真剣で暴君に恋しなさい! (ちぇちぇん)
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プロローグ

 皆さん、『転生』という言葉をご存知でしょうか?

 

――まぁ知らないやつの方が変か、そうです死んで蘇るということです。じゃあなぜ突然そんな一般常識とも呼べることを聞いたかというと、簡単です。『俺』が現実逃避をしたいがためです。じゃあなぜ現実逃避をしたいのか? 生まれて18年の若造、ましてこれからハッピーな大学生活をおくろうと日々ウキウキと過ごしている人間が現実逃避なんて、いったいお前に何があったんだって話だ。……ん? 日々ウキウキしているとは限らないだって? 未知の世界に飛び込んでいくのにウキウキとか、お前頭のネジぶっとんでんじゃねえの(白目)だって? それはまぁ、あれだ。人それぞれだからあまり深く聞かないでくれ。つーかそこの新生活におびえている人、未知の世界だからって相手は人間なんだから。猛獣とかじゃないから。おびえないで楽しい新生活だけをイメージすればいいんだよ(こと言葉をわが友M氏に捧げる psそのわが友の特性も名前と同じ『M』である)

 

 ……おっと、少し話がとんでしまった。なぜ現実逃避をしているかの答えだったな。

 

ではお答えしましょう――

 

 

『おめでとうございます! 元気な男の子ですよ!』

 

『おぉ! なんてかわいい子だ、さすが俺の息子だ!』

 

『ふふっ、そうねあなた。』

 

 

俺が『生まれた』からです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――5年後

 

 

 俺がこの世界に生誕して早5年がすぎました。 あれ、時間てこんな過ぎるの早かったけ、だと? そこはお決まりのキンクリ(ジョジョ第5部ラスボス参照)ですよ。気にしちゃ負けだ。

 

 つーわけで、とりあえず5年越しの自己紹介といきましょうか。

では改めまして――どうも皆さん、おはこんばんにちは。柊 達磨と申します。年齢は5歳、好きな食べ物はあっさりダシ系の料理なら割となんでも。強いて言うなら揚げ出し豆腐。好きな飲み物はお茶。……はい、渋すぎまよね。5歳児の大好物が揚げ出し豆腐とか、気味悪いですよね。でも安心してください、そんな子供でも両親は俺を受け入れてるから。

 

『では契約通り、餓鬼は俺たちがもらう』

 

『じゃあね、達磨。私たちのためにお金になってちょうだい』

 

『いやー、子供って高く売れるんだな! いい商売もあったもんだ!』

 

 

 まぁその両親は、借金返済のために俺を身売りしたんだけどね。現在進行形で。

えっ? いろいろと話がとびすぎて分からないって?

……それもそうだな。設定に矛盾を生じさせないためにこうして過去編を書くけど、結局めんどいから早急に終わらせようとしている作者の都合に付き合ってもらってんだから(作者『いらんことを言うな』)

 

 でも、その前に言いたいことがあるから、それだけは言わせてくれ。

 

俺は言いたいことがあると、俺を担ぎ上げている黒づくめの男(コナンでいうところのウォッカ)に話しかけた。

 

「すんません、少しいですか?」

 

「なんだ? お別れの挨拶でもしようってのか?」

 

「まぁ、そんなところかな」

 

「くはははは! 自分を売った相手に律儀に挨拶かよ、随分とできた餓鬼じゃねェか。ほんとうにこいつ等の餓鬼かよ」

 

「残念ながら、その通りですよ」

 

いやまったくその通りですよ。なんでこんな屑のところに生まれたんだろうか、精神年齢20歳以上の俺じゃなっかたら絶対泣いてるよ、闇を抱えた子になってまともな人生歩めなくなってるよ絶対。その分は感謝してくれよ、本来生まれてくるはずだったこの体の持ち主さんよ。お前の数奇な運命は俺が歩んでやるからよ。

 

「おい、時間がねェんだ。さっさと言え」

 

「分かってるからそんな急かさないでよ。言いたいことを忘れたらどうすんのさ」

 

「……ッチ(こいつ本当に5歳児かよ。言葉遣いがまるで大人じゃねェか。気味が悪いぜ)」

 

 異質なものを見るような目で見ているウォッカさんをとりあえず無視して、俺は目の前にいる屑夫妻に目を向けた。

 

「えー、では父さん母さんに一言」

 

「なんだい、達磨? 遠慮なく言ってごらん」

 

「えぇ、これが最後なんですもの。あぁでも手短にね。もうドラマが始まってるから」

 

ドラマの再放送>息子って……。どんだけ屑なんだよこいつら。悲しみの片鱗すら見せねーよ。

……いや、もうマジで許せん。絶対後悔させてやる。俺を売ったことはぶっちゃけどーでもいいし、悲しくもないけど、子供に対して平気でこんな残酷なことができることが許せない。

 

「じゃあ手短に言わせてもらうよ――お前ら、絶対後悔させてやるからな。せいぜい残りの人生楽しんどけよ」

 

「「……ぷはははははははははッ!」」

 

  だが結局、あっちから見て俺はただの餓鬼だ。

餓鬼が復讐宣言したところで、ただの妄言にしか聞こえないだろう。それが余計に俺の怒りに触れた。

 

「じゃあお言葉に甘えて残り人生を楽しんどくよ」

 

「達磨も元気でね。あーあ、お母さん寂しいわー。あはははははははは!」

 

「……」

 

「じゃあ行くぞ」

 

 

 馬鹿みたいに笑っている屑を睨みつけながら、俺はウォッカに車に押し込められ、そのまま暗い夜道へと消えていった。

今までの生活がまるで幻かのように感じたのは、この時になってからだった。その時初めて俺は胸がズキンと痛み、一粒の涙が頬をつたった。

 

 

 

 

 

 

 




怠け者ですんません。。。


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