東京喰種 A∨C (calpass)
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#001【門出】
こんにちは!
この度大好きな作品を描きたいなと思って、投稿することにしました!
普段書いてる小説とは真逆のジャンルなので、少々緊張気味ですが頑張ります!
【喰種】
群衆に紛れ、ヒトの肉を喰らう。
ヒトの形をしながら、
ヒトとは異なる存在・・・
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20xx年 4月 東京1区
「ハァ・・ハァ・・・初日から遅刻とか最悪だよ!」
「いや悪いって、昨日は眠れなくってさー」
「ていうか、なんで・・ハァ・・ヒデはそんな息切れしてないんだよ!」
「カネキとは鍛え方が違うんだよなあ」
ヒデと呼ばれる青年へ悪態を吐く彼の名は【金木 研】age:18
カネキと呼ぶ彼の名は【永近 英良】age:18
彼らは本日【喰種対策局】Commission of Counter Ghoul 通称:CCGの1区本局へと向かっていた。
CCGとは簡単に言えば警察のような役割を果たしている。しかし、捜査対象は『喰種』のみ。
人間を捕食する喰種から、人々を守る組織である。
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入局式を終え、晴れて喰種捜査官になった僕たちは二等捜査官という地位からのスタートとなった。
捜査官の序列は
特等捜査官
准特等捜査官
上等捜査官
一等捜査官
二等捜査官
三等捜査官
この序列から構成されている。
ちなみに僕たちのような、アカデミー卒業生に関しては既に喰種対策法などの法律や、喰種との戦闘に用いる武器【クインケ】の操術技術が備わっているため入局時は二等捜査官からスタートとされている。
「今日からよろしくな。俺は【櫻井 慎司】上等捜査官だ。お前の直属の上司、というかコンビってやつだ。」
「は、はじめまして!金木研二等捜査官です!櫻井上等これからよろしくお願い致します!」
20区に配属された僕は、櫻井上等とコンビを組むこととなった。
通常、特等捜査官〜上等捜査官の上位捜査官と一等捜査官〜三等捜査官の下位捜査官でコンビを組むことになっている。
特例はあるみたいだけど、今の僕には関係のないことだ。
ちなみにヒデは4区に配属された。
4区といえば凶暴な喰種の住処とされ、ヒデは「そのうち死ぬかもな」といつものように冗談には聞こえない冗談を言っていた。
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「カネキ、早速だが【大喰い】についての捜査資料だ。」
「おお・・・喰い・・?」
通常CCGでは、名前など素性の暴かれていない喰種に対し彼らの特徴を掴んだニックネームをつけ識別する。
本名が分かればすぐに駆逐、及び連行することは可能なのだが・・・・
「こいつは比較的平穏な20区に最近現れた凶悪な喰種だ。文字通り大食漢でな・・・」
喰種の捕食は月に一度程度でいいらしい。
捜査資料に目を通すと、その喰種は月に何度も捕食し、【喰い場】と呼ばれる喰種独自のテリトリーを無視し喰い荒らしていると書かれている。
更に資料に目を通すと、喰種の危険度や凶悪さを表す【レート】がなんとS。初っ端から【Sレート】を相手とは・・・4区に配属されたヒデよりもハードなのでは?
「とりあえず情報を集めるためにも、周辺捜査が必要だ。行くぞ、カネキ。」
こうして僕の初任務がスタートした。
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20区
比較的平穏な街とされているが、それは喰種が独自のコミュニティとルールを作り秩序化されているため。そんな街に本当に【大喰い】がいるのか甚だ疑問だが僕は櫻井上等と同行した。
「しかし、中々情報が集まらねえな。未だに性別すら掴めてねえ。」
「どうしましょうか、引き続き聞き込みに周りますか?」
「そうだなあ・・・お、あんな所に喫茶店があるじゃねえか。カネキ、聞き込みもしつつ一旦休憩だ。入局祝いで一杯奢ってやるよ。」
僕たちが訪れたのは
喫茶店【あんていく】外観はコンクリート製で植物のツタがその建物を覆っている。
一見地味だが店内は落ち着いたヨーロッパを連想する洋風造りになっていて、なんだか落ち着くお店だ。
それになんだか、珈琲の良い香りがする・・・
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
「2人で。」
「お席にご案内いたします。」
先に案内された僕たちは珈琲を頼み、すぐにそれはウェイターにより運ばれてきた。
「お・・美味いな、この珈琲・・・」
「美味しいですね。僕あまり珈琲は得意じゃなかったんですけど、印象が変わりました。」
「それよりカネキ、あそこの客見てみろよ。」
櫻井上等に言われ、そのお客さんを見てみると・・紫がかった黒髪に、すらっとした体型。そして眼鏡がよく似合い読書をする彼女にピッタリだった。
「エロい体してんなー」
「ちょっ、櫻井さん!小声でも誰かに聞かれたらどうするんですか!」
「うるせーなー。お前の声のがでけえっつーの。ほら、注目浴びてんぞ。」
「え・・・・・あ・・すみません・・」
ものすごく気まずい。普段目立たない僕にとって、こういう時は本当に辛い。なんだか櫻井さんってヒデに似てるなあ・・・ははは・・
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「収穫、なかったですね。」
結局お店を出た後も聞き込みをしていた僕たちであったが、何1つ情報が掴めず気付けば夜になっていた。
「まあこんなもんさ。普段街で喰種とドンパチするよりかはマシだろ?」
「そうですけど・・・意外と捜査官って地味な作業するんですね。入局前はバリバリ働いて戦闘に明け暮れる日々ってイメージが強かったので・・・」
「アホか!そこまでCCGはブラックじゃねえよ!・・・おい、カネキ。ここで隠れろ、それと絶対に大声出すなよ?」
「えっ?・・・・」
櫻井上等の真意は分からなかったが、彼の視線の先をよく見てみると、先ほど【あんていく】で見かけた綺麗な女性が1人の男性と共に路地裏へと入って行った。
「カネキ、尾行だ。それとクインケの展開準備をしろ。おそらく喰種だ。」
僕らは声を殺し、息を殺し、抜き足差し足路地裏へと向かった。
そこで目にした物は・・・・
「だ・・だずげ・・・ごばぁ!・・」
凄惨な現場だった。
死を予感する、血の海、香り、全てが不快になる。
「あらあ・・・さっきまで【あんていく】にいた、おじ様と坊やじゃない・・・今夜はたーっぷり喰べれるわね」
「いーや、喰べられる前にお前は駆逐してやるよ。その食欲から判断すると・・・お前が噂の【大喰い】か?」
「私が白鳩になんて呼ばれてるかなんて興味ないわ。それよりも私、お腹空いてるの。特にそこの坊やのこと、ずっと美味しそうだなって見てたから・・・喰べさせてええええええええ!!」
「これより、【Sレート】喰種、【大喰い】を駆逐する!戦闘準備!」
何が起こっているのかさっぱり分からない。配属初日でターゲットと遭遇、そして戦闘。
櫻井上等が激しく攻防を繰り返す。僕は呆気に取られるだけであった。
「カネキ!お前も手伝え!!」
ハッと我に帰りクインケを展開する。
クインケ【ワダチ:尾赫 Bレート】
「うわああああああ!!」
正直僕はクインケ操術に長けていない。アカデミーでも座学のみトップで、他はぼちぼち。特に争いが苦手な僕にとってはクインケ操術が1番苦手であった。
「ぐっ、強い・・・鱗赫と俺の【トビウオ】じゃ相性が悪い・・・」
櫻井上等のクインケも僕と同じ尾赫。鱗赫との相性は最悪だ。
僕も必死に応戦するがやはり強い。Sレートは伊達じゃない。
「ハァ、白鳩も案外弱いわね。それじゃ、そろそろ終わりにするわ」
「は・・・・」
彼女は僕に向かって真っ直ぐ飛んできた。しかし飛んできたのは彼女自身ではない・・・【赫子】だ。
「ごばあああああ!!」
「カ、カネキいいいいい!!!!」
あれ・・・お腹に穴が・・・ヤバい
「ぶがあああああああああ」
櫻井上等も僕に気を取られた隙に腹を貫かれている。これはもう2人仲良く捕食されてしまうみたいだ。
「あーあ、やっと終わった。メインディッシュの前におじ様から・・・」
この先のことはもう思い出したくもない。
目の前で櫻井上等であった物は肉片と血の海と化していた。意識が朦朧とし思考も定まらない。断片的な『死』という一文字以外、頭に浮かばない。
「やっぱ所詮はおじ様ね、若い子と違って薄味だったわ。さあ、私の可愛いメインディッシュちゃん。お腹、まぜまぜさせて?」
ああ、死んだ・・・
ドガアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!
爆音と衝撃と共に、僕は気を失った。
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『彼はまだ助かる!すぐに移植するんだ!』
『先生!でも双方の同意もなしに!』
『時間がない、全責任は私が取る』
あれ、おかしいな。夢でも見てるのかな?僕はまだ生きている・・・のか?
でも体は一向に動かない。
少し、眠ろう・・・
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『おめでとう、カネキくん。新しい人生の始まりだ。』
目覚める前、聞こえたような言葉を思い出し僕は悟った。
例えば仮に・・・・
「なんだよ・・・これ・・・・」
僕が小説の主人公だとしたら・・・
「目が・・・・嘘だろ・・・なんで・・」
それはきっと・・・
「なんで・・僕が・・」
・・・
「喰種・・・なんだよ・・・」
まあ第1話は原作に似たような感じですね!
CCG入局の門出、喰種としての門出、タイトルはこれが相応しいなと思って付けました。これからちょくちょく更新していきます。では・・・
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#002【囁き】
「やあ、カネキくん。調子はどうだい?」
この人か。僕が喰種になったのは。この人のせいなのか?
「何を企んでいるのですか?何故・・・僕が・・」
「そのことについてだが、君はまだ若く助かる見込みもあった。しかし肉体の欠損が激しく、喰種の臓器を移植するしかなかったんだ。おっと、紹介が遅れたね。私の名前は【嘉納 明博】ここの病院で医院長をしている」
「僕はCCGの捜査官です。何故よりによって捜査官の僕に・・・こんな・・仕打ちを・・・・」
僕は泣いていた。これから降りかかる災難や非難、世間の目、様々な思惑があった。そしていつか自分も駆逐されてしまうかもしれないという恐怖心。
「捜査官だからさ。君には可能性を秘めていると感じていたのだよ。結果は大成功。RC値も安定し怪我も完治しているだろ?」
嘉納に言われるまで気づかなかった。僕は既に完治していたのだ。土手っ腹に風穴を開けられたというのに・・・本当に僕は化け物になってしまったようだ。
「さて、喰種になってしまった君に対しCCGの仲間たちはどう思うだろうね?僕と手を組むか、それとも・・・」
それとも、駆逐される・・・か。僕に選択の余地など、初めからなかったようだ。
「・・・分かりました。」
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それからというもの、検査や薬漬けの日々が続いた。永遠とも言えるこの時間は、1分が何億光年のように感じるほど長く・・・苦しかった。
「ぐぼぼばばげばあばばああがが・・やめ・・・おねがばだがぁあだあああああああがだばやだ」
「再生能力を確かめているんだ。私もこんなことはしたくない。」
嘉納という医者は狂っている。最早医者ではなくマッドサイエンティストと呼んだ方が適切だ。
欠損した部位が再生したらまた切り込む、捻る、潰す・・・有りとあらゆる方法で、彼は僕を痛めつけた。
本当にこんなことをして何になるのか、僕には到底理解できなかった。彼が僕を喰種にした真意すら・・・
「食事の時間だよ。カネキくん。」
出された物は『人肉』。喰種はヒトしか食べることができない。けど、僕がいくら化け物になろうと、心までは化け物にはなれない。人間としての誇りがある。
「もう何日も食べていないね。このままでは死んでしまう。赫子すらまだ出せていないというのに。」
・・・
・・・
・・・
翌日から嘉納のやり方は変わった。今までの比ではない方法で。僕を鍋の中の野菜のように、じっくり・・じっくり・・痛めつけた。
精神的にも体力的にも空腹も限界を迎えていた。この無意味な拷問に堪え兼ね、僕は初めて『食事』をしてしまった。
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4区 CCG支部局
20区の対【大喰い】から2週間が経ち、未だにCCGは足取りを掴めていない。
それ以上に【大喰い】と遭遇及び戦闘を行なった櫻井上等の殉死、そしてカネキが行方不明とされていた。
彼らの通信が途絶え、20区の捜査官が捜索した時には変わり果てた櫻井上等の姿だけがあった。
現場に残された血痕からDNAを採取。カネキと思しき血液も確認され、もう20区支部局ではカネキは殉死と断定されていた。
納得できない。証拠不十分だろ。それにあの現場には連日報道されている鉄骨事故があったらしいじゃないか。カネキが戦闘中に巻き込まれてしまったなら、病院に搬送されるか訃報を病院側から受けるに決まっている。CCGは何か隠蔽でもしているのか?
「永近、どうしたそんな難しい顔をして?」
「江南さん、なんでもないっすよ!今日の晩御飯何かなーって考えてただけっす!」
顔を上げると俺とコンビを組んでいる【江南 楽助】准特等が心配そうに声を掛けてきた。きっと江南さんも俺とカネキの関係性から気遣っているのだろうな。
「そうか、ならいい・・・引き続き【カマキリ】の調査だ。」
「うっす。」
俺は今【カマキリ】と呼ばれる喰種の捜査に当たっている。そいつは鎌のような2本の赫子を持ち、最近4区に現れた喰種だ。
カネキのことも考えなければいけないが、俺は4区の捜査官。20区は管轄外だから非番の時しか捜査できねえな・・・
聞き込み調査の間喰種との戦闘。アカデミー主席の俺はある程度の喰種なら太刀打ちできる。江南准特等もいるから余裕だな。
「永近、今日のところはここまでにしよう。局へ戻って報告書の作成だ。」
「げっ、報告書とか面倒っすよー・・・」
「捜査官の義務だ。ちゃんとやらないと出世できないぞ?親友、探したいんだろ?」
「江南・・・さん・・・」
江南さんには筒抜けだったって訳か。俺は少し微笑んで「じゃあ俺の報告書も手伝ってくださいね」といつも通りの軽口でいつもの調子を取り戻した。
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「ぐああー疲れたあー」
「お疲れ永近、今日はこの辺で・・・また明日な」
「お疲れ様っす!・・・さてと・・」
俺は20区へ向かった。無論カネキを捜索するために。
藁をもすがる思いで必死に現場や周辺調査を繰り返した。その結果1つ『情報』を得ることに成功した。
【嘉納総合病院】
そこで【ピエロ】が出現した・・・と。
きな臭いな。事件現場から【大喰い】の遺体も、カネキも消えたとなると・・・何が狙いなんだ。だがカネキを拉致したってメリットなんてないはずだ。CCGの内部事情なんて新米の俺らには分からない。
とりあえず、潜入してみますかな。
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おかしい、こんなすんなり潜入できるものなのか?警備員が1人もいないって絶対罠だろ。むしろ誘われている。でもカネキのためだかんな、その誘いに乗ってやるよ。
更に俺は奥へと進んでいくとそこに【第一研究所】と書かれた部屋が存在していた。一応しらみつぶし慎重に探ってみますかな・・・
軽い気持ちで部屋に入ると・・
「カ・・・カネ・・・・キ・・・」
目を疑った。そこには親友の変わりはてた姿があった。カネキは鎖で両腕を釣り仕上げられ、至る所に痛々しい傷がある。
「おい!カネキ!!大丈夫か!?」
「ヒ・・・デ・・また・・げん・・・かく・・か」
「ちっげーよ!とにかくこんな所早く出るぞ!」
「ダメだ・・ヒデ・・・でちゃ・・ダメ・・だ」
「何言ってんだよ!こんな傷だらけで・・・は?・・」
カネキをよく見てみると傷が徐々に癒え始めていた。それも人間ではあり得ないスピードで。
「お、お前・・赫・・眼・・・」
「ごめん・・・ヒデ・・・僕、喰種に・・・」
訳がわからなかった。カネキとは小学生の頃からの付き合いだ。ついこの間だって一緒に飯食いに行ったんだぞ?喰種なわけねえ。
「おいおい冗談キツいぜ?ドッキリか?ドッキリってやつかこれ?」
「はは・・・僕もそれだったら・・よかった・・のに・・」
「嘘・・・だろ・・・」
「本当だよ。カネキ君は喰種になったんだ」
声のする真後ろへ体ごと顔を向ける。そこには初老の医者らしき姿の男がいた。
「あんた・・嘉納明博か?」
「ははは。自己紹介が省けたね。私は君の言う通り、嘉納明博だよ。」
「カネキに何をした・・・」
「だから言っただろ?彼は喰種になったんだ」
つまり、こいつがカネキを喰種にしたってことか?だが人工で喰種を作ることなんて可能なのか?
「困惑しているね。どうやってカネキ君を喰種にしたかと考えているんだろ?簡単さ、喰種にあって人間にない臓器の移植だよ」
はっ・・・まさか・・【赫胞】を移植したっていうのか・・!?
「仮にあんたの言う通り、赫胞を移植したからって喰種になるとは考えられねえ」
「そうだね、君の言う通りだがそれはあくまで確率論なのさ。カネキ君はね、選ばれた人間なんだよ。まあ人間ってのは過去形なんだけどね」
こいつ!!
俺は完全にキレた。持っていたクインケケースに手を掛けクインケを起動して襲い掛かる。
「カネキは人間だああああああ!!」
ザシュッ!!
音だけが聞こえた。
しかし嘉納に届く前。
この音は、嘉納から出た音でもクインケから出た音でもない。『俺』からだった・・・
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永近!永近!!
あっれ、何か遠くの方から声が聞こえんな。ああ思い出した、俺なんかいきなり切られたんだっけ?ていうか切られたのかすらも分からん。
「永近!!」
「・・・・あれ・・江南・・・さん・・・?」
「大丈夫か?昨日病院に搬送されたんだぞ?何があったんだ?」
う、頭と脇腹あたりが痛え・・・そうだ、昨日のことを話さないと。・・・
「カネキが・・・」
「カネキ君?永近の親友のことか?彼がどうかしたのか?」
「カネキが嘉納明博っていう医者に捕まったんです・・・そこで・・カネキは・・・」
「おいおい、何言ってんだよ永近。カネキ君ならほら、そこにいるじゃないか。」
は・・・・
「ヒデ、大丈夫?」
誰だよ・・お前・・・
俺が夢でも見てたってことか・・・?
あの出来事は全部夢?でもこの傷はどう説明付ける。訳が分からない。
「ヒデ、心配かけてごめん。僕も負傷してしばらく意識がなかったんだ。それに僕は身寄りがないから、どこにも病院側も連絡できなかったみたいで・・・」
そんなこと有り得るのか?なんだよ・・・それ、訳分からねえよ・・・
・・・
・・・
・・・
『おはよう、永近くん。君も大成功だ』
遠くで、悪魔の囁きが聞こえた。
次回もよろしくお願いします。
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