妖剣使いがヒロアカに転生した件 (シャリル)
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プロローグ

こんばんは。
活動報告で言った通り、これから色んな世界でちょっとした強者を送っていこうと思います。
注意!
転生していく子たちは、まだ、自分たちの力がなんなのか理解しておりません。


俺の一族はいつも人とは違うと思ってた。

 

人とは違って剣術を励み、人とは違って、闇を進んだ。

 

だけど、俺はそんな道は歩みたくない。

 

皆と同じ明るく、楽しい、そんな道を歩きたかった。

 

だけど、もうそれは叶わない。

 

なぜなら、俺の刀は血に染まっているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、運命というのは不思議だ。

任務遂行中に油断し、目標(ターゲット)に殺されたと思いきや、いつの間にか転生していたとは。

しかも、総人口の約八割が空を飛ぶなどの超常能力“個性”を持ち、その個性によって社会を守るヒーローという存在が確立された世界にだとは。

誰かが運命を操作したのではと思うぐらいだ。

 

そして、この世界にあるその個性とやら、俺にも存在する。

 

一つは前世で長年使っていた力と同じ、剣創(けんそう)

もう一つは、前世でいつの間にか使えるようになった邪食(じゃしょく)だ。

 

この剣創は名前の通り、剣をその場で創ることが出来る個性。

もう一つの個性、邪食は邪な感情、謂わば、欲望を食う個性。

因みに二つ目の個性は内緒にしている。

 

「お~い!(かたな)君!」

 

「ん?なんだ。出久か。」

 

緑色の縮れ毛にそばかすが特徴の緑谷出久。

家が近くで、よく個性について語り合う良き友だ。

しかし彼は、この世界ではあまり見ない無個性だ。

けれど、彼が無個性なのは勿体無いとも俺は思っている。

 

「なんだ、って酷いよ。今日も君の個性分析しようと来たのに。」

 

出久はヒーローオタクであり、個性の分析が得意。

そして、それらを含み、とっさの状況判断に長けている。

この世界でヒーローの敵と言われる(ヴィラン)を倒すにはもってこいの存在だ。

 

「あ~。もうそんな時間か。わかった。じゃあ、いつもの場所に行くか。」

 

「うん!」

 

満悦の笑みを見せる出久を小動物のように見ながら、俺達はいつもの場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風が心地よく流れる新緑の土地。

少しばかりか都会より高い場所にある為か、肌寒い。

その中を、黒い短い髪を汗に滴らせながら、一本の刀を振る少年とそれを真剣に見ながら、ノートにメモる緑の縮れ毛の少年がいた。

 

「ん~……やっぱり、刀君の個性は凄いなぁ。」

 

「そうか?けど、剣をその場で創るだけだから、耐久性はほぼ無し。しかも、イメージしながらだから、知らなければ、創れない。」

 

「確かにそうかも知れないけど、その分、今から知っていけば、弱点も少なくなってくと思うよ。」

 

一息休憩とばかりに出久の傍に座り、空を見上げる刀は、そのまま仰向けに倒れる。

出久は未だにブツブツと言いながら、ノートに何かを書いている。

 

「……なぁ、出久。」

 

「ん?どうかしたの?」

 

「もし、出久に個性があったらどんなんかなぁと思って。」

 

ぴくっと出久の手が止まり、一瞬、間が空いた。

 

「……そうだね。もし、あるなら、オールマイトみたいな個性がいいかな。」

 

「そっか……オールマイトか。NO.1ヒーローの。……なれるといいな。」

 

「……うん。」

 

その後、少し沈黙が続いたが、時間が経過すると共に、いつもの出久に戻り、俺達は時間の許す限り、剣創について分析した。

 

 

 

 

 

 

 

 



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一話:過去なんてどうでもいいこと

こんにちは!
少し長くなっちゃいましたけど、どうぞ!


次の日、俺はいつものように剣術の朝トレをしてから、学校に向かった。

この日は俺達が三年になって初めての授業ということで、HRだった。

三年になったから、本格的に将来を考える時期だと先生は言うも、大体ヒーロー科志望だよねぇとか言いながら、進路の紙を投げた。

確かにこのクラスはほとんどがヒーロー科志望なのは認めるが、俺の場合はまだ何も決まってない。

しかも、俺の中ではヒーローは人を助けるのが本来の職業。

爆豪の高額納税者ランキングに名を刻むといっているドアホはマジで馬鹿だ。

まぁ、ここまではいっつも通りだ。ここまでは。

次に先生が言った一言までは。

 

「そういや、緑谷も雄英志望だったなぁ。」

 

ビクッ

 

そうか。出久は雄英か。……ん?個性がないのに志望するのか。すごいなぁ

 

生徒の皆が出久を笑っているのに少々苛つきながら、出久の夢への執念に勧賞した。

そんな出久は、ビクビクしながらも、何かを言っている。皆の笑い声で聞こえないけど。

 

けれど、それを許さないのが一人。

 

バーーーン!

 

出久の机を叩き、驚いた出久は後ろの方へ後退。

 

「こらデク!ボツ個性どころか無個性のお前がぁ!なんで俺と同じ土俵に立てるんだぁ!?」

 

爆豪はシュウゥゥゥと音を立てながら、出久を睨みつけた。

出久はさらに弁解するかの如くに慌てながらも話している。

けれど、小さくだが、聞こえた。

 

「ただ、小さい頃からの目標なんだ。それにその……やってみないとわかんないし。」

 

その言葉に、小さい頃の記憶が刺激されるも、すぐにそれは取り消された。

 

「てめえに何ができるんだぁ!?無個性の癖によぉ!?」

 

爆豪のその言葉を聞いて、出久は顔を下にした。

だけど、俺は何もしなかった。

 

俺は、誰かを助けるという概念が未だわからず、ただ見ているだけの傍観者。

前世でも、人を助けるどころか殺す側。

血まみれた刀を懐に、友人すら助けようともしない。

昔も今も何一つとして変わってはいない。

 

だから、俺は何もしない。

何も出来ないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……進路か。」

 

帰りのHRも終わり、先生にもらった進路の紙を教室に行く途中、ずっと見ていた。

 

「まったく…なんでうちの担任は俺までヒーロー科に進めるんだか。」

 

“ん?なんだ、刀はまだ決めてなかったか。ん~……よし!お前も爆豪と同じ雄英にしなさい!それでいい!”

 

親指をぐっと立てて、サムズアップ?というのだろうか。それをやって帰された。

やれやれとため息をつきながら、教室に戻り、鞄を肩に掛けた。

すると、目の端っこに、見慣れた縮れ毛が見えた。

 

「……出久?」

 

その近くには水がたまっていて、出久がいつもメモしていたノートが浮いていた。

たぶん、爆豪にやられたんだろう。

所々に焼けた跡があった。

 

俺はあの後、出久に何も声をかけず、学校を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学校から出てから、俺は何かもやもやしたものを感じ、家に帰らず、ぶらぶらと商店街を歩いていた。

本当は何も考えたくなくて、騒がしくてうるさい所に来ただけなのだが、やはり、そのもやもやは消えなかった。

 

そんな時、遠くから爆発音が聞こえた。

 

(ヴィラン)か?

 

ちょっとしたこの世界の敵に対しての好奇心と、さっきより強く感じるもやもやの正体を確かめに、その場所まで走った。

 

けど、そのもやもやは直にわかった。

爆豪が人質にされていた。

泥水のような、掴むことの出来ないそれに捕まって。

けれど、俺はまた何もせず、ただ見ていた。

 

だって、俺に何が出来るという?

人殺ししかやっていないこの俺が、この血まれた剣で、命を助ける事が出来るのか?

否、それは出来ない。

 

「つーか、あの(ヴィラン)、オールマイトが追いかけてた奴じゃねぇ?」

 

……?オール…マイト…?

 

「オールマイト?嘘!?来てんの!?」

 

「なんか、ちょっと前に見たよ。」

 

野次馬か群衆か、どっちだかわからんが、オールマイトについて話してる。

しかし、彼はまだ、この場には現れてはいない。

逃げた訳ではないにしろ、彼に何かあったには間違いはない。

そして、さっきからプロヒーロー達は棒立ち状態。

はっきり言って……

 

 

情けねぇえな

 

 

冷淡に、かつ他人事のように爆豪を見つめ、ため息をつく。

その瞬間、風が勢いよく舞った。

 

「……え?出久?」

 

風の正体は出久だった。

顔は見れなかったが、その走り方は必死で、けど、それは、俺の心を揺らす。

 

「ば、馬鹿野郎!止まれっ!止まれぇ!」

 

プロヒーローの声が耳に響く。

けれど、出久は止まらない。

 

何故だ?

 

「ん?あんのガキ!」

 

「デク…」

 

(ヴィラン)も爆豪も出久の存在に気付いた。

(ヴィラン)は出久に対し、手を伸ばそうとする。

けれど、出久は鞄を投げ、散らばったノートの一冊が目に命中、爆豪が一時的に解放された。

それを狙って、出久は爆豪を助けようとする。

その時、出久と爆轟は何かを話していた。

いくつかは聞こえなかった。

けど、これだけは聞こえた。

 

 

「君が、助けを求める顔をしてた」

 

その一言が、俺の中の何かを引き裂いた。

 

「あの馬鹿っ!」

 

群衆の中を高速で抜け、そのまま今まで鍛えた身体能力に物を言わせ、高く、商店街にあった建物を軽く超し、個性を発動させた。

 

「まずは…水!」

 

イメージした剣を素早く出し、速攻で振り、火があった場所を急いで鎮火。

そして、次は風の剣をイメージ。着地時のスピードを遅めた。

着地をする時、少し遅かったのか、地面にクレーターが出来た。

 

「え?……刀…君?」

 

「出久!これの弱点は!?」

 

「え!?じゃ、弱点!?え、えと、…………あ!」

 

間髪入れず、出久に(ヴィラン)を聞く。少し遅いが、何か思いついたようだ。

 

「…風圧!刀君!風だ!」

 

「了…解っ!」

 

俺は、ついさっきの急場しのぎの剣ではなく、竜巻を起こせるぐらいの剣を出す。

 

「ああ!?聞いていなかったのかい?この体は流動体!斬れないよ?」

 

「斬るつもり、一切なし。……っは!」

 

少し間を溜め、思いっ切り、剣を振る。

その瞬間、その剣の軌道に沿って、爆風が発生、(ヴィラン)が爆豪から離された。

 

「やった!」

 

「出久!気を抜くな!それと、爆豪を安全な場所に!」

 

「う、うん!」

 

出久が無事に爆豪を運んでいるのを見て、俺は安心しつつも、あの(ヴィラン)の事を注意していた。

つもりだった。

 

「後ろがガラ空きだぜぇ!!」

 

「っ!!しまっ!」

 

ドゴオォォォォォ!!

 

肌色の、素早いパンチが俺の前で繰り出された。

 

「少年!もう大丈夫だ!なぜかって!私が来たからさ!」

 

うさ耳なのか、ヴィクトリーのVを表しているのかわからない髪型、誰が見てもマッチョと言わざるを得ない、盛り上がった筋肉、そして、いつも笑顔を絶やさないヒーロー、オールマイト。

 

彼が、目の前に立っていた。

 

「情けない。君らに任せて、何も出来ないとは、実に情けない!」

 

「オールマイト!」

 

小声で、何かを呟きながら、攻撃してこようとする(ヴィラン)目掛けて、拳を構える。

 

「デトロイトスマッシュ!」

 

とんでもないくらいの爆風とともに、(ヴィラン)をふっ飛ばした。

 

「…………すげぇ。」

 

ふと、心で思った事が口に出ていた。

しかし、それもつかの間、雨が降り出した。

オールマイトは空に手を上げ、群衆は一斉に歓声を上げる。

俺は、すごいなぁと感心しつつも、出久の方へ寄る。

出久はオールマイトのあの一撃の風圧で気絶していたが、それに気にせず、その頭をなでる。

 

「……お疲れ様、出久。」

 

 

そのあと、散った泥水みたいなのはヒーロー達により回収され、警察に。

そして、出久は説教、俺と爆豪は賞賛された。

けれど、俺はヒーロー達の話は聞かず、ずっと出久を見ていた。

心の中で、出久が俺の過去を引き裂いてくれた事に感謝して。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は、昔は人を殺す裏の者。

 

だけど、それは昔の事。

 

出久は無個性なのに、それを気にせず爆轟を助けた。

 

ならば、力も関係無いならば、俺の過去も関係ない。

 

今の俺は、過去の俺ではない。

 

力を闇にするのではなく、光にする。

 

それで、いいはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺も、雄英受けるか……」

 

「ああ!?なんでてめえまで受けるんだよ!」

 

ぼそっと呟いたのが聞こえたらしい。

爆豪がものすごい顔で怒っていた。

 

 




どうでしたか?
言葉とか、話とか、かみ合っていなかったら、教えてください。
また、誤字脱字の報告もあったらお願いします。


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二話:自分達のやるべき事

なんか、早く出来てしまったので、投稿しました!


 

あの(ヴィラン)の事件が終わって数日たった今。

俺は、少し気になることが出来た。

 

それは出久だ。

 

出久はあの事件以来、少しやつれているようにも見え、心配していたのだが、いきなり授業中にブツブツと言い始めて、いったい何が起きているのかさっぱり。

 

けど、出久に質問しても、誤魔化されて何も答えちゃくれない。

だから、尾行することにした。

 

 

 

 

…はっきり言おう。

 

出久、何度も吐血してるそのガリガリ親父は誰だ?

 

俺は、学校が終わると、すぐに学校から去る出久を追いかけ、尾行していると、何年も放置され、海すら見えなくなったあのゴミだらけの場所で、ごみを一生懸命運ぶ出久の姿を見た。

 

……もしかして、あいつ、あのおっさんにコーチしてもらってる?…な訳ねえよなぁ

 

一先ず、出久が何をやらかしているのかはわかったので、早急にその場から離れ、出久が受験に向けて努力していることを知った俺は、すぐさま家に帰った。

 

「ただいま~。」

 

「あら、お帰りなさい。」

 

昔の日本を描くような古い屋敷を足音立てずに上がり、自分の部屋へと向かう。

その途中、じいちゃんに会い、軽く会釈してから、何も話さず部屋に入った。

 

「……ふう。……俺もまだまだだなぁ。」

 

いつもは、大はしゃぎでじいちゃんにダイブする俺だが、今はそんな気分にはなれなかった。

 

「オールマイト…か。」

 

その理由はただ一つ。

あの事件にの時に見たオールマイトの力に、圧倒的な何かを感じたからだ。

 

前世では、殺しをやっていて、それなりに強いやつ、化け物級の奴とも戦ったことはあった。

けど、オールマイトはそれを超えていた。

強い。

強すぎる。

今の俺じゃあ、一ひねりだ。

だから……

 

机の横に飾ってある、人間の顔を模った仮面だ。目の所には、目を閉じたら三日月の文様になるように施された模様が描かれている。

 

それは、俺が前世に囚われていた原因の一つ。

こいつ(・・・)は俺が前世で使っていた仮面。

けど、これはただの仮面ではない。

生前に瘴気とも言ってもいいほどの憎悪、執念、言わば負の感情を持ったまま死んだ霊がこの仮面に閉じ込められている。

つまり、とんでもなく危険な代物。

そして、こいつはその仮面の中でも特に危険な霊が閉じ込められている。

あまり詳しくは聞いていないが、とても腕の立つ剣士だったそうだ。

さらに、俺の一族は妖術を使う。

よって、俺はこの仮面の霊の力を、この仮面を被ることにより、俺は使うことが出来た。

しかし、今はその妖術を使う一族の血も、力も持っていない。

なのに、これは来た。

俺を追って。

 

一番最初は何も考えずにその仮面をつけた。

その後の記憶はあまり覚えていない。

けど、母さんが入院した。

原因は刃物(・・)による多量の出血。

母さんは、ちょっと包丁でやっちゃっただけと言っていたが、こっそりと見た母さんの背中の傷は、いつも俺が見ていた死体と同じだった。

俺は仮面の霊に意識を取り込まれていた。

 

俺は前よりも弱い。

だから、こいつをそれ以来被っていない。

けど、出久は頑張ってる。

それに、こいつを克服しなければ、何時までたっても弱いまま。

オールマイトになんか勝てやしない。

 

……プロヒーローに勝ってどうすんだよ。

 

まぁ、だから、これを制御してやろうと思う。

 

 



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三話:これはうぜぇ!

 

 

なぁ、本当にこれがあの“一番危険な仮面”の霊なのか?

 

“なあなあ!刀よぉ!ひっさしぶりに話しかけてくれるのはありがてぇが、どうした?”

 

勘弁してくれ…

 

 

 

 

 

俺は、この仮面の霊に打ち勝つ為に、まずは誰にも邪魔されないよに人がこない場所に仮面を持って行った。

そして、人がいないのを確認しつつ、この仮面に付けていた紺色の宝石がついたイヤリングを外す。

このイヤリングは、仮面に封じ込められた霊を完全に閉じ込める作用がある。しかし、そのイヤリングを外しても、霊は仮面から出ることは出来ず、ただ、念で話してくるだけなのだ。

 

「さて、昔は怖くて会えなかったが、どんな奴なんだか。」

 

“へえ!やっぱり昔は怖かったのかよ!笑えるねぇ!”

 

うん。ついさっき、念で話しかけてくるとは言ったが、こんなにフレンドリーって……正直に言って、もっと怖いの想像してたんだけどなぁ……

 

「へぇへぇ。笑えますかい。」

 

“ああ!笑えるなぁ!この世界もだが!”

 

「……わ、笑えるのか?こんな所でも…」

 

ずっとケラケラと笑う霊に少しばかり引きながらも、この世界を恐ろしいではなく、笑えると言ったその言葉に惹かれていた。

 

“ん?ああ!こんなに強い奴が沢山いてよ!戦うことになったら、どんだけうれしいか!”

 

ピクッ

 

霊のその一言に、俺はある事を思いついた。

 

「……もしかしたら、出来ると思う。」

 

“ああ?”

 

「もし、俺にその力をくれるなら、出来ると思う。だから…」

 

こいつが今一番したいことを、取引で成立させればいいのだ。

 

“へ~。そんなに力が欲しいんなら、被ればいいじゃねぇか!俺も強い奴と戦えるなら本望だしな!”

 

しめたと思い、仮面を顔の近くまで持ってくる。

 

「じゃあ、これからよろしくな。俺は知っての通り、刀。お前は?」

 

“俺はカシャリア!カーリアでいいぜ!”

 

俺は、躊躇なくカシャリアを宿す仮面を被った。

 

“にっ”

 

瞬間、目の前が真っ暗になりかけた。

 

「っな!?」

 

とっさに仮面を外し、地面に叩きのめす。

カシャリアはカラカラと笑い、自力で空中に浮かぶ。

 

「……カーリア、どういうことだ。力をくれるんじゃ…」

 

“俺は被ればいいとしか言ってねぇえよ?”

 

冷たいような、殺気を感じさせる声を俺にぶつけるカシャリア。

仮面は表情を変えずにいるも、奴の声から感じる何かは、その仮面に宿るに相応しい、大罪人の者。

それに圧倒されつつ、息を飲んだ。

 

「は、話が違う!」

 

“甘ったれるな!”

 

「は?」

 

カシャリアから意外な一言が出て、頭が真っ白になった。

 

甘ったれるな…?どういう意味だ?

 

“俺はこれでも強者として生きていたつもりだ。それを、覚悟もない、ましてや俺より劣るてめえに、力を貸すつもりはねぇ。”

 

「……」

 

“が、それでも力が欲しいのなら、俺に認められて見ろ!でなきゃ俺の力はいつまで経っても使えねぇぜ?”

 

 

 

こいつは、俺が思っていたよりも、どうやら面倒くさい奴だったのを、この時悟った。

 

だけど、もっと強くなる為には、こいつを使いこなさなきゃならない。

 

やるしかないな。

 

 

 



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四話:どうすればいいんだ?

なんとか出来ました!
それと、UAが1000超えました!
ありがとうごさいます!
これからもよろしくお願いしますこれからもよろしくお願いします!



さて、俺は現在非常に困っている。

原因は、この仮面に宿る霊、カシャリアに、認めさせろと言われたからだ。

が、よく考えて見ろ?

 

どうやってカシャリアに俺の事を認めさせればいいのか、わかるか?否、わかるはずがない。

 

駄目元でカシャリアに聞くも、自分で考えろの一言のみ。

仕方がなく、早すぎるが、こっちの事を俺は早々に諦めた。

どうすればいいのかわからないのに、あれこれ考えてもわからないものはわからん。

なら、今俺が出来ることをすればいい。

その一つは、体を鍛える事。

まずは、それだ。

俺は、早速仮面をほっぽいて、筋トレを始めた。

 

 

 

 

 

 

一時間後、一通りの筋トレをし終わり、仮面を持って家に走って帰る。

学校から帰って、その後筋トレを開始した事もあり、辺りは真っ暗だ。

俺はその風景を不気味に感じ、猛ダッシュで帰った。

 

「ただいま。」

 

「あら、お帰りなさい。刀。こんな遅くまでなにをっ……」

 

母がいつものように言っていたが、俺が持っていた仮面を見て、顔が青ざめた。

 

「……母さん。俺…」

 

「刀。あなたは……それをどうするの?」

 

母は体を震えさせ、極力仮面を見ないように、俺を見た。

無理もない。

俺に記憶がなくとも、母には、家族には俺が仮面を被っている間の事を知っている。

特に、母は傷を負っていた。

 

「克服する。二度と大切な人を傷つけさせないように。」

 

にっと笑顔を見せ、仮面を母に見せないように隠す。

そのまま、部屋に入り、ベットに横になる。

 

「大切な人か……」

 

母に言った、自分の言葉なのかと疑うその言葉にを噛みしめながら、仮面を手に取る。

 

「昔なら、大切な人も、人の為に何かをすることもなかったのにな……」

 

俺は、疲れていたのだろうか。

そのまま、眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風が強く吹き、大地などとうに枯れたその地で、剣を振る音が響く。

 

“やぁ!たぁ!うりゃあぁぁぁ!”

 

その音の持ち主は、銀色の髪の、まだ年端も行かない少年だった。

しかし、その剣の太刀筋は素人丸出しで、なっていない。

 

“カーナ!そんな太刀筋ではいつまで経っても人間に太刀打ち出来んぞ!”

 

その傍には、彼の叔父なのか、四十代半ばの男性がいた。

 

“むぅぅ……人間に太刀打ちって…僕らも人間…”

 

“カーナ!我々は今は人間の姿をしているも、もとは人間の種族よりも高位種!あのような愚かな者どもと同じにするな!”

 

少年、もといカーナと呼ばれる彼の反論を、否定するかのように、大声で言う。

 

“へぇへぇそうですかい。”

 

“また空返事をしおって!そんなんではお前に与える仮面は与えられんぞ!”

 

“そ~んな危険な物、誰が欲しがるんだか。”

 

剣を地面に突き刺し、剣から手を放す。するとたちまち剣は砂のように消え、男性はさらに激怒した。

 

“こ、こら!カーナ!まだ稽古は終わっとらん!”

 

“直感でしか教えられない人に用はありませ~ん”

 

手をひらひらと振り、男性の元を去る。

 

“たくっ……なんで俺はこんなことしなくちゃならないんだよ”

 

“そりゃあ、僕達がこの一族に生まれたんだから、仕方がないよ。”

 

カーナの年より、上だろうと思われる、こちらも銀色の髪の青年はカーナの頭をポンポンしながら言った。

 

“……仕方がないって……はぁ…”

 

“それより、俺はカーナが無事に仮面を使えるかが心配だな。”

 

ため息をつくカーナに、にやにやしながら、見る青年に苛つきつつ、カーナは質問した。

 

“そういやさ、思ったんだけど、なんで皆は仮面を欲しがるんだ?この世の大罪人共を閉じ込めた仮面なのによ。”

 

“ん?あ~……それは、その仮面に宿った霊の力が使えるっていうからだよ”

 

“へぇ~なるほどな。それは欲しがるわ。”

 

“けど、それを使うにはその仮面に宿る霊に認めさせる必要があるし、なによりも覚悟がないとあれは使えないからね。だから、今はまず、強くならないと。お前がしたい事も出来ないぞ。”

 

その言葉を最後に、()は夢から覚めた。

 

「覚悟……か。」

 

“んん?なんだぁ?どうした?真剣な顔してよ?”

 

カシャリアは俺の顔が見えるように浮遊して近づいてきた。

 

“そういやぁ、お前、寝る前にお前の母親に『二度と大切な人を傷つけさせないように。』って言ってたな。”

 

「ん?ああ。……俺、昔大切な人ってのが良く分からないで戦って、血まみれになって、覚悟ってのもわからずじまいで終わっちまった。」

 

天井の方を見ながら、さっきの夢の事を思い出す。

 

「だけど、今は大切な人、というより、守らなきゃいけない者、見守っていたい者も出来た。なら、それを守れるぐらい強くなりたい。自分がどうなってもいい。自分にとって、守りたい奴が出来たから、お前に認められるよう、お前を、カーリアを超えるぐらい強くなる。」

 

自分の目の前で浮く仮面を見つめながら、真剣な顔で言った。

 

「それに、俺の友人が教えてくれたんだ。力なんてなくても関係ない。俺の過去なんて、それは過去だ。俺は今を生きる。過去に縛られず、まっすぐと。昔、俺がしたかったことを、ここで実践したい。そして、人を守る仕事もしたい。誰もを助けるヒーローに。俺はなりたい。」

 

カシャリアは無言で、何も話さず、ただ、浮いていたが、何を思ったのか、突然笑い出した。

 

“ハハハ!いい心掛けじゃねぇか!刀!気に入ったぜ!”

 

「え…?」

 

“お前を俺の相棒と認めて(・・・)やる!が、俺に認めてもらっただけじゃあ仮面に宿った俺の力は使えねぇ!これからビシバシ鍛えてやらぁ!”

 

 

 

 

俺は、なんとかカシャリアに認めてもらった。

あとは、こいつの力を使いこなす為の特訓のみだ!

 



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五話:こいつは…きっつっ!

こんにちは!
未だ、UAが1000を越したことにハイテンションなシャリルです!
今回は、すごい書きやすいので、もしかすると、あともう一話ほど投稿するかもです。


 

 

マジで勘弁してくれ…

確かに昔より体が弱いのは認める。

だからと言って、これはスパルタ過ぎる!

 

“今言ったのが、これから十ヶ月間やってくことだ!”

 

「いや、こんなに出来ねぇよ!試験だってあるんだぞ!」

 

カラカラと笑うカシャリアに異議を唱える俺。

カシャリアはその姿を見ても、全く特訓内容を変える雰囲気は見えない。

 

“はっ!このぐらい出来なきゃオールマイトなんざ超えるのなんか何百年掛かる事やら。”

 

「うっ……それは、そうだけど……ていうかなんでお前がオールマイトを知ってんだよ!」

 

図星を突かれ、これ以上何かを言われるのを防ぐために俺は話を逸らす。

 

“そりゃあ、お前が仮面を被った時に見たからよ!もし、一瞬でも被れば、そいつの記憶とかも一緒に見れるからな!”

 

自慢げに話しつつ、ふわふわと左右に揺れる仮面はどうやら誇らしげで、自分たちの存在がどれだけ凄いかを誇っていた。

しかし、まさか被った瞬間に記憶を見られるとは、少し予想外の事でもあった。

けれど、よく考えて見れば、仮面を被った時は同調しなければならないのだから、それは当たり前なのかとも思った。

 

“けど、これを朝っぱらから取り組めば、試験にも間に合うんじゃねぇか?”

 

「朝は朝でトレーニングあるんだけど。」

 

“ああ?んなんは後回しだ!まずはこれをやれ!いいな!”

 

仮面を俺の顔の近くまで寄せ、罵声とも言ってもいい大声のような念を俺にぶつけた。

 

「へぇへぇ。わかりました。これをやればいいんだろう。やるよ。」

 

そういうことで、俺は長年やっていた朝トレをこいつの一言で辞めさせられてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「百九十八……百九十九!……二百!……ぷはぁ!」

 

朝五時半起き、人気のない所で、すぐに腕立て伏せ、腹筋共に二百回。

 

「次にっと……走り込みか。」

 

その後は時間が許す限り走る事。

俺は、学校に行く二十分前まで、走り込みをした。

 

「……これは…きついな。」

 

学校の休み時間に入ると、死んだように机に突っ伏す俺は、誰にも聞こえないようにボソッと呟く。

ふと、出久が視線に入るも何やら体を動かしている。

何をしているのか気になり、ついでにこの前のあのガリガリ親父が誰なのか聞きに、出久の所までふらふらしながらも歩いた。

 

「よう…出久。」

 

「え?おはよう。刀くってええぇぇぇえ!?か、刀君大丈夫!?」

 

俺の顔を見た瞬間、出久がいきなり驚いた。

いったい何があったんだ?

 

「どうしたんだ?出久。俺の顔に何かついてんのか?」

 

「いやいや刀君!目凄いよ!ていうかなんか暗いよ!?」

 

どうやら、出久は俺の疲れが顔に出ているから驚いただけのようだった。

その時、ふと出久の左手に握られているのを見た。

百均等で、よく見かける握力を上げる道具だった。

 

なるほど。授業中もそうやって特訓か。いい考えだなぁ。

 

じーっと俺が出久の左手を見ているのを気づいたらしい。あたふたしながらそれを隠した。

 

「え、えっと、刀君。どうか…したの?」

 

「いや、ここ最近お前の行動が可笑しいから気になって。」

 

小動物のように俺にまでビクビクする出久は、上目使いでこちらを見る。

 

「こ、行動が可笑しいって……」

 

「そういやさ、出久。あの何回も吐血してるガリガリ親父誰?」

 

「っつ!?か、刀君、もしかして僕の後つけたの!?」

 

俺が言った言葉に過剰に反応しながら、顔が引きつっていた。

どうやら、これは他の人にはばれちゃいけなかったらしい。

 

「ん。わり。誰にも言わねぇから、あの親父、誰なのか教えてくれないか?」

 

「え……え、えっと、し、親戚の叔父さん。ちょっと病気で……け、けど、本当にこのことは誰にも言わないで!」

 

手を合わせ、お願いをする出久。もとっから秘密にする予定だったので、出久を落ち着かせた。

 

 



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六話:私が思った事

こんばんは!
シャリルです!
今回は少し短いですが、どうぞ!


 

 

オールマイト視点

 

私は、実に情けなかった。

活動時間に気を取られた。

しかも、人に諭しておいて、ミスを犯した。

 

 

情けない

 

その言葉しか言えない。

 

しかし、私が諭した少年は、個性がないのを顧みず、救おうとした。

 

私はそんな彼に、礼と訂正、提案をした。

私の個性は“ワン・フォー・オール”

聖火の如く受け継がれた力の結晶。

私は、度重なる手術の後遺症で、活動時間も三時間までに減らされた。

だからこそ、後継者を探していた。

そして、彼になら渡してもいいと思った。

無個性で、小心者の彼は、その場の誰よりもヒーローだったのだから。

 

けれど、問題もあった。

彼は、個性を受け取る程の器ではなかった。

あと十ヶ月でその器を完成させなければ、雄英には受からない。

しかし、私が作成した『アメリカンドリームプラン』を見せた時、彼は顔を引きつらせながらも、やる気は十分だった。

 

緑谷少年は、朝もしっかり来て計画通りに励み、学校から終わればすぐにゴミ掃除をしに来ていた。

途中、彼の後をつけいた少年がいたが、何も騒がず、ただ緑谷少年をじっと見ていた。

その後、緑谷少年がその子がクラスメイトであり、行動が可笑しいからついてきたと言っていた。

因みにその時私の事を『親戚の叔父さん』と誤魔化したらしい。

 

叔父さんねぇ……いい響きじゃないか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、月日が経ち、試験まであと三ヶ月切った日の事だ。

いつものように彼はごみを担いで走っているといきなり倒れた。

立たせるために敢えてきつい言葉を発していたが、私は彼がオーバーワークになっていたのに気づいた。

彼はプランを守っていなかった。

 

しかし、彼はずっと先を見据えていた。

 

“入るだけでは駄目。”

 

“他の人よりも何倍も頑張らないと駄目。”

 

“きっと追いつけない。”

 

“僕はあなたみたいになりたいんだ”

 

“あなたみたいな、最高のヒーローに!”

 

その言葉は、あの事件の時に彼が言った言葉を思い出させた。

私は彼のその執念に驚かされ、口が滑り、つい叔父さんと言ってしまった。

少年はオールマイトは叔父さんじゃないと言ったが、最初に言ったのは君なのにと心の中で思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、試験当日朝六時。

どれほど出来ているのかが少し不安でいたが、私の予想を彼は、緑谷少年は超えていた。

彼は指定した区画以外まで、チリ一つ残さず綺麗にしていた。

ギリギリで、仕上げたのだ。

私が予想した以上に!

 

「Oh My…Oh My… Goodness!」

 

喜びのあまり、叫んでしまった。

しかし、その後すぐに少年は落ちそうになり、それを受け止めた。

 

その少年の体は、近くで見ても、十ヶ月前とは全く違う。

とても逞しくなった。

 

私は、彼がどんなヒーローに成長していくのか、楽しみになってきた。

 

 



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七話:試験だ!

こんばんは!
出来てしまった…
今回は試験といっても違う試験です!どうぞ!


あれから十ヶ月経ち、試験まで残り一週間になった。

俺は今日もいつも通り人気のない場所に仮面を持って来た。

けど、今日は、いつもの特訓とは違う。カシャリアによる最終試験だ。

内容は簡単。被った時に、昔と同じようにこれと同調出来るかだ。

出来なければ、意識はこいつの力に飲み込まれ、昔と同じ過ちを。

出来れば、仮面の目に穴が開いていないから見えないはずなのに、こいつの力を通して景色が見えて、力を得ることが出来る。

 

が、もし出来なくても雄英は通る。しかし、俺の目指すヒーローにはなれない。

 

将来をかけた、一か八かの真剣勝負だ!

 

“刀!覚悟はいいか?言っておくが、この仮面に宿った俺の力は前よりも比較にならないぐらいに我が強くなりやがった!気を引き締めろ!”

 

「了解!」

 

息を整え、深呼吸をする。

仮面を顔の近くまで持ってきて、その力の一部を感じ取る。

 

ドクン…ドクン…

 

仮面は生きてるかの如くに脈を打ち、その周辺は歪みが生じている。

 

勝負の時間

 

乗っ取られるか、乗っ取るかの、真剣勝負。

その戦いに気持ちが高ぶってくる。

俺は、ゆっくりと仮面を被った。

その途端、目の前が真っ暗になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何も見えない真っ暗闇の空間。

辺りを探っても何もない。

自分の体も何も見えず、途方に暮れる。

しかし、それを狙ってくるかのように、何かが俺を掴む。

暗くて見えないが、感覚でそれが俺を沈めていたのが分かった。

しかし、それがわかっていたはずなのに俺は何もしない。

ただ、それに任せ、沈んでいた。

暗い暗い闇の底に。

俺は恐怖も感じず、ただ、それの核を探した。

それはすぐに見つかるも、核はびくともしない。

けれど、このままでは底に沈められる。

俺はある剣をイメージしながら、腕を上に上げる。

そしてその手に白い、とても純白な、穢れを知らない刀を取る。

そのまま、その剣は光り輝き、眩しくなって、俺は目を閉じた。

 

 

 

 

 

人の騒ぐ音が聞こえる。

秋らしい風の音も聞こえ、目を開ける。

その場はいつもの人気のない場所。

しかし、違うのは、その近くにカシャリアがいないこと。

俺は、カシャリアに同調することが出来たのだ。

 

“おめでとうさん!刀!これでお前は昔踏めなかった第一歩を踏み出せたな!”

 

頭に直接響くカシャリアの声。

嬉しさのあまり、目に涙が溜まった。

 

だけど、これで俺の特訓は終わった訳ではなかった。

 

“さて、刀!制御出来て、感動に浸ってるとこ悪いが、次、行くぞ!”

 

「え!?これで終わりじゃねぇのかよ!」

 

“はいはい。声はもう出さなくていいぜ?てめえが考えたことは全部わかるから。”

 

珍しく呆れた声を出すカシャリアに驚きつつ、同時進行で辺りを見回す。

元から、カシャリアの事もあって人気のない場所にして居たこともあり、誰も居なかった。

 

“次にするのは、『この仮面の力に慣れろ』だ。”

 

(仮面の力に慣れろって……どういうことだ?)

 

話が長くなりそうなので、念の為人目につかないよう地面に座った。

 

“お前は知ってるよな?この仮面が被れるようになったら、その力が使えるって。”

 

(ああ。だから、一族の間でも、与えられた仮面以外に他の仮面を望んだ奴もいたんだしな。)

 

昔の大事件とも言える事件を思い出しながら、カシャリアの話を聞く。

 

“そして、同時に俺と同調している。つまりは、『(カシャリア)』の体に近づこうとしている。もっと簡単に言えば、体が変化するんだ。これは、一族の血を引く体なら問題はないんだが、お前は今はその血引いていない。それが原因で、お前はこれから先、後戻りは出来ない。血を引いていれば、一瞬にしていつもの体に戻るがな。だから、これからの日常の為にも俺に近づきつつある体を慣らさなきゃならねぇ。わかったか?”

 

俺は、あまりの展開についていけていないが、これだけは言わせて欲しい。

 

「それを先に言えぇぇぇええ!」

 

少しづつ、人ならざる者に変わっていく俺はまずは相方に文句を言った。

 

 

 



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八話:急変していく体

こんばんは!
そしてお久しぶりです。
ちょっと三月に入った時点で少しばかりか忙しくなり、プラススランプになっちゃいました……
けど、たぶん大丈夫です!
それから、私はアニメしか見ていないので、二期がどんな感じなのか楽しみです!


さて、どうしたものか。

カシャリアが言うにはこうしている間にも体が変化していると言う。

今のうちに体を動かして慣らさなければ、ひどい目に会うと脅してきた。

仮面を被ったまま表を歩くのは不審者にしか見えないので、どうしたものかと思った俺は上を見た。

その視界には、高層ビルが何軒も建っているのが見える。

今俺がいるのは、人気のない場所であるだが、仮面を被ったことにより、視力、聴力等と言った五感が上がり、遠くまで見渡せ、聞こえ、感じる事が出来た。

俺は、誰にも聞かれないようにそっと音を立てずにジャンプする。

しかし、そのジャンプは前とは比べ物にならないくらいの高さまで上がった。

一瞬だけ驚きも、俺は風を繰り出す剣を出して、進路を高層ビルの屋上へと変え、思いっ切りその剣を振る。

 

「……っつ…」

 

その衝撃は少し耐え難く、苦しみのあまり声を出してしまった。

けれど、すぐにそれは止み、目的に到着した。

 

(……力加減しないと駄目だな。)

 

“だな。ていうかあのくらい、剣無しでどうにか出来ねぇのか?”

 

(無理だな。てか、やり方知らない。)

 

急激な体の変化に脳が追いつけず、頭がクラクラする。

一旦、休憩がてらに仮面を外す。

しかしカシャリアが言った通り、体は元の感じには戻らず、ごちゃごちゃしている。

 

「……ふぅ…」

 

“やっぱし、あの一族じゃねぇとこれはきついのか?”

 

「それは……ないと思う。ただ単に、俺がついていけてないだけだから。」

 

未だ体に慣れておらず、整理の出来ない頭と体を休めるように何も考えず、空を見る。

暫くすると、だいぶ慣れたようで、すっきりしたので、仮面を被らずにビルを取り移ろうと体を動かす。

 

“ん?おい。刀、俺を被らんのか?面白くねぁな。”

 

「被ってる間だけ変化するんならまずこの状態の体に慣れさせないと、俺が持たないんだって!」

 

愚痴をこぼすカシャリアに突っ込みつつ、少し遠いが隣にあるビルの屋上を見つめる。

 

「さて……。試験まで後一週間。出来る限りのことをしないとな。」

 

独り言を呟きながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オールマイト視点

 

 

 ヒュン

 

「ん?」

 

微かに聞こえた音に気付いたオールマイトはオールマイトは空を見上げる。

しかし、彼の視界にはいつもの光景しか見えず、怪訝に思う。

 

「どうかしました?オールマイト。」

 

ゴミを持ち、走っていた出久はオールマイトが止まったのを不思議そうに見た。

 

「いや、何でもない。さあ!後一週間だ!ボーっとしてる時間はないぞ!緑谷少年!」

 

出久の特訓を再開する為に、また走らせた。

 

(しかし、あの音……何かが地を蹴って飛んだ時の音にそっくりだ。……飛んだと言えば…)

 

私はまた十ヶ月も前に起こったヘドロヴィランの事件について思い出した。

あの時、私は活動時間に気を取られ、情けない思いをした。

ちょっと自分では情けなくて、あまり思い出したくはないが、観点はそこではない。

緑谷少年が飛び出し、私を動かしたその言葉の後、もう一人の少年が飛び出した。

彼は凄い。

このまま成長していけば、この私まで超えてしまいそうなヒーローになりそうだ。

たぶん、個性は剣を創るであっているが、その剣にはいわゆる属性がついていた。

しかも二度ほど創った風の剣は威力に差があった。

そしてそれ以外にも彼の身体能力。

通常、私のように力を増幅させなければ高いジャンプは出来ないはずなのに、彼は出来ていた。

あれから十ヶ月。

緑谷少年から、彼も雄英を受けると聞いた。

彼も試験に向けて努力しているのだろう。

 

どうやら、今年はとんでもない年になりそうだ!

 

 

 

 




誤字の指摘、ありがとうごさいます!
おっちょこちょいなミスでした……

誤字脱字、コメント待ってます!


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