傷だらけの憧れ (時雨日和)
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第1話 2人目の男子
本当にまだISを見始めて日が浅いのでキャラを掴めておらずキャラ崩壊などがあると思いますので、私の作品でおなじみのキャラ崩壊にはご注文下さい。
IS学園、ISに乗る生徒を育成する学校。その1年1組
「ええと、今日は転校生を紹介します」
今回で何回目かになるこのクラスへの転校生。みんなもまたかというような表情をしている。
「それでは入ってきてください」
その声に従い入ってきたのは、肩あたりまで伸びたさらさらとした金髪、目は凛々しく鋭い、瞳は紫色をしていて首にはチョーカーがしてある。そして極めつけなのが男子の制服を着ていること。
その生徒は生徒達の方を向く。鋭い目が辺りを見渡していて目が合う女子生徒はそれに怯えるような感じがしている。そして、深呼吸を小さくしてから切り出した。
「今日からここに転校して来ました。シャルル・ディオスです。とある事情で最近ISに乗れる事を知りある人の誘いとお陰でここに来ることになりました。そして、この目つきが悪くて…皆さんに怖がらせるような事をしてしまい申し訳ありません」
と、自己紹介と謝罪をした時
「きゃああぁぁぁ!!」
という黄色い歓声が響き渡った。
「なにこのイケメン!!」
「超紳士的!!かっこいい!!」
などという声が次々と上がり、シャルル自体はあははと笑いながらその様を眺めるのみだった。すぐに織斑先生に鎮められ席に着く時シャルルとシャルロットの目が合った。
「っ!?」
その時シャルロットの肩はビクッと反応した。何故という理由が思いつかない。本当に本能的なものだった。
「どうかしたのか?シャルロット」
シャルロットの隣の席のラウラが心配したのか声をかけてくる。
「う、ううん、大丈夫だよ」
「そうか?」
そしてシャルルは空いている席であるラウラの隣に座る。
そのまま授業が始まり、滞りなく授業が終わり休憩時間になりシャルルの席に一夏が近づいていった。
「よお、シャルルだったな。俺は織斑一夏だよろしく」
「ああ、知っているよ。僕にとって君は男子IS操縦者としては先輩だからね。よろしく頼むよ一夏」
と、2人は握手をした。
「私はセシリア・オルコットですわ。よろしくお願いしますね、シャルルさん」
「僕はシャルロット・デュノアだよ」
「私はラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「おーい、箒もシャルルに挨拶しておけよ」
「わ、わかっている。私は篠ノ之箒だ」
と専用機持ちの面々が自己紹介していく。
「ああ、みんなよろしく。僕も専用機持ちだからきっとみんなの事を頼ると思うからよろしく頼むよ」
その一言にクラスの全員が驚きの声をあげた。
「え!?お前専用機持ちなのか?!」
「ほ、本当ですの?シャルルさん!」
「本当だよ。このチョーカーがそうだよ」
と、首を指さす。
「まさか専用機持ちとはな」
「シャルルはどこかの国の代表なの?」
「いや、僕は代表生徒じゃないよ。さっきも言った通りとある人の誘いとお陰でここに来たんだ。それに、僕はフランス人だよ」
「なるほど、何かシャルと似てるなと思ったら同じフランス人だったからなのかもな。それにシャルが男装していた時と同じ名前だしすげぇ偶然だな」
「そうだね、確かにすごい偶然だ」
とシャルルは小さく笑った。
その後はすぐに授業を受け、IS訓練が始まる。
「よし、シャルル着替えに行こうぜ」
「ああ」
と2人で教室を出ると、やはりというか予想通りというか、シャルロットの時と同じように他のクラスの人達がシャルルを見ようと教室の前に来ていた。
「キャー!!ほんとにイケメン!!」
「一夏君と一緒にいるわ!」
「2人一緒だと映えるわ!!」
案の定である。
「あはは、本当に凄いんだな」
「まあな、男ってだけでも結構な騒ぎになるからな。それに足してお前めちゃくちゃイケメンだし」
「そんな事はないはずなんだけどなぁ。とにかく急ごう」
「そうなんだが…どうやって通るよ」
シャルルがおもむろに女子の壁の前まで行き、ニコリと笑ったあと
「ごめんね、僕達これから着替えなきゃならないから通してもらえるかな?そうじゃなきゃ困るんだ」
「キャー!!!!」
という黄色い歓声とともに全員が道を開けた。
「何ていうか…すげぇな」
「みんなが優しいだけだよ」
こうして2人で更衣室に向かい、着替え始めた。
「なあ、お前本当に男だよな?」
「ん?そうだけどそれがどうし…ああ、そういえば前例があったんだったね。大丈夫僕は正真正銘男だよ」
「そうか、そうだよ…な?!」
一夏はシャルルがインナーシャツを着る時にシャルルの体にとても大きな縫い傷のようなものが見えたような気がした。
「ん?どうかした?」
「え?い、いや…なんでもない」
「そうか?なら急いで着替えよう。遅れたら大変だ」
「ああ…なあ、お前って何か手術とかって受けた事あるのか?」
「ん?まあ、受けたと言われれば受けたことにはなるのかな。それがどうかした?」
「だって…お前…」
一夏が見たのは気のせいではなかった。男子のISスーツは腹部が露出している仕様だ。そのためシャルルの体にいくつもの縫い傷やツギハギがあるのがわかる。
「ああ、これか…後で話すよ。必ず…その時はある人も一緒に」
とても含みのある言葉を残し、一夏は疑問を残しながら2人でグラウンドへと向かった。
とりあえず一応試作段階な部分もあるのですが書いてみました。とりあえずご意見やご指摘などありましたらよろしくお願いします。
一応もう1話あげてISのお披露目もしておきたいとは思っています。
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第2話 見たことの無いIS
一応この話友達に話して見たところ似たような設定のssがあるようなのですが、本気で私はこの設定を考えるまでISのssを読んでおりませんでした。
ただ、本当に被っている部分等ありましたら本当に申し訳ありません。
時間前にグラウンドに集まった2人。ただ、ヒソヒソと話すような声が聞こえるが小さすぎて2人には聞こえていない。
そしてすぐに織斑先生が来て訓練が始まる。
「よし、全員集まっているな。それではまず実力を確かめる。織斑、ディオス、前に出ろ」
「「はい!」」
2人が出ていくとまたヒソヒソと話声がする。
「騒ぐな。良い機会だ、全員ディオスのISを見ておけ。ただ、これからに参考になるかはわからんがな。ではISを展開させろ」
一夏が専用のIS『白式』を展開させる。そしてシャルルも展開させるがその見た目は一言で特徴を表すのなら小さい。緑と黒のフルアーマー型で体にそのままスーツ型のように装着し、背中には鳥のような翼のカスタム・ウイングがあり、手には1本のナイフのようなものを持っている。
「なに?このIS…」
「見た事ありませんわ…」
「シャルル、そのIS…」
「きっと普通では見た事がないだろうね。でもこれが僕の専用機『アスピラション』だよ。一夏でも僕は負けないよ!」
「くっ、望むところだ!」
「よし、それでは始めろ」
「「はい!!」」
2人は同時に飛行し、十分な高さまで行ったところで先に仕掛けたのは一夏だった。
「うぉぉ!」
一夏は間合いを詰め雪片弐型でシャルル目掛け振り下ろした。それをシャルルはそれをナイフで受け止めた。
「いいのか?そんな小さなナイフで」
「十分だよ。むしろ僕にはこれが丁度いい」
その言葉が強がりか自信か、それを証明するのはシャルルの動きだろう。シャルルは次々とくる斬撃をナイフ1本で受け止め、受け流している。とても強がりなんかではなかった。
「あのナイフ捌き、生身でも相当できるな」
「あのIS自体もきっと機動力に優れているものなのだろう。一つ一つの動作がとても俊敏だ」
「それに小さいですし、攻撃を避けることも容易にできるはずですわね」
「機動性、機密性、何よりもシャルル自身の能力はとても高いよ。あとは攻撃力だね」
先程まで詰めていた間合いが1度離れる。
「それじゃあ一夏、そろそろ僕も攻めるとするよ、覚悟してよ!」
言い終わると凄まじい速度で接近しナイフで白式を攻撃し、気がつくと既にシャルルは一夏の後ろにいた。
「ぐっ!?い、イグニッション・ブーストか!?」
「いや違うな。あれがディオスの…『アスピラション』の本来のスピードなのだろう」
「マジかよ…くっ、なんて奴だ」
「まだまだ終わらないよ一夏!」
同じように凄まじい速度で接近し切りつけ、また離れ、また接近し切りつけるを繰り返す。
「速いけど…攻撃自体はそこまで強くない。それに、目もだんだん慣れてきたぜ!」
その言葉通りなのか、一夏は一つ一つの攻撃に合わせられるようになり終いにはしっかりとガードもとれるようになっていた。
「流石ですわ!一夏さん!」
「…あいつ、まだ何か隠しているな」
「え?」
シャルルの攻撃をガードし、受け止めまた間合いを詰めた状態に戻る。
「一夏、何故僕がナイフを片手でしか持たず、そして、今この間合いでいるかわかるかい?」
「何、まさか!?」
「こういう事だよ!!」
左手を一夏の前に突き出し、掌からマシンガンのように実弾を発射させる。
一夏はとっさにナイフを受け止めていたのを解き、雪片弐型で受け止めた。だがその解かれたナイフで攻撃された。油断したのかシャルルは動きが一瞬止まった。
「へへ、油断したな!!」
「何!?」
攻撃された一夏だが、仰け反る事ももがくことも無く雪片弐型を振り下ろした。シャルルはそれをかわすことができず右腕で攻撃を受けてしまい、地面近くまで打ち落とされた。
「そこまでだ!2人とも戻ってこい」
その言葉を聞き、2人は集まっている所へ戻った。
「それではこれから実習を始める。ディオスは織斑と共に教えるように。他のものは今まで通りだ」
そのまま訓練は滞りなく進み、それから昼休みになった。食堂で専用機持ち達で食事をとっていた。そこで、鈴とシャルルは自己紹介を済ませた。
「それにしても凄いなシャルル!なんだよあのIS、速すぎってもんじゃないぞ!それに片手が銃になってるなんて思わなかった!」
「いや、一夏も凄いよ。まさか攻撃を受けてもそのまま攻撃してくるなんて思わなくて油断したよ」
「うむ、2人とも良い戦いぶりだったな」
「そうですわ。それで、あのISは何ですの?シャルルさん」
「ある人に特別に作って貰ったんだ。僕の戦闘スタイルに合うようにね」
「ある人って?」
「篠ノ之束さんだよ」
その言葉にこの場にいる全員が驚愕の声を上げた。
「えぇ?!あ、あの篠ノ之博士に!?」
「そう、元々試作品として作って放置していたものを少し改良して僕にくれたんだ」
「まさか、あの束さんが…」
「まあ、とにかく、シャルルはかなりの実力者だよね。それと、ラウラが言ってたけど実際もあんなナイフ捌きなの?」
「そうだね。一応は軍隊レベルの格闘術やナイフ捌きは出来るかな?」
「ほう、そうか、いずれ手合わせしたいものだな」
「そうだね。いずれね」
「そういえば…聞いていいことなのかこれは」
「どうかした?質問があるなら何でも聞いてよ。出来る限りは答えるから」
「そうか、なら聞くが、訓練の時に見えたが腹部とかにあったあの傷跡は…」
「ああ、あれは昔事故にあってね。傷跡見れば分かる通り結構酷い怪我でね。その時の跡だよ。それに至る所に傷があるけどそこ時の事故のものあるけど他にも事故にあったりしてたんだ」
「そうなのか、シャルルも大変だったんだな。正直本当に結構大きな傷跡だから死んでもおかしくなかったんじゃないか?」
「まあ、そうだね。そんな事故もあったよ」
そして、時間は過ぎていき。夕方頃の放課後。男子同士ということで一夏とシャルルが同室である。2人で部屋にいる時コンコンとノックがした。
「?」
「僕だけど、今大丈夫?」
「シャルか?大丈夫だぞ」
その言葉を聞き、シャルロットが中に入ってくる。
「どうしたんだ?何か用でもあったか?」
「うん、それが…」
「僕が呼んだんだ。一夏、着替えている時に言ったよね?」
「ある人ってシャルの事だったのか。でもそれは昼休みに」
「うん、その話もあるけどもっと別の話なんだ」
別の話、そして、とても緊張感のある空気で、一夏もシャルロットもシャルルの言葉を待つように喋らずにいた。
1つ深呼吸をした後シャルルは話し始めた。
「まず僕は謝らなきゃならないかな」
「どうしてだ?」
「僕はみんなに嘘をついているんだ」
「え?」
「どういう事だ?」
「…僕は『シャルル・ディオス』という名前じゃないんだ」
「!?」
「本当は『シャルル・デュノア』」
「え…」
「シャルロット・デュノア、貴女の腹違いの弟です」
キャラ崩壊は…もうよくわかりませんね。戦闘シーンとか描写が下手くそだったと思いますが…これから勉強していきます。
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第3話 真相
発せられたのは、シャルルとシャルロットに関係することだった。
「それ….どういう…」
「言葉通りだよ。それに、境遇も似ている。僕も本当の…いやこれは適切ではないかな。やはり、妾の子…と表現した方が適切かもしれない」
「っ…」
シャルルはさっきまでの雰囲気とはまるで別物で、とても温厚という雰囲気は感じられない。とても、冷徹に物事を進めるようなという表現が合う。
「ただ、僕の場合母の顔もどんな人だったかもわからない。物心つく頃には…いや、生まれてから1度も見たことは無い。生きているのかすらもわからない」
「そして、父ともほとんど会っていなかった。僕は父の会社の施設に住んでいた。ほとんど囚人と同じような生活だった。ベットと浴室とトイレしかない部屋に閉じ込められ、食事も決まった時間に少ない量を用意されていただけ。そして、ほとんどの時間が僕の体の研究と改造に当てられていた」
「研究と改造…?」
「そう、これもさっきついた嘘だ」
そう言うとシャルルは上着を脱ぎ上半身が露になる。そこには縫傷とツギハギが所狭しと上半身にあった。
それを見た2人は声も出せずにいた。シャルルはすぐに服を着直して話を続ける。
「最終的に僕に施されたのは筋力強化と脳にICチップを埋め込まれたこと。そして、ISに乗れるようにする何か」
「何か?」
「そう、僕自身一夏のように元々乗れるようなタイプじゃない。何かを施されISに乗れるようになったんだ、ただ、その方法は僕も見た訳じゃないから知らない」
「それで…シャルルはそんな境遇だったのにどうやってここまで来れたの?」
「簡単だよ。父に反発し暴れた。肉体の強化のお陰で多少の怪我で済んだし、止めに来た人達、ISも含めて何とか相手にしていたんだけど流石に大人数では敵わなかったよ。父の前まで連れられて身一つのみで追い出されたんだよ」
「そして、路頭に迷っていたところを束さんともう1人の女性に助けられた」
「もう1人の女性?」
「…それはまた今度。きっといつか会う時が来ると思うからね」
一夏からの質問に1度目を逸らしてからその質問を流す。
「まあ、あとはさっき言った通り。束さんにISを改良して貰い、IS学園の方にも…というより織斑先生にかな、話をつけてもらいここに来たというわけなんだ」
「そして…」
と言ってシャルルはチョーカーを外してその下のものを見せた。そこにはUSBなんかを差すようなコネクタがある。
「それは…?」
「これがISを改良した理由。僕の脳にあるICチップに電極を繋いでISと接続する。これのおかげで僕がISをあそこまで使いこなせる事が出来るんだ」
「でも、そんな事をしたら脳とかに負担とかってこないの?」
「そこが束さんの凄いところなんだろうね。やったのはもう1人の女性なんだけど指示は全て束さんだったから。まあ、どっちも凄いんだろうけどね」
話し終わるとチョーカーを付け直す。
「ふむ、話は終わりか?」
その声は入り口の扉の近くで聞こえる。そこに立っていたのはラウラだった。
「ラウラ!?いつの間に」
「本当は用があってきたのだが、邪魔をしては悪いと思ってな。次いでに話も聞いてしまった。悪かった」
「いや、僕は気にしていない。いずれはばれることだし。それで、用って?」
「いや何、どこで訓練を受けていたのか聞こうと思っていたのだが、もうその質問はいい」
「そっか」
「それでシャルル、どうして俺に話そうと思ったんだ?シャルはともかくとして俺は関係ないだろ?」
その質問に対してシャルルは少しだけ小さく笑った。
「一夏なら何かあった時に力になってくれるって織斑先生に言われたのと、その言葉を信じれると僕が直感的にわかったからかな。だから、一夏には隠し事は無しかなと思ったんだ」
「確かに一夏なら助けてくれるよ。僕達の時もそうだったしね」
「うむ、なんたって私の嫁だからな」
「ま、まあ、何かあったら言ってくれよ出来る限り俺はお前の力になるし、皆だってお前の力になってくれる。だからシャルと同じだ、父親と決着をつけたいなら俺だって力になるからな!」
その言葉を聞いて思い出すかのように微笑むシャルロットとラウラ。それにつられるようにシャルルは微笑んだ。
「ありがとう一夏」
「よし、それじゃあ夕食でも食べに行こうぜ!」
「そうだな」
一夏とラウラが先に部屋を出ていく。それに付いていくように部屋を出ようとしたシャルロットに向かってポンポンと肩を叩いた。
「ん?なに?」
「なんて言えばいいのかな…一夏との事僕は応援しているからね」
「な、何のこと?」
惚けようとしているがシャルロットの顔は紅く染まる。
「何って、一夏の事好きな人が多いみたいだからね。直接的にはしないけど、それとなく一夏と付き合えるように応援するって事」
「な、な、なぁ!?」
「唯一の姉なんだからあそれぐらいの贔屓はさせてよね。シャル姉さん」
「ね、姉さんって!?」
「おーい!どうしたんだ?早く行こうぜ!」
「今行くよー!ほら行こう姉さん」
「ちょ、ちょっと!?」
「大丈夫、姉さんって呼ぶのは皆に公言した時か、事情を知っている人達の前でしか呼ばないから」
「そ、そういう事じゃなくてぇ…もう…」
と言いながらも少しだけ嬉しそうにしているシャルロットだった。
とりあえず私がかためていた設定とシャルルの過去についてを書いてみました。これからこの話を書き続けるかは皆さんの反応次第かもしれません。
そして、本当にこれからssとISについて勉強します。
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第4話 暴露と未確認
シャルルがIS学園に来てから2日が経った。
最初の頃に比べるとシャルルに対する女子達の反応が軽くなった。IS訓練の時は特殊なIS過ぎて実践的な参考にはならないが、基礎的なものは教えているし、とてもわかりやすいと評判だ。
「なあ、シャルル」
「どうかした?一夏」
夜、シャワーや諸々を済ませ寝る前のゆったりとしている時間、一夏はシャルルに話しかけた。
「俺さ、シャルの時もそうだったけどよ。お前の話を聞いた時かなりムカついた」
「うん、知ってるよ」
「シャルの時と同じだ。自分の子供を研究とか改造なんてよ…」
「そのお陰で僕は強くなれたし、ここにも来れるようになってる。見ようによっては悪い事だらけじゃないんだよ一夏」
「でもよ!」
一夏が声を荒らげる。正義感の強い彼なら当然だろう。むしろここで落ち着いているシャルルの方が異常とも取れる。普通なら絶望し、取り乱す事だって有り得ただろう。それが良い方に捉える見方をするとは普通は思わない。
「確かに最初は絶望もしたし取り乱しもした。ICチップを埋め込まれた時なんかしばらくの間うまく体を動かせなくて何日も飲まず食わずになった時だってあったよ」
「なら…」
「でも、僕はある時知ったんだ。姉さんの存在を」
「シャルの?」
「そう、もしかしたら僕がいなかったら姉さんがこんな事をされたんじゃないかって思ったんだ。姉さんは女の子だ、体に傷なんて付いて欲しくない。そう思ったらさあ、これだけでも僕の存在価値があったと思えてね…僕が父に反発したのだって、姉さんが白式についてのことで失敗した事で『あいつは使えない』だの言ってたのを聞いたからなんだよね。あ、この話は姉さんには内緒ね」
諦めたようでいて、ただ達観したかのようで、純粋なシャルロットの為というような感情が、シャルルから感じ取れた一夏は少しだけ胸が苦しくなった。
「お、おう…お前本当にシャル思いなんだな」
「唯一の姉で、唯一の血の繋がりだからね。大切にしない方がおかしいでしょ」
と苦笑気味に笑った。
「そうだよな。わかるぜその気持ち」
「同じく姉を持つ者同士だしね」
(そろそろ、頃合かな)
話が終わり寝ることにした。
次の日、朝のSHRが始まるまでシャルルの姿は無かった。
「ねえ、一夏。シャルルは?一緒じゃないの?」
「いや最初は一緒だったんだけど途中で職員室のほうに行くって言って別れたんだ」
「でも、流石に遅すぎませんか?」
「そうだな。もしかしたら途中で具合が悪くなったのかもな」
と話していると先生達が来た。
「今日は転校生を紹介します…と言っても皆さんはもうほとんど知って…何か前にも同じような事をしたような」
と段々とやる気がなくなった山田先生の言葉を聞きある生徒が教室に入ってくる。
「改めて、僕は『シャルル・デュノア』です。こっちが本当の名前だよ。皆、騙してて本当にごめんね」
その自己紹介に一瞬何人かを除く全員の空気が固まった。
「え?デュノアって…え?」
「もしかしてシャルロットさんの…」
「姉さんとは腹違いの弟なんだ」
「どおりで…」
「似てると思ったよ…」
「でも本当に男だったんだね。ちょっと疑ってたんだよね。シャルロットさんの事があったから」
「あはは…あんまりその事は言わないでほしいなぁ…」
少しの喧騒のあと、織斑先生に鎮められ授業に入った。
いつも通り時間は進んでいき昼休み。
いつもの面々で屋上で昼食をとっていた。
「シャルルさんとシャルロットさんって今まで面識ありましたの?」
「いや、無かったよ。お互い別の所に住んでいた訳だし、僕に至ってはシャルルの存在自体知らなかった訳だしね」
「へぇ、ならなんでシャルルはシャルロットの事知ってたのよ」
「僕は会社の施設に住んでいたんだけど、偶偶姉さんを見かけたことがあってその時は誰かも分からなかったから聞いてみたら姉さんだったというわけ。あ、もちろんその時に全部教えて貰ったわけじゃないけどね、自分で調べたんだけどね」
「…一夏も一夏だが」
「こっちも相当ね…」
「ふむ、愛されているなシャルロット」
「あ、あはは…まあ、嬉しくないわけじゃないけど」
「ねえ一夏」
「ん?どうした?シャルル」
「凄い素朴な疑問なんだけど、今まで一夏は皆と連携して戦ってたみたいだけど、誰とが1番一夏的に相性が良かった?」
その質問を聞いた他の女子達の目の色が変わったような気がする。今までとは違い無言で一夏の答えを待っている。そして、一夏はうーんと唸りながら考える。
「そうだな…正直皆俺に合わせてくれたりしてくれるからな。なんなら他のみんなで連携組んだ方が相性はいいと思うぜ?」
その言葉を聞いてその場にいた一夏を除く全員がため息を漏らす。
「あ、あはは…皆が大変な理由が改めてわかったよ」
一夏が1人だけ腑に落ちない顔をしている時、学園内にけたたましい警告音が鳴り響く。
「IS反応!?」
『そうだ、未確認のISがこちらに向かってきている。至急専用機持ちは迎撃に迎え』
織斑先生の通信に全員が返事をし、ISを起動させる。
『デュノア弟、お前はダントツにスピードがある。まずはお前1人で行き足止めをしろ。いや、むしろ出来るのならお前1人で片付けてしまっても構わん』
「了解です!!」
返事をし、ISを起動させると同時に屋上から飛び降り、すぐさま迎撃に向かった。
「あいつ、大人しそうな顔してやる事はワイルドよね」
「そうだな。だが、とても頼もしく感じる」
高速で目標の元へと向かうシャルル。相変わらずイグニッションブーストでも使っているのではと疑うほどのスピードを維持しながらだ。
そして、ついにハイパーセンサー無しでも目標を捉える位置まで来た。シャルルに見えているということは相手にも見えているというわけで当然とでも言わんばかりに光弾で攻撃してくる。
「この程度じゃ避けるまでもないよ」
向かってくる光弾を全て持っているナイフで斬り、無効化していく。
「知らないだろ?僕のナイフは特別なんだ。光弾だろうが、実弾だろうが、ビームだって斬ることが出来るだよ。強度が耐えられればの話だけどね」
話している間にも発射される光弾を斬り伏せる。徐々に詰めていく間合い。どんなにシャルルが話していても一言も相手は言葉を発さない。
「…そうか、君は無人機かい?なら話しても意味ないか。…ならせめて」
一度ナイフをしまい、翼についている羽根部分のナイフを両手の指と指の間、計6本を挟め、右手を相手に突き出す。
「本気を出させるように頑張ってね」
やっぱり、シャルルをめちゃくちゃ強い設定にしたくなりました。
…ショウガナイヨネシュジンコウダモン…反省はしています。
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第5話 実力
次々と発射される光弾、それをかわし相手に接触し右足の部分に1つナイフを突き刺し、また距離をとる。
そしてまた発射される光弾、それをかわし次は左足の部分に突き刺す。
「さあ、どうしたんだい?まさかその光弾での攻撃しかないってわけじゃないだろ?」
シャルルは無人機だとわかっていながら、それに話しかけ挑発までした。これだけでどれだけシャルルが力を抜いているかがわかるだろう。
「無人機っていう、人間の力無しに、だが人間の力が無い分、人間の負担なんか考えなくてもいいんだ。ならもっと出せるよね?力」
その言葉を聞いてか、ライフル型の銃を剣型の武器に変更し接近戦へと変えてきた。おそらくシャルルが近接型の攻撃スタイルだとわかっていたから中距離、遠距離型の攻撃しかして来なかった。しかし、それが全く意味をなさない。
「なら力の出せる接近戦に変えたってことかな?でも残念だね、僕に接近戦を挑むには力が足りなかったようだ」
剣での攻撃を指に挟んだ小さなナイフで応戦しながらも余裕綽々と話していく。そして、言葉を紡いでたその刹那でシャルルは大きさ、質量、強度どれもが劣っているナイフというもので剣を弾き右腕部分と左腕部分にナイフを突き刺した。
「僕はちょっとだけ人間とは違うからね」
パチンと指を鳴らすと刺さっているナイフから見えない何かが這うように巻き付き無人機の動きを止める。
「システム『メドゥーサ』」
完全に無人機の動きが止まったところで他のみんなが来た。
「やあ、遅かったね」
「遅かったって…まさか、もう終わらせたのか?」
「そうだね、もう動けないようにはしてるよ」
「システム的にはまだ起動しているようだが?なぜ動けないんだ?」
ラウラからのその問にマスクを被っている状態でもわかるほどわかりやすくニコッと笑いながら答える。
「秘密」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
シャルルの戦いの様子をモニターで見ていた織斑先生と山田先生。
「凄いですねデュノア君。タイプは違うみたいですけど前に襲撃してきた無人機と似たようなものですよね。それを1人で圧倒するなんて」
「そうだな。一介の操縦者にしては十分すぎるほどの戦力だ、あいつ1人であいつら全員を相手に出来るかもしれないかもな」
「やはりこれはISの性能によるものが大きいのでしょうか?」
「それもあるな、だが、一番の要因はあいつに施された肉体改造の末の強化だな」
「あぁ…さっきも自分で言ってましたね。人間とは違うって」
「普通人間は自らの力の全力は出せない。出そうものなら体が耐えきれないからな。しかし、デュノア弟はその数値が並の人間のそれを上回る」
「つまり、例えるなら普通の人間が50しか出せないのをデュノア君はもっと出せる…70〜80あたりですかね」
「そうだな。しかもそれを脳のICチップが勝手に計算し、適切な、それでいて強い力を出すように命令を出して筋肉を動かす」
「…普通そんな事が脳内で起こっていたら機能しない臓器とか…体とかあるんじゃ」
「…だからこそ、かもな」
「え?」
「私の勝手な解釈だ、直接聞いたわけでも何でもないが、研究や改造を施されている時あいつは脳の一部の機能が停止した。それを補うためのICチップ…だったのではとな」
「なるほど…一理ありますね」
「何れにせよ、あいつの負担は大きい。だから常にISと接続し続けているのだろう、だが、力を使いすぎれば機能が停止するとも言っていた。正直あいつの体は諸刃の剣だ。あいつは大きな戦力だが、頼りきりではいつあいつが動けなくなった時の対応が出来ない。故に死ぬことになる」
「つまり?」
「デュノア弟には手を抜かないで、専用機持ち達と実践訓練をしてもらう。もちろんあいつの体力が持つ間のみだがな、時間がすぎればISを起動出来ないと言っていた」
「なるほど…」
「あいつには悪いが使えるものは使っていかなければ…な。…少し心苦しいが、今後何が起こるか分からん、その時は山田先生、貴女にも頼る事になる」
「お任せ下さい」
これからの方針が決まったところで専用機持ちたちは学園へと戻って来たのだった。
前半は『別にあいつを倒してしまっても構わんのだろう?』の成功例
後半はただのシャルルの説明です。キャラが特殊過ぎて何話も説明に使ってしまう…これからもシャルルの説明は続く!
…あと、シャルルの戦闘の描写が思うようにいかない…
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第6話 傷だらけの憧れ
無人機の接近から約1週間。その次の日から放課後にシャルルと本気で実践訓練をしろと織斑先生は言った。最初シャルルは渋っていたがこれからのみんなの為だと言ったら納得し訓練が始まったが、誰も本気のシャルルにでも足も出なかった。
欠点だと思っていた攻撃力だが、スピードを乗せた攻撃は、絶大なものへと変化する。例えるなら、水なんかも高速で放出すればそれは刃物にも変わる。故にスピードを乗せたシャルルの攻撃は一撃でシールドエネルギーをかなり減らす攻撃にかわる。
そうでなくともシャルルは『二重武装(デュアルシステム)』という機能を持っているためナイフだけに意識していては、実弾に対応出来ない。
そして極めつけは脳のICチップだ。その中には莫大な量の知識と経験が詰め込められており、どの動きにも対応できるように設定されてある。
ここまで完璧な人間はいるのだろうか?と疑うほどの実力を持っている。全員が思う事はシャルルが敵でなくて良かったと。
そして、今日久しぶりに実践訓練がない休みの日の夜、シャルルは外を散歩しているとラウラと出会った。
「やあ、ラウラ。君も散歩か?」
「シャルルか、まあ、そうだな。少し夜風に当たりたくてな」
2人は一度立ち止まり話をする。
「何度挑戦してもISでも生身でもお前には勝てないな」
「僕は強化された改造人間だからね。仕方ない部分もあるさ」
「しかしだな」
「…ISは良いけど、生身での勝負はあまり…いや、もう挑まないで欲しいな」
シャルルは悲しい顔をしながら夜空を見上げた。
「どうしてだ?」
「僕の力は仲間を、友達を傷つけたり、牽制したりするものじゃないからね…傷つけるくらいなら一夏がやるみたいに守りたいね。みんなを」
「そう…」
「というのと…」
「む?」
ナイフを懐から素早く取り出し、ラウラの目の前を通るように投擲する。
「な!?」
「…いつ本当に僕の力が制御出来なくなるかわからない、その時にラウラを傷つける…もっといけば殺すかもしれないからね。驚かせてごめん」
それが、改造人間たる悩みなのだろうとラウラは察した。それは自分も作られた人間だから、ということかもしれない。
「…わかった。それと、今まで悪かった。お前の意見も尊重していれば態々こんな事をお前に言わせなくても済んだのにな」
「いや、いいんだ…それより、もう夜も遅いそろそろ部屋に戻ろう。僕はさっきのナイフを回収するからおやすみ」
「あぁ、おやすみ」
お互い逆方向へと進んでいった。シャルルが投げたナイフは適当に、ラウラを脅すために使われたものではない。ナイフは毒虫に突き刺さりその命を絶っていた。
「…少しの危険分子にも反応してしまうなんて…」
ナイフを引き抜いたところで声をかけられた。
「おい、いつまで外にいるつもりだ?さっさと部屋にもどれ」
声に反応し振り返るとそこには織斑先生がいた。
「織斑先生、今から戻りますよ。ちょっとナイフがですね…」
「そうか、ならすぐに行け。明日も早いんだ」
「わかっています。それではおやすみなさい」
「ああ、おやすみ…お前にばかり負担かけさせてすまない」
織斑先生の隣を通り過ぎようとしたシャルルは、その言葉を聞き隣で止まる。
「気にしないで下さいよ。僕を道具として扱って貰って構いませんから」
「馬鹿者。そんな事が出来るものか、お前も私の大事な生徒の1人だ」
「織斑先生は優しいですね」
「私は当然の事を言ったまでだ」
「そうですか…でも、やっぱり僕は人に使われる方が良いです」
「なに?」
「ここに来てとても楽しくて、嬉しくて、充実しています。今まで受けた事は忘れがたいことですし、今でも恨んでます。ですが、それを塗り替えられれるこの、みんながいる空間が…少し薄目ではありますが、今唯一の血の繋がりのある姉さんのいるこの空間が僕の『憧れ』なんです」
今にも涙を流しそうでいて、それでも芯の通ったシャルルの信念なんだと感じる。
そして、織斑先生は口元に小さく笑みを浮かべた。
「ならば、尚更無理はするな。それに、血の繋がりだけが本当の繋がりとは限らないぞ」
「はい。肝に銘じておきます。それでは改めておやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
シャルルは帰っていった。織斑先生はその背中を目で追っていた。
「なるほど、あれが束の言っていた『傷だらけの憧れ』…と言ったところか」
そう言って、織斑先生も校舎の中へと戻っていった。
タイトル回収しました。予想よりも早いです。
あ、タイトル回収したからと言って最終回とかじゃないですからね?
え?そんなこと思ってない?
…おっと、心は硝子だぞ?
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第7話 伝言
さあ、誰と誰の話でしょう。
キャラ崩壊に気をつけてくださいね。本当に私の恋愛脳と独自設定で考えたので。
ある日の夜。校舎の屋上に白いセーラーブラウスにサスペンダー付きの青いスカートを着た、銀髪の少女がいた。
「…………」
その少女は一言も発さない。目を閉じたまま夜空を見上げているだけだった。
そこに1人、近づいてくる足音が聞こえる。
「星空が綺麗ですね。お嬢さん」
シャルルだった。少女はゆっくりと目を閉じたままシャルルの方へと顔を向ける。
「遅かったのねシャルル」
とても無機質な声だ。限りなく機械に近い声。
「久しぶりなのに手厳しいねクロエ。これでも反応があってから急いで来たんだけど」
彼女はクロエ・クロニクル。束に絶対の忠誠を誓っている少女だ。
「それでも、女性を待たせるのは感心しないわ」
「クロエも冗談を言うようになったね。ランダムで現れるような相手を待たせることなく待ってろなんて」
「私は冗談のつもりではないわ」
「ほんと食えない性格だね」
と、苦笑いをしながら言葉をつなげる。
「それで、何か用だった?」
「束様と風切 千早(かざぎり ちはや)からの伝言よ」
篠ノ之束については説明の必要ないだろう。
しかし風切 千早については説明が必要だろう。風切 千早とはシャルルがまだフランスにいた頃、路頭に迷っていたシャルルを保護した科学者兼医者の人物だ。束の指示を受けシャルルの最後の改造を施した。束が任せるほどの実力と信頼を持っていて、束同様に存在を眩ませている。
「そっか、2人は何て?」
「まず、風切 千早の方だけど。『あまり無理はしない事、そして何よりあまり公には出ない事。あなたの存在を…あなたの力を世間に見せることはとても危険な事をしっかりと心に刻んでおくこと』」
「心配性だね。千早さんは…それで、束さんは?」
「束様は『私はシーくんが面白くて興味が湧いてるからシーくんのために助けた事を忘れないでね』」
「…クロエなんかよりもよっぽど手厳しいよ」
束がシャルルに興味を無くすと言うことは、シャルルに対してなんのアクションも起こさないということ。つまり、シャルルの体内やISに何が問題が生じた場合何の手助けもしないということだ。それは千早も同様だ。束の考えと指示がなくてはシャルルの体を治すことが不可能、それほどシャルルの体内は複雑である事を示している。
「『なんか』とは失礼ねシャルル」
「おや?怒ったかい?クロエ。そんなつもりは無かったんだ、ごめんね」
「…別に、怒ってなどいないわ」
そう言ってクロエは顔を逸らす。それを見てシャルルはクロエの正面まで行って頭を撫でる。
「ごめんって。言葉の綾ってやつだよ。クロエの事をそんな蔑んだ見方をするわけがないじゃないか」
「どうしてシャルルはいつも私の頭を撫でるの?」
「ダメかな?機嫌をとるときは頭を撫でるのがいいって昔聞いたんだ」
けど、と言葉をつなげる。
「僕がクロエを純粋に撫でたいからってのはダメ?」
「…私は束様に撫でられる方が好きだわ」
「君の束さんに対する忠誠心と僕の君への好意を比べらるのはちょっと酷いな」
と言って頭から手を離した。
「それじゃあさあ、抱きしめてもいいかな?」
「…どうして?」
「少しの間でも会えなくて寂しかったんだ。僕は君の事が好きだからね、好きな子を抱きしめたいと思うのは普通じゃない?」
「…好きにしたらいいわ。抱きしめた時に私が何をするかわからないけど」
「ありがとう」
そう言ってクロエを抱きしめるシャルル。クロエは何もせずただされるがままの状態。
「何だかんだ言ってクロエは何もして来ないよね」
「今からでもあなたのお腹に風穴を開けられるわよ」
「してもいいよ。クロエがする事を僕は甘んじて受け入れるよ。それほどに僕はクロエを愛しているからね」
「…今は気分が乗らないわ」
「素直じゃないねクロエ」
「食えない性格ね」
「お互い様だよ」
消灯の時間まであと10分というところ。
「キス…してもいいかな?」
「…ダメよ。私達はそんな関係では無いもの」
「抱き合っているのに?」
「抱き合ってないわ。あなたが一方的に私を抱きしめているだけよ」
「じゃあ、なんで僕の服を掴んでいるの?」
「この方が楽だからよ」
「…そっか、なら仕方ないね。いつか、ちゃんと恋人同士になった時までとっておくよ」
「そうしなさい。幾ら経ってもその時が来ることはないけれど」
「そうかもしれないね…それがクロエの選択なら受けるしかない」
「…そうね」
「それじゃあ、そろそろ時間だし僕は部屋に戻るよ。お使いありがとう。2人には『承知しました。見限られないように努力します』って伝えておいて」
そう言ってクロエから離れて柵から屋上を去ろうとした時
「待って」
「ん?どうかした?クロエが呼び止めるなんて珍しい」
「私からも言っておくことがあるわ」
「なに?クロエからの言葉なんて」
「『キスは』ダメよ」
その言葉を聞いてまた、シャルルはクロエの正面に立ってクロエの前髪を上げ額にキスをした。
「キスはダメって言わなかったかしら?」
「唇へのキスって意味じゃなかったの?」
「…まあ、いいわ」
「うん、またねクロエ」
「ええ、せいぜい死なないように」
それを聞いてからシャルルは屋上を飛び降りた。
(死なないさ。姉さんを…そして君をおいて僕は死なない)
そして、屋上にまだいたクロエ。
(まったく、ほんと顔に似合わず無茶をするんだから…本当に死んでも知らないわよ)
クロエは静かに屋上を去った。その頬はほんの少しだけ赤らんでいたように見える。
(…そんな事は無いわ)
ヒロインはクロエでした。
原作とかアニメよりもかなり柔らかい雰囲気にしてちょっとツンデレっぽい感じも出してみました。クロエの雰囲気を柔らかくしたらこんな感じかなと思い書いてみました。
クロエをヒロインにした理由としては、正直メインヒロイン達以外だとクロエが1番接点を付けるのに楽だったからです。
…すいませんただの建前です。本当は普通にクロエが可愛いと思ったからです。
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第8話 敵機襲来
この回からこの話の主体に入ってます。私がその場で考えたIS等出てくるのでそこら辺は気をつけてください。
不思議な空間がシャルルの目の前には広がっていた。何があるわけでもない、強いて挙げるなら地面と草が生えた草原が広がった地平線のみ。
「ここ…は…?」
シャルルは呆然とその場に立ち尽くすのみだった。
その時立体映像のようにその場に人が現れた。いや、正確には人型のものが現れたと言った方が正しいだろう。なぜならそれはシャルル自身のIS『アスピラション』だったからだ。
「君は…」
そのアスピラションはただシャルルの方を向いているだけだ。中に人がいるのかすらわからない。
「アスピラション……君は、誰なんだ?」
「………選べ」
シャルルの問に答えずアスピラションは言葉を発した。その声はとても透き通る女性の声だった。もちろんシャルルには聞き覚えのがない。
アスピラションはそのまま言葉を続けた。
「あなた自身の姉か…あなたが愛する者か…」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
クロエがシャルルの元へ来てから数日が経ったある日、いつもの訓練をしていた。今日は2対1でシャルルと相手をするというものだった。
まずはセシリアと鈴のペアだ。この2人は結構バランスの取れたペアだろう。鈴が近接で相手をし、セシリアが遠距離でその援護をする。という動きが理想だろう。昔は2人とも連携がなってなく、一人で仕留めようという考えしかなかったようだが、今ではしっかりと自分の仕事をを理解しているようだ。
ちなみに唯一シャルルは鈴の龍砲、つまり衝撃波はナイフでは斬れもせず受け流しもできない。故に龍砲は回避している。
次にラウラとシャルロットのペアだ。この2人も良い連携をする。特にシャルロットは援護が上手い。ラウラの邪魔をせず、ラウラの意図を汲んだ行動をする。そして、ラウラのAICは言わずもがな強力だ。1体1もしくはラウラ自身が多数側についてる場合の多対1では真価を発揮する。
最後の一夏と箒だが、2人とも主に近接型のためか他の2ペアに比べると釣り合いが取れてないように見えるがそんな事は無かった。エネルギーを消費するかわりに強力な攻撃をできる一夏の零落白夜、そして百式のエネルギーを増幅させることが出来る箒の絢爛舞踏。まさにこのふたりで組むべきと言わんばかりだ。
しかし、欠点なのは例外ではあるがシャルルのような機動力を持つ相手に近接のみでは一気に2人ともやられる場合があるという事だろう。
「一通り終わったかな?」
と、ISを解いてから他の6人が集まっている場所に向かう。6人とも顔には疲労の色が見えている。
「いつも思うが、どうしてお前は俺たち全員を一人で相手してるのに疲れないんだ?」
「鍛え方が違うんだよ」
「どんな鍛え方をすればそんな体力になるのよ…」
「きっと、織斑先生もこれくらい楽に出来ると思うよ」
「確かに…教官なら…」
「うむ…納得だな」
すると、コアネットワークに通信が入った。
「ISですか?織斑先生」
『…ああ、今回は有人機だ。気をつけろ、この前のやつとは勝手が違う筈だ』
「今回もシャルルに最初に行かせるんですか?」
『いや、今回は全員で行け。何があるかわからん、全員今までの訓練の成果を見せろ』
「「「「「「「了解!!」」」」」」」
全員再びISを起動し、目標のISへと向かう。先頭を行くのは一夏、次いで箒、シャルロット、鈴、ラウラ、セシリア、そしてシャルルだ。
その最後尾をついていたシャルルに異変が起こる。突然ハイパーセンサーが起動しなくなった。
(しまったなぁ…もう限界がきたか…早いところ終わらせないと……そんな上手くはいかないか…)
『……ル!…シャルル!!』
「っ!?どうしたの?姉さん」
『どうかしたのはこっちのセリフだよ。さっきから呼びかけても返事がないから』
「そっか、ごめん。考え事をしてたよ。…みんな聞いている?」
『ああ、聞いてるぞシャルル』
「よし、なら今回の配列だけどラウラと一夏は近距離での戦闘をして欲しい、次に箒と鈴は基本中距離だがいつでも近距離に対応できるようにして欲しい、そしてセシリアと姉さんは言わずもがな遠距離での援護をして欲しい」
『シャルルさんはどうしますの?』
「僕は基本中距離のところで全員のサポートに入る。今までみんなに偉そうに言ってきけど、僕が1番連携に向いていない戦闘スタイルなんだ、だから相手の遠距離攻撃や最低でも中距離付近で相手を足止めをする役に回るよ」
と作戦を説明しているうちに目標のISはハイパーセンサー無しのシャルルでも見えた。
一言で言ってしまえば異形な姿のISだと言えるだろう。機体すべてが真っ白で背中には球体のジェットパックのようなものが搭載され、手にはライフル銃が装備されていた。しかし、それは『正面の体』にだ。その機体はまるで阿修羅を思わせるように体が三つあった。左右の体には両方剣が装備されている。
『最初は映像のブレとかかと思ったけど…』
『本当に体が3つあるとはな』
『どうする?さっきの配列のままにするのか?』
「…いや、箒は近距離の方に入って欲しい」
『了解した』
『よし、いくぞみんな!!!』
一夏の掛け声とともに相手のISが脚部からミサイルを撃ってきた。
それにいち早く反応したシャルルは羽根型のナイフを一つだけむしり取り、ミサイルに向けて投擲しみんなの近くに来る前に爆破させた。そして、シャルルはみんなの数メートル前に移動して爆風を縦に切り裂く。すると、爆風は避けるように左右に流れ、誰にも当たることは無かった。
シャルルは液体でも付いたのを払うようにナイフを払い言葉を発した。
「僕の手が届く範囲は君の好きなようにはさせないよ」
シャルルの活動停止まで残り1:00
ご不明な点、意味わからない点等多数あると思うので気軽にご指摘して下さい。そして、まだまだ勉強不足なので間違っている知識もあると思いますのでその点のご指摘も宜しくお願いします。
そして、今のところは日付的に毎日投稿していますがいつそれがずれるかわからないので不定期更新になる事を覚悟していてください。
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第9話 活動停止
「えら…べ?…」
姉か愛する者か。おそらく片方はシャルロットで片方はクロエだろう。アスピラションはその問をシャルルを見下す形で問う。
「姉さん…か…クロエ…か…」
そう呟いた後シャルルは俯いた。しかし、その時間はほんの数秒だった。すぐさまアスピラションの顔を真っ直ぐに見つめ切り出す。
「僕はどちらも選ばないよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
爆風をかわしたあとすぐに一夏、箒、ラウラは相手のISへと突っ込んで行った。一夏が正直、箒が右側、ラウラが左側につく。
シャルロットやセシリアも背中側へと遠距離で攻撃する。が、背中にあった球体が広がりシールドのように展開する。かなりの装甲を有し、セシリア達のレーザーを一切通さず、鈴の双天牙月や龍砲も通さなかった。もちろんシャルルのナイフも通さない。完全に弱点と思われる背後をカバーしている。
シャルルの活動停止まで0:50
「あのシールドが展開している間は背後は無理だろう。なら、次は『ヒットアンドアウェイ』でいけ。織斑、篠ノ之、ボーデヴィッヒはある程度攻撃したら1度下がれ。オルコット、凰、デュノア姉は3人が下がったら一斉に遠距離攻撃を」
『『『『『『了解!』』』』』』
織斑先生の指示通り近接3人が1度離れた時相手のISはその場から動こうとしたが、遠距離攻撃による妨害で防御に徹しなければならなく、左右の剣で防いでいる。そして、それに反撃しようと正面のライフル銃を構えた時
「システム『ゲイボルグ』」
レーザーの間を縫うようでいて、相手のISを撹乱するようにシャルルは動く。が、最終ポイントである心臓部、つまりは中心のコアー目掛けて1点にナイフを突き刺した。
しかし、それを正面のライフル銃で防がれた。その防がれた衝撃でライフル銃は破壊したが同時にシャルルのナイフも破壊された。
相手はすぐに剣を出し、シャルルも新たなナイフを取り出して打ち合う。
「何者だお前。お前はデータに無いぞ」
先程まで一言も発しなかった相手がシャルルに向け話しかけた。
「やっと喋ったね。僕の情報は無いに決まっているよ、流出しないようにしているからね」
シャルル活動停止まで0:40
「ならばその情報を引き出してやる!」
「そっか、なら頑張って僕に本気を出させてね」
「舐めやがって…」
(!?…この雰囲気は)
何か嫌な予感を感じたシャルル。その時加勢しようと一夏が近づこうとする。
『シャルル!!』
「待って一夏!嫌な予感がする。みんなも警戒を強めて!」
そう言うと相手はマスクに隠れているが笑っていることがわかった。
「ふっ、察しがいいな。だが気づいたところで避けなきゃ意味は無いぞ!!」
と叫んだ。すると背後のシールドが開き、数十もの小型ミサイルが発射され遠距離攻撃をしている3人を中心に向かっている。
「ちっ…こんなものまで持っているとは…織斑、篠ノ之、ボーデヴィッヒは3人を守り、自分自身も守れ!3人も1度攻撃を中断し援護しろ!」
『無茶な注文だな!』
『だが、やってみせる!!』
『私達も守られてばかりではありませんわ』
『舐めんじゃないわよ!』
相手のISへの攻撃を中断し向かってくる前にミサイルを撃ち落とし、それを逃れたミサイルはラウラはワイヤーやAICを駆使し被弾無く済ませ、箒も一夏も刀剣で応戦する。爆風を受けたものの、直撃はなく全員の無事である。
シャルル活動停止まで0:30
『よし!何とかなったぞシャルル!』
『よし、ではすぐにデュノア弟の援護へ急げ』
と爆発による煙でよく見えないシャルルのいるはずの相手のISの方向へと一夏は真っ先に向かった。
煙を抜けた先で見た光景は相手の左右の剣で体を貫かれて動かなくなったシャルルがいた。
『シャルル!!!?』
「はっ!本気を出させろとか大口を叩いていた割には大したこと無かったな!」
「………」
「てめぇみたいなのが…一番気に食わねぇんだよ!!」
そう言って貫いていたシャルルを最後に正面の剣で縦に切り、シャルルの体が二つに裂けた。
煙が晴れ、その光景を5人も見て絶句した。
『てめぇぇぇ!!!』
そう叫んび一夏は相手のISへと突っ込んで行く。その時
「システム『ミラージュ』」
シャルル活動停止まで0:20
シャルルの声が響いた。コアネットワークからではなく、その外から聞こえる。
「システム『ゲイボルグ』!!」
その叫び声と共に二つに裂けたシャルルの陰からシャルルが出てきて先程のようにISのコア目掛けて今度は防がれること無くナイフを突き刺した。
「はぁ…上手くいって良かったよ」
『『『『『『シャルル!』』』』』』
他の6人の叫び声だが、もうそれはシャルルには届いていなかった。既にコアネットワークまだもが機能しなくなっていた。
シャルル活動停止まで0:15
「てめぇ…なぜ生きてる!!」
「君が切り裂いたのは幻…いや、ダミーとでも言った方が合ってるかな」
「いつの間に…そんな素振り1度も!」
「最初に僕が君に突っ込んで行った時あれは既にダミーだったって事だよ」
「くっ…そ…が!!」
相手のISはコアの近くまで攻撃をくらい上手く動かないISを無理やり動かすようにシャルルに向かう。
シャルル活動停止まで0:10
「君も無理しないほうがいい…いや、すぐに楽にしてあげるよ」
「黙れ!」
シャルルは羽根型のナイフを四本取り右腕、左腕、右足、左足に投擲し突き刺す。
そしてまた、四本取り左側の右腕、左腕、右側の左腕、右腕に投擲し突き刺す。
シャルル活動停止まで0:05
「なんだ、これは!」
「君を捕らえるよ。システム『メドゥーサ』」
「な、何だこれは?!やめろ…来るな!?」
突き刺さったナイフから見えない何かが這い寄るように相手のISを拘束し、機能を停止させる。それと同時に相手自身の意識も刈り取った。
シャルル活動停止まで0:02
「これで…僕の仕事は…お…わ…」
シャルル活動停止まで0:00
その言葉を言い終わる前にシャルルのISは解除され、そのまま海へと落下していった。
シャルル活動停止
結構無理矢理な所とかありますが…そこはすいません私の力不足です。
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第10話 主と憧れ・母と子
運転免許取得のためにめちゃくちゃ勉強していてそれどころではありませんでした。
無事取得出来ましたのでこれから今までよりも遅くなるかも知れませんが、また書いていきます
落下していったシャルルは海に着水する直前で一夏によって受け止められた。
「おい!シャルル!しっかりしろ!」
どんなに呼びかけてもシャルルからは返事が帰ってこない。体に傷が無いところを見るに相手の攻撃を受けた訳ではないだろう。と、一夏は考えていたがある事を思い出した。
『僕はISと接続している』
『使い過ぎるとICチップを通して機能を停止させる』
「機能って体の機能ってことかよ…」
『織斑、デュノア弟は無事か?』
「ち…織斑先生、シャルルは無事です。ただ…」
『わかっている。すぐに全員捕まえたISと操縦者を連れて戻れ』
という指示を受け学校へと戻っていく。もちろんその間にもシャルルは動くことは無かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
何事もなくシャルルと拘束していたIS操縦者もシャルルの拘束が外れることなく運ぶ事が出来た。それからはシャルルは治療室へ、IS操縦者はISから離し別の場所へと移動させられた。
6人はシャルルの入っている治療室の前にいた。先に疑問を投げかけたのはセシリアだった。
「どういう事ですの?どうしてシャルルさんは突然気を失いました?」
それに賛同するように鈴が言葉を繋げた。
「そうよ、別に相手が攻撃したりしたわけじゃないのにISまで解除されて」
箒は何も言わないがおそらく2人と同じ意見だろう。事情を知っている3人としては言っていいことなのかはっきりしない。事が事なだけにまた起こるかもしれない事態なのだから言う必要があるとは思うが、シャルルの過去をそして、事情を勝手に話してもよいものかと黙っている。
「教えてあげましょうか?」
「え?」
その声に反応し、6人とも声の方へと目をやった。
そこには背中の真ん中あたりまで伸びた赤髪に眼鏡をかけ、スーツの上に白衣を着た、見覚えのない女性がいた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「どういう事だ?」
アスピラションは困惑したようで疑問を投げかけた。
「言葉通りの意味だよ。どちらかを僕が選ぶことは無いよ。姉さんには一夏がいる。まあ、これは一夏が姉さんを選ばないと始まらないけどね。そしてクロエには束さんがいる。あの子の束さんへの忠誠心は凄まじいからね。どれだけ僕が好意を寄せても振り向いてはくれないかもだからね。」
シャルルはいつもの微笑みをする。達観したようでいて、諦めであるような微笑みを。
「本当にそう思っているのか?」
「…本当は少しだけ寂しいって思いはあるよ。でも、ふたりが幸せになるのならそれだけで僕は十分だよ」
「では、あなたはどうする?」
「…君がいるじゃないか。例えみんなが僕の前から消えても君は消えないでいくれるって僕は思っているよ。今の質問だって僕を気遣ってくれているんでしょ?」
「………」
「君は優しいよ。仮初である僕に君は付いてきてくれるんだから。ほんと、よくついてきてくれた。僕の乱暴で横暴で自分勝手な動きしかしない事にも文句も無くついてきてくれて、こんな時にでも君は出てきてくれた。君こそ本当の『憧れ』だ」
少しだけ悲しいというより泣きそうな表情をしながらアスピラションを見つめている。
それを聞き次はアスピラションが話し始める。
「色々と訂正させておきたいことはあるが、これだけは訂正させて貰う。私は嫌々あなたについていっている訳ではない。私の意思であなたについていっている。本当に嫌であれば私は意地でも起動しないからだ」
「……」
「私は感謝しているぞ。試作品として作られてからずっと眠っていた。それもそのはずだろう、並の人間では私は扱えない。その時に現れたのがあなただ。あなたは確かに意図的にISを動かせる体にされているし、肉体も強化されている。しかし、不謹慎かも知れないがそのお陰で私は陽の目を見れた。あなたこそが私の『憧れ』だ」
マスクで顔め表情も見れないが、声色だけでの判断ならとても柔らかい表情をしているのだろうとシャルルは感じ取った。
「そっか、君はそんなふうに思っていてくれてたのか…とても嬉しいよ。これからも君には負担をかけるかもしれない、もしかしたら君を壊してしまうかもしれない、それでもついてきてくれるかな?」
「私はあなたの刃であり、盾であり、銃弾だ。存分に私を使ってくれて構わない。私の主よ」
「うん。頼りにしているよ」
そう言ってシャルルが微笑んだ後今度はシャルルの体が立体映像のように消える。
「またね。アスピラション」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
シャルルが目を覚ました時、そこはシャルルにとって見慣れない場所だった。ただ、そこが校内であり保健室のような場所だろうという事は察した。
「ぁ…やっと起きれた…」
起きたが、シャルルの体はまだ満足に動かせない。腕は指先から肘あたりまでしか動かせない、足もつま先から膝あたりまで、首も少しだけ動かせる程度だった。
「随分長い間眠っていたわね。まあ、正確に言えば止まっていただけど」
シャルルにとって聞き慣れているが、ここに来てからは久しぶりの存在でここにいるはずのない人物の声。
「どうして…いるんですか?…千早さん」
「…まだ機能は戻りきっていないのね。
予想できたからよ。君が無理をして機能停止するのがね。せっかくクロエに伝言までしてもらっていたのに」
千早は呆れたようにため息をつきながら言った。
「すみません…でした…」
少しだけ目を伏せながらシャルルは謝った。それを呆れた表情のまま千早は続けた。
「まあ、いいわ。大事には至らなかったし、何より束が喜んでいたからね」
「束さん…が?」
「ええ、『流石シー君はわかってるねぇ』って感じで」
「……」
「でも勘違いはしないで、私は束とは違うわ。無理をしないこと、君に力があるのは十分わかっているけど、制約があるのも事実、それを越すとどうなるのか君ならわかるわよね?これは科学者であり医者である私の言葉」
「はい…」
「そして…」
「…?」
さっきまでベッドの横に立っていたのをしゃがみ、シャルルと目線を合わせてからシャルルの頭を優しく撫でた。
「千早…さん…?」
「君を拾って、母親代わりとして育てた私個人の言葉よ。君は傷つくのは自分だけでいいって思っているかもしれないけど、命は1度無くなったら完全には戻せない。それは、私だろうと束だろうと不可能よ。それはもちろん改造された君だろうとISのような機械でも一緒よ。必ず直しても綻びが生じる。この世に100%なんて存在しない、わかっていると思うけど忘れない事、君が傷ついて悲しむ人たちもいるのよ?君は気づいてないの?」
「…いいえ…」
「いい友達を持ったわね」
「…はい」
千早はシャルルの頭から手を離し、また立ち上がる。
「それで、止まっている間に何を見たの?」
「…僕の…憧れに…会いました」
「そう…」
機能停止していて上手く表情を出せないシャルル、それでもとても楽しそうに話している事が千早には伝わり優しく微笑んだ。
その光景はまるで親子の団欒を見ているかのように思えた。
まあ…無理矢理でしたかね?
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第11話 アサシン
しばらく休みながら千早さんと話しているうちに僕の体は段々と慣れてきたように体の自由がきくようになった。
「千早さん」
「なに?」
「あの人は?」
「今は地下にいるわ。この学園はどうやら監禁部屋みたいなのがあるみたいだからそこにいるみたいよ。流石にそのまま逃がすことも殺すことも出来ないからね」
言葉足らずだと言ってから気づいたけど、千早さんは察してくれたようだ。
「それと、いくらやっても口を割らないみたいでね。手を焼いてるみたいよ」
「そうですか…では、千早さんは一夏達に会いましたよね?何か話しました?」
「そうね…何人かは既に知っていたけどあなたの身の上話はしておいたわ。知らなかった子達がとっても知りたがってたけど、知ってる子達があなたを気にして言えなかったみたいだし」
「そうですか…僕から早めに言えば良かったですね」
「気にする事はないのよ。言いづらい事だもの」
「…今日はやけに優しいですね千早さん」
「流石の私でも今のあなたの状態で厳しくなんて出来ないわよ」
「とにかくありがとうございます。代わりに言ってくれて、みんなは何か言ってました?」
「特に何も。強いて言うなら早く目を覚ませって言ってたわ」
「優しいですね。みんな」
「ええ、そうね」
「僕もう動いても大丈夫ですか?」
「…そうね。行くの?」
「はい、みんなには悪いですけど先に行かなきゃならない気がして」
「そうね時間はないと思うわ」
「では、行ってきます。心配しないで下さい。僕はもう同じ事は言われません。」
と言って千早さんの返事も聞かずに保健室を出ていく。その時声をかけられた。
「待て、デュノア弟」
「織斑先生」
「もう動いても大丈夫なのか?」
「問題ありません。迷惑と心配をかけてしまって申し訳ありません」
「全くだ。しかし、それで助かったのも事実だ。それと、あのIS乗りについてだがお前に処遇を一任する」
「僕にですか?」
「ああ、何をしても口を割らん。これ以上は殺してしまう可能性が出てくるからな、いっそお前に任せてみる事にする。本当は問題なのだが、仕方あるまい」
「…わかりました!」
「うむ、では行ってこい」
「はい!」
「それとだな」
「?」
向かおうとし、踵を返した時また織斑先生に声をかけられた。
「やつは『どうせ殺される。消される』と言っていた」
「…」
その言葉を聞いて僕は少しだけ口角を上げて答えた。
「予想通りです」
そして、僕は地下へと向かった。
その場所は普段の学園とは比べ物にならないほど澱んでいた。空気的なものもだが、雰囲気からそれが伝わった。
そして、その部屋に近づくにつれて憎悪と殺意、そして悲観の念が感じられた気がする。その扉を僕は開けた。
「気分はどうですか?」
開け放たれたその空間はとても暗く目の前を見ることすら困難だ。しかし、困難というだけで見えない訳ではない。それに、手持ちのライトをつけた。そこには壁に繋がれた手錠に両手をはめられた赤黒い髪をした女性がいた。体つきから見てあの人なのだろう。
「……」
その人も声と光に反応したのか顔を上げた。明らかに衰弱し、目は虚ろで顔色にも生気がないと感じさせるほどだ。僕の声に返事をしないのは抵抗なのだろう。
「声を聞けばわかると思いますが、僕はあなたを拘束したフルアーマー型のIS操縦者です」
「…お前か」
自己紹介をしたところ反応が返ってきた。きっとそれこそ憎悪とかなんだろう。
「そうですよ。そして、あなたの処遇を任されました」
「…」
「つまり、活かすも殺すも僕次第という事になりました」
「…どうせ、すぐに私は殺される」
「それは、あなたのいる組織にですか?」
「…」
「沈黙は肯定と捉えますね。では次あなたの名前は?」
「…R」
「コードネームか何にかですか?」
「どうだろうな」
「まあ、そういうことにしておきます。次、あなたの組織は?そして、目的は?」
「……」
流石にこれは答えないか…ちょっとだけ脅してみるかな。僕は持ち合わせているナイフを取り出した。
「脅しのつもり?」
やっぱり気づくよね。僕だって本当はやりたくはない。
「ええ、脅しになるかならないかはあなた次第ですよ」
そう言って僕はライトを消した。
「システム『アサシン・ザ・リッパー』」
気配を消し、呼吸音すらほとんどしない。もちろん足音も消している。最初に姿を見せなければ居ることすらわからないだろう。
しかし、Rは呼吸一つ乱すことなく平然としている。それは首筋にナイフを当てても、少しだけ切り傷をつけても変わらなかった。そういう訓練を積んでいたのか、それとももう諦めているのか。
「終わりか?」
「…ええ、感服しました。これは僕では手に負えませんね。待ちますか?あなたの組織が来るのを」
「……」
「無言は肯定…いえ、この場合は否定と受け取ります。あなたは死にたがってませんし」
「何を勝手な…それに、死にたがってようがなかろうが私は死ぬんだよ」
「いいえ、あなたは死にません」
「何を根拠に…」
「僕がここに来たのはあなたから話を聞きに来たわけでも、殺しに来たわけではありません…あなたを防衛しに来ました」
「な…」
そう言っていると外から何人もの人間が重装備しながら走ってくる音が聞こえる。本当に予想通りだ。織斑先生にも不穏な人たちが地下室に来るようなことがあってもそのままにしておいて欲しいと言っておいた。それに…
僕は『アサシン・ザ・リッパー』を解き、扉の前に立ち1度首だけを後ろに向けながら言った。
「…別に、あの人たちを殺してしまっても構わないのでしょう?」
殺しの許可は得ている。
お気づきの方もおられるでしょう。シャルルのシステムはFateのクラスをモチーフにしています。今後も出てくるのでどれがどれだかを考えながら見てみてください。
明日からFateGOに新章が追加されるので遅れることが予想されます
申し訳ありません
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第12話 赤
一応私の表現方法なので、微妙かも知れませんが本当に苦手な方はお控え下さい。
扉が開け放たれた瞬間、外から銃声が鳴り響く。もちろんこの部屋に向けて。しかし、その銃声に反してほとんどの銃弾は部屋に入ってこなかった。それは、扉を開けられた瞬間それを一瞬でまた閉めたからだ。
流石の僕でも何丁ものマシンガンから放たれる銃弾は捌ききれない。だから鉄の扉を使わせてもらった。
それから扉が閉められたことに気付きすぐに銃声は止んだ。この分では上にも音が漏れてそうだ…僕は一つ吐息を漏らした。
「ふぅ…システム『デュアルセイバー』」
右手に持っていたナイフに加え左手にもナイフを持ち二刀流にした。わざわざシステムとして使う必要があるのか?と言われたことがあるが、二刀流時とはスタイルが変わる。
「…ちょっ…」
後ろから声をかけられる。それに僕は振り返らずに応える。
「待ってて下さい。すぐに片付けます」
銃声の数からしておよそ10は超える数はいる。ただ、ISはいないみたいだ。まあ、そうか。とにかく、いつまた停止するかもわからないし言った通り早めに終わらせよう。
ゆっくりと扉を開ける。その音に反応してか外にいた人たちは警戒を強めた。細い隙間をするりと抜けすぐに扉を閉めた。
「誰だお前は」
ガスマスクのようなものに顔を覆った人たちが取り囲んでいた。その中のリーダー格だと思われる人が僕に向かって聞いてきた。
「僕はここの生徒ですよ」
「なぜここにいる?」
「ここの学園にいるのにここにいちゃダメですか?僕としてはあなた方がいる方がおかしいと思いますが?」
終始笑顔で応えた。ナイフも今では出来るだけ視界に入らないように後ろ手で隠している。
「そこにいるやつを渡せ」
「唐突ですね」
「お前と話してても埒が明かない。死にたくなければそこをどけろ」
「お好きにどうぞ?最も、一人で、それに生身だと油断していると痛み目を見るのはあなた方だと思いますがね」
それを皮切りに僕は動いた。後ろ手で隠していたナイフをノールックで上に向かって放った。それはあまり高くない、と言っても3m近くはある天井に刺さった。一瞬だけど、全員の視線がそっちに移った。
その隙をついてまだ持っていた二本のナイフを両手で持ち真正面にいた人に向かって間合いを詰め装甲の薄い首元に右手に持っていたナイフを刺しこみ横に振り抜いた。結構深く入り込んでいたため首はほぼ半分程が繋がれていない状態になっている。その傷から水が流れているホースを切ったように噴き出す。その噴き出した血はその隣にいる武装隊の人に大量にかかった。その後頭部の重さにより傷とは逆方向に頭部は倒れ血が噴水のように噴き出す形に変わった。もちろんそれは僕にもかかった。生臭く、鉄臭い、そして少しだけ粘り気のあるドロッした液体が…
首を切られた人は1度膝から崩れ落ちたあと後ろに倒れた。ほんの一瞬だけ静寂が訪れたあとリーダー格が声を上げた。
「全員!こいつに狙いを定めろ!!!」
その掛け声とともに僕に向かって銃口が向けられる。その数一人減っても12人。いや、数は関係ない。僕に狙いを定めてくれるのなら好都合だった。何故なら扉を守らなくても済むからだ。
「システム『トラッキング』」
このシステムは『ゲイボルグ』と少しだけ似ている。違う点は『ゲイボルグ』は手持ちでしか発動出来ない事、それに対して『トラッキング』は投擲でしか発動出来ない。それ以外はほとんど同じで動きが止まるまで狙った部分に動き続けるということ。
僕はノールックで両端にいた武装隊の人に投げた。そのナイフは腹部の防弾、あるいは防刃のベストに当たる。でも、僕のナイフはISのものと同じ。ISのような機械を切りつけても一切刃こぼれせず斬れ味を保てるほどのもの。故に、そのナイフはその武装を簡単に貫いた。
「うわぁぁぁぁ!!?」
「ぐぁぁぁぁ!!?いっ…な…」
その2人はその場に膝から崩れ腰を折り痛みにもがいている。
「撃てぇぇ!!!」
その掛け声とともに僕に向かっていた銃口から放たれた。それを僕は全てまともに受けてしまった。
僕の体からは蜂の巣のように無数の穴が開き、その穴から血がとめどなく流れ、口からも血を吐き出した。
なんてことは無い。いや、実際には『そんな事実はない』
「システム『ミラージュ』」
血塗れの僕はその声とともに武装隊の人達の視界から消えた。それと同時に最初に刺さっていたナイフが落ちた。
それを空中で僕はキャッチして手近にいた2人にそれぞれ心臓部に突き刺し、素早く引き抜くために2人の体を壁に見立て両足で蹴りそのままナイフを抜き僕は一回転して着地する。そして、次は逆側にいる並んでいる2人の方に向かっていった。その間に先程蹴った2人は口から空気が漏れ、奇声すら出せないようだった。
「何で…生きて…」
誰が言ったかわからない。わからないけど、初めて聞く声だってことはわかった。
そして、その疑問も納得だった。
「幻ですよ。あなた方の見ていた景色は全て幻です。だから、僕は隠れていただけです」
全てというのは嘘だけど。それに隠れていた訳ではない、ただ、斜線上に入らなかっただけ。
僕は歩みを止めたが言葉は止めなかった。
「ここで、あなた方にチャンスを与えます。今このまま中の人を見逃して帰るのなら僕は追ったりしませんし、他の人にも追わせません。しかし、このまま残って僕の相手をするのなら容赦はしません」
「……」
「どうです?」
と聞いた瞬間また銃弾が飛んできた。それは一発だけだった。僕はそれをナイフで切り落とした。
「…交渉決裂ですね」
僕はナイフをその場に落とした。
「システム『バーサーク』」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
気がつく頃には終わっていた。辺りは血の海のかし、その海には武装隊の人たちが転がっている。その転がっている死体はどれも痛ましい。少しだけ切られていたり少ない損傷だけの死体もあれば、腕、足が無いのは当たり前、身体中穴だらけの死体もあれば上半身と下半身が離れているのもあり、体が右と左で分かれているのもある。その死体の近くには原型を留めていない内蔵が散らばって落ちている。もはやどれが誰のかわからない。
そして1人、両肩をナイフで壁に突き刺し固定した兵士がいる。その兵士はこの武装隊のリーダー格の人だ。『バーサーク』の間全てを何もさせずにただ見せていた。
「さあ、最後ですよ」
「悪魔め…殺すのなら早く殺せ!」
悪魔…か。まあ、傍から見たらそうかもしれない。身体中を血で濡れ、染めながら何人もの人を残虐に殺してもまたもう1人を残しているのだから。
「まだ殺しませんよ。あなたには喋ってもらう必要がありますから…」
「俺はもう何も喋らねえぞ!絶対に!」
そう言って口を開き舌を前に出して噛もうとした。でも
「無駄ですよ」
「ぐぁぁぁぁ!!」
僕はそのリーダー格の人の指を1本掴みどんどんと曲げていく。骨が軋んでミシミシという音が聞こえる。その痛みで動きは中断し代わりに痛みにもがくようにジタバタとしている。
「さあ、馬鹿な真似はやめて質問に答えてください。あなたは中の人の仲間ですか?」
「俺は…ぐっ…答え…」
指がある一定の角度を超えた時ボキッという乾いた音が響いた。
「がぁぁ!!い、いでぇぁぁ!!」
「答えて下さい。次いきますよ?」
と言って別の指を手に取った。
それでも答えない。だからまた折った。
そしてまた次、また答えずに折った。
また次、また答えず折った。
また次、折った。
右手が無くなったので次は左手の方に変えた。そこでリーダー格の人は気絶していた。僕はガスマスクを外し頬を叩いたが反応がなかった。なので、少しだけ加減して腹を殴った。すると血反吐を吐くと共に目を覚ました。
「さあ、喋りますか?次は左手ですよ?」
「……」
喋らなかった。そして、ただただ僕を睨みつけていた。そこで僕は1度『バーサーク』の前に落としたナイフを拾って持ってきた。それを目に突き立てた。
「気が変わりました。目を潰します。いえ、正確には目を取ります」
「や、やめろ!!やめてくれ!!!」
「…嫌ですよ?」
「言う!言うから!!!」
「…都合が良すぎますね」
ナイフをしまった。それを見て安堵したような表情を浮かべた。
「勘違いですよ?」
と言って僕は右手でその人の左の瞼の中に指を入れ眼球を掴み引き抜いた。
「アアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」
左の目からは血を流し右からは涙を流し、それは顎の辺りで交わり少し薄い血を作り出した。
どんなに絶叫してようが、涙を流そうが僕は表情を崩すことは無かった。
「さあ、質問です。中の人とは仲間ですか?」
「ち…ちが…う…ぐっ…うっ…おれ…らは……雇わ…た…うっ…だけ………」
「誰に?ひいてはどこに?」
「せ…赤華…」
「…お疲れ様でした」
そう言って僕は拳を握り心臓部を殴りつけた。骨の折れた乾いた音よりも肉を潰したグシャッという音の方が大きかった。その人は声もあげられず血を吐きながら絶命した。
僕は後ろを振り向いた。その視線の先には扉が開かれていて、中にいた人は今までの光景を終始見ていた。その表情は最初に訪れた時のような余裕はなく僕とも目を合わせる様子もない。
それを見てから僕はその場を去った。
こういう話に限って長いのですよね…
正直こうまでするつもりは無かったんですけどね…気の迷いというかなんというか…
だんだんとシャルルのキャラが本当に悪魔と化してきましたよ…
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