由比ヶ浜結衣の消失 (ぼつちやん)
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プロローグ

どうも。ぼつちやんです。
寒くなってきましたね〜。それに十二月ですし、ハルヒ好きな私としてはこの時期になると消失が浮かんでくるわけで、そんな中思い浮かんでしまったのがこんなお話で…
結末まで持っていける気がしない(泣)
でもとりあえずプロローグだけでも書いてみました。
ハルヒ知らない人も、もし由比ヶ浜がいなかったら、みたいな感じで受け取ってもらえれば問題ないかと思います。
目標は改めて結衣が奉仕部の二人に与えた影響がどれほど大きいものであったかを認識してもらうことです。
もしかしたら設定に矛盾など生じてしまうかもしれません…そのときはすみません。
まあ長くなってもアレなんでとりあえずプロローグだけでもご覧下さい!どうぞ!


地球をアイスピックでつついたとしても針が折れてそれで終いだろ、と、アイスピックという単語は出てくるがさすがにかち割れはしないだろうという、なんとも微妙な寒さの時期。

こんなタイミングで例のアイスピックのフレーズが浮かんだのは偶然なんだろうか。

これから語るのは、あったかもしれない、そんな未来のお話、かもしれない。

これから語られるものは真実、あるいは、嘘。なんてこれも嘘かもしれないね。てへっ♪

あ、なんか最後のアレやったあと平塚先生に衝撃のファーストブリット喰らわされたの思い出して怖くなったから、は、始めるぞっ!?

 

***

 

「うーす」

中途半端な寒さでも出なければならない部活がそこにあるんです!ムムッ!いや、だって平塚先生が怖いじゃん?物理的に。いや、フィジカル以外にも怖いけど。メールとか電話とかあとメール。なんなら数あるトラウマを持つ俺ですらトラウマランキングベスト10に入れちゃうまである。ん?10個発表しろって?言うな何も…

やや遅れ気味のタイミングで返事が聞こえて来た。

「こんにちは、比企谷くん」

読んでいる文庫本からは視線を外さずに彼女は、雪ノ下雪乃は淡々と口を開いた。

「…」

「…」

沈黙。英語で言うとサイレンス。今ほどこの言葉が相応しい瞬間も日頃そうないだろう。

だが、今の俺からすれば別だ。ここ最近は、いや。今思えば初めてこの部屋に来たあの日、部活当てクイズをしたりたまに来る依頼人と話をする時以外はずっとこんな感じだったのかもしれない。

初めの頃はまだ目が腐っているだとか不審者だとか噛まれたら友達に、いえ、仲間になれそうねだとか散々な罵倒はされてきた。やば、目が霞んできた。視力落ちたかな?ぐしぐしっ!八幡、泣かない!

…と、 1人語っている間も、部屋の中で誰かの声がするわけでもなければ紅茶の香りも今はしない。

 

***

 

「今日はこれで解散ね。お疲れ様」

またも雪ノ下は淡々と言った。さっきと違うのは文庫本から目を離していたことだろう。視線はまたも合わなかった。

「おう、お疲れさん」

俺もまた淡々と言っていたのだろう。彼女には背を向け、ドアへ向かいながらの事だったのだし。

ん?何かいつもの奉仕部と違う?そういや説明がまだだったか。

知りたい?知りたい?知りたいよね?

でも教えない。だから絶対に聞くなよ?なんでこんな雰囲気なのかなんて聞くなよ!絶対に聞くなよ!

どこのダチョウだアホらしい…

茶番もこの辺にして説明させてもらおう。

何故なのか。 何故こんなにも虚しい雰囲気なのか。何故なら今、この部屋に、いや。学校に、いや。もしかすると世界に。

彼女、由比ヶ浜結衣はいないのだから。




…どうですかね?ちょくちょく更新していきたいですが不定期になることは確かです。でも、前書きにあったよう、皆さんに由比ヶ浜結衣という存在の大きさを認識してもらうために頑張っていきたいです。
まずもう既にこのお話だけでわかることがありますね。八幡と雪乃の関係ですね。結衣がいなかったらこんな感じだったのかなーとイメージしたのがこのプロローグになります。
このあとのお話で過去のあんなイベントやこんなイベントも結衣がいなかったら…でやっていく予定です。
しばらくはこのシリーズに集中したいと思います。ただし不定期です(2回目)なんかすみません…
では、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
P.S.段落表記のやり方がわからなくて…すんげぇ読みにくいですね…


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始まりの日へ

後に本文にも書いてありますが、いきなりあのまま進めても疑問だらけだと思います。
何故彼女はいなくなったのか?
彼はどのようにしてこの世界へとやってきたのか?(この二つはほぼ同じ疑問な気がする)
彼女無くしてあのイベントはどうだったのか?そもそも成立しないイベントもあるし、というわけでプロローグから進むお話と過去のお話と気まぐれに進めていこうと思います。
では、どうぞ!


いきなりこのまま進めるのもアレだからとりあえず、アレだ…今まで何があったのかも織り交ぜつつ語っていこうと思う。

そんなわけでまずは、俺がどういう経緯でこの世界、由比ヶ浜結衣のいなくなった世界にやってきたのかというところから語ろう。

俺がいなくなった元の世界ってどうなってんだろうな…僕だけがいない街、なんてことになってたりして。てへっ♪

「…バカなの」

ひぃっ!?こ、小町…!?にしてはなんだか暗い声が聞こえてきた、ような気がした。

 

***

 

海浜高校との合同クリスマスイベントを終えた数日後の事だった、と思う。何度か寝て起きてを繰り返しもう何回か寝るとお正月〜♪なんて頃に目覚めた時、突然それは起こった。

「うわ…何これ?青春真っ只中にいるはずのセブンティーンにもなってオネショかよ…ってくらいの寝汗だな。まあ俺は青春とは縁がないから構わんが。なんなら人との縁もないし」

悲しくなってきたから途中で口を閉じた。

今は自分で自分の首を絞めてる場合ではないな。うん。

そう、暑かった。その日は冬のはずなのにまるで春の陽気だった。

春に羽毛ぶとんプラス毛布の組み合わせしてるような奴はいないだろう。ところがいたんだ。ったく誰だよそんなやつ俺か。

考えてみる。昨夜は羽毛ぶとんプラ((ryで丁度いいくらいの寒さだったはずで、ところが目覚めると春の陽気で。

春の陽気のせいか、部屋の物が、特に制服とかすんげぇピカピカにみえる。春ってすごいなと思いました。まる。

異常気象に違いないな。うん。ったくよ、最近お天気お姉さんも嘘吐きすぎなんじゃないの?いくら人間嘘だらけといっても天気予報くらい本当のこと言えよ!

「とりあえず、歯磨くか」

そういって自室をあとにし、制服はピカピカだったし、俺の目も輝いてたりしないだろうかとか考えながら洗面所へ向かった。

 

***

 

いつも通り平常運転で腐っていた俺の目を鏡で眺めながら歯を磨き顔を洗った後、リビングへと向かった。

両親もいつも通り平常運転で早朝から会社という飼い主の元へと餌(※給料です)をもらうために出勤なさっていた。朝昼晩社畜生活ご苦労様です。何それ休みないじゃん。働かないぞ!働いたら負けだ!

改めて決意を胸にし、リビングのドアを開けると

「およ?お兄ちゃん、おはよっ!」

なんだいつもよりも眩しいしキラキラしてる割に鬱陶しくないな可愛いなこんな朝日は…ほぼ毎日見てるわ、と思ったら小町だった。

「おう、おはよーさん」

「お兄ちゃん…そこはもうちょっと元気よく言わないと…友達できないぞっ!お兄ちゃん目は腐ってるけど顔はいいんだから。あ、今の小町的にポイント高い☆」

「顔はいいのくだりに余計なひとことでサンドイッチみたいにするのやめてね?何?今日の朝食を遠まわしに伝えたかったの?」

「今日はご飯と味噌汁と梅干とサラダだけど?」

「全然関係ねぇじゃねぇか…」

「お兄ちゃん今朝はよく喋るね。何かいいことでもあったのかい?」

小町が自分の両目を交互に指差しながら、若干ウザめのドヤ顔で問うてきた。

なるほど、目と目でメメですねわかります。

「それこそもっと関係ねぇタイミングでぶっ込んできたなオイ。関係もねぇしいいことも何もねぇよ」

とはいえ少しアニメのお勉強をしたようだから褒めてやることにしよう。

「偉いぞ小町立派だ。だがお前はもう受験生だ。受験ももうすぐだ。あと二ヶ月もすれば受験だ。そんな勉強よりも受験勉強なさってくださいお兄ちゃん応援してるから」

淡々とした口調になってしまったが言ったことは本心だ。伝わるといいな…

と、それは余計な懸念だったらしい。

「お兄ちゃん、二ヶ月って…二年の間違いじゃないの?小町はまだ中学二年生で受験生じゃないよ〜」

「そうか。あと2年か。それならまだ大丈…は?」

思わずひっくり返った声で問い直してしまった。

「いやいや小町ちゃん。もう世はクリスマス

も過ぎ年の瀬ムードじゃないですか。確かになんか今日はいつものこの時期よりかは暑いけどさ、現実逃避はよくないよ?お兄ちゃん、なんだかんだで応援してるからさ。妹との高校生活楽しみにしてるからさ」

思わず早口で捲し立ててしまった。そういや雪ノ下にこんなクセがあったな〜とか考えていると小町が口をへの字にして、

「お兄ちゃんこそ何言ってるの?いくら高校生活が友達も彼女も出来なさそうなぼっち高校生活になりそうで不安だからって現実逃避は小町的にポイント低いよ〜…それに」

こう宣った。

「今日は4月〇日。入学式の日でしょ?」

暖かい春の陽気の中で、俺の世界が、俺だけが凍りついた。




不定期とかいいながら話が浮かんだので忘れないうちにアップしました。以降もポンポン浮かんでくれるといいのですが…(^^;
はい、というわけでとんじゃいましたね八幡。入学式ということはこのあとアレがアレでアレになるということで…
今回はこの辺りで。
誤字などございましたら感想の方にお願いします。
それではまた次回!
ありがとうございました!
P.S.☆9初めてつけていただいてとても嬉しかったです!アレって消せたりするんですかね…まあ1回ついただけでテンション上がりまくリングでした(笑)


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まちがっていた始まり

テレビを観てみる。

「本日4月〇日の最高気温は20度くらいで、平年並みの心地よい春の陽気に包まれるでしょう」

お天気お姉さんが笑顔で言った。

「ろ、録画かもしれん。そうだ新聞だ新聞ならわざわざ過去のものを取っておいたりはしないだろ…」

-四月〇日 △▽新聞-

「あっれれ〜おかしいぞぉ〜過去の記事を取ってる人はいるかもだけど新聞丸々取ってる人なんてなかなかいないのに〜なんでかな〜?」

「お兄ちゃん、正直それ男子高校生がやるとキモいていうかお兄ちゃん補正がかかって更にキモいコナン君に謝って」

前半ジト目で最後のは真顔で言われた。

「コナン君には謝るがお前には謝らんむしろ謝れ。俺に謝れ。お前は全俺を傷つけたのだか」

「あ、お兄ちゃん、はやくしないと入学式遅れちゃうよ?ささっ食べちゃって食べちゃって!」

途中で切られたし、今度はとびきりの営業スマイルで言われた。

「器用なやっちゃなお前…」

朝から何面相なの?な小町に促され朝食を取ろうとする前に時計を確認してみる。

「悪い小町、あんま時間ねぇみたいだから帰ってきてから食べるわ」

「え?いやまだ全然時間ある…ってお兄ちゃん!?」

「いってくる」

そう告げてリビングを後にした。なんか小町がぶーぶー文句言ってた気がする。あとで謝っとこう。

急いで自室へと向かい、ピカピカの制服に着替える。念のため荷物も持って、俺は学校へ、正確にはあの場所へと向かった。

 

***

 

さて、俺が何故最愛の妹の手料理を一旦投げてまで家を飛び出したのか。

それは、記憶によると俺はあの日あの時間にはもう既に家を出ていたからだ。

本当は認めたくないのだけれど、いや、ホントマジ嫌なのだけれど、こんなにけれどけれどって雪ノ下でも言わないと思うけれど、多分こんなにけれどけれど言うのは俺と髪型がよく似た彼だけなんだけれど…

もし今日が本当に「あの日」だというのなら、「あの事故」がもうすぐ起こることになる。

記憶よりも数分遅れて家を出たので全速力で自転車をこぐ。

犬を助けることは絶対、可能なら俺の怪我も回避したいところだが…とにかく犬優先。

いやいや、なんならやっぱり今日は十二月でっていう可能性もあるよね!

とはいえ、不安な気持ちが強いので、自転車のスピードを緩めずあの場所へと向かった。

 

***

 

「お、あの犬と…ん?」

犬は発見した。だが飼い主が俺の思う人物とはかけ離れている。もっとこうイマドキのギャルって感じじゃないのん?

今思えば、俺に飼い主の記憶まではない。飼い主が誰かは知っている。だが、現場にいた時の飼い主がどのような人物だったか、というのは覚えていない。いや、ホント痛くて…

結論から言うと間に合った。だが確信が持てなかった。

「さて、どうしたもんかねぇ…」

確かあの時は俺と犬と犬の飼い主とあの車しかいなかったはずだ。だから彼女に違いないのだが…

人違いとかチョー恥ずくね?

また黒歴史とかトラウマ増えんのかよ…

いや、今更一つや二つ増えたところで…

と、考えれば考えるほど余計なことばかりが浮かんでくる。ったく、今日だけは恨むぜこのトラウマ回避体質。

「こうなりゃヤケクソだ…ハァ…」

とりあえず、犬の飼い主さんに話しかけてみることにした。

 

***

 

「お、おはようごじゃましゅっ!」

「!?」

盛大に噛んだしキョドったせいで飼い主さん、かなりビックリなさってますね。

「お、おはようございます…」

小さくて聞き取りにくかったが、この声は間違いない。由比ヶ浜結衣だ。

目当ての人物だったということと、今日は本当にあの日なんだという二つの確信を得られた所でさらに続ける。

「か、可愛い犬ですね。少し撫でさせてもらったりしてもいいですか?」

オッケー、最初よりは平常心戻ってきた。

由比ヶ浜(クマさんパジャマ。黒髪でメイクはおそらくなし)は少し訝しなげ視線を向けながらも

「は、はい。ど、どうぞ…」

リードを俺に預けてくれた。

「ありがとうございます」

おー、カマクラと違って素直な子だ。初対面のはずなのに大人しい。俺は何回か会ってるけど。

犬も近くで見られたことで更に確信を得る。

名前なんだっけ?サラブレッドだっけ?一応聞いてみようかと口を開くが

「「あの」」

向こうとタイミングが重なってしまった。

「さ、先にどうぞ!」

さすが空気を読んで生きてきただけのことはあるな。気遣いがはやい。

「じゃ、じゃあ俺から…この子、名前なんて言うんですか?」

「えっと、サブレっていいます」

そうだったそうだったサブローでもサラブレッドでもサラブレードでもなくサブレねよし覚えた覚えた。

「へー、か、可愛い名前ですね…」

「ありがとうございます」

1年にも満たないとはいえほぼ毎日顔を合わせていたお陰か、俺にしちゃなかなか気の利いたひとことだったんじゃないだろうか。

それに、さっきよりも由比ヶ浜の警戒心が薄れているようにも感じた。

「今度はあたしから、いいですか?」

「お、おう。なんでも言ってくれ」

そう言ってからしまった!こいつキモいですとかなんとか言ってくる可能性あるじゃん!とか思ったが、彼女の興味は俺、ではなくこのピカピカの制服だったらしく、

「その制服、総武高ですよね?」

「そうですね」

「へぇー、頭、良いんですね」

「いやいや、中学はぼっちだったから中学の連中が誰も来ないような所を目指したらここだったってだけですよ」

「そんな理由!?なんかすごく負けた気分…あたしもそこ目指してたんだけどなぁ…」

ブツブツ言いながらあからさまに落ち込む由比ヶ浜。何か言ってやるべきかと思っていると、一羽の蝶が俺のそばへ飛んできた。

「ひゃんひゃんっ!」

サブレが暴れだした。好奇心の強いやっちゃ。

サーーーー…

と、今度は遠くで車の音がしてきた。そろそろ時間か…

あの車が通過するまでサブレを拘束してればいいだけの話だ。

ザーーーー…

だんだん近づいてきたな、と思ったその時、サブレは身をよじり、俺の手からスルッと抜け出た。クソッ、毛並み良すぎんだよキューティクルかよ、などと思っている暇もないようだ。

サブレは俺の手から抜け出たあと、さっきの蝶を追いかけ車道へと飛び出していた。

「サブレ!」

由比ヶ浜が叫ぶ。

ズーーーー…

車はどんどん近づいてくる。

「おい!」

俺はサブレの後を追う。

-クラクションが鳴った-

-サブレを掴んだ-

-由比ヶ浜の方へ投げ-

-…-

そこから少しの間の、病院で目が覚めるまでの間の記憶はなかった。

 




おー、まだ今のところ1日1話で更新できてますね〜…というのも、なんと!お気に入りが10件超えましたー!おめでとうワタシ!
少しやる気が出たんですかね?一話の時は正直気まぐれに更新していこう…くらいだったのですが。
ていうかこのお話自体が気まぐれだしなんなら書いていることも全て気まぐれな気がする…(´・ω・`)
そのうちボロが出て設定に矛盾など生じてしまうかもしれません…そのときはすみません!
今でもちょくちょく修正加えたりはしていますがまだ修正の効く範囲なので大丈夫なのですが、ストーリー丸々改変しなきゃとかなるともう…想像したくないなぁ…
さて、タイトルに名前がありながらも今回で初めて登場した彼女、由比ヶ浜結衣。いかがでしたか?高校生なりたてのガハマさんの情報はほとんどアニメでも原作でもなくて難しかったですが、まあ中身はそんなに変わらないだろうということで口調だけは気をつけたつもりです。
何か違和感、修正すべき語、設定、感想などございましたら感想の方へよろしくお願いします!
ではまた!
P.S.前書き邪魔そうなので今回はこっちでまとめてみました。お気づきいただけたでしょうか?壁|ω・`)チラッ?


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運命

どうもぼっちゃんです!
今回ちょっと地の文多くてアレなんですけどその代わり他作品のネタもちょっと多めかもです。(ていうか今後もちょくちょく同じ作品からいただくかも…)知らない人には申し訳ない気がする…すみません。
知ってくれてたら嬉しいなぁ…(。-∀-)
と、また次回から後書きにまとめる形式にします。
とりあえず、どぞ!


入院から退院までの出来事を断片的にではあるが語らせてもらおう。

まず、目が覚めた時、誰も病室にはいなかった。

同じ部活の超能力者ハンサムくんが「おや」とか言いながらりんごの皮を剥いてくれてることもなければその逆側のベッドの下で俺の目覚めをヨダレのあとを残しながら寝袋で待ってくれてるツンデレなヒロインもいなかった。そういやまず部活入ってなかったわ。

家族くらいいてもよくね?とは思ったが目覚めた時は平日の真昼間。皆出勤または学校である。

その後念のため精密検査を受けたが軽い打撲程度で済んだらしく異常は見当たらなかった。

なんでも運転手が超ベテランの人だったらしく、流石に躱すことはできなくとも最悪の事態だけは避けられたみたいだ。

気を失っていたのもただのショック症状らしい。事故るの怖かったんだろうな。怖くないやつなんているのかよ。

検査を終え日が傾いてきた頃に小町が来てくれた。

「およ?お兄ちゃんおはよー。今夕方だけど」

「何お前?超能力者なの?閉鎖空間で巨人と赤い球で戦ってたの?」

「ん?」

そこまで意識はしてなかったらしい。おかしいなぁ偶然にしてはセリフが似ているな〜。

「にしてもお兄ちゃんが事故ったんだ。もうちょっと深刻そうな雰囲気出してくれてもよくない?」

「いや、そりゃ小町だってお医者さんが深刻そうにしてて目覚めたなら泣いて喜ぶけど…あ、今の小町的にポイント高いよ?でも『ショックで気を失っているだけで命に別状はありません。明日には目覚めるでしょう』なんて言われてると深刻も何もないっていうか」

「さいですか…」

少しショックを受けた。

「うわナニソレ超ショックなんだけど…あぁお兄ちゃんまた気を失いソウダ」

「そんな棒読みで言われても説得力ないよ?」

「それでももう少しくらい…」

言い切る前に小町は俺を抱きしめた。

「でも、目覚めてくれて嬉しいのも本当だよ?」

小声で囁かれた。俺の顔とか多分超紅くなってたと思う。

小町の表情は残念ながらうかがえなかったが、次のひとことで全てがひっくり返った。

「なーんて、今のも小町的にポイントたっかいー♪」

「ばっかお前、そのひとことがなくてお前が妹じゃなかったら即行で告白して振られてるよ俺。」

「振られちゃうんだね…あとお兄ちゃんそれはキモい。まあ誰もいないからいいけど」

「一応患者である俺に精神攻撃仕掛けないでもらえる?」

「はいはいゴメンゴメン!」

 

***

 

その後小町から連絡を受けた両親が病院へと駆けつけ家族揃っての談笑を終えたあと、念のためあと3日くらい入院することになった俺を残し家族は帰っていった。

その3日で俺の記憶にあるのはドライバーさんが謝罪に来てくれたことと小町が毎日来てくれたことだけだな。

小町が言うには、俺が眠っている間に由比ヶ浜が2度くらい来てくれたらしい。顔は見ていない。寝てたから。

2回ほどちょっと高そうなお菓子が病室に置いてあった事があったけどアレ由比ヶ浜だったのね。ありがとね。

***

 

退院した。

この世界に来てから何度か寝て起きてを繰り返したが日付は4月のままだ。小町に聞いても病院で担当の先生に聞いてもそれは変わらなかった。

記憶よりも数週間早めの退院だった。

っべー、これまだクラスでグループも形成されてなくてワンチャン入学ぼっち回避できんじゃね?

とか思っていた時期が僕にもありました。

結論から書く。

失敗した失敗した失敗した失敗した俺はぼっち回避に失敗した。

俺がぼっちだったのは…元々か。

んー…何かおかしくないか?

俺には1度この日々を過ごした「記憶」がある。つまり、上手く立ち合えば都合の悪い事は回避できるし成し遂げたいことも記憶をたどれば成し遂げられるかもしれないのだ。

ここでの例を挙げるなら、あの時由比ヶ浜に先に会っておき事故を回避してみる-見事に回避はできなかったが怪我は前より軽く済んだ-とかちょっと早めに退院できたから友達作りに挑戦してみる-物の見事にまたぼっち!-などである。

待てよ?これと似たようなものをどこかで…

あ!これアニメで見たことあるヤツだ!某大手通信教育の教材でやった問題が実際にテストにも出た時みたいに言ってみる。

『運命の強制力』という言葉を知っているだろうか?

1人の少女を救うため過去へ飛び、見事に救い出したがその後元の時間へと戻った時、世界は滅んでいた。少女か世界、どちらかが失われる、みたいな状況だったと思う。

別のものなら、『世界線の収束』というやつだ。

偶然過去にメールを送れるマシンを作り上げてしまい、これまた偶然主人公の中二病を患った大学生が天才少女殺人事件を目撃。そのことをメールで仲間に伝えた時、世界線というものを移動。その天才少女が生きている世界へとやってきた。だがその世界では13日の金曜日になると主人公の幼なじみが死ぬ。しかも死因はバラバラ。「死」という結果だけが必然で、それまでの過程はどうだっていい、みたいな。

まるで「運命」である。

そうか俺がぼっちなのは運命だったのか。なんか誇らしい気がした。

…となると、色々検証してみる必要がありそうだ…




今回まじで人少なかったですね…次回はあんな人やこんな人登場させる予定です。
登場人物が増える度にタグ更新してます。タグにあるだけであまり出番のないキャラもいるかも…ていうかいますね(確信)
しかもサブタイトルの盛大さの割にこの中身の薄さ…やっぱりちゃんと全部まとめて書くべきですかね?1日ごとにお話考えて更新とかだといつかボロ出て失敗した失敗した失敗した…ってなりますよね:(´◦ω◦`):ガクブル
それと、あと2回か3回更新したら低浮上になると思います。もし待ってくれてる方がいらっしゃったら申し訳ございません…先に謝っておきます。
低浮上でも、週一話は更新できるよう頑張ります!
今回もありがとうございました!


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日の満ちる、けれど何かが満ち足りないあの部屋へ

「ふぅ、終わった…」

前回語っていた時間からほぼ1年の時が過ぎた。

さっき俺が何を終えたのかというと、

『高校生活を振り返って』

あの作文である。

-青春とは嘘であり悪である-

-リア充爆発しろ-

うん、特に何も考えないで書いてたらすんごいどこかで見たことあるようなのが完成したな。

最後だけでも書き直してみるか。

-砕け散れ-

これじゃ犯行声明じゃないか。もっかい…

-爆発しろ-

あっれれぇーおかしいぞぉ?メガネの小学生探偵もビックリなほどほぼ同じ文章にしかならない。

もういいや最初ので。ハイ終了!

ん?前回ラストの検証はどうなったかって?あー、アレな。

本当に特に語ることは何も無く、元の世界と同じようなぼっち…いや、平和な1年を過ごしたよ。

これじゃさすがに説明がガサツか。

ならばまた断片的に何をしたか、少し時間を戻して語らせてもらうことにする。

 

***

 

検証、とはいっても単純なことである。

俺は元の世界で、1年生の間に校内であの2人に会った覚えがない。ていうか絶対会ってない。

由比ヶ浜なんてクッキーの依頼の時初めて知ったし、雪ノ下だって眉目秀麗成績優秀な高嶺の花ってことで小耳に挟んでいた程度だったし。

というわけで、俺が1年のうちにあの2人に接触を試みると「運命の強制力」または「世界線収束」とやらがはたらくのか、というのを検証してみたんだ。

なんと検証は大成功。つまり、会うことには失敗。

それがまた見事なもので、雪ノ下に会おうと国際教養科の教室やらなんなら奉仕部の部室に直接乗り込もうとすると何故か先生から呼び出しを喰らったり、教室に辿り着いたと思ったら雪ノ下が不在だったりと…

いや別に会いたいなーとか思ってたわけじゃないよ?ホント、ハチマン、ウソ、ツカナイ。

どちらかと言うと、ていうか断然衝撃的だったのは由比ヶ浜の方の検証だった。

俺はまず、彼女の1年の時のクラスを知らなかった。

そこで、彼女のクラスを教えてもらおうとある人を頼るため職員室に行ったんだ。

え?友達に聞けばよくないかって?

…いたら職員室になんて行きませんよ。

ドアをノックし、開ける。

「失礼しまーす。1年の比企谷です。平塚先生はいます…おられますかー?」

体育科のやつにすんげぇ睨まれた。アイツ先生のこと「いますかー」とか言ったらうるせぇんだよなぁ…だからわざわざ言い直した。

カツカツと、ヒールの音が近づいてくる。

「お、比企谷か。私に何か用かね?」

白衣を着ているのはどちらの世界でも変わらないらしい。

「探している生徒がいましてね、クラスとか教えてもらおうと先生を…」

「あー、構わんぞ。その生徒の名前は?」

「由比ヶ浜結衣、という女生徒なんですが」

先生は何故か少し目を細め考えるような表情をした。

「はて、そんな生徒うちにいたかな…学年は?」

「俺と同じ2年…じゃなくて、1年のはずですが」

思いっきり間違えた。

特に不審に思うこともなく平塚先生は続けた。

「ふむ…よし、全クラスの名簿を持ってきてやる。応接室で待っていてくれたまえ」

「うす、ありがとうございます。あ、普通科だけで構いません」

「わかった。おかしいなぁ…新入生は全員把握してたつもりなんだが…」

そうぼやきながらまたもヒールの音を立て奥へと入っていった先生。

この時、私も歳かなー、とか、早く結婚したい…、とかは聞こえなかったよ?ホントダヨ?

 

***

 

「さ、思う存分探してくれたまえ!私も手伝おう」

何故か先生は嬉しそうにそう言い、手伝ってくれた。

目がキラキラしてた。残念ながらそれは少女や乙女のそれではなく、少年のものだった。

「山田…渡部…このクラスじゃないな…」

名前の順になってるから、最後の方だけ見ればはやいだろう。と、作業してるとあっという間に確認終わった。

ちょうど平塚先生と俺とで半分ずつだった。

「あの、俺の方にはいなかったんスけど、そちらは?」

「私の方にもいなかったよ。念のためこちらも見ておくといい。そして私がそちらを確認しよう」

そういって先生は自分が確認した方の名簿を差し出してきた。

「ありがとうございます」

受け取りながら俺も自分が確認したのを先生へ差し出した。

やっぱり、いなかった。

さすがにちょっと動揺した。

由比ヶ浜が総武高から消えた…?

いや、ここはポジティブに行こう。プロローグにあったように世界から消えたわけではないんだ…事故の時ちょっと様子は違うが由比ヶ浜には会っている。なんだよ大袈裟だなー世界から消えただナンテー…

とはいえ、かなり動揺しているのが出ていたらしく、

「どうした比企谷。そんなにその女生徒に何か特別な思いでも抱いているのか?同性の友達もいないのに異性から手を出すとはな…リア充爆発しろ!」

すんげぇ勢いで机をバンと叩きなさった。これガラスの机とかだと粉々だよね?ってくらいの威力。

「いや違うんスよ。ホントただ探しているってだけで…」

人が人ひとり消えたって動揺してるのに他人事みたいにしやがって…ってここまでひとひと言ったこと今まで一度もなかったなーとか思ってると、

「冗談だよ。むしろ他者とほとんど関わりのない君が自ら人と関わりを求めようとすることは教師としては嬉しいものだぞ?」

そういってめっさいい笑顔で頭をクシャクシャと撫でてくる。めっさ男らしい。

少し撫でられたあとスルリと躱しながら俺は

「げ、この時からもう既にぼっちだから目付けられてたのかよ」

と言ってしまった。

「ん?何を言っているのかね君は。あんなの気づかない方がどうかしてるよ」

先生はハハッと笑いながら言った。

つい記憶ってのがあるせいで余計なことを言ってしまう。

どうやら不審には思われなかったらしい。

知ったかぶりよりも知らないふりする方が難しいんじゃないだろうか。

いや、そうでもないか。アイツらみんな俺がいじめられてても知らないふりする…じゃなかったな。アイツら全員敵だったわ。知らないふりというかクラス総動員で俺を潰しにかかってきてた。

何?学級総動員法とかいうクラスのルールでも作ったの?それでも俺は潰されなかった。アイツら30数人、俺ぼっち。つまり単体でのスペックは俺があいつらの30数倍以上は高いということになる。よって、俺の勝ち。証明完了…

…またトラウマ掘り返してたわ。いかんいかん。

意識を先生の方へと戻す。

「そうですか。よく生徒のことを見てるいい先生、なんですね」

「褒めても内申点はやらんぞ。ラーメンくらいなら奢ってやってもいいが」

「ぜひお願いします」

「比企谷…お前、普段からそんな素直にしてたら友達の1人や2人くらいできるだろう…」

少し目を見開き、驚きながらそう言われた。

「俺が欲しいのは友達とか、そういうんじゃないんで」

「そうか…なら今はまだ何も言わん。」

「その方がありがたいです。」

「だが君が大きく間違いそうになった時は叱らせてもらうぞ。」

「はぁ…衝撃のファーストブリットとかは勘弁してくださいね」

「フッ、どうだか…とにかく、私は君も、ちゃんと見ているよ」

そう言って先生は穏やかに笑いかけてくれた。

この時には俺も既に落ち着きを取り戻していた。

 

***

 

あれからのほほーんとぼっち高校生活を満喫しているふりをしながらもどこかであの2人と会えないだろうかと常に周囲は見渡していたが、どうやら由比ヶ浜は本当にこの学校にいないらしい。証拠に雪ノ下は何度か遠目から見かけたことがあるんだ。接触はできなかったけど。

そして夏休みやら文化祭、体育祭、冬休み、クリスマス、お正月、マラソン大会、と文字通りトントン拍子で高校1年(2回目)は終わって冒頭の日記へと至るわけだ。

マジで何も起きなかったなー1年の間は…

書き終えた作文をそのまま提出した。

やはり、とでも言うべきか。平塚先生からの呼び出しである。

「比企谷。この舐めた作文は何だ?」

「先生が出した課題のレポートですが?」

「よし比企谷、私に着いてこい」

「え、ちょっとはやくない?」

「何がだ?」

あー、これ逆らったらあかんヤツや…目がマジだもん…ていうか目だけで言ってるよ。「逆らえば貴様のどこかが飛ぶ」的なことを…

今回は腕を掴まれ半ば強制連行なんてことはなかったが、逆らえば俺のどこかが無くなりそうだったので大人しく自首するかのよう先生についていった。

今思えば、1年の間に何も起きないことも、あのレポートであんなことを書くのも、それが原因であの部活-まだ確定はしていないがおそらくそうだろう-に入れられるなんてことも「運命の強制力」とやらがはたらいていたのかもしれない。

 

***

 

「着いたぞ」

うむ、やはり。それが最初に思ったこと。ほぼ一年近く毎日のように訪れていたあの扉の前に、俺はいる。

「うす」

扉に手を伸ばそうとした時

「やけに素直じゃないか比企谷。私はもう少し嫌がるかと思っていたのだが」

「い、いや…そのぉ…あーマジでここどこだよーはやくかえりてぇよー」

「そうかそうか。君はそんなにここに来たかったのか…なら入ろうか」

なん…だと…!?俺の迫真の演技が…!どうやら俺は嘘が下手らしい。ていうか嘘つけないっぽい。

一人の少年のハリウッドへの夢が絶たれたところで(いや、別に目指してないけどね)先生はからりと戸を開けた。もちろん、ノックなどせずに。

「平塚先生。入る時にはノックを、とお願いしたはずですが」

何年かぶりに聴いた気がするその声は、どこか聴き慣れたものと違い、冷たい。そんな印象を受けた。

 

 

 

 




はい、というわけで、平塚先生登場でーす!
彼女めちゃめちゃいい先生だと思うんですけど、それが伝わればなーと思いながら今回のお話作らせてもらいましたが、伝わったでしょうか?
ここで謝罪です。前回のお話の後書きであんなキャラやこんなキャラって書いて2人新登場しそうなところ今回は平塚先生1人ということになってしまったことをお詫び申し上げます…
強いて言うなら雪乃の再登場でしょうか?とはいえ、誤解を生んでしまっていたのは事実ですので改めて謝罪申し上げます…
え?後書き読んでない?なんだ、それならいっか!
一応次回のお話をちらっとさせてもらうと、次回からいよいよプロローグまで戻るための色々(2年の間のあんなイベントやこんなイベント再び)が始まります、とお伝えしておきます。
八幡が入部してからの最初の依頼といえば…なんでしたっけ?といった辺りから始めようと思っております。
それではまた次回!
ありがとうございました!


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何かが足りぬまま過ぎ行く時間(1)

更新大幅に遅れて申し訳ありません!とりあえずこの先数話の方針が固まったので投稿させていただきました。とりあえずご覧下さい。


※ここからは超スピードでプロローグまでの展開をお送りします。

テロップも出したし大丈夫だな?ついてこれるよな?テレビじゃどれだけ食べ物を粗末にしても

※スタッフが美味しくいただきました

みたいなの出しときゃいいやって風習があるからな…そんなわけあるか。

というわけで、冒頭の冬までに何があったか、比企谷八幡の超高速高2生活inアナザーワールドをお送りするぜ!

 

***

 

「……そうね、ゲームをしましょ」

「奉仕部」

「」

「何?どしたの?」

「いえ、別に。クイズに正解されて悔しいなんてことは微塵もないのだけれどもう少し雰囲気というものがあるでしょう?あなたそんなこともわからないから友達も彼女も誰もいないのよ」

「いや、その、すまん…」

「…」

雪ノ下さんめっちゃ怒っていらっしゃるぅぅぅ!!いや、めっちゃ悔しそうだな。どんだけ負けず嫌いなんだよ…

こうして二人して終始無言のまま初日の活動は終わった。

 

***

 

「そろそろ最初の依頼が来るはずなんだが…」

「何を言っているのかしら比企谷くん?」

「…いや、ひとりごとだ。忘れてくれ」

「そう」

曖昧な記憶ではあるがそろそろ俺がこの部に入って最初の依頼主、由比ヶ浜結衣がここを訪ねてくる頃だったのでつい零してしまったひとことが雪ノ下に聞こえてしまったようだ。

その日も、それから数日の間も、彼女が姿を見せることはなかった。

いやまあ、学校違うし逆に現れたらなんでいんの?みたいになっちゃうけどね、ほら、やっぱ何か違うというか…違うからその、ね?

この時はまだ、俺は認めるのが怖かったのだ。

 

***

「何してんの、お前」

「いきなり声をかけないでもらえるかしら」

「悪いな」

「そんなことより、部室のアレをどうにかしてほしいのだけれど」

「何?ゴキブリでもいたの?」

「いえ、もっとおぞましい何かよ」

「…わかったよ」

そのおぞましい何かとやらと対面すべく俺はドアを開ける。

「クククッ、まさかこんなところで出会うとは驚い」

「あー、原稿な。明日感想言ってやるからよこせ」

「ちょっ、我の出番がww」

※原稿は奉仕部2人が読みました。

 

***

 

材木座の1件から数日後のある日のこと。俺は昼食を取るためベストプレイスたるあの場所へと来ていた。材木座?誰それ。あー、もしかして雪ノ下に散々原稿のこと言われて灰になったやつか。やっぱ誰それ?

このベストプレイスで確か戸塚と出会ったんだよなぁ…

今も戸塚は目の前で練習を…っと、今ちょうど終えたらしく、荷物をまとめてこちら側へ歩いてくる。俺のテンションは少しハイになった。

運命の瞬間、来たり!

アレ?ちょ、戸塚?戸塚ぁ!!

どういうことだ…俺と戸塚がここで出会うのは運命なんじゃないのか?仕事しろよ運命の強制力!

そう、戸塚は何度か俺の方へ視線を向けはしたが、話しかけてくることはなくそのままどこかへ行ってしまった。

そういや、あの日本当は由比ヶ浜が戸塚に声掛けてそれから俺に話しかけてくれたんだっけか…

人ひとりいないだけでこの後の人間関係まで変わってくるなんて…

-待たないで、こっちから行くの-

何故かこのタイミングで脳内を駆け巡った、聞いた時は特になんとも思わなかった彼女のひとこと。

思い出した直後俺の足は戸塚を追い、そして見つけたときには

「あの、さ、戸塚?」

声をかけていた。

 

***

 

戸塚の依頼は、これまた運命の強制力なのか、由比ヶ浜のいない葉山たちリア充グループがコートへやって来た。

「あ、テニスしてんじゃん、テニス!」

きゃぴきゃぴはしゃぎながら盛り上がる集団へ向け

「三浦、お前テニス上手いんなら戸塚の練習相手してやってくれよ」

「はぁ?練習相手?つーかあんた、誰?」

鋭く、あらゆるものを貫く刃先のような眼光。怖いです…三浦さん、怖いです…

とはいえそれも一瞬のこと。よほど腕に自信があるのだろう。先ほどの発言に不審感を抱くことなく、準備を始める女王様。

「なんでもいいからはやくしてくんない?」

言葉はキツいが少しウキウキした様子で三浦が言った。

当初こそ獲物に怯えるうさぎと餌を見つけた猛獣のようだった2人も今となっては弟子と師匠のような感じになっている…

畜生!俺もテニスしとけばよかったぜ!

あと、なんだかんだ怪我した戸塚のために救急箱取りに行ってあげる雪ノ下。これも運命の強制力…とは思わなかった。

ところでこの後更衣室でラッキーが待ってるはずなんですけどそこは省略ですか?

やめとこ…前回は由比ヶ浜にラケット投げられたし今回は三浦がいる。命は大切にしないとね!




前書きでも述べましたが更新大幅に遅れてしまったことを深くお詫び申し上げます。特になんとなくでも待ってくださっていた方々、誠に申し訳ございません。これからもかなり不定期気味ではありますが更新していく予定ですので何卒よろしくお願いします。自分でも少し手抜きかな?とは思うのですが過去編を大きく取り上げてるとメインのプロローグ後のストーリーまでたどり着くのにかなりの時間を要してしまうと判断し今回のような形を取らせてもらいました。ここで変わってしまったもの、ここでも変わらないもの、両方ありましたね。これらがどう影響していくのかな~?と思いながら読んでいただければちょっと暇つぶしにはなるでしょうし、そのせっていで矛盾生じてたらご指摘ください(私も把握しきれていない部分あるかもなので)。そうすればもーっと暇つぶしになることでしょう。まあ、教えるはいっときの優越感。教えないは一生の優越感という言葉もあることですのでどちらを取るかはお任せしますが…ではまた続きができれば参ります!ありがとうございました!


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