真剣でボギーウッズに恋しなさい!(仮) (シャチョー)
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1話

とりあえず書いてみた後悔はしていない


釈迦堂 刑部、この灰色シャツに黒いズボンで身を包んだいかつい中年男は

もともと関東三山のひとつであり

武術の鍛錬場所、総本山として世界でも有名な「川神院」で

師範代という地位にまで上り詰めた強者であった

 

が、しかし、生来の暴力的な性格と

純粋に戦闘のみを楽しみ、強さを追い求める飢えた野獣のごとき

精神に問題があるとされ、数日前川神院の頭首、

川神鉄心よりついに破門が言い渡されてしまった。

 

「あ~あ、とうとう追い出されちまったか、まぁあんな堅苦しいとこを

出れてせいせいしてるがな。百代や一子のことは気になるがあの二人なら大丈夫だろ。

それにしてもこれからどうしたもんかね」

 

 

行くあてもなく川神市内をフラフラと歩きまわるが、そうそううまい話が

あるわけもなくただただ時間ばかりが過ぎていく。

 

「しょうがねぇ、仕事がきまるまでは堀の外で寝床になりそうな

ところでもさがすか。あそこなら戦う相手にもそう困らんし憂さ晴らしもできて一石二鳥ってやつだ。

んじゃま、さっそ『グ~~ッ』

……まずは昼飯クイに行くか、梅屋に」

 

これからの行動をとりあえず決めた釈迦堂はくるりと足の向きをかえて

目的地の梅屋に向かって歩いていく。

これが自分の人生にとって大きな分岐点となる少年との出会いのほんの2,3時間前の

話だということをこのときはまだ釈迦堂自身も知る由はなかった。

 

「あ、俺今400円しか持ってなかったわ、これ豚丼(とろろ付き)頼めるか・・?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

親不孝通り

 

川神市の端っこにあり大勢の不良やはずれ者といったアンダーグラウンドの

住民たちがはびこる区画。地元住民からは堀の外と呼ばれているそこは

危険すぎて警察すら手が出せずにいる無法地帯、ゴミだらけで汚く狭い道には

鉄くさいにおいや腐乱臭が漂っており薄い壁越しには女の嬌声が聞こえてくる。

 

「久しぶりだがこの獲物を狙って殺気むき出しのピリピリする感覚はたまんねぇな。

だが・・・身の程をわきまえろよ?狩人と獲物の立場をはき違えてんじゃねぇよ」

 

その言葉を言い終えるとともに釈迦堂の体から禍々しい気配と殺気が立ち上り耐性のない

者はその場で泡を吹いて倒れ、それなりにできる者達は自分との歴然たる力の差に

気づいてそそくさとその場を去っていく。

 

「へっ、雑魚がいきがってんじゃねぇよ。

とりあえず予定通り住むところをさがすか」

 

そんなことを考えながら親不孝通りをまたもやぶらぶらしていると

視界の端っこで高校生くらいの不良たちが親父に

いちゃもんつけ始めたのに気づく。どうやら歩いていたら肩がぶつかってしまったようだ。

この親不孝通りでは別段珍しい光景ではない。

 

(なんだ、ただのカツアゲか……しっかしなんでこんなところに

あんな冴えないおやじがきてやがるんだ?)

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

親不孝通りの入り口から少し進んだところでいかにもDQNな不良たちがたむろって煙草を

吸っていると、とぼとぼとおぼつかない足取りでスーツ姿の親父が歩いてきた。

DQNたちは一瞬戸惑うも何かを思いついたのか、いやらしい笑みをうかべだす。

そのうちの一人がおもむろに立ち上がって親父のほうに向かって歩いていく。

 

『ドンッッ』

 

「あいててててて~!?」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

ぶつかったDQNが大声を上げてその場を転がりまわるも、親父はどこか虚ろな瞳と

ぼんやりした表情でその状況を眺めている。

 

「おいおいおじちゃん、人にぶつかっといてそのたいどはないんじゃないかな~?」

 

「兄貴は生まれつき病弱なんだよ!うわ~こいつはひでえ、骨が複雑骨折して

粉々になっちまってやがる、こりゃ慰謝料をもらわねえとな~。

治療代と兄貴の受けた精神的ダメージも込みでざっと100万円ってとこかな?ぎゃははは」

 

「・・・・・・・・・・・」

 

「おいおい、ぶるっちまってんのか?返事しろやおら、ぼこすぞあ゛ぁぁん!?」

 

「そうだそうだ!さっさと100万もって『バキィッ』ぶげらっ!?」

 

突如、今まで何もしゃべらずにぼーっとしていた親父が詰め寄っていたDQNのほほに

拳を打ち込む。いきなりすぎたのかなんの構えもできずにそれを受けたDQNは崩れ落ちて

動かなくなる。

どうやら一撃で気を失ってしまったようだ。

 

「ショウちゃん?!てってめえよくもッ、ただじゃすまさねぇぞ!おいおまえら、やっちまえ!」

 

「「「「おうっっ!!!」」」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

男たちの殴り合いがあった現場にはズタボロになって倒れ伏す

不良たちと始まる前と同じぼんやりした顔のまま佇んでいる。

親父がひとり。何の変哲もないただの親父が

あれだけ激しく動いたにもかかわらず

息も切らさずに何食わぬ感じで立っている光景はどこか

不気味な印象を周りの人間に与えた。

親父は小さくため息をつくと路地裏へと入っていく。

 

 

(ほう・・・?あの親父、ただの冴えないサラリーマンにみえたがなかなかどうして。

あの殴った時や不良を相手にしてる動きからするとかなりできるな。

俺が気付かないくらいにうまくかくしてやがったか、

気もそれなりにあるようだしこいつはしょっぱなから結構楽しめそうだぜ。)

 

 

 

~路地裏~

 

 

「おっさん!結構強いみたいじゃねぇか。どうだ、突然なんだがいっちょ

俺と勝負しねえか?」

 

「・・・・・・断る」

 

 

「おいおいつれないこというなよ、おっさん。あんたがそんな調子だと、

つい手がすべっちまうだろぉぉぉお!?」

 

ぶぉんっ

 

「へえ、これをかわすなんてやっぱり見込み通り相当強いんだな。

これは楽しくなってきたぜぇぇえ!!」

 

初めのうちは問題なくかわしていた親父も、

徐々に勢いを増していく釈迦堂の攻撃をかわし切れず、

反撃も許されないまま防御を余儀なくされ

その身を削られていく。

 

(こいつどうにもおかしいな、

実際に戦ってみるまでわからなかったがどうして体に二つも気があるんだ?

しかも片方は今にも死にそうな、もう一方は……抑えてやがるな?

上等だ、どういう仕組かは知らんが俺もなめられたもんだッ!)

 

「おらぁっこいつはどうだ!川神流蠍打ちッッ!」

 

釈迦堂の狙い澄ました一撃が親父の鳩尾に深く、鋭く食い込む。

 

「ガッッッ!?」

 

「ハハハ、思ってた以上に綺麗にぶちこめたな。

どうした?そのてい・・・ど・・・?」

 

戦いが始まってから終始楽しそうにしていた釈迦堂が

不意に体を止めてしまう。戦闘中に足を止めてしまうのは自殺行為なのだが

この時に限っては仕方のないことだともいえる。

 

先ほど自分が拳を叩き込んだ親父の背中側が異常に盛り上がり、明らかに人体から出ては不味い音を出しながら苦しそうに身もだえしだしたのだ。

 

『バキボキッブチブチプチゴリュッポキビキッ』

 

そして音があらかたなり終わってから、倒れこんだ親父の背中にある膨らんだ所から

ズルズルッという音を立てながら何かが出てくる。あまりにも現実離れをした凄惨な光景にさすがの釈迦堂も思わず顔を顰める。少年が抜け出た後にはまるで全身の骨だけを抜き取られてしまったような親父の皮だけがブヨブヨぴくぴくとしていたのだ。しかも驚くべきことにそいつはまだ生きている《・・・・・・・ 》。

 

 

「ガッッ,ギィッッ、ウァァァ…ッ……」

 

「……はっ!?あぶねぇ、驚きのあまり我を見失ってたぜ…

ククッ、それにしても一体全体どういうことだそりゃぁ、おまえさんは腹ン中に寄生して成長するエイリアンか何かか?なぁ坊主」

 

ぴちゃっぴちゃっゲホゲホッ、ふぅ

 

声をかけられた少年は自分の体についている体液を払って落としながら急き込んだ後息を整えている。

 

「ぐっ、うう……こんなの初めてだよ、まさか『宿』から叩き出されちゃうなんて。おじさんこそ何もんなの?」

 

「うげぇ。ってこら、俺はまだおじさんじゃねぇ、お兄さんだ。川神院“元”師範代の釈迦堂刑部だ。坊主、おまえは?」

 

「僕の名前?………ボギー、ボギーウッドっていうんだ。」

 

「あー、おまえ金髪だし見るからに外国人っぽいもんな。そうかボギーか、覚えといてやるぜ。さてと、続きだ続きだ!戦闘再開ッと!」

 

がしっ

 

「おわっと!いきなり何すんのさ!?危ないじゃん!」

 

 

「そんなこと言いながらあっさり受け止めてんじゃねぇか、それもさっきまでより

気を込めてるのに。やっぱさっきまでのはブラフか、抑えてやがったな?

それにどうやらまだ隠し玉もあるようだしとても百代や一子と同い年には…

いや、百代はそうでもないか。とにかくだ、手段はしらんがおまえさんの生きた人間に入って戦うってのは俺も今まで生きてきて初めて見たぞ?俄然、おまえさんの隠し玉も気になってくるってもんだよ、ナァッ!!」

 

「うわわッ!?大体百代って誰さ…ていうかおじさんはこのくったりしちゃった親父のこととか気になんないの?」

 

「ん?そんなもんなんで俺が気にしなきゃならねえんだ、たしかにこんなのは初めてだがやった理由ならわからんでもない。大方他人の命なんぞないがしろに生きてられなかったんだろ?ここは弱者相手に容赦する奴なんかほとんどいないしな。

それにおまえ………親に見捨てられた捨て子《・・・》だろ?」

 

と、言い放った瞬間先ほどまで無表情に近かった少年の顔が悲痛に歪み、体から湯水が噴き出すかのごとく勢いよく気が放出されだす。

 

「!? ア゛ア゛ア゛ァッァァァアァァァァッァア゛!!!!」

 

(こいつはまさしく想像以上だな、これは鍛えれば百代にも届くか?そうすれば俺の飢えだって…

本当に面白い坊主だ、これが終わったら本格的に育てるのも悪かねえ。ははっ俺がこんなこと思うようになるなんて、

俺が破門されたのはこいつと会うためって言ってもいいくらいまさしく運命的だ。

でもま、今は……)

 

「この戦いを楽しもうぜ糞ガキぃーー!!」

 

「がぁーーーっっっっ!!!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

おまけ 

 

 

 

オヤジ(これからいったいどうすれば…ていうか俺の近くで戦わないでくれ。そして病院へry)

 

 

 

 




お久しぶりです、シャチョーです
結構前から考えてたネタ、とりあえずあげてみました
ヤマトと同じヤドカリ好きなうえに
妄想じゃなくてリアル超マッハ正拳突きとかwktk
まぁ生かせるかはアレだけど

最近色々やることが多くて+文才がなくて
カメどころかナメクジ以下のスピードですが
ほかの奴も続き作るんで見捨てないで下しあ
需要があるのかは不明ですがw


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