有様だしね」

「そうか」

優麻が実体化させた守護者を眺めて、那月はうなずいた。

顔のない青騎士は、過剰な魔力の逆流や雪菜との戦いによって、満身創痍の悲壮な姿をさらしていた

たとえ回復するにしても、優麻が魔女としての能力を完全に取り戻すには,長い歳月が必要になるはずだ。そして優麻自身それを望んでいるとは思えない。

彼女はようやく母親の呪いから解放されたのだ。

そのことを実感して、古城は我知らず満足げな微笑を浮かべた。

異変が起きたのは、その一瞬のことだった。

 

(ル・ブルー)....?」

 

守護者,の実体化を解こうとした優麻が、不安げに声を震わせた。

顔のない青騎士が,カタカタと全身の甲冑を震わせる。金属と金属がぶつかり合うような,

奇怪な騒音。それは笑い声だと、古城は唐突に理解する。

傷だらけの騎士が、骸骨を思わせる空虚な仮面の下で笑っている

「やめろ、(ル・ブルー)!」

優麻が悲鳴のような声で命令する。しかし青騎士の動きは止まらない。

腰に提げていた剣に手をかけ、青騎士が初めてそれを抜き放つ。

鞘の下から現れたのは、鋭く研ぎ澄まされた真新しい刀身だ。

古城と零が飛び出して、それぞれ那月を庇うように立つ。

しかし青騎士の次の動きは、古城たちの予想を裏切るものだった。

振りかざした巨大な剣を、青騎士は優麻の胸へと突き立てたのだ。守護すべき対象であるはずの優麻へと。

「……ユウ......マ!?」

古城は呆然とその光景を見つめる。優麻の口から、ごぼっ、と鮮血がこぼれ出す。

「......お母様……あなたは,そこまで......」

自らの“守護者”に手を伸ばし、優麻が絶望の声を洩らす

彼女の胸には、深々と剣が突き刺さっていた。だが、優麻の身体を茸폰たはずの切っ先が、彼女の背中に現れることはなかった

優麻の肉体を空間転移の門に使って、剣をどこかに転送したのだ.

「待チワビタゾ....コノ瞬間ヲ。抜ケ目ナク狡猾ナ貴様ガ、ホンノ一瞬、気ヲ抜クノヲ」

顔のない青騎士が、錆びた声を紡ぎ出す。

それは女の声だった。歳を経た邪悪な魔女の声音だ

「ブービー-トラップ......か....自分の娘を、捨て駒にするとはな....外道め...」

那月が突然、蔑むようなうめきを洩らす。

彼女の息から漂う血の臭いに、古城は表情を凍らせて振り返った。

レースで美しく飾られた那月の胸元から、想しく無骨な鋼鉄の塊が生えていた。

青騎士の持つ巨剣の切っ先が

「南宮先生!」

「那月ちゃん!?」

「那月⁉」

あまりにも歪なその光景に、雪菜と古城、零は愕然と立ち尽くすしかない。

呆然自失の古城を少し怒ったように睨みつけ、那月が弱々しく笑う

「担任教師を....ちゃん付けで呼ぶな......馬鹿者」

人形のように小柄な担任教師の身体が、ゆっくりとその場にくずおれていく。

顔の無い青騎士の、不気味な笑い声が途切れることなく聞こえてくる。

あまりにも軽い担任教師の身体を抱きかかえながら、

 

「うおおおおおおおお─────っ!」

古城はただ声を嗄らして絶叫した

壊れかけの薄暗い聖堂に、第四真祖の咆哮が響き渡る



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観測者たちの宴
28話


厳重な生体認証とセキュリティチェックを終えて 超硬合金製の隔壁が開いていく。

通行証をかざしてゲートから出てきたのは、十代半ばほどの少女だった。

華やかな髪型に、センスよく飾った流行りの服装,整った顔立ちの女子高生だ しかし今は全身に疲れた雰囲気を漂わせて、せっかくの恵まれた容姿もくすんで見える。

「あああ......つ......かれたあああ......」

藍羽浅葱はそう呟いて、んぐぐっ、と力無く背伸びをしたビルの窓に反射する夕陽を眺め、寝不足気味の目元を覆う。

彼女がいるのは、絃神島のほぼ中心部 キーストーンゲートと呼ばれる巨大な逆ピラミッド

型の建物だ。周囲を武装した特区警備隊の隊員たちがうろつき、足止めされた市民や集まって

きた野次馬たちで、建物のロビーはごった返している。

島内でもっとも高いこの巨大ビルの屋上は,ほんの数十分前まで、メイヤー姉妹と呼ばれる

国際指名手配中の魔導犯罪者二人に占拠されていた。ようやくビルの封鎖が解除された今も

その影響が残っているのだ。

「ああもう、やってらんないわ。なにが哀しくて祭の日まで、泊まりがけでバイトしなきゃなんないのよ。どいつもこいつも人使い荒すぎでしょ!」

右手に握ったスマートフォンに向かって、浅葱が恨みがましく不満をたれる。それに答えたのは、弧亜であった

『悪かったな。お前とモグワイくらいしか頼れなかったんだよ』

その弧亜が、不意に声を潜めて浅葱に言う

『未登録増設人工島が出現してる。何か、嫌な予感がするんだ』

「はぁ?何?幻想郷の一部でも来たの?」

『いやぁ、そんなはずは無いんだがなぁ....』

「そんなの零とあんたで何とかしなさいよ。モグワイ貸すから」

そして浅葱は、弧亜が何か言う前にスマホの電源を切り、モノレール乗り場に向かう

 

 

 

 

 

 

「崩壊が始まったか....!」

零は呻きながらも、ポケットからペンを取り出す

起動確認(アクティブ)緊急脱出用転移魔術(ベイルアウト)!」

零が呟くと、零の手にあるペンが光輝いた

気が付くと古城たちは外におり、那月は消えていた

「な!?お前のポケットどうなってんだよ!」

「うるさい!んなことより優麻はどうだ?」

「...少し安定したよ」

古城が答える前に、本人が返答する

夏音が扇子を使い、傷を直したのだ

「......天血当主権限行使・休眠モード(スリープ)

零が告げるとほぼ同時。優麻はその場で寝息を立て始めた

「何をしたのですか?」

「優麻は魔力の使いすぎで疲れきってる。賢者ノ扇子(オールマイティー)で直せるのは体の傷だけだからな、心までは直らん」

「南宮先生はいったいどちらに...」

「その話は後だ、剣巫。阿夜が待てなそうだ」

古城が目を向けると、今まで見ていた聖堂ではなく、有刺鉄線に囲まれた建物──監獄が姿を現していた

「返してもらうぞ、娘よ」

「お母...様....?」

零は反射的にポケットから銃を取り出し、コマンドを告げる

「<起動確認(アクティブ)超電磁砲(レールガン)>。全カートリッジ排莢(フルバースト)!」

銃が電気を帯び、歪な音が響き渡る

「遅い、な。零」

「う....あああああああああっ!」

「優麻!?」

「優麻さん!?」

突如響いた優麻の声に振り返る古城と雪菜

「守護者を奪う気か!」

零が引き金を絞り、レールガンを打ち出すが、遅かった

「我とその娘は、同一の存在....。だからこそ、出来る」

古城はその場に倒れかかった優麻を抱き抱える

「チッ、他の魔導犯罪者共に今出てこられると困る。一旦退くぞ!」

零はそう言うと、転移魔術と同時にあるものを起動した

「スペル、波と海の境界線!!」

零が叫ぶと、零を中心に大量の球体が放たれる

阿夜はその威力を知るため、空間転移で逃げたようだが、他の魔導犯罪者はまともに受けた

「古城、優麻を頼むぞ。雪菜は夏音を!」

「お、おう」

「わかりました!」

「使いたくなかったが致し方あるまい。踊れ(こい)、十二番目の眷獣『消え行く幻想曲(ロスト・ファンタジア)』!」

そして古城たちは、空間に飲み込まれていった

「チッ、暴れたかったのによォ!」

シュトラDという男の叫び声が、夢から出された監獄に響き渡る



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29話

浅葱「で、何か思い出せた?名前とか名前とか名前とか」

 

浅葱が少女に問うが、少女は黙って首を振った

 

浅葱「じゃあ、お母さんの名前は?」

??「あいばあさぎ」

浅葱「どうしてそうなった」

 

浅葱はため息をつきながら言った

 

久遠「あ、やっと見つけたよ、浅葱」

浅葱「久遠じゃない。この子誰かわかる?」

 

久遠が店に入ってきて、浅葱の隣に腰を降ろす

 

??「お父さん!」

久遠「.....え?」

浅葱「さっきからこの調子なのよ。私をお母さんって呼ぶしね」

久遠「あー、なるほどね。もしかして、零と連絡取れないのと関係してるのかなー....」

浅葱「零と...?」

久遠「うん。まぁとりあえず、この子に名前を付けてあげようよ。名前無いと呼べないし」

 

久遠は少女にパフェを食べさせながら言う

 

浅葱「そうね。なら、サナでどう?」

久遠「ああ、やっぱり思った?」

 

久遠は苦笑しながら少女にパフェを食べさせてもらっている

 

浅葱「どこから見ても幼い那月ちゃんよね」

久遠「幼い那月だから、おサナ。サナってことでしょ?」

サナ「サナ....私の...名前...?」

久遠「君が思い出すまでだけどね」

 

そして久遠は浅葱にスプーンにのせたパフェを差し出す

 

浅葱「....?」

久遠「食べる?」

浅葱「う、うん」

 

浅葱は少し顔を赤らめながら、久遠の持つスプーンからパフェを食べた

 

 

 

 

 

 

零「危ない危ない、間に合った」

古城「いやどこだよここ」

零「俺の魔力で作られた世界だ。アーカイブ参照」

古城「なるほど把握した」

夏音「えっと、優麻さんは...?」

 

夏音は優麻に目を向けながら、零に尋ねる

 

雪菜「守護者を奪われた反動で昏睡してるだけだと思うよ」

零「さすがの俺にも、守護者を戻すのは難しいな」

古城「なぁ零」

零「言いたいことは少しわかったが何だ?」

古城「叶瀬の目...何で黒いんだ?」

夏音「えっ?」

 

夏音は古城の言葉に驚きながらも、扇子を取り出して日を起動。鏡として使って自分の目を見た

 

夏音「....?何故でしたか?」

零「能力を手に入れたんだろうな。おそらく、『第三の手』ってやつか」

古城「なるほど、能力の内容は名前から察した」

雪菜「後で教えてください、先輩」

零「さぁて、戻るか。消え行く幻想曲(ロスト・ファンタジア)、空間を開けろ」

 

零が言うのとほぼ同時。目の前にスキマが開き、そこを通り抜けるととあるビルの屋上に移動した

 

雪菜「!先輩、あれ!」

 

古城と零は雪菜が指差す方向を見た。そこには、大型ディスプレイによって、フェスタの様子が映し出されている

その画面の中に、見知った顔があった

 

古城「浅葱と久遠!?」

零「しかも隣にいるのは、那月だな。おそらく固有堆積時間(パーソナルヒステリー)操作の魔導書で子供に戻されてる」

夏音「それは大変でした。南宮先生はあの悪い人たちに狙われていますから」

零「あの映像を見られていたらアウトだ...!」

雪菜「先輩!」

古城「もう掛けてる...!」

浅葱『あ、もしもし?古城?』

久遠『古城から?珍しいね』

 

携帯が繋がり、浅葱と久遠の声が聞こえた

 

零「久遠!今すぐそこから立ち去れ!」

久遠『な...で?.....あっ...の...?』

 

突然電波が悪くなり、声が途切れ途切れになる

 

浅葱『誰よ...あんた...!』

零「くそっ、手遅れか...!」

 

零は古城の携帯を閉じると、腕輪に話し掛ける

 

零「神威!氷月に天血当主より、久遠の手助けを命ずると伝えろ!」

神威《伝達完了。氷月によると、あと二分で櫻坂当主の下に着くそうです》

零「よし、なら俺らは優麻を治すために、とある場所に移動しよう」

 

そう言うとスキマを展開し、古城たちを連れて中に入る

出たところには、古城の母親がいた



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30話

零「で、古城母。優麻を診てやってくれ」

??「了解。そっちの子は?」

古城「俺の後輩と零の許嫁だ」

雪菜「姫柊雪菜です」

夏音「叶瀬夏音、でした」

??「ふんふ〜?古城くんの本命は雪菜ちゃんなの?」

雪菜「ほ、本命!?」

古城「お袋....頼むから変なことを言わないでくれ」

??「まぁいいや。雪菜ちゃんと夏音ちゃんは優麻ちゃんを運び込んでくれる?」

雪菜&夏音「はい」

 

そして古城と零は、応接室のような場所で待つように言われ、待っていた

 

神威《顕現していいですか?》

零「愛を語らないならいいぞ」

神威《......もちろん》

零「何だ今の間は。まぁいい、顕現せよ『神威』」

 

零が腕輪に霊力を流し込むと、腕輪が光輝き零の腕から外れて、零の目の前で姿を変えた

その姿は、紅いロングストレートの髪に、彩海学園高等部の制服を着た美少女であった

 

古城「は?え?どゆこと?」

零「神威。神器の一つで、俺の従者だ」

神威「よろしくお願いします」

 

神威は45度の礼をしながら言った

その対応に古城は戸惑っている

 

古城「従者?あ、でも零ならあり得るか」

紗矢華「納得出来るんだ....」

零「む?あのはた迷惑なお姫様はどうした?」

紗矢華「一応、専用機までは案内したわ。そこから先はわからないけど」

零「ならいいが.....。古城、紗矢華の血を吸え」

古城&紗矢華「......え?」

 

零はその反応を待ってたかのようにニヤリと笑うと

 

零「これを見ろ。浅葱に計算させた」

古城「ホントにそのポケットどうなってるんだ?」

 

そう言いながら、二人はディスプレイを覗き込む

そこには、驚きの事実が記載されていた

 

古城「絃神島が...沈む可能性がある...?」

零「環境維持の魔術も軒並みダメだ。古城、肉体に違和感は?」

古城「....そういえば、体が重いな」

 

古城は、そう言いながら腕を回す

 

紗矢華「まさか、吸血鬼の魔力も...!」

零「ああ、そうらしいな」

優麻「お母様の...仕業だね....」

古城「優麻!?治療はどうしたんだ!?」

優麻「僕の血が...必要...だろうと思って...ね」

 

明らかに弱っているが、気丈に笑う優麻

古城は駆け寄り、優麻の体を支えた

 

零「古城、優麻の血を吸うがいい。そうすれば吸血鬼の能力が回復する」

優麻「古城....早く...あ、でも優しくね?」

古城「...ああ、わかった。ありがとう」

神威「ご主人様もどうぞ」

零「俺の呼び名は零だ、いいな?血は貰っておく」

 

狭き応接室に、二人のか細い声が響いた

 

 

 

 

 

久遠「で、君は誰?」

モグワイ『そいつはキリガ・ギリカだ。久遠なら知ってるだろ?』

久遠「....手加減無し。顕現せよ、『氷月』」

 

いつの間にか久遠の首にかかっていたネックレスが光り、大剣となった

浅葱は動くと危険だとわかっているのか、サナと一緒に久遠の後ろに隠れている

そして、久遠は自分の影に手を翳し、魔力(・・)を流し込む

そこからは、忘れ去られた吸血鬼──黒鉄が現れた

 

久遠「黒鉄、やるよ」

黒鉄「やっとか、待ちくたびれたぜ。俺と来い(狩れ)獅子の氷塊(レグルス・イーチェ)!」

 

キリガ・ギリカが炎の精霊で攻撃をする前に、黒鉄が凍り付けにした。それにより、監獄結界の魔術が起動し、キリガ・ギリカは虚空に溶けるようにして消えた



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31話

黒鉄「じゃあな」

 

黒鉄はそう告げると、久遠の影に入っていった

大剣はネックレスに戻り、久遠の首にかかった

 

サナ「今の人は....?」

久遠「気にしないで、サナちゃん。浅葱もね」

浅葱「会ったときから不思議くんな久遠に何を聞いても無駄でしょ?」

久遠「それもそうだね」

 

二人は笑い合った。が、突然久遠の顔が引き締まる

 

久遠「何のようかな、ヴァトラー?」

ヴァトラー「いやぁ、いいものを見せて貰ったヨ」

 

ヴァトラーは拍手をしながら近づく

久遠は無意識にサナと浅葱を後ろに庇う

 

久遠「別に褒めるために来た訳じゃないでしょう?用件は早めに済ませて欲しいのだけど?」

 

久遠を中心に、地面に亀裂が入る。神に戻る準備に入ったからだ

そんな久遠に笑いながら、

 

ヴァトラー「サナ、と呼んでたね。その子を僕の船で預かろう。街中で守るより、船の中の方が楽だろう?」

久遠「......今は信じていいんだね?」

ヴァトラー「もちろん。というか今まで信じてくれてなかったのかい?」

久遠「浅葱。サナちゃんと一緒に行ってあげて」

浅葱「あ、あんたも来なさいよ。二人だけで行けるわけないでしょ!」

久遠「ヴァトラー.....」

 

久遠は、ヴァトラーに少し頼るような目線を向けるが、

 

ヴァトラー「そうしていただこうかな」

久遠「裏切者!」

 

そう言いつつ、四人を空間転移でヴァトラーの船に移動させた久遠であった

 

 

 

 

紗矢華「で、どうなの?眷獣は目覚めた?」

古城「....まぁな。でも、完全じゃあなさそうだ」

零「ありがとな、神威」

神威「いえいえ。私こそありがとうございます」

 

零は、神威を撫でており、神威も喜んでいるようだ

 

紗矢華「わ、私のも吸う?」

古城「......は?」

紗矢華「吸血鬼の能力が戻ったなら、吸えるわよね?」

古城「ま、まぁ吸えるが、いいのか?」

紗矢華「いいわよ。一回も二回も変わらないし」

古城「そうか....ありがとな」

 

そして、紗矢華のか細い声が零の耳に届いた

 

 

 

 

 

 

深森「零!古城くん!雪菜ちゃんと夏音ちゃんは!?」

古城「お袋んとこ行ったろ?」

深森「それが、気付いたらいなくなってて....」

零「.....学校に結界が出現してる。その中に夏音につけた式神がいる」

古城「つまり」

紗矢華「誘拐された....?」

神威「そのようですね。櫻坂当主には護衛を任せて、私たちで行きましょう」

零「ああ。深森さん、紗矢華。優麻を」

深森「わかった。よろしくね?」

紗矢華「不本意だけど、従ってあげる」

零「うむ」

古城「お、おう」

 

 

 

 

 

 



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32話

それは幼き時の那月と、若き時の阿夜、そして現在も変わらない零の思い出であろうものだった

 

 

那月「やめておけ、阿夜。お前では私たちには勝てない」

零「阿夜、罪を償って出てこい。そしてまた三人でバカやろうぜ」

阿夜「お断り、だ...。まだ、終わってない」

 

阿夜は守護者に攻撃を命じるが、那月の守護者と零の守護者(・・・・・)に防がれる

 

零「俺の守護者に勝てるとは思いなさんな」

那月「阿夜....すまん」

 

那月が謝ると同時に、虚空から何本もの鎖が飛び出し、阿夜を拘束した。すると、阿夜の守護者が消え、阿夜自身も虚空に溶けるようにして消えた

 

那月「.....零」

零「....何だ...?」

那月「私は眠りにつくのだろう?」

零「...契約通りなら、そうだな」

那月「忘れられるというのが、こんなに複雑だとはな...」

零「俺は忘れない。血の従者を忘れるほどのバカではない」

 

那月はフッ、と笑い

 

那月「そうか...私の主はそういう吸血鬼(ヒト)だったな」

零「ククッ、悪かったな」

那月「.....」

零「.......」

那月「私は行くとしよう」

零「ああ、それがいいな」

那月「ふふん、そう悲しそうな顔をするな。全ては零に始まるんじゃないのか?」

零「だが、全ては零に終わるんだ....」

那月「なら、血の従者からアドバイスだ」

零「.......全ては零に始まり」

那月「無限大に広がる」

 

そして那月が虚空に溶けるように消えていく。消える寸前に、零に聞こえないが、夏音には聞こえるようにこう呟いた

 

那月「ありがとう、私の主....」

 

零「いつか会おうぜ」

那月「もちろんだ」

 

そして那月が虚空に溶けるようにして消える

後には零しか残っていない。すると、零がふと、こちらを見つめた。夏音と雪菜を

 

零「これが俺の過去だ、夏音。これを見ても、俺を好きでいてくれるか?」

夏音「もちろん、でした」

 

そして夏音の意識は夢から覚めた──はずだった

 

夏音「ここは....学校でしたか?」

 

夏音が体を起こし、呟く

目の前には、零がいた

 

零「どうした、夏音?眠いのか?」

夏音「零さん、でしたか....」

雪菜「魔導犯罪者たちは、どうしたんですか?」

古城「魔導...犯罪者....?」

零「どうした雪菜?錯乱してるのか?」

紗矢華「雪菜?熱でもあるの?」

 

零と古城、紗矢華も、演技をしている様子はない。そこで雪菜と夏音は気づいた。ここは、魔術で再現された夢なのだと

 

零「さっさと帰るぞ、夏音」

古城「姫柊も帰ろうぜ」

紗矢華「羣雲もだけど、部活入らない?弓道部、人少ないのよ」

古城「それ、毎日聞いてるぞ」

零「俺が入ったらただのチートだろうが....」

 

夏音と雪菜は、少し黙ったあと、目を見合わせて頷いた

 

零「夏音...?」

古城「姫柊...?」

紗矢華「雪菜...?」

夏音「確かにこんな世界もあり得たかもしれません」

雪菜「魔術が存在しない世界....そこでなら、安全に暮らせたでしょう」

 

でも、と二人は続ける

 

夏音「それが無ければ、出会えなかったはずでした」

雪菜「こんな日常、私たちは望みません!」

 

雪菜は雪霞狼を、夏音は炎月(扇子)を掴んだ。見えなくとも、そこにある

 

夏音「炎月!」

雪菜「雪霞狼!」

 

二人が叫ぶと、雪霞狼と炎月が姿を現し、その幻想を破壊した

 

そして、現実世界にて、阿夜と対面する

 

阿夜「........望むなら、今のを現実に出来るぞ?」

雪菜「望みません。私たちは、この世界でいいです」

 

そのとき、聞きなれた声が響く。すなわち、零と古城の声が───

 

 

 

 

 

 

 

 

零「夏音を誘拐したこと、後悔させてやる」

神威「ご主人様の最愛の人を誘拐するとは、命知らずですね」

古城「二人とも、その笑顔怖い」

 

古城が言い終わらないうちに、零がポケットから指輪を取り出す

それを神威の豊かな胸元に翳すと、足元に魔法陣が展開した

 

零「この上に乗れ。神威、腕輪に」

神威「はい。顕現解除」

古城「上に?」

 

古城は魔法陣の上に、神威は腕輪となって零の腕に移動した

そして、魔法陣が上がり、顔を通りすぎると、目の前に学校があった

 

 

零「ほら、古城。あいつを」

古城「ああ。疾く在れ(きやがれ)龍蛇の水銀(アル・メイサ・メルクーリ)!」

零「狂え(こい)妖櫻の真髄(レイ・ガーディアン)!」

 

零は妖櫻の真髄を正式な名前で召喚し、古城は龍蛇の水銀(アル・メイサ・メルクーリ)を召喚した

そして、召喚したときの声は雪菜たちに届き、二人の眷獣は学校を覆っていた結界を消し飛ばした



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33話

阿夜「我の結界を、壊すか...自分の家に、土足で入られた気分だ、な」

零「言っとくが、ここは俺らの学校だ。不法侵入は阿夜だろ」

阿夜「.....確かにそうだ、な」

古城「納得するのか....」

那月「ふふん、阿夜は物わかりがいいからな」

 

雪菜と夏音は絶句している

隣にいたはずのサナが、那月の口調で話始めたからである

 

零「阿夜、諦めろ。罪を償ってこい」

阿夜「まだ、終わりではない、ぞ?(ル・オンブル)...!」

零「....もう休め、阿夜。那月のためとはいえ、やりすぎだ」

阿夜「....!」

雪菜「監獄結界という魔術のために捕らわれ続ける南宮先生のため....だったんですね」

 

そして夏音が、炎月を起動する

 

夏音「火の陣、でした」

阿夜「....っ!」

 

すると、雪菜たちを捕らえていた檻が溶けた

 

零「阿夜....否、我が血の従者よ。ありがとう。もう休め」

 

零はそう言うと、左手を左に向け、那月は扇子を開き、阿夜に向けた

 

那月「起きろ、輪環王(ラインゴルト)

零「起きろ、影環劫(ラインオンブル)

 

零の声は静かでありながら、阿夜を思う暖かいものだった

これだけのことをやった阿夜は、普通に裁判にかけられると、死刑は確実。ならば、那月が──親友がいる世界で、親友がいる結界で過ごさせたいという心意気であった

 

古城「那月ちゃんと同じ....!?」

 

古城の言葉通り、零が出した守護者(・・・)は、那月の守護者と、ほぼ同じであった

違うのは、色。那月の守護者は金色なのに対し、零の守護者は、黒。(ル・オンブル)の色であった

 

阿夜「私は...私は....!まだ、終わりでは...ない...!」

 

阿夜が黒き炎に包まれる。零の攻撃かと思われたが、違った

 

零「ロスト...!?」

那月「阿夜...!」

 

二人は声をあげた。が、少し震えているようだ

同じ魔女──守護者の所有者にはわかっているのだ

この、自分の魂を守護者に喰わせ、膨大な力を手にする『ロスト』の恐ろしさを

 

久遠『零!まだ、救えるでしょ!』

 

そのとき、久遠の声が、神威から聞こえた

零は反射的に能力を起動した

 

零「天血当主権限行使・七式突撃降魔機槍<鎧>!」

 

神格振動波駆動術式を全身に纏う

そしてそのまま阿夜に駆け寄る

阿夜は零に攻撃を仕掛けるが、那月が打ち落としているのを確認しながら、零は阿夜を抱き締める

 

阿夜「....!!?」

零「すまなかったな、阿夜。お前にばかり負担を押し付けて。だが、これからは俺も負担しよう。二人....否、三人で那月を解放する手段を探そうぜ」

阿夜「....わかった、から....離せ」

零「あ、すまん」

 

阿夜は照れているのだろうか、顔が赤い。そして、悲しそうな顔をする

 

零「悲しそうな顔をするな。俺たちからすればすぐにまた会える。今度は合法的にな」

夏音「そのときは、優麻さんも一緒、でした」

阿夜「......わかった。ありがとう、な」

 

そして、阿夜の周囲の地面から鎖が飛び出す

監獄結界のシステムが、阿夜を連れ戻そうとしているのだ

 

那月「阿夜、どうせどこでも私たちは一緒だ」

阿夜「そう、だな...」

 

阿夜はふっ、と笑って、二人に聞こえないようにこう呟いた

 

阿夜「ありがとう、我が主。否、我が友人たちよ」

 

そして学校にかかっていた結界が解除され、古城が霧化させていた島が、元に戻った

 

阿夜「零に始まり、無限に広がる、か...その通りだ、な」

 

阿夜の体が、虚空に溶けるように消え、そこには何もなかったかのような錯覚を覚える

だが、零は阿夜が残したモノを身に感じていた

零が昔欲しがっていたネックレスと、(ル・ブルー)──優麻の守護者である

 

零「さぁて、祭りの最終日だ!楽しんでいこうぜ!!」

古城「お、おう?」

夏音「はい」

雪菜「そうですね」

 

零は遠隔操作で、優麻に守護者を戻し、無理やり作り出した元気を用いて振り向くことなく言った

 

零「あー。夏音、古城、雪菜。ちと忘れもんしたから先にここ行っといてくれ」

 

そう言いながら、零は地図を古城に手渡す

そこには、港の付近に丸が印されていた

 

古城「わかった、遅れるなよ?」

夏音「待っています」

雪菜「では、失礼します」

 

三人は、夏音の炎月で先に行った

 

零「..........」

那月「........」

零「......なぁ、那月」

那月「二人だけのときくらい、ちゃん付けでいいぞ?」

零「そうかい...那月ちゃん、従者契約、切るか?」

那月「切らぬよ」

 

さも当然といった顔で那月が答える

 

零「だけど.....」

那月「皆まで言うな。それに、どちらにせよ私は不老不死だ」

零「....それもそうだね」

那月「ほぅ?どうした?口調が昔のようになったな?」

零「ちょっと安心したよ」

那月「そうか.......」

 

そしてまた二人は黙ってしまう。別れを惜しむように

まだ語り足りないというように

 

零「そろそろ古城に怒られるな」

那月「そうだな」

 

二人は、那月の空間転移で地図に示した場所に移動する

そして、到着とほぼ同時に花火が上がった

 

古城「遅いぞ、零、那月ちゃん」

雪菜「私たちもさっき来たばかりですけどね」

 

古城は気だるげな顔で。雪菜は苦笑いで迎えてくれた

 

那月「教師をちゃん付けで呼ぶな!」

夏音「零さん!」

 

古城は那月に扇子で叩かれ、夏音は零に抱き付く

 

零「か、夏音!?」

夏音「一人で抱え込んではダメ、でした。零さんが教えてくれたこと、でした」

 

夏音には気付かれたようだ。零にとっての、最愛の人には

そして、零もまた、那月の心情を察していた。察してしまっていた

だからこそ、何も言わない

 

零「...ありがとな、夏音」

夏音「大丈夫でした」

古城「那月ちゃん、もう戻るのか?」

那月「ああ。戻らなければなるまい」

古城&夏音&雪菜「........」

零「また会えるだろ」

那月「ああ、その通りだ」

古城「けど、それは」

 

本物ではないと言いかけて、やめた

零と那月に、現実を突きつけてしまう気がしたからだ

 

夏音「那月先生は、零さんを」

那月「おっと、気付かれたなら仕方ないが、言うなよ?」

夏音「は、はい...」

零「おい古城、お前のせいで聞き逃したぞ!絶対大事な話だったのに!」

古城「知らねぇよ!俺が言いてぇよ!」

 

古城と零が怒鳴りあっている。それを見て那月は、零と怒鳴りあった日々を思い出した

そして、覚悟を決めたように後ろを向く

 

那月「月曜日の授業にはちゃんとこいよ?暁古城」

古城「まぁ、わかってるけどよ」

零「そういえば、俺は一応、大学出てるぞ」

古城「嘘だろ!?」

那月「ふふん、まぁ頑張れよ、あほつき古城」

古城「那月ちゃんまでそう呼ぶな!」

那月「では、月曜日にな」

零「ああ、そうだな」

古城「補習は嫌だから行くぜ」

 

そして那月は空間転移で移動した

監獄結界という、今の居場所へと

 

雪菜「先輩....」

古城が振り向くと、目の前に雪菜がいた

古城と雪菜は、黙ったまま、至近距離で見つめあう

ふいに、雪菜が話始める

 

雪菜「私のいないところで、変なことはしないでください!ちゃんと私の傍にいてください!」

 

あまり感情を表に出さない雪菜にとって、その言葉は精一杯の本音なのだろう。古城は真面目に反省した。たしかに、今回は雪菜に心配をかけすぎたかもしれない。しばらくは大人しくして彼女の言うことを素直に聞いておいたほうがいいだろう

 

古城「傍にいろって......花火大会が終わるまでってことか?」

 

どれくらいでほとぼりが醒めるのかわからなかったので,いちおう参考のために訊いてみる。

雪菜は、びっくりするくらい大きな瞳で古城をじっと睨みつけ、きっぱりと答えた

 

雪菜「この先もずっとです!」

 

いやさすがにそれはちょっと、と古城はたじろぐ。だが、反論することはできなかった。

なぜなら古城たちのすぐ近くで、人々がどよめく気配がしたからだ。

怪訝顔で振り向いた古城たちが見たのは、呆然と立ち尽くしている友人たちの姿だった。絶

え間なく続く花火の轟音で、彼らの足音に気づくことができなかったのだ

 

紗矢華「.....ゆ、雪菜....!?ずっと傍にいて...って、それってまさかプロポー....」

 

蒼白な顔で呟いたのは、紗矢華だった。え、と戸惑うように訊き返す雪莱たちに聞こえていたのは、古城たちの会話の後半部分だけらしい。

 

浅葱「そ、そう......まさか、正攻法で来るとはね......やるわね......」

 

動揺しつつも、なぜか闘志を燃やし始めているのは浅葱だ。雪菜を見つめる彼女の目つきは、

宿敵に遭遇したスポーツ選手のそれによく似ていた

 

雪菜「あ、あの......待ってください。今のは、その......」

 

さすがに誤解されたことに気づいて、雪菜があたふたと取り乱す。しかし、なにしろ事情が複雑なので、説明するのが難しい。

矢瀬と倫が、そんな雪菜の様子を面白そうに眺めている。

そして浅葱たちの背後にいた凪沙は、なぜか頰を赤らめて雪菜を見つめて、

 

凪沙「雪菜ちゃん...…大胆」

雪菜「ち、違? .....だ、だから......わたしは先輩の監視役として......違うんですっ!J

 

雪菜の絶叫が夜空に響き渡る 投げやりな気分で頭上を見上げる古城。笑いながら神威を顕現させる零

それを遠くから見ているみょんと羣雲、それぞれの刀である翠漣と禍

六者六様の反応を見せながら、花火大会が幕を閉じる

零は、笑いながらもあることを考えていた

 

零「(昔もこんなことがあったな。さしずめ、俺が古城で雪菜が那月ちゃん、凪沙が阿夜ってところか)」

那月「(そうだな。あれから、私以外は成長してしまったものだ)」

 

いつの間にか、那月の実体のある分身が隣にいた

 

那月「(昔のように、三人で話が出来る日が来るといいがな)」

零「来るのなんて待ってられっか!俺が作ってやらぁ!」

古城「おぉう!?どうした零!?」

零「うるせぇ!黙れ!イチャイチャしてろ!」

古城「してねぇし散々な言われようだな!」

那月「さて、と。全ては零に始まり」

 

零、古城、夏音、雪菜は答える

 

四人「無限に広がる(でした)」

 

夏音は零に抱き付き、古城はクラスの男子に捕まった

 

羣雲「ハハッ、俺が知らない過去だな」

みょん「十年前らしいよ?」

羣雲「嘘だろ!?何で知らねぇんだ!?」

みょん「多分、那月さんと同じように、幻影使ったんじゃない?」

羣雲「あのやろう!」

禍「クカカカカ!」

翠「ふふっ♪」

 

そして、羣雲は告げる

 

羣雲「幻想郷に帰るか。これなら大丈夫だろ」

禍「いつか呼ばれるぞ?」

羣雲「俺らはな」

みょん「そだね」

翠「ですが、残ります」

 

羣雲と禍は面食らったようになり、笑う

 

羣雲&禍「そうだろうな」



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錬金術師の帰還
34話


零「夏音、買い物行くか?」

夏音「はい。研修旅行のモノも買わないといけないので」

零「研修旅行って明後日だろ?まだ買ってないのかよ」

 

そう言いつつ立ち上がった零の首には、阿夜に貰ったネックレスがかかっている

 

神威《買い物ですか?私も行きたいです♪顕現した状態で!》

零「わかってるさ。顕現せよ、神威」

 

神威が光輝き、現世に顕現した

その服装は、浅葱がよく着ている勝負服というものに似ていた

零は華麗にスルーしつつ

 

零「夏音、私服あるよな?」

夏音「はい」

那月「私も連れていってもらおうか」

零「金そんなにねぇぞ、那月?」

那月「ふふん、公務員をナメてもらっては困る」

零「そうかい。何で公務員様が生徒と買い物に行くんだろうな」

那月「鈍感は殺されるぞ」

零「古城とかな」

 

そう言いながら零は携帯を取りだし、ある人物たちを呼び出した

 

 

 

 

 

 

羣雲「......遅い」

みょん「それな」

翠漣「呼び出しておいてこれとは....さすがは零番目ですね」

禍「まぁそんなもんだろ。あの櫻の守り神(ブラスター)はな」

 

そのとき、禍の体が宙に浮いた

 

零「ほほぅ、それを他言するとは良い度胸だなぁ?」

禍「HA☆NA☆SE!!」

羣雲「おせぇぞ、零」

零「うるせぇ女性陣の支度がなげぇんだよ」

那月「今さらっと責められたか?」

零「痛いから!!アイアンクローはやめろ!」

 

零は那月にアイアンクローされている

神威は助けることが出来ないようだ

 

零「さて、と。行くとしようか」

禍「わかった!わかったから降ろせ!」

 

零は禍を放し、禍は翠漣と。零は夏音と。羣雲はみょん、那月と歩き出した

 

 

 

古城「零じゃねぇか」

零「あ?古城か、誰かと思った」

古城「ひでぇ....。お前もあれか、研修旅行の買い物に付き合わされてるのか」

零「似たようなもんだ」

那月「零からだろうに」

零「そうだけどさ」

 

古城と鉢合わせ、尚もショッピングモールを回り続ける

服や鞄、洗面道具を探しているようだ

 

零「おう広すぎやしねぇか?」

古城「そうだな。魔力使って探すか?」

雪菜「それは羣雲先輩にやれってことですか?」

古城&零「もちろん」

羣雲「おうコラてめぇそのために呼びやがったな?」

零「それだけじゃないけど、今はそれを」

羣雲「.......四階に全部あるぞよ」

零「アイアーイ」

 

そして、零は途中ではぐれたふりをして壊された増設人工島に転移する

 

零「お前は...誰だ?」

??「六刃神官、とだけ言っておきますわ」

??「六刃神官、としか言えませんね」

零「で?何しにきた?」

六刃神官A「貴方を殺しに来ましたの」

六刃神官B「大人しく死んでください、狂鳴焔櫻の守護神!」

零「はぁ.....んじゃまぁ、殺すか」

 

零は自分の眷獣を出さずに、いつの間にか腕に付いていた神威に触れる

 

零「疾く在れ(きやがれ)妖姫の蒼氷(アルレシヤ・グラキエス)

 

すると神威が光輝き、上半身が人魚、下半身がセイレーンという───第四真祖の眷獣が姿を現した

そして、増設人工島は、完全に沈み、怪奇現象としてしばらく噂になったのだった



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35話

焔光の宴編は、原作通りに事が進むので、全カットになる予定です
メタい話、原作と大幅に被るとダメなので、全部被ってるものを出すのは完璧にアウトなので.....すみません
では、本編へどうぞ!


古城「何であいつらは男子がいるのに下着を買いに行くんだろうな」

羣雲「知らん。零はそれを察して逃げたんだろうな」

 

凪沙たちは、古城と羣雲を店の外に残し、下着を見に行ったようだ

ボーッと待ち続ける羣雲と古城に声を掛ける存在がいた

 

??「どーも」

古城「ちっす」

羣雲「よぅ」

 

ただし、互いに知らないようだ

 

??「さっきの銀髪の子、かわいいね。君たちの彼女?」

古城「いや、俺らのじゃない」

羣雲「俺の家族の許嫁だ」

??「え....?現代において許嫁って存在するの...?」

古城「そういうの専門じゃないからわからんけど、互いに合意してれば良いんじゃないか?」

??「そういうものなんだね」

羣雲「で、お前は誰だ?」

??「そんな某映画みたいに言わなくても....。僕の名前は天塚汞。心理の探求者みたいなものだよ」

 

その瞬間、天塚汞の右腕が鈍く光り、同時に羣雲の右腕が明るく輝く

 

羣雲「翠漣、さすがだ...!」

汞「....へぇ、今のを防ぐんだ。もしかして、君が噂の模倣スル真祖(ブラッド・レイ)かな?」

羣雲「そうだ」

 

羣雲は顕現解除した翠漣で飛来した液体を消し飛ばし、汞に刃を向けた

 

羣雲「まだやると言うなら、相手するが?」

汞「止めておくよ。まだやってないことが多いんだ」

 

そういうと天塚汞は、古城たちがいる方向とは真逆に向かって歩き出した

 

 

 

零「さて、と。増設人工島沈めちまったが、まぁいいか」

那月「いいわけないだろう!」

零「いてぇ!?」

 

キーストーンゲートの屋上で、増設人工島が沈んだ場所を見ていた零は、突如背後に現れた那月に扇子でしばかれる

 

零「なんだよ見てたのかよ。そんなに俺が好きか?」

那月「.....そんなわけないだろう」

零「知ってるさ」

那月(知らないじゃないか)

零「那月、時雨桜って知ってるか?」

那月「....ああ、知ってる」

 

零は那月の目を見た。否、那月に目を見せた

そこには、刀が映っていた

 

那月「これは...?」

零「俺自身だ。時雨桜を護るために作られた俺の本体だよ」

 

那月は絶句し、驚愕する

 

零「そして、久遠が時雨桜だ。俺はあいつを守るための道具......」

那月「なるほどな....」

 

那月は零の隣に移動し、身を寄せる

零は一瞬驚きながらも、抱き締めた。那月は抵抗しないようだ

 

零「....いい従者を持ったものだ、俺は」

那月「従者かどうかなど関係無いさ」

 

そういいながら、那月は零の唇を奪った

零は驚きつつも、抵抗しない

那月は零の唇から、自分の唇を放して、

 

那月「すぐにとは言わんよ。阿夜もいることだしな」

零「阿夜が何故出てきたのかは知らんが、わかった」

 

そして二人は、空間転移で古城たちの元に戻った

 

 

 

 



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36話

零「姫柊雪菜、獅子王機関への出頭を命ずる」

雪菜「は、はい!」

 

零は、雪霞狼を宿泊研修の間封印するために、雪菜を獅子王機関の詰所のような場所に呼び出した

 

縁「はぁ、また零だね?」

雪菜「はい。宿泊研修の間は、第四真祖の監視任務から外す、だそうです」

縁「全く、自分でやれってんだ。ふむ、技は荒いが、刃筋は悪くない。が、少し霊視に頼りすぎてる部分があるのが気になるね。教えたろ?剣巫は剣にして剣にあらず、巫にして巫にあらず──未来(さき)を見て流されてるだけでは半人前さ」

雪菜「はい、師家様」

 

師家、と呼ばれた存在は、猫である。否、猫は式神であり、猫を操っている術者は高神の杜にいる

そこに突如、零が現れる

 

零「わりぃ遅れた」

縁「遅れた、じゃない!呼び出しておいて遅れるとは何事か!」

零「悪かったって。さてと、槍は確かに預かった。現時刻を持って、第四真祖の監視任務から解く。たまには中等部のやつらと戯れてこい」

雪菜「で、ですが四聖様。第四真祖を放置するのは、いかがなものかと...」

零「そうか...。どうせ見てるんだろ、久遠?」

久遠「ほいほーい。第四真祖の監視任務、一時的に引き受けるよ」

零「任せる」

 

虚空から突然久遠が現れ、雪菜の隣に立つ

反対側には、女性がたっていた。否、女性というよりは女子である

 

月「今すっごい失礼なことを言われた気がしたわ」

一樹「気のせいだ、うん」

雪菜「えと、この方々は...?」

零「夜桜一樹と、暁月夜。久遠は俺の家族で、月夜は古城の義妹だ」

雪菜「後で少しお話をしましょう」

縁「雑談してる暇があったらとっとと支度しな」

雪菜「は、はい。失礼します」

零「じゃあな、縁」

久遠&月「......」

 

そして、全員が出た後

 

縁「.....誰のことを話していたんだろうね?」

 

 

 

宿泊研修1日前

 

零「夏音、歯ブラシ入れてねぇぞ。あと着替えは念のために一着多くしておけ」

夏音「はい」

那月「お前は叶瀬夏音の母親か」

零「違うわ!」

 

零は荷物を積める夏音を見つめながら答える

 

零「俺は行けなかったからな。あいつにゃ楽しんで来てもらいたいのさ」

那月「やれやれ。言い忘れていたが、お前は臨時教師としてついて行くことが職員会議で決まった」

零「何で土壇場で言うんだよ!?」

 

そういいつつ虚空から鞄を取りだし、荷物を積める零

 

那月「仕方ないだろう。決まったのは今日の職員会議だ」

零「もっと早くにやれや!」

夏音「零さんも行くのでしたか?」

零「半強制的にな」

夏音「よかった、でした。安心できますから」

零「そうか」

 

嬉しそうな夏音を見てから、那月に目線を向ける

 

零「那月、古城と久遠のこと、任せるぞ」

那月「元よりそのつもりだ、任せておけ」

零「ありがとう」

 

そして三人は眠りにつき、宿泊研修当日となる



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37話

零「あー、今日だけ臨時教師として随伴することになった、高等部一年の天血零だ、よろしく」

 

零が出発セレモニーで自己紹介をした瞬間、黄色い声が飛び交う

零はそれを華麗に無視して、教員が集まっている場所に移動する

 

零(職員共め....こうなるのがわかっていやがったな...!)

 

そう思うのも当然である。教師の大半は、知っていたかのような顔をしているからである

 

教員「えー、今回は、天血先生が」

零「俺を先生って呼ばせるんじゃねぇよ!」

教員「天血先生が君たちと行動するので、彼の指示に従うように」

零「てめぇら楽したいだけだろ!」

女生徒A「天血先生」

零「....なんだ」

 

零は半ば諦めたように答える

 

女生徒A「どこの班にきますか?」

零「どこにもいかねぇよ!?聞いてたか!?全員見なきゃいけねぇんだよ!」

 

その瞬間、またどよめきが起きる

さっき話していた教員が、零に目線を向ける

零はため息をつきつつ、

 

零「ほら全員黙れ。さっさとバスにのれ。フェリーまでの時間は限られてるんだ」

 

鶴の一声ならぬ、零の一声である。女生徒の全員がバスに乗り始め、男子生徒も釣られて乗り込む

 

零「俺はどのバスに乗りゃあいいんだ?」

教員「自家用車で」

零「学生を何だと思ってるんだ!」

 

そう言いつつ隣に魔法陣を展開し、そこから大型バイクを取り出す

それを見て女生徒が騒ぎ立てる

それに耐えられなくなり、零は一足先にフェリーに向かった

 

零(ついさっき、霊血が奪われたと報告が入った。つまり、天塚汞がくる可能性がある。ワイズマン復活のためにな)

 

バイクでフェリー乗り場に向かいながらそんなことを考える

そして、バイクのヘルメットに付けたハンズフリーである人物に電話した

 

零「つー訳で、頼む」

ラ・フォリア「了解です」

 

 

 

そして、フェリーに乗り込んだ中等部とその教師&零

絃神島を出発し、東京に向かう

零の回りには、女生徒がたかっていた

 

零「.....夏音、助けて」

夏音「無理、でした。頑張ってください」

 

そう言い残して、夏音は甲板に出てしまう

 

女生徒A「夏音ちゃんとはどんな関係なんですか?」

零「許嫁だ」

女生徒一同「えぇ!?」

零「うるさい、次」

女生徒B「ど、どうやって夏音ちゃんと出会ったんですか?」

零「修道院で猫の世話をしてるのを見て、惹かれた(といっておこう)」

女生徒C「あれ?今何か大人の思考が聞こえたような...」

零「気にするな」

 

そんな他愛ない会話をしていると、大きな衝撃が船を襲う

 

零「この感じ....前方か!全員船の後ろに避難しろ!教員共、こいつらは任せるぞ!」

教員「き、君はどうするのかね!?」

零「前にいるやつらを避難させる」

教員「り、了解した。任せたぞ」

零「言われなくても!」

 

そして零は、スキマを使い、船体前方にいる汞の元へと向かった



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38話

零「やっぱりお前か、天塚!」

汞「こっちのセリフだよ、兄弟子!」

雪菜「....え?」

零「賢者の霊血(ワイズマン・ブラッド)を師匠に返せ、天塚」

汞「お断りだよ。ハードコア、持ってるんでしょ?」

 

そう言われると、零は虚空から深紅の球体を取り出す

 

神威《私も戦います》

零「ああ、もちろんだ」

 

零が言った瞬間、天塚汞が自身の腕を金属に変え、刀のようにして斬りかかってくる

が、神威から発せられる魔力に驚き、後退する

 

零「良い判断だ、天塚」

神威《いきますよ》

零「疾く在れ(きやがれ)妖姫の蒼氷(アルレシヤ・グラキエス)!」

 

アルレシヤ・グラキエスが神威から出現し、天塚汞を襲う

倒したかのように見えたが、どうやら偽物だったようだ

 

零「くそっ!こいつ、逃げ足だけは早いな!」

神威《となると、これでは勝てませんね》

零「ああ。そうなると、どうするか....(まだか、ラ・フォリア...!)」

汞「何を待ってるかは知らないけど、僕の勝ちだ!」

 

汞は、持っていた骸骨に見える何かを、海に投げる

 

零「まさか...フェリーに来たのは霊媒が目的じゃなく...!」

??「海に入ってる貴金属だろうよ」

零「!?」

神威《あ、貴方は、一樹(いつき)様!?》

一樹「久しぶり、でもないか。まぁいいや、今はあれを倒すぞ。零、汞を頼む」

零「了解。いくぞ神威」

神威《はい!》

 

神威が光り輝き、大太刀に変化する。この大太刀こそが、神威の本来の姿である

そして一樹は、体に数字を纏った

その数字たちは、一つの銃を型どった。その銃とは、七十五式宴喚銃(バンケットコーラー)と呼ばれる銃だ

その昔、最大出力で撃った際に、星を消し飛ばしたとされる銃である

 

賢者(ワイズマン)「クカカカカカカ!不完全ナ存在ガ何ヲ出来ルトイウノダ!」

一樹「こうするんだよ」

 

一樹は最小の出力に設定し、七十五式宴喚銃を撃った

 

賢者「クカカカカカカ!効カヌヨ!」

一樹「いや、終わりだ」

 

そういった瞬間、賢者の体が液体化していく

まるで時間を巻き戻すかのように

 

賢者「ヌゥ!?完璧デアル我ガ負ケルノカ!」

一樹「時間に逆らえるとは思わないことだ。幻想は幻想のままにしておくんだね」

 

一樹は振り向き様にそう告げ、賢者の体が崩壊するのと同時に霧散した

 

零「汞ぅぅぅぅ!!」

汞「零ぉぉぉぉ!!」

 

二人の腕が交錯する。そして、二人は舞い踊るかのように互いを斬りつけ合う

二人が同じように斬りつけ、同じように受け止める

それが、ずっと繰り返されていた

 

零「はぁ...はぁ...はぁ...」

汞「はぁ...はぁ...はぁ...」

零「なんでてめぇはこんなにタフなんだよ!」

汞「君に言われたくないよ!いくら真祖とはいえおかしすぎる!」

 

そして二人は、同時に賢者を見る

そこでは、何もいなかった。一樹が倒したのだろうと予測できる

 

零「はぁ...まだ...やるのか?」

汞「いや...はぁ...やめておくよ。やる理由が無くなった」

零「そうかい。はぁ...楽しかった」

汞「なら、よかったけど」

 

そして虚空から、ある人物が姿を現す

 

那月「零、後輩どもを見てやれ」

零「あ、ああ。わかった」

 

那月「さて、天塚汞と言ったな、お前を監獄結界に送還する」

汞「構わないよ」

 

汞がそう言うか言わないかで鎖が出現し、汞を絡めて虚空に消える

 

那月「一樹とやら、お前は何を求めているんだ...?」

 

 

 

零「わかったから、ちと並べ!」

 

零にはなぜか女生徒が集まっている

そう、推進機関が壊れた船の代わりに、アルティギアの飛行船で本土に行くことになったのだ

なったのだが....

零「ラフォリア!何で俺が上にあげるんだよ!」

ラフォリア『勤務外労働になってしまいますので』

零「よし覚えてろよ、後で嫌がらせのメール送ってやる」

 

そう言いつつ女生徒を1人1人抱え、飛行船まで往復していた

 

零「ったく、俺が零に還りそうだ」



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黒の剣巫
39話


古城「......暇だな」

零「よし暇ならこれ行こうぜ」

 

そういいつつチケットを机に叩きつける

当然、机は真っ二つである

 

零「行くよな?」

古城「ああ、行く。行くけど後で机買っとけよ?」

零「わかったよ。夏音どうする?」

夏音「あ、はい。行きたい、でした」

零「はっはっは!こんなこともあろうかと、五枚持ってきたぁ!」

 

そう言いつつ、チケットを普通に机(だった何か)に置く

 

零「よし、雪菜と古城、俺と夏音、あとは那月?」

那月「ふむ、よかろう。その前に私と付き合え」

零&古城「どっちだそれは」

那月「仕事だ、阿夜の件のな。チケット、もう一枚用意しておけ」

零「はいよ」

 

そういって二人は、それぞれがそれぞれの空間制御で移動した

 

 

 

 

 

 

 

 

那月「と、言うわけだ。いいか?」

担当官「じょ、上司を呼ばせてください」

那月「構わん。が、早めに頼むぞ」

 

阿夜解放のために、那月は人工島管理公社に来ていた

 

羣雲「何か用か?那月」

那月「上司というのはお前か。なれば話は早い。私と零、阿夜の三人でLCOの残党狩りをやる代わりに、阿夜を解放してやりたい」

羣雲「.....阿夜とやらがやらない可能性がある」

那月「そんなことはない。零に言われればやるだろう」

 

羣雲は考え込み、答えを告げた

 

羣雲「今週一週間で一人捕まえろ。それが出来たら解放してやる」

那月「そうか。今日、阿夜は...」

羣雲「仮釈放だ。管理はお前がやれ」

那月「わかった。ありがとう」

羣雲「ああ」

 

那月は、その場で監獄結界に転移し、阿夜に事情を説明した

阿夜は二つ返事で手伝うことを決めた

 

 

 

 

零「久遠!チケット寄越せ!」

久遠「いきなり来といて何さ!」

零「かくかくしかじか!」

久遠「なるほどね。いいよ」

 

久遠は引き出しからチケットを取りだし、零に渡した

 

零「ブルーエリジアムの運営会社の社長、か」

久遠「そうだよ。まぁ一枚岩じゃないから、部下がやらかしたりするけどね」

零「大変だな、ホントに」

久遠「まぁね。まだ楽だよ」

零「ならいいけどな」

一樹「そうかい」

零&久遠「!?」

 

零と久遠は同時にドアの方を見る。そこには、狂鳴焔櫻──夜桜一樹がいた

 

一樹「知ってるか?俺は今人工島を増やすために総理を丸め込んでるんだ」

久遠「え?なんで?」

一樹「俺の本体置く場所が無い」

零「なるほど把握した」

 

零はスキマを開き、久遠に礼をのべるとスキマに消えた

 

一樹「....六刃神官がブルーエリジアムに来るぞ」

久遠「対応出来ないから、零に任せるよ」

一樹「そうか。あ、許可降りたらブルーエリジアムもそっちに移動だから」

久遠「りょーかい」

 

久遠、一樹、零、羣雲、みょんはそれぞれ別の場所で、同じ言葉を言った

 

「「「「さぁ、俺(私)を楽しませてみろ(みてよ)」」」」



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40話

零「ふむ、やっと着いたな」

 

ブルーエリジアムと呼ばれる、増設人工島

ここは、娯楽施設として、今年の夏だかに解放される場所である

 

夏音「更衣室はどこでしたか?」

零「...まぁ待て落ち着け、向こうに俺らが泊まる建物があるから、そこで着替えろ」

 

空間転移でその建物に移動する。これは旅行者のために用意された(と聞いている)

女子と男子で部屋を分け、男子部屋で荷物をおろした

 

零「おい古城、水着持ってきたか?」

古城「一応な」

 

雪菜と那月、夏音は水着に着替えて出てきた。が、古城たちはまだ着替えていた

 

一樹「やっはろ〜いつも通りで何よりだぜバカどもー」

古城「うるせぇ!てか誰だ!」

零「さっさと着替えろタコ!」

一樹「誰がタコか!俺は泳げねぇんだよ!」

 

そんなことを大声でカミングアウトされても困る

 

一樹「えーっと、お前も行くか?」

??〝はい〟

 

一樹が空間に話し掛けると、どこからともなく声が響いた

そして一樹の隣に魔方陣が展開され、そこから美少女が現れる

 

一樹「っと、俺は姫柊一樹だ。“世界最強の死神”だなんて呼ばれてる」

栞奈「栞奈というものです。以後よろしくお願いします」

 

黒髪黒目の一樹に対し、白銀髪赤目の栞奈は、45度の礼をした後、直立した

 

古城「姫...柊....!?」

零「はぁ....こいつは、雪菜。お前の実の兄だ」

雪菜「えぇ!?」

 

雪菜の隣で夏音が驚いているような顔をしていた

 

 

 

場所は変わって、久遠の部下がいる潜水艦

 

「─!?なんだこれは!?」

 

潜水艦のソナーにより、海底に超巨大な生物を捕捉

艦長の判断は早く、正しかった。が、

 

「艦長!艦の壁が....ってうわぁぁぁ!!」

「バカな!耐圧壁だぞ....ってあれ?」

 

窓から外を見ると、真っ暗。深海よりも真っ暗である

 

「まさか....喰われたのか....!!?」

 

 

 

古城「ライフセーバー詰所、だってよ」

零「おい一樹、顔売りに行けよ。いつ溺れてもいいように」

一樹「ふざけるな殺すぞ」

 

ブルーエリジアムのプール内。そこでは、軽く戦争が起きていた

古城は雪菜がついているが、零に誰がつくかで戦争

いつもおとなしい夏音が、那月に反発していた

 

一樹「ホントに人気だなぁ、お前ら」

 

一樹はプールからあがり、ライフセーバーの詰所の近くにある(はず)のベンチに移動する

 

一樹「む?迷子、か?」

 

しかし、迷子案内センターの前にあるものでもあるそのベンチは、迷子とおぼしき少女が座っていた

十歳くらいの少女である

 

??「ありがとうございます、連れが見つかりました」

 

一樹「ほぅ?しっかりした子供もいるものだな」

 

そういって、プールの中に戻ろうとしたとき、袖を引っ張られた

反射的に振り返ったときそこには、さっきの迷子?の少女がいた



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41話

結瞳「江口です。江口結瞳」

一樹「ふむ、姫柊一樹だ」

 

俺はたっぷり5秒固まってから答えた

 

結瞳「一樹さん、あのお姉さんを助けてください」

一樹「OKとりあえず落ち着け。落ち着いて話を聞かせろ」

 

零たちは遊んでいる。今なら抜けてもバレまい

 

結瞳「えっと、私を助けてくれたお姉さんがピンチなんです。ポニーテールで背が高くて、胸が大きいお姉さんが」

一樹「えーと、まさかとは思うけど、大きめの剣使ってたか?弓に変わるやつ」

結瞳「はい」

一樹「紗矢華かぁぁぁぁ!!」

 

つい叫んでしまった。だが仕方ない、あのバカを探して罰を与えようか

 

一樹「アスタルテ、ここは任せるぞ」

アスタルテ「命令受託(アクセプト)

 

アスタルテにここの護衛を任せて、結瞳と共にその場を離れる

 

 

雪菜は、霊力や魔力の感受性が高い。故に、これに気がついた

 

雪菜「っ!?これは....魔力波動!?」

零「....なんだと...?」

 

零は気がつかなかった。その程度の微力な波動

それが、後を分ける

 

 

──────────────────────

 

 

一樹「んで、ここか」

結瞳「はい」

 

俺は...どこだここ?って地下通路か

ブルーエリジアムの整備用地下通路にいた

ここで紗矢華と結瞳はわかれたらしい

 

一樹「ほう?式神がいるとはな...」

 

目の前に、黒い狼のようなものが現れる。が、生物ではないことが俺にはわかる

 

一樹「そこにいろ、結瞳」

結瞳「はい、お気をつけて」

 

結瞳が言い終わるか終わらないかくらいで俺が飛び出し、近くの狼に蹴りを放つ。それだけでその式神が砕け散り、他のやつらが襲いかかってきた

 

一樹「はぁ、めんどくせぇな」

 

俺は右手に指輪をつけ、右に向けた

すると、そこに魔方陣が展開され、俺の体を素通りする

 

一樹「さぁ、ショウタイムだ」

 

通りすぎると、魔方陣は消え、俺の服装が黒を主体とするものに変わる

そう、死神化したのだ

 

一樹「せいやぁぁぁぁ!!」

 

気合いと共に左腕を前方に振り抜くと、目の前の式神が消し飛んだ。そして後ろを振り返り、驚愕した

 

一樹「結瞳!」

莉琉「残念莉琉ちゃんでした〜」

 

サキュバスである結瞳の、魔族のパーツが目覚めたようだった

面倒なことになった...!

 

一樹「しかもこれは...レヴィアタンか!」

莉琉「せーかい!この島を壊すためにね!」

 

.....なるほど、これは太史局も一枚噛んでるのか

しかもレヴィアタンがキレてる....莉琉が制御を手放したら、この島を壊しに来る────最悪だ

だが、こうするしかない

 

一樹「月歌!」

月歌「はい!子機召喚!」

 

俺の隣にまたしても美少女が現れ、その美少女の前に、一回り大きい───色々と大きい月歌が現れた

 

一樹「なぁ莉琉、お前いくつだ?」

莉琉「結瞳と同じだよ〜」

一樹「なら好都合。莉琉!お前の名前は月、俺の家族だ!」

 

俺が叫ぶと、大きめの月歌が動き始める。かわりに結瞳が倒れかかるも、月歌が支えた

 

莉琉「月....?というか何でこの体に...!?」

一樹「第二人格を人間として安定させた。そのためには体が必要だったから、こうやって月歌シリーズを使ったんだ」

月「....後で詳しく聞かせて」

一樹「わーったよ」

 

俺は海面に浮上してきたレヴィアタンを千里眼で見つつ、月と月歌に結瞳を任せ、レヴィアタンの真上の上空に転移した

 

 

 



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42話

お久な更新……ごめんなさい


「さぁて、本当は嫌だったが仕方ない。琴葉!」

一樹が呼ぶのとほぼ同時。真横に魔方陣が展開され、一人の少女が現れる

パッと見た感じ、古城とは真逆の雰囲気を纏っている

「やっと呼ばれるのね。いくわよ」

「ああ!」

そして一樹は背負っていたトロンボーンケースから黒い雪霞狼を取り出し、琴葉は雷のような魔力を纏う

「獅子の霊王たる高神の剣神が願い奉る!」

焔光の夜伯(カレイド・ブラッド)の血脈を継ぎし者、暁琴葉が、汝の枷を解き放つ!」

「破魔の曙光雪霞の神狼、鋼の神意を持ちて我に悪神百鬼を討たせたまえ!」

疾く在れ(きなさい)、三番目の眷獣“龍蛇の水銀(アル・メイサ・メルクーリ)!”」

一樹がレヴィアタンの防護魔術を切り裂き、琴葉がレヴィアタンの硬い皮膚を破って内部に突入した

 

 

 

 

その頃、零は

「……なんだ、この魔力は……第四真祖と同じ……?」

別のところで、羣雲も同じことを言っていた

「どうした、零?」

「ああ、何でもねぇ……」

その魔力を確かめるべく、新たなる眷獣を解放した

狂え(こい)暴喰者(アラガミ)

それは、不定形の郡体細胞生物。時と場合によって進化する、万物を喰らいし存在

零はその眷獣を小型の荒神にして、魔力波動の発生地点に向かわせた

 

 

「いやぁ、どうにもかてぇな」

「そうねぇ、ここまで堅いとは思わなかったわ」

ところ変わってレヴィアタンの内部。琴葉と一樹は話し合っていた

どうにも、撃退するのに決定打が足りない

「……琴葉…。新しい眷獣、欲しいか?」

「出来れば欲しいわ」

「……なら仕方ねぇ、吸え」

一樹からしたらいつものことである。琴葉もいつも通り、一樹の血を吸った

それにより、古城と琴葉は、新たな眷獣が目覚めた

 

数分が経過し、一樹がトロンボーンケースの前ポケットから、とある指輪を出した

それを見て琴葉も、胸ポケットからネックレスを取り出し、それぞれがそれぞれを着けた

「八雷神を召喚するのは、だいぶ久しぶりになるか」

「私も、霊斬刀を出すのは久しぶりになるわ」

二人は顔を見合せ、笑い、叫ぶ

「八つに分かれた雷に、流れる意味(のろい)を解放す!」

「霊と共に、霊を絶て。多を持ち他を制せ!」

一樹の指輪、琴葉の指輪からそれぞれ闇が漏れだし、冥界から死神の鎌を召喚する

「黒雷」

「霊斬刀・蛇腹剣」

黒雷と呼ばれた蛇腹剣と、霊斬刀という10以上の形態をもつ刀の蛇腹剣形態。その二つが放つ魔力は、どの真祖の魔力をも上回っている

「おらぁ!」

「はぁぁ!」

二人は気合いと共に蛇腹剣を振り抜き、レヴィアタンの硬い皮膚を切り裂く

そして外に飛び出し、一樹が再度、八雷神の一柱を呼び出す

「伏雷!」

伏雷と呼ばれたその刀たちは、一樹と琴葉の足場となった

「さて、私の戦争(しごと)ね」

「任せたぜ、第四真祖?」

焔光の夜伯(カレイド・ブラッド)の血脈を継ぎし者、暁琴葉が、汝の枷を解き放つ!」

琴葉は直立したまま、天に手を向けた。ちょうど、巨大な刀を抜くように

疾く在れ(きなさい)、七番目の眷獣“夜摩の黒剣(キファ・アーテル)”!」

それは、刃渡り数百メートルはあろうかという、黒い大剣である

琴葉は夜摩の黒剣をレヴィアタンの真上に持っていき、力を少し解放して、眷獣をレヴィアタンに落とした

「うおっ!?さすがは第四真祖、結構威力たけぇな」

「当然よ、世界最強だもの」

レヴィアタンは夜摩の黒剣の威力に怯えたのか何なのか、海の底へと戻っていった

 



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