異世界から捻デレさんも来るそうですよ!? (ユキ擬き)
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原作との相違&キャラ設定です!

どうもユキ擬きです!
初心者で拙い文が続くと思いますがよろしくお願いします!


原作との相違

 

・十六夜と八幡はカナリアホームに住んでいる

・八幡の目は多少綺麗になっているになっている

・八幡は雪乃たちとは会っていない

・八幡の性格は原作よりも明るめ

 

ネタバレ注意!

 

キャラ設定

 

比企谷八幡

 誕生日:8月8日 年齢:17歳

 

 血液型:A型 趣味:読書、料理

  

 好きな物:マッカン、カナリアホームのみんな、人の為にうごくことが出来る人、耀

      ノーネームの仲間

       

 

 嫌いな物:トマト、人の事を見下す人

 

 

小学三年の頃にギフトが発現し力に恐れた両親に東京の旅行中に捨てられるが

偶然通りがかった十六夜と金糸雀に保護されそのままカナリアホームに

住み着く。捨てられたという過去もあり自分を必要としてくれている人には全力でサポートする。

専業主婦になりたいと言いつつもしっかりホームの経営のために

働いている。テストは記憶図書館のおかげで毎回満点である。耀と付き合うようになってからは

かなり耀に甘くなっている。

原作とは変わらず観察力は十六夜に負けず劣らずすごい

 

先天性ギフト

 

・重力→力の魔術師

その名の通り重力を軽くしたり重くしたりできる。

あることがきっかけで力の魔術師になる。

力の魔術師になると摩擦力、磁力、念動力の三つを使える様になる。

 

・記憶図書館《メモリー・ライブラリ》

一度見たものの全てを瞬時に思い出す事ができる。

 

・専業主夫

何故ギフトになったかは不明だが専業主婦に必要なスキル掃除や洗濯、料理すらも完璧にこなす事が出来る。これにより『ノーネーム』の料理長をまかされる事になる

 

後天性ギフトと装備ギフト

 

・対話の首飾り:確定

龍や一部の幻獣、特殊な言語ではないかぎり生物と会話をする事が可能になる

この首飾りは金糸雀が孝明に作ってもらったものでそれを八幡が

受け取った

 

・村雨:確定

使い手の殺気によって水気の量が変わる。

振りかぶった際にしたたる水が、あたかも刃先を洗う村雨に見えたため

この名がついた。

白夜叉が紹介したギフトゲームで、八幡が勝利した証に手に入れた刀

 

・隷属権:闇龗神:要望が多ければ

 

村雨と相性の良いギフトを探していた八幡に白夜叉が紹介した神格を与えた一人

闇龗神の出す水に八幡の重力の圧をかけ高出力の水レーザーを出す事も

可能

 

問題児たち

 

逆廻十六夜

基本的な事は原作と変わらないが原作よりは仲間思い。

八幡の事を兄であり弟であり親友のように思っている。八幡への

信頼度は誰よりも高く、何があっても八幡を信じ続ける

こちらも飛鳥と付き合うようになってからは飛鳥にとても甘くなる

 

久遠飛鳥

こちらもあまり原作と変わらないが少しずつ十六夜に好意寄せていき

無事告白し付き合う事になる

 

春日部耀

上の二人と同じように基本的なことは原作とは変わらないが、

積極的に人と関わるようになる

 

問題児たちにはしっかりと強化イベントがありますので乞うご期待

ください!




いやー、書いてみると本当に大変ですね(汗)
読んでいるときは簡単なのかなーなんて思っていたのですがとても大変でした
しかし、みなさんのご期待にそえるように頑張りたいと思います。
応援コメントはもちろん、指摘のコメントもじゃんじゃんください
では次会う時は本編で!


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YES!ウサギが呼びました!
第一話


はい!どうもユキ擬きです!基本的に第三者目線です
会話は「」で考えは()で動物は【】です。かっこの前に人物の名前を書いておきます
それではついに一話です!
どうぞ!


ある晴れた夏の日の事、

 

「あー、何か暇潰せるものねぇかなー。なぁ、八幡」

 

「いやお前の暇が無くなるような事があったら地球が何個

あっても足りねぇよ。」

 

「そうはいってもよぉ、お前は暇じゃねぇのかよ」

 

「俺は何も無いような日常が好きだからな。むしろずっと寝てる生活が良いまである。そんなことより飯の材料買って帰るぞ。」

 

「へいへい、わかりましたよ。みんなのおかんw」

 

「誰がおかんだっ!今日十六夜の飯少なめな」

 

「まじかよ!そりゃないぜはちm...ってなんだこりゃ、手紙?」

 

「は?手紙?こんな何も無いところでか?」

 

「やっぱ変だよな、てか八幡の分もあるぜ!」

 

「俺の分も?」

 

「ああ、それより早く開けようぜ!おもしろそうな匂いぷんぷんする!」

 

「お前のそういう感当たるからあまり気が進まないけど開けてみるか」

 

その手紙に書かれていた内容は・・・・

 

『悩み多し異彩を持つ少年少女に告げる。その才能を試すことを望むのならば、

己の家族を、財産を、世界の全てを捨て、我らの”箱庭”に来られたし』

      

 

 

 

 

 

次の瞬間、彼らは上空4000メートルに飛ばされた

 

「おっ!」

 

「はぁ・・」

 

「キャッ!」

 

「わっ」

 

【ぎにゃーーーー!!!】(助けてーーーーーー)

 

そして四人は同じ事を思い口に出した

 

「「「「ど、何所だ(よ)ここ!!」」」」

 

そして十六夜はすぐに考えを転換しこの状況を打破できる人物に

声を上げていた 

 

「八幡っ!」

 

この声の後4人と1匹の落ちる速度が急激に落ち、全員無事に陸地に

着陸した

 

「なんとか間に合ったな、サンキュー八幡」

 

「自分を助けるついでだついで」

 

「とか言って全員陸地に着くまで待ってたじゃねぇか、この

捻デレさんw」

 

「どつくぞ」

 

「そんな事より一応確認しとくぜ。そこのお前らもあの変な手紙が?」

 

「そうだけど、まずは“オマエ”って呼び方を訂正して。私は久遠飛鳥よ。以後は気を付けて。それで、そこの猫を抱き抱えてる貴女は?」

 

「......春日部耀。以下同文」

 

「そう。よろしく春日部さん。次に、野蛮で凶暴そうなそこの貴方は?」

 

「高圧的は自己紹介をありがとよ。見たまんま野蛮で凶暴な逆廻十六夜です。粗野で凶悪で快楽主義と三拍子揃ったダメ人間なので、用法と用量を守った上で適切な態度で接してくれお嬢様」

 

「ちゃんと挨拶くらいしろ!あ、俺は比企谷八幡だよろしく」

 

「え、ええよろしく」

 

(うわぁ・・・なんか一人のぞいて問題児ばっかりみたいですねぇ・・・)

 

黒ウサギは召還された4人をみてそう思ったのであった

 

「てか人の事無理矢理呼んどいて此処について説明するやつがいねぇんだ」

 

「そうね。なんの説明もないままでは動きようがないもの」

 

「……この状況に対して落ち着きすぎているのもどうかと思うけど」

 

「いや、俺らが落ち着き過ぎて出て来れないだけだと思うぞ」

 

(アホ毛の方の言う通りです)

 

「そんじゃあ、そこに隠れているやつにでも聞くか?」

 

黒ウサギの心臓がびくりと震えた。

 

「なんだ、あなたたちも気づいていたの?」

 

「当たり前だ。かくれんぼじゃ負けなしだぜ?てか、八幡もわかってたろ?」

 

「無論だ。春日部は?」

 

「………風上に立たれたら嫌でもわかる」

 

「へえ、面白いな、お前」

 

 軽口をたたく十六夜の眼にもう笑みはない。3人は、警戒の色を強めた目で、黒ウサギの隠れている草むらを見据えた。飛鳥と耀もすぐに疑念のまなざしを向ける。黒ウサギは少し怯んだ。

 

「や、やだなあ御三人様。そんな狼みたいに怖い顔で見られると黒ウサギは死んじゃいますよ? ええ、ええ、古来より孤独と狼はウサギの天敵でございます。そんな黒ウサギの脆弱な心臓に免じてここは一つ穏便に御話を聞いていただけたら嬉しいでございますヨ?」

 

「断る」

「やだ」

「却下」

 

「いや、お前ら話くらいきいてやれよ」

 

「あっは、取りつくシマもないですね♪あ、最後の方ありがとうございます♪」

 黒ウサギは諸手をあげて、降参の意を示す。

 しかし心の内では冷静に三人を値踏みしていた。

 

(肝っ玉は及第点。この状況でNoと言える勝ち気は買いです。まあ、扱いにくいのは難点ですけども)

 

「えい」

 

「フギャッ」

 

耀が黒ウサギの背に忍びよりその可愛らしい耳を引っ張っていた。

 

「ちょ、ちょっとお待ちを!触るまでなら黙って受け入れますが、まさか初対面で遠慮無用に黒ウサギの素敵耳を引き抜きに掛かるとは、どういう了見ですか!?」

「好奇心の為せる業」

「自由にも程があります!」

 

「このうさ耳本物なのか?」

  

今度は十六夜が右から掴んで引っ張る

 

「じゃあ私も。」

 

さらに耀と交代で飛鳥が左へとうさ耳を掴み左右に引っ張られた黒ウサギは助けを求める目で八幡をみるが

 

「すまない、さすがにその3人は止められない」

 

「き、きゃぁぁぁぁぁぁああーーーーーー」

 

森には黒ウサギの悲痛の叫びが響いた




コメントで少しチートすぎると言われたり、武器なしで謎の侍と戦うのはきついので今のところは村雨と闇龗神は今のところは保留にしようと思います(詳しくは設定を見てください!)
それでは今回の一話は八幡が途中空気になってしまったのと箱庭のルールを説明する
所まで行かなかったので次はこれらに気をつけていこうと思います!
次回はガルドとの邂逅の所まで頑張ろうと思います!
それと、首飾りがいらないという場合はコメントをください!お願いします
それでは、ユキ擬きでした!それでは次の話で!


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第二話

どうもユキ擬きです!
八幡のギフトについてですが、村雨はガルドを倒した辺りで入手させようと思います
隷属はほぼほぼ無いと思います
首飾りも無くした方が良い場合はコメントをください


「―――あ、あり得ない。あり得ないのでございますよ。まさか話しを聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

「いいからさっさと話せ」

 

半ば本気の涙を瞳に浮かべせる黒ウサギ。

四人は黒ウサギの前の岸辺に座り込み、彼女の話しを『聞くだけ聞こう』という程度には耳を傾けていた。

黒ウサギは気を取り直して咳払いをし、両手を広げ、

 

 

「それではいいですか、皆さま方。それでは言いますよ? ようこそ、〝箱庭の世界〝へ! 我々は御四人様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚しました!」

 

「ギフトゲーム?」

「YES! 既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆さまは皆、普通の人間ではございません。その特異な力は修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵ギフトなのでございます。『ギフトゲーム』はその〝恩恵〝を用いて競いあう為のゲーム。そしてこの箱庭の世界はそのためのステージとして創られたものなのですよ」

 

 飛鳥が手を上げた。

 

「まず初歩的な質問からしていい?貴方の言う″我々″とは貴方を含めた誰かなの?」

 

「YES!異世界から呼び出されたギフト保持者は箱庭で生活するにあたって、数多とある″コミュニティ″に必ず属していただきます♪」

 

「嫌だね」

 

 十六夜が即答した。黒ウサギは一瞬心が折れそうになるが、何とか話を続ける。

 

「属していただきます!そして『ギフトゲーム』を勝者はゲームの″主催者″が提示した商品をゲットできるというとってもシンプルな構造となっております」

 

次に八幡が手を上げる。

 

「主催者って誰だ?」

 

「様々ですね。暇を持て余した修羅神仏が人を試すための試練と称して開催されるゲームもあれば、コミュニティの力を誇示するために独自開催するグループでもございます。特徴として、前者は自由参加が多いですが″主催者″が修羅神仏なだけあって凶悪かつ難解なものが多く、命の危険もあるでしょう。しかし、見返りは大きいです。″主催者″次第ですが、新たな″恩恵″を手にすることも夢ではありません。後者は参加のためにチップを用意する必要があります。参加者が敗退すればそれらはすべて″主催者″のコミュニティに寄贈されるシステムです」

 

 飛鳥が手を上げた。

 

「ゲームそのものはどうやったら始められるの?」

 

「コミュニティ同士のゲームを除けば、それぞれの期日内に登録していただければOK!商店街でも商店が小規模のゲームを開催しているのでよかったら参加していって下さいな」

 

「・・・つまり『ギフトゲーム』とはこの世界の法そのもの、と考えていいのかしら?」

 

「ふふん?中々鋭いですね。しかしそれは八割正解の二割間違いです。我々の世界でも強盗や窃盗は禁止ですし、金品による物々交換も存在します。ギフトを用いた犯罪などもってのほか!そんな不逞な輩は悉く処罰します―――が、しかし!『ギフトゲーム』の本質は全く逆!一方の勝者だけが全てを手にするシステムです。店頭に置かれている商品も、店側が提示したゲームをクリアすればタダで手にすることも可能だという事ですね」

 

 黒ウサギは一通りの説明を終えたのか、一枚の封書を取り出した。

 

「さて皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには少々お時間がかかるでしょう。新たな同士候補である皆さんを何時までも野外に出しておくのは忍びない。ここから先は我らのコミュニティお話させていただきますが・・・・よろしいですか?」

 

「ちょっと待て。まだ俺が質問してないぜ。」

「俺からももう一ついいか」

十六夜と八幡が声を上げる。

 

「・・・・どういった質問です?ルールですか?ゲームそのものですか?」

 

「十六夜が先でいいぞ」

「おう、この世界は、面白いか?」

十六夜は黒ウサギの目をまっすぐに見て、聞いた。

 

 

「――YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いと、黒ウサギは保証いたします♪」

 

「んじゃ、最後は俺だな」

「八幡さんは何についてききたいのですか?」

 

「俺が聞きたいのは何で黒ウサギがそんなに焦っているかだ」

「く、黒ウサギは焦ってなどいませんよ?」

黒ウサギが目を泳がす。

「まぁ、さしずめコミュニティが何かしら起こって人材がほしかったんだろ?

だから十六夜が茶々入れた時に少し動揺したんだ。違うか?」

「っ・・・・!」

「ビンゴか・・」

「お前がこれを黙っていたという事は俺らはまだコミュニティを選ぶ権利がある」

 

ここで先ほどから黙っていた十六夜が口を開ける。

「ま、そういう事になるな」

 

「・・・・・・・」

 

「沈黙は是也、だぜ黒ウサギ。この状況で黙り込んでも状況は悪化するだけだぞ

それとも他のコミュニティに行ってもいいのか?」

「や、だ、駄目です!いえ、待ってください」

 

「だから待ってるだろ。ホラ、いいから包み隠さず話せ」

呼ばれた四人はまた『聞くだけ聞こう』という態度で待っていた

(せめて気づかれたのがコミュニティの加入承諾を取ってからなら良かったのに・・・・!)

ジンにせよ黒ウサギにせよ、くじ運が悪かった。相手は世界屈指の問題児集団

なのだ。

 

「早くしないと本当に他のコミュニティにいくぞ」

「話せば協力してくれますか?」

「内容によるな」

「おもしろければな」

 

残りの二人もそれで納得しているのか頷いている。

やがて意を決したのか、黒ウサギはポツポツと話し始めた。

 

「……私達のコミュティには名がありません。それどころか誇りとなる旗印も無いので"ノーネーム"という蔑称で呼ばれています」

「ふぅん。それで?」

「メンバーのほとんどが十歳以下の子供で、ぶっちゃけて言うとゲームに参加できるギフト所持者は黒ウサギとリーダーのジン坊ちゃんしかいません」

「もう崖っぷちだな!」

「想像の斜め上を行ったな」

「ホントですねー♪」

 

 おどけて言ってみせるが、黒ウサギはガックリと項垂れていた。

 

「で、なんでそこまで悲惨な状況に陥ったんだ?」

「はい……。名も旗も、かつてのメンバーも全て奪われたのです。箱庭を襲う最大の天災―――"魔王"によって」

 

 魔王という単語を聞いた瞬間、十六夜の目が輝いた。

 

「ま・・・・マオウ!? なんだよそれ、魔王って超カッコイイじゃねえか!箱庭には魔王なんて素敵ネーミングで呼ばれる奴が居るのか!?」

 

「え、ええまあ。けど十六夜さんが思い描いている魔王とは差異があると・・・」

 

「おい黒ウサギ。魔王って強いのか」

 

「は、はい。魔王と言っても十人十色ですが、強大な力を持っております。それこそ、強い者ならお二人でも勝てないかと・・・」

 

その後魔王や黒ウサギのコミュニティの話を話し終わり、黒ウサギは四人の反応

を待っていた

(これで駄目だったらもう黒ウサギのコミュニティは・・・・)

「おい、黒ウサギ」

「は、はい!何でございましょう?」

「そのコミュニティ復興に俺の力は必要か?」

「も、もちろんです!」

「わかった、なら俺は黒ウサギのコミュニティに入るよ。十六夜はどうする?」

 

八幡が十六夜に答えるよう促す

「八幡が入るなら俺も入るぜ。何より面白そうだ!そして、そこのお二人さんは?」

「私も入るわ」

「私も入る」

 

「・・・HA?」

黒ウサギが素っ頓狂な声を上げる。

「HA?じゃねえよ。全員入るって言ったんだ。もっと喜べ黒ウサギ」

 

「は、はい!それより理由を聞いても?」

「俺は小学生の頃に親に捨てられてなそんな中十六夜とかいろんなやつに助けてもらったんだ。

だから俺は助けを求める奴を見捨てない。それだけだ」

次に耀が喋る

「私は友達を作るためにきた」

「あら、それじゃあ私が友達一号に立候補していいかしら?」

「じゃあ、俺は二号だな!」

「……うん。二人とも前に住んでた所のみんなと違うから大丈夫かも」

「八幡もほら、早く言えって」

十六夜が急かす

「分かってるよ。お、俺も友達なって良いか?」

「もちろん」

耀が微笑みながら言う

「ッ!ありがとうな春日部」

「・・・耀で良い」

「わかった。よろしくな耀」ニコッ

「う、うん」

 

そして最後に飛鳥が言う

「私―――久遠飛鳥は、裕福だった家も約束された将来も全て投げ打って箱庭に来たのよ。それを今更、コミュニティの水準位で文句は言わないわよ」

 

「み、みなさん」ウルッ

黒ウサギが泣きながら言う。

「それでは改めて我らのコミュニティのリーダーが待つ箱庭に行きましょう!」

黒ウサギは元気になってそう言った。

 

 

 

箱庭に行く道中

「なぁ、八幡世界の果て見に行こうぜ!」

「パス」

「ちぇっ、つまんねぇの。なら一人で行ってくるわ」

「あ、お嬢様、春日部、黒ウサギには言うなよ」

「わかった(わ)」

「八幡は言ったらみんなに黒歴史言うからな」

「クッ!ずるいぞ十六夜!」

「んじゃ、また後でなー」

「は、八幡君も苦労してるのね」

「どんまい、八幡」

「慰めないでくれ」(泣)

 

こんな会話しながら三人は箱庭に入って行った。




はいどうもユキ擬きです!
すいませんガルドまで行けませんでした(汗)
次こそはガルドを登場させます。コミュニティの現状は八幡が見破った
ので蛇神は水樹もらって終わりです!
それでは次の話で!


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第三話

はいどうもユキ擬きです!
やっとこさガルドまでいけました!
八幡のギフトの首飾りと村雨は確定とさせていただきます!
それでは第三話です、どうぞ!


黒ウサギたちが箱庭に向かっている頃

 

 

場所は箱庭第二一〇五三八〇外門。ペリベッド通り・噴水広場前。

箱庭の外壁と内側を繋ぐ階段の前で戯れる子供達が居た。

「ジン〜ジン〜ジン!黒ウサの姉ちゃんまだ箱庭にもどってこねぇの〜」

「もう二時間待ちぼうけで私つかれた〜」

口々に文句を言う友人にジンは苦笑しながら

「そうだね。みんなは先に帰っていいよ。僕はここで新しい仲間を待っているから。

リリは、みんなを連れて先に帰ってて。これ以上待ってたら、待ちくたびれた子達が迷子になるかもしれないから」

「わかった!」

リリと呼ばれた二尾の狐が人化したような少女が待ちくたびれた子供たちを集めて帰っていく。中には「ジン

もリーダーで大変だけど頑張れよ〜」等と声をかけてくれる。

 

リリ達が帰った数分後、黒ウサギの鼻歌が聞こえてきた

 

「あ、ジン坊っちゃーん!新しい方をつれてきましたー!」

 

「お疲れ様、黒ウサギ。そちらの女性二人と男性一人が?」

「はいな♪こちらの御四人様が・・・・」

クルリと振り返りそのまま、フリーズする黒ウサギ。

 

「あ、あれ十六夜さんは?」

「ああ、彼なら"世界の果てを見てくる"とか言って駆け出して行ったわよ」

 

 あっちの方に、と飛鳥が十六夜が走り去った方向を指差す。飛鳥が指を指した先には断崖絶壁があった。

 

「な、なんで止めてくれてなかったんですか!」

「"止めてくれるなよ"と言われたもの」

 

「どうして黒ウサギに教えてくれなかったんですか!」

「"黒ウサギには言うなよ"と言われたから」

「嘘です! お二人とも実は面倒だっただけでしょう!」

「「うん」」

 

「は、八幡さんは止めなかったのですか?」

藁に縋る思いで黒ウサギは八幡を見た。

「悪いな、黒歴史を人質に取られてしまって・・・・」

八幡は目を腐らせそう答えた。

 

頼みの綱の八幡が押さえられている事を知った黒ウサギはガクリ、前のめりに倒れる。

 

「た、大変です! 〝世界の果て〟にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

「幻獣?」

「は、はい。ギフトを持った獣を指す意味で、とても人間では太刀打ち出来ません!」

 

「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」

 

「ゲーム参加前にゲームオーバー? ・・・・・斬新?」

 

「あいつは多分生きていると思うけどな」

 

「冗談を言っている場合じゃありません!」

黒ウサギは溜息を吐きつつも立ち上がる。

 

「はあ・・・・・ジン坊っちゃん。申し訳ありませんが、御三人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」

 

「わかった。黒ウサギはどうする?」

「問題児様を捕まえに参ります。〝箱庭の貴族〟と謳われるこの黒ウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります」

 

黒ウサギは黒髪を淡い緋色に染めていく。

 

「一刻程で戻ります! 皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」

そう言って、黒ウサギは淡い緋色の髪を戦慄かせて弾丸のように飛んで行った。

 

 

 

一方その頃十六夜は森を抜け、見えてきたのは大河の岸辺。上空から落ちる滝の水は澄み渡り、周りを囲む木々たちは水飛沫によって輝いている。

「こんなにきれいなら八幡を無理矢理にでも連れてくれば良かったな」

 

しばらく大河を眺めていると、地面が鳴動し、湖から巨大な大蛇が現れた。

 

『貴様、此処で何をしている?』

 

大蛇は威厳のある声音に少しの怒りを込めて問う。

「世界の果てってやつをこの目で見たくてな」

 

『ほう、此処が我の縄張りであることを知らなかったのか?』

 

「ああ、なにせさっきこの世界に呼ばれたばっかりなんでな」

 

『…………成る程。知らないのであれば仕方ない。だが、此処は我の縄張り。ただで帰す訳にはいかん。故に試練を選ばせてやる』

 

「試練?」

 

『ああ、そうだ。さあ何を選ぶ?力か?知恵か?それとも勇気か?好きなのを選べ』

 

上から物を言う大蛇。十六夜がへえ、と口をニヤリとさせ大蛇に告げた。

 

「それじゃあ、俺を試せるか試させてくれよ・・・・・・・・・・・・・・・」

 

『何?』

 

その瞬間、大蛇の様子が変わった。

 

『貴様、それはどういう意味だ?』

 

「どういう意味も何もそのまんまさ。アンタが俺を試せるほどに強いのか試させてくれって言ってんだ」

 

『貴様…………ッ‼︎我を愚弄するか‼︎』

 

「おいおい、あれは試させてくれって言ってるだけだぜ?それとも、図星か?」

 

『…………よかろう。ならば!我が力をその身に刻んで逝けッ‼︎』

 

大蛇の咆哮が響き渡り、鳥たちが一斉に飛び立つ。

 

「ハッ!そうだよ、そうこなくっちゃなァ!」

 

十六夜も興奮させ、大蛇へと一直線に向かっていった。

 

 

数分が経過すると、髪の色を変えた黒ウサギが来た。

 

「あれ、お前黒ウサギか?どうしたんだその髪の色」

「もう、一体何処まで来ているんですか⁉︎」

 

「世界の果てまで来ているんですよ、っと。まあそんな怒るなよ」

「しかしいい脚だな。遊んでいたとはいえこんな短時間で俺に追いつけるとは思わなかった」

 

「むっ、当然です。黒ウサギは"箱庭の貴族"と謳われた優秀な貴種です。その黒ウサギが」

 

(黒ウサギが………半刻以上もの時間、追いつけなかった………?)

 

黒ウサギが首を傾げる。しかし今はそんなことどうでもいいように首を振る。

 

「ま、まあ、それはともかく!十六夜さんが無事でよかったデス。水神のゲームに挑んだと聞いて肝を冷やしましたよ」

 

「水神?————ああ、アレのことか?」

 

十六夜が指を指したのは川面にうっすらと浮かぶ白くて長いモノだ。黒ウサギが理解する前にその巨体が鎌首を起こし、

『まだ………まだ試練は終わってないぞ、小僧ォ‼︎』

 

「蛇神………!ってどうやったらこんなに怒らせられるんですか!?」

「なんか偉そうに『試練を選べ』とかなんとか、上から目線で素敵なこと言ってくれたからよ。俺を試せるかどうか試させてもらったのさ。結果はまあ、残念な奴だったが」

 

『貴様……付け上がるなよ人間!我がこの程度の事で倒れるか‼︎』

 

「十六夜さん、下がって」

 

黒ウサギが庇おうとするが、十六夜の鋭い視線はそれを阻む。

 

「何を言ってやがる。下がるのはテメェだろうが黒ウサギ。これは俺が"売って"、奴が"買った"喧嘩だ。手を出せばお前から潰すぞ」

 

 

黒ウサギは始まってしまったゲームには手出しできないと気づいて歯噛みする。十六夜の言葉に蛇神は息を荒くして応える。

『心意気は買ってやる。それに免じ、この一撃を凌げば貴様らの勝利を認めてやる』

 

「寝言は寝て言え。決闘は勝者が決まって終わるんじゃない。敗者を決めて終わるんだよ」

『フン————その戯言が貴様らの最期だ!」

 

蛇神が叫ぶと嵐のように川の水が巻き上がる。竜巻のように渦を巻いた水柱は蛇神の丈よりも遥かに高く舞い上がり、何百トンもの水を吸い上げる。竜巻く水柱は計三本。それぞれが生き物のように唸り、蛇のように十六夜に襲いかかる。

「十六夜さん!」

 

「———ハッ—————しゃらくせえ‼︎」

十六夜は竜巻く激流の中、ただ腕の一振りで嵐をなぎ払った。

 

「嘘⁉︎」

 

『馬鹿な⁉︎』

 

驚愕する二つの声。

「ま、中々だったぜオマエ」

 

蛇神の胸元に跳び込んだ十六夜の蹴りは蛇神の胴体を打ち、蛇神の巨軀は空中高く打ち上げられて川に落下した。その衝撃で川が氾濫し、水で森が浸水する。

 

「くそ、服が濡れちまった。クリーニング代ぐらいは出るんだよな黒ウサギ」

 

冗談めかした十六夜の声は黒ウサギに届かない。彼女の頭の中はパニックでもうそれどころではなかったのだ。

(人間が………神格を倒した⁉︎それに水柱を素手で⁉︎そんなデタラメが————!)

 

「おい、どうした?ボーっとしてると胸とか脚とか揉むぞ?」

 

「え、きゃあ!」

 

背後に移動した十六夜は黒ウサギの脇下が豊満な胸に、ミニスカートとガーターの間から脚の内股に絡むように手を伸ばしていた。押しのけて跳び退く黒ウサギは感動も忘れて叫ぶ。

 

「な、あ、貴方はお馬鹿様ですか⁉︎二百年守ってきた黒ウサギの貞操に傷をつけるつもりですか⁉︎」

 

「二百年守った貞操?うわ、超傷つけたい」

 

「お馬鹿⁉︎いいえ、お馬鹿!!!」

 

「そんな事より、俺の勝ちなんだから蛇神からなんかギフト貰えんだろ?」

「そうですね。ゲーム内容はどうあれ、十六夜さんは勝者です。蛇神様も文句はないでしょうから」

 

「あん?」

 

十六夜は怪訝な顔で黒ウサギを見つめ返す。黒ウサギは思い出したように捕足した。

 

「神仏とギフトゲームを競い合う時は基本的に三つの中から選ぶんですよ。最もポピュラーなのが"力"と"知恵"と"勇気"ですね。力比べのゲームを見する際は相応の相手が用意されるものなんですけど………十六夜さんはご本人を倒されましたから。きっと凄いものを戴けますよー。これで黒ウサギ達のコミュニティも今より力を付ける事が出来ます!」

「そいつは良かったな」

「はい!ありがとうございます十六夜さん!」

 

その後、蛇神から水樹のを貰い、黒ウサギの持つ"審判権限ジャッジマスター"の説明をされ、飛鳥達の元に向かった。

 

 

またまた場面は変わりジンに箱庭の案内をされている三人は

箱庭内にあるカフェに入り話をしていた

 

 

「それでは、僕のコミュニティについて何ですけど・・・」

「ああ、それなら気にしなくていいわよ。八幡君が黒ウサギの嘘を見破って全部知っているから」

「えっ、それでは僕らのコミュニティには・・・・」

 

「安心しろ。俺らはお前のコミュニティに入るよ。理由は後で話す。今は飯を食わせてくれ。

昼食前に呼ばれたから腹へってんだ」

「は、はいっ!ありがとうございます!あ、店員さんオーダーを

お願いします!」

「はーい。何を御注文しますか?」

「紅茶を貰えるかしら?」

「私も」

「俺はコーヒーを頼む。練乳と砂糖をスプーン五杯を入れてくれ」

【ニャー!(ネコマンマを!)】

「なぁ店員、ネコマンマってあるか?こいつが食いたいって」

八幡が三毛猫を指差す。

 

「はいっありますよー、それじゃあ以上でいいですか?」

「ああ、それで大丈夫だ」

「はいはーい、それではごゆっくりー」

「すごいね三毛猫。ここには私以外にも動物の言葉がわかる人がいるよ」

【ニャーニャー(良かったな、お嬢)】

 

飛鳥は八幡と耀に気になった事を聞く

「八幡君、耀さん、あなた達は動物の言葉がわかるの?」

「ああ、この首飾りのおかげでな。一部の幻獣とかには効かないが地球に存在

するものはだいたい大丈夫だと思う」

「私も同じ感じかな。それよりも八幡首飾りお揃いだね」ニコッ

「ッ!」プイッ

(耀の笑顔が可愛くて直視できねえよ」

「ふぇっ!」

「ん?どうした?」

「八幡君あなたそれわざとやっているの?口に出てわよ?」

「まじかよ・・・」カァッ

「八幡、それ、ほんと?」カァッ

「お、おう」

「そ、それより飛鳥さんはどのようなギフトなんですか?」

(ナイス切り替えだジン!)

「え?ああ、私のギフトは酷い物よ?だっt「おんやぁ?誰かと思えば東区画最底辺コミュニティ、"名無しの権兵衛"のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギと居ないんですか?」

 

飛鳥が説明しようとした時、品の無い上品ぶった声が、ジンを呼んだ。

八幡達が振り返ると、そこには2mを超える巨体をピチピチのタキシードで包む男がいた。

不覚にも、本当に不覚にも、ジンの知った者の声だった。

「僕らは"ノーネーム"です。"フォレス・ガロ"のガルド=ガスパー」

「黙れこの名無しが。風の噂で聞けば、新しい人材を呼び寄せただと?コミュニティの誇りを奪われてなお、未練がましくコミュニティを自分の我儘で存続させているくせに────貴女達は、このことをどう思う?新しい箱庭の同士よ」

ガルドと呼ばれた男は、四人が座るテーブルに、わざわざ椅子を持ってきて座った。

テーブルにつく飛鳥達に愛想笑いを向けるが、相手の失礼な態度に四人は冷ややかな態度で返す。

「別に私は気にしてないわよ?」

「私も」

「俺もだな。だが、我が儘でもしっかりとジンはリーダーをしてるじゃねえか。この歳で

リーダーができるなんて大したもんだぜ?」

「クッ!し、しかし私はここら一帯のコミュニティに勝利し、地域支配者としてこの地域を治めています!」

「だからどうした」

八幡はイライラしながらも聞いた。

「単刀直入に言います。我々のコミュニティに来ませんか?」

「断る」

「拒否するわ」

「私も遠慮する」

「ッ!何故ノーネームなんぞに入るかお聞きしても?」

そう聞かれ八幡から話し始める

「理由は後でと言ったが丁度良い。俺は自分自身が困っている時にいろんなやつに助けて

もらった。だから困ってる奴は放っては置けなかった。それだけだ」

「私は友達を作りに来ただけだからコミュニティの名前とかはどうでも良かった」

「そして私、久遠飛鳥は裕福だった家も、約束された未来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払い、その対価としてここに来た。それをたかだか小さな一地域を支配しているだけの組織の末端に迎えてやる、など慇懃無礼に言われて魅力的に感じるとでも思ったのかしら?だとしたら自身の身の丈を知って、顔を洗って出直してきなさい。このエセ虎紳士」

飛鳥にピシャリと言われ、ガルドは怒りに震える。

「お言葉ですがレデ

「黙りなさい・・・・・」

その声を合図に、ガルドの口がガチン!と閉じた。

「私の話はまだ終わってないわ。貴方からはまだまだ聞き出さなければいけないことがあるの。貴方はそこに座って・・・・・・、私達の質問に答え続けなさい・・・・・・・・・・・・」

飛鳥の言葉に力が宿り、ガルドは椅子にヒビが入るほど勢いよく座り込む。

ガルドはパニックに陥った。手足の自由が全く聞かず、抵抗することさえできないのだ。

その様子を見かねた猫耳店員が飛んで来る。

「お、お客さん!当店で揉め事は控えてくださ────」

「ちょうどいいわ。貴女も第三者として聞いていってもらえるかしら。多分、面白いことが聴けるはずだから」

首を傾げる店員を制して、飛鳥は言葉を続けた。

「貴方はこの地域のコミュニティに勝利し続けこの地域を支配したと言ったわね。だけど、それだと個人的に疑問が残るのよ。・・・・・・ねえ、ジン君。コミュニティそのものをチップにゲームをする事は、そうそうあることなの?」

「やむを得ない状況なら稀に。しかし、これはコミュニティの存続を賭けたかなりのレアケースです」

「まぁ、そりゃ自分や仲間の生活がかかっているのにそう簡単にはコミュニティは

賭けねえだろ」

「そうよね。訪れたばかりの私達でさえそれぐらいわかるもの。だからこそ、そのゲームを強制的にさせることが出来る"主催者権限"を持つものは、魔王として恐れられているのでしょう?その力を持たない貴方が、何故、そんな大勝負を続けることが出来るのかしら?教えてくださる?・・・・・・・」

飛鳥のその言葉の後ガルドは衝撃の事実を口にした。




はいどうも!ユキ擬きです!
やっとガルド出せました!次はガルドの罪、そしてギフト鑑定まで
行ければ良いと思います!
それではユキ擬きでした、また次の話で!


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第四話

はいどうもユキ擬きです!
ガルドはやっぱり自分的には好きになれないので全て
を奪わせて貰おうと思います。
小町サイドが読みたいという方はコメントください!
小町は登場させますがすごい先になりそうなので外伝のような感じにさせてもらいます!
それでは第四話です!どうぞ!


「そうよね。訪れたばかりの私達でさえそれぐらいわかるもの。だからこそ、そのゲームを強制的にさせることが出来る"主催者権限"を持つものは、魔王として恐れられているのでしょう?その力を持たない貴方が、何故、そんな大勝負を続けることが出来るのかしら?教えてくださる?・・・・・・・」

飛鳥のその言葉の後ガルドは衝撃の事実を口にした。

「き、強制させる方法は様々だ。一番簡単なのは、相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫すること。これに動じないのは後回しにして、徐々に他のコミュニティを取り込んだ。その後、ゲームに乗らざるを得ない状況に圧迫していった」

「まあ、そんなところでしょう。貴方のような小物らしい堅実な手です。けどそんな違法で吸収したコミュニティが、素直に働いてくれるのかしら?」

「各コミュニティから数人ずつ子供を人質に取ってある」

ピクリと飛鳥の片眉が動く。言葉や表情には出さないものの、彼女の取り巻く雰囲気が嫌悪感に変わる。コミュニティにあまり興味の無い耀も不快そうに目を細めている。

八幡に至っては目をギラつかせ殺気まで出している。

「聞けば聞くほどとんだ屑野郎だな・・。で、どこに子供を閉じ込めてる?」

「もう殺した」

その場の雰囲気が、凍りつく。ジンも、店員も、耀も、飛鳥も。

皆、自らの耳を疑い、思考を停止させた。

 

「初めてガキ共を連れてきた日、 泣き声が頭に来て思わず殺した。それ以降は自重しようと思っていたが、父が恋しい母が愛しいと泣くのでやっぱりイライラして殺した。それからは、連れてきたガキをその日のうちに殺していった。けど、身内のコミュニティの人間を殺せば組織に亀裂が入る。始末したガキの遺体は証拠が残らないように腹心の部下が食いあr

 

「黙れ・・」

 

ガチン!!とガルドの口が先程以上に勢いよく閉ざされた。

飛鳥の声は凄味を増し、魂ごと鷲掴むようにガルドを締め付ける。

「素晴らしいわ。ここまでの外道とはなかなか出会えなくてよ。流石は人外魔境の箱庭世界と言ったところかしら。・・・・・・ねえジン君?」

ジンは、飛鳥の冷ややかな視線に慌てて否定する。

「彼のような悪党は箱庭でもそうそういません」

「そう?それはそれで残念ね。────ところで、今の証言で箱庭の法がこの外道を裁く事は可能?」

「・・・・・・厳しいです。吸収したコミュニティから人質をとったり、身内の仲間を殺すのは勿論違法なのですが・・・・・・裁かれる前に彼が箱庭の外に逃げ出してしまえば、それまでです」

それはある意味裁きと言えなくもない。

リーダーであるガルドがコミュニティを去れば、烏合の衆でしかない"フォレス・ガロ"が瓦解するのは目に見えている。

しかし、飛鳥はそれでは満足出来なかった。

「そう。なら仕方が無いわね」

苛立だしげに指をパチンと鳴らす。

それが合図だったのだろう。

ガルドを縛っていた力が霧散し、体が自由になる。

怒り狂ったガルドはカフェテラスのテーブルを勢いよく砕くと、

「こ・・・・・・・・・・・・この小娘がァァァァァァァァ!!」

雄叫びとともにその体を変化させる。

巨躯を包むタキシードは弾け飛び、体毛は変化して黒と黄色のストライプ模様が浮かび上がった。

彼のギフトは人狼などに近い系譜を持つ。

通称、ワータイガーと呼ばれる混在種だった。

 

「六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ!!俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ!その意味が

「黙りなさい・・・・・。私の話はまだ終わってないわ」

また勢いよく黙るガルド。

だが、今の怒りはそれだけで止まらなかった。

ガルドは丸太のように太い剛腕を振り上げて飛鳥に襲いかかる。

が。

「てめぇみたいな屑は地面に這いつくばってろ」

八幡のこの声と共にガルドの体は何かに押しつぶされた様に地面に

這いつくばる

「ガッ!・・・」

そしてまた八幡は話しだす。

「おい、ガルド。俺はお前の上に誰が居ようと気にしないぞ。それはきっとジンも同じだろう。だってコイツの最終目標はコミュニティを潰した"打倒魔王"なんだからな」

その言葉にジンは大きく息を呑む。

内心、魔王の名前が出た時は恐怖に負けそうになったジンだが、自分たちの目標を

八幡に問われ我に返った。

「・・・・・・はい。僕達の最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間達を取り戻すこと。今更そんな脅しには屈しません」

「そういうことだ。つまりお前には破滅以外のどんな道も残されていないんだよ」

「く・・・・・・くそ・・・・・・!」

八幡は少し機嫌を取り戻し、足の裏でガルドの顎を踏むと爽やかな笑顔で話を切り出す。

「だけどな。俺はお前のコミュニティが瓦解する程度では満足出来ないんだよ。お前のような外道はズタボロになって己の罪を後悔しながら罰せられるべきだ。────そこで皆に提案したいんだが」

八幡は足を離し、今度はしっかりと鍛えられつつもしなやかな指先でガルドの頭を掴む。

そして、爽やかな笑みで言った。

「俺達とフォレス・ガロで『ギフトゲーム』をしないか?"フォレス・ガロ"の全てと、"ノーネーム"の誇りと魂を賭けて、な」

 

日が暮れた頃に噴水広場で合流し、話を聞いた黒ウサギは案の定うさ耳を立てて怒っていた。

突然の展開に嵐のような説教と質問が飛び交う。

「な、なんであの短時間に"フォレス・ガロ"のリーダーと接触してしかも喧嘩売る状況になったんですか⁉︎」「しかもゲームの日取りは明日⁉︎」「それも敵のテリトリー内で戦うなんて!」「準備している時間もお金もありません!」「一体どういう心算があってのことです!」

「ていうか何故、一番まともな八幡さんがギフトゲームを挑んでいるのですか!?」

 

「すまない、あの屑の話聞いてたら冷静さを失ってしまった。反省はしてる」

「「「ムシャクシャしてやった。今は反省しています」」」

 

「黙らっしゃい!!」「というかちゃんと反省してるの八幡さんだけじゃないですか!」

三人の息を合わしたような返事に激怒する黒ウサギ。

それを見て何が面白いのか、ニヤニヤする十六夜。

「別に良いじゃねえか。別に見境なく喧嘩売った訳じゃないし。さらに勝てば

資金や資材も手に入るんだぜ?」

「いや確かにそうですが・・・。」

そこには、ゲームのチップと商品が書かれており、内容曰く。

参加者《プレイヤー》が勝利した場合、主催者《ホスト》は参加者側が言及した全ての罪を認め、箱庭の法の下、罰を受ける。そして参加者にコミュニティの全ての権利を譲渡する

主催者が勝利した場合、参加者は罪を黙認する

と、書いてあった。

「確かに時間はかかりますけど、彼らの罪は必ず暴かれます。その…子供達はもう…」

黒ウサギが言い淀む。彼女も此処まで酷いと思っていなかったのだろう。

 

「そう。もう子供達はこの世にはいない。確かに、黒ウサギの言うとおり時間さえかければ全て暴くことが出来るわ。でも、それはあくまでも時間をかければ、の話よ。あんな外道のためにそんな時間はかけたくないの」

 

 それに、箱庭の法律は箱庭でのみ通用するものだ。そんな悠長なことをしていれば、裁く前に箱庭の外に逃げられてしまう。

 あんなクズが裁かれず、悠々と生きているなど許せるはずもない。

 

「それにね、黒ウサギ。私は道徳云々なんかより、あの外道が私の活動範囲に入るところで野放しにされていることが許せないの。ここで逃がしたら、いつか報復しに来るに決まっているもの」

飛鳥のあとに八幡とジンも続く

「それに今逃したらもっと被害者が増えるとおもうぞ」

「黒ウサギ、僕もガルドを逃がしたくないって思ってるんだ。これでも僕はコミュニティのリーダーだし、ノーネームには子供もたくさんいる。彼のような悪人を野放しにしておけない」

 

 ジン君も同意見であることを示したことで、黒ウサギも諦めたように頷いた。

 

「はぁ~・・・まあいいでしょう。彼らの行動を我慢できなかったは黒ウサギも同じですし、“フォレス・ガロ”程度であれば十六夜さん一人でも、」

 

「一応言っとくぞ、黒ウサギ。俺は参加無いからな」

「当前よ。十六夜君は参加させないわ」

「まぁ、それが筋ってもんだな」

飛鳥と十六夜はフン、と鼻を鳴らし、八幡はそれに納得している様にうなずく。

「ええっ!八幡さんも今度はそっち側ですか!でも皆さんはこれからコミュニティの仲間なのだから

協力しないと駄目ですよ!」

「そういうことじゃねえよ黒ウサギ」

十六夜が真剣な顔で黒ウサギを右手で制する。

「いいか?この喧嘩は、コイツらが"売って"、ヤツらが"買った"。なのに俺達が手を出すのは無粋だって言ってるんだよ」

「あら、分かっているじゃない」

「まぁ、そういう事だ。今回は黒ウサギにはすまないが十六夜抜きでやらせてもらうよ」

「………。わかりました、好きにしてください」

 

黒ウサギはもうどうにでもなればいいと肩を落として呟いた。

「そろそろ行きましょうか。本当は皆さんを歓迎する為に素敵なお店を予約して色々セッティングしていたのですけれども……不慮の事故続きで、今日はお流れとなってしまいました。また後日、きちんと歓迎を」

 

「いいわよ、無理しなくて。私達のコミュニティってそれはもう崖っぷちなんでしょう?」

「お気遣いありがとうございます、飛鳥さん。でも歓迎会はやらせてもらいます!」

「わ、わかったわ」

黒ウサギの熱気に押され納得する飛鳥。

「でも、すぐに見破られたとしても騙そうとして申し訳ありませんでした!」

黒ウサギは頭を下げジンもそれにつられ頭を下げる。

「もう怒ってないわよ黒ウサギ、ジン君。ね?耀さん?」

やれやれといった様子で黒ウサギ達をみる飛鳥。

「うん、私も怒ってないよ。あ、でも」

思い出した様に迷いながら呟く耀。

ジンはテーブルに身を乗り出して問う。

「どうぞ気兼ねなく聞いてください。僕らに出来る事なら最低限の用意はさせてもらいます」

 

「そ、そんな大それた物じゃないよ。ただ私は……毎日三食お風呂付きの寝床があればいいな、と思っただけだから」

耀の言葉にジンが表情は固まった。この箱庭で水を得るには買うか、もしくは数km離れた大河から汲まねばならない。水の確保が大変な土地でお風呂というのは、一種の贅沢品なのだ。

その苦労を察した耀が慌てて取り消そうとしたが、先に黒ウサギが嬉々とした顔で水樹を持ち上げる。

「それなら大丈夫です!十六夜さんがこんな大きな水樹の苗を手に入れてくれましたから!これで水を買う必要もなくなりますし、水路を復活させることもできます♪」

一転して明るい表情に変わる。これには久遠も安心したような顔を浮かべた。

「私たちの国では水は豊富だったから毎日の様に入れたけど、場所が変われば文化も違うのね。

今日は理不尽に湖に投げ出されたから、お風呂には絶対に入りたかったところよ」

 

「それには同意だぜ。あんな手荒い招待は二度と御免だ」

 

「あう………そ、それは黒ウサギの責任外の事ですよ……」

 

「あはは……それじゃあ今日はコミュニティへ帰る?」

「あ、ジン坊っちゃんは先にお帰りください。ギフトゲームが明日なら"サウザンドアイズ"に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと。この水樹の事もありますし」

 

八幡達四人は首を傾げて聞き直す。

 

「"サウザンドアイズ"?コミュニティの名前か?」

「YES。"サウザンドアイズ"は特殊な"瞳"のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。幸いこの近くに支店がありますし」

 

「ギフトの鑑定というのは?」

「勿論、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定する事デス。自分の正しい形を把握していた方が、引き出せる力はより大きくなります。皆さんも自分の力の出処は気になるでしょう?」

 

同意を求める黒ウサギに四人は複雑な表情で返す。思う事はそれぞれあるのだろうが、拒否する声はなく、八幡達四人と一匹は"サウザンドアイズ"に向かう。

日が暮れて月と街頭ランプに照らされている並木道を、飛鳥は不思議そうに眺めて呟く。

 

「桜の木………ではないわよね?花弁の形が違うし、真夏になっても咲き続けているはずがないもの」

 

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。気合の入った桜が残っていてもおかしくないはずだろ」

 

「……?今は秋だったと思うけど」

ん?と噛み合わない三人は顔を見合わせて首を傾げる。黒ウサギは笑って説明した。

 

「皆さんはそれぞれ違う世界から召喚されているのデス。元いた時間軸以外にも歴史や文化、生態系など所々違う箇所があるはずですよ」

 

「へぇ?パラレルワールドってやつか?」

「近いが違うぞ十六夜。正しくは立体交差平行世界論ってやつだ」

「なかなかお詳しいですね。ですがコレの説明をしますと一日二日では説明しきれないので、またの機会ということにしましょう」

 

曖昧に言葉を濁し黒ウサギは振り返る。どうやら店に着いたらしい。商店の旗には、蒼い生地に互いが向かい合う二人の女神が記されている。あれが"サウザンドアイズ"の旗なのだろう。日が暮れて看板を下げる割烹着の女性店員に、黒ウサギは滑り込みでストップを、

「まっ」

 

「待った無しです御客様。うちは時間外営業はやっていません」

 

……ストップをかける事が出来なかった。黒ウサギは悔しそうに店員を睨みつける。流石は超大手の商業コミュニティ。押し入る客の拒み方にも隙がない。

「なんて商売っ気の無い店なのかしら」

「ま、全くです!閉店時間の五分前に客を締め出すなんて!」

「文句があるならどうぞ他所へ。あなた方は今後一切の出入りを禁じます。出禁です」

「出禁です⁉︎これだけで出禁とか御客様舐めすぎでございますよ⁉︎」

キャーキャーと喚く黒ウサギに、黙っていた八幡が声をかける。

「落ち着け黒ウサギ、さすがにこのままじゃ相手に迷惑をかけて余計入り

づらくなる。また明日訪ねよう」

「まだまともな方が居てよかったです。それではお引き取りください」

店員が黒ウサギ達に冷たく言い放つ

「で、ですがはちm「いぃぃぃやほおぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギィィィィ!」きゃあーーーーー………!」

黒ウサギは店内から爆走してきる着物風の服を着た真っ白い髪の少女に抱きつかれ、街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んだ。

突然の出来事に八幡達は眼を丸くし、店員は痛そうな頭を抱えていた。

「……おい店員。この店にはドッキリサービスがあるのか?なら俺も別バージョンで是非」

 

「ありません」

 

「なんなら有料でも」

 

「やりません」

真剣な表情の十六夜に、真剣な表情でキッパリ言い切る女性店員。

 

「はあ・・・・。お前は何言ってんだ」

八幡も頭を抱え始める。そして黒ウサギに抱きついた少女は黒ウサギの胸に顔を

なすり付けていた。

「し、白夜叉様⁉︎どうして貴女がこんな下層に⁉︎」

 

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろうに!やっぱりウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

「し、白夜叉様!ちょ、ちょっと離れてください!」

 

黒ウサギは白夜叉と呼びれた少女を引き剥がし、頭を摑んで店に向かって投げつける。

「八幡パス」

「ゴバァ!」

十六夜は八幡に足でパスを出した。

「は!?危なっ!」

八幡は状況をすぐに理解し飛んで来る白夜叉に重力をかけ

ゆっくりになった所で受け止めた。

「おい十六夜!初対面の女の子を足で蹴るな!」

「本当じゃぞ!このアホ毛の小僧が受け止めなかったら危なかったぞ!

美少女を蹴るなんて何様のつもりじゃ!あ、あとアホ毛の小僧もありがとう」

「俺は逆廻十六夜様だぜ!よろしくな和装ロリ!」

「どういたしまして。そして俺が比企谷八幡だ」

一連の流れの中で呆気にとられていた飛鳥は、思い出したように白夜叉に話しかける。

 

「貴女はこの店の人?」

 

「おお、そうだとも。この"サウザンドアイズ"の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育のいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ」

 

「オーナー。それでは売上が伸びません。ボスが怒ります」

 

冷静な声で女性店員が釘を刺す。

濡れた服やミニスカートを絞りながら水路から上がってきた黒ウサギは呟く。

 

「うう………私まで濡れる事になるなんて」

「因果応報………かな」

 

『お嬢の言う通りや』

 

悲しげに服を絞っている黒ウサギ。反対に濡れても全く気にしない白夜叉は、八幡達を見て

ニヤリと笑った。

「ふふん。お前達が黒ウサギの新しい同士か。異世界の人間が私の元に来たという事は………遂に黒ウサギが私のペットに」

 

「なりません!どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」

 

「何だつまらん。まあいい。話があるなら店内で聞こう」

 

「よろしいのですか?彼らは旗も持たない"ノーネーム"のはず。規定では」

 

「"ノーネーム"だと分かっていながら名を尋ねる、性悪店員に対する詫びだ。身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。いいから入れてやれ」

 

む、っと拗ねるような顔をする女性店員。彼女からしてみればルールを守っただけなのだから気を悪くするのは仕方がない。十六夜達が暖簾をくぐった後、八幡は女性店員の前に立って、

「うちの問題児が迷惑をかけたな。あんたとは苦労人同士気が合いそうだ」

「こちらも無礼を働き申し訳ありませんでした。今度からはあの方々をおとなしくさせてくださいね」

八幡はそのような会話をして店の中に入っていった。




はい第四話でした!
次の話ではギフト鑑定、そしてガルドとの決着を着けたいと
思います!
小町は現実サイドで中学二年生になったら箱庭入りにしたいと
思います!
小町の年齢は現在は九歳という設定です!
感の鋭い方なら分かるかもしれません!
それでは次は第五話で会いましょう!お楽しみに!


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第五話

すいません。遅くなりました!
テストなどいろんな用事が重なってしまい書けませんでした。
投稿ペースは色々落ち着いたら定期にしようと思います!
それでは第五話です!どうぞ!


八幡が店に入り白夜叉による箱庭の説明が始まった。

 

「さて、改めて自己紹介をしておこうかの。私は四桁の門、三三四五外門に本拠を構えているサウザンドアイズの幹部の白夜叉だ。黒ウサギとは少々縁があってな。コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ」

 

「その外門って何?」

 

 耀は疑問を率直に述べる。

 

「箱庭の階層を示す外壁にある門のことです。数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者達が住んでいるのです」

 

「……超巨大タマネギ?」

 

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

 

「そうだな一番それがしっくりくるぜ」

 

「そーいや最近バームクーヘーン作ってねえな」

 

「確かに最近食ってないな。八幡のバームクーヘン」

 

問題児達の身も蓋もない発現に黒ウサギはガックリし、白夜叉は

ケラケラ愉快に笑った。

「ふふ、うまいこと例える。説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたる。外門のすぐ外は世界の果てに向かい合う場所じゃな。世界の果てには強力な恩恵を持った者達が住んでおるぞ」

「ふふ、うまいこと例える。そのたとえなら今いる七桁外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。更に説明するなら、東西南北の四つの区切りの東側にあたり、外門のすぐ外は“世界の果て“に向かい合う場所じゃな。あそこにはな、コミュニティには入っとらんが強力な恩恵を持った者達が住んでおるぞ

−その水樹の持ち主などな」

 

白夜叉はうっすら笑い黒ウサギの持つ水樹に視線を向ける。

白夜叉が言っているのはトリトニスの滝を住処にしている蛇神の事だろう。

 

「して、一体誰が、どのようなゲームで勝ったのだ?知恵比べか?勇気を試したのか?」

「いえ、此処に来る前に十六夜さんが素手で叩きのめして来たのですヨ!」

 

 黒ウサギが自慢げに言うと、白夜叉は声を上げて驚いた。

 

「なんと!?クリアではなく直接倒したとな!?ではその童達は神格持ちの神童か?」

「いえ、黒ウサギはそう思えません。神格なら一目見れば分かるはずですし。」

 

その横で八幡が呆れていた。

 

「世界の果てまで行って何やってんだよ」

「いや景色を見てたら偉そうに試練を選べー、とか言ってきたからな。

俺を試せるか試した」

「しかしそいつも災難だったな、十六夜に殴られるとは」

ヤハハ、と笑う十六夜。それを見てまた八幡は呆れる。

そこでまた黒ウサギが白夜叉に気になった事を聞いていた。

「白夜叉様はあの蛇神様とお知り合いだったのですか?」

「知り合いというよりアレに神格を与えたのはこの私だぞ。もう何百年も前の

話じゃがな」

 

そういって白夜叉は無い胸を張り、呵々と豪快に笑う。

だがそれを聞いた十六夜は物騒に瞳を光らせて問いただす。

 

「へえ?じゃあオマエはあの蛇より強えのか?」

「ああ、もちろんだ。東側の階層支配者だぞ。この東側の四桁より下で私に並ぶものはいない、私は最強の主催者なのだからの」

 

その言葉に十六夜・飛鳥・耀の三人は目を光らせ、八幡は嫌な予感を感じながらも様子を

伺っていた。

 

「そう・・・・ふふ。ではつまり、貴女のゲームをクリア出来れば、私たちのコミュニティ

は東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

「無論そうなるのう」

「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた。」

 

そして闘争心を込めた眼差しを白夜叉に送る3人。

白夜叉はそれに気づいた様に笑いを上げた。

 

「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え?ちょ、ちょっと御三人様!?」

「少しは落ち着けよ。お前ら・・・」

「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には常に飢えている。それにアホ毛の小僧は

いいのか?」

「俺は負ける勝負をしない主義だからな。後、面倒い」

「ほぼほぼ後半が本音じゃな・・・。それでは始める前におぬしら三人には聞かなければ

ならない事があるの」

白夜叉は”サウザンドアイズ"の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、

「おんしらが望むのは“挑戦”かそれとも

               ─────“決闘”か?」

 

刹那、四人の視界が輝きにに覆われた。

 

 




すいません。時間が取れず少なめになってしまいました。
時間が取れればたくさん書きたいと思います!
それではまた次の話しで!


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第六話

毎度毎度遅れてしまい申し訳ないです。
受験勉強の合間にやっているので短くなってしまうので
お許しください。
それでは第六話です。どうぞ!



白夜叉が四人に問いた瞬間に四人の視覚は意味を無くした。

 

──黄金色の穂波が揺れる草原。

 

 

──白い地平線を覗く丘。

 

 

──森林の湖畔。

 

様々な場所が流転を繰り返し、足元から四人を呑み込んでいく。

四人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔──そして水平に太陽が

廻る世界だった。

 

「・・・なっ・・!?」

目の前の異常な光景に八幡達は一斉に息を呑んだ。

箱庭に招待された時とはまるで違うその感覚は、もはや言葉で表せるものでは無かった。

遠く薄明の空にある星は只一つ。緩やかに世界を水平に廻る、白き太陽のみ。

 

まるで、星を一つ、否、世界を一つ創り出したかのような、奇跡の顕現。

絶句する四人に改めて白夜叉は問いかける。

今一度名乗り直し、問おうかの。私は“白き夜の魔王”────────太陽と白夜の星霊・白夜叉。おんしらが望むのは、試練への“挑戦”か?それとも対等な“決闘”か?」

 

魔王・白夜叉。少女の笑みとは思えぬような凄みに、再度息を飲む三人。

八幡はすぐに気を持ち直し白夜叉の正体を考えつつ三人の返答を伺っている。

星霊”とは惑星以上の星に存在する主精霊を指す。妖精や鬼・悪魔などの概念の最上級種であり同時に、ギフトを“与える側”の存在でもある。

十六夜は背中に心地よい冷や汗を流しながら、白夜叉を睨んで笑う。

 

「水平に廻る太陽と……そうか、『白夜』と『夜叉』。あの水平に廻る太陽やこの土地は、オマエを表現してるってことか」

「如何にも。この白夜の湖畔と雪原。永遠に世界を照らす太陽こそ、私がもつゲーム盤の1つだ。」

「これだけの土地がただのゲーム盤・・・・!?」

 

四人はまた絶句する。

そんな四人を見て白夜叉はまた問いかける。

 

「如何にも、して、おんしらの返答は?“挑戦”であるならば、手慰み程度に遊んでやる。───だがしかし、“決闘”を望むなら話は別。魔王として、命と誇りの限り闘おうではないか。」

 

「……………………っ」

 

飛鳥と耀、そして自信家の十六夜でさえも即答できずに、返事を躊躇った。

白夜叉と決闘をしても此処まで強力な力を持っている白夜叉に勝てないのは明らかだった。

しかし、自分たちが売った喧嘩をこのような形で取り下げるにはプライドが邪魔した。

しばらくの静寂───十六夜がゆっくりと挙手をし、

 

「参った。やられたよ。降参だ、白夜叉。アンタには資格がある。今回は黙って試されてやるよ。」

「それは試練を受けるという事かの?して、他の童たちも同じか?」

「ええ、私も試されてあげてもいいわ。」

「右に同じ。」

「アホ毛の小僧も良いんじゃな?」

「しつこいぞ。面倒いと言っただろう」

「おんしの無気力はどうにかならんかのお・・」

「これが俺の基本スタンスだ」

 

この二人の会話を聞き張りつめていた空気が和やかな雰囲気になる。

そしてほっとした黒ウサギは問題児達に大声を上げる。

「それにしても御三人様は何をしているのですか!白夜叉様に決闘しようだなんて!

八幡さんも白夜叉様が言う様に少しはやる気をだしてください!それに白夜叉様が

魔王だったのは何年も前のことじゃ無いですか!」

ゼェゼェと肩で息をしながら黒ウサギはつっこんだ。

「何?じゃあ元・魔王様ってことか?」

「はてさてどうじゃったかな?」

ケラケラと悪戯っぽく笑う白夜叉。ガクリと肩を落とす黒ウサギと

三人。八幡は欠伸をしながら会話を聞いていた。

そのとき彼方の山脈から甲高い雄叫びが響き渡り、それに逸早く反応したのは

春日部耀だった。

「何、今の鳴き声。初めて聞いた」

「ふむ…………あやつか。おんしらを試すのに打ってつけかもしれんの」

 

湖畔を挟んだ向こう岸にある山脈に、白夜叉はチョイチョイと手招きをする。

すると体長5mはあろうかと言う巨大な獣が翼を広げて風の如く現れた。

「グリフォン……………嘘、本物!?」

「フフン、如何にも。あやつこそ鳥の王にして獣の王。“力” “知恵” “勇気”の全てを備えた、ギフトゲームを代表する獣だ」

白夜叉がもう一度手招きする。グリフォンは彼女の元へ降り立ち、深く頭を下げた。

「さて、肝心の試練だがの。おんしら三人とこのグリフォンで“力” “知恵” “勇気”の何れかを比べ合い、背にまたがって湖畔を舞うことができればクリア、ということにしようかの」

「おい白夜叉俺の名前が無いんだが」

「おんしには別の試練を用意する」

白夜叉は双女神の紋章が刻まれたカードを取り出す。すると、虚空から”主催者権限“にのみ

許された光り輝く羊皮紙が現れ、白夜叉はそれに指で記述する。

 

『ギフトゲーム名 “鷲獅子の手綱”

 

 ・プレイヤー一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

 

 ・クリア条件 グリフォンの背に跨がり、湖畔を舞う

 ・クリア方法 “力”“知恵”“勇気”の何れかでグリフォンに認められる

 

 ・敗北条件 降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

 宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

            “サウザンドアイズ”印』

「私がやる」

それを見た瞬間、ビシ!と指先まで綺麗に挙手をしたのは耀だった。

おとなしめの彼女にしては珍しい行動だがその目には明らかな闘志が宿ていた。

『お、お嬢……大丈夫か?なんや獅子の旦那よりデカいし怖いけど・・』

「大丈夫、問題ない」

「ふむ。自信があるようだが、コレは結構な難物だぞ?失敗すれば大怪我ではすまんぞ?」

「大丈夫、問題ない」

耀はまっすぐにグリフォンを見つめながる。

キラキラと光る顔には探していたものを見つけた子供の様に輝いていた。

その隣で呆れていた様に苦笑いを漏らす三人。

「OK、先手は譲ってやる。失敗するなよ」

 

「気を付けてね、春日部さん」

 

「信じてるからな、耀。後、肌も凍っちゃ駄目だろうからこれ着てけ。

いらなかったら捨てていい」

そう言って八幡は耀に学ランを渡す。

「うん。ありがとう八幡///」

「お、おう///」

その横で十六夜と飛鳥がヒソヒソと話をする。

「ねえ、十六夜君。あれを見てるとイライラするんだけど」

「そういうときはこう言うんだぜ」

その言葉を飛鳥に伝える十六夜。

「じゃあ行くぜ、お嬢様。せーのっ」

 

「「リア充爆発しろ!!」」

 

「何言ってんだよお前ら」

「・・・・////」

呆れる八幡と照れる耀であった。

 

そして痺れを切らした白夜叉が耀を急かす。

「話は終わったかの、それでは小娘はよ行ってこい」

「う、うん」

そうしてグリフォンに近づく耀にグリフォンは威嚇する様に

翼を広げる。

それに臆する事無く耀は近づき話しかける。

「えーと、初めまして春日部耀です」

『!?』

ビクッ!とグリフォンが跳ねた。その瞳からは警戒心が薄れ、戸惑いの色が

見えた。

「私を貴方の背に乗せ・・・誇りを賭けて勝負しませんか?」

『何だと・・・?』

誇り高い彼らに対してこのような発言は最も効果的な挑発だ。

それを気にせず耀は交渉を続ける。

「この地平を時計回りに大きく迂回して此処に戻ってくる間に背に乗った私を振るい落せば貴方の勝ち

 落とせなければ私の勝ち・・・どうかな?」

『娘よ。貴様は私に”誇りを賭けろ”と言った。確かに娘一人振るい落せないならば私の名誉は失墜するだろう。ならば貴様は何を賭ける?』

「命を賭けます」

即答だった。

突拍子もない耀の発言に黒ウサギと飛鳥から驚きの声が上がる。

「か、春日部さん、本気なの!?」

「だ、駄目です!!」

「貴方は誇りを賭ける。私は命を賭ける。

 もし、転落して生きていても私は貴方の晩御飯になります。

 それじゃ駄目かな?」

『・・・・ふむ・・・・』

耀の提案に余計慌てる黒ウサギと飛鳥。

しかし二人は白夜叉と十六夜、八幡に止められた。

「双方、下がらんか。これはあの娘から切り出した試練だぞ」

「ああ。無粋なことはやめとけ」

三人の言葉に納得し二人は下がる。

 耀は、グリフォンに跨り手綱を握っていた。

「始める前に一言だけ・・・・・・・私、貴方の背中に跨るのが夢の一つだったんだ。」

『――――――そうか』

 

そして耀がグリフォンと飛び立った後十六夜はふと気づいた様に

八幡に話しかける。

「なあ、八幡。お前なんであんなに耀の事気に掛けてんだ?

もしかして惚れたのか?」

ケラケラ笑ってからかう十六夜の問いに八幡は早口で捲し立てた。

「そ、そんな分けねえだろ。耀はコミニュティの仲間だからな。

信用しなきゃダメだろ?」

「そうかい。まあそういう事にしとくぜ」

また十六夜はケラケラと笑う。

「お、春日部のやつ戻ってきたぞ」

十六夜がそう言うと湖畔の向こう側からグリフォンに跨がった耀

が戻ってきていた。

「耀さんが戻ってきました!」

「後もう少しね・・・頑張って耀さん」

そしてついにゴールした瞬間耀がグリフォンから落ちた。

『何!?』

「耀さん!!」

「大変だわ!耀さんが!」

助けに行こうとする二人を十六夜と八幡が止める。

「まだだ!まだ終わってない!」

「ああ、今は行くべきじゃない。」

そして耀は周囲の事を忘れ、ある事を考えていた。

(四肢で・・・・風を絡め、大気を踏みしめる様に・・・!)

「なっ・・・・」

その場の全員が絶句した。

先ほどまでそんな素振りを見せなかった耀湖畔の上で浮いて

居たのだから。

その後八幡達のそばで降り立った。

そして最初に口を開いたのは十六夜だった。

「やっぱりオマエのギフトって、他の生き物の特性を手に入れる類だったんだな」

 十六夜が笑みを浮かべながら耀に言う。

 軽薄な笑みに、むっとしたような声音で耀が返す。

「・・・・・・違う。これは友達になった証。けど、いつから知ってたの?」

「ただの推測。

 お前、黒ウサギと出会った時に“風上に立たれたら分かる”とか言ってたろ。

 そんな芸当は人間にはできない。

 だから春日部のギフトは他種とコミュニケーションをとるわけじゃなく、

 他種のギフトを何らかの形で手に入れたんじゃないか・・・・・・と推察したんだが、

 それだけじゃなさそうだな。

 あの速度で耐えられる生物は地球上にいないだろうし?」

そこでグリフォンが耀に話しかける。

『見事。お前が得たギフトは、私に勝利した証として使って欲しい』

「うん。大事にする」

「いやはや大したものだ。このゲームはおんしの勝利だの。・・・・・・ところで、おんしの持つギフトだが。それは先天性か?」

「違う。父さんに貰った木彫りのおかげで話せるようになった」

「木彫り?」

 首を傾げる白夜叉に三毛猫が説明する。

『お嬢の親父さんは彫刻家やっとります。親父さんの作品でワシらとお嬢は話せるんや』

「ほほう・・・・・・彫刻家の父か。

 よかったらその木彫りというのを見せてくれんか?」

 頷いた耀は、ペンダントにしていた丸い木彫り細工を取り出し、白夜叉に差し出す。

 白夜叉は渡された手の平大の木彫りを見つめて、急に顔を顰めた。

 十六夜と飛鳥、八幡もその隣から木彫りを覗き込む。

「複雑な模様ね。何か意味があるの?」

「意味はあるけど知らない。昔教えてもらったけど忘れた」

「・・・・・・これは」

 木彫りは中心の空白を目指して幾何学線が延びるというもの。

 白夜叉だけでなく、十六夜、黒ウサギも鑑定に参加する。

 表と裏を何度も見直し、表面にある幾何学線を指でなぞる。

 黒ウサギは首を傾げて耀に問う。

「材質は楠の神木・・・・・・? 神格は残っていないようですが・・・・・・この中心を目指す幾何学線・・・・・・そして中心に円状の空白・・・・・・もしかしてお父様の知り合いには生物学者がおられるのでは?」

「うん。私の母さんがそうだった」

「生物学者ってことは、やっぱりこの図形は系統樹を表しているのか白夜叉?」

「おそらくの・・・・・・ならこの図形はこうで・・・・・・この円形が収束するのは・・・・・・いや、これは・・・・・・これは、凄い! 本当に凄いぞ娘!! 

 本当に人造ならばおんしの父は神代の大天才だ! 

 まさか人の手で独自の系統樹を完成させ、しかもギフトとして確立させてしまうとは! これは正真正銘“生命の目録”と称して過言ない名品だ!」

「系統樹って、生物の発祥と進化の系譜とかを示すアレ? 

 でも母さんが作った系統樹の図は、もっと樹の形をしていたと思うけど」

「うむ、それはおんしの父が表現したいモノのセンスが成す業よ。

 この木彫りをわざわざ円形にしたのは生命の流転、輪廻を表現したもの。

 再生と滅び、輪廻を繰り返す生命の系譜が進化を遂げて進む円の中心、

 すなわち世界の中心を目指して進む様を表現している。

 中心が空白なのは、流転する世界の中心だからか、世界の完成が未だに視えぬからか、

 それともこの作品そのものが未完成の作品だからか」

白夜叉はどんどん目をキラキラさせている。

「うぬぬ、凄い。凄いぞ。

 久しく想像力が刺激されとるぞ! 実にアーティスティックだ!

 おんしさえよければ私が買い取りたいぐらいだの!」

「ダメ。」

白夜叉の手から耀がペンダントを奪い取る。白夜叉はおもちゃを取り上げられた子供のような顔をしていた。

そこで耀黒ウサギと飛鳥に向き直る。

「二人とも心配させてごめんね?あと応援してくれて

ありがとう」

「いえいえ、コミュニティの仲間ですから!」

「私もと、友達だから心配するのは当然よ」

 

耀の正直な感謝の気持ちに照れる二人。そして最後に八幡の

方に向かって

「八幡、上着ありがと。暖かかったよ///・・でも上着カチコチに

なっちゃった」

しょんぼりする耀に八幡は頭を撫でながら言う。

「そんなもん後で他の買えるから良いよ。耀の無事が一番だ」

「あ、ありがとう///」

甘々な雰囲気になる前に十六夜が遮る。

「はーい、お二人さんそこまでだ。八幡も次が試練だろ」

「おっと、そうだったな。白夜叉、俺の試練は何だ」

「ああ、おんしにはやる気を出してもらおうと思って一人だけの

試練にしたのじゃ。この契約書類(ギアスロール)をみてみよ」

その羊皮紙に書かれていた内容は

 

『ギフトゲーム名”白夜叉のおやつ”

                  

  ・プレイヤー名

   ・比企谷八幡

 

    ・ルール

     ・用意された食材しか使ってはいけない

     ・決まった範囲から出てはいけない

     

    ・クリア条件

     ・白夜叉の満足するお菓子を出す

 

    ・敗北条件

     ・プレイヤーがお菓子を作れなくなる 

 

 

   宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗とホストマスターの名の下、ギフトゲームを開催します。

      “サウザンドアイズ”印』

八幡はこれを見て「はあ?」と言った。

「おい白夜叉お前お菓子食いてえだけだろ!」

「さっき金髪の小僧がおんしのバームクーヘンを最近食べてないと言っていたのでちょうどいいなと

思ってちょっと、な?」

「な?じゃねえよ!まあ、いいや。わかった作るよ」

「本当か!よし、ならばこの店にあるもの何でも使っていいから作るのじゃ!」

 

そして八幡がお菓子を作っている間十六夜達は談笑していた。

「それにしてもあの小僧手際良すぎではないかの」

「あいつはこっちくる前は専業主夫になりたいって言ってたから

家事全般何でも出来るんだよ」

「それはすごいわね・・」

「うん・・今度何か作ってもらおう」

「何か節約する方法を知ってたら良いのデスが・・」

そんな話をしている途中に飛鳥が思い出した様に耀に聞いた。

「そういえば耀さん。聞きたいことがあるのだけれど」

「うん?何を聞きたいの?あ、あと飛鳥もうめんどくさいから耀って

呼び捨てでいいよ。年下だし」

「わかったわ耀。それじゃあ聞くけどあなた八幡君の事どう思ってるの?」

「ふぇっ!それは・・その・・」

そこに他の三人も混ざってくる。

「それはぜひ聞きたいな」

「YES!黒ウサギも興味があるのですよ!」

「わしもそれは気になるのお」

全員が耀にゲス顔で迫ってくる。

「えっと・・・あの・・その///」

耀は照れてしまって何も言えなくなる。

そこにお菓子を完成させた八幡がやってくる。

「お前らなにゲス顔で女の子に迫ってんだ」

「ほっ・・・良かった」

 

「ちっ、八幡相変わらずタイミング悪いな」

「ええ、全くよ」

「今回は黒ウサギも同意ですかね」

「なんか興ざめじゃの」

 

「え、何これ。新手のいじめ?何それつらい。てか作って

来たぞ。お菓子」

 

「何!それではいただくとしよう!お前らも食って良いぞ!」

「まじか!そんじゃ遠慮なく」

 

「ええ、いただくわ!」

 

「いただきます!」

 

「美味しそう・・・」

みんなが一斉に食べ始めすぐに食べきった。

「お前ら食うの早すぎだろ」

 

「まあ、でも美味しかったぜ。さすが八幡だぜ」

 

「そりゃどうも」

 

「で、でも結構カロリー高そうでしたよ?たくさん食べちゃいましたけど」

黒ウサギの言葉に女子たちはうっ、と言った表情だが八幡がフォローする。

「安心しろ今作ったのは限りなくカロリーを減らした俺特性のスイーツだからな」

八幡の言葉に女子達は胸を撫で下ろした。

「そんじゃあ、白夜叉俺はクリアで良いか?」

 

「ああ、もちろんじゃ。それで黒ウサギ全員の試練が終わったが、何の用事で

来たんじゃ?」

「ああ、そうでした!今日はギフトの鑑定を御願いしようと思いまして」

ゲッ、と気まずそうに顔を背ける白夜叉。

 

「よ、よりにもよってギフト鑑定か。本来なら専門外どころか無関係もいいとこなんじゃがの。」

 そういって困った様に白髪を搔き上げ、着物の裾を引きずり

ながら四人の顔を両手で包んで見つめる

「どれどれ・・ふむふむ・・・ 四人ともに素養が高いのは分かる しかしこれでは何とも言えんな おんしらは自分のギフトの力をどの程度に把握している?」

「企業秘密」

 

「右に同じ」

 

「以下同文」

 

「こいつらと同じ感じ」

十六夜、飛鳥、耀、八幡の順で言う

「うおおおおい?いやまあ仮にも対戦相手だったものにギフトを教えるのが怖いのは分かるがそれじゃ話が進まんだろうに」

「別に鑑定なんていらねえよ 人に名札張られるのは趣味じゃない」

 十六夜が言い切る。他の三人もうんうんと頷いている。

「ふむ、何にせよ試練をクリアしたおんしらにはギフトを与えねばならん」

そういって白夜叉が柏手を叩くと四人の前に光り輝く四枚のカードが

現れた。 

コバルトブルーのカードに逆廻十六夜・ギフトネーム“正体不明(コード・アンノウン)

 

ワインレッドのカードに久遠飛鳥・ギフトネーム“威光”

 

パールエメラルドのカードに春日部耀・ギフトネーム“生命の樹(ゲノム・ツリー)”“ノーフォーマー”

 

ダークスレートブルーのカードに比企谷八幡・ギフトネーム”重力(グラビティ)””記憶図書館(メモリー・ライブラリ)” ”専業主夫” ”対話の首飾り”

四人がまじまじとみていると黒ウサギが声を上げて驚く。

「ギフトカード!」

「お中元?」

「お歳暮?」

「お年玉?」

「クレジットカード?」

「ち、違います!

 というかなんで皆さんそんなに息が合っているのです!?

 このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!

 八幡さんの首飾りや、耀さんの生命の目録だって収納できて、しかも好きな時に顕現できるのですよ!」

「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」

 

「だからなんで適当に聞き流すんですか!あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」

どんどん投げやりになって行く黒ウサギだった。

 

「へえ・・・・・・もしかして水樹って奴も収納できるのか?」

 十六夜は黒ウサギの持つ水樹にカードを向ける。

 すると水樹は光の粒子となってカードの中に呑み込まれた。

 見ると十六夜のカードは溢れるほどの水を生み出す樹の絵が差し込まれ、

 ギフト欄の“正体不明”の下に“水樹”の名前が並んでいる。

「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出せるのか?」

 

「出せるとも。試すか?」

 

「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!その水はコミュニティのために使ってください!」

 チッ、とつまらなそうに舌打ちする十六夜。

 黒ウサギはまだ安心できないような顔でハラハラと十六夜を監視している。

「そのギフトカードは、正式名称を“ラプラスの紙片”、即ち全知の一端だ。

 そこに刻まれるギフトネームとはおんしらの魂と繋がった”恩恵”の名称。

 鑑定はできずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」

 

「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」

 十六夜のカードには“正体不明”の文字。

 白夜叉は驚きヤハハと笑う十六夜のギフトカードを取り上げる。

 

「いいやありえん、全知である“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど。」

 

「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。俺的にはこの方がありがたいさ」

 十六夜が白夜叉からカードを取り上げる。

 だが、白夜叉は納得できないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。

 

「おい、白夜叉これ意味分からないんだが」

 

「ん?どれどれ」

八幡が指を指すとそこには”専業主夫”の文字があった。

「ん〜、わしもよくわからん。しかし悪いものでもなかろう・・・多分」

 

「最後ですげえ不安になったけどまあいいや」

 

一通り会話が終わった所でコミュニティに向かう事になった。

六人と一匹は暖簾の下げられた店前に移動し、耀は一礼した。

「今日はありがとう。また遊んでくれると嬉しい」

「あら、駄目よ春日部さん。次に挑戦するときは対等の条件で挑むものだもの」

 

「ああ。吐いた唾を飲み込むなんて、格好付かねえからな。次は渾身の大舞台で挑むぜ」

 

「いやもう良くね?」

 

「ふふ、よかろう。楽しみにしておけ。そやつのそのスタンスは

なおらんかったの。………ところで」

 

白夜叉は微笑を浮かべるがスっと真剣な表情で俺達を見てくる。

 

「今さらだが、一つだけ聞かせてくれ。おんしらは自分達のコミュニティがどういう状況にあるか、よく理解しているか?」

 

「ああ、名前と旗の話か?それなら聞いたぜ」

 

「なら、“魔王”と戦う事が避けられん事もか?」

 

「聞いてるわよ」

 

「………では、おんしらは全てを承知の上で黒ウサギのコミュニティに加入するのだな?」

黒ウサギはドキリとした顔で視線を逸らし、同時に思う。

もしコミュニティの現状を話さないなんて不義理な真似をしたらかけがえのない

友人を失っていたかもしれない。

 

「“カッコいい”で済む話ではないのだがの………全く、若さゆえなのか。無謀というか、勇敢というか。まあ、魔王がどういうものかはコミュニティに帰ればわかるだろ。それでも魔王と戦う事を望むというなら止めんが………そこの娘二人。おんしらは確実に死ぬぞ」

 

予言するように断言された耀と飛鳥は言い返そうとするが、元魔王の白夜叉の威圧感に黙ってしまう。

 

「そう……肝に銘じておくわ。次は貴女の本気に挑戦するから覚悟しなさい」

 

「ふふ、望むところだ。私は三三四五外門に本拠を構えておる。いつでも遊びに来い。………ただし、黒ウサギをチップに賭けてもらうがの」

 

「嫌です!」

即答する黒ウサギに、白夜叉は口を尖らす。

「つれない事を言うなよぅ。私のコミュニティに所属すれば生涯を遊んで暮らせると保証するぞ?三食首輪付きの個室も用意するし」

 

「三食首輪付きってソレもう明らかにペット扱いですから!」

怒る黒ウサギに笑う白夜叉。そのまま八幡達は無愛想な女性店員に見送られながら“サウザンドアイズ”二一〇五三八〇外門支店を後にした。

 




はいどうもユキ擬きです!
初めてオリジナルのギフトゲームを作ったので変かもしれませんが御許しください。
やっとこさ白夜叉の試練も終わって良かったです。
それに久しぶりに長い文章を書いたので疲れました。(汗)
まだまだ拙い箇所もありますが暖かい目でご覧ください!
それではまた次の話で!


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第七話

はいどうもユキ擬きです!
最近投稿できていないので遅れ気味ですが
頑張りたいと思います!
それでは七話です!どうぞ!


八幡達はサウザンドアイズを出発しノーネームに

向かっていた。

 

「なあ十六夜」

 

「どした」

 

「俺らこっちに来ちまったら孤児院の存続

とかどうすんだ?」

 

「あー、まああいつらなら大丈夫だろ」

 

「それもそうだな・・・。だとしてももう少し考えろよ」

そこで少し興味を持ったのか耀と飛鳥、黒ウサギ

が会話に入ってきた。

 

「会話で大体分かるけど二人は義兄弟なの?」

 

「ああ、そうだ。俺が小学三年生で捨てられたときに助けて

もらったんだ」

 

「あのときの八幡は本当に見てられなかったな」

 

「何故?」

 

「泣きながら『母さん何所に行ったのー』、って言っててそこを

俺が通りかかったんだよ」

 

「へえ〜そうなの」

 

「その話をするな!他の話題にしろよ!」

 

「それでは孤児院での思い出は何ですか?」

 

「ハロウィンだな」

 

「毎度毎度みんな本気で仮装するからな。夜に歩き

まわられたときはめちゃ怖かった」

 

「でもそれはそれで楽しそうですね!」

 

「あの時の八幡はビビってつぶれたカエルみたいな声出してて面白かったぜ」

 

「八幡その声出してみてよ」

 

「嫌だ、っていうか自分の好きなときに出せる訳じゃ無いからな?」

 

「なんだつまんない・・・」

 

「それは酷くねーか・・・?」

そこで全員が声を出して笑った。

その後も少し会話をしていると黒ウサギから声がかかった。

 

「みなさんそろそろノーネームの本拠に着きますよ!ですが本拠の館は入り口

から少し歩きますのでご容赦ください。

この近辺はまだ戦いの名残りがありますので……」

 

「戦いの名残り?噂の魔王って素敵ネーミングな奴との戦いか?」

 

「は、はい」

 

「ちょうどいいわ。箱庭最悪の天災が残した傷跡、見せてもらおうかしら」

先程の一件があり、飛鳥は機嫌が悪かった。プライドの高い彼女からすれば虫のように見下されたという事実が気に食わなかったのだろう。

 

黒ウサギが躊躇いつつ門を開く。すると門の向こうから乾き切った風が吹き、四人の視界に砂塵が

舞った。

「こいつは・・・想像以上だな・・」

 

「っ、これは………!?」

街並みに刻まれた傷跡をみた飛鳥と耀が息を呑んでいるが分かる。逆廻はこの光景にスっと目を細めながら木造の廃墟に歩み寄り、囲いの残骸を手に取った。そのまま少し握り込むと残骸は音も立てて崩れていった。

「………おい、黒ウサギ。魔王のギフトゲームがあったのは――――今から何百年前の話だ?」

 

「僅か三年前でございます」

 

「ハッ、そりゃ面白いな。いやマジで面白いぞ。この風化しきった街並みが三年前だと?」

そう、彼ら“ノーネーム”の街並みは何百年の時間が経過して滅んだように崩れ去っているのだ。とても三年前まで人が住んでいたとは思えない程の有様だ。

 

「………断言するぜ。どんな力がぶつかっても、こんな壊れ方はあり得ない。この木造の崩れ方なんて、膨大な時間をかけて自然崩壊したようにしか思えない」

 

「確かに三年でこの有様はおかしい。・・・しかしこれをやった

魔王はどうやって・・・」

十六夜はあり得ないと言いながらも目の前の廃墟に心地よい冷や汗を流し、八幡は

この光景に驚愕しながらも何かを考えていた。

飛鳥と耀も廃屋をみて複雑そうに感想を述べた

 

「ベランダのテーブルにティーセットがそのまま出ているわ。これじゃまるで、生活していた人間がふっと消えたみたいじゃない」

 

「………生き物の気配も全くない。整備されなくなった人家なのに獣が寄ってこないなんて」

二人の感想は逆廻よりも重く感じた。

黒ウサギは廃屋から目を逸らしながら朽ちた街路を進みだす。

 

「………魔王とのゲームはそれほどの未知の戦いだったのでございます。彼らがこの土地を取り上げなかったのは魔王としての力の誇示と、一種の見せしめでしょう。彼らは力を持つ人間が現れると遊ぶ心でゲームを挑み、二度と逆らえないよう屈服させます。僅かに残った仲間達もみんな心を折られ………コミュニティから、箱庭から去って行きました」

黒ウサギは感情を殺した瞳で風化した街を進んでいく。飛鳥と耀も複雑な表情で黒ウサギについて行き八幡は未だに何かを考えている。だが、十六夜だけは爛々と瞳を輝かせ不敵に笑っていた。

 

「魔王―――か。ハッ、いいぜいいぜいいなオイ。想像以上に面白そうじゃねえか………!」

 

その後五人と一匹は廃墟を抜け、徐々に外観が整った空き家が立ち並ぶ場所に出る。五人は水樹を設置するため居住区を素通りし貯水池を目指していると先客がいた。

 

「あ、みなさん!水路と貯水池の準備は調ってます!」

 

「ご苦労さまですジン坊っちゃん♪皆も掃除を手伝っていましたか?」

黒ウサギの声が聞こえると子供達がワイワイと騒ぎ出して黒ウサギの元に群がっていった。

 

「黒ウサのねーちゃんお帰り!」

 

「眠たいけどお掃除手伝ったよー」

 

「ねえねえ、新しい人達って誰!?」

 

「強いの!?カッコいい!?」

 

「YES!とても強くて可愛い人達ですよ!皆に紹介するから一列に並んでくださいね」

 

パチン、と黒ウサギが指を鳴らす。するとさっきまで黒ウサギに群がっていた子供達は一糸乱れぬ動きで綺麗に一列で並びだした。

人数は二〇人程で、中には猫耳や狐耳の少年少女もいた。

 

(マジでガキばっかだな。半分は人間以外のガキか?)

 

(仲良く出来ればいいが)

 

(じ、実際目の当たりにすると想像以上に多いわ。これで六分の一ですって?)

 

(・・・私子供嫌いなのに大丈夫かなぁ)

 

四人が各々の感想を心に呟く。

 

するとコホン、と仰々しく咳き込んだ黒ウサギが四人を紹介し始めた

 

「右から逆廻十六夜さん、久遠飛鳥さん、春日部耀さん、比企谷八幡さんです。皆も知っている通り、コミュニティを支えるのは力のあるギフトプレイヤー達です。ギフトゲームに参加できない者達はギフトプレイヤーの私生活を支え、励まし、時に彼らの為に身を粉にして尽くさねばなりません」

 

「あら、別にそんなの必要ないわよ?もっとフランクにしてくれても」

 

「そうだな。俺もそっちの方が楽なんだが」

 

「駄目です。それでは組織は成り立ちません」

黒ウサギは今日一番の真剣な表情と声で言った。

 

「コミュニティはプレイヤー達がギフトゲームに参加し、彼らのもたらす恩恵で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭の世界で生きていく以上、避ける事が出来ない掟。子供のうちから甘やかせばこの子供達の将来の為になりません」

 

「………そう」

 

黒ウサギが有無を言わせない気迫で飛鳥を黙らせる。

 

三年間実質コミュニティを一人で支えてきたのだからその厳しさ知ってるのだろう。

 

「此処にいるのは子供達の年長組です。ゲームには出られないものの、見ての通り獣のギフトを持っている子もおりますから、何か用事を言いつける時はこの子達を使ってくださいな。みんなも、それでいいですね?」

 

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

 

二〇人程の子供達が一斉に大声で叫ぶ。

 

「ハハ、元気がいいじゃねえか」

 

「そ、そうね」

 

「孤児院のみんなを思い出すな」

 

(ちゃんとやっていけるかなあ)

 

その大声に十六夜は大きく笑い八幡は苦笑、飛鳥と耀は複雑そうな表情を浮かべていた。

 

「さて、自己紹介も終わりましたし!それでは水樹を植えましょう!黒ウサギが台座に根を張らせるので、十六夜さんのギフトカードから出してくれますか?」

 

「あいよ」

水路自体は残っているが所々ひび割れが目立ち、砂が溜まっている。

 

「大きい貯水池だね。ちょっとした湖ぐらいあるよ」

 

『そやな。門を通ってからあっちこっち水路があったけど、もしあれに全部水が通ったら壮観やろうなあ。けど使ってたのは随分前になるんちゃうか?ウサ耳の姉ちゃん』

 

「はいな、最後に使ったのは三年前ですよ三毛猫さん。元々は龍の瞳を水珠に加工したギフトが貯水池の台座に設置してあったのですが、それも魔王に取り上げられてしまいました」

 

十六夜の目に輝きが出る。

 

「龍の瞳?何それカッコいい超欲しい。何処に行けば手に入る?」

 

これ以上この話題が不味いと思ったのか話を戻すためジンが話をもどす。

 

「水路も時々は整備していたのですけど、あくまで最低限です。それにこの水樹じゃまだこの貯水池と水路を全て埋めるのは不可能でしょう。ですから居住区の水路は遮断して本拠の屋敷と別館に直通している水路だけを開けます。此方は皆で川の水を汲んできたきたときに時々使っていたので問題ありません」

 

「あら、数kmも向こうの川から水を運ぶ方法があるの?」

 

飛鳥がふっと思った疑問を忙しい黒ウサギに代わってジンと子供達が答えた。

 

「はい。みんなと一緒にバケツを両手に持って運びました」

 

「半分くらいはコケて無くなっちゃうんだけどねー」

 

「黒ウサのねーちゃんが箱庭の外で水を汲んでいいなら、貯水池をいっぱいにしてくれるのになあ」

 

「………そう。大変なのね」

 

飛鳥はちょっとがっかりした顔をしている。

 

もっと画期的で幻想的なものを期待していたんだろうがそんなものがあれば水樹であんなにみんなが喜ぶはずがない。

 

「それでは苗のひもを解きますので十六夜さんは屋敷への水門を開けてください」

 

「あいよ」

十六夜が貯水池に下り、水門を開ける。

黒ウサギが苗のひもを解くと大波のような水が溢れかえり、激流になり貯水池を埋めていった。

水門の鍵を開けていた十六夜は驚いて叫ぶ。

 

「ちょ、少しマテやゴラァ!!流石に今日はこれ以上濡れたくないぞオイ!」

蛇神の所で散々ずぶぬれになった十六夜はあわてて石垣まで跳躍する。

 

「うわお!この子想像以上に元気ですね!」

その水樹の光景に八幡たちも感嘆の声を上げていた。

そこで飛鳥が思い出した様に黒ウサギに質問をする。

 

「黒ウサギ、私たちは何所の部屋を使うの?」

 

「それはあちらの館です!」

黒ウサギは正面にある建物をさす。

 

「わかったわ。じゃあ私たちは明日に備えて先に休むわね。お風呂が

沸いたら呼んでちょうだい」

飛鳥がそう言うと八幡達も黒ウサギに声をかけ館に入って行った。

 

 




はいどうもユキ擬きです!
中途半端な終わり方をして申し訳ないです。
次の話はノーネーム復興の計画とガルドとの決着で
終わると思います。
それでは次のお話で、さよなら!


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第八話

はいどうもユキ擬きです!
今回からあとがきで座談会みたいなものを書こうと思います!
それでは第八話です!どうぞ!



本拠に入った後十六夜と八幡、ジンはある一室に集まっていた。

 

「それで十六夜さん、八幡さん用って何ですか?」

 

「ああ、用っていうのは・・・おい十六夜、外になんかいないか?」

 

「わかってる、どうする八幡?」

 

「御引き取り頂くか。ジンも一応来い」

 

「は、はい」

そして三人は外に移動する。

 

「おい、早く出てこいよ。こっちは御チビと話終わらせて

 風呂に入りたいんだよ」

 

「十六夜コレ」

そう言って八幡はいくつかの石を十六夜に渡す。

 

「うっし、出て来ないならしょうがねえ・・なッ!」

ズドガァン!と軽いフォームからは考えられないデタラメな爆発音

が周囲に鳴り響き、その辺りにあった木々は吹き飛んでいた。

 

「な、何してるんですか!?」

ジンが慌てた様に問いただす。

 

「侵入者だよ。ホレ、見てみろ。フォレス・ガロの連中だろ」

八幡が指差した瓦礫の山の中から意識がある者が立ち上がり、八幡達を

見つめる。

 

「な、なんというデタラメな力・・・・・!蛇神を

倒したというのは本当の話だったのか」

 

「ああ・・・これならガルドの野郎とのギフトゲームに

 勝ってくれるかもしれない・・・・!」

十六夜は中々本題に入らない侵入者に早く話す様に促す。

 

「恥を忍んで頼む!我々の・・・・いえ、魔王の傘下であるコミュニティ〝フォレス・ガロ〟を完膚なきまでに叩きのめしていただけないでしょうか!!」

 

「嫌だね」

 

「断る」

 

十六夜のその言葉に八幡以外は全員絶句し、固まった。

一転して十六夜はつまらない顔になり、八幡も深い溜め息をついた。

 

 

「どうせお前らもガルドって奴に人質を取られてる連中だろ?命令されてガキを拉致しに来たってところか?」

 

「は、はい。まさかそこまでお見通しだとは露知らず失礼な真似を………我々も人質を取られている身分、ガルドには逆らうこともできず」

 

「ああ、その人質もうこの世に居ないぜ。はい、この話題終了」

 

「…………………なっ」

 

「ちょっと、十六夜さん!!」

ジンが慌てて割って入る。しかし十六夜は冷たい声音で返す。

 

「隠す必要あるかよ?お前らが明日のギフトゲームに勝ったら全部知れ渡るだろ?」

 

「そ、それにしたって言い方というものがあるでしょう!!」

そこで八幡が再び溜め息をつきジンに声をかける。

 

「少し落ち着けジン。確かに十六夜の言い方に思うことがあるのはわかる。

だがな、被害を増やしてきたのはこいつらなんだ。気を使う義理何てない。

しかもここの子供も攫おうとしおうとしてたんだ。そんなんだったら尚更だろ」

そこではっとジンは振り返る。もしも人質の為に

また新たな人質を攫っていたのなら・・・・・殺された人質の殆どは

彼らが殺したと言っても過言ではない。

そしてまた十六夜が喋り始める。

 

「悪党狩りってのはカッコいいけどな。同じ穴のムジナに頼まれてまでやらねえよ、俺は」

 

「そ、それでは本当に人質は!」

 

「…はい。ガルドは人質を攫ったその日に殺していたそうです」

 

「そんな………!」

侵入者は全員、その場で項垂れる。彼らは人質のために手を

汚してきたのに、人質がこの世に居ないと知った衝撃が大きいのだろう。

絶望に沈む彼らを見て、ふっと閃いたように十六夜は考える。

 

(魔王の傘下のゲスい悪党………もしかしてこれは使えるか?)

十六夜が新しい悪戯を思いついた子供のような笑顔で侵入者に話しかける。

そのとき八幡は十六夜の笑顔からこれから何をするのかを悟った。

 

「お前達、"フォレス・ガロ"とガルドが憎いか?叩きつぶされて欲しいか?」

 

「あ、当たり前だ!俺達がアイツのせいでどんな目にあってきたか………!」

 

「そうかそうか。でもお前らにはそれをするだけの力がないと?」

 

「ア、アイツはあれでも魔王の配下。ギフトの格も遥かに上だ。俺達がゲームを挑んでも勝てるはずがない!いや、万が一勝てても魔王に目を付けられたら」

 

「その"魔王"を倒す為のコミュニティがあるとしたら?」

「え?」と顔を上げる侵入者たち。ここというタイミングで

十六夜がジンの口を塞ぎながら引き寄せ喋り始める。

 

「ここにいるジンが魔王を倒すためのコミュニティを作ると言ったんだよ」

 

「モゴッ!?」

ジンは口を塞がれているためうまく喋れない。

侵入者一同含め、ジンも驚愕していた。それはこのコミュニティの趣旨と近いようでまるで違う。彼はコミュニティを守る事と、旗印を奪った魔王だけを倒すつもりでいた。しかし十六夜の説明は、全ての魔王を対象に活動するコミュニティだったからである。前例のないコミュニティに侵入者困惑して聞き直す。

 

「言葉の通りさ。俺達は魔王のコミュニティ、その傘下も含め全てのコミュニティを魔王の脅威から守る。そして守られるコミュニティは口を揃えてこう言ってくれ。"押し売り・勧誘・魔王関係御断り。まずはジン=ラッセルの元に問い合わせください"ってな」

 

「ッ!?」

ジンはついに目を見開くことしか出来なかった。

十六夜は勢いよく立ちあがり、十六夜はまるで強風を受け止めるように腕を広げ、

 

「人質の事は残念だった。だけど安心していい。明日ジン=ラッセル率いるメンバーがお前達の仇を取ってくれる!その後の心配もしなくていいぞ!なぜなら俺達のジン=ラッセルが"魔王"を倒すために立ち上がったのだから!」

 

「おお………!」

大仰な口調で語る十六夜。それに希望を見る侵入者一同。ジンは必死にもがくが

十六夜の力の前では無意味だった。

 

「さあ、コミュニティに帰るんだ!そして仲間のコミュニティに言いふらせ!俺達のジン=ラッセルが"魔王"を倒してくれると!」

 

「わ、わかった!明日頑張ってくれジン坊っちゃん!」

 

「ま………待っ………!」

ジンの叫びも届かず、あっという間に走り去っていった侵入者一同。腕を解かれたジンは茫然自失となって膝を折るのだった。

 

本拠の最上階・大広間に十六夜と十六夜を引きずって連れてきたジンは、堪らなくなり

大声で叫んだ。

 

「どういうつもりですか⁉︎」

 

「"魔王にお困りの方、ジン=ラッセルまでご連絡ください"————キャッチフレーズはこんなもんか」

 

「そんなんでいいんじゃねえか?」

 

「聞いてるんですか!それに全然笑えませんし笑い事じゃありません!魔王の力はこのコミュニティの入り口を見て理解したでしょう⁉︎」

 

「勿論。あんな面白そうな力を持った奴とゲームで戦えるなんて最高じゃねえか」

 

 

「お………面白そう?では十六夜さんは自分の趣味の為にコミュニティを滅亡に追いやるつもりですか?

あと何故八幡さんは十六夜さんをみて黙っていたんですか!」

 

「俺はちゃんとこいつ考えている事がわかってて黙っていたんだ」

二人は普段通りの態度でジンと会話をする。

十六夜は興奮しているジンに話しかけた。

 

「それに、これはコミュニティの発展に必要不可欠な作戦だ」

 

「作戦?………どういうことです?」

 

「先に確認したいんだがな。御チビは俺達を呼び出して、どうやって魔王と戦うつもりだったんだ?あの廃墟を作った奴や、白夜叉みたいな力を持つのが"魔王"なんだろ?」

 

「まず……水源を確保するつもりでした。新しい人材と作戦を的確に組めば、水神クラスは無理でも水を確保する方法はありましたから。けどそれに関しては十六夜さんが想像以上の成果を上げてくれたので素直に感謝しています」

 

「おう、感謝しつくせ」

 

「ギフトゲームを堅実にクリアしていけばコミュニティは必ず強くなります。たとえ力のない同士が呼び出されたとしても、力を合わせればコミュニティは大きくできます。ましてやこれだけ才有る方々が揃えば………どんなギフトゲームにも対抗できたはずです」

 

「期待一杯、胸一杯だな」

八幡と十六夜は全く悪びれた様子はなく、ジンは我慢できずに口調を崩して叫ぶ。

 

「それなのに………それなのに、八幡さんと十六夜さんは自分の娯楽の為だけにコミュニティを危機に晒し陥れるような真似をした‼︎魔王を倒すためのコミュニティなんて馬鹿げた宣誓が流布されたら最後、魔王とのゲームは不可避になるんですよ⁉︎そのことを本当に貴方達は分かっているんですか⁉︎」

 

ジンは大広間の壁を強く叩く。そんなジンを見つめる八幡と十六夜は侮蔑の目を向ける。

 

「俺はお前がしっかり考えていると思ってこのコミュニティに入ったんだが。なあ十六夜?」

 

「ああ、呆れた奴だ。そんな机上の空論で再建がどうの、誇りがどうのと言ってたのかよ。失望したぜ御チビ」

 

「な、」

 

「ギフトゲームに参加して力を付ける?そんなもん大前提だ。俺らが聞いているのは魔王にどうやって勝つかだ」

 

「だ、だからギフトゲームに参加して力を付けて」

 

「じゃあ前のコミュニティはギフトゲームに参加して、力を付けなかったのか?」

 

「そ………それは」

ジンは言葉に詰まる。

 

「加えて聞くが、前のコミュニティが大きくなったのはギフトゲームだけだったのか?」

 

「………。いえ」

コミュニティを支えるのは強大なギフトと強大なギフト保持者だ。

そんな者が名も旗印が無いコミュニティに籍を置きたい訳が無いのだ。

 

俺達には名前も旗印も無い。コミュニティを象徴出来る物が何一つないわけだ。これじゃコミュニティの存在は口コミでも広まりようがない。だからこそ俺達を呼んだんだろ?」

 

「……………」

 

「今のままじゃ物を売買するときに、無記名でサインするのと大して変わらねえ。"サウザンドアイズ"が"ノーネーム"を客として扱わなかったのは当然だろうよ。"ノーネーム"ってのは所詮、名前の無いその他大勢でしかない。だから信用すると危険なんだ。そのハンディキャップを背負ったまま、おまえは先代のコミュニティを超えなきゃいけないんだぜ?」

 

「先代を……超える………⁉︎」

ジンはかなづちで頭を叩かれたような気がした。この箱庭の都市で一目置かれるほど強大だった、先代のコミュニティ。才も乏しく、身の上と成り行きでリーダーになったジン"打倒魔王"と口にする事はあっても、八幡と十六夜の言葉こそ目を逸らし続けていた現実なのだ。

 

「その様子だと、何も考えていなかったんだなオマエ」

 

「・・・・・・っ」

ジンは悔しさと、言葉にした責任で顔が上げられなかった。

そんな八幡が微笑みながらジンの顔を覗き込み優しく語りかけた。

 

「ジン、此処まで言えば今までコミュニティを支えてきたお前なら

分かるだろ?」

 

「え・・・?あ、そうか!売る名や旗印が無いなら!」

 

「気づいたようだな」

 

「まあ及第点って所か」

二人はジンに向かって再び笑顔を向ける。

 

「お二人は最初からこれを狙って」

 

「ああ、良い作戦だろ?」

 

「さすが十六夜だな。本当に、こういう時は頼もしいんだから」

 

「俺はいつも頼もしいだろ・・・ってそうじゃなくて

御チビ、噂を広めるにはインパクトが足りない。だからジン=ラッセルという少年が"打倒魔王"を掲げ、一味に一度でも勝利したという事実があれば———それは必ず波紋となって広がるはずだ。そしてそれに反応するのは魔王だけじゃない」

 

「そ、それは誰に?」

 

「同じく"打倒魔王"を胸に秘めた奴らに、だ」

惜しくも魔王に敗れ去った実力者が、打倒魔王を胸に秘めている可能性が高い。ジンは想像もしていなかった作戦に胸を高鳴らせていた。

 

「僕の名前でコミュニティの存在を広める………」

 

「そう。今回の一件はチャンスだ。相手は魔王の傘下、しかも勝てるゲーム。被害者は数多のコミュニティ。ここでしっかり御チビの名前を売れば」

 

魔王の傘下に苦しむコミュニティに恩を売れば、水面下で徐々に噂は広がっていくだろう。

 

「ま、ジンが懸念するような他の魔王を引き寄せる可能性は大きいだろうが、魔王を倒した前例があるようだし、それに俺や十六夜達がいるからな」

 

「だが今のコミュニティに足りないのは人材だ。俺ら並みとは贅沢言わないが、せめて俺の足元並みは欲しい。けど伸るか反るかは御チビ次第。他にカッコいい作戦があるなら、協力は惜しまんぜ?」

彼らの作戦は筋が通っていた。だから賛成するのは簡単だが、大きな不安要素があるのも忘れてはならない。それを踏まえた上で、ジンは条件を出す。

 

「一つだけ条件があります。今度開かれる"サウザンドアイズ"のギフトゲームに、十六夜さん達二人で参加してもらってもいいですか?」

 

「それは俺らの力を見せろってことか?」

 

「それもあります。ですが理由はもう一つあります。このゲームには僕らが取り戻さなければならない、もう一つの大事な物が出品されます」

 

名と旗印に匹敵するほど大事な、コミュニティの宝物。

 

「まさか………昔の仲間か?」

 

「はい。それもただの仲間ではありません。元・魔王だった仲間です」

十六夜の瞳が光る。軽薄な笑いには凄みはが増し、危険な香りのする雰囲気を漂わせ始めた。

 

「へぇ?元・魔王様が昔の仲間か。コレの意味する事は多いぜ?」

 

「はい。お察しの通り、先代のコミュニティは魔王と戦って勝利した経験があります」

 

「そして魔王の隷属させたコミュニティでさえ滅ぼせる———仮称・超魔王とも呼べる超素敵ネーミングな奴も存在している、と」

 

「そ、そんなネーミングで呼ばれてません。魔王にも力関係はありますし、十人十色です。白夜叉様も"主催者権限"を持っていますが、今はもう魔王と呼ばれていません。魔王とはあくまで"主催者権限"を悪用する者達の事ですから」

"主催者権限"そのものは箱庭を盛り上げる装置の一つでしかなかった。それを悪用されるようになって"魔王"という言葉が出来たのだとジンは語る。

 

「ゲームの主催者はその"サウザンドアイズ"の幹部の一人です。僕らを倒した魔王とは何らかの取引をして仲間の所有権を手に入れたのでしょう。相手は商業コミュニティですし、金品で手を打てればよかったのですが………」

 

「貧乏は辛いってことか。とにかく俺らはその元・魔王様の仲間を取り戻せばいいんだな?」

 

「はい。それが出来れば対魔王の準備も可能になりますし、僕も十六夜さん達の作戦を支持します。ですから黒ウサギには内密に……」

 

「あいよ」

 

「わかった」

十六夜が席を立ち、大広間の扉を開けて自室に戻る時、ふと閃いたようにジンに声をかけた。

 

「明日のゲーム、負けるなよ」

 

「はい。ありがとうございます」

 

「負けたら俺、コミュニティを抜けるから」

 

「はい。………え?」

 

そう言って十六夜は大広間から出ていく。

八幡もジンに声を掛ける。

 

「安心しろ。俺がいる限り負けさせないから。だが気合い入れろよジン!」

 

「はい!」

バタンと扉が閉まる。

ジンの目にはもう迷いは無かった。




あとがき座談会のコーナー!

ユ「今回は初回なので十六夜さんをゲストとして八幡さんと私、ユキ擬きでやっていきます!」

八「始める前に、おい作者なんで八話から座談会をしよう!なんてなったんだ?
まあ予想はついてるが」

ユ「それはもちろんこの作品の重要なキャラの八幡さんの「八」にあやかってです!」

十「だと思ったぜ」

ユ「さあ、理由も分かったところで本編の話をしましょう。
今回の話はジン君が決意を固めましたね!」

十「あそこで逃げてたらマジでコミュニティ抜けてたぜ」

八「まあ、最終的に気合い入れ直したから良いんだがな。
あ、そういえば前回のあとがきでガルドとの決着て書いてなかったか?」

ユ「いやー、結構長くなってしまって体力が無くなりました。
            次こそは書くので許してくだしゃい!」

十「何で最後噛むんだよ。八幡かよ」

八「十六夜やめろ。結構それ傷つくんだぞ。まあいいや
次何の話をするんだ、作者?」

ユ「えー、次は何で私がコレを書こうかと思ったかです。」

十「確かにこれ言っとかないとまた読者がなんだこの八幡?ってなるからな」

ユ「はい、まず第一の理由がこの両方の作品が好きだからです。
次に結構自分勝手な理由何ですが十六夜たちと関わったらどんな
性格に何るのかなあ、と考えてみて思いついたのが「自分で書けば良いじゃん!」
となったからです。コレにより皆さんに八幡ぽくないと言われる
理由だと思います。でも多少は斜に構えたり捻デレっぽさも加えて行こうと思います。」

八「まあ、作者のおかげで十六夜とかに会えたからな。
感謝はしてる」

ユ「おっとこれは早速捻デレかなー(笑)」

八「うっせ」グッシャ

十「おおー、見事につぶれたな」

ユ「十六夜さんも笑ってないで助けてくださいよー」

十「だが断る!」

ユ「ひ、酷いっ!」

八「もう理由は無いのか?」

ユ「いえ、最後にこれが一番の理由だっていう物があります。
もうこの際だから言ってしまいますが小町を焰たちと絡ませたかった
からです!」

八「へー・・・ってはあああああぁぁぁぁ!?」

十「おいおい、驚きすぎだぜ八幡。まあ俺も少しびっくりしたが。
というか今の更新速度で出せるのか?」

ユ「まあそこは何とか頑張ります!
今回は初回なので此処まで!
それでは終わりのあいさつをしますよー」

十「おう!」

八「ああ」

十・八・ユ「「「次の話もぜひ見てくれ(ください)!!!」


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第九話

どうもユキ擬きです!
更新遅れてしまい申し訳ありません!
これからどんどん描こうと思います!
それでは9話です、どうぞ!


ガルドとの決戦の朝八幡はジンと話していた。

 

「なあ、ジン。誰も使ってない武器ってあるか?」

「武器ですか?それなら武器庫にあると思います。案内しましょうか?」

「ああ、頼む」

二人は武器庫に会話をしながら向かった。

 

「使う武器種は決めたのですか?」

「いや、まだ決めてないんだがな・・・・」

「得意な武器とかはあるんですか?」

「一番は刀がいいが、だいたいの武器は使えるな」

「だいたいの武器を使えるんですか!?ここに来る前は何をして

いたんですか?」

「さすがに暗殺器とかは使えないが、とある事情でずっと鍛えていたからな・・

・っと、ここが武器庫か?ジン」

「え?ああ、はいそうです」

ジンは会話に夢中で反応に遅れてしまっていた。

 

「とりあえず刀を探してくれないか?できれば小太刀がいいな」

「なぜ小太刀なのですか?」

「そっちの方が小回りが効くからな」

「なるほど。う〜ん小太刀ですか・・・」

ジンと八幡は武器庫を手当たり次第に漁っていた。数分後ジンは

申し訳なさそうな顔で八幡に話しかけた。

 

「すいません、八幡さん小太刀は見つからなかったの

で代わりと言っては何ですが一番短いのを持ってきました」

「いや、サンキューなジン。小太刀が良いつったのは俺の

わがままだ。だから今回はそれで大丈夫だ」

「ありがとうございます!それではこれをどうぞ」

ジンが差し出した刀は約80センチほどの美しい太刀だった。

 

「って、これ天下五剣の中でも一番美しいといわれてる宝刀の

三日月宗近じゃねえか!」

「え!?そんなにすごい刀なんですか!」

「足利義輝っていう将軍が松永久秀と三好三人衆っつー奴ら

に襲撃された時に使った刀なんだよ。てか何でこんな名刀が

ここにあったんだ?」

「前にも言った通りうちのコミュニティは元はすごかったんです。

だからその時何かのギフトゲームで手に入れたのでしょう」

「こんなすごいのを武器庫に置いとくとかお前らの元のコミュニティ

どんだけすごいんだよ・・・・・おい、ジン」

「は、はい」

「これはまた気合入れ直さないと先代のコミュニティを

超えるのは難しいみたいだな。そのためにも今回のギフトゲーム絶対

勝つぞ」

「はい!」

その後二人は黒ウサギたちと合流し、ガルドのところへ

向かった。

その数分後ガルドの拠点が見えてきたのだがどうも様子がおかしかった。

 

「おいおい、こりゃどういう事だ?まるでジャングルだぞ」

十六夜は邪魔な木々を折りながら忌々しげに呟いた。

 

「昔はこのようにはなっていなかったはずなのですが・・・・・。

これはまさか鬼化してる・・・・?」

「ジンくん、ここに契約書類(ギアスロール)があるわよ」

ジンが此処らの木々について考察していると飛鳥から声が上がった。

その契約書類をジンは受け取り読み上げた。

 

 

『ギフトゲーム名“ハンティング”

 

 ・プレイヤー一覧 比企谷八幡

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          ジン=ラッセル

 

 ・クリア条件 ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐。

 

 ・クリア方法 ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。指定武具以外は“契約ギアス”によってガルド=ガスパーを傷つける事は不可能。

 

 ・敗北条件  降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

 ・指定武具  ゲームテリトリーにて配置。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

                               “フォレス・ガロ”印』

 

「ガルドの身をクリア条件に・・・指定武具で打倒!?」

「こ、これはまずいです」

ジンと黒ウサギは内容を見て驚愕していた。

 

「そんなにこのゲームは危ないの?」

飛鳥が不安そうに聞く。

 

「いえ、ゲーム自体は単純ですが問題はこのルールです。このルールだと飛鳥さんのギフトで彼を操ること八幡さんの刀や耀さんのギフトで傷付ける事も出来ないことになります」

 

「つまりその指定武具ってやつじゃなければ奴に干渉できないと?」

「は、はい。その通りでございます」

「すいません。僕の落ち度です。こんなことならその場でルールを決めておけば・・・」

黒ウサギは耳へにょらせ、ジンは見るからに落ち込んでいた。

 

「別に気にすんな、俺たちだってルールを決めることについて何も

言わなかった。だから自分だけを責めるなよ。」

「うん、私たちも同罪」

「そうね。それに失敗したなら次に生かせばいいじゃない」

三人は優しくジンを慰め微笑んだ。

 

「みなさん・・・ありがとうございます!それでは早速ガルドの屋敷へ

向かいましょう!」

「ジンくん何故ガルドのところへ向かうの?」

飛鳥はジンに疑問をぶつける。

 

「もし自分ならすぐに見つかる可能性がある森より自分の

ところにあったほうが安全だからです」

「なるほどな、御チビにしては考えたじゃねえか」

「そうとわかれば早くガルドのところへ向かうぞ」

こうして八幡たちのギフトゲームが始まった。

 

 

 

 




あとがき座談会のコーナー!
ユ「はいどうもユキ擬きです。ゲストは前回と同じ十六夜さんで座談会をはじm八「おい作者」
 ・・・は、はいどうされたんですか八幡さん?い、十六夜さんも何故そんなに睨んで?」
八「どうしたも、こうしたもねえだろ!なんでこんなに
投稿遅れてんだ?あぁ!?」
ユ「ふえぇぇ!助けて十六夜さん!」
十「うっせえ自業自得だろうが!」
ユ「だって受験が・・・」
八「受験終わってから何日経ってんだよ!10日だぞ!?10日!」
ユ「しょうがないじゃないですか!受験終わってから
テンション上がってゲームばっかりしてたんですよ!悪いですか!」
八「悪いわ!何逆ギレしてんだてめぇ!」
十「まあ落ち着け二人とも、おい作者これで落ちてたらどうなるかわかるよな?」
ユ「フッフッフッ、なんと!第一希望に合格しました!」
八「なん....だと.....」
十「予想外だぜこれは...」
ユ「二人ともひどくありません?まあ、そんなことより
本題に戻しましょう!」
八「そういやなんで今回こんなに短いんだ?」
ユ「ただ私が力尽きただけです」
十「飛ばすぞ」
ユ「すいません!」ドゲザ
八「今回の座談会言うことそんなにないのか?」
ユ「はい、まあそうですね・・・・・いや!忘れてましたよ!
  刀ですよ刀!」
十「そういえば八幡が設定にはない刀持ってたな」
八「どう言うことなんだ作者?」
ユ「はい、これはたまたま材なんとか君が設定のベースにしてる
義輝ってどう言う人かなって調べた時にこれはいい刀だ!、と思い勢いで
ぶっ込みました!」
八「でも理由はこれだけじゃないんだろ?」
ユ「もう一つの理由は十六夜さんは力だとしたら八幡さんは技かなって
思っていろんな武器をつかえるようにしました」
十「八幡がどんどんチート化してんな」
ユ「いやまあ、他の方のssを拝見するともっと上のチートがいたので
ま、大丈夫っしょと思ってやりました」
八「適当だな・・・。まあ今回はこれで終わりか?」
ユ「そうですねー、もう伝えることは伝えた気がします」
八「そんじゃ、最後の挨拶やるか、せーのっ」
ユ・八・十「次もまた見てくれ!(ください!)」



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第十話

どうも入学前の課題が面倒いなと思っているユキ擬きです。
全然話が進まないですね。←自分のせい
でもコツコツ頑張ろうと思います!
そう言えばFGOをやっているんですが沖田さん
当たりました!悠木さんの声最高です!
それでは十話です、どうぞ!



八幡達は耀がガルドの影が見えたという屋敷に向かっていった。

八幡と耀は先行して行く手を阻む蔓を切って進んでいた。

「それにしても本当に邪魔だなこの蔓。無駄に硬いし」

「本当だね切っても切ってもキリがないよ」

「お二人に任せっきりになってしまいすいません」

「確かに二人にばっかり負担をかけるのは申し訳ないわ」

「大丈夫だよ、私たちがやるって言ったんだから」

「耀の言う通りだ、自分の出来ることをしてるだけだからな

適材適所ってやつだ。ん?お前ら見てみろガルドの屋敷が見えてきたぞ」

 

八幡がそう言い前を見るように促すと、蔓に覆われた屋敷が見えてきた。

「近くで見ると余計に禍々しいわね」

「そうですね、ですがここで止まっていられないです。みなさん

行きましょう!」

 

ジンの一言で警戒しながらも四人はガルドの屋敷に入った。

「罠はないっぽいな。耀は何か感じるか?」

「いや、大丈夫。それよりも獣の匂いが一切しない」

「そうか、分かった。それじゃここで役割分担しよう」

「分担ですか?」

 

ジンは訝しむような目で八幡を見る。

「ジン、飛鳥、二人にはここで出口を守りながら俺と耀が武器を

取ってくるまで待ってほしい」

「そういうってことは私たちがトドメを刺していいのかしら?」

「ああ、その認識で構わない」

「八幡、なんで私たちでトドメを刺しちゃダメなの?」

「それはだな、恐らくというかほぼ確実にガルドが鬼化していて、

さらに契約で俺や耀のギフトが効かないから攻撃する隙を作る

ことが出来ないからだ」

「じゃあなんで飛鳥さんにトドメを任せるんですか?」

「多分飛鳥なら隙を作りつつトドメ刺すことができるからだ」

「どういうこと八幡?」

「多分飛鳥のギフトならあの蔓を操ってガルドを縛ることが出来るんじゃ

ないかと思ってな」

「なるほどね。つまり八幡くん達が武器を

持ってきたら蔓でガルドを拘束そしてトドメを刺す、ということね」

「ああ、それで大丈夫だ。それじゃあ作戦開始だな。まず耀、ガルド

はどの部屋にいたんだ?」

「二階の端の部屋だよ」

「よし、それじゃあ行くぞ」

「うん」

 

そして八幡と耀はガルドのいる部屋の前に立つ。

「行くぞ耀。俺がガルドを抑える、耀は指定武具を取ってくれ」

「分かった、無理しないでね八幡」

「耀も無茶すんなよ。よし、行くぞ!」

 

八幡が勢いよく扉を開けるとガルドが狂ったような声を出しながら二人に

襲いかかるも八幡がギリギリで刀で抑える。

「ぐっ!耀!早く指定武具の回収を頼む!」

「任せて!」

 

ガルドは指定武具を取ろうとする耀を狙うがすぐに

八幡に阻まれる。

「お前の相手は俺だぞ!らッ!」

 

八幡がガルドの攻撃をいなし続けていると耀から声が上がる。

「八幡!武器とれたよ!」

「ナイスだ、耀!扉を開けといてくれっ!」

「分かったよ!早くきてね!」

 

耀は八幡の指示の通りに扉を開けたまま撤退した。

「よし!じゃあなエセ虎野郎!」

「GYAAッ!!!」

 

八幡はガルドを蹴りその勢いを利用し部屋から脱出し、

飛鳥達と合流した。

「八幡(君)(さん)!」

 

三人が心配そうな顔で八幡に近づく。

「大丈夫だった?怪我してない?」

「怪我もしてないし大丈夫だ」

「そっか、良かった」

「心配してくれてありがとな。ガルドがこっちに

くるかもしれないから一回外に出よう」

「分かった」

「そうね、でもガルドが屋敷から出なかったらどうするの?」

「その時は館を壊すなり燃やすなりすればいいだろ」

「それもそうね」

 

 

屋敷にいたガルドは自分の館の変化に気付き始めた。

屋敷が燃えている、それを即座に感じ取ったガルドは外にでる。

そして出た先には敵であるノーネームの面々がいた。ガルドは見境なく

四人に飛び掛かろうとするがいつの間にか蔓に体を拘束されていた。

蔓を千切ろうと必死に足掻くが解けないどころかどんどんと拘束はきつくなっていく。

すると飛鳥がガルドの前に立ち言葉を紡ぎ始める。

「知能があれば勝てたかもしれなかったのにね・・・・。

          でもまあ、その姿のあなたの方が素敵だったわ」

 

飛鳥がガルドの喉元を銀の十字剣で突き刺すとガルドは

灰となり森に生い茂っていた蔓が徐々に消えていった。

それと同時にギフトゲームが終わったことを知らせる黒ウサギの声

が森に響いた。こうしてガルドとのギフトゲームが終了した。

 

このギフトゲームが終了した後ガルドの傘下だったコミュニティ

がノーネーム本拠に集められていた。

その裏でジンは不安に駆られていた。

「昨夜の作戦……僕を担ぎ上げて、やっていけるのでしょうか?」

「他に方法は無いと思うけどな。御チビ様が嫌だと仰るのなら、止めるぞ?」

「いえ、やっぱりやります。僕の名前を全面に出すという方法なら、万が一の際にみんなの被害も軽減出来るかもしれないですし。僕でも皆の風よけぐらいにはなれるかもしれない」

「そうか・・よし、そんじゃ腹括れよ御チビ」

 

そしてジンと十六夜がガルドの被害者達の前に立ちギフトゲーム

のことを報告すると全員大声をあげ喜んだ。

しかしここで一人の男がジンに質問する。

「1つお聞きしたいことがあるのだが・・・・」

「なんでしょう?」

「私たちはこれからあなた方ノーネームの方々の傘下になるのだろうか?」

 

この質問により一瞬にして辺りは静まった。

それもそうだろう。自分のコミュニティが旗印や名前のないノーネーム

の傘下につくかもしれないのだから。

この質問にはジンは顔が強張った。

助けて貰いながら感謝の言葉を口にするでもなく、失意の思いを口にされた。

とても歯がゆい。

「今より“フォレス・ガロ”に奪われた誇りをジン=ラッセルが変換する!代表者は前へ!」

 

十六夜が高らかに宣告する。

一気に人々の的になる十六夜とジン。

十六夜がらしくない物言い続ける。

「聞こえなかったのか? お前達が奪われた誇り――“名”と“旗印”変換すると言ったのだ!コミュニティの代表者は前へ!列を作れ!“フォレス・ガロ”を打倒したジン=ラッセルが、その手でお前達に返還していく!」

「ま、まさか」

「もう、諦めていたのに……」

「俺達の旗印が返ってくるのか……!?」

 

被害者達がどよめき一斉にジンに群がった。

またも十六夜は声を張り上げ全員に呼びかけた。

「列を作れと言ったんだ!それができないのならお前らはガルドと同じ

品性のない獣と同じだぞ!」

「おい御チビ、流れは作ってやったんだ後はうまくやれよ」

 

十六夜はジンから離れ八幡のところに向かった。

八幡は十六夜に気付き話しかける。

「お疲れ、十六夜」

「ああ、本当に疲れたぜ。声を上げるだけこんな疲れるとはな」

「それより、飛鳥見てないか?ガルド倒した後にどこかに行ったまま

姿を見せなくてな」

「そうか、そんで何で俺に話したんだ?」

「俺は飯作りがあるから探しに行ってもらおうかと思ってな」

「なるほどな、分かったちっと探してくる」

「悪いなあとでお前の好きなやつ作っとくから」

「そいつは楽しみだ、んじゃ行ってくる」

 

十六夜はいろんなところを探し、ノーネーム本拠の裏のところで

飛鳥を見つけた。

「おっ、いたいた。おーいお嬢様」

「あら、十六夜君。どうかしたの?」

 

飛鳥は明らかに元気が無く、無理に笑っているようだった。

「何か、悩みでもあんのか?」

「ええ、まあ・・・・」

「そうか、無理に聞こうとは思わんが吐いちまった

方がいいこともあるぜ」

「そうね、それじゃあ聞いてもらおうかしら」

「ああ、聞いてやるよ」

 

飛鳥は最初は話すのに迷っていたが徐々に喋り始めた。

「ガルドを殺した時はこんな外道死んで当然、って思っていたのだけど

いざ自分がガルドの命を奪ってしまったと自覚するといくら外道でも

命を奪うということをした私は正しかったのかなって思ってしまったの」

 

飛鳥が喋り終えると黙って聞いていた十六夜が喋り出す。

「そうか・・・。俺は気の利いた言葉とかは言えねえ

けど、今みたいに話を聞いてやるくらいはできる。

だからこれからはもう一人で抱え込まなくていいぜ」

「ありがとう・・・十六夜君・・・」

「大したことはしてねえよ」

「それでも・・・ありがとう・・」

「そうか・・・」

 

すると飛鳥は十六夜の手を握る。

「ちょっとの間・・・・貸してくれる・・・」

「ああ、好きなだけ貸してやる」

「・・・っ・・ありがとう」

 

飛鳥の声は震えており、十六夜も手の甲に液体が落ちる感覚から

飛鳥が泣いていることを察した。

30分ほど経ったころ飛鳥が手を離し十六夜を見る。

「どうした、お嬢様もういいのか?」

「ええ、ありがとう十六夜君。随分と楽になったわ」

「そうか、それじゃあ八幡が飯作って待ってるし帰るか」

「それは楽しみね、さあ行きましょうか」

 

二人は本拠に歩いて帰った。いつもより近い距離で・・・

 

 

 




あとがき座談会のコーナー!
ユ「はい今回の座談会は十六夜さんではないゲストの方をお呼びしました」
八「おっ、今回は十六夜じゃないのか。誰が来るんだ?」
ユ「今回はこの方です!どうぞー!」
耀「どうも、春日部耀です」
ユ「はい!今回はゲストとして耀さんに来てもらいました!」
八「よろしくな、耀」
耀「うん」
ユ「耀さんと言えば八幡さんのヒロi八「ちょっと黙れ、作者」
あれれ〜照れちゃっt八「フッ!」・・ゴフッ!」
八「耀今のは気にすんな、続けるぞ」
耀「う、うん。でもほっといていいの?」
八「すぐ復活するから大丈夫だ」
耀「分かった」
ユ「二人ともひどくない!?・・・まあ自業自得
何ですが・・・。それより今回は十六夜君にフラグ立ててもらいました!」
八「結構他のでもこういう展開みtユ「シャラップ!」・・分かったよ」
ユ「これぐらいしか今んとこ立てようがなかったんです」
耀「まあ、作者の言い訳は置いといて次の話はどうするの?」
ユ「次は八幡君の新たな武器というか設定にもあった村雨を入手
する話にしたいと思います」
八「刀が二本ってことは二刀流ってことか」
ユ「そうですね、個人的に刀に二刀流ってロマンがあって
好きなんで」
耀「作者、今回はこれでお終い?」
ユ「いえ、最後に一つ私のことではないのですが・・・・・
    竜ノ湖太郎先生ラストエンブリオ第4巻発売決定おめでとうございまーす!」
八「そういやそうだったな、俺らも早く今の話まで追いつかないとな」
耀「そうだね、ということで作者頑張れ」
ユ「まだまだ遠い先のことでありますがやれるところまでやりたいと
思います!それでは今回はこれで終わりです!」
耀「せーの」
ユ・八・耀「「「また読んでくれ!(ね!)(ください!)」」」


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