その輝く君に永遠を誓う (ヨーソローはやて)
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第一章 輝けなかった光
プロローグ〜再会〜


初めまして!ヨーソローはやて、と言います。
初めて投稿しました。駄文だとは思いますがどうぞよろしくお願いします。
それではどうぞ!


トントントントントントン

 

 ここは沼津にある小さなアパートの一室。その住人である俺、蒼谷 悠(あおや ゆう)はこの四月から沼津にある大学に通う大学一年生だ。もともとこの沼津から少し離れた内浦に住んでいたのだが、両親の仕事の都合で海外転勤になった為、俺一人では家を維持するのは難しいだろうと、今まで住んでいた家を借家として貸し出し、俺は大学の近くで一人暮らしをすることになった。

 まぁ、そんな話はどうでもいいのだが、俺は現在一人暮らしでまだ夢の中。なのに何故包丁がリズムよくまな板を叩く音やら美味そうな匂いがするのか?夢の中にいる俺にそんな事を考える術があるはずもなく、俺の至福の時間は唐突に終わりを告げる事になる。

 

「いい加減起きてください!もう朝ごはんも出来てますよ。早く食べないと入学式に遅れてしまいますわよ!?」

 

 俺は凛と通る声によって夢の世界から現実に呼び戻された。俺は欠伸をしながら思いっきりベットの上で伸びをしながら部屋を見渡してみると、先ほどの声の主であろうセーラー服を着た艶のある黒髪ロングで前髪は綺麗にそろえてある。幼さが残るものの物凄い美人の女性が忙しそうに食卓に朝食を並べていた。

 あの黒髪ロングの美人さんは一体誰だろ?あの制服は浦女の制服だっけか?てかなんで女子高生が俺の部屋で朝食を作ってるんだ?

 

「目は覚めましたか?」

 

「う、うん・・・」

 

「なら、早く顔を洗ってきてください。お味噌汁が冷めてしまいますわよ?」

 

 俺が起きたのを確認するやいなや黒髪ロングの美人さんにタオルを渡され、促されるままに顔を洗うとサッパリして頭が回り始めた俺はやっと正常な判断ができるようになり慌てて部屋へ戻ると、先ほどの黒髪ロングの美人さんが朝食の準備を終えたのかテーブルの前で正座をして俺を待っていた。

 

「いやいやいや、あんた誰!?てかなんで人の家で勝手に朝食作ってんの?つうか、どうやって入ってきたの!?」

 

 と、戻ったとたんまくし立てるように質問する俺に黒髪ロングの美人さんは驚いたあと一瞬悲しそうな表情を見せたがすぐさまため息にその表情はかき消され、代わりに少し拗ねたような表情で詰め寄られてしまった。

 

「本当にわかりませんの?おばさまからおにい…んんっ!悠さんに話はいってるはずなんですが・・・それにその昔あんなに・・・・ゴニョゴニョ」

 

 ん?最後の方はゴニョゴニョ言っててうまく聞き取れなかったけど、この黒髪ロングの美人さんはどうやら俺のこと知ってるみたいだぞ?ん~こんな美人の知り合いなんていたかなぁ・・・てか、お袋のことまで知っているのか?しかし本当に美人だなぁこの子・・・

 

「えっと、ごめん本当にどちらさまでしょうか?君みたいなその・・凄い美人な女の子の知り合い俺にはいないと思うんだけど・・・」

 

(び、びびびび美人ですって!?どうしましょう!?!?凄くうれしいですわ!!!!あ、でもでも私のこと全然覚えていないみたいですわね・・・それはそれですごく悲しいですわ・・・うぅぅ・・・でもでも美人って・・・・)

 

 俺は本当のことを言うと黒髪ロングの少女から目を逸らしてしまった。だって、こんな美人にい詰め寄られて、エメラルドグリーンの綺麗な瞳で見つめられたら、彼女いない歴=年齢の魔法使い予備軍の女慣れしてない俺には刺激が強すぎて耐えられるわけがなかった。

 別に女の子と話したことがないわけでもなく、女友達がいないわけではないがこんな美人とお近づきになることは俺の人生で一度もなかったんだから仕方のないことだ。

 まぁ、すごくかわいい妹みたいな幼馴染の姉妹ならいるけど・・・。中学に上がってからあんまりあってなかったけどあの子たち元気にしてるかなぁ?

 黒髪ロングの美人さんの胸中など気づくはずもなくそんなことを考えていると、俺の返答に対しての返しがないのでそっと黒髪ロングの美人さんの方を向くとは顔を真っ赤にしながら俯いてプルプルと震えていた。

 

「あ・・・えっとごめん!!傷つけてたんなら謝る!!でも本当に君みたいな美人に心当たりがなくって・・・本当にごめん!!」

 

(ま、また美人って!!!どうしましょう!!!!嬉しすぎて死んでしまいそうですわっ!!!!!)

 

 あ、さらに震えが大きくなった気がする・・・しかし、なんでこの黒髪ロングの美人さんのこと覚えてないんだろう!?こんな印象的な人のことなら忘れられないと思うのになぁ・・・。それともあれか?あまりの美人っぷりに前に会った記憶でもぶっ飛んでいるのだろうか?しっかりしろよ俺・・・。

 そんなこんなでしどろもどろになって謝っいると、黒髪ロングの美人さんは目に涙を浮かべながら顔を真っ赤にして俺を睨んできた。

 

「本当に分かりませんの!?私の顔をよくご覧になってください。これでも本当に思い出しませんの??」

 

 そう言うや否や黒髪ロングの美人さんはさらに顔を近づけてきた。うぅぅ近い・・・このままキスでもしてしまいそうなほど近い・・・この子に危機感はないのだろうか?しちゃうぞ?いや、まぁ、したくてもできないけどね・・・。へたれだと笑いたければ笑ってくれ・・・。

 しかし本当に綺麗な顔立ちしてるなぁ・・・それに綺麗な瞳だなぁ。吸い込まれそう・・・ん?エメラルドグリーンの瞳・・・それにこのぱっつん前髪に口元のほくろ・・・どかっで見たことあるようなぁ・・・あれは確か・・・

 

「あぁぁぁ!!!!もしかしてダイヤか!?」

 

「えぇ、やっと思い出していただけましたか?」

 

「あぁ!!確かにダイヤだ!!久しぶりだな!!いやぁ、ほんと大きくなって!!全然わからなかったよ!!なんせまともにか会話したの小学校以来だもんなぁ。」

 

「そうかもしれませんが、それにしたって思い出すまでにこんなに時間がかかるなんて酷過ぎますわ!!」

 

(私は忘れたことなんて片時もありませんのに・・・)

 

「ごめんごめん。昔のかわいいイメージしかなかったから、こんなに美人になってるとは思わなくてさ。本当にごめんな。」

 

「も、もういいですわ。思い出していただけたので許してあげます。『それに何度も美人だとか、かわいいとか言ってもらえましたし・・・』」

 

「??最後なんだって??」

 

「な、なんでもありませんわっ!!」

 

 何だかわからないが顔を真っ赤にしながらダイヤはそっぽを向いてしまった。ん~あぁは言っていたけどやっぱり思い出せなかった事を怒ってるんだろうなぁ・・・。

 まぁ、それはそうとこのあたりで俺とダイヤの関係性を少し説明しないとな。先ほどさらっと触れたが俺にはかわいい幼馴染の姉妹がいる。その名も黒沢姉妹!ダイヤは俺の3つ下で姉の方。ダイヤの2つ下の妹はルビィという。しかも、黒沢家って言ったら内浦じゃ有名な名家であってお嬢様なのだ。そんな黒沢家に俺が小学生の時は親同士が高校以来の親友ということもあり親の仕事が遅くなるときなどよくお世話になっていた。その頃のダイヤは俺には懐いてくれていたが人見知りなうえに臆病でよく泣いていた印象がある。容姿の方もお人形さんみたいに可愛くて、よく俺の後を「おにぃさまぁ」なんてちょこちょこついてきていたなぁ。まぁ今もお人形さんみたいだが可愛いっていうより気品があって綺麗なお雛様の女雛みたいな人形かな?

 話はそれたが、小学生のうちは黒沢家にお世話になっていたが、中学に上がり親が遅くても一人でご飯の準備もできるし、部活も運動部に入ったので朝練で朝は早いし放課後も遅くまで練習があったので、ダイヤ達とは必然的に時間が合わなくなり、なんとなしに今まで疎遠になって気づけば六年たっていた。

 六年も経っていればそりゃ分らなくもなるよね?女の子は成長早いって言うし。

 

「あ、そう言えばどうやってこの部屋に入ったんだ?さっきもお袋がどうとか言ってたけど?」

 

「え?本当に知らないのですか? おばさまたちが海外に転勤でしばらく向こうに行かれると言うので家に挨拶しにいらしたときに、悠さんさんが一人暮らしをするけど部活を引退してからはよく寝坊するし放っておくとろくなものは食べないし不安だとおっしゃっていたので、よろしければ私が時々様子を見に行きましょうか?と申し出たんですの。そしたら大喜びされてこのお部屋の鍵を預けてく下さったのですが・・・。」

 

「そんな話一切知らないんだけど・・・。」

 

「まぁ・・・。」

 

「・・・・・。」

 

♪~♪~ 

 

 すると、ちょうどダイヤから事情を聴いたところで俺のスマホから着信音がなった。画面を確認してみると噂をすればなんとやら・・・混乱の元凶であろうお袋からだった。急いで電話に出るとお袋の能天気な声が聞こえてきた。

 

「やっほ~!!一人暮らしには慣れた~?こっちはすごいよ~もう全部が大きいのなんのって!!って悠?聞いてるの~?」

 

「ちゃんと聞いてるよっ!ってかお袋これはいったいどうなってん?俺ダイヤが来るって知らなかったんだけど!?」

 

「あれ?言ってなかったけ?ごめんごめん。ダイヤちゃんに悠はどうするのかって聞かれて、一人暮らしよ~。うちの子抜けてるから心配なのよね~。って言ったら悠の面倒見てくれるって言うからお願いしちゃった♪それにしてもダイヤちゃん美人さんになって、お母さんのあんな娘がほしかったわ~。」

 

 悪かったなこんな息子でっ!!て言うか相変わらず適当すぎるぞお袋よ・・・。俺だって年頃の男の子だ、女の子に見られたくない物の一つや二つあるんだからその辺はしっかりしてくれよ~・・・。幸いにもトレジャーはまだ未開封の段ボールの中で助かったが、隠し場所を考えなくてはいけなくなってしまった・・・トホホ

 

「そうだ、年頃の男の子だから仕方ないけどあぁ言ったものはしっかりと隠しときなさいよ~?」

 

 頼むお袋、心を読まないでくれ・・・。それと、できればデリケートなことだからその辺についは触れないでくれ・・・。

 

「今そこにダイヤちゃんいる?いるなら少し代わってもらえる?言い忘れたことがあってさ~。」

 

 憔悴してる俺をよそにお袋はダイヤの代われと言うのでダイヤにスマホを渡す。

 

「ん、お袋が代わってくれだって・・・。」

 

「はい、お電話代わりました、ダイヤです。・・・はい・・・はい・・・・いえいえそんなことおりませんわ・・・はい・・・?え、えぇ、分りました・・・////////////。で、でわ、失礼します。」

 お袋からの電話が終わっみたいで俺にスマホを戻してきたダイヤの顔は耳まで真っ赤になっていた。なんで赤くなったんだ?と疑問に思いながらもう一度電話に出ると、ダイヤにあまり迷惑かけないようにと、何かあったらすぐ電話するようにとだけ言ってお袋はさっさと電話きった。

 

「まったく、お袋にも困ったもんだ。」

 

「え、えぇそうですわね・・・///」

 

 未だ顔を真っ赤にしたままのダイヤの返事がぎこちない。お袋に何を言われたんだ?

 

「どうしたダイヤ?お袋に何か言われたのか?」

 

「//////////////////」

 

 今まで真っ赤だったのに俺の問いかけでもさらに茹蛸みたいに真っ赤になったダイヤ。マジで何言われたの!?!?

「だ、大丈夫かダイヤ!?」

 

「え、えぇ・・・。/////」

 

「お袋に何言われたの?」

 

「悠さんの好きな物と嫌いな物とか、悠さんが起きないときの起こしかたですとか・・・。」

 

 うん?話を聞いてる分には真っ赤になる要素がどこにもないんだが・・・?

 しかし問題はここからだった。次にダイヤの発する言葉にお袋が遠くにいることを呪うのだった。

 

「あと、悠さんも年頃の男の子ですので、そ、その・・襲われないように気をつけてね、と・・・//////。」

 

「そ・・・そ・・そんなことするわけねぇだろーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!あんのクソババァ、よりによってなんちゅうこと言いやがる!!今度会ったらただじゃおかん!!!」

 

「え?しないんですか?殿方は皆狼だと・・・やはり私には魅力はないのでしょうか?鞠莉さんにも残念と言われますし・・・。やはり果南さんぐらいグラマラスでないと・・・。」

 

「は?いやいや違うぞダイヤ!!魅力がないとかではないし、慎ましいながらもちゃんと出てるとこは出てるし十分・・・じゃなくてっ!!ダイヤは十分魅力的ではあるけど妹っていうか・・・と、とにかく善意で来てくれているのに変なことは絶対にしないから!!」

 

「そ、そうですわよね?すみません変なこと言って・・・・。」

 

「い、いや俺の方こそなんかごめん・・・。(主にお袋が・・・)」

 

 変な方向にいった会話が終わると二人して真っ赤になりながら沈黙してしまった。なんか凄く気まずいんですけど・・・。何か言わないと問わ思うのだがうまい言葉が見つからず焦っているとその静寂を破ったのはまたしても俺のスマホの着信だった。相手はお袋、ではなく俺の中学からの悪友の進藤 智也(しんどう ともや)だった。智也のことはまぁ追々話すとして、助かったぞ友よ!!

 

「わ、悪い、ちょい電話でるな?」

 

「え、えぇ、どうそ。」

 

「おぉ智也か?なんか用か?」

 

「なんか用か?じゃないだろ!!お前今何時だと思ってんだよっ!!」

 

「?何時って12時ちょい前だな。それがどうしたんだ?」

 

「どうしたじゃないだろっ!!今日大学の入学式だろうが!!忘れてたのか!?」

 

 やばい!!そう言えばそうだった!!朝から突然のダイヤとの再会のドタバタですっかり忘れてた!!式自体は13時半からで入場が13時からだから時間的にはまだ若干余裕があるのだが、智也がかわいい子がいないか早めに会場に行ってチェックしようとかくだらないことをぬかしていたんだった。どうせ暇だから付き合うことを了承したが、どうやら待たせてしまったらしい。しかし待ち合わせ時間は12時だったんだがどんだけ待ちきれないんだこいつは・・・。

 

「悪い、ちょいドタバタしててお前のこと忘れてた。今から準備するから会場の前で待っててくれ。」

 

「ひどっ!!ったく、どうせまた寝坊だろ?とにかく早く来いよ!!忘れてた罰としてかわいい子いても教えてやらんからな!!」

 

「分かった分かった。とにかくまた後でな。」

 

 電話を切ると青ざめた顔のダイヤがいた。何やらアタフタしていて面白いが、一体どうしたんだ?

 

「どうしたダイヤそんなにアタフタして。」

 

「どうしましょう!!もうこんな時間になってしまいましたわ!!すみません悠さん入学式に間に合うよう起こしに来ましたのに時間が無くなってしましましたわっ!!」

 

「いや、まだ余裕あるし、それにダイヤが悪いわけじゃないから気にしなくていいよ。てか、ダイヤこそ時間大丈夫なのか?よくよく考えたらダイヤも今日入学式じゃないのか?」

 

 そう、今日は世間一般的に大体の学校は入学式の予定が入っているはずで、3つ違いのダイヤは今日から高校一年生なわけで当然入学式のはずだ。その証拠に制服でここにいるし、俺を起こした足で学校に行く予定だったのだろう。

 

「えぇ、私は大丈夫ですわ。入学式は14時からですからもう少し余裕がありますので。それより・・・」

 

 と、ダイヤは食卓の方に目を向けて少し残念そうな顔をした。せっかくダイヤが作ってくれた朝食だが、どうやら食べている余裕はなさそうだ・・・。

「悪いな・・・。帰ったら温めて食べさせてもらうよ。」

 

「えぇ、そうしてください。なら、ラップをしておきますので悠さんは着替えてきてください。」

 

「ありがとう。お言葉に甘えてそうさせてもらうわ。」

 

 と、スーツを手に取り脱衣所に向かった。出来たてを食べれないのは残念だが今日ばかりが仕方ないな・・・。

 着替え終わった俺はダイヤと一緒にバス停に向かいなら最近の話をしていたのだが突然、

 

「そう言えばおばさまの言っていたことで一つ分からないことがあったのですがあれはどういう意味だったのでしょうか?」

 

「え?まだなんか言ってたの?」

 

「はい。えぇっと、トレジャーがどうのこうのと・・・もし見つけても見ないふりをしてあげてね、と言われたのですか、トレジャーとは何なんでしょうか?お宝??」

 

 俺はダイヤの発言に盛大にすっ転ぶこととなってしまった。お袋~~~~~~~~~っ!!!!

 そのあとは心配するダイヤをなだめながら別れるまでなんとかトレジャーについてごまかすはめになったのは言うまでもないだろう。マジで恨むぜお袋・・・・。

 

 そうそう、ダイヤの作ってくれたご飯は夜にちゃんとおいしく頂きました。さすがお嬢様、きちんとその辺は躾されてるのかめちゃめちゃおいしかったです。




ダイヤ様の口調が難しいですね( ̄◇ ̄;)
文章もあまり纏まってないような( ̄◇ ̄;)
でも、まったり頑張ります(⌒▽⌒)


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第1話 ~私スクールアイドル始めます~

 

 早いものであのドタバタから2週間が過ぎていた。その間に何度かダイヤが来てくれてご飯を作ってくれたり軽く掃除をしてくれたりしていた。ただ、毎日来てもらうのも気が引けるし、何よりせっかくの高校生活、ダイヤにも思いっきりエンジョイしてもらいたいのでダイヤと話し合い週に3日ほど放課後に来て手伝ってもらうことにした。本当は来なくても大丈夫と言いたいところだが、お恥ずかしい話、料理は一応出来るが、手の凝ったものは作れないし、面倒なので丼ものとかカレーで何日か楽をすると言った偏った食事になるが自分でも分かっているのでお言葉に甘えさせてもらうことにしたのだ。で、今は大学の学食で智也と昼飯を食べているところだ。

 

「なぁ、悠よ?」

 

「なんだ?唐揚げならやらんぞ?俺の好物だからな。」

 

「別にいらねぇよ!!てか、俺も同じの食ってるしっ!!じゃなくて!!虚しくならないか?男二人で同じ飯食っててさぁ。もっとこう潤いっていうか華っというかさぁ・・・。」

 

 はぁ、また始まった。智也とは中学からの付き合いで、親友というか悪友といった関係だが、こいつには困った習性がある。それは異様に女性への執着が凄いということだ。基本的にはいい奴で弄りがいのある面白い奴なんだが、何せかなりのベースケなので女性が近寄ってこない。近寄ってこないのでさらに執着するという悪循環に陥っている。

 

「俺は別に気にならないぞ?そりゃ、彼女でもいれば楽しいキャンパスライフを送れそうだけど、無理に彼女作ろうとは思わないし。それに付き合うんならちゃんとお互いを知った上で、好き同士でないとさぁ。」

 

「そりゃそうだろうけど、このままじゃ俺ら魔法使いになっちまうよ~。折角大学生になったっていうのに出会いなんて全然ないし。」

 

 いや、出会いはあるはずなんだ。普通はな・・・。だがこいつの場合自業自得で自分で自分の首を絞めていた。

 

 遡ること2週間前。そうダイヤと再会した日のことだ。入学式には遅れなかったものの智也との約束に遅れて会場に到着した俺だが、そこにはなんとナンパにいそしむ智也の姿があった。声をかけようとしたところ智也は奮戦むなしく女子から苦情があったらしく警備員さんに拉致られていってしまった。俺に気付いた智也は助けを求めていたが、恥ずかしかったので他人のふりをしておいてあげた。

 後で聞いた話だが、入口に入る女性のほとんどに声をかけかわいい子にはしつこく声をかけていたようだ。なもんだから大学に全体に噂が広まり、尾ひれ背びれがついて、智也はど変態の女泣かせの最低野郎として大学中にその名を轟かせたのだった。

 

「まぁ、自業自得だ。諦めて魔法使う練習でもしてれば?」

 

「おまっ!!それは酷くないかい?」

 

「全然。むしろ酷いのはお前の頭の中だw」

 

 などとくだらない会話をしながら昼食を終えた俺は帰り支度を始めた。このままダラダラしててもいいのだが、今日はダイヤが来てくれる日なので、やば気な物を隠すという使命があるのだ。てか、俺のじゃないが・・・どこぞの智也が『一人暮しなんだから置かせろ』と勝手に昨日の夜に置いていきやがったせいで手間が増えた・・・。捨ててやろうかな?

 

「そう言えば、最近お前帰るの早くない?高校の頃は何かにつけてだらだら駄弁ってたのさぁ。まさかお前!!彼女でもできたんじゃないだろうな!?」

 

「はぁ?何言ってんお前?さっき「いたらいいね」的な会話してただろうが?何忘れたの?鳥頭なの?馬鹿なの?てかよく大学に入れたな?」

 

「ねぇ、さり気にひどくないそれ?」

 

「馬鹿なこと言ってるからだ!!別に彼女とかじゃないから安心しろ。ただ、まだ部屋が片付いてないから片すだけだ。そんじゃまた明日まな。」

 

 『なら俺も手伝うという』智也をとりあえずシバいてから帰宅した。誰のせいでいらん苦労してると思ってるんだ?それになんとなくだけど智也とダイヤを合わせたくなかった。確実にダイヤを見た智也はナンパをするだろうし、ダイヤはダイヤであの手のタイプは苦手だろし、ダイヤの精神衛生上よろしくはないだろうからな。しかし、このトレジャーはどこに隠そう・・・本当に捨てようかなぁ・・・?

 

 などと悩んでいるうちに時間が来てしまい、ダイヤの訪問を告げるチャイムが鳴ってしまった。ダイヤには少しだけ待ってもらい慌ててとりあえずトレジャーは押入れの中に投げ入れ、隠し忘れがないのを確認してからダイヤを迎え入れた。

 

「おじゃまします。なにやらドタバタしてましたが、何かありましたの?」

 

「い、いや何でもない!何でもないから気にするなっ!」

 

「はぁ・・・。あ、そう言えば、今日は駅前のスーパーが特売日ですのでこれからの買い出しに行きたいのですが悠さんはお時間大丈夫ですか?」

 

「あぁ、大丈夫だよ。なら、今から買いに行くか。」

 

「はい。あ、でもその前に冷蔵庫の中身とか確認させてもらいますね?」

 

 冷蔵庫の中を確認し終えたダイヤは買い足すものを素早くメモを取り、二人で駅前のスーパーまで買い物にでかけた。駅前のスーパーはウチのアパートからは歩いて15分程の距離にあり品揃えもなかなかでよく利用させてもらっている。

スーパーに着いた俺たちはカートにカゴを乗せ足りない食材やら日用品などを店内を回りながら買い足して行く。

 

「しかし毎度毎度悪いな。こっちのスーパーの安い日まで調べてもらって。」

 

「いえ、お気になさらないでください。好きでやっていることですので。」

 

 この二週間で分かったのだが、ダイヤは良いものを少しでも安く買うためには手間を惜しまないタイプだった。俺は面倒だから休みの日に纏めて買えば良いやと思っていたのだが、その事をダイヤに話したら、『親御さんがお金を出してくれているとは言え、無限ではないのですから、きちんと節約しないのはブッブーッですわっ!』と、怒られてしまった。家事はキチンとこなすわ、節約上手だわ、どこに嫁に出しても恥ずかしくないな。立派に育って兄ちゃん嬉しいぞ。

 

「ダイヤはいい奥さんになれそうだな。」

 

「へっ?!そ、そんなぁ、いい奥さんだなんて・・・照れてしまいますわっ!!それに、私なんてまだまだ・・・」

 

「そんな謙遜することないぞ?もっと自信を持っていいぞ!俺が保証してやる!」

 

 そんな話をしながらお会計を済ませ真っ赤になっているダイヤと帰宅した。しかし真っ赤になってモジモジしてるダイヤを見てると何故だろう、なんかドキドキする・・・あ、俺のS心をくすぐるのかな?

 

 帰宅すると、ダイヤはすぐに夕飯の支度を始めてくれた。流石にテレビを見て寛ぐのは気がひけるので、野菜の皮むきなど、俺でもできる事を手伝って支度をして行く。ちなみに今日のメニューはブリの照り焼きとサラダ、豆腐とワカメの味噌汁とキュウリの浅漬けとなっている。その他にも日持ちする簡単なおかずを作ってタッパーに入れて保存してくれた。おかげでこの二週間充実した食生活を送れています。

 

「さてと、これでお終いですわ。」

 

「ありがとうなダイヤ。おかげで毎日うまいもん食えて助かるよ♪なにかお礼しなきゃだけど何がいいかなぁ?ダイヤは何か欲しいものでもあるか?」

 

「い、いえ、お礼なんてとんでもありませんわ。それに私が好きでやっている事ですし、それに・・・。」

 

『それに、悠さんの為にご飯を作れるだけでも夢の様なんですもの。悠さんが私の作ったご飯を食べてくれる事こそが最高のお礼ですわ。なんて恥ずかしくて言えませんが///』

 

「それに?」

 

「い、いえ、何でもありませんわ・・・。あ、なら一つだけご相談が有るのですが聞いて頂けますか?」

 

「おう。俺で良ければいくらでも聞くぞ。それで相談って?」

 

「実はですね、私の通っている浦の星女学院高校に統廃合の話が持ち上がっているらしいのでが、お母様もお祖母様も通っていた伝統ある学院ですし、私自信まだ日は浅いですが今の学院生活がとても気に入っているんです。まだ噂の域は出ていないので確定ではないのですが、確かに年々生徒数は減っているみたいで近いうちに統廃合の話が現実味を帯びて来るのは目に見えていますし、一学生の私に何ができるのか最近考えてまして・・・」

 

 なるほど、確かにそいつは難題だなぁ。たかが学生一人に出来ることなんて皆無に等しいし、そもそも内浦は凄く綺麗な海があったり、町に住んでる人は皆んなあったかくて良いところなんだけど、いかんせん周りに何もないんだよなぁ。やつぱり最近の学生は周りに遊びや買い物が出来る環境がある学校を選ぶだろうから、生徒を集めるのは至難の技だよなぁ。

せめて、そういった娯楽施設よりもインパクトのある魅力的なものでもないとなぁ・・・。例えばμ’sみたいなスクールアイドルでも居れば良い宣伝に・・・!!!

 

「なら、ダイヤがスクールアイドルとして有名になるってのはどうだ?あのμ’sのようにさぁ!!」

 

μ’s・・・いまから三年前に第二回ラブライブ!で、優勝候補のA-RISEを破り優勝したグループで三年経った今ではA-RISEと並びμ’sは伝説となっている。昨今のスクールアイドル人気の礎を築き、ドーム大会が開かれるほどスクールアイドルに可能性を示したグループだ。当時高校一年生だった俺は智也に誘われてラブライブ!決勝を見にいったが自分と同い年くらいの可愛いけど何処にでもいそうな女の子たちがとても輝いていて衝撃を受けたことを今でも覚えている。そんなμ’sも実は廃校を阻止する為に立ち上がったグループであり、実際に廃校を阻止したと言うのだから真似をして見て損はないはずだ。

 

「えぇぇぇ?!確かに私も考えましたが、私みたいなのがあの、スクールアイドル全ての聖域、聖典、宇宙にも等しき生命の源のμ’sの様にだなんて恐れ多いですわっ!!」

 

「いや、凄いのは分かるし認めるけど、そこまで神聖視しなくても・・・」

 

「何を仰っているのですか悠さんっ!!今やスクールアイドルの殆どがA-RISEやμ’sに憧れ、少しでも彼女達に追いつこうと次々とスクールアイドル生まれているのですよ?彼女達は正にスクールアイドル会の聖母マリアっ!その名のごとく女神と言っても過言でありませんわっ!それなのに、神聖視しなくても、ですって?!」

 

「す、すまん悪かったっ!俺が悪かったから落ち着けダイヤっ!」

 

 俺はいきなり鼻息を荒くして興奮したダイヤに詰め寄られ、俺は壁際まで追い込まれてしまった。子供のころからアイドルやらかわいいものが大好きだったダイヤだが、この数年の間にここまで好きに磨きがかかっていたか・・・。まぁ、俺もあの決勝を見てμ’sにハマったから気持ちはわかるけど、ダイヤさん・・・物凄く近いですよ?

 

「はっ!!す、すみませんっ!!μ’sのこととなるとつい・・・本当に申し訳ありませんっ!!」

 

「いやいや、確かに俺もμ’sは好きだから気持ちはわかるから気にしなくていいよ。でも、そこまで神聖視しなくていいと思うぞ?彼女たちだって、ともとはただの女子高生だったわけだし誰にだってμ’sのように輝ける可能性はあるんだからさ!!」

 

「そ、そうでしょうか?」

 

「おう!!やりたい気持ちはあるのに迷ってたり悩んだって始まらないぞ?まずは始めてみないとな!悩んだりするのは壁にぶち当たってからでいいと思うぞ?その度思いっきりあがいて一つずつ壁を乗り越えていけばいいんだ。一人で無理なら周りを頼ればいい。少なくとも俺はいつでも力になるからさ♪」

 

「そうですね・・・。やりたいと思っていても何もしなければ何もしないのと同じ・・・確かに動き出さなければ何事も始まりませんわよね?私スクールアイドルを始めてみます!!」

 

「おう!!がんばれ!!そしたら俺はスクールアイドル黒沢ダイヤのファン第1号だな♪」

 

「っ!!!///・・・うふふっ、そうですわね!!では応援お願いしますね?悠さんっ!!」

 

「お、おうっ!!任せておけっ!!」

 

 真っ赤になりながらもとても嬉しそうにほほ笑むダイヤの顔を見て俺の心臓が、ドクンッ!!ど跳ね上がった。あ、あれ?何だろうこの気持ち・・・・物凄くドキドキする・・・今までこんなドキドキ感じたことないぞ?緊張でもなくダイヤに再会したときに詰め寄られた時のドキドキに似てなくもないがやはり違う・・・何なんだ?病気かなぁ?

 

 俺がこのドキドキの正体に気付くのはもう少し先のこととなる。

 

 そして、ダイヤの帰宅時間になってしまったため、ダイヤを送るためにアパートを出た。なんだか顔が熱かったかめ夜風がとても心地よかった。

 そして俺とダイヤが赤い顔をしてアパートから出ていくところを電柱の陰から見ている人影が・・・。

 この人物が今後の俺の人生を大きく左右することになるとはこのときの俺はまだ知る由もなかった・・・。




いかがでしょうか?
ダイヤさんのかわいさやポンコツ度合いをうまく書けないです・・・orz

もっと精進せねば!!

次あたりで果南と鞠莉だせたらいいなぁ・・・


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第2話 ~一文字抜けてますわ!~

 

 ダイヤを無事に家まで送り届けた俺はさっきの一件で落ち着かなくなり缶コーヒーを買って近くの公園でブランコに座りながらチビチビとコーヒーを飲みながら先ほどのダイヤの笑顔を思い出していた。凄くかわいい笑顔だったなぁ、と思い返してみては顔が赤くなる・・・。俺はいったいどうしたんだろう?今までだってダイヤの笑顔はいっぱい見てきているのに今日に限ってはなぜこんなにもドキドキするんだろうか?ん~自分で自分がわからん・・・。

 答えが見つからないまま頭の中で?がグルグルしていると俺の背中に物凄い衝撃が走り気がつくと俺はブランコから吹っ飛んでいた。

 

「いって~・・・何なんだ?」

 

 先ほどまで俺が座っていたブランコの方に振り向くとそこにはなんと、なわなわと震えている智也の姿があった。

 

「いってーなっ!!いきなり現れて何しやがんだ!!」

 

「これはどういうことだいったいっ!?」

 

「いや、それは俺のセリフだからっ!!何なんだよ本当に?」

 

「俺は見たぞ!悠っ!誰だ?あのものすっごい美人は!!しかも女子高生!!さらに付け加えるなら浦女!!彼女なんていないって昼間言ってたじゃんか~!!あれはウソだったのか?俺を裏切ってリア充の仲間入りか?魔法使い見習いは卒業したってか?それとも何か?あれは妹です。とでも言うのか?そんなわきゃねーだろ!!お前一人っ子じゃんか!!てかあのタイの色は一年生だよな?どこでどういう接点があったらあんな美人と知り合えるわけ?てか俺にも紹介しろ!!って、聞いてんのか悠っ!!今すぐ俺にもかわいい女子こヴゴボァ・・・・。」

 

「うるせーっ!!矢継ぎ早にいろいろ言うな!!突っ込めんわ!!後、まずは俺を吹っ飛ばしたことを謝りやがれ!!」

 

 物凄い勢いでまくし立てられて一瞬あっけにとられていたが我に返った俺はあまりのウザさに智也の鳩尾に綺麗なボディブローをお見舞いした。我ながら会心の一撃だった。その証拠に智也の体が一瞬宙に浮くほどだ。しかし何なんだこいつは?何を勘違いしているんだ?マジでウザい。てかなんで女子高のタイの色で学年がわかるんだ?・・・あ、こいつは変態だったw

 

「うぅぅ・・・・酷いぞ悠・・・俺のガラ空きの腹に見事なまでのボディブローなんて・・・。俺はただあの浦女の美少女一年生の正体を知りたかっただけなのに・・・それと、我を忘れて全力でドロップキックかましたことはごめんなさい。」

 

「いや、お前の方が十分酷いじゃないかっ!不意打ちで後ろから全力でドロップキックって・・・。だいたい、何を勘違いしてるか知らんが、ダイヤは彼女じゃないぞ。幼馴染で一人暮らしを始めるときにお袋が、俺はほっとくとろくなもの食べないからって、飯の面倒を頼んで言ったから作りに来てくれてるだけだって。」

 

「嘘だっ!幼馴染と言うのは本当だとしても、絶対彼女だろ!そうじゃないならなんで二人して赤い顔で出てくるんだよ?説明がつかないだろ?」

 

 こんなやりとりが暫く続き、なんとか誤解は解いたものの、『彼女じゃないなら俺にも可能性があるってことだよな?頼む悠!!俺にダイヤちゃんを紹介してくれ!!』としつこくせがまれてしまい、最初は断っていたがしばき倒しても食らいついてくるので最終的に俺が折れてしまい、近いうちにダイヤと合わせるという約束をさせられてしまった。この情熱をもう少し違う方向へ向けたら彼女ができそうなもんだが・・・。すまんダイヤ・・・面倒事に巻き込みそうだ。

 まぁ、この件については後でメールでも入れて謝罪して覚悟しておいてもらうとして、ダイヤを家まで送り届けているときにスクールアイドル活動のことで『私一人では恥ずかしいし、何よりパフォーマンス面などどうあがいてもクリアできない壁にぶつかると思うので明日学校で友人を誘ってみます。』と言っていたが、うまくいくといいなぁ・・・。がんばれダイヤっ!!

 

 

~~ダイヤside~~

 

 昨日の夜、悠さんに送ってもらってから、お風呂に入っている間に悠さんからメールが入っていました。何か忘れものでもしたかしら?と思いメールを読んでみると『今日はありがとう。明日の勧誘がんばれよ!!』といった内容の後に『それとごめん、俺の友達にダイヤと歩いてるところを見られて、興味を持った友達に紹介しろって頼まれて断れなかったから今度会ってもらえるか?」と書かれていたので、悠さんのお友達なら喜んで、と返信したところ『ありがとう・・・。一応覚悟はしておいて。』と返信が・・・。お友達に会うだけでどんな覚悟がいるのでしょうか?よくはわかりませんでしたが、分かりました、とだけ返しておきました。少々緊張しますが当日が楽しみですわ。さて、このことも大事ですが今はもっと大事なことをしなくてわっ!!昨日悠さんにも背中を押してもらいましたし、勇気100倍ですわっ!!

 というわけで、さっそく登校中の生徒の中によく知った後ろ姿を見つけてので勧誘開始です!!

 

「おはようございます果南さん♪」

 

「あ、ダイヤ~♪おはよ♪どうしたの?なんか今日はご機嫌だね?」

 

 この方は松浦果南さん。小学校以来の私の親友の一人で、この近くの島のダイビングショップの一人娘さんで青味がかったロングヘアをポニーテールにしているスポーツ少女でとてもサバサバした性格の持ち主ですがその性格に似合わずグラッマラスな体の持ち主なんです。少しくらい分けてほしいですわ・・・。そしたら悠さんもきっと・・・んっん~!!とにかく流石は私の親友の一人ですわね。挨拶だけで私の機嫌が分かるとは・・・。

 

「そうなんです!!実はこの間の統廃合のうわさを聞いて何かできないかずっと考えていたのですがやはりこれしかないと、昨日ついに決心がつきまして・・・私スクールアイドルを始めようと思います!!」

 

「へ~そうなんだ♪ダイヤは昔っからアイドルとかに憧れていたし、いいんじゃないかな。ダイヤの好きなμ’sみたいだし♪」

 

「はい♪そこで果南さんにお願いしたいことがあるのですか・・・」

 

「なぁに?」

 

「果南さんも一緒にスクールアイドルをやっていただけませんか?」

 

「えぇ~~!?わたしも?ん~~まぁいっか。いいよ一緒にやろうか♪」

 

 あ、あれ?ずいぶんあっさりOKが貰えてしましたわ。何日か考えさせてと言われるつもりでしたのに・・・折角考えていた口説き文句が無駄になってしまいましたわ。

 

「ホントにいいんですの?」

 

「誘った張本人が驚いてどうすんの?」

 

「い、いえ。ただ、ずいぶんあっさりとOKが貰えたので驚いてしまって・・・」

 

「まぁ、確かに私なんかがアイドルなんて務まるかは分かんないけど、面白そうだし折角の親友のお誘いだね♪それに・・・ダイヤ結構おっちょこちょいだから誰かが傍でフォローしてあげないとね♪」

 

「最後の方はなんだかとっても引っかかりますが・・・とりあえずありがとうございます♪」

 

「で、私を誘ったてことは・・・」

 

「当然鞠莉さんもお誘いしますわ!!」

 

 そう、私は果南さん以外にもう一人の親友がいます。名前は小原鞠莉。小学校の途中から転校して来てからの付き合いで昔はよく果南さんと鞠莉さんの三人でいろいろな遊びをした仲なんです。

 

「だよね♪じゃさっそく鞠莉の勧誘へ教室までダッシュしようか♪」

 

 そう言うや風のごとく物凄い勢いで果南さんは走り出したかと思うとあっという間に見えなくなってしまいました。流石はダイビングショップの一人娘。毎日家の手伝い兼趣味で海に潜っているので自然と体が鍛えられているんでしょうね。

 

「というか私を置いてかないでくださいな~!!」

 

 私は慌てて果南さんの後を追って走り始めまたものの、追いつけるわけもなく息を切らしながら何とか校門までたどり着くと苦笑いをした果南さんが待っていてくださいました。

 

「ごめんごめん、これから面白くなりそうって思ったら楽しくなってつい思いっきり走しっちゃったよ。」

 

「い、いえ、お気になさらずに・・・そ、それだけ乗り気になっていただけたのはうれしいことですから。」

 

 私は息を整えながらなんとか返事をすると果南さんは手を差し伸べてきて『一緒に行こう』と言ってきたので、彼女の手をとり一緒に鞠莉さんのいる教室へ向かいました。

 教室にはすでに鞠莉さんが席に着いて本を読んでいました。

 

「おはよう鞠莉♪」

 

「おはようございます、鞠莉さん。」

 

「あ、果南、ダイヤ♪シャイニー☆」

 

 この方が先ほど話した小原鞠莉さん。お父様が海外の方でつまりはハーフ。まぶしいほど綺麗なブロンドの髪をしており誰とでもすぐ仲良くなれる気さくな方でとても明るい性格の持ち主ですの。鞠莉さんの実家はこのうち浦で一番大きなホテルを経営しており私以上にお嬢様。口癖は『シャイニー☆』で鞠莉さんも果南さんに負けず劣らずのナイスバディー持ち主で、羨ましい限りですわ・・・。なぜ私だけこんなに・・・。

 

「ねぇねぇ鞠莉!!さっきダイヤから誘われたんだけど、わたし達と一緒にスクールアイドルやらない?」

 

「School・・・Idol?」

 

「そうですわ!!学校を廃校の危機から救いにはっそれしかありませんの!!」

 

「鞠莉スタイルいいし絶対注目浴びるって♪」

 

「Sorry、そういうの興味ないの。」

 

 果南さんとは打って変わって鞠莉さんにはばっさりと切り捨てられてしましましたわ・・・。こうなったら鞠莉さん用に用意した口説き文句で・・・。

 

「ハグっ!!」

 

 と今まさに私が決め台詞を言おうとしたとき隣にいた果南さんが鞠莉さんに抱きついていました。

 

「ちょ!?果南なにするの?」

 

「うん、て言うまでハグするっ!!」

 

「もぉ離してよ~。」

 

「いやだ♪止めないよ~♪」

 

 などと少し強引な果南さんでしたが鞠莉さんも本気で嫌がったおらず、気がつけば私たち三人は声を出して笑っていました。でも、二人だけで楽しんでいるのはずるいですわ!!

 

「二人だけでずるいですわ!!私も混ぜなさ~い♪」

 

「よ~し、まとめてハグしちゃうぞ~♪」

 

 と三人でじゃれていたら担任の先生が来てしまい、HRが始まるのでいったんお開きに。次の休み時間に鞠莉さんが『しょうがないから一緒にしてあげる』と一緒に活動することをOKしてくださいました。そして昼休みにさっそく問題が生じました。それは三人でお昼を食べながら今後のことを話しているときのこと・・・。

 

「ところでダイヤ、SchoolIdolで学校を救うって、一体何をするの?。」

 

「それは普段はライブをしたりスクールアイドルのランキングサイトにPVを載せたりして知名度を上げて、目指すはスクールアイドルの甲子園!!ラヴライブ全国大会決勝で優勝ですわ!!あのμ’sのように!!」

 

「ふぅん。で、Liveって何をするの?」

 

「なにって決まっていますわ!!自分たちの曲を披露する場ですわ!!」

 

「だよね?ワタシ歌うのは好きだけど作曲は出来ないわよ?」

 

 あ・・・曲作りことをすっかり忘れていましたわっ!!!

 

「まぁ何とかなるんじゃない?作詞は私と鞠莉で何とかして・・・作曲はこの中で楽器で演奏できるのはダイヤだけだからダイヤに何とか頑張ってもらうとして・・・衣装と振り付けは三人で考えよう♪」

 

「わ、分かりましたわ。作曲はしたことありませんが、とりあえずやってみますわ!!」

 

 私のうっかりをしっかり果南さんがフォローをしてくださいました。さっそく今朝の果南さんの予言が当たってしましたわ・・・。果南さんと鞠莉さんの口説き文句を考える前にもっと考えることが山のようにありましたのに悠さんに応援してもらえたことに舞い上がって重要なことが見えなくなっていましたわ・・・。それにしても作曲とは難しいですわね・・・。でも、せっかく果南さんと鞠莉さんが一緒にやってくれると言ってくださったんですから絶対にいい曲を作ってみせますわ!!

 

「なら、まずは果南とワタシで詩を作らなくちゃね♪シャイニーな歌詞を作っちゃうわよ☆」

 

「そうしてもらえると助かりますわ。やはりイメージがわかないとゼロから作るのは難しいと思うので・・・。」

 

「あと、わたしからも質問があるんだけどいい?。」

 

「なんですの果南さん?」

 

「スクールアイドルの活動って勝手にやっていいものなの?」

 

「そう言えば・・・おそらくダメということはないと思いますが、やはり学校に部活動として申請した方がいいでしょうか?」

 

「たぶんその方がいいんじゃないかしら?その方が部費も使えるだろうからその方がオトクよね♪それに、学校を救う名目で活動するならなおのことじゃないかしら?」

 

 確かに鞠莉さんの言う通りですわね。スクールアイドルをして行く上で衣装やら何やらでお金がどうしても掛かってくることは避けられませんし、PV撮影など学校からの許可も取りやすくなるうえに、学校を救うという目的がある以上学校の名前を出すことが多くなるでしょうから、学校側の許可が必要ですわね・・・。それにしてもこうも大事なことがいくつも抜け落ちていたなんて私としたことがどれだけ浮かれていたんでしょうか・・・。

 

「先ほどから肝心なことを何も考えていなくてお恥ずかしいですわ///」

 

「ほんとダイヤはおバカさんなんだから♪」

 

「ホントお・ば・さ・ん♪」

 

「一文字抜けてますわ~~っ!!」

 

~~ダイヤside END~~

 

 

「というようなことが今日ありましたの・・・もう穴があったら入りたかったですわ。それにしても鞠莉さんのあれは酷いと思いませんか!?」

 

 今俺はダイヤと電話をしている。どうやら勧誘には成功したものの色々ごたごたがあったみたいだなぁ・・・。まぁ、仲がいいようで何よりだがw

 

「まぁ、言い間違いやカムことは誰にでもあるからさ?」

 

「いいえ、鞠莉さんのあれは絶対ワザとですわ!!私をからかって楽しんでいたに違いありませんわっ!!」

 

 あ、絶対なんだw普段は落ち着いてるのにふとした時に年相応の反応が見えたりすると何だか微笑ましいなぁ・・・。

 そんなことを考えながらダイヤをなだめていたら結構いい時間になったので今日のところはお開きとなった。これからいろいろ大変そうだけど頑張れよダイヤ!!主に鞠莉さんとやらからのいじりとか、いじりとか・・・。

 

 

 ちなみにこれは余談だが、放課後生徒会に部活動申請に行ったら、あっさりと許可が下りたそうな。しかも部としての許可だとか・・・。三人しかいないから同好会としてしか許可が下りないと思いつつ、鞠莉さんとやらがノリで部としての申請をしたら生徒会長さんもスクールアイドルが大好きだとかで部として許可が下りたそうな・・・。まぁ、おそらく理由はそれだけではないような気もするが今は気にしないようにしておこう・・・。




いかがでしたか?
果南と鞠莉を出せましたね♪

アニメの名台詞?wもちょいちょい入れて昔からこんな感じだったのよ的な雰囲気を出せてたらいいなぁ・・・。

しかし悠君はもっと穏やかな性格にするつもりだったのに思いのほか智也君が暴走してくれちゃうので結構激しい突っ込みをするキャラになりつつあるよな・・・

ではではまた次回に。


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第3話 ~俺は君を・・・?~

 みなさん、いかがお過ごしでしょうか?俺?俺は楽しいはずのGWという大型連休なのにもかかわらず、物凄く気分が落ち込んでおります。何故ならば智也に無理やり約束させられたダイヤを紹介するという約束を果たさなければならないからである。ダイヤから一応了承は得たものの、俺が乗り気ではなかったので、なかったことにしようと思っていたのだが会うたびに、いつ会える?としつこかったのでまたしても俺が折れてしまった。で、ダイヤに予定を確認したところ今度の祝日なら空いていると返答が来た為ここで会う運びとなったのである。それが今日・・・。正直智也の暴走が確定しているので気が重たいったらありゃしない・・・。そして今沼津の駅前で二人と待ち合わせをしている。

 

「はぁ・・・。」

 

 もう何度目にかなるか分からない溜息をつく。溜息をついた分だけ幸せが逃げていくと、どこかの偉いお方が言っていたようだが、溜息をつく状況になっている時点で幸せは傍にいないような気がする・・・・。

 

「おはよう悠♪なんだなんだそのしけた面は?せっかくいい天気なんだからもっとシャキッとしろよ?」

 

 智也は今日の天気のように晴れ渡ったような爽やかな笑顔を見せている・・・。正直キモイ・・・。だいたい誰のせいで沈んでると思ってるんだ?

 

「なんだその無駄に爽やかな笑顔は?似合わないぞ?」

 

「酷いなぁ・・・俺だってこんな顔するぞ?悠の中で俺はどんな扱いなわけ?」

 

「もっとこう・・・ゲスイ笑顔で女の尻を追い回してる変態。」

 

「俺の扱い酷過ぎませんか?!それじゃ、俺物凄い変態みたいじゃないか!!」

 

「えっ!!違うの?大学であんなに有名人なのに?」

 

「うぅ・・違うけど、違わない・・・。」

 

 落ち込む智也を横目に少しストレスを少し発散できた俺は気を取り直すことにした。まぁ、いくらこいつが節操無く女に飛びつく変態でも、俺の知り合いにいきなり飛びつくほど馬鹿じゃないだろ・・・・たぶん・・・おそらくは・・・きっと・・・。ま、まぁもし暴走するようならどっかのダメ神さんが使う必殺のゴットブローをお見舞いすればいいか。

 

「まぁそう落ち込むな。本当のことなんだから諦めろ。」

 

「あの、誰のせいで落ち込んでいると?てか、慰めるのかさらに蹴落とすのかどっちかにしてくれません?」

 

「なら、蹴落とす方でw」

 

「ごめんんさい、嘘です止めてください。」

 

 などといつも通り智也をいじっていると丁度バスから降りてくるダイヤを見つけた。今日のダイヤは白色のワンピースに赤色のカーデガンといかにもお嬢様らしい服装でいい意味で周りから浮いていた。輝いてるって言うかそんな感じ?俺を見つけたダイヤは小走りで駆け寄ってきた。

 

「すみません遅れてしましましたか?」

 

「いや、時間ぴったりだよ。」

 

「ならよかったのですが・・・。出かけるギリギリまで何を着て行こうか悩んでしまいまして・・・。」

 

「そんなに気にしなくていいのに♪でも悩んだかいあって似合ってると思うぞ?」

 

「ほ、本当ですか?ありがとうございます///」

 

「あ、あぁ!!お前もそう思うだろ?」

 

 まただ・・またドキドキする・・・なんでだろうか・・・?俺はなぜかダイヤを直視できなくなり誤魔化すように智也のほうを見た。というか、こいついつになく大人しいな?

 

「・・・・・・・」

 

「おい智也?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「お~い?」

 

「はっ!?俺はいったい何をしていた?」

 

 声をかけても反応しない智也の前で手をひらひらさせてみると智也は我に返ってくれた。どうやらダイヤの綺麗さに意識がどっか飛んでったみたいだ。まぁ、気持ちはわからんでもないがな。俺も久々に再会した時ダイヤと分かるまでメッチャドキドキしてたし。

 

「大丈夫か?」

 

「お、おう。大丈夫だ。」

 

「そうか?ならいいが。で、智也。この子がお前が会わせろとしつこいくらい頼んできた俺の幼馴染の黒澤ダイヤだ。で、この挙動不審の男が一応俺の友人の進藤智也だ。少し馬鹿だが根はいい奴だから許してやってくれ。」

 

「ねぇそれどんな紹介!?それに一応友人ってなに!?俺ら親友だろ!?」

 

「お前の紹介はこんなもんでいいんだよ。」

 

「ひっど~!!」

 

「ふふふ、仲がよろしんですのね?始めまして黒澤ダイヤと申します。今日はよろしくお願いしますね。」

 

「あ、あぁご丁寧にどうも。進藤智也です。悠とは中学からの腐れ縁で今も同じ大学に通ってます。」

 

「さて紹介も終わったし、またな智也!」

 

「おう、またな!!・・・じゃないだろ!!なにそんなに俺邪魔?いらない子?」

 

「冗談だよ。若干ウザいからまとわりつくな!」

 

 俺はまとわりつく智也を引きはがし、どこか落ち着いた場所で話でもしてのんびりしようと近場のファミレスへと向かった。店の中はGW初日の午前中とあってそこそこ結構混んでいたが幸いにもあまり待たずに席に着くことができた。席に着いた俺たちはとりあえず飲み物を頼んで一息つくと改めて自己紹介することになった。

 

「てなわけで、改めてさっきも言ったけど一応もう一度自己紹介しとくね。悠の親友の進藤智也です。趣味は一応カラオケです。これでも高校のときはバンド組んでボーカルだったんだよ♪すごいでしょ♪」

 

「まぁ、それじゃ歌がお上手なんですね?」

 

「いや違うぞダイヤ。確かに下手ではないが こいつどの楽器も全然ダメだったんだよ。そんでまぁ、下手じゃないしとりあえず歌わせとくかってのが真相だ。」

 

「悠~それは言ったらダメなやつ・・・」

 

「いいじゃん本当のことなんだしw」

 

「仕方ないじゃん俺不器用だし・・・でも音楽やりたかったんだもんよ~。」

 

「あら、どうしてですの?」

 

「俺たちあの伝説の第二回ラブライブの決勝を見に行ってさぁ!!その時のμ'sパフォーマンス見てものすごく感動して無性に音楽活動をしたくなって始めてんだよ。」

 

「俺たち、というと・・・」

 

 するとダイヤは俺のほうを見てきた。そういやぁ、俺が高校のときバンドをやってたこと言ってなかったような・・・。

 

「そう言えばダイヤには言ってなかったな?俺これでもギター弾けるんだよ。一応μ'sを習ってオリジナル曲を作って演奏してたんだ。まぁ、そうは言っても楽器を弾けるようになるところからだったから実際作った曲なんて3曲だけだけどなw作曲自体ずっとギターやってた奴が作ってくれてたし・・・」

 

「それでもすごいですわ!!それにあの第二回ラブライブを生で見たなんて羨まし過ぎますわっ!!」

 

 そう言ったダイヤはテーブルから身を乗り出したずいっと顔を近づけてきた。そういやぁダイヤはμ'sの大ファンだったなぁ・・・。確かにあの伝説のライブを生で見ることができたのは幸せなことかもしてないなぁ。なんていうの?人生観変わったもんなぁ・・・。今までそれなりにいろいろやってきてたけどコレってのが見つからなくて長続きしなかったし・・・。でも、あのライブを見てスクールアイドルとして限られた時間を精一杯輝こうとする彼女たちを見て、こんなにも普通の女の子たち人の心を動かせる事ができるんだと感動をしたことを今でもはっきり覚えている。

 

「でも、なんでバンド活動だったのです?μ'sに憧れたならアイドル活動とかではなかったのですか?」

 

「いや、ダイヤちゃんさすがに男のスクールアイドルってのは見たことないでしょ?」

 

「確かに・・・。だからバンドだったのですか?」

 

「まぁ、それもあるけど、今までなんとなくいろんな事やってたけど、あのライブ以降俺には夢ができたからさ♪」

 

「夢ですか・・・?」

 

「そ。俺さ、作曲とかやってみたいなぁって。まぁ、実際すごく難しいし、音大に行こうと思ったけど落ちちゃったしね・・・。浪人とか専門学校も考えたけど、さっき言ってた作曲してる友達とかにも相談して今の俺だと入るのはやっぱり難しいみたいでさぁ。だから普通の大学に通いながら紹介してもらったプロの方に時間あるときに教わってるんだ。」

 

「そうなんだぜ。悠のやつさ作曲は全然ダメなんだけど、編曲の才能あるみたいでさぁ、普通だったら音大いけないようなやつなんかプロに相手されないだろうけど、高校のときの友達が編曲はうまいから一度見てやってくれって、頼んだら本当に見てくれてさぁ、そしたら『確かにいいものを持っているね。まだまだ荒削りだけど磨けばきっと光ると思うから、時間あるときにいろいろ教えてあげるよ。』て。な?」

 

「まぁな。」

 

 実際には結構手厳しいこといわれたけど、才能としては悪くないとは言ってもらえてるけど、こういう風に言われるとなんか照れるなぁ・・・。確かに作曲は苦手だったけどベースのあるものを弄くるのが得意みたいなんだよねw

 

「そうなんですか?すごいですね!!尊敬してしまいますわ!!でも、そのお友達もすごいですわね?プロの方にお知り合いがいるなんて。」

 

「あぁ、そいつの叔父さんさんだよ。叔父さんの影響でそいつもギターを子供のころからやってたみたいだし、ホントそいつには感謝しかないよ。」

 

「てか、俺から振った話題だけどいつの間には悠の話になってるな。」

 

 そういえば・・・。智也の自己紹介のはずが俺の紹介になってしまったw

 

「まぁ、いいか。盛り上がる事は盛り上がったし。ダイヤちゃんは何か趣味みたいなのあるの?」

 

「え?私ですか?そうですね・・・あえて言うならお琴と日本舞踊でしょうか?」

 

「ずいぶん古風な趣味だね?」

 

「えぇ、お母様の進めもあって幼少よりお琴にお花、お茶に日舞など色々習い事をしていまして特にお琴と日舞は好きなんです。」

 

「へぇ♪」

 

 確かにダイヤは子供のころから色々習い事してたなぁ。お琴とか聞かせてもらった事あったけど、よくわからないながらも上手だったような気がする。今でもちゃんと続けていたんだなぁ・・・。

 

「あ、でもスクールアイドルも好きで最近友人たちとスクールアイドルをはじめたんです!!」

 

「そうなんだ!?すごいね!!俺も応援しちゃおうかなぁ!!ライブとかいつやるの?今度見に行くよ♪」

 

「それなんですけど、まだ曲ができてなくて・・・・。」

 

 ダイヤはふぅ、とため息を付いた。初めて作曲してるって言ってたけどやはり相当苦労しているみたいだった。経験があったってかなり苦労するような代物だ、経験がないならなおのことだろう。

 

「相当苦労してるみたいだな?」

 

「えぇ。果南さんと鞠莉さんが頑張っていい歌詞を書いてくださったのでそれに見合ういい曲を作りたいんですけど、そう思えば思うほどうまくいかなくて・・・。」

 

 なるほど、どんなものでも初めて何かを作るときには誰もが感じるやつのドツボにはまちゃったか・・・。もっといいものができるはず、こんなものではダメ、ってやつ・・・。俺も編曲とか始めた時はそうだったなぁ・・・。こういうのは言い方は悪いけどある程度いい意味で妥協は必要になってくるよなぁ・・・。会心の出来でもない限り終わりが見えないんだよな・・・。

 

「なぁダイヤ。今出来てるとこまででいいから、一度聞かせてくれないか?アドバイスなんて偉そうなこと言えないけど、他の人の意見を聴くことで何か突破口が見えてくるかもよ?」

 

「それいいな!!一人より二人、二人より三人ってね♪」

 

 智也の奴さりげなく加わる気満々だな・・・。まぁいいけど。

 

「いいんですか?ご迷惑ではないでしょうか?」

 

「迷惑なんて!!俺とダイヤちゃんの仲じゃないか♪」

 

「智也はともかく、俺のことは気にしなくていいぞ?色々世話になってるし、ダイヤの力になれるんなら喜んで手伝うさ♪」

 

「ありがとうございますっ!!なら、いきなりで恐縮ですが明日お時間ありますか?もし大丈夫なようでしたらさっそく聞いていただきたいのですが・・・。」

 

「ごめん俺は無理・・・・明日ばあちゃんとこに行かなきゃならないんだ・・・。」

 

「智也はいても何もできないだろうが・・・。俺は構わないよ。もともと予定ないからだらだら過ごすつもりだったし。」

 

「智也さんそんなにお気になさらずに。是非またの機会によろしくお願いします。」

 

「ごめんね・・・。今度は絶対手伝うから!!」

 

「はい。では悠さんは明日ご都合のいいお時間に家までいらしてください。私は明日作曲するのに一日家にいるつもりでしたのでいつでも大丈夫ですので♪」

 

 というわけで、明日はダイヤの家に行くことになった。詳しい時間などは帰ったからメールすることにして、話しこんでいたら丁度いい時間になったのでこのまま昼飯を食べて、午後は智也の案でカラオケに行きお開きとなった。ちなみにダイヤはアイドルソングを熱唱しまくっていた。もともと凛としたよく通るいい声をしているのもあって、かなり上手だったと思う。俺と智也ははやりの曲など中心に楽しく歌ってきた。

 そしてダイヤと別れた後いつになくまじめな顔をした智也がいた。

 

「なぁ悠。正直に答えてほしいんだけど、正直なところお前ダイヤちゃんのことどう思ってんの?」

 

「どうって?」

 

「そのまんまの意味だよ。俺さダイヤちゃんのこと本気で好きになったかもしんない・・・。一目惚れってやつ?この前見たときは周りは暗かったしほとんど後ろ姿しか見てなかったからよくわからなかったけど、今日見たときに衝撃が走ったよ・・・俺はきっとこの人を探してたんだって・・・。お前はどうなんだ?」

 

「俺は・・・・」

 

 俺はどう思っているんだろ?・・・・もちろん嫌いではないし、むしろ好きだ。でもそれは妹として好きなのであって、一人の女性としてはどうなんだろう?ダイヤのことはかわいいと思うし、凄く美人に成長したとは思うけど、やっぱり妹みたいな気もするし・・・・。

 

「妹みたいなもんかな?」

 

「本気でそう思ってる?」

 

「あ、あぁ・・・。」

 

「なら、俺がアタックしてもいいよな?もしうまくいって俺がダイヤちゃんと付き合うことになっても何の問題もないってことだよな?」

 

「あ、あぁ、ダイヤが振り向いてくれたらいいんじゃない?」

 

「よ~し!!なら俺本気でがんがって見ようかなぁ!!」

 

 ダイヤと智也が付き合う・・・・なぜだろう、想像してみると胸が苦しくなる・・・。小さいころからダイヤを知っていてかわいい妹だから?嫁にやる父親のような心境?・・・いやどれも違う気がする。ならなぜ?俺はダイヤのことを一体どう思っているのだろうか・・・・?

 

 ダイヤ、俺は君を・・・・・・・・・・・・・・・・・・




恋のライバル出現によりダイヤへの自分の気持ちを考え始めた悠君。自覚するまであとひと押し・・・そのひと押しは一体誰がしてくれるんでしょうね?w


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第4話 ~自覚したら その1~

Aqoursのライブ行きたかったなぁ・・・


 俺は今黒澤家の前に来ている。昨日の一件以来頭の中がごちゃごちゃしてあまり寝れなかったが、ダイヤとの約束があったので約束の時間にはこうして赴いたものの、どんな顔をして会っていいのか分からずチャイムを押せないまま10分ほど固まっていた。周りから見たらたぶん、てか絶対に不審者だよなぁ・・・。チャイムを押そうとしては押せずチャイムとにらめっこをしている若い男が長時間いる、これだけでも十分通報ものだ。

 

「はぁ・・・早くしないと・・・。ダイヤ待ってるだろうし・・・。だぁ~~~~~~~~~~!!こんなの俺らしくない!!何だかわからんことでウジウジと!!よし、気を取り直してサクッと行こう!」

 

ドンッ・・・

 

 気合を入れてチャイムを押そうと軽くストレッチ的なことをしたら伸ばした腕が何かにぶつかった。何にぶつかったのかと思いその方を見ると赤い髪の女の子が尻もちを着いていた。どうやらこの女の子にぶつかって転ばせてしまったみたいだ。

 

「ご、ごめん!!大丈夫?」

 

「ピ、ピ、ピ、ピ・・・・・・」

 

「ピ?」

 

「ピギャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!」

 

「うぉぉ?!?!」

 

ゴンッ!!!

 

「はうあ!?」

 

 俺は転ばせてしまった女の子を起こそうと手を差し出したら物凄い音量で叫ばれてしまった。超音波かと思うほどの声の大きなに驚いて耳をふさぎ後ずさったら石か何かにつまずいて黒澤家の門の角に後頭部を打ちつけてしまい俺は気を失ってしまった・・・。きっと変質者か何かと勘違いされたんだろうなぁ・・・。あぁ・・・意識が遠のく・・・・・。

 

 

 

 

 

 ん・・・ん?ここどこだ?なんか見覚えのある天井のような・・・てか、頭いて~・・・。

 俺が目を覚ましたらそこには昔見たことのある天井が映し出されていた。どうやらあの少女の奇声により頭をぶつけた気絶した俺は、ダイヤの家の中へと運び込まれたらしい。結構でかいたんこぶでもできたんだろうと思い確認しようと手を頭の方にやると何か柔らかいものにあたった・・・てか俺の頭が柔らかいものの上に乗っている?

 

「アンッ♪以外と大胆なのね?」

 

 俺の手が何か柔らかいものにあたったと同時に頭上から女の人の声が聞こえてきた。その時俺は誰かに膝枕で介抱されているのだと理解できた。しかし起きたばかりの頭で深く考えることができずその誰かが当然この家にいるダイヤだと勝手に思い込んでいた。

 

「あ、悪いダイヤ。すぐに・・・ど・・く・・・」

 

 しかし見上げた先に移った人物はダイヤではなくこの和風の家に似つかわしくない金髪の美女だった。

 あ、あれ?ここダイヤの家だよな?てか誰この金髪の美女は誰?なんで見知らぬ金髪美女に膝枕されてんの!?え?え?え?

 

「鞠莉さん悠さんはだいじょう・・ぶ・・です・・・か・・?」

 

 鞠莉さんと呼ばれた金髪の美女に膝枕されたまま混乱して固まっていたところにダイヤがふすまを開けて部屋へと入ってきたが、俺が鞠莉さんとやらに膝枕されているとこ見たダイヤも俺と同様に混乱したのか固まってしまった。

 

「ち、違うんだダイヤ!!これは俺にもよくわからないんだけど起きたらこの子に膝枕されていて、この子誰?とか考えていたらダイヤが入ってきて、えぇっと・・・・。」

 

 と慌てて起き上がりダイヤに弁明をする俺。てか、なんで俺はこんなに慌ててるんだ?とにかく今はダイヤの誤解を解かねば!!

 

「す、すみません、私としたことが取り乱してしまいましたわ。悠さん分かっていますわ。おそらく起きた時に驚かせようと、鞠莉さんが自分からしたのでしょ?」

 

「別に変なことじゃないでしょ?男の人はみんなこうやって介抱されたいんでしょ?まさかこんなに驚くとは思わなかったけどね☆」

 

 は?まぁ確かにされたいか、されたくないかで言えばもちろん前者だが、それだけの理由で見知らぬ男に膝枕をしたと?最近の子は危機感がないのだろうか?これが俺じゃなく智也ならどうなっていたことか・・・。

 

「まったく・・・。介抱するなら普通にしてくださいな。すみません悠さん。私の友人が驚かせてしまって。それと・・・」

 

 と言ってダイヤは、先ほど自分が入ってきた方に振り返る。その視線の先には先ほど門のところでぶつかった赤い髪の少女がばつの悪そうに顔を半分だけ出してこちらの様子をうかがっていた。

 

「ほらルビィ、いつまでもそんなところに隠れてないでこちらにいらっしゃい。」

 

「ピ、ピギッ!?」

 

「ほら早くなさい!!ちゃんと悠さんに謝るんでしょ?」

 

「うゆ・・・は、はい・・・」

 

「そっか、さっきぶつかった子はルビィだったのか。さっきはごめんな?いきなりぶつかってびっくりさせちゃったな。」

 

「う。ううん!!ル、ルビィこそごめんなさい・・・。知らない男の人だと思ったら怖くなって叫んじゃった・・・。まさかお兄ちゃんだったなんて・・・。」

 

「気にしなくていいよ。俺の不注意が原因だし、むしろ今のご時世それくらい警戒心があった方がいいかも・・・。」

 

「?」

 

 俺はルビィの頭をなでながらちらっと鞠莉さんの方を見た。警戒心がなさすぎるのも考えもんだしな・・・。

 ちなみにこのルビィ、以前にも少し話したと思うけど、ダイヤの妹で極度の人見知り&男性恐怖症の持ち主で、昔から自分の父親と俺以外の男性にはなぜか怯えていた。大きくなって少しは改善されたかと思ったが、数年ぶりに会った俺にこれだから変わってないんだろうなぁ・・・。しかし久しぶりにルビィを見たけどダイヤ同様綺麗に成長しているのにもったいない。鞠莉さんほど警戒心がないのも問題だが、これさえなければモテモテのリア充人生だろうに・・・。

 

「それはそうと、ダイヤ。こちらさんは?」

 

 一応話しの流れでこの金髪さんが鞠莉さんだというのは分かったが、まだちゃんとお互い紹介されていないのでダイヤにその旨を促してみた。ちなみに俺はまだルビィの頭をなでていた。なんでだか癖になる触り心地だ。ルビィも嫌がってないどころかむしろ目を細めて気持ちよさそうにしているし、まるで犬か猫を撫でているようなそんな感じだ。顎下をごろごろしたらニャンとか言わないかな?

 

「すみません。紹介がまだでしたわね。こちらは以前お話した小原鞠莉さんですわ。」

 

「シャイニー☆小原鞠莉よ♪気軽にマリーって読んでね♪アナタがユウね?」

 

「あ、あぁ。蒼谷悠だよろしくな、マリー?」

 

「Yes!!で、話はダイヤから聞いてるわよ?なんでも曲作りを手伝ってくれるんですって?」

 

「まぁね。どこまで力になれるかはわからないけどね。」

 

「NoProblemよ♪少なくとも私たちじゃ何の役にも立たないしネ。」

 

「お兄ちゃん作曲できるの!?凄い!!」

 

 先まで気持ちよさそうに撫でられていたルビィがマリーとの会話を聞いて目を輝かせていた。俺は苦笑いをしながら優しくルビィの頭を撫で続けながら、

 

「残念ながら作曲はあんまり得意じゃないんだ・・・。まぁ、ヒントくらいならあげれるかもだけどね。むしろ俺はその後の編曲の方が得意でね、曲さえ出来たら俺が頑張って仕上げてみせるよ♪」

 

 と俺はルビィを撫でつつダイヤの方を見た。ダイヤは笑顔で「よろしくお願いいたします♪」と返してくれた。

するとチャイムが鳴りダイヤは玄関の方へと行き、ほどなくしてポニーテールの女の子と一緒に戻ってきた。これまたダイヤやマリーに負けず劣らずの美人さんだ。なんだこの空間は?みんな美少女とかマンガの世界かここは?

 

「おじゃましまーす。」

 

「あ、いらっしゃい果南♪シャイニー☆」

 

「やっほ~鞠莉♪」

 

「悠さん紹介いたしますね。こちら松浦果南さんですわ。」

 

「どうもこんにちわ。松浦果南です。どうぞよろしく♪私のことは気軽に果南って呼んでくださいね♪」

 

「あぁ、よろしくな果南。俺は蒼谷悠。呼び捨てでも何でも呼びやすいように呼んでくれ。」

 

「なら、悠君って呼ばせてもらおうかな♪」

 

「それで、悠さんこの方たちが以前お話しした、私と一緒にスクールアイドルを始めたメンバーですわ♪」

 

「そっか、改めてよろしくな!しかし、三人とも美人だからきちんとした歌さえ出来たらかなり人気でそうだな♪これはますます頑張らないといけないな!」

 

 俺が褒めると三人とも少し恥ずかしそうに照れ笑いを浮かべていた。うむ、初々しくていいね♪

 

「しかし今日はもともと三人で集まる予定だったの?昨日話した感じじゃ、ダイヤ一人で作業する感じだったけど?」

 

「なぁに?ユウってばダイヤと二人っきりがよかったの?イヤラシ~♪」

 

「んなわけあるかっ!!あ、いや別にダイヤと二人っきりが嫌とかじゃないぞ?ただ、二人が来るって聞いてなかったからびっくりしただけだっ。」

 

「よかったねダイヤ♪嫌じゃなって♪」

 

「ちょ、鞠莉さんなに言ってるんですの!?」

 

「アハハハ~、ごめんごめん♪」

 

「実はですね、今朝ダイヤに鞠莉が進み具合を確認するのに電話したら悠君が曲作りを手伝っくれるって聞いて『お礼も言いたいし、どんな人か気になるから見に行きましょ♪」』って鞠莉に誘われたんでお邪魔かなぁとは思ったんだけど、わたしも悠君に興味があったんで来ちゃいました♪」

 

 俺とダイヤがマリーにからかわれて話が進まないので果南が代わりに答えてくれた。ふむ、この中で一番しっかりしてるのは果南みたいだな。みんなのお姉さん的存在かな。ダイヤもしっかりしてしてるけどマリーの前ではいじられキャラみたいだしなぁ。あ、俺もか・・・。

 

「なるほどね・・・。で、会ってみてどう?どこにでもいる普通の男だろ?」

 

「そうですか?イケメンっ!!てほどじゃないですけど、かっこいい方だと思いますよ?それにルビィがこんなに懐くくらい優しい人みたいですし。」

 

「それに面白い人だしネ☆」

 

「それはどうも。お世辞でもうれしいよ♪」

 

「それに納得もしました。」

 

「納得って何に?」

 

「それは秘密です♪ね、鞠莉♪」

 

「Yes!!これは乙女の秘密デス♪」

 

 果南とマリーは俺の何を見て何に納得したのかはよく分からないが、まぁ、かっこいいと言われたからよしとしておくか。かっこいい”方”ではあったが、脳内変換しておこう。

 

「ねぇダイヤ~、ワタシ喉乾いた~!!お茶飲みたい~。」

 

「まったく仕方ありませんわね~。今用意して来ますから少し待っててください。」

 

 そう言うとダイヤは台所の方に行ってしまった。ダイヤが部屋を出るのを見送り、ダイヤが部屋から完全に離れたのを確認したマリーたちは目を輝かせながら俺の方に向き直った。なんか怖いんだけど・・・・俺何されるの?

 

「ところでユウ、聞きたいことがあるんだけどイイですか?」

 

「な、なんだよ?」

 

「ダイヤとユウはどこまで行ったのかしらん?♪もうキスはした?まさかそれ以上!?♪」

 

 といきなりマリーは俺の方に寄ってきたかと思うと、ニヤニヤしながらとんでもないことを聞いてきた。

 

「あ!それ、わたしも聞きたい♪実際のところどうなんですか?♪」

 

「ル、ルビィも!!お姉ちゃんとお兄ちゃんはいつ結婚するんですか?」

 

 マリーの切り出した話題に残り二人も凄い勢いで食いついてきた。目を輝かせた三人に詰め寄られジリジリと壁際まで追いつめられつい逃げ場が無くなってしまった・・・。流石は年頃の女の子と言ったところか、恋バナ大好きだよなぁ・・・てかルビィよ飛躍しすぎたぞ?しかしまいったなぁ、昨日の今日でまたこの話題か・・・自分がダイヤに今どんな感情を持ってるか分からず混乱してると言うのに・・・。しかしこんなかわいい子三人に詰め寄られるとドキドキしてしまうなぁ///

 

「なななな、なにをいきなり言ってんだ!?俺とダイヤが?いやいやいや、俺たちそんな関係じゃないし、ダイヤだって俺となんかじゃ嫌だろうし・・・」

 

「えぇ、そうかなぁ?少なくともダイヤはユウのこと嫌ってはいないと思うけど?」

 

「そりゃ、嫌われたはいないだろうけど、ダイヤにとって俺は兄貴みたいなもんだと思うから恋愛対象じゃないんじゃないかな?それにダイヤにはもっとふさわしい男がいると思うぞ?」

 

 なんだか自分で言ってて心が痛い・・・。なんでこんなに胸が苦しくなるんだ?

 

「あのね、ルビィ恋愛のことはよくわからないんだけど、お兄ちゃんはお姉ちゃんのことどう思ってるのかなぁって・・・」

 

「え?」

 

「そうだね。さっきから悠君自分の気持ち一つも言ってないでしょ?さっきから『ダイヤが・・・』とか『ダイヤには・・・』とか言ってるけど悠君のダイヤに対する気持ちはどうなの?」

 

「いや、だからそれは妹みたいなもんで・・・」

 

「それは嘘デスネ。」

 

 さっきまでニヤニヤしていた顔とは打って変わって真剣な表情のマリー・・・。よく見ると果南もルビィも同じ表情をしている。なんだろう凄く空気が重い・・・。悪いことなんて何もしてないけど、悪い事をした気になるような、子供のころ親に怒られた時のようなそんな居心地の悪さを感じる。

 

「嘘も何も本当のことだぞ?俺はダイヤのことを妹として・・・」

 

「だからそれが嘘だって言ってるのよ。ワタシ達についている嘘ではなく、自分自身についている嘘・・・。」

 

「え?」

 

「ねぇ悠君なんでそんなに頑なにダイヤのことを妹として見てるの?本当の妹でもないのに。」

 

「いや、だって俺はすげー小さいころからダイヤのこと知ってるんだぜ?そりゃ血は繋がってないけど、やっとしゃべりだした頃に『おにいちゃん』って言われた時から俺は兄貴でダイヤは妹だったんだぜ?」

 

「なるほどね・・・。よくわかったわ。」

 

「ならこの話は・・・」

 

「いいえ、ユウがおバカさんだということがよくわかりました。」

 

 なぜそうなる?今俺変なこと言った?何が何だか分からずポカーンしている俺を無視してマリーは話を続けてきた。

 

「ユウは確かにダイヤの事を妹として見ていたのは間違いないと思うよ?でもソレハ子供の頃の話でしょ?今はどうなの?もし今でも本当に妹として見てたんならそんな言い訳みたいなセリフ出てこないんじゃないかしら?」

 

「そうだね。ねぇ、悠君さ本当はダイヤの事一人の女の子として好きなんじゃないの?でも、今まで妹として見てきたのにいきなり女の子として見てる自分に驚いて無意識に妹に恋するなんておかしいって、妹だからあり得ないって、自分に言い聞かせて誤魔化してない?」

 

「それは・・・」

 

「ねぇ、お兄ちゃんルビィねお兄ちゃんの事すごく好きだよ?でもそれはお兄ちゃんとして。もしお兄ちゃんとお姉ちゃんが付き合ったら、ううん違う人と付き合ってもお兄ちゃんが幸せならルビィうれしいよ。お兄ちゃんはどう?お姉ちゃんがほかの人と付き合うの嫌じゃない?」

 

「嫌だ・・・と思う。・・・・・うん、ダイヤが俺以外の男と居るのは凄く嫌だな。」

 

 俺は三人に言われたことを考えてみた。すると驚くことにここしばらく感じていた胸のもやもやがすっきりとして今まで分からなかった感情に向き合うことができた。

 

「俺ダイヤの事が好きだ・・・一人の女の子として・・・」

 

 そう、俺はずっと妹だと思っていた女の子に恋をしていたんだ・・・。たぶん数年ぶりに再会したあの日から。いや、もしかしたらその前からかもしれない・・・・。それなのにずっと分からないふりをして、ずっと自分を誤魔化していたんだ。妹だからって・・・。

 まずい、自覚したらダイヤへの気持ちがどんどん溢れてくる・・・。どうしようもなくダイヤが愛おしい・・・。でかこの状態で、この後戻ってくるダイヤとどんな顔をして会ったらいいんだ俺っ!?




てな訳で悠君自覚しました。

どうでした?ちょいまじめ過ぎたかな?みんなの妹ルビィも登場しましたね♪

さて、もう少しこのお話は続きます♪


UAを全然気にしてなかったですが、もうすぐ2000なんですね。皆さまありがとうございます♪

お気に入りに入れていただいた方もありがとうございます♪


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第5話 ~自覚したら その2~

Aqoursの皆さま1stライブお疲れ様でした!!
生Aqours・生しゅかしゅ~マジで見たかったですorz

早くブルーレイでないかなぁ♪


「俺ダイヤの事が好きだ・・・一人の女の子として・・・」

 

 俺は果南、マリー、ルビィのおかげでダイヤに対する自分の気持ちが恋心だとやっと理解することができた。

 

「やっと素直になりましたネ♪」

 

「でもどうしよう・・・・。」

 

「どうしようって?悠君はいったい何に困ってるの?」

 

「この後俺はどうしたらいいんだ?」

 

「ピ、ピギッ!?」

 

「よくよく考えたら俺、初恋だわ・・・・この後俺はどうしたらいいんだ?な、なぁ果南この後とどしたらいいんだ?俺はまず何をすればいい?」

 

 テンパった俺は果南の肩をつかみ思いっきり揺さぶっていた。そう、俺はお恥ずかしながら今まで女の子を好きになったことがないのだ。彼女欲しいなぁと思ったこともあるし、女の子に対して可愛いとか思うことも普通にあるが恋をしたのは初めてだった。

 

「えぇ!?初恋なの!?てか悠君少し落ち着きなよ!!」

 

「いや、しかしだな急に恥ずかしさがこみ上げてきてだなぁ・・・。」

 

「そ、そういう時は深呼吸だよお兄ちゃん!」

 

「ハイ、吸って~・・・吸って~・・・吸って~・・・吸って~・・マダマダ吸って~・・・」

 

「ぶばはぁ!!!!はぁはぁはぁ・・・・死ぬわ!!!なにお決まりなことやらせてんだ!!」

 

「アハハ~ゴメンナサイネ♪でも少し落ち着いたんじゃない?♪」

 

「う、うむ・・・まぁ確かに・・・。」

 

 マリーのお決まりの深呼吸のおかげで何とか落ち着くことはできたが、さっきまでの真剣さとは違いまた俺をからかって楽しみ始めたなこの女は・・・・。

 

「しかし今まで好きな子がいなかったのは意外だなぁ・・・いいなぁと思う子とかいなかったの?」

 

「なんでだろうな?かわいいなぁと思うことはあっても好きになったことはないなぁ・・・」

 

「されはきっとお姉ちゃんが小さいときから好きだったんだよきっと!!お姉ちゃん小さいときからとても美人でルビィの自慢のお姉ちゃんだったし!!だから他の女の人は目に入らなかったんだよ!!」

 

 ふむ、やはりそうなのだろうか?実は子供のころから俺はダイヤが好きで気づいていなかったと?どんだけだ俺・・・。

 

「そうなのかなぁ?それはそうとマジで俺はこの後どうしたらいいんだ?」

 

「まぁ普通は告白かなぁ?」

 

「こくっ!?いや、それはいきなりすぎないか?」

 

「そうね~、ダイヤからしたらユウはお兄さんかもしれないんでしょ?振られたりして~」

 

「やっぱりそうかなぁ・・・初恋は実らないというしなぁ・・・」

 

「こら鞠莉、あんまりからかわないの!!悠君もそんなに落ち込まないっ!それはさっき悠君が自分で言ってたことでしょ?」

 

「Sorry☆」

 

「そうでした・・・。」

 

「まぁ、でもいきなり告白するのは確かにハードルが高いかもだし、まずはデートに誘ったら?」

 

 デートかぁ・・・でもそれって普段も似たようなことしてるような…・・・二人で買い物行ったりしてるし・・・

 

「お兄ちゃん、ルビィはそれは少し違うと思うよ?普段お姉ちゃんと買い物してるのは食材の買い出しでしょ?それはちょっとちがうような・・・・」

 

 ルビィに心を読まれてしまった・・・。しかしそうか、これは違うのか・・・。難しいなぁ・・・。

 

「とりあえず、そろそろダイヤも戻ってくるだろうし話はここまでかなぁ?とりあえず試練だと思って頑張って考えてみなさい☆」

 

 と、マリーが話を切ると、入口の方からパタパタと歩いてくる音が聞こえた。まずい緊張してきた・・・。俺今までどうやってダイヤと話してたっけ?

 

「お兄ちゃん、お兄ちゃん。」

 

「なんだ?」

 

「がんばルビィ!!」

 

 なにこの子、超可愛いんですけど!?こんな可愛く応援されたらあまり情けないとこは見せられいなじゃないか。さらに周りを見ると果南もガッツポーズおておりマリーは物凄いニヤニヤしていた。果南は純粋に応援してくれてるみたいだけど、マリーは絶対にこの状況を楽しんでるな?あんなに目を輝かせて・・・まるで新しいおもちゃをもらった子供みたいな目をしやがって・・・・。

 

「お待たせしました。ポットの中が丁度切れてしまって、お湯を沸かしてたら時間がかかってしまいました・・・。」

 

「NoProblem!むしろ都合がよかったわ☆」

 

「なんの事ですの?」

 

「気にしない気にしない☆こっちの話☆」

 

 その話を聞いて顔が熱くなるのを感じた。マリーはダイヤからお茶をもらいながらこちらにウインクして見せた。絶対俺がこういう反応すると思ってワザとい言ったな!!くそ~いいように遊ばれてるよ・・・。

 

「それよりダイヤ、曲の方聞かせてよ♪」

 

「そうでしたわね。今日はそのために集まったんですものね。今準備しますので少々お待ちください。」

 

 そう言うとダイヤは琴の準備を始めた。しかしアイドルの曲を琴で作曲とは斬新な気もする。

 琴を出し、簡単にチューニングをおえたダイヤは俺たちに向き直り「では、まいります。」と告げ琴を弾き始めた。曲調はとても明るくリズムもなかなかいい感じだ。初めてでこれだけできたんだから正直凄いと思う。そして最後まで弾き終えると全員から自然と拍手が起きた。

 

「どうでしょうか?」

 

「凄くいいよダイヤ!!」

 

「とってもシャイニーじゃない!!」

 

「お姉ちゃんすご~い!!」

 

「うん、リズムもいいし楽しい雰囲気でいいんじゃないか?これだけイイ感じにできてると俺がこの感じを崩さないか不安になるけど・・・」

 

「そこは悠さんを信じますわ♪」

 

 う!!そんな可愛い笑顔でそんなこと言われるとまともに顔が見れなくなるじゃないか・・・。

 

「どうかしましたか?何やら顔が赤いようですが、具合でも悪いのですか?」

 

「いや、大丈夫!!ただ、ちょっとお茶が熱かったからたぶんそのせいだから、気にすんな!!」

 

 ダイヤ熱を測ろうと俺の額を触ろうとしたもんだから物凄く恥ずかしくなって思わずそっけない態度をとってしまった。うぅ・・・なんかうまくいかないなぁ。

 

「そうですか?ならいいのですが・・・。」

 

 ほら、ダイヤが少しショボンとしちゃったじゃないか~!!俺の馬鹿~!!

 

「ダイヤ~、一応これで完成なのかしら?」

 

「そうですわね。なにか意見があれば取り入れてみようとは思うのですが・・・。何せ慣れないことなので色々試したのですが、自分ではこれでいいのかよくわからなくて・・・。」

 

「わたしは楽器できないからなんとも言えないけど凄くいいと思うよ♪鞠莉は?」

 

「ソウネ~・・・ワタシも問題ないと思うよ☆歌詞の雰囲気にの合いそうだし☆」

 

「ではこれでよさそうですわね。そしたら悠さんに譜面と歌詞をお渡ししますね♪よろしくお願いします♪」

 

「お、おう!!ここからは俺の仕事だからな!!・・・・・って、ダイヤさん?」

 

「なんですの?」

 

「あの~俺琴の譜面は全く読めないんですが・・・。」

 

 ダイヤから貰った譜面は琴の譜面だった。つまりはドレミで書かれていないのだ。流石にこれでは何もできない・・・・。

 

「あら、私ったら・・・申し訳ありません!!すぐに譜面を直しますね。」

 

 という分けでこれからダイヤは譜面を直すので今日はここでお開きとなった。譜面を直すのでそこまで時間はかからないと言うので俺はこのままここで待つことにした。マリーと果南はこの後家の手伝いやらなんやらあるらしく俺に『頑張れ』と言って帰って行った。気をきかせてくれたのだろうか?正直今は居てくれた方がありがたいのだが、本当に用事があるかもしれないから引き留めることは出来なかった。そしてダイヤは自分の部屋で直してくると言って自分の部屋に行ってしまったので、今はルビィと二人きりになってしまった。そのルビィはと言うとみんなの湯のみを片していた。

 

「なぁ、ルビィ?」

 

「なぁに、お兄ちゃん?」

 

「ダイヤをデートに誘うならどこがいいと思う?」

 

 俺はとりあえずダイヤをデートに誘おうを思ったが彼女いない歴=年齢どころか、初恋なうえ女の子と二人で遊びに行ったことのない俺はどこに行ったら喜んでもらえるかさっぱり見当がつかないのでたまたまとはいえ、ダイヤが席をはずしているのでいつも一緒のルビィに相談してみることにした。ルビィは片す手を止めて右の人差し指を唇の方にもっていき考えるポーズをとった。

 

「ん~お姉ちゃんは変な所じゃなければどこでも喜ぶと思うけど・・・水族館とかはどう?デートっぽいし可愛いお魚さんとかいっぱいいるよ♪」

 

「確かにこの辺だとそのあたりらが無難かな?後は美術館的なのとかかな?あんまりガチャガチャしたところは好きじゃないだろうし・・・」

 

「そうだね。お姉ちゃんは少し落ち着いた場所の方が喜ぶかも。後、誘うならライブ終わってからがいいんじゃないかな?」

 

「なんで?」

 

「なんでって・・・」

 

 ルビィに呆れた顔をされてしまった・・・お兄ちゃん本気で凹んじゃうぞ?

 

「この後お兄ちゃんは編曲してそれが完成したらお姉ちゃんたちは振り付けとか初ライブに向けて練習すると思うから、しばらくは誘ってもデートに行く時間ないと思うよ?」

 

「そ、そうだな、確かにそうだ・・・。」

 

「それに、ライブ終わってからの方が、頑張ったご褒美とか理由つけて誘った方がお兄ちゃんも誘いやすいと思うし、お姉ちゃんも喜ぶと思うんだ♪」

 

 ふむ、確かにルビィの言う通りだ。いきなりデートに誘っても変に思われるだろうし、何より俺がうまく誘えないかもしれない。しかし、さっきは恋愛のことはよくわからないとか言ってた割にはよく色々なことに気づくなぁ?

 

「そうだな、ありがとう。しかし俺のが年上なのにアタフタして情けないなぁ・・・。」

 

「そ、そんなことないよ!!ただルビィは友達の影響で色々な本を読んでるから、こういうのいいなぁって憧れてたりしてるからこんなのどうかなぁって思っただけだから。」

 

「へぇそうなんだ?でも、助かった。ありがとうな♪またなんかあったら相談していいか?あんまり俺の周りにはこういうの相談できる人いなくてさ。」

 

 そう、俺の周りはほぼ彼女なし。何人かは彼女いるけど、相談してもなるようになるさ的な返答をしてくれないだろうし、智也にいたっては論外。マリーは面白がるだけだろうし、果南はまぁ一応は相談には乗ってくれるだろうけど・・・。てかそれ以前に二人の連絡先知らないし・・・。

 

「うん!!あまり役に立てないかもだけどルビィでよければいつでもいいよ♪」

 

 ルビィは快くうなずいてくれた。俺はいい妹をもったなぁ・・・。お礼に頭を撫でて上げよう。

 

「うゆ~」

 

 ルビィは気持ちよさそうな声を出していた。本当に小動物みたいだな・・・。そして俺とルビィはメアドを交換して、ルビィは湯のみを片づけに行ってしまった。俺はと言うとやることが無くなってしまったのでボーっと庭を眺めていた。相変わらずよく手入れされた庭だなぁなどと思っていると譜面を直し終えたダイヤが戻ってきた。

 

「お待たせしました。これで大丈夫ですわ。」

 

 渡された譜面をざっと確認して大丈夫そうなのを確認した俺は譜面と歌詞を丁寧にバックにしまった。ダイヤ達の大切な曲だ、イイものに仕上げるぞと、自然と気が引き締まる。

 

「頑張ったな!!後は俺が頑張って絶対にいいものに仕上げて見せるから期待しててくれよ♪」

 

「あ・・・////」

 

 そう言うと俺は自然とダイヤの頭を撫でていた。

 

「あ、悪い・・・嫌だったか?」

 

「い、いえ、別に嫌とかでは・・////」

 

 なんだかすごく恥ずかしくなってきた。自覚する前なら気にしないで撫でていただろうけど自覚した今では何気なくいつもやっていたことでさえ恥ずかしくなってくる。

 

「そ、それじゃ俺もそろそろ帰るな?」

 

「え、えぇ・・・」

 

 と二人の間に気恥ずかしい空気が流れてしまい困っていたところに丁度片づけを終えたルビィが戻ってきた。

 

「あれ?お兄ちゃんもう帰るの?」

 

「あ、あぁ。帰ってさっそく編曲作業をしようと思ってな。」

 

「そっか。それじゃ帰らないとね。お兄ちゃんがんばルビィ!!」

 

「おう!!」

 

 そう言って俺は玄関へと向かった。

 

「とりあえず、休み明けまでには形になると思うから、出来たら一度連絡入れるな?」

 

「分かりました。悠さんもお忙しいと思いますがよろしくお願いしますね。」

 

「おう!!任せておけ!!そんじゃ、お邪魔しました。」

 

 俺はダイヤの笑顔を見て気合をガッツり入れて黒澤家を後にした。玄関を出るときダイヤの後ろでルビィが何やらジェスチャー付きで口パクのがんばルビィの応援もしてくれた。

 よし!!!ダイヤを喜ばせるためにも絶対イイものに仕上げてやる!!!そんでもって目指せ初デート!!

 気合も新たに俺は家に帰りこの日は徹夜で作業に没頭してしまった。いや~、愛の力って凄いね!!




いかがでしたでしょうか?

悠君とダイヤ様をいつくっつけようか悩んでますが、まずは早くデートをさせてあげたいですね♪

ちなみに初ライブはあまり掘り下げません。曲名や歌詞を考えるようなセンスも頭もないので・・・orz

次もよろしかったら見てやってください。

UA2000超えました皆さまありがとうございます。こちーやさん評価ありがとうございます!!これからもがんばります!!


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第6話 ~なんでお前なんだよっ!~

今日のニコ生楽しみ♪早くメンバーの1stライブの感想を聞きたいなぁ♪

ではどうぞ~♪


 先日、ダイヤに歌詞と譜面を貰ってから連日試行錯誤しながら曲を一応は完成させ、G・Wも最終日俺はこの日ある人に編曲の仕上がりを聞いてもらうため朝も早い時間からテレビ電話をしていた。その人物とは、俺の師匠でありプロとして第一線で作曲・編曲をしている「結城 勇(ゆうき いさむ)」さんだ。勇さんは俺の同級生の叔父で付き合いは半年ちょいとまだ日は浅いが気さくな人で面倒見のい方なので、毎日忙しいだろうに俺に課題を出してはこまめにチェックしてくれる。しかもこの人、あの元スクールアイドルで今やトップアイドルとなったA-RISEの作曲を手掛けたことのある実力者だ。正直言ってこんなすごい人が俺みたいな素人の師匠になってくれたことは今でも信じられない。紹介してくれた友人とこんな俺の面倒を見てくれる勇さんには感謝してもし足りない。この恩に報いるため、見放されないためにも日々頑張っている。

 

「朝早くにすみません。」

 

「なぁに気にするな。丁度俺も起きたところだ。で、メールにも書いてあったけど、知り合いのスクールアイドルの曲作りを手伝うんだって?」

 

「はい。それでさっそくなんですけど、今から送る曲を聞いて見てもらえます?先日その子から貰った曲をいじってみたんです。」

 

「ほほ~。俺の課題はそっちのけでか?」

 

「あ、いやぁ~その~・・・。」

 

「はははっ!!冗談だよ。別に課題以外やるなとは言ってないし、むしろ自分からいろいろやった方が身になるからガンガンやれ!!ただし、課題は課題でちゃんとやれよ?」

 

「了解ッす!!」

 

 さっそく勇さんに譜面と編曲を行った曲データなどを送り確認をしてもらった。この待ってる間って不思議な緊張感があるよなぁ・・・。勇さんが確認し終えるまで画面越しに映る勇さんの表情をうかがいながらドキドキしていると確認し終えた勇さんにっこりと笑っている。

 

「うん、原曲はまぁ、素人が作ったにしてはよく出来てるんじゃないかな?ところどころ修正したらもっと良くなるとは思うけど、まぁ許容範囲内じゃないかな?」

 

 どうやらダイヤが作った物に関しては及第点が出たようだ。ただしあの笑顔といい、この言い回しと言い俺がいじったところには大いに注文があるらしい。付き合いが短いながらも最近分かったことだが、流石はプロと言うか師匠だからか勇さんはすごくいい人なのだが指導するときは物凄いドSなのだ。さっきの笑顔もいっぱい指摘するところがあるときによくするのだが、この笑顔が出た時は本当に容赦ないんだよなぁ・・・。

 

「問題は悠がいじったところだな。」

 

 ほら来た!!

 

「もう少しサビの前を盛り上げる感じにしてメリハリをつけないと単調になって、元はいい曲だとしてもつまらないものになっちまうぞ?あと、これは特にこれからの課題になるところではあるけど、もっと色々な楽器も使ってみるようにしないとな。たとえば、この曲もピアノやギターだけでなくバイオリンとか使ってみるとまた雰囲気もガラッと変わるしテクノ調みたいにしてみるのも面白いかもな。」

 

「なるほど・・・。」

 

「とはいえ、いきなりそんなのやれって言っても出来ないだろうから、まずはもっと曲にメリハリをつけてみな。それだけでもかなり変わってくるからな。しかし、最近のスクールアイドルってのはなかなかにレベルが高くてな下手なプロのアイドルよりイイ曲作ったりするんだよなぁ。どんなに可愛い子たちの集まりだったとしても、曲がいまいちだったりパフォーマンスが下手だと全然人気が出ない。それでもいいってんなら細かくは言わないが、本気でラブライブを目指してる子たちの手伝いをするんだったら、お前ができるところはとことんこだわってみな。お前のせいで人気が出ないなんてことになった責任重大だぞ~。」

 

「そうっすね。それは流石に嫌っす。今指摘されたところ念頭にもう少し練ってみます。」

 

 プロの御言葉はほんと重いねぇ・・・。でも確かに最近のスクールアイドルのレベルの高さは目を見張るものがある。年々グループ数は増え、その人気と認知度からおそらく俺のようにアイドル活動ではなく本気で音楽活動で参加している人も少なくはないはずだ。そういった相乗効果でこの数年レベルがかなり跳ね上がっている気がする。

 

「そうしな。すぐに連絡とれなくてもメールに添付しといてくれたら、きちんと確認しとくから。」

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

 そして勇さんとのテレビ電話を終えた俺はまた編曲作業を再開した。俺のせいでダイヤ達のデビュー曲が失敗に終わるのは嫌だしなによりあれだけ信じて俺に託してくれたダイヤ達に合わせる顔が無くなってしますからな。

 作業を始めて少ししたとき部屋のチャイムが鳴った。誰だろうと思いインターホンをとるとそこにはダイヤがいた。

 

「あれ、ダイヤ!?ど、どうした?」

 

「いえ、特にどうしたというわけではありませんが、悠さんが頑張ってくれているのに何もできないのでせめてご飯だけでもと思いまして・・・。」

 

「お、おぉそうか。今開け・・・いや、少しそこで待っててくれないか!?」

 

「えぇ構いませんけど?」

 

 そう言うと慌てて部屋を軽く片づけて部屋着のままだったのでとりあえず着替えたりしてダイヤを迎え入れた。今まではトレジャーがなく汚過ぎなけれいいやくらいで気にしたことはなかったが、一度意識すると嫌われたくない、好かれたいの思いが強くなって悪い面は見せないようになるらしい。自分でもびっくりだ。

 

「突然お邪魔してすみません。本来なら明日お部屋の片づけなどの手伝いに来る予定でしたが、悠さんが無理してないか心配になってしまって・・・。」

 

「そ、そうか。心配掛けたみたいで悪かったな。突然でびっくりはしたけど凄くうれしいよ。ありがとうなダイヤ♪」

 

 ヤバイ物凄く顔がニヤケそう。ダイヤが俺のためだけにわざわざ心配して来てくれるなんて!!物凄く嬉しいぞ!!

 

「そ、そうですか?なら来たかいがありました♪それで、どうですか?」

 

「まぁ、こんな感じなんだけど・・・・」

 

 俺はダイヤにヘッドホンを渡して編集中の曲を聴かせてみた。ヘッドホンをして曲に集中するダイヤ。勇さんに聞いてもらうのとは違うドキドキあるなこれ。これを聞いてガッカリされないだろうか?不安でそわそわする。しかしダイヤがヘッドホンを手で押さえながら目を閉じて曲に集中してる姿はなんか新鮮・・・とゆうか色っぽいなぁ・・・。

 

「・う・ん・・・ゆ・・さん・・・悠さん!!」

 

「え?」

 

「大丈夫ですか?何やらボーっとしてましたが・・・?まさか徹夜ばかりしてたんじゃないですか?」

 

「え?あ・あぁ、大丈夫!!どう思われるか気になって緊張してただけだから!!」

 

 どうやら俺がダイヤに見惚れてているうちに曲を聴き終えていたらしい。いかんな、変に思われないようにしないと・・・。

 

「で、どうだった?」

 

「正直に言って私感動しましたわっ!!こんないい曲に仕上がるなんて!!悠さんのことは信頼していますが、やはり出来上がるまでどうなるのか想像できなかったのでとても驚いてます!!」

 

「でも、まだ完成じゃないんだよね~・・・」

 

「そうなんですの?とても素晴らしい出来だと思うのですが・・・・」

 

先ほどまで勇さんと話していた内容をダイヤに伝えながら、これではダイヤ達の曲として発表させるには駄目だということを説明した。正直俺も納得のいく出来ではないしね。

 

「そうだったんですか。確かに素人の私から見ても最近のスクールアイドルのレベルは飛躍的に上がっていると思います。プロの方がそのようにおっしゃるのであれば私の想像以上にレベルが高いのでしょうね・・・・・。」

 

「らしいな。まぁ、μ’sやA-RISEもあの当時で物凄くレベル高かったしな。」

 

「そうですわね。でもどんなにレベルが高くても絶対に学校を救えるくらい有名になって見せますわ!!レベルが高いのは分かっていたことですし、自分で決めたことですから中途半端に終わりにしたくありませんし、ラブライブはやはり憧れでもありますから。もしも人気が出なくても、それでも諦めたくありません。」

 

「そうだな。」

 

 プロの見解を聞いて少し落ち込んだダイヤだったがすぐに気持ちを切り替えていた。今さらだが、ダイヤの本気を再確認できたのはよかったともう。ダイヤの本気に応えるためにも俺も今できることをすべて出し切ろうと思えるしね。

 

「でも、俺はダイヤたちなら絶対に人気が出ると思うんだ!!ダイヤも果南も妥協を許さないタイプだと思うし、マリーもあんな感じだけどやるときはやると思うし、何より三人とも凄い美人だしさ!!特にダイヤはっ!!」

 

「えっ!?/////い・今何と?」

 

 あ、あれ?俺今勢いに任せて結構凄い事口走らなかったか?ダイヤが一番美人とか言っちゃた?言っちゃたよね?・・・えぇい、こうなったらやけだ!!

 

「え!?あ、いやぁ・・・だ・だからっ!!ダイヤが三人の中で一番美人だし人気出ると思うから自信持てよ!!と・・・」

 

「な・・・な・・・な・・」

 

 俺が半ばやけくそになってストレートに思ってることを言うと、それを聞いたダイヤは顔を真っ赤にして口をパクパクさせて固まってしまった。

 

「お~い、ダイヤさ~ん?大丈夫か~?」

 

「な・・な・・・なにを突然言い出すんですか!?不意打ちにもほどがありますわ!!いきなりそんなこと言われたら私・・・私・・・・/////////」

 

 ダイヤは真っ赤になった顔を両手で覆って俯いてしまった。たぶん俺も真っ赤な顔をしてるんだろうなぁ勢いに任せたとはいえ結構恥ずかしい事言っちまったなぁ///

 

~~ダイヤsido~~

 

 ど、どうしましょう・・・!!以前再会した時は私が誰かわからないで綺麗だと言ってはいただけましたが、今回は私だと分かっている上でなお、あの二人よりも綺麗だと言ってもらってしまいましたわっ!!嬉しいのと恥ずかしいので顔を上げることができませんわ!!でもでも、これは脈ありととってもいいのでしょうか?それともただ兄が妹を可愛いと思うひいき目の意見なのでしょうか?今までの悠さんの態度から考えるならやはり後者でしょうか?でも、もし前者だったら・・・?今私の気持ちを伝えたら受け入れてもらいるのでしょうか?もしそうなら今がチャンスのようなきが・・・悠さん恋愛事には鈍感そうですしやはり私から言わなくては気付いてもらえなさそうですし・・・でもでも、やっぱり兄弟としてしか見ていないならこの告白で今の関係は無くなってしまいそうですし・・・・。どうしましょ~・・・・

 

 

~~ダイヤsido END~~

 

 まずいな、なんかダイヤが硬度10のレベルで固まってるんだが・・・自分で撒いた種とはいえこの気恥ずかしい空気に耐えられん!!何とかこの場空気を変えなくてはっ!!でないと俺が死ぬっ!!

 

「す、すまんっ!!こんなこといきなり言われたら誰だって照れるよな!!まぁ、なんだ?あれだよあれ、やっぱ妹は可愛く見えるっていうかさ?ひいき目て見ちゃうんだよな~。」

 

 俺の馬鹿~!!もっと気のきいたこと言えんのか~!!ほら見ろなんかダイヤが睨んできてんじゃん!!そりゃ、持ちあげといて補正がありますよとか言って落としてんだもん・・・。テンパたとはいえ怒られて当たり前だろ俺・・・・。てか、俺がダイヤのこと妹としてではなく一人の女の子として見てるってことを遠回しにでも伝えられたのに・・・今のじゃ完全に、お前は妹だぜ、って言ってるようなもんじゃん!!

 

「ふ・・・ふふ・・・」

 

「ふ?」

 

「ふふふ、そうですわよね?私は妹ですものね。えぇ、えぇそうでしょうとも。」

 

「あ、あのダイヤさん?」

 

「なんですの?」

 

「怒ってません?」

 

「いいえ、怒ってなんかいませんよ。なぜ私が怒ってると思われるんですか?それとも、何か私を怒らせるようなことでもされたのですか?」

 

 絶対嘘だ・・・顔は笑ってるけど目が全然笑ってない・・・。てか、かなりお怒りの色が見えてるような・・・。

 

「い・いや、その・・・妹扱いしたこととか?」

 

「まさか・・・そんなことで私が怒るとでも思いで?」

 

「だ、だよね~?」

 

「そうですわよ。ふふふ~」

 

「あははは~」

 

「あら嫌だもうこんな時間。申し訳ありませんがこの後予定がありますので今日は失礼しますね?」

 

「え?あ・あぁ・・・わざわざ悪かったな?」

 

「いえいえ、い・も・う・とっ!!として当然のことをしたまでですわ、お・に・い・さ・まっ!!」

 

 あぁ~やっぱり怒ってる・・・・どうしよう・・・。

 

「あ・あのダイヤさん、やっぱり怒ってるよね?」

 

「ですから、怒っていないと言ってるじゃないですかっ!!」

 

「いや、でも・・・」

 

「お兄様。あまりしつこいと女性に嫌われてしまいますわよ?」

 

「うぐっ・・・。」

 

 ダイヤのあの整った顔で思いっきり睨まれた俺は何も言い返せなくなってしまった。はぁ・・・ほんと何やってんだ俺・・・。

 

「では、お邪魔しました!では、曲の方よろしくお願いしますね、お・に・い・さ・まっ!!ふんっ!!」

 

「あ・・・」

 

 バタンッ!!

 

 俺が何も言えないで固まっているとダイヤはドアを勢い良く締めて帰ってしまった。どうしよう・・・やっぱり追いかけた方がいいのだろうか?でも、追いかけてなんて言えばいい?本当はダイヤのこと一人の女の子として好きだ、さっきのは照れ隠しであんなこと言ちゃたんだ!!とでも言えと?いやいや、それもう告白じゃん!!あぁ~どうしたらいいんだ~っ!!!

 そうやって自問自答していたら、ふと我に返るとかなりの時間経過してしまっていた・・・・。しまった~~!!今からじゃどのみちダイヤに追いつけないじゃん!!なにやってんだよ俺~~~~!!!!!

 

ピンポ~ン

 

 俺が自己嫌悪に陥っているとインターホンのチャイムが鳴った。まさかダイヤが戻ってきてくれた!?

 

「ダイヤ!!さっきはごめん!!じ・・つ・・は・・・」

 

「どうしたんだ悠?」

 

 俺は喜びドアを開けたらそこにいたのはただの智也だった。

 

「なんでお前なんだよっ!!!!!!」

 

「何のぶるぼぁっ!!!」

 

 俺は八つ当たり気味に間の悪い智也を思いっきりぶん殴っていた。すまんな智也。だが、恨むなら間の悪い自分を恨んでくれ。




ドンマイ智也君w

とりあえず次回は周りを巻き込んでドタバタさせるつもりです。デートまでくっつける気はなかったんですがどうしよう・・・

では、次回も宜しければ読んでやってください。

だいそんそんさん評価ありがとうございます♪


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第7話 ~お仕置きが必要ですね☆~

「なぁ、いい加減機嫌直せって。」

 

「なぁ悠よ・・・なぜ俺は殴られたのかな?」

 

「いやぁ、それはだな・・・・何というかぁ・・・海よりもふかぁいわけがあってだなぁ・・・。」

 

「おう、それはさっきから聞いてる。だからそれは何なんだと聞いてるんだけど?」

 

 俺は今まさにある意味修羅場に突入しようとしていた。先ほどダイヤを怒らせてしまい打ちひしがれているところに、なんともまぁタイミング悪く智也が来たのでついついぶん殴ってしまったのだ。頬を赤く腫らした智也は氷で冷やしながらブスゥっとしながら俺に事情説明を求めてきた。まぁ、確かに何の理由もなくいきなり殴られたら誰だってそうなるよな。流石の俺も智也にだって今までこんな理不尽なことはしたことがないから智也も余計気になっているんだろう。

 しかし、何と答えたらいいのやら・・・。以前、智也からダイヤを好きになったと宣言された時には俺はダイヤのことを妹としてしか見ていないと言ってからまだ一週間ほどしか経ってないからなぁ・・・。今さら俺も実はダイヤのことが好きで、今までそれに気付いてなかったんだ、とはいいにくいよなぁ・・・。

 

「まぁ、お前のことだからなんとなくは察しはつくけどな。」

 

「は?」

 

「どうぜ、『実は俺ダイヤのことが好きだったみたいだ』とかだろ?殴られた時ダイヤちゃんがどうの言ってたし。」

 

 なっ!?こいつエスパーか!?俺だって気付いたのは最近でしかもそれ以降智也とは一度も会ってないのになぜわかった?!

 

「は、はぁ?な、ななな、なぁにいってんの?」

 

「悠・・・分かりやすく動揺しすぎ。てかお前俺を何だと思ってんの?」

 

「え?ただの変態。」

 

「なぁ、いい加減俺だって本気で怒るよ?」

 

「すまん・・・。」

 

「はぁ・・・。あのさ、お前との付き合いはかなり長いんだぜ?お前がダイヤちゃんを見るときの表情を見ればなんとなくわかるさ。」

 

「いやしかし、あの時はまだ自覚してなかったんだぞ?そんなの表情に出るはずが・・・」

 

「あるんだよ。まぁ、どうやって自覚できたのかは分からないけど、今までお前のあんなに優しげな表情俺は初めてみたぞ。あれを見て、こいつはダイヤちゃんのことが好きなんだなぁ、って一発でわかったよ。」

 

 なんてことだ、俺そんなわかりやすかったのか!?てことは何か?俺ダイヤの前ではデレデレになってたのか?だから初対面の果南達にもあれだけ突っ込んでこられたのか?やばい、そう思うと凄い恥ずかしいんですけど!?それと、男にお前を見てれば分かる的な発言を言われるのはかなりキモイな・・・。

 

「だから、あんとき鎌かけてみたんだがお前自覚してないし、どうしたもんかと思ったね。」

 

「まさかお前にそんなにを使われるとは思わなかった・・・少しショックだ・・・。」

 

「悠お前本当に酷いな・・・・」

 

「あ、いやぁすまん!!本音が・・・」

 

「あの全然フォローになってませんけど!?」

 

 しかし、そうなると一つ気になることができてしまった。

 

「てことは、智也がダイヤに一目ぼれしたってのは?あれはウソか?」

 

「ん?いや、あれは本当だぞ。でもなぁ、脈なしなのがすぐに分かったしなぁ・・・。」

 

「そうなのか?」

 

 すると途端に智也の顔が信じられないようなものを見るような表情をして溜息をつかれてしまった。

 

「お前本当に鈍いのな・・・自分のことにしても他人のことにしても。」

 

「な!?失礼な!!自分のことはともかく周りのことはそれなりに見えてるつもりだぞ?」

 

「いいや、見えてないね。ならなんで俺がダイヤちゃんに脈なしと思ったんだと思う?」

 

 むむぅ・・・なんてこったさっぱりわからん。智也には分かって俺には分からないとな?それは悔しいぞ!!考えろ俺・・・智也が変態だから?いや、あの場でこいつはその片鱗は出してなかったし・・・ん~・・・

 

「分からないだろ?」

 

「う、うむ・・・」

 

「はぁ・・・これは少しルール違反だとは思うけどこのままじゃあまりにもダイヤちゃんがかわいそうだから教えてやるよ。」

 

「お、おう?」

 

 智也はため息をついた後、真剣な表情で俺の方に向き直った。

 

「俺が無理だと思ったのはダイヤちゃんに好きな男がいるのが分かったからだよ。」

 

「はぁ!?」

 

 なんだと!?ダイヤに好きな男がいるだとっ!?一体どこのどいつだ!?てかなんで初対面の智也に分かるんだそんなこと?てか何?え?これって俺も失恋確定ってこと?

 

「悠・・・・」

 

 てかなんでそんな憐れんだ目で俺を見る!?止めてくれ死にたくなるから・・・。

 

「な・なんだよ?」

 

「お前、本当に分からないのか?」

 

「なにが?」

 

「本当に鈍いな悠・・・。ほっといたら永遠に気付かないんじゃないか?」

 

「一体なんなんだよ?」

 

「だから、ダイヤちゃんの好きな男ってのは悠、お前だって言ってんだよ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・は?マジ?」

 

「マジ。」

 

 え?ダイヤが俺を好き!?マジで?いやいや、そんなまさか?でも、マジでか!?もしそうならすげー嬉しんだけど!!ヤバッ!!どうしよ~!?

 

「でもなんでそんなことが分かるんだよ?」

 

「んなもん、ダイヤちゃん見てれば分かるだろ?お前ら二人とも分かりやす過ぎるんだもんよ。ダイヤちゃんもお前の話にはすげー食いついてたし、ずーっとお前の方見てるし。」

 

「全然気がつかなかった・・・」

 

「でも本人に確認したわけじゃないからあくまで俺の見た感じだから絶対にとは言えないけど、ダイヤちゃんはお前が好きだと思うよ。」

 

 今の智也の言い分が正しいんだとしたら、俺は今さっき物凄い失態を犯したんじゃないだろうか?・・・これってもしかして物凄いチャンスを棒に振った?

 

「おい、悠?どうしたんだ、急に青い顔して?」

 

「俺今とんでもない事しでかしたかもしんない・・・」

 

「は?」

 

「どうしよう智也!!俺さっきダイヤにお前は妹だ宣言しちゃった!!」

 

「はぁ!?何やってんのお前!?」

 

 俺はさっきのやり取りをかいつまんで智也に説明をした。そして話を聞き終えた智也にスリッパで思いっきり頭をどつかれてしまった。

 

「いった!!なにすんだよ!?」

 

「なにすんだ!?じゃないだろ!!!これ普段と立場が逆だろ!!なんで俺が突っ込んでんだよ!!いや、今はそんなことより早くダイヤちゃんに連絡して今すぐ謝れ!!そんでちゃんと事情を話して許してもらえ!!」

 

「いや、それじゃ告白するようなもんだろ?」

 

「だから、告白しろって言ってんのっ!!」

 

「いや、告白するならもっとこう・・・いい雰囲気でだなぁ・・・(バコンッ!)いって~!!」

 

「悠お前何言ってんの!?この状況でなにロマンチックなこと考えてんの?このままだと告白どころか口も利いてもらえなくなるかもしれないぞ?」

 

 それは困る・・・てか、こいつは本当に智也か?あの変態ダメ人間で通っている智也か?別人ではなかろうか?さっきからずいぶん的確なアドバイスとキレのある突っ込みをしてくれる。これじゃ本当に普段と立場が逆だなぁ・・・。

 

「なら、どうしたらいい?」

 

「だから、今すぐ電話でも何でもいいかられんらくしてきちんとお前の気持ちを伝えろ!!

 

「わ、分かった!!」

 

 俺はスマホを取り出すとダイヤに電話をした。

 

「・・・・・・・・・・・・・ダメだ、出てくれない・・・」

 

「こりゃ相当怒ってるかもしれないなぁ。」

 

「こうなりゃ、直接乗り込むしかないか!!」

 

「それしかないかもな。行ってこい!!」

 

「おうよ!!」

 

「うまくいったら、ダイヤちゃんの友達紹介してくれよ♪」

 

 何でこいつはこうも残念なんだろう・・・さっきまで見直していたのに智也はやっぱり智也だった。とりあえず一発殴ってから智也を追い出し、俺は財布やらを準備をしてからダイヤの家へと向かったのだった。

 

 

~~ダイヤSido~~ 

 

 まったく信じられませんわ!!なんであんなことを言うのでしょうか?仮に本当に妹と思っていたとしてもデリカシーがないにもほどがありますわ!!・・・・・しかも追いかけてきてくれませんし。もうすぐ家に着いてしまうのですが・・・。

 私は悠さんの、お前は妹だ、宣言につい頭に血が上って嫌味を言って出てきてしまい、今はもうすぐ家に着くと言うところまで帰ってきましたが、未だに悠さんが追ってくる気配もなければ連絡をしてくる気配すらなくこれで何度目かと思うほど振り向きながらここまで来てしまいました。

 

「少しアパートのの前で追いかけて来てくれるのを待ってましたのに・・・。」

 

「誰を待ってたのかしらん?☆」

 

「え?」

 

「シャイニー☆どうしたのダイヤ?浮かない顔して?」

 

 独り言を言っていると突然後ろから声をかけられ驚いて振り向いて見ると、そこにはどこかでお買い物でもしていたのかレジ袋を持った鞠莉さんがいました。

 

「い、いえ別に大した事ではありませんわ・・・。」

 

「もぉ、相変わらず嘘が下手なんだから。大丈夫なヒトはそんなさびしそうな顔しません。何があったの?ワタシでよければ話くらい聞くよ?」

 

 鞠莉さんはそう言うとにっこり笑って近くの公園へと私を促しました。普段はアッケラカンとしている方ですが私や果南さんが困っているときはいち早く気付いてくれていつも真剣に相談にのてくれるのです。普段とのギャップもありなぜか素直に話してしまう不思議な空気を作るのでそれに逆らうことができず公園のベンチで先ほどあったことを鞠莉さんに話しました。

 

 

「そっか~。やっぱりダイヤはユウのことが好きだったのね~☆」

 

「気付いていたんですの?」

 

「なんとなくだけどね♪ダイヤったら昔から近所のお兄さんがやれどうした、こうしたって嬉しそうに話してたから子供のころからその人のことが好きなんだなぁって思ってたんだけど、ユウが曲作りを手伝ってくれるってなったときに、ダイヤがまさにあの頃のように嬉しそうに話すからすぐに分かったわ♪」

 

 私ったらそんなに分かりやすかったのでしょうか?鞠莉さんが気付いているのですからおそらく果南さんも気付いてますわよね・・・?なんだかそう思うととても恥ずかしくなってきましたわ/////

 

「それにしてもユウったら許せないわねぇ・・・・。」

 

「でも、仕方のない事かもしれませんよね・・・。悠さんから見たら私なんて子供みたいにしか見えないでしょうし、妹以外に思えないのも分かるんですが・・・これでも再開してからは意識してもらおうと頑張ったのですが、やはりああもはっきり言われたらショックですわね・・・。」

 

(あの奥手のダイヤがアピールしてたですって?それに気づけないなんてなにやってるのよユウは!!挙句の果てには頑張りなさいと言ったのになんで妹扱いしてるのよ!!これはそんなおバカさんにはお仕置きが必要ですね~☆)

 

「よし!!こうなったらワタシ達に任せなさいっ!!」

 

「任せるって・・・何をするつもりですの?それに達って?」

 

 勢いよく鞠莉さんは立ち上がると私の肩をガシッと掴んで何やら不敵な笑みを浮かべていました。なんだか急に不安になってきたのですが大丈夫でしょうか?

 

「いいからいいから♪ダイヤは気にしないで待っていて♪悪いようにはしないから☆」

 

「え・えぇ!?あの本当にどうするつもりですの!?」

 

「ダイヤにとっていい事☆あ、もしユウから連絡があっても絶対に出ないでね♪」

 

「なんでですか?」

 

「ダイヤはユウとコイビトになりたくないの?」

 

「え//////そ・それはそうなれるのなら嬉しいですが・・・。」

 

「なら、ワタシの言う通りにしなさい☆」

 

「わ・分かりましたわ。鞠莉さんがそこまで言うのなら鞠莉さんに従いますわ。」

 

「よろしい☆なら後は家に帰ってゆっくりしてて♪くれぐれもユウの連絡に出たらダメだからね?」

 

 鞠莉さんはそう言うと私の背中を押して家に帰るよう促してきました。不安は残るものの、普段はともかく真面目なことを話した時にふざけるような方ではないので鞠莉さんを信じて帰ることにしました。帰宅途中悠さんから着信がありましたが、鞠莉さんに言われた通り出ないでいると何度か着信がありましたがすべて出ないでいると、私のスマホが震えることはなくなりました。・・・本当にこれでよかったのでしょうか?

 そしてスマホの画面とにらめっこをしていると家に着いてしまいました。流石に今日はもう何もやる気が起こらなかったので今日はもうお風呂に入って休むことにしました。後日まさかあんなことが起こるとはこの時の私は夢のも思わなかったのです・・・。

 

 

 

 そして私の知らないところですでに事は動き出していました。

 

「あ、もしもし果南?今ちょっといいかしら?実は面白くなりそうなことがあるんだけど果南も一口乗ってみない☆?」

 

 

~~ダイヤSido END~~




さぁ、ネタフリをしたはいいものの、いい案が思いつかない・・・

ネタフリの内容がしょぼくてもおおめに見てください・・・。

ではまた次回に♪


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第8話 ~足止めする為Death☆~

今回は少し文字数少なくなっちゃった・・・w


俺は今ダイヤに謝る、もとい告白をするためにダイヤの家へとバスで向かっていた。こんなとき車やバイクでもあればいいのだが、残念ながら車の免許はあるものの肝心の車がない。まぁ、ないものをねだっても仕方ないか。

 

「しかし勢いで出てきたはいいものの、ダイヤがあってくれなかったらどうしよう・・・電話もさっきからしてるけど全然出てくれないし・・・。」

 

 そうこうしているうちにダイヤの家の近くのバス停に着いたので慌ててバスを降りた。あぶねぁ、色々考えてたら乗り過ごすとこだった・・・。

 

「ふふふふふっ。待っていたわよっ!!!」

 

 バスを降りるといきなり聞き覚えのある声が俺を呼びとめた。振り向くとそこにはマリーと果南が仁王立ちしていた。どうやら俺が来るのを待っていたらしいけど、なんで俺がここに来るのが分かったんだ?

 

「なんでここに来るのがわかったの?って顔してるね悠君。」

 

 また心を読まれた・・・俺ってそんなに表情に出るのかなぁ?今度からはポーカーとかはやらないようにしよう。まぁほぼやったことないけど・・・。

 

「で、なんで二人ともここにいるの?」

 

「それはユウを足止めする為Death☆」

 

「なんで!?てか今『です』が英語だったよね!?」

 

「そんなことないDeathよ~☆」

 

 絶対嘘だ・・・。今絶対に英語で俺に死ねって言ってた!!しかも2回も・・・。

 

「もぅ鞠莉そう言うのは後にして!!気持ちはわかるけど、そんなことよりも大事なことあるでしょ!!」

 

 あ、気持ちわかっちゃうんだ・・・。つまり果南も俺に死ねと?しかも俺の死をそんなこと呼ばわりですか・・・。

 

「悠君ダイヤを泣かせたでしょ?わたしと鞠莉が泣きながら家に帰るダイヤを見かけて、声をかけたら悠君に振られたって言ってたんだよ。わたしと鞠莉は悠君の気持ち知ってるからそんなことないのは知ってるから不思議に思ってダイヤに詳しく聞いたら、この期に及んでダイヤを妹扱いしたんだって?いくらなんでもヘタリすぎでしょ!!」

 

 うぐ・・・痛いところを・・・それを言われたら何も言い返せないじゃないか・・・

 

「そんなヘタレでお馬鹿で無神経でダイヤを泣かすおバカさんにはダイヤに合わせてあげません。」

 

「え!?それは困る!!俺今からダイヤに謝ってちゃんと俺の気持ちを伝えようと思ってるのに!!」

 

「それでもダ~メ。そもそもダイヤがもう会いたくない、顔も見たくないって言ってるんだから諦めなさい。」

 

 ダイヤが俺に会いたくないだって!?それじゃ、家に行っても会ってもらえないってこと?でも、そりゃそうか・・・。さっきから電話も出てもらえないし、これって完全に詰んだ!?

 

「それに、すぐに弁解しないで少し時間をおいて謝ったり、本当は~なんて言って信じてもらえるって悠君は本気でそう思ってるの?」

 

「いや、それは・・・」

 

 先ほどからごもっともな指摘をズバズバと容赦なく突きつけられてかなり凹むんだけど・・・。まぁ親友が傷ついてるんだから当然といえば当然の態度だよなぁ。俺は知り合ったのつい数日前だし、どっちの味方かに着くかは明白だよなぁ・・・。

 

「とにかく今は諦めてかえりなさい。それに、その様子だとワタシ達の曲まだ完成してないんでしょ?意気込んできたところ悪いけど、ダイヤの事は諦めて今は曲作りに専念してもらえるかしら?ワタシ達も遊びでやろうとしてるわけじゃないのよ?」

 

「でも・・・」

 

「デモも案山子もありませんっ!!とにかく今は帰りなさい。それと、曲ができたらワタシに連絡頂戴。ダイヤはユウの連絡には出ないだろうから。」

 

 そう言ってマリーは自分の連絡先の書かれた紙を渡してきた。正直言っダイヤに謝りに行きたかったのだが、このままではこの二人にストーカー扱いで通報されそうだし、どうしたもんかなぁ・・・。

 

「悠君には悪いけど、今回はどう考えても悠君が悪いのは自分が一番よくわかってるよね?ダイヤの事を想うなら今はそっとして置いてあげてほしいんだ。それと、鞠莉も言ってたけど、スクールアイドルをやると決めたからには遊びで終わらせるつもりはわたしも、もちろんダイヤだってさらさら無いからね。ダイヤの事を本当に考えているなら今、悠君が一番にやらないといけないことは何?」

 

「曲を完成させることかな・・・ダイヤを泣かせてしまったんだ、ただ謝るんじゃなくて最高の曲に仕上げて、それを手土産にちゃんと気持ちを伝えないと!!」

 

「よくできました。そうときまれば善は急げだよ♪」

 

 なんか年下の果南に子供に諭すかのように言いくるめられた気もするが、不思議と嫌な気分じゃないな。まぁ情けなくはあるけど、今はそんなことどうでもいい。最高の曲に仕上げてダイヤにちゃんと俺の気持ちを伝えないと!!

 

「そうだな。それじゃ悪いけど、俺帰るよ。」

 

「うん、頑張ってね。今度ヘタレたら魚の餌にしちゃうからね?」

 

 うわ~、果南のやつやっぱりダイヤを泣かせたこと相当怒ってたのね・・・。死刑宣告されるとは思わなかったよ・・・。でも・・・うん、おかげで今度こそ本当に気合入ったかも!!

 

「ねぇ果南。ワタシより酷いことさらっと言ってない?でも、本当にそうだよユウ。これがラストチャンスだと思って死んでも頑張ってね☆」

 

 死んでもって・・・死ぬの確定ですか!?普通そこは死ぬ気で、じゃないの?まぁいいけどさ・・・。

 

「了解です・・・それじゃぁな!!」

 

 俺は二人に見送られながら家路に着いた。帰りのバスの中でダイヤに『しばらく編曲作業に集中したいからしばらく手伝いは来なくて大丈夫。』とだけメールを入れておいた。まぁおそらく顔も見たくないと思われるほどだから何も言わなくても来ないとは思うが、今ダイヤに会ってもきっとグダグダするだけだと思うのでけじめだけは付けときたかったからね。さぁて、がんばりますか!!

 

 

~~鞠莉Sido~~

 

 

「ねぇ鞠莉、本当にこれでよかったの?ダイヤを泣かせたのは許せないけど、今告白しに行ったらダイヤは喜ぶと思うし、うまくいったと思うんだけど?」

 

 ユウを見送った後、果南がこれでよかったのか疑問に思いワタシに問いかけてきた。まぁ、確かにこのままユウが告白してもうまくはいくだろうけど、それじゃなんのRomanticもなにもないしつまらないじゃない?それにやっぱりこういうのは思い出に残るから大事だと思うのよね☆

 だからRomanticな告白を演出してあげようワタシは果南に協力してもらったのデス☆果南の事だから、ダイヤがただ落ち込んでただけならユウを行かせちゃうだろうから、『ダイヤが泣いていた』と一つだけ嘘をついて、今は会わせない方がいいと納得してもらったのデス。ゴメンネ果南☆

 

「これでいいのよ☆ユウはヘタレたんだからお仕置きが必要だし、ダイヤにも色々考える時間が必要だろうしネ☆それに電話でも言ったでしょ?ダイヤを喜ばせるためにRomanticな告白の舞台を演出しようって☆」

 

「それはそうだけど・・・よかったのかなぁ~」

 

「いいのいいの☆結局もうこの話に乗ってしまったんだから今さら遅いわよ☆あとは・・・ルビィにも協力してもらわないとね♪」

 

「えぇ~!!ルビィも巻き込むの?あの子隠し事とかできないんじゃないかなぁ?特にダイヤにはすぐ何かあるってバレるんじゃない??」

 

「NoProblem☆ルビィだって大好きなお姉ちゃんとお兄ちゃんの一大事ならふんばルビィしちゃうわよきっと♪」

 

「だといいんだけど・・・」

 

 ワタシはまだ納得いかない果南をしり目にさっそくルビィに連絡を取った。ダイヤの様子を確認したら、やはり落ち込んでるのか、今日は早めに休むと言って自室にこもってしまったらしい。ワタシはルビィに先ほどのダイヤとユウの話をしてワタシ達に協力してもらうようお願いしてみることにしのデス。

 

「というわけで、ワタシとしてはこの二人にうまくいってほしいと思ってるんだけど、普通に告白しただけじゃつまらないし、どうせなら思い出に残るような告白にしてあげたいからワタシ達で舞台を整えてあげようと思うんだけど、ルビィも協力してくれないかしら?」

 

「そう言うことならお手伝いしたいんですけどルビィで大丈夫でしょうか?ルビィ嘘つくの苦手だし、ついてもお姉ちゃんにすぐバレちゃうと思うんですけど・・・」

 

「その辺は考えてあるわ。ルビィにはしばらくダイヤが間違ってもユウに連絡したりユウのところに行かないように邪魔してもらえればいいだけだから、嘘をついたりしなくて大丈夫ヨ☆」

 

「そうゆうことならルビィでも出来そうです♪」

 

「それじゃ、よろしくね☆他にも手伝ってほしいことがあったら連絡するわね☆」

 

「分かりました♪」

 

 これでよしっと♪あとは、ユウが曲を完成させてくれたら行動開始ね。うふふふっ、待っててねダイヤ☆必ず思い出に残るようなRomanticな告白をユウにさせちゃうんだから☆

 

「さて果南。あとはユウが曲を完成させるまでにワタシ達は来るべき日のために根回しをするわよ~☆」

 

「根回しって・・・一体何する気なの?告白を応援するとは聞いたけどどれだけ大がかりなものにする気なの!?」

 

「ふふふふっ~よくぞ聞いてくれました!!実はね☆」

 

「ちょ!!鞠莉息くすぐったい・・・二人っきりなのに耳打ちする必要あるの?」

 

「あんっ☆もぉ、果南ったら~気分の問題よ気分の☆」

 

「気分ね~・・・で?どうするの?」

 

「それは・・・・・・・。」

 

 ワタシは果南の耳元でそっと今考えていることを伝えると、さっきまで渋っていた果南の顔が明らかにワクワクした表情になってきた。

 

「それ面白そうだね♪それにしても鞠莉よくそんなこと思いついたね?」

 

「ふふふっ♪凄いでしょ?もっと褒めて褒めて~☆」

 

「よしよし♪」

 

 わ~い☆果南にイイ子イイ子してもらっちゃった~☆

 

「ならさっそく明日の放課後からMissionStartよ☆」

 

「りょ~かい♪面白くなりそうだね♪」

 

 先ほどまで渋ってたのに果南ったらもうノリノリね☆果南もやる気になってくれたしこれでこのPlanは成功したも同然よ!!

 

 

~~鞠莉Side End~~




いかがだったでしょうか?
この大風呂敷をきちんと畳むことができるかな・・・

大天使さん評価ありがとうございます♪


この後もがんばります!!


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第9話 ~私はあの時から・・・~

 あの騒動から一週間がたった。この一週間ダイヤとの関わりを願掛けがごとく一切断ち編曲作業に没頭して先ほどやっと勇さんからOKがでた。これでやっとダイヤに告白する準備ができた。ただ、今ダイヤには連絡がつかないので約束通りマリーに連絡をしたところだ。

 しかしこの一週間おかしなことばかり起こった。編曲作業に没頭したとは言ったものの外にも出ず誰とも会わずというわけではなく、家で作業をしているとマリーと果南それにルビィまで入れ替わりで3日間ほど押しかけてきてはなぜか昔のダイヤとの思い出を根掘り葉掘り聞かれたのだ。最初は恥ずかしいし、作業したいしで軽く流していたのだがあまりにもしつこいく聞かれたので話せば満足だろうと思い色々話したのだが、聞き終えると満足して帰るのだが三人とも決まって帰り際に何か企んでるような含みのある笑顔で帰って行った。俺、思い出を話したことによってもしかして何か弱みでもにぎられたのか!?・・・いや、でも俺の失敗談的な物は話してないからそれはないか?なら一体何なんだろうか?

 

ピンポ~ン

 

 俺がボーっとそんなことを考えているとインターホンが鳴った。たぶんマリーかな?そろそろ来てもいい時間だし。

 

「はいは~い・・・」

 

どんどんどんっ!!!

 

 寝不足で動くのもおっくうでのそのそ玄関へ向っていたら凄い勢いでドアをノックされた。そこまで待たせていないと思うんだけど?マリーって待てない性格なのか?

 

「そんなにドアをたたかなくても聞こえてるよっ!!近所迷惑だからあんまりうる・・さ・・・・ってマリーどうしたんだ!?」

 

 俺は少しイライラしながらドアを開けるとそこには予想通りマリーがいた。ただしいつもみたいに無駄に明るく『シャイニー☆』なんて言ってるマリーではなく、凄く焦っているような不安な表情のマリーがいた。しかも汗だくで、いくら5月になったからといってこんなに汗をかくほど暑くはないしどうしたというのだろうか?

 

「・イ・が・・・・」

 

「へ?なんだって??」

 

「ダイヤが事故にあったの!!」

 

「はへぇ?」

 

 俺はいきなりマリーの口から出てきたとんでもない発言に一瞬脳の理解が追い付かず間抜けな声を出してしまった。

 

「だから、ダイヤが車に轢かれたのよ!!買い物の帰りにわき見運転していた車に轢かれたってさっきルビィから連絡があったのよ!!」

 

「なんだって!!それでダイヤはどうなったんだ!?怪我はの具合は!?意識はちゃんとあるのか!?病院はどこだ!?」

 

「分からないわ・・・ただ、沼津の総合病院に運ばれたって・・・きゃ!!」

 

 マリーから運ばれた病院の名前を聞いたマリーを押しのけて弾かれるように走り出していた。なんだってダイヤが事故にあわなきゃならないんだ!!まだ謝ることも想いを伝えることだって出来てないのに!!これでもしダイヤに何かあったら運転していたやつを絶対に許さないからな!!

 俺のアパートから総合病院まで走って15分ほどの距離にある。俺は人生で一番早く走れたんじゃないかと思うほど早く総合病院に着いた。ロビーに入った俺はそのまま受付の方に駆け寄りダイヤの安否を確認した。すると・・・

 

「すみません!!先ほど事故で運ばれてきた黒澤ダイヤの知人ですが、ダイヤは無事なんでしょうか!?」

 

「はい?黒澤ダイヤさんですか?えっと・・・そのような方は運びこまれていませんが・・・?ここ数日事故で運び込まれた方もいませんし、これから運び込まれてくる連絡もありませんが・・・」

 

「へ??」

 

 あ・あれ?どうなってんだ?だってマリーは確かにここだって・・・。沼津の総合病院はここしかないし・・・え?

 

「あのぉ、もしかして蒼谷悠さんでしょうか?」

 

「え?あ・あぁ、はいそうですが?」

 

「俺が訳も分からず混乱していると先ほどまで奥で事務作業をしていた年配の女性が俺の名前を呼んできた。俺はこの人知らないんだけど、なんでこの人は俺の名前を知ってるんだ?お袋の知り合い・・・ではないと思うんだけど・・・。

 

「あぁ、急にごめんなさいねぇ。いきなり知らない人に名前を呼ばれたらびっくりするわよねぇ。えぇっと、ある人から、もし蒼谷悠って男性が黒澤ダイヤって人を訪ねてきたらこれを渡してほしいって、頼まれていてね。」

 

 年配の女性はそう言うと俺に一通の可愛らしい封筒に入った手紙を渡してきた。宛名は俺の名前が入っていたが、封筒のどこにも差出人の名前はなかった。

 

「これは?」

 

「さぁ?中身までは分からないわ。ただ、渡してほしいと言われただけだから・・・。」

 

「一体誰にですか?」

 

「それも分からないわ。そもそも頼まれたのは私じゃないのよ。頼まれたと思う人は今日は休みだし、どんな子かも分からないわ。」

 

「そうですか・・・。」

 

 俺は「ありがとうございます。」と一礼をして病院の外に出た。一体この手紙の差出人は誰だろう?なんかダイヤの字に似ているような・・・・。俺は取り合えず病院前にあるベンチに腰掛けて封筒の中を見てみることにした。封筒の中からはこれまた可愛らしいデザインの便箋が数枚入っていた。

 

『悠さんへ

突然のお手紙でさぞ驚かれたことと思います。まずは驚かせてしまったことをお詫び申し上げます。今回このようなお手紙差し出したのには訳があります。それは自分自の身気持ちとこれから先どうしたいのか、それが分からなくなり今までの自分を見つめ直し今の自分の気持ちとこれからの事を考えるために筆をとりました。

 悠さんは覚えていらっしゃるでしょうか?私がまだ小学1年生のころ、それは寒い冬の夜の事でした。私は風邪をこじらせてしまい40度の熱を出してしまったのですが、その日はお父様もお母様もご近所の方のお通夜で外出しており大人が誰もいなく意識がもうろうとしている私を夜も遅くバスもない中、自転車の後ろに乗せてこの総合病院まで2時間もかけて連れてきてくださいました。そんな悠さんがとても頼もしく思えたことをよく覚えています。』

 

 そう言えばそんなこともあったなぁ・・・。あの後親父とお袋にこっぴどく怒られたっけ・・・。いくら暖かい格好をさせたからって物凄い寒い日だったから下手したら命にかかわってかもしれないから当然と言えば当然なんだけどさ。当時の俺はとにかくダイヤを助けなきゃ、俺がダイヤを守るんだってそれしか頭になかったんだよなぁ・・・。今にして思えば近所の人に助けを求めるとか、救急車を呼ぶとか他にも手はあったんだけどなぁ・・・。しかしダイヤはよくそんな前の事覚えてたなぁ・・・。

 

『この頃からでしょうか?それまで輪郭のはっきりとしない想いが形をなしてきたのは・・・。私はこのときから

 

 

続きはこちらで受け取ってください→』

 

「はい!?」

 

 俺は思わずベンチからずり落ちてしまった。なにこれ!?この続きを読むためにはこの地図の場所に行けと!?しかもこの地図に書かれてる場所って子供の頃よく行った駄菓子屋の場所じゃね?とにかく、どうやらダイヤが事故にあったてのは嘘で、この手紙を読ませるためにここまで誘導させられたみたいだな。おそらくマリーと果南の差し金だろうなぁ・・・。もしかしたらこれはマリーと果南が俺にくれた仲直りと気持ちを伝えるラストチャンスなんだと思う。なんとなくだけど、このチャンスを逃したらダイヤが俺から離れていってしまう、そんな気がする。・・・ならやることは一つだよな。

 

「よしっ!!この場所に行ってみるか!!」

 

 俺は気合を入れるとバス停へと走り出した。1秒でも早くこの場所にたどりつくために。そしてバスに乗り内浦へ向かう途中、マリーと果南、それとルビィにダイヤの件で確認のメールを入れたのだが予想通りというか案の定連絡が帰ってくることはなかった。そうこうしているうちに目的のバス停に到着したのでバスを降り駄菓子屋に向かった。

 

 

 

「懐かしいなぁ・・・何年ぶりだろ?久々に来たけど全然変わってないなぁ・・・。」

 

「おや?そこにいるのは悠ちゃんかい?久しぶりだね~。」

 

「え?あぁ!!おばちゃん久しぶり!!よく覚えてたね俺の事!」

 

「ここに遊びに来る子たちはみんなわたしの子供や孫みたいなもんだ覚えていて当然だよ。」

 

「そっか♪あ、それはそうとおばちゃん、俺宛になんか預かってたりする?」

 

「おぉ、そうだったそうだった・・・ほれ、これだろ?」

 

「やっぱり・・・。ありがとう♪あと、無駄だとは思うけど、これ誰に渡されたの?」

 

「それは秘密だよ。でもまぁ、頑張んなさい。これは私からのおごりだよ。これでも食べながらそこの椅子でゆっくりその手紙でも読みな。」

 

 そう言うとおばちゃんは昔俺が気に入って買っていた駄菓子とジュースをおごってくれた。おばちゃんの記憶力すげぇな!!・・・あ、久々に食べるとやっぱりうまいなこれ♪

 それはそうと、手紙の続き続き・・・えぇっと・・・

 

『私はあの時から悠さんの事を・・・・いえ、やはり恥ずかしいので今ここに書くのはやめておきますね。』

 

 やめんのかいっ!!ここまでひっぱておいて!?焦らすのうまいねダイヤさん・・・・。

 

『それはそうと、悠さんはここで私にとって大切な宝物を下さいました。子供のころ私がここで見ていたおもちゃの指輪の事を覚えていらっしゃいますか?当時私は駄菓子屋さんに来たことなくて、そのことを話したら悠さんが連れて来てくださいました。その時初めてみるたくさんの駄菓子と水鉄砲などのおもちゃに目を輝かせていました。その一角にとてもキラキラとした女の子向けのおもちゃの指輪やネックレスなどがありそのその中の一つの指輪に心を奪われていました。とてもキラキラした私の名前の同じダイヤのような石が着いていた指輪でした。当時の私はまだ必要ないからとお小遣いもなく欲しくても買えなくてただ眺めることしかできなかったのですが、そんな悠さんは私の視線に気づいて、悠さんだって当時はそんなにお小遣いがないなか無理をしてその指輪を買ってくださいました。それからあの指輪を毎日はめては宝物入れに入れて大切にしていました。もちろん今でも宝物入れに大切にしまってあります。あの時の悠さんはどんな気持ちであの指輪を買ってくれたんでしょうか?もしあの時妹として意外にほんのわずかでも一人の女の子として見ていてくれていたのならとても嬉しく思います。いつか悠さんに本物の

 

 

続きはこちらで。』

 

 あ、やっぱり続くんだ。しかしよくこんなことまで覚えてたなぁ。俺は言われるまで忘れてたぞ・・・。でもなんか今でも大切にしてくれてるんだと思うと凄くうれしいな。さて、今度はどこだろう?この地図の場所は・・・

 

 俺はこの後近くの浜辺や俺とダイヤが通っていた小学校、近所の公園や今は貸しだしている俺の実家などダイヤとの思い出がある場所を数か所回り、その度ダイヤからの思い出がつづられた手紙を読んだ。こうして見ると覚えていることもあれば、俺が覚えていないような何気ない言動もダイヤにとってはとても大切な思い出になっていて、どれだけダイヤが俺の事を想い続けていてくれたのか痛いほどよくわかった。疎遠になってしまった6年間だっておそらくずっと俺の事を一途に思い続けていてくれたんだろうなぁ・・・。なんだかそう思うとなおのこと今すぐダイヤに会いに行きたくなってきた。あって抱きしめたい。そんな衝動に駆られてしまう。

 でも、それはこの手紙の示すすべての場所を回ってからでないとな。そして今持っている手紙の示した場所は、淡島神社へ向かう階段の途中にある展望スペースだった。俺はそこへ向かうため今この長い階段を上っている最中だった。あちこち回っていたせいであたりは赤く染まり始めていた。

 そして、ここでの思い出は俺もよく覚えている。ダイヤはここからの夕焼けの景色が好きでよく落ち込んだりするとここにきては海を眺めていてた。その度よく遅くなってはおばさん達が心配して俺に連絡が来ては俺がここまで迎えに来ていたのだ。そう考えるとおそらくこの場所が最後のような気がする。泣かせてしまったダイヤを迎えに行く場所としてここほどおあつらえ向きな場所はないだろう。たぶんこの階段の先には彼女が待っているはず・・・。俺が今逢いたくて逢いたくてたまらない愛しい彼女が・・・。

 俺が展望スペースまで階段を登りき夕日の差し込む展望スペースへと向かうとそこには一人の女の子海を眺めて黄昏ていた。ほらね、やっぱり居た・・・。俺がここに来た事に気付いた女の子はこちらに振り返った。しかしその振り返った女の子を見て俺は戸惑うことになってしまうのだった・・・。




いかがだったでしょうか?これが自分の頭の限界でした・・・。

次回は悠君に告白を頑張ってもらおうと思います。
しかしなぜ悠君は最後戸惑ったのでしょうねww

では、宜しければ次回も読んでやってください。


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第10話 ~俺の彼女になってくださいっ!~

 私こと蒼谷悠は戸惑っていた。何故ならばダイヤからの手紙により俺とダイヤの思い出の場所をあちこち回った後、最後の場所であろう場所でダイヤが待っていると思っていて『ほら、やっぱりね』なんてクールに決めてみたものの、そこで俺を待っていたのは予想しなかった人物だったからだ。

 

「あ、やっと来た!もぁ、遅いぞ!」

 

「あ・あぁ悪い・・・って!!なんでだよ!!なんでお前がここにいるんだ?ダイヤは!?」

 

「え?ダイヤはここにはいないよ?」

 

「なんですと!?え?じゃぁこの手紙は?これは果南が出したってのか??」

 

「ううん、それは間違いなくダイヤからの手紙だよ。」

 

 そう、この場所で俺を待ち構えていたのは松浦果南だった。しかし何故彼女がここに居るのだろうか?ダイヤがいなくて果南がここにいて、でもこの手紙はダイヤからで・・・・もう訳がわからん・・・・。

 

「さすがにこんがらがってるみたいだね。今の状況説明しようか?」

 

 今日のこの出来事をダイヤを巻き込んで果南とマリーが画策したのはなんとなくわかるけど、今の状況がまったくの見込めない・・・。ここは素直に話を聞くしかなさそうだな・・・。

 

「タノミマス・・・」

 

「何で片言?まぁいいか。鈍感で無神経で意外にお子様な悠君でも流石に気付いてると思うけど、今日のこの手紙によるダイヤとの思い出ツアーを考えたのは鞠莉でそれにわたしとルビィが乗ったのね?それでダイヤに悠君の本当の気持ちが知りたいならこの手紙を書くように鞠莉がおど・・・じゃなくてお願いして書いてもらったの。」

 

 ねぇ、今何か言いかけてやめたよね?ダイヤ何されたの!?てか、果南さん、俺のこと嫌いですか?物凄い言われ方したんだけど・・・・。

 

「それで、鞠莉が悠君をスタート地点に誘導してここまで来てもらったってわけ。それで、ダイヤに合わせる前に悠君が直前でヘタレないように私がここで悠君の覚悟を確認する為にここで待ってたってわけ♪」

 

 なるほどね。ここで果南からOKが出ないと俺はダイヤに合わせてもらえないってわけか・・・。まったくとことん手の込んだことを・・・。

 

「で、ここに来るまでにどれだけダイヤが悠君の事を想い続けてきたか分かったと思うけど悠君はどうだった?悠君はそんなダイヤをどう思った?一人の女の子として見ることが出来た?それともやっぱり妹だった?」

 

 ん?何で今さらそんな事を聞くのだろうか?俺は果南達の前でちゃんと一人の女の子としてダイヤの事が好きだと宣言したはずなんだけど・・・。肝心なところでヘタレたからこんな聞き方をしたのか?もしそうなら、もう一度ビシッと言わないとダメだよな。

 

「そんなのは決まってる!!俺はダイヤの事を一人の女の子として好きだっ!!今回こうやってダイヤと思い出の場所を回ってみて改めて気付いたけど、俺は本当は昔からダイヤの事が好きだったんだ!!でも子供だったから妹として見てるんだと思い込んで自分の気持ちに全く気付いてなかったし、ダイヤがどれだけ俺を見ていてくれたのかも分かってなかった。でも今ならはっきりとダイヤが好きだって言える!」

 

「そう。なら、わたしに悠君の本気を見せて。」

 

「本気って?」

 

「それは悠君が考えて♪」

 

 えぇ!?肝心なことはノープランですか!?いや、それともこれも込みで試されてる?ん~どうしたもんか・・・ここはやはり回りくどいものよりもストレートが一番だよな!!ありきたりだけど、これでいこう!!

 

「俺はダイヤが誰よりも好きだっ!!」

 

「悠君の気持ちはそんな物なの?」

 

「ダイヤが大好きだっ!!!!」

 

「もっと大きな声でっ!!」

 

「俺は黒澤ダイヤを誰よりも愛してるっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!」

 

「悠さん・・・・」

 

「え!?」

 

 俺は果南に促されるまま思いのたけを叫んだ。ダイヤに逢いたい一心で・・・するとここにはいないと思っていたダイヤの声が聞こえ振り返るとそこには顔を真っ赤にして目に涙を浮かべているダイヤがいた。

 

「な?えっと・・・今の聞いてました?」

 

「え、えぇ・・・・・」

 

 俺とダイヤは夕日に負けないくらい真っ赤にして見つめあったまま固まってしまった。あれを聞かれたかと思うと物凄い恥ずかしさがこみ上げてくるんですけど////

 しかもさっきまで果南が居た方をチラッと見てみたらなぜかさっきまで居たはずの果南の姿が無くなっていた。これはもしやはめられた!?どうせこの後告白に行くつもりだったしこうなりゃ今言うのも後で言うのも変わらないか!!

 

「えっと・・・・聞いていたなら分かると思うけど・・・・俺ダイヤの事が好きだっ!!もちろん妹としてじゃなく一人の女の子として大好きだっ!!この間はその・・・ごめんな。言ってから恥ずかしくなって照れ隠しに妹としてなんて言って傷つけて・・・。でも本当にダイヤのことが好きなんだ。この気持ちを自覚したのは最近だけどそれでも誰よりもダイヤの事が好きだって自信を持って言える。」

 

「悠さん・・・。私は幼い頃からずっと悠さんの事を見てきました。悠さんが私の事を妹としてしか見ていないかと思うたび何度も辛い気持ちになりました。それでもまだ可能性はあると思い私なりにアピールしているつもりでした。それなのにこの間はっきりと妹としてしか見ていないと言われどれだけ悲しかったか・・・。でも、これは仕方のない事なんだと何度も自分に言い聞かせました。それでも諦める事も嫌いになることも出来なかった・・・・。それが余計に辛くて・・・。」

 

「うん・・・ごめんな。」

 

「でもあの日、鞠莉さんと会って悩みを打ち明けると、悠さんの本当の気持ちを知りたくないか?と言われました。正直悩みました。もし先ほど悠さんが言った事は何かの間違いでちゃんと私を女性として見てくれているのかもしれない。でも、もしあの言葉通りだったら?そんな考えがグルグル頭の中を駆け巡りました。でも、やはり諦めきれない自分がいて、だから、これを最後にしよう、鞠莉さんの提案にかけてみようと・・・。悠さんの本音をちゃんと聞けたとして、それでも私を妹としてしか見ていないのなら諦めようと・・・。だけど鞠莉さんの提案にかけてよかった・・・。諦めないでよかった・・・。」

 

 ダイヤは涙を流しながら、でも嬉しそうにほほ笑んでいた。その笑顔を見た俺はドキッとした。今まで見たダイヤの中で一番綺麗で愛おしくなる笑顔だった。

 

「悠さん・・・。ずっとお慕いしておりました。私と『まったっ!』

 

 俺はダイヤが言おうとした言葉を遮ってとめた。これ以上先は俺が言わないといけないと思ったからだ。こんなに俺を想っていてくれて傷つけて、それでも俺を待っていてくれたダイヤの想いにこれで報えるとは思わないけど、それでもこれは俺が言わないといけない事なんだ・・・。

 

「ダイヤ、そこから先は言わなくていい。」

 

「え・・・?」

 

「今までダイヤの気持ちに気づかなくてごめん。ダイヤが俺の事を見ていてくれてことに気づけない鈍感な俺だからこれから先もダイヤの事を怒らせる事が沢山あるかもしれない・・・だけど、ダイヤの事が誰よりも好きだっ!!!こんな俺でよければ俺の彼女になってくださいっ!!!」

 

「っ・・・はい♪ふつつか者ですが私を悠さんの彼女にしてください♪」

 

「ダイヤっ!!」

 

「ちょ!?悠さん?////」

 

 俺の精一杯の告白にダイヤは笑顔で頷いてくれた。そんなダイヤが愛おしくて俺は思わずダイヤを抱きしめていた。俺がダイヤを好きだと気付いてからまだ一カ月と経っていないのに告白するまでとても長く感じられたのに、これでやっと恋人同士なれたんだと思うとあっという間だったような気がするなぁ。

 

 パチパチパチ

 

 俺がダイヤを抱きしめていると後ろから拍手の音が聞こえてきた。振り返るとそこにはに、ニコニコしながら拍手をしているマリーとばつの悪そうな顔をしている果南とルビィがいた。

 

「ごめんねぇダイヤ。止めたんだけど鞠莉が聞かなくってぇ。」

 

「お姉ちゃんごめんなさい・・・。ルビィ覗くつもりはなかったんだけど鞠莉さんが離してくれなくて・・・」

 

「///////」

 

 あぁ、ダイヤが恥ずかしさのあまり俯いちゃったよ・・・。

 まぁ、マリーの画策なら、なんとなくこうなる事は予想で来てたから俺はいいけど、大方ダイヤはマリーに『最後はその場を離れるからガンバッテネ☆』なんて言われてそれを鵜呑みにしたんだろうなぁ・・・。

 

「これでようやくSteadyな関係になれてよかったわね☆おめでとう☆ところでお二人さん?いつまで抱き合ってるのかしらん?」

 

 マリーに言われてまだ抱き合っていた事に気づいて慌てて俺たちは離れた。

 

「あ・ありがとうございます/////」

 

「あ・ありがとう。そ、それよりマリーこれはどういうことだ?説明してもらえるんだろうな?」

 

「説明も何もここまできたら最後まで結末を見届けないなんてありえないでしょ?だから見てたんだけど?それともなぁに?文句でもあるのかしら?」

 

 くそっ!今回の件で借りができてしまったから強く言い返せない・・・。それはダイヤも同じようでダイヤを見ると苦笑いをしていた。

 

「鞠莉もその辺にしておいてあげな?まぁ、なんにせよ落ち着くところに落ち着いてよかったよ♪おめでと♪」

 

「うん、お姉ちゃんもお兄ちゃんもおめでとう♪」

 

「果南さん、ルビィありがとうございます。おかげさまで悠さんとお付き合いすることができましたわ♪」

 

「あぁ、本当にありがとうな。」

 

 この三人には本当に色々迷惑をかけちゃったなぁ。いつかちゃんとお礼をしないとなぁ。まぁそれはそうとなんだか不思議な感じだなぁ。妹のようにしか見てなかったダイヤを好きだって自覚したのがつい最近の事なのに今は彼女なんだよなぁ・・・。

 

「ん?どうかしましたか?」

 

「俺の彼女は可愛いなぁって♪」

 

「なっ!!/////」

 

 照れちゃって可愛いなぁ♪こんな可愛い子が俺の彼女だなんて俺は幸せ者だなぁ♪

 

「はいはい、いちゃついてるとこ悪いけど、ラブラブタイムはここまでよ☆」

 

「ラブっ!?べ、別にそんなつもりはありませんわ!!」

 

「そうだぞマリー。それになぜここまでなんだ?」

 

「別にいちゃついてるのは構わないんだけど、二人とも肝心なこと忘れてない?」

 

 ん?何かあったけ?ちゃんと告白をして返事は貰ってるし・・・・後これ以上何がある?

 

「鞠莉、肝心なことってなぁに?」

 

「うんうんっ!」

 

 果南とルビィも思い当たらないのか果南がマリーに訪ねてくれた。すると、マリーは大きなため息をついてこの場にいる全員を見渡してから口を開いた。

 

「ライブよ、ラ・イ・ブ!!」

 

「「あ・・・」」

 

「もぉ、肝心なこと忘れないでよね。曲ができたんだからライブをやらないとダメでしょ?」

 

「そうでした・・・」

 

「で、ライブは来週の土曜日に学校の体育館でやるわよ☆」

 

「「え!?」」

 

「ちょ、鞠莉!?それわたし初耳なんだけど!?」

 

「私もですわ!!」

 

「だって、さっき生徒会長に相談したら来週の土曜なら体育館空いてるって言うからおさえちゃった☆」

 

 おさえちゃったって・・・練習とか大丈夫なのか?ほら、ダイヤと果南が頭を抱えてるぞ。

 

「振り付けは大体考えてあるし何とかなるなる☆」

 

 マリーは頭がいいのか、何も考えてないのか時々よくわからなくなるなぁ・・・。本当に大丈夫なんだろうか?まぁ、俺が心配してもここから先はほとんど何もできないと思うからダイヤと果南に任せるしかないけど・・・。

 

「もぉ仕方ないなぁ。決まったものはしょうがない!明日から一週間のんびりしてる暇はないね!気合入れていこうっ!!」

 

「そうですわね。鞠莉さんのむちゃくちゃは今に始まった事ではありませんし、下手に時間があるとダラダラしてしまうかもしれませんし逆に良かったかもしれませんわね。」

 

 おぉ、みんなポジティブ~。ま、この調子なら大丈夫そうだな。

 しかし告白したというのに余韻に浸る暇ナシでなんだか少しさみしい気もするなぁ・・・。それに折角付き合ったのに1週間まともに逢えなさそうだ・・・。

 

「よ~し!!シャイニーなライブにするわよ~!!」

 

「「おぉー!!」」

 

 マリーは右手を差し出しそれにダイヤと果南も手を重ねた。三人は見つめあって楽しそうに笑うと気合を入れる掛け声を出した。・・・まではいいんだけど何だろう、何か物凄い違和感を覚えるんだけど・・・なんだろう・・・何か忘れている気が・・・。分からないなら軽く流してもいいんだけど、今回は流しちゃいけない気がする・・・。

 

「ねぇお兄ちゃん、ルビィ何か大切なことを忘れている気がするんだけど・・・」

 

「奇遇だな俺もだ。なんだったかなぁ・・・」

 

 ルビィも俺と同じく何か引っかかるらしく首をかしけていた。なんかこうライブに関係することのような・・・。

 

「「あぁ!!」」

 

「な、なんですの急に!?」

 

「大変だダイヤ!!物凄く重大な事を俺たちは忘れているぞ!!」

 

「え?」

 

「「グループの名前っ!!」」

 

「「「あ・・・・」」」

 

 そう、まだこのグループの名前がないのだ。物凄く大事で初歩的な事を忘れていた。ライブまであと一週間。前途多難だな・・・。




やっとダイヤとくっつけられました。

ない頭を使って少しでもイイ感じにしようとしたので疲れました~・・・


さて、次はグループ名の命名です。どうなる事やら・・・


では、また次も宜しければ読んでやってください。


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第11話 ~一発殴られるくらいは覚悟しとかないと・・・~

 どうもこんにちわ、リア充の悠です!!・・・すみません調子乗りました。ダイヤと付き合うことになり浮かれてしまいました。まぁそれはそうと、俺は今黒澤家に向かっています。それはなぜかと言うと昨日マリー達のおかげでダイヤに告白をして付き合うことになったものの、その直後にダイヤ達のアイドルグループとしての名前がないことが判明。今日ダイヤ達の練習の後名前を決める会議をすることになり、とにかく案が欲しいからと俺にも召集がかかったというわけ。決してダイヤとイチャつく為ではないぞ?まぁ、逢えないと思っていたからどんな形にせよ逢える時間ができたのは素直にうれしいけどね♪

 しかしここで困ったことが一つだけあった。名前の案を出してほしいと言われたはいいものの、昨日一晩考えたがいい案が全然思い浮かばなかった。と言うか、ダイヤと付き合えて舞い上がっている今の俺の頭ではまともな思考ができていなかった。しかも浮かれ過ぎて頭のネジがぶっ飛んだのか変な名前しか思いつかなかったし・・・。たとえば『ダイヤと愉快な仲間達』とか『ダイヤモンドローズ』とか・・・とにかくダイヤの名前が入ってるものしか思いつかなかったのである。一晩寝て落ち着いた俺は思い返していろんな意味で恥ずかしくなり朝から柱に頭を思いっきり打ち付けていた。おかげで今も頭が痛い・・・。自業自得だけど・・・。

 そなこんなでバスの中でもああでもない、こうでもないと考えているうちに最寄りのバス停に着いていたので慌てて降りた。そして黒澤家に到着した。

 

「約束の時間より少し早いけどまぁいいか。その分早くダイヤに会えるかもしれないし、たぶんルビィは居るだろうからダイヤが帰ってくるまで話し相手にでもなってもらおうかなぁ。」

 

 ピンポーン

 

「はぁ~い。・・・・あら、悠ちゃんじゃない。久しぶりねぇ。元気にしていた?」

 

 黒澤家のインターホンを押すと、ダイヤでもルビィでもない女性の声が聞こえたかと思うと中から着物の女性が顔を出した。それはダイヤとルビィの母親だった。数年ぶりにあったけど相変わらずお若い。子供のころから思ってたんだけどこの人本当に二児の母親だろうか?高校生と中学生の子供がいるようにはとても見えない。家のお袋とは大違いだ。しかもダイヤにそっくりなんだよなぁ。将来ダイヤもこんな感じになるのかと思うとドキドキしてしまう。

 

「お久しぶりです。相変わらずお綺麗ですね。」

 

「あらいやだ、そんなお世辞が言えるくらい大きくなったのねぇ。私も年をとるわけね。」

 

 いやいや、お世辞じゃなくマジでそう思いますよ。確かにお袋と同じ年だけど、とてもそんなお年にはみえませんよ?

 

「あ、そうそう聞いたわよ~。ダイヤさんとお付き合いすることになったんですってね?あの子あぁ見えて結構甘えん坊でおちょこちょいだからよろしくお願いしますね?」

 

「わかりました。しかし情報早いですね?まさかもうしっているとは・・・。」

 

「いえね、昨日ルビィさんが嬉しそうに話していたのよ。」

 

 おぉいルビィさん!?それはダイヤにとって羞恥プレイなのでは!?

 

「ダイヤさんったら顔を真っ赤にしていて可愛かったわ~。お父さんなんか涙を流しながら喜んでいたし。」

 

 うわぁ・・・それってうれし涙でなく愛娘をとられたことに対する悔し涙ではなかろうか?おじさんにとってどこの馬の骨とも知らない男より相手が俺だった事が唯一の救いだったのかな?

 

「あははは・・・、そ・それより今日はダイヤ達と約束があるんですが聞いてます?」

 

「えぇ、もちろん聞いてますよ。ダイヤさん達はもうすぐ帰ってくると思うから奥で待っていてもらえますか?」

 

「はい、それじゃぁお邪魔します。そう言えばルビィは居ますか?」

 

「今日はあの子お友達の家でお勉強の約束があるんですって。ルビィさんに何か用でもあったのかしら?」

 

「いえ、ただダイヤ達が来るまで話し相手になってもらおうかなぁって思っただけなんで大丈夫です。」

 

「そう?ならもう少し待っててくださいね。」

 

 それから俺はダイヤ達が帰ってくるまでの間おばさんの出してくれたお茶を飲みながらボーっと過ごしたのであった。

 

「悠さんお待たせしてしまって申し訳ありません。」

 

「気にしなくていいわよダイヤ☆今まで長いことダイヤを待たせてたんだからこれくらいなんでもないわよ☆」

 

 何でマリーが答える!?しかもその話を引き合いに出されたら俺何も言い返せなくなるんですけど!!

 

「こうして悠さんが隣にいてくださるのですから私はそれで充分ですわ♪」

 

「ダイヤ・・・♪」

 

「悠さん・・・♪」

 

「はいはい、ごちそうさま。それにしても悠君早かったね?」

 

 おっとあぶない。果南たちを忘れて二人の世界に入るところだった。

 

「あ・あぁ、今日大学の講義が午前中だけで暇だったから少し早目に来たんだよ。」

 

「へぇ、わたしはてっきり早くダイヤに逢いたてルンルンで来てたのかと思った。」

 

「まぁ、それは否定しないよ?」

 

「悠さん♪」

 

「ダイヤ♪」

 

「だから、すぐに二人の世界に行こうとしないでよ・・・」

 

「バカップルは放っておいて話を始めましょ?」

 

 バカップルと言われてしまった・・・。まぁいいけどさ。でも浮かれ過ぎだな確かに・・・本当に二人っきりの時以外は気をつけよう。

 

「それじゃぁ、各自考えてきた物を発表しましょうか☆それじゃユウからお願いね☆」

 

「俺から!?」

 

「Yes!!大学生なんだしいいアイディアない?」

 

 大学生は関係ないだろ・・・。どうしようマジで何も浮かんでないんだけど・・・。まさか昨日の夜のアレを発表するわけにはいかないし・・・。

 

「すまん、いいものが浮かばなくて・・・」

 

「えぇ?もうしょうがないなぁ。どうせダイヤの事ばかり考えてたんでしょ?」

 

 うぐぅ、否定はできん・・・が、何だか悔しいから誤魔化そう。

 

「別にそうじゃないって。ただ昨日はあちこち回ってたから疲れれて頭が働かなかったんだって。そう言うマリーはなんかいいアイディアあるんだろうな?」

 

「ないわよ?」

 

「は?」

 

「だから、ないって言ってるの。難しいわよね~。だからユウに期待してたのに・・・」

 

 おいこら、なにさらっと言ってやがる!!これだと俺が悪いみたいじゃないか!!てか、何で何もないのにそんなに偉そうなの!?

 

「ごめん、わたしもいいもの思いつかなかった・・・。」

 

「私も・・・」

 

 というわけで、さっそく座礁してしまった・・・。まぁ当然か・・・。てか、一晩で思いつくならだれも苦労はしないよな・・・。

 

「と、とりあえずコンセプトと言うかイメージから考えないか?」

 

「そうですわね。闇雲に考えてもなにも思いつきませんしね。」

 

 

 

 それから俺たちはしばらく考え、学校を救いたいというのが始めた動機ならば、やはり地元をイメージした名前がいいのではないかとなった。その中で出た名前が「シャイニーズ」「Sakuya」「SS’s (サンシャインズ)」「浦の星少女隊」である。

 

「ん~どれも悪くないんだけどなんかパッとしないなぁ・・・てか、シャイニーズと浦の星少女隊はネタだろこれ?」

 

「んまぁ、失礼ね、これでも真面目に考えたんだからね!!」

 

「あぁ、悪い悪い、別にディスってるつもりはないんだ。」

 

「ふんだ!!」

 

「でも、確かにあと一歩な気がするよね~他に何かないかなぁ・・・」

 

「そうですわねぇ・・・後はこのあたりと言ったらやはり海でしょうか?そうすると安直ですが、オーシャンズとかマリンでしょうか?」

 

 海か~確かに内浦と言ったら海のイメージは俺も強いなぁ・・・でもまだ、物足りないなぁ・・・他に連想できると言えば水?でも水ってウォーター?いやいやないだろ・・・・。そうすっと・・・

 

「Aqua・・・」

 

「「「え?」」」

 

「ユウ今何て言ったの?」

 

「え?」

 

「え?じゃなくてなんていったの!?」

 

「あ・あぁ、Aqua?」

 

「悠さんそれいいですわ!!」

 

「そうか?でもだた水って言ってるだけでなんのひねりもないぞ?」

 

「ならこういうのはどうでしょう?私達のものという意味の『ours』と合わせて『Aqours』と書いて『アクア』と読むというのはどうですか?」

 

「造語かぁ・・・うん、悪くないんじゃないかな?俺はいいと思うよ。」

 

「ソウネ、ワタシは気に入ったわ☆」

 

「うん、なんかいい感じ♪わたしたちのイメージにもぴったりじゃないかな?」

 

 というわけでめでたくダイヤ達のグループ名はAqoursに決定した。しかし、名前を考えるって難しいなぁ・・・。これだけでどんだけ時間かかったんだ?もう外は暗くなってるし。でもまぁ、ダイヤ達のこの嬉しそうな顔を見れたからよかったなぁ。

 

「盛り上がってるところ悪いのだけれど皆さんお夕飯はどうしますか?」

 

 グループ名が決定して喜んでいるところにダイヤのお母さんが顔を見せた。もういい時間だったので気を利かせて全員分用意してくれたらしい。ここで断るのも失礼なので俺達はお言葉に甘えて夕飯をいただくことにした。ルビィはどおやら友達の家で俺らのように夕飯をごちそうになってくるらしい。可愛い妹がいなくて少し残念だなぁ。でもまァ可愛い彼女と美人に囲まれての夕飯は緊張するけどなんて贅沢なんだろ。今度智也に自慢してやろう♪

 そして、夕飯をごちそうになり、そろそろ帰ろうとしとき、俺にとってとんでもない修羅場が起こったのでした。それはなんとダイヤのお父さんが帰ってきたのです。まずい・・・昨日の今日ででくわすとは!!正直この危険性をすっかり忘れていた・・・。なんってたって付き合ったその日にばれて、しかも悔し涙を飲んだ次の日だ、物凄くからまれそう・・・。ダイヤのお父さんは温厚で凄く気さくないい方なんだけど、娘達激Loveで娘の事となると豹変するからなぁ・・・。一発殴られるくらいは覚悟しとかないと・・・。

 

「お?悠じゃないか!!久し振りだなぁ!!」

 

「お・おじさん・・・。ご無沙汰してます。」

 

「すっかり大きくなったなぁ。」

 

「あ・ありがとうございます・・・。」

 

「どうしたそんなにかしこまって?昔みたいにもっと気軽に話してくれていいんだぞ?」

 

「いえ、そんな。流石に俺も大人になったんで目上の人には・・・・」

 

「そうか?まぁいい。それより悠。少し話があるんだが時間大丈夫か?」

 

 ほら来た!!正直何言われるかわからなくて怖いから逃げたいが、そうも言ってられないよなぁ・・・。これからのためにもここはちゃんとおじさん・・・じゃない、お義父さんと話をしないと。

 

「えぇ、大丈夫ですよ。」

 

「なら、少し酒に付き合ってくれないか?」

 

「ちょ!お父様!?」

 

「大丈夫だ。別に未成年の悠に酒を飲ませようってわけじゃない。久々に会って積もる話もあるだけさ。なぁ、悠?」

 

「そ・そうですね・・・あはははぁ。」

 

「そう言うことなら・・・。」

 

 あぁ、今お義父さん目で逃げるなよって言ってた~。しかも何かを察したのかマリーと果南は、ご愁傷様と言わんばかりに南無南無してるし~。おばさんは楽しそうにニコニコ見守ってるし、なにこの状況・・・。

 

「ただい・・・まぁ?」

 

「あら、ルビィさん。お帰りなさい。」

 

「なにこのプチ修羅場的な状況・・・」

 

 帰ってきたルビィは一瞬でこの場の雰囲気を察したらしく、俺を見て申し訳なさそうに、がんばルビィではなく、ふんばルビィ!と励ましてくれた。まぁ、昨日ルビィが話してしまったからこんな状況になったのだが、いずれはバレることだし仕方ないか・・・。

 ちなみにこの後深夜までお義父さんのダイヤの産まれてからの思い出話に付き合わされたのは言うまでもないだろう。

 酔いつぶれるちょっと前にお義父さんから『ダイヤを頼む』と言われた時は付き合ってる事を一応は認めてくれているのが分かってほっとしたし、ダイヤをずっと大事にしようと改めて思う事が出来た。それと同時に、そんな気はさらさらないが、浮気とか最悪別れるとなったなどダイヤを悲しませることになったら俺の命はないんだろうなぁとも思ったのだった。




いかがだったでしょうか?

グループ名決定の仕方はあんなものかなと・・・。

ちなみにダイヤ達のお父さんお母さんの登場回でしたね。お母さんには上品さがありながらも普通の方な感じを、お父さんには娘ラブな設定にしてみました。

まぁ、この後はほとんど出てこないと思うけど・・・w


ではでは、宜しければまた読んでやってください♪


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第12話 ~突っ込みどころそこじゃないから~

「よろしくお願いしま~す!ライブやりま~す!!」

 

 ダイヤ達のグループ名が『Aqours』に決まったから数日が経ち今日はダイヤ達の初ライブの前日だ。初ライブだから当然身内以外誰もライブはおろかAqoursというグループがある事を知らない。なので今俺は沼津の駅前でAqoursの初ライブの宣伝のためビラ配りをしていた。ダイヤ達には少しでも納得のいくライブにしてほしいので、練習に集中してもらうため宣伝役を買って出たのだ。ただ、俺だけでは人手が足らないので智也を強制参加させて手伝わせている。本当はルビィを誘いたかったのだが残念なことに明日中学校の体育祭らしく今日はその練習らしい。大好きなダイヤの初ライブを見に行けないのを残念がっていたなぁ。動画でも撮って今度見せてあげよう。

 

「ほら、智也きりきり配れ!!」

 

「配ってるだろ!!」

 

「嘘つけ!!全然ビラが減ってないじゃないか!!」

 

「そんなこと言われたって誰も受け取ってくれないんだからしょうがないだろ!」

 

「んなわけあるかよ?俺はもうほとんど配り終えたぞ?お前どんな配り方してたんだよ?」

 

「普通だけど?」

 

「じょ、ちょっとやてみろよ。」

 

「おう。」

 

 智也は返事をするとぐるっと辺りを見回すと、一組の女子高生グループに声をかけに行ったかと思うと女子高生たちは走って逃げてしまった。

 

「お前何で逃げられてんの?」

 

「俺が聞きたいよ!!普通に声かけてるだけなのにさぁ・・・」

 

「なんて?」

 

「え?君たちかわいいね、スクールアイドルとかに興味ない?よかったら「ちょい待ち!!」

 

「え、なに?もしかしてさっきから女の子ばっかりにそんな声のかけたしてたの!?」

 

「そうだけど?」

 

 智也は、だからなに?的な顔をしている。どうやら俺は人選を間違えたらしい。あの声のかけかたじゃただのナンパだろ・・・・。最悪いかがわしいキャッチか何かと勘違いされたんだろうなぁ・・・。そりゃ、にげていくわな・・・あぁ、頭痛くなってきた。

 

「お前なぁ、それじゃただのナンパだ!!しかも女の子だけにしか声かけないってお前・・・分かってはいたが本当に馬鹿だろ?」

 

「失礼な!!ただ俺はお前と俺の利害が一致したことしかしていないぞ?」

 

「はぁ!?」

 

 この馬鹿はいったいなにを言っているんだろうか?俺と智也の利害が一致しているだと?何が一致してるんだ?

 

「俺は可愛い女の子に声をかける口実があって嬉しい。お前は他の男どもがダイヤちゃんを奪っていく心配をしなくて済む。な?利害が一致してるだろ?」

 

 あぁ、ちょっと前までこいつにダイヤの件で感謝していた自分を殴りたくなってきた・・・。

 

「なにくだらないこと言ってんだ!!俺とダイヤはおかげさまでラブラブだから大丈夫だ!!てか、くだらないことにダイヤを引き合いに出すんじゃねぇ!!とにかくお前でなく世間の普通でちゃんと宣伝をしてこい!」

 

 それから俺達はビラを配り終えてから解散をした。ビラを配っている限りではあったが反応はまずますかな?まぁ、やはり地方と言うのもあって東京などの大都市と比べるとスクールアイドルをしている人口はそんなに多くないから珍しさもあるんだろうな。

 

 

 

 そして夜。俺はダイヤと電話をしていた。付き合ってから俺達はダイヤがうちに来ない日の夜に電話をするのが日課になっていた。そして今俺は今日のビラ配りの報告をしていた。

 

「てな訳で、反応はまずますだっと思うぞ?明日は天気もいいみたいだし来てくれる人多いんじゃないかな?」

 

「だといいのですが・・・。」

 

「なんだ?不安なのか?」

 

 ダイヤは明らかに浮かない声をしていた。まぁ、前日だし、なによりマリーの組んだスケジュールでは若干練習期間が短いから不安にもなるか。

 

「えぇ・・・。」

 

「ダイヤたちなら大丈夫さ♪確かに練習時間とか短かったかもだけど、この一週間妥協なしで頑張ってたじゃないか。絶対に大丈夫だ!!お客だって絶対に来る!!もしお客がいなかったら俺が満員の客がいるんじゃないかってくらい大声で応援してやるから安心しろ!!」

 

「うふふっ、それは心強いですね。・・・そうですわね、この一週間全力で頑張ってきたんですもの、大丈夫ですよね。それに私には悠さんが傍にいてくださるんですもの、なにも怖がる事なんかありませんでしたね♪」

 

「おう!!」

 

「では、明日も早いので今日はそろそろ失礼しますね?」

 

「あぁ。ゆっくり休んで、明日最高のパフォーマンスを見せてくれ♪」

 

「はい♪ではまた明日♪」

 

「うん、また明日な!」

 

 いよいよ明日かぁ・・・。ダイヤにはああは言ったものの俺も不安になってきた。この数日かなりビラ配りをしたけど本当にお客は来るのだろうか?もしだれも来なかったら?ダイヤはどんな顔をするのだろうか?泣いてるダイヤは見たくないなぁ・・・。明日は満員になんて欲は言わないけど半分くらいは埋まって欲しいなぁ・・・。俺は窓から夜空を見上げながらそう願うのだった。

 

 

 

 そして初ライブ当日。ついにこの日が来た。俺は沼津の駅前で智也と待ち合わせをしてバスで浦の星女学院へと向かった。

 浦女の前には会場まではまだ少し早い時間だったがちらほら人が集まっていた。どうやらお客0ということにはならないで済みそうだ。とりあえず安心した俺はダイヤ達に逢うためにあらかじめ教わっていた控室に向かった。

 

コンコン

 

「はぁい?」

 

「悠だけど入っても大丈夫か?」

 

「あ、悠君♪どうぞ♪」

 

 果南が控室のドアを開けて中に迎え入れてくれた。中に入るとライブの衣装に身を包んだ三人がいた。

 

「・・・・・・・」

 

「アラアラ、ユウってばダイヤに見惚れてるのかしら?」

 

「・・・・・」

 

 はい、その通りです。ダイヤ達の衣装はとて可愛らしくふわっとしたデザインで、しいて言うならばμ’sのユメノトビラのようなデザインに近いような気がする。それぞれダイヤは赤、果南は緑、マリーは紫とデザインは同じでも色違いの衣装を着ている。

 普段ダイヤはうっすらとしかメイクをしていないがステージに立つということもあって今はしっかりとメイクをしている。ただ、濃いというわけでなくあくまで普段よりメイクが分かる程度だったが、メイクのせいか普段のダイヤよりも大人に見えてとてもドキドキする。この場に果南達がいなかったらおそらく抱きしめていただろうなぁ。

 

「悠さんどうでしょうか?似合っていますか?メイクも普段ここまでしっかりとしたメイクをしたことなかったのですが、変じゃないですか?」

 

「・・・・・」

 

「悠君いつまで固まってるの?ほら、なんか言ってあげなよ!」

 

「あ・あぁ。その、なんていうかよく似合ってるよ。」

 

「ユウ、もっと気のきいたこと言えないの?何そのありきたりな感想。もっとこう、『流石俺の恋人!!ダイヤはなんでも似合って可愛いなぁ!好きだ!愛してる!!結婚してくれ!!』くらい言えないの?」

 

「言えるか!!てか、誰だよそれ!?もはやそれは俺じゃなく別人じゃないか!!」

 

「そうですわよ鞠莉さん!!悠さんはもっとかっこいいですわよ!!そんな微妙なものまねをするなんて・・・やるならもっとちゃんと似せてくださいなっ!!」

 

「ダイヤダイヤ、突っ込みどころそこじゃないから・・・。」

 

「え?」

 

「分かってないならいいけど・・・。でも、鞠莉の言う通りだよ悠君。」

 

「はぁ!?果南まで俺にあんな恥ずかしいこと言えと!?」

 

 なんてこったまさか俺の感覚がおかしいのか?世のカップルとはこん恥ずかしいこと平気で言ってるのか!?流石にこんなことさらっと言えないぞ?

 

「何で悠君までダイヤみたいなポンコツかますかなぁ・・・。そうじゃなくて!鞠莉みたいなこと言えとは言わないけど、もう少しましなこと言えないかなぁってこと!!」

 

 あ・あぁ、そう言うことね・・・。よかったぁ、どうやら俺の感覚がおかしいわけではないようだ。しかしまァ果南達の言う通りだな。見惚れていたとはいえ、間抜けな返答もいいとこだ。ちゃんとダイヤを褒めないとな♪マジで似合ってるし♪それにほら、なんかダイヤも待ってるっぽいし。

 

「そうだな。あんまりにもダイヤが綺麗だったから見惚れてた。凄く似合ってるぞダイヤ♪化粧もなんか大人びて見えてよく似合ってる。普段とは違うダイヤが見れて凄くドキドキしてる。」

 

「あ・ありがとうございます////悠さんにそう言ってもらえるととても嬉しいですわ。」

 

「あぁ、何だかこの部屋アツイワネ~、誰かさんが凄く恥ずかしいこと言ってるから温度が急上昇だわ~。」

 

「そうだね。鞠莉が言ってた事より恥ずかしいこと言ってるかも・・・」

 

「っるせ!!それより今日は頑張れよ。予定より早い時間だったけど外にお客さんらしい人たちがすでにちらほらいたぞ。」

 

「そうなんだ?とりあえずお客さんが0じゃないなら良かった。」

 

「当然じゃない☆この街の人たちは優しいもの。絶対に応援してくれると思っていたわ☆」

 

「もぅ、鞠莉さんったら調子いいんだから・・・。でも、せっかく来てくださったんですから楽しんでいってもらえるよう頑張りますね。」

 

「おう!!それじゃ、俺は会場に行くな。」

 

 俺はダイヤ達の控室を後にして会場へと向かった。ダイヤ達と話していたら開場の時間が過ぎており体育館には結構な人が集まっていて大体3分2くらいは埋まっている感じだ。この学校の学生以外にもたくさんの街の人たちが集まっていてこれだけ人がいれば初ライブろしては上出来でなはいだろうか?

 

 開演時間になった。アナウンスがあり幕が上がり会場から声援が上がった。三人は緊張しているみたいだったが曲が流れだすとさっきまでの緊張した様子はなく笑顔で思いっきり歌い踊っていた。俺はとても眩しい笑顔のダイヤから目を離す事が出来ないくらい釘づけになってしまった。

 曲は1曲だけでたった5分足らずのライブではあったがパフォーマンスを終えた三人は満足のいく出来だったのかハイタッチをしてとても嬉しそうに笑っていた。お客もみんな盛り上がっていたし初ライブは大成功だろう。

 しかし驚いたのは完成度の高さだ。もともといろんなポテンシャルの高い三人だとは思っていたが、たった一週間足らずで物凄い完成度だ。マリーの力強い歌声でリードし、果南のアクロバティックな踊りで見る者を楽しませ、ダイヤの透き通った声でマリーと見事にハモリながら、繊細な動きで果南と見事なコンビネーションを見せるという、見事なまでのチームワーク。幼いころからの親友と言うだけの事はある。この三人ならラブライブ優勝とまではいかないまでも、きっとかなりいいところまで行けるのではないかと思う。

 そして見事初ライブを成功で終えたダイヤ達と打ち上げとして近くの松月でケーキを食べることにした。もちろん今日は俺のおごりだ。

 

「ん~、おいしい♪ライブも成功したし、おごりだと思うとまた格別においしいわね☆」

 

「本当だね♪一時はどうなるかとおもったけどうまくいってよかった~。」

 

「でも、ここまで余裕のない日程はこれっきりにしてくださいね?毎度こうなってしまっては流石に厳しいですわ。」

 

「確かになぁ。今回は上手くいったけど、これからランキング上位や、ラブライブを目指すならちゃんとした練習は必須になってくるだろうな。上位で人気のグループってのはとにかく細かなミスもしないから、反復練習は絶対になった来るからな。」

 

「そうだね。ところで悠君、ランキングって何?」

 

「え?何って言われても、ラブライブのHPでやってるランキングのことだけど?」

 

「そんなのがあるの?」

 

 まさか知らないのか!?え?だってダイヤは知っていたはずだけど・・・・。俺はダイヤの方を見ると、ダイヤは慌てて目を逸らした。しかも下手な口笛までおまけで付いていた。なんてベタな・・・。てか、ダイヤのポンコツが発動してたのね・・・。まぁ、俺達の一件や急なライブ決定で抜け落ちてたんだろうけど今言われるまで完全に忘れていたな?

 

「ラブライブのHPで簡単に登録できるんだよ。別にスクールアイドルやってるからって絶対に登録しなきゃいけないってわけじゃないけど、知名度を上げたいならここに登録するのは必須だな。ライブのPVなんかもアップ出来るし、スクールアイドルファンならまずはここをチェックするだろうし。なんなら帰ってから俺が登録しておいてやろうか?」

 

「え?いいですか?」

 

「かまわないよ♪これくらい大した手間もかからないし。後で今日のライブ映像だけもらえたらやっておくよ♪」

 

「なんだか申し訳ありません。曲作りまで手伝ってもらってるのにこんなことまで・・・」

 

「気にすんなって♪好きでやってる事なんだからさ。」

 

「なら、それはユウに任せるわね☆それで・・・はい、ダイヤにはこれ☆」

 

 マリーは何やら鞄から紙を取り出しダイヤに渡した。なんだろうと思いダイヤの肩越しに覗いてみるとそこには歌詞が書かれていた。

 

「これは新しい曲の歌詞ですか?」

 

「そうだよ。ダイヤと悠君が曲を作ってくれている間、時間があったから鞠莉と次の曲用に歌詞を書いてたんだ♪」

 

「というわけでさっそく次の曲作りよろしくね☆」

 

 あれ?これってダイヤとの初デートはお預けパターン?マジですか!?まぁ、しばらくは仕方ないのかなぁ・・・トホホ。

 

 ちなみに俺は家に帰ってからAqoursをラブライブのHPで登録しておいた。登録した時のランキング順位が3500位だった。ここからランキング上位は大変だろうけどダイヤたちなら大丈夫だろうとこの時の俺はそうおもっていた。まさか俺の知らないところでこの三人を今後を大きく変えてしまう出来事が動いているとはこの時の俺は微塵も思っていなかった・・・。




てな訳で初ライブ終了です。以前も言いましたがさらっとでしたw

次回は初デートの話にするつもりです。宜しかったら次回も見てやってください。

海未ライバー UMRさん、かねぎさん、評価ありがとうございます。お気に入りに入れてくださった方もありがとうございます。


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第13話 ~いくら見てもかまいませんから~

 初ライブの次の日。俺は久し振りにのんびりと三度寝に興じていた。ん~布団最高!!

 

♪~

 

「ん~・・・しつこいなぁ・・・まだ10時じゃないか・・・こんな時間に誰だよ・・・」

 

 折角人が三度寝を楽しんでいるというのに頭の上でけたたましくスマホから着信音が流れていた。あまりにも眠かったのでさっきから無視していたがいい加減しつこいので諦めて画面を見てみると発信者はマリーからだった。

 

「もしもし?こんな時間に何の用だ?くだらない用だったら速効できるぞ?」

 

「あ!やっとでた~!!もぅ一体何時だと思ってるの?さっきから電話してるのに~」

 

 朝から元気だなぁこいつは・・・。寝起きにマリーの声は頭によく響くなぁ・・・。

 

「それは悪かったな。今の今まで寝てたんだ。休みの日くらいゆっくり心行くまで寝かせておいてくれよ。」

 

「もぅ、なに休日のサラリーマンみたいなこと言ってるの?まだ若いんだからシャイニーしなさいよ!!折角付き合って最初の休みの日なのにダイヤをデートに誘わないの?」

 

 シャイニーするって何だ?海にでも行って叫べばいいんだろうか?

 

「お前がそれを言うか?誘おうと思ったけどお前らが新曲作るっていうから諦めたんじゃないか。」

 

「ユウってばどこまで奥手なの?そこまで急いでないんだから今日くらいデートに誘っても問題ないでよ?ダイヤだってきっと待ってるはずよ?」

 

「そりゃまぁ・・・。でも今から誘うのはなぁ・・・。ダイヤだって用事あるかもしんないし・・・。」

 

「ほんとじれったいわねぁ!!断られたらそれはそれでしょ?とにかく誘いなさい!!いいわね?」

 

「は・はい・・・」

 

「ヨロシイ☆じゃぁガンバッテネ☆影から見守ってるからねぇ~☆」

 

「おう?」

 

 ん?なんか今変なこと言ってなかったか?まぁいいか・・・。マリーと電話を終えて俺はこのまま寝てもよかったのだが、マリーの言うことももっともだしなんだかんだで俺らの事心配してくれてるんだろ。ダイヤとデートもしたいし取り合えず誘ってみるだけ誘ってみようとダイヤに電話をかけた。

 

「あ、もしもしダイヤ?今大丈夫か?」

 

「えぇ。大丈夫ですわ。どうしたんですか突然電話してきて?」

 

「いや、まぁダイヤの声が聞きたくなってさぁ」

 

「まぁ♪」

 

「ところでダイヤ、今日は暇か?」

 

「作曲を少ししようかなぁと思っていたくらいで特に予定はありませんわ。」

 

「なら良かった!急なんだけどさデートしようぜ!!デート。俺ら付き合ってからまだ一度も恋人らしいことしてないしさ、折角の休みの日だしどっか行こうぜ!!」

 

「本当ですか!?嬉しい♪悠さんとどこかお出かけしたいと思っていたんです。でも昨日なにも言ってくれませんでしたし、私から言うのはなんだかはしたない様な気がして言いだせなくて・・・。」

 

 マリーの言う通りだったな。てかよく考えれば当然だよなぁ・・・好きな人とましてや恋人同士になったのにデートしたくないやつはいないよな。特にダイヤなんか子供のころからずっと俺を想ってくれていたんだしなおのことだろうな。

 

「そっか、悪かったな。作曲が忙しいと思って言いだせなくてさ。マリーに言われて慌てて電話してよかった。」

 

「まぁ、鞠莉さんがそんな事を?これは後でお礼を言わなくてはいけませんね♪それにしても悠さんも酷いですわ。鞠莉さんがお節介をしてくれなかったらまた当分お預けでしたの?」

 

「あ、あはは・・・それは本当にごめん!!お詫びに今日は全部俺がおごるからさ!!」

 

「本当ですか?」

 

「あぁ!なんでもいいぞ!!と言っても俺もそこまで金ないからそんなに高いものは無理だけど・・・。」

 

 あぁ、情けない・・・。沼津に引っ越してくるとき遠くなるからバイトは辞めたけど、いい加減こっちでバイト見つけないとなぁ。ダイヤとのデート代も出せなくなってしまう。流石にそれは年上の彼氏としては避けなくては!!

 

「うふふ、そんなに構えなくて大丈夫ですわ。悠さんと行きたいところはたくさんありますが、これからいくらでも行けますものね♪だから今日は背伸びをしないで学生らしいところに行きましょう♪」

 

 一体学生らしくないところとはどこなんだろうか?やっぱりお金のかかるところなのだろうか?それとも・・・?なんにせよやはりバイトを早くい探さないとなぁ。

 

「で、ダイヤはどこに行きたいんだ?」

 

「そうですわねぇ・・・定番ではありますが水族館なんていかがですか?」

 

「いいなぁ!でも水族館って言ってもどこにするよ?この辺水族館多いじゃん?」

 

「そうですね、全部、と言いたいところですが時間が足りませんし・・・やはり三津シーでしょうか。うちっちーと一緒に記念撮影もいいですよわね~♪それにあの綺麗なクラゲの水槽を眺めるのもいいですわ~♪」

 

「そうだな。マリンパークや深海水族館もいいけど今日は三津シーにするか♪今度他の水族館も行こう。」

 

「はい!!」

 

「なら一時間後にダイヤの家のまで迎えに行くよ。」

 

「わかりました。では、お待ちしてますね♪」

 

 さて、そうと決まればさっそく準備しないと!!服は・・・まぁ気取らない感じでいいかな。後は財布と・・・あ!スマホ、スマホ♪これさえあれば写真も撮れるしその写真も待ち受けにできるしいいことずくめだ♪しかも最近のスマホは下手なデジカメより高性能と来たもんだ。いい時代に生まれたなぁ♪後は髪を整えたら準備完了っと。さぁて、ダイヤを迎えに行くぞ~!!

 準備を終えた俺はバスに乗ってダイヤの家へと向かった。バスの中ではウキウキしながら今日の三津シーのイベント情報などをスマホで調べどうやって回ろうか考えていた。降りるときに何やら周りの人から変なものを見るような眼で見られていたような気もするが気のせいだろう・・・・。

 

「お待たせ♪」

 

「あ、悠さん♪おはようございます。」

 

「わざわざ外で待っててくれたのか?中で待っていてくれてもよかったのに。」

 

「いえ、少しでも早く悠さんとお会いしたかったので部屋でじっと待ってると落ち着かなくて・・・。」

 

「ダイヤ・・・」

 

 なんか恋人っぽい会話だぁ。こんなたわないもない会話なのに感動しちゃうなぁ。

 俺は予定より10分ほど早く着いたが門の前ですでにダイヤが待っていた。今日のダイヤは白い花柄の黒のスカートと薄手の白いニットセーターと言った格好で凄く女の子らしくも清楚な感じが出ていてよく似合っている。そして極めつけはすらっと伸びる健康的な生足!!家に来る時も制服のまま来ることが多く見なれてると言えば見なれてるのだが、それまでは妹としてしか見ていなかったからあまり気にしたことはなかったが、ダイヤの事を女の子として見るようになったのだから健全な男子としては自然と目が行ってしまう。一応言っておくが俺は別に足フェチじゃないぞ?好きな女の子だから意識しちゃうんだからね?

 

「な・なんですの?この格好は変でしたか?」

 

「い・いや、全然変じゃないぞ!!むしろよく似合ってる!!いつもは制服姿ばっかだったか新鮮で感動してただけだ!!」

 

「ならいいのですが♪・・・?・・・・・っ!!////悠さんのエッチ///」

 

 ダイヤが俺の視線に気づいたらしく顔を赤くしてスカートを押さえる様なしぐさをした。か・可愛い///

 

「え、あ、いや、その・・・悪気があったわけではなくだな、健全な男の子として仕方ないというかダイヤが魅力的でついつい目が行ってしまうと言うか・・・。」

 

「///も・もういいです。私の事をちゃんと女性として見てくれてるわけですし許してあげます!!」

 

「あ、ありがとう///」

 

「でも、私以外の人をそんな目で見たら許しませんわよ?いいですね!!」

 

「い・イエス、マム」

 

 ダイヤに物凄い顔で睨まれてしまった。あ、あれ?これってもしかした速効で俺尻に敷かれてる?・・・まぁ、ダイヤにならいいか♪

 

「わ・私だけならその・・・いくら見てもかまいませんから////」

 

 な・なな・・なんだこの可愛い生物は!!!!!よくテレビなんかであるような『ズキューン』て効果音っが聞こえそうなくらいの勢いで俺のハートを打ち抜かれた気分だ!!

 

「お、おう。ありがとう///」

 

「///////」

 

 やばい、この空気に耐えられん!!恥ずかしすぎる!!

 

「えっと、とにかくだ、時間ももったいないしそろそろ行こうか?」

 

「え・えぇそうですわね。折角の初デートですものね。もう二度と初デートは出来ないんですしいっぱい楽しきましょう♪」

 

 なんだかんだ初っ端からやらかした感はあったが、俺達は無事初デートに出発したのであった。

 

 そして三津シーに着いた俺達はチケットを買って中に入った。

 

「さて、これからどうするか。昼飯には少し早いし、今からだと・・・あ、セイウチの食事タイムがそろそろだけどダイヤはどうしたい?」

 

 俺はスマホでイベントと情報を確認しながらダイヤの希望を聞いてみた。

 

「そうですわねぇ・・・セイウチのお食事を見たらお昼にしてその後イルカショーを見たら後はのんびり見て回りましょうか?」

 

 ダイヤは俺のスマホを覗き込みながら時間を確認して簡単な予定をたてた。

 

「そうだな。なら、そんな感じで見て回ろうか♪」

 

「はい♪」

 

 そして俺とダイヤはセイウチのいるスペースへと向かうのだった。しかしこの時の俺達は後ろから後をつけてくる3つの陰にまだ気づいていなかった。

 

 

~~???side~~

 

「ほ・本当にいいのかなぁ・・・」

 

「気にしない気にしない☆あの二人はワタシ達のおかげで今があるのよ?初デートを見守るくらいの権利はあるのよ☆」

 

「そ・そうかなぁ・・・?」

 

「まぁ、いいんじゃないかな?面白そうだし♪それに、わたし達は彼氏いたことないし実際のところデートってどんなのか興味あるでしょ?」

 

「まぁ・・・ない事はないですけど・・・・」

 

「ほら、無駄話はこのくらいにして行くワヨ?二人を見失っちゃう!」

 

「そうだね。ほら行こ♪」

 

「・・はい・・・」

 

 二人ともごめんなさい・・・この人たちを止める事は出来そうにないです・・・ウユウユ・・・

 

 

~~???side END~~




HappyPartyTrain発売しましたねぇ♪PVも素敵でした♪
しばらくはこの曲をヘビロテだ~♪

さてさて、前回デート回と言いながらスタートしただけで終わってしまいましたw
次こそはイチャイチャさせるぞ~!!
あと隠してる意味のない???さん達を絡めたはいいけど、どうして行こうかなぁw

では、宜しければまた読んでやってください♪


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第14話 ~優しすぎです~

「おぉ!!久し振りにセイウチ見たけどやっぱりでかいなぁ!!」

 

 俺とダイヤは今セイウチのご飯タイムをみている。ここ三津シーに着いた時間が丁度セイウチのご飯タイムのショーの時間だったのだ。

 

「本当ですわね!でも、あんなに大きいのにとても愛嬌があって可愛いですわ~♪」

 

 確かに。餌をおねだりするところなんかとても可愛い。しかし、こんなに楽しそうなダイヤが見れて本当ここに来れてよかったなぁ。マリーに言われなかったら今日この笑顔を見ることはできなかっただろし感謝しないとな。

 

「しかし、うまそうに食うなぁ。なんだか魚が食いたくなってくるなぁ・・・。」

 

「悠さんったらけっこう食いしん坊なんですね♪」

 

「まぁ、まだまだ育ち盛りだからな♪」

 

「でも、男性はいっぱい食べる方がいいですわね。その方が作りがいがありますし♪それに、おいしいおいしい、と食べてくれたら嬉しいですしね♪」

 

「そうか?まぁダイヤの作ってくれるご飯は美味しいからそれは任せろ♪特に和食系は絶品だ!!ついつい食べ過ぎちゃうんだよなぁ。」

 

「褒めても何も出ませんよ♪?」

 

「そんなんじゃないって。でも今度魚の煮つけ作って♪」

 

「そのくらいでしたらいつでも♪」

 

 なんて会話をしていたらあっと言う間にセイウチのお食事タイムは終わってしまった。

 

「さて、今度は俺らの食事タイムと行こうか?」

 

「そうですわね。本当ならお弁当を用意したかったのですが・・・」

 

 くそ~ダイヤの弁当食べたかった~!!昨日のうちにちゃんと誘っとけばよかった・・・。俺のバカバカっ!!

 

「それは仕方ないさ。急に誘った俺が悪いんだし、ダイヤの特製弁当はまた次のお楽しみにってことで♪」

 

「そう言ってもらえると助かります。次は必ず作るので楽しみにしていてくださいね♪」

 

「おう♪それじゃ、今日はここの軽食コーナーでお昼にしようか。」

 

 俺らは昼食をとるため軽食コーナーへと向かった。休日のお昼時と言う事もありかなりの人でにぎわっていた。このままではダイヤとはぐれてしまいそうだし手をつないだ方がいいかな?

 

「凄い人出だな。このままだとはぐれそうだし手でもつなごうかダイヤ。」

 

「・・・・・」

 

「大丈夫かダ・・・イヤ!?」

 

 俺が呼びかけても返事がなくダイヤの方を振り返るとそこにダイヤの姿はなく、あたりを見渡すとなんとダイヤが人の波にさらわれてはるか遠くに流されていた。

 

「うお!?あんなところに流されてる!?」

 

「ぴぎゃ~~~~~~~~~~~~~!!!」

 

「ちょ!!落ち着けダイヤ!!今行くから!!」

 

 俺はどうにか人の荒波をかき分けてダイヤの元へ辿り着くと何とかダイヤの手をとって俺の方へと抱き寄せた。抱き寄せたダイヤを見ると半泣き状態で俺は驚いた。

 

「大丈夫かダイヤ!?誰かに踏まれたりしたのか?」

 

「うぅ・・・・・」

 

 ダイヤは泣きながら首をフルフルと横に振り不定した。

 

「ならどうしたんだ?」

 

「いえ、ちょっと昔の事を思い出してしまって・・・・それで少し怖くなってしまって・・・その・・・」

 

 あぁ・・・昔うちの家族と黒澤家で東京に行った時の事を思い出したのか・・・。

 あれは確かダイヤがまだ小学校に上がってすぐくらいだったかな?うちお袋とダイヤのお袋さんの同級生が東京で結婚式をするって言うんで家族で招待され東京に行ったのだが、あまりの人ごみにダイヤは人に波に押されつないでいた手が離れてしまいそのまま流されてしまったのだ。はじめて来る土地でしかも東京駅というとてつもなくでかい駅で一人になってしまったダイヤはもう二度と家族と再開できないと思ったと言っていたが、確かにあのときは俺ももうダイヤに逢えないのではないかと思ったもなぁ・・・おばさん達もみんな青い顔をして血相を変えてダイヤを探し回ったのをよく覚えている。

 普通なら迷子案内で放送がかかるもんなんだろうけど、当時のダイヤはルビィ並みに内気で人見知りも激しかったので、手を差し伸べてくれる大人から逃げ回っていたせいで保護される事もなくさらに迷子になると言う悪循環に陥っていたせいで全然見つけられなかった。え?ならどうやって見つけたかって?それは切符売り場の上にある路線図を見てあまりに複雑さにパニックを起こしたダイヤが超音波がごとく、ピギャーーー!!、と泣き叫んだため少し離れてところを探していた俺が気付くことができ何とか無事に再会できたのだ。そのトラウマからしばらくは人混みを嫌がり買い物に行くのも苦労したと聞く。それを今人に流され思い出してしまったらしい。

 

「よしよし。ダイヤがどこにいても俺が必ず迎えに行くから大丈夫だ。あの時もそうだっただろ?」

 

「えぇ・・・・ぐすっ」

 

「だからもう泣くな。初デートなんだし楽しもうぜ♪それから、もうはぐれないように・・・こうすれば安心だろ?」

 

 俺はそう言って安心させようとダイヤの手を少し強く握ると少し落ち着いたのか、まだ涙目だが笑顔を見せてくれた。

 

「ありがとうございます♪なんだかみっともないところを見せてしまい申し訳ありません・・・。」

 

「気にすんなって♪」

 

「それとその///」

 

「ん?」

 

「こうして抱きしめていただけるのはとても嬉しいのですが、そろそろ離していただけると助かるのですが///」

 

「へ?」

 

 ダイヤがとても恥ずかしそうにするので、ふと周りを見渡すと俺達を中心に囲むように人だかりができていた。どうやら周りから好奇の目で見られているらしい。そりゃそうか///女の子が泣いていてそれを人目もはばからず、手を握り締めながら抱きあっているカップルがいるんだもんなぁ、そりゃ注目の的にもなるよな///俺も同じ状況に出くわしたら見守ってしまうかもしれない。しかも周りからは『若いっていいわね~』『あのお兄ちゃん達ラブラブだ~』『Wow!これはいいものが見れたワ☆』『付き合うってここまでするんだ///』『良かったね、お姉ちゃん///』などの声がちらほら聞こえてきた。後半なんか聞きなれた声が聞こえてきた気もするが今の俺は恥ずかしすぎてそれどころではなかった。

 

「わ・悪い!!」

 

「い・いえ///」

 

「と・とりあえず、飯買いに行こうか?」

 

「そうですわね///」

 

 俺とダイヤは昼食を買うまで間、周りから温かい目で見守られていた。針のむしろと言ったところだろうか?穴があったら入りたいと言った方がいいのかな?とにかく恥ずかしい事極まりなかった。

 注文した品を受けとるや俺とダイヤはそそくさとテラスの方へ逃げるように向かった。しかしそこはお昼時、すべての席が埋まっていた。まぁ、今日は天気もよく温かいから気持ちのいいテラスで食べようと思うのはみんな同じだよなぁ・・・。そう思いながらもあたりを見回していると丁度一組の家族が食べ終わったようで席を立とうとしていたので、その家族に確認をとり席を確保できた。ちなみに今日の昼食は俺が、さばのトマトスパゲッティ、でダイヤが和風おろしツナスパゲッティである。

 

「いやぁ、しかしさっきはほんとまいったよ///」

 

「本当ですわ///私が原因なのは否定しませんが、あれはとても恥ずかしかったです///」

 

「次からはちゃんと周りを見るようにするからさ。」

 

「でも、とても嬉しかったですわ///」

 

「あはは///あ、パスタが冷めちゃう前に早く食おうぜ?」

 

「そうですね///」

 

 そのあと俺達は少し恥ずかしさが残る中お互いのパスタを食べ比べたりしながら楽しい時間を過ごした。お互い完食して海を見ながら一服していると潮風が心地肌を撫でて来る。

 

「なんかこういうのいいなぁ・・・」

 

「急にどうしたんですの?」

 

「いやなんかさ、好きな子とこうしてデートして過ごす休日って凄く満たされてるって言うか、今まで智也とかとバカやって遊んだりしてたけど、それはそれでもちろん楽しいんだけどさ、こうしてダイヤと一緒にいるととても落ち着くっていうか幸せだなぁって思えて、こんな時間がいつまでも続いたらいいなぁって・・・」

 

「悠さん///・・・そうですわね。こんな何気ない時間がなによりも尊いものなのかもしれませんわね・・・」

 

「そうかもしれないな・・・」

 

 俺とダイヤは今と言うかけがえのない時間をかみしめながら海を眺めていると視界の片隅で誰か近ずいてくるのが見えたかと思うと俺達の座っているテーブルの前で止まったかと思うと・・・。

 

「あなた達はどこの熟年夫婦よ!!」

 

「え!?」

 

「はい!?・・・ってマリー!!と・・・果南とルビィ!?」

 

 突然の突っ込みに俺とダイヤは驚き振り向くとそこにはなぜかご立腹のマリーと、マリーを追うように走ってくる果南とルビィがそこにいた。

 

「なんでマリー達がここにいるんだ?」

 

「それはそのぉ・・・」

 

「お姉ちゃんごめんなさい!!ルビィ・・・」

 

「そんなことはどうでもいいの!!それより何さっきの会話はっ!?」

 

「何?と言われましても・・・・?」

 

「さっきは抱き合って甘いセリフを言ってたかと思ったら今度は縁側でお茶を飲む老夫婦みたいな会話はなに!?もっと若者らしくシャイニーな会話はできないの!?」

 

 ん?今何って言った?抱き合っているところを見たですとっ!?

 

「おい、ちょっと待てマリー、今何て言った!?」

 

「え?だから老夫婦みたいな・・・」

 

「それはそれで遺憾だが・・・じゃなくてその前だ!!その前!!」

 

「抱き合って甘いセ・・・リフを・・・あ!・・・」

 

 マリーはやっと今自分がしている事を理解したのか、しまった、的な顔をした。後ろを見てみると果南は、あちゃ~、といった表情で頭を押さえ、ルビィはどうしていいか分からずあたりをキョロキョロ見渡してアタフタしていた。

 

「これは一体どういうことですの?三人ともちゃんと説明してくださいますわよね?」

 

「えっと・・・」

 

「うゆうゆ・・・」

 

「し、シャイニー!!」

 

 涙目になり顔を真っ赤にしたダイヤに問い詰められた三人は、果南はバツの悪そうに顔を逸らし、ルビィは泣きそうになり、マリーは海に向かってシャイニーとか叫びだした。

 

「ちゃんと答えなさ~~~いっ!!」

 

「oh!!」「あうっ!」「ピギャ!!」

 

 そんな三人をダイヤが一喝すると三人ともシュンと項垂れてしまった・・・というか三人とも若干震えていた。あまりの恥ずかしさにテンパっているんだろうが今のダイヤは物凄く怖かった・・・。正直俺が怒られているわけではないのに一緒に謝ってしまいそうなほど迫力があった。

 まぁ、それはさておき、ダイヤに怒られた三人は可哀想なことにこのテラスで正座させられダイヤから尋問を受けていた。

 

「それで、これは一体どういうことなんですか?納得がいく説明をしてください。」

 

「それはデスネ・・・あぁ!!そんなことより、今日のダイヤはとっても素敵なFashionね☆初デートで頑張ったのかしら?☆」

 

「えぇまぁ///って話をはぐらかさないでくださいな!!」

 

「はぐらかしてないって☆こんな可愛いダイヤが見れてユウも惚れなおしたんじゃない?ねぇユウ?」

 

「え?あ・あぁ。確かによく似合ってて可愛いと思うよ♪」

 

「悠さん////・・・・ってそうじゃないでしょ!!」

 

 危うくマリーの誘導に引っ掛かりそうになったダイヤだがすぐに持ち直しテーブルをバンっ!と叩いていた。痛そうだなぁと思っているとやはり痛かったのか、先ほどとは別の意味で涙目になりながら手をヒラヒラさせていた。ほんと俺の彼女はやることが可愛いなぁ♪

 そしてそんなダイヤを見てマリーと果南は笑っていたがダイヤに睨まれて慌てて怯んでいた。

 

「ったく、あなた達は今は笑っていられる立場ではないでしょ?いい加減はぐらさないでちゃんと話してください!」

 

 マリー達はというか、マリーはもうごまかせないと分かったのかここに至るまでの説明をさらっと始めた。

 まぁ、予想通りちゃ予想通りの回答だったが、早い話が俺とダイヤが付き合えたのはマリー達のおかげだしここまで面倒みたからには初デートまで見届けなくてはと・・・そう言うことらしい。絶対に面白そうだから以外ないと思うんだけどまぁ、この際それはいいだろう。

 ではなぜ果南とルビィまで居るかと言うと、果南は最初は反対していたらしいのだが、そこは年頃の女の子、恋愛事に対する好奇心が女子高で近くに男子がいない環境と言う事もあり押さえきれなかったらしい。ルビィにいたっては不憫としか言いようがなかった。俺とダイヤが出かけてすぐ近くのコンビニに買い物に行こうとしたところ、俺達の後をつけるマリーと果南を発見してしまい口封じのため共犯にすべく拉致られたそうな・・・。

 

「まったく二人とも何を考えているんですか!!まぁ、親友の恋愛事情に興味があるのは分からないでもありませんが私の可愛いルビィまで巻き込むなんて!!」

 

「まぁまぁ、少し落ち着けって。」

 

「ですが・・・」

 

「まぁ、確かにルビィを巻き込んだ事はやり過ぎだけど、マリーも果南も興味本意ではあるもののダイヤの事が心配だったんだろから後をつけてきたんだろうし、今日のところはこれで許してやったら?」

 

「はぁ・・・・悠さんは優しすぎです・・・。ですが、そうですわね、お二方が心配してくれたのはなんとなくわかりますし今日は許してあげます。」

 

「ダイヤァ☆」

 

「ありがとうダイヤ♪」

 

「ですが折角のデートなんですから尾行なんてこれっきりにしてくださいね?それとルビィも!仕方ないとはいえ、もう少し嫌な事はちゃんと断るようにしないといけませんよ?」

 

「「「はぁい。」」」

 

「さて、話もまとまったようだし、ここからはみんなで回るか♪」

 

「ちょ、悠さん!?」

 

「折角入園料払ってるのにこのまま帰れってのも可哀想だし、かと言って園内にいるの分かってて別行動ってのもあれだしさ、この際みんなで楽しまないか?二人っきりのデートはまた改めてってことでさ?」

 

「いいのお兄ちゃん?」

 

「そうだよ、折角のデートなのに・・・」

 

「俺は構わないよ?それとも高い入園料払ってこれで帰る?」

 

「それはそのぉ・・・」

 

「しかし悠さん・・・」

 

「それにさほっといたらマリーの事だ、またこそり後付けて来るかもだぞ?」

 

「(ぎくっ!!)」

 

 今マリーが一瞬反応したような気がするがまぁ、見なかったことにしておいてやるか。まぁダイヤには悪いけど、またこっそり覗かれたるするくらいなら目の届くところにいてくれた方が楽しめるし、この埋め合わせは帰りにお土産でも買って許してもらおう。

 

「まったく、悠さんは甘いですわ!・・・しかしそこが悠さんのいいところでもありますし、仕方ありませんわね。私もまたこっそり後をつけられるくらいなら皆さんと楽しんだ方がましですし、今日のところは大目に見ましょう。」

 

「ありがとうダイヤ。流石俺の彼女♪」

 

「ただし、この埋め合わせはしっかりしてもらいませからね!!」

 

「あはは~。了解で~す。」

 

 ダイヤがジト目でズイっと寄ってきた。こりゃ完全に主導権をダイヤに握られたなぁ・・・。

 

「さて、そうと決まればだいぶ時間を無駄にしてしまいましたし、さっそくみんなで見て回りましょうか♪」

 

「「「「お~っ!!」」」」

 

 こうして俺達は4人で楽しく見て回ったのだった。とんだ初デートなってしまったけど、これはこれでいい思い出になるのかな?きっと数年後とかに今日を振り返って4人で笑う日が来たりするんだろうなぁ。

 ちなみに三津シーを回っているときに、うちっちーと出会えたのでしっかり記念撮影してきた♪その後にダイヤにねだられて結構大きい、うちっちーのぬいぐるみを買わされたためお財布が薄くなっって焦ったのは内緒の話。




前回イチャラブ回と行ったけどあまりイチャラブさせられなかったw

まぁ、この回は2年後への伏線回ってことでw

ここから先は少しづつ解散へ向けてシリアスが多くなってきますが良かったらまた読んでやってください♪

ではまた♪


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第15話 ~これが精一杯でした~

かなり遅くなってしまったけど曜ちゃん誕生日おめでとう♪


 あのドタバタの初デートから約一週間経った。付き合う前から俺の部屋の片づけなど手伝ってくれていたダイヤは今まで通り俺の世話のために通ってくれている。そんな中、うちに来る時は次の曲の打ち合わせをして過ごした。俺としてはもう少し恋人らしい時間の過ごし方をしたいとは思うけど、Aqoursの知名度を上げるためにはやはりコンスタントに曲を発表しないといけないし、何よりダイヤがとても楽しそうにしているので今は仕方ないなと我慢している。そして先ほどダイヤから曲が出来たと連絡があったので今ダイヤがこちらに楽譜を持って向かっていた。

 

ピンポ~ン♪

 

「は~い」

 

「悠さんお待たせしました♪」

 

 玄関を開けるとそこにはニコニコ顔のダイヤがいた。

 

「思ったより早かったな?」

 

「えぇ♪早く悠さんに逢いたかったですし、前回よりいい曲ができた気がして舞い上がってしまい走ってきてしまいました。」

 

 よく見るとダイヤの顔は上気しておりうっすらと汗をかいていた。うっすらと赤くなっている顔って不思議と色気があり、しかも、今日は白のブラウスを着ているせいで、汗のせいでうっすらと下着が透けて見えてしますので、色々我慢している俺にとって理性を押さえるのは一苦労だった。俺はダイヤを部屋に上げるとすぐに洗いたてのタオルをダイヤに渡したが、最初はなぜタオルを渡されたのか分かっていなかったダイヤだが自分が汗をかいていると気付くと恥ずかしそうに脱衣所に逃げて行った。まったく無防備と言うかなんというか・・・あんな可愛いしぐさをされては俺の細い糸で繋がっている理性はすぐに切れてしまう・・・。

 

「た・タオルありがとうございました。浮かれていてあんなに汗をかいているのに気付きませんでした///お見苦しい姿を見せてしまい申し訳ありません////」

 

「へ?い・いや別にそんなことないぞ?むしろ色っぽくてドキドキしたというか・・・って!!何言ってんだ俺!?」

 

「/////本当にドキドキしてくださったのですか?」

 

「お・おう!」

 

 俺とダイヤは少し見つめあうとダイヤが目をそっと閉じた。こ、これはもしや、してもいい、ということだろうか!?本当にいいのか?この状況でダメってことはないよな?しかし・・・でもでも、据え膳食わねばなんとやらというし・・・・。

 なんて悩んでいた俺だがダイヤをよく見ると顔を真っ赤にして小刻みに震えていた。きっとダイヤは恥ずかしいのを我慢して勇気を振り絞って俺との関係を進展させようとしてくれてるんだろう。俺ってば本当に情けない・・・。俺の方が男で年上だしリードしていかなきゃいけないのに、告白の時もそう、デートに誘うのだって誰かに後押しいてもらわないと何か理由をつけて自分の意気地のなさを誤魔化してなかなか前に進めないんだから情けない以外の言葉が見つからない。でも、ダイヤがここまでしてくれてるんだ、ここで逃げたら男じゃないよな!?

 

「い・いいんだな?」

 

「//////」

 

 俺は一応ダイヤに確認をとると、ダイヤは無言だったが俺はそれを了承と取り、ダイヤの肩に手を置きそっと唇を近づけていく。

 

「っ////////」

 

ピンポ~ン♪

 

「のわぁ!?」

 

「!?////」

 

 だがしかし、あと1センチくらいというところでインターホンがなった。くそ~いいところだったのに誰だよ!!

 

「はーい?」

 

「シャイニー☆ダイヤから曲ができたから今からユウのところに行くって聞いたから差し入れ持ってきたわよ☆・・・・って、頭抱えてどうかしたの?」

 

 またこいつか!!俺は何度このシャイニー娘に邪魔されたらいいんだ?てかなんで毎度毎度タイミング良く邪魔するんだろうか?あれか?どこからか覗いてるんじゃないだろうな?

 

「い、いや、何でもない・・・・」

 

「そう?あ、ダイヤ~、シャイニー☆って、ダイヤも顔真っ赤にしてどうしたの?」

 

「いえ、なんでもありませんわ・・・・////」

 

「そう?あ!!もしかしてお邪魔だったかしら?☆」

 

「っ!?///////」

 

「で、なにしに来たんだマリー?」

 

 ダイヤがからかわれてテンパっているので助け船を出す。まぁ俺もかなり恥ずかしいけど今日はストッパーである果南は居ないみたいだし俺が何とかこいつを止めないと・・・。

 

「え?さっきも言ったでしょ?差し入れを持ってきたって☆」

 

 そういうとマリーはプリンの入った箱を開けて見せた。ちなみにプリンはダイヤの好物だ。

 

「そっか。ありがとう♪それじゃまたな。」

 

 俺はそう言うとトビラを閉めた・・・が、マリーがすかさず足を挟み込みそれを阻止した。

 

「ちょ!?なんで閉めようとするのよ!?」

 

「何でも何も、差し入れを持ってきただけなんだろ?今から編曲するところだからまた今度な?」

 

「イヤよ!!どんな曲なのか聞きたくてわざわざこんなところまで来たのに!!」

 

「こんなところで悪かったな!!だいたい、お前は俺らの応援をしているのか邪魔をしているのかどっちなんだ!?」

 

「何の事だかよくわからないけど、応援してるわよ?だから曲を聞かせなさいよ!!」

 

 とまぁ、こんな感じで噛み合ってるような噛み合ってないような問答をしているとダメージから回復したダイヤが俺とマリーを近所迷惑だからと止めに入ったので仕方なくマリーを部屋まで上げることになった。

 叫んでいたら喉が渇いたので三人分の麦茶を用意して席に着くとマリーにさっきの問答の続きを投げかけた。

 

「で、なんでわざわざ編曲もしてない曲を聞きにうちまで来たんだ?」

 

「あ、お構いなく☆あ、でも私紅茶がいいなぁ☆紅茶はないのかしら?喉が渇いたから早く欲しいなぁ☆」

 

「鞠莉さん言ってることが滅茶苦茶ですわよ!!それとちゃんと話を聞きなさい!!」

 

「It’sJoke☆」

 

「お前なぁ・・・・」

 

「別にたいしたことじゃいいんだけど、衣装のいいイメージがわかなくて、曲を聞いて考えようとしただけよ?」

 

「本当にそれだけですの?」

 

「もぉ!ダイヤまでさっきから何なの?果南もここに来る時誘ったら『馬に蹴られてくないからいいよ』とかいってたし。なんでここに来る事が馬にkickされることになるのか分からないけど・・・・」

 

「それはですね・・・」

 

「ダイヤダイヤ、それを自分たちで言うのは凄く恥ずかしいから・・・」

 

 果南さんその心づかいは大変ありがたいのですが、出来ればマリーをちゃんと止めてほしかった・・・・。ダイヤはダイヤで律義に説明しようとするし・・・・てか、ダイヤの話からするとマリーは結構頭いいはずなのになんでこんな言葉を知らないんだろうか?あれか?そこは『流石はダイヤの友達。類友だな』と納得しといたほうがいいのだろうか?

 

「と・とにかく事情は分かりました。ですが、それならそうと、ここに来る前に連絡の一つでも入れるべきだったんじゃないんですか?」

 

「連絡なら入れたよ?でもダイヤもユウも連絡付かないんだもん!!」

 

 俺とダイヤはマリーが連絡を入れたと言うのでお互いスマホの着信を確認してみるとマリーから確かに着信が何度か入っていた。その時間俺はダイヤが来るから部屋を片していて気付かなかったんだと思う。ダイヤはおそらくバスに乗った時に電源でも切っていてそのまま忘れていたのだろう。しかし、マリーには日を改めると言う選択肢はないのだろうか?普通連絡がつかなければ忙しいとか用事があるのだろうと、よほどの緊急の用でもない限り、折り返しの連絡を待ったり日を改めると思うんだけど・・・。まぁ、良くも悪くもこれが小原鞠莉なんだろうなぁ。

 

「ね?連絡してたでしょ?」

 

「そのようで・・・」

 

「申し訳ありません・・・」

 

「別にいいけどね☆それより曲聞かせて☆」

 

「わかった、わかった。今パソコンにデーター打ち込むから少し待っていてくれ。」

 

 マリーの催促に俺は観念して少し待つように言った。ダイヤが持ってきてくれた楽譜をパソコンの専用ソフトに打ち込まないと聞く事が出来ないからな。まぁ、俺がギターを引くというのも手ではあるが、楽譜を見てすぐ引けるほど上手くもないし仕方ない。

 それからしばらくしてパソコンにデータを打ち込み終わったのだが、打ち込み終わるまでが大変だった。何せマリーはじっと待ってる事が苦手なようで、最初はダイヤと今日あった他愛もない話をしていたのだが、しばらくしてあろうことか俺の部屋の家探しを始めたのだ。おかげで隠していたトレジャーがもう少しで見つかりそうになりあわや大参事、となるところだった・・・。大人しく待っていてくれたらそんなに時間がかからないのに、いらん時間を費やしてしまった・・・。

 

「へぇ、ずいぶん可愛らしい曲調ね☆これぞIdol!って感じかしら☆流石はダイヤね☆」

 

「いえ、それほどでも////でも、ありがとうございます♪」

 

「確かに、この歌詞によく合うな♪前回の曲とはまた違った可愛らしさが出ていていいと思うよ♪」

 

「本当ですか!?今回は少し自信があったのでとても嬉しいですわ♪」

 

「よし、ならダイヤのためにもきっちりとこの曲を完成させるからな♪」

 

「ワタシも可愛い衣装作るから待っててね☆」

 

「はい♪」

 

 曲を聞き終えたマリーはいくつか衣装の案が浮かんだと言って帰っていた。まるで風のように自由なやつだな・・・・。

 俺はと言うとダイヤと編曲をどうしたいかダイヤのイメージを聞いて編曲の構想を立てたところでいい時間になってしまったので、ダイヤの作ってくれて晩御飯を一緒に食べてダイヤを家まで送ることにした。ちなみに今日の献立は以前リクエストした魚の煮つけだった♪

 

「今日はお騒がせしてしまい申し訳ありません。」

 

「いいって♪別にダイヤが原因じゃないし、なんだかんだであの騒がしいのは嫌いじゃないから♪」

 

「それは鞠莉さんの事が気になるってことですか?」

 

「そんなんじゃないって!!」

 

「ムキになるところが怪しいですわ!!」

 

「えぇ!?」

 

「うふふ、冗談です♪」

 

 ダイヤが俺をからかっていると内浦方面のバスが到着した。

 

「悠さん今日はここまででいいですよ。」

 

「え?家まで送るぞ?」

 

「いえ、その今日はちょっと・・・」

 

「ん?どっかよって帰るのか?それなら付き合うけど?」

 

「そう言うわけではなくてですね・・・。」

 

 ダイヤはなんだかモジモジしながら歯切れの悪い返事をする。どうしたんだろ?俺なんかしたかな?

 しかしバス停でそんなやり取りをしていると出発の時間になり運転手のオジサンが乗るのかどうか尋ねてきた。ダイヤは慌てて「乗ります」とオジサンに伝えるとバスに乗り込もうとした。しかしダイヤはバスに乗りかけたがクルッと俺の方に振り向いたかと思うと次の瞬間俺の頬に温かく柔らかい感触がした。そう、ダイヤの唇の感触だった。あまりに突然の事に驚き固まっていると、顔を真っ赤にしたしたダイヤは俺に背を向けると、足早にバスに乗り込むとバスのドアが閉まりバスが発車していってしまった。そしてしばらくほおけていた俺だが、次第に思考回路が動き出し状況を理解するがそれでも信じられない出来事だ。

 

「え・・・・?え?えぇぇぇぇぇ!?」

 

 やっと声が出せた俺はあまりにも間抜けな声を出してしまった。だってあのダイヤが人目もはばからずキスをしてきたんだぞ!?(頬にだけど)と言うか、マリーの乱入以降、なんだかんだでこういった雰囲気にならなかったからまた今度と思っていただけにこの不意打ちの破壊力はでか過ぎる!!幸いなことに帰宅ラッシュの時間は過ぎていて周りにあまり人がいなかったが、それでも人目はあるのに・・・てか、本来ならこういうの男からするもんだよね?あれ?もしかして俺ってばここまで一切男らしさが出せてない!?なんてこった!!って、今はそんなこと考えてる場合じゃなかった!!

 俺は慌ててダイヤへ電話をかけたが、バスに乗ってるからかはたまた恥ずかしいからかは分からないがダイヤは電話に出てくれなかった。しかし、すぐにダイヤからメールが来た。俺はメールを開いて内容を確認するとこう書かれていた。

 

『勇気を出してみましたが、私にはこれが精一杯でした/////』

 

 と、この短い文だけだったが、ダイヤがどれほど頑張ってくれてくれたかがよくわかった。まだ付き合って2週間ほどだが、よく考えてみたら初デートはおまけ付きだったし、その後もメールやで電話はよくするようになったが、付き合う前とほとんど変わらない生活をしてたんだ。特にダイヤは俺への片思いが長かったから、表には出さなくても恋人らしい事が何もないのが不安だったんだろうなぁ・・・・。なのにやっと進展がありそうな雰囲気になったのにマリーの乱入があり先延ばしになってしまったからダイヤが勇気を振り絞ってくれたんだろう。もっと俺がしっかりとしてダイヤを不安にさせないようにしないとな。

 俺はダイヤに『ありがとう。次は俺がちゃんとするから。』と返信をして頬に残る感触の余韻に浸りながら家路に着いた。

 

 

 そんな幸せな時とは裏腹に、この時の俺達はこの日常の歯車が狂い始めた事をまだ知るすべがなかったのだった・・・・。

 

 

~~鞠莉side~~

 

 今日はダイヤには悪いことしちゃったなぁ。帰って来てから果南に曲の感想を連絡したら『二人の時間を邪魔しちゃだめだよ』って怒られちゃった・・・。でもまぁその甲斐あっていいIdeaは浮かんだけどね☆やっぱりInspirationは大事よねぇ~☆

 

コンコン

 

「は~い?」

 

「鞠莉、パパだけど少しいいかい?」

 

 ワタシが次のライブの衣装のデザインをしていたらパパがノックしてきた。いつも忙しい人だからこんな時間にワタシの部屋に来るなんて珍しいなぁ。

 

「大丈夫よ~。」

 

「お楽しみの最中に申し訳ないね。」

 

「気にしないで☆それでこんな時間にどうしたの?」

 

「実は鞠莉に留学の話が来ているんだ」

 

「え?留学!?」

 

「そうなんだ。先方さんが鞠莉の学力を見てぜひ来てほしいと言ってくれていてね。パパとしても将来的にはパパの事業を鞠莉に継いでほしいと思っているから、向こうで頑張ってみないか?」

 

「ん~、とても魅力的な話だけどゴメンナサイ。今はワタシやりたい事があるの。モチロン、パパの後を継ぎたくないってわけじゃないし、今留学して勉強に集中した方がいい事も分かるんだけど、それでも今のワタシには将来の事より今が大事なの。」

 

「そうか・・・。急にすまなかったね。でも、もう少し考えてみてくれないか?向こうはいつでも構わないと言ってくれているから、気が変わったらいつでもパパに言ってくれればいいから。」

 

 パパはおやすみと言って少し寂しそうな顔をして部屋から出て行った。パパには悪いことしちゃったかな?ワタシの事を想って言ってくれていたんだしね・・・。でもごめんねパパ。今は将来の事よりダイヤと果南それにユウと一緒にどこまでいけるか、自分達だけで何ができるのかそれが知りたいの。だから今はごめんなさい・・・・。

 

「さてと、次の衣装のデザインを完成させなくっちゃね☆」

 

 

 この時のワタシは本当はもう時間がない事を薄々気付いていたのかもしれない。でもそんな未来はワタシの望むものじゃないと気付かないふりをしていたのかもしれない。でもそれがいけなかった・・・・。そのことにワタシが気付いた時にはもうどうにもならなくなってからだった・・・・。もしもあの時私が素直に自分の気持ちをぶつける事が出来ていたならもしかして・・・・・・・

 

~~鞠莉side END~~




いかがだったでしょうか?

前回あまりイチャラブさせられなかったのでリベンジしてみましたw
唐突すぎでしたかね?まぁいいかw
少しでもダイヤ様を可愛いと思っていただけたら幸いです♪

では宜しければ次も読んでやってください♪

ほたるいるか さん感想ありがとうございました♪

お気に入り登録してくださった皆様もありがとうございます♪


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第16話 ~猛特訓していきますわよ~

「やりましたわっ!!!」

 

「お・おうっ!?いきなりどうしたダイヤ?」

 

 あのキス(頬だったけど)から早くも3週間ほどたった。その間にAqoursの2nd曲が完成しPV撮影を兼ねたライブも大成功に収めた。曲が完成してからは振り付けやら練習やらでダイヤは大忙しであまりイチャラブが出来なく・・・え?そんなことよりちゃんとキスはしたのかって?あ・・・・まぁやっぱり俺も恥ずかしかったのでおでこにするのが限界でした・・・・情けないと笑いたければ笑うがいい!!でもいいんです~!!俺らのペースでやっていくからっ!!

 そんなことより、今日はライブも終わり久し振りにダイヤとのんびり過ごす予定だったのだが、ダイヤが物凄く興奮しながらうちに来て先の発言である。どれほど興奮しているかと言うと、アニメなどで鼻から蒸気が噴き出すような感じでフンスッ!といった感じで鼻息が荒い。ダイヤがこんなに興奮するほど一体何がやったと言うのだろうか?ランキングが大幅に上がったことだろうか?それなら昨日ダイヤと電話で話したしここまで興奮しては来ないだろうからどうしたんだろう?

 

「先ほど連絡がありまして、この間のPVの評判が凄くいいらしく、人気急上昇の注目グループとして2週間後に東京で行われるスクールアイドルのイベントに呼ばれたんですの!!」

 

「おぉ!!それは凄いな!!東京のイベントって言ったら有名なグループとかたくさん来るんだろ?そんなイベントに呼ばれるなんて快挙じゃないか!!」

 

 今やスクールアイドルはドーム大会が開かれるほど人気があるとはいえ、人気のあるグループのほとんどは東京周辺に偏りがありかなりの激戦区なんだとか・・・。それゆえに東京周辺のグループは地方のグループよりも格段にレベルが高いと勇さんから聞いたことがある。しかも聞けば、今回呼ばれたイベントは参加自由のイベントではなくラブライブの運営委員会が招待したグループしか参加できないイベントらしく、ミニラブライブのようなものらしい。しかも、このイベントに招待されているグループのほとんどがやはり東京周辺の有名グループばかりで、そのほとんどがラブライブ出場経験者らしい。そんなラブライブ前哨戦のようなイベントに呼ばれたのだからそりゃ興奮もするよなぁ。実際この話を聞いた俺もテンションが上がってきたのだから当人であるダイヤの興奮は計り知れないものだろう。

 

「ただ、ここで一つ問題が・・・」

 

 先ほどまで異常にテンションの高かったダイヤだが急に暗い顔をした。どうしたんだろう?

 

「なんかあったのか?学校から許可が下りなかったとか?」

 

「いえ、先ほど連絡が来たのでまだ学校には話してないのですが、許可が下りないという事はないと思うのですが、当然の事ですが向かう場所が東京なんです・・・・」

 

「あぁ・・・やっぱり腰が引けちゃうんだ?」

 

「えぇ・・・・もう高校生にもなってお恥ずかしい話なのですが、どうしてもあの時の事を思い出してしまって・・・」

 

「まぁ、当然ちゃ、当然だよな。でも、それならどうするんだ?出場を辞退するのか?」

 

「いえ、まだ果南さんと鞠莉さんに話してませんし私の独断ではそれは決まられませんし、イベントには参加したいです。ですので、もし悠さんが大丈夫ならですが東京まで付き添ってきていただけませんか?」

 

「ダイヤの為なら全然構わないぞ♪」

 

「本当ですか!?よかった~。」

 

「だたし、ちゃんとおじさん達は当然だが果南とマリーの親御さんとと学校にはちゃんと許可をとれよ?東京でイベントってことは泊りがけでいかないといけないからな。俺一人なら満喫だろうとどこだろうと寝るのに困らないけど女子高生がそんな時間に満喫なんかには入れないし、借りに年齢を誤魔化して入ったとしても女の子3人だけじゃ危ないからな。ちゃんと許可を貰って寝るところも確保しないとな。」

 

 俺はダイヤにちゃんと許可をとるようにいっておいた。その後はダイヤと一緒に今度行くHPを見たりその周辺の宿などを調べ今人気のスクールアイドルはどこでどんな感じなのかダイヤが楽しそうに話して1日が終わってしまった。のんびり部屋でDVDを見たりしながら過ごしたかったぁなんて思ったけど、スクールアイドルの話をしているダイヤがとても楽しそうだったのでまぁいいか♪

 

 

~~ダイヤside~~

 

 昨日は久しぶりに悠さんに甘えようと思いましたのに東京でのイベントの知らせに舞い上がってしまいスクールアイドルの話をしただけで1日が終わってしまいましたわ・・・・。私とした事が・・・・。でも悔やんでも仕方ありませんわね。悠さんに甘えるのはいつでもできますがイベントは待ってくれませんものね!!

 と言うわけで昨日東京でのイベントの知らせがあった事を果南さんと鞠莉さんに伝えるべく、昼休みに部室でお昼を食べてから二人に伝える事にしました。

 

「東京!?」

 

「そうですの!!私たちが呼ばれたんですのよ!!」

 

 果南さんは次の曲の歌詞をホワイトボードに書いていましたが少し驚いてこちらに振り向き質問を返してきたので私はクルット回ってその質問に答えて見せました。少し舞い上がりすぎかもしれませんが嬉しいのだから仕方ありませんわよね?

 

「ダイヤ・・・ずいぶん鼻息がBerryHard・・・」

 

 すると鞠莉さんが少し呆れた顔で私が興奮して少し鼻息が荒くなってしまったことを指摘してきたので慌てて鼻を隠して隠しました。やはり舞い上がり過ぎだったようですわね・・・なんだか恥ずかしいですわ///

 

「と・とにかくチャンスですわ!!このイベントで有名になればラブライブが一気に近づきますわ!!」

 

「そうだね♪こんなチャンスもしかしたら二度とないかもしれないし頑張ろうか♪」

 

「これはシャイニーな展開ね☆ワタシ達ならきっとどこまでもいけるよ☆」

 

 最初はいきなりの展開に着いていけていなかった二人ですが、ラブライブという言葉を聞いたら二人とも目を輝かせてこのイベントの意気込みを口にしてくださいました。

 

「果南さんも鞠莉さんも乗り気になってくださったので、後は学校の許可さえ取れば完璧ですわ♪」

 

 と言うわけで私たちは放課後理事長室へ向かい、学校の許可をとることとなったのですが、参加そのものに対して反対されなかったものの、やはり高校生だけで泊りがけで東京に行くとういう事が問題視され誰か保護者が同伴することが参加条件と言われてしまいました。誰か臨時で顧問を引き受けてくれる先生を探しましたがあいにくどの先生も担当顧問の部活が忙しいらしく断られてしまいました。

 

「まさかこんな盲点があろうとは・・・」

 

「まったくですわ。ここにきて先生方も忙しくて付き添えないなんて・・・・」

 

 付き添いの保護者としてまず先生方にあたってみたものの見事に全滅してしまった私達は部室に戻り溜息をつくしかありませんでした。

 

「保護者と言っても先生はダメとなるとワタシ達の親にお願いするしかないけれど・・・・」

 

「うちは店が忙しいから難しいなぁ・・・」

 

「ワタシのところもだよ・・・パパもママもしばらく海外だし・・・・」

 

「私の家もですわ・・・お父様もお母様も忙しい方なので日帰りできるならともかく、泊りがけでとなるとちょと・・・」

 

「「「はぁ・・・・・」」」

 

 どうしましょう、まさかこんなチャンスを前にして諦めなくてはいけませんの?

 

「ねぇ、ユウを保護者にするっていうのはどうかな?どうせダイヤに付き添って東京に行くんでしょ?」

 

「え?えぇ・・・ですが、うちの親はともかく、果南さんや鞠莉さんのご両親や学校がそれを許してくれるでしょうか?」

 

「そうだねぇ。私の親はちゃんと説明すれば分かってもらえるとは思うけど、学校は許してくれないんじゃない?悠君だって未成年で若い男の人だし・・・」

 

「それならばNoProblem☆そこは私達の親が許可したと言えば学校は黙ると思うから問題ないはずよ☆」

 

「本当かなぁ・・・・」

 

「とにかくユウが保護者役をやってくれるか確認して、あとはワタシ達の親を説得すれば解決じゃない?」

 

 鞠莉さんの中ではすでに解決したらしく一人でうんうんと頷いていました。

 

「というわけでダイヤ、ダイヤのDarlingにさっそく電話よ☆」

 

「だっ!?////ちょと鞠莉さん!!」

 

「キャ~!!ダイヤが怒った~☆」

 

 まったく!!・・・・でもどうしてこう私は鞠莉さんに毎度からかわれてしまうのでしょうか?果南さんもいき過ぎなければ止めてはくれませんし、なんなら一緒にからかってきますし、そんなに私はいじりやすいのでしょうか?自分ではしっかりしているつもしなのですが・・・・。

 

「とりあえず、ダイヤは何を考えこんでるのかは知らないけど早く悠君に確認しないと。のんびりしていたら返事の期限はあっという間に過ぎちゃうよ?」

 

「そ・そうですわね」

 

 私は果南さんに促されて悠さんに電話をかけました。悠さんに事情を説明したところ驚いてはいましたが、もともと一緒に行く予定だったんだから問題ないとおっしゃってくれましたが、やはり親と学校の許可だけはちゃんと取るようにと釘を刺されてしまいました。

 

 

 そして次の日結果から言うと全員親からの許可がとれました。私の家はお父様もお母様も悠さんの事をよく知っているから問題はないと思っていましたが、果南さんと鞠莉さんの家がこんな簡単に許可がおりるとは思いませんでした。

 

「それにしても果南さんも鞠莉さんもどうやって悠さんの事をご両親に説得したんですの?」

 

「え?どうやってって、ダイヤにゾッコンLOVEの彼氏だから安全な人だから大丈夫よって☆」

 

「あ、わたしも。」

 

 なんだかとても恥ずかしいのですが・・・・。というか、それでなんで許可がおりるのでしょうか?家はお父様が少し不機嫌になってお母様に窘められていたのに・・・

 

「さて~、後はこの事を理事長に報告しに行くだけね☆」

 

 そして理事長にこの事を報告すると簡単に許可が下りました。なんだかあっさりで拍子抜けでしたが、なにはともあれこれで東京のイベントに参加できますわ!!

 

「では、今日からイベントまでは猛特訓していきますわよ!!」

 

「「おぉ~!!」」

 

 

~~ダイヤsido END~~




いかがでしたか?

今回は少し短めなうえにあまり盛り上がりもギャグもなかったですが、書きたい事を書こうとしたら、今回は嵐の前の静けさ、的な回になってしまいましたw

次回からは果南ちゃんと鞠莉ちゃんに焦点がかなり当たると思いますがダイヤ様もちゃんと活躍させる気満々なので宜しかったら次回も読んでやってください♪


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第17話 ~この三人で歩いていたい~

~~果南side~~

 

 東京のイベント参加の許可をとってから1週間がたった。あれからわたし達は毎日遅くまで基礎体力作りからダンスに歌と猛特訓をしている。昨日あたりは流石に疲れがたまったのかダイヤも鞠莉も少しヘバッていたけどラブラブに出ようと思ったらこれくらいは頑張らないとね♪とはいえ、無理は禁物だから今日あたりは軽く体を動かしたら後は休みにしようかな?そうしよう♪休むのも大事なトレーニングだもんね♪この授業が終わったら二人に相談しよっと♪

 

 

「ねぇ、ダイヤ、鞠莉・・・ってあれ?ねぇダイヤ、鞠莉は?」

 

「さぁ?授業が終わったら足早に教室から出て行かれましたがどこに行ったかまでは・・・。おそらくお手洗いだとは思いますが・・・」

 

「そっか。まぁ鞠莉には後で話せばいいか。」

 

「どうしたんですの?」

 

「あのね、今日の練習なんだけど・・・」

 

「松浦、ちょっといいか?」

 

 ダイヤに今日の予定を離そうとしたら今まで授業をしていた先生に呼ばれてしまった。ダイヤに後で話すと断りを入れて先生のもとへ行くと、先ほど集めたノートを職員室まで運んでおいてと言うことだった。まぁ、今日は日直だから仕方ないか。

 わたしはさっき集めたクラス全員のノートを抱えて職員室へと向かった。そして職員室に入ろうとしたら中から鞠莉と担任の先生の話し声が聞こえてきた。普段なら気にせず中に入るのだけれど、なぜかこの時のわたしは職員室に入ることができず二人の話を盗み聞きをしてしまった。一体何を話してるんだろう?

 

「本当に断るの!?ご両親も先方もぜひっておっしゃってるの。もし向こうで卒業すれば大学の推薦だって・・・」

 

「いいんです。ワタシSchoolIdol始めたんです!学校を救うために!!」

 

これってまさか留学の話!?確かに鞠莉は凄く頭いいしそんな話が来ても不思議じゃないけど・・・・。

 

「そうかもしれないけど、これはあなたの将来に大きくかかわってくる話なのだからもう少しよく考えてみてくれないかしら?折角先方も何度も話をくれているのだし・・・」

 

「ありがとうございます。だけど何度言われても考えは変わりません。ワタシは将来の事よりも今が大事ですから。」

 

 話からすると留学の話は今回が初めてではないみたい。これってやっぱりわたし達のせい・・・なのかな・・・?わたし達がスクールアイドルをやろうって誘ったから?だから将来よりもわたし達をとったの?鞠莉は本当にそれでいいの?鞠莉くらい頭が良かったらなんになってなれるのに、そんな簡単に将来の可能性を潰していいの?

 

「とにかく、先方はもう少し待つと言ってくれているからよく考えて。」

 

「・・・分かりました。考える事だけはしてみます。では、失礼します。」

 

 鞠莉は担任の先生と話し終えると職員室から出ようとしたのでわたしは慌てて別のドアから入れ違うように職員室に入って頼まれたノートを先生の机の上に置いてわたしも職員室を後にしようとしたら、わたしを見かけた担任の先生に呼びとめられてしまった。

 

「あ、松浦さん丁度いいところにいたわ。小原さんの事でちょっと話があるのだけれど放課後少し時間を貰えないかしら?出来れば黒澤さんにも来てほしいのだけれど・・・」

 

「・・・分かりました。わたしからダイ・・黒澤さんには伝えておきます。」

 

「悪いわね。それじゃ放課後二人で職員室に来てね。」

 

 わたしは担任の先生にお辞儀をして教室に戻った。鞠莉の事の話とは間違いなく留学の事だろう。でもその話を聞かされてわたし・・・わたし達はどう答えたらいいのだろう?折角ラブライブへの希望が少し見えたと言うのに解散しないといけないのかな?でも鞠莉の将来を考えたらそうすることが最善なのは分かる。でも・・・。

 わたしは答えの出ぬまま教室に戻ると、ダイヤと鞠莉が楽しそうに話していた。

 

「あ、果南☆遅いよ~。今日の練習どうしようかってダイヤと話してたんだけどさ~」

 

「ごめん、わたし用事があって練習できそうにないから今日は休みにしない?この1週間結構ハードにやってたし丁度いいから休養も兼ねて休みにしよ。」

 

「えぇ~!!」

 

「ごめんね?ダイヤはどう?」

 

「そうですわねぇ・・・本当は練習をしたいところですが、果南さんが居なくてはフォーメーションの確認ができませんし休む事も大切な練習ですものね。今日はお休みにしましょう。」

 

「ダイヤまでそう言うなら仕方ないか・・・」

 

 わたしは改めてごめんと言うと次の授業の始まりを告げるチャイムが鳴った。わたしは席に戻るとさっとダイヤに、放課後鞠莉の事で大事な話があるから鞠莉に気付かれないよう職員室に来てほしい、とだけ書いたメールを出した。

 

 

 

 そして放課後、わたしとダイヤは担任の先生の前にいた。

 

「色々忙しいのに放課後に呼び出してごめんね。」

 

「いえ、それは構わないのですが、鞠莉さん事で大事な話とはなんですの?」

 

「その事なんだけど、実は今小原さんに留学の話が来てるの。」

 

「え!?そうなんですの?」

 

「えぇ。しかもかなりいいところからぜひ来てほしいと言ってくれているのだけれど、当の本人は留学しないの一点張りで・・・。」

 

「・・・・・。」

 

「それで、私たちに説得しろということですか?」

 

 流石はダイヤ。先生の言いたい事をすぐ理解したみたい。でもダイヤは一体どうこたえるのだろう?正直わたしはどうしたらいいのかさっぱり分からない。鞠莉は大切な友達で、だからこそ明るい未来が待っているのならそこに迷わず進んでほしいと思う。だけどそれと同時に、わたしはまだ、この三人で歩いていたいとも思ってしまう。

 

「流石は黒澤さんね。話が早くて助かるわ。単刀直入に言うわね。黒澤さんと松浦さんには小原さんの事を説得してほしいの。三人がこの学校の為にスクールアイドルとして頑張ってくれている事はよく知っているわ。でも、通過点にしか過ぎない高校生活の為に将来を棒に振ってほしくないの。」

 

「先生のおっしゃっている事はよくわかります。確かに鞠莉さんのは才能のある方ですわ。その才能は世の中の為に使うべきだとも思います。ですが・・・」

 

 やっぱりダイヤもこの話を聞いて迷ってるみたい。そうだよね・・・。将来も大事・・・だけど、それと同じくらい二度とこない”今”と言うこの時間も大事だもんね・・・。

 

「松浦さんはこの話を聞いてどう思う?」

 

「わたしは・・・正直迷っています。鞠莉はとても大事な友達です。明るい未来へ進んでほしいと思います。でも、それと同じくらいまだそばにいたいと思う自分もいて、だけどわたし達のせいで鞠莉の将来の色々な可能性が無くなるのも怖くて・・・・。」

 

 わたしとダイヤは同じ気持ちだった。当然と言えば当然だ。わたし達は小学校の頃からずっと一緒で遊ぶ時には大体この三人で遊んで今まで来た仲だもん。

 

「そうよね、変なこと言ってごめんなさいね。仲のいいあなた達に酷な事お願いしてごめんなさい。」

 

「い、いえそんなことありませんわ。先生のお立場を考えれば仕方のない事ですし・・・」

 

 先生は無言になってしまったわたしとダイヤに謝ってくれた。たぶん先生も困っていたんだと思う。先生としての立場もあるし、でも謝ってくれるくらいわたし達の今も考えてくれてるんだと思う。

 

「でも、小原さんったら転校や留学の話があるたびに断っていたものだから、もったいないと思ってね。」

 

「そうなんですか!?」

 

「えぇ。でも肝心の本人にその気がないからずっとこんな感じなのよ。・・・さて、この話はもうお終いにしましょうか。これ以上はあなた達を暗くさせてしまうしね。変な話をしてごめんね。」

 

 わたし達は話が終わると帰る準備をして学校を後にした。

 

「ねぇダイヤ。わたし達はどうしたらいいのかな?」

 

「分かりませんわ・・・鞠莉さんは今まで何も言ってくださいませんでしたし・・・」

 

「そうだよね・・・。」

 

「でも、今はイベントに集中しないとですわ。鞠莉さんの留学の話は気になりますが参加すると決めた以上情けないパフォーマンスは出来ませんわ。」

 

「そう・・・だよね。鞠莉の事はまずイベントが終わって一段落したらちゃんと考えればいいよね?」

 

「えぇ・・・。」

 

 わたしとダイヤは無理やり自分達を納得させてイベントの事に集中しようとした。そうすることでしか、このどうしていいかわからない不安を誤魔化す事が出来なかったから。

 

 そしてわたし達の今後を左右するその日はもうすぐそこまで来ている事にまだ誰も気づいていなかった・・・・。

 

 

~~果南side END~~




いかがだったでしょうか?

ダイヤと果南の優しさを少しでも書けていたらいいなぁ

でも優しさって難しいですね。一歩間違うとそれは独善的になったりわがままになったり・・・

さて、少しづつ歯車が狂い始めた中いよいよ次回東京に向かう話になります

よかったらまた見てやってください♪


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第18話 ~私と悠さんはまだ学生ですし~

 さて、今日はいよいよイベント前日。と言うわけで今から俺はダイヤ達の引率者としてこれから東京に行ってきます。今はここ沼津駅でダイヤ達を待っているんだけど落ち着かない。だってそうだろ?女子高生3人と泊りがけで東京に行くんだぜ?そのうち1人は彼女だし他の二人も美人だしで、何もなくてもそわそわしてしまう。しかもだ、今回はこの三人の引率者と言うか保護者と言うか・・・とにかくこの三人を無事に帰す責任があるわけで、俺を信じて預けてくれた親御さんを裏切らないようにしなくちゃいけないプレッシャーもあるわけで色々な意味でドキドキだ。

 

「悠さんおまたせしました♪」

 

「おはよう悠君♪」

 

「モーニン☆」

 

「おぉ、三人ともおはよう。」

 

 俺がそわそわして待っていると、少し大きめの荷物を持った三人がバスから降りてきた。

 

「そんじゃ全員揃ったし東京に行こうか!てな訳でダイヤ!一言頼む♪」

 

「えぇ!?私ですか!?」

 

「Aqoursの発起人だしここはやっぱりダイヤかぁと。」

 

「がんばれダイヤ♪」

 

「ナイスな一言タノミマス☆」

 

 いきなり挨拶を振られて驚いたダイヤだが、果南とマリーにも見つめられ観念したのか溜息をついた。

 

「仕方ありませんわね・・・。こほんっ。私たちは学校を救うために今日まで頑張ってきました。明日行われるイベントでしっかり結果をの残せればラブライブが見えてきます。そうすればきっと学校存続も夢ではなくなるはずです。気合を入れていきますわよ!!」

 

「「おぉ~!!」」

 

 そして俺達は東京へと向かう電車の中でお菓子を食べたり明日のライブの話をしたりしながら楽しい時間を過ごした。ただ、時折ダイヤも果南も寂しそうな、何か悩んでいるようなそんな表情をしていたことが気になったけど、きっと緊張してるんだろうと勝手に納得していた。

 そして電車は東京に到着し俺達は東京の地へと降り立った。

 

「しっかし相変わらずすげー人だなぁ。はぐれない様に注意しないとな。」

 

「そうだね。いくら携帯があるとはいえ、なれない場所で合流するのは大変そうだもんね。」

 

「ユウ。」

 

「なんだマリー?なんかあったか?」

 

「ダイヤがいないよ?」

 

「はい!?」

 

 ダイヤがいないですと!?俺は慌てて振り返るがそこにはダイヤの姿はなく周りを見渡してもダイヤを見つける事が出来なかった。

 

「まじか!?電車を降りるときは居たのにこの短時間でそこに行ったんだ!?」

 

 俺は慌て携帯を取り出すとダイヤに電話をかけみるが電源が切れているようでつながらない。これはまずい!!これは完全に俺の落ち度だ!!東京にトラウマのあるダイヤから目を離した俺のミスだ!!

 

「と、とにかくダイヤを探そう!!」

 

「でも、どうやって?みんなでばらばらに探したら、それはそれでまた大変なことになりそうだけど・・・」

 

「そうだよな・・・とりあえずここは三人で一緒に探そう。二人は俺に着いて来てくれ。」

 

「OK☆サクッとダイヤを探しましょ☆」

 

 そして俺達はダイヤを探し始めたのだがこの無駄にだだっ広い東京駅で一体どこから探したものやら・・・。取り合えす降りてきたホームへ探しに行ってみたけどやっぱり居ない・・・。次に近くのトイレなど探したけどやっぱり居ない・・・・。そんなこんなでかれこれ一時間近く探したけど見つからず、俺はかなり焦っていた。その間も何度か電話をかけてみたけどやはり繋がらず、そろそろお手上げ状態になってきたときやっとダイヤを見つけた。

 

「ダイヤ!!」

 

「あ、悠さん!!」

 

「よかった無事で・・・・」

 

「ごめんなさい・・・・」

 

「本当だよ。携帯も繋がらないし一体どうしたの?」

 

「と言うより、ダイヤ、ソノコ誰?ユウとの隠し子?」

 

 マリーがそう言うと、俺達はダイヤから少し視線を落とすとダイヤと手を繋いだ小学1年生くらいの男の子がいた。・・・・誰?俺にはまったくもって身に覚えはないのだが・・・。

 

「違いますわよ!!そもそも悠さんとは隠さなきゃいけない関係じゃありませんわ!!と言うよりこんな大きな子がいるほど年とってませんわ!!それ以前に私と悠さんはまだキスだってした事のない清い関係ですわ!!」

 

 おい待てダイヤ!!こいつらの前でさらっと何爆弾発言してくれちゃってるんだ!?あ、ほら二人がなんか、まだなの!?信じられない!!、的な視線を向けて来るじゃないか!!やめろ!そんな目で見ないでくれ!!

 

「おねいちゃん?」

 

「あぁ、急に大きな声を出してしまってすみません。」

 

「で、本当に誰なのこの子?」

 

「実はですね、ホームで迷子になってるこの子を見つけたのですが、少し目を離した隙に悠さんに悠さん達の姿がなくて・・・それで連絡を取ろうとしたら携帯の電池が切れてしまって連絡が取れず・・・」

 

「しかし、それならそうと駅員室にでも行ったらよかったのに。」

 

「そう思ったのですが、場所がわからなくて・・・」

 

 はい?つまり迷子の面倒を見ながらダイヤも迷子になっていたと?マジで?

 

「あ、そんな目で見ないでください!!私だって恥ずかしいんですから!!」

 

「分からないも何も駅員室なら改札のところにあるじゃない。もしかしてダイヤ気付いてなかった?」

 

「あ///」

 

 ほんとテンパるととことんポンコツになるんだから俺の彼女は可愛いわぁ。

 

「なんてなごんでる場合じゃないか。えっと、名前はなんて言うのかな?」

 

 俺は男の子の前でしゃがんで目線を合わせると男の子の名前を聞いた。いきなり知らない人に名前を聞かれて怖くなったのかダイヤの後ろにさっと隠れられてしまったが顔をちょこんと出して名前を教えてくれた。

 

「・・・・・・さとる・・・」

 

「さとる君かぁ。かっこいい名前だね♪お兄ちゃんは悠っていうんだ。」

 

「ゆう?」

 

「そ。で、さとる君は誰とここまで来たの?」

 

「おかあさん・・・」

 

「そっか。それなら今からお母さんを駅の人に探してもらいけど、それまでいい子で待ってられるかな?」

 

「・・・いだ・・・おねいちゃんとがいい・・・」

 

「まぁ////」

 

 いや、ダイヤさんキュンとしてないでよ。探してあげたいのは山々だけど、このだだっ広い東京駅しかもこんなごった返した人の中で人一人探すのは至難の業だぞ?しかも俺らさとる君のお母さんの顔知らないし・・・。

 

「ねぇ悠君、駅の人に聞いてきたんだけど子供を探しに来たお母さんが待ってるみたいだよ。」

 

「お!本当か?」

 

 流石果南、行動が早い。こっちが子供の相手をしてる間に情報収集してきてくれるとは♪

 

「ただ、ここから反対の改札らしいノヨネ。」

 

「そうか・・・そこまでいってもいいけどもしかしたらこっちに向かってるかもしてないし入れ、違いになったら嫌だしここで待つか。」

 

「お母さんに早く会いたい・・・・」

 

 俺がここで待とうと提案すると、さとる君は急に涙目になってお母さん早く会いたいと言い出した。まぁ、こんなだだっ広い駅で母親と離れて1時間ちょいも経っていればそりゃ心細くて早く会いたいよな。

 

「まいりましたわね・・・。ここを離れてまたしばらく会えなくなっても困りますし・・・」

 

「なら、わたしと鞠莉はここで待ってるよ。それたしい人きたら引きとめておくから、ダイヤと悠君はさとる君を連れてその改札まで行ってきて。」

 

「そうか?ならお願いしてもいいか?」

 

「うん、任せてよ♪」

 

「なら悪いけどここで待っていてくれ。向こうの改札に行ってくるから。」

 

「OK☆」

 

 俺とダイヤはさとる君を連れて反対側の改札へと向かった。

 

「おにいちゃん・・・」

 

「ん?どうした?」

 

「肩車して。」

 

「肩車?まぁ、別にいいけど・・・」

 

 少し歩いたところでさとる君が肩車をせがむので少し端によけてからさとる君を肩車してあげた。

 

「ふふふっ、なんだかこうしていると親子みたいですね♪」

 

「そうだな♪いつか本当にこんな風に歩けたらいいなぁ♪」

 

「ねぇ、おねいちゃんとおにいちゃんは結婚してるの?」

 

「!!////い・いえ、私と悠さんはまだ学生ですし、もちろんいずれそうなればいいなぁとは思いますが、まずはお互いちゃんと社会に出てお金を貯めてから~・・・そうですわね、結婚たらしばらく二人でのんびりしてから子供が欲しいですわね♪子供は2・3人は欲しいですわ~♪それでそれで~・・・」

 

「お・おいダイヤ?子供に何言ってるの!?てか、そうなったら俺も嬉しいけどダイヤの将来設計ダダ漏れだよ?」

 

「はっ!!申し訳ありません・・・・私とした事が//////」

 

「?よくわからないけど、おねいちゃんとおにいちゃんが結婚してないなら僕がおねいちゃんをお嫁さんにする~!!」

 

「まぁ////」

 

「ふっふっふっ、悪いなさとる君。君がダイヤに惹かれる気持ちは分かるが既にダイ・・・むぐっ!?」

 

「ちょ、悠さん!?こんな小さい子に張り合わないでください!!」

 

 俺はさとる君にダイヤは俺のものだと言おうとしたらダイヤに止められてしまった。まぁ、こんな小さい子に張り合うのは大人げないよな。しかし、この子は見る目がある。ダイヤに惚れるとは・・・。というか、無邪気ってスゲー。さらっとプロポーズできるんだもんな・・・。少なくとも今の俺には無理だ・・・。でも、その時が来たら尻込みせず言えるだろうか?

 

「さとちゃん!!」

 

「あ!!おかあさんっ!!」

 

 俺が子供の無邪気さに感心していると遠くの方から一人の女性が駆け寄ってきた。さとる君の母親らしいその女性を見かけてさとる君が嬉しそうに俺から降りて駆け寄って行った。

 

「さとちゃん!!無事でよかった!!」

 

「あのね、このおねいちゃん達が一緒におかあさんを探してくれたんだよ♪」

 

「そうだったんですね。ありがとうございます!!何とお礼を言っていいか・・・」

 

「お気になさらないでください。こうして無事再会できたのですからよかったですわ♪」

 

 この後何かお礼をと言う母親に何とか断りを入れて、俺達はさとる君とその母親に別れを告げ果南とマリー待つ場所へと向かった。たまたま、さとる君を肩車していたおかげで人ごみから頭一つ飛びでていたため、さとる君の母親がさとる君を見つける事ができ、すれ違わずに済んだのはよかった。

 そして果南達が待ている場所に戻るとまだこの事件は解決していなかった。というか、新たな事件発生?俺達が戻ると、本来そこで待っているはずの果南とマリーが見当たらないのだ。場所を間違えたかと思い果南に電話をしてみることにした。

 

「あ、果南?今どこにいるんだ?なんか俺達戻る場所を間違えたみたいで、今何口に居るか教えてもらえないか?」

 

「悠君ごめ~ん!!さっきまではそこにいたんだけど、鞠莉がなにか面白いもの見つけたみたいでシャイニー☆とか言ってどこかに向かってるんだよ~。」

 

「は?なんだそれ!?」

 

「とにかく今追いかけてるからそこで待ってて~」

 

 果南はそう言うと電話を切ってしまった。

 

「どうしたんですの?」

 

「なんかマリーが暴走してるみたい?」

 

「またあの方は・・・」

 

 そんなこんなで、俺達が合流したのはさらに1時間後だった。マリー話を聞くと紅茶専門店の看板が目に入り体が勝手に動いたとのこと・・・。子供じゃないんだから少しくらい大人しく待ってろよ・・・。

 こんな珍事件のせいで予定していた東京観光は出来ず、俺らは予約していた宿へと向かった。宿に着いてからは特に目立った事はなく、明日は本番と言う事もあり皆早目の就寝となった。ダイヤ達の今のパフォーマンスがどこまで通じるのか不安もあるけど、いつも通りやればきっといい結果がついてくるよな?なんてったて俺の大好きな彼女がいるんだし♪

 そう思いながら俺も隣の部屋で夢の世界に旅立ったのだった。言っておくがお風呂を覗きに行ったり夜這いをかけにいたりはしてないからね?したい気持ちはあっても今日の俺は保護者の立場だからちゃんと我慢したのであしからず・・・。まぁ、したくてもヘタレなんで出来ないと思うけど・・・。




いかがだったでしょうか?

本当は覗き回とかにしたかったけどなぜか迷子回になってしまった・・・・なぜだ!?

さて、次回はいよいよ東京のイベント本番です。鞠莉をどうやって怪我させるか、果南の心情をどうするかなど悩みどころですが次回もよかったら読んでください。


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第19話 ~ダイジョウブデス!!やれます~

 さて、いよいよイベント当日。今はイベントの流れなどの説明を受け簡単なリハーサルが行われている。パフォーマンスの順番は先ほどくじ引きで決めており、パフォーマンスの順番は30組中19番目。微妙な順番だが、まぁ、こればっかりは運だししかたない。ちなみに俺は何をしているかというと、只今会場の前でポツンと待ちぼうけを食らっております。なぜそうなったかと言うと、会場の中には当然ながら事前申請したものしか入れず、俺は申請をしたダイヤ達のミスにより俺の名前が書かれておらず、警備員さんにストップをかけられてしまったのだ。ダイヤ達が俺の身元を証明しても入れてくれないので、今は会場の前でスマホをいじりながら時間を潰しているのであった。

 

「はぁ・・・・暇だ・・・・」

 

~ダイヤside~

 

「悠さんには悪いことしてしまいましたわ・・・・」

 

「仕方ないよ、まさか申請書の後ろに同伴者の名前を書くところがあるなんて思わないもん。」

 

「そうそう、愛しのdarling傍にがいないからって落ち込まないの☆」

 

「別にそう言うわけでは・・・・」

 

 私たちのリハーサルが終わり袖で私のミスで悠さんを外で待たせることに落ち込んでいると果南さんと鞠莉さんが慰めてくれましたが、悠さんはこの暑い中一人で待っているかと思うと悔やんでも悔やみきれませんわ・・・。というか、鞠莉さんのは慰めでしょうか?

 

「ほら元気出して!!悠君に申し訳ないと思うなら最高のパフォーマンスをしないとね♪」

 

「そうですわよね!!ここで結果を残して悠さんをラブライブと言う最高のステージに連れて行きましょう♪」

 

「ダイヤ、ラブライブに出る目的変わってるから・・・」

 

「私とした事が///」

 

「この際どっちでもいいんじゃない?ラブライブに出るのは変わらないんだし、学校も救って草葉の陰から見守ってくれてるユウにも最高の舞台を見てもらうってことで☆」

 

「ちょと鞠莉さん!!勝手に悠さんを殺さないでください!!まったく・・・鞠莉さんは頭いいのに何で時々こう・・・・ん?」

 

「どうしたのダイヤ?」

 

「い・いえ・・・」

 

 私が鞠莉さんに呆れていると後ろの方から鋭い視線を感じて振り返りましたが、そこには私たちを見ている人は誰もいなく私の気のせいかと思ったその時でした。今度は別の方から小さな声でしたが、でもはっきりと私たちの事を話してる声が聞こえてきました。

 

「ラブライブに出るですって?なにそれ、わたし達の事なんて眼中にないってこと?」

 

「しかも男の為みたいよ。」

 

「えぇ?それって本気でラブライブ目指してるわたし達の事馬鹿にしてるよねぇ?」

 

「たまたまランキングが急上昇したからって何か勘違いしてるんじゃないの?」

 

 などといった私たちを中傷する発言がちらほらと聞こえてきました。それは果南さんと鞠莉さんにもにも聞こえてた様で二人の顔が険しくなっていました。それでもこんなところで騒ぎを起こしてこのイベントどころかラブライブの予選にも出場できなくなっては困るので周りの発言を流していると、それが癇に障ったのか最悪の事態が起こってしまったのです。

 

ドンッ

 

「キャ!?」

 

「あ、ごめんなさい。でもそんなところでつっ立てるのが悪いのよ。」

 

 出場者の一人がワザと果南さんにぶつかってきたんです。そしてよろけた果南さんは壁に立てかけてあった資材にぶつかってしまいました。そして次の瞬間・・・

 

「いったー・・・」

 

「果南危ない!!」

 

「え?」

 

ガッシャーン

 

 果南さんがぶつかった資材が果南さんめがけて倒れてきたのです。それにいち早く気付いた鞠莉さんが果南さんを助けるために果南さんを突き飛ばしましたが、そのかわり鞠莉さんの足が下敷きになってしまいました。

 

「鞠莉!!」「鞠莉さん!!」

 

 私と果南さんはすぐに鞠莉さんを助け出しました。幸いにも資材の重さは大したことなくすぐに物はどける事が出来、騒ぎに気付いたスタッフの方たちに連れられて鞠莉さんは医務室へ向かい、私と果南さんは状況説明の為この場に残る事になりました。

 状況説明が終わるとぶつかってきた方達が謝罪に来てくれました。まさかここまで大事になるとは思っていなかったらしく、ちょっとした嫌がらせのつもりだったとの事でした。

 イベントの運営側も、お客さんがかなり待っているので中止にはできないのでこのままイベントを行うが、彼女達は今日のイベントには参加を辞退してもらい後日何らかのペナルティを与えるとのこと。私達は鞠莉さんの怪我の具合を見て酷いようなら今回は見送ってもらうとを言われました。

 そして私達は鞠莉さんの様子を見に医務室に行くと医務室の前でスタッフの方と鞠莉さんが話をしていました。

 

「鞠莉!!」

 

「あ、果南☆それにダイヤも☆」

 

「鞠莉さん、怪我の具合はどうなんですの?」

 

「ダイジョウブ、ダイジョウブ☆軽い打撲はあるけど問題ないって☆今その事をこのお兄さんに伝えていたところよ☆」

 

「とりあえず本人が大丈夫と言っていたのと、軽いジャンプなどしていたので問題ないと思いますので、Aqoursさんの出演は予定通りでお願いします。」

 

 そう言うとスタッフの方な軽くお辞儀をして去って行きました。

 

「もぉ、無茶して!!心配したんだからね!!」

 

「Sorry☆」

 

「でも、大した事がなくてよかったですわ♪」

 

「ダイヤにも心配かけてゴメンネ。さて、それじゃ、準備しないとね☆ワタシはお手洗いに行ったから控室に行くから、二人は先に行っててね☆」

 

 そう言うと鞠莉さんはお手洗いへと向かいました。とにかく無事で何よりです。

 

「わかった♪時間ないからなるべく早くね~♪」

 

「OK☆」

 

「果南さんすみません、私少し悠さんに連絡して来たいのですが・・・」

 

「早くしておいで♪悠君もダイヤの声聞きたがってると思うよ♪」

 

「ありがとうございます♪」

 

「ダイヤもなるべく早く戻ってきてね♪」

 

「わかってますわ♪」

 

 鞠莉さんが無事で安心したら、今度は一人外で待ってる悠さんの事が心配いになり私は連絡を取るために外へと向かいました。しかし、まさかこの後に果南さんが苦しむ事になるとは全く想像していませんでした・・・。

 

「君は小原さんのグループメンバーかい?」

 

「え?あ、はい、そうですけど?」

 

「悪いんだけ少し時間いいかな?大事な話があるんだ・・・」

 

 

 

~ダイヤside END~

 

 

~鞠莉side~

 

 

-30分前-

 

「ここじゃレントゲンとれないから骨に異常があるかまでは分からないけど、おそらく捻挫と打撲かな。なんにせよこれじゃ、今日のライブに出るのはちょっと許可できないよ。」

 

 あの後ワタシは医務室に運ばれてきて、医務室の先生に診てもらったんだけどこれが痛いのなんの・・・。果南が無事だったのはよかったけど、もう少しうまく助けられると思ったんだけどなぁ・・・。それにしても、あの人たちは酷いよね!!あんな人たちにワタシ達の夢を邪魔されたくない!!意地でも踊ってみせる!!

 

「大丈夫だよ先生☆テーピングしてもらえたら、これくらいどうってことないよ☆」

 

「しかし、そうは言うが相当痛いだろ?それに捻挫でもこれ以上無理したら最悪の場合手術しないといけないかもしれないし、もし骨に異常があるならそれこそ歩けなくなってしまう可能性だって・・・」

 

「それでもお願い先生。ワタシ達はこのライブに賭けてるの。学校を救うために・・・。それに、なにより大切な友達の・・・ううん、親友の夢だから!だからこんな形で終わらせたくないの!!」

 

 小学生の時転校してきた時のワタシは最初は孤独だった。小原家の娘と言うだけで周りはお嬢様扱いをして遠巻きに接するだけ。でも果南とダイヤは違った。二人のおかげでクラスのみんなとも打ち解ける事が出来たし、今こうして大好きな親友と同じ夢を追う事が出来るのも全部二人のおかげ。だからこんなところで躓きたくなんかない!!

 

「でも君達はまだ1年生だろ?それなら次の機会だって・・・」

 

「それじゃダメなのっ!!!!今は確かに少し注目してもらえているけど、来年にはどうなっているか分からない。ワタシも最近まではあまり詳しくはなかったんだけど、先生は今のスクールアイドルの数を知ってる?」

 

「いや、詳しくは・・・」

 

「去年のラブライブのエントリーグループは約6千・・・物凄く多いんだよ。これだけいるのに今でも毎年沢山のスクールアイドルが生まれてるの。その中でも上位として輝いてるグループは実力もそうだけど奇跡のようなチャンスをつかむ事が出来たグループなの。確かに今がダメでも次頑張ればいい。でも、今できる事をしないで次を期待する事はしたくないの!!」

 

「君の気持ちはよくわかった。でもね、やはり許可は出せないよ。君がプロのならばどんな無理や無茶を通してでもやらないといけない時はあるけれども、君はそうではない。確かにスクールアイドルではあるけれども、プロではないし、ましてや今が無茶を通さないといけない時だとは思えない。だから・・・」

 

 ダメ、話がずっと平行線にしかならない。先生の言っている事は十分わかったいるつもりだけど、ワタシにも譲れない物がある。だから!!

 

「ワタシが踊っているとき危険だと思ったら止めてくれていいから!!だからお願い・・・1曲だけ・・たった1曲だけでいいのっ!ワタシにステージに上がるチャンスをちょうだい!!」

 

「どうしてそこまで?」

 

「さっきもイッタデショ?大切な親友のずっと憧れていた夢だから。ダイヤの夢に引っ張られるようにその夢は果南の夢にもなった。だからよ☆」

 

 そして、それはワタシの夢にもなった。最初はまったく興味なんてなかったのにフシギよね☆でも、そんなフシギな魅力があるのがSchoolIdolなんだと思う。だからこんなにも人気があるのね☆

 

「だから、君はその二人の夢の為にどうなってもいいと?」

 

「別にそうは言ってないわ。ただ、自分達の実力がないなら諦めもつく。次に向けて頑張ればいいんだって・・・。でも、他人に夢の邪魔されて挑戦できないのもチャンスをなくすのも嫌なの!だからお願い!!」

 

「はぁ・・・。分かった。そこまで言うのなら運営側には私からは何も言わない。ただし、パフォーマンス中でも危険と判断したら容赦なく止めさせてもらうからね?」

 

「ありがとう先生!!」

 

コンコンっ

 

「小原さん、怪我の具合はどうですか?」

 

「ダイジョウブデス!!やれます☆」

 

~鞠莉side END




いかがだったでしょうか?

今回は鞠莉の2人を想う気持ちを大事に書いたつもりです。

次回は真実を知った果南がどういう思いであの決断をしたか書けたらと思います。

よければ次回も読んでやってください♪


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第20話 ~ダイヤ、鞠莉・・・ごめんね~

~果南side~

 

「いきなり呼びとめて悪かったね。」

 

「いえ。それよりも・・・」

 

「あぁ、自己紹介がまだだったね。私はここの医務室で働いている医者で、さっきまで小原さんの足の怪我を見ていた者だよ。」

 

 わたしを呼びとめたこの人を誰か気にしていると、それを察したのか自分が何者かを教えてくれた。しかし、鞠莉は大丈夫だと言っていたし、鞠莉の事で大事な話とは一体なんだろう?

 

「あ、どうも。それで鞠莉・・・小原さんの事で大事な話ってなんですか?」

 

「彼女から怪我の具合は聞いたかい?」

 

「はい。軽い打撲で特に問題はないって・・・」

 

「やっぱりグループメンバーにも本当の事は言ってなかったのか・・・」

 

「それってどういう?」

 

「彼女の怪我は軽い打撲なんかじゃないだ。もちろん打撲もしているけど、重度の捻挫もしくは最悪骨に異常があるかもしれないんだ。」

 

「え!?」

 

 今先生はなんていったの?捻挫?骨に異常?え、だって鞠莉は普通に歩いていたし、ジャンプをしたって・・・。

 

「信じられないって顔をしているね。でも本当の事なんだ。」

 

「もしそんな怪我をしているなら今すぐ病院に行かないと!!」

 

「それは私も言ったんだけど、どうしてもこのイベントで踊るんだって言って聞かなくてね・・・。踊りだして、もし危険そうなら止めてもかまわないから踊らせてくれって・・・。」

 

「なんでそこまでして・・・。」

 

「君達の夢の為だって、彼女は言っていたよ。」

 

「わたし達の・・・ため?」

 

 わたし達の為ってどういうこと?なんでそんな怪我を隠してまで踊ろうとするの?確かに今回のこのイベントは名前を沢山の人に知ってもらえるチャンスではあるけど、そんなに無理をしてまで出場しなくても、きっとまだチャンスはあるのに、なんで・・・

 

「二人の夢を誰かに邪魔されるのが嫌だ、このチャンスを逃したら次はないかもしれない、って。」

 

「そんな・・・。」

 

「彼女は日々増え続けているスクールアイドルの中で輝く為には奇跡のようなチャンスを手にしないといけないとも言ってたよ。」

 

「だからって、こんな無茶をしなくたって!!だいたいなんで先生は止めてくれなかったんですか!!」

 

「それは、すまないと思っている。彼女の君達に対する想いに負けてしまった。これでは医師失格だと思うよ。」

 

「あ・・・す、すみません・・・。」

 

 わたしは思わずこの苛立ちを先生にぶつけてしまった。先生が悪くないのは分かってるのに・・・。きっと先生が止めたって鞠莉の事だからどんな事をしても出るに違いない。それは分かってるのに・・・。

 

「気にしなくていいよ。とにかく、この事は気に留めておいてほしかったんだ。それじゃ、ステージがんばってね。」

 

「は、はい・・・」

 

 そう言うと先生は医務室に戻っていってしまった。

 わたしはというと、もう頭の中がゴチャゴチャになってしばらくその場に立ち尽くしてしまった。先生はああ言っていたけど、大げさに言っているだけなんじゃないのか?とか、本当だったとしてこの話をされてわたしはそうしたらいいんだろう?とかもう何が何だか・・・。

 それにもし今回の怪我が先生の言うように酷いものだとしたら、この間の留学の話といい、今回の件といい、鞠莉が何を考えているのか理解できないよ・・・。どうしてそこまでして自分を犠牲にするのか・・・どうしてもっと自分の将来の事を大切にしないのか・・・。まぁ自分が将来の事をちゃんと考えているかと言われたら、たぶん家のダイビングショップを継ぐんだろうなぁ、ぐらいにしか思っていないけど、鞠莉ほどの才能があれば、なににだってなれるし、なんでもできるのに・・・・。

 それにわたし達の夢の為って・・・・。わたし達の夢のために鞠莉は将来を棒に振るの?鞠莉の夢は何なの?もう何が何だか分からないよ・・・・。

 

「やっぱりわたし達のせい・・・なのかな・・・・?」

 

「果南さん?まだこんなところにいたんですか?早く戻らないと・・・・ってどうしたんですの!?」

 

 答えの出ないままその場に立ち尽くしていると、悠君と電話を終えたダイヤが戻ってきた。わたしの顔を見たダイヤは凄く驚いたような声を出して心配そうにわたしの顔を覗き込んできた。どうやら今のわたしは酷い顔をしていたようだ。

 

「何でもないから大丈夫だよ。たぶん緊張してるだけだと思うから♪」

 

「そうですか?ならいいのですが・・・」

 

 そう言いつつも心配そうにわたしを見て来るダイヤ。

 ごめんねダイヤ・・・。でも、今は本番前だしダイヤになんて言っていいか分からないんだ・・・。

 

 わたしはダイヤに鞠莉の事を言えないまま、ダイヤと一緒に控室に戻ると、そこにはすでに準備を終えた鞠莉が待っていた。

 

「もぉ、2人とも何をしていたの?お手洗いから戻ったら二人ともいないいんだもん、ビックリしたよ!!」

 

「申し訳ありません、少し悠さんに電話していたもので・・・」

 

「ホント仲いいね☆早く結婚しちゃえばいいのに☆」

 

「なんでそうなるんですか!?・・・まぁ、今すぐできるならしたいでもありませんが・・・そうすれば奥手な悠さんもあんなことやこんなことも・・・・って!何言わせるんですか!!」

 

「アン☆ダイヤが勝手にバケツを掘ったんでしょ?☆」

 

「それを言うならバケツではなく墓穴ですわ!!」

 

「oh、Mistake☆」

 

「鞠莉!」

 

「果南?」「果南さん?」

 

「ねぇ鞠莉、怪我は本当に大丈夫なの?」

 

「どうしたの急に?大丈夫に決まってるでしょ☆」

 

 そう言うと鞠莉はスタッフにも見せたようにわたし達の前で軽くジャンプして見せた。でも、わたしはそのジャンプで先生が言っていた事が本当だと分かってしまった。なぜなら、足元をよく見ていないと分かりにくかったけれども、鞠莉は片足でしか跳んでいなかったんだ。これだけではどこまで酷い怪我なのかは判断できないけど、少なくとも庇いながらでないと飛べないくらいには痛めている。こんな状態であんな激しいダンスを踊ったら事故になったておかしくない。だけど一体どうすれば・・・。スタッフの人に言う?・・・ダメだ、もうやれると言ってしまったから、今さらやっぱり駄目ですとは言えないよ・・・。他のグループの人にも迷惑がかかっちゃう。だけど、このままじゃ鞠莉の足が・・・・。

 

 

 

コンコン

 

「Aqoursの皆さん、舞台袖まで来てください。」

 

 結局どうしていいのか分からないまま、時間だけが過ぎてしまい、わたし達の出番がすぐそこまで来てしまっていた。

 舞台袖まで移動してきたけれど、わたしはこのまま踊っていいのか悩んでいた。鞠莉の体や将来の事、ダイヤがずっと憧れていた舞台へ近づけるこのチャンス、わたしはどちらも選べず、ただ前のグループのパフォーマンスを眺めていることしかできなかった・・・。

 

「さて、そろそろ時間ですわね♪お二人とも覚悟はよろしいですか?」

 

「もちろん☆ダイヤがずッと憧れていた舞台への第一歩、楽しみましょ☆・・・・いつっ!!」

 

「鞠莉さん?」

 

 鞠莉が気合を入れると庇っていた足に間違って力を入れてしまったのか鞠莉が足を押さえるようにうずくまってしまった。

 

「鞠莉!!」

 

「大丈夫、大丈夫・・・これくらい・・どうってことないわ☆」

 

 そう言いながらも足首をさすりながらテーピングの確認をする鞠莉。やっぱり相当酷いんだ・・・。

 

「本当に大丈夫ですの!?やっぱり足を・・・」

 

「だから、大丈夫だって☆それにあんな卑怯な手を使われたのに、こんなとところで負けるわけにはいかないじゃない☆」

 

「ですが・・・」

 

「ですが・・・じゃないの☆ラブライブに出るのはダイヤの夢でしょ?こんなことでで立ち止まったられないじゃない☆」

 

「そうでけど・・・いや、今は私の事よりも鞠莉さんの怪我の方が!!」

 

「こんなの全然平気だって・・・。ダイヤ、果南!行くワヨ!!」

 

「・・・・・」

 

「果南・・・・?」

 

 わたしは鞠莉の問い掛けに答える事が出来なかった。

 やっぱり鞠莉はわたし達の為に自分を犠牲にする。普段はおちゃらけているせいで分かりにくいけど、誰よりもわたし達の事を考えてくれている。きっとわたしとダイヤはその優しさに気付いているのに今まで気付かないふりをして、その優しさに甘えていたのかもしれない。このままでは鞠莉の優しさに甘えて鞠莉の将来のいろいろな可能性を奪ってしまう。ううん、きっと奪ってきたんだと思う。

 もし鞠莉の事を想うなら、もうここで終わりにしないといけない・・・。終わらせるべきなんだ。それが鞠莉の将来を奪ってきたわたし達の出来る唯一の償い。きっとこれは甘え続けてきた代償なんだ・・・。

 

「Aqoursの皆さん、ステージにお願いします。」

 

「・・・・・ダイヤ、鞠莉・・・ごめんね・・・」

 

「「え?」」

 

 この日わたしは踊る事が出来なかった・・・。こうしてわたし達の挑戦は終わりを告げる事になってしまったのだった・・・。

 

~果南side END~

 

 

「続いては今人気急上昇中!注目度◎のAqoursです!」

 

 おぉ次はダイヤ達だ♪

 緊張してないかなぁ?大丈夫かなぁ?まぁ、マリーはあの性格だから大丈夫だろうけど、ダイヤと果南は意外に緊張でガチガチになってそうだなぁ・・・。

 

「・・・・・って、あれ?3人とも出てこないぞ?」

 

 曲が流れだしたが、ダイヤ達の出番だと言うのに3人が一向にステージにでてこない。周りの観客も不思議に思いざわつき始めた。そしてすぐにアナウンスでAqoursが辞退した事を告げられた。

 

「え?なんで?」

 

 俺は辞退のアナウンスを聞き慌てて会場から出てダイヤ達のもとへ向かうが、またしても警備員に止められてしまった。こんなにまじめに働かなくてもいいだろうに、鉄壁のガードに阻まれ俺はこれ以上先へ行く事も出来ず、関係者用出入り口で警備員の視線に耐えながらタイヤ達を待つこととなった。

 しばらくして、ダイヤと果南がマリーに肩を貸しながら出てきたが三人の表情はとても暗かった。

 

「ダイヤ!!」

 

「あ、悠さん・・・。連絡を入れなくて申し訳ありません・・・。」

 

「それはいいんだけど、辞退したってアナウンスが流れたけど、一体何があったんだ?それにマリーのその足・・・」

 

「それは・・・」

 

 俺が三人を見るとダイヤは俯き、果南は俺から顔を逸らした。マリーにいたっては足の怪我が相当痛いのか、いつも無駄にうるさいのに今は俯いたまま一切しゃべろうとしなかった。

 

「言いづらいなら今は聞かないよ。それよりまずはマリーを病院に連れて行く方が先だな。今タクシー呼んでくるから、そこのベンチで待っていて。」

 

「ありがとうございます。・・・・申し訳ありませんがよろしくお願いします。」

 

「「・・・・・・」」

 

 

 

 そしてタクシーを拾った俺達は重苦しい空気のまま近くにある総合病院まで向いマリーを診てもらった。マリーを診てもらっている間、ダイヤと果南は俯いたまま一切口を開こうとしなかった。何か言葉をかけようと思ったのだが、マリーがなぜ怪我をしたのかも分からず、また二人のあまりにも辛そうな顔を見ていると、かける言葉が見つからなかった。

 その沈黙を保ったまま時間だけが過ぎ、やがてマリーの診察が終わり、俺が保護者と言う事で診察室に呼ばれた。結果から言うと幸いにも骨に異常はなかった。ただ、捻挫のの具合は結構酷く全治3週間と言われた。医者からはしばらく松葉杖で歩くようにと言われ、痛み止めと湿布、テーピングを処方された。

 本当だったらこのイベントが終わったら軽く観光がてらお土産などを見て回る予定だったが、そんな事をする空気ではなく、予定よりかなり早かったが、沼津に帰ることとなった。

 帰りの電車の中でもやはり誰も口を開かず、居心地の悪さを感じながら俺はダイヤの事を心配していた。あれだけ楽しみにしていたこのイベントを辞退しなくてはいけなくなったのだ。仕方ないとはいえ悔しくてたまらないだろう。それはたぶん果南もマリーも同じだろう。誰のせいにも出来ないこの苛立ちのようなものを吐き出す場所がなく三人とも黙っているんだと、この時の俺は思っていた。

 

 

 やがて電車は沼津に着き俺達は駅で解散となった。マリーはあらかじめ連絡を入れておいたので家の使用人さんが迎えにしていた。

 

「今日はご迷惑をかけて申し訳ありません。」

 

「いえ、お気になさないでください。マリー、安静にしてちゃんと治せよ?捻挫は癖になるっていうからな。」

 

「・・・うん、ありがとう・・・。それじゃ、またね。」

 

 覇気のないマリーを見送った俺はダイヤと果南を送ろうとしたが、気が付いたら果南が居なくなっていた。

 

「あれ?果南の奴どこに行ったんだ?」

 

「・・・・」

 

「まぁ、もう子供じゃないし地元で迷子になったりする事はないだろうから大丈夫かな?」

 

「・・・・」

 

 俺は一応今回は保護者的な立場にあるので果南に家に着いたら連絡をくれるようメールを入れておいた。まぁ、色々あったんだ、一人になりたいんだろうから今回はそっとしておこう。それに、果南も気になるが今は目の前にいるダイヤだな。いくら保護者的立場とはいえど、大好きな女の子が目の前で落ち込んでるんだから、どうしたってその子の事が優先されてしまうのは仕方ないよね?

 

「さて、ダイヤも今日は色々あって疲れたろ?なんだか雨も降りそうだし家まで送るよ。」

 

 俺はどんよりとした空を見上げながらダイヤに話しかけた。

 東京はあんなに晴れていたのに、沼津に帰ってきたらこの天気だ。まるで三人の心の中を映しているような天気だな・・・。

 

クイッ

 

「ん?」

 

 俺が空を見上げていると服の裾が引っ張られて様な感覚があり下を向くとダイヤが俺の服の裾をちょこんと引っ張っていた。

 

「ダイヤ?」

 

「もう少し・・・・・もう少し一緒にいたらダメですか?」

 

「ダメなんて事あるわけないだろ♪・・・なら俺の部屋来るか?」

 

コクン

 

 ダイヤは俺の提案に無言で小さくうなずいたので裾をつかんでいる手をとり、手を繋いで帰ることにした。俺は部屋に帰る途中部屋に何もなかったのを思い出し、近くのコンビニに寄り二人分の飲み物と弁当を買うことにしたんだけど、買い物をしている間手を離したらダイヤは俺の服の裾をちょこんとつまんでいた。少し恥ずかしかったが、今はダイヤの好きにさせてあげようと思い、そのままにしておいてあげた。買い物を終えた俺達は今度こそ部屋へ向かったが、、帰るまでずっとダイヤは俯いたままだった。

 

「ただいまぁっと・・・・。」

 

「・・・・お邪魔します・・・」

 

「今お茶入れるからちょと待ってて。」

 

「あ、それなら私が・・・」

 

「いいからいいから♪普段はやってもらってるんだから、今日くらいはゆっくりしとけって♪」

 

「では、お言葉に甘えて・・・」

 

 買い物を終えた俺達は部屋に帰ってきてお茶を飲んで一服したところで、気まずい沈黙が部屋を埋め尽くしていた。

 ダイヤと一緒にいたかったし、ダイヤも望んだから家に呼んだのはいいけど、なにを話そう・・・。今日の事は聞いてもいいのだろうか?やっぱり少し間を置いた方がいいのかなぁ?というか、この静寂が辛い・・・。ダイヤと一緒にいるのに何だ、この居心地の悪さは・・・。

 

「あ・あのさ、こうして二人っきりでのんびりするのは久し振りだな?」

 

「えぇ・・・・」

 

「・・・・えっと・・・あぁ!そうだ!!この間コンビニでダイヤの好きそうな抹茶味のアイス見つけて買っておいたんだけど食べるか?」

 

「いえ、今は大丈夫ですわ・・・。」

 

「そっか・・・」

 

「えぇ・・・・」

 

「そう・・・」

 

 ダメだ!!会話が続かない・・・。この静寂に耐えられなくなり何とか会話を試みたものの失敗。またも気まずい静寂が部屋を埋め尽くしていた。

 なんとかダイヤを元気づけようと思考を巡らせていると、外から雨が地面を叩く音が聞こえ始めてきた。

 

「あぁ、とうとう降り始めたかぁ・・・。」

 

「そうですわね・・・・」

 

「今日はどうする?泊っていくか?「そうですわね・・・」なぁんて・・・って!?ダイヤ!?」

 

「・・・・」

 

 まさか俺の渾身のボケをこんな簡単にスルーするとは・・・。いつもなら『結婚前にそんな事は、ぶっぶー!ですわっ!!』とかなんとか顔を真っ赤にして言いそうなもんなんだけど・・・。ん~、これは酷だろうけど、今日の事を聞かないとダメそうだなぁ・・・。

 

「あのさダイヤ、言いにくいかもしれないんだけど、今日」

 

ピンポーン

 

「ってこん時間に誰だ?まぁいいや、それより、」

 

ピンポーン

 

「悠さん、出なくていいんですか?」

 

「あ・あぁ、今出ます・・・」

 

 意を決してダイヤに今日の事を聞こうとしたとき、急に来客を告げるチャイムの音が鳴り響いたが、大事な話をしようしていたので無視しようとしたら二度目のチャイムを鳴らされてしまい俺は渋々玄関へ向かいドアを開けるとそこには意外な人物が立っていた。

 

「はいはい、どちら様ですかっと・・・・って果南!?こんなに濡れて一体どうしたんだ!?」

 

 ドアを開けるとそこには雨に濡れた果南がったていた。




いかがだったでしょうか?

果南ちゃんの葛藤が少しでも書けていたらいいなぁ。
もう少しうまくそのあたりを上手く表現できるようになりたいですね・・・orz

さて、次回はダイヤ様と果南ちゃんとが今後について答えを出すお話にしようと思います。

では、宜しければ次回も読んでやってください♪


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第21話 ~わたしね、鞠莉の事が好き~

遅くなったけど、鞠莉ちゃんお誕生日おめでとう♪

あと、ユニット対抗戦で、ギルキス優勝おめでとう♪


 俺は今二人の美少女を目の前にしている。

 一人は俺の大好きな彼女。もう一人は俺の彼女の親友。

 だがしかし、俺はこんな美少女二人を前にして俺の心は軽い修羅場になっていた。何故ならば、今目の前には俺の大きめのTシャツを一枚だけ着た果南がホットコーヒーを飲んで座っているからである。

 あ、先に言っておくけど、なんかそれっぽく語ってるけど別に俺が彼女の親友と浮気したとかじゃないからね!!そりゃ果南はダイヤほどじゃないけどかなり美人だし(あくまでも悠君個人の意見です。果南ファンの方は気分を悪くしないでね。)、ダイヤよりも魅力的なグラマラスボディで目のほよ・・・・こほんっ!目のやり場に困るけど、陰でそんなことしてるとか断じてないからね!!

 まぁ、冗談はこの辺にして・・・本当のところは、雨に濡れた果南が訪ねてきたんで、このままでは風邪を引いてしまうので、シャワーを貸して、女物の着替えなんてある訳がないので、俺の洗いたてTシャツを服が渇くまで貸してるだけなんだけどね。

では、なぜ心の中が修羅場かと言うと、今のこの状況にある。さっきまでもダイヤと二人きりで気まずい空気が部屋を覆い尽くしていたのに、今はそれが二倍だ。シャワーを浴びた果南は、礼こそ言ったものの、それ以降口を開かないし、ダイヤも気になっているのに何にも言わない。ついでに言うと、男の憧れの一つであろう裸ワイシャツならぬ裸Tシャツの美少女が目の前に・・・。しかも女性特有の部位が惜しげもなく主張しているのだから目のやり場に困る・・・と同時に出来る事ならダイヤのこの姿を見てみたいけど、お願いしたら怒られそうだなぁ、とか『悠さんがそんな破廉恥な方だったとは!!!』とか言って嫌われそうだなぁ、などと言った色々な葛藤が俺の心に修羅場を作り出していた。

 とはいえ、いつまでもこのままってわけにはいかないし、何より、何の理由もなく果南が俺の部屋を訪ねて来る訳はないから話を聞きださないと・・・。

 

「あぁ、えっと、それで、果南。落ち着いたところに早々で悪いんだけど、一体何の用があって俺を訪ねてきたんだ?」

 

 果南は俺とダイヤを交互に見てから俺の問いにポツリポツリと語りだした。

 

「悠君に相談に乗ってもらおうと思って・・・それとダイヤが居ると思ったから・・・。」

 

「私が?」

 

「うん・・・。二人に聞いてもらいたい事があったから・・・」

 

「それで相談って何だ?」

 

「まずは先に謝らないとね。ごめんねダイヤ・・・。わたしが勝手に辞退しちゃって・・・」

 

「・・・いえ、確かに驚きましたし、ショックはショックでしたが、今はもうその事は気にしていません。ですが、やはり鞠莉さんの怪我が原因でしょうか?」

 

「うん・・・」

 

「やはり・・・」

 

「あ・あのさ、話の腰を折って悪いんだけど、マリーはなんで怪我したんだ?その辺の詳しい事情をまだ聞いてないからなんで辞退したのかも全然分かんないんだけど・・・」

 

「え?あぁ、そう言えばまだ話していませんでしたね・・・申し訳ありません。私も色々と頭の中が混乱していて悠さんに全然事情を説明していませんでしたね・・・。実は・・・」

 

 俺はなんとなく置いてきぼりを食らっていたが、説明を求める事でやっとダイヤと果南から今日の出来事を掻い摘んで説明してもらえる事が出来た。これを聞くのにどれだけ苦労したことか・・・。

 

 

「なるほど。そういう事情だったのか・・・。まぁ、確かに残念だし、悔しいのは分かるけど、これで終わったわけじゃないんだし、あのイベントが全てじゃないんだからそこまで深刻にならなくても・・・」

 

「それはそうなんですが、これはそれだけで済む話じゃないんです・・・」

 

「だよな。一体何があったんだ?」

 

 二人から話を聞いた俺はこんなことで挫けるなんてらしくないなと思っていた。この二人なら悔しがりこそすれ、こんなに落ち込んで立ち止まってしまうような性格じゃないと思っていたからだ。確かに昔のダイヤなら泣いて諦めていたかもしれない。でも今のダイヤは違う。自分で決めた事はやりきるくらい芯がしっかりした女性へと成長している。果南だって、付き合いこそ短いものの、逆境に挫ける様な性格じゃない事は分かったいるつもりだ。だからこそ、この二人がこれほど落ち込んでしまう理由が俺には想像することができなかった。

 

「悠さんは鞠莉さんのことどう思います?」

 

「なんだ急に?・・・どうって、いつも無駄に明るくて、人の話は聞かなくて、自分が楽しい事なら周りが迷惑だと思おうがお構いなしに巻き込んで突っ走っていくやつ、とか?」

 

「ま・まぁ、間違ってはいないけど、悠君何気に酷いね・・・」

 

「む、侵害だなぁ!ちゃんといいところも分かってるつもりだぞ?なんだかんだで本当に人が嫌がる事はしないし、なんだかんだで結構周りの事を見てるし、なんだかんだで友達が困っていたら陰から手助けしてるし、なんだかんだで・・・・」

 

「悠さん、それは褒めてますの?」

 

 流石に、なんだかんだで、と言い過ぎてダイヤに突っ込まれた。でもいいところは本当にちゃんと分かってるつもりだ。ただ、普段いじられ過ぎているせいか、本人が目の前にいるわけではないが、素直に褒めるのはなんだか負けたような気がしてしまい思わずこんな褒め方になってしまった・・・。

 

「おう。まぁ、それはそうと、何で急にこんなこと聞いてくるんだ?」

 

「まぁいいですわ。確かに悠さんの言う通り鞠莉さんは普段あのような感じでアッケラカンとしていらっしゃいますが、凄く頭の言い方なんです。」

 

「まぁ、ダイヤの話からなんとなくは分かっていたけど、それとこれが何の関係が?」

 

「悠君は鞠莉の成績知ってる?」

 

「いや?でも、学年上位とかそんな感じ?」

 

「いえ・・・。学年ではなく、全国で15位ですわ・・・。」

 

「・・・・・はい!?」

 

 今ダイヤさんは何とおっしゃいました?15位?学校でではなく?全国で?え?全国って、日本中の高校生の中で15番目ってこと?マジですか!?

 

「驚かれるのも無理ありませんわよね。しかも途中で眠くなって全部の問題を解かないで寝てしまっての15位ですから・・・。」

 

 え?てことは何?全部解いていたらもっと上だったてこと?それこそ全国1位なんてのもあり得る話だって事!?

 

「マジか・・・。あいつそんなに凄かったのか・・・。」

 

「まぁ、普段の言動からは想像しにくいよね。」

 

 いや、果南さん?しにくい、ではなく、出来ない、と言った方が正しのでは?いやいや、そんな事よりもこの話が一体何の関係があるっていうんだ?

 

「少し回り道をしましたが、鞠莉さんはそれくらい素晴らしい才能を持ってらっしゃると言う事ですわ。」

 

「ふむ。それで?」

 

「それくらい頭が良ければどうなると思う?」

 

「どうって・・・推薦が貰えるとか?」

 

「それもそうだけど、鞠莉くらい頭がいいとね、海外の有名な学校から留学してこないかって話が来るみたいなの」

 

「へぇ・・・。」

 

「でも、鞠莉さんはそう言った話をすべて断っているらしいんですの。」

 

「マジか!?もったいない・・・。」

 

「だよね・・・」

 

「・・・」

 

 俺はもったいないと素直に思った。ただ、俺の素直な感想を聞いた二人はさっきよりも更に浮かない顔になってしまった。

 

「でも、なんでマリーはそんなすごい話を蹴ったんだ?まぁ、あいつの事だからそんなのに興味ないとかそんな感じなのかなぁ?」

 

「スクールアイドルを始めたから・・らしいですわ・・・。」

 

「そうなのか?」

 

「えぇ、ただ私達も鞠莉さん本人から聞いたのではなく、担任の先生に聞かされただけなので、本当のところは分かりません。」

 

「たぶん、本当にそれが理由だと思う・・・。」

 

 果南はそう言うと、今にも泣きそうな顔をして俯いてしまった。しかし果南はなんでマリーの留学しない理由が本当だと分かったのだろうか?たぶん、と言っていたから果南自身もマリーから聞いたわけではなさそうだし、そう言うだけの何かがあったのだろうか?

 

「果南さんはどうしてそう思われるんですか?」

 

「ダイヤはさ、今日の鞠莉の怪我があんなに酷いと思った?」

 

「え?い・いいえ。ジャンプもしていましたし病院の診断を聞くまではあんなに酷いとは思いませんでした・・・。確かに帰るときには痛そうだったので肩を貸しましたが・・・。」

 

「わたしさ、ダイヤと鞠莉と別れてから医務室の先生に声をかけられて、鞠莉の怪我が酷いって聞かされたんだ・・・。」

 

「あの後にそんな事が?」

 

「うん・・・。わたしは最初、先生が大げさに言ってるだけかな?とも思ったんだけど、控室で鞠莉がジャンプした時に片足で跳んでるのに気付いちゃったんだ・・・。」

 

「そうだったのか・・・。でもそれが留学しない話とどうつながるんだ?」

 

「先生が鞠莉の怪我の具合を教えてくれたときにね、教えてくれたんだ・・・」

 

 果南は思いだして涙をこらえているのか膝の上に作った握りこぶしをギュッと握りしめ泣かないように耐えているようだった。

 

「鞠莉ね、凄く辛いのにそれでも踊るって聞かなかったんだって・・・。先生が理由を聞いたらわたし達の為だって言ってたんだって・・・。」

 

「私達の為?」

 

「うん・・・。わたし達の夢だからこんなところでつまずくのは嫌だって・・・・。正直その話を聞いたときにわたしはこのまま踊っていいのか悩んだんだ。でも鞠莉は何も言わないし、今日の為に一番頑張ってきたダイヤにこの話をするのも躊躇われて・・・。」

 

「・・・・」

 

「でもね、いざわたし達の番ってなったときに、鞠莉が負けられないとか、ダイヤの夢の為って言っているのを聞いたときに、『あぁ、やっぱり鞠莉はそうやって自分よりわたし達を優先しちゃうんだ』って思ったら、踊る事が出来ないかった・・・ごめんねダイヤ・・・」

 

「果南さん・・・!!」

 

ガバッ!!

 

 一人、鞠莉の怪我の重さに気付きながら、ダイヤを悲しませたくないと悩み、すべてを背負って今にも泣きそうな果南。そんな果南の話を聞いてダイヤが目に涙を浮かべながら優しく果南を抱きしめていた。

 抱きしめられた果南は一瞬驚いた顔をしていたが、すぐにダイヤにしがみつくように抱きつき果南は涙を流していた。

 それから暫く俺は声をかけることなく二人を見守り、雨音と二人のすすり泣く声だけがこの空間を埋め尽くしていた。やがて、ひとしきり泣いて落ち着いたのか、果南ダイヤに抱きついたまま、またぽつぽつと話し始めた。

 

「わたしね、鞠莉の事が好き・・・もちろんダイヤの事も。二人とも私の大切な親友。だから、わたしは鞠莉の可能性を奪いたくないの。だからと言ってダイヤの夢も奪いたくない・・・。どっちかを選ぶなんてできないよ・・・。ねぇだダイヤ・・・」

 

「果南さん・・・。」

 

 果南の心の叫びを聞いたダイヤはとても辛そうな顔をしていた。まぁ、当然だろうな。親友が自分達のせいでこんなにも苦しんでいるんだ、辛いに決まっている。

 正直二人のこんな姿は見ていられない。今俺がこの二人にしてやれる事は何だろうか?

 

「なぁ、二人はどうしたい?」

 

「「え?」」

 

「ダイヤと果南はこれからどうしたいんだ?俺は正直言って果南の話を聞いてどうしたらいいのか、なにが正しいのかは分からない。たぶん果南は俺にこの事で相談したかったんだろうけど、すまんな。」

 

「悠さん・・・」

「悠君・・・」

 

「でも、俺は二人がこれからどうしたいのか知りたい。マリーがどうとか、ダイヤの夢だとか、そう言うの抜きに、自分がどうしたいのか・・・酷かもしれないけど、出来るだけ後悔しないようにゆっくり考えてほしい。」

 

 俺は無力だよなぁ・・・。今の俺じゃこれが精一杯だ・・・。これくらいしか二人に言ってやれることが思い浮かばないなんて情けない・・・。

 

「私がどうしたいか・・・」

 

 二人はそれっきり、また黙ってしまった。おそらくは自分の心と真正面から向き合っているのだろう。すぐに答えは出ないだろうし辛いかもしれないけど、これから先スクールアイドルを続けるにしても、辞めるにしても、出来るだけ後悔するような選択だけはしてほしくない。

 もちろん、二人がどんな選択をしようと俺はきちんと受け止めてやるし、答えを出すためだったらいくらでも話を聞いてやるつもりだ。

 

 

 それから1時間くらいたっただろうか?静かな部屋に電子音が響いた。さっき乾燥機にかけていた果南の洋服が乾いたみたいだ。するとさっきまで黙っていたダイヤと果南は我に返り慌てて時間を確認しだした。ちなみに今の時間は午後の8時過ぎだ。そして内浦方面のバスの最終は9時前。俺もうっかりしていたがダイヤ達を送るならそろそろ出ないとタクシーを使わないといけなくなってしまう。

 

「き・今日はごめんね・・・。なんか長居しちゃって・・・。」

 

「いや、気にするな。」

 

「ありがとう。ダイヤも今日は本当にごめんね・・・・。」

 

「いえ、私こそ果南さんがこれだけ悩んでいるのに気付く事が出来なくて申し訳ありません・・・。」

 

「ううん。私が勝手に抱え込んでいただけだし・・・」

 

「それでもですわ・・・」

 

「「・・・・」」

 

 二人がお互いを気にかけ自分が悪いの押し問答が始まってしまいまた黙ってしまった。まったく、この二人はどもまで優しいんだか・・・。いまどきこんないい子なかなかいないぞ?

 まぁ、それはそうと早くしないと本当にバスが無くなってしまう。

 

「はいはい、この話は今日はここまで!時間があれば納得いくまでここにいていいけど、今日はもう時間がないんだから急がないと。ほら、果南は服乾いたから急いで着替えて。俺は外にいるから、後はダイヤよろしくな。」

 

「う・うん。」

 

「分かりました。」

 

 俺は財布と部屋の鍵だけ持って部屋の外へ出て二人が準備し終わるのを待っていると、そんなに時間もかかることなく二人が出てきた。

 もう遅くなってしまったので二人を家の近くまで送り、別れ際に果南とダイヤから『今日はごめんなさい。それと付き合ってくれてありがとう。』と言われた。俺は二人に何か、あったらいつでも連絡してくれ、とだけ伝え家に帰ってきた。

 家に帰ってきた俺は買ってあった弁当を食べてから風呂に入り布団にもぐった。この先どうなるか分からないが、慌てず結論を出してくれたらと思いながら眠りに着いたが、まさかあんなに早く事態が動くとはこの時の俺は思いもしなかった。




いかがだったでしょうか?

なかなかうまく書けなくて自分の頭の悪さを恨む今日この頃ですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

お気に入り登録してくださった方々、ありがとうございます♪

では、まだ次回も宜しかったら読んでやってください♪


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第22話 ~終わりにしよう・・・~

Aqours First LoveLive! ~Step! ZERO to ONE~の発売日ですね♪

メイキングもとても楽しみです♪


~ダイヤside~

 

 東京でのあの出来事から早くも3日が経ちました。

 この3日間、鞠莉さんは大事をとって学校を休んでいました。それはまだ私達の今後の事で答えの出ないままいた私と果南さんにとって答えを出す為の時間に猶予ができた事になります。ですが、いつまでもこのままではいられるわけもなく、この問いにいずれは答えを出さなくてはいけません。

 そして昨日までの2日間、私と果南さんは放課後に部室でお互い何か話すわけでも、なんとなく次の曲の歌詞を書いたりと、ただ習慣として部室に向かい、なんとなく時間だけが過ぎ、下校時刻になったから帰るという生活をしていました。それは今日も同じなんだと思っていました。ですが、そうはならなかったのです。

 この2日間同様、部室で放課後を過ごしていると急に部室のドアが開かれました。私と果南さんがドアの方を向くとそこにはなんと鞠莉さんがいたのです。

 

「Ciao☆」

 

「え、鞠莉!?」

 

「鞠莉さんこんな時間にどうしたんですの!?」

 

「いや~家に居ても暇でさぁ、足の痛みも大分ひいたし二人はどうしてるのかなぁ、って思って・・・。」

 

 鞠莉さんの突然の訪問に私と果南さんは動揺してしまいました。まだ答えも出ておらず、イベントの事もあり鞠莉さんにどんな顔をして接すればいいのか分からず、今までどおりに接する自信がありませんでした。

 

「そ・そうなんだ・・・・。」

 

「うん☆あ、これ次の曲の歌詞?」

 

「え?えぇ・・・。そ・そんな事よりも鞠莉さん。いくら痛みがひいたとはいえ、まだ安静にしていなくていいんですの?」

 

「大丈夫、大丈夫☆これくらいどうってことないって☆逆に家で大人しくしているだけの方が具合悪くなっちゃいそうだよ。」

 

「ならいいのですが・・・。たかが捻挫とはいえ、きちんと治さないと癖になると言いますし、あまり無理はしないでくださいね?」

 

「ありがと☆それはそうと、二人はもう大丈夫なの?」

 

「大丈夫・・・とは?」「・・・」

 

「この間のイベントの事だよ!!」

 

 さっきまでへらへらと笑っていた鞠莉さんが突然真剣な顔をして私と果南さんが今は触れたくない事を真っ向からぶつけてきました。それは、まだもう少し時間があると答えを先延ばしにしてきた私達にとって、嫌でも答えを出さないといけなくなってしまった事にもなります。

 

「その事なんだけど・・・鞠莉。一つ聞いてもいいかな?」

 

「なに?」

 

「先生から聞いたんだけど留学の話が来てるって本当?」

 

「え?いきなり度どうしたの?今はそんな話・・・」

 

「いいから答えて。」

 

「・・・本当よ。でも断ったよ。」

 

「どうして?」

 

「そんなの当然じゃない。私はね、二人の夢を応援したいの☆それに今回はこんなことになっちゃたけど、こんなことに負けてられないじゃない?だから絶対にリベンジしないとワタシの気がおさまらないのよね☆だから留学なんてしてる場合じゃないの☆」

 

「そう・・・」

 

そう言った鞠莉さんに手にはどこから取り出したのか分かりませんが、あのイベントで来た着た衣装が握られていました。

 そんな鞠莉さんの話を聞いた果南さんは何かを決意したような、でもどこか寂しげな顔で私の方を見てきました。

 その顔を見た私はすべてを察しました。きっと果南さんはスクールアイドルを、Aqoursをここで終わりにする事を選んだのだと・・・・。おそらく決め手となったのは先ほどの鞠莉さんが果南さんの質問に出した答え。そこには私達の為や、あんな事をされて悔しいからといったものはあっても、一言も『自分が好きだから』といった言葉がなかった。自分が好きでやりたいのであったら私達にそれを止める権利はないでしょう。でもそうでなく私達の為だけにやっていて、私達のせいで鞠莉さんの将来を奪ってしまうくらいならここで辞めよう、そういうことなのだと思います。

 

「あのね鞠莉・・・・・。わたしスクールアイドルを辞めようと思うの・・・・」

 

 私の予想は当たっていました。

 

「え?今何て・・・?」

 

「だから、スクールアイドル、辞めようと思うの・・・」

 

「なんで!?まだ引きずってるの?東京で歌えなかったくらいで・・・」

 

「鞠莉、留学の話来てるんでしょ?行くべきだよ・・・。」

 

「どうして?冗談はやめて!それにさっきも言ったでしょ?その話は断ったって・・・。ダイヤもなんか言ってよ!!」

 

「ッ・・・・・・」

 

「ダイヤ・・・・?」

 

「ダイヤも同じ意見。もう続けても意味がない・・・」

 

「果南!!ダイヤ!!」

 

 鞠莉さんは手にしていた衣装を私達に見せるように突き出してきました。

 

「・・・・・」

 

「・・・終わりにしよう・・・・。」

 

 最後にそう言った果南さんは鞠莉さんに背を向け部室を後にしました。私はどうする事も出来ず果南さんの後を追うように鞠莉さんを置いて部室を後にしました。

 部室からは鞠莉さんが声を押し殺してなく声が微かに聞こえてきましたが、私は何もできませんでした。今すぐ戻って鞠莉さんに私もスクールアイドルを続けたいと言いたい。でも果南さんの気持ちも痛いほど分かるゆえに何もできませんでした。

 

 

 そして学校をでてしばらく果南さんの後を追いましたが、少ししたしたところで無言で歩き続けていた果南さんが立ち止まりました。

 

「ごめんね・・・。」

 

 こちらを振り返って果南さんが一言、謝罪の言葉をつぶやきました。

 

「いえ・・・。果南さんが決めたことです。お気になさらないでください。」

 

「だけど、わたし勝手にダイヤも同じって言っちゃったし・・・。」

 

「それは・・・。確かに私はスクールアイドルを続けたいとも思っていました。」

 

「本当にごめんね・・・。」

 

 果南さんは目に大粒の涙を浮かべて俯いてしまいました。

 

「ですが、果南さんの気持ちも分かります・・・。それに、そのスクールアイドルも果南さんと鞠莉さんがいなければなんの意味もありません。」

 

「だけど・・・。」

 

「先ほども言ったように、果南さんの気持ちも分かります。私も鞠莉さんの事はこのままでいいのか、あれからずっと考えていました。鞠莉さんは昔から私達を優先するところがありましたから・・・・。」

 

「うん・・・・。それはわたしも分かっていたんだけど、鞠莉がそれでいいならいいかなって・・・。でも先生に留学の話が来てるって言われて、自分がどれだけ鞠莉に甘えていたか気付かされたんだ・・・」

 

「果南さん・・・!」

 

 私は今にも泣き崩れそうな果南さんをそっと抱き締めました。すると果南さんは泣きながらすべてを吐き出すように泣きながら自分の気持ちを言葉にしました。

 

「わたしだって本当は鞠莉とダイヤと一緒にスクールアイドルを続けたかった!!でもわたし達のわがままのせいで鞠莉から将来を奪うのは凄く嫌なの!!このまま鞠莉がわたし達を優先して後悔するところは見たくないんだ!!」 

 

 果南さんはそのまま暫く子供のようにワンワンと泣いていました。

 私はそんな果南さんを抱きしめながら頭を撫でていました。私も一緒に泣きたかったのですが、ここで私まで泣いてしまったら、果南さんを責めてしまっている事になるような気がして泣く事ができませんでした。

 

 それから暫く果南さんは泣き続けていましたが、泣きつかれたのか私に抱きついたまま寝てしまいました。私はそのまま果南さんを抱いたまま果南さんが起きるのを待っていましたが、30分もしないうちに目を覚ましました。

 

「あ、あれ?わたし寝ちゃったってた!?ご、ごめんダイヤ!!」

 

「いえ、お気になさらないでください。それよりも少しは落ち着けましたか?」

 

「うん・・・少しは・・・。」

 

 そう言った果南さんは照れ臭そうに頬をかきながら立ち上がり、私に手を差し伸べてくださいました。

 

「ありがとうございます。」

 

「本当にごめんにダイヤ・・・。わたしが勝手にいろんな事決めたりして迷惑かけて。」

 

「いいえ、果南さん自分が正しいと思う事をしたのですから・・・ですから気にしないでください・・」

 

「うん・・・・ありがと。」

 

 そして私達はこの場で別れ、私は果南さんの背中を見送ってから悠さんの元へと向かいました。

 果南さんは決して間違った事はしていない。でも、何かほかにできる事はなかったのか、私達は正しいと思っていても本当は間違っているのではないのか?と言った考えがグルグルと廻り、何よりこれですべてが終わってしまったという事実が辛くて、自然と足が向いたのでした・・・。

 

 

~ダイヤside END~




いかがでしたでしょうか?

更新がとても空いてしまいすみません。

資格試験の勉強の為まったく話を書けませんでした(汗)

これからまた書いていきますのでよろしくお願いします。


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第23話 ~抱いてくださいますか?~

ラブライブ!サンシャイン!!TVアニメ2期最高ですね!!

1話目も涙なくして見られませんでしたし、2話目もまさかのお風呂回とか最高過ぎでしょ!!!
曜ちゃん、ダイヤ様押しの自分としては曜ちゃんもダイヤ様が可愛くなりすぎで悶絶してましたww

それにしても新曲のOPもED神がかってますね♪曲だけで泣くとは思わなかったww





 只今午後6時を回ったところ。私こと蒼谷悠は大変困っていた。

 それはなぜかって?それを説明するととても長くなるが、あえて・・・あ・え・て、短く説明するのならば、台風がごとく横殴りの雨が降っているからだった。今朝は寝坊して天気予報なんてものは全く見ずに家を出たらこの雨だ。昼過ぎから雲行きが怪しくなり、つい先ほど降り出したと思ったらあっという間に3m先も見えないほどの土砂降りになっていた。

 はい、単に俺のミスです。しかし俺と似たようなやつらは多い様で、講義の後、購買に行ったら綺麗に傘が売り切れていた。そのため、今こうして学食で雨が上がるまで待つ事を余儀なくされてしまった。

 

「この雨いったいいつ止むんだ?」

 

「さぁ?」

 

「なぁ智也。」

 

「何だ?」

 

「今からじゃんけんして、お前が負けたら外のコンビニまで傘買いに行ってくんない?」

 

「悠が負けたらお前が行くんだよな?」

 

「仕方ないからお前に行かせてやるよ。」

 

「よし!それなら勝負!!・・・・ん?なぁ、それってどっちにしても俺がズブ濡れになるの確定だよな!?」

 

 などと智也をからかいながら時間を潰し、雨足が弱くなった頃にはもうすでに8時を過ぎようとしていた。

 

~♪

 

 やっと帰れると席を立った時、俺のスマホに電話がかかってきた。着信画面を見るとルビィの名前が表示されていた。

 

「ん?ルビィからなんて珍しいな?・・・もしもし?ルビィから電話してくるなんて珍しいな?」

 

「あ、お兄ちゃん?お姉ちゃんそっちに行ってない?」

 

「ダイヤ?いや、こっちには・・というか、俺まだ学校なんだ。」

 

「そうなんだ・・・」

 

「ダイヤがどうかしたのか?」

 

 電話の向こうではルビィがオロオロしているのが伝わってきた。話の内容からしてダイヤがまだ帰ってきていないのだろうが、なにがあったのだろうか?

 

「それがね、お姉ちゃんがまだ帰ってきていないの。電話しても繋がらないし、今までこんなことなかったのにどうしちゃったんだろう・・・。」

 

「なら俺も方からも電話してみるし、心当たりのある場所を探してみるから。」

 

「うん・・・。お父さんもなんかお兄ちゃんがどうとか言って取り乱してるし・・・。」

 

 いろんな意味で早くダイヤを見つけないと!!

 

「それじゃ、ダイヤを探してくるからまた後でね!」

 

「うん。よろしくね。」

 

 さて、どこから探そうか・・・時間も時間だし場所は限られてくるだろうし・・・ダイヤの行きそうなところとなると・・・

 

「なぁ悠。ダイヤちゃんに何かあったのか?」

 

「あ、智也まだいたのか?」

 

「おいっ!!・・・ってそれよりダイヤちゃんがどうしたんだ?」

 

「・・・それが理由は分からないんだけどダイヤがまだ家に帰ってないらしいんだ。」

 

「なんだそれ!?めちゃ心配じゃん!!」

 

「そうなんだよ・・・。ダイヤ凄く可愛いし、危ない事に巻き込まれてなけりゃいいんだけど・・・」

 

「さっらっと惚気ないでくれるかな?」

 

「は?」

 

「まぁいいや、俺もダイヤちゃん探すの手伝うから、行こうぜ!!」

 

「悪いな!!」

 

「いいってことさ!!」

 

 

 

~2時間後~

 

 あれから心当たりある場所をしらみつぶしに探してみたがダイヤの姿はなく探している間電話も何度もかけたのだが繋がらず、俺は途方に暮れていた。

 

「まいったなぁ・・・。こんだけ探しても見つけられないとは・・・。まさか本当に事件か何かに巻き込まれたんじゃないだろうな!?」

 

そう思うと俺はさらに心配になってきた。心配はもちろんしていたけど、正直俺ならすぐ見つけられると思ったし、そうでなくてもダイヤの事だ、うっかり家に連絡を入れ忘れて何か用事を片しているだけと、頭の片隅で考えていた自分を殴りたい気分になってきた。

 

「しかし、本当にどこに居るんだよダイヤ・・・。あと探していない場所と言えば・・・まさか!!」

 

 俺は最後に思い当たる場所へと向かって走り出した。もしもここに居なかったら本当にお手上げだ。

 俺はダイヤがここに居る事を願いながら目的の場所に着くと、膝を抱えて小さくなっているダイヤがそこに居てくれた。

 灯台下暗しとはまさにこの事だ。ダイヤに何があったかは分からないが、ダイヤは俺の住むアパートの部屋の前に居た。

 

「探したぞダイヤ・・・。」

 

 俺が声をかけるとダイヤが顔を上げ俺の方を見上げてきた。今まで泣いていたのか目を真っ赤に腫らしていて、よく見ると雨に降られたのか、全身ずぶ濡れだった。

 

「悠さん・・・」

 

「合いカギ渡してあるんだし、部屋で待っていればよかったのに・・・」

 

「すみません・・・・」

 

「ふぅ・・・。まぁ聞きたい事は山ほどあるけど、まずはその濡れた服をどうにかしないとな。ほら、立てるか?」

 

「はい・・・」

 

 俺はダイヤを浴室まで連れて行きシャワーを浴びさせた。ダイヤがシャワーを浴びている間、濡れたダイヤの服を乾燥機に入れ、ダイヤが無事だった事をルビィに連絡を入れた。(ちなみにダイヤの制服やらを乾燥機に入れるときに下着をやむを得ず見てしまいドキドキしてしまったのは内緒だ。)

 

「あ、ルビィ?ダイヤ見つかったよ。」

 

「本当!?よかった~♪でも、お姉ちゃんどこに居たの?」

 

「あちこち探した結果、俺の部屋の前に居たんだよ。それで、悪いんだけどおじさん達に今日は遅いから俺の部屋に泊めて明日送ってくって言っておいてもらいないかな?」

 

「えっと・・・お兄ちゃん、それは自分で言ってもらえるとルビィ嬉しいなぁなんて・・・」

 

「ルビィ?」

 

「悠っ!!!!!」

 

「うひゃお!?」

 

 ルビィの様子がおかしくなった直後スピーカーからおじさんの怒鳴り声が聞こえてきて思わず変な声を出してしまった。

 

「悠!今からダイヤを迎えに行くから絶対にダイヤを傷物にするんじゃないぞ!?付き合う事は認めたがこう言いった事を俺は(ゴギッ)うっ・・・・・」「ピギィ!」

 

「ん?おじさん?ルビィ??」

 

「悠さんですか?」

 

「へ?おばさん?」

 

 ダイヤを心配しすぎて暴走していたおじさんが急に静かになったと思うと、今度はおばさんの声が聞こえてきた。

 

「ダイヤさんは無事なんですね?」

 

「え?あ、はい。雨のせいでずぶ濡れだったんで今シャワーを浴びさせていますが、無事です。」

 

「そうですか・・・。今までどんな時でも遅くなるときは連絡を忘れた事のないダイヤさんが、連絡もせず悠さんを頼ったと言う事は、それだけの事があったということでしょう。」

 

「おそらくは・・・・。」

 

「悠さん、今のダイヤさんを慰めてあげる事の出来るのはきっと悠さんだけなんだと思います。ですからダイヤさんの事お願いしますね♪」

 

「はい!」

 

「ただし!あなた達はまだ学生なんですからね?節度をもった行動をお願いしますね?」

 

「も、もちろん!!」

 

「もしものときは、き・ち・ん・と・『責任』をとっていただきますからね♪」

 

「き、肝に銘じておきます・・・(ゴクリッ)」

 

「では、ダイヤさんの事お願いしますね。」

 

 おばさんはそう言って電話を切った。

 普段はおっとりしているのにやはり母親だ。ただ暴走しているおじさんとは違い、本能が逆らってはいけないと訴えかけるほどの恐怖を覚えた。俺はおばさんには絶対に逆らうまいと誓い電話を切った。

 それにしてもおじさんは大丈夫なのだろうか?静かになる直前変な音が聞こえたし、なんか後ろの方でルビィの悲鳴が聞こえたような気がしたけど・・・。まぁ、悩んでも仕方ないか。今度ルビィに何があったのか聞いてみよう。

 

「シャワーありがとうございました。」

 

「おう。ちゃんと温まった・・・か?」

 

「はい。・・・悠さん?どうかしましたか?」

 

「いや・・・何でもない///」

 

「そうですか・・・///」

 

 俺が電話を終えて一息ついていると、ほどなくしてダイヤが部屋に戻ってきた。そのダイヤの姿を見て俺は分かってはいたのにドキドキが押さえられなかった。なぜなら、今のダイヤは俺の大きめのTシャツ一枚だけ着ているという、健全男子ならば彼女に一度はしてほしいと憧れるであろう恰好で、しかも恥ずかしそうにモジモジしながらそこに居るのだ。この破壊力はマジでヤバイ!先ほどおばさん達から釘を刺されたにもかかわらず理性が崩壊しそうだ・・・・。言っておくが、これは狙ってやったわけじゃないぞ?ダイヤが泊るなんて事は今まで当然ながら一度もないのだ、着替えなんてものはあるはずもなく、結果的に選択肢がこれしかなかったのだ。

 しかし困った。何があったのか聞きたいんだけど、ドキドキしすぎてダイヤの事をまともに見れない。それはダイヤも同じ様で、テーブルの向いに腰をおろしてもモジモジと居心地が悪そうに部屋を見回して俺の方を見ようとしない。しかし、このままでは本当に間が持たないし、なにか話をしないと・・・。

 

「えっと・・・そのなんだ、着替えになるようなのがそんなのしかなくてごめんな?ちゃんと洗濯してあるやつだからダイヤの服が乾くまで少し我慢してくれな?」

 

「いえ、私こそすみません。別に嫌というわけではなく、その・・・Tシャツの下に何も来ていないのが恥ずかしくて・・・///」

 

「あ・・・いや・・・・その・・・すまん////」

 

 俺のバカ~!!余計気まずくなってしまったではないか!!・・・って毎回俺こんなだな・・・・。少しは成長しろよ・・・。はぁ、こんなで一体どうやって本題に入ればいいんだよ・・・。

 

「・・・悠さんは・・・」

 

「ん?」

 

「悠さんはもし今、私が抱いてくださいと言ったら、抱いて下さいますか?」

 

「・・・はいぃぃぃぃぃ!?」




いかがでしたか?

なんか色々書きたい事あり過ぎてまとまってない感じですが少しでも楽しんでもらえたえら幸いです。

新たにお気に入り登録してくださった方々有難うございます。

これからもがんばって書いていきますので温かく見守ってやってください♪

でわ♪


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第24話 ~学校に行かないとダメですか~

「MY舞☆TONIGHT」曲もダンスも最高です♪和ロック最高♪
チャプターつけてヘビロテ中です♪


「悠さんはもし今、私が抱いてくださいと言ったら、抱いて下さいますか?」

 

「・・・は?ちょっ、ダイヤ?お前自分が何言ってるのか分かってるのか!?」

 

「もちろん分かっています・・・」

 

「いやいや、分かってないだろ?抱くって、抱きしめるって意味で言ってないよな?」

 

「はい・・・」

 

 俺は驚いた。まさかダイヤの口からそのような言葉が出て来るとは・・・。これが何もなく普通に二人でのんびりしてるときに言われたのなら凄くうれしいし、問答無用で押し倒してしまうだろうけど・・・。でも今はそんな雰囲気ではないし、こんな暗い表情で言われたら、抱けるわけないじゃないか・・・。それに、抱く事はおろか、まだちゃんとキスすらしたことないのに・・・。

 

「なぁ、ダイヤ。一体何があったんだ?こんなこと言うなんてダイヤらしくないじゃないか。」

 

「・・・・どうなんですか?私を抱いてくださいますか?」

 

「・・・そりゃ、抱きたいかどうかと言われたらそりゃ、こんな可愛い彼女を抱きたくないわけないだろ?って、そうじゃなくて!!」

 

「・・・」

 

「なぁ、本当にどうしたんだ?」

 

 ダイヤは俯いて黙ってしまった。それから暫く沈黙が続き、今日聞くのは難しいかな?と思い始めた頃、ダイヤが今日有った出来事を途切れ途切れではあったが話し始めてくれた。

 マリーの考え。それを聞いた結果Aqoursは解散することになった事。親友を想う果南こと、そしてダイヤ自信の想いも・・・。

 

「私はどうするべきだったのでしょうか?鞠莉さんが私たちの事をどれほど大切に思ってくれているかも、果南さんの鞠莉さんの将来を心配する気持ちも痛いほどよくわかります。分かっているのに何もできなかった・・・。選ぶ事が出来なかった・・・。果南さんが出した答えに流されて、結果、三人とも笑顔で終わる事ができませんでした。誰も悪くないのに、間違っていないはずなのに!!」

 

 ダイヤは声を荒げながら泣きじゃくっていた。自分を責め、もっと自分に何かできたはずなのにと・・・。そして俺はそんなダイヤの頭を撫でながら一つ気付いた事があった。それは、今のダイヤは自分の為にでなく果南とマリーの二人の為に・・・大好きな親友がお互いを想いながら離れて行ってしまったことに泣いていたのだ。

 

「ダイヤ達は何も間違ってなんかいないよ。誰も間違ってなんかいない・・・。ただ、ダイヤ達は優しすぎたのかもしれないな。」

 

「優しすぎた・・・?」

 

「うん・・・。三人とも自分よりも他の二人の事が大事で自分より相手を優先してしまっただけなんだと思うんだ。」

 

「ならどうすればよかったんですか!?このまま続けたいと我が儘を言えばよかったんですの?ギクシャクしていても、これでいいんだと気にしないふりをして続けていればよかったんですか!?」

 

「そうは言っていない!!」

 

「ですが!!・・・ですが、優しかったから傷つけてしまったと言うのなら私達はどうすれば・・・」

 

「もう一度言う!ダイヤ達は間違ってなんかいない!!・・・気持ちはわかるけど、これ以上自分を責めるなよ・・・。」

 

 やばい、今度は俺の方が泣きそうだ・・・。果南と鞠莉の事が大好きで、大切で、なにも出来なかった自分を責めてなくダイヤの姿を見ていたら俺も辛くなってきた。俺はダイヤの泣いているところなんて見たくないのに、笑顔にしてやりたいのに、今の俺はなんて無力なんだろう・・・。

 

「そんなこと言われても!!・・・んっ!?」

 

 自分を責めて止まらないダイヤを見ていて、自分の不甲斐なさが情けなくて騒動的に気がつくとダイヤにキスをしていた。それにこれ以上ダイヤの口から自分を責める言葉を聞きたくなかったから・・・。

 暫くダイヤの唇を塞いでいると、次第に力が抜けて行くのが感じ取られ、俺は完全にダイヤから力が抜けたあたりでようやく唇を離すと、先ほどまでの混乱はなく、キスをされたことに驚きと戸惑いこそあるものの、ようやく落ち着きを取り戻してくれた。

 

「んっ・・・はぁ・・・ゆ、悠さん・・・!?」

 

「もういいんだ。どれだけ『もしあの時こうしていれば・・・』なんて考えたって、もう未来は変わらないんだ。だから今は泣きたいだけ泣いたらいい。それで、思いっきり泣いたら今度は前を見よう?今すぐには無理でもダイヤ達ならいつかきっと、また三人で笑って過ごせる時が来る!!だから今は二人の為じゃなくダイヤ自信の為に泣いていいんだ・・・。ここには俺しかいないんだから。」

 

「うぅっ・・・・うわ~~~ん!!!」

 

 ダイヤは子供のように大きな声で俺に抱きつきながらまた泣きだした。ダイヤは甘えたのくせに意地っ張りだから、自分の為に泣きたくても泣けなかったんだろう。それが俺に自分の為に泣いていいと言われ、感情が堰を切ったようにあふれだしたんだと思う。俺はそんなダイヤを優しく、でもしっかりと力を込めて抱きしめながらダイヤが泣き止むまで頭を撫で続けた。

 そしてどれくらいったっただろうか?泣き疲れたダイヤは俺に抱きついたまま眠ってしまった。泣いてすっきりしたのか、心なしか晴れ晴れとした顔をしているようにも見える。ダイヤのその顔を見て安心した俺も眠くなってきた。時計を見ると既に日付も変わり時刻は2時になろうとしていた。

 

「もうこんな時間か・・・。明日も学校あるし俺も寝るか・・・。早めに起きてダイヤを一旦家にも送らないといけないしな・・・。」

 

 俺はダイヤを抱きかかえ俺のベットで寝かる為に移動してダイヤを寝かせたが、ダイヤが俺の首にまわした腕を離してくれなかった。

 

「お~い、ダイヤさ~ん、そろそろ離してくれないかなぁ?」

 

「ん~~、いやですわ~・・・」

 

「いやですわって・・・、こいつ寝ぼけてるのか?ダイヤ~?」

 

「いや~!!」

 

 寝ぼけているのかワザとなのか、ダイヤ更に腕に力を込めて俺を引き寄せてきた。そのせいで着ているTシャツの裾がめくれ太ももが露わになっていて俺は慌てて布団で隠し、離れようとしたがやはり出来ず、俺は観念してダイヤの横で寝ることにした・・・はいいがドキドキして眠れん!!ダイヤはずっと抱きついたままだから寝息がとても近く理性が崩壊寸前だし、これはまいった・・・・。

 

 

 

------------------

 

 

なでなで

 

「ん・・・・あれ?俺いつの間にか寝てたのか・・・」

 

「悠さん!?・・・その、お、おはようございます///」

 

「ん・・・あ、ダイヤおはよう///」

 

 結局俺はあの後限界が来て気付いたら落ちていたらしい。視線をダイヤの方へと向けると掛け布団で体を隠すようにしながら俺の頭を撫でているダイヤが照れたような笑みを浮かべていた。そのしぐさが可愛過ぎて寝起きだというのに危うく理性を飛ばすところだった・・・・。

 

「その・・・昨日は申し訳ありませんでした・・・。」

 

「いや、気にしないでいいよ。」

 

「昨日、悠さんが言ってくださったあの言葉のおかげで少しですが気持ちが楽になりました。」

 

「あの言葉?」

 

「はい。『きっとまた三人で笑って過ごせる時が来る』と・・・。ですから私は生徒会に入ろうと思います。」

 

「生徒会に?」

 

「えぇ。いつになるかわかりませんが、また果南さんと鞠莉さんと私で笑いあえる時が来た時に、私達の大切な思い出のある浦女が無くなってしまわないように、出来る事は少ないでしょうが、ただの生徒でいるよりもやれる事があると思うので。」

 

「そっか。俺に何ができるか分からないけど、ダイヤが決めた事なら全力で応援するよ♪」

 

 俺はダイヤの頭を撫でながら自然と笑みがこぼれた。昨日とは違い、真直ぐと前を見つめる俺の大好きな瞳をしていたから。

 ダイヤは頭を撫でられて恥ずかしそうにしたが、すぐに目を細め身を委ねてきたので、そっと抱き寄せてキスをした。

 

「んっ///・・・ぷはぁ・・・。そう言えば悠さん!!昨日のあれは卑怯ですよ!!」

 

「あれ?」

 

「昨日の・・・その・・・キ、キキ、キスの事です///」

 

「え、あ、あぁ、その、ごめん・・・。初めてのキスがあんなで・・・」

 

「そうですよ・・・。全然してくださらなかったのに、あんな不意打ちみたいに///」

 

 ダイヤは頬を膨らませて顔をそむけてしまった。

 

「ごめんな。俺だって本当はもっとこう・・・ムードがある感じにしたかったんだけどさ・・・。」

 

「仕方ないのでその、まだ不安でこれからの事にも自身が持てないので、その・・・もっと勇気をいただけるなら許してあげます///」

 

 ダイヤが顔を真っ赤にしてキスのおねだりをしてきた。ヤバイッ!!マジで可愛いんですけど!!なにこれ?俺の理性を壊しにかかってるんですか?

 

「お、おう///」

 

 俺はダイヤにまたキスをしてギュッと抱きしめた。どれくらいキスをしていたか分からないが、どちらからともなく唇を離すと唾液が糸を引いていた。ダイヤを見ると瞳がトロントとて熱を持ち潤んでいてとても色っぽく、俺の理性は崩壊寸前だった。

 

~~♪

 

 俺がギリギリの理性と顔をのぞかせている欲望と葛藤をしているその時だった、俺のスマホから着信を告げる音が鳴り響き俺の理性は寸前のところで保つ事が出来た。

 

「えっと、もしもし?」

 

「あ、あ兄ちゃん?大丈夫?」

 

「大丈夫とは?」

 

「え?お兄ちゃんもしかして今起きたの?」

 

「ん?いや、起きてはいたんだけど・・・って、えぇぇ!?もうこんな時間!?」

 

 俺の理性を救ってくれた電話に感謝しながら電話に出ると相手はルビィだった。そのルビィに指摘され時間を見ると既に時刻は7時半を過ぎていた。ダイヤを一旦家に送るつもりだったから本当ならもう少し早く家を出るつもりだったのに、これでは直に学校へ送らないと遅刻になってしまうぞ!!

 

「お父さんが『遅いっ』って物凄い形相でお姉ちゃんを待ってるんだけど・・・」

 

「マジかっ!?ごめんっ!!ちょいのんびりしすぎたからこのままダイヤは学校に送るって伝えておいてもらえないかな?」

 

「えぇ!?」

 

「悪いなルビィ!!今度なんでも好きなもの買ってやるから頼んだ!!」

 

「え、あ、お、お兄ちゃん!?」

 

「と言うわけで、ダイヤ急いで着替えろ!!今出ないと遅刻だ!!(後これ以上遅くなろうものなら俺に明日はないかもしれない・・・。)」

 

 俺はダイヤに急ぐよう促し、振り向くとまだトロンとした表情で惚けているダイヤが居た。

 

「・・・ダイヤ?お~い?」

 

「悠さん・・・・///」

 

「ん?どうした?」

 

「行かないとダメですか・・・?」

 

「へ?」

 

「学校に・・・行かないとダメですか?」

 

「ダメって言うか、そうしないと俺の命が・・・」

 

「続きを・・・していただきたいのですが・・・////」

 

「っ!?!?!?!?」

 

 俺の袖をチョコンとつまみながら潤んだ瞳で、しかも上目づかいでそんな事を言われ、俺の蜘蛛の糸のように細くしか残っていなかった理性はあっさりと切れて、俺とダイヤはついに一線を越えてしまった。お互い力尽きて寝てしまうまで激しく求めあい、次に目が覚めた時にはすでに夕方になってしまていた。

 先に目が覚めた俺は、隣で生まれたままの姿で寝ているダイヤを見て、先ほどまで触れていた肌や色々なところの感触を思い出し気恥ずかしくなりながら、俺はいいとしてダイヤに学校をさぼらせてしまった事、ダイヤを送った後俺の命が危なくどう切り抜けようか、など頭を悩ませていた。

 

「ん~悠さん・・・Zzz・・・」

 

 俺が頭を抱えていると、ダイヤが寝言で俺の名前を呼んで抱きついてきた。幸せそうに寝てるダイヤを見ていたらこの後起こるであろう修羅場なんて些細なことに思えて俺は、この後ダイヤが起きるまでダイヤの可愛い寝顔を存分に堪能して過ごした。

 しばらくして目を覚ましたダイヤは、ニコニコとダイヤを見ている俺を見て、寝顔をじっくり見られていた事と数時間前の自分の言動を思い出したのか、顔を真っ赤にして俺をポカポカと叩いてきた姿が凄く可愛くって危うくまた理性を飛ばすところでした。

 

 

 

 

 この後ダイヤを家に送った時ら当然のごとく修羅場だったが、まぁダイヤとの仲が凄く進展したしよしとするか♪




いかがだったでしょうか?

しかし、どうしてこうなった?ダイヤ様との仲はここまで進展させるつもりはなかったのに・・・気が付いたらこんなことに・・・
新曲衣装のダイヤ様が可愛過ぎて色っぽ過ぎるのが悪いww

しかし今回書いたダイヤ様はキャラが崩れ過ぎてしまったような・・・自分の願望入れ過ぎたwでも後悔はしてません♪

「MY舞☆TONIGHT」の衣装のダイヤ様のあの色気は反則ですよね?ww


あまりうまく書けていませんが、雰囲気だけでも楽しんでくださいw

では、また宜しければ読んでやってください♪


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第25話 ~信頼してるんだからね~

MIRACLE WAVEも最高の曲ですね♪
3年生が千歌ちゃんのロンダートからのバク転の後涙を流している演出は神ってましたね♪

しかしあのバク転を杏ちゃんがやるのだろうか?怪我だけは気をつけてください!!


「いってて~・・・・昨日は流石にマジで命が危なかったなぁ・・・」

 

 昨日、二人して学校をサボってダイヤと濃厚な時間を過ごしたあの後、ダイヤを家まで送ったのだが、学校をサボった事があっさりとばれた上に、ダイヤを少女から大人の女性へと変身させてしまった事もばれてしまった。

 何故ばれたかというと、学校にいたってはとても単純な事だが、連絡も無しに学校を休んだのだ、当然家に連絡が行くわけで、そうなると・・・

 

『あれ?ということはまだ悠の家にいるかも?ダイヤに何があったかわからないけど今精神的に弱っている・・・うちのダイヤは可愛い・・・その可愛さにメロメロになった悠が襲わないわけがない!!!』

 

 と連想ゲームが行われたらしい。

 そこへダイヤが帰宅し、よく見ると

 

『あれ?なんか歩き方がおかしいぞ?』

 

『二人の間に今までにない甘い空気が流れている?』

 

 と、なにか違和感を察したおじさん達に問い詰められ、流石はダイヤさん。顔を真っ赤にしてつい先ほどまで行われていた情事のことをあっさりと白状されました。

 まぁ、もともと真面目で隠し事のできない性格だし、何よりダイヤはずっと俺がこうしてくれるのを待っていてくれたんだ、きっと嬉しくって舞い上がっていたんだろう。だから口を滑らしたんだと思う。

 事情はどうあれ、結果的にダイヤを美味しくいただいたことに変わりはなく、俺はおじさんからダイヤへの愛という名の鉄拳制裁をいただくことになり、おばさんからは背筋の凍るような素敵な笑顔と同時に

 

『私ももうおばあちゃんになってしまうのね♪』

 

 と逃げるつもりはないが、逃げる事は許さないわよ、と遠まわしに釘を指され、ルビィもお年頃のせいかこういった話に興味心身で、顔を赤くしながらもしっかりと話を聞いて

 

『本当のお兄ちゃんになるんだね♪』

 

 と無邪気におばさん同様逃げ道を断ってきた。

 まぁそんな修羅場を何とか命だけは奪われず生還することができたのは、ダイヤがおじさんを止めてくれたおかげだ。ただ、最近ダイヤに尻にかなりしかれ始めているような気もするが気付かなかった事にしよう・・・うん。

そして俺は今は淡嶋神社の途中にある展望スペースに来ている。なぜこのような場所にいるかと言うとダイヤとのデート♪というわけでなく、マリーから呼びだしを受けたからである。

 

「ったく、自分から呼び出しておいて遅刻かよ・・・」

 

 俺は指定された時間には到着したのだが、既に約束の時間を30分過ぎているのにマリーはまだ来ていなかった。結局マリーが到着したのはそれから20分後だった。

 

「Sorry☆ちょっと用事をかたずけていたら遅くなっちゃった。てへぺろ☆」

 

「てへぺろって・・・。まぁいいけどさ。・・・で?話って何だ?想像はつくけど。」

 

「そんなことより悠。ずいぶん雄闘虎(おとこ)らしい顔つきになったんじゃない?」

 

「そんな事って・・・・。てか、男の発音変じゃなかった?」

 

「そんなことないって♪それより本当にどうしたの?誰かとバトルでもしたの?」

 

「バトルではないけど・・・まぁいいじゃないか。」

 

 まさかダイヤと仲良くしておじさんに鉄拳制裁されたとは言えないよなぁ・・・。

 

「バトルじゃないなら、ダイヤを襲ったんでしょ~?☆」

 

「!?ごほっごほっ!!!」

 

「え!?本当に!?ウソ~!?」

 

「そ、そそそ、そんなことあるわけないだろ?いきなりそんなこと言うからびっくりしただけだ!!」

 

「なぁんだ。」

 

 あ、焦った~。こいつはエスパーか?・・・って本題からどんどん逸れてないか!?

 

「なぁんだ・・・じゃないだろ!!俺とじゃれる為に呼び出したわけじゃないだろ?」

 

「・・・・」

 

「ふぅ・・・。一昨日の事だろ?」

 

俺がしびれを切らせて本題を切り出すとマリーは軽く俯きながらコクンッと頷いた。しかし、今から話す内容を考えたら不謹慎ではあるが、こんなしおらしいマリーを見るのは新鮮だ。

 

「ダイヤから聞いてると思うけどワタシ達解散しちゃった・・・。」

 

「うん。」

 

「それでね、ワタシ9月から留学することにしたの。」

 

 そうか、海外の新学期って9月からなんだっけ?ってことは、引越しの事とか考えたらもうすぐ向こういに行っちゃうのか・・・。

 

「そっか・・・。寂しくなるな・・・。」

 

「ありがと☆悠にそう言ってもらえてうれしいわ☆」

 

「この事はダイヤ達には?」

 

「No。まだ言ってないわ。」

 

「なら、俺はまだ黙ってる事にするよ。」

 

「Sorry・・・。それで、ついでと言ってはなんだけど、ユウにお願いがあるんだけど・・・。」

 

 マリーが頼み事なんて珍しいな。くだらない事を押しつけて来る事は山ほどあったけど、真面目な頼み事なんて初めてじゃないだろうか?これは断るわけにはいかないなぁ。

 

「いいよ。言ってみな。」

 

「あのね、ダイヤの事は当然として、果南の事を気にかけていてほしいの。」

 

「それは構わないけど・・・何で?」

 

 果南は確かにたまにポカをかますが、俺なんかが気にかけなきゃならないほどじゃないと思うんだけど・・・。

 

「果南はね、強いように見えて本当は凄く繊細なの。だからワタシの代わりに見守っていてほしいの。」

 

「ん~そうは思えないけど・・・。」

 

「い・い・か・らっ!!」

 

「お・おう・・・」

 

 マリーにズイッと詰めやられ、その迫力に押され返事をしてしまった。まぁ、気にかける事はかまわないからいいけどさ。

 

「ホントに悠はそういうところ鈍感なんだからぁ!!そんな事だといつかダイヤに愛想尽かされちゃうわよ?」

 

「余計なお世話だ!!」

 

「あんっ☆本当の事なんだから怒らないでよ☆」

 

「・・・・」

 

 俺はマリーに怒りつつも、マリーなりに俺達の事を心配してくれてるのが分かり、このやり取りももう出来なくなるのかと思うと、寂しさがこみ上げてきた。短い付き合いではあるけど、ダイヤと果南とマリー、この3人と居る時間がとても気に入っていたようだ。

 

「そんな顔をしなくて大丈夫よ☆ワタシ必ず帰ってくるから☆」

 

「・・・はい?」

 

「だ・か・ら!帰ってくるって言ってるの!!」

 

「あぁ!向こうの大学まで卒業したら帰ってくるってことか。」

 

「悠ふざけてるの?」

 

「えぇ!?なんでそうなるんだ!?」

 

 なぜか物凄い顔で睨まれた。だって留学するんだろ?帰ってくるってことはそう言うことじゃないの?

 

「2年・・・ううん。1年半あれば十分。そしたらワタシ帰ってくるわ。」

 

「えっと・・・。」

 

 え?どうゆうこと?思考が追い付かないんですが・・・。

 

「まったく鈍いわね・・・。だから、サクッと卒業して帰ってくるから!!」

 

「え、マジ!?マジで言ってる?え?そんな簡単に飛び級とかできちゃうわけ?」

 

「そんなわけないでしょ!!大好きな人たちのところに帰ってくるために頑張ってくるって言ってるの!!」

 

「そ、そうか。」

 

 その自信は一体どこから来るんだろうか?ダイヤ達はマリーが凄く優秀だと言っていたけど、俺が思っていたよりも凄いのか?

 

「と・に・か・く!!必ず帰ってくるからそれまでダイヤと果南の事よろしくね!!これでもユウの事は信頼してるんだからね?」

 

「お、おう!!」

 

 なんだろう、まさかマリーの口からこんなセリフを聞くことになるとは・・・。俺泣いちゃうよ?

 それから少しマリーとこれからの事を少し話、まだ向こうへ行く準備があるからとマリーは帰って行った。

 良くも悪くも動き出すとあっと言う間に事が運んで行く現実に俺は少し戸惑いながら、それでも受け入れて前へ進むしかないんだと感じ、少し感傷に浸ってしまった。




 いかがだったでしょうか?少し短めですが少しでも楽しんでもらえたら幸いです。

 しかしアニメ2期は色々謎だったところも明かされたり、個々に踏み込んだ話があったりで面白いですね♪
 曲が鞠莉が作ってダイヤちゃんが衣装、果南が作詞だったり、まさか鞠莉の怪我の原因があんな理由だったりと分かるたんびに、『なるほど』と思わされました。

 ダイヤ様、いやダイヤちゃん回もニヤニヤがともらないですし、ヨハリリ回もよかったですね♪堕天リリー面白かったwwそしてやっぱり3年生の友情やラブライブへの思いは素晴らしいですね☆
 今後もとても楽しみです☆

 話は戻りますが、この話はまだまだ書いていきますが、そろそろ一段落となります。
宜しければ次回も読んでやってください♪

でわノ


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第26話 ~忘れないから~

~果南Side~

 

 わたしが鞠莉にスクールアイドルを辞めようと言ってから最初の月曜日。

 休みの間は辛くて辛くて、自分が悪いのは分かってるけどいっぱい泣いた。それに、わたしの自分勝手な行動にダイヤを巻き込んでしまった。ダイヤは気にしなくていいって言ってくれたけど、ダイヤの事だ、泣いているわたしを見て、わたしがこれ以上傷つかないように自分の気持ちを隠してくれたに違いない。いつかこのお礼は精神的に返すとして、鞠莉が問題だ。あれから鞠莉は学校に来ていないし連絡すら取っていない。

 

「はぁ・・・。一体どんな顔をして会えばいいんだろう・・・。」

 

 休みの間思いっきり泣いて精神的に落ち着きはしたけど、鞠莉も今週あたりから学校に来るだろうから、逢うという事は避けて通れない道なわけで・・・でも、逢うのは少しばかり勇気がいる。だからわたしは無駄と分かっていても、少しでも鞠莉と逢わないで済むよう遅刻ギリギリで登校した。

 鞠莉が来ているかどうか覗くように教室の中を見渡すと、そこには当然ながらダイヤが既に自分の席に座って1時間目の準備をしていたが鞠莉の姿はなかった。そんなわたしを見つけたダイヤはどこかスッキリしたような、そして女のわたしが見てもドキッとするような素敵な笑顔で会釈をして準備に戻った。

 あの時は頭の中がごちゃごちゃしていて気がつかなかったけど、先週ダイヤが学校を休んだ次の日、休んだときに何があったのかは分からないけどダイヤからは今までとは違う何かを感じた。どこが?といわれたら、これだ!とは答えられないけどあえて言うのなら『大人の女性』という感じかな?いったいダイヤに何があったんだろう?

 そんなことを考えながら自分の席につくとHRの開始のチャイムが鳴った。鞠莉の席を見てもやはり鞠莉はきていない。

 

「今日も休みか・・・・」

 

 鞠莉が居ない事に少しほっとしながらそんな独り言をつぶやいていると、担任の先生が教室に入ってきた。

 

「えっと、今日は皆さんにとても残念なお知らせがあります。・・・・入ってきて。」

 

「え?鞠莉!?」「鞠莉さん!?」

 

 先生に促され入ってきたのは今日も休みだと思っていた鞠莉だった。そのことに驚いた私とダイヤは思わず立ち上がっていた。そして驚いたのはわたしとダイヤだけではなくクラス全員驚いていてザワザワとしていた。

 

「はいはい、皆静かに~。松浦さんも黒澤さん座ってね?・・・皆さん驚かれると思いますが、今学期を持って小原さんはこの浦の星女学院高校を離れ海外の高校へ転入されます。」

 

 鞠莉が留学するという話に教室がさらにざわついた。そんな皆の反応を見て鞠莉は照れたような、少し困ったような笑みを浮かべ、先生に促され鞠莉は全員に向けて挨拶をしていた。

 結局、鞠莉は今日一日質問攻めにあい、わたしとダイヤがゆっくり鞠莉と話せたのは放課後になってからだった。そして放課後、わたしとダイヤは鞠莉に呼び出され部室に来ていた。

 

「二人には話が遅くなってゴメンね?」

 

「いえ、それは構いませんわ。」

 

「そうだね。それより思ったよりも早く留学が決まったね?」

 

「向こうの学校は9月から新年度のスタートになるからね。元々留学の話が来ていたから留学したいって言ったらサクサク話が進んで、急だけど9月からは向こうの学校に通うわ。」

 

「では、これから準備とか手続きとか色々大変ですわね。」

 

「Yes。だから来月には向こうに行かないといけないから、果南とダイヤともこうやってゆっくり話せるのも、後少しだけになちゃうね。」

 

 鞠莉はそういうと少しだけ寂しそうに笑った。

 自分が決めたことなのに、鞠莉の為って決めてスクールアイドルを辞めることを選んだのに、鞠莉のこの顔を見て心が揺らいでしまった・・・『いかないで!!』そう口にしそうになってしまった。わたしだってダイヤと気持ちは同じ。本当はこの3人でずっとスクールアイドルをしていたかったし、これからも鞠莉とダイヤのそばに居たい。

 でも、それは口にしてはいけないこと。鞠莉の将来を考えたら、わたしはここで引き留めてはいけないんだ。それに、これはわたしが望んだ事でもあるから・・・。行ってほしくない気持ちも、向こうで頑張って明るい未来をつかんでほしい気持ちも、どちらも本当だ。だから、凄く辛いけどわたしの我が儘は隠しておかないといけない。鞠莉が前に進むと決めてくれたんだから・・・。

 鞠莉の話が終わると鞠莉はまだ準備があるから帰ると言うので、3人で帰ることにした。こうして3人で帰れるのも、もう数えるしかなんだと思うと涙が出そうになった。それは鞠莉もダイヤも同じなのか、淡島への船着き場に着くまで誰も言葉を発することなく歩いていた。

 船が丁度着ていたので、悠君のところに行くと言うダイヤと別れ船に鞠莉と乗り、海を眺めながらこれまでの事、そしてこれからの事を考えていた。

 今までも鞠莉の立場や立位置を考えたら、わたしなんかじゃ想像もできないような苦労もあったと思う。それに加えて、これから鞠莉はこれからわたし達の知らないところで生活するんだ。もしかしたら色々な事が嫌になって逃げたしたくなる事もあるかもしれない。小原家の娘ということや、才能があるからといった事で嫌われ、酷い扱いを受ける事もあるかもしれない。だからせめて、わたしが鞠莉の事を想っている事だけは伝えておこう。自己満足かもしれないし、これでいいんだって、自分に言い聞かせたいだけかもしれない・・・でも・・・。

 

「ねぇ、鞠莉・・・」

 

「ん?なぁに果南?」

 

「これから色々大変だろうし、嫌になる事が沢山あると思う。」

 

「うん・・・」

 

「自分から解散して、鞠莉の事突き放してくせに言えた事じゃいんだろうけどさ・・・・」

 

「・・・」

 

「離れ離れになってもさ・・・わたしは鞠莉の事、忘れないからさ。だから、向こうに行っても頑張ってね。」

 

「・・・うん。ありがとう。向こうに行っても頑張るわね☆」

 

 鞠莉は少し寂しそうな顔をしたけど、すぐにニコッと笑って返事をしてくれた。その後は船が淡島に着くまで二人で夕日が反射する海を眺めながら過ごして鞠莉と別れた。

 それからは特別な事があるわけでもなく、かと言って何かをする事もないまま鞠莉との別れの日が来てしまった。

 

 

~果南Side End~




いかがだったでしょうか?

今回も中途半端になってしまうので短めですが、楽しんでいただけたでしょうか?

アニメ2期は神回が多いですね♪
最新7話は泣きましたね!!あそこで「空も心も晴れるから」Aqoursバージョンが流れるとは・・・。あれは反則過ぎです!!

さてさて、次回で一応第1部 完 になる予定です。(書きたい事が多いのでもしかしたら+1・2話するかもしれませんがw)

宜しければ次回も読んでやってください。

でわノ


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第27話 ~大切な仲間~

アニメ二期の黒澤姉妹の株のバク上げが素敵過ぎる!!


 学生にとって最大の苦難とも言えるであろうテストやらレポートの嵐を乗り越え、俺は何とが無事に夏休みを迎える事が出た。まぁそこに至るまでに果てしない苦労があったので、まずは少しだけ語らせていただこう。

 

 普段はこんな俺でも、一応は真面目に大学に赴きノートをとっている俺は、まぁ成績はよくはないものの普通と言った感じで、レポートも一応はちゃんと提出していた。では、なぜ苦労したかと言うと、原因は智也にあった。いや、今回はかなりの割合で俺が悪かったんだけどさ・・・。

 Aqoursが解散したあの日。行方不明になったダイヤを、雨が降る中俺と一緒探しに出てくれた智也だったが、見つかったら連絡をするという約束を俺がすっかり忘れていた為、律義にも智也は俺からの連絡がないもんだからまだ見つかってないんだと思い、雨の中夜中までずっと探していてくれたそうな。

 そして夜中まで探したけど見つからない中、『申し訳ないけどヘトヘトになってしまったから一旦帰る』と俺に連絡を入れたが繋がらないので、メールを入れて帰ったらしいんだけど、俺がそのメール・・・というか智也の存在を思い出したのが次の日の夕方にダイヤを送り届けている途中だった。慌てて智也に見つかっていた事を連絡したんだけど、その時にはすでに、雨に濡れたのが原因か40度近い熱を出して寝込んでいた。

 結果一週間近く大学に来れなかった智也は、テストこそギリギリどうにかなったようだが、レポートの期限がどうしても間に合わないと言う事で今回は俺にも非があったので手伝ったのだが、これがまた厄介なことに智也の奴は遊び呆けてかなりのレポートを貯めこんでいやがった。流石にこれは俺に非があるのか貯めこんだこいつが悪いのか分からなくなり放置しようかとも思ったが、ダイヤにちゃんと手伝いようお願いされてしまったので泣く泣く膨大な量のレポートを手伝い今に至ると言うわけだ。

 

 まぁ、俺の自分語りはこの辺にするとして、そんなこんながありながらも無事夏休みを迎えた俺なわけだが、俺は今とある場所でダイヤ達を待っているのだが・・・

 

「ねぇ、あの人ちょっとカッコ良くない?」

「誰かの彼氏かな?羨ましいなぁ・・・」

「なんでこんなところに男の人が?」

「変質者かな?ストーカーかな?」

 

 と、ヒソヒソ話す声が微かに耳に入ってきて物凄く居心地が悪い・・・。

 そう俺は今、浦女の校門の前に居るのだ。なぜこんなところでダイヤ達を待っているかと言うと、今日の夕方にマリーが留学先へ旅立つと言う事で、俺とダイヤと果南の3人で見送りをしようと言うことになった。それ自体はいいんだけど、なにをどうしてこうなったのかは分からないが、俺が浦女まで3人を迎えに行くということになっていた。そしてまだ3人とも出てこないので、他の女子生徒から珍獣を見る様な眼で見られヒソヒソされていると言うわけです。

 

「はぁ・・・。ダイヤ達はまだかよ・・・。このままじゃそのうち警察呼ばれちゃうよ・・・。」

 

 結局、俺はこの後30分ほど待たされ、3人が出てきた頃には遠巻きに女子生徒達が群がりマジで御用になる5秒前、的な感じだった。ちなみになぜ携帯に連絡をしなかったのか?と疑問に思う方もいるだろうがこの3人、律義にも学校では携帯の電源を切っていて連絡が取れなかったのだ。

 

「悠さんお待たせしました。」

 

「お・おう・・・・。」

 

「ごめんね悠君。クラスのみんながなかなか鞠莉を離してくれなくてさぁ~。」

 

「なんか物凄い事になってるねぇ☆もしかしなくてもピンチだった?☆」

 

「・・・たぶん。」

 

 周りの状況とぐったりとしている俺を見てダイヤと果南は苦笑いをしていた。マリーは物凄く楽しそうにニヤニヤしていたけど、もう精神疲労がピークだった俺は突っ込む事を放棄した。

 

「それで?沼津駅まで行くのか?」

 

「いえ、違いますよ?」

 

「え?それじゃどうやって空港まで行くんだ?」

 

「あれ?悠さん聞いていないのですか?」

 

「なにを?てか、俺はマリーから『今日向こうに行くから浦女の前に来い』とだけ一方的に言われて今に至るんだけど・・・。」

 

「それは申し訳ありません!!鞠莉さんが自分から悠さんに伝えると言っていたので、きちんと伝わっているものと思っていました。」

 

「それはいいんだけど、沼津駅じゃないならどこに行くんだ?」

 

「小原グランドホテルです。」

 

「はい?なんでホテルになんて行くんだ?」

 

 話が全然見えなくなってきた。マリーを見送るのに何でホテルに行くんだ?3人ともウソを言ってる感じじゃないし・・・。あれ?もしかして、俺が何かずれてるの?

 

「それはねユウ・・・ヘリーで空港まで行くからよ☆」

 

「えっと、一応聞くけど、ヘリって、空を飛ぶあの、ヘリだよな?」

 

「何言ってるのユウ?それ以外にいったい何があると言うの?」

 

 ですよね~。てか、普通の女子高生が何でヘリで移動するんだ?ヘリってそんなに簡単に乗れるものなの?それよりもわざわざヘリで行かなくても、普通に電車で移動じゃダメなのだろうか?

 

「あのさぁ、よくわからないんだけど、どうしてマリーはホテルからヘリで空港まで行くんだ?」

 

「どうしてって言われても・・・ねぇ?」

 

 3人は顔を見合わせて『何を今さら当たり前の事を聞いてるの?』といった表情で俺を見てきた。

 

「いや、そんな顔で見られても困るんだが・・・。だいたい普通、一般人はヘリで移動しないだろ?」

 

「あの、悠さん?鞠莉さんを一般人と言うのはちょっと・・・・」

 

「まぁ確かに、凄く頭がよくて留学する様な人を一般人と呼んでいいものかは少し悩むけど、でもマリーだって普通の女の子だろ?」

 

「そうなのですが・・・」

 

 ダイヤは少し困ったというような表情をしていた。俺そんなに変なこと言った?

 

「悠君さ、もしかして鞠莉の家の事知らないの?」

 

「家?鞠莉の家がどうかしたのか?」

 

「ワタシの家はあのホテルなのデース☆」

 

「えっと・・・何言ってるの?」

 

 ホテルが家だって?流石の俺もそんなのには騙されないぞ?大体ホテルが家ってなにさ?ホテルに住んでるわけじゃあるまいし。

 

「だーかーら、ワタシの親がホテルを経営していて、ワタシはホテルの最上階に住んでるの!!」

 

「マジ?」

 

 俺がダイヤと果南の方を見て確認すると二人は深くうなずいていた。

 

「え?てことはもしかしなくともマリーってば、かなりのお嬢様?」

 

 今度は3人そろって頷いていた。

 

「初耳なんだけど?」

 

「お話していませんでしたっけ?」

 

「うん・・・」

 

「申し訳ありません!!私ったら・・・!!」

 

「まぁいいんだけどさ。お嬢様だからってマリーへの接し方が今更変わるわけじゃないし。しかしマリーがお嬢様ねぇ・・・」

 

「なぁに?ワタシがお嬢様だったら不満なの?」

 

「別に~?」

 

「な~んか引っかかる言い方ね?」

 

 ただ、俺の中のお嬢様のイメージがダイヤみたいにお淑やかと言うか上品なイメージだから、マリーみたいに活発で明るくて、好奇心旺盛な姿がお嬢様と言われてもピンとこないだけなんだけどね。でもそれを言ったら、ダイヤ基準のダイヤバカと言われそうなんで言わないでおこう。

 こんなやり取りをしながらマリーが旅立つホテルまで向い、ついに別れの時が来てしまった。

 マリー達と知り合ってからてまだ数カ月しか経っていないが、不思議なもんで昔から仲が良かったようなそんな感じがする。それくらいこの数カ月が充実していたんだろうし、短い間だったけどダイヤ達のスクールアイドル活動を手伝い、一緒に何かを0から作り上げていくうちに、俺の中でダイヤの友達から大切な仲間、みたいな感情が芽生えたんだとおもう。まぁ、一方的に俺がそう思っているだけでマリー達はどう思っているかは分からないけど・・・。そんなもんだから、連絡を取ろうと思えば簡単に連絡の取れるご時世だと言うのに妙に感傷的になってしまうなぁ。

 

「それじゃ、もう行くね・・・。ダイヤも果南も見送りありがとうね☆」

 

「鞠莉さん、お体にはお気をつけてくださいね?」

 

「うん。」

 

「向こうに行っても頑張ってね。」

 

「ありがとう、果南☆ユウも本当にありがとうね☆」

 

「おう!」

 

「・・・それだけ?」

 

「それだけ、とは?」

 

「いや、もっとこう・・・感動的な別れ、的な?ワタシが泣いちゃうような送る言葉があってもいいのになぁって☆」

 

「お前は俺に何を期待してるんだよ・・・。」

 

「別に期待はしていなかったけどね☆」

 

「それはそれでムカつくなぁ・・・。」

 

「あははっ☆・・・でも、本当にありがとうね。こんな形になっちゃたけど、悠がいてくれるから安心して向こうに行けるんだヨ?」

 

「そ・そうか?」

 

「うん☆」

 

 急に真面目になるのはずるいと思う。思わず涙が出そうになったじゃないか。くそ~、俺が泣かされそうになってどうするんだよ・・・。

 マリーはヘリに乗ろうと俺の横を通る時に、『だから、果南とダイヤの事ヨロシクネ☆』俺にしか聞こえない声で言ってきた。俺はそれに無言で頷いて答えた。

 俺の返事を見てからマリーはヘリに乗り込み、ヘリは夕焼けに染まる空へ向かって飛び始めた。小さくなるヘリを見上げながら果南はライトをなにやらチカチカさせながらマリーになにかを伝えていた。ヘリが見えなくなっても、ダイヤと果南は暫くヘリの去って行った方を見つめていた。

 

「行っちゃたな・・・。」

 

「そう・・・ですわね・・・。」

 

「うん・・・。」

 

「時に果南?あのライトは何なの?」

 

「え?あぁ、これ?これはダイビング用のライトだよ?」

 

 果南はライトを見せながら俺にそれがなんであるかを説明してくれた。でも俺が聞きたいのはそう言うことじゃないんだよなぁ・・・。

 

「いや、そうでなくって、なんかチカチカさせてたろ?あれって何の意味があるの?」

 

「えっと・・///」

 

「あれは合図のようなものですわ。」

 

「合図?」

 

「えぇ。昔色々あったのと、今みたいにスマートフォンや携帯なんて持っていない時でしたから、ホテルの最上階に住んている鞠莉さんに『逢いにに来たよ』と知らせるのに使っていた合図なんです。」

 

 俺の疑問になぜか照れている果南に代わってダイヤが答えてくれた。一体何を恥ずかしがってるんだ?

 

「ま・まぁ、そんなところだよ!」

 

「でもさ、あのタイミングで『逢いに来たよ』はおかしくない?」

 

「ハグっ!?」

 

「もっとも、今回の場合は多少意味が違うとは思いますが・・・それはきっと鞠莉さんにも伝わってますわ。ね?果南さん♪」

 

「ハグ~////ダイヤの意地悪・・・。」

 

「なるほど!!つまり果南はマリーに『マリーの事ずっと思っているからね』的な気持ちをのせたのか!!」

 

「わ~!!!わざわざ声に出さないで~!!///」

 

 これはいいものが見れた♪こんなに恥ずかしがる果南なんてめったに見れないぞ♪でもまぁ、あんまりからかってしまうと後が怖そうだし、あまりつつかないでおいてやるか。

 

「さて、それじゃそろそろ帰るとするか。」

 

「はい。」

 

「うん。」

 

 マリーを見送った俺達はそれぞれの家路に着いた。

 家に着いた俺は物凄い眠気に襲われ、そのまま寝てしまい、そして俺はこの日夢を見た。

 それは、ダイヤと果南それにマリーが顔はよく見えなかったが、6人の少女達と一緒に笑い、スクールアイドルをしている、そんな幸せな夢だった。

 この夢がまさか現実になるなんてこの時の俺は全く想像していなかった。




いかがだったでしょうか?

一応これで第一部は終わりとなります。
第二部からはアニメ一期に沿いながら、その裏側と言った感じで書いていくつもりですが、その前に間章というか番外編と言った感じで第二部に繋がる話を書こうと思います。

ではまた宜しければ読んでやってください♪


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間章
第28話 ~涙のクリスマス ダイヤSide~


今回はダイヤちゃん視点と悠君視点の2話同時投稿です♪


~ダイヤSide~

 

「やはりこの時期は普段より活気がありますわね。」

 

「そうだね。それに皆楽しそう♪」

 

「そうですわね♪もうすぐクリスマスですから、皆さん自然と楽しい気分になるんでしょうね♪」

 

 クリスマス・イヴを前日に控えた私は今、ルビィと一緒に悠さんとルビィのクリスマスプレゼントと買いに来ました。今までは別々にお互いのプレゼントを買って当日プレゼント交換をしていたのですが、今年は悠さんへのプレゼントを一緒に選んでほしくてルビィに付き合ったもらいました。

 

「それで、お姉ちゃんは何を買うつもりなの?」

 

「お財布ですわ。」

 

「お財布?」

 

「えぇ。悠さんが今使っていお財布がボロボロでだったので、何で買い変えないのか聞いたところ、『買い変えようとは思ってるんだけど、まだ使えるし、いいのが無いからずるずるとね・・・。』と言う事でしたので。」

 

「そうなんだ。なんかお兄ちゃんらしいね♪・・・でもルビィが一緒に探してもいいの?」

 

「えぇ。ルビィはこういった物を選ぶセンスがありますし、意見が欲しくて・・・。」

 

「それじゃ、お姉ちゃんの為にがんばルビィ♪」

 

 我が妹ながらなんて可愛いのかしら!!

 私はルビィの頭を撫でながらお礼を言ってから二人で何店舗か周り、ルビィの勧めで黒色の革の長財布を買いました。デザインはシンプルですが、使いやすさを優先して長く使ってもらえるような物にしました。

 

「ありがとうルビィ♪おかげさまでいいものが買えましたわ♪」

 

「気にしないでお姉ちゃん♪・・・あれ?お兄ちゃんだ!」

 

「え!?あ、ル・ルビィ!!このプレゼントの事は悠さんには内緒ですわよ!!」

 

「うん♪・・・あれ?果南さんと一緒だ。」

 

「え!?・・・本当、ですわね・・・。」

 

 私はまたルビィの頭を撫でながらお礼をしていると、ルビィが私越しに悠さんを見つけたようですが、果南さんも一緒に居た様で、私も振り返り悠さんを見つけると、確かに果南さんと楽しそうに歩いている悠さん居ました。

 

「なぜ悠さんと果南さんが・・・?しかもあんなに楽しそうに・・・。はっ!!ま・まさかこれが世にいう浮気ですか!?」

 

「えぇ!?ち・違うんじゃないかな・・・?そもそも、お姉ちゃん、明日お兄ちゃんとデートなんでしょ?」

 

「それはそうなのですが・・・」

 

「でしょ!!果南さんとは偶然ここで会っただけだよ、きっと!!」

 

「そ・そうですわよね?」

 

「うんうん♪」

 

「でも・・・。はっ!!もしやこれは、どの恋人にも訪れると言う『倦怠期』というものから、気持ちが他の人に向いてしまった結果なのでわないのですか!?」

 

「そ・それも違うような・・・。てか、なんで戻っちゃうの!?」

 

「やはり、あのお胸でしょうか!?」

 

「お、お姉ちゃん!?」

 

「悔しいですが、果南さんのあのナイスボディには、どんなに努力しても勝てる気がしませんわ・・・。やはり殿方はお胸の大きい方がいいのでしょうか・・・。」

 

「お・落ち着いてお姉ちゃん!」

 

「それともあの時以来、その・・・男女のそれがないからでしょうか・・・」

 

「そんな生々しい話、ルビィ聞きたくなよ!!もう、しっかりしてお姉ちゃん!!」

 

「ぴっ!?わ・私とした事が、つい取り乱してしまいましたわ。」

 

 私とした事がはしたない。しかし、なぜ悠さんと果南さんが一緒に居るのか、それを調べなくてはいけませんわね。

 

「お姉ちゃん、お兄ちゃん行っちゃうよ?声かけなくていいの?」

 

「ルビィ!後をつけますわよ!!」

 

「うん!・・・え!?」

 

「ほら行きますわよっ!!」

 

「え?ちょ、ま・待ってよ~お姉ちゃ~~ん!!」

 

 こうして私達の悠さんの追跡が始まりました。

 悠さんと果南さんは数店のアクセサリーショップを回っては、色々なアクセサリーを果南さんが身につけては外してを繰り返し、果南さんとふざけあったりしながら楽しそうに選んでいまが、やがて気に入ったものがあったのか、可愛らしいハート型のネックレスを購入してお店を出て行きました。

 

「や、やはりあれは果南さんへのプレゼントの様ですわね・・・。」

 

「絶対違うと思うんだけど・・・」

 

「終わりましたわ・・・何もかも・・・。」

 

「いやいや、お姉ちゃん、なんでいきなり諦めてるの!?」

 

「だってあんなに楽しそうに二人で選んでいたのですよ?果南さんのあんなに優しい笑顔も久し振りに見ましたわ・・・。きっと私が知らない間に二人の関係は・・・」

 

-----------------------------

 

「ねぇ悠君、わたしとダイヤどっちのがいい?」

 

「そんなの果南に決まっているだろ。ダイヤの物は小さくて物足りなかったんだ。」

 

「本当に?嬉しいなぁ♪それなら、わたしの物、気が済むまで触っていいよ♪」

 

「ありがとう果南。愛してるよ。君の瞳に乾杯(キリッ)」

 

-----------------------------

 

「ぶっぶ~ですわっ!!!!!!」

 

「お姉ちゃん!?」

 

『ん?』

 

『どうかしたの悠君?』

 

『いや、今ダイヤの声がしたような・・・。』

 

『そう?わたしは聞こえなかったけど?』

 

『なら気のせいかな?』

 

「ほっ・・・どうにかお兄ちゃん達にはバレなかったみたい・・・。」

 

 突然大声を出した私をルビィが慌てて物陰に隠してくれたおかげで悠さんにバレずにすみました。

 

「もぉ、お姉ちゃんしっかりして!!てか、今の妄想はなに?あれは誰!?」

 

「ですから、悠さんと果南さんが・・・」

 

「全然違うよね?お兄ちゃんあんなこと言わないよ?とゆうか、今どきあんなこと言う人いないよね?」

 

「そうですか?殿方は意中の女性にはあのようなかっこいいセリフを言うものではないのですか?」

 

「お姉ちゃんのかっこいいの基準って・・・。」

 

 ルビィがなぜか項垂れてしまいました。私変な事を言ったでしょうか?

 

「って、この際そのセリフがかっこいいかどうかはいいとして、お兄ちゃんはそんなおかしなこと言わないよね!?」

 

「私に言わないだけかもしれませんわ・・・」

 

(ダメだ。お姉ちゃん自分の妄想でショックを受け過ぎて、まともに考える事が出来なくなってる。うゆぅ、ルビィの大好きなお姉ちゃんが・・・ここは、ルビィが頑張らないと!!)

 

「そうだよ!!あの奥手のお兄ちゃんがこんな大胆な事出来るわけないじゃない!!それに果南さんだってそんなひどい事するわけないじゃない!!」

 

「ですが、今目の前に広がる光景はどう説明いたしますの?」

 

 アクセサリーショップを出てから暫く歩き、今目の前には、ケーキやグランマさんで美味しそうにケーキを食べているお二人がいました。

 

「えっと・・・それはそのぉ・・・」

 

「これはどう見てもデートですわ・・・疑いようがありませんわ・・・。もういいですわ・・・帰りましょうルビィ・・・。」

 

「え、で・でも・・・。これには絶対理由があると思うよ?」

 

「いいから!!・・・帰りますわよ・・・」

 

「ピギッ!!お姉ちゃんそんなフラフラな状態で一人で歩いたら危ないよ~!!」

 

 その後私はルビィに支えられる形で家に帰りました。

 この日の夜は、昼間の光景が頭から離れず眠ることができませんでした・・・。

 

~ダイヤSide END~




悠君視点の方も宜しければどうぞ♪


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第29話 ~涙のクリスマス 悠Side~

今回はダイヤちゃん視点と悠君視点の2話同時投稿です♪


 俺は今、これまでの人生で最大の悩みを抱えていた。

 時は12月23日・・・12月と言えば恋人達にとって最大のイベントと言っても言いであろう『クリスマス』がある。クリスマス・イヴを翌日に控え、去年までの『クリボッチ』を迎えていた俺とは違い今年は・・・と言うか、人生で初めて彼女のいるクリスマスを迎える事になる俺はダイヤへのプレゼントで悩んでいたのだ。

 ダイヤと初めてのクリスマス、ダイヤが喜んでくれるものをプレゼントしたいんだけど、一体何を送ったらいいものやら・・・。ダイヤにプレゼントなんて子供のころ以来だし、なによりあの頃はお小遣いで買える範囲と言う事で、ダイヤの好物のプリンとかを買ってあげていたけど、流石に今はねぇ・・・。ダイヤの事だから有名店のプリンでも買ってあげたら滅茶苦茶喜びそうだけど、折角だからちゃんとしたものを渡したい!!

 

「と、言う事で・・・。よろしくな果南♪」

 

「何が『と言うわけ』なんだかわからないんだけど・・・」

 

「だから、ダイヤへのクリスマスプレゼント選びを手伝ってもらうって話♪」

 

「いや、初耳なんだけど・・・」

 

「おう、言ってないからな。」

 

「なんでそんなに自信満々に言うかなぁ・・・。てゆうか今さっき、たまたまここで会っただけだよね?」

 

 そう、俺はダイヤのクリスマスプレゼントを探す為町に出てあちこち回っていたところ、たまたま買い物に来ていた果南と遭遇したので、プレゼント選びのアドバイザーとして果南を巻き込んだのだった。

 

「まぁまぁ。ここで会ったのも何かの縁。俺を助けると思って頼むよ~。」

 

「えぇ~、どうしようかなぁ?」

 

「手伝ってくれたらなんか奢るからさぁ!!」

 

「ならグランマさんのケーキで手を打とう♪」

 

 果南はそれを待ってましたと言うような笑顔でOKしてくれた。まぁ、なにかお礼はするつもりだったからいいけど、上手い事誘導されたような気がしてなんか悔しい気がする・・・。

 

「で、プレゼントを探してるって言ってたけど、候補はあるの?」

 

「まぁ一応な。」

 

「ちなみに何にするつもりなの?」

 

「ありきたりだろうけど、アクセサリーかな。ブレスレットとかネックレスとかネットで調べてたんだけど、よくわかんなくてさぁ・・・。」

 

「まぁ、写真と実物とじゃ印象も違うだろうしね。それじゃ、とりあえずアクセサリーショップに行こうか♪」

 

「おう!」

 

 こうして俺と果南はアクセサリーショップを巡りダイヤへのプレゼントを探し回ったのだった。

 

 

「で、まず最初の店舗に到着したわけだけど・・・色々あり過ぎてよくわからん・・・。」

 

「しっかりしてよ悠君・・・。そんなんじゃ何のためにここに来たんだかわからないじゃない・・・。」

 

「そうは言うけどさぁ、確かにネットで見るよりは物は良くわかるけど、なんつうかイメージがわかないと言うかさぁ・・・。」

 

「そんなこと言ったてどうするの?」

 

 まいった・・・本当にまいった・・・。これを着けるとどんな感じになるのか想像できん・・・。洋服とかなら試着できたりマネキンがあったりで想像しやすいんだけど・・・。ん?試着?

 

「あ・あの~、すみませ~ん。」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「えっと、ここにある物って着けてみたりする事って出来ますか?」

 

「はい。大丈夫ですよ。どれがよろしいですか?」

 

「え~っと、これとこれと・・・後これ、いいですか?」

 

「かしこまりました。少々お待ちください。」

 

「ねぇ悠君?これどうするの?」

 

「どうするも何も、果南も聞いてた通り試着だ。」

 

 そう、イメージが出来ないのならイメージしやすくすればいいのだ。と言うわけで店員に試着したい物を取り出してもらい。試着してもらうことにしたと言うわけだ。

 

「と言うわけで試着だ。」

 

「悠君が?」

 

「果南が!」

 

「Me?」

 

「You!」

 

「・・・えぇ!?な・なんで私が!?悠君がすればいいじゃんっ!!」

 

「いや、俺がしたって客観的に見られないし意味ないだろ?」

 

「それはそうだけど・・・」

 

「それにダイヤと背格近いからイメージしやすいんだよ。」

 

「はぁ、しょうがないなぁ・・・。ケーキもう一つ追加ね。」

 

 うぐっ・・・。お金大丈夫かな・・・。まぁ、最悪足らなかったら逃げよう!!うん、そうしよう!!

 

「りょ、了解です・・・。」

 

 俺はこうして果南にお願いして、気になるアクセサリーを着けてもらい、ダイヤが着けているところを想像しつつ、果南に着けた感じとかデザインはどうか?とかを話しながら数店の店を回り、その中で俺も果南もこれが一番いいと思う物が同じだったので、ピンクゴールドのハート型のペンダントを買うことにした。

 買ったペンダントをきちんとクリスマスプレゼント用にラッピングをしてもらい、俺と果南は店を後にして、ケーキ屋グランマヘ向った。

 

「いやぁ、なかなかしっくりくる物がなかったけど、なんとかいいものが買えてよかったよ♪」

 

「感謝してよね?自分の買い物に来ただけなのに悠君の買い物に長々付き合わされるは、店員さんに彼女に間違われるは、散々だったんだからね?」

 

「だから悪かったって。マジで感謝してるよ♪今日は本当にありがとうな♪お礼に約束通りケーキをごちそうさせていただきます。」

 

「うむ、良気にはからえ。」

 

『ぶっぶ~ですわっ!!!!!!』

 

「ん?」

 

「どうかしたの悠君?」

 

「いや、今ダイヤの声がしたような・・・。」

 

「そう?わたしは聞こえなかったけど?」

 

「なら気のせいかな?」

 

 でも確かに聞こえたような・・・。本当に気のせいかな・・?

 

「ホント悠君の頭の中はダイヤの事ばっかりだよね?」

 

「そうかな?」

 

「そうだよ。あ、ほらグランマさんに着いたよ!早く入ろう♪」

 

「あ・あぁ。」

 

 そんなこんなで俺と果南はグランマでケーキを食べて別れた。しかし果南の野郎2個って約束だったのに3個も食いやがって・・・。明日のデート代大丈夫かなぁ・・・。まぁ最悪は食費を切り埋めれば何とかなるかな?

 それにしても今日は疲れたぁ。でも、その甲斐あって可愛い物も買えたし明日が楽しみだ♪ダイヤはこのペンダント喜んでくれるかな?喜んでくれたらいいなぁ♪

 この時ダイヤがどんな思いでいるのか俺は知る由もなく、ただダイヤの喜ぶ顔を想い浮かべながらこの日は眠りに着いた。




いかがだったでしょうか?
初2話同時投稿です♪この二人の運命やいかに?w
この続きは24日に上げられるよう頑張ります♪

そしてアニメ二期は3年生たちの話がとても丁寧に書かれていていいですね♪廃校が決定したあたりから毎話泣かされていますw

でわでわ、宜しければ次も読んでやってください♪


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第30話 ~涙のクリスマス~

~ダイヤSide~

 

 本日は12月24日。世間一般ではクリスマス・イヴと言う事もあり、世の恋人達はクリスマスデートデートやお洒落なディナーなど、色々な楽しみ方をするのでしょう。かく言う私もその中の一人、のはずだったのですが・・・今の私はとてもじゃありませんが楽しむ事が出来そうにありませんでした。

 

「昨日の事が気になって、まったく眠る事ができませんでしたわ・・・」

 

 楽しむ事が出来そうにないのは今日が楽しみで眠れず寝不足だから・・・と言うわけでなく、昨日街で悠さんと果南さんのデートを目撃してしまったからです。

 

「おはよう、お姉ちゃん。」

 

「あ、おはようございます、ルビィ・・・」

 

「お・お姉ちゃんっ!?」

 

 私が顔を洗って眠気を飛ばしていると、起きてきたルビィが私の顔を見て凄く驚いていました。

 

「どうかしましたか?」

 

「どうしたもこうしたも・・・、酷い顔だよ?お姉ちゃん!!」

 

「酷い顔・・・そうですわよね・・・こんな顔だから悠さんの気持ちは・・・。」

 

「あわわ、お、お姉ちゃん、そう言う意味じゃないから!!隈が凄い事になってるだけだからっ!!お姉ちゃんは凄く美人だから!!」

 

「そんなとって付けたように言われましても・・・」

 

(だ・ダメだ・・・。昨日の事でお姉ちゃん卑屈になってる・・・どうにかしないと・・・)

 

「あ、お姉ちゃん今日は何時に待ち合わせなの?」

 

「え?16時ですけど・・・でも行くの辞めようかと・・・」

 

「もぉ何言ってるのお姉ちゃん!!」

 

 珍しくルビィが怒っているようですが、なぜでしょう?そもそも昨日のあの光景を見てしまったのにどのような顔で悠さんにお会いしたらいいのか分かりませんわ・・・。

 

「きっと悠さんは、本当は今日私と逢うよりも果南さんと逢われる方がいいんだと思いますし・・・。」

 

「お姉ちゃんっ!!」

 

「は・はい!!な・なんですかルビィ?」

 

「そんなにウジウジしてるなんてお姉ちゃんらしくないよ!!」

 

「そう言われましても・・・。」

 

「お姉ちゃん、ここはルビィに任せてくれない?」

 

「はい?」

 

 いつものルビィと違い、なぜか凄くやる気のルビィに気押され私はルビィのされるがままになり、気がつけば悠さんとの待ち合わせ時間になっていました。

 

~ダイヤSide END~

 

 

 時刻は午後4時を回ったところ。俺は今沼津の駅前でダイヤを待っていた。今日はクリスマス・イブ!!クリスマス・イブと言えば恋人達にとっては一大イベントだ。言ってしまえばクリスマスデートをするだけなのに、普段ダイヤとデートする時もそんなに服や髪形なんかにはこだわらない俺だが、今日はあまりつける事のない整髪料や香水、最近はやりのかっこいい服などでおめかしをしているのだから自分でも不思議だ。

 

「ダイヤ遅いなぁ。あれかな?俺の為に一生懸命お洒落でもしてくれてるのかなぁ?なぁんて」

 

「お・お待たせしました・・・悠さん・・・」

 

「お、メリクリ♪ダイ・・・・・・ヤ」

 

「悠さん?どうかしましたか?私どこかおかしいですか?」

 

「へ!?あ、いや・・あの・・・その・・・」

 

「やはり私にこういった格好は似合わないですよね・・・・」

 

「あ、いや、そ・そんなことはないぞ!!うん、似合ってると思うぞ、うん///」

 

「そうですか?なら・・・いいのですが・・・」

 

 待ち合わせ場所に現れたダイヤを見て俺は激しく動揺してしまった。なぜなら今日のダイヤはいつも以上に凄く可愛くて、とても綺麗だったからだ。

 ダイヤの艶があり凄く綺麗なあのストレートロングの黒髪が、いわゆる『ゆるふわ』な感じで巻かれており、普段はナチュラルメイクだけだが、今日はきつくなり過ぎなよう気を付けながらもしっかりとメイクされている。それだけでも新たな一面にドキドキしてしまうのに、赤色のAラインのニットワンピに黒色のアウターという上品な服装も相まって、どこか幼さの残っていた今までとは違い、大人の女性そのものだった。

 

「さ・さて、もうすぐバスも来るしそろそろ行くか!」

 

「は・はい・・・」

 

 俺はそんなダイヤにドキドキし過ぎて、まともに顔を見ることも話すこともできず、赤面した顔を隠すように足早にバス停へ向かい、丁度止まっていたバスに逃げるように乗った。

 ダイヤと会話のないままバスで揺られること約20分、目的地へ到着した。たった20分だけだが隣に座るダイヤを横目で盗み見ながら、口から心臓が飛び出るんじゃないかと思うほどドキドキして少しやつれた気分だ。

 

「ここは?」

 

「まぁ、ありきたりだとは思うけどやっぱりクリスマスデートと言えばイルミネーションかなって思ってさ♪」

 

「そうですか・・・」

 

「本当はもっと有名なところとかに連れって言ってやりたかったんだけど、どこも遠くてなぁ・・・」

 

「そうですわね・・・。」

 

 あ・あれ?なんかダイヤの反応が悪い様な気がするけど・・・どうしたんだろ?

 

「大丈夫か?ダイヤ。どこか具合でも悪いのか?」

 

「いえ、別にそんな事はありませんわ・・・。どうしてですか?」

 

「いや、なんか元気がない様な気がしてさ。それともあれか?この場所気に入らなかった?」

 

「いえ・・・。ただ・・・」

 

「ただ?」

 

 ただ、どうしたんだろう?やっぱり何か気に入らなかったのだろうか?それとも今日の恰好をちゃんと褒める事が出来なかったからふてくされてるのかなぁ?

 

「ただ、本当は悠さんはここに別に人と来たかったのではないかとおもいまして・・・・」

 

「・・・えっと・・・それはどういう意味でしょうか?」

 

「言葉通りですわ。本当は私なんかよりもここに一緒に来たかった方がいるのではないですか?」

 

 待て待て待てっ!!ダイヤは何を言ってるんだ?俺がダイヤ以外の誰とここに来るって言うんだ?

 

「何言ってるんだダイヤ?今日はどこかおかしいぞ?って、なんで泣いてるんだダイヤ!?」

 

 俯いたダイヤの目からはポロポロと涙が落ちていた。本当にどうしたんだろう?

 

「だ・だって、悠さんが・・・うぅ・・・浮気・・をして・・・」

 

「はぁ!?俺が浮気!?ちょ、何でそんな話が出て来るんだ!?」

 

 正直この展開は予想してなかった。てか出来る人がいたら是非お目にかかりたい。てか、本当になんでダイヤは俺が浮気をしていると思ってるんだ?ほぼ毎日のように電話やらメールやらして、2・3日に1回は一緒に居るのになんでそんな発想が出て来るんだ?全く身に覚えもないけど、何か疑われるような行動をとったか俺?

 

「か・果南さんと楽しそうにして・・・」

 

「へ?果南?なんでここで果南の名前が出て来るんだ?」

 

「なんでって・・・だって昨日果南さんと楽しそうにお買い物をしたりケーキを食べたりしてたじゃないですか・・・」

 

「昨日・・・あぁ!!あれか!?あれは誤解なんだ!!・・・てか、あれ見てたのか!?」

 

「そんな事は今はどうでもいいですわ!!何が誤解だと言うのですか!?あんなに果南さんと楽しそうにしていたではありませんか!!」

 

「本当に誤解なんだって!」

 

「なら、仮に昨日のあれが誤解だったとして、駅で逢った時も、バスの中でもなにも言ってくれなかったのは何でですか!?私に興味が無くなったからではないのですか!?」

 

 なんと、昨日のサプライズプレゼントを買っているところを見られてしまったとは・・・。しかもそれが原因であらぬ誤解を生んでしまい、騒然と言えば当然だが照れて何も言えなかった事が更なる誤解を生むとは・・・。どうにかしてちゃんと誤解を解かないと!!でないと折角のクリスマスデートが台無しになってしまう!!それにそろそろ周りの目が厳しくなってきているし・・・。

 

「そんなことないって!!今でもダイヤの事が一番大好きだぞ!!」

 

「信じられませんわ!!今日のデートの為にと、落ち込んでる私の為にルビィが頑張って髪もお化粧も服選びだって私が元気になれるようにと、こんなに可愛くしてくれたのに悠さんは何も言ってくれなかったではありませんか!!」

 

 ルビィ・・・GJ!!!ってそんなこと言ってる場合じゃないな。こんな大勢の注目が集まる中、今さら面と向かって今日の恰好を褒めるのは物凄く恥ずかしいけど背に腹は代えられないし、本当はもっと後で渡すつもりだったけど、この誤解を解くためにもプレゼントを見せて誤解だと分かってもらおう!!

 

「ごめんダイヤ。まさかお前が昨日のあの現場を見てショックを受けていた事も、今日の事でそこまで落ち込んでいる事も気付いてやれなった。本当にごめん。謝りついでに誤解を解かせてもらえないかな?」

 

「この期に及んで何を言うつもりですか?」

 

「今日逢った時もバスの中でも何も言えなかったのは、ただでさえダイヤは可愛いのに、今日のダイヤはさらに凄く綺麗になってて緊張しすぎて上手くしゃべれなかったからなんだ///」

 

「な?////」

 

「それに昨日の事だって、ダイヤへのクリスマスプレゼントを探している最中にたまたま果南に会ったから、果南にプレゼント選びのアドバイスを貰っていただけで・・・・」

 

「でも、果南さんとケーキを食べていたではありませんか!!」

 

「それだって、プレゼント選びを手伝ってもらったお礼をしただけで・・・」

 

「ですが・・・」

 

「そんなに信じられないなら、ほら。」

 

「これ・・・は?」

 

「ダイヤへのクリスマスプレゼントだよ///ダイヤに似合う物を探すの凄く苦労したんだからな///」

 

 俺は鞄の中に大切にしまった置いたプレゼントの箱からネックレスを取り出し、ダイヤの首に着けてやった。

 

「うん、良く似合う♪」

 

「これはあの時の・・・」

 

 ダイヤは手のひらにネックレスを乗せてそれがなんなのかを確認すると、目を見開きポロポロとまた涙を流していた。俺はそんなダイヤを抱きしめて髪をそっと撫でてやった。

 

「少しは俺の話を信じてくれたか?」

 

「でも・・・」

 

「なんなら、果南に確認してくれてもいい。果南さえ信じられないってんなら、俺の携帯を今すぐ見てくれてもかまわないし、それでも足りないのなら、俺の傍から片時も離れなければいい。俺はダイヤにだったら束縛されても全然構わないぞ♪」

 

「馬鹿なこと言わないでください・・・。でも、本当に信じてもいいんですね?」

 

「おう♪信じていいし、信じてほしい。これから先もダイヤを裏切るような事は絶対にしないよ♪」

 

「分かりました。悠さんを信じます♪」

 

「ありがとうダイヤ♪」

 

 どうにか信じてくれたダイヤからは今日初めての笑顔を見る事が出来た。

 

「でも、まだ少し不安です・・・」

 

「ならどうしたらいい?」

 

「悠さんの口からちゃんと気持ちを聞きたいです・・・」

 

「お安い御用だ♪・・・・大好きだよ、ダイヤ♪」

 

「それだけですか?」

 

「えぇ!?」

 

「やっぱり悠さんの気持ちはそんなものだったのですね・・・」

 

「まったく・・・。意外にダイヤって甘えん坊だよなぁ・・・。」

 

 普段割としっかりしているのに、時々ポンコツになったり甘えてきたり、本当にダイヤは可愛いなぁ♪

 

「意外とってなんですか!?」

 

「愛してるよダイヤ♪」

 

「/////////////」

 

「ダイヤはどう?」

 

「//////わ・私だって、悠さんの事その///」

 

「ん?」

 

「あ・あ・あぁ・・・愛していますわ!!・・・・んっ・・・///」

 

 顔を真っ赤にしながら、今度は嬉しくて泣いているダイヤがあまりにも可愛くて、俺は思わずキスをしていた。すると周りから大きな拍手と歓声が聞こえてきた。

 しまった!!ダイヤの誤解を解くのに集中するあまり、周りにたくさん人がいる事を忘れていた!!何という失態・・・恥ずか死んでしまう!!

 

「な////」

 

「やってしまった////」

 

「し・失礼しました~~~~~/////////////」

 

 俺とダイヤはあまりの恥ずかしさから周りの人たちに見送られながら、逃げるように俺の部屋まで帰ってきた。落ち着くまで少しかかったが、何とか落ち着いた俺達は、お腹もすいたので夜景の綺麗なレストランへ・・・と言いたいところだけど、流石にそんなところはいいお値段するので、近くのファミレスに行き、あらかじめ用意してあったクリスマスケーキを家に帰って来てから2人で食べた。その後は暫くのんびり2人でテレビを見て凄したのだが、横でダイヤが可愛い寝息を立てて眠ってしまっていた。

 暫くしても起きる気配が無く、揺らしても起きないのでルビィに連絡を入れると、ダイヤは昨日の事がショックで一睡もしていなかったらしいと教えてくれた。そして、おばさんから公認でお泊りの許可が下り(後ろの方でおじさんが騒いでいたけど聞こえなかった事にしよう。)、ダイヤはお泊りすることとなった。まぁ、ダイヤが寝てしまったので、そういった事は何もなかったが、いろんな意味で思い出に残ることとなった俺とダイヤの初めてのクリスマス・イヴは終わっていったのだった。

 

 これは余談だが、クリスマス・イヴの日に大衆の中イルミネーションをバックに、泣きながら愛を叫びキスをしてイチャつくバカップルがいたと、沼津周辺のカップル達の間ではちょっとした噂になっていたそうな・・・。本当に恥ずか死ぬ!!

 そして俺とダイヤが見に行ったイルミネーション会場では、翌年から『ここで愛を伝えあい、キスをしたカップルは幸せになれる』と言うジンクスが出来上がったそうな・・・。勘弁してくれ~~~!!!




いかがだったでしょうか?
少しでも楽しんでもらえたら幸いです。

次はダイヤちゃんのお誕生日のお話を書こうと思っています。
今回の事で一層絆が深まった2人が書けたらと思います。

ではまた次回も、宜しければ読んでやってください♪


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第31話 ~おめでとうのお正月~

明けましておめでとうございます

そして1月1日に間に合わなかった・・・


 皆さま、あけましておめでとうございます。

 今日は元旦・・・新年の始まりだ。それと同時に今日は俺にとって、とても大切な日でもある。何故ならば、今日は俺の可愛い彼女の・・・ダイヤの誕生日だ♪

 と言うわけで俺は今、黒澤家の前に来ている。しかしながら、今の俺は手放してダイヤの誕生日を祝えない状況にあった。なぜなら、今日は元旦。と言う事は今、黒澤家には大勢の親戚が集まっているからだ。そんな中でダイヤといイチャつけるわけもなく、しかも親戚から好奇の目にさらされるのは予想が出来る。

 なら、なぜこのような場に行くのかと言えば、おじさんから強制召集がかかったからだ。本来であればお袋と親父がこっちに帰ってくる予定だったので、久し振りに親子水入らずの時間を過ごしてからダイヤとデートするつもりだったんだけど、仕事が思いのほか忙しいらしく今年はこっちに帰ってこれないと、俺にではなくおばさんに連絡があったようで、気を利かせてくれたおじさんが『一人寂しく正月を過ごすのならこっちに来い』と言ってれたのでこうなったわけだ。ちなみに『親戚が合わせろとうるさいし・・・』と小声で言っていたのは聞き逃さなかった。

 

「はぁ・・・気が重い・・・。ダイヤに逢えるのはいいんだけど、俺・・・完全に酒の肴だよな・・・。」

 

 とはいえ、いつまでもこの寒空の下、黒澤家のでかい門の前で佇んでるわけにもいかないよなぁ・・・。正直いじられるのは果南とマリーお腹いっぱいなんだが、いずれは俺の親戚にもなるであろう人たちなわけだし、前向きに行こう!!ここで気に入ってもらえたら、いざって時色々助けてもらえるかもしれないしな。

 

ピンポーン

 

「はーい。・・・あら悠さん、いらっしゃい。」

 

「あ、おばさん。あけましておめでとうございます。」

 

「あけましておめでとうございます。さぁ、中に入って。ダイヤさんも中で待ってるわよ。」

 

「お邪魔します」

 

 俺はおばさんに挨拶をすませると皆が集まっている部屋へと案内された。

 案内された部屋には親戚が3・40人ほど集まっていた。

 家なんかとは比べ物にならないなぁ。家なんて集まったって10人も集まらないだろうし、流石は黒澤家。まさに旧家のお家って感じだな。

 

「凄いなぁ・・・。」

 

「あら、悠さん♪」

 

 俺が部屋の前で呆気にとられていると、親戚に甲斐甲斐しくお酌をしていたダイヤが俺に気付きニコニコしながら寄ってきた。

 

「あけましておめでとうございます、悠さん♪」

 

「あぁ、あけましておめでとう、ダイヤ♪今日の振り袖姿も綺麗だよ♪」

 

「まぁ、悠さんったら///」

 

 今日のダイヤはお正月と言う事もあり赤を基調とした色鮮やかな振袖を着ていた。スクールアイドルをしていたときに来ていたような服も似合うが、やはりダイヤには和装が良く似合う。大和撫子というのはダイヤの為にあるような言葉だろう。

 

「あ、お兄ちゃんだ♪」

 

「ん?おぉ、ルビィ、あけましておめでとう♪」

 

「あけましておめでとうございます♪ねぇねぇお兄ちゃん、どう?似合うかな?」

 

 ルビィはくるりと回って桃色の振袖姿を見せてきた。

 

「似合っているよ♪」

 

 俺はルビィの頭を撫でながら答えると、嬉しそうに目を細めていた。

 

「それで、おじさんは?」

 

「えっと、それでしたら・・・」

 

 俺がおじさんにも挨拶をしようとあたりを見渡すとおじさんの姿が見えず、ダイヤに訪ねると言いずらそうに部屋の隅を見たので俺もそちらの方を見ると、おじさんと親戚の方だろうか、数名が畳の上にビール瓶や一升瓶などと共に転がっていた。

 

「あれ・・・は?」

 

「毎年の事なのですが、皆さん昨夜からずっとお酒を飲んでいまして・・・」

 

「それで新年早々に酔いつぶれてるのか・・・」

 

「特に今年は飲むペースも速く・・・」

 

 なるほど・・・大方親戚の人に『ダイヤに彼氏ができてよかったなぁ』とか『孫の顔が楽しみだな』的な事を言われたんだろ。で、ダイヤが嫁に行くところでも想像してやけ酒でもした、と・・・。

 

「そんな事よりもどうぞこちらに。今悠さんの分のお節を用意しますので、少し待っていてください。」

 

「あ、俺も手伝うよ。」

 

「いいえ、こういうときは殿方はドンと構えて待っていてください。」

 

「わ・わかった。」

 

 こうして俺はダイヤに言われるまま待っていると、暫くしてお節が運ばれてきた。それと同時に俺はダイヤの親戚にとり囲まれ、あれころと質問攻めにあったのだった。

 

 

----------------------------------

 

「はぁ、疲れた・・・」

 

「申し訳ありません・・・。」

 

「いや、ダイヤのせいじゃないから、気にしないで。」

 

 俺とダイヤは親戚の質問攻めからなんとか解放され、今は初詣に向かっている途中だ。いやはや、女性と言うのはいくつになっても恋バナが好きなようで男性人が潰れていくのを尻目に女性人はキャッキャしていた。

 

「しかし、本当にダイヤは着物がよく似合うよなぁ♪クリスマスの時みたいな恰好もいいけど、着物はあの時とはまた違った色気というか気品みたいなものがあるよな♪」

 

「そ、そうですか?///」

 

「おう。逢うのが俺の部屋じゃなくてダイヤの家でよかったって思うくらいによく似合ってるよ♪」

 

「??それはどういう意味ですの?」

 

「いやだって、こんな色っぽい格好をしたダイヤと部屋で二人っきりになんてなったら、俺たぶん押し倒しちゃうと思うし///」

 

「ピッ!?////」

 

「だから、ダイヤの家でよかったなと///」

 

「ぶっぶ~ですわっ!!そ・そそそ、そんな破廉恥な////」

 

 顔を真っ赤にさせて可愛いなぁ♪しかし流石はダイヤ・・・その名に恥じぬ硬度10っぷり。一応これでも一線は越えたんだけどなぁ・・・。結局そのとき以来全然無いし・・・。まぁ、あの時はダイヤも精神的に弱っていてそこに付け込んでしまったというかなんというかで、後悔は勿論していないけど、真面目なダイヤからしたら本当なら結婚するまでは・・・とか恥ずかしさやらがあって2度目がないのだろう。まぁ、ダイヤがその気になってくれないと意味ないし、あれ以降もキスはできてるからいいんだけどね♪しかし・・・

 

「破廉恥とは心外だなぁ。俺はこんなにもダイヤを思っていると言うのに・・・。」

 

「そう言われましても・・・。って、そんなことよりも、悠さんなんだかキャラがおかしくありませんか?」

 

「そうかな?」

 

「そうですよ!!以前はこんなに軽薄な感じではなかったじゃないですか!!」

 

「あぁ、まぁそうなんだけど、クリスマスのときにちゃんと言えなくてあんなことになったし、ダイヤへの気持ちはちゃんと出して行こうかなと♪」

 

「それは嬉しいですが・・・///」

 

「それにさ、照れたり、ダイヤへ遠慮し過ぎるのも改めようかなぁってさ。これからもずっと一緒にいるんだし、気にしなさ過ぎるのも駄目だけど、気にし過ぎるのも疲れちゃうからさ。」

 

(ずっと・・・一緒///)

 

「だから、ダイヤも遠慮しないで良いものは良い、嫌なものは嫌と言ってくれよな?」

 

「わかりました♪確かに私もあの時、変な遠慮をせずにちゃんと悠さんに聞いていたら、あんなにもやもやせずにいられたわけですしね・・・」

 

「だからってわけじゃないけど、改めてよろしくなダイヤ♪」

 

「はい♪こちらこそ、不束者ですが改めてよろしくお願い致します♪」

 

 俺とダイヤは改めて想いを確認しあい、手を繋いで目的地の神社へと向かった。

 

 

----------------------------------

 

「やっぱり凄いなぁ・・・」

 

「さすがはお正月ですわね。」

 

 神社へついた俺たちは、視界を埋め尽くす人に圧倒されていた。

 

「まぁ、ここにいても邪魔になるし、はぐれない様にちゃんと手を繋いで並ぼうか♪」

 

「そうですね♪」

 

 人の流れに沿って歩くこと30分・・・俺たちはようやくお賽銭箱の前に到着し、俺とダイヤはそれぞれお願いをして人ごみを後にした。

 

「悠さんは何をお願いしたんですか?」

 

「そんなの決まってるじゃん♪ダイヤとずっといられますように、ってね♪ダイヤは?」

 

「それは・・・秘密ですわ♪」

 

「お約束だなぁ・・・。」

 

「冗談です♪私も悠さんと同じですわ♪」

 

「そっか、ならよった♪さて、それならお参りも終わったし、屋台でも覗いて帰るか?」

 

「そうですわね。ルビィにもなにか買っていってあげましょう♪」

 

「あっとその前に・・・」

 

「?」

 

 いけないいけない、色々ありすぎて渡しそびれるところだった。

 俺はダイヤを人の少ないところへ引っ張って行き、今日のために用意したプレゼントを鞄から取り出してダイヤに見せた。

 

「誕生日おめでとう、ダイヤ♪色々あってちゃんと言うタイミング逃して今頃になって申し訳ないけど・・・これ、誕生日プレゼント♪」

 

「貰ってもよろしいんですか?」

 

「当然だろ?というか貰ってくれないと困るな。」

 

「これは!!」

 

 ダイヤが箱の中から取り出したものを見て嬉しそうな顔を見せてくれた。

 

「髪留め♪」

 

 そう、俺が誕生日プレゼントに選んだのは可愛らしい小さな白色の花がついた髪留めだ。今回はちゃんと(?)一人で選んだものだ。

 

「どう・・かな?ダイヤに似合うかなぁと思って選んだんだけど・・・」

 

「凄く気に入りましたわ!!今つけてもいいですか?」

 

「うん♪」

 

「・・・・似合いますか?」

 

「うん♪よく似合ってるよ♪」

 

「ありがとうございます♪」

 

「誕生日おめでとう、ダイヤ♪」

 

 この後俺たちはルビィのお土産を買って黒澤家に帰り、酔いつぶれていたおじさん達に絡まれながらダイヤの誕生日を過ごしましたとさ。




改めてダイヤちゃん誕生日おめでとう!!

忙しくて誕生日に上げれなかったのが悔やまれますが、気を取り直して・・・

アニメ二期最終回お疲れ様でした。ならびに映画化おめでとうございます♪
今から楽しみですね♪

後1話ほど間幕を書いたら二部目に入ろうと思います。

では、次回もよろしければ読んでやってください♪


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第32話 ~壁はお好き?~

「やっと着いた・・・。やっぱり東京は遠いなぁ。まぁ、これからの事を考えたらそんな事はどうでもいいか♪」

 

 今、俺は東京に来ていた。なぜ東京に来ているかというと、俺の師匠である勇さんに呼び出されたからである。なぜわざわざ呼び出されたかと言うと、今度勇さんが担当するアーティストの曲作りのミーティングがあるそうなんだが、かなり力を入れる様で『本気でこの世界いを目指すのなら、こういった現場を見て、色々な考えに触れるのは大事だ』と言う事で丁度俺が春休みだったと言う事もあり、色々根回しをしてくれてプロの現場を見学させてもらえる事になった。

 

「しかし楽しみ過ぎて約束の時間より早く着いちゃったけど、どうしようかなぁ・・・。どこかで時間潰すにしても、この辺の事は全然わからないしなぁ・・・。」

 

『は・離してください・・・』

 

『少しくらいいいじゃん♪俺達と遊ぼうよ~♪』

 

「ん?」

 

 俺がどこか時間を潰せそうなところがないかウロウロと探し回っていると、ドラマかマンガでしかお目にかかれないのではないのではないか?と思うようなお決まりのセリフが聞こえてきた。

 正直言うと面倒事には関わりたくはないし、正義感丸出しで飛び出したところでボコボコにされる結末しか見えない。とは言え、このまま放っておく事も出来ないしどうしたもんか・・・。

 

『待ち合わせしてるので、本当に離してください・・・。』

 

『だからちょっとだけでいいんだって♪なんならその待ち合わせしてる娘も誘って皆で楽しい事しようよ~♪』

 

『お願いですから許してください・・・グスッ』

 

『お願いですから許してください・・・。だってさ!!カワイイ~♪』

 

 とりあえず、物陰に隠れて様子をうかがってみると、中学生くらいだろうか?ワインレッドのロングヘアーの可愛らしい女の子が涙目になりながら、いかにもって感じで頭の悪そうな高校生くらいの男達に囲まれていた。男達は怯える女の子見ながらゲラゲラと笑い、女の子が何か言うたび真似をしては盛り上がっていた。

 

「あれは流石に酷いな・・・。」

 

 しかし、警察呼ぼうにもここがどこだかわからないし、交番に行っている間に何か間違いが起きてもなぁ・・・。とは言え、なにか格闘技をしていたわけでもなく、ましてや殴り合いの喧嘩なんてしたことないし、何よりあの人数だ。1人倒している間に袋叩きにされるだろうなぁ・・・。

 

「だからって、見過ごせないよなぁ・・・。まぁ、なるようになるか・・・」

 

 最悪、あの頭の悪そうな連中なら軽く挑発すれば俺に注意が向くだろうから、あの女の子を逃がす事が出来るだろうし、そうすれば俺も逃げれば何とかなるだろう。

 

「おいお前ら!!そこでなにやってるんだ!?」

 

「あん?なんだてめぇ?」

 

「それはこっちのセリフだ!!なに人の女に手ぇ出してんだ?」

 

「え?」

 

「はぁ?何言ってんだてめぇ?」

 

「そうだ!!いきなり出てきて何言ってんだ!!」

 

 突然の乱入者にその場にいた全員が?顔をしながら喚いていたが、俺はそんな男達を無視して女の子の前に辿り着くと、女の子を庇うように、いわゆる壁ドンの体勢になり、女の子の耳元で小さく『話を合わせて』と出来るだけ優しい声で言うと女の子は少し安心したのか小さく頷いてくれた。

 

「大丈夫だったか?」

 

「えぇ。」

 

「さて、お前ら・・・覚悟はできてるだろうな?」

 

 俺は出来るだけ強そうに見えるように男達を睨んでみた。正直こういった手合いはしょっちゅう喧嘩してるだろうからあまり意味はないだろうけど、これでもしビビって逃げてくれればめっけもんだし、ダメなら・・・うん、この子を連れて逃げよう。

 

「な・なんだよ・・・。そんなに睨むなって。俺らが悪かったからさ。」

 

 お?まさかの効果ありか?

 

「なんていうとでも思ったのかよ!!おらっ!!」

 

「うぐっ!?」

 

 俺が油断した瞬間、あっさりと殴られてしまった。だがしかし、驚く事に俺は吹っ飛ぶ事もなくちゃんと意識もあった。重さが無いと言ったらいのかな?殴られた左頬は痛かったが、ただ痛いだけだった。

 

「そ・そんな!?ジン君の必殺パンチを食らっても立ってるなんて!?」

 

「信じられない・・・」

 

 えぇ!?これが必殺パンチ!?てか、なにそんなに驚いてるんだ!?確かに凄く痛いけど、一発KOするほどの威力じゃないぞ!?・・・もしかしてこいつら実は滅茶苦茶弱い??ただ単にチャラいだけのもやしっ子?俺だって高校までバンドやったり運動部にいたりしたけど、筋力や体力だって特別あるわけじゃなく、何もしてない人と比べても毛が生えた程度の俺でも耐えられるぞ?これはもしかして・・・。

 

「いってぇなぁ!!」

 

「ひっ!!」

 

 リーダー格であろう人物の必殺パンチ?が効かなかった事がかなり衝撃的だったのか、痛くて思わず思いっきり睨んだら男達は、ビクンッ、と跳ね上がり集まって怯え出した。

 今度こそチャンスではなかろうか?殴られはしたものの、これ以上大事にしないで済みそうだ。このまま脅かして向こうが逃げてくれればいいんだけど・・・。

 

「先にそっちから手を出してきたんだ、もちろんやられる覚悟はあるんだよな?」

 

「あ・・えっと・・・」

 

「どうなんだよ!?」

 

「す・すみませんでした~~~~!!!!」

 

 少し声を低くして睨みつけたら男達は涙目になりながら謝って逃げて行った。

 

「あ・あの!ありがとうございました!!」

 

「気にしなくていいよ♪」

 

「それと、あのこれ・・・」

 

 女の子は鞄からハンカチを取り出すと俺に渡してきた。

 

「ん?」

 

「口元切れてますよ。」

 

「お?」

 

 俺は自分の口元を触ると、殴られた時に切れたのか血が出ていた。

 

「大丈夫大丈夫♪これくらいなんともないから♪」

 

「でも・・・」

 

「すく止まるから大丈夫だ。」

 

「でもでも・・・・」

 

「大丈夫だから♪でも、ありがとうな♪」

 

「そんな、こちらこそ助けていただいてありがとうございます♪とても強いんですね?」

 

「え?俺たぶん凄く弱いぞ?」

 

「え?」

 

「喧嘩なんてした事ないし、向こうが逃げてくれてホッとしてるくらいだぞ?」

 

「えぇ!?」

 

 女の子は凄く驚いているけど、そんな喧嘩慣れしてるやつの方が珍しいんじゃないか?それとも東京の人間は喧嘩慣れしてるのか?・・・さっきの奴らを見る限りそれは無いか。

 

「そんなに驚かれてもなぁ・・・。」

 

「だって、あんなところに飛び込んでくるくらいだからなにか格闘技とかの経験者の人なのかなぁって・・・。」

 

「いや、まったくの素人だぞ?」

 

「ならなんで助けてくれたんですか?」

 

「なんでって、困ってる人がいたら助けるもんだろ?」

 

「そんな理由で?」

 

「そんな理由って・・・。でも普通じゃないか?」

 

「優しいんですね♪」

 

「そうかなぁ?」

 

「はい♪」

 

 女の子は笑顔でそう答えた。ふむ、さっきまでは薄暗い場所にいたし泣いていたから良くわからなかったけど、かなり可愛い子じゃないか。これならあんな変な連中に絡まれるのも頷ける。しかしこんなことで優しいとか言われるとは思わなかった。まぁ、言われて悪い気はしないけどさ。

 

「あ、そう言えば助けてもらったのに、まだ名前も言ってませんでしたね。わたし桜内 梨子っていいます。」

 

「あ、俺は蒼谷 悠だ。」

 

「蒼谷さんですね?もしこの後時間があるようでしたらお礼をしたいんですけど・・・。」

 

「そんなのいいって♪それに桜内さんだっけ?誰かと待ち合わせしてたんじゃないの?」

 

「え?」

 

「あいつらに絡まれてる時に、待ち合わせがあるとか何とか言ってなかったか?」

 

「待ち合わせ・・・・・・あぁ!!お母さん待たせてるんだった!!」

 

「なら俺の事はいいから早く行きな♪」

 

「でも・・・。」

 

「俺ももう少ししたら待ち合わせの時間だからさ。」

 

「でもやっぱり・・・。」

 

「お母さん待たせてるんだろ?早く行きなよ♪」

 

「・・・分かりました。本当に今日はありがとうございました♪」

 

 

 

 

~梨子 Side~

 

 蒼谷さん、かっこいい人だったなぁ♪あんな人たちに絡まれた時はどうしようかと思ったけど、蒼谷さんと会えたと思うと感謝しなきゃかな?

 それに壁ドンなんて初めてされたけど、思い出しても凄くドキドキする♪ふふふっ♪

 また逢えるかな?今度会ったらちゃんとお礼しないと・・・・

 

「あぁ!!連絡先聞くの忘れてた・・・。」

 

 色々あり過ぎて蒼谷さんの連絡先聞きそびれちゃった・・・。もう一度壁ドンしてもらいたかったなぁ・・・。

 

~梨子 SideEnd~

 

 

 桜内と別れた俺は、勇さんとの待ち合わせ場所に向かい、俺はこの日とても充実した時間を過ごした。とても貴重な体験も出来て、この日あった事をすっかりと忘れてしまっていた。

 

 しかしこの1年後、まさかあんなところで再会し、俺達の運命を大きく変える事になるとはこの時の俺は夢にも思わなかったのだった。




いかがだったでしょうか?

今回は梨子ちゃんの壁フェチの始まりと、第二部での千歌達との繋がりを作る為の前段階と言う感じで書きました。

しかし梨子ちゃんのキャラ意外に書きにくい・・・orz
まだ腐る前だと思い普通を意識したら書きにくかった・・・。梨子ちゃんファンの方ごめんなさい。

さて、次からは前回書いた通り第二部のスタートとなります。

アニメ1期をベースにアニメ部分とその裏での話を書いていけたらと思います。

では、宜しければ次回も読んでやってください♪


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第二章 〜新しい輝〜
第33話 ~輝きへのPrelude~


さて、ここから第二部のスタートとなります♪

とは言えど今回は第二部のプロローグになりますがww

では本編をどうぞ♪


 ダイヤ達がやっていたスクールアイドル『Aqours』が解散してから約一年半たった3月末。俺は夜中だというのに意外な人物からの電話でたたき起こされていた。

 

「・・・はい、もしもし?」

 

「チャオ~☆もしかしてまだ寝ていたの?相変わらのお寝坊さんだねぇ。そんな寝てばかりだとすぐにブヨブヨの体になってダイヤに愛想尽かされちゃうよ~?」

 

「あのなぁ、毎度毎度言っているが時差を考えろ時差を!!そっちの丁度いい時間帯に電話されてもこっちは、深夜だったり早朝なんだって言ってるだろ!!それにお生憎様、体もちゃんと鍛えてるよ!!」

 

「そうなの?まぁ、そんな事はどうでもいいわ☆」

 

「どうでもいいって・・・。お前が振った話題だろ。・・・で、わざわざ電話してくるくらいだから大事な用なんだろ、マリー?」

 

 そう、電話の主はマリーこと、小原鞠莉だった。マリーが留学してからも俺とマリーはたまにお互いの近況報告みたいな事をしていた。まぁ、あんな別れ方をしたからダイヤと果南とはあれ以来連絡は取っていないらしいが、それでも2人の事が気になるのか、ダイヤ達には内緒で俺に色々と聞く為電話やらメールをよくしてきていた。まぁこれ自体はなんかスパイみたいと言うか、そんな感じで面白いからいいんだけど、先ほども言ったが変な時間に電話してくるから困る。メールなら気付いた時に返信すればいいのだが、電話の時は大事な用だったり急いでいたりする時なのだが、俺が出るまでずっとコールし続けて来るから困る。しかも、すんなり本題に入ればいいものを、必ず俺の事をいじってから本題に入るから手に負えない。

 

「分かってるじゃないのユウ☆伊達に長い付き合いじゃないわね☆」

 

「そんなのはいいから要件を言え要件を!俺はまだ眠いんだから早く寝かせてくれ・・・。」

 

「えぇ?まだ寝るつもりなの?」

 

「まだも何も、こっちはまだ朝の3時だぞ?寝るに決まってるだろうが!!」

 

「つれないわねぇ。久し振りに電話したんだから付き合ってくれてもいいじゃない☆」

 

「切るぞ?」

 

「Wait!Wait!言う!言うから機嫌直して~」

 

「なら最初からちゃんと言えよ・・・。で、どうしたんだ?」

 

 俺は勇さんの課題をやっていて寝たのが1時を過ぎていてあまり寝ていなかった事もあり、少々機嫌が悪かった。とはいえ、機嫌が悪くなくてもマリーに付き合っていては下手すると本題に入るまでに2・3時間かかったりするから堪ったもんじゃないけどな・・・。

 

「んとね、絶対にダイヤ達には言わないでほしいんだけど、ワタシそっちに帰るわ。」

 

「なんでまた突然?」

 

「まぁ色々理由はあるんだけど、こっちでやらないといけない事は全部やったからね。卒業は浦の星でしたいなぁっていうのと、浦の星でやりたい事があってね。」

 

「そっか。そんで、いつからこっちに帰ってくるんだ?」

 

「いろいろ手続きがあるから、来月の終わりくらいになるかな?」

 

「そっか。しかしまたずいぶんと急な話だなぁ。」

 

「言ったでしょ、浦の星でやりたい事があるって☆」

 

「言ってたけど、それは何かって聞いていいか?」

 

「ん~・・・それはまだ秘密☆」

 

 さいですか・・・。まぁ、マリーが言わないってことはよほどの事情があるんだろう。

 この一年半マリーと電話やメールでやり取りをしていてわかったが、マリーは何でも抱え込む癖がある。人懐っこく、オープンな性格をしているくせに、人に甘えるのが実は物凄く下手・・・というより苦手だった。

 まぁ、マリーの家の事を考えると分からなくもないけどさ・・・・。あんな性格なのに実は結構厳しく育てられて、お嬢様なうえにハーフってのもあって周りの人間もあまりかかわらない様にされていたみたいで、ダイヤ達と出会うまでは1人で何でもこなしていたらしい。

 

「わかったよ。何するつもりか分からないけど、なんかあったらちゃんと頼って来いよ?」

 

「Thank Youね☆その時は遠慮せず頼らせてもらうわね☆」

 

「おう!そんで、要件はそんだけか?」

 

「Yes☆」

 

「そっか。そんじゃお休み。」

 

「えぇ!?本当に切っちゃうの??」

 

「あのなぁ。さっきも言ったけどまだ夜中だぞ?マジで眠いんだって。」

 

「仕方ないわねぇ。それじゃ、また近くなったら連絡するから、それまでに何かあったら色々教えてね?」

 

「はいはい、わかりましたよ。そんじゃな。」

 

「SeeYou☆」

 

 しかし、あの時に『一年半で帰ってくるから』と言っていたけど、本当に実現してくるんだから恐ろしい奴だ。また騒がしい日々が来るのかな?それとも・・・。

 俺はそんな事を考えながら再び夢の世界に旅立っていったのだった。




いかがだったでしょうか?

今回はプロローグになるので短めなうえにアニメのところにも入ってません。話を書くにあたりアニメ1期を見なおしていたら、鞠莉はどこから千歌達の情報を得たのだろう、とか疑問に思ったのでその疑問を解決できるよう急遽第二部のプロローグを書きました。

と言うわけで次回からが本当にアニメの部分に入ります。

基本アニメ基準ですが、アニメ二期で明らかになった設定を知るより先に、既にここで書いてしまっていた設定とかもあるので、その部分はこっちを優先しますので、多少のアニメとの違い、矛盾はご了承お願いします。

では、また次回宜しければ読んでやってください♪


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第34話 ~黄色い花との出会い~

今年は雪がやばすぎる・・・


~ダイヤ side~

 

「さてと・・・入学式の準備も終わりましたし、後は式が始まるのを待つだけですわね。」

 

 あの出来事以降、生徒会に入った私は去年の秋から生徒会長になりました。そして今入学式の準備や、新入生への挨拶文の確認などを終え一段落ついたところです。

 生徒会室の窓からは校門のところで入学生への部活動の勧誘が行われていました。年々生徒数が減っているためか新入部員獲得に各部活動はあの手この手でアピールをしているようでした。そんな中、校門をくぐるルビィが見えたので、ルビィのところへ向かおうと窓から目を話すと、

 

『ピギャ~~~~~~~~~~~!!!!お・お・お・お・お姉ちゃ~~~~ん!!』

 

 と、ルビィが私を泣きながら呼ぶ声が聞こえてきました。驚いて窓からルビィを探すと、何人かの生徒に囲まれているようでした。

 

「またあの子は!!」

 

 おそらく人見知りから叫んだんのでしょう。傍にはルビィの友人の花丸さんがいるようなので大丈夫だとは思いますが、本当に困った事があっては、と思い急いで校門へ向かうと、そこにルビィ達の姿はなく、代わりに2年生の2人と、この2人が配っていただあろうチラシが落ちていました。そのチラシを拾い上げて見るとそこには『輝け!スクールアイドル部(仮)大募集!!』と書かれていました。

 

「あなたですの?このチラシを配っていたのは?」

 

「「え?」」

 

「いつ何時、スクールアイドル部なるものがこの浦の星女学院にできたのです?」

 

 私がチラシを配っていた2人をみると、そこには、みかん色の髪の2年生とベージュ色の髪の2年生の2人がいました。ベージュ色の髪の生徒の方は私を見ると誰だかわかったのか怯えた表情をしましたが、みかん色の髪の生徒の方は私が誰だかわかっていないようでした。

 

「あなたも1年生?」

 

「千歌ちゃん違うよ!その人は新入生じゃなくて3年生・・・。しかも生徒会長だよ。」

 

「うそっ!?・・・生徒・・・会長・・・?」

 

 この千歌さんと呼ばれていた方、去年の生徒会選挙の時以降、何度か壇上に上がっているのに私の事が分からないとは・・・。それに帯の色を見ればどの学年かわかるでしょうに・・・。

 それはそうと、今は許可なく部活動の勧誘をしていた事を注意しなくてはなりませんわね。

 

「とりあえず、今すぐ生徒会室に来ていただけますか?」

 

「え”!?」

 

「きちんと話を行かないといけませんので。」

 

「でも・・・」

 

「い・い・ですわね!!」

 

「・・・はい。」

 

 ブツブツ文句を言う千歌さんと呼ばれていた2年生を連れ生徒会室に移動し、詳しく事情を聞くと、この春休みにスクールアイドル部を立ち上げようと思い立ったらしく、生徒会に部の設立の許可どころか申請もしないまま勝手に部員集めていたと言う事でした。

 

「悪気はなかったんです。ただ皆勧誘していたんで、ついでと言うか・・焦ったと言うか・・・」

 

「部員は何人いるんですの?ここには一人しか書かれていませんけど・・・。」

 

 先ほど渡された部活動の設立申請用紙には『2-A 高海 千歌』と千歌さんの名前だけが書かれていました。

 

「今のところ1人です。」

 

「部の申請には最低5人は必要というのは知っていますわよね?」

 

「だから勧誘してたんじゃないですか♪」

 

ドンッ!!

 

「ひゃ!?」

 

「・・・あいった~~~。」

 

「ふふふっ」

 

 私はきちんとルールを守っていない事を注意していると言うのにこの千歌さんは悪びれもせず、むしろ、『なにあたりまえ事を?』的な態度に思わず苛立ってしまい、申請用紙をデスクに叩きつけてしまいました。デスクに叩きつけた手が痛く、私とした事が人前で醜態を晒してしまい、それを見た千歌さんが笑っていました。

 

「笑える立場ですのっ!?」

 

「すいません・・・。」

 

「とにかく。こんな不備だらけの申請書、受け取れませんわ。」

 

「えぇ~~~!?うぅ~~・・・じゃ・じゃぁ、5人集めてまた持ってきます!!」

 

 千歌さんの後ろではベージュ色の髪の2年生が『戻ろう』と言っていましたが、聞こえていないのか千歌さんは私に怯まず、真直ぐ見つめ言い返してきました。

 

「別にかまいませんけど、例えそれでも承認はいたしかねますがね・・・。」

 

「どうしてです?」

 

「私が生徒会長で居る限り、スクールアイドル部は認めないからですっ!!」

 

「そ・そんなぁ~~~~~!!!!!」

 

「そう言うわけですから、諦めて帰りなさい。」

 

「でもっ!!」

 

「ち・千歌ちゃん!ここはいったん帰った方がいいって!!」

 

「曜ちゃん!?」

 

「し、失礼しました~!!」

 

 千歌さんは引き下がろうとしませんでしたが、曜ちゃんと呼ばれていたベージュ色の髪の2年生に連れられて行きました。

 時計を見るとあと少しで入学式の始まる時間で、私は慌てて体育館へと向かったのでした。

 

~ダイヤSide END~

 

 

 俺は今、浦女の近くのコンビニの駐車場に車を停め、ダイヤ達を待っていた。

 なぜダイヤ達を待っているかと言うと、我等が妹のルビィとルビィの友達もダイヤと同じ浦女に入学することになり、入学式の後俺とダイヤからルビィ達の入学祝をしようと言うことになったからだ。

 ちなみに車は、俺の親父とお袋、じぃちゃんとばぁちゃん達からの成人祝いで買ってもらった物だ。別に俺がねだったわけではないが、親父もお袋も一人っ子な上に俺も一人っ子という事と、俺に初めて彼女が出来た事を知った大人達が大喜びして、デートに必要だろ、といって買ってくれた。

 とは言え維持費は当然ながら俺が出すわけで、学生のバイト代では大きな車は維持するのがかなりしんどいので軽自動車だけどね。まぁ、ダイヤと出かけるだけだったら軽自動車で十分だし、行動範囲がめちゃくちゃ広がったからかなりありがたい。

 

~♪

 

 車の中でスマホをいじりながら時間を潰しているとルビィから連絡があり、入学式が終わったと連絡が入ったので、近くのコンビニにいる事を伝え来てもらうことにした。

 

「お兄ちゃんお待たせ~♪」

 

「お、来たなルビィ♪高校入学おめでとう♪」

 

「えへへ、ありがとう♪」

 

「ず・ずら~・・・・」

 

 俺がルビィの頭を撫でていると、ルビィの後ろの方で信じられない物を見た、と言うような表情をした女の子がいた。あの子がルビィの言っていた友達だと思うんだけどどうしたんだろう?

 

「ルビィ、あの子は?」

 

「あ、紹介するね♪この子はルビィの友達の国木田 花丸ちゃん。で、花丸ちゃん、この人がこの間お話した幼馴染のお兄ちゃんで、蒼谷 悠さんだよ。」

 

「よろしくな、国木田さん♪」

 

「・・・・」

 

「ん?」

 

 国木田さんは俺の事を見ながらボーっとしていた。俺になんかついてるのかな?てゆうか、この娘も美人さんだなぁ・・・。ふわっと軽い感じの茶髪のロングヘアーで、ルビィよりも背は少し小さいかな?だけど、ルビィと違って出るところは出ていて・・・じゃなくて!!顔立ちはしっかりと整っていて、この子の周りだけどこかゆっくり時間が流れているような、不思議と落ち着ける空気を持った娘だ。

 

「花丸ちゃん?」

 

「ず・ずら!?」

 

「ん?ずら??」

 

「な、何でもないずら!!じゃなくて、なんでもないです・・・」

 

「本当に大丈夫か?」

 

「す・すみません!!ちょっと驚き過ぎて我を忘れてしまっていたずら・・・。」

 

「なににそんなに驚いたの花丸ちゃん?」

 

「いやぁ、話には聞いていたけど、ルビィちゃんが家族以外の人に・・・しかも男の人にこんなに心を許している光景が信じられなくて・・・」

 

 なるほど。確かにルビィの事をちゃんと知っている人からしたらこの光景は驚愕かもしれないなぁ。俺も久し振りに会った時は物凄い叫び声をもらったしなぁ・・・。

 

「そ・そうかなぁ・・・。」

 

「うん。でもルビィちゃんを見ていたら蒼谷さんが凄くいい人と言う事が分かったずら♪」

 

「俺も国木田さんと話してみてルビィが心を許した理由がなんとなくわかった気がするよ♪国木田さんは凄く優しい娘なんだね♪」

 

「そ・そうですか?///」

 

「うん♪」

 

「あ・ありがとうございます///」

 

 ほらね♪初対面なのにルビィが懐いてるからという理由だけで俺をいい人と言ったり、褒めたら照れたりするし、ルビィの事をちゃんと見ていてくれる凄く純粋で優しい娘だ。

 

「そ・そうだ!!マルの事はマルと呼んでほしいずら。国木田さんって呼ばれるのは少し苦手で・・・。」

 

「わかったよ♪なら、マルちゃんって呼ばせてもらおうかな♪いいかな?」

 

「はい♪」

 

「俺の事も蒼谷さんなんて堅苦しい呼び方じゃなくてもいいから♪」

 

「そうですか?なら・・・マルは『お兄さん』と呼ばせてもらうずら♪」

 

「っ!?・・・お・おう///」

 

「ダメ・・・ですか?」

 

「い・いや、ダメじゃないぞ全然!マルちゃんの呼びたいように呼んでもらって構わないから!」

 

「ありがとうございます♪」

 

「よかったね花丸ちゃん♪」

 

「ずら♪」

 

 あぶなかった・・・。『お兄さん』と呼ばれて思わず『イイっ!!』と叫びそうになってしまた。全然そんなつもりはなかったが、もしや俺は妹萌えなのだろうか?思い返してみれば子供の頃はダイヤに『お兄様』なんて呼ばれていて、そんなダイヤを俺は滅茶苦茶可愛がっていたような・・・。それについ最近も『お兄ちゃん』と甘えて来るルビィを甘やかしていたらダイヤに甘過ぎと注意されたなぁ・・・。

 今まで家族同然で黒澤姉妹とは兄弟同然に育ったから気付かなかったが、今日マルちゃんに『お兄さん』と呼ばれた事で『妹萌え』に気付くことになるとは・・・。とは言え、ダイヤやルビィ、マルちゃんのような可愛い女の子達から『お兄ちゃん』と言われて萌えない人はいないはずだ。うん、これは普通の事だ。・・・たぶん・・・・。

 

「でもなんでお兄さんなんだ?」

 

「マルは一人っ子だから兄弟と言う物にずっと憧れていたずら♪そこにルビィちゃんが『お兄ちゃん』と慕う優しそうな人が好きに呼んでいいと言ってくれたから、お兄さんに甘えちゃったずら♪」

 

「なるほど・・・なら、俺の事は本物のお兄ちゃんと思って困った事があったら頼ってきな♪なんてな♪」

 

「その時はよろしくずら♪」

 

「ね?お兄ちゃんなら大丈夫って言ったでしょ♪」

 

「ずら♪」

 

 しまった、あんなに可愛く『甘えちゃった♪』なんて言われたからつい調子に乗ってしまった・・・。それにしても、ルビィが慕ってるからという理由だけで、初対面の男にこれだけ心を許してくるとは・・・マルちゃんの将来が心配だ・・・。陰ながら悪い男に引っ掛からないよう見守ってあげないと・・・。

 

「ずいぶんと賑やかですわね?何かいい事でもあったのですか?」

 

「あ、お姉ちゃん♪」

 

「おぉ、ダイヤお帰り~♪」

 

「お待たせいたしました。」

 

「生徒会の方はもういいの?」

 

「ダイヤさん。今日は誘っていただきありがとうずら♪」

 

「いえ、折角の晴れの日ですからこれくらい当然ですわ。」

 

 俺がマルちゃんの将来を心配していると、生徒会の仕事を終えたダイヤが合流してきた。だけどなんだろう?一見普通なんだけど、少し元気が無い様な・・・?と言うより悩んでる?でもなんでだろ?ん~・・・後で聞いてみるか。

 

「それで?ルビィ達は何をそんなに盛り上がっていたんですか?」

 

「マルちゃんが兄弟に憧れてるって話したら、『俺の事は本物のお兄さんと思って呼んでくれて構わないから♪』って言ってくれてね、それでマルちゃんに良かったねって言ってたところなの♪」

 

「へ~・・・そうなんですか・・・。」

 

 ちょ!?ルビィ色々とはしょり過ぎだし、話が混ざってるから!!それじゃ俺からお兄さんと呼んでくれと言ったみたいじゃないか!!ほら、ダイヤがジト目でこっち見てきてるし!!てか、その顔本当に怖いですよ~?ダイヤさ~ん・・・。

 

「ご、誤解だからな、ダイヤ。俺から望んでお兄さんと呼ばせてるわけじゃないからな?」

 

「やっぱり嫌だったんですか?」

 

「あ、別に嫌じゃないぞ?うん。マルちゃんにお兄さんと呼ばれる事は嬉しいぞ。・・・はっ!!」

 

 俺がダイヤに言い訳をしようとしたら、涙目になってしまったマルちゃんをなだめると、タイヤのジト目がより一層厳しいものになっており、俺は冷や汗をダラダラとかいていた。

 

「良かったですわね?こんな可愛い妹が出来て・・・。」

 

「あ、いや、だからこれには訳がですね・・・。」

 

「良かったですわね2人とも。今日は『お兄さん』がどんなものでも奢ってくれるそうでわよ!!」

 

「え?どんなものでも!?なら普段は高くて行けないような高級スイーツバイキングなんかでもいいの?」

 

「もちろん♪」

 

「え?!あ・あのちょっと?」

 

「本当ずらか!?マルも一度はあのバイキングに行ってみたいと思っていたずら♪」

 

「あの~ですからね・・・って聞いてますか~?お~い?」

 

「さ、2人とも車に乗って♪時間もあまりありませんし早く行きましょ♪」

 

「「は~い♪」」

 

「だから・・・」

 

「こんな可愛い妹達のお願いですもの、当然問題ありませんわよね??お・に・い・さ・ん♪」

 

「うぐぅ・・・はい・・・問題ありません・・・」

 

 ルビィ達を車に乗せたダイヤは俺に向き直ると、物凄くいい笑顔で(でも目は笑っていなかった・・・)同意を求めてきたので、俺はYESとしか言えなかった。でも、これだけは叫ばせてほしい・・・。

 

「だから誤解なんだってば~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!」




いかがだったでしょうか?

アニメの裏側と言った感じで、アニメでは描かれていなかった部分を考えるのはとても楽しいです♪

それにしても一年生組みのような妹が欲しかったw

まぁそれはさておき、気がつけばUAも25000を超えていて感謝感謝です♪拙い文章ですが少しでも楽しんでもらえたら幸いです♪
こんな感じですが、これからもまったり書いていきますので、よろしければ今後も読んでやってください♪


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第35話 ~桜と蜜柑~

~梨子 Side~

 

 私は私が分からなくなった。あんなに大好きだったピアノが怖くなってしまった。だから逃げ出した・・・。ピアノから・・・自分自身と向き合うことから・・・。

 高校に入って最初のピアノコンクールで私はピアノを弾く事が出来なかった。周りの期待に押しつぶされたとか、怪我をしていたとかでもなく、ただ単に私は自分が奏でたい音色が分からなくなった。自分で作った曲なのにどう表現していいか全く分からなくなったのだ。いわゆるスランプと言うものかもしれないけど、今の私にはそこから抜け出す方法を持っていなかった。

 ピアノを引けなくなった私を心配した両親が『生活環境を変えよう』と東京を離れ自然の多い静岡へ引っ越す事を提案してきた。コンクールで弾く事の出来なかった私を責める人は誰もいなかったし、気を使ってその事について触れる人もいなかったけど、私はあのコンクール以来周りの目が怖くなりいつも何かに脅えていた。だから両親の提案はありがたかった。そして私は逃げるようにその提案を了承して今日この内浦に引っ越してきた。

 正直ここに来たからと言って何かが変わるとは思えないけど、少なくとも私を知る人のいないここなら人の目に脅えず生活できる。両親には申し訳ないけど、ただそれだけの為の引っ越しだった。

 

「やっと着いたわね♪」

 

「そうね・・・」

 

 東京から車で数時間、ようやく新しい家に着いた。車を降りると潮の香りを乗せた風が優しく私の頬を撫でた。たったそれだけの事だったのにもかかわらず、なにも変わらないと思っていた私の心に、何かが変わるかもしれない、と何かを期待する気持ちを芽生えさせた。半年近くもピアノと向き合えずにいたのになんでだろう?

 

「海・・・近いんだなぁ・・・。」

 

「そんなところでボーっとしてどうしたの?」

 

「ううん、何でもない。」

 

「そう?なら新し学校に挨拶にもいかないといけないんだし、出かける準備して来ちゃいなさい。」

 

「はーい。」

 

 私は新しい自分の部屋へ向かい、前の学校の制服へ着替えようとしてある事を思いついた。

 

「・・・海の音を聴く事が出来たら、またピアノ弾けるようになるかな?」

 

 私がピアノを弾く事が出来なくなった原因、それは海の音にあった。海をイメージして曲を作った時は確かにイメージできていたはずなのに、弾けば弾くほどイメージできなくなり、音から色が無くなってしまうような、そんな感覚に陥っていった。そしてこの曲だけでなく、他の曲も音から色が消えてしまい私はピアノが弾けなくなった。

 

「海に入ったら海の音がどんなものか分かるかな・・・?」

 

 私は海の音を求め、海に入る為に制服の下に水着を着て出かけることにした。もう一度ピアノと向き合う為に・・・。

 

 

 

---------------------

 

 新しい学校へのあいさつは思いのほかすぐに終わった。今日は入学式だったようで紅白の幕やら紙で出来た花の片づけをしている生徒が数名いた。そんな中、担任になる先生に挨拶をすませ、新しい制服や教科書などをもらい、明日は登校したら職員室に来るようにとだけ言われ学校へのあいさつは終わった。

 家に帰る途中海の音を聞く為にお母さんと別れ、今は海岸に来ていた。海まで来たのはいいけど私は海に入るか少し悩んでいた。春になったとはいえ、夕方ともなるとかなり冷え込んでくる。当然海の中はかなりの冷たさだろう。

 

「とはいえ、夏までなんて待ってられないよね・・・。」

 

 何も変わらないと思っていた私が、ここの海の風を体感じた時に何かが変わる、そう思う事が出来た。ここで足踏みしていたらきっとこの気持ちは風化してしまう。だから私は海に入る決意をして制服を脱ぎ桟橋を駆けた。

 

「待って待って!!死ぬから!!死んじゃうから!!」

 

 海に飛び込もうとした。その瞬間、私の腰のあたりに誰かが抱きついてきて、海に入るのを止めてきた。

 

「離して!!どうしても行かなくちゃいけないの!!」

 

「そんなこと言ったって~!!」

 

 私と私に抱きついている誰かで揉み合っていると私の足が抱きついている誰かの足に引っ掛かり、その人と一緒に宙に放りだされてしまった。

 

「は!?」

 

「え?!」

 

「「わぁ~~~~~~~~~~~~~!!!!」」

 

 私達は大きな水飛沫を上げて海に落ちてしまった。海に落ちて私は物凄く後悔した。だって、思っていた以上に水が冷たいんだもん・・・。あまりの冷たさにショック死するかと思ったよ・・・。

 私達はなんとか泳いで海岸に戻る事が出来た。そこで初めて私と落ちた人をちゃんと見た。みかん色の髪の私と同じ年くらいの女の子だった。

 彼女は『少し待ってて♪』と言ってどこかへ行ってしまった。家が近いからこのまま帰ってもいいのだけれど、彼女が戻ってきた時に私がいないと心配させてしまうと思い私は海岸で待つことにした。

 体が濡れていて寒かったから膝を抱えて小さく丸くなっていると、さっきの彼女がタオルなど持ってきてくれた上に、近くにあったドラム缶に薪を入れて火まで付けてくれた。

 

「くしゅんっ!!」

 

「大丈夫?」

 

 彼女はそう言いながら私にタオルをかけてくれた。

 

「沖縄じゃないんだからこんな時期にそんな格好で海に入るなんて無謀だよ?」

 

「それは分かってるんだけど・・・。」

 

「なんでそんなに海に入りたかったの?海に入りたいんなら近くにダイビングショップもあるのに・・・。」

 

「海の音が聴きたかったの・・・。」

 

「海の音?」

 

「うん・・・。」

 

「どうして?」

 

「・・・・」

 

「わかった。じゃもう聞かない・・・・・・海中の音ってこと??」

 

「ふふっ」

 

 聞かないと言ったのに、悪びれもせずすぐに自分の疑問を投げかけてきた。でもなんでだろう?不思議と嫌な気はせず、むしろおかしくて私は思わず笑ってしまった。

 

「私ピアノで曲を作ってるの・・・。でもどうしても海の音のイメージがわかなくて・・・。」

 

「へぇ、曲を?作曲なんてすごいね!!見た事ない制服だけどここら辺の高校?」

 

「東京・・・。」

 

「東京?!わざわざその為にここまで?」

 

「わざわざっていうか・・・。」

 

「そうだ!!東京ってことは誰かスクールアイドル知ってる?」

 

 オレンジの髪の彼女は私の横に来ると子供のような無邪気な笑顔で訪ねてきた。スクールアイドルってなんだろ?芸能人かな?

 

「スクール・・・アイドル??」

 

「うん♪ほら、東京だと有名なグループ沢山いるでしょ♪」

 

「なんの話?」

 

「へ??」

 

 何の事だかわからずに聞き返すと子供のような無邪気な笑顔が凍りついていまった。そんなに変なこと言ったのかしら?

 

「まさか知らないの!?スクールアイドルだよ!?学校でアイドル活動して、大きな大会まである!!」

 

「そんなに有名なの??」

 

「有名なんてもんじゃないよ!!ドーム大会があるくらいチョー人気なんだよ♪・・・って、私も詳しくなったのは最近なんだけどね。」

 

「そうなんだ。私ピアノ以外興味なかったからそう言うの疎くて・・・。」

 

 そう、ピアノを弾けなくなるまでも、弾けなくなってからですら寝ても覚めてもピアノの事ばかり頭にあって、はやりのドラマや、人気のある俳優さんなどと言った物はほとんど知らないでここまで来た。

 前に友達に『それは年頃の女の子としてどうよ?』と言われた事もあったけど、その頃の私はピアノさえあればそれでいいと思っていた。そのピアノに今苦しめられている事なんて想像すらできないくらい私はピアノに夢中だたんだ。

 

「じゃぁ、見てみる?なんじゃこりゃ~!!ってなるから♪」

 

「なんじゃこりゃ?」

 

「なんじゃこりゃ♪」

 

 そう言うと彼女はスマホの画面を私に見せてくれた。画面には9人の女子高生と曲名とグループ名らしき文字が映し出されていた。

 

「どう?」

 

「どうって・・・。」

 

 見せてもらっておいてなんだけど、なんて言ったらいいんだろう?たまにテレビで見るアイドルと違うような・・・。

 

「なんていうか・・・普通?・・・あぁ、いえ、悪い意味じゃなくて!!確かにそこに映っている人たちも凄く可愛いし美人だとは思うけど、アイドルって言うからもっとこう・・・芸能人っぽいもの?を想像していて・・・。」

 

「だよね。だから衝撃的だったんだよ・・・。」

 

「え・・・?」

 

「あなたみたいにずっとピアノを頑張ってきたとか、大好きなことに夢中でのめり込んできたとか、そんなの全然なくて・・・。将来こんな風になりたいとか、そんな夢とか一つもなくて・・・。」

 

 彼女はどこか寂しそうな顔をしていた。初めて会って、名前もまだ知らないのに何故か私は彼女の話に引き付けられていた。

 

「私ね、普通なの。私は普通星に生まれた普通星人なんだって・・・。どんなに頑張っても普通なんだって・・・。それでも私が気付いていないだけで何かあるんじゃないかって思ってたんだけど、なにもないまま気が付いたら高2になってた。」

 

 その感覚、なんとなくだけど分かる気がする。ピアノが弾けなくなって半年だけだけど、その半年の間『大丈夫、すぐ元に戻る!』そんな風に足掻いてきたけど気が付いたら何も変わらないまま今ここにいる私がいて、これが凡人の限界なのかな?と最近思う時もあるせいかもしれない。

 

「だから最近ね『まずっ!!このままだと本当にこのままだぞ!?普通星人を通り越して普通怪獣チカチーになっちゃう~!!』て。」

 

 彼女はそういいながら私の前に来ると『がおー!!』っと怪獣のマネをして見せた。そしてそのまま怪獣が暴れている効果音のようなものを口にして言い終わると私の顔色を窺うように振り向いてきた。その姿が可愛らしくて、また笑ってしまった。

 

「偶然だった。本当に偶然だけど、そんな時に出会ったの。あの人たちに・・・・。みんなわたしと同じような普通の高校生なのにキラキラしてた!!」

 

 彼女はその時の感動を一生懸命すべて伝えようとしてくれた。

 

「それで思ったの。一生懸命練習して想いを・・・心を一つにしてステージに立つと、こんなにもカッコ良くて、感動出来て、・・・素敵になれるんだって!!スクールアイドルって、こんなにも・・・こんなにも!・・・こんなにも輝けるんだって!!!」

 

 先ほどとは違い、彼女はまるで新しい遊びを見つけた子供ように純粋に目を輝かせていた。私はそんな彼女を羨ましいと思った。今の私はこんな顔できないから・・・。

 

「気付いたら全部の曲を聞いていた。毎日動画を見て、歌を覚えて・・・。そして思ったの。私もやってみたいって!!この人達みたいに仲間と一緒にこの人達の目指した場所に行ってみたい・・・この人達を追いかけたい、私も輝きたいって!!」

 

 彼女の話はなぜかすんなりと心に届き、ゆっくりと彼女の言葉が全身にしみわたって、励まされているような気がした。

 

「ありがとう。なんか『頑張れ』って言われた気がする。」

 

「本当に?」

 

「えぇ。スクールアイドル・・・なれるといいわね。」

 

「うん♪・・・あ、わたし達お互いにまだ名前言ってなかったね?」

 

「そう言えば・・・」

 

「わたし、高海 千歌♪あの丘の上にある、浦の星女学院って高校の2年生♪」

 

「同じ年ね。私は桜内 梨子。高校は・・・音ノ木坂学院高校。」

 

 この出会いが私の運命を大きく変える出会いだった。

 

~梨子Side END~




いかがだったでしょう?

今回は梨子ちゃんを自分なりに少し掘り下げてみました♪

次回はまた悠君とダイヤちゃんの話に戻ります。
宜しければまた読んでやってください♪


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第36話 ~小さくても需要はあるさ~

 俺達の今後を大きく変える出会いが人知れずあった頃、俺は高級スイーツバイキング(4人分)を奢らされ心で密かに泣いていた。マジで明日からの生活費どうしよう・・・。まぁ、今回はルビィ達の入学祝だもんな。それに俺も悪かったし(?)、昼飯でも抜いて耐えよう・・・。

 とにもかくにも、バイキングを出た俺達はマルちゃんの家に寄って帰るとルビィが言うので、ルビィとマルちゃんをマルちゃんの家に送り届けてきたところだ。しかしマルちゃんの家がお寺さんだったとは・・・。まぁあの純粋さを思えばなんとなく納得できるけど、最初家の場所を言われた時は思わず聞き返してしまった。

 まぁ、そんなわけで今はダイヤと二人きりなわけだけど、さっきからダイヤは黙ったままなので物凄く気まずい・・・。一応スイーツを食べてる時にルビィ達にも協力してもらい誤解は解いたのだが、いまいち機嫌が戻りきっていなかった。学校から帰ってきたときに既になにか悩んでいたみたいだし、それも要因の一つだろうけど、どうしたものやら・・・。

 

「なぁ、ダイヤ?」

 

「なんですか?『お・兄・様』」

 

 このままでは俺の精神が持たないので、とりあえず車を邪魔にならないところに停めてダイヤとちゃんと話す事にした俺はダイヤに話しかけると笑顔で返事をしてくれたが、目が笑っていない・・・。ダイヤさん、凄く怖いです・・・。

 

「うぐぅ・・・だ・だからあれは誤解だって説明したろ?」

 

「すみません、冗談ですわ・・・」

 

「まぁいいけどさ・・・。それで、ダイヤは何を悩んでるんだ?」

 

「え!?」

 

「いや、え!?じゃなくて、何をそんなに悩んでるんだって聞いてるんだけど・・・。」

 

 そんなに俺がダイヤの心境を読んだ事が意外だったのか?確かに俺は鈍いかも知れんがそれはそれで失礼な話だ。付き合いだしてかなりたつし、子供のころから考えたらかなりの時間を一緒に過ごしてるんだからそれなりには分かるぞ?

 

「べ・別になにも悩んでなんかいませんわよ?」

 

 そう言うとダイヤは口元のホクロを掻いた。これは子供の頃からのダイヤの癖だ。昔からウソをついたり何かを誤魔化そうとすると必ずこの癖をやっていた。まぁ、本人は自分にそんな癖がある事を気付いていないみたいだけど。

 

「嘘はよくないぞ~?」

 

「う・嘘なんてついてませんわよ?」

 

 ほら、またホクロを掻いてる。分かりやすいなぁ~♪

 

「いや、バレバレだぞ?ウソをつく時の癖が出てるし♪」

 

「え!?そんな癖なんかありませんわよ!?」

 

「これがあるんだなぁ~♪」

 

「そ・それは一体何なんですの!?」

 

「それは教えられないなぁ~♪まぁ、そんなことよりもだ・・・。」

 

「そんなことって・・・」

 

「何に悩んでるんだかは分からないけど、隠せないんだから俺に言ってみな?誰かに相談したら答えが見つかるかもしてないし♪」

 

「ですが・・・」

 

「俺はダイヤの彼氏だぞ!、悩みがあるならダイヤと一緒に悩みたいんだ♪それに、ダイヤには笑顔でいてほしいしな♪」

 

「悠さん///。・・・わかりました。実は・・・」

 

 ダイヤは今日学校であった事を話してくれた。

 その内容は、スクールアイドルを始めたいと言う下級生が来たということだった。ただ、部の設立申請に必要な人数が足りていないということだった。これだけ聞いたら悩む要素なんて1つもない気もするけど、ダイヤの事だ、またいろいろ難しく考えてるんだろうなぁ。真面目なのはいいけど、少しでいいから肩の力抜けばいいものを、マリーと同じで1人で抱え込むんだから困ったものだ。こんな時は彼氏の俺がちゃんと助けてやらないとね♪

 

「それで、ダイヤは何をそんなに悩んでるんだ?話を聞く限りダイヤが悩む必要が無いと思うんだけど?」

 

「悩み、と言うより、自分の小ささにショックを受けていたと言うか・・・」

 

「小さい・・・」

 

 俺は思わずダイヤの胸へと視線を落としてしまった。まぁ確かにダイヤは大きい方ではないが、決して悩むほど小さくはないと思うが・・・。まぁ、果南なんかと一緒にいたらコンプレックスにもなるのは仕方ないけど・・・。

 

「へ?・・・ちょ!?どこを見てるんですの!?」

 

 俺の視線に気付いたダイヤは両腕で胸を隠すような体制をとって俺を睨んできた。

 

「そんなに気にするなって♪ダイヤは決して小さくないぞ!!そりゃ最近の子は発育がいいとは言うが、気にすることないって♪俺はダイヤくらいの大きさが好きだぞ♪」

 

「な・・な・にを・・い・・・・」

 

「それによく言うだろ?大きさよりも形だって。他の人と比べた事はないから分からないけど、ダイヤのは綺麗な形してると思うぞ?ダイヤの事を隅々までよく知る俺が言うんだから間違いないって♪」

 

 俺が決め顔でダイヤを慰めると、ダイヤは俯き顔を真っ赤にさせながらプルプルと小刻みに震えていた。

 

「ん?どうしたダイヤ?」

 

ギューーーーーーーーーーーッ!!

 

「いだだだだだ!!!!」

 

「ぶっぶーー!!ですわっ!!いきなり何を言ってるんですの!?いつ、誰が、胸の話をしたと言うんです!?」

 

「痛い痛いっ!!悪かった俺が悪かったから!!だからそんなに耳引っ張らないでくれ~!!」

 

 俺はダイヤに左耳を思いっきり引っ張られ涙目になってしまった。しかも耳元で叫ばれて耳がキーンッってする・・・。

 

「大体、話の内容を勘違いした上に、さらっと他の人よりも私の胸が小さいと言いましたわよね?失礼にもほどがありますわよ!!」

 

「言ってない言ってない!!ただ単に最近の子は大きい子が多いと言っただけで・・・」

 

「言ってるも同然ですわ!!ま・まぁ、形が綺麗と言ってくださったのは嬉しかったですが///」

 

 あ、それは嬉しかったんだ♪

 

「こほんっ///そ・それにっ!私の事を隅々まで知ってると言ういい方は破廉恥ですわっ////!!まぁ、その、確かにその通りでもありますが、こんなところで言わなくても・・・//////」

 

 こんなところって・・・。車の中で2人きりで誰も聞いていないのに顔を真っ赤にして照れちゃって、本当にダイヤは可愛いなぁ~♪

 

「なら、どこでならいいんだ?♪」

 

「っ!?//////////」

 

 ダイヤは更に顔を赤くしてまた耳を引っ張られた。少しからかい過ぎたかな?いかんな、ダイヤが可愛過ぎてついついからかい過ぎてしまう。

 

「ごめんごめん!!もう言わないから離してください!!」

 

「まったく!!」

 

「お~、いて~・・・」

 

「自業自得ですわ!人が真面目に相談していると言うのに・・・。」

 

「だから悪かったって。俺だって真面目にダイヤが胸の事で悩んでるんだと思ってだなぁ・・・」

 

「もう胸の話はいいですから!!」

 

「お・おう。えっと、それで?ダイヤは何が小さいとショックを受けていたんだ??」

 

「急に話を戻しますわね・・・まぁいいですけど・・・」

 

 ダイヤは小さくため息をつくと俺に改めて向き直り話を始めてくれた。

 

「小さいと言うのは、私の器と言うか、心の事です。・・・決して私の胸の話ではないですわよ!!」

 

 無意識にまた視線がまたダイヤの胸の方に行ってしまったようで、ダイヤに釘を刺されてしまった。気をつけないと今度は両耳引っ張られるやもしれん・・・。

 

「分かってるって!!」

 

「・・・その下級生の事を『羨ましい』と思ってしまったんです。以前も別の下級生がスクールアイドル部を作りたいと来た事があったんです。まぁ、その時はただ単に流行っているから思い出作りにやってみたい、という軽い気持ちが見え見えで、ラブライブを目指すとかそう言ったのはなかったので、人数が足りないことなどを言ったら簡単に諦めていました。」

 

「でも、今日の子は違ったのか?」

 

「はい。本気でラブライブを目指そうとしていました。『人数が足りないなら集めてまた来る』と真直ぐな目で言われました。その純粋さがあまりのも眩しく、思わず嫉妬してしまい『それでも認めない』と言ってしまったんです・・・。」

 

「嫉妬?」

 

「えぇ・・・。私にはもう叶える事の出来ない夢なので・・・。」

 

「そんなことないだろ?」

 

「いえ、もう叶えられませんわ・・・。だって果南さんと鞠莉さんがここにいないんですもの・・・」

 

「ダイヤ・・・。」

 

「仮に今、鞠莉さんが帰ってきたとしても、おそらく果南さんはもう一度スクールアイドルをやらないと思いますし・・・。」

 

 仮に・・・ね。マリーが帰ってくると知っている身としては教えてやりたくなるが、こうなると問題は果南と言うことになるのか?マリーはあの調子だから、またダイヤと果南をスクールアイドルに誘うだろうし、ダイヤは3人でまたやれるなら、と言ったところか・・・。

 

「なんで果南はやらないんだ?」

 

「果南さんは、サバサバ見えて結構頑固なんです。一度鞠莉さんを突き放した以上、よほどの事が無ければその考えを変える事はないでしょう。ましてや自分達のせいで鞠莉さんの将来を奪いかけていたと、自分を責めているのですから尚更です。」

 

「なるほどねぇ・・・。ちなみにダイヤはどうなんだ?」

 

「どう、とは?」

 

「だから、もし、マリーが帰ってきたらまたスクールアイドルをやりたいと思うのかってこと。ちなみに果南がどうのこうのってのは無しにしてだぞ?」

 

「そうですね・・・やはり、やりたい、と言うのが正直なところですが、それでも私も、もうスクールアイドルをやる事はないでしょう。」

 

「なぜ?」

 

「私は果南さんにも鞠莉さんにも何もできなかった。自分の気持ちを伝える事すら出来ませんでした・・・。その結果、だれも笑顔でそれぞれの道に進む事が出来なかったんです。そんな私にもう、あのステージに立つ資格なんてありませんわ・・・。」

 

「資格って・・・。そんなの関係ないだろ?そもそもあの時は、ああするしかなかったんだし・・・。」

 

「そうかもしれません・・・。ですがこれは私のケジメみたいなものですので・・・。」

 

 相変わらず固いなぁ・・・。流石は硬度10。世界一固い鉱石の名は伊達じゃないな・・・。まぁ、ダイヤはツンデレなところがあるし、これ以上何か言っても意固地になるだけか・・・。暫くは事の成り行きを見守るとしますか。場合によってはダイヤに怒られることを覚悟で色々裏で動けばいいか。

 

「そっか。まぁ、ダイヤがそう言うなら・・・。でも何かあったらちゃんと言ってこいよ?」

 

「はい。」

 

 この日はこのままダイヤを家に送って別れた。

 さぁて、今後どうなることやら・・・。とりあえず放っておいても色々勝手に動くマリーにでも連絡しておくか。派手に動いてくれるやつがいれば隠れて何かやるには丁度いいしな♪




いかがだったでしょうか?

今回はダイヤちゃんの葛藤を自分なりに書いてみました♪

今後の悠君の暗躍にこうご期待をww

ではまた宜しければ読んでやってください♪


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第37話 ~桜色の再会~

 ルビィ達の入学式から一週間ほどたったが、困ったことにあれから何も進展がなかった。状況を引っ掻き回してほしいと思いマリーに、『浦女に新しくスクールアイドルが誕生するかもしれない』という事は連絡したのだけど、『分かったワ』の一言だけの返信が帰ってきたっきり連絡がつかなくなり、ダイヤの為に何かしてやりたくても状況も分からず手詰まりになってしまった。

 そして今大学の講義も終わり暇になってしまった俺は、もともとダイヤが今日は家に来る予定だったんで、ダイヤを迎えにいつものコンビニに来たはいいが、さっき連絡を入れたら生徒会の仕事が忙しいらしくまだ1・2時間はかかると連絡が来た。

 

「まいったなぁ・・・結構待ちそうだし・・・寝るか?」

 

「きゃ!?」

 

 コンビニの前で俺の愛飲ドリンク、モン○ターを飲みながらスマホをいじっていた俺は、ダイヤからの連絡を受け車の中で寝ようと思い、振り返ると丁度店から出てきた女性とぶつかってしまい転ばせてしまった。

 

「おっと!?す・すいません!!大丈夫ですか?」

 

「あ、はい。だいじょう・・・って蒼谷さん!?」

 

「はい??確かに蒼谷ですけど、どこかでお会いしましたっけ?」

 

 ぶつかってしまった女性を起こそうと手を差し出すと、俺の顔を見た女性が急に俺の名前を呼ばれ面喰ってしまった。そりゃそうだろ?手を差し伸べた相手は美少女で、その美少女が俺の名前を知っているんだから。

 

「覚えていませんか?丁度一年くらい前に東京で助けてもらったんですけど・・・」

 

「だれに?」

 

「この流れで蒼谷さんじゃなかったら私変な人ですよね!?」

 

 ですよね~。ん~~、一年前かぁ・・・。一年前って何してたっけ?えぇっと、確か勇さんに『生の現場を見せてやる』と言われて東京に行った辺りか?その時くらいしか東京行ってないしなぁ・・・。

 俺は女性の顔をもう一度しっかりと見てみた。女性は見つめられ照れたのか顔を赤らめていたが今はそれどころではない。しかしこのワインレッド色の髪は見た事あるような・・・。

 

「もしかして、駅で迷子になって・・・」

 

「なってません!!」

 

「なら迷子を助けようとしたら自分も迷子に・・・」

 

「だからなっていませんっ!!と言うか、この年で駅で迷子になったりしません!!大体なんでそんなに迷子にこだわるんですか!?」

 

 これは失敬。駅で迷子になった事があるのも、迷子と一緒に迷子になったのもダイヤだった。まぁ、そういう抜けてるところがまた可愛いんだけどな♪・・・って、違い違う!!そうじゃなくて!!となると後は・・・。

 

「ん~っと・・・・」

 

「本当に覚えてないんですか?」

 

「すまん!ここまで出かかってるんだけど・・・・。」

 

 東京かぁ・・・。そう言えば、あの時不良に絡まれてる女の子を助けたっけ?・・・・・ん?あれ?

 

「あぁ!!」

 

「思いだしてもらえました??」

 

「思いだした思いだした!!確か、さ・・・さ・・・・・桜木さん?」

 

「違います!!桜内です!!」

 

「そうだそうだ!!桜内・・・梨香子ちゃん・・・だったっけ?」

 

「違います!!」

 

 物凄い睨まれた・・・。ダイヤもそうだが、美人が睨むとかなりの迫力になるのはなんでだろう?そんなことより早く思い出さないと今度は泣かれるやもしれん・・・。

 

「えっと・・・り・・・り・・・梨子、ちゃん・・・?」

 

「やっと思い出してくれましたか?」

 

 よかった。どうやら今度はあっていたようだ。あぶない、あぶない・・・。

 

「すまんすまん。人の名前とか覚えるの苦手でさぁ。」

 

 本当はウソです。そこまで苦手じゃないけど、あの時の事はプロの仕事に興奮していて、それ以外の事をすっかり忘れていただけだけど、これ以上いらんこと言ったら泣くどころではなく怒らせそうなので誤魔化しておこう。

 

「あの時はお世話になりました♪」

 

「気にしなくていいって♪それよりどうしてここに?てか、その制服は浦女の制服だよな?」

 

「はい・・・・。まぁ、色々ありまして・・・。」

 

 ふむ、何か訳ありみたいだしあまり深くは聞かないでおこう。ダイヤ達の事があってついついお節介をしたくなるが、良く知らない・・・しかも女の子からあれこれ聞くのは良くないよな。

 

「そうだ、もしお時間があるようなら少し相談にのってもらえませんか?」

 

「へ!?べ・別にいいけど・・・」

 

「けど?」

 

「いや、俺なんかが聞いていいのかなぁって。桜内の事はよく知らないし、年頃の女の子はそう言うの嫌なんじゃないかなぁと・・・」

 

「他の人だったら絶対に嫌です!!でも蒼谷さんにならいいかなぁって///」

 

「ん?」

 

「いえ///ほら!私の事助けてくれましたし、『困っている人がいたら助けるのは当然』って言ってたじゃないですか?だから、良い人なのは分かりますし///」

 

「一年前の事なのによく覚えてるなぁ?俺そんなこと言ったか?」

 

「はい♪」

 

「そっか。それなら、話を聞かないわけにはいかないな・・・。ならちょっと待っててくれないか?」

 

「え?あ、はい?」

 

 俺はコンビニに入り2人分の飲み物を買ってきた。込み入った話になりそうだし、ただ立ち話するのもなんだしね。

 

「おまたせ。はいこれ。」

 

「え?」

 

「俺のおごり。ただ話すだけってのも意外に疲れるしさ、向こうで座りながら話そう♪」

 

「あ、はい!それと、飲み物ありがとうございます!!」

 

 飲み物を買い終えた俺はコンビニ裏にある堤防に誘い、そこに座り桜内の話を聞かせてもらった。

 桜内の話の内容を要約すと、去年まで東京の高校に通っていて、そこで子供の頃からやっていたピアノの大会の為に曲を作ったが、ある時からピアノが弾けなくなり、当然ながら大会でも弾けず、応援してくれていた友達や同級生達の目が怖くなり逃げるようにここに引っ越してきたということだった。

 

「そっか・・・大変だったな。なんとなくだけど桜内の気持ち分かるよ。」

 

「そんな簡単に分かるなんて言わないでくださいっ!!私は・・・はっ!!す・すみません!!私から相談したのに・・・。」

 

「気にしなくていいよ♪」

 

 桜内は声を荒げた事にハッとして、謝ってきた。

 

「でも・・・。」

 

「俺も似たような事あったから、完全に分かる、なんて言えないけど理解はできるからさ。」

 

「え?」

 

「俺さ、将来は編曲とかの仕事をしたいって思ってるんだ。」

 

「編曲ですか?」

 

「うん。それで、今はプロの人に色々教わってるんだけど、当然ながら実力の差を痛感したり、思っている物を上手く表現できなかったりしてさ・・・。ついこの間までそれなりに納得できていた物が、ある日を境に全然納得できない物になったりね・・・。」

 

 実際、一年前にプロの現場を見せてもらった後はその凄さに興奮を覚え、その後は暫くスランプに陥ったしね。あの時はプロの凄さを目の当たりにして、自分の作ってる物が子供のお遊びの様に思えて、色々と試行錯誤したりしてかなり苦しんだなぁ・・・。

 

「私と似てる・・・。」

 

「それに、勇さん・・・そのプロの人が見込みはあるって言って教えてくれていたから、少し自惚れていたところもあったとは思うんだけど、それにしても俺の目指している場所があまりにも遠くて、焦ったりもして余計にいいものが出来なくて、勇さんに申し訳ないやら、自分が情けないやらで悪循環に陥っていたよ・・・。」

 

「それで、蒼谷さんはどうなったんですか?今もまだそこにいるんですか?」

 

「いや、俺は最近だけどそこから最近抜け出せたよ。」

 

「ど・どうやったんですか!?」

 

 桜内は俺があの状況から抜け出したと聞いて身を乗り出してきた。それほどまでに桜内は追い込まれていたのだろう。どんな些細なことでもいいから今の状況を変えられるヒントが欲しいんだろう。とは言え、俺のは参考になるか怪しいが・・・。

 

「ん~・・・しいて言えば、周りの人おかげ、かな?」

 

「周りの人?」

 

「あぁ、俺が落ち込んでる時に、あまり詳しくないのに俺の作ったものを聞いて意見をくれる人や、俺の心境を無視して馬鹿やって俺から悩む時間を奪った奴がいたりね・・・。」

 

 ちなみに前者はもちろんダイヤだ。そして後者は最近存在感が薄くなっているが智也だ。

 

「でも、それだけだと何も変わらないですよね?」

 

「そうだね。でも、そのおかげで、投げ出さずに来れたんだと思う。」

 

「そうですか・・・・でも、それなら時間が解決してくれたってことですか?」

 

「それも違うよ。・・・・あ、いや、そうとも言えなくはないか・・・・」

 

「どういうことですか?」

 

 桜内は訳が分からないという顔をしていた。まぁ、こんな返答なら当然だよね。

 

「実は俺のスランプは勇さんに仕組まれたものんだったんだよ。」

 

「はぁ・・・。」

 

「ちゃんと話すと長くなるから掻い摘んで話すね。」

 

「はい・・・。」

 

 要約するとこうだ。実際のプロの現場を見る事でその場の空気を感じてほしいと言うのは本当だが、それと同時に俺とプロとの差を実感してほしかったそうだ。

 俺なら自分とプロの間にどれくらいの差があるのか分かるだろうし、それによって俺がスランプになる事も分かっていたが、プロを本気で目指すなら必要なことだったと言われた。プロともなれば納期だ、流行りだのあり、若くて力もある新人だってどんどん後を追ってくる。そんな中で何度も壁にぶつかるし、それら全てを乗り越えられなければプロとしてやっていけない。今回はその壁を1人で乗り越えられるとは思っていないが、諦めずもがき続けられるかが見たかったそうだ。結果、勇さんの読み通り1人では越えられなかったが約1年諦めずいた事により、勇さんから合格を貰い、そして種明かしをされた。

 

「そんで、勇さんには『今のお前とプロとの間に大きな差があって当たり前だ。でも、俺はお前の作る音は結構気に入ってる』って言われて目が覚めたんだ。」

 

 そう、俺は無意識にプロの人たちの音を意識するあまり勝手にスランプに陥っていたのだ。だから勇さんに言われ、今はとにかく俺らし音を作る。その中で知識と技術を磨けばいいんだと、初歩的な事だけれどそれに気づけた事によって俺はスランプを脱したのだ。

 

「そうだったんですね。」

 

「参考にならなくてごめんな。」

 

「いえ!気にしないでください。」

 

「ただ、アドバイスになるかは分からないけど、スランプの抜け方なんてのは色々あると思う。それこそ時間が解決してくれたり、誰かの何気ない一言がきっかけだったり・・・。だから、もう少し肩の力を抜いて周りを見渡す余裕を持ちな。」

 

「でも・・・。」

 

「なんなら他の事をしてみるのもいいかもしれないぜ?」

 

「諦めろってことですか?」

 

「そうじゃないよ。ただ、一度離れて全く違う角度から見てみるんだよ。もしかしたら意外にあっさり答えが見つかるかもしれないよ?」

 

「そうでしょうか?」

 

「たぶんね。だから少しでも気になる事があったら関係ない事とか何でもやってみたらいいさ。無駄な事なんてたぶん一つもないから。」

 

「・・・・」

 

 それから桜内は少しの間黙っていた。今の話を聞いて思うところでもあったのかな?まぁ、俺の話がほんの少しでもなにかのきっかけになってくれたらいいんだけど・・・。

 

「蒼谷さん、今日はありがとうございました。」

 

 桜内が黙ってから10分くらい経っただろうか?桜内は立ち上がると笑顔でお礼を言ってきた。

 

「もういいのか?」

 

「はい。蒼谷さんと話せて何か見えそうな気がしました。って言っても、そんな気がしただけで、まだどうしたらいいかわかりませんけど・・・」

 

「そっか。まぁ、焦ってどうにかなるもんでもないし、とにかく思い詰め過ぎない事だ。」

 

「はい♪それじゃ、そろそろ帰りますね?」

 

「あぁ、気をつけてな。」

 

「あっ!!」

 

「ん?」

 

「その前に連絡先教えてもらってもいいですか?」

 

「別にいいけど?」

 

 俺と桜内はお互いの連絡先を交換した。俺の連絡先を見て桜内はどこか満足げな顔をしていたようにも見えたがなんでだろう?

 

「もし何かあったらまた相談に乗ってもらってもいいですか?」

 

「あぁ。大したことは言えないと思うけどそれでいいんならな。」

 

「ありがとうございます♪」

 

 そして桜内と別れた俺は、ダイヤから連絡がなかったかスマホを取り出し確認したが、ダイヤからはまだ連絡が無かった。

 

『ぶっぶっぶーーっ!!!ですわっ!!!』

 

 車に戻ろうとすると、学校の方からダイヤの声がスピーカーから大音量で聞こえてきた。あまりの音量に物凄くハウリングしていて、通行人が何人も耳を塞いでいた。

 何やら面白そうな事になってそうだけど、愛しの彼女は今度はなにをしている事やら♪

 俺はそんな事を思いながらダイヤが戻ってくるのをルンルンで待っているのであった♪




いかがでしたでしょうか?

悠君と梨子ちゃんが再会しましたね♪
これで新生Aqoursと繋がる準備ができました♪

そして、この場をお借りして、
ノブオ様、高評価ありがとうございます♪

また、新たにお気に入りとうろくをして下さった皆さまありがとうございます♪

こんなですが、これからも頑張って書いていきますので、よろしくお願いします♪

ではまた次回も宜しければまた読んでやってください♪



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第38話 ~ダイヤの苦悩~

「あははははははっ♪あぁ、腹いて~♪」

 

「うぅ~///、そんなに笑わなくてもいいじゃありませんか!!」

 

 桜内と別れ、ダイヤと合流した俺はダイヤから話を聞いてから、車の中でも家に帰って来てからも笑いが止まらず、ずっと腹を抱えて笑っていた。その横で顔を真っ赤にしているダイヤがまた可愛くてニヤニヤも止まらなかった。なぜこんなに爆笑しているかと言うと、遡る事約2時間前になる。

 

 

~ダイヤ Side~

 

「あら?悠さんからメールですわ。えっと・・・」

 

 私が生徒会の仕事をしていると悠さんからメールが届きました。内容は『大学の講義が早く終わったから迎えに行く』と言うものでした。もともと今日は生徒会の仕事が終わったら悠さんの家に行く予定でいたので、迎えに来てもらえたらその分早く悠さんに逢えるので大歓迎なのですが、生徒会の仕事が山のようにあるのでこれをある程度片してからでないと帰れないので、悠さんに1・2時間ほど待っていてもらえるよう返信をして仕事に戻りました。

 

「しかし、私以外の生徒会役員が何かしらの部活動と兼部と言うのは考えものですわね・・・。」

 

 私は仕事の山を見つめながら溜め息を漏らしてしまいました。今も言いましたが、仕事が山のようにある要因の1つとして、私以外の生徒会役員全員が部活動と並行して活動している為、実質私1人で仕事をしているようなものなのです。生徒会の仕事自体嫌ではなく、むしろやりがいがあって好きなのですが、悠さんとの時間が減ってしまうのが唯一の悩みでしょうか・・・。

 

コンコン

 

「失礼しま~す。」

 

 私がそのような事を考えながら仕事を片付けていると、ノック音が聞こえすぐに千歌さん達が入ってきました。私は『どうぞ』一言も言っていないのですが・・・。

 

「と言うわけで、部の申請許可お願いします!!」

 

「お断りしますわ!!」

 

「こっちも!?」

 

「あはは、やっぱり・・・。」

 

 何が『と言うわけ』なのかは分かりませんが、本当に懲りない人ですね・・・。先日1人が2人になっただけなのにも関わらず申請に来たり、作曲が出来ないとラブライブに出れないとも言ったというのに・・・。申請書を見る限り1人も増えていませんし、今度は何が変わったと言うのでしょうか?

 

「5人必要だと言ったはずです。それに作曲はどうなったんですの?」

 

「それは~・・・たぶん、いずれ・・・きっと・・・はっ!!か・可能性は無限大!!」

 

「可能性は無限大って、つまりは何も進展していないと言う事ですわよね?よくそれでまた来ようと思いましたわね・・・。」

 

 私は呆れて思わず溜め息を漏らしてしまいました。この直向きさは羨ましいと思いますが、それにしても勢い任せ過ぎませんか?

 

「それはそうなんですけど・・・。あ!!でもでも、最初は三人しかしなくて大変だったんですよね、『ユーズ』も・・・」

 

「ユーズ?」

 

「知りませんか?第2回ラブライブ優勝!音ノ木坂学院スクールアイドル、ユーズ!!」

 

 間違いなくμ’sの事を言っているのですが、あろうことか名前を間違えるとは!!私はあまりの怒りにナワナワと体を震わせていると、隣で見ていたもう一人のメンバーである渡辺 曜さんが私の様子に気づきオロオロしていましたが、我慢の限界に達した私は椅子から立ち上がりました。

 

「それはもしや、μ’s(ミューズ)の事を言っているのではありませんわよね?」

 

「え!?あ・・・もしかしてあれってμ’s(ミューズ)読む・・・」

 

「お黙らっしゃーーーーーーいっ!!」

 

「「ひっ!?」」

 

「言うに事欠いて、名前を間違えるですって!?あぁ!?」

 

「ご・ごめんなさい!!」

 

 こうなれば、いかにμ’sが尊い存在なのかしっかと教えなければなりませんわね!!

 

「いいですか?μ’sはスクールアイドル全ての伝説、聖域、聖典、宇宙にも等しき生命の源ですわよっ!!その名前を間違えるとはっ!!!片腹痛いですわ!!」

 

「ち・近くないですか?」

 

 私は興奮するあまり千歌さんに一歩また一歩と詰め寄ると、私から逃げようとした千歌さんが一歩また一歩と後ずさり、校内放送用の機材まで追いつめられていましたが、私は気にせず話を続けました。

 

「その浅い知識だと、たまたま見つけたから軽い気持ちで真似をしてみようかと思ったのですね?」

 

 私は本気でラブライブを目指していると思っていましたし、その真直ぐさが羨ましいとさえ思った方が、他の方々と同じだったんだと思うと心のどこかでガッカリしていました。

 

「そんな事ありません!!私は本気で・・・」

 

「ならば・・・」

 

 そんな事はないと言う千歌さんに、いくつかμ’sに関する問題を出しましたが全問不正回。なんとい事でしょう!!まさかこの程度の事も分からないでμ’sを語るとは!!

 

「うぅ・・・難しいよ~・・・。」

 

「千歌ちゃんガンバ!!」

 

「では、これが最後です。ラブライブ第2回決勝、μ’sがアンコールで歌った曲は・・・」

 

「それなら知ってる!!『僕らは今のなかで』」

 

 掛かりましたわね!!ちゃんと問題を最後まで聞かないのはよくありませんわね。

 

「ですが・・・、曲の冒頭スキップしている4名は誰?」

 

「えぇ~!?私の答えを聞いてから問題を変えるのズル~イ!!」

 

 私が止めと言わんばかりに千歌さんに詰め寄ると、千歌さんは校内放送用の機材にぶつかり、のけ反っていました。その時にマイクのスイッチがONになってしまったんことに気付かず、私は意気揚々と話を続けてしまいました。

 

「ぶっぶっぶ~~~っ!!ですわ!!絢瀬 絵里、東 條希、西木野 真姫、星空 凛。こんなの基本中の基本ですわよ!!」

 

「す・凄い・・・」

 

「生徒会長って、もしかしてμ’sのファン??」

 

「当たり前ですわっ♪私を誰だと・・・はっ!!コホンッ!!い・一般教養ですわ!!一般教養!!」

 

「「へぇ~~??」」

 

「と・とにかく!!スクールアイドル部は認めませんっ!!」

 

「だけど・・・」

 

「それに前回と何も変わってないわけですし、今は生徒会の仕事も忙しいので帰りなさい!!」

 

「千歌ちゃん、今日は生徒会長の言う通りだし、行こう?」

 

「曜ちゃん・・・。わかったよ・・・。でもまた絶対に来ますからね!!」

 

そう言い残して千歌さんと曜さんは生徒会室を出て行きました。

 

「まったく、千歌さん達には困ったものです・・・。」

 

バタンッ!

 

「会長!!」

 

「な・なんですの!?」

 

 私が仕事に戻ろうとすると千歌さん達と入れ替わりに生徒会メンバーの一人が血相を変えて入ってきました。

 

「ま・マイク・・・」

 

「マイク?外国の方ですか?」

 

「そ・そうじゃなく、校内放送のマイクが・・・。」

 

 走ってきたのか息を切らせながら校内放送用の機械を指差すので、機械を見てみるとマイクのスイッチがONになっていました。

 

「なっ!?」

 

「さっきの会話が校舎内に響き渡ってましたよ!?」

 

「そ・そそ・・そんなの、ぶっぶーー!ですわーーーー!!」

 

「わ~~会長!!マイク、マイク!!」

 

「はっ!!」

 

 私は慌ててスイッチを切りましたが、時既に遅し・・・。全校中に醜態を晒してしまいました・・・。

 この後は生徒会の仕事をやろうにも、恥ずかしさやら後悔やら、何とも言えない感情が湧きあがり仕事が手に着かなくなってしまい、ほとんど仕事を消化することなく今日は帰る事にしました。

 そして学校の傍で私を待っていて下さった悠さんと合流しました。

 

~ダイヤSide END~

 

 

 と、このような事があり、話を聞いた俺は面白いやら、ずっと赤面してるダイヤが可愛いやらで、思いだしては笑っていたのだった。

 

「いや~、しかしμ’sの事となると、我を忘れるところは昔と変わらないなぁ♪」

 

「そ、そうですか?」

 

「あぁ。2年前だってμ’sの事で今回と同じような事言って暴走しただろ?」

 

「うぅ・・・。よく覚えてますわね・・・。」

 

「まぁな♪ダイヤの事だったら何でも覚えてるぞ♪」

 

「よく言いますわよ。久し振りに会った時は忘れていたではありませんか!」

 

 おぅ、痛いところを・・・。しかしあれは忘れていたわけじゃなく、ダイヤだって気がつかなかっただけなんだけどなぁ・・・。

 

「まぁそんな事より、本当にダイヤはもうスクールアイドルをやらないのか?」

 

「誤魔化しましたわね?・・・ふぅ。この間も言いましたけど、もうやりません。」

 

「なら、せめて同好会って形で認めてやったらどうだ?」

 

「・・・・・。」

 

 そう、確かに部活動の方が部費はかなり出るが、とりあえず同好会から始めたっていいわけだし、ダイヤがその事に気付いてないわけがない。だから聞いてみたのだが、ダイヤは黙ったままだった。

 

「μ’sの事で暴走した事は置いとくにしても、ダイヤの事だから、その子達の事はもう認めてるんじゃないのか?」

 

「どうしてそう思うんですの?」

 

「認めてる事を認めたくなくて、ダイヤ達がスクールアイドルをやっていた事を消したくなくて、意地になってるんじゃないかなぁって思っただけなんだけどさ。」

 

「少し違いますわね・・・。確かに千歌さんのやる気は認めています。ですが、私が設立を認めないのは別の理由があります。」

 

「別の?それはやっぱり規則だから?」

 

「それもありますが、そんな事は建前でしかありません。第一、生徒数も少なく、ほとんどの生徒が部活動なし委員会に所属しているわけですから、今から新たに部活動を立ち上げるのに人を集める相当難しいのはよくわかっています。」

 

「ならなんで?」

 

「まず、曲を作れないと言う事です。話を聞く限り、まだ曲を作れる人を見つけていないようですし、悠さんも知っての通り、ラブライブはオリジナルの曲でないといけません。」

 

「確かスクールアイドルの人口はここ数年でかなり増えているけど、その陰にはコピーバンドならぬコピーアイドルも相当数いるくらい作曲はネックになるところだよなぁ・・・。」

 

「えぇ。それに仮に作曲できる人が見つかったとしても、ラブライブに行けるとは限らない。優勝ともなれば尚の事です・・・。」

 

 ダイヤは少し辛そうだった。夢半ばで解散することになった訳だし当然と言えば当然だけど・・・。

 

「だからって、やってみなければ分からないだろ?ダイヤ達はあんな結果になってしまったけど、その子達がそうなるとは・・・。」

 

「そうですわね。ですが、悠さんは毎年増えるグループがある一方で、解散しているグループがどのくらいあるかご存知ですか?」

 

 それはたぶん卒業してラブライブ参加資格が無くなって、とかって話じゃないよな?そんなの意識したことなかったから全然分からないや・・・。

 

「んと~~~~・・・」

 

「その年に増えたグループの約半数です。」

 

「そ・そんなにか!?」

 

 結構なグループが解散していたようで正直驚いた。だって毎年1000組近くはスクールアイドルが増えてるのだ。それだけでも相当な数だが、その半分って・・・。まぁ、理由は色々あるだろうけど、ダイヤが今ここで言うくらいだから、おそらくトップクラスのグループとの実力差や、どれだけやっても人気が出ないとか、そう言った現実に直面して辞めていったりしたのだろう。

 

「知らないのも無理ありませんわ。人気グループでなければ話題になる事もなく人知れず消えているのですから。」

 

「そうだったのか・・・。てことは、それが理由ってことか?」

 

「そうですね・・・。『叶わない夢なら見ない方がいい』とまでは言いませんが、こんな片田舎ではその夢を叶えられる可能性は限りなく0に近いでしょう・・・。」

 

 まぁ、言わんとしている事は分からないでもない。まず知名度を上げなければいけないが、その為には曲がいいのはもちろんの事、目を引くパフォーマンスなどが求められるが、都会ならばパフォーマンス場所は色々あるだろうが、内浦みたいに山と海しかない様な場所だとどうしてもマンネリになってしまう。もちろん他には無い様ないい場所は沢山あるんだけど、派手さが無いが故に見劣りしてしまうのは否めない。地元と関係無いところでパフォーマンスをしてはいけないと言う明確な決まりは存在しないが、学生の行動範囲を考えたら地元以外でと言うのはかなり難しいだろう。

 

「とは言え、ダイヤだって一度は目指した夢だろ?」

 

「あの頃はただ憧れて、目に見える部分しか知らなかっただけですわ・・・。」

 

「そっか・・・。」

 

 ダイヤの言っている事は全部事実だろうけど、俺の知っている本当のダイヤなら『そんな事は関係ありませんわ!!むしろ燃える展開ですわ!!」とか言って夢に向かって行っているだろう。おそらくはスクールアイドルへの未練を押さえる為に、自分を納得させる理由を無理やり作って納得しようとしているんだろう。

 まぁ、それ自体は仕方ないとして、それに巻き込まれる後輩ちゃん達は不憫だ・・・。

 何とかしてやりたいが、知らない子にいきなり『俺が何とかしよう』とも言えないし・・・。せめて、こっちに帰ってくると言ったきり音信不通のシャイニー娘が帰ってきたら、良くも悪くも物事が動きそうなんだけど、それを待っていて、折角の灯った火が消えて行くのを見てるだけってのも嫌だし、どうしたもんか・・・。

 

 『この話はここまで』とダイヤが言うのでこの話を辞め、この後はのんびり夕飯を食べ、ダイヤとテレビを見ていたら、いい時間になっていたのでダイヤを家まで送り届けた。

 ダイヤを送った俺は風呂に入り、寝ようとしたら果南からメールが入っていた。

 

『今度の日曜日、家に来て。』

 

 と、果南らしい短い文だった。




いかがだったでしょうか?

今回はダイヤちゃんの葛藤を書いてみました。

次回はお久しぶりの果南さん登場いです。

そして、この場を借りて、Katosoさん、高評価ありがとうございます♪

では、宜しければ次回も読んでやってください♪


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第39話 ~始まりを告げる音~

 今日は果南から呼び出しがあった日曜日。俺は朝一の連絡船に乗り淡島にある果南の家に向かっていた。

 なぜ俺が休日にダイヤとデートもせず、わざわざ果南の家に行くのかと言うと、決して浮気などではなく、かと言ってダイヤへサプライズを企画している為とかでもなく、深い意味など全く無くただのバイトだ。

 果南の家はダイビングショップを営んでいるのだが、一月の末に果南の親父さんが階段から落ちて両足を骨折してしまい入院を余儀なくされてしまった。家族経営でバイトも雇っていない松浦家では、果南が高校を休学してまで店を運営していたが、どうしても男手が必要となり俺に白羽の矢がったったと言う事だ。

 そんな訳で、お客さんの予約具合などで果南からSOSが来る。まぁ、とは言え殆どが土日にしか要請がこないし、別に俺が海に潜ってガイドをしたりするわけではなく、いわゆる店番がメインなので気楽なものだ。

 

「おはようございまぁす。」

 

「おはよう悠君。毎度毎度急にお願いしたりしてごめんね?」

 

「いえ、気にしないでください。俺もいい気分転換になって助かってますし♪」

 

「そう言ってもらえると助かるわ♪」

 

 店に入ると果南のお母さんが忙しなく開店準備をしていおり、俺があいさつすると果南にそっくりな笑顔で迎えてくれた。しかし、初めて逢った時も思ったが、高校生の娘がいるとは思えないほど若々しく、果南の姉と言われてもおそらく疑わなかっただろう。ダイヤのお母さんを久し振りに見たときにも同じような感想を持ったが、俺の周りの奥様方はなぜにこんなにお若いのか・・・。しかも更に驚きなのは、このお方、果南に引けを取らずスタイルがいい。果南のスタイルの良さは遺伝なんだなぁとしみじみ思う。

 

「それで果南・・・さんはどこに?」

 

「たぶん倉庫じゃないかしら?さっきボンベを取りに行くって言っていたし。」

 

「わかりました。果南さんに挨拶をしてきたらこっちの方を手伝いますね。」

 

「ありがとう♪」

 

 俺は果南が居るであろう倉庫の方へと向かうと、倉庫の入り口の前でエアーのチェックをしている果南がいた。

 

「おっす、果南。」

 

「あ、悠君おはよう♪いつも急に悪いね」

 

 流石は親子だ。おばさんと同じ事言ってる。

 

「それはいいって♪そんで、今日はいつも通りでいいのか?」

 

「そうだね。私も母さんも外に出ちゃうから、店番しながらこの予約者リストの人数分の物を用意しておいてくれればいいから♪」

 

 俺は果南に渡された予約者リストを見てみると、今日はここを手伝い始めて以来の大人数だった。

 

「こりゃまた凄い人数だな・・・。」

 

「まぁ、この時期は毎年こんな感じかなぁ?暖かくなってきたし、この時期にしか見れない海の風景ってのもあるから結構人くるんだよ♪」

 

 俺はダイビングやらないから分からないけど、これだけ人が来るんだからその風景とやらは相当凄いんだろう。

 

「そうなんだ?とりあえず、おばさんの手伝いしてくるよ。」

 

「よろしくね~♪」

 

 果南に挨拶をした俺はその後開店準備をしている果南の母さんを手伝い、その後言われた仕事をこなしこなしていると、気がつけば午後になっていた。

 

「果南ちゃん来たよ~!!」

 

「お、来たね♪いらっしゃい千歌、曜♪」

 

「果南ちゃん急にお願いしてごめんね?」

 

「いいっていいって♪それで、そっちの子が電話で言ってた?」

 

「あ、はい。桜内と言います。今日は急な話だったのにありがとうございます!!」

 

「おーい果南、このリストの事なんだけど・・・・って、あれ?桜内??」

 

「あ・蒼谷さん!?」

 

 俺がリストの事で分からない事があり果南のもとに行くとそこには桜内と蜜柑色の髪にアホ毛が特徴的な女の子と、ベージュ色の髪に蒼い瞳が印象的な女の子の三人がいた。

 

「え?なになに梨子ちゃんの知り合い?」

 

「え?えぇ。」

 

「まさか、彼氏とか?」

 

「えぇ!?ち・違うよ!!少し前に変な人に絡まれているところを助けてもらった事があるだけだよ!」

 

「ホント~??」

 

「か・からかわないでよ~。」

 

「それじゃ、果南ちゃんの彼氏?」

 

「なんでそうなるかなぁ?悠君は父さんが怪我したから手伝ってくれてるだけで、それ以上でもそれ以下でもないから。第一、私のタイプじゃないし。」

 

 果南さん、確かに俺にはダイヤがいるし、いくらスクールアイドル時代にそれなりの付き合いがあるとはいえ、友達かと言われたらそれも微妙な関係ではあるけども、それでも結構傷つくぞ・・・?。

 

「悠君だって曜ちゃん♪」

 

「怪しいですなぁ♪」

 

「む~・・・」

 

 俺の心境をよそに盛り上がるこの2人は誰なんだろう?果南の知り合いみたいだけど、ずいぶんと親しいみたいだなぁ。

 

「果南、この子たちは?」

 

「あぁ、この子たちは私の幼馴染。私の一つ下で、妹みたいなものかな♪」

 

「始めまして!わたし浦の星女学院高校の2年で、高海 千歌っていいます♪」

 

「ヨーソロー♪同じく私は渡辺 曜であります♪」

 

「俺は蒼谷 悠だ。よろしくな♪そんな事より、ヨーソローって?」

 

 ヨーソローって船乗りかなんかのあいさつみたいなもんだよな?始めて聞いたけど言う人いるんだ。

 

「それよりも、本当のところ果南ちゃんと蒼谷さんの関係はどうなんですか??」

 

 俺の質問を流さないでください・・・。

 渡辺が俺の質問をさらりと流し、俺と果南の関係を目を輝かせながら聞いてきた。ボーイッシュに見えるこの子もやはり女子高生。恋バナは大好物の様だ。まぁ女子高だし、出会いなんかもあまりないだろうから余計にこういった話に興味しんしんなんだろうなぁ。

 

「そうそう♪果南ちゃん凄く美人でスタイルいいのに、海にしか興味無いから男の人の影なんて全然無かったのに、急に知り合いっていう男の人がいるんだもん気になるよ♪」

 

 そして高海も同じようだった。

 

「どうって言われてもなぁ・・・友達、ってのもちょっと違うし・・・しいて言えば恩人であり戦友、かな?」

 

「「え?」」

 

 高海も渡辺も何言ってんのこいつ?って顔をしていた。まぁそうなるよね。とは言え事実だしなぁ・・・。俺とダイヤをくっつけてくれた恩人であり、短い期間ではあるが一緒にラブライブを目指した仲だしな。

 

「ねぇねぇ曜ちゃん。どう思う?戦友って言ってたけどなんだろう?」

 

「ん~、よくわからないけどただならぬ関係ってことかな?」

 

「やっぱり元彼とか?」

 

「ん~、どうだろう?確かにかっこいい人だとは思うけど、少しひょろっとしてるかな?果南ちゃんはもっと筋肉ある人ととかが好みなんじゃない?」

 

「あぁ、確かに。もっとスポーツマン的な人が好きそうだよね?」

 

「でも優しいよ!!」

 

 なんかヒソヒソ話を始めたけど全部聞こえてるからな?後、桜内は声でか過ぎだぞ?

 

「ほ~ら!馬鹿なこと言ってないで準備しておいで!」

 

「「「は~い♪」」」

 

 ヒソヒソ話をしていた3人は果南に怒られて更衣室の方へと向って行った。

 

「あれ?あの子達お客さんだったんだ?」

 

「うん。なんか海でやりたい事があるって言って急に千歌から予約が入ったんだよ。まぁ、今回はダイビングじゃなくシュノーケリングだから私は船を出すだけだけどね。」

 

 なるほど、それでリストには酸素ボンベ等々の機材が載って無かったのか。

 

「あ、そう言えばわたしを探していたみたいだけどどうかしたの?」

 

「いや、今さっき問題は解決したから大丈夫だ。」

 

「そう?ならいいけど。」

 

 そう言った果南は船の準備をしてくるといい外に行ってしまった。やる事が無くなった俺は少しカウンター内でぼけーっとしていたが、暫くしてドライスーツに着替えた高海達と、ほぼ同じくして船の準備を終えた果南も戻ってきた。

 

「準備で来た?」

 

「うん♪」

 

「それじゃ、簡単な説明をして海に出たいと思うんだけど、その前に聞きたい事がいくつかあるんだけどいいかな?」

 

「はい?」

 

 果南は桜内にどのくらい泳げるかなど、いくつかの質問をした。高海達は妹みたいなもんだと言っていたかそのあたりの事はよく知っているのか、質問は全て桜内にだけ行われていた。

 

「最後に、今日は何で海に潜りたかったの?」

 

「えぇっと、海の音が聞きた来てなんですけど・・・。」

 

「海の音?」

 

 あぁ、それでか。この間話には聞いていたけど、まさかここに来るとは思わなかった。

 

「はい。私ピアノをやっていて、どうしても海の音が知りたくて・・・。」

 

「そうなんだ。それなら、イメージが大事かもしれないね。」

 

「イメージ・・・ですか?」

 

「そ♪人の耳は水の中だとあまり音が聞こえないからね。でも、景色はこことは大違い!!見えている物からイメージする事は出来ると思うよ♪」

 

「想像力を働かせる事ってことですか?」

 

「まぁ、そう言う事かな♪」

 

「分かりました。やってみます。」

 

 桜内に質問を終えた果南は、桜内が質問されている間外で準備運動をしていた高海達に声をかけ沖に出る準備を始めた。

 

「それじゃ悠君、お留守番よろしくね~♪」

 

「お留守番って・・・。子供じゃないんだが?」

 

「まぁまぁ♪」

 

「それにしても結構曇ってきたけど大丈夫なのか?」

 

「まぁ、このくらいならね。風も出てないし、予報でも荒れる事は無いってことだから大丈夫だよ♪」

 

「そっか。じまぁ気をつけてな。」

 

「それじゃ、蒼谷さんいってきますね。」

 

「おう。桜内も何か見つかるといいな♪」

 

 どこか不安げな桜内達を乗せた船は沖の方へと出て行った。

 まぁ、本当に桜内が求める海の音が本当に聞こえるか分からないし、海に潜ってまで何も掴めなかったら他の方法なんてそうそう思いつくもんでもないしな・・・。

 

 桜内達を見送った俺はカウンターに戻り、客がいない間はぼけーっと過ごし、客が来れば接客をしてなどしていたら気がつくと桜内達が海に出てから1時間以上経過していた。

 

「たっだいまぁ~!!」

 

「よ~そろ~♪」

 

「戻りました♪」

 

 カウンターでぼけーっとしていたら高海達が元気良く戻ってきた。桜内の晴れやかな笑顔を見る限り結果だったようだ。

 

「その顔を見る限り、桜内の求めている物は見つかったのかな?」

 

「はい♪」

 

「そっか。良かったな。」

 

「はい♪」

 

 笑顔で答える桜内を見て俺はどこかほっとしていた。まぁ成り行きとはいえ、桜内の事情は知っているから桜内の悩みが無くなったようで本当に良かった。

 この後は桜内達と少し話、暗くなる頃に3人は仲良く話しながら帰って行った。俺は閉店時間まで手伝い、連絡船の最終便の時間が迫っていたので挨拶もそこそこに急いで船着き場まで向かった。

 今日はお客が多かったからクタクタだ・・・。何本あの重たい酸素ボンベを運んだ事か・・・。明日は筋肉痛だなぁ・・・。俺はそんな事を想いながら、ダイヤへバイトが終わった事をメールで送ると、労いの言葉が帰ってきた。俺はそのメールを見てニヤニヤしながら家路に着いたのだった。

 

 その数日後、桜内から一通のメールが入った。この時の俺はただダイヤの為になればと、ただそれだけの軽い気持ちで桜内のメールに答えたが、まさかこのメールが奇蹟への始まりを告げるものだとは・・・。




いかがだったでしょうか?

うまく千歌ちゃん達と絡ませる事が出来てませんが、そこは今後に期待と言う事でお願いしますww

今回はダイヤちゃんが出ませんでしたが、次は活躍してもらいますので、宜しければ次回も読んでやってください♪


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第40話 ~そんな目で見ないで・・・~

約一カ月間が空いてまい申し訳ありません。
年度末と言う事もあり、もうてんやわんやで、ほとんどPCを立ち上げる事すら出来ませんでした・・・orz
ですが失踪だけはしないので、よろしければ今後ともお付き合いいただけたら幸いです。

では、本編へどうぞ♪


 俺は今、内浦にある老舗旅館『十千万』の前に来ていた。なぜ旅館の前いるかと言う桜内に呼び出されたからである。なぜ呼び出されたかと言えば、3日ほど前の夜の事を話さなければいけないので、少し俺の回想に付き合ったいただきたいと思う。

 

 

--------------------

 

 桜内の悩みが解決してから数日たったある日の夜、俺はいつも通り勇さんから出されている課題に精を出していると、意外な人物からメールが来た。その送り主ちは、なんと桜内だったのだ。俺は連絡先こそ交換はしたが、今の今まで連絡を取り合った事はないし、桜内からメールが入るまで連絡先を交換した事も忘れていたもんだから、画面に表示された名前を見ておもわず変な声を出してしまった。

 因みに、メールの内容はこんなだった。

 

『夜分のメールすみません。相談したい事というか、お願いしたい事があるのですが、今お時間大丈夫でしょうか?』

 

 と言うものだ。一体なんだろうか?ん~・・・・。まぁ、考えていても始まらないか。とりあえず話を聞かない事には何とも言えないしな。

 俺は桜内に『まずは話を聞きたいから今から電話してもいいか?』と返信するとすぐに『大丈夫です』と返信が帰ってきたので桜内に電話をすると数コールで桜内が電話に出た。

 

「もしもし?蒼谷ですけど・・・。」

 

『こんな時間にわざわざ電話してもらってすみません。』

 

「いや、それは別にいいんだけど、なんかあったのか?」

 

『実はですね、、その改めてちゃんと言うのは恥ずかしいんですけど・・・わ・私・・・』

 

 なんだろう?言うのが恥ずかしいって、なんかまるで告白されるみたいな雰囲気になってるんですけど・・・。俺にはダイヤがいるし、それは無いと分かってるのにドキドキしてしまう。

 

『私、高海さん・・・うぅん、千歌ちゃん達とスクールアイドルを始めようと思うんですっ!!』

 

「・・・うぅん?」

 

『ですから、スクールアイドルを始めるんです。』

 

 ですよね~。うん知ってた。告白される事なんて絶対にないと分かっていたのに、悲しきかな、勝手にドキドキしていまったが故に、気恥ずかしいやらダイヤに申し訳ないやら、いろんな感情が一気に押し寄せてきて上手く頭が回らない・・・。えぇっとなんだっけ?スクールアイドル?・・・ん?スクールアイドルをやる?桜内が?

 

「おぉ!?そうなんだ?またずいぶんと思いきったな?」

 

『えぇ、まぁ・・・。千歌ちゃんに勧められるままμ’s?の曲を聞いたんですけど、上手く言えないんですが曲がすんなりと心に入ってきたというか、励まされている気がして、気が付いたらピアノを弾いていました。あんなに弾くのが怖くて逃げていたのに、そんな事はなかったみたいに自然と弾いていたんです。』

 

「よかったじゃないか♪・・・でも、それとスクールアイドルをする事は別なんじゃないか?」

 

 μ’sの曲を聞いてスランプから抜け出せたからと言って、μ’sみたいなスクールアイドルになりたい、なんて安直な考えを桜内がするとは思えないんだよなぁ。それに折角ピアノが弾けるようになったのにピアノをやらないと言うのはなんだか引っかかるし・・・。

 

『確かにピアノは弾けるようになったんですけど、まだ人前で弾くのが凄く怖いんです・・・。』

 

「そっか・・・。」

 

『でも、そんな時に千歌ちゃんが言ってくれたんです。『一緒にスクールアイドルをやってみない?』って。』

 

 へぇ。・・・っていうか、高海ってダイヤの話の中に最近ちょいちょい出て来るあの『千歌さん』か。今の今まで気付かんかった。

 

『私、気分転換するみたいにやるなんて、本気でやろうとしている千歌ちゃんに対して失礼だと思ったんですけど、千歌ちゃんが私が笑顔になれるならそれでいいって言ってくれて。それにμ’sの曲を聞いていたら少しですけど、スクールアイドルに興味も出てきたんで。』

 

「そっか♪・・・でもわざわざ何で俺に?それに答えが出てるなら相談って何だ?」

 

『それでなんですけど、私作曲は出来るんですけど、楽器はピアノとビオラしか出来なくて、編曲は全然できないんです・・・。』

 

 あぁ、なるほど。俺がこの間編曲してるって話したから、俺に手伝ってほしいと、そう言うことか。

 ふむ、これはもしかしなくともいろいろチャンスなのではないだろうか?戻ってくると言ったきり音信不通のシャイニー娘ことマリーは今のところ当てにできないし、なによりこの前ダイヤから、スクールアイドルを始めたいと言う後輩がいると聞いた時に何か手伝ってやりたいと思ったものの、面識のない男が女子高生に声をかけたら最悪、変質者扱いされてしまうから断念したが今は状況が違う。

 

「なるほど。つまりは俺に編曲をやってほしいと?」

 

『はい♪』

 

「いいよ。俺でよければ力になるよ♪」

 

『いいんですか!?』

 

「なんで頼んでる本人が驚いてるんだよ?」

 

『いえ、まだ数回しか会っていないので断られても仕方ない、と言うつもりでお願いしたので・・・。』

 

「まぁ知らない仲じゃないしな。それに、やるからには本気なんだろ?ちゃんとした曲を作ろうとしてるんだ、お遊びでも思い出作りでなく本気でラブライブ目指すんだろ?」

 

『もちろんです!!』

 

「なら、断る理由は無いよ♪」

 

 桜内達には申し訳ないけどこのチャンスは俺にとっても願ったり叶ったりだ。もちろんやる以上は本気で手伝うが、素直になれないダイヤの為に少しでも出来る事はしておきたい。それに、いろいろな曲をいじれるのは俺の勉強にもなるし一石二鳥だな♪

 

『ありがとうございます♪ただ、頼んでおいてなんなのですが、実はまだ曲が出来ていなくて・・・。』

 

「出来たら連絡くれればいいよ♪」

 

『すみません。曲が出来たらすぐに連絡しますね♪』

 

「おう。」

 

 

--------------------

 

 

 と言う事で桜内から曲が出来たと連絡が入り、呼び出し場所に指定されてた『十千万』の前に俺は来ていた。

 

「呼び出されたはいいが、なぜにここ何だ?」

 

 俺は旅館の敷地を前にして踏み込めずにいた。そりゃそうだろ?俺は宿泊客でもないしなんと言って中に入ればいいんだ?ここが桜内の実家ってんなら話は早いけど絶対に違うだろうしなぁ。とは言えここでずっと悩んでいるのものなぁ・・・。ダメもとで旅館の人に聞いてみるか??

 

「わんっ!!」

 

「お!?」

 

 俺がとりあえず旅館の中に入ろうとすると入口のすぐ横に大きな犬がいた。看板犬かな?世間一般に言う可愛いとは違うし、ブサカワかと言われるとそれも違う気がするけど、不思議な可愛さがあって思わず抱きしめたくなるようなモフモフボディだ。・・・と言うわけでさっそくモフらせてもらおう♪

 

「ちょっと失礼して・・・おぉ~これはなかなか♪」

 

「わんっ♪」

 

「しいたけ、さっきから何騒いでるの~?って蒼谷さん!?」

 

 俺が犬と戯れていると、犬の声を聞いた高海が旅館から出てきた。

 

「お?高海か?こんなところで何してるんだ?」

 

「それはこっちのセリフです!!うちの前でうちの犬と何してるんですか?」

 

「うち??」

 

「はい!十千万はわたしの家なのです♪」

 

 高海はそう言うと、フンッと鼻を鳴らして自慢げにふんぞり返っていた。

 それにしても驚きだ。地元でも有名な老舗旅館の娘だったとは・・・。こう言っちゃ失礼だが、まったくそうは見えない。俺の勝手な想像でもあるけど歴史ある旅館の子ってもっとお淑やかなもんだと思っていた。高海の場合、天真爛漫や無邪気と言う言葉がぴったりくるイメージだ。

 

「あ!!今凄く失礼なこと思ったでしょ!?」

 

「そ!?そんなことあるわけないだろ!?」

 

「えぇ?そうかなぁ??」

 

「そうそう。・・・それよりも、ここに桜内きてるか?」

 

「梨子ちゃん?来てるよ♪でもなん・・・ふぅん、そう言うこと?」

 

「そう言う事って??」

 

「またまたぁ♪梨子ちゃん美人だもんね♪あんな女の子は男の人だったら放っておけないよね。うんうん。」

 

 とりあえず誤魔化す事は出来たけど、そん代わりになにやらおかしな勘違いをされていないか?

 

「ちょ?高海?お前何か勘違いをしていないか?」

 

「えぇ?そんな事ないとおもうよ?梨子ちゃんが可愛いかったから探してるんだよね?」

 

「ちょっと待て!!それじゃ俺がストーカーしてるみたいじゃないか!!」

 

「あれ?」

 

 あれ?じゃない!!知らない人が聞いたら完全に誤解されるだろ!!

 

「千歌ちゃん大丈夫??・・・って、これどんな状況??何で蒼谷さんがここにいるの??」

 

 高海を探しに来たのか渡辺が旅館から出てきたが、20を超えた男が犬に抱きつきながら高海と話している状況に、渡辺は頭の上に?を浮かべていた。

 

「あ、いやこれには深い事情があったりなったりするような、そうでもない事も無くはない様な・・・」

 

「いや、どっちか分からないですよ!?」

 

「曜ちゃん、千歌ちゃんいた?」

 

「あ、梨子ちゃん!!」

 

 渡辺の後追って桜内も旅館から出てきた・・・が、桜内はドアに隠れ顔だけちょこんと覗かせるような形だった。

 

「桜内そんなところで何やってるんだ?ってか、高海達は俺が来る事を知らなかったみたいなんだけど・・・。」

 

「そういえば言うの忘れていました・・・。」

 

「わんっ!!」

 

「ひぃ!?」

 

「梨子ちゃん、しいたけは本当に大人しいから大丈夫だよ~!!」

 

 犬の鳴き声を聞いて桜内は逃げてしまい高海はそんな桜内を追って旅館の中に消えていてしまった。まさか犬が苦手なのだろうか?こんなにモフリ甲斐があるのにもったいない。

 

「あはは・・・。それで、蒼谷さんは梨子ちゃんに呼ばれてきたんですか?」

 

「まぁね。」

 

 俺と二人っきりになった渡辺が話しかけてきた。

 

「なるほど。ところで蒼谷さんはいつまで、しいたけに抱きついてるんですか?」

 

「ふむ、その事なんだが、凄く抱き心地が良くて離しがたいんだ。」

 

「あはは、何ですかそれ?蒼谷さんって意外に面白い人なんですね♪」

 

 意外にって・・・。まだ一回しか会ったこと無いけど俺は一体どんなイメージを持たれていたんだ?

 

「いや~~!!離して千歌ちゃん!!」

 

「だから大丈夫だってば~。」

 

 俺と渡辺が話していると、桜内が高海に引きずられる形で戻ってきた。それにしても桜内物凄く必至だなぁ。よほどトラウマになるような事が過去になったんだろうなぁ・・・。

 

「それじゃ、蒼谷さん、私の部屋に行きましょうか?」

 

「へ?」

 

「いや『へ?』じゃなくて、梨子ちゃんに呼ばれて、来たんですよね?」

 

「まぁ・・・。」

 

「だから、私の部屋に来てください。」

 

 いやまったくもって、だから、に繋がらないんだけど?確かに桜内に呼ばれてきたとはいえ、俺がなぜここにきているのかも分からず、ましてやつい先日初めて会ったばかりの男を部屋に上げますかね?不用心と言うか警戒心なさすぎじゃない?

 

「いや、でもだなぁ・・・」

 

「いいからいいから♪・・・あ、でもしいたけはちゃんと置いてきて下さいね。梨子ちゃんが怖がっちゃうから♪」

 

 高海の部屋は旅館の奥の方にあり、旅館と家が別に建っているのではなく旅館の一角を居住スペースとして使っているようだ。

 と言うわけで俺は有無を言わさず高海の部屋まで案内された訳だが、何とも居心地が悪い。部屋そのものは畳の部屋で落ち着ける空間なのだが、ダイヤ以外の女の子の部屋なんて初めてだし、ダイヤに内緒で女の子の部屋にいるのかと思うと悪い事をしていなくても、申し訳ない気持ちになってくる。まぁ、そうでなくても美少女3人に囲まれている状態で平静でいられる健全男子はまずいないだろう。

 

「それで、蒼谷さんはなんで梨子ちゃんに呼び出されたんですか?」

 

「あ・あぁ、その事なんだが・・・高海さん、凄く眩しいんですけど・・・。てか、なぜに取り調べスタイル??」

 

 机の反対側に3人が座り、俺はスタンドライトを当てられるという感じで取り調べスタイルで俺への尋問が始まった。

 

「いやぁ、雰囲気?やっぱりこう言うのは形からはいらないとダメかなぁと♪カツ丼いるか?なぁんて♪」

 

「ヨーソロー!!やはり形からはいるのが一番かと!!つまりは制服は最高ということであります!!」

 

「ち・千歌ちゃんも曜ちゃんも落ち着いて・・・」

 

 高海はなんだか凄く楽しそうだし、渡辺はいつ着替えたんだか知らないが婦警の恰好してるし、桜内はオロオロしてるし、なんだこのカオスな状況は・・・。それにしてもなぜに渡辺は婦警の恰好をしてるんだ?そんなもんどこに売ってるんだ??

 

「とりあえず三人とも落ち着け。まず、ここに来た理由だけど、桜内に頼まれてお前たちの手伝いをする為だ。」

 

「わたし達の??どう言う事梨子ちゃん??」

 

「えっと、少し前に蒼谷さんから編曲の勉強をしてるって聞いた事があって・・・。」

 

「それでそれで?」

 

「私、作曲は出来ても編曲が出来ないから、蒼谷さんにお手伝いをお願いしたの。」

 

「と言うわけだ。まぁ、それ以外にも何か手伝えることがあったら、乗り掛かった船だし手伝うぞ。」

 

「本当ですか!?ありがとうございます♪」

 

「やったね曜ちゃん!!」

 

 高海と渡辺はハイタッチをして喜んでくれた。とりあえず受け入れてもらったようでなによりだ。

 

「それと、渡辺に聞きたい事があるんだけど・・・」

 

「は・はい!なんでしょうか?」

 

 俺が先ほどより真剣な顔で渡辺に質問したので、渡辺はビシッと背筋を直し俺の方に向き直った。高海と桜内もつられて緊張した面持ちで俺の方を見ていた。

 

「一つ聞きたいんだけど、いいか?」

 

「(ごくっ)は、はい!」

 

「その制服どこで買ったんだ?」

 

「へ!?」

 

「いや、だからその婦警の制服は、どこに売っていたかと聞いているんだけど・・・?」

 

「な、なんでですか??」

 

「まぁ、理由は何でもいいだろ?」

 

 まさか俺の彼女に・・・ダイヤに似合いそうだからとは言えないよなぁ・・・。これを着て照れるダイヤは絶対に可愛いだろうから是非着せてみたい♪まぁ、ダイヤにコスプレしてくれなんて言ったら怒られそうだが、そこはゆっくり説得していこう♪

 しかし、俺が制服を売っている場所を尋ねたら3人が何やらひそひそ話し始めたけど何故だろうか?

 

「ま・まぁそう言う趣味はひとそれぞれだよね、うん。」

 

「後でゆっくり制服に着いて語りましょう♪」

 

「わ・私はそういった趣味を持っていても気にしませんから!!もし望まれるのだったら///」

 

 何やらひそひそしていたと思ったら、俺の方に振り向いて三者三様に何か言っているけど何だと言うんだ?

 

「な・何を言ってるんだ?お前達は?」

 

「なにって、蒼谷さんは女の子にえっちな格好をさせて楽しみたい人なんでしょ?」

 

「は??」

 

「違うよ千歌ちゃん。蒼谷さんは制服を着た女の人が好きなんだよ!!」

 

「え?ちょお!?」

 

「いつでも言ってくださいね!心の準備はできていますから!!」

 

 もしかしなくても、今俺はこの3人に変態さん認定された!?いかんっ!いかんですよっ!!確かにダイヤの恥じらう姿はみたいが、それだけであって俺はいたってノーマルだ!!(そのはずだ・・・たぶん)

 流石に女子高生から変態さん認定されて今後仲良くやっていきましょうとはならないし、今後に色々支障をきたしそうだから何とかごまかさなくてはっ!!

 

「待て待て待てっ!!お前らは何か勘違いをしていないか??」

 

「そんな事は無いよ?ねぇ、曜ちゃん?」

 

「ヨーソロー!!おそらく間違いないかと・・・」

 

「いいや!!絶対に勘違いしている!!いいか?俺はなぜ渡辺が婦警の恰好をしているのか気になっただけだ。そしてそんな物を一体どこで手に入れて何故に持っているのか、それが気になっただけだ!!」

 

「どう思う?曜ちゃん。」

 

「おそらく黒かと・・・。」

 

「おい!!」

 

「はいはい、蒼谷さんがそう言うなら、そう言うことにしておきましょう♪」

 

「ヨーソロー♪」

 

「だから誤解だーーーーーーーーっ!!」

 

「私は構わないのに・・・。」

 

 この後ちゃんと分かってもらうのに1時間に時間を費やした。ただ挨拶がてら曲を貰いに来ただけのはずなのに何故こんなことになった・・・。

 しかし渡辺よ、本当になんでそんな物をもっていたんだ?それに何でもヨーソローと言えばいいってもんじゃないだろ??桜内は桜内で終始爆弾発言をしていたような気もするが疲れたし聞かなかった事にしておこう。うん。




いかがだったでしょうか?

前回に、次回はダイヤちゃんに活躍してもらうと書きましたが、あれはウソです(オイッ!!)
ダイヤちゃんの活躍は次次回以降になりそうです・・・。
ダイヤちゃんをお待ちの方はもう少々待っていてあげてください。

さて、次回は本当に久し振りのシャイニー娘こと小原鞠莉ちゃんの登場です。
これはウソでは無いですよw

では、宜しければ次回もまた読んでやってください♪


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第41話 ~理事長の帰還~

 十千万での騒動から数日、俺は寝不足になりながらも桜内達の作った曲の編曲を先ほど完成させた。ここまで根を詰めるほど時間が無かったわけでも、急いでいるわけでもなかったのだが、桜内達から貰った歌詞と曲が俺が想像していた以上に素晴らしい出来で、ついついテンションが上がって一気に完成させていまったと言うわけだ。

 

「ダイスキだったダイジョウブ・・・か。高海がこの歌詞を書いたって言っていたけど意外な才能だよなぁ。初めての作詞でこんな言い歌詞を書くんだもなぁ。」

 

 高海の書いた歌詞は凄く純粋で、真直ぐに人の心に届く言い歌詞だと思う。高海は自分が大好きなスクールアイドルの事を歌詞にしたって言っていたけど、この歌詞を読んで俺は、何かに背中を押されたような、頑張れって言われたような、そんな気がしていた。

 

「これでよしっと。・・・ふぁ、ねむ・・・・」

 

 俺は教えてもらっていた高海のPCに曲のデーターを送り、ひと眠りすることにした。高海達がこの曲を聞いてどんな反応するか楽しみではあるけどそれは起きてからのお楽しみにしておこう。

 

 

 

 

-----------------

 

 眠りについて数時間後、俺は一本の電話によってたたき起こされた。

 

「誰だよ俺の安眠を妨害するのは!!・・・お!?」

 

 けたたましく鳴るスマホの画面に表示された名前を見て俺はの怒りは一気に吹っ飛んでいった。なぜならそこに表示されている名前はダイヤだったのだ。それは怒りも吹っ飛ぶさ。

 しかし、現在時刻は昼を過ぎたところだった。こんな時間にダイヤから電話なんて珍しい・・・と言うか、学校に行ってる間は携帯の電源切ってるのにどうしたんだろう。いくら昼休みだからと言って、よほどの事でもない限りこんな時間に連絡してくるのはまずないと言いきれる。一体何があったんだろう?

 

「ダイヤ?こんな時間にどうしたんだ?」

 

『悠さん!何なんですのあれは!?いきなり帰ってきたと思ったら胸が小さいと言うは、あり得ない事態になってれは、これは何の漫画なんですか!?』

 

 俺が電話にですと物凄い勢いでご乱心のダイヤが早口に良く分からない事を捲し立ててきた。唯一分かったのは誰かにまた胸の事でいじられたと言うことぐらいだった。

 

「ちょ!?落ち着けダイヤ!!話がむちゃくちゃでよく分からないんだけど・・・。」

 

『ですから鞠莉さんです!!鞠莉さんが帰ってきたんです!!何の連絡もなしに、唐突に!!』

 

 ごめん、ダイヤ。俺は帰ってくるの知ってました・・・。今日帰ってくるってのは知らんかったけど。

 

「マジか!?・・・でも、その事と、胸の話が繋がるのは分かったけど他のあり得ない事って??」

 

『何でわかるんですか!?やはり、悠さんも小さいと思ってるんですね!?』

 

「ちょ、なんでそうなる!?俺はダイヤのが好きだってこの間言ったじゃないか♪」

 

『・・・グスッ。ですが、分かるんですよね??』

 

 そんな泣かなくても・・・。俺が分かると言ったのは鞠莉に良くからかわれていたから分かると言う意味だったんだけど、どうやら色々混乱していて判断能力が無くなってるらしいな。

 

「いいかダイヤ?俺が分かると言ったのは、マリーにいじられてたのを知ってるからそう言っただけで、ダイヤのが小さいと言ったわけでもないし、そんなこと思ってないから。むしろ毎度お世話になっているのにそんなこと思うわけ無いだろ?」

 

『・・・本当ですか??』

 

「ほ・本当だって///」

 

 うぅ///完全に油断した。電話越の弱々しい涙声にときめいてしまった///ってそうじゃなくて!!話が脱線しちゃったけどマリーの事だよ!!

 

「そ・それよりもマリーがどうしたって??」

 

『え?あ・あぁ、そうでしたわね。実は昼休みに入ってすぐに鞠莉さんから連絡があったのですが、今理事長室に居るからすぐに来るように、って言われたんです。そしたらそこに、千歌さん達もいて・・・そこでむ・・胸・・・。』

 

「あぁ!!胸の話はいいから。話が進まなくなるから。」

 

『そ・そうでした。えっと、それでですね、戻ってきた鞠莉さんが新しい理事長兼学生になってて、千歌さん達にライブをしろって・・・。』

 

「・・・・・はぁ?理事長??ライブ??」

 

 今、理事長って言った?言ったよね?しかも学生やりながら?え?そんな事可能なの?そんなのある意味無敵じゃん!やりたい放題じゃん!

 

「マジで・・・?」

 

『マジです・・・。』

 

 ダイヤじゃないが、どこのマンガだよっ!!

 

「いろいろ突っ込みどころあり過ぎだろ・・・。」

 

『ですわねよねぇ・・・。』

 

 俺とダイヤは同時に深いため息をついた。あのシャイニー娘は毎度の事ながら本当にまったくと言っていいほど行動が読めん。振り回される方の身になったもらいたいもんだ・・・。

 

「・・・あぁ、そうだ。そう言えばさっきライブがどうのって言ってたよな?」

 

「はい。千歌さん達の部活動申請を許可する条件として、体育館をでライブをして満員にすること、出来なければ解散。と言っていました。」

 

 まぁ、ダイヤ達も満員にしてたし、やれなくはないと思うんだけど、出来なければ解散って結構厳しくないか?マリーの事だから発破をかけているだけなんだろうけど、マジで出来なかったらどうするんだ??

 

「そうなんだ。それで、高海達なんて言ってるんだ?」

 

『・・・どうして千歌さんの名字を知っているんですか??それに、悠さんがなぜそんなに千歌さん達の事を気にかけているんですか??』

 

 まずった!!ダイヤは普段高海の事は「千歌さん」としか言っていないんだった!!気にかけるのだって、ダイヤに内緒で手伝ってるからです、なんて言えないし何とかごまかさなければ!!

 

「え?そ・そりゃ高海の名字は前にダイヤから聞いたから聞いたことあるから知っていただけで、知らない子を下の名前で呼び捨てできないじゃん??」

 

『そうでしょうか??』

 

「少なくとも俺はそうなの!!それに、俺が気になってるのどんな曲を作ったのかってことで、一度聞いてみたいなぁ、って思ったからだって!!」

 

『本当ですか??私にはどうも何か隠してるようにしか聞こえないのですが??』

 

「そ、そんな事無いって!!」

 

『ん~・・・。あ、すみません。チャイムが鳴ってしまったので電話を切りますね?それと、今日の放課後なんですが、急に鞠莉さんが理事長になったせいで、急遽提出しないといけない書類が出てしまって帰りが遅くなりそうなので、今日は真直ぐに家に帰りますね?』

 

「わかった。無理しないで気をつけて帰れよ。」

 

『はい♪でわ。』

 

 ほっ・・・。チャイムに救われたか・・・。ダイヤの前では言動に気をつけつようにしないとなぁ。しかし、音信不通だったマリーが帰ってきたか。連絡が取れないと思ったらいきなり帰ってきて、理事長、ってんだから、これから先、マリーに関しては大抵の事では驚かないだろうなぁ。

 

~♪

 

 俺がそんな事を考えていると、俺のスマホがまた鳴った。

 

「噂をすればなんとやら、か?」

 

 画面に表示されたのはマリーの名前だった。

 

「もしもし?」

 

『チャオ~~☆悠ヒサシブリデスネ~♪元気してた??ワタシと連絡とれなくて寂しかった?寂しかったよね?そうでしょ、そうでしょ~☆』

 

 電話に出ると物凄い音量でマシンガントークをかまされた俺は、思わずスマホを耳から遠ざけてしまった。しかし、久し振りに帰ってきたからってのは分かるが、テンションってかノリが凄いな。外国のノリに染まって帰ってきたのかな?

 

「お・おう。」

 

『それでさ、私やっとこっち帰ってこれたんだけど、ちょっと悠に話があるんだけど、いい?』

 

「い、いけど・・・」

 

『ありがとう☆それなら悪いんだけど、今からワタシの家まで来てもらってもいいかしら?』

 

「お前の家って・・・小原グランドホテルか!?しかも今かよ!!」

 

『そうよ☆何か問題でもある??』

 

 いや、問題は無いけど、せめて前日に連絡くらいは欲しかったんだが?まぁ、そんなことマリーに行っても無駄なんだろうなぁ・・・。

 

「はぁ・・・。わかったよ。」

 

『フロントには話し通しておくから、着いたらフロントの人間に話してもらえたら、ワタシの部屋まで案内してくれるから☆それじゃぁね☆』

 

 マリーはそう言うや否やすぐに電話を切ってしまった。本当はもっと寝ていたかったんだが仕方ない。

 俺は寝巻を着替えて淡島にあるホテルへと向かった。ホテルに着くとマリーが言っていた通りフロントの人に話帰ると最上階の部屋へと案内された。

 

「ホテルの最上階って・・・。しかもそのフロア全部あいつの家かよ・・・。」

 

 世の中って不公平だよなぁ・・・。と思いながら、マリーの部屋へ直通のエレベーターに乗った。そして最上階に着いた俺はあいた口が塞がらなくなった。

 エレベーターを降りた俺の目に前にはテレビの中でしか見た事の無い光景が広がっていたのだ。よくわからないが、物凄く高そうな絵画や家具やら小物などが上品に配置され、何故こんなところにあるのか庶民の俺にはまったくもって理解不能だが、部屋の中央には池?だかジャグジー?だか分からないがとにかくそんな物が配置されていた。

 

「ここは本当に日本か?なんか銅像まであるし・・・。って、この銅像のモデルってマリーかっ!?普通自分の銅像なんて飾るか!?」

 

 金持ちの感覚ってのは理解できんな・・・。

 

「あらユウ。ずいぶん遅かったじゃない?ずいぶん待ったわよ??」

 

 俺が見る者に一つ一つ突っ込んでいたら、俺の声を聞いたマリーが部屋の奥からでてきたが、凄く理不尽な事を言われた気がする。

 

「遅いってお前なぁ・・・。俺の家からここまでどんだけあると思ってんだ?ましてや、マリーの家には、はじめて来るんだぞ?ただでさえダイヤ以外の女の子の部屋に行くのも緊張するのに、ホテルの最上階、しかも!ここに来るのに普通に働いている従業員に『あの~小原鞠莉の友人の蒼谷ですけど鞠莉さんの部屋ってどこですか?』なんて聞かなくちゃいけないんだぞ?滅茶苦茶緊張したわ!!」

 

「まったく、男のくせに度胸が無いなぁ・・・。」

 

「この場合、男も女もあるか!!はぁ・・・はぁ・・・」

 

「とりあえず落ち着きなって。」

 

 俺が色々一気にしゃべり息が上がると、マリーが俺をソファーに座らせ紅茶とスイーツを出してきた。てか、なにこのソファー滅茶苦茶座り心地いいんですけど!!

 

「それにしても本当にヒサシブリネ、ユウ。ニネンブリかしら?」

 

「まぁ、こうして直接会うのわな。それにしたってなんで最近連絡が取れなかったんだ?理事長になって帰ってきた事と何か関係あるのか?・・・ってこの紅茶うまっ!!」

 

「まだいっぱいあるからたくさん飲んでイイワヨ☆とゆうかなんで私が理事長なの知ってるの?」

 

「昼にダイヤが相当混乱しながら電話してきて、その時に聞いた。」

 

「あぁ。まぁ、それなら話は早いわね。ユウ!ワタシに協力しなさい!!」

 

 ・・・こいつ一番重要な理由を端折りやがった。あまりにもとんでもなことじゃなければ断る事はしないが、責めて理由を言ってくれよ・・・。

 

「マリー、それだと俺は一体何を協力すればいいのかさっぱりなのだが・・・」

 

「OH!Sorry、Sorry。・・・ユウ、理由を話す前に一つ約束してほしいの。ここで聞いた事は、誰にも言わないって約束して。」

 

 珍しくマリーは凄く真剣な顔で話し始めた。俺はこの顔を知ってる。普段はオチャラケて本音を隠してしまうマリーが本音を話してくれる時の顔だ。つまり、これから話す話は冗談など一切無くかなり深刻な話と言う事だ。

 

「わかった。絶対に誰にも言わない。」

 

「ありがとう・・・。」

 

 マリーは俺の返答を聞くと、僅かに表情を緩めた。

 

「実は今、浦女には統廃合の話が裏で進められているの・・・。」

 

「統廃合?でもそれって2年前から噂ではあったよな?」

 

「えぇ。でもさっきも言ったけど今回はうわさレベルではなく本格的に動き出してるのよ。」

 

「確かに、年々入学希望者が減ってるってダイヤは言ってたけど・・・。そんなにやばかったのか・・・。」

 

「だからワタシが理事長になったの。パパにお願いして、来年度の入学希望者を必ず増やして見せるからそれまで待ってって。まぁそのおかげで、ただ帰ってくるだけのつもりだったのに、引き継ぎやら何やらで戻ってくるのが遅くなっちゃったんだけどね。」

 

 マリーが理事長になって戻ってきたと聞いた時には、何の冗談だろうと思ったけど、まさかそんな深刻な理由があったとは・・・。

 

「まぁ、理事長になったのは色々対策を直に打てるからってのはわかった。でも、なんで俺にその話をしたんだ?俺に協力しろと言われても、俺には学校の運営に関して何の協力も出来ないぞ??」

 

「ワタシは運営に協力してとは言っていないよ?それにユウに話したのはこれでもユウの事を頼りにしているからよ?」

 

「それはありがたいけど、じゃあ、一体何をするんだ?」

 

「前に話してくれたスクールアイドルをやりたがっている子達がいるでしょ?」

 

「あぁ、高海達の事か?」

 

「そう☆ユウには彼女たちに協力してほしいのよ。出来れば、果南とダイヤも誘って☆」

 

「それならもうしてるぞ。まぁ、ダイヤと果南は誘っていないけど・・・。」

 

「What’s??」

 

「いや、だから高海達にならもうすでに協力してるって言ったんだ。」

 

「えぇーーー!?ワタシ聞いてないよ!?」

 

 まぁ、マリーは最近音信不通だったし、なにより曲作りが忙しくて連絡入れ忘れた。

 

「ホント、手が早いんだから・・・。」

 

「ちょっとまて、俺が女好き、みたいな発言しないでくれるか?たまたま高海達と知り合うきっかけがあったから手伝うことになっただけだ。」

 

「本当かなぁ~?☆」

 

「本当だって!!」

 

「まぁそう言うことにしておきましょう☆」

 

「あのなぁ・・・」

 

「さてと、一番大事なお願は終わったし、ついでと言ったらなんだけど、もう少しワタシに付き合ったくれないかしら?」

 

「今度は何だよ?」

 

「果南をスカウトに行くワヨ!」

 

「はぁ?今からか!?何で俺が・・・」

 

 いくら近いからとはいえ、もう夕方だ。あまり遅くなると連絡船が無くなり、俺はこの淡島で野宿をしなくちゃいけなくなってしまう。いくら春とはいえまだ夜は寒い。流石にそれは嫌なんだけど・・・。

 

「お願い・・・」

 

 俺は『帰る』という言葉を言おうとして、それを飲み込んだ。マリーをよく見ると小刻みに震えていたからだ。震えるマリーを見て俺は思い出した。いつもアッケラカンとしていて忘れがちだけど、マリーは実は物凄く繊細なの事を。2年前にあんな事があったんだ、そりゃ果南に会いずらいよなぁ。たぶん俺をここに呼んだの本当の理由は、果南に会いたいけど1人だと怖いから俺に付き添ってくれってことなんだろう。

 

「わかったよ。ただし、少ししか付き合えないからな?」

 

「ありがと☆」




いかかだったでしょうか?

さてさて、次回は新「Aqours」のグループ名決定の話になります。
ダイヤちゃんがどんな思いで千歌達に大切な名前を上げたのか、それがちゃんと書けたらと思います。

話は変わりますが、完全な見切り発車になりますが、思いつきで2作目なんてものを作ってしましましたw
『色を失った世界で見つけたもの・・・』と言うタイトルで書かせてもらっていますので、宜しければそちらの方もよろしくお願いします。

では、また次回も宜しければまた読んでやってください♪


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第42話 ~託した想い~

------------

 

「ハァイ、果南☆久し振り☆」

 

「え!?鞠莉!?・・・それに悠君も?」

 

「よ・よぉ・・・」

 

 俺とマリーが果南に会いに行くと、マリーの突然の来訪に果南は驚きを露わにしたが、俺を見つけると何を企んでるんだと?言わんばかりに俺を睨みつけてきた。

 

「それで?なんで帰ってきたの?」

 

「こっちでやりたい事があってねぇ☆それで帰ってきちゃった☆」

 

「帰ってきちゃったって、何考えてるの鞠莉!?何のために留学したか分かってるの??」

 

 やっぱりこうなるよなぁ・・・。すんなり『お帰り、鞠莉♪』とはいかない事は分かっていたが、果南さんや、そんなあからさまに不機嫌な顔をしなくても・・・。

 

「わかってるよ☆それでもこっちでやりたい事があったノ☆」

 

「分かってないよ!!これじゃ何のためにわたしが・・・」

 

「果南?」

 

「と・とにかく!!挨拶に来ただけなら帰って。」

 

「実はね、果南に話があって・・・。」

 

「わたしにはない!いいから帰ってよ・・・!後片付けもあるし、わたし結構忙しいの。」

 

「・・・わかった。また来るね?」

 

「・・・・」

 

 マリーは少し寂しそうな顔をして帰っていってしまった。

 

「ちょ、マリー!!・・・おい果南、本当にいいのかよ?」

 

「いいも何も、わたしはもう決めたの。」

 

「そうかもしんないけどさぁ・・・。」

 

「悠君しつこいよ?とにかく、本当に忙しいから悠君も、もう帰って。」

 

「・・・わかった。」

 

------------

 

 と言うような事がマリーが日本に帰ってきたあの日にあった。少しマリーが可哀想になるくらい果南に冷たく突き放されていたが、取り付く島も無く俺にはどうする事も出来なかった。マリーには本当の事を言ったところで受け入れられないと思うし、果南は果南で凄く頑固だから、俺が説得したところで余計意固地になってしまうだけだろう。ダイヤはダイヤで相変わらず硬度10だしどうしたらいいものやら・・・。

 とまぁ、そんな事で頭を悩ませつつ、あれから数日が経ち、今俺はダイヤを迎えに浦女の傍に来ていた。

 

「すみません、お待たせしました。」

 

「おう、お疲れ♪相変わらず生徒会の方は忙しいみたいだな?」

 

「えぇ。仕方のない事ですが、部活動と掛け持ちの方ばかりですので、どうしても私1人でやらなければいけなくなってしまうので・・・。」

 

「そっか。よしよし♪」

 

 俺は疲れた表情を見せるダイヤの頭を優しく撫でてやった。ダイヤはダイヤなりに、あの日の決意を全うしようと頑張っている。もう少し柔軟に生きてもいいと思うし、もっと我が儘を言ってもいいとは思うけど、一生懸命頑張る姿を見たら凄く愛おしくなってしまった。

 

「な・なんですか突然///!?」

 

「いや、頑張ってるからご褒美?」

 

「なんで疑問形なんですか?というか、こんなところで凄く恥ずかしいのですが///」

 

「嫌か?」

 

「嫌ではありませんが///」

 

「ならもう少し撫でさせてくれ♪」

 

「////はい」

 

 俺は暫くダイヤの頭を撫でた。なんだかんだ言っていたダイヤも顔を赤らめながらも大人しく頭を撫でられていた。

 

『えぇぇぇーーーーーー!?』

 

 ダイヤを十分撫でて満足したし、そろそろ終わりにしようとしたその時、海の方から聞いた事のある声が聞こえてきた。

 

「ん?」

 

「あれは・・・、曜さん・・・ですわね?」

 

 声のした方を見ると高海達3人がいた。どうやら声の主は渡辺みたいだったけど、こんな時期に3人は浜辺で何をしてるんだ?

 

「どうやら3人はここで練習をしているみたいですわね。」

 

 あぁ、そう言えばそんな事を言っていたような気がする・・・。出来る事なら何でも手伝うとは言ったが、ダンスなんてのはさっぱりで練習に付き合っても何の役にもたたないから、練習に付き合うのは断ったんだった。それにしても・・・。

 

「あれって、練習してるのか?俺には砂浜に何か書いて遊んでいるようにしか見えないんだけど・・・。」

 

 どう見ても俺には高海達が練習しているようには見えず、なにか落書きをしているようにしか見えなかった。と言うか、暫く見守ってみたが浜辺に十数メートルにわたり何かを書いているところしか見えなかった。

 

「一体何を書いてるんだ??」

 

「近くで見てみましょう。」

 

「ちょ!?ダイヤ!?」

 

 そう言うとダイヤはスタスタと浜辺へ歩き出したので俺は慌ててダイヤの後を追い浜辺に向かうとそこには大量の文字が書かれていた。

 

「これは??」

 

「・・・グループ名じゃないですか??」

 

「グループ名??これが!?」

 

 驚いた・・・よくよく考えたらグループ名を聞いていなかったが、まさかまだ決まっていなかったとは・・・。それにしても、ダイヤは浜辺に書かれている文字がグループ名候補という事に良く気付いたなぁ・・・。俺には何が何やらさっぱりわからんかった。だって『波の乙女』とか『うずまきーず』『みかん』しまいには『海鮮』なんて書かれていて、何?ってなるよね?

 

「はぁ・・・。まったく、仕方ありませんわね・・・」

 

 ダイヤは溜め息をつくと打ち上げられていた枝を拾い、砂浜に文字を書き始めた。

 

「??なんかいいアイディアでもあったのか??・・・・ってこの名前!?」

 

 俺はダイヤが浜辺に書いた名前に驚きと困惑を隠せなかった。何故この名前にしたのか聞こうとすると高海達がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。

 

「悠さん、逃げますわよ!!」

 

「え?ちょ、だ・ダイヤ!?」

 

 歌海達に気付いたダイヤは俺の手を引いてこの場からダッシュで逃げた。幸いにも話に夢中になっていたみたいで俺達には気付かれなかったみたいだ。ダイヤに引っ張られながら後ろの方から高海の嬉しそうな声が聞こえてきたが、ダイヤは俺の車が停まっているところに着くまで止まることなく俺を引っ張り続けた。

 

「なぁダイヤ、本当にいいのか?あの名前は・・・『Aqours』はダイヤにとって・・・ううん、ダイヤ達にとってとても大切なものだろ??」

 

「えぇ。・・・だから、あそこに書いたのですわ。」

 

「どう言うこと??」

 

「大切だから・・・。だからこそ私はあの名前を彼女たちに託したのですわ。もっとも、あれに気付いて、彼女たちがその名前を選ぶかどうかは分かりませんが♪」

 

 ダイヤはどこか悪戯を楽しむ子供のような笑顔をしたダイヤは初めてみた。・・・可愛い///

 

「・・・じゃなくて!!託したって、いきなりどういう心境の変化なんだ?ついこの間まで反対してただろ??」

 

「別に今だって認めたわけではありませんわよ?」

 

「・・・はい?」

 

「ですから、千歌さん達を認めたわけではないんです。」

 

「ならなんで??」

 

「・・・彼女達を見ていると、あの頃の私達を見ているような気がするんです。」

 

 ダイヤはそう言うと浜辺ではしゃぐ高海達を優しく見つめていた。俺はそんなダイヤの横顔がとても綺麗で見とれてしまい言葉が出なかった。

 

「きっと彼女達もいずれ私たちのように壁にぶつかるでしょう。ですが、彼女達なら私たちが越える事の出来なかった壁を越えて行ける。そんな気がするんです。・・・だから託したのですわ。あの頃に置いてきてしまった私達の想いを・・・。」

 

「ダイヤ・・・」

 

「ですが!!だからといって簡単には認めませんわよ!!」

 

「ダイヤ!?」

 

「そう簡単に認めてしまったら、まるで私達が負けてしまったみたいで悔しいではないですか・・・」

 

「悔しいって・・・」

 

 少しいい話風だったのになんだか台無しだぞ?

 

「それに、大きな壁にぶつかるまでは私が立ちはだかり、彼女達を鍛えなくてはなりませんしね。いざという時に乗り越えられるようになってもらわないと。だから”今”は認めませんわ。」

 

 進んで悪役を引き受けようとするんだから、相変わらず損な性分だこと・・・。まぁ、ダイヤらしいと言えばらしいけどさ。

 

「さぁ、そろそろ帰りましょう。ここでのんびりしていたら彼女達に見つかってしまいますわ。」

 

「おう♪」

 

 2年前のあの日以来、時々ダイヤは思いつめた表情をしていたり、楽しそうに笑っていてもどこか物足りなさを感じているような、そんなダイヤを見てきていたから、どこかスッキリとした顔のダイヤを見て、少しは前を見る事が出来るようになったんだと思うと少しホッとしたし、高海達にはこっそりと感謝しておこう♪

 そして、ダイヤを送りながら『高海達のグループ名がどうなったかは分からなかったなぁ』なんて考えていたが、数日後俺とダイヤは意外な形でその結果を知ることになったのだった。




いかがだったでしょうか?

少しでもダイヤちゃんが可愛く書けてたらいいなぁ、と思う今日この頃です。

ここ最近は2ndライブツアーのブルーレイをずっと見ていて更新が少し遅くなりましたが、また頑張りますよ~♪
とか言いながらもう一つの方もそこそこアイディアが出てきて、どちらから書こうか悩んでますがw

なんにせよ、次回は初めてのライブまで書けたらいいなぁと思っています。まぁ、書いてみないとどうなるかは分かりませんがw

では、宜しければ次回もまた読んでやってください♪


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第43話 ~遠い日々~

 浜辺で高海達を見かけてから数日が経った。結局あの後、高海達のグループの名前がどうなったか分からずじまいで、桜内あたりにでもメールで聞けばいいんだろうが、いきなり『グループ名決まった?』と聞くのもおかしいよなぁ、なんて考えていたら結局ズルズルと今日まで来てしまった。

 そして、今俺は黒澤家に来ていた。今日は午前中にお琴の稽古があると言うので、午後から映画を見に行く約束をしていた俺は、折角だからダイヤが琴を奏でてるところを見学しようと頑張って早起きをして稽古風景を見学させてもらっていた。

 

ピンポンパンポーン

 

 俺がダイヤの奏でる琴の音を聞きながら縁側でお茶を飲みながらまったりしていると、町内放送の始まりを告げる鐘の音が鳴り響いた。

 

『皆さんこんにちは!突然ですが、わたしは浦の星女学院2年の高海千歌です♪』

 

『同じく渡辺曜であります♪』

 

『桜内梨子です。』

 

『わたし達は、せーの!』

 

『『『浦の星女学院スクールアイドル、Aqoursです♪』』』

 

『待って、でもまだ学校から正式な承認貰ってないんじゃ・・・?』

 

『あ・・・。じゃぁ、えっと、浦の星女学院非公認アイドルAqoursです♪今度の土曜日の14時から体育館にてライブをやります♪』

 

『非公認って言うのはちょっと・・・』

 

『ならなんて言えばいいのーーーー!!』

 

『と・とにかくよろしくお願いしま~す!!』

 

ピンポンパンポーン

 

 と言った感じの町内放送だったが、それを聞いた俺は大爆笑をした。いやぁ、マジで面白いなあいつら♪まぁ、この放送を聞いたダイヤはプルプル震えていたけど・・・。

 

「どうやらダイヤの企み通りグループ名はAqoursになったみたいだけど、ご感想は?」

 

「企むだなんて人聞きの悪い・・・。ですが、今は少し後悔してますわ・・・。」

 

「なんで?」

 

 まぁ、なんとなくは分かるような気がするけど・・・。

 

「私は真面目に活動していると思ったからAqoursという名前を託したんです。なのに、あれではコメディグループみたいではないですか!!」

 

「確かに面白かったけどな♪」

 

 根が真面目なダイヤにはああいったのは許せないんだろうなぁ。まぁ、俺からしたら、結構ポンコツで天然でボケをかますダイヤも高海達と似たり寄ったりな気がしないでもないが、この考えは飲み込んでおこう。ダイヤに言ったら暫く口を聞いてくれなくなりそうだし。

 

「でもまぁ、Aqoursの名前に決まってよかったな♪」

 

「それは・・・まぁ・・・」

 

 ダイヤは嬉しさと、寂しさとほんの少しの苛立ちが混じった複雑な表情を見せた後、また琴を弾き始めた。俺はその音色を聞きながら時間までのんびり過ごし、午後にダイヤとデートをして家に帰った。

 家に帰ると高海達からメールが入り、明日ビラ配りを手伝ってほしい、と入っていた。先日もヘルプのメールが入っていたが、大学の講義とかぶっていた為断ってしまったし、明日は暇しているので『了解』と返信をして俺は眠りに着いた。

 

 そして翌日、沼津の駅前で高海達と待ち合わせをした俺は高海達と高海のクラスメイトとで駅前でビラ配りをした。暫くして高海達は練習をするので抜けると言って帰って行ってしまった。だがここで一つ困ったことが起こった。知り合いがいないこの状況はどうしたらいいのだろうか?ただビラを配ればいいだけなのだが、一緒に行動しているのは今日がはじめましての女の子、しかも女子高生だ。どっかのバカなら喜びそうな状況だけど、普通の俺はどう接したらいいものか悩んでしまう。

 

「蒼谷さん。」

 

「ん?渡辺?なんか忘れ物か?」

 

 俺がビラを配りながら周りの女子高生に馴染めず悩んでいると、練習に向かったはずの渡辺が戻ってきた。

 

「まぁ、そんなところです。」

 

「で、何を忘れたんだ?」

 

「えっと、これを渡し忘れてまして・・・。はい。」

 

 そう言って俺に差し出されたのは俺が今まさに配っているビラだった。これはあれか?もっと配れと?この間手伝えなかったから、その分も働けと??

 

「えっと、これは?」

 

「チラシですけど?」

 

「うん、それは見れば分かる。そう言うことじゃなくて、俺もまだ結構持ってるんだけど、これも追加で配れと?」

 

「あぁ、そうじゃなくてですね、このチラシを持って果南ちゃんのところに行って欲しいんですよ。」

 

「果南のところに?なんで??」

 

「まだ、果南ちゃんにライブやること伝えてないのと、果南ちゃんのところのお店にこのチラシを置かせてもらえないかなぁと思いまして♪」

 

「なるほど。」

 

「それと、流石に知らない女子高生の中に男の人一人は居心地が悪いと思いまして、この場から抜ける口実になれば、なぁんて♪」

 

 渡辺よ、君は神かエスパーか??なんて気づかいの素晴らしい子なのだろう。

 

「正直、困っていたから助かる。サンキュウな♪」

 

「いえいえ♪」

 

 俺にビラを渡した渡辺はクラスメイトに俺が抜ける事を伝えてくれ、練習に向かって行った。本当にどこまで気が利くんだあの子は・・・。

 俺は一応近くに居た高海達のクラスメイトに挨拶をして、果南の家へと向かった。

 

 果南の家に着くと、相変わらず忙しそうに機材のメンテナンスや酸素ボンベを運ぶ果南か見えた。

 

「よっ♪相変わらず忙しそうだな?」

 

「あれ、悠君?なんでここに居るの?」

 

「あぁ、ちょっと頼まれものをしてな。」

 

 俺は鞄から先ほど渡辺から渡されたチラシを果南に渡した。

 

「ライブのお知らせ??」

 

「そ。今度、高海達がそのお知らせ。果南に伝えてくれって渡辺に頼まれてさ。ついでに、店にチラシを置かせてくれってさ。」

 

「それは構わないけど、悠君、この間曜と初めて会ったばかりだよね?」

 

「そうだけど?」

 

「曜は誰とでもすぐ仲良くなれるけど、一回しか会ったことない人にこんな面倒な事頼む子じゃないんだけど・・・はっ!!!もしかして悠君・・・」

 

「な・なんだよ?」

 

「まさか浮気してる?ダメだよ悠君。ダイヤを泣かせたら、いくら悠君でもただじゃおかないよ?最低でも魚の餌になるくらいは覚悟してもらうからね!!」

 

「んなわけあるか!!あと、最低でもって何だ!?最低が最高じゃないか!!これ以上に何があるっていうんだ!?」

 

「それは・・・ねぇ?♪」

 

「おい!!なんだその意味深な笑みは!!」

 

「冗談だよ♪」

 

 いや、たぶん冗談じゃないだろう。昔から果南はダイヤとマリーが絡むと俺には厳しかったし・・・。

 しかしそれ以上が本当にあるかは置いておくとして、魚の餌は言い過ぎにしても、絶対に何かする!!俺はダイヤを裏切る事は絶対にしないけど、ダイヤとマリーが絡むと果南は暴走するからなぁ・・・。

 

「まぁ、そんな事よりも千歌達のグループ名の事なんだけど・・・」

 

「そんな事って・・・」

 

「ねぇ悠君、一体何を企んでいるのかな??」

 

「企むって何だよ?」

 

「だってこの名前、『アクア』だよ?」

 

 あえて触れなかったが、やっぱりと言うか、当然だけどそりゃ気付くよな。

 

「そんなの偶然だろ??」

 

「確かに『Aqua』だけだったら偶然かもしれないけど、『Aqours』だよ?この名前は造語なんだから偶然なんて考えにくいんだけど??」

 

 ですよねぇ。反射的に誤魔化してしまったけど、造語が偶然かぶるなんて事まずあり得ないよね。とは言えここは押し通さねばダイヤからも果南からもお仕置きを受ける結果になってしまうような気がする・・・。

 

「本当に偶然だって!!俺だってそのチラシを見たとき驚いたんだぜ??」

 

「本当かなぁ・・・?」

 

「こんな事でウソつく意味はないだろ??」

 

「まぁ、確かに・・・。今はとりあえず信じてあげよう。」

 

 果南はまだ飲み込み切れてはいなかったが、俺が引かなかったのでとりあえずは納得してくれた。まぁ、バレたら相当嫌みは言われるだろうなぁ・・・。

 

「それにしてもライブかぁ・・・。」

 

「なんだ、懐かしいのか?」

 

「まぁね。あの頃はなんだかんだで凄く充実してたと思うし、楽しかったからね・・・。」

 

「なら、またやればいいじゃん。折角マリーも帰ってきたんだし。」

 

「そうはいかないよ。わたし達もう3年生なんだよ?進路の事とか色々考えないといけないし・・・。仮にやったとしても、鞠莉にまた自分を犠牲にさせちゃうだけだよ・・・。」

 

「そんなのやってみなきゃ分かんないだろ?あれから、2年たったんだぞ?俺も果南も、ダイヤだって多少なりとも成長してるだろうし、あの時見つける事の出来なかった道だって見つかもしれないじゃん?」

 

「無責任なこと言わないで!!『かもしれない』ないなんて曖昧なものにすがって、また同じことを繰り返せって言うの?!」

 

「果南・・・。」

 

 俺はこれ以上何も言う事が出来なかった。これ以上何を言っても果南を説得できないと言うのもそうだが、3人の気持ちを唯一知っているのに、これほどまで拗らせてしまい、上手く3人の気持ちを伝えてやれない俺が何を言っても余計に拗らせてしまうだけだと思ったからだ。

 

「心配してくれてるのにごめんね・・・。でも、もうあんな辛い思いはしたくないの・・・。」

 

「俺の方こそ悪かった・・・。果南の気持ちも考えず出しゃばったこと言った。」

 

「ううん、気にしないで。・・・とにかくこのチラシは店のカウンターに置いておくから、千歌達によろしくね。」

 

「あぁ。・・・なぁ果南?」

 

「なぁに?」

 

「スクールアイドルはやらないにしても、高海達のライブは見にくるよな?」

 

「・・・・。」

 

「高海達が歌ってるところを見たら、あの頃を思い出して辛くなるかもしれないけど、高海達頑張ってるから見に行ってやってほしいんだ。高海達もきっと喜びと思うし。」

 

「・・・考えておくよ。」

 

 そう言った果南は店の奥の方に消えて行ってしまった。俺は店に1人取り残されてしまったが、いつまでも突っ立っていても仕方ないので帰ることにした。

 そして帰りの定期船に乗り海をボーっと眺めながら今までの事を考えていた。

 2年前のあの日、俺は何もできなかった。でも、あの時は何もできなかったがあれが最善なのだと思ったし、ああする以外出来なかったと思っていたし、それはダイヤ達もそうだと思っていた。

 だけど、ダイヤと果南も距離が出来て、2人とも物凄く辛そうで寂しそうな顔をするから、何とかしたいと思って高海達を利用してまできっかけを作ろうとした。でも、ダイヤも果南もいい顔はしなかった。俺はただあの頃のように笑ってほしかっただけなんだけど、余計に辛い思いをさせてしまったらしい。一体どうすればよかったのか?これからどうすればいいのか全く分からない。

 

「なんか自分が嫌いになりそうだ・・・。」

 

 俺の独り言は誰に届くことなく、海に吸い込まれ消えて行った。俺らしくも無く感傷に浸っていると、連絡船は対岸に着き俺は家路に着いた。

 結局家に帰ってからも俺は、これからどうしたらいいか考えがまとまらないまま、高海達のライブ当日になってしまった・・・。




いかかがだったでしょうか?

今回は果南ちゃんの気持ちにスポットを当ててみました。
上手く書けませんでしたが、雰囲気だけでも伝わったらと思います。
本当は初ライブまで書ければとも思っていましたが、上手くまとめられなかったので、
次回にお預けですorz

では、宜しければ次回も読んでやってください♪


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第44話 ~雨~

 高海達の初ライブ当日。今日は生憎の天気になってしまった。この天気では正直言ってお客は来ないんじゃないか?と思ってしまうほどの強い雨だ。天気予報では強い雨が一日続くらしく雷まで鳴るとの予報だった。

 マリーに、本当に今日やらせるのか?、と連絡をしたら、体育館の使用できる日が今日しかなく、それ以外は他の部活動の練習試合やらなんやらで、次に使えるのは来月になってしまうとのことだった。お客の事についても、『お金をとっているわけではないし、そこは自己判断に任せるしかない』とも言っていた。

 まぁ、その通りだし、中止にするにしても誰が来るのか分からない上に、来る人全員に伝える手段もない。となれば開催しかないわけで・・・。

 

「にしても人少ないなぁ・・・。」

 

「まぁ、この天気なら仕方ありませんわね。」

 

 俺はこんな天気なのに、見届ける義務があると言うダイヤと、単純に見たいルビィとそれに付き添うマルちゃんを、俺も興味があるから見たいと言う体にして3人を迎えに行った。浦女に着いた俺達は体育館に向かったが、もうまもなく開演だと言うのに体育館には数人の生徒しかいなかった。

 

「ほ・本当にやるのかなぁ??」

 

「少なくとも入口には中止とは書いてなかったずら。モグモグ」

 

「そうだよね。」

 

 開催されるか不安なルビィの横でマルちゃんが冷静に応えていたが、ここに着いてからマルちゃんは何かを口にしていた。

 

「マルちゃん、それは??」

 

「のっぽパンずら♪」

 

「うん、それは分かる。」

 

「今日はチョコ味ずら♪」

 

「うん。味の話でも無くてね。なんで今のっぽパンを食べてるの??」

 

「何か変ずら?」

 

「いや、別にいいんだけどね・・・」

 

「まるちゃん、それ大好きだもんね♪」

 

「ずら♪」

 

 のっぽパンを幸せそうに頬張るマルちゃんを見ていたら細かい事はどうでもいいか、と言う気になり、とりあえず辺りを見回してみた。すると入口からマリーが入ってくるのが見え、俺とダイヤを見つけたマリーはこっちに向かってきた。

 

「ハァ~イ☆」

 

「おう。」

 

「おはようございます。」

 

「いや~、凄い天気になっちゃったね~☆」

 

「なに、楽しそうに言ってんだよ・・・。」

 

「だって~、こんな天気の日って不思議とワクワクするじゃない?」

 

 気持ちは分からなくもない。子供の頃から、台風だ、雷だって言っては怖い半面、普段はない非日常的な状況に心躍らせていた記憶はあるからね。とは言え、今はそんな呑気な事を言ってる状況じゃないだろ。これで客が来なかったのら高海達、新生Aqoursは解散になってしまうんだぞ??

 

「お前ねぇ・・・」

 

「大丈夫、大丈夫☆」

 

「2人とももうすぐ始まりますわよ。」

 

ビー

 

 ダイヤが俺達に声をかけると同時に開演のアラームが鳴り、幕が上がった。

 ステージの中央には色鮮やかな衣装に身を包んだ高海達が手を繋いで立っていた。だが、遠目からでもはっきり分かるくらい、高海達は落胆の表情をしていた。当然だ。結局あれから人が増えることなく俺達を含めても十数人程度しかいないんだから。

 僅かな沈黙の後、それでも何とか歯を食いしばり、今ここに居る人たちの為に高海達は挨拶を始めた。

 

「わたし達は・・・せーの!」

 

「「「スクールアイドル、Aqoursです!」」」

 

「今日はこのような天気の中ありがとうございます。」

 

「私達はその輝きと」

 

「諦めない気持ちと」

 

「信じる力に憧れスクールアイドルを始めました。そして、私達の目標は偉大な先輩であるμ’sです!」

 

「「「聞いてください。わたし達の初めての曲で『ダイスキだったらダイジョウブ!』」」」

 

 高海達が曲名を言うと、一度暗転して、曲の歌いだしと同時にライトを当てられ踊りだした。練習の成果か、表情は笑顔なのにどこか不安なような自信のなさそうな感じではあるが、三人は息の合ったキレのあるダンスと聞いていて気持ちのいい歌を歌っていた。

 こんな天気でもなければもっと人が来てとても盛り上がっただろうにもったいない・・・。

 俺はそう思いながら高海達のパフォーマンスを見ていた。そして、サビに入るといった瞬間、強烈な閃光と共に轟音が鳴り響いた。そう雷が落ちたのだ。それもかなり近くに。

 雷のせいで停電した為、音は消え静寂が訪れた。暗幕のせいでほとんど光のない体育館で恐怖や驚きで全員が動けずにいた。ただ一人を除いて。

 

「悠さん、私と一緒に着てください。」

 

「ちょ、ダイヤ!?どこ行くんだよ?」

 

 それはダイヤだった。俺の手を引いて、ダイヤは体育館を出て校庭に向かっていた。どこに行くのかダイヤに聞いても返答は返ってこず、ただダイヤの後をついて行くしかなかった。

 やがて、校庭の隅にある用具小屋らしき場所でダイヤの足が止まった。

 

「少し待っていてください。」

 

「あ、あぁ。」

 

 そう言うとダイヤは小屋の中に入っていき、数分で何かを持って出てきた。

 

「小型発電機??」

 

「はい。それで申し訳ないのですが、これ結構重いので持っていただいてもいいですか?」

 

「なるほどね。了解だ。」

 

 俺はダイヤがなにをしようとしているのかやっと理解できた。しかし、それならそうと言ってくれればいいのに、本当にダイヤは素直じゃないなぁ。

 

「そんで、これをどこに持って行ったらいいんだ?」

 

「こっちです。」

 

 俺が発電機を持つとダイヤの後をついて行き体育館の配電盤のあるところまで案内してくれた。だが、ここで問題が起きた。

 

「それで、ですね・・・。私、こういったの苦手でして・・・」

 

 そう言えばそうだった・・・。ダイヤは人より若干だけど機械の扱いが苦手だった。その証拠にスマホが主流のこのご時世に未だにガラケーだし。PCは必要最低限には使えるみたいだけど、少しでも踏み込んだ話になるとチンプンカンプンになっていた。

 とは言え、これを機械操作と言っていいのかは分かんないけど、配線やらそう言ったのは余ほど詳しくなければ女の人には難しいかもしれないな。

 

「まぁ、そんな難しいもんじゃないし、任せておけ♪」

 

「すみません・・・。」

 

 しかしダイヤも慌てん坊だなぁ。俺がもし出来なかったらどうしてたんだろか??

 

「で、ここと・・・ここを繋いでっと・・・。よし出来た♪後はスタータを思いっきり引いたら・・・」

 

 俺が配線を終えて、発電機のスタータを思いっきり引くと、発電機のエンジンがかかり、体育館に明かりが戻った。

 

「ふぅ、これでとりあえずはOKだな♪」

 

「お疲れ様です♪」

 

「おう♪それじゃ戻ろうか?」

 

「そうですね。」

 

「ん?なんか外が騒がしくないか?」

 

「そう言えば、少し前からそんな感じですわね?」

 

 外が騒がしことを気にしつつ、俺とダイヤが体育館に戻ると、そこにはつい先ほどまでの光景は無く体育館が満員になるほどの人が押し寄せていた。

 

「おぉ!?なんか凄い事になってる・・・。」

 

「これはいったい・・・。」

 

「どうやらこの天気のせいで皆来るのが少し遅くなってたミタイネ☆」

 

「おぉ、マリー。なんか凄い事になってるな。」

 

「でしょ。電気が付いたら人がいっぱいになっててビックリしたわよ☆」

 

「へぇ~。」

 

 俺はそう返事をしながらステージへと目をやると、先ほどと変わらず見事なパフォーマンスを見せていたが、停電前とは違い心の底から楽しんでて、見ていて引きつけられるようないい笑顔をしていた。

 たった1曲だけだが、歌い終えた高海達はとても満足したような顔をしていた。そして、会場に来てくれたお客に向かって挨拶をしようとした時、ダイヤがステージに向かって歩いて行ってしまった。

 

「ちょっとダイヤっ!?」

 

「マリー、ダイヤのやりたいようにやらせてやってくれ。」

 

 俺はダイヤを引き止めようとするマリーを引き止めた。まぁ、ダイヤが何をしようとしているか、なんとなく分かるからね。

 以前、高海達が大きな壁にぶつかっても挫けないくらい強くなるまで、自分が壁となって立ちはだかると言っていたダイヤだ、おそらく今回は成功したが調子に乗るなよ、と発破をかけに行ったんだろ。こんな大勢の前で悪役を買って出るんだから、律義と言うか、損な性分と言うか・・・。

 

「なんかムカつく。」

 

「ムカつくってなんでだよ!?」

 

「ユウってば『全部知ってます』みたいな顔してさ。」

 

「んな顔してないだろ?」

 

「ぶ~。」

 

「あのなぁ。・・・ん?」

 

 なんだかよく分からないけどマリーに因縁をつけられた困っていると、俺の視界の端に見なれた奴が見えた気がして扉の先を見ると果南が帰ろうとする姿が見えた。

 

「なによ?」

 

「え?あ・あぁ・・・すまんマリー、俺トイレに行ってくる!」

 

「え!?ちょっとユウ!?・・・行っちゃた。ユウってばここが女子高だってこと分かってるのかしら?男子トイレなんて一か所しかないんだけど・・・。」

 

 後ろから聞こえてきたマリーのセリフに苦しい誤魔化しかたしたと思いながら俺は果南の後を追った。

 

「帰るのか?」

 

「まぁね。」

 

 果南に追いついた俺は果南に声をかけたが、果南は俺が来る事が分かっていたのか、いきなり声をかけられても振り返ることなく、淡々と返事を返してきた。

 

「そっか。どうだった?」

 

「良かったと思うよ。まだまだ頑張らないといけないところは沢山あるけど、初ライブにしたら上出来でしょ?」

 

「それを聞いたら高海達喜ぶだろうな。」

 

「なら、悠君から伝えておいて。」

 

「折角来たんだから自分で言えばいいだろ?」

 

「わたしも忙しいの。店だってあるし・・・。」

 

「こんな天気の日に海に潜るモノ好きはいないだろ・・・。」

 

「・・・」

 

「あぁ、はいはい。もうこれ以上は何も言わないよ。・・・果南。この間はお前の気持ちも考えないで無責任なこと言って悪かった。」

 

「うん・・・。用はそれだけ?」

 

「え?あ・あぁ・・・。」

 

「なら帰るね。」

 

 結局果南は一度も振り返ることなく帰ってしまった。俺はそんな果南をただ見送ることしかできなかった。

 

「・・・」

 

「悠さん??こんなところでどうしたんですの?」

 

「え??あぁ、ダイヤか・・・。」

 

「ダイヤか・・・。じゃありませんわ!体育館に居ないからビックリしたじゃないですか!!」

 

「悪い悪い。」

 

「・・・それで、空なんか見上げてどうしたんですか?」

 

「ん?いやぁ、一体いつになったら雨は上がるのかなぁって思ってさ。」

 

「たしか予報では、今日の夜にはあがると言ってましたが?」

 

「そっか・・・。」

 

「??」

 

 ダイヤは今更天気なんか気にしてる俺に不思議そうに答えてきた。俺は苦笑いしながらダイヤの頭を撫でると、ダイヤはさらに不思議そうな顔をしていた。

 まぁ、当然だよな。俺はそういった意味で言ったわけじゃないから伝わるわけがない。仮に正しく伝わったとしても、俺の求める答えは返っては来ないだろうけど・・・。

 

 この後、俺はダイヤ達を送って家に帰った。課題をやりながら色々これまでの事、これからの事なんかを考えたけど答えは出ず、気付けば寝落ちをしてた。

 目が覚めた俺は時間を確認しようとスマホの画面を見るとマリーからメールが入っており、内容は、

 

『今日のライブは成功と言うわけで、新生Aqoursの活動を、学校側として正式に許可することになるんだけど、部活動である以上、顧問や責任者と言った物が必要になるんで、顧問は形だけだけど用意するから、保護者兼、責任者兼、コーチ兼、アドバイザー兼、マネージャー兼、編曲担当をよろしく☆』

 

 といった内容のメールだった。俺の肩書長くない??

 まぁ、いろいろ、突っ込みたい事はあるけど、どうやら俺にも編曲以外でも出来る事はあるみたいだ。昨日まで色々悩んでたけど、悩んだって答えなんかでないし、これからどうなるかなんて分かるわけないんだったら、全力で出来る事をするしかないよな♪

 マリーに乗せられているみたいで少し癪だが、了解と返信をして俺は2度目の眠りに着いたのだった。




いかがだったでしょうか?

アニメで感じた時間を間違えていたと言う辺りは自分の中で少し引っかかりがあったので独自の解釈で変更してみました。とはいっても、そこにはあまり触れてませんがww

次回は本格的にルビィちゃんとマルちゃんが参戦して来ますよ♪
ちゃんと可愛く書けるか不安でもありますが、よろしければ次も読んでやってください♪


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第45話 ~揺れる思い~

 高海達の初ライブの翌日、俺は激しく後悔していた。

 なぜなら、これから女子高に入っていかなければいけないからだ。大抵の男子やどこぞの智也にこの話をしたらきっと羨ましがられるんだろう。だが、今の俺には恐怖でしかない。

 マリーから色々な肩書を与えられ、それを了解したまではよかった。だが、俺の考えが浅かったのか、はたまたマリーに嵌められたのかは微妙なところではあるが、高海達の活動のサボートをするという事は、つまりこの浦女に・・・女子高に入らなくてはいけないと言う事だった。すなわちそれは、ダイヤに俺が陰でこそこそ動いて高海達の手助けをしていた事がバレると言う事であり、ばれたら絶対に暫くは口を聞いてくれなくなるだろう。下手をすれば一晩正座なんてのもありえる。以前ダイヤとのデートに寝坊して4時間くらいの大遅刻をかました時には、デートは中止になり、そのかわり半日正座をしてダイヤに説教されると言う事があったくらいだ。冗談ではなく可能性は大いにある。

 

「はぁ・・・。なんであんな簡単にOKしちゃったんだろうなぁ。ダイヤにバレる前にいっそ自分から打ち明けるか?・・・ないわ~。下手すれば正座はおろか、暫く飯も作ってくれないだろうなぁ・・・。かと言って他人からバレたらそれこそ何が起こるやら・・・。」

 

 それに理事長であるマリーからの依頼であり、やましい事は何もないけど、文化祭や特別な事がないのに女子高に足を踏み入れるという行為に物凄い罪悪感もわいてきて、色々な意味で後悔しているのだった。

 そして今俺は後悔しつつも受けてしまった手前逃げるわけにもいかず、重い足取りで浦女に向かっているのだった。と言っても自分の車で向かってるから重いのは足でなく気持ちなんだけど・・・。

 

「ん?あそこに居るのはルビィとマルちゃん?」

 

 俺が浦女に向かう途中、防波堤の上で話をしている2人が見えた。このままクラクションを鳴らして挨拶だけして通り過ぎようと思ったが、近づくにつれ2人の表情がしっかりと見えるようになったが、何やら深刻な顔をしていたから車を止めて声をかける事にした。

 

「2人とも今帰りか?」

 

「え!?・・・あぁ、お兄ちゃん。」

 

「あ、お兄さん。こんにちわ。」

 

「おう。で、こんな所で何をそんな深刻そうな顔で話してたんだ?・・・はっ!!まさか男に言い寄られてて困ってるとかか!?どこのどいつだ俺の可愛い妹に色目を使う不届き者は!!」

 

「ち・違うよ!!そんなのじゃないよ!!」

 

「そうずら。ルビィいちゃんが可愛いのは分かるけど落ち着くずら。」

 

「はい・・・。」

 

 ルビィに悪い虫が付いたかと思ったらついつい興奮してしまった。年下に窘められるとはお恥ずかしい・・・。

 

「で、違うんなら一体何に困ってたんだ??」

 

「えっと、困ってたと言うか悩んでたと言うか・・・。」

 

「ん??」

 

「ルビィちゃんがこの間ライブをした先輩達にスクールアイドルに誘われたずら。」

 

 ほう、高海達がルビィを?それはなかなかお目が高い。ルビィは恥ずかしがり屋だが頑張り屋だし、スクールアイドルの知識もダイヤほどではないが豊富な上に、裁縫が得意だから優良物件だ。

 

「それはよかったじゃないか♪ルビィはずっとアイドルとかに憧れていたし、夢が叶ったじゃん♪」

 

「それが、そうでもないみたいなんです。」

 

「なんで?・・・あぁ、ダイヤか?」

 

「うん・・・。昔はお姉ちゃんもスクールアイドルが好きで、よくμ’sのマネをして歌ったりしてた。でも、高校生になって・・・夏休みに入る少し前くらいだったかな?ある日お姉ちゃんがスクールアイドルの雑誌を見たくないから片づけてって・・・。」

 

「そうなんだ・・・。」

 

 あぁ、解散が決まってすぐくらいの時の事かな?ルビィは結局ダイヤがスクールアイドルとして活動してるのは知っていてもやっているところを見たことないし、解散の原因も理由も知らないんだった。確かあの時ルビィに辛く当ってしまったって、ダイヤに泣きつかれたんだったなぁ。

 あれ以来、ダイヤもルビィも何も言わないから、言いそびれたままだった事も忘れていた。すまん、ルビィ。

 

「それ以来お姉ちゃんとスクールアイドルとかの話は一切しなくなって・・・・。だから、本当はね、ルビィも嫌いにならなくちゃいけないんだけど・・・。」

 

「どうして?」

 

「お姉ちゃんが見たくないってものを好きでいられないよ・・・。」

 

「ルビィ・・・。なんか、すまん。」

 

「どうしてお兄ちゃんが謝るの??」

 

「いや、なんとなく・・・。」

 

 本当にごめん!!俺がちゃん話してあげていれば、ルビィもこんなに悩まなくて済んだだろうに、マジでゴメン!!そして、今更本当の事言えないし、ダイヤが今まで言わないのに俺が言う訳にもいかないし、色々ゴメン!!

 

「変なの。」

 

「ねぇ、ルビィちゃんは本当にそれでいいの??」

 

「花丸ちゃんこそ興味ないの?スクールアイドル。」

 

「マル!?ないない!!オラ運動苦手だし、オラ、オラとか言っちゃうし・・・。」

 

「じゃぁ、ルビィも平気。」

 

「・・・」

 

「まぁ、2人とも、そんな急いで結論出さなくてもいいんじゃないか?」

 

「「え?」」

 

「ルビィはダイヤの事は気にしなくていいから、やりたいようにやればいいし、マルちゃんも、そんな事気にしないで興味あれば挑戦してみればいいさ♪」

 

「でも・・・。」

 

「ずら・・・。」

 

「もちろん強制してるわけじゃないぞ?ただ、本当にやりやい事は何か、ゆっくり考えて答えを出せばいいと思う。それで、やらないなら、それはそれで全然ありだと思うよ。」

 

「うん・・・。」

 

「ずら・・・。」

 

 そう、時間は無限じゃないけど焦る必要はない。焦ったり、本当の気持ちをごまかしたりしてもなにもいい事は無いんだから。今やりたい事、今しかできない事を思いっきり楽しんでほしいと、今なら言える。

 

「だから、そんな深刻な顔をするなって♪今を思いっきり楽しめばいいだけなんだから♪」

 

「うん。ルビィ、ちゃんと考えてみるね!」

 

「マルもずら♪」

 

「よし。なら、気をつけて帰れよ♪」

 

「「はーい♪」」

 

 俺は2人を見送ってから車に乗り家に帰ろうとすると高海からメールが入っていた。そこには、いつ来るのか?と言う内容の文字が書かれていた。

 そう言えば俺、浦女に向かってたんだった。ルビィ達と話していてすっかり忘れていた。いやウソです。浦女に行きたくなくて忘れようとしていました。

 

「はぁ・・・。腹くくっていきますか・・・。」

 

 俺は再び車を走らせ浦女に着くと、流石に勝手に入るわけにもいかないので高海に連絡すると、今は近くの浜辺で練習しているとのことだったのでそちらに向かう事にした。正直浦女の中に入らなくていいと分かってかなりホッとした。

 

「お疲れ~。」

 

「あ、蒼谷さん。お疲れ様です。」

 

「ヨーソロー♪お疲れ様であります♪」

 

 俺が声をかけると、桜内と渡辺が気持ちよく挨拶をくれたが、その後ろでアホ毛を揺らしながら高海が何やら不貞腐れていた。

 

「高海、どうかしたか?」

 

「どうかしたか?じゃないですよ!!来るの遅いですよ!!折角、部活動に承認された記念すべき初日に、こんな大遅刻してくるなんて!!おかげで部室の掃除が凄く大変だったんですよ!!ルビィちゃんには誘い断られちゃうし・・・。」

 

「うん、わかった。遅刻したのはすまなかった。だが、部室の掃除はちゃんと自分たちでしような?高海達の部室なんだから。」

 

「そうだよ千歌ちゃん。蒼谷さんは協力してくれる人だけど、運動部で言う監督やコーチみたいな人なんだし、浦女の生徒じゃないんだから。」

 

「あと、ルビィちゃんは蒼谷さんに関係ないわよ?」

 

 そんなに関係ないと言われると、来るのに躊躇していたとはいえ疎外感を感じて寂しいんだけど・・・。

 

「と・とりあえず、明日からは遅れないようにするよ。大学があったり、用事もあるから毎日来るってのも無理だけど、来れるときはちゃんと来るから。」

 

「それなら、明日の朝練に付き合って下さいね♪」

 

「いや、すまん。それは無理だ。」

 

「えぇ!?」

 

「いや、朝は弱いんだよ。」

 

「むぅ!!」

 

「そのかわり、今度なんか奢ってやるからさ。」

 

「それなら・・・。絶対に約束ですよ?」

 

「はいはい。わかりました。」

 

「やったね曜ちゃん♪梨子ちゃん♪」

 

「今度何奢ってもらうか考えないといけないね♪」

 

「なんかすみません。」

 

「いいっていいって。」

 

 とりあえず高海は機嫌を直してくれたようでよかった。まぁ、そのかわり俺の懐が厳しくなりそうと言う代償は大きい気もするが仕方ない。

 そして、俺は高海達の練習をしばらく眺め、いい感じで日が暮れてきたので今日はお終いとなった。

 おそらくこの時間ならダイヤはまだいると思うんだけどどうしようかなぁ・・・。何か適当な理由でもつけないと怪しまれるし・・・。うん、マリーに呼び出されたけどいなかった事にして迎えに行こう♪

 俺はダイヤにまだ学校に居るか確認したところやはりまだいるようなので、高海達と別れダイヤを迎えに行った。ダイヤは『まったく鞠莉さんは!』と怒っていた。すまんマリー。濡れ衣を着せてしまった。

 ダイヤと家に帰った俺は、なんか最近ウソが増えて少し後ろめたいなぁ、なんて考えながらダイヤの作ってくれた旨い夕飯を食べてからダイヤとのんびり過ごした。

 そして翌日、俺が浦女に着くと状況が大きく変わり始めようとしていた。




なんかマルちゃんは「ずら」しか言ってない気もするけど気のせいだよね?w



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第46話 ~体験入部~

 俺は今浦女の前に来ていたが大変困っていた。浦女に着いたはいいが、男の俺が勝手に女子高の中をウロウロするわけにもいかず、しかも部室の場所が分からないので、ちゃんとした許可を貰いつつ案内してもらい為にマリーを呼んだのだが、かれこれ30分近く経つのに何故かマリーが現れない。その間俺はJKの変なものを見る目に晒され俺の精神ライフをガツガツ削られていた。2年前にも似たような事があったかもしれないが今よりはマシだった気がする。

 まぁ、物騒な世の中らだから危機感が無いよりはいいのかもしれないが・・・。

 

「それにしても遅すぎる。これじゃ、あっさりダイヤにばれちゃうじゃないか・・・。」

 

「ハァイ☆」

 

「あ、マリー!!遅いじゃないか!!」

 

「仕方ないでしょ。ユウの為に先生方と事務所に説明と許可を貰って、許可書を作ってたんだから。はい、これが許可書ね。ここに入るときは必ず首から下げておいてね。」

 

「あ・あぁ。サンキュウ。・・・じゃなくて!!遅くなるならなるでそう言ってくれよ!滅茶苦茶不審者扱いされてたんだぞ!?」

 

「それはユウが挙動不審だからでしょ?そもそもワタシに連絡してこなくても直接事務所に行って入館手続きすれば入れるわよ?」

 

「え?そんな簡単な事でいいの??」

 

「当たり前でしょ?でないと男の人の出入り業者の人が困るじゃない。」

 

「だけど、文化祭は厳重じゃん?」

 

「それは文化祭だからでしょ?あんな不特定多数の人が出入りしたら目が届かないから、招待客だけしか入れないのよ。でも普段は別よ。」

 

 なんてこった。女子高だから物凄く厳しいと思っていたのにまったくそんな事がないとは・・・。

 

「そうだったのか・・・。」

 

「ユウ、アナタもしかしてダイヤのポンコツうつったんじゃない?」

 

「失礼な!!」

 

「そうかしら?ほらよく言うじゃない?飼い主と犬はよく似るって☆」

 

「この場合『夫婦は』じゃないのか?・・・因みに一つ聞きたいんだけど、どっちがどってち?」

 

「もちろん、ダイヤが飼い主でユウが犬よ☆」

 

「な・何故に??」

 

「だって、昔からユウはダイヤに尻に敷かれていたじゃない☆」

 

 俺は膝から崩れ落ちてしまった。確かに最近自分でもダイヤに尻に敷かれてるなぁ、とはなんとなく思ってたけど、こうもはっきり言われるなんて・・・。しかも昔からって・・・。

 

「まぁそんな事よりも、毎回手続きしてたんじゃ手間だろうから、とりあえず今年度は手続きをスルー出来るようにしてあげたわよ☆」

 

「マジですか!?」

 

「Yes☆」

 

「サンキュー、マリー♪」

 

「いえいえ☆ユウには色々期待してるからこれくらいはね☆」

 

「それじゃ、ダイヤに見つかる前に行くわ♪」

 

「あの子達の事ヨロシクネ☆」

 

「おう!」

 

 俺はマリーにお礼を言って部室に向かった・・・んだが、場所が分からない事を忘れていた。

 

「・・・すまんマリー。部室ってどこだ??」

 

「え?まさか知らないで行こうとしていたの??」

 

「はい・・・。」

 

「はぁ・・・。」

 

 マリーは溜め息をついた後『本当にポンコツがうつったんじゃない?』と呆れながら高海達がいる部室の場所を教えてくれた。場所は体育館の一角にある部屋と言う事だったから、一度行った事ある場所だったからなんとか迷わず行く事が出来た。

 

「悪い、遅くなった・・・ってあれ?」

 

「え?」

 

「ルビィにマルちゃん!!」

 

「「お兄ちゃん(さん)!?」」

 

 俺が部室に入るとそこにはルビィとマルちゃんがいた。

 

「え?蒼谷さん、2人の事知ってるんですか??」

 

「え?あぁ、ルビィは「ちょっと待った!!」」

 

「??」

 

 俺が渡辺の質問にルビィは幼馴染で妹みたいなもんだと言おうとしたら、高海から何故か待ったがかかった。そして高海は渡辺と桜内を連れて部屋の隅に行き、なにやらコソコソ話しだした。

 

「曜ちゃん、いきなりその辺りに踏み込むのは・・・もっと慎重に聞かないと。」

 

「え、なんで?」

 

「だって、ルビィちゃん達に『お兄ちゃん』って呼ばせてるんだよ?」

 

「・・・あぁ~。」

 

「絶対に妹属性?ってやつだよ!」

 

「そうなのかなぁ?なら、私が言ったら喜んでくれるかな?」

 

「梨子ちゃん、それは危険だよ!!暴走したら何をされるか・・・・。」

 

「それはそれで///」

 

「「え?」」

 

 と言うような話をしているが、全部聞こえているぞ!!この三人の俺に対するイメージは一体どうなってるんだ?何でこの三人は俺を変態さんに仕立て上げようとするのだろうか?そりゃ、健全な一般男子?ですから人並みにそう言ったことへの興味も知識もありますよ?彼女だっているしね♪

 だがしか~し!!いくらなんでも節度と理性と言う物くらい持ってますよ?流石に警察に御用になるのは勘弁なのですよ!!

 

「おいこら!全部聞こえてるからな!!俺はそんな変態さんじゃないぞ~??」

 

「え~でも~・・・」

 

「ねぇ?」

 

「私なら大丈夫ですよ♪」

 

 ダメだ、話にならない・・・。ほら見ろ、ルビィもマルちゃんもポカーンとしてるじゃん。

 

「馬鹿なこと言ってんな。ルビィは俺の幼馴染だ。で、マルちゃんはルビィの友達だから面識があるだけだ。」

 

「なぁんだ、つまんない。」

 

 つまらないって・・・。そんなに俺に特殊性癖持ちにしたいのか?・・・とりあえず無視しておこう。このままツッコミを続けていたら話が進まなそうだ。

 

「で、ルビィ達はこんな所でどうしたんだ??昨日言ってた入部の件か?」

 

「う・うん。とりあえず仮入部をしようと思って・・・・。」

 

「そんな事よりも、なんでお兄さんがここに居るんですか?」

 

「へ?あぁ、そういえば言ってなかったな。たまたまなんだけど、俺が桜内と知り合いで、この間のライブの時の曲から編曲をお願いされて手伝ってたんだよ。」

 

「あの曲をお兄ちゃんが作ったんだ!凄い!!」

 

「未来ずら~♪」

 

「ありがとう♪そんで、マリー事、理事長様から直々に手伝いようにと言われて手伝いに来てるってわけ。」

 

「さすがお兄ちゃん!!頼りになる♪」

 

「ずら~♪」

 

 2人は目を輝かせて尊敬の眼差しで俺を見ていた。うんうん、お兄さんは素直で純粋な子が好きですよ♪

 

「で、そこでずっとヒソヒソしてる3人。そろそろ戻ってきてもらっていいかな?」

 

「「「へ?」」」」

 

「へ?じゃなくて!!お前達遊ぶ為に部を立ち上げたんじゃないだろ?練習しなくていいのか?」

 

「そうでした・・・。」

 

「すみません・・・。」

 

「よし、それなら練習をしよう!!」

 

 リーダーがこんなでこの部は本当に大丈夫なのだろうか?少し・・・いや、かなり不安になってきたんだけど・・・。

 

「それじゃ、とりあえず練習をやってもらうのが一番ね。」

 

 そう言うと桜内はホワイトボードにレッスンスケジュールと書かれた大きめの紙を貼りだした。

 

「「「おぉ~♪」」」

 

「いろいろなスクールアイドルのブログとかを参考にして作ってみたの♪」

 

「へ~、よく出来てるなぁ。」

 

 紙には円グラフで大まかな時間と何をするのかがしっかりと書かれていた。もっとやらなければいけない事はあるんだろうけど、始動したばかりのグループがやるなら丁度いい感じだ。ここから少しづつレベルアップすればいいんだしね。

 

「本物のスクールアイドルの練習・・・♪」

 

 俺が桜内の作ってきたレッスンスケジュールに感心していると、横でルビィが目を輝かせていた。まぁ、ダイヤと同じくらいスクールアイドルに憧れを抱いていたんだから当然か。

 俺がルビィを微笑ましく見守っていると、高海達が着替えると言う事で俺はいったん外で待機をした。その際にお約束だがニヤニヤしながら『覗かないでくださいね♪』と言われた。俺一度もやましいことしてないのに何でこんないじられ方をしてるんだろう??そう言えば、果南とマリーにもガッツリいじられてたっけ・・・。あれ?俺、もしかして年下の女の子にいじられやすい体質なのか!?なんてこった!!俺べつにいじられて喜ぶような趣味は持ってないんだけど・・・。

 

「さて、準備も出来たし・・・どこで練習しようか?」

 

「「「へ?」」」

 

 衝撃的な事実に気付いてしまった俺がうな垂れていると、着替えを終えた高海達が部室から出てきた。だが、出てきた途端とんでもない事を高海達は言いだした。今までは学校に承認されてないから外でやっていたと思ったが、どうやらそんな事ではなかったようだ。

 

「いやぁ、昨日はつい今まで通り浜辺で練習したけど、まだちゃんとした練習場所が決まってないんだよね~。」

 

「そうなんだよねぇ~。それなりの広さがあって、音を出しても迷惑にならない場所となるとなかなかねぇ・・・。」

 

「とは言え、移動時間を考えると毎回砂浜での練習ってのは・・・。できれば校内で確保したいわ。」

 

「とは言え中庭もグラウンドもいっぱいだろうし・・・。」

 

「部室もそこまで広くないしねぇ・・・。」

 

「そうなのよねぇ・・・。」

 

 そう言って2年生組の3人は唸っていた。

 おいおい本当に大丈夫か!?始まってすぐに練習場所がなくて練習できませんって、笑い話にもなんないぞ?

 

「あ・あの!!」

 

「ん?どうしたルビィ?」

 

「屋上なんてどうですか?μ’sも屋上で練習していたみたいですし!!」

 

「それ本当!?」

 

「はい。本で読んだことあるので間違いないと思います。」

 

「よ~し、そうと決まれば、屋上へレッツゴー♪」

 

 そう言って高海は走っていってしまった。それを追うように渡辺達が走り去るのを見ながら俺は、皆元気だなぁ、なんて考えながら後追った。

 屋上に着くとそこには練習するには申し分のない広さがあり、そこそこの音を出しても迷惑にはならなそうでとてもいい感じだった。その証拠にさっきから高海は子供みたいに駆け回っている。

 

「うわ~、すご~い♪」

 

「富士山くっきり見えててる♪」

 

「でも日差しが凄いずら。」

 

「それがいいんだよ♪太陽の光をいっぱい浴びて、海の匂いを胸一杯に吸い込んで・・・。」

 

「確かに気持ちいいわね♪」

 

 5人は屋上の真ん中で座り、日の光を気持ちよさそうに浴びていた。マルちゃんに至っては気持ちよさそうに寝そべっていた。てか、あれ本当に寝てない?

 しかし、本当に気持ちがいい♪マルちゃんじゃないけど、俺もこのまま寝てしましそうだ・・・。って、それはいかん!この空気はいかんぞ!これはこのままだらけてしまう空気だ!

 

「さ、そろそろ練習をしよう。このままじゃ何もしないまま日が暮れちゃうぞ?」

 

「おっと、そうだった!」

 

「あはは。気持ちいからのんびりしちゃったねぇ。」

 

「はっ!!少し寝てたずら!!」

 

「もぉ、マルちゃんったら~♪」

 

 本当に寝てたんかい!!・・・まぁ気持ちは凄く分かるけど、あの短時間で寝れるとはなかなか・・・。

 

「ははは♪で?今日はどうするんだ?」

 

「そうですね・・・・。とりあえず基礎練習は明日からしてもらうとして、今日は簡単な振り付けを覚えてもらって実際に踊ってもらうと言うのはどうですか?折角の体験入部ですし。」

 

「いいんじゃないかな?」

 

「いいねぇ!!」

 

「それじゃ折角だし円陣する?」

 

「「「さんせーい♪」」」

 

「それじゃいくよ?Aqours!サーンシャイーン!!」

 

 5人は気合を入れて練習がスタートした。高海達3人がルビィとマルちゃんに振り付けを教えている間、俺は物凄く暇をしていた。あれ?もしかして俺要らない子??

 

「さて、こんな感じね。そしたら、間違えてもいいから順番に練習してみましょう♪」

 

「なら、わたしがリズムをとるね?」

 

 お、これはチャンス!!練習に関しては俺は何もできそうにないが、リズムをとるくらいは出来るし、これをやらないと本当に要らない子になってしまう!!

 

「渡辺、それは俺がやるよ。」

 

「え?そうですか?」

 

「うん。てか、これくらいしか俺に手伝えることなさそうだし、やらせてくれ。」

 

「わっかりました♪ではお願いするであります♪」

 

「任された!」

 

 と言う訳で俺がリズムをとることになった訳だが、フォームチェックなんかは出来ないので渡辺にそこはお願いして、無理そうならスマホで動画撮影をして確認してもらうという流れにした。

「1・2・3・4・1・2・3・4・1・2・3・4、よ~しそこまで。」

 

「できた・・・出来たよお兄ちゃん♪」

 

「流石ルビィちゃんずら♪」

 

「うんうん。よくやったな♪よく真似してだけあって流石だな♪・・・それに引き換え、高海は何してんだ?」

 

 俺がルビィの頭を撫でて労ってやってるんだけど、一緒に踊っていた高海に視線をやるとなんか変な決めポーズをとっていた。

 

「え?」

 

「千歌ちゃんはもう一度ね!」

 

「えぇ~!?」

 

「なら、次はルビィは休憩で、桜内と渡辺、マルちゃんに高海の4人でやってみようか。」

 

「「「は~い♪」」」

 

「えぇ!?本当にわたしもう一回やるの!?」

 

「当然だろ?練習なんだから真剣にやらないと。」

 

「うぅ~、真面目にやってたのに・・・。」

 

 真面目にやってアレだったら尚ダメだろ・・・。

 なんいせよ、こうして体験入部の2人を含めた新生Aqoursの練習がスタートしたのだった。




リアルが忙し過ぎる・・・。

まぁ、そんな事は置いておいて、人数が増えると掛け合いが難しいですね。
誰がしゃべってるんだか区別をつけるのも難しい・・・。
その辺りは精進していくので生温かく見守っていただけると幸いですw


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第47話 ~赤い宝石の決意~

ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow
凄くよかった・・・


 ルビィとマルちゃんが仮入部をして今日で2日目になる。初日は踊ってもらってスクールアイドルという物を体験してもらい、今日は基礎練習と筋トレ、ダンス練習を終え、最後に千高海達も憧れているμ’sもやっていたという練習をすべく淡島まで足をのばし、淡島神社のあのとんでもない階段を駆け上がろうとい事になった。

 聞けば、部に承認される前からやっていたらしいが、部に承認される前なら練習場所がないから仕方ないにしても、部に承認された今では、移動の事を考えたら物凄く効率が悪いような気がする。とは言え、いい代案があるわけではないけど・・・。

 何はともあれ、あのとんでもなく長く急な階段を駆け上がるなんて、考えただけで筋肉痛になりそうだが、まぁ俺は下で皆が戻ってくるのを待っていればいいから気楽なもんだ。

 

「これ、一気に上ってるんですか!?」

 

「もちろん♪」

 

「マジでかっ!?これを一気に!?」

 

 淡島神社の麓に着いた俺達は階段を見上げ改めて思った。『長い』と。普通に登るだけでもかなり大変なのに、それを走って上るだなんて果南みたいな体力お化けでもない限り、普通の人にはまず無理だろ・・・。

 ルビィなんて若干青ざめてるような気がするし、マルちゃんに至っては口を開けたまま固まってる。てか、高海達は本当に一気にここを上ってるのか?渡辺は、まぁ出来そうな気がするけど、高海と特に桜内はそんなに体力があるようには見えないんだけど・・・。

 

「まぁ、いつも途中で休憩しちゃうんだけどねぇ。」

 

「あはは・・・。」

 

 だよねぇ。流石にこの三人も果南みたいな体力お化けだったら、男として色々自信をなくしそうだったから、その言葉が聞けて少しホッとしたよ。

 

「でも、ライブで何曲も踊るには頂上まで駆け上がるスタミナが必要だし、少しづつ出来るようにしないとね。」

 

「うゆ・・・。」

「ずら~・・・。」

 

 なるほど、確かに今はまだ1曲しか持ち曲はないけど、今後曲が増えていけばライブだって何曲も踊る事になるし、スタミナ強化は最重要事項かもしれないな。とは言え、徐々に距離を延ばすとかそう言うんじゃなくいきなりこれだから、ルビィとマルちゃんの心中お察しします・・・。

 

「そういうこと♪それじゃ、μ’s目指して~、よ~い・・・ドンッ!!」

 

「気をつけて登れよ~」

 

「あれ?蒼谷さんは登らないの?」

 

「え?登らないよ?別に俺はスタミナ付ける必要ないし、それに運動する格好なんか持ってきてないし。」

 

「むぅ・・・」

 

「まぁまぁ千歌ちゃん。」

 

「ほら、千歌ちゃん行くわよ。」

 

 高海に物凄く恨めしそうな目を向けられたが、5人は頂上目指して走り出した。・・・と思ったら、マルちゃんだけスタートしていなかった。

 

「どうしたマルちゃん?やっぱり流石にこの階段は無理か?まぁ、体験入部だし、無理しなくてもいいと思うぞ?」

 

「あ、いえ、そうではない・・・事も無いんですけど、そうじゃないずら。」

 

「ならどうしたんだ?」

 

 なにやら凄く深刻そうな顔をしているけどそうしたんだろう?

 

「実はお兄さんにも大切なお話があるんです。」

 

「大切な話?」

 

「ずら。なのでもう少ししたら展望スペースに来てもらえませんか?」

 

「それは構わないけど、今ここでじゃダメなのか?」

 

「はい。」

 

「そっか、分かった。適当に時間を見て展望スペースに行くよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

 そう言うと、マルちゃんはルビィ達を追いかけて階段を登って行った。

 しかし、大事な話とはなんだろうか?やっぱりあれかな?練習に参加してみたものの『しんどくて辞めたい。でもルビィの事を考えると辞めるとは言えないからどうしよう?』とか?そんな感じの相談かな?マルちゃん運動苦手だっていてたしなぁ・・・。

 

「まぁ、ここで考えていても何にもならんし、話を聞かないと何とも言えないか・・・。」

 

 とりあえず展望スペースに行ってマルちゃんが来るのを待つ事にする。後で行くと言ったけど、どれくらい時間を潰せばいいか分からないし、待たせてもよくないしな。

 

「にしても、久し振りにここに来たなぁ。最後に来たのはダイヤに告白した時だから、もう2年になるのか?」

 

 展望スペースに向かいながら俺は2年前の事を思い出していた。2年の間に、と言うか主にダイヤと付き合ってすぐの時に色々あったからなぁ・・・。

 あの頃まだダイヤも果南もマリーも仲が良くて、からかわれながらも、とても楽しく充実した毎日だった。もちろん今に不満があるわけじゃないし、ダイヤとも凄く充実した交際が出来ていると思う。

 でも、心のどこかで、あの頃に戻りたいと思ってしまっているのだろう。時々だけど、物足りなさと言うか、寂しい気持ちが溢れて来る事がある。それはたぶんダイヤも同じなのだろう。ふとした時に何処か遠くを見つめ、物思いにふけっている事がある。ダイヤは俺なんかより付き合いが長いのだから当然と言えば当然だ。

 とは言え、今の俺にはあの意地っ張りの3人を上手くコントロールする事は出来ないし、かと言っていいアイディアがあるわけでもなく、今は陰でこそこそと高海達の手伝いをしながら、ダイヤ達の気持ちが変わるのを待つしかないわけで・・・。こればかりはなにか大きなきっかけが起きるのを待つしかない。

 まぁダイヤに本当の事を言って『待ってるから』と言えば、こんなにこそこそする必要もないし、ダイヤももしかしたら考え方を変えてくれるきっかけになるのかもしれない。しかし、そういった事を言えないあたり、ダイヤに嫌われるのが怖いのか、ただ単に俺の意気地がないのか・・・。なんにせよ、何かしたいと思いながらも結局は今以上の事が出来ないのだった。

 とまぁ、そんな事を考えながら展望スペースに移動した俺は、海を見ながらそこでマルちゃんを待つことにした。そして暫くすると意外な・・・と言うかまったく予想していなかった人物が現れた。

 

「あら?もしかして悠さん?」

 

「え!?あ、だ・・・ダイヤ!?」

 

 これは一体どういう事だ!?何でダイヤがここに来た?・・・いや、ここはある意味ダイヤのお気に入りの場所だからここに来ること自体なんら不思議なことじゃない。むしろ俺がここに居る事の方が不自然だ。

 

「珍しいですわね?悠さんがここに来るなんて。と言うより今日はこちらに来る予定はなかったと思うのですが・・・。」

 

 まずいっ!!これはまずいですよっ!?どうしよう・・・。何かいい言い訳を考えねば!!・・・いや、待てよ。まさかこれは本当の事を言うチャンスなのか?いや、だがしかし・・・。

 

「えっと~・・・。その~・・・。なんででしょ・・・?」

 

「それを聞いてるんですけど?」

 

「ですよね~。」

 

 全く俺といやつは!いざとなるとダイヤに嫌われるんじゃないか、もしかしたら泣かしてしまうんじゃないかと思うと尻込みしてしまう。

 俺がしどろもどろになり何も言えないでいると、ジト目で睨むダイヤにじりじり詰め寄られと、気が付くと落下防止の柵まで追いつめられていた。

 

「さぁ、悠さん。白状なさい。」

 

「白状、と言われましても・・・。」

 

「私に何か隠し事をしているんじゃありませんか?」

 

「(ギクッ!!)え・・えっと・・・。」

 

「すみません。お待たせしました。」

 

 俺がダイヤに隠し事をしている事があっさりばれて、冷や汗をダラダラたらしていると『救いの天使』、もとい待ち人が到着した。

 

「花丸さんですか。」

 

 いきなり声をかけられたと言うのに、ダイヤは声の主が最初からここに来るのを知っていたのか、驚くでもなく、声の主改めマルちゃんに振り返り姿を確認した。俺はと言うと、ダイヤの追求から逃れる事が出来、こっそりと安堵の溜息を吐いた。

 しかし、マルちゃんの姿を確認したダイヤは俺の方に向き直り、キッ!っと睨み、視線だけで『これで終わりではありませんからね。後で改めてお伺いしますから逃げられませんわよ。』と言った視線を向けてきた。ですよねぇ・・・。俺が甘かったです・・・。

 

「それで、こんな所に呼び出して一体どういうつもりですか?」

 

 おや?もしかしてダイヤもマルちゃんに呼び出されていたのか?ダイヤはマルちゃんがここに来る事を知っていたみたいだし、さっきのマルちゃんの『お待たせしました』は俺に言ったものだと思ったが、どうやら俺達二人に言ったみたいだ。

 

「こんな所に呼び出してすみません。実はお願いがあってここまで来てもらったずら。」

 

「お願い?」

 

「はいずら。」

 

「それは一体何なんですか?」

 

「ルビィちゃんの話を・・・。ルビちゃんの気持ちを、ちゃんと聞いてあげてほしいずら。」

 

「ルビィの・・・?」

 

「それと、お兄さん。」

 

「なんだ?」

 

「ルビィちゃんの事を助けてあげてほしいずら。勇気が出せないでいるようなら背中を押してあげてほしいずら。」

 

「それは構わないけど、俺なんか・・・あ、マルちゃん!?」

 

 『俺なんかよりも、それはマルちゃんの方が適任なんじゃないか?』そう言おうとした時、マルちゃんはペコっと頭を下げ逃げるようにこの場を後にした。

 俺はマルちゃんの後を追おうとしたが、マルちゃんの言葉にダイヤはルビィを自分の我が儘に巻き込んでいる事、それを認めたくなくてルビィの気持ちを見ない振りしてきた事を改めて認識させられショックを受けたのか、フラフラと柵に向かっているダイヤを見て、放っておく事が出来ずマルちゃんを追う事が出来なかった。

 

「ダイヤ・・・その、大丈夫か?」

 

「えぇ・・・。」

 

「まぁ、そのなんだ、あんまり気にすんなよ?」

 

「いいえ・・・。本当は花丸さんに言われなくてもそんな事は分かったいたんです・・・。でも、どうしてもダメだったんです・・・。」

 

 ダイヤは夕焼けに紅く染まる海を見つめながら今にも泣き出しそうな顔をしていた。こんな時に不謹慎だとは思うが、そのあまりにも色っぽい表情に俺はダイヤを抱きしめたい衝動にかられた。そして、

 それと同時に激しく後悔しいてた。

 いつだったか一度、ダイヤにルビィにあたってしまったと泣きつかれた時に、いつかこうなる事は分かっていたはずなのに、どうして俺はこうなる前にちゃんとダイヤにルビィに本当のことを話してやれと言えなかったのだろう。どうして俺はダイヤに嫌われるかもしれない、傷つけてしまうかもしれないと言い訳ばかりして、こう言った現実から目を逸らして先延ばしにしていたんだろうと・・・。こんな表情をさせたくなかったのに・・・。

 

「ルビィにはルビィの気持ちがあるのに、自分が辛いからとずっとルビィの前でスクールアイドルを遠ざけさせるような事ばかり言っていました。それがルビィにとってどれだけ辛いか分かっていながら・・・。」

 

「そっか・・・。ごめんな?俺何もしてやれなくて・・・。」

 

 俺はそう言ってダイヤを後ろから抱きしめて頭を撫でようとした時だった。

 

「あれ?お姉ちゃんとお兄ちゃん?」

 

「へぁう!?」

 

 俺がまさにダイヤを抱きしめようとした時、後ろから急に声をかけられ、驚きのあまり俺は素っ頓狂な声を上げ、油が切れたロボットのような動きで声のした方を向くと、そこにはルビィと高海達がいた。

 

「・・・・る・ルビィ!?」

 

「え?ルビィ?」

 

「ダイヤさん、何でここに!?・・・それと蒼谷さんも何でここに?しかも何で変な格好でダイヤさんとここに居るの?下で待ってたはずじゃ・・・。」

 

 あ!高海のバカ!!ダイヤの前で要らん事を言うなよ!!

 俺は焦りながらチラリとダイヤの方を見るとさっきまでの泣きそうな顔はどこへやら、今日一番の怒り顔で睨みつけているダイヤと目が合ってしまった。目が合うと今度はもしかしたら今まで見た笑顔の中で一番なんじゃないかと思うような素敵な笑顔を俺に向けた後ルビィ達の方に向き直った。あ・・・うん、俺死んだな・・・。

 

「悠さんの事はとりあえず置いておくとして、これは一体どうい事ですの?」

 

「あの・・・それはその・・・。」

 

「そのこれは違うんです!ルビィちゃんはその・・・」

 

「千歌さん、いいんです。」

 

 ルビィを庇って言い訳をしようとした高海をルビィは制してダイヤの前に立ち、最初は少し怯えた様子だったが、意を決したのかダイヤの目を真直ぐ見つめ、ルビィは今の自分の気持ちをダイヤにぶつけていた。

 

「お姉ちゃん。ルビィ・・・ルビィね、スクールアイドルがやりたいっ!!お姉ちゃんがスクールアイドルに良い思いを持っていない事も知ってる。それでも・・・それでもルビィはやりたい!!」

 

「ルビィ・・・。」

 

 俺は驚いていた。いつもダイヤの後を追い、なんでもダイヤの意見を聞いて決めていたあのルビィがこうもはっきりと自分の意見を言うなんて・・・。言い方は悪いが、少なくとも俺はルビィがダイヤに楯突くところは見た事がなかった。

 確かにルビィは気は弱いが、その実芯はしっかりしている子だ。現に、2年前に俺がダイヤへの気持ちに気づけたのは、ルビィがはっきりと俺に『素直になれ』と言ってくれたおかげでもあるわけだし。とは言え、驚くなと言うのは無理ば話しだった。

 それはダイヤも同じだったようで、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていた。少し間が空いて一瞬嬉しそうな顔をしてから、『こほんっ』っと軽く咳払いしてから真剣な顔になり、ルビィの事を真直ぐ見つめダイヤが口を開いた。

 

「・・・ルビィの気持ちはよくわかりました。」

 

「そ・それじゃ?」

 

「ですが、それは有名になってちやほやされたいとかそう言った浮ついた気持ちからではないのですか?」

 

「え・・・?」

 

「おいダイヤ、何を言い出すんだ!?ルビィがそんな事でスクールアイドルをやりたいなんて言うわけないだろ?」

 

「いいから悠さんは黙っていてください。」

 

「だけど・・・。」

 

「い・い・で・す・わ・ね?」

 

「・・・はい。」

 

 ルビィがどれだけの覚悟を持ってダイヤに宣言したか分からない筈ないだろうに、分かっていながらこんな事を言うなんてダイヤらしくない。一体どうしたんだろう?しかし、俺ってどんどんダイヤの尻に敷かれてる感が強くなってないですかね?

 

「ルビィ、もう一度聞きますわよ?あなたは本当に本気でスクールアイドルをやりたいと思っているのですか?」

 

「お・お姉ちゃん・・・?」

 

「答えなさいルビィ!いつも遠くから見ているだけで満足していたあなたが、何故突然スクールアイドルをやりたいと思ったのですか?」

 

「そ・・それは・・・。」

 

「しかも私に隠れてコソコソと・・・。それはなにかやましい事があるからではないのですか?」

 

「ちょ!?ダイヤそれは言い過ぎだぞ!!」

 

「悠さんは黙っていて下さいと言いましたわよね?それに、コソコソ何かしていたのは悠さんもですわよね?」

 

「うぐっ・・・・」

 

 しまった、藪蛇だった・・・。まぁ、どうせこの後お説教は確定してるから今さらだけど・・・。

 しかし、ルビィをここまで追い詰めるのは本当にダイヤらしくない。少なくとも俺が知っている限り、果南とマリーとの仲が拗れてルビィに八つ当たりしたと泣きつかれた時くらいしか、この姉妹の喧嘩らしい喧嘩は見た事がないし、妹をあまりにも溺愛するもんだから俺のほうが嫉妬してしまいそうになるくらいだ。現に携帯の待ち受けは俺でなくルビィだし、裁縫が得意なルビィが作ってくれた物なんかを俺によく自慢してはデレデレな顔をしている。ルビィが言うには、逆にルビィの前では俺の事を話してはデレデレな顔をしているらしいが・・・。

 まぁ、今はそんな惚気は置いておくとして、俺がこんな事を考えている間も、ダイヤは止まることなくルビィに話し続けていた。その間空気になりつつあった高海達3人はどうしていいか分からず、またダイヤの気迫に怯えてか3人で寄り添い、事の成り行きを見守っていた。

 

「だいたい、いつも私の後ろに隠れて、大勢の人の前に出るとパニックを起こしてしまうあなたが本当にやれると思って?」

 

「そ・それは・・・。」

 

「分かりましたか?分かったなら大人しく家に帰りなさい。」

 

「それはイヤっ!!」

 

「ルビィ!?」

 

「ごめんねお姉ちゃん。いくらお姉ちゃんの言う事でも、それは聞けない。」

 

「何故です?」

 

「確かに少し前までは遠くから見ているだけで十分だった。でも千歌さん達がステージに立ってる時に思ったの・・・。ルビィもやってみたい・・・千歌さん達みたいに輝きたいってっ!だから、お姉ちゃんになんて言われても辞めないよ!」

 

「ルビィ、あなたの覚悟、確かに聞きました。」

 

「お姉ちゃん?」

 

 ルビィの揺るがない覚悟を聞いて、ダイヤは先ほどまでの険しい表情を緩め、いつもの優しい笑顔に戻っていた。

 

「厳しい言い方をしてごめんなさい。でも、どうしてもあなたの覚悟が聞きたかった。」

 

「お姉ちゃん・・・。」

 

「あなたがスクールアイドルをやることを認めますわ。」

 

「ありがとうお姉ちゃん♪」

 

「ただしっ!スクールアイドルである前にあなたは学生なんですから、節度思って活動をしてくださいね?」

 

「うん♪」

 

「あと、あまり帰りが遅くならないように。それから絶対に無理しない事。それからそれから・・・。」

 

「落ち着けダイヤ。心配なのは分かるが、過保護になり過ぎだ。」

 

 ダイヤは許可を出したものの心配でいろいろ言いだしたので、俺はダイヤの頭にポンッっと手を置き落ち着くよいに言った。

 

「あ・・・。申し訳ありません。」

 

「よかったなルビィ♪」

 

「うん♪」

 

「さて、ダイヤの許しも出たし、今日はもう遅いからとりあえず帰ろう。」

 

「うん。」

 

「高海達もな。」

 

「う・うん・・・。」

 

「りょ・了解であります。」

 

「・・・・。」

 

「で、悪いんだけど俺この後ダイヤと話があるから先に帰っててくれ。」

 

 俺はそう言うと、高海達を手を振った。ないか色々言いたい事はありそうだったが、一応空気を察してくれたのか不満そうな顔をしながらも素直に帰ってくれた。

 

「では悠さん。これまでの詳しいお話、お伺いしても宜しいでしょうか?」

 

「えっと・・・とりあえずここで長話はなんですし、その・・・春とはいえ夜は肌寒いですので、俺の部屋でも宜しいでしょうか?」




物凄く間が空いてしまいましたが一応は生きてますw

なんだか悠君の立場がどんどん弱くなってる気がするけど、何でだろ?w

忙し過ぎて先日やっと
ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbow
を見てきました。

全てがとにかくよかった・・・。
特にダイヤちゃんの服と髪形がいっぱい変わって最高でした♪
可愛かった♪

さて、次回もいつ更新できるか分かりませんが、時間があるときにちまちま書いてるのでよかったらまた読んでやってください♪
次回は久し振りにダイヤちゃんと二人っきりでラブラブさせたいなぁw


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第48話~これまでのお話~

 淡島神社での一件から場所を俺の部屋に移した。

 俺の部屋へ着いて早々ダイヤに正座を命じられた俺はダイヤの前で正座をしているのだった。

 

「さっそくですが、説明してもらえますか?」

 

「説明と言われましても、どこから何をどう話したらいいものやら・・・。」

 

「全部ですわ。」

 

「全部?」

 

「えぇ。何故悠さんはあそこに居て、千歌さん達とも親しげだったのか。それら全てを最初から話してください。」

 

 これはもう逃げられないか・・・。仕方ない。ここまできたら腹を括るしかないか。ルビィだって逃げずに頑張ったんだ。俺がここで逃げるわけにはいかないよな!

 

「分かった。全部話すよ。ただ、かなり長くなると思うから今日は泊っていけ。おじさん達にも連絡して許可貰ったら話す。それでいいよな?」

 

「でも、明日も学校が・・・。」

 

「それは別に大丈夫だろ?バスだってあるし、間に合わないなら俺が送るし。」

 

「ですが、そんな急に言われましても・・・その、色々準備が・・・。」

 

「そんなの、普段から休みの日はたまに泊ってるんだし、着替えやら必要なものも置いてあるから問題ないだろ?」

 

「そ・それはそうなんですが・・・。」

 

「まだなんかあるのか?」

 

「・・・なんだか腑に落ちませんわっ!」

 

 ダイヤは頬を膨らませてプイッとそっぽを向いた。うん、可愛い♪・・・ってそんなこと言ってる場合じゃない。

 

「なんで!?」

 

「・・・。」

 

「はぁ。仕方ねぇな・・・♪」

 

 俺は立ちあがると、むくれてそっぽを向いて座っているダイヤの後ろに回り、抱きかかえるようにして座り、ダイヤの頭を撫でた。暫くすると観念したのかダイヤはそっと頭を俺に預けてきた。

 

「それで、そんなにむくれてどうしたんだ?」

 

「だって、さっきまで私が主導権を持っていたのに、いつも間にか悠さんに主導権が移ってるんですもの・・・。」

 

「えぇ~・・・そんなことで?」

 

「それに、悠さんが色々私に隠し事をしているから怒ってるはずなのに、強気というか少し強引な悠さんを見てその・・・」

 

「なんか変だったか?」

 

「いえ。そうでなく・・・だからその・・・。カッコイイと思ってしまったんです!!///」

 

「お・おう。そうか・・・。その、なんだ、ありがとう?///」

 

 ダイヤが耳まで真っ赤になりながらそう言うもんだから俺まで照れてしまった。それにしてもそっか・・・。ダイヤは少し強引と言うか、引っ張っられるくらいがときめいてくれるのか。これは新しい発見だ♪

 俺はダイヤの新しい一面が見れた事と、かっこいいと言ってくれた嬉しさから思わずダイヤの頬にキスをしていた。

 

「あん♪・・・ちょっと悠さん、嬉しいですけど今は辞めてください///」

 

 ダイヤは赤い顔を更に赤くして俺の顔をグッと両手で押し戻し、俺の腕の中から逃げようとした。俺はそんな可愛い反応をするダイヤを逃がさないように腕に力を入れ逃がさなかった。とは言え本気で逃げる気のなかったダイヤはすぐに抵抗を辞め大人しく座りなおした。

 

「悪い悪い♪ダイヤが可愛かったから、つい・・・な♪」

 

「かわっ///!?・・・もう!!ふざけないでくださいっ///!」

 

「ふざけてはないんだけどな♪まぁ、とりあえず遅くなる前に家に連絡入れて来い。」

 

「はぁ・・・分かりました。そのかわり、今度こそふざけたりしないで、き・ち・ん・と・話してくださいね?」

 

「はいはい♪」

 

 ダイヤは俺を見上げるように軽く睨んでから立ちあがり、家に電話をしに行った。

 別にわざわざ席を外さなくてもこのまま電話すればいいのに、と思いながら手持無沙汰になった俺は、お茶や軽くつまめる食べ物などを用意してダイヤが戻ってくるのを待った。

 

「お待たせしました・・・。」

 

 暫くすると何故か疲れた顔をしてダイヤが戻ってきた。

 

「なんかあったのか?物凄く疲れたような顔をしているけど・・・。」

 

「次の日に学校があるのに、悠さんの家にお泊りというのは初めてだったので、お母様はともかく、お父様が何があったんだと電話口で騒ぎ始めまして・・・。」

 

 あぁ、そう言う事ですか・・・。そりゃ疲れた顔もするわな。俺達が付き合い始めて2年も経つし、両家の親公認(おじさんは未だ葛藤しているが・・・)だから、お泊りなんてのはそれなりにしてる。まぁ、最近はお互い忙しくてあまりしていなかったけど・・・。まぁ、おじさんは毎度かなり渋ってはおばさんとダイヤ、たまにルビィにも〆られているらしい。ただ、今までお泊りは当然ながら休みの日にしかしたことないから心配になったんだろう。とは言え、親公認でも学生、しかも高校生が平日に彼氏の家にお泊りともなれば反対される方が普通か?そう考えると、おばさんが寛容すぎるのかな?

 

「でもまぁ、OKは出たんだろ?」

 

「えぇ。」

 

 ダイヤは短く返事をすると、俺の足の間に体を入れ先ほどの様にちょこんと座った。

 

「それではこれまでの事をちゃんと話していただけますか?」

 

「約束だからな。・・・そうだなぁ、最初からと言ったら2年前にマリーが留学する少し前くらいまで遡るなぁ。」

 

「え?そ・そんな前からですか!?」

 

 スタート地点が思いのほか前だったのかダイヤは目を見開いて驚いていた。俺はそんなダイヤに苦笑しながら話を続けた。

 マリーが留学する時に、ダイヤと果南を見守ってあげてと言われた事。マリーが向こうに行ってからは定期的にマリーと近況報告をしあっていた事。たまたま東京に行った時に桜内を不良から助けた事。その後、内浦で偶然に再会したり、果南の店を手伝ってる時に高海と渡辺とも知り合った事。縁あって高海達を手伝う事になったことなど、順を追って全て話した。

 

「で、高海達の曲の編曲を手伝ったってわけ。」

 

「やはりあれは悠さんが作っていたのですね。」

 

「あれ?気付いてたのか?」

 

「逆に気付かないと思っていたのですか?」

 

「いや、そりゃまぁ・・・。」

 

 正直驚いた。作曲にせよ、編曲にせよ、手掛けた人の癖と言うか個性みたいなものは出るが、俺はまだまだ未熟だからその時流行りの曲などに影響されたりして、俺自身作りが安定しないなぁと思っている。だがダイヤには俺が作ったものだというのが分かると言うのだ。気付く気付かない以前に、プロの有名な人ならともかく、アマチュアの俺の作ったものが『俺のものである』と分かる人がいるなんて普通は考えもしないだろう。

 

「それは心外ですわね。一体私がどれだけ悠さんの作った曲を聞いてきたと思っているのですか?私は誰よりも悠さんの作った曲を聞いてきたと自負しています。そんな私に分からないわけないじゃないですか!」

 

 またもダイヤは頬を膨らませてプイッとそっぽを向いてしまった。うん、やっぱり可愛い♪

 

「確かにそだな♪」

 

 言われれば確かにその通りかもしれない。ダイヤはおそらく俺の作った曲を誰よりも聞いている。それは俺の師匠である勇さんよりも多いだろう。

 なぜなら、一年ほど前に俺がスランプに陥ったとき、ずっと傍で俺を支えてくれたのがダイヤだからだ。

 桜内と初めて出会ったあの日、桜内と別れた後、プロの実力と言う物を目の当たりにした俺は自分が作る物がいかに幼稚なものかを思い知ってしまった。それからというもの、俺は自分の作る曲全てが気に入らなくなり、自信が持てなくなっていた。いわゆるスランプと言うやつだ。

 とは言え、俺がスランプになっていようがそんなのは関係なく、勇さんから与えられる課題は当然ながら日に日に高い物を要求され、そのくせ正解と言う物がない。好みだったり流行りだったりという物の中に、どれだけ俺という個性を入れられるか、それがどれだけの聞き手の心に刺さるか・・・。あえて言うならばその多さが多ければ正解。そんな漠然とした答えしかない問いに、俺は自分の才能のなさや限界みたいなものを感じて一時期はこの夢を諦めようとさえした。それくらい俺は追いつめられ泥沼にはまっていた。

 それでも今日まで夢をあきらめずに来れたのはダイヤのおかげだ。内助の功、とでも言えばいいのだろうか?ずっと俺が作った曲を聞いてくれては、細かな技術なんかは分からないながら、ダイヤが感じた事を意見として言ってくれたり、褒めてくれたり、時に愚痴を聞いてくれたりしながらずっと俺を支えてくれた。おかげで俺はスランプを何とか抜け出し、今に至るというわけだ。

 

「しかし、私の知らないところでそんな事になっていたんですね。」

 

「いろいろ隠していてすまなかったな。」

 

「まったくです。・・・とは言え、全部が全部ではないにせよ、私達の為だったわけでもあるわけですし、怒るに怒れないじゃないですか・・・。」

 

「ありがとう♪」

 

「それにしても、ルビィがスクールアイドルを始めるとは思いもしませんでした・・・。」

 

 ダイヤは少し複雑といった表情をしてた。いつだったか『姉妹で同じステージに立ってみたい』と言っていたような気もするが、やはりせっかくルビィがスクールアイドルを始めたのに、ダイヤは辞めてしまったからかな?

 

「ルビィと一緒にスクールアイドルやりたかったんじゃないのか?ならここは喜ぶとこだろ?」

 

「それはそうなんですが・・・」

 

「あれか?今ダイヤがスクールアイドルをやってないからか?なら、ルビィもスクールアイドルを始めたんだし、ダイヤももう一度スクールアイドルを始めたらいいじゃないか♪」

 

「いえ、そうではなく・・・。あの子、人前にでるとその・・・。」

 

 あぁ、そう言う事か。確かにかなりの人見知りであがり症だからなぁ・・・。心配になる気持ちもわかる。

 

「でも、大丈夫だろ?自分で選んだ道なんだし。なによりルビィはダイヤが思っている以上に強い子だよ。」

 

 普段はまさに小動物という言葉がぴったりな感じなのに、そこはやはりダイヤの妹。実は凄く芯のしっかりしている子だ。俺自身その強さに何度も助けられてるし、その心配は必要ないだろう。

 

「それは分かっているのですが、やはり心配になると言うか・・・。」

 

「ルビィなら大丈夫だよ。それよりもダイヤだ。」

 

「・・・」

 

「どうだ?もう一度スクールアイドルをやってみないか?」

 

「・・・正直やりたい気持ちはあります。」

 

「なら・・・。」

 

「ですが・・・。いえ、以前も言いましたが果南さんと鞠莉さんが戻らないのであれば、やはり戻れません・・・。」

 

 少し迷いを見せたダイヤだが、やはり親友と一緒に見た夢・・・。そう簡単に割り切れるものでもないのだろう。

 

「そうか。まぁ無理強いすることじゃないし、これ以上は言わないよ。」

 

「すみません・・・。」

 

「それよりも大分いい時間になっちゃったなぁ。」

 

 俺は部屋の壁に掛けてある時計を見ると、時刻は21時を回ろうとしていた。18時ごろから話していたから、なんだかんだで3時間近く話していたことになる。

 

「さてと。腹も減ったし、どこかに食べにでも行くか?」

 

「それもいいですけど、今から食べに行っては遅くなってしまいますし・・・簡単なものでよければ何か作りますわ。」

 

「それは嬉しいけど、別に遅くなっても大丈夫だろ?久し振りに外でのんびり食おうぜ♪」

 

「その提案は魅力的ですが・・・その・・・」

 

 普段は外に食べに行く事にここまで渋る事はないのに、今日はどうしたんだろ?それに心なしが顔が赤いような・・・。

 

「どうした?調子でも悪いのか?」

 

「い・いえ別にそんな事は///」

 

「ならどうしたんだ?」

 

「ですから、その・・・久し振りのお泊りなわけですし・・・その・・・///」

 

 おぉ、そういう事か!!

 

「つまり、俺とイチャイチャする時間が無くなると。そういう事か♪」

 

「なぁっ!?そ・そんなはっきりと言わなくても///」

 

「でもそういこことだろ?」

 

 ダイヤは顔を真っ赤にして俯きながら、コクンッと頷いた。

 付き合って2年も経ち、年頃の恋人なら当然する事だってしていると言うのにこの初々しさ・・・。

 まったく、なんなんだこの可愛い生き物はっ!!飯を食うまでは我慢しようと思っていたのに、あっさりと俺の理性を奪いやがって!これじゃ我慢なんて出来る訳ながないじゃないか!

 

「え?!ゆ・悠さん!?」

 

 気付けば俺はダイヤをベッドに押し倒していた。

 

「悠さん、ご飯がまだですし、その・・・シャワーだってまだ///」

 

「ダイヤが可愛いのが悪いんだから諦めろ♪」

 

「何ですかそれ!?ん・・・ちょ、ン・・・。」

 

 俺はそう言うとダイヤの唇をむさぼり、服の中へ手を滑り込ませてダイヤの柔らかい体を堪能した。

 結局俺達はそのまま朝を迎えてしまったのは言うまでもないだろう。




仕事が忙しすぎて投稿に滅茶苦茶時間がかかってしまい申し訳ありません。
一応生きてはいます。

不定期ですが時間があるときにちまちま書いていますので、次回も宜しければ読んでいただけたら嬉しいです。


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