二人の約束 (雪箱 珈琲店)
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序章:和葵と和音
プロローグ
俺は病院という場所をよく知らなかった。
母さんがある病気によって入院をしてから病院という場所がよく分かった。病院は身体の弱い人や何処か体内に異常を感じる人の為にあるのだと俺が小さい時に母さんは教えてくれたのをうっすらと覚えている。
母さんも今現在も入院をしている。俺はさっきまで母さんの病室にいた。夕暮れ時の向日葵が綺麗な季節とは違って母さんの笑顔はどちらかと言えば雪のような寂しさと冷たさを感じていた。
その日、母さんのお見舞いを終えて、帰宅しようと足を向けた途中で小さい中庭にある遊具に目を向けた。この病院には中庭と少し遊べる児童施設らしきものがある。そして、中庭のブランコにちょこんと顔を下に向けて座っている俺と同年代らしき女の子に思わず目を奪われた。ボサボサだけど艶のある黒髪は整えれば綺麗な女の子だろうと誰もが思う。俺の思う限りでは一般的な女性と違って痩せ細くなっており、俺から見ても不健全にも見える。病衣を着ている所を見るとこの病院の入院患者だということがわかる。
その時の俺は何の感情やら因果やらわからない。だけど、気が付いたらその女の子の元に足を進めていた。自分自身何をしているか分からない。だけど、彼女は先ほどお見舞いにしてきた母さんの笑顔よりも寂しく、そして儚く今にも散ってしまいそうにも感じられた。
「なあ、あんた」
俺はその不思議な感じの女の子に声を掛けた。
「……なに?」
女の子は声を掛けた俺の方に警戒心をギラつかせて鋭い瞳で顔を向けた。
「俺は望月 和葵。俺は君を見てなんとなく放っていられなかったんだ」
「……君は可笑しいね」
女の子は俺に向けて母さんの笑顔をフラッシュバックさせるように困ったように微笑んだ。
「君の名前は?」
この問いかけに女の子は目を伏せて、まるで俺を見ているのに見ていないような空虚な眼をしていた。ワンテンポ遅らせて口を開いた。
「私の名前は朝比奈 和音。生きている意味がないしょうもない人間」
和音と名乗る彼女の自己紹介にはこれ以上入って来るなという棘を感じた。俺は和音の横にあるもう一台のブランコに座り、和音の方に上半身を向かせて、和音にさっきの意味について聞いた。
「それはどうゆう意味なんだ?」
「……私は治らない病気に掛かっているの。その病気は治らず、進行を遅らせられることが出来るのが精一杯。死ぬのを待つしかない。だから私は生きている意味がないしょうもない人間って言ったの」
和音の説明に俺は納得出来なかった。確かに彼女の道理には一理あるのかもしれない。けれど、こんな理不尽は幼い俺は許せなかった。
「まあ、別にどうでもいいや。君が思っていることなんて俺には興味はないけど、勝手に死のうとするのは間違っていると思う」
俺はここまで語り、はっきりと彼女の言っていることを否定した。和音の表情はこれまでずっと暗い表情をしていたが、俺の言葉を聞き終えた瞬間、核心を突かれたように醜いまでに歪んだ表情になりながらも俺に怒鳴りつけた。
「あんたは私を知らないからそんなことを言えるんだ!!
私は何時死ぬか分からない恐怖に怯えながら生きないといけない。そんな毎日を送らないと行けない私の気持ちなんてわかるの?
そんなの生きている意味がないじゃない!!」
彼女の心の底からの悲鳴とも言える叫びを聞き終えて、俺は静かに口を開いた。
「それは違うだろ?」
「何それ?
憐れみな投げ掛け?」
「そんなのは間違っている。なら後悔しないようにあんたはあんたらしく生きたり、その治療法が見つかるまで、頑張って生きればいいだろ?」
「そんなあるか分からないもの希望を抱けない」
「なら、俺が希望になってやるよ」
和音はその言葉聞いた瞬間、僅かながら空白の時間が生まれた。彼女は行き詰まるように言葉の応酬は消えて、無責任に言っているこの男の戯言に怒りを覚えた。
「あんたに何が出来るの?
どうせ、ただ突っ立って傍観していることしか出来ないじゃない!!」
和音は怒りをそのまま俺に向けて放った。俺はただ聞き入れてブランコから立ち上がり、彼女の前に座り込んだ。
「なら俺が一緒にずっと居てやる。俺が君にとって楽しい毎日を築いてやる。だから、そんなに暗いことを考えるなよ」
この時の俺は何故そんな意味の分からない、確証のないことを言ったのか分からない。けれど、俺の言葉を言い終えた瞬間に和音にとっては霧が晴れたようにポロポロと涙が溢れ落ちてきた。
俺は和音のその姿を見て、そっと優しく抱きしめた。そして、今までの和音のイメージから異なるように激しく感情が流れるように泣き始めた。そして彼女は口にする。
「約束だよ」
「えっ?」
「だから、約束。ずっと私と居て」
と彼女は泣きながら俺に訴えた。俺は言葉に出さずも彼女を抱きしめた。病弱の彼女の華奢な体格、彼女の涙をそっと寄り添うように和葵は静かに誓いを立てた。
(必ず、彼女を幸せにする)
と。
そして、彼女の病気は治ってこそいないが進行を大幅に遅らせられる薬をある医者が開発をしてくれて、それも彼女の生きる原動力の一つとなった。
*** *** ***
「かずき、和葵!」
自分を呼ぶ声が意識の遠くから聞こえてきた。寝起きの俺は先ほど見てた和音との出会いを思い出しながらも寝っ転がっていたボーダーの作戦室に置いてあるソファから起き上がった。
「あれ?
俺は寝てた?」
俺は少し寝ぼけながらも彼女の声に反応した。
「もうグッスリだっだよ。和葵はお寝ぼけさんなんだから」
「そんなことないだろ。和音の方こそ、寝てる時は全く起きないし、酷い寝顔の癖に人のことを言えるのかよ」
「ああ! 女の子に酷い寝顔とか言った。酷い」
和音は可愛い顔でプンプンと頬を膨らませていた。
「あっ今の顔は可愛い」
俺は素直の頬を膨らませる顔に純粋に可愛いと感じて口に出してしまった。和音は俺の言葉に思わず笑った。
「あっはははははは!」
和音はいつもの調子で笑って、俺は間が悪そうに
「何か可笑しなことを言ったか?」
「うんうん、可笑しなことを言ってないよ。むしろ、嬉しい!」
和音は純粋に嬉しそうにニヤけていた。和音のその表情を見て、初めて会った日を思い出していた。
和葵は初めて会った和音のことを思い出した。あの日の和音とはうって変わって、明るくなった。ボサボサだった髪をショートボブヘアになり、病気は未だに治っていないが、彼女はあの日以降毎日楽しく過ごしている。
「ねぇ…
手、繋いでよ」
和音は少し顔を赤らめながら手を差し出した。
俺の方も当たり前のように彼女の手を握った。俺は和音との毎日を思い出していた。最初はぎこちなかったが今では和音の元の性格が明るく表情も豊かである。このくらいのスキンシップは最早当たり前だ。
「ほら、少し身体を動かしに行こうぜ?」
俺はソファから立ち上がり手を差し出した。和音は温かい笑顔で俺の手を掴んだ。
「うん!」
と答えて、一緒に作戦室の外を出て、ランク戦のブースに向かった。
俺と和音はあの日から毎日ずっと一緒に居る。
1話でワートリ感を感じさせなくて申し訳ございません。
だけど、この物語にとっては大事な話ですので、読んで頂ければ光栄です〜(o`・ω・)ゞデシ!!
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同年代の実力者
俺と和音は手を繋ぎながら、ボーダー本部の廊下を歩いていた。曲がり角を左へ行くと廊下のような長い道は無く、少し先に行った場所に眼前に開けた場所が広がっていた。この場所が個人ランク戦ブースへ訪れていた。
ボーダーにはトリオン兵と対等に戦う為の武器… トリガーという武器がある。トリガーとは、武器を使えるようにする代わりにトリオン体という戦闘体が現れる。実体はトリガーの中に収納される。トリオン体の大きな特徴の一つは実体よりも飛躍的に運動能力が上がる(幾つか例外はあるが)。トリオン体の状態は例え瓦礫に埋もれてもダメージを受けず、実体の方は影響しない。だが、トリオン体にダメージを与えるのは同じくトリガーの武器である。ダメージが深すぎるとトリオン体は消失されて、実体に戻ってしまう。
話を戻そう。ボーダーはそのトリガーを使って、主に二つのことをやっている。一つは、三門市の平和を守るなどを目的としたトリオン兵と戦う為の防衛任務。そして、もう一つは隊員同士の実力向上を求めたシステム。ランク戦というものだ。
ランク戦にも大きく分けて二つのシステムがある。今回、俺と和音がやるのは自由にブースを使って1対1で戦うことが出来るソロランク戦だ。
和音は着いたが否、元気な猫のように、ブースの観戦用のソファにドサっと座り、中央にある現在戦っている隊員の映像に注目した。
「和葵! ヨネくんとミドリンがバチバチやりあっているよ」
和音は飛び跳ねるような声でモニターを指で指しながら言った。俺は何テンポか遅れて和音の隣に座って、指の指した方向に目を向けた。
ちなみに言っておくがヨネくんとはA級部隊に所属している米屋 陽介という俺らと一つ下の高校生で槍を巧みに使っている方だ。
ミドリンは同じく、A級部隊に所属している緑川で14歳にして既にA級にいる恐ろしい才能を示している。小柄でスコーピオンという攻撃用トリガーを使う少年の方である。
「なんだよ。少し見るのか?」
俺は先ほどまではしゃいでいるとは違いジッと観察するように二人の戦闘を見ていた。和音は俺の方に振り向いて笑顔で答えた。
「うん!」
そして、俺と和音はしばし観戦を始めた。
「ヨネくんは相変わらず裏を掻くのが上手いね〜」
「緑川もグラスホッパーの使い方が上手くなっているよ」
俺と和音は二人の戦いを見ながらそれぞれの感想を述べた。
「おい、和葵、朝日奈」
俺と和音が観戦をしているところ、後ろから聞き覚えのある荒っぽい声が聞こえた。
その声に反応するように俺は後ろへ向くと見覚えのある二人組が其処に居た。
「この前の防衛任務以来だな。望月に朝日奈」
髪がボサボサで目付きが悪くさらにマスクをしている強面な青年と隣には、眠そうな目とおでこをだした立ち上げた緑灰色の短髪、武士のような風格をみせる青年が立っていた。
「おっ、村上くんとカゲくん!」
俺が言うより先に和音が先に声を出した。ちなみにボサボサ髪の方が影浦(和音にはカゲくんと呼ばれていて)、武士系男子の方は、村上という人物だ。どちらも俺と和音の同年代でトップクラスの攻撃手であり実力者である。
「朝日奈はともかく、和葵がブースに来るなんて珍しいなぁ」
影浦は俺の方にジロジロ見ながら問いてきた。俺はとぼけるように答えた。
「うん? そうか、カゲ?」
影浦は純粋に俺がランク戦のブースに来たことに疑問を感じていた。
「お前、個人ランク戦自体あまりしないじゃないか」
「まあね。だけど、俺もたまには人と戦って、対人戦闘の感覚を鈍くしないようにしないとね」
俺がそう言うと、影浦は俺を見て、
「朝日奈もそうだが、和葵。
影浦は野生のような笑みを浮かべていると和音の何か悪戯する時の笑みとどこか雰囲気が似ていて呆れるような溜め息を吐いた。
「そこは褒め言葉として受け取っとくけどお前とは戦わないぞ?」
と返した。俺と影浦がそんなやりとりをしている横で、和音と村上も同じような話題を繰り広げていた。
「朝日奈、今日は望月と戦う為に来たのか?」
「もっちろんよ! 和葵ったらさっきまで寝てたのよ」
「それは酷いな」
村上は苦笑しながら返した。
「でしょう? 和葵はお寝ぼけさんなの」
(望月は案外しっかりとしてるし、朝日奈といいバランスだと俺は思うなぁ)
村上は心の中でそう思い、話が一つ終えたところで、和音は思いついたように一つ提案をした。
「あっそうだ。和葵と戦い終えた後に、一戦交えない?」
和音は村上にそう言って、村上は間を置かずに
「ああ。いいぞ」
と了承した。
影浦は和音と村上の会話を聞いていたのかのように、自然と俺の肩に手を回して、
「おい、俺ともやろうや」
影浦は俺に戦おうと提案して来た。俺は戦うのはあまり嫌いではないが、俺の戦闘スタイルはある意味、唯一無二というか癖があるというか、とにかく他の人にあまり
「俺は和音との一戦で十分だから、終わったら観戦してるよ」
「ああっ?
なんだよ。連れねぇな」
「そんなに連戦すると疲れるだろ?
その代わりその後のお好み焼きなら食べに行こう」
「あっ、それいいね〜
なら、カゲくん。私と戦おう!」
俺の提案に和音は乗ってくれて話を切り替えてくれた。
「お前、お好み焼きだけ食いに行くつもりかよ…
まあいいけどよ。なら、朝日奈でもいいから戦えよ」
影浦は少し残念そうに言ったが、和音は顔を膨らませながらプンプンとしながら、挑発した。
「カゲくんじゃ私に勝てないのに何言ってるのだ」
「俺の方が勝ってんだろ」
「なら、和葵と一戦してから、村上くんと三つ巴でやろうね」
「ぶっ潰してやる」
「程々に頼むな」
和音は手を叩いて決めた提案に影浦と村上は同意してくれた。ひと段落済んだところで話を収束させるように俺に言った。
「私との戦いが終わったら待っててよ!」
「ああ、オッケー」
と和音の了承をした。俺は和音に分かっていると思うが一応釘を刺した。
「だけど、和音。無理はするなよ」
俺の言葉に和音だけではなく、影浦と村上も反応したが、口には出さず和音は一瞬だけ表情を曇らせた後、ニコッと笑って了承した。
「オッケー!」
「じゃあ、私はまず、和葵と戦ってくるから!」
和音はニコッとした顔で手を振りながら去って行き、とり残された影浦と村上は、二人のブースに向かう姿を見て、安心したような表情で見ていた。
「あの甘甘カップルは相変わらずだな」
影浦は何かを吐きつけるように言い、村上は落ち着いたような表情で返した。
「あの事件の後、あの二人は何事も無かったかのように振舞ってるからな」
「だけど、あの事件から未だに立ち直ってない奴が一人居るけどな」
「ああ…
あいつは今何処をフラついているのやら」
村上は溜め息を吐いて、影浦は後味悪そうに強引気味にこの話を切った。
「じゃあ、俺たちも1勝負するか」
「ああ、そうだな」
と言い、村上と影浦も戦う為にブースに向かった。
*** *** ***
俺と和音はそれぞれ違うブースに入り、早速、和音が先ほど入っていたブースにタッチをして対戦の申し込みをした。
『10本勝負の場所はいつものところでいいよね』
突然、無機質な声が聞こえ、それが和音の声だとすぐにわかった。和音からの通信のようだった。要件は勝負のルール決めである。
「ああ、了解だ」
と俺は了承した。和音は尋ねるように
『そういえば、和葵』
「なんだ?」
『ランク戦で戦うのって何時ぶり?』
和音は不意な質問に少し間が空けて、恐る恐る答えた。
「うーん…
ランク戦じゃないけど、三週間振りくらいだと思うよ。ほら、最後は遠征部隊との訓練の時に戦ったかな」
俺は最後に行った対人戦闘の記憶を思い出しながら言った。そしたら、和音は画面越しでも分かるような呆れるような声が飛んできた。
『戦わなすぎ! もう、駄目な子だね』
まるで親が躾ける一言のような言い分に俺は一言文句を言ってやりたがったがこの場で抑えて、話題を切り替えた。
「俺はお前らみたいにバトル大好き人間じゃないし、通常訓練しかしないからね〜」
「むぅ、それ言い方ひどくない?」
「酷くないだろう。少なくとも表現は間違っていないよ」
俺がそこまで言い終えると和音は不意にバカみたいに笑った。
「あっはははははは!」
「何か可笑しいこと言ったか?」
「いいや、むしろ和葵らしい文句だなぁって」
「まあ、よく分かんないけど話は勝負が終わってから聞くよ」
と俺は言い和音も俺の言葉に反応して、
『私こそ、負けないよ!』
と返した。
そして、戦いの合図であるカウントダウンが始まり、俺の久しぶりのランク戦が始まった。
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高速銃手と変幻自在の剣の戦い
転送の光に包まれて、気がついたら、俺は和音と戦う為のフィールドの舞台に立っていた。
『ランク戦、10本勝負開始』
無機質な機械音がランク戦開始の合図を示していた。何処にでもありそうな素っ気ない街中の中、ちょうど十字路に立たされていた俺は転送が完了すると同時に素早く行動を開始していた。
俺は、走りながら、和音がどの辺りにいるかレーダーで確認しながら、疾走していた。
街角を曲がり終えると眼前に和音は攻撃手用トリガーである日本刀に模した、孤月を構えて待っていた。
「あっはははははは!
待っていたよん」
和音はいつもの調子で笑い、まるで俺が来るのを分かっていたように俺のことを待っていた。俺の方も和音の待ち伏せに少し不満が募り
「ずりぃな、おい」
と思わず口に出しながらも銃手用トリガーである、ハンドガンを抜きながら、和音に向かって、正面から突っ込んでいった。
疾走する俺に居合の構えで待ち構える和音、一瞬で決まるような勝負はここでしか味わえない緊張感が醸し出していた。
互いにすれ違う刹那、和音の孤月は俺に向かい胴体真っ二つの要領で斬り抜いたがその攻撃は虚しく空を切っていた。
俺は和音の攻撃の軌道を読み取りしゃがんで、ハンドガンを和音の胸に標準を定めて撃ったが、和音の胸には六角系の半透明状のようなもので銃弾が守られていた。
これは、ほぼ全隊員が持っているシールドというトリガーである。今のような銃撃や刃への攻撃を防ぐ防御用トリガーだ。
和音は胸に通常サイズより、防御範囲を狭めた小さいシールド、通称、【集中シールド】というもので俺の弾丸は防がれていた。シールドは防御範囲を広げることで幅広く守り、今のように防御範囲を狭めることで耐久度を跳ね上げる。
和音は防いだ後に流れるように孤月で斬り払ったが、俺は咄嗟に後ろへ飛んで回避をしていた。
「ちっ、やはりそう簡単には行かないか…」
「当然でしょ!」
和音は余裕綽々な表情で言い、俺は左手にあるサブトリガーを起動した。和音は俺がまた仕掛けてくると瞬時に察知をして、身構えた。
「グラスホッパー」
俺はそう唱えて、足元にジャンプ台のようなものを出現させて、足で踏んだ途端、和音の方に加速した。
グラスホッパーはジャンプ台のようなオプショントリガーで立体機動による空中移動を可能とするトリガーだ。
そして、加速した俺は新たに策を講じた。和音の付近に幾つものジャンプ台のトリガー、グラスホッパーを設置して、
「
と呼ばれる技を使用した。三次元の高速移動を可能とする技、【
「ちょっと、タンマ。速すぎぃぃ!!」
和音の言葉を無視して、高速で飛び交う中、俺はハンドガンで撃ち続けていた。急所には当たっていないものの和音のトリオン体には着実にダメージが蓄積され、孤月を持っている利き手である腕を吹き飛ばし、足を削って、判断力を奪い、最後には頭を吹っ飛ばして、和音はベイルアウトした。
ベイルアウトとは、戦闘離脱出来るシステムであり、ボーダー隊員は戦闘体が危険な信号を送っていると即座に戦闘から脱出出来るシステムだ。
『トリオン供給機関破損、ベイルアウト』
無機質な機械音が和音の耳に残り、転送される時、和葵の顔を見ると少し不気味な笑みを浮かべているのを見て和音はベイルアウトした。
和音はベイルアウトによりブースのベットに転送されて、和音は悔しそうな表情を浮かべていた。
「やられたわ!!」
和音は1人でベットをバタバタしながら、今さっきやられたことを嘆いていた。
そして数秒後、再び、戦う為にフィールドに転送された。和音は和葵が次取るべき行動を考えた。
(やっぱり、初見ではないけど、和葵は速いなぁ。だからこそ何とかして動きを止めないと)
和葵の持ち味は移動用トリガーを駆使した高速戦闘の白兵戦である。銃手にとってもあそこまで速く動かれても標準がブレブレになってしまうが和葵の動体視力は他の人より断然良くて、動体視力の恩恵であの高速戦闘を可能にしている。
和音は移動しながら、思考しているうちに和葵は既に背後に迫っていた。そして銃で撃ってくるまで和葵の存在には気が付かなかった。
「それ、せこいよ」
「なら、確認しとけよ」
和音は咄嗟に回避しており、腹部に軽くトリオンが漏れているものの互いに軽口を叩いており、俺はサブトリガーを起動した。
(テレポーター)
俺は心の中でそう唱えて、和音の後ろに奇襲を仕掛けた。
テレポーター、視線の先に数十メートル、瞬間移動するオプショントリガーである。トリオンの消費は他のトリガーより激しいが、今みたいに相手の背後に回ったりなどの利点がある。
俺は背後に回って、ハンドガンで何発か撃とうと動いたが、俺の手は既に斬られていた。
「あっはははははは!
残念! 和葵がテレポーター使うの分かってたからね」
和音はいつものように笑って俺が背後に回るのを読んでいたようで背中から羽のような刃が気が付けば俺の手に落としており、和音の策にハマっていた。
スコーピオンは攻撃手用トリガーで孤月と違って、身体の何処へでもスコーピオンを出すことが出来て、変形も可能で自由自在である。
俺は手を落とされ少なからず、動揺をしていた。その隙を和音は逃すわけなく和音は攻撃手用トリガーのレイガストを取り出し、俺の方に向けて、
「スラスター・オン!」
レイガストは防御向きの攻撃手用トリガーで、通常状態のブレードモードと攻撃力を下げる代わりに耐久力を上げるシールドモードがある。
そして、今、和音が利用したのはレイガスト専用のオプショントリガーのレイガストの刃を加速するオプショントリガーを起動した。
俺は加速するレイガストに抑え込まれて、後ろにある壁まで追い込まれた。
「ふふん、チェックメイト!」
和音は嬉しそうに無抵抗な俺の首を掴んで、スコーピオンで首を刺した。
『トリオン体活動限界、ベイルアウト』
俺の耳に無機質な機械音が流れて、俺はベイルアウトをした。
俺はベットまで転送で運ばれて、今の策はやられたなぁと痛く感じた。
和音の戦闘スタイルは他の攻撃手にはない唯一無二の戦闘スタイルである。攻撃手でバランスが取れている孤月、奇襲向きで使い手の発想力でどんな攻撃も可能にする攻撃重視のスコーピオン、防御向きで重量級のレイガストの3種類のトリガーである。その三つの攻撃手用トリガーを状況に合わせて使い、更に高速換装することで相手を翻弄することが出来るのが彼女の持ち味である。
和葵と和音の戦いは高速戦闘で自分のペースに持ち込む和葵とそんな和葵を自由な発想で打ち破る和音。
それが2人の戦いである。
*** *** ***
そして、9本目まで終わり、現在のスコアは俺が3本取って、和音が6本取られて既に負け越しである。
『どうだ、和葵!』
俺は和音の声が聞こえると同時にベットから身体を起こして、ブースにある内部通信に俺も口に出した。
「ああ、やられたよ」
小さなため息を吐きながら、和音は先ほどやられた策について聞いた。
『1戦目からトップスピードだったけど、珍しいね』
「まあ、和音は常に見られているから、最初から全力で仕掛けただけさ」
俺が喋り終えたところで和音は思いついたように、ある提案をした。
『あっそうだ。最終戦に勝った方が何か奢るはどう?』
「そうだね、まだ終わってないからね。次の一本、俺に勝ったら、商店街のクレープを奢ってやるよ」
『ほんとう?』
「うん、本当だ。俺は病院前のコーヒーでいいよ」
『オッケー、負けないよ!』
和音は弾むような声で言い、俺と和音の最終戦は始まった。
プロフィール
朝日奈 和音(あさひな かずね)
本部所属B級??位 朝日奈隊 隊長
ポジション:攻撃手
18歳(高校生) 1月28日生まれ
身長:158㎝ 血液型:O型
好きなもの
・甘いもの
・トリオン体の運動
・和葵!
備考
・とある病気持ち
望月 和葵(もちづき かずき)
本部所属B級??位 朝日奈隊 隊員
ポジション:銃手
18歳(高校生) 10月10日生まれ
身長:173㎝ 血液型:B型
好きなもの
・キャラメル
・コーヒー
・本
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『ロミオとジュリエット』
ランク戦10本勝負。現在、3-6のスコアでこの時点では既に負け越しが確定しているが、最終戦で俺と和音はとある賭けをすることになり、この勝負は俺自身、負けるとしても容易に負けるのは心情的に嫌だった。
(俺のトップスピードは和音は慣れているけど、まだ勝つ為の手は隠してある)
思考をしている最中の俺に時間がやって来て、転送の光に包まれて最終決戦の地に転送された。高低差のある街並みが特徴のフィールドで高台に狙撃手が取れば狙撃手が有利なフィールドである。俺と和音のどちらにも地の利にそれほど差はないけれども。
転送されて、俺はすぐにレーダーに映らないオプショントリガー、バックワームを装着した。
そして、和音の位置をレーダーで確かめて疾走し始めた。
*** *** ***
一方、和音の方も転送が終わってすぐに自分の位置を確かめた。和音は中央から見て北西方向に立っており、確認した後にレーダーシステムを使って和葵の現在地を確認した。けれど、和葵は和音のレーダーに映らなかった。和音は不審に思い、レーダーの精度よりもレンジを広げたが、それでも、和葵の位置を掴めない。
(えっ、まさか…)
和音は嫌な予感をよぎり、警戒度が一気に跳ね上がり、対応が出来るように孤月に手を掛けたが、時は既に遅く和葵の手中に嵌っていた。
「うっ」
和葵は和音の頭上から飛んで銃を構えて、雨のような銃撃を撃ち込んだ。反応がほんの一コンマほど遅れたものの致命傷を負わずに済んだが、身体中の所々にトリオンが漏れて、ダメージを負っていることが目で分かるほど明確だった。
「マジかよ。隙を突いたつもりだったのに」
俺は今の一撃を決められなかったことに悔やみ声を上げつつ、思考を切り替えてグラスホッパーを使って後退しつつ、次の策を練り上げていた。
「スラスター・オン」
俺がグラスホッパーで後退している最中に和音は焦った様子はなく、孤月からレイガストに武器を変換しており、レイガストの刃を加速させるオプショントリガーを【スラスター】を起動した。瞬く間に後退した俺の間合いまで詰められていた。
けれど、その攻撃は俺にとって予測の範囲内である。向かってくる和音に虎視眈々とサブトリガーのハンドガンを構えて、撃ち始めた。
「甘い!…よ」
「それはどうかな?」
俺は薄っすらな笑みを浮かべ、和音のレイガストに特殊の弾丸を撃ち込んだ。和音のレイガストはヒビが入り、和音は顔をしかめた。
「ここでまさかの合成弾銃かぁ」
和音は表情は悔しそうにしていても声色は楽しいそうに呟き、尚、俺は撃ち続け、三発目でレイガストが完全に割れて、和音の肩を貫いた。
「痛いなぁ! もう」
「テレポーター」
俺は体がよろめくように崩れた和音に追い打ちを畳み掛けるように和音の背後に回り、ハンドガンで撃とうとしたが、経験上での和音からの恐怖を感じ取った。
和音はボーダーで攻撃手トリガーの孤月、スコーピオン、レイガストの三種、全てマスタークラスに達している実力者だ。和音程の実力者にもなるとお互いが正面に向き合った状態でよほどの隙を突かれなければタダでやられるなどの展開はそうそうない。
俺の気の迷いともいえる僅かな逡巡している間を縫って、和音はスコーピオンを右脚から蛇のように繰り出し、俺のハンドガンを持つ手が切り飛ばされた。
「くそぉ!」
俺はこの戸惑いに悔しい声を上げ後悔しつつも、和音のスコーピオンの猛追をグラスホッパーを使って振り切り、上空へ逃げた。
そしてお互い、攻めることをせず、体勢を整えて目と目で向き合った。少し間があったものの和音から軽口が開かれた。
「最後のスコーピオンの攻撃よく防いだね〜」
先ほどまで一進一退の攻防をこなしていた雰囲気から一転、和音のいつものおどけたような声で褒めてきた。和音の褒め言葉に俺はムッとした気分になり少し嫌味な意味を含んで返した。
「和音が崩れた時にスコーピオンで刺すパターンは隣で何回も見てるから知ってるよ。相変わらず嫌らしい攻撃だ」
俺は両手で、やれやれみたいな仕草をしつつ、和音は笑った。
「あっはははははは!
流石は和葵。和葵こそ今回の合成弾銃が超近距離の
「あの絶好のタイミングなら和音に勘付かれずに撃ち込めると思ったけど逆に嵌められたな」
俺は小さいため息を吐きながら言い、
「焦ったよ〜
てっきり、和葵は
「今朝、ラボで変えてきたからね」
二人の話に終わりが見えると和音は両手に短剣状のスコーピオンを構えて、構えた。
「あっはははははは!
さあ、この戦いを終わらせようか!」
和音は笑いながら言い、両手のスコーピオンを繋げて、先制攻撃を掛けてきた。
この技はB級二位の隊長である影浦が使っている、メイントリガーとサブトリガーのスコーピオンを繋げる荒技【マンティス】であった。本家のマンティスよりも拙く、技の質は本家には遠く及ばないがそれでも、この時点での意外性と先制攻撃を仕掛けるのには充分であり、俺自身もまんまと隙を奪われた。
「……!」
足に力を入れて後ろへ思い切り踏み込んで回避しようとしたが、マンティスの射程範囲から逃れられず、腹部を抉られるように切りつけられた。
「くそぉ」
「よし!」
和音は自身の思惑にハマったことに対して喜びの声を浮かべつつもスコーピオンから孤月に武器を持ち替えて、攻撃手の間合いまで接近していた。
「ふっ」
俺は和音が孤月を振り下ろす前の瞬間を狙って、ハンドガンで撃ったが、和音は胸部に六角系のシールドが貼られていた。
「ちっ、集中シールドか…」
「貰った!」
和音は孤月を斬りおろしたが俺はテレポーターで空中に瞬間移動し窮地を脱した。それでも、和音は俺の次の動きを読んでおり、孤月からスコーピオンに持ち替えて、ナイフ型のスコーピオンを投げつけた。
「ちっ」
和音の怒涛の猛攻に俺は苦渋な表情をしつつ舌打ちをしてしまい、向かってくるスコーピオンを薄青い板を足元に出現させて飛んで回避した。
空中でグラスホッパーを連続に展開して高速迂回して、和音にはない機動力で猛攻から逃れた。だけど、逃げただけではなく、これで次の攻撃を仕掛けることが出来る。
(結構、追い込まれたなぁ…
だけど、まだとっておきの策はある)
俺は自身のトリオン量の残りを確認し、頭を回して、和音を倒す既に算段を付けていた。和音はまるで俺が向かってくるのを待っているかのように来るべき瞬間を孤月を携えて待っていた。
「テレポーター!」
俺にしては力強い声でサブトリガーを起動させて、和音の
「……!!」
基本的にテレポーターの使い方は相手の背後に回って奇襲や集中放火と窮地に陥った場合に脱出するのが、テレポーターの主な使い方だ。俺が試合前に思い付いた策として、テレポーターを多く使って背後に仕掛けるのではなく、相手の手前にテレポーターを使うというやり方だった。
「これで終わりだ」
ある程度の隙は和音は切り返すことが得意だが、今回は完全に隙を付けられた和音は対応など出来る訳なく、俺は冷たくそう告げてハンドガンで胸を撃ち抜いた。
「まだ終わらないよ」
貫いた銃弾により、トリオンは漏れ出ているのに関わらず、和音は尚、諦めておらず、残ったトリオンで短剣状のスコーピオンを展開させて、スコーピオンを持つわけではなく、
俺はその動きになんの意味をもたらすのかわからなかったが、この時点で察することが出来なかったということは命取りであった。
和音は自身の足に落としたスコーピオンを俺に向けて蹴った。
「相変わらず、凄いな…」
俺は正直に感服して、その蹴ったスコーピオンは俺に致命傷を与える訳ではなかったがそれでも、俺の肩を貫いており、胸を撃たれた和音の方が先にベイルアウトした。
俺は最後に一本取り、結果は4-6で負けたが賭けには勝った。
*** *** ***
「あああああ!!
悔しいぃぃぃ!!」
ランク戦が終わり、俺と和音はひとまずブースに出た。すると和音は今の感情を正直にぶちまけた。
「こっちはこっちでキツかったけどな」
感情が昂ぶっている和音とは対照的に俺はドライな感じで答えていた。
「最後のテレポーターとかやられたよ。今日は最初からテレポーター乱用してたからなんか可笑しいと思ったのになぁ」
「いやいや、和音こそ最後のスコーピオンを蹴るやつの方が恐ろしいわ」
「あー、あれはね。狙ったのに外れちゃったね〜」
「あれがもう少し上に当たってたら俺の負けだったよ」
「これでも、結構練習したんだよ」
「末恐ろしいわ」
俺はそう言い、一拍置いて、手を差し出した。
「まあ、何あれ賭けには勝ったからコーヒーは奢れよ」
俺は少しニヤッとした笑みを浮かべて和音の反応を伺い、和音はわかりやすく子供がごねるように顔が膨れていた。
「悔しいぃ!!
もう一回やろ?」
「今日はもう終わりだよ」
俺は小さいため息を吐いて、今日はこれ以上戦わない意思表示をした。
「じゃあ、この後、カゲくんと村上くんとランク戦を10戦だけしてくるから待ってて」
顔はムスッとしたままだが、和音は潔く俺との戦いを諦め、次なる戦いに行こうとしていた。和音は元気よく手を振って、ブースに入っていたのを見届けた。
(そういえば、あの人は俺と和音についてこんなことを話していたなぁ…)
俺は閲覧席のベンチに座り、1人の人物について思い出していた。
*** *** ***
「まるでロミオとジュリエットのようですね」
和音とは真逆と言ってもいい思考の持ち主で人を寄せ付けない雰囲気を纏った女性と俺は朝日奈隊の作戦室で喋っていた。
彼女はソファに座り、足を組みながら手を顎に添えて、考える人のようなポーズをしていた。俺は椅子の方に座りコーヒーを頂いていた。
「いやいや、俺はロミオじゃないし、和音はジュリエットって柄でもないだろ」
「本当にそうでしょうか?
貴方達は互いが互いを想いあっている。だから失われれば少なくとも荒れ狂うと思うのです」
その女性の例え話は冗談でも笑えず付いて行けなかったが、理解することは出来た。多分、俺も和音も居なくなったらどうなるか分かったものじゃない。俺はそれ程あいつのことが大事なのだ。
「俺はあいつを何があっても守る。そこだけは約束する」
女性は俺の目を見つめて、クスッと笑った。俺は自分の言ったことを思い出し頬に火照っているのも自分でも分かっていた。
「あっ違う。今のは忘れて」
俺は必死で今の言葉を取り消そうとしたが、女性は俺の声を途絶えるように続けた。
「いいのよ。もしも、あなた達が危なくなったら、私や誠を頼ってね」
アッシュグレーのロングヘアを靡かせながら彼女はそう言った。
「ああ、わかったよ。唄葉」
俺はその女性、唄葉という女性がそう返したところで俺の記憶は途切れていた。
*** *** ***
画面越しで和音が村上と影浦と楽しそうに斬り合っており、俺は唄葉のことを思い出し、あの日消えた彼女について少し考える。
(唄葉が何故
と俺は思いふけてモニターに再び目を向けた。
色々、謎が残りつつも序章を書き終えました〜
1章からは主人公やヒロイン以外のオリキャラを交えつつ、原作のキャラクターとも絡ませて上げたいなと思っています。
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設定
登場人物紹介
新しいキャラクターは章が終わる毎に、更新出来ればと思っています。
主人公
望月 和葵 (もちづき かずき)
ボーダー所属B級??位 朝日奈隊 隊員
ポジション:銃手
18歳 (高校三年生) 10月10日生まれ
身長:173㎝ 血液型:B型
好きなもの
・キャラメル
・本
・コーヒー
外見
黒髪で所々に癖のあるショートヘア。どちらかといえば、中性的顔つきで、目は黒い。貧弱な体形に見られがちだが、身体は鍛えられている。
性格
どちらかといえば、積極性がなく、大人しい。けれど、かなりの策士で、裏で立ち回ることが多い。思いやりがあり、人に優しく接することが出来るが、基本的にのんびりな人種。
戦闘スタイル
ハンドガンと機動力で戦う、銃手の中でも最も近距離で戦う、スピードファイター。運動はしていないが、運動神経、動体視力が良いタイプらしく、その分、グラスホッパーやテレポーターなどを使って、トリッキーに戦える。サブトリガーのハンドガンは、基本的に合成弾銃を使用しており、その都度、弾丸は変えている。
トリガー
メイントリガー(右)
・ハンドガン:アステロイド
・グラスホッパー
・シールド
・バックワーム
サブトリガー(左)
・テレポーター
・グラスホッパー
・シールド
・ハンドガン:弾丸はその都度変えている。
トリガー構成は弄ることもあるけれど、基本はこれでオッケー
パラメーター
・トリオン:8
・攻撃:6
・防御、援護:9
・機動:9
・技術:8
・射程:3
・指揮:4
・特殊戦術:8
合計:55
ヒロイン
朝日奈 和音 (あさひな かずね)
ボーダー所属B級??位 朝日奈隊 隊長
ポジション:攻撃手
18歳 (高校三年生) 1月28日生まれ
身長:158㎝ 血液型:O型
好きなもの
・甘いもの
・トリオン体での運動
・和葵!
外見
黒髪のショートボブヘア。目は大きくて、童顔である彼女の可愛さを見出している。華奢な身体。
性格
底抜けに明るく、基本的に自分の本能に従って行動する手の焼ける子。天真爛漫で喜怒哀楽の感情表現が激しい。奇想天外の発想をすることが多く、主に和葵を振り回している。自分の信念に従って、行動をしている。
戦闘スタイル
アタッカーの武器を全部扱えることが出来る、ある意味、攻撃手の万能アタッカー。彼女の反応速度、反射神経はボーダー内でも、1、2位を争うくらいに優れており、その恩恵で武器の高速変換を可能にしている。攻撃手の武器は全て、マスターランクまで到達している。また、状況に応じて、武器を使い分ける、相手には無い発想で攻めることも多々ある。
トリガー
メイントリガー(右)
・孤月
・旋空
・シールド
・スコーピオン
サブトリガー(左)
・レイガスト
・スラスター
・バックワーム
・スコーピオン
トリガー構成は基本的に変えない。
パラメーター
・トリオン:7
・攻撃:8
・防御、援護:6
・機動:8
・技術:10
・射程:2
・指揮:6
・特殊戦術:8
・合計:55
備考
和音はある病気を抱えていて、その病気は彼女を死に至るかもしれない可能性を秘めている。けれど、数年後、その病気を治すことは出来なかったが、大幅に進行を遅らせる薬を開発してくれて、彼女は生き永えている。
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1章 謎と嘘
安否
更新のペースを少しでも早くしていけるように善処します。
第1章開幕です〜
今日は学校もボーダーの防衛任務などもない休日で、俺と和音は先日行った、ランク戦の賭けを清算すべく、2、3ヶ月前に出来たばかりの喫茶店に向かう為、現在、手を繋いで歩いていた。
「本当にここの喫茶店で良かったの?」
和音は俺の顔を除き込むように聞いて、俺の方もいつものように答えた。
「ああ、あの店は最近出来た喫茶店なんだ」
「へぇ〜
そうなんだ」
「それにこの喫茶店には最初に和音と一緒に行きたかったし」
俺の言葉に和音はピクッと反応し、照れたように顔が紅潮し傍目から見て、分かりやすい反応をした。
「嬉しいかも!」
和音の不意打ちのような飛びっきりの笑顔を見せられて、今度は俺の方が思わずとドキッとしてしまった。
そして、世間話をしている間に俺と和音は目的地である喫茶店に着いた。
「良い雰囲気だね!」
「そうだね」
和音の率直な感想に同意して、目の前の喫茶店の外見に目を向けた。レトロな感じで、アンティーク感を感じさせる珈琲店だ。大人ぽい雰囲気を感じさせる。
和音がこの店に見惚れている間に俺は声を掛けた。
「和音、置いていくぞ?」
「あっ待って!」
二人の不毛なやり取りをしつつ、木製で出来たドアに手を掛けて、開けると中には予想通りのアンティーク感が溢れる室内とほのかに香る木の匂いを感じて、雰囲気は俺個人の感想として好きだった。
若い女性のスタッフが出迎えてくれた。
若い女性のスタッフに連れられて、俺と和音は4人用の木製の机と柔らかそうな素材のソファに案内されていた。
和音は早速、座ってメニューを見始めた。俺も釣られるように向かい側のソファに座って、一緒にメニュー表を見始めた。
見開きにコーヒーなどがあり、色々見ると、昼食などの軽いランチやパンケーキやパフェなどのメニューがある。和音が俺に尋ねた。
「和葵はコーヒーでいいよね?」
「うん? ああ、いいよ」
「私はどうしようかなぁ〜 あっこれ飲んで見たいかも」
和音が指したのは、タピオカミルクティーであった。
「あっそれは美味しそうだね」
俺がそう返すと和音は嬉しそうな笑顔で
「でしょ!」
って答えた。
再び、和音はメニュー表に目を移して、またまた、俺に聞いた。
「あと私さ、このパンケーキも食べたい! 和葵も何か食べたいものがある?」
そう言われて、俺は和音はメニュー表を覗き込み、
「じゃあ、このチョコバナナパンケーキを食べてみようかな」
「じゃあ、私はこのメープルのやつがいいなぁ! 私それも食べたいからシェアをしようよ」
「おう、いいぞ」
「そう来なくちゃ!」
お互い、頼むものが決まり、和音は案内してくれた女性のスタッフを呼んで注文をした。
注文が終わり、やがて、店員がコーヒーを持って来てくれて、俺と和音はのどかに談笑をしていた。そんな中、俺らの知っている二人組の男女が、俺らに声を掛けてきた。
「おっ、和音ちゃんと和葵じゃん」
「迅さん、どうしてここに?」
と俺は聞いた。
いつも通りに飄々としていて、それでいて掴み所を感じさせない人物、迅さんと
「あら、和音ちゃんに和葵は久しぶりだね〜」
と黒髪のショートヘアで鋭い目が近づき難い雰囲気を纏っている白衣の女性が立っていた。
「あっ、沙乃さん!」
和音は白衣の女性にいつも通りの元気な声を発して立ち上がった。
この人は和音の病気の担当医をしている、椎名 沙乃さんである。年齢はなどは不詳だが、俺の予想では三十路に入っていないと呼んでいる。椎名さんは、和音の他にも、朝日奈隊のメンバーとも交流があり、ボーダーのトリガーにも大いに興味を示している。
もう一人、男性の方は、ボーダーの自称、迅 悠一である。玉狛支部という少数精鋭のボーダーの支部に所属している。
この二人は俺らの
「俺らもここに相席してもいいか?」
迅は指を指しながら、席を座ることを求めた。
「ああ、いいですよ。迅さんと椎名さん」
俺もそう促し、和音は俺の隣に来て、二人と向かう合う形で席に座った。お互い珈琲を注文した。俺はこの時点で一つの疑問が浮上していた。
何故、迅さんと椎名さんが二人で一緒に此処の喫茶店に居るのか?という点だ。俺の知る限りで、迅さんと椎名さんは知り合いであるが、そこまで親密な関係ではない…筈だ…。
俺がそのことを口に出そうとしたら、迅が俺の考えを先読みしていたのか切り込んできた。
「俺と沙乃さんがここにいる理由は偶々会って、君らの姿を見たから、喫茶店に来たのさ」
と迅が何かを誤魔化すように説明してくれた。それでも、俺はまだ疑いを持っている。
「本当に偶然なのよ?」
椎名は補足して、俺の方もそーゆーことにしようと納得はした。
「私は仕事の休憩だし、長居はするつもりはないけれども、一つだけ和葵くんに聞きたいことがあるわ」
「…何ですか?」
「最近、誠は見た?」
そのワードを聞いた瞬間、俺は顔が強張り、和音は俺の服の袖を掴んだ。和音は俯いたまま哀しい顔を浮かべていた。
朝日奈隊には一人である事件からずっと欠番をしている隊員がいる。それが草薙 誠という人物である。事件のことはまた後に語ろう。
椎名は和音の反応を見て察し、俺は口を出した。
「誠は最近、家にも帰って来てないですよ」
「そうか… やっぱり…… 悪いことをしたな」
迅は少し下を向いて言い、
「大人として、私があの子を支えられなかった。完全に私の責任だね」
椎名は曇った顔をしており、重たい空気が流れる中、和音がこの嫌な雰囲気を吹き飛ばすように、机を叩いた。
「沙乃さんや迅さんは悪くない! あとは誠の問題だよ」
先ほどまで、哀しい顔をしていた女の子がここまで明るく見せながら言った。そして、机を叩いた所為で、店内にいるスタッフやお客さんが皆振り向いた。和音はその状況に遅れながらも反応して、少し顔を赤らめた。
「ああ…… お騒がせしてすいません」
和音は振り向いた方々に謝り、やがて、こちらを振り向く人は居なくなった。
この場にいる和音以外の3人はキョトンとした表情をしていた。遅れるようにその場で俺は笑った。
「ははは、そうだなぁ。俺や和音、少なくとも春の方もあまり気にしていないと思うよ」
(いや、春は気にしてると思う…)
和音は口こそ出さなかったが、和葵の言ってることに反対のことを述べた。
そして、迅は改めて頭を下げて謝った。
「申し訳ない、あの件について、俺に出来ることがあれば、何でも申して欲しい」
迅はあの日からずっと
「もういいから、頭を上げて!」
和音はそう言い、そのタイミングで女性スタッフがパンケーキを運んで来た。椎名と迅はアイコンタクトを交わして、立ち上がり、最後に嫌らしい言葉を発した。
「そろそろ、お邪魔するわね♪ お二人のデートを邪魔しちゃ悪いし。ほら、迅、行こうか〜」
椎名の意図を察したのか、迅も椎名に乗っかった。
「そうだな。じゃあ、お二人さんはデートを楽しんでくれ。それと玉狛にはいつでも遊びに来てくれ」
と言って、珈琲を飲み干して去っていった。椎名と迅の言葉に和音は沸騰するような勢いで顔が紅潮していった。
二人が去った後に和音は紅潮した顔がようやく引いて来て、パンケーキを食べていた。
「和葵のチョコバナナパンケーキも美味しいね」
「味がスタンダードで良いんだろうな。和音のやつも、キャラメルが入っていて、個人的に好きだ」
「あっはははははは!
和葵はキャラメル大好きだもんね」
和音のいつもの笑い声を聞いて、先ほどとはうって変わったのどかな会話が続いた。和音は先ほどの迅と椎名の話について、和音から一言だけ口を開いた。
「誠はいつか帰って来たら、ぶっ叩いてやる!」
「そうだなぁ。迅さんや椎名さんがずっとあの件に罪悪感を感じてるもんな」
と二人で笑いあい、秋の冷たい空気が流れる中、パンケーキとコーヒーを堪能していた。
あと名前を少し変更させて頂きました。珈琲が好きなので(*´꒳`*)
*** *** ***
プロフィール
椎名 沙乃
三門病院 医師
28歳(大人) 6月18日生まれ
身長:168㎝ 血液型:AB型
好きなもの
・研究
・カレー
備考
・和音の担当医
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ジェンガ大会(仮)
「うぅぅぅ…」
和音は今にも泣きそうで弱々しい声を上げていた。現在、和音と俺、そしてもう一人、ニコニコとした楽しそうな笑みを浮かべている桜色の髪が腰まであるロングヘアした女性と三人でとあるゲームをしていた。
長方形の木のブロックを15段まで組み立てられており、木のブロックを一本ずつ片手で抜き取るゲーム、ジェンガをしていた。俺たちがなんで、ジェンガをしているかというのは、ニコニコしている女性の一言がきっかけである。
事の始まりは朝日奈隊が防衛任務を終えたあとに皆が自由にそれぞれ好きなことをやっていた時に起きた。
「ねえ、和音と和葵」
「なに?」
「折角、防衛任務終わって暇だからさ。ちょっとゲームでもやろうよ〜」
桜色のロングヘアの女性、雪野 春は暇を持て余していた。その暇を潰す為に提案をしてきた。
春は朝日奈隊のオペレーターを担っている。外見は先ほどから言っているが桜色のロングヘアに緋色の瞳、整った顔立ちをしており、綺麗系な女性だ。客観的に見てもかなりの美人だと思う。ただし、そんな彼女にも残念な所はいっぱいある。まず勉強の方は最底辺なレベルまで陥っている。そして、かなり抜けていて、うっかりミスが多い。年齢は大人ぽさを感じされるが俺と和音と一つ年下の17歳である。性格は元気印な女の子で良くも悪くも嘘を付けない一直線な性格。どんな相手にもコミュニケーションを取ることが上手くて、その点は俺は凄いと思う。
話は戻すが、ゲームをやるという点にはみんな同意をした。けれど、どんなゲームをやるかという点で和音と春はそれぞれの主張を曲げず現在も言い争っていた。
「P◯4やろうよ!」
と春は元気な声を上げてP◯4を指を指しながら言って来た。しかし、和音はP◯4をやるのが不満らしく膨れた顔を浮かべながら、抗議をしていた。
「いやだよ。春とP◯4で張り合えるのは柚宇ちゃんだけでしょ! なら、楽しく出来る人生ゲームでもやろうよ!」
この部屋に片付けられているゲーム機類やボードゲーム類は全部、春の私物である。春はゲームが大好きでボーダーでもNO1ゲーマーと称されているA級一位部隊のオペレーターと張り合える位にゲームが上手い。正直、俺と和音では相手にならないだろう。
「そんなことないよ。みんなで楽しめる系のゲームをすればいいんでしょう」
「それなら、人生ゲームでもいいじゃん!」
「いーやーだ。今、絶対に人生ゲームしたくないもん」
春はそっぽ向いて文句を言い、和音は頑なに拒否していた。どっちもどっちの言い分であり、話に終わりが見える予感がせず、傍観者と化していた俺は足を組みながら珈琲を綴っていた。
「いいじゃん。楽しければ」
和音は言い分に春は自分の言い分を述べた。
「だって、ほら。私って運がないじゃん? だけど勝てないもん」
確かに、春は人生ゲームでかなりの確率で悲惨な結果で散っていたのを思い出した。春は純粋に運が悪いのでなく、一定の期間はもの凄く運が良い時間がある。その運を含めても春の運は良いか悪いかではとてつもなく悪い。
「ほら、人生ゲームやろ!」
和音は春の話をガン無視して、人生ゲームやることを勧めた。
「和音はどうして我が儘ばかりなの!」
「春こそ、いつも言うことを曲げないくせに!」
この二人はある意味、似た者同士だ。傍観者の俺から見てもかなり面白い図だ。早く終わらないかな〜と俺が思っていた頃、和音が俺を巻き込んで来た。
「和葵、和葵はどっちのゲームをやりたい?」
和音は顔を覗き込むように、俺に尋ねた。俺は心の中でどんな回答をしても互いが互いに納得をして貰えそうになく、少し考え込む仕草をした。
「うーん… なら、二人の案に無かったジェンガでもやろうか?」
俺の意見に、和音は心地よく同意してくれた。
「うん、いいね!」
春の方に目を向けた俺は春も不服ながら渋々、同意した。
「わかったよ。ジェンガも楽しそうだからジェンガにするよ」
と言い、
「じゃあ、ジェンガ大会を開催します!」
と和音が高らかに宣言して、ジェンガ大会(仮)は開催されて冒頭に戻る。
和音は泣きそうで弱々しい声を出して、今にも崩れそうなジェンガのブロックに手を伸ばしていた。春はニコニコした笑みを浮かべて眺めており、和音が手を出したところは明らかに重心が傾いているから崩れると俺も確信していたので少しハラハラしていた。
そういえば、和音は手先が器用か不器用かと問われると絶望的までに不器用である。何が原因か全く検討は付かないが… それなのにトリオン体での戦闘は器用に武器の入れ替えをしているところなどを見ると何でだろうなって考え込んでしまう時もあり、少し謎でもある。
俺がそんなことを思っていると和音は泣く直前の顔で俺の方をチラチラと見て、助けを求めていた。俺は小さくため息を吐いて、和音を助けることを決意し、アドバイスをした。
「和音、それは崩れるところだから危ないよ」
「えっ?」
春も俺の意図に気が付いたのか、この中でジェンガが1番上手い、春も隊長である和音の肩を持つようにアドバイスをしてくれた。
「和音、今持ってるやつはスルッと抜けないでしょう?」
「うん、抜けない」
ジェンガのブロックは隙間と隙間の間があるものは摩擦を生むことがなく簡単に抜くことが出来る。これがジェンガの基本的だ。しかし、和音はそんな基本も余り理解していないのか、これって思うブロックを抜こうと必死である。
和音は少し涙目を浮かべながら言い、春はジェンガをジィッと見つめて、下の方にある中央ブロックに指を指した。
「このブロックなら、大丈夫そうよ」
「でも… 危なそうじゃない?」
春のアドバイスに和音は半信半疑になりながら、聞いた。春は自信満々に答えた。
「大丈夫! これなら行けるよ」
春の言われた通り、和音はそのブロックに手を伸ばす。
ゆっくりと指一本でブロックの中央へ触り、突き出そうとしていた。しかし、和音の右手は予想以上に力が入っているのか思うようにジェンガを突き出せていない。
「力入ってるよ」
と俺に言われた後、和音は顔が強張り、ジェンガを戻して行く。その様子を見て春は立ち上がり、和音の後ろに回って、手を掴んだ。
「ほら、力を入れないで。こうだよ」
春の添えた手と和音の手は中央のブロックに撫でるように触って、ゆっくりゆっくりと押し出した。
半分以上ブロックを突き出したところで突き出した右手を引いて、和音は今度は引き抜こうと、反対側へ覗くように突き出したジェンガを確認して手を伸ばした。
「そっと、そっと引き出そう」
和音は小さく呟きながら、真剣な表情でジェンガを抜き出そうとしていた。
そして、和音は反対側のブロックを抜き取って、見事に取り除いてみせた。
「やったぁ!!」
「おめでとう!!」
抜き終えた和音は立ち上がり春とハイタッチしながら喜んだ。
「和音、よかったね」
俺の方も喜びを見せて、和音も満面な笑みを浮かべて、
「ありがとう」
と伝えた。
今回のジェンガは俺が崩してしまい、一回、休憩を入って俺は立ち上がった。
「ちょっとコーヒー買ってくるわ」
俺は作戦室の外へ歩みを進めようと思った所で和音が聞いた。
「部屋のコーヒーマシンはどうしたの?」
和音は部屋にある俺のコーヒーマシンを指を指した。
「今、豆が切れてる。だから、自販機へ行くわ」
「あっじゃあ、私も行く!」
「オッケー」
「うん、ならついでに春の分のジュースも買ってくるけど、何か飲みたいのある?」
「じゃあ、オレンジジュースお願い」
春は俺たちの方に振り向き、ジェンガを直していた行動を止めて、指を立ててお願いした。そして、すぐにジェンガのブロックを黙々と立て直すことに専念していた。
俺と和音は同意して、作戦室から出て、自販機に向かった。
*** *** ***
俺と和音は手を繋ぎながら、ボーダー内にある自販機に向かって歩いていた。
自販機に着くと、スーツを着た茶髪の男性が立っていた。俺と和音も良く知っている人物だった。
「二宮さん、こんちわっす」
和音は元気良く挨拶を交わし、二宮は買ったコーヒーを口に含んで、俺と和音を見据えて
「…お前らか…」
と高圧的な威圧感に醸し出しながら言った。
二宮 匡貴。B級一位の隊長でNO1射手であり、総合二位の実力者である。そんな二宮さんと互角に渡り合えるシューターは俺は二人しか知らない。
俺たちと二宮さんにはちょっとした因縁というか、同じ境遇のような状況のようなものである。俺自信、
俺も控えめに会釈をして、自販機で目的の飲み物を買った。俺と和音が買っている最中に二宮さんはあることを口にした。
「お前らは平気なのか?」
その言葉は俺と和音の手が止まった。そして、暫く沈黙が続いて、和音が口を出す。
「二宮さんこそ、まだあの件について真実を求めているんですか?」
「ふん、悪いか?」
「…いいえ、悪いとは思いませんけど、私は
その言葉に二宮さんは俺たちを睨み、ため息を吐く。
そして、コーヒーを綴り、あの話について繰り出す。
プロフィール
雪野 春
本部所属B級??位 朝日奈隊 隊員
ポジション:オペレーター
17歳(高校生) 4月10日
身長:160㎝ 血液型:B型
好きなもの
ゲーム
ボードゲーム
あんまん
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和葵と二宮
二宮は俺たちに向けて鋭い眼光で睨み付けてプレッシャーを掛けてきた。俺と和音は内心、臆したが表面上では眉一つ動かさず、二宮から喋るのを待っていた。やがて、一つの質問が飛んできた。
「誠は帰ってきたのか?」
「……!」
俺は顔色一つ変えることは無かったが、隣にいる和音は声を出さなくても分かりやすく反応してしまった。和音は口を噤んだまま何も言おうとはしなかったから代わりに俺から口を開いた。
「誠はまだ帰ってきていませんよ。それとまだ誠のことも疑っているんですか?」
今度は俺の方から二宮に向けて睨みつけたが、二宮は何も言わずに和音、俺の順に見渡し、俺に冷たい目を注いだ。和音は何かを感じたのか俺の服の袖を掴む。そして、二宮は小さく溜息をして俺にだけある合図を出した。
「望月、場所を移すぞ」
俺は二宮の言いたいことを理解して、和音に声を掛けた。
「……悪い、和音。春の分のジュースの分を持って先に戻ってくれ」
「何で? いやだよ」
和音の大きな瞳は俺をはっきりと捉えていて俺を見つめていた。納得はしてもらえないだろうけど、俺は和音に優しく言った。
「和音、男と男の話だから分かってくれよ」
俺が言い終わる頃には、和音は既に顔を膨らませていて、納得をしていない表情をしていた。
「安心してよ。和音が
「むぅ…
なら、いいけど」
と和音は不満そうだが、何とか納得をして貰い、俺は和音と別れて、二宮と共にラウンジへ向かった。
ラウンジに向かっている途中、俺と二宮は誰も口を開くことはなく、二宮は一言だけ俺に告げた。
「相変わらず、お前は嘘が上手いな」
二宮はそれを言い、俺は静かに答えた。
「和音には、ずっと前を見て欲しいだけだ。それに和音の悲しむ顔なんて
俺の本音に二宮は小さな声で
「そうか」
と言った。
*** *** ***
朝日奈隊と二宮隊は、元々はA級部隊であった。しかし、それぞれの隊員が同じ時期に隊務規定違反を犯してしまい、降格処分、その他諸々の罰が下された。
二宮隊の鳩原と朝日奈隊の草薙 唄葉はほぼ同時のようなタイミングに
そして、二宮は鳩原失踪から、独自に捜査をしており、同じく、失踪した草薙 唄葉の弟である誠と俺、和音や春にも疑いをかけている。
俺と二宮はラウンジの個室へ向かい、お互い、席を着いた頃に先ほどの話を再開した。
「それで、二宮さんは何が知りたいんですか?」
開口1番に敵対心剥き出しで聞いた。既に何回も二宮さんに個人的に事情聴取をされていて、正直ウンザリをしている。だけど、俺に事情聴取するときに和音や春には聞かないという約束は律儀に守ってくれている。
二宮はスッとこちらを見据えながら、口を出した。
「まずは誠…草薙 誠は帰ってきて居るのか、居ないのかの話だ」
「……。どうして、それを聞くのですか?」
「あいつの姉である、草薙 唄葉について、1番詳しいのは血族であるあいつだ。それに唄葉なら鳩原失踪を唆し、実行したのかもしれない」
二宮の言葉には重みを感じ、俺は歯切りを悪くした。俺の知っている唄葉は
「誠は一ヶ月くらい前から学校も休んで、地方の方へ行っています。目的は俺にもわかりません。だけど、二宮さん。俺はこれだけは言えます」
俺の言葉に二宮は眉をひそめて、俺は続きを話した。
「誠は唄葉と鳩原さんの事件からずっと真実を求めて、探しているのです。誠は共犯どころか何も知らないですよ」
俺の弁明し終えた後に、ずっと考えていたことがあった。誠と二宮は目的は同じなのに協力しない。理由は幾つかあるが、あの二人はこのことに関して協力をすることは絶対にないのだろう。
俺の言葉に二宮は苛つきの表情を見せて、はっきりと言った。
「じゃあ、誰があいつを唆したんだ?」
「確かに唄葉なら人を唆すことなど容易に出来ます。だけど、彼女はルール内の穴を突くことはあっても、ルールを破ることなどしない。ましては、民間人までトリガーを横流しするなどあり得ません。これは俺の考えですが、鳩原さんと唄葉は目的が違うと思います」
長い説明に二宮は付いて行き、理由を問いた。
「どういう意味だ?」
「そのままの意味ですよ。鳩原さんの目的は知りませんが、だけど、
二宮は甘い蜜の餌に飛びつく勢いで俺に命令口調で言った。
「教えろ、唄葉は何を企んでいた?」
二宮が言った後、俺は唄葉の言葉を一瞬だけ、思い出していた。
*** *** ***
「私は、和音の病気を治せるかもしれない可能性が近界のある国にあるかもしれないわ」
「その件については私に任せて」
「大丈夫でしょう? あなたたちに迷惑は掛けるかもしれないけど、和音や、誠、春と違って、あなたは止めないでしょ?」
「あの協力者、×× ××がもしもの時に助けてくれるよ」
「私のことは時期が来たら、朝日奈隊のみんなに教えてね」
「貴方だから頼めるの。私が消えたあとのことはよろしくね」
*** *** ***
やがて、唄葉は
「二宮さん、それは教えることは出来ません。俺が言えることは唄葉が鳩原さんを唆した可能性は0だってことです」
真っ直ぐと二宮を見つめて、二宮は諦めたように溜息をし
「ちっ、そういえばお前も喰えないやつだったな」
と言った。もう一つ質問というか当初の質問をした。
「その唄葉の目的とやらは誠は知っているのか?」
「いや、誠も何も知りませんよ」
肩を竦めて答えて、今度は俺の方から質問をした。
「二宮さんなら、鳩原さんの件、かなり調べがついているのでしょう?」
俺の言動、動きの隅々まで、疑い、対抗するように答えた。
「ふん、重要なところを何も教えないやつに答える義理はない」
二宮の言葉に一理あり、俺は笑みを作り、言った。
「そうですね。二宮さんは間違ってないです。だけど、誠みたいにならないでください」
「どういう意味だ?」
「深い意味はないですけど、復讐になんて囚われないでください」
「安心しろ。俺は復讐なんてしない」
と言い、二宮は立ち上がり、ラウンジの個室から出て行った。
俺は、逡巡するように独り言を呟いた。
「唄葉はまだ生きてるよね?」
誰も聞こえない消えそうな小さな声を発して、俺も立ち上がり、朝日奈隊の作戦室に帰った。
*** *** ***
「「遅い!!」」
和音と春は声を合わせて言い、俺はとりあえず謝った。
「ごめん、ごめん」
「二宮さんと何を話してたの」
和音は自然に抱きついて、俺は一瞬だけ頬を染めて、和音はそれを気にせず、あの件について春に聴こえないように聞いてきた。後ろで春が俺と和音が抱きついたことにニヤついた笑みを浮かべているのを見えるが、和音にだけ聞こえるように答えた。
「いつも通りの唄葉と鳩原さんの話さ」
俺はそれだけ言い、和音は抱きつくのを辞めて、手を繋いで、俺を見つめた。そして飛びっきりの笑顔で
「言いたくないことは何も言わなくていいよ。私は和葵を信じてるから!」
と言った。俺もその笑顔を見て、心から救われた気がし安心をした。そして、ソファに座って、ジェンガの続きを始めた。
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余命 そして新たな約束
11月の下旬、秋風が吹いて肌寒い季節になっており、そろそろ防寒着が必要な時期になった。俺と和音は学校が終わって、一緒に手を繋いで帰っていたところ、和音の何気ない一言からまた話は始まる。
「今日、私の家に来ない?」
和音は寒いのかそれとも違う理由なのか、頬を赤らめながら面と向かって言ってきた。
「うん。いいよ」
と。俺は特に何も考えずに快諾した。そして、現在、和音の家に向かっていた。
和音は自分の家に着いて、いつもの要領で勢いよく玄関のドアを開けて、家に入っていった。和音のこの日常の様子を見ていると俺は何処か安心する。
俺も遅れながら和音の家に入って、いつもしっかりと掃除されている廊下が奥まで続いており、和音は既に奥まで続いている廊下を走り抜けていた。
「ただいま!」
和音の元気印の声は誰かに向かって、言っていた。そして、ワンテンポの遅れて、
「おかえり!」
と和音と似た元気印な声が聞こえてきた。いや、よーく聞けば和音とはまた声の質が違うが、初見ではまず分からないと俺は思う。
俺も靴を脱いで、和音の分の靴を揃えてから、和音の家のラウンジに向かった。
真っ直ぐの廊下を抜けていった先の扉は既に和音が先に開けており、俺もそこへ向かったら、和音に似ている女性が座っていた。立ち振る舞いとか和音よりもずっと大人ぽいけれど。
「お邪魔してます。和子さん」
この人は和音の母の和子さんだ。俺は何回も和音の家に訪れているし、交際も認めて貰っており公認してもらっている。
「いらっしゃい、和葵くん」
和音の天真爛漫な笑顔とは違い、和子さんの笑顔は優しく包み込むような笑顔でそれはそれで俺は好きだ。
「和音は自分の部屋に行ったわよ。あっそうだ」
「…?」
和子さんは俺を引き止めるように手を振り、和子さんはクッキーと珈琲とカルピスをお盆に乗せて、
「これ持ってって」
と和子さんはいつものようにお盆を渡して、
「いつもありがとうございます」
俺はお礼を言い、お盆を受け取った。
そして、奥にある和音の部屋へ向かった。
和音の部屋に着いて、俺は片手でドアを開けた。
「和音、お待たせ」
「あっありがとうね」
「まあ、いつものことだから気にはしていないよ」
和音の部屋はシンプルだが、女の子らしい部屋が目に入っていった。和音の部屋も何回も入ったことがあり、そのまま歩み、テーブルに和子さんから貰ったお盆を置いて、テーブルの側の床に座った。
「それで何するの?」
俺は今日、突然、和音に誘われた形で和音の家に訪れていた。何をするのか全く聞いておらず、ちんぷんかんぷんな状態であった。和音は何故かニヤけた顔をしながら、自信満々にあるものを取り出した。
「今日はこれを観ます!」
和音が取り出したのは、最近DVDに出たばかりの人気作品であるSF映画であった。以前、和音が観たいとずっと話題に出して話しており、映画も行きたかったが、時間が中々合わず結局、観に行くことが叶わなかった。
「あっそれ、和音が観たいって言っていたやつか」
「うん。和葵の好きな種類の映画じゃないけど私は一緒に見たい! いいでしょう?」
和音は俺の側に寄って来て、上目遣いで聞いてきた。俺は和音の不意打ちに可愛いと思いつつ、目を逸らして答えた。
「まあ、別に和音の部屋だし、和音の好きなものを観ようか」
「流石! 分かってる♪」
俺の了承を得られたと同時に和音は立ち上がり、飛び跳ねるように喜んだ。そして、DVDディスクに向かい、セットをした。
やがて、映画観賞が始まった。和音はDVD観賞が始まると俺の隣に来て、俺の腕に思い切り抱きついた。
「あっはははははは、温かい」
俺は一瞬、驚いたが、自然と和音の行為を受け入れて、目の前のテレビに集中した。
*** *** ***
「うわわぁぁぁぁぁっっ」
SF映画が終わって、和音は先ほど見た映画の余韻に浸っており、途中から涙をずっと流していた。どうやら、感動したようだ。
ここだけの話、和音はかなり、涙もろい。悲しいことがあったら泣くし、感動することがあったら、涙をボロボロ流す。その和音の一面を知っているの俺だけで少し嬉しい気分になる。
和音は俺の胸を勝手に借りて、涙を流していた。そんな可愛らしい和音を俺は頭をポンポンしながら、
「ほらほら、落ち着いて」
と一言だけ声を掛けて、和音が泣き止むのをそっと待った。
やがて、和音は泣き止み、俺の胸から離れていった。珈琲も二杯程貰って、日はすっかり暮れている。
「さて、そろそろ帰ろうかなぁ」
俺がそう言って、立ち上がろうとすると和音は俺の手を掴んで、一言だけ言った。
「待って!」
いつものように底抜けの明るい声とは一変、悲痛な表情と少し震えている手から和音から不安を感じ取り、俺にも不安が移ってしまった。
「…どうしたの?」
俺は和音に戸惑いながら、聞き返して、和音は中々、口を開かず口篭ってしまう。
「……いいから、一回座って」
和音に言われるがままに従って、和音と向き合う形で座った。
「………私さ…」
和音が何かを言おうとすると声が思ったように出ないことに気が付いて、和音は言い出そうにも言えないことだと思った。俺はそんな和音を落ち着かせるように一言だけ言った。
「和音のペースでゆっくり言うといいよ」
俺の言葉に安心したのか、和音は控えめながらもいつもの笑顔を見せて、口を開いた。
「ありがとう。実は今日、和葵に伝えなきゃいけないことがあるの」
やけに真剣に言う和音に固唾を飲んで俺は尋ねた。
「何を?」
「えっとね…… 私があと生きられるのが一年らしい……」
和音の言う言葉にこの世の世界が反転したかのような感覚に襲われ、俺は言葉を失った。だけど、そのやがて来る事実に俺は頭の中で理解していても、本質は分かっていなかった。
「……それって…。もう治ることはないってことで一年しか生きられないのか?」
俺は理解が追いつかずも、かろうじて振り絞った言葉で和音に問いかけた。和音は顔を俯きながら小さく首を振った。
「今の所は病気を遅らせることしか出来ないんだ… だけどね、仕方ないんだ!」
和音の下手な笑顔を作ろうとしたが、不安と恐怖に覆われている。そして、俺は腹が立った。多分この感情は怒っている。
「…和音。何でそんなことを言うの?」
俺のナイフのような言葉は和音にとっては図星だったようで、不愉快この上ない顔を浮かべて、駄言を並べた。
「だって、もう私は長生き出来ないもん。それに和葵はいつも私の為に生きていたのを知っているよ」
確かに俺は今まで、和音と一緒にいたのはあの約束があったからだ。だけど、理由はもうそれだけではない。
-だから、約束して。ずっと私と居て-
だからこそ、例え和音があと一年しかない人生でも最後の一瞬までずっと和音といたい。少なくとも俺はそう思っている。そして、そんな風に和音が生きるのを諦めるのはあまりにも不条理だ。
「俺は和音と最後の一瞬までずっといたい。だから長生き出来ないとかそんな悲しいことを言うなよ」
「でも、私いつか死ぬんだよ…」
和音は今にも泣きそうな顔でそう言った。
「だから、どうしたんだ? 俺はずっと和音と一緒にいる。大好きだから」
俺の言葉で和音はさらに大粒の涙を流して、そして本音を語ってくれた。
「……私も、ずっと… 和葵と一緒に生きたい。もっといろんな景色を見たい」
和音の言葉に俺と和音は抱き締めた。そして、和音に
「和音、俺が唄葉が
「え?」
和音は泣きつつも、俺の言葉に耳を傾けた。
「実は、唄葉はね。和音の為に
俺の言葉に抱き締めるのを一旦、辞めて、和音は泣きながらも驚きと戸惑いを隠せない表情をしていた。
「え? どーゆーこと? なんで和葵が知ってるの?」
「前に唄葉が話してくれたけど、もしかしたら近界に和音の病気を治せるかも知れない国があるっていう噂を聞いたんだ」
「それだけの為に唄葉さんは、
「ああ、あの人は元々、
俺の言葉に和音はようやく泣き止んで、俺の提案について聞いた。
「今は、無理だけど、来季のB級ランク戦を勝ち抜いて、遠征部隊に選ばれて、唄葉の向かった国に行かないか?」
和音は疑問を素直に聞いた。
「和葵は唄葉さんの行った国を知ってるの?」
「まあ、一応な。それで俺の提案に関してどうだ?」
和音は申し訳なさそうに答えた。
「でも、誠とかも居ないし、それにボーダーを裏切ることになる。みんなにも迷惑かけられないよ」
と答えた。俺は念を押すようにもう一度言った。
「俺は和音と最後の一瞬まで一緒にいたい。だから、和音の病気を治す手段を見つけるチャンスだと思う」
「で、でも……」
「和音には時間がないんだろう? だからこそ、小さいチャンスでもやるべきだと思う。俺は和音にはずっと生きていて欲しい」
和音は俺の意思が伝わったのか、和音は頬を叩いた。そして、答えた。
「わかった。次のランク戦に参戦して、大暴れしよう!」
和音は笑顔でそう言って、俺も安心した。
和音は俺に小指を出して、俺も和音の小指に自分の小指を絡ませた。お互い誓いあった。
「新しい約束だな。必ず
「新しい約束だね! 私は絶対に生きるよ!」
そして、まだ暫定だが、朝日奈隊の目標も決まった。そして、俺と和音には何も迷いはなかった。
次回は番外編は挟んでから、ようやく原作本編と合流します。
番外編は序章で書けなかった話を書きたいと思っています。
また少し時間が掛かると思うので、お待ちくださいm(_ _)m
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