吸血鬼の執事は魔眼持ち。 ( 空乃)
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一 / 真紅色の眼、妖気に満ちる霧の湖。

 異変スタート、主人公が博麗の巫女にフルボッコだドンされたところからです。
 戦闘描写‍‍?
 自信ない、ごめん無理。

 練習してきます。


「あー……負けちゃいましたかぁ」

 

「……」

 

 派手にぶっ壊れた廊下、窓ガラスは吹き飛び外に破片が散らばる。外からは赤い月光が館内を照らし、此度の勝利者を歓喜している様だった。

 壁にもたれ掛かるように下を向く敗者、この館の主であるレミリア・スカーレットの執事、《鏡銅 白夜》はヘラヘラと笑いながら紅く輝く瞳を月光が照らす少女へ向ける。

 

「ヘラヘラ笑って……気色悪いったらありゃしないわよ!」

 

「コレはどうも失礼を、流石は博麗の巫女。想像よりお強いと思いまして……」

 

「謙遜は良いの、……アンタ本気じゃなかったでしょ‍う?」

 

 その質問に対して白夜は眉一つ動かさず、そしてその貼り付けたような笑みを崩さず、誤魔化すように笑いながら答える。

 

「いやいや、本気でしたよ……勿論最後までね」

 

「胡散臭い」

 

 博麗の巫女はそう吐き捨てるように言うと、踵を返し館の奥へ進んでいく。それを見届けると白夜は何事も無かったかのように立ち上がり、紅く染まった月を見上げる。

 霧がかったこの湖は、今までにないほどの妖気を帯びていた。

 

「さぁ、ゲームの始まりだ」

 

 彼の握るナイフがぎらりと鈍い鋼鉄製の輝きを放つ。

 

 

 

 数分後屋敷が半壊した。

 

 

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

「……派手にやってくれましたね」

 

 着込んだ大層な執事服についた埃を払う。

 俺は崩れ落ちた瓦礫を飛び越え、我が主の吸血鬼二人を探す。途中落ちていたメイドはほったらかす、アイツは人間でも丈夫な部類だ、ほっといてもいずれ合流するだろう。

 さて、瓦礫の合間に本とかが散乱し始めた……って事はここは図書館か。一つ、大きな瓦礫を手に持ったナイフで切り崩す。

 

「……あぁ、やっぱり」

 

 そこには二名の女性がいた、一人は図書館の主、パチュリー・ノーレッジさん。もう一人はその使い魔である小悪魔という女性だ。

 ちなみにパチュリーさんは喘息気味の魔法使い、この様な埃が蔓延する所では体調を崩しかねない。

 仕方ないので二人をおぶってひとまず安全な場所へ、途中小悪魔さんが起きて礼を言っていたが気にする事は無いだろう。俺は当然の事をしているのだから。

 

「さて……お嬢様は何処かな‍?」

 

 俺は目を見開く。その真紅に染まった瞳は淡く、鈍く、微かに輝き、その場に残光を残す。

 この瞳は所謂《魔眼》と呼ばれる代物であり、この力は人間を超える力、使い方さえ間違えなければ神さえ殺す力とも呼ばれる大層なものだ。

 だが、俺はこの瞳によって迫害受けていた時期があってだな……まぁこの話は後にするとしよう。それよりもこの魔眼の力をもって、見事お嬢様を探し当てるとしようか!

 

「──見えた」

 

 全てを見通す《鷹の眼》、それは属に千里眼と呼ばれるものに等しい。俺の魔眼はその効力を持っている。障害物を全てすり抜け、人の力では見えぬ距離をまるでものともしない視力。

 俺はこの力を気に入っていた。

 

 どうやらまだお嬢様は戦闘中らしい。紫色に光るエネルギー体の槍を手に、果敢に博麗の巫女に襲いかかる。

 お相手側の方は防戦一方、攻撃は最低限で槍の切っ先を間一髪のところで避ける。どうやら霊力の残りが心許無いらしい、相手の隙を見つけるまで最大の力は温存して置くつもりか。

 

 少し離れたところでその戦いを見守る。

 俺はこの戦いには関与しない。アレはあくまで一対一の決闘、主人が手を出すなと言われれば従者は手を出せないモノだ。そこら辺、分かってる執事ですから。

 俺は空中で行われる激戦を、地上の物陰でひっそり見物することにした。

 

 その戦いは一時間に及ぶ。

 いい加減痺れを切らしたお嬢様が最大威力の攻撃、その反動の最中に博麗の巫女は結界を発動し、お嬢様の動きを止めた。

 だが、そこで終わる我が主ではない。吸血鬼の力を舐めるとばかりの馬鹿力で結界を吹き飛ばすも、最後は霊力の纏ったお祓い棒で一閃。お嬢様は気を失い、自由落下を開始した。

 

「おっと、危ない」

 

「……あの時の」

 

 お嬢様を無事キャッチすると、上から声が聞こえてくる。

 不機嫌顔の巫女、《博麗 霊夢》が袖をはためかせながらゆっくりと地上に降りてくる。そのすぐ側には陰陽玉がふわふわと二つ、お互いを追いかけるように浮いている。

 

「あぁ、貴女には危害を加えるつもりはありませんよ」

 

「そう、それじゃアンタ達の負けってことで」

 

「はい、お疲れ様でした」

 

 にっこり自分で精一杯の笑顔彼女にプレゼントするが、その贈り物はお気に召さないようでふん、と鼻をならすといつの間にか霧が晴れていた夜空へ飛翔して行った。

 雲一つない夜空には無数の星々と一つ大きな三日月が浮かぶ。月明かりに照らされた我が紅魔館を見ながら、これはひどいと呟く。

 

「んぅ……」

 

 腕の中のお姫様が目を覚ましたようだ。視線を向けると目を半開きにしたお嬢様が俺の腕を掴み、周囲に視線を向ける。周りの惨状、今まで戦っていた対戦者がいない事を察したようで深くため息を付く。

 

「私、負けたのね」

 

「はい、そりゃもう見事に」

 

 たとえ従者でも遠慮はしない、主に嘘を吐く方が俺にとっては許せないから。

 

「貴方は……その、全力を出さなくて良かったの‍?」

 

「ええ、出せと命じられれば今からでも」

 

「悔しいけどいいわ、それよりも館を直さなきゃ」

 

 お嬢様は腕から飛び降り、瓦礫の上に舞い降りる。改めて見る惨状に再びため息付くと瓦礫の山を這い上がってきたメイド《十六夜 咲夜》に建て直しの命を下す。

 さっきまで気絶していた咲夜は同じく被害を被っている妖精メイド達を従え、紅魔館の修理へ勤しむ。その光景を尻目に、俺はこの夜に感謝の言葉を漏らす。

 

「──今までありがとう」

 

 それは誰対しての言葉なのかは俺だけの秘密だ。




 主人公の容姿や体型は普通の高校生くらいだと思ってください。


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二 / 貼り付けた笑みと胡散臭い笑み

 主人公のスペカが厨二臭く、弾幕では無い件について。


 ──事の発端は今から三ヵ月前、お嬢様が全員を率いて紅魔館をこの霧の湖に構えた事。

 そして、それから少したったある日の事だった。

 

 空間の裂け目から上半身を乗り出す妖艶な女性。名は確か《八雲 紫》と言ったか、そいつが紅魔館へいきなり姿を表し、この幻想郷で《異変》を起こしてほしいと頼み込んできたことから始まった。

 

 

 

「お嬢様、何故お引き受けになられたのですか?」

 

 何となく、主人の奇行に違和感を感じた俺は紅茶を注ぎながら質問していた。普段ならその手の面倒事はきっぱりと断り、一切興味を示さないはずなのだが。

 今日のお嬢様はやけにノリ気であり、毎日見ている俺の目からして張り切っているようにも見えた。

 

「吸血鬼の実力を幻想郷に示す、コレを行うには一番手っ取り早い方法なのよ。さーて今回の件、パチェに相談してこようかしら‍?」

 

「はい、パチュリー様ならお嬢様に知恵をお貸し頂けるでしょう」

 

 なるほど……あの女狐に乗せられたのか。

 俺には分かる。異変を起こしたところでお嬢様達は負ける、俺を含めた全員がだ。そういうシナリオなんだろう、あの紫というヤツはこの幻想郷における抑止力の力を見せつけようとしているのだろう……とここまで推測は出来る。

 だが、この白い紙は一体何なのだ……。紫との会談が終わった後、数十枚程重ねるように置かれた長細い白紙の札。

 

「……コレは‍?」

 

「あぁ、それは【スペルカード】というもの。この幻想郷では、あらゆる荒事をスペルカードルールによって決着が付くようにしているらしいの。それで私達のところにも来たってことね、作り方は簡単よ技を念じるだけ」

 

「へぇ……興味深いですね」

 

 試しに一枚を手に取る。

 念じる……と言ったが具体的には脳内でイメージすれば出来るのだろう。懐から愛用のナイフを手に取り、脳内で長年の反復的使用経験で染み付いた【暗殺術】をイメージする。

 

「出来たらソレをかざすと発動するらしいわ」

 

 焼き付いたように紙には七人に分身した俺の姿、そして七つの赤色に輝く残光が煌めくイラスト。そして上部にはこのスペルカードの名称、──赤符【陽炎】。

 ソレをかざすと自動的に身体が動き、イメージどうりの暗殺術を放つ。

 

「あら、少し派手になってない‍? せっかくの暗殺術もコレではねぇ……」

 

 確かに……凄いのは認めるが、いくら何でも光が派手すぎだ。何を目的にこんな……。

 

「そういえば、美しさもスペルカードルールの魅力って言ってたっけ‍?」

 

「……戦いに美しさですか?」

 

 そこが違うのだ。アイツにとっては戦いとは遊びに過ぎないのかもしれない、でも俺にとって戦いとは命の取り合い。相手の身体にナイフを突き立て、抉りとる……それだけだ。

 その為に俺は暗殺術を学んだ、生き残る為に。

 

「白夜、瞳孔……開いてるわよ‍?」

 

「あっ……すみません、お嬢様」

 

 すぐに目を覆い隠す。人とは違うこの目は深紅色の魔眼、ただの人間が長時間見れば発狂する程、それは吸血鬼のお嬢様も例外では無い。

 それでも俺を傍に置いてくれる。俺はこの方に普通の生活を貰った、それだけで仕える理由は充分だった。

 

「別にいいわ、貴方の目……綺麗だし」

 

「……ありがとうございます」

 

 俺の目を褒めて貰った。素直に嬉しい、だから俺もお嬢様が好きな深紅色の瞳を好きになろうとしていた。

 と、丁度その時だった。メイド長の十六夜 咲夜が扉をノックし、俺に耳打ちをする。

 

「白夜さん、八雲紫が……」

 

 と言いかけた瞬間、俺は魔眼で咲夜の思考を抜き取った。

 

「分かった、ありがとうございます咲夜さん。 お嬢様、私はこれから少し私用があります故、これにて失礼させていただきます。 後は咲夜が仕事を継ぎますので、では」

 

 俺は咲夜さんに仕事をバトンタッチし、素早く目的の場所へ向かう。

 

 紅魔館の扉を開けると、少し湿った風が俺の髪を揺らす。久しぶりに見た太陽、それはもう山の影へ隠れようとしており、オレンジ色の陽光を俺に向ける。

 俺は再度、目的地の場所を確認する。

 

 八雲紫との会談の後、俺は咲夜さんに後を着かせていた。妖力反応を追跡し、消えた場所にヤツの手がかりとなるものがある……俺はそう確信していた。

 案の定、何かあり気な場所で反応が消えた。これはビンゴと言っても良い、上出来だ咲夜さん……後でデザートでも買って帰ろうか。

 

「さてと、目指すは【無縁塚】……か」

 




 暗殺術でどうやって弾幕張るんですかねぇ?


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