貴方を追いかけて (サバの缶ずめ)
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1話
1章、仲間の絆


 

 

ピンポーン

 

 

こんな時間にチャイム?

今は朝5:30、郵便物と言っても早すぎる、きっと勘違いと思い込みながらもう眠りに付くために目を閉じる

 

 

「ピピピピピピピピピ」

 

 

悠人「ああああああああ!うるさーーい!!」

 

 

俺は覚悟を決め、このイタズラ犯を取っ捕まえてやろうと布団を乱暴にめくり玄関に向かった

 

 

悠人「おい!お前!人のチャイムで遊ぶな!迷惑だろ!!って曜?」

 

 

曜「悠くん、おはヨーソロ!」

 

 

悠人「おはヨーソロじゃねぇよ!」

 

 

曜「そんな事より上がるね!」

 

 

悠人「おいっ…」

 

 

悠人「早いけど朝にするか…」

 

 

悠人「朝は何がいい?」

 

 

曜「何でもいいよ」

 

 

悠人「てか、何で俺の家に来たんだ?」

 

 

曜「千歌ちゃんや梨子ちゃんと……だから」

 

 

悠人「??」

 

 

悠人「そういえば、最近Aquorsの調子はどうだ?」

 

 

曜「それなりにだよ…」

 

 

悠人「そうか…頑張れよ」

 

 

曜の何かがおかしかった

いつもならうるさいぐらいにAquorsの事を喋るのに、今日に限ってこんな事はあり得ない

 

 

曜「うん!美味しいね!」

 

 

悠人「どうも」

 

 

あの言葉以外に変わりはなく

いつもの元気一杯の曜だった

 

 

(俺の勘違いか…)

 

 

この時の俺はまだ知らない…

この先起こる出来事を

 

 

 

〜放課後〜

千歌「悠くん!起きてよ!」

 

 

悠人「今日は朝から忙しかったから1秒で多く体を休めたいんだよ…」

 

 

千歌「数学があんまりわからないから教えて欲しいんだよ〜」

 

 

悠人「勉強なら梨子に教えて貰えよ」

 

 

千歌「嫌だ〜悠くん教えてよ〜」

 

 

今確かに"嫌"って言ったよな…?

千歌なら梨子の事を嫌とは言わないはず…

朝の曜にしろ一体何が起きてるんだ?

 

 

悠人「わかったよ…どこが分からないんだ…?」

 

 

千歌「ありがと〜!ええっとね」

 

 

もちろんさっきの千歌の言葉は悪気があった訳ではないと思うでもどうも俺の中に引っかかる…

 

 

ダイヤ「悠人さん!」

 

 

悠人「はい?」

 

 

ダイヤ「はい?じゃないですわ!練習行きますよ!」

 

 

悠人「すいません、今から行きます!」

 

 

ダイヤ「私は先に行きます、千歌さんも連れて来て下さい」

 

 

悠人「千歌、勉強はまた今度教えてやるから練習行くぞ!」

 

 

千歌「ちょっと待ってよ〜」

 

 

ダイヤ「今日はパート分けの練習をしますわ!作詞作曲、衣装、振り付けで別れて練習してもらいます!」

 

 

ダイヤ「悠人さん!」

 

 

ダイヤ「悠人さんは、時間ごとに様子を見に行って貰えると嬉しいですわ」

 

 

悠人「分かりました!」

 

 

ダイヤ「それでは、解散!」

 

 

他の皆は、特に変わった所もないし

本当に俺の気にし過ぎなのかもしれない

でも今はマネージャーとして集中しなければ…

 

 

「作詞作曲班、桜内梨子、国木田花丸、小原鞠莉」

 

 

悠人「ここは歌詞か…」

 

 

「ガララッ」

 

 

悠人「どうですか?調子は?」

 

 

梨子「まあまあかな?でもそれなりに仕上がってるわ」

 

 

花丸「お兄、ちょっと良いかな?」

 

 

悠人「どうした?丸?」

 

 

花丸「ここなんだけど、もう少しインパクトが欲しいんだよ」

 

 

悠人「そうだなぁ…ここは、"咲き続けよう"より"咲こう"みたいに強くした方が良いんじゃないか?」

 

 

鞠莉「OH!流石悠人ね!」

 

 

悠人「僕は、アドバイスしただけなんで、ここまで作ってくれた3人のお陰ですよ!」

 

 

花丸「ずら〜!ありがとう!何か見えて来たような気がするよ!」

 

 

悠人「じゃあ、衣装の所に顔を出すから、引き続き頑張って!」

 

 

「ガララッ」

 

 

花丸「それにしても、お兄すごいずら!丸たちの悩みを簡単に解決するなんて…!」

 

 

梨子「悠人は凄いよ、勉強も出来て

マネージャーも買って出てくれて…」

 

 

鞠莉「ででで!どうなの?」

 

 

鞠莉「悠人の事好きなの??」

 

 

花丸「はっ!…///」

 

 

梨子「私には恋愛はちょっと…早いかな〜悠人も今大変そうだし」

 

 

花丸「丸もそうずらね〜」

 

 

梨子「そういう鞠莉さんはどうなの?」

 

 

鞠莉「私が貰って行こうかな〜♪」

 

 

鞠莉「なーんてね!冗談よs」

 

 

悠人「すいません!」

 

 

梨子「な…何で勝手に入ってくるの…!!」

 

 

梨子「ノックぐらいしなさいよ!!」

 

 

悠人「みんな何で動揺してるんだ…?」

 

 

鞠莉「そりゃあ急に入って来たらね〜?」

 

 

花丸「後で説教ずら!!」

 

 

 

悠人「失礼しました…!」(ダッ!)

 

 

「ガララッ」

 

 

3人「あっ…行っちゃった…」

 

 

 

「衣装班、渡辺曜、黒澤ルビィ、松浦果南」

 

 

「ガララッ」

 

 

悠人「調子はどうですか?」

 

 

曜「絶好調だよ!そろそろ終わそう!」

 

 

ルビィ「痛っ!」

 

 

悠人「大丈夫?ルビィ?」

 

 

ルビィ「大丈夫です、これぐらい!」

 

 

悠人「ダメだぞ!絆創膏あげるからちゃんと貼って!はい!」

 

 

ルビィ「ありがとう!悠くん!」

 

 

悠人「果南さん大丈夫ですか?」

 

 

果南「あはは、私不器用だからね〜」

 

 

悠人「ここはこうするんですよ」チクチク

 

 

果南「なるほど!悠人ありがとね〜」

 

 

悠人「いえいえ、困ったらお互い様です!では失礼します!」

 

 

「ガララッ」

 

 

果南「ルビィ、怪我は大丈夫?」

 

 

ルビィ「はい!悠くんが絆創膏くれたんで大丈夫です!」

 

 

果南「悠人は優しいからね〜」

 

 

曜「衣装終わったよ〜」

 

 

果南「私もそろそろ終わりそう」

 

 

ルビィ「私もです!」

 

 

果南、ルビィ「終わった〜!」

 

 

果南「悠人ってまじめだよね〜」

 

 

曜「そうだね!お手本となる人だよね!」

 

 

ルビィ「そうですね!」

 

 

果南「私も早く追いつけるように頑張ろう」

 

 

「振り付け班、津島善子、黒澤ダイヤ、高海千歌」

 

 

「ガララッ」

 

 

悠人「調子はどうですか?」

 

 

善子「悠!良いとこに来たわね!今から儀式が始まるのよ!」

 

 

悠人「儀式…?」

 

 

千歌「悠くん!振り付けの事だよ!」

 

 

悠人「何だ…振り付けか…」

 

 

善子「うっ…そんな事より一通り仕上げたから見ていきなさい!」

 

 

ダイヤ「行きますわよ!」

 

 

「1.2.3.4 1.2.3.4」

 

 

ダイヤ「どうでしょうか?」

 

 

悠人「良いと思いますよ!でも強いて言うならサビ前はもう少し弱くしてサビで一気に爆発させるような感じの方が見てる人にも分かりやすいと思います!」

 

 

善子「なるほどね〜参考になるわ」

 

 

悠人「そろそろ部活終わりですね、他のメンバー呼んできます」

 

 

「ガララッ」(タッタッタツ)

 

 

ダイヤ「私たちも戻りましょうか、千歌さん、善子さん」

 

 

善子「堕天流最終奥義……」

 

 

ダイヤ「善子さん行きますよ!」

 

 

善子「はーい」

 

 

〜部室〜

 

 

悠人「……と言う事です」

 

 

ダイヤ「これで今日の練習をおわります!各自早めに帰りましょう!」

 

 

「ありがとうございました!」

 

 

 

今日もまた練習が終わった

1日は早いものだ、さっき会った出来事が早送りの様に過ぎていく

 

 

 

悠人「鍵は僕が返して置きます」

 

 

ダイヤ「いいや!ダメですわ!貴方はAqoursの大切なメンバーですから、しっかり体を休めてください!」

 

 

大切…ね

 

 

悠人「分かりました、じゃあ僕はこれで失礼します」

 

 

ダイヤ「ではまた明日」

 

 

悠人「そう言えば、久しぶりに本を買おうかな…」

 

 

Aqoursのメンバーと会って随分時が流れ、ある程度はメンバーの事を理解し、されているつもりだ

でもまだまだ知らない事だらけ

だから今日の朝の曜は見逃せないし

見逃したくなかった

 

 

花丸「お兄?」

 

 

悠人「丸か、どうしたんだ?」

 

 

花丸「お兄、家こっちじゃないよね?どうしたの?」

 

 

悠人「久しぶりに本を買おうかなって思って本屋へ」

 

 

花丸「ずら〜!丸も本屋へ行こうと思ってたずら!」

 

 

悠人「一緒に行くか?」

 

 

花丸「うん!行くずら〜!」

 

 

こうやってAqoursのメンバーと何かをってのもなかなか無いし、気分転換にはいい機会だろう

 

 

悠人「丸、スクールアイドルは楽しいか?」

 

 

花丸「うん!練習はキツイけど日に日に上手くなっていくのを実感できるんだ!」

 

 

悠人「へ〜丸も成長したな〜」

 

 

花丸「そ、そうずら…?///」

 

 

悠人「Aqoursの立派なメンバーだからな〜」

 

 

花丸「て、照れるずら…///」

 

 

丸は自分に自信を持つ事で変われた

この姿勢は見習わないとな

 

 

悠人「丸、おすすめの本はあるか?」

 

 

花丸「う〜ん…こんなのはどうかな?」

 

 

悠人「ありがとう!丸に選んで貰えるなんて光栄だな!大切にするよ」

 

 

 

花丸「それは嬉しいずら!」

 

 

丸は嬉しそうに微笑む

 

 

丸ならもしかして話せるかも知れない、そう期待を込め今の状況を丸に話した

 

 

花丸「曜さんは最近忙しそうずら、だから仕方ないんじゃないかな?」

 

 

悠人「そうかな?」

 

 

花丸「あっ!」

 

 

花丸「そう言えば、最近悠くんの話が多いのは確かだよ、他はどうかは分からないけど歌詞班は結構出てるよ」

 

 

悠人「なるほど、俺こっちだからまた明日な、丸!」(バイバイ)

 

 

花丸「バイバーイ!悠くん!」

 

 

悠人「明日は忙しくなるぞ…」

 

 

 

花丸「帰るずら〜」

 

 

??「ねぇ?誰と話してたの??」

 

 

花丸「!!!」

 



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2章、沼津

 

 

チュンチュン

 

 

強い日差しと小鳥の鳴き声で俺は目を覚ます、昨日は考え事をしてあんまり寝れなかった…にも関わらず休日に無理やりダイヤさんが練習を捻じ込みとても憂鬱な気分だ…と言ってやる事は特に無いが…

 

 

〜部室〜

悠人「誰も来てない…暇だな…」

 

 

集合時間まで20分早く着いた

社会の常識と言っても流石に早過ぎる

 

 

悠人「たまには掃除でもするか…」

 

 

悠人「千歌のやつ、みかん箱なんか置きやがって…持って帰れよ…」

 

 

悠人「ん?これはなn…」

 

 

??「わっ!!」

 

 

悠人「!!!」

 

 

 

悠人「やめてください!果南さん!」

(死ぬかと思った…)

 

 

果南「ごめ〜ん、お詫びのハグする?」

 

 

悠人「結構です」

 

 

果南「あはは、冷たいね〜」

 

 

果南「それより掃除なんて偉いじゃん」

 

 

悠人「早く来過ぎたんで、時間潰しと言うか、最近余り隅々までしないですからこう言う時にでも」

 

 

悠人「そう言う果南さんも早いじゃないですか?まだ15分ありますよ?」

 

 

果南「ランニングが少し早く終わってね、久しぶりに早く行ってみようかなって思ったから」

 

 

悠人「ランニング…ですか…?」

 

 

果南「おっ!今度一緒に行く?朝は気持ちが良いよ〜」

 

 

悠人「気持ちはありがたいですが体が持たないんで遠慮しときます」

 

 

果南「残念だなあ、それより掃除手伝おうか?」

 

 

 

悠人「お願いします!!」

 

 

果南さんは自分にもとても優しくしてくれてAqoursのお姉さん的存在

俺に体力の大切さも教えてくれたけど今思うとあんなにキツイなら教えなくても良かったかも

あれはもはや人間レベルじゃない…

 

 

善子「おはヨハネ!リトルデーモン達!」

 

 

花丸「おはようずら!」

 

 

悠人「おはよー丸」

 

 

果南「おはよ〜丸」

 

 

善子「無視しないでよ!無視したら天界の裁きが来るんだからね!」

 

 

悠人「おはよう、ヨハネ」

 

 

善子「わ、分かればそれで良いのよ…///」

 

 

花丸「善子ちゃん照れてるずら」

 

 

善子「照れてない!!」

 

 

その後時間内にみんな予定通り時間内に集合した

 

 

ダイヤ「今日は休日ですが、次のPVに向けての準備をする為を沼津に行きます!!」

 

 

Aqoursのメンバーと沼津に行っても大抵碌な事が無いし、正直見送る側

の立場に居たかった

 

 

ダイヤ「悠人さん!行きますよ!」

 

 

悠人「はーい」

 

 

〜バス車内〜

 

 

ルビィ「沼津楽しみだなぁ〜!」

 

 

花丸「そうずらね〜丸は善子ちゃんのお家に、、、」

 

 

善子「ち、ちょっと!」

 

 

花丸「冗談ずら」

 

 

〜沼津駅〜

 

 

ダイヤ「皆さん!配ったプリントの通り今から別行動で材料を買ってきてもらいます!」

 

 

「「わかりました〜!!」」

 

 

千歌「悠くんはどうするの?」

 

 

悠人「1人で行動する」

 

 

鞠莉「ええ〜?本当は私達と行動したいんじゃない〜?」

 

 

悠人「鞠莉さんやめてくださいよ…とにかく俺は1人行動します!」

 

 

悠人「じゃあ!また!」ダッ

 

 

千歌「ああ〜待って〜悠くん!」ダッ

 

 

鞠莉「鬼ごっこね♪久しぶり!」

 

 

だから言っただろ?

碌な事が無いって…てか何で買い物の為に逃げないといけないんだよ…

 

 

千歌「あーあ…逃げられちゃったよ…」

 

 

鞠莉「帰ったらお仕置きが必要ね♪」

 

 

結局2人は諦めて帰って行った

 

 

 

??「悠くん?ここで何してるの?」

 

 

悠人「ルビィ、これには訳がある」

 

 

悠人「…と言う訳なんだ」

 

 

ルビィ「そんな事があったんだ…大変だったね…」

 

 

悠人「まあでも、もう慣れたし…」

 

 

悠人「ルビィ、頼まれた物はもう買ったのか?」

 

 

ルビィ「うん!だから今から服屋に行こうと思ってたの!」

 

 

ルビィ「悠くん!一緒に行こうよ!」

 

 

悠人「良いけど」

 

 

ルビィ「やったあ!ありがとう!」

 

 

ルビィ「早速行こう!!」

 

 

〜服屋〜

ルビィ「どっちが良いと思う?」

 

 

悠人「俺はセンスねぇし自分で決めた方が良いと思う」

 

 

ルビィ「悠くんに決めて欲しいの!」

 

 

悠人「強いて言うならこっちのワンピースかな…?」

 

 

ルビィ「ありがとう!大切にするね!」

 

 

店員「ありがとうございました〜」

 

 

集合まではまだ時間はある

沼津に来る機会は余り無いし母さん達にお土産でも買って帰ろうか

 

悠人「ルビィ、ちょっとあのデパートに寄って良いか?」

 

 

ルビィ「うん!」

 

 

ルビィ「悠くんはこういう所来るのは珍しいことじゃ無いよね!」

 

 

悠人「引越す前はよく行ってたけど

こっちに引っ越してからはあんまり」

 

 

ルビィ「そうなんだ!」

 

 

ルビィ「あっ!スクールアイドルの雑誌の新刊が出てる!」

 

 

悠人「あれは…」

 

 

ルビィ「悠くん見て見て!この子達はね…って悠くん?」

 

 

悠人「ごめんルビィ、ちょっとトイレに行ってくる、ここで待ってて」タッッッ

 

 

この時ルビィが気付いていたかは、俺にはわからかった、でも俺がもう少し頭を使っていれば気付けたかも知れない

 

 

悠人「梨子」

 

 

梨子「悠人どうしてここに!?」

 

 

悠人「こっちのセリフだよ…何でこんな所にいるんだよ…」

 

 

梨子「私だってデパートぐらい来るわよ…」

 

 

悠人「目的はあの薄い本ですな〜?」ニヤニヤ

 

 

梨子「はっ!!ち、違うわよ…!」カァァァァ

 

 

悠人(本当にわかりやすいな…)

 

 

梨子「と言うより!何しに来たのよ!早く帰って!」

 

 

悠人「そんなに怒ったら可愛い顔が台無しだぞ〜」

 

 

梨子「!!!!!」

 

 

悠人「じゃあ、また後で!」

 

 

梨子「後で覚えておきなさい!!」

 

 

悠人(本当に何しに行ったんだろう俺…)

 

 

??「うん、わかった」

 

 

??「絶対に成功させないと…」

 

 

〜沼津駅〜

ダイヤ「皆さん!今日は1日お疲れ様でした!」

 

 

ダイヤ「これからも日々精神して頑張って行きましょう!」

 

 

ダイヤ「それでは解散!」

 

 

「「ありがとうございました!」」

 

 

悠人「帰るか…」

 

 

グイッ!

 

 

梨子「ちょっといいかしら?」ゴゴゴゴ  

 

 

悠人「え〜っと、用事を思い出したんで…さよなら!」ダッ

 

 

ボヨ---ン

 

 

鞠莉「OH!マリーのお腹に突進して来るなんていい度胸じゃな〜い!」

 

 

千歌「悠く〜ん、どうしてさっき逃げたのかなぁ〜?」

 

 

梨子「これで逃げられないわ、観念しなさい!」

 

 

悠人「くそっ……!」

 

 

鞠莉「3人で取り調べよ!」

 

 

「「GO!!」」

 

 

悠人「……と言う事です、悪気はありません」

 

 

千歌「へ〜そうなんだ〜」

 

 

鞠莉「私達を罵った罪は大きいわよ!」

 

 

梨子「罰として…」

 

 

3人「「「明日からAquorsメンバー全員一週間ちゃん付けで呼ぶ事!!」」

 

 

悠人「は?」

 

 

鞠莉「先輩の言う事は絶対だからね〜!」

 

 

悠人「いやいや、ちょっと待てよ何でちゃんなんだよそもそも俺ってn」

 

 

バンッ!

 

 

梨子「大人しく聞いてた方がいいよ?」ニコッ

 

 

悠人(こ…怖い…大人しく聞こう…)

 

 

悠人「わかりました…一週間…」

 

 

梨子「分かれば良いのよ」

 

 

悠人「では…これで俺は帰っても…」

 

 

千歌「ん?悠くん何か言う事はない?」

 

 

悠人「千歌ちゃん…梨子ちゃん…鞠莉ちゃん…さようなら…」

 

 

千歌「うん!さようなら!」

 

 

悠人(何でちゃんなんか付けないといけないんだよ!こうなったら仕返ししてやる…!)

 

 

俺の復習計画が始まる

はずだった…

 




ありがとうございました!
果南ちゃんのハグを断る訳ないじゃないですか!(マジ)
次回お会いしましょう!


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3章、黄色いカーディガン

なんか気がつくとSS書いてて・・・
何かに取り憑かれたんですかね…?


ジリリリリリ

 

 

 

いつも通りのアラームで起床する

今日は日曜日だがゴロゴロしてはいられない

昨日買った沼津のお土産を渡すのと

たまには母さんの顔を見ないと

いけないから時間的に都合の良い今日にすることにした

 

 

悠人「母さんに連絡するか」

 

 

俺は携帯の画面を開くと電話帳より先に目に入ったのは…

 

 

悠人「メール''64''件!?」

 

 

いつも一桁のお知らせマークが二桁なんて事ある訳ないしどうせ誰かのイタズラだろうと思っていた

恐る恐るメールを確認して見ると

大正解''今日遊ぼうよ!''とか、くだらないメールばっかりで肝心の予定などのメールは1つも無かった

 

 

悠人「今日ぐらい放って置くか…」

 

 

 

プルルルルルル

 

 

 

悠人「もしもし?母さん?」

 

 

楓花「その声は、悠?」

 

 

悠人「姉貴、久しぶり〜」

 

 

楓花「久しぶりだね〜どうしたの?」

 

 

悠人「今日空いてるからたまには、そっち帰るわ」

 

 

楓花「了解」ガチャッ

 

 

 

 

 

 

プ--ップ--ッ

 

 

悠人「何で切るんだよ…通話時間12秒とかヤバイな…」

 

 

とにかく今日はまず前提としてAqoursのメンバーに合わない、これを意識して行かないと、会ったらどうなるか分からないけど大変な事になるのは間違いない

 

 

悠人「これで大丈夫!行くか!」

 

 

〜〜数分後〜〜

 

 

悠人「全然分かんねえ…」

 

 

断言しよう、俺は方向音痴だ

内浦の場所も殆ど覚えてないのに隣町まで行くなんて無理がある…

心の支えは"ナビ"以上

 

 

??「あの〜」

 

 

悠人「よ…どうしました?」

 

 

善子「さっきからずっと同じ場所行ったり来たりしているんですけど大丈夫ですか?」

 

 

悠人(相手が善子なのはわかったけど、どうしようか、ここで正体をバラしたら昨日みたいな面倒なこと事になるから適当に誤魔化すのが1番か…?)

 

 

悠人「大丈夫ですよ〜」ウラゴエ

 

 

善子(絶対大丈夫じゃないでしょ…てかこの人どっかで見た事ある様な、無い様な…)

 

 

善子「道案内ぐらいは出来ますし何処に行きたいんですか?」

 

 

悠人「すみません、この駅まで行きたいんですけど…」ウラゴエ

 

 

善子「暇なんで途中まで私が送りますよ」

 

 

 

悠人「ありがとう…ございます」

 

 

 

 

〜〜※※※〜〜

 

 

 

善子「てかあなた悠でしょ?」

 

 

 

悠人「遂にバレたか…どうして分かったんだ?」

 

 

 

善子「貴方は私のリトルデーモンだから、分かるに決まってるじゃない!」

 

 

悠人「・・・本当は?」

 

 

善子「スマホ…」

 

 

悠人「スマホで人を覚えるって…」

 

 

善子「そういう事じゃないの!!」

 

 

善子「そ、その…あわわ…」

 

 

悠人「そんな事より、y」

 

 

その時ふと、誰かに監視されている気がした、風を切るように後ろを振り向くと特に変わった様子も無く誰もいない、

 

善子はポケーっとこちらを見ている

当たり前だろう、急に何も無いのに後ろを振り向くなんて意味が分からなさすぎる、でも俺には誰もいないとは思えなかった

 

 

悠人(まさか…誰かに監視されているのか?)

 

 

善子「悠?どうしたの?」

 

 

悠人「いいや、何でも無い」

 

 

善子「そう・・・って!どうして電話したのに出てくれないの!?」

 

 

悠人「悪い、電源切ってたわ」

 

 

善子「折角、大切な話があったのに!」

 

 

 

大切な話と言ってもたんびたんび、善子の趣味を押し付けるパターンだけど顔がいつもと違うので期待はして無いが聞いて見ることにしよう

 

 

 

悠人「大切な話って?」

 

 

善子「次の文化祭の話!」

 

 

悠人「本当に?お願い!」

 

 

善子「次の文化祭のs」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

善子「・・・・という訳」

 

 

悠人「ありがとう、文化祭までに合わせて置くよ」

 

 

善子「任したわよ!失敗させたら承知しないんだから!」

 

 

悠人「了解」ビシッ!

 

 

 

〜〜※※〜〜

 

 

 

善子「着いたわよ」

 

 

悠人「ありがとう!恩にきる!」

 

 

善子「じゃあ私はこれで・・・」

 

 

悠人「なあ、喜子?」

 

 

善子「何よ?」

 

 

悠人「暇か?今日」

 

 

善子「そうね」

 

 

悠人「来るか?」

 

 

善子「着いてっていいの?」

 

 

悠人「構わない」

 

 

善子「じゃあ行くわ」

 

 

とてもストイックな会話で決まり善子も連れて行く事にした

実際は善子に道案内までさせてそのまま帰らす訳には行かないと言うのが本心だろうか

 

 

 

ガララッ

 

 

 

悠人「母さーんいる?」

 

 

楓花「あっ!悠!帰ってきた!」

 

 

楓花「あら〜?その子は?」

 

 

善子「津島善子って言います!よろしくお願いします!」

 

 

楓花「私は久遠楓花だよ〜!よろしくね〜」

 

 

悠人「そこヨハネじゃ無いんだ」

 

 

善子「うるさい!挨拶ぐらいちゃんとしないといけないでしょ!」

 

 

善子は中身はとてもいい子

流石"善子"と言うだけある、何処からこんな事になってしまったのか……

 

 

その後、聞くと母さんは仕事で今家に居なく姉貴しかいないらしい

姉貴だけなんてまさに檻から解き放たれたライオンだ、正直Aquorsのメンバーより面倒くさい

 

 

楓花「お茶注いでくるね!」テクテク

 

 

善子「そういえば、さっきからずっと付いてきてるわよ」

 

 

悠人「千歌たちだろ?」

 

 

どうやら善子も気づいていたらしい

アニメでよくある電柱に隠れて背後を追うっていうのはよくある話だが彼女達は何故かやたら派手な格好で、もはや"頭隠して尻隠さず"でも何でもない

 

 

善子「どうするの?」

 

 

悠人「来たければ来るだろ善子も別にいいだろ?」

 

 

善子「別に良いけど・・・」

 

 

その後善子が何を言ったかは

聞こえなかった

 

 

 

 

楓花「おーい悠!誰か来たよ!」

 

 

 

 

相手は多分・・・

 

 

千歌「こんちか!」

 

 

だろうな・・・

 

 

 

ガチャッ

 

 

千歌「こんちか!」

 

 

大正解!

 

 

 

悠人「何しに来たんだよ…」

 

 

逃げる様に此処に来たのに追いかけて来てもらっては困る

 

 

千歌「千歌と悠くんは赤い糸で繋がってるんだよ〜だから離れないんだよ!」

 

 

悠人「じゃあそう解釈すると、彼処にいるメンバーもだぞ」

 

 

千歌「鋭いね〜本当はね悠くんのお家で話し合いをするはずだったんだけど追ってたらね・・・・でね・・・あのね・・・という事なんだ!」

 

 

悠人「曰く、話をするんだな?」

 

 

千歌「うん!」

 

 

千歌「お邪魔しま〜す!」

 

 

悠人「ったく、千歌って奴は」

 

 

悠人「・・・皆さんも入ってください」

 

 

「「お邪魔しま〜す!」」

 

 

悠人(本当に居たんだ…居ないと思ってたのに…)

 

 

こうして俺の折角の休みも台無しになり、序でに姉貴も居るし本当に最悪な日になる、そんな予感がする

 

 

 

楓花「悠が家に女の子連れて来るなんて雪でも降るかしら?」

 

 

悠人「勝手に来たんだよ…呼んでないし…」

 

 

ダイヤ「悠人さんが、逃げるからですよ!」

 

 

果南「そうよ!折角悠人の家で次のライブの話し合いをする予定だったのに」

 

 

悠人「何で次のライブの話し合いを俺の家でするんですか…」

 

 

楓花「そんなことより!皆、お昼は食べた?」

 

 

曜「食べてないであります!」

 

 

千歌「食べてないよ!」

 

 

楓花「皆食べてないなら食べて行くと良いよ!」

 

 

悠人「俺、帰っていい?」

 

 

楓花「何言ってんの!わざわざ遠いとこから皆来てくれてんのに失礼でしょ?」

 

 

確かに姉貴が言ってることがごもっともで俺だって人に迷惑は掛けたくないだが今は違う

流石に毎日一緒にいるのはキツイし

まさかここまで来ると思わないし

 

 

〜〜※※〜〜

 

 

悠人「って事でスーパーで買い物したけど結構荷物重いな…」

 

 

曜「私が持つよ!」

 

 

悠人「曜に持たせるのは悪いし!」

 

悠人(まあでも多分俺より曜の方が体力あるだろうな)

 

 

曜「いいの!私の方が力あるし!」

 

 

悠人(その通りでございます)

 

 

曜「ねえねえ悠くんって千歌ちゃんの事どう思ってるの?」

 

 

悠人「どうって…どうしたんだ曜?」

 

 

曜「あっ!着いたよ!家」

 

 

悠人「ああ…」

 

 

悠人(明らかに誤魔化したよな…)

 

 

 

〜〜※※〜〜

 

 

梨子「出来たよー」

 

楓花「梨子ちゃんと一緒に作った特製焼きそばだよ!」

 

 

ルビィ「美味しそう!!」

 

 

花丸「食べていいずらか!?」ゴクリッ

 

 

楓花「梨子ちゃんは料理上手いから助かったよ〜〜!」

 

 

梨子「いえいえ楓花さんが上手いからですよ」テレテレ

 

 

楓花「またまた〜褒めても何も出ないよ〜」

 

 

楓花「手を合わせて、」

 

 

「「「いただきます!!!」」」

 

 

鞠莉「WOW!とっても味がグレイトね!」

 

 

果南「確かに美味しいねー」

 

 

千歌「梨子ちゃん美味しい!これならうちの旅館にも出せるね!」

 

 

梨子「旅館は流石に無理だと思うけど確かに美味しいね」

 

 

食事を済ました後

何故か姉貴と一緒に練習風景を見る事になりビシバシ指導された…(俺が)

 

 

楓花「ふう〜皆帰る時間だね〜」

 

 

ルビィ「楽しかった!また来るね!」

 

 

善子「楓花!また来てあげるわ!」

 

 

花丸「善子ちゃん何様ずら?」バシッ 

 

 

善子「痛っ!」

 

 

楓花「あはは、これからもみんな頑張ってね!私応援してるから!」

 

 

楓花「また来てね〜!!」バイバ-イ

 

 

「「バイバーイ!」」

 

 

 

〜〜※※〜〜

 

 

 

暫くしてから一通の電話

相手は姉貴

 

 

悠人「どうした?」

 

 

楓花「花丸ちゃん?がカーディガン忘れちゃってさ届けてくれない?」

 

 

悠人「わかった、じゃあ取りに行くから待ってて」

 

 

楓花「了解」

 

 

このカーディガンが

悲劇を招くとは知らずに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました!
梨子ちゃんの焼きそば食べて〜な…
では次回!


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4章、ココロ

1つ!
カギカッコの前の名前消しました!
その方が説得力あるので!です!


お待たせしました!
作者も待ってた!丸ちゃん!!


 

 

 

 

 

 

 

 

4章ココロ

 

 

 

 

 

 

 

「姉貴?どれ?」

 

「はい!これ花丸ちゃんによろしくね!」

 

「了解」

 

「あっ、悠?」

 

「どうした?」

 

「ううん何でも、気をつけて帰ってね!」

 

「じゃあまた来るよ」ノシ

 

(そういえば姉貴、何か言いたそうだったな…)

 

 

 

明日からはまた

練習があって

勉強があって

学校がある

 

そんな面倒くさいことこそ

大切にしなければいけないと俺は思う

 

言い訳を言えば

俺よりも頑張っている

Aquorsのメンバーに示しがつかない

俺を信じてくれているのだから

恩を仇で返す訳にはいかない

 

 

 

午後7時

当たりが少し暗くなり車もヘッドライトを点ける時間帯に差し込んだ

 

俺は丸の家に向かっていたこの時間は多分夜ご飯を食べている

相当な迷惑行為だとは分かっていたが渡さないといけないものだから現在山道を登っている

 

 

悠人「よく…こんな坂登れるな…体力凄いな…」ゼエゼエ

 

 

凄いのはお前の体力の無さである

 

死ぬような勢いで何とか登りきり

一軒のまるで城のようなでっかいお寺にたどり着いた

 

ピ---ンポ-ン

 

 

ガチャッ

 

 

 

「どちらさまずら?」

 

「お兄!どうしたずら?」

 

「これ、忘れ物」

と言いカーディガンを差し出す

 

「ありがとう!お兄!」

 

「そうだ!お礼に家に上がってよ!」

 

「いいよ!いいよ!忘れ物届けに来ただけだし!」

 

「いいや!だめずら!」

 

 

お互いの主張が喧嘩し、

言葉のドッチボールとなっていたものの、判定は丸に上がり

結局招き入れられる事になった

 

 

「お茶注いでくるからちょっと待ってて欲しいずら」

と言い、丸は台所に向かった

 

 

そもそもお寺とはいえ、こんな大きな家は緊張するし、プラス女の子の家なんてもう完全にゲームセットだ

 

 

「お待たせずら!丸の特製お茶!」

 

 

「ありがとう」

目の前のコップに手を伸ばした

 

 

丸はニタッと笑っている

よほどその特製に自信があったのだろうか?

 

 

「ありがとう!丸!美味しか・・・」

 

 

「!!!」

全身に眠気が襲った

疲れているという事もあるのだろうか?速効性があった

だんだん全身から力が抜けていく…

その時初めて"特製"の意味に気付いた

 

 

「おま…え、まさか…す…」

 

 

バタッ

 

 

 

 

俺の記憶が途絶えた………

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ここは!?どこだ?」

俺が目が覚めた時は既に移動されており、見た事もない場所で記憶も曖昧、

でも1つだけ分かっている事がある

 

 

「そうだ、丸にやられたんだ」

 

 

丸は、普通じゃなかったからこうなったのだが俺からは普通に見えたという事は人を騙すのが上手いという事になる、よって敵に回したら一番厄介だったかもしれない、まあ回してから言ってもどうしようも無いが…

 

「とりあえず逃げよう」

 

 

ジャラッ!!

 

 

「手錠!?」

左右の手に手錠が掛かっており、完全に固定されている状況で外そうと試みるが焼け石に水、外れるわけがない

 

 

「お兄、起きたずらか?」

背後に丸がいつの間にか立っていた

手錠を外すのにムキになり過ぎて周りが見えてなかった

 

 

「手錠って俺犯罪でもしたか?」

 

「いや!してないずら!」

 

「じゃあどうして手錠?」

 

「お兄は丸の物だから♪」

 

「は?」

 

「は?じゃないよ!お兄はこれから丸と一緒に暮らすんだよ♪」

 

「手足動かせない俺と暮らしてどうすんだよ…」

 

「手足動かせなかったら逃げられないずら!だからお兄が不自由ない生活が出来るように苦手なお料理も頑張っちゃうずら〜!」

 

(頑張る物違うだろ…)

 

「ここに居たらそのうち絶対誰か助けに来るぞ?」

 

「それなら・・・」

 

「コロス」

 

「!!!」

嘘であって欲しかった俺の心を現実に戻すかのようなその一言で確信した

丸はその気になれば人を殺してしまう事が出来るという事に

 

 

トキメキニシュルイガアルト〜

 

 

「全く!誰ずら?」

 

 

ー津島善子ー

 

 

「お兄、ここで待ってて欲しいずら♪」

 

「手錠ある事知ってんだろ…」

 

 

ピッ

 

 

「善子ちゃん?どうしたずら?」

 

「ズラ丸!聞きなさい!」

 

「あのね・・・・・・・」 

 

 

 

「さて、どうするか…」

 

且つ持ち物は没収されており、何にも無い事が分かった、という事は"逃げられない"とのメッセージとも取れる

、だがそういう訳にはいかない

 

「何としてもここから逃げてやる!」

心に強く決心し丸の帰りを待った

 

 

ピッ!

 

 

(あれは?果南さん…?)

部屋にある窓に果南さんが写る

 

 

「果南さん!果南さん!」

出したことも無い大声で俺は果南さんに向けて叫んだ

だが勿論届くはずもない

 

 

ドカッ!!

 

 

グハッ!

 

 

物凄い痛みが全身を駆け巡る

まるで鈍器で殴られたような痛み

 

 

「どうして他の女を呼ぶずら?」

 

「あ…たり…まえ…だ…」

殴ったのは丸

手には確かに鈍器があった

 

 

「そうか♪殺しちゃえば良いんだ!」

 

「大事なメンバーにそんな事言うな!!」

 

「大事?フフッ、笑わさないで欲しいずら、丸が大事なのはお兄だけ♪あいつらなんてどうでも良いずら」

 

「あいつら…だと?一緒にラブライブに向けて、みんなで目標を立てて頑張ってきたんじゃないのか!?」

 

 

殴られた事で喋りにくい事もあったが

初めてと言って良いだろう、こうして本音が出たのは

 

 

「丸がスクールアイドルを始めたのもお兄のお陰♪勇気が出せないオラの背中を押してくれたのもお兄のお陰♪全てお兄がいたからこそのオラずら♪」

 

「なら俺が今の丸の全てか…?」

 

 

「そうだよ!最近お兄千歌さん達の事で疲れてるんだよ、邪魔者は排除するだから丸と幸せにくr」

 

「断る」

 

「どうして!?丸なら幸せにでき

る!」

 

「お前は今幸せじゃない」

 

どこかでまだ信じていたのだろう

「丸の心には光が消えてない」という事に、だからこの話ができ、したんだと思う

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

それは俺が初めて丸と会った時のこと

 

 

「きゃっ!」バサバサ

 

「ごめんなさい!すぐに直します!」

 

その子は本を運んでおり俺がぶつかって落としてしまった

 

「ごめんなさい…オラが前見てないからこんな事に…」

 

「あっ!貴方国木田花丸さんですか?」

 

 

何故分かったかと言うかと、入学の時千歌が猛烈に推していたからだ

実際に会った事は無かったので一度会ってみたいとは思っていたが、まさかこんな所で会うとは・・・

 

 

「そうなんですか!あの人たちの!」

 

「本当あの時は千歌達がごめんね…」

 

「いえいえ!スクールアイドルにはルビィちゃんが興味ありますし!」

 

「ねっ!ルビィちゃん!」

 

 

図書室の奥の本棚から小柄なツインテールの子がオドオドしながら顔を出す

 

 

「あの子が黒澤ルビィさん?」

 

 

確か千歌はルビィという子も推していた、赤い髪のツインテールの子って言ってた確かにその通りだ

 

 

「そうずら!人見知りだけどアイドルが大好きなとても良い子ずら!」

 

「国木田さんはアイドル好きなんですか?」

 

「いえいえ、オラはあまり…」

 

 

ガララッ!!

 

「悠くん!練習行くよ!」

 

「曜悪い!今から行く!」

 

「練習頑張ってくださいね!」

 

「ありがとう!良ければ練習見にきてよ!」

 

「はい!」

 

「じゃあ!」タッタッタッ

 

 

ガララッ

 

 

「スクールアイドルか…」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「次の日から練習見にきてたよな?」

 

「あれはルビィちゃんが見に行きたいって言ったからだよ」

 

「俺は丸の事好きだぞ」

 

「そうずら!!丸もお兄好きずら!」

 

「でも俺の好きな丸はここにいない」

 

「意味がわからないずら!!」

 

「俺の好きな丸は何事にも一生懸命で、ちょっとドジな所があるがそれをカバーできる努力ができる丸だ!」

 

これは俺の心からの叫びだったのかもしれない

 

「そんなもの…丸には…」

 

 

「俺は知ってるぞ、何事も完璧にこなす曜達が目立つのは当たり前だが丸は休憩時間にもダンスの練習をしていた、一生懸命曜達に追いつこうとしていた、それが結果として出た時に一番喜んだのは他の誰でもない、丸お前だろ?」

 

 

「お前は確かに運動音痴かもしれない

だが、お前にだって誰にも負けない誇れる物があるじゃないか!それは努力する事の大切さだろ?」

 

「!!!!」

 

「また一からやり直さないか?失った物を取り戻すのはお前が必要だ!」

 

(何だろう…これ、途轍もなく不思議な感覚、今まで体験した事ない様な強いお兄の叫び、何だか心が軽くなっていくような…)

 

「良いの…?こんな丸で…?」

 

「こんな丸だから良いんじゃないか」

 

(お兄はいつだって優しく丸の事を迎えてくれた…だから今度は丸が支えないと!)

 

「ごめんずら…丸これからが…ん…ばる…」ボロボロ

 

「何泣いてんだよ!折角の可愛い顔が台無しだぞ」

 

最後まで強気で行こうと決めていたが

丸の泣き顔を見て俺も少し泣きそうになる、ようやく本物の丸が戻ってきて嬉しい半面これからと思うが今は嬉しいに身を任せよう

 

 

「お兄、ごめんずら」

 

以外と丸はあっさりしていた

まあそれが丸の良さではあるのだが

 

「何より俺の丸が戻ってきた事が嬉しいなー!」

 

「何言ってるずら!丸は誰のものでもないずら!」ポカポカ

 

 

この争いは俺から始まった事

当然俺が止める権利がある

そんな事とっくに分かっている

本音を言うと正直不安だ

でも俺は1人じゃない

これからに向けて

Aqoursに向けて

 

 

 

 

 

「0を1にするために進もう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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2話
5章、悪魔の囁き


2話突入しました!!
という事で人間が変わったように細かく書いてみようと思いました

※主は受験生です、三月まではマジで勉強します(多分)


「これ、持ち物ずら!」

 

「携帯壊されてなくて良かった…」

丸は没収した荷物をちゃんと全部返してくれた、何より嬉しかったのは丸の性格上なのか荷物を綺麗に整理しており、携帯おろかバックの中身まで整理されていた

 

時計のチャイムがなり、俺は上を見上げる、時計の針は8時30分くらいを指していた今日は中身がとても濃く1日丸々の感覚があったが時間を忘れるような緊張感が走っていた現場で時間を気にしている暇が無かったと言った方が良いだろうか?

 

「お兄、帰りどうするの?」

 

丸は心配そうにこちらを見つめる

 

「明日学校だしこのまま帰るよ!」

 

「本当にいいずらか…?」

さっきから丸の俺に対する対応が変わった気がする、少しは遠慮してくれているのだろうか?

 

「大丈夫!じゃあな!」

 

靴を履き玄関の扉を開けようと手を伸ばした、その時丸が震えた声で俺に問い掛ける

 

「Aqoursはどうなっちゃうのかな…」

 

丸はAqoursで居場所を見つけ、毎日がとても充実していた"Aqoursが無くなる"その言葉は丸の心の叫びのようにも聞こえた

 

「何言ってんだよ!無くなるわけないだろ?俺が何とかする!もし俺がピンチで立ち止まったら・・・」

 

俺は丸の肩に手を置き

 

「丸、助けてくれるよな?」

 

「もちろんずら!」

 

「よし!また明日な!」

 

「うん!頑張るずら!!」

 

丸のその目はあの頃の輝きが戻っていたように見えた、やっぱり丸はそうであってほしい、初めて会った時から光るものが俺には見えた、ようやく嘘じゃなく確信に変わった瞬間かもしれない

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「あっさだよーー!起きてーーー!」

 

この独特なアラーム音で目を覚ます

これは何かと言うと最近千歌が朝が弱い俺の為に作ってくれたらしい、確かに俺は朝が弱いが千歌よりかは100倍いや1000倍強い、自分の為に作れよって時々思ってしまうが、千歌曰く、それとこれとは違うらしい

 

「って!5時半じゃん!」

どうやらアラームを1時間早めに設定していた、この時一層自分が切羽詰まっているというのを再確認した

 

「見事眠気も覚めたし久しぶりにランニング行こうかな!」

 

最近本当に体力が低下しているのを日々感じる事が多くなり、終いには善子にも馬鹿にされる様になった、このままじゃ流石にマズイなって思ったから今日ランニングに行こうかなって思った訳なのである

 

目標は淡島神社にしよう、そこまで遠くも無いが問題はあの階段だ、日々トレーニングしているメンバーでも悲鳴をあげるぐらいだし俺は多分無理だな

 

「最初から決めてどうする!まだ勝負は付いていない!行くぞ!」

 

一体誰と勝負しているかは自分でもわからなかったが多分自分の弱気だろう

 

 

〜※〜

 

 

「はあ…はあ…着いた…」

 

勿論結果は分かってた、

何とか淡島神社の前の鳥居を所までは来れたがこれ以上は足が言う事を聞かない…素直にここまで頑張ってきた体を褒めたいそんな一心で俺はもう帰る気満々だった、と言うより帰ろう

 

ゆっくり体を上げて家に向けて歩き出そうとしたその時

 

「おーい!悠人ー!」

 

何処からか声が聞こえる

声が聞こえた方に振り向くと多分今一番見たくない人、いや、見てはいけない人を発見してしまった、"果南さん"だ…

 

淡島神社=ランニングコースみたいな方程式が果南さんにはあって、勿論此処に居るという事は最悪のケースに成りかねない

 

「逃げるしかない!」

 

逃げるのも相当体力を使うが淡島神社に登るよりかは何倍もマシだ

 

「ダッ!」

強く地面を蹴り家に向けてスタートした、だがとても無謀な事だ、果南さんの体力はAqoursの中でもトップクラスいや、比べる相手がいないぐらいだ

逃げ切るなんて至難の技って言葉で例えれないぐらいだ

 

「悠人どうして逃げるのかな?まあ良いや、ちょっと距離を伸ばそうかな」

 

数分走った所で果南さんが来てないか後ろを振り返る、案の定果南さんは後ろにいる、その差は段々縮まりつつある

 

「おーい!悠人!」「おーーい!」

 

俺は無視をしていた、

罪悪感が尋常じゃないぐらいあったが意味のない俺の主張を守る為には仕方ない事なのか?

 

「捕まえたー!どうして逃げたのかな?」

 

結局健闘虚しく捕まってしまった

まあ当然と言えば当然だが

果南さんの顔は笑っていたが目が笑ってなかった…一言で表すと、"怖い"

 

「ごめんなさい!」

俺は全て訳を話した

もう無駄に足掻くより素直に自供した方が早いと思ったからだ

 

「へー!そうなんだ!ランニングしてたんだ!偉いね〜じゃあもう少し距離を伸ばそうかー!」

 

また目が笑ってない

 

「そうだな〜淡島神社とかはどうかな?」

 

果南さんのその一言はまるで俺が常に監視されての上での話に聞こえた

 

「今日は…淡島神社の前で折り返して帰ろうかな〜って思ってたんです…」

 

渾身の力で放った嘘だったがどうやらバレバレだったらしく俺の考えは全部見通されていた

 

「悠人今日はよく頑張ったねー、まあ明日淡島神社の前で待ってるから一緒に登ろうか!」

 

今度は目も笑っていた、だがそのお陰で何とも断れない空気になっており、

結果明日も走る事になった

 

(今日は早く起きたからなのにな…)

 

俺の心の声は届かないようだ

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「疲れたー…」

 

ランニングから帰って来たクタクタな俺を待ちうける次の強敵は学校だ、

月曜日だし体は痛いし、とても憂鬱な気分だ…まあ現時点で1つ分かる事といえば、ランニングは行くんじゃなかったって事かな…

 

 

冬風が強く吹く歩道で俺は考え事をしながら歩いていた、今後のライブの事の事もあったがこれ以上にメンバーの事に付いて考えていた、今日はバスに乗らずに歩いて登校しているが、かれこれ一年近くしていない、余程繊細な考え事だったのだろう

 

 

「悠人さん!」

この前梨子にこう言う状況で考え事をして気付かなかったのを無視したと勘違いされ、滅茶苦茶怒られたのが鮮明に残っているから、人が呼んだら考え事をしてても出来るだけ問い掛けようと思っている

 

 

「おはようございます!ダイヤさん!今日は寒いですねー!」

 

「そうですわ!悠人さんも風邪にはくれぐれにも気を付けて下さい!」

 

 

こういう真面目な会話もいつまで出来るのだろうか…最近はそんな事ばかり考えている、疲れてんだろうな多分

 

 

「そういえば、悠人さんいつもバス登校ですわよね?今日はどういった理由で徒歩で学校へ?」

 

「ちょっと考え事をしてて少し頭を冷やしながらと思って今日は歩いて行こうかなって」

 

「抱え込むのはダメですわよ?私で良ければいつでも相談に乗りますわ!」

 

 

ダイヤさんはこう言ってくれている

流石生徒会長、とても親身になって話を聞いてくれている、俺には勿体無いぐらいの人だ、相談したいのは山々だが、丸のことを忘れてはならない

 

丸は俺が相談していたから逆に不信に陥っていると掴み行動に入った、こういう事は2度と起こって欲しくない、だが今のAqoursなら簡単に起こり得ること俺はそう考えている、だからこそ例えダイヤさんであろうと迂闊に話すわけにはいかない

 

「では!また練習で!」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

なんて良い人なんだろう…

心からそう思えた瞬間だった

 

 

ガララッ

 

 

「あっ!悠くん!おはよーー!」

 

「おはよ、千歌、曜、梨子」

最近本当に同じクラスといっても全然行動パターンが読めなくなってきた

俺の考えている常に上を越してくる

特に"曜"彼女は未知数、気を付けた方が良いと丸とも話していた

 

「うん?今、何て?」

 

「普通に挨拶したけど」

 

「あの事忘れてないよね〜?」

 

「ああ…あれか…」

 

完全に記憶の中から消えていた訳では無いが思い出したくも無かった、千歌の事だから忘れていると期待もしていたが、その願いは完全に消え去った

 

「ちゃん付けだよな?」

 

この一週間は絶対俺の一年になる完全に黒歴史になる、そんな予感が千歌の喋り方から伺わせた

 

「覚えてくれてたんだ!」

 

(覚えたと言うより思い出したんだよな…)

 

「一週間やれば良いんだろ…?」

 

「うん!悠くん!」

 

こうなってしまったのは、仕方ない

それなら開き直ってこれでもかって気持ちで一週間過ごそうと思う、

 

「そういえば梨子ちゃん歌詞は進んでる?」

 

「もう一押しって所かな?」

 

「文化祭ライブ楽しみだね!」

 

毎年恒例の文化祭が今年もあと二週間に迫っていた、去年は男子は俺だけという事もありとても気不味い空気の中で過ごしていたが今年はステージの裏に回るという事もあり、目立たないのは個人的にはとても嬉しい

 

「悠くんもステージに立てば良かったのにー!」

 

「いやいや、お前達のステージを俺が立って邪魔する訳にはいかないだろ?」

 

と言って真っ先に裏をすると言ったのは、最初からそれが狙いだった

自信満々に答えたが俺の考えは誰かに見破られているのだろうか…

 

 

〜※〜

 

 

 

キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン

 

 

「終わったー!お昼♪お昼♪」

 

「千歌ちゃんたら!教科書しまってから!?」

 

「梨子ちゃんの言う通りであります!」

 

3人はいつもこうして仲良く中庭で昼を食べる、流石幼馴染と言うだけある

梨子も幼馴染のように2人に馴染んでいるから、もう違和感はほとんどない

 

「悠くんもいくー?」

 

「いい、1人で食べる」

 

「えーどうして?一緒に食べようよ〜」

 

「1年生に用件を話さないといけないし、1人の方が落ち着くし」

 

1年生に話す事があったのが、何とかその場を立ち去った

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ねえねえ善子ちゃん」トントン

 

「何?ずら丸?今ヨハネは堕天で忙しいの、出来るだけ短くまとめて頂戴?」

 

「何で堕天してるずら?」

 

「これは神聖なる儀式なの、野蛮な人間が立ち寄ってはいけない世界、わかった?」

 

「ふーん、そんな事よりお兄来てるずら」

 

「げげっ!これは訳があるから儀式は中止!!」ダッダッ

 

「善子ちゃん、教室は走っちゃ・・」

 

ズド--ン!!

 

「言わんこっちゃないずら」

 

「悠!ヨハネの儀式を邪魔するとはいい度胸じゃない!」

 

さっき中止とか言ってたような…、そこは敢えて触れずに用件だけ話そう

 

「丸は居るな、ルビィも居るか?」

 

「このヨハネが有り難く頼みを聞いてあげるわ!感謝しなさい!」

 

善子たちのクラスを見回すと丸は発見出来たが、肝心のルビィが見当たらない姉のダイヤさんの所にでも行ってるのか、そんな事よりまずは伝える事が先だろう

 

 

「文化祭ライブの予定表、丸とルビィに渡しといて」

 

「だから!感謝しなさい!」

 

「それじゃあ善子、また放課後で」

 

「それじゃあってヨハネ!!」

 

 

 

「もう!悠はヨハネ邪魔ばっかりして!」

 

「善子ちゃん最近お兄の話多いずら、もしかして好きずらか?」

 

「す、す、好きなわけ無いでしょ?!このヨハネが人間風情に、こ、恋なんて!!する訳ないじゃ無い?!」

 

(動揺しすぎずら)

 

「まあ、それならいいずら、早くお弁当食べないと休憩終わっちゃうずら」

 

 

 

「梨子さんいいんですか…?」

 

「ええ、もちろん」

 

 

 

黒い2つの影が動き出す

 

 




2つの影が凄く気になる投稿者
2話はキリのいい所で終わらせる予定です

※もう一回設定を練り直すので遅れるかもです



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6章、一致団結

絵を描くのにハマってまして…
投稿が遅れました、ごめんなさい!
なるべく早く出します!


 

 

「やっぱりここだな…」

俺はいつもの定位置屋上にやってきた

ここから見える富士山とても綺麗だし

ここに居ると日々の辛さが吹き飛ぶような、そんな気するからいつもここで食べている

「おーい、悠人!」

この声朝も聞いた記憶がある、だから誰かは振り向かずに判断できた

 

「果南さん、どうしてここに?」

「鞠莉はダイヤとお昼を食べているから暇だったから来て見たんだ」

「それより、悠人はいつもここでお昼を食べてるの?」

「基本はここですね、此処に居ると何だか落ち着くんですよね、富士山が見えて、ここからでも大きく見える富士山を見てたら僕なんてちっぽけだなーって思ったりしてます(笑)」

「そうなんだー、私も一緒にお昼食べていいかな?」

「僕は全然構いませんよ!」

不要に近づくなと言ったばかりだったが、先輩だから断るのはとても失礼な事だから断ることが出来なかったが半分は歓迎していたかもしれない

 

「果南さんって本当に海の物好きですね〜」

弁当の中の具体的な物までは分からなかったが、魚や海藻などが入っていたのは俺でも分かった

「おっ!悠人も分かる?これはこの前海でね〜・・・」

また始まってしまった…始める原因を作ってしまったのは自分だが・・・

果南さんは海の事なら1で10どころか100ぐらい話せるぐらいとても海が好きなのだ、俺もそれぐらい話せる趣味が欲しい所だが…

ようやく熱が冷めて、長くて短い話が終わった、話が長くなるから結論を言おう、海はいいもんだ、だから今度一緒に海に潜ろうという事、こちらを結論を言うと誘ってくれるのはとても嬉しい事なのだが俺の体力を承知して言っての事だろうか、だったら言わないと思う、俺はコンビニで買ったパンを食べ終わり、午後の授業を受ける為に教室に戻ろうとする

 

「悠人!」

突然果南さんが慌ただしい声で話しかけて来た、慌ただしい果南さんなんてドクターイエローを見るぐらいとても珍しい事だ…

「ど、どうしました!?」

「文化祭お互い頑張ろうね!」

「当たり前です!ここに合わせて練習してきたんですから!」

果南さんは3年生で実質これが最後になる、気合が入るのも当然だろう

「ありがとう、そろそろ午後の授業始まるよ?早めに帰らないと」

「そうですね!お先に失礼します!」

俺は果南さんに向けて軽く一礼し、その場を去る

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「遅いよー!悠くん!」

「いやあ、すまん」

「千歌ちゃん!次体育だよ!早く出なきゃ悠人の迷惑になるよ?」

「そうだね!バイバイ悠くん!」

と言い千歌は梨子の方に駆けて行く

仲良く話す2人を曜が嫉妬するのも何となくわかる気がする、

「おい!悠人!」

クラスメート数人が話しかけてくる

「お前良いよな!高海、渡辺、桜内に好かれてるなんて!マジでお前人生の勝ち組だぜ!」

「いやいや、スクールアイドル部のマネージャーしてるってだけって」

この学校は最近共学になり、去年は男子は3人ぐらいしかいなかったから保健体育なんて出来なくて、相当苦労して苦い思い出しかないから今年は男子が二桁を行ったのはとても嬉しい事だ

 

「またまた久遠くんー!そんな事言って〜!好きなんだよね!?」

そう言えば最近そういう事も思った事も無いな…最近は勉強に部活が両立できている実感がある、その又でメンバーが更に激化してきた事に間違いは無いが…

「纏わりつかれるのも思っている以上に結構しんどいぞ?」

確かに可愛いとは思う、実際そうだし

でも纏わりつかれるとどんなに可愛い人だってメンド臭くなる、誰だってそういう事ぐらい大体予想が付くと思う

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

キ--ンコ--ンカ-ンコン

長いようで短い6時間が終わった

今日も散々振り回された記憶しか頭にない、だが余暇に使っている暇はない

俺はクリアファイルに入っている今後のスケジュール表を取り出して確認し行動を始める

「今日はミーティングだけか、」

Aqoursのメンバーみんなで決めた調整方法として、本番までの1週間は部室で軽いミーティングと決まっている

練習をせずに体力を温存し本番に最高の力を出すという考えなんだろう、と言うのもあるがもう1つを強いて言うならここ最近ハードな練習が続いているから体を休めるというのもあるだろう、いつもは1人で部室に行くのだが今日の昼の事もあるからたまには誘って行かないと思い千歌の机にピントを合わせるとどうやら千歌は机に座り曜と何かを話しているみたいだ、千歌がこちらを向くタイミングで手を1、2回折り2人を呼んだ

 

 

「どうしたの?悠くん?」

「たまには一緒に部室行こうかなーって…」

綿毛のように軽く言った言葉だが千歌達には象のように重く刺さったようだ

「本当!?早く一緒に行こう!」

ここで重要な事に気付く、梨子がいない事だ、どこに行ったのだろうか?

「梨子は?先生に呼ばれてるのか?」

「うーん、わからない…」

顔を見る限り隠しているようには見えない…これは本当に知らないみたいだ

梨子は先に部室に行ったのだろう、行動力がある梨子ならそれも充分ありえる事だから正直あんまり気にはならなかった

 

「そうか、多分梨子の事だから先に行ってんだろ?」

「そうだねー!とっても梨子ちゃん賢いから千歌達より先にいってるんだよ!」

「よく分かってんじゃん!その通り千歌よりは賢いぞ!」

「悠くん!ヒドイよ!」ポカポカ

 

梨子は多分何もかもとても高いレベルで話ができる反面隙が多い印象がある例えそう言う状況になっても、その隙に着け込めたらこちらがとても有利な状況に持ち込める

「早く行くぞー!早く行かないとダイヤさんにまた怒られるぞ!」

「待ってー!」

 

〜部室〜

「皆さん!残り1週間です!今日も基本ミーティングだけで調整をしようと思います!」

この調整はとても理になかっていてメンバーを大切にしているダイヤさんが率先して考えた調整法とわかるぐらいに精巧に考えられており、あと彼女のドルオタの要素もプラスしたら何処にも負けない様なスクールアイドルが出来ると思う

テーマは「早く正確に」

早くと言わんばかりに早い時は5分で終わる事もある、長い時はとことん長いが、それを含めて良い物は取り入れて、悪い物は省くという基本的なスタンスを取り入れる事で更に高めていけるんでは無いかという事でこのテーマに辿り着いた訳だ

 

〜※〜

「ではこれで終わります!」

これでミーティング終了=練習終了となる、物の数分で終わるのはまた自分達が何を求められているかを正確に正しく判断できたからからだと思っている、後1週間に迫った文化祭に向けて全体的に良い流れで行けているともう一度再確認できた

「こら!ずら丸!」

「ふふーん!善子ちゃーん!」

相変わらずの1年生組、ボケもツッコミも、もはや一流レベルこれはプロのレベルでも通用するかもしれない

「あっ!」

鞠莉さんのビックリしたような声が騒がしい部室を一掃する

「どうしました?鞠莉さん?」

どうやら次のライブの衣装のリボンがミスで1つ足りなかったらしい、一体がざわつく中でまず声を上げたのはダイヤさん

「ミスは私の責任ですわ、だから私がそのリボンが無い衣装を着ますわ」

こうなったのはまとめる立場にいた自分の責任だからミスの衣装を着ると言うのだ、確かにそういう選択もあるかもしれない、でも俺にそういう理論は通らない、1人だけ違う衣装を着るためにここまで頑張ってきたんじゃ無い

ステージに立ったからにはみんながセンターという言葉はμ'sの高坂穂乃果さんが言った言葉らしいがその通りだと思う、言葉は違えどみんなそう思ってるだろう

 

「ダイヤさん!」

俺は少し力が入っており強い言葉で言ってしまった、それが気持ちの表れだったのかも知れない

「何でしょう?」

「安心してください!ダイヤさんだけ、仲間外れにはしませんよ!僕にとっても貴方に取ってもみんなに取っても最高なステージにしましょうね!」

「と言うと?」

「リボンの1つぐらい一日あれば間に合いますよ!」

 

これは俺が一番と言っていいほどメンバー見ているからこそ自信を持って言える事だ

「ダイヤさん!貴方も大切なAqoursのメンバーですよ!飛びっきり大きなリボンを作って思いっきり目立つデザインにしますよ!覚悟しててくださいね…!」

千歌が話すと妙に説得力が高い、そりゃあそうだろう千歌がスクールアイドルを始めないとここまでこれて無かったんだから

全員が一致のムードになってるかと思えばそうでもなく…

 

「ごめんなさい!!」

突然今日一番の様な声で梨子が謝る

謝られる様な事はしてないと思うが…

「どうしたの?」

「今日は先に帰っていいですか?」

「もう、練習は終わってるから帰っても問題は無いよ」

「用事とかある人は先に帰っていいよ、残れる人だけで居残りで仕上げよっか!」

その後予定がある梨子、ルビィ、鞠莉さんが帰り、残りの6人だけで残って続きの作業を始める、基本的に衣装係の曜や、ダイヤさんが率先して行っている、意外な事に善子がとても器用でサクサクと作業を進めていく、能ある鷹は爪を隠すってこう言う事なのか納得した

 

「終わった!」

1日掛かるような作業を何と物の数分で終えた、やっぱり結束力を侮るなと言う事だろうか、

「皆さん!本当にありがとうございます!これで私も更に気合が入りました!」

衣装も揃い、ダンスも完璧と言える状態まで仕上がっていた、とても良いムードで文化祭を迎えられる、そんな気がしていた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「バイバーイ!」

 

メンバーと別れ俺は1人で帰宅しようと歩いていた、後少しに迫っている文化祭の為に今日は寄り道せずに家に帰ろう、決して毎日寄り道をしていると誤解しないでほしい・・・

 

「あら?今日はちゃんと帰るのね?」

 

背筋が凍る、さっきまで考えてた事を一瞬にして忘れ去られる様な途轍もない絶望感に襲われる、それは絶対にこの場に現れないと思っていたから…この声は・・・

 

 

ー桜内梨子ー

 




次の回は悠人君はお休みです!
たまには休みを頂かないと…ブラックです・・
カップリングの誰かでしょうね…
(ちかようか、ちかようか、ちかようですね)
次回お楽しみに!


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7章、それぞれの意思

まず大変連載が遅くなり申し訳ないです
入試とかと重なって書くペースが遅れました
人生で1番密集していた1週間でした
引き続き自分のペースで頑張りますので良ければご覧下さい


 

 

 

居残り組が帰路に着く中1人だけ騒ついた空気を見せていた人がいた、誰か異変には気付いていたかはどうかは分からないが既に物々しい空気が漂っていた

 

ブ-ブ-

ポケットが慌しく揺れた、恐らく電話だろう

 

「もしもし鞠莉さん?」

「ダイヤ?大事な話があるの、メールで地図を送るからそこへきてくれない?」

「分かりました」

 

電話を切り、フーッと一息深呼吸、落ち着いて推測すると2つの謎が浮かび上がる、予定がある鞠莉さんがどうして私に電話を掛けてきたのか、どうして送られた地図の場所が鞠莉さんの自宅では無いのかということ、鞠莉さんが掛けてきたのは結果論としてありがたい、こちらとしても話したい事があったから大まかに言うと予定とは違うこれからのAqoursの事、個人的な事では無く全体的な事という事

 

そんな事を考えているより目的地に遅れずに行かなければ行けない、いつも遅れるなと言っている自分が遅れたら示しに成らない、地図を見ながら目的地へと歩き出す

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「曜ちゃんと2人で帰るのは久しぶりだね!」

「そうだねー久しぶりだね!」

 

高海千歌と渡辺曜が2人で帰っている

梨子がこの学校に来てから、スクールアイドルになるまでで毎日と言っていいほど勧誘する為に一緒に帰ったり行動していてメンバーになってからも千歌、曜、梨子、の3人で行動をしているし勿論下校の際もだ、本当に久しぶり以外の言葉が出ない、

 

「いやー、今日も楽しかった!相変わらず悠くんが面白かったねー!悠くん6時間目にさー、シャーペン落としちゃってさ引っ掛けてこけちゃったじゃん!以外にドジな所があるんだなって思ったんだよ」

「最近本当に悠くんの事ばっかり話してるねー」

「ええっ?そうかな?」

と言いつつも自分では完全に分かりきっていた、嫌でも私に惹きつけるため

と言ったら正しいだろうか

 

「毎日、毎日、本当に多いよー」

しっかりしている曜でも、嫌になる程毎日毎日狂った人の様に悠くん、悠くん話しておりうんざりするのも仕方ない事だろう、

 

「はっきりと言うよ曜ちゃん、私悠くんの事好きなんだ」

 

「!!!!」

曜は恋愛感情で悠人を見てなかった、あくまでスクールアイドルとマネージャーの関係、だが最近はその垣根を越えて最近は好意もあったほどだ

 

「どんな事があっても…絶対」ボソッ

 

「千歌ちゃん?なんか言った?」

「いや!何も言ってないよ!」

「千歌ちゃん!応援してるよ!良いカップルになれるといいね!」

「ありがとう!・・あっ!家まで競争だあーっ!」

 

「ははは…待ってよー」

 

 

ーー※ーー

 

 

「はあ…遅いですわね…」

ダイヤさんは物々文句を言いながら指定されたとても賑やかな公園で待っていた、もうこの方10分以上待っている、夕方という事もあり黒澤家は門限が厳しくそろそろ帰らないといけない時刻まで来ていた

あともう少し待って来なかったら諦めて帰ろうと考え始めたその時

 

「Hello!ダイヤ!」

「いつまで待たせるのですか?来るなら早くし『ダイヤ行くよ!』」

「人の話を聞きなさい!!」

 

鞠莉さんに為すすべないままダイヤさんは迎えの車に誘導される、車の中で話そうと言う事、結局ダイヤさんは鞠莉さんに振り回されっぱなし、いつもの事に変わりは無いが今は物凄く機嫌が悪くそれどころではない

 

「で?用件とは?」

「えっ?何の事かしらー?」

「とぼけないで頂けますか??」ゴゴゴ

「sorry!冗談よーっ!ダイヤムキになってどうしたのー?可愛いお顔が台無しよー!」

 

話どうこうよりもまずは、可愛いお顔を台無しにしたのは誰かという事に気付いた方が良いと思う、だが逆に気付けるのであれば鞠莉さんではないと言う事は誰でも分かっている事なのだ

 

「で?真面目に用件とは?」

「これからのAqoursの事、はっきり言ってダイヤはどうしたいの?」

「私もそれで話したい所ですわ」

 

それで鞠莉さんダイヤさんは2人でこれからのAqoursの事についての事について真面目に話した、お互い3年生という立場だからこそ分かる事があり共感したり反論したりと出来る時間ももう残り少ないと考えていたからこそ真面目に全員で話し合いをしないといけないとは分かっていたが、あの状態じゃ逆に制裁を買うだけ、それは頭の切れも良く尚且つ秀才のダイヤさんだからこそ判断出来たことではないだろうか

 

あの人の名前が出る事はお互い予想は出来ていたが話をしているうちに想定していた以上にメンバーは回りが見えていないという事に気づく、と言うより悠人しか見てないと言った方が正しい、彼女達の頭の中は"悠くんが""悠くんは"といった完全自分は悠人の為にいるといった感じのオーラがあるのでいつどんな言葉で逆燐に触れるか分からないので若干牽制していたのは確かであるが…

 

「Aqoursには悠人が必要だと私は思うの、マネージャーとして、大事なメンバーとしてとても大切な役割を果たしてくれてるわ、悠人自身がどう思っているかはよく分からないけど悠人は私達の目標地点でもあるし、励みでもあるの」

 

「鞠莉さんの言う事も分かります、ですが悠人さんは最近頑張り過ぎです、最近は特に、文化祭があって立て込んでいたのは分かります、ですが悠人さんも人間なのです、無理させて万が一の時になった時私達では対応しきれません」

 

勿論ダイヤさんは鞠莉さんと同じ意見なのだが彼も1人の人間なのだ、悠人がメンバーに迷惑を掛けまいといつも1人で抱え込むのを嫌になる程見ていたからこその判断、苦渋の決断ではあったがこれがメンバーにとっても悠人にとっても次に進む為に必要と判断した事だから後悔はしなかった

 

「例え鞠莉さんが同意しなくても私はこの決断で間違えは無いと考えています、万が一の時になってしまったらスクールアイドルAqoursとしての信用度どころか学校の信用度が失われてしまい私達の目標学校存続も実現出来ません、私はこの判断は最適だと思います」

 

ダイヤさん悠人が居た方がプラスになる事ぐらいとっくに分かりきっていた逆にだからこそと言うのもある、この状況を深く考えているのは悠人だけではない、ハッキリは分からないが少なくともチームリーダーのダイヤさんは深く考えているのだ、だからこそ今日話したかったというのもあるし、尚且つ了承を得て貰うために鞠莉さんと話したかったという事、

 

「私1人じゃどうする事にも出来ないこれは皆んなで考える事だと思うわまた明日話しましょう?」

 

「そうですわね私達では決める事ではありませんわねまた明日皆んなで話しましょう」

 

鞠莉さん達を乗せた黒塗りの高級車がホテルの様な豪邸の前に止まった

 

「着きましたよ、お嬢様」

「ありがとう、ダイヤまた明日ね」

「鞠莉さんもお連れの方もこちらこそありがとうございます」

 

そうして深く一礼した後ダイヤさんは黒澤邸へと帰っていく

 

〜※〜

 

鞠莉達が真面目に話し合っていた頃

こちらも違う事で真面目に話していた

 

「それでね…///」

「所謂お兄の事が好きずらね?」

「馬鹿っ!恥ずかしいから大声で言うな!///」

 

どうやら真面目な恋の相談らしい、「人間風情に恋なんてする訳ない」と言っていた善子ちゃんが人間に恋をするなんて槍でも降るだろうか?魔法陣を唱える時ぐらいに真剣な目をしているから本気みたいだ、どうして丸に相談したかと言うとルビィだったら馬鹿にされると思ったらしいかららしい

という訳で今に至っている訳なのだ

 

「ずら丸はどう思うの!?」

「良いんじゃないずら?善子ちゃんリア中?になりたいずらよね、なら丸は応援するずら!」

「リア中じゃない!リア充ね!ってどうすれば良いのよ、悠と仲が良いでしょ?だからずら丸に聞いてるの!」

「うーん?お兄は何でも喜ぶずら、善子ちゃんなりのサプライズで喜ばせてあげたら良いずら」

「じゃあずら丸手伝ってくれない?作戦はこうよ!」ゴニョゴニョ

「ふむふむ…名案ずら!流石善子ちゃんずらー!」

「善子じゃなくてヨハネ!そんな事よりこの作戦は成功しそうだわ!名付けて「悠人こっち向いて作戦!」」

「おおっ!これは期待できるずら!善子ちゃんがリア中になれるように丸も頑張るずら!!」

善子ちゃんがこんなに人を好きになるなんて事無かったからとても不思議な気持ちなのだが一方で親友として応援したい気持ちが高まっていた、やるからには成功してほしい、その願いは善子ちゃんだけじゃない自分も悠人が好きだったからこそ絶対善子ちゃんには成功してほしいと思っていた、

 

「作戦実行はは次の週末よ!それまでに計画を立てて作戦にするわよ!」

「おおっ!ずら!」

 

 

〜※〜

 

「ハックション!風邪でも引いたかな…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
次は多分文化祭か、梨子悠人の絡みですかね?
描いてみないと分からないですね!
またご覧下さい!


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8章、堕天使から天使へ

1週間に一回投稿を目指してたのも遅れてしまい、、
やばいです…本当に


気を取り直して!
今回は梨子ちゃん編、ヤンデレ梨子ちゃん可能性の塊!
それではどうぞ!



「梨子…!どうしてここに…?予定があるんじゃなかったのか!?」

 

 

予定があると抜けた梨子が今ここに居るといるという事は頭のどの部分にも入ってなくパターン外、梨子の予定といったら数時間数日かかる物が殆ど居残りだって1時間も掛かっていないし梨子がここにいると言うこと自体がどうしても計算に合わない

 

 

「私は予定なんて一言も言ってないわよ?悠人がそうやって解釈しただけじゃない?」

 

落ち着いて振り返ると梨子の言う通りだ、帰るとは言ったが決して予定が有ると一言も話していない、この今の状況を作ったのは予定が有ると勝手な解釈を取った自分が悪いと言うことになる、近づいたら引き引いたら近づくと言った感じの有る程度一定の距離を保ちながらお互い次に出る言葉を待っていた、先に均衡を破ったのは悠人の方

 

 

「それで俺に何の用だ?なるべく早くしてくれ、明日は文化祭だから予定を整理するとともに体を休めたいんだ」

 

 

何か不気味な物を察知したがそれは自分が疲れているのかの一言で済ました部分が有り、少し油断していると共に心身ともに疲れが見えていた分、いつもと比べにならないぐらい隙が見えていた

 

 

「へー、悠人文化祭出ようと思ってるんだってールビィちゃん!」

「ル、ルビィ!?」

 

慌てて体を音速の様に素早く回転させて後ろを振り向くが後ろにはルビィはいない

 

 

「フフッ、本当に悠人って可愛い♪益々私の悠人にしたくなった♪」

 

 

一瞬全身がゾッと震えた、梨子もいずれこうなる事は分かっていたがまさかこんなに早くとは思わなかったのが本心だ、

 

俺は自分よりメンバーが先と言うスタンスがありそれは言わなくても分かるぐらい行動で現れていた、意識しなくてもメンバー中心に体が動くと言うか体が覚えていた、さっきのルビィと言われて瞬時に振り向いたのがいい例だろう、この様な緊迫した状況的にはとても不利とも取られるがそれをどう生かすかは悠人の対応次第で大きく変わってくるだろう

 

 

「私からの用件は悠人をある場所に連れて行きたかったという事よ、勿論付いてきてくれるよね、」

「ああ、構わない」

 

嫌な予感しかなかったが此処で逃げてしまったら絶対いい方向には進まない

助かる物も助からない、助けると決めた以上「逃げ」という選択肢は存在しない、そう心に誓い行動している訳だから1つ無駄な動作を起こす事で全てが水に流れる様な繊細な状況になっている、とっさに出た言葉だが思うと最善の判断だったかもしれない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?あれは…?」

1人の少女が見ていたのを悠人は気付いていたのだろうか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

梨子の背後を追いながら歩くこと何十分一軒の一般的な一軒家に着いた、多分此処は梨子の家だろう、行ったことは無いが隣に大きな旅館すなわち千歌の家がある事は前千歌から聞いた事があるから此処が梨子の家だと判断できた

 

 

 

「さあ、入って?」

梨子はそう言って自分の家のドアを開け悠人を招待するように左手でドアを支える形で悠人を家に入れた

 

 

 

「お邪魔します」

どうやら今は母親は用事で1週間いないらしい、という事は1週間あるという事は行動に移すには持ってこい最悪の事態も想定できる、今は家という密室の中で梨子と悠人の2人だけになる不信感が漂う中で梨子が進んだ先は勿論自分の部屋だった

 

 

「ここで話したい事があるの…、」

いつも通りと判断した俺の脳は果たして正常かはさて置き本題の梨子の話に戻らないといけない、集中して抜け目のない様に聞かなければ話を逃してこれ以上状態を悪化させる訳にはいかない

 

 

「どうした?」

「作曲の所でピンと来ない所があるの、少し手伝ってくれない?」

「全然構わない、どこだ?」

 

一触即発のこの状況でこの事とは正直想定外すぎる、会った時の人が変わった様な態度からいつもの梨子らしい真面目な少女の対応に一瞬で変化したのは思った以上の変化球だ、頭の中の整理が付かない中でとにかく今は梨子の作曲が最優先だろう

 

「これでいいか?」

「うん、悠人ありがとう」

「これぐらいお安い御用さ、またいつでも言ってくれ」

 

 

〜※〜

 

 

「用事はこれだけか?」

「基本的には…これだけかな、でも・・・」

「でも?何かあるか?」

「ちょっとね、私だけのちょっとした悩みかな、」

「それは話せる悩みか?」

 

悩みを親身になって話してもらえる様になるのが自分としてのマネージャーの理想像、仲間のピンチは助けなければならないそれが助けを求めている仲間からの使命でもあるのだから

 

「少し相談に乗ってくれる?」

「ああ、俺で良ければ何でも話してくれ」

「ありがとう、じゃあ少し話すわ」

 

梨子の悩みは一言で語れるような事ではない、昔から続けているピアノとスクールアイドルの両立が厳しい中で自分にムチを打って頑張ってくれているAqoursの為に梨子がどれだけ頑張っていたかを聞くと心が痛いが少し自分の今の状況と似た所があり共感ができる部分が多々ある

 

「それで私なりに考えたんだ、そしたら1つの答えが出たんだ…」

「それは、悠人、あなたよ」

 

 

ドサッ

 

「うわっ!!どうしたんだ!?梨子??!」

 

 

梨子が俺を押し倒す体制に入る

俺の必死に抵抗する声は全く聞こえていない、それは完全に梨子自身が俺の抵抗をまるで練習したかのように抵抗をすんなり回避している、確かに俺は体力が無いことは特技と言っていい程自信のある事なのだが相手は梨子、曜や果南さんではないし梨子も運動も学年では普通並み体力も比較的低め、何しろここは男と女の差なのだ、これぐらい何とかしないとその一心で何とか抵抗していた

 

「悠人、どうして抵抗するの?」

「あ…たり前だ!自分がお前何しているのか分かってるのか!?」

 

首には手は掛かっていないが万が一になってしまったら笑い事ではない採算が付かない状況で逆に冷静に押し倒せている梨子の脳内を見たいぐらいだ

 

 

「大人しくしてくれないとお仕置きしちゃうよ♪」

「お仕置きだと…?」

 

明らかに声のイントネーションが違っていた=監禁の方程式が完成された

"逃げなければいけない"

はっきり見えた今の最終地点

だが一歩、たった一歩届かなかった

 

 

 

 

 

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

 

(また振り出しかよ…)

 

バタッ

 

目の前と目先が真っ暗になった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プルルルルルル

 

「早く出なさいよ!一体何してんのよ!」グダグダ

 

ピッ

 

「m「もしもし!?」」

 

 

「うわっ!!びっくりした!どうしたの?ヨハネちゃん?」

 

 

「いいから!早く!さっさとメモを取りなさい!」

 

 

「わ、分かった…!少し待ってて…!」

 

 

この瞬間脳内に浮かんだ2つの見解

とても喜ばしい様子ととても悲しい絶望的な様子、電話口の喋り方からでも判断出来るぐらいの切迫して緊張している様子だったのは何となく分かっていた、よって喜ばしいの選択肢は無しが最適な答えとなるだろう

 

 

「今なんて!?嘘じゃないの!?」

 

「こんな状況に嘘言えるほど余裕は無いわよ…!」

 

「分かった!今何処にいる!?」

 

「移動しているから、沼津駅で待ち合わせするわよ!絶対来るのよ!!」

 

 

電話と共にフライングしていた体を一気に沼津駅に目標を定め駐車場に止まっている車に乗り込み車を目標地点へと走り出す「待ってて…悠人!」この一言、今は邪念など無く悠人を助ける事だけに集中して頭をフル回転させ物事を整理し最善の方向へと進む為に車を運動しながら考える並列思考をしている、器用なことが出来ないとか今はそう言う事ではない「助けるか」「助けないか」の二択しか無い、これは姉弟を越えたみんなの悠人を助ける、それぐらいの意識で挑まないと負ける、そんな気がするぐらい険悪なムードが楓花の中には流れていた

 

 

「渋滞か…遅れるかもな、」

 

 

何かを変えなければネガテイブな発想を振り切ろうとふと外を見た

 

 

「あれって、確か…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさかリリーが悠人をさらうとは思わなかったわ…」

 

 

 

善子だって何も考えてなかったわけではない、だんだん変わって行くメンバーの姿を見てきているわけだから当然梨子の行動範囲も大体予測が付いていた、だが善子も何かが引っかかる物が

合ったこそ楓花を呼んで真相を確かめたかった、頼れる人として

 

 

(いや、待てヨハネ!ここで悠人をリリーから救い、更にリリーを正常にすれば悠人の好感度が上がりリリーも助けれる!一石二鳥じゃない!)

 

 

 

こんな時でも冷静に物事を判断できる力を持っている事や何事にも動じない強い意志が持てるのは純粋に善子の良さだと思うが彼女はそれを頑なに否定する、堕天使キャラ名乗るよりかはよっぽど誇れる事だと思うんだけどな…

 

「よし!堕天使ヨハネが2人のリトルデーモンを助けに行くから待ってなさい!」

 

 

善子は果たして人間風情から堕天使となれるのか…?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ブブ--

 

バタン!

 

「ごめん!待った?」

 

「このヨハネを待たすなんて良い度胸してるわね?」

 

「ヨハネちゃん!車に乗って!早く行くよ!」

 

「って!無視するな!ちょっと待ちなさいー!」

 

 

 

 

「で!ヨハネちゃん!何処に行けば良いの?」

 

 

大急ぎだった為もあるか今ひとつ状況を整理できない中で善子を頼るのも仕方なかった

 

 

「悠人は梨子ちゃんにさらわれていったんだね?」

 

「そうみたいね、さっきたまたま見つけて追ってみたら自宅に入っていったからね」

 

「全く!高校生にもなって何しているんだよね!悠人なんかよりもっと良い人はいっぱい居るし!梨子ちゃんも見る目がないねー」

 

「そ、そんな事ないわよ…?悠人は楓花が思っている以上良い所あるわよ?」

 

 

悠人が好きな善子にとって楓花の発言は煽られているようにしか聞こえなかった

 

 

「どうしたのヨハネちゃん?まさか!悠人が好きとか!?」

 

「バカッ!そ、そのまさかよ!////」

 

「じゃあここでヨハネちゃんが悠人を助けて好感度を上げたら…!」

 

 

どうやら楓花も喜子も考える事は一緒らしい、時が経つにつれ落ち着いて物事を整理でき楓花は不安な気持ちが先走っているのは事実だが心の何処かに「悠人ならなんとかする」「なんとかなる」と考えていた所があり一秒でも早くと言うのは特になく、余裕が出ていたのも事実だ

 

 

「悠人ずるいなー!こんなに可愛いヨハネちゃんが彼女になるのか〜!」

 

「か、可愛いって…!茶化さないでよ!///」

 

「ええっ?事実を言っただけだよー!だってヨハネちゃんめちゃくちゃ可愛いじゃん!」

 

「ううっ…///」

 

 

みるみる内に顔が赤くなっていく、堕天使語ってても結局は普通のか弱い女の子、恋愛の話になると表情が変わるのは善子が普通になりたいと言う気持ちが強く出たからこその瞬間であった

 

 

「そこ!右に曲がって!」

 

「はいよー!あと何分ぐらい?」

 

「うーん、10分ぐらいよ!」

 

 

目的地まで車を走らせる、楓花と善子で果たして何処へと向かっているのか…?そして悠人の安否は!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか?
梨子ちゃんに束縛…!良いですねー、
楓花さんみたいなお姉さん欲しい
次は誰が動くのかは作者が一番楽しみにしてます!
早く書こう!
ではみなさんまた次の回で!


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9章、新しい人格

最近暇なんで比較的早く投稿できて満足感でいっぱいです!
ふと書こうと思ったSSですがもう9章まで行ったのか…
少し終わりに近づく寂しさも感じている投稿者です

梨子ちゃんをメインに全体的に…!

※お知らせというか伝えたい事があるので最後まで読んで頂けると嬉しいです!


 

 

 

「痛たた…」

 

気がつくと俺はベッドの上にいた、この光景は初めてではないしもう慣れたと感知している、首にまだ痛みが残っておりスタンガンだろうか?強い衝激が加わった所までは覚えているがその先がどうも思い出せない、梨子がスタンガンを持っているのは信じられないが何が起こっても現実を受け止め進まなければならない、

 

 

「勿論手錠も足錠もついてるよな…」

 

 

丸の時は手錠だけだったのもあり自らの脱出は無理がありそうだ、これは助けが来るまで仕方ないが待たないと難しそうだ

 

 

「」パシン!

 

 

「痛っ!!」

誰かが俺の頬を思いっきり叩く、完全に油断していただけに痛さはいつもの2倍から3倍にも思えた

 

 

「梨子!どうしてぶつんだ!?」

 

「貴方がいけないのよ?悠人?」

 

「いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも!!!千歌ちゃんや曜ちゃんにデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレデレして!!気に触るのよ!」

 

「悠人にお仕置きしただけよ♪これで私の悠人に戻ったわね♪」

 

 

 

期待を見事に裏切られてしまった、周りが見れば最悪になる事態ぐらい読めていた人もいるかもだが俺はどこかで梨子は絶対にこんな事しないと心が少し期待していた部分が返って梨子を助ける形となってしまった、悠人が思っている以上の以上梨子に当時のような"純粋"の二文字は微塵も無かった

 

さて、どうしようか…今の梨子はいつもの更に考えている事が分からない、

いつもなら顔に表情が出るのだがそういった隙も一切見せない、もはや計算されたロボットの様、全てが完璧にこなし、まさに手の付けようがない天才型、相手は本気と再確認させられたと言うものもあるが逆を取れば逃げられないから諦めろとも考えられる、

 

「じゃあ、俺がここに一生居ろと?」

 

「そうね〜基本的にはそういう事かしら」

 

「じゃあ勿論NOだ」

 

「フフッ、悠人らしい♪それでこそ私の悠人よ」

 

 

 

決戦の火蓋は切られたばかりだ

 

 

〜〜※※〜〜

 

 

 

トントン

「失礼しまーす」

私達は厚いドアを二回叩き「どうぞ」を確認し中へ入っていく

 

 

「あら!善子達シャイニー!」

この独特な挨拶でだいたい推測が付くだろう、ここは理事長室そして生徒兼理事長の小原鞠莉の部屋

 

「ちょっと、1つ良いかしら?」

善子が話を切り出す

 

「この学校に空いてる部屋って無いかしら?」

 

「どうしてかしら?」

急にスイッチを入れ真面目に話を聞き出した、鞠莉も少し不信感を察したみたいだ

 

「集中して物事を進めたくてね」

 

「分かった、少し待ってて確認してみるわ」

 

 

机に無造作に散らばった書類を整理しながら浦の星女学院の校舎のマップを見ている、善子や楓花が見ているのはそこでない、無造作に散らばった書類だ、「理事長がこれで大丈夫なのか?」と2人どころか見た人みんなが思ってしまうのも仕方ないぐらいそれぐらい酷い、書類の整理中だったとしたらまだ言い訳が出来るがこれが通常だとしたら言葉も出ない、そこは流石小原家少々お金に物を言わせている所がある

 

「ええっと…2回の2-1の隣の物置があるわね、良ければ使っても構わないわ、あとこれ鍵ね」

 

「鞠莉ありがとう、少し使わしてもらうわ」

 

ガチャッ

〜※〜

 

「2-1ここかしら、」

善子達は2-1の教室の前に来ていた、手にしているマップを見る限りここが2-1なのは確かだ、

 

「入るわよ?楓花」

 

「う、うん…いいよ!」

気分が乗らないのも仕方ない、問題はこの状況を理事長が把握しているかどうか、把握していると何かと手が打ちやすく行動にも写しやすい上に相手は理事長、学校の事は善子ちゃんや私と比べ物にはならないぐらい知っているはず、見た目は普通の教室だが通常の何倍よりも注意が必要となる

 

鍵を解除し、引き戸に手を掛け教室へと入っていく

 

「ケホッ、埃だらけじゃない、」

 

「仕方ないね、当分使ってないって言ってたからねー、適当にスペースを作って使おうか」

 

 

適当に机を避けスペースを作って簡易用の作戦会議の会場を作った、予定ではお互いに案を言っていくのだが、楓花も善子も似た様な意見しか出ず、もう1つと言ったとこ、猪突猛進の似た結論が2人が考えても同じ意見しか出ないと辿り着いた結果、「進むしかない」と結論出た、考えるより感じろの様に2人にとってはこの策は最善なのかもしれない

 

 

「ええっ!結論よ!突撃するわよ!」

 

「了解であります!ヨハネ隊長!」

 

 

それにしてもこの2人はいろんな意味で最強かも知れない、絵の具の黒の様にどんな色にも負けないとは違うタイプで二人三脚で互いを尊重し初めて経験が生きると言ったまさに理想像の姿

 

「リリーの家に行くぞー!」

 

「GO!!」

 

 

 

「フフッ、流石善子ちゃんだね、動きがワンパターンすぎるよ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千歌ー!少し買い出しに行ってくれない?」

 

「美渡姉、自分で行けば?」

 

「まあ…自分で行くよ…!」

 

「行ってらっしゃーい」

 

美渡姉を見送った後台本通りに立ち上がりどこかへ足を運ぶ

 

向かったのはベランダ

 

「さーて、梨子ちゃんは私の悠くんに何をするかなー!」

 

千歌はベランダに仕掛けたカメラを確認する、カメラは超小型で他人では絶対気付かないどころか本人ですら忘れてしまうぐらい小さいのだ、だから当然相手にバレる訳も無く行動を観察できる、梨子の行動で悠人にとっての良し悪しを判断できるかつ自分が被害を受けずに悠人を自分の物に出来る、頭の中でこれ以上無いぐらいに計画が完璧に進んでいるのだ

 

「あーあ、ぶっちゃったよ、これは梨子ちゃんお仕置き決定だね」

 

 

純粋なんて馬鹿らしい、今の千歌の心情はそんな感じだろう、例えメンバーが犠牲になっても悠人が助かれば大丈夫、Aqours冴えもどうでも良いと言ってしまうぐらい精神が悠人一心に傾いている

 

 

「流石に悠くんがいるところだとマズイし、放課後梨子ちゃんを呼んでしようかなー」

 

 

次々と発想が生まれていく、これが今の現状、何をしても悠人先行の考え方になっている、そりゃあAqoursも手につく訳がない、メンバーを嘲笑う千歌の姿は純粋なんて微塵も感じられない、今の姿から一番遠い物だと行っても過言では無いぐらいに

 

 

「まあ…悠くんに上手取られない様に頑張りなよー梨子ちゃん、」

 

 

 

 

 

 

 

コンコン

「失礼します」

 

「あら、ダイヤ!珍しいじゃない!こんな時間にどうしたの?」

 

「少しお時間よろしいですか?話したい事がありますの」

 

「休憩していたから大丈夫よ!」

 

 

鞠莉さんと話すのはもうこれで何度目だろうか、ここは特にそうだ、私もどうして鞠莉さんなのだろう…果南さんでも良いはずなのだがその理由がよく分からない、偶々そこに鞠莉さんがいるからなんだろうか…

 

 

「この前話した悠人さんの事覚えてらっしゃいますか?」

 

「おーイエス!」

 

 

「明日の文化祭が終了次第状況を一旦落ち着かせて悠人さんにも伝えましょう、悠人さんならきっと分かってくれます」

 

「そうね、悠人もそれが最適だろうし!」

 

 

でもここで1つ気になる事がある、ダイヤが何故そこまで悠人を休ませたいのか、確かに無理してこれまでを崩してしまっては元も子もないが昔のダイヤなら休むという判断を取らず本人と話して判断をすると行った行動を取るだけに疑問が残る、状態が悪く切羽詰まった状況ダイヤ自体色んなものを掛け持ち厳しいの中の最短のルートなのだろうか、

 

 

「鞠莉さん、ルビィ知らないですか?お母様がまだ帰ってないと先程電話が掛かってきましたの」

 

「知らないわね〜花丸や善子と一緒にいるんじゃないの?」

 

「ですがもう門限の6時を過ぎましたし…そろそろ帰っても良いのですが…・・・はっ!もしや誘拐犯に…!」

 

「ダイヤ考え過ぎよ!ルビィはそのうち帰ってくるよ!」

 

 

鞠莉さんの言う通りだ、ルビィは少し内気で自分の意見を通せない所はあるもののスイッチが入れば物言いは姉にも負けないぐらいの強さは持っている

その強さを生かせれば弱気の性格を克服できるぐらいのポテンシャルは持っていると思う、

 

「そうですわね、すぐ帰ってきますわよね!」

 

「ダイヤ?たまには一緒に帰らない?」

 

「構いませんよ、では支度をしなければ行けませんね、準備をしてきますわ」

 

 

 

 

 

(あれは幻想じゃない、私はそこまで疲れてないし悪い夢を見ているわけでも無い、確かにあれははっきりこの目で見たんだ、)

 

「楓花!進まないと!車詰まってるわよ!」

 

「あっ!ごめん…進むね」

 

(どうしたのかしら…楓花)

 

 

 

「暇だなー…」

あの後梨子は買い物に出かけると言い

出て行って30分くらいだっただろうか、時間を確認できるものどころかティッシュの一枚も置いていない、絶望的な状況だが逃げない訳にはいかない

どうにかして手錠を解除しなければ、

だがこう言う知識は全くと言っていいほどない、自分が必要無いと認識していた部類の事だから興味すら湧かなかったのがこういう時に仇になって帰ってくるのに後悔してしまう

 

 

何か解決策は無いかと周りをキョロキョロと見回が周りには俺の写真が一面に貼られているスペースがあるだけ、私は悠人を愛しているの意思表示だろうか、後にベッドにも俺の写真が数枚貼ってあるのを発見する

 

「写真か、ダメだな…・・・いや!待て!」

ここで1つ思い浮かぶ、当分前にクラスメイトがミリタリー部類にハマっていて勢いで俺にも話してきた事だ、

その中に手錠や足錠に関する事があったのを思い出した、深くは聞いていなかったのだが相手が伝えたい部分だけはゴリ押ししていて嫌々記憶に残っていた部分がある、その中で手錠の解き方について考えさせられた事があり、それが今役に立つかもしれない、外れてくれと祈りながら頭を一捻り二捻りし昔の記憶を蘇らせる

 

「確か…こうだったっけ…・・・よし!外れた!」

 

 

 

結果から言おう、外れた

手錠と書くと手堅いイメージがあるが実際は歯車状のギザギザが溝に引っかかって抜けない様になっているだけ、

となるとギザギザを溝に引っかからさずに抵抗を無くせば滑り外れる、そこで写真を適当なサイズにちぎり手錠のギザギザが入る所に上手くスライドして投入する事で抵抗を無くし外すと言った手だ、実際俺もこれを考えた時は天才かと思ってしまったぐらい合理的な脱出方法、その後聞くと本当にどうやら実行してはいけないぐらい凄い技らしい、まさかこんな所で役に立つとは思わなかったが、神様もまだ俺を見放していないと思えた瞬間であった

 

 

 

これと同じ様に左手、右足、左足と解除していき、ようやく解放されたと言いたい所だがまだこれからだ、大切なのはここから、どうやってここを抜け出す方法を考えなければ意味がないし手錠を外した意味がない、一階に行ってしまうと梨子と鉢合わせしてしまう可能性だってある、タイミングを見計らって一手先手を打たないと万能天才型梨子には勝てない

 

 

 

ここでまた1つ浮かぶ、この案が名案になれば本当に俺は天才かもしれない

写真を紙飛行機にし隣の旅館=千歌の家に飛ばすのだ、千歌なら俺の状況を察してくれると思って俺は微かな希望を掛けて紙飛行機を折り、狙いを定めて飛ばそうとした

 

「なかなか定まらないな…「ねえ?何してるの?」!!!」

 

 

 

 

 

紙飛行機は無残な姿で空に散っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




悠人君凄いなー、投稿者の理想の人間です!
次は二桁10章、また梨子ちゃんメインかな?
ではまた!

※昔からオリジナル作品を書こうと思ってこの小説を進めて来ました、現在オリジナル作品を書いていて投稿もしようと思っている状態です、ですのでこちらはサブに回そうと考えており投稿が前より遅れるかもしれません、もしかしたらこのままメインで進めていくかもしれません、読んでくれる方には迷惑をかけると思いますが引き続き連載は進めていきます、温かい目で見守って貰えると嬉しいです!





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10章、苦しみの解放

皆さんいかがお過ごしですか?
3.31〜4.1のfinalLiveから1年、一年って早いですね、
この小説も一年後はどうなっているのでしょうか?



「手錠の1つ2つ難なく解除するなんて流石悠人だわ、だけどそれぐらい私だって想定して行動しているのよ?」

 

傾いていた流れが一気に戻り絶頂から絶望へと落とされる、決して悪い手じゃないしミスもしていない、完璧にも近かったと思うがこの様な結果になってしまった以上今回は分が梨子にあったと解釈するしかない

 

「まあいい、俺は同じ手では捕まらない、この勝負は俺の勝ちだ!」

 

「フフッやっぱり強気ね、それこそ私の好きな悠人よ」

 

薄々と感じていた、消極的な作戦に出る丸と違って即座に計算し正しい答えが出る天才人間に前から攻撃しても敵わない、普段から千歌や曜といった「考えるよりも動け」タイプではなく理論的に考え行動するは事前に予習済み、河童の川流れの様にちょっとの隙につけ込むといった方法しか整理が追いついていない俺の頭には一般的なこの方法しか思い浮かばない

 

 

「おーい!悠!!」

 

外から大きな声で誰かが叫ぶ、多分助けに来てくれたのではないか、だが普通はありえない、火の中に分かってて飛ぶ奴と同じ様な事をしている、例え叫び主が知り合いだったとしても若干引いてしまう、要は無謀な事はしないでという事

 

「楓花さんが来てくれたわよ?やっぱり悠人は愛されているわね」

 

「だけど例え楓花さんでも悠人は渡さない」

 

そう言うと、窓に向けて一歩一歩歩き

窓を力強く開けると落ちそうなぐらい身を乗り出し楓花に目線を合わせる、楓花も目線をキャッチしお互い目と目で睨み合い火花を散らす、

 

「ああっ!梨子ちゃん!そこに悠人はいる?」

女子とは思えない馬鹿でかい声で梨子に問いかける

 

 

「楓花さんごめんなさい、悠人は私の物なの、これは姉の楓花さんにも譲れない」

 

 

「じゃあ良いよ!・・・って!悠人は梨子ちゃんの物じゃなくてみんなの物だよ!」

 

「何だか俺がみんなのおもちゃみたいじゃないか…」とツッコミを入れたくなったが、現在おもちゃとなりつつあるのが現状だ、結局取り合って自分の物にするために他人を蹴落とす、やっている事は幼稚園児のおもちゃの取り合いと同じ様な事、

 

「フフッ、じゃあ悠人が私の物って事を見せてあげるわ」

 

 

 

馬鹿な俺にも状況はある程度読める、

姉の楓花もいるし、喜子もいるから最悪何かあれば止めてくれる、これが梨子と2人きりなら逃げてもおかしくないが今は大人しく梨子の状況に従った方が吉と見た

 

「姉ちゃん、俺はここにいるよ」

梨子に命令されて俺は窓から顔を乗り出し楓花と話を始める、

 

「あっ!悠!何で梨子ちゃんの家にいるの?早く帰るよ!」

 

帰りたいのはやまやま、姉ちゃんと話が長引くにつれ、後ろから鋭い目線が痛いほど飛んでくる、これは嫉妬だろう、梨子の顔は見事ハイライトが消えている、なるべく話を早く切り上げた方が良さそうだ…

 

「梨子の作曲の手伝いで梨子の家にいるんだ」

 

本当の事を言ってしまうと後々面倒臭い予感しかしない、だから何とか嘘でも良いから誤魔化しておきたい所はあった、

 

「ふーん、じゃあ私達帰っていい?」

 

 

「別にいいよ」

平気な顔を装っているのもまた頭をパニックにさせる、これはずるい、益々心象がわからなくなっていく、試行錯誤しないと攻略はは中々難しそうだ

 

 

「ふーん、まあ暇だからもう少し話をしようよ?」

 

 

「悠知ってる?人間が集中している時ってゾーンって言う現象に陥るんだって、事故が起こった時にスローモーションになるじゃん?それと同じ現象なんだって!」

 

 

「へー、よく知ってるね」

 

 

「これは、とっておきの情報!人間って同時に2つの事を処理できないんだって!だから2つの事は考えられずに気付いたら1つの事に集中してしまうんだって!」

 

 

「確かにいい情報だけどそれ今に関係あるの?」

ましてはこの状況をどうにか打開しようとしている上では必要のない事、それが姉だとしても必要ない事を今考えている余裕などない

 

 

「悠人?話は終わった?それじゃあ作曲のつry」バサッ

 

 

何者かが梨子が押し倒す、一瞬だ、一瞬の事過ぎて脳がパニック状態を起こして今にも恐怖で倒れそうだ、「落ち着け」と一言自分に問い掛け、奮い立つ、足はガクガクと震え立っているのがやっとだが今は自分の心配などしている必要は無い、梨子の安否を確認しようとしたその途端、倒した本人が話しかけてくる

 

 

「悠、落ち着きなさい、リリーは気絶しているだけ、後もう少しすれば目を覚めすわ」

 

 

「善子、どうしてこんな事を?」

 

 

「Aqoursのピンチは悠人だけじゃ無いわ、お互いが支い合わないと一流のスクールアイドルにはなれない」

 

 

「って悠が言ってたのを自分なりに行動して見ただけよ?」

 

 

そう一言言い残し、善子は梨子の部屋を去っていく、

 

 

「全く世話がやける奴だな、俺はそんな事一言も言ってないんだけどまあ善子らしいな、」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふうっ、疲れたー…!」

 

「お疲れー!善子ちゃん!ちゃんと上手くいった?」

 

「それなりには良かったと思うんだけど…少し心配ね」

心配要素が1つ、梨子が起きた後善子の計算している方程式が成り立つかどうかに掛かっている、それには梨子の力も悠人の力も必要になる、自分が行動すれば成功する確率は高かった悠人達に任せたのはこの状況は彼にしか鎮められないと選択した、善子も悠人の知らない間に成長しているのだ、

 

 

 

「善子ちゃんも賢くなったねー!やっぱり善子の善は良い子の良いなんだね!

 

「善子じゃなくて!ヨハネ!それより楓花!ヨハネとか善子とかはっきりさせなさいよ!」

 

「じゃあ善子ちゃんだね!ヨハネより善子の方が可愛いんだもーん!」

 

「何なのよ!もう本当に訳わからないわ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「善子ちゃん!着いたよー!またいつでも電話して来てねー!」

 

「楓花今日はありがとね、またこれからも仲良くしてくれる?///」

 

「あったり前じゃない!また何かあったら一緒に話そうね!」

 

「ありがとう、楓花!これからもよろしくね、」

 

また1つの心が晴れた気がする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガバッ

 

「ここは!?どこかしら!?」

 

「梨子大丈夫か?頭とか打ってないか?体調悪くないか?」

 

まるで小さい子供の母親の様に優しく問い掛ける、この時既に梨子の目に邪心は無くとても無邪気な子供の様な目をしていた、

 

「悠人!!ごめんなさい…!!」

 

途端にスイッチが入った様に泣き噦る

産まれたての子供であるかの様に周りを1つも気にせずに泣き声を上げ、顔をくしゃくしゃにして泣いている、普段からは絶対に考えられないぐらいにプレミア感のある瞬間かもしれない、

辛い胸の内を少しでも明かしてくれたと思うとこちらも貰い泣きしてしまいそうだ、

 

「泣いたら折角の美人が台無しだぞ…?」

 

「フフッ、相変わらず悠人らしいね」

 

「俺は変わらない、梨子も変わらなくて良い、だけど俺はやっぱり誰か1人を差別的に見る事は出来ない、梨子も大好きだしみんなも大好きでしかマネージャーは、考えてはいけないと思う」

 

強い信念が起こした結果がこの様な状況を招いてしまった、好きが故の行動だった為にとても軽率な行動を取ってしまったのは仕方ない、何かに夢中になって何かを見失ってしまうのが人間

と誰かが言ってたのだから梨子が全て悪いとは違う、やった事はまだ取り返せる、野球だって10点取られようが11点取れば勝てるのと同じ事、軽率な行動以上に慎重に行動を行なえばいい、

 

 

この信念の様に梨子にも曲げられない信念があるはず、ピアノの事やスクールアイドルのこだわりがあるからこそ溜め込みがちになってしまう、そんな時こそ弱い所を見せて、みんなを頼るべき

 

「でも、私がやった事は許されることでは無い…謝って済む問題じゃないのは分かってる…」

 

「なーに言ってんだよ!みんないつもの梨子の帰りを待ってるんだよ、終わった話で良いじゃないか、次は梨子が正しい答えに導ける人になれば良いだけだろ?」

 

「そうね…今度は私が…!」

 

目に決意の炎が燃えている、梨子が戻ってきた嬉しさが勝っており何しろ親身になり相談できる相手になってくれそうだ、後で善子にお礼を言おう、争いを鎮めてくれた影のヒーローだから

 

 

 

「良いの?本当に帰って?」

 

「うん、迷惑掛けれないしどっちにしろ疲れている梨子に負担を掛けらす訳にはいかないしな」

 

「ちょっと待ってて!」

そう言い梨子は自分の部屋へと急ぎながら走り出す、数分後梨子は手に何かを持っておりそれを俺に向けて差し出した

 

「これは!?お守り!?」

 

「どうかな…?頑張って作ったんだけど…」

 

良く見たら手に絆創膏がチラホラと見える、誰よりもメンバーを大切にしていたかがよく分かる、

 

「ありがとう」この一言で梨子の呪縛が解けたのだろうか、優しく微笑む

 

梨子の満面の笑みに俺がどれだけ助けられているか梨子は知ってるだろうか

 

 

そう、助けられている、何1つ恩返しが出来ていないだけに明日の文化祭は気合いが入るのも無理はない、良くしたいと言うのはお互い譲れない気持ちがある、意思が強ければ強いほど願った場所に行けると俺は知っている

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「もしもし?姉ちゃん?」

 

「はいよー!悠どうしたの?」

 

「今日のお礼と感謝の気持ちを伝えようかなーって思って」

 

「お礼なんてされるような事してないしそんな暇あるなら明日の文化祭に備えなよ!悠がみんなの足引っ張ったら私が代表して叱りに行くからね!」

 

「全く、姉ちゃんらしいな、じゃあお礼の気持ちは今度直接言う事にするよ」

 

姉の威厳で強がっているか本当に思ってないかどっちかなのだが謙虚な姉が少し尊敬できた瞬間でもある

 

「また今度は私が様子を見に行くから宜しくとまた何か会ったらよろしくねー!」

 

姉を姉だとこんなに思った事は初めてかもしれない、今回の件については感謝の一言しか考えられない、あの話だって無駄と判断したが無駄なんかじゃなく的確にヒントを出している、怖いぐらいに平然とやってのけるのがまた姉に対する不信感を高めていく、姉がいなければこの件は最悪な状態だって考えられた以上助けられたとしか言えない、次は逆の立場になった時姉以上の行動が出来ますようにと手を握り、目を閉じた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたか!?
この回でヤンデレ梨子ちゃん終了です…寂しい気持ちもありますが、個人的には考えている中で1番想像が難しい分閃いた時は非常に描きやすかったです、
次からはガラッと変えて日常編の予定です、


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11章、文化祭

最近桜綺麗ですねー!
引き続き頑張ります!


「悠?朝だよー!起きてー!」

 

 

「てか、何で姉ちゃんいるんだよ…」

どうやら今日の文化祭に来る為、帰っていては手間が掛かるから俺の家に泊まる計画を立てたらしい、とは言え12時に合鍵で家に入って来るとは、無礼にも程がある、泥棒が入ってきたかと思いこみ心が警戒モードに入ってしまった、鉢合わせした時魂が一瞬体から離れていた気がする

 

 

「まー、良いじゃん!こんな可愛いお姉ちゃんと一緒に2人っきりでいるんだよー?羨ましいとも思われるほどだよ?」

 

 

「姉ちゃんうるさいし、無駄口が減ったらまあ可愛いかもなー?」

 

 

「むー!何それ!失敬な!」

 

 

まあ自分で自分の事を可愛いって言ってる人は姉以外にもいるし、名前は伏せておくが私は「罪な堕天使」とか言ってる奴なんだけど、あいつも姉ちゃんも同類の痛い奴という事は分かった

 

「なーんて!冗談、冗談、文化祭に行くからだよー!」

 

全く…冗談か本気かハッキリしない

こういう場なら嘘の一つ二つ構わないが昨日の様な脳が動かない時には本当にやめて欲しい

 

結果として完全な答えを俺に差し出していたのだが捉えらなかったのは俺がまだまだ無能と染み染み感じた、

 

 

 

 

「朝ごはん作ったから食べて行きなさい!って言ったらなんか昔を思い出すねー、あの頃は悠人は凄く利口でカッコよかったのに本当にどうなってしまったのだろうねー?」

 

 

「まあそんな事言っても俺ももう高校生、性格だって変わるのは当然の事だろ?どっちにしろ今は色々大変な事に間違いは無いし変わるのは仕方ない事だと思うけど」

 

 

高校生にもなって中学生の様な生活をしていたらそれこそ恥だ、何があろうと決めたことは貫くと決めた以上願わくば必要以上の事に手を掛けたくない

 

 

「ミナサン!オッハヨ-!!シチジハンダヨ!」

 

テレビの掛け声がリビングを駆け回る

この掛け声が今日も訪れたのは登校時間がやってきたと言う事、

 

「もう行くわ、7時半になったし姉ちゃん文化祭は9時半からで車で来たらいけないから徒歩で来て」

 

 

「分かった、頑張ってねー!応援してるからね!」

 

 

姉が肩をポンポンと叩く、昔と何も変わってないと感じさせる様に優しく強い気持ちがこもっていた、本当何も変わってない、姉の相変わらずな性格も何も変わらない、俺が昔と変わっていて純粋の心を忘れていると悩みをまた1つ増やした、自分に甘く他人に厳しいなんてそれこそ理不尽過ぎる、

 

 

 

 

 

姉の元気な声とは裏腹に少し俯きながら家を出る、今の心情が「心情って顔に出る」と何処かのサイトで見た通りで全くといって良いほど一致している

 

「変えなきゃな」と思い込んでは胸に締め、そんな気持ちが体全体を包み込み行ったり来たりを繰り返し続いていた、のだが自分1人が弱音を吐き、みんなに迷惑を掛けるわけには行かないいつも通り見せようと決めていた

 

 

 

「悠人、おはよう、」

後ろから俺を呼ぶ声が聞こえる、本当に疲れている時って聞こえないって聞いた事があるからまだ大丈夫

 

「おはよ、梨子」

 

「今日は文化祭当日ね、どんな感じ?正直緊張してる?」

昨日のことが嘘の様に梨子は通常に話をしている、切り替えが早いのもそこはやっぱり流石と言える

 

 

「まあ裏方だからやっぱり失敗は許されないし全体的に支えないといけないから緊張は無いと言うと嘘になるけどやる事は変わらないし練習で出来た事をやるだけだとは思う」

 

 

「相変わらず悠人は堅実だね、でも1つ疑問に思った事があるんだけど、勿論私達はやるからには1番を目指して練習をして来たつもり、だけど1番より大切な事がある、それは楽しむ事だと思うの」

 

「私だってピアノをやってて辞めたくなった時は何回もある、黒い雲に覆われて前が見えないときもあった、でもここまで続けて来れたのは楽しかったと心だけではなく自分自身が思えたから、達成感だって楽しみが無くなれば自然と無くなっていってしまう」

 

 

「やっぱり梨子には敵わないな、本当ズルいよそれは」

 

全てが見透かされてる様で怖いぐらいゾッとしたが同時に安心感も覚えた、

相談はしてなかった訳では無いが必要以上の事は話さなかった訳で話しにくさも少しあった、気軽に話せる相談相手が出来たと言う事は架け橋が出来たと思っている

 

 

「私や花丸ちゃんは基本的に貴方の味方だけど何があるか分からないし悠人も十分注意しておいて、」

 

 

言われなくても分かってると言いたい所だが最近若干気付いていたが周りを見過ぎて自分の事は後回しになっている、いつもの事なのだが特に最近はそうだ、周りを見過ぎて自分の事を見れないなんて言語道断、ありえないの一言

 

 

 

「分かった、今後更に注意するけどまた何かあった時は梨子には頑張ってもらわないとな!」

 

「ええっ!みんなの悠人の為に頑張らきゃね!」

 

「その時は梨子の悠人になってるかもしれないけどな!?」

 

「もう!茶化さないで!///」

 

と言いつつも口元は緩み少し笑顔が見えた、自然と俺も笑っていたのは梨子は気付いていただろうか、久しぶりに心から笑えたような気がする

 

 

「悠くん!おはよー!」

 

わざと大きく千歌が挨拶をし、梨子と俺の仲を切り裂くかの様に真ん中に割って入る、

 

何かを察したのだろうか?梨子は「私用事を思い出した」と逃げる様に走りながらジェスチャーを飛ばす

 

本当に逃げたかどうかを考える暇も無く千歌が話を入れてくる、考える暇を作らさせないのかは定かではないがここは逃げたかでは無く千歌の話に入るのが無難だろう

 

 

 

 

「どうした、千歌?何か用か?」

 

「いやー、別に用は無いんだけど何か嫌な予感がしたからね?」

 

ゆっくりこちらを向き睨み付ける様に目を掛ける、例えるなら泥棒を問い倒す警官の様な感じ

 

視線が痛い、痛すぎる

 

 

「それだけか?用件は?」

 

「まあねー!特に用件は無いけど"梨子ちゃん"といたから少し気になっただけだよー!」

 

"梨子ちゃん"の一言が全身を駆け巡る、どうやら梨子の察しは正解みたいだ、イントネーションの問題ではあるものの千歌も強めて言ったに違いない

深い意味があるかはさて置き常に戦闘体勢に入っている事を再確認させられた

 

 

「悠くん!今日の文化祭頑張ろうね!」

 

「頑張るのは千歌達の方だろ?俺はあくまでスクールアイドルAqoursのマネージャーとして支えるだけ」

 

「そんな事ないよ!悠くんが頑張っているから私が頑張れているんだよ!」

 

と言い、俺を置き去りにし走り出した

熱は冷める前に打ては千歌らしいのだが…それより今の言葉を俺では無くメンバーに言って欲しいのだが、言えたら俺は必要ないか、

 

 

 

 

 

 

〜〜※※〜〜

 

 

 

 

「皆さん!今日は待ちに待った文化祭です、普段やって来た事をすれば完璧なはずです、悔いの残らない様に力一杯やっていきましょう!」

 

「ダイヤ?緊張してるー?」

 

「してませんわ!!」

 

ダイヤさんもこれ1番ないぐらい張り切っている、開始までまだあるが時間が経つにつれ緊張の色も見え始めているみたいだ、まあ緊張も無理はない、Aqoursのステージライブと言ったら文化祭1番を争うイベントである為用意の椅子では足りずに立ち見も出ると計算されている、であると共にそれに恥じないライブを見せなければならない、スクールアイドルとはいえ人の子緊張はするだろう

 

「僕がどうこう言えるとは思えないんですけどいつも通りですれば出来ると思います!」

 

 

「はい!では午後の部の3時からですので2時までには部室に集合しておいて下さい!では解散!」

 

朝のミーティングが終了した、この後の流れとしては朝会、ホームルームと続いて文化祭に入る、クラスに帰る途中に耳に入ってくる賑やかや話で盛り上がっている、

 

 

文化祭と言っても特に意識はしてない、正直去年の様な醜態を晒すぐらいなら真面目に勉強する方がマシと思っていた自分がいたのは反省したい、

 

「久遠くん!ちょっと良いかな?」

クラスの数名が話しかけてくる、用件はあまり期待出来ないが一応半分半分で聞いてみよう

 

 

「今日の文化祭あるじゃん?久遠くん一緒に行動しようよ!」

 

「早めに抜けるかもしれないけどそれでも良いのなら」

 

何かと言えばそんな事か、とは言え千歌達と行動するのはあまり冴えなかったしここで誘ってくれて嬉しかったのはある

 

「ええっ!悠くん!一緒に行かないの!?」

 

掛け割ってきた曜の驚愕した声が脳内を駆け巡る、こんなにビックリした曜は久しぶりに見た気がする

 

「そもそも一緒に行くとも言ってないだろ?まあ午後から一緒になるし別に午前のたった数時間いいだろ?」

 

「うーん…分かったよ!」

 

色々あったがとにかく納得してくれて何よりだ、後ろ髪引かれる思いで曜はその場を立ち去っていく

 

「はーい!皆さん!席について下さい!ホームルームで今日の文化祭の注意事項を話します!」

 

いよいよ近づいてきた文化祭は楽しみな感情と緊張した感情が入り混じって左右前後飛び回っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで終わります!10分休憩を取ってから開始です!」

 

1年生組のこちらもほぼ同時間に終えこれからとなりそうだ

 

「よしっ!これから頑張るわよ!」

 

普通に迎える文化祭では無い、善子はこの文化祭で重要な決断をしており決行まで決まっていた、欠点も出ると承知だがこの想いを言うには絶好のチャンスだと2人の一致で決めて現在に至っているのだ、

 

「善子ちゃん!ルビィちゃん!今日一緒に行動するずら!」

 

 

「うん!まずどこに行く?お化け屋敷も良いねー!」

 

 

「おばけ!?屋敷…?」

 

 

「善子ちゃんおばけ苦手ずら?」

 

 

「な訳ないでしょ!?ヨハネに怖いものなんてあるわけないし!」

 

 

「そうずらか!じゃあ3人で行くずらー!善子ちゃん先頭で行くずらー!」

 

 

「分かったわよ!おばけ!覚悟しておきなさい!堕天使ヨハネが成敗してあげるわ!」

 

 

 

ドッタンバッタンの文化祭がスタートする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたでしょうか?
覚悟を決めた善子!
今回は文字が少なめで申し訳ないです!次は多分4500〜5000書けるかなあ?
では皆さんまた次回!


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12章、作戦執行

取り敢えず一週間以上かかってすいません…!
頑張ります!


「俺、何でこんな事してるんだよ…」

 

着ぐるみの中に男子が一人、暑苦しいし何しろ他人の目線が痛い、着ぐるみの中の人を馬鹿にするのはもう辞めよう、とまで思わせてくれた息も苦しい暑さの中何とか一歩一歩、

これにはれっきとした訳があってだな…

 

 

遡る事数時間前

 

「やっぱり好きなんだろ?高海達のこと!早く告っちゃえよ!」

 

「いやいや…そう言うお前達はどうなんだよ?お前達こそ千歌達の事好きなんだろ?なら俺に言う必要は無いだろ?」

 

「普通に考えて俺たちが告った所で付き合ってくれると思うか?可能性のない俺たちが言った所で「何それ、笑えるんですけど」って言われるだけ、それなら期待が持てて何しろイケメンの久遠悠人が告るべきだろ?」

 

「イケメンって…そんな言葉で騙されないし好きでもない人に告白しても何の意味もないだろ?」

 

一度聞いた事がある、好きでなくても一応彼氏や彼女を作りたい人がいると、理由としては自分を大切にしてくれるなら好きでなくてもいいと言ったものだが、今の俺にはそれは比例しない、話し相手になってくれる丸や梨子とも親密な関係を築きたいとも微塵も思わない、思った心があったとして順調に行くとは限らない、忘れてはいけないのが千歌達だ

今のあいつらには好きが先走り過ぎて回りが見えていない、告白なんてまさに火に油を注いでいるような無謀な事をしている訳だ、俺の考えたように解釈してくれるとありがたいのだが現実はそう甘くない。

 

「なら俺たちが作戦を考えてやるよ!」

 

慣れ事なのか?手招きでもう1人の友達を呼ぶ、よく見たら2人で大きな何かを運んでおり俺の目線が何かに注がれる、多分ぬいぐるみか?ぬいぐるみは記憶の中には特にはない為聞いてみるのが良さそうだ。

 

「凄いだろー?これは熊のぬいぐるみだぜ!頑張って演劇部から借りて来たんだ!これを…」

 

「まさか!俺が着るのか!?」

 

 

「当たり前だろ!?何の為に頭下げて借りて来たと思ってんだ?」

 

予想外すぎる結果に戸惑ったのだが、謳い文句は「付き合うためには必要」を貫き通して説得しようとしたのだろう、「熊や言葉に負ける俺じゃない!」と言い切りたかった。

 

 

 

 

 

 

で現在に至っているのだが、作戦以前に暑い!これは連呼しても怒られないぐらいの暑さのだがぬいぐるみの定義として喋っていけないタブーがあるのがまた地獄を加速させていく。暑い、狭い、喋れないの三本柱でぬいぐるみは成り立っているのが身に染みた。

 

 

 

「わー!ぬいぐるみだー!可愛いー!」

前方から大きな声を出して1人の女の子が駆けてくる。口元にある隙間から確認するとその子はオレンジ色の髪にアホ毛がピョコンと立っている。確信した。これは千歌だ。まあこうなってくれないと計画は上手くいかないし死ぬ思いでぬいぐるみに入った意味もない。

 

 

「こんにちは!熊さん!元気ですか?」

 

「………………………………………………………」

 

ぬいぐるみは喋ってはならないので手に持っている紙とペンにスラスラと文字を書いていく、慣れてないので若干書きにくさがあったが何とか書けた。

 

「きょうのぶんかさいをたのしんでいってね!」

 

何も考えていないので勿論アドリブとなる、だがアドリブの対応力はゼロなので適当に書いたのを一生懸命所々詰まりながら読んでいる。全部平仮名で読みにくいだろうがそこは勘弁してほしい。狭い視界の中漢字で書くのは至難の技、後平仮名ならぬいぐるみらしく可愛いと言う言い訳もある。

 

 

「わー!可愛いー!ギューしようよ!」

 

それと同時にに熊(俺)をホールドする、良いとは一言とも言ってないと言いたいのだが今みたいな肝心な時に喋れないのは不都合過ぎる、後時間が経つごとに強くなっていくのは気のせいだろうか、それにしても初対面にしろ馴れ馴れしく接するのは凄いことだと思う、こういう影響は果南さんから受け継いだのだろう、スキンシップと言いつつもやたらボディタッチが多いと思うのだがそこもスキンシップの一環らしい。

 

 

女の子に物を挟んでにしろハグなんて一部にしたら理想のシチュエーションに決まっている、一部では死んで良いと思っている人もいるほどなのだから、だが俺はもう一部の方の

部類になる。残念ながら毎日一緒にいると恋のような感情は出来るどころか薄れていく一方

 

 

「熊さん!私スクールアイドルやってるんだ!あっ!スクールアイドルって知ってる?」

 

 

知らない訳無いじゃないか、中の人は一番近くで見てきてる人なのですから

 

首を2回縦に振り「しってるよ!」と紙に書いて見せる、それを見て余程嬉しくなったのか更に話しを続ける。その中にはスクールアイドルに対しての辛さや楽しさを経験して、どのように良くしていこうかなどリーダーらしい悩み事などがあった、中の人なら絶対聞けない強みを外して弱みを出してくれたような気がする、誰もいない且ぬいぐるみを見て少し気が楽になったのだろうか?

 

「熊さん!スクールアイドルの公演がお昼からあるんだ!絶対見に来てね!」

 

手をグーにし、熊の手にコツッと一回当てる

千歌から見たら約束の合図だろうか?それともさよならの合図なのか?悩み以前にどっちにしろ昼から会うんだしこのグータッチはさよならの合図と解釈する。

 

 

「おーい!やったな!」

そう言い物陰から戦犯が出てくる。

 

 

ようやくホッと息をつく、そして頭の部分を外してようやく解放されたと思ったのが運の尽き直ぐに問い攻めに入って来た。

 

「昼から絶対見に行けよー!高海から直接お誘いが来たんだぞー!」

 

「そんなこと言ったって中の人はスクールアイドルのマネージャーだぞ?どっちみち行くのだが熊で行って作業が出来るわけないだろ?」

 

納得してくれたのか急に声のトーンが変わる

 

 

「それもそうだな…じゃあ俺が熊の中に入ろっかな?」

 

「辞めた方が良いぞ、ぬいぐるみの中は地獄だ」

 

ぬいぐるみは可愛いイメージがあるがそれはあくまで外の話、中を見ればただの熱い着ぐるみだからバイトの時給が高いのにも納得が出来る。

 

 

「まあ良いよ!今回の作戦は成功という事で終了!時間も無いし早く色んな所に回ろう!」

 

時間を無くしたのはお前だろ?と言葉が出かかったが何とか止められた。それとは別に手を引っ張り次に向かわされる。

 

 

 

〜※※〜

 

 

 

何とか説得しあいつらと別れた。理由は昼からので急用が入ったからと言って逃げて来た

流石に全体の予定だと否定する事は出来ないのですんなり行かせてくれた。実際は予定などありもしないのだがそこは大目に見て欲しい

 

 

その後特に予定もないので適当にぶらぶらと歩き4階へと上がってきた、「おばけ屋敷どうですかー!」「劇しまーす!」宣伝の声が

辺り一面を激しく駆け回る、その時1人の声が耳に入る

 

 

「見える!アナータには!恋の成就が!」

 

「本当ですか!?私頑張って見ます!」

 

 

教室に入るドアの手前でおかしな格好をした人が一人の女子を占っている。(これは絶対関わらない方が良いやつだよな…)心の中で思ったのだがこれは俺だけではなく見たら全員そう言うだろう、もう少しバレないように物陰から観察してみると金髪にイエローの瞳外国スタイルの口調、(これは…絶対)特定完了してしまったのでここはバレないように去るのが筋、抜き足差し足と音を立てずに一歩一歩踏み出して行くのだが…

 

「オニイサーン!チョット良いかしらー!」

 

案の定バレてしまった、最初からロックオンしていたのだろう、もうバレたからには縮こまる必要はない

 

 

「鞠莉さん、何の格好ですか?それ」

 

「良いでしょ〜?魔法使いの格好なのよ!特別に作ってもらったのよ!勿論ダイヤ達のもあるのよ!それなのにダイヤ達ったら着てくれないのよ!」

 

「そうなんですね…大変ですね…」

 

触らぬ神に祟りなし、2人も鞠莉さんの自由過ぎる性格を知ってこそだと思うのだが頑固に一緒に着たいと言ったらしい。

 

「そう言えば果南さんとダイヤさんは?何処にいるんですか?」

 

「ダイヤ達はね〜今は体育館にいるんじゃないかしら?」

 

チラホラと目が泳いでいた。だがそこは文化祭と言う事もあり手が回ってない可能性もあるし自分で探せば良いだけである為情報を教えてくれただけでも物凄くありがたい。

 

「分かりました!体育館に行って見ます!」

 

 

 

 

 

〜※※〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「へー!凄いんだねー!悠人は」

 

「そうなんですよ、悠人は自分の手間を省いて私達の為に色々と頑張ってくれるんですよ」

 

「今日も悠人さんに頑張ってもらいますわ!」

 

 

何やら果南さんとダイヤさんが話をしている、よく見ればもう1人いるのだが遠くからでよく分からない、振り向いた時に顔を伺うしか確認方法がない、仲良く笑いながら話している3人を監視するのだが中々振り向かない

諦めて向かおうとしたその時

 

 

「悠!!」

 

振り向いてようやく顔を確認できたのだがその顔は何処となく誰かに似ていて…

 

「姉ちゃんだったのかよ…驚かすなよ」

 

「驚かしてないよ!悠が勝手に驚いただけじゃん!」

 

正論を言われたので反撃できない、勝手に解釈した自分も悪いし姉もちゃんと来ると行ったのでここは引きさがろう

 

「そんな事より!悠って凄いんだね!Aqoursのマネージャーしてるんだね!」

 

「それはまあ仕事と言えば仕事だし、てか前も言ったよね?何で忘れたの?しっかり覚えててよ」

 

 

「うーん…そんな事言ってないよ…」

 

昔が姉がトンチンカンなのは知っていたがこれは流石に…女子だらけのメンバーの中に男子1人が意味も無くいるはずがない、いたとして殆どストーカーだ、意味も無くいればここには今いないだろう

 

 

「てか姉ちゃんステージまだだけどどうしてきたんだ?」

 

「みんなの様子と見ようかなーって思ったんだ、緊張してるかなーって思ったから」

 

姉ちゃんの脳天気な所はみんなを笑顔に出来る様な物がある訳で緊張をほぐしてくれるというのはとてもありがたい、だが俺では無くステージに登るメンバーたちにやって欲しいのが現状だ

 

「悠人?そう言えばさっき花丸達が呼んでたよ?」

 

果南さんが口を開く、1年生組に目立った用は無いが見えていない予定もあるのだろう、尚時間もあるので行かない理由もない

 

「分かりました!」

 

特に予定もない俺に次の予定が出来た、と同時に必要だった予定を思い出した

 

「ダイヤさん後で少し良いですか?」

 

「ええ、大丈夫ですわ」

 

「ありがとうございます!それではちょっと行ってきます!」

 

そう言い、体育館を飛び出して行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたか?
次から頑張ります!


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13章、ステージライブ

最近忙しスギィ!
ですがゴールデンウィーク休みがある!
よーし!いっぱい書くぞー!

※5/2脱字編集しました


「綿あめ一つくださいずら!」

 

「はいよー!!一つね!」

 

 

丸が綿あめに興味を示している。綿あめは文化祭の定番となっておりそれなりに数も出るので出す店もなかなか多いようだ。味を競っているのか各地で自分のが一番と宣伝の声も鳴り響いている。お腹の中に入ればどれも一緒と言う丸の様な人だと残念ながら目に入った所から行ってしまうので残念ながら通用はしない

 

 

「花丸ちゃん、少し食べすぎじゃないかな…?」

 

「そんな事ないずらよ、まだ綿あめとお好み焼きとフライドポテトと鯛焼きしか食べてないずら!」

 

「ずら丸の胃の中は一体どうなってんのよ…本当ブラックホールかしら」

 

 

食べ過ぎると午後に響くのでいけないとダイヤさんから出てたにも関わらず次から次へと回っていくのは食べ物には目がない丸らしいのだがここ辺りで抑えないと本当に洒落にならないのを善子もルビィも分かっていただけに食べるのを抑えていた。

 

 

「あっ!お化け屋敷ずらー!行くずらー!」

 

「ちょっと待ちなさいよ!ずら丸!」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜※〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこにいるんだ…?」

 

丸を探しに来たのだが全く見つからない。丸どころが1年生すら見つからない。薄々団体行動しているんだと思っていたがどうやら現実化しそうだ。取り敢えずもう一回探してみよう、張本人がいないと話にもならない。

 

 

「あれ?悠人?」

不思議そうに声を掛けて来たのは梨子。

 

 

「梨子か、丸達知らないか?どうやら呼んでたらしいんだが」

 

「うーん、知らないわね」

 

「そうか…それにしても梨子は1人で行動してるのか?」

 

「一緒に行動しようと思ったんだけど千歌ちゃんと曜ちゃんがいなくなってて結局1人で行動してるの」

 

千歌と曜は時々外れて制御が出来ない事がある事を俺も梨子も知ってたのがある為に大イベントの時に関わらず団体行動の時は常に監視しておかないと何をするかわからない。故に梨子が先頭になって状況を制御していた。裏で梨子に頼っていた自分もいたのだが…

 

 

「そうか、取り敢えず引き継ぎ丸を探すから梨子も一緒に探すか?」

 

「そうね、2人の方が効率もいいし、そうするわ」

 

 

1人が2人になった所でまた歩みを進める。時間もそこまで無い中なかなか見つからないのは都合が悪い。午後はライブに集中したいので出来るだけ早く見つけ要件を聞いておきたい

 

 

「そう言えば梨子、今日どっか回ったか?」

 

 

「いや回ってないよ、クラスで呼び出しがあったからね、悠人も出れば良かったのに」

 

 

「今日はそれどころじゃなかったんだよ…」

 

朝に着ぐるみに入っていたなんて誰も思いもしないだろう。ついでに千歌もいた事も。これは誰に話さず胸の奥の方にしまっておくのが良いだろう。

 

 

 

梨子を横目に千歌達を探している。ふとした所で照れたり、笑ったり、感情が豊かで愛嬌があり微笑ましい。途轍もない不安から解放された様なその顔は清々しく凛々しく前を向いている。この姿にメンバーが惚れるのが分かったような気がする。不意に「梨子いつもありがとな」と囁くと顔を赤面にし照れ「からかわないでよ!」と顔を真っ赤にしたまま肩を一回バシッと叩かれた。何気ないこの日常が幸せなんだなって思えた。ここ数日当たり前が当たり前ではない事は既に自覚しているが偶には現実から離れて楽しくするのも良いものだ。

 

 

「みなさん午後になりました。午後の部と午前の部は入れ替わってください」

 

 

校内の生徒会のアナウンスが鳴る。刻は12時と少し過ぎたぐらい。意味も無く屋台巡りをしており完全に時間を忘れていた故に急いで集合場所へと帰らなければ…駆け足で戻っていこうと思ったのだが梨子の事を忘れてはならない。振り返ると後ろでゆっくりと息を切らしながら駆け足か歩いているか分からないほどのスピードでついて来ている。置いていくのは午前の恩義があるので出来るはずがない、よってこうするしか無かった。

 

 

「ギュッ」

 

 

強く手を握り梨子を引っ張るようにもう一度走り出す。周りの蔑んだような目など目にもくれず無我夢中で体育館を目指し走り出した。時に後ろを確認すると若干照れていたと思うのだがそれは俺にも当てはまるので内緒にしておく。

 

 

(舌打ちが耳に入ったんだが気のせいだよな…)

 

 

 

 

 

 

 

 

〜※※〜

 

 

悠人と梨子が一所懸命に体育館を目指している反対では勿論この話題になっていた

 

 

「遅いずら!梨子さんは一体何をしているずら?集合時間そろそろずら!」

 

「そうだよね…不安になって来たかも…ちょっと探してこようか?」

 

「いいえ!大丈夫ですわ!梨子さんは必ず来ますわ、待ってて下さい!」

 

 

信頼が高いが為に、この様な対応が出来る。例えばこの場合が千歌だったとしたらダイヤさんは大騒ぎだろう。ここは信用に任せて大人しく待っておくのが筋と判断した

 

 

と言ってもまだ30分ある。理由は察する通り誰とは言わないが思わぬトラブルが出た際、時間に余裕を持つ事で臨機応変に対応が出来る為にわざと時間に余裕を取った。一部から批判も出たが結局正論となって今に至っており今梨子と悠人を今か今かと待っている。

 

 

 

「お待たせしました!待たしてすいません!」

 

 

悠人が満を持して登場した。当たり前だが梨子もいる。遅れたという事もあり場の空気は最悪だろうと覚悟していた。いつも遅れるなと鬼にして言ってる人間が遅れてしまっては示しがつかない。叱られるのは承知の上

 

 

「悠人さん梨子さん遅刻は良くありません、ですが理由が有るのなら耳を傾けはします」

 

 

「自分方向音痴なので遅れました」と言っても笑われるだけ。それは自己管理が出来てない証拠。道のりを確認し時間に余裕を持ち行動すれば良かっただけ単に不注意が招いた悲惨。同情の余地もない。

 

言うか言わないかの瀬戸際に立っていたその時梨子が口を開く。

 

 

「私が悠人を色んな場所に連れて行ってた為に遅くなったんです!悠人は何も悪くないんです!」

 

 

悠人は悪くないと一生懸命庇ってくれているみたいだ。まるで自分が悪人の様に訴えている。その言葉が出るのは凄と思うし勿論感謝もしないといけない。だが梨子のような清純な人間が自らを苦しめてまで庇う必要これっぽっちもない、助けてもらった人が言う台詞ではないのだが…

 

 

「まあまあ…落ち着いてください、梨子さん

状況は分かりました。今後等はこういう事は無くして頂ければと思います」

 

 

どうやらダイヤさんも梨子の魂の訴えに共感してくれたみたいだ。梨子も少し熱くなっていたのか赤くなった顔のままこちらに笑みをこぼす。

 

 

これで9人揃いミーティングを始める事が出来る。今日のミーティングは時間が無い中で行う為気合い入れの円陣だけで終わった。ここから持ち場へと入っていく、確認がてらに見たメンバーの顔には様々な描写が写る。緊張してお互いを助け合っている丸とルビィ、上級生らしくその場を和ませる鞠莉さんと果南さんそして何よりもリーダーとして気が引き締まっているだろう千歌がそこにはいた。全員緊張していたのは一瞬で俺には分かった。

 

 

「皆さん!リラックスですよ!練習で出来た事をするだけです!落ち着いて行きましょう!」

 

 

俺はらしからぬ言葉を残しその場を離れる。

俺の持ち場は基本的には舞台裏、幕を上げたり、照明の合図を出したりする。照明は昔から千歌達Aqoursのサポートを快く引き受けてくれているむつさんといつきさん。音響はよしみさん。日々Aqoursのサポートや俺の指導で疲れているであろうはずなのに分かりやすく指導してくれている。俺にとって神のような存在、頭が上がらない。

 

 

開始15分前、続々ととお客さんが入ってくる。ファーストライブの頃のガラガラの体育館をこの目で見ているので満席の体育館を見るとAqoursがいかに頑張ってきたかが実感できる。小さな窓の隙間から見えるメンバーの姿はとても誇らしい。幕は閉じられている為観客席側からは見えない。よってここは大事なオフの様子を見られるのだ。

 

 

「ねえねえ、悠人くん?」

1人の人が声をかけてきた。音響のよしみさんだ、不安な所の打ち合わせだろうか?

 

 

「よしみさん?どうしました?」

 

 

「緊張してるかなーって!どんな感じ?」

どうやらお世辞を飛ばせるぐらい気持ちの整理が出来ているようだ。そして少しでも周りの役に立ちたいとこうして来てくれている。

 

 

「やっぱり緊張はしますけど、自分が緊張してしまったらライブが台無しになってしまうんで頑張ろうと思います!」

 

 

「頼もしいねー!じゃあ私は持ち場に戻るからよろしくね!悠人くん!」

 

俺に闘魂注入してくれて再び持ち場へと戻っていく。持ち場から頑張ろうと手を振ってくれている。不安な気持ちも少しあった故もう一度気合いを入れ直せた。

 

 

遂に開始まで1分に。照明に合図を送り、ステージが真っ暗になる。周囲が今か今かとザワザワし始め期待の声で一掃している。

 

 

(3、2、1、0!スタート!)

 

心の中でカウントダウンを行いスタートする。幕がゆっくりと上がってそれと同時に照明が彼女達に当たる。

 

幕が完全に開いた所で一歩前に出てリーダーの千歌が口を開く。

 

 

「今日は私達Aqoursの為にお集まり頂きありがとうございます!私達一生懸命頑張りますので今日はよろしくお願いします!!」

 

リーダーの一声でガラッとその場の空気が変わる。すかさず音響が音楽を入れ軽快なイントロと共にダンスを踊り歌を歌う。会場からは溢れんばかりの歓声がステージ裏でも分かるぐらいハッキリと聞こえる。これもメンバー一人一人の個性が輝いているからこそのライブなんだなと感じた。始めはできなかった事が出来るようになった時の達成感は彼女達を見れば一目瞭然。それぐらい練習を大切に過ごしているのだ。

 

 

勿論お客さんが喜んでいるのもとても嬉しい事だろう。ガラガラの体育館を見ている2年生、途中で挫折してしまった3年生、輝きたいと心に強い意志を持って入部してくれた1年生、誰もが悲しみを分かち合い喜びは皆んなで分け合って進んで来た。今日の日は思い出の1ページに刻まれるだろう。

 

「今日は本当にありがとうございました!」

 

30分の短くも長いライブが終わった。絶賛の声が鳴り響く体育館でメンバーも勿論自分達の演奏に絶賛していた。中には1番を争うぐらいいい出来だったと思っている人もいるだろう。まさしくそうだ。

 

 

「メンバーを褒めに行かなきゃな」

 

ここまで頑張ったメンバーに礼を言うのと終わりのミーティングに参加しなければならない。窓を開けメンバーの所に向かおうとしたその時、

 

 

「あの!久遠悠人さんですよね?」

 

1人の女の子がたどたどしい声で話しかけて来た。まあ女の子以外が話しかけてくる事はあまり無いのでとても珍しい。見た目は一年生だろうか?少し小ぶりで何とも高校一年生には見えない

 

「どうしました?メンバーに用がありましたら案内しましょうか?」

 

1年生なら善子、丸、ルビィの友達という事も十分あり得る訳でここで聞いておく方がいいだろう。

 

「いや!久遠先輩に用がありまして…」

 

「分かりました。ですがここではなく外でも良いですか?」

 

「は、はい!」

 

「それでは行きますか、ついて来てもらえますか?」

 

そう言いこの女の子と一緒に行動する。用件は分からないが多分メンバーに共通した事だろう。

 

一方その頃、ステージ上では外に出ていく悠人をハッキリと見ていた人物がいた。

 

「ちょっと私トイレに行ってくる」

 

「ええ、なるべく早くしてくださいね」

 

そう言い悠人の後を追いかけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
文化祭で切り替えて次は3話目に突入します!
3話目は一体どのメンバーが…?
そしてこの、少女の目的は…?
是非ご覧ください!
ではまた!


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3話
14章、終わりの始まり


今回は少し短めです!
1話から4話まで編集しようかなーって思ってるので希望がありましたら前向きに考えます


14章、

 

 

 

と言われるがままに外に出て来た。目的地は決まっていた。彼女にとって重要な事との雰囲気を感じ体育館の裏の更に裏の落ち葉が散乱していて掃除が行き届いていないそんな場所で。理由は忘れてしまったが何故か一度来た事がある。来た事があるからこそここには誰も来ないと断言できる。よってここなら2人きりで話が出来る

 

 

 

その子は塚瀬涼美と言うらしい。高校一年生の生徒会の役員で勿論ダイヤさんも知っていた。その生徒会の塚瀬さんが何故用があるのかを教えて貰う為に質問をいくつかする。

 

 

「で用とは何ですか?」

 

 

「はい!この前の事のお礼を言いに来ました!」

 

「お礼?もしかしてあれですか?」

 

「はい!あれです!」

 

 

遡る事一週間前、ダイヤさんからの呼び出しで生徒会室に行った時に起こった。指名の理由は掃除の雑用。生徒会室の掃除をするから要らない段ボールを処分する時に力を貸して欲しいとの事。普段からお世話になっているし行かない理由もない。

 

 

問題はそこから、ダイヤさんと塚瀬さんと掃除をしていたのだがやたら段ボールが多くて埃も被り放題。塚瀬さんが何段にも重なった段ボールを上から取ろうとした際に見事引っ掛けてしまい押し潰された状態になってしまったのだ。幸い怪我がなく一安心。プラスその時差し伸ばした手がとても嬉しかったようだ。その時は赤面な顔で飛び出して行った為にお礼の言葉は貰ってない。だが親切な事をされてどうしてもお礼がしたいとここへやってきたらしい。

 

 

「えへへ、あの時は本当に有り難かったです。こんな私にも手を差し出してくれるなんて」

 

 

頭をかく仕草をしながら照れている。生徒会の人故にどうしてもダイヤさんの様な硬派な人かと想像してしまうがを全然違ったみたい。中々アグレッシブで千歌の様な一面を見せつつもちゃんと謙虚で礼儀正しくとても律儀な人で梨子のような一面も浮かばせた。

 

 

難もなく話していると時には相槌を打ち、返し言葉も出来ている。話し相手にするのはこの上ないぐらいの理想形の様な人物。ダイヤさんにも生徒会にとってもこういった人はとてもプラスになる。

 

 

「それでですね!あの!」

 

急に切り口を変え強い口調で話してくる。人物が入れ替わったかの様に辿々しい様子でさっきまでの面影はない。言葉がたんびたんびに詰まっていて何事かとは思ったのだが先程までの彼女を見ていてそんなに心配する事では無いだろうと思っていた。この言葉を聞くまでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜※〜

 

 

 

 

 

 

 

「チョーップ!」

 

「痛っ!ちょっとずら丸!何すんのよ!」

 

「善子ちゃんが悪いずらー!ダイヤさんが話している最中に俯くからだもん!」

 

「こら!貴方達!ちゃんと人の話は聞きなさい!」

 

「ごめんなさい…」

 

 

こちらは文化祭終了後の部室。大成功の余韻に浸りながらも浸ったままではいけないとすぐにメンバーを集めて作戦会議。成功でも悪い所も必ずあって逆に良い所もある。お互いを整理し次に生かしていく。いつ何時も常に次の事を考えている。

 

 

そして作戦会議が終わった。緊張した空気が一気に緩和され会話もチラホラと増え始める。陽気な空気の中勿論ライブの事で会話は持ちきり。

 

 

それはそうだろう。あの体育館を満員で埋めたのだからそれは彼女達の自信になる。それと共に成長にも繋がっている。一歩踏み出したらこんなにも世界が違って見えるのは彼女達が1番実感している。やらなければ何も変わらないをまた一層実感できた今回のライブであった。

 

 

 

 

「梨子さん、少しお話良いですか?」

 

「ええ、大丈夫です。」

 

 

 

部室にメンバーを残し退室する2人。メンバー達には「少し話をする」と言い外へと出て来た。

 

 

ダイヤさんは顔から想像できないぐらい目が笑っておらず只ならぬ雰囲気を感じていた。その予感が的中しなければ良いのだが…

 

 

部室を出て少し行った所で少し落ち込んだような顔になり話を始める。

 

 

「あれから私なりに考えて見たんです。悠人さんを少しの間休ませようかなと…確かに悠人さんがいた方がAqoursにとってプラスになるとは思いますが現状は1人で溜め込んでしまいがちです。もし予想外の事が起きた場合は私達では対処しきれません…」

 

 

「そうですか…それはみんなにも話したんですか…?」

 

「いえ、まだ話してませんわ。だから梨子さんに先に話したかったのです。」

 

 

予感が的中してしまった。梨子は悠人のお陰で正常の自分を取り戻せたのもある。「悠人ならここでどんな事を言うのだろう」の言葉で一杯になっていた。自分には悠人の気持ちが分からない。手助けしたいのだが方法が分からない。

 

 

「私だけでは決められません、他のメンバーにも聞いた方がいいと思います」

 

これが今の自分が出せる答え。いや今の自分にはこれしか出ない。どうする事にも出来ない未熟さが悔しい。

 

 

「そうですわよね、梨子さんの言う通りですわ。では明日でもみんなで話して見ましょう

今日はいいムードに水を差すのは良くないので」

 

「はい…」

 

 

もう一度部室に戻って行くダイヤさん。後ろからだがその背中は弱々しくやはり責任を感じているのだろうか。そんな事を考えつつも自分も部室に戻らなければ…俯き溜息をつきながら部室のある体育館へと戻って行くその時、1人の声が聞こえた様な気がした。

 

「梨子…!梨子」

 

誰がかは分からないが自分を呼んでいるのは分かった。小さな声で気付かれてはいけない様な声でこちらを呼んでいる。均一されてない声で不平等のトーンで必死に。

 

 

誰もいないのも確認し辺りをキョロキョロと見渡す。すると物陰に1人の人影が見えた。

呼んだ相手は多分あの人だろう。持てる力を最大限に発揮しその人の元へ駆け寄った。

 

 

「梨子、今日はミーティングに参加できないかも知らないからこのまま進めておいてくれ」

 

「わかった・・・って待って!」

 

 

そう言い何かに追われているように全速力で駆けて行った。数秒走っている彼の背中を見ていたがふと我に帰り部室へと帰らないといけない事を思い出し急いで制服のリボンを揺らしながら早歩きで部室へ戻ろうと歩き出した。

 

 

部室に戻ると先程まで気持ちとは大違いな程に盛り上がっていた。場の盛り上がり方からしてダイヤさんも一言も話した様にも見えないし既に集会も終わりかけていた。話にない以上わざわざ割いて言う必要もない為話が出れば出ただけで対応をすればいいだけの事。

 

「これで終わります。文化祭もこれにて終了しますので速やかに教室に戻りましょう」

 

 

体育館の片付けは明日すると生徒会にも了承されているので今日は教室に戻ってそのまま解散の形となる。悠人が教室に現れるかは分からない上に話も一つも出ない為不信感を抱きつつもこのまま進めていた。

 

 

 

 

 

〜※※〜

 

 

 

 

「姉ちゃん、ここどこだ?」

 

「ふふっ、何処だろうね?」

 

「教えてくれよ、学校に戻らないといけないんだよ。」

 

「それなら大丈夫!これを見て」

 

姉ちゃんは車を運転しつつもう片方の手で一つの紙を差し出す。その内容は早退届。この学校の仕組みとして早退届を本人以外の人が受け取って良い為姉ちゃんが俺のを受け取るのも可能になる。となると俺は早退した事になってしまった。

 

なぜ早退届を持ってきたのかは分からなかったが車の中で場所を聞こうも上手い事話を逸らしてくる。口を開く事は無いだろう。

 

それに現時点の場所は俺の知っている距離の場所では無い。俺は何故か記憶力だけは異常にあり一度見た物は完全に近いほど記憶できる。この事から長距離に来たと思われる。

 

 

「早退届って…まあ取り敢えず明日までには家に帰してくれよ」

 

「うーん、それは悠人次第かなー?」

 

 

理不尽な物の言い様に疑問を覚えた。可能性が無かった選択肢も頭の中に過ってしまっている。言う事が正しければ命令を大人しく聞いておけと言う事になる。

 

「まあ、待っててよ。目的地にそろそろ着くからさ」

 

 

 

 

〜※〜

 

 

 

「はあ……」

 

「どうしたずら?」

 

 

善子が机にうなだれて溜息をついている。見た目から不安になっており関わらないほうがいい空気になっていたがそこを花丸は関係なく関わっていく。それが花丸の良さでもあるのだろう。

 

 

「さっき悠が体育館から出ていく所を見たの、それで後を追いかけて行ったのよ」

 

「ああ!あの時の!」

 

「そう、それで悠が1人の女の子と一緒に歩いていたの、急いでいたから要件は分からないけど」

 

「あっ!善子ちゃん嫉妬ずらか!?」

 

「そんなんじゃないけど…」

 

 

善子はテンションを下げ暗いトーンで話している。内容は深くは聞いてないが話し方から

分かるほど落ち込んでいた。

 

何とかして元気にしようと色んな話をしたものの返ってくるのは簡単な返事だけ、諦めかけたその時、善子が思いっきり立ち上がる

 

「そうだわ!悠の所にいきましょ!もう当たって砕けろよ!」

 

「そうずら!そうずら!」

 

よく分からないが意思を固めた様だ。次の目的は悠人がいる教室。教室から出ようとしたその時に梨子が手を上げているのが見えた。

 

「梨子さん、どうしたずら?」

 

「悠人が早退みたい、私が教室に帰った時には既にいなくて帰ったみたいなの」

 

「ええっ!じゃあどうするずら?」

 

「決まってるじゃない!家に行くのよ!早く!リリー!ずら丸!」

 

善子は自信満々に話し先程とはまるで大違いで教室を飛び出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 




どうでしたでしょうか?
悠人くんに話した塚瀬さんの意味とは?そして姉ちゃんの陰謀とは?
是非次回ご覧ください!


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15章、50歩100歩

いよーし!中4日で書けたゾー!まじ最近描く意欲がだんだん上がって来てる気がする!

な割には文字数が少ないのは内緒


「そう言えば悠人の家って知ってる?」

 

「あっ!知らないずら…」

 

ここで重要な事に気が付いてしまった。ここにいる3人誰1人として悠人の家を知らない。

悠人がメンバーの家に行く事はあるのだが逆のパターンとしてある事はあるのだがこの3人には当てはまらない。即ち行きようが無い。

 

 

どうにかして行きたいと善子がただをこね始める。確かに彼女は勢いで押す所がありそこが吉にも凶にもなっている。だからと言って信念を曲げずに貫き通すメンタルは中々のもの。

 

「あっ、楓花さんに教えて貰えば良いんじゃないかな…?」

 

梨子がボソッと独り言くらいの大きさで話すと途端に善子のレーダーが反応する。

 

 

「それだわ!」

 

解答が一致かポケットから自分のスマホを取り出す。慌ただしく電話帳から楓花の名前を探し電話をかけた。

 

「プルルルル、プルルルル」

 

スピーカーで駆けている為音は2人にも聞こえている。1回、2回と着信音が鳴る。3回、4回たっても出る気配が無い。諦めてもう切ろうかと思ったその時プッと音が鳴り通話へと切り替わる。咄嗟の事で意識していたのだが慌ててしまい言葉になっていない。空かさず梨子がカバーに入り通話を始める。

 

 

「もしもし楓花さん、少し良いですか?」

 

「うん!大丈夫だよ!」

 

「悠人の家に今から行こうと思っているんですけど私は悠人の家を知らないので教えてもらえませんか?」

 

「別に構わないけど、悠人は今家に居ないよ?」

 

「どうして知ってるんですか?」

 

「だって悠人は今私といるんだもん」

 

 

 

思いがけない答えに驚いたのだが驚きを悟られてはいけない。何故なら少し様子が変な事に気付いてしまった。それは2人も薄々と感じているだろう。

 

(何か知られてはいけない事があるの?)

 

心の中で疑問が浮かんだ。もしこれが万が一だとしたらこの場面が鍵になる。だとすれば攻めてもここで何か情報が欲しい。少し攻めても良いぐらいの状況である故にここは少し攻めて行こう。

 

 

 

「どこにですか?」

 

「うーん、まあ梨子ちゃんには関係ない場所かなー」

 

「ここから近いですか?」

 

「うん、そんなに遠くは無いけど歩きや自転車で行けるような距離では無いかも」

 

 

次の言葉を探しているその時に一瞬の隙を見たか丸が電話に向けて一言話す。

 

「楓花さん、お兄に代われないずらか?」

 

中々攻めた質問。場を間違えれば切られてもおかしくない質問を平然とやってのける。慎重の更に慎重を進む人間では手が出ない様なコースの質問。丸も何かを察し自動的に行った行動なのかそれとも丸の気持ちが勝った行動なのかは不明だが有意義な質問なのは間違いない。

 

「全然良いよ!ちょっと待ってね〜!」

 

またも考えを外されたが悠人と話せるのは収穫。これはチャンスと見て電話口が変わるのを今か今かと待つ。

 

「もしもし?梨子?」

 

「悠人、今どこにいるの?」

 

「俺もよく分かんないけど取り敢えず近くじゃない事は俺でも分かる」

 

 

冷静さを失わず動揺しないを心がけて悠人と話す事にしている以上失敗は許されない。探り探りだが最短の時間で的確な答えを導き出すしかない。

 

 

「そうなんだ、明日は学校来れそう?」

 

「多分だけど明日はちゃんと行けると思う」

 

「分かった。ありがとう悠人。じゃあ切るね」

 

 

そう言い電話を切った。時間で言えば3分少々の通話であったが3分以上の価値があったと思う。話したい事を話せて何しろ悠人の様子を伺えたのはこれ以上ない収穫。

 

 

「で、何て?」

 

 

梨子に変わった辺りからスピーカーを解除し耳元で通話していた為2人には悠人の声が聞こえていない。

 

そこまでめり込んで話をして欲しいと言う様子は見られない。先程と比べて少し落ち着きを取り戻したのかとも感じられ話しやすい環境にもなっていた。

 

 

「楓花さんは悠人に変わってくれた。そして悠人とも話をしたけど特に変わりはなくて明日には学校に来れそうって行ってたからそんなに心配する事でも無さそう」

 

 

「それなら良かったずらー!また明日にすればいいずらね!」

 

「そ、そうね!また明日!明日は明日の風が吹くって言うし!」

 

 

善子は納得してくれたみたいだ。意外とこう見えても素直で何しろ分かりが良いのは良い子の証拠。この状況から善子が善い子なのも納得できる。

 

時を忘れ過ごしていたがこのまま忘れている筈も無く近くのお寺から6時の鐘が鳴る。ここら辺では6時を告げる有名な鐘。近くの子供はこの鐘とともに帰宅すると言った習慣がある家庭もよく見かける。

 

 

「門限までには帰らないといけないので丸はそろそろ失礼するずら」

 

「私も帰るわ。じゃねリリー」

 

「じゃあね、善子ちゃん」

 

 

2人と別れてここから1人の時間。夕焼けが照らす夜道を1人俯きながら歩いている。そこまで遠くない帰り道だがここ最近は悩み事が多過ぎて時間が止まっている様に感じる時も珍しくない。今日もまた1つ悩み事が増えたのでこの時間は今後更に増加していきそうだ。

 

 

「さて、今日はどちらにしようかな」

 

 

そう言い立ち止まった別れ道の前。登下校の際の通り道にある別れ道は極端な話近道をしたければ右、急がば回れであると左、の教科書通りの別れ道。普段から左の道を通るのだがたまに急いでいる時は右を使ったりもする。今日はそこといって用事は無いので通常通り左の道を通って帰る事に決めた。

 

体を左に傾けて街灯がついた道の方向へと進んでいく。夜は街灯が点いているこちらの道を歩くのが一般的で対照的にするとあちらの道は街灯も無く静まっている。何とも気味が悪くもはや夜なんて論外。急いでいても出来るだけこちらを通る様にはしている。

 

少し歩いた所で立ち止まり一言。

 

「千歌ちゃん、人をつけるのは良くないよ?」

 

「へへー、バレちゃったか、」

 

そこには不気味な笑顔で立っている千歌がいた。直前まで気づかなかったとなると後ろを完全につけられていたという事になる。

 

つけられていたのは不覚だがここで見て見ぬ振りは宜しくない。会ったからには少しでも話しをしなければ。

 

「単刀直入に言うけど梨子ちゃん、悠くんの居場所知ってるよね?」

 

「ええ、知ってるわよ」

 

「なら話が早い!教えてくれない?」

 

「残念だけどそれは出来ないわね」

 

殺風景の道に戦闘体制の2人が火花を散らしている。いつ襲いかかってきてもおかしくないぐらいに不愉快そうな顔をしており時に舌打ちも聞こえてくるほど。

 

こうした会話が数分続き勢いと流れで行ったり来たり。持ち越し持ち越されての中で場の空気を変える一言を放つ。

 

 

「梨子ちゃん面白いよねー!ますます虐めたくなったねー、もうそろそろいいよー!」

 

背後から何者かがこちらに向かって走ってくる。元々距離が近かった為に考える時間も無く直感で行動するしか方法がない。左に足音が強くなっていく。身体を右にかわし状態を戻し少し間が出来た一瞬で相手の顔を確認する。「えっ?」と一言、言葉を失った。

 

 

「梨子さん大人しくしててくださいよ。捕まえられないじゃないですか。」

 

「ルビィちゃん…?」

 

目の前に死んだ目をした黒澤ルビィがいた。話の様子からして捕まえようとしていたのは一目でわかってしまった。だが友達と言おうが限度がある訳で当然このような状況でも正当防衛を主張し逃げ切るつもりだ。

 

「くっ…」

 

結果は見え見えだった。1対2で差が歴然なのは梨子自身も分かっていたはずだが最後まで

何とかしようともがき続けた。そして言う間も無いままに意識を失った…

 

「梨子ちゃんも哀れだよね!悠くんの居場所を教えてくれれば傷1つ付かずに済んだのに、本当に馬鹿は馬鹿だねー!」

 

 

手に持っていたスマホを見ながら笑い始める千歌。そのスマホに書かれていた物は驚愕する内容だった。GPSマップだったのだが現在も動作している。それは千歌の動きに反応している訳では無い。ルビィが名前を見て見ると…

 

「"久遠悠人"」

 

悠人に付けたGPSによって動作している。この争いもそもそも最初から完全に理解していた事になる。 梨子がムキになっていたのも最初から馬鹿を見るような目で見ていたのだ。

千歌やルビィにとって邪魔でしか無かった梨子を沈められた為にこれで制御されずに行動が出来る。

 

 

「待っててね〜♪悠くん♪」

 

 

ーまた1つ邪悪な魂が宿る…ー

 

 

 

 

 

 




いかがでしたでしょうか?
千歌ちゃんヤンデレの可能性あると思います!
楓花さんは中々本性を現しませんね…(あっ!何でも無いです…)

次回も中3、4ぐらいで書けるように頑張ルビィ!


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16章、有効活用

うーん、そろそろ話す事がない。

取り敢えずどうぞ!


「果南、帰らなくて大丈夫なの?」

ダブルベットに贅沢に寝転がりながら鞠莉さんが果南さんに話しかける。

 

「うん、今日は父さん外出してるから大丈夫。なんかあったら連絡も入れるし」

 

 

日もすっかり落ちお月様が顔を出す7時前後。小原家で果南さんと鞠莉さんが集まって話をしている。とは友達以上の話し合いでは無い為にワイワイガヤガヤと2人とは思えない何処かの部活の集まりの様なムードで行われている。

 

 

「鞠莉お嬢様夕飯の用意が出来ましたので一階へとお越しください。」

 

黒服の鞠莉さんの護衛の人だろうか?確認をしに来ている。黒服の人がいるなり流石金持ちと思うが鞠莉さんはこれが当たり前なので普通のワンシーンなのだ。

 

 

「果南、ご飯食べていく?」

 

「いやいいよ。鞠莉や家の人にも悪いし」

 

「いいえ、お友達様の分もご用意してますので是非お食べになってください。」

 

「それなら、お願いします」

 

 

鞠莉さんは大丈夫だとしても家の人に言われては断りようがない。それに合わせて用意出来ていると言われた以上食べて帰らなかった時の罪悪感は計り知れない為に食べて帰る事にしたのだ。その時に鞠莉さんの子猫のような目を見たのは内緒にしておこう。

 

 

階段を下り一回の夕食が並んでいるテーブルへと向かう最中に果南さんが急に一言「あっ!」と声を上げる。不意打ちだった故に勿論周りは驚いた顔をしている。

 

 

「どうしたの?果南?」

 

「ちょっと忘れ物しちゃって、先行っててよ後から行くからさ」

 

 

と言い現在とは逆方向へと振り向きと一歩二歩と踏み出して行く。今日の持ち物自体もそこまで多くは無かったが完全に把握していたのでは無い故に止める理由も無かった。

 

 

「それでは参りましょうか」

黒服の一言で再び歩みを進める2人。先に着くのは鞠莉さん達になりそうだ。

 

 

 

 

〜※※〜

 

 

 

 

「いただきます!」

 

その場全員の声が響き渡った。テーブルに並べられている色とりどりの料理の数々。見た目からしてお金持ちの夕食と言う感じで一般人にはどうも手がつけがたい。そんな気持ちなど微塵も感じ取らないかの様に鞠莉さんは高級食材を次から次へと口に入れており贅沢なんて微塵にも感じられない「これだから金持ちは」そう思うのも無理はない。

 

 

どんな食材が出ても食べると決めたのだがどうも手がつけにくい一生に一度しか見ない様な物も紛れている可能性も十分あり得る所も難しい所なのだ。そんな状態を薄々感じられていたのか不意をつき自分のフォークで適当に取り果南さんの口の中に持ってくる。

 

 

「ちょ、ちょっと鞠莉!」

 

これに限っては仕方ない事だ。何しろ急に口の中に運ばれては対応しきれないし横を見ると鞠莉さんがやり切ったニヤニヤした目で此方を見ている。

 

 

「果南、ちゃんと食べなきゃダメだよー?」

 

「分かってるよ!これから食べようとしてた所なの!」

 

「ほらほらまだあるよー、かな〜ん」

 

 

自分を赤子のように扱ってくる鞠莉さんにキレかかっていたのだが何とか怒りを抑えられた。その理由としてはこれが一回や二回目ではなく数えられない程のチョッカイをされたので慣れてるのだ。

 

 

「全く、果南ちゃんと鞠莉は仲がいいのねえ」

 

鞠莉さんの横に座っていたお母さんが嬉しそうに話しかける。否定するどころか一方に相互をし意気投合もしている。これはまずいと中和を入れようと試みたが時すでに遅し。

 

 

「ねー!果南!」

 

「分かりましたよ。鞠莉さんそうですね。」

 

 

サバサバとした回答だが鞠莉さんは精神攻撃が一番応えるのをを知っていた果南さんだからこそ出来た事。これも友達の一種として認識されているのだろうか。

 

 

こうしたやり取りがこの後も続き時間を忘れていた。ふと時間を見ると8時を回っており慌ててもう一度きっちりと見ると時計の針は8時半を差そうとしていた。

 

「やばっ!そろそろ帰るね。鞠莉」

 

「果南、送ろうか?」

 

「いいよ。明日も学校だし鞠莉にも悪いから。また明日ね」

 

 

鞠莉さんの家を後にし夜が支配する道を1人歩いていた。街頭も消えかかっている夜道を女の子1人で歩くのは危険もつきまとうのだが暗闇の中で果南さんは笑っていた。

 

「ふふっ、鞠莉はやっぱり鞠莉だね、なーんにも変わりはしないや」

 

完全に消えた街灯の下を笑いながら走り去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええっと、なぜ私はここに?」

 

全く状況が理解できない。気がつくとベッドの上に寝ていたのだから。時間が経つにつれ何とか収集がつき此処が何処かぐらいは分かったのだが肝心な詳しい事は一つすら分からない。

 

 

「リリー!何言ってるのよ!ここはずら丸の家よ!そして此処はずら丸のベッドよ!」

 

善子の話で何となくは分かったもののどうしても頭からハテナがまだ消えない。

 

 

「で私は倒れていたの?」

 

「そうずら。善子ちゃんの電話に梨子さんが倒れてるってメールが送られてきたずら。最初はどうせ誰かのいたずらなんじゃないかと思ったんだけど不思議に場所もはっきり書いてあったので一応行ってみようってなってその場所に行ってみたら梨子さんが本当に倒れていたずら」

 

「その時は善子ちゃんと2人でいたの?」

 

「うん、善子ちゃんと帰る途中だったずら」

 

 

ここでまた一つ疑問が生まれた。善子の携帯にメールを送った人物の事。話を聞く上で善子と花丸は一緒に居た為にメールは出来ない事は無いのだが機械音痴の花丸がとなったら可能性は低い。となると他の人物となる。だが状況を何一つ知らない梨子は捜査の打ちようがない。手当たり次第と行きたいが私を気絶させた張本人が登場する場合も否定できない。どちらにしても危険が伴うのだ。

 

 

それでも梨子が取った行動はやはりメールの解析。リスクを避けていては辿り着けない。それ以前にメールを送った相手を特定出来れば有利に持っていけると考え、そこまで無い電子の知識をフル回転させている。

 

 

「でも思ったけど私を気絶させたと言う事は単に私を制御したかった人物なんじゃ無いかな?」

 

「確かにそうずら。自分に不利な人は毒殺とかで消してしまう事が良くあるって本にも書いてあったずら!」

 

「さらっと怖いこと言うわね…ずら丸」

 

「善子ちゃんは消さないずらよ…!」

 

「いやいや!怖い!ずら丸!」

 

 

「そこでもう1つ、私を気絶させて普通なら監禁したりするのよね。何故そのままにしたのかな?」

 

「例えばそこまでの記憶を消す…?とか?」

 

「ああ、ありそうずら。」

 

 

花丸には強い意見があった。それは梨子の倒れていた姿勢だ。花丸達が駆けつけた際、梨子は仰向けの状態で倒れていた。仰向けなら正面から何者かに押されたような状態になっている。此処までは3人でも分かる話であったが此処からが花丸の強い意見。それは状態での傷の無さだ。本来なら強く押されたとしたら肩を始めとした部類に怪我が出来る。脳も含めて。脳を強く揺さぶられて記憶が消える事はある。だが梨子には怪我どころか傷1つも入っていない。即ち充分別の方法で記憶を消された可能性はあるのだ。

 

 

「ずら丸!なんでこんなこと知ってんのよ!」

 

「これも小説で見たことあるずら〜!」

 

「あんたどんだけ小説読んでんのよ!」

 

 

花丸の話の中では記憶喪失では無く記憶を消されたという事になる。それがもし本当だとすれば重要な証拠になり話も広がってくる。

追求してみるのも良いがまだまだ理由が足りない為にまだ何か欲しい所だ。

 

 

と言ってもこれ以上の話の言い合いも意味ないしどうする事にも出来ない。よって話も段々逸れてき終いには明日のご飯のことまで出て来た。ここでもう終わりと解散の合図をかけようとしたその時。

 

「リリー電話。」

 

善子が言ったようにポケットが振動で震えている。話の途中で全く聞こえてなかったので言われてなければ気付かなった。

 

電話が切れてはいけまいと急いでポケットから携帯を取り相手の名前を見る。

 

 

ー久遠悠人ー

 

 

相手は悠人。聞きたい事は一杯あるが取り敢えず基本的な話を聞かないといけない。

 

「悠人!?今どこ?」

 

少し声が荒ぶってしまった。なのだが返事が全く来ない。

 

ようやく声が聞こえたのだが、様子がおかしい。かすれ声で訴えかけるようにしか聞こえない。

 

 

「り…こ、助け…て」

 

「ちょっと!悠人!悠人!!」

 

 

一つの電話(希望)が何処かで消えかかっている。

 




如何でしたでしょうか?
この回はかなまりで締めようと思ったのですがかなまりはもう少し泥沼感を出したい所なのでもう少し!

次回をお楽しみに!

※今日はもう一つ更新があるかも…?


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