Armored Core ~Day after Day Sweet Lily~ (一織)
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Dark Ravens Vestige
昔話をしてあげる。世界がまだ破滅に向かっていた頃の話よ。神様は人間を救いたいと思っていた。だから、手を差し伸べた 。
でもその度に、人間の中から邪魔者が現れた
神様の作る秩序を、壊してしまうもの
神様は困惑した人間は救われることを望んでいないのかって
でも、神様は 人間を救ってあげたかった。
だから
先に邪魔者を見つけ出して、殺す事にした
そいつは「黒い鳥」って呼ばれたらしいわ、何もかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥
――――――――――
『おはようございます。メインシステム通常モードを起動しました。あなたの帰還を歓迎します。』
「………んぁ…おはよう、〝
そう言い、1人の少女…〝
当然システムボイスなので返答など必要ないのだが、
澪は返すようにしていた。
自分の命を預ける相棒に挨拶されたら返さない人間は居ないだろう。
澪はそのようにACを考えていた。
「おはよう、ミオ今日もライズに挨拶してたの?」
「おはようございます、マグノリアさん。」
澪は礼儀正しく同じ同僚のマグノリア・カーチスに挨拶をする。 半ば呆れた目でマグノリアと呼ばれた女性は
「マギーでいいって、これで20回目よ?」
と返答しながら澪に近づく
「それで、ファットマンさんは?」
澪は恐らく〝仕事〟の依頼だろうと思いそう切り出す
「今その交渉してる所」
「そうですか、今日はライズちゃん調子良いみたいなのでキツめでも大丈夫かもです。」
澪が笑顔で返すとマグノリアは少し複雑な表情を浮かべた後にそれは頼もしいわね。と返した。
マグノリアは自分よりも一回り年下の少女がACを操縦して戦場に立っているというのに自分はもう戦えない。そんな現実がマグノリアの胸を痛めつける。
「おう、今回の仕事が決まったぞ。」
そう軽い口調で言ってくるのは先程話題に上がったファットマンだ
「あ、ファットマンさん。どんな依頼ですか?敵対勢力の殲滅?」
無邪気な子供の様な笑顔で恐ろしい事を言う澪
「いや、そんな物騒なもんじゃないと否定はしきれない。今回は敵領域から脱出を図る味方ヘリの援護だ。」
「そっかー…まあ、でも向かってくる敵は全部壊していいんだよね?」
「そうだな、今回も楽に終わるといいな!」
「じゃあ、行こっか。」
――――――――――
「貴様らこのまま何もなければ大儲けだな。」
などと軽口を叩く味方ヘリの奴だが、そんなことは起こらないのがこの職業だ
「……(アイツムカつくなぁ…金だけぶんどって殺してやろうかしら?でも私達の評判は下げたくないし仕方ないから迫ってくるのだけ撃ち落とすか)」
澪は心の中でそんな事を思いながらACの武装であるAM/RFA130でヘリに近づくHELLKITE とか言うのを撃ち落としていく。正直に言って面倒だ、そう思い、左腕武装のAu-E-B04も使っていく。
(今回はハンガーのAM/LBA-160とAu-Q-D57はおやすみかな?)
澪の戦闘スタイルは言葉で表すなら狂戦士だ、初めて傭兵として任務の敵部隊の殲滅の依頼では銃器を一切持たずにD/ULB-13を2本つまりはレーザーブレード二刀流というアセンブルで敵対勢力を殲滅したのだ。
それ以降も彼女はレーザーブレード二刀流というアセンブルを続けていたが、ある日の任務でどうしても銃を使わざるを得ないという任務が回ってきたため、仕方なしに銃を練習し始めた程だ。
「ねえマグノリアさん、退屈なんですけどー。」
澪はマギーに通信を入れて愚痴るレベルだ。それほどまでに銃を使うと敵を呆気なく撃墜できるのだ
「油断は禁物よ、何があるかはわからないから」
「はーい…あと、帰ったらマグノリアさんの事ハグさせてねー」
戦場に居るとは思えないふわっとした会話だが、澪は着実に敵勢力を削っていく。
そして撃墜数が20を超えたあたりで、思わぬ敵が訪れた
「お前で28人目…恐れるな死ぬ時間が来ただけだ」
「死神部隊!?ヘリ何をやっている!!早く離陸を!!」
「すまないがトラブルで出力が上がらない、敵ACを撃破してくれ。」
「クソッ!やっぱりか!!」
「ふふっ…遠慮なく壊すよ!」
そうつぶやくと同時にブーストを吹かせながら澪は武装をレーザーブレード2本へと持ち帰る。
「死ぬ時間…ねえ…残念だけど、貴方が死ぬ時間だよぉ!」
そう言うと澪は、ブーストからさらに速度を早めハイブーストにし、一瞬で敵ACの前に立つと同時に両手のレーザーブレードを振り抜いた。
が、それでは仕留めきれない。
そう判断したのか、一気にハイブーストで加速し一旦距離をとりながら右腕だけレーザーブレードをハンガーユニットに戻して、ライフルを装備し発砲しながら敵ACにハイブーストで近づいていき、再び左腕のレーザーブレードを振り抜き、完全に敵ACを爆散させる。
「これで最後ですね。」
「え……ええ、報酬を受け取って帰還しましょう…」
わずかな時間で行われた一方的な蹂躙
まるでそれは
何もかもを焼き尽くす
黒い鳥の様に思えた
ロボット系の戦闘描写むっず!しかも文字数多い!
とりあえず後書きで主人公ちゃんのACのアセンと設定書きます
AC名『Rise』
Head/HA-111
Core/MATSUKAZE mdl.1
Arm/AA-207L
Leg/Le2H-J-E13(改造)
Booster/Bo-C-H11
FCS/FA-108
RECON/D/STK-16
Shoulder Unit/MURATORI mdl.1
Right Arm Unit/AM/RFA-130
Left Arm Unit/Au-E-B04
Right Hanger Unit/AM/LBA-160
Left Hanger Unit/Au-Q-D57
少し前まではレーザーブレード2本+ブレード内蔵武器腕で軽量二脚というキチガイ機体だったが流石に見てて怖いとマグノリアに言われこのアセンブルになった。ぶっちゃけるとこれが一番かっこよかったからこのアセンブルにした。
搭乗者 水無瀬 澪
性別 女
年齢 15
容姿 肌は白く銀髪のボブで眼は赤(ただしアルビノではない)
美少女を絵に書いたような容姿だが、物心つく頃には既にACを乗り回して傭兵をやっていたので、世間一般的な趣味と呼べるものが無く、戦いが趣味と自称している。
好きな物はレーザーブレードとマグノリア
嫌いな物は退屈
別に男が嫌いとか、男にトラウマがある訳では無いが、女の人の方が可愛いから好きらしい。
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Sweet Lily Time
「あぁ〜疲れたよぉ〜」
彼女は本当に疲れていたのだろう…自分のACから降りてすぐにソファにぐったりと倒れ込む。
ACの戦いは精神的にも肉体的にも疲弊するのだ…
敵を撃墜するのだって楽ではない。適当に撃って当たったりもするが、相手の攻撃を避けつつ、相手を狙って撃つなどといった行為は特に精神を使う。
では肉体的には?当然の如く慣性の法則によって急加速急停止をしたりすれば、コックピット内のどこかには体をぶつけたりして痛いし、被弾したりすればその衝撃は少なからずコックピットに加わる。
そういった意味ではACに搭乗する人は肉体的にも精神的にも強くなければと彼女…澪は思う
「お疲れ様、ミオ今日の依頼大変だったわね…」
「うん…いきなりやばそうな敵ACだったからすごい疲れちゃったぁ…」
「ミオは…強いね」
「どうして?私、マグノリアさん達の支援無いと何もでき無いんだよ?」
「そういう難しい事じゃなくて…技術の話よ」
そうマグノリアが言うと、澪は真剣な顔付きで、自分の過去の事を少し語る
「うーん……私ね、気がついたらACに乗って、撃てって言われた相手を撃ってたんです。それしか知らなかったんです。」
「その時私は怖かったんです。『なんで私を殺そうとするの?私は人から言われたとおりにしてるだけなのに』って」
「それで、私はただ死んじゃうのが嫌で相手を殺してたんです。」
「ミオ…貴女は……」
「でも、いまは少し違うんです。」
「今は、大好きなマグノリアさんを守る為って言うのがありますから!!」
そう言うと澪はマグノリアに抱きつく
「わっ……急に抱きついて来てどうしたの…?」
「???言ってたじゃ無いですか、依頼終わったらハグさせてくれるって」
「そういえば…そうだったわね…」
「えへへ…マグノリアさん…愛してますよ…」
「私も澪のこと好きよ…」
「嬉しいです…私マグノリアさんにお願いしたい事ってまだあったんですよね…」
「何かしら?」
「キス……しましょう?」
マグノリアは混乱した。
この娘は自分の性別が女の子だとわかっていないのかって、
でもマグノリアはミオに憧憬にも似た思いを抱いていた。
だから―――――――
2人は唇を重ねた。
「んぅ……」
「んちゅ……ん……ぷはぁ♡」
「えへへ♡マグノリアさんとキスしちゃった♡」
「ミオ……激しい……のね…///」
こうしてこの2人は〝特別な関係〟になった
―――――――――
「あぁ……ミオ…」
マグノリアは何故か彼女の名を呟いてしまった。
今まで、恋愛をした事が無かったマグノリアにとって衝撃的な出来事だったのだ。
自分より年下の少女と〝特別な関係〟になると言うことは
「呼びました?マグノリアさん♡」
「きゃっ…!」
自分が思っていた相手が突然現れ驚いて生娘の様な声をあげるマグノリア
「びっくりさせちゃいましたか……?」
「いえ、大丈夫よ、ちょっと貴女の事考えてたの…声に出ちゃってたのね」
「嬉しいなぁ…マグノリアさんが私の事考えてくれるなんて!」
目を輝かせて年相応の少女の様にはしゃぐ彼女
「あの……今夜…一緒に寝ても良いですか?マグノリアさん」
「えぇ、良いわよ」
そんな無邪気な彼女の笑顔にマグノリアの複雑だった気持ちは少し楽になるのだった。
コジ饅頭様、評価&コメントありがとうございます!
これからも頑張って書いてきます…失踪…は財団にナニカサレ無い限りしません…不定期更新ですが…
この小説を閲覧して頂いている皆様に感謝を
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Laser Blade Dance
「今回の任務は領域内の敵対勢力の殲滅だ」
「わかりました、じゃあ壊して来ます。」
「かなりの数だ、ちと不味いかもな…」
「大丈夫よ…ミオならできる。」
ファットマンの少し不安気な言葉と反対にマグノリアは澪を信頼…いや、激励にも似た言葉を掛ける
「マグノリアさん、見ててください!ぱぱっと片付けて来ますから!」
どうやら澪はマグノリアに激励されて殺る気充分の様だ
いつものアセンブル+気分で連れてきたUNACが敵を蹂躙するのだろう
だが前回から変わったのが右腕武装がAu-L-K29になり、左腕武装がISONOKAMI mdl.1に変わっている
最近レーザーライフルにカッコイイのが合った!と言って目を輝かせて買って積んでいた
(まあ、試し撃ちには丁度いいかも)
そんなことを思いながらレーザーライフルのエネルギーをチャージしながら、敵に照準を定める。幸い向こうの射程内ではない様だ。
フルチャージしたレーザーライフルを発砲すると同時にハイブーストで接近しながら左腕の武装をレーザーブレードに変え、GOLEMをすれ違いざまに切り裂く
(まだ遅いかな…最初から左腕レーザーブレードに変えてた方が良かったかな…)
一瞬思考するが、即座に切り替え、壁を蹴り建物の上に上昇しながら左腕と右腕の武装を同時に切り替えて左腕にライフルを右腕にレーザーブレードを装備する
こちらに気づいたであろうビルの上のWETAが狙撃体勢に入るが遅い。ハイブーストで接近するとWETAは狙撃体勢をやめようとレールキャノンを折りたたむが
「遅いんだよねぇ」
右腕に装備したレーザーブレードで切り裂く
こうしている間にもUNACがWETAを破壊していく
(なら…あのミサイル撃ってくるセントリーが邪魔だ…)
澪は建物の上に設置されているセントリーがUNACにチクチクとミサイルを撃っているのを見てそう判断し、
左腕のライフルで破壊していく
「残り敵勢力およそ半数!」
「わかりました。ファットマンさん。」
ここで残りの敵が約半分だと分かったのはありがたいが
ここで聞き捨てならない通信が入る
「クソッ!ACだ!」
「うわぁ…」
(どこだ…どこから仕掛けてくる…?)
澪は一瞬思考する。一般的なアセンブルなら狙撃型は重量逆関節型とかいう線もある。そうなると確実にどうにか地面に引き摺り落とす必要がある。
別に撃ち合っても良いのだが確実にこちらが不利だ
ならば一つの選択として
敢えて今ACに向かわずに無視する
という選択をする。
するとUNACから通信が入る
『敵AC確認重量逆関節』
澪は心の中でやはりと思い、UNACを囮にして雑魚の撃破に向かう。
半数と言われただけあって、5分掛からずに始末できた、
幸いUNACはまだ生きてるらしい。囮してくれてる間に一気に接近してブレードをありったけ叩き込んでやろう
「よし…」
澪はハイブーストで一気に接近して行く。
「死に晒せぇええええええええ!」
ブースト中に武装は両腕レーザーブレードにしておいた。
両腕レーザーブレードが全段ヒットするという圧倒的な力がACに襲いかかり、ACは沈む
ついでにUNACも沈めた気がしたがそこはご愛嬌だ
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Call Me Maggie
「ん…マグノリアさん…綺麗ですよ…」
「はぁ……///はぁ…っ//」
ベッドの上で女が2人抱き合っている。片方は銀髪赤眼のまだ年端も行かぬ少女と、肩で息をするマグノリアと呼ばれた紺髪碧眼の女性
2人が並んでいたら確実にマグノリアと呼ばれた女性が上位に思えるが、銀髪赤眼の少女が上位だ
「あぁ……その捨てられた仔犬みたいに私を見つめてくるの…好きですよ…♡」
「お願い……私の事……マギーって…読んで…欲しいの…」
「うふふ…可愛い♡良いですよ、マギーちゃん♡」
「ミオ……もっと…して…欲しいの……」
「マギーちゃんってば欲しがり屋さんなんですね♡でも、そんなとこも好き♡」
――――――――
「はぁー……」
「どうしたんですか?マギーちゃん?」
「いつもの時は普通に呼んで……」
「えー…でもマギーちゃんって可愛い感じで好きなんですよねー…でもマグノリアさんでも良いか…」
マグノリアはベッド上で乱れた時の記憶が残ってしまい大変なタイプなので複雑な気分になるのを防ぐため、呼び方は変えて欲しい様だ。
「でもマグノリアさんってすごく可愛い声出すんですね」
「ちょっ!?」
―――――――
ある日の事
「おーれーはファットマン。戦場の運び屋、いーつでも運び屋ー」
「ファットマンそのざけた歌をやめて頂戴、仕事する気あるの?」
「ハハハ、つい暇なんでな」
「歌かぁ…」
「ミオは歌に興味は?」
「結構あってたまに歌うよ」
「だってさ、マギー」
「I'm thinker I could break it down♪ I'm a shooter drastic baby♪」
「ってね、」
少女の澄みわたる声が響く
(なんて…綺麗で………力強い歌なんだろう)
そんなある日の輸送中
――――――
またまた別の日
「これなんですか?」
「あぁ…これ?ブレードよ」
「レーザーブレードじゃなくて?」
「そ、金属性の刃が着いた剣よ、まあ、貴方には必要ない装備だと思うけど…」
「………これ二つ下さい!攻撃力に極振りで!」
澪ちゃんブレードに目覚めるの巻
「カッコイイなぁ…MURAKUMOって名前もいい感じだし…ちょっと訓練機相手にしてきますね!」
「ちょ、ちょっと!ミオ!?」
~数分後~
「たーのしー!」
「すごーい!」
「大丈夫!ACによって得意なことは違うから!」
哀れ、訓練機は無慈悲にもMURAKUMO二刀流の少女に切り刻まれていた。
それにしても、ACの装甲を貫く金属って一体……
「あの娘はなんで銃よりもブレードなのかしらね…」
「言ってやるな、マギー、でもよ、あのレーザーライフルはずっとつけたまんまだがなんでだ?」
「……あの娘ったら…」
彼女はMURAKUMO二刀流でハンガーユニットにはAu-L-K29とAu-Q-D57という武装だ。
そんな彼女がAu-L-K29を外さないのは…
マグノリアの昔乗っていた機体にも積んでいたと言われたから…
百合のKENZENな描写って難しい…そう考えると桜Trickってすごくね?
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Fucki'n bitch
「今回はACの撃破よ、手強い相手らしいわ」
「わかりました。全力で行きますね」
『どうせ不細工なおっさんなんでしょ?』
「へえーそういう貴方は随分見た目に自信があるんですね、リリスのパイロットさん」
『女……!?しかも私よりも年下!?』
「……余所見してて良いんですか?」
澪は一気にハイブーストで接近し両腕に装備したMURAKUMOを同時に振るう
『がぁああああああ!?』
「本気出さないと……殺しちゃいますよ…?」
『くそっ!!』
「遅いです」
リリスがパルスガンを撃ってくるが余裕で躱し、すれ違いざまにもう一度MURAKUMOで斬りつける
『ば……バケモノ…』
「いえ、ただのAC乗りです」
澪は冷静に告げ、MURAKUMOでリリスのコクピットを切り裂く
コクピットの周りに鮮血が飛び散り、リリスのパイロットは胴体を二分され絶命した
「任務完了です。残念です……こんなにあっさり死んじゃうなんて」
『……帰還しましょうミオ』
「はぁい♡」
――――――――
マグノリアはあの時のミオの様子を思い出していた…
無慈悲に女性だと知ってもコクピットを切り裂き、パイロットを二分して絶命させて見せた。AC同士での戦闘では普通は血を見ることは少ない。
それを見てマグノリアは吐きそうになった。いくらAC乗りで死が身近にあったとはいえ、AC用の武装で切り裂かれた人間はあまりにもひどいものだった。正直二分割でもいいほうだろう、下手をすれば肉塊になるレベルだ
そんな光景を見ても平然と「残念だ」と冷徹に言い放つ彼女が今、自分の膝の上ですやすやと寝息を立てて可愛らしく寝ているのだ…そんな彼女が平然と人を殺すなど考えられなかった
いや、考えたくなかった……普段の可愛らしく、ほんわかとした少女があんなに冷酷に人を殺めるなんて思いたくなかった…
「マギー、っと……嬢ちゃんが寝んねしてたのか」
「ファットマン……私は…この子が好き……でも……時々この子が怖い……」
「マギー……俺はそう言われた時にどう答えていいかわからない。だがな、その嬢ちゃんがお前さんのことを好きなのも確かだ。なら……マギーにだけは本心を向けてるんじゃないのか?」
「ファットマン……貴方は優しいのね…」
「優しさ………か」
――――――
「マギーさん!これ美味しいですよ!こんなにおいしい食べ物初めて食べました!」
「え?あぁ…レーション?それ美味しい?」
「はい!この食べ物すっごく美味しいです!れいしょん?って言うんですね、おいしいです!」
「そう……そうね…美味しいわよね」
耐えられなかった……あのレーションを美味しいと言って笑顔で食べる彼女が……彼女の過去は正直言って言葉にするのすら憚られるものだった…
ろくな食事を食べたことがなく、飲み水も飲んだことなどなく…初めて彼女がスピリッツを口にした時など、「こんなに美味しい飲み物あるんですね!」と目を輝かせて言ってきたのだ…
年端も行かぬ彼女がそんな酷い思いをしてきたと考えるだけで自分がどれほど恵まれていたかが分かった。少し前まで、左腕を失いACに乗れない事を嘆いていた自分を殺してやりたいほどに自分を憎んだ
正直に言ってミオの闇は深すぎる…もし私が彼女と同じ目にあったのなら確実に精神がおかしくなって廃人になることだろう
――――――
「……ねえ、ミオって昔の事……覚えてる?」
「はい?あー…昔の事ですか?私は……捨てられたんですよ、世界に」
「え」
「親には女だからと捨てられて、どうにか生きていこうにも働けるわけでもない。と社会に捨てられて、その間は何を食べて何を飲んでたのかもわからなかったかなぁ…?その頃は私は知識が無かったので、後、男の人に酷いことされそうになったり…されたかなぁ…?その辺詳しくは覚えてないですけど、気がついたら周りが真っ赤になってて男の人は居なくなってましたけど」
「多分私が殺しちゃったんだと思いますけどねぇ…どうやったんでしょうか?」
「まあ、そんな昔の事なんてどうでも良くって、今マギーさん達と一緒に居るだけで幸せなんですよー」
「………そう…ごめんなさい…昔のことなんて聞いて」
「いえいえ、全部終わったことなので」
そう言って微笑む彼女は…儚く……とてももろく見えた
今回は重い感じ…になったと思うんですけど……どうなんでしょう?
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Good bye………this is was Good……
澪の搭乗AC
機体名 Roselia
Head HF-227 ハワード・コールマン
Core C03malicious
Arm AD-228
Leg L03 FreQuency
FCS FA-216
Generator MAKIBASHIRA mdl.3
Booster Bo-c-L13
Recon unit ASATORI mdl.3
Right arm unit Au-L-K29
Left arm unit Au-V-G37
CIWS SL/CWA-243
Right hanger unit MURAKUMO mdl.1
Left hanger unit Au-R-F19
とあるミッションにてriseが多大なダメージを負い、パーツが殆ど使用不可能になった後、澪とマグノリアが二人で組み上げた機体
エンブレムは青い薔薇のエンブレム
名前の由来は薔薇色のロゼにマグノリアのリアをくっつけてロゼリア
「ファットマン……ミオ…私行くわ……」
あぁ……やっぱりマグノリアさんは…まだ引きずっていたんだ……戦えない事を…
「そうか……寂しくなるな…」
「止めても……きっと無駄なんでしょうね…マグノリアさん。」
「ミオ……」
「マグノリアさん…殉じてください。貴女の答えに」
「ありがとう…」
『帰還を歓迎するよ。伝説の女傭兵。狙いはあの死神かい?それともひょっとして僕かな?なんでも構わないよ、滅茶苦茶にしてくれれば。』
―――――――
私はマグノリアさんが居なくなった隙間を埋める様にACを殺る仕事をひたすらにこなして行った。
時にはレーザーブレードだけでなく、レーザーライフルやヒートパイル ヒートマシンガン、バトルライフルにライフルまで使うようになった
そんなある日に1組のAC乗りにであった
「あの傭兵、只者ではない こちらが2人とは言え、侮るな」
「了解、ターゲット捕捉 確実に潰す」
あぁ……マグノリアさんはきっとこういう風に一緒に戦いたいと望んだのだろうか…?それとも私とどちらが強いかを知りたかった?それは今となっては分からない…でも……
私は迷わずACの手にしたバトルライフルとライフルを投げ捨て、背中からヒートパイルを装備する。
「なんだ!!?あの動きは!!?」
相手が動揺するのも脇目にふらず、正確にそして最速で近づき
「さよなら」
グシャリとACのコア部分をひしゃげながらヒートパイルが貫く
これであとはタンク型だけ
「すぐに後を追わせてあげるから」
ハイブーストし後ろに下がり、1度距離をとる
そしてタンク型の死角に回り込み両手のヒートパイルを“零距離で”打ち込む
両手のヒートパイルが無惨にもコア部分に2つ大穴を開け、ACは動かなくなる。
「…帰りましょう、ファットマンさん」
「………ミオ…お前はそれで良いのか…」
「……今の私には戦いしかない。戦いはいい。私にはそれが必要なんです。」
戦い続け、多くのAC乗りを殺してきた。もう五十から先は面倒で数えていない
そんなある日に私たちからマグノリアさんを奪った財団の新兵器の撃破の依頼が入った。どうやって財団の新兵器を潰してやろうかそれしか考えて居なかった
「…静かだな、予定ではまもなく財団の兵器が現れる筈だ」
『その予定はキャンセルだ。傭兵。』
『見せて見ろ。お前の持つ力』
死神部隊……!!待ちに待った。どうやって壊してやろうかをずっと考えていた。ヒートパイルを2門構えていてよかった。
相手はスナイパーキャノンそうなれば接近すればパージしなければならない。その隙をミオが見逃す筈もなく
『Kまでもか…流石は素養の持ち主だ。俺は手段を選ぶ気はない。これが使命だからな』
無線にファットマンさんの『UNAC!!連れまでいやがるのかよ!!』と言う声が入るが関係ない。先にあのタンク型の死神をヒートパイルで潰す。
UNACはヒートマシンガンで充分処理できる
「死神に死を教えてやるよ…」
自分が言ったのかすら定かで無いほど低く、ドスの効いた声で呟く。
その次の瞬間には眼前にスクラップと化したタンク型の死神
残るはぶっ壊れた人形どもだけ
余裕だ
だが、その次の無線に私は戦慄する
『ACが1機高速で接近!どうやら逃がしてはくれなさそうだ』
『そうよ。ファットマン。私は戻ってきたのよ』
『……マギー…お前なのか』
「…マグノリアさん」
『ミオ…貴女の力はいずれ世界を破滅させうる…だから…貴女を殺すことにした。』
「………好きなように生きて好きなように死ぬ…誰の為でもなく、それが私たちです。だから…私はまだ死ねません。貴女を取り戻すまで」
流石にマグノリアさんは強い…!私の戦いを知っているせいで私の動きが読まれている…!!おかげでブレードが完全に飾りになってる…なら…っ!
左手に持つヒートマシンガンはそのままに右手のムラクモを投げ捨て機体を軽くし、高機動で飛び回りながらヒートマシンガンを叩き込む
『少しは勘が取り戻せたか?マグノリア・カーチス』
『私もまだベストではない。この場は後退する』
『マギー……何がお前を駆り立てるんだ…』
『さっきも言った通りよ、そこのAC……それだけは消さなくちゃいけない。』
『彼女は敗北した。それでもなお生き残った。全てを捨て、何もかもを焼き尽くしてなおも戦い辞めぬ執念そのどちらが本物なのか私は知りたい……そして、その本物を私が殺す。私は死神だから』
『イカレてるよ…お前』
『それの何が悪い?ンッフフ…』
――――――――
『今度は途中で辞めたりしない。最後までよ。』
『昔話をしてあげる。世界が破滅に向かっていた頃の話よ。
神様は人間を救いたいと思っていた
だから、手を差し伸べた
でもその度に、人間の中から邪魔者が現れた
神様の作る秩序を、壊してしまうもの
神様は困惑した
人間は救われることを望んでいないのかって』
『あれこれ指図されたくない。それだけだろ』
『そうかもね…でも、神様は
人間を救ってあげたかった。だから
先に邪魔者を見つけ出して、殺す事にした
そいつは「黒い鳥」って呼ばれたらしいわ
何もかもを黒く焼き尽くす、死を告げる鳥』
『お前はそれになりたいって言うのか…?』
『本当はそうなのかもね……でも私は…もう負けたくないだけ、何にも、誰にも…』
『………始めましょう。殺すわ、貴女を』
「私も…貴女を殺します。マギー…」
その戦いは激戦と呼べるものだった
ヒートマシンガンの撃ち合いからのレーザーライフルの撃ち合い、先にレーザーライフルの弾が尽きたのは私だった。弾が無くなり使い物にならなくなったAu-L-K29を投げ捨て背中から三点バーストのバトルライフルを取り出しワントリガー
それで左腕を吹き飛ばす。
『もういいだろマギー…これでお終いだ…』
が
『まだよ…私はまだ戦える!』
『ここが!この戦場が!!私の魂の場所よ!!!』
あぁ…マグノリアさん貴女はそういう人でしたね。
私は左手のヒートマシンガンをヒートパイルに変え、正面から来たマグノリアさんのACを優しく抱くように…
彼女を貫いた
『俺は、最初から知ってたよ お前の中にいる、恐ろしいものを 知ってたんだよ、マギー』
『……だから、お前を救ってやりたかった。だがそれは、俺の思い上がりだった。』
『好きなように生きて、好きなように死ぬ 誰のためでもなく それが、俺らのやり方だったな』
「マグノリアさん、最期に貴女にお礼をしたかった。出会えてよかったです。マグノリアさん…例え別れがこんな形でも……私は…きっと貴女のことを…」
『ありがとう…ファットマン…ミオ、二人は優しいのね……』
『私は選ばれなかった、でも』
『さよなら、これで……よかったのよ……』
―――――――
タイトルは「さよなら、これでよかったのよ」の直訳の英語です次回は最終回
『Mechanized Memories』
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Mechanized Memories
『J、調子はどうかな?』
『良好だ。』
『UNACの戦闘経験を統合し作り上げたオペレーション、そして幾多の戦場を渡り歩いた君の頭脳、そしてこの機体。これが負けるとは思えないけどね』
『貴様が欲するのは果てなき戦いの世界、そして破滅。その意味では我々の思惑は一致している。』
『三大勢力によって作られる秩序など私の生きる世界ではない。』
『それを破壊する為に人を辞めたと?』
『好きなように生き、理不尽に死ぬ。それが私だ肉体の有無ではない。』
『戦いは良い。私にはそれが必要なんだ』
『来やがったなイカレ野郎』
『なんと呼んでも構わないけど、僕からすればイカれてるのは全部だ。人間の』
『例外なんて存在しないんだよ』
「その……機体は……!!?」
何故私はあの機体を知っている!?何故!?私はアレを見たことは無いはずなのに…何故知っているんだ!?
『おい!来るぞ!』
「……ッ!!」
意識を戻し、CIWSを起動、迫り来るミサイルを躱しながら迎撃していく
両手にライフルを持ち連射してくるのはどうにかして気合いで避けているが正直辛い。CIWSの残弾数は残り100を切った。
その時、あの機体が急激に前進してくる。
嫌な予感がし、咄嗟にブースターを極限まで吹かせ、できる限り機体から遠ざかる
次の瞬間、先ほどまで私の期待がいた場所が大爆発を起こす。あのままだったら確実に吹き飛んでいた
だがその攻撃には硬直する隙ができるらしい。その瞬間を狙ってヒートパイルをできる限り叩き込めばいけるかも知れない。
ならもう一度あの攻撃をしてくるまで耐えなければ…
右手のレーザーライフルをチャージしながら、左手のヒートマシンガンを撃つ。だがヒートマシンガンは完璧に弾かれてしまっている。
これはまずいかも知れない…でもやるしかない
そして再びあの攻撃が来る。限界までひきつけ、一瞬でブーストし爆破から距離を取る
(…今ッ!!)
硬直を狙い、急速接近し、ヒートパイルをぶち込む
『馬鹿な……こんなことが…』
『……とでも、言うと思ったかい?この程度想定の範囲内だよ!ハハハッ!ハァハ!!』
『ジェネレーター出力再上昇…オペレーションパターン2』
『かつて、世界を破滅させた力この機体がその一つ』
『もういい。言葉など既に意味を成さない。』
『見せてみろ貴様の持つ力』
「再起動…ッ!!?」
『機体がダメージを受けています。回避して下さい。』
なんで!?どうしてダメージを!?
アイツから広範囲に放出されてる緑色の粒子のせいか!!
「くぅ……!!」
そうと決まればこっちの装甲がイカれる前に削りきるしかない…でもアイツがうまい具合に避けるせいでヒートパイルの範囲外だ
「……」
(残ってる武装はヒートマシンガンが残弾数3割、レーザーライフル5発、ヒートパイルが1発、ムラクモだ)
どうすれば…
ヒートマシンガンは弾かれてしまっているし、ヒートパイル、ムラクモは当てられる距離に詰められない…
まさに手詰まりだ……もう…良いよね………マギーちゃん…私も………そっちに……
『まだよ……まだ貴女は戦える……其処が!その戦場が!!!貴女の魂の場所よ!!!!!』
『これで彼女で53人目…これで可能性は無くな』
「誰が死んだって……?」
『馬鹿な……確実に起動はできないはず…!』
「私は負けない……!
瞬間にありえないほどの加速であの機体へ肉薄する。
そして
零距離でヒートパイルを叩き込み、穴が空いた場所にレーザーライフルをねじ込み、銃身が溶けるのも構わず最大出力を叩きこむ。
「これで……最後ぉおおおお!!」
レーザーライフルもヒートパイルもヒートマシンガンも撃ち尽くして投げ捨てた。
残っているのは私の誇り、私の魂、私の全て
ムラクモをありったけの速さで振り抜き
機体を斬り裂いた
「……壊れてるのは貴方がたです」
『………認めない…人の可能性など僕は認めない。』
『僕の人生を全てを破壊した あの汚れた世界を忘れることなど無い。』
『既に幾つもの兵器が動き出している。』
『その力の源はタワーだ、例え僕が居なくとも止まることは無い。』
『タワーを巡る戦いは、もう始まった それはすべての破滅まで続く』
『だがもし、君が例外だというのなら』
『ならば生き延びるがいい、君にはその権利と義務がある』
「生き延びてみせましょう。必ず」
これで澪のこの世界での戦いはお終いです。読んでくれた方、こんな小説を読んで頂きありがとうございました!
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