カレイドの劣等生 (ポッチャマ)
しおりを挟む

転生したぜ‼

こんにちは、こんばんわ、はじめましてポッチャマです。
と、言うわけで、(どういうわけだよ?)早速本編です。


実際僕は死んだ。 死んだ理由は恥ずかしくて自分の口からは言えないけどね。 ただ事実として僕は死んだ。 それを嘆き悲しむ人はあんまりなかったけど。

 

 

ただしこんなやつに あーだこーうだ言われたくはないが・・・

金髪碧眼黒いマントをつけ 右目に眼帯 左手には黒いやりをもち、右の肩にはなぜかカラスが止まっている。さらに極めつけは 魔女のような黒い帽子をかぶったロリっ娘だということだ。いやそんなことよりももっと終わっていた事があったか・・・自称神様だということだそんな奴が、だ。

 

 

「 こんにちは 君が上条君だね。私はオーディーン要はヨーロッパで一番の神様だ。さて君の死因は自殺。でも、その自殺した理由はなかなか滑稽・・・もとい相当ユニークでなおかつ現代的だね。 フェイ〇グランドオーダーというスマホゲームで 25000円を go〇gle play にて ゲーム内に課金して狙ったキャラが出なかったから。それも、その狙ったキャラがイリヤスフィールフォンアインツベルンとかただのロリっ子じゃねえかwww 大草原だわ。」

 

 

腹を抱え大爆笑し ケタケタケタケタ笑いながら床を転がっているやつが本当の本当に神様なのだろうか?

 

笑いすぎて出た涙を拭きながらそれはとても愉快そうに聞いてきた。

 

 

「さて、君が何でこんなくだらないことをやったのか私としてはとても興味が尽きないのだが、そんなくだらないことにあまり時間をかけないようにしよう。真面目な話だ。君は転生できる機会がある 特典ももらえる。さてどこに行きたい?ただし、天国に行きたいという選択しだけはない」

 

 

率直な感想を思い浮かんだのは、こいつクズだ。そう思った僕は悪くない・・・はずだ。 ただしもらえるだけはもらっておこう。

 

 

「 それじゃあまず『魔法科高校の劣等生』の世界に転生させてください。」

 

 

あんな態度を取って奴(グズでも可)に対して敬語を使える俺っていいやつなんじゃないか?本気で思った瞬間だった。

 

 

「 それじゃあ特殊能力は・・・カレイドステッキを能力と英霊エミヤの戦闘能力および投影魔術の以上でいいです。 転生先は西城レオンハルトで お願いします。」

 

「そんなもんか・・・まあいいや、それじゃあ転生先に行ってくれ 。あーそうそうここでの会話は記憶から消されるから。それとどういう内容の転生特典かというふうな話は転生した後にもう一度きっちりと確認し直すから安心してね」

 

トントンと黒一色の床を槍の丸い方で叩いた。

たったそれだけのことなのにあら不思議な青色の複雑な模様の魔方陣が作り上げられる。イメージとしてはとある魔術のインデックスに出てくる天使の後ろに出ていた魔方陣といえばいいだろうか?

 

 

「今度は自殺なんてしないで下さいね。」

 

そう言って神様(笑)は微笑みてをふった。

 

次の瞬間黒い槍は黄金に輝き光った。

 

 

この時気がついた。アイツは

 

 

本当に『オーディーン』だったと。

 

 

 

 

転生

アニメとか漫画とかラノベとかでよく聞くけれども本当に起きるとドン引きすると言うかなんというか・・・兎に角おかしなもんだなとこの時本気で思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ最近新宿が実装されたリ、本能寺の変のライト復刻版やらが実装された英霊を使って敵を倒すスマホゲームで、遊んでゴロゴロしていたら急にめまいがしてきた。少しやりすぎたかなと思いながらひたすら種火集めをしていたら何故か急に自分の体が赤ん坊の姿になっていた。 スマホもない 身長180cmというなかなか恵まれた身長もない ベッドはあるただしベビーベッドではあるが・・・

 

そんなビビる状況の中でfgoの方の頼光かなぁ?って思うくらいにボンキュッボン女性が来た。黒くてつややかな長い髪の毛に和装美人と言った顔つきだ。

 

 

「 あらあらまあまあ レオンハルトどうしたの?」

 

 

内心首をかしげた。レオンハルトだって? そう認識した瞬間に

黒いマントを付け右目に黒い眼帯を付け 黒い大きな魔女のような帽子をかぶって黄金の槍を持つ高笑いしているロリっ娘が脳裏に浮かんだ。

何だ何が起きているんだ?自分は浜松で一番頭の悪い進学校に通っているだけのただの男子高校生だったはずなのにどうしてこんなことが起きたんだ?

 

 

そう考えた瞬間に全ての時が止まったような感覚がした ふと見ると 先ほどまで、慈愛の笑みに満ちていた母親(そう断定した)が、 無表情の人形のように変わっていた。

何気なく窓の景色を見ると雨粒が止まっていた。空中でだ。

本当に時が止まってしまったようだ。

まるで幼女戦記に出てくる主人公と存在Xが初めて会った時のシーンのようだ。

 

「転生は成功したようだ 僥倖僥倖 さて上条君いや西城レオンハルト君と呼んだ方がいいかな? とにかく君は、転生して『魔法科高校の劣等生』の世界に飛ばされた。 君の死に方は君が望んだ通りではないが、君の転生先は君の望んだ通りの形になったはずだ。 さて私も最後の仕事しよう 君が何を望んだのか、その大切な過去の思いを伝えよう。まず君名前は西城レオンハルト お察しの通り硬化魔法が得意だ。 ただし魔法の性能はカレイドステッキをそのまんま埋め込んだような状態になっている。 戦闘技能は赤いアーチャー君と同等だね。あとこれは私からの餞別なのだが、[魔弾の射手]ただし弾数無限バージョンでな!」

 

「 待て待て待て ちょっと待ってくれじゃあ僕は『 Aランクの魔術障壁』『 無限の魔力供給』『 完全記憶能力』『 精霊の保持』『 魔力による物理障壁の多重展開可能』な上に英雄的な戦闘力、戦闘技術を持っているとそう言いたいのだね?さらに相手に必ず弾丸を当てることができるあの魔弾の射手を使えるってことでいいんだよね?それも回数を気にしないで使えるってことだよね? 」

 

「 その通りだ。 ちなみに剣はとりあえずまでを作れるが『 エヌマ・エリッシユ』『 エルキドゥ』 それくらいのクラスのレベルの武器は作れないけど それ以下くらいなら 99.9%くらい再現できるくらいの剣を作れるかな? ただし使いこなせるかと聞かれるとおそらく不可能だろうけどね理由は知ってると思うけど。あーそれと一ついい忘れたが君は私のお気に入りだからね。サービスとして

『ランクEX以下の宝具を打ち消す障壁の展開可能』を付与しよう。ただし、この能力はこちらの都合によって君の記憶から数秒後に消されるからね。」

 

「おい、まじかよサービスしすぎなんじゃないのか?絶対何か裏があるだろ?」 

 

「いいだろ?なんでも。それよりなんで使いこなせないか分かるかい?」

 

「衛宮士郎じゃないからだろ?」

 

「そういうことだ。」

 

「つまり固有結界の解釈が違うばなんとか使えると?」

 

「 うん、その通りださすがは理解が早い。 ゲートオブバビロンみたいな感覚で自分が持っているものとして投影したものをどんどん展開できるよ 『じゃあ素直にゲートオブバビロンいって言えよ』 何て言っては興ざめだからね それじゃあ楽しい転生ライフを。」

 

こうしてまた時は進んだ。

まるでさっきまでの変化がなかったかのように全てのものは進んで行く。 時計も 回転するおもちゃも窓の外のたくさんの雨粒も・・・

 

「そろそろお乳の時間ですね。」

 

 

うん、ご褒美タイムやんぐへへへ

何せ、カルデア1のお母さんにして、母性溢れるバーサーカーさんの胸ですからね?

 

20分後

 

ただただ眼福でした。

触り心地も最高でした。

転生してよかったです。マジはいあの神様のことこれからずっと崇拝しますよ。なんて名前か知らないけど・・・。

 

こうして幸先良く転生ライフを満喫した。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Facts

・なぜか神様は自分を転生させた。

 

・その代わりあかるさまに人を殺さないといけない世界に飛ばした。それも何十何百人単位で、だ。

 

・自分は赤ちゃんから人生をやり直さなければならない。

 

・ 母親はフェイ〇グランドオーダーに出てくる頼光みたいだった。




どうでしたか?
コメントお待ちしてます。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第2話

うん、サブタイトルはよっぽど物語の中心に関わる時以外はこのスタイル(つまり第~話ということ)で行きます。


~3年後~

 

3歳になったわけだが、ここで1つ面白いことに気がついた。

シークレットデバイスまでもが使えるらしい。

占いをやって見ると手から紙が出てきたときはさすがに驚いたがな!でもそんな下らない機能だけではない。ちゃんとした機能もある。簡易水質調査とか、完全記憶能力とか・・・兎に角そんなこんなで1日1時間かけて色んな辞書を1冊だけ覚えてみたり、様々な菌を繁殖させる実験をして過ごしているうちになぜか姉から嫌われていた。でも暇だから小学校1年になったばかりの姉にでもかまってもらうとするか・・・

 

「ねーお姉ちゃーんかまってー」

 

「今忙しいの!あとにして‼」

 

そういいながらソファーの上に行儀良く座って魔法少女が出てくるアニメを見ていた。

 

そこは素直に思った事を言った方がいいのかな?

思い立ったら、即断即決の方がいいよな?あとでなんていったら絶対指摘できなくなるし・・・

 

「お姉ちゃん・・・それは、世間一般的に言えば暇って言うと思うのだけれど?」

 

「うるさい‼今アニメを視るのに忙しいの!」

 

そう口調は怒っているが視線はきっちりとテレビの方を向いている(ちなみにリモコンは姉の腹の上に置いてあった)ので、正直に言うとこの展開はつまらないので、奥の手を使う事にした。

 

「えい!」

 

何をしたかって?

簡単さテレビの電源を直接切ってしまったのさ(キリッ)

 

「ちょっと表に出ろ(ニッコリ)」

 

顔は笑っているが、完璧に目は笑っていない。そんな素敵(笑)な作り笑顔を浮かべて手をパキパキ鳴らして仁王立ちしている姉にさらに、油を注ぐ事をしてみる。

 

「なになに遊んでくれるの!?(爽やかな笑顔)」

 

姉さんは、眉間にシワを寄せて、軽く殺気を放ちながらゆっくりと歩いてきた。

 

「ええ、そうよ。」

 

姉さんから放たれた声はとてつもなく平坦な声だった。

坂本真綾さんに似た声で、それもあたかも両儀式の時のようなテンションで、だ。

 

「ッ!!」

 

真っ黒だった目が突然変わり様々な色彩に変化し、様々な色を帯びて『直死の魔眼』のような色合いに変わった。そして何かの線に沿うようにして、右上から左下に指先を動かし、さらに左から右に大きく薙いだ。しかし特に何も起こらない。それでも姉さんは瞠目しながらも一心不乱にその後も指先を振るい続けた。

 

しかしどうしてあんなに驚いているのだろう?

あんなに大きく指先をふってわなわな震えながら、 一歩また一歩とだんだんだんだん後退していったのだろう?

 

「どうして?

 どうして『直死の魔眼』が通じないの?

 そんなのおかしい!」

 

からくりだけなら簡単だ。『直死の魔眼』は死の線に沿って相手の生命力を奪う魔術だ。

しかし『カレイドステッキ』は、魔力を無限に供給するものだ。これではまったく何一つ『直死の魔眼』に対して抵抗できないと思うだろう。しかし元に僕には通じじていないのはなぜか?

それは魔力の大本は人間の生命力が源となっているのだ。

 

つまり魔力が無限の僕には通じないのだ。しかしわからないから怖くてそんなこともわからない。そう、雷が大規模な静電気の塊というだけの話なのに、古来から人間の恐怖の対象になるように、だ。

 

ここでの選択は2つある。

要はごまかすかどうかだ。

 

ごまかさない方が良いだろう。

理由としては、痛くもない腹を探られるのは、なんかイライラするからだ。

 

「お姉ちゃん知らないの?

 『直死の魔眼』は線をなぞることで対象の成分の生命力を奪うものだけど、そもそも僕はね、生命力が無限なんた。

まるでカレイド・スコープ、またのなを『宝石翁』の作ったあのステッキのように、ね?」

 

 

姉さんは、鳩が豆鉄砲を食らったかのような顔をして、固まった。

そして新しい玩具を見つけた子供のように無邪気に笑って(さっきまでまるで鬼だか悪魔だか区別がつかないくらいのかなりおっかない形相だった。)衝撃的な一言を放った。

 

 

                     

「へーそれじゃあ私と同じかー。レオも、私と同じように神様転生したんだね?」

 

 

つまり、姉さんもやはり神様転生をしたのだろう。

でなければ、確かに『直死の魔眼』なんて使えないだろうな。と、納得した。

 

 

「神様転生した特典をおしえて欲しーなー、レオ?」

 

「『カレイドステッキ』だけど?」

 

「ふーん真名は『イリヤスフィール・フォン・アインツベルン』クラスはキャスターと、いったところかしら?」

 

「そういう姉さんは、真名は、分かりやすいね。」

 

「クラスはわからないでしょうけどね。」

 

 

実際その通りだ。真名は『両儀式』であっているとおもう。

クラスがわからないということが痛すぎる。

この時、気がついていなかった。とてもではないが、まったく持って太刀打ちできないほどの存在が笑顔で私刑を執行してくる体制になっていたことにまぁ、バーサーカーだし、是非もないけど・・・

 

要は母さんが僕と姉さんを同時にグリグリしようとしていただけなのだが・・・

 

 

「あらあらまぁまぁレオさん、カヤさん喧嘩なんて珍しいし、いいことだけれどもあまり物騒な単語は出さない方がいいですよ?」

 

とても艶やかな声でグリグリしているあんたも大概だろ?と思いつつも、素直に受け入れることにした。

 

そのあと、二人の子供の絶叫と愉快な破壊音が鳴り響くことになったとだけ付け加えておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Facts

 

・姉さんは『両儀式』らしい。

 

・こちら(レオ)の真名が割れてしまった。




いかがでしょうか?
誤字脱字があれば教えてください。
あと、ついででいいのでこの作品を批評してください。
悪い点については、直していくつもりです。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第3話

やっと原作キャラが出てくる(シーンのみ)。


夏だ海だ沖縄だ。

 

水着イベントきたー。(早とちり)

 

というわけで、中学生になった俺と、高校生になった姉と母と一緒に沖縄に滞在することになった。

なんと2週間も、だ。感想を端的に言えば、

 

やったぜ、ヒャッハー((ノ∀`)・゚・。 アヒャヒャヒャヒャ

 

と、言った具合だ。

ちなみに姉さんの真名は『両儀式(セイバー)』らしい、ということが見た目から、ほんの少しだけいや、かなり分かりやすかった。(高1)

 

母さんはいつも通り目立つ格好をしていた。具体的には、着物を着ていた。黒くて艶やかな長い髪の毛を1つにまとめ、派手な着物を一分の隙もなく着た見た目年齢が25くらいの(実年齢41)の美人が歩けば、どこでも目立ってしまうが・・・

 

「さて、おもいっきり遊びましょうね。レオ、カヤ」

 

「いつになく機嫌がいいね母さん?」

 

「当たり前でしょう。母さんも初めて来るところなのですから。それに、いつもどこか遠いところもしくは別のところを見ているようなカヤが珍しく、目を輝せていることですし、この時点で来て良かったと母さんは思いますよ。」

 

「ふふふ、本当に目がいいわね母さんは。」

 

 

と、かなり含みを持たせて言った姉に対して母さんはいつも通りのほほんとしながら、しかし特に何でもない事を言うような口調で、

 

「少しだけ、観察力があるだけよ。」

 

あ、うんそれは少しとは、言わないと思うな。

そう思った俺と姉さんだった。

 

「さて、思いっきり遊びましょうか?」

 

そうニッコリと微笑んで出口の方に足を向けながら言った。まったく、これで実年齢41歳なのだから世の中は分からないものだと改めて実感した。

 

空港内を歩いて実感したけど、かなり目立っていないか?

 

僕たちからしたら家族旅行だけど他人から見たらただのハーレム野郎じゃないか?何せ姉さんは美人高校生と言った見た目だし、母さんは、見た目が25歳くらいなのだからこの時点で結構美味しいたち位置にいるのは間違いない。さらに俺は、中学生にしてはかなり背が高く、170センチメートル(実際は168センチメートル)位まである。なのに顔は悪くはない程度だから、完璧にどこかのエ〇ゲの主人公(+高校生)見たいにみられていないか?と自分でも思うほどだ。

 

つまり何が言いたいかというと、周りの視線がうっとうしい。

 

 

そんな目立つ集団に紅一点(本来の使い方とは違うが)実は中学生の男子でしたという展開なので微笑ましいが、本人からすれば何となく居づらいし、救いもない。

だからこそレオはなるべく周りを見回しすこしでも現実逃避をしてしまうための材料を探そうとすることは、仕方のないことだろう。そして一組だけ見つけて、安心した。そのあと完璧に荷物持ちになっている同い年くらいの少年に軽く同情しつつ、空港をあとにした。

 

 

ホテルへのチェックインの時間はまだ先だから、という理由でつ三人はバラバラに行動をしていた。ちなみに提案をしたのはレオだ。理由は、空港でのように視線による針のむしろを避けたいからだ。

 

 

「それにしても蒸し暑い」

 

いつも独り言を言わないレオだが、そんなレオがついつい独り言を言ってしまう位には、蒸し暑い気温と湿度だ。

 

そんなうだるような蒸し暑いなか、見ているだけで暑苦しい集団(おそらくレフトブラット[訳:取り残された血統]の集団の軍人)に先ほど見かけた自分と同い年くらいの子供を見かけた。距離は10メートルくらいのところだ。

構図としては外国人の不良軍人が突っかかり同い年くらいの少年がこれまた同い年くらいの女の子をかばう形になっている。

 

「シークレットデバイス:盗聴」

 

そう小声で呟き会話を聞いた。

余談ではあるがシークレットデバイスによる盗聴は最大20メートル位までなら人の服の擦れる音まで聞き取れる。

 

「あぁ? ガキには興味ないぜ?」

 

と明らかに悪そうな黒人が威圧しながら言った。

 

「ビビって声も出せねえのか?」

 

「ハッ、チキン野郎が、カッコつけてんじゃねえよ!」

 

後ろの二人が調子に乗って嗤い凄む。

しかし中学生くらいの男の子はただ冷静に観察し、かばわれているこれまた中学生くらいの女の子はただただ見ているだけで暑苦しい集団を睨み付けているだけだ。体運びを見ていると女の子の方は男の子の事をあまり信用していないようだけど、男の子の方はかなり落ち着いている。

そして冷静に観察し終えたのだろう。そして勝てると踏んだのだろう。だからこそ普通では考えられない発言をした。

 

「 わびを求めるつもりはないから来た道を引き返せ。 それがお互いの為だ。」

 

中学生くらいにしては落ち着いている見た目に反しない落ち着いている声で大の大人に向かって落ち着いていい放った。

ちなみに見ているだけで暑苦しい集団は、全員一瞬驚いた。それはそうだ、普通に考えて経験、体格、技術すべてが圧倒的に上のはずの自分たちにそんな挑発をしたのだから。そして明らかに悪そうな黒人以外の見ているだけで暑苦しい集団がニヤリとわらい、明らかに悪そうな黒人が顔を強ばらせた。

 

「----なんだと?」

 

低い、低い、 囁くような問いかけ。

 

(そりゃ普通に考えてそうきくだろうな)

 

実際他人事の俺はそう考えてとりあえず携帯をとりだし暴力沙汰になる前に追っ払う準備をした。

そうしているまも刻一刻と事態は進行している。

 

「聞こえていたはずだが?」

 

まるで感情の欠落した人間のような声で独り言のような反問をした。

 

(おいおい普通に考えて中学生が出すような声じゃないだろ?)

少なくとも俺はそう思った。

 

明らかに悪そうな黒人の男の眼に、凶悪な殺気が宿った。

 

(あちゃー、こりゃ暴力沙汰確定コースだな。)

そう思って携帯の録画、録音機能を起動した。

 

「 地面に頭をこすりつけて許しを乞いな、今ならまだ青あざくらいで許してやる。」

 

まさに私刑を執行しようとする悪人(もしくは今から喧嘩をしようとするヤンキーでも可)の顔だ。

対する同い年くらいの少年の顔はどこ吹く風とばかりに受け流し、先ほどとまったく同じ無表情のまま感情の欠落した声で挑発する。

 

「土下座しろ、という意味なら、頭を、ではなく、額を、と言うべきだ。」

 

わざわざ文節おきに区切り、相手に分かりやすく挑発した。

 

(おいおいマジかよ?勝てるのか?)

そう思いながらも撮影する手は止めずに観察した。

 

かばっている同い年くらいの少年のうしろで、おそらく少年の発言にたいしてだろう。かばわれている同い年くらいの女の子も目を見開き驚いている。

 

次の瞬間に黒人がその少年に向かって殴りかかった。

 

パシッ、という音がした。

 

おそらくすぐに来るであろう衝撃に備えてであろう、女の子は目をつぶった。しかし女の子が備えていたことは結局無意味だった。

 

なんと子供が大人の拳を受け止めた。

 

(介入するならこの時点でいいかな)

そう思って携帯の録画、録音機能を止めた。

 

「あー大人でしかも軍人さんが中学生くらいの子供に暴力を振るっている。いけないんだー。」

 

中学生らしい声でそう言ってみた。

俺はあかるさまに携帯をとりだし、テンキーをタップし始めた。勿論110番に、だ。

そして、不良軍人たちは一瞬考え先ほどとはうってかわって 一目散に逃げ出していった。

 

「お前らー大丈夫かー?」

 

なるべくフランクに二人に聞いた。

 

「お気遣いありがとうございます。

 あのまま行ってしまえばどうなるかわかりませんでした。」

 

先に動いたのは、かばわれていた女の子のほうだ。

 

「いえいえとんでもありませんよ。

 むしろ突然出てきてしまってでしゃばりすぎたでしょうか?」

 

(ヤバいかわいいこの前のせいで、ついついいつもと違う声になってしまった。)

 

「確かにそうですね。こちらはただのケンカで済ませたかったので 警察はあまり介入させてほしくなかったです。しかしもとから通報するつもりがなかったのでしょう?」

 

さっきまで女の子をかばっていた男の子がそう答えた。

 

(すごい、ただただこれだけしか出てこない。)

 

ちなみに女の子はそんな男の子の態度に少しだけ不満があるようだ。目が恐くなっている。ただし、それはそれでかわいいのだが、ここで言うのは、地雷だろう。

 

「ええ、まぁそのつもりでしたよ?

 よくわかりましたね。」

 

「多少は観察のこころえがありますので。」

 

「はははそれは頼もしい。

 いい彼氏を持っているのですね、貴女は。」

 

「恋人ではなく、兄妹ですよ。」

 

(くそ、せっかく家族以外のかわいい女の子に話をかけれるチャンスだったのに!このままでは長くなりそうだし、男と話をしてもつまらん、ここは帰るか。)

 

「これは失礼を、ではまたいつか。」

 

こうして、ちょっとした雑談は、終わりを告げた。

余談ではあるがこの会話を母さんと姉さんに聞かれさんざんいじられる事をまだ知らない。

 

To be continue




疲れた。
追憶編始まりました。
たくさんのコメントお待ちしてます。
作者はドMなので多少きつくても問題ありません。できればつまらなかった場合どこがつまらなかったか教えてください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第4話

もどかしいおわりかたにしてみました。


朝食を取りながら開口一番に言ったのは、母親だ。

またろくでもないことでも言うのだろうとカヤとレオは思った。

 

「さあ、海に行きましょう」

 

((うん、事実言いやがったよこの人。))

二人はその時、珍しく、考えが一致した。

 

突然何故か地雷を設置してくれた母親に心の底から感謝しねーよと

レオは、思いつつも建設的な話をしていこうと考えた。

 

「どうしようか?」

 

「ビーチボールなんてどうですか?」

 

どこにいこうか?という意味でレオは聞いたつもりでいたのだが、通じなかったようだ。

まあいいか、下手に不細工な彼女と行くよりかはまだ目の保養になるだろう。と持ち前のポジティブな考えて話を進めていく。

 

「どこのビーチにいこう?」

 

「ええ、確かに迷いますね。」

 

「俺は近場でいい。海なんてどこも変わらん。」

俺と言っているが、それはカヤ(正確には両儀式)の一人称だ。

 

「それもいささか寂しいですね。」

 

「確かに冬の日本海しか見たことがないなら仕方ないよね。なら姉さんは行かなくていいよね?」

 

カヤは一瞬考えたあとに、両手を挙げて降参の合図をとった。

それを見て、レオはニヤリと笑って見せた。

雌雄を決したところで、母さんがうなずいた。

 

「しかし、カヤさんの言う通り近くの浜辺も、なかなかきれいでしたね。(窓から見た限りだけですけど)」

 

「それじゃ午後からいこう。」

と、レオが提案した。

 

「なぜでしょ?」

 

疑問を持つのも仕方のないことだろう。

しかしレオなりにも理由はある。要は、空港の二の舞(ハーレム野郎に対しての憎悪ににた視線を男性客から浴びることだ)をレオは踏みたくないのだ。

しかし、カヤたち女性組は正直な話をすれば、蚊帳の外の話のため、まったく持って気にしようとしない。むしろカヤはやりにくそうなレオを見て、ハムスターを見るような感覚でレオを見ている。だったら時間を減らして、少しでも精神的ダメージを押さえるのが得策だろう。

という本音を隠すために。

 

「琉球舞踊を見たいからな。」

 

と、いうことにしておくことで、レオは難を逃れるつもりでいた。

 

「あら、なら一緒に行きましょうか?」

 

レオは切り返されること自体を予測していなかったがために少しテンパっていた。そんな中、助け船を出したのが、カヤだった。

 

「あれ?でもそれって3日目の話じゃなかったか?

 そうか、そういわれてみれば確かあれは、女性のみ参加

 可能なイベントだったな。

     ・・・・・・・・・・

 そうか、そんなに行きたかったのか?」

 

 

ただし、助け船と呼ぶには微妙なところだったが・・・

 

むしろ、さっきのことについての異種返し(しかえし)の

色合いがとても強いが・・・なぜなら、

 

副音声は、「私たちとそんなに一緒にいたいのか?」

ということだからだ。

 

そんなことも分からないほど、レオは頭が悪い訳でもないし、鈍いわけでもない。

その事がわかっているからこそ、ついつい無意識に一瞬だけ憎々しい表情が出てしまい、カヤはそれを満足げにみてニヤリと笑って見せた。

そんな様子を似た者同士だなぁと母親は、に思いつつもあえて嗜めることをせずに、見ていた。

 

「まぁな、でも母さんと姉さんがいくんだろ?

 それじゃあ俺もみたい。

 でもわざわざ、母さんと姉さんは二回見る必要性は無い

 んじゃないのか?」

 

テンパっていたわりには、なかなかいい回答を出したと自我自賛しているレオだが、そんなことで引き下がる(?)ほど姉は甘くないということをレオは失念していた。

 

「ああ、確かにそうだな。

 だが俺としては、2つの教室を見比べるのも悪くはない

 と、思うのだが?」

 

ここでレオは別の考えに至った。

そう、ハーレム野郎に対しての憎悪のような視線が嫌なのだから、母さんか姉さんのどちらか一方をなんとかできれば、いいんだよな?

端的に言ってしまえば勝利条件を楽にすればいいということだ。

 

「なるほど

 なら母さんはどうしたいんだ?」

 

レオの方法の変化に感ずいたカヤは、それを妨害しようと考えを巡らせていく。

(さっきまではおそらく、俺たちと一緒にいたくないという事を目標に考えていた。(多分)理由としては、空港の二の舞を踏みたくないということだろう。ならばそれは他人から見たらハーレムが起きたからそう言うことになったはずだ。しかし俺と一緒に琉球舞踊を見に行くことに肯定的になった。)

 

つまりここから導き出される結論は・・・

 

ハーレム野郎かリア充(他人から見たとき)のどちらがきつく見られないかということだろう。そしてあいつは、リア充を選んだということか・・・

 

「そうですねぇ・・・私は遠慮しておきます。

 せっかくですし、会いたい人もいるんですよ。」

 

「なら、午前中に琉球舞踊を見て昼頃にビーチにいこう。」

 

と、レオが提案した。

 

「(それはそれで楽しめそうだから)いいんじゃないか?」 

 

そこにカヤも便乗する。

 

ただし、これはカヤにとって面白い展開になりそうだからであって、決してレオのためではない。

それを知ってか知らずか、母親がニコニコ笑っていた。携帯版の検索サイトを開きながら、だ。

 

「今調べた限りですと琉球舞踊がやっているところは軒並み午後からしかなさそうですよ?(ここら辺だと)」

 

それがどういう意味であるか分からないレオとカヤてはない。

 

死刑宣告を受けたような顔をするレオに対して、カヤは笑いをこらえるのに必死そうな顔で母親にうなずいた。

 

「しかしせっかくの海ですが、私は午後4時までやることがあるので二人で遊んできなさい。」

 

テンパっているレオからすればかなりありがたい話だった。しかし失念していた。レオを一番いじって来るのは、母親ではなく、カヤであることを・・・そしてこっそりとニヤリと笑っていたカヤの顔にも気付くことはできなかった。

 

---ビーチにて---

早速ホテル近くにあるビーチにレオとカヤは向かった。

ここで、二人の予想外のことが起きた。ただし二人にとっていい事か、悪い事かは、意見が分かれるが・・・

 

「はー何であの二人がいるんだ?」

 

「良かったじゃないかレオかわいい女の子の近くに陣取る事ができるぞ?」

 

「姉さんそれが嫌なんだよ。」

 

「そうだよな、確かにあの鉄壁の護衛がいるもんなー?」

 

「つか、何で姉さんがそんなこと知っているんだ?」

 

「いいか?いい女は秘密をたくさん持っているんだぞ?」

 

「それは、BS魔法の呪符をしまってから言おうか?姉さん?」

 

最後の姉さん?のくだりを少し強く言ったせいだろう、カヤは作り笑いを浮かべながら、マネーカードをレオに渡し海の家の方向に親指を向けた。

 

「そうだ、レオ海の家でかき氷買って来て勿論イチゴ味のだぞ?荷物は俺が持っておくから。」

 

「姉さんは本当に味覚が子供だな。」

 

「うるさいなー。いいか、イチゴはな、バラ科の植物なんだぞ?」

 

「知ってるぜ。それくらいはな。だからどうした?」

 

「私みたいだろ?」

 

「は?腐女子ってことか?」 

 

「もういいお前に言った俺が悪かった。それより早く買ってこい。」

 

「へいへい」

 

 




もどかしくなりましたか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第5話

話が進まん。


海の家までは、歩いて五分ぐらいのところにある。

そこでレオは歩いている最中に見たくないものを2つ見てしまった。

 

1つめ 小さなレジャーシートの上に母親と知らない黒髪の女性が一緒にいたこと。ただしまるで平易な日本語で言うレズ(もしくは百合)のような距離でなおかつ雰囲気だった。

レオとしては文句というよりもただただ

「うわ、ないわー」という感想しかでてこなかったのは中学生の感性としてはまともだろう。

 

                      ..

2つめ 姉が昨日から肴として話題に挙げてくるあの兄妹の近くにむかったことだ。

レオとしては1つや2つ文句を言わないといけないし、いうつもりだ。それに、レオはただでおもちゃにされるつもりはない。いじり倒すための事を考えながらかき氷を買うための列に並ぶ。

 

「おつかれー金足りたか?」

 

「一杯10万以上するかき氷とか聞いたことがねーよ!

 つか何でわざわざこんなところに陣取ったのか説明しろ。」

 

「そっちの方はただ単に俺が面白そうだと思ってやっただけだ。それより、ん。」

 

そう言ってパーカーをカヤは脱ぎ出した。

まだまだ成長しそうな小ぶりな胸(平均よりかは少し上だ。)を存分に見せつけながら日焼け止めをレオに渡してレジャーシートの上に寝転がった。

 

「分かった。」

 

そう言ってレオは日焼け止めを塗って行く。

 

「ん、んんー

レオお前そこは、ん。はぁはぁだめー」

 

確かにレオの指の動きは少しいや、かなりいかがわしい。

しかしそれにしたってカヤのリアクションも相当大げさだ。

ちなみに隣のパラソルのなかでは、女の子が顔を真っ赤にし、男の子が素知らぬ顔で海を見ていた。

 

「おい、いい加減にしろ。」

 

小さなこえでカヤに注意する。

カヤは先ほどとはうってかわって覚めためでレオを見ていた。

 

「甲斐性なし」

 

小さな声でカヤは呟いた。

 

「は?」

 

レオの対応は一般的な反応だ。

 

「もっとテンパれよ。隣の反応が以外と面白いんだから。」

 

「ホントにイイ性格してるよな。」

 

「だろ?」

 

「だろ?じゃねーよ。ほめてないか」

 

「これから誉めるつもりか?」

 

「そもそも何で弟に誉められたいんだ?」

 

「お前今どんな体勢か自覚してないのか?」

 

「ア?・・・あ!」

 

初めは怪訝そうに、そのあとは何かに気が付いたかのように呟いた。(正しくは気付かされたというべきか・・・)

 

当初レオは日焼け止めを塗るためにカヤの上に乗っていた。しかし小声で話すためにカヤに寄りかかってしたがってまっている。

姉弟とはいえその状態は他人から見れば、明らかに恋人がやるようなことだ。当然そんなことを改めて実感させられればいくら姉弟だとしても気恥ずかしいことこの上ない。

 

「謀ったな?」

 

「まさか?そんなつもりはないさ。」

 

そう言いながら、カヤは人差し指もうすぐ喧嘩しそうなヤンキーどもに向けた。(レオからみて)

 

「それより、あいつを止めた方がいいんじゃないか?」

 

もう一度よく見るといつの間にかあいつ(さっきまでパラソルにいた昨日不良軍人に絡まれていた男の子)が、わざわざヤンキーの喧嘩に割り込みに行った。

 

「ばかだろ?」

 

レオはつい口走った。

勝てるわけがないという意味だ。

 

「ああ、バカだな。」

 

カヤも同じ結論に・・・

 

「ただし、理由がかなり独善的なようで面白そうだ。」

 

至ったようではないかったらしい。むしろシニカルな笑顔を浮かべている。つまり戦いたいということだ。

 

「おいおい、ちと好戦的すぎやしないか?」

 

レオはカヤを止める。

心配しているのは、カヤが殺してしまうのではないか?と思っていったのだが・・・

 

「そうか?」

 

伝わらなかったらしい。

むしろ好戦的なところを隠そうとしないで自らのギフトの書かれたカードを手に持った。

 

「はぁ」

 

レオもしぶしぶといった具合だが、自信の魔術回路を開く。

 

「『コンタクト・フル・オープン』」

 

そういいながらパーカーの袖口から黒鍵を取り出す。

さらに黒鍵を範囲指定の軸にした情動に効果のある認識阻害の結界を展開できる精霊魔法を展開しつつ、黒鍵を4本周りに飛ばし、レオは消えてしまったかのように見える速さで移動して、2,3人のヤンキーを吹き飛ばした。

 

「おいおい、一撃で敵を気絶させたら死ぬかもだぞ?」

 

指を振りながら声をかけてきたのは、カヤだった。

 

見てみると、4,5人のヤンキーが意識を(正確には魂を)失っていた。

 

まぁその間に、レオと少年でヤンキーを殴り倒していったのだが。

 

わずか、3,4分の出来事だった。

 

十数人いたはずのヤンキーどもは全員気絶していた。

まぁそのうち何人かは死んでいたが。

 

 

「まったく、事後処理はめんどくさいんだよ。」

 

そういいながら、レオは二回地面を足でノックした。

 

そうすることで半径2メートル弱の入り口(?)が出てきた。

 

「維持するのがきついから、早く持って来てくれよ。」

 

レオはカヤに向けて言った。

 

「分かった。」

 

いくらカヤのプライドが高いといっても、聞き分けが悪いというわけではない。あとは、カヤとしては少しだけやり過ぎたという後悔もある。

 

しかしなにも知らない人間からすれば女子高校生が遺体を担いでゲート(?)に放り込むのは、かなり異常な光景と言えるだろう。

 

そう、この場にも事情を知らぬ第3軍がいるのだ。そしてその二人はすっかり失念していた。

 

「他人の魔法を詮索することがマナー違反だということを承知の上で聞かせてもらうが、今の魔法は何だ?」

 

あの少年が聞いてきた。

しかしこの質問に対して、カヤもレオも答える気はなかった。当然ではあるが。何せ二人にとってメリットがないのだから。

 

それをすぐに察したのだろう少年は少しだけばつの悪そうな顔をしてから(正確には作ったのだが)

 

「すまん、気にしないでくれ。」

 

と詫びた。

世間一般的にはかなりマナーの悪い謝り方ではあるが少なくとも、そんなことで怒るほど二人ともキレやすい性格ではなかった。

 

「そういえば何でヤンキーどもの喧嘩に突入したんだ?」

 

カヤがニヤニヤ笑いながら少年に質問した。

 

「妹の昼寝の邪魔になりそうだったから。」

 

特に何でもないといった具合で話した。

それを聞いてカヤガンド高笑いをし、レオが微妙な表情になった。

穏やかな雰囲気が立ち込めそうになったとき、

 

「兄さん、どこですか?

下手人さん、確かにこの辺に結界らしきものも張ってあるのもわかっていますよ。ですので早めに結界をときなさい。」

 

認識阻害の結界の外側から声が聞こえた。

しかしこの事事態がすごいことだ。なぜならこの結界は情動に作用する結界だ。つまり一種の系統外魔法だ。それを初見で見破れるものはそうそういない。

 

「悪い、妹が心配しているようだから、そろそろこの結界をといてくれないか?」

 

「分かった」

 

そう言ってレオは結界をといた。

 

「何事ですか?」

 

本気で心配そうにしている少女にカヤが微笑ましそうに見ていた。

 

「いや、心配する必要はないよ。」

 

いやそれは全然効果がないぞ?と誰も突っ込まないくらいには空気を読める二人だったがここで、空気を読もうとしないやつがあらわれた。

 

「君たち魔法師かい?」

 

年齢は40半ばだろう。太って、メガネをかけて、リュックサックをしょって、大きめのカメラを持っている。

 

「俺は×××社の記者なんだが、インタビューに答えてくれよ?」

 

そう言って名刺を4人にぞんざいに渡してきた。

4人の本音としては、程度の差はあれどすぐに捨ててしまいたい気分ではあったが、そんなことすれば後々面倒ごとになるのがわかっているくらいには頭が良かった。

 

「なんでしょうか?」

 

この中のおそらく年長者であるカヤが答えるために動いた。

 

「君たちさっきどこから出てきたの?」

 

「結界の中からです。」

 

いきなりきつい質問にカヤは一瞬戸惑ったが、ここは阿吽の呼吸ということなのだろう。間髪入れずにレオが答えた。

 

「結界?それは魔法じゃないのかい?」

 

「はい魔法です。」

 

「魔法師が勝手に魔法を使っていいのかい?」

 

「少なくとも俺たちは魔法を放っていないぜ?」

 

記者は、非魔法師のため、そこについてはとやかく言えるような感覚を持っていないために舌打ちをするにとどめた。

 

「そもそも君は剣を投げていたではないか?」

 

そのぶん、客観的に分かりやすい証明ができればいいのだ。

 

「あれは、黒鍵といってただの鉄の薄い板だが?」

 

ここまでは、記者にとっては前座らしく、まあ仕方ないと割りきった表情だったが、カメラを取り出してニヤリと笑った。

 

「君たち、これについてはどう説明してくれるのかい?」

 

そこには遺体を担いでいるカヤにそれを興味なさげに見る少年と様々な色を出すまさに魔法といった具合の結界を展開するレオ。さらに心配そうに見ている女の子と地面に刺さっている4本の黒鍵。

 

「たまたまだよ。」

 

レオが冷静に答える。

 

「たまたまだと?人が死んだり、気絶することがたまたまだと言うのか?」

 

それに記者がくってかかる。

 

「いいや、気絶したのは、こちらが絡まれたから魔法を使わないで殴って気絶させた。」

 

「では、人がなくなったのは、どういうことなんだ!」

 

「魔法の観点から見ればわからんとしか、こたえられないが?」

少年が答える。

 

「ハア?」

 

記者はさらにくってかかろうとする。

しかしそこでカヤがニヤニヤ笑いながら監視カメラの方向に指先を向けた。

 

「確かにそうだな。俺たちはサイオンを使った魔法は使っていない。」

 

「だったら何で人が消えたんだ!」

 

「さぁ?少なくとも現代魔法工学ではわからない現象が起きたのでは?」

 

さらに少年が畳み掛ける。

素人の人間が現代魔法工学でわからないと言われれば、例えどんなに主張しようとしてもうんも、すんもないのである。

ここで頭に来て暴れるほど理性が聞かなくなるほどこの記者は無能ではないらしい。そのままふてくされながらも、かえっていった。

正確にはいこうとした。しかしカヤがガンドを打ち込みその記者は二度と、動くことができなくなった。また、男が持っていた機材はすべて壊れた。

 

こうしてビーチでの波乱は幕を閉じたのだった。




ちょっと無理やり過ぎました。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第6話

今回はネタが多いです。


3日目の天候は朝から荒れ模様だった。

空がどんより曇って強い風が吹いている。

東会場から熱帯低気圧が接近しているらしかった。

ここまで来て台風に成長することはない、とのことだが、台風の一歩手前、くらいの低気圧らしい。

 

そんな話を朝から沖縄のローカルテレビのアナウンサーが言っていた。当然、レオたち一行は、そんななかで外をぶらつこう何て考えていない。しかしせっかくのバカンスだ。どこにいこうか考えるのも、楽しみのひとつだ。

 

「何て言えるのはおれだけか。」

 

レオが呟いた。

 

「どうしたんだ?レオ、お前ついに気でも狂ったのか?」

 

そこに嫌悪感丸出しの声で、カヤが聞いてきた。

 

「違う!」

 

「じゃあ何だ?」

 

「俺はただ1日暇だからどうしようかな?って考えいただけだ。」

 

「それだったらいいところがありますよ。」

 

それはそれはとても楽しそうに母親が開いていたのは、沖縄の国防軍の恩納基地のホームページだ。

 

「まさか・・・」

 

レオは頬をひきつらせながら呟き。

 

「まさか・・・」

 

カヤが期待感を丸出しし、新しいオモチャを見つけた子供のように無邪気な目で見つめた。

 

『そこに行けと・・・?』

 

セリフとタイミングだけは、カヤとレオは一致していた。

しかし意味合いは違った。

 

そして昔から女はこういう場では強いのだ。

 

要するに、レオの意見はスルーされる。

 

「そういえば、どうしてそんなところにレオを連れていこうと思ったんだ?」

 

カヤは当然の質問をした。

 

「フフフ、秘密です。

 何て言えるのはかっこいいと思いません?」

 

まさかのボケにカヤが疲れたように突っ込みを入れる。

 

「母さんはそういうのいいから。」

 

そんな娘の反応に満足したのだろう。少しだけシリアスな感じを出しながら、話始めた。

 

「じつわね。」

 

いきなりトーンが低くなった。

 

『ごくり』

 

わざとらしくも、大げさにカヤとレオは演技をした。

 

「空挺魔法師部隊があるんです。」

 

『だからなんだ?』

 

「フフフ、二人とも息がぴったりですね。

 それはさておき、知り合いがいるんですよ。」

 

『へー』

 

この時レオもカヤも同じことを思った。

 

((最後のだけで良くないか?))

 

余談ではあるがここはある程度しっかりとした二人だ、簡単に突っ込みをしても、それはあくまでも場を盛り上げるためのものであり、他の人に迷惑を掛けるほど盛大に突っ込みをするようなタイプではない。

 

「読んでいる人には分かりやすい展開でしたね。」

 

『?』

 

「母さん、読んでいる人って?」

 

「いえいえ気にしないでください。」

 

「メタな発言はやめた方がいいんじゃないか?」

 

と、カヤが突っ込みを入れる。

 

「そんなことより、とりあえずスケジュールをもう一度チェックしようぜ。読者がついていけなくなる。」

 

と、話がそれ始めたため、レオが話を元に戻す。

まぁ結果としてはさらにはずれたが。

 

「いい加減にしろよ、レオ!お前の頭は飾りなのか?これ以上読者もメタな発言を望んでいないぞ?」

 

「でも、確かに重要ですね。第4話の話何て、誰も覚えていないでしょうから・・・」

 

「だから母さん、いい加減メタな話はこの辺にしないか?」

 

「あらあらカヤさん、いつの間に着物姿に?なかなか似合っていますよ。

あと、レオさん、今後の予定ですが、予定通り、私とカヤさんが琉球舞踊の見学、レオさんは恩納基地で空挺魔法師の訓練を見にいってらっしゃいな。」

 

「はぁ何でこんなに伸ばすんだ?そもそも最後のだけで良くないか?」

 

「カヤさん、作者の残念な頭ではこうやって水増ししないと1話あたり3000文字以上の目標が達成しないのですよ。さらに言えば冒頭のアナウンサーの発言の漢字変換間違っていますし。[余談ではあるが]何てかっこつけているのがあわれなほどです。」

 

「だからって、俺がこんなに疲れなくても良くないか?あと、そろそろメタな話はやめよう。作者も書いてつらs・・・いや、何でもない。あと、その気持ち悪いニタニタ顔やめろ。吐き気がする。」

 

「そうですね。あんな下卑た目で私も娘も見られたくありませんし、あんなやつとっとと見捨てましょう。二度とFGOで、カレイドスコープ限界突破させて装備させてLv90以上の源頼光を使わないでくださる?無理とか言わない。」

 

ちなみにこの時の二人の表情は、嫌悪感丸出しだったとだけ、明記しておく。

 

---1時間後---

 

「そんじゃ、そろそろいこうぜ。」

 

「ええ、そうですね。そろそろ時間ですし、いきましょうか?」

 

レオが提案し、母さんがカヤに対して時間だとつげる。

 

「わかった。」

 

こうして3人ともホテルからでた。

 

---恩納基地の西門前---

 

「こんにちは、今日はよろしくお願いいたします。」

 

レオが慣れない敬語を使って挨拶をする。

 

「こんにちは、私が藤林響子です。階級は少尉です。君がレオ君よね?西城中佐から話は常々聞いているわ」

 

「はい。」

 

「そうか、君が光さんの、息子さんか・・・確かに話に聞いた通りの子だね。ここで立ち話というのもあれだし、なかで訓練を見学しましょうか?」

 

「そうですね。」

 

---徒歩で、数分後---

 

「ここが訓練施設ですよ。」

 

案内された施設は天井が高い体育館といった場所だ。

見てみると、

実践的な射撃訓練や、魔法を使っての組み手などをしていた。

 

「藤林さん、あの二人は?」

 

「ああ、司波さんたちね。あの子達は風間大尉が目をつけた子達ですよ。」

 

「へー、少なくとも、あの男の子は体術面でかなりの腕前を持っていそうですね。」

 

「ほう、そんなことまでわかるのかい?」

 

レオは背後から声をかけられた。

 

「?」

 

藤林が少しだけ非難の目を向ける。

 

「失礼した。恩納基地所属、柳連(やなぎむらじ)階級は中尉だ。」

 

「自分は西城レオンハルトといいます。」

 

「驚いたな。君は若くしてなかなかの体術を会得しているように見えるのだが?」

 

「まぁ、姉と母親にしごかれていますから・・・」

 

「ほう・・・そうかい。ま、そういうことにしておこう。」

 

そんな雑談をしていると、なぜか男の子が他の隊員たちと混じって組み手をしはじめた。

 

「予想通りの展開でしたね。」

 

「ああ、そうだね。」

 

「ええ、そうですね。」

 

常識的に考えてあり得ないことだが中学生が大の男、それも軍人を相手に一歩も引かずに組み手で余裕を持って勝つというのは、なかなかおかしな話だ。しかしかなりの腕前だと言うことを見込んでなのだろう。司令官が数人と戦わせて、ある程度実力を測っていた。

 

「君は勝てる自信があるかい?」

 

レオに柳が問いかけた。

レオにしては難しい顔で(正確には困った顔で)、

 

「わからないですね。」

 

そう答えるしかできなかった。

 

「それなら、戦って見たらどうですか?」

 

藤林が二人に提案する。

 

「それは、面白い展開になりそうだ。」

 

そこに柳が賛同する。

 

「わかりました。」

 

レオも賛同する。

 

「それでは、風間大尉の許可をとって来ますね。ついてきてください。」

 

そう言って、向かいで少年と話している風間のところに藤林についていくかたちで、レオもついて行く。

 

「風間大尉少しいいですか?」

 

藤林が向かい側にいる風間に普通に会話ができるくらいのところまで近づいて、話かける。

 

「何だ?」

 

「見学に来ている西城中佐のご子息と、組み手をしてみてはいかがでしょうか?」

 

「ふむ、」

 

そう言って風間は観察した。

 

「確かにいい勝負になりそうだ。」

 

と、少し感心したようにレオと少年を見比べた。

 

「司波くんと西城君の試合を私も見てみたい。」

 

と、風間は少し愉快そうに言った。

 

二人が位置についたところで風間が手をあげ、

 

「それじゃあ、試合」

 

「始め!」

 

といった瞬間に手を振り下ろした。

 

すぐに動いたのは、レオだ。

縮地だ。ただし、沖田総司の使っていたものほど洗練はされてはいないが、静止した状態から、魔法を使わずに時速100キロで5メートルほどの間合いを一気に詰め寄られれば、誰でも驚く。事実司波も驚いた。そしてすぐに加速した分と、レオの質量分の慣性を司波にぶつかる瞬間に一気に解放した。しかし失敗に終わった。司波が、バックステップを踏みながらグラムデモリッションを放ったのだ。

 

この戦いにおいてレオの縮地による奇襲は上手くいったが、レオは使う魔法を間違えたと言わざるおえない。いやそもそも魔法を使うこと事態が悪手だった。

 

しかしこんなところで終わるほどレオは簡単には倒すことができない。確かに、少し揺らされたがこれは仕切り直しの意味合いしかなかった。司波は少し驚いていたが。

 

今度は司波が一気に間合いを詰めてレオの耳を狙って張り手を打ち込む。レオは左手でそれをブロックしつつ、さらに左足を踏み込んでダメージを小さくするために司波の懐に入りつつ、腹に正拳づきを打ち込む。司波は、一撃でやられることを防ぐために自分からわざと吹き飛ばされてダメージを軽減する。

 

さらに追撃しようと縮地をレオが使用としたところで司波がバックステップをとる体制になり勝ちを焦ったレオがそのまま縮地を行う。司波は、そのまま右足を踏み込んでレオのがら空きになった顔面をめがけておもいっきり殴り付けた。

 

「試合、やめ!勝者、司波達也」

 

そこで試合が終わり、司波が勝った。




どうだったでしょうか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第7話

すみません色々とありました。


司波との試合が終わり、お互いに初対面の挨拶をした。

 

「司波達也だ、妹と区別がつかないだろう達也でいい。」

 

「西城レオンハルトだ。レオでいいぜ。にしても以外だな。」

 

「何がだ?」

 

「達也が以外と気さくな性格なところだよ」

 

「そうか?」

 

「ああ、達也はもっと堅物なイメージだからな。」

 

「どこからそういう。イメージになるんだ?」

 

「なんつーか、そういう雰囲気というか、オーラというか、とにかくそういう物がでたてるんだよ。」

 

「そういうものか?」

 

「そういうもんだ」

 

「ところで、1ついいか?」

 

「どうしたんだ?達也?」

 

「お前のその体術はどこで学んだんだ?」

 

レオは少しだけ反応に困った。

 

「まぁ、母親と姉にしごかれているとしか言いようがないかな?」

 

「何故に疑問形?」

 

「まぁ、いろいろあるんだよ。達也だって隠してる物の1つや2つあるだろ?例えば、エロ本の隠し場所とかな?それとおんなじようなだ。」

 

深雪は、少しだけ目を細くして二人を見た。暗にはしたないとか、不躾だとか、そんなことを注意するためだろう。

達也はそれをめで制した。理由としてはレオが軽く手を上げて謝意を示したからだ。

 

(すごく高い洞察力だ。自分の細かな表情の変化いや、表情は変わっていない。考えられるのはからだの変化だ。もしできるのであれば、見ているものが違うのだろう。いや、そもそも普通の中学生であればここまで細かい変化は見極めることはできないであろう。さらに言えば極めて短い時間しか変わっていないはずだ。それだけの時間で読み取れるとは・・・もう少し警戒のランクを上げた方がいいだろう。)

 

達也の内心を知ってか知らずか、レオはニヤリと達也に笑って見せた。

 

「そうか、悪かった。ありがとう。」

 

この時達也の言葉には2つの意味があった。

深く追及しようとしなかったことと、固くなった雰囲気を意図的にやわらげたことしたからだろう。

 

「別にいいぜ。」

 

「ただし、例にあげたものは最悪だったがな」

 

「はは、違いない。」

 

 

話が一段落するのを待っていたのだろう。

会話がちょうど途切れたところで真田中尉が話しかけてきた。

 

「ところで君達は、CAD(キャスト アシスタント デバイス)に、興味はあるかい?もしよかったら工房に来ないかい?」

 

と、いきなり真田中尉が声をかけてきた。

 

「興味はありますし、是非ともお願いします。」

 

「右に同じく。」

 

達也が答える。

レオもそこに追随する。

 

「司波くんの妹さんは?」

 

「では、私も見学させてもらいます。」

 

「それは良かった。ついてきてくれ。」

 

真田中尉は笑顔(ポーカーフェイス)で案内する。

当然のことだが、案内する真田が先頭を歩き、次に達也とレオでその後ろに深雪といった具合だ。レオはこの時、ただ漠然と深雪のやりずらそうな立ち振舞いを見て大変そうだなと思った。

 

CADについての語り合いをレオと達也と真田で、語り合った。

ただし、深雪だけは、この話に乗ろうとしなかった。むしろ驚きと憤りの2つのをミックスさせたような顔をしていた。

 

「西城君に司波くんも軍人になるきはないか?」

 

当然の質問が風間大尉からきた。

達也もレオもそれに関して難色を示した。

 

「俺は、警察志望なので・・・」

 

と、レオが答える。

当人は無難な答えだと思っている。

 

「自分はまだ進路を決めてませんので・・・」

 

と、達也も(こっちは客観的にみても無難だといえるくらいには)無難に答える。

 

「そうか、それはとても残念だ。」

 

と、風間大尉が明らかに残念そうなかおをした。

 

「そうだ、記念にこのCADを君達にあげよう。」

 

そう言って、真田少尉が先程まで自慢していた特化型CADを二人に渡した。

 

「「ありがとうございます」」

 

この時の二人の反応は、対照的だった。

達也はあくまでも、ポーカーフェイス(つまり無表情)を保ち、軽い会釈をして何の感慨もなさそうに受け取った。

レオは嬉しそうに、しかしハシャギ過ぎない程度に受け取ったあとにしげしげと眺めていた。

真田と藤林は、そんな対照的な二人を見て微笑ましく思った。ちなみに実際に顔に出てしまっていたのは真田だ。

 

ぱんぱん

風間が手を叩いて全員の注意をひいて

 

「それでは、この辺でお開きにしよう。」

 

と言って、この場はお開きになった。

 

「「ありがとうございました。」」

 

レオと達也は少しだけ深めに(といっても作法から大きく外れない程度に)お辞儀をして見送りとして、藤林と真田が3人の帰りの通路を案内しつつ、見送りをした。 

 

こうして、雨の日の見学が終わり、そのあとは熱帯低気圧も過ぎ去り、ほのぼのとした(といっても、暑さはかわらないのだが)バカンスになりそうだ・・・そう勝手にレオは思っていた。

かなり物騒な物をみつけなければのはなしだったが・・・。

 

レオはゲームセンターで少しだけ時間を潰すためにショッピングモールにたちよっただけなのだが、レオはサイオンの波が乱されるのを感じた。そんなことができるのは、アンティナイト鉱石だけだ。場所は人目につきにくいショッピングモールのコインロッカーのなかだ。

人目につきにくいとはいえコインロッカーだ。下手に壊せば警察沙汰もあり得る。しかし、アンティナイト鉱石と言ったら、軍事物資のなかで最も有名な対魔法師ようの鉱石だ。つまりテロリストから「これからテロを起こしますよ」と、堂々と宣言しているようなものだ。

 

だからといってなにもできない訳ではない。

 

例えば、サイオン波を辺り一帯に流すことでアンティナイト鉱石特有の魔法式を妨害する魔法であるキャストジャミングが展開される。・・・はずだ。

 

2092年現在防犯カメラにサイオン波を観測するためのサイオンレーダーと呼ばれる機械がくっついている。そのためアンティナイト鉱石のキャストジャミングであっても観測はできる。

 

と、言うわけで。早速レオはCADを使わずに半球をイメージし、僅かにサイオンを流した。当然アンティナイト鉱石は反応した。

 

もともと刑務所の区画整理と同じ形で作られているショッピングモールである。つまり少ない人数で警戒できるように出来ているのだ。端的にいえば数分もしないうちに警備員が走って来た。

 

「そこの君ちょっといいかな?」  

 

まだ若い見た目20代くらいの警備員が話しかけてきた。

 

「俺のことですか?」

 

レオは驚いているような顔を作った。

 

「そうだ。」

 

話しかけてきた警備員は、まるで鬼の首でもとったかのような少しだけ得意気な顔をしながらレオに向かっていった。

 

「何でですか?」

 

レオはすぐさま己の過ちに気がついた。警察であれば関係はないが警備員の場合少しだけ事情が変わることがある。それは魔法に関してだ。警察官はなんやかんやあっても絶対に中立であるがそれは警備員のところにまで強制はされない。つまり魔法排斥運動に関わるっている人間が警備員をやっていても何も不思議ではないのだ。

 

「君魔法の不正使用をしただろ?

 しらばっくれようとしも無駄だよ。証拠もあるのだからね。」

 

そう言って警備員の男はこれ見よがしに防犯カメラに指を指した。

 

「君も魔法師ならサイオンレーダーが監視カメラについている。それくらいは流石に知っているよね?」

 

ニヤニヤと言っても差し支えないような顔をしながらレオを見た。

 

「ええ、知っていますよ?」

 

レオは少しだけ嫌悪感を持ったが涼しい顔で受け答えした。

 

「それなら、話が早い。事務室まで来てもらえるかな?」

 

そういいながら警備員は、レオの手首をつかんだ。

 

「ええ、いいですよ。」

 

あまりに他人事のような言いように対して若い警備員の男は、白けたのかつまらなさそうにレオを連行した。

 

 

「まずは君のPDを見してくれ」

 

と先程とは違う壮年警備員らしき男がいった。

 

PDとは personal data の略で、身分証明書の電子版のようなものだ。

 

住所や氏名、魔法師か非魔法師かなどさまざまなことがかかれているものだ。

 

「分かりました。」

 

これに関しては別段変なところはない。

警察に引き渡すにしても何にしても本人かどうか、確認しなければならないのだ。

 

レオはPDのデータを壮年の男に渡した。

 

「西城レオンハルト君だね?」

 

壮年の男は穏やかな口調でレオに確認をとった。

 

「ええ。」

 

レオは頷いた後に壮年の男の顔を見た。

 

穏やかな表情の中にほんのすこしだけ申し訳無さそうな、表情が見てとれるのは、レオの穿ち過ぎだろうか?

 

「こちらの手違いで君をここにつれて来てしまったことに関しては悪く思っているよ。うちの、若いのが先走り過ぎたね。悪かった。」

 

壮年の男はいきなり謝罪から始まった。

 

流石のレオもこれには面を食らった。

 

「いえ、こちらこそ紛らわしい事をして申し訳ございませんでした。疑わしきは罰せよ。と昔から言いますし、悪いことをしたなとは思いましたから。(大嘘)」

 

 

「そうかい。それならば一ついいかな?」

 

壮年の男は先程と雰囲気はあまり変わってはいないが目付きは少しだけ鋭くなった。

 

「何でしょうか?」

 

少しだけレオは警戒する。

 

「なんで君はあんなところにあんなものがあると分かったのかね?」

 

まるではじめから知っていたのでわ?と聞いているかのような言いようであった。

 

 

「単に歩いていたらサイオンの乱れを感じたから。」

 

このとき初めてレオはこの場の異様さに気がついた。

確かに簡易の取調室らしくレオの椅子も壮年の男の椅子もパイプ椅子であるし、テーブルもいかにも安物といった具合のものだ。さらに録音をしている人の机も職員室に何台も並んでいるような机だった。

しかしこの場にいる人は全員何かしらの格闘術をやっていることでつく、特有の体付になっている。

 

 

「ほう?」

 

まるでそんな答えを言われるとは思ってもいなかったのだろう。ニヤリと(とてもではないが警備員のするような顔ではないような)獰猛な笑みを浮かべ、

 

「まぁ、今日のところはそういうことにしておこうか。」

 

と、観念したというよりかは見逃してやろうくらいのまるでどこかの軍人のような口調で壮年の男は言った。

 

「ありがとうございます。また会えそうですしね。」

 

レオはシークレットデバイスの未来予知の機能の結果を信じてある意味において挑発的ともとれる発言をした。

 

「ああ、確かにそうなりそうだな。」

 

少しだけ間をおいて、

 

「ただしその時はお互いに大変なことになっていそうだがな。」

 

と、含みを持った言い方をしてニヤリと笑った。

この時にレオはこの壮年が軍属の人間であることを確信した。




どうでしょうか?


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。