零から始める魔法科生活 (zipoc)
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プロローグ

はじめまして!
どうぞよろしくお願いいたします!


9月。

夏休みも終わり、新たなスタートを告げる時期だ。

そんな中一人はしゃいでいる生徒がいた。

 

「ねぇねぇ、今日転校生が来るんだって!」

Aクラスの中でほのかが楽しそうに告げる。

どうやらかなりわくわくしているようだ。

 

「そうなの?こんな時期に珍しい」

 

そんなほのかに気だるそうに答える雫。

本当に気だるいわけではないが、周りの生徒から見たらそう見えるだろう。

幼馴染であるほのかは、そんな雫の態度を気にすることなく話を続ける。

 

「それがね、何でも兄妹で転校してきたみたい。…お兄さんは一科生で妹さんは二科生ってさっき先生が…」

 

その言葉に、話していたほのかの声が段々と小さくなる。

それもそうだろう。この学校では一科生と二科生の壁はとても高いものだから。

最もここにいる3人はそんなことを気にするような人ではないのだが。

 

「気にすることないと思うわ。私とお兄様だって科は違うけど特に問題ないでしょ?」

 

そんなほのかに優しく告げる深雪。

自分と同じような境遇の人と会えることにどうやら少しばかり気分が高ぶっているようだ。

 

「そりゃあ達也さんなら問題はないだろうけど…」

 

達也の実力を知っているほのかは口ごもる。

もはやチートと言える技能を持っている達也と比べたところで…と思っているようだ。

春に入学してからほのかは達也の実力を自分の目で嫌というほど見てきている。

特に最近行われた九校戦においては、担当する選手全員を勝たせるという成績も残していた。

そんな達也に少しばかり気になっているほのかであったが、今は置いておこう。

 

 

「まぁ気にしてもしょうがないよ。実際に会ってみないとわからないし」

 

「そうね。雫の言う通りだわ。…どうやら来たみたいよ」

 

雫の言葉に深雪が頷いたところでこの話は一旦終わりを告げた。

 

「皆さん席についてください」

 

担任が教室に入ってきて、そう告げる。

ザワザワする教室であったが流石は一科生。すぐに行動を起こした。

30秒とかからずクラス全員が席に着いたことを確認し、再度話し始める。

 

「知ってる人もいるかもしれませんが、今日から新しい仲間がこのAクラスに入ることになりました。―――――入りなさい」

 

その言葉と同時に教室に入ってくる一人の生徒。

すらっとした体格に、綺麗な藍色の髪。顔は良く整っていて全体的に落ち着いた印象を受ける。

 

「はじめまして、零乃綾人と言います。これから2年半ですがよろしくお願いします」

 

転校生――――零乃綾人は当たり障りのない言葉で自己紹介を告げた。

 

 

 

 



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2話

 

「よろしく、光井さん」

 

自己紹介を終えた俺は担任に言われた席へとつき、隣に座っていた女子生徒に声をかけた。

第一印象は大事だからな。

 

「はい、よろしくお願いします。零乃さん」

 

「そんな他人行儀にならなくていいのに…。それに零乃だと妹と被るからできれば名前で呼んでほしい」

 

「そういえばそうでした。ということは双子?」

 

「よく言われるけどそうじゃないんだ。俺が4月生まれで妹が3月生まれなだけだよ」

 

「そうなんですか?深雪と同じですね」

 

「深雪?」

 

「あそこに座っている綺麗な人ですよ。教室入ったとき気がつきませんでした?入学式の時うちのクラスの男子はみんな身ぼれてましたよ」

 

そう言われた俺は光井さんに促された方を見てみる。

…うん。確かに綺麗だ。綺麗だけど…

 

「何だか近寄りがたい雰囲気があるなぁ…」

 

「確かに最初はそうかもしれませんけど、仲良くなったらそんなこと全然ないですよ」

 

「そうなのか…。でもやっぱり俺はちょっと苦手そうな雰囲気だな」

 

 

 

 

 

 

「ほのか随分仲良くなったんだね」

 

そんなことを話していると一人の女子生徒がやってきた。

何だか不愛想な顔をしている。

 

「綾人くんとっても話しやすいんだよ。あっこの子は私の親友で雫って言います」

 

「北山雫。よろしく」

 

「さっきも言ったけど俺は零乃綾人。よろしくな北山さん」

 

「うん。よろしく」

 

最初の印象通り不愛想だな。

いつもニコニコしてる光井さんとは大違いだ。

 

 

「雫の見た目はこんなですけど、実際に話してるととっても面白いんですよ!」

 

「ほのかっ!」

 

どうやらこの2人はかなり仲がいいらしい。

まぁ親友って言ってたしな。

 

「あらあら、朝からどうしたの二人とも?」

 

2人が言い合っていると先ほど紹介された深雪さんがやってきた。

 

「はじめまして。司波深雪と申します。どうぞよろしくお願いします」

 

「あっどうも、こっちこそよろしく」

 

 

 

 

 

 

 

その後は授業を見学し、現在は昼休みだ。

 

「3人はいつもここで食べてるのか?」

 

俺は連れられてきた食堂で3人へ尋ねた。

 

「深雪は生徒会の仕事で生徒会室で食べることもあるんですけど、私と雫は大抵ここで食べてますよ。もしかして食堂気に入りませんでした?」

 

「あぁ、違う。そういうことじゃなくて…。食堂あるの知らなくて今日は弁当なんだ」

 

「お弁当…ですか?妹さんの手作りですか?」

 

「いやこれは俺が…「兄さまーー!!!」

 

作ったんだ、と言おうとしたところで後ろから大きな声がした。

いや、声の主は分かってるんだけどさ…

 

「兄さま、お昼一緒に食べましょう!」

 

 

 

 

 



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