比企谷は木の葉にて最強 (星の王子(笑)。)
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第一部~八幡が担当上忍に~
プロのぼっちが火影候補なのは間違っている


~八幡side~

 

「じいさん、本当(マジ)で言ってんのか?」

 

「無論じゃ。それくらいはしてもらうぞ」

 

火影室にて、三代目火影(じいさん)と対峙する俺。顔には暗部特有の狐の面を付けている。

 

「そう言われても、俺が火影なんて納得しないやつがいっぱい居るだろ」

 

「じゃから、次の担当上忍をせいと言うんじゃ」

 

そう、机の上には沢山の書類が並べられていて、それは今年忍者学校(アカデミー)を卒業した生徒たちの書類だ。

 

「はぁ……まぁ、火影をやるよりはマシか」

 

「…お主は本当に分からん奴じゃのう。火影はなりたくてもなれんものが多いというのに」

 

「自来也さんはその例に含まれない、だろ?」

 

幾つか技を教わった身としては、女湯を覗くのはやめてもらいたいが。

 

「…お主は奴に似たんかの?」

 

「失敬な!俺はアンタや自来也さん(エロ仙人)みたいなエロじじいじゃない!」

 

「なんじゃと!儂はエロ爺じゃない!」

 

「うそつけ!ミナト先生の子息の術に鼻血ブ―したこと、知ってるぞ!」

 

「誰じゃ!こやつに喋ったのは!」

 

「アンタの孫だ!」

 

「木ノ葉丸め!後で仕置きじゃあっ!」

 

 

 

閑話休題

 

 

「はぁはぁ……まぁつまり、俺は担当上忍をやればいいんだな?」

 

「はぁはぁ…うむ、それでじゃ。お主には血継限界を持つ班を担当してもらいたい」

 

書類を見る限り、今年は名家出身や血継限界持ちが沢山いるが、おそらく三大瞳術持ちのどちらかだろう。

 

「…今年はうずまきナルト、うちはサスケ、はるのサクラの第七班にははたけカカシが。奈良シカマル、山中いの、秋道チョウジの第十班には雪ノ下雪乃が。犬塚キバ、油女シノ、日向ヒナタの第八班には比企谷八幡、サポートとして由比ヶ浜結衣が配属される予定じゃ」

 

「…は?」

 

「何じゃ、何かおかしなところでもあったか?」

 

「いやおかしいだろ。何で第八班に上忍が二人いるんだ?」

 

それに雪ノ下に由比ヶ浜か…面倒だな。

 

「今回は特例じゃ。何せお主は火影直轄の暗部の中でも一番の実力者じゃ。完全に暗部を抜けると言う訳ではなく、兼任と言う形になるのじゃから、必然的に下忍の面倒を見る時間はなかろう」

 

「…じゃあ、ずっとついていなくていいんだな?」

 

「勿論じゃ。それに、お主が火影になるかもしれないしのぉ」

 

「ふざけるな。…まぁ理解した。もう帰っていい?」

 

「うむ。要件はそれだけじゃ」

 

 

 

 

 

当日、

 

 

 

 

「えっ、ヒッキー!?」

 

「あら、比企谷君じゃない。なぜここへ?」

 

担当上忍の顔合わせをさっさと済ませようとしたら、やはり絡まれた。

まぁ、元同じ班のメンバーだし当然なのか。

 

「俺は第八班の担当上忍になった。由比ヶ浜の上司ということだ」

 

「ええっ!アタシの上司になるエリートってヒッキーだったの!?」

 

エリートって…俺はそんなガラじゃないけどな。

昔は俺たちの担当上忍だった平塚静先生を笑えない、三十路に突入した俺たちだが、雪ノ下は昔よりも少し胸が出て美しいという言葉が似合う女性に、由比ヶ浜は見た目も中身も殆ど変わっていない。まぁ俺も他人のことは言えないが。

 

「それは置いといて…由比ヶ浜、何時上忍になったんだ?」

 

雪ノ下は大分前にじいさんから聞いたが、そもそもコイツが上忍になった話は聞かない。

 

「えっとねー、つい最近だよー」

 

「貴方は知らないでしょうけど、同期のみんなでお祝いもしたのよ」

 

「そりゃ知らねーよ。誘われてねーし」

 

おかしいな?同期の、しかも同班なのに誘われもしないなんて。まぁ別に行きたかったわけじゃないけど。

 

「えー、だってヒッキーのこと誰も知らないって言ってたし」

 

「私も色々聞きまわったけど、貴方の今を知ってる人がいなかったから、てっきり死んじゃったのかと思ってたわ」

 

「……まぁ、俺も色々あるんだよ」

 

「…そう、なら無理に聞かないわ。それよりもそろそろ時間よ」

 

「ん?…てことはカカシはまぁた遅刻か」

 

呟きながら、生徒のいる教室に歩き出す。



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下忍の演習を担当するのは間違っていない

感想を書いてくれた方がいました。
励みになるので是非どんどん書いてください。


~八幡side~

 

俺は第八班を連れて、早速演習場に来ていた。

 

「さて、先ずは自己紹介からしてもらおうか。じゃあ左から頼む」

 

「おうっ!俺は犬塚キバ!夢は火影になることだ!」

 

「キャンキャン!」

 

勢いよく立って自己紹介をする犬塚と赤丸。俺は隣に立つよう促す。

 

「…俺は油女シノ」

 

「…それだけか?」

 

「ああ」

 

ずいぶんと無口な奴だが、本人がいいと言うなら問題ないか。

 

「…わ、私は日向ヒナタ…です」

 

どんどん消え入るようなか細い声だが、大丈夫か?

日向宗家の生まれだそうだが、日向ヒアシに挨拶にいったところ、無茶させても構わないと言っていたことを踏まえると、既に宗家は妹の日向ハナビに見定めたようだ。

 

「はいはーい!私は由比ヶ浜結衣でーっす!」

 

「俺は比企谷八幡だ。何か質問はあるか?」

 

「さっきから気になってたけど…何でうちの班は上忍が二人いるんだ?」

 

「特例だ。気にするな」

 

「じゃあ何で演習場に来たんだ?」

 

「演習場は演習をするために来たに決まってるだろうが」

 

「先生たち付き合ってんの?」

 

「ただの同期だ」

 

由比ヶ浜が途中で顔を赤くしたりしたが、気にせず答える。

 

「もうないな。じゃあ簡単な組手を行うから準備して前に出ろ。順番は自己紹介の時のと同じだ」

 

そういうとキバ以外の皆が下がる。

 

「なぜお前も下がる由比ヶ浜、この組手はお前がやるんだよ」

 

「ええっ!初耳だよ!」

 

「今言ったからな。由比ヶ浜はハンデとして最初の一分は防御だけな。始め」

 

「ひゃっほぅ!いくぜ赤丸!四脚の術!」

 

印を結び、四足歩行になる。そのまま下忍としては速い部類に入る速度で後ろに回り込む。が、由比ヶ浜は上忍。下忍としては速かろうが、上忍には余裕で見えてるハズだ。

 

「はっ!」

 

掛け声と共に、キバの蹴りを側面から弾く。

 

「まだまだっ!」

 

同じような攻防が一分続く。つまりこれで由比ヶ浜は攻撃してもよくなった。

 

「行くよキバ君!」

 

素早く印を結ぶ。あの印は…

 

「風遁、真空玉!」

 

「うわっ!…あぶねぇあぶねぇ。やっぱ油断できねぇな…技獣忍法!獣人分身!」

 

赤丸に兵糧丸を食わせ、犬塚家特有の術を使う。

 

「獣人体術奥義、牙通牙!」

 

二方向からの猛スピードの突進は強力で、当たれば倒れるかもしれない。当たれば、だが。

 

「土遁、土流壁!」

 

牙通牙は、由比ヶ浜の出した壁に突き刺さり、ある程度削ってから止まる。もう少し威力か速度があれば破れただろうな。

 

「それまでだ。キバはシノと交代だ」

 

壁に突き刺さった割には平気そうなキバ。中々タフだな。

 

「やっぱ上忍はつえーな」

 

「今のキバ君じゃまだまだだよー?」

 

そうして、次のシノが正面に立つ。

 

「開始」

 

「…蟲玉」

 

「きゃっ!」

 

上忍になったとはいえ、蟲はあまり得意じゃないのか、距離を取って走り回る由比ヶ浜。的を絞らせないいい作戦だが、下忍に対して大人げないだろ。

 

結局、ハンデの時間が終わって風遁により気絶させられたシノ。まぁ相性が悪かったな。

 

「じゃあ最後にヒナタ…無理してやらなくてもいいんだぞ」

 

「…やります。やらせてください」

 

見た目とは裏腹に意志が強いんだな。

 

「…わかった。じゃあ始め」

 

合図と共に、ヒナタが駆け出す。

日頃から日向のご当主と訓練してたのか中々速い。

 

「遅いよっ!」

 

だからアイツ下忍に本気を出し過ぎだろ。

柔拳相手の対策として、ヒナタの腕を叩いて止めていく。

 

「くっ…はぁあっ!」

 

更に速度が上がるか。まあそれも全部叩き落されていく。

 

「ふっふっふー、あたしはこれでも上忍なんだよー!」

 

とか言ってるが、体術に関しては腕のいい中忍に劣るだろ。アイツは忍術中心に鍛えてたからな。

 

「…じゃあ一分だ。由比ヶ浜、反撃してもいいぞ」

 

「はーいっ…風遁、真空波!」

 

そこまでチャクラを込めてないだろう忍術が、ヒナタに直撃して吹っ飛ぶ。

 

「…そこまでだな。まあみんな下忍に成りたてだが、よく動けている」

 

吹っ飛んだヒナタを回収してみんなの前に立つ。

 

「…今日はここまでだな。明日から任務が始まるから疲れを取っておけよ」



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ヒキタニが忍術を使うのは間違っている

~八幡side~

 

 

「おいカカシ。何故ここにいる?」

 

演習が終わり、じいさんに報告を済ませて一楽に晩飯を食いに来たら…

 

「何故って…晩飯時だからでしょ」

 

「らっしゃい!」

 

一楽のおっさんに軽く挨拶をして、席に着く。

しかしカカシは毎度毎度あのマスクを外さずにどうやって飯を食っているのか…」

 

「声に出てるよ…それよりも意外だったね。まさか八幡が下忍の担当を持つとはね」

 

「こっちのセリフだぞ、それは…お前だって毎回忍者学校(アカデミー)に送り返してただろ…」

 

ネギ味噌ラーメン大盛りを注文し、水を口に含んで喉を潤す。

久々の一楽だから楽しみだな。

 

「それは俺の求めるような生徒がいないからだよ」

 

「掟よりも仲間を大切に、か…相変わらず顔に似合わず理想的なことを言うな。だが、今回の下忍はその理想の生徒だったか?」

 

「へいお待ちっ!」

 

待ちわびたラーメンを啜る。うん、暴力的な旨さだ。

 

「…確かミナト先生の息子にうちはの生き残り、後はただのくのいちだったな」

 

「ナルトにサスケ、サクラだよ…アイツらは、昔の俺たちに似ている…」

 

そのアイツらがオビトたちなら、その関係性が目に浮かぶようだ。

 

「…そうか…まぁ頑張れ」

 

「ああ、じゃあ俺食い終わったしもう行くね。お勘定は此処に置いとくよ」

 

そう言って歩いていくカカシ。てか…

 

「長話しすぎたな…ラーメン伸びきってる…」

 

感想、延びきっていても一楽のラーメンは旨かった。

 

 

 

そして数日。

 

愚痴を言いながらも、幾つかのDランク任務をこなして(猫探し、屋根修理、除草、図書整理etc…)まぁ忍としてやっていけると判断した俺は、じいさんに報告をする。

 

「…で?Cランクは無理なのか?」

 

「バカを言うでない。まだ下忍になったばかりじゃろう」

 

「つっても、キバが言い出したのはカカシ班がCランク任務に言ったかららしいが…」

 

「…ナルトが言いふらしたのかのぉ」

 

今は一人の上忍として来ているので、暗部の仮面はつけていない。案外この姿で来たのはガキの頃以降初めてなのかもな。

 

「じゃあ…」

 

「失礼します。葉山です」

 

「うむ、入ってよいぞ」

 

口を開いたとたん、ノックと共に知っている声が聞こえる。って葉山かよ…素顔だから面倒だな。

 

「報告があって来ました…ヒキタニ君?」

 

比企谷(ヒキガヤ)だって言ってんだろ…俺に気にせずさっさと報告をしろよ、エリート上忍さん」

 

「…実は、護衛の依頼を出したいのです」

 

「お主がか?必要ないじゃろう」

 

「いえ…雪ノ下がです」

 

雪ノ下。それは雪ノ下雪乃の苗字にあるように、木の葉の小大名の一つだ。個人的には絶対関わりたくない。

 

「うむ…では八幡よ。お主の班と葉山の合同でこの任務を受けよ」

 

「…は?ちょっと待て、何で俺なんだ?」

 

「お主は何かと雪ノ下とは関わりがあろう。それに、今Cランクの任務を受けたいと言ってたであろう」

 

「だから何で?これは明らかにCランクじゃなくてBランク以上だろ」

 

「まぁ本来はそうじゃが、今回は危険もある訳じゃない、そして上忍の葉山との合同じゃからCランクとする。他に文句がなければ決定じゃ」

 

「ちょ…」

 

何かを言おうとするが、咄嗟に何も出てこない。

そうだ、此処には葉山もいるから頼ろう。

 

「宜しくな、ヒキタニくん」

 

俺の味方は居なかった。

 

 

 

 

と言うわけで翌々日、大きな城から出てくる雪ノ下の母親の護衛に参加した。

元々の護衛が何人もいるが、忍としてはキバたちの方が上のようだ。

 

「うわー、あれがゆきのんのママ?すんごく若い!」

 

「うっ…あのオバサン香水キツいぜ」

 

「静かに…確かにキバにはキツいかもな」

 

籠に入ってるのに匂うくらい強い、何かの花の匂い。

ちらっと素顔が見えた由比ヶ浜の反応が少しうざいが、教え子が露骨に嫌な顔を俺に向けてくるので、隣の葉山にも言う。普通に葉山にも聞こえてたろ。

 

「と、言うわけでだ。どうにかならんか?」

 

「うーん、配置を変えてもらうしかないかな?…まぁどうせメインはヒキタニくんだけだし問題ないはずだよ」

 

元々下忍は当てにしてないのか…

 

「あの…」

 

今度は裾を引っ張ってくる…声的にはヒナタか。

 

「どうした?お前も匂いがキツいか?」

 

「いえ…えっと…」

 

「ん?…成る程」

 

ヒナタの眼を見ると、白眼が発動していた。それを察するに、敵だろう。

 

「…神楽心眼」

 

「っ!いきなりどうしたんだい?」

 

隣で急に印を結ぶ俺に、驚いたように聞く葉山。ただ感知中にそれはうざいな。

 

「…敵だ。うちの班員が気づいた…中々出来る奴だな」

 

おそらく狙いは雪ノ下の母親。てか忍に襲われるってAランクだろ。

 

「まぁ潰してくる。その間頼むわ」

 

「えっ?まさか一人で行くつもりか?」

 

「わざわざ連携するほどじゃない。一分経って帰ってこなかったら急いで逃げろよ」

 

言うだけ言って、超スピードで駆ける。

相手は急接近してくる俺に気づいたようだが、既に目の前だ。

 

「くたばれ」

 

忍術を使うまでもなく、高速で迫った俺の膝が、すれ違うように腹に吸い込ませた。

 

「ぐはぁっ!!」

 

一瞬で片付いたな。思ったよりも強くなかったな。

てかこいつ、岩隠れの上忍じゃねーか。

 

「放置か…連行か…またはめんどいし始末か…」

 

 

結局めんどくなって、火影室に飛雷神の術で送りつけて、何事もなく護衛に戻った。



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中忍試験にうちの班が参加するのは間違っていない

意外と一日一話投稿できてますね。
短いから出来れば毎日投稿しまーす。


~八幡side~

 

 

護衛も済んで、さらに幾つか任務をこなすと、中忍試験の時期がやってくる。

 

「召集をかけたのは他でもない」

 

広間に召集されたのは皆上忍以上で、カカシやガイ、雪ノ下に由比ヶ浜もいる。

 

「この面子の顔ぶれでもう、分かるとは思うが…」

 

「もうそんな時期ですかね?」

 

「既に他国には報告済みなんですよね。里でちらほら見かけましたから…で、いつです?」

 

カカシは気づいてなかったのか。俺も既に草隠れの下忍を見かけたな。

 

「一週間後だ」

 

「そりゃまた急ですね」

 

じいさんは一服して言う。

 

「では…正式に発表する……今より七日後、七の月一日をもって、中忍選抜試験を始める!」

 

さて、うちの班はどうしたもんか。

 

 

 

「さて、まず新人の下忍を担当しているものから前に出ろ」

 

おっと、呼ばれたな。

 

「ふむ、カカシに八幡に雪乃か…どうだ?お前たちの手の者に今回の中忍選抜試験に推したい下忍はおるか?言うまでもないことだが…形式上では最低八任務以上をこなしている下忍ならば…あとはお前たちの意向で試験に推薦できる。まぁ…通例、その倍の任務をこなしているのが相応じゃがな」

 

危ねぇな…うちはちょうど八つのはずだ。

 

「じゃあカカシから…」

 

「カカシ率いる第七班、うちはサスケ、うずまきナルト、はるのサクラ…以上三名、はたけカカシの名をもって中忍選抜試験受験に推薦します」

 

「なに!?」

 

今後ろから驚いたような声が聞こえたな。と言うか指は立てないとなのか?

 

「八幡率いる第八班、日向ヒナタ、犬塚キバ、油女シノの三名を、比企谷八幡の名をもって左に同じ」

 

「雪乃第十班、山中いの、奈良シカマル、秋道チョウジ以上三名、雪ノ下雪乃の名をもって左に同じ」

 

左に同じって楽でいいな。

結局流れで指は立てなきゃだな。

 

「……ふむ…全員とは珍しい…」

 

「ちょ…ちょっと待って下さい!!」

 

さっきの奴が慌ててじいさんの前に出る。

 

「なんじゃイルカ?」

 

「火影様、一言言わせてください!!」

 

アイツは…忍者学校(アカデミー)の教員か。

たしか中忍だってのによく火影に直訴できるな。

 

「さしでかましいようですが、今名を挙げられた九名の内のほとんどは…忍者学校(アカデミー)で私の受け持ちでした。確かに皆、才能ある生徒でしたが、試験受験は早すぎます。アイツらにはもっと場数を踏ませてから…上忍の方々の推薦理由が分かりかねます」

 

「私が中忍になったのは、ナルトより六つも年下の頃です」

 

「ちなみに俺もその頃だな」

 

「ナルトは貴方達とは違う!貴方達はあの子達を潰す気ですか!?中忍試験とは別名…」

 

「大切な任務にアイツらはいつもグチばかり…一度痛い目を会わせてみるのも一興…潰してみるのも面白い…」

 

「な…何だと!?」

 

「カカシ、冗談はそれくらいにしとけ。火影(じいさん)の前だぞ」

 

「貴方も大概よ…」

 

「そんなことはない。これは普段通りだ、なぁじいさん?」

 

「少し黙っとれ」

 

「はい」

 

火影に注意されたよー。これってすごいことなんだぜ?

 

「…と、まぁこれは冗談として…イルカ先生、あなたの言いたいことも分かります。腹も立つでしょう。しかし…」

 

「ぐっ…」

 

「カカシ、もうやめとけって…」

 

「お主は黙っとれ」

 

またじいさんに注意されたよー。俺って大物?

 

「口出し無用!アイツらはもうアナタの生徒じゃない……今は……私の()()です」

 

「……」

 

あらら、イルカ先生とやらは黙っちまったな。

 

 

 

 



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上忍同士の集まりに俺がいるのは間違っていない

~八幡side~

 

 

「てな訳で、お前たちを中忍試験選抜に推薦しちゃったから」

 

「え!?」

 

試験前日に皆を集め、推薦書を渡す。

 

「ふっふーん、ヒッキーが皆の事強く推してたよ!」

 

「うるさいぞ由比ヶ浜…まぁ試験内容的にもお前らなら余裕だろ」

 

「ひゃっほぅ!これで中忍に成れるぜ!」

 

「それはどうか分からんが、取り敢えずその紙に同意の印を書いて、明日の午後四時までに、忍者学校(アカデミー)の301に来ることだ。ああ…ヒナタと由比ヶ浜は演習場に来てくれ、以上で解散だ」

 

 

演習場にゆっくりと入ると、既に二人は来ていて仲睦まじく話していた。

 

「おっそーい!ヒッキーが来いって言ったのに一番遅いよ!」

 

「悪かったな。さて、二人に残ってもらったのは…まず由比ヶ浜、お前に任務を伝えるよう言われていた。内容はこのプリントにかかれているから今すぐ向かってくれ」

 

追い払うようにシッシッとやる。

 

「えーっ!明日からヒナタちゃんたちの中忍試験なのにー」

 

本当はそれに関係することだが、受験者の前で言うのは駄目だろうから耳打ちする。

 

「…中忍試験の試験官の手伝いだから、ヒナタたちを見てられるぞ?」

 

「ホント!じゃあすぐに行ってくる!」

 

「……じゃあヒナタ、お前には今から稽古をつけてやる」

 

「…え?」

 

ボーッとしてたらしく、首をかしげている。

 

「受験が始まってからだと駄目だからな……お前に教えるのは、対柔拳の技だ」

 

 

 

 

 

 

今頃は中忍試験のペーパーテストをしてる頃か…

 

「ま、しかし…部下達がいないとなるとヒマになるねェ~。任務お預け」

 

「いや…すぐにドンドン落とされるハズだ」

 

上忍の待機所で、暇な俺らは茶を啜っていた。

 

「何で?」

 

「今年の第一の試験官、あの森乃イビキだとよ」

 

「…………よりにもよってあのサディストか……」

 

(こりゃ第一の試験も危ういな…クソ…)

 

「サディスト?比企谷君、イビキってどのような人なの?」

 

「ん、拷問と尋問のプロだよ…役職は木の葉暗部、拷問・尋問部隊長…特別上忍森乃イビキ」

 

(まぁ試験に肉体的な拷問はないにしても…尋問のスキルを生かした精神的な"苦しめ"を強いられているに違いない…)

 

「暗部の部隊長?」

 

「ああ。イビキは人間の心を知り尽くしている。そして最もアイツの恐ろしいところは、相手を心理的に追い詰めることで精神を操りいたぶり、人間の本来もつ弱味を浮き彫りにすることだ」

 

「よく知ってるわね。ストーカー?」

 

「誰が野郎をストーキングするか。やるならやるでお前や由比ヶ浜みたいな美女をするわ」

 

美女と言われて顔を赤くする雪ノ下。俺は鈍感系主人公ではないから、それが照れから来るものだと分かる。

 

「八幡、くれぐれも捕まるなよ?里一の上忍がストーカーとかヤバイから」

 

「…イチャイチャパラダイス(あんなもの)読んでるやつに言われたくないな。書いてる奴が変態だし」

 

「これの面白さが分からないなんて子供だなぁ」

 

「うっさいぞ年下が…ん?」

 

窓際に一匹の鷹が止まる。足元には紙が括りつけられている。

 

「…ほら、飛んでいいぞ……ん、そうか」

 

「何だって?」

 

「じいさんから呼び出しだ。しかも死の森中央の塔か…面倒なことになったな」



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ヒナタが中々切り出さないのは間違っていない

出す順番間違えましたので、今日の分を早く出します


~八幡side~

 

 

呼び出しくらうなんて…面倒だけどサボるのは無理だから、せめてもの抵抗と言うことでゆっくりと行く!

 

 

「遅いわよ八幡!」

 

「何でアンコがいるんだよ…」

 

塔にはじいさんと暗部の俺の部下二名、そしてアンコが苦しそうにしていた。

 

「すまんのぉ…お主が懸念していた事態が起きてしまったのじゃ」

 

「…てことはアンコ、呪印か」

 

「……ええ…大蛇丸を仕留めるのは、教え子である私の役目なのに…ドジっちゃったわ」

 

まぁ妥当だろうな。アンコも弱くはないが、大蛇丸とは格が違い過ぎてしまう。

 

「むぅ…無理はない。この里で奴を倒せるのは八幡だけじゃろう。儂とて、奴に勝てるかわからんからの…」

 

「…まぁ大蛇丸は元々俺が殺るつもりだったからな。それにアイツは写輪眼を欲しがっていたし、サスケに張ってればいずれ来るだろ」

 

伝説の三忍とか言われていても、所詮うちはのひよっこしか狙えない奴だからな。

 

 

 

 

「火影様!指定の時間になりましたので、会場へお願いします」

 

「おっと…ってことは俺も行かないとか」

 

「そうじゃの。ほれ、さっさといくぞ」

 

ソファに座って煎餅をかじるスタイルの俺は、何処からどう見ても偉そうな奴だな。

 

「あぁ~、面倒だけど仕事だし仕方ないか…専業主夫を目指してたのに何でこんなことを…」

 

じいさんとアンコと俺の三人に、伝達に来た中忍で急ぎ足で会場に向かう。アンコはもう呪印は痛まないのか、押さえていない。

 

「で、二次試験に受かったのは?」

 

「は、はい…砂と音、そして木の葉が五つの班です。確か、新人の班はすべて残っています」

 

「へぇ…じゃあうちの班も残ってるのか。、まぁそもそも死の森でのサバイバルなんてうちの班にとって屁でもないか」

 

「む?…お主の班は確か、日向に犬塚、油女だったの…確かにサバイバル向きの班じゃな」

 

「確か二番に到着した班のはずよ。優秀なのね、隊長と同じで」

 

ん?あのアンコが素直に誉めるだと?絶対裏があるに違いないな。

 

「いやいや、俺は全然優秀じゃあない。精々里を幾つか潰せるくらいだ」

 

「それ、ぜんぜん謙遜してないじゃない…」

 

「無駄口はそれまでじゃな…着いたぞ」

 

 

 

 

じいさんの挨拶、そしてハヤテが棄権を促して一人眼鏡が手を挙げる。何だか胡散臭い眼鏡だ。

そのまま第一試合が始まる…いきなりうちはサスケか。

 

「先生…」

 

「…ヒナタか」

 

どうも疲れている様子のヒナタが寄ってくる。それにつられて由比ヶ浜も来る。

 

「ヒッキー、ヒナタちゃん頑張ったんだよ!」

 

「ああ、そうみたいだな…流石俺の教え子だ」

 

「ヒッキーが素直…大丈夫?病院行こ?」

 

「別に熱なんてねぇよ。頑張った奴を褒めないでどうする?」

 

「じゃああたしは?試験官の手伝い頑張ったよ?」

 

「お前は任務だろうが。頑張って当たり前だろ」

 

「ええー!」

 

「由比ヶ浜さん、少し静かにしましょう?」

 

「雪ノ下か。お前のとこの班も無事に二次試験突破だな」

 

「当たり前よ。シカマルにはありったけののサバイバルの知識を仕込んだもの」

 

何かすごい自慢が始まったので、試合の方を見る。すると、サスケが黒子みたいな奴を踵落とししていた。

 

「勝者、うちはサスケ」



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八幡が寛ぐのは間違っていない

~八幡side~

 

 

一試合目は見れなかったので、会話を切って見ようとする。

 

「ん?」

 

裾を引っ張られて、そちらを向く。そこにはなにか言いたそうにしているヒナタがいる。そういえばさっきもなにか言おうとしていたな。

 

「どうした?」

 

「…………えっと……」

 

中々切り出さないな。

 

「………」

 

なにかボソボソ言ってるのは分かるが、難聴系主人公ではない俺でも聞き取れない。

 

「ヒナタ、試合が始まるからそれが終わったらな」

 

「…………はい……」

 

電工掲示板に表示されたのは、『ザク・アブミVS油女シノ』か。

 

「音の奴がどんな忍術を使うか知らないが、シノに勝てる奴は下忍じゃ殆んど居ないな」

 

「そーだねー。シノくんの相手、腕に怪我してるみたいだしよゆーでしょ!」

 

その通り、ザクとやらの忍術は腕からの真空波みたいだが、シノとは相性がとても悪かったな。

 

「さて、次は誰だ?」

 

『カンクロウVS剣ミスミ』か、砂の忍びがどんなものか…ってあれば傀儡使いか。あ、ありゃ死んだな。

 

「あら、傀儡使いなんて珍しいわね?あの目とか昔の誰かさんにそっくりじゃない」

 

「ほっとけ。今はもう普通の目だ」

 

第三次忍界対戦で、瞳力を使いすぎたせいで変えざるを得なかったが、そのお陰でさらに強くなったし腐ってた目も変えられたからいいか。

 

「次は春野サクラに山中いのか」

 

「忍としてはどちらも大差ないが…山中家と言えば心転身の使い手だな。あれはこの試験内容的にも一発で終わりだ」

 

「え?どーゆーことなのヒッキー?」

 

「はぁ…お前はそんなことも知らないのか?」

 

「こればかりは比企谷君に同意だわ。由比ヶ浜さん、上忍なんだから多少知る努力をしましょう?」

 

「…ヒッキーもゆきのんも酷い!」

 

「とか言ってるうちに、心転身の術が決まったみたいだな。ほれ、よく見てろ由比ヶ浜。今から春野サクラがリタイアするぞ」

 

「ええー?この場面でなんで?いのちゃんは気絶してるみたいだしチャンスだよ!」

 

「私、春野サクラはこの試合……棄権してたまるもんですかー!」

 

「……はっ!?アイツ心転身を気合いで破ったってのか?」

 

「嘘でしょ?いのの心転身は気合いでどうこうできるものではなかった筈よ?チャクラが足りなかったのかしら…」

 

そして女を掛けた戦いは、グーパンによって決まる。

 

「引き分けか…いいパンチだったな…ん?何処行くんだ雪ノ下?」

 

「いのを運ぶのよ。私の部下なのだから私がやらないとでしょう?」

 

「ああ、そういうことか」

 

見ればカカシも降りて春野サクラを運んでいた。



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日向同士の対決にヒナタが勝つのは間違っている

~八幡side~

 

 

続く第五試合目は、砂のテマリが風を使い圧勝し、ガイが砂に挑発していた。

 

「次はキバとナルトか」

 

「うひゃっほぅ!もう勝ったも同然!ラッキーだぜ赤丸!」

 

あーあ、思いっきりフラグ建てたな。

 

 

フラグを建てたキバは、影分身を使ったナルト連弾とやらで倒れた。

だけど試合内容を見て、ナルトが落ちこぼれだったとはおもえないな。術の発動タイミングも、使い方も十分上手かった。

おっと、少し考えすぎたか。さて、次の対戦は…

 

『日向ヒナタVS日向ネジ』

 

「…ヒナタ、あのときの修業を思い出せ。そうすれば勝てるハズだ」

 

「……はい…」

 

自信がないか。まぁ相手は天才と言われているのに対し、自分は年の離れた妹に劣る才能と言われてるからな。俺が同じ立場でも自信なんてねーな。つーかこの状況で自信持てる奴はただの自惚れだろ。

 

試合が始まり、一進一退の攻防が繰り広げられる。

 

「…ヒナタちゃん、この前と動きが違うね」

 

「おお、由比ヶ浜(バカ)でも気づいたか。あれは……言ってしまえば日向ネジ対策だな」

 

「日向ネジ対策?柔拳じゃなくてかしら?」

 

「ああ、他の柔拳使いには効かないだろうな。何せ…天才の眼にのみ効くからな」

 

話してる間も、ヒナタはネジの攻撃を八割型弾き、ネジの腕にも確実にダメージがいってるハズだ。

 

「あれは点結を見切るネジの癖を逆手にとった、確実な方法だ。実はネジは、自分の攻撃する点結に、どうも眼が集中してしまうらしく、相手の眼を良く見てれば弾くのも簡単。特に白眼を持つヒナタなら難易度はもっと下がる」

 

「成る程ね。シンプルな作戦だけど。それでも確実にダメージは相手の方が食らってるわ。これを徹底すれば勝てると言うことね」

 

「ああ。ただ…」

 

欠点がある。そう言おうとしたら、ネジの手がヒナタにカスった。

 

「不味いな、恐らくネジはヒナタのやってることに気づいたぞ」

 

 

 

「まさか俺の目線の先を見て、攻撃を止めるとは思いませんでしたよ。だが、種が分かればそんなものどうとでもなる」

 

「くっ……やあっ!」

 

「甘い!」

 

先程とは違い、面白いようにネジの攻撃が当たる。

 

「ヒナタ様…これが変えようのない力の差だ。エリートと落ちこぼれを分ける差だ…これが変えようのない現実…"逃げたくない"と言った時点で、アナタは公開することになっていたんだ。今アナタは絶望してるハズだ」

 

倒れるヒナタを見下ろして白眼を解くネジ。

 

「……棄権しろ!」

 

尚も棄権を促すネジだが、ヒナタは必死に立ち上がろうとする。

 

「…私は…ま…まっすぐ……自分の……言葉は曲げない…」

 

「…!」

 

「私も…それが忍道だから…!」

 

 

 

 

驚いたな…

 

「ヒナタちゃん…頑張れ…っ!」

 

「もう無理だな…ヒナタには勝って欲しかったが…」

 

「そんなことないよ!まだヒナタちゃんは諦めてないよ…」

 

「いや…くっ…ヤバイな」

 

「えっ…ヒッキー!?」

 

ネジは明らかに殺すつもりでヒナタに向かった。

どうやら止めに行ったのは俺だけじゃなく、カカシとガイもネジの動きを止めている。

 

「なぜ他の上忍まででしゃばる…やはり宗家は特別か…」

 

「…いい加減にしろ小僧。宗家だ分家だど何時までもガキのようにうだうだうだうだと…今は中忍試験の最中だぞ」

 

「その通りだぞネジ。試験中は宗家だ分家だと揉めないと、俺と熱い約束を交わしただろう」

 

「…ふん」

 

「…ぼうっとするな医療班!すぐに運べ!」



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ユキペディアが八門遁甲を知らないのは間違っていない

明日は多分お休みします。

ネタがねぇ…サスケェ…


~八幡side~

 

 

「呼吸困難!急いで緊急治療室に!……八幡様?」

 

「お前らじゃあ治療室まで持つか分からんからな…少し静かにしてろ」

 

担架の上に今にも死にそうなヒナタ。俺は両手にチャクラを込め、ゆっくりと首、それからどんどん降下していく。

特に最後に打ち込まれた心臓付近は、どんどん心脈が落ちているな。

 

「…それは……掌仙術!?」

 

「うるさい…集中が乱れるから静かにしろよ…」

 

俺の細密なチャクラコントロールが簡単に乱れる事はないが…やはりブランクがあるな。

 

「……ふぅ………運んでくれ」

 

時間にすれば三分足らずのことだが、こう言う時間は永遠にも感じるな。あまり好きになれない。

 

「ヒッキー!…ヒナタちゃんは大丈夫なの?」

 

「ああ、取り敢えずは応急処置程度だけどな。さぁさぁ、次がつっかえてるんだ…上に行くぞ」

 

その後、何やらナルトとネジが揉めていたようだが、無事に次の試合が発表される。…来たか、砂の我愛羅…塔に居たときにビデオで見たが、あれは絶対並みの下忍じゃないな。

 

「ロック・リー…あのガイに似てる奴か」

 

試合は序盤からリーが体術で攻め続けたが、砂の防御で攻撃は一切届かない。

 

「ん?何かする気だな」

 

リーは砂の攻撃を避けて、指の像の上に立つ。ガイがリーに何か言い、足の重りをはずす。

 

「何つぅベタな修業を…」

 

重りを落とすと、石床が砕け散る…どんだけ重いんだよ。

 

「うわー!あの子下忍なのに速いよ!」

 

「本当ね。あれほどの速度は中忍でも中々居ないわよね」

 

雪ノ下が誉めるだけあって、我愛羅の砂の盾が間に合わない。

 

 

 

試合は我愛羅が本性を現してから、一方的になった。

表蓮華を失敗したリーは、技のリスクで苦しみながら必死に回避する。………ん?

 

「……ねぇねぇ、リーくんの身体がどんどん治ってるように見えるんだけど…」

 

「あら、奇遇ね…私もそう見えるわ」

 

「…あれはもしや"休門"か?…だとしたらあのガキは…」

 

恐らく八門遁甲。いくつまで開けるか知らないが、流石に"死門"は無理だろう。

 

「第三"生門"開っ!」

 

「入ったか…ガイの奴、何て技を教えてるんだか」

 

「ヒッキー、知ってるの?」

 

「ん?ああ…」

 

「じゃあ教えてくれるかしら?」

 

「流石のユキペディアさんも、体術方面のことはあまり知らないか…あれは八門遁甲と言う、ようはリミッター解除だ」

 

先程の速度も中々だったが、現在の速度を眼で追えてる奴はこの会場に殆んど居ないな。由比ヶ浜はともかく、雪ノ下ですら見えてないし。

 

「裏蓮華!!」



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八幡が中忍試験の説明をするのは間違っている

~八幡side~

 

 

リーの高速攻撃、裏蓮華が当たる。その瞬間に我愛羅の砂のひょうたんが砂と化してクッションとなる。

 

「終わりか…」

 

砂に腕と足を潰され、止めを刺されかける。

 

「愛すべき俺の大切な部下だ」

 

救護班に運ばれるリー。

え?何故治しに行ってやらないかって?だって掌仙術は得意じゃないし、彼処まで粉々になってると俺じゃ無理。綱手さんでも完治はムズいだろう。

 

「次はチョウジね…勝ったら焼肉Qに連れてってあげるわ」

 

「よっしゃー!焼肉だーっ!」

 

まぁ結果は音の奴の一撃で沈んだが。

 

 

じいさんは、今回の予選通過者の前に立って、

 

「以前も話したように、本戦は諸君の戦いをみんなの前でさらすことになる。各々は各国の代表戦力として……それぞれの力をいかんなく発揮し見せつけて欲しい。よって本戦は…一か月後に開催される!」

 

「ここで今からやんじゃないの?」

 

「これは相応の準備期間と言うヤツじゃ…」

 

「どういうことだ?」

 

じいさんは一息つき、パイプを吸う。爺なんだから体を気遣って辞めればいいものを…

 

「つまりじゃ…各国の大名や忍頭に”予選”の終了を告げるとともに”本戦”への召集をかけるための準備期間…そしてこれは…お前たち受験生のための準備期間でもある」

 

「だから意味わかんねーじゃんよ!どういうことだ?」

 

砂の奴はじいさんの言い回しに気が立ってきたようだ。仕方ない…

 

「ったく…つまりはお前ら下忍は、今まで全く情報もなく戦ってきたハズだが…今回の予選により殆どの奴が種を明かしてしまっただろ。だから…その対策の期間でもあり、また……怪我をした予選通過者のための治療期間にもなる訳だ」

 

「そうじゃ…わしの説明を全部取りよってからに」

 

「あんたは遠回し過ぎてガキには理解できないんだよ」

 

「…ふぅむ……というわけでじゃ…そろそろ解散させてやりたいところなんじゃが…その前に一つ『本戦』のためにやっておかなきゃならん大切なことがある」

 

「なんだってばよ!」

 

「まぁそう焦らず…八幡の持っとる箱の中に紙が入っとるから、それを一人一枚とるのじゃ」

 

「さて…ズルはするなよ」

 

 

一人ずつ回りくじの結果、

 

 

①うずまきナルト

 

②日向ネジ

 

③我愛羅

 

④うちはサスケ

 

⑤カンクロウ

 

⑥油女シノ

 

⑦テマリ

 

⑧ドスキヌタ

 

⑨奈良シカマル

 

となった。

 

「では、それぞれ対策を練るなり休むなり、自由にするがよい。これで解散にするが何か最後に質問はあるか?」

 

「ちょっといいっスか?」

 

シカクさんの息子さんが挙手をする。やはりあの髪は遺伝か。

 

「うむ!」

 

「トーナメントってことは…優勝者は一人だけってことでしょう…つーことは中忍になれるのはたった一人だけってことっスか?」

 

「いや!そうではない…この本戦には審査員としてわしを含め、風影や任務を依頼する諸国の大名や忍頭が見ることになっておる。その審査員たちがトーナメントを通してお前たちに絶対評価をつけ…中忍としての資質が十分あると判断された者は…例え一回戦で負けていようとも…中忍になることができる」

 

「と言うことは……ここにいる全員が中忍になれる場合もあってことか?」

 

「うむ!じゃが逆に…一人も中忍になれん場合もある!……トーナメントで勝ち上がるということは…自分をアピールする回数が増えるという事じゃ。分かったかのぉ……シカマルくん」

 

「つまりシカマルは、最後まで勝ち上がれば四回アピールできるってことね…」

 

「そこだけ見たら有利だな」

 

「では御苦労じゃった!一月後まで解散じゃ!」

 

さて…一か月か。



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ミナトさんが俺の担当上忍なのは間違っている

~八幡side~

 

 

「お兄ちゃん?」

 

一か月の間、じいさんの粋な計らいによって俺たち担当上忍は休息を与えられた。

と言っても、うちの班で勝ち残ったのはシノだけだし、アイツの能力は教えられるものじゃないから、俺は実質休暇となる訳だ。今からウキウキが止まらん!

そう言う訳で、一楽に足を運ぶと、長年苦楽を共にした…訳でもない最愛の妹、小町に会った。

 

「おお、小町か」

 

「お兄ちゃん…バカーっ!」

 

「ぐはぁっ!」

 

何故か渾身の右ストレートを貰った。いやマジで痛い。

 

「何で連絡くれなかったの!結構心配したんだよ!」

 

「いや…忙しかったんだよ」

 

「知ってるよ!」

 

「何でっ!」

 

「ヒナタちゃんから聞いてるよ!」

 

「なら何で聞いたんだよ…」

 

「妹だから!」

 

「まぁまぁ…小町ちゃん落ち着いて…」

 

「おじさんは黙ってて!」

 

テウチのおっさんも小町の剣幕にたじたじだ。流石綱手さんの親戚だ。

 

「まぁ小町、話は後で聞くから…今はラーメンでも食おうぜ」

 

「……奢りだからね。おじさん、もう一杯みそチャーシュー大盛りお願い」

 

「小町ちゃんは遠慮ないねぇ。あいよっ、みそチャーシュー大盛り一丁!」

 

「じゃあ俺も同じので」

 

「あいよっ!」

 

 

 

 

 

 

「…で……何を聞きたいんだ?」

 

一楽から俺のアパートに場所を移した。

 

「…お兄ちゃん、部屋きたな過ぎだよ」

 

「ん?まぁ…ここに帰って来たの久しぶりだしな」

 

小町は六畳の部屋に散らかってる衣服を、まとめて籠にぶち込む。

 

「洗濯機ない?」

 

「部屋の外に共有のが置いてあるぞ」

 

「ほーい」

 

「……もういいか?」

 

「うーん、まだ汚いけど…いいっか。じゃあ……忍者学校(アカデミー)をいつ卒業したの?」

 

「そっからか…うーん、確か……」

 

 

 

 

 

「俺はミナト。今日から君の担当上忍となるわけだけど…まぁ時期外れで一人だけと言うのは仕方ないかな?」

 

「そーっすか。でも俺は一人の方が静かでいいっすよ」

 

忍者学校(アカデミー)を繰り上げ卒業した俺は、金髪のイケメンの部下となった。

 

「ハハ…火影様に聞いたとおり、変わってるね」

 

あのじいさん…後で豪火球食らわせてやる。

 

「今回君は特例で下忍になったわけだけど…恐らくこれから大規模な大戦が始まる。そうなったら八幡くんみたいな生徒も沢山出るだろう。今は一人でも力をもった忍が必要なんだ」

 

「分かってます……でも、ようは里の上層部は俺の()が欲しいわけですよね……千手一族とうちは一族の血を継いだ俺の」

 

分かりきったことだ。物心ついたときには既に写輪眼を開眼していたし、最近は沢山の忍術に加えて木遁も使いこなせるようになった。家の倉にはお爺様の残した高等忍術の巻物もあるし、上層部としては六歳でここまで出来る俺をキープしておきたいんだろう。

 

「あー……まぁ君の出生を考えるとそう思ってしまうだろうけどね…それはどの家も一緒だよ。沢山の名家からそうなってる…勿論本流のうちはも、君の家の比企谷もね」

 

「…そっすか」



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平塚先生が本気を出すのは間違っていない

~八幡side~

 

 

下忍になってすぐに、中忍試験を受けた。

結果なんて分かりきってるが、勿論合格。それも、他の年上の受験者ととんでもなく差をつけて。

 

「流石だね、八幡くん…まさか六歳で中忍なんて前代未聞だよ」

 

「…あざっす」

 

「火影様も次の火影は君かもと仰ってたし、俺もすぐに追い越されちゃうかな?」

 

「流石に無理っすね。現在展開中の第二次忍界大戦、そしてその先にあるであろう第三次忍界大戦。そこでは多少強くても関係なく死ぬ。俺も、ミナト先生も」

 

火影を目指してないとは言わないけど、現時点で俺よりも強い人なら、恐らく他里に沢山いる。このままじゃ配置にもよるが、確実に死ぬだろうな。

 

「大丈夫。俺の生徒は俺が守るよ」

 

「そっすか…」

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん…優秀だったんだね」

 

「バカ、うち(比企谷)は皆優秀だ。勿論小町もな」

 

「…でもお兄ちゃん、ずっと専業主夫になりたいって言ってたよね?あれ、小町的にはポイント低かったけど」

 

「そのポイントはいつ使えるんだよ……まぁ今でも諦めた訳じゃないぞ。お兄ちゃんは今でも目指してる」

 

「………まぁいいや。それより続き続き!」

 

「あ、ああ…じゃあ次は雪ノ下や由比ヶ浜と出会った話しな」

 

 

 

 

「さて…まぁ知ってると思うが、私は平塚静だ。君たちも一応自己紹介したまえ」

 

階段に腰掛ける俺たち三人と、柵に寄っ掛かる平塚先生。この人も変わってないなー。

 

「はーいっ!アタシ、由比ヶ浜由依でーっす!」

 

「私は雪ノ下雪乃よ」

 

「…比企谷八幡」

 

紹介する気のない自己紹介だが、正直興味もない。

 

「明日、簡単に組手をやるつもりだから、演習場に来たまえ。以上」

 

 

次の日

 

 

「…あの、やる必要あるんすか?」

 

既に雪ノ下と由比ヶ浜の組手はおわり、最後に俺の番となったが…

 

「君の噂は色々と聞いている。だから戦ってみたかったのだ」

 

駄目だこの人、バトルマニアだよ。

 

「…ったく……漸く大戦が終わったってのに」

 

「…では行くぞ!」

 

ドンっ!!と鳴って瞬きをした瞬間、目の前に拳があった。あ、死んだかも。

 

「うおっ!」

 

イナバウアの要領で避け、瞬心の術で遠くに避難する。単純だが強い、雷遁の肉体活性を利用した一撃技か。ってかさっきの二人には使ってなかったろ」

 

「当たり前だろう。下忍になりたての子に使ったら死んでしまう。その点、君なら十分使うに値するわけだ」

 

「そりゃどうも。じゃあこっちも遠慮なくいくんで」

 

あの速度だとギリギリ見切れないから、こっちも本気だ。

 

「ほう…写輪眼か」

 

「ええ…じゃあ一気に行きますよ」

 

「ふっ…来たまえ」

 

チャクラを練って高速で印を結ぶ。簡単だが強い、うちはの好む火遁忍術の一つ、

 

「火遁、豪火球!」



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八幡がラーメンをただで食べるのは間違っている

~八幡side~

 

 

「火遁、豪火球!」

 

俺の口から放たれた特大の火の玉は、平塚先生を飲み込む。

 

「遅いぞ」

 

まぁ雷遁の肉体活性を使ってる平塚先生に、豪火球程度の速度が当たるはずもなく、後ろに回り込まれる始末。ただ…

 

「迂闊ですよ」

 

「なにっ?」

 

既に拳を振りきろうとしてる先生に、地面から木が絡まる。

 

「くっ…逃げられん、何と言う力だ」

 

「平塚先生……写輪眼を嘗めすぎですね。先生程度なら簡単に見切れます。だから足元に忍術をかけるのは簡単だった」

 

「…完敗だ。流石、比企谷だな」

 

忍術を解き、写輪眼を解除する。

 

「貴方…今のはもしかして木遁?」

 

「雪ノ下、君は木遁を知っているのかね?」

 

「ええ…知識では」

 

「??…ゆきのん、木遁って?」

 

「木遁とはね…ってゆきのんてなにかしら?」

 

 

 

 

「ほえー、あの平塚先生に勝つなんて…流石お兄ちゃん!」

 

「まぁ油断してたんだろ。ただ、俺は色々と引き出しを残してたが、先生は体術特化らしいから相性が良かったっちゃあ良かったな。で、まだ聞くか?」

 

「ううん…明日も忍者学校(アカデミー)があるから、今日はもういいよ。また今度聞かせてね?」

 

ええー、自分の話って結構恥ずかしいんだけどなー。

 

「……まぁ、気が乗ったならな」

 

 

 

さて、昨日は遅くまで小町と話していて休暇を満喫できなかったな。うーん…別に行きたいところもないしなー。

 

結局一楽に来てしまった…

 

「おっ…八幡じゃねえか!昨日は大変だったなぁ」

 

「テウチさん…ん?新しいバイトでも雇ったのか?」

 

席に着くと、テウチさん以外に若い女性が一楽の制服を来ているのが見える。

 

「うん?いやーあれは俺の娘でアヤメってんだ。ほれ、前に話しただろ?」

 

「…あ、そういえば言ってたなー。全く忘れてた」

 

「初めまして!私はアヤメです!…お父さん、この人が八幡さん?」

 

「おお、週に五回は来る常連だ。八幡、これからはアヤメも店の手伝いをしてるからよろしくな!」

 

「よろしくーっ!……お父さんお父さん、八幡さんって聞いてたよりも全然若いんだね」

 

ふむ、二十歳くらいの女の子に若いと言われるとは…髭でも生やしてみるか。

 

「八幡が若い~?ッはっはっは!コイツぁ俺と五つも年は変わんねぇぞ!」

 

「笑いすぎだぞテウチさん…」

 

「えぇーっ!?私と見た目変わらないでしょっ!」

 

 

 

 

「わりぃわりぃ…ほれ、アヤメも謝れ」

 

「ごめんなさーい」

 

「……もういいか?取り敢えずみそチャーシュー大盛り頼む」

 

「あいよっ!騒がせたお詫びに無料(タダ)にしてやるよ!」



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