艦これ Short Story改《完結》 (室賀小史郎)
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艦これSS改1話

明けましておめでとうございます。
新年早々、新作と言う名の続編を投稿させて頂きます。
どこまで書けるか分かりませんが、精一杯書きます!
今年もよろしくお願い致します!

では新年一発目。
みんなで新年会! の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、ネタ、独自設定含みます。

初回なので長くしました。


 

 ○○鎮守府、〇七〇〇ーー

 

 新年を迎えた鎮守府では去年同様、今日限りは全業務を休業して新年会を催すこととなっている。

 去年と同じく朝は朝会兼朝食の新年会。昼は立食パーティ。夜は宴会である。

 

 

 大広間ーー

 

 そして大広間では、提督の新年の挨拶、お年玉授与式を経て、既に新年会が盛大に執り行われていた。

 

青葉『は〜い、明けましておめでとうございます〜♪ 新年一発目の司会はこの青葉率いる第六戦隊がお引き受けしちゃいま〜す♪』

 

 青葉の挨拶に会場からは割れんばかりの拍手が起きる。

 新年一発目の司会は華やかな晴れ着を身に着けた青葉達、第六戦隊のみんなが取り仕切ってくれるのだ。

 

青葉E.緑色を基調とし、茄子の花の刺繍が施された晴れ着

衣笠E.黄色を基調とし、日章旗の模様が施された晴れ着

古鷹E.黒色を基調とし、金の鳳凰の刺繍が施された晴れ着

加古E.白色を基調とし、青で富士山の刺繍が施された晴れ着

 

衣笠『温かい拍手ありがと♪ みんなおせち美味しい?♪』

 

 \OIC〜!/

 

古鷹『お酒は美味しいですか〜?♪』

 

 \ヒャッ...オイシー!/

 

加古『んじゃ、それを更に美味しくする、有志のみんなによるステージ発表を見てもらうぞ〜♪』

 

 \歓喜☆拍手☆喝采/

 

青葉『ではトップを飾るのはこのお方です、どうぞ!』

 

 \パチパチパチパチ/

 

加賀『一航戦、加賀。歌います』キリッ

 

 <ジャンジャン チャーチャチャ ジャンジャン チャーチャチャチャー♪

  ↑妖精音楽隊

 

青葉『一航戦の誇りはあれど。陸に上がれば一人の女。あの人の心を射抜くは炎の矢か愛の矢か。想い、願いをこの歌へ込めます。歌って頂きましょう、加賀さんで「加賀岬」です!』←口上

 

加賀『この手によせる袱紗朱の色〜♪』

 

赤城「加賀さ〜ん♪」ノシ

蒼龍「素敵ですよ〜♪」ノシ

飛龍「よっ、一航戦の誇り〜♪」ノシ

翔鶴「加賀先輩〜♪」ノシ

瑞鶴「ファイト〜♪」ノシ

 

加賀「( ー`дー´)」キリッ

 

加賀『指を絡めて抱きしめたなら〜♪』

 

アクィラ「カガ〜♪」ノシ

サラトガ「レディ・カガ〜♪」ノシ

龍驤「決まっとるで〜♪」ノシ

 

加賀「(● ̄ー ̄●)」ムフン

 

 〜♪

 

加賀『ーー百万石の〜♪ 誇りよ 加〜賀み〜さき〜♪』

 

加賀『ありがとうございました』ペコリ

 

 \ヒューヒュー! パチパチパチパチ/

 

古鷹『は〜い♪ 加賀さん、素敵な歌声をありがとうございました〜♪』

加古『次は歌じゃなくて、みんなに大いに笑ってもらうぞ〜♪』

青葉『この日のために頑張って新ネタを考えたみたいです♪』

衣笠『駆逐艦の名コンビ「潮目」のお二人です、どうぞ♪』

 

 \パチパチパチパチ/

 

黒潮『どもども〜♪』

親潮『明けましておめでとうございま〜す♪』

黒潮『黒潮と親潮で「潮目」言いますぅ、よろしゅうな♪ 名前に黒があっても「黒ちゃんです」なんかせんで〜?♪』

 

親潮『え、やらないんですか?』

黒潮『え、やらなあかんの?』

親潮『いや、見たい人もいますよ、多分?』

黒潮『いや、居らんやろ? しかも多分て』

親潮『それもそうですね。じゃあネタにいきましょう♪』

黒潮『ネタ振り雑やな〜』ニガワライ

親潮『ほら、早くしてくださいよ〜』

黒潮『グイグイくるな〜。でもそのノリ……嫌いやないで♪』∑d

 

親潮『私〜、この前、十回ゲーム教わったんですよ〜♪』

黒潮『無視かいな!? ツッコミ入れんの!?』

親潮『黒潮さんは十回ゲームって知ってます〜?』

黒潮『無視していくスタイルか〜』

親潮『知らないんですか?』

黒潮『あぁ、知っとるで。ピザとかみりんを十回言うやつやんな?』

親潮『ピザじゃなくてピッツァです!』クワッ!

黒潮『ここにツッコミ入れてくるん!?』ギョッ

親潮『そりゃあツッコミを入れたくもなりますよ! 何ですかピザって? イタリア人の方にしばかれますよ!?』

黒潮『いやいや、大袈裟やろ〜』

 

親潮『それでピザって十回言ってください』

黒潮『今自分、思いっきりピザ言うたで?』

親潮『言ってください!』クワッ!

黒潮『お、おぉう……ピザピザピザピザピザピザピザピザピザ、ピザ』

親潮『好きなトッピングは?』

黒潮『へ?』キョトン

親潮『複数あるならハーフ&ハーフでもいいですよ?』

黒潮『なしてそうなんねん!!』ビシッ

親潮『トッピング大事でしょ!?』

黒潮『大事やけど、大事やけ〜ど! 今それを訊くタイミングやないやろ!?』

親潮『あ〜もう、分かりましたよ〜』ヤレヤレ

黒潮『なしてうちが悪い風になってるん!?』

 

親潮『分かりました。では私がやります』

黒潮『…………まぁ、ええわ。やってみ?』

親潮『では……ピザピザピザピザピザピザピザピザピザピザ!』

黒潮『ここは?(肘を指差して)』

親潮『それよりタイムは!?』

黒潮『へ?』

親潮『これはいかに早く十回言うか競うんですよ! 今のタイムは!?』

黒潮『十回ゲームの基本すらちゃうやんか! ええ加減にせい!』ビシッ

黒・親『どうもありがとうございました〜♪』ペコリ

 

 \パチパチパチパチパチパチパチパチ/

 

青葉『お二人共、ありがとうございました〜♪』

衣笠『あの真面目な親潮ちゃんがボケってのが新しかったね〜♪』

古鷹『ではでは、ここで新年会恒例のあれにいきますよ〜♪』

加古『新年ビンゴ大会だ〜!』

 

 \ワーワー! キャーキャー!/

 

加古『んじゃみんな、妖精さん達からビンゴカードをもらってくれ〜』

衣笠『みんなルールは知ってるよね?』

 

 \ハーイ!/

 

古鷹『それじゃ早速、賞品の紹介に移るね♪』

 

青葉『ではでは五等から紹介させて頂きます♪ 五等は居酒屋「鳳翔」さんご提供「女将の気まぐれおつまみ豪華盛り合わせセットの引換券・三十枚綴り」です!』

 

 \ウオォーーー!/

 

衣笠『四等は工廠妖精さんご提供「提督の頭から肩までの一分の一フィギュア時計」です! このフィギュアには提督の生音声が収録してあって、おやすみタイマーを設定すると提督が優しく寝かしつけてくれて、目覚ましタイマーを設定すると提督が優しく起こしてくれる超フィギュアよ!』

 

 \ウォッシャーーー!/

 

古鷹『三等は明石酒保さんご提供「明石酒保商品券・五万円分」です!』

 

 \キタキターーー!/

 

 

加古『二等は間宮さんと伊良湖さんのご提供「間宮&伊良湖甘味引換券・五十枚綴り」だ!』

 

 \ヒャッホーーー!/

 

青葉『そして一等は……』

衣笠『提督のご提供……』

古鷹『一等というか特賞級……』

加古『しっかり聞けよ〜?』

第六戦隊『提督が愛用していた「フワモコ毛布と提督から頭を撫で撫で(抱っこも可)してもらえる券の百枚綴り」です!』

 

 \大☆喝☆采/

 

提督(豪華な物でもないのに、ここまで喜んでもらえるとは思わなかった……)ニガワライ

 

青葉『皆さん、カードは行き渡りましたか?』

 

 \ハーイ!/

 

古鷹『それではこれよりビンゴ大会を開始しま〜す♪』

衣笠『番号は読み上げてからステージのディスプレイに表示されるからね♪』

加古『リーチやビンゴになったら手をあげで大声で叫べよ〜?』

 

 \ハーイ!/

 

 

 そしてーー

 

青葉『続きまして……五番、五番です!』

 

雪風「トリプルリーチです!」ノシ

プリンツ「トリプルリーチで〜す♪」ノ

ウォスパ「Triple reach♪」ノシ

ゴーヤ「ダブルリーチでち!」ノ

ろ「ダブルリーチですって♪」ノシ

長門「こちらもダブルリーチだ!」ノ

時雨「僕もダブルリーチだよ♪」ノ

瑞鶴「リーチ!」ノ

清霜「リッチ〜♪」ノシ

雲龍「リーチ」ノ

大鳳「私もリーチでしゅ!////」ノシ

アクィラ「リーチよ♪」ノシ

金剛「リーチネ!」ノシ

大井「リーチリーチリーチリーチ!」ノシ

五十鈴「リーチよ♪」ノ

那珂「リーチだよ☆」ノシ

響「こっちもリーチだ」ノ

雷「リーチよ〜♪」ノシ

 

衣笠『かなりリーチの人が増えたわね〜……因みに私と古鷹ちゃんもリーチよ♪』

古鷹『(*^ω^*)v』エヘヘ

加古『次の番号行くぞ〜♪』

青葉『そろそろ出ますかね〜……』ガラガラ

 

リーチ組『(°ー°〃)』ドキドキ

諦め組『ρ(тωт`)』 イジイジ

 

青葉『…………二〇番! 二〇番です!』

 

『ビンゴォォォォ!』

 

大鳳「ビンゴ! ビンゴです〜!」ノシ

ウォスパ「Bingo♪」ノシ

 

衣笠『おっと〜! これは二人同時だ〜!』

加古『となると、勝敗を決めなきゃな〜♪』

 

古鷹『ここでご説明します。これから一等賞品を賭けて、お二人にはあるゲームをしてもらいます』ニコッ

加古『そのゲームはこれからディスプレイに映し出したルーレットで決めるからな』ニコッ

衣笠『それで止まったゲームで二人には勝負してもらうからね♪ 因みにルーレットのやり直し等は出来ないからね♪』

青葉『ではディスプレイにご注目くださ〜い♪』

 

ウォスパ「何になるのかしら♪」ワクワク

大鳳「…………」ドキドキ

 

『にらめっこ』ババーン!

 

衣笠『対決方法はにらめっこに決定しました〜♪』

加古『んじゃお二人さん、心の準備が出来たらステージに上がってくれ〜♪』

 

 

 戦艦勢ーー

 

ウォスパ「にらめっこって何?」

武蔵「互いに顔を合わせ、笑った方が負けのシンプルな遊びだ」

ウォスパ「なるほど……なら自信あるわ♪」

長門「ウォースパイト、勝てよ?」

ウォスパ「何事も勝つ気で行くわ」ニコッ

大和「フフフ……奴は空母四天王の中でも最弱……(運的に)」

金剛「装甲空母ごときにやられては戦艦の面汚しになりマ〜ス」

ウォスパ「お、OK……」ニガワライ

    (空母四天王って何かしら?)

 

 

 空母勢ーー

 

大鳳「…………にらめっこ」ゴクリ

赤城「加賀さんなら強いのに……」

加賀「ちょっと、どういう意味かしら?」ニコリ

翔鶴「まあまあ、加賀さん」ドォドォ

瑞鶴「でもウォースパイトさんってポーカーフェイス得意そうよね……」

雲龍「大鳳、FXで有り金全部溶かした人みたいに「ぬ」と「ね」の区別がつかなそうな顔とか出来ない?」

大鳳「で、出来ませんよ」ニガワライ

瑞鳳「ほら、通販で買ったブラのサイズが大きかった時の顔だよ!」

大鳳「( 。°д°。)」ポロポロ

龍驤「痛いほど分かるけど、無言で泣くな。泣くならうちの胸で泣きや」ギューッ

大鳳「龍驤さ〜ん」エグエグ

鳳翔「で、では私がとっておきをお教えしましょう」

大鳳「鳳翔さん……」

 

 伝授中ーー

 

鳳翔「……頑張ってくださいね」ニコッ

大鳳「はい!」ケイレイ

 

 

 ステージ上ーー

 

青葉『これより、にらめっこ対決を始めます! レフェリーはこの青葉が務めさせて頂きますね♪』

ウ・大『よろしくお願いします』ペコリ

青葉『はいです♪ ルールは至ってシンプル。先に笑ってしまった方が負けになります。なお、ご自分のお顔をご自分で触ったりするのは認めますが、相手に話しかけたり、体全体を使って笑わすのは禁止です』

ウ・大『了解』

青葉『ではいきましょうか……せ〜のっ!』

 

ウォスパ「に〜らめっこしましょう♪」

大鳳「笑うと負けよ♪」

ウ・大『あっぷっぷ♪』

 

ウォスパ「(ー_ー)」ポーカーフェイス

大鳳「(ノ)・ω・(ヾ)」ムニムニ

ウォスパ(あら可愛い)キュン

大鳳「o< ・ω・ >o」ビローン

ウォスパ「!?」ビクッ

大鳳「(((・ω・)))」ポワワーン

ウォスパ「っ……あははは♪」

 

青葉『そこまで! 勝者は大鳳さんです! そして一等の賞品は大鳳さんに決まりました!』

大鳳「やった〜!」ピョンピョン

 

空母LOVE勢『シャーオラー!』ガッツポーズ

戦艦LOVE勢『…………』←放心状態

 

青葉『そして、ウォースパイトさんは二等となりました♪ 皆さん、お二人に拍手を!』

 

 \パチパチパチパチパチパチパチパチ/

 

衣笠『それじゃあ、三等を賭けてまた数字を引くわよ〜♪』

古鷹『皆さん、諦めないでね♪』

加古『楽しんで行くぞ〜♪』

 

 \オォォーー!/

 

 こうしてビンゴ大会は続き、三等以降の当選者は、

 

 三等:雪風

 四等:大井

 五等:プリンツ

 

 以上の三名となり今年も大盛り上がりを見せて終えるのだった。

 そして艦娘達はその後も元旦を満喫し、英気を養った。

 

 

 防波堤、二一〇〇ーー

 

提督「…………ふぅ……」

 

 夜の宴会が盛り上がる中、提督は夜風にあたりに大広間を抜け出して防波堤までやってきていた。

 

提督(……皆、実にいい笑顔だった。私は今年もあの笑顔を守るために、尽力しよう)

 

 みんなの笑顔を思い浮かべ、提督は改めて自身の目標を掲げ、澄んだ星空へ誓った。

 すると、背後からふと「司令官さん」と自分を呼ぶ声がかかった。

 

提督「おぉ、電。どうかしたのか?」

 

 振り向くとこそにはコップを持った電が立っていた。

 電は提督に笑顔を返して提督の左隣に立つと、持っていたコップを提督に「なのです♪」と言って手渡した。

 

電「司令官さんが大広間から出て行くのが見えたので、お水を持ってきたのです♪ 酔を覚ましに来たんですよね?」ニコッ

提督「む、わざわざすまないな」ニガワライ

電「気にしなくていいのです♪ 司令官さんはお酒となるとあまり飲めませんし、これは電が勝手にお世話を焼いただけなのです♪」

 

 電の言葉に提督は「流石は電だな」と言って笑みを見せ、電の頭を優しく撫でた。

 

電「電は初期艦ですからね♪ これくらいすぐに分かっちゃうのです♪」エッヘン

提督「頼もしい限りだよ」ナデナデ

電「はにゃ〜ん♡」

 

提督「こうして二人きりで埠頭に立つと、着任したての頃を思い出すな……」

 

 提督がふと電にそう声をかけると、電は「そうですね」と返し、提督と共に星空を見上げた。

 

提督「……あの日、電から中破したと報告を受けた時は本当に心臓が止まりそうだった」

電「わ、忘れてくださいよぅ/////」

提督「あれは私の失態だった。電には悪いが、いつまでも教訓として忘れることはない」

電「司令官さん……」

提督「中破した電が鎮守府へ帰ってきた時は、鋭利な刃物で胸を斬り付けられたかように痛かった。それと同時に帰ってきた電にとてつもなく感謝をした」

電「ふふ、司令官さん、あの時は「すまなかった電! ちゃんと帰ってきてくれてありがとう!」って泣きながら言ってましたよね♪」

提督「…………泣いてはいなかったはずだ////」メソラシ

電「うふふ、ならそういうことにしておいてあげるのです♪」

 (こんな司令官さんを見れる電は、新年からラッキーなのです♡)

 

 提督の珍しい表情に電はイタズラっ娘みたいに笑うと、提督は頬を少し赤く染めて咳払いをした。

 

提督「……ともあれ、あれから随分と時が過ぎたが、あの時の思いは今も私の胸の中に常にある。絶対に誰一人として轟沈させん。そもそも、そんなことから皆を回避させるための提督なのだからな」

電「司令官さん……////」キュン

提督「今年も電には迷惑を多くかけるだろうが、今年もひとつ頼むよ」ニカッ

電「司令官さんはいい意味で前から何も変わってませんね」クスクス

 

 電の言葉に提督が首を傾げて「そうか?」と訊ねると、電は「はい♪」とにこやかに返して、更に言葉を続けた。

 

電「電は今年も沢山沢山、司令官さんのお役に立ちま……ひゃわわわ!?」

 

 電は勢い良く両手を回したせいで体勢を崩し、後ろ向きに倒れそうになってしまった。

 それを見た提督は透かさず電の腰に手を回し、電を包むように抱き寄せた。

 

電「し、司令官しゃん////」ハワワ

提督「ははは、電もこういうところは前から変わらんな♪」

電「あぅ〜////」カァー

 

 すると提督はコップに入った残りの水をグイッと飲み干すと、

 

提督「水、ありがとうな……すまないが、コップを持ってくれ」

 

 と言って電にコップを返すと、電の体をヒョイッと持ち上げ、そのままお姫様抱っこした。

 

電「ししし、司令官しゃん!?////」

提督「いい意味で何も変わっていない私の大切な初期艦様が、大広間に戻るまでに転んで怪我してしまうのは、避けたいからな」ニカッ

電「……さっきのお返しなのです?////」

提督「どうかな?」フフ

電「……イジワルなのですぅ〜////」

提督「電がそう思うのならそうなのだろうな」アハハ

 

 提督がそう言って笑うと、電もそれにつられて笑った。

 

提督「あの時も確か、最後はこうして笑い合って電をドックへ運んだな」

電「はい……あの時と同じなのです♪」

提督「何度も言うが今年もよろしく頼むな」ニコッ

電「こちらこそ、なのです♪」ギューッ

 

 それから二人は笑い合ってそのまま大広間へと戻り、戻ると提督は多くの艦娘達から「電ちゃんだけズルい!」と詰め寄られ、ほぼ全員をお姫様抱っこするイベントへと発展するのだったーー。




前書きで書いた通り長く書きました!
次回からは前くらいの長さで書きます。
そして出せなかった艦娘に関してはご了承お願い致します。

新年早々読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改2話

おせちの次はカレーでしょ!? の談。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

間宮「では皆さん、よろしくお願いしますね♪」ニコッ

伊良湖「怪我や火傷には気をつけてくださいね♪」ニコッ

速吸「材料は沢山あるので作り過ぎちゃっても大丈夫です♪」ニコッ

 

全員『は〜い♪』

 

 昼下がりを迎えた鎮守府の食堂では、間宮達を中心に夕飯に出す料理を手が空いている者達で作ることとなった。

 因みにメニューはカレーである。

 

 お正月と言えばおせち料理だが、元旦中はおせち料理尽くしなので飽きさせないための間宮達なりの気配りなのだ。

 

 この場に手伝いに来ている者達はこの時間は訓練が無い者や元々休みだった者達で、結構な人数が集まった。

 そしてその中には提督も入っている。提督自身、料理はそこまで自信はないのだが、カレーなら自分も作れると思い、参加を決めた。

 

白露「提督〜、ニンジンの皮剥いたよ〜♪」

時雨「ジャガイモも剥けたよ♪」

村雨「タマネギも剥いて切り終えたわよ♪」

夕立「豚バラブロック肉食べやすく刻んだっぽい♪」

春雨「リンゴの皮も剥けました〜」ニコニコ

五月雨「今日は指を切らずに出来ました!」キラキラ

提督「ありがとう。ニンジン、ジャガイモは私の所に置いてくれ。タマネギの方は飴色になるまで炒めてほしい」

白・時・村『は〜い♡』

提督「それから、豚肉の方はフライパンで炙る程度に焼いて、リンゴは摩り下ろしておいてくれ」ニコッ

夕・春・五『は〜い♡』ノシ

 

江風「アイハブアナイフ♪」

涼風「アイハブアンアッポー♪」

江・涼『アン…(グサッ)…アッポーナ〜イフ♪』ドヤァ

山風「海風姉、ここに日本語の不自由な娘がいるよ〜?」クイクイ

海風「見ちゃいけません」ナデナデ

江風「ツッコミ入れろよ!」

涼風「あたいらがバカみたいじゃんか!」

山風「バカじゃないの?」クビカシゲ

江・涼『(´;ω;`)』ブワッ

山風「」クスクス

提督「山風はとても明るくなったな。だが無理してはいけないぞ?」ナデナデ

山風「うん♡ じゃあ、もっと撫でて♡」アタマグリグリ

提督「あはは、分かった分かった」ナデナデ

山風「んゆ〜♡」ゴマンエツ

海風(毒舌にはなったけど、明るくなったのは喜ばしいわね)ニガワライ

 

江風「提督〜! 江風達にも〜!」ギューッ

涼風「そうだよ! あたいら泣いてんだぞ!?」ギューッ

提督「お、お〜、よしよし」ナデナデ

江・涼『〜♡』ゴロニャーン

 

 その後、他の白露型姉妹達も提督に頭を撫で撫でされに殺到した。

 

 一方で各グループは、白露型姉妹と提督達のやり取りを眺めつつ、滞りなくカレーを作っていた。

 

天龍「龍田〜、これは何カレーにすんだ?」

龍田「チキンカレーにしようかしら〜♪」

夕張「なら胸肉ね!」

阿賀野「いやいや、ももでしょ♪」ナデナデ

能代「そう言いながら私の太もも撫でないでよ」ニガワライ

矢矧「手羽先なんてどう?」ニコニコ←自分が食べたい

酒匂「ささみがいいな〜」ピャー

天龍「もっとカロリーあるの食えよ……皮付き肉とかよ〜」ニガワライ

龍田「…………全部入れちゃえ♪」←考えるのをやめた

 

 ーー

 

愛宕「お隣はチキンカレーだって〜♪ 私達はどうする?」

摩耶「甘口ならなんでもいい!」←辛いの苦手

鳥海「じゃあ私達は甘口で作りましょう」ニコッ

高雄「甘口にしなくても中辛で作って、そこに溶き卵を入れれば摩耶でも食べられる辛さになるわよ」フフフ

摩耶「やった♪ アタシ、高雄姉のふわとろ卵カレー大好きなんだ♪」ニパー

愛宕「なら後乗せで、コショウをきかせた鶏むね肉のチキンカツをトッピングしましょうか♪ 親子カレー的な♪」

鳥海「そこにチーズも乗せましょう!」キラキラ

高雄「バルジの方は平気なの?」

愛・鳥『うぐっ』

摩耶「愛宕姉と鳥海なら大丈夫だろ♪ スタイル良いし、ちゃんと訓練してるし、食いたい物を食った方が体にいいって♪」ニパァー←後光

愛宕「天使ね、あなた」ギューッ

鳥海「摩耶、ありがとう」ナデナデ

高雄「本当にいい子ね、あなたは」ナデナデ

摩耶「な、なんだよ、もぉ〜////」←実は嬉しい

 

 ーー

 

秋津洲「あたし達はどうしようか〜?」

瑞穂「そうですね……変化球でシーフードカレーとかどうでしょうか?」

テスト「いいわね♪ エビ、ホタテ、イカ、マッシュルーム、タマネギの組み合わせは最高だわ♪」

瑞鳳「イカはイカの塩辛にするともっと美味しいよ♪」

祥鳳「隠し味にマヨネーズ、インスタントコーヒー、とんかつソースを小さじ一ずつ加えると尚美味しくなるわ♪」

秋津洲「想像しただけで美味しいのが分かっちゃう……」ジュルリ

瑞穂「ではそうしましょうか」クスクス

テスト「Allez cuisine(料理開始)〜♪」

全員『お〜♪』ノ

 

 ーー

 

大和「大和達は王道のビーフカレーにしましょうか」ニコッ

武蔵「大和ホテルご自慢の腕をふるうってことだな」クスクス

大和「私はホテルじゃないもん!」プンプン

伊勢「まあまあ、大和」ドォドォ

日向「…………」フム

伊勢「あんたはなんでジャガイモを瑞雲の形にしてるのよ……」

日向「運のいい奴にはこの瑞雲のジャガイモが盛られるんだ……いいだろう?」ドヤァ

山城「良いも何もどうせ気付かれずに食べられる運命よ。それか煮込んでるうちに形が崩れる」

日向「そ、そうか……」シュン

扶桑「私はウサギのニンジンにしようかしら♪」

武蔵「なら私は桜と菊のニンジンにするかな」

日向「(。✧ω✧)」コクコク

山城「姉様のは分かりやすいけど、武蔵のは分かりにくそうね」

武蔵「んなことはない。ほら」

山城「…………もう職人芸ね」ヤレヤレ

 

 ーー

 

はち「私達はどうしよっか?」

イムヤ「ん〜……スープカレーにしちゃう? みんな普通のカレーっぽいし、こういうのも食べたい人いるかもだから」ニコッ

しおい「いいね〜♪ 野菜もお肉もトロットロになるまで煮込んでパンにもご飯にも合うのにしちゃお♪」

まるゆ「なら白菜と挽き肉を入れませんか? この前鳳翔さんから教わったんです♪」

はち「お〜、新しいね。やってみようか♪」

イムヤ「タマネギとニンジンも入れましょうね♪」

しおい「それじゃ食材揃えてくるね♪」

まるゆ「まるゆも行きます〜」ニコニコ

 

 こうして各グループのそれぞれのカレーは美味しく仕上がり、夕飯のカレーにみんな顔をほころばせた。

 中でも提督の作ったポークカレーは大鍋で三つ作ったのに三十分で無くなったそうなーー。




 おまけーー

 戦艦寮共同厨房、ー八〇〇ーー

比叡「ついに出来た!」
磯風「我々の最高のカレーが!」

二人のカレー<ゴゴゴゴゴ!!

比叡「みんなして食堂でカレーを作ってたから、思わず昔の血が騒いじゃった♪」フゥ
磯風「これまで間宮さん達に習ってきた我々をもう誰もメシマズと言うまい!」ウンウン

二人のカレー<ウゴゴゴゴ!!

比叡「でも金剛お姉さまも榛名も霧島も今日はシーフードカレーの気分だって、断られちゃった」クスン
磯風「陽炎達も似たような理由で断られた……まぁこればかりは仕方ないがな」ムムム

アイオワ「あら? 二人して厨房でクッキング?」
ウォスパ「この匂いはcurryね」クンクン
ビスマルク「か、curry……かしら?」コンワク
サラトガ「Wow, curry?」キラキラ

比叡「あ、皆さんこんばんは♪」
磯風「サラトガもこっちの寮に居たのだな」
サラトガ「うん♪ さっきまでみんなとお茶してたの♪」
アイオワ「随分と奇抜なcurryね♪」
比叡「良かったら食べませんか?」
磯風「みんなカレーの気分じゃないらしくてな」
ビスマルク(あなた達のcurryの気分じゃないのよ)ニガワライ
ウォスパ「せっかくだしお呼ばれしようかしら♪」
サラトガ「そうしよそうしよ♪」
アイオワ「二人のchemical curry頂くわ♪」

比叡「わっかりました♪」
磯風「ビスマルクはどうする?」
ビスマルク「私は後でプリンツ達と鳳翔の所に行く約束を思い出したから、今回は遠慮しとくわ(嘘)」
比叡「それなら仕方ないですね〜」
磯風「なら今回は三人にご馳走しよう♪」
ア・ウ・サ『Thank you♪』
ビスマルク「(ー人ー)」ナームー

 ーーーーーー

新年早々カレーのネタになりましたが、ご了承を。
私の実家ではおせち料理の次は何故かカレーなのでそのままネタとして書きました。

此度も読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改3話

戦艦、空母メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ、ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、○九○○ーー

 

 本日の鎮守府は提督が第一艦隊と共に大本営が主催する新年会へ赴いているため、出撃任務は無しの軽い日程である。

 因みにここの第一艦隊は扶桑・山城・高雄・愛宕・赤城・夕立である。

 

 

 空母寮、談話室ーー

 

 そしてここ空母寮では空母の艦娘達がそれぞれ集まり、他愛もない会話を楽しんでいた。

 

加賀「…………」ヤレヤレ

翔鶴「……大丈夫ですか、サラさん?」オロオロ

瑞鶴「大丈夫ってか、あんたも無謀なことをしたわね〜」ニガワライ

サラトガ「だ、だって〜……」ウゥ

 

 サラトガは加賀と瑞鶴にどこか呆れられなように扱われていた。それでも翔鶴だけはサラトガを心配し、お腹を抱えてコタツにうずくまるサラトガの背中を優しく擦っていた。

 

飛龍「サラちゃんどうしたのかな?」

蒼龍「さぁ……お腹冷やしちゃったとか?」

 

 後から談話室へやってきた蒼龍と飛龍が小首を傾げていると、二人の近くにいた龍鳳と龍驤が苦笑いを浮かべて説明を始めた。

 

龍驤「昨日の晩にサラやんが比叡と磯風の合作カレーを食べたんやって〜」ニガワライ

龍鳳「金剛さん達や陽炎型のみんなは上手く回避したそうなんですけど、サラさんは言われるがままに食べてしまったそうで……」

蒼龍「あ〜……だから昨晩騒がしかったんだ」

飛龍「今朝食堂で比叡さんと磯風ちゃんがお皿洗いしてた理由って……」

龍驤「提督が昨日、二人に下した罰やで」

 

 龍驤が爽やかな笑顔で伝えると、蒼龍達は苦笑いを浮かべる他なかった。

 

飛鷹「サラ、これ胃薬だから飲みなさい」つ胃薬

千代田「呑兵衛艦達御用達の薬よ♪」

 

 そんな話をしていると、飛鷹と千代田がサラトガへ胃薬を持ってきた。

 サラトガは飛鷹から胃薬を受け取ると「あ、ありがと……」と言って、弱りながらもちゃんと笑顔を見せた。

 

隼鷹「あたしらはそれに良く助けられてるからな〜♪」

千歳「いい薬です」ニコッ

千代田「どこぞの医薬品みたいな言い方しないでよ、お姉」ニガワライ

飛鷹「そもそも薬に頼る程飲まないでほしいわ」ハァ...

 

 その胃薬の効力を身をもって実感している二人が爽やかにサラトガへ声をかけると、飛鷹と千代田がしっかりとツッコミを入れた。

 

 サラトガが胃薬を飲んで一息吐いていると、それを見ていた瑞鶴がふと口を開いた。

 

瑞鶴「こう言っちゃなんだけど、アメリカの食べ物の方がケミカルな色をしたケーキなり何なりがあるのに、こうも弱るなんて凄いわよね〜」

サラトガ「二人が作ってくれたのは、キレイなパープルとエメラルドグリーンのカリーで美味しそうだったの〜」シクシク

瑞鶴(あ〜、寧ろ故郷では当たり前の色だから食べちゃったパターンなのね……)ニガワライ

 

 瑞鶴はそう考えたが、その場にいる全員が『そもそもそんな色したカレー食べるなよ』と思ったのは秘密である。

 そしてみんなそんなツッコミは入れず、苦笑いで流した。

 

加賀「それだけあの二人の料理が突出して不味いのでしょう……あの赤城さんですらノックアウトするんだもの」

 

 そんな中でも加賀だけはクールにそう返して茶をすすった。

 

翔鶴「やはり気合を入れる方向が間違っているんでしょうね」ニガワライ

龍鳳「間宮さん達から教わってるので、基礎は出来てるんですけどね〜」

蒼龍「それがどうしてあんな風になるのか……」

飛龍「ここまでくると、もう伝説というか摩訶不思議よね」ニガワライ

 

 それからみんなは改めて比叡達の料理の凄さを実感しつつ、まったりと過ごすのだった。

 

 

 戦艦寮ーー

 

 その頃、戦艦寮ではと言うと、

 

金剛「…………」人

榛名「…………」ニガワライ

霧島「…………」メガネフキフキ

アイオワ「( ゚д゚)」ポケェ

 

 比叡を除く金剛型姉妹がアイオワ達の部屋へお見舞いに訪れていた。

 アイオワは比叡と磯風の笑顔を奪いたくない一心であの毒々しいカレーを一皿完食したため、一口でトイレへ駆け込んだサラトガよりも胃へのダメージがまだ抜け切ってないのだ。

 その証拠にアイオワは目は開けていてもベッドから出れず、ずっと放心状態である。

 

ビスマルク「無理して食べたりするから」ヤレヤレ

ウォスパ「食あたりなんて情けないわね」ヤレヤレ

 

 ウォースパイトも昨晩、例のカレーを食べた一人である。

 ウォースパイトは比叡達に正直に「そんなに美味しくないわ」と言いながらも平然と一皿完食し、ケロッとしていたためみんな驚愕したが、金剛曰く「イギリスの艦娘だからとかは関係なく、彼女自身の舌や胃がクレイジー過ぎる」だとか。

 

アイオワ「( ゚д゚)<アナタノイガクレイジーナノヨ...」

ウォスパ「そんなことを言うあなたの思考はファンタジーね」クスッ

ビスマルク「上手いことを言ったつもり?」ニガワライ

ウォスパ「」テヘペロ

 

金剛「と、とにかく、次から凄い色をした料理の時は素直に逃げることをオススメシマ〜ス」

榛名「はい、比叡お姉さまには榛名達からちゃんと言い聞かせますから」

霧島「これ、陽炎達が作ったお詫びのクッキーだそうです。良くなったら食べてくださいって」

アイオワ「( ゚д゚)<サ.サンキュー...」

 

金剛「そういえば、お腹の具合はどうデス?」ナデナデ

アイオワ「( ゚д゚)<マダデイアフタートゥモローシテルワ」

榛名「デイアフタートゥモロー?」クビカシゲ

ビスマルク「アメリカのSF映画よ。天変地異が起きるやつ」

霧島「あ〜……つまりアイオワさんのお腹の中はまだ混沌としてるということですね」ニガワライ

ウォスパ「お粥を食べた後に胃薬は飲んだし、暫くすれば治るわよ♪」

アイオワ「( ゚д゚)<ソウダトシンジテルワ...」

 

金剛「回復したらワタシがステーキご馳走してあげマ〜ス♪」

アイオワ「( ゚д゚)<ハンバーガーモイイカシラ?」

金剛「もちのロンネ♪」ニコッ

ビスマルク「弱ってても逞しいわね、あなたは」ニガワライ

榛名「でもアイオワさんらしいですね」クスクス

霧島「そうね……では私達はそろそろお暇します。何かあったら遠慮なく呼んでください」ニコッ

ウォスパ「分かったわ、またね♪」ノシ

アイオワ「( ゚д゚)<バイバイ」

ビスマルク「」ニガワライ

 

 それからアイオワ、サラトガの二人は明石印の『明石胃散』で回復し、次の日には完全復活を遂げるのだったーー。




今回はちょっとドタバタ回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改4話

朝潮型駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、季節外れネタ含みます。

長めです。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 明石酒保ーー

 

明石「いやぁ、お手伝いありがとうね、みんな♪」

 

朝潮「いえ、気にしないでください♪」

荒潮「私達、今日はお休みで特にやることもなかったから」ニコッ

大潮「みんなでお片付けした方が早く終わるもんね〜♪」

満潮「部屋でダラダラしてるよりはマシだからね」

朝雲「そそ。それに妖精さん達だってお休み欲しいもんね♪」

霰「ご褒美がお菓子だから頑張る」キリッ

霞「餌付けされてるみたいね、あんた」ニガワライ

山雲「でもぉ、ご褒美が無いよりはマシよね〜」クスクス

 

 朝潮型姉妹はこの通り明石酒保のお手伝いの真っ最中である。

 三が日も過ぎたので、門松や鏡餅(作り物)を倉庫にしまったり、パーティ用の貸出衣装である晴れ着や袴などを片すのである。更には、まだ片せずにあったクリスマス用の着ぐるみや衣装などもこの機会に片す寸法である。因みに全衣装は全艦種サイズが取り揃えられているため、かなりの量である。

 

明石「貸出衣装の方は一度伊良湖さんにクリーニングしてもらうから、倉庫にはしまわずダンボールにクシャクシャにならないように入れておいてね」ニコッ

姉妹『了解♪』

 

明石「もし気になる衣装があれば着納めとして着ちゃってもいいからね♪」

 

 明石が朝潮達にそう声をかけると、朝潮達は揃って『は〜い』と返事をして衣装をひとつひとつ丁寧に畳んでいった。

 

山雲「あ〜、この白い袴、司令さんがお正月の立食パーティで着てたやつだわ〜♡」

朝雲「ホントだ♪ あの時の司令、とっても格好良かったよね〜♡」デヘヘ

荒潮「いつもの制服姿とは一味違う凛々しさがあったわよね〜♡」ポワワーン

満潮「た、確かに素敵だったわね……♡////」

霞「♡////」コクコク←激しく同意

 

 姉妹の中のLOVE勢はその時の提督のことを思い浮かべ、恍惚の表情を浮かべた。

 それを隣で見ている朝潮、大潮、霰の三人は『相変わらずだな〜』と思いながら笑みを浮かべていた。

 

明石「実は今日からその時の生写真を販売するのよ♪ 全十種類で一枚百円なんdーー」

LOVE勢姉妹『全種三枚ずつください!』

明石「毎度あり〜♪」ニシシ

大潮「商売上手ですね〜」オォー

霰「商売上手っていうか、保存用、鑑賞用、常備用って買うのが分かってるからだと思う」

朝潮「金剛さんとかは五枚買うって聞いたわ……他に何用で買うのかは知らないけど……」ウーン

明石「それ以上知ろうとしちゃダメよ、朝潮ちゃん」カタポンッ

 

 明石に爽やかな笑顔でそう言われた朝潮は小首を傾げながらもちゃんと頷き、また衣装を畳むことにした。

 

 

 そしてーー

 

荒潮「こうしてみると、サンタのコスチュームって沢山あるのね……オーソドックスのからセクシーのまで……」フムフム

霞「このビキニタイプのなんてサンタ関係無いわよね……帽子とポンチョが無かったらただの水着じゃない////」ハワワ

満潮「トナカイさんのコスチュームにもいやらしいビキニタイプがあるわ////」ウワッ

朝雲「これも角のカチューシャとか無かったら水着よね……」ニガワライ

朝潮「どうしてこのようなコスチュームを置いたんですか?」

明石「勇者が着るかな〜と思って用意したんだけどね〜……結局誰も着なかったから、これはこのまま廃棄かな〜。大潮ちゃん、霰ちゃん、これそこの廃棄用ダンボールに入れてくれる?」つ衣装

 

 明石にそう頼まれると大潮と霰は『は〜い』と言って衣装を受け取った。

 

大潮「勿体無いですけど、誰も着ないなら仕方ないですね〜」ポイッ

霰「大和さんや陸奥さん達も流石にこういうのを着て提督の気を引こうとか考えないもんね」ポイッ

山雲「そもそも司令さんなら『寒そうだから服を着なさい』って言うと思うなぁ……」ニガワライ

朝雲「確かに言いそうね」ニガワライ

 

 すると今度はサンタコスチュームでも可愛い系のコスチュームが出てきた。

 それぞれは肩出しセーターにミニスカートとポンチョがセットになっている物、胸元に白のポンポンが二つ着いた長袖のミニワンピースの物、マーメイドラインドレスに白いファーが施された物、赤を基調としたタータンチェックの背中がバッサリと開いたミディ丈ワンピース物である。

 

朝雲「わぁ、可愛い♪」

荒潮「タータンチェックっていいわね♪」

満潮(どれも可愛い……////)チラチラ

霞(可愛いかも……////)チラチラ

山雲「ねぇねぇ、せっかくだしクリーニングに出す前に着ましょうよ〜♪ 全部二着ずつで全員分あるし〜♪」

 

 山雲の提案に朝潮達は『じゃあ着ちゃおっか♪』と乗り気に頷き、明石に言ってから姉妹はそれぞれ奥にある試着室へ向かった。

 

明石(艦娘とは言え、海から上がればちゃんとした女の子よね、みんな♪)フフフ

 

 明石はそう考えつつ他の衣装を畳んでいると、ドアベルがカランカランと鳴った。

 

明石「いらっしゃいませ〜♪」

 

提督「邪魔するよ」

響(本日秘書艦)「こんにちは」ニコッ

 

 二人の来店に明石は「面白くなりそう♪」と内心楽しみつつ、レジへ入って接客を開始した。

 

明石「いつものですか?」ニコッ

提督「あぁ、五カートン頼む」

明石「吸い過ぎないでくださいね」ニガワライ

提督「一日一箱も吸っていないから安心してくれ。でも心遣い感謝するよ」ニコッ

明石「……はい♡」ニッコリ

響「……明石さん、このバリザムもお願いするよ」

明石「あ、は〜い。ウォッカじゃないなんて珍しいわね」

響「買い置きが無くなったからね」

提督「バリザムは確かロシアで古くから親しまれている酒で日本で言う「養命酒」的な物だったかな?」

響「あぁ、飲み方としてはそのまま飲んでもいいし、コーヒーなどに少し入れたり、紅茶やウォッカで割って飲んだりするのも美味しい。司令官も今度どうだい?♡」ニコッ

提督「では今度頂こうか」ナデナデ

 

 提督は笑顔を浮かべ、そう言って響の頭を優しく撫でると響は「あぁ♡」と幸せそうに微笑んで返した。

 するとそこへ、

 

朝潮「明石さん、着てみました♪」

大潮「どうですか〜?♪」

 

 と朝潮と大潮がミニワンピースのサンタ衣装を着て登場した。

 

 提督と響は驚いたが、明石から訳を聞かされると二人して『なるほど』と頷いた。

 

朝潮「司令官、お疲れ様です」ニコッ

大潮「どうですか?♪」クルリ

 

提督「二人共、似合っているよ」ニコッ

大潮「やった〜♪」ピョンピョン

朝潮「お褒め頂き光栄です!」ケイレイ

響(サンタコスしたまま敬礼って斬新だな〜)

 

荒潮「私達のサンタ衣装はどうかしら〜?♡」

満潮「あ、あんまりジロジロ見ないでよね////」カァー

 

 今度は満潮と荒潮がタータンチェックのサンタ衣装を着て登場した。

 

提督「おぉ、これまた可愛らしいサンタだな」ニコッ

荒潮「うふふふ〜♡ 嬉しいわ〜♡」ヤンヤン

満潮「…………♡////」ニマニマ←恍惚ポーズ

響(満潮が戻って来れなくなった……)

 

朝雲「着たわよ〜……って司令に響も居たんだ、やっほー」ニコッ

山雲「わぁ〜、司令さんだ〜♡」ノシ

 

 お次は肩出しセーターのサンタ衣装を身に着けた朝雲と山雲が登場。

 

提督「ほぅ、セーターとポンチョの素敵なデザインが二人に良く似合っている」ニコッ

朝雲「へへ、ありがと♡」ピース

山雲「えへへへ〜♡」ニコニコ

響(セットのブーツも可愛い……)

 

霰「着るの大変だった……」ハフ

霞「げ、なんで司令官が……////」

 

 最後にマーメイドラインドレスのサンタ衣装で着飾った霰と霞が登場した。

 

提督「ちょうど買い物に来ていてな……二人は艶やかで魅力的な衣装だな」ニコッ

霰「ありがと、司令官……嬉しい♪」ニッコリ

霞「な、何言ってんのよ……もぉ♡////」ニヨニヨ デレデレ

響(ツンデレじゃなくなってる……)

 

明石「うんうん、皆さん美少女揃いだからとても華やかね♪」

響「私もタータンチェックのやつ着たいな……去年のクリスマスパーティでは何も仮装しなかったから、司令官に見せてあげたい」ウズウズ

提督「はは、気持ちだけで十分さ……今年のクリスマスの楽しみにさせてもらうよ」ナデナデ

響「ふふ、楽しみは後にってことだね♡」スリスリ

 

 その後、提督と響は会計を済まし、提督は去り際に気障っぽいと自分でも思いつつ「ではまたな、可愛らしいサンタさん達」と朝潮達に言葉を残し、爽やかな笑顔で去っていった。

 一方、提督に褒められた朝潮達は嬉しそうに笑って提督と響を見送り、LOVE勢である満潮、荒潮、朝雲、山雲、霞の五名は天にも登る気持ちで頬を緩めていたーー。




かなり季節外れですが、こんな時もありますよね?
片そうとした漫画をもう一度読み返しちゃう的な……そんな感じのネタにしました!
細かなデザインはお好きな物をご想像してください♪

では読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改5話

冬でも元気だよ! の談。

キャラ崩壊含みます。


 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 中庭ーー

 

提督「寒くないか、陸奥?」

陸奥(本日秘書艦)「コート着てるし大丈夫よ、ありがと♡」ニコッ

 

 提督は午前中の仕事を終えたため、一服しに中庭までやってきた。陸奥はその付添である。

 

陸奥「こう見てると、外で遊んでる娘達が結構いるわね〜」キョロキョロ

提督「そうだな……元気でいいことだ」フフ

陸奥(今の会話、ちょっと夫婦っぽかったも♡)ニヘラ

 

 提督と陸奥は提督専用の喫煙ベンチに座り、遊んでいる者達を眺めた。

 

 ーー

 

朝霜「っしゃ〜! いったろ〜!」ダダダダッ

清霜「ちょ、早いって!」テコテコッ

秋月「凧持ってる朝霜さんが引手に追い付いては上がりませんよ」ニガワライ

照月「寧ろ早歩きくらいでいいと思うな〜」ニガワライ

初月「ここは僕がアシストに回ろう」ニコッ

朝霜「わぁった〜、んじゃこれな♪」つ凧

 

初月「それじゃ……清霜、ゴー!」クワッ!!

清霜「ひゃ、ひゃい!」パタパタッ

初月「走り方がぬるい! もっとだ!」

清霜「は、はい〜!」トトトトッ

初月(今かな)フワッ

 

朝霜「お〜、上がった上がった♪」

秋月「ちょっとスパルタだったけど、上がって良かったわ」ニガワライ

清霜「うわぁ〜……高〜い♪」

照月「潮風もあるしもう少し糸長くしよ♪」

初月「(  ̄▽ ̄)」フフン

 

長10cm砲ズ『……』ウズウズ

秋月「撃っちゃダメだからね?」ナデナデ

照月「あれは敵機じゃないからね〜」ナデナデ

初月「対空訓練まで我慢な」ナデナデ

長10cm砲ズ『♪』コクコク

清霜「長10cm砲ちゃん達も持ってみる?」ニコッ

長10cm砲ズ『!』キラキラ

清霜「ふふ、じゃあ順番ね♪」

 

朝霜「なんか自分より年下の面倒見る子どもみたいな感じだな〜」ホッコリ

秋月「あ〜、なんか分かります」ホホエマー

照月「和むね〜♪」ホコホコ

初月「平和だな〜」マッタリ

 

 ーー

 

陸奥「はぅ〜、こっちまで和むわ〜」ホホエマー

提督「そうだな……凧に大きく『戦艦になりた〜い』と書いてあるのが気になる所だが」フフフ

 

 清霜達の凧揚げ風景に心を和ませる二人。

 すると今度は激しい音が鳴り響いた。

 

陸奥「あら、今日は砲撃訓練あったかしら?」

提督「いや、無かったはずだ。それにあったとしてもこんな至近距離で音がするはずは……」

 

 二人が音のした方角を見ると、そこには他の夕雲型姉妹が羽根つきをしていて、その隣で長門、イタリア、ローマのグループがダイナミック羽根つきをしていた。その証拠に地面部分が幾つか抉れている。

 

陸奥「長門ったら……」アタマカカエ

提督「……まぁ、力加減を間違えたんだろう、うん」ニガワライ

陸奥「酷いようなら注意しにいくわ」ゴゴゴゴゴ

提督「あまりキツく注意するなよ?」ナデナデ

陸奥「は〜い♡」ケロッ

 

 とりあえず二人は夕雲達(主に長門達)の羽根つきを見守ることにするのだった。

 

 ーー

 

長門「どうした、その程度か?」フフン

ローマ「くぅ……強い」グヌヌ

 

夕雲「巻雲さ〜ん♪」コン

巻雲「はいです♪ 高波〜♪」コン

高波「はわわ……えいっ!」コーン

風雲「ちょ、方向考えて!」アワワ

長波「カバー入るよ〜♪」コン

早霜「どうぞ♪」コン

沖波「よっと!」コン

風雲「オーライ……てや!」スカッ

 

 コロン……

 

夕雲「あら〜、また風雲さんね〜」クスクス

沖波「今度は反対側のほっぺにバッテン書きます♪」

長波「気合入れ過ぎなんだよ」アハハ

巻・高・早『どんまいどんまい♪』クスクス

風雲「次は私が書く番なんだから〜!」ムキー!

 

イタリア(方やほのぼの、方や熱血……どっちが正しいハネツキーなのかしら?)ニガワライ

 

長門「そちらに先手を譲ってやろう」

ローマ「次そこは!」サーブ

長門「力み過ぎだ、ぞ!」コン

ローマ「また逆を!」コン

長門「良く返した……だが」キラーン

 

 バシュンッ!

 

ローマ「にゃう!?」

長門「二度目は取れないだろう」フフン

ローマ「〜!」グヌヌ

イタリア「ね、ねぇ、長門〜?」

長門「どうした、ローマと交代か?」

イタリア「ち、違うわ……さっきから凄い勢いで地面が抉れてるんだけど、大丈夫なの?」

長門「これくらいまた埋めればいい。さて、ローマの顔にまたバツマークを書いてやるか」ワキワキ

ローマ「くっ……早くなさい!」

長門「今度はその額に書いてやろう」

ローマ「(`;へ;´)」←待機中

イタリア(本当、ローマは負けず嫌いね〜)ニガワライ

 

 ーー

 

提督「まるで訓練だな」

陸奥「可哀想だから長門に言ってくるわ」

提督「吸い終えたら私も行くよ」ニコッ

陸奥「分かったわ♡」ニパッ

 

 それから陸奥はパタパタと小走りで長門達の元へ向かった。

 

陸奥「姉さん」

 

長門「ん、あぁ、陸奥か。どうした?」

イタリア「Ciao. 陸奥」ニガワライ

ローマ「Ciao……」クスン

 

陸奥「あ〜あ〜、こんなに顔にバッテンつけられちゃって……」ニガワライ

ローマ「返す言葉もないわ」クシクシ

イタリア「」ニガワライ

陸奥「姉さん、あなたもっと手加減しなさいよ……羽根つきってそんなに熱くなる遊びじゃないんだから」

長門「勝負事で手加減するのは失礼だろう?」

陸奥「限度ってのがあるでしょ」

長門「しかしローマたっての希望なのだが」

陸奥「」チラッ

ローマ「(´・ω・`)」コクコク

イタリア「(ローマは負けず嫌いだから)」コソッ

陸奥「なるほどね……」ヤレヤレ

 

提督「ならば仇は私が取ろう」

ローマ「提督!//// み、見ないで!////」

提督「隠す必要はない。負けを恐れずに戦った戦士の顔だ」ニコッ

ローマ「提督……♡////」トゥンク

 

長門「相手がて、提督だろうと容赦はしないからにゃ!♡////」←超喜んでる

提督「あぁ、本気で来なさい」ニコッ

 

秋月「どちらも頑張ってください!」ノシ

照月「提督も長門さんもファイト〜♪」

初月「提督、頑張って〜♡」ピョンピョン

長10cm砲ズ『〜♪』ピョンピョン

夕雲「提督〜♡」ノシ

巻雲「お二人共頑張ってくださ〜い♪」

風雲「見れる試合にしてよね〜♪」

長波「ケガすんなよ〜」ニガワライ

高波「ファイトかも〜!」ノシ

沖波「応援してま〜す!」ノシ

朝霜「いい試合にしろよな〜♪」ニシシ

早霜「見守ってます♡」ニッコリ

清霜「長門さん、司令官、頑張って〜!」ピョンピョン

 

 いつの間にかギャラリーが増えたが、提督と長門は互いに笑みを浮かべたまま羽子板を持って距離を取った。

 

長門「本当に私からでいいのか?」

提督「あぁ、構わないよ」ニコッ

長門「では……ふっ!」←勝負事になると真剣

 

 ギューーーン!

 

全員『早っ!?』ギョッ

 

提督(まともに受けたら羽子板が破裂するな……)

 

 フワッ

 

全員『!!!?』キョウガク

 

 提督は羽子板を寝かせ、角度を調節した上で長門の後方へと羽根を返した。

 

長門「ならば、これはどうか、な!」

 

 バシュンッ!

 

 先程ローマを泣かせたスマッシュが炸裂。

 

提督「強過ぎる……」

長門「っ!?」

 

 提督は羽子板に羽根を当て、腕全体をしならせてインパクトを弱めつつ、手首を軽く捻って羽根を見事に返してみせた。その際、羽根はスクリュー回転を加えられ先程よりも早く鋭くなり、長門は反応出来ずに羽根は虚しく地面へ落ちた。しかも長門のスマッシュのように地面が抉れることなく、優しく落ちるのだった。

 

長門「あれを止められては私の完敗だ」ニガワライ

提督「もう少し柔軟さを加えると、よりいいスマッシュになる」ニッコリ

長門「肝に銘じるよ////」ドキドキ

提督「では長門の右の頬へバッテンをつけてやろう」

長門「あぁ、来るがいい♡」

 

LOVE勢『て〜とく〜♡』キャーキャー!

 

 その後も提督はお昼までみんなと凧揚げや羽根つきをして過ごすのだったーー。




今回はお正月の外の遊び回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改6話

神風型駆逐艦、利根型重巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「よし、今日の書類はこれで終わりだ」

 

 提督はそう言うと、終わった書類の山をポンと叩いた。

 すると本日秘書艦の筑摩が「お疲れ様です♪」と言って提督の元へ近寄った。

 

提督「ありがとう、筑摩。後は伝令室に持っていく書類を提出すれば今日のお役目は終わりだぞ」

筑摩「はい。では早速提出してきちゃいますね♪」

提督「あぁ、ならば一緒に行こう。それで提出したらそのまま食堂に行こう。褒美という訳ではないが何かご馳走するよ」ニッコリ

筑摩「では姉さんも呼んでいいですか?」

提督「もとよりそのつもりさ。通信機(スマホ)で連絡を入れるといい」ニコッ

筑摩「はい♡ 私だけ大事にされては姉さんに怒られちゃいますから♡」フフフ

 

 筑摩はそう返すと早速利根に連絡を入れ、提督と共に書類を持って伝令室へ向かった。

 

 

 伝令室までの道中ーー

 

提督「利根から折り返しの連絡は来たか?」

筑摩「いえ、特には。でも既読にはなっているので見てはいるはずです」ニコッ

提督「今は相手が読んだかも分かるから便利になったな」シミジミ

筑摩「はい。でも緊急だと音声通信の方が早いんですけどね」クスッ

提督「まぁ、それはそうだろうな」フフ

 

 そんな話をしていると、背後から「て〜とく〜! ち〜くま〜!」とお馴染みの声がした。

 二人が振り返ると、廊下の向こうから利根が元気に手を振って二人の元へ走ってきている。

 

利根「利根、この通り馳せ参じたぞ!」ババーン

提督「おぉ、早かったな利根」ニコッ

利根「提督の呼び出しなら当然じゃ♡」フフーン

筑摩「姉さんったら」クスクス

 

 それから利根を加えた三人は伝令室に書類を届け、提督が提案した通りにその足で食堂へと向かった。

 

 

 食堂までの道中ーー

 

 利根と筑摩は提督を真ん中に置き、左が利根、右が筑摩の単横陣で進んでいた。

 

筑摩「姉さんはお昼に私達と別れてからは、お部屋に戻ってたんですか?」

利根「うむ……帰りにザラとポーラに会ってな。二人が持ってた筑摩面の福笑いをして過ごしておったのじゃ♪」

提督「あ〜、あの筑摩の顔を模した福笑いか」

利根「そうじゃ♪ 今年はちゃんと筑摩の笑顔の写真を使ったやつじゃぞ♪」

提督「私も製品を見たが、ちゃんと並べられればもしかしたら本当に福がきそうだな。福笑いの趣旨とは違うが」ニコッ

筑摩「何だか恥ずかしいです////」ポッポッ

 

利根「他にも雪風面の福笑いや山城面の不福泣きもあったが、どれも秀逸であった」アハハ

提督「不福泣きとはなんだ?」

筑摩「福笑いと同じ遊び方ですけど、泣き顔ではなく笑顔になるように顔のパーツを並べるルールです」ニコッ

提督「ほぅ、泣くから笑うに変えると言うことだな……その発想は素晴らしい」ウンウン

 

 そんな話をしつつ食堂へ着いた三人。

 

 

 食堂ーー

 

 食堂の中に入った三人は間宮達と笑顔で挨拶を交わし、それぞれ注文してから、どのテーブルに座ろうかと中を見回すと一つのテーブルから声をかけられた。

 

朝風「司令か〜ん♪」ノシ

 

 そのテーブルでは神風型姉妹が座っていて、朝風は提督達に元気に手を振り、神風と春風はニッコリと笑みを送っていた。

 提督達はそのまま神風達が座るテーブルに相席することにした。

 

 提督達がテーブルの側へ行くと、春風がスッと奥に詰めて提督に「どうぞ♡」と自分の隣に座るよう促した。

 提督は春風にお礼を言ってから座ると、利根も何気なくそのまま提督の隣に座り、正面から見て右から利根、提督、春風という並びになった。

 対する筑摩は神風と朝風が詰めた隣に座り、利根と向かい合う形になった。

 

提督「神風達は今日は休みだったな。ゆっくり過ごせたか?」

春風「はい♡ お姉様達とカルタで遊びました♪」

朝風「神風姉ったらすぐお手つきしちゃうのよ? 艦隊のプロフィール写真では競技カルタの選手みたいなポーズしてるのに♪」クスクス

神風「あ、あれは大本営で指定されたの!//// そもそも私の知ってるカルタと違うんだもん!////」

 

 神風は「普通のなら負けないもん!」と両手を振って抗議するが、朝風も春風も優しく『そうだね〜♪』と言って全く動じなかった。寧ろ姉の顔を立てているので、提督達は苦笑いを浮かべていた。

 そこへ速吸がそれぞれの甘味を乗せたお盆を持ってテーブルへやってくると、神風はパッと顔色を変えた。

 

 そしてみんなで『頂きます』をしてから、間宮達の美味しい甘味にみんなして顔をほころばせた。

 

提督「そう言えば、今年は艦娘関係の商品が去年にも増して増えたな」

筑摩「そうですね。私達の写真集やらフィギュア、それからユニークな物まで幅広く」フフ

利根「吾輩と筑摩の姿を模した捲りカレンダーも出たしな!」

神風「でも、あのカレンダーって利根さん達のスカート部分が日付で、そこを捲るようになってるから嫌じゃないですか?」

利根「あれも一種の趣きじゃ♪ あのカレンダーがあるからと言って誰もが吾輩達のスカートを捲りはせんじゃろ?」

朝風「まぁ、確かに」ニガワライ

 

春風「わたくし達が遊んだカルタも艦娘版だったんですよ?」ニコッ

提督「ほぅ、カルタまであるのか」フムフム

朝風「いろはカルタだから枚数は四七枚なんだけど、読み札が五七五で楽しいの♪」

利根「吾輩の札はあるのか?」wktk

 

朝風「利根さんのは確か……『カタパルト、整備すれども、また不調』だったわね」

利根「( ̄□ ̄;)!!」ガーン

筑摩「姉さん」ナデナデ

神風「だ、大丈夫です! 足柄さんのは『我々の、勝利の鍵は、トンカツよ!』ですから!」

提督(それはフォローなのか?)ニガワライ

利根「ほうほう、それなら吾輩の方がマシじゃな!」ドヤァ

筑摩「良かったですね、姉さん」ニガワライ

 

提督「ほ、他にはどんな読み札があるんだ?」

神風「あ、印象深かったのがあります! えっと『羅針盤、ちゃんと示せよ、ここじゃない』です!」

提督「あぁ、すごく分かるよ」ウンウン

 

朝風「私はねぇ……『朝が来た、それじゃおやすみ、また夜に』っていう川内さんのが面白くて好き♪」

筑摩「川内さんらしいというか、らし過ぎるというか」クスクス

 

春風「わたくしは隼鷹さんの『ヒャッハー、宴だ酒だ、リバースだ』が可笑しくて笑ってしまいましたわ」クスクス

利根「完璧にあ艦詩じゃな……」ニガワライ

 

 その後も提督達は艦娘版カルタの話で盛り上がり、甘味を食べ終えた後は、神風達の部屋にお邪魔して実際に艦娘版カルタを楽しんだそうなーー。




今回は室内のお正月の遊び回っぽくしました♪
実際に艦これカルタなんかあったら面白そうですよね♪

では読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改7話

球磨型軽巡洋艦、重雷装巡洋艦のみ。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、二一〇〇ーー

 

 軽巡洋艦寮、球磨型姉妹部屋ーー

 

北上「んん〜……今日も頑張ったね〜」グデーン

多摩「にゃ〜……後はお布団で丸くなるだけにゃ〜」ダラーン

 

 球磨型姉妹達は入浴を終え、部屋でまったりとした時間を過ごしていた。

 

大井「球磨姉さん、まだ髪が乾いてないんですからもっとしっかり座っててください」

 

 そんな中、大井は甲斐甲斐しく球磨の髪をヘアブラシを使って丁寧に梳きながらドライヤーで乾かしてあげていた。

 大井や他の姉妹は自分でちゃんと乾かすのだが、球磨は面倒くさがりなのもあるため、いつもこうして大井が面倒を見ているのだ。

 

北上「球磨っちは髪の長さも量も多いから大変だよね〜」

木曾「そんでずぼらだからな」ニガワライ

 

球磨「木曾〜、聞こえてるクマ〜」ギロッ

木曾「アッハイ……」

大井「球磨姉さん?」ニッコリ

球磨「アッハイ……」ピシッ

 

 流石の球磨もこうした場合の大井には頭が上がらない。

 

多摩「大井は本当に甲斐甲斐しいにゃ〜。今朝もわざわざ七草粥作ってくれたし」ホホエマ

北上「そういう細かい気配りを出来るのが大井っちのいいとこっしょ〜♪」

木曾「ちょっと凝り性なとこはあるがな」ニガワライ

大井「木曾?」ニッコリ

木曾「ナ、ナンデモナイデス……」

 

大井「七草粥はおせち料理で疲れた胃を休めて、野菜が乏しい冬場に不足しがちな栄養素を補う効能があるのよ」モウ

木曾「元旦しかおせち料理食ってないーー」

大井「ん?」ギロリ

木曾「で、でも美味しかったよ、姉貴……」ガクブル

大井「なら良かったわ」ニッコリ

 

球磨「でも大井はもう少し手を抜いていいと思うクマ〜。料理はいいけど、お風呂上がる時の髪の水切りが細かいし、タオルで拭く時も細かいし……」

大井「髪は女の命ですからね。その命を蔑ろにしてはいけません」ペチッ

球磨「あだっ……分かったクマ〜」

 

 それからも大井は球磨の髪を丁寧に乾かしてあげた。

 北上が前に言ったように、球磨は髪の量が多い。大井が手入れをしないと必ずと言っていい程、朝には爆発しているので大井が毎回乾かすようになったのだ。

 

大井「後もう少しで終わりますからね〜♪」

球磨「了解だクマ〜」

 

 球磨の髪がある程度乾いたら、大井は球磨の髪の毛を下に引っ張るようにしながら持ち、根元から毛先に向かってドライヤーを当てた。

 そして最後の仕上げとして、乾き終えた頭頂部をロールブラシで上から当てて押さえながら温風を当て、最後に冷風を当ててしっかりボリュームダウンさせるのだった。

 

大井「はい、出来ました♪」ポフッ

球磨「クマ〜、ありがとクマ〜」ハフー

 

 大井に球磨がお礼を言うと、大井は笑顔で「はい♪」と嬉しそうに返した。

 

木曾「そろそろ湯たんぽの用意するか……」

北上「ならアタシも手伝うよ〜」

大井「それなら私もーー」

球磨「大井はコタツでゆっくりするクマ〜」グイッ

多摩「今度は多摩達が大井を甘やかす番にゃ」ニコッ

 

 球磨と多摩がそう言うと、二人は大井の両脇に移って球磨多摩サンドして大井に身を寄せた。

 それを見た北上と木曾は微笑ましいと思いながら湯たんぽの用意に入るのだった。

 

球磨「お風呂入ったのにひんやりしてるクマ〜」ギューッ

多摩「多摩達が温め直してあげるのにゃ〜」ナデナデ

大井「もぉ〜////」

球磨「提督もそろそろ大井のこういう乙女なとこに気づいてほしいクマ〜。大井なら絶対にいいお嫁さんになれるクマ」

大井「お嫁さんって……////」ハゥ

多摩「一途に尽くして家事も得意なのににゃ〜。こんないい子そういないにゃ」

大井「褒め過ぎですよぅ////」ァゥァゥ

 

 球磨と多摩の言葉に大井は顔を真っ赤にさせていた。身内びいきと思われがちだが、球磨も多摩も本当に大井のことを応援しているので自然とこうなってしまうのだ。

 勿論大井だけでなく、北上にしても木曾にしても二人からすれば自慢の妹である。

 

北上「大井っちは先ず暴走癖とフリーズ癖を直さないとね〜」ニシシ

木曾「後は鼻血癖、よだれ癖な」ニガワライ

 

 簡易キッチンの所で話を聞いていた二人にまで指摘された大井は「……努力はします////」と弱々しく返すことしか出来なかった。

 

球磨「そうだクマ! せっかくフィギュアを手に入れたんだから寝る前にグヘグヘするんじゃなくて、ちゃんと会話する練習をするクマ!」

大井「グヘグヘなんてしてませんよ!////」

 

 抗議する大井だが、北上や木曾からも『グヘってる』と言われた。

 

多摩「それはいい考えにゃ、丁度音声も流れるしにゃ♪ 頑張るにゃ、大井♪」ニコッ

大井「え……今からですか?////」

球磨「どうせ球磨達しかいないんだから恥ずかしがることないクマ」ニコッ

 

北上「そ〜そ〜、いつもの妄想を口に出す簡単なお仕事だよ〜」ニヤニヤ

 

大井「き、北上さんまで……////」

 

 大井はふと木曾の方に視線を移し、助けて光線を送った。

 

木曾「な、なぁ、大井姉貴も困ってるんだし、それぐらいにーー」

 

球磨「おい、私の名前を言ってみろ」ギロリ

 

 言葉を遮った球磨は眼光鋭く、更には語尾も無くなり威圧感がドッと木曾へ浴びせられた。

 その球磨の迫力に木曾は思わず「ぴぃっ!?」と素っ頓狂な声をあげた。

 そんな木曾に構うことなく球磨は木曾の元へ一歩、また一歩とジリジリ近寄っていく。

 

木曾「く、球磨姉貴だよよよぉぉぉぉ!!」

 

 迫力に耐え、かなり震えた声で木曾が答えると、球磨のオーラはいつものふんわりオーラに変わり、球磨は「なら分かるクマね?」とニッコリ笑顔で釘を刺した。

 

木曾「こ、怖かったよぉ〜」グスッ エグエグ

  (ごめん、大井姉貴!!)

北上「お〜、よちよち。もう大丈夫でちゅよ〜」ナデナデ

  (末っ子の宿命だね〜)

 

球磨「さぁ、大井、心置きなく練習するクマ」ニッコリ

多摩「いつものオーイファンタジーを解き放つにゃ」∑d

大井「えぇ〜……////」

 

 もうこうなったら誰にも止められない。そう実感している大井は決心してフィギュアの側まで行った。

 

球磨(頑張るクマ!)

多摩(大井は出来る子にゃ!)

 

北上(フィギュアでも正座するんだ……なんかウケるw)

木曾(大井姉貴……)

 

大井「すぅ〜……はぁ〜……////」

 

 深呼吸した後、ボイス再生スイッチをポチッとした。

 

提督『おはよう。いい朝だな』

大井「おおお、おはおは、おはようござりんすすすす////」

提督『早く起きなさい。今日も一緒に頑張ろう』

大井「はははいいい、いまいま起きましゅしゅ!//// 頑張りでごんすすす!////」

 

球磨「ごめん大井……もう見てられないクマ」カタポンッ

多摩「もっともっと時間が必要にゃ」ナデナデ

大井「はひ……////」ウゥー

北上「んじゃ、取り敢えず湯たんぽ出来たし寝よっか♪」

木曾「大井姉貴、その……俺らはずっと応援してっから……」ニコリ

大井「えぇ……////」

 

 その日の夜、大井は眠れず、提督のおやすみボイスは朝まで流れた。

 因みに球磨達は寝る際にアイマスクと耳栓を常備しているため快眠だったーー。




姉妹のほのぼの回にしました!
続編でも大井さんの壊れっぷりにはご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改8話

鎮守府に来客。の談。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、〇九〇〇ーー

 

 応接室ーー

 

 提督はにこやかな表情をしながらも、内心ではかなり頭を抱えていた。

 

 その理由は、

 

香取「新年早々、貴方の元に居られて幸せです♡」ギューッ

鹿島「先輩♡ 今日一日だけですけど、よろしくお願いしますね♡」スリスリ

 

大和・長門『(#º皿º)』ガルルル

金剛・榛名『(#゚Д゚)』パキポキ

 

 この二人の存在と、出迎えと案内を頼んだ艦娘達の中で数名のオーラがドス黒いからだ。

 

 香取と鹿島は大本営に所属しているが、今年は珍しく遅くてもお正月休みを貰ったので、こうして提督の鎮守府へやってきたのだ。

 因みに香取は提督と海軍兵学校での同級生で、鹿島は後輩であり、提督が海軍兵学校時代を共に過ごした仲である。

 

 昨晩、提督の元へ元帥殿からプライベート通信で連絡を受けた。

 簡単に説明すると、大本営が主催する新年会で提督と第一艦隊は二人と再会。第一艦隊の面々と二人は前に固い友情(?)で結ばれていたため、その時に扶桑達がこちらの鎮守府に遊びに来ないかと提案し、それが実現した形だ。

 提督も最初は学生時代の同級生と後輩が来てくれることに喜んでいたが、いざ二人が来るとこの空気だったので正直なところ困惑している。

 

提督「と、とりあえず皆、今日はこの二人が来てくれたから、仲良くな」ニガワライ

LOVE勢『は〜い』ピキピキ

LIKE勢『は、はい』ニガワライ

香取「どうぞ、お構いなく♪ 私達は彼と積もるお話があるので♪」ヒシッ

鹿島「えぇ♪ ですから皆さんはいつも通りで構いませんよ♪」ヒシッ

 

金剛「あいつらワタシのテイトクに馴れ馴れしいデス。頭が高いと言いマスカ……」ピキピキ

榛名「どうします、お姉さま? 処す? 処す?」

大和「その前に『ワタシの』という言葉を訂正しなさい、紅茶戦艦」

長門「そうだ。提督は我々のだ」

  (いずれは私のになってくれると嬉しいけど♡////)

妙高「まぁまぁ、皆さん」ドォドォ

那智「少しは落ち着け。客人の前なんだぞ」ヤレヤレ

足柄「そうよ♪ 所詮練習なんだから♪」

羽黒「あ、足柄姉さん……気持ちは分かりますけど落ち着いて……」オドオド

 

 まさに両側から火花バチバチである。

 

提督「こほん、二人共、来てくれたのに悪いが私は今日中にやっておきたい仕事があるんだ。終わるまでは皆と鎮守府を見学して回ってほしい」

香取「あら、なら私達がお手伝いします♡」

鹿島「そうですよ〜♡ せっかくなんですから一緒にいましょうよ、先輩♡」

提督「気持ちだけ受け取っておくよ。二人には扶桑達も会いたがっていたから、見学ついでに会ってくるといい」ナデナデ

香取「貴方がそう言うなら……」

鹿島「仕方ないですね〜」

 

 渋々と言った感じで二人が頷くと、大和達LOVE勢は『や〜い、断られてやんの〜♪』と言いた気にクスクスと笑った。

 それから二人は大和達に連れられて鎮守府の見学へ向かい、みんなが応接室を後にすると残った提督はふぅと思わず息をもらすのだった。

 

 

 食堂、一一〇〇ーー

 

扶桑「ふふふ、まぁ、そうだったの♪」

香取「そうなのよ〜♪」

山城「相変わらずというかなんというか」ニガワライ

鹿島「止めてよ〜!」プンプン

 

 見学を終えた香取達は見学の途中で再会した扶桑姉妹も加わって食堂で楽しく談笑していた。

 しかし、同じテーブルに座る大和達は明らかに快い顔はしていない。

 

扶桑「皆さん、どうしてそんなに怖い顔をしているんですか?」

 

 扶桑の問い掛けにみんなは「だって……」とバツが悪そうな声をもらす。

 

長門「逆に、お前達は何故そこまで歓迎出来る? この二人は我々の提督を虎視眈々と狙っているんだぞ?」

山城「まぁ、確かにそうだけどね……でもそれを言うなら私達だってライバル同士でしょ」

扶桑「それに私は提督のことはお慕いしていますけど、皆さんのそれとは違いますしお寿司」

榛名「それはまぁ、そうですけど……」

山城「最終的に決めるのは提督よ。なら私達は同じ人を想う同志よ。それに……」チラッ

 

 山城がそう言って目配せすると、香取が怪し気にメガネをクイッとあげた。

 

香取「私達は彼の……提督の学生時代のエピソードを有しています。今日は同じ殿方に恋する者同士、友好を深めに来た意味合いもあります」

鹿島「要するに恋バナしましょ♪」ニコッ

 

 二人が笑顔で鎮守府へ訪ねてきた旨を伝えると、

 

長門「なるほど、私達は間違っていたようだ」

大和「えぇ、これはいいお話……いい関係を築けるわ」

金剛「そういうことなら早く言ってクダサ〜イ♪ 今ワタシの特別なティーを用意シマ〜ス♪」

榛名「今日任務の方々にもお聞かせしたいのでボイスレコーダー持ってきます♪」

足柄「空いてる娘達(LOVE勢)にも今連絡するわ♪」

羽黒「司令官さんの学生時代……////」ドキドキ

妙高(あらあら……)ニガワライ

那智(掌返しが上手いというか何というか……)ヤレヤレ

 

 みんなして一気に二人を受け入れるのだった。

 

 それから多くのLOVE勢が食堂に集結。更にはみんなメモ帳やらボイスレコーダーやらを持参し、みんなが提督の学生時代の話に耳を傾け、中には顔をほころばせたり、愛をもらしたりしながら友好を深めていくのだった。

 

 

 そして別れの時、一七〇〇ーー

 

 香取と鹿島が大本営へ戻る際、二人と友好を深めた者達は提督と共に二人を見送りに正門までやってきた。

 

提督「皆と随分仲良くなったな。最初はどうなるかと思ったが、安心したよ」

香取「ふふ、ご心配お掛けしました♡」ニコニコ

鹿島「先輩はいつでも優しいですね〜♡」キャッ

提督「私は何もしていないさ。それより今日は楽しめたかな?」

 

 提督の問いに二人はニッコリと笑みを浮かべて頷いた。

 それを見た提督はホッと胸を撫で下ろした。

 

提督「それなら何よりだ。またいつでも来るといい。皆で歓迎するよ」ニコッ

香取「はい♡ ありがとうございます♡」

鹿島「また元帥さんにお願いしてお休みを頂いたら、お邪魔しますね♡」

 

 二人の言葉に提督が「あぁ」と頷くと、丁度大本営から迎えの車がやってきた。

 

あきつ丸「お二方のお迎えに来たのであります」ケイレイ

提督「二人のことをよろしく頼む」ケイレイ

あきつ丸「はっ!」

 

 提督と送迎役のあきつ丸が挨拶を交わすと、香取と鹿島は揃って提督の両サイドに展開し、距離を縮めた。

 

提督「どうした、二人とmーー」

香・鹿『今日は楽しかったです、提督(さん)♡』

 

 提督のほっぺにちゅっ♡

 

全員『!!!!!!?』

 

提督「お、おい、二人共////」

香取「うふふ、外国では挨拶なんですよ?♡」

鹿島「また会えるおまじないです♡」

提督「そ、そうなのか////」

 

 こうして提督や艦隊に色々と衝撃を与え、香取と鹿島はあきつ丸の運転で鎮守府を去った。

 

提督(やれやれ、本当に今日はいつにも増して賑やかだったな……)

 

 提督は車を見送りつつ、そう一日を振り返るのだった。

 

大和「提督!」

提督「お、おぉ、みんなしてどうしたのだ?」

長門「どうしたのだではない!」

金剛「早く殺菌滅菌するデス!」

榛名「消臭スプレーもしなくては!」

足柄「寧ろその制服はクリーニングよ!」

羽黒「…………」ゴゴゴゴゴ

 

 羽黒は無言の威圧で提督に消臭スプレーを差し出す。

 

提督「お、大袈裟な……仲良くなったのだろう?」

LOVE勢『それとこれとは別っ!』

 

 その後、提督の両頬は念入りに殺菌消毒され、制服には念入りに消臭スプレーを振り掛けられた。更には制服をクリーニングに出すため、提督はみんなに言われるがまま風呂へと追いやられ、いつもよりかなり早めのお風呂タイムをとるのだったーー。




今回はドタバタ回って感じですかね。
香取さん達が提督さんのどんなお話をしたのかは、読者様方のご想像にお任せします♪

それと昨日書き忘れてしまったのですが、昨日の七日は村雨ちゃんと夕立ちゃんの竣工日です!
そして今日は本編に出せませんでしたがしおいちゃんこと伊号第四〇一潜水艦の竣工日です!
みんなおめでとう!

ということで此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改9話

暁型駆逐艦のみ。

キャラ崩壊含みます。


 

 ○○鎮守府、一六〇〇ーー

 

 駆逐艦寮、暁型姉妹部屋ーー

 

雷「は〜、今日の任務も無事に終わったわね〜♪」

響「遠征任務だったけど、敵にも遭遇せずに済んだね。後は私達自身の報告書を書くだけだ」

暁「電〜、紅茶淹れましょ〜♪」

電「なのです♪」

 

 本日の任務を全うした暁型姉妹の面々は補給と精密検査を終えて部屋に戻ってきた。

 暁と電は姉妹分の紅茶を淹れ、響と雷は姉妹分の報告書を用意してコタツに座った。

 

暁「ふぅ〜ふぅ〜……」

響(熱いなら冷まして淹れればいいのに……)

暁「んっ……ん〜♪ 任務後のミルクティーは最高だわ♪」

電「ホッとするのです〜」ホッコリ

雷「お茶菓子にクッキーもあるわよ♪」

 

 みんな一先ずはティータイムということで紅茶やクッキーに手を伸ばした。

 

電「そういえば、阿賀野さんと能代さんは補給を終えたら自主訓練に行ったのです。電達はこうしてお茶してていいのでしょうか?」

響「あの二人は自主訓練というか、阿賀野さんの訓練だからね……」フフフ

電「んぅ?」クビカシゲ

 

 響が小さく笑って言うと、それを見た電はなんで響が笑っているのか分からず、紅茶を飲みながら小首を傾げた。

 

雷「乙女の大敵、正月太りってやつよ。阿賀野さんお餅食べ過ぎちゃったみたいで能代さんがまた厳しくしてるって話よ」ニガワライ

 

 雷が電にそう説明すると、電は「それは大変なのです」と言いながらクッキーを両手で持って小動物のようにサクサクッと食べた。

 

暁「雷、そういうバリケードなことはもっとビブラートに言いなさいよ。レガシィが足りないわ」

 

 暁の説教染みた言い草に雷は「うん」と頷くも、笑いを堪えるのに必死で言葉が入ってきていない。

 

響「そういう防壁に声を震わせて言うと、受け継いだものが足りるんだね」クスクス

暁「は? 響ったら何言ってるの?」

雷「暁姉がさっき言ったのよ……」プククッ

暁「え、私そんな馬鹿っぽいこと言ってないわよ」

響「盛大なブーメランに大草原だよ、私は……ふふふ」

雷「響姉、止めて、お腹痛い……あははは」

 

 響と雷がお腹を抱えて笑っている中、暁は頭の上にはてなマークを何個も浮かべて首を傾げ、まるで状況を分かってない。

 

電「あ、暁お姉ちゃん、さっきのお話なんですけど……」

暁「さっきの話?」

電「バリケードとか言ったお話なのです……」

暁「あぁ……でもそれでこんなに笑うとこある? 私は真面目に言ってるんだけど」

電「真面目だから笑われているのです……」ニガワライ

 

 暁は電が何を言いたいのか理解出来ずにいた。電はちゃんと間違いを指摘したら暁を傷付けてしまうのではないか、と思ってハッキリと指摘出来ないのだ。

 

雷「だから、電が言いたいのは暁姉のさっきの話の言葉の意味がまるで違うって話よ」

響「変に横文字やカタカナを使おうとするからそうなるんだよ」

 

 やっと笑いが収まった二人が息切れし、涙を拭きながらそう言うが、それでも暁はまだ分からなかった。

 

暁「ハッキリ言いなさいよ〜……分からないじゃない」プンスカ

響「じゃあ、さっき言ったセリフをもう一度言ってご覧」

 

 そう言われた暁はまた同じセリフを言うと、響と雷が一つ一つ丁寧に解説を始めた。

 

響「いいかい、姉さん? バリケードっていうのは敵の侵入や攻撃を防ぐために、道路や建物を塞いで作った応急の防壁のことを言うだよ。姉さんが言いたかったのはデリケートだろう?」

暁「うぐっ」

 

雷「次にビブラートね。ビブラートは音の高さを細かく上下に震わせる技巧のことで、暁姉が言いたかったのはオブラートでしょう?」

暁「あぐっ」

 

響「最後にレガシィだけど、レガシィは受け継いだものという意味だ」

雷「言いたかったのはレガシィじゃなくてデリカシーでしょう?」

暁「ウボァ〜!////」

 

 暁は変な叫び声をあげ、顔を真っ赤にさせ、そのままコタツの中に隠れてしまった。

 

電「暁お姉ちゃ〜ん!」ポフポフ

 

 電は急いで暁が潜ってしまった所を叩いて暁に出てくるように声をかけるが、暁は「うわ〜ん////」と押し寄せる羞恥から逃げていた。

 

響「今はそっとしておいてあげよう。今の姉さんには時間が必要だ」

雷「そうよ。そっとしておいてあげるのも妹の務めよ」ウンウン

電「殆ど二人のせいでこうなってるのです〜!」

 

 電は顔を「(>Д<)(こんな)」風にさせて二人に抗議するも、二人は「テヘペロ♪」と言った具合にお茶目に舌を出すだけで全く悪びれようとはしなかった。

 

 それを見たは電は盛大なため息をもらしつつ、暁に出てくるように説得した。

 

電「暁お姉ちゃん、お顔を見せてほしいのです。姉妹揃ってないと寂しいのです」ポフポフ

暁「…………」

電「電だって使い慣れない言葉とか間違えちゃうのです。誰にだって間違いはあるのです」ポフポフ

暁「……」

電「暁お姉ちゃんは電達の自慢のお姉ちゃんなのです。だから一度の失敗に負けないでほしいのです」ポフポフ

 

 電の言葉を聞いて、暁はモゾモゾとゆっくりコタツから顔半分だけを見せた。

 

暁「私、レディ?」

電「なのです♪」

 

響「(新手の口裂け女かな?)」フフフ

雷「(丁度口隠れてるしね)」クスクス

 

 響と雷がコソコソとまたからかうような話をしていると、

 

電「いい加減にしろ」ギロリ

 

 天使が悪魔へと変わった。

 

響・雷『ひぃっ』ビクッ

電「暁お姉ちゃんに『ごめんなさい』は?」ゴゴゴゴゴ

響・雷『ご、ごめんなさい、姉さん(暁姉)』ガクブル

 

電「響お姉ちゃん達も謝ってるのです♪ 暁お姉ちゃんも出てきてほしいのです♪」

暁「えぇ、分かったわ♪」←怖さが伝わってない

 

 こうして電の説得で暁も立ち直り、今度こそ姉妹揃って楽しくお茶をしつつ報告書を書き上げ、そしてみんなで仲良く提督の元へ報告書を提出しに行くのだったーー。




 おまけーー

 執務室、一七〇〇ーー

提督「響、雷」
響「何だい、司令官?」
雷「何かしら?」
提督「二人の報告書だけ、やけに字が歪んでいるのだが、どうかしたのか?」
響「あ、あ〜……ちょっと寒かったから震えちゃって……」プイッ
雷「わ、私は急いで書いたから……」プイッ

電「二人に書き直させますか?」
暁「でも、二人は一生懸命書いたのよ?」
提督「はは、いや、少し気になっただけだ。読めるから書き直す必要はないぞ」ナデナデ
響・雷『』ホッ

提督「よし、四人の報告書は預かったよ。皆下がっていいぞ」
暁「分かったわ♪」
響「またね、司令官」ニコッ
雷「今度はもっと頼ってよね♪」
電「失礼しましたのです〜」ペコリ

 パタンーー

熊野(本日秘書艦)「こんなにも字が歪んで……大丈夫なのかしら?」
提督「…………きっと一時的なものさ。それよりこれで今日の務めも終わりだ」
熊野「あら、阿賀野さん達の報告書がまだ……」
提督「何でも自主訓練に精を出し過ぎてしまったようでな……提出は明日の朝一にと連絡が来たんだ」
熊野「あらまあ……自主訓練をするのも程々がいいですわね」ヤレヤレ
提督「こちらもこちらで何か事情があったのだろう」

 こうして鎮守府は今日も穏やかに幕を閉じるのだったーー。

 ーーーーーー

はい、ということで今回は暁型姉妹のほのぼの回にしました!
何事も程々が一番ですね!

では読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改10話

綾波型駆逐艦のみ。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


 

 鎮守府近隣の街、一一〇〇ーー

 

 本日、提督は綾波型姉妹と共に漁業協同組合へ遅ればせながら新年の挨拶をしに行った。綾波型姉妹のみんなは提督の護衛任務という形でついてきたのだが、殆ど危険はないのでほぼ外出と同じである。

 そして挨拶を終えた提督達は鎮守府を代表し、この地にある神社へ初詣にやってきた。

 

提督「初詣としては遅すぎるが、しっかりと参ろう」

曙「混雑してる時に来るよりマシね♡」デレデレ

敷波「あ〜、確かに。後ろに人がいるって思うとちゃんとお参り出来ないもんね〜♡」デレデレ

 

 提督の言葉にそう言葉を発するLOVE勢の二人は、しっかりと提督の両サイドを陣取りご満悦な様子だった。

 

潮「初詣〜♪ みんなと初詣〜♪」ルンルン

綾波「はしゃぎ過ぎて転けないようにね」クスッ

漣「ばっちりお願いしちゃいまっしょい♪」

朧「あんまり私欲を出さないようにね」ニガワライ

 

 そして後に続く姉妹達もそれぞれ笑顔を浮かべていた。

 それから本殿の前に着いた提督達は提督を中心に単横陣で並び、お賽銭を投げ入れると、三つ垂れ下がっている鈴紐をそれぞれ引いて鈴を鳴らした。

 

 提督に倣い姉妹達は二礼した後、パンパンと二拍手してから、それぞれ参拝する。

 

提督(昨年はお世話になりました。今年も艦娘達の無病息災をお見守りください……)人

綾波(明けましておめでとうございます。少しでも世界に平和が訪れますように)人

敷波(司令官が無茶しないようにお見守りください。すぐ無茶するから)人

朧(去年はみんなのためになれたと思います。今年も頑張りますので、お見守りください!)人

曙(去年同様に提督の力になれるように頑張ります。すぐに一人で解決しようとするから)人

漣(今年も沢山沢山笑えますように♪)人

潮(みんなが幸せで笑顔が絶えないよう頑張ります!)人

 

 それぞれの思いを伝え終わると、終わった者から順に一礼して脇に移った。

 

漣「よ〜っし、参拝が終わればおみくじっしょ♪」

朧「おみくじか〜、占いってあんま信じなんだよね〜」

潮「運試しって感じでそんなに気にすることないよ」フフ

曙「そうそう、そもそも大吉が多めに入ってる訳だしね」

敷波「寧ろ大吉より凶引いた方がレアだよね〜。かと言って引きたくないけど」ニガワライ

綾波「当たるも八卦当たらぬも八卦ってことで」フフフ

提督「時間もあるから引いていくか、みんなで」ニコッ

綾・朧・漣・潮『はい♪』

曙「提督がそう言うなら……引いてみてもいいかしら////」

敷波「おみくじだしね……アタシ達だけやらないのも空気読めてないし////」

 

 こうしてみんなでおみくじを引くため、おみくじを担当している巫女さんの所へ向かった。

 

 

 ーー。

 

綾波「よいしょ」ガラガラ

敷波「よっと……」ガラガラ

 

綾波「わぁ大吉♪ やぁりました〜♪」バンザーイ

敷波「中吉か……まあまあかな」フフフ

 

朧「あ、思ってたより重いんだね、これ」ガラガラ

曙「本当ね。艤装よりは軽いけど」ガラガラ

 

朧「末吉か〜、まぁこんなもんだよね」アハハ

曙「凶……マジでレア引いたわ」ガックリ

 

漣「シェイクシェイク♪」ガラガラ

潮「何が出るかな〜♪」ガラガラ

 

漣「大吉!」ktkr

潮「私は吉〜♪」ピース

 

提督「最後は私だな」ガラガラ

 

提督「小吉か……確か去年も小吉だった気がするな」アハハ

 

曙(あたしだけ凶か……ん?)

 

 恋愛……素直になれば好転せり

 

曙「(素直に……ねぇ)」チラッ

 

提督「ん? あぁ、曙は凶だったな。何、気にすることはない。後は上がるだけだからな」ニッコリ

曙「そ、それくらい知ってるわよ!////」

提督「そうか、ならいいんだ」ナデナデ

曙「気安く撫でてんじゃないわよ……でも、ありがと♡////」カァー

提督「あぁ」ナデナデニコニコ

曙「〜♡」デレデレ

 

漣「砂糖止まんねぇぇぇ!」ダバー

綾波「漣〜!」ナデナデ

潮(曙ちゃん嬉しそ〜////)ドキドキ

敷波「いいな〜」ユビクワエ

朧「提督〜、敷波の頭も撫でてあげてよ〜」

敷波「朧っ!?////」ビクッ

提督「おぉ、では。よしよし」ナデナデ

敷波「や、やめろよぅ〜……今更撫でられて喜ぶ訳……デヘヘ♡////」ゴロニャーン

 

漣「またサトゥーがががが!」

綾波「漣〜!」ナデナデヨシヨシ

朧「みんなハッピーじゃないとね♪」

潮「そうだね////」ハワワ

 

 それから良い結果が出た者達はその運が待つように松の木に結び、悪い結果が出た者達はその運が早く過ぎるように杉の木にそれぞれおみくじを結ぶのだった。

 

 その後提督達は御守を見て、絵馬を見物して回った。

 そうしている内にお昼時となり、提督の奢りで近くのファミリーレストランで食事をしてから帰ることになった。

 

 

 ファミレス『チョリース』ーー

 

提督「皆好きな物を頼みなさい。私の奢りだからな」

全員『は〜い♪』

 

漣「奢りならステーキいっちゃおうかな〜♪」

綾波「和食御膳にしよ♪」

朧「ミックスグリル一択♪」

潮「朧ちゃんってミックスグリル好きだよね〜」フフフ

朧「だってハズレないもん♪ 肉々しいし♪」

曙「相変わらずね」クスクス

敷波「朧らしいけどね〜♪」

 

 みんなはそれぞれ好きな物を頼み、ファミレスならではの安定の味を堪能した。

 それから店員が食器を下げ終わると、また同じ店員が頼んではいない大きなパフェを持ってテーブルへやってきた。

 

店員「失礼します。お客様方は元旦から数えまして当店を訪れました二〇一七番目のお客様なので、メモリアルパフェを贈呈致します」ペコリ

提督「おぉ、それはそれは」

漣「大吉パワーktkr!」キラキラ

潮「わぁ〜、おっきい〜♪」

敷波「ホント、おっきいね〜」ウワー

朧「間宮さん達のパフェの味に勝てるかな〜♪」

曙「新年早々縁起いいじゃない♪」

綾波「感謝していただきましょう♪」

店員「ごゆっくりどうぞ」ペコリ

 

提督「かなり大きなパフェだな……みんな入るか?」

漣「甘い物は別腹っしょ!」

全員『♪』コクコク

提督「はは、要らぬ心配だったな。ではみんなで食べようか」

綾波「司令官、スプーンの数が足りないです」メクバセ

漣「丁度ご主人様の両サイドにいる敷波(シッキー)(ぼのぼの)ちゃんにはご主人様が食べさせてあげてくだしゃ〜♪」レンケイ

朧「両サイドだから食べさせやすいもんね♪」ニシシ

潮「た、多分、お昼時だからスプーンが足りなかったのかも……////」ガンバッタ

提督「そうか……二人はそれでいいかな?」

敷波「あ、アタシは別に……司令官さえ良ければ……♡////」チラチラ

曙「し、仕方ないわね、今回は食べさせてもらうわ!♡////」ドキドキ

提督「それは良かった。仲良く食べよう」ニッコリ

敷・曙『別に嬉しくなんかないんだからね!♡』デレデレ

敷波(中吉でも最高♡ 今度お礼言いに行かなきゃ♡)

曙(神様ありがとぉぉぉぉぉぉ!♡)

 

 こうして提督にパフェを食べさせてもらった敷波と曙はキラッキラして鎮守府へ戻るのだった。

 そして二人はその日はずっとだらしない顔でいたそうなーー。




今回は遅れての初詣回って感じにしました!
前作では空母勢で書きましたが、今作では綾波型のみんなにしてみました♪

では読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改11話

軽巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ、少し真面目なシーン、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、〇七〇〇ーー

 

 埠頭ーー

 

提督「全員、黙祷!」

 

 提督の言葉にこの場に集まった者達は海に向かって黙祷を捧げた。

 今日、一月十一日は軽巡洋艦『球磨』が沈んだ日なのだ。

 

球磨「…………」

 

 いつものほほんとしている球磨も、この日は気を引き締めて黙祷を捧げ、艦娘となった今の暮らし等を静かに報告していた。

 

 一九四四年、同日。

 球磨は対潜戦演習のため駆逐艦『浦波』と共にペナンを出港した後、イギリス海軍の潜水艦『タリホー』に発見され、対潜演習中に潜水艦に沈められるという、皮肉な結末を迎えてしまった。

 タリホーから放たれた七本の魚雷は球磨めがけて海中を進み、球磨も必死に回避しようと大きく舵を切るが間に合わず、船尾に二本の魚雷が命中。

 それにより球磨は炎上し、沈むことになった。

 その際、浦波が球磨の乗員達の救助に向かったものの、一三八名が犠牲となってしまった。

 

 球磨は艦時代、兵装強化をしたはいいが、二〇〇〇tもの上積みをされた結果、高速性能が犠牲となり、速度が三三ノットまで低下。

 また当時の海軍は重巡洋艦を重要視していたため、「川内型」から「阿賀野型」の間には十七年もの空白期間があった。

 球磨はそのような状況で、太平洋戦争開戦時の艦齢が二十一年ととても良い状態とは呼べなかった。

 そのため球磨は戦前こそは「シベリア出兵」・「支那事変(日中戦争)」と参加したものの、太平洋戦争では戦争初期の「フィリピン攻略作戦」に参加した後は、ほぼ輸送任務・船団護衛に就き、その「フィリピン攻略作戦」でも特に大きな活躍もなく、アメリカ水雷艇と一戦交えた程度だった。

 

 それでも輸送、哨戒、砲撃支援など黙々と任務をこなしていた球磨は、一九四三年十一月にシンガポールで対空兵装の増備改装を行い、五番砲塔を撤去してカタパルトを設置。

 また新たに二五mm三連装機銃を二基増備し、もともとの二五mm連装機銃二基と合わせて、機銃は計十門となった矢先の出来事だった。

 

球磨「…………」

 

 球磨は黙祷を終えると大きく息を吸った。

 そして、

 

球磨「みんな〜! 球磨は元気にやってるクマ〜! だからみんなは見守っててほしいクマ〜! みんなが安心出来るように頑張るクマ〜! 来年もこうして報告するからその時を楽しみにしててほしいクマ〜!」

 

 と大声で海に言葉をかけた。

 そんな球磨の行動に提督を含めたみんなが笑みを浮かべ、球磨の言葉を実現させようと決意するのだった。

 

提督「良い報告が出来るように頑張ろうな。球磨」ニコッ

球磨「クマ〜♪ 指揮しっかり頼むクマ♪」

提督「任せておけ」ウィンク

球磨「なら、おまじないとして球磨の頭を撫でさせてあげるクマ♪ 優秀な球磨ちゃんの頭を撫でれば運気も上がるクマ〜♪」

 

 ただ撫でられたいだけであるが、それは秘密である。

 提督は素直に球磨の頭を撫でると、球磨は提督の撫で撫でにご満悦の声をもらし、自慢のアホ毛もピコピコと跳ねていた。

 

提督「では、食堂に行くか。今日は鏡開きだからしっかり食べて、今日の任務も頑張ろう」ニコッ

全員『はい♪』

球磨「球磨はお休みだけど、お餅沢山食べるクマ〜♪」ピョンピョン

 

 こうして球磨を含めたみんなは提督の言葉に返事をして、食堂へ向かうのだった。

 

 

 食堂ーー

 

 提督が言ったように今日は鏡開きで、正月に年神様に供えた鏡餅を雑煮やお汁粉にして食べ、一家の円満を願う行事である。

 もともとは武家社会の風習だったものが一般化したもので。刃物で切るのは切腹を連想させるため、手や木鎚で割ったり、砕いたりする。

 また「切る」という言葉を避け、「開く」という縁起の良い言葉を使っている。

 地方によっては日が違い、京都では四日、他に二十日に行う地方もある。

 

 食堂の前には今年作った特大鏡餅(下の餅が約五十kg・上の餅が約三十kg)が置かれ、みんなで木槌を使って手頃な大きさに開いていく。中には食べたい分開く者もいる。

 

吹雪「赤城さん、そんなに食べられるんですか?」

赤城「これくらい朝飯前よ……寧ろこれでも遠慮してるのよ?」

初雪「等と供述しております」

加賀「お代わりなんてさせません」

赤城「Σ(゚Д゚)」ガーン

白雪「凄いカロリーになりそう」ニガワライ

深雪「ま、赤城さんなら余裕だよな♪」

叢雲「山盛りの餅なんて聞いたことないわよ」ヤレヤレ

浦波「流石は一航戦の赤い方。赤は伊達じゃないんだね」オォー

磯波「そ、そうだね」ニガワライ

  (浦波ちゃんも初雪ちゃんに侵食されてきたな〜……それが分かっちゃう私はもう手遅れなんだろうけど)

 

夕張「はい、どうぞ〜♪」

睦月「ありがとにゃしぃ〜♪」

如月「こんなに食べたら太っちゃうかしら?」ウーン

卯月「今日は遠征任務があるから大丈夫ぴょん!」

皐月「そうそう♪ それに縁起物だしね♪」

 

大淀「ふふ、喉に詰まらせないようにね♪」

水無月「は〜い♪ よく噛んで食べま〜す♪」エヘヘ

文月「あたしお汁粉にするぅ♪」フミィ

弥生「弥生もお汁粉がいい」キラキラ

長月「雑煮が一番だ」ウンウン

菊月「応ともさ」ウンウン

三日月「私は焼いたお餅にバター醤油で食べようかな♪」

望月「ならあたしは一口チョコを包んで食べようかな♪」

 

神通「皆さんはどう食べるの?」

陽炎「私はシンプルにお雑煮ですね」ニコッ

不知火「はちみつで食べます」キリッ

黒潮「焼餅にソース、青のり、鰹節、マヨネーズ乗せて食うで♪」

浦風「うちもうちも〜♪」ノシ

親潮「私も試してみようかな」フフフ

 

川内「こっちのみんなは?」

天津風「う〜ん、お汁粉かしら?」

島風「私は焼餅に海苔とお醤油〜♪ だって早いもん♪」

雪風「お雑煮にします」キラキラ

時津風「変化球で餅ピザかな♪」フフン

浜風「私達は前に鳳翔さんから教わったお餅入りオムレツにします」ニコッ

谷風「チーズも入れて更にトロトロにするんだ♪」

磯風「ほぅ、ならこの磯風もーー」

浜・谷『磯風は暫く調理禁止!』メッ!

磯風「(´・ω・`)」ハーイ

 

那珂「みんなはどうやって食べるの〜?」

野分「野分達はみんなでお雑煮にしようかと」ニコッ

嵐「間宮さん達のは食べ飽きないからな♪」

舞風「お野菜も豊富だしね〜♪」

萩風「栄養もバランスもバッチリだもんね」フフフ

秋雲「秋雲は〜、きな粉にシナモン混ぜたやつかけて〜、更にはちみつかけて食べるのがマイブーム♪」

 

球磨「て〜とく〜、もっとほしいクマ〜♪」

提督「おぉ、では今また開いてあげよう。たんと食べなさい」ニコッ

球磨「お雑煮にして食べるクマ〜♪」

多摩「多摩はお汁粉にゃ」ニコニコ

北上「アタシははちみつかな〜♪ 結構イケるんだよね〜♪ ね、大井っち?」ニコッ

大井「はい、北上さん♪」

北上「提督もアタシ達と一緒にはちみつかけて食べよ〜よ〜。大井っちが食べさせてあげるってよ〜?」ニシシ

大井「ききき、北上しゃん!?////」

提督「ほう、ならせっかくだからお願いしようかな」ニッコリ

大井「しししっ、仕方ないのででで、た、沢山食べさせてあげますすす!♡////」

提督「あぁ」ニッコリ

大井「〜♡////」←恍惚ポーズ

木曾「姉貴、よだれと鼻血」フキフキ

大井「ご、ごめん……////」ァゥァゥ

木曾「構わんさ」フフ

  (慣れてるからな)

 

 こうしてみんなはそれぞれの餅の食べ方で餅を堪能し、今日も任務や訓練に励むのだったーー。




本編に書きました通り、本日は軽巡洋艦「球磨」が沈んでしまった日です。
この日に沈んでしまった球磨と多くの英霊の方々に心からお祈りします。

本編中の情報はWikipedia、『大日本帝国海軍 所属艦艇』から得ました。

そして今日は私の地域では鏡開きということで最後はこのネタにしました!

では読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改12話

海外艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ、含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 防波堤ーー

 

グラーフ「よっ、と……ふむ、防波堤でも結構釣れるものだな」

アクィラ「えぇ〜、グラーフまた釣れたの〜!」

サラトガ「引きがいいわね〜」ムゥ

マックス「凄いわね」

レーベ「いいなぁ〜」

リベ「リベも早く何か釣りた〜い!」

提督「ははは、待つのも釣りの内だぞ」

天龍「そうそう。焦らずゆっくり待てよ♪」

龍田「その内食いつくからね〜♪」クスッ

 

 本日は珍しく仕事がない提督は艦隊運用を演習のみとし、空いている者達と穏やかに釣りを楽しんでいた。

 

 日は出ていても寒いのでみんな防寒対策はバッチリだが、本日秘書艦任務の予定だったリベッチオは提督の防寒マントに潜り込み提督の胸元から顔を出している。

 リベッチオは寒がりなので提督のマントに潜り込んだのがきっかけだ。

 提督も最初は驚いたが、リベッチオの体温で自分も温かいのと父性が湧き、こうして一緒に釣りをすることにした。

 

リベ「おっきいの釣ってお昼御飯にするんだ〜♪」

提督「あぁ、大きいのを釣ろう」ナデナデ

リベ「うん♪」スリスリ

 

マックス(パパに抱っこされたい……)

グラーフ(なんて羨m……んんっ、微笑ましいんだ)

天龍(まるで親子だな〜)

龍田(微笑ましいわ〜)

 

 LOVE勢のグラーフと『提督はパパ倶楽部』に所属しているマックスは提督に甘えるリベッチオを羨ましそうに見つめていた。

 すると、

 

「皆さ〜ん♪」

「私達も入れて〜♪」

 

 複数の声が聞こえてきた。

 声のした方を見ると、そこにはザラが釣り竿、ポーラがクーラーボックスをそれぞれ持って手を振っていた。

 提督達はザラ達に「どうぞ〜♪」と返事をするとザラとポーラは提督側の方を陣取った。

 

ザラ「わぁ、妙に提督のお腹ら辺が大きいと思ったらリベちゃんがいたんだね!」

リベ「えへへ〜♪ ビックリした〜?」

ザラ「うん、ビックリしちゃった♪」

ポーラ「カンガルーさんみたいだね〜♪」

リベ「〜♪」ニコニコ

 

リベ「ポーラさんは釣り竿持ってないけどやらないの?」

ポーラ「うん、私は見物に来ただけだから♪」

ザラ「ならそのクーラーボックスの中に入ってるワインはいらないわよね?」ニコニコ

ポーラ「あ、あはは〜……これはワインじゃなくて葡萄の香りがするジュースで……」

ザラ「ポーラ?」ニッコニコ

ポーラ「ん〜! ん〜ん〜!」プルプル

 

 ザラの絶対零度の笑顔を前にしても、今日のポーラは何故か聞き分けなく涙ぐみながら首を横に振っている。

 

提督「今日はほぼ休みみたいなものだからな。嗜む程度なら飲んだっていいじゃないか」ニガワライ

ポーラ「(>Д<;)」コクコク

ザラ「でも……」

天龍「提督の前で粗相はしねぇだろうしいいんじゃね?」

龍田「もししたらどうなるか分かってるものね〜♪」

ポーラ「(-ω-。)」コクコクコクコク

ザラ「一本だけよ? 全部飲んじゃダメだからね?」

 

 全員が『そのクーラーボックスに何本入っているのだ?』と思ったのは秘密である。

 

ポーラ「は〜い♪ ザラ姉様、大好き〜♪」ギューッ

ザラ「調子いいんだから」クスクス

 

 それからザラは釣りを始め、ポーラは「皆さんも飲みますか〜?♪」とこの場にいるみんなに声をかけた。

 

グラーフ「一杯頂こう」

天龍「オレにも一杯くれ」ノシ

アクィラ「白があるなら一杯くださいな♪」

サラトガ「赤くださいな♪」

龍田「私も赤ならください♪」

ポーラ「どっちもありますよ〜♪」エヘヘ

 

提督「どちらも持ってきているとは、流石だな」フフフ

ザラ「お恥ずかしいです////」

リベ「でもポーラさんらしいね〜♪」

レーベ「確かにね」アハハ

マックス「ワイン=ポーラって感じだしね」クスッ

ザラ「////」カァー

 

 ザラがどんなに顔を赤くしても、ポーラは全く気にせずにワインを望むみんなへワインを注いで回った。しかもちゃんとクーラーボックスの中には小さなサイズのワイングラスが幾つも入っていたので、みんなはそのワイングラスでワインを飲みつつ、優雅に釣りを楽しんだ。

 

ポーラ「わぁ〜、グラーフさんのボックスはお魚いっぱいだね〜」

グラーフ「食いつきが良くてな♪」

アクィラ「さっきからグラーフばっかりなのよね〜」

サラトガ「な〜んか不公平なのよね〜」

ポーラ「餌が悪いんじゃないの〜?」

グラーフ「みんな同じ餌なんだがな〜」

天龍「こればっかりは魚の気分次第だからな」ニガワライ

龍田「焦らず待ってれば釣れるわよ〜♪」

 

 その直後、提督と天龍の釣り竿の浮きが同時に沈んだ。

 

天龍「よっしゃあ♪」

龍田「天龍ちゃん、ファイト〜♪」

 

 天龍は透かさず立ち上がり、竿を立ててリールを巻いていった。

 

提督「これは重いがどうかな?」グググッ

 

 提督は延べ竿だがリベと一緒に竿を立て、自分の体を使ってカバーリングをしつつ一気に勝負をかけた。

 

提督「リベ、せーのでいくぞ?」

リベ「分かった!」ググッ

提督「せー、の!」

リベ「えぇい!」グイッ

 

 提督とリベが協力して釣りを上げると、ザパァッという音と共に大物のメジナが掛かっていた。

 

ザラ「おっきい〜!」

リベ「やったやった〜♪」キャッキャ

 

龍田「天龍ちゃんの方も釣れたわよ〜♪」ノシ

天龍「大物のアイナメだぜ♪」ニッ

 

 それぞれの大きさはメジナが三七cmでアイナメが三〇cmという成果だった。

 

ポーラ「どっちも大きいね〜」ツンツン

提督「アイナメは大物だと五〇cmとかだが、防波堤でこの大きさはなかなかだ」

リベ「嬉しい〜♪」

天龍「なんかこれだけで満足って感じだな」フフン

龍田「良かったわね〜」フフフ

 

グラーフ「私は釣れていても小物が多いから羨ましいな」フフ

アクィラ「釣れてないアクィラ達はもっと惨めなんだけど〜」ムムム

サラトガ「何か……もうこの際バケツでもいいから何か釣り上げたい!」

マックス「頑張ってね」クスクス

レーベ「バケツなんて海の底にあるのかな〜?」ニガワライ

ポーラ「あはは、二人共頑張っtーー」

 

 カプッ!

 

ポーラ「カプ?」

 

 ポーラは親指に何やら変な感触がしたので確認すると、天龍が釣り上げたアイナメがポーラの親指に噛み付いていた。

 

ポーラ「ありゃりゃ……これ、お魚君。それはポーラの親指だぞ〜」ペチッ

 

 ポーラは相変わらずのトーンで魚にツッコミを入れているが、

 

ザラ「ポーラ! 大丈夫!? 痛くない!? 血出てない!?」

 

 ザラは血相を変えてポーラの元へ駆け寄った。

 

ポーラ「痛くない痛くない。大丈夫だよ、ザラ姉様〜」ニガワライ

ザラ「毒とかあったらどうするの! とにかく早く見せて!」

天龍「アイナメなら大丈夫だぞ」ニガワライ

ポーラ「もぉ、ザラ姉様は心配性なんだから」クスクス

 

 ザラは急いでアイナメの口からポーラの親指を引き抜くと、

 

ザラ「大変! 指が短いよ!」

提督「落ち着きなさい、ザラ。親指は元々短い」

ザラ「あ……////」ボンッ

 

 提督のツッコミで我に返ったザラはみるみる顔を赤く染めた。

 そんなザラを見てみんなは可笑しそうに笑い、ザラは恥ずかし過ぎて提督の背中に顔を埋めて羞恥から逃げるのだった。

 

 その日からポーラは酔うと「親指が短くなっちゃった〜!♪」と口走るようになったそうなーー。




今回は海外艦メインのほのぼの回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改13話

天使の行い。の談。

キャラ崩壊、ネタ含みます。

いつもより長めです。


 

 ○○鎮守府、一二四〇ーー

 

 駆逐艦寮、睦月・如月・弥生・卯月部屋ーー

 

卯月「あれれ〜?」ガサゴソ

 

 食堂から帰ってきた睦月達は食休みをしていたが、卯月はずっと何かを探していた。

 

睦月「何探してるの?」

卯月「うさぎさんのボールペンだぴょん」

如月「あぁ、卯月ちゃんのお気に入りのやつね」

卯月「ぴょん……でも何処にも無いんだぴょん」

弥生「普段からちゃん整理整頓してないから」

卯月「何も言えねぇぴょん」グヌヌ

 

 ガラガラーー

 

文月「みんな〜、天龍さん達がそろそろ遠征の準備しろって言ってたよ〜」

 

 そこに文月が天龍達の言伝を伝えにやってきた。

 

睦月「あ、もうそんな時間!?」

如月「卯月ちゃん、ボールペンは後にして準備に行きましょ?」

卯月「……分かったぴょん」

文月「何かあったの?」

 

 文月がそう訊ねると、側にいた弥生が事情を説明した。

 

文月「なら、あたしが探しておいてあげる〜♪ あたし、この後何も予定無いから♪」

卯月「ありがとぴょん!」

文月「えへへ、お礼を言うのは見つかってからだよ〜♪ 何処で無くしちゃっとか覚えてる?」

卯月「それが覚えてないんだぴょん……午前中、みんなで談話室で報告書を書いてた時まではあったんだけど……」

文月「なら談話室に忘れちゃってるのかも……探してみるね♪」

 

 文月はそう言って部屋を後にしようとしたが、卯月が「待つぴょん!」と文月の手を掴んだ。

 

文月「ふみぃ?」

卯月「これ、お詫びぴょん。食べながら探してほしいぴょん」

 

 卯月はそう言うと文月の手にチュッパチャ○プス(バニラ味)を渡した。

 文月は笑顔でお礼を言うと、廊下は走らず早歩きで談話室へ向かった。

 それを見送った睦月達も、早歩きで遠征準備に向かうのだった。

 

 

 談話室ーー

 

文月「どこかな〜?」キョロキョロ

 

 文月は談話室に入り、座布団の下やコタツの中、急須の中等など、色々と探してみた。

 

文月「無いな〜」ウーン

 

「どうしたの、文月ちゃん?」

 

 背後から声をかけられた文月が振り向くと、そこには清霜が立っていた。

 文月が説明すると清霜も「う〜ん」と考えた。

 

清霜「あ、もしかして秋雲ちゃんかな〜。確か秋雲ちゃんも同じボールペン持ってるし、昨日の遠征は夕雲姉さん達も行ってたから一緒に報告書書いてたと思うんだよね」

文月「あ〜、それで間違えて自分の筆箱に入れちゃったかもってことだね!」

清霜「そうそう♪ だから秋雲ちゃんに聞いてみたら?」

文月「分かった♪ じゃあ、お礼にこのチュッパチャ○プスあげるぅ♪」

清霜「え、いいの? この味暫く入荷しない味だよ?」

文月「うん♪」

清霜「なら清霜からはお返しにこっちあげる♪」

 

 清霜はそう言うと持っていた手提げ袋から袋に包んである掌サイズのマフィンを文月に渡した。

 

文月「いいの〜? こんなに?」

清霜「うん♪ お昼御飯食べた後に大和姉様達と作ってて、まだいっぱいあるからおやつに食べてよ♪」

文月「ありがと〜♪」

清霜「こっちこそありがと♪」

 

 こうして文月はマフィンを持って秋雲の部屋へと向かった。

 

 

 野分・嵐・萩風・舞風・秋雲部屋ーー

 

 文月は秋雲の部屋である野分達の部屋に訪れ、経緯を説明した。

 

秋雲「あれ〜? 確かに同じボールペンは持ってるけどさ〜……二本も同じの入ってないな〜」ガサゴソ

 

 秋雲は筆入れだけでなく、普段から持ち歩いている画材道具入れの中まで確認したが、卯月のボールペンは見つからなかった。

 その証拠に秋雲のボールペンにはちゃんと『オータムクラウド』と名前シールが貼ってあるからだ。

 

野分「う〜ん……困ったわね」

嵐「秋雲〜、なんか手掛かりないのか?」

秋雲「手掛かりね〜」ウーン

舞風「その時、談話室に誰々がいたよ〜、とかさ」

萩風「誰かがいたなら見てるかもしれないもんね」

秋雲「…………あ、白雪と叢雲がいたな〜。二人してお茶飲んでたわ」

文月「じゃあ、二人に聞いてみるね♪」

 

 そう言った文月は情報提供のお礼に持っていたマフィンをみんなにあげた。

 

嵐「うぉ〜! マフィンじゃん!」

舞風「ちょうど五個あるよ〜♪」

野分「もらってもいいの?」

文月「うん、みんなで食べて♪」

萩風「ありがとう、文月ちゃん」ニコッ

秋雲「ならお礼にこれあげるよ〜」ニシシ

 

 秋雲はそう言うと机の引き出しから一冊のスケッチブックを渡した。

 そこには提督のラフ画から手の込んだ画まで書かれていた。

 

文月「わぁ、司令官の絵がいっぱいだ〜♪ みんなと並んでる絵もある〜♪」

秋雲「後半のは集合写真を見てそのまま絵にしてみたんだ〜♪ これで良ければ貰ってよ、捨てちゃうのもなんだから♪」

 

 文月は秋雲にお礼を言い、スケッチブックを両手で抱えて、今度は白雪達の元へ向かうのだった。

 

 

 中庭ーー

 

文月「えっと、白雪ちゃんと叢雲ちゃんは……」キョロキョロ

 

 文月ははじめに叢雲達の部屋に行ったが、そこに叢雲の姿は無かった。コタツでのんびりしていた初雪と磯波と浦波に叢雲のことを訊ねると、三人は『白雪姉さん達は午後に自主訓練に行ったから、今は中庭辺りじゃないかな』と言われたので、中庭にやってきた次第だ。

 すると三人が言った通り、白雪と叢雲は吹雪達と一緒に中庭のベンチで談笑していた。

 

 文月は駆け寄り、白雪と叢雲に事情を話した。

 

白雪「あぁ、それなら落とし物として届けたから執務室にあると思うよ」ニコッ

叢雲「卯月のだったのね……私達が気付いた頃にはみんなが去ってから結構した後だったから執務室に届けちゃったわ」ニガワライ

深雪「(とか言って本当は司令官に会う口実として持っていっtーー)」

 

 こっそりと叢雲に耳打ちする深雪の足を、叢雲は爽やかな笑顔で思い切り踏んだ。

 深雪は「足が……足がぁぁぁ!」と叫び、吹雪は苦笑いを浮かべて深雪の介抱した。

 

文月「叢雲ちゃんが持っていってくれたんだね……ありがと♪」ニパー

 

 文月の後光が煌めくお礼に叢雲は良心の呵責に苛まれつつ、フミヅキエル粒子により浄化されるのだった。

 

吹雪「そう言えば気になってたんだけど、文月ちゃんが持ってるそのスケッチブックは何?」

文月「これ〜? これ秋雲ちゃんから貰ったの♪」

 

 そう言って文月が適当なページをみんなに見せると、叢雲の目付きが変わった。それは提督の絵だったから。

 

叢雲「…………いいなぁ////」

 

 ポロッと口に出してしまった叢雲は慌てて口を両手で押さえたが遅かった。

 吹雪達はニヤニヤしながら叢雲を眺めていたから。

 何も分かっていない文月が「いっぱいあるし、欲しいのあげるよ?」と叢雲に言うと、叢雲は目を輝かせた。

 

文月「欲しいのどれ〜?」ニコニコ

叢雲「それとこれ……あ、あとこれも////」

文月「うん、待っててね〜♪」ピリピリ

 

 文月は叢雲が欲しいと頼んだ絵をスケッチブックから丁寧に取り出し、叢雲に手渡した。

 

叢雲「…………ありがと♪」ニッコリ

 

 叢雲はお礼を言うと幸せそうに笑い、その絵を嬉しそうに眺めた。

 

吹雪「ありがとね、文月ちゃん」ナデナデ

白雪「お礼にこれあげるね」ニコッ

 

 文月は白雪達からお菓子の詰め合わせを貰った。

 

文月「いいの〜?」

吹雪「勿論、実は買い過ぎちゃったのもあるから」ニガワライ

白雪「受け取って」ニコッ

深雪「妹のお礼だからさ♪」

叢雲「本当にありがと♪」ナデナデ

文月「あたしもありがと〜♪」フミィ

 

 そして文月は吹雪達と別れ、執務室へと向かうのだった。

 

 

 執務室ーー

 

 執務室に着いた文月はちゃんとノックをし、提督の許しを得てから入室した。

 

提督「何かな?」

文月「卯月ちゃんの落とし物を探しに来たの〜♪」

提督「確か今日は二件あったな……妙高」

 

 本日秘書艦の妙高に提督が声をかけると、妙高は「はい」と返事をして落とし物ボックスをソファーテーブルの上に持ってきた。

 

文月「あ、これだ〜♪ 卯月ちゃんのボールペン♪」

提督「見つかったのなら良かった」ニコッ

妙高「良かったわね♪」ナデナデ

文月「ふみぃ〜♪」

 

 すると文月は提督の机の上に置いてある書類の山が目に入った。

 

文月「司令官、お仕事忙しかった?」

提督「あぁ、この書類か? まぁ確かにいつものより多めだが、昨日の反動だからこれくらいは想定内だ。心配してくれてありがとう」ニコッ

 

 提督が文月の気遣いにお礼を言うと、文月は提督の傍まで行ってお菓子の詰め合わせを提督に渡した。

 

提督「これは、文月のだろう?」

文月「疲れた時は甘い物食べると元気になるの♪ だから司令官にあげる〜♪ チョコとかお仕事しながら食べられるよ〜♪ 妙高さんと食べて〜♪」

 

 提督と妙高は文月のあまりの天使さに、思わず文月の頭を優しく撫でていた。

 

提督「ありがとう、文月。心して食べるよ」ナデナデ

妙高「本当にありがとう」ナデナデ

文月「えへへ〜♪」フミィ

 

提督「ならばお礼に私からはスペシャルパフェの引換券をあげよう。姉妹分あげるからみんなで食べなさい」ニコッ

文月「わぁ〜、やった〜♪ 司令官ありがと〜♪」ギューッ

提督「いいんだよ、こちらこそありがとうな」ナデナデ

妙高「」ホホエマー

 

 こうして文月は卯月のボールペンも見つけ、提督と妙高から撫で撫でとスペシャルパフェ引換券を手にして、ニッコニコで寮へ戻るのだった。

 

 

 そして、睦月達が遠征から帰ってきた時ーー

 

卯月「文月〜! ありがとぴょ〜ん♪」ギューッ

文月「えへへ〜♪」スリスリ

睦月「パフェの引換券まで貰えて、文月様々だね♪」ナデナデ

文月「んゅ〜♪」ゴマンエツ

如月「文月ちゃんと司令官に感謝ね♪」ナデナデ

弥生「いいこいいこ♪」ナデナデ

文月「ふみぃ〜♪」ゴロニャーン

 

 この日、文月が最後に手にしたのは、姉妹みんなの笑顔と夕飯のデザートにスペシャルパフェを食べる幸せな思い出だったーー。




今回は文月ちゃんメインのほのぼの的な回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改14話

綾波型駆逐艦メイン。

少し真面目なシーン、他作ネタ、ネタ、独自解釈、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一二〇〇ーー

 

 埠頭ーー

 

 正午を迎えた鎮守府の埠頭では、提督を先頭にこの場に集まった艦娘達で綺麗に整列をして黙祷を捧げていた。

 

 一九四四年の今日は綾波型駆逐艦『漣』が輸送船団護衛任務中にアメリカ潜水艦『アルバコア』からの雷撃を受けて沈んでしまった日である。

 

漣「………………」

 

 長く続いた「ソロモン諸島の戦い」で、漣は終始輸送・護衛任務に明け暮れ、人から燃料から飛行機輸送の護衛から、多くのものを輸送した。

 あの「第一次ベララベラ海戦」では一時的に三水戦旗艦となり、輸送任務を遂行。

 この時の輸送任務そのものは成功したが、この時期から輸送中の被害も増大するようになり、九月には『大鷹』が潜水艦の雷撃によって大破、十一月には『冲鷹』が同じく潜水艦によって沈められてしまった。

 戦力ではなかったとされる両空母だったが、逆に輸送手段としては非常に重宝された二隻だったので、この二隻の離脱はかなりの痛手だった。

 

 そしてその潜水艦が漣にも牙を向いた。

 漣は『曙』・『早波』・『島風』と共に油槽船三隻の護衛に当たることになったが、その航行中にアメリカ潜水艦の『スキャンプ』・『ガードフィッシュ』・『アルバコア』からなる潜水艦隊と遭遇。

 中でもアルバコアは『天龍』・『大潮』・『大鳳』を撃沈しており、その戦果に漣も含まれることになってしまった。

 アルバコアの放った魚雷三発が漣に直撃すると、弾薬庫に引火してしまい、爆発を起こした漣は被雷してからわずか二分後には沈没を始め、最後には船体が二つに割れて沈んでいった。

 

 天津風の艦長に転任予定だった艦長の菅明次少佐を含む一五四名が死亡し、八九名の生存者は漣に同航していた曙に救助された。また一六〇名が死亡し、生存者は八〇名とする記録もある。

 

漣「…………」フゥ

 

 日頃の報告を終えた漣が姿勢を直すと、その際にふと右隣の朧が目に入った。

 朧を含めた普段から共に過ごしている曙と潮、そしてその隣に位置している祥鳳と島風、春雨は未だに黙祷を続けている。

 

漣(みんな……)

 

 漣はその光景を目の当たりにして思わず熱いものがこみ上げてきた。

 

 第七駆逐隊(朧は開戦前に引き抜かれて五航戦の護衛に回ったが)のみんなにとって漣は第七駆逐隊で唯一、最後の観艦式となった『紀元二六〇〇年特別観艦式』に出席している誇りある艦なので、真剣に黙祷を捧げていた。

 中でも曙は漣の最期を目の当たりにしたこともあり、薄っすらと涙を流しながらギュッと目を閉じて黙祷していた。

 

 祥鳳は珊瑚海海戦で共闘したこともあり漣のことは普段から妹同然に接しているため、大切な妹分の大切な日と言うことで自分のことのように黙祷を捧げていた。

 

 漣は俯き、込み上げてくる涙を隠していると、左隣に立っていた提督が優しく漣の頭を撫でて、笑みを見せて頷いた。

 その瞬間、漣は提督の腕にしがみつき、声を殺して涙を流した。

 

 普段からおちゃらけている漣だが、それは艦時代に自分と運命を共にした英霊の人々に暗い自分を見せて心配させまいという思いがあり、どんなに辛くても笑顔でいようと誓っているからなのだ。

 しかし今回ばかりは堪え切れず泣いてしまった。

 

 漣が泣いたことに気が付いたみんなは黙祷を終え、すぐに漣の傍に集まった。

 

朧「こんな時くらい思いっ切り泣いたっていいんだよ?」ナデナデ

曙「そうよ。泣いたって誰もあんたを責めないわよ」

潮「私達がついてるよ、漣ちゃん」ニッコリ

祥鳳「漣ちゃんは一人じゃないわ」ナデナデ

綾波「無理したらそれこそみんなが心配しちゃうよ」ニコッ

敷波「そうそう。こういう時は寧ろ我慢しちゃダメだって」ニコッ

島風「泣きたい時は泣いちゃった方がいいよ!」

春雨「はい、ここには誰も漣ちゃんを笑う人はいませんよ」ニッコリ

 

漣「うぅ〜……なんも言えねぇ……」

 

 姉妹や祥鳳達からの心優しい言葉を聞いた漣は余計に感極まり、いつものセリフは掠れ声でいつもの迫力はなかった。

 それでもみんなは笑うことなく、漣が泣き止むまで何も言わずに優しく寄り添っていた。

 

漣「うっ……ぐすっ……今年も泣いちゃった……」

曙「別にいいじゃないの。泣いたってさ」

漣「ボノボノちゃん……」グスグス

曙「本当ならこういう時だけじゃなくて、普段からこうしてガス抜きしてくれるとあたしも安心なんだけどね」ナデナデ

漣「ボーロ、ボノボノちゃんが漣を落としにきてるよ〜……」エグエグ

朧「ちょっと何言ってるか分かんない」ニガワライ

潮「でもいつもの漣ちゃんに戻ってきたね」ニコニコ

島風「」チラッ

曙(殴っちゃダメ、殴っちゃダメよあたし!)プルプル

漣「ぼの×さざって需要あるのかな〜?」クスン

祥鳳「ど、どうなのかしら?」ニガワライ

曙(いいわよね? もういいわよね? ゴール(殴ったり)してもいいわよね?)プルプル ニコニコ

春雨「」アワワ

 

 曙はニッコニコの笑顔にこめかみをピクピク動かしつつ、右拳に力を入れた。

 すると綾波が透かさず曙の肩を叩き、曙が振り向くと敷波が「あかん」と告げた。

 

島風「漣ちゃん! お昼御飯食べたら元気になるよ!」

 

 何も分かっていない島風が涙を拭う漣に笑顔で声をかけると、漣は「そうだね♪」と泣きながらも笑顔を見せた。

 漣の笑顔を見たみんなは揃って漣に笑みを返し、みんなで食堂へ向かうのだった。

 埠頭を去る際、漣はチラリとまた海を見た。

 その顔は泣き顔ではなく、眩しくニッコリと笑っていて、漣は心の中で「みんなのために頑張るね!」と海に眠る英霊の人々に誓うのだったーー。




 おまけーー

 食堂ーー

提督「ほら、漣」つ唐揚げ
漣「んぁ〜……はむっ☆」モグモグ

祥・敷・曙・春『…………』ジトー

漣「ん〜♪ ご主人様に食べさせてもらうと更にメシウマだね〜♪」
提督「それは良かった」ニコッ

綾波「去年と全く同じ絵面だね」クスクス
朧「来年も一緒かな〜?」ニヤニヤ
潮「ど、どうかな〜?」ニガワライ
島風「漣ちゃん元気になって良かった〜♪」モグモグ

漣「ご主人様〜♪ 今度は玉子焼きくだしゃ♪」アーン
提督「あぁ、いいとも」つ玉子焼き
漣「ん〜♪」ムグムグ
 (お〜お〜、LOVE勢はめっちゃ見てるね〜……でも今日くらいは、ご主人様にこうして甘えたって罰は当たらないよね♪)ニヒヒ

祥鳳(いいなぁ〜)ユビクワエ
敷波(漣め〜……アタシらが司令官好きなの知ってるくせに〜!)グヌヌ
曙(後でデコピンしよう)グッ
春雨(あ〜んってされたいけど、してあげたいとも思う……////)ドキドキ

 こうして穏やかに昼食を食べ、漣は笑顔で今日を終えるのだったーー。

 ーーーーーー

今日は本文に書きました通り、駆逐艦『漣』が沈んでしまった日です。
この日に沈んでしまった漣。そして漣と共に亡くなった英霊の方々に心からお祈りします。

本文中の情報はWikipediaと『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

此度も読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改15話

海外艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。

いつもより長めです。


 

 ○○鎮守府、一七〇〇ーー

 

 正門前ーー

 

ビスマルク「…………////」ドキドキ

 

 正門前に立つビスマルクはいつもの制服ではなく、ブラックの落ち着いたタイツにグレーのミモレ丈プリーツスカートを合わせ、トップにホワイトとブラックのボーダー柄でぴったりめシェットランド・セーターを着用。

 更には首にグレーのカシミアマフラーを着用していて、それをリボンぽく巻き、そのリボン部分を右側に寄せている。

 そして足元はブラックのレースアップのショートブーツを着用して、落ち着いた大人っぽいコーディネートとなっている。

 

 どうしてビスマルクがこんなにおめかししているのかと言うと、ビスマルクはこれから提督と()()()()で街へ出掛けるのだ。

 何故かというと、つい先日の出撃時の話になる。

 ビスマルクは旗艦として出撃し、その帰投中に敵艦隊に襲われている客船を発見。

ビスマルクは客船の元へ急行し、その身を呈して敵の砲撃から客船を守った。

しかし、その前の戦闘で中破していたビスマルクはそれにより大破してしまい、そこへ更なる敵の追撃がビスマルクを襲い、ビスマルクは人々を守れるならとそっと目を閉じた。

 目を閉じて数秒……着弾するはずの砲弾はビスマルクに当たらず、後ろの客船からは割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こった。

 ビスマルクがゆっくりと目を開けると、そこには小型軍用クルーザーがビスマルクを庇うように鎮座していて、その甲板には提督の姿があった。

 そう、提督が持ち前の舵捌きと刀捌きでビスマルクを砲弾から救ったのだ。その証拠にクルーザーの甲板には砲弾の破片が飛んで傷付いていて、窓ガラスには幾つものヒビが入っていた。

 提督は惚けるビスマルクに『君を沈めることは誰にもさせん』と言い放つと、追いついた他の味方に素早く指示を出して敵艦隊を殲滅したのだった。

 

 こうして救われた客船の船長は、提督と一番に助けに来てくれたビスマルクに客船のディナーショーへ招待したのだ。

 ビスマルク以外のLOVE勢はそのことを聞いて、その身を呈して客船を救ったビスマルクの勇敢さを称え、提督と二人きりのディナーショーに行けるという妬ましさに鎮守府は一晩中揺れ動いた。

 

ビスマルク(へ、変じゃないかしら?////)ソワソワ

 

 ビスマルクは提督が車を回してくる間、ずっと落ち着かない様子だった。

 それもそのはず、提督はディナーショーの前にビスマルクを街へ連れて行くという提案をしたからだ。

 それはビスマルクの勇気ある行動に少しでも多くの敬意を払おうとしているからだ。

 つまり、ビスマルクは提督とデートしてからその延長でディナーショーに行くのだ。LOVE勢のビスマルクとしては、これ以上ない完璧で極上のご褒美である。

 

 そしてソワソワすること数分。提督がHIMIKO(MITSUOKA)に乗って颯爽と現れた。

 車を停めて運転席から出てきた提督は、キャラメル色のチェスターコート、ホワイトのタートルネックカットソー、ブラックのスキニー、ブラックのコインローファーという爽やかコーデで登場。

 それを見たビスマルクは見惚れ、途端に目はハートマークとなり、体の周りからはハートマークオーラが咲き乱れた。

 

提督「待たせたな、ビスマルク。その分、今回は良い思い出を作ろう」ニカッ

ビスマルク「〜♡」コクコク

 

 すると提督は助手席を開け、ビスマルクを優しく誘導し、颯爽とビスマルクと共に街へ繰り出すのだった。

 

大和「素敵過ぎる……♡////」

金剛「お持ち帰りされたいデス……♡////」

赤城「あれは反則です♡////」

加賀「やられました♡////」

高雄「羨ましいわ〜♡////」

愛宕「私もデートした〜い!♡////」

摩耶「(今日寝れねぇかも♡////)」ドキドキ

神通「ビスマルクさんいいなぁ〜♡////」

大井「!♡////」コクコク

電(電もいつか司令官さんと……♡////)

如月(司令官、誘ったら私ともデートしてくれるかしら?♡)

夕立「がるるるる〜」←嫉妬

時雨「いつかチャンスは来るさ♪」ナデナデ

 

 このようにLOVE勢達は提督達をそれぞれ見守り(?)つつ見送るのだった。

 

 

 港街ーー

 

 客船が停泊している港街へやってきた提督とビスマルクは、車を駐車場に停め、ディナーショーの前に軽く港街を散策していた。

 勿論、提督はしっかりとビスマルクをエスコートしているため、ビスマルクはそんな提督の左腕を抱きしめつつ歩いている。

 そして二人は可愛らしい雑貨屋に入って品物を見ていた。

 

提督「色んなマグカップがあるんだな」フムフム

ビスマルク「そ、そうね♡////」ドキドキ

提督「そんなに力強く腕を抱きしめなくても、私は置いて行ったりはしないぞ?」ナデナデ

ビスマルク「そ、そんな心配てしてないわ!//// さ、寒いから、つい……////」ァゥァゥ

提督「そうなのか……ん?」

 

 すると提督はビスマルクのマフラーが解けているのに気がついた。

 

提督「せっかく可愛くおめかししているのにもったいないぞ?」ナオシナオシ

ビスマルク「じ、自分で直すから……////」アワワ

提督「今回はビスマルクのために尽くすと決めたからな。素直に尽くされなさい」ニカッ

ビスマルク「っ!?♡////」ズッキューーン

 

 それからビスマルクは借りてきた猫のように更に大人しくなってしまい、提督にされるがまま尽くされ、ディナーショー中もショーより提督の顔ばかり見つめていた。

 

 

 そして帰りの車内ーー

 

提督「いやぁ、ディナーショーでまさかビスマルクと社交ダンスすることになるとは思わなかったな♪」アハハ

ビスマルク「そそそ、そうね……♡////」デレデレ

提督「ビスマルクのナイトドレス姿に多くの人が釘付けだったから、不釣り合いな私が隣に居て申し訳なかったよ」ニガワライ

ビスマルク「(あなたが気付いていないだけで、殆どの女性はアトミラールばっかり見てたわよ)」ムスッ

提督「ん?」

ビスマルク「何でもないわよ」プイッ

 

 実際に二人はそのディナーショーでメインよりも目立っていたが、あまりにもお似合いなため誰もが二人に見惚れていたのだ。

 それからビスマルクはやっと緊張が解け、帰り道では提督といつものように談笑しながら鎮守府へと帰るのだった。

 

 

 鎮守府、正門前ーー

 

 鎮守府へ着くと、ビスマルクは車から降り、提督は車を車庫へ入れるため運転席に留まっていた。

 

ビスマルク「今日は最高の思い出になったわ♡」デレデレ

提督「それは何よりだ」フフフ

 

 すると提督はビスマルクを運転席側へ呼び、ビスマルクが来るとビスマルクへ掌サイズの包を渡した。

 

ビスマルク「これは?」

提督「街を歩いてる時に見つけてね……褒美と言っては何だが、私からのプレゼントだ。受け取ってくれ」ニコッ

ビスマルク「開けても?////」ドキドキ

 

 提督が頷くと、ビスマルクは丁寧にラッピングを解き、出てきた箱を開けた。

 すると、

 

ビスマルク「マグカップ……?」

 

 箱からはシンプルだがとてもお洒落なデザインのグレーとブラックのストライプ柄のマグカップが入っていた。

 そしてビスマルクはこのマグカップにどことなく見覚えがあった。

 

提督「私が使っているマグカップの色違いだ。前にビスマルクが褒めてくれたのを思い出してね」

ビスマルク「アトミラール……Danke♡////」

提督「ただ、みんなにバレると贔屓したと思われてしまうから、これは私とビスマルクだけの秘密だぞ?」

 

 提督はそう言うと人差し指を口の前に持ってきて、悪戯っ子のようなウィンクをした。

そしてその後で「じゃあ、おやすみ、ビスマルク」と笑顔で言って颯爽と車を車庫へ走らせていった。

 一方のビスマルクは提督の悩殺ウィンクが胸を貫通するクリティカルヒットだったため、暫くの間フリーズしていたそうなーー。 




 おまけーー

 二二〇〇ーー

 ビスマルク・アイオワ・ウォースパイト部屋ーー

ビスマルク「でへへ、でへへ……でへへへへぇ〜♡」←崩壊中

アイオワ「ビスマルクはアドミラルとのデートから帰ってきてずっとあのままね」ニガワライ
ウォスパ「キラキラしてて妬ましいわ」チッ
アイオワ「まぁまぁ、ビスマルクが人々を救った故の結果なんだし、いいじゃないの」ドォドォ
ウォスパ「まぁ、鉄の掟(例のLOVE勢の規約)を守ったから、今回は大目に見るわ」チッチッ
アイオワ「舌打ちは下品って自分で言ってなかった〜?」ナデナデ
ウォスパ「あれを見てると自然とこうなるのよ、ごめんね〜」イライラ

ビスマルク「アトミラール♡ アトミラール〜♡ ん〜、ちゅっ♡」←マグカップにキス

ウォスパ「ウガー!( *°皿°)ノシ」バシバシ
アイオワ「い、イタいイタい! 的確に溝打ちしないで!」
ビスマルク「アトミラール〜♡ きゃ〜♡」ヤンヤン
ウォスパ「キィィィ!( *°皿°)つ=つ」シュッシュッ
アイオワ「ジャブ止めて! ビスマルクもこれ以上煽らないで〜!」

 その夜、戦艦寮ではアイオワの悲鳴がこだまするのだったーー。

 ーーーーーー

今回はビスマルクさんメインの提督さんとのデート回って感じにしました!
たまにはこういうのもありですよね?

では此度も読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改16話

最上型重巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

鈴谷「て〜とく〜、鈴谷ヒマヒマなんだけど〜」

提督「先程から雑誌を読んでいるようだが?」

鈴谷「ヒマヒマだから読んでるの〜。雑誌に夢中なら何も言わないよ〜」

提督「ふむ……それもそうだな」

 

 本日の仕事量はそこそこあったが一つ一つの内容は容易いものが多かったため、全ての書類を片付けた提督と鈴谷は暇を持て余していた。

 鈴谷は秘書艦ではなく、本日秘書艦の最上の手伝いとして他の姉妹達と執務室へ来たのだが、他の姉妹達は任務に赴いているため提督と二人きりで最上達の帰りを待ってる状況だった。

 

 鈴谷はソファーテーブルに寝そべり、雑誌を流し読みながら足をブラブラさせていて、一方で提督は鈴谷が寝そべるソファーの正面の椅子に座って茶をすすっている。

 

鈴谷「提督〜、構ってよ〜……鈴谷ヒマヒマで死にそ〜」

提督「死なれては困る。冗談でもそんなことを口にしないでほしい」

 

 鈴谷としては軽い冗談だったが、そんな冗談にも提督は真面目に返した。

 提督の真面目な返しに、鈴谷は思わずキュンとしてしまい、顔を伏せて「ごめんごめん」と謝った。

 どうして顔を伏せたのかというと、鈴谷はニヤけてしまっていたからだ。

 

 他のLOVE勢が色濃いため忘れがちだが、鈴谷もまたLOVE勢の一人である。

 口では暇と言っていても、内心では提督と二人きりでいられるこの時間がとても嬉しくて仕方ないのだ。

 先程の軽い冗談でも、提督は真剣に捉え、しっかりと自分達のことを考えていてくれる。そんなどこまでも心の広い提督が鈴谷は大好きなのだ。

 

提督「鈴谷は退屈だろうが、こういう落ち着いた時間を過ごすのは私は好きだな……」

 

 提督が優しい口調で優しく視線を窓の方へ向けると、鈴谷は「まぁ、それは分かる〜」とだけ返した。

 

 互いに何も喋らないが、それは居心地悪い静けさではなく、とても心地良い静けさだった。

 

鈴谷(あ〜、こういうの有りかも〜♡)

 

 鈴谷は顔を伏せたまま、思わずこの静けさを楽しんでいた。

 今執務室から聞こえるのは石油ストーブの火がチリチリと燃える音と閉じた窓の外から微かに聞こえてくる駆逐艦達のはしゃぎ声、そして提督の静かで落ち着いた息使いである。

 

鈴谷(提督、今どんな顔してるのかな?)チラッ

 

 ふと伏せていた顔を提督の方へ向けると、提督は変わりなく優しい眼差しで窓の方を見ていた。

 すると鈴谷の視線を感じたのか、提督の優しい眼差しが自分の方へ向いた。

 鈴谷はその視線に思わず胸が高鳴るが、その視線から目が離せなかった。

 それは鈴谷が大好きな優しい眼差しだから。

 

提督「鈴谷も何か飲むか?」ニコッ

鈴谷「冷蔵庫になんか炭酸系ある〜?♡」ニヨニヨ

提督「ん〜……ラムネ、コーラ、サイダーくらいなら入ってるぞ」

鈴谷「それじゃ私コーラ〜♡」エヘヘ

提督「今持ってきてあげよう」スクッ

鈴谷「お願いしま〜す♡」

  (あ〜何だろ、この感じ♡ 好きな人とほのぼのまったりしてるってサイコー♡)

 

 それから提督は執務室の冷蔵庫からコーラの缶を取り出すと、鈴谷に手渡した。

 

鈴谷「提督〜、開けて〜♡」

提督「今日は随分と甘えん坊なんだな」フフフ

鈴谷「別にいいでしょ〜♡ 鈴谷は甘やかされて伸びるタイプなの〜♡」

提督「褒められて伸びるタイプではなかったかな?」

鈴谷「今の鈴谷は〜、甘やかされたい気分〜♡」

 

 鈴谷がそう言うと提督はクスクスと笑って「そうか」と返した。

 それからコーラの缶をカシュッと開け、今度こそ鈴谷に手渡した。

 鈴谷はちゃんと座り直すと、提督に向かって「ん♡」と言って自分の隣をポフポフと叩いた。

 

提督「これでいいかな?」ストン

鈴谷「分かってんじゃ〜ん♡」スリスリ

 

 提督が鈴谷の右隣に座ると、鈴谷は提督の肩にもたれてご満悦の様子でコーラを飲んだ。

 

鈴谷「みんな遅いね〜♡」スリスリ

  (鈴谷的には嬉しいけど♡)

提督「そうだな……でも各寮へお知らせの紙を張り出してもらっているのだから、少し遅くなるのは仕方ないだろう」ナデナデ

鈴谷「それもそっか〜……寮で他の人と話してるかもだしね〜♡」

  (何も言わなくても撫でてくれてる〜♡)

提督「まぁ、待っていれば戻ってくるさ。それまではゆるりと過ごそうじゃないか」ニコッ

鈴谷「あ〜い♡」ニヒヒ

 

 鈴谷は提督に甘えつつ、ご機嫌にコーラをクピクピと飲むのだった。

 すると鈴谷はあることを思い出した。

 

鈴谷「そう言えばさ、提督ってアニメとか観る?」

提督「あぁ、たまに観ているよ。アニメ好きな娘達からおすすめされるのくらいだがな」

鈴谷「夕張ちゃんからガ○ダム00借りて観たんだけどさ〜。提督も観た?」

提督「あぁ、ガ○ダムシリーズなら全部観たよ。無印もリメーク版も映画版も」

鈴谷「うわ〜、夕張ちゃん並の通じゃん」ニガワライ

提督「男ってのはああいったアニメに燃えるものだからな」フフフ

鈴谷「へぇ〜♪」

  (なんかこういう提督って可愛いかも♡)

 

 鈴谷は提督の子どもっぽい無邪気な笑みにまた胸がキュンと高鳴った。

 

鈴谷「じゃあさじゃあさ、00も観てるよね?」

提督「勿論だとも」

鈴谷「提督はどのキャラがお気に?」

提督「グラ○ムだな。あの武士道精神は素晴らしい。最期の花道には思わず馬鹿野郎と叫んでしまったが」ニガワライ

鈴谷「うわぁ、熱いね〜♪」

提督「そして職業柄か、最善策を思わず色々と思案してしまってね。観終わったあとはずっと一人でその時の戦況などを分析してしまった」

鈴谷「わぉ」ニガワライ

 

 それからも鈴谷は最上達が帰ってくるまで提督とそのアニメの話題で盛り上がるのだった。

 

 

 一方ーー

 

最上「やっと張り出し終わったね〜」ノビー

熊野「どこかの長女が駆逐艦の娘達と楽しくお喋りしてましたからね〜」

最上「ご、ごめんってば〜」ニガワライ

三隈「あのままでしたら神風ちゃん達とお茶する勢いでしたわね」クスクス

最上「三隈まで……」ムゥ

 

 提督と鈴谷が仲良くガ○ダムの話題で盛り上がっている頃、最上達は鎮守府本館前まで戻っていた。

 熊野が言うように最上が神風型姉妹のみんなと雑談していたので、少しばかり遅くなってしまったのだ。

 因みに最上達は鈴谷から通信機(スマホ)で『書類仕事完了(^^)v』と報告を受けたので、元々ゆっくりめに張り出し作業をしていた。

 

熊野「早く執務室に戻ってご報告致しますわよ」ツカツカ

最上「そんなに急がなくたって大丈夫じゃない?」

熊野「いいえ、いくら提督達が終わっていても、ご報告は早くするべきですわ」

三隈「くまのんは提督とすずやんが二人きりでいるのが悔しんですよね♪」

熊野「そそ、そんなことはなくってよ!?////」

最上「大ありな顔してるよ」ニガワライ

熊野「(///Д///)」

 

 熊野は図星だったので、そのまま何も言い返さずに顔を真っ赤にさせて、ズンズンと執務室へ向かった。

 そんな熊野を見た最上と三隈は声を出さずに笑い合い、熊野の後を追うのだった。

 

 

 執務室外、ドア前ーー

 

熊野「……////」

 

 熊野は執務室ドアの前に着くと、前髪や服の裾の埃を払っていた。少しでも提督の前では綺麗でありたい乙女心である。

 

 そして身支度を済ませた熊野が深呼吸してからドアをノックしようとした、その時、

 

提督『この気持ち……まさしく愛だ!』

 

 と提督の声でハッキリとした告白文句が聞こえた。

 

熊野「( ゚д゚)」

最上「く、熊野〜?」ヒラヒラ

三隈「聞こえていませんわね」ニガワライ

熊野「(。 ゚д゚。)」ポロポロ

最上「く、熊野!?」

三隈「お気を確かに!」

熊野「。・゚・(つд⊂)・゚・。」エーン

 

 とうとう泣き出してしまった熊野。

 その泣き声に気付いた提督と鈴谷が慌てて執務室から出てくると、最上達に何があったのか訊いた。

 でも最上も三隈も目を逸らし、どこか言い難そうだった。

 

鈴谷「熊野〜、どうしたの?」

提督「熊野がこんなにも悲しんでいるのに、私はガ○ダムのセリフなんかを熱く語っていたのが恥ずかしい」グヌヌ

最・三『ん?』

熊野「(つω⊂)」ナン...ダト?

 

鈴谷「熊野〜、何があったの?」

提督「私達がガ○ダムの話題で盛り上がってしまっていた間に何があったというんだ?」ナデナデ

最・三『あ〜』ニガワライ

熊野「(//つ∆⊂//)」カンチガイ...ダト?

 

 自分の勘違いだと気付いた熊野は真っ赤になった顔を手で覆ったまま、「お花つみに行ってきますわぁぁぁ!////」と叫んでその場から逃げ出した。

 それを見てポカン顔だった提督と鈴谷に、最上と三隈は『追及しないであげてください』と言って報告を済ませるのだったーー。




 おまけーー

 その日の夜、最上型姉妹部屋ーー

鈴谷「あっはっはっは〜♪ マジでウケる〜♪」
熊野「(///へ///)」プルプル

最上「そんなに笑わないであげなよ〜、本当に勘違いだったんだから」ニガワライ
三隈「三隈達も最初は驚きましたしね」ニガワライ

鈴谷「それでもさ……くふふ……wwwwww」
熊野「あ、貴女も同じ目に遭えば分かりますわっ////」プイッ
鈴谷「そだね〜wwwwww」

最上「鈴谷、もうその辺で」ネ?
鈴谷「分かった分かった」プクク
三隈「くまのんも、ご機嫌を直してくださいまし」ナデナデ
熊野「分かってますわ……////」ムゥ

鈴谷「大体、鈍感な提督が告白とかするわけないっしょ〜。されてみたいけどさ〜」ニガワライ
熊野「仮にでもあの様なお言葉を言われたじゃない……////」フンッ
鈴谷「そりゃあ……まぁ……演技でもハンパなかったけど……♡////」テレッ
熊野「(#`皿´)」キィィィ!
三隈「よしよし」ナデナデ
最上「まぁでもちゃんと明日、提督には謝ろうね。提督ってば最後まで熊野のこと心配してたんだから」
熊野「は〜い……////」

 次の日、熊野は朝イチで提督に謝ると、提督は何も追及せずに「何もないのなら良かった」と言って熊野の頭を優しく撫で、撫でられた熊野はルンルン気分で部屋に戻るのだったーー。

 ーーーーーー

今日は最初ほのぼの、後半ドタバタって感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改17話

軽巡洋艦のみ。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定。

いつもより長めです。

※少しだけ気分を害する表現が含まれます。読まれる際にはご注意ください。


 

 鎮守府近隣の街、一三〇〇ーー

 

 本日、提督は愛刀を鍛えるためいつもの鍛冶屋に訪れていた。

 

夕張「うわ〜! このスプーンやフォークも全部店主さんが手がけた物なんですよね!?」キラキラ

由良「シックなのから可愛らしいのまで沢山……」ウワァ

五十鈴「ヤカンなんかまで作れるって凄いわね〜」シミジミ

 

 そして夕張達も提督のお伴してやってきていた。

 夕張は元々街に用事があったため提督に誘われるがままに付いてきて、由良は本日秘書艦、五十鈴は遠征での相方である由良が秘書艦なので手が空いていたから、というような経緯である。

 

提督「ここの店主さんは世界一の鍛冶職人だからな」

 

 提督の言葉に夕張達は驚いて「えぇ!?」と声を出してしまった。

 

店主「んな昔のこと話すんじゃねぇ」

 

 鍛冶場から戻ってきた店主は少し恥ずかしそうにしながら提督の尻を叩いた。

 

提督「ははは、事実なのですから良いではありませんか」

店主「お前さんが良くてもこっちは良くねぇんだよ。それより刀の件だが」

提督「はい、どうでした?」

店主「今回はちぃとばかり時間が掛かる。また無理させやがったな?」

提督「う……申し訳ありません」

店主「まぁ、いい。夕方になったらまた来い。それまでには元通り以上にしてやる」

提督「ありがとうございます」ペコリ

 

 すると提督は夕張が行く予定だった場所に行こうと、みんなと鍛冶屋を後にしようとすると、店主が提督だけを呼び止めた。

 

店主「最近この街で変なもんが出るって噂だ。憲兵隊が見回ってるが捕まらないらしい。注意だけはしとけ」

提督「分かりました。ご忠告ありがとうございます」

 

 提督が一礼すると店主は「おう」とだけ返し、また鍛冶場へ姿を消した。

 

 

 そして夕張が提督達を連れてやってきたのは、街のちょっと外れにある小さな工具店だった。

 

夕張「ここ月一でしか開かないんですけど、かなりいいお店なんですよ〜♪」

提督「ほぅ、かなり趣のある店だな」

 

 中に入ると様々な工具やらレトロな家電製品が並んでいる。そして店主の趣味なのか河童を模したぬいぐるみやら絵やらが飾られている。

 

五十鈴「色んな工具があるのね……明石さんとかが見たら天国なのかしら?」フフフ

由良「うわぁ、この河童ちゃんの工具箱可愛い〜♪」

 

「フッフッフ〜……お客さん、お目が高いね〜♪」

 

 すると店の奥から一人の少女が現れた。

 その少女を見た途端に夕張が「あ、店主さん♪」と言ったので、この少女が店主なのだろう。

 しかしその少女店主はウェーブ掛かった外ハネが特徴的な空色の髪を赤い珠の数珠のようなアクセサリーでツーサイドアップにしていて、緑の帽子を被っているという何とも可愛らしい店主だった。

 更には瞳の色が青色で、白いブラウスに、肩の部分にポケットが付いている水色の上着、そして裾に大量のポケットが付いた濃い青色のスカートを着用していて、靴は長靴のようなものを履いており、胸元には紐で固定された鍵がついている上、背中には大きいリュックを背負っているという何とも特徴的な店主である。

 

提督「どうもはじめまして。うちの娘がお世話になっております」ペコリ

 

 提督が挨拶すると続いて五十鈴と由良も挨拶をした。

 

店主「お〜、この人達がいつもバリちゃんが言ってる提督さんとお仲間さんだね♪」

夕張「うん、そうなの♪ たまたまタイミングが合ってね♪」

店主「お〜、そうかいそうかい♪ まぁ私のところは誰でも歓迎だからねぇ、存分に見ていきなよ♪」

提督「お心遣いありがとうございます」ニコッ

五・由『ありがとうございます』ニコッ

 

 それから提督達は店主から色々な工具のウンチクや発明品の話をこれでもかと聞かされ、更には夕張も趣味だからか工具談議に花が咲き、話が終わる頃には夕方になってしまった。

 

夕張「いやぁ、楽しかった〜♪ ちゃんと工具も買えたし♪」キラキラ

五十鈴「よ、良かったわね……」ニガワライ

由良「でも一式買ったのに安かったわね」

夕張「安いけど、お値段以上の品だからね〜♪」

提督「満足のいく買い物が出来たのなら良かった」ウンウン

 

 そんなことを話しながら小暗くなってしまった道を歩いて昼に行った鍛冶屋を目指していると、提督達の前に脇道からひとりの男が現れた。

 その男は不気味に笑い、見るからにヤバそうな雰囲気だった。

 男はゆっくりと提督達の方へ歩いてきたので、提督はさり気なく夕張達を庇うように前に立った。

 

 すると、

 

男「お前……海軍だよな?」

 

 男が提督に声をかけてきた。

 

提督「……そうだが?」

男「ひゃっひゃっひゃ! やっぱりな! その後ろにいる殺人兵器共を見りゃ分かるぜ!」

 

 男の言葉に夕張達は思わず表情が強張った。

 

提督「彼女達は兵器ではない。心を通わし、日々自分の命を懸けて人々を守っている」

男「偽善者が抜かしてんじゃねぇ! 毎日平気で引き金を引く人間モドキだろうが!」

 

 男はそう叫ぶと着ているコートの中から何かを取り出すと、その手には刃渡り四〇cmほどのナタを持っていた。

 それを見た提督は険しい顔付きに変わる。

 一方で夕張は恐怖のあまり「ひぃっ」と声が出てしまった。

 海の上ならばどうってことはないが、艤装も無い無防備な今では恐怖に感じるのは当然である。

 五十鈴と由良も声は出さなかったがその表情からは恐怖が伺える。

 

男「俺ぁよぉ〜……お前達が羨ましいんだよぉ。毎日毎日人を殺せてよぉ。俺にも刻ませろよぉ……どうせその兵器共は死なないんだからよぉ」

 

 ゆらりゆらりと距離を詰める男に対し、提督は手で夕張達に下がるように命じると、夕張達を安心させるように「ちょっと待ってなさい」と言っていつもと変わらぬ笑みを見せてから、自らスタスタと距離を縮めていった。

 

男「お前みてぇな、ただの人間に興味は無ぇんだよ!」

 

 男はそう叫ぶと提督へ向かってナタを振り下ろした。

 

夕張「提督!」

五十鈴「大丈夫よ、夕張♪」

由良「そうそう♪」

 

 悲痛な叫び声をあげてしまった夕張に対して、五十鈴と由良は何とも余裕だった。

 何故なら、

 

男「〜〜……」

 

 ナタを持っていた男は既に伸されていたからだ。

 

 提督は男がナタを大きく振り上げた隙に男の懐へ入り込むと、振り下ろす力を利用して男に一本背負を見舞ったのだ。

 更には投げたと同時に掴んでいた男の腕を離さず、流れるように男の右肩の骨を外し、更には勢いを殺さずに肘で喉元を潰し、トドメとばかりに肩を使って男の顎に強打を見舞った。

 ほんの一瞬での連撃に男は何が起こったのかも分からぬまま気絶したのだ。

 

提督「すまんな……私はただの人間ではなく、皆の命を預かる提督だ」

 

 聞こえてはいないだろうがな……と提督は付け加えると、立ち上がって制服の埃を払った。

 

夕張「提督〜! 良かった〜!」

 

 無事だった提督に夕張は思わず涙を流して抱きつくと、提督は「もう大丈夫だぞ」と言って夕張の頭を優しく撫でた。

 

夕張「本当に良かったですぅ〜」グスグス

提督「こんなにも心を通わせられるのに、殺人兵器だなどと……」ナデナデ

夕張「提督ぅ〜」エグエグ

提督「皆は兵器なんかじゃない。皆は私の誇りだ。胸を張りなさい」ニコッ

夕張「はい〜!」ボロボロ

 

五十鈴「(ちゃんとさっきの撮ったんでしょうね?)」

由良「(もちのロンロン♡ 動画でバッチリ撮ったわよ♡ 話も録音したしね♡)」

 

 余裕のLOVE勢達は内緒話が終わると、泣きじゃくる夕張の元に行って提督と共に夕張に寄り添うのだった。

 

 それから近所の住人からの通報で憲兵隊が駆け付け、男は伸びたまま連行された。

 なんでもこの男は元提督で自身の鎮守府にいた艦娘達を自分の欲望のままに傷付け、それがバレて逃走中の指名手配犯だったそうな。

 

 

 そしてーー

 

 鍛冶屋から無事に愛刀も受け取り、提督の運転で鎮守府へ帰っていた車内ではみんなでこの日の出来事の話題で持ちきりだった。

 

由良「今日はなんか色々と濃い一日だったわね〜」

五十鈴「夕張は泣いちゃうしね」

夕張「うぅ〜……どうせ私は泣き虫ですよ〜」

由良「私や五十鈴姉さんだって怖かったし、気持ちは十分分かるわよ」ナデナデ

夕張「うん……でも殺人兵器とか面と向かって言われるとは思わなかったな〜」

 

 夕張の言葉に提督が透かさず声を掛けようとしたが、

 

五十鈴「でもそこは私達の提督がしっかりと言い返してくれたからね♡」

 

 と助手席に座る五十鈴が言うと夕張や由良は満面の笑みで頷いた。

 

由良「そうそう♡ こう言ったらアレだけど、嬉しかった♡」

夕張「うん……提督が私達の提督で本当に良かったって思えた」ニコニコ

提督「私は思ったままを言っただけだ。そうもてはやさないでくれ」

 

 提督がそう返すと、夕張達は「分かってま〜す♪」と声を揃えて返すのだった。

 夕張達からすれば、提督が自分達をとても大切にしてくれていることを改めて実感出来た出来事だったので、悲しみよりも喜びの方が何倍も上回っていたーー。




 おまけーー

 その夜ーー

 軽巡洋艦寮、夕張の部屋ーー

夕張「…………寝れない……」

 いつもはもう寝ているはずの夕張は寝付けないでいた。
 何故なら瞼を閉じると提督の顔が浮かび、それによって胸が締め付けられるかのように苦しくなるのだ。
 しかしその苦しみは全く苦ではなく、どこか心地良い感じがした。

夕張「提督……////」

 ふと提督のことを口にすると、自身の胸が高鳴り、体も芯からポカポカとしてくる。

夕張「どうしよう……////」

 夕張はこの感覚を知っていた。

夕張(もしかして私……提督のことを好きになっちゃったのかな……////)

 そう考えると、それが本当だと言うように鼓動が早くなった。

夕張「んぁ〜!//// ヤバいヤバい!//// 明日から提督にどんな顔して会ったらいいのぉぉぉ!////」

 夕張はそう叫ぶと、掛け布団に潜り込み、落ち着きなくワチャワチャと暴れ、朝まで悶々とするのだった。
 しかし次の日に夕張が提督と廊下で鉢合わせると、夕張は素直に笑って自然と挨拶をすることが出来たため、何だかんだで自身の恋心を上手くコントロールすることに成功するのだったーー。

 ーーーーーー

はい、ということで今回は分かる人にしか分からない東の方のネタと胸糞悪い輩を成敗する提督にほの字になってしまった夕張さんという、スカッと爽快的な回になりました!
申し訳ない程度の戦闘シーンに関してはどうかご了承を。

ということで、此度も読んで頂き本当にありがとうございました♪


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艦これSS改18話

潜水艦のみ。

キャラ崩壊、ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「…………」カリカリ

 

 提督は今日も変わりなく次々と書類を確認し、サインを書いていく。

 

イムヤ「(*・ω・*)」ジーーーッ

 

 そんな提督の仕事風景を本日秘書艦任務に就いているイムヤは、穴があくほど見つめている。

 今のイムヤはやることがこれと言ってないため、大好きな提督を見て過ごしているのだ。

 

提督「?」チラッ

イムヤ「〜♪」

 

 提督が視線に気付いてイムヤの方を見ると、イムヤは目を逸らして目が合うのを回避する。

 提督は気のせいか……と思ってまた机の上に視線を移すと、

 

イムヤ「(*^ω^*)」ジーーーッ

 

 イムヤはまた提督の方を見つめ始めた。

 

提督「何かご用かな、イムヤ?」カリカリ

 

 すると提督が書類にサインをしながらイムヤに声をかけた。

 イムヤは思わずドキッと胸が飛び跳ねた。

 

イムヤ「べ、別に……暇だから早くお仕事くれないかなって思ってただけで、好きで司令官を見てた訳じゃないんだからね!////」

 

 見事なテンプレであり、本心がだだ漏れである。

 

提督「仕事が遅くてすまない。もう少し待っててくれ」ニガワライ

イムヤ「別に謝らなくたっていいし……////」プイッ

   (あ〜ん、もう、司令官に気ぃ遣わせてどうすんのよ私!/////)

 

 心の中でそう叫ぶと、

 

提督「ははは、イムヤは優しいな。ありがとうな」ニカッ

 

 と提督の悩殺爽やかスマイルが直撃した。

 

イムヤ「べべべべ、別に優しくした覚えなんてないし////」ドキドキ

   (きゃ〜きゃ〜!♡ 何なのあの笑顔〜!♡)

 

 イムヤはニヤけた顔を隠すために机に突っ伏し、両足をパタパタさせていた。

 

提督(…………後で長めの休憩をあげよう)

 

 イムヤの反応を見た提督は全く違うことを考えつつ、書類をさばいていった。

 

 ある程度の書類を片付けた提督は、イムヤに書類整理を頼む前にソファーテーブルへ座るように指示をした。

 イムヤは不思議に思いつつも素直にソファーテーブルへ腰掛けると、すぐ隣に提督が座り、イムヤの肩を抱いた。

 

イムヤ「え、ちょっ、司令官!?////」

提督「気付いてやれずにすまなかったな、イムヤ」

イムヤ「え……え……////」

   (それって……////)

 

 イムヤは天にも昇る気持ちで瞼を閉じた。

 すると提督がゆっくりとイムヤの体を倒し、

 

提督「少し休憩にしよう。ゆっくり休みなさい」ナデナデ

 

 イムヤの頭を自身の膝の上に乗せ、イムヤを労ったのだった。

 

イムヤ(そうよね……知ってた。期待なんてしてないもん……)

 

 天から一気に急降下するのだった。

 しかし提督の心遣いや撫で撫では嬉しいので、これはこれで……と思ったイムヤは素直に提督の膝枕と撫で撫でを受けるのだった。

 

提督「昨晩は良く眠れなかったのかな?」

イムヤ「そんなことないわ……♡」フヒッ

提督「では何か悩み事でもあるのか? 私で良ければ力になるぞ?」

イムヤ「そういうのじゃない……♡」フヒヒッ

提督「そうか……しかし、何かあったら何でも言いなさい。出来る限り力になろう」

イムヤ「うん、分かった……♡」デヘヘ

 

 すると執務室のドアが勢い良く開いた。

 

ろ「提督〜、ただいま〜♪」ノシ

しおい「午前中のオリョクル終わったよ〜♪」

 

 そしてオリョクルから戻ったしおい達が元気にやってきた。

 イムヤは提督に骨抜きにされていたため、しおい達に「おはえひ〜////」と間の抜けた声をかけるのだった。

 

ゴーヤ「(*°皿°)」オウ...シゴトシロヤ

まるゆ「ご、ゴーヤちゃん……」ドォドォ

 

 同じくしおいやろーと一緒にやってきたゴーヤは、提督に膝枕をしてもらっているイムヤが羨ましくて鬼の形相と化していた。

 そんなゴーヤを隣にいるまるゆが必死になだめているが、いつ爆発するかは時間の問題である。

 

ろ「イムヤちゃんいいな〜……ろーちゃんも提督とくっつく〜♪」ヒシッ

提督「大分冷えてしまっているな。本当にいつもありがとうな」ナデナデ

ろ「えへへ〜♪ どういたしまして、ですって♪」ニパー

 

 提督はしおい達にも「こっちへ来て温まりなさい」と手招きすると、しおい達は「は〜い♪」と元気に返事をしてそれぞれソファーへ腰掛け、ストーブで暖を取るのだった。

 

しおい「あ、ついでだしここで、報告書書いちゃおうかな♪」

提督「あぁ、構わないよ。いつものところに報告書用紙はあるから」

しおい「は〜い♪」

 

ゴーヤ「提督の太もも温かいでち〜♡」クハー

提督「それは良かった」ナデナデ

ゴーヤ「んへへ〜♡」

 

イムヤ「(°皿°*)」グヌヌ

まゆる「」ニガワライ

ろ「まるゆちゃ〜ん、まるゆちゃんの分の報告書用紙持ってきた〜♪」

まるゆ「あ、ありがとう」ニコッ

ろ「いいえ〜♪」

 

 何だかんだで賑やかになった執務室ではイムヤもいつもの調子に戻り、ろーやまるゆの面倒を見つつテキパキと書類整理もこなしていった。

 対する提督はソファーテーブルに書類を持ってきてもらって仕事の続きをしていた。何故ならまだゴーヤが膝の上から離れないからだった。

 

ろ「ねぇねぇ、でっち」

ゴーヤ「何でち?」デッチッテイウナ

ろ「報告書書き終わったら、お部屋でまたご本読んで♪」

ゴーヤ「また〜? 仕方ないなぁ、終わったらね」ニコッ

ろ「やった〜☆」

 

提督「」ホホエマー

しおい「ろーちゃんは最近良くゴーヤちゃんに本を読んでもらってるよね〜」フフフ

ろ「うん♪ だって面白いもん♪」

まるゆ「読んでもらったお話で好きな言葉とかお話ってある?」

ろ「あるよ〜♪ こうしの言葉でね〜……」

 

提督(孔子の言葉なんかも取り入れたのか……)カンシン

イムヤ(孔子の話なんてゴーヤ知ってたんだ……)

 

ろ「愛のままにワガママに僕は君だけを傷付けない、とか〜♪」

提督(ん?)

イ・し・ま『???』クビカシゲ

 

ろ「祝福が欲しいのなら、悲しみを知り、独りで泣きましょう。そして輝くウルトラソウル!」

イ・ゴ・し・ま『Hi!』

 

 みんなはつい呼応してしまったようだ。

 

提督「そっちのこうしだったのか」ニガワライ

イムヤ「というかゴーヤも何を読み聞かせてるのよ」ヤレヤレ

ゴーヤ「こうしさんはいい言葉を沢山書いてるでち!」キリッ

しおい「だからってなんで歌詞なの?」ニガワライ

ゴーヤ「だってもう読む物が無くて……」メソラシ

まるゆ「まるゆ、日本昔話なら部屋に沢山ありますよ? お貸ししましょうか?」

ゴーヤ「ありがとでち! はっちゃんのは海外の童話ばっかりだったから助かるでち!」キラキラ

提督「最近は日本昔話を知らない子どもも増えてきていると言うしな。いい考えだと思うぞ」ウンウン

 

ろ「提督が知ってるお話で好きなのは何〜?」

提督「そうだな……鶴の恩返しや笠地蔵、力太郎といった物を小さな頃は良く読んでいたな」

ろ「どんなお話なの〜!」キラキラ

提督「ははは、では報告書を書き終えたら話してあげよう。今でも話はバッチリ覚えているからな」ナデナデ

ろ「ろーちゃん、頑張って報告書書く〜!」フンスフンス

 

 こうしてろーは頑張って報告書を書き終え、ゴーヤ達もろーと一緒に提督が語る日本昔話に聞き入ったそうなーー。




 おまけーー

 その日の夜ーー

 潜水艦寮、ゴーヤ部屋ーー

ろ「でっち〜、眠れない〜」ウルウル
でっち「…………ゴーヤも悪かったし、一緒に寝てあげるでち」ナデナデ

 昼間に提督から話してもらったのがとても気に入ったろーは、まるゆから日本昔話をいくつか借りてゴーヤに寝る前に読んでもらったのだ。
 そしてゴーヤはつい芽生えてしまったいたずら心から「牛鬼淵(うしおにぶち)」を読むと、ろーはあまりの怖さにお話の途中で泣いてしまい、こうしてゴーヤの布団に潜り込んでいるのだ。

ろ「牛鬼怖い〜」
ゴーヤ「山に行かなきゃ大丈夫でち」ナデナデ
ろ「鎮守府の裏山にいるかも〜!」エグエグ
ゴーヤ「裏山って言っても小さな山だから住んでないでち」ヨシヨシ
ろ「そうなの?」グスン
ゴーヤ「でちでち♪ 仮にいたとしてもゴーヤやてーとくがやっつけるでち♪」ニコッ
ろ「うん♪」ナキワライ
ゴーヤ「ほら、安心して、もう寝よう?」ネ?
ろ「お手手繋いでていい?」
ゴーヤ「いいよ〜♪」ギュッ
ろ「えへへ、ダンケ♪」ギューッ

 安心したろーはゴーヤと一緒に朝までぐっすりと眠るのだったーー。

 ーーーーーー

今回はちょいネタを挟んだほのぼの回にしました!
実感に日本昔話を知らないって子どもが多いらしいので、それを後半とおまけのネタとして書きました!
因みに牛鬼淵は私が子どもの頃に読んで泣いたお話ですw

そして本編には出せませんでしたが、今日は葛城さんの進水日です☆
おめでとう♪

では今回も読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改19話

反撃の時。の談。

キャラ崩壊含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 食堂までの道中ーー

 

雪風「おやつ〜♪ おやつ〜♪ しれぇとおやつ〜♪」ルンルン

時津風「今日はパフェかな、モナカかな〜♪」ルンルン

提督「ははは、私の奢りだ。好きな物を食べるといい」

 

 本日秘書艦である雪風とそのお手伝いに来ていた時津風は提督と手をそれぞれ繋ぎ、大手を振って食堂を目指していた。

 

天津風「私達までいいのかしら?////」

初風「提督さんのご厚意なんだから、遠慮した方が失礼よ……ね、提督さん?♡」フフフ

提督「そうだとも。休みの日でも手伝ってくれたお礼だ」ニコッ

 

 時津風と同じくお手伝いに来ていた初風と天津風に提督がそう言うと、初風は嬉しそうに頷き、天津風は顔を真っ赤にさせながらも「ありがと////」と言って提督達の後に続いた。

 提督はそれを見ると「うむ」と頷き、また優しい笑みを二人に送り、また前を向いた。

 そんな提督に初風は恍惚な表情を浮かべ、一方の天津風はハートマークの煙をポッポッと吹き上げながら歩くのだった。

 

 

 食堂ーー

 

 食堂に着き、間宮達に笑顔で挨拶してそれぞれの甘味を注文し終えると、

 

「提督〜♪ みんな〜♪」

 

 と声をかけられた。

 

 提督達がその声がした方を見ると、そこには高雄、愛宕、天龍、龍田という面々がテーブルに座っており、愛宕が提督達に手を振っていた。

 提督達もそれに応え、愛宕達が座るテーブルのすぐ隣のテーブルに腰掛けた。

 

愛宕「提督もみんなとおやつなの〜?」ニコニコ

提督「あぁ、本日は雪風だけでなく初風達も手伝ってくれたから、こうしてお礼に……」ニコッ

 

 愛宕の問いにそう返した提督は同じテーブルに座る初風達に「な?」と笑みを送った。

 すると初風達はみんなして満面の笑みを浮かべて「はい♪」と返事をしてみせた。

 

龍田「あらあら〜、みんなお利口さんね♪」フフフ

 

 龍田に褒められた初風達はまたニッコリと笑った。

 そして雪風が口を開く。

 

雪風「高雄さんと天龍さんはどうしてお顔が真っ赤なんですか〜?」

 

高・天『…………////』ウツムキ

 

 雪風が二人に訊くが、二人は何も言わずに俯いたままだった。

 そんな二人に対し、愛宕や龍田はクスクスと含み笑いをしている。

 何が何なのか分からず、雪風達が小首を傾げていると、

 

愛宕「ちょっとしたお悩みが二人にはあるのよね〜♪」

 

 とだけ言った。

 すると高雄は更に顔を真っ赤にさせて「愛宕!////」と言って愛宕の肩を掴む。

 

提督「ふむ……悩み事か。私で良ければ力になろう」

 

 そして当然こういう流れになるのである。

 提督は高雄と天龍に配慮して「無理には聞かないが」と付け加えるが、二人の有無を待たずして妹達が口を開く。

 

愛宕「高雄が〜、私達のために毎日頑張ってくれる提督に何かしてあげたいんですって〜♪」

龍田「天龍ちゃんは提督みたいな威厳を身に着けたいそうよ〜♪」

 

 妹達の暴露に姉二人は耳まで真っ赤にしてテーブルに突っ伏してしまった。

 

提督「どちらも私絡みなのだな……」ニガワライ

 

 提督が思わず苦笑いを浮かべてつぶやくと、

 

高雄「お節介ですみません……////」

天龍「別に提督が悪い訳じゃねぇよ……////」

 

 と二人は掠れた声で言葉を発した。

 するとここで速吸が小首を傾げながら提督達の甘味を持ってきたが、提督は透かさず二人を気遣って「何でもないよ」と言って、甘味を受け取って速吸を受付へ戻した。

 

 甘味が来たことによって雪風と時津風は「いただきま〜す♪」と甘味に集中し、初風や天津風も高雄と天龍を気にしながらも深くは考えずに甘味を口に運んだ。

 それから提督は高雄と天龍のすぐ側に立った

 

提督「高雄……」

高雄「…………はい////」

提督「いつも気を配ってくれてありがとう……迷惑でなければ、今度高雄が作ったクッキーが私は食べたいな。チョコチップの……」

高雄「チョコチップクッキーなんかでいいんですか?////」

提督「なんかではない。私は高雄が作るあのチョコチップクッキーが好きなのだよ」ナデナデ

高雄「っ……はい、では必ずお作りします!♡」キュンキュン

提督「あぁ、待っているよ」フフフ

 

提督「そして天龍……」

天龍「……んだよ?////」

提督「天龍は十分威厳が備わっているぞ」

天龍「……お、お世辞言ってんじゃねぇよ////」

提督「お世辞などではない。海へ出れば天龍のその勇猛さに仲間は鼓舞され、陸に上がれば天龍のひたむきさに仲間は感銘を受けている。現に天龍をバカにして笑う者はいないだろう?」

天龍「そ、そうか?////」

提督「そうとも。だからこれまで通り、胸を張りなさい。その姿が、その心意気が、天龍の持つ威厳なのだからな」ナデナデ

天龍「そっか……へへ////」

 

 提督の言葉に高雄と天龍は先程はまるで別人のように笑みを浮かべた。

 そんな二人を見て、提督は安心して自分が頼んだ甘味を口に運ぶのだった。

 

愛宕「良かったわね〜、高雄〜♪」ニヤニヤ

龍田「天龍ちゃんもね〜♪」ニヤニヤ

 

高・天『』カチン

 

 愛宕と龍田の態度にとうとう高雄と天龍は頭にきてしまった。

 

高雄「提督……実は愛宕も悩みがあるんですよ♪」

天龍「そういや龍田も悩みがあったな♪」

 

提督「む?」

愛宕「え、えぇ〜……私、悩みなんてないわよ〜?」ニガワライ

龍田「わ、私も特には……」オロオロ

 

 二人はそう言うが、高雄も天龍もここで引き下がる姉ではない。

 

初・天・時『(流れが変わった)』

雪風「〜♪」アムアム

 

提督「無理には聞かないが、その悩みとは何なのだ?」

高雄「愛宕はですね〜、最近提督とお話する機会が無くて寂しいそうですよ〜」ニヤニヤ

天龍「龍田はこう見えて甘えん坊でよ〜。たまには提督に頭を撫でられたいって、この前酒飲んだ時にボヤいてたんだぜ〜♪」ニシシ

 

 今度は愛宕と龍田の二人が顔を真っ赤にする番だった。

 

提督「そうか……寂しい思いをさせてすまないな、愛宕」

愛宕「い、いえ……お仕事が忙しいのは知ってますから……////」ハワワ

 

提督「龍田も……しっかり者だと決めつけていた。申し訳ない」

龍田「わ、私は大丈夫ですかららら////」アワワ

 

 提督の言葉にいつも余裕綽々の二人は珍しく狼狽えていた。

 

天龍「提督よ〜、良かったら今撫でてやってくれよ〜♪ 減るもんじゃねぇしさ〜♪」

高雄「なら愛宕のこともお願いします♪ 愛宕も提督に頭を撫でられるのは大好きなんですよ?♪」

愛・龍『高雄(天龍ちゃん)!////』

 

 すると提督は「お安い御用だ」と言って席を立ち、先ずは二人の側へ立った。

 

提督「すまなかったな、愛宕……これくらいであればいつでも私の元へ来なさい」ナデナデ

愛宕「はぃ〜……♡////」キュンキュン

 

 次は龍田の番。

 

提督「龍田もすまなかった。これからはちゃんと褒めるべき時は褒めるよう心掛けるからな」ナデナデ

龍田「あ……うぅ〜////」トローン

 

 二人の頭をしっかりとそして優しく撫でた提督は、二人に「こんな私だが、これからもよろしくな」と笑顔で言ってから席に戻った。

 

愛宕「……♡////」←恍惚ポーズ

龍田「……////」←フリーズ

高・天『良かった(な)わね〜♪』クスクス

 

初風「提督さん、私の頭も撫でて♡」

雪風「雪風もされたいです♪」

時津風「ならあたし達にも〜♪」

天津風「わ、私も!?////」ポッポー

提督「はは、順番な」ナデナデ

 

 こうして提督の魔性の手による撫で撫ででみんなはキラキラと輝くのだったーー。




今回はちょい甘ほのぼの回にしました!

そして今日は雪風ちゃんの竣工日です!
おめでとう!

と言うことで此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改20話

重巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、ネタ含みます。

いつもより長いです。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 空母寮、共同厨房ーー

 

鳳翔「揚がりましたよ〜♪」

 

 鳳翔は厨房の出入口で待機しているみんなに声をかけつつ、キッチンペーパーを敷いた揚げ物トレイに次々と揚げ餅を乗せていく。

 今年は気合を入れて作り過ぎたこともあり、鏡開きで餅が多く残ってしまった。

 なので鳳翔は、その餅を一口サイズに切ってから冷凍し、天気の良い日にそれを日干しして更に冷凍した上で揚げ餅にしたのだ。

 味付けはシンプルに醤油のみで、前もってお知らせしていたこともあり、空母寮のみんなだけでなく多くの者達がこぞって押し寄せていた。

 

龍鳳「一列に並んでくださ〜い♪」

瑞穂「沢山ありますからね〜♪」

 

 お手伝いの龍鳳と瑞穂の声にみんなは素直に従い、二人が揚げ餅を袋に小分けし、みんなはその袋を受け取ると、鳳翔達にお礼を言ってにこやかに帰っていく。

 そして最後の揚げ餅の袋が手渡される。

 

龍鳳「はい、どうぞ〜♪」

衣笠「ありがとうございま〜す♪」

 

 それは衣笠だった。衣笠は本日秘書艦任務に就いているが、提督のために時間を作って揚げ餅をゲットしに来ていたのだ。

 

瑞穂「ふふ、衣笠さんが最後でしたから多めに入れておきました♪」

衣笠「わぁ、嬉しい♪」

 

 そう言って喜んだ衣笠だったが、衣笠はすぐにあることを気に掛けた。

 

衣笠「三人の分はちゃんとあるの?」

 

 そう、衣笠は鳳翔達の分を気にしたのだ。

 多めに貰って嬉しい気持ちはあるが、それによって三人の分が無くなるのは嬉しいとは言えない。

 

鳳翔「お気遣いありがとうございます。でも、ちゃんと私達の分もありますよ♪」

 

 鳳翔はそう言うと衣笠にちゃんと自分達の分の揚げ餅を見せた。

 

龍鳳「私達だって食べたいですからね♪ 抜かりありません♪」

瑞穂「それに元からちゃんと計算してお配りしましたから」ニコッ

衣笠「なら良かった」フフ

 

 衣笠が胸を撫で下ろすと、鳳翔達は「ありがとうございます♪」とまたお礼を言った。

 衣笠はそれに笑顔を返すと、三人に手を振って執務室へと戻っていった。

 

 

 執務室までの道中ーー

 

衣笠(えっと……揚げ餅もゲットしたし、あとは執務室でお茶を淹れて……♪)ルンルン

 

 提督とまったりお茶にしよ……と思ったその時、衣笠はまだ温かい揚げ餅に目がいった。

 

衣笠(沢山あるし……一つ食べてもいいよね♪)テヘ

 

 そう考えた衣笠は揚げ餅を一つ、袋から取り出してパクンと食べた。

 冷めてはいたが程よい温かさで食べやすく、口に含むと醤油の香りがふわ〜っと広がった。

 

衣笠「ん〜♪」サクサク

 

 その味に衣笠が美味しい……と言おうとしたその時、

 

青葉「美味しそうですね〜、キヌガッサー♪ その表情頂きます♪」パシャ

 

 青葉がひょっこりと現れて、衣笠の表情を撮影した。

 

衣笠「青葉? 部屋で編集してるんじゃなかったの?」

青葉「…………もっとリアクションしてよ〜。お姉ちゃん泣いちゃうよ?」ウルウル

衣笠「もう慣れっこだからね〜。それにこれくらいで泣かない姉だって私は信じてるから♪」ウィンク

 

 衣笠の完璧な返しに青葉はぐうの音も出なかった。

 それから衣笠が「それで、何してるの?」と改めて訊ねると、

 

青葉「今日は鳳翔さんの揚げ餅が出回る日だからね〜♪ だから皆さんが揚げ餅を食べてほっこりしてるところを隠s……撮りしてるの」キリッ

衣笠「せめて言葉を止めたなら言い変えてよ」ニガワライ

青葉「青葉、素直だから!」キリリッ

 

 そんな青葉に衣笠は「はいはい」と言ってその場を去ろうとした。

 

青葉「ちょ、ちょっと待ってよ、キヌガッサー!」

衣笠「えぇ〜、今度は何? 私、提督とお茶するっていう大切なお役目があるんだけど?」

青葉「青葉もその揚げ餅食べたいです!」キラキラ

衣笠(あ〜、みんなの撮ってたら食べたくなっちゃったんだ)ニガワライ

 

衣笠「まぁ、最初から青葉の分も考えてたから問題無いよ♪」

青葉「流石はキヌガッサー! 出来る女ね、コンチクショー!」ナデナデ

衣笠「…………だから、」ニッコニコ

青葉「っ!?」ゾクッ

衣笠「ちゃんと提督の写真も撮ってね♪」

青葉「さ、サーイェッサー!」ケイレイ

 

 こうして青葉は揚げ餅を貰う代わりに、提督の写真撮影をすることを約束して衣笠と執務室へ向かった。

 

 

 食堂前ーー

 

衣笠「ちゃんと撮ってよね。約束破ったら明日までお話してあげないんだからね?」

青葉「だ、大丈夫だよ〜。司令官は言えばちゃんと撮影させてくれるし、バッチリ格好良く撮るから〜」ニガワライ

  (というか約束破っても明日には許してくれるのね……流石衣笠、可愛い娘)

 

 青葉がそう考える脇で衣笠は「提督は元から格好良いもん!」と先程の青葉の言葉に抗議していた。

 そんな妹に青葉が苦笑いを浮かべつつ相づちを返していると、

 

加古「あれぇ、青葉に衣笠じゃん。揃ってどった〜?」

 

 加古があくびを噛み潰しつつ現れた。

 

衣笠「これから執務室で提督とお茶する予定なの♪」

青葉「青葉はご相伴とその風景の撮影に」

加古「あ〜、それでか」アフッ

 

衣笠「加古ちゃんはお昼寝してたの?」

加古「そ〜、正午過ぎから食堂の屋根の上でな〜。日が差して寝袋もポカポカになるんだよ〜」

青葉「ほうほう、加古さんのお昼寝スポットな訳ですね」メモメモ

加古「メモなんて取ってどうすんだ?」

青葉「お昼寝特集を書くかもしれないので」ニコッ

加古「読む奴いんのか?」

青葉「えぇ、目の前に」キリッ

加古「照れるぜ」ニシシ

 

 謎の連携を発揮する青葉と加古。

 すると今度は苦笑いを浮かべて見ていた衣笠が口を開いた。

 

衣笠「加古ちゃんも一緒に来る? 執務室はストーブだけど、今日のお茶請けは鳳翔さんの揚げ餅だよ♪」

加古「マジ!? 行く行く!」キラキラ

青葉「どうして青葉には見返りを求めたのに、加古さんには求めないの?」

衣笠「日頃の行いの差、かな?」ニッコリ

青葉「(´・ω・`)」

衣笠「あはは、ウソだって♪」

加古「あ、なら揚げ餅のお礼に書類整理くらいやるぞ?」ニコッ

衣笠「わぉ、ありがと♪」

 

 こうして今度は加古も加わって執務室を目指した。

 

 

 鎮守府本館内、廊下ーー

 

衣笠「あ……」

古鷹「え?」

 

加古「古鷹じゃん」

青葉(修羅場クルー?)wktk

 

 執務室へ向かう途中、衣笠達は古鷹と遭遇した。

 そして古鷹の手には衣笠と同じ袋があった。

 

古鷹「ち、違うよ!? 抜けがしようとか考えてないよ!? 衣笠が並んでるの見たし、提督も鳳翔さんの揚げ餅好きだから、私も一緒にお茶したいなって思って執務室に向かってたの!」

 

 古鷹が慌てて説明すると、衣笠はゆっくりと古鷹の前に立って古鷹の肩を掴んだ。

 その行動に対し、古鷹はビクンと肩を震わせるたが、

 

衣笠「考えることは同じだね……流石古鷹ちゃん」∑d

 

 と言ってバチコーンとウィンクした。

 古鷹はそれを見ると、強張っていた顔がいつも通りの柔らかい表情に戻った。

 

加古「あの〜、あたしの分は元から無かった感じ〜?」

古鷹「そ、そんなことないよ!? 加古の分はちゃんと残しておくつもりだったから!」

加古「ホントか〜?」ジトー

古鷹「本当なの〜! 大体、加古も誘おうと思ったのに何処にも居ないんだもん!」

加古「お、お〜……それはすまぬ」

古鷹「どうせお昼寝してたんでしょ!? 私は加古のこともちゃんと考えて揚げ餅貰ってきたのに〜!」テシテシ

加古「わ、悪かったよ〜……今度は昼寝する前に連絡(ライン)すっからさ〜」ニガワライ

古鷹「そう言っても連絡してくれるのはその次の日くらいじゃな〜い!」ポコポコ

加古「あ、青葉〜、衣笠〜、助けて〜」

 

青葉「これは早急にお昼寝特集を書く必要がありますね〜」メモメモ

衣笠「加古ちゃんも謝ってるんだからさ」ネ?

古鷹「(๑ò∧ó๑)」ムゥ

加古「ほ、ほら、提督待ってんだからさ」アセアセ

古鷹「それもそうだね♪」コロッ

 

 結局、第六戦隊勢揃いで執務室へ行くこととなった。

 

 

 執務室ーー

 

提督「それでこうしてみんな揃って訪れたということか」アハハ

衣笠「えへへ、そうなんだ〜♡」デレデレ

古鷹「来ちゃいました〜♡」デレデレ

 

 鳳翔の揚げ餅もお茶請けにみんなしてソファーテーブルに座ってお茶をすることになると、衣笠は提督にこうなった経緯を話した。

 するとそれを聞いた提督は楽しそうに笑い、その提督の笑顔に古鷹と衣笠のLOVE勢はデレデレした顔で提督と笑いあった。

 

衣笠「でも、お茶した後に書類整理手伝ってもらっちゃっていいの?」

古鷹「うん♪ みんなでお茶することが出来るお礼だもん♪」

衣笠「ありがとう、古鷹ちゃん」ニッコリ

提督「私からもありがとうな、古鷹」ナデナデ

古鷹「あぅ……はいぃ〜♡////」キラキラ

 

青葉「(という建前で本当は司令官のお側に居たんでしょうね)」ヒソッ

加古「(あの顔ならそうだよな〜)」ヒソヒソッ

 

提督「加古もお手伝いに来てくれてありがとうな」ナデナデ

加古「揚げ餅のこともあったし、手伝いくらいはな♪」

 

提督「青葉は新聞の編集が大変なのにこうして来てくれたんだな。私の写真でいいなら好きに撮りなさい」ナデナデ

青葉「はいです♪ その前に揚げ餅頂きますけどね!」キリッ

 

 こうしてみんなで揚げ餅を食べ、和やかなお茶会を楽しむのだったーー。




 おまけーー

 その日の夜、重巡洋艦寮、青葉・衣笠部屋ーー

衣笠「ふふふ♪」
青葉「いきなり笑い出してどうしたの?」
衣笠「ん? 今日の昼下がりの出来事あったでしょ?」
青葉「揚げ餅云々のこと?」
衣笠「そうそう♪ それ思い出したら、ついね〜♪」クスクス
青葉「何がそんなに可笑しいの?」
衣笠「何か揚げ餅あげてみんなが私に付いてきたじゃん? 古鷹ちゃんはちょっと違うけど」
青葉「」コクコク

衣笠「なんかさ、お話の内容は別だけど、なんか桃太郎みたいだなぁって♪」
青葉「桃太郎?」クビカシゲ
衣笠「うん♪ だって揚げ餅あげる約束で付いてきたじゃん♪」
青葉「この場合、揚げ餅がきび団子になると……」フムフム
衣笠「そそ♪ それで青葉が犬で、加古ちゃんは猿、古鷹ちゃんが雉♪」

青葉「青葉は狼なんだけど〜……それに加古さんが猿で、古鷹さんが雉って……」
衣笠「似たようなものでしょ♪ 加古ちゃんは屋根で寝てたし、古鷹ちゃんは雉じゃないけど名前に鳥の名詞入ってるし♪」
青葉「そんなもんかな〜?」ニガワライ
衣笠「うん♪ 何かそう思うとなんか可笑しくって♪」

青葉「となると、司令官は鬼ということになrーー」
衣笠「提督は鬼じゃないからね!」ギロッ
青葉「そ、そうだね〜……」ニガワライ
  (まぁ、怒った司令官は鬼以上な気がするけど……)

 その後も青葉と衣笠は揚げ餅の話題で盛り上がるのだったーー。

 ーーーーーー

今回はほのぼのっぽい感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改21話

昔と今。の談。

少し真面目なシーン、独自設定、独自解釈含みます。


 

 どんなに戦果をあげても

    どんなに敵を落としても

 

 消える時は一瞬だ

 

 どんなに頑張っても

    どんなに生還しても

 

 仲間を守れなければ

 

 戦果も生還もただの結果

    だから僕は

 

 "何も望まない"

 

 ーーーーーー

 ーーーー

 ーー

 

 着任当初の僕は

 どこか達観して

 冷めた目で物事を見てた

 姉妹のみんなと話してても

 戦友のみんなと話してても

 何をしてても……

 

 だって消えてしまう時は一瞬だから

 だから僕は

 必要以上に関わりたくなかった

 

   あんなにも苦しくて

  あんなにも悲しくて

 あんなにも辛くて

 

 こんなにも無力なら

  こんなにも一瞬なら

   こんなにも簡単なら

 

 ダレトモツナガリタクナイ

 

 ダレモボクノタイセツニナラナイデ

 

             そう思ってた

 

 ーー

 ーーーー

 ーーーーーー

 

 ○○鎮守府、〇六〇〇過ぎーー

 

 駆逐艦寮、白露・時雨・村雨・夕立部屋ーー

 

時雨「ん……んぅ……」パチッ

 

時雨(変な夢、見ちゃったな……)

 

 日の出が近い早朝。僕は過去の自分の夢を見て、ふと目を覚ました。

 グルッと自分の周辺を見渡すと、白露、村雨、夕立が規則正しい寝息を刻んでいる。

 まぁ、村雨はちょっと苦しそう。

 だって白露姉さんが村雨の布団に潜り込んでるから。

 でも、ちゃんとぐっすり眠ってる。

 

 自分の枕元にある時計を確認すると、〇六〇〇を過ぎていた。

 すると僕はあることが頭の中に浮かんだ。

 

時雨(この時間、提督なら朝の鍛練してるかな?)

 

 そう考えた僕は、みんなを起こさないようにゆっくりと起き上がって、自分のコートを持って部屋を出た。

 寝間着姿だけど、提督はいないかもしれないし、このままでいいや。

 仮にこの姿を見られても何も恥ずかしくないしね。

 

 僕はコートを羽織りつつ、提督がいつも鍛練する室内訓練場を目指した。

 

 

 寮までの帰り道ーー

 

 室内訓練場に行ったけど、鍵が閉まってたから提督は来てないということだった。

 仕方ないよね。そもそも提督だったらもう鍛練を終えて、自室に戻ってる時間だと思うし。

 

 僕はちょっとだけ気落ちして、そのまま部屋に戻った。ちょっとだけだからね?

 

 どうせだから海を見て帰ろうと思った僕は、遠回りだけど埠頭の方から帰ることにした。

 冬のこの澄んだ空や空気も好きだし、こんな日は海も遠くまで見えるから……。

 

時雨「?」

 

 すると埠頭に誰かいた。

 その背中は僕がいつも見てる大きくて逞しい、大好きな背中だった。

 僕は早足でその背中に近付いた。

 

時雨「……提督」

提督「? おぉ、時雨。早いな、おはよう」ニコッ

 

 提督はいつも通りの笑顔を僕に見せて、挨拶してくれた。

 

時雨「おはよう。提督も早いね」ニコニコ

提督「今日はすべきことがあるからな」

 

 すると提督は海に向かって黙祷を始めた。

 そんな提督を見て、僕は不謹慎にも嬉しいと思った。

 だって今年も提督は今日のことを覚えててくれたから。

 

 僕はこの日の早朝。一瞬にして消えてしまった。

 今でもあの当時のことは覚えてる。

 一九四五年・一月二十四日。〇七一五。

 これが艦だった僕の最期の記憶。

 

 当時の僕はヒ87船団の護衛任務を遂行中だった。

 昨年十二月下旬に就いた年を跨ぐ任務で、戦況は日本側が劣勢だった。

 その影響か、一月十日にはタンカー四隻が沈み、海防艦「神威」も大破する大損害が出て、日本側は船団を二手に分けることにした。

 

 僕が担当したのはヒ87A船団で十七日の夜に香港を出発してシンガポールを目指した。

 そして二十四日、僕達がタイランド湾のマレー半島東岸を航行していると電探に敵潜水艦の反応があった。

 これは艦娘になって知ったことだけど、当時僕達が航行していた海域はアメリカ潜水艦の跳梁する難所で、シンガポール方面の日本軍はその海域を航行しないよう心得ていたけど、ヒ87A船団はその事を知らされていなかったみたいだ。

 

 潜水艦発見で艦幹部の人達は電探射撃を命じて面舵転舵したけど、これが敵に好機を与えた。

 アメリカ潜水艦「ブラックフィン」はそれを見逃さずに四本の魚雷を僕に向けて発射。

 この時、僕に迫る二本の雷跡を発見した人もいたんだけど、錯覚や連絡不備で艦幹部の判断を変えるには至らなかったんだ。

 そうしている間に一本の魚雷が僕の左舷後部に命中。

 その衝撃は凄まじくて、すぐに僕の船体は傾斜して、そして船体が分断された。

 これが僕が覚えてる最期の記憶。

 

 提督は黙祷を終えると、すぐに僕の方を向いた。

 

提督「去年も言ったが、生まれ変わってきてくれてありがとう、時雨。また一年、よろしく頼む」ナデナデ

時雨「ふふ、去年の今日だけじゃくて、色な場面でその言葉は聞いてるよ」クスクス

提督「む……そうだったか」

時雨「そうだよ……でも何度聞いても嬉しいよ。ありがとう、提督」スリスリ

提督「お礼なんかいい。私が出来ることなんて些細なことだからな」

時雨「敵の砲撃から守ってくれることは些細なことじゃない気がするけどね」クスクス

 

 僕がちょっとだけ意地悪を言うと、提督は「揚げ足取りめ」って言って僕の頭を強くワシャワシャしてきた。

 

 ーーーーーー

 ーーーー

 ーー

 

時雨『どうして僕なんかを守ったの? 僕の代わりならすぐに着任出来るのに』

提督『仲間を守るのは当然だからな』

時雨『どうせ、死ぬ時は一瞬だよ……みんな……同じ……』

提督『そうだな。失うのは一瞬だ』

時雨『じゃあーー』

提督『でもな、それを理由に諦めることだけはしたくないと常に思っている』

時雨『……意味ないよ、そんなこと……』

提督『だから私は努力する。失うのは一瞬だが、()()()()()()()()()()()()()を』

時雨『……努力……』

提督『その努力の甲斐あって、時雨を守ることが出来た。私はこの努力を続ける。時雨や皆のために』

 

時雨『…………君には失望したよ』

提督『手厳しいな』ニガワライ

時雨『こんなに自分の命を軽視してる提督は初めて見た』

提督『ぬぅ……』

時雨『だから僕が強くなって、提督やみんなを守るね』ニコッ

提督『時雨……』

時雨『僕はもうただの時雨じゃない。この鎮守府の……そう、提督の時雨だから』ニッコリ

提督『あぁ、時雨は私の大切なたったひとりの時雨だ』ナデナデ

時雨『うん♡』

 

 ーーーーーー

 ーーーー

 ーー

 

 提督の()()()()が今の僕に変えた。

 だから僕はこれからも、諦めない。

 

時雨「提督」

提督「ん?」

時雨「これからも僕はこの艦隊……提督の側にいて、いいんだよね?」

提督「当然だ。いてくれなくては困る」ナデナデ

時雨「提督は無茶するから、これからも僕がしっかり守ってあげるね♡」フフフ

提督「ありがとうな、時雨」ニッコリ

時雨「うん♡」ニコニコ

 

 それして僕は提督とそのまま日の出まで肩寄せ合って海を眺めた。

 その時の日の出はいつものより何倍も綺麗に輝いて見えて……提督と一緒だとこんなにも世界は輝いてるんだって心から思えた、そんな瞬間だったーー。




 おまけーー

 同日、一五〇〇ーー

 食堂ーー

時雨「あ〜♡」オクチオープン
提督「ほら」つパフェ
時雨「ん〜♡ 美味しい♡」モグモグ
提督「それは何よりだ」フフフ
時雨「〜♡」デレデレ

 おやつ時、時雨は提督の膝の上に座り、提督からパフェを食べさせてもらっていた。

白露「ーーで、今日の時雨はあんな風に雛鳥状態と……」ニガワライ
夕立「夕立もされたい〜」グヌヌ
村雨「今日は時雨姉さんの日だから仕方ないわよ♪」
春雨「でもあの様子だと、時雨姉さんが司令官に守られているように見えます」ニガワライ
五月雨「いいなぁ〜」ユビクワエ
山風「朝、みんなで黙祷してた時も、時雨姉は提督と、ずっと手繋いでた……」ムゥ
海風「まぁ今日ばかりは致し方ないわね」ニガワライ
江風「いつも凛としてる時雨姉貴があンなにデレデレしてるのって、ある意味レアだよな」アハハ
涼風「普段はあんまり行動ではグイグイ行かないからな〜♪」

 そんな時雨を姉妹達は微笑ましく(?)眺め、

扶桑「ふふ、幸せそうにしてるわね」
山城「そうですね……」マジマジ←羨ましがってる
最上「提督も甲斐甲斐しいね〜♪」
満潮「(ずるい……////)」ボソッ
朝雲「今度してもらっちゃおうかな♪」
山雲「いいわね〜♪ 私もお願いするぅ〜♪」

能代「時雨ちゃんったら……」フフフ
矢矧「いいなぁ……////」
阿武隈「いいよね〜////」
初霜「時雨ちゃん、幸せそう♪」
雪風「ですね〜♪」ニコニコ
天龍(LOVE勢の奴らはすげぇ見てるな〜)ニガワライ
鳥海(まぁ、あんなお二人がいれば自然と目に入っちゃうわよね)ニガワライ

 かつて共に戦場を駆けた戦友達も今の時雨の幸せそうな光景を眺めるのだったーー。

 ーーーーーー

本日は駆逐艦『時雨』の最期の日ということで、書きました。
今回は少し書き方を変え、時雨ちゃんの視点で書いてみました!

この日に沈んでしまった時雨と英霊の方々に心からお祈りします。
本編内の情報はWikipedia、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

では読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改22話

元気一杯の君が好き。の談。

少し真面目シーン、独自設定、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、二〇〇〇ーー

 

 提督自室ーー

 

提督「…………」ペラッ

 

 提督は夕食後、自室へ戻ってからは明日の艦隊編成の確認していた。

 戦場は常に刻々と変化しているため、提督は何度も何度も最悪の状況を想定して編成を組んでいる。

 それが提督の仕事であり、使命である。

 

 提督が一つ一つの事柄を整理していると、自室のドアが控えめにノックされた。

 そのノックに対し、提督は自室ということもあるので「どうぞ」と軽く声をかけると、ガチャリと開いたドアから涼風を除いた第二十四駆逐隊の面々と五月雨が入ってきた。

 

海風「お休み中に失礼します」ペコリ

提督「いや、構わないよ。それで、どうかしたのか?」

五月雨「あの、涼風がこちらにお邪魔していませんか?」

提督「涼風? いや、来ていないが……涼風に何か?」

山風「お風呂から上がったら……夜風にあたりたいって、出て行っちゃって……」

江風「それから帰ってこないンよ〜。時期も時期だし、心配でさ〜」

 

 江風がそう言うと、五月雨達も同じように心配そうな表情を浮かべた。

 

提督「…………涼風に限ってもしものことは無いだろうが……承知した。私も思い当たる場所を探してみよう。何かあれば連絡する」

海風「よろしくお願いします」フカブカ

五月雨「私達に連絡がつかなければ、お部屋に白露達が待機してくれているので、そちらに連絡してください」

提督「心得た。捜索し過ぎて風邪を引かなぬようにな」ニコッ

山風「はぁい♪」ニコニコ

江風「ンじゃ、何かあったら連絡くれよな〜♪」ノシ

 

 こうして五月雨達は提督の自室を後にし、涼風をまた探しにいった。

 みんなの足音が遠くなるのを待って、提督は小さく息を吐いて虚空に向かって声をかける。

 

提督「これで良かったのか、()()?」

 

 そう、涼風はお風呂を上がってから夜風に当たりに来ていたのではなく、提督の元へやってきていたのだ。

 数分前、提督は突然の涼風の来訪に少し驚きながらも優しく招き入れた。

 そして先程、五月雨達の足音がしたのと同時に、涼風は「あたいはいないって言ってくれ」と言って提督の押し入れに隠れていたのだ。

 

涼風「ありがと、提督……ごめんな、嘘つかせちまって……」

 

 押し入れからオズオズと出てきた涼風は謝りつつ、また提督があぐらを掻く脚の隙間にちょこんと身を預けた。

 

提督「気にすることはない。だが、ちゃんと後でみんなには説明するんだぞ? みんなあんなにも心配しているのだからな」ナデナデ

涼風「分かってるよぉ……」ギューッ

 

 いつも元気一杯の涼風がどうしてこんなにも弱々しいのかというと、今日は涼風が沈んでしまった日だからである。

 

 一九四四年、一月二十五日。駆逐艦「涼風」は輸送船三隻の護衛としてブラウン諸島へ向かっている途中、二三時〇五分、ポナペ島北東にてアメリカ潜水艦「スキップジャック」からの雷撃により沈んでしまった。

 その時の記憶が残る涼風にとって、この日のその時間が迫るというのは、耐え難いものがあるのだろう。

 

 黙祷を捧げた日中は持ち前の明るさで何とか耐えていたが、夜になり、あの時刻が迫ってくると、涼風は段々と何かに押し潰されそうな感じがしてきた。

 そのため涼風は提督の元へ訪れたのだ。

 しかし、昨年や一昨年はこうはならなかった。

 黙祷をして姉妹と一緒に過ごし、笑顔が溢れていた。

 

涼風「提督……ごめんな」

提督「気にすることはないと言ったろう?」ナデナデ

涼風「でも……」

提督「誰にだってこういうことはある。それに艦娘なら尚更だろう」

涼風「…………」

提督「それに誰も涼風を恨んじゃいないさ。今もこうしてみんなを気遣っているのだからな」

涼風「……でも提督には迷惑かけてる」グスッ

提督「私は迷惑とは思ってないよ。寧ろこういう時に頼ってもらえて提督冥利に尽きるというものだ」アハハ

涼風「…………バカ////」

 

 提督の言葉に涼風の表情は少しだけ和らいだ。

 涼風はとある夢を見た……艦の頃の自分の夢を。

 

 その夢は涼風が沈む間際の夢だった。

 

 鳴り響く轟音、軋む船体の音、乗員達の叫び声……それらの夢をハッキリと見てしまった今年、涼風は思い知ってしまったのだ。

 魚雷を受け、乗員達と共に一瞬にして沈んでしまった、最期の時を……。

 

 その時の時間が迫るにつれ、その夢での音や声が涼風の頭の中を駆け巡り、自然と笑えなくなってしまった。

 そんな自分を見せたら自分の大切な姉達が心配してしまう。どうしよう……そう思った時に涼風の頭に、とある人物の顔が浮かんだ。それが提督だった。

 だから涼風は提督のところにやってきたのだ。

 

涼風「あたいって思ってたより全然弱かったんだな……みんなを巻き込んでさ……」

提督「戦争をしていれば、そうなることもある。涼風だけのせいじゃない」

涼風「でもさ……あの時のみんなの声がさ……聞こえて、くるんだよ……」ポロポロ

提督「涼風……」

涼風「あたいがあんなにあっさり沈んじまったせいで……みんなを……」

提督「だからこそ、今を明るく過ごしてほしい」

 

 提督はそう言って、涼風の小さな体を優しく抱きしめた。

 

提督「涼風が体験したことだ。私には到底、思いもつかない光景だろう」

涼風「…………」

提督「だからこうして泣いたっていい。だが、最後は笑うべきだと思う」

涼風「……」

提督「悲しいなら、辛いなら、苦しいなら、いつでも立ち止まって泣いたらいい。そしてまた笑顔で歩き出すことが大切なんだ」

涼風「歩き出す……」

提督「あぁ、涼風はあの駆逐艦「涼風」の生まれ変わりだが、それと同時に一人の人であるんだ。せっかく生まれ変わってきたんだ、今度は悲しい日々ではなく、明るい日々を過ごしてほしい」

涼風「提督……」

提督「戦争をみんなに強いているから、矛盾しているがな……でもみんなが明るく過ごしてくれるよう、私は努力している。これまでもこれからも」

涼風「知ってるよ……そんなの……」ギューッ

提督「いつもの調子が出てきたな」ナデナデ

 

 提督が涼風の頭をまた優しく撫でると、涼風は「もうちょいこのまま」と言って提督の胸に顔を埋めた。

 

提督「元気になったら、また涼風の本気を見せてくれ。私は元気一杯の涼風が好きだからな」ニコッ

涼風「うん……もう少ししたら、涼風の本気見せたげる♡」エヘヘ

 

 そんな涼風の笑顔に提督は少し安心し、自分も笑みをこぼして涼風の頭を何度も優しく撫でた。

 暫くすると涼風も元気になり、大手を振って提督の自室を後にするのだったーー。




 おまけーー

 駆逐艦寮、二三三〇ーー

 春雨・五月雨・涼風部屋ーー

涼風「な、なぁ〜、流石に苦しいんだけど」

 涼風はそう言って部屋にいるみんなを見た。
 涼風が部屋に戻ると、白露達は涼風の元に駆け寄り、それぞれ声をかけ、連絡を受けて戻ってきた五月雨達も加わり、涼風はおしくらまんじゅう状態になった。
 涼風はそれだけ心配をかけて申し訳ないと思う反面、こんなにも自分を思ってくれる姉達の気持ちが嬉しかった。

白露「こんなに心配かけたんだから、これくらい甘んじるべき!」ヒシッ
五月雨「今夜は放さないんだから!」ヒシッ
涼風「もしかしてこのままみんなで寝るのか!?」

春雨「雑魚寝すれば平気だよ〜♪」
海風「くっついて寝ればギリギリいけるからね」ニッコリ
江風「きっといつもより温かいぜ♪」
涼風「温かい通り越すんじゃね?」ニガワライ

夕立「でもぉ、その前に訊きたいことあるっぽい♪」
涼風「な、何をだよ?」
山風「涼風のパジャマから、提督の匂いする……なんで?」ニコニコ
涼風「」ギクッ
時雨「僕もそこが気になるな〜♪」
村雨「私達は心配してたのに、涼風は提督とお楽しみだったってことよね〜♪」
涼風「お、お楽しみっていうか……側にいてもらってはいたけど……」タラー
五月雨「でもでも、こんなに匂いが付くのって側にいるだけじゃ無理だよね? ね?」ニッコニコ
涼風「そ、それは……」
春雨「司令官は優しいから、抱きしめてもらってたんでしょう?」ニッコニコ
涼風「…………」ダラダラ
江風「今、なんで分かったって顔したな」ニッコニコ

白露「じゃあ……」ニシシ
海風「一人いい思いをした涼風は……」フフフ
姉ズ『罰としてお姉ちゃん達と一緒に寝ること♪』
涼風「わぁったよ、チキショ〜!////」

 こうして涼風は優しい姉達にもみくちゃにされつつ、今日という日を終えるのだったーー。

 ーーーーーー

二日連続して真面目な回となりましたが、ご了承を。
本編に書きました通り、今日は駆逐艦「涼風」が沈んでしまった日です。
涼風と多くの英霊の方々にも心からお祈りします。

本編の情報はWikipediaから得ました。

此度も読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改23話

祥鳳型軽空母メイン。

キャラ崩壊、ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

瑞鳳「提督〜、頼まれた報告書のファイリング終わったよ〜♪」

提督「む、そうか。ありがとう、瑞鳳。助かったよ」ナデナデ

瑞鳳「えへへ〜、これくらいどうってことないよ〜♡」デレデレ

 

 提督から頭を撫で撫でされて、瑞鳳はだらしなく顔を蕩けさせていた。

 本日の秘書艦は祥鳳だが、瑞鳳は提督に会いたいからお手伝いという形で執務室に来ていた。

 そして今は祥鳳が工廠に開発をしに行っているため、瑞鳳は存分に提督を独り占め状態である。

 

瑞鳳「提督〜♡ 次のお仕事はな〜に〜?♡」スリスリ

提督「今はこれと言ったことはないな。祥鳳が帰ってくるまでゆっくりするといい」ニコッ

瑞鳳「そっか〜……あ、なら提督の肩でも揉もうか?♡ 私、得意なんだよ♡」

提督「それならお言葉に甘えようかな」

 

 提督はそう言うと制服の上着を脱いでワイシャツ姿になった。

 対する瑞鳳はニヤニヤした表情で提督の無防備な背中を眺め、怪しい笑い声をグッと堪えて提督の肩に手を置いた。

 

提督「よろしく頼む」

瑞鳳「は〜い♡ うわぁ……結構凝ってるね〜。これは真剣にやらないといけないかも」グニグニ

  (提督に触っちゃったぁぁぁ♡)←心の声

 

提督「机仕事が多いと自然と凝るのだろうな……んぐっ」

瑞鳳「あ、痛かった?」

  (ななな、なに今の声!♡/////)キュンキュン

 

提督「いや、マッサージされると私は声が出てしまうんだ。痛かったら言うから、そのまま続けてくれ……んぁ」ビクッ

瑞鳳「わ、分かった〜////」

  (いけないことしてるみたいぃぃぃぃ♡!////)キャー

 

提督「私は変わっていてね。足裏などは平気なんだが……っ、肩はどうも……んんっ、弱いみたいでな……くっ」ピクン

瑞鳳「あ、あ〜、あるよね〜、そういうの〜//// 提督だから言うけど……私も、内腿押されると変な声出ちゃうから////」

  (提督の声で集中出来ないよぉぉぉ♡!////)

 

 そんなこんなで提督の肩をマッサージする瑞鳳だったが、どちらが癒している側か分からない状況だった。

 

 するとそこに執務室のドアをノックする者がいた。

 提督は瑞鳳に「マッサージありがとう」と言って姿勢を正してから、ノックに対して「入りなさい」と声をかけると、ドアがゆっくりと開き、祥鳳が入ってきた。

 

祥鳳「只今戻りました……」ドヨーン

 

 提督と瑞鳳は祥鳳の元気の無さに驚いた。

 何故なら工廠へ向かう時はとても元気だっからだ。

 

 そんな祥鳳に瑞鳳は「どうしたの?」と心配そうに声をかけるが、その顔はニヘニヘしていたので、祥鳳は小首を傾げていた。

 

提督「何かあったのか?」

 

 提督はそう言って上着を着直すと、祥鳳は少し涙ぐみながら提督の膝にすがりついてきた。

 

祥鳳「提督〜、私って着物じゃないとおかしいのでしょうか!?」ウルウル

提督「どういうことだ?」コンワク

 

 すると祥鳳は「工廠から帰ってる時のことなんですけど……」と言って、説明を始めた。

 

 

 工廠からの帰り道ーー

 

祥鳳『ふぅ、後はこの報告書を提督にお渡しして……』

 

 祥鳳が開発での報告書を受け取って執務室に戻っていると、向こうから名取と阿武隈達の遠征隊が工廠の方に歩いてきていた。

 

祥鳳『あら、お疲れ様』ニコッ

名取『あ、お疲れ様です』ペコリ

阿武隈『お疲れ様で〜す』ニコッ

 

 祥鳳が挨拶すると名取と阿武隈は返してくれたが、

 

朧・曙・漣『…………』

潮『?』

 

 随伴艦の朧達は祥鳳を不思議そうに見つめていた。潮に限っては三人の反応を不思議そうに見ていただけだが。

 

祥鳳『ん? どうしたの、みんな? 私の顔に何かついてる?』

 

 三人の反応に祥鳳がそう訊ねると、

 

朧『祥鳳さんがコート着てる』

曙『明日は大寒波かしら?』

漣『風邪でも引いたの、祥鳳さん!?』

 

 と驚きの反応だった。

 

祥鳳『え……確かにコート着てるけど、みんなが思ってるようなことはないわよ?』

 

朧『だって祥鳳さんだよ!?』

祥鳳『どういうこと!?』

曙『いつも肩を出してたのに!』

祥鳳『出撃の時だけでしょう!?』

漣『寒い時は道中着羽織ってたのに!』

祥鳳『汚れちゃったからクリーニングに出してるだけよ!?』

 

潮『あ、あの、どうしたらいいんでしょう?』オロオロ

名取『ど、どうしようね?』ニガワライ

阿武隈『確かに祥鳳さんっていつでも着物姿で、洋服着てる印象が無いから、朧ちゃん達の反応も少しは分かるかも……』ニガワライ

 

祥鳳『鳳翔さんや赤城さん達だってコート着てる時あるでしょう!?』

朧『そうだけど、祥鳳さんのコート姿ってあんまり想像してなかったから……』

曙『暖かそうな格好が新鮮なのよね』

漣『洋服姿の祥鳳さんってのはね〜』

祥鳳『……うぅ〜……』

 

 ーーーーーー

 ーーーー

 ーー

 

祥鳳「ーーてなことがありまして……」クスン

提督「そ、そうなのか……」ナデナデ

 

 提督は祥鳳の話を聞いて、苦笑いを浮かべつつ嘆く祥鳳の頭を優しく撫でた。

 

瑞鳳「まぁ〜、みんな祥鳳=着物ってなってるから、そういう反応されても仕方ないんじゃない?」ニガワライ

祥鳳「でも着物じゃないからって明日は大寒波とか風邪引いたとか言われるとショックじゃない!?」

瑞鳳「それは〜、まぁ〜……ショックかな〜」メソラシ

祥鳳「私だってお洋服持ってるのに〜」メソメソ

瑞鳳「お〜、よしよし」ナデナデ

 

 落ち込んでいる祥鳳に瑞鳳はどう声をかけていいのか分からず、提督に『どうしよう?』と目配せした。

 すると提督は「ふむ……」と少し思案してから、祥鳳に声をかける。

 

提督「祥鳳、私は今の祥鳳も素敵だと思うぞ?」

祥鳳「え……////」ドキッ

提督「確かに普段から祥鳳は着物姿で、それはそれでとても似合っている。だから皆、何ら違和感なくいたのだろう」

祥鳳「そんな……////」ドキドキ

提督「そして、今日はコートという洋服姿だった訳だが、それはその姿の祥鳳を否定しているのではなく、新しい魅力に驚いていたのではないかな?」

祥鳳「新しい魅力……////」キュン

提督「そうだ。だから気にするとこなく、好きな服を着たらいい。勿論任務中は制服を着てもらわなくてはいけないがな」ナデナデ

祥鳳「提督……♡////」キュンキュン

 

 すると祥鳳は立ち上がった。

 そんな祥鳳の様子を提督と瑞鳳が見ていると、

 

祥鳳「今の私はありですか?♡////」

 

 と言ってその場でクルリと回って見せた。

 

提督「あぁ、素敵だ」ニコッ

瑞鳳「似合ってるよ♪」

 

 祥鳳に二人は笑顔でそう言うと、祥鳳は「やった〜♡」と嬉しそうに、そして幸せそうに笑顔を振り撒いた。

 その後、名取達が報告にやってきて、祥鳳からの話を瑞鳳がみんなにすると、みんなは提督が言ったように祥鳳の新しい魅力に驚いての言葉だったと明かし、その言葉で祥鳳はまた喜んだそうなーー。




今日は祥鳳さんが航空母艦へ改造完成となった竣工日なので、祥鳳さんをメインにほのぼの回を書きました!

「ワシントン海軍軍縮条約」と「ロンドン海軍軍縮会議」によって各国は空母の保有数を制限され、当時の日本は計画段階の「蒼龍」「飛龍」までしか空母は建造出来ませんでした。
そこで日本は、その条約に抵触しないレベルで空母っぽい艤装をさせた艦を建造しておき、いざ空母が必要になった時に備え、空母に改装出来るようにしておくという計画を立て、その候補の一隻となったのが、当時、高速給油艦の「剣埼」でした。
それから潜水母艦となり、それを経て空母・祥鳳となった経緯があります。

ということを踏まえて、此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改24話

意外と知らない食文化。の談。

キャラ崩壊、ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

あきつ丸「今回の卸しに関して、何か漏れはありますでしょうか?」

間宮「いいえ、全部あります」ニコッ

伊良湖「今回もありがとうございます」ニコッ

速吸「これ、お礼の間宮羊羹と伊良湖最中です♪ そちらの司令官さんと食べてください♪」

あきつ丸「お、恩に着るであります////」

 

 速吸からそれぞれの甘味を受け取ったあきつ丸は、顔を微かに赤く染めつつお礼を言って鎮守府を後にした。

 

日向「今回は妙に海老が多いな」

伊勢「何で私を見るのよ、日向」ニガワライ

日向「何でもない」プイッ

  (伊勢海老は無くても、伊勢と海老が揃うと、何だか笑えるなww)

 

 何やら一人ツボに入った日向はさておき、ここに集まった者達はみんな、お手伝いにやってきているのだ。

 

陽炎「でも海老にしては変わってるわね〜。ハサミが大きいし……」

不知火「それでいて大きな海老ね。掌サイズくらいかしら」フムフム

黒潮「これで天丼……いや、海老天蕎麦もええなぁ♪」

親潮「海老フライもいいですね♪」

野分「これ死んでる……のよね?」ツンツン

嵐「カチンコチンだから死んでるだろ」ニガワライ

萩風「でもどれも立派な海老だね」ウワァ

舞風「シンプルに茹でただけってのも美味しそう♪」

秋雲「秋雲的には〜、この海老でグラタンがいいな♪」

 

 陽炎型姉妹の面々もこうしてお手伝いに来ている。

 因みに他の姉妹は遠征や訓練中である。

 

伊勢「この海老を仕入れてって頼んだのはテストよね?」

テスト「えぇ」ニコッ

日向「やはりフランス料理にするのか?」

テスト「そうよ♪ でもこれは海老じゃないの♪」

 

 その言葉に間宮、伊良湖、速吸を除く面々は小首をそれぞれ傾げた。

 

日向「これが海老じゃないならなんなのだ?」

テスト「これは、フランス語でécrevisseと言って、日本で言うザリガニなのよ♪」

 

 テストがそう言うと、みんなは驚きのあまり声が出なかった。

 

間宮「因みに日本では北海道の阿寒湖で獲れるザリガニが食用として出荷されているのよ♪」

伊良湖「しかもザリガニの味はタラバガニに似てて、市場では同じ大きさの海老よりも高値で取引されているんですよ♪」

 

 二人の説明にみんなは更に目を丸くさせ、卸したばかりのザリガニに注目した。

 

速吸「今でも普通の小川や池にいるザリガニなんかも、ちゃんと真水で飼ってからなら食べられますよ♪」

伊勢「そういえば、私達は海にいたからあんまり馴染みはないけど、乗組員の人で何人かが実家に帰った時に獲って食べてたって話してたわね」

日向「生食以外なら安全に食えると言っていたな。何でも味噌汁とかにして食べていたとか」

 

 伊勢や日向が思い出したかのように言うと、他のみんなも「そういえば」と当時の乗組員達の雑談の話を思い出していた。

 

テスト「それで今日は、このザリガニを使ってお料理しようと思って、マミーヤさん達にお願いしたの♪」

間宮「私達は和食ですけど、テストさんには本格的なフランス料理を作ってもおうかと」ニコッ

 

黒潮「フランス料理か〜……何やお洒落な感じやな〜」

親潮「て、テーブルマナーとかどうしましょう」

テスト「コース料理は作らないから気にしなくて大丈夫よ♪」

 

 テストが二人にそう言うと、二人や他のみんなもホッとしたような表情を浮かべた。

 そんな中、不知火が「ふむ……」と何やら考えごとをしていた。

 

陽炎「どうしたの、不知火?」

嵐「なんかまだ思うことがあんのか?」

不知火「いえ、正規空母の皆さんが満足してくれるかと思いまして……特に飛龍さんとか」

野分「赤城さんではなく、飛龍さんですか?」

舞風「飛龍さんなら普通に満足してくれそうだけど〜?」

秋雲「そもそも飛龍さんって大食いキャラじゃなくない?」

 

 不知火の懸念にみんなしてそれはないのでは、と言う意見を出したが、伊勢や日向といった面々は苦笑いを浮かべていた。

 

テスト「ヒリューさんってフランス料理苦手なのかしら?」

不知火「いえ、苦手ではないです」

 

 テストの問いに不知火はハッキリとそう答えたが、すぐに「ただ……」と言って、更に言葉を続けた。

 

不知火「ただ……『美味いけど、量が少ねぇ』と思われるのではないかと……」

 

 不知火が思っていた懸念を口にすると、陽炎達は一斉に「それは飛龍さんじゃなくて司令官の言葉!」と口を揃えてツッコミを入れた。

 

テスト「???」クビカシゲ

日向「昔、飛龍に乗っていた二航戦司令官が大食漢でな。大和のフレンチコース料理を食べた後にそう苦言を呈したそうだ」

テスト「な、なるほど……」

伊勢「あの人は色々とエピソードがあるからね〜……私の艦長やってた時なんて、乗組員達の鍛錬の一環として取り入れたお相撲のためにだけに、わざわざ甲板上に本格的な土俵を作らせる程だったんだから」ニガワライ

テスト「ワォ……豪快なお人だったのね」

日向「相撲好きだったこともある。他の艦だとせいぜいマットを敷いた土俵だったからな」フフフ

 

 伊勢達の説明にテストは深く頷きつつ、飛龍にそう言われないように頑張って作ろうと意気込むのだった。

 そしてみんなで料理をし、テストはザリガニを使ったフランス料理、ザリガニのビスクやザリガニのクリームパスタを作った。

 

嵐「パスタってフランスの料理でも使うんだな〜」

黒潮「そりゃあ使うやろ。ドイツ人がジャガイモばっか料理に使っとる的な発想やで、それ」ニガワライ

テスト「でもドイツ人ってジャガイモをフォークで細かくして食べる習慣があるから、フランスだとすぐに分かるのよ?」フフフ

親潮「そんな食文化の違いもあるんですね〜」

野分「フランス人だって分かる食べ方とかもあるのでしょうか?」

テスト「えぇ、勿論あるわよ」ニコッ

 

日向「ほぅ、それはどんなのなんだ?」

テスト「それはパスタの食べ方よ♪」

嵐「え、パスタって世界共通でフォークにクルクルして食べるんじゃないの?」

テスト「フランスではね、パスタはナイフで切って、フォークに乗せて食べるのよ♪」

親潮「何だか斬新ですね」ニガワライ

野分「でもどことなくフランス人っぽい気がします」フフフ

 

間宮「ふふふ、皆さん楽しく作っているわね♪」

伊良湖「そうですね♪」

速吸「ザリガニから各国の食文化のお話になるなんて凄いですね♪」

伊勢「国際交流って感じかしら?」フフ

舞風「和食だって世界で食べられてるよね♪」

陽炎「寿司や天ぷらなんかがいい例よね」アハハ

不知火「麺類を音を立ててすするという食文化も日本ならではよね」ウンウン

萩風「国際的にはマナーが悪いけどね」ニガワライ

秋雲「外に行ったら気をつければいいだけじゃん。寧ろそういう粋な食べ方が日本流でしょ♪」

 

 その後もみんなは食文化の話で盛り上がりつつ、料理を仕上げていくのであったーー。




 おまけーー

 食堂、一二〇〇ーー

 今日の食堂ではみんなザリガニ料理に驚きつつもその味に舌鼓を打ち、大賑わいだった。
 中でもテストのフランス料理は飛ぶように注文が入った。

大和「ザリガニのパスタなんて初めて食べたけど、美味しいわね♪」モグモグ
武蔵「このビスクもいい味だ」ゴクッ
ローマ「いい味ね……トマトソースが少し物足りないけど」モッモッ
イタリア「私はフランスのパスタって好きよ♪ イタリアのパスタより柔らかいけど、これはこれで♪」モキュモキュ

 そしてカウンターではーー

テスト「お待たせしました♪ ザリガニのクリームパスタとザリガニのビスク、空母用の六人前です♪」ドンッ
蒼龍「え、私達こんなに頼んでませんよ?」
テスト「あれ? でも、ちゃんと六人前とオーダーが……てっきりフランス料理は美味しいけど量が少ないから多く頼んだのかと」クビカシゲ
飛龍「なんで多聞丸みたいな話に……」ニガワライ

テスト「では、四人前でいいですか?」
赤城「待ってください!」
加賀「もしかして……」
赤城「私が三人前食べるつもりだったんです、勝手に減らさないでください!」キリッ
飛龍「それも多聞丸の話じゃないですか〜!」プンプン
加賀「三人前は多過ぎるので、私がもう一人前食べます。これなら私と赤城さんで二人前です」キリリッ
蒼龍(それでも多いような……)ニガワライ

 何だかんだみんな満足したので、テストとしては大満足の成果だったそうなーー。

 ーーーーーー

ということで、今日はちょっとした食文化の話にしました!
そして今日は日向さんの進水日と黒潮ちゃん、嵐ちゃんの竣工日なので本編に登場させました!
みんなおめでとう!

此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改25話

朝潮型駆逐艦のみ。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一八〇〇ーー

 

 駆逐艦寮、大部屋ーー

 

大潮「さぁ、ついにこの時間がやって参りましたよ〜♪」

 

 本日の朝潮型姉妹は、昼下がりから姉妹みんなで料理を作り、細やかながら部屋の飾り付けも施し、とあるお祝い会を計画していた。

 そして大潮は気合十分に司会を務める。

 

満潮「はいはい、分かったから、早く進めなさいよ」ニコニコ

霞「まずは主役のご登場でしょ」ニコニコ

霰「二人共素直じゃないね」ンチャ

朝雲「まぁ、二人の口の悪さはデフォだからね〜」アハハ

山雲「言ってることと〜、お顔が〜、合ってないわよね〜」クスクス

満・霞『うるさい////』カァー

朝潮「はい、そこまで」パンパン

 

 そう言って手を叩く朝潮がみんなを静かにさせると、大潮は「主役の登場だ〜♪」とドアに呼びかけた。

 ドアの側にいる霰と霞が透かさずそのドアを開くと、

 

荒潮「主役の登場よ〜♪」ノシ

提督「勝利の女神のご登場だ」アハハ

 

 荒潮が提督にお姫様抱っこされて入室した。

 

 どうして荒潮が主役なのかというと、

 

朝潮「みんな、せ〜っの!」

 

姉妹『荒潮、改二、おめでと〜♪』

 

 そう、荒潮の改二への改造が叶ったからだった。

 

 荒潮はお昼に改二となり、制服や装備を一新。

 制服は先に改二となった朝潮達と同じ軍艦色のジャンパースカートだが、 荒潮のものにはスカートの裾にフリルが施されている。

 そしてこれまで黒のスパッツを着用していたが、改二から焦げ茶のストッキングになり、全体的により大人っぽくなった。

 

 今は付けていない艤装に関しては黒い肩紐のランドセル形の機関部を背負うと供に、左の肩紐には探照灯が付属された。

 更には改二へとなった姉妹達同様、大発動艇も装備することが可能となった。

 

荒潮「みんな、ありがと〜♪」

 

 姉妹達の祝福の言葉に荒潮は上機嫌で、テンションが上がったせいか投げキッスもしていた。しかし提督の肩に回した左手はしっかりと提督の肩に添えられていて、身体も十分に提督へ預け、これでもかと密着している。

 

満潮(荒潮のやつ……////)パチパチ

朝雲(いいなぁ〜、荒潮姉さん♪)パチパチ

山雲(荒潮姉ぇ、ご機嫌ね〜♪)パチパチ

霞(羨ましいなんて思ってないんだから!////)パチパチ

朝潮「おめでとう、荒潮♪」パチパチ

大潮「おめでとうございま〜す♪」パチパチ

霰「おめでと〜♪」パチパチ

 

 LOVE勢の姉妹達はともかく、みんなは荒潮に拍手を送った。

 そして提督にお姫様抱っこされた荒潮は、朝潮達が作った『☆荒潮改二記念☆』と書かれた横断幕の元へとやってくると、透かさず司会である大潮が話題を振る。

 

大潮「はい、では本日見事、改二への改造を果たしました、荒潮さんの改造インタビューです♪」

 

満潮(勝利者インタビュー!?)

霞(て言うか、司令官にお姫様抱っこされたまま!?)

朝潮(これがアドリブ……)フムフム

 

 お祝い会はまだ始まったばかり。みんなはせっかくのお祝い会に水を差さぬよう、ツッコミをグッと堪え、ことの成り行きを見守ることにした。

 

大潮「改二への改造、おめでとうございます! 今のお気持ちは!?」つ割り箸

荒潮「とっても最高の気分よ〜♡ これまでよりももっと提督の役に立てるんだもの〜♡」ウフフ

 

 そう言った荒潮は提督にギュ〜ッと抱きついた。

 抱きつかれた提督は少し驚きながらも、しっかりと荒潮を支えて笑みを浮かべた。

 

満・霞『(#^ω^)』ピキッ

朝雲「まぁまぁ……」ニガワライ

山雲「〜♪」クスクス

 

大潮「今のお気持ちを今、一番、誰に伝えたいですか!?」つ割り箸

荒潮「一緒に頑張ってきた姉妹のみんなと、いつも私を見守ってくれた、て・い・と・く・に♡」キャッ

 

 またも荒潮は提督にギュ〜ッと抱き、更には提督の頬に頬擦りまでした。

 

満・霞『(#°皿°)』イライラ

朝雲「ま、まぁまぁ!」アセアセ

山雲「〜……」プクク

朝潮「」ニガワライ

霰(お腹空いた……)

 

大潮「では姉妹のみんなに一言!」つ割り箸

荒潮「これからも頑張るわね〜♪」ノシ

 

朝潮「これからも共に頑張りましょう」ニコッ

満潮「(#°皿°)」キタイシテルワ

朝雲「わ、私も負けないように頑張るわね」ニガワライ

山雲「これからも姉妹で頑張りましょ〜ね〜♪」

霰「霰も頑張る」フンス

霞「(#°皿°)」マケナイワ

 

大潮「そして、最後に! 司令官へ一言!」つ割り箸

荒潮「ここまで育ててくれてありがとう♡ これからも提督の勝利の女神でいられるように頑張るわ♡」ギューッ スリスリ

提督「あぁ、期待している。私も皆を勝利に導けるよう、これからも努力するよ」ニッコリ

荒潮「〜♡////」←恍惚ポーズ

 

 改造インタビューを終えた荒潮は提督に優しく降ろされ、やっとみんなして食事することとなった。

 提督が掻いたあぐらの隙間には荒潮が透かさず陣取り、提督の右側には満潮と霞、もう片方の左側には朝雲と山雲が陣取った。

 そんな光景を朝潮は苦笑いを浮かべて眺め、大潮と霰は目をシイタケにさせて眺め、LOVE勢の迫力を実感しつつ、ひとまず乾杯を済ませた。

 

 乾杯後ーー

 

提督「私までこうして呼んでもらってすまないな」ナデナデ

満潮「も、元は荒潮が呼んだんだから、気にしなくていいわよ♡////」デレデレ

霞「そ、そうよ……そそ、それよりまた取ってあげるから、早く空いたお皿を貸しなさいな♡////」デレデレ

提督「あぁ、ありがとう」ニコッ

満・霞『〜♡////』デヘヘ

 

朝雲「ほら、司令♡ コップが空いてるわよ♡」ニコニコ

山雲「どれが飲みたいですか〜?♡」ニコニコ

提督「何から何まですまない。烏龍茶を頼む」ニコッ

朝・山『は〜い♡』エヘヘ

 

荒潮「艦隊のみんなからお祝いされたのも嬉しいかったけど、姉妹のみんなからこうしてお祝いしてもらえると、特別に嬉しいわ♪」

朝潮「ふふ、良かったわ♪」

大潮「荒潮ちゃんの好きな物をみんなで作りましたからね〜」ニコニコ

霰「こっちのケーキもみんなで作ったんだよ」ニッコリ

荒潮「ありがと♪」ウフフ

 

提督「満潮や霞が特に頑張って計画して、作ったからな♪」

満潮「ちょ、言わない約束でしょ!?////」

提督「もう話したっていいじゃないか」ニコッ

満潮「駄目に決まってるでしょ!////」プンプン

霞「〜////」ポコポコ

提督「す、すまない……それと霞、的確に弁慶の泣き所を叩かないでくれ」ニガワライ

 

荒潮「ふふふ、満潮ちゃんも霞ちゃんもありがとう」ニッコリ

満潮「い、妹のためだから、当然よ!////」

霞「あ、姉のためだから、当然よ!////」

満・霞『あ……////』

 

 見事にハモった満潮と霞は更に顔を真っ赤にし、それを誤魔化すようにオレンジジュースを一気に飲み干した。しかしその動作までもピッタリだったので、みんなから余計に微笑ましい眼差しをされたのは言うまでもない。

 そんな二人に荒潮はクスクスと笑い、二人の頭を撫で撫でしながら「本当にありがと♪」と言って、心からの感謝の言葉を伝えるのだった。勿論、ちゃんと朝潮達にも。

 

 それから荒潮へのお祝い会は続き、それが終わった後は提督も含めた全員で仲良く眠るのだった。

 提督は仲良く眠る朝潮型姉妹の寝顔を微笑ましく眺め、みんなをこれからも導いていけるように努力しようと思いを新たにし、自分も床に就いたーー。




ということで、今回は荒潮ちゃんの改二記念回という感じにしました!

改二になってまた荒潮ちゃんの魅力が高まりましたね♪
流石は荒潮ちゃん! 可愛くて綺麗なんて、完璧じゃないか!←危ない発言

では此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改26話

寒い日には! の談。

キャラ大崩壊、ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 工廠前ーー

 

瑞鶴「艦載機の調整終わり〜♪」ノビー

翔鶴「あとは午後の出撃までゆっくりしましょう」フフ

 

加賀「こんにちは、二人共」

 

瑞鶴「あ、加賀さん。こんにちは〜♪」ノシ

翔鶴「お疲れ様です」ペコリ

 

 加賀の登場に二人して挨拶すると、加賀は「えぇ」とだけ返した。

 すると瑞鶴が加賀が手にしている書類を見て首を傾げる。

 

瑞鶴「あれ? 今日って加賀さんが秘書艦だったっけ?」

加賀「いいえ……今日は赤城さんよ」

翔鶴「あ、でしたらお手伝いですか? 赤城さん、今は提督と出撃中ですよね?」

加賀「えぇ、そうよ。提督と赤城さんに頼まれたの」

 

 そう言った加賀の顔は少し晴れやかだった。きっと二人に頼ってもらえて嬉しいのだろう。

 

翔鶴「でしたら、私達も何かお手伝いしましょうか?」

瑞鶴「午後まではお手伝い出来るわよ♪」

 

 二人は加賀にそう申し出るが、加賀はゆっくりと首を横に振った。

 

加賀「貴女達は午後から出撃でしょう? それに今、工廠(ここ)にいるということは艦載機の調整を終えたところだということが分かるわ。そんな二人に仕事はさせられないわ」

 

 二人を気遣う加賀の優しさに、翔鶴も瑞鶴も思わず顔を手で覆った。

 

加賀「ど、どうしたの?」オロオロ

翔鶴「加賀さんの優しさが胸に来ました」カンドウ

瑞鶴「前はもっとキツい言われ方されてて……今ではこんなに優しくしてくれるから」カンドウ

加賀「あ、貴女達はもう一人前です……いつまでも新兵扱いはしないわ////」

翔鶴「ずっと頑張ってきて良かったと、心から思いました!」キラキラ

瑞鶴「これからもそう思ってもらえるように頑張るわ!」キラキラ

 

 真っ直ぐな眼差しで言われた加賀は二人に自分の顔が赤くなっているのを悟られないように顔を伏せ、小声で「頑張りなさい////」とだけ返した。

 

加賀「?」

 

 すると加賀は翔鶴の手……というよりは指先に目がいった。何故なら翔鶴の指先は赤くなっていたから。

 

加賀「翔鶴、貴女の指先にシャンティング反応が出てるわ」

 

翔鶴「しゃんてんぐ……?」クビカシゲ

瑞鶴「ど、どういう意味?」ニガワライ

 

加賀「熱いものや冷たいものに触れた時に、身体がその部分の損傷を抑えるために他の部分への血流を抑え、局所的に血流を増大させる。こうした反応をシャンティング反応と言うの」キリッ

  (昨日テレビで観た)

 

瑞鶴「あ〜、さっきまで艦載機の調整してから、そのせいかな?」

翔鶴「中はそうでもないけど、艦載機自体は冷たいから、そのせいね」ニガワライ

加賀「そう……それは辛かったわね」

 

 加賀はそう言うと翔鶴の指先を両手でそっと包み込んだ。

 

翔鶴「か、加賀さん!?////」

加賀「あら、嫌だった?」

翔鶴「い、いえ、ビックリしました////」

加賀「そう……ごめんなさいね。でもこれなら温かいでしょう? 私は他の皆さんより体温が高いから」

翔鶴「はい、とっても温かいです♪」

加賀「えぇ」ニッコリ

 

瑞鶴「……えい♪」

 

 すると瑞鶴が加賀の背中に引っ付いた。

 

加賀「…………なんの真似かしら?」

瑞鶴「私だって寒かったし〜、これくらいいいじゃ〜ん♪ セ・ン・パ・イ♪」ギューッ

加賀「はぁ……褒めた途端にこうなんだから」

 

 加賀は苦言を呈したが、その顔はまるで聖母のような慈悲深い笑みだった。

 

 

 数分後ーー

 

翔鶴「ありがとうございました♪ すっかり温まりました♪」ペコリ

瑞鶴「ありがとね♪ こんなに温かいなら一部屋に一人欲しいかも〜♪」クスッ

加賀「それはどうも。それより部屋に戻ったら、ちゃんと暖かくして午後の出撃に備えなさい」フフ

 

 加賀がそう言うと翔鶴も瑞鶴もまるで子どものように「は〜い♪」と元気な返事をし、二人して寮へ戻っていった。

 それを見送った加賀は工廠へ入り、艤装開発に取り掛かるのだった。

 

 

 埠頭、ー一五〇ーー

 

加賀「…………」

 

 加賀は艤装開発を終えると埠頭へやってきた。

 翔鶴達を相手にしたこともあり、艤装開発が終わる頃には提督達第一艦隊の帰投予定時刻となったので、加賀は工廠帰りにお出迎えに来たのだ。その手には温かいお茶が入った水筒や紙コップを用意して。

 

 すると遠くの方から複数の影が見えた。

 それは予定通りに帰ってきた第一艦隊であり、みんなは加賀の出迎えに手を振っている。

 みんな特に目立った怪我もなく、提督も健在であることから、加賀はホッと胸を撫で下ろし、自分もみんなに手を振った。

 

提督「出迎えありがとう」ケイレイ

加賀「いえ……当然のことです♡」デレッ

 

 加賀と軽い挨拶を交わすと、提督は艦隊のみんなに総括をし、加賀はその間に艦隊へお茶を配る準備をした。

 提督の総括が終わると、加賀は透かさずみんなへ声をかけてお茶を配る。

 みんなはそのお茶を受け取りつつ、加賀の気配りに感謝の言葉を述べると、加賀は少し照れくさそうにしながらもちゃんと言葉を返していた。

 

加賀「赤城さんも、お疲れ様」つお茶

赤城「ありがとうございます、加賀さん♪」

加賀「戦果は上々のようね」ニコッ

赤城「みんな優秀ですからね」フフフ

 

 そう言葉を交わすと、赤城は加賀にギュ〜ッと抱きついた。

 

加賀「あ、ああ、赤城さん////」アワワ

赤城「ん〜♪ 海の上は寒くって〜……加賀さんの温もりが恋しかったです〜♪」スリスリ

加賀「み、皆さんが見てますから……////」

赤城「皆さんもどうですか〜? ポカポカのぬくぬくですよ〜♪」

加賀「赤城さん!?////」

 

長門「ほう、ならお言葉に甘えようか」ペタ

陸奥「失礼するわね♪」ペタ

 

 長門と陸奥はそう言って加賀の両サイドに回ってから、加賀の頬にそれぞれ手をあてる。

 

長門「お〜、これはいいな」フフ

陸奥「天然ホッカイロね♪」

加賀「……////」

 

雪風「すっごく温かいです!」スリスリ

島風「ぬくぬく〜♪」スリスリ

秋津洲「温か〜い♪」スリスリ

 

 他のみんなも加賀の腕や脚に抱きついて暖を取った。

 

加賀「あ、あの……皆さん////」ハワワ

赤城「提督もどうですか〜?♪」ギューッ

加賀「赤城しゃん!?////」

 

提督「私も寒がりだからな……お言葉に甘えるとしよう」ギュッ←天然発動

 

 すると提督は「後ろから失礼する」と加賀に断ってから、背中にそっと抱きついた。

 加賀は耳まで真っ赤にさせ、その顔はいつもの凛としたものではなく、トロットロに蕩けた顔となってしまった。

 更には加賀の両サイドにいた長門や陸奥は提督が加賀の背中に抱きついたことにより、提督の顔を至近距離で見れる位置になった。

 

長・陸・加『…………♡////』ポケェ

 

 こうなると三人はヘブン状態。

 それを見たLOVE勢である赤城も負けじと提督と加賀に抱きつき、遠征隊が帰ってくるまでの数分間、加賀はみんなから揉みくちゃにされるのだった。

 その顔はとても恍惚なものだったそうなーー。




 おまけーー

 その後、執務室ーー

加賀「…………♡////」ポッポッ
提督「すまなかった、加賀。あまりに温かいものだったから、つい……」
加賀「いえ……問題ありません♡////」フヒッ
提督「な、ならいいのだが……何故私の背中に抱きついているんだ?」
加賀「提督は寒がりなのでしょう?♡ だからこうして温めて差し上げてます♡」フヒヒッ
提督「いや……執務室だからもう大丈夫なんだが……」
加賀「ここは譲れません♡」フヒッフヒヒッ

赤城「なら私は提督の前を失礼しますね〜♡」ピトッ
提督「赤城もなのか」ニガワライ
赤城「そうですよ〜♡ どうですか、一航戦サンドは?♡ 温かいですか〜?♡」ニコニコ
提督「温かいが、二人して甘える子どもみたいだな」アハハ
赤城「うふふ……♡」
加賀「フヒヒ……♡」

 その後、提督は暫く二人から抱擁され、暖かいを通り越え、季節外れの暑さを感じるのだった。
 そして一航戦の二人が暫くギラギラしていたのは言うまでもないーー。

 ーーーーーー

はい、と言うことで今回は加賀さんの史実ネタを使ったほのぼの回にしました!

そしてその日と本編には書けませんでしたが、昨日29日は多摩さんと五月雨ちゃんの竣工日でした!
二人共おめでとう!

では読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改27話

球磨型重雷装巡洋艦メイン。

キャラ大崩壊、他作ネタ含みます。

いつもより長めです。


 

 ○○鎮守府、ー六〇〇ーー

 

 海上訓練場ーー

 

木曾「よし、今回の訓練はこれで終わりだ」

大井「訓練後はちゃんとシャワーで汗を流して、風邪を引かないようにね」

神風「ありがとうございました!」

春風「ありがとうございました」ペコリ

朝風「あ、ありがとう、ございました」ヘロヘロ

秋月「だ、大丈夫?」ササエ

照月「でも今日は確かにキツかったね」ニガワライ

初月「でもこれもみんなのためだ」フゥ

 

 本日の訓練を終えた大井と木曾のグループは互いに敬礼し、駆逐艦のみんなは大井に言われた通りシャワー室へ向かった。

 

木曾「ふ〜……んじゃ、俺達は報告書を書いて、提督のとこに提出しに行くか」

大井「報告書ならもう書いたわ」つ報告書

木曾「いつの間に……」ウケトリ

大井「木曾は話が長いからね。その間にチョチョッと♪」ニコッ

木曾「そ、そうか……悪い」ニガワライ

  (五、六分しか話してねぇのに、こんな細けぇ報告書書けねぇよ……)

 

 木曾は改めて大井のスキルに感服しつつ、その報告書を提出ファイルに仕舞った。

 

木曾「それじゃ、姉貴のお陰で時間空いたし、俺達もシャワー浴びるか」

  (俺は浴びなくてもいいけど、姉貴がうるさいしな)

大井「今、シャワー浴びないと私がうるさいとか考えてなかった?」ニコニコ

木曾「メッソウモナイ」

 

 大井の勘の鋭さに木曾が思わずカタコトで返すと、大井は「冗談よ♪」と言って笑った。

 木曾はその笑顔に震えたが、悟られないよう笑って誤魔化す。

 

大井「さ、早く行きましょ」

木曾「そ、そうだな。姉貴としても提督に早く会いたいもんな」ニガワライ

大井「そんなことないわよ〜♡ 仕方なく……そう、し・か・た・な・く、会うの♡」バシバシ

木曾「わ、分かったから、そんなに肩を叩かないでくれ……」

  (めっちゃ痛ぇから)

 

 こうして木曾は大井に叩かれつつ、共にシャワー室へ向かい、サッとシャワーを浴びて執務室へ向かった。

 

 

 鎮守府本館、一六三〇ーー

 

木曾「…………」チラッ

大井「……♡////」ドキドキドキドキ

 

 執務室に近付くにつれ、大井の挙動はおかしくなる。

 木曾は内心ではまた始まった……と考えつつも口には出さず、黙って大井の隣を歩く。

 そして二階まで来ると大井は髪やらスカートの裾やらワチャワチャと弄りだした。

 

木曾「姉貴……逆に髪とか服装がとっ散らかってるぞ」ニガワライ

大井「うぇっ!?////」

木曾「ったく、いつもは頼れる姉貴なのにな〜」ハハ

 

 木曾はそう言いながら大井の身嗜みを丁寧に直してあげた。

 対する大井は「ありがと////」と小さく返し、木曾が直してくれるのを待った。

 

 すると、

 

「大井っちに木曾っちじゃん。訓練終わったの〜?」

 

 二人にとって凄く聞き慣れた声が背後からした。

 

大井「北上さ〜ん♪」ノシ

 

 すぐに気が付いた大井は手を振って北上の元へ走った。

 

北上「大井っち、ステイ!」

大井「っ!?」ピタッ

 

 手をかざされた大井はすぐその場で立ち止まると、北上はポケットから何やら取り出し、「大井っち、パ〜ス♪」と言ってある物をふわっと投げた。

 

大井「っとと……ネジ?」クビカシゲ

 

 大井はこれにどういう意図があるのか分からず、困惑した。

 

大井(どういうこと? 北上さんは遠回しに私の頭のネジが外れてると、そう言いたいの? いや待つのよ大井。そんな安直なことではないはず。寧ろ北上さんがそんなことを遠回しに言うはずないわ。でもだとしたらこのネジの意味は……)

 

 大井が悩む中、北上は大井をスルーして木曾にも同じくネジを渡す。

 

木曾「何だよ、このネジ?」

北上「静電気対策」キリッ

木曾「なるほどな……なら早く大井姉貴に教えてやれ。まだ悩んでんぞ」ユビサシ

北上「ああしてる大井って可愛いよね?ww」

木曾「相変わらずいい性格してんな」ニガワライ

北上「照れるぜ」テヘッ

木曾「ツッコまねぇからな?」

北上「ありゃつれない」

 

木曾「てか、俺らは静電気とか無縁だろ」

北上「対策しておくのに越したことないじゃん?」

木曾「そ、そうだな」

  (北上姉貴がまともなこと言ってる)カンドウ

 

 そんなやり取りをしてから北上が大井の元に近寄り説明すると、大井は大きく頷いて北上に抱きつき、三人して執務室へ向かった。

 

木曾「そういや、今日は多摩姉貴が秘書艦なのに、どうして北上姉貴が書類持ってんだ?」

北上「ジャンケンに負けたでござる」グヌヌ

大井「姉さん達ったら……」ヤレヤレ

 

 執務室は基本的にその日の秘書艦である姉妹達や仲の良い者達がお手伝いと言う名目で、石油ストーブの恩恵や提督にお菓子を貰うため(LOVE勢は提督目当て)に集まってくる。

 今日は多摩が秘書艦なので、球磨も北上も執務室へ来ていたのだ。

 

 

 執務室前、ー六五〇ーー

 

 そして執務室前に着いた北上達。

 大井は北上に抱きついていたので最初よりはリラックスしていたが、ここまでくるとそれは無意味で顔は真っ赤になり、息遣いもどこか荒かった。

 

北上「は〜い、大井っち〜、深呼吸深呼吸〜」ヒッヒッフー

大井「ヒッヒッフ〜……ヒッヒッフ〜////」

木曾「せめて普通の深呼吸を促せよ」ニガワライ

 

北上「ダイジョブ〜ダイジョブ〜♪ アタシを信じて〜♪」

大井「はい……いつも信じてます////」ヒッヒッフー

北上「ダイジョブ〜ダイジョブ〜♪ 大井っちは出来る子〜♪」

大井「ありがとうございます、北上さん////」ヒッヒッフー

木曾(ぜってぇ大丈夫じゃねぇ)ニガワライ

 

 何やら不思議なリズムで大井をリラックスさせる北上。それを木曾は不安そうに眺めたが、どうせ何を言っても無理なので諦めた。

 そしてやっと執務室のドアを開ける。

 

 ガチャーー

 

北上「ただいま〜」ノシ

木曾「失礼する。本日の訓練の報告書を持ってきた」

大井「お、お邪魔するでござりんすすす!////」

 

提督「あぁ、お帰り。大井と木曾もご苦労」ニコッ

 

 提督がいつもの笑みを三人に向けると北上は「ん〜♪」と軽く返し、提督の机に書類を置いてから、そそくさとストーブの元へ。

 

球磨「(大井、今日も凄く提督LOVEをこじらせてるクマ)」

多摩「(ござりんすなんてリアルで言う人いないにゃ)」

北上「(さぁさぁ、どうなることやら♪)」

 

 ストーブに群がる姉達は優しく(?)大井を見守った。

 

木曾「ほら、大井姉貴が渡せよ」ニコッ

大井「えぇ、うぇっ!?////」

 

 木曾が気を遣って大井に報告書を渡すと、大井は声をひっくり返しながらも報告書を預かり、そして何故かわざわざ提督のすぐ隣まで行ってその報告書を渡した。

 

提督「いつもありがとうな、大井」ニッコリ

大井「い、いえいえいえいえ、これが仕事ですかららららら♡////」

 

 そして提督が大井から報告書を受け取ろうとしたその時、

 

 バチッ!

 

提督「おぉ」ビクッ

大井「ひゃう!?♡////」ビクッ

 

 愛の稲妻……ではなく静電気が起こった。

 

提督「静電気か……大丈夫か、大井?」

大井「〜♡////」ポケェ

提督「大井?」カタトントン

大井(提督のLOVEサンダー砲撃が私の胸という装甲を弾き飛ばして心という汽缶室を貫いたわぁぁぁぁぁ♡!)

 

北上「喜んでる喜んでる♪」ニシシ

多摩「あれは暫く帰ってこないにゃ」ニガワライ

球磨「またキラキラ眩しくなるクマ」ヤレヤレ

 

提督「む……固まるほど痛かった。どれ」スッ

 

 すると提督は大井の手を取り、その手を両手で優しく擦った。

 

大井「……♡////」デレデレ

提督「まだ痛むか……では」スゥ

 

 すると今度は優しくその手へ息を吹きかけた。

 

提督「は〜、は〜……どうだ、大井?」

大井「……♡////」ガクガク

 

 大井は恍惚な表情を浮かべると共に、小刻みに体を震わせる。

 

球磨「提督! それ以上はいけないクマ〜!」

多摩「大井が、大井が死んじゃうにゃ!」

提督「何!? 急いでドックへ!」ダキアゲ

大井「がはっ♡////」プシュッ

北上「あぁ、大井っちの鼻からLOVE(鼻血)が!」

木曾「大井姉貴!」アワワ

 

 その後、大井は恍惚な表情のまま気を失い、提督は猛スピードでドックへ運んだ。

 そして大井が目覚めるまで提督は付き添ったが、目を覚ました大井が今度は羞恥心で気絶してしまうのは仕方なかった。

 この日、結局大井はドックでキラキラしながら夜を明かしたそうなーー。




今回は大井さんメインのドタバタ回にしました!
かなりぶっ壊してしまいました。今回は静電気による愛の衝動のせいとうことで、ご了承を。
次回からはもう少し普通の大井さんなのでご安心を。

※2017/02/06.編集
前作で艦娘は静電気云々は平気という設定にしてましたが、今回は提督のせいで静電気が起きたという体でお願い致します。

では読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改28話

これからの未来。の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

巻雲「お父様〜♪ 抱っこしてくださ〜い♪」

提督「あぁ、いいぞ」ニコッ

 

 提督は巻雲から抱っこをせがまれると、嫌な顔せずヒョイっと抱きかかえ、ソファーへ座った。

 どうしていつも「司令官さま」と呼んでいる巻雲が今回は「お父様」と呼んで娘モードでいるのかというと、今日は巻雲にとって特別な日だからである。

 

 一九四三年、二月一日。この日は駆逐艦「巻雲」がガダルカナル島・第一次撤退作戦で触雷により沈没してしまった日なのだ。

 ガダルカナル島がアメリカ軍の手に落ち、日本は「ガダルカナル島撤退作戦」を決行。

多くの諸島で奮闘した陸軍兵士達を助け出すべく、巻雲は多くの駆逐艦と共にショートランドを出発、一路エスペランス岬を目指した。

 しかし道中で空襲に遭い、これによってアメリカ軍に駆逐隊の鼠輸送を知られることになり、アメリカ軍はエスペランス岬付近に二五〇個を超える機雷を敷設して日本の進軍(当時のアメリカ軍は進軍・支援と認識していた)を阻止しようと試みた。

 

 その時、その機雷群に触れてしまったのが巻雲だった。

 巻雲は触雷して航行不能となり、姉妹艦の「夕雲」が急遽横付けして曳航を実施するも、どんどん浸水し、更には船体も徐々に歪みが発生したため、ついに曳航も断念することになった。

 夕雲は巻雲の乗員を移乗させ、最後は姉の魚雷によって雷撃処分されたのだった。

 

 三度に渡る「ガダルカナル島撤退作戦」で唯一の喪失艦、そして双方の数多くの船が眠るアイアンボトム・サウンドに沈んだ最後の艦となったのが巻雲である。

 

 そんな日を明るく過ごしてもらうため、提督はこうして仕事の傍ら巻雲と過ごしているのだ。

 でも、今日が特別な日なのは巻雲だけではない。

 

提督「ほら、海風もこっちへ来なさい」テマネキ

巻雲「今度は海風さんの番ですよ〜♪」ノシ

海風「は、はい……♡////」カァー

 

 そう、照れながらも提督に抱っこされ、恍惚な表情を浮かべる海風もこの日は特別なのだ。

 

 巻雲が沈んでしまった翌年、一九四四年、同日。

 駆逐艦「海風」はトラック北水道付近でアメリカ潜水艦「ガードフィッシュ」の雷撃を受けて沈没しまった。

 しかもこの年の一月には姉妹艦の「涼風」が沈み、海風はそれの後を追うように沈んでしまい、これにより白露型駆逐艦は「時雨」のみとなってしまい、悪夢の年でもあった。

 あの「ガダルカナル島の戦い」が始まると、第二十四駆逐隊はソロモン諸島へと向かい、ここで護衛任務を任され、「第二次ソロモン海戦」で敗北した後も海風はソロモン海域での鼠輸送、更にはガダルカナル島砲撃などと活躍。

 更にはあの「南太平洋海戦」にも参加し、アメリカ軍の空母勢力を一時的にゼロにする大殊勲にも関わっているが、この作戦の翌月には輸送任務中に空襲に遭い、大破。

 朝潮に曳航され、ラバウルで応急処置の末、佐世保で修理を行い、復帰後も輸送任務を任され、一九四三年七月には新たに電探を増備することとなった。

 しかしその整備修理中に姉妹艦の「江風」が「ベラ湾海戦」において沈没、第二十四駆逐隊は海風と涼風の二隻となってしまった。

 その年の十月末には駆逐艦「満潮」が新たに加わり、第二十四駆逐隊は再び三隻編成となるも、十一月十一日に海風が空襲によって中破、またもや修理に入ることになった。

 これまでなんとか沈没を免れてきた海風だったが、その時を迎えてしまった日なのだ。

 

 なので提督は今朝にしっかりと黙祷を捧げてからは、この二人をうんと甘えさせている。

 その甲斐あってか、二人は大好きな提督と過ごせる時間が多いので、笑顔が溢れていた。

 

提督「海風も遠慮しなくていいんだぞ? 今日は私がうんと二人を甘やかすからな」ナデナデ

海風「は、はい……♡////」

  (嬉し過ぎて甘えるどころじゃないわ……♡////)

 

 提督の膝に座らせてもらった海風は顔を真っ赤にさせて、提督の言葉に歓喜している。

 因みに巻雲は海風が座る膝の反対側に座っているため、提督は二人の背中を左右の手で支えながらいるのである。

 

夕雲「巻雲さんも海風さんも幸せそうね〜♪」

風雲「まぁ二人にとって特別な日だから、とやかく言わないけどさ〜……」ニガワライ

江風「流石にズルいよな」

涼風「んだんだ」コクコク

山風「あたしも、されたい……」ムムム

秋雲「秋雲的には捗るからいいけどね〜♪」サラサラ

 

 かつて共に戦場を駆けた姉妹や戦友達は執務室にお手伝いとして集まり、提督達を眺めつつ、ファイリングやらデッサンやら嫉妬をしている。

 因みに本日の秘書艦は風雲である。

 お手伝いといっても、実際にお手伝いしているのは夕雲だけで、他はみんな野次馬的な感じだ。

 

風雲「ただ嫉妬してるだけなら他でやってよ、これでも一応こっちは仕事してるんだからさ」ニガワライ

夕雲「まあまあ、その分私が手伝うから」ネ?

風雲「夕雲姉さんも少しは注意してよ……」

夕雲「しても聞かないから♪」←既に諦めている

風雲(ちくせう、いい笑顔だ)

夕雲「それに、提督も何も言わないからいいじゃないの♪」

 

江風「夕雲はよく嫉妬しないでいられるよな〜」

涼風「確かにな〜。夕雲も提督のこと好きなのにさ〜」

山風「大人、だよね……」

夕雲「ふふ、私は後で二人の相手に疲れた提督を癒す役目がありますから♡」

山・江・涼『( ゚д゚)』ナン...ダト?

秋雲「流石夕雲。考えてることが違う」ニガワライ

 

夕雲「お二人を散々癒して張ってしまった、あの提督の逞しい両肩に触れられるなら、あれくらい♡」フフフ

風雲「奥ゆかしいのか大胆なのか」ヤレヤレ

 

 夕雲の考えに度肝を抜かれたみんなは、恍惚な表情を浮かべて笑う夕雲を見つめることしか出来なかった。

 

巻雲「お父様、今日はみんなで一緒にお昼ご飯も食べますよね?♪」

提督「あぁ、勿論。私がご馳走するよ」ニコッ

巻雲「その時って食べさせてもらえますか〜?」ウワメヅカイ

提督「巻雲がご所望ならお安い御用さ」ナデナデ

巻雲「やった〜♪」バンザーイ

 

提督「勿論、海風にもな」ウィンク

海風「っ♡////」ズッキューーーン

提督「今日は甘やかすと言ったろう?」ナデナデ

海風「で、でしたら、海風は提督に食べさせて差し上げたいです……♡////」

提督「それでは私が甘やかされてしまうことになるんじゃないか?」

海風「で、でででも、したいんですぅ♡////」ウワメヅカイ

提督「分かった。なら食べさせてもらおう」ニコッ

海風「。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。」←凄く喜んでる

 

 こうして巻雲と海風はそれぞれの辛い日を、大好きな提督、姉妹、戦友達と一緒に過ごし、笑顔溢れる一日となったーー。




今日は本編に書きました通り、駆逐艦「巻雲」・「海風」が沈んでしまった日です。
そして艦これには実装されてませんが、この日、海風ちゃんとは別の場所で潜水艦「伊一七一」が、ブカ島南西でアメリカ駆逐艦の爆雷攻撃を受け沈没してしまった日でもあります。
年や場所は違えど、同じ日に沈んでしまった三隻と英霊の方々に心からお祈りします。

本編の情報は『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

では読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改29話

意外と知らないこと。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 鎮守府倉庫ーー

 

 提督は鎮守府の倉庫へ川内と神通、そして二十一駆逐隊を伴って、明日の節分に必要な物を確認するためにやってきた。

 

提督「また今年も人手が増えたから、落花生もその分多く入荷したが……こう見ると多いな」

神通「そうですね……」

川内「でも全部なくなるんだよね〜、これ」

 

 最初に落花生の数を確認することにした。

 去年から大豆ではなく落花生を採用したが、どちらにしても数は物凄いので確認作業も大変である。

 

子日「ここにはネズミさんがいないから良かったよね。いたら多分食べられちゃってたもん」ニガワライ

若葉「ここの周りは野良猫が多いから自然と寄り付かなくなるのかもな」

初春「裏山にも天敵はいるじゃろうしのぅ」ニガワライ

初霜「勝手に食べちゃうようなことをしなければいいんですけどね〜」アハハ...

提督「私が着任した当初からいなかったからな……いたらいたで何か対策はするが、しなくて済むのはありがたい限りだ」

 

川内「提督って確か夏に着任したんだよね?」

提督「あぁ、それも暑い真夏にな」ニガワライ

川内「私はここに着任したの冬だったから、最初の夏の暑さにはちょっとびっくりしちゃったな〜」

神通「あの頃はまだ姉さんも昼型でしたからね〜。今はすっかり夜型に……」

 

 神通はそう言うと小さくため息を吐いた。

 すると川内は「非行少女みたいな感じに言わないでくれない?」と言ったが、神通は「そう言ってるんです」とバッサリ切り捨てる。

 

川内「うあ〜ん……神通が私をいじめる〜!」ヒシッ

提督「お〜、よしよし」ナデナデ

神通「そもそも提督が姉さんを甘やかすから、こうなってるんですよ!?」プンプン

提督「お、おぉ……しかし、ちゃんと日中もこうして起きてくれているのだからーー」

神通「私と那珂ちゃんが起こしてるからです!」ムゥ

二十一駆逐隊『…………』ニガワライ

 

 神通が「むぅ! むぅむぅ!」と提督に詰め寄ると、川内は変わらず神通から逃げるために提督の背中に引っ付いているので、二人に挟まれる形になってしまった。

 それを二十一駆逐隊のみんなは見つめることしか出来なかった。何故なら相手が相手なので下手に口出しすると矛先が自分達に向くからだ。

 すると、

 

那珂「那珂ちゃん登場〜☆」キャピッ

 

 本日秘書艦の那珂がやってきた。

 那珂は提督に頼まれて間宮達に明日の料理のことで確認を取りに行っていたのだ。

 そして川内を庇う提督と提督に詰め寄る神通を目撃した那珂は、

 

那珂「痴情のもつれ?」

 

 と素っ頓狂な発想を口走った。

 

神通「そそ、そんなのじゃないわ、那珂ちゃん!////」

 

 その言葉にいち早く反応した神通は顔を真っ赤にして那珂の元へ。

 

那珂「えぇ〜、川内お姉ちゃんと提督がいい雰囲気だったから詰め寄ってたって設定じゃないの〜?」ニシシ

神通「那珂ちゃん!////」

那珂「えへへ、ごめんなさ〜い♪」

 

 神通に謝る那珂だったが、舌をペロッと出してあまり反省の色は見えなかった。

 しかし神通は那珂の屈託のない笑みの前に怒る気も失せ、ニッコリと笑って「めっ」と言って那珂のおでこをペチッと叩くのだった。

 

川内「良かった〜……」フゥ

提督「いや、良かったと思う前に我々も反省しよう」ニガワライ

川内「あ〜い♪」

 

 それからは那珂も加えた全員で確認作業を進めていった。

 

 

 中庭、一一〇〇ーー

 

 確認作業を終えた提督達は中庭のベンチに座って小休憩を取っていた。

 

川内「提督はお茶だったよね?」つお茶

提督「む、ありがとう」ウケトリ

神通「はい、那珂ちゃんの分」つホットココア

那珂「ありがと〜♪」エヘヘ

川内「んで、初春もお茶で……子日はコーラね♪」

初春「かたじけない」ニコッ

子日「ありがとうございま〜す♪」

神通「若葉さんが栄養ドリンク、初霜さんはホットのお茶で良かったかしら?」

若葉「大丈夫だ、問題ない」キリッ

初霜「ありがとうございます」ペコリ

 

 川内と神通が明石酒保で飲み物を買ってきて提督と那珂に手渡すと、自分達もベンチに腰掛けた。

 そしてみんなしてお金を出してくれた提督にお礼を言ってから、それぞれ飲み物を口に含む。

 すると子日がふとした疑問を口にした。

 

子日「明日ってどんなお料理が食べれるの〜?」

那珂「明日の献立は〜、こんにゃくのピリ辛味噌煮と〜、けんちん汁と〜、恵方巻きと〜、イワシの塩焼きにお蕎麦〜♪」

提督「それと炒り豆と落花生だな」フフ

初春「去年は手巻き寿司じゃったが、今年は節分料理なのじゃなぁ」フムフム

子日「すっごく楽しみ〜♪」

若葉「けんちん汁……」キラキラ

初霜「若葉、よだれ……」フキフキ

 

 嬉しそうにしている子日や若葉に、みんなはホッコリとしながら二人の笑顔を見つめた。

 そして子日はまた口を開く。

 

子日「でも、恵方巻きとかお豆を食べるのは分かるけど、どうしてその料理が節分料理なの?」

 

 その言葉に若葉と初霜も首を傾げた。

 対する理由が分かっている提督達は、子日達に一つ一つ説明を始める。

 

神通「こんにゃくを食べる風習は四国地方で始まったと言われているの。こんにゃくには胃を綺麗にする効果があることから身を清める意味として節分に限らず、大掃除の後や冬至にも食すのよ♪」

 

子日「じゃあ、けんちんは?」

川内「けんちん汁を食べるのは関東地方の一部の風習だけど、節分だからけんちん汁、というよりは冬の行事のお供として、暖かい汁物って感じでけんちん汁が選ばれてるって話だよ。けんちん汁は元々が精進料理だからそういことも関わってのかも」

 

若葉「では蕎麦は何故だ?」

那珂「節分は立春の前日で、昔の日本は立春が一年の始まりだったの♪ それで昔は節分が大晦日でその大晦日には年越し蕎麦を食べるでしょ? 節分に蕎麦を食べるのもそれと同じ意味合いがあるんだよ♪」

 

初霜「イワシはどうしてですか?」

提督「イワシを食べるようになったのは厄除けの意味合いが強い。昔は邪気を鬼に見立て、それはイワシの臭いを嫌うとされ、柊鰯が出来た。そしてイワシは焼く時に他の魚と比べ煙が多く、その煙には米食い虫を追い払う効果があった。そういうことからイワシも食べるようになったそうだ」

神通「因みに、山口県では節分の日にクジラのお肉を食べる風習があるのよ」ニコッ

那珂「あ、那珂ちゃん知ってる♪ 大きい物を食べると縁起がいいからだよね♪」

初春「大きなクジラにあやかり、『志を大きく』、『心を広く』という思いも込められておるのぅ。日本の伝統文化じゃ」ウンウン

 

子日「へぇ〜、それぞれちゃんと理由があるんだね!」

若葉「日本とは本当に奥深い文化の国だな。この国に生まれて良かった」ウンウン

初霜「明日の節分は去年よりももっと楽しんで出来ますね♪」

提督「他のみんなも明日に向けて打ち合わせしているからな。しっかり楽しんで、豆を撒き、福を呼び込もう」ニコッ

 

 提督がそう言うと、子日達は元気に返事をした。

 それから提督と那珂は執務室に戻り、川内達は食堂や酒保へお手伝いをしにそれぞれ向かうのだったーー。




明日は節分ということで、準備回というか豆知識回的な感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改30話

節分だよ! の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、若干の下ネタ、独自設定含みます。

いつもより長めです。


 

 ○○鎮守府、一八三〇ーー

 

 本日は節分。よって鎮守府では駆逐艦の者達が鬼の役をしている者達に対して豆を撒いている。

 去年同様、鬼役は悪い鬼と良い鬼とに分担され、今年も数々のドラマが繰り広げられていた。

 

 

 中庭ーー

 

アイオワ「やるわね……my sistar」ハァハァ

島風「アイオワお姉ちゃんもね……でも動きが悪くなってるから、早く降参しなよ」ハァハァ

 

アイオワ「ふふ……悪い鬼にもprideがあるの。Surrender(降参)なんてしないわ!」

島風「どうしても降参しないんだね……」

アイオワ「そうよ! だからこの姉に全力でかかって来なさい!」

島風「お姉ちゃぁぁぁん!」

アイオワ「島風ぇぇぇ!」

 

 音速を……光速を超える激しい死闘が繰り広げられている。

 

陽炎「で、こっちの悪い鬼さん達はどうするのかしら?」ニコッ

サラトガ「((((;゚Д゚))))」ウワァッ

不知火「降参するならばこれ以上は落花生をぶつけません。足掻いてもらった方がこちらとしては楽しめますが」ニコリ

テスト「(;´ ゚д゚)」モウダメダオシマイダァ

黒潮「さてお二人さん、どうしまっか?」ニコニコ

浦風「囲まれとるけぇ降参するしかありゃぁせんがのぉ」ニコニコ

 

サ・テ『降参します! なので命だけは!』ガクブル

 

初風「この状況って私達の方が悪く見えない?」

天津風「大阪弁と広島弁だとねぇ……陽炎姉さんも不知火姉さんもノリノリでにっこにこだし」ニガワライ

秋雲「極道モノのワンシーンみたいだね〜」サラサラ

親潮「私の思ってた節分よりも、シビアですね」ニガワライ

雪風「親潮さんは鬼役でなくてよかったですね♪」

時津風「質より量で勝つからね♪」アハハ

 

嵐「お、向こうも終わったみたいだぞ」

野分「島風が無事に勝ったようね」

舞風「あ、何か叫んでる」

萩風「あっちはあっちで別なドラマや映画のワンシーンみたいだね」ニガワライ

磯風「ほら感動シーンだぞ。浜風、泣かないのか?」

浜風「どうして私に振るの?」ニガワライ

谷風「まぁ谷風達は終わったし、早く食堂行こうよ」ニガワライ

 

 こうして中庭での鬼退治は終焉を迎えた。

 

 

 正門付近ーー

 

神風「お願い! 信じて! 私達は悪い鬼じゃないの!」タチハダカリ

朝風「神風姉!」

春風「神風お姉様!」

 

漣「と、言っていますがいかがしやしょう?」ゲスガオ

綾波「う〜ん……」ニガワライ

敷波「どう見てもいい鬼っぽいし、いいんじゃないの?」ニガワライ

曙「確かにね」チラッ

 

朧「こんな可愛い生き物に落花生なんてぶつけられないよ」ナデナデ

潮「もう大丈夫だからね?」ナデナデ

山風「(ノω;)」イジメナイ?

曙「いじめないわよ」ナデナデ

漣「いや、ぼのぼのちゃん、そこはいじめなきゃ!」

山風「(;Д;)」イジメル!?

漣「…………自分が悪かったですサーセン」ギュッ

山風「(;∀;)」ヤッタ!

 

神風「良かったぁ〜」ヘナヘナ

朝風「山風に救われたわね」ニガワライ

春風「ハラハラしました〜」ホッ

 

 良い鬼はみんなに付き添われて食堂へ向かった。

 

 

 工廠前ーー

 

深雪「誰か落花生をよこせっ! 早くっ!」

初雪「無理ゲーすぐる……」グヌヌ

 

赤城「これでお終いですか? 私はまだまだイケますが(胃的に)?」モグムシャ

 

吹雪「投げた落花生、全部食べられちゃった……」

白雪「それも殻ごとね」ニガワライ

磯波「ど、どうしよう?」アワワ

浦波「あ、諦めちゃダメですよ!」

叢雲「赤城さんが鬼役って聞いた瞬間から予想はしてたわ」ヤレヤレ

 

赤城「さぁ、早く次なる落花生を!」

加賀「いい加減にしてください」ゴチン

赤城「はぴょんっ☆」

 

深雪「ぁ……青い……!」

初雪「一航戦……!?」

深雪「いい鬼……? いやっ、逃げろ初雪!」

加賀「…………迫真の演技を遮って悪いですが、私はいい鬼です。この大食いな赤鬼を退治にきました。連れが本当に申し訳ありませんでした」フカブカ

吹雪「あ、いえいえ、私達は何もされてませんから」ニガワライ

叢雲「初雪と深雪が勝手に楽しんでただけよ」

磯波「めでたしめでたし?」

白雪「で、いいんじゃないかな?」ニガワライ

浦波「それじゃあ、食堂行きましょう♪」

 

 悪い赤鬼は良い青鬼によって成敗された。

 

 

 埠頭前広場ーー

 

文月「これでもくらぇ〜♪」ポイッ

子日「え〜い♪」ポイッ

若葉「もらった」ポイッ

睦月「えぇ〜い♪」ポイッ

水無月「いくぞ〜♪」ポイッ

 

ウォスパ「……薙ぎ払え」←迫真の演技

アクィラ「撃ち落とせ〜♪」←ノリノリ

秋月「弾幕張ります!」

照月「ただじゃ降参しないよ〜♪」

初月「今度こそ守って見せる!」

 

 秋月達は長10cm砲達を駆使して落花生を落とす(勿論実弾ではない)。

 

卯月「手強いぴょん」プップクプー

弥生「勝てない……」ムムム

如月「どうしようかしら〜?」フフフ

初春「はよ、済ませい」ニガワライ

望月「あ、やっと来た」

 

皐月「待たせたね、みんな!」

 

ウォスパ「何人来ようと同じことよ」フフフ

アクィラ「そうそう♪」

 

長月「それはどうかな?」

菊月「我らを侮るなよ?」

皐月「みんないくよ!」

 

長月「この魂の炎!」

菊月「極限まで高めれば!」

三日月「た、倒せないモノにゃど!////」

初霜「な、何もない!////」

皐月「これでぇぇっ、決まりだぁぁっ!」

 

長月「私のこの手が!」

菊月「真っ赤に燃える!」

三日月「しょ、勝利をつきゃめと!////」

初霜「とと、轟きしゃけぶぅ!////」

皐月「ばああぁぁぁぁくねつ!」

五人『シャッフルぅ! 駆逐だぁぁぁぁん!』

 

 一斉に大量の落花生を投げるだけである。

 

ウ・ア・秋・照・初『うわぁぁぁぁ!』パタリ

 

みんな『やったぁ♪』ピョンピョン

 

初春「お疲れじゃったな」ニガワライ

初霜「はい////」カァー

如月「三日月ちゃんもね」ナデナデ

三日月「どうして私までぇ……////」ァゥァゥ

 

 このように数々のドラマが節分によって生み出され、またそれぞれの胸に思い出が刻まれた。

 

 

 食堂前ーー

 

山城「大丈夫、満潮?」ナデナデ

満潮「だ、大丈夫だもん」グスッ

扶桑「ありがとう、満潮」ギュッ

満潮「……うん」ギューッ

 

ザラ「もらい泣きしちゃった」クスン

ポーラ「いい話だったねぇ」フキフキ

朝潮「満潮ったら」フフフ

荒潮「扶桑さん達に落花生をぶつけたくなくて泣いちゃうなんてねぇ」フフフ

大潮「いい子ですね〜♪」

山雲「こっちもね〜♪」ナデナデ

 

大淀「霞さん、大丈夫?」ナデナデ

矢矧「無理させて、ごめんなさいね」ナデナデ

霞「無理なんてしてないもん」エグエグ

霰「霞、いい子」ナデナデ

朝雲「この鬼には、霞としては落花生投げられないわよね〜」ニガワライ

 

 食堂に集まった面々はそれぞれ豆撒きのことを思い出し、その時の話を思い思いにしている。

 すると提督がみんなの前にやってきた。

 

提督「皆、豆撒きご苦労。では最後にみんなで福は内をして締めたいと思う」

全員『はい!』

 

 全員が落花生を一掴みしたのを確認した提督は、

 

提督「福は〜内〜!」

 

 と威勢良く声をあげた。

 それに続き艦娘達や妖精達も『福は内〜♪』と落花生を撒いた。撒き終えると同時にみんなは自然と手を叩き、拍手の嵐が巻き起こるのだった。

 

間宮「は〜い、豆撒きを終えたら手を洗ってきてくださいね〜♪」

伊良湖「節分料理をみんなでいただきますよ〜♪」

速吸「食堂の落花生は妖精さん達と空母の皆さんが拾ってくれますので、そのままで大丈夫で〜す!」

鳳翔「今年の恵方巻きは提督のお手製ですよ〜♪」

 

長門「提督の太巻き……♡////」ポッ

大和「まだ心の準備が……♡////」デヘヘ

陸奥「何変な想像してるの」ニガワライ

武蔵「想像じゃない。愚者の妄想だ……」ヤレヤレ

 

高雄「提督のお手製なんて嬉しいわね♡」

愛宕「そうね〜、食べ過ぎちゃうかも♡」

摩耶「提督の……♡////」ポッポッ

鳥海「摩耶〜、大和さん達の言葉を真に受けないで〜」ノシ

 

瑞鳳「落花生回収〜♪」

祥鳳「こっちの袋も使えるわよ♪」

隼鷹「早く回収して酒飲むぞ〜!」メラメラ

飛鷹「お酒が絡むと頑張るわよね」ヤレヤレ

 

川内「夕張はやっぱ蕎麦食べるの?」

夕張「こ、今回は恵方巻き食べようかな?////」

  (提督のお手製だし♡)

那珂「提督のお手製だもんね♪」

夕張「え、あ……うぅ♡////」ウツムキ

神通「お気持ちは十分分かります////」ウンウン

 

イク「提督の恵方巻き……太くて、しっかりしてて、でもちょっと弾力があってぇ〜♡////」デヘヘ

ニム「お姉ちゃん、変な言い回ししないでよぅ」ニガワライ

ゴーヤ「でもてーとくが触れた物を食べれるでち!♡」

ろ「でっちのお目々がハートだ〜♪」

 

 そんなこんなで今年も鎮守府の節分は大いに盛り上がり、笑顔が溢れた。

 なお一部の艦娘達からは提督お手製の恵方巻きだからか、LOVEが溢れることとなったそうなーー。




今回は節分ということで前作とやってることは同じですが、色々とネタを挟んだ回にしました!
出せなかった艦娘についてはご了承ください。

では、今回も読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改31話

陽炎型駆逐艦のみ。

キャラ崩壊、他作ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一六〇〇ーー

 

 駆逐艦寮内ーー

 

谷風「浜風〜……お〜い、浜風や〜い」

浦風「どこで道草食ぅとるんじゃ〜」

磯風「先程から通信機(スマホ)を鳴らしているんだがな……」キョロキョロ

 

 浦風達は浜風を探していた。本日休みだった十七駆逐隊。四人でお昼までは共に過ごしたが、その中で浜風だけが昼食を食べた後で部屋から出ていった。

 理由は不知火に借りていた推理小説を返すためだ。それと同時にまた新しく借りる本を探すため、基本的に戻ってくるのは遅い。

 

 しかし今回は遅過ぎなのである。

 

 三人は陽炎達の部屋へいったが、そこには誰もいなかった。そもそも陽炎達は一五〇〇から遠征任務なのでいないのは当然であるが、浜風までいないのはおかしい。

 続いて初風達の部屋も訪ねたがそこにも浜風はいなかったため、今は野分達の部屋に向かっているのだ。

 

 

 駆逐艦寮、野分・嵐・萩風・舞風・秋雲部屋ーー

 

谷風「みんな〜、浜風見ーー」

 

浜風「あ……////」

野分達『あ』

 

谷風「ーーつけたぁ!」

 

 浜風は野分達の部屋にいた。

 

 しかし浜風はいつもの服装ではなかった。

 

 この寒い中で浜風は黒のスクール水着っぽい物を着ているのだ。

 何故『ぽい』のかというと、その服装はお腹部分と背中部分が大きくパックリと開いているからだ。

 他にも二の腕まである黒地に紫のラインが入った薄手のグローブを着用。

 そして右脚がサイハイソックス、左脚がオーバーニーソックスの左右非対称の黒地に紫のラインが入ったソックス。それに加えて右脚のサイハイソックスの上には黒のレッグストラップを付けている。

 

浦風「大胆な衣装じゃのぉ」ニガワライ

磯風「寒くないか?」

谷間「というか何してんの?」

 

浜風「////」ウツムキ

野分「これには少々事情がありまして」ニガワライ

嵐「秋雲がイラスト集出すから、その手本にって浜風姉に衣装着せたんだよ」

秋雲「浜風もかなり乗り気で手伝うって言ってくれたよ〜♪」

浜風「てっきりベタ塗り作業かと思って……////」

 

 浜風の言葉で大体を理解した浦風達。そして三人はとりあえず浜風がいたので安心はした。

 秋雲の情熱は誰にも止められないため、三人はせっかくなので浜風のコスプレショーを楽しむことに。

 

舞風「でも実際のキャラクターとそっくりだよね♪」

萩風「確かにね……」ニガワライ

 

 元の画像と見比べても確かにそっくりである。敷いて言えば髪の色が若干違う程度だ。

 

磯風「これは何のキャラクターなんだ?」

秋雲「FG○って言うゲームのマシ○。漣がこのキャラのイラスト描いてって言うからさ〜」サラサラ

谷風「この画像をそのまま描くんじゃだめなの?」

秋雲「ダメじゃないけどさ〜、二番煎じって感じでもう少しオリジナリティが欲しいわけよ」

浦風「」ニガワライ

 

浜風「は、早く描いて!////」

秋雲「あいあ〜い。待ってね〜、素描だけしちゃって後は写真撮るから」

浜風「使ったらデータ消してよね!?////」

秋雲「分かってるって〜」

浜風「うぅ……////」

 

 そんなこんなで浜風はコスプレ姿で暫く過ごすのだった。

 

秋雲「よし、オッケーオッケー♪」

浜風「はぁ……////」

秋雲「んじゃ、次はこれね〜♪」

浜風「まだあるの!?////」

秋雲「手伝ってくれるって言ったよね?」

浜風「…………////」

秋雲「言ったよね〜?」ジリジリ

浜風「…………はぁ、分かった、分かりました////」モゥ

秋雲「あざ〜っす♪」

 

 浜風は吹っ切れ、もうとことん付き合うつもりで次の衣装に着替え始める。

 秋雲は浜風が着るのを手伝いつつ、着崩し方も細かく指示を出した。

 

浦風「こうなると秋雲は強いのぉ」ニガワライ

嵐「のわっちも同じような髪色だから出来そうだけどな〜」

野分「絶対にお断り」プイッ

谷風「浜風ファイト〜」ノシ

舞風「次は何のキャラクターなのかな〜♪」

萩風「サラシで胸を押さえてるけど、どんなキャラなんだろう?」クビカシゲ

磯風「制服……というよりは軍服だな」

野分「顔の右半分は包帯をするんですね」

嵐「俺これ知ってる! ザ○トレッドだ! ジャケットの丈長ぇし!」

舞風「あれ、でもスカートじゃないね」

 

秋雲「これはメンズだからね〜♪」

 

 そう次はガ○ダム、それもシードのキャラコスだった。

 

浜風「これでいいの?」ポージング

秋雲「おけおけ♪ 素描するからそのままね♪」

 

嵐「浜風姉、ちょっとそのまま『きゃわした!?』って言ってくれよ〜♪」

浜風「嫌////」

嵐「じゃあ、『貴様ぁっ! どの面下げて戻ってきたぁ!』は?」

浜風「どんなセリフでもやりません////」カァー

嵐「ちぇ〜」

 

 それから素描も終え、写真撮影も終わると、秋雲はまた別の衣装を浜風に渡した。

 

舞風「次は何かな〜?♪」wkwk

萩風「楽しんじゃってるね」ニガワライ

谷風「こういうのは楽しんじゃった方がいいよ」アハハ

浦風「にしても、今度は大人っぽい服じゃのぉ」

磯風「色は黒でVネックの半袖ワンピースだな。膝丈で実に大人っぽい」フムフム

嵐「黒のタイツで統一感もあるな」オォー

野分「最後に白衣を着ましたね。そして今度は顔の右半分を髪で隠しました」

谷風「おぉ! ゆる○りの西○先生じゃん!」

舞風「あぁ! あのよく爆発する先生か!」

 

 今度は男ではなく女性キャラに戻った。

 

浜風「この白衣、所々穴が開いているけど……?////」モジモジ

秋雲「それがデフォなんよ〜。気にしないで」サラサラ

浜風「これが終わったら次は何?////」

秋雲「これが最後だよ〜。ホントはデレ○スの幸○コスもさせようかと思ったけど、浜風はあのキャラのポーズは絶対にやってくれないって分かってるからね〜」カキカキ

浜風「…………無理ね//// アイドルがするようなポーズなんてしたくないもの////」

秋雲「だからこれで終わりだよ〜」

 

 そんなこんなでデッサンモデルを終えた浜風はようやくいつもの制服に戻った。

 

谷風「おぉ、いつもの浜風だ♪」

浜風「そうね」ニガワライ

秋雲「協力してくれてありがと〜♪ 出来たらお礼にイラスト集無料であげるね♪」

浜風「…………ありがとう」

秋雲「間がなんか傷つくな〜」ニガワライ

浜風「受け取るだけ感謝して」

秋雲「あ〜い」

 

舞風「あ、もう夕飯の時間だ!」

浦風「案外時間が立っとったんじゃのぉ」

野分「時間が経つのが早かったわね」

萩風「着替えるのが結構大変でしたからね」クスッ

秋雲「ポージングも結構細かく指定したからね」ケラケラ

磯風「ではこのままみんなで食堂に行くか」

嵐「賛成〜♪」

浜風「それではみんなで行きましょう」フフフ

 

 こうして姉妹は仲良く食堂へ向かった。

 後日発行された秋雲のイラスト集は大好評だったが、一部の者達から浜風のそのコスプレを見たいと言う声もあがったとかーー。




今回はちょっとしたコスプレ回という感じです!
分かる人にしか分からないネタですがご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改32話

重巡洋艦、航空巡洋艦のみ。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 重巡洋艦寮、古鷹型姉妹部屋ーー

 

古鷹「お待たせしました♪ 紅茶とアップルパイです♪」

三隈「今切り分けますわ♪」

 

最上「ありがとう」ニコニコ

加古「待ってました〜♪」

羽黒「(。✧△✧)」ハワー

妙高「ありがとうございます♪」

 

 此度、この六名は共に午前の演習へ赴いた。その打ち上げ的な感じでこうして集まっている。

 因みに今は青葉・衣笠・那智・足柄・鈴谷・熊野が演習へ行っている。

 

 古鷹と三隈が焼いたアップルパイを三隈が切り分け、古鷹はそれに合う紅茶をみんなのティーカップへとそれぞれ注いでいく。

 

加古「う〜ま〜そ〜♪」ジュルリ

羽黒「(。✧ω✧)」コクコク

 

 甘い物に目がない二人の瞳や表情はキラッキラに輝いている。

 

三隈「ふふふ、遠慮なく召し上がってください♪」

古鷹「でも熱いから火傷しないようにね♪」

 

 二人が加古達にそう声をかけると、加古と羽黒は「頂きます♪」とお行儀良く両手を合わせてからアップルパイを頬張った。

 

 加古は豪快に大きく一口を食べ「ん〜♪」と幸せそうに頬を緩め、羽黒は「はむはむ♪」と小動物のように食べている。

 

三隈「気に入ってもらえたようで何よりですわ」フフ

古鷹「お二人もどうぞ♪」

妙高「では、お言葉に甘えて……♪」人

最上「頂きま〜す♪」人

 

 こうしてささやかな打ち上げが始まった。

 

 ーー

 

古鷹「そうだ、昨日いい物見つけたの♪」

 

 そう言うと古鷹は自分の机の引き出しから、一冊の本を持ってきた。

 

羽黒「アルバムですか?」

古鷹「そうなの♪ 昨日掃除してたら前のが出てきたの♪」

三隈「拝見させて頂きますわ♪」

 

 三隈の言葉に古鷹が頷くと、最上達は早速アルバムを開く。

 最初のページには第六戦隊全員で青葉を中心にして撮った写真が貼られている。

 

妙高「あら……」フフ

最上「第六戦隊勢揃いって書いてあるね」アハハ

古鷹「うん♪ 私達が揃った記念写真なの♪」

加古「青葉が一番最後に着任したからな〜」モグモグ

三隈「お三方も改二になる前ですわね♪」

羽黒「でもこの写真の加古ちゃん、何だか笑顔がぎこちないような?」クビカシゲ

 

 羽黒がそう言うと加古は「そうか〜?」ととぼけて返すが、

 

古鷹「無理矢理笑ってるんだよ♪ 加古ったら青葉が着任したのが嬉しくってすっごく泣いちゃったから♪」

 

 姉は容赦無くカミングアウトしてしまう。

 

加古「ふ、ふりゅたきゃ!////」カミカミ

古鷹「別に隠すことないでしょ」ニコニコ

妙高「そうですよ、とても素敵な一枚だと思います」ニコッ

羽黒「あ、だからこの写真の加古ちゃん、青葉ちゃんの腕にギュウっしてるんだね」フフ

三隈「三隈もくまのんが着任して、姉妹が揃った時は泣いてしまいましたわ」フフフ

最上「やっぱり姉妹とか戦友が揃うと来るものがあるよね〜♪」

加古「い、いいから次行けよ、次!////」

 

 顔を真っ赤にした加古に促され、次のページにいくとまたも加古がぎこちなく笑う写真があった。

 

古鷹「これは加古が着任して鳥海さんと再会した時の写真だよ♪」

妙高「加古さんは感動屋さんなんですね」ホホエマー

加古「ナーニモーキコーエーナイー////」アーアー

羽黒「こっちは古鷹ちゃんや衣笠ちゃんと再会した時の写真だね♪」

三隈「こちらでも泣き腫らしたお顔ですわね」クスッ

最上「うーちゃんとの写真でも泣いてるよ♪」

加古「わ〜わ〜!//// もう何も言うにゃ〜!////」

 

 加古は耐え切れずにその場から逃げ、部屋の隅に畳んで置いてある布団にズボッと顔を入れた。

 

古鷹「加古〜、それ私の布団だよ〜!」

加古「古鷹の布団なんてぐちゃぐちゃにしてる〜!////」

古鷹「やめて〜!」ハワワ

 

 暴走してしまった加古の元へ古鷹が駆け寄り、なだめるも、みんなは加古の写真を見てそれぞれの感想を言うので古鷹の布団は加古にコチャコチャにされるのだった。

 

 そしてーー

 

三隈「あらあら♪」

妙高「まあまあ♪」

最上「今度は古鷹の写真って感じだね♪」

羽黒「司令官さんにお姫様抱っこされてる……いいなぁ」

 

 今度は古鷹がメインの写真が多くあるページが出てきて、今みんなが見ているのは改二前の古鷹が提督に抱えられている写真である。

 

古鷹「えへへ……青葉が知らない間に撮ってたみたいで////」テレッ

加古「大破して戻ってきた時の写真だな〜。大破してるのに顔はニヤけてるけど〜」←反撃中

古鷹「だって提督が私のことを心配してくれたのが、すっごくすっごく嬉しかったんだも〜ん♡////」キャッ

加古(くそ〜、反撃にならなねぇ)グヌヌ

 

三隈「乙女ですわね〜♪」

妙高「目は完全に提督の方を向いているものね♪」

古鷹「にゃう〜♡//// あんまり言わないで〜♡////」ヤンヤン

 

 古鷹はそう言うが、全く恥ずかしがってる風ではない。

 すると、

 

最上「この写真でも加古は涙ぐんでるね」

羽黒「きっと古鷹ちゃんが心配だったんだよ。私だって今でも姉さん達とかが大破すると泣いちゃうもん」

加古「今のあたしは泣かないからな!////」

 

 また矛先が自分に来た加古は必死に言い返した。

 しかし、

 

古鷹「この時は入渠が終わるまで側にいてくれたよね♪ 今でも待っててくれるけど♪」ナデナデ

加古「別にいいだろぉう!?////」

 

 古鷹にまたカミングアウトされ、加古は思わず変な言い回しのツッコミをしてしまう。

 

古鷹「別に悪いなんて言ってないよぅ」ニガワライ

加古「(๑///∧///๑)」フンッ

 

三隈「そう言えば、加古さんは一緒に入渠すると全員が入渠を終えるまで待っててくださいますよね♪」

妙高「戦艦や空母の方々でもお待ちしてますよね♪」

加古「それは……先に上がるのが悪い気ぃするからで……////」ァゥ

 

羽黒「駆逐艦の娘達や軽巡洋艦の娘達のことも待っててあげてるよね♪ みんな楽しい話をして和ませてくれるって言ってたよ♪」

加古「あ、あたしが暇だから話してるだけだし……////」ァゥァゥ

最上「ホント加古って優しいね〜♪」

古鷹「そうなの! 加古って本当にいい子なの!」キラキラ

 

 古鷹がそう言って妹自慢をすると、加古は「やめろぉぉうわぁぁ!////」と不思議な叫び声をあげて押し入れに隠れてしまった。

 

古鷹「加古〜、私もみんなも褒めてるんだよ〜?」トントン

加古『面と向かって言われるとこそばゆいんだよ!////』

古鷹「だからって引きこもらないでよ〜!」トントン

加古『ならもうアルバムしまえよ〜!////』

古鷹「昨日は全部一緒に見たでしょ〜?」トントン

加古『昨日はこうならなかっただろ〜!////』

 

 妙高達は流石にもう加古に可哀想になったので、そっとアルバムを閉じ、加古が出てくるまで姉妹の微笑ましいやり取りを眺めつつ、お茶とアップルパイを堪能した。

 その後、顔を真っ赤にして加古が出てくると、加古は暫く俯いてみんなとは目を合わせられなかったそうなーー。




今回は古鷹さんと加古さんメインのまったり回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改33話

駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 明石酒保ーー

 

山風「こ、こうで、いいの?////」モジモジ

秋雲「バッチリバッチリ♪」

明石「よく似合ってるわよ♪」

 

 山風はいつもの制服ではなく、秋雲が指定した衣装を着用していた。

 どうしてそんなことになっているのかというと、

 

江風「お〜! やっぱ似合うな〜!」

涼風「思ってた通りだぜ♪」

 

 この二人の妹が昨日秋雲にとあるリクエストしたから。

 秋雲としてもリクエストは嬉しいので喜んで受け、山風を説得して事に及んだのだ。

 因みにどうして酒保でやってるのかというと、明石、夕張、阿賀野が夜なべして衣装を完成させたからである。

 

阿賀野「山風ちゃん可愛い〜♪」パチパチ

夕張「頑張って作った甲斐があるわ♪」マンゾク

海風「確かに……控えめに言って天使ですね」フムフム

 

 最初、海風は反対していたが、山風があることを理由に了承した。でも心配なのでこうして付いてきたが、山風の可愛さに江風達の考えに理解を示し始めている。

 

山風「髪まとめるの大変だった……////」エヘヘ

秋雲「いやぁ、悪いね〜。今素描しちゃうからね〜」サラサラ

 

 山風は普段、髪を高い位置でハーフアップにしているが、今回はきっちりとまとめたポニーテール。ただ両サイドの髪は垂らしてあるのでゴールデンポニーテールだ。

 そして衣装の方は薄い藍色のトップレスミニワンピース、そしてその上から紫と青のグラデーションカラーの羽衣のような物を羽織っている。

 更に頭には龍を模したようなティアラ、両手首には茶色のリボンを巻き、更にその上に大きな青いリボン。足元もリボンと同じ色のサンダルブーツを履いている。

 

秋雲「本当ならイヤリングと分厚いシルバーチョーカーも用意したかったんだけどね〜。そこは妥協して描き足すことにした」ヒラキナオリ

 

阿賀野「ファイヤーエム○レムのチ○ってキャラクターなんだよね?」

夕張「正確にはファイアーエム○レムよ♪ 今してもらってるコスプレキャラは、見た目は幼いけど竜人で年齢は千才!」

江風「覚醒の方と迷ったンだけど、山風姉貴にしてもらうならこっちだよな♪」

明石「私はよく知らないけど、可愛いってことは分かるわ」ウンウン

 

山風「あんまり、可愛いって、言わないで……恥ずかしい、から////」ハウ

 

江風「フリ?」ヒソッ

涼風「フリだな」ヒソヒソ

海風「止めなさい」メッ

 

 そんな話をしていると、

 

提督「着方はこれで間違いないか?」

 

 提督が酒保の試着室から現れた。

 しかし提督も軍服ではなく、秋雲指定のコスプレ衣装である。

 青を基調とした丈の長いジャケットに黒く少しだけゆったりとしたボトムス。そして茶色い膝下まである長いメンズブーツを履いている。

 両肩には頭から被るタイプの軽装な青い鎧(プラスチック製)の上から、表が青く裏地が赤いマントを羽織り、赤く大きな留め具が光る。

 中世ヨーロッパ風、そして何処かファンタジーな戦士の衣装に身を包んでいるのだ。

 

 どうして提督までコスプレをしているのかと言うと、

 

山風「(*♡△♡)」ハワー

 

 山風が提督も一緒ならということで今回の協力を承諾したからである。

 秋雲はそれとなく提督に頼むと、提督は『明日は仕事も少ないから、いいぞ』とまさかの快諾でこのコスプレが成立したのだ。

 

阿賀野「提督さんかぁっこいい〜!♡」

夕張「…………♡////」パシャパシャ←無意識に通信機(スマホ)撮影

明石「うわぁ……カッコイイ……////」

 

 この三人は提督が関わっていたから夜なべしたと言っても過言ではない。

 

江風「マ○ス提督だ〜!♡」

涼風「こんな主人公に結婚申し込まれたら、ぜってぇ結婚する!♡」

海風「理想の白馬の王子様……♡////

秋雲「カチューシャと剣は準備出来なかったけど、丁度いいね〜♪」

  (LOVE勢の視線があっつい……)ニガワライ

 

提督「そんなに持ち上げないでくれ。気恥ずかしくなる」ニガワライ

 

 そんなこんなで秋雲は一人ずつ素描し、最後にツーショットでの素描をした上で参考用に写真も撮影するのだった。

 

秋雲「あ〜い、終わったよ〜ん♪ 協力ありがと〜♪」

提督「なかなか面白い体験だった」フフ

山風「恥ずかしかったけど……提督が一緒だったから、楽し、かった♡////」エヘヘ

提督「そうか」ナデナデ

 

山風「んみゅ〜♡」

 

 すると山風は江風と涼風があることを話していたのを思い出した。

 

山風(確かこの衣装の娘って、主人公のことをお兄ちゃんって呼ぶんだよね……)

 

 それを思い出した山風は提督の顔をチラリと覗く。

 

山風(お兄ちゃんか……♡////)

提督「ん、何か衣装で変なところでもあったか?」

 

 山風の視線に気が付いた提督がそう訊ねると、

 

山風「う、ううん!//// 大丈夫だよ、お兄ちゃん!////」

提督「ん?」

 

 さっきまで思っていたことをつい口にしてしまった。

 

山風「あ……あぁ……うぅ〜!////」

 

 山風は顔を真っ赤にして口をパクパクさせた後、提督に「ごめんなさい〜////」と言って逃げるように試着室へ戻っていくのだった。

 

江風「あっはは♪ 姉貴のやつ、キャラが主人公をお兄ちゃん呼びしてるからって、つい言っちまったのか♪」

提督「ふむ、そういうことか……」ナットク

涼風「試着室から出てこれかっな〜?」ニガワライ

海風「一応様子を見てくるわ」ニガワライ

阿賀野「山風ちゃんが出ないと提督さんこのままだもんね♡♪」

夕張「でももう少し見てたいかも♡」

明石「せっかくだしね……////」

提督「流石にこのまま仕事は出来ないからな……着替ーー」

 

 すると酒保のドアベルが鳴り響き、

 

金剛「お邪魔スrーー」

榛名「お邪魔しmーー」

 

 金剛と榛名が来店し、そのまま固まってしまった。

 

提督「おぉ、二人共」ニコッ

 

 提督は変わらずの笑みを向けるが、今の提督はコスプレ衣装のままである。

 

金剛「…………////」ワナワナ

榛名「…………////」プルプル

 

提督「?」クビカシゲ

 

金剛「Emergency occurs(緊急事態発生)!♡ Emergency occurs!♡」

榛名「革命!♡ 革命です!♡」

金剛「青葉〜! Come here!」

榛名「スプーク! スプークですよ〜!」←焦り過ぎて言葉を間違えてる

 

青葉「スクープと聞いて!」キリッ

衣笠「何事……て、提督!?♡」ズキューーン

翔鶴「どうしま……提督!?♡」キュンキュン

瑞鶴「何かあっ……提督さん!?♡」トゥンク

 

明石「あ〜、これは……」ニガワライ

秋雲「もう手遅れだね〜」ニガワライ

 

 その後、提督はそのままの姿でLOVE勢達とツーショット撮影会に発展。

 後日、提督のコスプレ写真が飛ぶように売れたのは言うまでもないーー。




またと思われてしまいますが、今回は提督も含めた山風ちゃんメインのコスプレ回って感じにしました!
知ってる人しか知らないネタですが、ご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改34話

天使のみ。

他作ネタ、独自設定、R-15含みます。

※少女の飲酒シーンがあります。
※前作『艦これ Short Story』の艦これSS八十三話が深く関わるお話になってます。

ご了承お願い致します。


 

 ○○鎮守府、一七三〇ーー

 

 駆逐艦寮、談話室ーー

 

 夕食時が近くなった鎮守府では、多くの者達が食堂へ赴き、いつも賑やかな寮内は今宵自炊する者達だけとなり、一時の静寂が流れていた。

 

 しかし、ここの談話室に集まる者達がいる。

 

睦月「この時間って滅多に談話室来ないから、何だか新鮮だね♪」

文月「そうだね、何か寮を貸し切ってるみたいでドキドキするぅ♪」

 

 睦月と文月だ。二人はコタツに入って誰かを待っている様子で、ドキドキワクワクといった表情を浮かべている。

 

 すると談話室のドアがガラガラと開き、

 

電「お待たせなのです〜♪」

五月雨「お待たせ〜♪」

 

 電と五月雨が顔をひょっこり出すと、睦月と文月は「来た来た♪」と笑顔を浮かべ、コタツの電源を消し、マフラーやミトンで防寒対策をした上で四人で寮を出た。

 これからこの四人だけで鎮守府の側にある池へ、お出掛けをするのだ。

 勿論、それぞれの各姉妹と提督にはちゃんと許可を貰っている(二〇〇〇までには帰るという条件付き)し、提督達は四人を信頼して許可したので、睦月達も提督や姉妹のみんなに迷惑をかけないよう心掛けている。

 

 今回、どうしてこの四人が池に行くのかと言うと、電の机にいつの間にか置かれていた手紙がきっかけだった。

 真っ白な封筒には差出人も書いておらず、中は小さな紙が一枚だけあり、そこには『本日の一八〇〇に池で待ってる。あの日の四人で来い』と書かれ、電は小首を傾げた。

 しかし手紙の最後、かなり小さく『あの日に渡した盃だけは持ってこいよ!』と書かれていたので、電は合点がいった。

 

 一年前の丁度この日、電を含めたこの四人はとある友達が出来たのだ。

 

 

 鎮守府側の池ーー

 

 懐中電灯で獣道を照らして進み、小さな池の場所までやってくると、

 

少女「お〜い♪」ノシ

 

 睦月達と同じ背丈の少女が池の側に大きなござを敷き、睦月達を出迎えた。

 そう、あの時の鬼である。

 

 去年のこの日、睦月達はこの鬼の少女とひょんなことから友達になった。そのきっかけとなった猫もちゃんと少女の傍らに寄り添っている。

 あの手紙はどうやって送ったかは謎だが、この少女が電へ送ったものだったのだ。

 

電「あの時の鬼さんなのです〜♪」

少女「久しいね〜♪ 元気にしてたか〜?♪」ナデナデ

睦月「睦月達はいつも元気だよ〜♪」ニャシー

少女「それはいいことだな〜♪」

 

文月「猫ちゃんもお久しぶり〜、覚えてるかな〜?」ノシ

猫「にゃ〜♪」スリスリ

五月雨「わぁ、覚えてくれてる〜!」キラキラ

少女「こいつ雄だから、自分が気に入った異性は忘れない奴なんだよ〜」ニシシ

睦月「おぉ〜、男の子してるね〜」ナデナデ

電「一途の方が素敵ですよ〜?」ナデナデ

猫「にゃ〜?」

 

 そんなこんなで再会を果たしたみんなは円を描くようにござへ座った。

 

少女「では、改めて! 今宵は来てくれてありがとう♪ 向こうで河童とか天狗とか半人半霊に頼んで、焼き魚とかおにぎりとか煮物とか色々作ってもらってきたんだ♪」

猫「にゃ〜♪」

 

 少女はそう言うと大きな七段にもなる重箱をドドンと睦月達の前に置いた。

 

電「はわわ、いいのですか?」

睦月「睦月達、何も持ってきてないよ〜」

 

少女「私が勝手に企画したから気にしなくていいよ♪ それより盃は持ってきた?」

電「それはちゃんと持ってきたのです♪」つ盃

少女「上出来上出来♪」

文月「あたし達持ってないけどいいの〜?」

少女「へーきへーき♪ 三人の分はちゃんと用意したよ♪」つ盃×三

五月雨「頂いていいんですか?」

少女「勿論、これは私との友達の印だからね♪ 遠慮することないよ♪」

 

 少女はそう言って盃を持っていない睦月達に手渡すと、三人は笑顔でお礼を言い、その盃を嬉しそうに眺める。

 

少女「みんなお酒は回ったよね? それじゃ、再会出来た記念に乾杯だ〜♪」

猫「にゃ〜ん♪」

四人『カンパ〜イ♪』

 

 こうして艦娘の少女達と鬼の少女、そして猫とのささやかな宴会が幕を開けた。

 

少女「ささ、飲んで飲んで♪ 今回は瓢箪のお酒じゃなくてみんなも楽しく飲めるやつ持ってきたから♪」

 

 そう言う少女の背後には四斗樽(一升瓶四〇本分)が下から三・二・一と計六つがピラミッド型に積まれている。

 

電「こんなに!?」ビクッ

睦月「ふぇ〜……こんなに飲めないにゃしぃ」

少女「え、そうなの? これでも足りないと思ってたのに」

五月雨「鬼さん達はお酒が好きなんですね♪」

文月「お酒屋さんは儲かるね〜♪」

少女「そうだね〜……私には売ってもらえないけど

睦月「へ?」

少女「ううん、何でもない♪」

 

 そして時は過ぎーー

 

少女「あ、そ〜そ〜。(こいつ)の写真を天狗に撮らせたんだ♪ 良かったら貰ってよ♪」

 

 そう言って少女は睦月達一人一人に一冊のアルバムを渡した。そこには少女の飼い猫の愛くるしい姿が沢山収められていて、睦月達は少女に笑顔でお礼を言った。

 

 すると電の通信機(スマホ)が鳴り響く。

 電はここへ来る前に、二〇〇〇の十分前になったらアラームが鳴るようにセットしておいたのだ。

 

電「時間なのです……」

 

 寂しそうに電がつぶやくと、睦月達も「そっか……」と寂しそうな顔を浮かべた。

 

少女「何湿気た面してるのさ〜♪ せっかく楽しい時間を過ごしたんだから、最後まで楽しく過ごそうよ♪」

 

 少女がそう言って睦月達を励ますと、猫も「そうだよ」と言わんばかりに鳴く。

 それを見た睦月達は「そうだよね」と頷き、笑顔を見せた。

 

少女「また来年、それかもっと早く会えるように私もスキマに頼むからさ♪ 今回はお開きにしよう?」ナ?

電「はいなのです!」

睦月「絶対にまた来てね!」

文月「待ってるねぇ♪」

五月雨「約束ですよ♪」

少女「あぁ、勿論。鬼は嘘を付かない。鬼との約束だ♪」

 

 そう言葉を交わした睦月達と少女は指切りをし、最後まで笑顔で鎮守府へ戻っていった。

 

 ーー

 

女性「宴会は終わったかしら?」

 

 睦月達が見えなくなると、一人の女性が音も無く現れて、少女へ声をかける。

 

少女「終わったよ〜」

女性「なら、早く戻りなさい。繋げるのも容易じゃないんだから」

少女「分かってるって……なぁーー」

女性「会わせてあげただけでも感謝なさい」

少女「けち」

女性「永遠に会えなくしてあげてもいいのよ?」ニコニコ

少女「分かった! 分かったって! また何か手伝うからさ!」

女性「素直な子は好きよ♪」

 

 こうして鬼の少女は宴会の荷物を持って、飼い猫と共に謎の女性が操る不思議な空間へと消えていくのだったーー。




今回は東の方のネタを絡めた交流会的な感じにしました!
分かる人にしか分からないネタでごめんなさい。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改35話

提督メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。

いつもより長めです。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

提督「今回はわざわざ来てもらってすまない。そのお礼と言っては何だか、好きな物を食べてくれ。私の奢りだ」

 

男a「何改まってんだよ♪ 久々にこうして顔を合わせたんだ、堅ぇこたぁ抜きにしようぜ♪」

男b「そうそう、何だかんだ卒業してからは会えなかったしね♪」

 

 提督に二人の男がそう声をかけると、提督は笑って頷き、自分も席に座った。

 

 本日この鎮守府には他の二つの鎮守府から、それぞれの提督とその第一艦隊が集まった。近々大本営から発令される中規模作戦に備え、合同演習を行ったのだ。

 

 提督を含めたこの三人は海軍兵学校時代の同期で特別仲が良く、他の同期や当時の在学生の間では、この三人を知らない者はいない程その名を轟かせた面々だ。

互いに提督となった今でも大の仲良しである。

 ただお互いに卒業後の部署が別々で更には多忙なため、卒業してからはメールや電話でのやり取りしかなく、こうして顔を合わせるのは卒業式以来である。

 

男a「しっかし、俺ら揃って提督になるなんてな♪ 元帥の爺に関してはかなり偉くなりやがってるしよ♪」ガハハ

 

 この豪快に不敬なことを言って笑うガタイの良い提督は『海戦の鬼』と呼ばれる猛将で、周りからは鬼提督と呼ばれている。

思ったことは歯に衣着せず発言し、上官達からは度々注意されているが、その言葉も正論で裏表がないので陰ながらかなり支持されている。更には四人の妹がいて面倒見が良いため彼を慕う者は多く、自分の鎮守府の艦娘達とも強い信頼関係を築けている。

 

男b「爺だなんて言って……せめて老いぼれにしなよ♪」クスクス

 

 フォローどころか笑顔でサラッと暴言を吐くこの細身の提督は『海上の死神』と呼ばれ、謀では右に出る者がおらず、これまでの出撃で一度も艦娘を中破させたことのない智将。

周りからは悪魔提督と呼ばれていて、筋の通らない作戦を推進する上官には容赦なく、にこやかに罵倒、論破、屈服させるのが大好きなドS。ただ怒らせなければ普通のSなので、自身の艦娘達からは大きな信頼を寄せれている。因みに那珂とケッコン済。

 

提督「おいおい、元帥殿がこの場にいないからと無礼だぞ?」ニガワライ

 

 因みにここの提督は自らが艦娘を守ることから、周りからは勇将と呼ばれていたりする(本人は知らない)。

 

 ー艦娘側ー

 

赤城「提督、楽しそうですね♪」

扶桑「そうですね……私達には見せない、また違った柔らかい表情です♪」フフ

山城「素敵……♡////」ハゥ

高雄「本当……♡////」ウットリ

愛宕「写メ撮っちゃお♡」パシャパシャ

夕立「夕立にもそれ送ってほしいっぽい!♡」㌰㌰

 

 ◇鬼提督の艦娘達◇

 

叢雲「うちの提督って友達にはあんな顔するのね」

日向「親友の前だとああして笑うのだな」

足柄「元から良く笑ってるじゃない」ニガワライ

翔鶴「出撃中は鬼ですけどね」ニガワライ

五十鈴「でも珍しいことには変わりないわよね♪」

北上「そこんとこどうなの? 秘書艦様?」ニヤニヤ

叢雲「知らないわよ////」プイッ

 

 ◇悪魔提督の艦娘達◇

 

蒼龍「悪魔が無邪気に笑ってる……」ガクブル

飛龍「珍しいけど震え過ぎ」ニガワライ

武蔵「でも本当に無邪気な笑顔だな」

川内「友達の前だとやっぱり違うね♪」

神通「ヤキモチ焼かない?」

那珂「焼かないよ〜」ニガワライ

 

 それぞれの艦娘達は提督達と離れた席で親睦会的に集まり、自分達の提督の普段見れない表情にそれぞれ多様な反応を見せていた。

 

 ー提督側ー

 

提督「そう言えば、次の作戦、お前達はどう挑む?」

鬼提督「んなもん、片っ端から殲滅すればいいだけの話だろ? 姫だろうが鬼だろうが俺の艦隊の前に敵は居ねぇ。あんなのは俺らの後ろに浮かぶ屍だな!」

悪魔提督「僕も立ちはだかるなら潰すよ♪ ただ、僕らに命令だけして高みの見物してる大本営の使えない豚共をもっと揺さぶって、もう少し詳細を吐かせてから万全の策を考えるけどね♪」

提督「二人は相変わらずだな」アハハ

 

鬼提督「俺はこいつみてぇに細けぇこたぁ出来ねぇからな〜」ニガワライ

悪魔提督「そうだね♪ 君みたいなバクテリア並の脳みそじゃ、僕みたいな策は考えられないよね♪」

鬼提督「んだぁゴラァ? 脳にしか栄養が行ってないチビもやしの声じゃ聞こえねぇぞ?」ニ"コ"ニ"コ"

悪魔提督「おや、脳だけじゃなくてとうとう耳まで侵食されちゃった? 僕の姉さんが軍医してるから紹介してあげようか? 勿論有料だけど♪」ニコニコ

提督「ははは、お前達の漫才はいつ見ても面白い」クスクス

鬼・悪『仲良しだからな(ね)!』ニ"コ"ニ"コ"

 

 ー艦娘側ー

 

高雄「仲良しなのかしら?」ニガワライ

那珂「喧嘩するほどって言うしね♪」

叢雲「うちのは基本的に短気だからね」ハァ

 

 ー提督側ー

 

 するとこちらは仕事の話が終わり、直近の話題になった。

 

悪魔提督「それにしても今年はバレンタインデーと被っちゃったね〜。愛しの那珂ちゃんとバレンタインデーはデートする予定だったのにさ〜。何考えてるのかな、あの豚共は♪」

提督「戦争しているんだ、こればかりは仕方ないだろう。私は特にこれといった予定もないから言えるがな」

鬼提督「何がバレンタインだ。んなの菓子会社の陰謀だろ」ケッ

 

 ー艦娘側ー

 

那珂「提督ったら〜♡ 何も今そういうこと言わなくてもいいのに〜♡」ヤンヤン

山城「末永く爆発してください♪」

叢雲「素直って得よね////」

 

 バレンタインデーの話題に艦娘達は提督達の話を興味深く聞いている。

 

 ー提督側ー

 

悪魔提督「君みたいにバレンタインデーの意味を知らない者は悲しい生き物だね。愛を知らない者は死ぬべきだと思うな♪」

提督「まあまあ、チョコだけが全てじゃない。お前はいい男だ。きっとお前を見てくれている異性がいるさ」

鬼提督「そんな言葉はなぁ、モテるお前が言っても何も響かねぇんだよ! お前の今の言葉はな! 女芸人にアイドルが『可愛いですね♪』とか言ってるのと同じだかんな!?」

提督「そ、そうなのか……」

  (私はモテていないのだが……)

悪魔提督「男の嫉妬は醜いよ。元から醜いけど♪」

 

 ー艦娘側ー

 

日向「叢雲、お前去年、あいつにチョコをあげなかったのか?」

叢雲「あげたわよ……間接的にだけど////」

 

扶桑(乙女ね……)ホッコリ

 

武蔵「那珂は今年どうするんだ?」

神通「またチョコシロップを自分に塗って食べてもらうの?」

那珂「ん〜、今年は一緒にチョコレート食べようかな♪」

川内「チョコを口に含んで溶けるまでちゅっちゅですね分かります」

 

愛宕(こっちはすっごく進んでるのね〜////)

 

 ー提督側ー

 

鬼提督「だ〜! 腹立つ! 何がバレンタインだ! 何がチョコレートだ! 何が愛の日だ!」

提督「おいおい……」ドォドォ

鬼提督「そんなに嬉しいか? そんなに嬉しいのか!? そんなにチョコレートなんかが欲しいのか!!?」

悪魔提督「…………」ヤレヤレ

鬼提督「綺麗な箱だよな〜? リボンも可愛くてよ〜? めっちゃリア充だって自慢したいんだろうな!?」

提督「もう止めろ……お前泣いてるぞ」

鬼提督「泣いてねぇよ! 泣くわけねぇだろぉぉぉ!」チクショー!

悪魔提督「妬んでるだけじゃん♪」ケラケラ

提督「おい……」ニガワライ

 

 ー艦娘側ー

 

叢雲「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい! 今年はちゃんと面と向かってあげるから、泣かないで!」

足柄「もうこの際、提督に想いも伝えたら?」

翔鶴「急過ぎて提督は付いていけませんよ」ニガワライ

北上「アタシはまだこのままでいて欲しいな〜♪」

五十鈴「それはあんたが楽しいからでしょ」ニガワライ

日向「みんな叢雲に遠慮して義理チョコすらあげていないからな〜」

 

夕立「夕立達の鎮守府はみんなであげるよ♪」

 

飛龍「私達のところはみんなでお食事って感じかな♪」

蒼龍「提督から一人二万円分のお食事券貰えるもんね♪」

武蔵「気前のいい提督だからな」ハハハ

川内「その間、那珂と提督はお楽しみだよね〜♪」

神通「今年は防音対策もバッチリだから、好きなだけ声出せるわよ」ニコッ

那珂「恥ずかしいこと言わないでよ〜♡」モウ!

 

赤城(私じゃ二万円分だとすぐ終わっちゃう……やっぱり私って食いしん坊なのかしら?)

 

 その後もバレンタインデーの話題でそれぞれ盛り上がり、提督は友達との束の間の交流を楽しむのだったーー。




今回は提督さんとその親友達、そして各艦隊の交流的な回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改36話

艦娘達に激震! の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

金剛「ヘーイ、テイトック〜!♡ 書類のファイリング、完了したデ〜スヨ〜!♡」

提督「ん、ありがとう」ニコッ

 

 本日秘書艦の金剛に提督は笑顔でお礼を言うと、金剛は目をハートにし、次の仕事は何かと訊ねる。

 

提督「近々大本営から中規模作戦が発令されるからか、仕事の量が少なくてな。今はもうこれと言ってないんだ」ニガワライ

金剛「Oh, そうデスカ……せっかくワタシが秘書艦なのに〜」ショボン

提督「書類地獄はその後だからな。今は艦隊の練度を上げ、資材を集め、作戦に備えなくてはならない時期なんだ」

金剛「I know……分かってます」

提督「……金剛」

金剛「?」

提督「優秀な秘書艦のお陰で時間が出来た。だからお茶にしないか?」ニコッ

 

 提督の言葉に金剛の表情はパァッと明るくなり、金剛は「今用意して来るネ〜!♡」と元気にお茶の準備に取り掛かるのだった。

 

 そしてーー

 

提督「ん……いつ飲んでも、金剛の紅茶は美味しいな」ニッコリ

金剛「テイトクのために心を込めて淹れた、ワタシのスペシャルティーネ♡」デレデレ ニコニコ

 

 少し早いティータイムを提督と執務室で、それも二人きりで過ごす金剛。その顔はキッラキラした笑顔でオーラもお花畑が咲き乱れている。

 

 すると金剛はある大切なことを思い出した。

 それはバレンタインデーのことで、金剛はLOVE勢の代表として提督の予定を訊かなくてはいけないのだ。

 去年は作戦中でもサプライズ的に決行したが、今年はちゃんと提督の予定を確認してからにしようと、代表者会議で決定されたからである。

 

金剛「テ〜トク〜♪ ちょっと訊きたいことがアリマ〜ス♪」

提督「何かな?」

金剛「今年のデスネ〜? バレンタインデーは〜、お時間取れマスカ〜? 出来れば去年みたいにワタシ達からテイトクにチョコレートをあげたいってみんなで話してマシテ〜♪」

 

 それとなくあざとく提督に訊く金剛。

 すると提督はふとカレンダーに目を向けてから、手帳を開いて確認を始める。

 思った以上に真剣に確認する提督に金剛は思わず緊張してしまった。

 

 確認を終え、手帳を閉じた提督は小さく、本当に小さく息を吐いた。

 そして、

 

提督「実は今朝大本営から連絡があってな。その日は作戦中であるがために少将以上の提督は大本営に行かなくてはならなくなったんだ……恐らく帰るのは遅くなるから去年のようには時間が取れない。すまない」

 

 衝撃的な告白をされた。提督も申し訳なさそうに、それでもちゃんと金剛の目を見て話している。

 

金剛「そ、それは残念デス……」ハイライトオフ

提督「本当にすまない」

 

 提督は金剛に深々と頭を下げると金剛はハッと我に返り、急いで提督に「気にしないでクダサイ♪」と笑顔を返した。

 

金剛「残念デスガ、お仕事なら仕方ないネ♪ 提督から言うのは辛いと思うので、このことはワタシから皆さんに伝えておきマス♪」

提督「重ね重ねすまない……そして、心遣いありがとう、金剛」ナデナデ

金剛「No problem♡ 人々のための大切な会議デスカラネ♪ 留守はワタシ達に任せるネ♪」

 

 金剛はバチコーンと提督を心配させないようにウィンクすると、提督は金剛にまたお礼を言い、金剛と穏やかにティータイムを再開するのだった。

 

 

 そして時は流れ、二一〇〇ーー

 

 戦艦寮・談話室ーー

 

金剛「皆さん、急な呼び出しでも集まってくれて感謝ネ」ニコッ

 

 金剛がお礼を言うと、集まった者達は一部を除き金剛に笑みを返した。

 そしてこの場に集まった面々は、

 

『提督LOVEの会』代表・金剛

『提督に素直になれないの会』代表・叢雲

『提督から幸せを貰い隊』代表・大鳳

『提督の全てを世話し隊』代表・鳳翔

『提督はパパ倶楽部』代表・睦月

『提督を尊敬する会』代表・扶桑

 

 各会の長達である。

 

睦月「平気だよ♪ 最初聞いた時は残念だったけど……」

叢雲「まぁ、内容が内容だし仕方ないわよ」

 

扶桑「大鳳さん、大丈夫ですか?」セナカサスサス

大鳳「( ゚д゚)」←真っ白

鳳翔「お気を確かに」ナデナデ

睦月「こういう時は素数を数えるといいって聞きました!」

大鳳「( ゚д゚)<ア.エ.イ.ウ.エ.オ...」

扶桑「それは違いますよ、大鳳さん!」アワワ

 

 金剛は提督が自分に言ったことをティータイムの後で、ちゃんと各寮の掲示板にお知らせとして張り出した。

 そして各会の代表には各会のメンバーとバレンタインデー当日はどうするべきかという話し合いをしてもらい、各会で出た結論を代表者会議で発表し、最終結論を出すことになっている。

 

金剛「お気持ちは重々承知してマス……大和や長門、加賀、古鷹、五十鈴、白露シスターズetc……皆さん、大鳳と同じようになってマシタカラ」

扶桑「山城も無表情で号泣してました……今は落ち着いてますが」

叢雲「私達の会もヤバかったわ……みんな強がってたけど、やっぱりかなりショックを受けてたもの」

鳳翔「会に属さないLOVE勢の方々もショックを隠し切れていない状態ですね……」

金剛「ウォースパイトなんて大本営を破壊しに行くとか言い出してマシタ……」ニガワライ

大鳳「大本営を絨毯爆撃して提督と逃避行しようかしら……」

金剛「落ち着くネ! バレンタインデーの夜には帰って来マス! だからその時のことをこれから話し合うんデス!」

 

 これでは話が前に進まないので金剛は、落ち着いている鳳翔や扶桑、睦月達の会からどんな結果が出たかを訊いた。

 

 提督の全てを世話し隊

 結論:『美味しいお夜食をみんなで作る』

 

 提督を尊敬する会

 結論:『みんなで提督のお出迎えをする』

 

 提督はパパ倶楽部

 結論:『みんなで提督にギュッてする』

 

金剛「フムフム……どれも提督を癒すイイ案デス」ウンウン

 

 続いて比較的冷静に構える叢雲に訊く。

 

 提督に素直になれないの会

 結論:『メッセージカードを贈る』

 

金剛「ん〜、これもイイ案デスネ♪ それとワタシ達の案とほぼ同じデス♪」

 

 提督LOVEの会

 結論:『提督に手紙を贈る』

 

 そして最後に大鳳へ訊くと、

 

 提督から幸せを貰い隊

 結論:『大本営に呪いをかける』

 

 最もいけない結論だった。

 

金剛「こうして各会の結論が出マシタガ……これを見て皆さんはどう思いマスカ?」

扶桑「お手紙やメッセージカードはいいと思いました」ニコッ

鳳翔「私もです。提督のご負担にもなりませんし、気を遣わせることも最小限かと」ニッコリ

睦月「睦月もこれがいいと思いま〜す♪」

大鳳「提督に恋文……////」ポッ←復活

叢雲「言っとくけど、ちゃんと規約は守って書くのよ?」ニガワライ

金剛「では、全会一致でレターまたはメッセージカードでイイデスカ?」

 

 金剛が改めて訊ねると、各代表は揃って頷き、バレンタインデーの自分達の行動が決まった。

 金剛は早速各会に所属しないLOVE勢にもこのことを通達(勿論、本気の恋文は禁止)し、他の者達にもちゃんと通達し、色々と大変な一日は無事に、そして平和的に終わったのだったーー。




バレンタインデーが近いのでその布石回的な感じにしました!
今年もバレンタインデー回を書くとはあの当時は思ってもいなかったので、バレンタインデー回をどうしようかかなり悩んでますが頑張って書きます!

それと本編には取り上げられませんでしたが、今日は多摩さんの進水日です!
おめでとう!

ということで、読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改37話

みんなして作るよ! の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。

いつもより長めです。


 

 ○○鎮守府、二〇〇〇ーー

 

 先日、大本営から『偵察戦力緊急展開!「光」作戦』が発令され、当鎮守府もその任務を遂行中。

 幸い早い段階で前段作戦の『日本近海・七尾北湾・舞鶴湾』の攻略を終えた。

 しかし提督が大本営からの招集により、次なる『小笠原諸島航路』の攻略には着手せず、明日は丸一日空くという事態である。

 

 それに加えて、明日はバレンタインデー。本来なら艦娘達の多くは提督のためを思い、明日に向けて色々と妄想する準備する予定が、今年はお流れ。

 最初の海域がすぐに攻略出来たのも、実は彼女達のフラストレーションの発散のお陰もあったかもしれない……。

 

 ともあれ、どんなに嘆いても明日は来る。艦娘達は去年同様、艦種毎にチョコを作り、事前にくじ引きで決まった艦種の者達に自分達が作ったチョコを渡すということで、今はそのチョコ作りの真っ最中。

 

 因みに今年は↓の通り

 

  渡     受  

 戦艦組  →駆逐艦組

 空母組  →潜水艦組

 重巡洋艦組→戦艦組

 軽巡洋艦組→空母組

 駆逐艦組 →重巡洋艦組

 潜水艦組 →軽巡洋艦組

 

 そして各あげる物(当日まで秘密)

 

 戦艦組  『様々なチョコクッキー』

 空母組  『チョコブラウニー』

 重巡洋艦組『チョコスコーン』

 軽巡洋艦組『チョコデニッシュ』

 駆逐艦組 『ボンボンショコラ』

 潜水艦組 『チョコシュークリーム』

 

 ーー

 

 戦艦寮、共同厨房ーー

 

大和「提督……」グスッ←両手足拘束

長門「提督〜……」エグッ←〃

 

伊勢「ね、ねぇ、あの二人あのままでいいの?」

扶桑「流石に可哀想かと……」

武蔵「気にするな。提督を襲おうとした罰だ」

陸奥「『自分を食べてもらう!』だなんて、規約違反よ」

山城「当然の報いね……行かなくて良かった」ボソッ

日向(思考は同じだったのか……)

 

比叡「生地を混ぜて……」マゼマゼ

榛名「はい、そうです♪」←監視役

霧島「チョコも少しずつ入れてくださいね♪」←お目付け役

ウォスパ「こっちの生地はマーブル用のよね?」コネコネ

金剛「イエス♪ 比叡の生地を加えて斑模様にしマス♪」

 

アイオワ「そう言えば、みんなメッセージカードは書けた?」

ビスマルク「作戦中で色々と忙しいから、何だかんだで書けてないわね……私だけじゃなくて、艦隊のみんなが書けてない状態よ」ニガワライ

イタリア「でもでも、明日は時間があるから書けるわよ♪」

ローマ「提督には悪いけど、まずはお菓子作りに専念ね。駆逐艦の娘達は人数が多いから、どんどん作らないと」セッセッ

 

 

 空母寮、共同厨房ーー

 

鳳翔「火傷しないように注意してくださいね〜」

秋津洲「は〜い♪」マゼマゼ

テスト「いい香り……このままトーストやスコーンにかけて食べたいわ♪」

瑞穂「ふふ、確かにそうしたいですね」ニコニコ

 

飛鷹「隼鷹、その手に持ってる瓶は何かしら?」ニッコリ

隼鷹「い、いやぁ……何だろうな〜? お米で出来た美味しい飲みものかな〜?」アセアセ

瑞鳳「私達は潜水艦のみんなにあげるんだから、日本酒は使わなくてもいいよ〜」ニガワライ

千代田「だってさ、お姉?」ニッコリ

千歳「(゜-゜;)」ソシラヌフリ

祥鳳「そっと酒瓶を隠さないでください」ニガワライ

 

加賀「これを混ぜて、次はーー」

赤城「これを加えるんでんすね……もぐもぐ……」マゼマゼ

瑞鶴「赤城さん、チョコレートが無くなっちゃいます」ニガワライ

翔鶴「待って瑞鶴、赤城さんが食べてるのは私達が使ってるチョコレートじゃないみたいなの」

アクィラ「アカーギが持参したやつかしら?」

グラーフ「正確にはつまみ食い防止で加賀が赤城に持たせた物だ」コネコネ

雲龍「……流石は一航戦の誇り」フムフム

天城「食べながらチョコレートを調理しているのがシュールですね」ニガワライ

葛城「勢い余って調理用の食べそうで心配ね〜」アハハ...

 

 

 重巡洋艦寮、共同厨房ーー

 

衣笠「生地にチョコを混ぜて……」マゼマゼ

青葉「ホワイトチョコチップも入れまして……」パッパッ

古鷹「適度な大きさにして……」コネコネ

加古「寝て待つ……」スピー

 

最上「今年は戦艦のみんなにだからそれなりに多く作らないとだね〜」

三隈「オーブンもフル稼働ですわ」ニガワライ

鈴谷「でもスコーンって結構作りやすいからいいよね〜♪」モグモグ

熊野「そう言うのでしたら、チョコの余りを食べていないで、ちゃんと手伝ってくださらない?」ハァ

 

妙高「那智、お水取ってくれないかしら?」

那智「分かった……ん、これはワインの瓶。なんでここに?」

足柄「あぁ、それ? 没収したやつ」

羽黒「理由はあちらに」ニガワライ

 

ザラ「ポ〜〜ラ〜〜?」ニッコニコ

ポーラ「ワインも使うかなって思ったのぉ〜!」ビエーン

プリンツ(でも誘惑に負けて飲んじゃったのが悪いんだよ、ポーラちゃん)ニガワライ

 

 

 軽巡洋艦寮、共同厨房ーー

 

長良「えっと、ここは……」レシピカクニン

名取「今年は空母の皆さんにあげるから、大きなの作らないとね」マゼマゼ

五十鈴「あ、それなら心配要らないわよ。加賀さんから全員普通でって頼まれたから」ニガワライ

由良「赤城さん用も考えてたけど、それなら良かったわ」クスッ

鬼怒「でも去年は赤城さん暴走したから一個一個作らなきゃね〜」アハハ

阿武隈「確か勢い余って食べちゃったんだよね……蒼龍さんが言ってた」コマリエガオ

 

夕張「かなり多めにチョコ溶かしてるけど、多過ぎかな?」

大淀「多めに作っても余りませんから大丈夫です」フフ

川内「そーそー、これでも足りないくらいだから」ニガワライ

神通「足りなければ追加で買ってきましょう」ニコッ

那珂「余ったら今後のおやつにすればいいしね♪」

 

 

 駆逐艦艦寮、共同厨房ーー

 

吹雪「ボンボンショコラって難しいと思ってたけど、夕雲ちゃんの裏技で簡単に出来るね」マゼマゼ

夕雲「カステラを冷凍しておくことで、表面のチョコはすぐに固まりますし、中はしっとりになりますからね〜♪」フフフ

陽炎「そこにラム酒とか浸すだけだなんで、よく考えたわね〜。脱帽だわ」シミジミ

綾波「ワインも日本酒も使えるから、重巡の皆さんに喜んでもらえますね♪」

朝潮「暁さん、これ固まりました! 仕上げをお願いします!」

暁「任せて♪ エレガントにホワイトチョコペンで模様描いちゃうんだから♪」

白露「ココアパウダー振り掛けるのもよろしくね♪」

神風「どんどん持ってきて♪」

睦月「こっちは……ビール?」

秋月「合うのでしょうか?」ニガワライ

レーベ「試しに作ったら美味しかったよ♪」

リベ「ビールの苦味がちょっと癖になるよ〜♪」モッモッ

島風「色んなお酒ので作って、色んな味を楽しんでもらお♪」マゼマゼ

 

 

 潜水艦寮、共同厨房ーー

 

イク「生地出来たのね〜♪」

ニム「は〜い、じゃあ焼いちゃうね♪」

ゴーヤ「今回もまた軽巡洋艦のみんなにあげるなんてね〜♪ こっちのチョコクリーム完成でち♪」

はち「くじ引きだしね。こんなこともあるよ」フフフ

ろ「あむ……ん〜、美味しい」キラキラ

まるゆ「生クリームも出来ました〜」ニコッ

イムヤ「カスタードクリームも完成よ」ニパッ

しおい「後はそれぞれ流し込むだけだね〜。去年はエクレアで喜んでくれたけど、シュークリームも喜んでくれるといいな〜♪」

 

 

 執務室ーー

 

提督「はい……はい、問題ありません。よろしくお願いします」

 

 みんながそれぞれ調理している中、提督は明日のことで最終確認の電話を受けていた。

 電話を切り、寮が見える窓を見る提督は小さく息を吐き、胸元のポケットから煙草を取り出してそれに火を着ける。

 

提督「ふぅ……皆、明日のことで料理中かな……」フフフ

 

 寮の方を見て、煙草を吸いながらそうつぶやいた提督は、優しい眼差しを送るのだったーー。




明日はバレンタインデーなので、その準備回って感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改38話

やってきたバレンタインデー! 前編の談。

キャラ崩壊、他作ネタ含みます。

長いので前編後編に分けます。
ご了承お願い致します。
今回のシリーズでは前編後編でも話数を数えていきますので、こちらもご了承ください。


 

 ○○鎮守府、〇六〇〇ーー

 

 正門ーー

 

提督「朝早くに見送りありがとう。行ってくるよ」ニコッ

 

 提督は見送りしに来てくれた者達にそう言うと自身の愛車に乗り込み、颯爽と出発した。

 見送りをするみんなは提督の車が見えなくなるまで見送り、見えなくなると少し寂しそうに鎮守府へと戻るのだった。

 

 

 車内ーー

 

提督「皆はまだいるか?」

 

 提督がバックミラーを見ながら後部座席に声をかけると、

 

食堂妖精a「いません!」

妖精あ「作戦は今のところ順調です」

工廠妖精α「大広間の見張りからも何も連絡はありません!」

ドック妖精1「しかし念には念を入れて、迅速に行動しましょう!」

 

 各妖精達のリーダー格が返事をした。

 

 これはどういうことかというと、本日大本営へ行くのは提督の()()()()()である。

 去年、一昨年とバレンタインデーで提督は艦娘達から心からのもてなしをされた。

 なので今度は……今年は自分からのサプライズを計画したのだ。

 日本でのバレンタインデーは女性から男性へというイメージが強いが、近年では男性から女性へということも普通になっているため、こうして各妖精達に協力を仰ぎ、大広間ではバレンタインパーティの催し物の準備が今も着々と進行中。

 そして今は艦隊のみんなに配るバラを受け取りに行っているのだ。因みに昨晩遅くまでみんなに配るチョコレートクッキーも妖精達と作っており、抜かりがない。

 

提督「では急ぐか。少し速度を上げるから掴まってなさい」

妖精あ「もしかしてチョメチョメデーみたいなことになりますです!?」キラキラ

食堂妖精a「ドリフトしちゃいます!?」キラキラ

工廠妖精α「バカ言え、あのタ○シーみたいに飛ばすに決まってんだろ!?」キラキラ

ドック妖精1「エチケット袋はちゃんと持ってきています!」キラキラ

提督「期待を裏切るようで悪いが、そんなことをすると捕まるどころの騒ぎではなくなってしまう」ニガワライ

妖精ズ『えぇ〜』ブーブー

提督「我慢してくれ」

 

 そんなこんなで提督は注文したバラを受け取り、またすぐに鎮守府へ戻るのだった。

 

 

 ○○鎮守府、〇八〇〇ーー

 

 ピンポンパンポ〜ン♪

 

『鎮守府の全員へ通達。全員、大広間へ集合。繰り返すーー』

 

 妖精達がセットした提督の録音テープが鎮守府に響くと、艦娘達は驚きながらも、落ち着いてその放送に従って行動する。

 

 艦娘達が大広間に着くと、ドアの前に黒のスーツに黒のネクタイに身を包む妖精達に止められる。

 

 そして何やら頷いた妖精達がゆっくりとドアを開けると、

 

全員『わぁぁ〜!』

 

 目の前に彩り鮮やかに飾られた大広間が広がった。

 そのメルヘンチックな空間にみんなはワイワイ、キョロキョロとしながら中へ入ると、ステージ上でスタンバっていた妖精音楽隊が盛大にパッ○ルベルのカノンを演奏し始める。

 

 みんなはそれに聴き惚れ、その演奏が終わると自然と拍手が巻き起こった……が、それはすぐに黄色い歓声へと変わった。

 何故なら、ステージ脇から妖精達と同じように黒のスーツに黒のネクタイ姿の提督が姿を現したからだ。

 みんな(特にLOVE勢)はそれに大興奮。

 

提督『皆、騙していて悪かった。これは私と妖精さん達による、バレンタインデーのサプライズパーティである。ハッピーバレンタイン!』ノシ

 

 \テートクー! シンジテマシター!/

 

 用意されたスタンドマイクでみんなに呼びかける提督に、艦娘達の歓声がこだまする。

 そして歓声が鳴り止まぬ中、妖精達は提督の元へわぁっと集まり提督のスーツを引っ張ると、赤いスーツと赤いネクタイに早変わり、更には妖精音楽隊による演奏が再び大広間へ響き渡った。

 

 <デレデン デレデンデンデン デレデン♪

 

提督『You belong to me〜♪ さよなら言えなくて いつまでも〜♪ 抱き締めたかった〜♪』

 

大和「提督〜!♡」ノシ

大鳳「こっち向いて〜!♡」ノシ

足柄「提督〜♡」ピョンピョン

名取「はわ〜♡」ウットリ

皐月「司令官〜♡」ピョンピョン

イク「カッコイイの〜♡」

 

提督「」ニコッ

 

LOVE勢『きゃあぁぁぁぁ!♪♡』

 

 〜♪

 

提督『メビウスの宇宙(そら)を〜 超えて Beyond the time〜♪』

 

 \パチパチパチパチ/

 

 提督があの名曲を歌い上げると拍手喝采が巻き起こり、特にLOVE勢に限っては黄色い歓声以上の何かを出している。

 しかしサプライズはまだまだ始まったばかりで、それだけではない。

 

 <テレレレンテレン テレレレン♪

 

 次なる曲が始まり、みんなはその曲に集中する。

 

提督『君さえいれば どんな勝負も〜♪ 勝ち続ける〜♪』

 

ウォスパ「アドミラル〜!♡」ノシ

グラーフ「〜♡」ニヨニヨ

鈴谷「提督〜、決まってるよ〜!♡」ノシ

大井「TE♡I♡TO♡KUuuuuu!♡」ノシ

初月「提督〜♡」ピョンピョン

ゴーヤ「素敵でち〜!♡」ノシ

 

提督「」ニカッ

 

LOVE勢『♡提督♡ ♡提督♡』ノシ

 

 〜〜♪

 

提督『ありふれた〜 言葉を並べて la la Love〜♪』

 

 \パチパチパチパチ/

 

 またも名曲と提督の美声にみんなからの提督コールとLOVE勢のLOVEが溢れ出し、もうお祭り騒ぎ。

 すると提督はスタンドマイクをステージ脇の妖精に預け、今度はヘッドセットマイクを取り付ける。

 そして今度は妖精達も何名か提督と並んで配置についた。配置についた妖精達は色鮮やかなスーツで、とても可愛らしい。

 

 <テーレテレテレテーレテレテレ〜♪

 

 そしてまた曲が始まると、今度は提督や妖精達がそれに合わせて小気味良く振り付けを開始する。

 

提督『営みの〜 街が暮れたら〜 色めき〜♪』

 

 あの曲に合わせ、提督と妖精達は軽快なダンスを披露。これにはみんなも更に大興奮で、ダンスを知っている者達はその場で一緒に踊る程。それはまさに一つになっている状態だった。

 

山城「提督、素敵です〜!♡」ノシ

鳳翔「〜♡」ウットリ

古鷹「提督〜!♡」ピョンピョン

夕張「〜♡」キュンキュン

電「司令官さ〜ん♡ 素敵なのです〜!♡」ピョンピョン

イムヤ「〜♡」デレッデレ

 

提督『胸の中にあるもの〜♪ いつか見えなくなるもの〜♪』

 

 〜〜〜♪

 

提督『夫婦を越えて行け〜♪』

妖精達『二人を越えて行け〜♪』

全員『一人を越えて行け〜♪』

 

提督『みんな、いつもありがとう!』ナゲキッス

 

LOVE勢『♡(๑˃́ꇴ˂̀๑)♡』テイトクー!!!

一部のLOVE勢『( ゚д゚)・∵. ♡』ダバー

 

 歌い終えた提督のスタイリッシュな投げキッスにみんなは拍手喝采の提督コールを返す。

 そんな中、提督が息を整えつつ、汗をタオルで拭いている間に妖精達は大広間へ提督が用意したバラと妖精達とで作ったクッキーをカートに乗せて登場した。

 

提督『皆、ささやかで申し訳ないが、私からバレンタインデーのプレゼントだ。一人ひとりに渡すから、その場で待っていてほしい』

 

 提督の呼びかけに全員が声を揃えて返すと、提督はステージから降り、妖精達と共に一人ひとりに丁寧に包装された一輪のバラと丁寧にラッピングされたクッキーを渡していくのだったーー。




前編はこれにて終わりです♪
後編もよろしくお願い致します☆


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艦これSS改39話

後編になります! キラリーン☆

キャラ崩壊、独自設定含みます。

後編なのにすっごく長くなりましたが、ご了承ください。


 

 ○○鎮守府、大広間ーー

 

 提督はステージから降りると、一人ひとり順番に用意したバレンタインのプレゼントを渡していく。みんなも自然と整列し、ドキドキワクワクといった感じに瞳を輝かせていた。

 

 

 駆逐艦ーー

 

提督「いつも、ありがとう(以下略)」ニコッ

 

神風「とっても嬉しいわ♪ ありがと♪」

朝風「ありがとう♪ 歌も素敵だったわよ♪」

春風「ありがとうございます♡ 大切にしますね♡」ニッコリ

 

睦月「こちらこそ、ありがとうございますですにゃし〜♪」スリスリ

如月「ありがとう♡ 大切にするわね♡」フフフ

弥生「大切にします……ありがとう」ニッコリ

卯月「ありがとぴょん♪」ギューッ

皐月「大切にするね♡ ありがとう♡」ニコニコ

水無月「ありがとう、司令官♪」エヘヘ

文月「ありがと〜、司令官♪」ギューッ

長月「あ、ありがとう……礼は言っておこう♡////」エヘヘ

菊月「受け取ろう……その、ありがとな♡////」プイッ

三日月「ありがとうございます、司令官♪」

望月「ありがと〜、嬉しいよ♪」

 

吹雪「はい、ありがとうございます、司令官!」ニコッ

白雪「嬉しいです♪ ありがとうございます♪」

初雪「ありがとう……えへへ」ニコニコ

深雪「ありがとな、司令官」ニパッ

叢雲「あぁ、ありがとう……♡////」エヘヘヘ

磯波「ありがとうございます、提督さん♪」

浦波「大切にします、ありがとうございます♪」

 

綾波「綾波もいつも感謝しています♪ ありがとうございます♪」

敷波「えっと……その……ありがとう、嬉しい♡」ニパッ

朧「ありがとう、提督」ニッコリ

曙「あ、あんたにしては、いいと思うわ……ありがと♡////」デレッ

漣「あざま〜っす!」キリッ

潮「えへへ、大切にしますね♪」

 

暁「じぇ、ジェントルメンじゃない……ありがと♡////」デレッ

響「嬉しいよ、Спасибо(ありがとう)♡」ニッコリ

雷「まっくもぉ、こんなことして〜♡ ありがと♡」エヘヘ

電「幸せなのです♡ ありがとう、なのです♡」ニパッ

 

初春「歌も舞いも良かったぞよ♡ 贈り物も感謝するのじゃ♡」ニコニコ

子日「クッキーとバラありがと〜!」ギューッ

若葉「素晴らしいプレゼントだ、ありがとう」ニコッ

初霜「ありがとうございます、提督♪」ニッコリ

 

白露「提督〜♡ ありがと♡ その姿もカッコイイよ♡」

時雨「提督、これからもよろしくね♡ ありがとう♡」

村雨「すごく嬉しいです♡ ありがとう、提督♡」

夕立「すっごく嬉しい!♡ ありがと〜!♡」ギューッ

春雨「ありがとうございます♡ 大切にしますね♡」

五月雨「えへへ、嬉しいなぁ♡ ありがとうございます♡」

海風「これからも提督のために頑張ります♡」ニッコリ

山風「嬉しぃ、ありがとう……♡」ギューッ

江風「サンキュな、提督♡ 大切にするからな♡」

涼風「粋な演出しやがって……ありがと!♡」ニパッ

 

朝潮「ありがとうございます! これからも司令官のために頑張ります!」ケイレイ

大潮「ありがとうございま〜す! 大切にしま〜す!」ギューッ

満潮「えっと……その、ありぎゃ……うぅ、ありがと♡////」テレッ

荒潮「んふふ〜♡ やっぱり提督は素敵ね♡ ありがと♡」ギュッ

朝雲「えへ、嬉しいわ♡ ありがとね♡」

山雲「すごく嬉しいわ〜♡ ありがとうございます〜♡」

霰「大切にします……ありがとう」ニッコニコ

霞「嘘までついて、ホント大袈裟なんだから……ありがと♡//// 素敵だったわよ♡////」

 

陽炎「サ〜ンキュ♪ 歌も良かったわ♪」

不知火「とても素敵な贈り物をありがとうございます♡ これからも不知火は司令と共に♡」

黒潮「ありがとな♪ めっちゃ嬉しいわぁ♪」

親潮「ありがとうございます、司令♪ これからもよろしくお願い致します」ペコリ

初風「提督さん、ありがとう♡ 格好良かったわ♡」

雪風「ありがとうございます♪ 今度はみんなで踊りましょうね♪」

天津風「あ、あぁ、ありがと♡//// 大切にするわ♡////」ポッポッ

時津風「ありがとね、司令♪ 今度はあたし達とも踊ろうね♪」

浦風「提督さんはぶちえぇ男じゃのぉ♡ ありがとう♡」

磯風「司令、ありがとう♡ 磯風は幸せだ♡」

浜風「ありがとうございます♪ これからも頑張ります♪」ペコリ

谷風「これは粋な計らいだね、ありがと〜♪」ニコッ

野分「ありがとうございます。大切にしますね」ニッコリ

嵐「サンキュ、司令♪ 歌も良かったぜ♪」ニシシ

萩風「司令、ありがとうございます♪ これからもよろしくお願い致します♪」ペコリ

舞風「提督、今度は私共踊ろうね♪ ありがと♪」

秋雲「後でその姿、描かせてね〜♪ プレゼントもあんがと♪」

島風「提督〜、ありがと〜!」ギューッ

 

夕雲「提督、素敵な贈り物をありがとうございます♡ 今度お礼しますね♡」フフフ

巻雲「司令官さま、ありがとうございます♪」ギューッ

風雲「すっごく嬉しいわ♪ これからもよろしくね♪」

長波「こんなのするなんて、提督も憎いね〜♪ ありがとうな♪」ヘヘヘ

高波「すごく嬉しいかも! 本当にありがとうございます!」フカブカ

沖波「素敵な思い出が出来ました、ありがとうございます♪」ニッコリ

朝霜「恐れ入ったぜ♪ サンキューな♪」ニシシ

早霜「ありがとうございます、司令官♡ これからも司令官のために頑張ります♡」

清霜「ありがとう、司令官♪ 大切にするからね♪」ギューッ

 

秋月「司令、ありがとうございます♪ これからも頑張りますね!」ケイレイ

照月「歌もダンスも良かったよ♪ ありがと、司令♪」ニコッ

初月「ありがとう、提督♡ とても素敵だったよ♡」デレッ

 

レーベ「Danke♪ これからもよろしくね♪」

マックス「ありがとう、大切にするわ♪」スリスリ

リベ「提督ありがと〜♪」ギューッ

 

 

 潜水艦&特殊艦ーー

 

提督「これからもよろしくな、ありがとう(〃)」ニコッ

イムヤ「これからも任せて♡//// あ、ありがと♡////」ハニカミ

はち「Danke♪ これからも頑張るわ♪」

イク「これからもイクにお任せなのね〜♡ ありがとう、提督♡」ギュッ

ニム「えへへ、すごく嬉しい♪ ありがとう♪」

ゴーヤ「てーとくのために頑張るでち♡ ありがと〜♡」ギューッ

しおい「大切にするね♪ ありがとう♪」

まるゆ「あ、ありがとうございます……これからも頑張ります!」ケイレイ

ろ「だんけ、だんけ〜♪ 大切にするね〜♪」ヒシッ

 

間宮「ありがとうございます♡ すごく……すごく嬉しいです♡」ニッコリ

伊良湖「ありがとうございます♪ これからも頑張ります♪」

速吸「贈り物、ありがとうございます! これからもよろしくお願いします!」ケイレイ

明石「嬉しいです♡ 感謝しますね、提督♡」ニッコリ

 

 

 軽巡洋艦ーー

 

提督「受け取ってほしい、ありがとう(〃)」ニコッ

天龍「へへ、こっちこそサンキュな♪」

龍田「ありがとうございます♪ 歌もダンスも素敵でしたよ♪」

 

球磨「ありがとクマ〜!」ニッコリ

多摩「こらからも頑張るにゃ♪」ニッコリ

北上「ありがとね♪ 大切にするから♪」

大井「あ、あああ、ありぎゃとうごじゃいましゅ!♡//// 家宝にしましゅ!♡////」ガクブル

木曾「ありがとな……大切にするよ」ニッコリ

 

長良「ありがとうございます、提督♪ すごく嬉しいです♪」

五十鈴「素敵だったわ♡ ありがと、提督♡」ニコッ

名取「とても良い思い出が出来ました♡ ありがとうございます♡」ペコリ

由良「すっごく嬉しい♡ お返し、期待しててね、ね?♡」ニッコリ

鬼怒「提督、マジパナイ!♡ ありがと!♡」

阿武隈「嬉しいです……これからも頑張ります♡////」エヘヘ

 

夕張「あ、ありがとうございます……歌もダンスもすごく格好良かったです!♡////」

 

川内「大切にするよ♪ ありがと♪」

神通「ありがとうございます、提督♡ 神通はこれからも提督と共にあります♡」

那珂「すっごく嬉しい♪ ありがと〜☆」キャピッ

 

阿賀野「えへへ、今日の提督さんも素敵だったよ♡ ありがとう♡」

能代「素敵でした♡ これからも頑張ります♡」ケイレイ

矢矧「か、格好良かったわ……あ、ありがとう♡////」

酒匂「司令、今日も格好良かったっぴゃ〜♡ ありがとね〜♡」

 

大淀「お心遣いありがとうございます♪ これからもよろしくお願い致します♪」ペコリ

 

 

 重巡洋艦ーー

 

提督「いつもありがとう、受け取ってほしい(〃)」ニコッ

古鷹「私、幸せです♡ これからも頑張りますね!♡」

加古「サンキュ〜♪ 楽しかったぜ♪」

 

青葉「いい写真が撮れました♪ 後で改めて撮らせてくださいね♪ 贈り物もありがとうございます!」ケイレイ

衣笠「えへへ、すっごく嬉しいわ♡ ありがとね♡」

 

妙高「ありがとうございます、大切にしますね」ニッコリ

那智「悪くない催し物だった……これからもよろしくな」ニコッ

足柄「提督、ありがとう♡ すっごく嬉しいわ♡」

羽黒「ありがとうございます、司令官さん♡ ずっと大切にしますね♡」

 

高雄「素敵な催し物をありがとうございます♡ これからもよろしくお願い致します♡」

愛宕「最高だったわ♡ ありがとう♡ これからもよろしくお願いしますね、提督♡」

摩耶「あ、ありがとよ……た、大切にすっから♡////」ハニカミ

鳥海「お心遣いありがとうございます。これからもよろしくお願いします」フカブカ

 

最上「ありがとう♪ 大切にするからね♪」

三隈「ありがとうございます♪ 大切にしますわ♪」

鈴谷「提督やるじゃ〜ん♡ ありがとね♡」ピース

熊野「お、お礼くらいは言いますわ……ありがとう↑ございます↓♡////」プイッ

 

利根「う、嬉しいのじゃ……ぐすっ……大切に、するぞ♡」ナキワライ

筑摩「ありがとうございます♡ これからも、姉さん共々よろしくお願いします♡」

  

プリンツ「Danke♪ 大切にします♪」ケイレイ

 

ザラ「Grazie♪ これからも頑張ります♪」

ポーラ「えへへ〜、最高でしたよ〜♪ Grazie♪」

 

 

 空母ーー

 

提督「ありがとう。これを受け取ってほしい(〃)」ニコッ

赤城「これからも提督のために♡ ありがとうございます♡」ペコリ

加賀「流石に気分が高揚します♡ これからも頑張ります♡」ニッコリ

 

蒼龍「楽しい思い出が出来ました♪ ありがとうございます♪」

飛龍「これからも頑張りますね♪ ありがとうございます!」ケイレイ

 

雲龍「とても格好良かったわ♡ ありがとう、提督♡」

天城「お心遣いありがとうございます♡ これからも私達は提督と共に♡」

葛城「楽しかったよ♪ ありがとね、提督♪」

 

グラーフ「素晴らしかった♡ これ以上の言葉は無い……Danke♡」ニッコリ

アクィラ「とっても嬉しいです♪ Grazie♪」

サラトガ「素敵な思い出になったわ♪ Thank you♪」

 

翔鶴「五航戦もこれからも提督と共にあります♡ 大切にしますね、ありがとうございます♡」

瑞鶴「サンキュ♡ これからも私達に任せてよね♡」

 

大鳳「この大鳳、提督に全てを捧げます♡ 本当にありがとうございます♡」

 

鳳翔「すごく素敵でした♡ 贈り物も大切にしますね♡ ありがとうございます♡」ペコリ

 

龍驤「ありがと〜♪ うちも頑張るで、よろしくな♪」

 

龍鳳「ありがとうございます、提督♡ すっごく嬉しいです♡」

 

祥鳳「歌とダンス、素敵でした♡ これからもよろしくお願いします♡」

瑞鳳「今度、特別な玉子焼きご馳走するからね♡ 期待しててね♡」

 

飛鷹「提督、これからもよろしく♡ 今日は一段と素敵だったわよ♡」ニッコリ

隼鷹「へへ、ありがとうな♡ これからも提督のために頑張ってやるよ♡」

 

千歳「提督♡ すっごくすっごく素敵だった♡ 贈り物もありがとうございます♡」

千代田「カッコ良かったよ、提督♡ これからもよろしく♡」

 

瑞穂「ありがとうございます♪ 今度、何かお礼を致しますね♪」ニッコリ

 

秋津洲「楽しかったよ♪ ありがとね、提督♪」ニコッ

 

テスト「Merci beaucoup♪ 大切にするわ♪」ウィンク

 

 

 戦艦ーー

 

提督「待たせたな……いつもありがとう。これを(〃)」ニコッ

金剛「テ〜トク〜♡ サンキュ〜ネ〜♡ これからもワタシから目を離しちゃダメなんだカラネ♡」

比叡「ありがとうございます、司令♪ 今度、何か美味しいものをご馳走します!」フンス

榛名「榛名には勿体無いです♡ でもすごくすごくすっご〜く嬉しいです!♡ これからも榛名は提督と共に!♡」ニパー

霧島「お心遣い感謝します♪ 大切にしますね、司令♪」

 

扶桑「ありがとうございます……これからも山城共々、よろしくお願いします♪」フカブカ

山城「あ、ありがとうございます♡//// あ、あの……すごく幸せです♡////」ニッコリ

 

伊勢「ありがとう、提督♡ これからも頼ってね♡ 提督のためなら頑張っちゃうんだから、私ってば♡」フンス

日向「感謝するぞ。後で特別な瑞雲を贈呈しよう」フフリ

 

長門「すごく嬉しい♡ ありがとう、素敵な私の提督♡」デレデレ

陸奥「素敵な贈り物をありがと♡ これからも提督のために頑張るわね♡」

 

大和「こらからも大和は提督と共にあります!♡ お花もクッキーも大切にします!♡ ありがとうございます!♡」デレッデレ

武蔵「最高の贈り物だ、ありがとう♡ お返しの時は期待しておけ♡」フフン

 

ビスマルク「だ、だだDanke♡//// こ、これからも頼っていいのよ?♡////」デレッ

 

イタリア「Grazie♡ これからも提督のために頑張りますね♡ 素敵な思い出と贈り物、大切にします♡」

ローマ「まぁ、その……素敵だったわ♡ ありがとう♡」

 

アイオワ「Thank you♪ 今度はミーとも踊りましょうね♪」ウィンク

 

ウォスパ「Thank you♡ 一生の宝物にするわ♡ 私のアドミラル♡」ニッコリ

 

 全員に配り終えると、提督は改めてみんなに日頃の感謝を述べ、みんなはそれに満面の笑みを返した。

 それからは歌のアンコールや撮影会などに発展し、艦娘達は素敵なバレンタインデーの思い出を胸に、午後からの出撃で快進撃を見せるのだったーー。




後編終わりです!
ということで、バレンタインのサプライズパーティという感じにしました!

そして今日は伊良湖さんの進水日でもあります!
おめでとう♪

読んで頂き本当にありがとうございました☆
ハッピーバレンタイン!


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艦これSS改40話

長良型軽巡洋艦、陽炎型駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、若干のR-15含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 当鎮守府は昨日の三重……いや、五重以上のキラ付け効果により、艦隊は『小笠原諸島航路』で大躍進し、早くも後段作戦へ駒を進めている。

 しかし期間にはまだまだ余裕もあるため、本日は後段作戦への出撃は無しで、提督はみんなへ英気を養ってもらうための休暇を与えた。

 それでも書類仕事はあり、それを見越していた不知火は提督のお手伝いにやってきていた。当初の予定ならば元々この日は秘書艦だったので、不知火が半ば強引にお手伝いしている状態である。

 そして、

 

 

 執務室ーー

 

不知火「…………」ジーッ

提督「…………」ニガワライ

 

 その不知火は、提督のことを穴が開く程に見つめている。いや、正確には提督の机の上。

 そこには、

 

提督「何もおかしな物はないから安心しなさい。どれもチョコレートだ」ニガワライ

 

 そう、バレンタインデーのチョコレートが提督の机に並んでいた。それも少なくとも十はある。

 それはどれも鎮守府外部の女性から送られてきた物で、不知火はそれを睨んでいるのだ。

 

不知火「中には司令の暗殺を企てている者もいるかもしれません。即捨てるべきです……あ、でも香取さんと鹿島さんのは安全だと思います。彼女達は同志ですので」

提督「それを言えば他の方々のもそうだろう? どれも私と同じ提督をしている方々なのだから」

  (中には面識の無い方もいるが……)

不知火「いいえ、司令の才能を妬んだ者による犯行があるはずです」

 

 香取や鹿島のチョコレート以外には難色を示す不知火。

それもそのはず、不知火にとっては香取達以外のどの差出人も敵であり、自分達艦娘には出来ない本当の意味での結婚が出来るからだ。

 全体を見れば、提督と艦娘が正式な結婚をしている例もある。しかしそれは本当に稀なケースであり、そんなミラクルはそうそう起こるものではない。

 そのため、不知火にとってはどのチョコレートも気に食わないのだ。

 

不知火「特にその□□鎮守府の提督は要注意人物です。よそのトップの方を悪く言いたくはありませんが、駄目なんです」プクゥ

 

 不知火は両頬をぷっくりと膨らませて抗議する。それはさながらもんちを起こす子どものようで、提督としては不知火に失礼だと思っても、その様子が可愛く思えた。

 

提督(しかしせっかくの厚意を無駄にするのも後味が悪い……)

 

 すると提督はあることを思いつく。

 

提督「不知火」

不知火「何でしょう?」クビカシゲ

提督「そんなに気にするなら、一緒に食べないか? それなら心配ないだろう?」

不知火「…………」フム

 

 不知火は腕を組み、顎に手をあてて思考を巡らせ、幾ばくかした後、

 

不知火「でしたら不知火は司令からの『あ〜ん』を所望します」キリッ

 

 と主張した。それを提督は二つ返事で許可すると、不知火は自然と天高らかにガッツポーズをしていた。それくらい自然と飛び出してしまう程の喜びを不知火は感じていたのだ。

 

不知火「では、毒味として不知火から頂いてもよろしいですか?」

提督「分かった」

 

 すると不知火は何故か提督のすぐ横に行き、その場で跪き、提督に向かって「(*´Д`)(こんな)」感じで口を開けて待機。

 

提督(大袈裟な……)ニガワライ

  「ほら」つ□提督のチョコレート

不知火「はむ……」モキュモキュ

提督「どうだ?」

不知火「まぁまぁ、まぁまぁです。えぇ、まぁまぁですとも」キラキラ

 

 不知火は口ではそう言うものの、その顔にはハッキリと美味しいと書いてある。提督はそんな不知火がまた可愛くて、まるで親鳥になったような気分で不知火に次のチョコレートを与えると、不知火はそれを素直にモキュモキュするのだった。

 

 するとドアをノックする音がし、提督はそれに「入りなさい」と返すとドアから由良と初風が姿を現した。

 

由良「提督さん♡ 昨日の報告書持ってーー」ピシッ

初風「私も報告書を提出ーー」ピシッ

 

 言葉の途中で二人は固まった。

 何故ならば、目の前の光景に思考が停止したからだ。

 

 今の二人から見える光景。それは提督の前で跪く不知火の姿+提督は不知火の方に身体ごと向けているという光景だ。

 机のせいで全てがハッキリとは見えないが、二人からすればこれは不知火が提督にうわ〜おなことをしている風にしか見えない。

 由良も初風もLOVE勢。しかもその愛はかなり重い方の者達である。

 

不知火「お二人共にどうされたのですか?」ゴシゴシ

 

由・初『(◞≤●≥◟ ;益;◞≤●≥◟)』クワッ!!

 

 一瞬、ほんの一瞬だけ、二人は女の子がしてはいけない顔になった。何故なら顔を出した不知火が、口元を拭いていたからだ。これはもううわ〜おなことをしていたとしか思えないと二人は感じた。それ故のあの一瞬の表情だった。

 提督はその一瞬の顔付きに少々驚きつつ、二人にどうしたのかと言ったような問いをすると、

 

由良「(ㆁ言ㆁ)」ゴゴゴゴゴ

初風「(Ӧ 言 Ӧ)」ゴゴゴゴゴ

 

 二人は無言のまま提督達の元へ近寄っていく。そのオーラはさながら艦隊決戦へ挑むような迫力があり、これには不知火も思わず姿勢を正す程。

 

提督「二人も食べるか、チョコレート?」

由良「チョコレート、ですか?」

初風「うわ〜おではなくて?」

提督「? ……そのうわ〜おとやらが何なのか分からんが、今私は不知火にチョコレートを食べさせてあげていたんだ。何だか可愛くてな」フフフ

不知火「司令……♡////」トゥンク

 

 すると二人のオーラはスーッと何処かへ消えた。

 

由良「やだ〜もぉ〜♡ 提督さん、由良早とちりしちゃいました〜♡」ギュッ

初風「私もよ♡ 驚いたんだから♡」スリスリ

 

 もういつも通りの二人。そして先程の反動からか、二人は提督のそれぞれの腕に擦り寄って、甘々な声を出している。

 

提督「よく分からんが、すまなかったな」ニガワライ

由良「いいですよ〜♡」フフフ

初風「こっちこそごめんなさいね♡」ニコニコ

提督「それで、どうかな? このチョコレートを一緒に食べないか?」

 

 提督が改めて二人に訊くと二人は元気良く「は〜い♡」と返し、不知火と同じように提督の手からそのチョコレートを食べせてもらうのだった。

 しかし不知火と同様、この二人も香取と鹿島のチョコレート以外は良い顔をしなかったそうなーー。




 おまけーー

 その頃、□□鎮守府ではーー

□提督「今頃、あのお方は私のチョコを食べてくれているかしら〜♡」デレッデレ
吹雪「司令官、デレデレするのは勝手ですけど、ちゃんとお仕事してくださいよ〜」ニガワライ
□提督「やってるじゃない、失礼ね」プンプン
白雪「デレデレ顔のまま猛スピードで書類書かれていると、何だか落ち着かなくて」ニガワライ
初雪「て言うか、キモい。そんなだから縁談もkーー」
深雪「おい、初雪!?」

 ドゴォ!←机を殴る音

初雪「((((;゚Д゚))))」ピィィィヤァァァ!!?
□提督「あらぁ、こんな季節に蚊がいたから思いっきり机を叩いちゃったわぁ♪」ニコニコ
吹・白・深『』ニガワライ

□提督「それで、初雪?」ジロリ
初雪「ぴょっ!?」ビクッ
□提督「縁談がどうかしたのかしら?」ジリジリ
初雪「えっと……その……」オロオロ
□提督「(≼⓪≽◟⋌⋚⋛⋋◞≼⓪≽)」ドウシタノカシラー?
初雪「仕事出来るからきっともうすぐ訪れると思うよよぉぉぉ!」
□提督「や〜ねぇも〜♪ そんなおべっか使って〜♪ 何も出ないわよ〜♪」ナデナデ
初雪「( 。゚Д゚。)」コクコク
□提督「また今度、あのお方に何か贈り物しましょ♡ アプローチはしっかりしなきゃ!♡」メラメラ

吹・初『ヨシヨシ( *´・ω)/(;д; )エグエグ』
深雪「触らぬ神なんとやら」人
白雪「それ意味がちょっと違うと思う」ニガワライ

 今日も□□鎮守府は平和だったーー。

 ーーーーーー

ということで、今回はバレンタインデー後のちょっとした一幕を書きました♪
各キャラの壊れっぷりにはご了承を。

そして今日は由良さんの進水日と初風ちゃんの竣工日です!
二人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました♪


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艦これSS改41話

みんな笑顔で。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一六〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

 当鎮守府は後段作戦である『トラック泊地沖』の攻略着々と進め、今最後の出撃中である。

 バレンタイン効果なのか後段作戦においても艦隊の快進撃が続き、早くも王手の状況だ。

 

名取「…………」

 

 そして本日秘書艦である名取は提督、艦隊の無事を祈りつつ、提督からの連絡を待っていた。

 

皐月「(`・ω⊂)」

文月「(*^ω⊂)」

水無月「二人して何してるの?」ニガワライ

長月「気にするな。放っておけ」ソワソワ

 

 執務室には皐月達、第二十二駆逐隊の姿もあった。特に予定もないので、みんなして名取のお手伝いに来ているのである。

 ただ、皐月と文月は左掌を表にして顔の左半分の前に置き、その開いた指と指の間から埠頭を眺めていた。

 皐月が真剣にやっているのに対し、文月は何だか面白そうという理由で皐月のことを真似ているため、二人の表情にはかなりのギャップがある。

 なので水無月は戸惑い、長月は突っ込んだら負けだと思い、敢えてスルーしている。

 

長月「あとは連絡待ちとはいえ、もっと普通に待ってられないのか?」ソワソワ

 

 長月はそう言うものの、先程から自分の制服のタイや両サイドに跳ねている髪を弄っているため、自分もそれなりに落ち着きがない。

 

水無月「何かしてる方が気が紛れるんだよ、きっと」ニガワライ

長月「だからってなんでヒイ□の謎ポーズで待つ必要があるんだ?」

水無月「それはさっちんがガ○タだからだよ」アハハ...

長月「ったく、夕張に毒されおって……」ムムム

水無月「ながながだってガ○タでしょ?」

長月「オタクではない。好きなだけだ」

水無月「好きなキャラは?」

長月「作品ごとにいるから全部は言えん」

水無月「……じゃあ好きな作品は?」

長月「どれも好きだから選べない」

水無月「…………じゃあ好きなロボットは?」

長月「あげたらきりがない。それとロボットではなく、モビ○スーツだ」

水無月(完璧にオタクの領域だと思う……)ニガワライ

 

 すると秘書机のモニターに提督からの通信反応があり、名取はすぐに通信に応答する。

 

名取「はい、こちら執務室、秘書艦の名取です。提督、ご無事ですか?」

提督『あぁ、私も皆も無事だ。皆の活躍があり、最後の敵艦隊を殲滅。驚いたことに今回は大破者も出ずに済んだ。これより警戒態勢を取りつつ帰投する』

名取「了解しました。お気をつけて」

 

皐月「司令官! 帰ったらお祝いしようね!」

水無月「みんなで待ってるね♪」

文月「気をつけて帰ってきてねぇ♪」

長月「司令官に限ってないと思うが、気を緩めるなよ?」

提督『おぉ、皐月達も居たのか……忠告、肝に銘じるよ。帰ったらみんなでお祝いしよう♪』

 

 それから提督は負傷者の状態を細かく報告し、みんなにまた一声かけてから通信を終えた。通信を終えると、名取は安堵のため息を吐く。

 

名取「はぁ……良かったぁ……」

皐月「あとは無事に帰ってくるのを待つだけだね♪」

名取「うん。でも何があるか分からないから、いつでも救援に行けるように待機してる救援部隊のみんなに通達しなきゃ」

文月「じゃあじゃあ、あたし達はドックに連絡してくるぅ♪」

水無月「司令官の報告はメモ帳にちゃんと書いたから大丈夫だよ♪」エヘヘ

長月「なら私は伝令室に今のを伝えてこよう」

名取「うん、みんなお願いね」ニコッ

 

 名取の言葉に皐月達は元気に返事をし、それぞれ行動を開始。提督や出撃した艦隊のみんなを迎える準備を始めるのだった。

 

 

 鎮守府正面海域、一八〇〇過ぎーー

 

提督「皆、我が鎮守府の領海に入った。もう少しだからな」

金剛「ん〜、帰ってきたって気分ネ〜♪」ノビー

榛名「負傷者は出ましたけど、みんなで生還出来たのが嬉しいです♪」ニコッ

イタリア「提督が指揮してくれるんだから当たり前よ♪」

ローマ「今回もいい指揮だったわ」フフフ

祥鳳「帰りは敵との遭遇はありませんでしたからね」フフフ

瑞鳳「やっと少し落ち着けるね〜」ハフー

 

 第一艦隊の面々は提督の運転する軍用クルーザーの隣を悠々と航行している。イタリアや祥鳳は中破してはいるが、笑顔を見せているので提督は少しだけ安堵の表情を浮かべ、今度は反対側の第二艦隊へ声をかけた。

 

提督「第二艦隊の皆はどうだ、大事ないか?」

阿武隈「大丈夫です♪」

ビスマルク「強いて言えば、早く戻ってシャワー浴びたいわ」ニガワライ

プリンツ「私もですぅ……」ニガワライ

時雨「僕らも大丈夫だよ。みんな無事で本当に良かった」ニコッ

初月「あぁ、それが何よりの戦果だ」㌰㌰

大井「ふふふ、何度味わってもいい物よね、凱旋って♪」

 

 第二艦隊のみんなも笑顔を浮かべている。ビスマルク、プリンツは中破していても早くドックへ入りたいと言う程の余裕を見せているので、提督はまた安堵した。

 

提督「第三、第四艦隊の皆もちゃんと揃っているな?」

夕立「ちゃんといるっぽ〜い♪」

江風「つぅか、置いてったら怒るぜ♪」ニシシ

霧島「全員ついてきています。ご心配なく」フフフ

比叡「全員で帰投です♪」フンスフンス

赤城「帰ったらお腹いっぱい食べます♪」

加賀「こんな日くらいは多目に見ます」フフリ

 

朝潮「こちらも全員います!」ケイレイ

荒潮「私達は無傷だから心配ご無用よ〜♪」

蒼龍「索敵機からの報告もありません♪」

飛龍「ここまでくればほぼ安全ですけどね♪」

長門「支援とは言え、このビッグセブンの力は存分に振るえたぞ」フフン

陸奥「作戦だったけど、トラックの海は懐かしかったわ♪」

 

 道中支援の第三艦隊、決戦支援の第四艦隊も直接的な戦闘が無かったものの、艦隊の勝利にそれぞれ晴れ晴れしい表情で第一、第二艦隊の後ろをそれぞれ航行している。

 提督は艦隊全員の無事を確認すると「よし」と小さく頷いた。

 

 すると前方から探照灯の光がチカチカと見え、提督のクルーザー無線に通信が入る。

 

川内『お帰り〜♪ そろそろかと思って迎えに来たよ〜♪』

神通『これよりは私達が提督達を護衛します』

那珂『みんなを安全に送っちゃうよ〜♪』キャハ

陽炎『おかえりなさ〜い♪』

不知火『よくぞご無事で。これよりは不知火達にお任せください』

霰『おかえり、みんな待ってる』ンチャ

霞『また無茶してないでしょうね? してたらただじゃおかないからね!』

 

イク『海の中もイク達が見張ってるから安心なの〜』イヒヒ

ゴーヤ『おかえりなさいでち♪』

 

グラーフ『夜偵も放っているから空からの奇襲も無いぞ』フフン

アクィラ『安心してくださいね〜♪』

 

提督「みんな、ただいま。では鎮守府まで頼むよ、ありがとう」

全員『はい♪』

 

 こうして提督達は心強い仲間達に護衛されて凱旋を果たした。

 埠頭では残っていた艦娘達が提督達を出迎え、その夜はささやかな祝勝会が夜遅くまで行われるのだったーー。




今回はイベ完走回的な感じにしました!
本土からトラック諸島まではかなり時間がかかり、本編みたいに早くは帰れませんが二次創作ということで、ご了承ください。

そして今日は名取さんと文月ちゃんの進水日なので、前半に登場させました♪
二人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改42話

長雨の後。の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈含みます。

※説明文が多く、ショッキングな内容が含まれています。読む際にはご注意ください。


 

 ○○鎮守府、〇七〇〇ーー

 

 埠頭ーー

 

提督「総員、黙祷!」

 

 昨晩の真夜中から降り続く雨の中、埠頭に集まった者達は提督の号令により一斉に黙祷を開始する。

 

 この日はあのトラック島空襲の日であり、この空襲で当時の日本は多くの艦艇、人員を失った。

 

 一九四四年・二月十七日未明から十八日にかけて起きたトラック島空襲、またの名を海軍丁事件(かいぐんていじけん)。太平洋戦争中、アメリカ軍機動部隊による日本軍の拠点トラック島への航空攻撃である。

 

那珂「…………」

文月「…………」

舞風「…………」

 

 雨の中、傘を差して黙祷を捧げる三名。この三名はあの日の空襲により沈んでしまった艦である。

 

阿賀野「…………」

 

 そして阿賀野もまたこの日に沈んでしまった艦の一隻であるため、みんなと並んで黙祷を捧げていた。

 

 軽巡洋艦『阿賀野』は十六日、本土で本格的な修理のためにトラック島を出港。

 しかしトラック島近海に潜伏していたアメリカ潜水艦『スケート』が阿賀野に向け四本の魚雷を発射。その内の二本が阿賀野のボイラー室へ命中。

阿賀野はそれにより航行不能となり、炎上。轟沈は確実で、総員は護衛についていた神風型駆逐艦『追風』に避難。

 その後、阿賀野は日付けが変わった十七日の午前二時前、暗闇の中、赤く燃え上がったまま、徐々にその船体を右に傾斜して沈んでいった。

 

 しかし阿賀野の轟沈はこれから起こる悪夢の序章に過ぎなかった。

 

 十七日未明、軽巡洋艦『那珂』は阿賀野の救出に行くも、轟沈が知らされたため、やむなく引き返していた。

 そしてその最中、那珂はアメリカ艦載機に捉えられてしまい、入港寸前だった那珂は急遽反転、沖合に出て空襲をやり過ごそうとする。

 しかし近海に潜む空母二隻からひっきりなしに飛んでくる艦載機の攻撃によって、那珂は徐々に力を削がれ、主砲まで使って対空射撃を行うも、ついに那珂は艦首が切断され、その身を海に沈めていった。

 

 それからすぐの十七日、早朝。アメリカ空母『二代目ヨークタウン』・『エンタープライズ』・『エセックス』が無数の艦載機を発艦させ、トラック島を火の海へと変える中、駆逐艦『舞風』もその爆炎の中に飲み込まれてしまう。

 豪雨のように降り注ぐ砲弾の中、航行不能となった舞風だったがまだ沈むまでには至らなかった。

 やがて空襲が収まるも、舞風はそこで更なる悪夢を見る。

 

 相手は撤退したのではなく、とどめを刺すためにアメリカ戦艦『アイオワ』・『ニュージャージー』を中心としたアメリカ艦隊が、崩壊されたトラック泊地に現れたのだ。そう、空襲はあくまでもお膳立てに過ぎず、本格的な攻撃はこれからだった。

 

 舞風と大炎上をしている練習巡洋艦『香取』へ向けて、今度は艦隊からの砲撃が始まると、すでにボロボロだった舞風は、空襲から更に一時間の砲弾を浴び続け、爆散、船体断裂、黒煙を上げながら沈没。

 香取も最後の最後まで砲撃を止めず、必死に戦い続けたものの、轟沈。

 因みにこの時、駆逐艦『野分』もこの場にいたが、野分はこの地獄のような砲撃を最後まで耐え抜き、九死に一生を得ている。

 

 駆逐艦『文月』は一月三十日のラバウル空襲で被害を受け、その修理のためトラックで主機を分解した状態であった。

 しかしトラック島空襲により、文月は急遽復旧させ、片舷十二ノットの速力で回避運動をとったものの、機械室に直撃弾を受け浸水し航行不能となった他、至近弾も受ける。

 駆逐艦『松風』による曳航で擱座することが試みられたが、作業は空襲により中断され、繰り返される空襲や浸水の増加により曳航することは叶わず、翌十八日に沈没。

 この時の文月の回避行動の様子をアメリカ軍は「必死に怯える子羊のよう」だったと残している。

 

アイオワ「…………」

サラトガ「…………」

 

 この作戦に参加していたアイオワ、そして参加はしていないがアメリカ空母であるサラトガも黙祷に参列していた。

提督や他の艦娘達からは無理をしなくてもいいと言われたが、二人は日本とアメリカが手を取り合っている今だからこそ……と参列を希望した。

 

 どうして提督達が二人に気を遣ったのかというと、理由は二つある。

一つは二人がアメリカ艦であること。

そしてもう一つはこの作戦後の悪夢のことがあったからだ。

 

 戦闘終了後、アメリカ軍は日本の各艦から辛くも逃げ出した乗員達……それも戦意、戦闘手段を持たぬ者達を戦闘機からの執拗な機銃掃射を浴びせ、一人残らず殺害。

戦時国際法を守らずにこのような殺害が発生した例は数多くあるが、海上での戦いにおいてはこの「トラック島空襲」は特に有名であり、戦闘そのものがアメリカ軍の戦意高揚のために完膚なきまでに日本を叩きのめし、更に最後は戦艦が締めるという意図があったため、必要以上な攻撃があったのは明らかだった。

 

 しかし今日に至っては日米共に友好関係を築いていきた。

 だからこそ、アイオワとサラトガはあの日の日本の英霊達に黙祷を捧げているため参列したのだ。

 

 アイオワに至ってはその当時のことを思い出し、自然と涙を浮かべ、海を真っ直ぐに見つめて敬礼している。

 するとアイオワの左手を掴む者がいた。

 

アイオワ「?」

文月「アイオワさん、泣かないで?」

舞風「泣いてたらみんな心配するよ?」

 

 それは文月と舞風だった。黙祷を終えた二人はアイオワが泣いているのに気付き、透かさずアイオワの手を取ったのだ。

 

アイオワ「文月……舞風……」

 

 アイオワは震えた。当時圧倒的に辛かったのはこの二人の方。なのに当時敵だった自分を思い、気遣ってくれるその優しさにアイオワは心から震え、自然と二人を抱きしめていた。

 

アイオワ「ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……!」

 

 二人を抱きしめ、アイオワは大粒の涙を流して謝った。

当時は敵、しかし今は大切な仲間。そんな二人にアイオワはその言葉しか出て来なかったのだ。

 しかし文月も舞風も、更には周りにいるみんなもアイオワに「謝らないで」と告げ、アイオワに寄り添う。

 

サラトガ「皆さん……」

提督「あの戦争は終わった。そしてあれから長い年月が過ぎた。我々はもう次の段階に来ている」

サラトガ「次の段階、ですか?」

提督「あぁ、あの時代のことを乗り越え、未来へ手を取り合う段階に来ているんだ」

サラトガ「未来へ手を取り合う……」

提督「皆を見てご覧」

 

 提督に言われたサラトガはまたアイオワ達の方を見た。

 

アイオワ「うぅ……ごめんなさい……私は、あれだけの、ぐすっ……ことを……!」

文月「戦争してたから仕方ないの」ヨシヨシ

舞風「そうだよ。ちゃんとお互いに分かり合ってるし、謝ることないよ♪ 今はこんなに仲良しな訳だし♪」ヨシヨシ

阿賀野「今はみんなで力を合わせなきゃ! せっかく英霊の人達が守った世界を守るのが、私達の役目だよ♪」

那珂「そうそう♪ それにそんなに下を向いてちゃ、前が見えないよ♪ 一緒に前を向いて頑張ろう? ね?☆」

アイオワ「Thank you……みんな、本当に、ありがとう……!」

 

 アイオワにみんながそれぞれ温かい言葉をかけ、アイオワは更に大粒の涙を流した。

 みんな当時のことは忘れもしない……が、それをいつまでも憎んではいけない、自分達はあの日のやり直しをしに生まれて来たのではないのだから……そうした思いを胸に日々を、過去を乗り越えている。

 

提督「みんな強い絆で結ばれている。何も二人が気に病むことはない。ただ、あの日に亡くなった英霊の方々を忘れないでほしい。みんなそれだけを思っている」

サラトガ「はい、決して忘れません」

 

 サラトガが提督の目をまっすぐに見つめ返して答えると、

 

文月「わぁ♪」

舞風「すっご〜い!」

阿賀野「綺麗〜♪」

那珂「わぁ〜お♪」

 

 みんなが空を見て一斉に声をあげた。

 みんなの視線の先には、この時期には珍しい虹が出ていたからだ。

 

提督「これは見事な冬の虹だな……雨もいつしか止んでいる。今日は良い日になるな」

サラトガ「はい♪」

 

 それからみんなであの虹の空に向かって敬礼し、より一層絆を深め、みんなして手を繋ぎ、前を向いて歩き出すだったーー。




本編に書きました通り、今日はトラック島空襲の日です。十八日まで続きますが、この日にまとめて書きました。ご了承お願い致します。

この日には
軽巡洋艦『阿賀野』・『那珂』
練習巡洋艦『香取』
駆逐艦『舞風』

続く十八日に
駆逐艦『太刀風』・『追風』・『文月』

と多くの補助艦船、英霊の方々、更には民間人が亡くなりました。
心からお祈りします。

そして年は違いますが同じ日に日本海軍の伊一七五潜水艦が、マーシャル諸島周辺海域で米駆逐艦の攻撃を受け沈没しています。艦これでは未実装ですが、この伊一七五潜水艦とその英霊の方々にも心からお祈りします。

本編中の情報はWikipedia、『大日本帝国海軍 所属艦艇』、ピクシブ百科事典、ニコニコ大百科から得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改43話

川内型軽巡洋艦、古鷹型重巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 軽巡洋艦寮、談話室ーー

 

那珂「神通お姉ちゃんが出撃も訓練もしないのって珍しいね。明日魚雷が降っちゃったり?」クスクス

鬼怒「確かに! 神通も長良姉と同じくらい訓練大好きっ娘だもんね!」

神通「わ、私だってたまにはちゃんと休みますよ、もう」ニガワライ

阿武隈「あはは」ニガワライ

 

川内「神通が今大人しく休んでるのは、昨日のトラック泊地沖で中破して、今日は絶対安静だ〜って提督に言われたからだよね〜?」ニシシ

神通「……あとで提督に姉さんを暫く夜間任務に出さないよう進言してきます////」フンッ

川内「うわぁぁぁん! それだけはやめてぇぇぇ!」

神通「知りません////」ツーン

那珂「あはは、川内お姉ちゃんドンマイ♪」

川内「いぃぃぃやぁぁぁだぁぁぁ! 夜戦〜〜!」

 

 軽巡洋艦寮の談話室では、川内型姉妹に加えて鬼怒、阿武隈が穏やかに休日を過ごしていた。

 川内が言ったように神通は昨日のトラック泊地沖の出撃で中破したため、提督から静養するように言われているのである。

 大本営から発令された作戦自体は終えたものの、残存勢力はまだまだ健在なので、今でもその破壊に艦隊は度々トラック泊地沖へ赴いている。

 

 神通としては時間があれば艦隊……ひいては提督のために強くなろうと思い訓練に励むのだが、今回はその提督の命令であり、それは神通にとって絶対厳守なのだ。

なので、今日はこうして姉妹や仲間達と和気藹々とした時間を過ごして羽を伸ばしている。

 

 川内が神通にすがりついて「夜戦、夜戦」と訴える中、談話室のドアが開いた。

 

加古「うぃ〜っす、邪魔するよ〜」ノシ

 

 入ってきたのは重巡洋艦の加古。みんな加古に挨拶するも、加古の登場に疑問を抱く。

 

那珂「軽巡寮に何か用事?」

加古「そ、用事。来月の予定表張り出しにきたんだ」

 

 加古はそう言うと持ってきた予定表を川内達に向かってペロンと見せた。

 

那珂「そういえば、加古ちゃん今日は秘書艦だったもんね♪」

加古「そうなんよ〜。今古鷹達と手分けして寮に張り出してるんだ〜」

 

神通「もう三月になるんですね」

阿武隈「早いね〜。ついこの前お正月だったのに」

鬼怒「早く感じるのは日々が充実してる証拠だし、三月になれば新しい娘も着任するからまた賑やかになるね♪」

加古「あ〜、そういや提督がそんなこと言ってたな〜。誰だけっな〜」ウーン

川内「潜水艦二人と駆逐艦二人でしょ? 楽しみだよね♪」

 

 川内の言葉に加古は「あ〜、そうそう♪」と返しつつ、予定表を丁寧に張り出す。

 

阿武隈「そう言えば神風ちゃんや夕雲ちゃんは、また妹が着任するって喜んでたよ♪」

加古「はは、妹が多いと大変そうだけど、あいつらはウェルカムなんだな〜」

 

 加古がそんなことを言って笑っていると、今度は鬼怒が何かを思い出したかのように口を開いた。

 

鬼怒「加古ちんって元は川内型四番艦になる予定だったんだよね?」

加古「ん? まぁ、元々はそうだな。だからあたしの名前は重巡洋艦なのに川の名前な訳で……」

鬼怒「ということは、ここに姉になってたかもしれない三人がいるってことになるね♪ なんか不思議♪」

川内「加古が妹か〜……まぁ妹二人いるし、仮に一人増えても私は気にしないな〜」

神通「夜戦バカな姉に加えて、シエニスタの妹も出来てたかもしれないと……」ウーン

阿武隈「シエニスタって……」ニガワライ

那珂「アイドルの妹……もしくは姉妹アイドルになってたかも!?」キラキラ

 

 鬼怒の言葉に三者三様の川内型姉妹。それを阿武隈はやっぱり三人共個性的だな〜……と思いながら見ていた。

 因みにシエニスタはシエスタをこよなく愛する者の称号である。加古の他に雲龍、多摩などがいる。

 

加古「夜戦バカな姉と鬼の姉とアイドルの姉か〜……あ、でも古鷹も怒ると怖いから神通と似てるかも」

神通「サラッと鬼とか言わないでください」ニガワライ

鬼怒「鬼は鬼怒だよ!」コロンビア

阿武隈「鬼怒お姉ちゃんは名前だけだよぅ」ニガワライ

 

 すると那珂が何かを閃くような表情をし、みんなに「ちょっと待ってて☆」と言って談話室を出て行く。

 

 それから数分後、那珂は何やら服を持って戻ってきた。

 

神通「それ、那珂ちゃんの予備の制服よね?」

那珂「うん♪ 加古ちゃんに着てもらおうと思って持ってきたの♪」

加古「へぇ、なんか面白そう♪ 貸して貸して〜♪」

 

 加古はどこか乗り気で那珂から制服を受け取ると、恥ずかしげもなくその場で着替え始め、あっという間に那珂の制服を着用する。

 

加古「ん〜、ちょっと胸がキツいけど悪くはねぇな〜♪」クルッ

 

那珂「む、胸は仕方ないよぉ〜……」ヒキツリ

川内「でも案外似合ってるね♪」

神通「本当に妹になったみたいですね」クスクス

鬼怒「由良姉達に鬼怒達の制服着せたみたいな感覚だね!」

阿武隈「それとはちょっと違うような」ニガワライ

 

 みんな加古の那珂用制服姿に笑みを浮かべ、加古もコスプレ気分で楽しそうに自分の姿を見ている。

 

加古「川内型軽巡の幻の四番艦、加古ってんだ〜♪ よっろしくぅ……なんちって♪」ニシシ

川内「おぉ〜、重巡に化ける妹だ〜♪ 改二で重巡洋艦になるんだね♪」

神通「幻っていうのがまたいいですね」クスクス

那珂「は〜い、加古ちゃ〜ん、お姉ちゃんだよ〜♪」

加古「おぅ、姉ちゃん♪」

那珂「うわぁ、なんか不思議な気分♪」

 

鬼怒「あはは、面白いね、あbーー」ビクーン

阿武隈「? どうしたの、鬼怒お姉tーー」クルッ

 

 言葉を失う鬼怒の視線が気になって阿武隈もその方向へ目をやると阿武隈も鬼怒と同じく言葉を失った。

 そこには各寮への張り出しを終えた提督や古鷹、青葉、衣笠の面々が立っていたからだ。

 提督や青葉、衣笠は、古鷹がいつもより凄くニコニコしていることに対して苦笑いを浮かべている。

 

加古「お〜、みんな〜♪ 見ろよこれ〜♪ 古鷹、どうよ?♪」

古鷹「…………」プルプル

加古「あ、あるぇ?」アセッ

古鷹「……どうして」ボソッ

加古「え?」

古鷹「どうして私にはお姉ちゃんって言ってくれないのぉ!?」

加古「えぇ!?」ビクッ

 

 古鷹の叫びに加古は思わずたじろいでしまった。

 

古鷹「確かに私は最初二番艦だったよ!? でもちゃんと公式に私がお姉ちゃんになったのに、私加古からお姉ちゃんって呼ばれたことなんだけど!? なのにどうして川内さん達にはすんなり言うの!?」ブンブン

加古「い、いやぁ、それはまぁ、なんというか……今更恥ずかしいって言うか……」グワングワン

 

青葉「微笑ましい姉妹喧嘩ですね〜」パシャパシャ

衣笠「写真撮ってないで止めようよ」ニガワライ

川内「お姉ちゃんってステは大事よね」ウンウン

神通「なんとなく分かります」ニガワライ

鬼怒「んだんだ」コクコク

阿・那『?』←末っ子なので分からない

 

提督「ほら、古鷹。加古も困っている。一旦落ち着こう」ナデナデ

古鷹「あ……はい♡」ケロッ

加古「ま、まぁあれだ。これはただのコスプレで、あたしの()()()()は古鷹だから、そんなに気にすんなよ」ニガワライ

 

 古鷹は加古からの姉貴というキーワードに顔を「(*ㆁД☆)(こんな)」感じにして感動した。

 そんな古鷹を見た加古は、これからもたまには姉ちゃんと呼んであげよう……そう思うのだったーー。




今日は史実ネタのちょいドタバタ回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改44話

朝潮型駆逐艦、空母メイン。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 中庭ーー

 

大潮「父上〜♪ 全速全身です〜♪」

提督「お〜、任せなさい」

 

 提督は大潮を肩車して中庭で楽しく過ごしていた。

 

荒潮「うふふ、大潮ちゃんったら相変わらずね〜♪」

朝潮「肩車してもらうためにスパッツまで履く周到性だからね」ニガワライ

満潮「いや、その前になんで大潮は司令官のことを父上なんて呼んでるのよ」

 

 第八駆逐隊はそんな提督と大潮の戯れを眺めている。

 

朝潮「大潮は『提督はパパ倶楽部』の会員だから今は父上呼びなのでは?」

満潮「いやそうじゃなくて、なんであんなに古風なのって話よ」

荒潮「時代劇が好きだからじゃなぁい?」

朝潮「大潮も霰と同じように時代劇大好きだからね」フフフ

満潮「だからってそう呼ぶ、普通?」ニガワライ

  (でも霰は司令官のことはお父さん呼びなのよね……)

 

 どうして大潮が提督を今は父上と呼んでいるのかというと、今日は大潮にとって特別な日だからである。

 

 一九四三年のこの日は駆逐艦『大潮』が沈んでしまった日なのだ。

 大潮は前日二十日の輸送船護衛の最中、アドミラルティ諸島のマヌス島沖に潜んでいたアメリカ潜水艦『アルバコア』の魚雷を受けた。

 その内の一本は大潮の右舷前部機械室付近に命中、そこには十m程の大穴が空き、第三缶室が瞬く間に水浸、それにより航行不能になってしまった。

 その後、大潮は姉妹艦『荒潮』に曳航されてトラック泊地へと避難を開始。しかし二月二十一日の朝、曳航中に大潮の船体は中央部で断裂し、その身を海へ沈めていった。

 あの「バリ島沖海戦」でABDA連合艦隊へ勝利の突破口を切り開き、「ガダルカナル島撤退作戦」で三度の輸送作戦に従事した大潮だったが、この日に艦としての責務を終えたのだ。

 

 そんな大潮に提督は笑顔で過ごしてほしいと思い、こうして仕事の合間を使って大潮と触れ合っている。

 今は遠征任務で席を外しているが、朝潮達以外の他の姉妹達も午前中は大潮と一緒に過ごし、大潮はいつもより笑顔が溢れていた。

 

大潮「あ、父上」ポフポフ

提督「ん、どうした?」

大潮「そろそろお仕事に戻る頃じゃないですか?」

 

 大潮の言葉に提督はポケットから懐中時計を取り出して確認すると、確かにそろそろ戻る時間だった。

 

提督「もうこんな時間か。教えてくれてありがとう、大潮」ニコッ

大潮「いえいえ♪」

提督「では執務室へ行こうか」

大潮「はい♪」

 

朝潮「司令官、朝潮も共に参ります。少しでもお手伝いします」ケイレイ

荒潮「私も一緒に行くわ〜♪」ノシ

満潮「わ、私も暇だから行くわ////」

 

 提督は朝潮達の申し出にお礼を言うと、みんなと共に執務室へ向かって歩き出した。

 

 

 その頃、執務室ではーー

 

鳳翔「ん〜……作戦も終わって、その後の書類仕事も一段落。今日も平和ね」ホッコリ

 

 本日秘書艦任務についている鳳翔が提督達の帰りを待っていた。

 今日は大潮のこともあるので、鳳翔は提督が大潮と触れ合える時間が出来るようにサポートし、今も提督達が帰ってきたらお茶が出せるようにスタンバっている。

 

鳳翔「寒くても日差しはポカポカで過ごしやすいですね……」ウト

 

 しかしどんなに完璧な鳳翔でも、温かい部屋、温かい日差し、静かな空間、ふかふかソファーという好条件が揃うとウトウトしてしまう。更に加えて平和な昼下がりなら尚更。

 

鳳翔(あぁ、睡魔さんが……私の瞼を封じに……来て、い……)

 

 そこで鳳翔の意識は途切れてしまった。

 

 ーー

 

 それからほんの数分後、提督達が執務室に戻ってきた。

 

提督「今戻tーー」

 

 提督や朝潮達は鳳翔が眠っていることに気が付き、すぐに口を閉じ、互いにアイコンタクトを交わして静かに行動を開始。

 

 朝潮と満潮は提督の書類整理を静かに遂行し、大潮と荒潮は鳳翔へ毛布をかける。

 

大潮「…………」

 

 すると大潮は何を思ったか、毛布に入って鳳翔の隣に寄り添うように座ったのだ。

 

荒潮「大潮ちゃん、何してるの?

 

 そんな大潮に荒潮が小声で訊ねると、大潮は「この方が温かいから♪」と返し、鳳翔にヒシッと抱きついく。

 

荒潮「…………♪」ニコッ

 

 すると荒潮も大潮とは反対側に座り、鳳翔にピタッとくっついた。

 

荒潮「鳳翔さん、いつもお疲れ様♪」ギューッ

大潮「今日、父上と遊べるようにしてくれたお礼です♪」ギューッ

 

 二人は鳳翔にそうささやき、鳳翔に寄り添う。

 

提督「微笑ましいな」フフ

朝潮「えぇ、本当に」クスクス

満潮「よくやるわ」ヤレヤレ

 

 そんな二人の行動を提督や朝潮は微笑ましく眺め、満潮は呆れながらも二人を穏やかに眺めるのだった。

 

 

 そして時は流れ、一五三〇過ぎーー

 

鳳翔「ん……あらやだ、私ったらついーー」

 

提督「おぉ、起きたか鳳翔?」

 

鳳翔「え、えぇ!? て、提督!? もしかして私……〜〜っ!!」

 

 鳳翔はようやく状況を理解したのか、言葉にならない声を珍しくあげて立ち上がろうとする。

 

鳳翔「あ、あら?」

 

 しかし鳳翔はすんなり立ち上がることが出来なかった。

 そんな鳳翔を見て、朝潮が「す、すみません」と言って鳳翔に謝る。

 

満潮「自分の下と右を見れば分かるわよ」

 

 満潮の言葉に鳳翔は一先ず下の方を確認すると、

 

大潮「くぅ……くぅ……」Zzz

 

 大潮が鳳翔の膝の上に頭を乗せて、規則正しい寝息を刻んでいた。

 それを見た鳳翔は「あらあら」と言いつつ、今度は自分の右側へ目をやると、

 

荒潮「すぅ……すぅ……」Zzz

 

 荒潮が鳳翔の右腕に抱きついたまま、大潮と同じく規則正しい寝息を刻んでいる。

 

提督「二人共、鳳翔につられて眠ってしまったようだ」

鳳翔「も、申し訳御座いません……私ったら////」

提督「いや、謝る必要はない。寧ろ普段しっかりしている鳳翔の居眠りシーンという貴重な場面を見れたのはラッキーな出来事だ」フフフ

鳳翔「もぉ、そんな意地悪なことを言わないでください……////」カァー

 

 鳳翔はそう言うと空いている左手で熱くなっていく頬を抑えた。

 

満潮「はいはい、夫婦漫才してないで起きたならお茶にしましょ」

 

 満潮はそう言って手を叩き、未だ眠っている大潮と荒潮を起こした。

 二人は起きると、提督達や鳳翔におはよう、などと挨拶してまどろみつつも笑顔を見せる。

 

大潮「鳳翔さんポカポカしてて眠っちゃいました〜」アフ

荒潮「睡魔には勝てなかったわ〜」ノビー

朝潮「ふふ、鳳翔さんと一緒にぐっすりだったものね」

満潮「母娘みたいだったわよ」クスクス

鳳翔「私、子どもなんていません!////」

大潮「司令官が揃えば、父上と母上ですね♪」

鳳翔「大潮ちゃんっ!?////」

提督「はは、私に鳳翔は勿体無い奥さんだな」

鳳翔「提督まで……はぅ〜♡////」

満潮「はいはいはい、そこまで!」ストップ

 

 こうして今日という日を大潮はみんなと笑顔で現在(いま)という大切な時間を過ごすのだったーー。




今日は本編に書きました通り、駆逐艦『大潮』が沈んでしまった日ですが、今回は少しほのぼのとした風景も取り入れました。

駆逐艦『大潮』と英霊の方々に心からお祈りします。

本編中の情報はWikipediaと『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改45話

空母、扶桑型戦艦メイン。

キャラ大崩壊含みます。


 

 ○○鎮守府、一三〇〇ーー

 

 戦艦寮、扶桑型姉妹部屋ーー

 

山城「…………」アキレ

龍驤「…………」ヤレヤレ

瑞鳳「…………」ニガワライ

瑞鶴「…………」ハァ...

葛城「…………」アハハ...

大鳳「orz」ズーン

扶桑(どうすればいいのかしら)ニガワライ

 

 扶桑は目の前に広がる光景になんと声をかけて良いやらと悩んでいた。

 扶桑の目の前では頭を抱え、落ち込む大鳳の姿が。そしてそんな大鳳を扶桑、葛城、瑞鳳以外の面々はどこか憐れむような、呆れるような態度を見せている。

 

 どうしてこうなったのかというと、

 

山城「まさか、提督から撫でてもらえる券を未だに一度も使っていないだなんて思わなかったわ」

大鳳「うぅ〜……」

 

 そう、大鳳は新年会のビンゴ大会での景品『提督から頭を撫で撫でしてもらえる券』を獲得したものの、これまで一枚も使えず仕舞いなのを憂い、これについて相談しにやってきて今に至るのだ。

 大鳳は最初、仲良しのフラット同盟仲間に相談したがみんなでは手に負えず、こうして山城の元へとやってきた。山城は『提督から幸せを貰い隊』のメンバーであり、大鳳とは特に仲良しなのでこうして来たものの、山城もこれには何も言えないでいる。

 

龍驤「そら誰もが思うよな〜」ニガワライ

瑞鶴「神棚にまで飾ってたのに、使う場面がないとか言われてもね〜」ニガワライ

扶桑「任務のあとにお使いになられてはどうですか?」

 

 扶桑がそう提案すると、大鳳は静かに「使えません……」と返す。

 そんな大鳳に扶桑が「何故ですか?」と訊くと、龍驤が大鳳より先に口を開いた。

 

龍驤「それはうちだって言ったで? でもな……」

瑞鳳「提督はすぐに頭を撫でてくれるから、使えないんだって」ニガワライ

 

 龍驤に続き瑞鳳が訳を話すと扶桑は「あぁ、それで……」と納得する。

 

瑞鶴「それでいて、きっかけもなく頭を撫でてくださいなんて、大鳳さんには出来ないからね〜」

葛城「駆逐艦の子達なら出来そうですけどね」ニガワライ

大鳳「もういっそのこと死ぬまで持ってようかしら……私が死んだら千切って海に撒いてください」ハイライトオフ

龍驤「だからそういった思考に行くなや」ペシッ

 

 龍驤が軽く大鳳の肩を叩くと大鳳は「だってぇ〜」と弱々しい声をあげ、今にも泣き出しそう。

 するとこれまで黙っていた山城がポンッと手を叩いた。

 

山城「悩んでいたって仕方ないわ。理由なんて二の次。この券を使いに行きましょう」

 

 山城から出た提案はかなりの強攻策だった。

 

大鳳「む、むむ、無理です!////」

山城「無理とか言ってるから、それが今まで使えなかったんでしょう?」

 

 山城の言葉に大鳳は何も言い返すことが出来ずに押し黙ってしまう。

 

山城「さ、行くわよ。善は急げ」グイッ

大鳳「えぇ!?////」

山城「一度でも使えば次が使いやすくなるでしょう? それに私達の提督なら、これくらい嫌な顔せずやってくれるわ。流石に忙しい時は使わない方がいいけれど」

大鳳「で、でもぉ……突拍子もなく撫で撫でしてくださいだなんて////」アワワ

山城「撫でられるのが気になるならお姫様抱っこにしたら? 抱っこも可ならいけるはず」

大鳳「おおぉお姫しゃま!? だだだ、抱っこぉ〜……////」プシューッ

 

 大鳳は声をひっくり返し、最後は消え入るようにして顔を真っ赤にさせた。

 

龍驤「お〜、せやせや♪ お姫様抱っこでも膝上抱っこでもしてもろうたらええやん♪」

瑞鳳「寧ろそっちの方が撫で撫でより使いやすいんじゃない?」

瑞鶴「あ〜、撫で撫でより抱っこの方が券っぽいしね〜」

葛城「行きましょう、大鳳さん♪」

 

 みんなに行こうと急かされる大鳳。それも冷やかしや妬みではなく、ちゃんと自分のことを考えてのことなので大鳳はええい、ままよとばかりに意を決してみんなと執務室へ向かった。

 扶桑はそれを見送ると、お茶をすすり、

 

扶桑「今日も空が青いわね♪」

 

 と窓の外を見ながら微笑むのだった。

 

 

 執務室ーー

 

提督「ウォースパイト……悪いのだが、そんなにくっつかれると仕事がしにくい……」ニガワライ

ウォスパ「あら、昨日は大潮を膝に乗せて仕事してたって言うのに?」ピトッ

提督「そう言われると、何も返せないな〜……」タジ

ウォスパ「大潮みたいに膝の上に乗っていないんだもの、いいじゃない。それにアドミラルとは触れ合える機会も限られているんだもの、こういう時くらいいいでしょう?♡ Communicationは大切よ?♡」スリスリ

提督「分かった分かった、私の負けだ」ナデナデ

ウォスパ「そうそう、それでいいのよ♡」ニコニコ

 

 提督は本日秘書艦任務に就いているウォースパイトとソファーテーブルで仕事をしていた。

 ウォースパイトはLOVE勢の中でもかなりしたたかな肉食系女子であるため、ここぞとばかりに提督へアプローチしている。それが実るかは別として……。

 

 するとドアがノックされた。そのノックは凄く小刻みで控えめなノックで、提督とウォースパイトは小首を傾げる。

 

提督「入りなさい」

 

 提督は取り敢えず入室許可をすると、顔を真っ赤にし、頭から湯気をあげる大鳳が入室してきた。ほんの微かだが、ドアの外には山城達の姿も見える。

 

提督「何かな、大鳳?」

大鳳「ああぁ、あの、ててて、提督……いぃ今いまいま、お忙しいでしょうかカカカ!?////」

 

 何やら言葉がとっ散らかている大鳳を不思議に思いつつ、提督は「これと言って忙しくはない。遠慮せず言いなさい」と優しく返した。

 すると見てられなかったのか、山城が入室し、ずんずんと提督の元へ。

 

山城「大鳳がお正月のビンゴ大会の景品を使って、提督にお姫様抱っこしてもらいたいそうです」

 

 大鳳が言おうとしたことを山城がハッキリと伝える。

 提督は「おぉ」と少し驚いたが、ウォースパイトに「ちょっと失礼するよ」と謝ってからすぐに大鳳の元へ。

 

大鳳「お、おねおねおね、お願いしまままましゅ♡////」

 

 大鳳は震えた手で、提督に券を渡す。

 

提督「ん、確かに承った。ではーー」

 

 提督は券を受け取ると「ほっ」と声を出して、大鳳を軽々と持ち上げた。

 

提督「危ないから、ちゃんと捕まっていなさい」ニコッ

大鳳「ひゃ、ひゃいぃ♡////」ギューッ

提督「なかなか使ってくれないから、迷惑なのかと思っていた。安心したよ」フフフ

大鳳「ご、ごめんなひゃい……♡////」デレデレ

提督「しかしどのくらい抱えれば良いだろうな?」

大鳳「いちゅまででもされたいれしゅ♡////」ギューッ

提督「ははは、大鳳は案外甘えん坊なんだな♪」

大鳳「て〜ろくにらけれしゅぅ〜♡////」スリスリ ベタベタ

 

ウォスパ「???」バシバシ

山城「混乱してるのは分かるけど、頭にはてなマーク浮かべたまま的確に腰の骨を叩かないでくれない?」

ウォスパ「今日、私が秘書艦なのにどうして? ねぇどうして? ねぇ、ねぇねぇねぇ?」ハイライトオフ

山城「いや、悪かったわよ……でも今は許してあげて」ニガワライ

ウォスパ「(°言°)」ブツブツブツブツ

 

 その後、大鳳は三十分くらい提督にお姫様抱っこされ、ふにゃふにゃになって山城達と執務室を去ったが、そのあとでウォースパイトが提督にお姫様抱っこを要求したのは言うまでもないーー。




今回は大鳳さんの幸せ回って感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改46話

神は全てを与えない。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 駆逐艦寮、第七駆逐隊部屋ーー

 

漣「ねぇねぇ、みんな」

朧・曙・潮『?』

 

漣「早口言葉出来る?」

朧・曙・潮『?』クビカシゲ

 

 任務も訓練も無くまったりと過ごしていた矢先、漣の質問に三人は思わず頭にはてなマークを浮かべる。

 

漣「あ〜、今ネットで適当に動画見ててさ〜。そしたら早口言葉の動画見たからみんなは出来るかな〜って。因みに漣は出来ませんですた」ニガワライ

 

 漣が補足をすると三人はそういうことか、と頷いた。

 

曙「早口言葉ね〜。まぁ、確かに出来るとスッキリするけど、出来ないなら出来ないで別に……」

潮「私は出来ないかな〜」ニガワライ

朧「因みに、どんなお題だったの?」

漣「えっとね……『生麦、生米、生卵』ってやつ」

曙「オーソドックスなやつね」

潮「それなら出来そう……!」キラキラ

 

 そう言うと潮は大きく深呼吸してから一気に、

 

潮「なまむぎ〜、なまごめ〜、なまたまご〜♪」

 

 ……とはいかずに、いつも通りのおっとり口調でそのまま口にしただけだった。潮は恥ずかしがっている方が高速言葉である。

 意図的なボケなのかと思ったが、これはまごうことなき天然物であり純度一〇〇%。

 朧と漣は思わずズッコケ、曙はあらかわいい……と思わずキュンとした。

 

朧「潮〜、やる気あんの〜?」

潮「早口、じゃなかった?////」

曙「あれが早口なら全世界がまったりになるわよ」フフフ

漣「じゃあ次はボノボノちゃんね♪」

曙「何でよ!?」

漣「ボノボノちゃんは普段から早口だし、言えるかな〜って♪」

朧「妹の仇を取るんだ!」ウンウン

曙「それを言うならあんたがやりなさいよ!」

 

 曙がツッコミを入れると、朧はわざとらしく咳をしてからやってみる。

 

朧「生麦生米生卵、生麦生米生卵、生麦生米生卵!」

漣・潮『おぉ〜!』パチパチ

朧「」ドヤァ

曙「」グヌヌ

 

 朧が見事に成功させ、ドヤ顔したのにイラッとした曙は、次は自分とばかりに小さく息を吐く。

 

曙「生麦生米生卵、生麦生米生卵、生麦生米茹で卵! あっ////」

漣「なんで最後だけ板○英二wwwww」ゲラゲラ

朧「さ、流石にそれはないわ……ww」アハハ

潮「ご、ごめんね、曙ちゃん……ふふ」クスクス

 

 豪快で秀逸な曙の言い間違いに三人は思わずお腹を抱えた。

 笑われたのより、自分の失態に納得出来なかった曙は再度挑戦する……しかし何度試してもどれかが違う言葉になり、その都度三人は腹を抱えたのだった。

 

曙「もぉ、やだ〜!////」バンバン

 

 出来なくて悔しい上に、恥ずかしさも入り混じった曙は思わず机に突っ伏して机を叩く。

 

潮「あ、曙ちゃん」ナデナデ

朧「あ、あ〜……お腹痛い……」クスクス

漣「腹筋崩壊……wwwww」

 

 心配する潮とは違いなおも笑い続ける朧と漣。

 

潮「もう、笑い過ぎだよ〜。曙ちゃんだって出来ないことあるんだから〜」

 

 天使がそう言って二人をたしなめると、二人は涙を拭いながら曙と潮に謝った。

 

朧「それにしても案外面白いもんだね♪」

曙「貝にないりたい……////」

潮「」ヨシヨシ

漣「ご主人様は出来るかな〜?」

 

 漣のふとした疑問に他の三人も思わず考えてしまう。

 何しろ自分達の提督は艦娘達の好意に気付かないところ以外はミスターパーペキである。そんなパーペキにも意外な欠点があるとしたら……そう考えるとみんなは好奇心が働き、もしあの提督が噛むなら見てみたいと思ってしまった。

 

 こうなると姉妹は一心同体。同時に立ち上がり、早足で執務室へ向かうのだった。

 

 

 執務室ーー

 

加賀「ーー以上が、此度の報告です」ケイレイ

赤城「報告書は後に必ず提出しますね」ケイレイ

 

提督「ふむ、お疲れ様。ゆっくりと休んでくれ。報告書は明日でも構わないからな」ニコッ

 

赤・加『はい♡』デレッ

 

龍田「お二人共、演習お疲れ様でした、お茶を淹れたので飲んで行ってください♪ 提督も休憩にしましょ♪」

 

 いつも通りの執務室の風景。龍田がお茶を淹れてくると、一航戦の二人はお礼を言ってソファーテーブルに座り、提督も龍田にお礼を言いつつ、赤城と加賀に引っ張られて二人の間に腰を下ろした。

 

 するとドアがガチャリと開き、朧達が入ってくる。

 それを見ると龍田はニッコリと笑い、みんなの分のお茶も用意し始めた。

 

漣「失礼しまーー赤城さんと加賀さんだ!」

朧「ホントだ!」

漣「僕らの一航戦〜♪」

朧・漣『アッアッアッアッ アカギカガー!♪』

 

 赤城と加賀を見て、二人はどこぞの勇者王の替え歌を歌い出す。

 

加賀「光にしてあげましょうか?」ニコリ

赤城「駆逐艦よ、資材になれぇぇぇ! って感じですか?」ニコリ

朧・漣『調子こきました、サーセン!』フカブカ

 

 赤城達の言葉に朧達が謝ると、それを聞いていたみんなは苦笑いを浮かべた。

 そして龍田が朧達にもお茶を出しつつ、提督が朧達に改めてどうしたのかと訊ねると、

 

漣「さっき早口言葉の話題で盛り上がってまして、もしお暇でしたらご主人様にもしてほしいなって思ったんです!」

提督「早口言葉か……まぁ、見ての通り休憩中だからな。いいだろう、お題は何かな?」

 

 乗り気な提督に漣は先程と同じお題を出すと、

 

赤城「あ、私得意ですよ♪ 生麦生米全部美味一人一俵二表当然生卵掛けご飯でもう一俵!」

 

 言葉はともかく凄まじい早口に提督も他のみんなも思わず手を叩く。加賀だけ頭を抱えたのは秘密

 

潮「加賀さんは出来ますか?」

加賀「私ですか?」

 

 本当ならやりたくない。しかし可愛い妹分に言われてやらないのは一航戦の恥。加賀は意を決して口を開いた。

 

加賀「生麦にゃまごめなまたみゃご……////」

 

 盛大に言葉がとっ散らかってしまった加賀は、思わず両手で顔を覆った。

 加賀は恥ずかしいことこの上ないが、対する他の面々は加賀の間違いや恥じらう姿にギャップ萌えを感じたため、笑うようなことはせずに加賀を微笑ましく眺めた。

 

加賀「(*/△\*)」プルプル

提督「では次は私の番だな」

 

 提督はそう言って小さく息を吐くと、

 

提督「生麦生米生卵、生麦生米生卵、なまむぎゅ……ぬぅ、噛んでしまった」ニガワライ

 

 果敢に挑戦したが噛んでしまった。

 

赤・加・曙『!?♡』ズキューーーン←Critical Hit

 

朧「提督も出来ないことあったんだね♪」

提督「そりゃあ、私だって出来ないことはあるさ……ちょっとあの間違い方は忘れてほしいがな」ハニカミ

 

赤・加・曙『(脳内メモリーに永久保存確定!♡)』

 

潮「難しいですよね〜」ニガワライ

提督「そうだな。こればかりは慣れないと出来ないだろうな」フフ

龍田「指示出す時は噛まないのにね〜♪」

提督「それはもう慣れだろう。寧ろ噛んだら示しがつかん」ニガワライ

 

赤・加・曙『(寧ろ捗ります!♡)』hshs

 

朧(ーーとか考えてるんだろうな〜)ニガワライ

 

 その後もみんなして早口言葉の話題で盛り上がり、休憩時間を楽しく過ごしたが、赤城、加賀、曙は帰る頃にはギラギラ状態になっていたとかーー。




今回は早口言葉ネタでほのぼの回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改47話

白露型駆逐艦のみ。

キャラ崩壊、ガムシロップ二個分ほど含みます。

いつもより少し長めです。


 

 ○○鎮守府、一八三〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「すぅ……はぁ〜……」

 

 本日の仕事を終え、提督は窓の側で仕事終わりの一服を嗜んでいた。

 日が海の中へと姿を消し、昼間の海とはまた違う執務室からの景色。これから食堂に向かう者、もう食べ終わり寮へ戻る者、酒保で買い物をして寮へ戻る者と様々だ。

 提督は今日も全員が生還したことに安堵し、再び肺に溜めた煙を朧月に向かって吐く。

 

 すると執務室のドアがノックされた。ノックされた音は二つで、一つは丁寧、もう一つはどこか豪快だった。

 

提督「開いているよ。入りなさい」

 

 提督は煙草の火を消しながら声をかけると、開いたドアから時雨と夕立が入ってくる。

 

時雨「入渠終わったよ、提督♡」ニコッ

夕立「また提督さんのために頑張るっぽい♡」㌰㌰

 

 二人は満面の笑みを浮かべて提督に報告すると、提督は「そうか」とホッと一息吐いた。

 

 この二人は本日の午後の出撃で大破に限りなく近い中破という状態で帰ってきたのだ。

 トラック泊地沖に潜む残存勢力を掃討する出撃だったが、時雨や夕立という当鎮守府でもトップクラスの駆逐艦が中破させられるくらいまだまだ安心は出来ない。

 提督は傷を負って戻ってくる艦娘達を見る度に、本当ならば共に出撃して守ってやりたかったと、思っている。しかし、出撃だけが提督の仕事ではない。

 それはこの鎮守府の運営だ……闘い、傷付いた彼女達の帰るべき場所を維持すること。それが『提督』なのだ。

 

提督「本当によく戻ってきた……お帰り、時雨、夕立……」ギュッ

 

 提督は二人に歩み寄り、その決して大きくない身体を大切に、そして優しく抱きしめる。

 ドックで修復すれば傷や痛みは必ず癒えるとは言え、傷付いた時の痛みや思いは彼女達の記憶に……心にしっかりと残る。

 身体は癒えても心までドックでは癒やせない。

 この鎮守府にはまだいないが、戦闘のショックから二度と海に立てなくなってしまった艦娘もいる。

だからこそ提督はちゃんと生還し、これまでと何ら変わりない笑顔を見せる二人を抱きしめたのだ。

 勿論この二人のことだけでなく、提督はこの鎮守府に所属する全員のことを常に考えている。

 

夕立「えへへ〜、提督さんにぎゅ〜ってされるの、すっごく幸せ〜♡」アタマグリグリ

時雨「あるべき所に帰ってきたって思える瞬間だね♡」スリスリ

提督「守ってやれなくてすまなかった」

時雨「提督が謝る必要ないよ……そもそも提督は前線に出過ぎなくらいさ」フフフ

夕立「そ〜だよ〜! 提督さんと出撃出来るのは嬉しいけど、やっぱり心配だもん!」

提督「気まで遣わせてすまない」ニガワライ

 

 二人の言葉に提督が再度謝ると、二人は「また謝った」と言って提督をたしなめた。

 

 時雨も夕立も提督に謝ってほしくないのだ。それは提督がどんな気持ちで自分達を思い、戦地に送り出し、母港で迎えてくれているのかを身を持って理解しているから。

 そもそも鎮守府を預かる最高司令官が前線に赴くということ自体がかなり異例であり、それは限られた者にしか出来ないこと。

それに加えてここの提督は艦娘達をその身を呈して守ってくれる。

艦娘達を兵器と見ている者も少なからずいる中、こんなにも自分達に愛情を注ぎ、受け止めてくれる者がいるだろうか。

 それは探せばいるだろう。現に提督の友人達がそうであるように……。

 

 しかし、二人にとっては……この鎮守府の艦娘達にとっては、これ以上信頼出来る相手はいないし、出てこない。

 だから二人は提督に謝ってほしくないのだ。

 

夕立「提督さんの匂い、好き〜♡」クンクン

提督「はは、煙草臭いの間違いだろう?」

夕立「そんなことないもん!」

 

 提督の言葉に夕立が全力で否定すると、今度は時雨が口を開く。

 

時雨「煙の臭いなんて全部鼻にツンとくるものさ。それは硝煙もボイラーで出る煙も……全部同じ。でも僕はこの匂いの方が落ち着く……「僕の提督だ」って「帰ってきたんだ」って実感出来るから」ニッコリ

提督「そうか……ありがとうな、二人共」ナデナデ

 

 提督はそう言って二人の髪を梳くように優しく撫でると、二人は嬉しそうに頬を緩める。心なしか二人のピョコンと跳ねている髪がピコピコと震えているようにも見えた。

 

提督「さて、入渠報告もきっちりと確認した。時間も時間だから二人は寮へ戻りなさい。白露達も二人が帰るのを待っているだろう」ニコッ

 

 そう言って二人に戻るよう促した提督だったが、夕立は「もうちょっとこのまま〜♡」と言って提督から離れようとしない。

更には普段聞き分けの良い時雨も「なら僕も♡」と、提督にピッタリと抱きついて離れなかった。

 提督はそんな二人を見て「もう少しだけだぞ?」と言って、二人に抱きつかれたままソファーへ移る。このままよりは座って甘やかした方が二人共疲れないだろうと判断してのことだ。

 

 提督がソファーへ腰を下ろすと、時雨を右の太もも、夕立は左とそれぞれ自分の太ももを提供し、二人は頭を預ける。

 

夕立「えへへ〜、提督さんの膝枕〜♡」スリスリ

時雨「流石僕の提督だね、期待以上だよ♡」ゴマンエツ

提督「それは何よりだ」ナデナデ

夕立「ぽい〜……このまま寝ちゃいそ〜♡」

提督「夕飯はどうするんだ?」

時雨「食べ損ねちゃうよ? インスタント食品でいいなら止めないけど」クスッ

夕立「寝てられないっぽい!」フンス

時雨「あはは、なら今は提督の撫で撫でを満喫しよう♪」

夕立「!」コクコク

 

 時雨の言葉に夕立は一生懸命頷きを返す。そんな二人を提督は微笑ましく見つめ、そのまま優しく二人の頭を撫でてやった。

 

提督「時雨の髪は相変わらず綺麗な髪をしているな。撫でているこちらも心地いい」ナデナデ

時雨「提督がそうやって褒めてくれるから、髪の手入れは欠かさずしてるんだよ♡」

提督「私が褒めなくても手入れはしっかりやりなさい。こんなに綺麗な髪なのだからな」ニコッ

時雨「うん♡ また今度櫛で梳いてね♡」ニコニコ

 

夕立「むぅ〜、提督さん、夕立のは〜? 夕立の髪も褒めてほしいっぽ〜い!」プンプン

提督「はは、勿論夕立の髪も変わらず綺麗だぞ」

夕立「なんか時雨のおまけっぽい〜!」ジトーッ

提督「そんなことはない。夕立の亜麻色の髪はとても美しいと思っているぞ?」ナデナデ

夕立「なら信じるっぽい♡」㌰㌰

 

 このように二人を甘やかしていると、

 

 ガチャーー

 

白露「提督〜、時雨と夕立来てーー」

村雨「るわね〜」ニコニコ

 

 同室の白露と村雨が戻りの遅い二人を心配して、提督の元へとやってきた。

 

 二人は提督に膝枕されている時雨と夕立を見ると、どことなくドス黒いオーラをまとって提督達の元へ近付いていく。

 

白露「時雨〜、どうして提督から膝枕されてるのかな〜?」ニコニコ

時雨「提督がしてくれたんだよ♪」

 

村雨「夕立もよ〜。提督の迷惑でしょう?」ニコニコ

夕立「提督さんからしてくれてるから、迷惑かけてないっぽい♪」

 

 各姉の威圧にも負けず、二人は平然と返す。何せ提督に膝枕されている自分達の方が白露達より優勢だから。

 

提督「…………不平等なのはよくないな。白露達も時雨達と同じことしてあげよう」ニガワライ

 

 不穏な空気を回避するために提督はそう提案した。すると白露と村雨は表情をパァッと明るくさせ、存分に撫で撫でしてもらった時雨や夕立は仕方なく二人に膝枕を譲ることに……。

 

 その後、春雨と五月雨、海風と山風、江風と涼風の順で戻らぬ姉達を探しに執務室に来ては、提督の膝枕&撫で撫で状態を目撃し、自分達もそれを望み、結局提督は白露型姉妹全員を甘やかすことになった。

 因みにその日の夕飯は姉妹仲良くインスタント食品だったとかーー。




今回は時雨ちゃん、夕立ちゃんをメインにしたお砂糖回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改48話

臨時任務! の談。

キャラ崩壊、独自設定、ガムシロップ五個ほど含みます。


 

 ○○鎮守府、〇八〇〇ーー

 

 明石酒保ーー

 

明石「いやぁ、皆さんお手伝いありがとうございます♪」

 

 明石の目の前に整列するのは、瑞穂、古鷹、電の三名。

 この三名は本日、臨時で酒保の店員として手伝いに来ているのだ。

本当ならば酒保妖精がいるのだが、今日はこれまで出撃続きだった艦隊が全面的に休み(提督も休み)であり、そのため工廠の方では艤装を一斉整備していて酒保妖精達はそちらへ借り出されている。

 明石も三名に簡単な説明が終われば工廠に行かなくてはならず、今日は休みで多くの客が来ることが想定されいるため酒保を閉める訳にはいかないのだ。

 

 なので前日に手伝い募集を張り出した際、この三名がきてくれた。

 

 そして、

 

瑞穂「それは良いのですが……////」

古鷹「どうしてこんな格好……////」

電「しなくてはいけないのです?////」

 

 三名は何故かメイド服を着用させられている。

 どれもデザインはヴィクトリア朝時代の女中達の服に少し現代アレンジを加えたロングメイド服。

特徴的なエプロンのV字カットで綺麗なシルエットで、ワンピースの胸元には広いピンタックが横向きに縫われており、肩にはニ重のプリーツひだが付いていて、パフスリーブとは全く違ったボリュームのある袖となっている(監修夕張・制作阿賀野)。

 ただ頭に着用するメイドキャップにそれぞれ違いがあり、薄緑色の瑞穂がお金を取り扱い、薄水色の古鷹は会計、薄橙色の電は商品の補充と色で役割が決められている。

 

明石「皆さんよくお似合いですよ〜♪」

古鷹「そ、そうじゃなくて……////」

瑞穂「これが酒保の制服なのでしょうか?////」

明石「はい、そうですよ〜♪ 妖精さん達も皆さんと同じデザインの物を着用してます♪」

電「は、恥ずかしいよぅ////」モジモジ

 

 みんな慣れない制服に落ち着かない様子ではあるが、可愛い制服なのでどことなく嬉しそう。こればかりは女の子の性である。

 

明石「もしかしたら提督もいらっしゃるでしょうし、きっと褒めてもらえますよ?」ニヤニヤ

古鷹「提督に……////」

電「褒めてもらえる……////」

 

 ◇古鷹の脳内◇

 

提督『何て素敵なんだ、古鷹……』

古鷹『提督……♡////』

提督『このまま君をお買上げしてもいいかな?』ギュッ

古鷹『はい……私を提督だけの専属メイドに……♡////』

 

 ◇電の脳内◇

 

提督『こんなに可愛い姿で私の前に来るなんてな……』

電『司令官さん……♡////』

提督『これはもう君を連れて帰るしかない』ギュッ

電『電は司令官さんとずっと一緒なのです♡////』

 

 ーー

 

古・電『でへへ、でへへ、でへへへへ〜♡』

 

明石「問題無いみたいですね♪」

瑞穂「仕方ありませんね」クスッ

 

 こうして瑞穂達は明石から簡単なレクチャーを受け、明石は瑞穂達が覚えたのを確認すると工廠の方へと向かった。

 

瑞穂「では頑張りましょう」ニコッ

古鷹「はい♪」

電「なのです♪」

 

 

 一五〇〇ーー

 

 最初は戸惑った部分もあった瑞穂達だったが、慣れてくれば一流の店員へと変貌。

 来る者は茶化したりするが、それはそれでコミュニケーションの一つ。

しかし茶化すといってもそれは服装を褒めたり、手伝いのことを応援したりといったことばかりなので、瑞穂達は笑顔で接客出来た。

 

秋津洲「みんな可愛い制服だね〜♪」

テスト「よくお似合いですよ、皆さん」ニコッ

 

瑞穂「ありがとうございます」ニコッ

古鷹「ありがとうございます♪」

電「えへへ、ありがとうございます♪」

 

 酒保には瑞穂や古鷹とそれぞれ仲の良い者達、電の姉である暁達が様子を見に訪れている。

 

青葉「皆さん可愛いですね〜♪」パシャパシャ

古鷹「もぉ、青葉ったら〜////」モジモジ

瑞穂「加古さんや衣笠さんはご一緒ではないのですか?」

青葉「今キヌガッサーは加古さんの抱き枕状態です、はい」ニガワライ

秋津洲「容易に想像出来ちゃうね」ニガワライ

古鷹「加古〜……」アタマカカエ

 

テスト「ヴィクトリア朝風のメイド服なんて、凝ってるわね」フムフム

響「多分夕張さん辺りの提案だろう……可愛いのには変わらないけどね」フフ

電「えへへ////」ハニカミ

 

雷「ヴィクトリア朝とか言われてもイマイチピンとこないわ……暁姉は知ってる?」

暁「私もそこまで詳しくないわ……メイド服だって分かればそれでいいんじゃないの?」

響「レディがそんなことでいいのかい?」フフリ

暁「べ、別にいいでしょ!//// 知らないことを知ったかぶる方がレディじゃないわ!////」フンッ

電「暁お姉ちゃんは立派なレディなのです!」フンス

暁「ふふ、ありがと♪」ナデナデ

電「はわわ〜♪」

 

テスト「やはりメイド服を着ていると、提督のことも『ご主人様』って呼ぶの?」

瑞穂「うふふ、もしそうお呼びしたら提督が驚かれますね」クスクス

 

 テストの言葉に瑞穂はそう言って笑うが、

 

古鷹「提督を……」

電「ご主人様……」

 

 二人はまたも何やら思い浮かべ始めた。

 

 ◆古鷹の脳内◆

 

提督『なんていけないメイドだ……』

古鷹『も、申し訳ありません、ご主人様……♡////』

提督『その身の程を弁えないいけないメイドはお仕置きだ……私の愛という罰をその身に刻もう……』アゴクイ

古鷹『ご主人様〜♡////』

 

 ◆電の脳内◆

 

提督『謝っている割には随分と嬉しそうな顔をしているな……ん?』カベドン

電『こ、これは違うのです……♡////』

提督『何が違うと言うんだ……それに口答えするこのいけない口は再度調教し直す必要があるな』

電『ご主人様の色に染まるのです〜♡////』

 

 ーー

 

古・電『よ、呼んでみようかな……♡////』

 

響「何を想像したんだろう」

暁「言ってみたいんでしょ。乙女の顔してるもの」ウンウン

雷「ちょ〜っと危ない感じがするけどね」ニガワライ

青葉「でもいい恍惚ポーズです」パシャパシャ

 

 そんなことしているとドアベルが鳴り、そこには渦中の提督が来店。休日でもちゃんと軍服姿である。

 

提督「おや、今日は可愛らしいメイドさんがお店番なのかな?」ニコッ

 

古・電『ご主人様!?♡////』←思わず言ってしまった。

 

提督「あはは、私は二人からすれば確かに目上の人間だがな。そんな勿体ぶった言い方はやめなさい。ここだけの話、漣だけでもむず痒く思っているんだ」

古鷹「あ、ご、ごめんなさい……提督////」

電「ごめんなさいなのです……司令官さん////」

提督「うむ。やはりいつも通りが一番だ」ナデナデ

古・電『提督(司令官さん)♡////』キュンキュン

 

瑞穂「ふふ、提督はどこまでも提督ですね」

テスト「ブレないって素敵よね」クスクス

秋津洲「二人も逞しい」ニガワライ

青葉「そうでもないとLOVE勢なんてやってられませんからね〜」パシャパシャ

暁「いいな〜////」

響「電恐ろしい娘」フフフ

雷「電はああ見えて逞しいからね♪」

 

 その後、提督に褒められた瑞穂達(特に古鷹と電)は明石が戻るまで酒保の業務をこなし、それが終わってもキラキラ状態だったそうなーー。




今日は古鷹さん、電ちゃんの進水日と瑞穂さんの竣工日なので、その三名をメインにしたお話にしました!

三人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改49話

重巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ、R-15、独自設定含みます。

苦手な方はブラウザバックを。

いつもより長めです。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 重巡洋艦寮、高雄型姉妹部屋ーー

 

利根「上手く行くのじゃろうな、愛宕?」

羽黒「バレたらただじゃ済まないじゃ……?」オロオロ

足柄「本当に大丈夫なの?」

熊野「失敗は許されませんわよ?」

 

 高雄達の部屋に集うは重巡洋艦の提督LOVE勢達。因みに鳥海は関わらないよう他の部屋に行っている。

 

愛宕「皐月ちゃんや夕張ちゃん、明石ちゃんの協力でバッチリよ♪」

高雄「私はあまり気が進まないわ……」ハァ...

摩耶「あ、アタシはそこまで気になってなんか……////」モジモジ

 

 愛宕がノリノリな中、高雄と摩耶はどこか乗り気ではない様子。

 

鈴谷「なら聞かなくたっていいんじゃな〜い?」ニシシ

筑摩「そうですよ〜♪ お二人の代わりに私達がちゃ〜んとお聞きしますから♪」

古鷹「そうですよ〜、無理する必要ありませんよ?」ニコニコ

高雄「し、心配なので残ります!////」

摩耶「た、高雄姉が残るなら……////」

衣笠(結局こうなるのよね〜)ニガワライ

 

 他の者達から言われた高雄と摩耶は結局残ることにした。二人共顔をほんのり赤く染め、好奇心と罪悪感がその表情ににじみ出ており、摩耶に至ってはクジラのぬいぐるみ(名前はみっくん)を抱きしめてかなり恥ずかしそうにしている。

 

愛宕「ではこのスイッチを押しま〜す♪」ポチットナ

 

 愛宕がとあるスイッチを押すと、皆がそれぞれ耳にはめているイヤホンに何やら賑やかな声が聞こえてきた。

 これは皐月の三日月型ネクタイピンにこのためだけに仕込んだ盗聴器音声聞き取り器である。

 

愛宕「大丈夫ね♪」

足柄「後は皐月達を信じるだけね♪」

 

 これはどういうことかというとこの間、熊野が提督はガ○ダムが好きだ……という話をみんなにしたことがきっかけだった。

 そのことを聞いた重巡洋艦のLOVE勢達は艦隊のガ○ダム好きの者達に頼み、提督の元へガ○ダムの何が好きなのか、どんな台詞を気に入っているのかなどの質問をしてもらうことにしたのだ。

 そして今に至り、丁度LOVE勢の任務を遂行中の夕張、如月、皐月、長月、菊月は執務室に入ったところ。ただし如月は提督に会えるから付き合っただけである。

 皆は既に提督と本日秘書艦である夕立と自然な流れでお茶をすることに成功していた。

 

 

 執務室ーー

 

提督「ガ○ダムの話がしたいとは……やけに急な申し出だな」

夕張「ごめんなさい……提督がガ○ダム好きだと聞いたもので、つい////」

提督「あぁ、気にすることはない。好きな物は共有したいよな」ナデナデ

夕張「はぅ……はい♡」デヘヘ

 

 みんなでソファーテーブルを囲み、お茶をしつつ話題は本題へ。

 

皐月「司令官はどのシリーズが好きなの?」

提督「シリーズか……どれも好きだが、これといって印象深く残っているのは(うぃんぐ)と逆シ○アだな」

 

 

 高雄型姉妹部屋ーー

 

利根「Wと逆シ○ア……」メモメモ

筑摩「今度借りてきましょうね、姉さん」メモメモ

 

 

 執務室ーー

 

長月「ではモ○ルスーツは何が好きなんだ?」

提督「ト○ルギスⅢ、ナイチンゲ○ル、ジ○スナイパー、バイアラ○カスタムだな」

菊月「分かっているな……♡」←ナイチンゲ○ル好き

 

 

 高雄型姉妹部屋ーー

 

古鷹「ナイチンゲ○ルって?」

衣笠「小説に出てくるんだって」←ググった

鈴谷「小説か〜」グヌヌ

熊野「これを期に漫画以外も読んでみては?」フフフ

 

 

 執務室ーー

 

夕張「やっぱり、どのシリーズもどのモ○ルスーツも熱いわね♪」

夕立「夕立はあんまり分からないっぽい。絵を見れば分かると思うけど……」ニガワライ

如月「こればっかりはね〜♪」フフフ

 

 提督達の話について行けない如月と夕立。しかし如月の方は提督の無邪気な笑みにご満悦である。

 すると皐月が夕立に手招きした。夕立が皐月の元へ行くと、皐月は何やら耳打ちし、夕立は頷くと皐月から聞いたことをそのまま口にする。

 

夕立「再びジ○ンの理想を掲げるために! 星の屑、成就のために! ソロモンよ、私は帰ってきた!

 

提督「おぉ、それはあの名台詞だな!」キラキラ

如月(司令官、可愛い!♡)ギラギラ

 

 夕立の台詞にみんな大興奮。如月に限っては提督の少年のような笑顔に釘付けだ。

 

 

 高雄型姉妹部屋ーー

 

足柄「提督のこんな弾んだ声って新鮮ね♡」

羽黒「司令官さん、可愛いです♡」

 

 

 執務室ーー

 

皐月「ねぇねぇ、司令官……ボク、お願いがあるんだけど〜♡////」モジモジ

提督「何かな?」

皐月「えっと、ね……司令官にボクの好きなガ○ダムの台詞を言ってほしいんだけど〜……♡////」

全員『!?』ピクン

 

 皐月がそうお願いすると、ガ○タ達の目付きが変わった。

 もし提督がこのお願いを聞けば、みんな何かしらの台詞を言ってもらえることになる。つまり演技であれ、提督から好きな言葉を言ってもらえるのだ!

 

提督「あぁ、完全に真似は出来ないが、言うだけなら構わないよ」ニコッ

 

 その言葉に全員が心の中で歓喜し、自然とガッツポーズまで飛び出す。

 皐月は早速提督に言ってほしい台詞を伝えた。

 

提督「なかなかハードなものだな……こほん」

皐月「♡」wkwk

提督「俺はお前が……お前が……お前が好きだー! お前が欲しいぃぃ!」

皐月「司令官〜!♡」メロメロ

 

長月「い、いきなりだな♡////」ドキドキ

菊月「皐月のやつ……♡////」キュンキュン

夕張「……♡////」ドキドキ

如月「素敵……♡」ウットリ

夕立「うわぁ〜!♡」㌰㌰

 

 皐月が頼んだあの名台詞に全員がときめき、皐月に至っては思わず提督に抱きついてしまう。

 

 

 高雄型姉妹部屋ーー

 

鈴谷「やっばぁ♡////」ドキドキ

熊野「……♡////」プルプル

愛宕「素敵〜♡」

高雄「え、えぇ♡////」ドキドキ

摩耶「……♡////」コクコクコクコク

 

 

 執務室ーー

 

夕張「あ、あの〜、次は私が♡////」ノ

提督「いいぞ♪」

 

 続いて夕張が提督に名台詞を伝える。

 

提督「そんなに付きまとうな! 過剰な期待に答えたくなるではないか!」

 

 皮肉った意味の名台詞だが、これはLOVE勢からすれば皮肉でもなんでもない言葉だった。

 

夕張「はぅ〜♡」ウットリ

皐月「答えてくれる……♡////」

長月「あ、あの台詞がこうも強力とは……♡////」

菊月「や、やばいな♡////」

如月「そんなこと言われたら追いかけたくなっちゃう♡」ヤンヤン

夕立「この台詞好きっぽい〜♡」

 

 

 高雄型姉妹部屋ーー

 

利根「え、演技だというのに……♡////」

筑摩「素敵ですね♡」ゾクゾク

衣笠「かっこいい〜♡」

古鷹「面と向かって言われたら倒れちゃうよぉ、私……♡////」

 

 

 執務室ーー

 

 次は長月と菊月が一緒に提督へお願いをすると、

 

提督「恋を知ったんだ、誰が死ぬもんか!」

 

 提督はまたもノリノリで台詞を言う。

 

 するとみんなはもうお腹いっぱいとばかりに胸や頬を押さえた。しかしその後も沢山の台詞を提督に言ってもらい、お開きの頃にはキラキラ、デレデレ状態。

 因みに如月や夕立は大満足でキラキラデレデレに加えて身悶えていたとか。

 

 

 高雄型姉妹部屋ーー

 

 一方で、こちらの面々も執務室のメンバーと同じようなことになっていた。

 中でも古鷹、羽黒、摩耶、熊野、利根は刺激が強過ぎたのか、ちょっとばかし鼻から赤いLOVEが溢れてしまい、恍惚な表情を浮かべて気絶している。

 

愛宕「これ……録音機能もあるのよね?♡」ハーハー

高雄「そんな……まさか……♡////」ハァハァ

鈴谷「これはもう……♡」

足柄「永久保存ね!♡」メラメラ

筑摩「皆さんで共有しましょう♡」ツヤツヤ

衣笠「賛成〜♡」ノシ

 

 その後、修正を少し加えた提督の熱い言葉だけが収録されたCDが酒保で発売されると注文が殺到。

 それにより艦娘達(LOVE勢)はキラキラを通り越してギラギラになるものの、中には鼻血、よだれ、おかしな笑いをし出すという副作用が続出したため、出撃前の時のみ明石酒保で聴けるよう、霧島や大淀といった艦隊の頭脳派達が定めた。

 もし違反した場合は提督への接近禁止令が出されるらしいーー。




 おまけーー

 ある日の大本営、艦娘宿舎、夜ーー

香取「愛宕さんに凄いとはお聞きしていましたが……♡////」ゾクゾク
鹿島「こんなに凄いだなんて……♡////」ピクンピクン

提督『俺はお前が……お前が……お前が好きだー! お前が欲しいぃぃ!』

香取「あぁ、だめ♡ そんなに求められたら私!♡」キュンキュン

提督『そんなに付きまとうな! 過剰な期待に答えたくなるではないか!』

鹿島「んぁ、先輩!♡ もっと……もっとぉ!♡////」キュンキュン

 提督のCDは同志である香取達の手にも渡っていた(差出人は山城)。
 これにより二人はギラギラ状態で大本営の任務をこなしたが、良い意味でも悪い意味でも色々と捗るため元帥から夜の視聴禁止令が出されたそうなーー。

 ーーーーーー

今回はノリノリの提督に艦娘達が翻弄される。というちょっとしたドタバタ回にしました!
知らない人には分かりにくいネタでごめんなさい。

そして今日は本編に出せませんでしたが、初春ちゃんの進水日です!
おめでとう!

それとこちらも本編に出せませんでしたが、今日はスラバヤ沖海戦があった日です。
この海戦後、イギリス重巡洋艦『エクセター』の乗組員376名を3月1日に駆逐艦『電』が救助。翌3月2日には駆逐艦『雷』が、イギリス駆逐艦『エンカウンター』等の乗組員422名を救助し、翌日、パンジェルマシンに停泊中のオランダ病院船「オプテンノート」に捕虜を引き渡したという話があります。
この海戦は日本の完勝とは言え、海戦では駆逐艦『朝雲』が大破し、死傷者も出ています。
この日に亡くなられた英霊の方々に心からお祈りします。

このような日にこのようなお話で大変申し訳ないのですが、どうかご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改50話

潜水艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 鎮守府本館内・廊下ーー

 

阿武隈「ごめんなさい、手伝ってもらっちゃって……」

大淀「気にしないでください。それにこの量を一人で運ぶのは大変ですし、私もこの時間は暇ですから」ニコッ

 

 本日秘書艦である阿武隈は伝令室に新しい書類を受け取りに来たのだが、その書類が思いの外多く、こうして大淀と共に運んでいるのだ。

 いつもならば姉達が自然と手伝いに来てくれるが、今日は長良と五十鈴は訓練、名取、由良は遠征、鬼怒は演習と任務が重なり阿武隈だけで頑張っている。

 

大淀「お姉さん達がいないと静かですが、それはそれで寂しいですね」

阿武隈「そうですね……でも、賑やかなのは変わらない……かも」ニガワライ

大淀「?」

 

 阿武隈の言葉や笑顔に大淀は小首を傾げた。しかし賑やかなのはいつものことなので、そのままの意味だろうと飲み込み、そうしている内に執務室に到着。

 

 ノックをし、声をかけると、中から提督の声がする。

 阿武隈がドアを開けた、その時、

 

 

 執務室ーー

 

イク「だーかーらー! でっちが向こうに行くの!」

ゴーヤ「イクが行けばいいでしょ〜!? それとでっち言うなでち!」

イムヤ「こら、二人共、司令官が困ってるでしょ!」

ニム「お姉ちゃん、ゴーヤちゃん!」アワワ

 

はち「落ち着いて本が読めない……」

しおい「この空気で読もうとしないでよ」ニガワライ

まるゆ「あ、あの、どうすれば……」オロオロ

 

ろ「みんな元気元気♪ ですって♪」ギューッ

提督「賑やかなのは良いことだ」ウンウン

 

 執務室内は騒然としていた。

 中でもイクとゴーヤはかなりヒートアップしていて、その理由は十中八九、提督の膝の上に座っている呂のせいだろう。

 

 それと執務室内にはいつもの家具が無く、ソファーテーブルがコタツに切り替えられている。

 

大淀「どうされたんですか、これは?」

阿武隈「ほら、今度新しく潜水艦の娘が二人着任しますよね? 今だと潜水艦寮にお部屋が無くて、今寮の改築してるんです。それでその間、潜水艦のみんなは執務室に……」ニガワライ

大淀「なるほど……」

阿武隈「コタツも今日だけ家具妖精さんにお願いして取り付けてもらったんですよ……それでろーちゃんが提督の所に座っちゃって、来る時からこうでした」メソラシ

 

 大淀に説明する阿武隈の目はハイライト先輩が消えていて、これまでの苦労を物語っている。それを理解した大淀はそっと阿武隈の肩を叩き、うんうんと頷くことしかしてあげられなかった。

 そんな中でも平然と笑っていられる提督を感心しつつ、大淀は阿武隈と提督の元へ。

 

大淀「提督、書類をお持ちしました」

阿武隈「机の所に置いておきますね」ニガワライ

提督「あぁ、ありがとう。大淀も手伝ってくれてありがとうな」ニコッ

大淀「いえ、大したことではありませんから」

提督「では早速取り掛かろう。ろよ、悪いが退いてもらっていいかな?」

 

 提督が呂に優しく声をかけると、呂は「は〜い♪」と返事をして提督の膝の上から退く。すると提督は呂に「ありがとうな」と言いつつ頭をポンポンと撫で、机に向かった。

 

ゴーヤ「イクのせいでてーとくが行っちゃったじゃん!」

イク「イクのせいじゃないの! でっちのせいなの!」

イムヤ「どっちもどっちでしょ!」

ニム「お願いだから仲良くして〜!」

 

 まだまだケンカは終わりそうになかったが、提督が机につくとイクもゴーヤもピタッと口を閉ざす。

 二人は前にも提督の執務中にずっと言い争いを続けたことがある。しかし提督に一喝され、それ以来は提督が仕事モードの時は言い争いをしないようになったのだ。

 これには他のみんなも驚いたものの、イクもゴーヤも互いのほっぺたを握り合っているため、収集はついていない様子。

 

大淀「あの、両サイドならばイクさんとゴーヤさんが争うことはないのでは?」

 

 大淀ははち達にそう声をかけた。

 

はち「今日は阿武隈さんが秘書艦だからね。だから提督の左側は阿武隈さんの席で、二人は空いてる右側を取り合いしてるの」

しおい「じゃんけんで決めようとしても、練習とか本番じゃないとかで決まらなくて……」ニガワライ

まるゆ「イムヤさんとニムさんが止めに入ったんですけど、あの通りで……」

 

 はち達の言葉に大淀は「なるほど……」と頷き、苦笑いを浮かべる。イクもゴーヤも凄まじい提督LOVE勢であり、一時期は自分達は潜水艦だから提督の布団にも潜る……と夜這いを決行したほど(その際、夜間見回りしていた神通にしょっ引かれた)。

 

大淀「ではあみだくじとかで決めてはどうです?」

しおい「それもダメなんだよね〜」ニガワライ

 

 しおいがそう言うと、はちが口を開く。

 

はち「ゴーヤは幸運艦だからね。イクの負けは目に見えてるのよ」

大淀「な、なるほど……」

しおい「LOVE勢同士、負けたくないってのがあるからね〜。イムヤみたいにもう少し空気読んでくれればいいんだけど」

まるゆ「普段は仲良しなのに……」

ろ「交代制にするぅ?」

 

 すると呂のところにイクとゴーヤが『kwsk!』と詰め寄ってきた。

 

ろ「え、えっとね……十分くらいずつみんなで交代すればいいかな〜って思って……」

 

 二人の剣幕に思わず不安気に呂が意見を述べると、二人は目を合わせ、その間に何やら物凄いアイコンタクトがバチバチと飛び交う。

 暫くすると二人は妥協点を見つけたのか、無言で、しかし爽やかな、やりきった笑顔で固い握手を交わした。

 

イ・ゴ『提督(てーとく)〜♡』ヒシッ

 

提督「どうした、二人共?」

 

イク「イク達寒いの〜♡」グイグイ

ゴーヤ「だからてーとくもコタツでお仕事してほしいでち♡ ゴーヤ達も手伝うから〜♡」ネ? ネ?

 

 もうこうなれば二人のチームワークは阿吽の域。二人は提督の両サイドに回り、提督におねだり攻撃。

 

提督「…………まぁ、せっかくのコタツだからな。今日はコタツで仕事をするか」ナデナデ

イ・ゴ『やった〜♡』バンザーイ

提督「ということで、阿武隈」

 

阿武隈「は、はい?」

 

提督「阿武隈もコタツに入ろう」ニコッ

阿武隈「え、あの……はい♡////」エヘヘ

 

 こうしてコタツに入りみんなが落ち着くと、大淀はそれにホッと胸を撫で下ろして伝令室へと戻るのだったーー。




 おまけーー

 その日の夜、潜水艦寮ーー

 イク・ニムの部屋ーー

イク「うわぁ、広くなったの!」
ニム「他の寮と同じになったね♪」

提督「何か不自由はないか?」
イク「ないの〜♡」
  (提督が同じ部屋ならもっと完璧なの!)
ニム「ないよ〜♪」


 イムヤ・はちの部屋ーー

はち「イムヤと同じ部屋だね♪」
イムヤ「うん、よろしくね♪」

提督「何かあれば言ってくれ。可能な限り改善するからな」ニコッ
はち「ん、ダンケ♪」
イムヤ「た、たまには遊びに来てもいいからね♡////」デレッ


 ゴーヤ・ろの部屋ーー

ゴーヤ「ろーちゃんが一緒とか、いつもと変わらないでち〜」ヤレヤレ
ろ「でっちとこれからも一緒〜、ですって♪」ギューッ

提督「沢山絵本を読んでもらいなさい」ナデナデ
ろ「うん、そうする〜♪」スリスリ
ゴーヤ「仕方ないな〜」クスッ


 しおい・まるゆの部屋ーー

しおい「ベッドフカフカ〜♪」ボフボフ
まるゆ「〜〜!」キラキラ←感動で言葉が出ない

提督「布団が良ければ言ってくれ。いつでも取り替えるからな」ニコッ
しおい「は〜い♪」
まるゆ「!」コクコクコクコク

 みんなはリフォームされた寮に大満足。
 こうして新たな仲間を迎える準備も整うのであったーー。

 ーーーーーー

今日はほのぼの回って感じですかね?
それと今日は大淀さんの竣工日なので登場させました!
おめでとう、大淀さん!
あと今年はありませんが、2月29日は清霜ちゃんの進水日です♪ これも重ねておめでとう!

少し早いですが、提督業をされてる皆様、イベお疲れ様でした!
それと重巡洋艦改二実装が来ますね……ザラさんが有力とありますが、個人的にはそろそろ本気で青葉さんの改二実装をしてほしいですね……。

とまあ私事は置いといて、読んで頂き本当にありがとうございました♪


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艦これSS改51話

あの時の海。の談。

重い話、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 埠頭ーー

 

長門「………………」

 

 潮風はまだ冷たいものの、よく晴れたこの日。

 長門は埠頭に立ち、まっすぐに空……というよりは水平線を見つめていた。

 

 風の音や波の音、中庭で遊ぶ駆逐艦達のはしゃぎ声や工廠から聞こえる金属音……静かとは言い難いが、穏やかな時が長門を包んでいる。

 

 しかし、長門の表情はどこはかとなく悲しそうで、それでも瞳には力強いものがあった。

 

 

 本日はキャッスル作戦のブラボー実験が実施された日である。

 この作戦はアメリカがビキニ環礁、エニウェトク環礁の二つの環礁で行なった、水素爆弾(水爆)実験であり、この作戦では合計で六回の実験が行われ、特に一九五四年の三月一日に行なわれたブラボー実験が最も有名。

 

 有名な理由としては、

 

ブラボー実験の成功が、爆撃機に搭載可能な実用兵器としての水爆の出現を意味したこと

 

アメリカの不十分な危険水域設定により、第五福竜丸を始めとする約千隻の漁船が被曝し、またロンゲラップ環礁などにも死の灰の降灰があり、二万人以上が被曝したこと

 

 これはアメリカが核実験で引き起こした最悪の被曝事故であり、実験を行なった島は消え去り、海底には深さ一二〇m、直径一.八kmのクレーターが出来た。

 

 長門は作戦は違えど、自分が沈んでいる同じ海で起きたことを他人事のようには思えず、埠頭でこの日被曝してしまった人々に黙祷を捧げていたのだ。

 

長門「………………」

 

 すると長門は背後に視線を感じ、振り返った。

 

提督「お邪魔かな?」ニコッ

長門「邪魔なものか」フフフ

 

 提督は長門の隣に立つと、長門と同じく水平線を見つめる。

 

長門「提督は何しに埠頭へ? 艦隊の出迎えか?」

提督「出迎えではないよ……ただ、今日は多くの人が犠牲となった日だからな。少しでもそのことを忘れないようにと、黙祷を捧げに来たんだ」

 

 長門は提督も自分と同じことをしに来たと知り、思わず胸が熱くなった。自分のことではなくとも、あの作戦のことをちゃんと知ってもらっていることが胸にきたから。

 

 提督は長門の隣で直立し、帽子を取ってから水平線へ向かって静かに黙祷を捧げた。

 

 この作戦、ブラボー実験ではあの広島型原子爆弾約千個分の爆発力(15Mt)の水素爆弾が炸裂、これは研究者達の予想を三倍も上回る結果だった言う。

 

 黙祷を終えた提督は長門の肩にそっと手を回し、自分の元へと引き寄せる。

 

長門「て、提督!?////」

提督「今はこうさせてほしい……作戦が違うとは言え、長門も想像を絶する最後を迎えてしまった。その長門が生まれ変わってきてくれたことを実感したいんだ」

長門「……提督……」

提督「生まれ変わってきてくれてありがとう、長門」

 

 提督が長門の目をまっすぐに見つめて言うと、長門は「あぁ」と小さく、しかし力強く返事を返した。

 それからは提督の肩に頭を乗せ、そのまま暫く愛する提督に肩を抱かれて海を眺めるのだった。

 

 

 埠頭前広場、物陰ーー

 

アイオワ「ど、どうする? 今ここで出て行ったら日本で言うKYよね?」

サラトガ「べ、別の場所で黙祷した方がいい、わよね?」

 

 長門が提督と埠頭で過す中、その後ろでアイオワとサラトガが隠れるように二人の背中を見ていた。

 

 二人にとってもこの日は複雑な日であり、今だからこそという思いであの作戦の犠牲者へ黙祷を捧げに来たのだ。

 ただ来たのは良いものの、提督と長門が何やら良い雰囲気なので出るに出れない感じ。

 

アイオワ「長門は提督LOVEだし、この空気を壊したらダメよね」ウンウン

サラトガ「なら浜辺に行く? 浜辺なら誰もいないだろうし……」

 

「アイオワさん、サラトガさん、何してるんですか?」

 

ア・サ『What!?』ビクッ

 

 背後から急に声をかけられた二人は思わず地が出てしまい、叫んでしまった。

 

プリンツ「どうしたんですか!?」

酒匂「な、何かあったの?」

 

 そこにはプリンツと酒匂の二人が立っていて、二人はアイオワとサラトガの叫び声に驚いて目を丸くしている。

 

アイオワ「ご、ごめんなさい……急に声をかけられたものだから、つい」ニガワライ

サラトガ「ビックリしたぁ〜」ヘナヘナ

プリンツ「こちらこそ、ごめんなさい」ペコペコ

酒匂「どっちもビックリしちゃったんだね」エヘヘ

 

 

 埠頭ーー

 

長門「何やっているんだ、あいつら?」

提督「どうしたのだろうな?」フフフ

 

 アイオワとサラトガの叫び声を聞いた提督と長門は振り返って、アイオワ達のやり取りを眺めていた。

 長門は首を傾げているが、提督はそのメンバーを見て察し、少し笑みを浮かべている。

 

提督「お〜い、みんな〜」ノシ

 

 提督がアイオワ達へ声をかけると、みんなはすぐに気が付いて提督達の元へやってきた。プリンツと酒匂は笑顔で手を振り返しているが、アイオワとサラトガはどこか申し訳なさそうな、恥ずかしそうな複雑な表情を浮かべている。

 

長門「もしかして、お前達…………」

 

 みんなの顔を見てやっと察することが出来た長門。

 長門の言葉にみんなが静かに頷くと、そのまま埠頭に整列した。

 

プリンツ「今日は忘れてはいけない日です」

酒匂「だから黙祷するの♪」

 

 二人がそう言うと、アイオワとサラトガは複雑な顔をしていた。しかし長門は透かさず二人に首を横に振って見せる。

 アイオワとサラトガが何を思い、何を感じているのか察した長門は目で自分の思いを伝えたのだ。

 それを見た提督は笑みを送る。

 

 するとアイオワとサラトガはまた静かに頷いて、アイオワ、サラトガ、プリンツの三名は帽子を取り、そして同時に水平線へ向かって黙祷を捧げるのだった。

 

 みんなが黙祷を終えると、みんなは笑顔で手を取り合って鎮守府へと戻ったーー。




 おまけーー

 戦艦寮、長門型姉妹部屋、夜ーー

陸奥「良かったわね、姉さん♪」
長門「? 何がだ?」
陸奥「これよ、こ・れ♪」つ写真

 写真には提督に肩を抱かれた長門の二人背中の写真が写されている。

長門「写真……青葉が撮ったのか?」
陸奥「そうよ♪ さっき姉さんがお花を摘みに行ってる間に持ってきてくれたの♪」
長門「そうか……まぁ、いつになくしんみりしてしまったが、最後はみんなして笑い合えた。こう言ってはなんだが、良い一日だったよ」フフフ
陸奥「いや、そうじゃなくて……まぁ、確かに姉さんにとっては良かったのかもしれないけど……」ニガワライ
長門「何が言いたいんだ? ハッキリしない奴だな」ムゥ
陸奥「提督とツーショットよ? しかも提督に肩を抱かれて……これもいい出来事の一つじゃない?」

 陸奥に指摘された長門はようやくことの重大さに気が付き、その顔をみるみる赤く紅潮させた。

陸奥「? 姉さん? お〜い、姉さ〜ん?」ノシ
長門「(((///Д///)))」プルプル
陸奥「ちょっと、長tーー」
長門「うわぁぁぁぁん!////」

 一気に押し寄せてきた羞恥心に長門は耐えきれず、そのままベッドへダイブし、頭まで毛布を被って身悶える。

陸奥「……今更ねぇ」ニガワライ

 その晩、長門は一睡も出来ず、目の下に大きなクマを作って提督に心配されたそうなーー。

 ーーーーーー

今日はちょっと重いお話にしました。艦これに直接関係はないですが、やはり触れておいた方がいいと思ったので。
本編の情報はWikipediaの『第五福竜丸』・『ビキニ環礁』・『キャッスル作戦』の記事から得ました。

記事にはもっと詳しくあります。しかしショッキングな内容もあるので、もし読まれる際にはご注意を。
自己責任でお願い致します。

被曝した多くの方々に心からお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改52話

心からのThank you. の談。

真面目なシーン、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一二四〇ーー

 

 執務室ーー

 

雷「は〜い、司令官♡ 午後のお仕事前に一服しなさい♡ 無理しちゃダメなんだから♡」

提督「色々と気を遣わせてすまないな」ナデナデ

雷「いいのよ〜♡ もっとも〜っと頼っていいんだからね♡」エヘヘ

 

 昼食を終え、本日秘書官の雷と執務室へ戻ってきた提督。相変わらず甲斐甲斐しく世話をやく雷だが、提督に撫でられて、それは更に加速する。

 提督に一服を勧め、雷はその間に見るべき書類を提督の机につつがなく並べていき、その表情はとてもキラキラしていた。

 

 するとドアがノックされ、提督が「入りなさい」と透かさず声をかける。

 

ウォスパ「お邪魔するわね。雷はいるかしら?」

 

 入ってきたのはウォースパイトで何やら雷に用がある様子。

 

雷「ウォースパイトさん? 私に何かご用?」

 

 雷がそう訊ねると、ウォースパイトはさり気なく提督の顔を伺う。提督は小さく頷くと、煙草の火を消し、スッと立ち上がって雷の肩をポンと叩いた。

 

雷「?」クビカシゲ

提督「ウォースパイトが雷の口から()()()のことを知りたいそうだ」

 

 提督がそう言うと、雷の眉がピクンと動く。提督の言葉とイギリス艦であるウォースパイト、そしてこの日ということで察した雷は「お茶淹れるわね♪」と笑顔を見せた。

 

 お茶の準備も終え、ウォースパイトがソファーへ腰掛けると、その正面に雷が座り、提督は雷の隣に腰を下ろす。

 

雷「何から聞きたいの?」

ウォスパ「当時の状況、そしてそこでどういうことがあったのか……それを聞きたいわ」

雷「分かったわ♪」

 

 すると雷は「えっとね〜……」と当時の記憶を思い浮かべ、静かに語り出した……

 

 ーー

 ーーーー

 ーーーーーー

 

 時は一九四二年、三月二日。一〇〇〇頃。

 先のスラバヤ沖海戦で艦が沈み、それから逃れた多くのイギリス兵達が海を漂流。

 何時間にも及ぶ漂流で精神的にも参ってしまい、劇薬で自決しようとする将官もいた。

 そんな中、たまたま、単艦でこの海域を哨戒中であった日本の駆逐艦『雷』が、漂流しているイギリス兵を発見。

 

 当時の雷の艦長、工藤俊作少佐(最終階級は中佐)は『敵兵を救助せよ』と乗組員に命令。

 多くの者が『艦長は正気なのか』、『元気になればまた襲ってくる』、『敵はうちの倍だぞ』と不安の声をあげる中、工藤艦長は武士道の精神に基づき、

 

『敵とて人間。弱っている敵を助けずして、フェアな戦いは出来ない』

 

 と言い、救難活動中だと知らせる国際信号旗を揚げた。

 

 それからは怪我人や病人を優先して引き上げ、当時では異例の一番砲塔の乗組員だけを残し、残り全員で救助活動を命じる。

 助かったと安堵する中、力尽き、海へ沈んで行ってしまう者もいた。しかし青年士官達が海へ飛び込み、その者達を救い、更には魚雷搭載用クレーンも使用して救助活動を行った。

 

 救助されたイギリス兵達を日本兵達が、アルコールを含ませた木綿の布で重油や汚物で汚れた顔や体を丁寧に拭き取り、貴重な真水、温かいミルクやビール、ビスケットを惜しげなく与え、更には新しいシャツと半ズボン、靴までも支給した。

 辺り一帯の救助が終わると、工藤艦長は『まだ終わってはおらん』と言い、遠方に見える敵兵も一人残らず救助。

 味方から戦闘になった際に燃料が足りなくなるとの言葉にも、工藤艦長は『足りなくなっても構わん』と言って救助活動を続け、四二二人を救助した。

 

 ーーーーーー

 ーーーー

 ーー

 

ウォスパ「『一人、二人を助けることはあっても、全員を捜し出すことはしないでしょう。困っている人がいれば、それが敵であっても全力で救う。たとえ戦場でもフェアに戦う。それが日本の誇り高き武士道である』と、当時救助された方がそう言っていたわ」

雷「えへへ、何か嬉しいわね♪ それでね、工藤艦長は甲板にイギリス軍の士官さんだけを集めてーー」

 

 You had fought bravely.

 

 Now you are the guests of the Imperial Japanese Navy.

 

 I respect the English Navy,but your government is foolish make war on Japan.

 

訳)諸官は勇敢に戦われた。

  今や諸官は、日本海軍の名誉あるゲストである。

  私は英国海軍を尊敬している。ところが、今回、貴国政府が日本に戦争をしかけたことは愚かなことである。

 

ウォスパ「ーーこう言ったのよね」フフ

雷「そうよ♪ それからお互いに敬礼して、翌日にはオランダの病院船に移乗させて、マサッサルの捕虜収容所へと移っていったの♪」

提督「その時の雷の様子を足柄に乗船していた高橋伊望中将殿は『こんな光景は初めて見た』と唖然としたそうだ」フフフ

雷「えぇ、そうなの!? ひど〜い!」プンプン

提督「更にその時、第三艦隊参謀で工藤艦長と同期の山内栄一中佐殿が高橋中将殿に、『工藤は兵学校時代からの愛称が「大仏」であります。非常に情の深い男であります』と言って高橋中将殿を笑わせたそうだ」

 

 提督が当時あったエピソードを笑顔で教えると、ウォースパイトも「まぁ♪」と言って口を手で押さえて笑った。

 

雷「でも本当に優しい人だったからね……それは否定出来ないわ」ニガワライ

ウォスパ「救助された人が『My Lucky Life』という自伝を書いててね。その自伝の一ページ目にはーー」

 

『この本を私の人生に運を与えてくれた家族、そして、私を救ってくれた工藤俊作に捧げます』

 

ウォスパ「ーーって書いてるのよ」ニコッ

提督「その方が自伝を書き、来日しなければこの話は誰も知らなかった。本当に感謝だな」

雷「ん〜、確かに感謝するけど、工藤艦長なら『俺は当たり前のことしかしてない。別に誉めることないじゃないか』って言うと思うのよね〜。あの人はそういう人だったから」クスッ

 

 その後も雷は工藤艦長の話をウォースパイトに聞かせ、気が付けば随分と時が過ぎ、時計の針は一五〇〇を指していた。

 

雷「いっけな〜い! もうこんな時間!?」

 

 ガチャーー

 

暁「雷〜、もう休憩時間になった?」ヒョコ

響「今日は司令官も一緒にお茶する約束だろう?」ヒョコ

電「どこでお茶するのです〜?」ヒョコ

 

 ドアを少し開け、串団子のように頭を並べる暁達。

 雷はもう大慌てで、いつもの頼り甲斐が鳴りを潜めてしまっている。

 

提督「ははは、落ち着きなさい。書類は特に大変な物はないからな。お茶した後だって十分に間に合うぞ」ナデナデ

雷「で、でもぉ〜」オロオロ

ウォスパ「素敵なお話を聞かせてもらったお礼に私の部屋にいらっしゃい。今はビスマルクもアイオワもいないから私が特別な紅茶をご馳走するわ」ニコッ

雷「い、いいの?」

ウォスパ「えぇ♪」

 

暁「英国淑女の高貴なる紅茶……」ゴクリ

響「私はロシアンティーがいいな」フフフ

電「楽しみなのです〜♪」ピョンピョン

 

 こうして一同はウォースパイトからおもてなしされ、その際にウォースパイトは電からも当時のことを話してもらった。

 お茶会が終わると提督と雷、暁達も執務を手伝い、雷は今日も笑顔の絶えない一日となったーー。




今日は工藤俊作中佐が救助活動をした日ということで、工藤俊作中佐のエピソードを書きました。

本編内の情報は『エクゼターとエンカウンター・・・日本の武士道精神』という記事、Wikipedia、2007年4月19日の奇跡体験!アンビリバボー・『誰も知らない65年前の奇跡』の動画から得ました。

工藤艦長のことをお話になった方は当時エンカウンターに乗っていた、元イギリス外交官のサー・サムエル・フォール卿であり、この方が来日した際、お話を聞き、本にまとめたのが元海上自衛隊士官の惠 隆之介さんです。
因みにその本のタイトルは『敵兵を救助せよ』です。

作中の「工藤艦長なら『俺は当たり前のことしかしてない。別に誉めることないじゃないか』って言うと思うのよね」という雷の発言元は当時雷の航海長、谷川清澄さんがアンビリバボーの取材で工藤艦長について語っていたところを元にしました。

工藤俊作中佐、サー・サムエル・フォール卿に心からお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改53話

着任式! 前編の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、〇九〇〇ーー

 

 埠頭ーー

 

神風「そろそろかな?」ワクワク

夕雲「そうね♪」フフフ

イク「見えたの〜♪」

 

 神風達は本日着任予定の艦娘を出迎えに来ていた。

 そして海の向こうからは、二つの人影と水面に二つの影が見えている。

 

 此度は四人の着任が予定されており、駆逐艦二名と潜水艦二名が着任する。

 入港し陸に上がった四人はそれぞれ笑顔を浮かべ、姉妹や戦友へ声をかけた。

 

松風「よ、姉貴♪ これからよろしく♪」ウィンク

神風「着任おめでとう♪ みんな待ってたのよ♪」

 

 神風型駆逐艦・四番艦『松風』

 ボーイッシュな見た目や口調をしており、歌劇団ぽい娘。

 

藤波「やほ〜、夕雲姉。これからよろ〜」ノシ

夕雲「はい、よろしくね、藤波さん」ニコッ

 

 夕雲型駆逐艦・十一番艦『藤波』

 軽くてフランクな性格の娘。

 

ヒトミ「イクさん、お久しぶりです。よろしく、お願いします」ペコリ

イヨ「イク〜、これからよろしく〜♪」ノシ

イク「ようこそなの♪」

 

 巡潜甲型改二・潜水空母・一番艦『伊一三』

 物腰が柔らかく、やや人見知りっぽい娘。

 

 巡潜甲型改二・潜水空母・二番艦『伊一四』

 姉とうり二つな容姿だが、姉と違い活発な娘。

 

 この四名が鎮守府に新しく加わった仲間であり、再会を喜び合った神風達は早速四人を執務室へと案内した。

 

 

 鎮守府本館内・廊下ーー

 

イヨ「ねぇねぇ、ここの提督ってさ融通が利く?」

イク「とっても優しいの♪ でも怒らせたら核兵器並に怖いの!」

イヨ「マジか〜、お酒飲ませてくれるかな〜?」

ヒトミ「イヨちゃん、お酒はほどほどにするって約束したでしょ!?」メッ!

イヨ「嗜むくらいはいいじゃ〜ん、それに飲むのはイヨで、姉貴と違ってすぐには酔わないもん」プイッ

ヒトミ「٩(。≧△≦。)۶」ポコポコ

イヨ「うわぁ、いたた! 泣きながら叩かないでよ!」

 

藤波「ねぇ、怒ると怖いってマジ?」

夕雲「まぁ、怒れば怖いわね〜」ニガワライ

松風「怒られなきゃいい話さ。資料を見た感じだと有能みたいだしね」アハハ

神風「あんたね〜、もう少し緊張感持ちなさいよ」

松風「これが僕だからね♪ 常に余裕ある行動をするのが僕のいいところさ♪」ウィンク

 

 そんな話をしていると、松風は突き当りで何かとぶつかり後ろに大きく仰け反ってしまった。

 

松風「うわぁっ」

 

 神風が急いで松風の背中を支えようとしたが、それよりも先に松風の体がフワリと浮く。

 ぶつかったのは提督で、その提督が急いで松風を背中に手を回して自分の元へと松風を引き寄せてたのだ。

 

松風「∃‰≠∂%≦∑∪∩θ!?」

 

 日本語とは思えない言葉をあげる松風。

 そんな松風を提督は心配そうに見つめる。

 

提督「私の不注意でぶつかってしまい、すまなかった。怪我はないか?」

松風「………………////」

 

 優しい声、優しい眼差し、力強く男らしい腕、どんなものも包み込むような包容力……何もかもが初めてで、それでいて嫌な感じがしない。それはまるで海に浮かぶような感覚で、松風は提督の瞳に釘付けになった。

 

提督「君は……松風だね?」

松風「ひゃ、ひゃい!////」

 

 急に自分の名前を呼ばれ、声が裏返る松風。先程までの余裕はどこへやら。松風はあたふたし、それでも提督に抱かれたままだった。

 

提督「こんな出会いですまない。私が君達の提督だ。一先ず執務室へ行こう。歩けるかな?」

松風「も、勿論!//// ほら、この通りさ!////」

 

 松風はそう言って提督の目の前でスクワットをし始める。神風が慌てて止めに入ると松風はプシューっと頭から湯気を出してしまう勢いで顔を赤くし、俯いてしまった。

 それでも提督は「元気なら良かった」と言って、松風の頭を優しく撫でる。すると松風は提督のふんわり滑らか手つき、それでいて頭のツボを的確に捉えるマジックハンドの虜となった。

 

夕雲「あらあら♪」

神風「松風もか〜」ニガワライ

イク「あれを喰らったらもう落ちるしかないのね」ウンウン

藤波(優しそうだけど、鈍感系かしら?)

ヒトミ(優しそうでよかった……////)ホッ

イヨ(これはお酒飲めるフラグ!)キラキラ

 

 そんなこんなで一波乱ありつつも、執務室に到着。

 

 

 執務室ーー

 

松風「ぼぼ、僕が神風型駆逐艦四番艦、松風だ//// き、キミが僕の司令官だね//// ぼぼぼ、僕の背中は任せたよ////」カオマッカ

 

藤波「夕雲型十一番艦、藤波よ。よろしくね、司令!」ニコッ

 

ヒトミ「大型潜水空母、潜特型を補完するために生まれました……伊一三型潜水艦、伊一三です。ヒトミとお呼びください」ケイレイ

 

イヨ「晴嵐運用のために生まれた伊号潜水艦、伊一四よ♪ イヨって呼んでね♪ よろしく!」ノシ

 

 それぞれ自己紹介をすると、提督はにこやかに頷き自分も座ったまま自己紹介をした。

 

提督「私がこの鎮守府を預かる提督だ。皆、これからよろしく頼む。先ずはここに慣れてもらいたい。そのためなら私でも、姉妹の者達や戦友達でも好きに頼ってくれ」

 

イヨ「はいは〜い! 質問!」

提督「何かな?」

イヨ「ここはお酒って飲めますか?」

ヒトミ「イヨちゃん!////」

提督「勤務時間外なら飲んでいい。だが、飲み過ぎて他の者の迷惑になるのだけは勘弁してほしい。でないと私は飲酒禁止令を出さなくてはならなくなる」

イヨ「了解で〜す♪」

 

藤波「なら藤波からも〜」ノ

提督「どうぞ」ニコッ

藤波「司令って『艦娘と一緒に前線に出る』って、もらった資料に書いてあったけどマジ?」

提督「あぁ、毎回ではないが自分の仲間は自分の手で守りたいと、常にそう思っている」

藤波「ふぇ〜……」

提督「足手まといにならぬよう、これからも精進する。一緒に赴く時はよろしくな」ニコッ

藤波「あはは、面白いね♪ いいよ〜、よろしくしてあげる♪」

 

 それから他の姉妹や仲間達が執務室へ四人の迎えに来て、四名はそれぞれに連れられ、これから暮らす寮や鎮守府内の見学に向かう。

 ただ提督はずっと自分のことを凝視していた松風が気になったが、目を合わせるとすぐに逸らされてしまうので、結局どうして凝視されているのか分からないままであった。

 

提督「やはりぶつかったことをまだ許してはもらえていないのだろうか……」ズーン

 

 好意を持たれたとは露知らず、提督はそう思いながら、またあとでちゃんと謝ろうと誓い、四人の着任式の準備へ自分も繰り出したーー。




前編終わりです♪

松風ちゃんは早速LOVE勢入りさせましたが、ご了承を。

後編もお楽しみに♪


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艦これSS改54話

着任式! 後編の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一一五〇ーー

 

 大広間外・ドア前ーー

 

松風「着任早々呼び出しだなんて何を考えているんだろうな」ニコニコ

藤波「そう言う割にはめっちゃ笑顔じゃん」ニガワライ

松風「な、何を言ってるんだ!?//// 笑顔だとしても普通の笑顔だろう!?////」

ヒトミ「まあまあ、松風ちゃん」ドォドォ

イヨ「でも大広間は中までは見てないから、どんな感じなのか楽しみ〜♪」

 

 着任したての松風達は鎮守府の見学後、提督に大広間前へ呼び出された。みんな何が起こるのか全く想像つかないが、鎮守府の雰囲気からして嫌なことは起きないだろうとは思っている。

 するとそこへ提督がやってきた。みんな提督に声をかける中、松風だけは髪や服を忙しなく整える。

 

提督「全員いるな?」

 

藤波「司令〜、ここで何するの?」

提督「鎮守府のみんなと顔合わせだ。中にはもうみんな集まっている」ニコッ

ヒトミ「なんだか恥ずかしいですね……////」ハゥ

イヨ「イヨは楽しみ〜♪ ねぇねぇ、早く入ろうよ♪」

 

提督「呼ばれるまでもう少し待ちなさい。呼ばれたら私を先頭に松風、藤波、ヒトミ、イヨの順で整列して単縦陣で行進だ」

松風「ず、随分と大袈裟な顔合わせなんだな////」チラチラ

藤波「でも歓迎されないよりはいいじゃん♪」

ヒトミ「ちゃんと目を見て話せるかな……////」

イヨ「イヨもいるし大丈夫だって♪」

 

『新着任艦の入場です!』

 

 そんな話をしているうちに中から声がかかり、ドアがゆっくりと開かれる。

 

四人『うわぁ〜♪』

 

 開かれた先には『着任おめでとう!』と大きく書かれた横断幕がステージ上に吊るされており、何より鎮守府総出での拍手に四人は驚いた。

 

 <チャーチャー チャッチャラチャッチャッ チャッチャラチャッチャッ♪

 

 提督を先頭に入場すると、妖精音楽隊による行進曲「軍艦」が鳴り響く。

 

『守るも攻むるも黒鐵(くろがね)の〜♪

 浮かべる城ぞ頼みなる〜♪

 浮かべるその城 日の本の〜♪

 皇國(みくに)四方(よも)を守るべし♪』

 

 曲に合わせ、艦娘達が合唱し、着任した松風達を出迎えた。松風達はみんなからの歌に感動しつつ、あの日の戦友達から花束等を受け取り、壇上へ上がる。

 

 曲が終わると、提督はステージ上のスタンドマイクの前に立ち、全体に声をかけた。

 

提督『皆、ここに立つのが我々の新たなる仲間だ。皆から見て左から松風、藤波、ヒトミ、イヨである。彼女達の着任を祝し、盛大なる拍手を送ろう』

 

 提督の挨拶に大広間からは割れんばかりの拍手喝采。それを受ける四人も嬉しそうに顔をほころばせている。

 

提督『そして今年も去年同様、着任式を兼ねた雛祭りを開催する!』

 

 その言葉に大広間からは歓喜の声が上がり、提督は松風達に自分達の後ろにある大きな布を取るように促した。

 布を取ると、そこには去年と同じく十壇もの雛壇があり、それぞれの壇には雛人形を模した妖精達が笑顔で鎮座。

 それから松風達は順番に壇上へ上がってくる艦娘達に甘酒を配り、配り終えると提督の乾杯の音頭で雛祭りパーティが幕を開けた。

 

 ーー

 

間宮「は〜い、ちらし寿司や手巻き寿司はこちらですよ〜♪」ノシ

 

伊良湖「桜餅、すあま、ういろう等の甘味はこちらで〜す♪」ノシ

 

鳳翔「汁物はこちらにありますからね〜」ニコッ

速吸「お飲み物はこちらです♪ 日本酒等のお酒もありますよ〜♪」ニコッ

 

イヨ「かぁ〜♪ お酒美味し〜♪」プハー

隼鷹「いい飲みっぷりだな♪」

千歳「どんどん飲んでね♪」

ポーラ「美味しいものはどんどん飲んじゃお〜♪」

 

ヒトミ「(*;Д;)」アワワワ

イク「そんなに心配しなくても大丈夫なの」イヒヒ

ニム「ほら、あそこ見て」ニガワライ

 

飛鷹「(#・∀・)」

千代田「(#^ω^)」

ザラ「(#ㆁ言ㆁ)」

 

ヒトミ「((((;゚Д゚))))」ヒィッ

ゴーヤ「粗相したら三人の保護者が連行するでち」ニガワライ

ろ「だから安心してね♪」

しおい「別の意味で安心出来ないかも」ニガワライ

まるゆ「あはは……」

イムヤ「ま、私達は私達で楽しく過ごしましょ♪」

はち「そうそう。楽しんだもん勝ちだよ」モグモグ

 

清霜「藤波姉さん、着任おめでと〜♪」ギューッ

藤波「あはは、サンキュ♪」ナデナデ

沖波「今日は楽しんでくださいね」ニコッ

早霜「何が食べたいですか?」ニコッ

朝霜「あたいらが持ってきてやるから言いな♪」

藤波「なら手巻き寿司♪ マグロで!」イッヒヒ

朝霜「あいよ♪」

早霜「今もらってくるわね♪」

 

朝風「ちらし寿司持ってきたわよ♪」

春風「すあまもありますよ」ニコッ

松風「ありがと、姉貴♪」

神風「司令官のところへは行かなくていいの?」

松風「な、なんのことかにゃ?////」カミカミ

神風「だってずっと司令官の方を見てるから」

春風「あら、松風さんも司令官様を?」ニコニコ

松風「い、いや、ぼぼぼ僕はべべべ別に////」

朝風「その反応は認めてる反応よ?」ニガワライ

松風「(*ノ△ノ*)」イワナイデー!

 

 みんなそれぞれ食事を堪能する中、ステージ脇に雲龍型姉妹の姿が見えた。どうやらこれから有志によるステージ発表があるようだ。

 

雲龍『最初の出し物は、阿賀野型姉妹のみんなが「恋愛サーキュレーション」を歌ってくれるそうよ』ニコッ

天城『歌だけでなく、ダンスにもご注目ください♪』

葛城『阿賀野型姉妹のみんな、よろしく〜♪』

 

 ーー

 

阿賀野『せ〜の♪』

能代『でも そんなんじゃ だ〜め♪』

矢矧『もう そんなんじゃ ほ〜ら♪////』

酒匂『心は進化するよ♪』

阿賀野『も〜っと もっと♪』

 

 〜メロディ〜♪

 

阿・能『ふわふわり ふわふわる♪』

矢・酒『あなたが名前を呼ぶ それだけで 宙へ浮かぶ♪』

 

矢・酒『ふわふわる ふわふわり♪』

阿・能『あなたが笑っている それだけで 笑顔になる♪』

 

夕張「阿賀野〜♪」ノシ

神通「能代さ〜ん♪」ノシ

霞「ヾ(✧△✧。)ノ」ピョンピョン

プリンツ「酒匂さ〜ん♪」ノシ

 

姉妹『♪』ニコッ

 

 〜〜♪

 

阿・酒『そう そんなんじゃ や〜だ♪』

能・矢『ねぇ そんなんじゃ ま〜だ♪』

姉妹『私のこと 見ててね ず〜っとずっと♪』ウィンク

 

 \パチパチパチパチ/

 

雲龍『阿賀野型姉妹の皆さんありがとうございました♪ とても可愛かったわ♪』パチパチ

天城『続きまして、白露型姉妹の皆さんがあの名曲「WAVE」を歌って踊ってくれますよ♪』

葛城『普段の可愛さは消えて、格好良くなってるかも!? てな訳で、どうぞ〜♪』

 

 ーー

 

 〜メロディ〜♪

 

海風『間違えて宇宙終わって 青信号はいつも通り〜♪』

山風『飛んでまた止まって また飛びそうだ〜♪////』

江風『ココロコネクト 古代人と恋した〜♪』

涼風『妄想コレクト 化石的なロマンス〜♪』

五月雨『はぁ……夢に踊るの〜♫』

 

川内「海風〜♪ 江風〜♪」ノシ

那珂「山風ちゃ〜ん、涼風ちゃ〜ん♪ カッコカワイイよ〜☆」ノシ

電「五月雨ちゃん、格好いいのです〜♪」ピョンピョン

漣「決まってるよ〜♪」ノシ

 

五・海・山・江・涼『♪』ニコッ

 

 〜〜♪

 

時雨『考えてみて止まって 赤信号は狙い通り〜♪』

村雨『逃げたくて滑って また逃げそうだ〜♪』

夕立『開けネクスト 宇宙人とSkype〜♪』

春雨『妄想セレクト 電波的なロマンス〜♪』

白露『はぁ……夜に眠るの〜♫』

 

山城「時雨〜♪」ノシ

満潮「〜♪」ノシ

山雲「格好いい〜♪」ノシ

朝雲「♪」パチパチ

扶桑「♪」ニコニコ

最上「時雨〜♪」ノシ

由良「みんな〜♪」ノシ

長良「素敵だよ〜♪」ノシ

五十鈴「夕立〜、しっかり〜♪」

名取「白露ちゃんもね〜♪」

阿武隈「〜♪」ニコニコ

鬼怒「みんなパナイよ〜!」

 

白・時・村・夕・春『♪』ピース

 

 〜〜♪

 

白露型姉妹『ららら〜 らら〜 らら〜♪』キメッ

 

 \パチパチパチパチ/

 

雲龍『白露型姉妹のみんな、素敵なダンスと歌ありがとうございました』ニコッ

天城『ここで小休憩を挟みます♪』

葛城『小休憩が終わっても有志発表はあるから期待しててね〜♪』

 

 こうして雛祭りパーティは夜まで続き、那珂のゲリラライブ、艦娘桜餅大食い大会、提督の飛び入りダンス披露と最高の雛祭りパーティとなったーー。




後編終わりです!

お気付きの方も居るかと思いますが、本編内の白露型姉妹の「WAVE」ネタはにこにこする動画サイトの
【第18回MMD杯本選】WAVE feat.Shiratsuyu-Class【MMD艦これ】
を参考にしました♪

出せなかった艦娘についてはご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改55話

白露型駆逐艦のみ。

真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、二一〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「本当にこれまでと同じでいいのか?」

村雨「えぇ♪ 寧ろ私はこれがいいの♡」ギューッ

 

 提督は執務室のソファーへ村雨を膝の上にお姫様抱っこのように抱えた状態で座っている。

 一方の村雨は提督にピッタリとくっついて提督の胸板に顔を埋めたり、提督の頬に頬擦りしたりとゴロニャン状態。

 

 どうしてこのような状況なのかというと、本日は村雨にとって特別な日だからである。

 

 一九四三年・三月五日

 日本海軍の白露型駆逐艦『村雨』と朝潮型駆逐艦『峯雲』がコロンバンガラ輸送作戦中にアメリカ駆逐艦群の攻撃を受け撃沈した日で、この海戦は『ビラ・スタンモーア夜戦』と呼ばれている。

 

 当時の情勢は日本が『第三次ソロモン海戦』に敗れたあと。

 日本はガダルカナル島から撤退、次の拠点をニュージョージア島とし、村雨は峯雲と共に輸送任務を任された。

 しかしこの時、既にアメリカ軍はこの二隻の駆逐艦をターゲットとして着々と準備を進めていたのだ。

 

 当初の予定では日本が築いたムンダ飛行場へ砲撃を行う予定だったものを、六隻の艦隊なら二隻の駆逐艦など恐るるに足らず判断した故の夜戦だった。

 アメリカ軍は開発が進んでいたレーダーを駆使し、闇夜に紛れて奇襲を仕掛け、レーダーを積んでいない村雨、峯雲の両艦は唐突な砲撃に面食らい、それが艦隊による攻撃ではなく空襲だと判断していた。

 

 しかし見えない敵からは次々と砲弾が放たれ、峯雲は被弾後に炎上。村雨も機関をやられ、その後も容赦なく繰り広げられる砲撃に晒されることになり村雨は峯雲と共に沈没。

 

 この『ビラ・スタンモーア夜戦』は、日本の駆逐艦が二隻とはいえ、レーダー射撃で全く何もできずに敗北したという、アメリカ軍にとって実は重要な夜戦となり、これまで水雷戦、特に夜戦において日本の訓練された攻撃に手を焼いていた状況を、この戦いでレーダー射撃の有用性が証明したのだ。

 更にアメリカ軍は村雨、峯雲を轟沈させたあとでコロンバンガラ島への艦砲射撃も行っており、これにより目標は徹底的に破壊された。

 

提督「よしよし」ナデナデ

村雨「安心するわ……♡」

 

 見えない敵から降り注ぐ砲撃。これがどれだけ怖いことか……。

 ここに着任した時の村雨は自分の最期の日が近づくにつれて身体の震えが止まらなかった。そんな村雨を優しく介抱したのが、提督だった。

 村雨が落ち着くまで抱きしめ、優しく「君は村雨だが、今日沈むことはない」と諭し、一晩中寄り添ってあげた。村雨が提督LOVEになったのも、これがきっかけだったと言っても過言ではない。

 

 よって村雨はあの日から、自分の轟沈した日はこうして提督に優しく抱かれるのをご所望している。

 ただ、それはあの時みたいに一晩中ではなく、あくまで自分が沈んだ時間を過ぎるまでの間だ。それ以上となると、今の鎮守府では朝から大戦へ突入しかねない。

 

村雨「提督、今年もありがとう」

提督「何かお礼を言われるようなことをしたかな?」

村雨「もぉ……今年もちゃんと私の大切な日を覚えててくれたからよ」フフ

提督「当然だろう? 村雨が沈み、峯雲が沈み、更には多くの英霊の方々が亡くなった。悲しいことだが忘れてはならない日だ」

 

 提督が当然のように返すと、村雨は胸がポカポカと熱くなった。

 こんなにも自分を覚えて、更には当時の乗組員の人々のことまでも考えてくれている……そう深く感じた村雨が体を熱くするのも当然のこと。

 夕方も黙祷を捧げてくれたり、昼間も何かと気を遣ってくれたりと、村雨にとっては本当に今日は幸せな一日だった。村雨は英霊の方々に不謹慎だと思いつつも、そう感じられた一日を過ごしたのだ。

 

村雨「提督みたいな人が村雨の提督で、私は幸せよ♡」

提督「私がしていることは些細なことさ。村雨は勿論、艦隊全員がこういった日でも笑顔を絶やさないでほしい。これまでもこれからも……」

村雨「提督……♡」

提督「だからこれはいわば私のワガママみたいなものだ。皆の悲しみにくれる表情は見たくないからな」

 

 提督はそう言うと、村雨を抱く手に少しだけ力が入った。それを肩に感じた村雨はまたトクンと胸が跳ねるのを感じ、提督に「ありがとう」と伝えるように、また提督の胸板に顔を埋める。

 すると提督はまた優しく頭を撫で、村雨はそれが心地良くて甘えたような、甘い声をもらした。

 

 するとそこに何者かが執務室のドアをノックしてきた。

 提督は村雨に「入れてもいいか?」と目で合図をすると、村雨はニッコリと笑みを返す。

 

提督「入りなさい」

 

 いつも通りに返すと、控えめにドアを開けて頭をちょこんと見せる者達がいた。

 

夕立「村雨〜」

五月雨「元気出ましたか?」

山風「村雨姉……」

 

 それは村雨を心配して様子を見に来た、妹達。

 今日は村雨が提督に甘える日。それを理解している姉妹達はあえて今まで様子を見には来なかったが、どうやらこの三人は我慢出来なかった様子。

 提督と村雨は三人に中へ入るよう手招きすると、三人は嬉しそうにパタパタと二人の元へ近寄った。

 

夕立「えへへ、村雨が震えなくて嬉しい♪」

五月雨「あの時は大変だったもんね♪」

山風「あたしは知らない、けど……やっぱり、心配で……」ウゥー

村雨「ありがとう、三人共♪ でも提督のお陰でこの通りよ♪」

 

 夕立は提督の右側、五月雨は左側、そして山風は提督の背中側へとひっつき、村雨のご機嫌な様子に安堵した。

 

提督「他の姉妹達はどうだ? ちゃんと皆に言って来たのだろう?」

 

 そう提督が訊ねると、三人は揃って目を逸らす。何故なら、三人共黙って部屋を抜け出し、寮の前で鉢合わせたからだ。

 

村雨「もぉ、貴女達〜」ニガワライ

提督「各部屋の姉妹が心配しているだろう。早く連絡ーー」

 

 連絡をしなさいと言おうとした矢先、今度は執務室のドアがバーンと勢い良く開いた。

 そこには白露、時雨、春雨、海風、江風、涼風の姿があり、みんな何か言いた気な顔をして入ってくる。

 

白露「何も言わずに出て行った悪い子はだ〜れだ〜?」ニッコリ

時雨「あれれ? ここにその悪い子がいるね♪」ニコニコ

 

夕立「あわわわ……」

 

春雨「勝手な行動した人はどこかな〜?」ニッコリ

涼風「あるぇ? こんなとこにいたぞ〜?」ニコニコ

 

五月雨「ぴぃっ!?」

 

海風「行くなら行くって言ってから行きなさい」ハァ

江風「そうだぜ! 江風達を置いてくなよ!」

 

山風「ご、ごめんなさい……////」

 

提督「ははは、皆村雨が心配だったんだな」

村雨「ふふふ、みんなったら」クスクス

 

 その夜、村雨は提督と姉妹全員と最期の時まで過ごし、幸せな気持ちであの時を迎え、提督や姉妹のみんなに心から感謝したーー。




今日は本編に書きました通り、駆逐艦『村雨』と駆逐艦『峯雲』が沈んでしまった日です。
この日沈んだ、二隻と亡くなられた英霊の方々に心からのお祈りします。

本編内の情報は『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改56話

海外艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。

いつもより少し長めです。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 工廠ーー

 

松風「よし、こんなものかな♪」

朝風「松風〜、魚雷発射管の整備終わった〜?」

松風「あぁ、今終えたよ、姉貴。そっちはどうだっーー」

 

提督「やぁ、松風」ニコッ

 

松風「たぁぁぁうぁぁぁぁ!?////」ボンッ

 

 提督がいたことに気がついた松風はとんでもない声をあげ、持っていたスパナを落とした。

 不運にもそれは松風のつま先に落下し、松風は二重の恥ずかしさでその場にうずくまってしまう。

 

松風(ぼ、僕としたことが、こんなことで取り乱すなんて……//// 司令官に変な子だって思われちゃう//// いや、いやいやいやいや!//// 司令官がどうこうとか関係ないよな、司令官のことは好意的に見てるけど、それだけうんそれだけなんだからな!////)

 

提督「だ、大丈夫か松風?」

朝風「あ〜大丈夫大丈夫〜。司令官の前ではおっちょこちょいだからあの子」

 

 心配する提督をよそに、朝風は何でもないと提督に伝えつつ、未だ百面相をしている松風の元へ。

 

朝風「ほ〜ら、松風。司令官が心配してるわよ?」

松風「僕はいつでも行けるぞ、司令官!////」ガバッ

朝風「どこに行けるのよ……とにかく終わったならスパナ貸して」ニガワライ

 

 朝風にそう言われ、松風はまた顔を真っ赤にして朝風にスパナを渡した。

 朝風がスパナを片付けに行ったあとで、松風はオズオズと提督の隣へ。

 

松風「し、司令官はなんで工廠にいるんだ?////」

提督「工廠から連絡があってな。ザラの改二への改造が終わったから、その出迎えにな」ニコッ

松風「そ、そうか……司令官は優しいんだな////」

提督「褒めるようなことじゃないさ」ナデナデ

松風「んんっ、でもやっぱり改造した時は一番に司令官に見てもらいたいって思う……だからきっとザラも喜ぶと思うんだ♡////」ホワワーン

 

 口では真面目なことを言っていても表情は蕩けている松風。

 すると改造室から工廠妖精達が現れる。

 

工廠妖精α「ふぃ〜、最高の出来だぜ〜」ホッコリ

工廠妖精β「自分の腕に惚れるぜ♪」ニシシ

工廠妖精γ「またいい仕事をしてしまった」フフリ

 

 みんな満足気な顔で汗を拭いており、見ているこっちも笑顔になる程だ。

 そしてその後ろから、

 

ザラ「ん〜、身体が軽い♪ これが改二なのね♪」

 

 本日の主役、ザラが登場した。

 

提督「おめでとう、ザラ。素敵になったな、これからもよろしく頼む」ナデナデ

ザラ「はい♪ 提督や艦隊の皆さんのためにこれからも頑張ります♪ 粘り強さも更にパワーアップですよ♪」フンスフンス

 

松風「へぇ、これが改二か……なんというか、オーラが違うな」シミジミ

ザラ「Grazie♪」ピース

 

 ザラが改二へとなったからか松風が感嘆の声をあげると、ザラは嬉しそうに返す。その表情はどことなく大人びて見えるが、改二前の幼い見た目もちゃんと残っている。

 服装面での変化は小さいが、細かい変化でセクシーさが増しており、スカートのスリットと胸元の一部がくり抜かれたようなコルセットが特徴的な制服となった。

 

工廠妖精α「こちらが改造後の性能値です」つ資料

提督「うむ、ありがとう」ウケトリ

 

 渡された資料内容はまさに改二の性能の良さを物語る内容だった。

 耐久+6、装甲+10、火力+12、雷装+8、回避+1、対空+18、搭載数+7、運+5(上限+14)と昼砲撃戦能力が強化される形。

 装備出来る艤装の種類も増え、熟練艦載機整備員の装備が可能となった他、主砲と合わせればその最大火力は117にも及び、小型の戦艦と言えるレベルだ。更に大型探照灯も装備可能ときている。また対空値も高くなり、その数値は摩耶改二に次ぐ数値を叩き出しているほどだ。

 その反面、重巡改二の中では夜戦火力が劣ってしまっているものの、改造内容は申し分ない。

 

朝風「あら、ザラさん改造終わったの?」

ザラ「朝風ちゃん、えぇ、この通りよ♪」

朝風「わぁ〜、素敵〜♪ ポーラさんが妬んじゃうんじゃない?」クスクス

ザラ「あはは、そうだといいんだけどね〜……」ニガワライ

朝・松『?』クビカシゲ

ザラ「どうせお祝いにかこつけてワインを飲もうという魂胆が朝から丸見えだったからね〜。これザラ姉様のために開けるボトルなの〜、ウフフって抱きしめてたし、こっちのボトルも開けちゃう〜とか日本酒の瓶持って言ってたし……ザラ改二後の初めてのお仕事はポーラにお説教かもしれないわ……」ブツブツ

 

 ハイライトさんを不在にしてぶつくさとつぶやくザラ。そんなザラを見て、朝風も松風も苦笑いしか返せなかった。

 

提督「そうネガティブに捉えてはいけないぞ? ポーラはポーラなりの礼を尽くそうとしているのだからな」ナデナデ

ザラ「提督……」

提督「寧ろ、お酒無しのポーラを想像出来るか?」

ザラ「…………出来ません」ニガワライ

提督「だろう? 大丈夫、ザラのめでたい日に泥酔なんてしないさ」ニコッ

ザラ「はい♪」ニッコリ

 

提督「では、皆にその晴れ姿を見せに行くとしようか」

ザラ「はい♪ 新しいザラを皆さんにお見せしちゃいます♪」

 

朝風「それじゃ、私達は部屋に戻りましょ♪」

松風「あぁ、そうだな♪ 神風姉貴達も待ってるだろうし」フフ

 

提督「二人によろしくな。また会おう」ニコッ

ザラ「Ci vediamo(またね)♪」ノシ

朝風「は〜い♪」ノシ

松風「ま、またな////」ノシ

 

 こうして提督はザラと一緒にポーラの待つ重巡洋艦寮へと向かうのだった。

 

 

 重巡洋艦寮、ザラ・ポーラ・プリンツ部屋ーー

 

 意気揚々と部屋に戻ったザラ。しかしそこで何とも言えない光景を目の当たりにした。

 

ポーラ「ザラ姉様〜、due(改二)への改造おめでと〜♪」

プリンツ「あはは……」ニガワライ

 

 そこには妹のポーラが既にワインボトルを三本も開けているからだ。

 

イタリア「テイスティングするって言ってそのまま……」ニガワライ

ローマ「止めたんだけど、遅かったわ」クッ

アクィラ「水を飲むが如くで……」アハハ...

リベ「気がついたら三本開けちゃってた〜」ニガワライ

 

ザラ「ポォォォォラァァァァ!!!!」←修羅化

 

 ザラはキレた。改二になったからか、その怒り方もパワーアップしており、まるでなんたらゲリオンの初号機暴走並の修羅と化している。

 

ポーラ「ひぃぃぃ! ザラ姉様、待ってぇぇぇぇ!」ガクブル

プリンツ「これ元々空いてるボトルなの!」

アクィラ「ちょっとした悪戯心からなの!」

 

ザラ「悪戯……?」ゴゴゴゴゴ

ポーラ「(´;д;`)」コクコクコクコクコク

 

 ザラはポーラの息のニオイを嗅ぎ、お酒のニオイがしないことを確認すると禍々しい修羅のオーラが消えた。

 

ザラ「は〜、良かった♪ もぉ、ポーラったらこんな悪戯しちゃダメじゃない♪」ナデナデ

ポーラ「ご、ごめんなさい……」ブルブル

 

イタリア「それはそれとして♪」

ローマ「私達から改二へのお祝いよ」ニコッ

リベ「喜んでくれると嬉しいなぁ〜♪」エヘヘ

 

 二人はそう言って部屋の冷蔵庫から大きなティラミスを持ってきた。ココアパウダーの上には粉糖で『♡Auguri(おめでとう)♡』とデコレーションされている。

 

ポーラ「ざ、ザラ姉様のためにみんなで作ったお……ブランデーじゃなくて、ホワイトワインを使った特製ティラミスだお……」

 

 まだ怖さが抜け切ってないポーラは少々噛みながらもザラにおめでとうという気持ちを伝えた。

 するとザラは感動のあまり号泣。ポーラやみんなに何度も何度もありがとうと伝え、ポーラやプリンツが優しく寄り添った。

 

 それからは提督も加えたちょっとパーティが開かれ、ザラはみんなに感謝して最高の時を過ごしたーー。




今回はザラさんの改二おめでとう回にしました♪
改造レベル88というのを見て、思わず「ふぁっ!?」リアルに叫んだのは内緒。←

読んで頂き本当にありがとうございました♪


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艦これSS改57話

春ですよ〜! の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、〇八〇〇ーー

 

 花壇に植えた木蓮の花が早いものでは咲き誇り、鎮守府にも春の訪れが目に見えてきた今日この頃。

 変わらず中庭で元気に遊ぶ駆逐艦達の明るい声に呼応するかのように、野鳥やカモメ達もさえずる。

 

 

 野外グラウンドーー

 

 そんな穏やかな日和の中、野外グラウンドはそんなこととは無縁の空気が張り詰めていた。

 

大鳳「ほらー! そこ! ペースが落ちてますよ! それで贅肉が落ちると思ったら大間違いですよ!」

長良「ほらほら! 歩くの禁止!」

神通「心から痩せたいと願ったのではないのですか!?」

矢矧「泳げない豚はただの豚よ!」

 

 四人の鬼軍曹にしばかれている者達は、この冬に少々バルジが重くなってしまった面々である。

 みんな重たくなった自身の体に鞭打って懸命に走り、元のウェイトを取り戻そうとしている。

 

アイオワ「こ、こんなにキツイだなんて!」

ビスマルク「ビール飲み過ぎた結果がこれなんてぇぇぇ!」

瑞鶴「あ、アメリカの海兵隊もびっくりね!」

グラーフ「不覚だぁぁぁぁ!」

衣笠「あ、愛宕さんもっと足上げなきゃ!」

愛宕「これでも頑張ってるのよぉ〜!」

阿賀野「ふぇ〜ん、もぉやだ〜!」

夕張「めげちゃ駄目よ!」

初雪「脇腹がががが……!!!!」

秋雲「秋雲の吐き気がDangerzone!」ウップ

 

 そして、

 

藤波「聞いてはいたけど、キッツ!」

松風「で、でもみんな頑張ってるぞ!」

ヒトミ「イヨちゃん大丈夫?」

イヨ「だいじょばないぃぃ!」

 

 新しく着任した者達もしっかりと訓練に励んでいた。

 その中でもヒトミはまだ余裕があるのか、四人の中では先頭を走っている。

 

 しかし何よりみんなが頑張れる理由があった。

 それは、

 

提督「皆、もう少しだ共に乗り切ろう!」

全員『はい!』

 

 訓練に参加している提督の存在である。

 本日の提督は急ぎの仕事が無いため、みんなに付き合ってこうして参加しているのだ。提督が参加することでみんな(特にLOVE勢)が怠けることなく頑張るので、大鳳達がお願いして今に至る。

 LOVE勢は提督の爽やかな笑顔に光る眩しい汗を燃料に、それ以外の者達は共に頑張ってくれる提督のためにとグラウンド十周(一周四〇〇m)の十セットという()()()()をこなしている。

 

 五セット目を終えると、次のセットから大鳳達も加わり、追い抜かれた時点でもう一セット追加されるという恐怖の準備運動だが、みんな元から身体能力は優れているためちょっとやそっとでは追いつかれない……

 

アイオワ「Noooooo!!!!」ドドドドド

グラーフ「少しは静かに走れんのか!」タッタッタッ

大鳳「そんなペースでは追いついてしまいますよ〜♪」

長良「もう少しで追いついちゃうぞ〜♪」

 

阿賀野「声がすぐ後ろから聞こえるぅぅぅ!」

初雪「ひぃぃぃぃっ!」

秋雲「のわぁぁぁっ!」

イヨ「いやぁぁぁっ!」

藤波「シャレにならないって!」

矢矧「ほら、ダッシュダッシュ〜♪」

神通「提督に情けないところをお見せしてはいけませんよ〜♪」

 

 ……はずである。

 

衣笠「後ろのみんなは大丈夫かな〜?」ニガワライ

夕張「わ、分からないけど、大丈夫だと信じましょう! 私達も追いつかれないように頑張らなきゃ!」

提督「その粋だ、皆、頑張ろう」ニコッ

ビスマルク「頑張ろ〜♡」デレデレ

愛宕「提督についていけば安心よね〜♡」ニコニコ

瑞鶴「慢心せずに頑張るわ♡」キラキラ

ヒトミ「イヨちゃん……」

松風「まあ、大丈夫だろう。僕らは僕らなりに司令官と一緒に頑張ろう♡」

 

 提督と共に頑張る者達は後方で悲鳴をあげる仲間達を気に掛けつつ、提督とほんわかトレーニングに精を出す。

 実のところ、大鳳達は中弛みを防ぐために追いかけているので、頑張っているなら追い抜くことはしない。

 

神通「高速戦艦の名が廃りますよ〜?♪」

アイオワ「軽巡と比べないで〜!」

 

矢矧「追い抜いてしまいますよ〜?♪」

グラーフ「ゲルマン魂を見せてやる!」

 

長良「ほらほら〜、このままでいいの〜?♪」

阿賀野「いくないよぉぉぉ!」

初雪「…………!!!」←必死で声が出せない

イヨ「早過ぎるぅぅぅ!」

 

大鳳「もう射程内ですよ〜?♪」

藤波「やっば! みんなしっかり!」

秋雲「もうゴールしてもいいよね?」

藤波「駄目に決まってんでしょ!」

 

 ただ追い抜くことはしなくても、大鳳達は訓練中だととてつもなくドSになるので、追われている方としては溜まったものではない。

 自分達がどんなに懸命に走っていても、すぐ背後から涼しい顔して追われるというのはかなりの恐怖であり、物凄いプレッシャーなのだ。

 

 

 そしてーー

 

 なんだかんだで全員が無事に完走。後方で追われた面々に至ってはパタリと芝生に寝そべり、酸素の美味しさを実感している。

 

阿賀野「はぁ……はぁ……やっと走り終えた〜!」

グラーフ「や、やりきった……」ゼェゼェ

アイオワ「高速戦艦の意地を見せたわ……」ハァハァ

初雪「も、もう帰りたい……」

秋雲「もう絶対太らない……」

イヨ「こ、これの次があるとか、泣ける……」

藤波「マジヤバくね……?」

大鳳「ふふ、お疲れ様♪ 次の訓練も頑張りましょう♪」

神通「訓練はまだ始まったばかりですからね♪」

矢矧「限界の先に見えるものがあるのよ♪」

長良「みんな、頑張ろうね♪」

 

 対する提督達は全くもって和やかムード。

 

提督「晴天の下を走るのは心地いいな♪」

衣笠「そうだね♡ 走ったあとのスポーツドリンクも美味しいし♡」

夕張「こんなに早く走ったの初めてかも……////」ハァハァ

瑞鶴「わ、私も初めてかもだけど、達成感が違うわ……////」

愛宕「案外まだまだいけるわ♡」

ビスマルク「提督と一緒だから楽しかったわ♡」キラキラ

松風「た、確かにな////」

ヒトミ「みんなと走れて楽しかった、です」ニッコリ

 

 その後は他にも訓練に参加する者達が訪れ、本日は提督が訓練に参加していることもあり、この日の訓練はいつも以上の成果を上げた。

 何より減量のために始めた者達は、多くの忌々しいバルジを絞ることに成功。

 一方で松風達は訓練の容量を把握することが出来、いいこと尽くめの充実した訓練となったーー。




今回はドタバタ回という感じですかね?
春になって厚着することがなくなると、つい( ゚д゚)ハッ!みたいな、そんなお話にしました!

そして今日は大鳳さんの竣工日です♪
おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改58話

夕雲型駆逐艦メイン。

独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一二〇〇過ぎーー

 

 野外グラウンドーー

 

藤波「ふぇ〜、やっと午前訓練終わった〜! 疲れた〜! そして水が美味し〜!」ゴクゴク

 

 本日の基礎訓練が終わった者達は水道場で喉の渇きを潤している。

 今回の訓練で新米なのは藤波だけで、松風は摩耶による対空訓練、ヒトミとイヨに至ってはイク達から魚雷発射訓練を受けているため別行動。

 

吹雪「お疲れ様、藤波ちゃん♪」

 

 すると共に訓練していた吹雪が藤波に声をかけた。

 藤波は「あぁ、ブッキーも乙〜」といつも通りに返すと、吹雪は複雑そうな顔をする。

 

吹雪「ブッキーって……」ニガワライ

藤波「あれ、嫌だった?」

吹雪「ううん、そうじゃないんだけど……新しく来た藤波ちゃんにまでブッキーって浸透してるんだと思うと、ちょっとね〜」

白雪「ふふ、吹雪ちゃんはあだ名で呼ばれるの慣れてないもんね♪」

藤波「へ〜、なら慣れるようにこれからもブッキーね♪」

 

 藤波が白雪の言葉に反応して笑顔で宣言すると、吹雪はまた複雑な顔を浮かべつつも頷いた。

 すると初雪を背負う深雪があることに気付く。

 

深雪「なぁ、あれ清霜だよな?」

 

 その言葉に藤波が深雪の目配せした方を見ると、清霜がグラウンドの外から中を伺っている。

 

藤波「入ってきたらいいのに何してんだろ……戻るついでに声かけてみるわ」

 

 藤波はそう言って立ち上がると、吹雪達に「んじゃ、また♪」と声をかけて清霜の元へと向かった。

 

 

 ーー

 

藤波「清ちん、な〜にしてんの?♪」

清霜「あ、藤波姉さん♪ 訓練終わった?」

藤波「うん、この通り♪ グラウンドで何かする予定なの?」

清霜「ううん! 藤波姉さん待ってたの!」

藤波「うん?」

 

 小首を傾げる藤波に、清霜は「早く着替えてきて♪」と背中を押して急かす。藤波が「何なの?」と訊いても、清霜は「まだ内緒!」と笑顔で答えるだけ。

 そんなこんなで藤波は清霜に言われるがまま、シャワーを済まし、普段の制服に着替えると、清霜に手を引かれて寮へと向かうことになった。

 

 

 駆逐艦寮、大部屋ーー

 

 清霜に連れられて藤波がやってきたのは寮の大部屋。

 それによりますます謎が深まる藤波に対して、清霜は大声で「藤波様の御成ぁぁぁりぃぃぃ!」となんとも勿体ぶった言葉をかけた。

 

 するとすぐにドアが開かれ、藤波は思わずその光景に「うわぁ」と声をあげる。

 

 大部屋の中には大きなテーブル。その上に豪華な料理がドドンと並べられており、ドアから正面には『藤波 着任おめでとう!』と手書きされた横断幕が飾られていた。

 

藤波「え〜、何これ? 藤波聞いてないよ?」キョロキョロ

 

長波「言ってねぇもん、知らなくて当前だろ♪」ニシシ

風雲「サプライズ大成功〜♪」

高波「えへへ、驚かせちゃった、かも」ニコニコ

 

 他の姉妹も藤波の反応に満足気な声を出し、サプライズ成功を喜んだ。

 

清霜「藤波姉さん、こっちだよ♪ 清霜の隣の席〜♪」

藤波「もぉ、分かったから、そう引っ張らないで♪」

 

 口ではそう言いつつも藤波の口からは、すっかりお馴染みとなった「いっひひっ♪」という笑い声がもれている。

 清霜と沖波に挟まれるように藤波が座ると、長女である夕雲から小包を渡された。

 

夕雲「これは私達、姉妹からのプレゼントよ」ニッコリ

藤波「うわぁ、マジ? ありがと♪」

 

 藤波が小包を受け取ると、みんなに開けてごらんと促され、笑顔でガサゴソと包を開く。

 

藤波「あ……湯呑♪ しかも藤波って入ってる〜!」キラキラ

巻雲「今回は早めに用意したので、沖波さんみたいに待たせることはしませんでした!」キリッ

早霜「沖波姉さんは全く知らなかったけどね」クスッ

沖波「だ、だってまさか姉妹から改めてお祝いされるなんて思ってなかったから////」

 

 目を輝かせる藤波に、去年のことを言われて熱くなった頬を手で押さえる沖波。

 この湯呑は姉妹お揃いの湯呑であり、名前は明石にお願いして入れてもらった物。

 

 藤波は嬉しさのあまり、その湯呑をぎゅうっと抱きしめ、満面の笑みを浮かべている。

 

長波「沖波とは違う反応だな♪」

夕雲「ふふ、みんな個性が出ますからね」

風雲「今のところ泣いたのは高波と沖波と朝霜よね♪」

 

 風雲に言われた三人はそれぞれそっぽ向いて聞き流す。

 

巻雲「清霜は喜び過ぎて湯呑落としちゃいましたよね〜」ニガワライ

清霜「うん、座布団の上に落ちたから大丈夫だったけど……」テヘヘ

早霜「私は喜んで、特別な時にしか使えなくなってるわ」フフ

朝霜「よく言うぜ、毎晩湯呑使って晩酌してるくせに」

早霜「毎日が特別だからね」クスッ

 

沖波「一番最初に着任した巻雲姉さんが司令官から湯呑を頂いたのがきっかけで、こうしてるんですよね?」

巻雲「そうですよ♪ それから夕雲姉様が着任してお揃いの湯呑をプレゼントして、次が長波って感じでしたね♪」

藤波「へぇ、ならまだ着任してない姉妹もいるから、また用意しなきゃね」イッヒヒッ

清霜「そうだね〜♪」

朝霜「んな先のことより、今は藤波姉の着任を祝おうぜ〜。ほら、洗って来てやるから湯呑貸しな♪」

 

 藤波は朝霜に湯呑を渡すと、朝霜はそれを丁寧に大部屋の流し台で洗う。

 その間に夕雲や巻雲は飲み物を用意し、朝霜が戻ってくると先ず最初に、本日の主役である藤波の湯呑にジュースを注いでいくのだった。

 

 

 ーー

 

夕雲「皆さん、回りましたか?」

妹ズ『は〜い♪』

夕雲「では、藤波さんの着任を祝して〜……せ〜の♪」

全員『カンパ〜イ♪』

 

 夕雲姉妹では恒例となった湯呑での乾杯。それを終えると、みんな思い思いに料理を取り分ける。

 

沖波「藤波姉さん、何食べます?」

藤波「沢山あって迷うけど……この中央に鎮座してるピザから貰おっかな♪」

巻雲「それは巻雲と風雲、長波がイタリアさんに聞いて作ったんですよ♪」

藤波「え、マジで!? 風雲姉、怪我とか火傷しなかった!?」

風雲「あ〜、何だろ〜、この既視感〜……」ハイライトオフ

長波「なっはっはっは♪ 歴史は繰り返されるってな♪」

巻雲「大丈夫です! 風雲さんは生地をこねるのと、トッピングしか携わってませんから!」

藤波「そかそか〜、なら大丈夫だぁね〜」ホッ

風雲「何か納得出来な〜い!」

 

夕雲「パルメザンチーズも使ってるのね」フムフム

高波「トマトソースじゃなくてホワイトソースなのも新しいかも」キラキラ

早霜「何かと新しいわね……」ウンウン

風雲「そ、そうでしょう!?」←間違えたとは言えない

朝霜「早く切ろうぜ♪」

清霜「均等にね!」

藤波「姉妹平等にね♪」イッヒヒッ

 

 こうして藤波は姉妹から素敵なプレゼントと美味しい料理、そして笑顔あふれる思い出を貰い、幸せな時を過ごしたーー。




今回は姉妹ほのぼの回って感じです♪

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改59話

春の陽気に誘われて。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、ガムシロップ三個ほど含みます。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

 晴天に恵まれた、本日。潮風も穏やか、差し迫る仕事も無し。まったりと穏やかな時が流れている。

 

提督「…………」

 

 執務を早めに終え、ソファーへ移り、只今伝令室へ赴いている本日秘書艦の大井を待つ提督だが、

 

提督「すぅ……すぅ……」

 

 完璧に居眠りモードへと移行してしまっていた。

 そしてそこへ大井が伝令室から戻ってきた。

 

大井「只今戻りました」

 

 大井はいつも通りに静かにドアを開け、穏やかな声をかけるが、目の前にいる提督は俯いたままで返事がない。因みに大井はいつも提督LOVEを拗らせているが、仕事モードの時は至って真面目である。

 

 そんな無反応な提督に首を傾げる大井。しかし大井は提督が何かの病に犯されているのかと思い、即座に提督の元へ近づき、声は出さずに先ずは顔色を伺った。

 

大井(………………寝てるだけ?)

 

 提督が眠ってるだけだと分かった途端、大井はヘナヘナと提督の隣に座り込んでしまう。それだけ大井は提督を心配したのだ。

 

 しかし、安心したのもつかの間。次なる問題が浮上した。

 

大井(提督の寝顔が……寝顔が……ここここ、こんなにににににちかちか近くににににに!♡)

 

 そう、大井のLOVEの暴走である。

 大井は提督にほの字になってから『明日、今日よりも好きになれる〜♪』状態で、去年の今頃より明らかに提督を大好きに……いや大大好きになっている。

素直になれずというか、極端な言葉の暴走により、その恋路は上手く行っているとは言い難いが、とにかく大井が提督を心から愛しているということは理解してほしい。

 

 そしてそんな相手の無防備な寝顔が大井の前にあるのだから、大井のLOVEが溢れるのも当然である。

 

大井(こんな天気なら居眠りもしちゃいますよねねねね♡ あ〜、今この瞬間を独り占め出来てる私、幸せ過ぎるぅぅぅぅ!♡)

 

 心の中でそう叫び、両手をワチャワチャさせる大井。

 傍から見たらかなり変な絵面だが、とても喜んでいることは理解出来る。

 

 と、次の瞬間、

 

大井「おうふ……♡////」ワナワナ

提督「すぅ……すぅ……」

 

 大井の膝の上にバランスを崩して倒れてしまった提督の頭がのしかかった。

 こうなったのも大井が隣でワチャワチャしていた結果だが、幸福中の幸いと言ってもいいほどの事態に発展し、大井は鼻血やらよだれやら、LOVEの大波が押し寄せてきている。

 

大井(ティッシュが足りないいいいい!♡////)

 

 大井はこの日のために持ち歩いていたティッシュケースから、何枚ものティッシュを費やすも、勢いは衰える様子がない。このままでは愛しの提督の顔に自分のLOVEが掛かってしまう。仮にそうなった場合、大井は二度と提督の前に顔を出すことは出来ない。

 そう考えている大井は必死によだれを吸い、鼻血を拭き、落ち着こうと努力する。

 

大井(提督の寝顔って核兵器並の破壊力ね……というか私の鼻血やよだれって無限なのかしら////)フキフキ ジュル

 

大井(それもこれも全部提督のせいね……提督が素敵過ぎるのがいけないのよ!♡////)ウンウン

 

大井(あ〜、でも本当に可愛い!♡)

 

「本当に本当に本当に本当に提督だ〜♡」

「近過ぎちゃってどうしよう〜♡」

「可愛くって〜 どうしよう〜♡」

 

大井(確かにどうしよう〜!♡)

 

大井(ん?)

 

 思わず流してしまったが今のは幻聴ではなく、確実に側で声がした。

 大井は恐る恐る顔を上げると……

 

球磨「お邪魔してるクマ〜♪」ニヤニヤ

多摩「春真っ盛りにゃ〜♪」ニシシシ

北上「良かったね、大井っち♪」ニヨニヨ

木曾「わ、悪ぃ、姉貴……」ニガワライ

大井「( ゚д゚)」ホワァ!

 

 北上だけでなく、球磨や多摩、木曾まで執務室に来ていたのだ。そして先程の歌は、この愛嬌あるニヤニヤ顔をしている姉三名がしたことだとハッキリ分かる。

 大井は提督を起こさないように必死で、口パクだが「静かに!」と三名に伝えた。

 

球磨「提督が居眠りなんてかなりのレアだクマ」フッフッフー

多摩「これは黙って撮影にゃ

 

 二人はそう言うとポケットから通信機(スマホ)を取り出して、提督(メインは大井が提督を膝枕してる画)を撮影する。しかもシャッター音も消すほどの周到性。

 一方で北上は何も言わずに通信機を使って二人を動画撮影している。

 

木曾(止めてやりたいが、大井姉貴も何だかんだピースしてたりしてるから止めない方がいいんだろうな〜)

 

 ただ木曾一人だけは大井達の向かいの椅子に座って窓の外を眺めていた。

 

 すると、

 

提督「む……んん〜……私としたことが、居眠りをしてしまっていたか……」

 

 提督が起きてしまった。

 提督はまだ寝惚けていてるが、自分が置かれている状況に首を傾げる。

 

提督「何故私はこんなにも通信機を向けられているんだ?」

北上「提督が大井っちに膝枕されてるから〜♪」

大井「……////」プルプル

提督「お? おぉ、大井、これはすまなかった。今どkーー」

大井「まだこのままでいいにゃるうぃ!♡////」

 

 提督の言葉を遮って大井は提督の頭を押さえつける。若干語尾が新たな言葉になっているが、とりあえずまだこのままでいて欲しいと願っていることを理解して頂きたい。

 

提督「しかし……」

大井「提督はいつも働き過ぎなんでしゅ!♡//// だからこういう時くらい甘えてくだしゃい!♡////」デレデレ

 

 真面目なことを言う大井だが、表情は崩壊しきっていて、言葉も所々噛んでいる。

 

提督「新しい書rーー」

大井「そんなのありませぬ!♡////」

北上「提督〜、今日は大井っちに甘えときなよ〜♪」

多摩「そうにゃそうにゃ♪ たまにはガス抜きも必要にゃ♪」

球磨「心細いなら球磨達も一緒にお昼寝してあげるクマ♪」

木曾(それはいつもと変わらい気がーー)

球磨「何か言いたいことあるクマ?」ニコニコ

木曾「な、ナニモナイヨー」メソラシ

 

提督「ありがとう、ではお言葉に甘えて仮眠させてもらおう」

大井「はひ♡ ごゆっくり♡」ナデナデ

球・多・北・木『おやすみ、提督♪』

 

 こうして提督は大井の膝枕で仮眠を取り、そのお礼として起きたら大井のことを膝枕してあげるのだった。

 その夜、球磨達は大井が眩しくてサングラス、笑い声がうるさくて耳栓をしたのは言うまでもないーー。




今回はまったりほのぼのと言った感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改60話

それを言ったらあ艦。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

 本日は生憎の曇り空。しかし本日も艦娘達は訓練に遠征に演習、出撃と大忙し。

 そんな中でも彼女達を支えるのは、乙女の燃料とまで言われる間宮、伊良湖スイーツの存在だ。

 今日も食堂にはほっぺたが落ちる程の至高の一品を食べに、多くの艦娘が訪れている。

 

イヨ「ん〜、うまぁ♪」ホッコリ

ヒトミ「ふふ、美味しいね♪」

 

 着任したばかりのヒトミとイヨの潜水艦姉妹も、間宮、伊良湖の心のこもったスイーツに舌鼓を鳴らし、束の間の休息を過ごしていた。

 ヒトミは伊良湖小倉をふんだんに使ったどら焼きをハムスターのようにモキュモキュし、イヨは間宮クリームをたっぷり使ったシュークリームをハムハムしている。

 

 するとそこに、

 

子日「こんにチャーチル♪」ノシ

若葉「こんにチハ!」キリッ

初春「挨拶くらい普通にせぬか……ご機嫌よう」ペコリ

初霜「こ、こんにちは〜」ニガワライ

 

 第二十一駆逐隊の面々が現れた。

 ヒトミとイヨが四人に挨拶を返すと、初春が二人に「相席しても良いかえ?」と訊ねる。

 するとヒトミもイヨも笑顔で頷き、初春達は二人に一礼してからそれぞれ席に座った。

 

イヨ「ねぇねぇ、さっきの挨拶って何?」

初春「こ奴らが最近見ておる、ニコニコする動画サイトの戦車動画で流行っておる挨拶だそうじゃ、あまり気にしないでほしいのじゃ」ニガワライ

 

 先程の挨拶が気になったイヨの質問に初春は少しバツが悪そうに返した。妹の行動が少し恥ずかしったようだ。

 

子日「あのね、チャーチルって戦車を使った挨拶とチハの名前を使った挨拶なんだよ〜♪」

ヒトミ「面白いね」クスクス

若葉「あれは実に面白い動画だ」ウンウン

初霜「だからって夜更かししないでね。いつまでも明るい時あるよ?」ギロッ

若葉「注意する」メソラシ

 

 すると若葉はその話題を逸らすようにまた別の話題を振った。

 

若葉「そう言えば……」ジッ

ヒ・イ『?』クビカシゲ

若葉「今の二人は頭にガ○リアスの頭部を被っていないんだな」

ヒトミ「ガブ○アス……?」クビカシゲ

 

 若葉の言葉にヒトミは頭にはてなマークを浮かべるが、一方のイヨは「あ〜」と苦笑いを浮かべている。

 

子日「二人の帽子がね、一部の艦娘でガ○リアスに似てるって話題なの♪」つ通信機(スマホ)

 

 そう言って子日がその元ネタの画像を見せると、

 

ヒトミ「恐……竜……?」クビカシゲ

 

 見たままの答えをヒトミは口にした。

 

イヨ「いやいや、姉貴。ポ○モン。これポ○モンだから」

若葉「今の日本が世界に誇るエンターテイメントだ」

 

 そんなヒトミに二人が即座に補足を入れると、ヒトミは「あぁ、あのアニメの♪」とやっと納得したように頷く。

 

ヒトミ「でも似てる……かな?」ウーン

イヨ「自分で言うのもなんだけど、フォルムと色はめっちゃそれだよ」ニガワライ

ヒトミ「知らないと分からないわね……」ムムム

若葉「ポ○モンは楽しいぞ。今はもっともっと奥が深くなって、いくらでも遊べるんだ」ウンウン

初霜「だからって夜更かししないでね。いつまでも操作音がしてる時あるよ?」ギロッ

若葉「う、うん、気をつける」メソラシ

 

 またしても同じ流れになったので、若葉はもう何も言わずに自分が頼んだ間宮の『季節限定・さくらんぼパフェ』を食べることにした。すると他の姉妹達も自分達で頼んだスイーツに手を伸ばす。

 

イヨ「初霜ちゃんはイヨと同じでシュークリームなんだね♪」

初霜「はい。今日はシュークリームが食べたかったんです」エヘヘ

ヒトミ「初春ちゃんは私と一緒、だね」ニッコリ

初春「このどら焼きは美味いからのぅ♪ レアチーズやクリームといったどら焼きもあるが、やはり王道が一番好きじゃ」ウンウン

子日「子日は若葉ちゃんと一緒だよね〜♪」

若葉「あぁ、そうだな♪」モッモッ

 

 やっとこ自分に矛先が向かない話題になって内心ホッとする若葉。

 やはり美味しい物を食べることで身も心もリラックス出来、また和やかな雰囲気となる。

 

初春「しかし美味だからといって多く食べるのは禁物じゃな……油断していては、ついこの前の初雪や秋雲の二の舞いになるやもしれぬ」ニガワライ

 

 すると今度は体調管理の話へと変わった。

 みんなも初春の言葉に共感しつつ、初春と同じく苦笑いを浮かべる。

 

イヨ「あの日は減量してた娘いたもんね〜。イヨ達は訓練として参加してたけど、準備運動が既に鬼だったな〜」ハイライトオフ

初霜「ふふ、そのうち馴染んできますよ」

子日「誰もが通る道だからね!」

ヒトミ「頑張ります」フンス

若葉「まぁ、慢心しなければ余分なバルジはつかないだろう」モグモグ

 

イヨ「でもさ〜、間宮さんも伊良湖さんも、それから鳳翔さん達も料理が上手だからつい食べちゃうんだよね〜」

 

 イヨの言葉にまたしても同席している者達はうんうんと頷く中、食べてもそう太らない子日と若葉だけがそうかな……と内心で小首を傾げた。

 

ヒトミ「イヨちゃんはお酒も飲むから、よくよく注意しないとね?」

イヨ「ん〜……ビールとかみたいにガンガン飲まなきゃ肥えないと思うんだけどな〜」メソラシ

ヒトミ「昨晩も軽く日本酒の四合瓶を(720mlの意)飲んで、空けてた……」ジトー

 

 妹のことを気遣う姉の手厳しい言葉と視線のチクチク攻撃に、イヨは急いで話題をすり替える。

 

イヨ「そ、そういう姉貴だって、最近よく食べてるじゃん? そのどら焼きも二個目だし?」

ヒトミ「それは……食べないと力が出ないのと、食べ物が美味しいからで……////」

イヨ「気持ちは分かるけどさ〜……ほら、お腹だって出て来てると思うわけよ〜、イヨちゃん的には〜」

 

 イヨはそう言うとヒトミのお腹をちょっと擦った。

 そんなイヨに対してヒトミは「で、出てるかな?」と不安そうに訊ねる。

 

イヨ「あ!」

ヒトミ「な、何!?」

イヨ「動いた!」

ヒトミ「っ!////」

 

 イヨが冗談を言った瞬間、初春達は目を疑った。

 何故ならイヨが自分達の目の前から消えたからだ。

 

イヨ「じょ、冗談なのに……」プルプル

 

ヒトミ「知らない!////」フンッ

 

 イヨはヒトミに思い切り突き飛ばされて、テーブルから五メートル程まで飛ばされていた。

 初春達はそんなヒトミの秘められたパワーを目の当たりにし、ヒトミを怒らせるのは止めようと心から思った。

 その後、イヨは必死にヒトミに謝って今度また甘い物を奢ることで許してもらえたそうなーー。




今回はほのぼのコメディって感じにしました♪

そして今日は東京大空襲があった日です。
B29爆撃機289機が東京を爆撃し、死者8万人以上の民間人が犠牲になりました。
この日に亡くなった多くの方々に心からお祈りします。

そういう日にこのような話にしたことにつきましては、ご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改61話

君の頑張りはみんなが知っている。の談。

真面目なシーン、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 中庭ーー

 

舞風「あ、龍田さんだ♪ こんにちは〜♪」ノシ

野分「こんにちは、龍田さん」ペコリ

嵐「龍田さん、ちわ〜!」ノシ

萩風「こんにちは」ニッコリ

 

龍田「は〜い、こんにちは〜」ニコッ

 

 日当たりの良い中庭のベンチに腰掛け、のんびりと日向ぼっこする龍田。そんな龍田の近くを通る者達は龍田にしっかりと挨拶をしながら、笑みを送る。

 

 本日、龍田はとある理由で提督から天龍共々お休みをもらい、今の龍田は天龍が酒保から戻ってくるのを待っているのだ。

 

 とある理由とは、今日が龍田にとって特別な日だからである。

 

 一九四四年、三月十三日。

 軽巡洋艦『龍田』は輸送任務中、八丈島沖でアメリカ潜水艦『サンドランス』の雷撃を受けて沈没してしまった日。

 

 当時の龍田は絶対防衛ラインであるサイパン島への輸送船団「東松2号船団」の護衛艦隊旗艦に就くこととなった。

そして悪天候で視界不良の中、航行している「東松2号船団」に迫ってきたのがサンドランスである。

 龍田が気付いた時にはもう遅く、魚雷は龍田を絶命させるには十分な損傷を負わせた。

 乗組員達は懸命な処置でなんとか沈没を阻止しようと踏ん張るものの、やはり老朽化の影響は荒波に耐え切れず、被雷から十時間後、ついに沈没。

 姉の『天龍』同様、浸水によるゆっくりとした沈没だったため、多くの乗員が救助されたことが幸いだった。

 

 そのような日なので、今朝は提督や天龍、関わりの深い者達と海へ向かって黙祷を捧げ、こうしてあの時とは違うあの日をのんびりとのどかに過ごしている。

 

天龍「お〜っす、戻ったぞ〜」

龍田「おかえり〜、天龍ちゃーー」

提督「やぁ、龍田」ニコッ

 

 まさか提督も一緒だとは思ってなかった龍田は驚いて思わず固まったが、すぐに平静を装って提督にも笑顔を見せた。

 

龍田「提督もご一緒だったんですね〜、びっくりしちゃったわ〜」フフフ

提督「丁度酒保で会ってな」

龍田「じゃあ、いつもの一服タイムなのね〜♪」

 

 笑顔で龍田が言うと提督は「あぁ」と短く返し、いつもの喫煙スペースへ座る。

 

天龍「何も離れないで、ここで吸えばいいじゃねぇか。オレらは気にしないぜ?」

提督「喫煙スペースで吸うのがルールだ。皆の上官である私がルールを無視するのはいけない」

天龍「そりゃ、分かるけどよ〜……龍田の様子を見るためにオレにくっついて来たんだろ〜?」

龍田「!?////」ピクッ

 

 天龍の言葉に龍田は思わず微かに方を震わせ、頬をほんのりと染めた。それは提督が駆逐艦でなく、軽巡洋艦の自分のことも気に留めてくれている……それが嬉しかったから。

 提督自身、煙草を吸うのは中庭にいる龍田の様子を伺うための方便なので、それを天龍に暴露された提督は少しバツが悪そうにしている。

 

提督「コホン……まぁ、それはそうなんだがな……」ニガワライ

天龍「回りくどいことしねぇで、いつもみたいに普通に様子見ればいいだろ? その方が龍田だって喜ぶぜ?」

 

 そう言って天龍が龍田に「なぁ?」と同意を求めると、龍田は何も言わずコクコクと頷いて見せた。

 それを見た天龍が「ほらな♪」と提督に言うと、提督は小さく息を吐き、観念したかのように煙草を胸ポケットに戻して、龍田の隣へ座る。

 

龍田「…………////」モジモジ

提督「今年はどうだ、龍田?」

龍田「え、えぇ、この通り……落ち着いて、ます////」ウツムキ

提督「そうか、なら良かった……」ニコッ

 

 提督はそう返すと、龍田の頭を優しく撫でた。

 

 龍田が着任して初めてこの日を迎えた時、龍田は情緒不安定となり身体の震えが止まらなかった。

 その震えは自分の沈み行くまでの記憶のせいではなく、龍田が歩んできた艦時代の記憶のせいからくる震えだった。

 

 龍田は『第四三潜水艦』と衝突事故を起こし第四三潜水艦は立て直すことが出来ずに沈没。

当時の天候や潮流が救助を妨げとなり、第四三潜水艦の乗員四十五名は全員死亡してしまった。

 

 更に龍田は日本の海軍史上でもとても重要な事件、「友鶴事件」にも関わっており、龍田は当時『友鶴』と同じ第二十一水雷隊に所属し、演習標的艦を務めていた。

演習中は波が高かったが、友鶴をはじめとした「千鳥型水雷艇」は九十度の傾斜でも復元出来る設計で、演習は継続。ところが、その傾斜が四十度を超えた瞬間、突如友鶴は転覆してしまったのだ。

 天候はまたも悪天候、救助出来た人数はごく少数。龍田はその友鶴の捜索と曳航を行った。

 この事件は、既存もしくは建造中・計画中の多くの艦に大きな改装・変更を強制させる大事件だった。

 

 この他にも「美保関事件」という、『神通』と『(わらび)』の衝突事件にも関わっており、何かと事件とは縁のある艦時代だったため、フラッシュバックのように当時のことが甦り不安定に陥っていたのだ。

 姉であり普段から慕う天龍でもあの時の龍田は拒絶し、ドックの一室に閉じこもっていた。

 そんな龍田に歩み寄ったのが提督だった。

 龍田にどんなに殴られても、引っ掻かれても、噛み付かれても、どんな罵声を浴びせられても、提督は龍田を抱きしめたその手を離そうとはしなかった……それは龍田の心からの叫びであり、それを受け止めるのが提督である自分の使命と感じていたのと、何より仲間の苦痛を少しでも軽くしてやりたいと願うが故の行動だったのだ。

 提督は龍田が落ち着くまでずっと側に付き添い、龍田へ「大丈夫」、「今はあのようなことは起きない」、「仲間を信じてほしい」、「君の当時の努力を皆が理解している」と励まし続けた。

 その結果が今である。龍田はあの時の提督のお陰で今をのんびりと過ごせているのだ。

 

龍田「提督のお陰です……今の私があるのは……////」ハニカミ

提督「私ではない。天龍や仲間達がいてこその今だ。願わくば、これからもずっとそのように笑顔でいてほしい」ニコッ

龍田「はい、そのつもりです。私だって成長しているんですから」フフフ

天龍「そう言う割にゃぁ、提督から頭撫でられるのは卒業出来てないよな♪」ニヤニヤ

龍田「そ、それは〜、だって〜……////」ハゥ

 

提督「撫でられるのが好きなくらい、いいじゃないか。それに龍田は頭を撫でると幸せそうにしてくれるから、私は撫でるの好きだぞ」ナデナデ

龍田「ふみゅふぅ……////」トローン

天龍「まぁ、今まで通りで全然いいけどよ……」ニガワライ

提督「天龍も撫でてやるぞ。天龍も撫でると嬉しそうにしてくれるからな」ニコッ

天龍「お、オレは……たまにでいいよ////」プイッ

龍田「天龍ちゃんは素直じゃないからね〜♪」

天龍「あ、あ〜、そう言えばオレ、昼飯は龍田の竜田揚げ食いたいな〜!////」

 

 矛先が自分に向いた天龍は強引に話題を変えた。龍田はそれを分かっていながらも、今日だけはその話題に乗り、お昼は提督と天龍のために心を込めた竜田揚げ定食を振る舞うのだった。

 二人が自分の作る料理を美味しそうに食べてくれている表情を見た龍田は、来年も同じように過ごせますように……とそっと心から願ったーー。




今日は本編に書きました通り、龍田さんが沈んでしまった日です。
そして年が違いますがこの日は大阪大空襲が起きた日でもあります。
アメリカ軍のB29爆撃機274機が深夜から翌日未明にかけて焼夷弾(しょういだん)爆撃。13万5千戸焼失、死者約4千人。多くの民間人が亡くなりました。
その後、6月1日、6月7日、6月15日、6月26日、7月10日、7月24日、8月14日に空襲が行なわれ、これらの空襲で一般市民の10,000人以上が死亡したと言われています。

軽巡洋艦『龍田』と龍田と運命を共にした英霊の方々。
大阪大空襲で亡くなった多くの方々に心からお祈りします。

そして今日は悲しいことばかりではなく、舞風ちゃんの進水日でもあります!
おめでとう、舞風ちゃん!

本編の情報は『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改62話

ホワイトデーに気持ちを込めて! 前編。

キャラ崩壊、独自設定含みます。

※取り消し線が本編中に出てきますが、それは消した跡で、薄く残っているという設定でお願い致します。


 

 ○○鎮守府、二一〇〇過ぎーー

 

 提督自室ーー

 

 本日はホワイトデー。今年のバレンタインデーは提督や妖精達から艦娘へということだったため、今日は提督の元に、艦娘からお返しのメッセージカードとささやかなお菓子が寄せられた。ただ量が膨大になるため、艦種ごとに一つのお菓子となった(それでも中にはメッセージカードと共にキャンディを渡す者もいた)。因みに妖精達には艦娘達からクッキーが配られたそうな。

 

 提督は仕事を終え、夕食や風呂を済ませてから自室でみんなからのメッセージカードを一つ一つ確認していった。

 

 

 駆逐艦・クッキーの詰め合わせーー

 

神風『司令官、いつもありがとう♪ これからもよろしくね!』

朝風『バレンタインの時はありがとね♪』

春風『これからもわたくしは貴方のために♡』

松風『司令官に頼られる存在になるから、僕を見ていてほしい。ずっとじゃなくてもいいからな! たまにでいいからな!

 

睦月『これからも睦月は頑張るのです♪ あ、司令官は頑張り過ぎちゃ駄目なのです! にゃしし(*^艸^*)』

如月『私だと思って大切に大切に食べてね♡ 優しくよ?♡ 如月との約束♡』

弥生『お返しにクッキー焼きました。これからもよろしくお願いします……パパ(*>ω<*)』

卯月『パパのためにみんなでクッキー焼いたぴょん♪ ありがたく食らうがいいぴょん♪ (^皿^)』

皐月『バレンタインデーの時はありがと♡ 一気に食べちゃダメだからね?』

水無月『虫歯にならないようにね、司令官♪ (>ω<)エヘヘ』

文月『お父さんの好きなバタークッキーにしたよ♪ また今度ギュッてしてあげるぅ♪ ⊂(^(工)^)⊃』

長月『いつも感謝してるぞ。司令官が私の司令官で、私は幸せだ

菊月『受け取れ、バレンタインデーのお返しだ。喜んでくれると嬉しい

三日月『バレンタインデーはありがとうございました! ささやかですが、喜んでくれると嬉しいです♪ (≧▽≦)』

望月『結構上手く焼けたよ♪ これからもよろしくってことで♪』

 

吹雪『いつも私達のためにありがとうございます! みんなでクッキーを焼いたので食べてください♪』

白雪『ささやかなお返しで申し訳ありません。今度カレーをご馳走しますね♪』

初雪『お返しだよ。また今度モ○ハンで良い物あげるねv』

深雪『いつもありがとう!

叢雲『いつもありがとう。大好きなお人好し司令官!』

磯波『私達姉妹のお返しはおからクッキーなので、カロリーとか気にせずに食べてくださいね♪』

浦波『あの日貰ったバラは今は押し花にして、本の栞にしてます♪ ささやかですけど、おからクッキーをどうぞです!』

 

綾波『いつも感謝しています。これからも妹達共々よろしくお願い致します』

敷波『いつも素直じゃなくてごめん。でも司令官が嫌いとか、そんなんじゃないからね!』

朧『これからも頑張る!

曙『あまり無茶しないでよね! アンタがいないとあたしみんなが困るんだからね!』

漣『漣クッキーで明日もこれからもハッピーだお♪』 

潮『いつもありがとうございます♪ これからもよろしくです♪ (U^ω^)』

 

暁『不味いって言ったらプンスカだからね! いつもありがと、司令官♡』

響『これからも私は司令官と共にあるよ♡』

雷『もっともっとも〜っと頼ってね♡ 私の司令官♡』

電『司令官さんに出会えて幸せなのです♡ いっぱいいっぱいありがとう、なのです♡』

 

初春『今度お主のためだけに舞いを見せてやろう♡』

子日『お父さん、いつもありがとう♪』

若葉『いつもありがとう。今度抱っこしてくれ』

初霜『提督、いつもありがとうございます。ご無理をなさらず、私達のことを頼ってくださいね♪』

 

白露『私がこれからも提督の一番なんだからね!♡』

時雨『提督のために僕はいつでも力になるからね♡ 提督の隣は僕が居ていい場所だから♡』

村雨『今度村雨のちょっといいチーズケーキ、お届けするわね♡ 提督にだけの特別なケーキ、期待してて♡』

夕立『今度一緒にお散歩しようね♡ これからも提督さんのために夕立頑張るから!♡』

春雨『司令官さん、いつもありがとうございます♡ 春雨、これからも頑張ります♡』

五月雨『頑張って作りました! 喜んでくれると嬉しいです!♡ 卵の殻が入ってたらごめんなさい(;_;)

海風『今度また何かお作りしますね♡ これからもよろしくお願い致します♡』

山風『また頭を撫でてほしいです♡ 抱っこでもいいよ?♡ (*^_^*)』

江風『提督、いつでも江風がついてるからな!♡』

涼風『持ってけ泥棒!♡ ガツガツ食いね!♡』

 

朝潮『バレンタインデーはありがとうございました。ささやかな物で申し訳ありませんが、駆逐艦のみんなで作りました。お納めください』

大潮『ハッピーホワイトデー!

満潮『みんなで作ることになったし、バレンタインデーも貰ったから、仕方なく、し・か・た・な・く! 作ったわ。食べなさい。いつもありがと』

荒潮『提督のために愛を込めて焼いたのよ♡ 私の愛、味わって食べてね♡ Chu♡』

朝雲『司令、これからもよろしくね♡』

山雲『たまには構ってね〜♡』

霰『お父さん、いつもありがとう♪』

霞『いっぺんに食べちゃ駄目よ? 適度に食べなさい。食べる時間が無くて駄目にしちゃったとかも許さないから。あと虫歯に気をつけるように。あ、あと食べたら歯磨きするように! 約束よ! 約束だからね!』

 

陽炎『ちょっと量が多いかもだけど、頑張って食べてね♪ これからもよろしく!』

不知火『ささやかな物ですがお受け取りください。不知火はいつも司令のことを想っています♡』

黒潮『うちのはたこ焼き味のクッキーにしたで♪ 甘いばかりじゃつまらへんからな! 味は保証するで!』

親潮『バレンタインデーのお返しです。これからもよろしくお願いしますね、司令♪』

初風『私の愛、たんと召し上がれ♡』

雪風『みんなでクッキー焼いて、メッセージカードも書きました! 今度肩車してください! (●´ϖ`●)』

天津風『クッキーになっちゃったけど、美味しく焼けたから食べて。いつもありがとう。大好きな司令官

時津風『今度遊んでね♪ 遊んでくれなかったらイタズラするから♪』

浦風『日頃の感謝の気持ちじゃ♡ 何かあったらいつでもうちを頼ってのぉ♡』

磯風『私は食材さえ触らせてもらえなかったが、愛は誰にも負けていない! 今度伊良湖さんに習った物をご馳走しよう♡』

浜風『いつもありがとうございます。これからも頑張ります!』

谷風『クッキー焼いたよ! 磯風は味見担当だったから安心してね!』

野分『これからも鋭意努力して参りますので、これからもよろしくお願いします』

嵐『美味しいはず!

萩風『疲れた時やおやつの時に食べてくださいね。夜中は……三枚までなら食べていいですよ♪』

舞風『提督、まだ一緒に踊ってくれてないよ! いつ踊ってくれるの! 待ってるんだけど!』

秋雲『今度提督の絵を集めた画集出すから、許可よろしく〜♪ モデル頼むかもしれないからそのつもりで〜♪』

島風『早く食べてね!』

 

夕雲『提督のことを考えて作りました♡ お口に合えば嬉しいです♡』

巻雲『お父様、食べ過ぎにはご注意ですよ♪ 日持ちしますから安心して食べてください!』

風雲『Happy Whiteday♪ これからもよろしく♪』

長波『これからもよろしくな♪ 無理しないで、少しは休めよ?』

高波『パパのためにクッキー焼きました。美味しくなかったらごめんなさい(。>﹏<。)』

藤波『なんか流れで藤波も作ったけど、これからよろしくね♪ 今度なんか奢ってね(>ω<)イッヒヒッ』

沖波『姉妹や駆逐艦みんなで作りました! これからもよろしくお願いします!』

朝霜『これからもよろしく!

早霜『司令官をこれからも見てます♡』

清霜『いつもありがとう、司令官! 暖かくなってきたから、今度大和姉様達とピクニックしようね!』

 

秋月『司令、いつもありがとうございます。これとは別に今度特別なレーションを贈りますね!』

照月『この前はありがとう♪ そのお返しだよ♪ 手抜きじゃないからね!』

初月『愛する提督のために作ったクッキーだ♡ 喜んでくれると嬉しい♡』

 

レーベ『お返しをあげるのって新鮮。でも楽しい思い出になったよ♪ ありがとう、提督♪』

マックス『いつもお疲れ様。今度抱っこしてね』

リベ『みんなで頑張ってクッキー焼いたの! 沢山食べてね!』

 

 

 潜水艦・ホワイトチョコケーキーー

 

イムヤ『いつもお疲れ様♡ たまにはゆっくり休んで、リフレッシュしてよね♡』

はち『小さなホールケーキ焼いたよ。美味しく出来たから、お早めにどうぞ♪』

イク『ケーキに飽きたらイクを食べに来てもいいの!♡』

ニム『バレンタインデーのお返しです♪ いつもお疲れ様♪』

ゴーヤ『てーとくのためにケーキ焼いたよ♡ ゴーヤも食べ頃だから食べにきてもいいからね!♡』

しおい『いつもありがとう。これからも色々とよろしくお願いします』

ヒトミ『ここに来て日は浅いですが、提督が私の提督で良かったと思ってます。これからもイヨちゃん共々、よろしくお願いします』

イヨ『私は何も貰ってないから、今度お酒ご馳走してね! (姉貴には内緒で!)』

まるゆ『いつもお疲れ様です。そしていつも気にかけてくれてありがとうございます』

ろ『これからも頑張りますって!』

 

 提督はここまで読み終えたところで、うんと背伸びをした。でもその表情はとてもにこやかで幸福感に溢れている。

 そして提督は淹れたお茶をすすり、またメッセージカードへ目を移すのだったーー。




前編終わりです!

後編もよろしくです!


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艦これSS改63話

ホワイトデーに気持ちを込めて! 後編。

いつもより長いです。


 

 ○○鎮守府、提督自室ーー

 

提督(次は……)

 

 軽巡洋艦・生キャラメルーー

 

天龍『いつもありがとうな。オレはあんまし作ってねぇけど、気持ちは込めたからな!』

龍田『バレンタインデーのお返しよ♪ 食べ過ぎて虫歯にならないようにしてね♪』

 

球磨『いつもありがとうだクマ〜!

多摩『こらからもよろしくにゃ♪ 特に大井を!』

北上『今度どっか連れってね〜♪』

大井『いつもありがとうございます。提督のお陰で毎日が幸せです。これからも提督と北上さんのために頑張ります』←妙に字が歪んでて所々赤いシミが目立つ

木曾『この前はありがとな♪ これからもよろしく♪』

 

長良『妹達共々、これからも提督のために頑張ります!』

五十鈴『美味しく出来たから、私の顔を思い浮かべながら大切に食べなさい♡』

名取『また今度、お料理を作って持って行きますね♡ リクエストがあれば気軽に言ってください♡』

由良『由良達の部屋に来ればもっといいことしてあげる♡ でもその時は覚悟して来てね♡』

鬼怒『提督のことを考えて作ったよ! 鬼怒の愛、いっぱい込めたから!♡』

阿武隈『提督のために頑張って作りました♡ あたしの気持ち受け取ってください♡』

 

夕張『お料理は自信ないけど、みんなで作ったから美味しく出来ました♡ 面白いアニメ見つけたから、また私の部屋で一緒に観ましょうね♡』

 

川内『夜戦任務をください!

神通『いつも私達のためにありがとうございます♡ これからも神通は提督のために頑張ります♡』

那珂『今度、提督のためにスペシャルライブしてあげるね☆』

 

阿賀野『提督さん♡ 阿賀野の愛♡ 召し上がれ♡』

能代『能代はずっと提督をお慕いしております♡』

矢矧『これからも提督のために努力するわ。だから……たまには私のことも見てほしいです♡』

酒匂『これからも司令のことが大好きだよ〜!♡』

 

大淀『これからも提督や艦隊のサポートを出来る限りして参ります。よろしくお願いします』

 

 

 重巡洋艦・ホワイトチョコマフィンーー

 

古鷹『提督は重巡洋艦のいいところを沢山ご存知ですけど、今度は私のいいところを沢山知ってほしいです♡』

加古『いい枕を見つけたから今度提督にも貸してやるよ♪』

 

青葉『今度司令官の写真集出すので、その際には許可をください! これも士気高揚のために必要なので!』

衣笠『衣笠さんのいいところももっと見てね♡ ずっと見ててもいいんだよ? なんてね♡』

 

妙高『バレンタインデーの折にはありがとうございました。これからも妙高型をよろしくお願い致します』

那智『甘い物ばかりではあれだ。今度私達の部屋で何か馳走しよう』

足柄『提督、いつもありがとう♡ これからも提督のために勝利を掴むわ!♡』

羽黒『いつもお疲れ様です♡ お力になれるよう頑張ります♡』

 

高雄『私、高雄はいつまでも提督のお側にいますわ♡ なのでお一人でご無理をなさらないように♡』

愛宕『ハッピーホワイトデー♪ これからもよろしくお願いしますね、提督♡ 貴方の愛する愛宕より♡』

摩耶『また新しい子(ぬいぐるみ)が来たから会いに来てくれよ……みんなに提督のこと紹介したい可愛いからさ!』

鳥海『この前はありがとうございました。ささやかですがお返しです♪』

 

最上『お返しだよ♪ 喜んでくれると嬉しいな!』

三隈『これからも三隈達をよろしくお願い致しますわ♪』

鈴谷『今度一緒に街へ行こうね!♡ これ決定事項だから♡』

熊野『心込めて作りましたわ♡ 残さずお食べなさい♡』

 

利根『吾輩達が心を込めて作った一品じゃ! またほしくなれば吾輩に言うといい! 筑摩に頼んでやるぞ!』

筑摩『バレンタインデーのお返しです♡ これからも姉さん共々可愛がってください♡』

 

プリンツ『初めて作りましたけど、上手に出来ました! お仕事の合間に食べてください♪』

 

ザラ『Ciao♪ バレンタインデーのお返しにみんなで作りました! これからもよろしくお願いします!』

ポーラ『今度ザラ姉様に内緒でワインを飲みましょうね♪』

 

 

 空母・ラングドシャ、ホワイトチョコサンドーー

 

赤城『これからも一航戦は提督と共にあります♡ ハッピーホワイトデー♡』

加賀『提督はないかと思いますが、くれぐれも食べ過ぎないように。誰とはここに書きませんが、例の赤が試食でかなり食べてましたので……これかもよろしくお願いします』

 

蒼龍『みんなで作りました! 召し上がれ♪』

飛龍『美味しく出来たので期待してください!』

 

雲龍『いつもありがとう、提督♡(Ӧ▽Ӧ)♡』

天城『これからも提督のために頑張ります♡ 私の心は常に提督のお側に♡』

葛城『もっと頼ってもらえるように頑張るわ♪』

 

グラーフ『私の心からの愛をお菓子に込めた♡ 食べてくれ♡』

 

アクィラ『楽しく作り、美味しく出来ました♪ 期待してくれていいですよ♪』

 

サラトガ『Happy Whiteday♪ これからもよろしく♪』

 

翔鶴『日頃からの私の気持ちも沢山サンドしました♡ 受け取ってください♡』

瑞鶴『提督さん、いつもありがとう♡ 出来れば大切に食べてくれると嬉しいな♡』

 

大鳳『大鳳の全ては、提督のお心のままに♡ 沢山の愛を提督へ♡』

 

鳳翔『甘い物だけでは悪いので、私のお店へいらしてください♡ 提督のために私がいつもよりもっと腕によりをかけます♡』

 

龍驤『いつも感謝しとるで♪ 味わって食べてや!』

 

龍鳳『今度何かご馳走をお作りしますね♡ 楽しみにしててください♡』

 

祥鳳『これからも提督と共に頑張ります♡ なのでずっとお側に置いてください♡』

瑞鳳『今度、特別な玉子焼き作ってあげるね♡ 私の愛をたっぷり閉じ込めたやつ♡』

 

飛鷹『あなたのためなら、私はどんなことでもしたい。だから無理はしないで、私を頼ってね。約束♡』

隼鷹『また今度飲みに行こうな! 提督との酒は格別だからさ♡』

 

千歳『また提督と新しい日付け刻みたいな♡ だから近いうちに飲みましょ♡』

千代田『お姉共々よろしくね♡ 無理しないように!♡』

 

瑞穂『バレンタインデーの折にはお世話になりました。ささやかですがお返しします。これからもよろしくお願い致します』

 

秋津洲『ここの鎮守府に来て毎日が楽しいよ! ありがとう、提督!』

 

テスト『お菓子だけじゃなくて、今度フランス料理もご馳走するわね。いつもありがとう、提督』

 

 

 戦艦・ホワイトチョコザッハトルテーー

 

金剛『ワタシのビッグなお返しデ〜ス!♡ テイトクへの愛が誰よりも入ってマス♪♡ 残しちゃダメなんだからネ!♡』

比叡『私もちゃんとお料理しました♪ お口に合えば嬉しいです♪』

榛名『榛名達が心を込めて作りました♡ これからもお慕いする提督のために頑張ります♡』

霧島『比叡お姉さまも携わってますが、問題はありません♪ しっかりチェックしましたから! なのでご安心を、司令♪』

 

扶桑『いつも感謝しています。これからも提督のお役に立てるよう頑張って参ります。ささやかですが、お召し上がりください』

山城『私の幸せは提督のお側にいることです♡ いつも幸せをありがとうございます♡』

 

伊勢『美味しく出来たから、期待してて♡ 提督のほっぺた落としちゃうから♡』

日向『特別な瑞雲を贈ろうと提案したのにみんなから却下された……解せぬ。だからあとで個人的に贈らせてもらう。楽しみにしていてほしい』

 

長門『私の愛を沢山込めた♡ だから私だと思って食べてほしい♡(。>ω<。)♡』

陸奥『この前のお返しよ♡ おかわりが欲しくなったらいつでも私の部屋に来てね♡ あ、でも出来れば夜ね♡』

 

大和『提督に大和の愛をふんだんに込めたザッハトルテを贈ります!♡ 大和のことも(あとは破かれていて読めない)』

武蔵『この武蔵の愛、とくと味わえ♡ 足りない時は私に連絡をくれればいつでも馳せ参じてやろう♡』

 

ビスマルク『心して食べなさい! それで毎日私に感謝しなさい! 私のことを常に思い浮かべなさい!』

 

イタリア『気に入ってくれると嬉しいです♡ 今度バラのお返しにデージーを贈りますね♡』

ローマ『あなたのためにあなたのことだけを考えて作ったザッハトルテよ。心ゆくまで堪能してね♡』

 

アイオワ『HAY Admiral! みんなで一生懸命作ったから、ちゃんと食べてね♪』

 

ウォスパ『今度私の部屋に来て♡ あなたにしか出さない特別な紅茶を用意して待ってるから♡』

 

 

 特殊艦・お食事券+工作艦明石のプラモデル1/50サイズーー

 

間宮『甘味は皆さんから受け取ってますよね? なので私達からはお食事券にします♡ 提督が望むならばどんなお料理でも作ります♡』

伊良湖『いつもお疲れ様です♪ いつでも食堂に来てくださいね♪ 張り切って作りますから!』

速吸『戦闘であまり活躍出来ていない速吸ですが、提督はいつも気にかけてくれて本当に感謝してます! これからも皆さんや提督のために頑張ります!』

明石『私のことも忘れないでくださいね♡ いつも提督を想ってますから♡』

 

 全員のメッセージカードを読み終えると、提督は改めてメッセージカードや贈り物を見渡した。

 

提督(本当に私は恵まれているな……これからも慢心することなく、皆の期待に応えられるよう最大限の努力をしていこう。皆、本当にありがとう)

 

 心の中で誓い、感謝を述べた提督はみんなからのメッセージカードを大切に仕舞い、床に就くのだったーー。




後編終わりです!

今年はホワイトデーも頑張りました! 頑張りましたよ! なので楽しんでもらえたら幸いです!

そして今日はもがみんの進水日、巻雲ちゃんの竣工日、イヨちゃんこと伊14の進水(1944年)&竣工日(1945年)です!
みんなおめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました♪


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艦これSS改64話

朝潮型駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

満潮「………………」

 

 本日、秘書艦任務に就く満潮は黙々と作業をこなしていた。

 今、提督は第一艦隊(旗艦鳳翔で松風達の初出撃)に同行中で満潮とその姉妹達で執務室の留守をあずかっているのだ。

 

朝潮「この書類整理は終わり……あとは」キョロキョロ

荒潮「朝潮ちゃ〜ん、終わったならこっち手伝ってくれない?」

 

 書類整理を終え、次の仕事を探している朝潮を提督の机の整理整頓を任された荒潮が呼んだ。

 朝潮が荒潮の所へ行くと、荒潮が少し困ったように眉尻を下げていた。

 

朝潮「どうしたの? 何か壊したりしたの?」

荒潮「大潮ちゃんじゃないんだから、そんなことしないわよ」ニガワライ

  (隠しカメラとか盗聴器は見た瞬間に壊すけど)

朝潮「それでは?」クビカシゲ

荒潮「これなんだけどね……」

 

 荒潮はそう言うと机の上に大きなカゴに入った大量のキャンディを朝潮に見せる。

 

朝潮「司令官ってこんなに飴が好きだったかしら?」ウーン

荒潮「違うわよ、これ提督がみんなから貰ったホワイトデーの飴よ」

朝潮「えぇ!? 艦種ごとに一つというルールだったのに!?」

荒潮「飴一個くらい個人的にお返ししようと思った娘が贈ったのよ……ホワイトデーのお返しに飴をあげるのには意味があって、その意味は『あなたが好きです』って意味だから」

朝潮「あぁ、だから昨日、酒保で飴が無くなったのね!」

 

 納得する朝潮の言葉に荒潮が頷きを返すと、朝潮は更に言葉を続けた。

 

朝潮「荒潮も司令官に飴を?」

荒潮「私はあげてないわ。こうなるの予想出来てたし、私は飴に頼らなくてもちゃんと面と向かって提督に好きって伝えてるもの♪」

朝潮「満潮は飴を司令官にあげたの?」

 

 自然な流れで矛先が満潮へ向くと、満潮は思わずパンダのボールペンを走らせている手を止める。

 

満潮「は、はぁ? 私が? 司令官に? なんでわざわざそんなことしなきゃいけないのよ?」

朝潮「だって満潮は司令官のこと好きでしょう? ライクではなく、ラブとして」

 

 朝潮の言葉に満潮は「うぐっ」と狼狽えた。色恋沙汰には無頓着な朝潮だが、妹達のこうしたことへの機微に敏いところを見ると流石はネームシップと思わざるを得ない。

 

荒潮「じゃ〜あ〜、満潮ちゃんは提督に面と向かって好きって言えるんだ〜♪」

満潮「〜〜……////」

荒潮「あれぇ〜? あれれれれぇ〜? 言えないのぉ〜? たった二文字なのにぃ〜?」ニヤニヤ

満潮「っさいわね!//// そもそも私はーー」

 

 ガチャーー

 

満潮「司令官のことなんてこれっぽっちも好きなんかじゃないんだからぁぁぁぁ!////」

朝潮「…………満潮……」アワワ

満潮「?」

 

 いつものテンプレ台詞に対し、朝潮が口をパクパクさせる。その隣にいる荒潮もやり過ぎた……というような表情を見せた。

 

 何が起こっているのか分からない満潮に、荒潮が申し訳なさそうに後ろを見るように目配せすると、

 

提督「も、戻ったぞ……」ニガワライ

満潮「( ゚д゚)」

 

 提督の姿があった。その後ろには鳳翔とその補佐として出撃していた大潮も一緒だ。二人共どうフォローしたら良いものか……と思案の表情を浮かべる中、提督は頭を掻きつつ机へ戻る。

 

荒潮「あ、あのね、提督。満潮ちゃんの言葉は気にしないで……本心からの言葉じゃないから」アセアセ

朝潮「そ、そうです! 満潮はいつも言葉がキツイですが、ちょっと素直じゃないところがあってですね!」ワタワタ

 

 慌てて満潮のフォローをする朝潮と荒潮。すると提督は笑顔を見せた。

 

提督「気を遣わせて悪かった。あんなにもハッキリ言われたのは久々だったもので、私も驚いてしまったんだ。でも満潮が私のことを考えてくれていることはちゃんと理解しているからな」ニコッ

満潮「司令官……♡////」キュン

提督「それに満潮の他にも曙や霞にはよく注意されるからな」

 

 そう言った提督は「あっはっは」と笑った。

 

満潮「わ、私! あの二人みたいにしょっちゅう怒ってないもん!」

朝潮「人のふり見て我がふり直せ」

大潮「ドングリの背比べ」

荒潮「五十歩百歩」

満潮「(///へ///)」ムゥー!

鳳翔「あらあら」ニガワライ

 

 姉妹達からの的確なツッコミに満潮はすっかりむくれてしまい、みんなから逃げるように提督の座る椅子の背もたれへ隠れてしまう。

 

提督「何にせよ、私にとってはみんな頼もしい存在だ。遠慮なく言ってくれるのだからな」ナデナデ

満潮「(*>ω<*)」スリスリ

 

朝潮(前よりかなり素直になってる!)

大潮(ミッチーがこんなに甘えるなんて!)

荒潮(結局ツンデレなのよね〜♪)

鳳翔(可愛いですね〜♪)

 

 朝潮と大潮は驚きの表情を見せているが、鳳翔や荒潮は擦り寄っている満潮を微笑ましく眺めた。

 すると満潮は鳳翔達の視線に気が付き、ハッとして急いで提督から離れる。

 

満潮「な、何撫でてんのよ!//// 気持ちいいからつい流しちゃったじゃない!////」

提督「おぉ、これはすまん。私の元へ来たから、私を頼ってくれたのかと思ってしまった」ナデナデ

満潮「は、はぁ?//// 背もたれに隠れただけだし!//// 司令官のことなんてこれっぽっちも頼ってないし!////」デレデレ

 

 顔と言葉が一致しない満潮。実のところ、満潮がこの面々の中で一番頼りにしている……というよりは大好きなのが提督なのでつい自然に提督の元へ行ってしまったのだ。

 

荒潮「素直じゃないわね〜」クスクス

朝潮「表情はとても素直なんだけどね」ニガワライ

大潮「言葉はツンツン、態度はデレデレって感じですかね!」

鳳翔「乙女心は複雑ですからね」フフフ

 

満潮「い、いつまで撫でてるのよ〜♡//// ウザいったら〜♡////」グリグリ

提督「つい撫でてしまうんだ。もう少し撫でさせてくれ」ニコッ

満潮「どうして私こんな艦隊に配属させられたのかしら〜?♡////」ギューッ

提督「どうしてだろうな〜?」ナデナデ

 

 こうして提督に散々撫でられた満潮がキラキラし、残りの仕事もバリバリこなしたのは言うまでもないーー。




 おまけーー

 大本営、香取型姉妹部屋ーー

香取「あの人からバレンタインデーのお返しが貰えるだなんて……////」
鹿島「お返しを貰えただけでこんなに幸せだなんて……////」

 二人は提督からバレンタインデーのお返しにクッキーを貰い、恍惚な表情とポーズをしていた。
 ちゃんとホワイトデー当日に届いたのだが、二人はまだ開封すらしていない。何故中身が分かっているのかというと、提督から手紙も貰っていてその中に中身についても書いてあったからだ。

香取「あの人の手作りクッキーって考えただけで鼻血が出そうだわ♡」ボタボタ
鹿島「ね、姉さん、出てる! 鼻血出ちゃってる!」
香取「あっと……失敬」フキフキ
鹿島「でもこれどうする? 開けるの勿体無いけど、食べないのも勿体無いし……」ウーン
香取「写真を撮って未来永劫遺しましょう」キリッ
鹿島「なるほど!」キラキラ
香取「でもまだ開封するのは勿体無いから、まだ開封せずに外見で幸せを噛み締めましょう!」
鹿島「うん! じゃないと、先輩に申し訳ないもんね!」

 結局、開封したのはそれから三日後だったそうなーー。


 おまけその二ーー

 □□鎮守府、執務室ーー

□提督「ドゥフフフ……♡////」ホワワーン
吹雪「司令官、その不気味な笑い方やめてくださいよぉ〜」ニガワライ
白雪「怖いです……」
初雪「」コクコク
深雪「バレンタインのお返しが来て嬉しいのは分かるけどさ〜。それをわざわざ神棚に飾る必要はないと思うんだよな〜」
□提督「何言ってるの!? あのお方からのお手製なのよ! O☆TE☆SE☆I!」クワッ!!

□提督「開封したら写真に収めて、匂いで一週間。味わって一週間、残り香で二週間よ!」
吹雪「駄目になっちゃいますよ〜」ニガワライ
□提督「最悪冷凍保存するわ!」
白雪「それなら美味しいうちに食べた方がいいですよ?」
□提督「でも勿体無いじゃない!」
初雪「美味しかったからまた作ってほしいな。的なことを今度伝えればいい」
□提督「それよ! 初雪、明日お休みあげる!」
初雪「」コロンビア
深雪「んじゃ決まったなら神棚から下ろすぞ〜」
□提督「慎重に慎重によ!?」
深雪「分かったって」ニガワライ

 □□鎮守府は今日も平和だったーー。

 ーーーーーー

今日は満潮ちゃんの進水日なので、満潮ちゃんメインのお話にしました!
おめでとう、満潮ちゃん!

そしてホワイトデーのおまけ的な感じに他の面々の様子も書きました♪

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改65話

美味しい料理と笑顔。の談。

キャラ崩壊含みます。


 

 ○○鎮守府、一三〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

阿武隈「ふぇ〜、やっとお昼御飯だ〜」ノビー

名取「ふふ、でもお仕事のあとだから、美味しく食べれるね♪」

 

 先程遠征から帰ってきた名取達は、精密検査と補給を済ませたあとで遅めの昼食となった。

 

夕雲「おしぼり持ってきました♪」

巻雲「お冷も持ってきましたよ〜♪」

高波「ありがとうございます」ニコッ

藤波「サンキュー♪」ノシ

 

 一緒に遠征任務に就いていた夕雲型姉妹の面々も、名取達と同じテーブルについている。

 おしぼりとお冷を持ってきてくれた夕雲と巻雲にみんなしてお礼を言い、みんな座ったところできちんと手を合わせてから「頂きます」をした。

 

阿武隈「今日のお昼はヒラメ尽くしだね♪」

名取「旬がそろそろ終わっちゃうから、多分そのこともあるのかな?」

夕雲「なんでも山口県に住む提督のご友人が送ってくれたそうです」ニコッ

藤波「へぇ〜、山口県ってヒラメも有名なんだ。フグってイメージだった」

高波「まるゆちゃんから聞いたんですけど、アマダイとかノドグロも有名らしいです」ニコッ

巻雲「まるゆちゃんは山口出身ですから、流石ですね♪」

 

 みんなヒラメの話題から山口県の話題と、遅めのお昼を堪能しながら談笑している。

因みに今日のお昼の献立は以下の通り

 

 Aヒラメの煮付け定食

 Bヒラメの照り焼き定食

 Cヒラメのムニエルセット

 

 阿武隈、夕雲がA定食、名取、藤波がB定食、巻雲、高波がCセットと、上手い具合に分かれた食卓となった。

 

 みんなでそれぞれ箸をすすめていると、

 

名取「巻雲ちゃんが袖を捲くってるのって新鮮だよね」クスッ

 

 名取が巻雲の袖を見て小さく笑う。

 もう何度も見ている光景だが、食事の時は袖を捲くって手を出している巻雲はやはりどこか珍しく見えてしまうのだ。

 名取の言葉につられてか、他のみんなもなんだか面白くて笑みを浮かべる。

 

巻雲「巻雲としては袖を詰めてもらいたいです。制服だから普段はああですけど」ニガワライ

高波「でもお袖がぶらぶらしてない巻雲姉様って想像出来ない、かも」ニガワライ

藤波「寧ろその袖が巻雲姉の代名詞だからね〜。メガネを外した巻雲姉も、袖が無い巻雲姉もなんか物足りないよね」

巻雲「そうですかね〜?」ムムム

 

 ここの巻雲の性格としては袖をちゃんと詰めて、手を出したいところ。しかしもうこの制服には慣れてしまっている部分もあるため、巻雲は複雑な表情を浮かべた。

 

阿武隈「でも手が袖で隠れてると可愛いよね」

藤波「そうかな〜。藤波的にはぶりっ子なイメージがあるんだよね〜」ニガワライ

巻雲「巻雲、ぶりっ子じゃありませんよ!?」

藤波「分かってるって……ただそう見えるってだけ」

高波「でもこの鎮守府にはぶりっ子な方っていませんよね?」

名取「那珂ちゃんがそれっぽいけど、那珂ちゃんはなんだかんだで根は勇敢な娘だからね〜」フフ

夕雲「戦っていると、どうしてもそうなってしまうのかもしれませんね」

 

 

 洋上練習場ーー

 

那珂「へっぷちっ」←くしゃみ

由良「あら、風邪かしら? 大丈夫、那珂ちゃん?」

那珂「大丈夫大丈夫♪」フキフキ

 

夕立「誰か那珂ちゃんの噂してるっぽい?」

那珂「那珂ちゃんはアイドルだから〜、みんなに噂されちゃうんだよね〜♪ 困っちゃう☆」キャハッ

 

村雨「那珂ちゃ〜ん、目標の浮輪設置しました〜!」ノシ

 

那珂「は〜い♪ それじゃあみんな! あの的に向かって砲撃訓練開始〜♪ 那珂ちゃんや由良ちゃんがビシバシ見てあげるからね♪」←四水戦旗艦オーラ

 

五月雨「が、頑張ります!」フンス

春雨「よ、よく狙います!」フンス

夕立(やっぱり那珂ちゃんってアイドルより武人が似合うっぽい♪)ニシシ

村雨(これが那珂ちゃんの強さよね♪)フフフ

由良「訓練開始〜!」ノシ

全員『はいっ!』

 

 

 ところ戻り、食堂ーー

 

提督「相席してもいいかな?」ニコッ

摩耶「オッス、みんな♪」

 

 食堂では丁度提督と本日秘書艦の摩耶が名取達と同じように遅めの昼食に訪れた。

 みんなは提督と摩耶に笑顔で頷き、提督達はそれぞれ相席させてもらう。

 

阿武隈「提督達も今からなんですね♡」ニコニコ

提督「あぁ、摩耶の可愛い仲間達に挨拶をしていたからな」フフフ

摩耶「……♡////」モジモジ

名取「そうだったんですか♪」フフ

夕雲「今度はどんな子が加わったんですか?」ニコッ

摩耶「……シロナガスクジラのシロナちゃん////」

高波「あとで会いに行ってもいい、ですか?」キラキラ

摩耶「おう……休憩になったら連絡する////」ハニカミ

巻雲「他のみんなは元気ですか?」

摩耶「みんな元気にしてるぜ////」エヘヘ

 

 摩耶は艦隊の中でもかなりのぬいぐるみ好き。なのでみんな摩耶のそういうところが好きで、駆逐艦の中ではよく摩耶の元へ遊びに行く者が多い。

 この中では摩耶と交流が一番浅い藤波だが、摩耶のそういうところはやはり好きなので、自然と会話に参加出来ている。

 

藤波「摩耶さんってさ〜、かなりぬいぐるみ持ってるけど、どれくらいあるの?」

摩耶「どれくらい……そういや数えたことないな〜。えっとーー」

 

 摩耶そう言うと一つ一つ名前を上げて数えていく。その数は優に十を超え、指が何度も上げ下げされた。

 

摩耶「ーー二十五だな。みんなで♪」ニコニコ

藤波「ふぇ〜、そんなに? よく集めたね〜」

摩耶「ピンと来るとつい、な……なんか『連れてって!』って言われてるみたいでよ////」エヘヘ

提督「摩耶は着任当初から可愛いものが好きだったからな。私があげたライオンのぬいぐるみも今も大切にしてくれているよな」ナデナデ

摩耶「がおくんな♡ みんなもだけど、がおくんもめっちゃ可愛がってるぜ♡」デヘヘ

藤波「あげた甲斐があるね〜、司令」イッヒヒッ

提督「そうだな」フフ

 

巻雲「巻雲も司令官さまから頂いたメガネケース、今も使ってますよ♪」

夕雲「私も提督から頂いた櫛、大切にしてます♡」

高波「高波もハンカチ、大切にしてますよ♪」

名取「提督から頂いた物はどれも大切に保管してます♡」

阿武隈「あ、あたしも……提督がプレゼントしてくれた物は大切にしてます♡////」

提督「そうか……それは嬉しいな」ニコッ

 

 みんなの言葉に提督は思わず顔をほころばせる。

 しかし、

 

藤波「司令〜、藤波貰ってない系なんだけど〜?」

 

 まだ提督から贈り物をされていない藤波はみんなの話題に入れず、提督の手をツンツンした。

 

提督「おぉ、それは悪かった。もう贈り物は用意してある。食事が終わったら渡そう」ナデナデ

藤波「おぉ〜! それマジ!? やっぱ司令ってタラシだね♪」コノコノ

提督「人聞きの悪いことを言わないでくれ。私が個人的に何か贈りたいだけだ」ニガワライ

藤波「分かってるって♪ 楽しみにしてる♪」

 

 こうしてみんなして笑顔の食卓を過ごし、藤波はそのあとで提督から白いレースのリボンを貰ったとさーー。




今日は阿武隈さん、夕雲ちゃん、高波ちゃんの進水日なので、三人を登場させたほのぼのなお話にしました♪
みんなおめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改66話

妙高型重巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、ガムシロップ少々含みます。


 

 ○○鎮守府、一九〇〇ーー

 

 居酒屋『鳳翔』ーー

 

 本日の業務を終えた艦娘達。

 そして今日も呑兵衛艦は、仕事の疲れを鳳翔の美味しい料理と美味しいお酒で癒やすのだった。

 

隼鷹「ゴクゴク……かぁ〜っ! 仕事終わりの酒は格別だなぁ♪」

飛鷹「本当に美味しいわね〜♪」

那智「夜はまだ冷えるが、こういう時の熱燗は格別だ」グビッ

足柄「鳳翔さんのお料理も美味しいしね〜♪」

 

鳳翔「うふふ、ありがとうございます」ニッコリ

 

 飲みに来ている者達はいつも通りにお酒を飲んでいる。ただ少し違うのは、飛鷹が隼鷹へとやかく言わずに自分も楽しく飲んでいることだ。

 その理由は、

 

提督「やはり鳳翔の料理は美味しいな」モグモグ

 

 提督も同席しているから。

 

 本日は那智が秘書艦を務め、那智が提督に「一杯付き合え」と誘ったことから今に至るのだ。

 提督はお酒を量こそは飲めないがちゃんと自分のペース、適量を心得ているので、誘われれば二つ返事で同席する。

ただ仕事状況や先約がある時は理由を話して次ということで埋め合わせている。

 

隼鷹「提督〜♡ お酌して〜♡」

提督「男の酌でいいなら、いくらでもしてやるぞ」トクトク

隼鷹「おっとと……何言ってんだよ、提督だからお酌させてるってのに〜♡」スリスリ

提督「はは、それは光栄なことだな」ナデナデ

隼鷹「へへ〜♡」ゴクゴク

 

 提督の隣で飲む隼鷹は上機嫌に盃を仰る。

 そうしているとガラガラと戸が開き、妙高と羽黒が来店した。

 

鳳翔「いらっしゃいませ」ニコッ

 

妙高「お邪魔致します」ペコリ

羽黒「こんばんは♪」

 

足柄「二人共〜、こっちよ〜♪」ノシ

 

 足柄が二人に手を振ると、二人は笑顔で提督達の座るお座敷につく。

 提督の両サイドは隼鷹と足柄(じゃんけんで決まった)がいるため、妙高が足柄の隣に座り、羽黒が向かい側の那智隣に座る。

しかし、那智が気を利かせて羽黒と席を交代したので、羽黒は飛鷹と同じように提督と向かい合わせになることが出来た。

 

提督「妙高型姉妹勢揃いだな」アハハ

妙高「はい、足柄からお誘いが来ましたので」ニコッ

足柄「この写真と一緒に二人に連絡したのよ♪」

 

 そう言って足柄が自身の通信機(スマホ)の画面を提督に見せる。

 するとそこには先程足柄と肩寄せ合って撮った写真が映し出されており、その写真と共にメッセージを送ったのだと分かった。

 

妙高「提督、よろしければ羽黒とも写ってあげてくださいませんか? この娘ったら足柄と提督の写真が羨ましいみたいでーー」

羽黒「はわ〜、はわ〜!//// 妙高姉さん!////」

 

 妙高の暴露に羽黒は顔をゆでダコのように真っ赤にして、妙高の口を塞ぐ。

しかしもう時既に遅し、それを聞いた提督は「お安い御用だ」と言って笑顔を浮かべた。

 

羽黒「ほ、本当にいいんでしか?////」

提督「あぁ、勿論だとも。おいで」ニコッ

 

 若干言葉を噛む羽黒の問いに、提督は優しく手招きをする。すると羽黒はその提督の『おいで』という言葉と手招きに、まるで魔法にかかったかのようにフラフラと吸い寄せられていった。

 

飛鷹(あの『おいで』は誰だって行くわね♡////)

隼鷹(あたしが言われた訳じゃないのに、キュンときた♡////)

足柄(あんな風に呼ばれたら行くしかないわね♡////)

 

鳳翔(あの『おいで』は反則です♡////)

 

 羽黒だけでなく、他のLOVE勢も思わずティンと来てしまった様子。そんなLOVE勢を妙高も那智も笑顔で眺めた。

 

羽黒「お、お邪魔しましゅ♡////」エヘヘ

提督「どう撮ればいい?」

足柄「私と同じように撮ればいいじゃない♪」

提督「するとこうか?」グイッ

羽黒「へ?」

 

 羽黒は一瞬、何が起こったのが分からなかった。何故なら、大好きな提督に肩を抱き寄せてもらったからだ。

 提督の横顔が至近距離にあることから、かなり密着していることが分かり、羽黒は元々控えめな艦娘なのに更に縮こまってしまった。

それでもその瞳にはしっかりと提督を映し、自身の左肩はまるでそこに全神経が集中したかのような熱を感じる。

 

羽黒「〜♡////」プシューッ

提督「大丈夫か、羽黒? 顔が真っ赤のようだが……?」ノゾキコミ

羽黒「ひゃう!?♡////」ビクン

 

 羽黒は思わず変な声をあげてしまった。何しろ提督が至近距離で、それも自身の肩を抱いて顔を覗き込んでいるのだから。

傍から見れば二人は今からキスする二、三秒前の光景に見える。

 

羽黒「司令官さん……♡////」ドキドキ

提督「羽黒……」

羽黒「司令官さん♡////」ドックンドックン

提督「羽黒……」

 

 見つめ合い、互いを呼び合う二人。羽黒は提督の胸元をギュッと握りしめ、そっと瞼を閉zーー

 

隼・足『はいはいはいはい、離れて離れて〜』

 

 しかし透かさず隼鷹と足柄が割って入った。提督と羽黒の温度差は激しかったものの、やはりあのままだとよろしくないので止めに入った次第だ。

 

隼鷹「ほら、撮ってやるからこっち向け」

足柄「撮り直しなんてしないように連写してあげるからこっち向きなさい」

 

羽黒「は、はひ////」

提督「こうか?」

 

 二人に催促され、提督と羽黒は隼鷹達の方を向く。しかし提督の手はちゃんと羽黒の肩を抱いており、羽黒も恥ずかしそうにしながらも幸せそうな笑みを浮かべている。

 そんな羽黒を見て、隼鷹も足柄も思わず嫉妬の炎を燃やしてしまう。

 

妙高「足柄ったら……」ニガワライ

那智「飛鷹はあの二人みたいに嫉妬しないのだな」

飛鷹「まぁ、あれくらいはね」ピクピク

 

 飛鷹は平静を装っていても、ドス黒いオーラが出ていた。那智はそれを見てみぬ振りをし、またおちょこを空ける。

 

鳳翔「熱燗の追加、お待たせしました♪」

飛鷹「ありがとうございます♪」

隼鷹「お、あざ〜っす♪」

那智「おぉ、ありがたい」ニコッ

足柄「ありがとうございま〜す♪」

 

鳳翔「妙高さん達は如何致します?」

妙高「私は冷でください。羽黒には何かフルーツ系のジュースを」ニコッ

鳳翔「畏まりました♪ すぐにご用意しますね♪」

 

 鳳翔がタイミングよく間に入ってくれたお陰で、みんなの炎は爆炎にならずに済んだ。

 羽黒も提督とツーショット写真を撮ることに成功し、その後は和やかに時を過ごすのだったーー。




 おまけーー

 寮までの帰り道、二二〇〇過ぎーー

妙高「すみません、提督」
那智「すまない。こうなるとは思わなんだ」
羽黒「司令官さんの前なら深酒はしないと思ったんですけど……」

足柄「(//˘ω˘//)」スヤァ
提督「はは、これくらいどうってことないさ」

 酔い潰れてしまった足柄を提督はおんぶして、寮まで送っていた。因みに飛鷹達はまだお店で飲んでいる。

提督「こんなにも幸せそうに寝ているんだ。起こすのも可哀想というものだろう?」フフ

 提督がそう言うと、おんぶされている足柄は「うにゃ〜♡」と可愛らしい寝言をつぶやきつつ、提督の背中に頬擦りして手にもギュッと力を入れる。

那智「こうしてれば飢えた狼もただの犬っころだな」フフ
妙高「この娘は元々狼なんて似合わないけどね。優しくて気立ても良くて……」ニコッ
羽黒「足柄姉さんは可愛いですもんね♪」
提督「普段は美人。酔えば愛らしい、か……変な男に捕まらないようにしなくてはな」

 提督の真面目な返しに妙高達は思わず苦笑い浮かべた。それでも提督がそういう性格のはみんな知っているので、妙高と那智は足柄と羽黒を陰ながら応援するのだったーー。

 ーーーーーー

今回は呑兵衛艦でも重巡洋艦の呑兵衛艦をメインにちょっとした甘いお話にしました♪

そして今日は神戸大空襲(1945年)があった日です。
アメリカ軍のB29爆撃機309機が神戸市およびその周辺地域へ戦略爆撃や無差別攻撃を行い、特に兵庫区や林田区など西神戸に大きな被害を出し、死者2598名を出しました。
更に東神戸および阪神間の町村が同年6月5日の爆撃で崩壊させられています。

更にはこの日、本土とは別でアメリカ軍が離島である硫黄島全島を占領。日本軍23000人のうち捕虜になった210人を除く全員が戦死しました。

この日に亡くなった多くの民間の方々、そしてこの日までに亡くなってしまった多くの英霊の方々に心からお祈りします。

そのような日にこうしたお話を投稿したことにつきましては、ご了承お願い致します。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改67話

あの日への序章。の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「今日は千客万来だな」フフフ

霧島「そうですね」クスッ

 

 本日、執務室には多くの艦娘が訪れていた。

 提督は今日の秘書艦が霧島なので、金剛、比叡、榛名が来るのは予想していたが、それ以上が執務室に押し寄せていた。

 

大和「提督のお顔が見たくて来ちゃいました♡」デレデレ

天城「わ、私もひと目お会いしたくて……♡////」ポッポッ

葛城「私は天城姉の付き添いよ♪」

雲龍「私も付き添いよ♡(提督に会う口実)」

鳳翔「つい来てしまいました♡」ニコッ

龍鳳「私もです♡」ニコニコ

利根「吾輩も……その、気になってな……♡//// け、決して寂しかったからとか、そういうのではないからな!////」

筑摩(本心出てしまってます、姉さん……)ニガワライ←利根に付いてきてと頼まれた

 

提督「今日は仕事も滞りなく進んでいる。気にしなくていい」ニコッ

 

LOVE勢『は〜い♡』

 

 どうしてこんなにも多くの艦娘達が執務室へ訪れているのかというと、今日はあの呉軍港空襲があった日だからだ。

 

 あの日の空襲で被害を受けた艦艇は以下の通り

 

 戦艦

 榛名:小破

 日向:小破

 大和:軽微

 

 航空母艦

 天城:小破

 葛城:軽微

 鳳翔:軽微

 海鷹:軽微

 龍鳳:小破

 

(この日、呉軍港空襲以外で川崎重工で建造中の生駒も小破している)

 

 巡洋艦

 利根:小破

 大淀:中破

 

 潜水艦

 呂67:小破

 伊400:小破

 

 呉軍港空襲は一九四五年の三月十九日を始めとし、七月二十四日、同月二十八日に渡って行われたアメリカ海軍を中心とした連合国軍空母機動部隊、航空隊、及び、沖縄伊江島のアメリカ陸軍航空軍による呉軍港、瀬戸内海西部への空襲作戦。

 

 今日の朝はその最初の空襲作戦が行われた日ということで、提督は埠頭で当時被害を受けた者達、後に被害を受けた者達、そしてその姉妹達や戦友達と黙祷を捧げた。

 呉軍港空襲は七月の空襲が甚大な被害を与えられているため有名だが、提督はこの日の空襲も忘れることなく心に留めている。

 

 この日の空襲は七月に比べれば被害は少ない。しかし、傷付つき、亡くなった英霊の人々や近隣住民の人々がいることを忘れてはいけない。

 

 そのような日なので、みんなは提督の元へやってきたのだ。提督はそれが分かっているので、みんなを笑顔で迎えている。

 するとドアがノックされた。提督は「入りなさい」と声をかけると、ガチャッと開かれたドアから大淀と伊勢型姉妹、武蔵が入ってくる。

 

大淀「失礼します。新たな書類が追加されましたので、お届けに参りました」ニコッ

伊勢「演習の報告書持ってきたわよ♡」←提督に会えて喜んでる

日向「付き添いその一だ」ノシ

武蔵「その二だ♡」←提督に会えるから付いてきた

 

提督「おぉ、ありがとう。報告書は私が預かろう」ニコッ

霧島「新たな書類は一先ずこちらで預かります♪」

 

 手際よく書類、報告書を確認する提督と霧島。LOVE勢は提督の仕事姿に恍惚な表情を浮かべ、LOVE勢でない葛城だけは霧島の手際に感心し、これなら仕事が早く終わるはずだ……と思った。

 

武蔵「姉さん、提督の仕事の邪魔はしてないだろうな?」ホッペツンツン

大和「してません〜。大和が提督のお邪魔をするはずがありません〜」プイッ

 

日向「この面々はあの日の面々か……」

天城「はい……なので提督のお側にいたくて////」ポッ

伊勢「こういう日は提督の側にいたいわよね〜♪ 分かるわ〜♪」

LOVE勢『♡////』デヘヘ

 

 するとそこへドアがガチャっと開き、 

 

金剛「へーイ、皆サーン! ワタシのスペシャルなティーでお茶会にシマショ〜♪」

比叡「金剛お姉さまの特別なスコーンも沢山焼いてきました〜♪」

榛名「お茶に致しましょう」ニッコリ

 

 みんなのためにお茶会の用意をしに行っていた金剛達が戻ってきた。

 

提督「あぁ、ありがとう。霧島、一服入れるとしよう」ニコッ

霧島「了解です♪」

 

 提督の言葉に霧島は笑顔で頷き、見ていた書類をトントンとまとめる。

 金剛は提督と霧島がソファーテーブルに着く前にお茶会の準備をすすめた。

 提督と霧島がソファーに腰掛けると、金剛はまず最初に提督の元へ紅茶を持っていき、その次に霧島、そして既にソファーに座る大和達にそれぞれ紅茶を淹れる。

その一方で比叡と榛名は熱々のスコーンが山盛りになった器をテーブルの中央に乗せ、みんなに取皿とフォークを配った。

 

 みんなに紅茶や取皿が行き渡るのを確認し、金剛達に感謝の言葉を述べてから大人数でのお茶会が始まる。

 

雲龍「このソファーテーブルって普段はそう思わないけど、こうして見ると大人数で座れるのね」

提督「家具妖精さんがオススメしてくれた物だからな」

葛城「流石は家具妖精さんね」アハハ

 

日向「すまないな、私達までご馳走になってしまって」

比叡「気にしないで♪ 大和さんもいるし、多めに焼いてきたから♪」

武蔵「気を遣ってもらってすまない」ペコッ

大和「そうされると大和が悪いみたいに見えるんだけど……」ムゥ

伊勢「あはは、むくれないむくれない♪」カタポンポン

 

大淀「この紅茶美味しいです……」

鳳翔「えぇ、本当に美味しい」

龍鳳「香りも良くて、流石は金剛さんですね」シミジミ

金剛「今日は大切な日なので、特別な茶葉を使いマシタ♪ 気に入ってもらえて嬉しいデス♪」ニッコリ

 

利根「スコーンとやらも美味じゃのぅ」モッモッ

榛名「クロテッドクリームもありますけど、ジャムやメイプルシロップもご用意してますよ♪」

筑摩「王道のクロテッドクリームが紅茶に合いますね」ホッコリ

天城「これでもかって塗って食べるのが英国式なんですよね」クスッ

 

 みんな金剛が心を込めた紅茶やスコーンに顔をほころばせる。

 

 提督はみんなのそんな笑顔を見て、あの時とは違い、穏やかな時間を過ごしている今を心から尊んだ。

 どんなに時を刻んでも、あの日から始まった悪夢を忘れてはいけない……しかしだからといって、今過ごしている時間を暗く過ごしても、あの時は取り戻せない。

 みんながあの日を思い、それでいて笑顔を絶やさないでいること……提督はそのことがすごく嬉しくて、思わず優しい笑みを浮かべてみんなの顔を一人ひとり見渡した。

 そんな提督の笑顔にLOVE勢が胸を貫かれたのは言うまでもなく、鎮守府は今日もいつもと変わらない日々を送るのだったーー。




今日はあの呉軍港空襲があった日。
そして九州沖航空戦で、アメリカ海軍の空母『フランクリン』を日本海軍の爆撃機が大破させた日。

更に呉軍港への空襲、九州沖の航空戦とは別に名古屋大空襲があった日です。
B29爆撃機290機が名古屋市街を無差別爆撃。
15万人が被災し、死亡者826人を出しました。
この日に亡くなった多くの人々、そして英霊の方々に心からお祈りします。

本編中の情報はWikipediaより得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改68話

奥手のは最後まで取っておく。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一七三〇ーー

 

 執務室ーー

 

 本日も穏やかな時が過ぎていった鎮守府。定時前に仕事も終え、各任務も提督の采配と艦隊の練度、連携により早めに終えることが出来た。

 更に今日は秘書艦が白雪であり、同じ吹雪型姉妹の吹雪、初雪の二人が手伝いに来たので、今出来る明日の仕事の書類までも終えてしまった。

 そして仕事を終えた執務室では、

 

初雪「上がり」キリッ

吹雪「負けた〜!」

 

 トランプゲームが繰り広げられていた。

 

 仕事は終えても定時までは執務室にいるのが提督の考え。しかし特にやることもないため、吹雪達とトランプをしつつ暇を潰しているのだ。

 

 因みに今回は七並べをしており、今のゲームは吹雪の最下位で終えた。

 此度の七並べは『ジョーカー無し』・『キングを出してもエースへは飛べない』・『パス二回』というシビアなルールである。

 

初雪「ビリ吹雪さん、早くカードをシャッフルして配りたまえ」フォッフォッフォッ

吹雪「う〜……長女の威厳が〜」

 

 嘆く吹雪をよそにふんぞり返る初雪。一方で提督や白雪はそんな二人のやり取りに苦笑いを浮かべつつ、吹雪を励ます。

 今日の吹雪は同情してしまうくらい運が悪く、一六〇〇から始めた七並べで、まだ一度としてビリを脱出出来ていない。

 

 トホホな吹雪がみんなへトランプを配ろうとしたその時、執務室のドアがノックされた。

 

提督「入りなさい」

 

 提督がそう言うと、開いたドアから五十鈴、由良、深雪、叢雲、磯波、浦波が入ってきた。この面々は本日、遠征任務に就いた者達で、その手にはそれぞれ報告書を持っている。五十鈴達が一番最後に任務を終えたので、報告書が今になったようだ

 

五十鈴「報告書持ってきたわよ、提督♡」ノシ

由良「お待たせしました♡」ニッコリ

 

 五十鈴、由良がそう言って提督に報告書を渡すと、みんなも五十鈴達と同じく報告書を提出する。

 提督は笑顔で受け取り、それぞれに「お疲れ様」と声をかけて頭を撫でた。

 

五十鈴「ふふ、これくらいどうってことないわよ♡」デレデレ

由良「頑張った甲斐があるわ〜♡」ニコニコ

深雪「また頑張るよ♪」

叢雲「な、撫でられたって嬉しくなんてなんだからね!♡////」フンッ

磯波「また頑張ります////」ハニカミ

浦波「明日も頑張ります♪」フンス

 

 みんなそれぞれ提督に応える。

 そして提督はみんなの報告書を確認するため、吹雪達に言ってからソファーテーブルを離れた。白雪もその補佐のため席を離れる。

 

吹雪「二人抜けっちゃったけど、どうしよっか?」

深雪「トランプで何してたんだ?」

初雪「七並べ。深雪達もやる?」

深雪「やるやる〜♪」

磯波「七並べならやろうかな♪」

浦波「浦波もやりたい♪」

叢雲「ここで私だけやらないなんて言えないわね……いいわよ、やっても」ニコッ

 

吹雪「五十鈴さん達もどうですか?」

五十鈴「いいわね♪」

由良「ならお邪魔しちゃおうかな」ニコッ

 

 吹雪の誘いに五十鈴と由良も乗った。吹雪としては人数を増やすことで、少しでも最下位記録を阻止したい。この誘いが吉となるか凶となるか……。

 

 人数が増えたので、手札を配ったあとにじゃんけんをし、勝った順に手札の山を取っていくことになった。

 改めてルールを確認した後、一人、二人と手札を取り、全員に渡ったところで一斉に手札を確認する。

 

五十鈴「人数が人数だから少ないわね」ニガワライ

由良「でも少ない分、運が大きく左右するわね」フフフ

深雪「ダイヤの七あった〜!」

初雪「んじゃ、深雪から時計回りね」

吹雪(ビリは嫌ビリは嫌ビリは嫌ビリは嫌!)

磯・浦『』ニガワライ

叢雲「」ヤレヤレ

 

 こうして提督、白雪を除いた八名の七並べが始まった。

 

 一巡目ーー

 

深雪「ダイヤの六〜♪」

初雪「ダイヤの八」

吹雪「……パス(一回目)」トホホ...

叢雲「スペードの六」

磯波「ハートの八」

浦波「クラブの八♪」

五十鈴「クラブの六」

由良「ダイヤの……五♪」

 

 二巡目ーー

 

深雪「ん〜……ハートの九!」

初雪「…………クラブの九」

吹雪「ハートの十!」

叢雲「クラブの五」

磯波「クラブの四」

浦波「クラブの三」

五十鈴「…………パスね♪(一回目)」

由良「由良もパス〜♪(一回目)」

 

 三巡目、四巡目と進む中、もう既に激しい攻防が繰り広げられており、中でも五十鈴はスペードの八、由良はハートの六を所持していてそこを止め、意図的にパスをして徐々に攻勢に出ている。

 因みに四巡目までのパスの回数は以下の通り

 

 吹雪1 初雪1 深雪1 叢雲1

 磯波0 浦波1 五十鈴1 由良1

 

 そして五巡目になる頃には報告書の確認を終えた提督と白雪もテーブルに戻り、みんなのゲームを観戦することに。

 

提督(吹雪が少し苦戦しているが、他のみんながどう出すかで一位となるな)

白雪(五十鈴さんいい手札だけど、少し決め手にかけてるわね……どうなるのかしら?)

 

 そして五巡目へと突入する。

 

 五巡目ーー

 

深雪「パス(二回目)!」

  (くそ〜、ハートの六止めてるの誰だよ〜!)

所持・♡五、三 ◇二

 

初雪「…………ダイヤのジャック」

  (スペード止められてるから詰んだ)

所持・♤J、K

 

吹雪「ダイヤのクイーン!」

  (スペード止めてる人、早く出して!)

所持・♤九、十

 

叢雲「ん〜……パス(二回目)」

  (ダイヤの三が出せるから、ここはパスして勝負に出ましょう)

所持・♤Q、♡A、◇三

 

磯波「パスします(一回目)」

  (あと一回のパスで間に合うかな〜?)ウーン

所持・♡K、A

 

浦波「ハートのクイーン出します♪」

  (あとは他の人次第だな〜)

所持・♤二、◇A

 

五十鈴「パス(二回目)」

   (さぁ、どう来るかしら♪)

所持・♤八、A、♡四

 

由良「スペードの三♪」

  (これは勝っちゃうかも♪)

所持・♡六、◇K

 

 六巡目ーー

 

深雪「オワタ……」ビリ

初雪「パス(二回目)」

吹雪「ビリじゃなかった!」カンキ 七位

叢雲「ダイヤの三」

磯波「ハートのキング♪」

浦波「スペードの二!」

五十鈴「スペードのエース」

由良「ハートのキング♪」

  (もらったわ!)

 

 七巡目ーー

 

初雪「……負けた」六位

叢雲「負けたわ」ニガワライ 五位

磯波「パスです(二回目)」

浦波「負けました〜」ムゥ 四位

五十鈴「スペードの八……吹雪、ごめんね」テヘペロ

由良「ハートの六♪ そしてあ〜がり♪」ピース

 

 こうして白熱した七並べ勝負は由良が一位となり、二位が五十鈴、三位が磯波という結果で幕を閉じた。

 

由良「提督さん、由良勝った〜♡ 褒めて褒めて♡」ニコニコ

提督「あぁ、おめでとう」ナデナデ

由良「ん〜♡」デヘヘ

 

五十鈴「順番と手札に救われたわ」ニガワライ

磯波「私もです」エヘヘ

深雪「この深雪様がビリとは……」グヌヌ

初雪「吹雪に負けなかったからいいや」フフ

吹雪「やっとビリじゃなくなった!」コロンビア

 

浦波「ずっとビリだっtーー」

白雪「今は喜ばせてあげて」ニガワライ

 

 その後は提督や白雪も加わり、夕飯の時間まで七並べ大会となるのだったーー。




今日は由良さんの竣工日、白雪ちゃんの進水日なので、二人を登場させたほのぼの回にしました!
二人共おめでとう♪

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改69話

ドキがムネムネ! ハラハラ尾行ミッション! の談。

キャラ大崩壊、他作ネタ、独自設定、ガムシロップ五個くらい含みます。


 

 鎮守府近隣の街、一四〇〇ーー

 

 商店街ーー

 

提督「まさか、みんな用事が出来てしまうとはな……心細くないか、大井?」

大井「わわ、私は大丈夫でしゅ!////」

 

 本日、提督は大井と街へやってきた。提督の相棒である愛刀をいつもの鍛冶屋へ鍛えにきたからだ。

 当初の予定では球磨型姉妹全員が同行するはずだったのだが、何故か行く直前になるとみんなしてドタキャン。

よって大井一人だけが提督と共にこうして街に来ている状況だ。

 

 今は鍛冶屋へ刀を預け、鍛え上がるまで時間を潰すために商店街を二人でブラついている。

 今の時期は人々が多く、提督は大井とはぐれないように大井の手を取って歩いているのだ。

大井にとってはそれが今シーズン最大の事件(嬉しい事柄)であるため、鼻血、よだれといったLOVEをこじらせないように必死に努めつつ、全神経を集中して提督とのデートを台無しにしないようにしている。

 

 この街で提督はこの地域の海域を守る有名人なので、多くの人達から声をかけられる。

更には「今日は嫁さんと逢引かい?」、「今日は恋人とお忍びかい?」、「結婚式に呼ばれてねぇぞ!」などなど、商店街の元気な人々からの冷やかし口撃が降り注いでいるため、大井は顔だけでなく耳まで真っ赤っか。

しかしそれでも提督と繋いだ手はギュッと握り、手放す素振りは微塵もない。

 

 そんな提督と大井の様子を背後から眺める者達がいた。

 

 ーー

 

北上「お〜お〜、大井っちったら真っ赤になっちゃって〜♪」ニシシ

球磨「早く裏路地か恋人達限定のホテルに連れ込んで寝技(意味深)に持ち込むクマ!」

多摩「そんなことしたら提督に押さえ込まれて終わりにゃ」

球磨「それはそれでありクマ!」

木曾「いや、ありじゃねぇだろ」ニガワライ

 

 ドタキャンした球磨型姉妹の面々である。

 球磨達は大井と提督を急接近させようと考え、敢えて二人きりの状況を作り出した。

 大井は仕事でなら問題なく提督と話せるが、プライベートとなるとLOVEをこじらせてろくに会話も出来ない。だから少々荒いが二人きり且つ話すシチュを作り出し、これを期に少しでも提督とちゃんとしたコミュニケーションを取れるように仕向けーー

 

北上「あ、おじさ〜ん、野菜コロッケとカニクリームコロッケとエビフライ二つ頂戴♪」

球磨「アジフライ二つくださいクマ!」

多摩「鮭フライも二つくださいにゃ♪」

店主「あいよ!」

 

 ーーたのだ……。

 

木曾「おい、買い食いしてる暇あんのか?」

北上「せっかく商店街来たのに何も買わないというのかね、チミは?」

球磨「どうやら我々の末っ子は地域貢献という言葉を知らないようだ」

多摩「我々は地域の方々のお陰でお仕事出来ているのをお忘れかね?」

木曾(何でこういう時の連携は素早いんだ。てか、なんだよそのキャラ……)グヌヌ

 

北上「まあ、どうせ大井っちなら倒れるまでには至らないって♪」

球磨「そうクマ。球磨達は大井を陰から応援するためにこうしてきてるクマ」ウンウン

多摩「大井はやれば出来る娘にゃ。だからそんなに気を張らなくていいんだにゃ♪」

木曾(つまりは大井姉貴の様子を楽しみに来たんだな)

 

店主「へい、お待ち♪」

球磨「ありがとうクマ♪ お代はまとめて払うクマ♪」

店主「まいど〜♪」

 

北上「ほれ、木曾っちの大好きな()()()()()♪」

木曾「お、おぉ……ありがとう」ウケトリ

球磨「それじゃあ、尾行再開だクマ♪」

多・北『お〜♪』

木曾「お〜……」ニガワライ

  (まぁ少しくらい大目に見るか)

 

 ーー

 

 北上達が背後でコロッケ等をもぐむしゃしつつ尾行しているとも知らず、提督と大井は手を繋いだままウィンドウショッピングをしていた。

 

提督「鎮守府のみんなに何かお土産を買って行った方がいいな……何にするか」ウーム

大井「大量注文歓迎のところがいいでしゅよ♡//// と言うか、毎回お土産買ってくれてましゅよね♡////」デレデレ

提督「こういう時くらいだがな……戦争さえしてなければ、みんなには自由に街で買い物を楽しんでもらいたい」

大井「提督……♡////」キュン

提督「だからこういう時は大盤振る舞いしようと決めているんだ」ニカッ

大井「ぐふっ……♡////」プシュッ

提督「ぐふ?」

大井「カスタムの話ですすすす……////」フキフキ

提督「カスタム……あぁ、あのおもちゃ屋のことか。ガ○プラ専門店らしいぞ」アハハ

大井「は、はひ////」

  (な、なんとか見られずに済んだし、誤魔化せたわ……笑顔が直撃して鼻血だなんて、提督に見られたら引かれちゃう////)

 

 ーー

 

北上「おじさ〜ん、ソフトクリーム四つ〜♪」ノシ

店主「はいよ〜♪」

 

球磨「お姉さ〜ん、チョコバナナ生クリームのクレープ二つとブルーベリー生クリームのクレープ二つ〜!」

店員「は〜い♪」

 

多摩「今日は大売り出ししてるからお買い得にゃ〜♪」

木曾「そ、そうだな……」

  (商店街に来てから買い食いしかしてねぇ!)

 

 ーー

 

 そんな中、提督達はとある人物に呼び止められていた。

 それはこの商店街で写真店を営むご主人で、提督と大井があまりにもお似合いなのでモデルを依頼に来ていたのだ。

 

主人「どうかお願いします! 私の長年の勘がビンビン反応しているんです!」

提督「しかしですね……」チラッ

大井「〜♡////」デレデレ

 

 提督はどうしようかと大井に目を向けるが、大井は『お似合い』という言葉で思考が何処かへ行ってしまっていて、先程から恍惚な表情とポーズをしているため何の反応もない。

 結局提督はご主人に根負けする形でモデルを務めることになってしまった。

 

 ーー

 

北上「あれ、提督と大井っちは?」キョロキョロ

木曾「あの写真店に入ってったぞ」

球磨「このケバブ食べたら様子を見に行くクマ!」モグモグ

多摩「タピオカもにゃ♪」ゴクゴク

 

 提督達が写真店に入る中、球磨達は相変わらず買い食いを満喫するのだった。

 

 

 写真店ーー

 

主人「では提督殿はこちらに立って、奥様はこちらの椅子にお座りください♪」

 

 提督達は言われるがままそれぞれ指示に従う。

 提督は軍服のままだが、大井は日章旗に富士や鶴といった刺繍が施された晴れ着姿になり、それはまるで結婚記念撮影のようだった。

 

主人「いいよ〜いいよ〜! そのまま見つめ合っちゃおう!」パシャパシャ

 

提督「は、はい……」

大井「〜♡////」ポー

 

 あの提督が押されに押され、撮影は滞りなく終わった。

 そして写真は後日、鎮守府へ送られるということ、そして店頭に暫くその写真を飾るという旨を告げられて二人は写真店を出る。

 

 そしてそこで大井は事の重大さに気がついた。

 その場限りとは言え、提督と結婚記念写真(仮)を撮ってしまったということに……。

 

大井「お、おおぉぉぉぉ……////」プルプル

提督「断りきれなくて、すまなかった大井」

大井「い、いえ……わ、私もものすごくいやではなかったですししし♡////」

提督「恥ずかしながらこんなことは初めてだから、モデルとは言え少々照れくさいな」ハハハ

 

 提督がそう言うと、大井の我慢の限界が訪れる。その証拠に提督のその笑顔を見た瞬間、そこで大井の意識は途切れた。

 大井はガタガタと痙攣して倒れてしまい、提督は慌てて大井を抱き止める。

 そこに様子を見ていた球磨達も大慌てで駆け付け、尾行ミッションは急遽搬送ミッションへと移行するのだった。

 

 因みに、刀はちゃんと受け取ってから鎮守府へ帰ったとさーー。




 おまけーー

 その日の後日談ーー

 ○○鎮守府、朝、執務室ーー

大和「提督! この写真はどういうことですか!?」
長門「説明を願おう!」
金剛「納得するまで帰りマセン!」
赤城「私達こんなの知らされていませんよ!?」
加賀「………………」ゴゴゴゴゴ
翔鶴「提督……」ゴゴゴゴゴ
瑞鶴「提督さん?」ゴゴゴゴゴ
高雄「提督!」
愛宕「こんなの聞いてないわ!」
夕張「提督!」
阿賀野「提督さん!」
能代「提督!」
酒匂「司令!」
矢矧「…………」ゴゴゴゴゴ
神通「」ニッコニコ

提督「これはモデルを務めただけだ……大井と婚約したとか、そういうので撮った訳ではない」タジタジ

電「本当に?」ゴゴゴゴゴ
雷「嘘ついてもダメよ?」
時雨「山城なんてショックで放心状態なんだよ?」
夕立「提督さんは嘘つけない人だよね? ね?」
山風「………………」ゴゴゴゴゴ
如月「こうなるって分からなかったの、司令官?」ニコニコ
荒潮「大井さんだけズルいわ〜♪」ニッコリ
不知火「不知火も一緒に撮りたいと、進言します」
夕雲「贔屓は良くないですよね〜?」ニコニコ

提督「…………青葉を呼べ。希望者とは全員とこの写真と同じように撮ろう」
LOVE勢『シャー! 青葉召喚!』

青葉「呼ばれて飛び出て青葉です〜♪」キリッ

 こうしてこの日は提督と結婚記念写真(仮)の撮影会となり、LOVE勢はキラッキラのツヤッツヤになるのだった。

 一方、軽巡洋艦寮、球磨型姉妹部屋ーー

球磨「埠頭とか防波堤、本館前は凄い人だかりだクマ〜」
北上「いや〜、結局こうなったね〜」ケラケラ
多摩「みんな提督と記念撮影にゃ〜♪」
大井「べ、別にいいんじゃないですか?////」フンッ
木曾(相当妬いてるな……)

北上「でも(仮)だとしても、大井っちが第一号だよね〜♪」
多摩「にゃ〜♪ 良かったにゃ、大井♪」ナデナデ
大井「へ、別に嬉しくなんて……♡////」ポッポッ
球磨「これをネタに提督から一番に指輪を貰うクマ!」
北上「私の初めてだったのにって言えばいけるよ、大井っち!」
大井「〜♡////」ガタガタ
木曾「ま、待て! それ以上は言うな!」
多摩「フリーズどころじゃないにゃ!」

 大井はまたも倒れた。しかしその表情は恍惚な、幸せいっぱいの顔だったというーー。

 ーーーーーー

はい、今回はドタバタ回にしました!
甘さはちょい多めですが、楽しんでもらえたら幸いです♪

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改70話

睦月型駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 明石酒保外・ベンチテーブルーー

 

提督「口を開けなさい」

 

皐月「あ〜♡」

水無月「あ〜ん」

文月「あ〜ん♪」

長月「あ、あ〜♡////」

 

 酒保の外のベンチテーブルに座る第二十二駆逐隊の面々は、提督に言われるがまま口を開ける。

 みんなはこれから提督に大玉の飴を食べさせてもらうのだ。

 

 本日は長月が秘書艦なので、同じ駆逐隊の皐月達もそのお手伝いに来ている。そして今回は提督が煙草を酒保までみんなと共に買いに来たので、提督は先程皐月達のために買った飴を食べせてあげているのだ。

 みんな親鳥から餌を貰うために口を開けて待つ雛鳥のように提督へ口を開けており、提督は小さくても一生懸命大きく開いたその口に飴玉を投入していく。因みに味はランダム。その方が楽しみが増えるという理由から提督がそうしているのだ。

 

皐月「ん……おれんひ(オレンジ)♪」モゴモゴ

水無月「みなふふぃはふぁいふぁー(水無月はサイダー)♪」エヘヘ

文月「あふぁひふぁおお(あたしはモモ)〜♪」コロコロ

長月「れほんふぁ(レモンか)……」ガリガリ

 

 大玉なのでみんな呂律が回らなくなっているが、姉妹のフィーリングで言っていることは通じており、みんな美味しそうに飴玉を食べている。

提督も何となくみんなが何を言っているのか理解出来るので、みんなの光景を微笑ましく眺めるが、

 

提督「長月は噛む派なのだな」フフ

長月「ん……むぅ////」モゴモゴ

 

 長月の食べ方に目を引かれ、つい笑みをこぼした。

 提督にそう言われた長月は少し恥ずかしそうにしらなが、噛むのをやめて口の中で飴を転がす。

 そんな長月を見て提督は「気にしなくてもいいぞ?」と言って、長月の頭をポンポンと叩くように優しく撫でた。すると長月は今度は嬉しそうにカリカリと飴玉を噛むのだった。

 

文月「ひぃれ〜ふぁんふぁ、あめふぁふぇふぁいほ(司令官は、飴舐めないの)〜?」

提督「なら私も食べようかな」

皐月「なふぁ(なら)ほふふぁふぁふぇふぁふぇふぇあげう(ボクが食べさせてあげる)〜♡」

提督「ならばお言葉に甘えようかな」

 

 提督はそう言うと皐月に飴玉の袋を渡して、口を開けて待機する。

皐月はそんな提督に内心キュンキュンしつつ、提督の口へ飴玉を入れてあげた。その際に少し指が提督の唇に触れると、皐月はバレないようにその触れた指をそっと自身の唇へ重ねたのは秘密だ。

 

皐月(間接キス……へへへ♡////)

長月(皐月のやつ……////)グヌヌ

 

 しっかり長月には見られていた。

 

提督「ん、これはオレンジだな」モゴモゴ

皐月「いっほふぁれ(一緒だね)♡」

 

 提督の言葉に皐月は「えへへ♡」と喜んでいるが、これは皐月が自分とお揃いにしたくて意図的に提督へオレンジ味を食べさせた結果。

 

「こんにちは♪」

「こんにちは」

「こんにちは〜♪」

「みんなして休憩ですか?」

 

 すると提督達の元へ声をかける者達が現れた。

 それは赤城と加賀、蒼龍と飛龍の一、二航戦。みんなして挨拶すると、赤城は透かさず提督の元へ。

 

赤城「提督ぅ〜♪」キラキラ

提督「はは、そんな期待した目をせずとも、ちゃんとあげるよ」ナデナデ

 

 まるでご主人様から餌を待つ飼い犬のように提督の側でひざまずいて口を開ける赤城。

提督はそんな赤城に皐月達と同じようにちゃんと飴玉を与えた。

 それを見た加賀達は複雑な顔をしていたのは言うまでもないなが、赤城は気にせず飴玉を口の中で転がしている。

 

提督「加賀達もどうだ?」ニコッ

加賀「頂きます♡」バッチコーイ

蒼龍「頂きま〜す♪」

飛龍「なら私も〜♪」

 

 こうしてみんなして飴玉を食べる中、話題がやっと次へ進んだ。

 

提督「空母のみんなも酒保で買い物かな?」

加賀「はい。お茶菓子の在庫が消えたので……。そこの赤い方のせいですが」ジト...

赤城「…………」メソラシ

提督「なるほどな……」ニガワライ

全員『あはは……』ニガワライ

 

加賀「食べる回数より補充する回数の方が多いくらいですからね」ジトト...

赤城「そ、そんなことないです! と言うか、どうして皆さんの前で言うんですか!?」

加賀「二人の時に言っても聞かないからです」

赤城「ちゃ、ちゃんと我慢だってします!」タジ

加賀「ならば、どうして今日は我慢出来なかったのかしら?」

赤城「だって戸棚から出てたんですよ!? いつ食べるんです!? あの時ですよね!?」←開き直り

加賀「蒼龍さんと飛龍さんが来るから出してたんです。というか言いましたよね?」

赤城「……………………はい」

 

 加賀の容赦ない口撃にとうとう赤城は「うぅ〜」と声をあげ、加賀から逃げるように提督の背中へ身を隠す。

 

提督「まあまあ、加賀。赤城も反省しているじゃないか」

赤城「(´・ω・`)」コクコク

加賀「お言葉ですが、現に常習化しています。ですから今酒保まで来ているのです」

提督「しかし食べたい時に食べさせてやりたいじゃないか」ニガワライ

加賀「食生活が乱れます。私達は艦娘でフードファイターではないのです」

 

 加賀の正論に提督は論破され、赤城を擁護することは叶わなかった。

 こうなると加賀はお説教モードになるので、赤城は提督を盾にして蒼龍達と酒保へ逃げる。残された提督は加賀に「大体提督が赤城さんを甘やかすから…(ガミガミ)…」とお説教されてしまうのだった。

 

皐月「司令官、司令官」クイクイ

 

 そこに皐月が助け舟を出した。加賀はお説教中で周りが見えていないので今は気付かないため、皐月は小声でこの状況を打破する作戦を提督へ耳打ちする。

 

加賀「ーーと、聞いてますか、提督?」

提督「も、勿論だ。本当にいつも苦労を掛けさせてしまってすまない」ナデナデ

加賀「な、何を……♡////」ハゥ

提督「いい子は褒めなくてはな。加賀は私の撫で撫ではお気に召さないか?」ナデコナデコ

加賀「好きに決まってます……はふ♡////」デレッ

提督「ならばいいではないか。ありがとうな、加賀」ナデナデナデナデ

加賀「ん……仕方ないですね♡////」トローン

 

皐月「『撫で撫で作戦』成功♪」ピース

長月「これは誰も逃れられない作戦だな」ウンウン

文月「いいな〜」ユビクワエ

水無月「あとでしてもらおうよ♪」

 

提督「よしよし」ナデナデ

加賀「ん……ぁ……はふ♡」ゴマンエツ

赤城「か・が・さ〜ん♪」

 

 そこへ酒保で買い物を終えた赤城達が戻ると、赤城は加賀の背後からニッコニコの笑みでどす黒いオーラで話しかけた。

 

加賀「何ですか? 今いいところなのだけれど?」

赤城「一人だけズルくありませんか〜?」ニッコニコ

加賀「ズルくありません」プイッ

赤城「ズルいですよ〜?」ニ"コ"ニ"コ"

加賀「毎回お茶菓子は私が支払っているのだけれど?」

赤城「…………」メソラシ

 

蒼龍「ぐうの音も出ませんね」ニガワライ

飛龍「分が悪いですよ、赤城さん」ニガワライ

赤城「はい」クスン

 

 こうして提督の撫で撫では加賀が独占するのだった。

 しかし、あとで提督が加賀に内緒でちゃんと赤城のことも撫でてやると、赤城はルンルン気分で演習へ赴くことが出来たそうなーー。




今日は水無月ちゃんの竣工日なので、水無月ちゃん達も登場させたほのぼの回にしました!
おめでとう、水無月ちゃん!

毎回赤城さんが加賀さんに押し負けてしまっているので、次に一航戦の二人を出す時には赤城さんが優勢のお話を書こうかなとか考えてます♪
その時をお楽しみに♪

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改71話

艦娘春のパン祭り♪ の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、〇九〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

間宮「はい、皆さん♪ エプロンと三角巾は装備しましたか?」

全員『は〜い』

 

伊良湖「手洗いは済ませましたか〜?」

全員『は〜い』ノシ

 

速吸「ではパン作りを開始します♪」

全員『お〜!』

 

 本日、鎮守府では手の空いている者達が集まってパンを作ることになった。因みに提督も参加中。

 これは巷で有名なパン祭りにあやかってのことで、間宮や伊良湖を中心に開催されている。

ただ、パン作りに参加しているのは、本日暇を持て余していた者達やパン作りが初めての者達と、人数が多い。

なので、特別講師として大和、武蔵、ビスマルク、コマンダン・テスト、はち、呂というパン作りを得意としている面々を呼んだ。

 

 栄えある第一回目となった今回はオーソドックスなコッペパンや食パン、それから難しいクロワッサンやブレッツェルと四種類をそれぞれ班に分かれて作る計画である。

 

 

 コッペパン作り班ーー

 

間宮「強力粉、砂糖をボールに入れたら、良く混ぜ合わせてください♪ 良く混ざったら粉の中央を窪ませて、牛乳とドライイーストを入れてくださいね♪」

武蔵「ドライイーストと水を馴染ませながら、ひと塊になるように周りの粉を少しずつ混ぜ合わせるんだぞ?」

全員『は〜い♪』

 

睦月「如月ちゃん、睦月が入れるから混ぜ混ぜして♪」

如月「いいわよ〜♪」マゼマゼ

 

弥生「うーちゃん、それはベーキングパウダー……」

卯月「似てるから大丈夫ぴょん♪」

夕雲「ダメよ〜? ベーキングパウダーは確かにふっくらさせるけど、ドライイーストはイースト菌を乾燥させた物だから、パンにはドライイーストを使わないと」

 

卯月「そんなものぴょん?」

巻雲「言われた通りに作らないと磯風さんみたいになりますよ?」

卯月「そ、それはいくないぴょん!」

風雲「レシピには忠実じゃなきゃね」ウンウン

秋雲「ならちゃんとグラムも正確に測ってよね。それといきなりハサミで指切らないように」ジトト

風雲「は、は〜い……」

 

武蔵「まだ始まったばかりだ。慌てず、美味しく作るぞ〜」ニコッ

全員『は〜い♪』

間宮「」ニコニコ

 

 

 山食パン作り班ーー

 

提督「強力粉良し、砂糖良し!」

鳥海「お塩良し、ドライイースト良し!」

愛宕「牛乳、生クリーム良し♪」

摩耶「み、水良し////」

瑞鶴「ボール良し♪」

全員『ボールへ投下♪』

 

翔鶴「なんだか気合入ってるわね……」マゼマゼ

  (提督可愛い♡)

龍鳳「楽しいですからね〜♪」

  (提督可愛い♡)

高雄「摩耶は無理やり乗せられた形ね」ニガワライ

  (提督可愛い♡)

 

伊良湖「生地が混ざってきたらバターを加えるのを忘れないでくださいね♪」

大和「提督、混ぜる時はこうですよ♡」ピトッ

提督「おぉ、こうするのか」マゼマゼ

大和「はい〜♡」デレデレ

伊良湖「や、大和さん、力入れて混ぜ過ぎです! もっと優しく!」アワワ

 

摩耶「こ、こうでいいのか?」コネコネ

鳥海「そうそう♪ その調子その調子♪」コネコネ

 

翔鶴「瑞鶴、ボールから凄いこぼれてるわ……」ニガワライ

瑞鶴「ご、ごめん」アセッ

愛宕「集めてまた加えないとね」ニガワライ

 

高雄「ここでバターを加えて」マゼマゼ

伊良湖「絶妙なタイミングですね」パチパチ

高雄「あ、ありがとうございます////」ハニカミ

提督「流石は高雄だな」ニコッ

高雄「そ、そんな……♡////」カァー

全員『流石高雄〜♪』パチパチ

高雄「や、やめて!////」

 

 

 クロワッサン作り班ーー

 

速吸「ボールに材料を入れたら、他のテーブルのみんなと同じように混ぜ合わせてくださいね♪ 折り込み用の発酵バターは一センチの厚さに切ってラップに包み、めん棒などで叩いて柔らかくしてください♪」

テスト「バターはラップの上からめん棒で一辺あたり十五センチ程の正方形にのばしたら、冷蔵庫に入れておくのよ」ニコッ

 

菊月「三日月がいるからクロワッサンは作ると思ってた」マゼマゼ

三日月「た、確かにクロワッサンってフランス語で三日月だけど、私とは名前しか関係ないよぅ」ニガワライ

望月「ま、いいじゃない? ネタってことでさ」フフリ

三日月「もぉ〜////」

 

テスト「それも有名だけど、それとは別でトルコの国旗の三日月から取ったって説もあるのよ♪」

神風「え、そうなんですか?」

テスト「えぇ♪ その昔、トルコ軍がオーストリアのとある町を奇襲しようとしたの。でも早起きのパン屋さんがそれに気がついて味方に報告したことで、奇襲は失敗に終わった。そこにヒントを得たウィーンのあるパン屋さんがトルコの国旗にある三日月をイメージしてパンを作り、『トルコを食う』というキャッチコピーで売り出したら人気が出たの」

朝風「そういう説がクロワッサンにあるんだ……」ビックリ

 

テスト「因みにオーストリアの王女であったマリー・アントワネットが母国のパン職人もフランスにお嫁入りの際に連れて行ったことで、フランスでも作るようになったのよ」ニコッ

松風「まぁ諸説あるけど、フランスが発祥のパンではなかったんだな」フムフム

テスト「残念ながらね」ニガワライ

春風「こうした歴史を知るのも楽しいですわね♪」

速吸「そうだね。ふとしたところに色んなお話があるから、楽しいよね」クスッ

 

 

 ブレッツェル作り班ーー

 

ビスマルク「大きめのボールに生イーストをほぐして、ぬるま湯に溶かし、塩、砂糖も入れて良くかき混ぜて頂戴」ニコッ

はち「強力粉を一気に加えて、油脂も加えたら粉っぽさがなくなるまで混ぜてね♪」

ろ「生地がひと塊になったら〜、こね板に出して〜、体重をかけるようにしながら、生地の表面がつるつるになるまで、よ〜くこねてね〜♪」コネコネ

 

レーベ「久々に作るから楽しい♪」

マックス「そうね……楽しい」ニコニコ

矢矧「そう言えば、ブレッツェルって言う人とプレッツェルって言う人がいるよね」マゼマゼ

能代「あ〜、確かにいるわね〜。阿賀野姉ぇはどうしてか知ってる?」コネコネ

阿賀野「知らないよ〜……と言うか、阿賀野がそのこと知らないって知ってて訊いたでしょ?」ムゥ

能代「バレた?」テヘペロ

酒匂「ケンカしちゃダメだよぅ」ニガワライ

 

ビスマルク「ブレッツェルがドイツ語。プレッツェルが英語なのよ。こだわる店ではプレッツェルって言うと『うちにはブレッツェルしか置いてない』って言われたりすることもあるわ」フフフ

酒匂「そんなこともあるんだね〜」アハハ

レーベ「作り方も地域や職人さんによって色々と違いがあって、カリカリだったりフワフワだったりで面白いよ」ニコッ

阿賀野「阿賀野はフワフワしたのが食べたいなぁ」ジュルリ

矢矧「私はカリカリが気になるわね」フフ

マックス「好みが分かれるから、今回は外はカリカリ、中はフワフワのいいとこ取りを作りましょう」

能代「それならみんなで楽しめるわね♪」

 

 こうしてみんなしてパンの生地を作りつつ、パンの豆知識を聞いたり、楽しく会話しながらそれぞれが良い時間を過ごした。

 それからは生地を一旦寝かせ、順序良く作っていき、それぞれをこんがりと焼き上げる。

 

 お昼にはみんなで作って焼いたパンを鎮守府のみんなで美味しく食べ、鎮守府に訪れた『艦娘春のパン祭り』は大盛況のうちに幕を閉じるのだった。

 

 因みに提督が携わった山食パンはものの数分で消えたそうなーー。




今回はほのぼのなパン作り風景を書きました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改72話

川内型軽巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一二四〇過ぎーー

 

 重巡洋艦寮・妙高型姉妹部屋ーー

 

妙高「それじゃあ、私達は訓練に行ってくるわね?」

那智「ゆっくり休んでいるんだぞ?」

足柄「何かあったらすぐに人を呼ぶのよ?」

 

羽黒「は〜い」ニガワライ

 

 布団に横たわる羽黒が返事をすると妙高達は笑顔を返しつつも、後ろ髪を引かれる思いで訓練へ向かった。

 

 本日、羽黒は微熱があり、大事を取って……というより過保護気味な姉達に言われるがまま寝かしつけられたのだ。

 元々今日の羽黒はお休みだったが、提督はせっかくの休みが風邪で潰れてしまうのは可哀想ということで、明日の任務は午前中だけ出てもらい、午後はまるまる休日とする特例を出した。

 羽黒はそんな提督や姉達の心遣いに感謝しつつ、これからの時間をどう潰そうかと思案する。

 

羽黒(これまで読んでた本は読み終わっちゃったし、午前中に雑誌も隅々まで読んじゃった……どうかようかな〜……)

 

 すると部屋のドアが小さくノックされた。羽黒がそのノックに対して「開いてます」と答えると、

 

那珂「那珂ちゃん登場〜☆」

神風「失礼します」ペコリ

雪風「失礼しま〜す♪」ノシ

 

 三人が入室してきた。

 羽黒が頭の上にはてなマークを浮かべている中、三人は羽黒のすぐ隣に座る。

 

那珂「風邪で寝て込んでるって聞いたからお見舞いに来たの♪」

神風「お加減はどうですか?」

 

 二人の言葉に羽黒は「微熱だから大丈夫だよ」と返すが、どうしても二人に訊きたいことがあった。

 

羽黒「雪風ちゃんも、わざわざ来てくれてありがとうね」ナデナデ

雪風「いえいえ♪」

 

 雪風の存在だ。勿論、お見舞いに来てくれたのは感謝しているが……。

 

 羽黒にとって那珂は同じ末っ子で共に個性的な姉を持つのでシンパシーを感じ合った仲。性格はかなり対照的な二人だが、色々と趣味も合う……要するに馬が合うのだ。

 そして神風は言わずもがな。艦時代の深い関係が今も続いており、羽黒は妹同然、神風は姉同然にそれぞれ慕い合っている仲。

 

 そんな二人とは違い、雪風と羽黒は普段からあまり接点がない。ここの艦隊全体が家族のように仲良しなので見舞いに来てくれたことはそう不思議ではないが、那珂や神風とはどうしても温度差があるのだ。

 

那珂「雪風ちゃんはね〜、幸運艦だから来てもらったんだよ♪ 雪風ちゃんの幸運パワーで風邪なんて吹っ飛ばしてもらっちゃお☆」

 

 雪風が来た謎が解けた瞬間である。

 

雪風「呼ばれて来ました!」キリッ

羽黒「そっか……ありがとう」ナデナデ

 

 羽黒は雪風が来た理由に思わずクスクスと笑いつつも、また改めてお礼を言って雪風の頭を撫でた。雪風はそんな羽黒に「えへへ〜♪」と笑みを返す。

 すると、

 

神風「(・へ・)」ムゥ

 

 神風が珍しく口をへの字に曲げていた。

 羽黒は神風にとって大好きなお姉ちゃん。なので、そんなお姉ちゃんが他の娘を撫で撫でしていることに、ほんの少しだけヤキモチを焼いてしまったのだ。

 

那珂「神風ちゃんが羽黒ちゃんに撫でてほしそうな目で見てるよ〜」ニヤニヤ

神風「ぁ……うぅ〜////」ウツムキ

 

羽黒「ふふ、神風ちゃんもありがとうね」ナデナデ

神風「っ……えへへ////」

 

 ちゃんと神風にもお礼を言って撫でてあげると、神風は羽黒からの撫で撫でに思わず表情をフニャッとさせた。羽黒はそれが可愛くて自分も頬を緩めるのだった。

 

那珂「でも微熱で良かった〜。足柄さんから羽黒ちゃんが寝込んでるって聞いた時はビックリしちゃったもん」

羽黒「ごめんね。足柄姉さん……だけじゃなくて、姉さん達は少し大袈裟なところがあるから」ニガワライ

神風「私、羽黒さんが大変だと思って司令官のCD(艦これSS改49話のヤツ)借りてきたんですけど……」

羽黒「き、聴きたいけど、熱上がっちゃいそうだから遠慮しとくね……気持ちだけ受け取るから////」カァー

雪風「既にお顔が真っ赤っかです!」

 

 羽黒の赤面を雪風が指摘すると、羽黒はそれが恥ずかしくて布団に潜り込んでしまう。

 

雪風「あわわ、ごめんなさい〜」ユサユサ

羽黒『だ、大丈夫だよ!//// ちょっと潜りたくなっただけだから!////』

神風「」ニガワライ

 

那珂「あ、そうだ! 羽黒ちゃん、今日のお昼御飯は何食べた?」

 

 那珂の質問に羽黒は、布団から少しだけ顔を覗かせてから「お粥食べたよ?////」と返した。

 

那珂「風邪に効くフルーツポンチ作ってあげようと思って材料買ってきたんだけど、どうかな? 食べれそう?」

羽黒「わぁ、ありがとう。小さな器分くらいなら食べたいなぁ」ニコッ

 

 那珂の心遣いに羽黒はいつも通りに戻って返す。すると那珂は「じゃあ待ってて☆」と言って部屋から出て行った。

 

羽黒「楽しみだなぁ」ニコニコ

雪風「どんな物を買ったんでしょうね〜?」

神風「確か……パイナップル、みかん、黄桃のそれぞれの缶詰とサクランボだったかな? それとこんにゃくゼリーのイチゴ味」

雪風「美味しそうですね!」キラキラ

羽黒「那珂ちゃんはお料理も得意だからね」クスッ

 

 それから暫くすると、那珂が元気に戻ってきた。

 しかし那珂だけではなかった。

 

提督「お邪魔するよ」ニコッ

 

 提督も一緒だったのだ。

 

 那珂は確かにフルーツポンチを作りに行った。ただそれだけではなく、提督に連絡をして羽黒のお見舞いに来てくれないかと伝えており、その連絡を受けて提督はこうしてお見舞に来たのだ。

 その証拠に提督の後ろで那珂が満面の笑みで羽黒に向かってピースサインをしている。

 羽黒はそれに驚いたが、那珂の気遣いが嬉しくてはにかむのだった。

 

提督「調子はどうかな?」

羽黒「はい、大丈夫です♡////」

提督「無理をしてはいないか? 羽黒はいつも無理をしてしまうからな。ちゃんと素直な気持ちを吐露するんだぞ?」ニッコリ

羽黒「は〜い♡////」ニヨニヨ

 

那珂「お顔は赤いけど、元気だよね☆ 提督に会えて羽黒ちゃん喜んでるもん♪」

羽黒「な、那珂ちゃん!?////」

提督「はは、それは嬉しいな」ナデナデ

羽黒「はうぅ〜……♡////」

 

那珂「それじゃあ、那珂ちゃん特製のフルーツポンチも作ってきたから食べて食べて♪ 神風ちゃんや雪風ちゃんの分もあるからね♪」

神風「ありがとうございます」ニコッ

雪風「ありがとうございます!」キラキラ

羽黒「ありがとう、那珂ちゃん」ニッコリ

那珂「提督に食べさせてもらう?」ニシシ

提督「私は構わんぞ?」ニコニコ

羽黒「ひ、一人で食べれましゅ!////」プシューッ

 

 こうして那珂達や提督にお見舞いに来てもらった羽黒は、みんなに心から感謝をしてフルーツポンチを食べた。

 提督は羽黒がフルーツポンチを完食するのを確認すると、羽黒の頭をもう一度優しく撫でてから執務室へ戻っていった。

 

 それから羽黒は那珂達と妙高達が戻るまで楽しくお喋りをしながら静養し、次の日には全快を果たしたーー。




今日は羽黒さん、那珂ちゃん、雪風ちゃんの進水日なので、三人を登場させたほのぼの回にしました!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改73話

ちょっと気になる。の談。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一七〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

 本日の書類も終わり、定時までのんびりとする提督と艦娘達。

 今日の秘書艦は秋月だったこともあり、その妹である照月や初月も手伝いにきてくれた。なので今は提督と秋月型姉妹がソファーテーブルを囲んで談笑中。

 

照月「へぇ〜、秋月姉がねぇ」フムフム

 

 みんなでお喋りする中、照月は秘書艦用のノートパソコンを使って何かを調べていた。

 そんな照月の言葉に初月は提督に膝枕されながら「何の話?」と訊ね、秋月もお茶をすすりながら小首を傾げる。

 

 すると照月は「これこれ〜♪」と言いながらノーパソの画面を提督達へ見せた。

 

秋月「お姫様占い?」クビカシゲ

初月「何だい、これは?」

照月「たまたま見つけたんだ♪ 生年月日と性別を入れるだけで、自分がどんなお姫様なのか診断出来るの♪」

提督「お姫様なのに性別も入れるのか?」

照月「それは男の人の中にも、心は女の子って人がいるからじゃない?」

秋月「()()()()〜、って言う人だっけ?」

初月「どんだけ〜だよ、秋月お姉ちゃん」ニガワライ

 

 初月のツッコミに秋月は「あ、そっか////」と少しはにかむ。それから照月は「んでね〜」と言いながら、ノーパソを操作し、先程まで見ていた画面を出した。

 

照月「さっきは秋月姉のデータで出したんだ♪ 生年月日はとりあえず進水日で……ほら♪」

 

 秋月(一九四一年・七月二日)の結果

 

 『水の国のベベ姫』

 ラッキーカラー・ゴールド

 ラッキーアイテム・サファイア

 幸せを運んでくれる花・アマリリス

 

秋月「ラッキーカラー、ゴールドって……」ニガワライ

初月「ラッキーアイテムがサファイアってそう手に入る物じゃない気がする」

提督「アマリリスの花言葉は「誇り」・「おしゃべり」「輝くばかりの美しさ」だな。いい花じゃないか」ニコッ

秋月「そ、そう言われると恥ずかしいです////」カァー

 

 提督に褒められた秋月は熱を帯びる頬を両手で押さえ、俯いてしまった。それを見た初月は自分も何かで褒められたいと思い、照月に自分のもお願いする。

 

照月「初月のは……」カチカチ

初月「…………」ドキドキ

照月「出た出た♪」

 

 初月(一九四二年・四月三日)の結果

 

 『大地の国のキキ姫』

 ラッキーカラー・ピンク

 ラッキーアイテム・ルビー

 幸せを運んでくれる花・ジャスミン

 

初月「ピンクって、僕には合わないと思うんだけど」ニガワライ

秋月「そうかな〜? ピンクのワンピースとか合いそうだけど?」ニコッ

照月「小物でもいいわけだしね♪ ピンクのハンカチとかマグカップとかさ♪ ルビーはちょっと無理だけど」

初月「うぅ〜////」㌰㌰←嬉し恥ずかしい

提督「ジャスミンは「愛想の好い」・「優美」・「愛らしさ」という花言葉がある。それに西洋の花言葉だと『あなたは朗らかで気品がある』という花言葉もあるんだ。初月にはどの言葉も似合うな」ナデナデ

初月「そ、そうかな?♡////」㌰㌰㌰㌰㌰

 

 ちゃんと褒めてもらえた初月の犬耳っぽい髪は嬉しそうに揺れた。その証拠に表情も幸せそうにニコニコしている。

 そして最後に照月も自分のお姫様を診断することになった。

 

 照月(一九四一年・十一月二十一日)の結果

 

 『水の国のチチ姫』

 ラッキーカラー・ゴールド

 ラッキーアイテム・オニキス

 幸せを運んでくれる花・アマリリス

 

照月「ありゃ、秋月姉と被ってる部分多いね」

秋月「本当……お姫様の名前とアイテムが違うだけね」ニガワライ

初月「でもサファイアの方が高価だから、秋月お姉ちゃんの方が高貴なお姫様だね」フフフ

照月「そう言われるとなんか悔しいかも……」グヌヌ

秋月「えぇ〜、コンピューターの診断なんだし、そんなに気にしなくても……」

提督「少し思うところがあるのだろう。乙女心というやつだ」ニガワライ

 

 提督の言葉に秋月は「はぁ……」と返しつつ、照月のジト目を受けるのだった。

 そしてせっかくなので提督のことも診断してみた。

 

 提督(軍事機密)の結果

 

 『山の国のシシ姫』

 ラッキーカラー・レッド

 ラッキーアイテム・アメジスト

 幸せを運んでくれる花・アネモネ

 

提督「アネモネか……」ニガワライ

初月「何かダメなのかい?」

提督「アネモネの花言葉は「はかない恋」・「恋の苦しみ」・「見捨てられた」・「見放された」と、暗い意味があるからな。少しだけ……そう、少しだけ残念な気持ちだ」

 

 提督はそう言うも『少しだけ』ではなさそう。初月はそんな提督の姿に思わずキュンしつつ、提督の頭を優しく撫でると、提督は「ありがとう」と初月に伝えて、姿勢をいつものように直した。

 

 そうしていると、ドアをノックする音が聞こえた。

 提督が「入りなさい」と声をかけると、祥鳳型姉妹が姿を現す。二人は訓練の報告書を提出しに来たのだ。

 

提督「ご苦労様。預かるよ」ニコッ

祥鳳「はい、こちらです♡」ニパー

瑞鳳「今日も頑張ったんだよ?♡」エヘヘ

 

 提督に会えて幸せいっぱいの祥鳳と瑞鳳。

 すると瑞鳳がテーブルのノーパソに気がついた。

 

 瑞鳳がそれについて照月に理由を訊くと、照月はこれまでの話を聞かせた。そして照月が提督の結果を話すと、祥鳳は「あらあら」と提督に申し訳ないと思いつつも手で口を押さえて笑ってしまい、聞いていた瑞鳳は提督の反応が可愛くて内心でキュンキュンするのだった。

 

照月「それじゃあ、祥鳳さん達も診断してみよ♪」

祥鳳「どうなるのかしら?」ニコッ

瑞鳳「変なのじゃないといいなぁ」ニガワライ

 

 祥鳳(一九三五年・六月一日)の結果

 『風の国のぺぺ姫』

 ラッキーカラー・ブルー

 ラッキーアイテム・エメラルド

 幸せを運んでくれる花・ガーベラ

 

 瑞鳳(一九三六年・六月十九日)の結果

 『山の国のチチ姫』

 ラッキーカラー・レッド

 ラッキーアイテム・メノウ

 幸せを運んでくれる花・アネモネ

 

瑞鳳「提督と一緒なのが多い〜♡ やった〜♡」

提督「アネモネに罪はないが、仲間がいるとは心強い」ホッ

 

祥鳳「ブルー、エメラルド、ガーベラか〜……」ウーン

提督「ガーベラの花言葉は「希望」や「常に前進」と、前向きな言葉だ。いい結果で何よりだ」ナデナデ

祥鳳「は、はい……♡////」エヘヘ

 

瑞鳳「そういえば、宝石にも言葉があるよね?」

照月「なら調べてみますね♪」

 

 秋月

 サファイア:高潔・崇高

 

 照月

 オニキス:夫婦の愛・夫婦の幸福・遠からぬ成功

 

 初月

 ルビー:威厳・優雅・愛の炎

 

 祥鳳

 エメラルド:安定・明晰・満足・喜び

 

 瑞鳳

 メノウ:雄弁・神聖・成功

 

 提督

 アメジスト:決断・心の平和・調和

 

提督「どれも感慨深い言葉だな」フムフム

初月「提督の宝石言葉はとても合ってると、僕は思うな♡」

瑞鳳「確かにね♡」

祥鳳「いつも決断し、私達の心の平和、調和を考えてくれていますからね♡」

提督「はは、そう大袈裟に言わないでくれ……」

秋月「あれ? 司令、もしかして照れてます?」

照月「珍しい〜♪」アハハ

 

 みんなに微笑まれた提督は「茶化さないでほしいな」と言いつつ、みんなから顔を背けてお茶をすすった。

 そんな提督が可愛く思えたLOVE勢は胸をズキューンと射抜かれるような、そんな衝撃が襲ったのだとかーー。




今日はちょっと珍しい、お姫様占いというものを艦娘がしたらというお話にしました!

提督さんの誕生日とは決めてないので、適当な数字を入れたのですが、なんか良い結果になったのでそのまま採用しましたw

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改74話

米伊食戦争勃発。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一二〇〇ーー

 

 戦艦寮、イタリア・ローマ部屋ーー

 

 お昼時を迎えた鎮守府。提督は本日秘書艦を務める扶桑、そしてそのお手伝いに来ていた山城と共に、イタリアとローマの部屋に来ていた。

 更には風雲、長波、島風、リベッチオの四名も同室に来ていて、提督達はみんなして何が始まるのか分からぬままイタリア達が戻ってくるのを待っている状態だ。

 

提督「風雲達もイタリア達に言われて来たのか?」

風雲「ううん。私達はアイオワさんに言われて来たのよ?」

島風「私もアイオワお姉ちゃんに言われて来たんだ♪」

長波「何か切羽詰まってたから相談かと思って来たんだけど、まだ謎なんだよ〜」

リベ「リベはローマさんに呼ばれた〜♪」

 

扶桑「つまりアイオワさんとイタリアさん達がそれぞれ私達を呼んだ」

山城「何なのかしら……」クビカシゲ

 

 みんなして首を傾げていると、部屋のドアが勢い良く開き、イタリア達が大きなおぼんを持ってやってきた。

 提督達から見て右側にアイオワとサラトガ、左側にイタリア、ローマ、アクィラと分かれると、

 

アイオワ「これからアドミラル達にミー達の料理を食べてもらうわ!」

イタリア「それでどっちが美味しいのか、決めてください!」

 

 突如として料理対決が始まった。

 

提督「…………どういうことだ?」

 

サラトガ「サラ達、それぞれピザを焼いてきました!」

アクィラ「どちらのピッツァが美味しいのか、決めてほしいんです!」

 

ローマ「ピッツァと言えば我々イタリア。勝ちは見えてるけど、アメリカ勢が引かなくてね」ヤレヤレ

アイオワ「そんなことないわ! ピザはアメリカでホットドッグ、ハンバーガーと並ぶ大人気メニューなんだから! 絶対にアメリカのピザが最高よ!」

 

長波「あ〜……そういう」ニガワライ

風雲「やっぱりこだわりが違うのかな?」ニガワライ

リベ「イタリアには大きく分けてナポリ風とローマ風あるの♪ ローマ風は生地が薄くて、耳もパリパリしているピッツァで、ナポリ風は生地は厚めで、耳はモチモチしてるんだ♪」

島風「へぇ〜、アメリカ風のは?」

提督「オーソドックスなのはナポリ風に近いだろう。しかしナポリ風みたいに耳も厚い感じではなく、均等な感じだな」

 

アイオワ「That's right! その通りよ! 地域ごとに違いはあるけど、アメリカのピザと言えばそれ!」

サラトガ「日本語でいう黄金率!」

 

扶桑「日本にピザが伝わったのは戦後でアメリカからだから、どちらかというとアメリカ風の方が親しみがあるわね」

山城「でも今はイタリアンも日本に沢山進出しているので、好みは分かれそうですね」

 

イタリア「そうなの!」

ローマ「我が祖国のピッツァが一番!」

アクィラ「だから食べ比べてほしいの!」

 

 それぞれが力説するも、お互い一向に譲る気は無い模様。それだけ真剣なのが伝わってくる。

 話してても埒が明かず、実際に食べ比べてもらおうということで今に至るらしい。

イタリア達は早速みんなに実食してもらうことにした。

 

 先手・イタリアーー

 

イタリア「今回はピザそのものの美味しさを決めてもらいたいので、トッピングはお互いにその国でのノーマルにしました♪ 因みに我が国のノーマルはトマトソースとバジリコ、モッツァレラチーズです♪」

ローマ「勿論、ナポリ風、ローマ風と二種類作ってきたわ」

アクィラ「どうぞ、召し上がれ♪」

 

 イタリア達に促され、提督達は手を合わせてから、それぞれのピザを口に運んだ。

 

提督「ほう……パリパリとした生地にシンプルなトッピングが実に合っている」モグモグ

扶桑「モチモチしている方も美味しいです♪」モキュモキュ

山城「シンプルイズベストって良く言ったものね。ピザ好きだとこういうのが一番なんじゃないかしら?」モッモッ

風雲「モッツァレラチーズ美味しい♪」

長波「モチモチもパリパリも甲乙付けがたいな♪」

リベ「リベはやっぱり食べ慣れてるイタリアのピッツァが好きだな♪」

島風「ローマ風もナポリ風も美味しい♪」

 

 イタリア勢による本格イタリアンピッツァにみんな舌を唸らせる。ここにこのピッツァに合うワインがあれば、もう誰も文句はないだろう。

 

 しかし勝負はまだ始まったばかり。提督達の前に今度は『カロリー大国』とまで言わしめるアメリカ勢のピザ現れた。

 

 後手・アメリカーー

 

アイオワ「ミー達のピザはこれよ♪」

サラトガ「アメリカのピザはシカゴ風、ニューヨーク風とありますけど、今回はオーソドックスなピザ生地にトマトソース、ペパロニ、プロセスチーズにしました!」

 

提督「軽く五十cmはあるな……流石はアメリカ。だが、味も凄くシンプルでいくらでもいける」モグモグ

扶桑「この伸びるチーズがまたそそられますね♪」モキュモキュ

山城「正にピザって感じね。やはりピザとピッツァは違うということかしら?」モッモッ

風雲「私はこっちの方が馴染み深いかな〜」

長波「でも量ならイタリア勢の方が好みかな〜」

リベ「食べ応えあって美味し〜♪」

島風「チーズもトロトロで美味しいね〜♪」

 

 アメリカ勢の本格ピザもこれまたみんなの舌を唸らせた。ここにコーラがあれば正にアメリカンな食卓だろう。

 

アイオワ「ふふん♪ やっぱり日本はアメリカと相思相愛! ミー達のピザがNo.1♪」ピース

ローマ「いいえ、アメリカは所詮ピザ。我々イタリアの方が正真正銘のピッツァよ!」

サラトガ「アメリカの法律では、大さじ二杯のトマトペーストが野菜とされてるから、トマトペーストを使ったピザは「野菜」に分類されるのよ!?」

アクィラ「だからカロリー大国なんて言われるのよ」ニガワライ

イタリア「さぁ、皆さん! どっちが美味しかったですか!?」

 

 イタリアにそう問われた提督達はみんなして先程のピザとピッツァの美味しさの審議に入る。

 しかしどちらの料理も本当に美味しかったので、決定打が出なかった。結局みんなは提督に全てを委ねる他なく、提督はみんなの代表としてイタリア達に結果を告げる。

 

提督「どちらのピザが美味しかったかとの問いだが、私達の判定はどちらも甲乙付けがたいとの判定が出た」

アイオワ「そんな!」

ローマ「そんな結果認められないわ!」

 

提督「分かっている……だが、本当にどちらも美味しかった。どうだろう? お互いのピザを食べてみては?」

イタリア「お互いのピッツァを?」

サラトガ「お互いに食べ比べてみるってこと?」

アクィラ「確かにアクィラ達はお互いの味をよく知らない……食べてみるのが一番かもしれないわ」

 

 互いに実食ーー

 

アイオワ「おい……しい!?」

サラトガ「これがピッツァ……!?」

 

イタリア「ギトギトなのに美味しい!」

ローマ「バジリコも使ってないのに……!」

アクィラ「プロセスチーズとの相性がこんなにいいなんて!」

 

 互いに食べてみたイタリア達は口々に互いの料理を賞賛し、終いには握手を交わす。それはお互いを認め合った瞬間だった。

 

提督「ふぅ……」ヨカッタ

長波「何とか丸く収まったな」ニガワライ

山城「無駄な争いだったわね」ヤレヤレ

風雲「やっぱり美味しい料理はみんなを笑顔にするわね♪」

扶桑「えぇ、それだけどちらのお料理も美味しいという証拠ね」ニッコリ

リベ「まだあるからみんなで食べよ〜♪」

島風「うん、食べよ食べよ」エヘヘ

 

 それからはピザとピッツァの食事会となり、みんなしてピザとピッツァを心ゆくまで堪能したそうなーー。




今回はイタリアとアメリカのピザ対決を書きました!
どちらの国もピザが人気なのでこのようなネタにしました♪

そして今日は扶桑さんの進水日と風雲ちゃんの竣工日なので、二人も登場させました!
二人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改75話

なんて物を作ってくれたんだ!(歓喜)の談。

キャラ大崩壊、ネタ、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、二一〇〇過ぎーー

 

 明石酒保ーー

 

金剛「陸奥と武蔵はもう来てマス♪」

榛名「榛名達が最後みたいですね」

伊勢「早く行きましょ♪」

山城「そうね……というか、あの二人が早過ぎるのよ」

 

 明石酒保の前には夜だというのに艦娘が集まっていた。しかしこの場に集まっている艦娘は戦艦のみ。

 酒保のドアには二十四時間営業なのにもかかわらず『準備中』との掛札がされている。

 しかしこれにはちゃんとした理由があるのだ。

 

明石「……皆さん、ようこそおいでくださいました」

 

 中から少しだけ顔を覗かせ、みんなを出迎える明石。

 すると集まった者達はゾロゾロ、ソロソロと酒保の中へと入っていった。

 

 中に入るとみんなは酒保の中でも一番奥の間へと通される。そこに足を踏み入れると、中には夕張が立っており、側の小さなテーブルの上にはゴーグルのような物が二つ、ポツンと置いてあった。

 

陸奥「これが例の()()なのかしら?」

夕張「そうです。私と明石、工廠妖精さん達で作り上げた例の品です♪」

 

 陸奥の問いに夕張がそう答えると、その場にいる者達はざわめき始める。

 それもそのはず。このゴーグルは今巷で話題のVR(バーチャルリアリティ)なのだ。それもこの鎮守府限定の特別な物だ。

 VRとは簡単に言えば、VR体験者の身体に特定の機器を装着した後、コンピュータにより合成した映像や音響などの効果により、三次元空間内にVR体験者の身体が投影され、本当にその空間への没入感を生じ、このような技術そしてその体系はVRといわれている。

 

 ここまで説明すればもうこのゴーグルが何を映すのか察しているだろうが、敢えて言おう。

 このゴーグルは提督の動画を映し出すVRゴーグルなのだ!

 因みにVRが映し出す動画は既に出来上がっている動画を背景として使用し、そこに提督の動画を合成した物。提督には艦隊の士気高揚のためとして撮影協力をしている。

 

陸奥「ねぇねぇ、早く見せてほしいんだけど」ウズウズ

山城「…………」ウズウズ

夕張「待ってください……皆さんの気持ちはよ〜く分かります。でもその前に、この紙に書いてある三つの動画で『これなら自分は耐えられる』って動画を選んでほしいんです」

明石「でないと未だに起き上がれない大和さんや長門さん達みたいになるから」ニガワライ

 

陸奥「姉さんが鼻血出して未だに復活しないのはそのせいなの!?」

明石「あそこまでなるとは思わなくて……だから皆さんには予め耐えられそうな動画を選んでもらおうって訳です」ニガワライ

夕張「因みに耐えられない場合、こちらのホワイトボードに書いてあるようなことになります」

 

 ーホワイトボードー

 

 被験者名 :症状

 長門   :鼻血、よだれ、痙攣

 ビスマルク:めまい、立ちくらみ

 イタリア :鼻血、立ちくらみ

 ローマ  :鼻血からくる貧血

 ウォスパ :よだれ、不気味な笑い

 大和   :上記全部、後に気絶

 

伊勢「うわぁ、これでそうなったのか〜」

山城「私耐えられるかしら?」ニガワライ

榛名「ちゅ、注意して選ばなきゃいけませんね!」

 

 各症状を見たみんなは細心の注意を払って動画を選ぶと同時に、もう動画のタイトルからして諦めた者もいた。

 

 そしてーー

 

明石「では順番に始めますね♪ まずは金剛さんと榛名さんからです♪」

金剛「オーケー!」フンス

 

 ◇海の上で歌を熱唱している動画◇

 

提督『壊れる〜ほど 愛〜しても〜♪ 1/3も伝わらな〜い♪ 純情な感情は空回り〜 I love youさえ〜も言えないでいる My heart〜♪』

 

金剛「て、テ〜トク〜♡」キュンキュン

榛名「榛名は大丈夫です!♡」キューーン

 

提督『どれだけ君を愛したら〜♪ この想い届く〜のだろ〜♪ 見つめられ〜ると言〜えない〜♪ 言葉が宙に舞う〜♪』

 

金剛「ワタシはいつでもウェルカムデ〜ス♡////」キャッキャ

榛名「榛名は大丈夫です〜!♡////」ヤンヤン

 

 ー現実ー

 

武蔵「これは傍から見ているとかなり滑稽に見えるな……」ニガワライ

陸奥「そ、そうね」ニガワライ

伊勢「私も嗚呼なっちゃうのかな〜」ニガワライ

山城「私は嗚呼なる自信があるわ」トオイメ

 

金剛「テ〜トク〜♡」キャーッ!

榛名「榛名は、大丈夫です〜!♡」ピョンピョン

 

明石「金剛さんはよだれが少々……」メモメモ

夕張「榛名さんの方は同じことしか言えなくなってしまってるわね」カキカキ

全員『』ニガワライ

 

明石「さぁ、どんどん行きましょう♪」

夕張「次は武蔵さんと山城さんですね♪」

 

 

 ◇金網ステージでダンスを踊っている動画◇

 

提督『』ペコリ

 

山城「♡」キュン

武蔵「♡」デレッ

 

提督『』クルッ スタッ ウィンク

 

山城「( ゚д゚)・∵.♡////」グハッ!

武蔵「……♡////」プルプル

 

提督『』ヒュンッ クルッ キリッ

 

山城「お、おぉぉぉ……♡////」ダバダー

武蔵「…………っ♡////」ガクガク

 

提督『……』キメッ ニコッ

 

 ー現実ー

 

山城「ビューティフォー……♡////」

武蔵「………………♡////」パタリ

 

夕張「山城さんは砂糖を吐く……っと」カキカキ

明石「武蔵さん気絶……っと」メモメモ

全員『(ー人ー)』ヨクガンバッタ

明石「最後は伊勢さんと陸奥さんですね♪」

夕張「どぞどぞ♪」

 

 

 ◇提督の鍛練風景の動画◇

 

提督『っ! っ! っ!』

 

伊勢「はわ〜♡」ウットリ

陸奥「凄い臨場感……提督がすぐ目の前にいるみたい♡」ポッ

 

提督『はぁ……はぁ……ふぅ……』ビッショリ

 

伊勢「〜〜♡////」ドキドキ

陸奥(想像以上にヤバイかも♡////)ジュルリ

 

提督『皆を守るためにこれからも精進する。だから、共に頑張ろうな』ニカッ

 

 ー現実ー

 

伊勢「わわ、わらひもがんばりましゅ〜♡」デレデレ

陸奥「………………♡////」パタリ

 

明石「伊勢さんは呂律が回らなくなったわね」メモメモ

夕張「陸奥さんは武蔵さんと一緒の症状ね……」カキカキ

 

 それぞれ体験した結果、想像以上の破壊力だった。

 しかし予め耐えられるかどうかを考えて選んだため、重症者は陸奥と武蔵だけで済んだ。

 

 こうして提督のVRが完成した……だが戦艦の艦娘達だけでも色々と副作用が多く、症状も例のCDの比ではなかったので、このVRは次の日が休日の者で何も予定がない者のみが視聴可能という規制を設けたというーー。




 おまけーー

 大本営、とある日の夜ーー

 香取型姉妹部屋ーー

香取「あ、あぁ……♡////」ハナヂダバー
鹿島「せ、先輩……♡////」ヨダレダバー

 山城から届け物が来た香取達。中には例のVRゴーグルと動画が入っており、それを見た香取と鹿島はとてつもないLOVEを出してしまった。

香取「こ、これは良い物だわ♡////」クラクラ
鹿島「先輩♡ 先輩♡」プルプル
香取「あばばばば♡////」ビクンビクン
鹿島「そんなに見つめないで、先輩!♡」ガクガク

 二人は提督のVRにより、キラキラを超えたギラギラ状態となる。
 しかし副作用により二人は次の日、全く動けなくなってしまった。
動けなくなった理由を元帥が知ると、そのVRは次の日が休みの場合の時だけと厳命されたそうなーー。

 ーーーーーー

今回はキャラ崩壊が著しくなってしまいましたが、ご了承を。
もし提督さんのVRがあればこうなるかなと思って、書いてみた次第です(^^;

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改76話

鎮守府の女神。の談。

少し真面目なシーン、説明文多め、キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、〇九〇〇ーー

 

 明石酒保ーー

 

愛宕「ぱんぱかぱ〜ん♪ 今日一日店長の愛宕よ♪ みんなよろしくね〜♪」

高雄「あまり調子に乗らないように。私達は明石さんの代わりなんだから」ニガワライ

 

初雪「いつもゲームの仕入れでお世話になってるから頑張る……たぶん

吹雪「そこはちゃんと言い切ってよ」ニガワライ

白雪「大丈夫だよ。初雪ちゃんはやる時はやるもんね」ニコッ

初雪「」コクコク

深雪「午後は叢雲達も手伝いに来てくれるって言うし、大丈夫だろ♪」

 

愛宕「うんうん♪ それじゃみんな……」

高雄「お店を開けるわよ♪」

姉妹『は〜い♪』

 

 本日、明石酒保は代行で経営されている。何故かというと今日、明石はお休みだからだ。

 

 お休みの理由は今日が明石にとって特別な日ということがあげられる。

 

 一九四四年・同日。この日はパラオ大空襲があった日で、朝から雨のように爆弾が降るというトラック島空襲と同じ悪夢が日本軍を襲った。

 トラック島空襲と同じく大惨事となったのには、せっかく事前に敵機動部隊の接近に気付いていながら迅速な対応を行わなかったことや、戦闘艦以外の支援艦船や輸送船の退避が徹底しなかったことなどが指摘されている。

 そしてその中に明石も入っていたのだ。

 

 唯一の工作艦『明石』。元戦艦でわずか一週間程で急遽工作艦へ改造された『朝日』が先に存在していたが、純粋な工作艦は明石のみだった。

 明石を作る際、お手本となったのはアメリカ工作艦『メデューサ』。

 速度は十九ノットと艦隊に随伴できる速度が求められ、また自衛兵器も搭載。その背景には艦艇の絶対数が少なかった日本が、護衛対象となる明石自身にもそれなりの能力を与えることで危険排除を図ったからだ。

 

 工作能力とその設備については明石には大小様々な工場設備が備わっており、その数実に十七。

溶鉱炉、鍛冶工場をはじめ、当然それらを部品に加工する製造設備も完備。他には木工工場も併設され、材料さえ揃えば、修理部品から兵器の新造までの全てが明石の中で完結可能という素晴らしい性能を持っていた。

 更にはこの工作機械も大変優秀で、本土でも高価なためにほぼ扱われていなかったドイツ製の工作機械も採用しており、ブランドに恥じない性能を発揮し、ものによっては明石の方が内地よりも修復能力が高いものもあった程。

 高性能設備の充実の結果、連合艦隊の年間修復工数三十五万のうちの四〇%が、計算上で明石一隻でこなせるという能力を有することになった。

 

 明石が開戦直後から南方海域を走り回る中、一九四二年・五月二十六日には明石の先輩艦である朝日がアメリカ潜水艦『サーモン』からの魚雷攻撃により轟沈。

 これにより明石の役割はますます高くなった。

 当時南方海域の最重要拠点トラック泊地を拠点に明石は数多くの艦艇を修理し、その数は三百を超えるとも言われている。

 

 しかし日本の戦況が劣勢になってきた最中、あのトラック島空襲が起き、明石は長く滞在し続けたトラックを離れ、パラオへと避難。そしてそこでパラオ大空襲が起きたのだ。

 朝からの執拗な空襲で被害は積み重なり、発生した火災は遂に手がつけられない程の大規模なものになり、浅瀬だったために沈没こそはしなかったものの、夜になっても重油に引火した炎は収まる気配がなく、大破着底。

 こうして明石は放棄されることとなり、同年五月十日に除籍された。

 

 このような日なので、提督は明石にお休みを与えたのだ。

 

 

 特殊艦寮、明石の部屋ーー

 

明石「( ˘ω˘)」Zzz

 

 明石は〇七〇〇に提督や特に仲の良い仲間達と共に黙祷した後、部屋に戻って畳の上に転がるといつの間にか寝てしまっていた。

 こうして穏やかに過ごせることが嬉しい上に、普段はほぼこの時間帯は仕事中なので明石は束の間の休日をこのように満喫している。

 

 するとドアをノックする者が現れた……が、明石は眠っているためそのノックには気が付かない。

 

 

 部屋の外・ドア前ーー

 

夕張「あれ〜? おっかしいなぁ……今日は部屋にいるって言ってたのに」ムムム

提督「今日はいい陽気だから、眠っているのかもしれないな」

 

 明石の元へ訪れたのは提督と夕張だった。

 夕張は普段から明石と仲良しなので、今日は自分も休みということで一緒に過ごそうとやってきたのだ。提督に至ってはいつものように、明石にとって特別な日なので少し様子を見にきた次第。

 

夕張「………………」ウーン

  (眠っているのかな……もしかして!?)

 

 夕張はあることが浮かんだ。

 明石もかなり影は薄いが艦隊では立派な提督LOVE勢。故に明石はこれまで開発してきた提督関連の品物のお宝音源、更にはお宝動画なりを有している。

きっと明石はそれを観聴きしているため、ノックに気が付いていないのでは……と夕張は考えたのだ。

 

夕張「ちょ、ちょっと中を確認してみますね」ニガワライ

提督「分かった。私はあちらを向いていよう」クルッ

 

 夕張の言葉に提督は素直に頷いてあさっての方向を見た。いくらこの鎮守府の提督とは言え、部下であり異性である明石の部屋を明石の許可無しに覗けないということからの提督なりの配慮だ。

 夕張としては明石が『提督これくしょん』を閲覧してて鼻血を出してたり、鼻息を荒くさせていたりといった、あられもない状況を提督に目撃されないために言ったのだが……。

 

 とりあえず部屋の中を確認ーー

 

夕張「|ω°)」チラッ

 

明石「( ˘ω˘)」スヤァ

 

 明石は提督の推測通り眠っていた。

 それを確認した夕張はまたあることを思いつく。

 

 一先ずドアをそっ閉じした後、夕張は提督にとあることを耳打ち。

それを聞いた提督は「いいのか?」と夕張に確認したが、夕張は眩しい笑顔でバチコーンとウィンクして親指を立てた。

 

 そして行動開始ーー

 

 中に忍び足で入った提督と夕張。

 提督は眠る明石に深々と頭を下げてから、静かに明石の頭側に正座。そしてゆっくりと明石の頭を自身の膝の上に置く。

 

 そう、夕張が思い付いたのは膝枕。普段提督にされないことをされて目覚めた時の反応が見たいのと、自分もそうされたら嬉しいと思うことを提案したのだ。

 

夕張「明石〜、起きて〜。一緒にアニメのDVD観る約束でしょ〜?」ユサユサ

 

明石「んぇ〜……あ〜、私寝ちゃってーー」

提督「(;^_^;)」ニ、ニコッ...

明石「これは夢ね」フフフ

 

夕張「ほっぺつねってあげようか?」キュッ

明石「いひゃい……ってことは!?」カッ!

提督「おはよう、明石」ナデナデ

明石「てててて、提督!?♡//// い、いちゅから、ひひひ、ひじゃまくにゃをををををを!?♡////」カミカミ

提督「つい今しがた、夕張の案でな……お気に召してもらえたかな?」

明石「(///д///)」コクコクコクコク

提督「なら良かった。それならもう少しだけこのままでいよう」ナデナデ

明石「は〜い♡////」ニヨニヨ デレデレ

 

 そんな明石に夕張は提督に見えないようにピースサインを出した。それに気付いた明石は夕張にニッコリと微笑みを返す。

 その後、提督からの膝枕を堪能出来た明石は夕張にお礼として提督のお宝動画を観せ、この日は二人してニヤニヤするのだったーー。




今日は本編に書きました通り、パラオ大空襲により工作艦『明石』が大破着底してしまった日です。
この日の空襲で明石の他にも給油艦など多くの艦艇が沈みました。
この日に明石をはじめとし、沈没または擱座してしまった艦艇、亡くなられた英霊の方々、一般の方々に心からお祈りします。

本編の情報はWikipedia『パラオ大空襲』ページ、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

あとこのような日ですが、愛宕さんと初雪ちゃんの竣工日です!
二人共おめでとう!

最後はいつものようなオチになりましたが、読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改77話

ドイツと日本を結んだ潜水艦。の談。

少し真面目なシーン、独自設定、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、二一〇〇ーー

 

 提督自室ーー

 

提督「遠慮することはない。はちのために用意したんだ、好きなだけ飲みなさい」ニコッ

はち「ありがとうございます。頂きますね♪」

 

 今宵、提督の部屋に訪れているのは、はちをはじめとした潜水艦の者達。

 提督は今日に合わせてドイツビールの『ドュンケル』とドイツの有名な蒸留酒『キルシュヴァッサー』をみんなに振る舞っていた。因みにキルシュヴァッサーは種子ごと潰したサクランボを醗酵させ、六週間前後寝かせた後に蒸留したお酒。

 

イヨ「ん〜、このお酒美味し〜♪」ゴクゴク

ろ「それをストレートで飲んだら、こっちのビールを飲むのがキルシュヴァッサーの飲み方なんだよ♪」

イヨ「へぇ〜……ごくっ……ん! 美味しい! ほのかな苦味がビールによく合うよ!」

ヒトミ「だからってあんまり飲み過ぎないでね? 今日ははっちゃんの大切な日なんだから」

イヨ「わ、分かってるよ〜」ニガワライ

 

しおい「おつまみ出来たよ♪」

ニム「フランクフルトとじゃがバター♪」

イク「提督用にお新香も持ってきたの♡」

ゴーヤ「美味しく出来たんだよ♡」

 

提督「ありがとう」ニコッ

イク「お礼なんかいいの〜♡」デレデレ

ゴーヤ「てーとくのためだもん♡」エヘヘ

 

まるゆ「イムヤさんは隊長のお側に行かなくていいんですか?」

イムヤ「い、いいわよ……今日ははっちゃんの日だもん////」←提督の部屋に来れただけで幸せ

 

 どうして今日がはちの大切な日なのかというと、はちはこの日にアメリカ駆逐艦『ストックトン』からの攻撃により沈んでしまったからだ。

 

 一九四五年・三月三十日。『伊八潜水艦』は同日、二三〇八に沖縄本島沖で、油槽船、輸送艦及び駆逐艦を含む機動部隊の一艦として慶良間諸島に向かう途中、敵にレーダーで捉えられ、二三三九から翌日三十一日の〇二三九の間、ストックトンから攻撃を受けた。

 ストックトンからの七回目の攻撃後、海面に重油が噴き出し、それは伊八潜水艦が損傷したことを物語る。

伊八潜水艦は艦首から浮上し、その後は砲戦、機銃戦。

 

 しかしストックトンの他にアメリカ駆逐艦『モリソン』もおり、瞬く間に上部構造物は吹き飛び、気泡を噴出。ストックトンは片舷用爆雷投射機三基で攻撃し、伊八潜水艦は三十分以上もローリング・ピッチングしながら集中砲火を浴びたのだ。

船体は命中弾を受けて人が通れる程の穴が開き、全甲板は剥ぎ取られ、艦橋は爆発によって粉砕。

 後、〇四一二に艦尾から沈んでいってしまった。

 しかし伊八潜水艦は最後の最後まで機銃戦を続行し、沈む直前まで銃口の火は止まなかったという。

 

 そういった日なので、提督ははちにこうしてお酒をご馳走しているのだ。それも彼女の好きなドイツのお酒を。

 

はち「提督、今年もありがとうございます。はっちゃんのためにここまでして頂いて」ニコッ

提督「このような日くらい甘えなさい。私ははちが笑顔でいてくれれば、それでいいんだ」ナデナデ

はち「ふふ、そういえば提督はそういう人でしたね……なら甘えちゃいます」エヘヘ

 

ニム「はっちゃん嬉しそう♪」

しおい「はっちゃんっていつもクールだけど、提督にはああやって甘えるの好きだからね」クスッ

ろ「ろーちゃんも提督に甘えるの好き〜♪」

まるゆ「ろーちゃんは隊長によく飛びついてるもんね♪」

 

 和気あいあいとみんなしてささやかな酒盛りをしている中、

 

イムヤ「…………」

イク「…………」

ゴーヤ「…………」

 

 とあるこの三名は羨ましそうに提督とはちを見ていた。

 

ヒトミ「皆さんどうしたのかしら?」

イヨ「そりゃあ、LOVE勢だからはっちゃんが提督と仲良くしてるのが羨ましんでしょ?」

ヒトミ「あぁ……皆さん、提督が大好きだもんね」ニガワライ

イヨ「まぁあんだけいい人だと惚れるよね〜♪」

ヒトミ「イヨちゃんも提督が?」

イヨ「イヨ? イヨはライクだよライク♪ お酒飲ませてくれればオーケー」ニシシ

 

 イヨの言葉にヒトミはガクッと頭を垂れるが、それはそれでイヨらしいので凄く落ち込んだ訳ではない。

 

提督「ほら、グラスが空いているぞ」トクトク

はち「ん、ダンケ♪」

ろ「提督はそろそろお水?」

提督「あぁ、そうだな。もらおうか」ナデナデ

ろ「は〜い♪」

イムヤ「あ、なら私が持ってくるわ」

提督「ありがとう、イムヤ」ニコッ

イムヤ「わ、私も飲みたかったからついでよ、ついで♡////」ドキドキ

 

 そう言い残すと、イムヤは水を汲みに台所へと向かった。

 

イク「提督〜、イクも提督からお酌されたいの〜」

ゴーヤ「ゴーヤも〜」

 

 声をかけるタイミングを見計らっていたイク達が捨てられた子犬のような眼差しでお願いすると、提督はニッコリと笑ってイクとゴーヤのグラスにお酒を注ぐ。

 するとイクもゴーヤも提督からお酌されたお酒を嬉しそうに、でも味わって飲むのだった。

 

ニム「まるゆちゃん、じゃがバターに何かけてるの?」

まるゆ「マヨネーズです」ニコッ

ニム「お〜、マヨネーズか……美味しいよね〜」

しおい「明太マヨが至高でしょ♪」

はち「はっちゃんは塩辛かな♪」

イヨ「贅沢にいくら!」

ヒトミ「私は……チーズかな」ニコッ

提督「どれも美味しそうだな」アハハ

イク「ちょい足しで味は無限なのね〜♪」

 

ゴーヤ「ろーちゃん、おもむろにゴーヤのじゃがバターにかけようとしてるそれは何でち?」

ろ「ゴーヤで作ったソース!」キラキラ

ゴーヤ「やめるでち!」

 

 そこにイムヤが戻ってくると「相変わらずね」とゴーヤと呂のやり取りにツッコミを入れつつ、提督の新しいグラスに水を注いだ。

 

提督「イムヤはじゃがバターに何をかけるのが好きなんだ?」

イムヤ「へ、私? そうね……ハーブソルトかな。シンプルで飽きないわよ♪」

提督「ほぅ……それもそれで美味そうだな」

イムヤ「じゃ、じゃあ司令官もそれで食べる?////」

 

 イムヤの誘いに提督が頷くと、イムヤは嬉しそうに微笑んで甲斐甲斐しく提督のじゃがバターにお気に入りのハーブソルトをかけてあげるのだった。

 

はち「……♪」ニコニコ

 

ろ「はっちゃん、今幸せ?」

はち「ろーちゃん……うん、幸せだよ。みんながいて、提督もいて」ニッコリ

ろ「良かった……これからもみんなで仲良く頑張ろうね♪」

はち「当たり前♪」ウィンク

 

 こうしてはちはまた新たにみんなとの楽しい思い出を胸に、明日からも頑張ろうと誓うのだったーー。




今日は本編に書きました通り、伊八潜水艦が沈んでしまった日ということでこのような回にしました。
この日に沈んだ伊八潜水艦と艦と運命を共にした多くの英霊の方々に心からお祈りします。

そう言う日でもありますが、山城さん、龍田さん、古鷹さん、響ちゃん、朝雲ちゃん、萩風ちゃんと多くの娘達の竣工日です!
みんなおめでとう!

本編内の情報はWikipediaより得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改78話

君のための素敵な嘘。の談。

少し真面目なシーン、独自解釈、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一七〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

 ガチャーー

 

龍驤「おっす、司令官♪ 訓練の報告書持ってきたdーー」

 

ゴーヤ「てーとく! ゴーヤを慰めてほしいでち〜!」

提督「分かったから落ち着きなさい」ナデナデ

ゴーヤ「だって〜!」

 

 龍驤は言葉を失った。何故ならゴーヤが提督を床に押し倒して馬乗りになっていたから。因みに本日秘書艦任務に就いている龍鳳は所用で席を外している。

 しかも「慰めて」ということはそういうことだろう……とつい龍驤は考えてしまった。何故ならゴーヤは提督LOVE勢でもアグレッシブ勢だから。

 

龍驤「憲兵呼ぼか? 同意の上なら呼ばへんけど?」

 

提督「何の話だ?」

ゴーヤ「あ! 龍驤ちゃん! 聞いてよ〜!」ダイブ

 

龍驤「今度はうちかいな!?」ドサッ

 

 今度は龍驤が押し倒されてしまった。

 龍驤はどうしてこうなったのか理解出来ずにいると、起き上がった提督がゴーヤをヒョイと持ち上げ、ソファーへ座らせると龍驤の元へ。

 

提督「すまんな、龍驤。今のゴーヤは少し我を忘れているんだ」

龍驤「あ〜、そういや世間ではエイプリルフールやけど、ゴーヤにとっては特別な日やもんな〜」

 

 提督に起き上がらせてもらいながら龍驤はそう言って、ゴーヤの方を見た。

 ゴーヤはソファーの上で両膝を抱えながらふて寝しており、明らかにいつものゴーヤでないことが分かる。

 

 それは今日ゴーヤが戦後、アメリカ軍による海没処分を受けて沈んだ日なのだ。

 

 一九四六年・四月一日。

 あの戦争を戦い抜いた武勲艦『伊五八潜水艦』は『伊三六潜水艦』・『伊四七潜水艦』・『伊五三潜水艦』・『伊四〇二潜水艦』などの仲間二十三隻と共に、五島列島沖でアメリカ軍の実艦標的として海没処分となった。

 

 海没処分をされる当日、佐世保港内には複数の潜水艦が浮かんでおり、その一隻は鋼鉄の身を桜の木々で化粧を施したかのように佇んでいた。それが伊五八潜水艦の最後の姿だった。

その姿はまるで『花嫁姿のような出立ちだった』と言われた。

 艦橋やマスト、アンテナといった各所に桜の枝を括り付けられ、伊五八潜水艦は静かに佐世保を後にし、五島列島沖で桜の花を散らせながら沈んでいったと記録されている。

 

提督「それも嗚呼なっている理由だが、少し込み入った事情があってな」ニガワライ

龍驤「どういうこっちゃ?」

 

 提督の言葉に龍驤が訊ねると、提督はゴーヤの方をチラリと見、ゴーヤがこちらを向いていないことを確認したあとで龍驤に小声で説明を始める。

 

提督「今日はゴーヤにとって辛い日だが、世間ではエイプリルフールだろ?」

龍驤「」コクコク

提督「それでイク達、潜水艦組がゴーヤにエイプリルフールでのサプライズをすると言い出してな。ゴーヤと過ごすはずの時間を『用事が出来た』と嘘をついたことで、ゴーヤは今嗚呼なっているんだ」

龍驤「なるほどなぁ……んで、今は料理かなんかの最中って感じなん?」ニガワライ

 

 龍驤の察しの良さに提督は流石と思いながら、静かに頷く。

 

龍驤「話は分かった……でもあのままでもアカンやろ?」

提督「そうなんだ。何とかしてやりたいが、事情を知っている以上、下手なことは出来ん」

龍驤「キミは嘘が下っ手やからな〜」

 

 龍驤にそう言われた提督は「そうだ」と申し訳なさそうに目を伏せる。しかし龍驤はニカッと笑って、提督の背中を叩いた。

 

提督「?」

龍驤「簡単なことや。キミがゴーヤの隣に行って、ゴーヤを抱きしめたったらええねん♪」

提督「そんなことでいいのか?」

龍驤「そんなことやあらへん。こういう時、何も言わずに抱きしめてくれるだけってのも、それはそれで嬉しいもんやからな」

提督「しかし……」

龍驤「ここにゴーヤが来とるのは、信頼してる司令官がおるからや。そんな人にギュッてされて迷惑なはずないやろ」ナ?

 

 すると提督は龍驤にしっかりと頷きを返した。それを見た龍驤は「しっかり慰めたれや?」と提督の胸を叩き、報告書を机に置いてからそそくさと執務室をあとにするのだった。

 

 提督は龍驤に感謝しつつ、未だふて寝しているゴーヤの隣に座る。するとゴーヤは提督の肩にもたれるように座り直した。どんなに落ち込んでいても提督が側にいることが嬉しいようだ。

 

 そんなゴーヤに提督は何も言わず、優しく、それでいてしっかりと力を込めてゴーヤの肩を抱いた……「ゴーヤは一人じゃない」、「みんながちゃんとゴーヤのことを考えている」という思いを込めて。

 

ゴーヤ「てぇ……とく?」キョトン

提督「」ニッコリ

ゴーヤ「えへへ……ありがと、提督♡ やっぱり、てーとくのところに来て良かった♡」ギューッ

 

 提督の優しさにゴーヤはいつものような声色で、提督の腰に手を回して身を寄せた。提督はそれを拒まず、ちゃんとゴーヤを自身の体に引き寄せる。するとゴーヤは今度は「んっ♡」と甘い声をもらし、提督の脇腹の辺りに頬擦りした。

 

 ガチャーー

 

イク「イク、颯爽と登場なの〜♪」

 

 そこにイク達、潜水艦組が現れた。そこには龍鳳も一緒だ。

 イク達の登場にゴーヤが目を丸くしていると、トテテテと呂がゴーヤの元へ。

 

ろ「でっちのためにみんなでケーキ焼いてきたの♪」

ゴーヤ「ケーキ?」

 

 状況が把握出来ていないゴーヤに今度はイヨが声をかける。

 

イヨ「嘘ついてごめんね〜♪ でもいいサプライズっしょ?」ニシシ

ヒトミ「今日はゴーヤさんの大切な日なので、このような演出をしました。そのためとは言え嘘をついて申し訳ありませんでした」ペコリ

 

 ヒトミが頭を下げると、残りのみんなが大きなお皿をテーブルに乗せた。

 そこには龍鳳と共にみんなで作った桜の花を模したショートケーキが乗っていた。

五弁の花びらを模したスポンジ、そこに薄いピンク色のクリームを全体に施し、花の中央には八つのイチゴが綺麗に円を描いている。

 

ゴーヤ「うわぁ……」キラキラ

イク「今年は潜水艦も増えたから思考を変えたの♪」

ニム「ケーキのアイデアはみんなで出したんだ♪」

しおい「そのクリームはイチゴの果汁使ったんだよ♪」

まるゆ「喜んでくれると嬉しいです♪」

イムヤ「って、もう聞いてないわね」クスッ

はち「だね……目はケーキにしか行ってないもん」アハハ

龍鳳「頑張って作った甲斐があるわね」ニコッ

 

提督「良かったな、ゴーヤ」ナデナデ

ゴーヤ「うん! みんな、素敵な嘘をありがと!」ニパー

 

 こうしてイク達の考えたゴーヤへのサプライズは大成功し、みんなしてショートケーキを美味しく頂いた。

 ゴーヤはその前にケーキと一緒に記念撮影もする程で、本当に眩しい笑顔だったーー。




今日はゴーヤこと、伊五八潜水艦が役目を終えた日です。
最後まで戦い抜いた伊五八潜水艦に心からお祈りします。

因みに今でも伊五八潜水艦はあの日に沈んだ仲間と共に五島列島沖に眠っています。
戦後アメリカ軍によって接収された潜水艦の映像がアメリカ国防総省にカラーフィルムで保存されており、その映像には処分直前の伊五八潜水艦の姿も映っているそうです。
その映像を当時潜水艦長の一人として見た橋本は、海没処分される伊五八潜水艦の姿を見て、静かに涙を流し 「あの艦は私の人生の全てでした」と言ったそうです。

本編内の情報はWikipedia、小説家になろう『伊号第五八潜水艦 ~散りゆく海の桜~』より得ました。

回天については触れませんでしたが、そこはどうかご了承お願い致します。

そして今日は龍驤さんの竣工日でもあります!
おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改79話

正規空母メイン。

キャラ崩壊含みます。


 

 ○○鎮守府、二三〇〇ーー

 

 明石酒保ーー

 

提督「お邪魔するよ」

 

明石「あ、いらっしゃいませ〜♡」

加賀「あら、こんばんは」ニコッ

 

提督「こんばんは、加賀、明石」ニコッ

 

 本日が終わりを迎える頃、提督が酒保に訪れた。そしてそこで珍しく寝間着(空色の浴衣)の加賀と出くわすと、これまた加賀にしては珍しくパイナップルの缶詰を手にしている。

 

提督「加賀にしては珍しい時間にいるな……まさか赤城が風邪でも?」

加賀「普段からあんなに栄養を摂っている方がそう簡単に風邪なんて引きません。これは私のです」

 

 そう言った加賀は缶詰を自分の物と言うように抱きしめる。それを見た提督が「夜食か?」と返すと、加賀はコクリと頷いた。

 

提督「夜食と聞くとカップ麺やおにぎりを連想するが、加賀は缶詰なのだな」

加賀「はい。私はどちらかと言えばお夜食は缶詰みたいな方が好きなので」

 

 柔らかい表情で答える加賀に提督は「なるほど」と返し、互いに笑みを浮かべる。

 すると明石が口を挟んできた。

 

明石「提督は何をお求めですか? 煙草ですか?」

加賀「というより、提督も珍しい時間に酒保へ来ましたね……まさかこんな時間になるまでお仕事を!? どうして私を頼らないんですか!?」ズイッ

提督「待て待て、仕事ではない。なかなか寝付けなくてな……特別なホットミルクを作るのに少々材料を買いにきたんだ」ニガワライ

 

 提督がそう説明すると明石は「なるほど♪」と返すが、加賀は提督が残業していないことに安堵しつつ、提督の言った「特別なホットミルク」に関心がいった。

 

提督「気になるか?」

加賀「っ……えぇ////」

  (どうしてバレたのかしら?////)

 

 加賀は気付いてなかった。提督の言うホットミルクという単語に目を輝かせていたことに。

 

明石「お待たせしました♪ 甘酒と柚子です♪」

 

 そんな話をしていると明石が倉庫から甘酒の缶と小ぶりの柚子を持ってきた。

 

提督「おぉ、ありがとう」ニコッ

明石「えへへ、ちゃんと覚えてますから♡////」デレッ

 

 二人のやり取りに加賀は思わず手に力が入ったが、罪のない缶詰をベコッと悲鳴をあげたことで加賀は我に返る。

 

明石「提督、よろしければ今作ります? それともお部屋で召し上がりますか?」

提督「…………ここで作ってもいいか? この際だから加賀と明石にもご馳走しよう」

加賀「ありがとうございます♡」ニッコリ

明石「では加賀さんもパイナップルの缶詰、ここで食べて行きます?」

加賀「そうします。缶切りを貸してください」

 

 こうして加賀は缶詰をつまみに提督特製のホットミルクをご馳走になることになった。

 

 明石はお昼も酒保で済ませることあるため、レジの奥にはカセットコンロとヤカン、お鍋がある。

 提督はそれを借り、鍋に酒保で追加で買った牛乳と重曹を混ぜてから投下。重曹をひとつまみ入れることで、沸騰寸前まで加熱しても牛乳の表面には膜が出来なくなるのだ。そして牛乳が沸騰する前に火を止める。

 

 ここで甘酒の登場だ。

 カップに甘酒を(お好みの量)入れ、そこに先程温めた牛乳を注ぐ。

 最後に柚子の皮を剥き、その皮を散らすようにホットミルクへ乗せれば完成。

 

提督「出来たぞ。柚子もせっかくだからおつまみとして食べてくれ」

加賀「これが提督特製のホットミルク……」キラキラ

明石「これって自分で作るとどうしても提督の味にはならないんですよね〜。なので味わって頂きます♡」ニコッ

 

 二人は提督にお礼を言ってカップを受け取った。因みに提督がホットミルクを作っている間、加賀は缶詰をキコキコしていた。

 

 甘酒と柚子の皮を入れたホットミルクを二人が口に含むと、砂糖ではない甘酒の甘みと、柚子の皮からなる爽やかな香りでほっこりする。

 

明石「ん〜、美味しいです♪ 今日は安眠出来ちゃいます♪」

加賀「本当に美味しい……甘酒と相性がいいとは思いませんでした」ホッ

提督「お気に召してもらえて何よりだ。私は甘酒でもほろ酔いになるからな……こうすることでただのホットミルクを飲むよりも、より安眠出来るんだ」

加賀「柚子を食べたあとだと、更に風味が増します。これはいいことを知りました♡」ニコッ

提督「加賀の笑顔が出たのなら自信が湧くよ」ナデナデ

加賀「ここでの撫で撫では良い判断ね♡」ニコニコ

 

 和気あいあいとお夜食タイムを過ごす提督達。

 すると酒保のドアベルが鳴り響いた。

 そこには、

 

赤城「か・が・さ〜ん♪」ニコニコ

 

 鎮守府の例の赤が寝間着姿(桜色の浴衣)のまま満面の笑みで登場。

 笑みは笑みでも赤城がまとうオーラはどこか冷たく、どす黒い。その証拠にあの加賀の目が盛大に泳いでいる。

 

 普段から赤城に厳しくしている手前、いざ攻守逆転となると、加賀はいつもの冷静さが鳴りを潜めるのだ。

 

赤城「いつも私にはお夜食はいけないって言ってる人は誰でしたっけ〜?」ホッペツンツン

加賀「わ、わらひれふ……////」ァゥ

赤城「しかも提督も一緒なんて色々とズルくありませんか〜?」ホッペグニグニ

加賀「しょ、しょれはたまたま……////」ァゥァゥ

 

提督「まあまあ、赤城。誰にだってこういうことはある。そう加賀を責めないでやってくれ」

赤城「提督はそう言いますが、私がいつも加賀さんにどれだけ言われてるか分かってますか?」ニコニコ

提督「全てではないがある程度は理解している。だが、それならなおのこと今は許してあげるべきではないか?」

赤城「…………い」

提督「ん?」

赤城「ズルいズルいズル〜〜い〜〜!」

 

 そう叫ぶ赤城は提督の手を取ってブンブン振った。

 

赤城「私もお夜食食べたいです〜! 提督お手製の特別なホットミルクも飲みたいです〜!」

提督「わ、分かった分かった。赤城の分も作ってあげるから、落ち着いてくれ」ナデナデ

赤城「がお〜!」

加賀「あ、赤城さん。私のパイナップルも半分あげますから」アセアセ

赤城「カップ麺も!」

加賀「…………わ、分かりました」クッ

赤城「やった〜♪ 提督、お許し出ました〜♪」キャッキャ

提督「良かったな……しかし、加賀は赤城のためを思ってインスタント食品は控えるよう言っているのを忘れてはいけないぞ?」ナデナデ

赤城「は〜い♡」エヘヘ

 

明石「赤城さん、新作入ってますよ♪」←商売人モード

 

 そう言った明石は両手に「ガツ盛り間宮チャーシューメン(醤油)」、「ガツ盛り伊良湖ワンタンメン(塩)」という新作カップ麺を持っていた。

 赤城は当然の如く二種類を食べ、加賀の缶詰も貰い、提督の特製ホットミルクも胃に収めると、満足感でいっぱいで素敵な笑みをして加賀と寮へ戻った。

 対する加賀は少しバツが悪そうにしていたが、帰り際に提督から「あまり気にしないようにな」と優しい言葉をかてもらったので、次の日も変わらず赤城に厳しくしたそうな。

 

 でもその日をきっかけに加賀は自分が夜食を食べる時は赤城を誘うようにしたとかーー。




前に言っていた通り、加賀さんが劣勢になるお話を書きました!
赤城さんの登場が遅くなった感がありますが、ご了承を。

そして今日は本編に出せませんでしたが、初月ちゃんの進水日です!
おめでとう、初月ちゃん!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改80話

するものではなく落ちるもの。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。

いつもより長いです。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 重巡洋艦寮、青葉型姉妹部屋ーー

 

青葉「う〜ん…………」トントン

 

 青葉は唸るように声をもらし、デスクのパソコン画面とにらめっこしながら持っているペンでデスクを軽く叩いている。

 

古鷹「青葉、さっきから何してるの?」

衣笠「今度の特集記事でも考えてる唸り声かな、これは」ニガワライ

 

 そんな青葉の後ろで衣笠と古鷹は共にお茶をすすっていた。加古がお昼寝に行ってしまったため、古鷹は青葉達の部屋にやってきたのだ。

 

 衣笠の言葉に古鷹は少し興味を持ち、ちょこちょこと青葉の元へ行った。

 

古鷹「青葉〜、次の特集ってどんなの?」

青葉「シスコン勢の皆さんが司令官に落とされた経緯を書こうと思ってるよ〜」

 

古鷹「(*ㆁд☆)」ナン...

衣笠「(。ӦдӦ)」ダト...!?

 

 青葉の言葉に衣笠達は興味が湧いた。

 シスコン勢……それは姉をこよなく慕う艦娘のことを言う。

 因みにこの鎮守府で提督にほの字なシスコン勢は

 

 山城・千代田・筑摩・大井

 

 の四名である。

 青葉はこの四名の特集記事を書こうとしているのだ。

 勿論、四名にちゃんと取材し、それぞれから許可も得ている。どうしてあの四名が取材を受けたのかというと、艦娘にしか配られない新聞ということと、これだけ自分は提督が好きなのだと好敵手達へアピールしたいからだ。

 

衣笠「取材テープあるんでしょ? ちょっと聞かせて!」

青葉「ネタバレは避けたいんだけど……」

古鷹「記事が出るまで公言しないから!」

 

 二人の気迫に負けた青葉は苦笑いを浮かべて取材の録音したテープを衣笠に渡した。

 

青葉(二人もLOVE勢だから、他のLOVE勢がどういう経緯で司令官に惚れたのか気になるんですね〜)

 

 いそいそと取材テープを聴き出す妹と親友を見て、青葉はそう思いながら「これは頑張って記事にしなくてはいけませんね」と気合を入れ直すのだった。

 

衣笠「最初は……山城さんだね!」

古鷹「は、早く聴こう!」

 

 

 ー取材テープ・山城編ー

 

青葉『山城さんは司令官さんが好きですよね?』

山城『えぇ、好きよ。扶桑姉様と同じくらい』

青葉『では早速本題なのですが、どうして惚れたんですか?』

 

山城『提督はね、私を不良品だと決めつけなかったの』

青葉『不良品……』

山城『えぇ……私は姉様の次にここへ着任した二番目の戦艦だった。その次に陸奥や榛名、金剛、日向と多くの戦艦が着任した。でも提督は私や扶桑姉様を艦種制限以外で第一艦隊から外すことはなかった』

青葉『それだけ信頼されていたんですね……』

山城『そうね……でも当時の私はどうせ他の人達の練度が上がれば外されるって、そう思ってた』

 

山城『私はその日が来るのが怖かった……どうせいつか外されるなら、今外してほしい……そう思った』

青葉『それで司令官に直談判しに行ったんですね』

山城『えぇ、そうよ。流石よく知ってるわね』クスッ

青葉『恐縮です。それで直談判しに行った時にどうなったんですか?』

山城『笑われたわ……そんなことで第一艦隊から外す理由にならないって』

青葉『ほぅほぅ……それで?』

山城『「みんなの練度が上がれば、山城達はより練度が上がっている。そうなったら確かに常時の第一艦隊から外すが、その時は二人に訓練教官を任せるつもりだ」ってね』

 

山城『「史実はどうあれ、私の扶桑と山城が優秀であることは私が一番知っている。だから今の君達の実力をこれからも仲間や海の平和のために役立ててほしい。私には二人の力が必要だ」……そう言ってくれた』

 

山城『こんなにも必要とされることが嬉しいなんて思わなかった。あんなにも未来を見据える目が輝いているなんて分からなかった。その言葉で私は恋というものに落ちたのよ♡』

青葉『今でも真の第一艦隊にはお二人が揃って名を連ねてますからね……やはり司令官あっての今のお二人なのでしょうね!』

山城『ヨイショしても何も出ないわよ?』フフフ

 

 ーー

 

衣笠「ふぇ〜、こんなエピソードがあったんだ」

古鷹「あの頃から、提督は提督だったんだね」クスッ

衣笠「よし、次行こ! 次は誰かな?」

古鷹「これは……千代田さんだね♪」

 

 

 ー取材テープ・千代田ー

 

千代田『提督を好きになった理由か〜……どんなに私が提督を邪険にしても笑顔で向き合ってくれたから、かな』

青葉『ほぅほぅ』

千代田『最初はその余裕にムカついた。でも常にお姉と出撃させてくれるし、常にお姉と一緒に鍛え上げてくた』

 

千代田『それでそんな時、ふと思ったの。私は千歳お姉のオマケじゃないって……知らず知らずのうちに私個人を見てほしい、そう思ってたの』

 

千代田『そっからかな? お姉に負けないように提督にアピールするようになったのは』アハハ

青葉『そこは意外とあっさりですね』

千代田『やっぱそう思う? 私も自分のことなのにそう思ったんだ♪』

 

千代田『なんだろうな……理由になってないかもだけど、提督だから(恋に)落ちちゃったんだよ、私♡ 提督じゃなきゃこうはなってないって、そうはっきり言えるもん♡』エヘヘ

 

 ーー

 

衣笠「どうしよう、千代田さんすごく可愛い////」

古鷹「聞いてるこっちがドキドキしたよぅ////」

衣笠「次は筑摩さんの……聞こうか////」

古鷹「////」コクコク

 

 

 ー取材テープ・筑摩ー

 

青葉『では早速お聞かせください♪』

筑摩『少し恥ずかしいですね……でもそうですね、姉さんをこの方になら任せられる、そう思うようになったら私もくびったけになってました////』

 

筑摩『私は姉さんを残して沈んでしまいました。だから今度はそうならないよう、姉さんを一人にさせないよう、目一杯お世話してました』

 

筑摩『そんな私に提督が言ったんです。「時には筑摩も私に甘えなさい。筑摩が利根を大切に思うように、私も筑摩を大切に思っている」……と』

 

筑摩『「その前に頼ってもらえるように、私も精進せねばな、あはは」な〜んて言うんですよ? 困ったお人ですよね?♡ でもその言葉で私は分かってしまった。誰かに思われる心地良さを……』

青葉『なるほど……』

 

筑摩『提督って嗚呼見えて、少しそそっかしいところがあるじゃないですか? そんなところに胸の奥に心地良い締め付けが出るようになりまして……それで提督と姉さんのお世話をする、そんな人生を過ごせたらと考えていたら、気付かぬ内に落とされていました♡////』ハゥ

 

 ーー

 

古鷹「はわわ〜、まさか筑摩さんがこんなになるなんて……////」

衣笠「筑摩さんって嗚呼見えて肉食系だもんね……行動力も高い訳だわ////」

古鷹「最後は大井さん、だね」

衣笠「聞きたいような、怖いような」ニガワライ

 

 

 ー取材テープ・大井ー

 

大井『え、もう回ってる? は、早く言いなさいよ! 魚雷ぶち込むわよ!?』

青葉『す、すみません……で、司令官に惚れた理由はなんでしょう? 着任当初はとても司令官のことを毛嫌いしていたと聞きましたが?』

 

大井『…………北上さんがいるでしょ?』

青葉『はい』

大井『私は北上さんより早く沈んでしまった。だからあの人には想像以上に辛く苦しい使命を負わせてしまった。私も生き残ってれば、その重荷を半分……いや、それ以上背負ってあげられたのに』

青葉『…………』

 

大井『だから私は北上さんや姉妹のみんなが笑顔なら、姉妹のみんなを守れるならそれで良かった……それが私が艦娘としての使命だった』

 

大井『提督にもちゃんとそう言ったの。今は私がいる、だから姉妹のみんなに余計なことしないで、って……』

 

大井『なのに提督ったら、「ならその重荷を今度は私が半分背負う。だから一人で無理はしないでほしい」だなんて言って……////』

 

青葉『当時の大井さんはそれだけ切羽詰まっていたのでしょうね……』

大井『みたいね……我ながら失態だったわ。でも、そのことをちゃんと気付いて、指摘してくれて、更にはあんなお節介なことまで言われて……そこからね、私が提督を目で追うようになったのは♡ 今ははっきり言えるわ、恋はするものじゃなくて落ちるものってね♡』クスッ

青葉『素敵なお話ですね〜♪ 是非ともこれを司令官nーー』

 

 ガシャン←魚雷発射管装備音

 

青葉『あ、あはは〜……冗談デス……』

 

 ーー

 

古鷹「すごくいい話だったね……」

衣笠「鼻血噴き出す落ちかと思ってた……大井さん、ごめんなさい」

 

 ガチャーー

 

加古「古鷹〜、腹減った〜」アフッ

古鷹「え、もうそんな時間?」

衣笠「あ、ホントだ! お昼御飯食べに行こ♪」

青葉「………………っし! 出来た〜!」

 

古鷹「あ、記事書き終わったの?」

青葉「はい♪ 満足のいく出来です!」フンス

衣笠「なら明日の新聞楽しみにしてるね♪」

青葉「期待しててください♪」エッヘン

 

加古「腹減った〜」クゥ

古鷹「あ、ごめんね! じゃあ、みんなで行こっか♪」

衣笠「うん♪ 今の時間なら提督もいるかもだしね♪」

青葉「あのテープに影響されて猛アピールしないようにしてね……衣笠に限ってはアグレッシブ勢に片脚突っ込んでるんだから」ニガワライ

衣笠「だ、大丈夫だよぅ……流石に夜這いとか出来ないもん////」カァー

古鷹「大和さん達みたいにはちょっとね……////」

青葉「それどんなお話なんですか!?」kwsk

加古「ご〜は〜ん〜!」ブンブン

 

 こうして今日も鎮守府は賑やかに、それでいて平和に時がすぎるのだった。

 

 後日、青葉タイムズの山城達の特集はかなりの人気を博した……が、それの影響からか、提督へのアピールが少し強くなったそうなーー。




今回は言い方は悪いですが、シスコン勢が提督に落とされた経緯を短めですが書きました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改81話

千歳型軽空母メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一三〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「さて、午後の執務開始時間の訳だが……」

千歳「お仕事ないな〜い♪」

千代田「だからヒマヒマ〜♪」

提督「……の様だな」ニガワライ

 

 昼食を終え、執務室へと戻ってきた提督と本日秘書艦である千代田とその姉、千歳。

 しかし午前中に本日分を終えてしまい、報告書がくる以外はこれといった仕事が無いのだ。ただ遠征組も演習組も先程鎮守府をあとにしたため、帰投にはまだまだ時間がある。

 いつもならそういう時は明日の分をやってしまうのだが、今日に限ってはその明日の分も今出来る物が無い。

よってこれからの時間をどう過ごすか思案中なのだ。

 

提督「優秀な秘書と助手のお陰で仕事が無いからな……どう過ごそうか」ウーン

千歳「ふふふ、提督に褒めてもらっちゃった♡」ヤンヤン

千代田「提督はいっつも仕事仕事だから、こんな日くらいゆっくりしようよ〜♡」ネ? ネ?

提督「それもそうだな。では一先ずーー」

千歳「おさkーー」

千代田「お姉?」ニッコリ

千歳「じょ、冗談冗談……アハハ」ニガワライ

千代田「ったくもぉ〜」ヤレヤレ

 

 いつもの二人のやり取り……でもそんないつも通りの二人が微笑ましく、更にはこの()()()()()を過ごせている今に幸せを感じた提督は思わず笑みをこぼす。

 

千歳「提督〜、笑わないでくださいよぅ////」プクゥ

提督「あぁ、すまんすまん。別に千歳を馬鹿にして笑った訳ではないんだ」ニコニコ

千歳「現在進行形でニコニコしてるんですけど〜?////」ムゥ

千代田「提督、素直に言っちゃえば〜? 千歳お姉がお馬鹿さんなのが可笑しかったって」ニシシ

 

 千代田の言葉に提督は苦笑いを浮かべて否定するが、言われた千歳は「お姉ちゃんを敬え〜!////」と千代田の肩をテシテシと叩いて抗議。

それでも千代田は「自業自得でしょ〜?♪」と言いつつ、提督の方へ逃げてしまう。

 

提督「こらこら、喧嘩するな……千歳も落ち着きなさい」ナデナデ

千歳「ぁ……むぅ、仕方ないですねぇ♡////」

千代田「あ〜、お姉ばっかズル〜い! 提督、私には〜!?」ユサユサ

提督「ほら、よしよし」ニガワライ

千代田「えへへ〜♡」ニパニパ

 

 提督のマジックハンドで事が収まると、執務室のドアがノックされた。

 そのノックに「入りなさい」と提督が声をかけると、開いたドアから白露、時雨、村雨、夕立の四名が顔を覗かせる。

 

夕立「提督さん、今お暇っぽい?」

 

 夕立の言葉に提督は「あぁ、見ての通りだ」と返答すると、夕立達はパァッと笑顔の花を咲かせた。

 

白露「あのねあのね! 今日は天気もいいからお散歩行かない!?」キラキラ

時雨「お昼に提督達が午後はどうしようかって悩んでるの見ちゃってね♪」

村雨「顔色で深刻そうな事じゃないって思ったから……」ニコッ

夕立「こうしてお誘いにきたっぽ〜い!」㌰㌰

 

 そう言って提督の机までやってきた白露達に提督は笑顔で頷き、執務室のドアに外出中という掛札をしてから千歳達も一緒に午後の敷地内散歩へと行くのだった。

 

 

 重巡洋艦寮ーー

 

夕立「ぽ〜い、ぽいぽい♪ ぽ〜い、ぽいぽい♪ 提督さんとお散歩だ〜♪」ルンルン

提督「はしゃぎ過ぎて転けないようにな」アハハ

夕立「五月雨じゃないから転けないっぽい♪」ルンタルンタ

時雨「もしこの場に五月雨がいても白露姉さんがいるから大丈夫だね♪」

村雨「白露姉さんがクッションになるからね〜♪」

白露「それであたしにたんこぶが出来るんですね分かります」ハイライトオフ

千代田「まあまあ」ニガワライ

千歳「と言うか、五月雨ちゃんに失礼じゃない?」ニガワライ

 

 千歳がそう言うと時雨や村雨は「今は五月雨がいないから大丈夫♪」と返す。これもある意味で姉妹の仲がいい証拠なので提督や千歳達は苦笑いを浮かべる他なかった。

 

 すると提督一行に挨拶をする者達がいた。

 その声の主は高雄型姉妹の面々で、みんな寮の物干し場で摩耶の家族(ぬいぐるみ)を日向ぼっこさせるお手伝い中だった。

 

摩耶「よう、提督♡////」ハニカミ

提督「やぁ、みんな」ニコッ

鳥海「みんなでお散歩?」ニコッ

夕立「そうだよ〜♪」エヘヘ

千歳「仕事が一段落したのでお散歩に出てるの」ニコッ

愛宕「なるほどね〜♪」

 

千代田「すごいぬいぐるみの量ね……」ウワァ

高雄「みんな摩耶の可愛い家族なの……だから天日干しとは言わないでくださいね」コソッ

千代田「な〜る〜」ニガワライ

 

時雨「どの子も可愛いよね」ニコッ

村雨「ね〜、型崩れもしてないし」フフ

白露「いい天気だから絶好の日向ぼっこ日和だね♪」

 

 その後も高雄型姉妹の面々と談笑を楽しんだ一行は高雄達と別れ、散歩を再開した。

 

 

 駆逐艦寮ーー

 

 寮へ来た流れで鎮守府本館から一番遠い駆逐艦の寮まで来た一行。

 

白露「なんか流れでこっちまで来ちゃったね〜♪」

村雨「良かったらお茶でも飲んでいきます?」

提督「ありがたい申し出だがいいのか?」

 

 提督がそう訊き返すと白露達は揃って笑顔で頷いた。

それを見た提督達はお言葉に甘えてお茶をご馳走になることに。ただ今回は談話室でお茶をすることになった(提督を部屋へ呼ぶ予定ではなかったため、色々とLOVE勢グッズを片してないから部屋に通せなかった)。

 

 一行が談話室へ入ると、

 

朝風「あ、司令官だ!」

 

 神風型姉妹がババ抜きの真っ最中だった。

 

松風「はは、朝風姉貴、僕を油断させるために司令官のことを出すなんて意地が悪いんじゃないかい?」

 

 座っている向き的に松風はドアに背を向けた状態。しかも勝負事の最中なので朝風がついた嘘だと思っているようだった。

 

神風「皆さん、お疲れ様です!」ペコリ

春風「皆様、ご機嫌よう♪ 司令官様、駆逐艦寮へ何かご用ですか?♡ もしかしてわたくしに会いに……なんて♡」ニコニコ

 

 気がついた他の姉達は提督達へ挨拶をするが、

 

松風「神風姉貴と春風姉貴まで……そこまでして僕をビリにさせたいのか?」ムゥ

 

 松風は全然振り向く素振りを見せなかった。

 

提督「やぁ、みんな。白露達と散歩をしていてな、休憩がてら立ち寄らせてもらった」ニコッ

千歳「お邪魔するわね♪」

千代田「お邪魔しま〜す♪」

 

松風「えっ」フリムキ

 

提督「」ニコッ

 

松風「………………」

 

松風「はにゃっ!?////」ボンッ

 

提督「ど、どうした松風!?」

松風「にゃ、にゃんでも……んんっ、な、なんでもない////」プシューッ

提督「顔が赤いが?」

松風「あ、暑いからだ!//// だ、だからそんなに見つめないで……////」ドキドキ

 

 松風の後半の言葉は小さくて聞き取れなかった提督だったが、松風には「そうか」と笑みを見せ、せっかくなので神風達の座るテーブルに提督達も座ってお茶することにした。

 白露達は透かさずお茶の準備に入り、その後は神風達も加わって少し早いお茶会をし、みんなで他愛もない会話を楽しんで空き時間を潰すのだったーー。




今日は松風ちゃんの竣工日と鳥海さん、白露ちゃんの進水日なので、三人も登場するほのぼの回にしました!
みんなおめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改82話

戦艦のみ。

他ネタ、ネタ、独自設定、ガムシロップ一つほど含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 戦艦寮、談話室ーー

 

日向「アイハブ瑞雲♪ アイハブ瑞雲♪ Oh……瑞雲万歳♪」

アイオワ「あはは♪ 最高〜♪」

ウォスパ「これは……面白いわね」クスクス

ビスマルク「何回見ても笑うわね」ウフフ

 

 日向は海外艦の者達の前に立ち、両手に瑞雲を持って、ある曲に合わせて歌っている。本家とは大分違う上に日向の表情もポーカーフェイスなので、傍から見るとかなりシュールな絵だ。

 しかも本家の振り付けとは違い、最後は両手の瑞雲を高らかに持ち上げるため、パッと見は新手の宗教に見えてしまう。

 

伊勢「……何してるのよ……」アタマカカエ

提督「楽しそうで何よりではないか」フフ

 

 そんな中、提督と伊勢が談話室のドア付近でその光景を見ていた。

 提督はうんうんと笑っているが、伊勢としては妹が謎の行動をしているためか、自身のこめかみら辺を押さえている。

 

日向「? あぁ、提督に伊勢、見ていたのか。どうだ、これで瑞雲の素晴らしさを皆に伝えることが出来ると思ってやっていみたんだが」キラキラ

 

伊勢「はいはい、いいと思うわよ……」ニガワライ

提督「素晴らしさが伝わるといいな」ニコッ

 

 日向の輝く瞳を前に伊勢はそう言わざるおえなかったが、提督はいつも通りの笑みを日向に返すと、日向は「まぁ、そうなるな」といつも通りの反応を見せた。

 

アイオワ「Oh, アドミラル♪ Hello♪」ギューッ

提督「お〜、こんにちは、アイオワ」ギュッ

 

 日向のネタ瑞雲ダンスに気分が高揚していたアイオワは、提督にハグをする。普段はしないように心掛けているのだが、気分がいい時はついこうしてハグしてしまうのだ。提督も最初こそは驚いたが、今では慣れたのでちゃんと普通に挨拶を返し、抱きしめ返している。

 

アイオワ「ン〜、アドミラルがハグに応えてくれるようになって嬉しいわ♪ 抱きしめ甲斐があるもの♪」ムギューッ

提督「はは、そうなのkーー」

ウォスパ「アドミラル〜、私ともハグしない?」ニコニコ

ビスマルク「アトミラール、私にだってしてもいいのよ、ハグ。ドイツにだってハグ文化はあるんだから」ニコニコ

 

 提督の言葉を遮るようにビスマルクやウォースパイトが提督にハグを要求。

 どちらも思わず背筋がゾッとするくらいのニッコニコな笑みで両手を広げているため、提督は二人に言われるがままアイオワと同じように二人とハグを交わす。

 

提督「こんにちは、ビスマルク」ギュッ

ビスマルク「Guten tag♡」スリスリ

 

 提督にハグされたビスマルクはまるで子犬のように提督の胸板へ頬擦りしている。ほんの数秒でハグは終わったが、ビスマルクがキラキラしていたのは言うまでもない。

 

ウォスパ「次は私♡」カモン

提督「こんにちは、ウォースパイト」ギュッ

ウォスパ「ん……ぁ♡ Hello, アドミラル♡」ホッペチュッ

 

伊・ビ『 ゚ ゚ ( Д  )』

 

ウォスパ「ほら、アドミラルからもして♡」

 

 LOVE勢二人が驚きで声が出ない中、ウォースパイトはそう言って提督に自身の頬を差し出す。

 しかし、

 

伊勢「それはやり過ぎじゃないかしら?」ニコニコ

ビスマルク「そもそもイギリスはハグ自体あまりしないお国柄よね?」ニコニコ

 

 二人がウォースパイトの両肩をそれぞれ掴んで提督から引き離したので、提督から頬へキスされることはなかった。

 

ウォスパ「あら、イギリスでもハグやキスは家族や親しい友人との間ならするのよ?」ニッコリ

ビスマルク「アトミラールは上官よ」ニッコリ

伊勢「そもそも此処は日本だから」ニッコリ

 

 絶対零度の笑みで火花を散らす三名。

 そんな三人は置いといて、と言わんばかりに日向とアイオワが提督に声をかけた。

 

日向「それで戦艦寮へどんな用なんだ?」

アイオワ「今日、伊勢は秘書艦じゃないわよね?」

提督「あぁ、実は先程伊勢から共同厨房の換気扇の調子が悪いと報を受けてな。これからその修理で、私はその立会だ」

 

 日向とアイオワの質問に提督がそう答えると、提督の肩から二人の妖精さんがちょこんと顔を覗かせた。

 要は共同厨房へ向かう途中で日向のあのダンスに出くわした次第だったのだ。

 

妖精1「修理するです」キリッ

妖精2「話を聞く限りでは大規模な修理は必要ないと見ました」ニコニコ

 

伊勢「日向がおやつにホットケーキ食べたいって言ったじゃない? それで作ろうと思ったんだけど、換気扇からちょっと変な音がするから提督に相談しに行ったの」

 

 睨み合って笑い合っていた伊勢がそう言うと日向は「なるほどな……」と頷いた。

その隣で話を聞いていたアイオワは「ホットケーキ……」とつぶやき、指を咥える。

どうやら伊勢が作る予定のホットケーキが食べたいようだ。

 

ウォスパ「いいわね、ホットケーキ♪ 私も食べたいわ♪」

ビスマルク「ホットケーキ……作ってくれてもいいのよ?////」ソワソワ

 

 いつしか残りの二人もホットケーキの魔力に引き寄せられたようで、伊勢は苦笑い浮かべた。

 それでも「換気扇が直ったらみんなにご馳走するわよ」と伊勢が言うと、ビスマルク達は揃って笑顔の花を咲かせるのだった。

 

 

 共同厨房ーー

 

提督「どうだ?」

 

妖精1「ネジがちょっと緩んでるだけですね」

妖精2「これならすぐに終わりますよ」

 

伊勢「良かった♪」

日向「そうだな。もし長引くなら他の寮で焼くしかないからな」

伊勢「どんだけホットケーキ食べたいのよ……」ニガワライ

日向「それだけ食べたいんだ」キリッ

伊勢「はいはい」クスッ

  (こういう時もいい笑顔よね)

 

 妹のちょっと可愛らしいところを見て、伊勢はそう思いつつホットケーキの生地を追加で作りはじめていた。

ビスマルク達に加え、提督や妖精さん達、そして本日秘書艦の龍驤にもご馳走するからだ。

 

ウォスパ「生地なら私も手伝うわ♪」

伊勢「ありがと♪ 少しダマが残るくらいでいいからね……何回もかき混ぜちゃうとふっくらしないから」ニコッ

 

ビスマルク「なら私は龍驤呼んでくるわ♪」

伊勢「うん、お願い♪」

日向「なら私も共に行こう。龍驤にも先程の瑞雲ダンスを披露したいからな」フフフ

 

提督「私達までご馳走してもらってすまない。ありがとう、伊勢」ニコッ

伊勢「ううん、私が提督にも食べてもらいたいって思っただけだから♡」エヘヘ

 

妖精1「メイプルシロップは要らねぇな」フフリ

妖精2「むせるくらい甘ぇからな」フフッ

 

 換気扇も無事に直ると、伊勢は提督達のためにふっくらホットケーキを焼いた。

 提督が笑顔で自分が焼いたホットケーキを食べるところを伊勢はニヨニヨしながら見ていたそうなーー。




今回は甘めなほのぼの回的な感じにしました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改83話

みんながいるから。の談、前編。

真面目なシーン、独自解釈、独自設定含みます。

説明文多めな上いつもより長いです。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 埠頭ーー

 

大和「…………」

 

 大和は一人で埠頭に立ち、空を見上げていた。

 

 本日は坊ノ岬沖海戦が勃発した日であり、この海戦にて戦艦『大和』は沈没。

 更には軽巡洋艦『矢矧』、駆逐艦『浜風』・『朝霜』も轟沈。そして『磯風』・『霞』が自沈した日。

 

 早朝に埠頭で提督をはじめ、本作戦に参加した者達とその姉妹達や仲間達は黙祷を捧げた。

 そんな大和だったが、どうしても今日は空を見上げてしまう。

 

大和「……あの時とは違うのに、不思議ね……」

 

 一九四五年・四月七日、『大和』はアメリカ軍の爆撃機(数千機)による爆撃によって被弾、それにより火災が発生し、その火災は沈没まで消火されることはなかった。

 休む間もなく敵の波状攻撃は続き、空からは爆撃、水中からは雷撃と大和を襲い、護衛の駆逐艦や最後の第二水雷戦隊旗艦の矢矧が、空襲によって沈んでいった。

 そしていくら強固な大和とはいえ、爆発による煙で視界は歪み、四方から放たれる魚雷に進路を塞がれ、徐々に大和の船体は左へ傾いていく。

 それを見たアメリカ軍は左舷への集中雷撃に徹し(偶然との意見も多い)、ついに注水でも傾斜回復が出来ない事態になった。

 攻撃を受け続けた大和は一四二三に左へ横転し、弾薬庫の爆発による高さ六千メートルもの巨大なキノコ雲を発生させながら、坊ノ岬沖に沈んでいったのだ。

 

 この戦いにアメリカ軍はのべ十一隻もの空母をつぎ込み、また攻撃もほとんどが大和へ向けられていたという。

 

「こんなところにいたのか、大和」

 

大和「? 武蔵に長門、陸奥……」

 

 自分を呼ぶ声に振り向いた大和。その先には妹である武蔵と、親友の長門とその妹、陸奥が大和へ手を振っていた。

 

長門「探したんだぞ?」

陸奥「これからみんなで裏山にハイキングに行くの♪」

武蔵「提督と清霜の発案だ。早く行くぞ」ニコッ

 

大和「みんな……」

 

長門「お前の勇姿を今でも多くの者が鮮明に覚えている。お前は私と違って戦の中で散った。言い方があれだが、それは誇っていいと私は思う」

大和「でも……」

武蔵「姉さんは沖縄にいる国民のために頑張った。それをみんなが分かってる。だからこそ、今は笑顔で過ごそう……」ニコッ

陸奥「そうよ。それに大和が命懸けで守った沖縄は今でもちゃんと日本の国民が住んでるでしょ?」ニッコリ

大和「…………」

長門「さぁ、行こう。日本が誇る大和よ」

大和「うん♪」

 

大和(あの時大和は沈んだけど、今は沈む気がしない。大好きな提督と大切な妹と仲間……そしてあの時と同じく多くの人達が私を支えてくれているから)

 

 

 その頃、野外訓練場ーー

 

矢矧「ふぅ……やっぱりお休みでも体を動かさないと落ち着かないのよね」

 

 矢矧は矢矧で今日という日を受け止め、日課である鍛練に精を出していた。

 

矢矧(…………みんな、私は艦娘として生まれ変わったわ。あの時とは違う……みんなに恥じない、艦娘になるから)

 

 あの日の人々に誓うかのように、矢矧はまたグラウンドを走り出す。

 

 軽巡洋艦『矢矧』は亡き姉『能代』のあとを継ぎ、第二水雷戦隊旗艦に就任(途中十六日間だけ島風が旗艦に就任しているが、すぐに沈没してしまった)。

 訓練を経て矢矧は戦列へと復帰するが、もはや日本は本土決戦を強いられるほどの窮地に追いやられており、帝国海軍も崖っぷちに立たされていた。

 そこで発令されたのが「天一号作戦」である。

 沖縄に迫り来るアメリカ軍を、その身を持って食い止めるという、特攻(とも言える)作戦だった。

 当時の艦長はこの作戦をよしとせず、若い兵士を艦から下ろしたり、大量の角材を艦内に保管し、漂流してもその角材で身を助けることが出来るよう、死を防ぐ対策を講じて出陣。

 

 大和だけではなく、数々の武勲艦が沈んだ「坊ノ岬沖海戦」で矢矧は大和の護衛に就いていたが、空襲が始まると早々に被害を出した。

 投下された二本の魚雷により矢矧は航行不能。

最後の出陣となった第二水雷戦隊は、いきなり首長を失うことになってしまった。

 矢矧は誘爆を防ぐために魚雷を投棄するも、砲撃は止むことがなく、時が経つごとに傷だらけになっていく。

 その空襲の最中、二水戦司令部移乗のために接舷を試みた駆逐艦『磯風』も攻撃の標的とされて航行不能。

 

 しかしそれでも矢矧は沈まなかった。

 

 航行不能とはいえ、砲塔も機銃も健在であり、矢矧は必死に応戦。

 誘爆の危険を迅速に排除し、また強固な矢矧は軽巡とは思えないほどの攻撃を受け続け、その被害は沈没までに魚雷七本、爆弾十二発。

 重巡でも遠に沈んでいる被害を受け続け、矢矧の乗員からは、その猛火にさらされる姿を見るに見かね、「もう早く沈んでくれ」と願ったほどだと記録されている。

 

 やがて矢矧は右舷へと傾きはじめると、艦尾から沈んでいった。それは大和が沈む十分前だった。

 

 この海戦で矢矧が沈んだことにより、あの「華の二水戦」こと第二水雷戦隊は解散。

 ついに日本の強さの象徴であった二水戦の歴史に幕が降ろされ瞬間でもあった。

 

 矢矧は日本が劣勢に立たされた後に竣工し、挑んだ海戦は軒並み敗北。

 それでも能代と共に二水戦の旗艦を務め、最期は大和の護衛を任されるなど、劣勢の中でも期待され続けた軽巡洋艦として名を残している。

 

「や〜はぎ〜!」

「矢矧〜!」

「矢矧ちゃ〜ん!」

 

 走る矢矧を呼ぶ声。それは聞き慣れた声だった。

 声がした方を見ると、阿賀野、能代、酒匂が手を振っていたので、矢矧は手を振り返して三人の元へ。

 

矢矧「どうしたの? また阿賀野を絞るの?」

阿賀野「違うよ!?」

 

能代「提督と清霜ちゃんの提案で、これからみんなで裏山にハイキングしに行くそうよ♪」

酒匂「だから呼びに来たんだ〜♪」

 

矢矧「もう、提督ったら……そういうところは敏感なんだから////

 

酒匂「矢矧ちゃん、行こう?」ニコッ

矢矧「えぇ」ニッコリ

阿賀野「その前にシャワー浴びないとね♪」

能代「提督に汗臭いって思われちゃ嫌でしょ?」ニヤニヤ

矢矧「へ、変なこと言わないでよ!?////」

姉妹『あはは〜♪』

 

矢矧(あの日の自分は不甲斐なかったけど、今は違う。だってみんなと頼れる提督が揃っているんだもの♪)

 

 

 同時刻の中庭ーー

 

浜風「…………」

 

 浜風は今日という日を穏やかに過ごせていることに感謝しつつ、春の日の日向ぼっこを楽しんでいた。

 

 駆逐艦『浜風』もあの海戦に参加した艦である。

 しかし第一次空襲の中で浜風は爆弾が直撃、その威力は凄まじく、航行不能に陥った。

 更には魚雷が追い打ちをかけ、中央部に直撃した魚雷は歴戦の浜風の船体を真っ二つに引き裂いた。

 この被害によって浜風は轟沈。輝かしい歴史を築き上げてきた第十七駆逐隊は、浜風と、そのあとを追った磯風の沈没で幕を下ろすこととなった。

 

谷風「お、いたいた♪」

浦風「お〜、浜風♪ ここにおったんじゃね♪」

 

 そんな浜風の前に同じ第十七駆逐隊の二人が現れた。

 

浜風「二人してどうしたのですか?」

浦風「これからみんなでハイキングじゃ♪」

谷風「提督と清霜の発案なんだって♪ みんな準備してるから呼びにきたってわけ♪」

浜風「ハイキング……」

 

谷風「こういう日だけどさ、今は違うってことでみんなで行こう?」

浦風「そうで〜♪ うちらは浜風にも笑顔で過ごしてほしぃんじゃ」ニコッ

浜風「二人共……」

 

浜風(英霊の皆さんには悪い気もするけど……今を楽しく過ごしてた方がいいわよね。だってあの時とは違うのだから)

 

 

 その頃、駆逐艦寮、朝霜・早霜・清霜部屋ーー

 

清霜「えっと、レジャーシートと〜、ブランケットと〜」セッセッ

早霜「念のため温かいお茶も持っていきましょうか」

 

朝霜「〜♪」

 

 二人がせっせと準備する中、朝霜はそんな二人を楽し気に眺めていた。

 今日は自分が主役なので二人や他の姉達に任せていてもいいので、それが嬉しいからだ。

 

 駆逐艦『朝霜』もあの海戦に参加した艦の一隻。

 しかし四月六日に日本を発った艦隊の中で、朝霜は大きな不運に見舞われることとなった。

 機関が突如故障し速度が低下。最終的に七日には十二ノットまで落ちてしまったのだ。

 本土で修理が出来なかったつけがこの大一番で出てしまうというなんとも言えない結果だった。

 

 二水戦司令の古村啓蔵司令官は朝霜に鹿児島への回航を命じるが、ここまできて撤退することは出来なかった。艦隊から落伍した朝霜は修復を急ぐも、現実は非情で、落伍してから一時間後の十二時過ぎに朝霜は艦載機の標的となってしまったのだ。

 

 一二二一、この時刻が朝霜の最後の痕跡となった。

 アメリカ軍の記録によると、四波目の爆撃が朝霜に次々と命中し、三発の直撃弾を受けた朝霜からは大火災が発生。

 そして最後にもう一発の爆弾を受けた朝霜は艦尾から沈んでいったという。

 

 朝霜の沈没によって、あらゆる任務をこなした最新鋭駆逐艦「夕雲型」は全艦が喪失。

 朝霜はたった一年半という短い一生だったが、とても濃密でそして帝国海軍を最後まで支え続けた「夕雲型」として記録されている。

 

 ガチャーー

 

夕雲「皆さ〜ん、そろそろ裏門へ行きますよ?」

 

清霜「あわわ、待って待って〜!」

 

朝霜(今も昔も騒がしいけど……)

 

早霜「もう少しだから」ニガワライ

 

朝霜「あはは、そう慌てんなって♪」ケラケラ

 

朝霜(今の騒がしさの方があたいは好きだな♪)

 

 こうして鎮守府の裏門には多くの艦娘達がそれぞれ笑顔で集まるのだったーー。




前編終わりです。後編もよろしくお願い致します!

本編に組み込めなかった事柄でどうしてもお伝えしたいことがあるので、こちらに二つほど書き残します。

浜風編

浜風の慰霊碑には下記の言葉が刻まれている。

『第二次大戦中作戦参加の最も多い栄光の駆逐艦であり、数々の輝かしい戦果をあげると共に、空母蒼龍、飛鷹、信濃、戦艦武蔵、金剛、駆逐艦白露等の乗員救助およびガダルカナル島の陸軍の救助等、人命救助の面でも活躍をして帝国海軍の記録を持った艦である。』

この言葉通り、浜風が太平洋戦争中に救助した人命は五千人近いと言われ、戦果だけではなく、人命救助の功績が燦然と輝く武勲艦であります。


朝霜編

「坊ノ岬沖海戦」では多くの艦が失われましたが、総員戦死と認定されたのは、その艦隊から外れてしまった朝霜だけでした。
修復を受ける予定が取りやめとなり、志願してまで朝霜に残った艦長、そして一年半共に過ごした仲間たちと最後の海戦だと挑んだ戦いで落伍、更には集中砲火。
その無念は計り知ることは出来ません。
杉原艦長と乗員の結束は非常に硬く、辛い思い出などないというほどの雰囲気が生み出されていたと記録されています。
この機関故障が整備不良ではないかという意見もありましたが、この船で自分の仕事をおざなりにする奴などいないと航海長は笑ってこの噂を一蹴したそうです。

本当に調べれば調べるほど自分の無知と、これまで何も知ろうとしなかったことに愕然としますが、今は心から英霊の方々や艦には感謝と尊敬を送ることが出来ます。

では後編へ続きます。


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艦これSS改84話

後編です!


 

 同時刻ーー

 

 駆逐艦寮、朝雲・山雲・霰・霞部屋ーー

 

霞「…………」

 

 霞は部屋で自分の座椅子に座り、窓から空を眺めていた。

 その顔にはいつもの険しさはなく、とてもリラックスした顔をしている。

 

 駆逐艦『霞』は「天一号作戦」、本土上陸を阻止するため、大和をはじめとする残存勢力で玉砕を覚悟した「坊ノ岬沖海戦」に身を投じた。

 当時はもう戦況の打破が絶望的で、無数の艦載機からの止まらない爆撃によって次々と僚艦が被害を負った。

 霞にも直撃弾で機械室が崩壊、煙突までもが吹き飛んだものの、ついに霞は最後まで沈むことなく海戦は終結。

 日本の力の象徴だった大和の姿、そして「華の二水戦」と謳われた二水戦旗艦の矢矧の姿も、もうそこにはなく、霞は駆逐艦『冬月』によって乗員の救助が行われた。

 

 この時の冬月の艦長は、霞の前艦長である山名寛雄中佐。

 霞は曳航することは叶わなかったが、霞は開戦当初から多くの乗員がこの艦に留まっており、皆が胸を張って霞を降りていったと記録されている。

 救助が完了した霞は冬月によって雷撃処分され、大きな水柱が上がり、そしてそれが消え去った時、霞は既に海中へと身を沈めていたという。

 

 司令の好意が裏目に出てしまい、不遇の時代を耐え抜いた霞は、戦力不足にあえぐ大戦末期の帝国海軍を牽引した大きな大きな駆逐艦だった。

 

霞(ったく。今日があの日なのは分かるけど、私にまで休暇とかどんだけ過保護なのよ、あの司令官……)

 

 頭ではそんなことを思っているが、ちゃんと自分のことを考えてくれている提督のことを思うと、霞はつい頬が緩んでしまう。

 

 すると、

 

霞(? なんか部屋の外が騒がしいわね……)

 

 部屋の外に違和感を感じた。

 霞がそのことに小首を傾げていると、ドアがガラッと勢い良く開く。

 

朝雲「霞〜!」

山雲「これから〜!」

霰「ハイキング行くよ」

 

霞「ハイキング?」

 

朝雲「司令と清霜が企画してくれたんだって!」

山雲「裏門に集合だって〜♪」

霰「みんなで行こう」グイグイ

霞「わ、分かったからそんなに引っ張らないでよ!」

 

霞(ったく、司令官ってどうしていつもいつも変なタイミングでこういうことするのかしら……いつもは鈍感のくせに)ハァ...

 

霞(でも司令官と清霜の気遣いは嫌いじゃない……)

 

霞(あの日のみんなにも心配かけたくないし、今日はその気遣いに乗ってやろうじゃない♪)

 

 

 一方、浦風・磯風・浜風・谷風部屋ーー

 

雪風「磯風〜、みんなで裏山へハイキングに行きますよ〜? 準備してください〜」ユサユサ

 

磯風「分かった分かった。司令のご厚意でもあるしな、ちゃんと行くからそう急かさないでくれ」ニガワライ

 

 雪風にスカートの裾を引っ張られる磯風もまた、あの日ということを受け止めていた。

 

 駆逐艦『磯風』は雪風や浜風と共にあの海戦に参加。

 しかしその浜風は海戦勃発直後の空襲によって轟沈。

 歴戦の戦士の、あまりにも唐突な最期だった。

 

 二水戦旗艦の矢矧が被弾し、航行不能に陥った時、司令部が磯風に移乗することになり、空襲の合間をぬって何とか矢矧に横付けするも、空を飛び回る航空機の数は無数でほんの一瞬で磯風は至近弾を受けて機関室が浸水。

 機銃掃射が止まず多数の死傷者が出る中、必死に浸水を食い止めようとする磯風だったが、ついにその努力は実らず、磯風は機関停止してしまう。

 

 そんな磯風の乗組員達を姉である雪風が懸命に救助。それだけではなく、雪風は磯風も救おうとした。

 栄光ある第十七駆逐隊ももはや磯風のみ、失いたくないという思いから二水戦司令官が救助された駆逐艦『初霜』に曳航の許可をとろうとした。

 しかし曳航するということはそれだけ自由が奪われるということ。安全が確保されていないこの状況下で、そのような行為は敵の追撃を許すことになるとされ、その提案は止むなく却下された。

 こうして磯風はここで歩みを止めることになった。

 

 そして雪風は磯風へ砲身を向ける。何故なら磯風を海没処分するため。

 この時の雪風の砲術長は「この時ほど辛い思いをしたことがない」と述懐している。

 

 しかし主砲の照準は酷使によって、まるで泣いているように震え、雪風の砲弾は磯風を捉えることは出来なかった。

続いて魚雷を放つがこれも磯風の下をくぐり抜けて命中には至らなかった。

 

 雪風は再び砲撃によって磯風を狙い、よく狙い、よく狙い、そして発射。魚雷発射管を狙った砲弾は見事命中し、磯風は大爆発を起こした。

 

「駆逐艦『磯風』に敬礼!」

 

 こう言ったのは雪風に救われた磯風の乗員達で、みんな涙を流しながら、いつまでも磯風が散った場所を見つめていたと言う。

 

磯風(今年もこの日が来た。この磯風、皆に恥じぬよう精進する。だから見守っていてほしい……)

 

雪風「磯風〜、早く〜!」

磯風「分かった分かった、今行くよ」フフフ

 

 

 同時刻、軽巡洋艦寮、談話室ーー

 

五十鈴「ん〜、こういう日をちゃんと分かってくれてるのって本当に嬉しいわね〜」ノビー

長良「あはは、確かにね♪」

名取「それにこれからみんなでハイキングだもんね♪」 

 

 五十鈴は同室の長良、名取と一緒に談話室でくつろいでいた。ハイキングに行く準備は出来ているのだが、由良達(主に阿武隈)がまだ準備を終えないのでこうして談話室で待っているのだ。

 

 今日は五十鈴にとっても特別な日。

 一九四五年・同日。あの海戦とは別に軽巡洋艦『五十鈴』はスンダ列島にいる兵員を撤退させるために海を駆けていた。

 行動中に潜水艦から探知され、更にはオーストラリア軍の空襲にて被弾しながらも、なんとかその場を切り抜けて助けた兵士をスンバワ島へ送ることに成功していた。

 

 しかし四月七日の早朝、五十鈴はアメリカ潜水艦『ガビラン・チャー』から発射された魚雷を回避することが出来ず、計四発の被雷によってついにその最期を迎えた。

 帝国海軍でも最高レベルの対潜装備を搭載していたにも関わらず、最初に受けた一発によって速力は低下、その後の粘りも虚しく、三発の魚雷を立て続けに受けてしまった。

 

 帝国海軍は多くの特化艦を生み出してきたが、全てが誕生のタイミングが遅く、この五十鈴もまた日本の敗北が目前にあっての改装だったため、真なる姿での活躍は叶わなかった。

 それでも五十鈴は姉の『長良』と同じく、旧式艦ながら長きに渡り、戦場や輸送、夜戦等々、多種多様な任務をこなしてきた功労艦であると記録されている。

 

五十鈴「提督の隣は大和も矢矧も磯風も狙うだろうから今日は激戦かな〜」

名取「でも譲る気は無いんでしょ?」

五十鈴「もち♪ 大和達の気持ちは分かるけど、私だって今日は特別な日だもの♪ 提督の隣は是が非でも取るわ♪」

長良「お願いだから戦争はしないでね。せっかくのハイキングを乱闘騒ぎにしたくないから」

五十鈴「みんなが譲ってくれればね〜」

長良「せめて交代制とかにしてよね」ハァ...

 

 そんな話をしていると由良達がドアから顔を覗かせた。三人の顔を見ると、長良達は笑顔で手を振って姉妹揃って裏門へ向かうのだった。

 

五十鈴(姉妹がいて、優秀な提督がいて……今の私もあの頃とは全然違う。守ってみせる……今度こそ、みんなで)

 

 その後、提督と清霜が発案した裏山へのハイキングを今日が特別な日だった者達は心から楽しみ、裏山の山頂から大和達は東シナ海、五十鈴はインドネシア・ビマ沖をそれぞれ向いて改めて黙祷を捧げた。

 

 因みに提督争奪戦は、

 

 右腕・五十鈴

 左腕・矢矧

 膝 ・磯風(膝枕)

 背中・大和(あすなろ抱き)

 

 ※霞は恥ずかしくて付近にしか陣取れなかった

 

 とそれぞれが提督と触れ合える場所で落ち着いたそうなーー。




今日は坊ノ岬沖海戦につきまして
戦艦
『大和』
軽巡洋艦
『矢矧』
駆逐艦
『霞』
『磯風』
『浜風』
『朝霜』

更にはインドネシア・ビマ沖で
軽巡洋艦
『五十鈴』

と多くの艦が沈んでしまった日なので前編後編に分けて書きました。
そして艦これには実装されてませんが、一九四四年のこの日には伊二潜水艦が輸送任務中にラバウル沖でアメリカ駆逐艦の攻撃を受け沈没した日でもあります。

この日に亡くなった多くの英霊の方々、そして多くの艦に心からお祈りします。

本編中の情報は前編も後編も『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

そしてこの日は大鳳さんの進水日でもあります!
このような日ですが、これはおめでたいですね。
おめでとう、大鳳さん!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改85話

吹雪型駆逐艦のみ。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、他作ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

提督「さぁ、好きな物を頼みなさい」ニコッ

深雪「やった〜! 間宮さん、いちごパフェ♪」

初雪「いちごチョコレートパフェ」キリッ

 

吹雪「ちょっと、二人共〜。せめて磯波が選んでからにしなよ……」

白雪「」ニガワライ

磯波「私は気にしないよ」ニコニコ

叢雲「これがいつも通りだからね〜」ヤレヤレ

浦波「あはは、確かにそうかも♪」

 

 食堂へやってきた提督と吹雪型姉妹。因みに本日の秘書艦は白雪。

 いつもは姉妹の隅で微笑む磯波は、本日はみんなの中心にいる。

 

 一九四三年の四月九日。

 駆逐艦『磯波』がセレベス島南東にて船団護衛中にてアメリカ潜水艦『トートグ』が発射した魚雷に襲われた。

 三本を辛うじて回避するも、最後の一本が直撃。これが致命傷を与え、磯波は敢えなく海へ沈んでしまった。

 

 今朝にはみんなで黙祷を捧げ、今は提督の計らいで姉妹達とおやつを提督にご馳走されにきたところ。

 磯波としては辛い日ではあるが、姉妹や提督の心遣いが嬉しくて今朝からいつもと変わりなく笑顔があふれている。

 

 それぞれ注文を終えると、初雪と深雪が素早く窓際のテーブルを陣取り、提督を含めた全員でそのテーブルについた。

 

 席順↓

 

 吹初白深|

 テーブル窓

 浦磯提叢|

 

磯波「提督、今日は本当にありがとうございます。こんなにも私に気を遣って頂いて」エヘヘ

提督「気にすることはない。寧ろこういう時にしか構ってやれなくて、申し訳ないくらいなんだからな」ナデナデ

磯波「でも、提督がちゃんといつも私達一人ひとりに気を配ってくれているのを知ってます。だからありがとうございます」ニッコリ

 

 磯波の素直な心に提督は「そうか」と笑顔で返し、また磯波の頭を優しく撫でる。

 撫でられた磯波は嬉しそうに「えへへ♪」と笑みをこぼし、それはまるで親に甘える子どものようだった。

 

 それから速吸がみんなの甘味を運んでくると、会話は一層賑やかに弾んだ。

 

深雪「白雪〜、そのタルト一口頂戴♪ 私のパフェもあげるからさ♪」

白雪「うん、いいよ」ニコッ

 

初雪「初雪が欲しそうな目で吹雪のいちごショートケーキを見ている」ジーッ

吹雪「ちゃんと言わなきゃあげません」プイッ

初雪「吹雪お姉ちゃん、頂戴♪」キラキラ←妹オーラ全開

吹雪「も、もぉ〜、仕方ないな〜初雪は〜♪ 半分だけだよ〜?♪」

初雪(流石は吹雪(ちょろき))フフフ

  「じゃあ、私のも半分あげる」←でもちゃんと半分個する

 

浦波「いちごは今が旬だから、食堂の甘味もいちご尽くしだね♪」アムアム

磯波「そうだね♪ 間宮さん達が作るいちご大福って美味しいから、つい食べ過ぎちゃうんだよね////」エヘヘ

叢雲「あんこといちごの組み合わせもいいけど、この生クリームといちごの大福も美味しいのよね〜」ハムハム

提督「私はどちらも入っているミックスがお得な気がして好きだな」モグモグ

 

 丁度いい具合に洋菓子組と和菓子組で分かれている提督達。といっても提督や磯波達が食べているのはいちご大福(叢雲は提督と同じ物が食べたかった)なので、いちご大福組と言った方が正しいかもしれない。

 

吹雪「司令官って甘い物好きですよね♪」

提督「あぁ、好きだ……でも格別好きというほどではない。無ければ無いで我慢出来るからな」

 

深雪「赤城さんなら暴走するよな」

初雪「ボーキを生贄にして逃げるしかない」ウンウン

白雪「赤城さんに失礼でしょ」ニガワライ

 

叢雲「でも赤城さんもなんだかんだで我慢出来ると思うわよ? あの人だって大人な訳だし」

提督「赤城は食べるのは好きたが、みんなで食べるのが好きなんだ」

磯波「その気持ち分かります」フフフ

浦波「みんなで食べると美味しいですもんね♪」

 

吹雪「一人で食べるとなんか味気ないもんね〜」ニガワライ

磯波「私絶対一人暮らしとか出来ないと思う」ニガワライ

白雪「あ〜、分かるかも〜」

初雪「私もやだ。絶対カップ麺だけしか作らないと思う」

提督「私が言うのも何だか、一人暮らしだとつい料理とかは疎かになるからな。間宮さん達がいなかった時は大変だった」ニガワライ

 

 提督の昔の話に叢雲や白雪、初雪は「あ〜」と苦笑いを浮かべた。

 この三名は間宮達がいなかった時から着任しているので、あの時のことを今でもちゃんと覚えているのだ。

 

吹雪「私は着任したら間宮さん達がいましたけど、その前はどうだったんですか?」

提督「日替わりでみんなして食事当番をしていた。みんな元々は料理が得意だったが、私は……な?」ニガワライ

 

 吹雪の質問に提督がそう言うと、白雪がクスクスと笑って口元を手で押さえる。

 

白雪「司令官は料理が苦手でよく指を切ってましたよね」

叢雲「食べられる料理は作れるんだけど、手際がね〜」ニガワライ

初雪「私も見ててハラハラするくらいだった。今はそうでもないけど」フフリ

提督「あはは……家庭的なところは皆無だったからな、私は」

 

 白雪だけでなく、初雪と叢雲にまで言われた提督はそう返す他なかった。

 

磯波「でも今はクッキーとかも作れるようになりましたもんね。提督はやっぱり凄いです♪」

吹雪「そうですよ! 何も恥ずかしいことじゃないですよ!」

浦波「寧ろ料理をしようと努力したことに意味があります!」

深雪「私なんてほとんどやらないしな〜、司令官は凄いよ」ウンウン

提督「そう言われると、それはそれで何やらむず痒いな」

 

叢雲「褒められるのには前から弱いわよね、あんたは」クスッ

白雪「なら今度から沢山褒めましょうか」フフフ

初雪「司令官は褒められるのに弱い。司令官にも弱点があったんだね」

提督「誰にだってそういうところはあるさ」ニガワライ

 

 みんなしてそんなことを話し、他愛もない話なのに笑顔が絶えなかった。

 そんな中で磯波はこの提督だからみんなが笑って過ごせるんだな……としみじみ感じ、これからも姉妹や提督のために自分が出来ることを頑張ろうと誓うのだったーー。




今日は本編に書きました通り、磯波ちゃんにとって特別な日です。
ですが、今回はほのぼのメインで書きました。ご了承ください。
この日に沈んでしまった駆逐艦『磯波』と彼女と運命を共にした英霊の方々に心からお祈りします。

本編内の情報は『大日本帝国海軍 所属艦艇』から得ました。

このような日ですが、一方で酒匂ちゃんの進水日でもあります!
酒匂ちゃん、おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改86話

平穏という時間。の談。

真面目なシーン、ネタ、独自解釈含みます。

説明文多めです。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 中庭ーー

 

島風「天津風〜、喉乾いてない〜?」

時津風「チョコ食べる〜?」

雪風「暑くないですか〜?」

初風「してほしいことがあれば遠慮しないで言うのよ?」

天津風「分かったからいつも通りにしててよ、こっちが落ち着かないから」ニガワライ

 

 中庭のベンチでくつろぐ天津風。そんな天津風に同じ第十六駆逐隊の面々と仲良しの島風がいつも以上に天津風へ気を配っている。

 

 本日は天津風がアメリカ陸軍機の攻撃を受け、厦門(アモイ)湾で擱座していた末に爆破処分となった日。

 

 朝には提督や姉妹、仲良しの者達と揃って黙祷を捧げた天津風だったが、その後から妙にみんながお節介を焼いてくれている。

 去年のこの日は鎮守府ではお花見だったので天津風としても良い日を迎えたのだが、今年はそうではないのでみんなの厚意が直で伝わってくる。

 

 どうしてこんなにもみんなが天津風を気遣うのかというと、艦時代の壮絶な時があるから。

 

 駆逐艦『天津風』は一九四四年の一月十六日に船団護衛をしていた最中、アメリカ潜水艦『レッドフィン』の放った魚雷の一本が第一缶室、第二缶室の間に直撃して大破、当たりどころが悪く、魚雷発射管が空中に吹き飛び、船体はくの字に折れ曲がってしまうほどの事態に見舞われた。

 航行不能な上、悪天候で一週間も海の上を漂流し、博打打ちに近い賭けをして味方に電波をキャッチさせることに成功した。

その後、天津風は十ヶ月に及ぶ()()()()を行ったが、無茶なことに自力で本土に帰ってこいとの通達が……。

 とにかく浸水箇所が多すぎる上に人員不足、部品不足、慣れないドック等、順調に行く要素は何一つなく、十月にようやく整備を終えるものの、これはあくまで艦尾の話だった。

 

 十一月十五日、天津風はシンガポールへと曳航され、

ここでは仮艦首を接着、不格好なんて言っていられなかった。

艦首のすぐ後ろにマストが設置され、そのマストには仮設の艦橋施設が用意された。その後ろには一番魚雷発射管がある。

 全長はわずか七二.四m、測距儀どころかジャイロコンパスもない天津風だったが、十三mm単装機銃三基と二五mm単装機銃二基を増設、速度は当初十二ノットが限界とされていたところ、ボイラーの一基が復旧したことによって二〇ノットにまで回復した。

 新たに就任した森田友幸艦長(当時大尉)は、若干二五歳であり、二五歳の青年が天津風を日本へと誘導することになった。

 

 日本からは天津風の本土回航を命令され、呉では天津風の新しい艦首や缶の製造、最新式の電探の準備が始まっていた。

 しかしすでに日本の戦況は敗色濃厚で、シンガポール近海すらも危険な海域となっていた。

 第十方面司令長官であった福留繁中将は、森田艦長に回航を中止してはどうかと進言。

 多少の兵装があるとはいえ、戦える状態とは決して言えなかった。しかし、森田艦長は本土へ戻ることを決意したのだ。

 

 一九四五年三月、天津風は船団に加わって本土へ戻ることが決定。

 この船団は、沖縄決戦が目の前に迫る中、南方の輸送船をかき集めて日本へ物資を運ぶ最後の輸送船団で、輸送船七隻、海防艦六隻、そして天津風と総勢十四隻の大型船団となった。

 

 勘を取り戻すために短期間で厳しい訓練を重ね、ついに三月十七日、天津風は外洋へ出るも、次々と船団は機雷や空爆で沈んでいき、香港へ入港した四月二日には輸送船は一隻も残っていはいなかった。

 更に翌日の四月三日、やはりアメリカ攻撃機が香港を襲い、これによって海防艦の一隻が大破着底してしまい、天津風は別の船団に加わって香港を出港するのだった。

 

 しかしその後もアメリカ軍の空爆は激しさを増し、四月六日の空襲で天津風はとうとう大破してしまう。

 相次ぐ座礁、更には匪賊(ヒゾク)が略奪を目論んで天津風に機銃を撃ってくる日々を過ごした後、四月八日に森田艦長は総員退艦を命令。

 三度の曳航にも応えてくれなかった天津風の機関はもう使えず、匪賊に襲われたこともあり、天津風に固執して危険にさらされることを避けた苦渋の決断だった。

 

 そして四月十日、軍艦旗降下後、天津風は機雷の自爆によって爆沈。

 本当に本当に壮絶な最期だったのだ。

 

天津風(陽炎姉さん達も妙に優しいし、調子が狂っちゃうわ♪)

 

 天津風はそう思いながらも、顔は朗らかで自然と笑みが浮かんでいたーー

 

島風「あ、提督〜♪」ノシ

 

提督「やぁ、みんな」ニコッ

陽炎「やほ〜♪」ノシ

不知火「」ペコリ

 

天津風「!?////」ビクッ

 

 ーー提督が来るまでは……。

 

 本日秘書艦である陽炎とその補佐(強引に申し出た)不知火が中庭へやってくると、天津風は透かさず髪を手櫛で整え始める。

 

天津風(し、司令官と会うの今日で五回目……嬉しいけど落ち着かないわ♡////)

 

 提督は提督で仕事があるが、今日はこうして何度も天津風の元へ訪れている。提督としても今日が天津風にとってとても特別な日だというのが分かっているため、少しでも一緒に過ごそうとしているのだ。

 

雪風「しれ〜、お疲れ様です〜♪」ギューッ

時津風「休憩〜?」ギューッ

 

 父に甘える娘のように提督の両サイドへ抱きつく雪風と時津風。提督はそんな二人の頭を優しく撫でつつ、「あぁ」と言って父性あふれる笑みを浮かべる。

 

初風「二人共、甘えたいのは分かるけど、提督さんはこれから一服のはずよ。離れてあげなさい」

提督「それには及ばない。陽炎と不知火には悪いが、執務室で一服させてもらったからな」

不知火「あれだけの激務をこなしておられるのです。煙草の一本や二本で目くじらを立てることはありません」キリッ

 

陽炎「本当は不知火が司令の煙草を吸う仕草を見たかっただけなのよ」ニガワライ

初風「なるほどね……流石は不知火姉さんだわ」ウンウン

 

提督「さて、天津風にも会えたことだ。みんなして食堂で甘い物なんてどうかな?」ニコッ

 

 提督の提案にみんなは万々歳。しかし天津風は複雑な表情を浮かべた。提督の厚意はとても嬉しいが、天津風の性格ではつい遠慮してしまうのだ。

 

 そんな天津風を見た提督は「そんな顔をしないでくれ」と言うように、天津風の頭をポンポンと叩くように優しく撫でる。

 

提督「こうして食べ物をご馳走するくらいしか、私には出来なくてすまない。だが何かしてやりたいんだ」ナデナデ

天津風「わ、分かってる、わよ……そんなの♡////」ドキドキ

 

 天津風は思わず頬の緩みを感じた。何故なら、自分が好いたどこまでも優しく真っ直ぐで誠実な提督の目を見たから。

 

陽炎「何お互いに見つめ合ってんのよ」ニガワライ

島風「見つめあ〜うと〜♪」

時津風「すな〜おに〜♪」

雪風「おしゃ〜べり〜♪」

不知火「出来〜な〜い〜♪」

 

天津風「ちょ、不知火姉さんまで!?////」

提督「ははは、確かにそうかもしれないな♪」

天津風「あなた!?////」ポッポー

初風「ふふ、じゃあ食堂に行きましょ♪ みんなでね♪」

全員『お〜♪』

 

天津風「な、ちょ、ちょっと〜!////」

 

 雪風達に手を引かれ、食堂へ連れ行かれる天津風。

 しかしその繋いだ手を離そうとはしなかった。

 その繋がれた沢山手がとても温かったからーー。




今日は天津風の大切な日なので、それを取り上げました。
天津風は本当に一九四五年の三月から自沈までの間が壮絶で説明しきれなかった部分が多いですが、どうかご了承ください。

本編内の情報は『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

この日やこの日までに亡くなった天津風の英霊の方々、そして駆逐艦『天津風』に心からお祈りします。

そしてこのような日ですが、今日は加古さんとニムちゃんの進水日です!
二人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改87話

陽炎型駆逐艦メイン。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、ネタ、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

秋雲「ほら提督〜、モデルなんだから少しは笑って笑って〜」カキカキ

提督「こうかな?」ニコッ

秋雲「お〜、いいよいいよ〜♪ んじゃとりあえずそのまんまでお願いね〜♪」スラスラ

 

夕雲「秋雲さんたら」クスッ

巻雲「秋雲はブレませんね〜」ニガワライ

 

 秋雲は執務室で提督をモデルにデッサンしていた。

 本日秘書艦の夕雲とその補佐である巻雲は、その光景を書類整理しながら眺めている。

 

 いつもならば注意しているはずのところをどうして許しているのかというと、提督が秋雲の申し出を許可したからだ。

 

 今日は秋雲の進水日と同時に秋雲がインドネシア・ザンボアンガ近海でアメリカ潜水艦『レッドフィン』からの雷撃を受けて沈んでしまった日。

 なので提督は今日だけは秋雲がしたいことをさせてあげようと、モデルを引き受けたのだ。

 

 艦時代の駆逐艦『秋雲』は空母『隼鷹』が大破させ、放棄されたアメリカ空母『ホーネット』の写真を撮ることを命じられたが、それは夜で困難であったため突如電探を照射して大破したホーネットのスケッチを始めた。

そんな秋雲の行動を見て巻雲からは「如何セシヤ」と発光信号が送られるほど。

 そんな仰天エピソードが秋雲では有名である。

 

 しかし秋雲は「ガダルカナル島撤退作戦」や「キスカ島撤退作戦」、「セ号作戦」(コロンバンガラ島からの撤退)と南方から北方で任務をこなし、過去の功績や性能の高さから「セ号作戦」では旗艦を任され、秋雲は一万人以上の兵士を救い出すことに成功している功労艦。

 駆逐艦『夕雲』の最期となった「第二次ベララベラ海戦」でも秋雲は旗艦としてアメリカ駆逐艦『シャヴァリア・セルフリッジ』を大破させ、さらに本来の目的であるベララベラ島の陸軍兵士の救助も達成させた。

 秋雲は多くの兵士達を死地から救い出すことに成功している誉れ高い駆逐艦なのだ。

 

 その後、秋雲は一九四三年末から翌年にかけて整備を行い(この際に二番砲塔撤去及び機銃増設が行われたとされている)、護衛任務や輸送任務を任され各地を転々とした。

 

 そして運命の一九四四年の四月十一日。特設水上機母艦『聖川丸』の護衛中に秋雲はレッドフィンの魚雷を三発被雷。

 瞬く間に傾き始めた秋雲は数分で沈没してしまい、撤退作戦において類まれなる成果を残してきた秋雲は、ここで一生を終えることとなった。

 

 「陽炎型」なのか「夕雲型」なのかという話や上記のような「ホーネット」の話が多く語られる秋雲ではあるが、その功績はとても輝かしいものだ。

 

秋雲「あ〜い、次は書類書いてるとこ描きたいから執務しながらでいいよ〜」

提督「ん、了解だ」

 

巻雲「まだやらせるんですね」ニガワライ

夕雲「まあまあ、巻雲さん」フフフ

 

 今でこそ好きなことに没頭している秋雲だが、本人の口からは自分の功績をひけらかすようなことを聞いたことはない。

 それは秋雲が、

 

『あの結果は全部、乗組員のみんなが頑張った結果だからね。それがたまたま秋雲だっただけだよ♪』

 

 と言っていて、こうしたことを平然と言えてしまうのが秋雲の強さなのだ。

 

提督「なぁ、秋雲」

秋雲「ん? な〜に、お花摘み?」

提督「いや、そうではない。素朴な疑問があってな」

 

 提督がそう言うと、秋雲は「なになに〜?」と手を休めずに訊いた。

 

提督「このような普段の私を描くだけでいいのか、と思ってしまってね」

秋雲「普段の方がいいの。秋雲が描きたいのはいつものみんななんだから♪ 堅苦しいのは写真で十分っしょ〜?」

提督「そうか……秋雲がそれでいいというのなら、私からは何もない。好きに描いて、穏やかに過ごしてほしい」

 

 提督が真っ直ぐな気持ちを秋雲に伝えると、秋雲は「言われなくてもそ〜するよん♪」と返してから、ニコッと提督に向かって笑みを飛ばす。

 それを見た提督も秋雲に笑みを返し、また書類に目を向けるのだった。

 

 そんなことをしていると、ドアをノックする音がした。

 その音に提督が「入りなさい」と返すと、開いたドアから第四駆逐隊と風雲が入ってくる。

 

提督「みんな揃ってどうかしたのか?」

風雲「急に来てごめんね、提督。秋雲に用事があるのよ」ニコッ

 

秋雲「え〜、秋雲に何の用?」

 

野分「今日は秋雲にとってどんな日なのか、十分理解しています」ニッコリ

嵐「でもどうしても言いたいことがあるんだよ」ニコニコ

萩・舞『ね〜♪』ニコニコ

 

 みんなそう言って笑っているがオーラが凄く冷たいと提督や夕雲達は感じた。

 そして秋雲は何かを思い出したかのようにハッとすると、乾いた笑みを浮かべて提督の背後へと避難した。

 

提督「?」 

秋雲「あ、あのさ提督〜、ちょっといい?」

提督「何かな?」

秋雲「デッサンに夢中で風雲達と部屋で映画のDVD観る約束すっぽかしちゃったんだけど〜……どうしたらいいと思う?」

提督「秋雲……」

 

 冷や汗をダラダラと流して訊いてきた秋雲に、提督は思わずこめかみら辺を押さえた。それを聞いていた夕雲はクスリと笑い、巻雲に至ってはヤレヤレと肩をすくめている。

 

野・嵐・萩・舞・風「あ〜き〜ぐ〜も〜?」ニッコニコ

 

秋雲「て、提督〜、秋雲の身がDanger zoneなんだけど!?」ガクブル

提督「素直に謝りなさい」

秋雲「ひど! 提督ひっど! 赤城さんとかは擁護するくせに〜!」テシテシ

 

 秋雲の猛抗議に提督は「ぬぅ」と思わず唸り声をもらす。しかしもう秋雲の背後には風雲と野分の手が掛かっていた。

 

秋雲「あ、あはははは〜、スケッチに夢中でつい……」ニガワライ

 

五人『つい?』ニッコニコ

 

秋雲「忘れちゃってました、サーセン!」フカブカ

 

五人『………………』

 

提督「その……元はと言えば私が秋雲に「何かしてほしいことはあるか?」と訊ねたのがきっかけで今に至るんだ。どうか秋雲を許してやってほしい」

 

 提督はそういうと「この通りだ」と野分達に頭を下げる。

 

風雲「はぁ〜……提督の顔を立てて、今回は許してあげるわよ」ヤレヤレ

野分「でも野分達は秋雲のことを思って約束したのだから、その辺のことはちゃんと反省してね?」ジトーッ

秋雲「は〜い」ニガワライ

提督「良かったな、秋雲」ナデナデ

秋雲「うん♪」

 

舞風「それじゃ早速♪」ガシッ

萩風「DVD観よっか♪」ガシッ

秋雲「(´□`; 三 ;´□`)」エェ!?

嵐「すっげぇ怖い映画見つけたんだ♪ ホラー映画を観てみんなで絶叫しようぜ♪」

 

 こうして秋雲は野分達に引きずられるように執務室をあとにした。

 

巻雲「秋雲、本当はホラー映画になるの分かっててすっぽかしたんですかね〜?」

夕雲「秋雲さんはああ見えてホラー映画は苦手ですからね〜」ニガワライ

提督「あとで様子を見に行こう」

 

 その後、提督達が様子を見に行くとホラー映画鑑賞ではなく、野分達が秋雲へ手作りケーキをご馳走していたため、最悪の事態には至っていなかった。

 野分達曰く「いつも振り回されてるから、ちょっとお返しした♪」とのこと。

 

 ともあれ鎮守府は今日もとても穏やかだったーー。




今日は秋雲ちゃんの特別な日ですが、秋雲ちゃんらしくちょっと笑いを交えたお話にしました!

この日に沈んでしまった駆逐艦「秋雲」と英霊の方々に心からお祈りします。
そして何とも複雑ですが、今日は秋雲ちゃんの進水日。
これはこれでおめでとうと送りましょう!

本編内の情報は『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改88話

みんなでお花見。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一九〇〇ーー

 

 鎮守府の裏山ーー

 

 本日の業務を早めに切り上げた鎮守府では、みんなで協力して裏山に機材やレジャーシートを設置。

 間宮達の料理と大きな酒樽が運ばれ、お花見が幕を開けようとしていた。

 

提督「今宵は良い月夜で、こうして皆で花見が出来ることを嬉しく思う。大いに飲み、大いに食べ、大いに今年の桜に酔いしれるとしよう……乾杯!」

全員『カンパ〜イ♪』

 

 提督の言葉でお花見が始まると、

 

隼鷹「四〜月〜は花見で酒が飲めるぞ〜♪」

足柄「酒が飲める飲めるぞ〜♪」

イヨ「酒が飲めるぞ〜♪」

ポーラ「あ、それ〜♪」

千歳「五〜月〜は子どもの日で酒が飲めるぞ〜♪」

那智「酒が飲める飲めるぞ〜♪」

朝霜「酒が飲めるぞ〜♪」

ポーラ「あ、どした〜♪」

 

 呑兵衛艦達は酒瓶片手に大合唱。

 

飛鷹「…………」チビチビ

千代田「…………」チビチビ

妙高「…………」ニコニコ

ザラ「…………」ゴゴゴゴゴ

夕雲「…………」ニコニコ

ヒトミ「…………」オロオロ

 

 その隣で保護者組は目を光らせつつ、それぞれ花見酒を嗜んでいる。

 

 その一方、

 

提督「今年も良い桜だ……月夜と桜。これだけで思わず酒を飲み過ぎてしまいそうだ」シミジミ

 

 月夜の桜を愛でる提督。

 

 そのまた一方、

 

大和「はぅ〜、今年も提督は素敵〜♡」デレデレ

武蔵「それには同感だが、頼むから襲いかかるような真似はするなよ?」

長門「これを見れただけでも最高だな♡」デレデレ

陸奥「だからって見過ぎ。それと顔がだらしないわよ」ニガワライ

山城「絵になるなんて言葉じゃ足りないくらい素敵♡」

扶桑「ふふ、山城は幸せいっぱいね」ニコニコ

 

古鷹「ほら青葉! 早く早く!」

衣笠「そのカメラは玩具なの!? シャッターチャンスは今でしょ!?」

青葉「わ、分かってますからそう急かさないで!」ヒャワー

加古(毎年やってんな〜)モグモグ

 

グラーフ「月、桜、酒、アトミラール……最高の花見だな♡」

加賀「えぇ、花より提督です♡」ウットリ

赤城「私は花より両方ですね♡」モグモグ

 

夕張「提督……♡////」キュンキュン

神通「素敵……♡////」キューーン

川内「もっと近くで見ればいいのに」ニガワライ

那珂「そんなことしたら提督の周りだけ人口密度が凄くなっちゃうね☆」キャハ

 

如月「こういう日の司令官はいつもより素敵ね♡」

荒潮「ホントホント♡ これだけでレ級片手で倒せちゃうわ♡」

不知火「姫だろうと鬼だろうと倒してみせます♡」

霞「…………♡////」ジーッ

満潮「…………♡////」ジーッ

曙「…………♡////」ジーッ

叢雲「…………♡////」ジーッ

敷波「…………♡////」ジーッ

 

イク「これだけでご飯がどんどん食べれるの〜♡」デヘヘ

ゴーヤ「桜でんぶより甘くて飽きないよね〜♡」デヘヘ

 

 その提督を愛でる艦娘達。

 更にはその他にもLOVEをこじらせる者やLOVEをもらす者達が多くいた。

 

朝潮「たくあん美味しいわね♪」コリコリ

大潮「浅漬けも美味しいです♪」ポリポリ

霰「焼きアーモンドも美味しい」カリカリ

 

天龍「桜の香りが最高だなぁ」

龍田「そうね♪ 今年も最高のお花見だわぁ♪」

 

筑摩「姉さん、お口の周りが汚れています」フキフキ

利根「むぐぐ……すまんのぅ、筑摩♪」

 

響「姉さんが食べてるそれは何だい?」

暁「桜餅よ♪」アムアム

電「おいひぃのれふ〜♪」モキュモキュ

雷「なら、またもらってきてあげるわね♪」

 

龍驤「夜桜見物しながら美味い酒と料理は格別やな〜♪」

鳳翔「お酒はぬるめの燗がいい♪」

祥鳳「肴はあぶったイカでいい♪」

龍驤「お〜、酒の席にはええ歌やな〜♪」

瑞鳳「女は貧乳な人がいい♪」

大鳳「似非大阪弁を話す人がいい♪」

龍驤「しみじみ見ればしみじみと〜……ってうっさいはボケェ!」

みんな『あははは♪』

 

 みんなそれぞれで料理や花見を堪能。

 すると仮設ステージの脇に二航戦の二人がマイクを持って登場。

 

蒼龍『は〜い、皆さ〜ん♪ こ〜んば〜んは〜!』

 

全員『こ〜んば〜んは〜♪』

 

飛龍『皆さんお待ちかねの有志によるステージ発表のお時間ですよ〜♪』

 

全員『待ってました〜♪』

 

蒼龍『うんうん♪ ではトップバッターの方からです♪』

 

 ー前奏ー←妖精音楽隊

 

飛龍『いつも淑やか大和撫子! でも今宵はちょっぴり大胆に! 歌って頂きましょう、天城さんで「天城越え」!』

 

天城『隠しきりれない〜 移り香が〜♪』

 

雲龍「天城〜♪」ノシ

葛城「素敵よ、天城姉〜!」ノシ

 

天城「(*^v^*)」ニコッ

 

天城『ーーあなたを殺して いいですか〜♪』チラッ

 

提督「」ノシ

  (丁度目が合ったな)

 

 〜♪

 

天城『ーーあなたと越えたい〜♪ 天城〜ごぉぉぉえぇぇぇ〜♪』

 

 \ワーワー! キャーキャー!/

 

天城『ありがとうございました////』ポッ

 

 \パチパチパチパチパチパチ/

 

飛龍『天城さん、コブシのきいた歌声をありがとうございました〜♪』

蒼龍『さぁさぁ、続きまして〜♪ 演歌のおあとは可愛らしいポップミュージックですよ〜♪』

 

 ー前奏ー

 

飛龍『一生懸命頑張っても、甘いシュガーの時もあれば苦いビターの時もある! それでも挫けずに頑張るよ! 神風型姉妹に歌って踊ってもらいます、「シュガーソングとビターステップ」です、どうぞ!』

 

神風『超天変地異みたいな〜♪』

 

妙高「神風さ〜ん♪」ノシ

羽黒「かわいいよ〜♪」ノシ

高雄「頑張って〜♪」ノシ

 

神風「(*^ヮ^*)」エヘッ☆

 

朝風『rambling coaster〜♪』

 

最上「決まってるよ〜!」ノシ

三隈「ダンスも可愛いですわ〜♪」ノシ

 

朝風「(*^∀^)v」ピース

 

春風『平等性原理主義の概念に飲まれて〜♪』

 

春雨「春風ちゃ〜ん♪」ノシ

初春「良い舞いぞよ♪」ノシ

 

春風「(*^_^*)」ニッコリ

 

松風『大嫌い♪ 大好き♪ ちゃんと喋らなきゃ♪』

 

藤波「松風〜♪」ノシ

皐月「頑張れ〜!」ノシ

文月「ファイト〜♪」ピョンピョン

 

松風「(*ゝω・*)」ウィンク

 

提督「」ノシ

 

松風「(///ω///)」アウアウ

 

 〜〜♪

 

神風『南南西を目指して パーティを続けようーー』

朝風『世界中を驚かせてしまう 夜にーー』

春風『なる♪ I feel 上々 連鎖にーー』

松風『なって リフレクション goes onーー』

姉妹『一興去って一難去ってまた一興♪』

 

 \キャーキャー! ワーワー!/

 

姉妹『ありがとうございました〜♪』ペコリ

 

 \パチパチパチパチパチパチ/

 

蒼龍『はい、神風型姉妹のみんな、可愛いダンスと素敵な歌声をありがとうございました〜♪』

飛龍『続いての出し物は、何とロックです!』

蒼龍『それもあの名曲を摩耶さんと鳥海さんが歌ってくれます♪』

 

 ー前奏ー

 

飛龍『夢は大きく、そして想いよ羽ばたけ! 私達の夢は無限大! 歌ってもらいましょう、「Butter-Fly」!』

 

摩耶『ご機嫌な蝶になって〜♪』

 

愛宕「摩耶〜♪」ノシ

睦月「頑張ってくださ〜い♪」ピョンピョン

夕立「摩耶さん、カッコイイっぽい〜!」ピョンピョン

 

摩耶「(*^皿^*)」ニカッ

 

提督「」ニコニコ

 

摩耶「(*>ω<*)」ウゥ

 

鳥海『余計なことなんて〜♪』

 

天龍「鳥海〜!」ノシ

高雄「素敵よ〜♪」ノシ

夕張「最高の選曲ですよ〜!」ノシ

 

鳥海「(ӦvӦ)v」ピース

 

 〜〜〜♪

 

摩耶『Stayしそうなイメージを染めた〜♪』

鳥海『ぎこちない翼でも〜♪』

摩耶『きっと飛べるさ〜ーー』

摩・鳥『On my Love〜♪』

 

 \ワーワー! キャーキャー!/

 

摩耶『聞いてくれてありがとよ♪』ノシ

鳥海『ありがとうございました』ペコリ

 

 \パチパチパチパチパチパチ/

 

蒼龍『さぁさぁ♪』

飛龍『まだまだ続きますよ〜♪』

全員『いぇ〜い♪』

 

 その後も桜餅の大食い大会や初春の桜をバックにした舞い、舞風を中心とした第四駆逐隊によるタップダンスなどが次々と披露され、鎮守府のお花見は大いに盛り上がったーー。




今回は少し遅めのお花見回にしました!
出せなかった艦娘についてはご了承ください。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改89話

未来を見る眼差し。の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一九〇〇過ぎーー

 

 埠頭ーー

 

提督「………………」

暁「………………」

響「………………」

電「………………」

 

 本日の業務、そして昨日のお花見の後片付けを終え、埠頭に集まった者達はそれぞれ黙祷を捧げていた。

 今日は雷が沈んでしまった日。

 提督や暁型姉妹、そして普段から雷と友好を深めている者達は、駆逐艦『雷』と雷と運命を共にした生永邦雄少佐以下、二三八名の乗組員全員へ心からの感謝と尊敬、そして日頃の報告をした。

 

雷「………………」

 

 一九四四年・四月十三日・一八五九。

 この時、雷はアメリカ潜水艦『バーダー』と九〇〇ヤード(八二二.九六m)にまで距離を縮められていた。

 

 遡ること一九四二年・十一月の「第三次ソロモン海戦」では姉である駆逐艦『暁』が轟沈し、雷も多数の砲弾を浴びて一番、二番砲塔、機銃台などいたるところが破壊されて大破してしまう。

 しかしそれでも全力航行が可能という強運を発揮し、雷は六発の魚雷を発射してから戦場を離脱し、トラック泊地へと避難することになった。

 

 その後、「アッツ島の戦い」を経て雷は船団護衛を活動の主とすることになり、その間に水中聴音儀と逆探を増設、一三mm連装機銃を二五mm連装機銃へと換装した矢先の出来事だった。

 

 増設した聴音儀が成果を発揮することはなく、雷は接近していたハーダーから二度に渡って二本ずつ放たれた計四本の魚雷のうち二本が直撃。

 被雷してすぐに船体は真っ二つに割れて沈没してしまい、上記のように乗組員全員が雷と運命を共にした。

 

 その時の雷は単艦航行だったために目撃者がなく、そして突如音信不通となった雷を捜索するも、海上に浮かぶ油紋を発見することしか出来なかったと記録されている。

 

 なお、この時すでに退艦していた前艦長である工藤俊作は雷が沈没した夜、雷に残った部下達が「艦長! 艦長!」と現れて、彼を中心に輪を作ると静かに消えていく夢を見たと証言しており、飛び起きた工藤前艦長は、雷に何か良くないことが起こったことを察していたという。

 

雷「………………ふぅ」

 

 日頃の報告を終えた雷が瞼を開けると、

 

『………………』

 

 大勢の男達……それも見慣れた顔をした者達が自分に向かって、笑顔で敬礼しているのを目の当たりにした。

 しかしまばたきをした瞬間にその人々の姿は消えており、雷は思わずキョロキョロと辺りを確認してしまう。

 

暁「? 雷、キョロキョロしてどうしたの?」

響「まさか敵か!?」キョロキョロ

電「た、大変なのです!」キョロキョロ

 

 響の言葉にみんなは厳戒態勢をとるが、雷は「違う違う!」と慌てて両手を振って誤解だと教えた。

 

暁「じゃあ、どうしたのよ?」

雷「えっと……その……」

 

 珍しく歯切れの悪い雷を暁を始めとした姉妹や仲間達は揃って小首を傾げる。

 雷が何と説明しようかとあたふたしている中、ふと自身の頭にふんわりとした優しい感触があった。

 

提督「落ち着いて、そのままのことを説明すればいい」ニコッ

雷「司令官……」

 

 それは雷が最も信頼し、敬愛する提督が自分の頭をいつものように優しく撫でてくれていた感触だった。

 更には提督のその笑顔は自分が艦時代に良く見ていたあの人の笑顔と重なっていた。

 

 雷はその笑顔のお陰でいつも通りの調子を取り戻す。

 

雷「えへへ……あのねあのね♪ さっきね、あの日のみんなが今の私に笑顔で敬礼してくれてたの♪」

暁「え」

響「雷……そんなに思い詰めて」ギュッ

電「今夜は一緒のお布団で、姉妹揃って眠るのです!」ギューッ

雷「な、何よ!? 私は本当に見たんだから! それにみんなちゃんと笑顔だったのよ!」プンプン

 

 雷の言葉に暁をはじめとする姉妹、更には仲間達も雷が心配になってしまった。あの雷が幻覚を見るほどになるまで思い詰めているのかと……。

 

雷「司令官! 司令官は信じてくれるわよね!? 私、本当にこの目で見たのよ!? すぐに消えちゃったけど、みんなの顔を私が見間違えることなんてないわ!」

 

 提督の軍服の袖を引っ張り、懸命に訴える雷。

 そんな雷に提督はニッコリと笑みを返し、雷の頭をまた優しく撫でた。

 

提督「きっと英霊の方々も艦娘となった雷を見守っているのだと、知らせたくて姿を見せてくれたのだろう」

雷「……みんなが、私を……?」

 

 袖を掴んだまま見上げて首を傾げ訊いてきた雷に提督は「あぁ」と短いながらも、優しい声色で返事をする。

 

提督「雷が過去のことを忘れず、こうしてあの日の方々へ黙祷や現状の報告をしてくれたのが嬉しくて、雷の前だけに現れたのだろう」

雷「忘れるなんてしないわ! 過去を忘れて未来なんて見れないもの!」

提督「そんな雷だからあの方々が雷を見守ってくれているんだよ、きっと……一瞬でも会えて良かったな」ナデナデ

雷「ホントに信じてくれてるの? 子ども扱いしてない?」ジトーッ

提督「そんなことはない。私は雷を信じているよ」ニッコリ

雷(あ……)

 

 雷は提督の笑顔でまた懐かしい顔が浮かんだ。

 すると先程までの不安が、一瞬にして消え去るのを感じる。

 

 雷はその時に確信した。提督が言うように、ちゃんとあの日の英霊の人々や大好きだった艦長も自分のことを見守ってくれているのだと……。

 

暁「なんだか良く分からないけど、今の雷は一人じゃないのよ? ちゃんと私もいるし、響も電もあなたの側にいるんだから♪」ニコッ

響「そうだよ。私達はちゃんと雷のそばにいる……あの時とは違うんだ」ナデナデ

雷「暁姉……響姉……」

電「姉妹も仲間も……頼れる司令官さんも、雷お姉ちゃんのおそばにいるのです♪」ギュッ

雷「電……」

 

 暁達がそう言って雷の側に集まると、他のみんなも雷を中心に輪を作る。

 

雷「みんな……ありがとう!」

 

 みんなの笑顔を見て、雷は満開の笑顔という花を咲かせた。

 その中でも、提督の笑顔を見た雷は大好きな提督の胸に飛びつき、これでもかと提督に頬擦りする。

 

雷「司令官も本当にありがとう♡」

提督「私は何もしていない。雷がこれまで頑張ってきた故の皆の笑顔だ」ナデナデ

 

 提督がそう返すと、

 

雷「何言ってるの? 司令官が私の司令官だから、私は頑張って来れたのよ?」

 

雷「だから明日からも目一杯、私を頼ってね♡」

 (私の大好きな司令官♡)

 

 もういつもの……いや、それ以上の雷が提督に眩しい笑みと言葉を返すのだった。

 

 その後はみんなで食堂へ行き、みんな笑顔のままで穏やかな食卓を囲んだーー。




 おまけーー

 その後、食堂ーー

雷「は〜い、司令官♡ おかわりよそってきてあげたわよ〜♡」つテラ盛りご飯
提督「あ、ありがとう……」ニガワライ

暁(雷、いつにも増してすっごくお世話焼いてるわね……)モグモグ
響(あの司令官もちょっと引いてるとか、雷のポテンシャルはまさに(カミナリ)級みたいだ)ハラショー
電(新婚さんみたいで見てるこっちがドキドキしちゃうのです……////)

雷「沢山食べて明日からも頑張ってね♡ 何なら食べせてあげてもいいわよ?♡」ニコニコ
提督「だ、大丈夫だ。雷は雷でしっかり食べなさい」
雷「もぉ〜、遠慮しちゃダメよ〜。はい、あ〜ん♡」つご飯
提督「しかしーー」
雷「あ〜ん♡」ニッコニコ
提督「…………あ〜、ん」モグモグ

暁・響・電『(司令官(さん)が負けた!?)』

雷「いい食べっぷりね♡ 今度はおかずの唐揚げね、あ〜ん♡」
提督「あ〜……ん」ムグムグ
雷「えへへ、司令官のためなら私何だってしちゃうんだから♡ だからいっぱいいっぱいい〜っぱい頼ってね♡」
提督「あぁ、ありがとうな、雷」ナデナデ
雷「〜♡」キラキラ

 その後も雷は提督にご飯を食べさせ、キラッキラして今日と言う日を終えるのだったーー。

 ーーーーーー

今日は雷ちゃんの特別な日ということで、そのことを踏まえたお話にしました。

そして艦これは何も関係はありませんが、今日は城北に大空襲が遭った日です。
330機のB29が東京を無差別爆撃。死者2459名。明治神宮などが焼失しました。

この日に沈んでしまった、駆逐艦『雷』と全乗組員である英霊の方々、そして空襲で亡くなられた方々に心からお祈りします。

本編内の情報はWikipedia、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改90話

金剛型戦艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定、ガムシロップ微量含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 中庭ーー

 

提督「すぅ……はぁ……」

金剛「〜♡」デレデレ

 

 本日は時間に余裕があるため、工廠へ行った帰りに一服をする提督。

 そしてその隣には本日秘書艦である金剛が目をハートマークにして、そんな提督を眺めている。

 今は比叡が訓練中、榛名と霧島は演習で他所の鎮守府へ出向いているため、金剛が提督を独り占め状態。

金剛もこんなチャンスは滅多に訪れないので、愛しの提督と腕を組んだり、用もなく呼んでみたりと二人きりの時間を満喫している。

 

「て〜とく〜♡」

「て〜とく〜♪」

「こんにちは〜♪」

 

 そんな提督と金剛に声をかける者達がいた。

 それはゴーヤ、呂、しおいの三名。髪の毛先から水が滴っているので、オリョクルを終えて埠頭から上がったところなのだろう。

 

提督「おぉ、三人共。お疲れ様……大事はないか?」

ろ「あったら連絡してますよ〜♪ だから問題ないですって♪」

ゴーヤ「中庭覗いたら、てーとくがいたから来ちゃった♡」エヘヘ

金剛「ワタシもいマスヨ?」ニコニコ

ゴーヤ「てーとくしか目に入ってなかったでち。ごめんあそばせ」ニコニコ

しおい「あはは……」コマリエガオ

 

 お互い顔は笑っていても目は笑っていない金剛とゴーヤ。LOVE勢同士、やはり譲れないものがあるのだろうが、ここでおっ始めない辺りが流石である。

 その一方で提督はハンカチで呂の顔を優しく拭いてあげているので、傍から見れば何とも温度差が激しい光景だ。

 

提督「よし、拭けたぞ。あとはちゃんと精密検査とシャワーを浴びるようにな」ナデナデ

ろ「は〜い♪ あ、ねぇねぇ、提督」クイクイ

提督「どうした?」

ろ「今日って何日だったっけ?」

提督「今日は四月十四日だ」

 

 提督が呂の質問にちゃんと答えると、呂は「おぉ!」と言って手をポンッと叩く。

 そんな呂にしおいが「日付けがどうかしたの?」と訊ねると、呂は「あのね……」と口を開いた。

 

ろ「今日はね〜、オレンジデーなの♪」

提督「あぁ、確かに今日はオレンジデーだな」

しおい「それって何の日? フルーツのオレンジの日なの?」

 

提督「オレンジデーはーー」

 

 しおいの疑問に、提督は簡単に説明する。

 

 『オレンジデー』

 二月十四日の『バレンタインデー』で愛を告白し、三月十四日の『ホワイトデー』でその返礼をしたあとで、その二人の愛情を確かなものとする日とされており、オレンジまたはオレンジ色のプレゼントを持って相手を訪問する日のことである。

 

ろ「それとね、欧米だとオレンジが沢山生産されてるから、繁栄のシンボルになってて、花嫁さんがオレンジの花を飾る風習があるんだよ♪」

提督「確か欧米でオレンジは結婚と関係の深いものとなっているそうだな。前に読んだ小説でそのようなことが書かれていたよ」

ろ「そうだよ〜♪ 提督は誰かにオレンジのプレゼントするの〜?」

 

金・ゴ『』ピクン

 

 呂の無邪気な質問にいち早く反応したのは金剛とゴーヤ。提督のことだからそんなことはないだろうと思う二人だが、それが数%でも自分の名を呼んではくれないかと、淡い期待をもってしまう乙女心なのだ。

 

提督「ははは、私にそのような相手はいないよ。仮にいたとしても馴染みがない風習だから、私の場合は忘れてしまって相手を怒らせるオチだろうな」

 

 自虐的に返す提督にしおいと呂は「有り得そう」と笑うが、その隣の金剛とゴーヤは相手がいなくて嬉しいような、自分の名前が出てこなくて悲しいような……そんな複雑な表情を浮かべていた。

 

提督「ともあれ、今日がオレンジデーでも私には無縁だな」アハハ

しおい「オレンジデーって言われても分からなかったし、仕方ないね〜」クスクス

ろ「うぅ〜、なんかオレンジのお話してたらオレンジ食べたくなっちゃった〜」

ゴーヤ「ならシャワーを浴びたら酒保に買いにいく?」

しおい「無かったらオレンジジュースで何か作ろっか♪」

金剛「なら、ワタシにまっかせなサ〜イ♪」

 

 金剛がそう言って胸をトンッと叩く。

 

金剛「ワタシがオレンジを使ったおやつを作ってあげマス♪」

しおい「え、いいんですか?」

ろ「いいの〜?」キラキラ

金剛「午後のティータイムのお茶請けを作る予定だったカラ、遠慮ナッシング♪」ウィンク

 

 二人に金剛がそう返すと、二人は万歳して喜んだ。金剛は鎮守府でもトップクラスで料理上手なので安心なのだ。

 

ゴーヤ(ポイント稼ぐ気でちね。流石帰国子女の紅茶戦艦は抜かりないでち……)グヌヌ

 

 対するゴーヤだけが複雑な心境だったが、

 

ゴーヤ「それじゃシャワー浴びたら執務室に行くでち♪」

 

 と大人の対応でしおい達と共にドックへと向かうのだった。

 

金剛「ふふ……では準備して来マス♪」

提督「私も何か手伝うか?」

金剛「いえーー」ハッ!

 

 提督は待っててほしいと伝えようとした金剛に電撃が走る。

 大好きな提督にお手伝いさせるのは心苦しいが、今の好条件なら提督と二人きりで厨房に立てる上に自分が手取り足取り教えることが出来る……と。

 

金剛「是非とも手伝ってほしいネ〜♡」ギュッ

提督「心得た。足手まといにならないよう心掛けるよ」ニコッ

金剛「ハ〜イ♡ 了解ネ〜♡」

  (足手まといになってくれることを期待してマース!♡)

 

 こうして金剛は提督と腕を組んで戦艦寮の厨房へと向かうのだった。

 

 

 戦艦寮、共同厨房ーー

 

金剛「準備はイイデス?」

提督「あぁ」コクリ

金剛「では先ず、薄力粉とベーキングパウダーを合わせて、ふるってくだサイ♪」

提督「こうか?」フリフリ

金剛「イエス♪ ではその間にワタシはこちらのマーマレードを滑らかにしておきマスネ♪」

 

金剛(テイトクと二人きりのクッキング♡ まるで新婚さんみたいデ〜ス♡)ニヨニヨ

 

 それからも金剛は提督と楽しく料理し、もうルンルン気分でクッキングタイムを過ごすのだった。因みに金剛は何かと理由をつけては提督に引っ付いていた。

 

 

 執務室ーー

 

 そして料理を終えて執務室へ戻ると、ゴーヤ達がちゃんと執務室のソファーテーブルで待っていた。

 

金剛「オレンジマーマレードを使った金剛特製のパウンドケーキデス♪」

ゴーヤ「うわぁ〜……」キラキラ

しおい「美味しそ〜♪」キラキラ

ろ「(。✧Д✧)」

提督「焼き立てだから、火傷しないようにな」ニコッ

金剛「今アイスティーを淹れマス♪ 食べながら待っててくだサ〜イ♪」

 

 こうして金剛と提督が共同で作ったオレンジマーマレードのパウンドケーキ。

 ゴーヤや少し悔しそうにしながらもその味に舌鼓を鳴らし、しおいと呂はその美味しさに頬をほころばせるのだったーー。




今日はオレンジデーということで、それをネタにほのぼのなお話にしました♪

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改91話

最上型航空巡洋艦メイン。

ちょっぴり真面目なシーン、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「………………」カリカリ

時雨「〜♡」ニコニコ

 

 今日も今日とて提督は艦隊のために書類の山を片付けている。

 そしてそんな提督を本日秘書艦任務に就く時雨は幸せそうに眺めながら、自分は自分で書類整理や処理を完璧にこなしていた。

 因みに白露や村雨、夕立は訓練。春雨、五月雨は遠征。海風達、第二十四駆逐隊は水雷戦隊の演習で神通、能代と共に鎮守府を離れている。

 

 するとそんな執務室のドアをノックする者がいた。

 ノックされたドアがガチャリと開くと、鈴谷がそーっと顔を覗かせる。

 

鈴谷「て〜とく〜、いる〜?」

 

 いつもは元気いっぱいに執務室へ入ってくる鈴谷だが、今日は珍しく大人しい上、表情にもいつもの明るさがない。

 

時雨「鈴谷さん? 提督ならいるよ。入りなよ」ニコッ

 

 鈴谷に時雨がそう促すと、奥から提督が透かさず、それも自然な動きで時雨の側へ立った。

 

提督「あぁ、時雨。私はこれから鈴谷と少し話がある。だから少し席を外すが、時雨は書類の整理を続行していてほしい」ナデナデ

時雨「うん、分かった♡」

 

 提督に撫で撫でされて上機嫌となった時雨は、まるで飼い主の命令を忠実に守る愛犬のように書類整理を続けた。

 提督はそんな時雨に笑みを浮かべると、鈴谷と共に執務室をあとにするのだった。

 

 

 本館内、廊下ーー

 

鈴谷「気ぃ使わせちゃってごめんね、提督」ニガワライ

提督「気にするな。鈴谷はしっかり者だからな……ちゃんと答えを出したんだろう?」ニコッ

鈴谷「……面と向かってそう言われると恥ずかしいじゃん////」ポフッポフッ

 

 そう言って鈴谷は照れ隠しなのか、提督の二の腕ら辺を軽く叩いた。

 

提督「鈴谷は褒められて伸びるタイプなのではなかったかな?」ナデナデ

鈴谷「そうだけど違うの〜!//// なんかムズムズするの〜!////」テシテシ

提督「ははは、それも乙女心というものか……難しいな」

鈴谷「むぅ、なんか今の提督は意地悪だよ〜?////」

提督「ふふ、すまんな。でも少しはいつも通りの顔になったじゃないか」ニコッ

鈴谷「提督のせいだし〜!////」ウガー

 

 鈴谷がそう言って両手を振り上げると、提督は愉快だという具合に胸を張って笑って見せる。そんな提督に鈴谷は毒気を抜かれ、先程とは違ったリラックスした状態に戻れた。

 

鈴谷(ったく、こういうさり気ないとこでポイント上げてくんのって質悪いよ♡////)

 

 そう思う鈴谷だったがその表情は恋する乙女そのもので、提督の気遣いに感謝しつつ提督の左腕にピッタリと抱きつくのだった。

 

 

 第一会議室ーー

 

 誰も使っていない会議室に入った提督と鈴谷。

 隣同士の席に向かい合って座ると、提督は鈴谷に微笑み、鈴谷からの言葉を待った。

 

鈴谷「えっとさ、改造の件の話なんだけどさ……」

 

 そこまで言って鈴谷は思わず言葉が途切れてしまう。

 

 鈴谷は少し前に提督から改二、更には軽空母への改装の話を受けた。最上型の中では初の改二実装……更に軽空母までの改装とあって、最上達は鈴谷を祝福した。

 しかし当の鈴谷はあまり良い顔をせず、提督には「少し時間がほしい」と伝えて、この件を保留にしていたのだ。

 それで鈴谷は自分で出した答えを提督に伝えにきたところ……のはずが、この答えでいいのかと鈴谷は思わず口をつぐんでしまった。

 

 しかし目の前の提督は『ゆっくりでいいぞ』と言わんばかりに微笑んでいる。

 鈴谷はそんな提督なら、自分が好いた相手なら……と思い切ることが出来た。

 

鈴谷「私、改二にはなるけど、軽空母にはならない!」

提督「ん、分かった」ニコッ

 

 鈴谷の答えに提督は笑ってその一言だけを返す。

 それに対して鈴谷は思わずキョトンとしてしまった。何故なら理由を訊かれると思っていたから。

 

提督「何故そういう答えを出したのかと、理由を訊かないのは流石に不自然だったかな?」

鈴谷「え……まぁ、そんな感じ。提督なら私の考えを尊重してくれるって思ってたけど、訊かれないとは思ってなくって」ニガワライ

提督「訊かなかったのは簡単な理由だ。今朝、最上と三隈から鈴谷の考えを聞いた……ただそれだけの話さ。因みに熊野はそれを鈴谷に悟られないよう、鈴谷と行動していたそうだ」ニコッ

鈴谷「えぇ〜、今朝のってそうだったの!? ってか、二人して私より先に提督に喋っちゃったの〜!?」

 

 驚いて思わず立ち上がってしまう鈴谷。そんな鈴谷に提督は落ち着くようにと手で制す。

 鈴谷がまた椅子に座り直すと、提督は静かに語りだした。

 

提督「我が鎮守府は安定した戦果をあげてはいるが、戦争中はいつ何が起こるか分からない。よって戦力増強はしておくことに越したことはないんだ。それが空母なら余計にな」

鈴谷「」コクリ

提督「だが、うちの空母勢及びその機動部隊は大変優秀だ。更には航空戦艦の扶桑達、そして鈴谷を含めた航空巡洋艦達もいるとなれば、空への備えは今のところ不安材料はないと私は断言出来る」

鈴谷「…………」

提督「軽空母にならない。それもまた選択肢の一つだ。私は鈴谷の気持ち、考えを大切にしたい」ニッコリ

鈴谷「ありがと、提督♡」エヘヘ

 

 鈴谷が満面の笑みで提督にお礼を言うと、提督はしっかりと頷いて鈴谷の頭を優しく撫でた。

 

 軽空母へ改装しない理由……それは鈴谷が軽空母の鈴谷ではなく、これまでと同様、姉妹仲良くお揃いの航空巡洋艦でいたいと願ったから。

 

 最上と三隈は提督にそう説明し、どうか鈴谷の考えを分かってほしいと訴えた。勿論熊野も最上達と同じ意見だ。

 しかし提督は最初から鈴谷がしたいようにさせようと決めていた。これは鈴谷だからではなく、艦隊みんなに言えること……それぞれ自分の意見、自由意志を尊重することである。

これは彼女達、艦娘でも一人ひとりが持つ人権であり、今を人として生きる証なのだ。

 だから提督も鈴谷の気持ちを汲んだ。勿論提督も鈴谷も戦況によってはそうせざる負えなくなることは重々理解している……だが、提督はそうならないように自分が努力しようと誓っていた。

艦娘を心から大切に思う提督らしい心構えである。

 

提督「改二になったら、またうんと褒めてやるからな。だからこれからも頼んだぞ?」ナデナデ

鈴谷「当然じゃん♡ 鈴谷はいつまで経っても褒められて伸びるんだから♡」スリスリ

 

 話を終えた鈴谷は早速工廠へ行き、改二へ改造。

 改造を終え、改二となった鈴谷はブレザーの前が開き、茶色のカーディガンを身に着けていた。

更にはニーソックスが腿のリング状の艤装で固定されるものに変わり、タイも可愛らしいリボンタイへと変更された。

 艤装に関しては、改までは手持ち式だった飛行甲板ユニットが肩紐で吊られるようになったことに加え、腿の主砲がリング状艤装にマウントされるようになったことが大きな変更点だった。

 性能としては火力型重巡として名高い鳥海改二を上回り、重巡や航巡の中ではトップクラスの数値となっていて、搭載数も最上と互角になったことで水上爆撃機による打撃力や、水上戦闘機による制空にも大きく貢献出来るようになったのだ。

 

 そして、

 

鈴谷「提督〜♡ ほらほら〜、改二の鈴谷だよ〜?♡ もっとよく見て褒めてよ〜♡」ギューッ

提督「あぁ、素敵になったよ、鈴谷」ナデナデ

鈴谷「あったり前じゃ〜ん♡」エヘヘ

 

 提督へのスキンシップや好意も改二へと変化したような気がしたーー。




遅くなりましたが、鈴谷改二及び、軽空母へ改造・改装実装ということでこのような回にしました!
軽空母へしなかったのは私個人の考えなので、ご了承お願い致します。

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改92話

もうケッコンしちゃえよ……。の談。

キャラ崩壊、独自設定、シュガーポット含みます。

※今回は前作の『艦これSS二百五十四話』が関わっている回です。ご了承お願い致します。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

 いつも通り平穏な時が流れる鎮守府。

 しかし執務室で提督は、とある人物からの電話対応にいささか手を焼いていた。

 

提督「あぁ……うむ、分かっている」

??『本当だろうな!? お前、俺がいないからって口説くんじゃねぇぞ!?』

提督「分かっている……そもそも私は略奪愛という趣味は持ち合わせていない」

??『ああん? それじゃあ、お前にとってあいつは魅力的じゃねぇってか!?』

提督「そうとは言ってないだろう」ニガワライ

??『ったく、女ばっかの職場でいい気してんじゃねぇぞ!?』

提督「そのようなつもりは……」

??『いいよなぁ、お前は。こっちなんか男ばっかだってのによ……』

提督「その紅一点をものにしたのは誰だったかな?」

??『揚げ足取んじゃねぇ!//// とにかくあいつには手を出すなよ!? しても挨拶……いや、会釈だからな!!』

 

 そう言い残すと、電話の相手は電話を切った。

 受話器を置いた提督は思わず苦笑いを浮かべ、一息吐いてしまう。

 

長波(本日秘書艦)「随分と長い苦情だったな〜。大丈夫か、提督?」

提督「ん、あぁ、苦情ではない。強いて言えば過保護なだけだ」ニガワライ

長波「ん〜?」クビカシゲ

提督「今の電話は陸軍の司令官殿からだ」

長波「陸軍が提督に何だってのさ?」

提督「ほら、今日はあきつ丸さんが我が鎮守府に来ているだろう? 司令官殿とあきつ丸さんは恋仲なんだ。それでどういう訳か、私に口説くんじゃないぞと忠告してきてね」

長波「あ〜、そういう……」ニガワライ

提督「まぁ、そういう訳だ。何とも微笑ましいよな」

長波「そうだな〜……」

  (うちの提督が女の人を口説いたら血の雨が降るな……いや、それならマシなレベルか)

 

 そんな他愛もない話をしつつ、提督は長波と共に執務を再開するのだった。

 

 

 食堂ーー

 

 本日の食堂には提督が言ったようにあきつ丸が訪れている。

 いつも通り荷卸にきたのもあるが、今回はこの鎮守府に荷を卸せば今日のお役目は御免なので、いつもよりゆっくりしていく予定……なのだが、

 

間宮「それで、司令官さんとはどうです?」ニコニコ

伊良湖「お、お手て繋ぎましたか!?////」

速吸「ちゅちゅ、ちゅうもしました!?////」

あきつ丸「…………////」オロオロ

鳳翔「無言ということは肯定ということでいいでしょうか?」ニコニコ

 

 あきつ丸はみんなから質問攻めにあっていた。

 何故なら、あきつ丸は季節の春ではなく、青春という春が訪れているから。

 

あきつ丸「わ、我々は今戦時中のため、お付き合いはしていても、浮ついたことはしておりません!////」

間宮「あら……こういう時だからこそ、今を謳歌しないといけませんよ?」

鳳翔「そうですよ。やれるうちにやれることはしておいた方がいいです。軍人である以上、いつどうなるのか分からないんですから」

あきつ丸「こ、子をこさえろということですありますか!?////」

伊・速『はわわ〜////』

 

鳳翔「そこまでは言ってませんよ……」ニガワライ

間宮「何考えてるんですかぁ、あきつ丸さん?」ニヤニヤ

あきつ丸「あ……うぅ〜////」

 

 つい口走ってしまったことを言及され、あきつ丸は唸り声のようなものをあげて俯いてしまう。しかもあの色白のあきつ丸の顔がほんのりと桜色になっているので、かなり恥ずかしがっていることが分かる。

 

鳳翔「好いた殿方とせっかく恋仲になれたんですから、せめて逢引(デート)くらいはしても罰は当たりませんよ」

間宮「いくらお二人が奥手でも、逢引くらいはもうしたでしょう?」

あきつ丸「そ、それはまぁ……この前にも致しましたが……////」カァー

 

伊良湖「ど、どんなデートだったんですか?////」

速吸「……////」コクコク

 

あきつ丸「えっとですね……////」

 

 ◇回想◇

 

 〜とある商店街にて〜

 

司令官『き、来ちゃったな、初のショッピングデート……////』

あきつ丸『は、はい……来ちゃったのであります////』

司令官『ど、どう回ろうか?////』

あきつ丸『あ、貴方様が行きたい場所へ……////』

司令官『あ、あきつ丸が行きたい場所の方が……////』

あきつ丸『じ、自分は貴方様とご一緒であれば、どこでも楽しいであります故……♡////』ポッ

司令官『あ、あきつ丸……////』

あきつ丸『(*>ω<*)』モジモジ

司令官『じゃ、じゃあ、とにかく回ろうか……俺もあきつ丸とならどこでも楽しいから////』ハニカミ

あきつ丸『はい♡////』ヒダリウデギュッ

 

 ーーーーーー

 ーーーー

 ーー

 

あきつ丸「それで、一緒にソフトクリームを食べたり、服を選んだりと……素敵な思い出を沢山作りました……♡////」ニヘヘ

間宮「あらあら♪」

鳳翔「まあまあ♪」

伊良湖「ラブラブですね……////」

速吸「……////」コクコクコクコク

 

 あきつ丸の惚気話に間宮と鳳翔はニコニコしているが、伊良湖と速吸は顔を赤くしていた。

 

あきつ丸「そんなにしょっちゅう逢引は出来ませんが、駐屯地内でお互いに時間を合わせて昼食をとるようにするなど、二人の時間を作る努力はしておりますです、はい♡////」エヘヘ

間宮「とても良いことだと思います♪ その調子で頑張ってください♪」

伊良湖「そうしたことで愛が育まれていくんですね////」

 

あきつ丸「ここに訪れる前も、一緒に昼食をとったのですが……あの方からお手製のお弁当をご馳走になりまして♡////」

鳳翔「あらまあ♪ では、今度はお返しにあきつ丸さんが作って差し上げる番ですね♪」

速吸「帰ってから甘味を作ってあげるのもありかもです////」

 

 するとあきつ丸は「あの、それが……////」と口ごもり、更にはモジモジしてしまう。

 ここまで意味深なことをされては間宮達も黙ってない。

 あきつ丸にどうしたのかと訊ねると、

 

あきつ丸「お返しは接吻がいいと言われて、唇を奪われてしまいまして……♡////」

 

 かなりの爆弾発言がされた。

 

 これには余裕があった間宮も鳳翔もつい頬が紅潮してしまい、何とも言えない空気が漂った。

 

あきつ丸「あの方はいつもやることが急なのです……初めての時だっていきなり押し倒してきて……♡////」

 

あきつ丸「でも、とても優しくしてくれて……自分はこんなにも愛されているのだと、実感した瞬間でした♡////」デレデレ

鳳・間・伊・速『おうふ……////』

 

 (せき)を切ったかのように惚気話を語るあきつ丸に、みんなは思わず口の中がジャリジャリ、ザラザラする感覚を味わった。

 その後、あきつ丸は照れながらも満面の笑みで鎮守府を去ったが、間宮達はにっがい抹茶を一気飲みしたそうなーー。




今回はあきつ丸さんと陸軍の司令官さんの進展具合を控えめな甘さで書きました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改93話

金剛型戦艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定、若干のR-15、ガムシロップ二つほど含みます。

苦手な方はご注意を!


 

 ○○鎮守府、二〇〇〇ーー

 

 居酒屋『鳳翔』ーー

 

提督「好きなものを頼むといい。私の奢りだ」ニコッ

 

金剛「さっすがテイトクデ〜ス♡」ニコニコ

比叡「お言葉に甘えます♪」

榛名「ありがとうございます♡ 榛名は幸せです♡」

霧島「お心遣いありがとうございます、司令」ニコッ

 

 本日、提督は金剛型姉妹を鳳翔の店でもてなしていた。

 何故かというと、本日秘書艦任務に就いた榛名が見事な働きをみせ、大いに仕事が進んだから。

そのお礼として提督が榛名とその姉妹である金剛達にもお酒をご馳走しようと提案したことで今に至る。

 榛名の働きの甲斐があり、今日の執務は明日の書類にまで取り掛かることが出来た(秘書艦になれた榛名がつい気合を入れ過ぎたから)。

 

鳳翔「今日は隼鷹さん達も来ていませんから、皆さんの貸し切り状態ですね♪ ご遠慮なくご注文してくださいね♪」

 

 厨房に立つ割烹着姿の鳳翔がそう言うと、金剛達は笑顔でメニュー表に視線を落とす。

普段は気を遣って遠慮がちな榛名も、今回ばかりは「どれにしようかな〜?♪」とルンルン気分でメニューを選んでいる。

 

 因みに席順は↓

 

 金提榛

  卓

 比 霧

 

 

 そしてーー

 

金剛「ハイボールプリーズ♪」ノシ

比叡「私もお姉さまと同じものを! それと今日の刺し身盛り!」ノシ

霧島「私はーー」

金剛「霧島には赤霧をロックでくだサ〜イ!」

霧島「名前ネタで来るんですね。まぁ、美味しいからいいですけど……あ、鳳翔さん、おつまみに味噌ください」ノ

鳳翔「は〜い♪」

 

 みんなが思い思いのメニューを注文する中、普段からあまりお酒を飲まない榛名は何がいいのか悩み、更には自分だけがスッと頼んでいないので内心焦ってしまう。

 

榛名(どうしよう……せっかくの提督のご厚意なのに、榛名だけまだ何も頼めていないです)アセアセ

 

提督「榛名」

 

 すると提督から名前を呼ばれた。榛名がその声に反応して提督へ目を向けると、

 

提督「時間はまだまだある。焦らず、榛名のペースで決めなさい」ニコッ

 

 提督が優しい言葉をかけてくれた。

 榛名はその言葉に「は〜い♡」と甘える子どものように返すと、自分のペースで選べるようにーー

 

榛名(やはり提督は優しいですね♡ 榛名にまでここまで気を遣ってくれて……えへへへへへ♡)

 

 ーーなったはずが、思わず自分の世界へ入ってしまうのだった。

 

 

 それからーー

 

金剛「テ〜トク〜♡ 口移ししてほしいデ〜ス♡」

提督「そう言って、おいそれとやる訳にはいくまい」ニガワライ

霧島「でもいつだったか、隼鷹さんと千歳さんには口移ししたんですよね?」ニヤニヤ

提督「さぁ、何のことか……記憶にないな」アハハ...

比叡「口移しくらいしてあげてくださいよ! 減るもんじゃないし!」

提督「モラルや風紀の問題だ」

金剛「テ〜トク〜♡」クイクイ

 

 提督は困っていた。何故なら、金剛は酔うとスキンシップが激しくなることを忘れていたからだ(前科あり)。更には比叡も霧島も酔ったら酔ったで煽る癖があるため、劣勢に立たされていた。

 因みに鳳翔は、お酒の席だからとまだ止めに入る気はない様子(提督がオロオロしてる姿を見て萌えてるから)。

 

榛名「………………」チビチビ

 

 そんな中、榛名だけがムッス〜としながら頼んだカルーアミルクを飲んでいた。

 その理由は、

 

榛名(今日は榛名のために提督がおもてなししてくれたのに、金剛お姉さまばっかりズルい……。比叡お姉さまも霧島も金剛お姉さまを援護してぇ……)

 

 大好きな提督が自分のためにおもてなししてくれている席なのに、その提督が金剛達でてんやわんやしていて自分に構ってくれないからだ。

 

榛名(榛名だって提督とイチャイt……んんっ、触れ合いたいのに。金剛お姉さまばっかり構って……)

 

 自分のことも構ってほしい……そう感じつつ、榛名は三杯目となるカルーアミルクを一気飲みする。

 すると、

 

榛名「むぅ」グイッ

提督「おっと……どうした、榛名?」

 

 榛名は提督の腕を掴み、自分の方へ提督を引き寄せてしまった。

 これには流石の提督も少々驚いた様子。しかし榛名はハムスターのように両頬を膨らませていて、提督の顔をジーッと睨んでいる。

 

金剛「ヘーイ、榛名? そんなプリプリしてどうしたデ〜ス?」

比叡「司令〜、榛名に何したんですか〜?」ジトー

霧島「私の計算によると、司令が榛名に何かしたようですね」メガネクイッ

 

提督「わ、私は榛名に何をしてしまったのだろうか?」

榛名「…………にゃ」ボソッ

提督「ん?」

榛名「はるにゃも構ってほしいにゃ〜!♡」ギューッ

全員『!!?』キョウガク

 

 榛名の豹変ぶりに提督は勿論、金剛達と鳳翔も驚きの表情を浮かべた。

 それもそのはず、榛名が好きでずっと飲んでいたのはカルーアミルク。

 カルーアミルクは甘くて飲みやすいが、度数がビールより少し高めなので榛名みたいに普段からあまり飲まない人にとっては酔いやすいお酒なのだ。

 プラスすると金剛達も榛名が酔った姿は見たことがなかったので、こんな酔い方をするとは想像もしてなかった。

 

榛名「にゃ〜ん♡ 提督は金剛お姉さまとばかりキャッキャしてて、はるにゃ寂しかったにゃ〜♡ だから構ってほしいにゃ〜♡」スリスリ

提督「そ、それはすまん……よしよし」ナデナデ

榛名「むぅ〜、子ども扱いするのや〜だ〜……はるにゃは提督に女の子扱いしてほしいにゃ〜」

 

 榛名はそう言って提督の胸元を人差し指でクリクリといじる。いつもの榛名からすればかなり大胆な行動……これが酒のなせる業であると金剛達は感じた。

 

提督「女の子扱いとは……」

榛名「提督が考えてください〜。もう大人の男性なのですから、言われなくても分かるはずです」ツーン

提督「う〜む……」

 

 口ではツンツンしているものの、榛名の手はしっかりと提督の腕をホールドしている。

 

榛名「ぶぶ〜、時間切れ〜」

提督「ぬ?」

  (時間制限があったのか!?)

榛名「もぉ〜、提督はそんなことも分からないんですね〜、これでは大人ではなく、大きな子どもです〜」

提督「す、すまぬ」ニガワライ

榛名「そんなお子様提督にはこうにゃ〜♡」エイッ

 

 榛名はそう言うと、提督をもっと自分の方へと引き寄せ、提督の頭を自身の胸の谷間へムギュッと収めてしまった。

 

提督「は、はふふぁ(榛名)!?」

榛名「あん、もぉ、おっぱいの中で喋らないでほしいにゃ♡ くすぐったいにゃ〜♡」ムギュギューッ

提督「」㌧㌧㌧←タップ

榛名「提督〜♡ 提督の体温が優しくはるにゃに伝わってくるにゃ〜♡」スリスリ

提督「」㌧㌧ト...

 

金剛「て、テ〜トク〜!?」

比叡「榛名、早く司令を離して!」

霧島「榛名! 司令が!」

鳳翔「榛名さん!」

 

 四人掛かりで榛名から提督を引き離すと、提督は無事に酸素を吸うことが出来た。

 そして提督はこう言った、

 

提督『酸素がこんなにも美味いと感じたのは初めてだ』

 

 とーー。




 おまけーー

 後日談ーー

 戦艦寮、金剛型姉妹部屋ーー

榛名「うわぁぁぁぁぁん!//// 榛名は提督になんてことをぉぉぉぉぉ!////」

 榛名は自分の毛布に包まって猛省と羞恥に駆られていた。

金剛「テイトクは気にしてないと言ってタヨ! だから落ち着くネ!」

 そんな榛名を金剛は励ますが、

榛名「無理でしゅぅぅぅぅ!////」

 今の榛名にはどんな言葉も届かない。

比叡「榛名荒れちゃってるね〜」ニガワライ
霧島「あんなに酔っててもしっかり記憶が残っていますからね〜。記憶がなければ、ごめんなさいで済んでいますが……」ニガワライ
金剛「榛名は暫くお酒は飲めないネ〜」ヤレヤレ

榛名「うえぇぇぇぇん!////」

金剛「大丈夫! はるにゃは可愛かったデス!」バチコーン
榛名「やぁぁぁぁん!////」
金剛「わ、ワタシからテイトクを奪ったのも凄かったデスヨ?」
榛名「金剛お姉さまのイジワルぅぅぅぅぅ!////」

金剛「あ、あるぇ?」アセアセ
比叡「金剛お姉さま……」
霧島「傷口をえぐって更にそこに塩を塗り込んでどうするんですか……」ハァ...

榛名「もう提督に会えないですぅぅぅぅぅ!////」

 その後、提督がちゃんと会いに来て榛名にあの晩のことを気にしていないと告げると、榛名はようやく提督と目を合わせられるようになったそうなーー。

 ーーーーーー

今日は榛名さんと霧島さんの竣工日なので、榛名さんメインのちょっとした甘めドタバタにしました♪
本編には出せませんでしたが、今日は大潮ちゃんと浦風ちゃんの進水日でもあります!
みんなおめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改94話

提督、何でも最強説。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 駆逐艦寮、談話室ーー

 

松風「にらめっこしましょ〜♪」

藤波「笑うと負けよ〜♪」

朝風・山風『あっぷっぷ〜♪』

 

 談話室でにらめっこをしている仲良し四人組。今日はそれぞれ時間が一緒に空いたため、みんなして酒保でおやつを買って食べるところなのだが、半端なのが出たのでにらめっこにてそのあまりを争っているところ。

 因みに朝風と山風、松風と藤波はそれぞれ同時期に着任したので、型が違う中では一番の仲良しなのだ。

 

松風「…………」プクー

藤波「…………」プックー

朝風「…………」ジーッ

山風「…………ふふっ」

 

 にらめっこで最初に脱落したのは山風。それに釣られるように藤波、松風と笑ってしまい、勝者は朝風となった。

 

朝風「あは、やったね♪」ピース

山風「ふふふ、おめでとう」クスクス

松風「いやぁ、負けた負けた♪」アハハ

藤波「一人が笑うと緊張感が無くなってつい釣られるよね〜」イッヒヒ

 

 こうして朝風があまったクッキーの一枚を手にしたが、みんな悔しさより可笑しさで笑顔が溢れていた。

 

 ーー

 

 みんなしてお茶とおやつを食べつつ談笑していると、朝風が何か思い出したかのようにとある話題を出す。

 

朝風「そういえば、にらめっこで思い出したんだけど、春風から司令官はにらめっこが強いって聞いたのよ。みんな知ってた?」

藤波「肉体的にも精神的にも強いのに、遊びも強いって……うちの司令官って何者なのよって感じ♪」アハハ

 

 朝風の話に藤波は愉快そうに笑って返すが、対する松風と山風は少々硬い笑みを浮かべていた。

 

朝風「? 二人してなんでそんな顔してるの?」

藤波「なんか心当たりある感じ?」

 

 藤波の問いに山風はコクコクと頷くと、いつものようにゆっくりとその理由を話し始める。

 

山風「えっと、ね……提督がにらめっこ強いんじゃなくて、あたし達が弱くなっちゃう、って感じ、なの////」

藤波「山風達が弱くなる?」

 

 理由を聞いた藤波は小首を傾げるが、一方の朝風は「あ〜」と何やら納得したような声をあげた。

 

藤波「朝風は今の説明で分かったの?」

朝風「まぁね〜……」ニガワライ

 

 朝風が藤波にそう言うと、藤波はつい二人の顔を見比べてしまう。

 そんな藤波に山風は「な、な〜に?////」とほのかに頬を桜色にさせ、松風は悟られないようにそっぽを向くもそれが答えになっている……が、藤波はイマイチ理解出来なかった。

 すると朝風は「じゃあ答え見にいこ♪」と持ち前の行動力を発揮し、急遽提督の元へ向かうことにした。

 山風はともかく松風は嫌がったが提督に会いたい気持ちが上回り、朝風にあっさりと連行されるのだった。

 

 

 執務室ーー

 

朝風「かくかくしかじか、でやってきたのよ♪」

提督「ふむ、まるまるうまうまということか……」

 

 提督に執務室までやってきた経緯を朝風が説明すると、提督はなるほど……と言うように頷く。

 一緒に理由を聞いていた神通は何故かコクコクと深く頷いた。

 

朝風「てな訳で、早速松風や山風とにらめっこしてほしいんだけど、お願い出来るかしら?」

提督「あぁ、いいとも。強いかどうかは微妙なところだがな」ニガワライ

 

 こうして提督とにらめっこすることになった松風と山風だったが、

 

提督「…………」

松風「…………////」ニヨニヨ

山風「…………////」ニヘヘヘ

 

 開始前から勝負は決していた。

 

提督「その……私が強いという問題なのか? 二人は既に笑っているのだが……」

朝風「そうね……ごめん、司令官」ニガワライ

提督「まさか私はそこまで変な顔、なのか?」マッサオ

 

 提督がそう言いつつショックを隠し切れずにいると、神通や松風、山風から全力で否定された。

それはそれで別の驚きが提督にはあったが、否定された提督はちょっと嬉しそうだった。

 

 用事も済んだとこで、朝風達は提督と神通のせっかくの休憩時間を邪魔しては悪いと思い、急ぎ足でその場をあとにした。

 

提督「私がにらめっこが強いか……不思議な噂もあるものだな」フフ

神通「そ、そうですね……」ニガワライ

  (私も提督とのにらめっこは勝負にならないです……////)

 

 朝風達を見送りながら提督はそう言って笑うが、神通は他人事には思えずに笑って誤魔化すのだった。

 

 

 談話室ーー

 

藤波「なるほどなるほど〜……LOVE勢だから司令官とにらめっこすると、つい顔が緩んじゃうってワケね」

 

 談話室に戻ってきた朝風達。そして戻るやいなや藤波がそう言うと、朝風が「そそ♪」と笑顔を浮かべる。

 

朝風「まぁ、にらめっこってお互いに見つめ合うから、LOVE勢からしたら……ね〜?」チラッ

山風「だ、だってぇ〜……お顔近くて、ついにやけちゃうんだもん♡////」ポッポッ

松風「ぼ、僕は別に……////」

朝風「あんたが司令官のことを大好きなのはバレバレよ。そろそろ私達の前でくらいは素直になれば? あ、それともほら、あれ……『提督に素直になれないの会』にでも入る?」

藤波「あ〜、そういやそんな会あるね〜。今の松風には丁度いいんじゃない?」ニヤニヤ

松風「だ、だから僕は司令官のことなんて!////」

 

 好きじゃない……そう言おうとした松風だが、本心がそれを止めさせた。

それによりみんなからは生温かい眼差しが容赦なく降り注がれ、松風は羞恥に耐えられずに隣に座る山風の背中に顔を隠す。

 すると山風が松風の頭をそっと撫でた。

 

山風「恥ずかしがることない、よ? 提督は素敵な人だから、好きになるの、分かる」ヨシヨシ

松風「…………山風」

山風「私も最初は素直じゃなかったから、分かる……。でも、提督だから素直になれた。松風も提督が好きなら、その気持ちを隠さない方が、いいと思う」ニコッ

松風「…………」

 

 LOVE勢の先輩たる山風の言葉で松風は気付いた。自分の気持ちに素直になる大切さが……。

 

朝風「ま、ライバルは多いんだし、これから頑張ってね〜♪ 春風と平等に応援はするから♪」ニシシ

藤波「藤波も同期のよしみで応援するよ〜♪ 夕雲姉も応援するけど、そこは許してね♪」テヘッ

松風「なんか複雑だけど、一応お礼は言おう……ありがと////」

山風「ライバルだけど、仲良くしようね?」ニッコリ

松風「あぁ、勿論さ」ニカッ

 

 そう言って二人は力強い握手を交わすが、

 

藤波「少女漫画とかだと、山風みたいなこと言って虎視眈々と狙うキャラいるよね〜」ニヤニヤ

 

 と藤波がちゃちゃを入れる。

 

山風「そ、そんなことしない!////」

朝風「そうよ! 山風は天使なんだから、そんな悪魔みたいなことしないわよ!」

藤波「あはは、分かってるって♪ ごめんごめん♪」

松風「そういう悪い冗談は言うもんじゃないよ?」クスッ

 

 その後も四人は雑談に花を咲かせ、ほのぼのとした時間を過ごすのだったーー。




今日は藤波ちゃんの進水日なので、藤波ちゃんを登場させたほのぼの回にしました♪
因みに提督が鬼ごっこをLOVE勢とすると、わざと捕まる娘(提督に触れられたいから)と提督に追いかけられたいからニヤニヤしながら逃げる娘と分かれますw
誰がどのタイプかは読者様方のご想像に委ねます♪

という訳で藤波ちゃん、進水日おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改95話

川内型軽巡洋艦メイン。

独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一七〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「よし、これで終わりだ。あとは五十鈴達の報告書を待つのみだな」フゥ

長良「お疲れ様です、提督♪」

由良「お疲れ様です♡ 今お茶をお淹れしますね♡」

 

 本日も滞りなく執務を終えた提督。今日は長良が秘書艦であり、由良がそのお手伝いにきている。

 由良を除く他の姉妹達は遠征や訓練の報告書をまとめている最中で、由良は抜かりなく愛する提督に甲斐甲斐しく世話を焼く。

 

提督「流石に今の時期は昼間が暖かいが、日が沈むと冷えるな」

長良「鎮守府は潮風もあるから余計ですよね……昼間は汗ばむくらい暖かい日もちらほらありますけど」ニガワライ

由良「すっかり春ですよね〜♪ 夜になると裏山では虫もジィ〜って鳴いてますし♪」

提督「キリギリスは夏の虫だが、キリギリス科でも春に鳴く種類はいるからな。桜だけでなく、春は色々な生物が活発化する」

長良「近くの池では蛙がグーグー鳴いてますよ♪」

由良「蛙ならゲコゲコじゃない?」ニガワライ

長良「え〜、あれはグーグーでしょ〜?」

由良「確かにそうだけど〜」コマリエガオ

 

 そんな感じに雑談を楽しんでいると、執務室のドアがノックされた。

 

提督「入りなさい」

 

 提督の声にドアがガチャリと開くと、ドアから那珂が「那珂ちゃん登場〜☆」と相変わらずキャピキャピして現れる。

 

那珂「あ、由良ちゃんもいる〜♪ やほ〜♪」ノシ

由良「やっほ〜、那珂ちゃん♪」ノシ

 

 普段から仲良しの那珂と由良は両手を互いに振ってキャッキャしながら挨拶する。どうやらこれが二人のデフォなのだろう。

 由良と挨拶を終えると、那珂は提督の机の前まで足取り軽くやってきた。

 

提督「何かご用かな?」ニコッ

那珂「うん♪ これ見て♪」つ紙

提督「どれどれ……」

 

 那珂から一枚の紙を受け取った提督はその紙に書かれていることを確認していく。

 A4サイズの紙の一番上には大きく『歌とダンスで楽しく訓練☆』と書いてあるが、その見出しとは裏腹に内容は事細く詳細が書かれている。

 

 歌:歌うことで腹式呼吸が身に付き、腹筋の強化、劣勢時にも後ろ向きになることが減るので効果的。

 

 ダンス:昔から武術でも差し足や抜き足は大切な動作であり、ダンスをすることでそのステップで回避力、更には小気味良い反撃にも転向可能。

 

 と、この他にも那珂が戦闘で身につけた感覚や感性が記載されており、それは提督が思わずマジマジと熟読してしまう程であった。

 

由良「あれって全部那珂ちゃんが考えたの?」

 

 提督が熟読する中、由良が那珂にそう訊ねると那珂は「ううん♪」と首を横に振る。

 

那珂「あれはね、私だけじゃなくてお姉ちゃん達とか、夕張ちゃん、明石さんの意見とデータもまとめてるから、正確には那珂ちゃん達の案かな♪」

由良「へぇ〜、やっぱり歌とかダンスをしてるのと、していないのでは違う?」

那珂「うん♪ データは殆ど演習でとったやつで、私がそのデータの元になったんだけどね……」

 

那珂「でもダンスのステップとか、好きな歌で自分を鼓舞したりするとやっぱりデータはかなり違ったんだよ♪」

長良「それは那珂ならではのデータなんじゃない? リズム感が悪い娘だっているし、歌があんまり得意じゃない娘からしたら嫌になっちゃうんじゃ……」

那珂「うん、それも考えたんだ〜。だから必須じゃなくてもいいの……ただ、これで少しでも怪我するのが減ったり、気が滅入っちゃうのが軽減出来るかなって思って」ニコッ

 

 長良の問いに那珂はそう言って優しい笑みを浮かべた。

 どんなに平穏な毎日を過ごせていても、自分達は戦場に身を投じなくてはならない。

そんな環境であれば、どんなに強い精神力を持ってても、知らず知らずのうちに気は滅入るもの……那珂は常々そう思っていたので、姉である川内達や分析力のある夕張や明石に協力をお願いし、こうして結晶として提出しに来た次第なのだ。

 これが普段から艦隊のアイドルをする彼女の本当の姿……那珂の考えに長良も由良も『流石は那珂ちゃん』と言うように息を吐いた。

 

提督「…………ふむ、これは検討する価値があるな」

那珂「本当!?」

提督「あぁ、これだけのデータが提示しているんだからな」ニコッ

 

 提督の言葉に那珂は緊張が解れ、「良かった〜」と言いながらソファーへ座り込む。

 

提督「ただ、那珂だけのデータではなく、他の者達のデータもとってみた方がいいだろう。舞風達とかは快く引き受けてくれるのではないか?」

那珂「そうかも♪ じゃあ、あとでお願いしてみようかな♪」

提督「そうしてみるといい。ただ、データをとる時にはちゃんと危険性が及ばないようにしてほしい。危険を伴うのならば許可は出来ない」

那珂「危険性はちゃんと考えてやるから安心して。私はみんなを危険に晒したくて提案してるんじゃないもん」

 

 那珂の返事に提督は「それならばいい」と返し、ニッコリと笑った。

 すると那珂もニッコリと笑みを浮かべ、白い歯を提督に見せる。

 

長良「那珂はやっぱりアイドルというか、努力家だよね。感心するよ」ウンウン

由良「いつも明るくしてても、陰ではしっかりとみんなのことを考えてるもんね♪」

那珂「那珂ちゃんはアイドルなの〜!////」プンプン

 

 二人に褒められたのが恥ずかしかったのか、那珂は両手を振って抗議する……がその顔は真っ赤だった。

 

提督「那珂は着任当初から真面目で努力家だった。そんな那珂だからこそ、みんなに慕われ、その笑顔に鼓舞されてきたのだろう」ニッコリ

那珂「て、提督までやめてよ〜!////」

 

 提督にまで褒められた那珂は耳まで顔を真っ赤にし、「じゃ、じゃあ舞風ちゃん達に今の話ししてくる!////」と言い捨てて、逃げるように執務室を去っていった。

 すると那珂と入れ替わるように木曾が入室してくる。

 

木曾「なんだ、今の那珂は? 顔真っ赤だったが?」

提督「艦隊のアイドルに相応しいと褒めていただけだ」フフ

由良「そうそう♪ 那珂ちゃんは素敵よねって言ってたの♪」

長良「そうしたら照れて逃げちゃったって感じ」ニガワライ

 

 提督達の返しに木曾は「あんまからかうなよ?」と注意しつつ、今日の出撃の報告書を提出。提督がその報告書を確認していると、五十鈴達もやってきて執務室はまた別の賑わいをみせるのだった。

 

 後日、那珂が提案した『歌とダンス』を訓練に取り入れる試みが試験的に始まり、それは訓練中でも楽しいと好評だったので希望者のみという形であるが、正式に取り入れることとなったそうなーー。




今回は日常系と真面目系なお話にしました♪
というか、那珂ちゃんって実は凄いって感じを書きたくて書きました(^^;

ということで、此度も読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改96話

忘れないで! の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、〇九〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

加古「ふぁ〜……寝ても寝ても眠い〜」

古鷹「加古は寝過ぎなんだよぅ……今日はお休みだから寝かせておいたけど、全然起きないんだもん」ムゥ

 

 大あくびをする加古に古鷹は小言をこぼす。何故なら二人はこれからやっと朝食だからだ。

 今日の二人は揃ってお休み。なので古鷹は加古が起きるまで待っていたが、加古は全く起きる気配がなかったので結局のところ古鷹が起こした次第。

 

加古「だってさ〜、春で日差しはポカポカだしさ〜、布団や枕はふかふかで最高だしさ〜、起きるなんて無理じゃね?」

古鷹「限度があるって言ってるの」プンスコ

 

 いつもは聖母スマイルの古鷹がこうも怒るのは珍しい。

 それもそのはず、今日は仲良しの青葉が秘書艦なので加古がちゃんと起きていれば提督と朝食を一緒に過ごせたはずなのだ。青葉もギリギリまで二人を待ったが、古鷹は渋々断る他なく、それが今も尾を引いているのである。

 

加古「そんなに怒るなら、あたしを置いて提督達と朝食食べれば良かったじゃん」

古鷹「置いて行ける訳ないでしょ……私以外に誰が加古を起こすの?」

加古「腹が減れば自然に起きるんじゃね?」

古鷹「またそうやって適当なこと言う〜」

 

 古鷹はそう言うと加古のほっぺたを人差し指でグリグリして抗議した。

 確かに加古を置いて行くことは可能だった。しかし古鷹としてはたった一人の妹を置いて行くのは嫌なので、待っていたのだ……他の姉妹はどうするか知らないが、古鷹はこういう姉なのだ。

 

「ご一緒してもいいかしら?」

 

 するとそんな二人に声をかけてきた者がいた。

 その正体は雲龍で、雲龍は朝食のおぼんを持っている。

更にその後ろには暁と響も一緒で、雲龍と同じくおぼん持って古鷹達に挨拶した。因みに雷と電は早朝から遠征に出向いている。

 

加古「お〜、三人も朝飯か♪ 一緒に食おうぜ♪」

古鷹「どうぞ」ニコッ

 

 二人がそう言うと、雲龍達は笑みを返してそれぞれ席につく。

 

雲龍「加古はまたお姉ちゃんからお叱りを受けてるの?」

加古「そうなんだよ〜。今日はちょっと虫の居所が悪かったらしくてさ〜」ニガワライ

古鷹「元はといえば加古が悪いんでしょう?」ジトーッ

暁「なら響のことも注意してほしいわ。響ったら今日はお休みだからって全然起きなくって……」

 

 暁の小言に響は目を逸す。

 

古鷹「響ちゃん、加古みたいになっちゃうよ?」

 

 古鷹に注意された響は「……善処するよ」とだけ返して目は逸したままだった。それを見る暁はヤレヤレと言った具合にため息を吐く。

 

雲龍「どっちもいいお姉ちゃんね。私の妹達は起こしてはくれるけど、それでも私が寝てればそのまま置いて行っちゃうから」サワヤカエガオ

古鷹「そ、それもまた多くある姉妹関係の一つだと思います」ニガワライ

 

 どこか吹っ切れているような雲龍の言葉に古鷹はそう返すしかなかった。

 

加古「まぁ、あれだ……春眠暁を覚えずってやつだから、仕方ないのさ。あたしらスリーパーズにとってはさ」フフン

響「そうだね。春は陽気も良くて暁なんて忘れてしまうから」ウンウン

雲龍「そうよね〜」ニコニコ

 

 三人のフリーダムさに古鷹は思わず頭を抱える。

 しかしその一方で暁は顔を真っ青とさせていた。

 

古鷹「暁ちゃん? そんな顔してどうしたの?」

暁「…………いや」ボソッ

全員『?』クビカシゲ

暁「私のこと忘れちゃいやぁぁぁ!」

 

 そう叫ぶと、暁は食堂から走り去ってしまった。

 

雲・古・加『暁(ちゃん)!?』

響「あ〜、また暁が斬新な勘違いを……」

雲龍「お、追いかけなくていいの?」

響「大丈夫。行き先は司令官のところと相場は決まってるからね」

古鷹「でも誤解は解いた方がいいんじゃ……」

響「誤解も何も、いつもの勘違いだからね。司令官にちゃんとした理由を聞かされて、恥ずかしくなって、部屋に戻って、布団か毛布に包まって、羞恥の念に苛まれたあとに寝ちゃうっていうオチだよ」フフリ

加古「いや、妹なら慰めるなり何なりしてやれよ」ニガワライ

響「私は姉には強く生きてほしいと願っているんだ」キリッ

雲龍「ものは言い様ね」ニガワライ

古鷹(暁ちゃんも苦労してるんだなぁ)ニガワライ

 

 こうして勘違いして走り去った暁をよそに響は黙々と朝食を食べ、雲龍達は何とも言えない雰囲気のまま朝食を食べるのだった。

 

 

 そして、執務室ーー

 

暁「びぇ〜ん! 司令官〜!」エグエグ

提督「お、お〜、よしよし」ナデナデ

 

 執務室では泣きながら飛び込んできた暁が提督の胸にしがみついていた。

 提督は何事かと驚いたが冷静に暁をあやしつつ、青葉とお手伝いに来ていた衣笠に席を外すよう目配せし、暁が落ち着くまで優しく頭を撫でてやった。

 

 数分後ーー

 

提督「落ち着いたかな?」ナデナデ

暁「…………うん」グスグス

提督「ほら、鼻チーンしなさい」つティッシュ

暁「は〜い」チーン

 

 ようやく落ち着いた暁を見て、提督はホッとした。

 改めて提督が暁に何があったのか訊ねると、暁はそのまま提督の膝の上に乗ったまま経緯を説明するのだった。

 

 しかし経緯を聞いた提督はどうしたものかと苦笑いを浮かべてしまう。

 

暁「酷いわよね!? 春眠暁を覚えずだなんて……司令官もそう思うでしょ!?」

提督「うむ……確かにその暁が暁のことならば酷い言葉だな」

 

 提督がそう返すと、暁はイマイチ理解出来ずに小首を傾げた。

 そして提督はちゃんと教えてあげるべきだと思い、心苦しいが暁に説明をすることに。

 

提督「『春眠暁を覚えず』とは、暁のことを指している語句ではない」

暁「え……でも私は暁よ?」

提督「確かにそうだ。だが駆逐艦『暁』のことではなく、朝日の暁という意味でだな。孟浩然という中国の詩人が『春の眠りはとても心地よくて、夜が明けたのも気が付かずに不覚にも目が覚めなかった』と言う意味で書き残しているんだ」

暁「へ?」

提督「その詩には続きがあるが、春になるとその部分だけを言う者が多い。春から冬へ移り変わることで自律神経がうまくバランスを取れず、眠気が強くなることから、ついその部分を当てはめてしまうのだろう」

暁「…………////」

提督「暁?」

 

 もうそこからは響が思っていた通りになった。

 提督から丁寧に説明されたことにより、暁は自分の勘違いに気付き、提督から逃げるように去ってしまったから。

 そして響が帰って来る頃には、暁はスヤスヤと規則正しい寝息を刻んでいたそうな。

 

 それから暁はお昼に、ちゃんと提督に説明のお礼と逃げてしまったことを謝ったとかーー。




今日はちょっと遅いですが名前ネタを書きました!
おっちょこちょいな暁ちゃんはやはり可愛いと思うんです(個人的に)。

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改97話

陽炎型駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、ネタ含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 明石酒保外・ベンチテーブルーー

 

浦風「ん〜♪ 今日も穏やかで平和じゃのぉ♪」ノビー

磯風「そうだな。こうして特に何もない日があるのも一興だ」クスッ

 

 本日は揃ってお休みの第十七駆逐隊は酒保へおやつのお菓子を買いにやってきていた。

 買い物は浜風と谷風に任せ、浦風と磯風は酒保の外で他愛もない話をしながら二人を待っている。

 

 カランコロンーー

 

 ドアベルが鳴ると同時に、

 

谷風「たっだいま〜♪」

浜風「買ってきました。部屋で食べます? それともここで?」

 

 二人がビニール袋を提げて戻ってきた。

 

浦風「天気もええし、ここで食べようかのぉ」ニコッ

磯風「そうだな。たまにはお天道様の元で食べるのもありだろう」フフ

 

 浜風の問いに二人がそう返すと、浜風達は笑顔で頷いてビニール袋から買ってきたお菓子を広げる。

 

谷風「紅茶の人〜♪」

浦風「あ〜い♪」ノシ

谷風「ん、金剛ティーね♪」つ紅茶

浦風「ありがとう♪」

 

浜風「磯風はぽ〜いお茶でしたよね?」つお茶

磯風「あぁ、ありがとう♪」ウケトリ

 

 浦風達に飲み物を渡し、浜風は大和ラムネ、谷風は『Kaa(カー)』という名前のオレンジジュースを手元に置いた。

 

浦風「なんかまた似非臭の凄いもんが出たんじゃのぉ……」ニガワライ

谷風「新作なんだって♪ つい買っちゃった♪」ニシシ

浜風「違うのは名前だけで中はほぼ同じ物らしいです」ニガワライ

磯風「でも谷風の鳴き声から取ったような商品名だな」フフフ

谷風「谷風はカラスみたいにかーかー鳴かないやい!」

 

 谷風はそう否定するも、浦風も浜風も磯風と同意見だった。

 

谷風「かぁ〜! 失礼しちゃ……あ////」

 

 ついというか、いつもの口癖が出てしまった谷風。

 その口癖にみんなから、それ見たことかと笑われた谷風は頬を微かに赤く染める。

 

谷風「と、とにかく! お菓子食べよ、お菓子!」

浦風「そうじゃのぉ〜♪」ニコニコ

磯風「深くはツッコまないでやろう」クスクス

浜風「またかーって鳴いてしまいますからね」フフフ

谷風「かぁ〜!//// またそうやって〜!////」

 

 せっかく話を逸したのにと谷風が抗議するも、浦風達はそれが可笑しくて笑いを堪えることは出来なかった。

 

 ーー

 

 みんなからひとしきり笑われた谷風は顔を真っ赤にしながら「まったくもぉ////」と愚痴りつつ、買ってきたお菓子を一つ一つ並べていく。

 

磯風「これも新作か……」

浦風「その様じゃのぉ」ニガワライ

浜風「ネーミングセンスはアレですが、中身は普通でしたので大丈夫かと」ニガワライ

 

 テーブルに並んだお菓子、それは『コアラのセレナーデ』、『小技』、『たべっ子かいようせいぶつ』、『アポロニア』という不思議な名前のお菓子達。

 

谷風「これはマーチじゃなくてセレナーデ、こっちが枝じゃないやつ、これがどうぶつじゃない方で、最後があのチョコ菓子の似非版♪」

浜風「どれも美味しいんですけどね……」

磯風「セレナーデがいけるなら、シンフォニーやワルツもそのうち出そうだな」クスクス

浦風「何でもありじゃねぇ」ニガワライ

 

 明石酒保の名物と化した似非シリーズ。これは基本的に妖精さん達が元のお菓子を真似て作り、明石がそれらしい名前を付けて売り出すのだ(期間限定で間宮達が監修したりもする)。

 この他にも

 

 ナーガチョコ

 ポイの実

 おいしさ電級・ブラック雷

 にゃしにゃししてじゃね〜よ

 むっちゃんイカ

 

 などなど、多くの似非お菓子がある。

 

 名前は違えどどれも既製品と遜色ないことに加え、ネタとして面白いため鎮守府では人気シリーズだ。

今ではお菓子だけでなく飲み物にも進出している似非シリーズは、これはこれで人気を博している。

 

 因みに飲み物は以下の通り

 

 ぽ〜いお茶

 スズヤサイダー

 金剛の紅茶

 白雪印のコーヒー

 アゲ・コーラ

 

「おや、みんなしておやつタイムかな?」

 

 すると浦風達に声をかける者がいた。

 それは提督でその隣には本日秘書艦のコマンダン・テストも一緒だ。

 

浦風「提督さ〜ん♡」ノシ

磯風「会えて嬉しいぞ、司令♡」ニコニコ

提督「はは、ありがとう」ニコッ

谷風「テストさんもお疲れ〜♪」

浜風「お勤めご苦労様です」ペコリ

テスト「ありがとう」ニッコリ

 

浦風「提督さん達は買い物……というより、提督さんの煙草かのぉ?」

提督「正解だ」

磯風「吸うなとは言わないが程々にな。司令の身体が悪くなっては元も子もないんだからな」

提督「心遣いありがとうな」ナデナデ

 

テスト「わぁ、新作出たのね! どれも美味しそう♪」

谷風「まだ試食しか食べてないけど、どれも美味しかったよ♪」

浜風「名前はアレですが、味は保証します」ニガワライ

 

浦風「提督さん達がこうしとるってこたぁ休憩時間じゃろう? 一緒におやつでもどうかのぉ?♡」ニコニコ

磯風「浦風の言う通りだ。テストだって食べたそうにしているし、一緒にどうだ?♡」ニコッ

 

 二人の申し出に提督達は笑顔で頷き、当初の目的であった煙草を買うついでに自分達も飲み物を買って、浦風達とお菓子を食べることになった。

 

 

 そしてーー

 

浦風「はい、提督さん♡ あ〜ん♡」つお菓子

提督「おぉ、これはすまない……あむ」パクン

磯風「ふふ、司令とのお茶は最高だ♡」ルンルン

 

 運良く提督とおやつタイムを過ごせることに上機嫌の浦風と磯風。

 その一方で浜風と谷風はコマンダン・テストととある話で盛り上がっている。

 

浜風「今日はそのような日なのですか」フムフム

谷風「国歌が生まれた日とか、とてもめでたい日だね♪」

テスト「ふふ、そうなのよ♪ 我がフランスの国歌『La Marseillaise(ラ マルセイエーズ)』が作曲された記念すべき日なの♪」

 

磯風「フランスの国歌か……マルセイユの歌とも言われているな」

浦風「失礼じゃが、うちはフランスの国歌の曲は好きなんじゃが歌詞が苦手での」ニガワライ

提督「まぁ、あれはお国柄としか言いようがないからな」

テスト「歌詞だけ見たらそうよね……でも私はやっぱり我が国歌が好きだわ」ニッコリ

谷風「谷風達も君が代好きだから、それと一緒って訳だね♪」

浜風「君が代は日本を今もこれからも大切にしようという歌詞ですからね。本当に素敵な国歌です」ウンウン

テスト「私も好きよ、日本の国歌」ニコッ

 

 すると谷風が「なんだか歌いたくなってきた〜!」と言ってその場で君が代を歌い出すと、それに釣られるように浦風達、更には提督も君が代を歌った。

 それをコマンダン・テストは笑顔で聞いたあとで今度は自分がフランス国歌を歌い、提督達から拍手をもらった。

 

 ひょんなことから国歌の話題で盛り上がった一同だったが、今日も今日とて鎮守府は平和に一日が過ぎるのだったーー。




今日は谷風ちゃんの竣工日なので、谷風ちゃんを登場させたほのぼの回にしました!
他にも羽黒さんの竣工日、長良さんの進水日です♪
みんなおめでとう!
この前長良さんの進水日と誤ったことを書いてしまいましたが、その所は訂正しました。ご了承お願い致します。

因みにフランスの国歌は七番まであり、意外と長い国歌です(^^)

では、今回も読んで頂き本当にありがとうございました♪


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艦これSS改98話

潜水艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一八三〇ーー

 

 食堂ーー

 

荒潮「今夜は楽しみね〜♪」ウフフ

如月「そうね〜♪」フフフ

村雨「夕飯のあとが待ち遠しいわ〜♪」ニコニコ

夕雲「そうですね〜♪」ニッコリ

 

那珂「早く食べよ♪」

龍田「ふふ、そう急がなくても大丈夫よ〜」クスクス

能代「でもその気持ちは分かります」ニコッ

大井「」コクコク

 

衣笠「どんな感じなのかな〜?」ワクワク

古鷹「楽しみだよね♪」

鈴谷「ね〜、楽しみだよね〜♪」

熊野「心が踊りますわね」フフフ

 

飛鷹「」ソワソワ

千代田「あはは、気持ちは分かるけどソワソワし過ぎ♪」

蒼龍「ふふふ、でもみんなそうなるよね♪」

翔鶴「どんなのか楽しみですからね」ニコニコ

 

陸奥「順番回ってくるのが待ち遠しいわ〜」フフフ

大和「うんうん、とても待ち遠しいわよね」コクコク

金剛「これでテイトクと一緒ならなおサイコーなのデスガ……」

伊勢「それはそれで落ち着かないわよ////」ハゥ

 

 食堂で夕飯を食べながら、艦娘達はとある話題でもちきりだった。

 

 今日は四月二十六日……この日は語呂合わせにより(よい)二十六(ふろ)の日ということで、鎮守府では今夜のお風呂だけ特別なお風呂を艦娘達に提供する。

 どのように特別なのかというと、今日のお風呂は湯船にバラの花びらが浮かべられているのだ。

 

 これは提督と妖精達が決めたことで、日頃から頑張ってくれているみんなにお風呂で更にリラックスしてもらおうと実施された。

 艦娘とは言え、陸に上がれば女の子。バラのお風呂で身も心もリラックスし、更にはロマンチックな気分で入浴タイムを過ごしてほしいという提督達の心遣いである。

 その甲斐あってか、みんなは夕飯後のお風呂に心を踊らせている。

 

イク「んふふ、みんな嬉しそうなのね♪」

ニム「そうだね〜、あたしも楽しみだな〜♪ ありがとう、提督♪」ニコッ

提督「お礼を言うのは私の方だ。いつも戦ってくれているのだからな……そのお礼として今宵は特別な入浴タイムを過してほしい」ニッコリ

 

 提督も本日秘書艦を務めたニムと、そのお手伝いをしていたイクと共に別のテーブルで夕飯を食べていた。

 みんなの嬉しそうな反応に提督もホッと胸を撫で下ろしており、提督の左隣に座るイクは提督の優しさやホッとする表情にキュンキュンしている。因みにニムは提督の右隣。

 

 すると提督達の前にたまたま座ったヒトミとイヨのイヨの方が口を開く。

 

イヨ「提督のお風呂にもバラの花びら浮かんでるの?」

イク「!?」ピクン

 

 イヨの質問に提督より先に反応したイク。

 更には、

 

LOVE勢『(提督も同じような湯船に!?)』

 

 とその空間に居合わせるLOVE勢は思わずその言葉に固まってしまい、ついその光景を想像してしまった。

 そのせいで次々とLOVEをこじらせる者が多発。食堂はほんわかムードから一気にショッキングピンクようなムードへと変わってしまう。

 

イク(提督がバラの花びらを浮かべたお風呂に入る……)

 

 イクが思わずその時の光景を思い浮かべると、

 

イク「…………色々と捗っちゃうのね♡////」ジュルリ

 

 大量のよだれ(LOVE)を放出してしまうのだった。

 

提督「ははは、確かに今日のおかずはトンカツだからご飯やキャベツが捗るな♪」

 

 対する提督は呑気なもの。提督の性格からして、イクや他のLOVE勢がまさか自分のことを想像しているとは露程も思っていないのだ。

 

ヒトミ「え、えっと……今日のお風呂はバラの花びらが浮かんでるってお話ですけれど、どうしてバラを浮かべようと思ったんですか?」

 

 ここでヒトミが妙な空気を変えるために質問をした。

 するとニムがヒトミに親指をグッと提督やイクに見えないように突き出したのは内緒。

 

提督「バラにした理由か……バラの香りには、ストレス解消、疲労回復、不眠などに効果があり、イライラなどといった興奮を鎮めて、快い気持ちにさせ、リラックスさせて眠りに誘うことや頭痛を和らげてくれる力があるからだ」

イヨ「へぇ〜、バラの香りってそんな効果あるんだ」オォー

ニム「プレゼントするってだけじゃないんだね」ビックリ

 

提督「確かにバラはプレゼントにも最適だな。でもプレゼントするならば、香りの成分がピークとなる五分咲きのものがいいんだ。しかし風呂にバラを浮かべて楽しむなら、盛りを過ぎた花でも十分に効力を発揮してくれる」

イク「バラってキレイなだけじゃないのね〜」

ヒトミ「クレオパトラがバラのお風呂を愛した理由が分かりますね」

 

 提督の説明に驚き、そして納得するイク達。

 するとイヨが「そもそもバラのお風呂ってどうやってやるの?」と質問してきた。

 

提督「案外簡単なんだぞ? バラを軽く水洗いしてから、お風呂に浮かべるだけでいいんだ。ただいつものお湯の熱さだと花の劣化や変色を招くから、ぬるめの三八度から四〇度で半身浴のようにするのが効果的らしい」

イク「ふぇ〜、またまた新しいことをお勉強したの〜」

ニム「そうだね〜」

 

提督「因みに最初は花首を浮かべようとしたんだが、私の勉強不足で用意したのが細かい棘のある品種でな。皆の肌が傷付いてしまうので急遽花びらのみにしたんだ」ニガワライ

ヒトミ「お心遣いありがとうございます」ニコッ

イヨ「相変わらず提督はやっさしいねぇ♪」

 

 ヒトミとイヨの言葉に提督は「いやいや」と謙遜する。

 

提督「私は自分が出来る範囲で皆へ恩返ししているだけだ。私がこうして提督としていられるのは、全部皆の頑張りがあってこそだからな」ニコッ

イク「提督……♡////」キュン

 

 提督の言葉にイクは勿論、他のLOVE勢も胸の奥がトクントクンと跳ねた。提督の優しさと心遣い……それだけでもLOVE勢にとってはどんなものよりもリラックス効果がある。

 

ニム「提督と妖精さん達が考えてくれた優しいお風呂、今日は心行くまで堪能するね♪」エヘヘ

イヨ「イヨも〜♪ 半身浴ならお酒を飲みながら入る〜♪」

ヒトミ「程々にね……」ニガワライ

イク「飲み過ぎるとヒトミンの黄金の左拳が火を吹くのね♪」イヒヒ

イヨ「そ、それはイヨも嫌かな〜?」カワイタエミ

提督「仲良く入ってくれよ?」

ヒトミ「は、はい……////」ウゥー

 

 こうして夕飯を終えた艦娘達は、提督と妖精達が実施したバラ風呂を堪能し、身も心もリフレッシュ出来た。

 そしてこの日のバラ風呂はかなり好評だったので、提督は今後、毎月の二十六日にはバラ風呂のようにみんながリフレッシュ出来るお風呂を実施するようにしたそうなーー。




今日はよい風呂の日らしいので、このような回にしました♪

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改99話

これがアメリカクオリティ。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一二〇〇過ぎーー

 

 中庭ーー

 

サラトガ「は〜い、皆さ〜ん♪ 手はちゃんと洗いましたか〜?♪」

 

提督「大丈夫だ」キリッ

グラーフ「キレイに洗ったぞ」キリリッ

アクィラ「洗ったわ♪」

島風「洗った〜♪」ノシ

秋月「洗いました!」

照月「洗ったよ〜♪」

初月「洗ったぞ」ニコッ

 

アイオワ「それじゃハンバーガーパーティを始めるわよ〜♪」

 

みんな『お〜♪』

 

 晴天に恵まれた鎮守府。提督達は中庭でサラトガとアイオワ特製のハンバーガーを食べるところ。

 

 今日の秘書艦はサラトガ。そして昼食はサラトガが『サラにお任せ♪』と言って、今に至る。

 同じアメリカ艦のアイオワがいるのは勿論だが、アイオワと仲の良い秋月姉妹と島風も一緒で、サラトガと仲良しのグラーフとアクィラも一緒だ。

 

サラトガ「挟む具は沢山あるから、好きな物をバンズに挟んで食べてね♪」

 

 みんなの目の前に広げられたお皿の上にはパティ(ハンバーグ)は勿論、照焼きチキン、厚切りベーコン、目玉焼きといった主菜が並べられており、その横にある皿の上にはスライストマト、スライスオニオン、レタス、ピクルス、スライスチーズが並んでいて、更にその横には様々な調味料が並ぶ。

 

アイオワ「ミーのオススメがいい人はミーに言ってね♪」

島風「なら私はアイオワお姉ちゃんのオススメにする〜♪」

初月「なら僕もお願いしようかな♪」

 

 島風と初月がお願いすると、アイオワはバチコーンとウィンクしてバンズへマーガリンを塗り、トッピングしていった。

 

アクィラ「アクィラは〜、トマトとレタスに〜、厚切りベーコン♪ そしてマヨネーズ♪」ルンルン

グラーフ「レタス、照焼きチキン、チーズ、目玉焼きが最高だな」ウンウン

 

 グラーフ達は独自の具を挟み、思い通りのハンバーガーを作っていく。

 その一方で、

 

秋月「ど、どれも大きい……」ドキドキ

 

 具のすべてがアメリカクオリティなので驚きを隠せない秋月。

 そんな秋月を見て、照月は「また始まった」と言わんばかりに苦笑いを浮かべている。

 

提督「大き過ぎるなら丁度良い大きさに切ってもらってはどうかな?」

秋月「そ、そうですね! とりあえず照焼きチキンの皮だけをーー」

照月「いやいや、確かに皮の方がカロリーは多いけど、お肉本体を食べようよ!」

秋月「だ、だってこんな大きさ食堂でも出ないのよ!?」

 

 食に対してまだズレが直っていない秋月に照月は「貸して!」と言って、秋月のバンズを取り上げてしまう。

 

照月「もうあの時とは違うんだから、変な遠慮しなくていいの!」

 

 照月はそう言ってあれもこれもとバンズへ挟んでいく。

 それに対し秋月は「あぁ!」、「そんな!」、「駄目よ!」などと、声をあげつつも照月にされるがままのハンバーガーを受け取った。

 

照月「どうよ♪ 照月特製、テリたまバーガー♪」ニシシ

秋月「お、おぉ〜////」ワナワナ

 

 照月はレタス、照焼きチキン、目玉焼き、マヨネーズを挟んだハンバーガーを作り上げると、秋月はそれが乗ったお皿を受け取り、色んな角度からそのハンバーガーを眺める。

 アメリカクオリティなのでその大きさは秋月の掌二つ分にも及び、秋月からすればかなり神々しいハンバーガーなのだ。

 

秋月「い、頂きま〜す……はむっ////」モキュモキュ

照月「どう?」

 

 口いっぱいにハンバーガーを頬張った秋月に照月がそう訊ねると、

 

秋月「ウマァ(´∀`*)」ホッ

 

 満面の笑みを秋月は浮かべた。

 

サラトガ「お口に合って良かったわ♪」

アクィラ「幸せそうな表情♪」

グラーフ「見ているこっちも幸せになるな♪」

 

秋月「うぅ〜……恥ずかしいですぅ////」モキュモキュ

提督「恥ずかしがることはない。みんな秋月の食べる表情を褒めているんだからな」ニコッ

秋月「はい〜////」モキュモキュ

 

 恥ずかしがっていても美味しいので食べる手を休めない秋月。

 そんな秋月に癒やされつつ、サラトガ達も自分達オリジナルのハンバーガーを頬張るのだった。

 

アイオワ「出来たわ!」

 

 すると今まで静かだったアイオワ達のグループがざわつき始める。

 

秋月「うわぁ……」

照月「すっご〜い……」

アクィラ「これは……」

グラーフ「なんと言うか……」

提督「まさにアメリカクオリティ、だな」

 

 みんなは驚いた。それもそのはず、アイオワのオススメハンバーガーはまさかというか、当然というか……ある具材全種類乗せだったからだ。

 それ故にハンバーガーよりタワーと言っても差し支えない高さと大きさ。

 でもレタスやスライストマトがバランス良く配置されているので、胸焼けはしなさそうなのが流石だ。

 

島風「お、おぉう……」

初月「大きいというより、高い……」

アイオワ「Nonnon. これでもまだまだなのよ?」

島風「まだ高くなるの!?」

初月「これだけでも口に入らないのに!?」

 

 アイオワの言葉に驚愕する二人。更には提督やアクィラ達も驚きの色を隠せない。

 

サラトガ「でも世界一背が高いハンバーガーはイギリスにあるのよ? それも高さは一.六メートルで、全部食べると三万キロカロリーになるんだから♪」

アイオワ「アメリカは高さより大きさね♪ 直径が約三メートル、重さは九一四キロで約一トン、ギネス認定のハンバーガー♪」

提督達『( ゚д゚)』ポカーン

サラトガ「まぁそれはイベントで作っただけで買えないんだけどね♪ でもオレゴン州には三五二キロのハンバーガーが売られてるのよ♪ これも購入出来るハンバーガーの中ではギネスに認定されてるの♪」

アイオワ「この他にも一個が日本円にして約三万円するハンバーガーもあって、これは世界一高価なハンバーガーとしてギネス認定されてるわ♪」

 

アクィラ「どれだけハンバーガーが好きなのか分かるわね……」ニガワライ

グラーフ「ここまでいくとクレイジーも通り越している気がするな」ニガワライ

提督「これもお国柄なのだろうな……」ウンウン

 

 アイオワ達の自国のハンバーガー文化に驚嘆された提督達。

 その一方、

 

秋月「これ、どうやって食べるの?」

初月「上から少しずつ食べるしかないと思う……こんなに口開かないし」ニガワライ

照月「カロリー凄そうだよね〜」

島風「が、頑張って食べるよ……」

 

 アイオワ特製ハンバーガーをどう食すか思案する初月達だった。

 

 結局、島風と初月は上から食べれるだけを食べ、余った分はアイオワがペロリと平らげた。

 残してしまった島風と初月だったが、味は本当に美味しかったので今度は食べ切れる分を自分で作ろうと心に決めたそうなーー。




今日はほのぼの回とアメリカのハンバーガー知識を踏まえた回にしました♪

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改100話

阿賀野型軽巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定、他作ネタ、ガムシロップ五つ程含みます。


 

 ○○鎮守府、二二〇〇ーー

 

 提督自室ーー

 

提督「では夜間の見回り、よろしく頼む」

 

電「お任せくださいなのです♪」

五月雨「頑張ります!」フンス

阿賀野「提督さんのために頑張っちゃうんだから☆」キラリーン

 

 本日の業務も終えた鎮守府。

 しかし夜間の見回りも当番制で行われている。

見回りと言っても艦娘が見回るのは鎮守府本館と艦娘寮のみで、鎮守府全体は妖精達やセキュリティシステムで管理されているのだ。

 これは主に電気の消し忘れや夜更かししている者がいないかの確認する任務。

しかし仮に夜更かししていても自己責任なのでその場で処罰はされず、遅刻や任務中の居眠りなどをしなければ特に問題はない。

 

 ただ今回、提督は少し不安だった。何故なら艦隊きってのドジっ娘ツートップである電と五月雨が揃い、普段からのほほんとしている阿賀野という面々だからだ。

 三人共仕事はキッチリとこなすと重々理解している提督だが、やはり一抹の不安は払いきれない様子。

 

提督「私はまだ起きているから、何かあれば連絡してくれ」

三人『了解!』

 

 そうは思っても提督は三人を信頼し、ちゃんと送り出し、こうして三人は夜間任務へと赴くのだった。

 

 

 本館・二階ーー

 

 二階には大きな会議室が複数、資料室、伝令室、そして執務室と先程いた提督の自室がある。

 消灯時間が過ぎているため暗いが、阿賀野達は懐中電灯をそれぞれ照らして一部屋一部屋確認していく。

 

阿賀野「真っ暗な本館ってなんか雰囲気が違って楽しいわね♪」

電「そうですね♪ 月明かりのお陰でそこまで暗くもないのです♪」

 

 阿賀野と電は楽し気に話しをしつつ見回るが、

 

五月雨「………………」

 

 対する五月雨はビクビク、オドオドしながら見回っている。普段から慣れている場所でも、雰囲気が違うとどうしても怖く思えてしまうタイプだからだ。

 

阿賀野「? 五月雨ちゃん、大丈夫? お花摘みに行く?」

 

 心配している方向性は皆無だが、阿賀野の問いに五月雨は大きく頭を横に振る。

 

阿賀野「あれ、違った? じゃあ……あぁ、お夜食食べたいとか?♪」

五月雨「ち、違いますよぅ」ニガワライ

阿賀野「隠すことないよ〜? 阿賀野ね、今日のお夜食は焼きそばにしようって決めてるの♪ 五月雨ちゃんも一緒にどう?」ニコニコ

五月雨「ふふふ……ならご一緒させて頂きます♪」

 

 阿賀野の何気ない言葉に五月雨の恐怖心は何処かに行ってしまい、ようやくいつも通りの五月雨に戻った。

 

阿賀野「電ちゃんも一緒に食べるよね? ね?」ニコッ

電「はい、ご一緒するのです♪」

 

 見回りをしているというよりは雑談している方が多いが、これが阿賀野流の気遣いなのだ。

普段からだらしないとか怠け者とか言われているが、やはり軽巡洋艦の長女ということだけあって面倒見はとてもいい。

更には電も五月雨も妹力は抜群なので、阿賀野も自然とお姉さんの行動を取ってしまう。

 

 これはある意味ではいい面子なのかもしれない。

 

 三人はその後も和やかなムードのまま本館の見回りを続け、それが終わると艦娘寮の見回りへ向かった。

 

 

 軽巡洋艦寮、廊下ーー

 

五月雨「川内さんとか起きてますよね、絶対」ドキドキ

電「急に出てこられると驚いちゃうかもです……」ハラハラ

阿賀野「そうでもないよ? 前に川内ちゃんが萩風ちゃんと舞風ちゃんを驚かした時に提督さんと神通ちゃんから凄く怒られて、それからは起きててもお部屋で過ごすようにしてるんだって♪」

 

 阿賀野の言葉に二人は苦笑いを浮かべるしかなかった。理由が理由なのでそうなるのは必然である。

 

 そして見回りは続きーー

 

阿賀野「でさ〜、能代ってば私がお姉ちゃんなのにお世話焼くんだよ〜? 酷いよね!? もっと二人みたいに妹妹しててほしいよ〜」プンスコ

電「妹妹、なのです?」クビカシゲ

五月雨「どういう意味ですか?」クビカシゲ

 

 相変わらず阿賀野と雑談しながら見回っていた。

 そして阿賀野の先程の愚痴で分からなかった言葉を二人が訊ねると、

 

阿賀野「妹妹は妹妹だよ♪」

 

 などと阿賀野らしい答えが返ってきた。

 答えになってないよ……と二人が思ったのは秘密。

 

阿賀野「あ〜、そのお顔は分かってないな〜?」

電「は、はい……」

五月雨「…………」コクコク

 

電・五『(どうして分かったんだろう……)』

 

 二人がそう考えているのをよそに、阿賀野は「う〜ん」と二人にどう説明しようか思案している。

 それから少しして「あっ」と閃いた阿賀野は「あのね」と口を開いた。

 

阿賀野「妹っぽいことを妹妹って言うよ♪」

電「妹っぽいこと、なのです?」

五月雨「う〜ん」ニガワライ

阿賀野「えっと、例えば珈琲を飲んでるのに、何か珈琲っぽくないって思うと珈琲珈琲してないって思わない?」

電「あ、それはちょっと分かるのです」

五月雨「つまり思っていることと違和感があると、二回言ってしまうんですね!」

 

 五月雨の言葉に阿賀野は一瞬だけ「ん?」となったが、すぐにそうそうと頷く。

 

電「能代さんはそんなに妹っぽくないのですか?」

阿賀野「そうだよ〜。矢矧に限っては能代ばっか頼るし……酒匂みたいにもっと阿賀野に甘えてくれていいと思うの!」

五月雨「能代さんや矢矧さんは大人な女性って感じですからね……でも私、阿賀野さんみたいなお姉ちゃんだと毎日が楽しいと思います♪」

電「それは電も思うのです♪ 阿賀野さんはどんな時でもいつもニコニコしてるので安心するのです♪」

 

 天使達の天使たる言葉に阿賀野は「この二人を自分の妹にしたい」と強く思った。

そう思ったと同時に阿賀野は二人を抱きしめていた。

 

電「あ、阿賀野さん?」

五月雨「どうしたんですか?」

阿賀野「二人が可愛いから抱きしめてるの〜♪」ムギューッ

電「み、見回りがまだなのです〜」ハワワ

五月雨「怒られちゃいますよ〜」アワワ

阿賀野「大丈夫大丈夫♪」

 

 すると阿賀野の両肩を何者かが同時に叩く。

 阿賀野が振り返ると、

 

能代「見回り中なのに二人の邪魔して」ニコニコ

矢矧「何が大丈夫なのかしらね〜?」ニコニコ

 

 実の妹達がニッコニコで阿賀野の背後に立っていた。

 

阿賀野「じゃ、邪魔してなんかないよ!? ちょっと妹妹してる二人が可愛くて抱きしめてただけだから!」

能代「それって邪魔してると思うわよ?」ニッコリ

矢矧「悪かったわね。私達は妹妹してなくて」ニッコリ

阿賀野「べ、別に二人が妹妹してないなんて……」

能・矢『言ってたわよね?』ニッコニコ

 

能代「阿賀野姉ぇだけじゃ電ちゃん達を任せられないと思ってあとをつけて、様子を見てれば……」

矢矧「雑談と愚痴ばっかだなんて……」

阿賀野「そ、その方が楽しいかなと思って……」オロオロ

 

電「やっぱり阿賀野さんの妹は能代さん達なのです♪」

五月雨「そうだね♪」

 

能・矢『阿賀野姉ぇ(姉さん)!』

阿賀野「ごめんなさ〜い!」

 

 その後は能代と矢矧も一緒に見回り、無事に何事もなく任務は終えたが、その途中阿賀野はずっと能代達に睨まれていたとか。

 因みに夜食の焼きそばは酒匂が作って待っていて、みんなして笑顔あふれる夜食タイムを過ごしたそうなーー。




今日は夜の見回りというネタにしました♪
そして本編には出せませんでしたが、今日は望月ちゃんの進水日と野分ちゃん、イクちゃんの竣工日です♪
みんなおめでとう!

余談ですが、この作品も早いもので百話となりました。
百話なので特別なお話にしようとも思いましたが、変に凝らず、いつも通りほのぼのとしたお話にしました。その方が私の作品らしいかなと思ったので(^^♪
今後どこまで書けるか私自身も分かりませんが、まだまだ頑張って続けていこうと思っています!
なので、これからも読んで頂けると幸いです♪

では此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改101話

その笑顔で。の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自設定、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一二〇〇過ぎーー

 

 埠頭ーー

 

提督「全員、黙祷!」

 

 提督の号令で埠頭に集まった者達は一斉に海へ黙祷を始める。

 

瑞穂「………………」

 

 中でも瑞穂は両手を合わせ、真摯に黙祷を捧げていた。

 それもそのはず、今日は瑞穂にとって特別な日だから。

 

 一九四二年、五月一日の二三〇〇頃。水上機母艦『瑞穂』は柱島泊地へ単独回航途中、アメリカ潜水艦『ドラム』による雷撃を受けて沈んでしまったのだ。

 瑞穂は魚雷を左舷機械室と発電機室の中間に一本受け、それが大火災を引き起こし、被雷して数分後には左傾斜二十度以上となった。

 それでも瑞穂の乗組員達は注水作業で艦の傾斜復元に努め、火災も鎮火見込みのため曳航も検討されたが、浸水は止まらず、浮力を失っては打つ手なしと日付けを跨いだ同月二日の〇三三〇に総員退去が命じられた。

 この時、瑞穂の乗組員達を救助したのは瑞穂と同じように桂島泊地へ向かうことになっていた高雄型重巡洋艦の『高雄』と『摩耶』だった。

 正確には高雄が乗組員を救助をし、摩耶が周辺海面の警戒にあたった。

 

 そして〇四一六。高雄、摩耶の乗組員、そして瑞穂の乗組員達が敬礼する中、瑞穂は艦尾からその身を海へと沈めていったという。

 

 瑞穂は太平洋戦争勃発後、日本では初の戦没艦となったことに加え、日本海軍にとっては実に二十八年振りとなる「撃沈された艦」となってしまった。

 瑞穂が沈んで日本海軍は主要艦船回航の際、出来るだけ護衛艦をつけるようになったという。

 

瑞穂「………………」

 

 黙祷を終え、瑞穂は静かに水平線の彼方へその眼を向けた。

 

 あの日と同じ日……しかし、艦娘となり過ごしている今日はとても穏やかだった。

 

瑞穂(どうしてあの時も今のような時が過ぎなかったのでしょう……)

 

 瑞穂はあの日に亡くなってしまった乗組員達の顔を思い浮かべ、ついそんなことを考えてしまう。

 もしあの日こうしていれば、ああしていたら……と、瑞穂は何度も何度も思いを巡らせた。

 

瑞穂(今は……艦娘となった今だからこそ、今お守り出来る人々を精一杯お守りしなくては)

 

 タラレバをあげたらキリがない……そう自分に言い聞かせ、力強く空を見上げた瑞穂。

 しかし、その空は歪んでいた。何故なら瑞穂は知らぬうちにその力強い瞳に、涙を溜めていたから。

 

 ひとつ、またひとつと、瑞穂の目からこぼれ落ちる大粒の涙。その涙が頬を伝う感覚で、瑞穂はようやく自分が涙を流していることに気がつき、空から思わず顔を伏せてしまう。

 このような泣き顔をあの日の英霊の方々が見ては心配させてしまう……そう思っての行動だった。

 

 すると、瑞穂の視界がふと暗くなる。瑞穂は突然のことで少し驚いたが、上げた視線の先に提督の姿が見えた。

 提督が瑞穂の頭に自身の軍帽を深く被せていたのだ。

 

瑞穂「てい、とく……?」

 

 瑞穂の言葉に提督は何も言わず、ただニッコリと笑顔を返して軍帽の上から瑞穂の頭をポンポンと叩くように撫でる。

 すると瑞穂は先程までの涙がスッと止まり、提督に釣られるように自身も笑みを浮かべることが出来た。

 

秋津洲「瑞穂は笑ってる方がいいよ♪」

テスト「そうね……それに笑っている方が女の子はより美しく見えるわ」ニッコリ

高雄「あの日の皆さんも綺麗に生まれ変わった瑞穂さんの笑顔をみたいと思ってますよ、きっと」フフ

摩耶「泣きたい時は泣いてもいいけどよ、やっぱ最後は最高の笑顔で締めくくらないとな♪」

千歳「涙を拭いたら顔を見せてあげなさい」ニコッ

千代田「みんなに素敵な笑顔見せてあげなきゃね」ニシシ

 

 今を共に過ごす心強い仲間、あの日に乗組員の人々を救ってくれた仲間、そして頼れる提督に見守られる中、瑞穂は涙を拭き、今度こそ力強く、更には満面の笑みで空を見上げることが出来た。

 

千歳「ふふふ、去年同様、瑞穂はまた泣いちゃったわね♪」

瑞穂「お恥ずかしいです……////」ハゥ

提督「恥ずかしがることはない。あの日の方々を忘れていないという証でもあるのだからな」ニコッ

瑞穂「そう言って頂けると少し軽くなります……////」

千代田「あはは、瑞穂は感動屋さんだからつい泣いちゃうんだよね〜♪」ナデナデ

瑞穂「うぅ〜……////」

 

 いつものお淑やかな瑞穂とは違い、顔を真っ赤にする瑞穂。提督から借りている軍帽をまた深く被り、今度は赤くなった顔を隠す。

 

秋津洲「二人共、瑞穂をいじめちゃダメ!」

高雄「そうですよ。こういう日は誰しも思うことがあるのですから」

摩耶「そうだそうだ! もっと提督みたいに優しくしてやれ!」

 

 そんな瑞穂を庇う三人。瑞穂は嬉しかったが、これはこれで慣れていないので恥ずかしかった。何せ三人共が自分をギュッと抱きしめてくれているから。

 

テスト「ふふ、瑞穂は幸せね♪ みんなから愛されて♪」

 

 テストの言葉に瑞穂は「……はい////」とハニカミながらもしっかりと返事をした。

 みんながみんな、自分のことを思っての言葉は本当に嬉しかったからだ。

 

テスト「でもいつまでも提督の軍帽を借りてる訳にもいかないから、私の軍帽を貸しましょうか?」ニヤニヤ

千代田「テストの軍帽の方が大きいから顔覆いやすいと思うよ〜?」ニヤニヤ

千歳「いっそのこと暫く筑摩さんのお面でも被る〜?」ニヤニヤ

瑞穂「? …………はわ〜!//// も、申し訳ございません!//// 私ったらいつまでも提督のお帽子を!////」アセアセ

提督「ははは、そう慌てなくていい。私から貸したのだからな」ナデナデ

瑞穂「で、ですがいつまでもお借りしている訳には……!////」

提督「瑞穂は相変わらず真面目だな♪」ハッハッハ

 

 提督が呑気に笑って返すと、瑞穂は「そういう問題じゃないんです〜!////」と言い返した。

 それからテストだけでなく、高雄や摩耶からも軍帽を差し出された瑞穂は、

 

瑞穂「皆さんのお気持ちだけ受け取ります!////」

 

 と返し、提督と秋津洲の背中に隠れてしまった。

 

 これには流石にやり過ぎたと反省したみんなが瑞穂へ謝罪すると、瑞穂は提督と秋津洲の間から顔だけを出して「怒ってませんよ〜♪」と、少しお茶目な仕返しをした。

 

 それからみんなで食堂に向かったが、その時の瑞穂はちゃんと心からの笑みを浮かべていたーー。




今日は本編に書いた通り、瑞穂さんが沈んでしまった日です。
正確には五月二日ですが、敢えてこの日に書きました。ご了承お願い致します。

本編内の情報はWikipediaから得ました。

この日の深夜から朝方にかけて沈んでしまった水上機母艦『瑞穂』と救助されずに亡くなってしまった英霊の方々、そして搬送された先で亡くなってしまった英霊の方々に心からお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改102話

作戦前の休日。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 大広間ーー

 

女『待って! 行かないで! あなたがいなくなったら、私……生きていけない!』

男『俺は死にに行くんじゃない。愛するお前や子ども達を守るために行くんだ』

 

 大広間では朝から映画上映会が敢行されていた。

 今日は大本営から次なる大きな作戦が発令される予定であるが、今年もゴールデンウィーク中の作戦となるので提督がみんなに束の間の休息を与えたのだ。

 

 他の鎮守府はどうしているかは定かではないが、当鎮守府の提督は作戦開始前には事前調査をしてから行うので今日が潰れても任務に支障はない。

 なので提督は鎮守府の業務を全て休みにし、こうしてみんなで映画を観賞している。

 

 因みに今流れている映画は『ハルマキドン』というタイトルで、地球に大きな春巻きが降ってくるのをプロジェクトチームが阻止するという壮大な(?)物語であり、今は主人公の男が妻へ明日春巻きを止めに行くと伝えたところである。

 

妻『でも、生きて帰れる保証なんてないじゃないっ!』

主人公『生きて帰るさ。だから涙を拭け……その涙は帰ってきた時にとっておけ』

妻『馬鹿っ……帰って来なかったら一生憎んでやるんだから!』

主人公『お前の一生忘れられない男になれるのなら、それもいいかもな♪』

 

 実に感動的な場面であるが、

 

不知火「セリフはいいのですが、春巻きに地球が滅ぼされるというシナリオが納得出来ないわね」ウーン

陽炎「全鎮守府に所属してる赤城さんが行けば救われそうとか思っちゃうわね」ニガワライ

黒潮「ツッコんだら負けやで」

親潮「春巻きに負けるって妙ですよね」アハハ...

 

朝潮「どうしてこんな春巻きが宇宙に誕生したのかしら?」

大潮「宇宙人は春巻きが好物なんでしょうかね〜?」

満潮「アホくさくしてツッコむ気にもならないわ……」チラッチラッ

荒潮(と言いつつ横目ではしっかり観てるのよね〜♪)

 

子日「どうなるのかな〜?」ワクワク

若葉「きっと大丈夫さ」ドキドキ

初春「…………」プルプル←笑い堪え中

初霜「…………」ニガワライ

  (肩が凄い震えてるな〜)

 

 みんなそれぞれ思うところがある様子だ。

 

龍田「タイトルからして笑っちゃったけど、内容も可笑しいわね〜」クスクス

天龍「でもセリフはめっちゃ格好いいんだよな」ニガワライ

夕張「やっぱりこれを選んで良かったわ♪」

大淀「というか、感動場面なのかギャグ場面なのか分かりませんね」ニガワライ

明石「これはコメディ映画だからシュールなのも笑いどころよ♪」

 

 この映画を推した張本人は夕張と明石。周りの反応に二人はとてもご満悦だ。

 

羽黒「ど、どうなっちゃうんだろ……」ドキドキ

足柄(こんなシュールなのでもちゃんと見入っちゃってるのね)ニガワライ

妙高(可愛いわね、羽黒は)フフフ

那智(うちの末っ子は本当に天使だな)ウンウン

 

加古「( ˘ω˘)」スヤァ

古鷹「加古〜、ちゃんと観ようよ〜」ニガワライ

衣笠「観てても笑っちゃうけどね〜」アハハ

青葉「……そ、そうですね……」プクク←笑い堪え中

 

ポーラ「映画観ながらの一杯は最高♪」クピクピ

ザラ「お休みだから大目に見るけど、飲み過ぎないでね?」

プリンツ「今日はボトルで飲んでないから、きっと大丈夫だよ♪」

 

利根「こやつ漢じゃなぁ」ウンウン

筑摩「提督の方がいい男ですよ、姉さん」

 

赤城「加賀さん、私のポップコーンがなくなっちゃいました……」

加賀「それで四回目なのだけれど……まぁ、今日はお休みですし良しとしましょう、また貰ってきます」

翔鶴「あ、なら私達が貰ってきますよ」ニコッ

瑞鶴「私達は飲み物取りに行くから、ついでに貰ってくるわ♪」

 

祥鳳「瑞鳳、大丈夫?」セナカサスサス

瑞鳳「だ、大丈夫……笑い過ぎただけだから……」クフフ

鳳翔「シュールなのは可笑しいですからね」フフフ

龍鳳「それも春巻きですからね」ウフフ

 

扶桑「暫く春巻きは食べられないと思うわ……」プルプル

山城「姉様のツボにこんなにクリーンヒットするとは……」セナカナデナデ

伊勢「それを言うなら日向もよ」セナカポンポン

日向「は、春巻きに突撃するんだぞ? 笑うしかないだろ……」プルプル

 

しおい「ど、どうなるのかな?」ニガワライ

ろ「きっと春巻きから地球を救ってくれるよ!」キラキラ

ゴーヤ「や、やめるでち、これ以上笑うと腹筋が……」プルプル

はち「腹筋崩壊なんてレベルじゃない……」プルプル

 

 それでもみんなはこの映画を楽しんでいる様子。

 ただ映画の内容を楽しんでいるというよりも、内容にツッコミを入れて楽しんでいる感じに近い。

一部はポップコーンを大量に消費しつつ。

 

 そして映画は進みーー

 

主人公『あと少しだ! あと少しで食いきれるぞ!』

脇役『ここまでくれば……!』

 

 プロジェクトチームは春巻きを食べて地球へ落ちるのを阻止していた。

 地球を壊滅させる程の春巻きをプロジェクトチームおよそ十二名で食べきることはまず無理だが、それはフィクション映画なので触れないでおこう。

 

脇役『おい、さっきクラスじゃないが、もう一個来たぞ!?』

脇役『マジかよ!? もう胃袋がもたれて入らねぇってのに!』

主人公『…………俺が食う!』

脇役『正気か!?』

主人公『俺以外に誰が食いきれるってんだ!』

 

 こうして主人公は更にやってきた春巻きを食べに、チームから離れていった。

 

提督「世界を春巻きから守るというのは斬新な発想だな……ただ、宇宙空間にある春巻きをどうして普通に食べられるのか疑問だ。そもそも食べて阻止する以外に破壊するなどといったことはしないのだろうか?」

 

 提督の反応は至極常識的である。

 

大和「そうですよね〜♡」

金剛「テイトクの考えは正しいネ〜♡」

榛名「榛名も同じ考えです♡」

長門「流石は我らの提督だな♡」

 

 運良く提督と席が近くなった大和達は映画ではなく、提督にしか集中していないがちゃんと提督の言葉には反応しているのが流石である。

 

武蔵「というか、ただデカい春巻きなら大気圏突入した時点て黒焦げになって終わりだろうな」ニガワライ

陸奥「こういうところが売りなんでしょうけどね」ニガワライ

比叡「こういうコメディ映画ってよく考えられるよね〜。私には無理だな〜」

霧島「常人には出来ない発想だからこそ、ここまで人を笑わせることが出来るのかもしれませんね」ニガワライ

 

 その後も映画は続き、ラストは春巻きを食べ終えた主人公が無事に生還したそうな。

 

 そしてお昼は去年同様みんなしてバーベキューを楽しみ、英気を養ったーー。




今回は春イベ前のネタ回ですかね。多分。
元ネタや春巻きが好きな方、ご了承お願い致します!

此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改103話

作戦準備。の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 工廠ーー

 

明石「えっと、これが終わったらこっちで、こっちが終わったら……」テキパキ

夕張「よし、こっちは終わり♪ 次の持ってきて♪」

 

 工廠では明石と夕張を中心に妖精達もフル出動で艦娘達の艤装の最終調整をしていた。

 

 大本営から発令された『出撃! 北東方面・第五艦隊』……提督は今日までに作戦を練り上げ、明日から本格的な攻略に乗り出すため工廠では今が山場である。

 

 しかし工廠には明石達とは別に最終調整に入っている者達がいた。

 

赤城「こんな感じでいいかしら?」ニコッ

艦載機妖精(以降妖精)「ふむ……悪くない。しかしもっと赤を強調したカラーリングを頼めないか? 赤は我が航空隊のカラーだからな。赤が両翼の一部だけでは……」ムムム

 

 空母の艦娘達とその艦載機妖精達だ。

 機体の整備は明石達がやるが、最終的な調整は実際に使い、操る者達が行う。

 なので赤城達は艦載機妖精、それも航空隊の隊長妖精と相談をしながら最終調整を行っていた。

 

赤城「いつも言ってるけど、明るいうちの昼戦だと赤は目立つのよ?」

妖精「当たらなければどうということはなかろう?」

赤城「みんながみんな新しいタイプじゃないのよ?」ニガワライ

妖精「それを言われると痛いな……」グヌヌ

赤城「作戦が終われば美味しい酢豚を作ってあげるから、我慢して」ネ?

妖精「仕方ないそれで手を打とう」キラキラ

 

加賀「……具合はどうかしら? 言われた通りに調整したのだけれど?」

妖精「こいつ動くぞ!?」

加賀「動くに決まってます。ふざけていないで、ちゃんと確認してちょうだい」ペシッ

妖精「ぼ、僕を打ったな!?」

加賀「ふざけているからです」ペシッ

妖精「二度も打った! 提督にも打たれたことないのに!!」

加賀「…………デザート抜き」ボソッ

妖精「凄く手に馴染むよ!」

加賀「それは良かったです」ヤレヤレ

 

 

 その隣ーー

 

蒼龍「どうかな? いい感じ?」

妖精「作戦行動に問題はない。俺達が艦載機だからな」

蒼龍「ん、りょ〜かい♪ いきなり出番があるかもしれないから、いつでも行けるようにしておいてね♪」ニコッ

妖精「任せろ」ノ

蒼龍「作戦が終わったらプリン作ってあげるね!」

妖精「生きてプリンを掴む。それが俺の戦いだ」キリッ

蒼龍「掴んだら潰れちゃうんじゃない?」ニガワライ

妖精「……それもそうだ」

蒼龍「ふふふ、頑張ろうね♪」ナデナデ

妖精「あぁ」キラキラ

 

飛龍「感触はどう? 前と同じ設定なんだけど」

妖精「興が乗らん!」

飛龍「えぇ〜、前と一緒なのに〜」

妖精「私は我慢弱い……」

飛龍「……あぁ、シートがいつものと変わってたのね。今前のと交換してあげるね」

妖精「乙女座の私には、センチメンタリズムな運命を感じずにはいられない!」キラキラ←喜んでる

飛龍「やっぱり慣れ親しんだシートの方がいいもんね」ナデナデ

妖精「まさに眠り姫だ!」キリッ

 

 

 そのまた隣ーー

 

翔鶴「どうですか? 大丈夫そうですか?」

妖精「翔鶴! 私に勝利を見せてくれ!」

翔鶴「ふふ、一緒に頑張りましょうね♪ みんなのために♪」ニッコリ

妖精「提督のためにの間違いではないのか?」フフリ

翔鶴「なっ……も、もう!////」

妖精「否定はしないか……いや、()()()()の間違いか」フフフ

翔鶴「隊長さんだけクッキー焼いてあげません////」プイッ

妖精「お前だけは優しいままでいてくれ……」ウルウル

翔鶴「////」ツーン

妖精「( ´;ω;)」ブワッ

翔鶴「ごめんなさいは?」

妖精「……す、すまなかった」

翔鶴「はい、許してあげます」ニコッ

妖精「」ホッ

 

瑞鶴「どうよどうよ?♪ 今回はバッチリだと思うんだけど?♪」

妖精「俺が認めているのは烈風の力だけだ。お前の理念、言葉は信用していない」

瑞鶴「相変わらず酷い言い草ね〜」ニガワライ

妖精「俺にはこの生き方しか出来ない」

瑞鶴「知ってるわよ〜、もう慣れたわ」フフフ

妖精「ならいい」

瑞鶴「作戦が上手くいったら美味しいもの作ってあげるからね♪ だから頑張ってよね!」

妖精「誰よりも戦い抜いてみせる」キリッ

瑞鶴「ん♪ よろしくね♪」

 

 このようにそれぞれコミュニケーションを取りながら最終調整を行っているので、妖精達はベストを尽くすことが出来、空母の艦娘達も信じてみんなを送り出せるのだ。

 

 すると工廠のドアが開いた。

 開いたドアからは提督と本日秘書艦である子日とそのお手伝いで初春や若葉、初霜が入ってくる。

 

赤城「提督〜♡ どうされたんですか〜?♡」

 

 いの一番に提督の元へやってきた赤城。それはまるでご主人の帰りを待っていた愛犬のようで、尻尾があればブンブンに振っているだろう。

 

提督「作戦に行き詰まってな。こうして気分転換に頑張っている皆の顔を見に来たんだ」ニコッ

加賀「それはご苦労様です……そしてお心遣いありがとうございます♡」ニコッ

 

 提督の素直な言葉にいつもはクールな加賀も思わず笑みをこぼした。鎮守府のトップである提督が、一人で抱え込まずに自分達へ素直な心を吐露してくれるのは加賀だけでなく、みんな嬉しいもの。それだけ信頼関係があるということだから。

 

子日「工廠に来る前より先に、訓練場にも行ったんだけどみんな頑張ってたよ〜♪」

飛龍「そうなんだ♪」

蒼龍「やっぱりみんな気合入るよね〜」クスッ

若葉「みんなが同じ方向を向いている。一見当然のことに思うが、これはなかなか難しい」ウンウン

初霜「一丸となって取り組むのが私達の鎮守府ですもんね。他の鎮守府もそうですけど」ニッコリ

翔鶴「そうね。でも信頼出来る仲間、そして頼もしい提督……これが私達が頑張れる源よね」ニコッ

瑞鶴「妖精さん達も頼れるしね♪」ナデナデ

妖精ズ『♪』ドヤァ

 

提督「そうだ、忘れるところだった。皆、一旦手を休めて休憩にしないか? 差し入れに食堂で羊羹や最中を調達してきたんだ」

 

 提督がそう言って包を見せると、みんなの顔は更に明るくなる。中でも赤城は目がギラギラしていて、まるで獲物へ襲い掛かる前の肉食獣のよう。

 

提督「ちゃんと全員分ある。仲良くお茶にするといい」

夕張「は〜い♡」デレデレ

明石「ありがとうございます♡ みんな〜、一旦休憩〜!」

妖精ズ『キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!』

 

 こうしてみんなは間宮羊羹や伊良湖最中を食べ、キラキラして出撃する時に備えるのだったーー。




今回はイベ準備回として書きました♪

妖精さん達は夕張の影響でキャラになりきってるという体でお願い致します(^^;

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改104話

頑張るみんなのために。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一六〇〇ーー

 

 食堂ーー

 

 鎮守府ではとうとう『出撃! 北東方面・第五艦隊』の前段作戦にあたる『出撃! 大湊警備府』の攻略に乗り出した。

 初戦海域は恒例となってきた対潜海域であるが、力みも緩みもせずに艦隊は順調に歩を進めている。

 

 そして食堂では間宮達を中心に出撃の無かった者達が今出撃している者達や出撃した者達のために、夕飯の準備を行っていた。

 

間宮「お野菜は洗ったら皮をむいて、切って、どんどんお鍋へ投下してくださいね〜♪」

伊良湖「根のものから入れるのを忘れないでくださいね♪」

速吸「ケガをしないように注意してくださいね♪」

全員『は〜い♪』

 

 今日の夕飯のメニューは間宮特製クリームシチューと伊良湖特製ビーフシチュー。

 特に作り方には拘らないが、間宮の方は鶏胸肉を使用した濃厚だがあっさり仕上げで、伊良湖の方は牛すじを使ったコクのある深い仕上がりだ。

 

夕立「白露や村雨ばっかり出撃しててズルいっぽい〜」

江風「それを言うなら海風姉貴達や涼風もだぜ? 江風達は出撃させてくれないってのにさ〜」

時雨「僕達は改二だからね。提督は温存させてるんだよ」

 

 ニンジン、ジャガイモを洗いつつボヤく夕立と江風。

 そんな擦れた二人の妹を時雨はなだめているが、その表情というかオーラはどこかどす黒く見える。

 

足柄「まぁまぁ、これからよ♪ 作戦はまだまだ続くんだもの、絶対出撃する時は来るわ♪」ニコッ

羽黒「今は今日を頑張ったみんなのために美味しいシチューを作ろ?」ネ?

 

 その隣に立って皮むき作業中の足柄と羽黒が時雨達に言い聞かせるように言うと、時雨達は揃って「は〜い」とちゃんと返事し、今度はタマネギや様々なキノコを洗う作業に取り掛かるのだった。

 

 ーー

 

妙高「間宮さん、火加減の確認をお願い致します」

那智「伊良湖よ、こちらの鍋も確認を頼む」

 

 二人の言葉に間宮と伊良湖はしっかりと確認し、オーケーサインが出たところで野菜を入れていく。

 

神風「これと〜、これを先に入れて……」チャポチャポ

春風「火傷しないようにしてくださいね?」

朝風「神風姉なら大丈夫でしょ♪ それより私は松風の方が心配だわ……」チラッ

松風「? 姉貴、僕の手際に何か問題でも?」チャポチャポ

 

 朝風にそう訪ねる松風。一見すると何ら問題はないが、

 

那智「提督も食べる物だからな。しっかりと作ってくれよ? 鎮守府のトップに変な物は食べさせられないからな……前の比叡や磯風のように」

松風「司令官も食べる…………っ////」ボンッ

 

 那智の言葉に松風は顔を真っ赤にさせ、途端に先程までの手際が鈍る。

 

朝風「あ〜あ〜、見てらんないわね〜。ほらザル貸しなさい。少しクールダウンするといいわ」ニガワライ

松風「フッフッヒ〜ッ……フッフッヒ〜ッ……////」

春風「ヒッヒッフ〜ではないのかしら?」ニコッ

神風「呼吸法はそれで正しいけど、この場面ではする必要のない呼吸法よ」ニガワライ

妙高「松風ちゃん、深呼吸よ深呼吸」

 

 妙高が透かさずフォローに入ると、松風に「吸って〜……吐いて〜……」と深呼吸を促した。

これにより松風はちゃんと落ち着きを取り戻せたが、

 

松風「しし、司令官に美味しいシチューををを……////」

 

 手際は戻っても提督のことは頭から離れることは無かった。

 

 一方、間宮達がみんなのためにシチューを作っている隣では、

 

赤城「〜♪ 〜♪」㌧㌧㌧

加賀「まさかいきなりこうなるとは思わなかったわ……」マゼマゼ

 

 空母勢がそれぞれ料理をしていた。

 

 どうしてかというと、艦載機妖精達へ作っているからだ。

 艦載機妖精達の士気は昨日の時点でマックスとなっていた。ここまでは良かった……が、妖精達に待っていたのは提督からの待機命令。

唯一、航空隊で出撃していったのは瑞雲隊や晴嵐隊、水上偵察機隊といった者達だった。

 これには士気が高まっていた妖精達は一斉にズッコケた。

 

 そして提督に抗議したーー

 

『大人しく待機するのでお菓子をよこしやがれです!』

 

 ーーと。

 

 提督は妖精達に謝り、ちゃんとみんなにそれぞれが望むお菓子を与えたものの、お菓子をヤケ食いしただけではあの昂ぶりを抑え込むことは叶わなった……。

 だから空母勢がそれぞれの航空隊が好きな料理やお菓子を作っているという状態なのだ。

 

翔鶴「赤城さんは鼻歌交じりで楽しそうですね」フフ

赤城「お料理するの好きですから♪」エヘヘ

瑞鶴「あはは、赤城さんらしいなぁ」クスクス

 

 和気あいあいなムードではあるが、そこに風穴を開ける者がいた。

 

加賀「赤城さんはああ見えて、食べる専門ではありませんからね」フフリ

 

 すっかり赤城のいじり役が板についた加賀である。

 

赤城「むぅ、加賀さんはまたそうやって意地悪なこと言う〜」プンプン

 

 赤城はそう言って両頬を膨らませるが、

 

加賀「食べ物を作る、味見という名目で食べる、作った時より料理が減るor無くなる、結果また作るの永遠ループでお昼御飯をお預けされた私の気持ちが分かりますか?」

 

 加賀からの追撃が赤城のボディにクリーンヒットした。

 

赤城「ま、まだそのこと覚えてるんですか〜? 最後はちゃんと作ったじゃないですか〜」アセアセ

加賀「お昼御飯なのにそれが食べられたのは一五〇〇過ぎでした。あの時の気持ちは絶対に忘れません」プイッ

 

 そう言って赤城から顔を背ける加賀だったが、

 

蒼龍「でも、加賀さんは『その時の酢豚は美味しかった』って私達にニコニコしながら話してましたよね〜?」ニヤニヤ

飛龍「そうですよ〜♪ ちゃんと本人の前で褒めてあげればいいのに〜♪」ニヤニヤ

 

 蒼龍達から当時の自分の反応を暴露された。

 

加賀「…………記憶に御座いません////」ウツムキ

飛龍「私達はちゃんと覚えてますよ〜?」

蒼龍「加賀さんはツンデレですね〜?」

加賀「…………ツンはあってもデレはありません////」

赤城「加賀さん、喜んでくれていたんですね! あの時怒りながらもおかわりしてくれたのは、ヤケ食いではなかったんですね!」キラキラ

加賀「どうして貴女はいつもいつもどこか一言余計なのかしら〜?////」

 

 加賀は顔を赤くしつつ、赤城の両頬をムニムニする。いつもの加賀ならつねっているが、ムニムニに留めているのはやはり思うところがあるからだろう。

 

間宮「はいはい、お料理中のケンカはご法度です」

伊良湖「お料理している時は笑顔で、心を込めて! ですよ?」

速吸「お料理は心です。お二人共、仲直りしてください」ニコッ

 

加賀「…………ごめんなさい、赤城さん」

赤城「私こそ、ごめんなさ〜い」

 

 ちゃんと仲直りし、お互いに謝ると笑みを交わした一航戦。

 その後はちゃんと仲良くそれぞれ料理を作っていった。

 

 そして間宮達も美味しいシチューを作り、今日の出撃を頑張った艦娘達、そして共に出撃した提督へ美味しい『お疲れ様(お料理)』を届けるのだったーー。




イベが始まりましたので、それに関する鎮守府で待つ艦娘をメインで書きました♪

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改105話

睦月型駆逐艦のみ。

少し真面目なシーン、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、二〇〇〇ーー

 

 埠頭ーー

 

 本日の任務を終え、艦娘達が休息の時を過ごす中、提督を始めとした複数の艦娘達が埠頭に整列していた。

 

提督「全員、黙祷!」

 

 提督の号令に整列する全員が一斉に黙祷を始める。

 

 今日、五月五日は『第三一号駆逐艦』、後の睦月型駆逐艦『菊月』がツラギ攻略作戦中、アメリカ空母『ヨークタウン』から放たれた艦載機から爆撃を受けて沈んでしまった日なのだ。

 

 一九四二年五月、第二十三駆逐隊はツラギ島を占領し、菊月や他の駆逐艦が敷設艦『沖島』へ補給作業を開始。

 ところがその補給作業中、アメリカ空母であるヨークタウンから飛び立った艦載機が菊月達に襲いかかった。

 菊月は沖島から離れて攻撃を回避しようとするも、瞬く間に右舷機関室に魚雷を受けてしまい、菊月の乗組員達は沈没を避けるために特設駆潜艇『第三利丸』によって曳航、擱座されるものの、沖島は菊月の乗員達を乗せてラバウルへと避難。

 菊月はやがて被雷による深刻な浸水で沈没してしまった。

 

 菊月沈没の報告を受けた重巡洋艦『加古』の当時の艦長であった高橋大佐は、

 

『小さき(ふね)に襲ひかかれる敵百機 掩護のわれは遠くにありしに』

 

 と記して菊月を偲んだ。

 

菊月「………………」

 

 菊月はいつものように静かに黙祷を捧げているが、その表情は複雑だった。

 

 それもそのはずで、菊月は一九四二年の八月から始まった『ガダルカナル島の戦い』において、アメリカ軍がガダルカナル島の奪還を達成したその翌年、一九四三年にアメリカ軍の手によって浮揚させられ艦内を調査されたのだ。

 しかも調査が終了すると、用済みとされた菊月は沈められることもなく、その場に放棄されたという経緯があるから。

 

菊月「………………」

 

 調査された時の菊月の辛さは菊月本人にしか分からない。

 しかし黙祷を終え、開かれたまぶたの奥には菊月の穏やかな眼差しがあり、それは海ではなく菊月の隣に向けられていた。

 

 あの日は一人で過ごした。

 更には一人で何十年という時を過ごした。

 でも今は……艦娘となった今は、大好きな姉妹が、大切な仲間が側にいるから。

 

 そして姉妹達とは反対の位置には、

 

提督「………………」

 

 心から慕う提督がいる。

 

 提督が黙祷を終えると、バチッと目が合ってしまった。

 菊月は慌てて俯いて目線を逸らしたが、

 

提督「生まれ変わってきてくれてありがとう、菊月」ナデナデ

 

 提督は今年もそう言って菊月の頭を優しく撫でた。

 

菊月「…………ふん////」プイッ

  (ありがとうは私のセリフだ……)

 

 そう心で返しつつ、チラリと視線をあげる菊月。

 提督は変わらずに笑顔を向けていて、菊月はその笑顔に釘付けになった。

 

菊月「………………////」

 

 ほんの少し……ほんの少しだけ、菊月は勇気を振り絞り、提督の上着の裾をキュッと握りしめた。

 提督はそんな菊月に『ちゃんとみんなここにいる』と伝えるように、菊月の小さく、それでも力強い手にそっと自身の手を重ねる。

 

菊月「大きくて温かいな、司令官の手は……////」

提督「お気に召してもらえたようで何よりだ」ニコッ

 

 提督の言葉に菊月は顔を更に赤くしてフンと鼻を鳴らすが、提督の手を払い除けようとはしなかった。

 

卯月「菊月〜、うーちゃん達も忘れちゃダメだぴょん!」

 

 すると今まで沈黙を保っていた姉妹や仲間達の中で、卯月がそう言って菊月の背中に抱きついた。

 

菊月「な、急に抱きつくな!//// 別にみんなを忘れてはいない!////」

睦月「そうかにゃ〜? ずっと司令官と見つめ合ってたみたいだけど〜?」ニヤニヤ

如月「司令官と二人だけの世界にいたわよね〜?」ニヤニヤ

菊月「わ、私はちゃんとみんなの存在を感じていた!//// そもそも私は司令官を見る前にみんなをーー」

 

 この目で確かめて、安心したんだ……そう言おうとした菊月だったが、菊月の羞恥心がその言葉を発することを阻止した。

 普段そんなことは言えないし、そもそも言わない菊月にとって、言いかけた言葉はとても恥ずかしかったから。

 

皐月「ボク達を〜、なんだって〜?」

水無月「何か言いかけたよね〜?」

文月「気になるぅ〜♪」

三日月「私も気になります〜♪」

菊月「う、うるさいうるさい!//// 私は何も言いかけてなんかない!////」

 

 本当は菊月が何と言おうとしたのか勘付いている皐月達。しかし菊月本人の口からその言葉が聞きたくて、皐月達はつい意地悪な訊き方をしてしまう。

 

望月「さっさと白状した方がいいと思うよ〜」

弥生「素直になるべき」ウンウン

長月「」コクコク

 

 弥生と望月の言葉に、比較的いつもは自分を擁護してくれる長月までもが皐月達の側へ付いてしまった。

 菊月は提督の背中へと逃げ込み、提督の背中に熱くなった顔を埋める。

 

提督「恥ずかしがることはない。こういう日くらい、素直な言葉を言ったっていいんじゃないか?」ナデナデ

菊月「…………恥ずかしがってなんかない////」

 

 素直になりきれない菊月に提督は思わず苦笑いを浮かべてしまう。

 

 すると、

 

睦月「き〜く〜づ〜き〜ちゃ〜ん♪」

 

 睦月がそう言って菊月に抱きついた。

 更には、

 

如月「菊月ちゃん♪」ムギュッ

弥生「菊月」ギュッ

卯月「菊月〜♪」ギューッ

皐月「菊月〜!」ギュムッ

水無月「き〜くちん♪」ギュッ

文月「菊月ちゃん♪」ギューッ

長月「菊月……////」ギュッ←流れでやるしかなかった

三日月「菊月姉さん♪」ギューッ

望月「菊月〜」ポフッ←便乗

 

 次から次へ姉妹達が抱きついてきた。

 そのせいで菊月はおしくらまんじゅう状態。

 

菊月「く、苦しいぞ!//// は〜な〜れ〜ろ〜!////」

提督「素直になれば放してもらえるのではないか?」フフフ

菊月「〜〜〜〜////」

 

菊月「私は、みんながいて、良かったと、そう思ったんだぁぁぁっ!////」

 

 菊月が観念してそう叫ぶと、睦月達は『これからも一緒だよ♪』と声を揃えて返した。

 

 提督はそんな睦月達、菊月を見て、誰一人欠けることのないように努力を続けようと強く誓った。

 

如月「それで〜、菊月ちゃんはいつまで司令官の背中にぎゅ〜ってしてるの〜? 私はいつまででもいいけど♪」

菊月「みんなが邪魔で離れられないんだ!////」

提督「今日の夜風は冷えるからな。もう少しこのままでもいいではないか」アハハ

菊月「そんな気遣いはいらないんだよぉぉぉっ!////」

 

 今度は叫ぶというより吠えるような大声を出した菊月。

 そんな菊月を中心に睦月達、そして仲間達の笑い声が海と空へこだまするのだったーー。




今日は菊月ちゃんにとって特別な日ということで、このことを取り上げました。

有名ですが駆逐艦『菊月』姿は朽ち果ててはいるものの、現在もソロモン諸島のフロリダ諸島を構成する島の一つ、フロリダ島にあるトウキョウ・ベイと呼ばれる湾内の海岸に座礁した状態で残っており、Google EarthやGoogleMapで確認出来、海上に既存する唯一の戦闘用の艦とされています。

位置
南緯09度07分24.2秒 東経160度14分16.0秒
南緯9.123389度 東経160.237778度

更に2016年になり、「菊月保存会」の方々の活動により、菊月の第三砲塔を引き上げ、母港となる舞鶴へ送り届けるプロジェクトが進んでおり、その引き上げ許可は既に降りています。
近いうちに一部分ですが、菊月は長い年月を経て日本へ帰還することが叶います。

本編内、そして後書きでの情報はWikipedia、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

この日に沈んでしまった駆逐艦『菊月』と菊月と運命を共にした英霊の方々に心からお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改106話

陽炎型駆逐艦のみ。

少し真面目なシーン、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、二一〇〇ーー

 

 駆逐艦寮、大部屋ーー

 

雪風「今夜は姉妹一緒のお布団で寝れますね〜♪」ギューッ

陽炎「ふふ、そうね♪」ナデナデ

 

時津風「こんな日はみんな一緒の方がいいよね〜♪」ヒシッ

黒潮「あはは、せやな〜♪」ポンポン

 

島風「大きなお布団と大きな枕ってなんかテンション上がる〜♪」ギュッ

親潮「そうだね♪」ムギュッ

 

 本日、寮の大部屋では陽炎型姉妹、そして姉妹同然の島風が一挙に集まって就寝する予定だ。

 どうしてこのようなことになったのかというと、今日は陽炎、黒潮、親潮が輸送作戦中にソロモン諸島クラ湾で触雷。黒潮はその場で沈没し、陽炎と親潮は航行不能となり、アメリカ軍機の攻撃を受けて沈没したという日だから。

 

 一九四三年・五月八日。

 当時の駆逐艦『陽炎』・『黒潮』・『親潮』の三隻は第十五駆逐隊として『コロンバンガラ輸送作戦』に従事し、計六回の作戦中、一回目と三回目に参加し着実に成果をあげていた。

 そして運命の五回目が実施されたこの日。

 行きは何事もなくスムーズに輸送することが出来たが、帰りが問題だった。

 これまで音沙汰なく順調に輸送が出来ていた本作戦だったが、何度も同じ航路を行き来していたため、ついにアメリカ軍の機雷敷設艦によって航路に機雷を設置されてしまったのだ。

 

 この機雷に最初に接触してましったのが親潮で、親潮はこれにより航行不能となってしまった。

 親潮が突如航行不能となったのを見た陽炎と黒潮は敵潜水艦からの魚雷攻撃と勘違いし、揃って爆雷を投下するも次の瞬間に陽炎が接触。これにより陽炎も航行不能となった。

 黒潮は二隻から距離が離れていたが、運が悪く機雷群へ突っ込んでしまったために三つの機雷に接触し、瞬く間に海へその姿を消した。

 

 随伴する艦が次々と沈む中、陽炎と親潮はただ沖を漂うことしか出来なかった。

 そんな二隻にアメリカ軍の戦闘機がとどめを刺しにきた。

 動くことは出来なくとも、二隻は機銃を使って必死に抵抗しその場を切り抜けることが出来、幸いにもその日の天気は悪く第二攻撃はなかった。

 しかしその後、半日以上粘ったもののその願いは叶わず、陽炎がその身を海へ沈めていき、親潮も徐々に海へと沈んでいくこととなった。

 幸い生存者は多かったものの、日本海軍の駆逐艦の完成形であった陽炎型三隻が揃う第十五駆逐隊は一日……半日で全滅するという結果を負うことになってしまったのだ。

 

 今年もそのような日を迎えた陽炎達は昨年同様、姉妹揃って大部屋で過ごすことになった。

 

 そして、

 

提督「遅くなってすまない」ニコッ

 

 提督も一緒に寝ることになっていて、今到着した提督はドアから顔だけをみんなへ見せる。

 

 これは雪風と時津風が提督にお願いしたこと。

 陽炎、黒潮、親潮と三人の大切な日には、やはりみんなが信頼する提督も一緒にというのが雪風達の考えだから。

 

初風「いらっしゃい、提督さん♡」ニッコリ

不知火「大丈夫です♡」キラキラ

浦風「うちらも今落ち着いたとこで♡」ニコニコ

 

 LOVE勢の不知火達がそう提督に声をかける中、

 

磯風「司令の布団は私の隣だ♡」

 

 公平なじゃんけんの結果、提督の隣(提督はいつも窓際の位置)を獲得した磯風が提督が眠る布団をポフポフと叩いた。

 

 すると提督がわざとらしく「フッフッフ」と笑う。

 そんな提督にみんなが小首を傾げると、提督がちゃんと大部屋へ入ってきた。

 その瞬間、みんなの表情が一変する。

 

提督「時間が時間だが、このような日くらいはいいだろうと思ってな。間宮さん達に頼んでバケツパフェを作ってもらったんだ」ニコッ

 

 提督が陽炎達のために夜の甘いプレゼントを持ってきたのだ。

 大きなバケツの中には色とりどりのアイス、フルーツ、そして生クリームやチョコレートソースがかかっていて、これにはみんな大興奮。

 

陽炎「サンキュ、司令♪ とっても嬉しいわ♪」

黒潮「おおきに司令はん! めっちゃ嬉しい!」

親潮「ありがとうございます♪ 凄く嬉しいです♪」

 

 三人がそう言って提督に満面の笑みを浮かべると、提督はそれぞれの頭を優しく撫でた。

 それから布団を一時退かし、陽炎達はバケツパフェを食べることに。

 

谷風「ん〜、夜に食べるアイスってお得な感じがするね〜♪」

浜風「ふふふ、その気持ち分かるわ」モキュモキュ

野分「美味しい♪」アムアム

舞風「ウエハースでアイス食べるの好き〜♪」シャクシャク

嵐「俺も俺も〜♪」ガツガツ

萩風「食べたあとはちゃんと歯磨きしなきゃね♪」モグモグ

秋雲「そんなの今はいいっしょ〜♪ 今はパフェだよ、パフェ♪」アムアム

 

 みんな思い思いにパフェを食べる中、LOVE勢である浦風達は提督の側に侍っていた。

 

浦風「流石は提督さんじゃぁね〜♡」

磯風「司令は常に完璧だな♡」

不知火「それが不知火達の司令だからね♡」

初風「完璧って提督さんのためにあるような言葉よね♡」

提督「そう持ち上げないでくれ」ニガワライ

 

島風「天津風は提督のところに行かないの?」

天津風「い、行けるわけないでしょ!?////」

時津風「相変わらず天津風は恥ずかしがり屋だね〜」ニガワライ

雪風「好きなら好きって言うべきですよ〜?」

天津風「無理!////」

時津風「雪風の好きと天津風の好きは違うからね〜」

 

 時津風の言葉に雪風は「?(・ϖ・)?(こんな)」顔を浮かべて首を傾げるので、時津風が詳しく話そうとすると天津風が時津風の口をアイスで塞ぐのだった。

 

 そんないつも通りの姉妹達を見ていた陽炎達。

 

黒潮「なはは♪ なんや今年もえらい賑やかな日になったな〜♪」

 

 黒潮がそう言って笑い出すと、陽炎と親潮も同意するように笑い声をもらす。

 

陽炎「ふふ、全くよ♪ 大人しいのは黙祷の時くらいね♪」アハハ

親潮「でもいつも通りって幸せなことなのだと、そう実感します」クスクス

黒潮「せやな〜……今日があの日なんて嘘みたいやわ」

陽炎「あの日はあの日で忘れない。どんなに時が過ぎても……」

親潮「はい……あの時のことを胸に、艦娘となった今を頑張りましょう」

 

 そう誓い合った三人。そんな三人を提督は見つめ、その思いを叶えられるように努力しようと決意を新たにするのだったーー。




今日は本編に書きました通り、駆逐艦『陽炎』・『黒潮』・『親潮』が沈んでしまった日なので、そのことを取り上げました。

なお、陽炎と黒潮は太平洋戦争において第二水雷戦隊所属期間がどちらも歴代第二位となっています。
因みに一位は長波です。

本編、後書きの情報は『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

この日に沈んでしまった陽炎、黒潮、親潮。そしてその三隻と運命を共にした英霊の方々に心からお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改107話

重巡洋艦メイン。

ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 中庭ーー

 

衣笠「ん〜、最近は暑くなったわね〜」ノビー

鈴谷「確かに〜、暖かくなったな〜って思うとすぐに暑くなるんだよね〜」

 

 仲良くベンチに並んで座る衣笠と鈴谷。

 衣笠は鈴谷の言葉に「分かる〜」と返しつつ、伸びた延長でそのまま空を見上げる。

 見上げた空は青々としていて、手を伸ばせば届きそうなほど。

 

 当鎮守府は艦隊の活躍で既に後段作戦である『占守島沖』の攻略に乗り出している。

 そして衣笠と鈴谷は今のところはすることもなく、待機中。

 いつもは姉の青葉や親友である古鷹や加古と一緒にいることが多い衣笠だが、今日はたまたま一人の時間を過ごしていて、そこに鈴谷がやってきた感じだ。

 二人共に女子力が高め……というよりは服の趣味等が一緒なので、ファッション雑誌を一緒に読むこともしばしば。

 

衣笠「そろそろ夏服出そうかな〜」

鈴谷「でもさ〜、梅雨になると半袖とかだと寒かったりする日もあるから微妙だよね〜」

衣笠「あ〜、分かる分かる〜。四季が日本のいいところだけど、梅雨みたいにはっきりしない季節はね〜」

 

 他愛もないガールズトークをする二人。

 すると二人の視界が同時に何者かによって塞がれた。

 

『だ〜れだ♪』

 

 犯人達は揃って二人へ声をかける。

 しかしその声ですぐに二人は犯人の名前が浮かんだ。

 

衣笠「青葉……と思わせておいて熊野ちゃん!」

鈴谷「なら私の方は青葉だね〜♪」

 

青葉「ありゃりゃ……あっさりバレてしまいましたね〜」

熊野「興ざめですわ〜」

 

 せっかく言い当てたというのに、何故か二人に微妙な反応をされた衣笠達は思わず苦笑いをこぼす。

 

青葉「それはそうと聞いてよ、キヌガッサー!」

熊野「お二人共聞いてくださいまし!」

 

 二人が始めたのに……と思った衣笠と鈴谷だったが、二人のどこかキラキラした眼差しに何も言えなかった。

 それから衣笠達が青葉達に「どうしたの?」と訊ねると、

 

青葉「今日はアイスクリームの日なんです!」

熊野「なので食堂でアイスクリームの特売していますわ!」

 

 ということらしい。

 

 青葉が新聞のネタを探しに鎮守府内を歩いていると、熊野がアイスクリームのことが書かれたチラシを持っていたので、こうしてやってきたのだ。

 

衣笠「へぇ〜、今日ってアイスクリームの日なんだ〜」

鈴谷「ホント、色んな日があるんだね〜」

 

熊野「一九六四年のこの日、アイスクリームのシーズンインとなる連休明けの時期であるこの日に、東京アイスクリーム協会が記念事業を行い、諸施設へアイスクリームをプレゼントしたことがきっかけでそう呼ばれるようになったそうですわ」

青葉「因みに、アイスクリームの日の由来として、一八六九年に町田房蔵が横浜の馬車道通りに開いた「氷水屋」で、日本初のアイスクリーム「あいすくりん」を製造、販売した日であるという説が一般的に流布してますが、これは旧暦の六月、新暦では七月のことなので今日ではないんですよ♪」

 

鈴谷「よくそこまで知ってるね〜」

衣笠「どうせ青葉が調べたんでしょ。気になるとすぐに検索するから」ニガワライ

 

青葉「どうせは余計です。それでこれからアイスクリームを食べに行きますが、二人も行くでしょ?」

熊野「行きますわよね?」

 

 そう訊いてくる青葉と熊野だが、その手ではもうそれぞれ衣笠と鈴谷の手を引っ張っているので行くことは確定している。

 こうして四人で食堂へ行くことになった。

 

 

 食堂ーー

 

 食堂に着くと、食堂内には既に多くの艦娘達で賑わっている。

 近頃は暑い日も多かったので、アイスクリームの特売日というのはかなり嬉しいイベントのようだ。

 

 お目当てのアイスクリームを受け取り、どこで食べようかと席を探していると、

 

「鈴谷〜、熊野〜!」

「青葉〜、衣笠〜!」

 

 青葉達を呼ぶ者がいた。

 その声の正体は古鷹と最上で、同じテーブルには三隈と加古も一緒だ。

 青葉達は揃ってそのテーブルでアイスクリームを食べることにした。

 

青葉「古鷹さん達も来ていたんですね♪」

古鷹「うん、加古がアイスクリーム食べたいって言うから」フフフ

加古「だって今日もあっちぃじゃん? こんな日はアイスって決まってんだろ」アムアム

衣笠「流石の加古ちゃんも、こんな日はお昼寝してられないんだね〜」クスクス

 

鈴谷「最上姉達は古鷹達と一緒だったんだね♪」

最上「艤装の整備で丁度一緒になったんだ♪」

三隈「加古さんは工廠内でも涼しい場所でお昼寝してましたけど」フフフ

熊野「なんだかんだお昼寝は欠かさないのですから、ある意味で尊敬しますわ」ニガワライ

 

 それぞれの姉妹と言葉を交わし、仲良くアイスクリームを頬張る。

 

衣笠「美味しい♪」

青葉「衣笠はチョコレートアイスですね〜。古鷹さんは……ストロベリーですか?」

古鷹「うん♪ ストロベリーが一番好きだから♪」

衣笠「私はチョコレートが一番好き〜♪」

 

最上「青葉はボクと一緒だね♪」

青葉「アイスクリームといえばバニラです」キリッ

加古「あたしはチョコレートとバニラのミックス♪」

鈴谷「ミックスの方がお得感あるしね♪ 分かる分かる♪」

加古「だよなだよな〜♪」

 

三隈「三隈はくまのんと一緒ですわね」ニコッ

熊野「紅茶のアイスクリームがあるのでしたら、これ一択ですわ♪」

三隈「三隈は沢山の味がありますから、迷ってしまいますわ」ニガワライ

 

青葉「今ではアイスクリームで性格が分かっちゃうくらいですからね〜。それだけ種類があるということでしょうね」フムフム

古鷹「へぇ、そんなことも分かっちゃうんだ……」ビックリ

鈴谷「それってサーティ○ンのやつっしょ?」

青葉「そうです♪」

熊野「前に調べてみたのですが、好きな味が無くてガッカリした記憶がありますわ〜」

三隈「確か十種類の内から選ぶんでしたよね?」フフ

加古「サーティ○ンのくせに十種類とか納得いかねぇな〜」

最上「サーティ○ンも調べてたら大変だからじゃない?」ニガワライ

衣笠「三十一種類超えちゃってるから調べきれないのかもね」アハハ

 

 その後もアイスクリームの話題で盛り上がった青葉達。

 話題になったアイス診断もやって、なんだかんだ言いつつもワイワイキャッキャと楽しんだそうなーー。




イベ中ですが、アイスクリームの日ということでこのような回にしました♪

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改108話

駆逐艦メイン。

独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一二五〇ーー

 

 埠頭ーー

 

叢雲「みんないる〜?」

島風「いるよ〜」ノシ

松風「大丈夫だ」

初月「いつでもいけるぞ」

文月「大丈夫だよ〜♪」

曙「時間が勿体無いし、早く行きましょ」

叢雲「ん……じゃあ、警備任務行くわよ!」

全員『了解!』

 

 叢雲を旗艦とし、艦隊は鎮守府正面海域へと向かった。

 今は駆逐艦だけだが、もう既に天龍や龍田、夕張、アイオワ、ウォースパイトが向かっており、叢雲達のあとには鳳翔と龍驤も向かう予定だ。

 

 当鎮守府は『大ホッケ海北方』の攻略まであと一歩のところまできており、艦隊は意気揚々と出撃していったところ。

 

 そして鎮守府では毎度のことながら、手分けして警備任務を遂行している。

 これも出撃したみんなの帰る場所を守る任務。一見すると地味な任務だが、この任務を軽視している者はこの鎮守府に誰もいない。

 

 

 鎮守府正面海域ーー

 

天龍「お〜い」ノシ

龍田「みんな〜、こっちよ〜」ノシ

 

 合流場所には一足先に向かっていた天龍達が手を振っていた。

 ここからそれぞれ分かれて警備任務を開始するのだ。

 

 ここから天龍隊は東へ哨戒行動し、対する龍田隊は西へ、そして残る夕張隊は空母の護衛をしつつ、空母からの哨戒機で正面に対する哨戒行動をする。正面は範囲が広いので艦載機による哨戒行動が有効なのだ。

 

龍田「みんな〜、役割は決まった?」ニコッ

叢雲「ここに向かう途中で決めたわ。松風と文月が鳳翔さん達の護衛に就いて、私と島風、曙と初月でペアになってるわ」

 

天龍「んじゃ早速やるか、叢雲と島風はオレとアイオワに付いて来い」

島風「アイオワお姉ちゃんとだ♪」ヤッター!

アイオワ「よろしくね、my sister♪」ギュッ

叢雲「ハグなんてしてないで行くわよ〜」ニガワライ

 

龍田「私達も行きましょうか♪」

曙「了解。何もないだろうけど、慢心せずに行きましょ」

初月「任務には変わりないからな。気を引き締めて行こう」

ウォスパ「もう偵察機は放ったから、あとは私達が行動開始すればいいわ」ニコッ

 

 こうして各隊は自分達の担当する方面への哨戒に向かった。

 

文月「いってらっしゃ〜い♪」ノシ

松風「気をつけてな〜」ノシ

 

 二人が手を振ると各隊はそれに笑顔で敬礼して応える。

 そして夕張隊は空母組が来るのを待った。

 

松風「文ちゃん、ちょっと訊いていいかい?」

文月「なぁに?」

松風「ずっと気になってたんだけどさ、その手に持ってるデジカメはなんだい?」

 

 松風が指摘したように、文月は手にデジカメを握りしめていた。

 そんな松風の質問に対して、文月はニコニコするだけ。

 小首を傾げていると夕張が文月の代わりに答える。

 

夕張「撮影用よ、撮影用♪」

松風「撮影……?」

文月「えへへ〜、昨日ね、皐月ちゃん達から聞いたんだけど〜、ここの海域でイルカさんの群れを見たんだって〜♪」

松風「あ〜、それでイルカを撮影するのに持ってきたんだ?」

 

 松風の言葉に文月は「うん♪」と満面の笑みで頷いた。

 

夕張「提督も撮影する許可はくれたからね♪」

文月「見つけたら撮る〜♪」

松風「はは、見つかるといいな」クスッ

 

 そんな話をしていると、上空を味方機が悠然と飛んでやってくる。

 

鳳翔「お待たせしました、皆さん。鳳翔、只今合流致しました」ニコッ

龍驤「待たせたな〜♪ うちも合流やで〜♪」ノシ

 

 無事に鳳翔達も合流したことで夕張隊も本来の任務を開始する。ただ文月はイルカの群れも探すという任務も遂行するのだった。

 

 

 その頃、天龍隊ーー

 

島風「異常な〜し♪」

アイオワ「こっちも異常無いわ♪」

 

 島風とアイオワは手を繋いで仲良くそう報告するが、

 

叢雲「あんたらね〜……少しは離れてやりなさいよ。哨戒の意味がないでしょ」ニガワライ

 

 叢雲は二人に苦言を呈した。何しろは二人は哨戒中でもハグをしたりされたりでとても落ち着きがないから。

それでも二人のフォローをちゃんとしているのが叢雲である。

 

天龍「まぁ敵も潜伏してなさそうだし、いいんじゃねぇの? アイオワなんてオレらよりもでっけえソナーや電探積んでんだし」

叢雲「それはそうだけど……」ムムム

 

 普段から真面目……この場合は不器用と言ってもいいだろう。二人のように任務を進めることは出来ない叢雲にとって、二人の任務に対する態度はつい気になってしまうのだ。

 

島風「叢雲もアイオワお姉ちゃんにぎゅうってされたいの?」

叢雲「え」

アイオワ「Oh,really? 気付かなかったわ♪」ムギューッ

叢雲「ちょ、ちょっと……////」

アイオワ「ハグはいいわよ♪」

島風「気持ちいいよね〜♪」

叢雲「気持ちいいとかじゃなくて!////」

天龍「お〜い、そろそろ次のとこへ行くぞ〜」

叢雲「なら早く止めさせなさいよ!?////」

 

 そう叫ぶ叢雲だが、アイオワが離れると少し寂しい気持ちになったのは秘密。

 

 

 同じ頃、龍田隊ーー

 

曙「龍田さ〜ん、異常無かったわよ」

初月「僕のところも問題無かった」ニコッ

龍田「は〜い♪ ウォースパイトさんの方はどうですか?」

ウォスパ「これといった異常は無いわ。あるとしたら、曙の下かしら」フフ

 

曙「は? いったい何gーー」

 

 いったい何があるのよ……と言おうとした矢先。

 海面から大きな物体が浮かび、高らかに海水が噴き上がった。

 

曙「はぁ!?」ビクッ

 

ウォスパ「Whaleよ♪」ニコッ

初月「鯨か、でも小さいなぁ……」オォー

 

曙「小さいなぁ……じゃないわよ! というか、出て来そうならそう言いなさいよ! ずぶ濡れになっちゃったじゃない!」

ウォスパ「Sorry……ごめんなさい。まさか息継ぎするとは思わなかったの」ニガワライ

 

 ウォースパイトは曙に謝りながら持ってきたハンカチで曙の顔を拭くが、

 

龍田「あ」

 

 今度は更に大きな鯨が海水を噴き出した。それにより今度はウォースパイトも水をかぶってしまう。

 

初月「親子だったみたいだな」ニガワライ

龍田「ある意味で凄い光景ね〜」クスクス

 

曙「ぐぬぬぬ〜!」ワナワナ

ウォスパ「動物に怒っても仕方ないわ」ニガワライ

曙「分かってる……分かってるけど〜……」プルプル

 

初月「ほら、提督の写真を見て落ち着け」つ写真

龍田「リラックスリラックス〜♪」

曙「落ち着けるか〜!////」ウガー!

ウォスパ(でもちゃんと見てるのよね〜)クスクス

 

 こうして警備任務ではあるがみんなそれぞれ任務を全うし、最後は艦隊の凱旋を迎えることが出来た。

 

 因みに文月はバッチリとイルカの群れの写真を撮ることが出来、二重の喜びに満たされたとかーー。




今日は叢雲ちゃんと島風ちゃんの竣工日なので、二人を登場させたほのぼのな回にしました!
二人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました♪


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艦これSS改109話

長門型戦艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定、ガムシロップ二つほど含みます。


 

 ○○鎮守府、一三〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「長門、この書類の整理を頼む」

 

 提督はそう言って本日秘書艦である長門の机に書類の山を置く。

 

長門「任せておけ♡」ニパー

 

 そんな書類の山を前にしても長門は提督と一緒にいられるだけでニッコニコ状態だ。

 

 当鎮守府は大規模作戦を完遂し、今は残存勢力の掃討に励んでいる。

 そして提督は大規模作戦を完遂したことにより、前線での指揮ではなく溜まった書類をバリバリこなしていた。

 

 地味な執務だが、その執務のひとつひとつが艦隊の戦果となり、みんなの努力が報われるため、提督は相も変わらずみんなのためにと仕事している。

 

長門(やはり提督の役に立てるというのは胸が熱くなるな♡)

 

 そんな提督の仕事風景を横目で見つつ、長門は思わず頬が緩む。

 

 今作戦では主に支援艦隊での出撃ばかりだった長門。

艦だった頃の誉れ高い働きが出来ずに作戦を終えてしまったため、長門としてはそのことが少し引っ掛かっていた。

 なのでこうして秘書艦として、作戦後の提督の執務を手伝えるのは長門にとってとても嬉しいのだ。

 

長門(提督の仕事が少しでも捗るように頑張ろう!♡)

 

 そう意気込んだと同時に、執務室のドアがノックされる。

 提督がいつものように「入りなさい」と声をかけると、ガチャリと開いたドアから大和と伊勢が入ってきた。

 

提督「おぉ、大和に伊勢。二人揃ってどうした?」

 

大和「大和、午後からは予定が無いので提督と長門のお手伝いに来ました♡」ニッコリ

伊勢「私も大和と同じ理由よ♡ 何か手伝えることない?♡」ニコニコ

 

 二人の申し出に提督は「それはありがたい」と返すが、

 

長門(むむむ……せっかく提督と二人きりだったと言うのに……)グヌヌ

 

 長門は少し二人の厚意を迷惑そうに思っていた。

 しかし人の厚意を無下にするのは心苦しいので、思っているだけで口にはしない。

 

提督「では大和はこの書類を大淀へ提出してきてほしい」

大和「分かりました♡」

提督「伊勢は工廠でこの資材通りに艤装の開発を頼みたい」

伊勢「了解、任せて♡」

 

 提督に仕事を貰った大和と伊勢は意気揚々と目的の場所へと向かった。

 

長門(やった♡ また提督と二人きりだ♡)

 

 そんな中、長門だけはまた巡ってきたシチュエーションに胸を熱くさせる。

 しかし長門はふと思った。

 

 こうしてバリバリ仕事をする提督はいつも通りだが、自分とは違って提督は任務完遂まで前線に赴き、艦隊を指揮していた。

 

 そう、提督はずっと働き通しなのだ。

 無理をしているつもりはなくても疲労は確実に溜まるもの。

もし提督が倒れでもすれば……と考えてしまった長門は背筋が凍るような、そんな感覚を感じた。

 

長門「……提督よ、少しいいか?」

提督「ん? どうした、長門?」

長門「なんだ、その……疲れていないか?」

提督「???」

 

 長門の唐突な質問に提督は思わず目をパチクリさせてしまう。

 それでも提督は「大丈夫だ」と言うように長門へ笑みを返した。

 

長門(うぅ〜、提督なら気を遣って大丈夫と答えると理解していながら、私は……!)

 

 提督はこういう人間だと重々理解していた長門だったが、緊張していたので抜けていた。しかし冷静さを取り戻した長門は、もう一度提督に声をかける。

 

長門「な、なぁ提督」

提督「む?」

長門「最近は提督も前線での指揮だったり、艦娘達のケアだったりで大変だっただろう? そこでどうだろう、大和達が戻るまで私が膝を貸すというのは?」

提督「しかしーー」

 

 気持ちだけ受け取っておく……そう言おとした提督だったが言えなかった。何故ならキラキラした長門が既にソファーで待機中だったから。

 

提督「ーーならば、少しだけその膝を借りるとしよう」スッ

 

 流石の提督もキラキラした長門の瞳を曇らせたくないため、素直に長門の元へと歩み寄った。

 

提督「では、少しばかり失礼するよ」ニコッ

長門「あぁ、来るがいい♡」オヒザポンポン

 

 長門がそう言うと、提督は軍帽を脱いで長門の膝に頭を預け、ゴロンと横になる。

 愛しい提督の体温と重みを受ける長門は思わず口からLOVEを垂れ流しそうになるのをグッと堪え、提督の髪を梳くように優しく撫でた。

 

長門「どうだ、膝枕は?♡ 鍛えてはいるが、寝難くはないだろう?♡」ナデナデ

提督「文句なんてないさ。ありがとう、長門」ニコッ

長門「っ……ま、まぁ私と提督の仲だ♡//// ここ、これくらいはにゃ♡////」ニヨニヨ

 

 至近距離からの提督の爽やかスマイルが直撃した長門は、ついつい破顔してしまった。そしてそれと同時に口から大量のLOVEが込み上げてくる。

 

提督「こうして横になってみると、体がずっしりしているのが分かる……自分で思っていた以上に疲れていたようだ」

長門「体調管理はしっかりしないと駄目だじょ♡//// 提督が倒れでもしたら大変なんだからにゃ♡////」ジュルリ

 

 提督の言葉にしっかりと言葉を返す長門。しかし口から溢れ出るLOVEを拭きながらなので、若干語尾が不安定になっている。

 

 それから暫くすると提督はドア付近に何やら冷たい何かを感じた。

 その先へ視線を移すと、

 

伊勢「(๑óωò๑)」ズルイー

大和「(#ӦдӦ#)」ゴゴゴゴゴ

 

 大和達がドアから顔だけを出して提督達を眺めていたのだ。

 長門は提督に夢中で気がついてないが、気がついた提督は長門へ声をかけることにした。

 

提督「長門……」

長門「どうした?♡ 眠たくにゃったにょか?♡」フキフキ

提督「いや、そうではない……と言うより長門、どうしてそんなに口元を拭いているんだ?」

長門「何、気にするにゃ♡ ちょっと口元が汚れたから拭いているだけだじょ♡」ゴシゴシ

提督「拭き過ぎて赤くなっているように見えるんだが……」

長門「らいじょうぶ、らいじょうぶ♡////」ジュルリ

 

大・伊『長門!』

 

 我慢の限界を迎えたのか、二人がドアを破壊する勢いで入ってきた。

 

 しかし長門は「ふぇ?////」と変な声をあげ、ふにゃふにゃになった顔のまま大和達の存在を確認すると、

 

長門「な、なんだ、戻ってきてたのか……////」カァー

 

 先程までとは違い、羞恥で顔を真っ赤に染めた。 

 

大和「提督〜、お疲れでしたら大和の膝をお貸しします!」

伊勢「大和!? 抜け駆けする気!?」

提督「まあまあ落ち着きなさい。長門が私の身を案じてくれてのことなんだ……二人が帰ってくるまでの約束だから、もう起きるよ」

 

 そう言って体を起こそうとした提督だったが、大和や伊勢も膝枕をしたくて半ば強制的に提督は二人に膝枕をされるのだったーー。




今回はほのぼの回って感じに書きました!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改110話

祥鳳型軽空母メイン。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 空母寮、祥鳳型姉妹部屋ーー

 

祥鳳「…………」ペラッ

 

 本日は静養日である祥鳳は部屋で座椅子に腰掛けて、テーブルに置いてあった雑誌をめくっていた。

 因みに同じく静養日の瑞鳳は酒保へ買い物に行っている。

 

 祥鳳が見ている雑誌は瑞鳳が買ってきたもので、タイトルは『うちのペット』というペット雑誌。

 内容は犬や猫といったペットの飼い主達が撮った写真やペットの最新のしつけ方や飼い方、ブリーダーの対談といったものが掲載されている。

 

祥鳳「コーギーとか可愛いわね……。あ、こっちのボーダーコリーの子も可愛い〜♪」

 

 どちらかといえば犬派の祥鳳は可愛い犬達の写真を見て癒やされ中。

 

祥鳳「でもやっぱり柴犬や秋田犬が一番可愛いわね〜……ふふっ、この子笑ってるみたいで可愛いわ♪」

 

 ガチャーー

 

瑞鳳「ただいま〜っと」

龍驤「邪魔するで〜」ノシ

祥鳳「あら、おかえり、瑞鳳。龍驤さんもいらっしゃい」ニコッ

 

 そこに瑞鳳が龍驤と共に帰ってきた。龍驤は元々今日は休みなのでどこかで一緒になったのだろう。

 祥鳳の言葉に二人は「ただいま〜♪」と返し、テーブルにビニール袋を置くと祥鳳の両サイドに腰を下ろした。

 

瑞鳳「祥鳳が雑誌読むなんて珍しいね? なんか気になる写真でもあった?」

祥鳳「暇だったからふと広げただけ。でもどの写真も可愛いわ」フフフ

龍驤「ほぇ〜、ならうちも見てみるか〜。今日は特にやることもあらへんからな♪」

 

 龍驤がそう言うと祥鳳は「えぇ♪」と頷いて、そのままみんなで雑誌を眺めることになった。

 

龍驤「セントバーナードってホンマでかいな〜。睦月とかなら乗れそうな勢いやんか……」

祥鳳「確かに……でも超大型犬って安心感とか抱き心地とか良さそうだけど、よだれとかも凄いイメージなのよね」ニガワライ

龍驤「それはしゃあないやろ〜? 生きてんねんから」ニガワライ

瑞鳳「犬はよだれで体温調節するからね〜、そこら辺は了承してあげなきゃ」ニガワライ

龍驤「犬ってよだれで体温調節するん?」

 

 龍驤が瑞鳳の言葉に素朴な疑問をぶつけると、祥鳳も同じように「どうなの?」といった表情を浮かべる。

 

瑞鳳「そうだよ♪ 犬は人間みたいに皮膚から汗を掻かないから、よだれで体温や水分量の調節をしてるんだって♪」

 

 瑞鳳の説明に二人は「なるほど〜」と頷き、また雑誌に目をやった。

 

龍驤「お、こいつチャウチャウちゃう?」

祥鳳「え?」

瑞鳳「へ?」

 

 龍驤の言葉に二人は思わず訊き返してしまった。何しろ「ちゃうちゃうちゃう」と言われれば大概の人は二人と同じ反応をするはず。

 

龍驤「だからこの犬、チャウチャウちゃうんか?」

 

 ここで祥鳳達はようやく龍驤の言葉の意味を理解した。

 

瑞鳳「そういうことか〜、チャウチャウに似てるけど、この子はチャウチャウちゃうよ♪」

 

 先程の龍驤のセリフが面白くて瑞鳳がわざとそう返すと、

 

祥鳳「えぇ〜、チャウチャウちゃうの?♪」

 

 珍しく祥鳳もこれに乗った。それほどまでに二人にとってはヒットした模様。

 

龍驤「なんや二人して、馬鹿にされてる気分やわ」ニガワライ

瑞鳳「でも楽しいよ?」クスクス

祥鳳「ね〜?」フフフ

龍驤「……まぁおもろいならええわ。それより本当にこいつチャウチャウちゃうん? めっちゃ顔がへちゃむくれとるけど……」

瑞鳳「へちゃむくれって……この子はチャウチャウと柴犬のミックスだよ?」

祥鳳「体の毛が短いのはそういうことだったのね」フムフム

 

龍驤「なるほどな〜……てか、隣の写真の犬はモップそのものやんけ♪」ケラケラ

祥鳳「本当、この子の隣にモップが置いてあるけどそっくり」クスクス

瑞鳳「この犬はコモンドールね。毛を短めにすると大きなテリアみたいになるんだよ♪」

龍驤「よう知っとるな〜」

瑞鳳「ここに書いてあるし、短くした時の写真も小さいけど載ってるよ?」ユビサシ

龍驤「ホンマや!」ビックリ

祥鳳「本当に大きなテリアみたい……可愛い♪」フフフ

 

 すると龍驤がふとした疑問を祥鳳と瑞鳳の二人に質問する。

 

龍驤「二人はもし飼うならどんな犬がいいん?」

祥鳳「私は柴犬とか秋田犬かしら……。ザ・犬って感じがいいから」

瑞鳳「私は超大型犬かな〜。ハスキーとかシェパードでもいいな」ニコニコ

龍驤「へぇ〜、祥鳳のは分かるけど、瑞鳳のは意外やな〜。てっきりチワワとか小型犬かと思ったわ」

瑞鳳「小型犬も好きだけどね〜。やっぱり大きい方が迫力あるじゃん?」

祥鳳「でもお散歩で引きずられちゃいそうじゃない?」

瑞鳳「そうならないようにちゃんとしつけるもん。誰がリーダーなのかはちゃんと教えないとね」ウンウン

龍驤(犬に主導権取られそうに思えてしゃあないわ……言わへんけど)

 

祥鳳「龍驤さんならどんな犬がいいんですか? 犬じゃなくてもいいですよ」ニコッ

龍驤「うち? うちは……う〜ん……」

 

 祥鳳の質問に龍驤は思わず考え込んでしまった。

 龍驤はする想像も現実的なので自分が本当に飼うことを想像し、どんなペットなら飼えるのかを真剣に考えるからだ。

 

龍驤「まずは保健所で引き取ってくるやろ? そんでまずは獣医に見せて、必要なものを買って……いや、それよりまずは名前やな。名前は……」ブツブツ

 

 考えていることが自然と口に出る龍驤。

 そんな龍驤の想像に祥鳳も瑞鳳も思わず苦笑いを浮かべる。

 

龍驤「外で飼うか家ん中で飼うかでも色々ちゃうしな〜……」ブツブツ

 

瑞鳳「祥鳳、酒保で板チョコ買ってきたんだけど、食べるぅ?」

祥鳳「え、えぇ……でもいいの?」

瑞鳳「うん、いいよ♪」

祥鳳「板チョコのことじゃなくて、龍驤さんのことよ」ニガワライ

瑞鳳「あぁ、龍驤? 大丈夫大丈夫、一通り考えがまとまるとちゃんと説明始めるから♪」

 

 こうして龍驤の考えがまとまるまで祥鳳と瑞鳳はお茶をするのだった。

 それから暫くして、龍驤は保健所で子犬を引き取り、その子犬を『ポチ(仮)』と付け、獣医に診せ、必要なものを買い、家の中で育てる……と事細かく熱く説明したが、

 

龍驤「そもそもペットを飼うなんてせんけどな♪」ナハハ

 

 と笑い飛ばしたそうなーー。




今日はほのぼの回です♪
チャウチャウちゃう……というフレーズを入れたかっただけだったのは秘密。←

ともあれ、読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改111話

大切な君の特別な日。の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一八〇〇ーー

 

 鎮守府本館、一階フロアーー

 

電「響お姉ちゃん、歩き難いのですぅ」ヨロヨロ

響「ごめん、電。でも今日は……今日だけは電から離れたくないんだ」ギューッ

 

 フロアへ入ってきた暁型姉妹達。その中でも電の左腕をガッチリと抱えて離れようとしない響。

 そんな二人を暁と雷は苦笑いを浮かべて眺めるしか出来ない。

 

電「ここは陸ですし、鎮守府の中だから心配しなくても大丈夫なのです」ニガワライ

響「ごめん、電。今日だけは私のわがままを聞いてほしい」

電「響お姉ちゃんが電の妹になったみたいなのです♪」

響「ならこの日だけは私は電の妹になろう」

 

 響の言葉に電は「響お姉ちゃんは響お姉ちゃんなのですぅ〜!」とアタフタさせられた。

 

 どうして響がこんなにも電から離れようとしないのかというと、今日は電が船団護衛中にセレベス海西部でアメリカ潜水艦の雷撃を受け沈没してしまった日だから。

 

 一九四四年・五月十四日。

 当時の駆逐艦『電』はガダルカナル島やキスカ島、トラック泊地、そして本土との輸送任務に明け暮れ、激務をこなしていた。

 

 そしてこの日も電は姉である『響』と共に『ヒ六一船団』の護衛を遂行していた。

 道中で三隻の輸送船は第一機動部隊への補給のため、電と響がその三隻を護衛し、マニラ湾へと寄港。

 マニラを出港後、電、響と輸送船三隻はバリクパパンへ向かうこととなった。編成は先頭に響、続いて電という並び。

 

 一方、その船団を狙う影があった。

 その影の正体はアメリカ潜水艦『ボーンフィッシュ』。

 ボーンフィッシュはその狙いを三隻目の輸送船へ定め、五本の魚雷を発射。因みに六本目は故障により発射出来なかったと記録が残っている。

 

 その時、電は響と先頭を交代することになり、電、響の並びとなっていた。

 それはボーンフィッシュの魚雷が到達する、わずか三〇分前のことだった。

 

 そして電に突如として激震が走る。

 艦中部と後部に一本ずつの魚雷を受けた電は急速に右舷に傾き、そして二つに分断され、被雷からたった二分後には沈没してしまい、あっという間のことで響もボーンフィッシュを見つけることが出来ず、電の乗組員の半分以上である一六九名が電と運命を共にしたのだった。

 

 それは同日の未明に起こったことで、鎮守府では提督を中心に早朝から埠頭で多くの者が黙祷を捧げた。

 去年も同じように黙祷を捧げ、そして響も去年同様、電にくっついて離れようとしない。

 

 響にとって目の前で沈んでいった妹が心配で、この日だけは電から目を離そうとはしないのだ。

 

暁「響〜、気持ちは分かるけど、司令官の前では手を繋ぐくらいにしてよね?」

雷「そうよ〜? それに電は今日は特に司令官とくっつきたいんだから♪」

 

 雷がそう言って電に「ね〜?♪」と声をかけると、電は顔を真っ赤にしてそっぽを向く。

 

響「それは重々承知してるさ。今日は電の日だからね。司令官だって電と過ごしたいから、こうして夕飯に電と私達も呼んでくれたんだろう?」

暁「電は初期艦だから司令官も今日は特に電に優しいもんね〜。羨ましいわ」ムゥ

雷「拗ねない拗ねない。れでーが聞いて呆れるわよ?」フフリ

暁「暁はレディよ!」プンスカ

響「はいはい、レディレディ〜」

暁「(≧д≦)」ムキーッ

電「まあまあ、暁お姉ちゃん」ドォドォ

 

 そんなこんなで電達は提督が待つ執務室へ向かうのだった。

 

 

 執務室ーー

 

電「失礼します」

暁・響・雷『失礼しま〜す』

 

提督「おぉ、よく来てくれた。誘ったのは私の方なのに迎えへ行けず、来てもらって申し訳ない」

 

 執務室へ入ると、提督が笑顔で電達を迎えた。

 

電「いえ、お心遣いだけでも嬉しいです。司令官さんは今の時期はお忙しいのに……」

提督「何を言う、私と電の仲じゃないか。今この書類が片付くから、そうしたら食堂でも鳳翔のところでも好きなところで私がご馳走するよ」ニッコリ

 

 勿論、暁達にもな。と提督が付け加えると、それだけで暁達は胸がキューンと高鳴る。

 

雷「相変わらず素敵ね♡」ヒソ

響「それが私の司令官さ♡」ヒソヒソ

暁「響のじゃなくて、()()()司令官よ!////

電「なのです!////」コクコク

 

提督「?」

 

 暁達の反応に提督は首を傾げるが、みんな揃って「何でもない」と言った感じに笑ったので、提督はそれ以上きにしないようにして書類に目をやった。

 その間、みんなはソファーに座り、提督が書類を片付けるのを待つことに。

 

提督「あぁ、そうだ、待っている間は暇だろう。これを貸してあげよう」

 

 そう言って提督は引き出しからA4サイズの本を出した。

 透かさず雷がそれを受け取りに行って中を確認すると、

 

雷「わっ! これ司令官が着任した頃のアルバムだわ!」

 

 雷の言葉に他の三人もわっと集まる。

 

暁「ホントだわ! まだ司令官と電だけしかいない!」

響「鎮守府の正門で二人きりで記念撮影とか、羨まし過ぎる」グヌヌ

雷「こっちなんてお姫様抱っこで撮ってる〜!」ズルーイ!

電「はわわ、そんなに見ちゃダメなのです〜!////」

 (妖精さんに撮られてたなんて知らなかったのですぅ////)

 

 姉三人に二人きりのハートフルメモリーを覗かれる電は、思わず提督に「どうしてこんなアルバム出すんですか!////」と怒ったように抗議してしまった。

 

 しかし、

 

提督「何も恥ずべきことはない。これは私と電が歩んだ素敵な思い出の数々なのだからな」

 

 と平然と返されてしまい、それもとても嬉しい言葉だったので電は顔を真っ赤にして、両足をバタバタさせるしか出来なかった。

 

 そして終いには、

 

電「今日は恥ずかしい思いをさせられたので、食堂でフルーツパフェいっぱい食べちゃうのです〜!////」

 

 とそれはそれは可愛いを宣言した。

 この電の天使とも思える抗議に、提督や暁達はほっこりと和み、自然に電の頭を撫でるのだった。

 

 その後はみんなで食堂に向かい、電は大好きな提督や暁達と楽しい食卓を囲み、今日と言う日を笑顔で終えたーー。




今日は本編に書きました通り電ちゃんの特別な日です。
本編に書きました情報はWikipedia、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

この日に沈んでしまった駆逐艦『電』とその電と運命を共にした多くの英霊の方々に心からお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改112話

駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、天使、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「………………」カリカリ

加賀「………………」テキパキ

 

 夜中から降り続く雨模様の今日。提督は艦隊運用はそこそこに、午後から艦隊へ休息の時間を与えた。

 現在実施されている大規模作戦の任務を達成後も、艦隊はその残存勢力の掃討に励んでくれていたので、提督はここいらで休息を与えようと決めたからだ。

 

 そんな中、提督は一人で書類を片付けようとしていたが、本日秘書艦任務に就いている加賀が手伝ってくれている。

 提督は加賀にも休むように言ったが加賀はそれを拒否。加賀としては提督の側にいる方が何よりも大切なことである上、提督に無理をさせまいという気持ちもあるからだ。

 

加賀「…………提督、ここに計算の間違いがあります」

提督「どれ……おぉ、これは失礼。今直そう」

 

 加賀の指摘に提督はそう言って(うさぎちゃんの)修正ペンで直し始めた。

 

加賀(あら可愛い……♡)キュン

  「…………」ジーッ

提督「? あぁ、これは卯月から貰ってな。使わないのも悪いから使っているんだ」

加賀「いいと思います♡」

  (ギャップ萌を感じるわ♡)

 

 提督とどこか和やかなムードになれた加賀。

 加賀はいつまでもこういう風に時が過ぎればいいのに……と内心思いながら、修正された書類を受け取り、秘書机へ戻った。

 

 トントントンーー

 

加賀「?」

 

 するとドアがノックされた。

 

提督「誰か来たようだ。入りなさい」

 

 提督がドアの向こうへ声をかけると、

 

卯月「出まして来ましてジャジャジャジャ〜ン♪ 卯月で〜す♪」

菊月「もっと普通に言えないのか、ったく……邪魔するぞ」ノシ

清霜「失礼しま〜す♪」

早霜「失礼します」ペコリ

 

 卯月達がそれぞれカゴを持って入室してきた。

 

提督「手荷物なんて持って、どうかしたのか?」

 

 提督の問いに卯月や清霜はニコニコしながら「どうもしないよ♪」と首を横に振る。

 

菊月「明石に頼まれてな。ちょっとしたバイトだ」

早霜「酒保のお菓子やなんかを訪問販売してるんです」ニコッ

 

加賀「訪問販売、ですか?」

卯月「そうだぴょん♪ 今日は雨でみんな酒保に行くのがおっくうになってるぴょん!」

清霜「だからそんな人のために訪問販売してるんだ〜♪」

菊月「報酬はお菓子の詰め放題だ」キラキラ

提督「なるほどな……もう寮や工廠の方は回ってきたのか?」

早霜「はい。司令官なら先ずは艦隊のみんなを優先すると思いましたので、心苦しいですが執務室を最後にしました」

提督「そうか。しかしそれでいい。私の考えを汲んでくれてありがとう」ニコッ

 

 早霜の答えに提督はそう言ったあとで、卯月達の頭を優しく撫でる。するとみんなは「えへへ♪」と嬉しそうに笑みをこぼした。

 

菊月「って……んんっ、と、とにかく、そういう訳で来たんだ////」←我に返る

清霜「余り物になっちゃったけど、見てみて♪」

提督「あぁ、いいぞ。加賀、という訳だから休憩にしよう」

加賀「了解しました」ニッコリ

 

 するとみんなはそれぞれ持っているカゴに掛けてある布を取ると、そこにはお菓子だけでなくカップ麺やラムネといった物も入っていた。

 

卯月「余り物には福があるぴょん♪」ニッシッシー

提督「確かにそうだな♪」ナデナデ

早霜「…………」ニガワライ

 

加賀「カップ麺も持って行ったのね」フムフム

清霜「武蔵さんとか買ったよ♪」

加賀「そう……というより、おやつにカップ麺を食べる人がいるというのも不思ーー」

 

 その時、加賀の脳裏にとある人物の顔が浮かんだ。

 

○○『おやつのカップ麺は至高ですね〜♪』ズルズル

 

 それは相方である例の赤であった。

 

加賀「ーー議という程でもないわね」ウンウン

菊月「なんだ、今の変な言い回しは?」

加賀「気にしないで。それよりサーターアンダギーにちんすこう、紅芋タルト、塩バニラタルト……随分と沖縄色の強いライナップね」

提督「今日は沖縄復帰記念日だから、それに因んでのことだろうな」

早霜「はい。この日のために明石さんが取り寄せていたみたいです」

加賀「だから訪問販売までしようと考えたのね……では、サーターアンダギーをください」

卯月「は〜い♪ 何個欲しいぴょん? 買い占めちゃうぴょん?」

加賀「三個でいいです」

卯月「ちぇ〜」

早霜(それでもソフトボールくらいの三個食べちゃうのね)サスガ

 

提督「なら残りのお菓子は全て私がもらおう」

清霜「えっ!? 司令官、そんなに食べちゃうの!?」

菊月「馬鹿者。司令官がいっぺんに食べるはずがないだろ…………ないよな?」

 

 つい不安になった菊月がそう訊き返すと、提督はしっかりと「ない」と返した。

 

提督「残りと言っても数はそうでもない。執務室で食べるおやつ用にするために買うんだ」

清霜「あ〜、そっか♪ じゃあ今カゴから出すね〜♪」

早霜「私はお会計しますね」ニコッ

 

卯月「加賀さんのは三百円だぴょん♪」

提督「ついでだから私が出そう」

加賀「え」

提督「本来はお休みなのに手伝ってくれているお礼だ。三百円では安過ぎるくらいだがな」

加賀「……そうですか、ご馳走様です」

提督「あぁ」ニッコリ

 

 提督の気遣いに加賀はクールに返すが、

 

加賀「♡////」エヘヘ

 

卯月「」ニヤニヤ

菊月「」ジトーッ

早霜「」フフフ

清霜「」ニコニコ

 

 卯月達にニヤけているところをしっかりと見られているのだった。

 

提督「確か訪問販売は執務室で終わりだったな?」

卯月「そうだぴょん♪」

提督「ならばここで卯月達も休憩するといい。このお菓子も会計が済んだら好きな物を食べていいぞ」ニコッ

卯月「やった〜♪ 司令官は出来る男だぴょ〜ん♪」ギューッ

清霜「司令官、ありがと〜♪」ギューッ

提督「はは、大袈裟だな」ナデナデ

 

菊月「……礼は言っておこう……感謝する////」

提督「あぁ」ニッコリ

 

早霜「司令官、お会計はこちらです」ニコッ

提督「ん、ではこれで頼む」つ諭吉

 

加賀「では私はお茶を淹れて参ります。卯月さん達にはーー」

卯月「うーちゃん、ラムネ〜♪」ピョンピョン

清霜「清霜はコーラ〜♪」ピョンピョン

菊月「私はお茶で大丈夫だ」ノシ

早霜「私もお茶で」ニッコリ

提督「だそうだ」

加賀「了解しました」フフフ

 

 こうして執務室では沖縄のお菓子でささやかなお茶会をし、卯月達は笑顔でお菓子を頬張るのだったーー。




今日は菊月ちゃんの進水日と清霜ちゃんの竣工日なので、二人を登場させた回にしました!

二人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました♪


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艦これSS改113話

妙高型重巡洋艦メイン。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自設定、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一九〇〇ーー

 

 重巡洋艦寮、妙高型姉妹部屋ーー

 

足柄「さぁ、どんどん食べてね♪ じゃんじゃんバリバリ揚げちゃうんだから♪」

 

 エプロン姿の足柄からの威勢良い言葉にその場に集まった者達は元気に返事をし、足柄特製揚げ物パーティはとても盛り上がっていた。

 

 部屋には妙高型姉妹だけでなく、神風型姉妹も一緒だ。

 そして勿論、

 

提督「さぁ羽黒、どれから食べたいんだ?」ニコニコ

羽黒「えっと……じゃ、じゃあ、そこのササミチーズフライをください♡////」エヘヘ

 

 提督も一緒である。

 

 本日、五月十六日は羽黒にとって特別な日。

 だから提督や姉妹、戦友代表で神風型姉妹が羽黒のためにパーティを開いたのだ。

 

 一九四五年・同日。この日の夜、マラッカ海峡内にあるペナン島沖で日本海軍はイギリス海軍との間で日本海軍最後の水上戦となった『ペナン島沖海戦』が勃発。

 重巡洋艦『羽黒』はこの海戦でイギリス駆逐艦『ヴィジラント』・『ヴィーナス』・『ヴィラーゴ』・『ヴェルラム』・『ソーマレス』からなる駆逐隊の集中砲火により沈没してしまったのだ。

 

 この時の情勢は第二次世界大戦が終結し、ドイツを下したイギリスが太平洋戦争へ戦力を集中しはじめました頃の出来事だった。

 それに備えて兵員を輸送している時、羽黒は既にイギリス潜水艦『ステイツマン』と『サトル』にその動向を察知されていた。

 その場で攻撃はせず、イギリス軍は羽黒を中心とする輸送船団の撃破へ動くことにした。

 

 この時の羽黒は、先の『レイテ沖海戦』での損傷が修復されておらず、燃料も乏しい中、更なる輸送物資の積載重視のために魚雷発射管撤去、弾薬も半分と、最低限の攻撃手段しか持っていないという状態だった。

 そんな中でも羽黒は輸送任務を果たそうと、なんとか監視するイギリス軍を撹乱。共に任務に就いていた駆逐艦『神風』も煙幕を張って羽黒を隠そうとするもレーダーの前では意味をなさなかった。陽動に釣られる気配がないと分かると、羽黒は作戦を中止してシンガポールへ引き返すことを決めた。

 

 しかし辺りが暗くなった時、それを契機として突撃してきたのが、イギリス軍水雷戦隊だった。

 いくら優勢とはいえ相手は重巡、しかし夜ならばと、イギリス軍はここまで攻撃を我慢していたのだ。

 

 羽黒は攻撃しようにも辺りは物資だらけで、砲塔の回転すら苦労する悪条件の中で必死に戦うも、魚雷が遂に命中、更には甲板に出ていたドラム缶の燃料が引火して大炎上してしまった。

 

 しかし羽黒はそれでも攻撃を止めなかった。

 総員退去命令が出されたが、殆どの乗員は命令を無視。二度目の被雷によって遂に電源が停止するも、それでも高角砲を人力で動かし、主砲からは砲弾がひっきりなしに放たれた。

 

 炎に包まれた羽黒は停止してから一時間ものあいだ奮戦するも、四度目の被雷によって徐々に艦首を沈めていった。

 日付が変わった真夜中、退避していた神風が羽黒の生存者達を救助し、羽黒の奮戦ぶりは「阿修羅の如し」と記録された。

 

 羽黒や姉達、そして神風にとって辛い日ではあるものの、羽黒はみんなからの気持ちや提督の心遣いで今日という日も笑顔で過ごすことが出来ている。

 

 すると、

 

神風「あ、あの、羽黒さん……////」モジモジ

 

 可愛らしいハート型の白いエプロン姿の神風が羽黒の元へやってきた。

 

羽黒「どうしたの、神風ちゃん?」

神風「えっと……そのぉ、わ、私も足柄さんに教わって揚げ物を作ったんですけど……食べてくれますか?////」

羽黒「勿論♪ 神風ちゃんの手料理食べたいなぁ」ニコッ

神風「。.:*・'(*°ω°*)'・*:.。」パァ

 

足柄「羽黒に食べさせたいんだって、頑張って揚げたのよ?」ニシシ

妙高「心して食べなくてはいけないわね」フフフ

那智「これは下手な世辞も言えないな」フッ

羽黒「しっかりと頂きます!」フンス

神風「そ、そんなにハードル上げないでください!////」

 

 神風がそう声を張り上げると、

 

朝風「神風姉、もしかして自信ないの〜?」ニヤニヤ

松風「いつもの姉貴風はどこにいったやら」フフフ

春風「いつものようにしゃんとなさってください」クスクス

 

 妹達にもヤジを飛ばされてしまった。

 そのせいで神風は「うぅぅぅ〜……////」と俯いてしまったが、

 

神風「っし! 女は度胸よ!」

 

 すぐに気合を入れ直し、羽黒の前に揚げたての揚げ物が乗ったお皿を置いた。

 

神風「肉じゃら……あぅ……肉じゃがコロッケです!//// 食べてください!////」カオマッカ

 

 盛大に言葉を噛んだ神風だが、そのことを誰も笑うことなく羽黒は「頂きます♪」と丁寧に両手を合わせて神風特製「肉じゃがコロッケ」を一口食べる。

 サクッとした衣が小気味よい音を出し、肉じゃがのほんのりと甘い香りが口いっぱいに広がった。

 

羽黒「…………」サクサク

神風「…………////」ドキドキ

羽黒「ごくん……美味しい」

神風「え」

羽黒「美味しい! すっごく美味しいよ、神風ちゃん!」ニッコリ

神風「本当、ですか?」オズオズ

羽黒「うん♪ 肉じゃがの味もちゃんと残ってて、本当に美味しいよ♪」

 

 羽黒は神風にそう言って神風が作ったコロッケをまた口に含んで、美味しそうに顔をほころばせる。

 それを見て、やっと神風は実感が湧いてきた。

 

神風「やった……やった〜♪」ピョンピョン

 

朝風「あはは、良かったわね、神風姉♪」

春風「羽黒さんだけでなく、神風姉様も大喜びですね」フフフ

松風「最初から心配する必要なんてなかったのさ」アハハ

 

妙高「良かったわね、羽黒」ニッコリ

那智「いい光景だな」ウンウン

足柄「今日という日にピッタリの画ね♪」

 

神風「もっと食べますか、羽黒さん?」キラキラ

羽黒「うん、もっと食べたいな」ニッコリ

神風「なら、今持ってきますね!」

 

朝風「神風姉〜、私達の分も〜!」ノシ

松風「慌てて転けるなよ〜!」ノシ

春風「運ぶのお手伝いしますわ」ニコッ

 

提督「…………」フフ

 

 みんなの笑顔あふれる光景を目の当たりにし、提督は思わず微笑んだ。

 そして窓の外へ視線を移すと、月が綺麗に夜空へ浮かんでいた。

 

提督(辛い日であれど、このように過ごせるというのは喜ばしいことだな)

 

神風「司令官! 司令官も私のコロッケ食べて!」ニパー

羽黒「とっても美味しいですよ♪」ニコニコ

提督「あぁ、勿論、頂くよ」アハハ

 

 こうして提督もその笑顔の輪へ加わるのだったーー。




本編に書きました通り、今日は羽黒さんにとって特別な日なのでそのことを書きました。

因みに本編に組み込めなかったのですが、神風の乗員の手記にはこうあります。

「この作戦後、羽黒は浮き砲台になる予定だった。スラバヤ、バタビヤ、ミッドウェー、ソロモン、ブーゲンビル、サイパン、レイテと羽黒は海の勇者とともにあったと思った。単なる鉄の塊でなく、羽黒はしだいに魂を持つようになったと。セレター軍港奥深く着底して、死に体のようになって、朽ち果てることをいさぎよしとしなかったように思われた。生ある者のように、魂ある者のように、青く澄んだ印度洋の海原に躍り出てきたとしか思えなかった。」

妙高型の中でも最も過酷だった重巡洋艦『羽黒』ですが、幸運エピソードも多く、その姿は日本人は勿論、世界にも大きな存在感を示した艦でした。

本編中、後書きの情報はWikipedia「ペナン島沖海戦」ページ、『大日本帝国海軍 所属艦艇』より得ました。

この日に沈んでしまった重巡洋艦『羽黒』と羽黒と運命を共にした英霊の方々に心からのお祈りします。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改114話

川内型軽巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府。二三〇〇ーー

 

 鎮守府本館・屋上ーー

 

神通「…………屋上も異常なし」フゥ

朝潮「はい、異常ありません」

初霜「了解です」カキカキ

 

 今夜の見回り任務を遂行中の三名は、本館の屋上も調べ終えたところ。

 神通達の言葉に初霜は返事をしてからチェック用紙に記入していく。

 

 このチェック用紙は神通が用意した物で、チェック事項はほぼほぼ姉である川内に関してだ。

 夜間の見回りで神通が川内を見つけたら、神通は問答無用で寮へ引きずり戻すことにしている。

 なので川内が隠れそうな場所は全てチェックし、チェックする箇所も増やし、川内が寮外へ出て騒ぎ回るのを阻止しているのだ。

 

朝潮「川内さんが前みたいに夜は騒ぎませんから、見回りも静かになりましたね」フフ

初霜「そうですね。でもちょっと物足りないかも」フフフ

神通「この静かさが普通なのよ。姉さんのうるささに慣れないで」ニガワライ

朝潮「私、初めての見回り任務で川内さんに驚かされて、思わず砲撃してしまいました……」ニガワライ

初霜「あぁ、私も! 砲撃まではしてないけど、急に背後から「わっ!」ってされて、砲身でフルスイングしちゃったの!」

 

 何とも凄い話だが、この鎮守府に長くいる駆逐艦の娘達の中で、もはや川内から驚かされるのは「駆逐艦あるある」になっていた。

 神通は二人に申し訳ない気持ちになると同時に、迎撃されてもイタズラをし続けていた川内に思わず感服してしまった。

 

神通「今は外には出ないから、安心してね。もし出てたらどうなるのかはちゃんと姉さんの脳髄に叩き込んであるから♪」

 

 お花摘みなら別だけど……と神通は爽やかな笑顔で付け加えるが、最初に発せられた言葉のインパクトが強過ぎたため、初霜も朝潮も返事が出来なかった。それは神通の笑顔が少しだけ……ほんの少〜しだけ怖かったから。

 

 すると、朝潮が何かを見つけた。

 

朝潮「あれは……司令官?」

初霜「本当。夜中にどうされたのでしょう?」

 

 初霜も確認し、二人して小首を傾げていると、

 

神通「何かあっては大変です。提督の元へ急行しましょう」

 

 神通が透かさず提督の元へ行こうと提案するのだった。

 

朝潮「ですが、廊下は走るなと司令官が……」

初霜「」コクコク

 

神通「? 何を言っているの? わざわざ館内に戻らずとも、ここから飛び降りた方が早いわ」

朝・初『( ゚д゚)』エ...

神通「二人は出来ない……みたいね」フム

 

 神通はそう言って手を顎に当てて思案する。

 そもそもそんなことが出来るのは貴女や貴女の姉妹達くらいです……と初霜と朝潮が思ったのは秘密。

 

神通「仕方ないわね……私が先陣を切ります。二人は早歩き、または競歩で館内を移動し、あとから合流してください」

初霜「わ、分かりました!」ケイレイ

朝潮「りょ、了解です!」ケイレイ

 

 神通の第二水雷戦隊旗艦オーラに二人は思わず敬礼してしまった。

 すると神通は頷いて屋上から降下。平然と、そしてピタリと着地した神通は今度は乙女オーラ全開で提督の背中を追うのだった。

 

初霜「私達も急ぎましょう!」

朝潮「えぇ、迅速かつ静かに!」

 

 こうして二人も神通、提督を追いかけた。

 

 

 人工浜辺ーー

 

提督「………………」

 

 人工の浜辺までやってきた提督はまだ軍服に身を包んでいたが、第一ボタンは外され、軍帽もしていないラフな着こなしだった。

 

神通「提督」

 

 そんな提督に神通が声をかけると、提督は「おぉ」と少し驚いた表情を見せるもすぐに笑顔を浮かべた。

 

神通「こんな夜更けにどうされたのですか? 早くお休みになられないと、お身体に障ります」

提督「心遣い感謝する。しかし、今はーー」

 

 とその時、

 

朝潮「司令官、神通さん……」フゥフゥ

初霜「た、只今参じました……」ハァハァ

 

 息切れした二人が提督と神通に合流した。

 

提督「だ、大丈夫か? どうしたというんだ、そんなに息を切らせて?」

神通「提督が夜更けに外を出歩いていたからです」

提督「そうか……心配を掛けて申し訳ない」

 

 神通の言葉に提督が朝潮達に謝罪すると、二人は「謝らないでください」とアタフタしてしまう。

 

神通「提督?」ニッコリ

提督「うむ……心配してくれて、ありがとう」ニコッ

 

 神通に諭された提督が今度はお礼を述べると、初霜も朝潮も笑顔で「はい♪」と返事をした。

 

神通「それで、先程の続きをお聞かせくださいますか?」

提督「……そうだなぁ。見た方が早いかもしれない」

三人『?』クビカシゲ

 

 提督の言葉に三人は同様の表情を浮かべる中、提督は海の方を指差した。

 三人はその方向を見ると、思わず「わぁ〜」と声を揃えてあげた。

 

 提督が指を指した浜辺からの海には、月明かりに照らされる海面とは別に青く光る物がチラホラと見えている。

 それは今頃から夏に掛けて青く発光するウミホタルだった。

 

提督「まさかここにまで少ないながらも、ウミホタルが来ていたんでな」フフ

朝潮「綺麗……」キラキラ

初霜「まるで夜空みたい……」キラキラ

神通「これを見にいらしたのですね……」

  (提督とこんなロマンチックな光景を見ることが出来て幸せ……♡)

 

提督「夕暮れ時に執務室の窓からふと見えたのを思い出してな。こうして見に来たんだ」

神通「なるほど……これは見に来てしまいますね♡」

 

 神通はこのロマンチックなシチュエーションに加えて提督の存在があるため、もうメロメロ状態。

 一方の初霜や朝潮は目を輝かせながら少数でも集まったウミホタルを眺めている。

 

朝潮「これ、妹達や他の皆さんにも見せたいです……」

初霜「うん……こんなに綺麗なんだもん。みんなに見てもらいたいよね……」

提督「そうだな。明日になったらみんなにも教えてあげよう」

神通「はい、きっと皆さん喜びます♡」フフフ

 

 提督の提案に神通が同意すると、

 

提督「だが、今夜だけは私達だけで独占させてもらおう」ウィンク

 

 ちょっとした提督のいたずらっぽい発言と仕草が炸裂。

 

朝潮「はい、今夜だけは♪」

初霜「ふふふ、そうですね♪」

神通「っ!!♡////」コクコクコクコク←ときめき過ぎて言葉が出ない

 

 こうして提督と神通、朝潮、初霜の四人は波の音を聞きながら、ウミホタル観賞を静かに楽しむのだったーー。




今回はウミホタルを見るといった、ほのぼの+ロマンチックな回にしました!
因みにウミホタルは第二次世界大戦中に、日本でこれを軍事利用した例があります。
ウミホタルを乾燥させ、これに水分を与えると、微弱な光を放つようになり、そこで南方のジャングルで偵察を命じられた兵がウミホタルの乾燥粉を携え、これを行動中の足元に撒くことでかすかな光を放つ目印として使用したとされたりしてます。

という雑学を残しつつ、此度も読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改115話

天使降臨の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 鎮守府本館、一階フロアーー

 

山風「…………」オドオド

 

 本日秘書艦を務める山風はフロアに立ち尽くしていた。

 その理由は、

 

時雨「…………」

金剛「…………」

 

 この二人のせいである。

 

時雨「金剛さん、争いは何も生まない。生むとしたら、憎しみ……そして虚無感だって僕は思うんだ」

金剛「ワタシも同じ気持ちネ……争わないで済むなら、世界はもっと平和だと思いマス」

時雨「じゃあーー」

 

時雨「その手を離そうか?」ニッコリ

金剛「それはナンセンスなストーリーネ〜♪ 先に話を振った時雨から離すべきではあ〜りマセンカ〜?」ニコニコ

 

 二人の手には一枚のタオルケットが握られている。

 これはただのタオルケットにあらず……そう、これは()()()使()()()()()タオルケットなのだ!

 

 

 遡ること小一時間前ーー

 

提督『山風、少し雑用を頼んでもいいかな?』

山風『うん、いいよ?』ニコッ

 

提督『私の部屋にある青いタオルケットを工廠の焼却炉で処分してほしいんだ』

山風『燃やしちゃうの?』

提督『あぁ、去年買い替えたばかりなのだが、ところどころ解れてしまっていたり、穴が開いていてね。もう修復することも出来ないから新しいのと取り替えるんだ』

 

山風『そんなに乱暴に使ってた、の?』

提督『そんなはずはないんだ。ただ、私はタオルケットを年間通して使っていたし、頻繁にいつの間にか綺麗に洗濯されていたりしたせいだろう』

 

山風『…………?』クビカシゲ

提督『とまぁ、そういう訳だ。私の部屋の鍵は開いている。入ってすぐのところに畳んであるから処分してきてほしい』

山風『分かった♡』

 

 それから山風が提督の部屋に行き、言われた通りタオルケットを工廠へ持っていこうとした時、

 

山風『………………』ジーッ

 

 山風は提督のタオルケットを見つめていた。

 

山風(これ、提督のタオルケット、なんだよね?////)

 

 そう思った山風はキョロキョロと辺りを見回し、誰もいないのを確認した。

 そして、

 

山風『♡////』ムギュッ

 

 提督のタオルケットを抱きしめ、顔を埋めた。

 

山風『ふにゃ〜♡////』

  (大好きな提督のにおいがいっぱ〜い♡)

 

 すると、

 

時雨『あれ、山風? それ提督のタオルケットだよね? それを持ってどうしたの?』

 

 背後から時雨が報告の帰りか何かで山風に声をかけたのだ。

 山風はアタフタしてしまったが、時雨が優しく落ち着かせてくれた。

 

山風『あ、あのね、時雨姉……これ、バイバイ(捨てるの意)する、の////』←まだ顔が赤い

時雨『え、もう捨てちゃうの? 確かそれは去年に出したんだよ?』

山風『提督もそう言ってた……でも、解れちゃったところも多くて、プチプチ(縫うの意)出来ないんだって。だからバイバイするんだって……////』

時雨『へぇ、そうなんだ……』ジーッ

山風『時雨姉?』クビカシゲ

 

時雨『山風、良かったらそれ僕gーー』

 

『話は聞かせてもらったデ〜ス!』ババーン

 

山風『ぴぃっ!?』ビクッ

時雨『ちっ』←舌打ち

 

 そこへやってきたのは訓練帰りの金剛だった。提督へ訓練の報告をしにきたのだが、時雨と山風の会話が耳に入ってしまったのだ。提督の話題だから余計に耳に入りやすかったのだろう。

 

金剛『そのタオルケットはワタシが有効活用シマ〜ス♪ なので、ワタシが預かりマ〜ス!』ニッコリ

 

 どこか威圧感のある笑みに山風は思わずたじろいでしまったが、幾多の戦場を経験してきた時雨にとってはそんな子ども騙しは通用しない。

 

時雨『勝手なことを決めないでほしいな〜。それは元々僕が最初に山風へ提案しようとしていたことなんだ』ニッコリ

 

 時雨の絶対零度の笑みにまたも山風はたじろいでしまう。しかし金剛はビクともせず、時雨と笑顔で対峙していた。

 

金剛『オ〜、ソーリー。でも言ったのはワタシが先デス』ゴゴゴゴゴ

時雨『先に言えばいいなんてものじゃないよ。それを言えば、先に見つけた僕に権利が生じるはずだからね』ゴゴゴゴゴ

 

 

 そして現在ーー

 

金剛「駆逐艦の娘は普段からテイトクに撫で撫でされてマス! それに言えば添い寝もしてもらえるのデスカラ、ここはワタシに譲るべきネ!」グググ

時雨「それとこれとは話が別だね。そもそも、これがこんなに急速に傷んだのは金剛さんとかの方がよく知ってるはずだよね?」グググ

 

山風「……」ハワワ

 

 互いに一歩も引かない。それなのにお互いタオルケットが破けないように加減しているのが流石だ。

このままではどうしようもないが、山風はいい案も浮かばずにいた。

 

「何をしているんだ、二人して?」

 

 そこにとある人物がやってきた。

 

長門「なかなか戻って来ないから心配して見に来れば……」ヤレヤレ

大和「時雨ちゃんと何をしているんです?」ニガワライ

 

 それは長門と大和であった。

 山風はこれで何とか収まると思ったが、その思いは儚くも崩れ落ちることとなる。

 何故なら二人はLOVE勢の中でもアグレッシブ勢だから。

 

長門「それは提督のタオルケットだな」

大和「そろそろ買い替える頃合いだと思っていましたが、まさか今日とは……」

 

金剛「待つネ! このタオルケットはワタシか時雨のになるんデス!」

時雨「そうだよ。今更ぽっと出に渡すつもりはないからね?」

 

 全員がぽっと出なんじゃ……というツッコミはしないでおこう。

 

大和「まあまあ、お二人共落ち着いて♪」

長門「そうだ。ここはこの場にいる私達で、そのタオルケットをシェアリングすれば丸く収まる話だろう」ニコッ

金・時『(こいつら、ちゃっかりと……!)』←劇画調

 

 そう思った金剛と時雨だが、妥協することにした。でないと戦争になり、提督が悲しむ+折檻されるから。

 こうして話がまとまりかけたその時だった。

 

提督「フロアで集まって何をしているんだ?」

 

 山風の帰りが遅いので提督が様子を見に来たのだ。

 みんなはどう説明しようか愛想笑いを浮かべて思案していると、

 

山風「あ、あのね!//// あたしが、このタオルケットいいなって思って、それで欲しがってたのを時雨姉達が注意してくれてたの!////」

 

 山風が自らを犠牲に四人を救った。

 四人は心の底から思った……『天使がいる』と……。

 そして四人はシェアすることになったあかつきには先ず初めに山風に権利を譲ろうと考えたが、

 

提督「そうなのか。ボロボロだがまだ使ってもらえるなら、そのタオルケットも本望だろう。それは山風にあげるよ」ニコッ

 

 なんと山風に所有権が渡ったのだった。

 

山風「え……で、でもぉ////」アタフタ

時雨「よ、良かったじゃないか、山風……」プルプル

金剛「ソウデス……タイセツニスルヨロシ」ハイライトオフ

長門「せ、せっかくの厚意を無下にするのはいけないぞ……」ナキワライ

大和「あ"な"た"は"選は"れ"た"の"よ"……」ガチナキ

 

提督「だ、大丈夫か? 何かあったのか?」ナデナデ

大和「いいえ、もう大丈夫です♡」ケロッ

 

山風「……////」アウアウ

 

 こうしてタオルケットは山風が手に入れた。

 でも山風はあとでちゃんとその場にいたみんなで順番で使うことを提案。それによって四人は暫くの間、山風に頭が上がらなくなったとかーー。




今日は金剛さんと時雨ちゃんの進水日なので、二人を登場させた回にしました!
二人共おめでとう!
内容は山風ちゃんメインになってしましたがご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改116話

綾波型駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一四三〇過ぎーー

 

 工廠からの帰り道ーー

 

漣「整備も終わったし〜、時間も時間だから乙女成分でも補給しに行っちゃう?」ニシシ

曙「なによ、その言い回し……普通に食堂でおやつ食べようって言えないの?」イラッ

潮「まあまあ、曙ちゃん」ドォドォ

 

 艤装の整備から戻る最中、漣達はおやつを食べに行くか否かを話し合っていた。因みに朧は午前中に整備をしてしまったので、今は部屋でお昼寝中。

 

漣「通じてるんだからいいじゃん♪ ボノボノちゃ〜ん♪」

曙「いつも変な言い回ししかあんたがしないから、こっちはそれで慣れたのよ」マッタク

 

 そもそもボノボノじゃないし……と曙は思ったが何度言っても改めないため、言った分あとで嫌がらせしようと決めているのだ。

 因みにその嫌がらせは背筋ツンツンの刑であり、お風呂でシャンプー中に実行する。

 前のように体罰ではないので、あながち曙もボノボノと呼ばれるのは嫌ではないということだろう。

 

漣「あ、今日は綾波お姉様が秘書艦だからご主人様に奢ってもらえるじゃん! ボーロも呼ばなきゃ!」

 

 そう言うと漣はいそいそと通信機を取り出して朧へ連絡を入れると、

 

朧『ラジャー( ゚_ゝ゚)ノ』

 

 すぐに返事が返ってくるのだった。

 

潮「勝手に決めちゃっていいのかな〜?」ニガワライ

曙「いいんじゃない? どうせ提督のことだから嫌がるどころか喜んで奢ってくれるんじゃないの?♡」ニコニコ

 

 潮にそう返す曙。その顔は提督に会えるという喜びが隠し切れていなかった。

 そんな曙を潮は可愛いなぁと思ったが、

 

漣「ボノボノちゃんはご主人様に会えるだけでご満悦ですな〜♪」ニヤニヤ

 

 漣がまたいつものように余計な言葉を放ってしまう。

 

曙「さ〜ざ〜な〜み〜♪」ニッコニコ

 

 すると曙は眉間にシワマックスの状態で拳を握りしめる。

 漣は逃げようとするも、既に肩を掴まれていたので逃げることは不可能だった。

 

漣「(Ӧ∨Ӧ;;)」イ.イジメル?

曙「虐めないわよ♪」ニッコニコ

漣「(Ӧ∧Ӧ;;)」デハソノコブシハ?

曙「罰は与えようと思って」ニッコニコ

漣「(ӦдӦ。)」オォウ...

 

 スパーン!

 スパーン!

 スパパーン!

 

漣「ごふっ……ショートアッパー、ガゼルパンチ、デンプシーロールの十八番連撃とは……」

曙「次はティーカウコーンも見舞おうか?」ニッコニコ

漣「ムエタイの技じゃないですかやだ〜!」

曙「コークスクリューでもいいのよ♪」つ=つシュッシュッ

漣「ボクシング技でも嫌だァァァ!」

 

潮(でも音が痛そうなだけで、全然力入れてないのが曙ちゃんの優しさなんだよね〜♪)フフフ

 

 そうな風に戯れていると、

 

祥鳳「みんなこんにちは♪」

サラトガ「Hello♪」

アクィラ「Ciao♪」

 

 祥鳳、サラトガ、アクィラが声をかけてきた。珍しい組み合わせだが、同じ空母なのでこれといって驚くことはない。

 

漣「お三方ヘルプミー!」ササッ

 

 漣は即座に三人の背中へと逃げ込む。サラトガは「What?」と首を傾げ、アクィラはちゃんと漣を庇うように曙との間に立った。

 

祥鳳「また曙ちゃんにちょっかいだしたのね……駄目よ、仲良くしなくちゃ……」ナデナデ

 

 しかし祥鳳に優しく諭される漣だった。

 

漣「でもこれが漣とボノボノちゃんのコミュニケーションなんです♪」エヘヘ

 

 そんな祥鳳にいつものようにおちゃらけて返す漣だが、

 

祥鳳「もう、またそんなこと言って……この前も曙ちゃんをからかっちゃったって落ち込んでたのはどこのだ〜れ?」ナデナデ

 

 祥鳳から暴露という爆撃を受けてしまった。これには漣もいつもの様子が一変し、アタフタしながら顔を真っ赤にして祥鳳の二の腕ら辺を叩いて抗議。

 

曙「ふ〜ん、自覚はあったのね〜」ニヤニヤ

 

 こんな漣はそう滅多にお目にかかれないことに加えて、日頃の鬱憤もある曙は容赦なく追撃を開始する。

 

漣「あ……うぅ〜////」ウツムキ

曙「人のことを散々不器用だのツンデレだの言っておいて、あんたも似たようなもんじゃない。ん〜?」ホッペツンツン

漣「にゃ()にゃん(なん)も言えにゃぇ(ねぇ)……////」アウアウ

曙「言えないわよね〜♪」ツンツンツンツン

漣「にゃう〜////」

 

潮「でも曙ちゃんも、漣ちゃんにやり過ぎちゃった時は反省してるよね?」

曙「っ!?」

漣「っ!?」コウキ⁉

 

 潮の暴露でまた戦局が怪しくなった。

 

サラトガ「な〜んだ♪ お互いに相手のことをちゃんと思ってるんじゃない♪」

アクィラ「仲良しが一番よね♪」ヨシヨシ

祥鳳「ここの娘達はみんな仲良しですから。それに姉妹仲なら余計に」フフフ

 

曙・漣『〜////』カオマッカ

 

潮「曙ちゃんと漣ちゃんはじゃれ合って仲良くしてますからね」クスクス

 

曙・漣『もう言わないでぇぇぇっ!////』ピューン

 

 潮のトドメとも言える言葉に二人は顔を真っ赤にしたままその場から逃げるように去ってしまった。

 

サラトガ「ふふふ、息もピッタリね♪」

アクィラ「流石似たもの姉妹♪」

祥鳳「それがあの娘達ですから」ニコッ

潮「はい……あ、置いて行かれちゃった!」ガーン

 

 潮が自分の置かれた状況にショックを受けていると、曙と漣が背中を向けたままいそいそと戻ってきた。

 曙と漣はそのまま潮の両サイドまで来ると、それぞれ潮の腕を取ってまたその場をあとにする。それも今度はちゃんと祥鳳達に「失礼します////」と言ってから。

 

サラトガ「ふふっ、可愛い〜♪」クスクス

アクィラ「うん♪ なんかこう……和んじゃったわ♪」

祥鳳「訓練終わりにほっこり出来ちゃいましたね♪」フフフ

 

 こうして二人は曙と漣に癒やされたのだった。

 

 

 それから執務室にてーー

 

提督「ど、どうしたんだ、二人して?」

曙「っさいわね、いいでしょ、別に……////」ギューッ

漣「今は何も聞かんでくだしゃぁ……////」ギューッ

 

 曙と漣は互いに顔を合わせ難くなってしまって、提督の腕にしがみついていた。理由は分からないが、提督はちゃんと二人を受け入れているのが流石である。

 

朧「どうしたの、あれ?」ユビサシ

潮「姉妹仲をこじらせてるって感じかな?」ニコニコ

綾波「お互い不器用だからね〜♪」フフフ

敷波「普段は似てないけど、性根はそっくりだもんね、あの二人♪」アハハ

 

提督「ほら、二人してそうしていないで何か甘い物でも食べて落ち着こう」ナ?

曙「おやつで解決するとか思ってんじゃないわよ……////」

漣「でもちゃんとゴチにはなります……////」

 

綾・敷・朧・潮『(微笑ましいなぁ……)』ホッコリ

 

 こうして提督は綾波型姉妹みんなと食堂でおやつタイムを過ごし、甘いお菓子を前に曙も漣も自然といつも通りに戻ったのだったーー。




今日は漣ちゃんの竣工日なので漣ちゃん達のほのぼの回にしました♪
おめでとう、漣ちゃん!

そして今日はボクシングの日ということで、曙ちゃんにちょいとボクシングネタを挟みました。ご了承を。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改117話

Здравствуйте(こんにちは)の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。

※若干アンチのような表現が出てきます。ご注意を。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

 ガチャーー

 

アイオワ「失礼するわね♪ 新人を連れてきたわ♪」

ウォスパ「アドミラルに失礼のないようにね」

 

 ウォースパイトに促され、一人の艦娘が入室してきた。

 

 彼女の名前はガングート。ロシアの……正確にはソ連の戦艦であり、ガングート級四隻のうちの一番艦だ。

 大規模作戦完遂によりガングートの着任は決まっていたが、今回はロシア側の都合で予定より早くの着任となった。

 

 その瞳には隠し切れないほどの闘気が輝き、出で立ちも歴戦の勇士そのものである。

 

ガングート「貴様が提督か……ふんっ、いい面構えをしている。私がガングート級一番艦、そのガングートだ」

 

提督「遠路遥々よく来てくれた。私がこkーー」

 

 その刹那、ガングートが懐からハンドガンを抜いて提督へ銃口を向けた。

 アイオワやウォースパイトは一瞬だけ険しい顔をしたが、それは本当にほの一瞬だけだった。

 

 何故なら、

 

提督「物騒な遊びは好まん。次はその手をたたっ斬る。覚えておけ」

 

 提督が銃口を向けられるより先にガングートの手首へ愛刀を押し当てていたから。

 

アイオワ(Wonderful〜♪)ヒュー

ウォスパ(It’s cool〜♡)ホワワーン

 

 二者二様の反応を見せる中、ガングートは「ふはははっ♪」と愉快そうに、そして豪快に笑い声をあげた。

 そしてハンドガンを懐へしまうと、今度は提督へ手を差し出した。

 

ガングート「この国は平和ボケしている連中が多いと聞かされていたのでな。どの程のものか見せてもらうために少々手荒いことをしたんだ」

 

 そう言うガングートだったが提督と握手を交わそうとした瞬間、今度は提督に向かって袖に仕込んだナイフを武器に襲い掛かった。

 

 しかし提督はそれも読み、避けたと同時に小手投げを見舞い、更に追い打ちでそのまま腕の関節を決める。

 

提督「気は済んだか?」ニッコリ

ガングート「あぁ、私の全面的敗北を認めよう」ニコッ

 

 今度こそガングートは白旗をあげた。提督はガングートの手を引いて起こすと、やっと普通に握手を交わした。

 

ガングート「資料通りの人物だと確信が欲しかった。しかし上官にすることではなかった……本当に申し訳ない」フカブカ

提督「もう今回限りにしてくれ。これからは仲間なのだからな」

ガングート「Да(はい)」ニッコリ

     (私は素晴らしい御仁の元へ配属されたのだな♪)

 

 ガッチリと固い握手を交わす提督とガングート。その顔は晴れやかで、既に戦友として互いを認めているような眼差しだった。

 

提督「君の祖国とここでは何かと違うこともあるだろう。ここに馴染めるよう、出来る限り協力するからいつでも相談しなさい」

ガングート「Да(は〜い)♪」エヘヘ

 

 提督の言葉に少女のような笑みを浮かべるガングート。先程とはまるで別人だ。

 ガングートという人物はそういう人なのだと提督達は確信した。

 

提督「では早速鎮守府内を見て回るといい。アイオワとウォースパイトが案内してくれる。今この場にはいないが、同室にはビスマルクも一緒だ。仲良くな」ナデナデ

ガングート「あぁ、ドイツ人は苦手だが私は提督に従う。仲良くやってみせよう」スリスリ

 

 頭を撫でられるガングートはまるで甘える犬のように提督の反対の手を取って頬擦りする。先程のこともあるので温度差が激しいが、ガングートはもう提督に全てを預けているようだった。

 

ウォスパ「……それじゃ、案内するから行くわよ」ニガワライ

アイオワ「バッチリ案内してあげるわ♪」

 

 二人がそうガングートに言うと、

 

ガングート「提督、お前も来い。お前も一緒の方が嬉しい」キラキラ

 

 ガングートは提督も一緒にと提案。その言葉にウォースパイトが明らかに修羅のオーラを出したが、提督が「時間があるからいいだろう」と頷いたのでウォースパイトは拳を収めた。

 

 

 そしてーー

 

ガングート「提督〜、あの建物はなんだ?」ヒシッ

提督「あれは食堂だ。見回りが終わればあそこでいいものをご馳走しよう」

ガングート「本当か!?」

提督「あぁ、うちの食堂は世界一だぞ?」フフフ

ガングート「(。✧Д✧)」フォー!

 

 提督の左腕にピッタリとしがみついて、ガングートは鎮守府内を見回っていた。

 

ウォスパ「あんの雌狐〜……私のアドミラルに〜!」プルプル

アイオワ「思ってることが口に出てるわよ、英国淑女さん」ニガワライ

 

 その後ろをアイオワ達は歩いているが、ガングートがずっとあの状態なのでウォースパイトはフラストレーションが爆発寸前である。

 

ウォスパ「大体、さっきはあんなことしたのに何なのあの態度は!?」

アイオワ「信頼に値いするってなったんだからいいじゃないの」

ウォスパ「私の女の勘が言ってるわ……あれはアドミラルLOVEだと」

アイオワ「ん〜、確かにそう見えるけど〜」

ウォスパ「金剛と今度LOVEの掟を教え込む必要があるわね……他にも色々と」ブツブツ

アイオワ「」ニガワライ

    (アドミラルはモテるけど、どうなっちゃうのかしら〜?)

 

 そんな話をしていると、

 

榛名「てい、とく……」アワワ

霧島「こんにちは、司令、皆さん♪ 今日は新着任艦が来る日でしたね♪」

 

 榛名と霧島が現れた。榛名は提督とガングートが腕を組んでいることにショックを隠し切れていないが、一方の霧島は平然と挨拶をしている。

 

ガングート「お前がコンゴー型戦艦のキリッシマーか……いい面をしている」マジマジ

霧島「キリッシマーじゃなくて、霧島です。お褒めに預かり光栄ね」フフフ

ガングート「この私を前にその余裕……いいじゃないか。共に戦えることを誇りに思う」

霧島「こちらこそ、よ。よろしくお願いしますね」ニコッ

榛名「よ、よろしくお願いしま〜す」カタイエミ

ガングート「おぉ、お前はハルーナだな♪ お前もまたいい面をしている。よろしくな」フフン

榛名「え、えぇ……」

 

ガングート「? あぁ、私が提督と腕を組んでいるのが気になるのか?」

榛名「」コクコク

ガングート「私は提督が気に入ったからな……こうしているんだ♪」ドヤァ

榛名「むぅ……」

 

 ガングートの言葉にムスッとした榛名はガングートとは反対の腕にしがみついた。

 

提督「榛名?」

榛名「榛名のこと忘れちゃ嫌ですぅ」ウルウルキラキラ

提督「大丈夫だ。榛名だけでなく、皆大切な仲間であり家族なのだからな」ニッコリ

榛名「提督〜♡」キュンキュン

 

 一気に榛名が提督と良い雰囲気になった。これにガングートはムッとし、余計に提督へ身を寄せる。それに榛名も負けじと身を寄せ、提督はおしくらまんじゅう状態となってしまった。

 

提督「こらこら、二人共。少し離れなさい」

榛・ガ『だってガングートさん(ハルーナ)が!』

提督「……腕を組んでいてもいいから落ち着きなさい。私は逃げないから」ニガワライ

榛・ガ『は〜い……』シブシブ

 

霧島「新たな日露戦争勃発かと思ったわ……」フゥ

ウォスパ「いいえ、もう戦いは始まってるわ」メラメラ

アイオワ「みんなこっちを……アドミラル達を見てるからね〜」ニガワライ

 

 こうして提督はその後も榛名とガングートとそれぞれ腕を組んで鎮守府内を回った。

 そうしているうちに榛名とガングートは仲良くなり、今度一緒にお茶する約束までした。

 

 因みに後日、ガングートはしっかりと金剛達LOVE勢から楽しい楽しいLOVE勢の掟講座を……それも砲口を四方八方から向けられ、正座した状態で叩き込まれた(提督に銃やナイフを向けたから)ーー。




新着任艦一発目はガングートさんです!
ちょいと荒々しい登場となりましたが、ソ連艦なのであのようにしました!
ガングートさんをLOVE勢にしたのはご了承くださいませ。
それと上官に銃口を向けることは普通なら重罪ですが、提督さんも無事+応戦したのでお咎め無し(LOVE勢からはありましたが)ということでご了承お願い致します。

そして提督業をしている皆さん、イベお疲れ様でした!

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改118話

着任しました! の談。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、〇九〇〇ーー

 

 鎮守府本館内、廊下ーー

 

龍驤「しっかしまぁ、よう来たな〜♪ ん〜?♪」

春日丸「はい、またお会い出来て嬉しいです」ニッコリ

 

速吸「神威さん、よろしくお願いしますね」ニコッ

神威「はい。こちらこそ、よろしくお願いしますね」フフフ

 

 本日も鎮守府には新たな艦娘が着任していた。

 

 春日丸級の軽空母、その一番艦、春日丸。

 龍驤とは短い期間ではあるが第四航空戦隊を組んでいた。少々おっとりしているが優しい雰囲気の艦娘である。後に大鷹(たいよう)と名を改めるが、今は春日丸で親しんでもらう。

 

 神威型補給艦の一番艦、神威。

 独特のアイヌ民族衣装に身を包み、凛とした出で立ちで心優しき艦娘。先に着任している給油艦の速吸と同じく、任務外は食堂で艦隊の健康管理を任命される予定だ。

 

 

 執務室、ドア前ーー

 

神威「うぅ〜、緊張しますぅ」ドキドキ

春日丸「は、はい……」ドキドキ

 

 提督と対面する直前、ドアの前で二人は緊張の色をより強くする。

 

龍驤「なはは、そんな緊張せんでもうちんとこの司令官は怖ないで♪」

速吸「はい、いつも笑顔が絶えない優しいお人ですよ♪」

 

 そんな二人を龍驤達は励ますが、そうだと分かっていても初の対面はどうしても緊張してしまう。

 

龍驤「春日丸は出だしから『トゥーッス!』って言えば、うちの司令官も面食らうで!」

春日丸「とぅ〜すですか?」コンワク

龍驤「せやで。何事もインパクトが大切や」ウンウン

 

速吸「じゃあ神威さんはアイヌ語で挨拶しちゃいましょう♪」

神威「えぇ!? む、無理です!」

速吸「え〜、いいと思うんだけどなぁ〜」

 

 そんな話をしていると、執務室のドアが開いた。ドアの前でこれだけ騒いでいれば開くのも当然である。

 

大鳳「ドアの前で話していては丸聞こえですよ?」ニガワライ

提督「無事に着任したのだな。ささ、入りなさい」ニコッ

 

 提督の笑顔で春日丸と神威はホッした反面、着任早々の失態に恥ずかしそうにしていた。

 ともあれ執務室に入った二人は提督の前に整列し、各自自己紹介を始める。

 

神威「給油艦、神威と申します。名前は北海道神威岬から頂いてます。出来る限り、頑張りますね!」ケイレイ

春日丸「とぅ〜、す……特設航空母艦、春日丸と申します。不束者ですが、務めを果したいと思います……あ、とぅ〜す」ケイレイ

 

 春日丸の挨拶で提督や大鳳は頭の上にはてなマークを盛大に生産するも、言った本人である春日丸は至って真面目な表情をしている。

 確かに龍驤は「トゥーッス!」と言ってみろと言った。でもこういうことではないのだ。

これには速吸や神威は勿論のことだが、龍驤も笑いを堪え切れず盛大に腹を抱えて笑った。

 

春日丸「あ、あの、私ったら何か粗相を?////」オロオロ

龍驤「なんやねん、あの『トゥーッス!』の使い方は……」クヒヒ

春日丸「今のご時世は「さー」ではなく「とぅす」をお使いになるのかと思いまして……もしかして違いました?////」

龍驤「もしかしても何も、お笑い芸人のネタやから元々関係ないで……」ヒィーヒィー

 

 春日丸に龍驤はお腹を押さえつつも説明すると、春日丸は顔を真っ赤にさせて提督に深々と頭を下げる。

 

春日丸「し、しし、失礼しました!//// お叱りは何なりとお受け致します!////」

龍驤(ん? 今何なりとって……?)

 

 龍驤のことはさておき、春日丸に提督は優しい笑みを浮かべた。

 

提督「気にしなくていい。寧ろ楽しませてもらったよ」アハハ

春日丸「はぅ……そんなに笑わないでください////」ポッポッ

 

 春日丸の言葉に提督は一言謝ってから、今度は二人に提督から自己紹介を始める。

 

提督「私がここの提督だ。二人が早くここに馴染めるよう、出来る限りサポートする。何かあれば私や仲間に気兼ねなく尋ねるといい」ニコッ

神威「はい、よろしくお願いします♪」

春日丸「よろしくお願い致しますぅ////」

 

 二人がそう返すと、提督が「とぅすと付け加えるべきだったかな?」と冗談を言った。

 

春日丸「そんなに私をいじめて楽しいですか、提督?////」ムゥ

提督「ははは、少しでも気が紛れるかと思ってね。重ね重ね申し訳ない」ニッコリ

春日丸「もぅ……////」

   (そんな笑顔で言われたら怒れないじゃないですか……ずるい人////)

 

神威「あ、そうだ! 提督、私お土産持ってきたんです!」

 

 春日丸が提督に早くも陥落させられる中、神威はそう言って肩から下げているバスケットから何や大きな包を取り出した。

 

神威「北海道名物、熊の木彫りと私の名前の由来であります、神威岬がある積丹郡の名産品、積丹サブレと積丹まんじゅう、そして丹水です♪」

 

 提督の机にドドンと置かれた品々に、提督は勿論、他の面々も「おぉ〜」と声をあげる。

 そして神威はその反応が嬉しかったのか、どこか得意気に一つひとつ説明していく。

 

神威「普通は鮭を咥えている熊の木彫りでしょうけど、それはもう古いんです! 今はその逆! 鮭が熊に噛み付いているという逆襲のシャケなんです!」キラキラ

 

 その木彫りは本当に鮭が熊の首ら辺に噛み付いているもので、なかなか斬新な木彫りだった。更に提督としてはその『逆襲のシャケ』というフレーズも妙に気に入った様子で、うんうんと頷いている。

 

神威「積丹サブレはサクサクとしたクッキーの中に細かく刻んだワカメを練り込んであって、積丹まんじゅうはもちもちした皮の中に甘さ控えめの餡を包んだ黒砂糖のおまんじゅうなんですよ♪」

速吸(どっちも間宮さん達が再現出来そう……)

 

神威「最後に丹水(たんすい)ですが、こちらの方が甘口純米吟醸酒で片方が辛口純米酒です! 積丹岳の伏流水を利用し、水にこだわって造った一品なんです!」キラキラ

龍驤(呑兵衛艦が目の色変えるで……)

 

提督「このような代物をありがとう。大切に味わおう」ニコッ

 

 提督の言葉に神威は「はい!」と嬉しそうに返事をする。

 

提督「では早速今この場にいる面々で味わおうか。お酒もおちょこ一杯ならいいだろう」

龍驤「よっしゃ〜、さっすが司令官や!」

速吸「わ〜い♪ 早速お皿とおちょこの用意します♪」

大鳳「みんなには内緒、ですね♡」ウフフ

 

 三人がそう言って喜び、準備をする中、まだその場の空気に馴染めていない春日丸と神威は本当にいいのか……とオロオロとしてしまう。

 

提督「これくらいは大丈夫だ。私が提案しているんだからな……だから二人も一緒に味わおう」ニコッ

神威「はい、お心遣いありがとうございます♪」

春日丸「ありがとうございます……ご相伴させて頂きます」ニッコリ

 

 こうして春日丸達は提督やかつての仲間達と小さな小さな宴を過ごし、そのあとで龍驤達と鎮守府内を見て回った。

 最初は緊張していた春日丸達だったが、執務室をあとにする時の二人はここの艦娘達と同じような笑みを浮かべることが出来ていたーー。




新着任艦第二弾は春日丸さんと神威さんです!
春日丸さんはどうしても天然っぽさを出したくて、あのようにしました。ご了承お願い致します。

因みに神威さんの持ってきた逆襲のシャケですが、本当にあるんですよ。
どんな作品名で売られてるかは定かではありませんが、北海道土産でこんなん貰った。と友達に写メを見せてもらった記憶がありますw

ということで、此度も読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改119話

こんにちは! っす! の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一一〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

 当鎮守府では今日もまた新たな艦娘が着任し、執務室では早速提督とその艦娘達が対面を果たしていた。

 

占守「占守型海防艦一番艦、占守っす! 司令、沿岸防衛はこの占守に任せるっす。海を守る、海防艦っす。うん!」キリッ

 

 艦隊初の海防艦。その占守型一番艦の占守。

 素直で何事にも真っ直ぐな印象であるが、真っ直ぐ過ぎて周りが見えなくなりそうな……そんな一面も伺える。

 

国後「占守型海防艦、その二番艦、国後よ。シム姉同様よろしく。呼びにくいなら、クナって呼んでもいいわ」

 

 占守型二番艦の国後。

 物言いはやや斜め的。でも強気な艦娘は他にも沢山居るので問題なく艦隊に馴染めるだろう。

 

択捉「司令、こんにちは! 択捉型海防艦一番艦、択捉です。これからこの艦隊の足手まといにならないよう、頑張ります!」ケイレイ

 

 そして最後に択捉型一番の択捉。この艦娘も占守達と同じく海防艦である。

 やる気に満ちあふれた瞳。それでいて落ち着きもある艦娘だ。

 

提督「うむ、私がこの鎮守府を預かる提督だ。君達を心から歓迎する。そして君達が早くここの生活に慣れるよう、最大限のサポートを約束しよう」ニコッ

三人『はい!』

 

提督「それから、これからの三人のサポートをお願いしている者達がここに控えている、神風型駆逐艦のみんなだ」

 

神風「皆さん、お久しぶりです! 私達姉妹がしっかりと皆さんのサポートをします!」フンス

朝風「仲良くやりましょ♪ 気になることはちゃんとその都度言ってよね♪」

春風「皆様が早く慣れるよう、精一杯サポート致します。よろしくお願い致します」ペコリ

松風「僕もまだまだ新人だけど、出来る限りサポートするよ♪ よろしくな♪」ウィンク

 

 神風達の挨拶に占守達はそれぞれ礼儀正しく挨拶を返す。

 そして占守達は早速神風達と共に寮へ向かうことになり、提督に挨拶してから執務室をあとにした。

 

提督「これで着任予定の艦娘達は揃ったな……」フゥ

浜風「お疲れ様です、提督」ニコッ

 

 皆が去ったあとで提督がつぶやいて一息吐くと、本日秘書艦の浜風が労いの言葉をかける。そして抜かりなく提督の机にお茶の入った湯呑を置くのも流石だ。

 

提督「ありがとう……」ゴクッ

浜風「あとは歓迎会の準備ですね。提督、こちらの有志志願書と歓迎会で出す料理のリストのご確認をよろしくお願いします」

提督「ん、了解だ…………ほぅ、今回の有志発表も趣きがあるな」フムフム

浜風「楽しみです」ニコニコ

提督「ではサクッと承認のサインを書いて、準備に取り掛かろう」ニコッ

浜風「了解です♪」ケイレイ

 

 こうして提督と浜風は書類を片付けて行くのだった。

 

 

 その頃、占守達はーー

 

 特殊艦寮内にやってきていた。これから占守達が生活するのはこの特殊艦寮なのだ。

海防艦の数がそれなりに多くなれば海防艦寮を建てるが、今は三人なので部屋に空きのあるこの寮になった。

 

神風「家具はある程度揃ってますけど、どうしてもこれが必要って物は明石さんの酒保で買い揃えてください」ニコッ

朝風「酒保に置いてなくても家具妖精さんが作ってくれたり取り寄せてもらえるから、その時は遠慮なく明石さんに相談してみるといいわ♪」

春風「枕カバーやシーツなんかもお好きな物を酒保で揃えられますわ」ニッコリ

松風「とりあえず、みんなの荷物整理とかベッドは誰がどのベッドを使うかとかを決めるのが先だな」

 

占守「はわ〜……思っていたよりも広いっす〜」キョロキョロ

国後「ホント。てっきりハンモックとか二段ベッドかと思ってたわ」

択捉「整理整頓のし甲斐のあるお部屋ですね!」キラキラ

 

 みんなこれから生活する部屋に入るなり、キョロキョロと中を見渡し、目を輝かせている。

 

 それからーー

 

占守「占守は窓側〜♪」

択捉「私は廊下側がいいです」ニコッ

国後「んじゃ、私が余った真ん中のベッドね」

 

神風「あ、そうそう。畳のお部屋でお布団がいいって時も言ってくださいね」

 

占守「え、そんなことまでいいんっすか?」

朝風「えぇ、オッケーよ♪」

春風「半日掛かりますが、家具妖精さん達が変更してくださいますわ」

国後「へぇ〜、やっぱ大きな鎮守府だからそういうとこまで行き届いてるのね〜」

松風「僕も最初は驚いたよ……でも、優しい司令官と家具妖精さんの心遣いの賜物って感じかな」ニコッ

 

 松風がそう付け加えると、

 

択捉「松風さんは司令のことを本当に慕っているんですね」ニコッ

 

 択捉が松風にそう突っ込んだ。松風の笑顔を見ていれば誰しもがそう思うだろう。

 

松風「え……ま、まぁ、うん……好きな方、かな?////」テレッ

 

 松風の歯切れの悪い返しに択捉は思わず「ん?」と小首を傾げる。そんな松風を姉達はクスクスと笑って見ているから尚更だ。

 

占守「ここの司令はかなりの人たらしみたいっすね〜」

神風「言い方はあれだけど、否定はしないわ」ニガワライ

朝風「実際かなりモテモテだからね〜」ニガワライ

春風「ですが、どうしてそう思ったんですか?」

占守「しむしゅしゅ? そんなの簡単っす。クナがいきなり自分のことを『クナって呼んでもいい』なんて言ったからでしゅ」

国後「ちょっと、何それ?////」

 

 占守の解説に国後は否定的な声を出すが、表情でバレバレだった。

 

占守「何それってそのまんまでしゅ。いきなり愛称でいいなんて、今までなかったっす」

国後「それはそのぉ……そう、国後って言いにくそうだから、だからクナでもいいって言ったの!////」

択捉「先輩、司令の資料を見てから会うの楽しみにしてたじゃないですか♪」

国後「それは優しそうな人だと思ったからよっ!////」

占守「それで実際に会って、資料以上に素敵な方だった訳でしゅね」フムフム

国後「だ〜か〜ら〜!////」

 

 国後は両手を振って抗議するも、その口からは提督が好きなことに対して否定する言葉は出てこない。

 

神風「資料だけで好かれる司令官って……」

朝風「流石というか、本当にモテる人なのね」ニガワライ

春風「だって本当に素敵な方ですからね、司令官様は♡」

松風「まぁ、いい司令官だよな♡//// 何より優しいし♡////」デレッ

 

占守「クナ、大変っす。司令は競争率がヤバイっす」

択捉「先輩、私応援してますね!」フンス

国後「人の話を聞きなさ〜い!////」

 

 こうして鎮守府に海防艦という、また個性的な艦娘が増えた。そして提督LOVE勢も……。

 

 その後、一頻り国後はからかわれつつ荷物整理を終え、昼食を挟んでから神風達と共に鎮守府内を見て回ったとさーー。




最後は海防艦娘を一挙に書きました!
早速国後ちゃんはLOVE勢に組み込みましたが、ご了承を。だって可愛いんだもの←

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改120話

着任パーリー! の談。

キャラ崩壊、他作ネタ、独自設定含みます。

いつもより少し長めです。


 

 ○○鎮守府、一八〇〇ーー

 

 大広間ーー

 

 本日、鎮守府では早めに艦隊業務を終え、先日着任した艦娘達の着任式、そしてそれと同時に大規模作戦お疲れ様会を開いている。

 提督の挨拶に新着任艦達は勿論、艦隊も大きな拍手を送り、盛大に幕を開けた。

 

ガングート「このピロシキは美味いな……流石はイラコーやマミヤーだ」モッモッ

ビスマルク「ま、好きなだけ食べなさい。貴女達のためのパーティなんだから」ドヤァ

イタリア「ワインもありますよ♪」

ローマ「それともロシアらしくウォッカかしら?」

ガングート「今はワインを貰おう。ウォッカは乾杯でボトルを空にしてしまったからな」ニコッ

アイオワ(日本語でいうザルね……)

ウォスパ(豪快ね……真似出来ないわ)

 

占守「鮭のムニエルっす! めっちゃ美味いっす!」ガツガツ

国後「鮭もそうだけど、蟹も美味しい♪」モキュモキュ

択捉「海老フライも美味しいですね♪」ハフハフ

神風「どんどん食べてね♪」

朝風「お代わりも沢山あるからね」フフフ

春風「今お飲み物をお持ち致しますわ♪」

松風「なら僕も行くよ、姉貴」ニコッ

 

龍驤「ほい、春日丸、うち特製の鮭焼きやで♪」

春日丸「たこ焼きの中身が鮭なんですね……美味しい♪」ハムハム

 

速吸「このカニクリームコロッケ、速吸の自信作なんだ♪ 食べて食べて♪」

神威「頂きます……はむっ……ん〜、おいひぃ♪」サクサク

 

日向「伊勢、お前のために海老フライを持ってきてやったぞ……これで、伊勢……くふふ、伊勢海老フライになるぞ……ぷくく……」プルプル←笑い堪え中

伊勢「自分のボケで笑わないでよ……一応、ありがと」ニガワライ

 

武蔵「神威の制服はかなり涼しそうだな」フムフム

大和「武蔵も似たようなものじゃない」ニガワライ

 

イヨ「姉貴〜、一緒に生ハムメロン食べてみない?」

ヒトミ「べ、別々で食べたいな」ニガワライ

 

ろ「生ハムゴーヤ作った!」ペカー

ゴーヤ「いらぬ!」クワッ!!

 

 それぞれ交流しつつ会食する中、ステージ脇に初春型姉妹が姿を現す。

 

初春『皆の衆、ご機嫌如何かの?』

子日『今日は何の日〜?♪』

 

全員『着任式の日〜♪』

 

若葉『正解だ。そしてこれから有志発表がある』

初霜『トップバッターは球磨型姉妹の皆さんで『shake it!』です♪ 歌だけでなく、ハイレベルなダンスにもご注目ください♪』

 

 \ワーワー!/

 

 

 ♪前奏♪←妖精音楽隊

 

大井『寂しくて切ない一人の夜には〜♪』

木曾『消えたい言葉を隠して〜♪』

北上『秘密のドアを抜けてきて〜 here we go♪』

大井『oh yeah♪』

木曾『oh yeah♪』

三人『yeah yeah yeah〜♪』

 

 〜球磨、多摩が両脇からバク転で登場〜

 

足柄「球磨〜♪」ノシ

摩耶「決まってんぞ〜!」ノシ

 

球磨「(*^o^)v」ピース

 

伊勢「多摩〜、頑張って〜!」ノシ

日向「瑞雲妖精達も見てるぞ〜!」ノシ

瑞雲妖精『♪』ピョンピョン

 

多摩「٩(*^∨^)۶」ニャン

 

白露「北上サマ〜!」ピョンピョン

時雨「頑張って〜♪」ノシ

 

北上「( ー`дー´)」キリッ

 

イムヤ「素敵よ〜♪」ノシ

熊野「決まってましてよ〜♪」ノシ

 

大井「(o´▽`o)ノシ」

 

那珂「木曾ちゃん、可愛くだよ〜!」ノシ

野分「頑張ってください!」ノシ

舞風「ステップ忘れないでね〜!」ノシ

 

木曾「(///ω///)ノシ」←恥ずかしい

 

球磨『Today is All night be funky funky funky nightーー♪』ラップパート

 

 〜ラップ中、木曾と多摩はブレイクダンス披露〜

 

 \キャーキャー!/

 

 〜♪

 

大井『shake shake 今夜は止まらな〜い♪』

 

姉妹『oh yeah oh yeah yeah yeah yeah〜♪』

 

姉妹『ありがとうございました(クマ)(にゃ)〜!』ペコリ

 

 \ワーワー! キャーキャー!/

 

初春『球磨型姉妹、ご苦労じゃった♪』

子日『ラップもダンスも格好良かったよ!』キラキラ

若葉『次は何だ?』

初霜『はい、えっと……続きまして、叢雲さん、曙さん、満潮さん、霞さんの四人による『Sweet Devil』です、どうぞ!』

 

 

 ♪前奏♪

 

 〜四人のダンスからスタート〜

 

吹雪「叢雲〜♪」ノシ

白雪「頑張ってね〜♪」ノシ

初雪「やはり叢雲は伊達じゃない」フフリ

深雪「決まってるぞ〜!」ノシ

磯波・浦波『ファイト〜!』ノシ

 

叢雲「(*^_^*)」ニコッ

 

漣「もっと脚上げて、サビースだよボノボノちゃん!」

朧「カッコカワイイよ〜♪」ノシ

潮「曙ちゃ〜ん♪」ノシ

 

曙「(//^ω^//)♪」テレワライ

 

朝潮「満潮〜、霞〜!」フレーフレー!

大潮「ファイト〜!」ノシ

荒潮「頑張って〜♪」ノシ

朝雲・山雲・霰『可愛いよ〜♪』ノシ

 

満潮・霞『(///△///)ノシ』←恥ずかしい

 

叢雲『ーー夢見てるの? 君だけに♪』

曙『好きなんていわないよ♪』

満潮『勘違いしないでね!♪』

霞『I'm liar girl♪』

 

 〜〜♪

 

霞『ごめんね全部嘘だから♪』

満潮『“あたしだけ”じゃなきゃダメなの……♪』

曙『Can you love me through life?♪ 誓いは♪』

叢雲『キスでいいよね♪ Do you love sweet devil?♪』

 

四人『ありがとうございました!』ペコリ

 

 \キャーキャー! ワーワー!/

 

若葉『ツンd……ゲフンゲフン、みんなお疲れ様』

初霜『可愛いけどとてもセクシーなダンスでしたね♪ とっても良かったです♪』パチパチ

初春『続いての出し物に行くぞよ』フフリ

子日『次は長門さん、陸奥さん、扶桑さん、山城さんが『Sweet Logic』を歌って踊ってくれま〜す♪』

 

 

長門『旗艦長門、抜錨する!』キリッ

 

 ♪前奏♪

 

扶桑『「キミが好きよ」 たった一言の恋愛論♪』

山城『非科学な空想が ココロ飛び交うの〜♪』

 

最上「二人共頑張れ〜♪」ノシ

朝雲「素敵よ〜♪」ノシ

山雲「せくし〜♪」ノシ

 

扶桑「(*ӦvӦ*)v」ピース

山城「(*>﹏<*)ノシ」←恥ずかしい

 

長門『寝不足気味の世界で〜♪』

陸奥『キミの瞳に出会ったら〜♪』

 

大和「長門〜♪」ノシ

武蔵「二人共、決まってるぞ〜♪」ノシ

 

長門・陸奥『(*ゝω・*)』ウィンク

 

 〜〜〜♪

 

四人『ーー愛にしてね 離れないように〜♪』

 

四人『ありがとうございました〜♪』ノシ

 

 \ワーワー! キャーキャー!/

 

初霜『皆さん、ありがとうございました〜!』

子日『みんな可愛かったね♪』

若葉『次が一応最後だな』

初春『トリは三川艦隊の皆が『神のまにまに』を披露してくれるぞよ♪ 張り切って舞うがよい♪』

 

 

 ♪前奏♪

 

天龍『思い通りにいかないことだらけ♪』

夕張『どうしようもなく自己嫌悪♪』

鳥海『八百万の痛みや悲しみから 逃げ込める場所を探してる〜♪』

 

龍田「天龍ちゃ〜ん♪」ノシ

瑞鳳「夕張ちゃん、頑張って〜♪」ノシ

高雄「鳥海〜♪」

愛宕「素敵よ〜♪」ノシ

 

鳥海・夕張『(=^ω^=)v』ピース

天龍「(///∨///)ノシ」

 

古鷹・加古『ーーでも そんな風に思えるってこと〜♪ それは〜♪』

青葉・衣笠『君がもっともっと素敵になれる力があるって教えてるんだよ〜♪』

 

祥鳳「皆さん頑張ってくださ〜い♪」ノシ

鈴谷「サービスショット期待してるよ〜♪」ノシ

長良「決めちゃって〜♪」ノシ

 

第六戦隊『ヽ(*^3^)ノ~♡』ナゲキッス

 

全員『そうさ♪ 神のまにまに〜♪ 仰せのままに〜♪ 誰だって地球を愛してる〜♪』

 

 〜〜〜〜♪

 

全員『花を咲かそう〜♪ 大きな花を〜♪ 天まで届くくらいの〜♪』

 

 \la la la〜……♪/

 

全員『ありがとうございました!』ニコッ

 

 \キャーキャー! ワーワー!/

 

初春『あっぱれじゃ!』

子日『とっても良かったよ〜!』パチパチ

若葉『これで有志ステージは最後だが……』チラッ

初霜『飛び入りは随時募集してますので、遠慮なくステージに上がってきてくださいね♪』

 

提督(みんな、随分と楽しんでいるな……)フフ

電「司令官さ〜ん♪」

提督「? どうした?」

暁「司令官も何かやって〜♪」

響「みんな密かに期待してるんだよ?」ニコッ

雷「歌ってくれるわよね? ね!?」キラキラ

提督「ならば、また妖精さん達と恋ダンスでも披露するか」ニッコリ

四人『やった(のです)〜♡』ピョンピョン

 

 こうして提督もステージに上がり、LOVE勢に大喝采を浴びた。

 その後も加賀や天城の演歌披露、陽炎型with島風のロボットダンスと大いに盛り上がったーー。




着任式という名のパーティ回にしました!
出せなかった艦娘はご了承ください。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改121話

まだまだ新入りには負けないさ。の談。

キャラ崩壊、独自設定、ガムシロップ二つほど含みます。


 

 ○○鎮守府、一六〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「ん……分かった。直ちにそちらへ向かう」

 

 工廠からの通信を終えると、提督は透かさず立ち上がる。

 

武蔵「お、もうそんな時間か……」フム

 

 本日秘書艦である武蔵がそう言って壁掛け時計に目をやると、手伝いにきている大和が書類整理している手を休めて「行ってらっしゃいませ♡」と提督に声をかけた。

 

提督「あぁ、少し留守にするよ。何なら二人も一緒に行くか?」

武蔵「せっかくの誘いだが、今回は遠慮しよう。な、姉さん?」チラッ

大和「えぇ、やはり今回ばかりは遠慮します。先ず初めは提督にお披露目したいでしょうから」ニッコリ

 

 大和がそう言うと、武蔵は「ということだ♪」と提督へ笑みを向ける。

 すると提督は「ん、分かった」と笑顔で返し、執務室をあとにした。

 

 工廠に何の用事があるのかというと、今日は長門が改二への改造をしているからだ。

 先程の電話はその改造が終わるという報せであり、提督がそれを出迎えに行くところ。

 

 今回は大規模作戦後に改造許可が下ったが、長門の改造に必要な資源は驚異の数字であることに加え、改装設計図も必要となった……が普段からどんな時でも資材や設計図をある程度貯めている提督にとって、それは二つ返事だった。

 

 

 工廠、改造室ーー

 

工廠妖精α「お待たせしました!」ケイレイ

工廠妖精β「超いい仕事したぜぇ♪」マンゾク

工廠妖精γ「またいい仕事をしてしまった……」フフリ

 

提督「おぉ……」

 

長門「……どうだ、提督? 新しくなった長門の姿は?」ニッコリ

 

 改二への改造を果たした長門は見違えた。

 先ず目を引くのは新たに追加された黒のロングコート。裾や縫い目に山吹色のラインが入っていて、長門がかつて連合艦隊の象徴として君臨していた頃を思い起こさせるような……威風堂々とはまさにこのことだった。

 腕も親指と人指し指以外のすべてを腕貫で覆い、スカート丈も少しだけ長くなった。更にはストッキングのデザインの変更に伴い、太ももを覆う長さも伸びている。

 

 制服だけでなく艤装にも大きな変化がある。

 それは更に強大化し、砲台基部が艦体型に変更されたこと。そして上部砲塔が三連装砲になり、下部砲塔基部に機銃座が複数備わっている。

 

提督「うむ……風格が増し、本当に見違えた。素敵になったじゃないか、長門」ニッコリ

長門「そ、そうか?♡ 提督にそう言われると、胸が熱くなるな……♡////」

  (やったやった!♡ 提督に素敵って言ってもらえた〜!♡)

 

 提督に褒めてもらえた長門は表情も心も嬉しさを爆発させていた。何しろ心から慕う提督からの言葉なのだから、そうなるのも当然である。

 

長門「提督……その、もっと私を見てほしい……♡////」モジモジ

提督「あぁ、せっかくだからな。改二になったばかりの姿を堪能させてもらうよ」ニコッ

長門「〜♡」←恍惚ポーズ

 

工廠妖精β「くっそ甘い雰囲気だな……

工廠妖精γ「見つめ合って二人だけの世界だぁねぇ

工廠妖精α「長門さん、めっちゃお目々ハートでっせ

 

 工廠妖精達が小声でつぶやく中、長門は提督に存分に新しくなった自分を披露するのだった。

 

 

 そして時は過ぎ、二一〇〇ーー

 

 提督は長門と共に鎮守府本館の屋上にて、改二実装祝いとして二人だけでの酒盛りをしていた。

 

提督「本当におめでとう、長門」トクトク

長門「おっとと……ははは、ありがとう、提督♡」ニコニコ

 

 今宵は新月であるが月の代わりに無数の星星が夜空を彩っていて、その元でのしっとりとした落ち着いた雰囲気はとてもロマンチック。

 

 その頃、戦艦寮の一室では、

 

陸奥「長門ったら、あんなに嬉しそうにしちゃって♪」フフフ

武蔵「恋する少女そのものだな」ククク

大和「長門の裏切り者〜!」グヌヌ

伊勢「いいな〜」ユビクワエ

金剛「近過ぎマス! ワタシもあれくらい接近したいデス!」ガルル

榛名「でもお似合いですよね……」ムゥ

ビスマルク「………………」ビールカンベコベコ

イタリア「私もあんな風に提督とワイン飲みたいわ〜」

ローマ「」コクコクコクコク

ウォスパ「私はウィスキーを飲みたいわね」ムムム

ガングート「私ならウォッカだな」ジーッ

 

 戦艦のLOVE勢達が扶桑姉妹の部屋に集結していた。それも双眼鏡持参で。

 今月の扶桑姉妹の部屋は提督の私室が見える部屋ではないが、たまたま……そう、今回たまたま提督と長門が二人きりの酒盛り風景が見えてしまう位置だったのだ。

 

山城「提督は長門に取られるし、みんなは押し寄せて来るし……ムカつくわ」ケッ

 

 部屋主である山城はそう言ってとても不機嫌そう。それでも前のように「不幸だわ」と言わないだけ、かなりの進歩である。

 

扶桑「まあまあ、山城。そう言わないの。というか、山城は見なくていいの?」

山城「見たくないです……提督が姉様や私以外の人と二人きりのところなんて……」チラッチラッ

 

 扶桑の質問に山城は口ではそう返しているが、目は落ち着きなく窓の方を確認している。

 そんな乙女な妹を姉の扶桑は『山城はまだまだ素直じゃないわね……』と心の中でつぶやいて、小さく笑みを浮かべて茶をすするのだった。

 

 そして提督と長門は、

 

提督「潮風が酒で火照った体に丁度いいな」

長門「あぁ……凝った物ではなく、こうした小さなことが最高の贅沢なのかもしれないな♡」ウットリ

 

 みんなに見られているとも知らず、互いに酒を酌み交わしていた。

 長門は提督のペースに合わせて飲んでいるので、いつもより酒の量は少ない。でも最愛の提督がすぐそばにいる……手を伸ばせば届くところにいる。これだけで長門は気分良く酔えていた。

 正確には提督に酔っているのもしれない。

 

長門「私は提督に出会えて幸せだ……感謝している♡ 私の提督になってくれてありがとう♡」

提督「ははは、不思議なお礼だな。長門が私の元へ来てくれたというのに」クスクス

長門「なんとでも言え♡ 私は常々そう思っているんだからな♡」

 

 そう言うと長門はコテンと提督の肩に自身の頭を預けた。今は勤務外なのでいつも頭に装着しているアンテナを外している+お酒の席ということで出来た体勢だ。

 

提督「そうか……ならば、私もありがとうと言葉を送ろう。長門」ナデナデ

長門「ふふふ、ありがたく貰っておこう……か♡」スリスリ

 

 こうして提督と長門は日付けが変わるその時まで、誰にも邪魔されずに酒盛りを続けるのだったーー。




 おまけーー

 今日の一八〇〇頃ーー

 戦艦寮、長門型姉妹部屋ーー

長門「私はどうしたらいい、陸奥」シンケン
陸奥「何が?」
長門「提督に私の我が儘で二人きりで酒を飲みたいと……そう願ってしまったんだ」
陸奥「? それの何が問題なの? 提督嫌がってたりしたの?」
長門「いや、そんなことはない。寧ろ笑顔で快諾してくれたさ」
陸奥「ん〜? 別に酔った勢いで長門が提督を襲わなきゃいいんじゃないの?」
長門「それは流石にしないさ……酔った勢い、それも合意無しではしたくないしな」ウンウン
陸奥(何度か夜這いしに行ったくせによく言うわ)ニガワライ
長門「それに出来れば、求められたいしな……////」モジモジ

陸奥「あっそ。で、結局何が問題なの?」
長門「提督と二人きりの時、私は己のよだれや鼻血を制御出来る自信が無いんだ!」ドドン
陸奥「あ〜……そういう」ニガワライ
  (何でそんなドヤ顔なのよ……)
長門「提督の前で粗相なんて出来ん。何か良い方法はないか?」
陸奥「ん〜……無いわね」キッパリ
長門「orz」ガックリ

陸奥「心配しなくても、姉さんなら本当に提督といい雰囲気になれば、ああはならないわよ♪」
長門「そうだろうか……」
陸奥「えぇ♪ だって姉さんは提督の前では乙女乙女しちゃってそんなの死んでもしないように脳が制御するもの♪」
長門「ん、ん〜?」クビカシゲ
陸奥「普段通りにしてればいいってこと♪ 大和だとちょ〜っと心配だけど、姉さんなら大丈夫よ♪」
長門「何だか腑に落ちんが、まぁいいだろう! 女は度胸! 提督と二人きりで過ごしてくるぞ!」キラキラ
陸奥「えぇ、楽しんでね♪」
  (姉さんは思い込みが激しいから、こういう風に勢い付けた方が効果あるよのね)フフフ

 このアドバイス(?)で長門はちゃんと提督と良い雰囲気を堪能出来たとさーー。

 ーーーーーー

長門さんの改二実装が来ましたので、そのことと少しお砂糖を加えたお話にしました♪
長門さん、改二の姿は本当にオッパイの付いたイケメンですね!
資材がぶっ飛びますが、して損はありませんね!

ということで、読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改122話

潜水艦メイン。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自設定、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一九〇〇ーー

 

 居酒屋『鳳翔』ーー

 

提督「さぁ、今日は私の奢りだ。好きな物を頼みなさい」ニコッ

イヨ「うん……ありがとう、提督」ニッコリ

 

 大好きなお酒の席……それも貸し切りだと言うのに、イヨはいつもの鳴りを潜めている。

 それもそのはずで、今日はイヨこと『伊号第十四潜水艦』がアメリカ軍の手によってハワイ沖で海没処分をされた日だから。

 

 伊十四は一九四五年・五月に鎮海で燃料を搭載後、同年七月十一日に大湊を出港しトラック諸島へ偵察機『彩雲』二機を輸送する任務(光作戦)に就いた。

 同年八月四日、途中で姉の伊十三を失った中でもトラック諸島に到着し輸送任務は完遂するも、攻撃段階に移る前でポツダム宣言により、その地で終戦を迎えることとなった。

 伊十四は生まれた時代が時代なだけに戦果等は特に無しだった。

 

 それから同年九月十五日に除籍され、戦後はアメリカに回航されて試験や実験に用いられた。

 そして一九四六年の五月二十八日、アメリカ軍はソ連(現ロシア)への潜水艦技術の流出を恐れたことでハワイ沖にて自沈。現在も伊十四はハワイ沖に沈んでいる。

 

 イヨは今朝の黙祷時にその時のことを思い出し、更には自分が艦だった頃の乗組員達の思い出が走馬灯のように浮かんだ。

 するとイヨは大声で泣き叫んだ。

 

 乗組員達は頑張ったのに自分は何も乗組員達に残せなかった。

 姉を失っても頑張ったのに……もっともっと頑張れたのに……と。

 

 それは誰もが艦娘となって初めて感じること。これをしていれば、もしあの時の自分に意思があったら……そんな思いが溢れ出してくるのだ。

 

 そんなイヨに提督は黙って胸を貸し、優しくイヨの頭を撫でた。

 姉であるヒトミはイヨのことを優しく背中から抱きしめ、うん……うん……とイヨの言葉に優しく頷きながらなだめた。

 暫くしてイヨは涙を拭いた。提督が「もう大丈夫なのか?」と訊ねると、イヨは大きく頷いた。

 そして、

 

イヨ『あの頃は何も出来なかったけど、生まれ変わった今を、あの頃のみんなの分まで頑張る!』

 

 と笑顔でそう言った。

 

 そのようなことがあり、イヨは今回ばかりはちょっと物静かなのだ。

 

ヒトミ「イヨちゃん」ニコッ

イヨ「?」

 

 そんなイヨに姉のヒトミは優しい笑みを浮かべて酒瓶を見せる。

 

イヨ「姉貴……ありがと」ニッコリ

 

 イヨはそう言うと、盃を持つ。ヒトミはそのまま酒瓶を傾け、盃にお酒を注いだ。

 

 そしてイヨは「献杯」と言ったあとで、その盃を空にする。

 

提督「次はイヨが艦娘として生まれ変わってきてくれたことに対しての、乾杯だな」ニコッ

イヨ「えへへ……乗組員のみんなには悪いけど、してもらっちゃおうかな」

ヒトミ「英霊の皆さんは喜んでくれるよ」

提督「こうして生まれ変わってきたんだ。この日を悲しいだけで終わらせることはないだろう?」

 

 提督の言葉にイヨは小さく「うん」と頷いた。

 

鳳翔「お料理もお酒も遠慮なく、好きな物を頼んでね」ニコッ

妖精あ「いつものボトルもありまっせ!」

妖精い「大好きな肉じゃがやもつ煮込みもバッチリです!」

妖精ろ「じゃんじゃん頼んでくださいです!」

 

 厨房から優しくかけられた鳳翔達の声。そしてヒトミは「良かったね、イヨちゃん」と言って、イヨの頭を優しく撫でた。

 するとイヨは元気に「うん!」と頷くと、

 

イヨ「鳳翔さ〜ん! 獺祭(だっさい)ください! 勿論一升瓶で!」

 

 いつものイヨが戻ってきた。

 そんなイヨに鳳翔は「は〜い♪」と笑顔で返すが、

 

ヒトミ「い、イヨちゃん!」アセアセ

 

 姉であるヒトミは大慌てである。

 

提督「はっはっは、私が全部面倒を見るから大丈夫だ。ヒトミも遠慮せずに飲みなさい」ニコッ

ヒトミ「で、でもぉ……」オロオロ

イヨ「姉貴〜、人の厚意は受け取るべきだよ〜? それに姉貴も一緒に飲んでくれた方が、イヨちゃん嬉しいんだけど〜?」

ヒトミ「…………はぁ、分かったわ。提督、頂きます」クスッ

イヨ「いよぉっし! んじゃ、みんなで乾杯しよ〜!」

 

 そして提督とヒトミは勿論だが、鳳翔やそのお手伝いである妖精達も乾杯することになり、イヨは眩しい笑顔で高らかに乾杯の音頭をとるのだった。

 

 

 そしてーー

 

イヨ「ん〜♪ おしゃけはおいひぃし、てーとくもあにぇきもみんにゃやさしいし、さいこ〜♪////」ヒック

妖精い「ここの鎮守府はサイコーです!////」ヒック

妖精ろ「提督さんは優しいし、まさにホワイト鎮守府!////」ヒック

妖精あ「ブラック? 何それ美味しいの? って感じです!////」ヒック

妖精い「ブラックは珈琲だけにしろって感じだよな!////」

みんな『分かるぅ〜!////』アハハハ

 

 イヨと妖精達は上機嫌に酔っ払っていた。イヨは呂律が怪しくなっていて、妖精達の方は呂律は大丈夫だがその顔は真っ赤っかだ。

 

ヒトミ「もぉ、イヨちゃんったら。妖精さん達も……」フフフ

鳳翔「提督、お水をどうぞ」つコップ

提督「あぁ、ありがとう」ウケトリ

 

 そんなイヨ達を提督達は優しく眺めている。

 提督は元々酔わないように自分のペースで飲んでいるが、鳳翔とヒトミはイヨと同じペースで飲んでいたのにまだまだ素面同然。

 鳳翔に至っては鎮守府では有名な酒豪なので何ら驚かないが、ヒトミも酔わないのには提督は内心驚いていた。

 

提督「ヒトミは全然酔わないんだな」

ヒトミ「そう、ですね……おかしいですか?」

提督「いや、そうではない。ただ意外な一面だと、そう思っただけだ」ナデナデ

鳳翔「ふふふ、女は見かけによりませんからね♪」

ヒトミ「何だか恥ずかしいです……////」カァー

 

イヨ「こ〜りゃ〜! イヨちゃんのひにゃのに、てーとくといちゃいちゃしゅるにゃ〜! てーとくはあにぇきじゃにゃくて、イヨちゃんをにゃでにゃですゆの〜!」

提督「お〜、それはすまなんだ。よしよし」ナデナデ

イヨ「んゆ〜♪」ゴマンエツ

 

ヒトミ「イチャイチャなんかしてないのに〜……////」ハゥ

鳳翔「ふふふ」ヨシヨシ

 

 その後イヨはいつも以上に笑顔で酒盛りをし、最後は酔い潰れた。そして妖精達も座敷の上に川の字でぐっすり。

 イヨの寝顔はとても幸せそうで、ヒトミはいつもならば剛拳で叩き起こすところを今回だけは頭を優しく叩くだけに収めるのだったーー。




 おまけーー

 その後ーー

 鳳翔のところからの帰り道、提督は酔い潰れたイヨをおんぶしてヒトミと寮までの道のりをゆっくりと歩いていた。

ヒトミ「今日はご馳走様でした。そしてイヨちゃんを運んでもらってありがとうございます」ペコリ
提督「気にすることはない。今日はイヨの大切な日なのだならな」ニコッ

ヒトミ「提督は皆さんのこういった日には、毎回こうしてるんですか?」
提督「その者の要望を聞いて、出来るだけ叶えてあげようとは思っているよ」

提督「みんなはあの大戦でこの国を守ってくれた。そして艦娘として生まれ変わり、当時のことをその身で精一杯受け止め、今も人々を守るために頑張ってくれている」

提督「そんなみんなに、そういう日くらい目一杯我が儘を聞いてやりたい。そう思っているんだ」

 提督はそう語る。そしてその目は深い慈愛に満ちていた。

ヒトミ「なるほど……」
提督「ほぼ私の自己満足みたいなものだがな」ニガワライ

 提督が自虐的に言うとヒトミは「そんなことないですよ」と笑顔を見せ、イヨに視線を移す。

イヨ「イヨ、これからいっぱいいっぱいがんばる〜……」ムニャムニャ
ヒトミ「こんなに幸せそうな寝顔なんですから、提督の気持ちは皆さんに届いてますよ。勿論、私にも」ニッコリ
提督「そうか……」ニッコリ

 こうして今日という日は穏やかに日付を変えるのだったーー。

 ーーーーーー

本編に書きました通り、今日はイヨちゃんこと『伊号第十四潜水艦』が海没処分された日なのでそれを書きました。

この日に海没処分された伊十四と英霊の方々に心からお祈りします。

本編内の情報はWikipedia、ピクシブ百科事典で得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改123話

お借りします! の談。

少し真面目なシーン、キャラ崩壊、若干のR-15、ネタ、他作ネタ、独自設定含みます。

いつもより長いです。


 

 ○○鎮守府、一〇〇〇ーー

 

 埠頭前広場ーー

 

提督「ではこれより『鎮守府・大借り物競走』を開催する!」

 

 \ワーワー!/

 

 提督の宣言で埠頭前広場に集まった者達は元気に声をあげる。

 

 これは各艦種対抗で鎮守府内に隠された指令書を見つけ、そこに書かれている物を借り、提督のところまで持ってくるという催しだ。海防艦を含む特殊艦も参加。そして水上機母艦は空母勢に含まれている。

 因みに一番最初に提督へお題の品を持っていき、合格判定を貰ったグループには、その艦種全員に提督から『休暇券』を貰える。※休暇券とはその名の通り休暇を好きな時に貰える券であり、提督にその休暇に何処か連れて行ってもらうことも可能(その場合は提督に承諾を得る必要有り)。

 

 どうしてこのようなことをしているのかというと、一九四三年の今日、同年同月十二日より勃発した『アッツ島の戦い』でアッツ島の日本軍守備隊二六六五名がアメリカ上陸軍の攻撃で全滅し、戦いが終結した日だから。

 

 『アッツ島の戦い』とは山崎保代陸軍大佐の指揮する日本軍のアッツ島守備隊が上陸したアメリカ軍と十七日間の激しい戦闘の末に玉砕したという出来事であり、太平洋戦争において初めて日本国民に日本軍の敗北が発表され、また第二次世界大戦で唯一、北アメリカで行われた地上戦である。

 更に大本営はアッツ島守備隊全滅を発表し、初めて「玉砕」の表現を使った。それまでフロリダ諸島の戦いなどで前線の守備隊が全滅することはあったものの、そのようなことが実際に国民に知らされたのはこの『アッツ島の戦い』が初めてであった。

 

 この日までに戦って亡くなった英霊の方々に提督と艦隊は揃って黙祷を捧げた。

 そして提督は敢えてこの日に今回のような催し物を開いた。それは少しでも艦隊のみんなが笑顔で過ごせるようにと願った故のことだった。

 

 みんなも提督の突然の発表に最初は驚いたものの、提督の自分達への気遣いが嬉しかったため、『鎮守府・大借り物競走』を全力で楽しんでいる。

 

 

 駆逐艦代表・神風型姉妹の場合、工廠裏ーー

 

神風「指令書あった!」ハッケン!

朝風「やったわね♪」

春風「あとはお題ですわね」

松風「お題は……『まな板』?」

神風「食堂から借りましょ♪」

朝風「待って、神風姉!」

神風「どうしたの?」

朝風「まな板なんてそんな簡単な物だと思う? これは明石さん達が決めたお題よ?」

神風「それがどうしたの?」

朝風「これは龍驤さんのことだと思うわ」

神風「へ?」

 

春風「なるほど……」

松風「まさかひねり問題とは……」

 

 LOVE勢の二人は勝つことに必死なので冷静さが無い。

 

神風「流石に人の身体的特徴のことじゃないと思うけど……」ニガワライ

朝風「でもそれでもし間違ってたら二度手間じゃない?」

春風「わたくしは朝風姉様のご意見に賛同致します」

松風「僕もだ」

 

 多数決により神風型姉妹は龍驤を連れて行くことにした。勿論、お題は明かさずに……。

 

 

 軽巡洋艦代表、阿賀野型姉妹、本館屋上ーー

 

阿賀野「指令書発見〜♪」ピース

能代「流石阿賀野姉ぇ♪」

矢矧「こういう時の姉さんの野生の勘って本当に頼りになるわね♪」

阿賀野(あれ? 阿賀野、貶されてる?)

酒匂「さっすが阿賀野ちゃ〜ん♪」ピャー

阿賀野「ありがと〜♪」

   (ま、いっか♪)

 

 お題確認……。

 

阿賀野「『バレーボール』?」

能代「鎮守府にバレーボールなんてあったかしら?」ウーン

矢矧「倉庫にはあるかもしれないけど、夕張達が考えたお題だから何か裏がありそう……」

酒匂「もしかしておっぱいのことだったり?」

阿賀野「じゃあ、能代を連れていけばいいんだ!」

能代「えぇ!?」

矢矧「阿賀野姉さん、今日は冴えてるわね!」←冷静さを欠いている

能代「矢矧まで!?」

酒匂「あたしはそんなに大きくないけど、能代ちゃんなら大丈夫だね♪」

能代「…………分かったわよ」ハァ

  (提督がいるし、()()を見せるってことにはならないわよね……見せるのはやぶさかでもないけど、やっぱり二人きりの時がいいし♡////)ニマニマ

 

 そんなこんなでいけない妄想に走る能代を連れていく姉妹達であった。

 

 

 重巡洋艦代表、最上型姉妹、訓練場ーー

 

三隈「クマリンコ♪」

最上「お、見つけたね♪ 早速、御開帳〜♪」

鈴谷「『犬』……えぇ、犬〜!?」

熊野「鎮守府内にペットなんて飼ってる人は誰も居ませんわ」

最上「なら犬のぬいぐるみとか()()()()()を連れて行けばいいのかな?」

鈴・熊『ぽ犬キタコレ!』

三隈「不知火さんや朝潮さんではなくて? あの娘達も巷では忠犬と呼ばれていますし……」

最上「時津風や初月も犬っぽいよね……」ウーン

熊野「考えている時間も惜しいですわ」

鈴谷「だね。最初にそれらしい娘がいたら鹵獲しよう!」

 

 そして姉妹は時雨を連れて行くことにしたそうな。

 

 

 空母代表、翔鶴型姉妹、ドックーー

 

瑞鶴「翔鶴姉〜、見つけたよ〜!」つ指令書

翔鶴「やったわね、瑞鶴♪ 早速見てみましょ♪」

 

 お題確認……。

 

瑞鶴「『おばあちゃん』……?」

瑞鶴「はぁ〜? 鎮守府におばあちゃんなんてーー」ハッ!

 

 その時、瑞鶴に電流が走る!

 

瑞鶴「見た目はそう見えないけど、神風ちゃんとか金剛さんってことじゃない?」

翔鶴「ウォースパイトさんやガングートさんも当てはまるわ……」

瑞鶴「翔鶴姉……」チラッ

翔鶴「…………」コクリ

 

 姉妹は心を決めた。そして提督のところへ金剛を連れて行くことにした。

 金剛は空母代表のお題ということで最初は難色を示したが、瑞鶴が『提督が今一番会いたい人』というお題なのだと説明したら食い気味で快諾したとか。

 

 

 戦艦代表、扶桑型姉妹、裏門ーー

 

山城「探しものはなんですか〜♪ 見つけにくいものですか〜♪」

扶桑「…………」オロオロ

山城「それより僕と踊りませんか〜♪ ふふっふ〜♪ ふふっふ〜……ふふふふふふふふふ」

扶桑「山城、戻ってきて!」ユサユサ

 

山城「姉様も見たでしょ、私達が代表だと決まった時のみんなの表情を……その表情に応えてしまうんですよ」フフフフフ

扶桑「ま、まだそうと決まってないわ! ほら! 空はあんなに青いーー」

 

 丁度曇り空である……。

 しかし上を見上げたお陰で門の上にポツンと置いてある指令書を発見するのだった。

 

 だが、

 

扶桑「お題は……」プルプル

山城「……『運』」プルプル

 

 そのお題に二人はその場にガックリと膝を突いた。

 しかし天は二人を見放してはいなかった。

 

雪風「あ、扶桑さん達です♪ 借り物競走は順調ですか〜?♪」

 

 部屋のごみ捨てに来ていた雪風を発見。

 

山城「たった今見つけたわ」ガシッ

雪風「みゅ?」

扶桑「あぁ……八百万の神々に感謝します」人

雪風「雪風がお借りしたいものなんですか!?」ビックリ

 

 こうして扶桑と山城は雪風を廃品場にあった荷台に乗せ、神輿のように運んでいった(車輪が壊れていたから)。その間、雪風は楽しそうだった。

 

 

 潜水艦代表、イク&ニム、会議室ーー

 

イク「やっと見つけたのね!」

ニム「お題は『じゃがいも』だって!」

イク「ならドイツ艦の人を連れてくのー!」

ニム「なんで!?」

イク「じゃがいも=ドイツだから!」

ニム「ドイツ艦の人達に失礼だよ! 普通にじゃがいも持って行こうよ!」

イク「明石さん達はそんな短絡的な答えを求めてないの!」

ニム「審判は提督だよ〜!」

イク「むぅ……ならジャーマンポテト持ってくの〜」

ニム「え〜!」

 

 結局、二人はジャーマンポテトをわざわざ作ってから提督の待つ埠頭前へ向かうのだった。

 

 

 特殊艦代表、占守型、人工浜辺ーー

 

占守「指令書発見っす!」

国後「お題は……『ツンデレ』? 何これ?」

占守「ならもうここにいるっす!」ガシッ

国後「何それ! 私はツンデレじゃないもん!」

占守「司令のことが好きなんでしゅよね?」

国後「ししし、司令のことなんて好きじゃないわよ!//// 勘違いしないでよね!////」

占守「てんぷら乙。このままクナを連れていくっす」グイッ

国後「何それ!//// そもそも、てんぷらじゃくてテンプレでしょ!?////」

占守「そうともいうっす」キリッ

国後「自慢気に言うなぁぁぁぁ!//// それと私はツンデレじゃないんだからぁぁぁぁ!//// ただ司令のことが気になってるだけなんだからぁぁぁぁ!////」

 

 その後も大絶叫されがらも占守は国後を連れて戻ったそうな。

 

 

 結果ーー

 

提督「おめでとう、流石だな」ニコッ

扶桑「ありがとうございます」ニッコリ

山城「ありがとうございます〜♡」デレデレ

 

 雪風という女神を一番に連れてきた扶桑姉妹が優勝だった。

 

神風「だから龍驤さんじゃないって言ったのに……」ムゥ

朝風「なはは〜、ごめん」ニガワライ

春風「申し訳ありません。もっと冷静になるべきでした」

松風「まんまと乗せられたな……」

龍驤(結局お題はなんやったんや?)クビカシゲ

 

 一番最初に提督へお題を見せたのは神風型姉妹だったが、提督から不合格を貰ってしまった。

 

阿賀野「能代、ごめんね」ヨシヨシ

矢矧「能代姉さん、その……本当にごめんなさい」ナデナデ

酒匂「ごめんなさ〜い」ナデナデ

能代「いいの……もういいのよ……////」

 

 バレーボールというお題で変にひねった答えを出した阿賀野型姉妹。当然の如く能代という答えは却下され、能代はただ恥ずかしい思いをしてしまった。

 でもあとで提督に優しく慰めて(撫で撫でして)もらったので、結果的に能代はご機嫌になった。

 

最上「いや〜、負けちゃったね〜」

三隈「残念ですわね〜」

鈴谷「提督とのデートが〜……」

熊野「無念ですわ……」

 

時雨「〜♡」←ヘブン状態

 

 お題の犬に対して時雨を連れていった最上型姉妹。しかし提督が「時雨は可愛い女の子だ。犬ではない」と却下された。一方で時雨は提督の言葉が嬉しくて鈴谷と熊野とは対象的というシュールな画に。

 

瑞鶴「金剛さん……あの、本当にごめん」

翔鶴「ごめんなさい、金剛さん」

金剛「………………」ポケェ

 

 提督に違うと却下されて放心状態の金剛。しかし、正直に翔鶴達がお題のことを話すと金剛は復活した。

 何故なら提督が違うと言ってくれたのが心の底から嬉しかったから。

 

イク「間に合わなかったの〜! やけ食いするの!」ガツガツ

ニム「お姉ちゃんがジャーマンポテトって聞かないからだよ〜……」ニガワライ

 

占守「クナが駄々をこねるから先を越されたっす」ゲセヌ

国後「何それ、私のせいにしないでよ」

占守「悔しいっす!」

国後「分かった! 今度、埋め合わせするわよ!」

 

 イク達と占守達はタッチの差で扶桑達に負けてしまった。

 

 こうして『鎮守府・大借り物競走』は扶桑型姉妹の優勝で幕を閉じ、最後はみんなで健闘を称え合って昼食を食べるのだったーー。




今日はアッツ島の戦いが終結した日なので、そのことを踏まえ、敢えて楽しいイベント模様を書きました。
このような日にこうしたことを書いたことにつきましては、ご了承お願い致します。

そして年は違いますが、1945年のこの日。
B29爆撃機・P51戦闘機が白昼の横浜に来襲し、市街地が焼失。8千人以上の方々が亡くなりました。

アッツ島の戦いで亡くなった多くの英霊の方々、そして空襲にて亡くなられた多くの人々に心からお祈りします。

本編内の情報はWikipediaから得ました。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改124話

駆逐艦のみ。

キャラ崩壊、独自設定含みます。

いつもより長めです。


 

 ○○鎮守府、一三〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「ーーということで、手の空いている者で艤装の開発を頼みたい」

 

荒潮「分かったわ♪ 勿論、ご褒美もあるわよね?」ニッコリ

 

 荒潮が提督にそう言うと、提督はニッコリと笑って勿論と頷いた。

 それを確認すると、荒潮は「なら張り切っちゃうわ♡」と満面の笑みを見せる。

 

 そして提督に投げキッスをし、本日秘書艦である朝雲とそのお手伝いにきている山雲に手を振ってその場を後にした。

 

朝雲「大丈夫かしら?」ニガワライ

山雲「荒潮姉は〜、司令さんの期待には応えるわよ〜♪」

提督「あとで何か差し入れを持っていこう」

 

 提督はそう言って午後からの書類に目を通し始め、午後の作業を朝雲達と開始するのだった。

 

 

 工廠ーー

 

荒潮「ーーという訳で、提督のために頑張りましょ♪」

 

 人手を集め、工廠にやってきた一行は荒潮から説明を受けてから、それぞれ艤装の開発を始めた。

 因みに提督は対潜用のソナーをご所望なので、みんなはソナーレシピを回す。

 

卯月「何個作ればいいぴょん?」

荒潮「出来るだけ沢山って感じね……でもそれだと資材が無くなっちゃうから一人十回くらい回せばいいんじゃないかしら」

長波「すると、に〜、し〜、ろ〜……丁度百回か〜……資材の方はそれだけ回せる余裕あんのか? 全部がソナーになる訳じゃねぇぞ?」

 

夕立「確認したけど、全然余裕っぽい!」

深雪「レシピは……燃料10/弾薬10/鋼材10/ボーキ20か。これなら百回開発しても余裕だな♪」

松風「ならパパッと終わらせよう」

初月「そうだな。出来るだけ作って提督の力になろう♪」

親潮「何個出来るかな〜?」

初霜「頑張りましょう!」フンス

電「司令官さんのためなのです!」フンスフンス

 

 こうしてみんなは各々十回ずつソナー開発をするのだった。順番はジャンケンで決めて。

 

 

 深雪の結果ーー

 

 ①零式艦戦21型

 ②ペンギン

 ③九七式艦攻

 ④九三式水中聴音機

 ⑤ペンギン

 ⑥ペンギン

 ⑦九三式水中聴音機

 ⑧ペンギン

 ⑨ペンギン

 ⑩九七式艦攻

 

深雪「幸先いいんじゃね?」ニカッ

電「すごいのです♪ この調子でいくのです♪」ピョンピョン

卯月「次はうーちゃんの番だっぴょん!」フンス

 

 

 卯月の結果ーー

 

 ①ペンギン

 ②九三式水中聴音機

 ③ペンギン

 ④ペンギン

 ⑤ペンギン

 ⑥ペンギン

 ⑦ペンギン

 ⑧水上偵察機

 ⑨九七式艦攻

 ⑩ペンギン

 

卯月「ぺ、ペンギンは多かったけど、一つ手に入ったぴょん……」メソラシ

長波「一つ出来ただけでも上出来だろ」ニガワライ

夕立「そうだよ! 頑張ったよ!」

卯月「ありがとぴょ〜ん……」

初月「次は僕だな。この流れに乗るぞ!」

 

 

 初月の結果ーー

 

 ①九七式艦攻

 ②ペンギン

 ③九九式艦爆

 ④ペンギン

 ⑤ペンギン

 ⑥ペンギン

 ⑦九七式艦攻

 ⑧ペンギン

 ⑨九九式艦爆

 ⑩ペンギン

 

初月「僕は秋月型の恥さらし者だぁぁぁ!」orz

松風「だ、大丈夫! 気を強く持て!」ユサユサ

荒潮(防空駆逐艦だから艦載機ばっかりになっちゃたのかしら〜?)ニガワライ

深雪「んじゃ、初霜の幸運パワーで流れを変えようぜ♪」

初霜「が、頑張ります!」フンス

 

 

 初霜の結果ーー

 

 ①九七式艦攻

 ②ペンギン

 ③ペンギン

 ④九三式水中聴音機

 ⑤水上偵察機

 ⑥零式艦戦21型

 ⑦ペンギン

 ⑧ペンギン

 ⑨ペンギン

 ⑩ペンギン

 

初霜「なんとか一つ出来ました……」ホッ

長波「よし、それじゃ次はあたしだな♪」

夕立「その次は夕立っぽい! 頑張るっぽ〜い!」

 

 長波の結果ーー

 

 ①ペンギン

 ②ペンギン

 ③ペンギン

 ④12cm単装砲 

 ⑤ペンギン

 ⑥ペンギン

 ⑦12cm単装砲

 ⑧ペンギン

 ⑨ペンギン

 ⑩九七式艦攻

 

 夕立の結果ーー

 

 ①ペンギン

 ②12.7cm単装機銃

 ③九七式艦攻

 ④零式艦戦21型

 ⑤12.7cm単装機銃

 ⑥九九式艦爆

 ⑦水上偵察機

 ⑧ペンギン

 ⑨ペンギン

 ⑩ペンギン

 

長・夕『…………』チーン

親潮「二人共しっかり!」ユサユサ

初月「分かるぞ、その気持ち」ウンウン

卯月「電ちゃん、初期艦の意地を見せるぴょん!」

電「い、電の本気を見るのです!」

 

 電の結果ーー

 

 ①九六式艦戦

 ②ペンギン

 ③12cm単装砲

 ④12.7cm単装機銃

 ⑤九三式水中聴音機

 ⑥零式艦戦21型

 ⑦ペンギン

 ⑧ペンギン

 ⑨水上偵察機

 ⑩水上偵察機

 

電「良かった……良かったよぅ……」エグエグ←嬉し泣き

長波「おめっとさ〜ん」シロメ

初月「流石は初期艦だな」マッシロ

夕立「神々しいっぽい〜」ハイライトオフ

電(どっちにしても空気は変わらなかったのですぅ〜!)

 

松風「それじゃ、三人は電に任せて今のうちに僕らも回してしまおうか」ニガワライ

親潮「そ、そうですね……」

 

 

 松風の結果ーー

 

 ①ペンギン

 ②水上偵察機

 ③ペンギン

 ④水上偵察機

 ⑤水上偵察機

 ⑥九三式水中聴音機

 ⑦ペンギン

 ⑧ペンギン

 ⑨ペンギン

 ⑩ペンギン

 

 

 親潮の場合ーー

 

 ①九三式水中聴音機

 ②水上偵察機

 ③ペンギン

 ④12cm単装砲

 ⑤九三式水中聴音機

 ⑥九三式水中聴音機

 ⑦ペンギン

 ⑧ペンギン

 ⑨ペンギン

 ⑩ペンギン

 

松・親『良かった〜!』カンキ

荒潮「おめでとう♪ 親潮ちゃんは三つも作ったから凄いわ♪」

親潮「ありがとうございます♪」

松風「最後は荒潮だな。頑張れよ」ウィンク

荒潮「えぇ」ニコッ

 

 

 荒潮の結果ーー

 

 ①12.7cm単装機銃

 ②ペンギン

 ③ペンギン

 ④ペンギン

 ⑤零式艦戦21型

 ⑥九三式水中聴音機

 ⑦九九式艦爆

 ⑧水上偵察機

 ⑨ペンギン

 ⑩三式水中探信機

 

全員『おぉ〜!』カンドウ

荒潮「勝利の女神はここよ〜♪」ピース

 

 最後の最後で荒潮が三式ソナーの開発に成功。これにより落ち込んでいた夕立達も我を忘れて大喜びした。

 

 すると、

 

提督「その喜びようだと、上手くいったようだな」ニコッ

 

 提督が朝雲達と工廠にやってきた。

 提督達の手には差し入れのジュースとお菓子が入った袋がさげられている。

 

荒潮「提督〜、見て見て〜♡ 私が三式ソナーの開発に成功したのよ〜♡」

 

 いつもは大人びている荒潮が今回ばかりは子どものようにはしゃいぎ、提督の元へ自分が開発した三式ソナーを持っていく。

 

提督「お〜、見事だな。流石は勝利の女神と言ったところか」ナデナデ

荒潮「んふふふ〜、そうよ〜♡ もっと褒めて〜♡」スリスリ

 

 提督に撫でられて荒潮はもっと甘えた。そんな荒潮を見る他の者達は、

 

卯月「何か荒潮だけズルいぴょん」プップクプー

深雪「深雪達も一応、ソナー開発したんだけどな〜」ニガワライ

電「荒潮ちゃんは三式ソナーですから、仕方ないのです」ニガワライ

松風「そうだとしても、あんなに司令官にくっつく必要あるのか?」グヌヌ

初霜「まあまあ」ニガワライ

親潮「今回ばっかりは仕方ないですよ」ニガワライ

 

長波「どうせあたしらはソナーすら開発出来ませんでしたよ〜」ケッ

夕立「夕立、今ならレ級もワンパンで屠れる自信があるよ」←狂犬オーラ

初月「奇遇だな、僕も鬼でも姫でも敵機は残さず撃ち落とせるよ」←修羅オーラ

 

 不貞腐れる三人だったが、

 

提督「みんなも協力してくれてありがとう。夕飯は私の奢りで鳳翔のところで美味しい物をご馳走しよう」ニコッ

初月「やった〜!♡」ケロッ

夕立「流石提督さんっぽい〜!♡」コロッ

長波「やったぜ! 美味いもんたらふく食うぞ!」ヨッシャー!

 

 提督の一言ですっかり機嫌を良くするのだった。

 

 その後はみんなで提督達が持ってきた差し入れでおやつタイムを過ごし、夕方からは提督と楽しい夕飯を過ごすのだった(勿論、朝雲と山雲も)ーー。




今回はみんなで艤装開発の風景を四番艦の駆逐艦の娘達で書きました!
書いてそうで書いてなかったので、丁度いいかなと♪

ちゃんとゲーム内でそれぞれを秘書艦にして、本編のレシピ通りに開発したのを書きました!
順番はあみだくじで決めましたが、そこはご了承ください。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改125話

潜水艦メイン。

少し真面目なシーン、独自設定、独自解釈含みます。


 

 ○○鎮守府、一三〇〇ーー

 

 埠頭ーー

 

提督「では行こうか」ニコッ

 

 軍用クルーザーに乗る提督の言葉に、その場にいる者達は揃って埠頭をあとにする。

 提督と共に母港を離れたのは鎮守府にいる潜水艦の艦娘達。

 一見すると出撃のようであるが今回は出撃ではなく、ただクルージングをしに行くのだ。因みに提督はこのクルージングのために今日の分の執務は完了済み。

 

 本日はしおいこと『伊号第四百一潜水艦』がアメリカ軍の手によってハワイ沖にて海没処分をされた日。

 こうした日ということで今朝に黙祷をみんなで捧げた後、提督はしおいから『提督や潜水艦のみんなと海を散歩したい』とお願いされたので潜水艦のみんなと海の散歩をすることになったのだ。

 

 一九四五年の六月。伊四百一はこの時、パナマ運河攻撃に向け姉の伊四百と共同訓練に入ったが、沖縄が陥落し戦況が一段と悪化しアメリカ機動部隊が本土周辺で猛威を振るう事態になったことから「差し迫った戦局を打開するするのが先決である」としてパナマ運河攻撃は中止。

その代わりとしてアメリカ機動部隊の前線基地であるウルシー環礁の敵航空母艦群攻撃に作戦が変更された。

 ウルシー泊地攻撃は伊十三、伊十四が担った「光」作戦と伊四百、伊四百一の担う「嵐」作戦の二つの作戦からなっていた。

 「嵐」作戦とは、伊十三達が運んだ「彩雲」の偵察でウルシー泊地のアメリカ機動部隊の状況を確認した後、伊四百と伊四百一から発進させた「晴嵐」六機で奇襲攻撃をかけるというものだった。

 

 同年七月十六日にアメリカ空母の艦載機と水上部隊によって伊十三は撃沈されたが、同年八月四日に伊十四が輸送に成功。彩雲を陸揚し、作戦の第一段階が成功した。

 これにより、第一潜水隊の攻撃予定日は八月十七日の三時に会合の上、作戦開始と決定された。

 同年七月二十日に伊四百は出撃し、秘密保持のために伊四百一とは別のコースでウルシーに向かった。

 同年八月十五日の玉音放送を受信すると、艦内でこのまま攻撃を実施するか呉に帰港するか激論となった。

 

 しかし海軍総隊司令部から 

 

「一切ノ武器ヲ捨テ内地ニ向カウ、艦艇ハ檣頭ニ黒玉ト黒ノ三角旗ヲ掲揚セヨ」

 

 と指令があり、艦長の判断で攻撃を中止。

 

 そして全ての武器弾薬、機密書類、魚雷、八百キロ爆弾、そして敵艦に突入するはずだった「晴嵐」を海中投棄して呉に帰ることになった。

 が、内地へ帰投する途中、伊四百は東京湾北東五百海里で、伊四百一は三陸沖でアメリカ軍に拿捕された。

 因みに同じく帰還中の伊十四は大湊に着くという日にアメリカ軍の駆逐艦に拿捕されていた。

 

 伊四百一ははじめは離脱を図ったが左舷機関が故障し、速力低下によりアメリカ潜水艦『セグンド』に追いつかれ、日の出後にアメリカ軍へ接収されたと記録が残っている。

 

 それからは伊十四、伊四百と共にアメリカ軍の研究と実験のために運用され、それが終わった後ハワイ沖で目標艦として撃沈処分となった。

 

しおい「提督やみんなと戦闘もしないで海に来れて幸せだな〜♪」

 

 過去にそのようなことがあったという今日を、しおいは提督や仲間達と過ごせることが嬉しくてご機嫌に過ごしている。

 鎮守府の制海権と言っても油断は出来ないが、しおいのために五十鈴や由良、鬼怒といった鎮守府の対潜番長達がそれぞれ水雷戦隊を組んで哨戒行動をとっているので敵潜水艦どころか敵艦隊はそうやすやすと侵入出来ない状態だ。

 

イク「五十鈴ちゃん達に感謝なのね♪」

  (オプションは付いてるけど、提督と一緒なら何でもいいのね♡)

ゴーヤ「だよねだよね♪ お土産に何か海の中で綺麗な貝殻とか持っていくでち♪」

   (提督と一緒に海をお散歩なんて嬉しいでち!♡)

イムヤ「そうね。それか海の幸とか持っていしましょ♪ 少しなら獲っても怒られないもん♪」

   (司令官と一緒っていうのが最高だわ〜♡)

 

 潜水艦のLOVE勢もご機嫌。勿論他の潜水艦達も楽し気に泳いでいるので、提督はそんなみんなを眺めながらクルーザーの舵を取った。

 

 

 そして、

 

しおい「ん〜……海に潜るんじゃなくてただ浮かぶのも気持ちいい〜♪」プカプカ

ろ「ラッコさんになったみたい、ですって♪」

まるゆ「貝殻をお腹の上でコンコンってしましょうか?」ウフフ

ニム「あはは、それもいいかもね〜♪」

はち「私は本読んでる方がいいな〜」ペラッ

 

 適当な地点でクルーザーを停め、みんなで一息入れる。

 しおい達は海上に浮かんでそれぞれ楽しんでいて、

 

イヨ「はにゃ〜、たまには船の上で揺られるのも悪くないね〜」

ヒトミ「そうだね……何だか不思議な気分」フフフ

 

 ヒトミとイヨはクルーザーの甲板に上がって日向ぼっこをしていた。

 

提督「五十鈴達に感謝しなくてはな。こうして安全に海上で過ごせるのは五十鈴達のお陰だからな」

イク「はいなの♡」ピトッ

ゴーヤ「あとでちゃ〜んとお土産確保してくるでち♡」ヒシッ

イムヤ「でも、今はこうしてたい、かな……♡////」

 

 一方、提督とイク達はクルーザーから海面を眺めていた(提督はしおい達を見守っている)。

 イクとゴーヤは提督の両サイドにぴったりとくっついているが、普段遠慮しがちなイムヤは今回ばかりは珍しく提督の側に侍っている。なかなか素直にはなれないが、イクとゴーヤばっかりにいい思いをされるのはしゃくなのだろう。

 

しおい「提督〜!」ノシ

 

 するとしおいが提督を呼んだ。

 

提督「どうした、しおい?」

 

 提督が返事をすると、しおいはすい〜っと提督のすぐ下まで移動してきた。

 

しおい「今年も覚えててくれてありがと〜! そしてお願いも聞いてくれてありがと〜!」ノシ

 

 満面の笑み、そして体全体を使って提督に感謝を伝えてきたしおい。

 

提督「どういたしまして、だ。こちらこそ生まれ変わってきてくれてありがとう、しおい」ニコッ

 

 勿論、みんなもな……と提督が続けると、イク達LOVE勢は当然だが、はち達も提督に揃って『ありがとう』と笑顔で返した。

 その後はまたみんなで海を散歩したり、五十鈴達のお土産を捕まえたりと楽しく過ごすのだった。

 そしてしおいはいつも以上に笑顔あふれる時を過ごしせたーー。




 おまけーー

 提督達帰還後、一八〇〇過ぎーー

しおい「今日はありがとう♪ これみんなで獲ったお魚だよ!」

 〜海の幸どっさり〜

五十鈴「うわぁ、ありがと♪」ナデナデ
由良「みんなで頂くわね」ニコッ
鬼怒「なんならこれから鬼怒達がこれで料理ご馳走しようか?」ニシシ

しおい「え……でもぉ……」
提督「人の厚意は遠慮してはいけないぞ?」ナデナデ
イク「そうなの♪ それに今日はしおいちゃんの日なんだから、気にしちゃメ〜なの!」
ニム「勿論、あたし達もお料理作るよ♪」
まるゆ「ムニエル作ります!」キリッ
はち「はっちゃんは〜、海鮮丼作ってあげる♪」
イムヤ「じゃあ、私は……海鮮あんかけチャーハン作ってあげる!」ニッコリ

 他のみんなも「なら私は」「私も」「あれも作ろう」とどんどん料理の案を出していく。

しおい「て、提督〜、どうしよ〜」オロオロ
提督「みんなに甘えたっていいと、私は思うぞ」ナデナデ
しおい「提督はいつもそればっかり〜!」
提督「あはは、しかしそれが一番だからな」ニコニコ

 提督の開き直りにしおいは「提督〜!」と声をあげたが、その顔はとても良い笑顔だった。
 その後、五十鈴達やイムヤ達によるしおいのための海鮮料理パーティが開かれたーー。

 ーーーーーー

今日はしおいちゃんこと『伊四百一潜水艦』が海没処分された日なので、そのことを踏まえたお話を書きました。

この日に海没処分された伊四百一、そして英霊の方々に心からお祈りします。

本編内の情報はWikipedia、伊四百と伊四百一のページ、『幻の潜水空母-帝国海軍最後の作戦パナマ運河爆砕』という記事より得ました。

そして年は違えど1945年の今日、B29爆撃機14機が日本統治下の台湾・台北市を無差別爆撃。死者3千人以上となりました。
この日に亡くなった方々にも、心からお祈りします。

ただ今日は悲しいことばかりではありません。
陸奥さん、三隈さんの進水日
春風ちゃん、高雄さん、海風ちゃんの竣工日です!
みんなおめでとう!

ということで、読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改126話

発艦! の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 中庭ーー

 

提督「すぅ〜……はぁ〜……」

瑞鶴「今日は風も波も穏やかでいい日和ね♪」

翔鶴「そうね、瑞鶴。少し気温は高いけど、日陰にいれば過ごしやすいわ♪」

 

 執務の休憩で中庭にやってきた提督と本日秘書艦の瑞鶴、そしてそのお手伝いの翔鶴。

提督はいつものように喫煙スペースのベンチで煙草を吸う中、翔鶴と瑞鶴はその提督の両サイドに座ってペットボトルのお茶を飲んでほのぼのとしている。

 

提督「……翔鶴、味方機が戻って来たぞ」

翔鶴「え?」

 

 唐突な提督の言葉に翔鶴は思わず小首を傾げた。するとすぐに提督の言葉の意味が分かった。

 

翔鶴「紙、飛行機?」

 

 翔鶴の膝の上に赤い色の折り紙で折られた紙飛行機がポテッと着地したから。

 

瑞鶴「綺麗に折られてるわね〜。誰が折ったのかしら?」

提督「その(あるじ)が迎えに来たみたいだぞ」クスッ

 

 提督がそう言って小さく笑う。翔鶴達はその視線の方に目を向けると、

 

雲龍「ごめんなさい。まさかそんなに飛ぶとは思わなかったの」

 

 雲龍がテクテクと歩いてきた。

 その後方からは雲龍の妹である天城と葛城、そして祥鳳と朧、漣、朝潮、大潮、霰と大人数がやってくる。

 

 みんなは提督や翔鶴達に挨拶をし、今みんなで紙飛行機で遊んでいることを説明した。

 

提督「紙飛行機か……私も子どもの頃は良く折って飛ばしていたな。それもわざわざ金や銀の折り紙で」アハハ

大潮「金や銀は勿体なくて使ってないです!」

霰「それで最後まで残っちゃうパターン……」ンチャ

瑞鶴「あ〜、でもそういうの分かるわ〜」ニガワライ

葛城「私もそんな感じになるかな〜」ニガワライ

 

 提督の思い出話から性格の話になり、互いにうんうんと頷き合う瑞鶴達。

 

翔鶴「みんなは駆逐艦の娘達と過ごしてたのね」フフフ

雲龍「えぇ、お昼寝してたらおでこに爆撃されて、ね」クスッ

天城「もう少し穏やかな物言いをしてください、雲龍姉様」ニガワライ

祥鳳「最初は私と遊んでいたんです。私が日向ぼっこをしていると、漣ちゃん達がやって来て『祥鳳さんは空母だから紙飛行機も得意なの?』って訊かれて、それで……」

朧「だって、ね〜?」

漣「紙でも飛行機だからね! 飛行機といえば空母だから気になった!」キリッ

朝潮「私もつい気になってしまって……////」

 

 朧、漣は平然と話す中、朝潮だけは微かに頬を赤く染めていた。朝潮からすれば恥ずかしかったのかもしれないが、みんなからすればなんとも可愛らしい疑問である。

 

提督「それで、一番飛ばせたのは雲龍だったという訳か?」

雲龍「えぇ、凄い?」

提督「あぁ、話を聞く限り、二十メートルは飛んだということになるだろう? 十分凄いじゃないか」ナデナデ

雲龍「そう……♡」エヘヘ

 

 提督に褒められて嬉しそうにする雲龍。そんな雲龍を周りのLOVE勢は羨まし気に眺めていた。

 

朧「そういえば、紙飛行機の飛距離にもギネス記録ってあるの?」

漣「そりゃあるっしょ〜。だってギネスだよ?」

 

 漣はそう言うとポケットから通信機(スマホ)を取り出し、そのことを検索。

 

漣「うへ〜……六九.一四メートルだって、ぱねぇ」

朧「ぱねぇっていうか、えぐいね」ニガワライ

大潮「そんなに飛ばせることが出来るんですね〜」

霰「力加減とか風向きとか好条件が重なると出来るのかな?」

朝潮「そもそも折り方も工夫しないと出来ないんじゃない?」

 

 ギネス記録に圧倒される駆逐艦達。

 

瑞鶴「ギネスって何でも認定するのね」ニガワライ

祥鳳「それだけ記録を残される人がいるんですよ」フフッ

葛城「中にはどうしてそんな記録を認定したんだろってのありますよね」ニガワライ

天城「私が知っているのだと……『世界一早く足でサンドイッチを作れるギネス記録』ですね」クスッ

翔鶴「そんなのあるのね……普通に手で作ってほしいわ」ニガワライ

雲龍「手で作るとダークマターになるけど、足で作ると最高の一品が出来るのかしら?」

提督「そういう訳ではないと思うぞ」ニガワライ

 

 一方、提督達はギネス記録そのものに圧倒されていた。

 そんな話をしていると、漣が「ギネス記録を出した紙飛行機の折り方」というのを見つけ、この場にいる中で一番折り紙が得意な朝潮が代表で折ることになった。

 

漣「A4サイズの紙で作るんだって♪」

大潮「紙持ってきました♪」つ紙

朝潮「ありがとう……それで、折り方は?」

 

漣「まずは左上を頂点にして折り目を付けて、ヘラを使用してしっかりと折り込むって」

霰「はい、ヘラ」つヘラ

朝潮「左上を頂点に……」スッスッ

 

漣「んで一度戻して、今度は右上を頂点にして折り目をつける」

大潮「〜〜」ワクワク

朝潮「こうやって……それで?」

 

漣「左上から右下の折り目に沿って折り曲げる」

朝潮「…………」オリオリ

漣「んで、元に戻して逆側も同じように右上から左下への折り目に沿って折り曲げる」

朝潮「…………」ヨイショヨイショ

 

漣「次に折り目が交わる点を基準にして折り曲げて、更に中心にピッタリあうように左右を折り曲げる」

朝潮「漣さん、ちょっと写真見せて」

漣「ほい」つ通信機

朝潮「…………よし、大丈夫」

 

漣「紙飛行機っぽく半分に折り曲げて、先端に少しずらして翼部分を折り曲げる」

朝潮「それで逆サイドの翼も同じように折り曲げて……完成!」ペカー

 

 漣が読んだ通りに朝潮が折り上げると、それは非常にシンプルな紙飛行機になった。

 

瑞鶴「えぇ〜、これでいいの? 凄くシンプルだけど?」

提督「シンプルイズベストなのだろう。でもしっかりと折り込んでいるのがミソなのだろうな……あとは投げ手の投げ方次第といった感じか」

葛城「んじゃ、一番上手に飛ばせる雲龍姉が投げてみなよ♪」

雲龍「え、私?」

 

 雲龍は少し戸惑いの表情を見せる。しかし朝潮達駆逐艦のキラキラと輝く期待感あふれる瞳に押され、飛ばすことに。

 

雲龍「えいっ」ヒョイッ

 

 雲龍が紙飛行機を投げると、全員が『おぉ〜!』と声をあげた。

 何故なら先程よりも明らかに飛距離が伸びたからだ。

 

提督「軽く三十は飛んだな」

瑞鶴「凄いわね〜」ビックリ

翔鶴「えぇ、あんなに飛ぶなんて思わなかったわ」

 

 こうしてギネス記録を叩き出した折り方で折られた紙飛行機はみんなに感動を与え、朧達も真似してその紙飛行機を折ってみんなして飛ばして遊んだそうなーー。




今回は紙飛行機を題材にほのぼのとした回を書きました!
そして今日は祥鳳さん(この時はまだ剣崎)と翔鶴さんの進水日なので二人も登場させました♪
二人共おめでとう!

読んで頂き本当にありがとうございました☆


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艦これSS改127話

ややこしや〜。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一四〇〇ーー

 

 執務室ーー

 

提督「今日は月のはじめに相応しいくらい平和だな……」ホッコリ

ザラ「そうですね♪ 執務もお早めに終えられましたし、まったりと過ごしましょう♪」

ポーラ「たまにはこうやってのんびりするのも必要ですよね〜♪」

 

 晴天に恵まれた今日。提督は本日の執務を早くも終え、本日秘書艦であるポーラ、そしてそのお手伝いにきているザラと共にお茶をすすっていた。

 するとドタバタと数人が廊下を走ってくる音がした。

 

 バタン!

 

リベ「提督! 大変大変!」

清霜「大変だよ〜!」

 

 血相変えて入ってきた二人が開口一番にそう告げると、提督は湯呑を置いて「落ち着いて理由を話しなさい」と返す。

 

清霜「球磨さんと大井さん、ビスマルクさんとガングートさんがケンカしてるの!」

リベ「リベ達じゃ四人を止められないの! 提督、早く四人を止めて!」

 

 その言葉に提督は静かに立ち上がると、

 

提督「四人は今どこだ?」

 

 と清霜達に訊ねた。

 清霜達は海上訓練場だと教えると、提督は冷静かつ迅速に四名の元へ向かった。

 勿論、ザラ達も提督の後を追った。

 

 

 海上訓練場ーー

 

ビスマルク「だから誤解だっていってるでしょ!? 元はといえばガングートが!」

球磨「球磨の妹に危害を加えたことは許さない! 戦艦だろうとまとめて成敗してやる!」

 

ガングート「詫びるならば今のうちだぞ?」

大井「それはこちらのセリフよ。私の北上さんに泣いて土下座し、懺悔なさい」

 

 海上に立つ四人はまさに一触即発。

 しかし、

 

北上「いや〜、大事になっちゃったね〜」ケラケラ

木曾「どうすんたよ、これ……」ハワワ

多摩「成り行きを見守るしかないにゃ。それに艤装は展開してても弾は練習用のだから怪我はしないにゃ」ウンウン

木曾(ぜってぇ止めんの面倒くさがってる!)

ウォスパ「優雅じゃないわね」ヤレヤレ

アイオワ「ぶつかり合うのは理解への第一歩ね!」キラキラ

 

 みんな(ギャラリー)は至ってほのぼのムード。

 

提督「何がどうなっているんだ?」

 

 するとそこへ提督が到着。しかし訓練場と待機席との温度差にいささか戸惑っている様子。

 

アイオワ「見ての通り、友情を育んでいるのよ!」キラキラ

提督「友……情? ケンカではないのか?」

ウォスパ「ケンカ……まぁ、そう言えなくもないけど……」ニガワライ

 

 ウォースパイトの反応に提督は更に困惑する。そしてザラ達も追いつき、ザラ達は北上達にどうしてこうなったのかを訊ねた。

 

アイオワ「それはミーから説明するわ♪」

 

 そうアイオワが言うと、この発端を話し始めた。

 

 それは今から数十分前のことーー

 

 

 ーー戦艦寮、ビスマルク達の部屋

 

アイオワ『この映画、凄く面白いわね!』

ウォスパ『俳優も女優もいい演技をしてるわ』

ビスマルク『そうね……////』ドキドキ

 

 本日休みのビスマルク達はみんなして恋愛モノの映画を観ていた。

 映画も山場を迎え、ずっとすれ違っていた男女がやっと互いの気持ちに気付くというところなのだが、

 

ガングート『紛らわしい……なんで最初からこうしなかったんだ。こいつらはアホなのか?』ボリボリ

 

 ソファーに寝そべって胡麻煎餅をモグムシャしているガングートが雰囲気をぶち壊した。

 

ビスマルク『ちょっと、ガングート! 少しは考えてくれない!? 今いいところなのよ!?』

ガングート『お前にとっていいもところでも、私にっとてはいいところでもなんでもない。それとお前のせいで画面が見えん。邪魔だ』シッシッ

ビスマルク『〜〜〜!』ワナワナ

 

ビスマルク『いいわ! 今日こそはっきりさせてあげる!』

 

 ーー

 

アイオワ「ってなことになって、」

木曾「偶然出くわした俺と多摩姉貴、北上姉貴が理由を聞いたら、北上姉貴が……」

 

 アイオワに続き、今度は木曾が説明を始めるーー

 

北上『まあまあ、仲間同士仲良くしなよ〜。しかも二人は同じ寮室仲間でもあるんだからさ〜』

ビスマルク『うるさいわね! 部外者は引っ込んでてよ!』

ガングート『そうだ! これは貴様らの問題ではない!』

 

北上『』カッチーン

木曾『お、おい、北上姉貴……』

北上『少しお灸を据える必要があるね〜』←絶対零度の笑み

 

北上『よっ』コロン

 

 北上はビスマルク達の側で寝っ転がると、

 

北上『イタッ! ワー、シマッター、フタリニツキトバサレテシマッター!』

 

 棒読みで叫んだ。

 すると、

 

球磨『何事かな〜?』ヌッ

大井『どうしたのかしら〜?』ヌッ

 

 音もなく球磨と大井が現れた。

 これでは収集がつかなくなると思った木曾だったが、

 

多摩『二人を止めようとしたら、北上が二人に突き飛ばされたにゃ』

 

 多摩が業火に石油を投下してしまったのだった。

 

 ーー

 

北上「という状況だよ」キリッ

多摩「二人を止めようと努力した結果にゃ」キリリッ

 

提督「………………」

木曾「その、提督……俺がいながら、本当にごめん」

 

 北上と多摩の清々しい表情に提督は思わず頭を抱え、そんな提督に木曾は深々と頭を下げる。

 

提督「…………理由は理解した。ともあれこのままでは良くない。四人を止めるぞ」

 

 そう言うと提督はすぅ〜っと大きく息を吸い、大声で「全艦整列!」と叫んだ。

 その声に今にもおっ始めようとしていた四名は勿論だが、側にいた全員が思わず姿勢を正した。

 

提督「海上に立っている四名は直ちに集合せよ」

 

 今度は普通の声量で言うと、ビスマルク達は透かさず提督の元へ。その間、ガングート以外は肩を震わせていた。

 

提督「理由はアイオワ達から聞いた。そして理解した。しかしここまですることは関心せんな」

 

 提督の静かな声にビスマルク、球磨、大井は何も言えずにいると、

 

ガングート「そもそも変な言い掛かりを付けてきたそこの軽巡達のせいだ。私はビスマルクとしか対立していない」

 

 ガングートが物怖じせずに答えた。

 そんなガングートにビスマルク達は余計なことを……と思ったが、もう遅かった。

 

提督「口応えをするな!」

ガングート「っ!?」ビクッ

 

提督「我々は全員が仲間であり、一つの家族だ。だが、時には対立することもあるだろう」

ビスマルク「…………」

 

提督「しかし、艤装を展開してまで争う理由にはならない」

球磨「…………」

 

提督「君達はもうただ使われるだけの兵器ではないのだ。ちゃんと人のことを考え、行動することが出来るだろう」

大井「…………」

 

提督「練習用であれ、仲間同士で銃口を向け合うのは止してくれ。演習ならば理解はする。しかし私情を持ち出してのことならば、許さん」

ガングート「…………」

 

 提督の切なる言葉。それを聞いて最初に行動したのはガングートだった。

 ガングートは艤装を解除し、ビスマルクに向かって頭を下げた。

 

ガングート「無神経なことをした……本当にすまなかった」

ビスマルク「わ、分かればいいのよ……私も熱くなってごめんなさい」

 

 ビスマルクも謝ると、二人は笑顔で握手を交わした。

 それから球磨と大井も二人に謝罪し、四人はそれぞれわだかまり無く仲直り出来た。

 

北上「流石提督だね〜♪ お疲れ〜♪」

提督「今度はもう少し考えてから行動してくれるとありがたい」ニガワライ

北上「ほ〜い♪」

提督「ふぅ……何はともあれ、一件落着だな」ニコッ

 

 提督がそう言って笑顔を見せると翔鶴達も笑顔を見せ、その後は提督の提案でみんなして食堂で甘いものを食べに行くのだったーー。




少〜し不穏な感じになりましたが、今回はこのような感じにしました!
たまにはこういうこともあるよねって感じで……(^^;

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改128話

ええやん。の談。

ネタ、独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、一五〇〇ーー

 

 食堂前ーー

 

春日丸「あの、本当にご馳走になってよろしいんですか?」

龍驤「かまへんかまへん♪ 今日はうちの奢りや、気にせんでええ♪」カタポンポン

 

 食堂前に立つ龍驤と春日丸。二人は食堂の中へ入らず、とある人物が到着するのを待っている。

 その人物はアメリカ空母のサラトガ。

史実からすれば龍驤の仇になるが、艦娘となった今の二人は大の仲良し。

それで龍驤はこれから春日丸とサラトガを引き合わせるつもりなのだ。

 春日丸はどちらかといえば受け身気質なので、サラトガとこれを機会に仲良くなってもらおうという算段である。

 

サラトガ「お待たせ〜、龍驤♪ それと春日丸ね♪ 今日はいい日にしましょ♪ 私のことはサラでいいわ♪」

春日丸「よ、よろしくお願い致します」ペコリ

龍驤「ん〜じゃ、早速中へ入るで〜♪」

 

 

 食堂ーー

 

 カランカランーー

 

神威「いらっしゃいませ〜♪」

速吸「いらっしゃいませ〜!」

 

 中へ入ると速吸と神威の二人が龍驤達を出迎えた。

 

龍驤「どうする? 食べたいもん決まってるなら今注文してまうけど?」

サラトガ「そう急がなくてもいいんじゃない? 取り敢えず飲み物だけ頼んで、talkしましょ♪」

春日丸「私はお二人におまかせ致します」ニコッ

 

 すると龍驤は二人に「ん〜♪」と短く返し、龍驤はアイスコーヒー、サラトガはアイスティー、春日丸は冷たい緑茶を注文して適当なテーブルへ向かった。

 

神威「アイスコーヒー、アイスティー、冷たい緑茶……」メモメモ

速吸「うんうん♪ その調子その調子♪」

神威「はい♪」

 

 一方、まだ不慣れな神威は一生懸命仕事を覚えようとしていて、教えている速吸はその都度褒めながら教育していくのだった。

 

 

 ーー

 

神威「お飲み物をお持ちしました。アイスコーヒーの方」

龍驤「ほ〜い」ノシ

 

神威「アイスティーの方」

サラトガ「は〜い♪」ニコッ

 

神威「春日丸さんが冷たい緑茶ですね」

春日丸「ありがとうございます」ウケトリ

 

神威「甘味の方はお決まりですか?」

龍驤「うちニューヨークチーズケーキセット♪ セットのアイスはバニラで頼むわ♪」

神威「はい」メモメモ

サラトガ「サラはいちごしぐれ、アイス乗せ♪」

神威「……はい」メモメモ

春日丸「…………私は間宮羊羹をください」ニコッ

神威「はい……ご注文承りました! 少々お待ちください!」ニコッ

 

 神威はそう言うと厨房へ向かった。

 

サラトガ「春日丸って龍驤から聞いてた通り、優しいのね」フフフ

 

 神威が去ったあと、サラトガが春日丸にそう言って微笑むと春日丸はどういうことだか分からずに小首を傾げる。

 

龍驤「さっき神威がメモとるの待っとったやろ? サラやんはそれが優しいって言うてるんよ」ニシシ

春日丸「いえ、私はそんな……////」ハゥ

サラトガ「Wow♪ 褒められて真っ赤になるのも聞いてた通りだわ♪」

春日丸「からかわないでください……////」アウアウ

 

 早速サラトガに褒めちぎられて狼狽する春日丸。龍驤はそんな二人をニコニコと眺めるのだった。

 

 

 ーー

 

神威「お持ちしました〜!」ニコッ

 

 神威がみんなの甘味を持ってくると、今度は確認せずにちゃんとみんなの前に甘味を置く。

 

龍驤「おぉ、ええやん♪ 今後も頑張ってな♪」

神威「はい、ありがとうございます♪ 頑張ります♪」

 

 龍驤に褒められた神威はスキップでもするかのようにルンルン気分でカウンターに戻り、速吸にも褒めてもらうのだった。

 

龍驤「みんな馴染んできたな〜、ええことや」ウンウン

サラトガ「サラもすぐに馴染めたわ♪ アメリカ艦なのにみんな良く話しかけてくれて……」フフッ

春日丸「駆逐艦の娘達とか、良く話しかけてくださいますよね」ニコッ

龍驤「せやな♪ んでもって春日丸の場合は今も「トゥーッス!」って言われてるんやろ〜?」

 

 どこかニヤニヤしたような顔で龍驤にそう言われた春日丸は、また顔を赤く染めたが「龍驤さんのせいです////」と返して、頬を少し膨らませてそっぽを向いてしまった。

 

サラトガ「そういうのってなかなか……というか、ずっと言われるわよね。サラも未だに駆逐艦の娘達から『サラサラヘアーさん』って呼ばれるもの」ニガワライ

龍驤「ええやん♪ 実際サラサラヘアーなんやし♪」

サラトガ「龍驤が『サラサラヘアーのサラやんやで♪』なぁんてみんなに紹介したのが発端なのに〜」

龍驤「ええやんええやん♪ L○Xさんにせんかったうちのチョイスを褒めてほしいわ♪」

春日丸「まぁ、龍驤さんったら」クスクス

 

 龍驤の言葉に春日丸も堪えきれずに口に手をあてて笑った。サラトガは「春日丸まで!?」と声をあげたが、その表情は笑顔だったので存外嫌な訳でもないようだ。

 

龍驤「みんなが笑いあって日々を過ごせるっちゅうんはほんまにええな〜」

 

 一頻り笑いあった後、コーヒーを飲んでから龍驤がそんな言葉を発すると、サラトガも春日丸もそうだねと言うように頷いた。

 

春日丸「本当にこの鎮守府は賑やかで温かくて、好きです」ニコッ

サラトガ「訓練は厳しいけどね」ニガワライ

春日丸「でもそれで多くの人々を救えるなら、私は構いません。サラトガさんも同じ気持ちですよね?」

サラトガ「Sure……勿論よ♪ そのためにJAPANへ来たんだから♪」

龍驤「あん時は敵やったけど、今は仲間やもんな♪ ええこっちゃ♪」

春日丸「私達もこうして艦娘として生まれ変われることが出来たんですものね……運命とは本当に不思議なものです」

サラトガ「そうね……この奇跡に感謝しなくちゃね♪」

 

 サラトガがそう二人に言うと、龍驤も春日丸も笑顔で頷いた。

 

 

 ーー

 

サラトガ「いちごしぐれ美味しい♪ お代わりしちゃおうかな?」シャクシャク

龍驤「好きに食いやぁ♪ うちが奢るなんて滅多にないんやからな♪」

 

 龍驤はそう言って笑うが、

 

サラトガ「ああは言ってるけど、自分にとって嬉しいことがあると奢ってくれるのよ、龍驤って♪

 

 とサラトガが春日丸に耳打ちした。それを聞いた春日丸は「まぁ♪」と言って口に手をやって笑った。

 

龍驤「なんやなんや〜? もううちを除け者にする気なん?」

サラトガ「そんなことしないわよ♪ ね?」

春日丸「はい。龍驤さんは素敵ですねってお話してたんです♪」

 

 サラトガと春日丸は互いに「ね〜♪」と言い合って笑いあう。

 そんな二人に龍驤は、

 

龍驤「なにヨイショしてんねん♪ ええからもっと好きなもん頼みぃや〜♪」

 

 と笑顔を浮かべて言い放った。

 

 その後も三人は笑顔でおやつタイムを過ごし、春日丸は龍驤のお陰でサラトガという友人が新しく出来た日になるのだったーー。




今日は仲良くほのぼの回にしました♪
昔は敵でしたが、今となってはこんな風に仲良く過ごしてほしいですね☆

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改129話

提督メイン。

ネタ、独自設定含みます。


 

 大本営、一〇〇〇ーー

 

 応接室ーー

 

香取「あなた、お茶をお淹れしました♡」

鹿島「先輩、先輩のために私特製のロールケーキも作りました♡ 食べてください♡」

提督「あぁ、ありがとう、二人共」ニコッ

 

 提督は第一艦隊の者達と大本営へ出向いていた。

 愛しの人が来ているということで香取型姉妹は大張り切り。第一艦隊のLOVE勢も香取達とは同志であるため、今回ばかりは二人に譲っている感がある。

 

 ガチャーー

 

元帥「やぁやぁ、呼び出しておいて待たせてすまないねぇ」

 

 するとそこへ元帥がのほほんと参上してきた。

 提督は起立し、第一艦隊の者達と同時に敬礼をする。

 

元帥「ん……楽にしてくれ。香取君、私にもお茶をくれ」

香取「只今ご用意致します」ニコッ

鹿島「元帥さんもロールケーキ食べます?」

元帥「食べりゅうぅぅぅぅ!」

鹿島「そういうのいいんで」←絶対零度の視線

元帥「(´・ω・`)」ツメタイ...

 

一同『』ニガワライ

 

 香取達が元帥にも提督と同じ物を用意し終わると、元帥はお茶をすすりながら口を開いた。

 

元帥「今回、君をここまで呼んだのは君を大将に昇進させるからだ」

提督「…………それはまた急なお話ですね……」

元帥「なぁに、今に始まったことではなかろう? それと勿論頷いてくれるのだろう?」

 

 元帥の言葉に提督は「はい」と力強く返し、うやうやしく頭を下げる。

 そんな提督に元帥はうんうんと笑顔で頷き、鹿島のロールケーキを一口含んだ。

 

元帥「では昇進式の日程や予定は追って連絡する」モグモグ

提督「いえ、私はそのようなことは……」

元帥「大将からは昇進式をやる。これは決まりだ」モグモグ

提督「わ、分かりました」ニガワライ

 

 すると元帥はわざとらしく咳払いする。

 それを見て香取と鹿島は提督だけを残し、第一艦隊のみんなと共に応接室から退室。

提督は何やら重大なことでも言われるのかと思い、姿勢を正した。

 

元帥「これを見てくれ」

 

 元帥はそう言って一枚の写真を見せる。

 その写真には赤を基調とした晴れ着に身を包む黒く美しいセミロングの綺麗な女性が写っていた。

 

元帥「私の娘だ」

提督「とてもお綺麗な方ですね」

元帥「歳は今年で二十四。君と同じで△△鎮守府を預かる提督をしている。因みに階級は大佐だ」

提督「ご立派ですね」

元帥「では娘とお見合いしてくれるね?」

提督「は?」

 

 突然の言葉に提督は思わず訊き返してしまう。

 

元帥「む〜す〜め〜と〜」

提督「いえ、聞き取れなかった訳ではありません。何故いきなりお見合いをしろと?」

元帥「君は短い期間だが士官学校で特別教官を務め、講演をしたな?」

提督「はい」

元帥「その時、私の娘も君の講演に出席していた。そしてその時の君のものの捉え方や志に深く感銘を受けたようでね。どうしても君とのお見合い取り付けてほしいと……」

提督「……はい」

 

元帥「身内自慢になるが、娘は私の妻に似て美人だ。どこに出しても恥じない娘に育ってくれたしな。しかし私の娘ということで変なゴミムシ共にばかり言い寄られ、人間の醜い部分を多く見てしまっていて、今まで娘の口から男の話なんて全く出なかった」

 

元帥「そんな愛娘が君となら……と、そう願ってきた。一度見合いをすればそれでいい。そのあとで断ってくれても構わない」

提督「しかし……」

元帥「なぁに、娘をふったからと報復をすることはない。先ず一度会ってほしいという父親である私からの頼みだ」ニコッ

提督「……分かりました。一度お見合いさせて頂きます」ペコリ

元帥「うむ。では早急に手配しよう」

  (これで前みたいに娘からパパと呼んでもらえる!)

 

 こうして提督は元帥の娘とお見合いすることになった。

 

 

 応接室外・ドア前ーー

 

香取「あのオヤジ……」グヌヌ

鹿島「なんて余計なことを……」グヌヌ

 

赤城「そんな……」ガーン

山城「…………」シロメ

高雄「…………」ズーン

愛宕「…………」orz

夕立「」ゴゴゴゴゴ←狂犬オーラ

扶桑「み、皆さん、落ち着いて!」オロオロ

 

 香取型姉妹や第一艦隊の者達は元帥と提督の話を盗み聞き聞いてた艦娘達は提督のお見合い話に平然を保っていられなかった。

 しかしここで暴動を起こさないのが流石である。

 

赤城「六月って本当に嫌いです」

山城「貴女にとっては本当に不幸が重なったわね」

高雄「で、ですが、何もまだ提督がご結婚なさるかまでは分かりません」

愛宕「そうよ。提督が私達を置いて……行くなんて……」ポロポロ

夕立「提督さんが誰かにとられちゃうなんてやだぁ〜」エグエグ

扶桑「涙を拭いてください」

 

 扶桑は凛とした声で赤城達に言った。

 

扶桑「まだ何もかもが決まった訳ではありません。初めから泣いていては、そうだと決めつけているようなものです」

 

扶桑「全ては私達の提督がお決めになること。しかし提督は私達を存外に扱うような決断はしないはず」

 

扶桑「貴女方が好いたお人はそんな薄情なお人なのですか?」

 

 扶桑の言葉に赤城達は泣くのをグッと堪える。そして全員が「そんな人ではない」と言うように扶桑の目を見つめた。

 

 その後は提督が応接室から元帥と現れ、お見合いの話をし、みんなは複雑な表情を浮かべながらも精一杯の笑みを見せ、鎮守府へと帰還。

 去り際、赤城達が元帥を鋭く睨んでいたとか……。

 

 

 ○○鎮守府、一六〇〇ーー

 

 鎮守府では提督がお見合いするという大ニュースが知れ渡り、鎮守府内はその話題でもちきり状態。

 中でも『提督から幸せを貰い隊』は会議室に集合して何やらやっている様子で、会議室の中からは何かの呪文のような言葉がブツブツと聞こえているんだとか。

 

 

 埠頭ーー

 

電「…………」

 

 鎮守府が提督のお見合い騒動に揺れる中、電はひとり、埠頭から海を眺めていた。

 

電(丁度今くらいなのです……電が初めての出撃から帰還したのは……)

 

 そう思いを馳せる電。その時のことは瞼を閉じれば、いつでも鮮明に思い出せる。

 

 艦娘になって初めての温もり、初めての優しさ、初めての心からの笑顔……何もかもが新鮮で、本当に幸せな瞬間だった。

 

電(司令官さん……)

 

 想い人の顔を思い浮かべると、電の胸はズキッと痛みを感じる。

 

 初期艦で提督とずっと苦楽を共にしてきた電にとって、心優しい電にとって、今回ばかりはどうしたらいいのか分からなかった。

 

「こんなところにいたのか、電」

 

電「? 司令、官さん?」

 

 するとそこに提督が現れた。提督は電の隣にやってくると、自然に電の頭を撫でる。

 

提督「何度か連絡したんだがな……しかし、ここだと思ってやってきたらビンゴだ」ニコッ

 

 提督の言葉に電は慌てて自分の通信機(スマホ)を確認すると、提督からの着信が四件もあった。

 

電「ご、ごめんなさいなのです……」

提督「こうして会えたのだからいいさ。鎮守府は今、私のせいでざわざわしているから、埠頭で丁度いいくらいだ」

電「お見合いのお話……ですよね」ニガワライ

提督「あぁ……自分の娘と一度お見合いしてほしいと、元帥殿から頼まれてね」

電「…………司令官さんは」

提督「?」

電「司令官さんはどうするおつもりなのです?」

 

 勇気を出して電は訊いた。提督はその質問に幾許か思案し、

 

提督「……私はーー」

 

 答えようとしたその時だった。

 本館の方から爆発音がした。

 

提督「何事だ!?」

電「会議室からなのです!」

 

 二人は急いで現場へ向かった。爆発したのは山城達が使用していた会議室だったが、幸い怪我人はなく、会議室の机や椅子が壊れただけだった。

 山城達は提督に理由を話し、深く謝罪すると、提督は「怪我がなかったからいいものの、今度からは工廠でやるように」と注意した。一体何をしていたやら……。

 

 そんなこんなで後片付けをしているうちに夜になり、元帥から提督へお見合いの日時が決まったと連絡があった。

 日程は急なことではあるが、明日で場所は○○鎮守府ということになった。

 

 艦娘達は複雑な表情を揃って浮かべるが、全て提督に委ねようということで落ち着いたものの、その日の夜は多くが眠れぬ夜を過ごした。

 

 

 結局、提督が電に何を言おうとしたのか……それはもう提督本人しか知らないーー。




はい。ということで、今回はちょっとバタバタしたお話になりました!

それとここでお知らせなのですが、あと一話でこの作品の幕を閉じようと思います。
目標であった百話も超え、そろそろ幕を閉じてもいいかなと思い、決断した次第です。
ご了承お願い致します。

今日は現地時間でミッドウェー海戦が始まった日であり、五日は日本時間でミッドウェー海戦が始まった日なので、この日を最終回にしようと決めました。

あと一話で終わりですが、バッドエンドにはしませんのでどうか最終回までお付き合い願えれば幸いです。

読んで頂き本当にありがとうございました!


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艦これSS改最終話

勝利を刻む。の談。

独自設定含みます。


 

 ○○鎮守府、〇九〇〇ーー

 

 応接室ーー

 

 応接室では提督と元帥の娘であり△△鎮守府の提督がお見合いの真っ最中。急なお見合いであったため双方の両親は同席出来なかったが、その代わりとして香取、鹿島が仲介役をしている。

 

香取「では私達はこれにて席を外させて頂きます」

鹿島「あとはお二人でご自由に会話なさってください」

 

 二人は平静を装いつつも、しっかりと元帥の娘へ冷たい眼差しを送ってから退室した。

 

△提督「わたくしは随分と嫌われているのですね。あの二人からも、ここの艦娘達からも……」

 

 香取達が退室したのを確認してから、元帥の娘は涼しい顔で静かにそう言葉を発する。

 

提督「香取達はどうかは知りませんが、私の艦娘達のことは私から謝罪します。申し訳ありません」ペコリ

△提督「構いませんわ。わたくしはあの娘達からすれば敵同然ですもの」フフフ

 

 元帥の娘の言葉に提督は「そんなことは……」と声をかけるが、元帥の娘は相変わらず笑顔を絶やさなかった。

 

△提督「あなたは自分のところの艦娘を本当に信頼していますね……だからこそあの娘達の本気さがわたくしの肌にヒシヒシと伝わって来ます」

提督「皆、大切な仲間であり家族ですから」ニコッ

 

 提督がそう返すと△提督は口を手で押さえて小さく笑う。提督は何かのおかしな発言でもしたのかと首を傾げていると、

 

△提督「その笑顔がわたくしをあなたの虜にしました」

 

 静かにそれでいて提督の目を真っ直ぐに見つめて、そう告げた。

 突然の告白に提督は思わず頭を掻く。

 

△提督「あなたは彼女達を兵器ではなく、人として扱っています。そして誰であろうと彼女達を死なせはしないという強い心をお持ちです」

 

△提督「……そんなあなただからこそ、わたくしはあなたの特別になりたいと願いました」

 

△提督「家系や戦績などで人を比較せず、常に平等で誰に対しても信念を貫き通す高潔さ……それでいて本心は凄く臆病な方。わたくしはそんなあなたを支えたいのです」

 

提督「ありがとうございます。勿体無いお言葉です」

 

 元帥の娘からの心からの言葉は提督の胸を震わせた。

 

 

 会議室ーー

 

△提督『うふふ、そういう真面目なところも愛おしいですわね』クスクス

提督『お手柔らかにお願い致します』ニガワライ

 

金剛「ワタシの方がテイトクを愛してるネ!」

大和「大和だって負けてません!」

長門「私もだ!」

山城「ぽっと出滅せよ」イライラ

伊勢「ちょっと静かにしてよ」ニガワライ

 

 会議室では提督と元帥の娘の会話とその様子がライブ中継されていた。

 昨晩、明石や夕張が突貫工事したからだ。

 

 提督がどんな決断をするのか……もし提督が元帥の娘と結ばれようものならばLOVE勢としては突撃する構えである。どうせ結ばれないなら、せめて自分達の気持ちは伝えたい……と思ってのこと。

 

赤城「提督のせいで昨晩はお夜食もカップ麺二杯しか喉を通りませんでした……」

加賀「………………提督……」←もはやツッコまない

飛鷹「……美人に褒められたからってデレデレして……」ムゥ

隼鷹「全くだぜ」グヌヌ

千代田「ホントホント」ウンウン

千歳「私達だってちゃんと褒めてるのに〜」プクゥ

 

鈴谷「お似合いってのがまたムカつく……」

熊野「今からでも襲撃して差し上げたいですわ」

衣笠「まあまあ、気持ちは分かるけどさ」ニガワライ

古鷹「今は抑えよう?」ニガワライ

利根「吾輩は提督を信じる」

筑摩「そうですね、姉さん」ニコッ

愛宕(でも目はモニターに釘付けっていう)ニガワライ

高雄(筑摩さんも笑顔だけど、怖いわ)ニガワライ

摩耶(提督結婚しちゃうのやだ……)

 

由良「解体処分されてもいいから既成事実を作りに行けば良かった……」

五十鈴「そうよね……艦娘人生最大の失態だわ」

名取「だから昨晩にみんなで拝借しちゃおうって提案したのに……」

鬼怒「でも流石に同意なしじゃあ……ねぇ?」

阿武隈「うん……それにいきなり本番はちょっと……////」

 

大井「……あんの泥棒猫……」ワナワナ

夕張「まぁまぁ、落ち着いて」ドォドォ

神通「」ニコニコ←絶対零度の笑み

夕張「神通も!」ハワワ

 

夕立「…………提督さん」クスン

村雨「大丈夫よ、夕立」ナデナデ

白露「そうそう。ぽっと出に何言われたって提督は動じないよ」ナミダメ

時雨「その顔だと説得力ないよ、姉さん」ニガワライ

 

響「司令官……」

電「…………」グスン

暁「何暗くなってるのよ。まだ何も決まってないんだから……今は見届けることが大切よ」ナデナデ

雷(暁姉が妙にレディしてる……)

 

 それぞれ思うことが多く、中には涙を流している者いる……しかし周りがそれを励まし、みんなは提督の言葉を聞き逃さないよう力強く画面を見つめた。

 

 

 応接室ーー

 

△提督「それで……あなたのお返事はどうでしょう?」

 

 一頻り笑ったあとで、元帥の娘は提督にそう訊ねる。

 提督は姿勢を正し、真っ直ぐに彼女の目と自分の目を合わせると、

 

提督「私のような無骨者でも、あなたのような可憐な方にそう言ってもらえて嬉しくありますーー」

 

 そして提督は言葉を続けた。

 

提督「ーーですが、私はあなたと結婚するつもりはありません。私には電と言う、心から好いた女性がいますから」

 

 提督はそう言って深々と頭を下げる。

 

△提督「そうですか……残念ですわ」ニコッ

 

 提督の答えに精一杯の笑顔で気丈に返す元帥の娘。すると提督は「私は席を外します」と告げて、退室していった。

 

 一人部屋に残された元帥の娘は小さく息を吐き、天井を見上げる。その目からは一筋の涙が頬を伝っていた。

 

△提督「こんな時にまでお気を遣うだなんて、心から諦められないではありませんか……本当にずるい人」

 

 しかし涙を拭いて、清々しい笑みを浮かべるのだった。

 

 

 会議室ーー

 

 会議室に集まった者達は全員が固まっていた。そして全員が一人の艦娘に注目していた。

 

電「あわわわわわ////」

 

 みんなの注目を浴びる電だけが顔を茹でだこにして狼狽。

 まさか提督の口からあのような告白がされるとは電は勿論、誰もが予想していなかったから。

 

 そしてみんなは穏やかな笑顔で電に告げたーー

 

『提督の元へ行ってあげて』

 

 ーーと。

 

 

 埠頭ーー

 

提督「すぅ〜……はぁ〜……」

 

 提督は潮風を感じつつ、煙草を吸っていた。流石の提督も今回ばかりは多少なりとも気が滅入ったからだ。

 

電「し、司令官さん!////」ハァハァ

 

 そこに電が肩で息をして到着した。

 そんな電に提督は煙草を消し、携帯灰皿に吸い殻を入れながら「そんなに息を切らせてどうした?」と訊ねると、電は思わず口をパクパクさせてしまう。

 

 そして、

 

電「電も……電も司令官さんがとってもとってもとってもと〜っても大好きなのですぅ!////」

 

 そう叫び、提督の胸に飛び込む電。

 提督は戸惑いながらもしっかりと電をその胸に抱きとめた。

 

 ずっと好きだった……

  ずっとその背中を追ってた……

   ずっとこの人のことを想ってた……

 

 優しく微笑んだ顔も

  おかしそうに笑った顔も

 辛そうな顔も

  泣きそうな顔も

 

   手の温もり

  大きな背中

 優しく力強い眼差し

 

 全部が大好きで、その言の葉だけでは到底足りない

 

 

提督「電……」

電「司令官さん♡」

 

 しかし、今の二人に言葉は不要だった。

 

提督「まさか電から告白されるとは思わなかった。時を見て私からと思っていたんだがな」ニガワライ

電「そんな……電はちゃんと司令官さんのお気持ちをーー」ハッ

 

 聞いていたから……と、つい口が滑りそうになった電は慌てて口を手で押さえる。

 そんな電に提督が首を傾げていると、

 

『提督〜!』

 

 LOVE勢が一気に二人の元へ押し寄せてきた。

 

金剛「ワタシもテイトクが大好きデ〜ス!♡」

長門「私もだ〜!♡」

大和「大和もです!♡」

山城「わ、わた、私も!♡////」

 

加賀「責任取ってください……提督以外の男性は眼中にありませんので♡」

赤城「提督、艦娘とならジュウコン出来ますよ?♡」

瑞鶴「私達の気持ちも受け止めて♡」

翔鶴「何番目でも構いません。ですが、お側に置いてください!♡」

 

愛宕「提督〜、私達のことも愛して〜!♡」

高雄「お、男を見せてください♡////」

利根「みんなとケッコンすれば丸く収まるぞ!♡」

筑摩「利根姉さん共々、宜しくお願い致します♡」

 

大井「わ、私ともけけけけっこんをですすねねね!♡////」

神通「不束者ですが、末永くお願い致します♡」

夕張「わ、私も提督のことが好きなんです!♡////」

阿賀野「阿賀野も提督さんのことだ〜い好き〜!♡」

 

夕雲「精一杯、末永くお世話させて頂きますね♡」

雷「これからはお嫁さんとしてお世話してあげるわね♡」

浦風「提督さんは男じゃけぇ、うちらのことも平等に愛してくれるじゃろ?♡」

如月「司令官は私達の気持ちも受け止めてくれるわよね〜?♡」

荒潮「私は提督を信じてるわ〜♡」

 

 みんなからの告白に提督は戸惑いを隠せない。

 すると、みんなに揉みくちゃにされる提督の手を何者かが引っ張った。

 

香取「私のことも忘れないでください♡ ずっとずっと好きだったんですから♡」

鹿島「私も先輩のことがずっと好きでした!♡ 私達ともケッコンしてください!♡」

 

 それは香取型姉妹で、二人は提督に告白してそのまま提督と愛の逃避行へーー

 

提督「ふ、二人と……もっ!?」ガクン

 

 ーーしかし、また提督は何者かに引っ張られた。

 

△提督「わたくしも諦めた訳ではありませんよ?」ニコッ

提督「…………」ハワワ

△提督「艦娘でなく、表向きは普通の人間の伴侶が必要でしょう? わたくしがなってさしあげますわ♡」

 

 満面の笑みで物凄いことを提案する元帥の娘……流石はあの元帥の娘といったところだろう。

 しかし、提督はその手を振り解くと、

 

提督「電、一先ず撤退するぞ!」

電「はい……って、ひゃわ〜!////」

 

 電をお姫様抱っこして走り出した。

 

『待て〜!』

『提督〜!』

『私達も〜!』

 

 後ろからは大勢が提督の背中を追う。

 

提督「今日は本当に予期せぬ事態がてんこ盛りだ!」

電「本当なのですぅ!」

 

 しかし二人は本当に心からの笑顔でみんなから逃げ、暫くの間、愛の逃避行をするのだった。

 

 

 後、提督と電の仲はみんな理解したが、

 

『では次はケッコンカッコガチを目指します!♡』

 

 とそう宣言するのだった。

 

 この先も提督の鎮守府は何かと騒がしく賑やかで、それでいてみんなの笑顔があふれる日々が過ぎるだろうーー。

 

 艦これ Short Story改-完-




何にでも終わりはあるもので、タイトル通りに今作はこれを最後に閉幕させて頂きます。
最後はこの作品らしくドタバタにし、しかしそれでいてちゃんと提督が電ちゃんを選ぶという風に仕上げました。出せなかった艦娘についてご了承を。

時にはギャグ、キャラ崩壊、お砂糖を組み込み、前作の後半同様、その艦の史実なども時には組み込みました。
少しでも多くの方々にその艦の歴史やキャラとしての魅力を私なりの表現でお伝えすることが出来ていれば幸いです。

そしてお知らせがあります。
ありがたいことに前回の時点でこの作品の改二を書いてほしいとのお声をメッセージなどで多く頂いております。
しかし大変申し訳ありませんが、現段階でそのことは答えることが出来ません。
この答えは少しお時間を頂き、6月12日に活動報告にて出したいと思います(投稿時間は未定ですがこの日の内に上げます)。
現段階で言えることは、前向きに検討したいと思っています。ということです。
ご了承お願い致します。

前作とは違って半年という短い間でしたが、私が書いた作品をここまで読んで頂いた方々、評価して頂いた方々、ご感想を書いて頂いた方々、お気に入り登録して頂いた方々、ご指摘や誤字報告をして頂いた方々、多くの方々に心から感謝致します。
本当に本当にありがとうございました!


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