『アヴァロンから人理修復!』 (口からシャイタン)
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私はアーサーです(迫真)

勢いで書いた。
反省はしている、でも後悔、もしているかもしれないけど敢えて無視をしておく。


草原には赤い衣服の少女、赤銅色の髪をした少年、そして私に瓜二つ、と言うより同一人物の少女が居る。

私と彼女の違いを述べるならば髪の長さに衣服くらい、後は体型も顔立ちも、DNAでさえ一緒です。

 

「本当に帰っちゃうのアーサー、居ようと思えば此処に留まれるんでしょう?」

 

赤い少女は私に問いかけます。

 

「えぇ、確かに私が此処に居ようとすれば問題なく、私はこの場所に定着出来るでしょう。 私はサーヴァントではありませんから」

 

「なら…」

「ですが」

 

私は赤い少女の言葉を遮り、言葉を紡ぎます。

別れはどんなに時間が流れようとも悲しいもの、ですが此処に居ては彼女の邪魔になってしまうでしょうし、私自身の使命さえも放棄する結果になってしまいます。

 

「私は王です。 国が滅びてしまおうとそれに違いは無い。 彼女が此処に少女として有るのならば私は王としてあの場所に戻らなくては」

 

赤い少女は私に留まって欲しいが、その結果私の志しを侮辱する事になると理解し、これ以上何も言わない。

 

「アーサー、今までありがとうな。 この闘いを無事終わらせることが出来たのもアーサーの協力があってこそだった…本当に最後まで世話になりっぱなしだ」

 

赤銅の少年は私に謝辞を述べてくれる。

褒められるのは嫌いではありませんが、それはやはり正しさを伴わなければどうもむず痒いものです。

 

「いえ、シロウ。 きっと私が居なくとも結果は変わりません。 私はそれを手助けしただけに過ぎない。 それに世話だと言うのならこちらも同じ事…また貴方の料理が食べられる事を切に願います」

 

本当に彼が作った食事は美味であった。

私も少しは出来るのですがやはりアレの味は再現できないでしょう。

今からでも円卓に誘いたいものです。

 

「アーサー、私は今でもあの選択が間違いだと言いきれません。 現に私は今まで行おうとしていた非道を是とし、自分自身正しいと信じてやまない程でした」

 

「アルトリア、貴女がその選択を是とし、私がそれを否とした。 その結果は対立でした。 その時の私の気持ちは貴女の思想を本当に否定していいのか?、でした。 つまり何が言いたいのかと言うと、自分の選択が正しいかなんて本当は自分自身でも気付けないものなんです」

 

間違いを自分で正すことが出来るのならば一番はそれがいいでしょう。

ですが、その考えに至る人は案外少ない、結果的に他人に正してもらわなければならない。

 

「貴女には既に居るでしょう? 正してくれる人達、一緒に歩んでくれる人達が」

 

赤い少女と赤銅の少年は彼女を見つめ一つ頷く。

 

「はい!」

 

彼女もまた私に顔を向けて頷く。

 

「では話はここまで、私は帰還します」

 

私の身体は光に包まれる。

これは帰還の光である。

 

「それでは、リン、シロウ、アルトリア。理想郷に至る時があるならばまた会うこともあるでしょう。 それまでおさらばです」

 

3人は笑って私を見送っていた。

頬に温かいものが伝っていた気がするがきっと気のせいでしょう。

 

私の視界は光で埋め尽くされる。

目を瞑り私は在るべき理想郷へと帰還する。

 

───────────────────────

 

場所は大きく変わり石造りの建物、少々埃っぽいのが難点だが十分に安定した工房だ。

私はその中心のサークルに居る。

 

「マーリン! マーリン何処ですか?」

 

私は自身の宮邸魔術師(下僕)であるマーリンを呼ぶ。

彼は人で無しだが(そもそも真っ当な人ではない)、私の剣や魔術、あらゆる事を教えてくれた師である。

戦力にはならないが欠かせない存在だ。

 

「お帰りアーサー、今回は無事にハッピーエンドだったね」

 

「そうですね、まさか前回の失敗のツケが今回に回ってくるとは思いませんでしたが。 概ね何とかなりました」

 

前回とはFate/zeroのことで、あれはアルトリアが分からず屋でそのマスターも分からず屋と言う最低な状況で始まった私の苦労話だ。

この呼称を用いている事から推測出来るだろうが私には所謂原作知識があるらしい。

他にも無駄にいらない知識から便利な知識まであるが此処で披露しても意味の無い事だろうと割愛する。

 

私は最初から原作知識を持っていた訳では無い。

具体的には選定の剣に触れたその時からだ。

 

私には私のアーサー王伝説が存在するが結果的に国は滅びたし、何より面倒な為次の機会にしておく。

 

「所でマーリン。 私はお腹が空きました、ご飯はまだですか?」

 

「帰ってきて早々食事を要求なんて…偶に教育方針を間違えたんじゃないかって私らしくも無く涙が出そうだよ…出ないけどね」

 

「このケーキはなかなかどうして美味ですね。 こんな物、今まで何処に仕舞っていたんですか?」

 

「私の秘蔵のケーキ達が!?」

 

マーリンは柄にもなく落ち込んでいます。

普段は基本的に澄ました顔しかしない彼がここまで感情を放出するのを見るとどうにも可笑しく感じる。

 

しかしこのケーキは本当に美味しい。

 

「まぁいいさ。 ケーキ何てチョイチョイっとチョロまかせばいいしね…」

 

「聞き捨てならない事柄が聞こえましたがまぁいいでしょう。 それよりフォウくんは何処ですか? 何時もなら私の膝で丸まってくれるものを今回は顔すら見せてはくれません」

 

あのモコモコとした獣はどんなに求めても飽き足らない欲望が詰まっています。

愛らしい鳴き声を聞くとついつい時間を忘れる。

 

此処では私にとって欠かせない娯楽の一つ、本当は人間に対して絶対的な殺人権を所有する獣ですが、私はあのモフモフに埋もれて死ねるのなら本望。

 

いや絶対にそんな事にはなりませんが。

 

「あぁ、キャスパリーグならアヴァロンから出したよ。 その方がアイツにもいい影響が…我らが王よ、どうかその聖剣を下ろしてはくれないだろうか?」

 

「遺言はそれでいいのですねマーリン。 誓約によって汝を縛ろう! そこを動くなマーリン、動いても動かなくても撃つぞ!」

 

マーリンは完全に停止した、彼の神経が動くなと告げているのだからどうしようもないだろう。

 

「アーサー、落ち着いて。 話せば分かる、これには深い訳があってだね。 全世界の危機に対する布石で」

 

「なるほどそれは大変ですね」

 

「そうだろう? 分かったら早速話を」

「だが断ります!」

 

マーリンは顔を真っ青にします。

それは当然でしょう私の聖剣には十分な魔力が通されて居るんですから。

 

「それとこれとは話が異なるんですよ。 私から楽しみを奪った罪は大きい。 死して詫びなさいカリバー!!!」

 

石造りの工房は吹き飛ばされた。

見えたのは一面を埋め尽くす花々、燦々と太陽は降り注ぎ時に微風が花を揺らし笑っているようにも見える。

 

また(・・)工房を吹き飛ばしてしまいました… まぁ直ぐに補修、いえ建て直されるでしょうし、悪を滅すには多少の犠牲も仕方ありません、キリツグやはり貴方は正しかったのですね……」

 

「自分を正当化するならその笑顔はないよ… まぁでも今回も派手にやったね…妖精達も過労で死んじゃうんじゃない?」

 

「どうやっても悪は栄えてしまう…結局第二第三のマーリンが現れる。 やはりギャラハッドから託された聖杯を使うしか…」

 

「それは本当に止めなさい! 洒落にならないからね…」

 

お遊びはここまでにしてマーリンの言う世界の危機について詳しく聞くために中心へと向かう。

そこには塔があり、マーリンはそこに投獄中の身。

 

いや言い方を間違えた…

 

──絶賛ヒキニート中である。

 

「その言い方は酷くないかな? 出ようと思えば出られるよ私は」

 

「ナチュラルに心を読まないで下さい」

 

塔へと飛び、近くにあった椅子に座る。

靴音が石に反響し耳に入ってくる。

マーリンは上の階に居たようだ。

 

「やぁ待たせたね。 キャスパリーグの事は相談せずに本当に悪いと思ってるよ」

 

「本当はそう思っていないのは分かっていますよ…キャメロットに居た頃はその顔によく騙されたものです」

 

マーリンは肩を竦めそれは残念と言葉を零す。

はっきり言ってまたカリバーしたい所ですがこれ以上は自重するとしましょう。

良かったですねマーリン!

 

「さて、今は亡き工房で話した通り今回の危機はこれまでの比ではないんだ。 規模がブリテンに留まらないからね、案の定君も呼ばれると思うよ」

 

私はブリテン島の危機を救う存在、マーリンが言うような事が本当に起こるならばきっと私も向かうことになるでしょう。

 

「それで一体誰がそんな事を? フォウくんのこともありますし目星は付いているんでしょう?」

 

「うん、その人理って言ってね、人の歩んできた道、所謂歴史を全て焼却する事を目的としているみたいでさ、現に外は既に無いものとして認識しておいて。 まぁ首魁については魔術王を名乗っているみたいだよ」

 

魔術王? また王様ですか…もう既に征服王とか英雄王とか、もう満腹です。

満腹なのはシロウの料理だけで十分だというのに……

 

「キャスパリーグは今回の主人公の元へ送っておいたのさ。 アーサーも心当たりあるだろう?」

 

まぁ散々誤魔化してきましたが、アレですねFGOですね。

第五次聖杯戦争が無事終了したので無いと思っていたのですが…やはりアレですか?

 

──平行世界と言うヤツですね!!

 

と言うことはフォウくんは無事、藤丸立香とマシュ・キリエライトと合流している、という事でしょうね。

 

毎度この様に原作に介入させられるのですが、私は思うんです…

何故解決すると運命付けられた物語に送り込まれるのかと。

結果は既に出ている、私は必要ない歯車。

 

しかし今回もまた同じ結論で終わるようですね。

 

「では次は、ブリテンを救うついでに世界を救ってきましょうか」

 

反対? いや、私にとってはこれが正方向です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




続きがあるなら読んで欲しいと思う。
でもあまり期待しないで、するとしても軽い感じでお願いします。


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騎乗スキル=ドラテクだとしたら?

サブタイに特に気にしないでいいです。
まだどう展開させるか微妙ですがボチボチやっていきます。


ふむ、これは世紀末ですね…これは建物が立っていた痕跡すら燃え尽きている。

前回に「世界をブリテン救うついでに救う」などと宣言しましたが

 

「知識に実体験が伴うとやはり辛いものがあります…」

 

これまでも似たような事はありました。

既存の知識がある故の慢心、こうすれば大丈夫などと宣い最終的に失敗する。

 

まぁ結果は最良だったとだけ言っておきます。

 

「こちら優しい王様、応答願います」

 

私は特異点という字そのまま特異な時代に於いて、マーリンとの交信が可能かどうかを確かめます。

 

『はいはいこちら素敵なお兄さんことマーリン。 通信状態は良好、王のモニターも問題無く。 ホログラムもやろうと思えば出来るけど…まぁ表舞台に出ないで傍観者を決め込みたい私としては遠慮させてもらうよ』

 

もう既に手遅れだと思うが私は人の心がわかる王ですからね察してあげますよ。

でも本当に手遅れでしょうに、フォウくんの事だったり、ウルクの事だったり…

 

「さて、早速ですが働いて貰いましょうか。 近くにサーヴァント反応はありますか?」

 

『あるよ。 君の後ろにね』

 

思わず本気で後ろ振り向きます。

 

そこには3人の人間に…いや2人の魔術師(メイガス)にデミ・サーヴァント1人ですか。

御三方は私が振り向いた時の暴風で身体を煽られています。

 

取り敢えず分かることは、彼女達がこの物語の主人公だという事だ。

 

「こ、これはどういう事でしょうか…いきなりサーヴァントが現れました」

 

片目が髪に隠された少女、ギャラハッドの霊基を持つマシュが口を開く 。

 

「えっと…敵じゃないんだよね?」

 

何処かシロウに似た少女、最後のマスターである藤丸立香は半ば問いかけなのか分からない確認をしてくる。

 

「サーヴァントが自然に湧いた? 幾つか心当たりは有るけど、でもそれは最悪な状況に限るはず…それが今だとしたらマズい何て騒ぎじゃあ」

 

早くに脱落する憐れなみんな大好き所長ことオルガマリーはブツブツとこの状況で思考に耽っている。

マシュの後ろにしっかり隠れているとだけ所長ファンには伝えておこう。

 

取り敢えず私はしっかりサーヴァントとして認識されているようですね、厄介事があるかもと掛けておいて良かった。

 

『藤丸ちゃん! 一体そこには何がいるんだい!? それはもうビックリするような霊基の反応があるんだけど!!』

 

ヘタレな優男の気配がビンビンします…

ロマンでしょうね、と言うか私の霊基ってどうなっているのでしょうか?

 

『ルーラーって事にしてあるよ。 きっとそっちの方が自然だ』

 

マーリンが補足してくる、それにしてもルーラーとは…

新たなアルトリアが生まれそうだが、取り敢えずマーリングッジョブです。

事情はきっと所長辺りが勝手に解釈するでしょうし、此処は適当にでっち上げてやりましょう。

 

「サーヴァントルーラー。 此度は事情がいつも以上に複雑故参上した。 問おう、貴女が私のマスターか?」

 

「え、え?」

 

マスターはこの状況に追いついていないらしい、マシュもまた同じようにあたふたしている。

所長はと言うと、私が味方だと分かって直ぐに盾の裏から這い出てきた。

 

「そう、そういうことなのね! マスター藤丸立香、彼女と契約して事態の収拾に臨みましょう」

 

「え、あ、ハイ! よろしくねルーラー」

 

「此処に契約は成った。 仮になりますがよろしくお願いしますマスター」

 

状況はいい方面に転んでいくようだ、この後私の真名を明かすこととなり驚かれ、フォウくんと再開し初対面を装って戯れたりした。

 

「それでは早速ですが出発しましょう。 これに乗り込んでください」

 

私は懐から紙を取り出し投げる。

そこから子気味の良い音と共にメルセデス・ベンツが現れる。

 

「いやルーラー改めアーサー王。 何故車が出てくるんですか!?」

 

「唯の車ではありませんよマシュ。これはアーサーカーと言って私が偶然手に入れた宝具の一つです」

 

事実は無断でしまいこんだ物ですが…改造までしているので最早これは私の物です!

 

『いやいやいや、アーサー王の時代にそういうの無いでしょう? 普通そこは愛馬とかが出てくるんじゃ無いの? いやそもそもルーラーってそう言うのも有りなの!? あぁもう突っ込みどころしかないじゃないか!!?』

 

「日本の坂田金時はバイクを乗り回すと聞いているが?」

 

「そんなわけ無いでしょう! そんなわけ…ないわよね?」

 

『所長が汚染されてる!?』

 

チキンハート2人組は半ば常識人っぽいのでツッコミを禁じ得ないようです。

楽しそうに助手席に乗り出すマスターはやはり大物になります。

いやこれから世界を救うので大物なのは確定ですがね。

 

最終的に皆乗り込み出発します!

 

「シートベルトは締めましたか? では行きます、アーサーカー我が愛馬に劣らない活躍を期待します!」

 

アクセル全開、激しいエンジン音とともに前に直進。

魔力放出まで加えた推進力は最早化け物だろう。

 

移り変わっていく景色(どこを見ても世紀末ですが)の中、黒い靄の人型が2体、青い髪のキャスターを見つけた。

 

構わず私はアーサーカーに魔力で練られた鎧を纏わせる。

それはもう攻撃的に刺々しく、更にニトロという名の魔力放出で最大速力。

 

直後、車に乗っていて聞いてはイケナイ音が二つ聞こえた。

 

「先輩、何か事件に巻き込まれました! と言うかドクターは働いてください」

 

『あぁ、ごめんよ。 あまりの出来事にモニター出来なかった。 サーヴァント反応だ! それも三つ…何か二つ消えかけてるけど』

 

私は車を降り証拠隠滅に取り掛かります。

 

聖剣を取り出しシャドウサーヴァントを灰に、そして目撃者の青髪のキャスターも消さないと…

 

「ちょ、おい待て! 俺まで消す気か!? 味方だ味方!!」

 

「クーフーリン、私のゴールド免許のために死んでください! いえ自害してください」

 

「しねぇよ! てか話を聞け、おめぇはバーサーカーか!?」

 

「アーサー待って」

 

ちっ、後少しで証拠隠滅出来たのですが…マスターの命令とあれば仕方ない。

 

その後、クーフーリンと仮契約をした。

彼はランサークラスで召喚されたかったと愚痴っていたが戦力としては十分でしょう。

 

「この車はこれ以上乗れないので…貴方にもマシンを提供しますね」

 

「ん? 貰えるんだったら貰うけどよ」

 

「じゃあこのゲイボルカーを」

「待て待てまてぇ! 何だその車は!? いかにも曲がらねぇってフォルムじゃねぇか! てかよ何かその車見ると身体が震えるんだけど…マジ勘弁してください!」

 

流石に歳をとったクーフーリンですね…サクッと倒せると思ったのですが。

 

「テンポが悪いのでさっさと行きますよ」

 

取り敢えず車の上に椅子を生やす。

クーフーリンを括り付ける。

アクセル全開!

 

「ふ〜ざ〜け〜ん〜なぁ〜!!!」

 

車内には犬の絶叫が響き渡った。

え、所長ですか? 勿論気絶してました。

 

「アーサー、さっきあのビルの上あたりに紅い光が見えたんだけど」

 

「…なるほど、ちょっと荒い運転に成りますからしっかり捕まってください! 舌噛みますよ?」

 

私は直感を信じて右に避けます。

すると今まで私たちの居た地面が抉れ爆発。

 

「やはりアーチャー。 マスター一気に距離を詰めますよ」

 

『何か僕要らなくない? 敵性反応とかもう藤丸ちゃんとアーサー王でどうにかなっちゃうし… こういう時どうすれば、そうだこういう時のネットアイドル!』

 

「ドクター、逃げないでください!」

 

距離を詰めるとアーチャーは逃走しました。

ふむ我ながらよくアレの矢を避けられましたね…

音速を超えたり追尾型だったり…

 

騎乗Aは伊達じゃないという事ですね!

 

「ここからは徒歩で行きましょう。 流石に動きにくい」

 

皆の同意を得て車を収納する。

 

「それでクーフーリンが言うには大聖杯の所にルーラーとは違うアーサーが居るんだよね?」

 

「あぁ、あれはセイバークラスでな。 魔力放出とかで底上げされた攻撃が一つ一つ重い… しかも聖剣なんかもバンバン撃ちやがる」

 

聖剣をバンバンとですか…

黒化、反転した事によって聖剣も黒くなり、制限が緩くなったのでしょうか。

 

「敵地の真ん中でお喋りとは、呑気なものだな」

 

洞窟の一歩手前あたりにアーチャー、エミヤの姿がある。

両手には夫婦剣干将・莫耶が伺えた、完全に臨戦態勢ですね。

 

「おっと、信奉者のご登場だな」

 

「信奉者になった覚えは無いのだがね、まぁ侵入者を追い払うくらいには…」

 

エミヤは私の顔を見て動きを止めます。

まぁ、私もクーフーリンもエミヤとは関わりが深いですからね。

 

「まさか、そちらにも召喚されていたとは… これはますます此処を通す訳にはいかなくなったな」

 

「クーフーリンには挨拶があって、私にはありませんかエミヤ?」

 

「話すべき事など無いさ、私は君の敵、それだけだよ」

 

エミヤはニヒルに笑ってみせる。

何処かそこには少年の様な純粋な喜びが含まれているように感じる。

 

「えっと知り合いなの3人とも?」

 

「「「腐れ縁だ」」」

 

「マシュ、守りは任せました。 良いですか宝具は気合いで出してください! その盾は貴女の心が折れない限り敗れません。 故にその盾は貴女の精神力だと心得なさい!」

 

「はい、マシュ・キリエライト行きます! マスター指示を 」

 

私は今まで纏っていなかったバトルドレス着込む。

普通の青王とは違い若干派手であるが、これは魔術的要素を組み込んだためである。

最後に聖剣を取り出します。

 

「クラスはルーラーだと聞いたが…やはり装備まで違うものなのか」

 

「マーリンにでも聞いてください」

 

私はエミヤに接近戦を仕掛ける。

切り上げた聖剣は彼の干将に流され、莫耶で私の命を刈り取ろうと突いてくる。

 

「マシュ!」

 

「はい!」

 

マスターはマシュに指示を出し、エミヤにタックルをさせる。

エミヤはそれを逆方向に飛ぶことでダメージを軽減、両手の夫婦剣をマシュに投げつける。

 

マシュは夫婦剣を防ぎきるがその時には既に、エミヤの手には新たな夫婦剣があった。

 

「同じ宝具!?」

 

私は応戦しようと駆けますがエミヤが投影した剣群に阻まれる。

 

エミヤは夫婦剣の特性を使い、回避不能の技をマシュに繰り出す。

 

「盾役は厄介だ、早々に離脱してもらおう。『 鶴翼三連』!」

 

「クーフーリン!」

 

「応よ! 燃え尽きな、ansuz(アンサズ)!」

 

クーフーリンはマシュの盾に仕込んだルーンを解放する。

 

「グッ…」

 

エミヤは剣を放棄、爆発する事で痛み分けとした。

マシュは高く飛び爆風に乗って前衛から離脱。

 

剣郡を捌ききった私は聖剣の力を引き出しエクスカリバー(弱)を繰り出す。

体勢が悪いエミヤは避ける事を断念、盾を投影する。

 

「『熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)』!」

 

「アーサーは撃ち続けて。 クーフーリンは背後から強襲」

 

「オラオラァ! 弓兵が前に出るからそうなるんだぜ!」

 

「クッ…」

 

クーフーリンは杖を槍代わりに突貫。

エミヤがニヒルに笑うのが見えた。

 

「キャスターに言われたらおしまいだな…」

 

エミヤの胸に杖が生える。

戦闘終了です。

 

「敵サーヴァントに敵対の意思は無いようです。 お疲れ様でした先輩」

 

エミヤは杖が抜かれても立っている、その顔には安堵があった。

マシュは震えながらもマスターに労いの言葉を掛けている。

私もマスターの指示が的確で動きやすかった、素直に賞賛出来ると思いますね。

 

「良き采配でしたよマスター」

 

「うん、皆もお疲れ様」

 

「全く、もうこんな役回りは勘弁してもらいたいな…」

 

エミヤは胸に穴が開けられながら愚痴る。

 

「俺はお前との腐れ縁を切りてぇ所だ。 なんかこう、運命みたいなの感じちまうぜ」

 

「次はこちら側でまた会いましょうエミヤ」

 

エミヤは何も言わず皮肉無しの笑顔で言葉に応えた。

 

私たちは洞窟の奥に向かう、奥には黒化した私がいる…

ハァ、また自身と戦うだなんて酷い皮肉もあったものですね。

 

4人(・・)は大聖杯の元まで辿り着いた…

 

そこにいたのは、黒い騎士王、筋肉隆々の狂戦士、闇の中でも色褪せない黄金の王が乱戦していた。

 

「いつもの様に傍観していれば良いものを…今更何故出てきた英雄王!」

 

「知れたこと、この展開の方が愉しめそうだからだ!」

 

「■■■■■ーー!!!」

 

何でしょうこの展開は…すごく帰りたい!

一級のサーヴァントの大乱闘など最早厄災でしょう。

 

「最悪だ…英雄王(あいつ)まで居るのかよ!?」

 

「右に同じです。 マスター、あの3体のサーヴァントはマズい、具体的にはあの3体だけで町一つが一瞬で消えるくらいには…」

 

『打開策は…藤丸ちゃん何かない?』

 

「…宝具を全力解放しかないんじゃ」

 

私たちの戦いはまだ始まったばかりだ!!

 

 

 

-完-

 

 

 

 

『いやいや終わっちゃ行けないでしょう…働こうよ我が王よ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回も書けたら書きます。
期待せず待っていてくださいませ。


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暇人と成り玄人となる

書きました…戦闘シーン難しい……
誤字もある気がする…

見る準備は出来てるか? 俺は出来ていない……


アルトリア、ヘラクレス、ギルガメッシュ、揃いも揃って曲者が一堂に会するこの場所。

どんな英雄だろうとこの状況で表情を崩さない存在はいないだろう。

もし居るんだとしたら、それは唯のバーサーカーか、それともそれに追随する存在か…将又無知なる存在という所。

 

「すみません帰っていいですか?」

 

いえ答えを聞く必要も無い!

私は帰らせてもらおうか! こんな場所に居たくもない、すぐにでもアヴァロンに帰る!!

 

「まぁ待てよルーラー! どちらにしてもアレと死合するしかねぇ」

 

「そうですよアーサー王。 貴女という戦力が居なくなっては勝利は絶望的ですし、この異変も終わりません」

 

ぐぬぬ…た、確かにこのままでは正史通りには行かないでしょう。

これでは最初からクライマックス、と言うより何故に金ピカ!?

私、ちょっとアレとは色々あって遣り難いんですが…

 

現在も自らの財を放っている英雄王はチラリとコチラを見る。

それに続いて黒騎士王も覗き見てくる。

 

バレました…不意を打つ暇もないとは、まぁ避けられるでしょうがね。

 

「ほぉ…やっと来たかカルデアのマスターとやら! だが遅い、遅すぎるぞ! この我を待たせるとは万死に値する。 だが良い…精々興じさせてくれよ?」

 

「チッ、今更傍観に徹しますか…」

 

黄金の王は黄金の天艇に乗り込み空洞の上へ、玉座にて頬杖を立てる。

 

「まぁいい。 さてよくここまで来たなカルデアのマスターとそのサーヴァント… ほぉ、その盾といいもう1人の私といい、随分興味深い編成だ」

 

「この盾の持ち主を知っているんですか!?」

 

まぁ、円卓の騎士(ウチ)の関係者ですからね…

と言うよりその盾は円卓何ですし気付けと物申したい所です。

 

「フン、私を倒したならば答えることもあるだろう… どれ、その盾の守り、真か確かめてやろう」

 

『凄い魔力反応だ! 恐らく宝具だ藤丸ちゃん!』

 

「マシュ!」

 

マシュは返事と共に私たちの前へ立ち、ラウンドシールドを構える。

道中に使う事が無かったがあの返事からしてもう使えるでしょう。

 

「『卑王鉄鎚』極光は反転する」

 

黒の聖剣に魔力が込められヴォーディガンの炎を再現する。

聖杯によるバックアップでなかなかの威力のようだ。

 

「光を呑め! 『約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)』!!」

 

「私が皆を、先輩を守るんだ!」

 

光を呑む極光はマシュの盾と激突する。

 

「はぁぁあああああ!!!」

 

マシュはお世辞にも戦闘の出来るサーヴァントではない。

つい最近まで普通の、とはだいぶ違うが英霊ではない少女だったのだからしょうがないでしょう。

現に、勇ましく見える彼女の膝は震え、顔には恐怖の色が現れている。

 

マシュが盾を掴んでいられるのは、マスターを守りたいと言う純粋な物なのだろう。

 

「マシュ…令呪をもって命ずる、宝具を展開し」

 

マスターもまた声を、膝を、体全体に恐怖を感じ、震えながらもマシュに向かって令呪の宿った手を伸ばす。

 

「私たちを守って!」

 

「命令を承認…宝具、いきます!!」

 

マシュは令呪による魔力により宝具を形にする。

それはまるで堅牢な壁、少女の守る心に呼応した何者にも侵されない障壁である。

 

「ほぉ、混ざり者、成り損ないと思って見てみたが、成程、見事なものよな…それで誰の許可を得て我の隣に座る裁定者」

 

「いえ、見渡しがいいもので。 それより神代の酒があるんですが如何か?」

 

「…貴様、まさか」

 

訝しげに紅眼を細めるギルガメッシュ。

そして、下もどうやら収まったようだ。

 

「手を抜いたつもりは無かったのだがな。 しかし、その盾はどうやら本物、つまりはそういう事だろう」

 

「クッ…まさか、ここまでの威力とは、すみません先輩。 ある程度ダメージが通ってしまいました」

 

「いんや十分だぜ嬢ちゃん! 後は任せな…おいルーラー降りてこい!!」

 

やはりバレていましたか…アサシンクラスでも取りましょうか…

しかしその場合セイバーへの憎しみが……

 

「どうやらお酒を飲む暇は無いらしい。 またの機会に」

 

私は地面に着地し、クーフーリンの元に飛ぶ。

 

「勝算は?」

 

「ねぇな」

 

簡潔な答えであったが、この男の顔には焦りも無ければ恐怖も無い。

あるのは獣のような目に笑顔。

 

「だが、分の悪い賭けは嫌いじゃねぇ」

 

「私はそうでもない」

 

「守りは消えた。 お前達の命脈も果てる頃合だ…行けヘラクレス!!」

 

「■■■■■ーーーッ!!!」

 

大人しかったヘラクレスはどうやら黒王の支配下のようだ…

 

ヘラクレスは地を割り、一足で私たちの目の前に来る。

これはもう出し惜しみをしている場合じゃないですね。

 

私は紙をとりだし呪文(スペル)を呟く。

紙は朱槍へと姿を変える。

 

「クーフーリン、これを貸し出しますから黒王をお願いします。 絶対に壊さないで下さい!!」

 

「何で最初から出さなかったの、とか、何で持っている、とか、まぁ色々聞きてぇ所だが。 有り難く借りるぜ!!」

 

クーフーリンは槍を構え、衣装を青タイツに替え、ヘラクレスの横を突っ切る。

当然ヘラクレスはクーフーリンを補足し、無茶な体勢から無理矢理180度向きを変える。

斧剣を振り上げ、自らの膂力をもって振り下ろす。

 

「させません!」

 

私はクーフーリンとヘラクレスの間に入り斧剣を受け止める。

私の足場には大きな罅が入り、腕には重みが伸し掛る。

魔力放出により筋力を底上げできる私は出力を上げ、ヘラクレスの巨体を押し上げる。

ヘラクレスの身体は数cm程浮き上がり、隙ができた。

 

「叩き斬るッ!!」

 

聖剣に魔力を通し横に薙ぐ。

 

だがどうやら唯では斬らせてもらえないようだ。

ヘラクレスは罅割れた地面に斧剣を突き立て叩き割る。

地は割け、安定した足場を失った私は聖剣を下段に構え直し後退。

ヘラクレスは勿論追ってくる。

 

「■■■ーーッ!! ■■■ッ!!?」

 

私は聖剣に通された魔力を放出し牽制とした。

 

ですがこれではジリ貧…もう一手速めるしかないか?

 

聖剣を右手に持ち、左手には黄金の剣を召喚。

これは正史で折られ永遠に失われた選定の剣『カリバーン』。

私の場合は折れずにオリジナルが手元にある。

それもこれも、折れるとわかる前にマーリンをパシらせ、湖の乙女にアポを取り、加護のついでに聖剣を注文したのだ。

 

「魔力放出、全・開ッ!!」

 

今回は事が事ですから、出血大サービスで魔力は私負担で限界解放。

二刀流も暇だった…いえ鍛錬の末に身に付けていますから大丈夫なはず、手数が多くてダメージが激減なんていう事ないでしょう。

 

ヘラクレスは光弾の嵐を打ち払い避け、私の前へと躍り出る。

そのまま右から左へとに斧剣を薙ぐ、

 

「やはり狂戦士となっても尚、その剣技は荒々しく鋭い… だが、私の領域では狂戦士である貴公の刃は届かないと知れ!!」

 

だが、ヘラクレスの斧剣は叩き落とされた、そして私の追撃が始まる。

魔力放出による高速移動、音を忘れた剣戟はヘラクレスの刃を通さず、弾き、斬り、止め、後退しても皮膚を削ぎ落とす。

 

「重要な筋肉部位を全力で絶ったはずだが。 見た所ストックは英雄王に削がれたか、黒騎士王戦で失い聖杯によるバックアップを十分に得られなかったという所… 最早、戦闘続行スキルだけで動いているな?」

 

ヘラクレスは膝を付き、斧剣を杖にして体を支えている。

だが、立ち上がり、既に動けるはずの無い身体を本能だけで稼働させているのだろう、その足取りは獣の如くである。

いや、狂戦士に一番合った戦闘法と言えるか…

 

だが、突如ヘラクレスの気配は消え失せた。

その代わりに私の真後ろに狂戦士の咆哮が起こり、耳を劈く。

 

「これは令呪ッ!!?」

 

「令呪全てをもって命ず、ルーラーを宝具をもって葬り去れ!!」

 

声は私のもの、いや、黒王のものだった。

彼女は、クーフーリンの相手をしながらこちらの対局を覗き見ていた、槍を与えたとしてもキャスタークラスでは厳しかったという事か。

 

「余所見してると痛い目合うぞオラァ!」

 

「ルーン魔術の併用か…見事だが足りん!!」

 

厳しいな、こちらは早々に切り上げなければ…

 

ヘラクレスは斧剣を振るう、その剣技は九つの斬撃が重なる絶技。

 

「■■■■■ーーーッ!!!!!」

 

射殺す百頭(ナインライブス)』が私に放たれる。

だが私の直感は予想を超えた一手を弾き出す。

 

囲うように放たれる九つの剣は同じ速度で私へと迫る。

 

 

──私はそこに敢えて飛び込んだ!

 

 

「真名解放、『勝利すべき黄金の剣(カリバーン)』ッ!!」

 

左手に持つ『カリバーン』を大英雄の霊基目掛けて滑り込ませると同時に真名解放を行う。

 

「まだまだァ!!」

 

右手に持つ『エクスカリバー』の魔力を推進力として解放し、更に『カリバーン』を押し込み『射殺す百頭(ナインライブス)』を針に糸を通す様な繊細な動きにてすり抜ける。

 

「まさか、単純な力押しで下される事になろうとは…」

 

ヘラクレスの霊基は破損し狂化は解除される。

その重厚な声は印象強く残る。

 

「誉ある騎士よ。 お前ならば人類史の救済も可能だろう…だがここで驕ってくれるな。 これは始まりである…」

 

大英雄ヘラクレスは黄金の粒子となり霧散した。

 

「言いたいことだけ言って消えたか…」

 

『アーサー王、ヘラクレス戦と言う大役を終えたばかりで非常に言い難いんだけど。 クーフーリンの所に速く行ってもらえないだろうか? このままじゃ直ぐにでも限界が来てしまう!』

 

ロマニは私に黒王への対応を求める。

正直こっちがラスボスだった気でいました……

 

私は無言で黒王の元へ全力疾走、その際に『カリバーン』は仕舞い込み、『エクスカリバー』を両手で握る。

 

「よぉ、遅かったじゃねぇかルーラー」

 

「だったら次があったら貴方がやりますか?」

 

「ハッ、次があんならな!」

 

戦場の中でこのようなやり取りは必要である。

時にリラックスさせ、戦う意力を生むからだ。

だが、私たちには本来不要な物、戦う準備なら遠に出来ている。

だったら何故やるのかと問われれば、それがこの場での醍醐味だからと答えるだろう。

 

「さて、テンプレートな如く死地で掛け合いもしましたし…そろそろ自分退治と洒落込みましょう」

 

「言わぬが花って言うもんだぜテンプレとかよ。 まぁ、決着って点では賛成だ、オーダーを言いなマスター!!」

 

「うん、勝つよみんな!」

 

「先輩、私もせめて、マスターだけでも…守ります!!」

 

それぞれの士気は十分。

黒王に疲労の色は見えないが、勝てるだろうと確信はある。

 

と言うより、私が何度自分と戦ってきたのかを考えると楽勝とまで言える。

 

……言ってみて悲しくなりました、シロウのご飯が恋しい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回もあるといいね…期待しないで、本当に……
期待してもコーヒーに入れる砂糖くらいに、お願い致します……

あとがきに、何かコーナーでも入れようかなぁ……


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