魔法少女育成計画YREGROF (水甲)
しおりを挟む

1話 15番目の魔法少女

気がついたら、どこかの部屋だった。

 

何にもない殺風景の部屋。

 

畳の上には布団が置かれているだけ。

 

箪笥の中には通帳が入っていた。

 

通帳に書かれていた金額は一生暮らしていけるくらいのお金が入っている。

 

あとは壁にかかっているのはどこかの制服だった。

 

俺はまだ学生だったんだ。

 

でも、どうして何も思い出せないんだ?

 

いや、覚えていることはある。

 

自分が斎条眞琴だっていうことと自分には何かやるべきことがあるということだ。

 

だけどやることって何だろうか?

 

そんなことを考えていると……

 

「さっきからどうしたポン?」

 

振り向くと端末から白黒の球体が出ていた。

 

「お前は?」

 

「その質問の意味がよく分からないポン。僕はファヴ。魔法少女育成計画のマスコットキャラだポン」

 

「魔法少女育成計画?」

 

「君がさっきまでやっていたゲームの名前ポン」

 

「悪いけど、何も覚えてないんだ。俺はそのゲームをやっていたのか?」

 

「覚えてないポン?もしかしたら記憶喪失かもしれないポン。ファヴが出てきた瞬間、頭を机の角にぶつけてたポン」

 

机の角に頭をぶつけた?

 

だからさっきから頭がいたいんだな。

 

「それでマスコットさんが出てきた何の用だ?」

 

「君は魔法少女に選ばれたポン」

 

どうしよう。意味がわからない。

 

「何?このゲームやっていたら魔法少女になれるのか?」

 

「そうポン。君はこのN市で15人目の魔法少女として選ばれたポン」

 

というか15人もいるのかよ。いくら何でも多すぎだろ

 

でも、もしかしたら記憶を取り戻す魔法の道具とかもらえたりしないかな?

 

それだったらなってもいいか

 

「じゃあ、なるよ」

 

「分かったポン。君はこれから魔法少女ヴェリテポン」

 

こうして俺は魔法少女ヴェリテとなったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、日曜日だったから学校はなく、暇を持て余していた。

 

「そういえば人助けとかすればマジカルキャンディーとか手に入るんだっけ?それだったら」

 

早速端末に浮かび上がった魔法陣をタッチすると、俺の姿が白いドレスに白く長い髪の少女に変わった。

 

「………流石に性別も変わるよな。男の姿のままでこの格好だったら恥ずかしい」

 

ため息をつきつつ、早速外へパトロールに出かけた。

 

魔法少女になったら身体能力も上がるから、ビルを飛び越えられたりする

 

「そういえばファヴ?」

 

「何ポン?」

 

「俺の……この姿だと私か。私の魔法とか何?」

 

「そういえば言ってなかったポン。能力は身体能力を限界まで上げられることポン」

 

あんまり魔法っぽくないような……

 

まぁ別にいいか。

 

すると近くにあったコンビニから刃物を持った人が出てくるのを見つけた。

 

「強盗か……試しに魔法を使ってみるか」

 

とりあえずは脚力を上げて……

 

地面を思いっきり蹴ると、強盗の前まで一瞬で着くことが出来た。

 

だけど、上げすぎたからか地面が思いっきりめり込んだ。

 

強盗は私が目の前に現れたことに対して、怯えていた。

 

「な、何だよ。お前は……」

 

「魔法少女だよ。奪った金を置いて警察に捕まるか……」

 

私は近くにあった木を思いっきり殴った。

 

木は簡単に折れた。

 

「これと同じようになりたいか?」

 

私がそう言った瞬間、強盗はすぐに土下座して謝り続けた。

 

警察がすぐそこまで来たのを見て、私はすぐにその場から離れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰り、キャンディーの数を確認した。

 

キャンディーの獲得数は100か。

 

「充分だな」

 

こうして俺の最初の活動は終わったのだった。

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

2話 初めまして先輩

初めての魔法少女活動から次の日、端末で通っていた学校を調べて、何とかたどり着いた。

 

記憶が無いから自分が誰と仲がいいのかわからないから、机に突っ伏していようとしたら、誰かが声をかけてきた。

 

顔をあげるとクラスメイトの男だった。

 

「どうしたんだ?眞琴、どこか具合でも悪いのか?」

 

「いや、そういう訳じゃないけど……俺は君と仲良かったっけ?」

 

そう言うと声をかけてきた男は呆れた顔をしていた。

 

「いや、何言ってるんだよ?小学校からの付き合いだろ」

 

なるほど、どうやら本当に中がいいやつみたいだな。

 

というかこれから大変だから事情を話すべきだろうな

 

「悪いんだけど、ちょっと話したいことがあるんだ」

 

「あ、あぁ」

 

俺と彼は授業が始まる前に、人気のない場所に向かった。

 

 

 

 

とりあえずは校舎裏まで来て、早速事情を説明した。

 

「えっ!?記憶喪失!?」

 

「そうみたいなんだ。何だか机の角に頭をぶつけたみたいで……覚えてるのは自分の名前くらいなんだ」

 

「そうだったのか……でも病院とか行かなくていいのか?」

 

確かに病院とか行く必要はあるけど、正直そこまで記憶喪失のことを大事ではないと思っている。

 

「とりあえずは徐々に思い出すと思うから……ただ協力してほしいことがあるんだ」

 

「協力?」

 

「自分の交友関係とか知る限りでいいから教えてほしんだ。他の人には悟られたくないから……」

 

「それぐらいだったら、まずは俺は岸辺颯太。眞琴とは小学校から一緒で……あとは小雪もそれぐらいの付き合いだったな」

 

「小雪?」

 

「別のクラスにいるんだけど、後で小雪にも説明するよ」

 

「助かるよ。颯太」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからすぐに教室に戻り、授業を受けた。

 

そして昼休み、また校舎裏に来て、颯太が小雪って子を連れてきた。

 

「そうちゃんから聞いたけど、本当に大丈夫なの?」

 

小雪は心配そうにしていた。

 

というか説明してくれたんだ。正直助かるな

 

「何とかな。それで君が小雪なのか?」

 

「うん、姫河小雪」

 

「呼び方は小雪で合ってるのかな?颯太もだけど」

 

そう聞くと二人は頷いた。

 

呼び方ひとつ間違えれば他の人にも感づかれる可能性がある。

 

あれ?何で俺は記憶が無いことを他の人達に知られたくないんだろう?

 

………心配かけられるからか?

 

そういうことにしておこう

 

それから二人のおかげで自分の交友関係とかを教えてもらえた。

 

二人は何か困ったことがあったら助けてくれるって言ってくれた。

 

本当にいい友達を持ったな前の俺は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして学校が終わり、家に戻ると早速魔法少女に変身して活動を開始した。

 

昨日みたいに強盗とかはそう簡単に現れないから、地道な人助けをしていた。

 

「そういえば私の他に魔法少女がいるんだっけ?」

 

「そうポン」

 

呼びもしないのに出てきたよ。このマスコットは……

 

「連絡とか取り合えるのか?」

 

「やってみるポン」

 

「それじゃ家に帰ってから……」

 

他の魔法少女と連絡を取るために一旦帰宅することになった。

 

 

帰宅して早速ファヴの説明を受けながら、魔法の国と呼ばれるチャットルームに入った。

 

チャットルームに入ると既に何人かいた。

 

『初めまして、ヴェリテです』

 

自己紹介をすると竜騎士みたいな子が早速返してくれた。

 

『ファヴから聞いてるよ。新しい魔法少女なんだよね。私はラ・ピュセル』

 

ラ・ピュセルが名前を教えてくれた瞬間、他の子たちも話に入ってきた。

 

『よっ、俺はトップスピード、それでこっちの忍者はリップル』

 

『……よろしく』

 

魔女の格好のやつがトップスピードで忍者はリップル。

 

『ねむりんで~す。よろしく~』

 

『私は森の音楽家クラムベリー』

 

パジャマのやつがねむりんで、バイオリンを持っているのがクラムベリーか。

 

『来て早々悪いんだけど、君の教育係となったから明日にでも会わないか?』

 

ラ・ピュセルがそう言うけど、そういうのは早いに越したことないし、今日でもいいかと聞くと、ラ・ピュセルはすぐに返事をくれて、場所を指定してきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指定してきた場所は鉄塔の上だった。

 

そこにはチャットでも見た竜騎士ラ・ピュセルがいた。

 

「初めまして先輩。ヴェリテです」

 

「ラ・ピュセルでいいよ。ヴェリテ。とりあえず今日はこの街で行動する時に必要な知識だ」

 

行動するのに知識なんているのか?

 

ファヴからは他の人には魔法少女の姿は視認できないみたいとか………見られても薄っすらしか記憶に残らないみたいだし……

 

ラ・ピュセルはこの街に厄介な魔法少女がいると話してくれた。

 

少しでも気に入らないことがあると攻撃してくるカラミティ・メアリ。

 

五人組の魔法少女のリーダーも縄張りで動いていると怒られるらしい。

 

「なるほどね。縄張りがあるんだったら、動きやすいかもしれない」

 

「というと」

 

「面倒な厄介事は回避するのに越したことはないからね」

 

「何だかヴェリテはすごい子だね」

 

何だか褒められたな。

 

そうだ、この人先輩なら何か知ってるのかもしれない。

 

「ラ・ピュセル。聞きたいことがあるんだけど」

 

「何だい?」

 

「記憶喪失を治す薬的なものと買って、手に入ったりしないかな?」

 

私がそう聞くと何故かラ・ピュセルは固まっていた。

 

あれ?もしかして聞いちゃいけないことだった?

 

「な、なぁ、ヴェリテは記憶が無いのか?」

 

「うん、記憶が無いって知ってるのはファヴとラ・ピュセル。あとは学校で話した二人くらいかな?」

 

「あ~やっぱりか」

 

ラ・ピュセルはため息をつき、変身を解除した。

 

ラ・ピュセルが変身解除した姿は颯太だった。

 

私も変身を解除し、眞琴の姿に戻った。

 

「まさか眞琴も魔法少女だったなんて……」

 

「こっちもびっくりだよ。事情を説明した友達がまさかの先輩だったなんてな」

 

「今回は事情を知ってるから変身解除したけど、これからは他の魔法少女には内緒にしておこうな。男の子が魔法少女とか色々と言われるだろうし……」

 

「そうだな」

 

こうして友達であり、先輩でもあるラ・ピュセルとの初めての邂逅を終えたのだった。

 

というかこれで小雪も魔法少女になったら面白そうだな

 

 

 




小雪と颯太は別クラスでいいのかわかりませんでしたが、別クラスにしました。

割と本編と違う展開に……なるのかな?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

3話 初めての教育係

ちょっと前回の話で颯太と小雪の二人が同じ学校じゃないことを指摘されましたが、この小説の中では同じ学校ということで……

勝手な都合ですみません。




ラ・ピュセルと組むようになってから一ヶ月が過ぎた。

 

一緒に行動してからかなりの数のキャンディーが集まっていた。

 

「もう1000個超えてるよ」

 

「それはヴェリテが頑張ったからだよ」

 

「いやいや、ラ・ピュセルのおかげでもあるよ。ちょくちょく力加減を間違えて物壊したりしちゃうから、ラ・ピュセルのおかげで力の調整もできるようになったしね」

 

今まで加減を間違えて、物を壊していたけど、今はもう完璧に力の調整ができるようになった。

 

というかちょっとした疑問が浮かんだ。

 

もしこの魔法を限界まで使ったら……どうなるんだろう?

 

正直怖くて試してない。

 

「そういえばまとめサイト見た?」

 

「ん?あぁ、新人の白い魔法少女のこと?確かスノーホワイトだっけ?他の魔法少女以上に人助けしてるし……凄い子だよね」

 

「う、うん、すごい子なんだけど……そうだよな……ヴェリテは記憶が無いから覚えてないよな……」

 

何だかラ・ピュセルがブツブツ言ってるけど、何か気になることでもあるのかな?

 

「ラ・ピュセル、スノーホワイトの新人教育は誰がやるか決まったの?」

 

「あ、うん、この間シスターナナ達と話して、ヴェリテに任せようかと思って……」

 

何で私?

 

まだ魔法少女になってから日が浅いのに、もう新人教育する立場になるなんておかしい気がするんだけど、ラ・ピュセルに理由を尋ねると……

 

「ヴェリテはもう一人前の魔法少女だよ。最初は魔法の使い方が危うかったけど、今では完璧にコントロールできてる。だから君に任せられると思っているんだ」

 

そういうものなのかな?

 

まぁ気を引き締めて頑張るとするか。

 

 

 

 

 

それから数日後、件のスノーホワイトがチャットにやってきた。

 

俺はスノーホワイトに教育係となったことを伝えて、いつもラ・ピュセルと会っている鉄塔まで来るように伝えた。

 

スノーホワイトとは初めて会うため、ラ・ピュセルは今回来ないらしい。

 

しばらく鉄塔の上で待っていると白い魔法少女がやってきた。

 

彼女がスノーホワイトか。

 

それにしても何だか小雪に似ているうような……

 

「えっとヴェリテさんですか?」

 

「さん付けはいいよ。君がスノーホワイトだね」

 

「はい」

 

「チャットで話した通り、君の教育係になったけど……私自身魔法少女になったのは一ヶ月前なんだけどね」

 

「知ってます。まとめサイトでドレスの魔法少女の書き込み見ました。何だかあちこち壊しちゃっているって……」

 

そんなことまで知られてるのか……

 

「あれはなったばっかりで……魔法の加減が……」

 

何だか言い訳してるみたいで格好悪い感じがしてきた。

 

でも、スノーホワイトは笑顔で言ってくれた。

 

「それでもヴェリテは立派な魔法少女だと思います」

 

「そうなのかな?」

 

「はい」

 

スノーホワイトってすごくいい子だな……

 

それからお互いの魔法について教えあった。

 

スノーホワイトの魔法は困った人の声が聞こえるっていうものだった。

 

それってすごく人助け向きな魔法だと言うと、スノーホワイトは照れていた。

 

そしてこれからはラ・ピュセルを混ぜての3人で行動することになると伝えて、今日の活動は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして三日後の夜のこと、少し遅れた私は鉄塔にたどり着くと何だかラ・ピュセルとスノーホワイトが何かを話していた。

 

「えっ!?ラ・ピュセルってそうちゃんだったの?」

 

「うん、私の方はすぐにスノーホワイトが小雪って気がついたよ。なにせ、昔描いた魔法少女そのものだったし……」

 

「えへへ、何だか恥ずかしい」

 

スノーホワイトが小雪だったんだ。

 

何というか似ているからそんな気がしてたけど……

 

と言うかいい雰囲気だから二人の所に出にくいんだけど……

 

というかこういうことを思っているとスノーホワイトに声が聞かれるのか。

 

それだったら……

 

『スノーホワイト、何だか邪魔しちゃ悪いから、私は帰るね。お幸せに』

 

声が聞こえたかわからないけど、後でラ・ピュセルに連絡入れておくか。

 

だけど鉄塔を去る瞬間、スノーホワイトが慌てふためく声が聞こえたのは気のせいかな?

 

まぁいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

家に帰り、ラ・ピュセルに謝罪のメールを送った。

 

「それにしてもこれから3人と一緒に行動となると本当に楽しくなりそうだな……」

 

俺は布団に寝そべっていると、端末にメールが入った。

 

きっとラ・ピュセルからだと思い、メールを開くと……

 

『ゲームの始まり』

 

 

 

 




次回ようやくゲームが始まります。

さて、ねむりんはどうなるのか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

4話 メールとゲーム

今回はゲーム開始と初の脱落者発表までやります。

えっ?生存させるんじゃないのって思う方もいますが、大丈夫です。

後々のためにです


奇妙なメールが届いてから数日がたった。

 

メールの送り主は不明だった。

 

ファヴに聞いてみようと思ったけど、いつの間にかメールが消えていた。

 

一体何だったんだろう?

 

メールのことが気になりつつ、スノーホワイトとラ・ピュセルが待つ鉄塔まで来てみると、ラ・ピュセルからある話を聞かされた。

 

「えっ?また魔法少女が増えるの?」

 

「ファヴがそんなこと言っていたんだ」

 

「いくら何でも増え過ぎじゃないのか?とはいっても私も最近なったばっかりだから、文句は言えないけどさ」

 

「その事が関係してるのか、今日チャットで重大発表があるらしいけど……」

 

「ふ~ん」

 

重大発表って何だろうか?

 

というかさっきからスノーホワイトが怒った顔でこっちを見ているのは気のせいだろうか?

 

「あの、スノーホワイトはさっきからどうかしたのか?」

 

「えっと、ヴェリテ。何だか誤解してるみたいだけど……そう……ラ・ピュセルとはそういう関係じゃ……」

 

一体何の話をしてるんだ?

 

しばらく考え込んでいると、思い当たることが一つだけあった。

 

「えっ?二人はいつの間にかそういう関………」

 

私がいいかけた瞬間、スノーホワイトは慌てて私の口を手で抑えてきた。

 

「お願いだから……そうちゃんの前でその話はしないで……そうちゃんが聞いたら困るだろうし……」

 

別に話も困ることじゃないと思うけど……ラ・ピュセルもスノーホワイトの事が好きみたいだし……

 

でも、あとが怖いから言うとおりにしよう。

 

そんなこんなで、例の重大発表の時間になり、私たちはチャットに集まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

チャットではトップスピードとリップル、ヴェス・ウィンタープリズンとシスターナナとねむりん、ルーラ組、クラムベリー、マジカロイド44が集まっている。

 

あと珍しくカラミティ・メアリも来ていた。

 

話ではかなり厄介な魔法少女みたいだし……

 

そういえばルーラも厄介だと聞いてたな。

 

でも、前にルーラ組の縄張り近くまで来た時に、困った人を見つけた時、教えてあげたら、素直にお礼を言われたな……

 

するとファヴが現れ、ついに重大発表とやらを話した。

 

『みんな、集まってるポン?今日皆を集めたのは2つほど発表することがあるポン。ひとつは今度また魔法少女がひとり増えるポン。これにより魔法少女の数は17人に増えるポン。だけどそれじゃN市の魔力が減っていくポン。だから魔法少女の数を半分に減らすポン』

 

ファヴがそう言った瞬間、端末の画面に溢れんほどのコメントが書かれていく。

 

みんな反対してるみたいだな。

 

というかファヴもこうなる前に手を打っておけばいいのに……

 

『みんなごめんなさいポン。でもこれはもう決まったことポン。どう減らすかは一週間後、マジカルキャンディーが一番少ない子が脱落するポン』

 

何だか単純なルールで助かるな……

 

それにしても脱落って……まるでゲームみたいな言い方な気がする。

 

ん?ゲームって……メールの送り主はこの事を言っていたのか?

 

「ヴェリテ。とりあえずどうする?」

 

「ん?うん、現状私達のキャンディーは上位の方に入ってるから大丈夫じゃない?スノーホワイトも魔法少女の中では一番持ってる方だし……」

 

「そ、そんなことないよ」

 

「スノーホワイトは頑張ってるからな」

 

「ラ・ピュセル……ありがとう」

 

あー、また二人の世界に入りそうなだな……

 

とりあえずは今日のところは解散することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから一週間、3人で出来る限りのことをやっていた。

 

そして発表の日、夕方。

 

「ん?またメールが……」

 

誰かからメールが来た。

 

開いてみると

 

『最初の脱落者はねむりん』

 

どうしてこのメールの差出人はそんなことを知っているんだ?

 

もしかして17人の中にこのメールを送っているやつがいるのか?

 

というか脱落者がねむりんって……

 

俺は急いでねむりんに連絡を取り、すぐに会えないか話した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ねむりんは人の夢に入ることが出来る魔法が使える。

 

前にチャットでそんなことを話した覚えがある。

 

しばらくして待ち合わせ場所のビルの屋上でねむりんのことを待っていると

 

「やっほ~、ヴェリテだっけ?」

 

「こうして会うのは初めてだね」

 

「うん~そうだね~」

 

ねむりんはあくびをしながらそう言う。

 

というかすごく眠そうだな

 

「もしかして連絡した時、寝てたのか?」

 

「ううん~寝てないよ~ただこの姿だと眠くなるんだよね~そういう魔法を使うからかな~」

 

能力によってそういう体質になることもあるのか……

 

でも眠くなるって大変だな

 

「それで~話って~」

 

「う、うん、あの……」

 

あれ?本当のことを話してもいいのか?

 

今回脱落するのはねむりんだって、伝えたら、何でそんなことを知っているのか聞かれる。

 

正直に話して信じてもらえるかわからない。

 

ここは無難に……

 

「今日発表だけどねむりんはどれくらいキャンディーを集めてるんだ?」

 

「わたし~わたしは0個だよ~」

 

0個って……

 

明らかに数がおかしい気がするけど……

 

「あんまり現実では活動してないから~夢の中だとスノーホワイトよりも沢山あるんだけどね~だからきっと最初に脱落するのはわたし~」

 

「本当にいいの?発表された時に行動していれば……」

 

「いいの~魔法少女やめたら就活しないといけないし~これからは皆のことまとめサイトから応援してるよ~」

 

「そ、そう」

 

どうにか回避できないか考えるけど、何も思いつかない。

 

私はこのままねむりんと別れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヴェリテ、いい子だったな~どうにかして救わないとって考えてくれたみたい~」

 

ねむりんはヴェリテを見送りながらそう呟き、自宅に戻ろうとした。

 

だけどそんなねむりんの前に……

 

「あれ?どちらさま~初めて会う子だよね~」

 

「…………」

 

「もしかして17人目の魔法少女~えっ?」

 

地面に何かが落ちる音が聞こえた。

 

よく見るとそれは赤い水だった

 

「う………そ……」

 

赤い水はねむりんの身体から流れていた。

 

そして自分の体を見るとねむりんの身体は何かが貫いていた

 

「どう……」

 

ねむりんはそのまま血を流しながら、自分を指した人物がどんな人なのか見た。

 

「黒いドレスの……」

 

 




ねむりん脱落!?

大丈夫です。本当にタグにつけた原作キャラ死亡・生存は嘘じゃありません。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

5話 思惑

ねむりんと別れた私はすぐにスノーホワイトとラ・ピュセルが待っている鉄塔に着くと、もうすぐ発表の時間になりそうだった。

 

「今日だよね。発表って……」

 

「うん、だけど……」

 

ラ・ピュセルの様子を見る限り、ねむりんが脱落するっていうのはわかってるみたいだな。

 

それはきっと他の魔法少女もだ。

 

私はその事をスノーホワイトに伝えるべきか悩んでいるとチャットルームにファヴがやってきた。

 

『みんなお待たせポン。早速今日までマジカルキャンディーが少なかった子の発表を…‥…したかったけどポン』

 

ファヴは発表しようとしたが、何か言いにくそうにしていた。

 

それを聞いて、いつも楽器を弾いているクラムベリーは楽器をひくのをやめた。

 

『ねむりんは何者かに殺されたみたいだポン』

 

ファヴのその言葉を聞いて、クラムベリーとカラミティ・メアリ以外の全員が動揺していた。

 

『殺されたって、一体誰にですか!?』

 

シスターナナがファヴに聞くが、ファヴは『わからない』『想定外のこと』と答えるのみだった。

 

でも、殺されたって……もしかしてあの後に……

 

『とりあえず死亡者が出たことで、キャンディーでの脱落は今週はないポン。何か分かったらすぐに連絡をするポン』

 

ファヴはそう言い残して、チャットルームから姿を消した。

 

「ねむりんが……殺されたって……」

 

「一体どうして……」

 

戸惑う二人。

 

だけど私は鉄塔の柱を殴った。

 

「ヴェリテ?」

 

「私のせいだ……私がねむりんと話したいって言って、外に連れ出したりしなければ……」

 

「もしかして遅れてきたのは……」

 

「ねむりんの事が心配で、少し話でもって思ったんだ」

 

私がそう言うとラ・ピュセルは何の話をしていたのかすぐに理解した。

 

「そっか、ヴェリテ、君は……」

 

「ヴェリテのせいじゃないよ。ファヴも想定外の事だって言ってたよ」

 

「…………」

 

想定外の事って……一体どういうことなのか分からない。

 

だけど今はファヴが調べ終わるまで待つ必要がある。

 

「ん?シスターナナからメールだ」

 

ラ・ピュセルはシスターナナから届いたメールを読み上げた。

 

シスターナナは出来れば今後のことを話したいとのことだった。

 

私たちはすぐに指定してきた場所へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、とあるバーではカラミティ・メアリとマジカロイド44の二人がいた。

 

「それにしても誰かに殺されたデスか」

 

「くっくっく、中々面白いことをする奴がいるんじゃないか」

 

「面白いデスか?」

 

「気が付かないかい?マジカロイド。本当だったらキャンディーの数で脱落者が決まるはずだった。なのに、ねむりんが死亡したからってキャンディー数の脱落者はなしになった」

 

「それは想定外だと言っていまシタが」

 

「その想定外とやらはどういう意味で想定外なのかだよ。もしかしたらこれから先、殺し合いになっていたのに、早速殺し合いが始まった。それが想定外なんじゃないのかい?」

 

カラミティ・メアリの推理を聞いて、マジカロイドは黙り込んだ。

 

もしも彼女の言うとおりだとしたら………

 

「この脱落者を決めるゲームの進行度を誰かが急激に勧めたと言うことデスか?」

 

「そうなるね。だけどそいつが私を狙ったら……逆に殺すけどね」

 

カラミティ・メアリの笑みを見て、マジカロイドはただ恐怖を覚えた。

 

「そういえばマジカロイド。あんたの魔法でそいつを見つけることは出来ないかい?」

 

「未来の道具デスか?何が出るかわかりまセンし、時間がかかりマス」

 

「時間がかかってもいい。見つけ次第殺してやる。そしたらファヴを脅してキャンディーでの脱落をなくして、ただの殺し合いにするようにいってあげるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして誰もいなくなったチャットルームではクラムベリーとファヴが話していた。

 

『それで、誰がねむりんを殺したんだい?』

 

『それは現在調べているポン。でも今回のことがきっかけで思っていた以上にゲームの進行が進むポン』

 

『もしかしたら誰かが気がつくかもね。これが殺し合いに発展するゲームだって』

 

『全く予定通りにいかなくなったポン』

 

『私としては進行が早まるのはいいことだって思う。もしかすれば犯人と楽しい戦いができそうだからね』

 

『そうなるといいポン』

 

『所で、その犯人だけど新しい魔法少女という可能性は?』

 

『それはないポン。ちゃんと予定していた日に魔法少女になる予定ポン』

 

『では、現状残っている16人の中に犯人がいるということになる。そして私はまだ動いていない。結果的には』

 

『15人の中に犯人がいるポン』

 

『そうなるね』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指定していた場所に着くとそこにはシスターナナ、ヴェス・ウィンタープリズン、トップスピードとリップルが待っていた。

 

「これで全員ですね。皆さんに集まっていただいたのは今後のことです」

 

シスターナナからの提案は、これから先マジカルキャンディーの争奪戦とねむりんを殺した犯人から身を守ることだった。

 

互いに協力すれば何とかなるかもしれないとのことだった。

 

私達3人はその提案に賛成した。

 

そしてトップスピードとリップルも

 

だけどあることが気になった。

 

「そういえばルーラ達やカラミティ・メアリ、マジカロイド、クラムベリーは?」

 

「それが……」

 

「ルーラ達には断られた。自分たちの身は自分たちで守るらしい。クラムベリーとマジカロイドとは連絡が取れなく、カラミティ・メアリは……」

 

ウィンタープリズンが言いよどむと代わりにトップスピードが答えた。

 

「姐さんはきっと協力するわけないよ。もしかしたらその犯人を殺すつもりかもしれないし」

 

なんて恐ろしい人なんだよ。

 

「だけどこうして協力体制が取れたならきっと何とかなるかもしれない」

 

ラ・ピュセルは前向きだな……

 

ただ私が気になっているのは……どうして想定外のことが起きたのに、キャンディー数の脱落者は中止にならないんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王結寺でルーラたちが話し合いを終え、帰路につくスイムスイム。

 

だけど彼女の前に黒いドレスの少女が現れた。

 

「貴方は?」

 

「………そうね。貴方は私では倒せそうにないわね。少しお話しましょう。スイムスイム」

 

「……」

 

「信用出来ないみたいね。でもね、協力すれば貴方の望みを叶えられる」

 

「どういうこと?」

 

「お姫様になりたいのよね。それだったらなればいいじゃない。貴方が心酔しているルーラを………………」

 

黒いドレスの少女の言葉を聞き、スイムスイムは驚いた。

 

「出来るの?」

 

「えぇ、可能よ。手始めに……ルーラを脱落させましょう」

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

6話 協力と裏切り

ルーラこと木王早苗はあることを考えていた。

 

それは今後の魔法少女の脱落ゲームについてだった。

 

現状ではみんな、ねむりんを殺した犯人に対抗するために協力し合うことになった。

 

自分たちのグループも協力しなければいけないと思っていた。

 

だけどその前に誰も気がついていないある問題を解決することが先だと思った。

 

それはマジカルキャンディーでの脱落の回避

 

いくら協力しあっても、マジカルキャンディーでの脱落がある。

 

もしも自分のグループからまたはシスターナナたちのグループから脱落者を避けなければいけない。

 

正直カラミティ・メアリが脱落してくれればいいと思ったが、その可能性は低い。

 

もしかすると今度はスイムスイム、ピーキーエンジェルズ、たまの中から脱落者が出るかもしれない。

 

それを避ける方法が何かないか考えていた。

 

そんな時だった。ファヴから新機能であるキャンディーの譲渡機能が追加されたとの連絡が来た。

 

「これなら……上手くいけば……」

 

早苗はある方法でキャンディー数の脱落回避の方法を思いついた。

 

それにもっと上手くやれば、

 

「あの女と犯人が戦えば……いけるかもしれない」

 

早苗は早速自分のグループメンバーに招集をかけるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王結寺ではルーラは招集した四人が集まるのを待ち、全員が集まると

 

「一度あんたたちのキャンディーを私の端末に移しなさい」

 

ルーラがそう告げた瞬間、ピーキーエンジェルズが騒ぎ出した

 

「ちょっと、ルーラがキャンディー独占するつもり!?」

 

「横暴だ!!一人だけキャンディー独占して脱落を逃れるつもりだ!」

 

「話は最後まで聞きなさい。これはねむりんを殺した犯人への襲撃に備えるために必要なことよ」

 

「備えるのにキャンディー独占にどう繋がるのさ」

 

「意味わかんない!!」

 

話を聞こうとしないピーキーエンジェルズのミナエルとユナエル。

 

するとたまが恐る恐る聞いてきた。

 

「も、もしかして、マジカルキャンディーの数を全員同じにして、一週間に一回あるキャンディーでの脱落を回避させるの?」

 

「珍しく勘がいいじゃない。たま。たまの言うとおり一旦キャンディーでの脱落するっていうルールを停止させれば、犯人の襲撃に集中して備えられる」

 

「ルーラ、あったまいい~」

 

「さすがはリーダーだね」

 

さっきまで文句言っていた二人が大喜びで飛んでいた。

 

「で、でも、カラミティ・メアリを説得できるの?」

 

「そこら辺は昼間の内にファヴと話して、運営からのプレゼントということで渡すことになったわ。それも全員がピッタリの数になるようにね」

 

「でもさ、でもさ。カラミティ・メアリを潰しちゃえば、後々楽になるんじゃないの?」

 

「確かにそっちの方が楽だと思うけど?」

 

「カラミティ・メアリはきっと犯人を見つけ出して、殺すわ。上手くいけば二人まとめて片付けられるわ」

 

「すごーーーい!!」

 

「いい手じゃんそれ!!」

 

何とか説得することに成功したルーラは安堵のため息を付いた。

 

そして次は彼女たちと話す必要がある。

 

そんな中、スイムスイムだけはただ正座をして何かを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シスターナナから招集をかけられ、集まるとそこにはルーラたちも来ていた。

 

もしかして協力する気になったのかな?

 

だけどルーラが話したのはキャンディーの数を全員一緒にするということだった。

 

「確かに犯人の襲撃のことで頭いっぱいになってました」

 

「気がついていない子がいるみたいだけど、中には気がついていた子がいるみたいね」

 

ルーラはそう言いながら、私の方を見た。

 

「うん、考えをまとめてから話すつもりだったんだけど、ルーラのほうが上手だったね」

 

「当然のことよ。それでシスターナナたちは賛成してくれるかしら?」

 

「それはもちろん喜ん……」

 

「少し待ってくれないか?」

 

シスターナナが協力することに賛成しようとした瞬間、ラピュセルが口を挟んできた。

 

「ラ・ピュセル。何か問題でもあるのかしら?」

 

「分け合うのはいい方法だけど、もしも誰かが人助けをしたら均等に分け合う意味がなくなる。皆を信じていないわけじゃない。ただ皆が困った人を放っておけるかどうかだ」

 

ラ・ピュセルの言うとおり、均等に分け合うのは簡単だけど、キャンディーの数が均等の状態を維持するのは難しい。

 

魔法少女の本来の役割は困った人を助けること。

 

ここにいるみんながそんな人達を放っておけるわけない。

 

特にスノーホワイトは無理に近い。

 

だけど方法はもう一つある

 

「ラ・ピュセル、ルーラ。少し考えがあるんだけど」

 

「「?」」

 

私はある方法を提案した。

 

それは………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『というと皆がもっているキャンディーを一度回収。新しい魔法少女が来たら100個ずつ配るようにしろってことポン?』

 

「そういうこと。全員犯人への襲撃を怖がってるから、キャンディーのことなんて気にしなくなってきてるからね」

 

『ま、まぁそれは出来ることだからいいポン。でも君たちの中にみんなを出し抜いて人助けをして、キャンディーを集めたら?スノーホワイトなんて魔法の事があるポン。ほうっておくことなんて出来ないポン』

 

「それはファヴの仕事。人助けしてもキャンディー数は増えないようにするように。下手をすればその出し抜いたやつ以外、全員死ぬかもしれない。そっちとしても困るでしょ」

 

『むっ、むむ、確かにそうかもしれないポン』

 

「それじゃ、頼んだよ。ファヴ」

 

『分かったポン』

 

ファヴが消え、しばらくするとマジカルキャンディーの個数が0になった。

 

「均等に分けるより、全員0にしたほうが簡単だったね」

 

私がルーラにそう言った。

 

「思いつかなかった。全員のマジカルキャンディーを分けることしか頭になかったわ」

 

「でも、ルーラは皆を救いたいって思いは、ここにいる全員がわかってる」

 

「………そうね」

 

私はルーラと握手し、キャンディーの件は無事解決した。

 

そして今後のこととして、もし誰かが襲撃された場合、すぐに連絡するようにと言われた。

 

あとは備えるだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王結寺に戻ってきたルーラたちは言うと、キャンディーの問題が解決したことを喜び合っていた。

 

「これならしばらくは大丈夫ね」

 

「でも、ヴェリテはどうしてファヴにキャンディーでの脱落の廃止をしろって言わなかったんだろうね?」

 

「たしかにそうだよね~」

 

「全く馬鹿ねあんた達、それが出来たら最初の時点でルール撤回できたわ。あえて言わなかったのはヴェリテの交渉が上手かったからよ」

 

無理なことを言ったら、キャンディーを0にするのは難しかった。

 

でもヴェリテは上手く交渉し、今回の件を上手く解決できた。

 

「もし、襲撃の犯人がいなくなって、この場にいる全員が生き残ったら……ヴェリテと一緒に人助けもいいわね」

 

ルーラがそう呟いた瞬間、突然空を飛んでいたピーキーエンジェルズの二人が空中で停止した。

 

「ミナエル?ユナエル?」

 

「あ、あぁ」

 

たまはあることに気が付き、尻餅をついた。

 

ルーラは停止した二人を見ると身体を何かが貫き、血が流れているのに気がついた。

 

「…………」

 

ピーキーエンジェルズ貫いているのが引き抜かれ、二人が床に倒れた。

 

そして二人の身体を貫いたのは……黒いドレスの少女だった。

 

「ど、どうして二人を……」

 

ルーラが少女を睨むと少女は笑みを浮かべた。

 

「邪魔だったから………本当の目的は……」

 

少女はゆっくりとルーラに近づいた。

 

ルーラは咄嗟に魔法を発動させようとした瞬間、持っていた自身の杖、王笏が誰かに叩き落とされた。

 

叩き落としたのはスイムスイムだった。

 

「スイム‥……」

 

気がつくと少女はルーラの胸を貫いていた。

 

一部始終を見ていたたまは、逃げ出そうとしていた。

 

だけどスイムスイムがたまを押さえつけた。

 

「たしか彼女の魔法は………使えるわね。よく聞きなさい。たま」

 

少女はたまにあることを話すのであった。

 

話を聞き終え、たまは……

 

「………協力します」

 

「ありがとう。それじゃ貴方達二人には他の魔法少女に私の呼び名を伝えなさい。私の呼び名は魔女よ」

 

 

 

 

 

 

 

残り13人




ルーラとピーキーエンジェルズの脱落。

ピーキーエンジェルズの脱落理由は何となくです。

そんな理由で脱落させてすみません。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

7話 夢と誓い

俺はおかしな夢を見ていた。

 

どこかの場所で俺は二人の女性と話している夢。

 

「………みたいなの」

 

「…………の魔法はおこ……」

 

「それなら…………がやるしかない」

 

俺は二人の女性の前で自分の頭に拳を当てた。

 

そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?ヴェリテ」

 

目を覚ますとそこは鉄塔の上だった。

 

「ん、ごめんなさい。少し寝てた」

 

「いや、大丈夫だよ。ただ……」

 

ラ・ピュセルは鉄塔に寄りかかった状態で眠るスノーホワイトを見た。

 

「ここ最近は人助けと警戒で忙しかったから、少しくらい休ませようか」

 

私がそう言うとラ・ピュセルは思い詰めた顔をしていた。

 

「………出来ればスノーホワイトには、小雪にはこんな事に巻き込まれずにただ人助けする正義の魔法少女としていて欲しかった」

 

「………ルーラ達のことが会ってからスノーホワイトは笑ってなかったわね」

 

3日ほど前、ファヴから連絡でチャットに集まった私達が聞いた話は、ルーラ、ミナエル、ユナエルの3人が例の犯人に殺されたとの報告だった。

 

そしてルーラの仲間であるスイムスイムとたまはギリギリの所で犯人から逃げることに成功した。

 

その時、犯人は自分のことを『魔女』と呼ぶように言ったらしい。

 

ファヴの報告から三日間は今まで以上に魔女への警戒を強めていた。

 

だけどその間、スノーホワイトはずっと泣いたり、思い詰めたりした顔をしていた。

 

「一体……魔女の目的は何なんだ?魔法少女を殺してどうするつもりなんだ?」

 

「分からないわ。私たちは魔女じゃない。魔女がやろうとしていることなんて分かるはずがないわ」

 

「そうなのかもしれないけど……」

 

「今は警戒に集中しないといけないわね」

 

私がそう言い、しばらく沈黙が続いた。

 

そんな時、ラ・ピュセルがある事を言い出した。

 

「ヴェリテ。私は少し前にスノーホワイトの前で誓った。私は彼女の剣となり、彼女を守り抜くって……」

 

「知ってる。二人の邪魔をしちゃいけないって思って、こっそり隠れて見てたから」

 

ラ・ピュセルは顔を真赤にさせていた。

 

そんなに聞かれちゃいけないことだったんだ。

 

「少しは気配を感じるくらい出来ないの?騎士の魔法少女なんだしさ」

 

「うぅ」

 

「それでスノーホワイトを守るって誓ったって言いたかったの?」

 

「いや、そうじゃなくって、もし、もしも……私が殺されるようなことがあったら………」

 

きっとラ・ピュセルは自分の代わりにスノーホワイトを守ってくれって頼むつもりだったんだろうけど、私はラ・ピュセルの言葉を遮るようにため息を付いた。

 

「自分が死ぬ心配してるんだったら、誓うな。誓ったなら最後まで死ぬな」

 

「………ヴェリテ」

 

「これはヴェリテとしての言葉じゃない。お前の友達の言葉として言ったんだ」

 

「………すまない。眞琴」

 

「別にいいよ。そろそろ帰ろう。今日のところは問題ないみたいだしね」

 

「あぁ」

 

私とラ・ピュセルはスノーホワイトを起こして、今日は帰ることにするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅に戻ると俺は自分の異変に気がついていた。

 

「そういえば、記憶が戻ってきてるな………」

 

何故かねむりんが脱落してから、徐々に記憶が戻ってきていた。

 

颯太と小雪とは幼馴染で、一緒に遊んでいたことを……

 

自分の両親は遠い所で働いて、中学性になってから一人暮らししていること

 

「これってショックで記憶が戻ったってことか。あんまりいいものじゃないよな……」

 

そう呟くけど、誰も返事をくれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

チャットルームではファヴとクラムベリーが何かを話していた。

 

『それにしても魔女なんて名乗るなんてポン』

 

『ふふ、魔法少女なのに魔女か……確かに魔法少女と魔女は同一の存在なのかもしれないけど』

 

『それでクラムベリーはいつまでじっとしているポン?ファヴは魔法少女が死んでいくのが見れて、損はしてないポン』

 

『そうですね。このままだと全員殺されてしまいますね』

 

クラムベリーは立ち上がり、ファヴに言うのであった。

 

『では、邪魔者が来る前に……』

 

『いってらっしゃいぽん』

 

チャットルームからクラムベリーの姿が消えるのであった。

 

残ったファヴは……

 

『それにしても魔女は何者ぽん?もしかしたら外部からの?』

 

魔女の正体を探る中、ある人物から連絡が来た。

 

それはマジカロイド44からだった。

 

『どうしたぽん?』

 

『いえ、お聞きしたいことがありマシて』

 

『聞きたいことぽん?』

 

『貴方も知っているとおり、私の魔法は未来の道具を使えるという魔法デスが』

 

『知っているぽん。皆の魔法はファヴが一番分かっているぽん』

 

『では、ぶっちゃけ言いマスと、魔女は残っている魔法少女の中にいマス』

 

『………詳しくぽん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、二人と待ち合わせ場所に向かう途中のことだった。

 

黒いドレスの少女が鉄塔の上を見つめていた。

 

鉄塔の上にはすでに二人が来ている。

 

そんな二人を見つめる怪しい少女。

 

おまけに魔女の外見と同じ……

 

「そこのお前、何をしてるんだ?」

 

「…………」

 

少女が私の方を振り向いた。

 

黒一色の少女。

 

「お前が魔女か?」

 

「違う……私はハードゴアアリス」

 

聞き覚えのない名前だった。

 

いや、聞いた覚えがある。

 

前にシスターナナから新しい魔法少女の教育係になったって、その時に名前も聞いていた。

 

「悪いな。人違いだった」

 

「魔女のことは聞いてる。教育係の人からも疑われた」

 

それは仕方ないことだ。

 

魔女の外見と同じなんだから、誰だって勘違いする。

 

でも気になるのはどうしてこんな所にいることだ

 

「スノーホワイトとラ・ピュセルに何か用か?」

 

「……スノーホワイトにお礼を言いたくって」

 

「お礼?」

 

「前に助けてもらったことがあるから……」

 

お礼をいうためにこんな所で見ていたのか。

 

それだったらすぐに言えばいいのに……

 

「一緒に行くか?」

 

「ううん、きっとスノーホワイトは覚えてない」

 

ハードゴアアリスはそう言って、どこかへ去っていった。

 

とりあえず敵ではないみたいだし、あとで報告だけでもしておくか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、二人と合流し、いつも通り人助けをしながら魔女への警戒をしていた。

 

そして時間は0時過ぎ、

 

「………ヴェリテ」

 

3人で帰る途中、ラ・ピュセルは険しい顔をしていた。

 

「何?」

 

「誰かがこっちをみている」

 

「お前も感じたか。どうする?逃げるか」

 

「逃げるのもいい手だけど、スノーホワイトが狙われる可能性がある」

 

「それじゃ……」

 

「うん」

 

どっちかが囮になって、スノーホワイトを逃がすことになる。

 

それだったら……

 

「囮は私がやる。ヴェリテは別れた後スノーホワイトを守っていてくれ」

 

「………」

 

ラ・ピュセルは覚悟を決めているみたいだ。

 

そんな奴のジャマをすることは出来ない。

 

私ただ、分かったと言うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃラ・ピュセル、ヴェリテ。送ってくれてありがとう」

 

「これぐらい騎士の役目だから……」

 

「それじゃ私もここで……」

 

「あぁ」

 

「また明日ね。二人共」

 

スノーホワイトとヴェリテが帰るのを見届けたラ・ピュセル。

 

「……出てこい。いるんだろう」

 

「やはり気が付かれていましたか」

 

視線の正体は森の音楽家クラムベリーだった。

 

「今はキャンディー争奪戦をやっていない。だけどお前がこうして付け狙ってきたということは……お前が魔女か?」

 

「ふふ、魔女ですか。残念ですが違います。私がこうして出てきたのは魔女に殺される前に強敵と戦いたいだけです」

 

「強敵?」

 

クラムベリーが魔女ではないというのは本当かどうかわからない。

 

それに強敵と戦いって理由もわからない。

 

だけど……

 

「お前が何をしたいかわからない。だけど、お前みたいなやつを放っておいたら、きっとスノーホワイトの身にも危険が及ぶ。だからこそ……」

 

ラ・ピュセルは剣を構え、宣言した。

 

「我が名はラ・ピュセル。森の音楽家クラムベリーよ、相手になろう」

 

「ありがとうございます…それでは、全力で行かせてもらいましょう」

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

8話 騎士が知った真実

ラ・ピュセルvsクラムベリーですが、魔女も参戦。




ラ・ピュセルは周りに被害が出ないように、距離を置きながら住宅街から移動していく。

 

だがクラムベリーはそんなのお構いなしに接近しつつ、ラ・ピュセルに攻撃を仕掛けていく。

 

剣で防いでいくが、何故か攻撃を受けてしまうラ・ピュセル。

 

(音楽家って言われてるんだ。奴の魔法は音!迂闊に防御していたらこっちがやられる。それだったら……)

 

ラ・ピュセルは剣を巨大化させ、思いっきり振り回した。

 

クラムベリーはそれを避け、呆れたように話しかけた。

 

「そんな単純な攻撃が喰らうと思っているんですか?」

 

だけど、突然ラ・ピュセルの持つ剣が消えた。

 

一瞬戸惑ったクラムベリーの右肩にナイフが突き刺さった。

 

そのナイフはラ・ピュセルの剣だった。

 

ラ・ピュセルは振り回している最中に剣の大きさを変え、剣が消えたように見せ、クラムベリーに投げつけたのだった。

 

クラムベリーはナイフを抜き、ラ・ピュセルに向かって投げ返した。

 

「ふふ、そうでしたね。貴方の魔法は剣の自由に大きさを変えられるでしたね」

 

「どうして私の魔法のことを知っているんだ」

 

「聞いたからですよ。ファヴから……」

 

「ファヴが……」

 

クラムベリーとファヴが繋がっている。その言葉を聞いて、ラ・ピュセルはある疑惑が浮かんできた。

 

「まさか魔法少女が増えすぎたからって始まったキャンディー争奪戦も……」

 

「えぇ、私とファヴが楽しむためのものですよ。私は強者との戦いを、ファヴは殺し合いを……」

 

「そんなことのために私たちは魔法少女にしたのか!!」

 

「本来でしたら、キャンディーでの犠牲から始まり、奪い合い、そして殺し合いに発展させるつもりだったのが、魔女と呼ばれるもののせいでゲームの進行が進んでしまいました」

 

「ゲーム……人の命を弄び事がか!!」

 

ラ・ピュセルがクラムベリーに接近し、大きく剣を振りかざした。

 

「隙きが見えますよ」

 

剣を振りかざすラ・ピュセルに目掛けて、クラムベリーが音を出そうとした。

 

だけどその時、横から風圧が襲いかかり、クラムベリーを吹き飛ばした。

 

危機を救ったのは砂袋をもったヴェリテだった。

 

「な、ヴェリテ!?」

 

「ギリギリのところだったな。ラ・ピュセル」

 

「どうして来たんだ!スノーホワイトは!!」

 

「スノーホワイトなら大丈夫だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前、スノーホワイトが家に帰り眠りにつくのを見届けた私。

 

「何があるかわからないからしばらくここに居たほうがいいよね」

 

そう思いながら、見張っていると上の方から誰かが声をかけてきた。

 

「何してんだ?ヴェリテ」

 

「ん?トップスピード、リップル」

 

箒に跨るトップスピードとリップルがいた。

 

トップスピードとリップルの二人が降りてくると、

 

「何だ?魔法少女が覗きか?」

 

「違う。ラ・ピュセルに頼まれたんだ。スノーホワイトを守ってくれって……」

 

「ラ・ピュセルに?その本人は?」

 

「多分戦ってる」

 

「魔女とか!?」

 

「それは分からない。今すぐ行ってあげたいけど……頼まれた以上はここを離れられないし………」

 

「それだったら俺達が代わりに見ててやるよ。ヴェリテはすぐに行ってやれ」

 

「いいのか?帰る途中だったし……」

 

「いいって、なぁリップル」

 

「ちっ、面倒なことに巻き込まれた」

 

「リップル。俺達は仲間なんだから協力してやろうぜ」

 

「………分かった」

 

「ありがとう。二人共」

 

スノーホワイトの警護は二人に任せて、私はラ・ピュセルの元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけ、さっさと終わらせよう」

 

「あぁ」

 

私は拳を構え、起き上がるクラムベリーを睨みつけた。

 

「今のが貴方の魔法ですか……確か」

 

「私の魔法は自分の力を引き上げる事ができる。限界以上まで上げたらあんたは木っ端微塵になる」

 

「出来るのですか?さっきの風圧が来た時、神経が切れる音が聞こえましたよ」

 

どんだけ耳が良いんだよ。

 

助けるために咄嗟に許容範囲以上で魔法を使ったから、右腕が痛い。

 

だけど泣き言を言ってられない

 

「数ではこっちが有利だけど、ラ・ピュセルも私も怪我してるし、隙きを突いて逃げよう」

 

「だけどここでクラムベリーを倒さないと……もっと酷いことになる」

 

「スノーホワイトを守るんだろう。お前はここで死んじゃダメだ」

 

「くっ!」

 

逃げることに納得しないラ・ピュセル。だけど私は右腕の力を限界まで上げ、クラムベリーに向けて、拳を振ると同時に砂袋を蹴った。

 

拳の風圧と同時に砂袋の砂が巻き上げられ、クラムベリーの視界を奪った。

 

視界が晴れる前に私たちは逃げ出すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

住宅街から離れた森の中に逃げ込んだ私達。

 

「とりあえず逃げられたか?」

 

「悪かった。ヴェリテ、助けてくれて……」

 

「いいよ。さっきも言ったけどラ・ピュセルには死んでほしくないから……」

 

「………そうだよな」

 

安堵したラ・ピュセル。だけどその時茂みから物音が聞こえ、振り向くとそこには黒いドレスの少女がいた。

 

「お前は魔女!!」

 

「……………」

 

魔女はただラ・ピュセルを見つめているだけだった。

 

(ヴェリテはまだ腕が動かない。何とか隙きを突いて逃げないと……)

 

「ヴェリテ、逃げられるか?」

 

ラ・ピュセルがヴェリテの方を見た瞬間、何かがラ・ピュセルの体を貫いた。

 

「えっ?」

 

魔女は動いておらず、ラ・ピュセルの身体を貫いたものを見ると誰かの手だった。

 

「まさか………」

 

貫いていた手が引き抜かれ、膝をつくラ・ピュセル。

 

そしてラ・ピュセルを見下ろすのは二人の魔女だった。

 

「お疲れ様。スイムスイム」

 

魔女の一人の姿がスイムスイムに変わった。

 

ラ・ピュセルはすべてを理解した。

 

魔女の正体を……

 

「ヴェリテ……お前が魔女だったのか……」

 

「ラ・ピュセル。ここまで誘導するのは大変だったよ。スイムスイムもお疲れ様、あとはゆっくり帰って休みなさい。後でいいものを上げるわ」

 

「ありがとう」

 

スイムスイムを見送るヴェリテ。ラ・ピュセルは剣を握り、ヴェリテを切ろうとした。

 

だがヴェリテがそっと剣に触れた瞬間、剣が折れた。

 

「その傷じゃ助からないわね」

 

「どうして……みんなを殺したんだ!!」

 

「殺した?人聞きの悪い救ったのよ」

 

「殺すことが救いなのか!!」

 

「それだけ喋る元気があるのね。でもねラ・ピュセル。悪いけど貴方にはここで……脱落してもらうわ」

 

ヴェリテはラ・ピュセルの首を手刀で切りつけた。

 

「スノーホワイトの事は任せなさい。貴方との約束守るから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

残り12人

 




魔女の正体判明。

ラ・ピュセルも脱落でした。



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

9話 表と裏

今回でようやくヒロインが決定します。

一人は既に決定してますが、もう一人追加で……

そしてヴェリテに変化が訪れます


いつも通りチャットルームでファヴが発表を行っていた。

 

『今回の発表は3つあるぽん。一つ目は魔法の国特製アイテムを5つ解放してぽん。武器、透明外套、兎の足、四次元袋、元気の出る薬ぽん。アイテムは早い者勝ちぽん。そして二つ目はラ・ピュセルが魔女に殺されたぽん。これで5人の魔法少女が魔女に殺されちゃったぽん。だけど三つ目の発表として魔女は残っている12人の魔法少女の中にいることがわかったぽん。この情報はマジカロイド44からぽん。マジカロイド44は未来の道具でこのN市にいる魔法少女の数を調べた結果ぽん。互いに協力している魔法少女がいるみたいだけど、もしかしたら魔女がひそんでいるから気をつけるぽん』

 

ファヴが発表を終えるが、チャットルームにはクラムベリーしかいなかった。

 

『やれやれ、みんな集まりが悪いぽん』

 

『いいではないですか。今頃全員驚いているかもしれませんよ』

 

『魔女が潜んでいることぽん?でも一体誰が魔女ぽん?』

 

『………少し疑わしい人物が一人います』

 

『それは誰ぽん?』

 

『それは教えません』

 

『どうしてぽん?』

 

『今教えたらつまらないからです。出来ればゲームの進行を勧めてくれたお礼に、彼女には絶望を味わせ無いと……』

 

『正体もお礼も気になるぽん』

 

『そうですね。強いて言うならスノーホワイトを利用します。そして行動を起こすのは……魔法少女が私を含めて6人になってからです』

 

『楽しみにしているぽん』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あるバーにてカラミティ・メアリはマジカロイドと話していた。

 

「それでまだ正体がわからないのかい?」

 

「えぇ、全然デスが……」

 

「何か気になることでもあるのかい?」

 

「魔女の外見と似た魔法少女を見つけマシた」

 

「似ているじゃなくってそいつが魔女じゃないのかい?」

 

「デスが……」

 

「違っててもいいだろう。どうせ減らされる予定なんだろうから……上手くいけば魔女が釣れるかもしれないしね」

 

「ハァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

誰もいない海岸で私は膝を抱えて座り込んでいた。

 

ある理由で他の魔法少女に会わせる顔がなかった。

 

それはラ・ピュセルを助けられなかったことではない。

 

私の記憶に映り込む、ラ・ピュセルの身体を貫いた私とあの感触……

 

私がラ・ピュセルを……

 

救いに来たはずなのに……

 

「何で……私に一体何が……」

 

質問を繰り返すが、誰も答えてくれない。

 

「私はどうすればいいの………」

 

「………それは貴方が決めることじゃないの?」

 

誰も居ないはずなのに、声が聞こえた。

 

声が聞こえた方を見るとそこにはハードゴアアリスがいた。

 

「ハードゴアアリス……」

 

「アリスでいい」

 

「アリス、スノーホワイトにお礼言えたのか?」

 

アリスは首を横に降った。

 

きっとアリスはスノーホワイトに救われた一人なんだろうけど、どうしてここに来たんだ?

 

「それで何の用だ?」

 

「……シスターナナから貴方を探してきてくれって頼まれた。貴方が落ち込んでいるだろうって……」

 

「スノーホワイトの方じゃなくって良いのか?」

 

「スノーホワイトの方には別の人が行ってる。それに私は貴方が心配だったから……」

 

「心配って、この間会ったばっかりなのにか?」

 

「何だか気になったから……」

 

そんな理由でいいのか?

 

とはいえ、正直今は一人にしてほしい。

 

もしかしたらあの記憶どおりにアリスもと考えると体が震えてきた。

 

「悪いけど、今は一人にしてほしいんだ。心配してくれてありがとうな」

 

「側にいる。だって貴方は……」

 

アリスが何かを言いかけた瞬間、大きな音と共にアリスの頭が砕かれた。

 

「アリス?」

 

声をかけ続けるが、アリスは返事をしない。

 

するとどこからか下品な笑い声が聞こえた。

 

「あははは、そいつが魔女かい?」

 

声が聞こえた方を見るとそこには銃を持ったカラミティ・メアリとマジカロイド44の姿があった。

 

「どうやら違うみたいデス。魔女の外見と似ていマスが……人違いデス」

 

「へぇ、でも、勘違いされるような外見してたからね。私じゃなくっても誰かに殺されていただろうね」

 

「そうでショウか?」

 

「それであんたとは初めましてだね。私はカラミティ・メアリ。カラミティ・メアリに逆らうな。煩わせるな。ムカつかせるな。オーケイ?」

 

「マジカロイド44デス。どうぞお見知りオキを……」

 

頭のなかがグチャグチャになっていく。

 

目の前でアリスを殺された。

 

勘違いで……

 

私も同じように勘違いしていた。

 

それに殺されたということは………

 

失敗したということ。

 

「ふ、ふふふふ」

 

失敗という言葉が浮かんだ瞬間、今の私……いうなれば表の私の意識が消える。

 

そして私は……

 

「カラミティ・メアリとマジカロイド44でしたっけ?邪魔をしてくれましたね」

 

「邪魔?それにあんたの服……そうかい、あんたが魔女」

 

「えぇそうよ。私が魔女よ。そして正体を知った貴方達は……いいえ、計画を邪魔したカラミティ・メアリ、貴方はボロクズのようにしてから脱落させる」

 

「いい度胸だね。かかってきな魔女!!」

 

 

 




とりあえずヒロインはハードゴアアリスとスイムスイムということで……

そして次回また一人脱落します。

それが誰なのかはお楽しみに



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

特別編 魔法少女の年越し

ヴェリテvsカラミティ・メアリの戦いではなく、折角の年越しなので特別編です。

クリスマスの話を書きたかったですが、書けなかったので……

この特別編では、平穏、メタ発言、ヒロインのキャラ崩壊、酔っぱらい?もしもの世界となっております。

あと特別編から、また次の最新話からキャラ視点を書くようにします



ヴェリテ

 

それはシスターナナからの一通のメールから始まった。

 

『今年も残りわずかです。せっかくなので31日の夜、魔法少女の皆さんで一緒に年を越しませんか?』

 

「みんなで年越しか……それもいいかもね」

 

いつもの鉄塔で私とスノーホワイトとラ・ピュセルの3人はメールを見ていた。

 

「うん、こういう機会じゃないとみんなと集まれないからいいね」

 

「そうだね。こういう話でしか私の出番ももらえないだろうし……」

 

「あー、ラ・ピュセルは脱落しちゃったもんねー、誰のせいだろうねー」

 

「ヴェリテ、分かってていってるよね」

 

「さて、何のことかな?」

 

「もう二人共、喧嘩しないで」

 

止めに入るスノーホワイト。

 

でも一番可哀想なのはスノーホワイトかもしれない。

 

基本的に私視点だから、スノーホワイトの出番が少ないし……

 

「ヴェリテ、聞こえてるよ」

 

「おっと、ごめんね」

 

「とりあえず31日の20時に王結寺に集合だけど……」

 

「あれ?そこってルーラたちの拠点だよね。許可もらったのかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シスターナナ

 

 

王結寺

 

そこを訪れたシスターナナはルーラと交渉していた。

 

「それで場所の提供できませんか?」

 

「どうして私達の拠点で年越しをしなければいけないのかしら?」

 

「この街の魔法少女全員が参加しませんが、それでも人数が多くかつ目立たない様にするとなるとここが一番いいと思いまして」

 

「………まず最初にやるべきことは場所の確保じゃないかしら。確保の後にみんなに知らせたりしないのかしら?」

 

「あら、それもそうでしたね。すみません」

 

シスターナナは笑って誤魔化すが、ルーラとしてはイライラしていた。

 

(こういう段取りをちゃんとしなければいけないというのに、この女は何を考えてるのかしら。しかもウィンタープリズンなんかさっきから無言で睨んでるし……断るなってことかしら?でもこういう事ははっきり言わないと……)

 

「悪いけど……」

 

「………ヴェリテは来るの?」

 

ルーラが断ると言おうとするが、スイムスイムが遮った。

 

「ヴェリテさんですか?彼女も来ますよ」

 

「ルーラ、貸してあげよう」

 

「スイムスイム、あなたね……」

 

「あはははは、スイムスイムはヴェリテのことが好きだもんねー」

 

「ルーラ、貸してやりなよースイムスイムの恋の成就のためにー」

 

ミナエル、ユナエルの二人が寺の中をくるくると飛び回っていた。

 

ルーラたちはスイムスイムがヴェリテの事が好きなのは前から知っている。

 

少し前に助けてもらったとか、その時にヴェリテの正体が男の子だっていうのを知ったらしい

 

「ルーラ、スイムスイムちゃんのために貸してあげようよ」

 

たまも頼み込んできた。

 

ルーラはため息をつき、場所の提供を許した。

 

(何だか最近スイムスイムが中心で動いてるみたいだけど、このグループ大丈夫かしら?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早速シスターナナたちは年越しパーティーの準備をしている中、ウィンタープリズンがあることを聞いていた。

 

「そういえば飲み物はどうするんだ?」

 

「そうですね。こういう集まりではアルコールを用意したほうが……」

 

「飲めない子がたくさんいそうだけど…‥…」

 

「そうですね。それでしたらジュースだけで……」

 

『それだったらファヴに任せてほしいぽん』

 

呼ばれてもいないのに現れたファヴ。

 

「ファヴさん、呼んでませんが?」

 

『呼ばれなくても出てくるのがマスコットキャラぽん』

 

「今回くらいは何事もなく過ごさせてほしいものだが」

 

『何だか二人共辛辣だぽん。でもファヴも今回は悪意ではなく善意で出てきたぽん』

 

ファヴはマジカルフォンにいくつかの飲み物を映し出した。

 

『これはそっちでいうノンアルコールと似たようなものぽん。だけど魔法の国のものは飲んだら酔っ払った気分になるぽん。しかも身体には悪影響は何もないぽん』

 

「本当に信用できるものか……」

 

「信じましょう。ファヴさんも悪意ではなく善意と言ってますし」

 

『シスターナナは優しいぽん。それじゃいくつか発送しておくぽん。当日はみんなで楽しんでほしいぽん』

 

ファヴはそう言って姿を消すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェリテ

 

 

そして当日、王結寺に集まった私、スノーホワイト、ラ・ピュセル、リップル、トップスピード、ルーラ、ピーキーエンジェル、たま、スイムスイム、シスターナナ、ヴェス・ウインタープリズン、ハードゴアアリス。

 

カラミティ・メアリは馴れ合うつもりはないということで不参加、

 

マジカロイド44は用事があるとのこと

 

クラムベリーは返信がなく、

 

ねむりんはみんなの初夢を守ってから来るとのことだった。

 

「それではみなさん、今日は集まってくださってありがとうございます。今年は色んな事がありましたが、来年も平和のために頑張りましょう。乾杯」

 

シスターナナの乾杯の合図でみんなも乾杯し、パーティーが始まった。

 

ファヴからもらったというジュースを飲もうとすると、スイムスイムが声をかけてきた。

 

「ヴェリテ」

 

「どうした?スイム」

 

「この間は……ありがとう」

 

「この間?あぁスイムが事故りそうになったときのことか。貴方の魔法なら大丈夫だったけど、気をつけたほうが良いわよ」

 

「うん」

 

少し前にスイムと行動することがあり、その時に車に轢かれそうになったスイムを助けようとしたが、スイムの魔法はどんなものにも水みたいに潜れるから、無事でよかったけど……

 

危なくこっちが怪我しそうになったのは言わないでおこう。

 

「ヴェリテ、出来たらまた今度……」

 

「ヴェリテ」

 

スイムが何か言いかけると今度はアリスが声をかけてきた。

 

「アリス、どうしたんだ?」

 

「ジュース注ぎにきたんだけど……減ってない」

 

「あぁ、スイムと話すのに夢中になってたから」

 

アリスとはこの中では実はかなり古い付き合いだった。

 

私とスノーホワイトとラ・ピュセルはこの街で初めて魔法少女になった時、アリスの父親が犯罪を起こそうとした時、助けたのが私達だった。

 

魔法少女の時は他の人には認識できないようになっているけど、アリスは私が助けたことをずっと覚えていた。

 

そして魔法少女になり、話す機会が増えた。

 

「スイム?」

 

でも何故かアリスはスイムの事を睨んでいた。

 

そしてスイムもアリスのことを睨んでいる。

 

この二人は何故か仲が悪い。

 

一体どういうことだろうか?

 

「ヴェリテが鈍いからだよ」

 

何だか小声でスノーホワイトに怒られた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーティが始まり、今年もあと一時間を切った頃、それは起きた。

 

「ん~ラ・ピュセル~何だかあつい~」

 

「ん?そういえばこのジュースってお酒と似たような効果があるから、酔っ払ってきたんじゃないのか?」

 

「ねぇ~ぬいでいい~」

 

「いやいや、ダメって………こゆきぃぃぃぃぃぃ!?」

 

何故か服を脱ぎだすスノーホワイト。

 

それを見て必死に脱がせないように押さえ込むラ・ピュセル。

 

「スノーホワイトは脱ぐ癖があるのか……」

 

「見てないで手伝ってよ!」

 

ラ・ピュセルに言われて、手伝おうとした時、スイムが抱きついてきた。

 

「何だ?スイム」

 

「ヴェリテ~脱がして~」

 

何言ってるんだ?

 

「私も~」

 

更にアリスも抱きついてきた。

 

何でこんなに脱ぐ癖の人が多いんだ?

 

ふっと周りを見てみるとリップル、ルーラ以外のみんなも脱ごうとしていた。

 

これはおかしいと思い、ファヴからもらったジュースのラベルを見るといくつか『装備外し』という文字が目に入った。

 

「………あのマスコット……」

 

この状況をどうにかしないと……颯太も年頃だからいつ間違いを犯すか時間の問題だ。

 

でもスイムとアリスの二人をどうにかしないと……

 

「ヴェリテ~アリスの裸見てもつまらないよ~だから私から~」

 

「ヴェリテ~スイムの胸は偽物だよ~本当だったら私のほうが大きいんだよ~」

 

こいつら何を言ってるんだよ……

 

とりあえずこのままだとまずいことになるから、私は魔女になって酔っ払っている全員を黙らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王結寺の本堂の外に出た私、ラ・ピュセル、リップル、ルーラはため息を付いた。

 

「本当に危ないところだった……」

 

「まさかあんな危ないものがあるとは……」

 

「ちっ、参加するんじゃなかった」

 

「とりあえずは全員気絶させたけど……しんどい」

 

「これからどうする?」

 

「このまま放っておくわけにはいかないわね」

 

「全員の酔いが覚めるのを待つしか無い」

 

「一応服は着せといたし、酔っ払った状態でのことだから覚えてないだろうから良いけど……」

 

私達がまた溜息をつくと

 

「あれ~どうしたの~」

 

ねむりんがやってきた。

 

「もしかして終わっちゃった?」

 

「いや終わらせた。ファヴのせいだけど……」

 

「よくわからないけど~でもここにいる五人で年を越せそうだよ~」

 

ねむりんに言われ、時計を見るとあと一分で年が明ける。

 

本当に色々と合ったけど、悪くはなかった。

 

もしもちょっとした事で殺し合っていた未来が合ったかもしれない。

 

それはどんな未来なのか分からないけど、そうならないように……

 

「みんな、今年もよろしくね」

 

手と手を取り合っていくしかない

 




はい、もしもの世界的な話なので、設定が無茶苦茶です。

というか本当にスノーホワイトの出番が……

とりあえずは今年の更新はここまでとなります。

次回からは本編に戻ります

因みに特別編でのヴェリテは魔女になっての戦闘力強化という魔法となっております。

本編での魔女としての能力とは全然違いますので


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

10話 vsカラミティ・メアリ

あけましておめでとうございます。

新年初の投稿となります。

今回は前回の続きでカラミティ・メアリとの戦いとなります


ハードゴアアリスを殺された怒りで、私は魔女としてカラミティ・メアリと戦っていた。

 

カラミティ・メアリは私に向けて銃を撃ち続けた。

 

私は迫ってくる銃弾を避けながら、カラミティ・メアリに接近していく。

 

「なんだい?魔法少女でも私の銃弾を避けれないはずだよ!」

 

「普通だったらね。でも、銃口が見えてればどこを狙っているかなんてすぐ分かるものよ」

 

カラミティ・メアリに接近することができ、殴ろうとしたが、カラミティ・メアリは持っていたナイフで、私の左腕を切りつけた。

 

「つぅ」

 

掠ったはずなのに、傷が深すぎる。

 

距離を一旦おくと、カラミティ・メアリは笑みを浮かべていた。

 

「私の魔法は持っている武器を強化できる。今のナイフの切れ味も掠っただけで大怪我になるということさ」

 

「厄介な魔法ね……」

 

この間の戦いで右腕はまだ完治してない。そして今回の左腕……

 

このまま続ければ、負ける

 

「普通ならね」

 

そう呟きながら、もう一度接近する。

 

「馬鹿のひとつ覚えか!!今度の銃はただの銃じゃねぇ!!」

 

カラミティ・メアリが腰につけた袋から取り出したのは……マシンガンだった。

 

もしかしてあの袋は、ファヴが言っていた魔法のアイテム……

 

「武器貯蔵庫になっているのね……だけど」

 

私は両腕で頭を守りながら、接近し続けた。

 

「両腕を犠牲にしても強化した武器の威力だったらお前を粉々にしてやる!」

 

確かにそのとおりかもしれないけど、だけどこれは賭け。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジカロイド44は二人の戦いを離れた所で見ていた。

 

「やれやれ、危ない戦いデスね。ワタシは巻き込まれないウチに、逃げマスか」

 

そう呟きながら、その場から離れようとしたマジカロイド44。

 

だが、マジカロイド44の足が何かに掴まれた。

 

「な、何事デスか!」

 

マジカロイド44が自分の足を掴んでいるものを見ると、それは頭が砕けたハードゴアアリスだった。

 

「………」

 

「ど、どうして……」

 

ハードゴアアリスはマジカロイド44をそのままカラミティ・メアリに投げつけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェリテ

 

「なっ!?」

 

突然カラミティ・メアリにマジカロイド44が体当りしてきた。

 

体当たりというよりかは投げ飛ばされた感じだった。

 

今なら出来る

 

「ちっ、邪魔をするんじゃねぇ!!」

 

「す、すみま……」

 

カラミティ・メアリが私の接近に気が付き、咄嗟にマジカロイド44を盾にした。

 

私は盾になったマジカロイド44の身体を貫いた。

 

「がはっ」

 

「おいおい、普通は躊躇しないかい?」

 

「私の目的は奴らが言った数と同じにする必要があるの」

 

「奴ら?」

 

「そのために残り4人……」

 

「いや残り3人だ!!」

 

カラミティ・メアリが銃口を向けた。

 

「この距離なら外しはしない!!」

 

このまま撃たれてしまう。

 

もう終わりかと思ったけど、カラミティ・メアリの持つ銃が何かに弾き落とされた。

 

見てみると石だった。

 

「ちっ!」

 

「今だ!!」

 

隙が出来た瞬間、私はカラミティ・メアリの顔を貫こうとしたが、カラミティ・メアリは咄嗟に避けたが、

 

「ぎゃああああああああ!!」

 

顔を貫けなかったけど、左目を抉れた。

 

あまりの痛みに叫び声を上げるカラミティ・メアリ。

 

左目を抑えながら、残った右目で睨みつけるカラミティ・メアリ

 

「次はぶっ殺してやる………必ずな!!」

 

カラミティ・メアリはそのままその場から去っていった。

 

追うべきだけど、疲れているからこのまま休みたい。

 

「はぁ………」

 

そのまま倒れ込んでいると、ハードゴアアリスがやってきた。

 

「死んでなかったの?」

 

「………私の魔法はどんな怪我でもすぐに治るの」

 

怪我って致命傷だったはずだろ。でもこうして動けるっていうことは物凄い再生魔法なんだ。

 

「ねぇ、アリス」

 

「何?」

 

「今の戦い見ていたでしょ。私は魔法少女の身体を貫き、脱落させた。そんな人の側にいるってあなたは言ったけど………」

 

「側にいる。貴方の目は人殺しの目じゃない………」

 

「人殺しの目?」

 

「………私はその目を見たことがあるから……」

 

アリスは悲しそうな顔をしていた。

 

一体どんな過去をもっているのか……

 

でも話したくなさそうだから、あんまり聞かないようにしなきゃ、

 

「側にいるって言うことはスノーホワイトと争うことになるわよ」

 

「それでも……貴方の側にいる。貴方が苦しそうにしているなら……」

 

「苦しそうか……そうね、苦しいわね。アリス、これから話すことをよく聞きなさい。私の計画とこのゲームの真実を………」

 

私は全てを話した。

 

アリスはただ黙って聞き続け、

 

話を聞き終えたあと、アリスは……

 

「協力する。それがあの人と戦うことになっても……」

 

残り11人

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

11話 決別

怪我の処置を終え、アリスと一緒に王結寺に来ていた。

 

中ではスイムスイムとたまの二人が待っていた。

 

「お待たせ」

 

「……そっちは?」

 

スイムスイムがアリスの事が気になっていた。

 

「新しい仲間よ。全て話してある」

 

「……そう」

 

「ヴェリテちゃん、怪我してますけどどうかしたんですか?」

 

たまが左腕にまいてある包帯に気が付き、心配そうに声をかけてきた。

 

「カラミティ・メアリに絡まれてね。惜しい所で逃げられたけど……」

 

「カラミティ・メアリ……ルーラが物凄く嫌ってた人だよね」

 

「……私もルーラから聞いてる」

 

「厄介な魔法を使うから早い所脱落させたかったんだけど……こっちも怪我してるから……」

 

「病院とかいかなくていいの?」

 

たまの心配はよく分かるけど、正直病院なんて行く必要はない。

 

私はまいてある包帯を取り、傷口を見せた。するとたまは驚いていた。

 

「嘘!?傷が……」

 

それはスイムスイムもアリスも驚いていた。特にアリスがだ。

 

「私の魔法の力よ。前に神経を切ったのも治ってきたし……さて次の話だけど……」

 

私はあるものを3人に見せた。

 

それはファヴが言っていた魔法のアイテムの薙刀、薬、透明になれるマントだった。

 

「これは私の寿命で買ったものよ。薙刀はスイムスイム、あなたにあげる。薬は私が持っておくわ。最後の一個だけど……たま、あなたに頼みたいことがあるの」

 

「頼みたいこと?」

 

「コレを…………」

 

私はたまにある頼み事をした。

 

たまは内容を聞くと少し困った顔をしていた。

 

「わたしにそんな重要なことできるのかな?私、いつも失敗ばかりで……」

 

「失敗を恐れていたら何もできなくなるわよ」

 

「恐れてたら……」

 

「失敗はダメなことじゃない。チャンスそのもの……失敗して転んだとしても立ち上がれなきゃこの先の人生何もできなくなるわ」

 

「………ヴェリテちゃん、ありがとう」

 

たまはアイテムを受取、すぐに指示出した場所へと向かった。

 

「さてアリスには悪いけど、渡すアイテムが……」

 

「大丈夫。これがある」

 

アリスはポケットから兎の足を見せた。これって確かファヴが言っていたアイテムのひとつ……

 

「お守りみたいなもの……」

 

「そう、大切にしておきなさい。もしかしたらいつか良いことが起きるかもしれないわね」

 

アリスの頭をなでながら、そういう私だった。

 

すると端末に一通のメールが入った。差出人はシスターナナからだった。

 

「……少し行ってくるわね」

 

スイムスイムとアリスにそう言い、私は白いドレスの姿に戻り、シスターナナが待っている廃工場へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たま

 

ヴェリテちゃんの頼みを聞いた私は、指定された場所へと向かった。

 

「このまま真っすぐ行けば……」

 

「行けば何かあるのですか?」

 

突然誰かの声が聞こえた瞬間、何かに私は吹き飛ばされた。

 

「うくっ」

 

「おやおや、迷子の犬がこんな所で何をしているんですか?」

 

襲ってきたのは森の音楽家クラムベリーだった。

 

「なんで……」

 

「何でと言いますと?あぁ、貴方を見つけたのは本当に偶然です。ただ貴方が何をしようとしているのかは気になっていますが……」

 

私は受け取ったマントを使い、姿を消しながら、指定の場所へと向かった。

 

今のままじゃクラムベリーに殺されてしまう。

 

「透明外套……姿が見えなければ追ってこないと思っているのですか?甘いです!」

 

クラムベリーは手をかざし、音の塊を放った瞬間、再び私に命中した。

 

「かはっ」

 

「悪いですが、私の魔法は音です。姿を消した所で貴方の足音、心音、呼吸、全てが聞こえます」

 

痛い、痛い、このままだと殺されてしまう。

 

私にはこんなこと無理なんだ。

 

諦めかけていた時、ヴェリテちゃんの言葉を思い出した。

 

『失敗はダメなことじゃない。チャンスそのもの……失敗して転んだとしても立ち上がれなきゃこの先の人生何もできなくなるわ』

 

そうだった。いつも物覚えが悪く、色んな人に怒られていた。

 

だからもう怒られないように失敗を恐れ、何もしないようにした。

 

だけどルーラは私のことを見捨てなかった。

 

ヴェリテちゃんからは勇気をくれた。

 

それに今一番苦しいのは私じゃない。ヴェリテちゃんだ。

 

私は立ち上がり、もう一度走り出した。

 

「逃げるだけですか……つまらないですね」

 

クラムベリーが手をかざし、音の塊を発射しようとしていた。だけどその時、どこからか手裏剣が飛んできた。

 

「ちっ!」

 

クラムベリーは手裏剣を音の壁で全て弾いた。

 

「今のは!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無我夢中で走っていると急に身体が浮かんでいた。

 

「よっ、確かたまだっけ?」

 

「トップスピード!リップルさんでしたっけ?」

 

私はトップスピードさんに服を掴まれた状態で、空を飛んでいた。

 

「何だ?魔女に襲われていたのか?」

 

「ちがっ……」

 

「相手は森の音楽家クラムベリーだった」

 

否定しようとしたらリップルさんが否定してくれた。

 

「クラムベリーが?なんでまた……」

 

正直に話すべきか悩んだ。だけどこの二人なら協力してくれるはず。

 

私は全てを話した。

 

「………まじか、それが本当だとしたら他の奴らも勘違いしてる」

 

「勘違い?」

 

勘違いってどういうことだろう?

 

するとリップルさんが代わりに話してくれた。

 

「ファヴが魔女の正体を明かした。ちっ、このままだと……」

 

「まずいかもしれない。俺達はどうすればいい」

 

「まずはヴェリテちゃんに指定された場所に向かったほうが……そこなら何か打つ手があるかもしれない」

 

「行ってみるか。二人共しっかり捕まれよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェリテ

 

指定された廃工場へ訪れた私。そこにはシスターナナとヴェス・ウィンタープリズンの二人が待っていた。

 

「それで何か御用かしら?」

 

「……ファヴから聞きました。貴方が魔女なんですね」

 

「……………」

 

「沈黙は肯定と取るぞ」

 

ウィンタープリズンが身構えながらそう言う。なるほど、もうバレていたか。この調子だとスノーホワイトにもバレてそうだな。

 

「えぇ、そうよ。私が魔女よ」

 

「やはり……殺した魔法少女の仇を……」

 

「待って、ウィンタープリズン」

 

シスターナナがウィンタープリズンを止め、シスターナナは私に近寄った。

 

「教えてください。どうして魔法少女を殺したんですか?」

 

「…………」

 

私はシスターナナにある事を耳打ちし、胸を貫いた。

 

「えっ?」

 

「ナナ!?ヴェリテ、貴様!!」

 

ウィンタープリズンが地面から壁を作り出そうとした。だけど私はシスターナナをウィンタープリズンに投げつけた。

 

「くっ、お前は………」

 

シスターナナを受け止め、こっちを見た瞬間、私はウィンタープリズンの首を切り裂いた。

 

「な……な」

 

倒れ込むシスターナナとウィンタープリズンを見下ろす私。

 

「これで残り9人。あと二人……」

 

そう呟いた瞬間、どこから物音が聞こえ、振り向くとそこには……

 

「ヴェリテ……」

 

スノーホワイトがいた。

 

「スノーホワイト……」

 

「そこに倒れてるの……シスターナナとウィンタープリズン?」

 

「そうだよ」

 

「貴方が……」

 

「そうよ。私が……」

 

お互い近寄ろとしなかった。

 

スノーホワイトは警戒して、私は怯えさせてしまうのが嫌だから……

 

「………どうしてみんなを……」

 

「教えられない。だけど信じてほしい。これは皆を救うために……」

 

「救うためだけなのに………なんで皆を殺したの!」

 

「………」

 

「どうして……答えてよ!」

 

「………だまりなさい。スノーホワイト」

 

「!?」

 

私は冷たくスノーホワイトに言い放つ。

 

「教えた所で貴方に何が出来るの?もし私が皆を脱落させなければ、きっと誰かが殺し合いをしていた。それでも貴方は怯えるかラ・ピュセルに守られているだけ、何も出来ない貴方はただ全てが終わるまで大人しく震えてなさい」

 

「…………」

 

スノーホワイトは言い返すことが出来ず、そのまま逃げ出した。

 

私はただスノーホワイトの後ろ姿を見ながら、心のなかで『ごめん』と呟くのだった。

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

12話 復讐のメアリ

カラミティ・メアリ

 

ヴェリテとの戦いから数日後、とあるバーにてカラミティ・メアリは左目の治療を終えたが、完全に失明してしまった。

 

「あの魔女……よくもこのカラミティ・メアリを………」

 

苛立ちながら並べてある酒瓶を銃で吹き飛ばしていく。

 

「確実に殺してやる。手始めに……」

 

カラミティ・メアリは魔法の袋にいくつもの重火器を入れていき、ある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

向かった場所は市街地の屋上だった。そこでカラミティ・メアリはいくつもの銃を取り出し、

 

「楽しいパーティーの始まりだ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リップル

 

リップルはトップスピードと共に行動していた。

 

「それでどうするんだ?」

 

「………ちっ、こんな回りくどいことをしないといけないのか?」

 

「仕方ないだろ。そうしないといけないって思って奴は行動してるんだ」

 

「そうだけど……」

 

「もし私達の中から選ぶとしたら、私しかいない」

 

「ダメだ。あの人達との話の中で、あんたは………」

 

リップルが何かを言いかけた瞬間、突然市街地の方から爆発音が聞こえた。

 

「何だ!?」

 

「爆発?」

 

リップルとトップスピードの二人は急いで市街地へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

ヴェリテ

 

市街地の謎の爆発を知った私は市街地へと向かい、ビルの屋上を見るとそこには左目に眼帯をしたカラミティ・メアリの姿が見えた。

 

「あいつ……」

 

すぐにカラミティ・メアリの元へと向かった私、たどり着くとカラミティ・メアリは笑みを浮かべていた。

 

「よぉ、魔女。お前に抉られた目が痛むんだよ……あんたを殺せば痛みが消えるのか!」

 

カラミティ・メアリは銃を撃ってきた。

 

私は避けることに成功したけど、外れた銃弾がビルを破壊していく。

 

「どうするんだ?このままお前が避け続けると街が壊れていっちまうぜ」

 

「面倒な事を……」

 

「街を壊されたくなければ、お前は私の銃弾を喰らい続けな!!」

 

銃を放ち続けるカラミティ・メアリ。

 

私は必死に避け続けるが、見る見るうちに建物が壊されていく。

 

「魔女と呼ばれている割には、街が壊されていくのが気になってしょうがないみたいだな!!」

 

このままだともっと被害が……

 

「厄介な魔法少女ね。正直貴方のやってきたことはかなり許されないこと……左目を失うだけじゃなく、生きていることを後悔させてあげる」

 

「そんな事が出来るのか!!」

 

銃を放ち続けるカラミティ・メアリ。

 

私は屋上の扉を破壊し、盾にしていく。普通ならこんなドアはすぐに破壊されちゃうけど、魔女としての力なら防げる。

 

「なんだ?防いでるのか?どういう魔法なのか知らないけど、これならどうだ!!」

 

カラミティ・メアリは散弾銃を取り出した。散弾でもこの扉の盾を壊すことは……

 

そう思った瞬間、盾を突き破り、私の左腕を吹き飛ばした

 

「つぅ!?今のは……」

 

「武器の知識がないみたいだな!!散弾銃が散弾だけだと思ったのか!スラッグ弾っていうのもあるんだよ!!」

 

取れた左腕を持って、私はビルの中に逃げ出した。

 

「今度は隠れんぼか?面白い!」

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルの中に入り、取れた左腕を糸を通して繋げた。

 

(これならしばらくすれば治るかもしれないけど……一人で立ち向かうべきじゃなかった。スイムスイムとアリスを連れてくればよかった……でも二人には街の避難を任せたし……武器でも持ってくればよかったかしら)

 

考え込んでいると何だか焦げ臭い臭がした。

 

見てみるとオフィスが燃えていた。

 

「炙り出そうとしてるのね。悪いけど……」

 

白いドレスに姿を変え、オフィスの床を思いっきり叩き、穴を開けていく。

 

「脱出させてもらうわよ」

 

穴へ入り、下へと降りていき、ビルから脱出した。

 

「外で待ち伏せでもしてると思ったけど、いないわね」

 

待ち伏せを警戒していたけど、カラミティ・メアリの姿がなかった。

 

すると影が段々大きくなっていくのに気がついた。

 

「まさか!?」

 

「そのまさかだよ!!」

 

声が聞こえた瞬間、ビルが倒れてきた。

 

小さなビルとは言え、こんなものを倒すとなるとどんな銃を……

 

「銃だけだと思ったか!私が武器だと思ったものは全て武器となり、強化されんだよ!だからクレーン車を奪って、このビルを倒したのさ!」

 

カラミティ・メアリの声が響いた。

 

というかクレーン車すら武器に変えるなんて……本当に厄介な魔法。

 

私は必死に逃げるが、間に合わずビルの下敷きになりそうだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カラミティ・メアリ

 

大きな音共に崩れたビルを見下ろすカラミティ・メアリ。

 

「ふふ、ふはははははは、今ので終わりだなんてあっけないもんだね」

 

高笑いをしているカラミティ・メアリ。

 

だけどそこに何発もの手裏剣が襲い掛かってきた。

 

カラミティ・メアリは銃で全て撃ち落としていく。

 

「この手裏剣は……」

 

するとカラミティ・メアリの前にリップルが現れた。

 

「なんだいお嬢ちゃん?」

 

「お前が魔女を倒すために街の人を……」

 

「全部は魔女が悪い。そうじゃないのか?」

 

「ちっ、極悪人が!!」

 

身構えるリップル。カラミティ・メアリは笑みを浮かべ

 

「カラミティ・メアリに逆らうな、煩わせるな、ムカつかせるな。あんたも死んでもらうよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェリテ

 

気がつくと空を飛んでいた。

 

「ここは……」

 

「よっ、大丈夫か?ヴェリテ」

 

「トップスピード、どうして……」

 

「街の爆発を知ってな。というか魔女って呼んだほうがいいのか?」

 

魔女の正体はもう知れ渡ってる、だけどトップスピードは私を助けた。

 

「好きに呼んで、それで私を助けていいの?私は魔法少女を……」

 

「全部たまに聞いた。あんたがやろうとしていることを……そのために協力させてほしい」

 

「下手をすれば死ぬわよ。今のあの女は狂ってるわ」

 

「死ぬ前にあんたがやってくれればいいんだけど……ちょっと厄介な問題があってな」

 

「厄介な問題?」

 

「実は………」

 

トップスピードから『厄介な問題』を聞くと、確かに厄介な問題だった。

 

ふっとある事を思いついた。

 

「ちょっと待って、あのデパートにあるものを使って……トップスピード、リップルはその問題のこと、知っているの?」

 

「あぁ、一応は……」

 

「それなら……あとは」

 

私はある場所に連絡を入れた。

 

返事はすぐに来た。

 

これなら後はカラミティ・メアリをどうにか出来る。

 

私は縫った左腕を見た。痛みも完全に消えた。これならなんとか出来る

 

「決着をつけるわ」

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

13話 渦巻く陰謀

ヴェリテ

 

カラミティ・メアリを誘い出すためにデパートに入り込んだ私とトップスピード。

 

「本当に悪いわね。こんなことに付き合ってもらって……」

 

「いいって、正直あんたがやろうとしていること知れたからね」

 

「本当にありがとう。そしてごめんね」

 

「お礼をいうのは早いし、謝るのはおかしいからな。あんたは………」

 

トップスピードが言いかけた瞬間、デパートの入口から爆発音が聞こえた。

 

「リップルが誘導に成功したのか!?」

 

「それじゃ手はず通り……」

 

「あぁ」

 

私たちはカラミティ・メアリに立ち向かうために動き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デパートの入り口にたどり着くとそこには怒り狂い、銃を乱射しているカラミティ・メアリがいた。

 

「リップルは逃げられたのね……それじゃここにいるわよ!!カラミティ・メアリ!」

 

大声で叫ぶとカラミティ・メアリはこっちを見た。

 

「見つけた!!」

 

見つかった瞬間、銃を放ち続けるカラミティ・メアリ。私は身を隠しながら接近していく。

 

「隠れて近づいてくる気か!それなら!」

 

カラミティ・メアリは袋から何かを取り出した。それは爆弾だった。

 

カラミティ・メアリが爆弾を全て放り投げると同時に物凄い爆発が起きた。

 

「つぅ、本気でここを潰す気ね」

 

今の爆発で建物が崩れそうだった。

 

このまま身を隠していれば潰されてしまう。

 

だけどもうそろそろ……

 

するとデパートの吹き抜けになっていた天井が爆発した。

 

「なんだ!?」

 

上を見上げるとそこには箒にまたがったトップスピードの姿があった。

 

「今だ!!ヴェリテ!!」

 

トップスピードの声を聞き、一気に接近した。

 

カラミティ・メアリは上から降ってくる瓦礫や硝子の破片を銃で撃ち落としていく。

 

「無数の瓦礫や硝子に夢中になっていると……隙だらけになるわね」

 

「なっ!?」

 

私は手刀でカラミティ・メアリの両手を切り落とし、蹴りで喉を潰し、両指で鼓膜を突き破り、残った右目も潰しながら、そのまま頭を砕いた。

 

「………ここまでするつもりはなかったけど、あんたは人を傷つけすぎたのよ。これはその罰……」

 

私は尻餅をつくとそこにトップスピードがやってきた。

 

「終わったのか?」

 

「えぇ、なんとか……」

 

「そっか、姐さんは……」

 

「彼女は人を傷つけすぎた。後悔の一つでもあっても良かったんだけどね。無理だったわ」

 

「……そっか、なぁ、ヴェリテ」

 

「何?」

 

「あんたは後悔してないのか?」

 

「…………しているわよ。友達を裏切ったりしたし……」

 

「許してくれると思うか?」

 

「いいえ、きっと許してくれないわね。突き放しちゃったし……トップスピード、始めましょうか」

 

「あぁ」

 

私は立ち上がり、トップスピードに近寄るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リップル

 

何とかデパートに誘い込み、しばらく身を潜めていた私。

 

するとデパートの中から爆発音が聞こえ、しばらくすると音がやみ静かになった。

 

「終わったのか?」

 

私は様子を見に、デパートに入った。

 

 

 

デパートに入り、真っ先に目に写ったのは……

 

「……………」

 

ヴェリテに胸を貫かれたトップスピードの姿だった。

 

ヴェリテは不気味な笑みで私の方を見た。

 

「あら、ようやく来たのね」

 

「……ヴェリテ、カラミティ・メアリはともかくどうしてトップスピードを!」

 

「どうして、決まっているでしょ。私は魔法少女を脱落させないといけないの。でももう彼女で終わり………」

 

私は叫びながら、ヴェリテに手裏剣を投げたが、ヴェリテは手裏剣を全て受け止めた。

 

「悪いけどもう私の計画は終わり………良かったわね。生き残れて……」

 

「ヴェリテェェェェェェ!!」

 

ヴェリテに向かっていく私。だけどそこに黒いドレスの少女と白いスク水の少女が立ちはだかった。

 

「アリス、スイムスイム。避難は?」

 

「終わった」

 

「ヴェリテは?」

 

「これで終わりよ。リップル、もし仇を取りたければいつでも来なさい」

 

ヴェリテたちはそう言い残し、姿を消した。

 

残った私は倒れたトップスピードに近寄り、身体を揺するが冷たくなっていた。

 

「………許さない」

 

「なら、手を組みませんか?」

 

突然周りに声が響いた。周りを見渡すが誰もいない

 

「誰だ!!」

 

「私は森の音楽家クラムベリー。現状残っているのは行方をくらました犬以外6人。うち二人は魔女に付きました。そして私とあなた、そしてもう一人に今から声をかけます。3人でヴェリテを殺しませんか?」

 

「ヴェリテを………」

 

「そうすればそこに倒れた彼女の仇だけではなく、他の魔法少女の仇を取ることが出来ます」

 

「………分かった。協力する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スノーホワイト

 

「…………」

 

ヴェリテがラ・ピュセルを………そうちゃんを殺した犯人。

 

そしてあの時言われた冷たい一言

 

「怯えるしか出来ないの?」

 

「いいえ、もっと出来ますよ」

 

私の呟き、誰かが答えた。周りを見渡すが誰もいない。

 

「誰?」

 

「森の音楽家クラムベリー、現状残っているのは行方不明のたまという魔法少女以外6人です。その6人の内二人はヴェリテに協力をしています」

 

「………協力?どうして?ヴェリテは人殺しだよ」

 

「さぁ、私にはわかりません。ですが仇を取りたくないですか?」

 

「仇を……」

 

「きっとラ・ピュセルもそれを望んでいるはずです」

 

「そうちゃんが……‥…」

 

「協力しませんか?スノーホワイト」

 

「………はい」

 

 




次回からまほいく最終章です。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

14話 ラストゲーム

夢を見ていた。

 

ある部屋に俺と二人の女性が何か話していた。

 

「えぇ、N市で何人もの魔法少女が死ぬわ」

 

「………の魔法で見えたのね。上は?」

 

「元凶である人物を始末しろって、その元凶の方は調べがついてるけど……」

 

「N市には確か危険な魔法少女がいるのよね。彼女は?」

 

「そいつもこっちの判断でいいらしい」

 

「それじゃ」

 

「あぁ、馴染みの街だから俺が行く。最初は…………を頼む」

 

「分かったわ」

 

「それじゃ……」

 

俺はそう言って、自分の頭を殴るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………全部思い出したな」

 

目が覚めて一番に気がついたのは、自分の記憶が全部取り戻してあることだった。

 

「魔法少女は残り6人」

 

昨日の夜、ファヴから魔法少女が予定していた人数まで減ったが、魔法のアイテムのせいで更に半分に減らすということになった。

 

おまけにたまが行方不明だということ。

 

ファヴもたまの居場所を突き止めていないとのこと

 

「死んでないなら大丈夫かな?」

 

そう呟くけど、誰も答えてくれない。

 

そしてファヴからというよりクラムベリーから宣戦布告を受けた。

 

それは俺との決着だった。

 

「ゲームの進行を早めたお礼として絶望を教えてくれるか。いい度胸だな」

 

指定された場所は山にあるコテージだった。

 

「今日で全部終わる……」

 

俺は変身して王結寺へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

王結寺の本堂に入ると中にはスイムスイムとアリスの二人がいた。

 

「お待たせ」

 

「一人で行くかと思った」

 

アリスがそう言うけど、確かに最初はそうしたかった。

 

「貴方達は私が巻き込んだから、決着は私一人でつけようと思ってって言おうとしたけど、貴方達二人が私の留守の間に狙われたら嫌だからね」

 

「……ヴェリテ」

 

「何?スイムスイム」

 

「私の事、スイムって言って」

 

突然変なことを言い出してきた。

 

そういえば確かにハードゴアアリスの事をアリスって呼んでいるのに、スイムスイムのことだけはそのままだ。

 

「それじゃスイム」

 

「うん」

 

「これが終わったら、お前の夢を叶えるために私も頑張るからね」

 

「約束?」

 

「えぇ、約束」

 

「破らないでね」

 

スイムはそう言って、指切りをしてきた。

 

前から思っていたけど、スイムって見た目と違って幼い感じがする。

 

もしかしたら私が思っている以上に幼い子なんだろうか。

 

「アリス」

 

「何?」

 

「あなたは私の事を人殺しじゃないって言ってくれた。色んなことをした私を信じてくれてありがとうね」

 

「ううん、ヴェリテ。貴方はあの時私のために怒ってくれた。その時の貴方を見て人を殺すような人じゃないって思ったし、目も違った」

 

アリスの過去がどんなものか知らないけど、でも彼女が言う人殺しの目って言うのが気になった。

 

もしかしたらそういう情況になったことがあるのかもしれない。

 

全部終わったら彼女の事を知らないと……

 

私の力になってくれたんだ。

 

今度は私が彼女の力になってあげなきゃ、

 

「それじゃ行きましょうか」

 

私たちはクラムベリーが待つコテージへと向かうのであった。

 

だけどその前に私はある人物に連絡を入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラムベリー

 

「さて彼女たちが山に入りましたね。そろそろ来る頃でしょう」

 

コテージの中、クラムベリーはリップルとスノーホワイトに告げると、スノーホワイトは

 

「ヴェリテを倒せば……こんな殺し合いが終わるんだよね」

 

「えぇ、全ては彼女が初めたことです。彼女は貴方のことを騙し、魔法少女が死ぬ度に笑っていたのでしょう」

 

「…………」

 

クラムベリーの洗脳めいた言葉を黙って聞き続けるスノーホワイト。

 

だけどリップルだけは別の事を考えているのであった。

 

「さぁ魔女に聞かせましょう。レクイエムを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェリテ

 

山に入り、奥へと進んでいくと指定されたコテージにたどり着いた私達。

 

そこに待っていたのはクラムベリーだけじゃなかった。

 

「………スノーホワイト、リップル」

 

「ヴェリテ……」

 

「悪いが私はお前を許さない」

 

リップルは刀を構え、私に向かってきた。だけどリップルの前にアリスが立ちはだかった。

 

「ヴェリテを守る」

 

「ちっ、邪魔をするな!!」

 

リップルはアリスの右腕を斬りつけるが、アリスは腕のことを気にせずリップルに蹴りを喰らわした。

 

「ちっ」

 

「貴方には私を倒せない」

 

アリスの右腕が見る見るうちに治っていくのを見たリップル。

 

少し驚いていたが、すぐに笑みを浮かべていた。

 

「再生の魔法か……それだったらいくらでもお前を止めることが出来る」

 

 

 

 

 

 

 

 

「リップルの相手がアリスなら、スイムの相手がスノーホワイトになるのかしら?」

 

「いいえ、スイムスイムの相手は私です。貴方の相手はスノーホワイトです」

 

「私と決着を着けるんじゃないのかしら?」

 

「決着?違います。あなたに絶望を味わってもらうために、この場所に呼んだんです」

 

クラムベリーがそう告げた瞬間、スノーホワイトが私を思いっきり殴ってきた。

 

殴られた私は吹っ飛ばされたが、何とか受け身を取った。

 

「ヴェリテ、ずっと私達の事騙してたんだよね」

 

「………本当に厄介な相手ね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ラストゲームが始まりました。

そして次回もしかしたら以外な展開に……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

15話 嘘つき

私がスノーホワイトの攻撃を防いでいる中、クラムベリーは笑みを浮かべながら二人の争いを見ていた。

 

「どうですか?仲間と戦うのは……」

 

「うるさい!クラムベリー、スノーホワイトに何をした!」

 

「私は何もしてません。スノーホワイトが貴方を攻撃するのは全て貴方が騙していたからでしょう」

 

そう言いながら、クラムベリーは後ろを向くと後ろから攻撃しようとしたスイムに向かって音の塊を放ち、スイムは吹き飛ばされる。

 

「スイム!?」

 

「スイムスイム。貴方の魔法はどんな所でも潜れるでしたね。ですが、貴方が動く度に音が聞こえるんですよ」

 

スイムは立ち上がり、再び地面に潜り込んだ。

 

「また死角からの攻撃ですか。ですが貴方の動きは音でわかりますが、面白いものを見せてあげます」

 

クラムベリーが両手をかざした瞬間、スイムが土を巻き上げ、視界を封じながら薙刀を振りかざすが……

 

「全方位の攻撃です!!」

 

クラムベリーを中心に破壊の音が広がり、スイムは防ぐすべもなく直撃を食らってしまい、地面に倒れた。

 

「これで終わりですか?あっけないものですね。そしてハードゴアアリスの方も……」

 

アリスの方を見てみると、リップルはいくつもの手裏剣をアリスの関節に当てていく。

 

「再生能力がすごくても、腕や足の関節を集中的に攻撃するだけお前を止めることが出来る」

 

アリスは膝をつかされ、リップルの手裏剣を受け続けていた。

 

アリスの弱点をすぐに見抜けなんて……

 

「よそ見しないで!!」

 

スノーホワイトの拳がお腹に辺り、軽く宙を舞い、地面に落とされた。

 

「かはっ!?」

 

「ふふ、貴方の仲間は封じました。あとはスノーホワイトに嬲られるだけですよ。魔女」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ファヴ

 

ファヴは戦いの様子をコテージの入り口の近くに置かれたマスター端末の中から見ていた。

 

『これがクラムベリーが言っていた絶望ぽん。今まで助け合ってきた仲間の魔法少女に為す術無く殴られるヴェリテ。本当に見ていて楽しいぽん』

 

ファヴは喜びの声を上げるが、あることが気になっていた。

 

(だけどどうしてヴェリテは魔法少女を殺し続けたぽん?何が目的だったぽん?マスターであるクラムベリーは気にしてないみたいだぽん。でも、ヴェリテももう終わりぽん。ヴェリテがやろうとしていたことなんて後で考えればいいぽん)

 

ファヴは楽しげに戦いを見続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴェリテ

 

スノーホワイトの拳を防ぐこと無く、ただ受け続けるだけの私。

 

するとスノーホワイトは攻撃をやめた。

 

「………何?もう終わり?」

 

「どうして……どうして反撃してこないの?なんでただ攻撃を受け続けるだけなの!」

 

「攻撃を受け続けているのは、今までやったことに対しての罪滅ぼしみたいなものよ。反撃しないのは……」

 

私は体の痛みに耐えながら、スノーホワイトを見つめた。

 

「ラ・ピュセルと約束したから……貴方を自分の代わりに守って欲しいって……最初は約束するつもりはなかったけど……」

 

「守るために………攻撃してこないって……だったらどうしてラ・ピュセルを殺したの!!」

 

迫りくる拳を私は受け止めた。

 

「殺したんじゃない救ったのよ。そうしなければ他の魔法少女に殺されていた可能性があった。だから……」

 

「だからって、どうしてヴェリテが……それにヴェリテの心はなんでずっと後悔し続けてるの?」

 

スノーホワイトの魔法で聞こえていたのか……私のこころの声を……

 

「わからない……なんで……」

 

「スノーホワイト……」

 

涙を流すスノーホワイト。だけど私はクラムベリーがスノーホワイトに手をかざしているのに気がついた。

 

私は咄嗟にスノーホワイトを後ろに突き飛ばし、クラムベリーの音の塊を喰らった。

 

「がはっ、く、クラムベリー……」

 

「スノーホワイトごとやろうかと思いましたが、貴方だけ喰らいましたね。まぁこれはこれでいいですね」

 

「くっ」

 

私は膝をつきながら、クラムベリーを睨みつけた。

 

「身体の中がもうボロボロですね」

 

クラムベリーはそう言いながら、スイムが持っていた薙刀を奪い取り、ゆっくりと近づいてきた。

 

「貴方は嘘つきです」

 

「!?」

 

「魔法少女たちを騙し、殺し続けた。貴方の仲間である彼女たちも貴方が嘘で言いくるめたのでしょう。貴方は嘘つきです。だけど嘘をつき続けた貴方はもうお終いです」

 

「ゔぇ、ヴェリテ……」

 

クラムベリーの破壊の音をくらい、動けずにいるスイムが倒れながらも手を伸ばしていた。

 

「ヴェリテ……お願い、助けに行かせて!!」

 

「ちっ!」

 

リップルが手裏剣を投げるのをやめ、アリスはすぐに助けに行こうとしたが、関節に手裏剣を投げ続けられたせいか、両足が取れてしまった。

 

「ヴェリテ……」

 

「スノーホワイト、悪かったな騙していて……」

 

「魔女よ!!この刃にて地獄に落ちろ!!」

 

クラムベリーが振りかざした刃が、私目掛け振り落とされた。

 

私はこのまま終わってしまうんだ。

 

私は目を閉じるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最初に聞こえたのは金属がぶつかり合い、弾かれる音だった。

 

私はゆっくり目を開け、最初に飛び込んできた光景を見て笑みを浮かべた。

 

「な……馬鹿な!?」

 

『どういうことぽん!?どうして……』

 

私の目の前に現れ、薙刀を弾いた人物を見て驚くクラムベリーとファヴ。

 

「え?どうして……」

 

そしてスノーホワイトはその人物を見て、涙を流していた。

 

「遅くなってすまない。ヴェリテ、スノーホワイト」

 

「もしかして場所分かりづらかった?」

 

「少し迷ったけど、だけど間に合ってよかった」

 

その人物は大剣をクラムベリーに向けた。

 

「私はスノーホワイトを守る剣にして、ヴェリテの親友!!ラ・ピュセルだ!!」

 

そう、私達を助けてくれたのはラ・ピュセルだった。

 

 




ラ・ピュセル復活!!

そして次回、タグの原作キャラ生存・死亡についてもやります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

16話 嘘つきヴェリテ

今回、ようやくいろいろな伏線が明かされます


私達の危機を救ってくれたのはラ・ピュセルだった。

 

私は立ち上がり、ラ・ピュセルの隣に立った。

 

「タイミングバッチリね。ラ・ピュセル」

 

「ヴェリテ、その怪我……」

 

「スノーホワイトに殴られてね。でもこの怪我は私の贖罪。あの子を怒らないであげて」

 

「わかってる」

 

「ラ・ピュセル……生きてたの?」

 

「スノーホワイト。もっと早く君に生きていることを伝えたかったけど、ヴェリテに止められてたんだ」

 

「でも、ファヴが魔女に……ヴェリテに殺されたって……」

 

『その通りぽん。魔法少女の生死はファヴが常に確認しているはずぽん。なのにこれはどういう事ぽん』

 

「気がついていなかったみたいね。私は一言も魔法少女たちを殺したとか言ってないのよ。言ったとしたら脱落としかね」

 

『確かに……殺したとか言ってなかったぽん。でも、ファヴのことを偽ることなんて……ヴェリテ、君は一体何者ぽん?』

 

「そうね。いい加減名乗らせてもらおうかしら。私はこのN市の15番目の魔法少女ヴェリテではなく、魔法の国、特命機関所属のヴェリテよ」

 

『特命機関……魔法の国の幹部たちがもっとも重要視している組織ぽん。そんな組織がどうやってファヴたちの計画を知ったぽん!』

 

「特命機関の中には予知夢を見ることが出来る魔法少女がいるの。彼女の魔法のおかげで貴方達が動き出す前にこの街に来られたのよ」

 

『だけど特命機関でもファヴを騙すことなんて……』

 

やれやれ、何だか色々と質問が出てくるな……でも、スノーホワイトも知りたそうな顔してるから言ったほうがいいわよね。

 

「スノーホワイトも気になってるから先に私の本当の魔法教えてあげる。私の魔法は体の力を上限まであげられるというものだったけど、本当は触れたものを偽造することが出来る魔法よ」

 

触れたものを偽造できる魔法。

 

例えるならば石を紙に変えたり、水を炎に変えることだって出来るけど、偽造はある条件ですぐに元の物に変わる。

 

「今回のゲームの前に私は自分の記憶を偽造した。魔法もそう思い込ませた。そしてファヴ、貴方を一番最初に偽造させた」

 

『偽造……』

 

「マスター端末じゃなくっても、私達の持つ端末に貴方が出てくるだけで、偽造させられる」

 

『ということはファヴは最初から騙されていたことぽん?』

 

「電脳妖精でも私の魔法にかかっちゃうなんて………作り変えてもらったら?」

 

笑みを浮かべながら、ファヴにそう言った。

 

そして今度はクラムベリーの方を見た。

 

「さて、上手くこの街の魔法少女の中に潜り込んだ私は貴方達が行動を起こすまでの間、ただひたすらに人助けをした。そして始まったゲーム」

 

その時に私は仲間の一人にメールを受け取っていた。それは最初の脱落者についてだった。

 

私はねむりんとコンタクトを取り、外におびき寄せ、他の魔法少女たちは殺したと思っていたけど、実際は気絶させただけだった。

 

「ねむりんには私の任務について話して、予知夢を更に分かりやすく出来るように協力してもらったわ」

 

ねむりんの魔法は人の夢の中に入ることが出来る。

 

その魔法で予知夢を事細かく見てもらい、どんな未来になるのか教えてもらった。

 

「予知ではスイムスイムが暴走するっていうのがわかったから、彼女を説得して協力者にしたわ」

 

スイムの事を見ると、スイムは黙ったまま頷いていた。

 

「そして次々と魔法少女を気絶させ、貴方達を騙し続けて、クラムベリー、貴方が動き出すのを待っていたのよ」

 

「………全ては貴方の嘘だったとは思いもよりませんでした。ですが!!」

 

クラムベリーは手をかざし、音の塊を放とうとした。

 

だけど、

 

「なっ、身体が……」

 

「戦いや話を聞くのに夢中になりすぎたわね。ラ・ピュセルだけじゃなく、もう一人助っ人を呼んでいるのよ」

 

私がそう言った瞬間、クラムベリーの後ろに突然ルーラが姿を現した。

 

「ルーラの名の下に命ずる。魔法の使用を禁じ、動くな!」

 

「なっ……いつの間に……まさか!?」

 

ルーラの後ろに隠れていたのは、透明外套を持ったたまだった。

 

「貴方は彼女のことを襲ったみたいだけど、最後まで追いかけなかったわね。おかげでこの状況を作れたわ」

 

「くっ」

 

私はゆっくりクラムベリーに近寄った。

 

「いいこと教えてあげる。私の偽造は相手に思い込ませることが重要なの。他の魔法少女は胸を貫かれた=死んだと思い込んだけど、思いが強ければそれだけじゃ私の魔法は効かない。ラ・ピュセルなんて胸を貫いても、首を切っても、右腕を引きちぎっても、全然効かなかったから、諦めて事情を話したけどね」

 

クラムベリーの目の前に立ち、拳を構えた。

 

「私の魔法の防ぐ方法は思いの強さと遠距離からの攻撃。解除方法は条件をクリアすること。私の記憶の偽造は、脱落してしまう魔法少女が誰なのか知ることで徐々に解除される。さて、貴方に使う魔法の解除に必要な条件は………教えてあげない」

 

クラムベリーの顔面を思いっきり殴り、クラムベリーは地面に倒れ込んだ。

 

「うっ、うが、うがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

「魔法によって貴方は覚めない幻覚を見続けなさい。因みに魔法を解除できても、私の魔法って精神的ダメージが強いから、元に戻っても廃人ね。そしてファヴ」

 

私は落ちていた薙刀を拾い上げ、ファヴがいるマスター端末目掛けて薙刀を投げ、端末を破壊した。

 

「貴方は一瞬で壊してあげたわ。最後に聞こえないだろうけど、クラムベリー、私の呼び名を教えてあげる。私は嘘つきヴェリテ」

 

 

 

 

 




はい、全員生存していました。

ヴェリテの魔法について、簡単に説明します。

触れたものを偽造できる

というより思い込ませることが出来る。自分の魔法が身体の上限を上げるというというものもヴェリテ自身、そう思い込んでいたからこその魔法でした。

弱点としては思いの強さと遠距離からの攻撃。

あとは条件さえわかれば解除もできる。

ラ・ピュセルに効かなかったのは、ある思いが強かったからです。

その思いについては次回です


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

17話 選択

クラムベリーを再起不能した私は、そのまま膝をついた。

 

「流石に殴られすぎたかしら?」

 

「自業自得だろ。ヴェリテ」

 

ラ・ピュセルが手を差し伸べ、何とか立ち上がった私は、リップルに声をかけた。

 

「リップルもお疲れ様。中々の演技だったわよ」

 

「ちっ、最初は話を聞いた上でトップスピードに魔法をかけた思って、怒ったまでだ。後々になって、あのトップスピードがマネキンだったなんて……」

 

トップスピードにはちょっとした事情があって、流石に精神的にくる私の魔法を使ったら、大変なことになるため、あの時はマネキンで誤魔化した。

 

「それじゃアジトに戻ろうかしら?たま、貴方が開けた穴とつながってるかしら」

 

「う、うん、今連絡したら繋げてもらったよ。でも、スイムちゃんが……」

 

ふっと、薙刀を杖代わりにしながらなんとか立ち上がろうとするスイム。

 

でもダメージが大きいためか、立っているだけで限界みたいだった。

 

私はそんなスイムにお姫様抱っこした。

 

「さぁ、これで行きましょうか?スイム」

 

「…………」

 

怒っているのかよく分からなかったけど、何故か顔を真赤にさせていた。

 

「どうしたの?顔を真赤にさせて?」

 

「……なんでもない」

 

とりあえずたまが開けた穴に入る私達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穴へ入るとそこは白い廊下へ出た。

 

「あれ?今穴に入っただけなのに……」

 

「……別の場所に繋がった?」

 

突然のことで驚くスノーホワイトとアリスの二人。スイムもまた声に出てはいないけど、驚いている様子だった。

 

「私の仲間の一人の魔法よ。色んな所繋げられる。今回はたまが開けた穴をここと繋げたのよ」

 

「とはいえ、私もまだ慣れませんわ」

 

ルーラもまだ慣れてないみたいだった。

 

確かに一瞬で別の場所に移動してるし、慣れないのは仕方ないことか。

 

するとスノーホワイトがあることを聞いてきた。

 

「ヴェリテ、ここってどこなの?」

 

「このアジトは繁華街の中にあるビルの地下よ。一応ビルの所有者は私の仲間であるから、いうなれば秘密基地みたいなものかしら?」

 

通路を歩いていくとある部屋にたどり着き、中に入る私達。

 

そこには金髪と銀髪の二人の少女がいた。

 

「おかえり、ヴェリテ」

 

「任務ご苦労様。とりあえずクラムベリーは魔法の国が刑務所にぶち込んでくれるみたいよ」

 

「上の方もこれで納得したでしょうね」

 

「とりあえずはね」

 

「他の子達はあの話をして、帰らせたよ。とりあえずは一週間後に返事を聞かせてもらえるように頼んだから」

 

「助かるわ」

 

私はスイムを金髪の少女が用意してくれたベッドに寝かせた。スノーホワイト、ラ・ピュセル、ルーラ、アリス、リップル、たまも椅子に座ると私は話を切り出した。

 

「まずは紹介するわね。こっちの金髪はミル。銀髪はリーエ。ミルは予知夢を見ることが出来る魔法を持ち、リーエは色んな所を繋げる魔法を使える」

 

「ミルです。ごめんね。早めに事情を説明すれば、皆悲しい思いをしなかったのに」

 

「仕方ないよ。ヴェリテが話すなって言ってたんだから、まぁ、結果的にその怪我だよね」

 

リーエが私の怪我を見ながらそう言った。

 

「みんなを騙した罰みたいなものよ。それでこうして皆にアジトに来てもらったのは………」

 

「ちょっと待ってくれないか?」

 

ある話をしようとしたら、ラ・ピュセルが遮った。

 

「何かしら?」

 

「聞きたいことがある。皆は知らないけど、私とスノーホワイト、ヴェリテは元々幼馴染だったはずだけど、私達の関係もヴェリテの魔法で思い込ませているのか?」

 

「確かに……ヴェリテは魔法の国の魔法少女だよね。それじゃ私達とは……」

 

ラ・ピュセルの言葉を聞いて、スノーホワイトも気がついたみたいだった。

 

私達の関係は偽りのものじゃないのかと……

 

でも私は笑顔で答えた。

 

「私達の関係は変わらないわ。私はスノーホワイトとラ・ピュセルとは幼馴染。春休みの頃、私は別の場所で魔法少女になった。これは真実よ」

 

「……そうか。すまない。疑ったりして……」

 

「多分気になるだろうと思ってたからいいわよ。それで本題に移るけど、他の魔法少女にもした話をするわ」

 

「話?」

 

「今回の件で分かったように、魔法少女は人々を助けるための存在だったのが、魔法少女同士で殺し合うようなことになる。今回は私達が助けたけど、今後殺し合いが起きないとは限らない。だからここにいる皆に選んでほしいの。このまま魔法少女で居続けるか?それとも魔法少女としての記憶を失って元の生活に戻るか。どうするか……」

 

これは皆に選んでほしい選択。

 

スノーホワイトたちはすぐに答えを出そうとしなかった。

 

私は一週間程時間を与え、そのままスノーホワイトたちは帰るのであったが………

 

メルとリーエの二人が皆を送っていく中、ラ・ピュセルだけは残っていた。

 

「帰らないの?」

 

「……ヴェリテ。一週間ゆっくり考えてほしいって言ったけど、私は君にここに連れてこられてから考えていたんだ」

 

「何を?」

 

「私はスノーホワイトを守る。守り続けるって決めたんだ」

 

「もしもスノーホワイトが魔法少女をやめても守り続けるの?」

 

「あぁ、彼女が魔法少女をやめたとしても、私は彼女を守る剣で居続ける。だからこそ……私は魔法少女をやめない」

 

「………それが貴方が選んだ答えね。流石は私の魔法を打ち破るほどの思いを持っているだけでもあるわね」

 

「…………ん?それって」

 

「ラ・ピュセルが私の魔法に抵抗できたのって、どんなにボロボロになっても、大好きなスノーホワイトを守るっていう思いが強かったからよ」

 

「だ、大好きって……私は別に……」

 

「誤魔化さなくってもいいから、因みに私は言うつもりもないし……」

 

「嘘は?」

 

「約束は守るわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラ・ピュセルと別れた後、治療を受けているスイムのところに行くと、スイムは魔法少女の姿ではなく、元の姿に戻っていた。

 

スイムの元の姿はまだ小学生くらいの女の子だった。

 

「驚いたわ。まだ小学生くらいだったなんて……」

 

「ヴェリテの友達の人が治療をするなら、元の姿の方がいいって……」

 

「そっか、でもこれだと不公平よね」

 

私は元の眞琴に戻った。

 

「これが俺の元の姿。男の子だっていうのに幻滅したか?」

 

「………びっくりした。でも、男の子で良かった」

 

「どういうこと?」

 

「お姫様には王子様が必要だから……」

 

理由聞いてもよく分からない。

 

とりあえずまだ小学生だからお姫様に憧れるのはよくわかった。

 

「それでスイム……そっちの姿でスイムじゃおかしいか。名前教えてくれない」

 

「坂凪綾名……」

 

「俺は斎条眞琴。あやなちゃんでいいか?」

 

「………いいよ」

 

「俺は眞琴でいいよ」

 

「眞琴さん」

 

「それでもいいか。あやなちゃんは魔法少女は続けるのか?」

 

「……続ける。まだお姫様になってないから……」

 

「もしかしたら死ぬかもしれない。それでもいいの?」

 

「お姫様を守ってくれる王子様がいるから……」

 

「王子様か……その王子様は俺なのか?」

 

「うん」

 

俺があやなちゃんの王子様か……でも魔法少女になったら王子様じゃなくなるんだけど……そういうのは言わないほうがいいかもしれないな。

 

とりあえずはスイムは続けるということか

 

 

 

 




次回からはそれぞれの選択についてやります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

18話 選択②

今回からそれぞれの選択です


あの戦いから次の日の夜、私はシスターナナとヴェスウィンタープリズンから呼び出された。

 

「ヴェリテさん、お呼びしてすみません」

 

「いいえ、気にしないで、私も改めて貴方達に謝らないといけないし」

 

「謝る?」

 

「全部クラムベリーを倒すためとは言え、貴方達に酷いことをしたわ。これは許されることではないけど、しっかり謝らないといけないから……騙していてごめんなさい」

 

頭を下げ、二人に謝る私。するとシスターナナが慌てて、声をかけた。

 

「そんな謝らないで下さい。あの時、貴方は私に言ったじゃないですか。『ごめん』と……」

 

シスターナナの胸を貫いた時に、確かに私はそんなことを言った覚えがある。

 

「あの後、貴方達のアジトに運ばれた後、ウィンタープリズンと話したんです」

 

「きっと君は私達が君のことを許してくれないと思っている。だから他の魔法少女がヴェリテの事を許さなくても、私達だけでも許してあげようと……」

 

「そっか、ありがとう。許してくれて……」

 

私がやったことは本当に許されないことだ。

 

許してもらおうなんて思ってはいなかったけど、こうして許してくれるだけで、どうしてこんなに嬉しくなるんだろう……

 

「……本題に入っていいかい?」

 

「あぁ、そうだったわね。それでこうして呼び出したというのはもう答えが出たのかしら?」

 

ラ・ピュセルもスイムも答えを出すのが早かったけど、この二人も早いな……

 

一応考える時間を多めにあげたのに……

 

「はい、私とウィンタープリズンは魔法少女を続けます」

 

「本当にいいの?あの二人が言ったように今度こそ死ぬかもしれないわよ」

 

「ヴェリテさん、私達魔法少女の役割を思い出して下さい。私たちは人助けのために活動しているんですよ。魔法少女をやめて、記憶を失ったら、私たちはきっと困った人たちを見捨ててしまうのかもしれません」

 

「だからこそ、魔法少女を続ける。それにシスターナナを守ることが私の役目だから……」

 

寄り添う二人。本当にこの二人は熱いわね

 

「分かったわ。私も出来ることがあったらすぐに言ってね。この言葉は嘘じゃないから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シスターナナとウィンタープリズンの二人から答えを聞き終わり、家に戻り、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもは昔の記憶ばっかりの夢を見るはずなのに……

 

今回だけは何故かカラフルな世界だった。

 

「何でこんな夢を見ているのかしら?」

 

「それはね~あんな血腥い夢だと嫌かなって~」

 

目の前にパジャマの上着を着た少女ねむりんが現れた。

 

「久しぶりね」

 

「本当だよ~ヴェリテに胸を貫かれて以来だよね~そこからミルさんのお手伝いしてたから、今日は久しぶりに活動してんだけど~」

 

「たまたま私の夢に来たわけね」

 

「悪夢だと寝覚め悪いかなって思ったから~」

 

流石は夢の世界を守る魔法少女ねむりん。

 

あの夢をこんな風に変えられるなんてね……

 

でも……

 

「ねむりん、私は悪夢を見続けている。それも昔の……私が魔法少女になったばっかりの夢をね」

 

「酷いことが起きたんだね~」

 

「でも今回は貴方のおかげでいい夢が見られそうね。ありがとうねむりん」

 

「みんなの夢を守るのが私の役目だから~」

 

笑顔でそう言うねむりん。

 

そういえば彼女はどうするのかしら?

 

「ねぇ、ねむりん。あなたは答えが出たの?」

 

「答え?魔法少女を止めるかって話?続けたいけど~ヴェリテに頼みたいことがあるの~」

 

頼みたいことって何かしら?

 

夢の世界で何か手伝えってことかな?

 

でも夢の中だとねむりんの方が一人で行動したほうがいいと思うけどな……

 

「ヴェリテのアジトにあるビルって、リーエさんかメルさんのどっちかが経営してる会社なんだよね?」

 

「えぇ、リーエが経営してるわよ。でも大企業ってわけじゃないけどね」

 

あのビルは言うなれば何でも屋みたいな会社をやってる。個人経営だからまだ20代のリーエが経営していても多少の問題はないみたいだけど……

 

「私も現実ではニー……家事手伝いしてるんだけど、そろそろ就職しなきゃって思って……」

 

「何?コネで就職できないかって?」

 

「そうじゃなくって、募集してないかなって?」

 

「募集?まぁあそこは割と人手が足りないみたいだし、私もたまに手伝ってるし、募集してると思うけど……」

 

「そっか~じゃあ魔法少女やりながらそっちの会社で働くね。現実でもあえたらよろしくね~」

 

そう言い残して、ねむりんは私の夢から去っていった。

 

とりあえずは後でリーエに言っておかないと……

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

19話 選択③

ある夜のこと、一人でパトロールをしていると何だか見覚えのある魔法少女を見つけた。

 

「えっとマジカロイドだっけ?」

 

「おヤ、ヴェリテさんじゃないデスか。どうしたんデスかこんな所で……」

 

「パトロールよ。貴方は?」

 

「私も似たようなものデスよ。一応魔法少女をやめようかと思っているので……」

 

マジカロイドは魔法少女をやめると決意したのか。

 

「一応理由聞いていいかしら?」

 

「そうデスね。私としては楽にお金を稼げればよかったのデスが、これ以上魔法少女を続ければお金なんてあっても意味がアリマセンから……」

 

命のほうが大事か……確かにそのとおりかもしれない。

 

誰だってお金と命どっちがいいかと聞かれれば、命のほうが大切だって言う。

 

「答えは変わらないみたいね。でも、どうしてパトロールなんて?」

 

「魔法少女になった以上は魔法少女らしく働こうと思いましてデスね」

 

「なるほどね。頑張ってね。あと魔法の国からは迷惑料としてお金の方も支給されるから……」

 

「それは助かりマス。あぁ、それと」

 

「何?」

 

「カラミティ・メアリはどうなったのデスか?あのアジトでは見かけまセンでしたが……」

 

「彼女は私の独断で魔法少女の力をなくさせたわ。彼女のやってきたことはとても許されないこと……とりあえずは力と彼女の頭に偽りの幻覚を植え付けたわ」

 

今頃どこかの病院にいると思う。

 

命を奪わなかったけど、今後の彼女は社会復帰は無理そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マジカロイドと別れた私が訪れた場所は、王結寺だった。

 

何だかみんな答えを決めるのが早いから、正直聞きに行ったほうが早いと思った。

 

本堂に入ると中にはルーラ、たま、ピーキーエンジェルがいた。

 

「こんばんわ」

 

「あら、ヴェリテじゃない。どうしたの?」

 

「何だかみんな決めるのが早いから、聞きに行ったほうがいいと思ったからね」

 

「そう……」

 

「ここにいるみんなはもう決めたの?」

 

私がそう聞くとすぐに答えたのはピーキーエンジェルの二人だった。

 

「私たちは辞めることにしたよ~」

 

「このまま続けたら、今度こそ死んじゃうからね」

 

「正直ヴェリテが早めに脱落させてくれたから助かったとは思ってるからね」

 

「そうなの?」

 

「そうだよ。私達の魔法は戦闘向きじゃないからね」

 

「下手こいて死んじゃったら嫌だからね」

 

何だか私としては襲っておいて、お礼を言われるのはちょっと変な感じがする。

 

「ミナエル、ユナエルの二人は辞めると……一応魔法の国から迷惑料は支給されるから……」

 

「お姉ちゃん、迷惑料だって」

 

「どれくらいもらえるんだろうね?」

 

本堂の中を飛び回る双子の天使。

 

私がそんな双子を見ていると、たまがあることを言い出した。

 

「あの、私もやめる」

 

「そう」

 

「きっとまた辛い思いをするかもしれないから……」

 

「止めやしないわよ。貴方が決めたことだからね」

 

「でも、ヴェリテちゃん。魔法少女の記憶がなくなるけど……私が変われたっていうのは無くなったりは……」

 

「それは大丈夫よ。貴方が変われたというのはなくならない。別の記憶に塗り替えられるけどね」

 

たまは自分に自信がないって言っていた。

 

だけど今回の事件で、たまは勇気を出せるようになり、失敗を恐れないようになった。

 

「ありがとうね。ヴェリテちゃん」

 

「いいえ、それでルーラは?」

 

「私は続けるわ」

 

「でしょうね。口でなんだかんだ言いながら、人助けしてるからね」

 

「わ、悪かったわね」

 

「いいのよ……とりあえずこの場にいる皆は気持ちは変わらないみたいね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーラたちと分かれた後、残り聞く魔法少女の名前をつぶやいた。

 

「リップル、トップスピード、アリス、そしてスノーホワイトか……」




短めですみません。とりあえずは残り2~3話くらいで終わります


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

20話 選択④

私はアリスに呼び出された。

 

多分だけど答えが出たのかもしれない。

 

というか皆決めるのが早すぎな気がする。

 

一応期限までは2日あるのに……

 

そんなことを考えていると約束の場所にたどり着くとアリスが待っていた。

 

「こんばんわ。アリス」

 

「ヴェリテ……」

 

「呼び出したということは答えは決まったのかしら?」

 

「答え?答えだったらあの日、ヴェリテが私たちに言ってから決めてたよ。私は魔法少女を続ける」

 

「……そう」

 

答えはあの日から決まっていたのね。ラ・ピュセルやスイムと同じように……

 

でもどうして今日呼び出したのかしら?

 

「それで呼び出した理由は何かしら?」

 

「一緒に人助けの活動をしようかと思って……」

 

ただ誘いの呼び出しだったんだ……

 

まぁ別にいいけど……

 

でも少しだけアリスに聞きたいことがある。

 

「ねぇ、アリス」

 

「何?」

 

「聞きたい事があるの。貴方が前に私のことを人を殺すような人じゃないって言ったわね。それって……人殺しを見たことがあるからかしら?」

 

「…………」

 

「答えなくってもいい。ちょっと気になったから聞いてみただけよ」

 

黙り込むアリス。

 

やっぱり聞くべきじゃなかったか?

 

「………さんが」

 

「何?」

 

「私のお父さんは………お母さんを殺したの」

 

「……………」

 

まさかの事実だった。

 

アリスの父親が母親を殺していたなんて……

 

「お父さんは捕まって、今は刑務所にいる。私は親戚の家にいるけど……伯父さんや叔母さんに迷惑をかけないようにしてるの」

 

「………人殺しの目じゃないって言ったのは、貴方はその現場を見ていたのね」

 

「うん………」

 

色々と衝撃的だったんだろうか……

 

「辛い話をさせてごめんね」

 

「ううん、大丈夫」

 

「お詫びに私の事も話してあげる」

 

「ヴェリテのこと?」

 

アリスに最初に語ったのは、自分は男の子であることと本名を話した。

 

そして……

 

「私は人を殺したことはないけど、見殺しにしたことがある」

 

「見殺し?」

 

「………今回のクラムベリーのゲームはいうなれば試験みたいなもの。立派な魔法少女になるためのね。でも、私が体験した試験は…………」

 

それは真っ赤な炎しかない場所。

 

そこでは何人もの魔法少女が争っていた。

 

助けを求める人がいたというのに、彼女たちは試験合格のために争いに夢中になり、見殺しにしていた。

 

私はそんな彼女たちを説得していたけど、それでも彼女を止められない。

 

結果的には魔法少女たちは同士討ち、助けを求めていた人たちは炎で焼かれた。

 

私はただ血まみれになったその場所を見つめていた。

 

「私は人を殺してないけど、見殺しにした。いうなれば人殺しよ」

 

「………でもヴェリテは私達を助けてくれた。自分と同じような体験をさせないために……」

 

「………えぇ、もうあんなことが起きないようにね」

 

「ヴェリテ………私も貴方と同じ道を進みたい。助けを求める人も魔法少女も救いたい」

 

「……ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからアリスと活動して、少し休憩しているとそこにトップスピードとリップルが私達のところにやってきた。

 

「よっ、ヴェリテ、ハードゴアアリス」

 

「こんばんわ。トップスピード、リップル」

 

「……活動中か?」

 

「えぇ、そうよ。リップル。貴方達と同じようにね」

 

「そういえば他の魔法少女たちから聞いたけど、聞きに回ってるんだって?」

 

「えぇ、みんな答えを出すのが早いからね」

 

結構広まってるみたいね。私が聞きまわってるのって……

 

「折角ここで会ったから俺も答えを出していいか?」

 

「別にかまわないわ」

 

「俺は辞めるよ。というか元々辞めようって思ってたからな」

 

トップスピードが魔法少女を辞めるっていうのは予想できていた。

 

あの事件の時に彼女の秘密を聞いていたから……

 

「体のこともあるしね」

 

「体のこと?」

 

そういえばアリスは事情知らなかったっけ?

 

「アリス、トップスピードはね。妊娠してるの」

 

「そうなの!?おめでとうございます」

 

「あはは、ありがとうな。それで辞めるのはいいけど、記憶は残せないんだよな」

 

「一応決まりだからね……どうして?」

 

「魔法少女辞めても、皆のことを覚えておきたいっていうんじゃダメか?特に忍者の格好をした正義の魔法少女のこととかね」

 

「………トップスピード」

 

「リップル。お前は立派な魔法少女だからな。辞めても応援したいんだよ。お前のことを」

 

何とかしてあげたいけど……

 

正直どうにもできないことだし……

 

「ごめんなさい。どうしても出来ないの……でももしかしたら記憶の片隅でうっすらだけど、リップルのことを覚えているかもしれないから……」

 

「そっか、それだけでも満足かな……」

 

「ということはリップルは魔法少女を続けるってことかしら?」

 

「……ちっ、トップスピードがそうしたいって願ってるからな……」

 

トップスピードとリップルの答えを聞き終えた私。

 

でも、ここ何日かある魔法少女の姿を見ていない気がする。

 

というか明らかに私のことを避けている気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アリスと別れた私はラ・ピュセルに連絡を取った。

 

『スノーホワイトか。私も最近会えていないんだ』

 

「そうなの?てっきり一緒かと思ったけど……」

 

『だけど少し前に一人で考えたいって言ってたから……』

 

一人で考えたい。

 

今回の選択で一番悩んでいるのはスノーホワイトなのかしら?

 

『ヴェリテから連絡を取ってみたら?』

 

「そうだけど、学校でも避けられているし……無視されそうでね」

 

『やれるだけやってみたらいい』

 

「そうね。声をかけてみるわ」

 

ラ・ピュセルとの連絡を切り、私はスノーホワイトに連絡を入れた。

 

『鉄塔の上で待つ』と………




次回最終回ですが、もしかしたら……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最終話 選択した未来

スノーホワイトと鉄塔の上で待ち合わせをしている私。

 

私が指定した期日は明日まで……

 

他の魔法少女は答えを出しているけど、スノーホワイトだけはまだ。

 

それに彼女とはあの日以来避けられている。

 

正直ここに来てくれるかどうかわからない。

 

「ふぅ、来ないか」

 

ため息をつきながらそう呟くと、鉄塔の上に誰かがやってきた。

 

振り向くとそこには白い衣装をまとった魔法少女スノーホワイトだった。

 

「こんばんわ。スノーホワイト」

 

「……ヴェリテ」

 

「悪いわね。呼び出して……」

 

「…………」

 

答えてくれない。

 

だけどこうして来てくれただけでもいいかもしれない。

 

「呼び出したのは他でもないわ。もう答えは決めたかしら?」

 

「………」

 

「皆、ちゃんと答えを決めたけど、貴方だけまだだけど……魔法少女辞める?」

 

「私は……続けたい。魔法少女続けたい。けど……」

 

「けど?」

 

「前にヴェリテが言った言葉を思い出したの。私はただ守られているだけだって……」

 

「そうね。貴方は守られ、全てが終わるまで震えているだけって言ったわね」

 

あの言葉をきっかけに私とスノーホワイトは一時決別することになった。

 

だけどあれは……

 

「スノーホワイト。あの時は貴方を戦いから遠ざけたかったからよ」

 

「解ってる。ずっと後悔してたもん。でも、もしかしたら……また同じような事が起きたら……今度こそラ・ピュセルが……皆が死んじゃったら……それも私を守るために……」

 

続けたい気持ちと辞めたい気持ちが混ざり合ってるのね。

 

「ヴェリテにすぐに相談したかった。だけど、誤解していたけどもいっぱい殴ちゃったし……」

 

「あれは自業自得だからいいの」

 

殴ったことに対しても後悔してるのか。

 

私はため息をつき、スノーホワイトに言った。

 

「いっぱい悩んだみたいだけど、答えは出ているわ。魔法少女を続けたらいい」

 

「で、でも……」

 

「同じようなこと?起こさせないわ。この私が………みんなが死んじゃうかもしれない?私が死なせない」

 

私があの時決意したことをスノーホワイトに伝えた。

 

皆が死ぬような試験は起こさせない。

 

皆を死なせない。

 

もう二度と見殺しにしないって………

 

「守られるのが嫌だったら強くなりなさい。強くなって皆を守れるようになりなさい。そのために私も協力する」

 

「ヴェリテ……」

 

「それが嫌だったら辞めてもいい」

 

「ううん、ありがとうね。ヴェリテ」

 

どうやら答えは決まったみたいだった。

 

さてさて、これから先の未来はどうなるか………楽しみだな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数ヶ月後

 

N市で活動している私、ヴェリテはリーエの会社の部屋で、ある問題に悩まされていた。

 

「…………はぁ」

 

「ヴェリテ、また何か言われたの?」

 

リーエの会社で仕事の手伝いをしながらため息をつく私。

 

そんな私を見たお手伝いに来たアリス。

 

「スノーホワイトが管轄区域から出て、活動してるみたい」

 

「もしかしてあの大統領の大量虐殺をやめさせたってこと?」

 

「そう、助けたいって気持ちは大切だし、その件だって私の方で手を打とうとしてたのに……また上から文句言われるじゃない」

 

「大変だね。ヴェリテも……」

 

数ヶ月前に魔法少女を続けると言った子達をまとめて、特命機関所属させた。

 

ねむりんやルーラはリーエの会社に就職し、リーエも助かってるみたいだった。

 

シスターナナとウィンタープリズンの二人は管轄区域でしっかり人助けしてるみたいだ。

 

たまに一緒に行動する時、いちゃつかれるのには困ったものだけど……

 

アリスとスイムの二人は私と一緒に行動することが多いけど、スイムはまだ小さいから活動時間以外は勉強を見てあげている。

 

「それで……ヴェリテ」

 

「何?」

 

「も、もし良かったら今度の休日だけど……」

 

アリスが何か言いかけた瞬間、スイムの元の姿である彩名ちゃんが私の部屋に入ってきた。

 

「……ただいま」

 

「おかえり。彩名ちゃん」

 

スイム……彩名ちゃんは特命機関に入ってからはまっすぐ家に帰らず、必ず会社の私の部屋を尋ねるようになった。

 

「無理してここにくることないわよ」

 

「無理してない。ヴェリテといるのが楽しいから……」

 

そう言って、彩名ちゃんは私の膝の上に座るのであった。

 

アリスはと言うと何故か怒った顔をしている

 

「あ、あの?何か……」

 

「別に……」

 

たまにだけどこの二人が何だから仲が悪い時があるのは気のせいかな?

 

するとリーエとミルの二人が部屋に入ってきた。

 

「ヴェリテ、スノーホワイトたちが戻ってきたわよ」

 

「いつ見ても仲がいいわね。ヴェリテとアリスとスイムは……」

 

「はいはい。出迎えてやるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正直この数ヶ月間色々とあった。

 

他の魔法少女に改めて魔法少女について教えていたけど、私一人じゃ手が足りないために、スノーホワイトとリップルの二人は知り合いである魔法少女に指導お願いしたけど、彼女自身かなりの悪事をやっていたみたいだった。

 

それを暴いたスノーホワイトとリップル。

 

二人が帰ってきてから再度二人のことを指導することになった。

 

あとはN市以外の場所で活動しているペチカっていう魔法少女と一緒にいた中々面白い魔法少女を鍛えたくらいだったか

 

思い返していると、会社の入口にスノーホワイト、ラ・ピュセル、リップルの3人が帰ってきていた。

 

「おかえり。三人とも、ニュースで見たわよ。おかげでまた上から文句言われたわ」

 

「ごめんね。ヴェリテ」

 

謝るスノーホワイト。

 

だけど仕方ないことだ。

 

彼女が困っている人を見過ごすことが出来ないって事を……

 

「ラ・ピュセルもリップルも行くときは連絡してくれないかな?」

 

「すまなかった」

 

「ちっ、だけど上の方には上手く騙したんだな」

 

「あら、騙したなんて人聞きの悪い。上手く誤魔化したのよ。書類申請を偽っただけだしね」

 

「よくやるよ。口でなんだかんだ言いながら、私達のやっていることを認めてるからな」

 

彼女たちの行動は正直上の方からよく思われてないけど、そんなの私には関係ない。

 

だけど文句を言われるのはいやだから、書類関係を私の魔法で少し偽造した。

 

これで騙されてくれればいいんだけど……

 

「それじゃ、土産話でも聞かせてくれないかしら?スノーホワイト」

 

「うん」

 

私達の魔法少女としての活動はまだ続くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




というわけで最終回です


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。