七罪日記 (メンタル)
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七罪の日常日記

駄文ですが、少しでも楽しんで頂けたら幸いです。




◯月A日

なんとなくだけど、やる事もないので日記なんかをつけてつけてみようと思う。士道に霊力を封印されて一週間が経った。ある程度の日常生活を送れるようになったとはいえ、心から落ち着ける場所といえば精霊マンションにある自分の部屋や五河家ぐらいしかない。自分で書いてて悲しくなってきた。だって、しょうがないじゃない!士道に出会う前は<ハニエル>で本当の自分を隠してきたんだから。そりゃ最初は、このままの姿で街中を歩いてたわよ。でも、どいつもこいつも偽善ばっかり!見た目が幼いからってすぐに騙そうとしてくる奴ら。体だけが目当ての変態共。正直、笑っちゃったわ。変身前の私には、そういった事を平気でやろうとしてくるくせに、変身した後の私にはヘラヘラと媚び諂って近づいてくるんだもの。まぁ、そいつら全員二度と人間として生きれないようにしてやったけど。でも、士道と最初に出会った時は不思議とそんな気持ちにはならなかった。今までの人間なら出会った瞬間に再起不能にするか、オブジェにするだけだったのに。

 

自分でも不思議だった。ただ、心のどこかで士道みたいな人を待っていたのかもしれない。あれだけ裏切られ、苦しい思いをしたのに。そして私は本当の私(七罪)を嫌いになっていった。信じられるのは大人の私。勇気のある私。綺麗な私。正体がバレたら終わりだ。大人の私じゃないとダメだ。気が付けば、そんな風に考えるようになっていた。

 

だから私は自分の正体がバレるのが怖かった嫌だった。そんな事を考えただけで変身が解けてしまいそうだった。常にその事ばかりを気にしてASTと戦っていたせいで変身が一瞬だけ解けちゃって、そこにいた士道に私の正体がバレた。まぁ、私の思い込みだったけど。でも、バレたと思った私は徹底的に士道を社会的にこの世から消そうと考え行動した。自分の思いつく最悪な事をたくさんして士道を苦しめて困らせて士道の人生を滅茶苦茶にしたのに、それでも士道は今までの偽善なんかじゃない、本当の優しさで私を許してくれた。正直士道は、私が思い描いていた以上の人だった。心の底から優しくて、甘くて、お人好しで、ジゴロだけど、暖かい気持ちにさせてくれて、笑顔が似合う素敵な人。

 

さてと、ずいぶん長いこと書いて疲れたから今日はここまでにしましょうか。今はまだ、口に出して言えないから日記に書くけど。でも、いつか必ずこの気持ちを伝えてみせる。

 

 

 

 

 

 

 

士道ありがとう、こんな私なんかを好きだなんて言ってくれて。私も心の底から士道の事が大好き!

 

 

 

 

 

 

 

◯月B日

どうしよう、昨日あんな事とか殴り書きしたページの次に書くのってものすごく恥ずかしい!でも、やっぱり今日の事は書きたいから書こうと思う。

 

んんっ!よし!

 

士道、今日はデートに連れて行ってくれてありがとう。それと照れ隠しのつもりだったけど、心配させたのならごめんなさい。あと、デートの前にも言ったけど美九と一緒のデートは本当にやめてよね。独占欲‥‥‥もあるにはあるんだけど、一番の理由は美九が事ある毎に私の服を脱がそうとしてきて凄く疲れるからだし、なにより二人っきりならまだしも美九のペースに流されて好きな人にあられもない姿を見られるのなんて嫌だから。 べ、別に二人っきりなら良いって訳じゃないからね!ほんと、思わず無意識に出してた<ハニエル>で殴りかけたんだから!

 

そんな感じのデートだったけど、服とか髪とかメイクとか褒めてくれたり、私なんかには勿体ない服とか靴とか買ってくれてありがとう。美九も今日は服選びとか手伝ってくれてありがとう。そこは感謝してるけど服脱がそうとするのやめなさいよね!

 

それと士道、優柔不断はいけないわよ。でも、そんな甘くてジゴロだけど優しい士道の事が心の底から愛しくて大好きよ!今度は私から誘うから覚悟しときなさいよね!

 

 

 

 

 

 

 

 

◯月C日

うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 恥ずかしい死にたい!恥ずかしい死にたい!恥ずかしい死にたい!恥ずかしい死にたい!恥ずかしい死にたい!ちょっと大人モードになって士道をからかおうと思っただけなのに!何が『お姉さんが可愛がってあ・げ・る』よ!

 

黒歴史過ぎて死にたい!しかも士道と………ぽ、ポッキーゲームなんかをする事になるなんて!あぁぁぁぁ恥ずかしすぎる!!変身してる時は別になんともなかったのに、こうして日記に書くと恥ずかしすぎる!!

 

ま、まぁ、士道も満更でもなさそうだったし?あのまま行ってたら士道と………そ、その、キスしてたのかしら………。…………士道の恥ずかしがってる可愛い顔も見れたし、これはこれで良かったのかな?

 

 

 

 

 

 

 

◯月D日

なんだか最近、士道と一緒にいる時間が多いような気がする。それだけで幸せだけど、どうせなら時間を有効活用したいと思って士道に料理の作り方を教えてもらった。分かってはいたけど予想以上に手間がかかって難しい。美味しい料理を作るには、慣れる事と勉強と愛を込めることらしい。

でも別に失敗作のやつなんて食べなくて良かったのに。しかも………七罪の愛が込もってて美味しいとか恥ずかしげもなく言うあたり、さすがは士道だなと思った。待ってなさい、今からたくさん練習して必ず士道の胃袋を掴んでみせるんだから!

 

 

 

 

 

 

 

◯月E日

今日は士道と耶倶矢と夕弦と一緒に買い物に行った。耶倶矢と夕弦が先々行くせいで、追いかけるこっちが大変だった。まったく二人ってば、良い歳して子供みたいなんだから。あと、買い物カゴに次々お菓子入れるんじゃないわよ!士道の財布の事も考えなさいっての。ああっ!また士道の諭吉が!って夕弦!またお菓子をって、えっ?バナナはおやつに入りますか?今はそんな事を言ってるんじゃないわよ!

 

あぁもうっ!ちょっと、私ばっかじゃなくて士道もビシッと言ってやんなさいよ!そんなゾンビみたいな顔して何が大丈夫よ。相手を思いやれる事は素晴らしいけど、甘やかし過ぎるのは良くないんだから!

 

はぁ、まったく士道は優し過ぎるわよ。今度もう一度あの二人にビシッと言ってやらないと。あと、私の好きなお菓子買ってくれて、ありがと。

 

 

 

 

 

 



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七罪の看病日記

久々の更新で文の書き方などが変わっていたりするかも知れませんが、何卒ご容赦下さい。


◯月F日

おかしい。五河家に来たのに、士道以外誰も居ないなんて。もしかしてあれ? 好きな男と二人っきりにして、その反応を楽しむやつ?………家中捜し回ったのに士道以外誰もいない。え?夕食の買い出しに行った? それを早く言いなさいよ!

 

どうしよう………。な、何か話さないと。………全然思い付かない。はぁ、本当にどうしよう。げ、ゲーム?………別にいいけど。ジャンルは格ゲーか。私、こう見えて結構格ゲーとか得意なのよ?………悪かったわね、以外で。士道のバカ。

 

ふんっ、謝っても手加減なんかしてあげないんだから。

 

っ!?ちょっ、士道!そんなに、くっつかないでよ!

 

つい、大声出しちゃったけど ………どうしよう、心臓が、うるさいぐらいバクバクいってる。自分でも顔が赤くなってるのが分かる。意識しちゃってる顔を見られたくなくて、思わず反射的に顔を逸らしちゃった。

 

凄く気不味い。どうしよう………。えっ?ホラー映画?全然怖くなんかないわよ!以外で悪かったわね!どうせ私は背が小さくて体も貧相な根暗ロリよ!

 

つい啖呵切っちゃったけど、ホラーとか正直苦手なんだけど。ま、まぁ、偶然とか装って士道と手とか繋げる絶好の良い機会よね。大体こんなの、ただの作り話じゃない!こんなのに怖がる事なんてないのよ!

 

ぎゃゃゃゃゃぁぁぁぁぁ!ぅきゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!士道、どんどん人がゾンビまみれになっていく!?ちょっとそれ死亡フラグ!だ、ダメ‥‥……む、無理!怖すぎて夜寝れなくなる!って………士道、いつの間に手握ってたの?

 

私が怖がりそうな所から?…………ありがと。っ!えぇそうよ!啖呵切ったのは良いけど、予想以上に怖くて終始怯えてたわよ!悪かったわね!その………気使わせて、ごめん。うん。次からは素直に言えるように努力する。

 

あ、みんな帰って来た。ちょっと美九!ホラー映画プレイって何よ!言わなくて良いわよバカ!

 

 

 

 

 

 

 

◯月G日

ゾンビの顔が脳裏に焼き付いて眠れないから日記を書こうと思う。とりあえず、炬燵のスイッチを入れてホットミルクを用意する。士道も眠れない時はこうしているらしい。炬燵に入りミルクを一口。顔を上げると電源の入っていないテレビの液晶画面にコップを持った不機嫌な自分の顔が写る。

 

いろんな表情をしてみても、死にかけの人間が無理やり笑顔を浮かべたりガンを飛ばしているようにしか見えなかった。一人で何やってるんだろ、バカみたい。今日は、炬燵で寝ようかな。もし風邪引いたら、士道が看病してくれるかな………。炬燵に入りながら士道の顔を思い浮かべるだけで、不思議と眠くなって意識が薄れていく。

 

寝る前に、お休み士道。

 

 

 

 

 

 

 

◯月H日

へっくちゅん!けほっ、けほっ!38度6分。どうしよう、本当に風邪引いちゃった。ただの冗談だったのに………。

 

とりあえず着替えないと……。あれ?ボタンがうまく外せない。きゃぁっ!?ちょっと士道!いきなり部屋に入って来ないでよ!びっくりするじゃない!

 

あー、琴里に聞いたのね。でも大丈夫よ。このぐらい、大した事ないから。それに私の看病なんかしてたら、どんな病気にかかるか分からないし、こんな根暗でブスで貧相ロリの看病なんて拷問以外のなにものでもないでしょ?大丈夫、大丈夫だって……あれ、視界が揺れて…………士道?なんで士道の顔が、こんなにも近くにあるの?もしかして私…………今抱き締められてる?

 

真剣な顔で士道が、私の言葉を否定してくる。

 

『そんな事ねぇよ。ネガテイブな所も七罪らしくて良いじゃないか。人間の個性なんて人それぞれなんだからさ。それに、これは俺がやりたくてしてるんだ。もし、七罪の風邪が移っても七罪が看病してくれるだろ?』

 

ほんと、士道のバカ。そんなの当たり前じゃない。もし、私の風邪が移ちゃったら、責任持って看病してやるわよ!

 

そこで、私の意識は途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

◯月I日

目を覚ますと、士道が私の手を握っていた。目が覚めたら好きな人が手を握ってくれていたとか、アニメや漫画だけだと思っていたんだけど。実際に体験してみると嬉しさと恥ずかしさ、そして安心感が込み上げてくる。士道の寝顔、可愛い。もしかして、ずっと私の看病してくれてたのかな?…………そう思うと顔が綻んでいるのが分かる。好きな人に看病してもらえるなら、こんな生活も悪くないわね。……………今日は、このままでいようかな。

 

 

 

 

 

 

…………士道、瞬閃轟爆破ってなに?

 

 

 

 

 

 

 

◯月J日

37度2分。そろそろ熱も下がって来たし、もう大丈夫ね。

士道、今までずっと看病してくれてありがと。もし、看病して欲しくなったら言いなさいよ?少しくらいは役に立てると思うから。風邪を引いた士道を看病する自分の姿を想像してしまい、不謹慎だけどそういうのもアリだと思ってしまった。ま、風邪なんて引きたくて引くものじゃないわよね。私ってば何考えてるんだろ………。

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと、なんで士道まで風邪引いてんのよぉぉぉぉぉ〜〜〜!!

 

 

 

 

 




お待たせしてすみませんでした〜!!m(_ _)m


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七罪の看病日記2

すみません、後半は深夜テンションで書いています。


◯月K日

はぁ、まさか士道に風邪が移るとは思ってなかった。いや、もちろん看病するわよ。‥‥‥士道が嫌じゃないのならだけど。あんな事まで言っちゃったし。我ながらバカだと思う。私みたいなブスで根暗で幼児体形で気持ち悪い奴を看病して士道も疲れてるのに、好きな人に看病されたからって調子に乗って舞い上がってフラグ立てて士道に風邪移して‥‥‥‥ごめんなさい、責任取って死にます。

 

ふぇっ?私に看病されたかった?私に看病されるとこを想像して興奮した?‥‥‥っっ!へ、変態!士道のロリコン!歩く天然ジゴロ!女誑し!このドM!最後のは関係ない?うるさいわよバカ!

 

つい嬉しくなって照れ隠しで士道に罵詈雑言を浴びせてしまった。顔が熱く、士道の顔を直視出来ない。俯いたまま深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

 

あははと苦笑しながら落ち着いたか?と士道が聞いてくる。その一言で理解した。私のネガティブ思考を断ち切るために態とあの様な発言をしたのだと。私が風邪を移したっていうだけでも申し訳ないのに、病人に気を遣わせるなんて‥‥‥‥罪悪感で押し潰されそうになる。でも、士道も物好きよね。よりによって精霊達の中で一番面倒くさい私に看病して欲しいなんて。でも嬉しい。少しは士道に頼られてると思うと胸が暖かくなる。‥‥‥‥本当に士道は底抜けに格好よくて、優しくて、そんな士道が大好き!

 

この想いを士道に伝えようと顔を上げると、士道はすぅすぅと寝息を立てていた。起きている時とは違う可愛いらしい寝顔に思わず頬が緩む。こんな、他人を信じる事を恐れている精霊を信頼して寝ている。そう思うと幸福感と、ほんの少しのいたずら心が芽生えた。士道が悪いのよ、私みたいな面倒くさい精霊を信じるから。士道が寝ているベッドの上にそおっと上がって‥‥‥‥

 

――――んっ、ちゅっ。

 

キスをする。唇と唇を触れ合わせるだけの子供のキス。それでも私の心には幸福感が満ちていく。好きな人が寝ている時に、いけない事をしていると考えると少しの羞恥心と背徳感に思わず心が踊る。

 

ふふっ士道、おやすみ。誰かを信じる事は素晴らしい事だって教えてくれてありがとう。どうか、士道の風邪が早く治りますように。

 

 

 

 

 

 

 

 

◯月L日

――――しまった。昨日、士道にキスした後そのまま眠っちゃったんだった。寝顔、見られてたわよね。‥‥‥っっ!恥ずかしすぎて死にそう。そんな顔を士道に見られたくなくて慌ててベッドから飛び降りる。えぇと、まずは体温を計らないと。あ、あれ?―――体温計がないっ!?ど、どうしよう‥‥‥買いに行く?むっ、無理!一人で買い物に行くとか、どんな詐欺師とか通り魔とか変質者に遭うか分からないわ。言葉巧みに騙して見た目はゴミだが臓器は高く売れそうだなぁ、とか。背後から走って来た奴に刺されたりとか、そんな展開になるに決まってるわ。嫌よそんなの。だってまだ士道に、この想いを伝えてないんだから。

 

ふと、名前を呼ばれ我に返る。振り返ると心配そうな顔の士道がいた。あぁもうっ!なに士道を心配させてんのよ私のバカ!体温計が無いくらい何よ!他にも体温を測る方法なんてあるじゃない!たとえば‥‥‥‥お、おでこをくっ付けるとか。――――っ!!は、恥ずかしいけど。そ、そうよね。体温計がないんだからしょうがないわよね。そう自分に言い聞かせて、未だ心配そうな顔の士道のおでこと私のおでこをくっ付ける。う、うるるるささいいわね!体温計がないんだから仕方ないじゃない!それより、大人しくしてなさいよ!上手く測れないじゃない!ってあれ、士道の体温が高いのか低いのか分かんない。士道の方が高い?それとも私の方が高い?‥‥‥‥こんなので分かる訳ないじゃない!ちょっと待ってなさい、四糸乃と体温計買ってくるから!

 

 

 

 

 

 

 

◯月M日

はぁ、昨日の買い物は疲れた。やっぱり外出なんてするものじゃないわ。四糸乃を誘ったのに、何故か二亜まで着いてくるし。街中で<ラジエル>出して士道の行動を観察?してるし。それにしても、さすが全知の<ラジエル>ね。便利すぎでしょあれ。私も今度、<ハニエル>で模倣してみようかしら。話が逸れたけど、昨日の買い物は主に二亜の所為で疲れた。<ラジエル>を使って士道をおもちゃにするし、少年に食べさせてあげたい物があるとか言って、精力剤とか買おうとするし、折紙がよく行くっていう怪しい店に寄りだすし。ほんと、体温計を買うだけでとんだ苦労だったわ。まぁでも最後に、精がつくお粥の作り方っていう本をくれたのは嬉しかった。はぁ、最初からそうしてくれれば良かったのに。あと、四糸乃も士道のために花をくれてありがと。昨日は二亜に貰った本のお粥を食べさせてあげた。

 

 

 

 

日記を書くことに集中しすぎていたらしい。気が付くと、もう今朝の朝食の時間だった。今日も二亜に貰った本を片手に、風邪を引いた時に食べやすいお粥っていう項目のお粥を作っていく。昨日作ったお粥と一緒のものだけど、美味しく出来ているかは分からない。昨日は美味しいって言ってくれたけど、今日も美味しく出来上がってるとは限らない。もし不味いって言われたら‥‥‥病人にゲテモノを食べさせた責任として――――死のう。

 

良い奥さんになれるなって、何言ってるのよ!そ、そんな‥‥‥‥まだ早いわよ。な、なんでもないわよ!さっさと口開けなさい!はい、あ〜ん。どう‥‥‥美味しい?‥‥‥なら良かった。士道、ありがと。

 

 

 

 

 

 

 

◯月N日

どうやら、本当に風邪が治ったみたいね。って、なんで急に人の頭撫でるのよ!‥‥‥嫌なわけ、ないじゃない。こっちこそ、看病してくれてありがと。それと、風邪移しちゃって‥‥‥ごめん。うん、また明日。

 

士道が五河家に帰って行った。はぁ、もう少し居て欲しかったなぁ。――――きゃあ!って何よ士道!帰ったんじゃなかったの!?え、忘れ物?まったく、士道もうっかりして――――っ!?ちょ、ちょっと士道!なんで頬っぺたにキスするのよ!?忘れ物はどうしたのよ!!はぁっ!?忘れ物は‥‥‥感謝のキス!?バカじゃないの!?元気になったのなら早く出て行きなさいよ!!――――はぁっ、はぁっ、はぁっ、まだ顔が熱くて心臓がバクバク言ってる。とりあえず、深呼吸をして心臓の鼓動を落ち着ける。顔の熱も引いて、なんだか眠たくなってきた。はぁ、今日はもう寝よ。そういえば私、いたずらのキスはしたけど感謝のキスしてないじゃない!?

 

 

 

 

 

 

 

◯月O日

今日は暇だから、久々に『ポラリス・オンライン』という自由度の高いゲームをやろうと思う。このゲームでの私のアバターは、理想の自分である大人の私をイメージして作ってある。名前はクライム。レベルは45で職業は上位魔法職のハイアルケミスト。ダンジョンとかには興味ないしレベルとかどうでも良いし、NPCなら別だけど他のプレイヤーとコミュニケーションなんて無理だから45レベで止まっている。暇な日は、たいてい部屋に篭って『ポラリス・オンライン』をしている。最初は、ただのダンジョンゲーかと思っていたけど自由度が高いというのは本当で、かなり細かい所まで設定できる。そして最近嵌っているのが、家の建築である。嵌まり過ぎて、屋敷レベルの家を造ってしまった‥‥‥‥‥森の中に。しょうがないじゃない!どこか人の来ない所に小さな家でも建てようかなと思ったら予想以上の物が出来ちゃったんだから!あと、畑耕すのとかも楽しすぎるのよ!あ、素材無くなった。街に行って買ってこなきゃ。どうか、誰も絡んで来ませんように!

 

 

久々に街にやって来て、他のプレイヤーの会話文を読んでいく。どうやら最近、森に豪華な屋敷を持つ強力な魔女が出現するらしい。なんでも、その魔女の敷地内に足を踏み入れたプレイヤーのキャラが一瞬にして死んだらしい。しかも、その屋敷からは夜な夜な呪いの旋律が聴こえてプレイヤーのキャラにステータス異常を与えるらしい。森のボス強過ぎでしょ!?と思ったけど運営のお知らせには、そのような告知はないので恐らくプレイヤーだろう。はぁ、私の拠点も森にあるんだけど‥‥‥最悪。まぁ、いいわよ。そいつの敷地内に踏み入れなきゃ良いだけだし。森に家を建てるなんて、もしかして私みたいにコミュニケーション力に自身が無いのかしら。でも、呪いの旋律とか怖いし探索とかはやめておこう。さて、素材も買い直したし拠点に戻りましょうか。えぇと、今って拠点のレベルどのくらいだっけ?‥‥‥‥まだ、55か。はぁ、100レベまで遠いわね。ん?屋敷の地面の中に何か埋まってる。あぁ、そういえば露店のNPCから購入した意味不明なゴミアイテムだったわね。なんか、死の髑髏とかいう厨二病っぽい名前だし、効果:???だし、露店にも出せないし売店にも売れないから地面に埋めたんだったわね。はぁ、さて今夜もピアノを弾きましょうか。私自身はピアノとか弾けないから、自分のキャラだけでも演奏して欲しい。そう思い、毎夜恒例の自分のキャラによる演奏を聴く。ピアノの下までキャラを進めると、自動で演奏を始めるのだ。なかなか、素敵なメロディーだと思う。自分的には、このメロディーは気に入っている。さて夜も遅いし、もう寝ようかしら。‥‥‥‥おやすみ、士道。

 




『ポラリス・オンライン』に出てくるオリアイテム、死の髑髏。効果:??? このアイテムは露店でも売店にも売る事が出来ない。おまけに名前が厨二くさいという理由で七罪は地面に埋めた。


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