ソードアート・オンライン 仮面ライダー SAOvsEX-AID (仮面ライダー ダーク)
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登場人物設定詳細(SAO事件前)
この小説のオリキャラ。宝生永夢の息子。
基本的には永夢と変わらない性格だか、ゲームによって性格の違いが出る。体の中のバグスターウィルスを使って声帯の形を変えられる。なので聞いた事のある人間の声を完全再現が出来る。
英斗の父親。バグスターウィルスを改良し、人間の病気を治せるように研究している。
|パラド
宝生家の家政婦さんならぬ家政夫さん。永夢が家にいない間は家庭教師如く勉強を教える。ゲームは永夢と英斗と3人で遊んでいた方がいいらしい。
|ポッピーピポパポ
英斗に対し弟の様に可愛がる。(本人は恥ずかしいのでやめて欲しいとのこと)
宝生永夢の専用看護師として側にいる。永夢と一緒にバグスター治療の研究をしている。
|新檀黎斗神
英斗がゴッドマキシマムマイティXを使用し、自身のバグスターウイルスで精製した謂わばパチモン。若しくはバックアップ。レーザーにやられた記憶もある。
|紺野家
4人家族でAIDS(エイズ)の感染者である。英斗の案で体の中にバグスターウイルスを入れている。
紺野家の双子の姉。おっとりした性格の持ち主。英斗が大好き。
紺野家の双子の妹。姉と違い、活発な性格の持ち主。入学式に初めて出会った時から英斗とは強い友情で結ばれた。英斗が大好き。
ソードアート・オンライン βテストでの宝生永夢のアバター。顔はSAOアニメ11話の孤児院の《ギン》と同じ。服はエグゼイドのイメージカラーのピンクを中心にしていた為、馬鹿にするプレイヤーは数多くいたが、デュエルを挑んでも無敗。武器は【メタルハンマー】(片手の小槌型)と【アニールブレード】を使う。千人のβテストプレイヤーの中で唯一ノーコンテニューで1番高いレベルに達していたので、天才ゲーマーMの異名はまだ続く。
|キリト
βテストでの桐ヶ谷和人のアバター。Mのパートナーをやっていたが、ハイレベルプレイについていけず、第3層でパートナー解消をした。
次はプロローグの方を投稿します。
こちらは平成二期ライダーが全員集合です。(諸事情でいない人もいるけど仕方ないよね?)
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エグゼイドの家族
2017年、宝生永夢の活躍によってバグスターウィルスが完全に消滅した。いや、正確には人に害を及ぼすバグスターウィルスがリプログラミングされ、あらゆる病を治す為の投薬になろうとしているのだ。
ある日永夢は、衛生省の日向審議官に呼び出されて電脳救命センター(以後CR)にいるのだ。
「お久しぶりです。恭太郎先生」
「元気で何よりだ。永夢君」
日向恭太郎、衛生省の衛生大臣官房審議官であり、元ドクターで宝生永夢の担当医である。
「それで先生、一体何のご用事で?」
「ああ、実はね……」
日向審議官は永夢にだけ聞こえるように話した。
「エェーーーーーーーー!!」
そして数年後…………
2022年の5月のある日、父さんが仕事を終えて帰宅して来た
「ただいま〜」
「おかえり父さん」
僕の名前は
そして父さんの
「おかえり、ポッピー。Mは今日はどんな面白いドジをしたのか2人で想像して楽しんでたところだったんだ」
「ただいま、パラド。何回言えばわかるかな〜。この姿の時は明日那だってば」
この2人は《パラド》と《ポッピーピポパポ》
現在仮野
バグスターはみんな消えたとか無力化とか曖昧だけど、父さんが2人を自分の家族の一員にした。明日那さんは父さんの専属看護師で、パラドさんは家で留守番という名の家事担当である。料理がかなり上手で、僕の勉強と面倒を見ている家庭教師&家政夫である。この前、
「パラドなら英斗の事安心して任せられるよ」
「な、何だよ急に」
「ううん、本当の事だよ」
「やめろよ。それより早くゲームしようぜ」
と、顔をちょっと赤くしてゲームの準備をしようとしていた。
「パラドが照れてるなんて……ちょっと可愛い」
なんて会話をしていた。
「あれ?それは何?」
「ああこれ? 幻夢コーポレーションの作さんから貰ったんだ。 夕飯が終わったら開けてみよう」
「え? 作さんが?」
作さんとは、幻夢コーポレーションのガシャット開発部の部長から昇格した新社長で、今も父さんの手助けをよくしている。
「へー、久々に心が躍るなぁ〜後で俺にも見してくれよ」
「もう、それより夕ご飯だよ。」
「わかってる。今日は唐揚げを沢山作ったよ。」
そういうと明日那さんはわーいと言い、
「やったね英斗。大好きな唐揚げだよ」
「いや、大好きなのは明日那さんの方じゃないの?」
そうゆうと明日那さんは人差し指同士をツンツンし出した。
「う〜。だってパラドの料理はどれも美味しいんだもん」
「プフッ」
あ、いけない。笑ってしまった。
「もう、英斗くんの意地悪」
そうゆうと、明日那さんはくるっと回って変身した。回る瞬間は色んな音符が出てきて、でてきたのは可愛いらしいという言葉が似合うピンクの髪をして、カラフルな服をしたお姉さんだ。
「お、やっとポッピーって言えるな。なあ、英斗」
「ちょっと、英斗は関係ないでしょ〜」
からかうパラドさんと照れるポッピーさん。
「そんな事無いよ。なあ、英斗だってポッピーって呼びたいよな」
「え、そうなの?」
凄く驚いた様子で僕に聞いてくるポッピーさん。
「う、うん。呼び捨てしやすいからね。」
とりあえずそう言っておく。別に深い意味は無い。
「そっかー。でもダメ〜呼び捨てなんてさせないよー」
「何だよ。シラける事するなよー」
「いくらパラドが言ってもダメなものはダメなの」
「はいはい。とりあえず、みんなで食べよう。ね?」
「「はーい」」
「手伝いよろしく」
暖かい家族風景はそこにはあった
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新たなゲーム
夕ご飯を食べ終わった僕らは、早速袋を開けようと準備していた。
「さあ、袋を持ってきたぞー」
「カッター」
「はい」
パラドさんが僕にカッターを渡す。
「これより、開封を始める」
「英斗!飛彩さんみたいになってる!」
父さんいわゆる、僕は人の声真似が凄いらしい。だから父さんや明日菜さんも今みたいな反応をする。正直楽しい。
「やっぱりハサミがいいんじゃない?」
「いや、それだと外科医っぽくない」
「そんな事に拘らないで!普通に開けよう!ね!」
焦る父さん。ノリノリなパラドさん。ポッピーさんはというと
「そうだよ!ダンボールだからカッターが安全だよ!」
「いやいやいや、そこは英斗がカッター使うと危ないっていってよポッピー!」
父さんは凄く焦ってる様子だ。
「僕だってあけたいよ!だって僕が貰ったんだもの!」
「お、本音が出たな」
「此処は父さんに譲ろうそうしよう」
父さんをからかうのが今までの人生で一番の楽しみだというのはパラドさんとだけの秘密である。
「よし、開けるぞ」
カッターを構える父さん。ゆっくり切られるダンボールのテープ。さっきから落ち着きのないパラドさん。 今か今かと待ち構えるポッピーさん。そして僕はというと、反対側からカッターでテープを切っていた。
「よし、いくよ!オープン!」
「「レッツ オープン!」」
「let's open!」
最後は僕が言っている。決してパラドさんでは無い。ましてやガシャットでも無い。まあそれはどうでもいい。重要なのは箱の中身である。
「こ、これは!」
「まさか!これが来るなんて!」
「夢なら覚めて!」
「そんな事いう人はこうだ」
パチン。デコピン。
「い、痛い!何でそんな事するの!」
「え?だって夢だって言ったから」
「英斗にやられると思わなかったの!」
父さんやパラドさんでもいいのか?まあ、何故こんな会話しているかというと、箱の中身は《ナーブギア》だったからである。
《ナーブギア》とは、今月に発売したばかりの新型ゲームハードである。旧型ゲームハードと呼ばれるものは、まぁ、w○iとかp○4とか置いてるハードにカセットを差してそのゲームを遊ぶものである。
「すごっ!作さん一体どうやってゲットしたんだ?」
「やっぱり幻夢コーポレーション社長だから特別に貰えたんじゃ無い?」
「え?ガシャットとVRは関係ないんじゃない?」
そう、新型ゲームハードはVR、つまりVirtualRealityの世界で意識だけ送り込み、楽しむというゲームハードである。しかし、
「幻夢VR以外のVRゲームか……」
「心が躍るな、永夢」
幻夢VRは、現在聖都大学附属病院の外科医のシミュレーション手術に使われていると聞いている。父さんは幻夢VRの最初の経験者だ。
「それより、これは一体誰から始める?」
そう、新しいゲームがやる時はジャンルごとに分けてやっている。しかし、これはVRという誰のジャンルにも当てはまらない。
「別にこれ専用のゲームじゃなくてもいいんじゃない?」
とパラドさんが言う。皆の頭はハテナマークしか無い。
「どゆこと?」
「あぁ、言い方が悪かったかな?別にナーブギア専用のゲームをやる必要ないんじゃないって言ってるの」
「What's?」
まるで意味がわからない。
「実は、ゲンムが仮面ライダーのデータを集める為に作ってたVRシステムがまだ残ってるんだ」
「それってあのゴーグルみたいな装置の事?」
「そこでだ、それとナーブギア使ってガシャットのゲームをやろうって思ったんだ。これオンライン重視なんだから英斗には危ないだろう」
なるほどそう言う事か。
「わかった。それで行こう」
「え?いいの?」
「いいよ。英斗と仮面ライダーで戦いたかったし、パラドといつか勝負するって約束あるし」
「俺は幻夢コーポレーションからマシン持って来る。英斗、明日から楽しいゲーム生活だぜ?心が躍るだろう?」
一体何をやるのかわからないけど、僕はうなずいた
ということで次からはライダーガシャットのゲームを始めます。SAO関連はちょくちょくやるつもりです。多分かなり少ないです。
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宝生英斗と未知なる感情
この話をもっと早く思い付きたかったけど……パラレルショッカー編でそれどころじゃなかった。
タグを増やします。(どうでもいい)
恋愛要素が入ります。藍子のキャラは私の想像です。
「父さん……」
「どうした?英斗」
ナーブギアが家に来たという興奮の渦は、びっくりする程早く収まり、もうみんな寝てる時間にベランダに並んで会話する。
「みんな…元気にしてるかな?」
「……元気だといいね」
曖昧に答える父さん。
「僕に聞かなくても、分かるんじゃないの?」
「………………」
「場所もわかってるなら、行ってくれば良いのに」
「……ダメだよ。そんな事したら」
あの子達は、傷ついてしまう。
「…………英斗の所為じゃない。みんなそう思ってるよ」
肩を抱いて、自分の方に僕を寄せる父さん。物凄く、暖かった。
「…………父さん、ぅ、ぅーーー」
全ては、僕が小学校に入学したあの時からだ。きっとあの時から、僕はあの家族を傷つけてきた。
僕は父さんと暮らして2週間、小学校に入学する事になった。
父さん達は、病院での仕事がある為、保護者付き添いとして幻夢コーポレーション前社長、壇黎斗さんが小学校に一緒に行ってくれた。如何して黎斗さんがいるかというと、
『日向審議官』
「何だね、黎斗く『壇、黎斗神だ!』失礼、黎斗神君。」
「珍しいじゃない?神が審議官に質問なんて」
CRでこんな会話がされたそうだ。
『私を此処から出「それは駄目だ」まだ話は終わって無い!』
「恭太郎先生、最後まで話を聞きまし「私が悪かった。だからそんな本気に怒らないでくれ」それで、何ですか?」
………最初、こんな会話をしていたと今も信じられないけど。
『あの英斗という子供を監視したいので、此処から出して欲しい。』
「如何してですか?」
「何をする気だ?神」
「詳しく話してくれ」
『表面上私が依頼したという事になっているが、財前美智彦の仲間の1人が、私宛にこう言ったのだよ』
《我々は財団X、バグスターウイルスと宝生永夢のDNAは我々が貰った。財前美智彦と他3人はバグスターウイルスに感染し消滅した。我々はこれらを使って研究する。表面上お前が依頼した事にしろ。さもなくば》
『全世界にパンデミックを起こすぞ、と』
「「「えぇ!?」」」
『あの子は既に新たなバグスターウイルスを持っているかもしれない。だから、その対抗策をいつでも作れる様に、私を永夢の所に移して欲しい」
「分かった。衛生省の代表として許可する」
「大丈夫何ですか?恭太郎先生」
「衛生省内では英斗君は危険視されている。ゼロディを繰り返す訳にもいかない」
「そんなに?!」
「では、宝生家に君のパソコンを置く。何かあればいつでも機材を取りに行かせる様、こちらも手配する」
『了解した。その条件で承諾しよう』
という事があったので、僕の家に住んでいるのだった。
「黎斗さ「此処ではそう呼ぶな。私は死んだ事になっているのだから」…はい、幻夢さん」
偽名が会社の名前ってどうなんだろう?
「それで、何だい?」
「お父さんの代わりに来てくれてありがとうございます」
「そんな事か?私はこの様な新鮮な体験ができた。お礼を言うのは私の方だ。
神の言葉を有り難く受け取るが良い」
後半は僕にだけ聞こえる様に言った。まぁ、僕もこの人が神レベルの人という事は家に来た初日に聞かされた。
「カメラの方は私に任せろ」
「わかりました。では僕は行きますね」
学校の下駄箱で別れ、幻夢さんは体育館に向かった。
新しい教室は、既に多くの人で賑わってた。
(これが小学校、心が躍る♪)
自分の名前が書いてある席に着き、座る。
「はーいみんな!自分の名前が書いてある席に座ってー」
女の先生が入って来た。みんなその声を聞いて座る。
「初めまして、みんなの担任の
「「「「はい!」」」」
「では皆さん、廊下に並びましょう!」
このクラスは30人位で、男女半々の構成だった。
廊下で並んでいる時、周りは楽しそうにしていた。
「おかあさんみえるかな?」
「おとうさんこれるかな?」
「そのカチューシャかわいいね!」
「ホントだ!かわいい!」
う、うるせえ……落ち着きが足りないんじゃ〜。あれー?小学校ってこんなに煩くてイライラするものだっけ?
「えへへ、これはボクのお気に入りなんだ!」
ハイハイソウデスカーー。ん?女の子でボク?ちょっとした違和感で隣を見ると、白いカチューシャをつけたショートヘアーの女の子がいた。その女の子は笑顔が綺麗だった。その顔が目に映った瞬間、
『ときめき!クリティカルストライク!』
と頭の中に響いた。あれ?幻聴が…
『会心の!イッパーーツ!』
身体の中が一斉に騒いだ感じだった。その時からその女の子には警戒心が生まれた。
(こ、此奴は一体何をしたんだ?!何をされたのが全く見えなかった!)
分かる事は、この子にはできるだけ関わらない様にしようという事だ。
それから数分後(実際は数秒しか経っていなかった)入学式が始まった。一年生の担任の紹介、来賓の方々からのお祝いの言葉(幼稚園に行ってない僕は何も聞かない事にした)、校歌が無いからそのまま校長先生の話に移り、入学式は終わってしまった。幻夢さんは何の問題も起こさず、普通に写真を撮っていた。あのカメラ絶対10万とかだよ。
自分のクラスに戻り先生が教科書を持ってくる間、皆は自己紹介し始めた。
「ぼくはさとうきょうへい!」
「おれはたなかまさと!」
「わたしはたかはしちはる!よろしくね!」
「わたしはやまざきはるこ!」
五月蝿い、五月蝿すぎる。あれ?デジャブかな?
そんな事を考えていると、あの子がやって来た。マジかよ!僕の前の席かよ!振り返ってきたら顔が見えるじゃん!他の子の所行っててよ!殆ど誰とも喋るつもり無かったのに!
「ボクは
メッチャどうしよう!ムッチャどうしよう!これ普通に答えれる気が無くなっちゃったよ!あ、普通じゃなきゃいいんだ。
「
「ドクター?」
右に首を傾ける紺野。女の子ってそれが普通なの?心臓が痛い!
「ああ、父さんと同じ、いや超える様な医者になるんだ。父さんやニコさんを超える、ゲーマーにもなる。可笑しい所、少しでもある?」
「ううん、ものすごく大きいゆめだね!」
「そう?」
「うん!ほうじょうってことはでんのうきゅうめいセンターの人でしょ!テレビでみたよ!」
「あぁ、そうなんだ」
「あのセリフがかっこいいとおもったよ!たしか……」
「「皆さんの笑顔を取り戻したい!」」
俺に指を指す木綿季、木綿季に指を指す俺。ハマって言えたあの言葉。ハマった事に笑う。
「どうやらボクたち、気が合うみたいだね!」
「みたいだな。君となら友達になれそうだ」
そう言いながら右手を出す。意図が分かったのか、紺野も右手を出し、握手する。
(えーと確か弦太朗さん流【友情の証】は……)
握り返す。離すと、相手はポカンとしている。取り敢えずゆっくりパンチし、上からトン、下からトンとっ。
「………」
黙って自分の手を見ている。やっぱり可笑しな物だったか?
「…どうした?」
「……は…」
「は?」
は?歯?葉?波か?
「はじめてみた!何それ!?」
あぁそういうことか。
「俺の父さんの友達の【友情の証】って奴だ」
「ゆうじょうのしるし?」
「そ。これをしたら友達になれたっていう事になる」
「へ〜そんなのがあるんだ」
先生が重そうな箱を上級生と持って来た。6年生かな?
「はいそれでは、教科書を配ります」
国語、算数、ノート2冊、ドリルが2冊っと。
「では自分の名前を書いて下さいね」
筆箱からマッキーペンを出す。前の席では何故かガタガタやってる。パニクってる時の父さんか?
「どうした?」
「……名前ペン、もってくるのわすれたみたい」
「…はぁ、父さんそっくりだなぁ。「え、何?」何でも無い。それよりほら、2本あるから貸すよ」
やっベー聞こえてた?小さい声で言ってたからなんて言ってたか聞いて来たか。取り敢えずペンを奴の耳にかけてやる。これで君も学年トップクラスだ!確証は無いけど。
「ふぇ?え?あれ?」
耳に掛かってる事自体に戸惑ってる。この反応、面白え!ペンを外してやる。落ちる感じにな!
「あ、あれ?おとした?」
椅子を引いて床を見る。うん、いいリアクションだ!さて、机に置いてあげよう。肩を叩き、起き上がったところを頰を指で当てる。グニャっと歪み、プニッとした感触が伝わる。
「むー」
「騙されやがって」
「にゃにしゅりゅにょしゃ」
「机の上に置いてやった。感謝するんだな」
普通あのまま喋るか?まぁ面白いからいいや。
「君、けっこういじわるだね」
「そうか?小説の登場人物は騙された方が悪いと言っていたが?」
「何それわるもののセリフじゃん!」
「歴とした主人公のセリフだ」
いいねあの小説、世界がゲームで解決するなら俺はもう不敗だね絶対!
「……君、ものすごくいじわるなるかおしてる」
「どんな感じが表現してみ」
「こう、ニヤッてしている」
「マジか、ニタァってしてなかったか」
「そっちの方がひどいよ!?」
「ほらほら早く名前書かないと」
「はっ!」
気づくの遅っ。やっぱ面白いなこいつ、最初警戒して損した。
別に普通の女の子じゃん。
…先生、何故貴方はそう微笑んでいるのですか?
何で頷いているんですか?何が「あらあら成る程」ですか?!
一応何言ってるか唇の動きで分かりますよ俺!?
名前書き終わるまで待っている。幻夢さん、いや黎斗さんは何やってるんだろ?ガシャットのメンテしてんのかな?確か残りライフ1だったねあの人。99回コンテニュー出来るらしいけど父さん達の話聞いてると150回いってるね。リセットって凄い。
「ありがとね!ペンかしてくれて!」
「おう」
律儀に返してくれる。手が触れたけど結構冷たいというかスルッとする。何だこれ?
「……冷たい」
「へぇ?そんなにひえてなかったよ?」
「あ、あぁそうか。そうか」
何だったんだ?あの感触。
「はーい、ではランドセルに入れて挨拶して帰りましょ!」
そしてみんなランドセルに入れ始める。
「じゃあ、みんなで挨拶しましょう」
「「「「先生、さようならー!」」」」
「はい、さようなら」
挨拶が終わると、皆教室から出て行く。
「えいと君!いっしよにいこ!」
「ん?他の友達はいいのか紺野?」
「んー、ゆうきってよんで!」
「分かった。で他の友達と帰らないのか紺野木綿季」
「フルネームじゃん!いいからいこ!」
そう言いながら手を掴み、ドアに向かって走ろうとする。
「分かった!分かったから引っ張るな!地味に肩が!肩が痛い!」
無理矢理連れていかれ、下駄箱に行く。
「まっててよ、まっててね?」
「それはフリですか紺木綿さん」
「こんゆう?!りゃくした!というかフリじゃないっ!」
「ハハハハハ!」
「わらいごとじゃないよ〜!」
まぁ履き替えるまで待つよ。名前順でお前の隣だから待つしかないんだよ。
「あれ?となりだった?」
「ああ、だからこんこんが先にいったら俺は待つしかないんだよ」
「こんこん?!きつねじゃないよ!」
「因みに実際の狐はワンの時がある」
「うそぉ!」
「ワンて鳴くときは威嚇、つまり怒ってるときだ。普段は人間の赤ん坊の声みたいな感じだ」
「物知りだね」
まぁネットサーフィン(物理的)してたら見つけたんだよね。
バグスターの身体はネットの中に入れるから便利だね。
「英斗君」
「幻夢さん!」
正門で首からカメラをぶら下げている黎斗さんを見つけた。
近くで見ると高級感が増すな。
「記念撮影だ、並びたまえ」
「はい」
「ねーねー!ぼくもうつっていいかな?」
「余り揺らさないでくれ酔いそうだ。(棒読み)」
「え?あ、ごめん!」
謝られちゃったよ。騙されやす!
「君は?」
「僕の友達です」
「はじめまして、こんのゆうきです!」
「初めまして、私は幻夢という」
「それで、良いんですか?一緒に写っても?」
「構わない。君が望むなら」
「やったー!」
飛び跳ねてるよ。そんなに嬉しいか?
「早く来いよゆうゆう」
「だからゆうきってよんでよ〜」
しつこいなーあだ名でいいじゃん。
「何だ?その後100倍って言えばいいのか?」
「それは【げんき】だよ!」
ナイスツッコミだ、もう少しいじっとこう。
「何?過激気?」
「げんきだよ!ってちがうよぼくはゆうき!」
なんだ、間違えると思ったのに。
「言わなきゃ駄目か?」
「ダメ!なんでゆうきってよんでくれないのさー!
ぼくのこときらいなの?」
止めろ、そんな寂しそうな目で見るな。俺が悪いのか?止めろなんか心臓が痛い。
「よし分かった木綿季一緒に写真写ってやろうじゃないか」
「やったー!やっとよんでくれた!」
やれやれ疲れるぜ。なんで俺なんかにこんなにしつこいんだ?
おい、なんで隣なんだ入学式の看板の反対側に行け。
「では撮るぞ」
「はーい!」「はい」
パシャっとカメラの音がなる。なんかチラチラ視線を感じるんだが気のせいか?
「ではもう一枚撮ろう」
気の所為か。前に向いておくと、
「えい!」
「なっ!?」
左からいきなり抱きついてきた。何してくれてるの?!そのタイミングに合わせて写真が撮られる。
「お、おい!」
「ふっふーん、いじわるしたおかえし!」
離れる気……0だねこれ。あれ?なんか心臓が……明らかに脈拍が上がってる!
「英斗君、随分と仲良くしてるじゃないか」
黎斗さんニヤニヤしてないで助けて下さい!あ、あの顔!明らかに何か企んでる!
「ちょ、ちょっと離れてくれ……」
「やーだねー!」
ヤベェよこれどうしよう!おい!頰をスリスリするな!猫かお前!おいコラ止めろ!抱きつく力強くなってるじゃねぇか!取り敢えずそろりそろりと看板から離れる。
「あれ?ねぇなんで赤いの?」
「何!?」
余っている右手で触ってみる。頰が、熱くなってるだと!
「ねつでもあるの?」
「分からない、取り敢えず離れてくれ。風邪だったら移るだろ」
「うん」
ふぅ、やっと離れたよ。しかし何だったんだ?
「木綿季君、ご家族はどこにいるんだい?」
「……おとうさんもおかあさんも、びょういんにいるんだ」
「何処の病院?」
「うーん、せいとーだいがくーびょういん?」
「おい!それは本当か!」
「わわっ、どうしたのさ急に」
「あっ、す、すまん。つい」
気づいたら肩を掴んで顔を寄せていた。イヤイヤそれより!
「その病院なら俺の父さんもいる!一緒に行こう!何だよ最初から言えば断る理由作らなかったのにさ!」
「ふぇ?どうしたのさ」
「まぁまぁ待ちたまえ、車を取ってくるから待っていてくれ」
「幻夢さん!早くして下さい!」
「分かっているとも」
黎斗さんは2人のランドセルを預かり、家に車を取りに行った。暇なのでその間、近くの公園で身の上話する事にした。勿論黎斗さんに場所は伝えてある。公園のベンチで、並んで座る。
「いやー父さんのいる病院だったかー」
「うん、ちょっとおとうさんもおかあさんも同じびょうきでね」
「……聞いても大丈夫かな?」
「……うん」
こんな事は普通、聞いてはいけなかったのに。僕は聞いてしまった。
「君の父さんと母さんの、病気の名前はなんて言うの?」
木綿季は、それを聞いて俯いてしまった。肩は震えて、今にも泣きそうだ。
「…………」
「………やくそくしてくれる?」
「何をだ?」
木綿季は顔を上げて、
「聞いても、ボクから、はなれないって、やくそく、してくれる?」
僕に言った。頰には水が通った跡が残ってる。その上から1つ、また1つと落ちて行った。
「うん」
そう言うと、驚いた様子で僕の事を見つめてくる。そんな顔は見たく無い。そう思って抱き締める。
「
耳元でそう囁く。木綿季は大声で泣きそうだった。だから頭の後ろを左手で持って肩に顔を当てて、服で涙を抑える様にした。案の定、木綿季は泣いた。だけど服で声も抑えられて、それ程大きくなかった。
「大丈夫、今は僕しかいないから。思いっきり溜めたものを出していいよ?大丈夫。君はもう1人じゃないから」
泣き終わるのに、随分と長く掛かったと思う。すっかり泣き止んだ木綿季は、
「……すぅ……すぅ……」
僕の膝の上で寝ていた。何だかよく分からないけど、頭を撫でてみた。
「……ありがとぅ……えいとぉ……」
………これが、【可愛い】、なのか……
「ライフイズビューティフー♪時に迷いー♪それでも♪戦った♪先には♪新しい君が♪待っているよ♪」
子守唄の様に歌ってみる。すると、木綿季は更に力を抜いたのか、少し重くなった様な感覚がくる。
「…やっぱり、可愛いなー」
猫みたい。ずっと撫でたくなる。ペットを飼っている人はこんな感じなのかな?
「……もしかして、違う感情?」
世の中にはLIKEとLOVEの2つの【好き】があって、LOVEは愛情が異性に向かう時に使う言葉らしい。
「まぁ、どっちか分かんなくてもいいや」
僕はまだ小学1年だ。そんな感情の区別が分かるのは13かららしいから、ゆっくりとしながら考えるさ。
「……くしゅっ……」
ん?木綿季が起きたか?顔を覗く様にすると眠たそうに目を擦る。
「うーん」
頭を膝の上に置きながら、腕を伸ばす。ゴロンと顔を上に向ける。ぱっちり目を開けてこっちを見る。
「ふぅ、あれ?なんでえいとのひざの上にいるんだ?」
「正確には《膝枕されてる》だけどな。自分が何したか覚えてない?」
起き上がった木綿季はうーん?と首を傾げて思い出そうとしていた。うん、可愛い。
「それで、言える?自分の親の病気の事」
「………うん」
木綿季は病気の事を話してくれた。家族は父親、母親、双子の姉がいて、木綿季を含め全員、治りにくて死ぬ確率が高い病気にかかっている。しかもそれは、2人が産まれる時かららしい。学校に行ってる時も大量の薬を飲まないといけないとのことだ。
「そっか、そう言うことかぁ」
大体何の病気か分かった。これは
【後天性免疫不全症候群】と言って、簡単に言うと【ヒト免疫不全ウイルス】という病原菌の傭兵が体の中の【対病原菌細胞】の数を減らして、色んな病原菌が体を攻めやすい様になってしまう。
「じゃあ僕の事も教えてあげる」
「え?!えいと君もびょうきなの?!」
物凄く驚いた様子だ。ちょっと嘘があるけど言っておくか。木綿季だけ言ってるのもなんか可哀想だし。
「ほら、耳貸して」「うん!」
すっごい楽しそう……まぁいいや。
「実はな……」「ウンウン!」
「俺はな……」「ウンウン!」
「……ゲーム病だ」「うん!うん?え?!」
本当はバグスターそのものなのだが、半分だけだし、ゲーム病がしっくりしてるだろ。
「つまり僕達は仲間みたいなもんだ」
「ほぇー、ゲームびょうなんだ」
「僕はねー父さんしかいないんだ」
「え?どういうこと?」
「僕は「英斗君!」あ、幻夢さん!こっちです!」
黎斗さんが車でやって来た。木綿季の事を忘れるところだったので、
「行こう木綿季!」
右手を差し出して立ち上がらす。
「うん‼︎」
木綿季は笑顔を見せてくれた。今日見た笑顔の中では1番綺麗に見えた。
その後、聖都大学附属病院で双子の姉《藍子》に会い、木綿季と3人で病院の中庭で遊んだ。
「紺野さん、お薬ができました」
「わかりました、直ぐに行きます」
「……何を見ていたんですか?」
看護師は2人に聞いた。
「……娘達を見ていたんですよ」
「あんなに楽しそうに…あの子は一体何者かしら?」
「さあな、唯、1つだけ分かってる事は……」
中庭が見えるガラスを見て、その男の人は微笑んだ。
「あの子なら、2人と仲良く出来るという事だな」
「あの子のお父さん、ここの小児科の先生だそうですよ」
「そうか、よく知ってるな」
「さっき紹介されたの。礼儀正しい子でしたよ」
その夫婦は、看護師の後ろを歩きながら楽しそうに会話していた事は、3人の子供達には知るよしもなかった。
2年後、クラス替えしたにも関わらず、また一緒のクラスになった木綿季に、
「え?!英斗君の家に行ってもいいの?!」
放課後、家に誘った。
「うん。お父さんはいいよって言ってるし、話したい事があるんだ」
「行くよ!絶対行く!」
「じゃあ木綿季の家に行って、藍子も誘おう」
「じゃあ早く行こう!」
「あ、おい!だから引っ張るなって!」
余程楽しみなのか、今までより行動力が速い。驚く程のスピードで木綿季の住んでるマンションに着いたが生憎、藍子は友達と遊びに出かけているらしい。
「じゃあ、英斗君家に行ってくるね!」
「おう、気をつけて行けよ」
「英斗君も行くんだよ!」
やっぱりからかうと面白い。やめられないな。
「英斗君、木綿季をよろしくね」
「任せて下さい」
「英斗君、これをお父さんに渡しといてくれ。娘がお世話になりますってな」
「わかりました」
封筒……何入ってるんだろ?
「英斗君〜」
「今行くよ。あ、そうだ。伝えたい事があります。」
「何だ、言ってごらん」
「何かしら?」
僕は2人にだけ聞こえる様に言った。
「お二人の病気が何なのか知っています。木綿季も藍子の事も知っています」
「「………」」
少し険しい顔になった……まあ普通こんな事言われた敵視するよな。
「だから、僕が治します。僕はバグスターウイルスです。お二人の体の中の病原菌を消す事が出来ます」
「「⁇」」
2人は目を合わせ、僕に向き直る。
「僕の言ってる事は本当です。信じるかどうかは、2人に任せます。でもこれだけは言えます」
更に2人に近づき、こう言った。
「あなた達の運命は、僕が変えます」
2人から離れ、笑いながらこう言った。
「それともう1つあります」
2人は驚いた顔のまま動かなかった。
「木綿季の事を泣かす奴は」
一瞬だけ睨む。「俺が倒す」
普通の表情に戻し、
「では、お邪魔しました」
玄関のドアを閉めた。
玄関のドアを閉めたその子が、離れた音を聞いて、妻はしゃがみこんでしまった。
「大丈夫か?」
私は妻の背中に手を置く。
「あなた」
妻は両手で口を押さえていた。
「神様は、私達の願いを聞いてくれたのだわ」
「落ち着け、まだあの子にそんな力があると分かった訳では無い」
「……ええ、そうね。でもあなた、あの子が本当に私達を治してくれる。そんな気がして仕方ないの」
「……実を言うと私もだ」
あの真剣な表情、あの言葉。本当に私達の事を助けてくれる。そんな気がして仕方ない。
「…………信じてみようか」
「…………ええ、私達の、木綿季と藍子の為に」
もし自分達が死んだら、あの子に2人を任せよう。
そう思った私達だった。
木綿季が家に来て、真っ先に出迎えたのはパラドさんが作ったおやつだった。家に入ってからは殆ど2人一緒だった。一緒にクッキー食べたり、4人でゲームしたり、2人でゲームしたり、お父さん達がやって来て6人でご飯を食べた。
「パラドさんって、ホントに料理が上手だね!」
「この家じゃ1番美味しく作れる人だよ」
明日菜さんより料理スキルが高かったパラドさん。どこで覚えてるんだろう?
「ほらほらちゃんと食べな英斗。木綿季ちゃんを守れる様に強くならなくちゃ!」
「そうだよ英斗ー。木綿季ちゃんを泣かせちゃ、私が怒るよ!」
パラドさんを明日菜さんも何言ってるんだか。
「大丈夫ですよ。英斗は優しいから、泣かす事は無いですね」
やっぱり父さんは僕の事を分かっている。
「それに、あんなに仲がいいなら、英斗君は泣かす者がいたら容赦無しに潰すだろう」
「黎斗!物騒な事言わないの!」
あ、言っちゃったよ。
「明日菜さん!」
「あーあ」
気づくの遅いね。だけど心配ないよ。何故なら……
「あ、もう知ってます。英斗君が教えてくれました」
「え?!」
「英斗!?教えちゃったの?!」
「だって、ねー?」
「ねー?」
2人きりになった時に全部言っちゃった。僕が人造人間という事も仮面ライダーになれた事も。
「僕の事教えたしー?」
「ボクの事も知ってるもんねー?」
僕は木綿季の家族全員がエイズのを知っている。
木綿季は僕の家族が殆どがバグスターなのを知っている。
「フッフッフッ、つまり私が神という事は「あ、ボクはキリスト様が英斗君に合わせてくれたと思ってます!」グフッ!「僕は壇黎斗神さんが木綿季に合わせてくれたと思ってますよ?」……英斗君、君だけだよ。私の味方は……」
「すっかり仲良しだね」
「毎日会えると思うと、ワクワクするんです!」
「お、嬉しい事言ってくれるね〜。なぁ英斗?」
「アー何イッテルカ全然聞コエナイー」
「耳を塞がないでよ〜」
「分かった!分かったから揺らすな!」
その日は夕ご飯を食べて黎斗さんに車で一緒に木綿季の家に送って貰った。その日を境に、毎週お互いの家に泊まる様になった。木綿季の家に初めて泊まった時は、バグスターウイルスを家族全員に感染さして、バグスターウイルスがHIVを消す様にした。だけど、他のウイルスに攻撃されているのか、2週間でバグスターウイルスが消えてしまうので、2週間毎に泊まって、バグスターウイルスに感染さして貰っている。
そんな楽しかった日々だった。
小学4年生になってすぐの頃、どういう経緯か、木綿季がHIVキャリアだという事が同学年の保護者の一部に伝わったという噂を職員室で聞いた。僕はその週末木綿季の家に泊まる事になっている。その時に聞こう。
「おじさん!」
あの子がやって来た。顔が見えた時は、物凄い形相だった。
「大丈夫ですか?一体何をされてるか教えてくれますか?」
私と妻は、手紙や電話で嫌がらせをされている事を話した。話を終えた後の英斗君の様子は、手と肩が震え、唇の端から血が流れていた。
「ぜ……い……」
「え?」
「絶対に…許さない……!」
この子は、私達の為に怒ってくれた。それが堪らなく嬉しかった。
「おじさん」
「何だ?」
「僕言いましたよね?木綿季を泣かす奴は潰すって」
「あぁ、そうだな」「えぇ言ってたわ」
丁度、電話が鳴り始めた。また嫌がらせの電話だろうか。
「………今がその時です」
英斗君はそういうと立ち上がり、電話の方に向かった。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
止めようとしたが無駄だった。その子は受話器をとり、拡声ボタンを押した。
『おたく、エイズ感染者だってね。うちの子が感染したら如何するのさ?責任取ってくれるの?』
あぁ、やっぱりか……
『もしもーし、聞こえてますか?返事も出来ないんですか?』
これ以上英斗君に聞かせたくない。そう思って英斗君から受話器を取ろうとしたが、ビクとも動かない。
「黙れ……」
『あ?何だって?聞こないよ〜?』
英斗君は大きくため息をつき、こう言った。
「黙れと言ったんですよ。あなた達みたいな巫山戯てる奴は1番ムカつくんですよ」
「!」
英斗君は、確かに、電話の相手に対してそう言った。如何したんだ?あんなに礼儀正しくいい子だったのに。しかも声が、私そっくりだ!
『もしもし旦那さん?私達が一体何時巫山戯ているのか教えてもらいましょうか?こっちは真剣なんですよ』
「黙れよ屑が。電話で嫌がらせするんじゃなくて直接家に来い。面と向かって話も出来ない小心者が、この家族に傷つける様な事してんじゃねーよゴミ」
「英斗君!もういい!やめてくれ!」
私は英斗君にそう言った。けど彼は、受話器の口元の方を抑え、こう言った。
「まだですよ、こんなんじゃまだ足りない」
受話器から手を離して会話に入る。
「大体あんたのとこは如何やってエイズになるか知ってるんですか?触ったら移るなんて馬鹿な知識な訳ないですよね?」
『え?あーとそのー』
「その程度の知識しかないのに電話で講義ですか?ハッ!馬鹿ですかあなた?もう一度中学生やり直したら如何ですか?それか大学行って教えて貰って来て下さい。あぁそれと最後に」
英斗君は大きく息を吸い、
「2度とこんな事するな‼︎分かったか‼︎」
大声でそう言い、電話を切った。
「英斗君……」
「ふぅ……如何しました?さ、夕飯の支度しましょ。準備手伝いますよ」
まるで何事も無かったかの様に元の声の優しい口調で私達に言った。
「……え、えぇ!そうね!今日は英斗君の好きな物にしようかしら?」
「おばさんの料理は全部美味しいから悩みますね。木綿季と藍子も呼びます?」
「えぇ、お願いするわ」
「了解です」
そう言って英斗君は藍子達を呼びに行った。玄関の呼び鈴が鳴ったので、玄関に向かった。
「はい。あの、もしかして貴方は…」
若者が着ているようなカラフルなシャツに白衣。顔が何処かあの子に似ている。
「紺野さん…ですね。息子の英斗がお世話になってます」
「いえいえ、そういえば直接会うのは初めてですね。上がります?」
「いいえ、今日は貴方にお話があって…というか、さっきの声が聞こえてしまったもので……」
「あぁそうでしたか。私の声のはずなんですけど、私じゃないんですよ」
「如何いう事ですか?」
「実は、お宅の息子さん、英斗君がやったんですよ」
「ああ、そういう事でしたか。英斗は、直接会って会話した人の声を、そっくり出す事が出来るんです」
「え?」
「聞いていませんか?あの子は、実は人間じゃないんですよ」
「え?じゃあ、バグスターだって言ってたことは……」
「強ち、間違いじゃないんですよ」
「そうだったんですか」
「あの子は…正義感がとても強いんです。この前も、虐められた上級生を助けたって聞きました」
「そうですか……」
「英斗は…優しいんです。僕に紺野さんの病気の事を言った後、治したいって必死だったんです」
「……優しいのは知っていました。今も助けて貰いました。感謝しても足りないくらいです」
本当に、優しい子だ……
「紺野さん、何かあれば僕にも言ってください。僕も英斗も、紺野さんの事を助けたいんです」
「…………」
親子揃って、優しいんだな……こんな、私達に…
「……本当に……本当に……ありがとう…ございます……うぅっ」
紺野家に対する電話での嫌がらせは、自動的に宝生家の電話に繋がり、僕やパラドさんがその電話を対応する様になった。偶に檀黎斗神が電話に出るときがあるが、最初の笑い声で即切れるらしい。
下駄箱に入れられる手紙は、木綿季より1分早く学校に行き、手紙を回収し、木綿季を教室で楽しく会話する様にし、放課後もまた回収し、一緒に紺野家まで帰ると、出来るだけストレスを与えない様にした。
だけど、保護者からの木綿季に対する通学の反対の申し立ては庇いきれなく、嫌がらせも日に日に増えていく一方だったため、とうとう木綿季達は引っ越す事になった。
その事を知ったのは、引っ越す前日だった。
「なんでさ……なんで黙ってたんだよ木綿季‼︎」
木綿季は黙ったまま僕を見た。僕は怒りでおかしくなりそうだ。
「だって……あんなに頑張ってる英斗達に、失礼だと思ったからさ」
「木綿季……」
「だからさ……」
木綿季は僕の両手を両手で握って、こう言った。
「今まで助けてくれて、ありがと!」
「木綿季……」
木綿季は、僕のことを抱き締めた。
「本当に今までありがとう。ボク達は、ずっと友達だよ」
「……馬鹿、友達じゃなくて親友だろうが……」
僕は木綿季を抱き締め返した。
「うん、そうだね。ボク達は親友だ。けどね」
「うん?」
少し体を離されたと思ったら、木綿季は顔を近づけて来た。
「ん!?」「んっ……」
目の前は、目を閉じた木綿季。唇には、柔らかい感触。
数秒だけだったけど、頭が真っ白になったま唇が離された。
その後耳元でこう言った。
「ボクはね、英斗が……英斗の事が……
宝生英斗の事が、大好きなんだ」
その顔はいつもの元気な笑顔に赤い頬が加わり、いつもと違う感覚になった。
「木綿季、俺は「木綿季」」
「あっお姉ちゃん!」
木綿季は抱き締めるのをやめて、声のする方に顔を向いた。
「お母さんが呼んでるわ」
「分かったー今行くー。じゃあね、英斗。送ってくれてありがとう!」
「あ、ああ。ん?!」
木綿季はまた僕にキスをし、部屋に入った。帰ろうとすると
「英斗君」
マンションの玄関で藍子が呼び止めた。藍子はそのまま僕に近づいた。
「妹を、父を、母を、助けてくれてありがとうございます」
藍子は90度のお辞儀をし、お礼を言った。
「………もう1人……」
「え?」
顔を上げた藍子はその言葉の意味が分からなかったのか、首を傾げてる。
「だから、1人足りないだろ。自分の事を入れ忘れてるだろ。……言わせるなよ」
「あっ」
あーーーすっごい恥ずかしい‼︎何?わざと?わざとなの?!
そして首を傾げた顔は木綿季そっくりで、可愛い!
「ふふっ、そうですね。私の事も守ってくれてありがとうございます。貴方は私達のヒーローです。
私は、そんな貴方が大好きです」
「え?」
「ふふっ、顔が真っ赤ですよ?」
「なっ‼︎」
手を当てようとしたが、藍子は両手を僕の頰に添え、顔を近づけた。
「んっ…」「ん!?」
藍子もキスをしてきた。二度目だろうと頭は真っ白になるんだな……
「私達2人は、貴方の事が大好きです。
でも、私も木綿季も、貴方の取り合いをしてるところです。貴方は、一体どちらを選ぶつもりですか?」
「そ、それは如何いう「ふっ」わぷ!」
藍子は言い終わった後、顔に息を吹きかけてから額をくっつけてきた。。
「…英斗君の事、絶対忘れませんから」
「ーーーーーーーッ!」
顔を近づけられた僕は何故か恥ずかしい思いで一杯になった。
「さっきの言葉、忘れないで下さい」
「わ、わかった」
藍子は、僕の顔を見て微笑んでからマンションに戻った。その後、僕は知らない間に家に帰っていた。勉強しようにも何にも手がつけられず夕飯を食べ、ベッドに入ったが全然寝れなく、日の出まで起きていた。
土曜日の朝、宝生家のみんなと紺野家で挨拶をし、見送る事になっていた。
「先生、今迄本当にありがとうございました」
「いえ、結局解決できなくて申し訳ありませんでした」
「いいんですよ先生。手を貸してくれる事自体が、私達にとってどれだけ救いになった事か……」
「英斗は、本気で皆さんを救おうとしてました。だけど、それは迷惑じゃなかったでしょうか?」
「僕達が動いた理由は、英斗が泣きながら助けたい家族がいるっていってたからなんです」
「そうでしたか。やっぱり親譲りなんですね」
「元気でいろよ。時々俺の作ったクッキーでも送ってやるよ」
「本当ですか!」
「やったー!」
「英斗君…いつまで私の後ろにいるんだい?」
「……だって……恥ずかしい………」
「私は彼女達に強化した君のバグスターウイルスを渡したいんだが、君が渡すかい?」
「…………はい……」
僕は黎斗さんから小さな瓶を渡され、木綿季と藍子に渡しにいった。
「木綿季……藍子……」
「あ、英斗!」
「英斗君」
「…………これ」
両手に持った瓶を2人に渡した。
「これ何?空っぽだよ?」
「……これもバグスターウイルスですか?」
「うん。強化されて、いつまでも消えない様にしたって」
多分、【デンジャラスゾンビ】みたいにしたんだろうけどね。
「ありがとう英斗!」
「ありがとうございます英斗君!」
「「大好き‼︎」」
2人は同時に抱きついてきた。支えるのに苦労した。
「僕も2人が大好きだよ」
「「むーー!」」
あれ?怒ってらっしゃる?あ、この顔も可愛い。
「ボクが1番じゃないの?」
「私ではダメなんですか?」
そういう事!?何?!ここでどっちか選ぶの?!
「いやーそれはまだ決めてないな。うん」
「「じゃあ今決めて‼︎」」
「できるか‼︎」
決めれる訳ないでしよ!
「えい!」「ちょ‼︎」
木綿季が右腕に腕を絡ませてきた。
「じゃあ私も」「まっ‼︎」
藍子が左腕に腕を絡めてきた。
何でさ‼︎‼︎
「英斗ー両手に花じゃないかー」
「写真写真っと」パシャ
ぅおい!何写真撮ってるんだ黎斗さん!
「藍子ーー木綿季ーー、行くわよーー」
「「ハーーイ‼︎」」
あ、もう行くのか……寂しいな。
「じゃあ英斗!元気になったらちゃんとどっちか選ぶんだよ!」
「英斗君。その、私を選んでくれると、嬉しいです!」
「あーーうん。考えとく」
「「絶対だよ‼︎」」「あ、ハイ」
顔近いよ。というかそんな元気なら治りそうだな。
「んっ」「んっ」「え?!」
両頬に2人の唇がくっつく。離れた2人は逃げる様に走って、おじさんとおばさんのとこに行った。取り敢えず、後を追いかけた。
「では、行きますね」
「お世話になりました」
「お元気で」
4人乗りの車の運転席と助席に乗った2人の後に、藍子と木綿季が後ろの席に乗る。互いに窓から顔を出して、手を振った。2人に応えようと両手で手を振った。
あれから丁度1年のナーブギアが来た次の日、郵便受に2枚手紙が入っていた。
「ん?手紙か?誰だろう?」
手紙の送り主は
「木綿季!?藍子?!」
2人から手紙が来た。すぐさま自分の部屋に行って手紙を開けた。
「……そっか、そっか。みんな元気なのか」
手紙の内容は2人とも同じで、まるで競争してたかの様だった。最後の行をみて、苦笑してしまった。
「どうしょっかねぇ」
取り敢えず返事を書かなきゃな。
木綿季と藍子の手紙
英斗君へ
引っ越して1年位経ちますね。元気に過ごしていますか?
私達はマンションから一戸建てに変わって元気に過ごしています。
庭付きなんて嬉しくて、ずっと木綿季と走り回ってたりしています。
この前なんか木綿季はお父さんと本棚を作ってました。私、木綿季が怪我するんじゃないかドキドキでした。
その前はバーベキューしましたよ。とても美味しかったです。
木綿季は新しい学校にも元気に通ってます。是非会いに来て下さい。
英斗へ
元気にしてる?ボクはいつも元気だよ!
新しい学校にも通えてるし、この前はパパと本棚作ったよ!
その前はバーベキューで、火がボワー!って燃えてビックリしたよ!
新しい家は庭があるから、姉ちゃんと走り回ってたりしたよ!
手紙に住所書いたから絶対きてよ!
追伸
英斗(君)はどっちの手紙を最初に見たのかな?(見ましたか?)最初に見た方に返事を書いてね!(下さい!)
心から愛してます。 紺野 木綿季より(紺野 藍子より)
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永夢の初VRMMORPG
色々ありましたが続ける気ではいるのでよろしくお願いします。
8月のある日、僕はナーブギア専用の、バーチャル・リアリティ・マッシブリー・マルチプレイ・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム略してVRMMORPGのゲーム、【ソードアート・オンライン】のβテストの抽選に当たり、【ソードアート・オンライン・クローズド・ベータテスト】を2ヶ月やれる様になった。
「父さんは
英斗はにっこりと笑っているが、嫉妬している時の顔だ。眼を瞑って笑っている時は怒っていて、眼を見開いて笑っている時は本当に嬉しい時だ。
「英斗はまだ13歳になってないから、後一年待たないとね」
英斗の誕生日は分からないけど、木綿季ちゃん達が誕生日の時に「じゃあ一緒の誕生日にしようよ!」と言ってくれ、英斗の誕生日は5月23日になった。
「……良いもん良いもん。【タドルクエスト】クリアしてやるから。2ヶ月で残り2つも終わらしてやるんだから」
「冗談に聞こえないから怖いんだよな」
というか【タドルクエスト】とかは飛彩さんの性格になるんだよなぁ。面倒くs
「なんか失礼な事考えてるでしょ?」
「そんな訳ないじゃん僕は英斗の事凄いと思っただけだよ」
ホントかなぁと言いながら英斗は黎斗神さんの所に行った。黎斗神さんがいつもの[私が神発言]してニコちゃんにキモいと言われると
「YAROUBUKKOROSITEYARUU!!!!」
と言って大我さんのとこに行き、ニコちゃんを泣かすまでゲームに勝つらしい。恐ろし過ぎる。というかどうやって泣かすんだろう?
「さて、始めようっかな「楽しそうだな、永夢」……パラド、怖いから黙って背中に立たないでって言ったでしょ?」
振り向くとパラドが真っ黒エプロンを着て立っていた。
「英斗が頰膨らましてゲンムのとこに行ったぞ。まだ怒ってるのか?」
「中々機嫌を治してくれなくて……【タドルクエスト】も【タドルファンタジー】も【タドルレガシー】も攻略するって」
「英斗はソードアート・オンラインに最も近いゲームを選んだかー。やっぱりお前の子、だな」
「どうかな、もっと別の理由だと思うよ?」
どう言う事だよ?と質問にパラドなら分かるよと言っておいて、自分の部屋に戻り、やっとナーブギアを手に取り、小さなROMカードをスロットに挿入する。
「やっとナーブギアが使えるよ」
英斗と2人でマイティアクションXをやった時、ナーブギアの感想を聞いてみた。
「やっぱりゴーグルみたいなそっちが良い!」
それ以降、英斗はナーブギアを使わなかった。ゲーム売り場でナーブギア用を買おうとしたり、ダウンロード版とか探したけどどれも幻夢コンポレーションのゲームより楽しく無さそうだった。結果、今の今まで使う事は無かったという事だ。
ナーブギアを被り、電源を入れ、ベッドに寝転がる。シールドを降ろして目を閉じる。
「リンク、スタート!」
完全な闇になったと思ったら虹色が弾けた。視覚接続、聴覚接続、その他各種感覚接続テストをされ、アカウント情報登録に移った。IDとパスワードを入力し、性別は男性でキャラクター名は『M』にする。
「アバターの設定か………適当でいいや。早くやりたいし」
適当にそれっぽく作る。さて、決定と。すると突然景色が変わって、街の様な場所になる。マップを確認すると、《はじまりの街》となっている。
「おぉーーー!これがVRMMOなんだー!」
1人で興奮していると、周りの人も同じ行動をとっていたり、騒いでいる僕を睨んでいる人もいる。
「あ…………すみません……」
僕はその場から離れる事にした。まずはこの街を攻略する事にしよう。思ってたより広いから、1日目はこの街を見るだけで終わりそうだな……
次回予告
ソードアートオンラインのβテストに参加した宝生永夢は始まりの街を探索することに。そこでは仲間を作るのかソロなのか……
次回はいつになるかは分かりません。申し訳ありません。
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