ISとHALOが混ざってしまった件について… (コレクトマン)
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ONI社 プロフィール
ONI社 SPARTANの各個人データバンク


ONI社 情報部参謀

SPARTAN達のデータを此処に記す。

7/17(月)SPARTAN達のデータをアップデート。

2018 6/29(金)SPARTAN達のデータをアップデート。

10/16(火)SPARTAN達のデータを修正、アップデート。

10/29(月)SPARTAN達のデータを修正、アップデート。


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SPARTAN-Ⅱ Sierra-105

 

 

泉谷 星矢

 

 

イメージCV “小山 力也”

 

 

IS、ミョルニル・アーマータイプ “Recruit”

 

 

日本内の階級 三佐〉一尉

 

ONI、国連内の階級 少佐〉大尉

 

 

神様の気まぐれの所為で殺された転生者。

 

死因は、高校の受験を終えて帰宅途中に受験で受かれ無かった男性に突き飛ばされ、電車に引かれて、即死。

 

その後、神と自称する光りの球体が現れて、転生特典であるHALOシリーズに関する事やマスター・チーフ並みの幸運、身体能力強化(強)を無理やり渡されてISの世界に転生した。

 

そして、そのISの世界に転生した後は6歳になるまで父親の愛情で育っていった。母親は星矢を出産後、血の量が多かった為に多量出血で死去。

 

6歳になったと同時に、ONI社にあるSPARTAN-Ⅱ育成用施設で、父親と離れて9年間を過ごし此処の世界のハルゼイ博士や、ONIの各支社の社長、そして星矢の父親の立案の元SPARTAN-Ⅱのカリキュラムを無事にクリアし、強化用の薬物に無事に馴染みこみ、この世界で“マスター・チーフ”の次に最強の兵士が誕生した。

 

 

織斑 千冬を含め、戦闘順位に並べると………

 

 

マスター・チーフ〉超えられない壁〉泉谷 星矢=織斑 千冬

 

 

カリキュラムの際にSPARTAN候補生の指揮を執り、高いリーダーシップを評価され、後にSPARTAN混成部隊“ウルフチーム”のリーダーとして任意を務める。

 

 

なお…コミュニケーション能力については、1つだけ欠陥が発見した。普段の生活や戦闘時の一人称を“僕”と言うが、感情である“怒り”が頂天に達した時には“俺”と口調が変わり、より冷徹で残忍な性格になることが確認された。その欠陥が確認されたのは中国のとある研究所でISや、少女達に対する非人道的違犯の研究が発覚した為、一夏がまだウルフチームに入る前の頃のウルフチームがその研究所の視察と排除(必要とあらば)に向かったのが原因だと思われる。

 

その研究所内部で、ボロ雑巾の様に使い捨てられ、もはや生きる気力を失った目をした被験者を見た星矢は、報告の際に「此処の研究者はクソ以下の溜まり場だ…此処にいる研究者全員の抹殺の許可を…」…と告げてきたのだ。

 

 

ONIも流石にそれは了承せず、その違反研究者全員は社会的に抹消するという形で処分された。その時の星矢は、怒りを通り越して冷静になっており、いつでも敵を殺せる目になっていた。そこでONIは、星矢が20歳になった時に女性型スマートAI“ターニャ”と男性型スマートAI“アル”の二つを渡し、星矢の怒りの抑止力と同時に、AI達とSPARTANの絆を高めることにした。しかし、星矢がISを起動してしまったことでAIの引き渡しを入学と同時に行われた。

 

 

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SPARTAN-Ⅲ Omega-111

 

 

織斑 一夏

 

 

イメージCV “原作通り”

 

 

IS、ミョルニル・アーマータイプ “Pathfinder”〉“Fotus”

 

 

日本内の階級 准尉

 

ONI、国連内の階級 准尉

 

 

インフィニット・ストラトスの主人公である彼は、第2回モンド・グロッソで謎の組織に誘拐され原作には無い瀕死の状態まで暴行を受け、廃ビルの入り口に捨てられる。

 

その当時、ONIドイツ支社のスタッフが第2回モンド・グロッソを観戦し終え帰宅する時に偶然瀕死状態の一夏を発見し、そのままONIドイツ支社の医療施設に緊急搬送された。

 

…だが、あまりにも酷い重傷だったので生命維持の為に織斑家の許可なく彼をSPARTAN-Ⅲに手術したのであった。手術後に目を覚ました一夏に状況を説明し、勝手に強化兵士であるSPARTANにしてしまったことを詫びるが、一夏はあまり気にしなかった。

 

 

一夏曰く…“千冬姉や、箒たちを守れる力を得た”…とのことだ。

 

 

SPARTAN-Ⅲとなった一夏は、その力の使い方を見誤ぬ様SPARTAN-Ⅲ育成用施設で訓練をし後にONI日本支社の社員兼SPARTAN混成部隊“ウルフチーム”の四人目として編成された。

 

 

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SPARTAN-Ⅲ Alpha-261

 

 

池上 桂

 

 

イメージCV “関 智一”

 

 

ミョルニル・アーマータイプ “Venator”

 

 

日本内の階級 二尉

 

ONI、国連内の階級 中尉

 

 

インフィニット・ストラトスのオリジナルキャラクターその①。

 

SPARTAN-Ⅲの中で唯一最強の男。先輩であるSPARTAN-Ⅱと肩を並べる程の実力を持ち、射撃訓練にて移動するマトをM395DMRで14発中12発連続ヘッドショットさせる位の実力だ。

 

中の人の影響か、過去に桂がSPARTANになる前の頃にとある刑務所の看守部長を勤めていた。なぜ彼がSPARTAN-Ⅲになったのかと言うと、過去に勤めていた刑務所である事件でとある囚人が看守を人質にし脱獄を図ろうとしたが、桂は囚人が看守を人質にしているのにも拘わらず桂は腰からS&WM37を抜き出し、囚人が人質している看守共々撃ったのだ。幸い看守はかすり傷程度で済んだが、囚人は右足腿に.38スペシャル弾が食い込んだ。更に追い打ちと言わんばかりにS&WM37の持ち手をシリンダー部とバレル部分に持ち替えてそのままグリップ部分で囚人の腹に強く叩き込み、そのまま捕縛した。

 

無事に囚人は捕まり、人質にされた看守の生命に別条はなく、無事に事件は解決したかに見えた。桂の上司である看守長は桂の行動に気に入らず、彼に囚人を逃す手伝いをしたという偽の汚職情報を上層部に報告したが既に桂が先手を取っており、逆に桂が看守長が数多の汚職行為と今回の事件の黒幕であると報告したのだ。何故桂がその事を知っているのかというと、脱獄を図ろうとした囚人を心理学で黒幕の正体を聞き出したのだ。結局看守長は、汚職罪ならび逃走援助罪の罪で逮捕された。上層部は桂の行動に大いに評価し、彼を新たな看守長に任命しようとしたが桂はそれを断り、退職届けを申請した後そのまま刑務所から姿を消した。

 

それ以降役一週間がたった頃に桂が住まうマンションのポストにONI社から入社勧誘の手紙を見て桂は新たな就職場所をONI日本支社にし、SPARTAN-Ⅲに志願したのであった。

 

この時の桂は…“俺向きの仕事だな”…との事だ。

 

SPARTAN-Ⅲ育成用施設で見学しに来た星矢は、桂の高いリーダーシップと行動力を評価し彼をSPARTAN混戦部隊“ウルフチーム”のサブリーダーに任命した。

 

因みに同じSPARTAN-Ⅲである“折原 志野”のツッコミ兼暴走ストッパーという役割で行動している。余談ではあるが、彼がキレるとかなり暴言が激しくなる。

 

 

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SPARTAN-Ⅲ Delta-074

 

 

折原 志野

 

 

イメージCV “村田 太志”

 

 

ミョルニル・アーマータイプ “Alr assault”

 

 

日本内の階級 二尉

 

ONI、国連内の階級 中尉

 

 

インフィニット・ストラトスのオリジナルキャラクターその②。

 

SPARTAN-Ⅲの中で唯一重度のアニメ兼改造オタク。彼が10代の頃、丁度“篠ノ之 束”がISを世間に紹介している所をテレビで見てメカニックセンスが開花し、高校卒業後そのままONI日本支社に入社した。

 

そしてSPARTAN-Ⅲに志願し、桂とは違う最強のメカニックソルジャーが誕生した。

 

唯……難点を挙げるとしたら、改造が趣味の性でONI社が作った武器を魔改造してしまう事があった。そして関係ない話だが、名前からしてとある鉄と血の孤児に出てくるキャラと共通する処があった。中の人の影響なのか武器を改造した際にその武器にもう一つの名前を付けるところと、SPARTAN専用ブースターフレームをマゼンダカラーに染め、名前を“流星号”と名付けたのだ。

 

志野曰く…“その方がカッコイイだろ?”…との事だ。

 

志野は元々別のSPARTAN混戦部隊で配属していたのだが、彼のメカニックオタクにはついていけないとの事で除隊され、メンテナンスルームを拠点に開発で暇をつぶすSPARTANとして噂が一時的に広まった。星矢が偶々メンテナンスルームで志野と出会った時に彼が作った武器の数々を見て評価し、志野を星矢が率いるSPARTAN混戦部隊“ウルフチーム”の三人目として迎え入れた。

 

因みに余談だが、同じSPARTAN-Ⅲある“池上 桂”に恐怖を抱いている。どうしてそうなのかと言うと、嘗て志野は武器を魔改造しすぎて改造費がバカみたいに掛かり過ぎて一度桂に怒られ、しばかれたからだ。それでも懲りずに武器の魔改造を続けるあたり流石はアニメ兼改造オタクと改めて実感できる。

 

 

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SPARTAN-Ⅱ Sierra-023

 

 

デイジー

 

 

イメージCV “桑島 法子”

 

 

IS、ミョルニル・アーマータイプ GEN1時 “CQB” GEN2時 “War master”

 

 

HALO世界、UNSCでの階級 上級兵曹

 

IS世界、日本内の階級 三尉

 

ONI、国連内の階級 少尉

 

 

HALO LEGENDSに出てくるキャラクターその①

 

HALO世界のSPARTAN-Ⅱでハーベストにてペリカンとその搭乗者を敵の攻撃から守ろうとしてニードラーに突き刺され戦死した筈だったが何故かラルフと共に星矢がいるISの世界に転移される。

 

その後デイジーは星矢に保護されてONI社に入社する事になり、ONI社からの指令でIS学園の教師として派遣されるのであった。

 

 

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SPARTAN-Ⅱ Sierra-141

 

 

カル

 

 

イメージCV “能登 麻美子”

 

 

IS、ミョルニル・アーマータイプ GEN1時 “Mk-Ⅳ” GEN2時 “Cypher”

 

 

HALO世界、UNSCでの階級 不明

 

IS世界、日本内の階級 三尉

 

ONI、国連内の階級 少尉

 

 

HALO LEGENDSに出てくるキャラクターその②

 

HALO世界のSPARTAN-Ⅱでコヴナントを指揮するプロフェット暗殺任務で命を落とし、前世の記憶を持ちながらこのISの世界に転生した例外のSPARTAN。

 

SPARTANになる前の当初の本人はONI社で働く両親の中で生まれ、6歳の時にSPARTAN-II計画の被験者としてキャサリン・E・ハルゼイ博士によって見出されるがカルは自ら志願し、星矢を含む他の被験者と共にSPARTANの訓練を受けた。なお、今現在ではIS学園の教師として編入されている。

 

 

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SPARTAN-Ⅱ Sierra-1337

 

 

不明→後に星矢がサンジと命名

 

 

イメージCV“平田 広明”

 

 

ミョルニル・アーマータイプ GEN1及びGEN2時“Mk-Ⅳ”

 

 

HALO世界、UNSCでの階級 不明

 

IS世界、日本内の階級 三尉

 

ONI、国連内の階級 少尉

 

 

HALO LEGENDSに出てくるキャラクターその③

 

HALO世界のSPARTAN-Ⅱで非常に事故を起こしやすく、不器用で不運なSPARTAN。

 

とある惑星で色々な事故と不運に見合われながらも合流ポイントに向かおうとした矢先にテロダクティルが襲って来てそのまま巣へと持ち運ばれている時に突如として発生したワームホールによって吸い込まれ、テロダクティルの餌にならなかったものの、星矢達がいるISの世界に飛ばされたのであった。

 

その後、元の世界に帰るまでの間IS世界のONIに世話になる。今現在はIS学園の実技演習の特別教師として編入されている。

 

 

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レポートが途中で途切れている………

新たにレポートが追加される可能性“大”と仮定。



これを持って、SPARTAN達のレポートを再開…

記載されるのを待て………



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第0章 プロローグ
ISの世界にHALO要素を入れた結果…


うp主が気まぐれでできた作品です。

転生した男性よ、まぁ…頑張れ。


………始まるぞ。


 

 

どうも皆さん、初めまして。

 

僕は泉谷星矢(いずみやせいや)という者です。

 

何故自己紹介をしているかと言うと、それは…ある出来事で僕が死んじゃって神様に強制的に転生させられて“IS”の世界に来ちゃったからです。

 

ISの世界に転生する前に神様転生恒例の特典を紹介しないといけない。僕の特典は………

 

 

“HALOシリーズに出てくる兵器を開発出来る頭脳と資金とスタッフ達”

 

“マスターチーフ並みの幸運”

 

“身体能力強化 (改)”

 

 

この三つだけ。

 

身体能力強化ならまだ分かるけど、何故SPARTAN-Ⅱ Sierra-117ことマスターチーフの幸運がこっちについて来たのか分からなかった。ただ僕は、幸運を上げてほしいと頼んだけど……チーフ並みの幸運は流石に多過ぎです。確かに、このISの世界で生き残る為には僕以上の幸運はいるから頼んだからいいですけど…まぁ、こうも僕の幸運が高ければ何かと良い事が起こりそうな事を祈りたいです。

 

そして、ONI株式会社(以降ONI社)の若社長になっています。僕、社長柄ではないのですが……

 

 

因みにONI社の生業は民間軍事会社で日常品製造メーカー、そしてISの武器や装甲とシステムの開発の三つで構成されている会社だ。そのONI社には七つほどの支社があって、その内一つが日本で、その次がアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、ドイツのONI支社が存在する。本社はと言うと、何故か衛星軌道上のステーションがONI本社だそうです。……正直な事を言って何でそこを本社にしたんだろう?スタッフから聞いた話だと、前社長兼父親が“本社がステーションにあったらカッコ良くないか?”とのことです。何でそこでフロム脳を発揮したんですか、父さん………(汗)

 

 

さて…僕こと泉谷恭弥はこう考えます、この世界で自分が先ず何をするか?です。SPARTANの鎧であるミョルニル・アーマーを先に作るってのもありかも。ISと比べると空を飛べない点があるけど、そこはSPARTANの拡張モジュールであるジェット・パックを装備すれば短時間だけど空を飛べます。そうなれば、空を長く飛べる様にジェット・パックを改造して、推進剤を多くしないと………

 

でも、SPARTANと言えばSPARTAN-Ⅱが結構非人道的な計画とも言える。何故かと言うと、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()S()P()A()R()T()A()N()-()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。その強化用薬剤は、いくら適性の高い子供でも100%の確率で割ると、10%の確率で上手く馴染んで強靭の戦士“SPARTAN-Ⅱ”が誕生する。残りの90%は、その強化用薬剤の副作用で死ぬか、もしくは身体の一部の神経機能が死んで障害を患うかのどちらかだ。

 

因みに僕の場合は、そのSPARTAN-Ⅱ計画の一人であるそうだが……チーフ並みの幸運を取ったせいなのか?まぁ…こうして今説明していられるのも運が良かったとしかいえないな。

 

 

そしてもう一つ気になることがある。SPARTAN-Ⅱ計画の次であるSPARTAN-Ⅲ計画のこと。このSPARTAN-Ⅲ計画は、より安価で簡易なSPARTANの量産を目的とした計画である。SPARTAN-Ⅱの劣化版ではあるが、より多くのSPARTANを生み出すことができた。今この会社や、他の国の支社のSPARTANを含めて8割がSPARTAN-Ⅲなのだ。そのSPARTAN-Ⅲにある人物が紛れていた。

 

 

その人物の名は………()()()()

 

 

一夏よ、何でSPARTAN−Ⅲに入っているんだ?もう原作が崩壊しているよ。……もしかしてあれかな?第2回モンド・グロッソでSPARTAN−Ⅲ計画の者達に誘拐されたのかな?その事をスタッフに聞いたら、“発見した時には瀕死状態だった”そうです……一夏が助かる方法は一夏をSPARTANにするしか方法がなかった。一夏が無事に手術が終えた後、すぐに僕は一夏が無事である事を千冬さんや束さんにちゃんと説明した。正直な話………正直言って僕は、精神的に死にかけた。それ以降一夏は、ONI本社で正式にONI日本支社で働くことになり、僕が所属するSPARTAN混成部隊“ウルフチーム”の四人目として配属されました。…無論、千冬さんや束さんの許可はもらいました。

 

 

 

それ以降、時は過ぎて行き………

 

 

 

丁度一夏が高1くらいの歳頃になった今現在の僕は一夏と共に、SPARTAN−Ⅳのミョルニル・アーマーのGEN2を開発しています。何故GEN2のアーマーを作っているのかと言いますとSPARTANが使用しているミョルニル・アーマーは、普通の人間では使えない代物だからです。そのミョルニル・アーマーのGEN1をスタッフがお試し感覚で装着した結果、死亡した。だからこそ、僕たちが作っているGEN2アーマーは安全且つ、必須なのです。その結果、一般兵でもちゃんと訓練すれば、SPARTANの仲間入りが可能になりました。

 

因みにSPARTAN−ⅡとⅢのアーマーはGEN1の古いタイプを使用しているのだ。このGEN2は様々な機能や性能をアップグレードした物で、SPARTAN−ⅡとⅢの互換性を適応し、対IS戦闘用にSE(シールド・エネルギー)の強化とGEN2用のアーマーアビリティの拡張したのである。…簡単に言いますと、GEN1のアーマーをGEN2に取り替える事でSEの強化と拡張性がアップすると言う訳です。

 

 

「なあ星矢、お前何独り言いってんだ?」

 

「気にしないで、一夏。僕は気にしない………」

 

「いや、普通は気にするだろ………」

 

 

さてと、そろそろGEN2アーマーが完成する頃合いです。これを作ったら次にGEN2アーマーを応用した秘匿兵器アーマースーツを作らないと……アレはアレで火力が変態並に高いからね。

 

 

20mmHE弾 T261ルシファーガトリングガン。

 

LAU−1810ミサイルランチャーが3機。

 

105mm HE ラウンド M149 マゼラン RCL。

 

18式電磁/銃剣式 クレイモア。

 

 

説明した以下のように、地雷やらガトリングやらetc…この様に火力が高い。だけど、秘匿兵器アーマースーツは誰でも装着できるといっても、重症や死亡する例があった。このスーツはとんだじゃじゃ馬だけど、GEN2アーマーの応用によって、重症や死亡する確率が大幅に減ったから良いんだけどね。そんなこんなで、SPARTAN−Ⅳ用のGEN2アーマーの開発が無事に終わりました。

 

 

「フゥ……何とか完成したな」

 

「何とかね、これでSPARTANが女尊男卑勢の女達に対する抑止力になってくれると願いたい」

 

「……ああ、そうだな」

 

「……そういえば、千冬姉はどうしてるかな?」

 

「分からん…だが、あのブラコン(千冬さん)の事だから一夏に会える日を楽しみにしてるんじゃないのか?」

 

「そうだと思うな…むしろ、千冬姉の事だからその可能性があるな。もしそうだったら……!」

 

 

そんな微妙な空気の中で警報が発せられた。

 

 

「敵襲警報っ?!またどっかの国の兵士たちか?!」

 

「くっそ…これで三度目だぞ!」

 

 

僕たちはすぐさまにブリーフィングルームに向かった。

 

 

3分後………

 

 

ブリーフィングルーム着いた時には、“ウルフチーム”の二人が、僕達を待っていた。

 

 

「遅いぞ、リーダー」

 

「あぁ、遅いぞ。それと一夏、この戦いが終わったら一杯やらないか?」

 

「あぁ、すまない。それとⅢ、一夏と飲みに行くのはまた今度にしろ。それでⅡ、状況はどうなっている?」

 

「あぁ、此方に襲撃してきた敵勢力の所属が判明した。相手は、ISを筆頭にフランス軍を率いた女尊男卑勢の女達だ。因みに今回の首謀者は、あのデュノア社だ」

 

「あのデュノア社が…?!」

 

 

デュノア社。記憶によれば確かデュノア家の会社で僕達の友達であるシャルロット・デュノアが住んでいる所である。しかし何か変だな?デュノア社とは、技術提供し互いに利益を得るという形で協力関係を築いたのだが、なぜ今になって自ら関係を断つことを選んだのか理解できない。……もしかしてデュノアの愛人が仕向けた陰謀なのか?だとしたら、シャルが絶対何か酷い目にあったに違いない!

 

 

「デュノア社がとうとう痺れを切らしたか……」

 

「どうやらかなりヤバイ匂いがしてきたな」

 

「なあ…星矢、もしかして………」

 

「あぁ、もしかしたら彼女もあの()()によって何かされたかもしれない」

 

「なっ!?マジか…!」

 

「あくまで、もしかしたらだよ。だから、そのケースを想定しておいても損はないよ」

 

「リーダー、そろそろ敵が来るから簡易的に作戦内容を説明するぞ」

 

 

ウルフⅡが作戦内容を簡易的に説明した。

 

 

「今回の作戦を説明するぞ。敵は歩兵五個中隊と戦車18台に戦闘ヘリ30機、そしてISが5機だ。それに対して俺たちの戦力はスコーピオン5台にホーネット15機、SPARTANと地上部隊を含め三個中隊だ。かなり戦力差があるが、俺達SPARTAN達には関係ない。逆に還って向こう側は()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

そう…SPARTAN−Ⅱの発想はいたってシンプルである。()()()()()()()と認識しているのだ。そのせいで、敵はSPARTANの事を“悪魔”と呼んでいる。しかし、SPARTANとて不死身という訳でもない。たとえ死んだとしても、行方不明という形で処理される。

 

 

「そして今回のウルフチームの展開場所は敵陣のど真ん中だ。そこから敵の戦力を()()()()()。俺たちが敵軍を食い荒らしている間、スコーピオンは左右に展開して敵戦車部隊を蹴散らす。ホーネットは上空にいる戦闘ヘリ部隊を叩き、叩き終わった後ホーネットは一時撤退する」

 

 

それを聞いた一夏は一つ疑問が生まれた。その疑問をⅡに話す為に声をかけた。

 

 

「ちょっと待て、確か敵にはISが含まれるんだよな?いくら小回りが効くホーネットだってIS相手だと不味いんじゃないのか?」

 

「その点は問題ない。IS戦闘は、SPARTANが乗る“マンティス”部隊が迎撃する。だからホーネットは、敵戦闘ヘリだけを迎撃する」

 

 

“マンティス”

 

 

正式名称

HRUNTING/YGGDRASIL Mark IX Mantis

 

マンティスは僕達の最高傑作品の一つで、なんとSE搭載の多起動型二足歩行機の兵器なのだ。

 

 

左腕には5連装追尾式ロケットランチャー。

 

右腕にはチェーンガンが一門。

 

 

人類遡上初、ISとは違う形で僕達は、有人型ロボット兵器を開発に成功したのだ。

 

 

「SPARTANが乗るマンティスか…これはISを装着している女達が気の毒に思うなこれは………」

 

「所で、歩兵部隊の対処はやっぱり俺たちがやるのか?」

 

「まあ…そうなるね。何せ、最前線にヘルダイブ(地獄へ降下)するから……」

 

「そういう事だな、さて…ウルフチーム。そろそろ出撃準備しろ、準備完了した者は降下艇に乗り込め」

 

 

一夏基ウルフⅣの質問をウルフⅡが答えた後僕は、メンバーに出撃の準備をする様言った後出撃準備をしに降下艇に乗った。

 

 

10分後………

 

 

僕達はウルフチームは今、降下艇に乗り高度10,000m上空にいた。降下艇の中で僕は、改めて作戦内容をおさらいした。

 

 

「よし…みんな、作戦内容をもう一回確認するぞ。此処から一気に降下し、敵陸戦部隊を食い荒らす。降下中に敵ISと遭遇するかもしれんが、出来るだけ無視しろ、もし無理なら敵ISをクッション替わりにしろ。クッションにすれば、ISとて只じゃ済まない…精々重症で済むだろう」

 

「了解っ、()()()()()ってやつだな」

 

「了〜解っと。さあて、手当たり次第に多くの敵を地獄に叩き落とすか」

 

「Ⅲ…あんまり物騒な事を言うな、次言ったらお前の金で奢らせるぞ?」

 

「そいつは、勘弁だな………(汗)」

 

 

そんなこんなで確認を終え、他愛のない会話をしているとⅣこと一夏が声を掛けてきた。

 

 

「みんな、そろそろ降下予定ポイントに到達するから武器の点検を簡易的に済ませておいてくれ」

 

「わ〜ってるよ一夏、今回は此奴等と一緒に()()()するんだからな?」

 

 

Ⅲが持っているのはM7サブマシンガン二丁とM739SAWライトマシンガン。Ⅲの本領は圧倒的な火力で制圧するのがモットーである。所謂、火力馬鹿である。

 

 

「はっ、火力が多ければ良いってもんじゃないぞ?」

 

 

Ⅱの装備はいたってシンプルで、手元にM395DMRが一丁と背中にMA5Dアサルトライフル一丁の近〜中〜遠距離に対処できる装備で、バランスの良い形だ。

 

因みに僕と一夏の装備は近距離戦闘タイプの装備である。僕の場合は、M45ショットガンとM7サブマシンガンの一丁づつである。そして一夏はMA5Dアサルトライフルと刀をベースにした高周波ブレードを装備している。

 

この高周波ブレードは対IS戦闘用に改修した物で、ISのSEを大幅に削り取ることができる優れものだが、そのブレードを扱えるSPARTANがいなかった為にお蔵入りになるはずだったが一夏が過去に剣道に通っていたので一夏専用になった。そのおかげで、一夏の持つ高周波ブレードの量産が成功し、マチェットをベースにした事により量産製が上がった。

 

まぁ…そんなことより、そろそろ高度15,000mに到達するからヘルダイブの準備だな。

 

 

「Ⅱ、Ⅲ、じゃれ合いはそこまでにしろ、そろそろ降下予定ポイントに到達するぞ。各自降下準だ」

 

「了解」

 

「了解です」

 

「了〜解」

 

 

Ⅱ、Ⅳ、Ⅲの順に返答した。まぁ何だ、せめて数字の順に返答して欲しかったな。

 

 

「……よし、ウルフチーム、出撃だ」

 

 

そんなこんなで、僕たちウルフチームは高度15,000mからヘルダイブをし、敵陸戦部隊を食い荒らす為に出撃した。

 

 

ウルフチームSide out

 

 

高度10,000m

 

 

デュノア社 私兵部隊Side

 

 

私達こと、IS特殊部隊は敵の支社であるONIフランス支社に向かっていた。ONI社は、日常製品や武器と兵器の製造しておりデュノア社と協力関係を築いた謎の会社である。私達は、ONIフランス支社から恩恵を受けているデュノア社からクライアントが受けてフランス軍と共にONI社を潰すという依頼を受けた。全く、協力関係であるONI社を潰すなんて恩知らずな奴がこの世にいたとはねぇ………絞れる分絞ったら、後は用無しって事だろうね。

 

私達の使用しているIS“ラファール・リヴァイヴ”の部隊は、ONIフランス支社に向けて前進していた。

 

 

「隊長、後5分で敵と接敵します」

 

「…分かったわ、総員戦闘準備。予め言っておくけどあのONI社にSPARTANと言う化物が居るからハイパーセンサーがSPARTANを捕捉次第逃げる事を推奨するわ。死にたくなかったらね」

 

「はぁっ?あんなIS擬きに私達が負ける訳ないじゃない、何でそこまでに危険視する訳?」

 

 

一人の部下が私に問い掛けた。どうやら私の部隊に女尊男卑の考えを持つ者が居たようね。本当ならそういう輩は入れないつもりだったのだけど、人員不足を補う為に止むを得ず、人員募集をしたからしょうがないけどね……

 

 

「あのIS擬きは中が違うの。外見的にはIS擬きだけど中は別物よ、SPARTANを甘く見てると死ぬわよ?」

 

「はっ!臆病な隊長な事で!ISを纏った私達が、たかが男ごとき負ける訳ないでしょ!」

 

「はぁっ………そうやって侮って居ると先に死ぬよ!」

 

 

私がそう言った瞬間、先程の女尊男卑の者が()()()()()()()()

 

 

「!?シエラ!」

 

「何!……何処から?!」

 

「一瞬で消えた?………まさか……!」

 

 

私の部下達が女尊男卑の者が一瞬で消えた事に動揺し、混乱していた。私は恐る恐る上を見上げた。するとそこには、()()が空からやって来たのだ。その悪魔たちは、私達を通り過ぎて陸軍部隊のいる方に降下していったのだった。その時の私は、SPARTANを見て小さい声で呟いた。

 

 

悪魔め………!

 

 

デュノア社 私兵部隊Side out

 

 

 

ウルフチームSide

 

 

敵のIS部隊を通り過ぎようとしたが案の定、一機が降下ポイントコースに紛れ込んでしまった為そのままISをクッションにし、そのまま降下していた。クッションにされたISのパイロットはクッションにされた衝撃で気絶してしまったようだ。

 

 

「………………」

 

「……あーっ、ダメです。完全に気絶しています」

 

「ヘッ!ザマァwww」

 

「Ⅲ……お前さっき、また言ったら奢らせるぞって言ったよな?」

 

「う……サーセン」

 

「……自業自得です」

 

「ボケてないで、そろそろ地上の敵と接敵します!」

 

「了解、接敵まで3……2………接触(コンタクト)!」

 

 

ウルフチームSide out

 

 

フランス陸軍Side

 

 

俺たちは、女尊男卑の女共の命令でデュノア社の企業同盟であるONIフランス支社を強襲しONI本社に物理的にダメージをあたえる作戦を実行していた。しかし、ONI社の戦力は我々の技術を凌駕する武器や車両で応戦し、我々を進撃させぬ様激しい弾幕が張られていた。

 

 

「司令!現在の我々の戦力ではONI社の戦車やヘリを突破するのが困難です!至急、IS部隊に援護要請を!」

 

「わかっている…!全部隊に告ぐ、 IS部隊が敵の戦車とヘリを片付けるまでポイントD−7に後退せよ!敵の戦車とヘリをなんとかすれば活路が開けるはずだ、全歩兵部隊は速やかにポイントD–7に……「司令!例の悪魔達が……!」何?!……なんて事だ……」

 

 

その頃、ウルフチームと接敵した陸軍部隊は地獄と化していた。

 

 

「おい!ス、SPARTANだー!」

 

「いつの間に!?「邪魔」あ、うわーーーー!?」

 

 

一人の敵兵士はウルフチームのリーダーの星矢と目が合った瞬間、至近距離でショットガンの餌食になった。

 

 

「に、逃げろー!?「逃すか!」ぎゃあーー!?」

 

 

もう一人の敵兵士は、ウルフチームのNo.Ⅲから逃げようとするが、Ⅲはそれを見逃さず、サブマシンガン二丁による弾幕によって蜂の巣にされ、絶命した。

 

 

「チィッ!この野郎…がっ………!」

 

 

とある敵兵士がⅢを狙って引き金を引こうとしたが、引き金を引く前に額に風穴が出来て、そのまま倒れて絶命した。

 

 

「………HIT…!」

 

 

その風穴を作った本人、ウルフチームのNo.Ⅱだ。彼は手に持つM395DMRを使い一人一人確実に狙い撃っていた。

 

 

「化物がー!!」

 

 

敵兵士の一人が、銃剣を付けたFA-MASを一夏ことⅣに突き刺す様に前に突き出すが、Ⅳは動じずに敵兵士のFA-MASを片手で受け止めた後にFA-MASを分捕り、そのまま敵兵士にボディブローをかました。これを受けた敵兵士は、気絶する間際に“悪魔…め…”と呟きそのまま地面に倒れた。

 

 

「このIS擬きがぁぁっ!!」

 

 

するとそこに、先ほどクッションにされられて気絶してたIS部隊の一人が単騎で突っ込んで来た。

 

 

「面倒な奴が来たなぁ…よしっ、各員集合!」

 

 

それを合図に、星矢の周りにウルフチームのメンバーが揃っていた。

 

 

「さてっと、パーティの始めますか!」

 

「無駄口を叩くなⅢ。Ⅳ、行けるな?」

 

「肯定です」

 

「良しっ行くか!…各員、散開(ブレイク)!」

 

 

星矢の合図でバラバラに散らばった。星矢は前、Ⅲは左側、Ⅳは右側、Ⅱは後方で援護射撃。

 

 

「くっ!何でこっちがこうも一方的に……!」

 

 

Ⅱの援護射撃で身動きが出来ない所をⅢのライトマシンガンとⅣのアサルトライフルが左右同時に敵ISに集中砲火を浴びせる。その隙に星矢が敵ISに近づいた。

 

 

「迂闊だったな!」

 

「何ッ!……!?」

 

 

至近距離でショットガンを放った後、ダメ押しにサブマシンガンで弾幕を浴びせたことで敵ISのSEが大幅に削れた。

 

 

「このっ…男の分際でぇぇぇーー!!」

 

 

敵ISの操縦者がアサルトライフルを星矢に向けたが、Ⅳが高周波ブレードを鞘から抜き抜いて敵が持つアサルトライフルの銃身をバターを斬る様に真っ二つに斬り伏せた。

 

 

「嘘っ?!……ッ!」

 

 

星矢はショットガンをISの操縦者に向けて降伏勧告を告げる。

 

 

「これ以上の足掻きは無意味です。降伏を勧めますが?」

 

「………くっ!」

 

 

敵IS操縦者は、苦虫を噛み潰した顔をしながら星矢の言葉に従った。それ以降、SPARTAN達の活躍によって敵歩兵五個中隊の内、四個中隊が全滅し、一個中隊が壊滅状態になったのだ。又、戦車や戦闘ヘリなどはマンティスか、SPARTANの餌食になった。

 

 

流れからして7通りで言うと………

 

 

 1、敵IS部隊は、戦うこと無く生き残ったフランス軍と共に降伏し、亡命を所望してきた。ONI社はそれを了承し、IS部隊とフランス軍の亡命を受け入れた。

 

 2、僕達ウルフチームは戦場を後にして、僕達だけでデュノア社に奇襲を仕掛けたのだ。今回の黒幕“キャンデリア・デュノア”を拘束し、シャルロット・デュノアを救出。

 

 3、キャンデリアの汚職を全世界にて発表され、デュノア社の株価が暴落した。デュノア社をONI本社が吸収し、“デュノアONIフランス支社”と改名。

 

 4、シャルの父親“ジェームズ・デュノア”は、不治の病いによって他界と書かれているが事実上、愛人キャンデリアの手によって毒殺されたことが発覚。

 

 5、キャンデリアに対するけじめを刑務所で償う形で警察に引き渡し、護送された。“天罰”とは、まさにこのことである。

 

 6、残ったシャルロット・デュノアは、養子という形で引き取った後に僕の妹となり、新たな家族として迎え入れた。

 

 7、僕と一夏は、亡命してきた者達から頂いたISである“ラファール・リヴァイヴ”を解析していた。正直言ってどうなるかが怖いところ………

 

 

以上の7通りである。

 

 

そして今現在の僕たちは、ISが置いてある格納庫でボヤいていた。

 

 

「シャルが無事だったのは良いものの、本当やだな…今の時代………」

 

「確かに…嫌な時代になったもんだ………」

 

 

一夏が溜め息を吐くと同時にISに触れた瞬間ISが光り出し、一夏の身体周りにISが展開していた。

 

 

「エェッ!?星矢っ、これどうなってんの?!」

 

「おいおいっ、マジか………」

 

 

この情況は、何処ぞの暗部部隊によって世間に知らされ、一夏はIS学園に強制入学する羽目になった。

 

因みだが、もう一個頂いたISを僕が触ってみたら、案の定起動してしまい二人目の男子操縦者になってしまった。

 

 

……ドウシテコウナッタ。

 

 

 

続く?

 

 




投げやり感がありがちですが、彼は無事にISの世界で生き残れるでしょうか?

続けて欲しい感想が来たら連載しようと考えています。


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浜辺で何かが流れ着いたので確認した結果…

序章の第2話、始まります。

転生者よ、あまりアーマーを壊すなよ?


 

 

一夏と僕がIS起動したという情報が瞬く間に世界に広がっていき、テレビの内容が“男性がISを起動?!”と持ちきりである。もう、どうしてこうなったのか分からない状態だ。

 

そんな悩みを考える時間を得ることが出来ぬまま、ONI日本支社から新たな指令が下った。

 

 

『SPARTAN、今回の任務は調査だ。現在我がONI日本支社の浜辺から存在しないはずの兵士やSPARTANのIDが確認された。これを君に調べに向かって欲しい。調査の際、SPARTANが此方に敵意を向いた時は…』

 

「…そのSPARTANを()()せざる負えない…ということですか?」

 

『あくまで可能性の場合だ、もし向こう側から投降する意思があるなら回収してきてくれ。頼むぞ、 SPARTAN…』

 

「了解した。……気に入らないな……」

 

 

こうして僕は、仕方なくONI日本支社の命で浜辺付近の調査を行うのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

A.D.2531

 

 

⁇?Side

 

 

……私は、どの位時間が経過したのであろうか?惑星“ハーヴェスト”の残留している部隊と共にワートホグに乗り、ラルフが乗る脱出用の降下艇に向かったのは良かった。しかしコヴナントの攻撃によりワートホグは大破、更にニードラーが私の右胸に突き刺さり、瀕死状態に陥った。そして、私を迎えに来たラルフの部隊が私を助けようと交戦した。私も今持っている残りの力を振り絞り、ハンドガンでコヴナントを応戦していた。だが…ラルフと残留部隊は、燃料ロッドガンの餌食となり、降下艇も爆散した。ラルフ……本当に……すまない……。

 

 

「……私…は、何も…果た…せな…かっ……た」

 

 

…ああ、意識が薄れて来た。そういえば、もう一人の私…クマのキーホルダー…返すのは……無理の様だ。……許して………くれるだろうか………?

 

 

そうして私は、意識を手放してこの世を去った………と、思われた。

 

 

⁇?Side out

 

 

A.D.2552

 

 

???Side

 

 

私こと“SPARTAN-ⅡNo.1337”はこの星の住人と協力してコヴナントの新兵器?を撃退した。(正確には、この星の住人のママがやったそうだが…)何はともあれ、通信状態が良くなった為いつでも無線を傍受できる様スタンバッテいた。…しかし、彼らの言うママとは一体、何者だったのだろう。

 

 

「“ママ”か……」

 

 

すると無線から、マスターチーフの通信を傍受した。

 

 

「1337聞こえるか?応答せよ1337」

 

「こちら1337、感度は良好です。どうぞ」

 

「そのまま合流地点に移動せよ。速やかに合流する様に。どうぞ」

 

 

すると、私の背後からテロダクティルが襲って来てそのまま私を捕まえたのだ。……テェ!?

 

 

「そうしたいのは、山々なんですがーー‼︎」

 

 

このテロダクティル、私を巣に持ち帰って子供の餌にするつもりだな!こちとら恐竜に一度喰われかけたことがあるからよく分かる!何とかして振りほどかなければ………!

 

 

「くそッ、離しやがれ!……ん?」

 

 

何かしらの違和感を感じた私は、テロダクティルの背後(私の場合は前である)を確認して見ると空間に歪み、穴が出来た。そして、その歪みはブラックホールみたいに吸い込まれる位の吸引が起きた。

 

 

「な…!何だあれ?!……うん?」

 

 

するとテロダクティル、吸い込まれてたまるかと私を離して逃げていった。……ちょっ?!

 

 

「またこうなるのかーー!?」

 

 

そして私は、その歪みで出来た穴に吸い込まれた。

 

 

1337Side out

 

 

A.D.20XX

 

 

星矢Side

 

 

僕は、ONI日本支社からの命で、浜辺付近の調査をしていた。

 

 

「…SPARTANらしい機影が確認できず…か…」

 

 

調査をするのも苦労する僕は、あることを閃いた。

 

 

「そうだ、“バイタルセンサー”を起動すれば何処にいるのか特定できるかもしれない!」

 

 

“バイタルセンサー”とは、自分がオリジナルに作った特殊センサーである。このセンサーの役割は、負傷兵をすぐ座に特定し、マップにルートを表示されることとバイタルサインをチェックすることが出来る優れものである。但し、このセンサーには一つ欠点がある。それは、対EMP処置が出来ない。…つまり、EMPをくらうとすぐ壊れるのだ。まあ、これはあくまで捜索用に作ったセンサーだから仕方ないね。

 

こうして僕は、バイタルセンサーを起動させ、所属不明の兵士とSPARTANの位置を特定した。

 

 

「…向こうの岩陰だな。よしっ!」

 

 

僕はそこに向かい、所属不明の兵士とSPARTANを確認しに行くと、そこには………

 

 

「これは……まさか、彼らは……!」

 

 

SPARTAN-Ⅱ Daisy-023“デイジー”と元SPARTAN-Ⅱ Ralph-303“ラルフ”が倒れていたのだ。

 

 

「何で…彼らが此処に?……流石の僕でも、何が何だか分からなくなって来た」

 

 

本来彼らは、HALO世界の惑星ハーヴェストで戦死しているはずだった。何故彼らは、ここに居るのか不思議でしかなかった。…一応バイタルサインを確認したところ異常は見られなかった。

 

 

「…一応、まだ生きてるな。取り敢えず連絡を入れて輸送機の手配をするか………ん?」

 

 

その時、上空に異常な反応を検知し、空を見上げた時に歪みが生じ、空間に穴が空き、そしてその穴から人が出て来て、地球の重力に引かれて落下し、ONI日本支社の方に墜落?した。……またなんか厄介なことが起きそうだ。するとONI日本支社から通信が入った。

 

 

『SPARTAN、今物凄い音がこちらから聞こえたが無事か?!』

 

「こちらS105、こちらは無事です。唯……其方から目視したところだと、そちら側に何かが落ちて来ませんでしたか?」

 

『……こちらでも確認したが、どうやら所属不明のSPARTANが落ちて来た様だ』

 

 

……ああ、やっぱりな……しかも、またSPARTANか………。

 

 

「そうですか………、こちらでも所属不明のSPARTANと兵士……いや、元SPARTANが確認出来たので回収部隊を向かわして下さい」

 

『…了解した。所で、その2人は今どうしている?』

 

「……気絶しているだけの様です。一応医療チームも準備させておいて下さい、アーマーの方も酷い損傷ですから内側もひどい可能性があります」

 

『了解、そちらに衛生兵を乗せたペリカンを向かさせる。場所の特定の為にLZ確保用のフレアで着陸地点を確保してくれ』

 

「了解。S105、out」

 

 

…さて、彼らは一体どうやってここに来たんだろうな?その答えを考えながらフレアを発火させLZを確保するのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

1337Side

 

 

…どうやら無事にあの空間の穴から出られたと思いきや、空に出てしまいそのまま未知の世界に不時着した。

 

 

「いつつ………はっ!此処は!?」

 

 

私は急ぎクレーターを登って、あたりを見回した。するとそこは、技術力が低い未知の惑星に地球の日本と呼ばれる島国の文字の看板があった。そして私は、そこである会社の名前に目をつけた。

 

 

“ONI日本支社”

 

 

俺たちUNSC軍の海軍情報局(Office of Naval Intelligence 略称 ONI)の会社が建てられていたのだ。…正直言って、ONIとはいい思い出はない。すると会社から次々と武装した兵士達が此方に集まってきて、私の周りを包囲し、隊長らしき人物がメガホンで投降を告げてきた。

 

 

【そこの所属不明のSPARTAN!直ちに武器を捨て、投降しろ!】

 

「所属不明?馬鹿を言うな!私はUNSC海軍特殊作戦班のSPARTAN-1337だ!ONIならこれぐらい分かるだろうが!」

 

【嘘を抜かすな!大体UNなら理解できるが、UNSCなど聞いた此処ないわ!お前頭おかしいんじゃねぇのか?!】

 

「何だと!?ONIの癖にUNSCを知らないなんざそっちの方が頭おかしいんじゃないか!!」

 

【んだとゴルァア!?】

 

「やんのかコラァ!?」

 

「…辞めんか、阿呆どもが!」

 

 

すると包囲する兵士達の中からSPARTANが出て来て、M45タクティカルショットガンをこちらに向けて撃ってきた。……ってぇ!?

 

 

「ウボァッ!?」

 

「ひでぶっ!?」

 

 

距離が近かった為か8ゲージゴム弾が私の頭に直撃し、当たりどころが悪かったのか一発で気絶した。そして何故か、喧嘩をふっかけてきたONIの隊長格にも当たり、彼もまた気絶した。

 

 

1337Side out

 

 

2分前………

 

 

星矢Side

 

 

デイジーとラルフを降下艇乗せて衛生兵達に任せた後、僕はマングースに乗ってONI日本支社の入り口付近に戻ってきた。

 

 

「……一体何があった?」

 

 

戻ってきた時には、墜落してきたSPARTANと警備隊長が口喧嘩が勃発し、今でも喧嘩が始まる一歩手前であった。……ホントウニナニヤッテンノ?そして無意識の内か、ショットガンに専用ゴム弾を装填し、そのまま喧嘩両成敗のごとくSPARTANと警備隊長を狙い、介入し、そのまま引き金を引いた。これはあくまで彼らが悪い、僕は悪くない。

 

 

そして今現在に至る………

 

 

SPARTANは当たりどころが悪かったのか一発で気絶し、警備隊長はゴム弾に当たったことでそのまま倒れて気絶した。…所謂ギャクマンガ補正というものらしい。

 

 

「あんたら本当に何やってんの?SPARTANと喧嘩してる場合じゃないだろう。今負傷しているSPARTANを乗せた降下艇が来るからすぐ医療班に連絡を………」

 

「あのー、そこで倒れているSPARTANと隊長は?」

 

「SPARTANは僕が運ぶ、警備隊長は君たちが運んでやってくれ」

 

 

そうして僕は、新たにこの世界にやって来たSPARTANを担いで医療ルームに向かった。担ぐ際にSPARTANのボディプレートに1337と書かれたマークを見つける。……まさか、あの不運のSPARTANじゃないよな?いくら何でも偶然が出来すぎている……結局答えが解らぬまま、元を含めてSPARTAN3名がこのISの世界にやって来たのであった。

 

 

その後………

 

 

僕は父さんこと、“泉谷 清十郎”に今回の出来事を話した。清十郎は神様が生み出した人間で、HALO世界に関してよく知っている人物である。

 

 

「……と言うわけなんだ、父さん」

 

「なるほどね、本来ならHALO世界で死んでいるもしくは、行方不明の者達がこっちにくる可能性があるってことだな?デイジーにラルフ、そしてSPARTAN-1337みたいに」

 

「あくまで仮説なんだけど、彼らの世界の古代フォアランナーの遺跡がこっちにもあるかも

知れないんだ」

 

「それと、コヴナントもな。何時見つかるかは判らんがこっちでも捜索しておく。万が一に備えておいて損は無いからな」

 

「色々とすまない、父さん………」

 

 

父さんには色々と世話をかけてしまうな。親孝行出来る時間が取れたら何処かのレストランでもシャルと父さんと一緒に誘って奢ろう。そう思いながら僕は、回収されたSPARTAN達の様子を見に医務室に向かった。

 

この時に僕は気付くべきだった。あの天災が、僕と父さんの話をONIの監視カメラをハッキングしてコヴナントやフォアランナーの事を聞いていたことに………

 

 

星矢Side out

 

 

 

束Side

 

 

一方…とある無人島に人が作ったと思われる研究所があった。その研究所こそ、今は世界に追われる身になったISの生みの親である“篠ノ之 束”が作った隠れ家兼研究所である。

 

 

「へぇ〜…コヴナントに古代フォアランナーねぇ〜?束さんの知らない事が有るなんてちょっとビックリかな?」

 

 

束が見ている映像は、星矢達が映るONI日本支社の監視カメラの映像である。何故彼女がそれを見ているのかというと、ONIに気づかれぬ様にハッキングして星矢達の会話を聞いていたのである。

 

 

「……もしかしたら、箒ちゃんのISを完成させるのに必要なヒントが有るかも知れない。よーしっ!束さんも古代フォアランナーの遺跡や謎を解き明かして見せるぞ〜!」

 

 

そして…天災もまた、古代フォアランナーの謎を解き明かす為に行動するのであった。しかし、その行いが未知の敵に遭遇することになる事を彼女はまだ知らない。

 

 

束Side out

 

 

 

デイジーSide

 

 

……私は、死んだのであろうか?それにしてはやけに寒くない、寧ろ暖かい。私はその暖かさの正体を確認する為に意識を集中した。

 

 

「………ん……っ?」

 

 

意識を集中した結果、無事に覚醒して目を覚ました。この暖かさの正体は、ベットの上で寝ている私であった。天井を見上げている身体を起こして、周りを見回した。

 

 

「……此処は、天国ではないな……」

 

 

そして…今気付いたのだが、私は今ミョルニル・アーマーを外されている状態で寝ていたのだ。恐らく私を治療する際に邪魔だったので外したのだろう。しかし、私が装着しているアーマーは唯のアーマーではない。専用の設備がないとヘルメット以外のアーマーパーツを外すことは出来ない仕組みになっている。…だとすると、此処はUNSCの前哨基地なのだろうか?すると、扉から1人の看護婦がデイジーの様子を確認しに来た。

 

 

「あっ!目が覚めたのですね!良かった〜………」

 

「あ……ありがとう。所で此処は一体………」

 

 

私は看護婦に此処は何処なのかを聞き出そうとした時にさっき看護婦が入って来た扉から2人の男性が入って来た。その内の一人に私の知る仲間がいた。

 

 

「……ッ!デイジー?」

 

「!……もしかして、ラルフか?」

 

 

まさかラルフがいるとは思いもしなかった。するとラルフの側にいた男性が私に声を掛けた。

 

 

「… SPARTAN-023“デイジー”、無事に目を覚ましたみたいだね」

 

「お前は、一体………」

 

「僕?僕はSPARTAN-Ⅱ Sierra-105 “泉谷 星矢”。君と同じSPARTAN-Ⅱの人間だよ」

 

 

私とラルフは、初めてこの世界のSPARTANと接触した日でもあった。

 

 

デイジーSide out

 

 

 

星矢Side

 

 

さて…、僕はデイジー達にこの世界について、デイジー達の世界とは全く違う事を説明した。

 

 

「まさか、私たちが500年前の時代。それも、パラレルワールドの世界にとばされるとは……」

 

「俺も一応彼から聞いたのだが…にわかに信じがたいな、ISは俺たちの世界の歴史には存在しなかった」

 

「無理もないよ、もしISがそっちの世界にもあったらミョルニル・アーマーの元になっているはずだからね。まぁ……君たちがこの世界に来たのは流石の僕でも予想外だったよ……」

 

 

まぁ……ISは、本来なら宇宙探索用に設計されたパワードスーツなんだけどね。SPARTAN達が纏っているミョルニル・アーマーと一緒にしたら束博士に失礼か……。

 

 

「……話を戻すけど、君たちがこの世界に来たのは謎だけど問題は、君たちの戸籍がないという事だ。一応勝手ながら、君たちの戸籍を用意して置いたから問題は無いはずだけど」

 

「「いや、戸籍を偽装して置いていいのか?」」

 

 

それもそうだ…戸籍を偽装は犯罪だからな。だが、戸籍が無いと困るだろう?

 

 

「多分大丈夫、とある邪神言っていた。“()()()()()()()()()()()()()()()”ってな」

 

「「いや、駄目なものは駄目だろう……」」

 

 

すると扉からウルフチームのメンバー二人が病室に入って来た。

 

 

「おっ?彼らが例の漂流SPARTANか?」

 

「(漂流SPARTANって何だよ…)リーダー、彼らが例のSPARTANですか?」

 

「嗚呼……所属不明だが、味方であるのは確かだ。それと二人にも紹介するよ。SPARTAN混成部隊ウルフチームのメンバー、ウルフⅡとⅢだ。彼らもSPARTANだが、SPARTAN-Ⅱと違って少し失礼な言い方だけどSPARTAN-Ⅱの劣化版のSPARTAN…その名は、“SPARTAN-Ⅲ”だ」

 

「おいおいリーダー、俺たちの前でそりゃないぜ!」

 

「少なくとも、足手纏いになった覚えはないが……」

 

「「SPARTAN-Ⅲ……」」

 

 

デイジー達はSPARTAN-Ⅲの事を知っていた様だ。まぁ…SPARTANの先輩だからなのかどうかは僕でも流石に分かりにくいけどね。

 

 

「まぁ……先ずは挨拶だな、俺はウルフチーム所属のSPARTAN-Ⅲ。コールサインウルフⅢ“折原 志野”だ。よろしくな!」

 

「同じく、私はウルフチーム所属のSPARTAN-Ⅲ。コールサインウルフⅡ“池上 桂”です。以後お見知り置きを………」

 

 

ウルフチームのメンバーの自己紹介が終わって、デイジー達の戸籍を作ってうちの社員の一員という形で保護した。当の本人達はあまり乗り気では無かったけど………。

 

 

 

三日後………

 

 

 

僕と一夏は、IS学園に向かう前にONI日本支社の研究室からSPARTAN用のISのデータと初期設定状態の専用機を研究スタッフから受け取っていた。

 

 

「…いいかね?このIS版ミョルニル・アーマーは本来のミョルニル・アーマーに使用される核融合炉をISコアに取り変えた様な物だ。従って、アーマーにはリミッターが施されている。リミッターがかかっている状態の場合は競技用に設定されておりSEがゼロになったらシールドの自動回復はできないので専用のステーションでSEを回復するしかない。又…リミッターを解除した場合、ミョルニル・アーマーの本来の性能が発揮しステーションで回復しなくても、シールドが自動回復が復活する」

 

「……つまりは、リミッターがかかっている時はISモードで、リミッターが外れたらSPARTANモードというわけですか?」

 

「その通り……しっかしまぁ何だ。星矢…お前な、前の戦闘でお前さんのアーマーがかなりガタがきていたぞ。お前さんのアーマー、危うくコーティングが剥がれる所だったんだぞ。ジェル層までやられてやがった」

 

 

前の戦闘というのはデュノアの私兵+フランス軍撃退戦とデュノア社強襲兼シャルの救出作戦の事である。あの時の自分たちのアーマータイプはMk-Ⅳで強襲したのだ。その時に敵ISの灰色の鱗殻(グレー・スケール)というパイルバンカー。別名盾殺し(シールド・ピアース)をモロに食らって、壁ドンされた。ここでチーフの幸運のおかげか、何とか貫通せずに済み、頭部負傷だけで済んだ。頭部から血が少しだけ多めに出た感じしたけど………。まぁ実際、盾殺しを受けても尚ピンピンしており、頭以外無傷の奴がいたら絶対こう言うだろう。

 

 

“ほ……本物の悪魔……!”

 

 

そのおかげで僕が装着していたMk-ⅣのアーマーはONIフランス支社についた時には完全にお釈迦になった。……あれ、パリ級フリゲート艦並みの値段何だよな。

 

 

「まぁ…あの時の星矢は、かなり人間離れしてたな…あの時は」

 

「全くだ、レンズは完全にいかれてるし…パワーサプライに至っては話にならん。この装備にいくらかかってるのか、わかってるのか?」

 

 

スタッフよ、すまない。楽な戦闘というのは無いものだ。それと一夏、流石の僕でも自覚してるから勘弁して………。そう思いながら、試しながらヘルメットを被ってスタッフに言った。

 

 

「デュノアの愛人に言ってくれ」

 

 

その後、スタッフから無事に専用機とデータを受け取りIS学園に向かうのであった。

 

 

 

続く。

 

 




ミョルニル・アーマーの値段は恐らく数十億か数百億位?

次回はIS学園入学です。


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第1章 IS学園編
IS学園でSPARTAN流に挨拶した結果…


第1章の第1話、始まります。

転生者よ、生き延びろ。(女子の視線的な意味で…)


 

 

僕こと星矢と一夏がISを起動してしまった結果、IS機関が設立したIS操縦者育成学校“IS学園”に入学することになりました。そもそもIS学園は、一つの人工島に学校を建てたので通学方法は専用のモノレールで向かうしかありません。…正直な所僕たちは、不安と緊張しかありません。

 

そんなこんなで僕たちは今、IS学園に向かっています。そのIS学園の門前に立っている一人の女性がいました。その女性こそ、今話題の世界一最強のブリュンヒルデ“織斑千冬”さんである。あの人は正直言って、この世に生まれたSPARTAN-Ⅱじゃないのかと疑うくらいに強いのである。

 

 

「…星矢、今私に対して失礼なこと考えてないか?」

 

「いえ…そのようなことがあろうはずがありません、織斑先生」

 

 

この人、何気に読心術を……!そう思っていたら、千冬さんが一夏の方に向かった。何せ二人は、約二年ぶりに再会するのだから。すると千冬さんが右手に持っている出席簿を一夏の頭目がげて振り下ろそうとするが、一夏は難無く左手で出席簿を掴んで頭への攻撃を防いだ。

 

 

「強くなったな、一夏……」

 

「千冬姉も、まだ衰えてないな」

 

「余計なお世話だ。………おかえり、一夏」

 

「ただいま………千冬姉」

 

 

お互いに再開できて良かったと思った自分がいた。だって、家族は一緒の方が良いでしょ?一夏と再開を終えた千冬さんが、僕たちにIS学園に入る前に実技テストがあることを説明した。

 

 

「…さて、星矢に一夏。IS学園に入る前にISでの実技テストを行ってもらう。各国の連中はお前たちのデータ取りを兼ねて実技テストで元代表候補生の教員と戦ってもらう。先ずは星矢、お前からだ、良いな?」

 

「了解です」

 

 

そう言って僕はアリーナのピットに向かい、訓練兼量産機であるIS“ラファール・リヴァイヴ”を纏った。しかし…僕は不安な気分だ、何故かと言うと、ISが()()()()()()()()()()()()()?である。僕は一応SPARTAN-Ⅱだから身体能力は化物地味ているのだ。そう疑念を抱きながらISを展開し、カタパルトに乗った。

 

 

『リニアボルテージ上昇。射出タイミングを泉谷星矢に譲渡します』

 

「了解。SPARTAN-Ⅱ S105、出撃する」

 

 

リニアカタパルトの力で押し出され、ラファール・リヴァイヴを纏った星矢がアリーナへ出撃した。アリーナ内に到着すると、日本が開発したIS“打鉄”を装着した教員が待っていた。

 

 

「貴方が男性のIS操縦者?…何で男如きがISを動かしてるのよ」

 

 

その教員は、どうやら女尊男卑勢に染まった1人の様だ……そんなことはこっちだって聞きたいよ。でも、やると言ったからには徹底的にやらないとな、何せSPARTANは、勝利することが絶対条件だからだ。

 

 

「一応警告しておきます、僕のことは人間とは思わないでください。下手をすれば大怪我どころじゃすみません」

 

 

そんな感じで僕は、教員に警告をした後に今纏っているラファール・リヴァイヴに小声で呟いた。

 

 

「…なぁ、ラファール?僕は今から、人間離れな動きをするから何とか頑張って我慢してね?出来るだけ負担をかけない様に早く終わらせるから……」

 

 

そう呟いた瞬間、IS内部にISの心臓とも言える“ISコア”が一瞬だけ光ったのである。その一瞬光ったのを今の僕は気づくことは無かった。そして、アリーナ内でブザーが鳴り、実技テストが開始された。

 

 

「男の癖に生意気言ってんじゃないわよ!!」

 

 

先に仕掛けたのは教員である。どうやら、さっき言われたことに気が触れた様だ。そして、こっちも仕掛けるために動くのであった。

 

 

「…じゃあ、行くかぁぁっ!」

 

 

そう僕が言うと同時に相手()目掛けて突っ込んで行った。

 

 

星矢Side out

 

 

 

千冬Side

 

 

私は今、星矢の動きに対して驚いている。授業で教えるはずの瞬時加速(イグニッション・ブースト)を彼は意図も容易く行ったのだ。本来なら、それなりの練度を積まないと骨折をするISの技術なのだが………

 

 

「……不味い。星矢の奴、最初から全開で敵を潰すつもりだ…!」

 

「何?!どう言う意味だ、一夏?」

 

「元々SPARTANは対IS戦闘にも特化しているから、星矢は今纏っているISのリミッターを全部外して、短期決戦に持ち越そうとしている!」

 

「馬鹿な!そんなことすれば、骨折どころでは済まないはずだ!」

 

「星矢は元々SPARTAN-Ⅱのメンバーの一人だから敢えてISのリミッターを外してミョルニル・アーマーと同じ状態にしたんだ。そうしないと、ISが星矢の動きについてこられないんだ!」

 

 

一夏が言うSPARTAN-Ⅱとは一体何だ?アリーナ内をもう一度見てみると、元代表候補生の教員は星矢に苦戦どころか、()()だけで一方的にやられていた。そして最後に彼は、蹴りを一、二発教員にかましたと同時に教員のISのSEが底を尽き、星矢の勝利が確定した。泉谷星矢………彼は一体、何者なんだ?

 

 

千冬Side out

 

 

1分前………

 

 

星矢Side

 

 

僕は今、“打鉄”を纏った教員相手に素手のみで戦っている。何故素手で戦っているかと言うと今僕が纏っているISがいつ壊れても可笑しく無いくらいに危険な為、敢えて相手の間合いに入って、接近戦に持ち込み、短期決戦を狙った。

 

 

「ちょ……早い!?」

 

 

教員は慌てて接近ブレード“葵”を振るうが、星矢がギリギリの所を躱している為に当たらなかった。星矢は、相手が振るった瞬間を狙ってボディブローをかました。

 

 

「かっはぁっ…!?此奴っ!」

 

 

教員はお返しと言わんばかりに接近ブレードを振るったが当たらず、逆に星矢から裏拳をくらいさらに足で裏拳を当てた場所に蹴りを入れた。教員は裏拳や蹴りのダメージを耐えられず、そのまま膝をついた。そして星矢は、最後に相手を蹴り飛ばして教員のSEを0にし、勝利を収めた。

 

 

「何とか…勝てたな。………ん?」

 

 

すると星矢が纏っていたISが彼方此方と黒い煙と小さな爆炎が出ていた。どうやら、星矢の無茶苦茶な動きのせいでオーバーロードした様だ。

 

 

「…やっぱり無理があったか、ISをミョルニル・アーマーの様に動かすのは不味かったな…」

 

 

その後、実技テストが終わった後千冬さんに怒られました。理由は三つ、一つはISのリミッターを外して無理をしたこと。二つは、教員に一種のトラウマを植え付けたこと。最後の三つは、私情なのですが、体を大事にすることだそうです。

 

そして一夏の実技テストなんですが、結論から言うと、一夏が相手の攻撃?を避けただけで勝利した様です。何故かというと、教員の“山田 真耶”さんが仕掛けようとしたが、間違って瞬時加速をしてしまい、まっすぐ一夏に向かって突っ込んで行った。一夏がそれを躱した結果、山田先生がアリーナ内の壁にぶつかった。その衝撃で気を失ってしまい、一夏の実技テストは異例の形で合格となった。

 

 

 

実技テストから三日後………

 

 

 

IS学園に入学前にONI本社から二つのスマートAIの所持を命じられた。ONI本社からAIと共に成長し、ISのデータを取ってきて欲しいとの事だった。そのスマートAIの二つの内一つは男、一つは女と別々であった。女性型のAIは“ターニャ”という名前で、見た目はHALOの軍服を着せた少女で可愛い一面があったが、何処ぞのレシプロ戦闘機を足につけて9連装ロケランを担いで飛ぶ獣耳付き魔法少女?に早変わり。

 

 

…最近の少女って、こんなに物騒な人物だったっけ?しかも“ターニャ”って名前………ターニャに似た名前の妹みたいな名前だな………

 

 

そして、男性型のAIは“アル”という名前で、見た目は何処ぞのアニメに出てくる“戦闘用ロボット”だった。AIらしさとAIらしからぬさを混ざった感じなAIだった。IS学園に入学する前にアルとターニャから一言いわれた。

 

 

《少佐殿、いかなる時も“気合”が大事なのよ》

 

《IS学園は元々女子校だから少佐にとって精神的にもキツイな。耐えられるか如何かだと………無理だな。(・x・)》

 

 

…アルよ、とある海色髪の囁く者のマネでもしているのだろうか?それとターニャ、そう言う不吉な事を言わないで、流石に僕でも困るよ?!

 

 

…余談だが、倉持技研で一夏専用のISを作る為にまだ作っているもう一つの専用機を打ち切りにしたことにONIは怒りを買い、倉持技研の株を爆買いし、倉持技研を吸収した後、もう一つの専用機の開発を再開した。実際、ONIは僕達の専用機を作ってもらったけどね。つまり、彼らの行動は骨折り損である。

 

 

………結論としては、仕事放棄はダメ、絶対………。

 

 

そして…今現在の僕達は、一年一組の女子達に囲まれて目線がキツイ感覚を味わられていた。正直言ってキツイです。

 

 

(此処までキツイとは…予想外だった)

 

(………女子達の目線がキツイな)

 

 

そう考えていると、このクラスの担任の先生がやって来た。

 

 

「…はい!みなさん、この一年一組の副担当“山田 真耶”です。よろしくお願いします」

 

「「よろしくお願いします。………ん(あれっ)?」」

 

 

僕と一夏が副担任の山田先生に挨拶をしたものの、他の女子達は無言で返した為に山田先生が少し困っているようだ。

 

 

「…えっと、み…みなさん?返事していただけないとこっちが困っちゃうのですが」

 

 

…修正、かなり困っているようだ。

 

 

「と…取り敢えず自己紹介をお願い致します。先ずは、泉谷君」

 

「あ…はい」

 

 

挨拶はどうするか…?取り敢えず、ONIで練習した挨拶にしますか。そう思いながら僕は、みんなの前で例の挨拶をするのであった。

 

 

「…本日IS学園に入学したSPARTAN-Ⅱ Sierra105 泉谷 星矢です。ISを動かしてしまった為、ONI社のテストパイロットとして入学しました。以後よろしくお願いします…」

 

 

自己紹介をしたら一部の女子達がざわめき、呟いた。

 

 

“泉谷君がSPARTAN?!”

 

“ONIって、あの有名な会社の?”

 

“ISの天敵であるSPARTANが、何でこのIS学園にいるのよ”

 

 

一部の女子の内2人が珍しく思い、1人は女尊男卑勢に染まった女子で、僕のことを歓迎したくない様だ。

 

残りの女子達は、“き…”と途中で言葉を切った時に僕は何を悟ったのか、指で耳の穴を塞いだ。一夏も僕と同様に耳を塞いだ。

 

すると女子達の黄色い声援がクラスに響いた。

 

 

「SPARTANがイケメンな人だなんて思いもしなかった!」

 

「IS学園にイケメンSPARTANが入って来るなんて!」

 

「私、女でよかったー!」

 

 

…何かと大歓迎であった。SPARTANはいつから女子達のプライベートアイドルになったんだ?

 

 

「…全く、このクラスには馬鹿どもしかいないのか?」

 

「あっ…織斑先生、向こうのお仕事を終えたのですか?」

 

「ああ、丁度終えたところだ。…では諸君、私がこのクラス担任の“織斑 千冬”だ。これからお前達を一人前のIS操縦者として私の持てる全てを叩き込むつもりだ。私の指示に対してはハイかイエスで答える事だ。いいな?」

 

 

どこの暴君ですかとツッコミたいが女子達の黄色い声援でツッコム気力が抜けた。すると僕の目の前から出席簿が飛んできたの確認し、白刃どりで頭部の直撃を防いだ。

 

 

「泉谷……貴様、何か良からぬ事を考えていたな?」

 

「いや…それ以前に出席簿を手裏剣の様に投げるのはどうかと思いますが………」

 

 

織斑先生は「良からぬ事を考えてた泉谷が悪い」と答えて授業を始めた。……何でさ。因みに一夏は普通に挨拶ができたのに対して織斑先生は「及第点だな」と評価していた。

 

 

 

午前の休憩時間………

 

 

 

午前の前半の授業を終えた僕は、一夏の所に向かった。

 

 

「一夏、まだ生きてる?」

 

「あ…嗚呼、如何にか女子の視線に耐えながらだけど………」

 

 

僕と一夏は、女子達の視線の中でかなり精神的に参っていた。流石の僕達でもこれはきついよ………。すると一人の女子がやって来て声をかけて来た。

 

 

「………ちょっといいか?」

 

 

その女子はポニーテールの髪型をし、大和撫子と思わせるくらい綺麗な女性であった。すると一夏がその女性が誰なのかが分かった。

 

 

「……もしかして、箒か?」

 

「箒?確か、篠ノ之博士の………」

 

「姉さんの話はやめてくれ……それよりも一夏を借りていいか?」

 

 

……やっぱり、篠ノ之博士の妹の箒だったか。一夏を借りたいというと彼と話がしたいからと思われるな。

 

 

「嗚呼……構わない。一夏、久しぶりの友達だろう?少し彼女と話したらどうだろう?」

 

「……そう…だな。一旦席を外すよ」

 

「分かった。チャイムなる前に戻って来てくれ」

 

 

そう告げた後箒と一夏は、一旦教室を出て屋上に向かって行った。……若いっていうのこういう事なのだろうかな?そう考えていると………

 

 

「ちょっとよろしくて?」

 

 

今度はイギリス貴族的な女性が僕に声をかけて来た。でも…何処かで聞いた様な声だな?そう思って声をかけた方へ身体を向けるとそこには、セシリア・オルコットが居た。

 

 

「……セシリアさん?」

 

「お久しぶりですね、星矢さん」

 

 

セシリアさんがIS学園に入っていたのだ。何故僕はセシリアさんと知り合いなのかというと一年前にIS委員会からONIにSPARTANとISの合同演習に参加してほしいとの事でONIはそれを承認して僕も例外なくSPARTANとして合同演習に参加した。各国のIS代表者対SPARTANの戦いの中でイギリス代表者のセシリアさんと知り合ったのはこの時で、相手も全力で来たのでこちらも全力で立ち向かった結果、SPARTANチームの圧勝で終わった。この合同演習の目的は大方、SPARTANの戦闘データが狙いだったのだろう。まぁ…全力で相手したのでデータらしい物は取り難かったと思われるな。その合同演習後にセシリアさんと知り合いになり、名前で呼び合う仲になったのだ。

 

 

「あ…うん、本当に久しぶり。約一年ぶりかな?」

 

《少佐殿、精確には8ヶ月と10日です》

 

 

アルが僕とセシリアさんの再会時間を報告して来た。アル、タイミングが悪いよ。僕や一夏を除き女子しかいない所に新たな男性の声を聞いた女子達がざわめいた。

 

 

「え?!今、星矢君達以外の男の人の声が聞こえた?」

 

「何か星矢君の方から聞こえた様な………?」

 

「星矢さん?今の声は…一体?」

 

 

セシリアさんもアルの存在に気付きかかった様だ。ここで下手な嘘は出来ないな。別にAIの存在をバラしても大丈夫だし問題ないかな?コール議定条約がある訳じゃ無い訳だし………。

 

 

「嗚呼………えっと、紹介が遅れたけど今の声は僕のサポートAIの声で名前は“アル”。もう一人は“ターニャ”。ターニャは女性タイプのAIだよ」

 

《どうも初めまして。私はSPARTAN-S105のサポート兼ストッパーのスマートAIのアルです。以後お見知り置きを………》

 

《えっと………ターニャだよ〜。サポート兼ストッパー役の方を担当をしてるAIだよ〜。よろしくね〜》

 

「スマートAI!?普通のAIなら分かりますが、まさか喋るAIがONIに居たなんて………」

 

 

確かに、この世界の技術水準じゃ人間並みに喋るAIを作るのにそれなりの年月がかかるだろうな。まぁ…ONIの技術者と僕の特典が混ざり合ってスマートAIを作れる技術を得てしまったからね。…主に僕の存在のせいかもしれない。それとアルにターニャ、ストッパーて何?僕は問題児じゃ無いよ………。

 

AIを紹介した結果、主にターニャの人気がうなぎ上りに上がっていた。そしてアルは、ロボット的且つ人間的な会話で学園の雰囲気に溶け込んで居た。アル曰く、《郷に入っては郷に従えというものです、少佐殿》だそうだ。セシリアさんと再会した後、次の授業の為に教科書と鉛筆を持って次の授業の準備をした。授業の内容は、ISに関する事やアラスカ条約についての事であった。一応ONIで予めISについての知識を一夏と共に学んでおいたから問題はなかった。

 

 

 

放課後………

 

 

 

全ての授業を終えた後、僕達はONI日本支社に帰ろうとしていると山田先生が僕達を見つけて引き止めた。

 

 

「織斑君!泉谷君!二人の寮の部屋が決まりましたよ!」

 

「山田先生?それに、寮の部屋?」

 

「何で急に?僕達は確かONIが用意したホテルで通学するのはずなのですが………」

 

 

一応僕達は、ONIが用意してくれたホテルでIS学園に通学する予定だったのだが……

 

 

「私が用意して置いた。それと泉谷、お前の父親から連絡だ。“IS学園の寮で楽しく青春しろ”だそうだ」

 

 

ホテルからIS学園に通学からIS学園の寮生活に変わった様だ。しかも父さんの差し金ですか………。父さん、青春も何もこっちは普通に生活したいのですが………。

 

 

《少佐殿、この様な状況は“諦めが肝心”です》

 

《少佐のお父さん、ちょっとした親バカなんだよな。お父さんに説得してくれと頼まれても結局は失敗に終わるから………無理だな(・x・)》

 

「うるさいよ………二人共。そうとなると、生活に必要な荷物とかは?」

 

「その件については、私がONIに用意してもらった荷物は此処へ運んでおいた。ONIも私の案に賛成とのことだ」

 

 

織斑先生………確かそれ、買収と言うのでは?と思った瞬間、出席簿が僕の頭に当たろうとしていた。僕は何とか当たる前に状態を反らして回避した。

 

 

「泉谷、また良からぬことを考えていたな?」

 

「いや…それ以前にそれだけの理由で出席簿で叩く理由としては矛盾しません!?」

 

「諦めろ星矢、此処じゃ千冬姉……じゃなかった。織斑先生がルールだ」

 

 

そう一夏が言った瞬間、一夏の頭に出席簿が直撃した。今のは痛そうだ………。

 

 

「織斑が言った言葉は少しアレだが………そう言う事だ。織斑の部屋は1025号室で、泉谷の部屋は1030号室だ」

 

 

織斑先生はそう言って僕達に寮の鍵を渡した。鍵を渡した後、学園の大浴場はまだ使えない事を伝えた後、山田先生と共に教員室に戻っていった。そして僕達は、渡された鍵の番号の部屋に向かうのであった。

 

 

「……一夏、分かっていると思うけど部屋に入る前にノックして誰か居るのかを確認してから入るようにね?」

 

「分かってるよ星矢。流石に不用心に入ったりしないって………」

 

「一応…ね?それじゃ、また明日」

 

「応、明日な」

 

 

僕と一夏はそれぞれ自分の部屋に向かった。そして……1030と書かれたドアを発見し、ドアをノックした。

 

 

「すいません、今日から同居することになった星矢なんですが……誰かいますか?」

 

「せ……星矢さん?!……ちょっとお待ちくださいまし……」

 

 

その部屋からセシリアさんの声が聞こえた。……ここ、セシリアさんの部屋だったのか。しばらくして………セシリアさんが“入っていいですよ”と入室の許可を得てセシリアさんの部屋に入った。

 

 

「まさか星矢さんが同居の人だったなんて予想外でしたわ……」

 

「ん?織斑先生に鍵を渡されてそのまま此処に来たんだけど、まさかセシリアさん……織斑先生から僕が此処に来る話を聞いてないの?」

 

「え……えぇ。織斑先生は部屋割の調整の為に同居する人がくるとしか聞いてませんわ」

 

 

“……そっか。”と呟いた僕は、一旦シャワーの使用時間を決めようとセシリアに伝えてセシリアもその事に了承した。20時〜21時は僕で,21時〜22時はセシリアさんの順番で決まった。

 

因みに余談であるが、1025室から何かしらと鈍い音が聞こえた。

 

 

 

PM 21:00

 

 

 

セシリアさんが大浴場に行っている間、僕は織斑先生がホテルから持ってきた荷物の中にあるノートPCを使って、ONIから受け取った専用機のデータを見ていた。このミョルニル・アーマーはGEN2を応用し、ミョルニル・アーマーのコアをISコアに取り替えた物だということをスタッフから聞いている。一応初期設定状態になっている為に外見はMk−Ⅵのアーマーの色がグレーカラーである。そこで僕は腕時計を見た。この腕時計こそ、星矢や一夏の専用機の待機状態である。待機状態になっている腕時計を部位展開し、左腕のアーマーを展開した。その左腕アーマーに付けられているニュートラル・ネットワークパネルのUSB差し込み口にあるUSBメモリを差し込み“あるアーマー”のデータを専用機にアップロードした。表示が100%と出た事を確認した後、メモリを取り外し部位展開した左腕アーマーを待機状態に戻し、そのまま明日の準備を行った。

 

 

星矢Side out

 

 

 

束Side

 

 

一方の束は、束の隠れ家である無人島とは別の無人島に居た。何故彼女は別の無人島にいるのかというと、此処に古代フォアランナーの遺跡があるとの情報をONIアメリカ支社の情報端末から遠距離ハッキングし、入手し束の自信作、無人稼働IS“ゴーレムⅠ”を率いて遺跡内部を探索をして居た。因みにONIにハッキングした後、ハッキングされた事をバレない様に偽装した為ONIは天災にハッキングされた事に気付いてはいなかった。そして………束は現在、古代フォアランナーの遺跡にある端末に目に入った。

 

 

「凄い……!私やONIの技術水準を遥かに上回っている。流石は私たち人間のご先祖様?だね。これなら箒ちゃんのISが完成するのもあっとゆうまに出来上がりそう!」

 

 

束は、妹なる箒の誕生日に向けて箒専用のISを作っていたのだ。その為に古代フォアランナーの技術を解析し、箒の護身用兼束の姉として妹に贈る最高のプレゼントたるISを完成させようとしていたのだ。………すると一体のゴーレムが、レーダーに反応があったのか上を見上げた。

 

 

「うん、どうしたの?………?」

 

 

束が護衛のために連れて来たゴーレムに話しかけるが、ゴーレムは束の声を聞いていないのか上を見上げたままであった。束もゴーレムが向いている方を向けると、そこにはハッチらしい物があった。するとハッチが開き、そこから()()()()が出て来た。その機械は宙に浮き、そのまま束やゴーレムがいる方へ向いた。その機械こそ、古代フォアランナーが作り出したロボット“センチネル”である。センチネルの主な役割は、古代フォアランナーのテクノロジーを守ることであるが束達の前に現れたセンチネルは、束に近づき右アームユニットをゆっくり前に突き出した。これを見た束は………。

 

 

「………もしかしてそれって、“握手”なのかな?」

 

 

束も右手でセンチネルのアーム部分を握り、握手を交わした。握手を交わし終わった後、センチネルは束達について来てと言わんばかりにアームユニットを動かして、遺跡奥へと向かっていった。束達は先ほどのセンチネルの後を追いかけた。遺跡のとある部屋でセンチネルがアームユニットで何かを掴んでいた。センチネルが掴んでいる物は丸く、如何にもセンチネルと似た機械と思わせるレンズが付けられていた。しかし……その球体状の機械らしき物は動く気配がなかった。すると束はある事に気付く………

 

 

「もしかして、その子を直して欲しいの?」

 

 

センチネルは肯定と示すために球体状の機械を束に渡した。その球体状の機械は、外見は無傷のものの内部のコンピューターユニットが故障しているのを束は理解した。

 

 

「直るか如何かはわかんなけど……任せて!束さんの持てる力を持って治してみせるから!」

 

 

束は事前に持ってきた束専用のノートPCを起動させ、コネクターを球体状の機械に繋げてリカバー作業を行なった。

 

因みにゴーレムは、センチネルとネットワークを共有しネットワーク内で話し合っていた。

 

 

 

30分後………

 

 

 

束は、己が持つ技術を使って何とか球体状の機械のリカバー作業を成功させた。

 

 

「うへぇ〜………まさかここまで複雑な構造に作られていたなんて思いもしなかったよ。でも……これで何とか再び動けるようになったはず!」

 

 

そういって束は、ノートPCのENTERキーを押して球体状の機械の電源を入れた。すると球体状の機械のレンズが発光し、センチネルと同じように宙に浮いたのだ。

 

 

「いやはや……何方かは存じませんが、私を直していただき有難う御座います。私は此処のテクノロジーである“フォージ”を管理する為に作られました管理ロボット“サウザンド”1000番目のモニターです。そして、私と同じようにテクノロジーを守る為に作られた戦闘用ロボット、通称“センチネル”です。今貴女が後ろのロボットと話し合っているロボットがそうです」

 

「へぇ〜……そうなんだ。じゃあ…センチネルは“センちゃん”で、モニターは“モニちゃん”だね!」

 

「あの〜……私にそのような呼称をつけられましても………」

 

 

これが天災こと束と古代フォアランナーの管理ロボット“モニター”と戦闘用ロボット“センチネル”の出会いであった。

 

 

 

続く。

 

 




HALO4のアーマータイプで好きなアーマーは何ですか?
因みに自分は“Recruit”が好きです。

次回はクラス代表決めです。


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クラス代表を決めようとした結果…

第1章の第2話、始まります。

転生者よ、君は彼女の思いを気付けるか?


 

 

僕は今、危険な状況に立たされています。クラス代表を決めようと織斑先生が推薦式で決めようと他の女子に推薦者を聞いた結果、殆ど僕と一夏だけだった。一応僕はセシリアさんを推薦し、クラス代表の座を賭けた闘いで決める事になった。それはそれで良かったのかもしれないのだが…………

 

 

その時のところまで少し巻き戻す………

 

 

 

食堂………

 

 

 

僕はセシリアさんよりいち早く起床し、軽くランニングをした。ランニング内容は、グランド往復5周である。

 

ランニングを終えて、食堂に着いた時には一夏と箒や他の女子達がいた。唯…一夏の額が赤く腫れあがっていた。

 

 

「おはよう一夏。どうしたんだ、その腫れた部分は?」

 

「お…おはよう星矢。実は、自分の部屋が箒の部屋だった事に気がつかなくて…」

 

「し…仕方ないだろう。私はシャワーを浴びていたからシャワーの音でノックした音が聞こえなかったんだから」

 

 

どうやら一夏は、部屋に入る前にノックしたのは良いが相手に聞こえてなかったようだ。その結果、箒に一発やられたようだ。因みに僕の朝食は生姜焼き定食で、一夏は紅鮭定食である。一夏と箒を含め、僕達は朝食を終えた。その時に織斑先生がやって来て他の女子達に早めに完食する様に急かした。遅れたものはグランド往復10周とのことだった。

 

 

 

教室 HR時………

 

 

 

織斑先生は、再来週に行われるクラス代表戦に出る者を決めようとしていた。

 

 

「……さて、再来週行われるクラス代表戦に出る代表者を決めなければならない。推薦でも構わん、誰が代表戦に参加する者は?」

 

 

IS学園においてクラス代表戦は、謂わばデザートフリーパスを賭けた戦いなのだ。僕個人も甘いものは多少は好きなんだけどね………。すると女子たちが一斉に僕と一夏を推薦してきた。

 

 

「はーいっ織斑君を推薦します!」

 

「私もそれがいいと思います!」

 

「じゃあっ私は泉谷君を推薦します!」

 

「さんせー!」

 

「せっかく唯一の男の子達だもんね、もりあげないとね!」

 

 

……まぁ、ISを纏った男子の戦いを観たいのはわかるけど、流石にこれじゃあ部が悪い。何気に一夏はこの事を悟ったのか、諦め掛けていた。そこで僕は、今浮かんだ案を織斑先生に話そうとした。

 

 

「……まぁ、大体予想はしてた。ハァッ………」

 

「では候補者は泉谷に織斑………他にはいないか?自薦他薦は構わないぞ」

 

「……織斑先生、僕はセシリアさんを推薦します。それと、発言の許可を」

 

「泉谷か、良いだろう…発言を許可しよう」

 

「感謝します。皆、僕や一夏を推薦するのは良いのだが僕個人としてはクラス代表はここ1組の代表の有り顔なんだ。クラス代表で何かが有れば、1組の評価に繋がるんだ。だから僕は、専用機を持つセシリアさんを推薦したんだ。

そこで、ある提案を僕は考えたんだ。僕達三人で総当たりの試合を行い、1番勝率の高い人が代表を決めるという案です」

 

 

僕がそう言うと、セシリアさんも後に続くように僕の案に賛同してくれた。

 

 

「私も星矢さんの意見に賛成です。星矢さんの言うように、理にかなっています」

 

「おぉー…!」

 

「なるほど…!」

 

「私も、星矢君の意見にさんせー!」

 

 

僕の説明に女子が頷き、僕の案に賛成のようだ。確かに、僕たち男子がISを動かせた事を珍しがるのは解る。でも、だからと言ってそれだけで推薦したんじゃクラス代表戦での成績が1組全体の評価に繋がり、最悪なパターンに遭遇するのだ。……まぁ、僕たちSPARTANが代表者になってしまってはある意味パワーバランスが崩れてしまうけどね………。

 

 

「なるほどな。山田先生、アリーナは空いてますか?」

 

「あっ……はい!少し待ってください」

 

 

山田先生はタブレットを操作して、ISバトルに使用されるアリーナの使用日程を確認する。すると、来週の土曜日に第2アリーナが空いている。

 

 

「織斑先生、来週の土曜日の午後2時から第2アリーナが空いています」

 

「分かった。諸君、聞いての通りだ。来週の土曜日の午後2時から代表決定戦を行う。3人はそれまでに準備をするように良いな?」

 

「了解です」

 

「あっ……はい。分かりました」

 

「はいっ分かりました」

 

 

こうして、来週の土曜日にクラス代表を決める試合が行われる事に成った。

 

 

そして現在………

 

 

放課後、セシリアさんから話があるとの事で僕は今、誰もこない廊下でセシリアさんと話し合う為に向かった。しかし、此処で問題が発生したのである。

 

 

「わざわざお呼びしてすみません。星矢さんに話しておきたいことがありまして……」

 

「それはそれで構わないけど、セシリアさん「名前で呼んでください」えっ?」

 

「私のことは名前で呼んで頂いても構いません。もうあの時とは違いますから」

 

 

あの時というのは、各支店のSPARTANと各国のIS代表者との合同演習の事である。あの頃のセシリアさんは女尊男卑勢に染まっていたのだが、合同演習を終えて疲れ切って動けないセシリアさんを見て僕は、ISを纏ったセシリアさんごとお姫様抱っこでピットの所まで運んだのである。それ以降、男子兼僕の見方を変えたのだ。

 

 

「……わかった。セシリア、先ほど言っていた話って何?」

 

 

セシリアに僕を呼んだ理由を聞き出してみた。すると…セシリアから予想外な答えが

返って来た。

 

 

「えぇ……星矢さん。クラス代表候補戦で私が勝ちましたら、その……わ……私と………つ………付き合…「なんの話をしている?」…て……?」

 

 

セシリアが僕に何か言おうとしたが、途中で織斑先生が話に介入してきた。ある意味この状況は、織斑先生のせいでタイミングがずれたとしか言えない。

 

 

「お……織斑先生?い……いつからいらして?」

 

「む…つい先ほどだ。それと泉谷、また私に対して良からぬことを考えていただろ?」

 

 

……もう、織斑先生の読心術は勘弁してほしい。

 

 

「いえ、気のせいです。織斑先生」

 

「そうか……ならいい。もうすぐ次の授業が始まるからすぐに教室に戻るように」

 

 

そう織斑先生は言うと1組の教室に戻っていった。……結局、セシリアが僕に伝えたい事って一体何だったんだろう?当の本人はかなり落ち込んでいるし………。

 

 

「えっと……セシリア?話の続きなんだけど、クラス代表戦が終わった後でもいい?」

 

「はい……それで良いですの……」

 

 

落ち込んでいるセシリアと僕は、次の授業のために教室に戻った。その後僕は、落ち込んでいるセシリアを励ましていた。

 

 

 

放課後………

 

 

 

今日の授業を終えた僕は、スマートAIであるターニャを一旦一夏に預けてアルと共に第2アリーナのピットに向かった。ピットに着いた時には、あるISが置かれていた。見た目的には演習兼量産機である打鉄と酷似していた。

そこで僕は、あることを思い出した。そのISは、ONIによって吸収されてしまった倉持技研の第2世代型の打鉄を改良し、第3世代型で打鉄の後継機兼更識簪の専用機として開発されたISである。

 

 

「あれは……打鉄の後継機か?」

 

《少佐殿、あれは元倉持技研で開発されていた第3世代型の打鉄弐式です。当時の倉持技研は、少佐殿や一夏殿が現れたことで少佐達専用機の開発を優先し打鉄弐式の開発は放棄されたことをこの時に視察しに来たウルフⅢこと折原志野の怒りを倉持技研は買ってしまいⅢは直様ONIに問い合わせて倉持技研の株券を爆買いし、倉持技研の暴落と同時に吸収したそうです。現在では、ONIの管理下に置かれ打鉄弐式の開発が再開されているとのことです》

 

 

そうか……道理で倉持技研がONIに買収された訳だ。というか、あそこにⅢが視察しに行っていたんだな。元々Ⅲは、メカニックやアニメに関してはマニアックかオタクと言っても良いくらいに好きなのだ。今年ONIが新しい武器を新開発し、正式配備された携帯式レールガン“ARC-920”をⅢが貰った時には即無理矢理改造し、名前を“ギャラクシー・ライフル”と改名したりSPARTAN専用小型機“OF-92/EVA ブースターフレーム”の色をマゼンダカラーにして名を“流星号”と改名する程だ。そして、彼が最も嫌う事はやりかけの物を途中で投げ出して辞める事である。……大方、倉持技研の職員がⅢに打鉄弍式を聞かれた時に僕や一夏専用のISを作る為に打鉄弍式の事を廃棄処分扱いにした挙句“失敗作に用は無い”とⅢに言ったのだろう。それに対してⅢは怒りを買い、倉持技研の株をONIに通して爆買いし吸収したのだろう。

 

 

 

そんな事を考えている同時刻………

 

ONI 衛星軌道上プラットフォーム ONI本社

 

 

 

「……ヘックシッ!!」

 

 

ウルフⅢこと、折原志野は武器開発ルームにてリーダー事星矢専用のハンドガンと接近戦用鈍器を持って開発スタッフを引き連れて降下艇に乗り込みIS学園に向かおうとした時に誰かに噂されたのか嚏をしたのだ。

 

 

「あーっ………誰か俺の噂でもしてんのか?あん時の視察の時はついカッとキレちまってONIの権限を使っちまったのが失敗だったか?」

 

 

志野が倉持技研に視察中に無許可でONIの権限を使用したことで、二週間外出禁止令が出されONI本社から外への外出を禁じられた彼は、暇を潰す為に星矢専用の武器を作ることにしたのだ。一つは、“M6C/SOCOM”の改造銃。そしてもう一つは、剣型鈍器“ソード・メイス”だ。

 

M6C/SOCOM改造銃の改造点は、ステルス性であるサプレッサーのオミットと、50口径バレルを50口径専用カスタムロングバレルと交換。さらにM6C/SOCOM専用に作ったマウントベースを装着。そしてDOCTERタイプ レッドドットサイトをマウントベースに装備。最後にマガジンを8発マガジンに変更し、専用弾は志野特性“50マグナムラウンド高速徹甲弾”だ。これでもかと魔改造を施され、全長は30.7cmで重量はマガジンを含めて3キロ。志野が星矢の為に作った対IS・エイリアン戦闘用半自動拳銃“ゼーレ”である。

 

剣型鈍器“ソード・メイス”は、とある鉄の華の組織のロボットが使われていたと思われる鈍器を志野はこの世界で作ってしまったのだ。使われた素材はハステロイと呼ばれるニッケル合金とジュラルミンと呼ばれるアルミニウム合金。その二つを加工し、混ぜ合わせ、耐熱・耐食と軽量で頑丈な凶悪鈍器とかしてしまったのだ。これもまた、対IS・エイリアン戦闘用の武器としてカテゴライズされる。そんなとんでも兵器を作り上げた志野は、もはや頭がおかしいとしかいえない位に頭が優れていたのだ。

 

 

「…しかし、大丈夫なんすか?外出禁止令が出てるのに勝手に外に出て……」

 

「大丈夫だろう、どうせ俺の作った武器を星矢に渡すだけだしよー?だから問題ねえよ!…まぁリーダーの事だし、俺の作った武器をあっさりと使いこなしちまうから平気だろうw」

 

 

そう志野はどや顔をし、スタッフは不安ながらも降下艇に乗った後、そのままIS学園に向けて操縦し、ONI本社からこっそりと抜け出したのだ。星矢に志野が作り上げたキチガイ兵器を渡す為に。しかしこの時、志野は誰かに後を付けられているのを気が付きはしなかった。

 

 

 

一方のIS学園のピット内………

 

 

 

僕は、アリーナのピットに置かれていた打鉄弍式を観察していた。武装の方は中々豊富で、防御重視な見た目とは裏腹に機動性に特化したISである。……此処(学園)に来る前に一夏と共に作ろうとした秘匿兵器アーマースーツのことを思い出すな。一応打鉄弐式の武装をタブレットを通してパラメーターを確認してみた。

 

 

背中に搭載された2門の連射型荷電粒子砲“春雷”

 

近接武器である対複合装甲用の超振動薙刀“夢現”

 

6機×8門の計48発独立稼動型誘導ミサイルを搭載したミサイルポット“山嵐”

 

 

何気に秘匿兵器アーマースーツと比べると火力が少し足りない気がするが、それでもいい出来だといえる。唯…ここで問題が一つ、打鉄弍式のロックオン・システムが単一ロックオン・システムのままであったことだ。打鉄弍式の最大武装である“山嵐”のマルチロックオン・システムがまだ未完成のままだったのである。するとそこに………

 

 

「………誰ッ……?」

 

 

打鉄弍式を見とれている間に一人の女子が訪ねてきた。その女子は、髪の色が水色と変わった色をしており、瞳は朱に染まっていた。その女子こそ、“更識 簪”本人なのだ。

 

 

「ん?あぁ…すまない。ちょっとこのISに見とれてしまってね……。僕は星矢、泉谷 星矢だ、よろしくね。処で、君は?名前は何て言う?」

 

「……簪、更識 簪」

 

「簪……いい名前だね」

 

 

彼女は自分の名前を言う時に“更識”の所だけやけに嫌々ながらも答えたように見えた。それもその筈、更識の名は“対暗部用暗部”の家名で有名なのだ。ONIも一応更識家にも警戒しながらも、お互いにシェアし合える関係で手を打ったのだ。簪が更識に関する事を嫌っているのは恐らく、家族の間に何かがあったものと推測する。

 

 

「それで……私のISに何の用?」

 

「いや…大した事じゃないのだが、このIS…まだ未完成なのか?」

 

「……貴方には関係ないでしょ」

 

「聞いてみただけだ、一応聞くがこれを君一人で作るつもりなのか?」

 

「……うん、本当なら倉持技研が造ってくれるはずだったんだけどONIによって吸収されてしまって以降、打鉄弐式を担当していた人達が病に罹ってしまって開発中止扱いになってしまったの」

 

 

あっちゃー、どうやらONIが倉持技研を吸収したのは良いが、打鉄弐式を作るスタッフが病気になった事で打鉄弐式の開発が中止したようだ。…後でONIからスタッフの増員をしてもらうように頼んでおこう。

 

 

「……ごめん、ウチのONIが勝手な事をしてしまって」

 

「ううん、私は気にしてないから。……処で、貴方の後ろにいる人達は誰?」

 

「人……?僕や簪さん以外の人は見なかったけど……」

 

「ようリーダー!お前用の武器を作ってきたから持ってきてやったぜ!」

 

 

後ろを振り向いたら、志野やONIのスタッフ達がIS学園にやってきたのだ。

 

 

「…志野、何でお前が此処に居る?」

 

「いやー、リーダーの武器を作ったんでそいつを渡そうと思ってな!」

 

《しかしウルフⅢ、貴方はまだ謹慎処分で約二週間の外出禁止令がでていた筈ですが……》

 

「そう細かい事を気にすんなって、武器を渡すと同時にそこのISを完成させる為にスタッフを此処まで連れて来た訳だしよ」

 

「え?……私のISを?」

 

「まぁそういう事になるっすね。本来なら此処の校長の許可を取るつもりがSPARTANによって無理矢理連れてこられて来たんす」

 

 

スタッフの説明を聞いた簪は“えぇー……”と何かとスタッフの事を気の毒だと思った。そして僕は、志野の行動や謹慎処分に対して“何やってるの?”と頭を抱えるのであった。

 

 

「…志野?謹慎処分を受けてるのにスタッフたちを巻き込んで何やってんだ?今度そっちに戻る時にはHA☆NA☆SIをつけようか?」

 

「オイオイ…そう細けえ事は気にしねえでくれよリーダー、俺が態態ここまで来てこいつを持って来たんだぜ?そいつを見てからでも良いだろう?」

 

「…処で、今更なんだけどさっき泉谷から別の声が聴こえたのだけれど」

 

 

簪はスマートAIのアルの声を聞き取っていたようだ。正直本当に今更なのだが、どの道教えるつもりだった訳だし次いでのことでスマートAIアルの事を簪に説明した。

 

 

「…改めて思うとONIって会社、何か色々とチートすぎる様な気がする」

 

「何となくだけど、僕も一度そう思ったことがあるよ。まさか志野がODSTに支給されるM6C/SOCOMを魔改造するなんて……一体どんだけの資金を費やしたんだ?」

 

「あぁ、心配すんな。お前様の武器開発は全部俺が負担してっから会社自体は問題ねえ。んで、M6C/SOCOM改造銃をご覧あれってね!」

 

 

そう言って志野はその改造銃の入ったトランクケースを開き、星矢達の前に見せた。簪は、志野が作ったM6C/SOCOM改造銃を見て“カッコイイ”と思いながら見ていた。そして星矢はM6C/SOCOM改造銃を手に持ち、その銃の周りを確認した。

 

 

「凄い……!」

 

「うん……重みは少し増えてるけど、持てない訳ではない」

 

「応っ!対IS戦闘用半自動拳銃“ゼーレ”。今までのM6シリーズの中で初の専用弾使用銃だ。全長は30.7cmで重量はマガジンを含めて3キロ、装弾数8発だ。俺が作った特製の専用弾が火を噴くぜ!(まぁ、付け足してエイリアン戦闘用にも調整してあるんだが此処は黙っておくか…)」

 

「なるほど……専用弾は?」

 

「俺特製、“50マグナムラウンド高速徹甲弾”」

 

「硬芯部は?」

 

「ジュラルミンとチタンをハイブリットした“ジュラルチタニウム合金”」

 

「弾頭は?FMJかJHPか?」

 

「“スーパーXシルバーティップホローポイント”だぜ」

 

 

そう星矢は志野にいくつかの質問をし、ゼーレにマガジンを装填した。

 

 

「……一言でいうと、パーフェクト。お見事だウルフⅢ」

 

「へっ…感謝の極みってか?後ついでに、お前用の近接武器を作って置いたぞ」

 

 

そう言って志野は、星矢専用の近接戦闘用剣型鈍器“ソード・メイス”を星矢に渡した。

 

 

「……おいおい、何だって此奴まで作ったんだよ。これ完全に鉄と血の名の付いた武器だろこれ」

 

「まぁ…気にすんなよ、実際接近戦で大いに役に立つだろうしよ」

 

「でも……ある意味その鈍器、ロゴマークが凄くカッコイイ……」

 

「おっ?お前にも判るか?此奴の格好良さをよ、もし何ならお前のISにも追加装備を作ってやろうか?」

 

 

志野が簪の打鉄弍式の追加武装を作ろうか?と訪ねてきた。

 

 

「え…?本当?」

 

「応っ…マジマジ」

 

「そ……それじゃあ、これを頼める?」

 

 

志野は簪の質問に答え、簪は志野に打鉄弍式の追加武装の設計図を渡した。

 

 

「へぇ〜……面白い仕組みだな。良しっ!この俺に任せておけ!」

 

「えっと……お願いします」

 

 

志野は簪から受け取った設計図を持って降下艇に戻ろうとした時に………

 

 

「随分と楽しそうだな?ウルフⅢ」

 

「応っ!リーダー専用の武器を作って無事に渡せたし、そこの嬢ちゃんのISの追加武装の依頼を受け取った訳だしよ、こっちとしては万々歳………………へっ?」

 

 

そこにウルフⅡこと、池上 桂が待ち受けていた。Ⅲに対して“ハイクをを読むか、Ⅲ?”と言った時にはⅢは………

 

 

「………ほなっサイナラ!」

 

 

と一言言って降下艇に向かって逃げて行った。Ⅱは逃さんと言わんばかりにⅢを捕まえる為に後を追いかけた。状況を理解出来ぬまま置いてかれた星矢達は思った。

 

 

((あの人(彼奴)、いろんな意味で大丈夫かな?))

 

 

Ⅲの行動に不安な気持ちを抱くのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

束Side

 

 

一方の束は、古代フォアランナーの遺跡で発見した管理ロボット“サウザンド”と戦闘用ロボット“センチネル”と共に束の隠れ家兼研究所に戻っていた。

 

 

「どう?私の秘密基地は?此処では私とクーちゃんで生活しているんだ」

 

「ふむ……中々良い所ですね。我々の文明より劣りますが、それ故に良い味が出てますね」

 

 

そうサウザントが言うと、センチネルも後に続く様に束から貰ったプラカードとマジックペンを使って“良いんじゃないかな?ヽ(・∀・)”と書かれたプラカードを束に見せていた。するとそこに、銀髪の少女がやって来た。

 

 

「お帰りなさいませ、束様。それが古代フォアランナーの遺跡にあったロボットですか?」

 

「うん♪紹介するねクーちゃん、この丸い球体型ロボットはモニちゃんで、こっちの浮いているロボットはセンちゃんだよ」

 

「どうも初めまして、私はフォアランナーのテクノロジーである“フォージ”を管理する為に作られました管理ロボット“サウザンド”1000番目のモニターです。そして、私と同じようにテクノロジーを守る為に作られた戦闘用ロボット、“センチネル”です。どうぞお見知り置きを………」

 

 

センチネルも“宜しく( ´ ▽ ` )ノ”と書かれたプラカードを銀髪の少女に見せた。

 

 

「どうもご丁重に……私は束様の従者の“クロエ・クロニクル”です。……処で、“フォージ”というテクノロジーとは一体何なんですか?」

 

「あ……私もそれ気になってた。モニちゃん、フォアランナーのフォージってなに?」

 

「フォージの事を知りたいのですか?良いでしょう。そもそもフォージとはフォアランナーのテクノロジーである“クリエイター”の技術の劣化版です。そのクリエイターはフォアランナーが開発した“無”から“有”を作り出すシステムに対してフォージの場合はデータの中の“設計図”から“有”を作り出すシステムとなっております。実際見せた方が早いですね、少しお待ちを………」

 

 

そういってモニターは、己が持つデータ内にあるフォアランナーの兵士が使用していた“ボルトガン”の設計データを使い、モニターの前にボルトガンを出現させた。

 

 

「この様に設計図が私の中に保存されていれば直ぐにでも作ることも可能です」

 

 

束達はモニターの説明を聞き、理解した。フォージは今の人類が手にするには早すぎる程危険なオーパーツであると。しかも設計図のデータ入れるだけで直ぐに出来てしまうというチートじみたテクノロジーであると束とクロエは理解した。

 

 

「嘘?!そんな楽なシステムがあったら世界も第三次大戦に突入フラグじゃん!フォアランナーはよくこんな恐ろしい物を作ったもんだね〜………」

 

「はいっ束様、もしこのテクノロジーが世界に知れ渡ったら世界のパワーバランスが崩壊して女尊男卑処ではありません。世界そのものの常識が狂ってしまいます…!」

 

「今の人類ではそうかもしれませんが、ですが貴女方ならこのシステムを説明しても大丈夫と判断しました。それと、流石に今の人類にフォージを渡したとしても先に人類の方が自滅してしまいます」

 

 

束達はこの時を持って、モニター達を絶対にテロリストの手に渡ってはいけないと決意した。

 

 

束Side out

 

 

 

とある銀河系の宇宙………

 

 

 

?⁇Side

 

 

私は…真実の預言者、コヴナントを導く声だった者。アークを起動させ神になろうとした矢先、フラッド共に寄生されてしまい悪魔によってアークを止められしまい、異端者であるアービターに殺された。

 

しかし……神のいたずらと言う偶然か、運命か……私は、私の知る世界とは違う所に転生した様だ。私だけではない、嘗て戦場にて散っていったコヴナント軍と軍艦とジラルハネイ族の“タルタロス”と第17代アービター“リパ・モラム”までもが転生していたのだ。幸先が良いとはこのことである。だが…転生したのは良いものの、今の我々は宇宙を彷徨うだけの軍団とかしている。これを何とかせねばと考えている矢先……

 

 

「真実の預言者殿、朗報が御座います」

 

 

タルタロスが何かしらの朗報を私に報告する。

 

 

「タルタロスか…して、その朗報とは?」

 

「はっ…やはりこの世界にもフォアランナーの遺産が眠っていました。無論、人間共の母星である地球にも確認されました」

 

 

やはり、この世界にもフォアランナーの遺産が眠っていたか………。もしこの世界にもアークがあるのなら今度こそ大いなる旅立ちを実行し、私がこの世界の神として君臨するのだ。だが…今はまだその時ではない、耐えるのだ………。

 

 

「そうか…それは良き朗報だ、ご苦労だったなタルタロス」

 

「はっ!光栄で御座います!」

 

 

もはや誰にも私の計画を邪魔はさせんぞ…大いなる旅立ちを遂行し、この世界にて新たな神として君臨するのだ!

 

欲に塗れたプロフェット族の男が、己が欲望のままに力を蓄えている事を星矢達はまだ知らない………。

 

 

 

続く。

 





ウルフⅢ武器魔改造フラグ乱立。
こんな物を作って楽しいと言うのか変態め!
コヴナント軍(預言者)が何かしらと準備中?

次回は、一夏が剣術を鍛える様です。


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ONI小惑星基地に誰かが訪れた結果…

第1章の第3話、始まります。

転生者よ、出撃だ(使命感)。


 

 

ウルフⅢが星矢専用の武器を作ってくれた50口径改造拳銃“ゼーレ”を受け取った後自分の寮の部屋に戻ろうと向かっている同時刻、一夏が箒に何かを頼んでいた。

 

 

「箒、俺の剣術を鍛え直して貰えないか?」

 

「 唐突だな…急にどうしたんだ?」

 

「3日前に俺が中学の頃にONI社に入社した事を話したよな?実はそれ以降剣道をしていないんだ。だから剣道の感覚を思い出す為に箒に頼もうと思ったんだ」

 

 

何故一夏が箒に剣術を鍛え直して欲しいと頼んだのかというと3日前の入学式初日の時に箒と共に屋上で話し合った時まで遡る。

 

 

3日前、IS学園 屋上………

 

 

「ほ……本当に、本当に一夏なんだな?」

 

 

何故箒がそのような質問をしたのだというと、一夏は第2回モンド・グロッソで謎の組織に誘拐されて以降一夏は三年間の間行方不明という形で消えていたのだ。その事を察した一夏は、箒に謝罪した。

 

 

「あー……中1以降音信不通の状況だったからな。……ごめんな、心配かけて」

 

「い……いやっ、謝るな!?私はその……一夏が無事なのが確認できたからホッとしたんだ…///」

 

「そうか。けど……本当に久しぶり、6年ぶりだけど箒だってすぐわかったよ」

 

「そ……そうか。よく覚えているものだな………処で一夏、お前はこの3年間一体何処に居たんだ?」

 

 

箒が一夏に3年前何処に居たのかと聞き出そうとすると、一夏の目が遠い目をして過去を思い出していた。

 

 

「あぁ……あの時か、あれは本当に地獄だったな……」

 

「一夏?」

 

「あぁ…いやっ何でもない。3年前何処に居たのかだったよな、実は俺……3年前にONI社に入社したんだ」

 

 

箒は一夏がONI社に入社したことに驚いていた。実際一夏はONI社のことは一切無縁だったのだ。そう…一夏がONIドイツ支社のスタッフにSPARTAN-Ⅲに改造されなければ………。

 

 

「ONI社に!?どうしてONI社に入社しているんだ!」

 

「実は3年前、俺を誘拐した連中に殺されかけたんだ。殺されかけた後、何処かの廃ビル付近でボロ雑巾の様に捨てられたんだ。そこにONIのドイツ支社の人が偶然通りかかって来て、俺をドイツ支社の医療施設に搬送されたんだ。その時の俺は生きているのも奇跡の状態だったんだ。だからドイツ支社の人たちが生命維持の為にSPARTAN-Ⅲに手術をしたんだ」

 

 

箒は驚きながらも悲しい思いで一杯であった。 ONIのSPARTANの名は三つの意味で世界に知れ渡っているのだ。一つはISの抑止力で、もう一つは人類の希望。そして最後は、()()()()()()()()()という悪魔。人類の希望でありながら、皮肉にも人の手によって身体を改造され、超兵士として戦う事を定められる存在になったSPARTAN達、そのSPARTANの中の一部には脱走を試みようとした者もいたが、結局はONI社の者達に連れ戻されるだけだった。嘗てSPARTAN-023“デイジー”とSPARTAN-303“ラルフ”は、本来いるべき世界で向こうのハルゼイ博士を人質にして、彼らの帰るべき家へと施設から脱走したのだ。しかし……彼らの帰るべき家には、誘拐した際にすり替えた彼女らのフラッシュクローンが住んでいたのだ。フラッシュクローンの寿命は短く、病に罹りやすい体質が故に若い内に死去するのだ。デイジーは、クローンを脱走の際に拝借したM6Cで射殺しようとしたが、止めた。ここでクローンを殺したところで彼女の帰るべき場所はもう存在しないと薄々気付いていたのだ。デイジーは、己が居るべき所へ帰ろうとした時にそのクローンからクマのキーホルダーをお守りとして渡してくれたのだ。その後、彼女はSPARTANとして幾多の戦場の駆け抜け、ハーヴェストから脱出の際に戦死したのだ。

 

 

………話題が逸れたので本来の話題に戻ろう。

 

 

6年前にONI社にいるこの世界のハルゼイ博士がISが軍事利用されぬ様に自らSPARTAN-Ⅱ計画を世間に公開したのだ。その結果…ハルゼイ博士は非人道的マッドサイエンティストとして逮捕された。しかし、ONI社がハルゼイ博士を死なせはせんと全世界の警察と国連を交渉しハルゼイ博士をONIが管理する形で事なきを得た。悲しい気持ちが一杯な箒は、泣きながらも一夏に抱きついた。

 

 

「どうして……どうし…て……お前は、人間を……ぅくっ…やめて……しまったんだ、一夏……!」

 

「……ごめん、箒。本当に……ごめん………」

 

 

時間が経って箒が泣き止んだ後に、一夏は剣道で学んだ篠ノ之流剣術を封印していることを説明した。一夏がSPARTANになって以降篠ノ之流剣術を封印し、我流のみで敵を無力化して来たのだ。一夏曰く、篠ノ之流剣術を殺人剣にしたくなかったからだ。因みにこの事は星矢とウルフチーム並びに、ONIスタッフ全員のみ知っていて千冬さんはまだその事は知らない。

 

 

そして今現在に至る。

 

 

「そうか……分かった。なら今日の放課後に剣道場に来てくれないか?腕が鈍っていたせいで負けたのでは笑われるからな」

 

「ああ…分かった。お手柔らかに頼む」

 

 

その後一夏は、放課後に箒と共に剣道場に向かって行った。

 

 

一夏Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

星矢は今、ONI本社にいる清十郎からGEN2を応用した秘匿兵器アーマースーツのプロトタイプが完成したとの報告があった為故、一旦織村先生に本社へ戻る許可を取った後、迎えに来た降下艇に乗り本社があるステーションに向かった。一方のONI本社では、とあるテストルームでアーマースーツの歩行テストを最近入社した(強制的だが…)SPARTANのデイジーがテストプレイヤーとして動かしていた。歩行テストを終えた頃には、星矢の義理の妹であるシャルロットがやって来た事に気付いたデイジーはヘルメットを外した。

 

 

「お疲れ様。どう?星矢が設計し直したアーマースーツの調子は?」

 

「シャルロットか。……思ったよりも動かし易くなったな、GEN2のシステムやフレームを応用しただけでここまで違うとは………」

 

 

今彼女が装着しているアーマースーツは自衛隊や、各国のレスキュー部隊用に星矢が再設計しいずれ世界各国のレスキュー部隊に2機配布する予定である対災害・救命用パワードスーツ“ライフセイバー・スーツ”である。特徴は瓦礫撤去に必要なパワーアシスト・システム。星矢が開発したバイタルセンサーを搭載。そして、各災害に対応できるH.P.S(ハード・ポイント・システム)だ。そのH.P.Sには、レスキュー・アームズと呼ばれる専用の対災害用換装パーツが数多に存在する。

 

 

対火災災害用換装パーツF.R.A(ファイアー・レスキュー・アームズ)

 

対地震災害用換装パーツG.R.A(グランド・レスキュー・アームズ)

 

対気象災害用換装パーツW.R.A(ウェザー・レスキュー・アームズ)

 

 

他にも様々な換装パーツは存在するが、その説明は割愛する。これによりどんな災害でも活動できるパワードスーツが出来上がったのだ。ただし欠点として、これらは電気で動く為にバッテリー代が高く付くのだ。その欠点を補うためにミョルニル・アーマーをモデルに、専用のバッテリーコアを開発しパワードスーツの背中にそのバッテリーコアを差し込むというコンプセントにすることで充電の際に態々電力ケーブルをパワードスーツに接続することなく、ONI社にバッテリーコアの充電依頼することで、パワードスーツを配布されたレスキュー部隊の部署の電気代節約になるのだ。因みにその専用バッテリーコアを使用したパワードスーツの活動限界時間は約2時間である。歩行テストを終えたデイジーは、パワードスーツを外し、私服に着替える為に更衣室に向かった。その時にテストルームの扉から星矢が入ってきた。

 

 

「お疲れ様、デイジー。そして…ただいま、シャル」

 

「あっ…義兄さん、お帰りなさい!」

 

「星矢か?IS学園で寮生活していると聞いていたのだが……?」

 

「あぁ…父さんからアーマースーツのプロトタイプが完成したって報告が来たからすぐ戻って来たんだ」

 

 

デイジーとシャルに星矢はどうしてONI本社に戻って来たのかを説明した時にスマホから父親の通信が来たので電話に出た。

 

 

『応っ星矢。もうこっちに着いたんだな。悪いがちょっと()()()に来てくれないか?お前さんに会いたいとお客さんとの要望だ』

 

「僕に会いたい?父さん、そのお客さんってもう来ているの?」

 

『あぁ…しかもそのお客さん、宇宙(そら)からのお客さんだそうだ。大至急にな?』

 

「…分かった。今すぐ応接室に向かう」

 

 

星矢は父親との通話を終えてスマホをポケットの中にしまった後にシャル達に“じゃあ…行ってくる”と伝えてテストルームを後にした。その時にシャル達に不安がよぎった。

 

 

「ねぇデイジー?僕、何だがやな予感がするんだ……」

 

「奇遇だな、私も何かしらやな予感がする」

 

 

その頃…テストルームを出た星矢は、武器庫でBR85HBSRをミョルニル・アーマーの背中にマウントし、MA5Dを手に持った後にエアロックに行くと一夏の代わりにラルフが代理で入ったウルフチームと合流した。因みに清十郎が言っていた応接室とは暗号の一つで、武器庫の事である。説明から要約すると“武器庫にて武器を取った後お客さんと話し合え(物理)”との事だ。そしてラルフはGEN2装着の為の訓練を終え、ミョルニル・アーマーを着ていた。

 

 

「応っリーダー!昨日ぶりだな!」

 

「星矢、今回の作戦だけ参加する事になったんだ。よろしく頼む」

 

「ラルフか……今回だけだが、よろしく頼む。それとⅢ…やっぱお前、Ⅱに扱かれたな?」

 

「いやー……あん時はマジで死にかけたぜ……」

 

「いや、元はと言えばテメーが謹慎処分にも拘わらず勝手に本社から出たのが原因だろうが!!」

 

 

桂は志野の行動にイラついていた。元々桂は、とある刑務所の看守部長を務めていたのだ。体力、射撃センス、精確な書類を作成できる能力を刑務所の上層部は大いに評価していた。しかし桂の上司である看守長は彼の存在が気に入らなかった。そして桂は、ある切っ掛けの事件で刑務所の仕事を辞めてONI日本支社に再就職したのだ。

 

 

「……たく、テメェが余計な事しやがるからこっちが態々IS学園に来て織斑教頭に頭を下げる羽目になったんだぞ。少しはじっとしていることができねぇのか!!」

 

「反省はしてねぇし、後悔はしてねぇから良いだろ?」

 

 

そう志野が言った瞬間、桂の鉄拳が志野の頭に直撃した。そして志野の頭からタンコブが出来てた。

 

 

「少しは反省ぐらいしやがれ!!」

 

「ウェーイ……」プスプスッ……

 

「そんなことより、今回の任務の事を話してくれませんか?」

 

「む?あぁ…そうだったな、今から任務を説明する」

 

 

ラルフが桂に作戦の事を話してほしいと頼み、桂は何とか我に戻り今回の作戦を説明した。

 

 

「今回の任務は、火星と木星の中間地点に設営した小惑星基地“アルゴスター”にて担当していたスタッフの連絡が昨日から途絶えてる。俺達の任務はアルゴスター内部の調査、並びにスタッフの安否の確認だ。もし俺達やスタッフ以外の奴がいたら最優先で捕縛との事だ」

 

「捕縛?捕まえんのは分かるがよう、もし相手が抵抗してきたら?」

 

「ONI本社からは一人でも捕縛出来れば問題無いとの事だ、一人でも捕縛できれば他は殲滅しても問題はない」

 

「……スタッフも同様か?」

 

「いや……スタッフは出来るだけ多く救助するつもりだ」

 

「まぁ…要はスタッフを出来るだけ多く見つけて、ウチら以外の奴を一人だけ捕縛すりゃ良いんだろ?だったらとっとと行こうぜ!」

 

「Ⅲ…また面倒ごと起こしたらⅡ鉄拳が来るぞ。とにかく…ウルフチーム、出撃準備するぞ」

 

 

こうして星矢率いるウルフチームは降下艇に乗り込み、星矢は降下艇を操縦し、アルゴスターに向かった。

 

 

二時間後………

 

 

兵舎収容部にて待機しているウルフチームは、各々の武器を点検していた。ⅡはアンチマテリアルライフルであるSRS99-S5、Ⅲは引き続き持ってきたM739SAWライトマシンガン、一夏の代わりに編成されたラルフはBR85HBSRを点検していた。火星と木星の中間地点に向かう際にアステロイドベルトを抜けてアルゴスターを捕捉した。しかし星矢が目にしたものは………。

 

 

「S105からONIへ、ウルフチームはアルゴスターを発見。最悪な事ににコヴナントの先客を確認した。アルゴスターの生存者は望めないだろう」

 

 

星矢が目にしたものは、コヴナントの降下艇“ファントム”がアルゴスターのエアロックに歩兵部隊を展開した。その歩兵部隊の中にサンヘイリ人のエリート族がいた。そのエリートの装備が最新鋭型のところを見ると恐らく“ジュール ムダマ”が率いるコヴナント残党軍の者と推測できる。

 

 

「了解、105。任務変更、敵を排除し、アルゴスターの安全を確保し奪還されたし。出撃を許可する」

 

「了解した、ONI。105、交信終了」

 

 

星矢はコックピット内でレバーを引いてシップを180度回転させ、その後オートパイロットに設定してウルフチームが待機している兵舎収容部に入った。

 

 

「みんな、最悪の事態だ。アルゴスターにコヴナントが占領した。そこで僕達の任務を変更し敵コヴナントを殲滅し、アルゴスターを奪還する」

 

「了解」

 

「了解だ!」

 

「了解!」

 

 

星矢はⅡにMA5Dを渡された後背中にマウントし、ハッチ開放スイッチを入れてハッチを開けた。

 

 

「よしっ…ウルフチーム、出撃だ。行くぞ」

 

 

星矢の後を続く様にミョルニル・アーマー内のスラスターを吹かせ、アルゴスターに向けて宇宙の中を泳いでいた。一方のアルゴスター内の休憩所でエリートの士官と一兵卒がなにやらアンゴイ(兵士)たちの事を話していた。

 

 

「アンゴイがやけに反抗的で………」

 

「フン!そんな奴はエアロックから放り出してしまえ!」

 

 

ウルフチームは移動しながらも休憩所にエリート達を目視で確認し、各メンバーに強行侵入を指示した。

 

 

「よしっみんな、あそこの窓から侵入するぞ。まだ奴らに気づかれてない」

 

「んじゃ、火力を窓に集中させるか!」

 

「Ⅲ、ここでヘマやらかすなよ」

 

「とにかく、あそこから侵入しよう!」

 

「よし……全員、武器を構えろ」

 

 

星矢の指示で、各々武器を構え………

 

 

「撃てっ!」

 

 

合図と同時に発砲した。しかしアルゴスターに設置されている窓は強化ガラスで表面だけ罅が入るだけで割れる気配がない。しかしこれが星矢の狙い、強化ガラスに罅が入ったのを確認するとウルフチームはスラスターを吹かして、そのスピードを生かして強化ガラスを真正面から打ち破りアルゴスター内部に侵入した。

 

 

「!?……悪魔か!」

 

「どーも、三河屋でーす」

 

 

エリート達はエナジーソード展開しウルフチームに襲いかかるが、星矢達が侵入してきた所から空気が外に漏れ出し、休憩所内にいるエリート達やウルフチームを巻き込みながらも宇宙に吸い寄せていた。エリート達の装備は0G装備仕様ではないために宇宙に放り出された。星矢達は、ミョルニル・アーマー内に搭載されているマグネットロックシステムを起動させて踏みとどまった。エリートの士官が星矢達に一矢報いる為にエナジーソードを振りかざすが、星矢は何もない所からソード・メイスを取り出し、エリートよりも先に振りかざして休憩所天井に叩き飛ばした。その衝撃でエリート士官の身体はくの字に曲がり、天井に紫の液体を染めた後絶命しそのまま宇宙に吸い込まれた。その後緊急用のシャッターが閉まり外への空気漏れがなくなった。この時にウルフチームは、星矢がエリートに対する行動を見て思った。

 

 

(((えげつない殺し方をするな……)))

 

 

今後とも星矢を怒らせない様にしようと思ったウルフチームであった。

 

 

「よしっみんな、まだ中にいるコヴナントを殲滅し、アルゴスターを奪還するぞ」

 

「「「了解!」」」

 

 

こうしてウルフチームは、小惑星基地“アルゴスター”奪還戦を行うのであった。

 

 

 

続く。

 

 




小惑星基地はSFのロマン………だと思う。
ジュール ムダマ率いるコヴナント残党軍の出現。
ONIはコヴナント残党軍をどう対処するか………。

次回は、ウルフチームが小惑星基地を奪還する様です。


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小惑星基地を奪還しようとした結果… 前編

第1章の第4話、始まります。

転生者よ、チームと共に基地を奪還せよ。


 

 

星矢達ことウルフチームは、先程侵入した休憩所にて今後の行動を説明した。

 

 

「今後の行動を説明するぞ。先ずこの先にあるデータセンターでアルゴスター内施設の見取り図を手に入れ、中央制御室の場所が判り次第そこを抑える。あそこには重力制御装置と生命維持装置がある。無論コヴナントの連中も中央制御室を守っているだろう。奴らを掃討し、施設を奪還する」

 

「それは分かったんだけどよぉ、元々この施設の役割って一体何だったんだ?」

 

 

星矢の説明を聞いて理解した志野であったが、アルゴスターの役割の事を知らなかった。志野の疑問を解決するために桂が説明した。

 

 

「元々この基地はONIが世間に秘密裏に設営した物で、主な役割は駆逐艦やフリゲート艦、巡洋艦クラスの開発、生産を担当していたんだが……コヴナントがここを占拠した今、此処の施設の莫大な開発費が無駄になってしまった様だが」

 

「まさかこの世界でもUNSCのシップが生産されていたなんて………」

 

「まぁ…こっちにも色々と事情があるからな。とにかく、データセンターに向かうぞ」

 

 

そう星矢が言うとウルフチームは了承し、データセンターへと続く道を進むとグラントと呼ばれるアンゴイが端末を弄ってデータをダウンロードしていた。星矢はメンバー達に待機を命じてそっとグラントに気づかれない様に近づいた。

 

 

「なんでダウンロードしなきゃならないんだ?退屈だ!いつ終わるんだ?!」

 

「なら手伝おうか?僕はこの施設の事をよく知っているけど?」

 

「あぁっ助かるよ……て、えっ?」

 

 

そのグラントはあまり聞かぬ声に疑問を持って後ろを振り返ると、星矢が待ち構えていた。星矢はグラントの足を払い、その足を左手で持ち、右手でゼーレを取り出してグラントに突き立てた。

 

 

「ニンゲン?なんでニンゲンが?!」

 

「答えろ、お前は何をダウンロードしてた?」

 

 

星矢はグラントに尋問しようとしたが、別の扉からエリートとジャッカルと呼ばれるキグヤーが現れた。

 

 

「悪魔だ!何故此処に?!」

 

「構わん!全て殺せ!!」

 

 

ジャッカルは左腕につけている防御ガントレットのエネルギーシールドを展開しプラズマガンで応戦し、エリートはプラズマライフルの発展型であるストームライフルで応戦した。星矢は、捕まえたグラントを連れて物陰に隠れてゼーレで応戦した。

 

 

「ウルフチーム、全火器使用自由(オール・ウェポンズ・フリー)!掃討開始だ!」

 

「了解だ!邪魔すんじゃねー!!」

 

「このっ!」

 

 

星矢の指示の下、志野はエリートに向けてライトマシンガンを制圧射撃を行い動きを封じる。ラルフはBR85HBSRのスコープを使ってジャッカルの防御ガントレットの隙間を撃ち、敵が怯んだ隙を狙って頭部にM634 X-HP-SAP 9.5x40mm弾を3点バーストで叩き込む。更に其処からエリートとグラントの小隊編成の増援がやってきた。

 

 

「マズイ!仲間が捕まってる!」

 

「そんな事知らん!それよりも悪魔を殺せー!!」

 

 

引き連れたグラントの意見も聞かず志野とラルフがいる所まで突撃を仕掛けた。しかし………。

 

 

「させるかぁ!」

 

「何?!うぉっ!?」

 

 

桂が突撃するエリートの前に立ち憚り、そのままエリートの右腕を掴み、施設の壁目がげて背負うようにして肩越しに投げ飛ばした。そのエリートは背中越しで壁に激突し、そのまま落下した。しかし…当たり所が悪かったのか、頭が地面に衝突した瞬間エリートの頭蓋が割れ、そのまま絶命した。これは柔道の技の一つ、“一本背負い投げ”である。桂は先ほど倒したエリートに向かっていた。しかし他のエリート達が桂の行動を見て隙が生じたと思った。

 

 

「馬鹿め!我らに隙を見せるとは!」

 

「これで終わりだ!悪魔めぇぐぇ?!」

 

 

エリートの一体が言い終わる前にその場で消えた。いや……()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 

「な……何が起こったのだ?」

 

 

その隣にいたエリートは恐る恐る飛ばされたエリートの背後を見ると、隣にいたエリートが先ほどの死体のエリートと打つかって、運悪くそのまま気絶した。

 

 

「うっし……当たったか!」

 

「まさか……貴様がこれをヤったのか!」

 

 

桂は何をしたのかと言うと、先ほどのエリートの死体を右手で持ち上げ、そのまま右側のエリート目がげて片手で投げ飛ばしたのだ。

 

 

「SPARTANでもやり方次第では簡単にできるぞ」

 

(((いやいや、それはあくまでⅡ、お前(アンタ)(貴方)しか居ません!!)))

 

「にしてもテメェら…たかが残党軍のくせに貴重な小惑星基地を占拠しやがって…」

 

「ふ…フン!ニンゲンが使うには勿体無いと思って我々が使っているだけに過ぎん!異端者たるニンゲン風情が、図にのるな!」

 

(((あっ……これ、彼(彼奴)はキレているな)))

 

 

Ⅱの行動や発言に何かを察したウルフチーム。その後も桂の口調が段々と荒くなっていく。

 

 

「この基地の後処理や報告するのも全部俺達なんだぞ。何奴も此奴も俺らの会社の基地を荒らしやがって!全くイライラすんだよ!!ざけんじゃねーぞゴルァ!」

 

 

この時に桂は怒りの殺気を放った。エリート達は多少は怯んだが、すぐに立て直した。グラントやジャッカル達は桂の殺気を感じて恐怖し、戦いた。

 

 

「あ…悪魔だー!?」

 

「こ…こんな奴勝てる訳がねぇ!俺たちは逃げるぞ!!」

 

 

グラントやジャッカル達はエリート達を差し置いて次々と逃げて行った。

 

 

「待てっ!逃げるな!この腰抜けどもが!!」

 

「お前ら、覚悟は出来てんだろうな。特にエリート共!」

 

「………っ。一体…何が……うぉ?!」

 

 

桂は指を鳴らしながら気絶していたが意識が戻ったエリートの足を掴み、人間バットならぬサンヘイリバットで他のエリート達を睨みつけた。

 

 

「という訳でエリート共…次も当てるぞ確実に!」

 

「は…離せ!だ…誰か助けてくれ!?」

 

 

桂に捕まったエリートは仲間に助けを求めるがその仲間のエリート達は怯えていた。星矢の前世の世界のHALOゲームで言う“アイヒー”状態になっていたのだ。これを見たウルフチームは流石に気の毒と思ってエリート達に同情するのであった。

 

 

「此処から生きて帰れると思うなよ、テメェらーーー!!」

 

「アバーーーッ!!?」ブンッブンッ!

 

「こ…こっちに来るなーー?!」

 

「ば…化物だーー!!?」

 

 

あれから5分後、ここら一帯のコヴナントを掃討したウルフチーム(主に桂だけでやったのだが)はデータセンターに到着し、端末からアルゴスターの見取り図を手に入れた。そして星矢は、端末を弄っている処を捕まえたグラントの尋問を再開した。

 

 

「さて…グラントよ。お前は端末を使って何をダウンロードしていた?素直に答えなければⅡの鉄拳制裁が待っているぞ?」

 

 

グラントは桂を見た瞬間恐怖を抱いた。桂は指を鳴らしながらいつでも殴り殺す体制になっていた。

 

 

「わ…分かった!話すよ!だから殺さないで!?」

 

 

グラントはダウンロードしていた内容の事を吐いた。指揮官であるジュール ムダマにONIの船が生産されているアルゴスターの位置データをダウンロードしていたのだ。幸い、まだムダマにはその位置データをデータ転送していなかった為に星矢達は少し安堵はした。

 

 

「ふぃ〜っ。コヴナント残党軍の親玉に知られなくて安心したぜ」

 

「全くだ。もし此処を自爆させる羽目になったらムダマの皮を剥いでやる!」

 

「Ⅱ…お前だと本気でやりかねんから止めろ…」

 

 

そう星矢は桂を宥めていると、ガタッ!と大きな音が段ボール箱から聞こえた。星矢達は警戒しながらラルフに指示を出し、段ボール箱の中身を確認させた。ラルフは段ボールの下が開いていたので下から持ち上げて中身を確認したら、そこからスタッフが出てきたのだ。何処ぞの鉄の歯車の蛇の如く頭の上から!マークの幻聴を見たのは気のせいだろうか?

 

 

「ま…待ってください!こ…殺さないで?!」

 

「落ち着け、僕達はこの基地の生存者を救出しに来たウルフチームだ。だから落ち着くんだ」

 

「ウルフチーム?まさかSPARTAN!?助かった!」

 

 

まさか生存者が残っていたのが不思議なくらいだったのだ。データセンターに向かう際にいくつのスタッフの死体が確認されて生存者はいるのは限りなく低いと思っていたが、実際生存者がいたのだ。星矢はONI本社に生存者がいる事を報告した。

 

 

「S105からONI、生存者を発見した」

 

「何っ?生存者が?了解だSPARTAN。出来るだけスタッフを護衛し、アルゴスターを奪還してくれ。もし現状が不利だった場合アルゴスターを自爆させ、スタッフを連れて撤退せよ」

 

「了解した、ONI。交信終了」

 

 

星矢はONIに報告し終わった後、スタッフやウルフチームメンバー達に今後の事を説明した。

 

 

「とりあえずONIからは君を護衛する形でアルゴスターを奪還するつもりだ。君は出来るだけ

僕達から離れないでくれ」

 

「わ…分かりました。あっそうだ!少し待ってくれませんか?すぐに戻りますから!」

 

 

スタッフはそう言うとデータセンターの貯蔵庫に入って行った。

 

 

役二分後………

 

 

スタッフが貯蔵庫に入って役二分が経過すると、貯蔵庫から非武装のアーマースーツが出てきた。

 

 

「お待たせしました!これなら自分の身を守れる事が出来ます!」

 

「アーマースーツ?アルゴスターにも配備していたのか?」

 

「あっハイ。宇宙区間での作業にうってつけだったのでアーマースーツ二体の内一体は緊急時用に此処に保存されていたんです。あっ…それと当然このスーツにはSEとオートリチャージが付いています」

 

「オートリチャージ搭載型か、よく無事残っていたな」

 

 

スタッフが装着しているアーマースーツはミョルニル・アーマーと同様にSEのオートリチャージシステムが搭載されているのだ。宇宙区間の作業にてデブリと衝突防止の為にSEを搭載されているが緊急時の時にSEのチャージ出来る設備が使えない状況を考えてオートリチャージシステムを搭載した様だ。非武装とはいえ、ONIの武器を使える様にマニピュレーターを改良してあるのだ。

 

 

「はい。ですが……残り一体はコヴナントの襲撃で完全に破壊されました」

 

「そうか……一応聞くが武器は扱えるな?」

 

「お…おい星矢!いくら何でも無茶だ!」

 

「いえ、一応私はアメリカに旅行の際に射撃場で銃の経験はあります。ですが、流石にコヴナント相手に撃ったことはないですが………」

 

「いや…経験があるならそれで良い。だが、コヴナントの相手は俺達が出来る限り何とかする積もりだ。決して無理をするなよ?」

 

「わ……分かりました」

 

「よしっ……なら急いで中央制御室まで行くぞ。ウルフチーム、移動だ」

 

 

星矢はウルフチームに移動指示を出して、捕縛したグラントを連れて中央制御室に向かった。移動の際に捕縛したグラントが愚痴っていた。

 

 

「ちくしょー!なんだってオイラがこんな目に逢わなきゃならないんだ!」

 

「少しは黙ってないとⅡの鉄拳が来るぞ?」

 

「クソッタレ!くたばれ悪魔ども!」

 

 

流石の星矢もこれにはカチンッと来たのか少しだけ殺気が出ていた。

 

 

「面白いやつだな…気に入った。殺すのは最後にしてやろう」

 

 

そう言いながら中央制御室に向かうのであった。中央制御室に続くルートでコヴナントと遭遇し掃討しながら目的地に向かうのであった。

 

 

「……にしてもコヴナントの連中、このプラズマライフルの発展型であるストームライフルをよりここまで改良するとはなぁ……。一応こいつにはホログラフィックサイトを搭載しているな。こいつは持ち帰って、新武器の研究材料とするか!」

 

 

志野はコヴナントの戦闘時にストームライフルを鹵獲していたのだ。どうやら持ち帰って新しい武器の研究材料として持って帰るのであろう。

 

 

「Ⅲ……お前コヴナントから武器を拝借したのか?」

 

「へっ……まあな。……おっと!リーダー、お客さんだぜ?」

 

 

中央制御室の通路の目の前にエリート達とハンターと呼ばれるレグゴロが立ちはだかっていた。

 

 

「ここから先は行かせはせんぞ、悪魔達め!」

 

 

星矢達に捕まっていたグラントは味方のハンターを見て勝利を確信した。

 

 

(やった!味方だ!これでオイラは助かるぞ!よーし逃げる際に密かに持っていたグレネードを悪魔にくっ付けてやっつけてやる!)

 

(……と、このグラントは考えているだろうな。グラントの考えって案外分かり易いんだよな)

 

 

捕縛したグラントの考えを読んだ星矢は、志野からM363遠隔射撃爆破機(スティッキーデトネーター )を受け取った後グラントにある事を伝えた。

 

 

「おいグラント。お前は最後に殺すと約束したな?」

 

「そ…そうだ!それがどうしたんだ!」

 

「すまん。あれはウソだ」

 

 

そう言ってスティッキーデトネーターのグレネード弾をグラントの背中に打ち込んでくっ付けた後にそのままエリート達の方に放り投げた。

 

 

「そらっプレゼントだ!」

 

「ウワァーーーーー!!」

 

「むっ!マズい!退避しろー!!」

 

 

エリートは他の部下達に指示を出すが時は既に遅く、星矢はスティッキーデトネーターの起爆スイッチを押してグラントを爆破させエリート達を爆殺させた。爆破の中で生き残ったハンターは悪あがきに通路の橋を壊して星矢を真下に落とした。

 

 

「のわっ!まずった!」

 

「「リーダー!」」

 

「星矢!」

 

「SPARTAN!」

 

 

星矢はそのまま地下まで落ちていき、やがて暗闇の中に消えた。

 

 

星矢Side out

 

 

 

シャルロットSide

 

 

星矢が応接室に行ったきり三時間がたった。僕は何かと心配であった。あの時もそうだった。二年前…………僕は愛人の手によって父さんが毒で殺されて、僕はONI社にいる星矢達の人質という形で二年間監禁されていた。僕はもう二度と星矢達に会えないと思っていたら星矢達が助けに来てくれた。

 

 

二ヶ月前………

 

 

「せ……星矢?」

 

「シャル、助けに来たよ」

 

 

その時の星矢は敵ISの灰色の鱗殻で頭部を負傷しているのにも拘わらずヘルメットを外して僕を助けに来てくれた。

 

 

「本当に………来てくれたんだね」

 

 

星矢は手を伸ばして僕を救い出そうとしたけど………僕は星矢の手を掴まなかった。僕は愛人の手によって身体の彼方此方を改造されたのだ。愛人がONIの機密ファイルの一部の技術SPARTAN-Ⅱプロジェクトの前の計画“オリオンプロジェクト”のデータを盗んで僕の身体の遺伝子を弄って改造したが失敗に終わり、僕を失敗作として地下牢に閉じ込めて監禁したのだ。だから星矢の手を掴まなかったのだ。

 

 

「だけど僕はもう…元の僕じゃない…遅すぎたんだ」

 

 

僕は遠回しに“星矢が知っている幼馴染のシャルロットは死んだ”と伝えたのに星矢は僕の前で屈んで、僕の頭を撫でながら言った。

 

 

「知ってるだろう。僕は約束したら…」

 

 

星矢は幼い頃から友達や仲間との約束は必ず守るのが星矢の長所だった事を僕は思い出した。

 

 

「必ず…守る。もう会えないと思った」

 

「ああ、運がよかった。こうしてまた会えたからな」

 

 

その時の僕は嬉しさのあまり涙を流していた。そして僕は、この時初めて星矢の事が異性として好きなのだと理解できた。ああ……如何して僕は星矢の事が好きなのだと早く理解出来なかったのだろう。それ以降僕は泉谷家の養子として星矢の義理の妹として暮らし始めた。

 

 

今現在………

 

 

僕は唯、星矢が無事に帰ってくる事を祈った。

 

 

「星矢………どうか無事に帰って来て………」

 

 

星矢………僕を置いて死んじゃったら、許さないから………。

 

 

シャルロットSide out

 

 

 

星矢Side

 

 

「まずったな、かなり下に落ちてしまったな。取り敢えず通信を入れてみよう」

 

 

星矢はハンターによって足場を崩されそのままアルゴスターの地下5階まで落ちたのだ。星矢は何とかウルフチームと連絡を入れようと通信を試みていた。

 

 

「ウルフチーム、応答しろ。S105からウルフチーム、応答しろ。桂、志野、ラルフ。誰でも良い誰か返事をしろ………!?」

 

 

後ろに何かしらの気配を感じ取った星矢は後ろを振り返ると其処には居るはずのない奴がいたからだ。

 

 

「おいおい、マジかよ……!」

 

 

其処にはなんと、フラッドの親玉である“グレイヴマインド”が居たのだ。星矢は咄嗟にMA5Dを構えた瞬間、星矢の頭から何かがよぎったのだ。

 

 

「なっ!?………」

 

《私は無限に響くコーラス。さぁ、お前も加わるがいい。共に永遠の勝利を歌うのだ》

 

 

そうグレイヴマインドの声が聞こえた瞬間、グレイヴマインドが一瞬に消えた。そしてグレイヴマインドの消えた所から巨大な兵器らいし物が飛びだった。星矢はあまりにもわからない展開に混乱し、膝をついた。星矢は気絶しそうだったが気合で踏みとどまった。そして、聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 

「おいっリーダー、大丈夫か?」

 

「………Ⅲか?」

 

 

声の主は志野だった。志野以外にもウルフチームと生存者のスタッフも此処に来ていた。星矢は幻覚でも見たのかと先程のグレイヴマインドや巨大な兵器の事を考えていた。あれは間違いなく幻覚でもなかった。じゃあ一体何だったのかは今の星矢では分からなかった。

 

 

「だいぶ落ちていったからビーコンを頼りに地下5階までやって来たってわけだ」

 

「そうか……みんなに迷惑をかけたな。すまない」

 

「気にしても仕方ない。今は先ず中央制御室までエレベーターで戻ろう」

 

「………そうだな。処で、俺を落としたハンターはどうしたんだ?」

 

 

星矢は自分を落としたハンターはどうなったのかと気になった。それをラルフが説明した。

 

 

「ああ……星矢が落ちたあの後桂がハンターを地面に押さえつけた後、志野がライトマシンガンでハンターの背中に集中砲火して倒したけど」

 

 

星矢は“そうか”と頷いた後、ウルフチームと生存者のスタッフと共にエレベーターで目的地の中央制御室に向かったのであった。

 

 

 

続く。

 

 




桂が怒ると恐ろしい事になる。
シャル、まさかの愛人によるオリオン擬き計画の生存者。
星矢、グレイヴマインドの声と謎の巨大兵器の幻聴を見る。

次回は、ウルフチームが小惑星基地から脱出する様です。


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小惑星基地を奪還しようとした結果… 後編

第1章の第5話、始まります。

転生者よ、基地から脱出せよ。


 

 

ウルフチームと生存者のスタッフは地下5階で星矢を発見し、エレベーターで中央制御室まで向かっていた。その際にコヴナントが待ち構えていた。そのコヴナントの中にゼロットクラスのエリートがエナジーソードを持ってステルスで姿を消し、そのまま星矢に向かって行った。

 

 

(死ねっ!悪魔!!)

 

「……!!」

 

 

星矢はステルスで姿を消していたゼロットの位置を特定したのか、ゼロットがソードを振るう前に星矢がソード・メイスを後ろに振るい、姿を消していたゼロットの左横腹に食い込みゼロットの骨が砕け、やがてゼロットの身体がくの字に曲がってそのまま星矢に叩きつけられた。無論、叩きつけられたゼロットは絶命した。

 

 

「ゼロットか……妙に殺気が強いと思ったら此奴か」

 

「というか、何気にえげつねぇな…リーダー」

 

「後は取り巻きのグラントやジャッカルを掃討するだけだ」

 

 

こうしてウルフチーム達は、コヴナントを撃退しつつ中央制御室に到着したのだ。その瞬間、星矢のミョルニル・アーマーが光り始めたのだ。

 

 

「おいっリーダー?なんかお前さんのアーマー、光ってねぇ?」

 

「本当だ……。星矢、アーマーが光っているぞ?」

 

「ん?……あっ。このアーマー、ミョルニル・アーマーのIS版の方を装着したままここに来たん

だった」

 

「……おい、それはそれで大丈夫なのか?」

 

「多分大丈夫じゃないかもしれない」

 

 

そう言って星矢は、左腕に付いているニュートラル・ネットワークパネルで画面を表示した。すると画面から“一次移行(ファーストシフト)実行可能”と書かれていた。それを見た星矢は画面下に書かれている“実行”コマンドを押して一次移行した。すると星矢のアーマーがMk-ⅥからRecruitに変わった。

 

 

「おっ!それはSPARTAN-Ⅳに支給されるアーマーじゃねえか!」

 

「“Recruit”か……中々のいい品だが、なんでそれにしたんだ?」

 

 

志野が星矢のアーマータイプがRecruitであることが判別し、桂は星矢に何故それにしたのかを聞き出した。

 

 

「あぁ……こいつの事か?僕としてはこのヘルメットのバイザーの視界が独特なのが好きなんだ」

 

「……意外と変わった趣味をしているんだな?星矢」

 

「そうか?……それよりも、中央制御室の端末はどうだ?」

 

 

星矢はスタッフにそう聞くと………。

 

 

「あっ……はい!端末の方は大丈夫のようです。今から窓を封鎖しているシャッターを開きます」

 

 

 

スタッフが端末を操作して窓を封鎖しているシャッターを開き、窓の奥の宇宙の様子を見るとコヴナントの主力艦であるCCS級巡洋戦艦五隻とCAS級アサルト艦空母一隻の編成艦隊がスリップスペースジャンプして来て、アルゴスターを包囲する形で展開していた。

 

 

「……かなりまずい状況だな」

 

「あぁ……かなりな」

 

「うわぁーっ……逃げて〜っ………!」

 

「これほどの艦隊がここにきたのか?!」

 

「あ〜〜っまずいですよ!どうしましょう!?」

 

 

状況が絶望的になって星矢は、ある決断をする。

 

 

「僕たちSPARTANでもあの数の対処は不可能だ」

 

「ならどうする?奴らに此処の施設を明け渡すわけにはいかねえだろ?」

 

「分かっている。やむをえないが…基地の奪還を変更しよう。この基地を爆破する」

 

「えっ?!そうなんですか!?だ……だったらちょっと待ってください!」

 

 

そう言ってスタッフは端末を操作してこの施設内の必要なデータをUSBメモリにコピーし、コピーし終わったデータや要らないデータの削除を行った。

 

 

「えっと……これは必要で……これは要らなくて……よしっ!」

 

 

掛かった時間は約1分と早すぎるスタッフの行動を見たウルフチームは思った。

 

 

((((いや、終わらせるの早すぎだろ…!))))

 

 

そう思いながらも星矢は、ONI本社に通信を入れるのであった。

 

 

「S105からONI。コヴナント艦隊の増援によりアルゴスターの奪還は不可能。アルゴスターの爆破を許可を求む」

 

『了解したSPARTAN。アルゴスターを失うのはやむをえん………スリップスペースを応用してコヴナント艦隊にMACガンを使って超長距離狙撃を行い、脱出経路をこちらが確保する。生存者と共にアルゴスターから脱出せよ』

 

「了解。S105、交信終了。皆、聞いての通りだ。この基地を自爆させ、この宙域から脱出するぞ」

 

「それは良いんだが、俺達が乗って来た降下艇はおそらくコヴナントに見つかって破壊されているぞ。他に脱出方法があるのか?」

 

 

桂の問いかけにスタッフが星矢の代わりに答えた。

 

 

「あっ…それでしたらこの基地で作られたステルス搭載型の新型輸送艇が第六区画のエアロックに一機置いてあります」

 

 

スタッフがウルフチームがダウンロードした見取り図を展開し第六区画のエアロックの方を指した。

 

 

「なるほど、じゃあそいつは使えるのか?」

 

「ハイッ!…ですが、第六区画にはコヴナントが沢山います。何か方法はありますか?」

 

「簡単だ…撃ちまくって強行突破する!だが先ずは………」

 

 

そう言って星矢は、 MA5Dを使って中央制御室のメインコンピューターに1マガジン分を撃ち込んだ。

 

 

「おいーーっ!?リーダー、お前何やってんだ?!」

 

「ん?ちょっとした自爆コードの代わりだ」

 

「…て、そう都合良く行く訳が………?」

 

 

志野と桂が星矢の行動にツッコンだ瞬間、基地全体に警報が行き渡った。

 

 

『警告!警告!中央制御室のメインコンピューターに異常発生!プロトコルに従い、この基地の

緊急用自爆装置が起動しました。解除することは不可能です。全スタッフならびに全研究員は

速やかに第六、第七区画の避難経路を利用しエアロック内の脱出艇を使って脱出してください』

 

「「ええーー?!マジで(か)!?」」

 

「……案外都合よく行くもんだな」

 

「って、ちょっと〜!?自分が自爆コードを持っているのに勝手にメインコンピューターを壊さないでください!!」

 

「あぁ……すまん。と…とにかくここから脱出しよう。ウルフチーム、急ぎ第六区画のエアロックに向かうぞ」

 

 

そう星矢がメンバーに言ってウルフチームは新型輸送艇がある第六区画に向かうのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

清十郎Side

 

 

俺の息子がアルゴスターを奪還するはずだったが、コヴナント艦隊の増援によって不可能と判断しステーション周辺に展開している“ザイファー・リング”とステーションに搭載されている“スーパーMACガン”を使って超長距離狙撃の準備をしていた。現在はザイファー・リングの座標を敵CASアサルト級に設定し、ザイファー・リングを展開するのであった。

 

 

「“ザイファー・リング”展開します。メインリブロック解除」

 

 

ザイファー・リングは一つのリングから六つのブロックに分離し、ステーションのスーパーMACガンの射線上中心に輪っか上に展開し、青いエネルギーリングを展開した。

 

 

「各ブロック、起動確認」

 

「……チェック。異常ありません」

 

「了解、ファイナルシーケンスに移行。エネルギー照射を開始」

 

「了解。エネルギー照射、開始します」

 

 

ステーション上に展開した三機のエネルギー照射ブロックからエネルギーが照射され、そのエネルギーはエネルギーリング中央に向かっていき、エネルギーが収束し始めた。

 

 

「“ゲート・レンズ”展開」

 

「了解。展開します」

 

 

エネルギーリング中央に集まったエネルギーをスリップスペースジャンプのゲートに変換して円形状のスリップスペースが完成した。

 

 

「ゲート生成、成功しました」

 

「おっし…皆、ウチの会社の基地を荒らしたコソ泥のコヴナントにちょいとお仕置きしてやろう。異論はないな?」

 

『了解です!社長!』

 

「あのな…俺はもう社長じゃねぇよ。今の社長は星矢だろ?」

 

『それでも、元社長には変わりありません!』

 

「あぁそうかい……とりあえずMACガンを敵CASアサルト級にセット完了次第にぶっ放せ。敵艦のシールドがダウンしたらアーチャーミサイルで迎撃だ」

 

『了解です!』

 

 

スタッフ一同は清十郎の命令によってスーパーMACガン及びアーチャーミサイルの発射準備をし清十郎は、ステーションに在中しているスマートAI“ガーランド”に指示を出した。

 

 

「…んじゃっガーランド、MACガンの誤差修正頼んだぞ」

 

《了解です。さ〜てとっ仕事だ仕事!》

 

「社長、MACガン並びにアーチャーミサイルの発射準備が完了しました」

 

「よしっ…そんじゃあ、コヴナント共にMACガンとアーチャーミサイルのセットをたらふく食わせてやれ!」

 

「了解。MAC、発射!」

 

 

ステーション中心部の火砲から電流が走り、その火砲から3000トンのタングステン弾芯の砲弾が毎秒1万2000kmの速度で発射され、ザイファー・リングによって生成されたスリップスペースゲートに向かっていき、砲弾はゲートを通るように吸い込まれてゲートは水しぶきの波紋を描くようにうねっていた。続けてアーチャーミサイルを発射して、後を続く様にゲートを潜っていった。

 

 

清十郎Side out

 

 

 

コヴナント・ムダマ軍Side

 

 

人間共の小惑星基地を発見したとの先発隊との交信が途切れたので我々艦隊が動くことになった。小惑星基地にジャンプアウトしてみると先発隊のグラントから通信が入った。

 

 

『た…助けて?!オイラはまだ死にたくない!!』

 

「落ち着け!一体何があったのだ?状況を報告しろ!」

 

『あ……悪魔が現れたんだ!仲間が次々とやられていったんだ!!…ん?ワァーッ!?悪魔だ!?

助けごぉっ!………』

 

 

グラントの通信が途中で途切れた。恐らく運悪く悪魔と遭遇してしまい殺されたのだろう。

 

 

「司令!あの基地にいる悪魔はどう対処すれば?」

 

「むぅ……やむをえん。プラズマ魚雷であの基地ごと破壊せよ!」

 

「しかしっあの基地にはまだ先発隊が…」

 

「構わん!名誉ある死だ。そうとあらば準備せよ!」

 

「りょ…了解!」

 

 

まさかあの基地に悪魔がいたとはな……。だが所詮は人間。我らエリート族の前に首が落ちるだけのことよ。この基地に向けてプラズマ魚雷の発射命令をしようとした時に艦の後方に展開しているCCS級艦隊の横からスリップスペースが発生した。

 

 

「し…司令!後方からスリップスペースが出現!何かがジャンプアウトして来ます!」

 

「何っ!?」

 

 

スリップスペースから戦艦ではなく、スーパーMACガンによる地球からの超長距離狙撃で後方にいたCCS級巡洋艦五隻の内一隻目は轟沈し、二隻目はシールドを破られて大破、シールド消失。そして三隻目はシールドを大幅に持って行かれて航行不能に陥った。さらに追い打ちと言わんばかりに多数のアーチャーミサイルが二隻目と三隻目に直撃し二隻共々大破、撃沈した。

 

 

「し…司令!これは敵の攻撃です!」

 

「言われずとも見れば分かる!えぇい…クソッ!ジャンプだ!この宙域から離脱だ!」

 

「りょ…了解!」

 

 

こうしてコヴナント艦隊は、 CCS級巡洋艦三隻を失うという大打撃を受け撤退を余に無くされた。スリップスペースを展開して現宙域から離脱した。

 

 

コヴナント・ムダマ軍Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

星矢率いるウルフチームは、アルゴスターから脱出を図るために第六区画のエアロックに向かっている最中、アルゴスターを包囲しているコヴナント艦隊の後方からスリップスペースが出現した。星矢達は新たなコヴナント艦隊の増援と思われたが違った。そのスリップスペースから砲弾らしき物体が高速でCAS級アサルト艦の後方にいるCCS級巡洋艦五隻の内一隻轟沈、一隻大破に一隻航行不能まで追い詰めたのだ。すると志野が先ほどの砲弾の正体を見抜いた。

 

 

「おっ?ありゃ…“スーパーMACガン”じゃねぇか!相変わらず威力がすげぇなおい?」

 

「あー…多分あれ、僕の父さんがステーションの周辺に展開しているザイファー・リングを使ってアルゴスターに展開するコヴナント艦隊に座標をセットして、そこからスーパーMACガンを使ったんだろう」

 

「まぁ…何はともあれ、今は第六区画まで行くぞ。ここの施設もやばくなって来たようだ」

 

「……それもそうだな。ウルフチーム、急ぐぞ」

 

 

星矢達は第六区画のエアロックまで走り抜け、アルゴスター自爆まで残り6分ギリギリで新型輸送艇があるエアロックにたどり着いた。

 

 

「何とか自爆前にエアロックにたどり着いたな。で、どうだ?動かせそうか?」

 

 

星矢はスタッフに新型輸送艇のチェックを頼み辺りを警戒した。そしてスタッフは、近くの端末を操作して新型輸送艇のステータスチェックを行なった。

 

 

「待ってください。えーっと燃料や推進剤などの残量などは…良かった!既に補充済みです!」

 

「そうか。なら正面の奴らを何とかしないとな」

 

「え…正面?あぁーー?!ハンターだぁ!?しかも二体?!」

 

 

星矢達の前にハンター二体が発進口にて立ちはだかったのだ。

 

 

「奴を倒さないと脱出は無理の様だ。お前は先に新型輸送艇に乗り込んでいつでも出せる様準備してくれないか?ハンター達は僕達が片付ける」

 

「わ……分かりました!それとSPARTAN、幸運を…」

 

 

スタッフは星矢の指示で先に新型輸送艇に乗り込み、新型輸送艇内でアーマースーツを脱ぎ操縦席で新型輸送艇の電源を入れてウルフチームが乗り込むまで待機した。

 

 

「よし。ラルフ、この基地の自爆まで後どの位だ?」

 

「後4分だ。早めにハンター達を倒さないと、俺たちはこの基地と心中してしまうからな」

 

「そうか…なら、僕と桂がハンター達も注意を引くから志野とラルフはその隙に背後から撃て」

 

「了解した。志野、途中でヘマをやらかすんじゃねぇぞ」

 

「心配すんなって。んな事もあろうかと通って来た道中で此奴を拾って来たからな」

 

 

すると志野は、道中で拾って来たハイドラMLRSを構えた。

 

 

「ハイドラか、よく見つけたな」

 

「まぁな。それよりもあのハンター達を蹴散らそうぜ!」

 

「…そうだな。桂、いけるな?」

 

「無論だ」

 

「よし…各員、散開!」

 

ウルフチームは星矢の掛け声と同時に散らばり、星矢と桂はハンター達の注意を引きつける。星矢はソード・メイスを取り出してハンターに叩きつける。しかしハンターは左腕のシールドで星矢のソード・メイスを受け止め、右腕の燃料ロッドガン星矢に向けるが星矢はソード・メイスを棒高跳びの様にソード・メイスに力を込めた後ジャンプして、ハンターの背後を取った。そしてそのままソード・メイスをハンターの背後を守るアーマーに叩きつけ、破壊した。それに便乗するかの様に志野は、ハイドラMLRSを使ってハンターをロックオンした。

 

 

「ロックオン!食らいやがれ!」

 

 

志野はハイドラのトリガーを引いて追尾式ロケット弾を6発全弾発射した。ハンターは左腕のシールドを駆使して6発のロケット弾を防いだが、その隙を突いて星矢はソード・メイスからMA5Dに持ち替えてハンター背後の集合部分に1マガジン分撃ち込んだ。そもそもハンターは、レグゴロと呼ばれる体長1.4mのミミズ状の生物の集合体である為ダメージを負うと他のレグゴロにもリンクしてダメージを負うのだ。志野が撃ったハイドラMLRSロケット弾6発分のダメージがあっての事か星矢のMA5Dから出る7.62×51mmFMJ-AP弾36発分を受けたハンターは、低い音を立てた後力尽きて絶命した。

 

一方の桂とラルフはもう一体のハンターの対処をしていた。

 

 

「ラルフ、こいつでハンターの背後を撃て。注意は俺が引き付ける」

 

 

桂はラルフにSRS99-S5を渡して後方援護を頼んだ。

 

 

「それは分かったんだが、大丈夫なのか?」

 

「心配ない。ハンターの繊維部分が見えたら撃て」

 

 

そう言って桂はハンターの方に向かって走った。ハンターは向かってくる桂を左腕のシールドで叩きつけようとするが先に桂がアッパーでハンターの頭部を殴り、怯んだ処を狙ってそのまま左手でハンターの左腕を掴み、ミョルニル・アーマーのパワー・アシストと薬剤で身体強化した体を組み合わせてハンターを前へと引っ張り、攣られたハンターの足を引っ掛けて残った右手でハンターの背中を掴んでそのまま地面に叩きつけた事でハンターの背中のアーマーが破損し、弱点でもある集合部分が晒される。ハンターの弱点が晒された事を確認したラルフはSRS99-S5のスコープを覗き、照準をハンターの弱点部分に合わせた後そのまま引き金を引くと、轟音と共にSRS99-S5の銃身から高い火力を誇るM232 14.5x114mm APFSDSがハンターの弱点に食い込みハンターは低い悲鳴を放った後そのまま動かなくなり、絶命した。

 

 

「流石だな。元SPARTAN-Ⅱの名は伊達ではないか…」

 

「煽てないでくれ。俺はもう、SPARTAN-Ⅱじゃない…」

 

「む…すまない。どうやら、向こうも終わったようだ」

 

 

桂達は星矢達と合流した後、新型輸送艇まで戻って周囲を警戒した。

 

 

「エアロック内の残敵無し、発進口制圧!」

 

「時間は?」

 

「ギリギリだ、残り89秒」

 

 

志野から自爆までの残り時間を聞いた後、端末を操作してエアロックのゲートを開いた。するとエアロック施設内部で爆発が起き、いつ崩壊してもおかしくない状況になっていた。

 

 

「S105からONIへ。アルゴスターは自爆。ウルフチームは生存者と共に地球へと帰還する」

 

『了解した、ウルフチーム。コヴナント艦隊を撃退した所に我々が開いたスリップスペースゲートが展開している。そこから通って、地球まで帰還してください』

 

「了解、交信終了。ウルフチーム、急ぎ新型輸送艇に乗り込め。すぐに出るぞ!」

 

「了解した。…たく、今回の任務は骨が折れるな」

 

「まったくだ。くたびれたぜ〜」

 

「急いで脱出しよう!」

 

「皆さん、乗りましたか?出しますよ!」

 

「あぁ…全員乗った。出せ」

 

 

星矢の指示でスタッフは新型輸送艇のエンジンを吹かし、星矢は新型輸送艇に付いている端末を操作して搭乗口のハッチを閉めた。そしてそのまま発進してアルゴスターから脱出した。脱出した直後アルゴスターの爆発がより強まり、そして…基地全体を覆う爆発が起きた。星矢達が乗る新型輸送艇は、基地の爆発に巻き込まれずにそのままスリップスペースゲートに入って行った。この時に星矢は、基地で見たグレイヴマインドと謎の巨大兵器の幻覚の事を考えていたが、この事はまた今度考えようと思い、頭の中の片隅に置いとくのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

清十郎Side

 

 

星矢がアルゴスターに向かって以来四時間が経過していた。まぁ…星矢の事だ、無事に帰ってくるだろう。するとブリッジから養子で引き取った義理の娘のシャルロットが入って来た。ここに来たという事は、星矢の事で聞きに来たんだろう。

 

 

「あのっ……お義父さん」

 

「ん?シャルか。どうしたんだ、ここに来て?もしかして…星矢の事が心配か?」

 

「う……うん。僕、星矢は大丈夫なのか心配で……」

 

 

シャルロットは星矢の事を案じながら帰りを待っていた。そう考えた俺は、シャルロットの頭を撫でて言った。

 

 

「大丈夫だ、俺の息子の事だ。シャルとの約束を必ず守るさ」

 

「お義父さん……うん……」

 

 

まだ不安が拭えてないが、少しは気が楽になったかな?そう考えていると、アルゴスターで製造していた新型輸送艇がスリップスペースから出て来たのだ。恐らくあの新型輸送艇に星矢が乗っているのだろう。そう考えた俺は、シャルに星矢が帰って来た事を伝える。

 

 

「おっ……噂をすれば何とやら。シャル、星矢が帰って来たぞ」

 

「えっ……本当?」

 

「あぁ、あの輸送艇はエアロックに向かっているからエアロックで彼等を迎えてやってくれないか?」

 

「……うん!」

 

 

シャルロットは星矢が帰って来た事に喜んだのか、エアロックに向かって走って行った。星矢の奴、良い友を持ったな。後は星矢がシャルとくっつく様に仕向けるか。ついでにISとSPARTANによる合同演習の時に星矢が出会ったイギリス代表者の子も星矢の事を気になっているっぽいし、その子もくっつけよう。こうして俺は、星矢の“ハーレム化計画”を実行する準備をするのであった。もしくっついたら、赤飯がいいだろうなぁwww。

 

 

清十郎Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

星矢たち事ウルフチームは輸送艇をステーションのエアロックに入れた後、輸送艇から降りた。降りた時にはスタッフたちが出迎えていた。

 

 

「おかえりなさい、SPARTAN!」

 

「よっ!待ってたぜ、アルゴスターから生存者を助けた英雄!」

 

「あのアルゴスターから無事脱出するとは……流石はSPARTANだぜ!」

 

 

まるで希望に満ちたヒーローか陸戦のエースが帰還したような出迎えだった。

 

 

「予想だにしなかった展開だな……」

 

「……だが、こういうのも悪くないな」

 

「…へっ!なんか照れ臭いぜ!」

 

「何とか……帰って来れた」

 

「た……助かった〜〜……」

 

 

星矢達は無事に地球に戻れた事に安堵した時にONI日本支社の社長がやって来た。

 

 

「ご苦労だった、SPARTAN諸君。よくぞ無事に戻って来た。それとウルフリーダー、君を帰りを待つ姫君がこの先で待っているぞ」

 

「姫君?」

 

 

日本支社の社長に言われて先の方を見てみると、義理の妹シャルロットが待っていた。

 

 

「……シャル?えっとその……」

 

 

星矢がシャルロットに何か言おうとした時にシャルロットが星矢に近づいて、そして抱きしめた。

 

 

「遅いよ……義兄さん。僕、心配だったんだよ?」

 

「ごめん……心配をかけて………」

 

 

星矢はシャルロットを撫でて謝罪した後、シャルロットを軽く抱きしめた。

 

 

「お帰り、星矢……」

 

「ただいま、シャル……」

 

 

この一部始終を見たウルフチームとスタッフ一同は思った。

 

 

『(甘すぎる……ブラックコーヒーが欲しい……)』

 

 

この後星矢がシャルロットとのラブコメ的な展開になっていた事に気付いて赤面した事は別の話………。

 

 

星矢Side out

 

 

 

束Side

 

 

一方の束は、モニターとセンチネルの協力を得て、箒専用機である第四世代のIS“赤椿”を完成させるのであった。

 

 

「やった〜!!モニちゃんとセンちゃんのおかげで箒ちゃんの専用機を早期に完成する事が出来たよ、モニちゃん、センちゃん、ありがとね〜!」

 

「いえいえ、私達が手伝える範囲で手を貸しただけです。ほとんどは束博士の妹に対しての愛情あってこそこの短期間で完成したのです。私としては誇れる事ですよ?」

 

 

センチネルは「“愛情”最強説(*´∀`*)」と書かれたプラカードを束に見せていた。

 

 

「ありがとねモニちゃん、センちゃん。後センちゃんには手伝ってくれたお礼としてこれをダウンロードしてみて?」

 

 

センチネルは束から一つのUSBメモリを貰って、自身のアームユニットのUSB差し込み口に差し込んだ瞬間、センチネルの体に電流が一瞬走った。

 

 

「何だったんだ一体………?………!?」

 

 

その時センチネルは理解不能な出来事に遭遇した。何と…喋る機能が無かったはずがセンチネルから声が出たのだ。束が渡したUSBメモリは対話インターフェイスプログラムが組み込まれていたのだ。

 

 

「やった!大成功!」

 

「あの……束博士?これは一体?」

 

 

センチネルは若干戸惑いながらも束に自身はどうなったのかを聞き出した。

 

 

「ごめんねセンちゃん。先に説明しないで渡しちゃって……それには喋る事が出来ないロボット用に開発した束さん特製“ロボットとお喋りプログラム☆”が組み込まれているんだ。センちゃんはプラカードで答えていたけど、センちゃんにも声があっても良いと思ってセンちゃん用に作っておいたんだ☆。これでセンちゃんとお喋りが出来るね!」

 

 

束はセンチネル用に対話インターフェイスプログラムを作ってセンチネルが喋れるようにしたのだ。この時のセンチネルは、最初は複雑の気持ちだったのだが次第にモニターと同じように感情が芽生えて今以上に独特な存在になった。すると束の携帯から通信が入って来た。

 

 

「ん?電話だ。誰からかな?」

 

 

束は携帯を取り出して通信相手を確認した。

 

 

「あ〜!“ハルちゃん”だ!ハルちゃんと電話するの久しぶりだな〜。早速出てみよう!」

 

 

束が言うハルちゃんとは一体誰であるのかはまだ判らない。

 

 

続く。

 

 




スーパーMACガン最強説。
星矢とシャルが合わさると砂糖製造機に早変わり。
束、センチネルを喋れるようにしました。
束が言うハルちゃんとは一体………。

次回は、クラス代表戦です。


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ISとSPARTANが対決した結果…

第1章の第6話、始まります。

久しぶりの投稿でグダグダ感があります。
そのところは大目に見てください。

転生者よ、戦いに勝利せよ。


 

 

アルゴスターから生存者と共に脱出して無事に帰還を果たしたウルフチームのリーダーの星矢は、降下艇で地球に降下してIS学園に帰還した後、IS学園生活を再開した。

 

 

そして時が過ぎ行き…クラス代表候補戦の日。

 

 

既に第2アリーナの観客席には各クラス生徒や上級生達が集まっていた。アリーナの対戦ボートには“セシリアvs星矢”と書かれていた。そして第2アリーナBピットで一夏と星矢がIS版ミョルニル・アーマーの最終調整を行なっていた。そして箒は一夏を見送る為にBピットにいた。

 

 

「一夏…そっちの方はどうだ?僕がいない間箒から何か教わった?」

 

「あぁ……剣術の方の見直しを手伝ってくれた。箒のおかげで何とか思い出してきた」

 

「わ……私はただ、一夏が剣道をサボってないかを心配しただけだ!」

 

 

当の本人からはそう言っているが、本当は一夏と一緒にいられたことを喜んでいるのだが中々素直になれないせいか少しツンとした態度しか取れなかった。

 

 

「箒……僕が言うのも何だけど、少しは素直になるのもいいと思うよ?」

 

「そ……それは分かっているのだが……」

 

「大丈夫だよ箒、少しずつでも改善して行けばいいから…」

 

 

一夏が箒にフォローを入れると織斑先生がピットに入ってきて星矢そろそろ時間だと伝えにきた。

 

 

「泉谷に織斑、そろそろ時間だ。一回戦は泉谷とオルコットが対戦し、二回は織斑とオルコットで対戦してもらう。そして明日の三回戦は、泉谷と織斑の対戦を行う。分かったらすぐに準備しろ、オルコットがアリーナで待機している」

 

「了解です。じゃあ一夏、箒…行ってくる」

 

「あぁ…気を付けろよ?」

 

「…泉谷!………勝て……この戦いに!」

 

 

星矢は一夏達に見送られながら左手の親指を立ててIS版ミョルニル・アーマーを展開し、ピットのリニアカタパルトに乗って出撃準備を完了する。

 

 

『リニアボルテージ上昇。射出タイミングを泉谷星矢に譲渡します』

 

「了解。SPARTAN-Ⅱ S105、出撃する」

 

 

ピットオペレーターの指示でリニアカタパルトから射出されると同時にSPARTANの星矢がPICを起動させ、空高く飛行する様にアリーナに出撃した。アリーナ内で待っていたのはセシリアが纏う第三世代型IS“ブルー・ティアーズ”であり、イギリス代表機でもあった。

 

 

「お待ちして降りましたわ、星矢さん。随分と時間がかかりましたね?」

 

「あぁ…自分のISの調整に手間取ってね。……待たせたね」

 

「えぇ。……星矢さん、私と初めて会った日のことを覚えてますか?」

 

「セシリアと会った日?……それは確かSPARTANとISの合同演習のこと?」

 

 

セシリアは星矢にSPARTANとISの合同演習の時のことを話した。何故セシリアがその話題を引き出したのか星矢には分からなかった。

 

 

「あの時の私は、女尊男卑で男の人の存在を否定していました。……ですが、貴方と会って戦ってみて男の人の存在を改めて思ったのです。男の人に貴方の様な人がいるのだと」

 

「まぁ…僕の場合は例外だけど、人間は男女問わず十人十色だからね?」

 

 

そう星矢が言うと星矢のIS版ミョルニル・アーマーのハイパーセンサーからロックオン警報が鳴った。恐らく試合開始の合図が鳴ったと同時にセシリアの持つライフル“スターライトmkⅢ”が星矢に向けられて放たれると星矢は思った。

 

 

「それもそうでしたわね。それと星矢さん?私がクラス代表候補戦の勝ったらの話なんですが…」

 

「ん?セシリアが勝ったら何かあるの?」

 

 

そう星矢が言うと、セシリアは勝ちに行く様な笑みを浮かべると試合開始のブザーが鳴る。

 

 

「それは……私に勝てたらお教えいたしますわ!」

 

 

そうセシリアが言うとブルー・ティアーズのサイド・バインダーに取り付けられている自立起動兵器“BT(ブルー・ティアーズ)”が分離し、自立稼働すると両腰部のミサイルビットから弾頭型ミサイルが発射され、星矢に向かっていった。セシリアの行動の読みを完全に外れた星矢は一瞬だけ戸惑ったがすぐに頭の混乱から切り替えて冷静に対処するのであった。

 

 

(ライフルじゃなく、ミサイル?!…チィッ!)

 

 

星矢は右手に“M7サブマシンガン”を展開してミサイルを迎撃しようとした途端、ミサイルが星矢の1〜2mの所で爆破したのだ。恐らくセシリアは、ミサイルの起爆時間を設定したのだろう。そして起爆したそのミサイルからは対IS用の電子妨害(チャフ)が入り組んだ煙幕が星矢の周りに充満した。

 

 

「チャフ入りのスモーク…!センサーが一時的に駄目になったか……どこから攻撃が来る?」

 

 

視界を煙によってさい疑られた星矢は左手に“M319グレネードランチャー”を展開させる。そして周りを警戒するように全ての神経を研ぎ澄ませる。そしてセシリアは、先ほど展開させたBTに指示を出し、星矢がいる煙幕の中に突っ込ませた。そしてセシリアは手持ちのスターライトmkⅢを構え、スコープをサーマルビジョンモードに切り替えた後照準を星矢ではなく、自身のBT兵器に照準を向ける。

 

 

「さぁ…この状況をどう打開いたしますか?星矢さん!」

 

 

それを合図にセシリアは引き金を引きスターライトmkⅢの六七口径からレーザーが放たれる。そしてレーザーはBTに直撃する所でレーザーが屈折し、レーザーは星矢の方角に曲がっていった。これはブルー・ティアーズの特徴の一つであるBT偏向制御射撃(フレキシブル)である。

 

 

「……ッ!」

 

 

星矢はレーザーが来るのを直感で判ったのか突如急降下を行い、レーザーを躱して低空飛行しつつ地面に足を滑らせる様に着き、そのまま足を蹴りだして走りだした。

 

 

「さすがですね。ですが…それは想定内でことでしてよ!」

 

 

セシリアは星矢の行動を読み取っていたのか再装填したミサイルビットを星矢に向け、再びミサイルを放つ。するとミサイルが星矢を追尾中に弾頭部分が剥がれ落ち、その中からマイクロ・ミサイルが星矢に向かっていった。

 

 

「マイクロ・ミサイル……僕たちの会社が開発したIS用の武装がセシリアのブルー・ティアーズに使用されるとはね……!」

 

 

そう小言を呟きながらも左大回りで走りながらもマイクロ・ミサイルを避けながら走り続け、追尾して来るミサイルがないことを確認すると、星矢はミョルニル・アーマーのパワー・アシストを最大限に引き出して大きくジャンプし、右手のM7サブマシンガンでセシリアに向けて弾幕を放った。しかし、セシリアもそう易々と当たらせないためか、独自で身についたクイック・ステップで星矢の攻撃を躱す。

 

 

「あら、そう易々と当てられると思いまして?」

 

「……その油断が、命取りだ」

 

 

星矢がM7サブマシンガンを撃ちやめ、セシリアが移動する場所と時間を計算して左手に持つM319グレネードランチャーをセシリアの進路到達地点に向けて40mm擲弾を放つ。そしてその40mm擲弾は進路到達点に着いたセシリアに直撃する。

 

 

「きゃあっ!」

 

「…もらった!」

 

「くっ!……ティアーズ!」

 

 

星矢は40mm擲弾を諸に食らったセシリアの怯みを逃さず、M7サブマシンガンの5×23mmケースレスFMJ弾をセシリアに向けて放つが、セシリアが自立機動兵器のBT二機を呼び出してセシリアを守る様に盾になって代わりに二機の自立機動兵器が5×23mmケースレスFMJ弾を多数に受けて爆散する。そしてセシリアは、自身のISのSEの残量を確認した。

 

 

(今のグレネードランチャーを受けて4割位減りましたわね。これでは偏向制御射撃(フレキシブル)ができませんわ……!)

 

 

星矢はセシリアに考える時間を与えることなくM7サブマシンガンをセシリアに向けて射撃する。セシリアは回避に専念する様に横に飛行しながら星矢の攻撃を躱す。そして星矢は再びセシリアの進路到達地点を計算しながらM7サブマシンガンで牽制し、そして計算が終わると同時にいつ再装填したのかM319グレネードランチャーをセシリアの進路到達地点に向けて40mm擲弾を放つ。

 

 

「そう二度同じ手には掛かりませんわ!」

 

 

だがセシリアは進路到達地点には行かず上空に進路変更し、40mm擲弾を躱す。そして上空からスターライトmkⅢでレーザーを放つが、そのレーザーが光弾としてではなく照射型レーザーとして放たれ、セシリアはレーザーを照射しながら星矢を薙ぎ払う様にスターライトmkⅢを振るう。

 

 

「照射型ッ!?……くっ!」

 

 

星矢はレーザーを回避する為に右に飛び込む様に前転してレーザーを回避する。しかし完全にとは行かず、レーザーを躱す時足に少し掠れてしまい星矢のISのSEが2割も減ったのだ。星矢は自分のISのSE残量を確認した後にあることを思い出す。

 

 

「……そういえば、イギリスからISの武装や新システムの製作の依頼を受けたのを思い出したけど、まさかブルー・ティアーズに搭載されるとはかなり予想外だった」

 

「その件はONIでお世話になりましたわ。…ですが自分でも初めて使用するので少し慣れてはいませんが…」

 

 

そう…約一年前のSPARTANとISの合同演習の後にイギリスからISの新武装とシステムとOSの改良を依頼されたのだ。先程の偏向制御射撃もONIのスタッフがビット自体レーザーを屈折する使用にすれば良いのではないのかと案を出してBT兵器にONIが作った新機能である擬似偏向制御射撃システムを組み込んだのである。そしてマイクロ・ミサイルとスモークチャフ入りミサイルはONIの製作された物をISサイズまでダウングレードして製作された試作兵器である。そして最後にブルー・ティアーズの主兵装であるスターライトmkⅢの射撃モードとスコープに新機能を搭載させ、スターライトmkⅢの六七口径から単発のレーザーの光弾とビームの様に照射する照射モードの切り替え出来るように改造され、スコープの方はサーマルビジョンやナイトビジョンに切り替えることが出来る様に改良を施されていた。星矢が思う様にONIは本当にチートすぎる会社だと改めて認識した。そしてアリーナの観客席の方は女子達は星矢達の戦いに見とれたり、歓声を上げたりと驚いたりしていた。そしてピット内でも星矢達の戦いをモニターで確認していた織斑教頭等と箒は驚きを隠せないでいた。

 

 

「これがSPARTANの……星矢の戦い……」

 

「す…凄いです!ISを動かしてまだ間もない星矢君がここまでISを動かせるなんて!」

 

「それもそうだが、それに対応できているセシリアも中々奮闘しているな」

 

 

三者それぞれの感想を言う中、一夏だけは嫌な予感を感じ取り、一言呟いた。

 

 

「星矢が勝つのは目に見えたけど、セシリアのあの目……まさか?」

 

 

そしてアリーナでは、星矢に追い打ちを仕掛けるべくセシリアは残りのBTを星矢への攻撃指示を出す。

 

 

「お行きなさい、ブルー・ティアーズ!」

 

「…チィッ!」

 

 

星矢はBTのレーザー攻撃を回避する為にミョルニル・アーマー内の各スラスターを噴射させて、必要最小限の動きでレーザーの弾幕を回避する。そして回避中に僅かに肩にレーザーが直撃して、一旦動きを止めてしまう。これを好機と見たセシリアはその隙を逃さずBTに攻撃指示を出す。

 

 

「星矢さん……この勝負、頂きましたわ!」

 

「……当たるか!」

 

 

星矢は身体を横転する様に見せかけて地面についた両手をバネの様に己の身体をBTの後方に飛ぶ様に跳ねるが、BTから放たれたレーザーが星矢の右手に持つM7サブマシンガンを直撃し、星矢の武装が一つ破壊された。

 

 

「チッ!……まだっ!」

 

 

武装を破壊されながらも右手にM9手榴弾を呼び出し、信管を起動させた同時にBTの方に投げる。M9手榴弾がBTと交差した瞬間にM9手榴弾がBTを巻き込んで爆発し、BTを破壊する。BTの破壊を確認した星矢は新たな武装を展開させる。

 

 

「……使ってみるか、“ゼーレ”ッ!」

 

 

そう星矢がコールすると、右手に志野が星矢専用に作った対IS兼エイリアン戦闘用半自動拳銃“ゼーレ”が星矢の手に表す。すると星矢のヘルメットのバイザーからあるウィンドウが表示される。

 

 

[特殊技能「集束射撃(チャージ・ショット)」使用可]

 

「集束射撃……?ゼーレにそんな機能があったか?」

 

 

星矢はこのウィンドウの意味を理解できなかったが、考えるよりも目の前の状況をどう打開するかを優先し、セシリアと面を向かい合う。

 

 

「さて…お互いにSEが削れた処でそろそろフィナーレを翳らせてもらいますわ!」

 

「……すまないが、勝ちを譲るつもりはない!」

 

 

セシリアと星矢は互いに瞬時加速を行い、正面から突っ込んで行った。そして互いが打つかる手前4mで両者は右側に瞬時加速を行った。この技術は危険な行為であり、加速中に無理な軌道変更を行うと機体と身体に負荷がかかり、操縦者に骨折などが起こる可能性があるのだが、星矢の場合はSPARTAN-Ⅱである為に多少の負荷は無視出来る為に難なく行えた。対してセシリアの場合は多少の負荷が掛かったが、己が気力で意識を保たせて無事にやってのけたのだ。

 

 

「くぅう!……もらいましたわっ!」

 

 

そしてセシリアはスターライトmkⅢを構えた後照射モードで星矢に向けて放つが、星矢が途中で地面に両足を着いたと同時にパワー・アシストを脚部に集中させて地面を蹴り上げてセシリアのレーザーを回避する。そして星矢はゼーレをセシリアに向けて50マグナムラウンド高速徹甲弾を放つが、セシリアはすぐに移動した為に星矢の攻撃は外れてしまうが、それこそ星矢の狙いでもあった。

 

 

「逃さんっ!」

 

 

星矢は左手のM319グレネードランチャーを量子化させて収納させ、代わりに四つに連結されたM9手榴弾(信管起動済み)をセシリアに投げ込むと同時にゼーレでM9手榴弾の連結部分を狙い撃ち、M9手榴弾を拡散し、セシリアの四方向で爆発する。

 

 

「きゃあああっ!……はっ!星矢さんは!?」

 

 

セシリアはM9手榴弾の爆風を両腕で守る時にスターライトmkⅢが大破してしまい、使用不可になってしまう。爆風が収まった次第にセシリアは上空を見上げるが、星矢の姿がなかった。するとセシリアのハイパーセンサーから3時方向にロックオン警報が鳴る。

 

 

「ッ!…インターセプター!」

 

 

セシリアは接近戦用のショートブレードを右手にコールし、その方角に向けてインターセプターを振るうが、セシリアの振るう右腕に何かが引っかかる様に動きを止めてしまう。その止まった原因は、星矢がセシリアが振るう右腕を左手で掴み止めたからだ。そして星矢は、戦いの中で得た特殊技能「集束射撃」をゼーレで行う為にセシリアに照準を向ける。するとゼーレの銃口からあるエネルギーが集束される。

 

 

「……Checkmate!」

 

 

エネルギー集束が終わると同時に星矢は、ゼーレの引き金を引いて最大威力の50マグナムラウンド高速徹甲弾をセシリアに叩き込んだ。しかし此処で予想外なことが起きる。

 

 

「きゃあああああっ!!」

 

「…ッ!?マズい!」

 

 

ゼーレによる集束射撃の威力が強すぎた為かセシリアのブルー・ティアーズがSEがエンプティになり、ブルー・ティアーズが待機状態になってセシリアは生身のまま吹っ飛んだのだ。それを見た星矢は直ぐに瞬時加速を行い、セシリアが地面に激突する前にセシリアを抱き抱えたまま地面に着地した。そして星矢はセシリアの安否を確認する為に問いかける。

 

 

「セシリア!無事か?」

 

「え……えぇ。私は大丈夫ですわ……!?」

 

 

セシリアの安否を確認してホッとした途端セシリアが顔を真っ赤になっていたことを星矢は気付く。

 

 

「……セシリア?大丈夫か?どこか身体を痛めたか?」

 

「い……いえ!わ……私は大丈夫ですわよ?」

 

 

何故セシリアが疑問形で回答したのか星矢は理解できなかったと同時にアリーナのピットから織斑先生の通信が入ってきた。

 

 

「泉谷……いつまでオルコットを抱えているのだ、馬鹿者」

 

「え?………あっ……」

 

 

星矢は織斑先生が言う様に己がどういう状況かを確認すると、セシリアを()()()()()()で抱えている事に気づいたのであった。これを見た観客席の女子達は黄色い歓声を上げるのであった。

 

 

「あっ…その……ピットまで送るよ」

 

「は……はい。お願いいたしますわ」

 

「あぁ……分かった。(これをシャルが知ったら自分がどうなるか分からないな……これは秘密にしておこう)」

 

 

そんな形でSPARTANとISの対決はSPARTANの勝利で飾るのであった。その後一夏とセシリアの対決なのだが、星矢との対戦でセシリアのブルー・ティアーズのダメージレベルがCに至った為に修理とオーバーホールを行う為セシリアは此処で辞退せざる終えなかった。その結果、第2試合は予定変更して星矢と一夏の対決が行われることになった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

束Side

 

 

一方の束は、携帯から掛かった“ハルちゃん”と表示されている通信相手に通話する為電話に出るのであった。

 

 

「は〜い♡みんなのアイドル束さんだよ〜?」

 

「……貴女は相変わらずね、束」

 

「やっほ〜、久しぶりだねハルちゃん!ハルちゃんが電話を掛けてきたと言うことは、バレちゃったかな?」

 

 

束が言うバレたというのは、ONIアメリカ支社のネットワークにハッキングして古代フォアランナーの遺跡の場所を特定した事である。それを聞いたハルちゃんこと“キャサリン・ハルゼイ”博士は呆れつつも束の問いに答えつつもあることを聞き出した。

 

 

「貴女のことだから必ず何処かの支社のネットワークにハッキングして古代フォアランナーの遺跡に向かおうとしていたことはコルタナが予想していたわ。束、貴女はあの遺跡で何かを掘り出したの?」

 

「あっちゃ〜、“コルちゃん”のことをすっかり忘れてた。そのことなんだけど、あの遺跡からモニちゃんとセンちゃんが見つかったよ。それも今の人類には早すぎるくらいのテクノロジーを持ってね」

 

 

束が言うようにモニターのサウザンドには“フォージ”と呼ばれるテクノロジーデータを所有しており、現代の人類には早すぎる位のオーバーテクノロジーである為に束はサウザンドの存在を表に出さないように注意していた。

 

 

「そう……私たちの方でも古代フォアランナーの遺跡を確認したけど、そこには古代フォアランナー達が記録したデータが保存されてたり、“フラッド”に対する対寄生防止の薬物のデータが保存されていたわ。そこには寄生防止の薬物のを作るためにフラッドの幼体のサンプルや胞子まで保管されていたわ。無論、拡散しない為に幼体のサンプルや胞子などは焼却滅菌されたわ」

 

「……それって確か、モニちゃんが言ってたフォアランナーが絶滅の危機まで追いやった知的寄生生命体だっけ?結局HALOというフォアランナーの最終兵器でフラッドやフォアランナー共々全滅したんだっけ?」

 

「…正確にはフラッドとフラッドの餌になり得る知的生命体を消滅させたのけれどね。束、貴女が訪れた古代フォアランナーの遺跡には幸いフラッドの幼体や胞子が保管されていない遺跡だったから良かったかも知れないけれど、下手をすればフラッドに感染し、寄生されていたのよ?私も言えた義理では無いけれど、あまり無茶なことをしないで。貴女の家族が悲しむわよ」

 

「あー……ごめんハルちゃん。心配かけちゃって……」

 

「謝る相手が違うでしょ?千冬や篠ノ之夫妻、貴女の妹さんにでしょ?」

 

「……それもそうだったね」

 

 

束は、ハルゼイに己の軽率な行動に謝罪するのであった。束の場合は、幼い時の頃から天才の名が付くくらいにIQのレベルに到達しており、自分以外の人間は馬鹿ばかりと見下す時期があった為に人混みに群れることを拒み、孤立し、孤独になっていた。そんな彼女が14の時に学会で己が立案したISのデータを発表したが、世間の回答は子供染みた幻想と束の作ったISと束の才能を否定するのであった。だが…当時のハルゼイが束のISを拒むことなく、束の才能を認めたのだ。

束にとってハルゼイは千冬に続くゆういつの理解者でもあった。

 

 

「……万が一のことがあるから一旦私の所に来なさい。貴女の端末に隠密ルート情報を送ったわ。遺跡でフラッドの胞子に感染していないかを確かめる必要があるわ」

 

「分かった、じゃあクーちゃん達も連れて一旦そっちに行くね!」

 

 

そう束が了承すると携帯の通話を切り、クロエ達にハルゼイ博士がいるONI本社である宇宙ステーションに行くことを伝えて出かける支度を行うのであった。

 

 

続く。

 

 




セシリアのISがONIによって性能が極限アップ。
星矢はSPARTANとしてISの戦いで引けを取らずに勝利。
束、ハルちゃんことハルゼイ博士とは友人である。
フラッドはいたが、すぐにONIが焼却滅菌しました。

次回は、SPARTAN同士の戦いです。


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SPARTAN同士が対決した結果…

第1章の第7話、始まります。


転生者よ、油断するな。


 

 

セシリアと星矢の試合が終わった後に星矢は、織斑先生の説教を受けられていた。主な原因はイギリス代表機を中破まで攻撃しすぎたことと、そのISのパイロットであるセシリアを危険な目に合わせたことであった。

 

 

「全く……戦いに勝つのは良いが、何もあそこまでやれとは言った覚えはないぞ…馬鹿者」

 

「すいません…いくら試合とはいってもSPARTANは敗北は許されないが故、セシリア相手に手を抜くというのは彼女本人も望んでいなかったので常に本気で挑んだのですが……」

 

 

セシリアのISは現在、星矢がONIから呼び寄せた整備スタッフがオーバーホールを兼ねて修復作業を行なっていた。第1試合の星矢との戦闘でダメージレベルがCまで負っていたからだ。ある意味SPARTANが“悪魔”と呼ばれる理由の一つだったりもする。

 

 

「はぁっ……とにかく、お前は手加減を覚えろ。いいな?」

 

「………善処します」

 

「……とにかくだ。織斑と泉谷の試合が終わり次第、オルコットの様子でも見にいってこい」

 

 

星矢は織斑先生に“了解”と告げた後、星矢はアリーナのピットに向かい一夏との対決する為に準備を行うのであった。そして織斑先生もまた、一夏たちがいる別のピットに向かうのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

一方の一夏は、第1試合でセシリアに勝利した星矢の行動パターンを解析し、己が勝利の確率を割っていた。

 

 

(星矢に勝つ勝率はざっと一、二割ってところか………最悪の場合は、星矢に当てること叶わないまま負けることもあるな。でもまぁ……一矢報いてやるさ!)

 

 

そう一夏が考えている時に、副担任の山田先生が一夏にあることを告げる為にやって来た。

 

 

「織斑くん!織斑くん!」

 

「?……山田先生?どうしたんですか?」

 

「…実は、倉持技研から織斑くん宛にISの武装が届いています!」

 

 

一夏は新たに届いた武装について何も聞かされてもいなかった。疑問に思った途端に織斑先生がやって来て山田先生の代わりに説明の補佐を入れた。

 

 

「その事なのだが……ONIに吸収された元倉持技研の所長から、織斑弟に渡して欲しいとの事だ。織斑、その武装を持ちいてこの試合に出場しろ」

 

 

一夏は織斑先生に言われるがまま倉持技研から送られた武装を確認するのであった。

 

 

(近接ブレード……?いやっ違う。名前が違う気がする……この剣は……もっと大切な何か……)

 

 

近接ブレードを見た一夏は、この剣の本当の名前が隠されている事に気がつくが、その同時に星矢との試合の時間になって考えるのを止めた。

 

 

「織斑、そのISはまだ一次移行してないな?」

 

「あぁ……殆どは箒に剣術の見直しの為に時間を使っていたからあまりISを動かしてない」

 

 

一夏の問いに箒は嬉しい様で呆れている様な表情をしていた。それもその筈、一夏は箒から篠ノ之流剣術の見直しの為に箒と竹刀で打ち合いながら感覚を思い出さしていたのだ。その分ISの訓練は省かれていたのだ。

 

 

「そうか……時間がない。織斑、フォーマットとフィッティングは実戦でやれ」

 

 

織斑先生の言っている事はかなり無茶振りではあるが、それ以前に一夏はSPARTANである為勝ちに行くつもりでもあった。例え相手が正真正銘“悪魔”と恐れられるSPARTAN-Ⅱ(星矢)と戦う事になろうともだ。

 

 

「了解。……箒」

 

「な…なんだっ?」

 

「……行ってくる」

 

「あ…ああ。勝ってこい」

 

 

一夏は星矢と同じIS版ミョルニル・アーマーを展開させ、ピットのリニアカタパルトに乗って出撃準備を完了する。

 

 

『リニアボルテージ上昇。射出タイミングを織斑一夏に譲渡します』

 

「了解。SPARTAN-Ⅲ 織斑一夏、出る!」

 

 

ピットオペレーターの指示でリニアカタパルトから射出されると同時にPICを起動させて、相手がいる所まで飛行する様にアリーナに出撃した。そこで待ち構えていたのは、一夏のウルフチームのリーダーでもあり、己が姉と同等な強さを持つSPARTAN、剣型鈍器“ソード・メイス”を手に持つ星矢の姿があった。

 

 

「一夏か……どうだ、IS版ミョルニル・アーマーの着心地は?」

 

「あぁ……問題ない。それ以前に、こいつまるで昔っから自分の手足だったみたいに馴染むんだ」

 

「そうか。………その様子からして、僕に勝つつもりで来たんだね?」

 

「あぁ、俺は星矢と戦うとはいえ手加減はしないぜ」

 

「無論、僕とて同じだ……」

 

 

互いに己が言うことを告げ終わると、それぞれ己が武器に力を込める。星矢はソード・メイスを、一夏は織斑先生から受け取った近接ブレードを。そして、試合開始のブザーが鳴ると同時に両者が同時に動き出して己が持つ得物を振るう。その瞬間、星矢のソード・メイスと一夏の近接ブレードが打つかり合い、鍔迫り合いに持ち越され、一気に地上に急降下して地上戦に移行した後に一夏と星矢は一旦距離を取る。その時に星矢はソード・メイスを左手に持ち替え、右手から携帯式レールガン“ARC-920”を取り出して、トリガーを引いて電圧チャージしながら一夏に銃口を向けてチャージが完了したと同時にM64 16mm×65mm FTP-HE弾を一夏に撃ち込むが、一夏は近接ブレードを収納して代わりに高周波ブレードを取り出して星矢のレールガンから音速で放たれたM64 16mm×65mm FTP-HE弾を見切ってその弾丸を斬り裂いた。無論、高周波ブレードとてレールガンの対策に使われる事を想定しておらず、弾丸を斬り裂いただけですぐに折れたのだ。

 

 

「うわっ……折れた。これじゃあ整備班に殺されそうだな……」

 

「………僕が言うのも何だけど、一夏……普通はレールガンの弾丸を捉えることはできないぞ?」

 

「あぁ、だからレールガンの弾丸じゃなくてレールガンの向きと発射する位置を予想して、高周波ブレードを振るったんだけど……弾丸を斬れたのは良いが、剣が折れた」

 

 

この時に星矢は思った。なんだかんだで一夏は織斑先生と血が繋がった兄弟なんだなと改めて認識した。実際の処、過去に織斑先生は生身でISと戦った経験があったそうだ。一体何処で戦ったのか未だ不明ではあるが、やはり織斑先生は、生まれながらにしてSPARTAN-Ⅱではなかったのか?と疑うくらいに強いのだ。そう考えているうちに一夏が右手に“MA5B”を呼び出して瞬時加速で突撃しながらMA5Bを星矢に向けて7.62×51mm NATO弾の弾幕を張る。すると星矢は、すぐにレールガンを収納してあるものを呼び出す。星矢の右手に持っているのはONIが試作に作られた特殊兵器である“バブルシールド・グレネード”である。バブルシールド・グレネードのスイッチを押したと同時に地面に叩きつける。これを見た観客席の女子やピット内の織斑先生達は自爆と考えられたが予想を裏切って星矢の半径150cmの球体型の半透明のバリアが張られていた。その結果、一夏のMA5Bから放たれた7.62×51mm NATO弾を星矢が受けることなく、バリアが星矢の代わりに受けていた。これを見た一夏はMA5Bを撃ち止めて星矢に向けてMA5Bを投げ込むと同時に近接ブレードを呼び出してそのまま星矢に向けて斬りかかる。しかし、星矢はそれを見越していたのか星矢はバブルシールドから出て星矢に向かって飛んでくるMA5Bを右手で弾き、左手に持つソード・メイスで近接ブレードを受け止める。一夏の攻撃を防いだ後に星矢はソード・メイスを振るいて一夏との距離を離したと同時に瞬時加速で一気に間合いを詰めてソード・メイスを叩きつけるが、一夏は近接ブレードで星矢の攻撃を防ぎ、そのまま両者は鈍器と剣をぶつけ合いながら、一歩たりとも引かぬ攻防戦に持ち寄せた。ピットにいる箒や織斑先生達がSPARTAN同士の戦いを観て、余りにも人間離れした戦いに言葉が表現しにくい状態になっていた。

 

 

「えっ?えぇっ?!織斑先生!ふ……二人の動きがIS操縦者の動きではありません!」

 

「あぁ、私でも確認している。(あれがSPARTAN同士の戦い……実技テストの時もそうだったが、一夏も泉谷と同じ様に見えるが実際には食いつくのがやっとと見て取れるな。一夏………お前は、泉谷と同じ存在(悪魔)になってしまったのか?)」

 

「一夏……っ」

 

 

そしてアリーナでは、激しい打ち合いに痺れを切らしたのか星矢は一夏との距離を取る為に後方に下がった。それを見た一夏は好機と捉えてそのまま星矢を追撃する………が、星矢はそれを待っていたか言わんばかりに左手にM9手榴弾を呼び出して信管を起動させて一夏の方に向けて投げる。

 

 

「…!?ヤバっ!」

 

 

一夏は、好機のタイミングを読み間違えたが故に一瞬思考が空回りになってしまい、回避するタイミングを逃してM9手榴弾をもろに受けてしまう。しかしこの時の星矢は、今ので一夏を倒したという確信が持てなかった。

 

 

(妙だな………今ので一夏を倒したとは思えない。警戒しておくに越したことはないな……)

 

「………ふん。機体に救われたな、馬鹿者め」

 

《初期化と最適化が終了しました。確認ボタンを押してください》

 

 

すると一夏がいると思われる爆煙から機械的な声が聞こえた瞬間星矢はまだ一夏は倒せてないことを確信する。爆煙が晴れると一夏のIS版ミョルニル・アーマーの形状が大きく変わっていた。一つ目は、初期設定状態であったアーマータイプ“Mk-Ⅵ”が“Pathfinder”に変わっていた。二つ目は、一夏の肩部の周りには白い翼を連想させる非固定浮遊部位(アンロックユニット)が浮遊していた。そして三つ目は、近接ブレードの形状変化であった。その近接ブレードに隠されし本当の名が明かされた。

 

 

[雪片弍型 特殊技能「零落白夜」使用可]

 

「雪片弍型……」

 

「一次移行か……それに、かつて“ブリュンヒルデ”と世界に轟かせた織斑千冬が使用したISの武装である雪片の後継刀まであるとはね。………一夏、どうやらISのコアがお前の意思に答えたんじゃないか?」

 

 

そう星矢が一夏に言うと、何気に一夏は心の底から嬉しさが湧き上がってきた。一夏は今、自分の姉と同じ力を手に入れたことに。しかし一夏は慢心せず、単一使用能力(ワンオフ・アビリティー)を確認した後に星矢と向かい合う。

 

 

「あぁ……そうだな。俺は、千冬姉と同じ力を持ったからには千冬姉の名前や箒を守るためにも、俺は誰にも負けるわけにはいかないっ!!」

 

 

一夏は星矢に己が覚悟を告げると同時に瞬時加速で一気に星矢の間合いに入って雪片弍型を振るうと同時に単一使用能力である零落白夜を発動させる。しかし、星矢も一夏の攻撃を易々と受ける訳にはいかず、ソード・メイスで零落白夜を発動させた雪片弍型を防ぐ。

 

 

「……やはり、零落白夜はコヴナントのエナジーソードと似た性質か!」

 

「ちぃっ!やっぱり対エネルギー兵装だと実態近接武装と相性が最悪な分、自分のエネルギーシールドが消費するから長時間稼働は無理かっ!」

 

 

お互いに雪片弍型の単一使用能力である零落白夜の効果の長所と短所を理解した時、一つの答えに辿りつく。

 

 

「「ならば(だったら)、殺られる前に…殺る!」」

 

 

そう判断した二人は、互いに距離を取ってそれぞれ己が得物を構えてそのまま瞬時加速で加速し、星矢はソード・メイスを、一夏は雪片弐型を強く握り、渾身の一撃を振るう。一夏と星矢が交差した瞬間………勝敗が決した。

 

 

「……今回は僕の勝ちだ、一夏」

 

「はぁっ……結局負けたか……」

 

 

一夏のSEがエンプティとなり、星矢のSEは残り一割しか残っていなかった。星矢のSEが大量に消費したのは一夏が持つ雪片弐型の単一使用能力零落白夜にあった。零落白夜は対エネルギー兵器でもあり、コヴナントのエリートが使用するエナジーソードと似た性質を持っていた為に、掠めただけでもエネルギーが消失するのだ。もし星矢が、後数センチでも掠れていたら引き分けに持ち越されたかもしれない。そしてアリーナから試合終了のブザーが鳴り、SPARTAN同士の戦いで観客席の女子の歓声が響きながら星矢は勝利を収めたのであった。一夏は出撃したピットに戻ると織斑先生達が待ち構えていた。

 

 

「全く、泉谷といいお前も無茶をする。少しは身体を大事にせんかっ馬鹿者」

 

「あー……すいません。千冬姉…じゃなくて織斑先生、あれしかレールガンを防ぐ手段がなかったもので……」

 

 

織斑先生が言う無茶というのは、星矢がレールガンの弾丸を高周波ブレードで斬ったことである。そして箒は、一夏のことを気にかけるのであった。

 

 

「一夏、その……大丈夫か?」

 

「あぁ……あの時レールガンの弾丸を斬った時は結構手が痺れたよ」

 

「そ……そうか。相手がSPARTANだと言うのによく善戦したな」

 

「あぁ……正直なところ、星矢に勝てるとは思っていなかったけどな……」

 

 

そんなこんなで試合の後、一夏は箒から剣術を見直しを頼んで、再び篠ノ之流剣術を極めるのであった。

 

 

一夏Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

一方の星矢は、試合が終わった後に織斑先生に言われた通りに医務室に向かって、セシリアのお見舞いに向かうのであった。

 

 

「セシリア、いる?」

 

「星矢さん?空いておりますよ」

 

 

セシリアの了承を確認した星矢は医務室に入り、お見舞い品の林檎を持って来たのであった。

 

 

「セシリア、第1試合での怪我はどう?まだ痛む?」

 

「大丈夫ですわ、星矢さん。軽い打撲程度ですわ」

 

 

セシリアは星矢に心配かけないように気を配るが………星矢に隠し事は効かなかった。

 

 

「……セシリア、本当はどうなの?」

 

「……第1試合が終わった後に検査をした結果、右腕の骨と内臓にダメージが見つかりましたわ」

 

 

星矢は、第一試合の時にセシリアの行動をIS版ミョルニル・アーマーのヘルメットに保存させれている戦闘データの映像を見て、セシリアのバイタルを確認した時に身体内のダメージが発見されたのだ。

 

 

「セシリア……あの時、瞬時加速による直線加速から右側瞬時加速で相当の負荷が掛かったはず。SPARTANである僕が言うのもあれだけど、無茶はしないでね」

 

星矢がセシリアを心配すると、セシリアは嘗てSPARTANと各国のIS代表者との合同演習の事を思い出していた。合同演習を終えて疲れ切って動けないセシリアを星矢は心配をかけてくれた故に、セシリアをお姫様抱っこで抱えてピットの方まで運んでもらった時に星矢の事が印象に残ったのであった。そして時が経つごとに連れ、セシリアは星矢の事が好きである事に気づいたのであった。

 

 

「………貴方は何時でも私に手を差し伸べてましたね

 

「?」

 

 

星矢はセシリアが小言で何を言ったのか聞き取れなかったが、そこはあえて聞かなかったことにするのであった。

 

 

 

そして翌日になって……勝者の特権で星矢は1組の副代表になり、一夏が1組の代表になるのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

とある銀河系の宇宙………

 

 

 

預言者Side

 

 

一方…預言者率いるコヴナント軍では、真実の預言者がタルタロスとリパ・モラムことアービターの報告を聞いていた。

 

 

「……そうか。この世界に生きる人間共の地球には、SPARTAN共とSPARTANより劣るISとやらが存在するのか」

 

「はっ…何でも、ISの方は女共しか使えぬ欠陥兵器であるそうで」

 

 

預言者の軍勢は敵がどれ程の技術を持っているのかをアービター率いるエリート部隊が偵察を行いタルタロスは地球にフォアランナーが残したアークへの道しるべたる遺跡を探していた。

 

 

「こちら側でも調べて見ましたが、やはり…アークへと繋がる遺跡の道しるべとなる遺跡が幾つか発見されました」

 

 

この時、預言者は考えた。現在のコヴナントの軍備は完全ではなかった。そこで預言者はあることを考えつく。ISの生みの親である篠ノ之束を誘拐し、コヴナント性ISを作るプランを考えたのだ。

 

 

「……現在、我が軍は完全とは言えぬ状況に立たされていることには変わりあるまい。そこで軍備を強化する為にそのISの生みの親である人間をここに連れてくる必要がある」

 

「…でしたら、このアービターがその人間を生け捕りにしてみせましょう!」

 

「うむ………だが、まだその時ではない。来るべき時を見定めてその者を連れてくるのだ。そしてタルタロスよ、そちのブルート共の中で一つの精鋭部隊を編成させ、ISに対する威力偵察の準備を整えよ」

 

「はいっ預言者殿!今から精鋭部隊を編成させ、人間の女共が扱うISの威力偵察の準備を行います!」

 

「よろしい……では行くがいい、タルタロスよ」

 

 

こうして預言者率いるコブナント軍は着々と軍備の強化プランを立案させ、地球侵攻作戦の下準備を星矢達の影の下でひっそりと隠密に行動するのであった。

 

 

続く。

 

 




一夏は千冬の遺伝子を受け継いでいた。
星矢は試合の後、セシリアのお見舞いに行った。
1組の代表生と副代表生が決まった。
コヴナント軍(預言者)は隠密で軍備強化を実施中。

次回は、生徒会長がでます。


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生徒会長がSPARTANを揶揄った結果…

第1章の第8話、始まります。


転生者よ、背後に気をつけろ。


 

 

クラス代表候補戦から数日後……星矢達含む1組の女子生徒達は織斑先生の指導の元、ISの実地訓練を行うのであった。

 

 

「では、これよりISの基本的な飛行操縦を行う。泉谷、織斑、オルコット、試しに飛んでみせろ」

 

 

星矢達は織斑先生からISの基本的飛行操縦の見本役として飛ぶようにと告げられると同時に返事をし、各々ISを展開した。その時に星矢のISのバックパックには専用のジェット・パックが搭載されていた。それに気づいた織斑先生は星矢に問いかけた。

 

 

「むっ……泉谷、お前の背中に着いている物は何だ?」

 

「ん?あー……これですか?恐らくなんですが自分のISが宇宙で一次移行してしまった為か地上のデータが不足しているのを補う為にISがジェット・パックが自動的に装備されたそうです」

 

「そうか……しかし、飛ぶことに問題はないな?」

 

「無論、理論上では問題はありません。行けます」

 

「よしっ飛べ」

 

 

織斑先生の指示を聞いた星矢は“了解”と返事をした後に星矢達は飛ぶイメージをしながらISのPICを起動させて飛翔する。ところが一夏だけが若干星矢達よりも遅れているのであった。

 

 

『何をやっている?星矢はともかく、スペック上の出力ではお前達のISの方が上だぞ!』

 

 

織斑先生は一夏にスペック上の事を言うが、僕を例外扱いされる僕は思った。織斑先生、幾ら何でもそれはないです。

 

 

「そんな勝って当り前なことを言われてもなぁ…まだこっちはISのイメージ練習が慣れてないだが…」

 

「一夏、この演習で何とか慣れるしかないと思うよ。それにまだ期間は沢山ある」

 

「一夏さん、イメージは所詮イメージ。自分がやりやすい方法を模索する方が建設的でしてよ?」

 

「とりあえず一夏、今はジェット・パックで飛んでるイメージでやりきるしかないな」

 

「…そうだな、まぁ…なるようにやってみるさ」

 

 

そんな感じで僕たちは約1,000mまで上昇すると、織斑先生から次の指示が下りた。

 

 

「泉谷、織斑、オルコット、急降下と完全停止をやって見せろ。目標は地上から10センチだ」

 

「了解。一夏、セシリア、先に行ってるよ」

 

 

そう言って僕はISのPICを解除して、そのまま地球の重力に引かれるがままに落下して行った。そして500mまで落下したのを確認すると同時にPICを再起動させて100mの所で足を地面に向けてアーマーに装着されているジェット・パックのジェットノズルとPICでブレーキを掛ける。ブレーキを掛けて完全に停止したのを確認した僕は、何センチで止まったのかを確認した。

 

 

「9.5センチ…か。微妙だな」

 

「…だが良い線でもある。これを機に精進する事だ」

 

 

織斑先生からのお墨付きをもらったのは良いが、僕自身は若干納得はし難かった。その後にはセシリア、一夏と言った順に降下してきてセシリアは10センチジャストで一夏は8センチという形で飛行操縦の訓練が終わり、最後に武装展開の訓練を行った。僕は0.6で一夏0.7、セシリアは0.5と展開スピードはセシリアの方が早かった。だけどセシリアの武装展開の方法が危なかったらしく織斑先生から展開イメージを変えるようにと言われた。セシリア………後で練習しよう。そんなこんなで全ての授業を終えて放課後には1組全員による一夏のクラス代表就任パーティーが開かれるのであった。他の女子達も一夏がクラス代表に就任した事に嬉しい者もいたり、納得しない者もいた。僕に至っては一夏がいない時のクラス副代表兼クラス代表代理という形でこのパーティーに参加している。

 

 

「一夏、どうやらいろんな意味で人気者の様だね。僕もそうだけど…」

 

「その様だな……」

 

「あぁ……それはそうなんだが、箒?何でそんなに……いやっ何でもない」

 

 

一夏は一夏で箒が何故機嫌が悪いのかを察して何も答えなかった。するとそこに新聞部の部長らしき人がカメラを持ってやって来た。

 

 

「はいはーい新聞部でーすっ。今話題の新入生こと最強と噂されるSPARTANの泉谷星矢くんに織斑一夏くんに特別インタビューしに来ました」

 

 

どうやら僕たちのことでインタビューしに来た様だ。しかしインタビューとなると女尊男卑勢の女達のことを思い返す。その女尊男卑勢の女達は僕たちSPARTAN部隊に対する目線が敵意剥き出しで適当に捏造してONI社の評価を下げようとしたのだが、ONI社の優秀なAIが逆に捏造しようとした女尊男卑勢の女達の悪質なプライベートを世界中にバラしてその女尊男卑勢の女達は捕まったのである。それ以降インタビューに対して良い思い出がないのだ。

 

 

「新聞部……か。変な捏造されなければいいのだが……」

 

「確かに…最近のマスコミは俺たちのことに変な噂しか流さないからな…」

 

「あーっ……その件に就いては織斑先生にも言われているから変な捏造はしないから安心して。あっ紹介が遅れたけど私は二年の黛薫子。よろしくねー。それじゃあ本題に入りまして織斑くん、クラス代表になった感想をどうぞっ!」

 

「えーとっ……SPARTANとして、代表戦でも負けないつもりで挑みます」

 

 

一夏は一夏なりにSPARTANに恥じぬ様に積極的なコメントをした。

 

 

「おーっ流石SPARTAN、意気込みが積極的だね。あっ次に泉谷くんも何かコメントをどうぞっ!」

 

 

一夏のコメントを聞いた後に薫子さんから僕に何かコメントをする様言われた。取りあえず意気込みだけ答えておこう。

 

 

「僕……いやっ、我々SPARTANはISであれ何処の軍であれ負けるつもりはありませんが、あくまでISが宇宙進出の為のきっかけになれる様に我々ONIは全力をつくします!」

 

「おぉーっ!まさかのONIの宣伝とは私も予想外!これはいいネタに成りそうね!」

 

 

薫子さんのインタビューを終えてクラス全員で記念集合写真を撮って夜までクラス代表就任パーティーが続いた。

 

 

パーティーが始まってから30分が経った。この時の星矢は寮の自室でAIのアル達を回収しに向かっていた。

 

 

「みんなにぎやかでいい感じだな。さてっ…早く寮からアルたちも連れて行こう」

 

 

そして星矢は自室に到着して寮の扉を開ける。するとそこに待っていたのは水色髪の人こと簪の姉である“更識 楯無(本名 刀奈)”が水着姿にエプロンを着けて星夜を出迎えていた。

 

 

「お帰りなさいアナタ♡ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」

 

 

星夜は楯無さんの問いに答えず、扉を閉じて思わず右手で頭を抑え、色々と整理が出来なかった為にショートしそうだった。

 

 

「……いや待て、待て待て待て。何であの人が此処でドッキリを仕掛けようとしたんだ?取りあえずもう一度開けてみよう」

 

 

そう言って星夜は再び扉を開けるとまだ水着姿にエプロンを着た楯無さんがいた。

 

 

「お帰りなさいアナタ♡ご飯にします?お風呂にします?それともわ・た・し?」

 

「会長、貴女は一体何をやっているんです?」

 

「あらっ貴方は相変わらずその反応なのね」

 

 

楯無さんは自前の扇子を開くと和紙には“いつも通り”と書かれていた。

 

 

「……取りあえず会長、貴女が取るべき行動は二つ。一つは制服に着替え直して、何も無かったかの様に此処を去るか。もう一つは、まだからかう前提で僕が織斑先生を連れてくるまで此処に残るかの二つです。出来れば後者の方を選ばない事を祈りたいのですが…」

 

「いやっさすがにそれはやめて、ねっ?本当にそれだけはやめて」

 

 

さすがにこれは脅しに近かった為か楯無さん冗談が過ぎた事に謝罪した。そして扇子の和紙に書かれた文字も変わって“堪忍(泣)”と書かれていた。そんなこんなで話題を変えるべく星矢から口を開いた。

 

 

「……とりあえず話を変えましょう。最近どうですか、簪さんとの関係は?」

 

「その話になるのね。そうね……あの時、貴方の助言がなければきっと最悪だったでしょうね」

 

 

星矢が語る話題とは、対暗部用暗部“更識家”の姉妹である更識 簪さんの姉妹関係のことである。楯無さんが17代目の楯無として襲名した後に楯無さんは簪さんに代々対暗部用暗部である更識家の裏の世界に巻き込まない為に少しキツ目に言って遠ざけようということなのだが、僕がまだ12だった頃に一度父さんと共に更識家の家に行ったことがあるのだ。その時に当時楯無に襲名する前の刀奈さんと初めてあったのもこの時だ。この時だけ簪さんは更識の母と共に買い物に出かけていた為に家には不在であった。そんな刀奈さんから簪さんを守る為にもどうしたらいいと相談してきたのであった。流石の僕でも更識家の裏の事情に関わるわけにもいかなかった為にせめて助言程度で教えるのであった。

 

 

「“素直な気持ちで答える”……あれは本当にそれしか思いつかなかったからなぁ……今でも恥ずかしいと思うよ僕は……」

 

「でも、そのおかげて簪ちゃんに誤解を生まなかっただけでも本当よかったわ。改めて礼を言わせもらうわ…ありがとう、泉谷君」

 

「僕は何もしてないよ、あくまで助言しただけだよ。簪さんを思う姉としての楯無さんが素直になってから姉妹関係の亀裂を生まない様に頑張った楯無さんの努力の結果だよ」

 

「あらっ……意外と貴方も素直じゃないのね?」

 

 

楯無さんは簪さんに素直に答えて何とか姉妹との関係の亀裂が生まずに済んだものの、それでもやはり簪さんは姉である楯無さんのことが心配だったようだ。素直じゃないことは自覚しているんだけど何故かシスコンの楯無さんには言われたくないと思った。

 

 

「それはお互い様っていうものです。さてっ……アル、ターニャ、クラス代表就任パーティーのクラスの皆が参加してほしいとの事なんだが、行くか?」

 

《貴方が望むのならば》

 

《こっちはオッケーだよ〜》

 

「あらっ意外と変わったAI達ね。ちょっと私も欲しいかな?」

 

「ONIのAIを欲しがるくらいに随分と楽しいそうですね、会長?」

 

 

楯無さんがONIのAIに興味を持ったところで楯無さんと同じ生徒会の女生徒である“布仏 虚”が何やら笑みを見せている様だが、僕からしてみれば怒りを表す笑みだ。楯無さんも虚さんの笑みの意味を悟ったのか言い訳を考えて弁解するのであった。

 

 

「あの…虚ちゃん?これにはちゃんとした訳があってね……」

 

「訳……ですか?再来週に行われるクラス対抗戦の為の書類仕事を放ったらかして私に押し付けた事に対してですよね?」

 

「い……いやっその…ねぇ、折角久しぶりだから泉谷君に会いたいって思ったという事もあるし、簪ちゃんの関係の仲介役を頼もうかな〜?何て思って………」

 

「そうですか……しかし変ですね?あの会長が、溺愛している妹様を言い訳に使うなど……流石に今回ばかりはお灸を据えないといけませんね?」

 

「えっとちょっと待って…本っ当にちょっと待って!…ねぇ泉谷君、助けて?」

 

 

楯無さんが虚さんの説教から逃げようと僕に助けを求めてきた。しかし楯無さん、生徒会会長が仕事を放棄しては駄目でしょう?結果としては自業自得という形で見送った。

 

 

「楯無さん……流石に僕でもこれはフォロー出来ないので諦めて虚さんの説教を受けて下さい。それに、生徒会会長が仕事を放棄しちゃ駄目でしょ?」

 

「そういうことです。さぁ会長?仕事に戻ってHANASIをしましょう?」

 

「いやぁぁああ〜〜泉谷君の人でなし〜〜〜………」

 

 

虚さんが楯無さんを連れて戻る際に楯無さんから人でなしと言われた。……いやっどの道SPARTANのあだ名は悪魔なんだけどと内心ツッコミながらも俺はアル達を連れてパーティに戻っていった。アルとターニャ、一夏達とクラス1組の女子達と楽しいパーティをお開きの時間まで楽しんだ。

 

 

星矢Side out

 

 

 

⁇?Side

 

 

星矢がパーティを楽しんでいるその方、職員室ではある新しい教師二人と新たに転校して来た女子生徒がいた。その教師二人の正体はONIに所属するSPARTANで、SPARTAN-023“デイジー”とSPARTAN-141“カル”である。デイジー達と同じ様にHALO世界で戦死したであろうカルはデイジー達とは違って前世の記憶を持ちながらこの世界に転生したのだ。何故彼女だけ違うのかは星矢でも不明である。二人はONIで働いていたが星矢の父、清十郎から星矢の支援兼IS学園でテロか何かしらの異常が起きた場合に対処出来るように派遣という名の異動することになったのだ。因みに余談であるが、カルがデイジーと会った時にはお互いに驚いていたそうだ。

 

 

「IS学園か……確か星矢や一夏が通っている学園だったな」

 

「そうね……鈴、余りはしゃぎ過ぎない様にね」

 

「わ…私はそこまでじゃじゃ馬娘じゃないわよ!」

 

 

そして女子生徒は中国から遥々とやって来たのだ。その理由は男性のIS操縦者である一夏に会うが為に中国代表生“凰 鈴音”である。実は彼女にはある秘密を抱えており過去に一度ONIに保護してもらった時があるのだがその話は別の機会とする。鈴音はすぐさま話題を変えるべく行動を取った。

 

 

「……それはそうと、デイジーさん達……じゃなかった、デイジー先生達は一夏や星矢のことをどう思っているの?」

 

「どうって…彼らは私たちと同じSPARTANである事に変わりないのだが……」

 

「えっと…そうじゃなくて、異性としてはどうなのかと…」

 

「鈴、それ以上は聞かない方が良いわ。貴女の為でもあるから」

 

「え?……それってどういう……?」

 

 

鈴音はデイジーから一夏と星矢との関係を聞こうとしたがあまり有力な情報を得られずカルに止められた。だがカルが“貴女の為”いう言葉に頭から離れられず唯考える時間が経過して翌日となるのであった。因みに鈴音はカルの事を姉の様な存在で見てるのは秘密である。

 

 

鈴音Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

一夏のクラス代表就任パーティーから翌日、1組ではある二つ噂が広まっていた。一つは曰く、IS学園に転校生がやってくる。曰く、その転校生は中国の代表候補生だそうだ。そしてもう一つは曰く、新たな担任の教師が一人入ってくる。曰く、その教師はONIからやって来たSPARTANだそうだ。……今思ったのだが父さん、何で肝心な情報をこっちに送ってこなかったのだろうか?それに中国の代表候補生となるとまだ僕が14の時の頃に中国のある研究所の視察任務の事を思い出す。あの研究機関は社会的に潰しておいてよかったと思う。あそこではISや僕たちSPARTANに対抗する為に中国独自の超兵士化計画“天龍人”と呼ばれる計画が極秘で行われていたのだ。その計画のやり方はSPARTAN-Ⅱ計画と一部酷似してるところを言えば遺伝子が最も優れている子供達を拉致することであるが、問題はそこからである。拉致した子供達の遺伝子を書き換える様に調整を行い、さらには肉体が調整された遺伝子から拒絶反応を出さない様に適合手術で改造を施された。中には適合せず失敗作となった者が居たが当時の研究班はその失敗作を解体し、臓器などを闇市場に売りさばき、研究活動資金の足しにしていたり、または廃棄処分というなの奴隷市場に売り込んで資金を得て肥やしていたそうだ。……今思い返してみればどれもこれもまともな事ではないのは確かだった。あの時一夏がいないウルフチーム全員で視察に向かったんだが………本当に酷いものだった。被験体同様な子供の姿を見てこの時の僕はうっすらと怒りを抱いたかもしれない。もし一人で視察に向かっていたら僕は迷いなく………

 

 

「……殺していたかもしれないな

 

「星矢?どうした、何か言ったか?」

 

「……いや、何でもない。それよりも転校生が2組の方に入ったと言う情報を聞いた?それも中国の代表候補生」

 

「中国か……あいつ、元気にしてるかな?」

 

「随分と気になる様だな、一夏?」

 

「あぁ……箒が転校してから1年後に中国から来た転校生と友達になったんだ」

 

 

何やら一夏は小学校の頃の話を箒と話している様だ。そういえば此処に転生してから長い分、原作知識が薄れてきたな。確か一夏には二人目の幼馴染がいたんだっけ?

 

 

「あら、私や星矢さん達の存在を今更ながら危ぶんでの転入かしら?」

 

「いや、そうとは限らない。その中国の代表候補生は恐らく専用機持ちである可能性がある。それもONIですら知らない武装も有り得そうだが……」

 

「大丈夫だよ。うちのクラスには最強のSPARTANが二人もいるから今のクラスは殆ど敵無しだよ!それに、織斑くんが勝てばクラス皆が学食のデザート半年間フリーパスだもんねー」

 

 

他の女子生徒は一夏がSPARTANである分、クラス代表戦での優勝商品である学食デザート半年間フリーパスが貰える事に浮かれていたのだ。……浮かれ過ぎるのもどうかと思うのだが……。

 

 

「油断大敵だ。いくらSPARTANが最強とはいえ、中身は同じ人間だ。例えるなら織斑先生とSPARTANが対決するとほぼ引き分けに持ち込まれると同じ訳だが……分かる?」

 

 

僕が言った例題を他の女子生徒達は理解出来なかったが、そこに第三者が代わりに答えた。

 

 

「つまり、SPARTANとはいえ同じ人間だから対処方法さえ見つければ攻略も可能って訳ね?」

 

 

教室の入り口に隣のクラスの女子生徒がいた。すると一夏はその女子生徒を見て懐かしい友人と会った様な顔をしていた。

 

 

「鈴………?お前、鈴か?」

 

「そうよ、中国代表候補生“凰 鈴音”。今日は宣戦布告に来たってわけ!」

 

 

どうやら中国の転校生は一夏の知り合いだったようだ。しかし一夏は鈴音の宣戦布告に疑問に思いながらもツッコンだ。

 

 

「鈴……自分が言うのも何だが、逆に似合ってないぞ」

 

「んなっ!?なんて事を言うのよアンタは!」

 

 

一夏と鈴音が話し合っていると鈴音の後ろから誰かがやってきた。その人物は自分や一夏より身長が高く、髪の色が白いのが特徴なのか他の女子生徒はその人物に釘つけであった。………ってちょっとまって、もしかしたらその人物は僕が知っているぞ。もしかして………。

 

 

「鈴、貴女のクラスの方はもうすぐSHRが始まるわ。すぐに戻りなさい」

 

「カル先生……分かりました。一夏、また今度ね!」

 

 

そう言って鈴音は1組を後にしてもとのクラスの方に戻って行った。それはそうと、何でカルがIS学園にいるんだ?しかも教師と言う形で………。

 

 

「カル………?何でこのIS学園にいるんだ?それも教師って……」

 

「あら……星矢、貴方お父さんから聞かなかったかしら?それとデイジーもここに来ているわ。2組の担任の先生として」

 

「デイジーも?……後で父さんと確認しておこう」

 

「あれ?星矢くんってあの先生と知り合いなの?」

 

「知り合いも何も…彼女は僕と同じSPARTANだよ。見た感じだと分かり辛いかもしれないけど彼女は僕と同じ同い年なんだ。唯、頭脳の方は大学レベルだけど……」

 

 

1組の女子生徒はカルの異常なほどの頭脳の持ち主だという事に驚きを隠せず、開いた口が塞がらないでいた。まぁ…正確にいえば前世の知識を受け継いでズルをしているという方が正しいかもしれない。そんな状況でもカルは冷静に自己紹介をするのであった。

 

 

「……細かいところはまたの機会にしましょう。えっと…今日からこの1組の体育担当の教師になったSPARTAN-Ⅱ Sierra-141“カル”です。皆さんよろしくお願いします」

 

 

カルが自己紹介を終えたところでそのままSHRに入るのであった。何でデイジーとカルを此処に教師として派遣させたのかのか分からないから後で父さんから聞くとして今回のクラス代表戦……何か荒れそうな予感がする。主に一夏の女性関係が………。

 

 

続く……。

 

 




かなり間があき過ぎてしまった……。本当に申し訳ない。

ISの実地訓練ですら軽々とこなす星矢達。
新聞部のインタビューでONIの宣伝する。
IS学園最強の悪戯すら躱す星矢。
IS学園に二人のSPARTANが教師としてやって来た。

次回は、鈴音の過去が明らかになります。


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鈴音の過去を明かした結果… 前編

第1章の第9話、始まります。


転生者よ、中国娘を救出せよ。(過去の出来事)


 

 

IS学園にSPARTANのカルとデイジーが学園の教師としてやって来てから女子生徒達は女性SPARTANに釘付けであった。その時の箒とセシリアは中国代表候補生の鈴と教師兼SPARTANであるカル達の事を考えていたのか授業に集中できていなかった。その結果、織斑先生の出席簿の餌食となった。あれはあれで痛いだろう……。その結果言うまでもなく……。

 

 

「「貴方(お前)の所為ですわ(だ)!」」

 

「「なんでだよ(さ)……」」

 

 

二人からとばっちりを受けた。本当になんでさ……。とりあえず二人の機嫌を直す為に僕と一夏は箒達と共に食堂に向かうのであった。そして食堂に着いた時には食券でラーメンを買った鈴が先にいた。

 

 

「待っていたわよ一夏!星矢!」

 

「鈴……待っていたのは分かるが、そこにいると食券を取ろうとする他の人の邪魔になるぞ」

 

「うっ…うるさいわね!分かってるわよっ!」

 

 

鈴は顔を赤くして一夏のいう通りに通路から外れるとそこにカルとデイジーが食事の為かやって来た。

 

 

「あっカル、それにデイジーも」

 

「星矢と一夏ね。今から昼食?」

 

「そうだけど、カル達も今から昼食か?」

 

「あぁ…しかし本来なら私の様なSPARTAN-Ⅱは戦闘食糧であれば一回の食事で一ヶ月間飲まず食わずに作戦行動は可能なのだが……」

 

 

それを聞いた箒達や女子生徒達はSPARTANの食事の内容に絶句していた。当然では有るが人間は一日に三食分を食べるがSPARTAN-Ⅱの場合は身体の改造手術と強化薬物によって身体のエネルギー効率が変わってしまうのを良いことに、一食分を接種することで一ヶ月の長期戦闘をかのうとしているのだが、あくまでそれはHALO世界の話であって此方の世界のSPARTAN-Ⅱの場合は人間と同様に一日三食分を接種しているのだ。……それでも理論上は可能かもしれないがそれだとSPARTANが只の殺戮兵器なりさがってしまう。それはこの世界のハルゼイ博士や僕たちSPARTANも望んでいない。カルはデイジーに話題をやめさせる様に言う。

 

 

「デイジー……その話は駄目。他の皆が引き気味になっているよ」

 

「む……すまない、間が悪かった様だ。皆、気分を削がして済まない。この話は聞かなかった事にしてくれると助かる」

 

 

デイジーはそう皆に謝罪してその場を後にするのであった。すると鈴が恐る恐る僕に質問して来た。

 

 

「ま…まさか星矢、アンタも一夏も一ヶ月に一回しか?」

 

「いやっそれはない。僕たちSPARTAN-Ⅱとは言えちゃんと食事を一日三食取っている」

 

「あぁ、俺の場合は星矢とは違ってSPARTAN-Ⅲ何だけど俺だって食事を必ず取るんだが」

 

「そ…そう。良かった…」

 

 

鈴や箒達、他の女子生徒達は星矢達が人間味が残っていたことに安堵した。流石にこの雰囲気の気まずさを思ったのか鈴は僕の方に振り向くと久しぶりに会う様な感じで話しかけて来て話題を変えるのであった。

 

 

「それにしても、久しぶりね。星矢」

 

「久しぶり?…もしかして、中国の視察の時に会った?」

 

「そっ!あの時のアンタは私のことを覚えてなかったと思うけど」

 

「それもそうだな…何せ三年前の事だからな」

 

 

僕と鈴音はまるで友達の様に会話していると一夏は僕に鈴音とは知り合いだったのかを聞き出す。

 

 

「なぁ星矢、鈴とは知り合いだったのか?」

 

「あぁ、ちょっと訳ありだったけど鈴は一度ONIに保護してもらった時に偶然知り合ったというべきかな?」

 

「そうそう、一夏には言ってなかったけどあたし一度ONIに保護してもらったの」

 

「そうだったのか。…それにしても鈴、久しぶりだな。ちょうど三年ぶりになるか元気にしてたか?」

 

「元気にしてたわよ。それにしてもまさか一夏がSPARTANになっていた事には驚いたけど…」

 

 

そんな感じで一夏と鈴音は久しぶりの再開に会話が弾むのであった。そんな会話に妬いたのか箒達は僕たちに鈴音について話しかけて来た。

 

 

「ところで一夏、そろそろどういう関係なのか説明して欲しいのだが」

 

「そうでしたわ!星矢さんのことを知っていましたし、まさか星矢さん、この方と付き合ってらっしゃるの!?」

 

 

そうセシリアに言われた鈴音は少し顔を赤らしていたが直ぐにセシリアの言い分を修正する。

 

 

「べ…別にあたしは星矢のことは友達と思ってるわよ!あたしには…」

 

「鈴、落ち着け。それとセシリア、僕はまだ付き合っていないよ」

 

 

鈴音は僕が言った様に一旦落ち着き、セシリアは僕がまだ付き合っていないことを説明するとまだで良かったと思う様に安堵した。……アレッ?よくよく考えれば最近セシリアがやけに僕にアプローチしてくるのが多い様な?すると一夏は箒に鈴のことを紹介するのであった。

 

 

「そう言えばまだ箒達にはまだ紹介してなかったな。彼女は鈴でフルは“凰 鈴音”だ。で、鈴。こっちは箒、前に話したろ?小学校からの幼馴染みで俺の通ってた剣術道場の娘」

 

「ふうん、そうなんだ」

 

 

その時に鈴は箒を見た瞬間、ある種のライバルであることを察した。無論、箒も同様である。目線が合うたびに何かしらの火花が散り合っているのが見えそうであるのは気のせいだろうか?

 

 

「初めまして…と言うベきかしら?これから宜しく」

 

「あぁ、此方こそ」

 

「……出来る限り荒事は起こさない様にな」

 

 

一夏はこの光景を見て何かを察したのか一応釘を刺す様に言うが果たしてそれが通じているのかどうかは分からなかった。食事を進めているその時に一夏は、鈴の左腕の動きを見て違和感を感じた。それを聞こうと一夏は鈴音に問いた。

 

 

「鈴…少し気になったんだけど、お前その左腕どうしたんだ?」

 

 

一夏に左腕のことを聞かれた鈴は右手に持つ箸の動きを止めた。鈴の左腕のこと知っていた僕は今この場で話すべきかと考えた。すると鈴は僕の方に向けて言った。

 

 

「大丈夫よ、いつかこの事は話さなきゃならなかった事だし」

 

「鈴……しかし」

 

「星矢?鈴がどうかしたのか?」

 

 

一夏は星矢に鈴は何が有ったのかを聞こうとすると鈴は一夏に有る事を聞き出す。

 

 

「一夏……アンタが第2回モンド・グロッソに行く前に言った事、覚えている?」

 

「約束……それってもしかして」

 

「うんっそれなんだけど、無理みたいなの……」

 

 

そう言って鈴は制服の左袖をまくって左腕を見せるがいたって普通の腕にしか見えなかった。しかし一夏は鈴の左腕の違和感に気付く。

 

 

「!?っ……鈴、お前腕を……」

 

「えぇっ……あたしの左前腕部分は見た感じは普通に見えるけど、実は違うの」

 

 

鈴は右手で左前腕をひねる様に回すと左前腕が()()()のだ。これを見た箒達は鈴の左前腕が義手である事に絶句する以外に他は無かった。

 

 

「う……腕が……!?」

 

「鈴さん……あなた腕を……!?」

 

「えぇっ……ONIの技術でもあたしの腕を直すことは出来なかったの。だからこの義手をつけている訳なの」

 

「……ONIにはクローニング技術が有るのだけど、それはあくまで医療目的の為に使われている。腕の損失や障害による腕の神経麻痺の回復の為に使われている。……だけど鈴の左腕は神経事態に異常が生じて上手く適合出来なかったんだ」

 

「その結果……鈴は義手を?」

 

 

一夏の問いに僕は縦に首を振る。本当ならあまり言いたくなかった真実だったのだが鈴の言う何れが今だったのだ。そしてそのまま鈴は説明を続ける。

 

 

「今あたしが着けている義手や左腕にはインプラントが埋め込まれているの。そのおかげで擬似神経が生成されて本物の腕の様に動かせる様になったの。見間違えるくらいにね。でもまぁ……一夏はそれを簡単に見破ったけどね」

 

「最初は気のせいと思ったけど、やっぱり鈴の左腕の動きが何かと若干ぎこちなかったんだ。なぁ星矢…教えてくれ、鈴に何があったんだ?」

 

 

一夏に言われて僕は鈴の方に向けると鈴は首を一度縦に振り、話し手も構わないと許可を貰った。

 

 

「……分かった。だけどこの事は他のクラスや上級生には他言無用で頼む。三年前、ちょうど一夏がONIドイツ支社のスタッフに発見されて医療機関に搬送されてから一ヶ月後の事なんだ。僕たちウルフチームはONI本社からの命令で中国のある研究所の視察に向かったんだ」

 

 

三年前……

 

 

僕たちウルフチームはONI本社の命令で中国のある研究所の視察に来ていた。その場所は中国の何処にでもある山頂に研究所を構えていた。降下艇でその研究所に到着した時にはここの研究所の警備スタッフ達が出迎えていた。あまり歓迎してくれなさそうな顔をいながらONIが作った旧式の兵器であるMA37を構えながら……。流石に武器を持ってそのまま強行視察を行う訳には行かず降下艇に武器を置いてそのまま警備スタッフに研究所の所長室に案内されて所長と対面するのであった。

 

 

「これはこれは…ONIのSPARTANの方々ではありませんか。こんな辺境な研究所にどんな御用で?」

 

 

研究所の所長が僕たちにごまをする様に事を荒立てない様な言葉を交わした。まるで僕たちには見せたくない何かを隠している様に……。

 

 

「すまないが、僕たちはここの研究所のある噂を聞いて視察に来た次第だ。ここの研究所を見回せてもらう」

 

「ほぅ…それはどんな噂ですかな?」

 

「ここの研究所で()()()()()()()()()をしているとの事でだ。何か心当たりはあるか?」

 

「いえいえっ我々はそのような事は絶対有り得ません!……そもそもその様な噂は女尊男卑勢の者達が流したデマでしょう。我々は男女平等が戻る日々の為に研究を費やしているのです」

 

 

そう僕が言うと所長はまるで聞き覚えが無い様な素振りをするが、所長の目が一瞬だけ泳いだ事を見逃さなかった。この研究所の裏には何かがあると僕は思った。

 

 

「……そうですか。先ほどの発言、失礼しました」

 

「いえいえっ、滅相もございません。あなた方SPARTANが謝罪する事などと……これも何かの縁、応接室でお茶でもいかがでしょう?」

 

「リーダー、どうする?」

 

「Ⅱ、大丈夫だ。では、お言葉に甘えていただきましょう」

 

 

そう言って僕たちはここの警備スタッフに応接に案内され、応接室に着いて此処で待つ様に言われ警備スタッフは応接室を後にした。その時に桂が僕にここのスタッフや研究所について話して来た。

 

 

「リーダー、ここの連中といいこの研究所は何かと怪しい感じがするぞ」

 

「同感だな、こいつはぜってーとんでもねえ裏が隠されているぜ」

 

「その事は分かっている。だが、それは相手の出方次第だ。連中はどうやら僕たちがここに来るのを予想してなかった様だし、特に所長に関しては僕が言ったあの噂を聞いた途端、知らない素振りしたと同時に目が泳いでいた。ここで間違いない筈だ」

 

 

すると志野は僕にさっきの噂はフリだったのかを聞き出した。

 

 

「ところで、あの噂は情報を引き出す為の()()か?」

 

「いやっあの噂は本当だ。ここの研究所はどうも怪しいが、今は白と黒の間の灰色だ。つまり、まだ決めるのは早い」

 

「しかしよ、もし連中が口封じにお茶に毒とか盛られてたらどうすんだ?」

 

「その前に臭いで気付くだろ。俺達SPARTANを簡単に毒殺させる事は不可能だ」

 

 

そう桂が言い、しばらくの間僕たちは応接室でお茶が来るのを待つのであった。

 

 

その頃、所長室にいる所長と警備スタッフ達はやって来た星矢達に対してどう切り抜けるかを考えていた。

 

 

「不味いぞ……このままでは、せっかく練り上げた超兵士化計画である“天龍人”があのSPARATAN共に台無しにされてしまう」

 

「所長、とにかくデータだけを持ち帰ってこの研究所を放棄し、脱出するのは?」

 

「駄目だ、この研究所の地下の存在をSPARTAN共に悟られる訳にはいかん……ん?」

 

 

すると所長用のデスク上に置いてあるホログラフィ通信を傍受した。発信先は応接室の入り口で待機している警備スタッフからだった。その顔付きは左目が失明していて、どこぞの戦闘民族の野菜の名前がついた宇宙人っぽいおっさんからであった。

 

 

「何だ、この様な時に!」

 

『何もかもおしまいだぁ……私は、八つ裂きにされたくない!お助け下さい!!』

 

「お前なんぞどうでもいい!『ええ!?』それと二度とその腰ぬけの面を私の前に見せるな!!」

 

 

そう所長に告げられた警備スタッフ泣きながら発狂していた。そして所長はある決断を下す。

 

 

「SPARTAN共がこちらに来たのは予想外だ。あの情報はONIにも漏れていたという訳か」

 

「ならば如何なさいましょう?」

 

「……幸い奴らがいるのはダミーの応接室だ。先ず奴らの帰りの足である降下艇を破壊し、その後にダミーの応接室に設置してある毒ガスでSPARTAN共を始末する」

 

 

所長の発言は今ここにいるスタッフ達を動揺させるのに十分な言葉だった。すると警備スタッフの男がある不安を抱く。

 

 

「……しかし、ONIからの報復の可能性も有りえるのでは?」

 

「その事は隠蔽すれば問題はない。お前が気にする必要は無い」

 

「…ならば直ぐに警備スタッフを総動員させ、SPARTANの抹殺の準備を」

 

「うむっ急げよ、連中はあの狂犬部隊と名を轟かせるほどの実力者のチームだ。くれぐれも慢心せずに真っ先に始末せよ」

 

 

警備スタッフは所長に敬礼を交わした後、直ぐに通信を入れ外で待機している警備スタッフに指示を出す。この行いが己の社会的人生の終わりの道だという事に気付かず……。そして降下艇にC4プラスチック爆弾を付け、安全圏まで下がった後にC4を起爆装置を起動させて降下艇を破壊する。

 

 

同時刻、僕たちはスタッフが持って来たお茶(確認した時、毒は盛られてなかった)を飲んでいた。その時に降下艇のシグナルが突如と消えたの皮切りに僕たちは直ぐにヘルメットを装着した。すると応接室から何かしらのガスが応接室に充満するのが分かる。

 

 

「ちっ……毒ガスか……」

 

「幸いこっちのアーマーは宇宙戦闘を想定して作られている。酸素はまだ持つな」

 

「…でもよ、俺達の武器は降下艇に置いて来たんだぜ?恐らく降下艇を破壊されたと同時に壊れていると思うぜ?」

 

「心配ない、ここの警備スタッフが使っている武器は世界各国の軍隊や警察用にライセンス生産用の旧式のアサルトライフルMA37だった。彼らから武器をいただくとしよう。彼らは僕たちの為に武器を用意してくれるのだからね…」

 

「なるほどな……じゃあ殺るか」

 

 

そう言って僕と桂はアーマーのショルダーユニットに内蔵されている専用のダガーを抜き出す。するとモーショントラッカーから敵性反応を感知した。数は8人で着々と此方に近づいていた。星矢達を始末する為にガスマスクを装備した警備スタッフ達は応接室入り口付近で止り、所長から次の指示を仰ぐ。

 

 

「所長、目的地に到着、次の指示を求む」

 

『いくらSPARTANとはいえまだしぶとく生き残っていると思われる。念のために奴らの身体をバラバラにしろ』

 

「了解。よしっ、お前達二人で確認しに向かえ」

 

 

そうスタッフが指名した二人のスタッフに指示を仰ぐと二人はガスが充満した応接室に入った。恐る恐る周囲を警戒し星矢達を探している時にその二人の背後から謎の手が目の前に出て来てそのまま装着しているガスマスクのフィルターを握りつぶされる。

 

 

「「!?…!!?!っ!?」」

 

 

フィルターを潰されて混乱に陥った二人はその謎の手によって後ろに引き込まれ、首に何かを突き刺された時には既に己の生命が切れていた事に気付かずそのまま絶命した。その謎の手の正体は星矢達が応接室に入って来た警備スタッフを背後から奇襲し、そのまま殺傷したのだ。そして警備スタッフが持っていたMA37アサルトライフルを奪い、マガジンを引き抜き装弾数を確認した。

 

 

「よしっ…Ⅲ、敵の流れ弾に当たらぬ様壁側で待機。入り口にいる奴らを制圧次第呼び出す。Ⅱは僕と共に障害の排除」

 

「「了解っ!」」

 

 

その頃、二人を応接室に向かわせて数十秒後に急に向かわせた二人のバイタルサインが途絶えたことに一瞬戸惑ってしまった警備スタッフは直ぐに他のスタッフに戦闘態勢の指示を出し、入り口にMA37を向けて構えているとコロコロと何かが転がってくる音が聞こえた。その音の発生源は応接室からで徐々に近づいていることが分かる。そして応接室からその音の正体が出てきた。それは警備スタッフが対SPARTAN用に持ってきたMK3手榴弾である。何故その手榴弾が転がってきたのかは不明だが、分かっていることが一つ。その手榴弾の安全ピンが()()()転がってきてると言うこと。

 

 

「!?っグレネードだ!」

 

 

しかし気付いた時には既に遅く、退避指示を出そうとした時には手榴弾が爆発し、その爆発による衝撃波により指揮していた警備スタッフとその近くにいたスタッフが無力化されてしまう。さらなる混乱が襲う最中応接室からM118 7.62x51mm フルメタルジャケット アーマーピアッシング弾の弾幕が残りのスタッフを襲い、その弾幕を防ぐ術も無くそのまま浴びてしまい、絶命する。そして応接室から出て来た星矢達はその絶命した警備スタッフ達からMA37アサルトライフル一丁と弾薬を回収した。そして回収したアサルトライフルと弾薬を志野に渡した。

 

 

「ここからは別れて行動しよう。桂、志野は二人で連中を片付けつつも所長室に向かい、所長を拘束し、研究所の研究データの回収。その後に脱出ルートの確保」

 

「分かった。リーダーは?」

 

「僕はこの研究所に隠し通路が無いかどうか探して見つけたら侵入するつもりだ」

 

「応っ分かった。気をつけろよ」

 

 

そう言い僕は桂達とは別行動を取り、研究所の隠し通路を探すのであった。辺りを捜索してから数分、あるエレベーターを発見した僕はそれに乗り込んだ。そのエレベーターにはLEVEL.1からLEVEL.3と書かれていた。その文字が書かれているところにはランプがあり、LEVEL.1のところだけ光っていた。ボタンは無いかと探してみても発見出来ず、あるのはカードキー用の挿入口だけだった。そこで僕は桂達と別行動する前に警備スタッフから奪ったカードキーを差し込んだ。すると運が良いのかLEVEL.1に灯っていたランプがLEVEL.3の方に移り変わり、乗っているエレベーターは下へと下りていくのであった。そしてLEVEL.3フロアに到達するとそこは暗く何も見えない所だった。只、死臭だけを除いて………。

 

 

「…何だろう、嫌な予感がする」

 

 

僕はヘルメット内に内蔵されている機能である暗視モードに切り替えて改めて全体を見ると其処には廃棄処分とされた()()()()()の痛ましい姿の死体が多数存在していた。

 

 

「ここまで酷いとはな……。んっ……死体の中に生命反応?」

 

 

死体達の中に生命反応を感知した僕はその感知した反応を頼りに死体を退かして行くと、其処には茶髮の少女が僅かだが息をしていたのだ。僕はその少女に問いかける。

 

 

「おいっ君。大丈夫か?」

 

「あ………………………ああ…………?………い……………………ちか………………?」

 

 

しかし、その時の僕は予想だにしなかった。少女はONIの専用の医療施設で入院している一夏の名を出したのだ。その時に僕の前世の記憶がフラッシュバックしてこの少女が誰であるのかを思い出したのだ。

 

 

「……………凰………鈴音?」

 

 

まだ会うはずの無かった少女がこの研究所にいたのだ。被験者として………。鈴はそのまま力尽きるかの様に気を失う。鈴の体をよく見てみると彼方此方に多数の切傷があった。そして鈴の左前腕が何かしらの薬物を投与されたのか肌が変色していた。それどころか左指すら動かせる気配がなかった。僕はすぐに鈴を運び易いように抱きかかえこの場所から離れるようにエレベーターに乗り、カードキーを使ってLEVEL.1のフロアまで戻るのであった。そしてLEVEL.1フロアに戻ってその隣の休憩所と思われる部屋に入る際にクリアリングをして安全を確保した後にベットを見つけて鈴を寝かした。そして部屋に引っ掛けていたダウンコートを取り、それを掛け布団の様に掛けた。すると気を失っている筈の鈴が魘されていた。まだ身体の痛みが残っているためか動ける右腕を前に出して助けを求める様に一夏の名を呼ぶのであった。

 

 

「いち……か………たす…………けて…………」

 

 

僕は何も言わずに鈴が突き出した右手を優しく掴み、安心させる様に握ってあげた。鈴は夢の中で一夏が助けに来たのかの様に鈴の顔が和らぎ、そのまま安眠するのであった。その時の僕………いやっ、俺は心にある事を決意する。

 

 

「奴らめ………唯じゃおかねえ………!」

 

 

俺はそう決意して鈴をここに残し、桂達と合流するために走り出す。奴らだけは絶対に生かして帰さんという怒りを溜めながら。

 

 

続く……。

 





箒達からとばっちりを受ける星矢達。
食堂で鈴と合流し、共に昼食をとる。
鈴は原作とは異なり、左前腕部が義手です。
星矢は鈴の許可のもと鈴の過去を話す。

次回は、一夏がいないウルフチームが大暴れします。(過去話)


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鈴音の過去を明かした結果… 後編

第1章の第10話、始まります。


転生者よ、暴れすぎるなよ?


 

 

桂Side

 

 

星矢の指示で俺たちは敵に見つからない様心がけながら所長室に向かっている。そして所長室入り口に辿り着き、俺と志野は扉を同時に開けて部屋全体をクリアリングする。その部屋は既にもぬけの殻で所長すらいなかった。

 

 

「ちっ……逃げられたか」

 

「だったらよっ、このPCから出来るだけデータをこっちへ収集しようぜ?」

 

 

そう言って志野はUSBメモリを取り出してPCに差し込んでPCデータのコピーを行うのであった。一応そのデータの中身を確認してみると、超兵士化計画“天龍人”の詳細に書かれていた。その内容は星矢と同じSPARTAN-Ⅱ計画と酷似した計画であることが判明した。

 

 

「おいおいっ……マジかよこいつは……!」

 

「星矢と同じ超兵士化計画(SPARTAN-Ⅱ)の紛い物か……ちっ、嫌気がさすな」

 

「一応こいつも収集だ。後はこの計画に関わった人物リストもこっちにコピーだ」

 

 

それから数十秒後、すると志野のモーショントラッカーに反応を感知した。

 

 

「っ!。桂、6時の方向何かがこっちに向かってくるぞ!」

 

 

そう志野に言われた俺は警備スタッフから奪ったベレッタM92Fを6時の方向に向けると所長室の扉から警備スタッフが出て来たのだ。

 

 

「ハァ……ハァ……ようやく到着か、さっ直ぐにPCデータ削除しなければ……って、ええ!?何でSPARTANがこーんな所に?!」

 

 

その警備スタッフは所長にどやされ、泣きながら発狂していたおっさんであったのだ。所長の命令で所長室にあるPCデータの削除に向かっていたのだが、運悪くSPARTANと鉢合わせてしまったのだ。警備スタッフは所長から教えてもらった緊急時用の隠し警報アラームである柱を見た。その警備スタッフの動きを見逃さなかった俺は警備スタッフに警告する。

 

 

「妙な動きをするな。したなら躊躇いなく撃つ」

 

「(ヤベー!何としてもここから避難しなければ俺が八つ裂きにされる!)避難するだ!」

 

 

この時に警備スタッフは内心でパニクってSPARTANから逃げようとした。その結果、桂は引き金を引き、M92Fから9mmバラベラム弾が警備スタッフの左肩に直撃するのであった。

 

 

「Door!?」

 

 

……しかし、これがいけなかった。撃たれた反動で倒れる方向が隠しアラームの起動スイッチの方だったのだ。

 

 

「……あーくそっ、最悪だ!」

 

「こっちのコピーはもう終わった。後ついでにこのPCを通してONIから救援要請を送っていたぜ!」

 

「よしっならここは用済みだ。こっから先は大騒ぎになるぞ……!」

 

 

俺たちは走りだし、星矢に言われた通り脱出ルートを確保する為に行動する。そして桂に撃たれた警備スタッフは隠しアラームに向かって倒れる様にスイッチにのしかかってスイッチを起動させて絶命した。その結果研究所全体に警報が発し、桂達が発見される。それでも桂達は止まることはなく障害となる警備スタッフ達を蹴散らしながらも脱出ルートであるヘリポートまで向かうのであった。

 

 

「桂、ちょっくら俺は武器庫に向かって武器を調達してくらあ。その間敵を引きつけてくれ」

 

「了解だ。ショットガンが有ったら最優先で持って来てくれ。こいつらにはアレが有効だ」

 

「応っ、任された!」

 

 

俺と志野は二手に分かれて行動する。俺は囮、志野は武器の調達といった感じで俺は警備スタッフらをM92Fで応戦する。警備スタッフの装備というより防弾服は重装兵が使うバトルドレスに近い装備だったので隙間の薄い部分を狙い確実に仕留める。階段を下るとそこにマチェット持った三人の警備スタッフが桂に向かって斬りかかるが桂は冷静に対応し、手前の警備スタッフの足下の隙間の薄い部分に9mmバラベラム弾を撃ち込み、機動力を奪う。そして桂は格闘戦で確実にマチェットを持つ中央の警備スタッフを蹴り飛ばし、機動力を奪った警備スタッフに止めを刺す様に背後からM92Fを向けて首元の隙間に撃つ。そして後ろにいた警備スタッフを得意の格闘戦で殴り、さらには警備スタッフの左足を蹴りでへし折る。そして追い討ちをかける様に目の前のスタッフを掴んで後ろに飛ばされたスタッフに向けて投げ飛ばす。投げ飛ばした後に警備スタッフの背後にあるロッカーに食い込ませる様に力強く蹴った後にその場を後にしてヘリポートまで走る。研究所から外に出るとヘリポートへと続く通路から次から次へと増援がやって来て桂を追い詰める。桂はM92Fだけでは捌き切れないと判断したのかMA37アサルトライフルをフルオートで正確に警備スタッフを倒すが数が減る様がなかった。

 

 

「ちっ……!ここはアリの巣みたいに数が無駄に多い!」

 

 

すると桂の後方から轟音が二回響き渡ると桂が交戦している警備スタッフが一気に四人も絶命した。その正体は志野が研究所の武器庫からM82対物ライフルを持って後方から桂を当てずに桂が交戦している警備スタッフを狙撃したのだ。

 

 

「よっと!お待ちどうさん!」

 

「……来たのは分かったが、今のは危ねえだろうが!!俺ごと撃つつもりか!」

 

「悪りぃ悪りぃ、その分間に合ったんだから勘弁しろよ!」

 

 

そう志野と口喧嘩をしながらも志野は武器庫から奪って来たイングラムM10マシンピストルを使い片手で銃のブレを抑えながらも9mm弾をばらまく。俺もMA37を使って撃ち続けるも途中で弾が切れてしまい、弾が切れたMA37を警備スタッフにめがけて投げつけてM92Fで応戦する。

 

 

「……んで、ショットガンは?」

 

「この通り、ほらよ!」

 

 

志野はソードオフタイプのイサカM37のハンドグリップを掴み上下に振って12ゲージバックショット弾を装填した後に俺に投げ渡す。俺は左手でショットガンを掴んだと同時に左右にいる警備スタッフに向けて M92FとイサカM37の引き金を引きダブルキルを成した。

 

 

「……注文通りだな」

 

「毎度どうもってか?……っ!?おっと!」

 

 

俺たちは対物ライフルの轟音を聞いた後すぐに物陰に隠れた。敵スナイパー二人は正面通路先の扉の上で陣取り、そこから狙撃していた。

 

 

「スナイパー!高台だ!」

 

「桂、俺が合図したら替われ!……今!」

 

 

志野の合図で狙撃されない様入れ替わる様に物陰に隠れ、志野はM82を使って制圧射撃を行った。そして俺は死体となった警備スタッフを持ち上げて盾の様に前に持ち抱えてた。

 

 

「突っ込むぞ!」

 

「行け行け行けッ!」

 

 

俺は突撃し、そのまま距離を詰めた後に盾にしていた警備スタッフの死体を投げ飛ばしてM92Fを持ち構え、そのまま高台にいるスナイパー二人を撃つ。志野も俺の後から続いてM82で後方から来る警備スタッフをショットガン感覚で確実に仕留めていく。

 

 

「後方から来た敵は片付けたぜ!」

 

「まだ扉の奥に敵が残っている、そいつらも片付けるぞ!」

 

 

扉を開けて強行突破する様に俺は志野が使っているM82とM37を走りながら交換し、そのまま警備スタッフを蹴散らすのであった。……しかし、ここに来て最悪なことが起きる。ヘリポートの外側の周辺には高台の通路があり、その通路の上には百人近くの警備スタッフが武器を構えて俺たちを待ち構えていた。

 

 

「……だぁ、クソッ!最悪だ!」

 

 

桂Side out

 

 

 

所長Side

 

 

SPARTANが研究所内で暴れまわった所為で多くの警備員が戦死した。しかし、それは本の二割しか削れていないだけのことだ。本命はヘリポートの高台の通路に集結させて集中砲火でSPARTANを殲滅する作戦だ。二割である警備スタッフ三十人は残りのスタッフをヘリポートに集結させる為の時間稼ぎに過ぎない。その結果SPARTAN共はまんまと此方の罠に掛かったのだ。…しかし不可解なことに、後一人SPARTANがいないのだ。個別に脱出したのかは不明だが、今は目の前のSPARTAN共を片付けるとしよう。すると研究員があることを伝えに来た。

 

 

「所長、あのSPARTAN共は我々の機密データを盗んだ可能性があります」

 

「うむっ………なら警備長にそのデータファイルを奪還する様指示を出せ」

 

 

そう他の研究員に指示を出し、SPARTANの最後を見届けるのであった。……しかしこの時、私は予想もしない出来事が起こることを予想することが出来なかった。

 

 

所長Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

俺は武器庫から興味深い兵器であるワイヤー・ガンを拝借し、中国独自に作り上げた使い捨ての光学迷彩装置を使ってヘリポートの高台通路に建っている管制塔の壁側に張り付いて擬態し桂たちを待った。しかし予想外に警備スタッフが先に集結し、桂たちを待ち構える。そして桂たちが来た時には絶体絶命的な状況に立たされていた。

 

 

「ちっ……絶体絶命ってやつか」

 

「万事休すってか?見た感じだとざっと百人近くいるんじゃね?」

 

「見た感じだとな、そういえば星矢の奴はどこに行ったんだ?」

 

「さぁな、俺だって知りてえよ。つーかONIの救援はまだ来ねえのかよ!?」

 

 

この状況はまずいと思った俺は警備長が桂たちに降伏勧告をしている最中の時にひと暴れでも起こそうと考えた。そして警備長が即席で取り付けられたブローニングM2重機関銃を桂たちに向けながら降伏勧告を告げる。

 

 

「よく聞きやがれSPARTAN共!てめーらは完全に包囲されている!今すぐデータファイルを渡せ!そうすれば撃たないでいてやる!」

 

 

そう警備長が言うと他の警備スタッフが各自それぞれの武器を桂たちに向けて構える。警備長はそのまま言い続ける。

 

 

「簡単な方と無理な方…どっちを取りゃあ良いか判るよなぁ!?とっくにお前たちの逃げる手段は潰されているんだよ!さっさとデータファイル渡…「「うわぁぁっ!?」」!?何だ!」

 

 

俺は警備スタッフ達に近づきそのまま蹴り飛ばして二名を桂達がいるヘリポートに蹴り落とした。そして俺の存在に今頃気づいた警備スタッフがMA37を向けるが、それよりも早く俺は警備スタッフを蹴っ飛ばし、それに続いて警備長を殴り飛ばしてM2重機関銃を奪い右側の高台を支えるコンクリートで固定されている鉄骨に向けて12.7×99mm対SPARTAN用特殊徹甲弾を撃ち込む。

 

 

「うわっやっべ!」

 

「伏せろ!」

 

 

桂達はとっさに伏せて重機関銃の弾幕から巻き込まれない様な体勢を取った。その結果高台を支えていた鉄骨は崩壊し、その高台にいた三十人の内十人はそのまま山崖へと落ちていって帰らぬ人となり、残り二十名は桂達がいるヘリポートに落ちていった。そして俺はM2重機関銃の引き金を引いたまま左の高台の鉄骨に向けて12.7×99mm対SPARTAN用特殊徹甲弾を撃ち込み、左の高台にいた警備スタッフ三十人全員ヘリポートに落とす。

 

 

「おいおいっ……こういう時に星矢の奴……」

 

「なぁ桂、リーダーの奴どうしたんだ?なんかめっちゃ怒っている様に見えるんだが?」

 

「ありゃ完全にキレているな……星矢から生き延びたければ神に祈る他はねえな。少し同情するぜ、警備スタッフの奴ら」

 

「いやっぶっちゃけて言うけどリーダーの奴何やってんのアレ!?」

 

 

左右の高台を破壊した俺はM2重機関銃の引き金を固定して銃身を左に向けた後に右回転させる様に蹴り出して、俺はすぐに高台から飛び降りて桂達と合流した。

 

 

「待たせたな…!」

 

「「いやっ何やってんだよアンタ(お前)!?」」

 

「少し奴らの外道っぷりにキレているだけだ。……さぁ、絶滅タイムだ!喜べ!」

 

 

そっから先からは俺たちSPARTAN無双であった。ヘリポートに落とされた警備スタッフ達は起き上がろうとした時に星矢から拳による白兵戦により次から次へとノックダウンされる。一部の警備スタッフ達はヘリポートに落とされた時に落としてしまった武器を拾い星矢に撃ち返そうとするがSPARTAN-Ⅱの尋常じゃない身体能力に翻弄されてしまい、逆に返り討ちにあって山崖へと落ちていった。そして桂達も己が武器で警備スタッフ達を一掃するために行動を取るのであった。そんな絶望的な状況で星矢達に怯えながらも武器を探す小心な警備スタッフと自分の武器を探している鈍い?スタッフがいた。

 

 

「やべえよやべえよやべえよ…!!やった!ライフル!!助かる!!」

 

「あのー…すんませんけど、それ俺のだと思うんですけどー……」

 

「何言ってんだお前!何でもいいから拾って撃てよ!つーか、お前見ろよこの状況!撃たなきゃダメだろ!」

 

 

そう言いながらも小心な警備スタッフは鈍い?警備スタッフのMA37を使って威嚇がわりに星矢達に発砲するも当たる気配が全くしない。それでも自分の武器を返して欲しいのか鈍い?警備スタッフは小心な警備スタッフに自分の武器を返してもらう様頼む。

 

 

「いやだから、それは俺のライフルで………」

 

「ふざけんじゃねええ!!「邪魔っ!!」」

 

「「ア〜〜ウ!?」」

 

 

この状況下で漫才的な会話をしていた警備スタッフ達をまとめて蹴り飛ばした星矢は次々と残りの警備スタッフ達を無双するのであった。すると星矢に殴り飛ばされた警備長が弾切れとなったM2重機関銃の弾を補充してコッキングレバーを引いて弾を装填すると照準を桂に向けた。

 

 

「……クソがっ!せめて一人は道連れだ!」

 

「……んなっ!?桂、あぶねえ!!」

 

 

志野が桂を庇うために突き飛ばし、M2重機関銃から放たれる12.7×99mm対SPARTAN用特殊徹甲弾を六発も受けてしまう。幸いSEによって五発はシールドによって守られたが、六発目でSEが切れて弾丸の勢いを殺し切れず左肩に着弾を許してしまう。その撃たれた反動で志野は倒れこむ。

 

 

「志野!…クソ!」

 

 

桂は負傷した志野を救助するために動こうとするがM2重機関銃の弾幕によって近づけなかった。その時に俺は武器庫から拝借してきたワイヤー・ガンを取り出してM2重機関銃に向けて引き金を引いてアンカーフックを射出する。そしてアンカーはM2重機関銃のグリップ部分に引っかかる。

 

 

「…?何だ?」

 

 

警備長がM2重機関銃のグリップ部分に何かが引っかかったの確認する前に星矢がアンカーワイヤーを引っ張り、銃口を下へ強制的に向けさせた。その結果、高台を支えている鉄骨まで地面が貫通してそのまま高台が崩壊し警備長を含む警備スタッフ達は山崖に落ちていった。そして桂は志野を担いでヘリポートの落下防止用のポールに寄り掛からせる。そして俺は桂達の後ろから味方のシグナルを確認した。

 

 

「志野、大丈夫か?」

 

「大丈夫だ…痛っ!くそ……肩を持っていかれた」

 

「くそっ!こいつら数が多いな!」

 

「お前達、迎えが来た。行くぞ」

 

「「はっ?のわぁっ!?」」

 

 

星矢は桂達を掴んでそのままヘリポートから飛び降りた。警備スタッフ達はSPARTANが血迷ったのかと落ちた方を覗くと、そこには降下艇の上に乗っている星矢の姿がいた。そしてその後を続く様に“AV-14 Attack VTOL”別名ホーネットがヘリポートを囲む様に包囲していた。そして降下艇に付いている音声スピーカーから星矢の父、清十郎が研究所に投稿勧告を告げる。

 

 

『この場にいる研究所の全警備員及び、研究所にいる研究員に警告する!お前達は完全に包囲されている!脱出は不可能だ、即刻武装を解除せよ!投稿すれば生命は保証する』

 

 

警備スタッフ達は清十郎の投稿勧告を素直に受け取り、武器を捨てて体勢をはらわにする。そして俺たちは降下艇の艇体上から兵舎収容部と繋がるハッチを開けて降下艇に入る。

 

 

「よっ!ここの視察はどうっだったか?星矢?」

 

「あぁ…最悪だ。此処の研究者はクソ以下の溜まり場だ…此処にいる研究者全員の抹殺の許可を…“パチンッ!”あだっ!?」

 

 

そう俺は父さんに報告した途端、父さんがどこから取り出したのかハリセンで俺の頭を叩いたのだ。

 

 

「アホッ……俺はお前のそう言うの聞きたいんじゃない。俺は()()()()お前の報告を聞きたいんだ」

 

 

そう言われた俺………いやっ僕は、頭に上っていた血が一気に下へと抜けて冷静さを取り戻した。

 

 

「……ごめん父さん。冷静さを欠けていた」

 

「やれやれ……ようやく戻ったか。それで、あの研究所には生存者とかはいたか?」

 

「あぁ、一人だけだけどかなり重症みたいなんだ。直ぐに医療チームを派遣させないと危険な状態だ」

 

「そういうだろうと思ってこの降下艇には医療チームを乗せてあるぞ」

 

 

そう父さんが言って降下艇の兵舎収容部をみると、負傷した志野を応急処置する為にバイオフォームを使い傷口を塞ぐ。

 

 

「無理しないでくださいね?一応バイオフォームで傷は塞がっていますが、本格な治療は医療施設で受けてください」

 

「わーってるよ。医療班の言うことはちゃんと聞くさ」

 

「まぁとりあえず、全員無事に帰還できそうだな」

 

 

その後、研究所を包囲した後に研究員や所長を確保してしかるべき裁判で罪を裁かれることになった。そしてあの研究所の唯一の生存者である鈴もONIの医療施設に運ばれることなった。しかしここで問題が起きる。鈴の左前腕部が変色していた部分の神経が強化薬物投与による副作用によって神経が死んでいたのだ。それも五日間も放置されていたのだ。さらにはクローニング技術による鈴の腕を複製したが鈴の身体の神経が拒絶反応を出してしまい、鈴は機械の義手に頼らざる負えなかった。幸いONIは生体工学(バイオニクス)にも手をつけていたので機械の義手の上に擬態用シートを被せてより人間の腕と見間違える様な仕上がりで鈴の左前腕に擬似神経生成の為の専用インプラントを左腕に埋め込んで鈴の左腕を製作したのであった。なお、このことは一夏には話していない。鈴が医療施設に搬送されてから五日後、僕は鈴との面会するのであった。

 

 

「………誰っ?」

 

「どうやら少しづつだけど回復して来ている様だね。それと初めまして……かな?」

 

「あたしは……どうして此処に?あたしは確かあの時…………っ!」

 

 

鈴は自分がどうなったのかを思い出してしまい、トラウマともいえるあの研究所で研究員によって未知の強化薬物の投与や、人体骨格の改造手術により人ではない何かに自分はなってしまった事に恐怖する鈴。それを見た僕は、鈴にあることを告げる。

 

 

「大丈夫だ、凰 鈴音。あの研究所はONIによって潰して違法な研究をしていた研究員達は全員捕まって裁判でしかるべき処罰を下されているところだ」

 

「そう………なんだ。……ところで今更なんだけどアンタは誰?」

 

「僕?僕はONI所属のSPARTAN、ウルフチームのリーダーの泉谷 星矢だ」

 

 

鈴に今更ながらも僕が誰なのかを聞かれたので僕はそのまま自分が何者であるかを説明した。これが僕と鈴の初めての会話であった。

 

 

そして今現在……

 

 

僕が語る鈴の過去に通じる二年前である中国の研究所視察の出来事を一夏達に話した。これを聞いた一夏は鈴が自分が知らない内にその様なことになっていたことに驚く他は無かった。そして箒達は鈴のあまりにも残酷すぎる事実に涙を流していた。

 

 

「そんな………何故、鈴がその様な事に……」

 

「それに、その研究員は酷すぎます!唯でさえ一夏さんの幼馴染を……!」

 

「いいの、もうすぎた事なの。私だってこんな身体にされてから今でもまだあたしが怖いと感じているの」

 

「鈴………お前……」

 

 

一夏が鈴に何かを伝えようとすると鈴は食べている途中のラーメンを乗せたお盆を持って立ち上がった。

 

 

「………ごめん、ちょっと下向きな話だったね。あたしは先に上がるね!」

 

 

そう言って鈴はお盆を持ってその場を後にした。鈴がその場を後にしてから数十秒後、一夏は僕にある事を聞き出した。

 

 

「……なぁ星矢?この後の午後の練習、空いているか?」

 

「?……あぁ、空いてはいるがどうした?」

 

「今度の練習を星矢に手伝って欲しいんだ。もっと力をつけないと………!」

 

 

そう言って一夏は拳を握り、より強い決意を示したのであった。その理由を察した僕は協力を惜しまず一夏の潜在能力を引き出すために一夏の提案を受けるのであった。無論、箒達も参加させて彼女達の身体能力を強化を手伝うのであった。そして日が過ぎていき、クラス代表戦まで近づくのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

とある銀河系の宇宙………

 

 

 

コヴナントSide

 

 

預言者の右腕であるタルタロスから命令を受けたブルートチーフテンはブルート三個分隊を連れて“52式 "ファントム"兵員輸送機”に乗り込む。コヴナント(預言者)軍の仮拠点であるCAS級アサルト艦空母からファントムが三機出撃してコヴナントが独自に生み出したスリップスペースジャンプ・ゲートを生成する装置で星矢の生まれ故郷である地球に座標を示した。そしてファントムに乗り込んでいるブルートチーフテンが他のブルート三個分隊にコヴナントの誓いを問い出す。

 

 

「我々コヴナントの誓いを忘れはしまいな?」

 

「「「如何なる時にも!職務をわきまえ」」」

 

「祖先の名に賭けて!子孫の名に賭けて!コヴナントに忠誠を誓う!」

 

「「「この命、尽きるまで!」」」

 

「この誓いを破る者はすべて異端者。情け容赦は無用だ!我々はこれより、敵地の惑星である地球の威力偵察に向かう。この作戦は死ぬ確率が高い作戦だ。下手をすれば二度と帰れぬかもしれない。しかし、我々は決して人類という異端者に屈する事は許されない!」

 

「「「一人でも多く、異端者を道連れにせよ!」」」

 

「そして我々コヴナントは、救済への道を歩み続けるのだ!」

 

 

そうしてコヴナントのファントム三機はスリップスペースジャンプゲートをくぐり、地球へと向かったのであった。

 

 

続く……。

 





桂たちは研究所のヤベーイデータを入手後に大暴れ。
お怒り星矢は敵に情け容赦なくSPARTAN無双。
一夏は鈴の過去を聞いて新たに決意し、強くなる為に特訓をする。
コヴナントが地球に威力偵察しに向かう。


次回は、クラス代表戦こと一夏と鈴の対決です。


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クラス代表戦にコヴナントが介入した結果…

第1章の第11話、始まります。


転生者よ、敵の襲撃に備えよ。


 

 

一夏Side

 

 

クラス代表戦当日までの間、星矢は一夏たちの身体能力を上げるために実技に近い戦闘訓練を行った。一夏は雪片二式と修理してもらった高周波ブレードを持ち、慣れない二刀流で星矢と模擬戦を行う。(なお、模擬戦がだんだんと死合い戦になったのは秘密である)箒は訓練機である打鉄を使い、星矢の指示を受けながらISのハイパーセンサーに頼らない程の反射神経を強化させ、接近ブレードによる受け流しの技術である“パリィ”を伝授させた。そしてセシリアは、クラス代表候補戦の反省を生かしつつも一夏との模擬戦で一夏を追い込むほどの実力を発揮した。(しかしこの後、一夏の猛反撃により逆転されたそうだ)そんなこんなでクラス代表戦当日になったこの日、一夏はアリーナから出る前に出撃の準備として鈴が使う専用機IS“甲龍(シェンロン)”のスペックデータを確認していた。

 

 

「大型の青龍刀である“双天牙月”が二基に左右の非固定浮遊部位である衝撃砲“龍咆”か。武装は少なめだけど、そこは操縦者の腕次第ってところか……」

 

 

そうスペックデータを確認した後に織斑先生から声をかけられる。

 

 

「織斑、時間だ。そろそろ準備しろ」

 

「了解。……やれるとこまでやってみるさ」

 

 

そう言って一夏はピットのリニアカタパルトに乗り出撃準備を完了させる。

 

 

『リニアボルテージ上昇。射出タイミングを織斑一夏に譲渡します』

 

「了解。SPARTAN-Ⅲ 織斑一夏、出る!」

 

 

いつも通りにカタパルトから射出された一夏はPICを起動させて、相手がいる所まで飛行する様にアリーナに出撃した。そこで鈴が青龍刀を持って一夏を待ち構えていた。

 

 

「そういえば一夏、アンタがSPARTANになったからって浮かれている訳じゃないのよね?」

 

「浮かれている?冗談っ、そんな事じゃ星矢にどやされるからな」

 

「そっ……ならよかった。それじゃあ、全力で行くわよ!」

 

「あぁ…全力で来い!」

 

『それでは両者、試合を開始してください』

 

 

試合開始のブザーが鳴ったのを皮切りに一夏は雪片二式を、鈴は双天牙月を振るい、己が剣をぶつけ合う。

 

 

一夏Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

僕たちはアリーナの観客席で一夏達の試合を見届けていた。最初は剣戟でぶつかり合い、その次に蹴りや殴りを混ぜた剣戟になり、両者一歩も引かぬ戦いをしていた。

 

 

「すごいな……一夏もそうだが、鈴もかなりの実力の様だ。あの一夏と対等に戦っている」

 

「そうですわね。一夏さんは私と模擬戦した時はまさかの猛反撃でしてやられましたわ」

 

「鈴は鈴でSPARTANに引けを取らない位に厳しい訓練を受けているのが見て取れるな。あの動きは戦闘のせの字を知っている動きだ」

 

 

そう僕たちは一夏と鈴の試合を見てそれぞれの感想を呟く。他の女子生徒たちは歓声をあげながら一夏と鈴を応援していた。そして一夏と鈴は剣をぶつけて鍔競合いに持ち込んだ。

 

 

「やるわね一夏!伊達にSPARTANの名に恥じない強さね!」

 

「まあな、この前の星矢の特訓で感覚を研ぎ澄まされたからな!」

 

「そう、けど甘いっ!!」

 

 

そう言って鈴は非固定浮遊部位である龍咆を一夏に向けて衝撃砲を放つ。しかし一夏はそれを見切ったのか見えるはずのない衝撃の砲弾を紙一重で躱す。これを避けられた鈴は驚きを隠せず表に出てしまう。

 

 

「ちょっ!?普通躱すのそこ!?」

 

「…ちょっとした事で驚いているんじゃ、隙を生むだけだ!」

 

 

そう言って一夏はM45Dタクティカルショットガンを呼び出して至近距離から8ゲージマグナムシェルを撃ち込もうとするが、鈴が左手でM45Dを掴んで一夏の腕力を上回る力で銃口を上に向けて銃弾を上に逸らした後にそのままM45Dを握りつぶした。それを見た一夏や女子生徒達は鈴のありえない腕力に驚きを隠せないでいた。

 

 

「なっ…!?マジ?!」

 

「その言葉、そのままそっちにお返しするわよ!」

 

 

そう言った後に互いに距離を取り合い、間合いを作った後に次にどう動くかを考える。この試合を見ていた箒は鈴の武装に目が入っていた。

 

 

「なんだあれは…?」

 

「あれは中国が作り上げた衝撃砲の一つ“龍咆”だ。空間自体に圧力をかけ砲身を作り、左右の翼から衝撃を砲弾として撃ち出す第三世代兵器だ。簡単にいえば、浮かぶ巨大な空気砲だと思う方が分かり易いか?」

 

「そ……そうか。それは分かったんだがなぜ一夏がその見えない攻撃を躱せたんだ?」

 

「それは恐らく、一夏さんは鈴さんが龍咆を撃つ前に撃ってくる方向を予想していたと思われますわ」

 

 

箒は星矢とセシリアの説明で何とか理解したが、それでも不安が拭いきれなかった。何せ一夏は反撃の際にショットガンを呼び出して鈴に向けたのに対して鈴は義手である左手で銃口を上に逸らした後にショットガンを握りつぶしたのだから。それでも箒が出来る事といえば、唯一夏の勝利を祈るだけであった。

 

 

「(何だろう、この胸騒ぎを起こす様な感覚は……何かこっちに向かってくる様な気配。……嫌な予感がする)」

 

 

そう思った僕は、唯の憂鬱であってほしいと願うばかりであった。しかし、その願いは叶わぬ物となる事を今の僕は知る由もなかった。そして試合の終盤まで一夏と鈴はSEを削り合い、互いは決着をつける為に最後の攻撃を行おうとしていた。

 

 

「そろそろ年貢の納め時ってところね、これで決着をつけるわよ!一夏っ!!」

 

「あぁ来いっ!!俺も本気で行くぞ!!」

 

 

互いに動こうとしたその時に、ISのハイパーセンサーから上空に重力異常を感知して一夏と鈴は上を見上げると幻想的な薄紫色の円形状のゲートが開かれていた。その幻想的なゲートを僕は知っていた。本当なら起こってほしくないほどに………。

 

 

「スリップスペース!?……まさかっ!」

 

 

そう思った僕は直ぐにアリーナのピットまで全力疾走して一夏のところに向かうのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

デイジーSide

 

 

その頃、デイジー達も突然上空に現れたスリップスペースを見て星矢と同じことを考えていた。

 

 

「あれは……まさか、コヴナント!?」

 

「判らない、でも今は生徒達を安全な所に避難させましょう!」

 

「分かった、アリーナの客席にいる全生徒に告げる。避難警報発令!生徒達は教師達の指示を聞いてアリーナから退避せよ!繰り返す、生徒達は教師達の指示を聞いてアリーナから退避せよ!」

 

 

デイジーはアリーナ管制室のマイクを使い全生徒に避難警報を発令させる。それを聞いた教師達は女子生徒達をアリーナから避難させるのであった。その時に織斑先生から通信が入る。

 

 

『どういう事だデイジー、お前はあの異常現象を知っているのか?』

 

「異常現象どころではない!あそこから敵が来る!」

 

 

デイジーから“敵”という言葉に察したのか織斑先生は何処の者かを聞き出した。

 

 

『何っ?それはどこの()だ』

 

()()()()()ではない!宗教軍事国家“コヴナント”だ!悪いが通信を切る!」

 

『待てデイジー!それはどういう……』

 

 

織斑先生の問いに答えることもなく通信を切ったデイジーは、懐からペンダントを取り出す。そのペンダントは唯のペンダントではない。星矢たちと同じミョルニル・アーマーにISコアを入れたIS版ミョルニル・アーマーの待機形態なのである。カルもまた然りである。

 

 

「万が一の事がある。急いで一夏たちの所にに向かおう!」

 

「ええっ何しろ一夏はコヴナントとの戦闘はこれが初めてだからね、急がないと!」

 

 

そう言ってデイジー達は走りだし、一夏たちの所に向かった。

 

 

デイジーSide out

 

 

 

一夏Side

 

 

その頃一夏達は上空から出現したスリップスペースを見て嫌な予感を感じていた。

 

 

「鈴、かなり嫌な予感がしてくるんだが……」

 

「奇遇ね、あたしも嫌な予感がするわ……」

 

 

そう考えていると、スリップスペースからコヴナントの兵員輸送機であるファントム三機が出て来たのだ。そしてファントムからブルートチーフテンとブルートリーダー率いるブルート三個分隊が降りてIS学園に攻めて来たのだ。兵員の輸送を終えたファントムは再びスリップスペースに戻ってアリーナから去る。コヴナントを初めて見た鈴は驚きを隠せないでいたが一夏だけは違った。

 

 

「アレは……ゴリラかしら?」

 

「……鈴、お前はすぐにここから逃げろ!」

 

「はぁっ?何言ってんの!アンタを置いて行けるはず無いじゃない!!いくら相手が銃を持ったゴリラだからって……」

 

「アレはゴリラなんて生易しい者じゃない。彼奴らから尋常じゃない殺意を感じる」

 

 

一夏はジラルハネイことブルート族の殺意を感じ取って危険を察知して鈴を逃がそうとするもブルートが一夏達を見て声を上げる。

 

 

「いたぞ、例の悪魔だ!」

 

「悪魔もろとも人間を殺せ!異端者を殺せ!」

 

 

そう言ってブルート達はType-25“スパイカー”やType-51“コヴナントカービン”を一夏に向けて撃ってきたのだ。一夏と鈴は撃ってくる前にすぐ回避行動を取った為当たることはなかった。アリーナの壁にはスパイカーから放たれる金属スパイクが無数も突き刺さっていたのだ。

 

 

「ちょっ!?何なのよあのゴリラ擬きは?!喋り出した途端にあたし達を攻撃してきたよ!」

 

「少なくとも彼奴らは友好的じゃなくて敵対的な奴らだってことは分かった。それに、ハンマーっぽい物を持っている奴は相当にやばい奴だ」

 

『織斑くん、凰さん聞こえますか!今すぐアリーナから脱出して下さい!直ぐに先生達がISで制圧に行きます!』

 

「いやっ山田先生、寧ろ先生達をこっちに来させないで下さい。俺が食い止めます」

 

『え!?だ…駄目ですよ!あなた達を危険な目に合わせるわけには……』

 

 

一夏は山田先生の通信を切った後に鈴に逃げる様説得しようと考えたが無理と判断した。

 

 

「鈴、エネルギーはどの位残っている?」

 

「ギリギリね。あと一〜二発受ければ切れるわ」

 

「そうか、不味いなこいつは……だったら!」

 

 

状況が最悪な中一夏はある決断をし、IS版ミョルニル・アーマーのリミッターを解除するのであった。すると一夏のSEがオートリチャージを開始した。そしてその同時にアリーナのピットから星矢とデイジー達がやって来たのだ。

 

 

「一夏、無事か!」

 

「星矢?!お前何で…?」

 

「説明は後だ!カル、デイジー、行くぞ!」

 

「「了解!」」

 

 

星矢屋はIS版ミョルニル・アーマーを展開すると同時にリミッターを解除し、それぞれが戦闘態勢を取った。特にデイジーとカルは旧式のGEN1からGEN2に置き換えている為にSPARTANの戦闘能力を最大限に発揮出来る様にアップグレードされているのだ。デイジーが装着しているアーマーはGEN1の“CQB”からGEN2の“ウォーマスター”に変わっており、カルはGEN1初期の“Mk-Ⅳ”からGEN2の“サイファー”に変わっているのが分かる。それぞれアサルトライフルやショットガン、サブマシンガンを手に持ち、一夏達と合流する。

 

 

「一夏、もう既にリミッターを解除しているな?」

 

「ああ、もうSEは完全に回復した。戦闘続行は可能だ」

 

「はぁっ!?SEが回復?!どんだけチートじみてるのよアンタ達のISは!!」

 

「正確にはミョルニル・アーマーにISコアを入れただけなんだけど。……さて、おしゃべりはここら辺にしよう。何かコヴナントが僕たちを待っていた様だ」

 

 

そう星矢が言ってコヴナント側を見ると、それぞれのブルートが威嚇の唸り声を上げて星矢達をいつでも殺せる準備をしていた。すると青いアーマーを着たブルートチーフテンが星矢に話しかけてきた。

 

 

「悪魔ども、最後の会話をすませたか?」

 

「………」

 

 

星矢はブルートチーフテンの問いに答えず、M9手榴弾を呼び出してそのまま信管を起動させ、ブルートチーフテンの背後にいるブルートたちに向けて投げつける。星矢の行動に気を取られて回避するタイミングを逃してそのままM9手榴弾による破片と爆風によってブルートの二〜三匹は絶命する。それがコヴナントに対して星矢なりの宣戦布告であった。

 

 

「!……グォォオオオーー!!」

 

 

ブルートチーフテンの咆哮を合図にブルート達が一斉に星矢達に襲いかかる。そして、一夏を除く星矢達も対コヴナント戦闘に切り替えるのであった。

 

 

「Ⅳ、お前はブルート達から切り抜けて鈴をアリーナから脱出させろ!その後に戦闘に復帰!」

 

「了解っ!鈴、行くぞ!」

 

「わ…分かってるわよ!」

 

「カル、デイジーは僕と共にコヴナントの指揮官以外の敵を掃討するぞ!その後に、奴らから直接この地球になにしに来たのか聞く為に指揮官を捕縛するぞ!」

 

「「了解っ!」」

 

 

星矢の指示を皮切りに一夏は鈴を守りながらアリーナから退避し、星矢はM7サブマシンガン、デイジーはM45Dタクティカルショットガン、カルはMA5Dアサルトライフルを構えてそのままコヴナントのブルート達に向かって攻撃を開始するのであった。

 

 

一夏Side out

 

 

 

千冬Side

 

 

私は今、ありえない光景をモニターの前で目撃していた。山田先生も同じ気持ちであろう。何せ上空で起きた重力異常現象から我々が見たこともない兵員輸送機が出てきたのだ。デイジーが言っていたコヴナントと呼ばれる者達の事であろう。…しかし問題はそこではない。我々が今、目にしているのは人間ではない。ゴリラと似た姿をしており、しかもそのゴリラ擬きは一夏達を見た瞬間に人間が発する言葉を使っていたのだ。“悪魔”、“人間”、“異端者”。三つの内二つである悪魔と人間。これはおそらく悪魔は星矢と一夏ことSPARTANのことを言っているのであろう。そして人間は星矢達以外のことを指しているのならば、異端者というのは何なんだ?異端者というのは正統から外れた思想・信仰をもつ者のことを言うのだが………まさか、星矢達を含め我々人間の事を言っているのか?そう考えている間に一夏達はそのコヴナントとやらに攻撃されていた。その時に星矢とデイジー達のSPARTANがやって来た。デイジー達は星矢と同じ様にIS版ミョルニル・アーマーを展開して、一夏達と合流する。その時にコヴナントの隊長格らしき存在が星矢に話しかけるが星矢はその隊長格の問いに答えぬ代わりに手榴弾を投げつけて二、三匹?が手榴弾の餌食になった。星矢の行動にキレたのか咆哮を上げる事で他のコヴナントが一斉に星矢達に襲い掛かった。その時に星矢達は人が変わった様に一夏やデイジー達に指示を出して戦闘を開始したのだ。……冷静な判断力と行動力、これが超兵士SPARTAN-Ⅱの力なのか………。

 

 

「ど…どうしましょう?!織斑くんは凰さんを連れて避難しましたけど、星矢くんとデイジー先生達はあの正体不明の者達と戦闘状態に入っちゃいました!」

 

「落ち着け、織斑や凰はともかく、泉谷とデイジー先生達はあの超兵士SPARTAN-Ⅱだ。あの正体不明者(アンノウン)の出現で教頭部隊も混乱している。織斑のいう通り出撃させない方が良い。……情けない事だが、今は泉谷達に任せる他はない」

 

 

あのコヴナントと呼ばれる連中と戦闘をしている星矢達を見ている最中、セシリアと箒がアリーナのピットにやって来た。

 

 

「先生!私にISの使用許可を!すぐに出撃できますわ!」

 

「そうしたいところだが、相手はISでも何でもない正体不明の敵だ。下手をすればISを使用したとしても負ける可能性が高い」

 

「それだけじゃない、彼奴らは俺たち人間に対しての殺意が異常だ。迂闊に教頭部隊を派遣させたら確実に死者が出る」

 

 

織斑先生が説明している時に第三者の声が聞こえた。その正体は、鈴をアリーナのピットまで退避させた一夏だった。

 

 

「一夏っ!?無事だったのか!」

 

「あぁ…だが直ぐに星矢の所に戻る。ちふ……じゃなくて、織斑先生、鈴を頼みます」

 

「!待てっ織斑!勝手な判断は……」

 

 

箒の安堵を聞き、織斑先生の制止を聞かず、一夏は再びアリーナの方に戻って行った。すると鈴が織斑先生に一夏を行かせる様説得した。

 

 

「先生……一夏を行かせて下さい、アイツなら大丈夫です。アイツはアレでも……」

 

「分かっている……分かっているのだ。しかし……私とて、もう家族を失うのは嫌なんだ」

 

 

織斑先生の手には知らぬ内に力を込めすぎて血が出ていた。何もできない無力さに、唯怒りを覚えるのであった。

 

 

「織斑先生………んっ?ああーっ!!」

 

 

その時に山田先生はモニターを見てアリーナの実況用管制室に一人、逃げ遅れた生徒がいるの確認した。

 

 

「むっ?山田先生、どうした?」

 

「たっ大変です!管制室に生徒が一人逃げ遅れています!!」

 

「何だとっ!?」

 

「うそっ!?」

 

「何ですって!?」

 

「……っ!」

 

 

その逃げ遅れた生徒はデイジーが生徒達に避難指示を出した時に他の女子生徒たちとぶつかって足を捻挫してしまい、身を隠す為に管制室に隠れていたのだ。これを見た箒たちは生徒を助ける為に管制室に向かうと織斑先生達に伝え、管制室に向かおうとする。

 

 

「先生!私がその生徒を連れて避難させます!」

 

「篠ノ之さん、待って下さい!私も行きます!」

 

「待ちなさいアンタたち!あたしも行くわ!」

 

「あっ…駄目ですよ!待って下さい、篠ノ之さん!オルコットさん!凰さん!」

 

「……あの馬鹿どもが」

 

 

山田先生の制止を聞かずに箒たちは逃げ遅れた生徒を助けるために管制室に向かう。箒たちの危機感の無い行動に苛立ちを覚えながらアリーナ内で戦闘をしている星矢たちに連絡を入れるのであった。

 

 

千冬Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

僕たちはコヴナントのブルート族と交戦している時に一夏と合流してブルートチーフテンの取り巻きであるブルート達を一掃したと同時に織斑先生から通信が入り、それを開くと織斑先生からあることを告げられた。

 

 

「何だって…!?管制室に逃げ遅れた生徒を助け出す為に箒達が!?」

 

『あぁ…最悪なことにな。お前たちの方はどうだ?』

 

「えぇ、こっちはブルートチーフテン以外のブルートはちょうど片付けたところです」

 

『そうか、ならすぐに箒達や逃げ遅れた生徒の救助を頼む』

 

「了解です!……Ⅳ、お前は先に管制室に向かい箒達や逃げ遅れた生徒を救助に迎え!」

 

「了解!」

 

 

一夏は星矢の指示で箒達の方に向かうのを見た青のブルートチーフテンは、赤と黒のアーマーを装着しているブルートチーフテンに一夏が向かった方向に向かう様に顔を振るって指示を出す。そして緑のアーマーを装着しているブルートチーフテンはType-52“プラズマキャノン・タレット”を持って星矢達に制圧射撃を行う。しかし星矢達はいち早く走り、プラズマキャノン・タレットのプラズマ弾を躱す。

 

 

「デイジー、カル。お前達はそこの青のブルートチーフテンを無力化してくれ。奴なら情報を持っているかもしれない」

 

「分かった、私とカルで何とか奴の攻撃力を奪う」

 

「その間、あなたはそっちのブルートを!」

 

「分かっている。任せろ…!」

 

 

そう言ってサブマシンガンを収納し、サブマシンガンの代わりにソード・メイスを呼び出してそのまま緑のブルートチーフテンに向かって突撃した。緑のブルートチーフテンはプラズマキャノン・タレットから放つプラズマ弾の弾幕を星矢に浴びせるが、星矢はアーマー・アビリティの一つである“硬化シールド”を左腕から展開してそのままブルートチーフテンとの距離を詰める。ブルートチーフテンは星矢が倒せないことに焦り出し、気づいた時にはプラズマキャノン・タレットがオーバーヒートを起こしてしまい、一時的に使えなくなってしまう。ブルートチーフテンは懐に装備しているスパイクグレネード取り出し、信管を入れて星矢に投げつけるより先に星矢は間合いを詰めてそのままソード・メイスをブルートチーフテンの頭に叩き付ける。その結果、ブルートチーフテンの頭部がトマトの様に潰れてそのまま絶命し、すぐに距離を取って硬化シールドを展開してスパイクグレネードの爆発とスパイクを防ぐ。ブルートチーフテンを倒した星矢は己がアーマーを見てみると、ブルートチーフテンの頭部を叩き潰した時に出た返り血を浴びていることに気づく。

 

 

「倒したのは良いものの、返り血を浴びてしまったか。これが終わったら、後でアーマーの洗浄しないと……」

 

 

そう呟くながらも星矢はデイジー達の方を見ると青のブルートチーフテンの腕と足に長槍が地面に突き刺さっており身動きができない状態に生け捕りにされている光景を見た。その時に星矢は思った。“…あの様な戦法があったっけ?僕が言えたことじゃないと思うけどアレはアレで怖いな(汗)”そして星矢は箒達の救助に向かった一夏を援護するために管制室に向かうのであった。そして管制室に到着した時には、右前腕部と首を刎ねられたブルートチーフテンの死体と背中と左腕に斬り傷を負い、箒達を守りきった一夏の姿があった。

 

 

続く……。

 





SPARTANでもある一夏と互角に戦う鈴。
試合の最中にコヴナントが介入し、一夏達へ無差別に攻撃。
星矢とデイジー達はブルートチーフテンを捕縛する為にコヴナントと戦闘開始。
星矢の指示で一夏は箒達の救助に向かう。


次回は、一夏が別の意味で覚醒します。


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一夏が戦いの最中、覚醒した結果…

第1章の第12話、始まります。


一夏よ、今こそ極まれる時。


 

 

 

星矢が管制室に着く五分前……

 

 

 

箒Side

 

 

私たちは逃げ遅れた生徒を救出しに管制室に到着して、逃げ遅れた生徒を探していると実況用の机の下に隠れているのを発見した。

 

 

「大丈夫か?歩けるか?」

 

「え…?助けに来たのですか?」

 

「他に何がある?それよりも、早くここから離れよう!……歩けるか?」

 

 

箒は逃げ遅れた生徒の足を見て歩けるかどうかを聞いた。

 

 

「っ……立てなくは無いけど、走るのは無理みたい」

 

「そうか……セシリア、鈴、彼女を担いでくれるか?「箒っ!」!?……一夏?」

 

 

箒は逃げ遅れた生徒をセシリア達に任せる時に一夏が星矢の命令で此処にやって来たのだ。

 

 

「良かった、全員無事か。本当なら怒って一度説教したいのは山々だけど、今は生徒を連れてすぐにここから離れるんだ!」

 

「す……すまない。今すぐに……!?」

 

「!……くっ、もう来たのか!」

 

 

箒は一夏の背後から星矢達が戦っている正体不明ことコヴナントのブルートチーフテンが一夏の後を追って来たのだ。Type-2“グラヴィティ・ハンマー”を地面に引きずらせて金属音を鳴らし、その者の恐怖を煽らせていた。セシリアはブルートチーフテンを見てもしやと思い鈴に聞き出す。

 

 

「鈴さん、アレはもしかして……!」

 

「えぇ…あたしや一夏が遭遇したゴリラ擬きよ!」

 

「くそっよりによってこんなタイミングで…!」

 

「フンッ悪魔め、女共を庇いながら戦えるか?」

 

 

ブルートチーフテンはグラヴィティ・ハンマーで一夏を威嚇する様に振るい、戦闘態勢を整える。そして一夏は箒達に逃げる様に指示をだす。

 

 

「箒、みんなを連れてここから離れてろ!出来るだけ遠くだ!」

 

「わ…分かった!一夏……無事でいてくれ!」

 

 

箒はセシリア達を連れて管制室から避難すると同時にブルートチーフテンが動き出して一夏をグラヴィティ・ハンマーで叩き潰す様に振るうが一夏は紙一重のところで躱す。私は唯、一夏の無事を祈りながらセシリア達と共に管制室から離れるのであった。……しかし、私の中の不安が拭いきる事は無かった。

 

 

箒Side out

 

 

一夏Side

 

 

一夏はブルートチーフテンのグラヴィティ・ハンマーに警戒しながらも敵の攻撃を躱しながらも振るった後の隙を狙っていた。

 

 

「わっ…と、危ねぇ!?」

 

 

一夏はブルートチーフテンがグラヴィティ・ハンマーを振るいきる隙を見て高周波ブレードと専用の鞘を呼び出して高周波ブレードを鞘に納め、居合斬りで反撃する。しかし、居合で高周波ブレードを振るったものの斬ったという感触が一切しなかったのだ。一夏はその原因を確認すべく高周波ブレードの刃を見ると、何と、ブルートチーフテンがアーマーに搭載されているSEを応用して高周波ブレードから高周波を放つ刃を左手で掴んでいたのだ。

 

 

「んなっ……!?」

 

「……フッ!」

 

 

ブルートチーフテンは残った右手に持つグラヴィティ・ハンマーの刃の部分に持ち替えてそのまま叩きつける様に振るう。その時に一夏は咄嗟に鞘を収納し、代わりに雪片二式を左手に呼び出して防御するもブルートチーフテンはそんなことも御構い無しに何度も振るい、ある程度振るった後に今度は下から一夏の高周波ブレードの柄の鵐目部分に当てると同時にハンマーから衝撃波を放ち、その反動で吹き飛ばされる一夏は管制室の壁に叩きつけられ、その衝撃で口から血を吐く。

 

 

「かはっ……!?」

 

 

その時にSEが切れると同時にオートリチャージシステムが壁との衝突で破損して使えなくなり、手から雪片二式を手放してしまう。そのまま一夏は重力に流されるがまま壁から離れ、地面に膝を着くのであった。その時にヘルメットの固定ロックシステムが逝かれてしまい、ヘルメットがそのまま下へ落下する様に外れてしまい、無防備の頭部をさらけ出してしまうのだった。一夏の頭から血が流れ出ていた。おそらく壁に激突した時、同時に頭もぶつけたと思われる。

 

 

「くそっ……どんだけ強いんだよ……こいつは……!」

 

「フンッ……存外大したことはなさそうだな、この()()()は!」

 

 

一夏は雪片二式を拾い上げ、杖の代わりにして無理やりに身体を起こす。そして高周波ブレードを再び構えてブルートチーフテンに挑まんとしたその時に……。

 

 

「一夏ぁっ!」

 

「な!ほ…箒?!」

 

「ほうっ?」

 

 

アリーナから避難した筈の箒がこっちに引き返して来たのだ。この異常事態に一夏は最悪な展開を予想してしまった。

 

 

「男なら……男ならっ、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!」

 

「ば…馬鹿!!何で戻って来たんだっ!」

 

「フッ……戦いの中で邪魔をするメス()が一匹か、此処にいても目障りだ……俺の戦いの肥料になれっ!」

 

「…!不味いっ!?」

 

 

ブルートチーフテンが行動を起こすより先に一夏はISの瞬時加速で箒のもとへ急行し、そのまま箒を抱く様に庇い、ブルートチーフテンのグラヴィティ・ハンマーの刃部分をがら空きのアーマー越しの背中に強く撃ち込まれる。その衝撃で一夏は声を出す間もなく、箒と共に流されるがままに飛ばされてそのまま気を失う。

 

 

一夏Side out

 

 

 

箒Side

 

 

私はコヴナントが迫ってくる時に殺されるという恐怖心が走ってしまい身動きが取れなくなった時に一夏が私を庇う様に代わりに敵の攻撃を受けてしまい、一夏諸共私も一緒に飛ばされてしまう。

私は一夏が庇ってくれたお陰か気を失わずにすんだ。その時に一夏の様子を確認した時、一夏の背中には大きな傷跡が出来ていた。アーマー越しとはいえISの絶対防御が全くもって()()()()()()()()()のだ。

 

 

「…一…夏…?……っ!……一夏っ!しっかりしろ!」

 

 

私は咄嗟に一夏を起こそうと必死に揺す振らす。しかし、揺す振らしても一夏が目覚める気配が無かった。その時にコヴナントが巨大なハンマーをもってこっちにやって来たのだ。

 

 

「ハッハッハッ!存外呆気なかったな、まさか女を守る為に自ら攻撃を受けるとはな!最も、貴様という女がいなければ()()()()にはならなかっただろうな?」

 

「!……貴様ぁぁぁあああー!!」

 

 

コヴナントが言った言葉に対して癇に触れたのか、私は咄嗟に一夏が使っていた高周波ブレードを拾い上げ、無我夢中にコヴナントに斬り掛かる様に高周波ブレードを振るう。しかし、激情に身を任せた攻撃が通じる訳も無く、ハンマーで防がれた後にそのまま私の腕を掴み、力任せに一夏の方まで投げ捨てられる。その時に私は受け身をとれずそのまま地面にぶつかり身体を強打してしまう。

 

 

「あ……ぐぅ………!」

 

「フン、ISとやらがSPARTAN(悪魔)の劣化版と言えど、所詮は女。殺すのも飼いならすのも容易いものだ」

 

 

コヴナントがそういうとハンマーを構え直し、こっちに向かってくる。あれは恐らく、私を止めをさす為であろう。……すまない、一夏。お前の言う通り、ちゃんと逃げれば良かったかもしれない。……今から、そっちに向かう。そう思ったその時……。

 

 

「……ま…てっ………」

 

「っ!?……まさかっ!」

 

「ほう?まだ生きていたのか?」

 

 

箒を守らんが為に、必死に身体を起こそうとしている一夏の姿があった。

 

 

箒Side out

 

 

 

一夏Side out

 

 

何とか目を覚ました一夏は、身体の五感がうまく機能していない事を気付きもしないまま身体を動かして箒の前に立つ。

 

 

「一夏……わ………私は………」

 

「フンッ!死に損ないめ、まだ歯向かう力を残っていたか」

 

 

その時の一夏は何も返さなかった。唯右手に持つ雪片二式と左手から新たに呼び出した雪片二式専用の鞘を持ち、雪片二式をその専用の鞘に納めて居合斬りの構えを取る。その時に一夏の脳裏にある映像が流れ出す。その映像は、ブルートチーフテンがどの様に攻撃してくるのかの()()であった。脳裏に映った光景を見た一夏は、“もしや”と思いそのままブルートチーフテンに接近して鞘からブレードを抜刀してブルートチーフテンに斬りかかるが前の戦法は通じぬと言わんばかりにブルートチーフテンはアーマーのSEを応用して左手でブレードの刃を掴み、グラヴィティ・ハンマーで一夏に叩き込もうとするが、一夏はこの攻撃を利用してブルートチーフテンに駆け上る様に踏み台にして左手掴まれていたブレードを上手く外し、ブルートチーフテンから離れる様に真横に飛び跳ねると同時にグラヴィティ・ハンマーの柄部を両断して距離を取ったのだ。ブルートチーフテンは一夏の行動に少し驚きもしながらも壊れたグラヴィティ・ハンマーを投げ捨て、ある武器を取り出していた。

 

 

「むっ!ほほう、小悪魔の割には小癪な手を使う。ならこいつで伐採してくれる」

 

 

その武器はこのブルートチーフテンの趣味なのか、自作された血染めの片刃の鉄の手斧を腰から二つ取り出して持ち構えた。そして一夏は敵が如何に武器を変えようと臆することなく雪片二式を専用の鞘に納め直し、居合斬りの体勢に入る。その時に一夏は、あの脳裏に映った予知の発現方法を見つけたのか一夏はあえて目を閉じ、そのまま無心となり、五感の視覚と聴覚を封じて脳が認識する時差を狭める。

 

 

「……またその構えか、いい加減見飽きた。あの小癪な手は二度と通じん。精々俺の手斧の錆となり、いい肥料になれ!」

 

 

ブルートチーフテンは一夏の居合の構えに飽きを感じた分、一夏を始末する為にブルートチーフテンは一夏に向かって駆け出す。その時の一夏の脳裏に再び予知が見えたのだ。ブルートチーフテンが左手に持つ手斧を投擲し、そして残る右手に持つ手斧で振るう光景を。それを見た一夏は目を開け、ブルートチーフテンを見る。するとブルートチーフテンは一夏の脳裏に映った予知通りに左手の手斧を投擲して来た。一夏は鞘に納めている雪片二式の柄を逆手に持ち、そのまま抜刀して投擲して来た手斧を両断して防ぐと同時にブルートチーフテンに背を向ける。ブルートチーフテンは一夏の行動を気にせずそのまま右手に持つ手斧を一夏に向けて振るい下ろす。そして一夏は雪片二式を逆手から順手に持ち替えてそのままブルートチーフテンの右腕を払う様に雪片二式を振るう。その結果、一夏の左腕の肩から二の腕部までの肉をミョルニル・アーマーの専用スーツごと削ぎ落とされたのだ。

 

 

「っ!…一夏ぁっ!」

 

「……フッ」

 

 

ブルートチーフテンはこの時勝利を確信したのか地面に突き刺さっている手斧を引き抜こうと右腕を動かそうとしたが、右腕が全く動かなかった。その時にブルートチーフテンの右腕の二の腕部に斬り傷が浮き出ると同時に指先から二の腕までの部分がブルートチーフテンから離れる様に“ごろりっ”と落ちていった。

 

 

「!?……グォッ…オオォォオ!?」

 

 

左手で斬られた右腕を押さえ右腕の痛覚に襲われるブルートチーフテンの姿があった。あの時の一夏は、ブルートチーフテンが手斧振り下ろす時に右腕を払う様に雪片二式を振るう時にブルートチーフテンの右腕の二の腕を血痕を残さずに切断したのだ。ブルートチーフテンが斬られた事に気づかないほどに。この時の箒は一夏がどうやってブルートチーフテンの右腕を斬り落としたのかは理解できなかったが、一夏が敵の攻撃を見切っていた理由が少しだけ分かった気がした。

 

 

「……最速の……感覚?」

 

 

そう呟いた箒の言葉を気にせず一夏は左腕を斬られたのにも関わらず雪片二式を鞘に納めブルートチーフテンの方に向く。そしてブルートチーフテンは残った左腕で地面に突き刺さっている手斧を引き抜き、一夏を見てより強い殺意を抱いた。

 

 

「くっ……貴様っ……!」

 

「……煩悩は心を乱す。お前の煩悩は殺戮の欲望、恐れるのは俺たちという悪魔に命を狩られる己自身か?」

 

 

一夏はそう言いながら鞘から雪片二式を少し引き抜き、居合の構えを取る。その時にブルートチーフテンは一夏に対する憎悪と怒りが支配していた。

 

 

「(巫山戯るな…!何故、何故よりによって瀕死に追いやった小悪魔にここまでコケにされるのだ!許さん……許さんぞ!!人間風情がっ!!)……ウガァァアア!!」

 

 

ブルートチーフテンの怒りが頂点に達し、凶暴化となり、怒りと本能のままに左手に持つ手斧を一夏に向けて力任せに振るう。そして一夏は雪片二式を鞘から抜刀し、力任せに振るうブルートチーフテンの手斧の攻撃を防ぎ、それを左へと受け流す。それでもブルートチーフテンは勢いを止めずそのまま一夏へ再び攻撃を仕掛ける。

 

 

「…ゥゥウガァァアアアー!!」

 

「……フンッ!」

 

「ウガァッ……」

 

 

……勝負は一瞬だった。一夏は雪片二式をブルートチーフテンの首を狙い、振るい上げる。その時にブルートチーフテンが動かなくなったのだ。そしてしばらくすると、ブルートチーフテンの首が下に落下する様に滑り落ち、首が無くなったブルートチーフテンの首元から赤黒い血吹雪が吹き上げていた。やがて物言わぬ屍となったブルートチーフテンはそのまま地面に倒れ伏したのだ。一夏は雪片二式を下ろすと、ちょうど星矢が駆けつけて来たのだった。

 

 

「やれやれ……今回ばかりは………無理し過……ぎた………な…………」

 

 

そうつぶやくと同時に一夏は意識を手放し、ISも自動的に解除されてその場で倒れ込んでしまうのであった。

 

 

一夏Side out

 

 

 

そして、今現在に至る……。

 

 

 

星矢Side

 

 

正直言ってこれはどういう状況なのかすら理解出来なかったが、今分かることといえば一夏が重傷を負っていることは理解できた。僕は一夏達の下に向かい、箒から一夏はどういう状態なのかを聞き出した。

 

 

「箒、大丈夫か?今一夏はかなりの重傷を負っているが、何が起きたか覚えているか?」

 

「せ……星矢。……わ……私の、私の所為だ」

 

「箒の所為?それはどういう事なのかは後で聞き出すが、今は一夏の応急処置を手伝ってくれ」

 

「手伝うって……私に医療技術などは……」

 

「大丈夫、使うのはONIが作った医療キットで傷口を塞ぐ。箒、こいつのノズルを起こして一夏の傷口に向けてトリガーを引くんだ」

 

 

僕は箒に“バイオフォーム”が入ったバイオフォームボンベを渡して一夏の左肩の削ぎ後の傷と背中の斬り傷にノズルを向けてそのままトリガーを引き、バイオフォームを噴出させて一夏の傷口を塞ぐのであった。

 

 

「薄緑色の…泡?星矢、これは一体…?」

 

「それはバイオフォームと呼ばれる治療用の物だ。細かい説明は省く、今は一夏を医務室に運ぶぞ」

 

 

そう言って僕は一夏を背負い、箒と共にそのまま医務室に向かうのであった。

 

 

 

IS学園アリーナで起きた“コヴナント襲撃事件”から七日後………

 

 

 

この七日間、色々なことが起こった。先ず一つは箒達の軽率な行動に関してのこと。セシリアと鈴は無事に生徒を救助したものの、あの様な危険行動は目に余ると判断した織斑先生は一週間の謹慎処分と反省文50枚分記入を下した。そして箒はセシリア達の倍の形で処分が決まった。二つ目は一夏の治療具合のこと。一夏は人生初のコヴナント戦で負傷し、左肩の削がれた肉の部分の治療がIS学園の医務室では限界があった為に急遽ONIから治療用のナノマシン入りの液体が入ったカプセルである“メディカル・カプセル”で治療を行うのであった。また、ONIの医療班から聞いたところ、“五感が麻痺しているのにもあの傷でよく身体を動かせたな”と驚きを隠せないでいたそうで、一夏が完全復帰するまでの期間はリハビリを含めて約二週間は要する事になった。そして三つ目はコヴナントの存在である。織斑先生から詳しく説明する様に言われた僕は、ある程度の情報を織斑先生に説明した。コヴナントとは宗教的に同盟を結んだ複数の異星人の種族で構成されている銀河系のオリオン腕の大部分を支配下に置く、強大な勢力であることを。コヴナントの存在をIS委員会に公開すべきかどうかを決めようとした織斑先生に僕はストップをかける。今の世の中、女尊男卑勢の女達が支配しているが故に適当にあしらわれる可能性が高いと判断した。その結果IS委員会にコヴナントの存在を報告しない事にした。その代わり、ONIからは再びコヴナントの襲撃に備えてSPARTANをIS学園に教師という形で増員する事に決定した。その後に織斑先生から一夏がブルートチーフテンの戦闘映像を見せられて“これを見てどう思う?”と問いかけられた。

 

 

「どう……というのは?」

 

「……織斑があのブルートと呼ばれるコヴナントの攻撃をまるで予知していた様な動きをしていた。泉谷、お前はどう思う?」

 

 

そう織斑先生から言われた時に思い当たる節があった。ONI医療班が言っていた一夏の五感の一時的麻痺と一夏の戦闘映像から見た未来予知に近い先読みの行動。その結果ある答えが浮き上がってきた。

 

 

「……おそらく、一夏はあの戦いの中で“最速の感覚”を習得したかもしれません」

 

「最速の感覚……だと?」

 

「見えないものが見える仏の境地。前に医療班から聞いたのですが、あの時の一夏は五感が一時的に麻痺していた様です。その五感の一時的麻痺を利用して…」

 

「最速の感覚を習得した。……ということか」

 

「そういう事になります。僕は今から一夏の見舞いに向かいます」

 

 

そう言って僕は一夏がいる医療室に向かうのであった。そして一夏がいる医療室に到着し中に入るとベットで横たわる一夏の姿があった。

 

 

「どうだ一夏、傷の方は?」

 

「星矢か……いまのところはって感じだな。医療班から腕の治療は無事に終わったのは良いのだが、リハビリは早ければ一週間も経たずに完治するだそうだ」

 

 

“そうか…”と僕が言った時に医療室に鈴が入ってきた。

 

 

「一夏っ!アンタ大丈夫!?アンタ左肩を削がれた傷は!?「鈴、声が大きい」……ご…ごめんなさい」

 

「大丈夫さ…鈴、腕の方は一週間も有れば完治するからな」

 

 

鈴は一夏がブルートチーフテンによって左肩の肉を削がれた事に気にしていた。いくらSPARTANでも身体は人間であり、限界は存在する。一夏は腕の件は大丈夫であることを鈴に伝える。そして僕は場の空気を読んでこの部屋から退出するのであった。ああいうものは迂闊に邪魔をしてはいけないな……。

 

 

星矢Side out

 

 

 

一週間前……

 

 

 

束Side

 

 

その頃、束はクロエ達を連れてONI本社に到着したと同時にハルゼイ博士からフラッドの胞子に感染してないか確認してもらうのであった。その結果、感染はしてはいないという結果が出た。その後はONI本社に少しだけお邪魔する形で泊めさせてもらうのであった。なお、この時の束はIS以外で宇宙に行くのが初めてでもあり、無限の宇宙に旅立つ為のロマンの一つ、宇宙船の建造ステーションで停泊しているのはフェニックス級コロニー船を戦艦兼強襲揚陸艦へ改装したこの世界の“CVF-88 スピリット・オブ・ファイア”である。そのスピリットの中のある研究室で束達は外の宇宙を堪能していた。

 

 

「おぉ〜っ。やっぱり宇宙は良いね〜♪あの子達もいつかこの広い宇宙を駆け巡らせてあげたいな〜」

 

《それには貴女の妹さんも含まれているのかしら?束博士》

 

 

すると端末から女性型の姿をしたホログラムが出て来た。その正体はハルゼイ博士のクローン脳を20個生産しそれを元に彼女が作られたAI“コルタナ”である。

 

 

「もちのロンだよコルちゃん!箒ちゃんやいっくん、ちーちゃんとせーくんとクーちゃん、私の子達と一緒にいろんな宇宙を駆け巡るんだ♪」

 

「それは素晴らしい事ですね。私たちも出来る事ならお手伝いいたしますので何でも言って下さい束様」

 

「そうですね、私の場合でしたら地球と同じ濃度の惑星の座標がありますのでその惑星で空を飛ぶと言うのも良いものですよ?」

 

「私はフォアランナーや束博士を守れるならそれ以外は何も求めないのだが……」

 

《あらっセンチネルの方は欲が薄いのね?……えっ…この通信ログは?》

 

 

コルタナは会話の最中ある通信ログを傍受すると艦内のスピーカーから放送が入る。

 

 

『緊急事態発生!IS学園にてコヴナントと交戦し、殲滅に成功とのこと。されどウルフチームよりエマージェンシー!行動可能な医療班は直ちに緊急出撃。IS学園に急行せよ!』

 

 

この時に束は箒や千冬などの心配はしたが星矢達によって無事に助かったのだが、その時に一夏が初のコヴナントとの戦闘で大怪我を負ったことを始めて知るのであった。

 

 

続く……。

 





一夏は人生初のコヴナント戦でブルートチーフテンと交戦、後に苦戦。
戻ってきた箒を庇いながらも一夏は最速の感覚のコツを掴む。
ブルートチーフテンとの戦闘において辛くも勝利する一夏。
今の世の中でコヴナントの存在を明るみにすると危険と判断した星矢は、来たる時までこの情報を隠蔽。


次回は、清十郎が星矢にあるサプライズを送ります。


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星矢にサプライズで彼女を送った結果…

第1章の第13話、始まります。


転生者よ、〇〇〇が来る様ですよ?


 

 

一夏の見舞いを終えた僕は、未だ謹慎中である箒の所に訪れるのであった。

 

 

「箒、居るか?」

 

「…星矢か。……何しにきたんだ」

 

「いやっ箒の様子見を兼ねて一夏の状態を報告しにきた所だ」

 

「一夏…!一夏はどうなんだ?」

 

「…医療班によるとリハビリを兼ねて約一週間くらいで完治するそうだ」

 

「そ……そうか、良かった……」

 

 

箒は一夏の安否に不安を生じていたが星矢から一週間ぐらいで完治することを箒に伝えた。幼馴染が心配なのは分からなくもないな……。此処で僕はここで一夏との話題を切り上げ、本題に入ることにした。

 

 

「……さてっ本題に入るけど箒、何であの様な行動を取った?」

 

「そ…それは……」

 

「一夏は箒に逃げろと言った筈、なのに箒は避難したと思いきや一夏の方に戻って来た。その結果、一夏は箒を守る為に箒が受ける筈の攻撃を一夏が代わりに受けたんだ。箒……いやっ、()()の軽率な行動が一夏を死なせ掛けたんだ」

 

「そ…そんな、わ……私は…只……」

 

 

箒は自分が取った行動に改めて思い返して見ると己が浅はかしさと一夏に対する罪悪感に押しつぶされそうだった。流石の僕も言い過ぎたと思い、これ以上攻めることは得策ではないと判断した。

 

 

「……まぁっ最終的に全員無事だったから良しとするけど、これだけは言っておく。勝手なことは僕や一夏、織斑先生も許さんつもりだ」

 

「す…すまない……」

 

「いやっ分かってくれれば良いんだ。“ppp…”ん…通信?ちょっと待って」

 

 

突如と星矢のスマホから父親の通信が来たので箒に通信を入れるので待って欲しいと伝えた後に電話に出た。

 

 

『応っ星矢。元気か?IS学園で無事に青春してるか?』

 

「父さん…何だってこんなタイミングで出てくるの?」

 

『おっと?ちょうど今青春中の真っ只中だったか?まぁっちゃんと連絡した理由はちゃんとある。二つほど大事なことをな』

 

 

父さんが言う大事なことに気になったのか僕は詳しい説明を求めた。

 

 

「大事なこと?それってどんな事なんだ?」

 

『あぁ……まず一つ目なんだが、この前IS学園に襲撃して来たコヴナントのブルートチーフテンを捕らえたよな?』

 

 

IS学園に襲撃して来たコヴナントの中で一体だけ捕縛に成功したブルートチーフテンはIS学園の収容所で監視するのは危険と判断した織斑先生はONI社にブルートチーフテンの尋問及び監視を依頼し、ブルートチーフテンはONI日本支社に搬送されたのだ。

 

 

「あぁ……カル達が捕らえたブルートチーフテンのことか。奴はどうしたんだ?」

 

『……してやられた。あのゴリラ野郎、奥歯に自決用のプラズマグレネードと同質の物の信管を入れて情報を聞き出す前に自爆しやがった』

 

 

どうやら人類に渡す情報は無いとあえて自決したそうだ。父さんの情報曰く、“死こそ聖なる旅立ちの近道、全ては大いなる旅立ちの為に!”とブルートチーフテンは自決したそうだ。

 

 

『すまんな、大した情報を得られなくてな』

 

「いやっ気にしてない。……それよりも自爆となると本社の方は大丈夫なのか?」

 

『その事なんだが、此方に至っては被害は軽少で済んでる。まぁ、大丈夫ってことだ』

 

「そうか……ところで、二つ目の事は何なんだ?」

 

『おっ、その問いを待っていたんだぜ?』

 

 

僕は父さんに二目の事を聞き出したらまるでその質問を待っていたかの様な感じで二つ目の問いに答えた。

 

 

『二つ目の事なんだが、これは星矢のサプライズでもあるんだ』

 

「サプライズ?一体何の?」

 

『それを言ったらサプライズの意味がないだろ?まぁヒントとしてはIS学園に新たにくるであろうSPARTANの増員と共に来るらしいぞ?ヒントは伝えたからな?じゃっ後は自分で察してくれ』

 

 

そう言って父さんは用件を伝えた後に通信を切られた。その時に僕はサプライズのヒントに気になっていた。しかし、流石の僕でも理解出来なかった。取りあえず僕は今考えている事を後回しにして箒との会話を再開するのであった。

 

 

「…ごめん、待たせた。それと箒、もし良ければの話なんだがこれのテストパイロットを受けて見るかい?」

 

 

僕はそう言って箒に折り畳まれたある紙を渡す。箒はその紙を受け取って折り畳まれた中を開くとその紙にはこう書かれていた。

 

 

「“SPARTAN-Ⅳテストプレイヤー募集中”…?星矢、これは一体……?」

 

「文字通りSPARTAN-ⅣのGEN2アーマーのテストプレイヤーを任せたいのだが、これには条件がある」

 

「条件?」

 

「あぁ…これは至ってシンプルなことなんだけど条件は一つだけ、絶対に早まったり、軽率な行動は絶対にしないことが絶対条件だ」

 

 

この時に箒はある二つの事について迷っていた。一つは星矢の言う様にSPARTAN-Ⅳとなれば一夏と共に居られると同時に己自身も人間を辞めてしまうのであろうか?という疑問。しかしSPARTAN-Ⅳは一般の人でも専用の訓練カリキュラムを終えればSPARTANの仲間入りする事を星矢に渡された紙に書かれているとはいえどう判断していいのか判らなかった。そして二つは、一度一夏を死なせかけた事に罪悪感に囚われている為か答えが定まらなかった。その結果、箒の出した答えは………

 

 

「……すまない星矢、その案は保留にしてくれないか?」

 

「……分かった。もし気が変わったら僕に言ってくれないか?」

 

「あぁ……分かった。その……星矢、一夏に伝言を頼めるか?」

 

「伝言?あぁ…それは可能だが、何て言えば?」

 

「……“私が軽率な行動した所為で怪我をさせてすまない”と伝えてくれ」

 

「…分かった、そう伝えとく」

 

 

そう言って僕は箒の部屋から出て医療室に向かい一夏に伝言を伝える為に向かうのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

シャルロットSide

 

 

星矢がIS学園に通ってから約一ヶ月が経ったある日、僕はお義父さんに呼ばれて社長室に来ていた。

 

 

「おっ来たか、シャル」

 

「お義父さん、どうしたの?僕を呼び出して」

 

「あぁ…実は星矢のサプライズのことでな、シャルにはIS学園に通ってもらおうと思ってな。一応シャルの有無を確認してからこれをIS学園に渡そうと思ってな」

 

 

そう言ってお義父さんがデスクから取り出したのはIS学園の通学許可証と僕の戸籍だった。

 

 

「えっ…?お義父さん、それってもしかして……」

 

「まぁシャルが考えている通り、星矢がいるIS学園に通ってもらおうって考えているんだが……「うんっ行く!絶対行く!」お……応っ、そう言うと思っていたからシャルにはONI本社()が開発したミョルニル・アーマーGEN2とISのラファール・リヴァイヴのカスタムハイブリッドした第三世代の専用機ISである“ラファール・R(リヴァイヴ)・スカウト”。こいつのテストパイロットをシャルに任せようと思ってな」

 

 

そう言ってお義父さんは“ラファール・R・スカウト”と呼ばれるISとSPARTAN-Ⅳ用のGEN2アーマーのカスタムハイブリットISの待機状態である橙色のペンダントを渡された。

 

 

「これが……僕のIS……」

 

「あぁ、一応そのISは星矢たちと同じ様にリミッターが施されているからリミッターかかった状態だとISと変わらないからな。あっ…それと、星矢のことを頼むぞ?あいつはあいつで相手のことを理解できるのだが自分のことに関しては結構と言っても良いくらいに鈍いからな。上手くくっ付くことを祈る」

 

「お……お義父さん!?いやっ……僕は、確かに星矢のことを……///」

 

 

その後にお義父さんから“まぁっ頑張れやw”と気楽そうに僕の事を応援してくれたのだけど幾ら何でもいきなりすぎるよ……もうっお義父さんの馬鹿……。

 

 

「あぁ…それと、もし星矢に会ったら“義妹と一緒に青春しろよ?”って伝えてくれないか?」

 

「それも義兄さんへのサプライズの?」

 

「まぁな……星矢のことを頼んだぞ、シャル」

 

 

こうして僕は星矢がいるIS学園に向かう事になりました。星矢……待っててね?

 

 

シャルロットSide out

 

 

 

束Side

 

 

いっくんがコヴナントという連中と戦ってから一週間が経った。コヴナントというのは一体どんな奴なのか見当も付かなかったけど、ちーちゃんの大切ないっくんを傷つけたコヴナントは許せなかった。その時にIS学園からそのコヴナントという奴の捕虜がONI本社にやって来たという情報を元にそのコヴナントの捕虜がいる尋問所に駆けつけてその正体を見た。その正体は、ゴリラの様な姿をし、より凶暴性なエイリアンだった。そして驚いたのは私たち地球の言語の一つである日本語を喋っていたのだ。そして私はこの後に恐ろしい光景を見てしまう。何とそのゴリラ型のエイリアン(後でハルちゃんに聞いたらブルートという名前である事が分かった)は“大いなる旅立ちの為に”と意味有り気な事を言ってから口を開けて奥歯を噛みしめる様に口を閉じると、その瞬間ブルートは爆発したのだ。尋問所はプラズマの焦げ跡とブルート特有の赤黒い血が飛び散っていた。その光景の一部始終を目撃してしまった私は何処ともなく吐き気が込み上がって来た。そこにONIスタッフが気を利かせたのか、私にエチケット袋を渡してくれた。私は遠慮なくエチケット袋を貰い、嘔吐し、そこで溜まっていた物を全て吐き出した。

 

 

「だ…大丈夫ですか?博士」

 

「う…うん。何なのあいつ、あいつの目が異常だった。まるで狂信者の様な感じだったよ……」

 

「狂信者って言うレベルじゃない。あいつらコヴナントはフォアランナーを神として奉り、自分らが神に選ばれた者と自惚れて俺たち人類やコヴナントの行動に反する者を異端者と呼んでいたからな。コヴナントが人類の事をこう思っていたそうだ。“貴様らの破滅は神の思し召しだ。そして…我々は神の遣いなのだ”、てな」

 

「そんな……そんな勝手な理屈で……」

 

「まぁ、俺たち人類もただ単に“ハイそうですか”とむざむざ殺されてたまるかっていう事でハルゼイ博士はこの事を予見してSPARTAN-Ⅱを生み出し、そしてうちのSPARTAN兼若社長が考えた新型アーマーであるGEN2を開発したおかげでコヴナントの連中とまともにやり合えるレベルまで急成長したからな。この会社は……」

 

 

ONIスタッフは今までONI社がもはや民間軍事会社とは呼べない位の技術レベルを所持している事を思い出し、コヴナントがいつこの地球に攻めて来てもいつでもかかって来いと考えていると笑みが自然と出ていた事に気付いていなかった。するとONI本社の外から何かしらの影が通り過ぎた。その物体はフェニックス級の約二倍の大きさで、HALO世界のUNSC主力艦であるインフィニティ級一番艦“インフィニティ”がONI本社の横を通り過ぎたのだ。これを見た束は前に乗せてもらったスピリットとは違う何かを感じていた。

 

 

「大きい……!ねぇ、アレ何なの?」

 

「アレか?スゲェだろ?アレが俺たちONI社の技術者の集大成である主力艦、“インフィニティ”だ。あの艦の中にはストライデント級フリゲート艦が十隻も格納されている。そして何より、偶然か、意図的かは分からないがISの正式名称である“インフィニット・ストラトス”のインフィニットに因んでか同じ無限の名前なんだよな」

 

「インフィニティ……“無限”か……」

 

 

私はONI本社を通り過ぎるインフィニティを見ながらそう呟いた。するとONIスタッフからいっくんが無事に回復している事を伝えてくれた。その時に私はちょっと“ホッ”と安堵した。いっくんが無事で良かった。またあの時の二の舞になるのは私も嫌だからね。

 

 

束Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

コヴナントがIS学園に襲撃してからもう二週間が経った。この二週間で色んなことがあった。先ず一夏は想定以上の回復力で行動復帰可能なほどまでに回復したのだ。しかしながら、まだ病み上がりなので休息を取りながらも一夏は、中学時の悪友である“五反田 弾”に会うべく弾の実家である五反田食堂に向かったそうだ。その時に約二、三年ぶりの再会で弾のリアクションは“デカッ…!?”と一夏の異常な身長差に度肝を抜かれたそうだ。因みに弾の妹である“五反田 蘭”も一夏の身長差に驚きのあまり言葉が出難い状態だった。…まぁ主にSPARTAN -ⅡとSPARTAN-Ⅲは薬物投与の副作用で身長が急激に伸びてしまい、僕や一夏、SPARTAN-Ⅳを除くSPARTAN達の身長はアーマー越しでも約200cm以上の身長になってしまったのだ。そんなこんなで数日後、一夏の左肩が無事に完治して完全復帰した。それから三日が経ち、増員であるSPARTAN2名がやって来る日となった。その時に1組の女子生徒達はISスーツに関するメーカーやデザイン、性能などの話題を出し合いながら会話していた。すると一人の女子生徒が僕たちにISスーツに関する話題を振ってきた。

 

 

「そういえば織斑くんたちのISのスーツってONIが作った新作なの?見たことのない型だけど」

 

「あーっアレか。多分言ってなかったと思うけど、アレはISスーツじゃなくてGEN2用のアーマーを換装させる為の専用スーツなんだ。ISの場合はアーマーパーツ自体がコアと一緒になっているから別系統のパーツとは換装が不可能なんだ。だけど僕や一夏、カル先生達のISは次世代ミョルニル・アーマーであるGEN2は作戦に応じて様々なアーマーに換装が可能なんだ。……まぁっ換装には専用の設備でアーマーを装着する以外の方法はないんだけどね………」

 

 

女子生徒達は星矢が何かしらの苦労をしている事を察したのでこれ以上のことは何も言わなかった。すると一夏が僕に話しかけてきた。

 

 

「星矢、此処に転校生が来るって聞いたか?」

 

「転校生?いやっ聞いてないけど………誰から聞いた?」

 

「いやっ、女子生徒達から転校生がやって来るって小耳にはさんだんだけど」

 

「そっか………ん?アレっ、もしかして……」

 

 

その時に僕は父さんが言っていたサプライズの事を思い出した。SPARTANがIS学園に増員としてやって来ると同時に来ると父さんが言っていたが、もしかして転校生の事だったのか?そう考えていると織斑先生とその背後にいる見慣れぬ生徒がやって来た。おそらく彼女らが転校生なのだろう。織斑先生はSHRを始める前にある事を1組全員に言った。

 

 

「諸君おはよう。山田先生、ホームルームを始める前に転校生の紹介を頼む」

 

「ええとですねっ、今日はなんと転校生を二人紹介いたします!」

 

 

山田先生がそういうと同時に転校生二人が僕たちの前に表した………てっ、えっ?

 

 

「ドイツ代表候補生のラウラ・ボーデヴィッヒさんと、フランス代表候補生のシャルロット・デュノアさんです!」

 

「“シャルロット・デュノア”です。フランスから来ました。僕は泉谷くんと同じONIのフランス支社のテストパイロットとして転入しました。この国では不慣れなことは多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

 

 

シャルの自己紹介が終わった瞬間、女子生徒達の心の中で何かが射抜かれた様な音が聞こえた。………今の音は幻聴だよね?

 

 

「可愛い系の女子が来た!」

 

「ボクっ娘タイプな子なのね?嫌いじゃないわっ!」

 

「どうしよう……私っ、何かに目覚めちゃいそう…!」

 

 

女子生徒達はそれぞれの反応を見せたが、とくに二、三番目の女子は何か言ってはいけない様な言葉を言っていた様な……ってそうじゃなくて!何で義妹のシャルがIS学園に来ているの?!

 

 

「騒ぐな、静かにしろ」

 

「み、皆さんお静かに、まだ自己紹介が終わっていませんから〜〜〜」

 

 

織斑先生に言われて女子生徒達が一瞬で静まり返った。何かのコントかとツッコミたいことがあるけど辞めておこう。そう考えていると、僕の前に出席簿が飛んで来たので瞬時に白刃どりで防ぐ。

 

 

「泉谷……貴様、一体いつになったら学習するのだ?」

 

「いやっだから、何だって一々出席簿を手裏剣感覚で頭目掛けて投げるんですか!?」

 

 

この光景に慣れてしまった女子生徒達は唯、苦笑いする他が無かった。織斑先生はそんな事も御構い無しにもう一人の転校生であるラウラに自己紹介をする様に言う。

 

 

「まぁいい………挨拶をしろ、ラウラ」

 

「はい、教官」

 

「ここではそう呼ぶな。もう教官ではないし、ここではお前も一般の生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」

 

「了解しました。………“ラウラ・ボーデヴィッヒ”だ」

 

 

ラウラは自分の名前を言ってから他の事は何も喋らなかった。

 

 

「えっと………以上……ですか?」

 

「以上だ」

 

 

そう言い切り捨てるとラウラは一夏の方を見て、まるで目の敵を見る様な顔をしていた。

 

 

「貴様が…!」

 

 

するとラウラが一夏に平手打ちをしようとするが、その前に一夏はラウラの平手打ち読んでいたのか、ラウラの腕を掴まんで平手打ちを躱すのであった。

 

 

「なっ!?」

 

「俺に何か恨みごとでもあるのかは知らないけど、あまりここで私情に流されるな」

 

 

一夏は平手打ちをかまそうとするラウラの腕を離すと、ラウラは一層に一夏にたいする憎悪が増した。

 

 

「くっ…!私は認めない、貴様があの人の弟であるなど…認めるものか!!」

 

「…ったく、朝っぱらから何やってやがる」

 

「おー、IS学園って結構色んな物があるんだな」

 

 

一夏とラウラの問題事の間に二人の男性が入ってきた。その男性達がONIから派遣された新しいSPARTANである。

 

 

「桂に志野?お前らも此処に派遣されたのか?」

 

「むっ?泉谷、彼等を知っているのか?」

 

「知っているも何も、彼等は僕が率いるSPARTANウルフチームのメンバーです」

 

 

それを聞いた女子生徒達は驚きを隠せいないでいた。何せ十代後半である男性が部隊を指揮しているのだから。そんな女子生徒達の反応を気にせずに桂達は各々自己紹介をするのであった。

 

 

「……っと、紹介が遅れたな。私はONI本社から派遣されたSPARTAN-Ⅲの“池上 桂”だ。主に社会を担当をしている」

 

「同じくONI本社から派遣されたSPARTAN-Ⅲの“折原 志野”だ。主にISの機械工学を担当しているぜ、宜しくな!」

 

 

桂達の自己紹介が終えた瞬間に女子生徒達の黄色い声を上げた。これって何のデジャブなんだろう………?それ以前に父さんが言っていたサプライズってシャルの事だった事に一時的に混乱した僕はどうすれば良いのか分からなくなったのは秘密である。

 

 

続く……。

 





星矢は箒に説教し、SPARTAN-Ⅳのテストプレイヤーの勧誘しましたが、先延ばしになりました。
シャルはお義父さんからシャル専用ISを貰い、IS学園に通うことを決めた。
束は初めてコヴナントが自爆する瞬間を見た時は狂気を感じて嘔吐してしまう。
星矢のクラスに転校生ことシャルとラウラ、SPARTANウルフチームがやって来ました。

次回は、不運なSPARTANがやって来ます。


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1337が不運の度がすぎる結果…

第1章の第14話、始まります。


1337よ、強く生きろ(苦笑)


 

 

僕は僕で今、色々と混乱していた。何で義妹であるシャルが此処IS学園に来たのだろうかという事だ。主に父さんの差し金であるけど。取り敢えず織斑先生の合図でHRが終わり、次の授業であるIS模擬戦闘を行う為にグラウンドに向かう時に織斑先生に呼び止められた。

 

 

「おい泉谷、デュノアの面倒を見てやれ。同じONIの者だろう」

 

「えっ……はい」

 

 

そんなこんなで僕は織斑先生の指示の下、シャルの面倒を任された。正直言ってまだ混乱しているのだが………。

 

 

「……取り敢えずシャル、もしかして前に父さんが言っていたサプライズって……」

 

「うんっ、僕だったんだ。これから宜しくね?」

 

「あぁ分かった。取り敢えず、すぐに移動するぞ。他の女子生徒が情報を聞きつけてやって来るはずだ」

 

「えっ…ふぇえっ!?」

 

 

そう言って僕はシャルの手を掴むと何かに驚く様な声をあげたが時間がない為に気にせずシャルを連れて更衣室まで向かう。すると案の定なのか他の女子生徒達が転校生の情報を聞きつけて来たのかぞろぞろと集まって来た。

 

 

「ああっ!転校生発見!しかも泉谷くんと一緒っ!!」

 

「情報通りっ!こっちにいたわ!」

 

「皆の者、出会え出会え〜っ!」

 

 

……何か時代が違う人がいた様な気がするが、ここまで集まって来るとは………転校生に関する情報が漏れているのか?

 

 

「厄介だな、面倒なことになる前に突っ切るぞ」

 

「ふぇっ!?わ……分かった!」

 

 

そして僕とシャルは女子生徒たちの包囲網を強行突破し、それぞれの更衣室に到着してそれぞれのスーツに着替えるのであった。そして何とか時間内にグラウンドへ到着した。

 

 

「星矢、大丈夫か?遅かった様だけど…?」

 

「あぁ…転校生の情報を聞きつけた女子生徒達に追い回される前に強行突破して何とか到着した」

 

「そうか……大変だったな」

 

「よしっ全員揃ったな?では本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

 

 

IS模擬戦闘の授業が始まって女子生徒達も織斑先生に返事をする。その時に織斑先生はISの模擬戦を代表候補生である鈴とセシリアを抜擢するも、当の本人は若干やる気が無かった。しかし織斑先生はセシリア達に何かを囁くとセシリア達がやる気が満ち溢れ返った。一体何を囁いたんだろうか?すると織斑先生からある事を告げた。

 

 

「……一つ言い忘れていたが、今回は先ほど教師としてやって来たSPARTAN以外の新たなSPARTANがここにやって来る。そしてそのSPARTANが今回の模擬戦の相手となる」

 

 

他のSPARTAN?一体どういう意味だろうと考えていると自分のISから一つONIの通信が入って来た。

 

 

「通信…?一体誰が……こちらS105、どうした?」

 

『SPARTAN、今すぐそこから退避させてください!』

 

「何?それはどういう「…………ぁ〜〜れ〜〜〜っ!!?」………!?」

 

 

通信中に他の声が聞こえたので上を見上げてみるとSPARTANが落っこちて来ているのを確認した僕は直ぐにその場から離れた。他の女子生徒達も同様にその場から離れて退避した。ある程度離れた時に上から落ちて来たSPARTANはグラウンドに激突し、大きなクレーターを作り上げた。

 

 

星矢Side out

 

 

 

???Side

 

 

その頃、ONI本社ステーションではIS学園に送り込んだSPARTANに関する事である問題が起きていた。

 

 

「はいっ?滑って落ちた?」

 

 

星矢の父である清十郎はあまりにも間抜けすぎる報告に唖然してした。するとコルタナと束、一人のSPARTANはそのSPARTANの正体を見抜いていた。

 

 

「えぇっ……1337こと“サンジ”ね」

 

「あちゃーあの不運のSPARTANの“イササナ”くんね……せーくんは大丈夫かな?」

 

「あいつかぁ……なあチーフ、彼は大丈夫なのか?」

 

「彼にはよくある事で………あっ、いやっ1337はあれで立派なSPARTANの一員です。心配には及びません」

 

「マスターチーフ、お前がそう言うなら心配は無いんだが……」

 

 

清十郎が話し合っていたSPARTANはこの世界のSPARTAN-Ⅱ Sierra117“ジョン”こと“マスターチーフ”である。その話し合いの中にコルタナと束は付け足すが………

 

 

「確かに彼らしいといえば彼らしいけど……」

 

「ん?」

 

「でもちょっと心配かな?」

 

「私もちょっとイササナくんの不運っぷりは聞いたことないけど、多分ちーちゃんのアイアンクローの餌食になっていると思うっ」

 

「………だな」

 

 

何だかんだで不運のSPARTANである1337ことサンジ(星矢が声優ネタで命名した)のこと案じるのであった。

 

 

チーフSide out

 

 

 

1337Side

 

 

私はこの世界に飛ばされてからこの世界のONIに拾われて以降世話になっていた。私が驚いたとするならチーフがここにいると思いきやこの世界のチーフであることだ。そしてこの世界のSPARTANである星矢から私用の戸籍を作ってくれたそうだ。丁重なことに偽名まで用意した様だ。そんな私は、この世界の兵器であるISを使う者を教育する学校であるIS学園から依頼が来て、ISとの模擬戦を頼まれて私は降下艇でその場所に向かって行ったのは良いがIS学園が見えた時に足を滑らせてそのまま落っこちてしまった。運が良いのか悪いのか、そのままIS学園のグラウンドに激突し、数十秒立って何とか起き上がり、クレーターから這い上がる。

 

 

「いつつ………また降下艇から滑り落ちてしまうとはな……」

 

「サンジ……お前なぁ、何処を如何したら降下艇から滑り落ちるんだ」

 

「むっ?星矢か。それにほとんどが女子達なのか」

 

 

私はグラウンドに激突した際にアーマーに土ホコリが付いていた為手で払っていると金髪ロールの女性が星矢に話しかけて来た。

 

 

「あのっ星矢さん、この方は一体?」

 

「あぁ……そう言えば紹介がまだだったね?彼はサンジ、僕と同じSPARTAN−Ⅱのメンバーだ」

 

「は……はははっ説明どうも星矢、手間が省けたよ。では改めて教えてあげよう!この私こそ、全銀河にその名が轟く宇宙最強の戦士SPARTAN!ナンバー“1337”なのだっ!」

 

 

私がそう説明した途端他の女子生徒達が何故か青ざめていた。その原因を知っているのか星矢は私にある警告を促がす。

 

 

「サンジ、一応言っておくが絶対に後ろを振り向くな」

 

「大事なセリフを流したな……安心したまえ、私は宇宙一強い!」

 

 

そう言って私はその背後を確認しようと振り向くと一人の女性の手が私のヘルメットごと掴み、そのまま私を持ち上げた。……テェッ!?

 

 

「…ったく、何で私の所にはこうもバカが集まって来るのだ……!」

 

「あだだだだだだっ!?何だこの握力はっだだだだだだ!?」

 

 

織斑先生特有のアイアンクローで500kgもあるミョルニル・アーマーを軽々と持ち上げて握力でサンジのヘルメットを破壊せず、内部にダメージを与える位の力を入れてサンジをしばかれていた。

 

 

1337Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

1337ことサンジは織斑先生にしばかれてカオスな状況となっていた。これを何とかしようと僕は織斑先生に授業の再開のことを伝えた。

 

 

「あの……織斑先生、その辺にして授業を再開しないと不味いのでは?」

 

「むっ………それもそうだな」

 

 

そう言って織斑先生はサンジを前に放り出す様に軽く投げ出し、アイアンクローから解放したが………

 

 

「あったたた………何のこれしきっうき!?」

 

 

止めの追撃と言わんばかりにサンジを踏みつけて、地べたに這いつくばらせるのであった。

 

 

「諸君、色々なハプニングがあったかもしれんが、オルコット達には彼と模擬戦をしてもらう」

 

「え?あの、二対一で…?」

 

「いやっ流石にそれは……というよりあのSPARTANは大丈夫なんですか?」

 

「それについては問題ないよ、彼は他のSPARTANと比べて不運すぎるけど実力は本物だ」

 

 

そう説明してもセシリア達は納得は出来なかった。それもそうだろう。何せ最強の兵士であるSPARTANが初代ブリュンヒルデと言わしめた織斑先生の手でああなっているのだから。

 

 

「泉谷の言う通り、こいつの場合は日常のみ不運であって、戦場においては強力な悪運の持ち主だ。オルコットはIS学園に来る前に一度ONIとの合同演習で星矢達のSPARTANと模擬戦を行ったそうだな?」

 

「えぇ…あの時は星矢さん達を含めてSPARTANの恐ろしさを経験しましたわ」

 

「そういうことだ。お前達もこの模擬戦を良く見て改めてSPARTANの強さを再確認する様に」

 

「あの……織斑女史、そろそろ……どいてくれませんか?」

 

「むっ……すっかり忘れていたな」

 

 

そう織斑先生は足をどかして、1337は何とか立ち上がり、自前のMA5Dを構える。そしてセシリア達もISを展開して模擬戦の準備を終える。

 

 

「それじゃあ始めるとするが、準備はいいか?」

 

「勿論でしてよ?」

 

「こっちもいいわよ!」

 

「それぞれ準備は良いな?では、始め!!」

 

 

その合図と同時に鈴が先行して、セシリアは上空へと上昇し、空からスターライトmkⅢで援護射撃を行う。1337はこの攻撃を予測していたのか横にステップしてセシリアの攻撃を回避して、鈴の双天牙月を紙一重で回避する。セシリアと鈴は互いに連携を取りながら1337に挑む。すると織斑先生はシャルに1337が使用しているアーマーについての解説を指示した。

 

 

「さてそうだな……デュノア、あのSPARTANが使用しているアーマーについて解説をしてみろ」

 

「はい。あの1337ことサンジさんが使用しているアーマーはSPARTAN-Ⅱ及びSPARTAN-Ⅲの兵士達の戦闘能力を向上させる為に作られたミョルニル・アーマーGEN1の“Mk-Ⅳ”は初期SPARTAN-Ⅱのアーマーと言っても過言ではありません。装甲には特殊合金の多層構造で、表面はエネルギー兵器を拡散するコーティングが施されており、装甲内部にはジェル層があり、衝撃を吸収するため、2000m以上の高さから落ちても無傷で済むこともあると言われています。なおMk-Ⅳにはシールド機能は着いていますが、Mk-Ⅴに搭載されているオート・リチャージシステムを持たない為シールドが削りきったら危険な状態になる事はありますが……」

 

「ふむっ……もうその位でいいだろう。向こうもそろそろ決着がつきそうだ」

 

 

織斑先生が言う様にセシリア達と1337の模擬戦に決着が付きそうであった。セシリアは1337の背後に回ってBTの両腰部のミサイルビットから弾頭型ミサイルを発射させ、鈴は正面から双天牙月を振るおうとするが、逆に1337が突っ込んで来て鈴を踏み台にする様に伸し掛りながらもMA5DのM118 7.62x51mm フルメタルジャケット アーマーピアッシング弾を鈴の肩の関節部分に集中砲火するもSEのお陰でダメージを受ける事は無かったが、そのまま伸し掛れたまま倒れ込み、双天牙月を手放してしまう。1337は鈴が手放した双天牙月を掴み取り、そのままブーメランの要領で投擲してセシリアが発射したミサイルを迎撃し、そのままセシリアの方に直撃する。そこで織斑先生から模擬戦終了の合図を出す。

 

 

「そこまで。状況終了だ」

 

「あ…侮っていた訳ではないのですが……ここまで強いとなると、正直きついですわ。やはり経験の差でしょうね」

 

「ま……まさか突っ込んで来るなんて予想もしなかったわよ」

 

「いやいやっ、君たちも即席とはいえ良い連携をしていた。そこは誇っても良いくらいだ」

 

「さてっ諸君、改めてSPARTANの強さを知ったかもしれんがこれはまだ序の口だ。いくらISが空を飛べるとはいえSPARTANは地上戦のエキスパートだ。どんな手段でもISを叩き落とすのも容易い事だ。これを機に精進する様に。次は専用機持ちを中心に七人ずつ六つのグループになって実習を行う」

 

 

その後の僕達は、女子生徒達をISの操縦法などをレクチャーしながらも時間が過ぎて行き、ちょうど昼休みの時間となった。その時に僕は趣味で料理した弁当を持ってシャルと共に屋上で昼食を取ることにした。その屋上には一夏達の姿があった。

 

 

「おっ…星矢か、お前もここに?」

 

「あぁ…そうだけど、他のみんなも?」

 

「あぁ…私は一夏と一緒だったのだが、途中でセシリア達と会って一緒に屋上に来たのだが……」

 

 

その結果、ラウラを除く星矢達が屋上に全員集合という形になったそうだ。偶然ってある意味恐ろしいな………。

 

 

「…まぁとにかく、一旦昼食にしよう。せっかく作った弁当が冷めたら意味ないし」

 

「あれっ?星矢って料理作れたっけ?」

 

「レシピを見ればレシピ通りに作れることは可能さ、もしかしてそっちも作ったのか?」

 

「あぁ、腕が鈍らない様今日は弁当で来たんだ。シンプルな物しかないけど」

 

「じゃあさ、せっかく集まったんだからみんなで弁当を見せ合わない?」

 

 

鈴がそう提案すると他のみんなも了承して持ってきた弁当箱を取り出した。一応僕も弁当箱を取り出して中身をみんなに見せた。

 

 

「これが僕の作った弁当なんだけど、どう思う?」

 

「へぇー、意外と普通ね?」

 

「普通ですわね?」

 

「普通だな」

 

「普通かな?」

 

「ごちゃごちゃ感がない方かこれは?」

 

「まぁ多くも少なくもないシンプルの方だけどね」

 

 

僕が作った弁当を見て、鈴、セシリア、箒、シャル、一夏はそれぞれの反応を見せた。そしてみんなの弁当を見てみたところ鈴は酢豚弁当でセシリアはサンドイッチ、箒は唐揚げ弁当でシャルはONIの女性スタッフから日本料理を学んだのか筑前煮が入った弁当、そして一夏は銀鮭の両面焼き弁当だ。因みに僕は肉じゃが弁当である。それぞれ自分の弁当を見せ合ったところで弁当を食すのであった。それから放課後、山田先生から自分達の部屋の調整が出来たということなので僕は荷物をまとめてその部屋に持っていき、今までセシリアの部屋でお世話になったセシリアにお礼をいう。

 

 

「セシリア、色々と有難う。少し寂しい感じがあるけど……」

 

「い…いえいえっ、私も星矢さんにはお世話になりなりましたわ。そ…それと星矢さん?」

 

「ん、どうした?」

 

「もしよろしければ、再来週の学年別個人トーナメントで私が優勝しましたら“ppp…”……えっ?」

 

「ん……メールか?送信者は……父さん?」

 

 

僕は父さんが送ってきたメールの内容が気になったので開いてみるとこう書かれていた。

 

 

“星矢へ、このメールを見ているということはIS学園での青春を楽しんでいる様だなwww( ・∇・) それは何よりだ。だけど青春し過ぎてシャルのことをほったらかししたらダメだぞ?o(`ω´ )o そうでないとマジでオワタ\(^o^)/コースへ一直線だぜ?後、イギリス代表候補生の気持ちも気づいてやれよ?ほな、頑張れ(・ω・)ノ 清十郎より。 P.S. ドイツの方で黒い噂が出回っているとのことだ”

 

 

父さんが送って来たメールを見た僕達は若干恥ずかしく思った。セシリアさんも何かと顔を赤くしているし、大丈夫かな?

 

 

「あの…セシリア?大丈夫?」

 

「ひゃい?!だ…だだっだ、大丈夫ですわよ?」

 

「だと良いけど……取り敢えず僕はもう行くね。お世話になりました」

 

 

そう言って僕はセシリアの部屋を出て、部屋の調整で空いた僕の部屋に向かうのであった。その時にシャルが何かと不機嫌であることに気づいた僕はシャルの機嫌が取れるまで側にいてあげる他なかった。その翌日、僕は早朝に起きてグラウンドに向かい、ウォーキングを行なっていた。その時に志野が偶々やって来た。

 

 

「よっリーダー、おはようさん」

 

「あぁ…おはよう。珍しいな志野、朝からウォーキングしに来るとは」

 

「あぁ…ちょっとな。それよりも星矢、こいつを簪の嬢ちゃんに渡してくれるか?」

 

 

そう言って志野は簪の専用機である打金二式の追加武装のデータが入ったUSBメモリを星矢に渡した。

 

「こいつは、この前簪がお前に頼んだやつか?」

 

「応、何とか嬢ちゃんの要望通り完成させたんだぜ。打金二式の追加武装である専用の盾“写し雨”と、物のついでに山嵐専用のマルチロックオン用のOSのデータがそれに入っているからよ。そんじゃ俺は先に戻るけど、もし嬢ちゃんに会ったらよろしくと伝えてくれ。じゃあな」

 

 

そう言って志野は早めに切り上げてグラウンドから立ち去る。そして僕もある程度歩いた後で自分の部屋に戻るのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

???Side

 

 

私の思った通りにこの世界は面白い形で融合している。これは想定内でもあり想定外でもある。先ずはコヴナントの存在である。コヴナントのムダマ軍と預言者軍の二つの勢力が存在する。そして何より、あの古の闇とも言える存在“フラッド”と呼ばれる知的寄生生命体。このISの世界は着々と確実にHALOの世界観と融合しつつある。されどフラッドが全銀河に拡散してしまったら全知的生命体は全滅してしまう可能性が極めて高い。

 

 

「非常に興味深いところですが、これ以上の世界の融合は危険ですね。特にあのSierra105と呼ばれる人物はこの世界を守れるかどうか一時不安も気がします。ならば、別世界の住人を増援として組み込んだ方がよろしいですね」

 

「確かに、我々には最早残された時間もありません。もしこれが駄目だとしたら最終的にHALOを起動するしかありません」

 

「しかし、そのHALO何ですが、預言者軍は大いなる旅立ちという目的の為に何かしらの手段でHALOを起動する可能性もあります。万が一の為にプロメシアン達とセンチネル達を各HALOの防衛に振り込んだ方がよろしいかと…」

 

「…今はそれしかありませんね。では今回の会議はここまでにいたしましょう」

 

 

我々にはこの世界を護り通せる力はありませんが、まだ希望はない訳ではありません。今はこの先の事を考えましょう。

 

 

続く……。

 





シャルがIS学園に来てまだ混乱する星矢。
1337の安定すぎる不運率の件。
清十郎の意味深なメールに困惑する星矢とセシリア。
簪のISの強化フラグ達成。


次回は、日本で女尊男卑勢が色々とやらかします。


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ODSTが女尊男卑勢を鎮圧しに向かわせた結果…

第1章の第15話、始まります。


ODSTよ、お楽しみのダンスの時間だ!


 

 

学園の授業を終えて放課後に僕達は、アリーナにてISを使ってそれぞれの特訓と調整を行なっていた。

 

 

「シャルのはラファールとGEN2のカスタムハイブリットなんだな」

 

「うんっ、一応ラファールの武装も使えるから問題ないよ。後は高速切替(ラピッド・スイッチ)の確認くらいかな?」

 

「本当改めて思うけどONIって技術水準がおかしいわよ。なんか未来的過ぎるし…」

 

「それに関しては私も同感ですわ、ONIの技術力が大きすぎます」

 

 

鈴とセシリアの言う通り、ONIの技術力は約500年先の技術であることは転生者である星矢の秘密である。とはいえ、流石に技術的にチートレベルだなと考える星矢はどう言い聞かすか悩みどころである。

 

 

「まぁ俺もONIに関しては色々とチートっぽい感じがするんだよな」

 

「そういうのは僕だって自覚してるよ。唯でさえ父さんが僕がIS学園に言っている間社長代理をやっているから何を作り出すのか分かったものじゃないよ……」

 

「…何気に、気にしていたんだな…星矢」

 

 

何気に箒に同情される、流石にその言葉は堪えるよ。そう考えているとウルフチームのⅡこと桂がやって来た。

 

 

「其処にいたのか、星矢」

 

「桂か?どうしたんだこんな所で?」

 

「ここでの俺は教頭だ。池上先生と呼んでくれ」

 

「そうだったな。……池上先生は何時から?」

 

「ついさっき来たばかりだ。一応お前にも伝えておく事が有ってな、このIS学園にGEN2アーマー用の整備設備が出来上がったそうだ。これならアーマーを装着する手間が省ける様になった」

 

 

桂からの朗報によるとSPARTAN専用の整備設備が出来上がったそうだ。これはこれで良い朗報だと思う。

 

 

「…んで、何か困っている事とかはないか?特に一夏の方は?」

 

「んーっ……あるとしたらシャルを除く箒達の説明力が不足している感じかな?」

 

「あーっ…あれか。篠ノ之の場合はイメージのみの説明で凰の場合は感覚的による説明、んでオルコットの場合は専用用語多数の説明だったからな」

 

 

桂に箒達の短所を言われて顔を膨らました。

 

 

「うっ……仕方ないだろ、それしか説明の使用が無かったのだから…」

 

「しょ……しょうがないでしょ!あたしの場合は殆どが感覚で動かしていたんだから」

 

「わ……私もその事は自覚しておりましたが、直そうにも癖がついてしまって…」

 

「とりあえずだ、その所を直せば一夏達も理解しやすくなるだろう。今直ぐは無理だろうが、少しずつ直す事は出来る筈だ」

 

 

そう桂に励まされた箒達は短所を直す為に努力するのであった。そんな時にアリーナにいる女子生徒達の一部が騒ぎ始めた。

 

 

「うそっ……あれってドイツの第三世代?」

 

「まだ本国でトライアル中だって聞いたけど………もう完成していた?」

 

 

そこに現れたのは装甲が黒いのが特徴で、肩部に大型レールカノンと両肩およびリアアーマーに計6機装備されたワイヤーブレード、両腕手首から出現するプラズマ手刀。AICと呼ばれる機能を搭載しているラウラの専用機“ シュヴァルツェア・レーゲン”の姿があった。するとラウラからオープンチャンネルで一夏に声をかける。

 

 

「───おい」

 

「!……ラウラ・ボーデヴィッヒか」

 

「貴様も専用機持ち……いやっ、それ以前にSPARTANだそうだな?ならば話が早い、私と戦え」

 

「──理由はあれか……俺が千冬姉のモンド・グロッソ二連覇の妨げになった事か?」

 

 

そう一夏が言うとラウラの一夏に対する怒りと憎悪がさらに増す。一夏の言う様に嘗て第2回モンド・グロッソの決勝戦にて織斑先生は決勝戦を放棄して一夏の救助に向かったがすでに遅く、誘拐された場所には一夏やその誘拐犯の姿がなかった。SPARTANでは無かった頃の一夏は殆ど言って誘拐犯の前では無力も当然だった。その結果、原作には無い程の暴行を受けて瀕死の状態になり、その時にONIのスタッフが一夏に会わなかったら間違いなく死亡していただろう。

 

 

「そうだ!貴様がいなければ織斑教官がモンド、グロッソ二連覇の偉業を成し得ただろとことは容易に想像できる。だから、私は貴様を……貴様の存在を認めない!」

 

「お前がどう思おうが勝手だが、俺は千冬姉でも誰でもない。俺は………SPARTAN-Ⅲの一夏だ。用がそれだけならまた今度な」

 

 

一夏はそう言って興味無さげに背を向ける。その行動にラウラは逆鱗に触れたのか肩の大型レールカノンを一夏に照準を向ける。

 

 

「──貴様……!ならば、戦わざるを得ないようにしてやる!」

 

 

ラウラが大型レールカノンを発射しようとしたその時に大型レールカノンが爆発した。一体何が起こったのか理解できなかった。ラウラは一夏の方に向けると、そこには拳銃を持った桂がいた。桂が持っている拳銃“M6H PDWS”から硝煙が出ていた。恐らく桂は、ラウラが大型レールカノンを撃たせる前にM6Hを大型レールカノンに接続されている冷却ユニットに向けてM225 12.7×40mm SAP-HE弾を二発撃ち込みレールカノンの冷却ユニットを破壊したのだ。

 

 

「……たく、下らねえ理由でそんな物をブッ放すな。周りの奴等が巻き込んだらどうするつもりだ?」

 

「貴様!………くっ!私はお前を絶対に認めはしない!」

 

 

そう言ってラウラはこの場を離れようとしたがいつの間にか桂はラウラの所に近づいていてその場でラウラの頭に拳骨を叩き込む。これにはラウラも結構痛そうだ。

 

 

「あぐっ!?痛ぅ……!」

 

「お前なぁ何捨て台詞を残して何事も無かった様にこの場から去ろうとしてんだゴラァッ!ちょっとこっち来い、織斑先生と共に話をするぞ」

 

「なっ!?は……離せ!」

 

 

そう言って桂はラウラの意思も返答も聞かずそのまま織斑先生のいる場所まで連れて行かれるのであった。そんな時に一夏は僕に桂に対して話を持ちかけてきた。

 

 

「なあ星矢、前から聞いた思うけど確か桂って元はどこかの刑務所の看守部長を勤めていたんだっけ?」

 

「あぁ……その内容は桂からはあまり聞かされていないから詳しいことは分からない。けど………僕個人で心配なのはラウラなんだけど……」

 

 

一体何が心配なのか分からない箒達は一夏に聞き出した。

 

 

「一夏、星矢は一体何故ラウラの事が心配なのだ」

 

「あぁそれか……桂も一応SPARTANなんだけど、結構な苦労人なんだ。ウルフチームのサブリーダー兼志野のストッパー役を請け負っているからか、志野が度が過ぎることをすると桂から鉄拳がお見舞いさせれるんだ」

 

「そう言うことだ。正直なところ、あれでも加減している方なんだよな……」

 

「「「あれでも……?!」」」

 

 

正直な所あれでもまだ良い方だと思う。何せ小惑星基地アルゴスターでコヴナント残党軍のエリート2個分隊を一人で無双していたから。エリートを使ったサンヘイリバットで。そんなこんなで特訓を終えた僕と一夏はそれぞれの自室に戻ろうと向かっていた。

 

 

「それにしても、転校生がシャルだったなんて予想も付かなかったよ」

 

「それには同感だな。俺だってシャルがここに来るなんて予想だにしなかった訳だし、無理もないと思うよ」

 

「それはそうなんだが、いくら何でも驚くネタとしては大き過ぎるよ……「……何故こんな所で教官など!」ん?今のは……ボーデヴィッヒ?」

 

 

僕はラウラの声が聞こえる方向に向けると織斑先生とラウラの姿があった。とっさに僕と一夏は木の陰に隠れて様子を窺った。

 

 

「何度も言わせるな、私には私の役目がある。それだけだ」

 

「しかし、このような極東の地で何の役目があるというのですか!」

 

「私がドイツで再び指導を教えたとしても同じことだ。それに、私なんかよりも強い者がいる」

 

「それがSPARTANとでも!?あんな強化兵士に教官が遅れを取る筈もありません!大体この学園の生徒達は意識が甘く、危機感に疎く、ISをファッションか何かを勘違いしている。そのような程度の低いものに教官が時間を割かれるなど「そう成らない様に生徒達に教え、学ばせるのが俺達の仕事だ」───!?」

 

 

そんな織斑先生とラウラの会話の最中に桂がやって来た。

 

 

「池上先生、そっちの方は終わったのですか?」

 

「あぁ、ついさっき終わらせてここに通りかかったところだ。それよりもラウラ、SPARTANについて少し付け加えことがある。俺達SPARTANは強化兵士であれど決してそこらの強化兵士と比べないことだ。俺からは以上だ。それと織斑先生、今月末のトーナメントについて話があります」

 

「そうか、わかった。そういうことだ、あまり遅くならぬうちに寮に戻れよ」

 

 

そう言われてラウラが自室に戻る際に桂を睨みつけた後にその場を後にした。恐らく、まだ桂の鉄拳を根に持っているのだろう。

 

 

「……随分と嫌われたものだな、池上先生」

 

「何っ、彼奴はただ単に織斑先生に心境している軍人の皮を被ったガキにすぎん。面倒見が大変であることは違いはねえ」

 

「それは…前の職場の時のことか?」

 

「そこのところは想像に任せる。………んで、いつまで隠れ盗み聞きしてるんだ?お前達」

 

 

桂は僕たちのことに気づいていた様だ。無論織斑先生も同様であった。僕たちにある程度注意を言われた後に僕たちは元の寮の自室に戻った。

 

 

星矢Side out

 

 

 

清十郎Side

 

 

その頃、清十郎はONI本社にてある情報が入った。ONI日本支社にて女尊男卑勢によるISテロが発生したとの情報が入った。

 

 

「ハァ〜ッ………何でよりによってこのタイミングでテロが発生するんだろうね〜……」

 

「社長、そう悠長に言っている場合ではありませんよ」

 

「分かっている。今展開している“ODST”はどうしている?」

 

 

清十郎が言うODSTとは、ONIのもう一つの特殊部隊のことで正式名は“Orbital Drop Shock Troopers”…略してODSTである。スタッフは清十郎に現在の状況を説明する。

 

 

「今の所は順調です。バック曹長率いるバック分隊は二つのチームに別れて行動中とのことです。バック、ロミオ、ミッキー、ダッチの突入チームは敵テロリストと交戦中とのこと。そしてコルテス、オブライエン、チェックマン、ルーキーの救助チームは逃げ遅れ及び、人質となっているスタッフと民間人の救助を終え、突入チームの援護に向かったそうです」

 

「そうか……このまま何もなければ良いんだが」

 

「……ですね」

 

 

何故女尊男卑勢がISを使っているのかをスタッフに確認させた所、どうやら警備の薄いところにISを置いて管理をした結果、その警備していた女性も女尊男卑勢の一人だったらしく簡単に奪われたそうだ。それも六機。………ていうかISの管理、ガバガバじゃね?

 

 

清十郎Side out

 

 

 

バックSide

 

 

現在のバックチームは、ONI日本支社内で無事に女尊男卑勢のテロリストの弾圧に成功し、屋上でコルテス達が回収しに来るのでバック達は屋上に向かう為にエレベーターで屋上に向かっていた。そして屋上に到着したバックはコルテスに通信を入れる。

 

 

「コルテス、こちらバック。俺たちは今屋上に着いた」

 

『了解した、LZの確保の為フレアを展開して置いてくれ』

 

 

そう手短に言って通信を切り、フレアを発火させてLZを確保した。するとロミオが何をつぶやく。

 

 

「やれやれ……女達が天下を取った気になっていやがるわ、男を見下すわで厄介な世の中なこった。」

 

「あぁひでぇもんだよ、ほとんどの男性はその女尊男卑勢の所為で犯罪を起こしたり、非人道的実験を行なっていると聞くからな」

 

「だがSPARTANの存在のお蔭か女尊男卑勢の考えを否定する女性達が日に日に増えている様だしな」

 

「だな……前よりはマシか……」

 

「お前ら、任務が終わったからてまだ気を抜くな。もし奴らの不意打ちでも受けたら……」

 

「大丈夫ですよ、俺なら不死身ですから」

 

 

ロミオの軽口を注意するのを諦めたバックは“大した奴だよお前は…”とそう愚痴るのであった。その時に迎えに来たコルテス達が乗る降下艇がやって来てバック達を回収するのだった。

 

 

『お迎えにあがりました!さぁ乗り込んで下さい!』

 

 

そうパイロットが言って降下艇を後ろを向けて兵舎収容部のハッチを開いた。バック達が降下艇に乗りこみ、この場から離脱しようとした途端、バックのHUDのモーショントラッカーに反応があった。その反応は赤く示しておりバックはその正体を目視で確認した瞬間、敵がISを纏っていたことが分かった。

 

 

「ISだ!後ろ!」

 

「IS!?なんだってこんなタイミングで!」

 

「攻撃して来るぞ!みんな、何かに掴まれ!」

 

 

すると敵ISであるラファール・リヴァイヴは手元に重機関銃“デザート・フォックス”を呼び出してバック達が乗る降下艇のスラスター部分に撃ち込む。降下艇はその攻撃を回付する時間も与えられずそのままスラスターに直撃して操縦不能に陥る。

 

 

「メイデイ!メイデイ!高度を維持できない!落ちます!」

 

「くそっ!こんなタイミングで墜落かよ!」

 

「言ってる場合じゃありません!あそこに不時着させます!」

 

 

そう言ってパイロットは誰もいない平地に不時着させる為に操縦桿を握りその場所へと操縦するのであった。

 

 

バックSide out

 

 

 

テロリスト(打鉄乗り)Side

 

 

私はONIの存在が気に入らなかった。あの会社が出現した結果、男を見下す時代が終わりに近づいている様に思えた。私の理想的な力であるISよりONIにいるSPARTANという悪魔の存在が力の差が一変した。さらにはそのSPARTANの中には女性も入っていた。一部の仲間がSPARTANをこちら側に勧誘するどころか逆に捕まって刑務所に送られるのが関の山だった。そんなある日のこと、私達はある行動を取った。それはONI日本支社のテロによる乗っ取りである。最初は無謀な計画かと思ったけど情報によると今日だけONI日本支社にいるSPARTAN達が本社に異動していることが判明した。私達はこの情報を生かしてテロを起こし、ONI日本支社の乗っ取りに成功した。その後はONI本社に人質開放条件として三時間以内に莫大な資金と全ONI支社の解体を要求し、ONI本社の返答を待った。……この時は順調だった。だけどその矢先にODSTというONIの特殊部隊が地球の衛星軌道上からHEVと呼ばれる降下ポットが大気圏に突入してこのONI日本支社に降下してきたのだ。結論から言うとONI日本支社にいる私達の仲間が全員ODSTによって無力化され、全滅した。生き残ったIS乗りの仲間はこの場から逃げようとした。でも私は、あいつらを………私達の計画を邪魔したODSTを許せなかった。私が逃げようとしなかったのに気づいたのかラファール・リヴァイヴに乗った仲間が私に声をかけた。

 

 

「何してるの?早く逃げるわよ?」

 

「はぁ!?逃げる?何処へ逃げると言うのよ!どうせ逃げたところで捕まるのがオチよ!こうなったらあのODSTを道連れにしてやる」

 

「ちょっ!?待ちなさい!あーもーっ!」

 

 

そして私はODSTを乗せている降下艇を見つけて仲間に攻撃を指示を出して、その降下艇のスラスターを被弾させてた。それでもまだコントロールがまだ生きているので私達はそのまま降下艇の後を追った。

 

 

テロリスト(打鉄乗り)Side out

 

 

 

バックSide

 

 

バック達が乗る降下艇は以前星矢が訪れた浜辺付近に不時着していた。その時にパイロットは不時着の衝撃で打ち所が悪く頭に直撃してそのまま死亡した。その後にコルテス達を叩き起こし、ISの襲撃に備えた。

 

 

「総員!上空を警戒しろ!」

 

「クソったれ!今日は厄日だぜ!」

 

「それだけ軽口を叩ける余裕があるなら警戒を強めてけっての!」

 

 

ロミオの軽口にオブライエンが突っ込みながらもモーショントラッカーに反応が示される。

 

 

「来たぞ!ISだ!」

 

「打鉄とラファール・リヴァイヴだ!十分警戒しろ!」

 

「あんたら男の分際で生意気なのよ!」

 

「ちょっ、あんまり迂闊に突っ込まないの!……もうっ!」

 

 

コルテスとバックが全員に注意を促すと打鉄を纏ったテロリストが接近ブレードを振るってきて、ラファール・リヴァイヴはその打鉄の援護する様にアサルトカノン“ガルム”で制圧射撃を行う。

 

 

「くっ……散れ!」

 

 

バックの指示を聞いたコルテス達は散開するも、チェックマンは回避するタイミングを逃して打鉄に狙われて接近ブレードの餌食になって悲鳴をあげることなく絶命した。そして打鉄を纏ったテロリストは次の標的をロミオに向ける。ロミオはなんとか応戦しようと無謀にも至近距離でSRS99-S5で二発も撃つが一発目は外れて、二発目は打鉄に直撃するもSEによって弾の威力が阻害されてしまい致命傷には至らなかった。そして打鉄はSEの防御力を生かしてそのままロミオにタックルをお見舞いしてロミオを近くの岩場に叩きつける。その隙を逃さず接近ブレードでロミオを斬り裂こうとするがロミオはとっさの判断でSRS99-S5を盾にするも、ISのパワーには敵わずSRS99-S5は折り曲がりながらもロミオのバトルアーマーに食い込む形で打ち込まれた。しかし、それでもロミオは奇跡的に一命を取り留めていた。

 

 

「…ぐはっ!?」

 

「ちっ……いい加減に死になさいよ!」

 

 

打鉄を纏ったテロリストは接近ブレードに食い込んでいるSRS99-S5を取り外してそのままロミオに振るおうとした途端、後ろから何かが張り付く様な感触があった。その正体はロミオを救おうとするルーキーの姿であった。

 

 

「ルーキー!無茶をするな!」

 

「このっ…離れなさいよ!」

 

 

するとルーキーは懐から何かしらの装置を取り出して敵ISに取り付けようとするがテロリストの必死の抵抗によって振りほどかれてしまい、ルーキーが倒れると同時に懐から取り出した装置を手放してしまう。

 

 

「ウラァァァァァッ!!」

 

 

その時にバックはルーキーが取り出した装置をすぐに回収してそのまま敵ISに張り付いてその装置を取り付ける。するとISから全身にスパークが生じてその瞬間テロリストの動きが止まった。

 

 

「な……何よこれっ!?」

 

「今だっ!抑えつけろ!」

 

 

コルテスがそう言うとミッキーが抑えつく様にタックルをかまし、ダッチがテロリストにM7Sのストックで殴りつけてテロリストに軽い脳震盪を起こしてそのまま抑えつけた。バックを下敷きにしたまま……。

 

 

「……って、やばっ。曹長がいるのを忘れてた」

 

「だったら……早く、退かしてくれ!」

 

 

ミッキーとダッチは二人掛かりで気絶したテロリストを退かしてバックを助けだす。そしてコルテス達が応戦していたラファール・リヴァイヴを纏ったテロリストは打鉄を纏った仲間がやられた事を見て潔く降伏して、ISを解除して投降した。その時にロミオが胸元に出来た傷に苦しみ始めた。

 

 

「うぅぐっ!?……はぁっ……」

 

「痛むか?」

 

「息が……!」

 

「不味いな……ダッチ、医療キットを!」

 

「ロミオはどうです?」

 

「肺をやられた。息が出来ない!」

 

 

ダッチはバックパックからバイオフォームボンベをバックに渡してロミオのバトルアーマーの隙間からバイオフォームを流し込んで傷口を塞ぐ。

 

 

「マシか?」

 

「え…えぇ。多少は………」

 

「だいぶマシになった様だな。ルーキー、治療薬を。それから、フレアを頼む」

 

 

ルーキーは首を縦に振ってバックにフレアを渡してバックパックから治療用の注射を取り出してロミオの左肩と首根の間に刺して治療薬を流し込む。治療薬の麻酔効果が効いてきたのかロミオはそのまま眠りについた。そこにコルテスがやって来て状況を説明した。

 

 

「先の戦闘でチェックマンを失った。それに彼女達の罪は恐らく重罪になるだろう」

 

「くそッ!よりによって最悪だ……」

 

「あぁ……今回の作戦は酷い結果だ。犠牲は常に覚悟していたが……」

 

 

チェックマンの死亡で雰囲気も下回りしてあまり気分の良いものではなかった。

 

 

「全く……長い一日だったな………」

 

 

そう言ってバックはフレアを発火させてLZを確保し、迎えにやって来た降下艇にテロリストを乗せてこの場から離れて任務を終えるのであった。一人のODST隊員の死体を回収して………。

 

 

バックSide out

 

 

 

星矢Side

 

 

翌朝に僕は父さんからメールが届いていたのを確認してそのメールを開いて見てみると内容が酷いものだった。女尊男卑勢が一度ONI日本支社を占領したとの報告であった。しかし占領されたONI日本支社はODSTのバック分隊を降下させて一人の犠牲者を出したが奪還に成功したとのことらしい。ODSTの死亡はある意味僕達ONIの痛手だ。死亡したODST隊員はその後死体は回収されて埋葬されたそうだ。この時に僕はある事を考えていた。

 

 

「IS管理もONIが請け負うべきか……いやっ絶対あの女尊男卑勢の女達が邪魔をするはずだ。際どいなこれ……」

 

 

今後も後処理のことを考えながらも僕は、ONI日本支社のセキュリティを強化することを考えるのであった。

 

 

続く……。

 





星矢達はISの特訓中ラウラが星矢達を襲う。
桂は職務を執行してラウラを止め、職務室に連行する。
ONI日本支社が女尊男卑勢に占拠され、ODSTを投入し、奪還。
ISとの戦闘でチェックマンが死亡、ロミオが重傷を負う。


(正直な話、感想や評価をして欲しい一心であるうp主)


次回はラウラがSPARTANを怒らせます。


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桂がブチ切れて厄介な事になった結果…

第1章の第16話、始まります。


注意!この話では残酷な描写表現とラウラファンの方にはキツい内容になっています。
平気な方はお読み下さい。


転生者よ、SPARTANを止めろ。


 

 

星矢が教室に向かう最中、女子生徒内である噂が立っていた。“今度の学年別トーナメントでの優勝者には星矢か一夏と付き合う権利が得られる”という訳の分からない噂が立っていた。そんな事はお構いなしに星矢は教室に向かっている途中で簪と出会う。

 

 

「あっ……簪、おはよう」

 

「おはよう星矢、朝早くどうしたの?」

 

「いやっ偶然他の皆より早かっただけ。それとこれっ、志野が簪に渡して欲しいと言われた物だよ」

 

 

そう言って星矢はノートPCを取り出してUSBメモリを差し込んでデータを見せた。以前志野に発注した打金二式の追加武装である専用の盾“写し雨”と、山嵐専用のマルチロックオン用のOSデータがあった。

 

 

「凄い…!もう完成させるなんて…!」

 

「あいつはメカオタクと言っても良いくらいに魔改造を施す奴だからな。武器名ですら改名するくらいに……」

 

「えぇー……」

 

 

簪は複雑ながらも志野が作ってくれた打鉄二式の追加武装である専用の盾“写し雨”と、山嵐専用のマルチロックオン用のOSデータが詰まったUSBメモリを星矢から受け取った後に其々自分の教室に向かって行った。この時にこっそりと簪を見守っていた生徒会長の楯無が星矢に若干嫉妬したが生徒会の布仏に怒られて戻されたのは別の話………

 

 

星矢Side out

 

 

 

セシリアSide

 

 

今日の授業を終えたセシリアは放課後に第三アリーナに来て学年別トーナメントに向けて特訓を行おうとした時に女子生徒達が噂の事を思い出していた。

 

 

「優勝者には星矢さんか一夏さんと付き合う事が出来る権利………ですか。恐らくは私が星矢さんに告白しようとした事を誰かが聞いて違う形で情報が拡散してしまったようですね……」

 

 

そう思いながら若干恥ずかしさを感じながらもセシリアはブルー・ティアーズを展開してアリーナに出ると……

 

 

「「あっ……」」

 

 

甲龍を展開した鈴と鉢合わせとなり、お互い間の抜けた声を出してしまう。

 

 

「奇遇ね、あたしはこれからトーナメントに向けて特訓するんだけど」

 

「奇遇ですわね、私も全く同じですわ」

 

「それはそうと少し話を飛ばすけど、アンタ、星矢の事をどう思っているの?」

 

 

それを聞かれたセシリアはあまりにも予想外な質問だった為か顔を赤くして切羽詰まった状態になる。

 

 

「はいっ?!いやっその……わ………私は、星矢さんと……」

 

「分かるのよ、アンタの顔を見れば。それで、どうなの?」

 

「た……確かに私は星矢さんの事が好きですわ。もちろん異性として……」

 

「そう……ならよかった。あたしは一夏のこと好きだと思っているわ。アンタと同様にね」

 

「そうですか……そうであれ、トーナメントの優勝は……!」

 

「当然!譲れないからね!」

 

 

それぞれ武器を構えて同時に動き出そうとした瞬間……

 

 

「「!?」」

 

 

二人の間を高速で弾丸が通り過ぎて、地面に直撃して砂煙を上げた。二人は弾丸が飛んできたほうを見ると、そこには問題の転入生であるラウラがいた。

 

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ……」

 

「…どういうつもり?いきなり撃ってくるなんていい度胸してるじゃない」

 

「中国の甲龍にイギリスのブルー・ティアーズか。……ふん、データで見た時の方がまだ強そうであったな」

 

 

ラウラがセシリア達に挑発してきた。しかしセシリア達はその挑発を受け流す。

 

 

「言ってくれるじゃない。でも、アンタの挑発に乗るほど暇じゃないのよ」

 

「一応桂先生から貴女に対して釘を刺されましたわ。挑発されても受け流すようにと」

 

「ちっあのSPARTANか……」

 

 

ラウラが桂に対して憎悪を少なからず抱いていた。するとラウラがある事を口にした。

 

 

「そう言えば、あのSPARTANの隊長らしき男がこの学園にいたな?私が見た所では何とも軟弱そうな奴だったそうだな?そんな奴がSPARTANなどと……「……そうですか」むっ?」

 

 

ラウラは星矢を出汁にしてセシリアを挑発したらセシリアから何かしらの怒りが出ていた。

 

 

「少し前言撤回いたしますわ。場にいない人間、とくに星矢さんの侮辱は私とて許せませんわ。その挑発、乗ってあげると同時にその言葉、撤回させてもらいますわ」

 

「あたしもセシリアの意見に同意よ、アンタのその自信をへし折ってやろうかしら?」

 

「はっ…二人掛かりでSPARTANに負ける程度の力量しか持たぬ者が図に乗るな」

 

「「その言葉、そのままお返ししますわ(するわ)!!」」

 

 

二人は思い人を侮辱された事に怒りを覚えながら二人同時にラウラに向かっていく。

 

 

セシリアSide out

 

 

 

星矢Side

 

 

授業を終えた星矢は一旦自室に戻ってAIであるアルとターニャをつれていき、一夏達と合流した後にアリーナに向かっていた。

 

 

「そう言えば、セシリアと鈴はどうしたんだ?」

 

「あぁ、二人なら先に第三アリーナに行ってるけど何かあるのか?」

 

「そうか……嫌な予感がするな」

 

「嫌な予感?星矢、それはどういう………」

 

 

箒は星矢に嫌な予感に着いて聞き出そうとしたその時にアリーナから激しい戦闘音が廊下に響いて来た。

 

 

「!?な…なんだ!?」

 

「……嫌な予感が当たってしまったか」

 

「…まさか、ラウラか?」

 

《肯定、現在第三アリーナにてセシリアと鈴がラウラと交戦中とのこと》

 

《すこしやばいな……彼女達のISじゃ相性が悪過ぎる》

 

「みんな、アリーナでセシリアと鈴がラウラと戦闘が起きているよ!急いで止めないと!」

 

 

シャルがセシリア達がラウラと戦闘している事を星矢に伝えると星矢と一夏はすぐにアリーナに向かう為に走り出した。箒とシャルも星矢達の後を追う様にアリーナの方に走って行った。そしてアリーナに到着すると状況は最悪で、ラウラが圧倒していた。セシリアと鈴は何とか奮戦するもラウラの纏うシュヴァルツェア・レーゲンのAIC(慣性停止結界)によって苦戦を強いられていた。

 

 

「くっ!まさかこうまで相性が悪いなんて……!」

 

「ですが、あのAICは一対一の戦闘に特化したもの!でしたらっ!」

 

 

そういってセシリアはBT兵器のミサイルビットを展開させてマイクロ・ミサイルを発射させる。

 

 

「ふんっ…そのことは対処済みだ」

 

 

そういってラウラがワイヤーブレードを展開してそれを鞭の様に振るい、マイクロ・ミサイルを切り裂いて全てのミサイルを迎撃する。すべてのミサイルの迎撃を終えた後すぐにレールカノンをセシリアと鈴に向けて弾丸を放つ。

 

 

「「きゃああっ!」」

 

 

二人はその攻撃を躱しきれずそのまま直撃を受けてしまう。ラウラはその隙を逃さず瞬時加速で鈴との間合いをつめる。

 

 

「くっ!このっ…!」

 

「遅いっ!」

 

 

鈴は牽制に龍砲を放とうとするがそれよりも先にラウラがプラズマ手刀で龍砲を破壊する。

 

 

「もらった!!」

 

「させませんわ!」

 

 

ラウラは鈴に止めをさそうとするがセシリアがインターセプターを展開してその間に割って入り鈴を守ると同時に再装填したミサイルビットをラウラに向けて至近距離で放つ。無論至近距離で放った為セシリアのSEが大幅に削られた。そしてセシリアは油断せずにスターライトmkⅢを照射型レーザーに切り替えてミサイルの爆縁の中にいるラウラに向けてレーザーを照射させる。その時にラウラは咄嗟にAICで防御するもエネルギー兵器に効果が薄いが故にダメージが通った。しかしラウラはまだ動けるのに対してセシリアはスタミナがそろそろ尽きかけていた。

 

 

「無茶し過ぎよ、アンタ……」

 

「くっ…!貴様ッ!」

 

「どんな気分ですの?SPARTANに負けた二人にダメージを負わせられた気分は?」

 

「ちぃっ!調子ずくな!!」

 

 

ダメージを負わされたラウラは怒りのままにセシリアを殴りつける。SEが尽きていようがいなかろうが関係なく…何度も、何度も。そしてセシリアは限界が訪れたのかその場で倒れ込む。

 

 

「まだだ……まだ殴り足らん!……!?」

 

 

ラウラがセシリアに近づき、無理矢理立たせて殴ろうとした途端に何かがラウラに突っ込んでくる物があった。ラウラはAICを展開して防御して、その突っ込んで来た物の正体を見て見ると、そこには()()()()()()()が飛んで来たのだ。ラウラは鈴の方を見てみると鈴の左腕が無くなっていたのだ。そう生身の左腕ごと。

 

 

「貴様……その腕は義手か!」

 

「義手ならではの戦法だったけど、アンタには聞かなそうね。でも……時間は稼いだわ」

 

「何?……!!」

 

 

鈴がそう言われてラウラはセシリアがいた方を見るがセシリアの姿が無かった。するとセンサーから上空に反応があった為に上空を見上げると、そこにはセシリアを担いだ星矢の姿があった。そしてその後から一夏達もやって来た。

 

 

「鈴、すまない。少し遅れた」

 

「星矢……さん?」

 

「セシリア、今は少し休んで。シャル、セシリアを頼める?」

 

「任せて!星矢、気をつけて…」

 

「あぁ……一夏、お前は鈴の回収を」

 

「了解した!」

 

 

セシリアはシャルに、鈴は一夏に任せて僕は降下してラウラと真っ向から対面した。

 

 

「こうして君と話すのは初めてかな?それはともかく、何故あんな事をした?」

 

「貴様の様なSPARTANには関係ない事だ」

 

「関係ない?どの口が言うんだ…」

 

「第一に私は、織斑一夏の存在以前に貴様らSPARTANの存在を認めはしない!貴様らの存在が織斑教官をこのIS学園に堕落させたのは事実だ!」

 

「ほうっ?随分と言ってくれるじゃねえか?」

 

「「!?」」

 

 

ラウラと星矢は星矢達以外の男性の声が聞こえた方角を向くとそこにはGEN2アーマーの一つである“ヴェネイター”を装着し、M6Hを持った桂の姿があった。

 

 

「やはりお前を疑っていて正解だった」

 

 

そう言うや否や桂はM6Hをラウラに向けて三発も50口径弾を放つ。ラウラは咄嗟にAICを展開して弾丸を止める。

 

 

「貴様っ…!」

 

「やっとお前の本性を現したんだ。お前の目的は何だ?答えろっ!」

 

「…貴様みたいな奴に答える必要などない!」

 

 

そう言ってラウラは全てのワイヤーブレードを桂に向けて射出して桂の左腕に巻き着けて桂を引っ張り上げて叩き付けようとするが……

 

 

「……フン!」

 

「何っ!?うわっ!?」

 

 

桂は薬物強化された肉体とミョルニル・アーマーのパワーアシスト機能を最大限に使い、逆にラウラのワイヤーブレードを引っ張り上げて叩き付けられる。

 

 

「がはっ!…」

 

「ちっ…手間取らせる」

 

 

桂は叩き付けたラウラに近づく。するとラウラがその瞬間を狙っていたのかレールカノンを桂に向ける。

 

 

「このっ!」

 

「!」

 

 

ラウラが至近距離でレールカノンを放つが桂は反射神経だけでよけた。ラウラは至近距離にも関わらず避けられた事に驚きを隠せずにいられなかった。

 

 

「ば……バカなっ!」

 

「お前は抑えているつもりだろうが、攻撃の瞬間に殺気を放っている。あまりに馬鹿正直だがら、目の動きでどの方向に来るのかも丸わかりだ。攻撃が見えようが見えまいが関係ねえんだよ……」

 

「くっ…なめるなっ!」

 

 

そう言ってラウラはプラズマ手刀を展開して攻撃を仕掛けるがことごとく桂に見切られて全て躱される。そしてカウンターと言わんばかりに桂はラウラに蹴りを放つが、ラウラが咄嗟に防御したが既にSEが危険域に突入していた。

 

 

「うくっ……この…私が……!」

 

「たくっ面倒な事をしやがる」

 

「もうよせ、桂!」

 

 

すると鈴を医務室に送った後に戻って来た一夏がラウラを守る様に桂の前に立ちはだかる。

 

 

「一夏!お前何しに───」

 

「桂、幾ら何でもやり過ぎだ!おいっラウラ、大丈夫か?」

 

 

一夏はラウラに無事であるかどうかを聞き出すと、ラウラからある感情が溢れ出している事が分かった。それは“怒り”。今まで敵視し、存在を認めなかった者に助けられた事に怒りを隠しきれなかったのだ。

 

 

「……ざけるな」

 

「ラウラ……?」

 

「ふざけるな……!ふざけるな!!貴様に……貴様なんぞに助けられるなんて屈辱だ!!織斑一夏!!」

 

「おいっラウラ、落ち着け……がっ!?」

 

 

怒りに染まったラウラは一夏を突き飛ばしてプラズマ手刀で一夏に切り掛かろうとする。

 

 

「!……一夏!!」

 

「死ねーーっ!!」

 

「……くっ!」

 

 

箒が一夏の方に向かうが、距離が遠過ぎる為に間に合うことは叶わなかった。一夏は雪片二式を展開してラウラのプラズマ手刀を防ごうとする。ラウラは怒りのままにプラズマ手刀を振り下ろす。その瞬間一夏とラウラの間に桂が入り込んでラウラが振り下ろそうとした手首を右手で掴んでいた。

 

 

「け……桂?」

 

「たくっ……ガキが、勝手な行動はとるな!邪魔なんだよ」

 

「くっ…どけ!」

 

 

ラウラは桂から振り解こうとするが桂の握力には勝てず解けないでいた。すると桂は掴んでいる右腕を引き寄せてラウラとの距離を積めた後に左手を握り、強化された肉体とミョルニル・アーマーのパワーアシストを掛け合わせてラウラの腹部に思いっきり殴りつける。その時にラウラのSEが桂のパワーに耐えきれずSEが底をついてそのままラウラの腹部に直撃してラウラの腹部の骨が数本折れる音がアリーナに響いた。あまりにも大き過ぎるダメージにラウラは吐血し、その吐血した血は桂のヘルメットに掛かった。

 

 

「ぐっ……かはっ!?」

 

「なっ!?おい桂、やり過ぎだ!」

 

「だまれ。俺は自分の任務を完遂する、それ以外にお前の相手をする理由はない」

 

 

一夏の言い分を一切聞かず桂は己が任務を完遂するためなら一切の情を、人間性を捨てることが出来る男であった。この時にラウラは意識を失わなかった。一夏に対する憎悪が一番に駆り立てていた為か意識を保つことが出来た。しかし……

 

 

「くっ……織…斑……がはぁっ!?」

 

 

ラウラが意識を失わなかったのがいけなかった。その結果桂の膝蹴りをまともに受けてしまい、その場で倒れてしまう。しかし桂はそんなラウラの状態など関係無く首元を掴み、持ち上げる。

 

 

「こいつの正体を暴くのも、俺の仕事だ」

 

「やめろっ桂!」

 

 

一夏の声すら聞かず桂は、ラウラの顔面に殴り掛かろうとすると一発の銃声が響き、桂のアーマーからSEが発生する。その銃声の正体は、以外にもウルフチームのリーダーである星矢がカスタムハンドがンであるゼーレで放ったものであった。

 

 

「いい加減にしろ、桂」

 

「星矢か……」

 

 

桂は最早五体満足に動けなくなったラウラを手放して星矢にM6Hをむけるが星矢はラウラの下に向かい、一夏にラウラを安全な場所に運ぶ様指示を出した。

 

 

「一夏、ラウラを連れて医療室に向かってくれ」

 

「わ…分かった!」

 

 

そう言って一夏はラウラを担いで医療室に向かった。桂はそれを阻止しようとするが星矢阻まれてラウラを逃がしてしまう。桂は星矢にM6Hを向けて何故邪魔をしたのかを聞き出す。

 

 

「星矢……これはどういう事だ」

 

「そのままの意味だ、お前はやり過ぎだ」

 

 

そう言って星矢は桂に背を向けて医務室に向かおうとするが桂は納得はしなかった。

 

 

「星矢。俺はアイツの正体を暴いていない。アイツは俺が対処する」

 

「……聞けないな」

 

 

星矢はそう言って動きを止めた瞬間、桂が持つM6Hを奪い取り、殴りつけた後にM6Hを捨てて殴り掛かった。桂は星矢の行動に隙をつかれてしまったが何とか立て直して反撃するも星矢に躱されるか、防がれるかの二つしかなかった。それでも桂は近づいてくる星矢に蹴りを一、二発をお見舞いした後に大きく殴り掛かろうとするが星矢はその大振りを利用して桂を倒させる。そして星矢は桂をヘルメット越しに顔面に拳を叩き付けるが、桂は咄嗟に回避してカウンターに蹴りを入れる。桂は起き上がると同時にアーマーのスラスターを噴出して星矢に膝蹴りを二発かますと同時に右フックと右の裏券を星矢の頭部にかます。すると星矢のヘルメットのバイザーに罅が生じた。それでも星矢のHUD事態には問題はなかった。すると桂は懐からなある装置を取り出してスイッチを入れる。桂が取り出したのは以前バック分隊がISテロに使用された対IS・対SPARTAN用に作られた拘束装置である。それを星矢に取り付けよう格闘戦を仕掛ける。星矢は拘束装置の事を分かっていた為に桂から自分のアーマーに付けられない様注意を払いながら格闘戦を行った。星矢はあの手この手で拘束装置を取り付けられない様に殴ったり蹴ったりとした。桂もパワーでは負けないものの、桂はあくまでSPARTAN-Ⅲの人間で星矢はSPARTAN-Ⅱの人間。この差が勝敗を分つ。星矢はヘルメット越しに桂の頭部に頭突きをかまして拘束装置を奪い、それを桂に取り付けた。その時に桂は諦めじとナイフを引き抜き星矢に斬り掛かろうとするが拘束装置が起動して桂のアーマーのパワーアシスト機能がショートして、動かぬ鉄の塊と化した。

 

 

「くっ!動けん……!」

 

「そこで反省してろ」

 

 

そう言い残して星矢は医療室に向かった。この事件は後に“SPARTANドイツ代表候補生半殺し事件”と伝えられ、一部の女子生徒達は最早SPARTANのことを恐怖の象徴と再認識するのであった。そしてその事件から二日が経った。

 

 

星矢Side out

 

 

 

ラウラSide

 

 

ラウラは夢を見ていた。その夢は、SPARTANである桂によって敗北した夢。ラウラは己が乗るシュヴァルツェア・レーゲンで夢の中の桂に立ち向かっていたが、ことごとく敗れる。その繰り返しが何度も続いて、いつしかそれが悪夢となり、ラウラのトラウマと化したのだった。そんな悪夢と言える夢は終わりを告げてラウラは現実世界に目を覚ます。

 

 

「……はっ!?………こ……ここは?」

 

「目が覚めたか、ラウラ」

 

「……織斑…一夏」

 

 

目を覚ますと、一夏がラウラの事を看病をしていた。

 

 

「貴様……何故ここに」

 

「星矢に頼まれたからだ。ラウラ、お前は覚えてないのか」

 

「覚えてない……だと?一体何を言って………!」

 

 

すると、ラウラはびくっと体を震わせる。その様子を見た一夏がラウラに声を掛ける。

 

 

「ラウラ、大丈夫か?顔色が悪いぞ?」

 

(なぜだ…思い出したくないのに…なぜ思い出してしまうんだ…!)

 

 

ラウラは思い切って頭を振るう。恐らく桂との戦いのことであろう……あれからあの戦闘がトラウマ化してしまっていた……

 

 

(思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな思い出すな………!)

 

(相当なほどトラウマを抱えてしまっているな。桂……アイツ、幾らなんでもやり過ぎだ……!)

 

 

ラウラは頭の中でまるで呪文を唱えるように自分に言い聞かせた……あの戦闘を思い出さないためにも。そして一夏はラウラのメンタルカウンセリングを行いながらもしょっちゅう見舞いにくるのであった。因みに箒は一度はラウラに怒りを覚えたが、桂の異常な位の半殺しの光景を見てしまって以降複雑な気持ちになりながらも一夏と共にラウラの見舞いに行く事になった。

 

 

 

続く……。

 





セシリアと鈴はラウラと交戦、後に敗北。
桂がラウラを半殺しにしてしまう。
星矢と桂の殴り合いが勃発。
ラウラは桂に対してトラウマの対象となる。


次回は、ONIが色々と急がしいそうです。


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無事解決と思ったら違うと言うオチの結果…

第1章の第17話、始まります。


転生者よ、後始末が大変だぞ?


 

 

時は二日前に遡り、“SPARTANドイツ代表候補生半殺し事件”から二時間後……

 

 

桂Side

 

 

桂は“SPARTANドイツ代表候補生半殺し事件”のことで職員室にいた。此処には一夏を除く各SPARTANのメンバー達と織斑先生が集まっていた。そしてサンジは桂が行ったドイツ代表候補生の半殺しに関して怒っていた。

 

 

「おーまーえーなー…!一体何を考えているんだ!?」

 

「アァッ?」

 

「幾ら代表候補生の暴走を止めるといっても半殺しする必要は何処にあるんだ!!アレは幾ら何でもアレはやり過ぎだろうが!!その結果、ドイツから苦情が送られてこっちまでとばっちりを受ける羽目になったんだぞ!」

 

「それだけではない。二人の容体の方は凰が軽傷でオルコットが意識不明の重傷だ。イギリスや中国からONIからISの修復依頼が出ている。もっともこの騒ぎを引き起こしたのはドイツの方だが、SPARTANの介入で事態がややこしくなったのも事実だ」

 

 

サンジの言う通り桂はラウラを半殺しにしてしまった為にONI本社はドイツからの苦情に対処しているのであった。そして鈴とセシリアのISはONIが回収してイギリスと中国にこれらの事を報告してから正式に修復依頼をもらいONI本社で修復している。因みに余談ではあるがイギリスと中国から修復依頼と同時にISの改良依頼を出してきたのは今の星矢達には知らされていない。

 

 

「少し殴ったぐらいで大げさなんだよ……」

 

「お前の言う少しは半殺しを意味するのかよ!?」

 

「……俺は桂に何回もしばかれた者とはいえ彼奴に対してはやり過ぎだろ。医療班からの報告によるとかなりの骨が逝っていたそうだ」

 

 

サンジと志野のツッコミの間にさらにデイジーとカルが付け足す。

 

 

「あの時星矢がお前を止めなかったら半殺しどころではすまなかったはずだ。少なくとも腹部の骨は五、六本位は確実に折れているだろう」

 

「幸い顔面を殴り掛かろうとした時に星矢が止めてくれたおかげでさらなる重傷を負わずに済んだものの、未だにラウラの意識が戻っていない分重傷に変わりないわ。少なくとも少しでは済まないはずよ。それに、桂の軽率な行動の所為でこの学園は色々大変なことになったんだからそこはちゃんと責任を取りなさい」

 

 

何故かカルから責任を取る様に言われた桂は何故自分だけなのか理解できなかった。

 

 

「ハァ?!なんで俺だけなんだよ?」

 

「黙りなさい!桂がラウラを半殺しにした所為でこの学園の生徒達の雰囲気は最悪な状況よ!」

 

「な…何でだよ?」

 

「ヘルメットに返り血を浴びてラウラを半殺しにした桂を見た他の生徒達が何もなかった様にいられる訳ないでしょ?!一年のほとんど一部の生徒達は食堂で夕食を食べず寮室で閉じこもったり、しまいには退学届けを出す生徒だっていたのよ!」

 

 

カルの言う様にIS学園の生徒達はアリーナの観客席で桂がラウラを半殺ししている所を目撃してしまいその結果(SPARTAN)という存在が生徒達にとっての恐怖対象と化してしまったのだ。幸いなのは星矢が桂を止めてくれたおかげで星矢が桂のストッパーと認識したのであった。だが、生徒達に恐怖という名の傷が出来てしまったのは変わりないのである。

 

 

「ISが兵器である以前にSPARTANが恐怖の対象になっちまったら元も子もねえな」

 

「……今回のことでラウラが一夏を殺害しようとしている映像をこちらの監視カメラに取られている分ONIとドイツの両方に非があるということだが、問題はこの後の処理と学年別個人トーナメントの調整する必要があるだろう。私たちものんびりしてはいられん」

 

 

織斑先生がそう言うと桂はあることを思い出して職員室からさろうとする。

 

 

「そうだった…俺もスケジュールの調整をしなけりゃな。一夏に謝らなけばならねえし、いつまでもうるせえ不運SPARTANとオカン的なSPARTANの相手をしたくねえしな」

 

「此処ぞとばかりに喧嘩売ってくるわね?本当に貴方は…」

 

 

桂が反省していない様な態度を見ていたサンジは呆れていた。

 

 

「あいつ本当に反省してねえな…」

 

「まぁ…あいつの場合は憎まれ役をあえて負っているんだけどな」

 

「憎まれ役を…?それは一体……」

 

 

カルが志野の言った意味を聞き出そうとした時に星矢が職員室に入ってきた。

 

 

「失礼します。織斑先生、池上先生はいますか?」

 

「むっ?池上先生なら今ここから出たところだ。それよりも泉谷、お前の持っているその手紙はなんだ?」

 

「これですか?これはONI本社から池上先生宛に届いた手紙なんですが、池上先生は今どこに向かったのですか?」

 

「フム……おそらく池上先生は織斑のいるところに向かっているだろう。織斑に謝ろうとしていたからな」

 

 

星矢は“そうですか”と行った後に職員室を後にして一夏がいる寮に向かうのであった。

 

 

桂Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

その頃一夏は寮室でラウラのことを心配していた。その時に箒が一夏の部屋に御邪魔してラウラのことについて話した。

 

 

「一夏、ボーデヴィッヒのことだが織斑先生の話によるとONIが持ってきたメディカル・カプセルで一日中寝かせることで全回復するそうだ」

 

「そうか……まだ意識の回復とかは聞かされていないのか?」

 

「あぁ……しかし一夏、何故お前はボーデヴィッヒのことを気にするんだ?一度お前を殺そうとしたんだぞ」

 

「あぁ…その事なんだが「一夏…いるか?俺だ、桂だ」……!」

 

 

一夏が箒に説明しようとするとドアからノックが聞こえた。ドアを開けると桂は一夏に謝ろうとしたその時…

 

 

「一夏、お前に少し話が…「…この馬鹿桂が!!」!…ゴッ!?」

 

「?!……一…夏?」

 

 

一夏が桂に殴ったのだ。これ程にもない怒りを表して。その様な一夏を見た箒は動揺し、恐怖した。

 

 

「お前…一体どの面下げて来たんだ!」

 

「…ったく、何だよいきなり?……!」

 

 

桂が何かを言う前に一夏は桂のシャツを掴み一夏の方に引き寄せた。

 

 

「お前ラウラを殺そうとしただろう?!あいつはまだ意識が戻っていない事を聞いたぞ!血反吐吐かせて骨折って、それが俺たちSPARTANのやり方かよ?!」

 

「ま…待て一夏!流石にそれは……」

 

「ラウラの事はこっちで調べて分かっている。けど…いくらドイツの軍人とはいえどあいつはまだ二十も満たないんだぞ!命令なら何でも許されるのか?!命令なら例え子供でも殺すのか?!」

 

「一夏、辞めないか!いくら何でも言い過ぎだ!」

 

 

箒は一夏を宥めようと落ち着かせるが桂はぶっきらぼうに一夏の問いに答えた。

 

 

「殺すさ」

 

「「……!」」

 

 

桂の冷酷な答えに一夏達は何も言えなかった。それでも桂は言い続ける。

 

 

「それが命令であればな」

 

「桂…」

 

「池上先生…」

 

「だが…アレは流石にやり過ぎたと思っている。すまなかった、別に殺そうとした訳じゃない。後二、三日も有れば目が覚めるだろう」

 

 

桂は一夏に一言謝った後に部屋を後にしようとした時に星矢がやって来た。

 

 

「桂、居るか?ん…一夏達も一緒か」

 

「星矢か。どうしたんだ、こんな所に来て」

 

「星矢?どうして此処に?」

 

「いやね、ONIから桂宛に手紙が届いているんだ。それと僕たちに悪い知らせが二つある」

 

 

星矢が言う悪い知らせの内容が気になったのか桂は詳しい内容を求めた。

 

 

「悪い知らせ?一体何なんだ?」

 

「その悪い知らせは軽い方と重い方の二つが在るんだがどっちから聞く?」

 

「……何か嫌な予感するから重い方で」

 

 

一夏が悪い知らせの重い方に推薦する。桂も同様に重い方から聞くことにした。

 

 

「それじゃあ…悪い知らせの重い方の内容は僕の階級が一階級降格になった。その結果、少佐から大尉になってしまったけどね」

 

「ハァッ?!何でお前が降格しているんだ?」

 

「まぁ…誰とは言わないけど何処かの馬鹿がドイツの代表候補生を半殺しにした所為でウルフチームの連帯責任としてリーダーである僕の階級が降格する羽目になったけどね」

 

「うぐっ……」

 

「まぁ僕はあまり階級には興味ないけどね。それと軽い方なんだけど、桂にとってキツイ内容なんだ」

 

「池上先生にとってキツイ内容?」

 

 

箒は星矢が言う桂にとってキツイ内容とは一体何なのかを考える。星矢は手に持っていた手紙を広げて桂達に向けて読み上げる。

 

 

「俺にか?」

 

「それじゃあ読み上げるぞ。[ONI特殊機甲部隊ウルフチーム所属ウルフⅡこと“池上 桂”を三日間の謹慎処分と処す]…だそうだ」

 

「なっ……!」

 

 

それを聞いた桂は唖然とし、その場を動けないでいた。一夏達は想像していた内容が違っていた事に桂と同じ唖然としていた。

 

 

「……思っていたほど軽い方なんだな」

 

「ああ……俺はてっきり長い方かと思ったよ」

 

「まぁ…ね。でもまぁ本来なら二、三週間くらいの謹慎処分を下されると思っていたんだけど、ここ最近事件が起きやすくなっている為なのかSPARTANをすぐ現場復帰させる為にあえて今回だけは軽い方になったんだと思うよ。まぁ桂がやった行いは正直言ってやり過ぎだからな、何かしらのペナルティが化せられたんだろうな。今の状況からして取り急ぎだろうからまた後からくるあるかもしれないけど……」

 

 

そういって星矢は桂の方を見て見ると、桂は何かが燃え尽きたかの様に真っ白になってかなり落ち込んでいた。

 

 

「でもまぁ…ど真面目仕事人間の桂にとっては、三日でもかなり堪えるか……?」

 

「け、桂!?」

 

「い…池上先生!?」

 

 

その後、一夏達は桂を何とかしようと必死に励ました。事実これが一番苦労したのは今いる一夏達だけである。

 

 

一夏Side out

 

 

そして二日後の現在……

 

 

星矢Side

 

 

今現在の星矢は破損したミョルニル・アーマーのヘルメットであるRecruitのバイザー修理に徹していた。とはいえ…二日間の間修理に徹していた為、ヘルメットの修理が完了し、バイザーの罅が奇麗さっぱり無くなっていた。後は直接被ってHUDの確認を取るだけであった。その結果無事に修理が完了した。その後の星矢はセシリア達の見舞いに向かう為に医務室に向かう。因みに余談ではあるが星矢は織斑先生からONIがセシリア達のISを回収してイギリスと中国にこれらの事を報告してから正式に修復依頼をもらったことを聞いた。それとラウラの方は無事に目を覚ましたがやはりトラウマを抱える事になった事も、一夏と箒がラウラのメンタルカウンセリングをしているのである事も聞いたのであった。医務室に入ると其処には軽傷で済んだ鈴と重傷で未だに目覚めないセシリアの姿があった。

 

 

「あっ……星矢」

 

「鈴か…その様子からして身体はもう大丈夫なんだな?」

 

「まあね、頑丈なのがあたしやアンタ達SPARTANの取り柄でしょう?」

 

「そうだな。……ところで、セシリアの方はどうなんだ?」

 

 

星矢は鈴からセシリアの状態を聞き出すと医務室にいる医療斑の人が代わりに答えた。

 

 

「オルコットさんは今もまだ意識不明です。ですが徐々に回復して来ています。あと二、三日待てば目を覚ますと思います。それと鈴さん、一応身体が動けるまで回復したとはいえまだ完治していないのですから暫く安静が必要です」

 

「わ…分かりました。……あっそうだ、星矢!あたし達のISはどうなったの?」

 

「その事なんだけど鈴達のISはONIが回収して今現在修復中だよ。どのISもダメージレベルがCを超えているからしばらく修復に時間がかかるみたい。どのみちトーナメント参加は無理みたい」

 

 

鈴が自分やセシリアの専用機はONIが回収してイギリスと中国にこれらの事を報告してから正式に修復依頼をもらっている事を説明した後に医務室からシャルが入って来た。

 

 

「星矢、いる?」

 

「シャル…?どうしたんだ?」

 

「実はちょっと星矢に伝えておきたい事があって……」

 

 

すると医務室の外から何かが走り出す足音を起ててものすごい勢いで此方に向かって来ている。その瞬間医務室の扉から女子生徒達が一斉に入って来た。

 

 

「「「泉谷くん!」」」

 

「うぉっ?!な…なんだ?」

 

「泉谷くん!これ見てっこれ!」

 

 

一人の女子生徒が星矢にあるお便りの紙を見せた。その紙の内容にはこう書かれていた。

 

 

「えっと…なんだ?[今月開催する学年別トーナメントではより実践的な模擬戦を行う為、二人組での参加を必須とする]……つまり、誰かが僕とタッグを組みたいってこと?」

 

「そう言うこと。最初は織斑くんとペアを組もうと思ったんだけど、織斑くんはボーデヴィッヒさんと組むことになって諦めたんだけどね」

 

「一夏がラウラと?意外……と言う訳じゃないか」

 

 

一夏はラウラとペアとなってSPARTAN(というより桂という存在)に対してのトラウマを克服する為に一夏はあえてラウラとペアを組んだと思われる。

 

 

「そうなの?とりあえず泉谷くん、私と組みましょう!」

 

「あっずるーい!私と組んで泉谷くん!」

 

「あー……ごめん、僕はシャルと組むから。同じONIのテストパイロットだから一緒に組んだ方が連携が取りやすいと思っていたから諦めてくれないかい?」

 

「ふ…ふぇっ?!星矢?」

 

 

シャルは星矢が言った内容に驚く中、他の女子生徒達は既に星矢はペアが出来ていた事を聞いた瞬間何かしらの望みが絶たれたかの様に落ち込んでそのまま渋々と医務室を後にするのであった。

 

 

「えっと…ごめんシャル、勝手に決めちゃって。……あれっシャル?」

 

「星矢、アンタ一夏に負けない程の鈍感なの?デュノアの顔がまっ赤になっているわよ」

 

「アウアウアウアウッ………///」

 

 

シャルはただ頭の中が空回りする中星矢はシャルが落ち着くまでただ待つ事にした。

 

 

星矢Side out

 

 

 

 

ラウラSide

 

 

私は今、憎き存在である織斑一夏が学年別トーナメント戦でペアを組まないかと提案して来たのだ。最初は屈辱ではあったが、あのSPARTAN()に敗れてからトラウマが残っていた。何れにせよこのトラウマを克服しなければまたあのSPARTANに負けてしまう事になる。そうなれば私という存在価値がなくなる。織斑教官のご期待に応えなければならない。その結果、私は止む無く織斑一夏の提案を呑むのであった。

 

 

「意外だな、お前の事だから断るかと思った」

 

「……最初はそう思った。言っておくが、私はまだ貴様をあの人の弟とは認めていないからな」

 

「何度も言うが俺はSPARTAN-Ⅲの一夏だ。それ以上でもそれ以下でもない」

 

「フン……ところで貴様に聞くが私が気絶している間、あの後どうなった?」

 

「あの後星矢はお前を助ける為に桂と殴り合う形になって最終的に星矢が桂を取り押さえられた」

 

 

私が手も足も出なかったSPARTANをあのSPARTANの隊長が取り押さえた様だ。圧倒的な力の差に悔しさを感じた。

 

 

「……ところで、私のISはどうなった?」

 

「整備の人によるとラウラのISはあまり目立ったダメージがなかった様だ」

 

「そうか……ならばやる事は一つ。織斑一夏、私の特訓に強制的に付き合ってもらうぞ」

 

「特訓……トラウマの克服の為か。……分かった、手伝おう」

 

 

そして私は、私の中に眠るトラウマを克服する為にトーナメントに向けて激しい特訓を行うのであった。

 

 

ラウラSide out

 

 

 

バックSide

 

 

女尊男卑勢がONI日本支社を独占し、俺達ODSTはONI日本支社を奪還してから三日が経った。その日にONI本社の社長から俺達ODSTの一部にSPARTAN-Ⅳ転属指令が下った。無論俺にも転属指令が届いていた。俺は長年経験し、会得した戦闘技術をいかしてSPARTAN-Ⅳに転属するのであった。ロミオは前の作戦で負った傷の完治次第、リハビリを終えた後にコルテスやオブライエンと同様にSPARTAN-Ⅳに転属するのであった。ダッチはこれを機にODSTを引退してONIの新人教育機関の教官に転属し、ミッキーもODSTを引退して日常生活に戻るのであった。そしてルーキーはODSTに残り、次に来るODSTの補充兵の隊長を務める為にコミュミケーションの練習を行うのであった。その時に俺は思った。

 

 

「……そういえば一夏の奴は元気にしているだろうか?」

 

 

一夏の事を気にしていた。何故バックが一夏の事を知っているのかと言うと、一夏がSPARTAN-Ⅲになる際に一度教官として戦闘技術を一夏にみっちり叩き込んで鍛え上げた事があるのだ。

 

 

「今思えば彼奴の朴念仁の酷さには手を妬かされたな……せめて女の気持ちを理解出来るところまで直せただけでもよしとするか」

 

 

バックは一夏を鍛え上げている際に女の話を持ちかけた時に一夏の朴念仁ぶりに呆れさせられた。以前一夏は中学の頃一人のとある女子生徒の告白を買い物の付き合いと勘違いしたのだ。当の本人は自分が持てる筈がないと思っていた為に女性の気持ちを察する事が出来なかったのであった。この時にバックは一夏を鍛えると同時に朴念仁を直す事にしたのだった。一夏に対して良く言っていた言葉がある。

 

 

「“惚れるなら、肝の据わった女”ってよく何度も一夏に言い聞かせたな。今頃彼奴はいろんな意味で大変そうにやっているだろう」

 

 

バックが言う様にその一夏は今、主に女性関係の意味で大変な目になっている事は今のバックには知る由もなかった。そう考えながらも俺はSPARTAN-Ⅳになる為に必要な書類を纏め、書類を封筒に入れた。

 

 

「……さてっそろそろ転属書類を提出しておかないとな。俺も晴れてODSTからSPARTANか。……ある意味複雑だな。まあ、老兵として丁度いい転属だろう」

 

 

そう思いながらも俺は転属書類を持ってそのままこの場を後にするのであった。

 

 

続く……。

 





桂は他のSPARTANや織斑先生にどやされる。
その後星矢から謹慎処分を聞いた桂は凄く落ち込む。
セシリアは未だに意識が戻っておらず。
バック達ODSTの一部はSPARTAN-Ⅳに転属する。


次回は、トーナメント戦です。


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VTシステムが変異して厄介なことになった結果…

第1章の第18話、始まります。


転生者よ、トーナメントを勝ち抜け。


 

 

学年別トーナメント戦に向けて僕達や一夏達は特訓を行い、それぞれの個性を鍛えた。そして大会当日、僕はアリーナのピット内で各武装を最終点検していた。今回使用する武器は自分が使用している志野が製作したソード・メイスの改良+拡張品である。昨日志野が僕の所に来て渡されたのだ。そして僕はこの大会当日で使用してみようと思ったのである。

 

 

「志野が作った新しいソード・メイスか……前のやつよりも少し重さが増しているな。それに、こいつには何かしらのギミックが施されている。それらは後で確認するか」

 

「星矢、そろそろ出場の時間だよ」

 

「分かった……今向かう」

 

 

星矢はシャルの言葉を聞いてソード・メイスをしまい、そのままシャルと共にピットのリニアカタパルトに乗り出撃準備を完了させる。

 

 

『リニアボルテージ上昇。射出タイミングを泉谷星矢に譲渡します』

 

「了解。SPARTAN-Ⅱ S105、出撃する」

 

 

ピットオペレーターの指示でリニアカタパルトから射出されると同時にSPARTANの星矢がPICを起動させ、空高く飛行する様にアリーナに出撃した。続いてシャルもリニアカタパルトに乗り、出撃準備を完了させる。

 

 

『続いてシャルロット機、リニアボルテージ上昇。射出タイミングをシャルロット・デュノアに譲渡します』

 

「はい。シャルロット・デュノア、行きます!」

 

 

ピットオペレーターの指示でリニアカタパルトから射出されると同時にラファール・R・スカウトを纏うシャルがPICを起動させ、星矢の後に続く様に空高く飛行し、アリーナに出撃した。そしてアリーナ内では既に一夏とラウラのペアがいた。しかしラウラからはトラウマを克服したいが故かソロで行動しようとしていた。

 

 

「織斑一夏、此処からは私の戦いだ。貴様はそこで見ていろ。手出しは無用だ」

 

「駄目だ、お前にはまだ危うい部分がある。何と言われ様が俺は援護させてもらう」

 

 

二人の会話を聞いた僕は思った。主にラウラはまだ連携の“れ”の字を知らない様であると。一夏がなんとかラウラの行動に合わせる様に色々と対策していた様だ。

 

 

「シャル、二人を見た感じだとあまりいい感じではなさそうだけど油断はしない様にね」

 

「うん、分かった。注意に越したことはないからね」

 

 

僕はシャルと一夏とラウラの現状を警戒すると試合開始の時間が迫っていた。

 

 

「あぁ……さてっ、ここからは……」

 

「貴様は、私の手で……」

 

 

 

 

「押し通る!!」

 

「叩きのめす!!」

 

 

 

 

そう宣言すると同時に試合開始のブザーが鳴り、星矢のペアとラウラのペアが同時に動き出した。星矢はラウラを相手をし、シャルは一夏の相手をした。

 

 

星矢Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

試合開始後に一夏は雪片二式を右手に雪片二式を、左手にはM6Hを展開してラウラが星矢に相手している間にシャルの足止めをするのであった。

 

 

「そういえば一夏、僕と対戦するのはこれが初めてだったよね?」

 

「え?あ…あぁっそうだが。一体どうしたんだ、急に?」

 

「ううん、何でもない。ちょっと確認しただけ。一夏、僕は負けないよ!」

 

「そうか……なら、俺だって負けられねえ!」

 

 

互いに負けられない思いを抱きながらも一夏は瞬時加速でシャルに一気に距離を詰める。しかしシャルは一夏が接近してくるのにも関わらず左手に近接ブレード“ブレッド・スライサー”を呼び出して冷静に一夏の初撃を防ぐ。初撃を防ぐ事を想定していた一夏はM6Hをシャルに向けて引き金を引こうとするがシャルがいち早く一夏のM6Hを空いた右手で銃口をずらし、一夏の攻撃を躱す。流石に不味いと判断した一夏は一旦シャルとは距離を取って左手に持つM6Hを収納し、代わりにM7サブマシンガンへと入れ替わる様に展開してシャルの様子を窺いながらもM7サブマシンガンの5×23mmケースレスFMJ弾を放った。そしてシャルは反撃と言わんばかりに右手に六一口径アサルトカノン“ガルム”を展開し、そのまま銃口を一夏に向けて六一口径FMJ弾の弾幕を張った。一夏とシャルは弾幕を躱し、駆け抜けながらも互いに一歩も譲れない戦いへと激化していった。

 

 

「ぐっ…!これじゃあ埒があかない!」

 

「隙ありだよっ一夏!」

 

 

一夏はこの激化した戦いに焦りを生じ、シャルはそれを狙ってのことかラファール・R・スカウトに搭載されている灰色の鱗殻を打ち込もうとするが一夏は雪片二式を使いパリィでシャルの攻撃を凌ぎきり、シャルから距離を取る。

 

 

(……このままだとじり貧だな。ここは打って出るか!)

 

 

今のままだと打開策が思いつかない一夏は左手に持つM7サブマシンガンを収納し、代わりに雪片二式専用の鞘を呼び出して右手に持つ雪片二式を鞘に納めて居合斬りの構えを取ると同時に一夏の目つきが変わる。その目は数多の戦場を駆け抜けたSPARTANの目つきそのものであった。

 

 

(あっ……これは少し厄介かも。ここは一旦っ!)

 

 

一夏の様子が変化したことに気づいたシャルはラウラと交戦している星矢に目を合わせると星矢が合図を言う。

 

 

「シャル、交代(チェンジ)だ!」

 

「星矢、お願い!」

 

 

その合図で星矢とシャルは互いに戦う相手と入れ替わる様に交代した。それでも一夏は居合斬りの構えを解くことなくそのまま星矢に接近して居合斬りの射程範囲まで詰める。そして一夏は星矢が居合斬りの射程範囲内に入ったと同時に鞘から雪片二式を抜刀して星矢に斬りつけようとするが、星矢はいち早くソード・メイスでガードして一夏の攻撃を防ぐ。だが……防御したソード・メイスに異常が起きる。それなりの厚みのある斬撃部分に亀裂が入り、砕け散る。

 

 

「……!(…ソード・メイスを?!やるな、一夏っ!)」

 

「くっ……!浅いか?!」

 

 

その時に星矢の持つソード・メイスの中身と言える部分が別の意味で姿を表す。そのソード・メイスの中身は刀の刀身があった。これは志野が作ったソード・メイスの改良+拡張品であるギミックの一つである刀身を入れ込んだものである。しかし悲しきことにその刀身は一夏の居合抜刀術で刀の刀身にも亀裂が入っており、最終的に折れてしまう。その時にアリーナのピットにいる志野はこの光景を見て“あ〜っ!!俺が作った力作である刀“流星丸”が〜!?”などと言って発狂していた。そんな事をお構いなく星矢と一夏は互いに何方が倒れるまで戦いを続けるのであった。

 

 

「これほど腕を上げるとはな……やるなっ一夏」

 

「星矢も自慢の武器を壊されても何ともしないなんてな」

 

「正直驚いてはいるよ。まさかソード・メイスを破壊される時が来るなんて想像していなかった訳だし」

 

「まあな……でもっ今回は勝ちを取らせてもらうぞ!」

 

「それはどうかな?僕とて負けられないからな「あああああっ!!」………!?今のはラウラの?」

 

「ラウラ?一体如何した……!?」

 

 

この時に星矢達は、ラウラが纏うISのシステムの中に真の敵が姿を表すことを知る由もなかった。

 

 

一夏Side out

 

 

星矢とシャルが入れ替わる三分前……

 

 

ラウラSide

 

 

試合開始後、星矢はソード・メイスと星矢専用の銃であるゼーレを呼び出し、ラウラにゼーレの50マグナムラウンド高速徹甲弾を浴びせるも、ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンのAICによって50マグナムラウンド高速徹甲弾を止められてしまう。

 

 

「フンッ!その程度の攻撃など……!?」

 

 

しかし星矢はラウラの言葉に耳を貸さずそのまま姿を消したと思った瞬間ラウラのハイパーセンサーが後方に反応があることを示し、ラウラは直感的に前へとダッシュした。その時に星矢のソード・メイスがラウラに当たることなく空振りに終わった。

 

 

「反射神経は良し、他は及第点……か」

 

「き……貴様っ!」

 

 

星矢の言葉に癇に障ったのかラウラはワイヤーブレードで星矢を拘束しようとする。しかし星矢はラウラの攻撃を読んでいたのかミョルニル・アーマーのパワー・アシストを最大限に発揮させ、ソード・メイスを力いっぱいゴルフクラブの様に振り上げる。その反動でソード・メイスを振るった後に風が起きてワイヤーブレードの軌道を無理矢理に曲げさせたのだ。それでもラウラは次の攻撃として大口径レールカノンを星矢に向けて対ISアーマー用特殊徹甲弾を放つとその時に星矢はソード・メイスを収納した後に地面に拳を叩きつけてその場でじっとすると星矢のアーマーの外回りに白いオーラらしきものが星矢を被さる様に包まれる。その瞬間ラウラの大口径レールカノンから放たれた対ISアーマー用特殊徹甲弾が直撃し、星矢の周りに煙が包まれる。

 

 

(……?何なのだ、この手応えがない様な感覚は………!?)

 

 

ラウラがそう疑問に思った瞬間星矢がいる方に向けると煙は晴れ、その場に居るのはSEを全く()()()()()()()星矢の姿があった。

 

 

「馬鹿な……!無傷…だと?!」

 

「……今のはアーマーロックを発動していなかったら流石に危なかったな。さてっと……」

 

「何っ?!待てっ………!?」

 

 

星矢は一旦シャルと一夏の方に向けると一夏の目つきが変わって居ることに気づいた。その時にラウラもペアである一夏の目つきを見た瞬間、ラウラの脳裏にあのトラウマが再び蘇る。その一夏の目つきは桂には及ばないがそれでもラウラの恐怖を思い出させる引き金になるのには十分なほどに。

 

 

(あ……あの目だ!あの目は私をしに追い遣ろうとするあの目つき……!!)

 

「さてっ、今度は僕が相手……?ラウラ?」

 

 

その時にラウラはシャルの姿、言葉すら眼中になく、唯己の頭の中で“死”という概念に囚われていた。ラウラはただひたすら何時、あの目つきをするSPARTANに殺されるのかと考えが空回りしていた。

 

 

(…違う!私はただSPARTANに恐れて……恐れているなど!)

 

 

その時にラウラの脳裏に誰かしらの声が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

“お前はこのまま死ぬか?”

 

 

 

 

 

 

私が……死ぬ?

 

 

 

 

 

 

“何も成せぬままただ機械の悪魔とかした者に殺されるか?”

 

 

 

 

 

 

違う………嫌だ………!死にたくない………!

 

 

 

 

 

 

“汝の存在価値を誰も気づかれないまま、この生を終わらせるか?”

 

 

 

 

 

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!

 

 

 

 

 

 

“ならば尊敬する者に見捨てられるのが怖いか?尊敬する者に忘れられて死ぬか?”

 

 

 

 

嫌だ!!

 

 

 

 

 

 

“ならば望め、より強い力を欲するか……?”

 

 

 

 

 

 

欲しい………!私の中の恐怖を────SPARTANという()()()()()()()()()!!

 

 

 

 

 

 

“汝の願い、聞き届けたり………()()()()()()()()よ!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Damage Level……A.

 

Mind Condition……Uplift.

 

Cert`f@c¥t?o!……#l*a;.

 

《V&l#"%i0 Tr!+? S$s&e*》

 

 

 

 

*L&0$"=J`*?}|=>’j&#))0&K=!'&"%#&"!*+>+Q@:.@:[5W)&E'"(&EW(%*{=~|?<>!#$()&%#))0

 

 

 

 

System Error……

 

 

 

 

 

 

Re.Programming……

 

 

 

 

 

 

《Forerunner The Guardian System》

 

 

……boot.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……やだ……」

 

「ら、ラウラ?どうしたの?」

 

「嫌だ……嫌だ!!私は教官に、あの人に見捨てられて、あの悪魔に殺されるのは嫌だ!………嫌だーー!!あああああっ!!

 

 

ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンの仕様外のシステムが起動し、ラウラの精神を蝕み、やがてラウラの意識が朦朧としていき、やがてラウラは意識を失う直前に叶わぬ願いを思いながら意識を落とす。

 

 

(教…官………クラ……リッサ………誰……か………助け……て…………)

 

 

ラウラSide out

 

 

 

星矢Side

 

 

正直言って僕はラウラのISの異常に驚きを隠せないでいた。一夏も同様にもはや試合どころではなかった。そんな時にラウラを纏っているISの仕様外のシステムに主導権を掌握されてラウラを拒絶するかのようにそのまま吐き出され、吹き飛ばされる。

 

 

「……!ラウラ!」

 

 

その時に一夏が動き出し、ラウラが地面に激突する前に抱き抱えながらも救出し、ラウラのシュヴァルツェア・レーゲンから離れる。その瞬間、アリーナ全体から男性らしき声が発せられた。

 

 

“哀れな、力を欲するあまり本来生きる意味を見失うか。愚かな偽りの生命よ”

 

 

突如と声が聞こえた星矢達は警戒をした。そして星矢はその声の主が何処にいるのか周囲を確認していた。

 

 

「誰だ……?何処にいる」

 

“貴様らの直ぐ近くにいる。もっとも、偽りの生命が纏う鎧そのものと言えばいいか?”

 

 

その瞬間、シュヴァルツェア・レーゲンが突然黒い装甲を光らせるとその装甲は灰の様に散っていき、シュヴァルツェア・レーゲンに使用しているISコアを残して消え去ったのだ。星矢はこの光景を知っていた。これはフォアランナーの武器の弾薬である“ハードライト弾”によるデータ化の現象に非常に酷似していた。そしてシュヴァルツェア・レーゲンのISコアに異変が起きていた。何とISコアが同じ形を維持しながら分裂したのだ。そして二つの別れたシュヴァルツェア・レーゲンのISコアは一つは星矢達の方に返却される様に星矢の手元にゆっくりと飛んで行く。星矢は今の現状を理解できていないがこっちに向かってくるシュヴァルツェア・レーゲンのISコアを回収するのであった。そして残ったもう一つのISコアはコアの上に何かしら白い光の粒を収束し、白い球体を形成する。そしてISコアはその白い球体に吸収させる様に白い球体と同化する。その時に白い球体から橙色の光の線が脈打つ様に発光し、白い球体の中から人の形をした何か………いやっ人そのものに似た少女の姿が出てきたのだ。流石の星矢達も驚きを隠せなかった。

 

 

「なっ……!?Iあの球体から…!」

 

「アレって………僕たちと同じ人間?!」

 

 

その人そのものに似た少女は肌はアルビノ状に白く、白い球体と同様に橙色の光の線が脈打っていた。そして髪の色は白い肌とは真逆の黒に染まった色であった。そして少女は閉じてある瞳を開く。その少女の瞳は蒼く、海中の様に深い蒼い瞳だった。そして何より、その少女容姿はラウラと瓜二つであることだ。

 

 

「!?アレは……ラウラ?」

 

 

やがてそのラウラに似た存在は腕を動かすと役目を終えたと思われる白い球体が別の物質に変換させ、ラウラに似た存在の身体と合う様に調整された銀色の装甲を纏い、僕達の前に現れた。

 

 

〔我が名“エヴォル ドミナント”。この地球……強いては、全銀河に存在するガーディアンの守護を務めする者〕

 

 

先程アリーナから男性の声の主と思われるラウラに似た存在は自らを“エヴォル ドミナント”と名乗り上げた。その少女らしい姿とはあまりにも似合わないくらいの機械じみた男性の声であった。

 

 

「まさか………ガーディアンか?」

 

「ガーディアン?何か知っているのか、星矢?」

 

〔ほうっ……人間の中にも我らの存在の事を熟知しているとはな?〕

 

 

エヴォルは星矢がガーディアンの事を知っていることに感心していた。星矢は一夏の問いに答えるために説明する。

 

 

「ガーディアンは古代フォアランナーが作り上げた対惑星用の兵器としか聞いた覚えがあるけど、そのガーディアンが作られた本当の目的は平和を強制させる為に示威行動だったり惑星内にいる反乱者を確実に排除という名の弾圧の為に作られた兵器であることは父さんから聞いたことがある。要約すると……逆らう者には死を。従う者には平和を。…それをコンセプトに作られた兵器こそ……」

 

「ガーディアンか……平和を強制させ、弾圧という名の恐怖を植え付けて全銀河にいる生命の自由を完全に我がものとする……まさに支配者に相応しい暴君な守護者(ガーディアン)だな」

 

 

一夏がガーディアンについて自己解釈しているとウルフチームのメンバーである桂達とカルやデイジー、サンジのSPARTANがアリーナ内に一同集結するのであった。

 

 

「星矢に一夏、シャル、無事か!?」

 

「急いで駆けつけたけど……一体アレは何なの…?」

 

「そう言えばカル達はまだONI内の情報の一部を見ていなかったんだな?あいつはフォアランナーが作った何かだ。詳しい内容は知らんがな……」

 

「おぉーー!!フォアランナーの技術パネェッ!!?これ持って帰っていいか?!」

 

「「「駄目だ」」」

 

「駄目?!マジかよ……」orz...

 

「おいおいっ、話が脱線しているぞ」

 

〔……何かとあの人間から狙われている気がする。不愉快だな……〕

 

 

集結した時の桂達の感想がそれぞれ独特であった。特に志野、相手が未知の技術で出来たフォアランナーが相手とは言えその反応は駄目だろ…(汗)。下手をすれば志野がロリコンか少女誘拐犯になりかねない。

 

 

「……とりあえずシャル、君は一夏からラウラを受け取ったらラウラを安全な所に連れて避難してくれ。これは流石の僕でも、油断できない相手だ」

 

「わ……分かった。気をつけてね、義兄さん」

 

 

シャルは一夏が抱えているラウラを受け取ってからアリーナのピット内に退避するのであった。シャルがピット内に入ったその時にピットのカタパルトハッチが閉まり、ロックが掛かるのであった。

 

 

「……さてっエヴォルと言ったか。お前は一体何しにここに現れた?」

 

〔そうだな……私の第一の目的を語っても良かろう。我が第一の目的は、己が器の生成する為だ〕

 

「器…?そう言えばお前はラウラのことを“偽りの生命”と言っていたな。それと何か関係があるのか?」

 

〔あの偽りの生命は私の器の条件としては良き器だ。だが器を生成する為にあえて回りくどいやり方でこの器を生成させてもらった。貴様ら人間が完璧を求め、ある人間の戦闘データを強制的にトレースさせ、パイロットの生死を問わぬ、VT(ヴァルキリートレース)システムを応用してな…〕

 

 

VTシステムとはエヴォルが言う様に過去のモンド・グロッソ優勝者の戦闘方法をデータ化し、そのまま再現・実行するシステム。パイロットに「能力以上のスペック」を要求するため、肉体に莫大な負荷が掛かり、場合によっては生命が危ぶまれる。束博士曰く“不細工なシロモノ”で、現在あらゆる企業・国家での開発が禁止されている危険なOSである。……父さんが言っていたドイツの黒い噂がVTシステムとは予想もしなかったけど、問題はそこじゃない。すると志野がエヴォルが言っている言葉の意味をすぐに理解した。

 

 

「VTシステムを?……てっ、ちょっと待て!?となるとアレか?エヴォルの野郎はVTシステムを何かしらの方法でリプログラミングして、VTシステムを書き換えたのか!?」

 

〔僅かなことで理解するとはな……貴様だけはより一層警戒しておこう〕

 

「いやいやいやっ何で俺だけっ?!」

 

「てめーが変態発言が原因だろうが、この機械オタクが……」

 

〔まぁ……それは置いておくとしよう、手始めに……貴様らの力を図るとしよう〕

 

 

エヴォルがそう言うと右手からデータを集束させ、何かを生成する。エヴォルが生成したのは嘗て織斑先生が第一回モンド・グロッソで使用された初代“雪片”であった。

 

 

「あれは、千冬姉の雪片……!」

 

「一夏、分かっていると思うけど……」

 

「分かっている。迂闊に突っ込むつもりはない…!」

 

 

これを見た一夏は驚きを隠せなかったが直ぐに冷静になってエヴォルが持つ雪片の零落白夜を警戒した。

 

 

〔貴様らはこのブレードに警戒している様だな……それほどこのブレードの特性に恐れを抱いている様だな?〕

 

「…煽っているつもりか?」

 

〔なら…試してみるか?〕

 

 

星矢達に煽るエヴォルに逆に挑発する桂の言葉がきっかけになったのかエヴォルは左手にエネルギーを集束させ、その集束された左手で地面に叩きつけるとエヴォルを中心に強い衝撃波が星矢達を襲い、エヴォルとの距離を離される。

 

 

「痛っ……全く、手荒い試しなことで……!全員、全火器使用自由。戦闘態勢だ…!」

 

「…たく、コヴナントの次はフォアランナーが相手か。面倒なことになったな」

 

「えぇ。煽りどころか、完全に脅しね」

 

「今の所は織斑先生達が生徒達を安全な場所に避難させているそうだ。できるだけ早くこいつを倒さないと不味いな…」

 

 

星矢の指示で全員がそれぞれの武器を構えてエヴォルと対峙するのであった。そして一夏はエヴォルが持っている初代雪片の特性を桂達に説明する。

 

 

「皆、あの初代雪片は俺が覚えている記憶が確かなら零落白夜が備わっているはずだ!その威力はコヴナントのエナジーソードと似た性質を持っている!」

 

「なるほどな……要は奴の攻撃を受けない様に気をつければ言い訳だ」

 

「心配するな、どんな状況下でも決して諦めないのが私のいいところだ!ならばこそ、この状況を覆そうではないか!」

 

〔…ならば来るがいい。貴様らの力とやらを私に見せてみるがいい〕

 

 

こうして僕たちは、ガーディアンのと対峙するのであった。

 

 

続く……

 





星矢とシャルは各個撃破のために散開する。
一夏はトーナメント戦でもガチで星矢と死合う中、ラウラはトラウマを再発してしまう。
VTシステムが謎のリプログラミングで書き換えられる。
新たな敵である“ガーディアン”と接触する星矢達。


次回は、フォアランナーとの戦闘です。


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ガーディアンの守護者と戦った結果…

第1章の第19話、始まります。


転生者よ、新たな脅威を撃退せよ。


 

千冬Side out

 

 

私はコヴナントとは違う存在に絶句していた。ラウラのISに異常が起きたのを確認した途端直ぐに ISを纏う教頭部隊を各生徒たちの護衛を指示を出した後にモニターを再び目を通すと、ラウラのISが当のパイロットを拒絶するかの様に弾いたのだ。その時に一夏が動き出して、地面に激突する前にラウラを救出した。するとラウラのシュヴァルツェア・レーゲンの装甲がの様に散っていき、ISコアが露出した時にISコアが分裂をして片方は星矢にもう片方はコアの上に何かしら白い光の粒を収束し、白い球体を形成させてそれと同化する。白い球体から橙色の光の線が脈打つ様に発光すると白い球体の中からラウラと同じ容姿の少女が出てきた。

 

 

「おっ織斑先生?!あ…あの白い球体から……!」

 

「分かっている、落ち着くんだ山田先生。(しかし……あの球体から人間が出でくるなど、先ず言って有り得ない。しかもその容姿がラウラと同じ顔だ。これは一体……)」

 

 

そう考えていると打鉄を纏う教頭達から通信が入って来た。

 

 

『織斑先生!なぜ私たちIS制圧部隊の出撃を許可しないのですか!?ISを纏った私たちなら直ぐに終わるはず!』

 

「そういう問題ではない。現に泉谷達SPARTAN部隊はあの様な正体不明の対処法を知ってるからこそ彼らに任せた。決してISが万能の存在ではない」

 

『……あーそうですか、だったら私たちは生徒達を避難させた後にその正体不明とやらを叩きます!以上!!』

 

「なっ…まて!!……くそっ!山田先生、至急泉谷との通信を!」

 

「はっはい!」

 

 

私は教頭等を抑えることが出来なかった。私はすぐに山田先生に泉谷に通信を入れる様指示を出すのであった。恐らく……いやっ、最悪の場合死人が出る可能性を考慮するべきかもしれん。

 

 

千冬Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

ガーディアンの守護する者である存在“エヴォル ドミナント”と交戦を開始した星矢たちは、これまでに無い程の苦戦を強いられていた。桂と志野がM739SAWライトマシンガンでエヴォルに対して集中砲火するもエヴォルは後ずさるだけで殆どダメージを受けている様子が無かった。それに続く様に星矢はゼーレの集束射撃で強力な一撃を放つ。しかしエヴォルは星矢が放つ50マグナムラウンド高速徹甲弾を初代雪片で斬り裂く。その後に一夏は雪片二式で斬りかかろうとするもエヴォルは初代雪片で器用に一夏の攻撃を防ぎ、隙をついて一夏を掴んで星矢がいる方に方に投げ飛ばす。カルとデイジーはM319グレネードランチャーで火力を集中させるもエヴォルは再び衝撃波を放って40mm擲弾を軌道を跳ね返してカルとデイジーの方に返す。デイジー達は跳ね返った40mm擲弾から回避する。40mm擲弾が着弾すると爆風が起きると同時にサンジがエヴォルの背後から奇襲し、拳を叩き込もうとするが、エヴォルは先を読んでいたのか左拳でサンジの拳とぶつかり合うとエヴォルとサンジが拳でぶつかり合った間に強い衝撃波がアリーナ全体に響き、サンジはその衝撃波に耐えきれず吹き飛ばされる。その時のエヴォルはまるで何もなかったと言わんばかりに平然としていた。

 

 

〔どうした、貴様らの力はこの様なものか?〕

 

「ちっ……アレだけ攻撃してもビクともしねえとはな……」

 

「これじゃあジリ貧だぜ……!リーダー、どうするんだ?」

 

「それを今考えているところだ。唯でさえエヴォルの戦闘力に手を焼かされているからな……」

 

 

実際のところ星矢達の弾が底を尽こうとしていた。弾切れによる焦りを感じる中、星矢たちSPARTANはこの状況をどう打開するかを考えていた。

 

 

「このままいけば絶体絶命だな……私たちは…」

 

「そうね、万事休すなんて事も考えられるわ…」

 

「あぁ……まさに一巻の終わりだ」

 

「「「……って、それは縁起悪いだろ(でしょ)!?」」」

 

 

サンジが縁起が悪いことを言ったために皆がそれぞれサンジにツッコム。

 

 

「言ってみただけだ!とにかく、奴をどうにかしなければ………」

 

 

そうサンジが考えていると織斑先生から星矢達に緊急通信が入る。

 

 

『泉谷、面倒な事が起きた。そっちにISを武装させた教頭らがそちらに向かっている』

 

「教頭らが…?今の状況を分かっててこっちに向かっているのですか?」

 

『あぁ……私が何度も出撃するなと言ったんだが、一部の教頭らを抑えきれなかった。泉谷、すまないが……』

 

「……出来るだけ善処します。ですが、死者が出るのは覚悟してください。相手は殺す気で相手にしています」

 

 

織斑先生の指示を無視してまで出撃するとは……大方ISの優位性を示したいが故の表れか、僕たちSPARTANに対しての嫌がらせの表れのどちらかだろう。そう考えていると打鉄を纏った二人の教頭達がアリーナのシールドを破ってやって来た。

 

 

「IS教頭部隊の到着よ!そこの正体不明機、大人しく降伏しなさい!」

 

「あんた達SPARTANの出番はここまでよ!そこで指をくわえて見ていなさい!」

 

〔ISを纏う愚者供が……貴様らの様な存在はこの世界において不要な存在〕

 

「何わけの分からないことをほざいているのよ!」

 

 

そう言って教頭たちは打鉄の接近ブレード“葵”でエヴォルに攻撃を仕掛けようとする。星矢はその教頭にISでは太刀打ちできないことを伝えるが………

 

 

「よせっ!そいつにはISは通用しない!」

 

「これで倒れなさいっ!!」

 

〔愚かな……!〕

 

 

しかし星矢の言葉は届かず、エヴォルに攻撃を仕掛けた教頭はエヴォルの持つ初代雪片によって横一線に胴体を真っ二つに斬られる。SEがあるのにも関わらずである。斬られた教頭の胴体から血が流れると思われたがその様子がなく、エヴォルに返り血は付かなかった。何故ならば、その斬られた教頭は胴体を真っ二つにされた瞬間、身体が白い光の粒になる様に教頭が消滅したのだ。恐らくあの初代雪片はフォアランナーの武器のハードライト弾同様に斬った対象をデータ化させる効力があるのだろう。エヴォルによって斬られ、消滅する姿をみたもう一人の教頭は星矢達SPARTAN以上の恐怖を感じた。

 

 

「嘘……ISを纏っているのに……?」

 

「ISコアごと消滅した?………最悪な事態になった!」

 

〔己の力では無い他者の力に酔いしれるどころか相手の力量を測らず挑むとは、何処までも愚かな人間だ〕

 

 

IS以上の力を持ち、女尊男卑勢の天敵であるSPARTANですらフォアランナーという古代兵器に苦戦を強いられる存在を教頭たちは相手にしていたのだ。実力差に見せつけられた教頭はエヴォルと目が合い、次は自分が殺されると理解した瞬間にエヴォルに背を向けてでも上空に逃げようとした。

 

 

「いっ……嫌あぁぁっ!!?」

 

〔愚か者が!敵に背を向けるなど!!〕

 

 

エヴォルは逃げようとする教頭を見逃すはずもなく、初代雪片をその教頭に目掛けて投げる。そして初代雪片はISを纏っている教頭の腹部に突き刺さる。その時に初代雪片をデータ化させ、エヴォルの手元に再び出現させた。そしてそのまま落下していき、地上に居るSPARTANの桂が教頭を支える様に受け止めるが既に身体全体にデータ化進んでいて数秒後には教頭の身体がデータと化し、ISコアごと消滅する。

 

 

「……厄介な敵が厄介な能力となると最悪な状況だな」

 

「ああ、モタモタすると他の所でも被害が出そうだ」

 

「そうだな。……桂、これを使え」

 

 

星矢はこの状況を打開するべくIS内にある“W/AV M6 G/GNR ノンリニアライフル”、別名スパルタンレーザーを桂に渡す。

 

 

「こいつか、これならダメージを通せるかもな…」

 

「だったら俺はこいつだぜ!」

 

 

その次に志野はM739SAWライトマシンガンと背中に背負っているARC-920を志野が魔改造した“ギャラクシー・ライフル”と入れ替える様に取り出す。このギャラクシー・ライフルは電圧システムを改造を施し、ガウスキャノンより勝り、レールガンの最大威力を限界に引き伸ばした事で戦車やレイスといった重装甲車両の相手を破壊するほどの貫通、破壊力を得た志野の魔改造の一つである。

 

 

「よりによってそれか………威力は期待できるんだろうな?」

 

「モチのロンだぜ?こいつの威力は織り込み済みだ!こいつをエヴォルの野郎に当てれば…!」

 

「……よしっなら作戦はこうだ。僕たちがエヴォルの注意を引きつけている瞬間を志野がレールガンでエヴォルに攻撃、次に桂はスパルタンレーザーでさらに追い討ちをかける」

 

「シンプルすぎるが無いよりはマシか……」

 

〔……貴様らの相手には少しばかり飽きが生じてきたな。ならば、これならどうかな?〕

 

 

星矢たちが通信越しで作戦を決めあっている中、エヴォルは左手を上にあげるとエヴォルの周辺に多数のプロメシアン・クローラー、ソルジャー、ナイトが現れた。

 

 

「プロメシアン……分かっていたけど、まさか喚び出せるとは思いもしなかったけど」

 

「やれやれ……奴の次は奴の援軍か?数からして50は満たない様だな」

 

〔貴様らの相手はこれで十分だろう?私には使命がある故にここいらで引かせてもらう〕

 

 

そう言ってエヴォルはプロメシアンたちをアリーナに残し、エヴォルの後方にワームホールを生成させた後にそのワームホールに溶け込む様に入り、その場から姿を消した。

 

 

「よりによって自分だけは別の場所で高みの見物かよ!」

 

「そんなことはどうでもいい、今はプロメシアンたちを片付けるぞ。ウルフチームはナイトを最優先で倒す。デイジーたちはソルジャーやクローラーを頼む」

 

「「「了解!」」」

 

 

そうして星矢たちは逃げたエヴォルのことは後にしてエヴォルの置き土産であるクローラー、ソルジャー、ナイトの混成部隊を迎撃するのであった。星矢はデイジー達にクロウラーやソルジャーなどの相手を任せて、桂たちを集結させた後に12体のナイトを迎撃する為に行動を開始する。

 

 

「ナイトは12体。各個撃破で片付いたら直ぐにでデイジー達の援護に向かうぞ」

 

「了解だ。たくっ……あの野郎、厄介な置き土産を残しやがって……」

 

「実際起きてしまったことに嘆いてもこの状況が変わるわけじゃない。今はこいつらを早く倒そう!」

 

「応っそうだな!こいつらをとっとと倒してフォアランナーの武器を拝借しようぜ?」

 

「志野、程々にな。……ウルフチーム、GO!」

 

 

星矢の号令と同時に星矢たちは動きだし、各自ナイトを3体同時に相手をするのである。

 

 

 

星矢は三体のナイトを相手する為にM45Dタクティカルショットガン手元に出現させて突撃の体勢を取る。

 

 

「それじゃあ……仕掛けるか!」

 

 

それを合図に突撃すると同時に三体のナイトも星矢に向かって突撃する。最初に1体目のナイトが左腕に取り付けられているブレードで星矢に斬りかかるが星矢はその攻撃を上に軽く飛んで交わす。そして2体目のナイトが右腕に持つZ-180スキャッターライフルの銃口を星矢に向けて撃つが、星矢は咄嗟に身体を銃口から下に下げて拡散ハードライト弾を躱すと同時に最初に攻撃してきたナイトを踏み台にしてそのまま一気に距離を詰めたと同時に至近距離でM45Dの8ゲージマグナムシェルを2体目のナイトに撃ち込む。その時に3体目のナイトがブレード星矢に斬りかかろうとするが星矢は2体目のナイトを盾にして3体目のナイトの攻撃を防ぐと同時に2体目のナイトを倒す。

 

 

「先ずは一体目……次!」

 

 

星矢は咄嗟に倒した2体目のナイトが持っていたZ-180スキャッターライフルを回収してそして3体目のナイトにZ-180スキャッターライフルに入っている残りの拡散ハードライト弾三発を撃ち込んで3体目のナイトを撃破する。

 

 

「これで二体目………!」

 

 

星矢の背後から1体目のナイトがブレードで斬りかかろうとするが星矢は直ぐにそれを見切って回避して3体目が持っていたZ-250ライトライフルと星矢が持つZ-180スキャッターライフルと入れ替わる様に取り替え、Z-250ライトライフルで1体目のナイトの弱点の一つでもある左右のコアを破壊してナイトの後方の装甲を剥がす。そして星矢はナイトの背後に回ってナイトのブレードを奪い取る様にちぎり取って、正面からナイトのコアごとブレードを突き刺すのであった。

 

 

「三体目!」

 

 

三体のナイトを撃破した星矢は直ぐにデイジー達の援護に向かうのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

桂Side

 

 

その頃桂はナイトの戦闘の際にスパルタンレーザーを捨て、素手でナイトに挑む。

 

 

「こういう相手は弱点を集中的に攻撃した方が良いがそれだと一々面倒だな。だったら、接近戦で確実に仕留める!」

 

 

そう桂は気合を込め、拳を鳴らせると同時に三体のナイトが桂に向かってくる。先ず桂は迫ってくる間近なナイトを標的にし、ナイトの足を払うように蹴り体勢を崩させる。それと同時にナイトのブレードを奪い取ってナイトの顔面に突き刺して1体目のナイトを倒す。2体目のナイトは仇討ちと言わんばかりにZ-180スキャッターライフルの銃口を桂に向けて撃とうとするが桂がナイトが持つZ-180スキャッターライフルを掴み、桂の強化された腕力とミョルニル・アーマーのパワー・アシストで銃口を上へと強制的に向けさせて敵の攻撃を躱す。そして桂はナイトの顔面を守っている鎧を引き剥がして骸の形をした頭部を掴んで首ごと引きちぎって2体目のナイトを倒す。そして3体目のナイトを別の方法で倒そうと桂は一気に3体目のナイトに近づきそのまま伸し掛かる。そのナイトは仲間を倒されたことで雄叫びをあげていた。その雄叫びは怒りの表れなのだと桂は悟ったがそんなことは気にせず腰に懸下しているM9手榴弾を取り出してそのままの信管を起動させてナイトの顔面に減り込む様に叩きつけた後にナイトから距離を取った途端にナイトの顔面に減り込んだM9手榴弾が起爆してナイトはダメージに耐えきれずにデータ化して、消滅した。

 

 

「これであらかた片付いたな。デイジー達の援護に向かうか……」

 

 

桂はナイトを片付いたことを確認した後にその場を後にしてデイジー達の援護に向かうのであった。

 

 

桂Side out

 

 

 

志野Side

 

 

その頃志野はエヴォルにお見舞いしようとしたギャラクシーライフルを代わりにナイトで試そうとしていた。

 

 

「本当はエヴォルの野郎にお見舞いしてやりたがったがしょうがねえ!お前達でこいつの威力を受けて見やがれ!」

 

 

そう言って志野はARC-920の魔改造レールガン“ギャラクシーライフル”の引き金を引き、電圧をチャージさせて銃口をナイトに向ける。その時のナイト達は偶然なのか縦一列に並んで志野に突っ込んで来た。これを好機ととらえた志野はギャラクシーライフルの弾丸であるM64 16mm×65mm FTP-HE弾をナイト達にお見舞いするのであった。

 

 

「唸れっ!ギャラクシーライフル!……発射ぁぁぁ!!」

 

 

チャージが完了したと同時に再度引き金を引いた瞬間反動がすざましく、500kgのミョルニル・アーマーでさえもその反動に負けて後ろへと引きずりながらもM64 16mm×65mm FTP-HE弾が縦一列に並んでいたナイト達を貫通してアリーナの壁に大きな焦げ跡を残した。

 

 

「うっへぇ……想定してた反動がこれ程とはな……こいつはかなりの課題点だな?」

 

 

そして志野はギャラクシーライフル撃った後に来る反動の改善案を考えながらもデイジー達の援護に向かうのであった。

 

 

志野Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

その頃一夏は雪片二式を専用の鞘に収めて居合抜刀の構えを取る。

 

 

「あまり時間をかけていられない……一気に片をつける!」

 

 

一夏は最速の感覚で脳裏から予知を見る。ナイト達が三方向から一気に攻めてくる光景を。それを見た一夏はナイト達が己の距離に来るまで待った。ナイト3体の内2体は身体を光子化して一夏の左右に出現する正面と左右からナイトが迫ってくる最中一夏はここで雪片二式を抜刀し、目にも留まらぬ速さで正面と左右からくるナイト達の身体を両断したのであった。

 

 

「よしっ!最速の感覚も何とか自分のものに出来たな。後はデイジー達の援護だ!」

 

 

そう言って一夏はデイジー達の援護に向かうのであった。

 

 

一夏Side out

 

 

 

デイジーSide

 

 

ウルフチームは何とかナイト達の殲滅に成功した後に各メンバーはデイジー達の援護に向かう。そしてデイジー達はクロウラーとソルジャーの混戦部隊と交戦して敵を約半数を殲滅していた。

 

 

「これだけ相手にしてようやく半分か……」

 

「えぇ…ソルジャーはほぼ形が人間と同じだから対処は何となるけどクロウラーは……」

 

「クソッ!こいつら本当に素早い分厄介だな!」

 

 

そう言いながらもサンジはカルから借りたM247Hヘビーマシンガンでクロウラーに向けて制圧射撃を兼ねつつクロウラーを何とか次々と倒していく。その時にナイト達を殲滅した星矢達ウルフチームはデイジー達と合流する。

 

 

「応援に来た!状況は?」

 

「見ての通り敵は半数片づいている。残りはこいつらだけ!」

 

「了解だ。ウルフチーム、彼奴らで最後だ。残さず食い尽くすぞ!」

 

「「「了解っ!」」」

 

 

デイジーは星矢に状況を聞かれた時に簡潔に説明する。そして星矢は桂達にそのまま攻撃指示を出す。そして残りのクロウラーやソルジャー達を殲滅戦に移行するのであった。

 

 

デイジーSide out

 

 

 

星矢Side

 

 

星矢を含むSPARTAN部隊はエヴォルの置き土産であるプロメシアンの混成部隊を殲滅した後にそれぞれ被害を確認するのであった。

 

 

「全員、状況報告」

 

「SPARTAN部隊全員健在。されど介入して来たIS制圧部隊の教頭2名KIA。ISコア諸共消滅」

 

「了解。現時点を持って状況を終了とする。……最悪なことになったな」

 

「ああ……エヴォルによってISコアが2個消滅したからな。後始末が大変だな」

 

「それと、女尊男卑勢がああだこうだと言いそうだな」

 

 

今後の先のことを考えながらも星矢達はアリーナが安全になったのかロックが外れたピットのゲートに帰還するのであった。

 

 

 

この事件は“フォアランナー強襲事件”と後の世の後世に伝わり、IS学園の学年トーナメントはこの事件によって中止となる。その結果、IS学園は十日間の休校になるのであった。その十日間で色々な後処理に見合わされた。多数の生徒達の退学届け処理やアリーナの修復作業、フォアランナー強襲事件で死亡したIS教頭二名のお通夜と葬式。そしてIS委員会からの苦情処理などを終えた後には既に休校の十日間が終わっていた。そして僕はこの十日の間で未だに目を覚まさないラウラの見舞いに一夏や箒と共に来ていた。

 

 

「どうですか、容体は?」

 

「身体の全体をスキャンしてみたのですが、どこも異常もありませんでした。私の考えでは恐らく精神の問題と思われます。あのVTシステムもどきが起動してから非常に怯えていました」

 

「ラウラがトラウマを克服するどころか、もう一つのトラウマが出来てしまったというのか……」

 

「シャルから聞いた話によると、ラウラは自分の存在意義が見失っていく恐怖心が新たなトラウマの引き金になってしまった様だ。そして俺たちSPARTANに対する恐怖もあの事件で再発した様だ」

 

 

 

一夏の言う様にラウラは戦うことでしか己の存在意義を見出せなかった。ISの登場後、ISとの適合性向上のために行われたヴォーダン・オージェ(ラウラが左目の方に黒い眼帯をして隠れている部分)の不適合により左目が金色に変色し、能力を制御しきれず以降の訓練では全て基準以下の成績となってしまい、このことから“できそこない”と見なされて存在意義を見失っていたが、ISの教官として赴任した千冬の特訓により部隊最強の座に再度上り詰めた。この経緯から、ラウラは彼女を尊敬し“教官”と呼んでいる。しかし星矢達SPARTANの出現で千冬と互角かそれ以上の強さを誇ることに関して面白くないと思っていた。しかし、桂の軽率な行動でラウラにSPARTANに対するトラウマを植え付けてしまった。その結果、新たなトラウマの引き金になったのであった。

 

 

「…とにかく、一夏と箒は引き続きラウラの看病を頼めるか?」

 

「ああ、無論そのつもりだ。彼女のメンタルケアは最後までやり遂げる」

 

「私も一夏と同じだ。最初はラウラのことは気に入らなかったが、一夏からラウラのことを教えてもらってからほっとけないからな」

 

 

そうして一夏と箒はラウラが目覚めるまで看病を続けるのであった。そして僕はONI本社に連絡を入れて更にIS学園の警備強化を父の清十郎に伝えるのであった。

 

 

続く……。

 




エヴォルと交戦するもの全く効果なし。
教頭達の介入……しかし返り討ちにあい戦死。
エヴォルが置き土産という増援を呼んだ後に撤退。
エヴォルの置き土産を殲滅、IS学園の後処理作業。


次回は、シャルとラウラにあるイベントです。


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IS学園である秘密が明かされた結果…

第1章の第20話、始まります。


転生者よ、イベントが大変だぞ?


 

 

ラウラSide

 

 

私は見知らぬ地で目覚めた時、ある男女の二人がいた。彼らの名を聞いたところ織斑 一夏と篠ノ之 箒という名前らしい。…しかし、織斑の名を聞いた途端何故か知っているような気がした。その時に扉からもう一人の女性が入ってきた。その時の私は、その女性のことを尊敬する様な気がして、何故か恐ろしく思った。その女性の名は織斑 千冬。IS学園の教師であり、同じ織斑の姓を持つ者である一夏の姉であることが分かった。その千冬という名を聞いた時に僅かだが失った記憶の断片を思い出した。この人は元は私の教官であることだ。……しかし、教官であることは分かったものの私の身体の震えが治まることはなかった。あの千冬という人の目が私の記憶の中の誰かに似ていたのだ。誰かは判らないが私にとって思い出したくない記憶の一部なのかも知れない。その後、織斑教官は医務室を出て行った時に私は一時眠りについた。

 

 

ラウラSide out

 

 

 

星矢Side

 

 

その頃星矢はラウラが目を覚ましたとの情報が耳に入り、星矢は他の作業を直ぐに終わらせて医務室に向かう。そして医務室に到着すると一夏と箒、ベットに横たわり眠っているラウラの姿があった。

 

 

「一夏、箒。ラウラの方はどうだ?」

 

「星矢か。ラウラは何とか目を覚ましたよ。だけど……少しその、面倒なことになった」

 

「面倒なこと?…一体何があった」

 

「実は…ラウラのことなんだが……」

 

 

ラウラに何があったのか聞こうとした時に箒が説明した。ラウラは今、記憶喪失になっていて記憶を大体三割を失ってしまったのだ。

 

 

「記憶を……か。それで、ラウラは今のところ失っていない記憶は何処まで覚えていた?」

 

「それが……千冬姉がドイツの教官になったばかりの頃しか覚えてないんだ」

 

「その時期だと一夏がSPARTAN-Ⅲ専用の訓練カリキュラムに移行したばかりの頃だな」

 

「それと…一度千冬さんがラウラに会いに来たのだが、ラウラはまるで初対面だと言わんばかりに警戒していたんだ。天敵と目が合ってしまったほどに怯えていたんだ」

 

「怯えていた……か。それは恐らく……」

 

 

星矢は何かを言おうとした途端、ラウラが目を覚まして身体を起こした。

 

 

「……貴方は……誰?」

 

 

星矢はこの時自分がSPARTANであることは伏せた。またトラウマを再発してしまうとPTSDが起こり得る可能性があると悟り、ラウラの前ではSPARTANの名は禁句(タブー)であることを認識する。

 

 

「僕?……僕は星矢。泉谷 星矢。よろしく」

 

 

そうラウラに挨拶すると星矢のスマホから一通のメールが届く。

 

 

「ん?メールか」

 

 

星矢はそのメールを送って来た送信者とメール内容を確認する。そして確認し終えた星矢は一夏たちに伝える。

 

 

「……一夏、箒。再びラウラの看病を頼む。僕は一旦ONI本社に戻るよ」

 

「本社に?何でまた?」

 

「何でもまたIS委員会の苦情の対処を手伝って欲しいって」

 

「そ……そうか。大変だろうと思うけど、頑張れよ」

 

「簡単に言ってくれるよ……。それじゃっ」

 

 

そう言って星矢は医務室を後にしてONI本社に行くためヘリポートに向かうのであった。そして一夏と箒は再びラウラのメンタルケアを行いつつラウラの記憶を思い出すきっかけを考えるのであった。

 

 

そして星矢は降下艇でONI本社に到着した後に何度もIS委員会からの苦情や暴言を遇らいながらも対処するのであった。全てを終えた後に星矢のスマホに父である清十郎から電話がかかり、すぐに社長室に来てくれと言われた為星矢はすぐに清十郎がいる社長室に向かうのであった。そして星矢は思いも寄らない人物と会うのであった。

 

 

「失礼します。S105、到着しました」

 

「応っ星矢、来たか。ちょうどお前に会いたい奴がいるぞ?」

 

「僕に…?父さん、それはどういう「せーく〜〜〜〜ん!!」……今の声は……」

 

 

出来るだけ気のせいだと思って後ろを振り向くと、束博士が星矢の背後から飛び込んで来た。その時に星矢は束博士を躱さずに正面から受け止めるのであった。

 

 

「束博士?何故貴方がここに?」

 

「実は束さん、ハルちゃんからここに来てって誘われてやって来たの!」

 

「ハルゼイ博士が?……束博士、貴方は一体何をしでかしたんですか?」

 

「まさかの私がやらかしたことを前提に!?ひどい!せーくんひどい!確かに本当にやらかしちゃったけど……

 

「博士……声が漏れています。……!?」

 

 

そう束博士と戯れていると扉から丸い機械の球体ことフォアランナーが作った管理ロボットであるモニターがセンチネルと共に入って来たのだ。

 

 

「おやおや?束博士達以外のリクレイマーがここにいらっしゃるとは…」

 

「モニター……!?」

 

 

星矢はモニターを目視した瞬間ゼーレを引き抜きモニターやセンチネルに銃口を向ける。

 

 

「ちょっせーくん!?待って待って!モニちゃんとセンちゃんは敵じゃないよ!!」

 

「敵じゃない……だって?」

 

「はい。束博士言う通り私達は敵ではありません。申し遅れました、私は管理ロボットの“サウザンド”1000番目のモニターです」

 

「私はセンチネルだ。よろしく頼む……」

 

「そ……そうか。……ていうかセンチネルって喋れたっけ?」

 

「あーっ……それは束さんが作った特製“ロボットとお喋りプログラム☆”が組み込んであるから喋れてるの」

 

 

そんなこんなで束博士やモニターに喋るセンチネルに少し戸惑いながらも今後の対策に対して話し合うのであった。……正直言ってセンチネルが喋るとは思わなかった。

 

 

 

数時間後……

 

 

 

星矢は清十郎と束博士と今後の対策を話し合う中、清十郎が星矢にあることを告げる。

 

 

「なあ星矢。シャルのことで話があるんだが?」

 

「シャルのことで?一体何だ?」

 

「いや何っ、そろそろIS学園でシャルはお前の義妹と明かしてもいいじゃないか?」

 

「……勘弁してくれ。他の女子達が絶対に騒ぎ出すに決まっている」

 

 

シャル達がIS学園に転校して来た時には他の女子生徒達の一部が何かしらと危ない方向に行っていたのだ。

 

 

「でもよ、いずれは皆に話すつもりなんだろう?いつかは分からんが…」

 

「それはそうだが、どうしたものか……」

 

「せーくん、ここは腹を括った方がいいよ?」

 

「どのみち避けられないのならば明かす他ありません」

 

 

束博士やモニターからも言われて色々と考えたが結局のところ思いつかず、シャルのことはIS学園が休校が終わった時に話すことに決まった。そして星矢は降下艇でIS学園に戻り、自分の寮室に戻ろうとしていると山田先生と偶然に会った。

 

 

「あっ…泉谷くん、ちょうどいいところに。泉谷くんに朗報です!」

 

「朗報……?一体なんの朗報ですか?」

 

「何とですね!今日から男子の大浴場使用が解禁です!!」

 

 

山田先生が言うように、ここのところ星矢は寮室内のシャワーのみで過ごして来たが大浴場の使用が解禁されたことに少し嬉しかった。

 

 

「そうですか。……このことを一夏にも?」

 

「はいっ!既にお伝えしております!後は泉谷くんだけだったので…」

 

「その時にちょうど僕がやって来たのを見かけたので伝えたのですね。ありがとうございます」

 

 

山田先生に礼を言った後に大浴場の使用時間を聞いてから僕は寮室に戻ってしばらく休み、大浴場の使用時間になった後に一夏を誘い、大浴場で湯に浸かるのであった。

 

 

「あ〜…生き返る〜〜」

 

「そうだな。ここ最近は寮室のシャワーしか使ってなかったからな」

 

 

そんな感じで日頃の疲れを癒していると一夏は何かと小難しい顔をしていた。

 

 

「……どうした一夏?」

 

「いやっ……俺がSPARTAN-Ⅲになったことで俺の人生は一変したなって」

 

「まぁ……元を正せば第二回モンド・グロッソで謎の組織に誘拐されて瀕死の状態まで暴行を受けて廃ビルの入り口に捨てられ、偶然ONIドイツ支社のスタッフが第2回モンド・グロッソを観戦し終え帰宅する時に偶然瀕死状態の一夏を発見したことが始まりだったか?」

 

「まあそれもあるけど、シャルを救出後に俺がISに触れたことかな?それでも何とかやってこれたのは二人の幼馴染みのおかげだな。右も左もわからない星矢達SPARTANを覗く女性だけの学園でどれだけ助けられたことか…」

 

 

そう一夏は過去に対して感傷に浸っていた。それもそうだろう……一夏は本来ならSPARTANになることは無くこの世界、物語の大筋に沿って色んなことに頑張りながらIS学園で青春するのであったが、星矢という想定外(イレギュラー)が出現したことで一夏の人生は大きく歪んだがそれでもこの世界の物語の中心点としてなおも存在している。少しばかりか星矢は罪悪感を感じた。星矢は転生者ではあるが、あくまでこの世界の中心点は一夏である。

 

 

「……大切してやれよ?箒達、あれでも一夏にアプローチしているからな?」

 

「その言葉、そのまま星矢に返すよ。それと…俺はすぐ揚がるよ」

 

「そうか。……ラウラのケアのことでか?」

 

「それもあるけど…星矢にとって大事なことだ」

 

 

一夏はそう言って湯から揚がり、そのまま大浴場を後にする。ただ一夏が言った意味が理解できなかった。

 

 

「僕にとって?……ん?」

 

 

考えていると大浴場から誰かが入って来た。星矢はこの時、桂か志野だと思ったが実際は違った。

 

 

「お……お邪魔します…」

 

「……シャル?」

 

 

あまりにも予想外すぎることに頭が一瞬だけ回らなくなった。……何でシャルが大浴場に?

 

 

「…あ、あんまり見ないで。義兄さんのえっち……」

 

「!……す、すまない」

 

 

そう言って星矢はシャルに背を向ける。そしてシャルは湯に入ると同時に背を向けている星矢と同様に背を向けて湯に浸かるのであった。この時に星矢は自分がSPARTAN-Ⅱであったことに複雑な気持ちになるのであった。そもそもSPARTAN-Ⅱには性欲という概念が失われている。その原因は甲状腺インプラントと呼ばれる成長を促進させるホルモンカプセルが入ったプラチナペレットの副作用によるものである。…しかし、星矢の場合は特殊だった。星矢自身の性欲という概念が少なからず、微細に残っていたのだ。その分シャルのことは今の様に少なからず女性として認識しているのだ。

 

 

「……えっと、シャル?何でここに」

 

「その………実はお義父さんからメールがきてね?そろそろ僕の本当の名前をみんなに伝えても良いかなと……」

 

「そう……か。僕も父さんに言われてね。シャルは僕の義妹と明かしても良いんじゃないかと僕は思っている。それはそうとシャル、まだ僕が入っているのを分かっていながらその………何で入って来たの?」

 

 

そうシャルに聞こうとした瞬間、星矢の背中に抱きつく様な感覚があった。

 

 

「……シャル?」

 

「義兄さん……いやっ星矢。僕は時々思うんだ。いつか星矢は僕を置いて何処かにいなくなってしまいそうな気がするの。星矢が言っていたあのフォアランナーっていう存在だったり、コヴナントという存在によって星矢はいなくなりそうで、僕は……私は……嫌なんだ。また二度と星矢に……会えなくなるなんて……」

 

 

星矢の背中には湯に浸かっている時に着いた水滴とは違い、別の水滴が星矢の背中に滴れていた。シャルは泣いていたのだ。かつてデュノアの愛人によって身体の遺伝子を改造させられて人は違う何かにされてしまったが、元を正せば彼女もまた一人の女性、人間なのだ。星矢は左手でシャルの頭を撫でて何処にも行かないことを伝えながらも湯に浸かるのであった。

 

 

それから四日後……

 

 

IS学園の休校終わって四日が経ち、フォアランナー強襲事件から二週間の月日が経った。その四日間偶然にも土日と祝日だった為にその次の水曜日から学園生活を再開するのであった。そして一年一組のクラスの人数はほとんど減っては居なかったが他のクラスと一部の上級生は退学して少し寂しい感じになっていた。因みにセシリアのことなのだが学年トーナメント前に無事に目を覚ました。フォアランナー強襲事件後にはそのまま治療とリハビリを行い、無事に復学することができた。ラウラの場合は外傷がひどくもない為復学は可能であった。

 

今日はシャルの秘密をみんなに明かさなければならない。シャルは今廊下で待機している。山田先生が教室に入り、SHRを行う前に一組全員に連絡する。

 

 

「えっと……SHRを始める前に皆さんにお伝えすることがあります。ここに新たな転入生なんですが……えっと……その、皆さんも知っている人だと思いますが……」

 

「山田先生、こっから先が僕が説明します」

 

 

僕はそう言ってみんなの前に立ちある事をみんなに伝える。

 

 

「みんな、ここに来たシャルロット・デュノアのことを知っているよね?実はそのことで話があるんだ。実は……僕には養子の妹がいるんだ」

 

「「「………え?」」」

 

 

星矢からのカミングアウトで女子達全員が唖然となる。無論、箒やセシリアもこればかりには驚いていた。ただ一夏は除いて……。

 

 

「その妹は少し訳ありで泉谷の姓を隠してこのIS学園に転入して来たんだ。……シャル、入って来ていいよ」

 

 

星矢がそういうとシャルが教室に入り女子生徒達全員に改めて自己紹介をするのであった。

 

 

「“シャルロット・D(デュノア)・泉谷”です。泉谷義兄さんの義妹です。皆さん、改めてよろしくお願いします」

 

「「「えぇ〜〜〜!?」」」

 

 

星矢とシャルのカミングアウトで女子生徒達は驚きを隠せずにいた。箒達も流石にこれは予想外であった。

 

 

「あーやっぱり明かすことにしたんだな、星矢は……」

 

「何…?一夏、お前デュノアが星矢の義理の妹であることを知っていたのか!?」

 

「まあ最初からなんだけどな。少し訳ありだったからあえて言わなかったけどな」

 

 

一夏が箒に説明する最中一人の女子生徒はあることを思い出した。

 

 

「あっ!そういえば休校中の間に私、泉谷くん達が大浴場を使用している時間帯でデュノアさんが入っていくのを見たわ!」

 

「えっ!?ちょっと待って!それって確か四日前のことだよね?もしかしてデュノアさん…!」

 

「まさか………もしかして……!」

 

 

やがて流れがいろんな意味で危うい方向へと向かっていることは明確であった。………何でこんな時に空気を読んでくれないのだろうか………

 

 

「待て。いろんな意味で待て。その時間帯で僕たちは既に揚がって着替え終わっていた時にシャルがうっかりと時間を間違えただけなんだ。決して君たちの思っている展開じゃない、断じて…ね?」

 

「え……でも結局それは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「断じてないよ?良いね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「アッハイ……」」」

 

 

僕はものすごく良い笑み(しかし目が笑っていない)で何とか女子達にこの事を何もなかった事にしてもらったものの、次の厄介ごとが待っていた。

 

 

「イチカーーーーっ!!!」

 

 

突然鈴が甲龍を纏い一組の教室の壁を突き破って来た。……今更だが更にIS学園を壊さないでくれ鈴よ………(汗)。

 

 

「うぉっ…鈴!?どうしたんだ一体!?」

 

「アンタって奴はーー!!一遍っ死ねーーーっ!!!」

 

 

そう言って鈴は龍咆を一夏に向けて衝撃砲を放つ。一夏は咄嗟にISに格納しているドロップシールドを取り出してスイッチを地入れようとした時に一夏の前にラウラが割り込んでISを展開し、AICで鈴の衝撃砲を防ぐ。

 

 

「大丈夫ですか?()()()()?」

 

「あ……あぁ。……って、ちょっと待て。兄様?」

 

 

流石の一夏でも兄と言われた事に戸惑いを感じた。その事に関してラウラは一夏に説明する。

 

 

「は…はい。私は記憶を失って以来一人でいることが怖んです。ですから、その……一夏と箒のことを兄様と姉様と呼んでよろしいでしょうか?」

 

「えっ!?えっと……俺は構わないが箒は?」

 

「わ…私か!?その……ボーデヴィッヒがそれで良ければ構わない…ぞ?」

 

 

一夏と箒はラウラの意外な事に色々と混乱しながらもラウラの質問に了承するのであった。

 

 

「あの……大丈夫ですの一夏さん?箒さん?」

 

「「正直言って大丈夫じゃない、色々と問題だらけだ」」

 

「あはは……そういうのは慣れる他にないよ。僕もそうだったから……」

 

「それはそうと、未だにSHR中だということを忘れている件について……」

 

「全くだ、馬鹿者どもが……」

 

 

星矢がそう言った瞬間、織斑先生の声がすると同時に星矢以外の一夏達の頭に出席簿が直撃した。星矢は相変わらず直撃する前に白刃どりで回避する。その後、星矢達は廊下に立たされたのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

預言者Side

 

 

その頃、コヴナント預言者軍こと真実の預言者は艦内に侵入して来た謎の存在と会話していた。預言者が話している存在は以前星矢が通うIS学園のアリーナで現れたエヴォルの姿があった。その預言者の護衛を務めるアービターとタルタロスとともに……。するとアービターがエヴォルにある質問をする。

 

 

「……して、エヴォル殿といったか。貴殿が言うにガーディアンとやらを守護するか?」

 

〔然り。我は使命を全うすべく貴様らの元に顔を合わせに来た……といえば納得するか?〕

 

「それは預言者様が決めることだ。貴様が人間の姿であれ、何者であろうと我々の邪魔をする言うならば……」

 

「よい、タルタロスよ。……其方が何故ここに参られたのかは目的が有ってのこと。然すればこそ、ここに訪れる理由もあるまい」

 

〔理解が早くて助かる。私がここに訪れたのは他でもない。貴様らにプレゼントとやらを渡す為だ〕

 

 

エヴォルはそう言って手元からISコアを二つ出現させてアービター達に渡す。

 

 

「これは……若しや……!」

 

〔以前IS学園とやらで愚者の二人から貰い受けたISコアとやらだ。私からのささやかな贈り物だ〕

 

 

そう、エヴォルはIS教頭を殺害したと同時にデータ化したISコアをデータという形で奪っていたのだ。これにより預言者軍はISコアのブラックボックスの解明を行い、コヴナント製のISを作ろうとしていた。この更なる脅威が待ち受けていることを未だに星矢たちは知る由もなかった。

 

 

続く……

 





ラウラは目覚めたが記憶喪失。
星矢はシャルと相談し、秘密を明かすことにする。
シャルの秘密を明かすと同時にラウラは一夏と箒を兄と姉と呼ぶ。
エヴォルは預言者と接触しISコアを渡す。


次回は、星矢とシャルが買い物をします。


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買い物中、トラブルに遭遇した結果…

第1章の第21話、始まります。


転生者よ、買い物には気を付けろ?


 

 

IS学園でシャルやラウラのことで色々なことがあったが、何だかんだで無事にIS学園に一時的な平和が訪れている。因みにラウラのことなのだが、未だに精神が不安定な為にメンタルケアの為に箒と同室になったり、ラウラがこっそり一夏の部屋に入って一緒に寝たのは余談である。限りある平和な時間を無駄にしないために僕は臨海学校に必要な物を買う為にシャルと一緒に買い物に出かけるのであった。その時に偶然一夏と箒、ラウラの姿があった。そして一夏は星矢を見かけて声をかける。

 

 

「おっ、おーい星矢。どうしたんだ?」

 

「一夏か。ちょっとシャルと買い物しに行こうと思ってね。……もしかして一夏達も?」

 

「ああ。私は臨海学校で必要な水着を買おうと思ってな。それとラウラも一緒に」

 

「あっはい…そうです」

 

 

ラウラは少しぎこちなく星矢に挨拶する。しかし、やはりまだ封印されているトラウマのことで少し不安が残っているのか少しまだ怯えていた。そこで星矢は一夏達にあることを言う。

 

 

「一夏、箒。一緒に買い物に行く時にラウラと手を繋いでやってくれるか?」

 

「え?それはそれで構わないけど……」

 

「?…わかった。ラウラが不安ならば手を繋いでいよう」

 

 

そう言って一夏たちはラウラと手を繋ぎ、そのまま買い物しに向かっていった。まるで兄妹のような感じであった。

 

 

「…出来るならばラウラが記憶が戻った時に一夏と和解することを願いたいな。あの様子だとまるで兄妹な感じだ」

 

「そうだね。……それよりも兄さん、僕たちも臨海学校の準備のために買いに行こう」

 

「そうだな。行こうか、シャル」

 

 

そう言って僕はシャルと共に臨海学校に必要な物を買う為に駅前のショッピングモール“レゾナンス”に向かうのであった。その時に僕たちの背後から誰かがこっそりとついて来ていることに気づかずに……

 

 

星矢Side out

 

 

 

鈴Side

 

 

星矢達がレゾナンスに向かっている様子を自販機の陰に隠れながらも目撃した鈴とセシリアがいた。その時の鈴達の目のハイライトは消えていた。

 

 

「ねぇ……」

 

「ナンデスノ〜……」

 

「あれって…手ぇ握ってない?」

 

「ニギッテマスワネ……」

 

「そっかー…見間違いでも白昼夢でもなく、やっぱりそっか…………ヨシ、殺ソウ!!!」

 

 

鈴は右腕にISを部分展開していつでも殺れるようにスタンバッていると……

 

 

「いやっ…駄目でしょ。そんなことをしちゃ……」

 

 

鈴達の背後からカルがやって来て鈴の暴走気味の殺害宣言?にツッコンで暴走を止める。

 

 

「あっ……カル先生。何時からいらしてましたの?」

 

「ついさっきよ。 あなた達が自販機に隠れているところからだけど。……それはそうと、もしよかったら何だけど私と一緒に買い物に行かないかしら?」

 

 

つまりカルは最初から目撃していたことになる。その時にカルは鈴達を買い物に誘う。

 

 

「え……買い物でしょうか?」

 

「えぇ。あくまでもしよかったらの話なのだけれど、いいかしら?」

 

「「もちろん行きます!」」

 

「そ……そう?分かったわ(汗)」

 

 

カルは鈴達と共に買い物に向かうことになったものの当の本人の二人は買い物に行った星矢達(セシリアは星矢、鈴は一夏)を追うのが目的であったが故に好都合だった。そんな形でカルの買い物に同行するのであった。

 

 

鈴Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

レゾナンスに到着した星矢達は水着を買うために水着売り場を探していた。

 

 

「確かこの辺りなんだけど……最近ここには来ないからだいぶ変わっているな」

 

「そうだな。……ところで星矢達も水着を買うのか?」

 

「あぁ……久しぶりの海水浴を味わえるかもしれないから。泳ぐ為に買っておかないと思ってな」

 

「うん。ところで星矢、もし水着のことで迷った時は星矢が見てくれる?」

 

 

シャルが星矢に水着選びで迷った時は見てもらうことを頼むと星矢は“分かった”と了承した。

 

 

「……それじゃあ一旦別れて買いに行こう。三十分後にはここで合流しよう」

 

「うん、わかった」

 

「……星矢は別れて行動するとして、こっちはラウラがいるからな。一緒に行動しようか」

 

「そうだな、まだ完全に記憶が戻ったわけではないからな。ラウラ、私たちと共に水着を買おう」

 

「はいっ兄様、姉様」

 

 

星矢とシャルは自分の水着を買う為に一旦別れて、一夏と箒はラウラのことを思って一緒に水着を買うことにした。そしてその星矢達の後を追っていた鈴達はこっそりと星矢達のことを観察していた。

 

 

「ねぇ」

 

「なんですの?」

 

「あれってデートなのかな?」

 

「何やっているの?あなた達……」

 

 

カルはカルで鈴達の行動にただ呆れる他なかった。因みに、鈴がセシリアから何か良い香りがすることに気づいたのは余談である。

 

 

 

それから三十分後……

 

 

 

星矢は水着を買い終わってシャルと合流するべく合流地点に向かっていると……

 

 

「よぉ…ねえちゃん?こんなところで一人かい?」

 

「すみません。僕、義兄さんとここで待ち合わせをしているんです」

 

「兄さんねえ?……ちょっとくらいここを離れたってどうってことはねえよ?」

 

「そうそう、俺たちと一緒に遊んだ方が一段と楽しいぜ?ねえちゃんの兄さんだってわかってくれるさ?」

 

 

よく漫画にある不良達が女性にナンパしているシーンがシャルという形で再現されていた。流石のこの状況は不味いと思い僕はその不良達に声をかける。

 

 

「……すまない、僕の義妹に何か?それ以前にあんた達の言っている意味が全然解らないのだが?というより解りたくもない」

 

「あぁ?なんだテメェ〜…」

 

「あっ…義兄さん!」

 

 

シャルは星矢を見た瞬間に走り出して星矢に抱きついた。

 

 

「ごめんシャル、待った?」

 

「ううん。丁度ぴったりだよ?」

 

「そっか。……なら少し待ってくれないか?彼らとは少しHANASIをしてくる」

 

「う……うん。ほどほどにね?」

 

 

そう言って星矢は不良達に近づき、HANASIAIをするのであった。

 

 

「この野郎…せっかくいいところを邪魔しやがって!」

 

「見た目からして少しがたいが良いが所詮は見せかけだ!」

 

「あのね……僕としては穏便にHANASIAIで解決したいだけなんだ。ここは一旦……HANASIをしよう?」

 

「「ザッケンナゴラァァアア!!」」

 

 

1分後……

 

 

「まぁ……取り敢えずだけど、これを機に悪質なナンパなどはやめといた方がいい、それが己自身のためでもある」

 

「「はいっ……すいませんでした……」」

 

 

お約束?と言うものなのだろうか、不良達は星矢のHANASIAIという名の肉体言語で解決しました。その結果、今の不良達はボロボロです。更に分かりやすくいうと瞬獄的な技で鎮圧しました。

 

 

「これに懲りたらもう二度とやらないように。でないと……HANASIAIが待っているよ?」

 

「「ヒィッ!?す……すんませんでした〜〜!!」」

 

 

そう言って不良達は一目散に蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。そして僕はシャルと再び目を向き合う。

 

 

「ごめん、時間掛かった」

 

「う……ううん、大丈夫。それにしても星矢、あの人たちに対して少しやりすぎなんじゃ……」

 

「……その点は自覚している。もう少し加減すべきだった」

 

 

星矢は怒る時に加減を忘れてしまい、相手を完膚無きまでに叩き潰してしまうことがある。今追い返した不良達の様に話し合い(物理的)で若干の恐怖心を植え付けてしまった。正直いってこれは僕の悪い癖だ。

 

 

「……そういえばシャル、そっちは買い物もう終わったの?」

 

「あ…ううん。それについてちょっとね。星矢に選んでほしいなぁって思って」

 

「そうか……わかった、行こうか。(僕の場合、この手のセンスとかは正直微妙なんだよな……大丈夫かな?)」

 

 

そう思いながらも星矢はシャルと共に水着売り場に入るのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

シャルSide

 

 

僕は星矢に水着選びに選んでもらおうと水着売り場で僕はいろんな水着を見て選んでいた。…でも恥ずかしいかな?

 

 

(ちょっと恥ずかしいけどやっぱり本人に木の実を聞くのが一番だよね?やっぱりオーソドックスなかわいいやつかな。ちょっと大胆なのもセクシーでいいかな?もし星矢がマニアックだったら……いやっ星矢はそういうのには興味はなかったかな?)

 

「これは……なぁシャル、こういうのはどうだろうか?」

 

 

そう考えているうちに星矢はとある水着を取り出してシャルに見せたのは黄色と橙色が混ざったホルター・ビキニと黒と橙色のトラ柄模様のフリルスカートがセットの水着であった。

 

 

「シャルは何かとオレンジ色が合うと思ってこれにして見たんだが、どうだろう?」

 

「え?そ…そうかな?そ……それじゃあ試しに着てみるね」

 

 

そういって僕は星矢に選んでもらった水着を持って近くの試着用の更衣室に入る。……星矢は色的に僕色の水着を選んでもらったけど、改めて見るとこれって結構大胆な水着だよね……?

 

 

シャルSide out

 

 

 

星矢Side

 

 

僕はシャルに水着を渡したのはいいものの、正直言って不安である。僕はこの手といったセンスは非常に結構微妙なのだ。取り敢えず僕は自分のセンスに当たりが来る様にとただ願う他なかった。そう考えていると一人の女性が僕に声を掛けられた。

 

 

「ちょっとそこの貴方。そこの水着、片付けておいて」

 

 

それも命令口調で。……どうやら女尊男卑に染まった女性の一人の様だ。ただでさえシャルを待っているのに本当についてないな。取り敢えず僕は冷静に対処するのであった。

 

 

「……失礼、お嬢さん?先ほどの発言の意味が理解できないのですが?」

 

「あら?聞こえなかったのかしら?私はそこの水着を片付けてと言ったのよ」

 

「いえ、声ははっきりと聞こえているのですが発言の意味が全く理解できないと言っていますが?」

 

「へぇ、そう言うこと言うんだ。男が女に口答えできると思ってるの?こっちは訴えることもできるんだけど?」

 

「それは止めた方がいい。それと、僕はこう言うものです」

 

 

そう言って僕は懐からある名刺を取り出して女性に見せる。その女性は僕が出した名刺を見た瞬間顔を青ざめた。

 

 

「お……ONI社!?それもSPARTAN!?」

 

「まぁそうことなのですが、他に何か?」

 

「い……いえいえっ?!何でもありません!し……失礼しました!!」

 

 

流石に不味いと思ったのか女性はすぐに散らかっていた水着を片付けた後に直ぐにここから退散した。SPARTANの名は今でも女尊男卑勢の抑止力になっていた。

 

 

「やれやれ……まだ女尊男卑が終わりそうにない様だね……」

 

「星矢、終わったよ」

 

 

シャルの声が聞こえた星矢は更衣室に振り向くとそこには先ほど渡した水着をきているシャルの姿があった。正直可愛いのだが、普通の男性が見れば赤面するのは間違いないが、僕達SPARTAN-Ⅱにとっては可愛いだけである。

 

 

「……どうかな?」

 

「あぁ…結構似合っているよ。とってもね」

 

「本当?じゃあこれにするねっ」

 

 

そんな感じでなんとかシャルの水着選びは決まった。その後に一夏達と合流した後に薄々と気づいたのだが背後に隠れている鈴達と会うのであった。

 

 

「なんか背後から付いて来る様な気配があったと思ったら鈴達だったのか…」

 

「ま……まぁそろそろ出てこようかと思ってたのよ」

 

「え…えぇタイミングを計っていたのですわ。オホホホ…」

 

「その割には殆どストーカー的行動だったけどね……」

 

 

カルはカルで鈴達の行動に度が過ぎない様に観ながらも買い物をすませるのであった。そう会話していると桂と千冬さんが偶然やってきた。……なんて言うか、珍しい組み合わせだ。

 

 

「ん?…お前達、ここで買い物か?」

 

「あっ……池上先生に織斑先生」

 

「泉谷、また良からぬことを考えているのか?」

 

「いやっそれとは真逆です。むしろ桂と千冬さんが一緒にいるのが珍しくて……」

 

「……っ!」

 

 

箒が桂に挨拶している中ラウラは桂を見た瞬間、まるで天敵でも会ったかの様にすぐ一夏の背後に隠れた。

 

 

「一夏、ラウラは確か……」

 

「あぁ……聞いているかもしれないが、ラウラは記憶喪失なんだ。だから出来るだけ怖がらせる様なことは……」

 

「わかっている。俺を何だと思っているんだ……」

 

「あれだけやっておいて自覚せんとまたONIから処分が下るぞ、池上先生?」

 

 

桂は痛いところ突かれて千冬さんに返す言葉も出なかった。取り敢えず僕は急遽話題を変える。

 

 

「……ところで千冬さん達は臨海学校用の水着を買いに?」

 

「まぁそんなところだ……。織斑教頭に頼まれてな、水着を選んでほしかったそうだ」

 

「……以外だ。まさか千冬姉が他の男性に水着選びを頼むなんて……」

 

「……お前は私をどんな風に見ていたんだ?馬鹿者が……」

 

 

千冬さんは一夏の反応に呆れつつも、千冬さんは二つの水着を桂と一夏に見せる。

 

 

「……それはそうと桂、それに一夏、二人はどっちの水着がいいと思う?」

 

 

千冬さんが桂達に見せた水着は黒のフロントタイビキニと白のホルター・ビキニであった。桂と一夏は悩んだ。

 

 

(うわぁっ際どいなあ……千冬姉の場合、黒にすると少しアウトラインギリギリなんだよな。色香に釣られて男たちが寄り付いてくるんじゃないか?…いやっ絶対寄ってくるだろ……)

 

(……と一夏は考えているだろうな。確かに黒色の水着だと男どもにとって寄ってきそうな感じの色香をしているからな。織斑教頭はどんな水着でも合う体格している故に寄ってくることは先ず間違いないだろう。しかし、だからといって白の水着を選んだとしてもだ逆に返って男どもが寄ってくるとなると汚点もいい所だ。そんなことになったら、いやしかしそれでも今後の仕事に支障が出る。カルの野郎にグチグチ説教受けそうだしな、何より織斑教頭の目にこれ以上……)

 

「それで、どちらなんだ?」

 

 

そう考えている内に千冬さんは答えを待っていた。桂と一夏は直ぐに考えることを辞め、答えを出した。

 

 

「「黒の方…………ん?」」

 

 

偶然にも一夏と桂の答えは一緒であった。それに関して千冬さんはふと笑みを浮かべる。

 

 

「全く、二人して考えていることが分かり易い。心配するな、大体私がその辺りにいる程度の男になびくような女に見えるか?」

 

「いやっ見えないけど……でも千冬姉……いやっ何でもない」

 

「案の定察しられていたと言うわけか……「あっ、お兄ちゃーん!」ん?」

 

 

千冬さんの水着選びの最中に一人の女性?がやって来た。これを見た箒達は一瞬“…誰?”と思った。するとセシリアが先ほどやって来た女性?の言葉に気づいた。

 

 

「……あれっ?聞き間違いではなければ今この人、池上先生のことを……」

 

「?……お兄ちゃん、この人たちは?」

 

「「「……お兄ちゃん?」」」

 

 

その女性は桂の妹であるかの様な言葉に思わず声を出す星矢達。

 

 

「お友達なの?」

 

「……正確には俺の生徒達だ。ONIの仕事でIS学園の警護兼教師になっている。カルや星矢は俺の仕事仲間だ」

 

「そうなんだ。皆さん、今後ともお兄ちゃんをよろしくね!」

 

「「「あ……はい」」」

 

 

桂に妹がいたことに驚きを隠せないでいた一夏達、しかし星矢はあることに疑問を抱いていた。

 

 

(妹……とは思えないほどの声がカウンターテノールだったな。……もしかして彼は……)

 

「しかし、あなたに妹がいるなんてね」

 

「あぁ。俺も初めて聞いたよ」

 

「しかし…池上先生の妹さん、かなり美人であったな」

 

「うん。僕もそう思ったよ」

 

「本当に綺麗だったわね」

 

「そうですね、お洋服も可愛いことですし」

 

「本当に…綺麗です」

 

 

それぞれ桂の妹?に対して感想をする中、星矢は千冬さんにあることを聞き出した。どうやら千冬さんも桂の妹?さんにある疑問を抱いていた様だ。

 

 

「あの千冬さん、僕の考えが間違っていなければ彼女……いやっ()は」

 

「あぁ……星矢の考えている通り弟だろうな。桂、どうなんだ?」

 

「……弟だ」

 

「「「……えっ?」」」

 

 

一夏と箒達女性陣は桂の答えに一瞬に固まる。それでも桂は答える。

 

 

「俺の()だ」

 

「あっ申し遅れました。“池上 直也”です」

 

「「「嘘ーーーーーっ!!?」」」

 

 

まさかの桂の兄弟がいるのと同時にその弟は男の娘であったことの衝撃的な事実に驚きを隠せない一夏と箒達女性陣であった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

エヴォルSide

 

 

同時刻、エヴォルは預言者軍にISコアを渡した後に地球に隠されているガーディアンに帰還した後にフォアランナー独自のネットワーク技術で、とあるISコア・ネットワークに侵入していた。

 

 

「フムッ……かの天才が生み出したコア内のネットワークか……悪くはない」

 

 

エヴォルは段々とネットワークのファイアウォールを突破しつつ奥へと進み、ネットワークの最深部に到達する。そこにあったのは一つの光る球体であった。エヴォルはそれに近づき光る球体に触れる。

 

 

「貴様の力を有効に使わせてもらうぞ。……銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

 

 

するとエヴォルから一種のデータを光る球体に流し込み、ある程度流し終えた後に己が痕跡を消すようにこのネットワーク内から消えた。

 

 

エヴォルSide out

 

 

 

???Side

 

 

とても非常によろしくない事態が起こった。本来なら存在する筈のないウォーデンと同じ存在であるエヴォルのことである。この人物の出現によりますます世界のバランスが崩れ掛かっていることである。

 

 

「ウォーデンと同じ存在であるエヴォル。これを如何にして対処すべきか……」

 

「ここはSierra105にエヴォルを任せてはどうでしょうか?彼ならSierra117と呼ばれる人物と同等の力を保有しております」

 

「しかしこそれでは彼らに我々の使命を押し付けることになります」

 

「ですがそれ以外の道はありません。……残念ですが、我々ではエヴォルを止める主導権すらありません」

 

 

今の我々が出来るとするならば、彼らの手助けする他ありません。それでも叶わぬとならばこの世界は破滅へと突き進むでしょう。

 

 

 

続く……。

 





星矢とシャルは水着を買いにレゾナンスに向かう。
いろんなトラブルに遭遇するも星矢は何とか対処する。
その後に桂と会うと同時に桂の弟と出会う。(その弟は男の娘であった)
エヴォルは何かしらの工作をする。


次回は、星矢達は海に向かいます。


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SPARTANが海へやって来た結果…

第1章の第22話、始まります。


転生者よ、海を満喫しよう(笑)


 

 

星矢達は水着を買い終えたと同時に桂に弟(男の娘)がいると言うことに驚いた日から一週間後、この情報はIS学園全生徒に行き渡り、後に桂の弟こと直也の隠れファンクラブができたのは余談である。

 

 

そんなこんなで臨海学校当日を迎えたその日、星矢達はバスで臨海学校予定地である旅館“花月荘”に向かっていた。走行中のバスの中で星矢は外の景色を堪能していた。

 

 

「最近は忙しかったからな……海を見るのは新兵訓練や海岸捜索任務以降だな。殆どは海をのんびりと見る暇もなかったけど……」

 

「確かに……俺の場合は殆どスパルタ式の訓練法だったからな……」

 

 

なんだかんだで星矢と一夏は過去のことを振り返ると同時に遠い眼になっていた。それに気になったのか鈴が声をかける。

 

 

「そういえば星矢って過去のことを話していなかったよね?」

 

「そういえばそうだったな。一夏も星矢と同じ訓練方だったのか?」

 

 

鈴に便乗するかの様に箒も気になり始めた。そして一夏はラウラのことに気をつけながら説明をする。

 

 

「あぁ……俺は星矢とは違うけど、ONIのとある特殊作戦部隊の曹長に扱かれたんだ。後ついでに曹長から女性との付き合いからも教えられたよ……」

 

「「そ…そう(か)……」」

 

「まぁそのおかげで俺も力をつけることができたからある意味願っても無いことだった。自惚れるつもりはないけど、俺はこの力で千冬姉や箒達、星矢といった友達を守れるからな」

 

「けど、バック曹長から訓練を行う前の一夏を聞いた時は超がつくほどの朴念仁だったそうだけどな?」

 

「それは言わないでくれ星矢……今でも昔の自分を思い出すだけで恥ずかしいんだ……」

 

((バックさん、ナイスです!))

 

 

箒と鈴は此処には居ないバック曹長に朴念仁である一夏を新兵訓練の時に何とか女性の気持ちを分かるくらいに直してくれたことに感謝するのであった。

 

 

「ハックシッ!……誰か俺の噂でもしたか?」

 

 

その当の本人であるバックはONI本社にて銃のメンテナンスを行っていた。誰かに噂されながら……

 

 

「兄様、姉様!海が見えてきました!」

 

「義兄さん、海が見えたよ!」

 

 

ラウラとシャルが星矢達に海が見えたことを知らせると星矢と一夏は海が見える方角に向けると満遍なく広がる海が星矢の瞳に映し出されて居た。それから三十分後、バスは花月荘に到着して一組や他のクラスも花月荘の入り口で整列し、女将さんに挨拶するのであった。

 

 

「はいっ、それでは今日から三日間お世話になります花月荘です。皆さんは従業員の仕事を増やさないように気を付けてください」

 

「「「よろしくお願いしまーす」」」

 

「はい、こちらこそ。今年の一年生も元気があってよろしいですね」

 

 

全員で揃って挨拶した後に女将さんが星矢と一夏に気づいた。

 

 

「あら、こちらが噂の……?」

 

「あっはい。僕は泉谷 星矢です。隣にいるのは織斑 一夏、僕の親友です。この度は大変お手数をおかけしました。三日間ご厄介になりますが、何卒―――」

 

「「よろしくお願いします」」

 

「あらあら……ご丁重にどうも、清洲 景子(きよす けいこ)です」

 

 

女将さんの清洲さんに挨拶を終えた後に織斑先生から部屋割りのことで声をかけられる。

 

 

「織斑と泉谷は私についてこい、お前達の部屋を案内する」

 

 

星矢達は織斑先生の言われた通りに後を付いて行くと、ある部屋の前に辿り着いた。

 

 

「此処だ」

 

「え、此処って……『教員室』ですか?」

 

「どうしてまた……あっ、そう言うことですか」

 

「泉谷の考えている通りだ。最初は2人部屋という話だったんだが、それだと女子達が絶対に就寝時間を無視してが押しかけるだろうということになってな」

 

 

一夏が“なるほど”と理解する。確かに箒達以外の他の女子達(主に新聞部)が来そうで怖い。変な捏造を作らなければいいのだけど……。そんな形で僕と一夏は教員室で織斑先生と同室になった。

 

 

「さてっ…今日は一日自由時間だ。荷物も置いたことだし、後は好きにして構わないぞ」

 

「織斑先生は?」

 

「私は他の先生と連絡なり確認なりと色々とある。それが済み次第、軽く泳ぐぐらいはするとしよう」

 

 

そう言って織斑先生は教員室を後にした。残った星矢と一夏は織斑先生のお言葉に甘えて水着を取り出した後に更衣室のある別館へと向かった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

一夏と星矢が更衣室のある別館へと向かっている時に旅館の庭園の地面に埋まっているウサギのカチューシャと“ひっぱってください”と書かれた看板があった。

 

 

「なあ星矢、これって……」

 

「あぁ、一夏の思っている通り絶対あの人だ。間違いない」

 

「えーと…一応、抜くぞ?」

 

「あぁ…ゆっくりとな?」

 

 

そう言って一夏はウサギのカチューシャをゆっくりと引っ張り抜く。しかし、何も起こらなかった。

 

 

「あ……アレ、不発?てっきり束さんが埋まっているとばかり」

 

「いやっそれはないと思う。あの博士はそんな簡単なドッキリを仕掛けるはずは……!」

 

 

そう考えていると上空から何かが落下してきた。

 

 

「……て、嘘でしょ?!」

 

「…おいおいおいおいっ!?」

 

 

これに危機感を感じた一夏達は直ぐにその場から退避すると地面に人参状の何かが刺さった。

 

 

「に……人参?」

 

「はぁ……やっぱりか」

 

 

するとその人参がハッチの様に開くと中からある人物が出てきた。

 

 

「あっはっはっ!引っかかったね、いっくん♪」

 

「博士……あなたは一体何をしに此処に?」

 

「お…お久しぶりです、束さん」

 

 

まさか箒の姉である束さんと久しぶりに会うとは予想にもしなかった一夏であった。

 

 

「うんうんお久だねっ、本当に久しいねー。それとせーくんも約十日振りだね?」

 

「そうですね。……それよりも博士は一体何しに此処へ?」

 

「おっと、そうだった!私は箒ちゃんに会いに来たんだった」

 

「箒に……?」

 

「うん。それじゃあ私が開発した箒ちゃん探知機で探してくるよ。じゃあねいっくんにせーくん、また後でね!」

 

 

そう言って束博士は箒を探すために何処かに向かって行った。

 

 

「……結局博士は何をしたかったんだろうか?」

 

「さ…さぁ?……まぁ取り敢えず更衣室に向かおうか?箒達も待っている訳だし」

 

「……そうだな、行くか」

 

 

結局の所束博士は何をしに此処に来たのかは分からないまま一夏達は更衣室のある別館に向かうのであった。

 

 

一夏Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

束博士のことで色々あったがそのことは後で考えるとして、僕と一夏は水着に着替え終わった後に浜辺に到着した。

 

 

「この浜辺の砂の暑さ……久しぶりだな。やっぱり海はこうでないと!」

 

「そうだな。水中訓練以来の海だな……」

 

 

そう呟きながら軽く身体をほぐして泳げるようにしておく星矢たち。すると一夏の背後から何かが接近してきた。

 

 

「一夏ぁーーー!」

 

「鈴?…って、のわっ!?」

 

 

一夏に飛び込んできたのは黄緑のフリルの付いた水着を着た鈴であった。鈴は器用に一夏の肩へ跨る様に乗って肩車の体勢になった。

 

 

「あんた達真面目ねぇ、一生懸命体操しちゃって」

 

「基礎中の基礎だからな。怠っていると変なところで身体の一部が攣るからね」

 

「そう言うこと、鈴もちゃんと準備体操しろよ?溺れたら厄介だしな」

 

「大丈夫よ!あたしが溺れたことなんかないわよ、前世は人魚ね多分」

 

「そう言うのフラグと言うのだが?……取り敢えず一夏、先に鈴と泳いで行ったら?」

 

「そうだな……箒達はまだ時間がかかる様だしな。先に泳いでくる」

 

 

星矢は一旦一夏達と別れてビーチパラソルの中に入る。そして浜辺の砂を触り、自然を感じていた。

 

 

「……泳ぐのはこれを感じた後でもいいかもね」

 

「あらっ星矢さん?ちょうどいらしておいでで?」

 

 

そう考えているとパラソルの外には青いパレオの水着を着たセシリアの姿があった。セシリアの手には日焼け止めのサンオイルを持っていた。

 

 

「セシリア……?君は泳がないのか?」

 

「そのことなんですが、その……星矢さん。もし宜しければ、サンオイルを塗っていただけませんか?私、肌があまり強くないので……」

 

「……僕が?」

 

 

セシリアの予想を斜めいく発言に疑問系に返してしまう。流石に予想外であったが星矢はセシリアにサンオイルについて聞いた。

 

 

「……一応聞くけど背中だけ……だよね?」

 

「え……えっと、背中と足だけお願いします。周りのことを考えますと流石に……」

 

「分かった、取り敢えずシートの上で身体を横になって。今からオイルを塗る」

 

 

そう言って星矢は手にサンオイルを掛け、手の常温と太陽光でサンオイルを温めた後に横になっているセシリアの背中に温めたサンオイルをマッサージしながら塗る様に背中全体に滑らせる様に塗る。

 

 

「ん……はぁ………いい感じですわ。星矢さん、とってもお上手なのですね?」

 

「まぁこれ(サンオイル)は初めてだけど、マッサージとかは趣味で覚えたって感じかな?」

 

「そうですの。そ…それでしたらせっかくですし手の届かないところは全部お願いします」

 

「あくまで背中と足だけ。それ以外は流石に僕でも無理だ」

 

「ほぉ…?その割には結構手先が器用だと思うが?」

 

「そうだろうか?それでも無理なものは無理だ。………へ?」

 

 

セシリアかと思った声は男性で、その声が聞こえた方向に向けると……

 

 

「よっ!星矢、相変わらずだな?」

 

 

星矢の父である清十郎の姿があった。

 

 

「ウェッ!?父サン!?ナズェミデルンディス!(OwO;)」

 

「おいおい、口調がオンドゥル語になっているぞ?」

 

「ナニヲジョウコニズンドコドーン!(OwO;)」

 

「だから落ち着けアホッ」

 

「ウェイッ!?(OwO;)」パチンッ!

 

 

清十郎にハリセンで叩かれ、何とか正気を取り戻した星矢。正直なぜ清十郎がここにいるのかはわからなかった。

 

 

「あの……星矢さん、大丈夫ですの?それに、この方は星矢さんの?」

 

「あぁ…ごめん、予想外すぎてちょっと変になったけど。セシリアの思っている通り、この人は泉谷 清十郎。僕の父さんだ」

 

「どうもイギリス代表候補生のミス・オルコット。うちの息子が世話になってくれている様だな?俺は泉谷 清十郎だ。今後ともよろしく」

 

「は……はぁ、どうも」

 

 

清十郎が星矢に近づいた後にそっと手を星矢の肩につける。

 

 

「それにしても星矢、俺が見ぬうちに成長したな……」

 

「父さん……?どうしたんだ急に?」

 

「俺も繰り返し、女の素晴らしさを語ってきた甲斐があるってもんだ。流石は俺の息子だ。もう俺から教えてやることは何もない」

 

「それってつまり………どういう……こと?」

 

 

清十郎が言っている意味を理解できなかった星矢。しかしセシリアは清十郎の言葉の意味を違う形で理解してしまった。

 

 

「ちょっ!?あ……あの!?わ……私は星矢さんとは……その……」

 

「セシリア?どうしたの?」

 

「大丈夫だ。オルコット嬢は少し知恵熱が出ただけだ。そんなことよりも星矢、さぁ今すぐ街に繰り出して、聖なる営みに挑まんと!“がしっ”……へ?」

 

 

清十郎が星矢にちょっとした冗談を言うと星矢は清十郎の腕を掴んだ。

 

 

「父さん、僕……いやっ、俺はその手の冗談が嫌いなんだ。だから先に海水浴を堪能してくれ」

 

「いやいやいやっ星矢待て、ほんの冗談だ冗談……ぎゃあああぁぁぁ!?」

 

 

星矢は身体能力をフルに活用して清十郎を海の方に投げ飛ばした。その結果、清十郎は海へポチャンッと綺麗に落ちて逝った。(誤字にあらず)

 

 

「はぁ……父さんの冗談は本当に厄介なくらいに嫌いだ。それがなければ普通なんだけど……」

 

「私と星矢さん……私と星矢さん……あう………」

 

 

セシリアは未だに妄想の中にいた。星矢は現実に戻ってくる様に声をかける。

 

 

「セシリア、大丈夫か?」

 

「ひゃい!?だ……大丈夫でございましてよ?」

 

「その……ごめん。うちの父さんが……」

 

「い……いえ!その様なことは……それよりも星矢さんのお父上は大丈夫でしょうか?」

 

 

セシリアが何とか現実に戻ってきたと同時に清十郎の安否が気になっていた。

 

 

「多分父さんは大丈夫だと思うよ?ある意味こういうのはギャグ漫画補正でしぶとく生き延びていると思うよ?」

 

「星矢さん、それはメタいですわ……」

 

「あっ義兄さ〜ん!」

 

 

セシリアは星矢のメタ発言にツッコむとシャルとバスタオルを身体全体に巻いた女性?がやって来た。

 

 

「シャル、そのバスタオルを巻いている人物は?」

 

「あ…うん。実はラウラが恥ずかしがって全体にバスタオルを巻いちゃって……」

 

「す……すいません。流石にこの水着だと恥ずかしくて……」

 

「そうだったのか。……ところで、箒はどうした?」

 

「私を呼んだか?」

 

 

星矢は箒を探そうとした時に紅い三角ビキニを着た箒が星矢に声をかけた。

 

 

「箒?どうしたんだ、今まで何処に?」

 

「ちょっとな……姉さんから振り切る為に隠れていた」

 

「あぁー……あの人ならやりかねない」

 

 

箒の言った意味を悟った星矢。おそらく束博士はさっき言っていた箒ちゃん探知機とやらで箒を探しているのをすっかり忘れていた。

 

 

「……それはそうと箒、実はラウラなんだけど」

 

 

星矢は箒に今の現状とラウラのことを説明した。

 

 

「……なるほど、大体分かった」

 

「おーいっみんなー」

 

 

その時に一夏達も星矢達と合流する。そして星矢は一夏にも箒に話した内容を伝えるのであった。

 

 

「なるほどな、この前買った水着をみんなの前に見せるのが恥ずかしいと思って……」

 

「そして今に至るという訳ね」

 

「まぁそう言う事になる」

 

「ラウラ、あんまり恥ずかしがっているとみんなとは遊べないぞ。大丈夫だ、みんなラウラと遊びたいんだ」

 

「姉様。……わ、分かりました。私もできれば兄様と姉様、友達と遊びたいです」

 

 

そう言ってラウラはバスタオルを取り外す様に巻き取ると、中から黒が中心で紫のフリルがついたビキニを着たラウラの姿があった。

 

 

「……どう、でしょうか?」

 

「うんっ結構似合っているよ♪」

 

「結構良いじゃない?」

 

「あぁ、十分に似合ってるぞ」

 

「そうですわ。とても似合っていますわよ」

 

「みんなの言う通り、とても似合っているよ」

 

「よかったなラウラ。俺も可愛いと思う」

 

「そ……そうですか?正直、嬉しいです……!」

 

 

ラウラはみんなに水着が似合っている事を褒められて嬉しい気持ちになっていた。すると他の女子生徒達が星矢達をビーチバレーに誘った。

 

 

「織斑くーん、星矢くーん!こっちに来てみんなでビーチバレーをしよう!」

 

「ビーチバレーか……なあ一夏、此処は一つチーム戦で行くか?」

 

「そうだな……となるとチーム分けはどうするんだ?」

 

「恐らく向こうがもう決めているだろう。ほらっ……」

 

 

星矢が一夏にビーチバレーをする所に指をさすと、そこには織斑先生と桂のペアとデイジーとカルのペアの2on2対決を繰り広げていた。現在のところ織斑先生と桂のペアが優勢である。

 

 

「うわぁ……織斑先生、容赦ないな」

 

「本当に僕は織斑先生はSPARTAN-Ⅱのメンバーの一人ではないのかと錯覚しそうだよ」

 

 

そう呟いているとちょうど試合が終わった後なのか織斑先生達が星矢たちを見かける。

 

 

「む……お前たちも来ていたか。それと泉谷、また何かよからぬことを考えていたか?」

 

「織斑先生……幾ら何でも鋭すぎです」

 

「……まぁいい、お前たちもビーチバレーをやるか?」

 

「……そこのところはお手柔らかにお願いします」

 

 

その後星矢達はビーチバレーで今日の楽しいひと時を過ごした。因みにビーチバレーのことで織斑先生とカル、デイジーの女性チームと星矢と一夏、桂の男性チームの3on3ビーチバレー対決で他の女子生徒達が白熱していたのは余談である。

 

 

星矢Side out

 

 

 

清十郎Side

 

 

その頃海に投げ飛ばされた清十郎は何とか浜辺に泳いで戻ってこられた。正直言ってあそこまでキレることはないんじゃないか?

 

 

「やれやれ……本当にあいつは冗談が通じないな」

 

「あはは……せーくんは本当にそういう冗談は嫌いなんだからあんな感じに怒ったんじゃないのかな?」

 

 

清十郎の横には箒を探していた束がいた。どうやら箒を見つけたのはいいものの、結局会えなかったようだ。

 

 

「…んで、そっちは妹さんを探していたが結局見つかんなかったって訳か……」

 

「……うん。箒ちゃんや私の家族には迷惑を掛けたからね、当然の報いが私に来たんだと思うよ」

 

「まぁやっちまった後に悔やんでも後の祭りだからな。もし接触する機会があったら一度謝ったらどうだ?」

 

「うん、もちろんそのつもりだよ。……でもそれは箒ちゃんと二人っきりの時に……ね?」

 

 

束は箒と二人きりの時に姉妹の関係を直そうと誓うのであった。

 

 

「……そんで話を変えるが、箒用のISを持って来たのか?」

 

「うん、その件についてはもちのロンだよ!後は明日のISの装備試験に渡すだけだよ♪」

 

「……なら、俺も星矢達にあるパッケージを渡すとしようか。後、秘密裏に星矢のある計画を進めるとしよかwww」

 

 

清十郎と束はそれぞれプレゼントを明日に渡す日を楽しみにした。

 

 

清十郎Side out

 

 

 

預言者Side

 

 

エヴォルとやらにISコアを渡されてから約二週間が経った。研究開発班にISコアの解析を命じてから三日、分かったことと言えばPICと呼ばれる飛行機能が備わっていることとハイパーセンサーという高性能センサーがあることが判明したくらいだ。しかし、ISコアのブラックボックスであるIS適性と呼ばれるものが未だに解析が困難であった。人間の女でしか扱えないという点がある限りISコアは唯の情報端末の塊に過ぎない。そう考える中、アービターはエヴォルとあって以来考え事が多くなった。

 

 

「……エヴォルとあって以来、無口の様だなアービター。何を考えている?」

 

「大祭司殿、恐れながら申し上げますと私は人類の根絶を使命として授かりました。……しかし、あのエヴォルという輩は我らが崇拝するフォアランナーであることは違いありませんが……」

 

「あの者がいつ我々に牙を向けるのか分からぬと言うのだな?確かにあの男は我々を利用してまででも何かを成そうとしている野心がある」

 

「でしたら我々にお任せください」

 

「焦るな、 事を急ぐと元も子も無くす。そうなってしまっては我らの護衛が薄れてしまう」

 

 

アービターの言う通りあのエヴォルとやらは何かを成すためならば手段を問わない類とみて良いだろう。しかし、彼奴の野心が一体何なのか見定める必要がある。そう考えていると地球に潜伏しているエリートから通信が入り、有力な情報を得ることとなった。

 

 

「……アービター、地球に潜伏しているエリートからの情報によるとあのISの生みの親である篠ノ之 束が日本という小さな島国にいるとの情報だ。さらにあの女はフォアランナーの遺跡に訪れた形跡もあるとのことだ。隙あらば彼奴を捕らえ、此処に連れてくるのだ」

 

「仰せの通りに……」

 

 

アービターに篠ノ之 束の捕縛を命じた後に私は未だに解析中であろうISコアの報告を待つのであった。

 

 

続く……

 





星矢と一夏は過去の地獄の訓練を思い出す。
セシリアからサンオイルを塗ってほしいと頼まれる。
他の女子生徒からビーチバレーに誘われる。
預言者はアービターに束の捕縛を命ずる。


次回は、女子会の様です。


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星矢達の良い所を話し合った結果…

第1章の第24話、始まります。


転生者よ、モテモテだな?(笑)


 

 

星矢達はビーチバレーだったり、海水浴だったりと色々なことを満喫した後に花月荘で夕食を頂いていた。因みに今日の夕食はマグロを中心とした刺身定食だ。

 

 

「相変わらず美味いな。……やはり刺身は日本の食べ物だな」

 

「あぁっ本当にな。昼も夜も刺身だと豪勢だと感じるよ」

 

「そうだね、ほんとIS学園って羽振りがいいよ。…所で義兄さん、刺身に乗せてるそれは何?」

 

「これか?これは本わさっていうもので本物の山葵をすりおろした物なんだ。因みに学園で出されている山葵は練り山葵と呼ばれていいる物で、主に西洋山葵や他の香辛料を混ぜた合成食品なんだ。それと注意すべきなのが本わさをそのまま食べたり、付け過ぎないこと。そうでないと強烈な辛味と風味が襲ってくるからね」

 

「そ…そうなんだ。気を付けるね」

 

 

星矢はシャルに本わさについて説明する中、セシリアは何やら辛そうな表情をしていて少し震えていた。

 

 

「セシリア、大丈夫?」

 

「つ……だ…大丈夫です…わ……星矢…さん」

 

 

星矢はセシリアが何故辛そうになっているのかを察した。どうやら正座に慣れていないため足が痺れたのだろう。

 

 

「あー……足を痺れたんだね?痺れている状態だと少し食べ難いだろ?」

 

「えぇ……少し食べづらいですが。痺れが抜ければ……多少は……」

 

「フム……セシリア、このまま痺れが抜けるのを待っていると料理が冷めてしまう。だから、僕が食べさせてあげようか?」

 

「えぇ…それでお願いしま……え?」

 

 

セシリアは星矢の言葉を理解した瞬間にまるで氷の様に固まってしまった。

 

 

「?……どうしたセシリア、大丈夫か?」

 

「は……はひっ!?だ……大丈夫でしてよ?」

 

「もう……義兄さんってば………」

 

 

セシリアに声をかけた星矢であったが、その結果シャルの機嫌が悪くなった。この光景を見ていた箒達以外の女子生徒達は嫉妬の念を抱き、一夏はただ単に星矢に対して苦笑いで返す他なかった。

 

 

夕食を済ましてから星矢と一夏は露天風呂にて湯に浸かり、海水浴やビーチバレーなどの疲れを流していた。

 

 

「ふ〜……極楽ってのはこのことだよな、星矢」

 

「あぁ…露天風呂だと疲労回復には適しているからな。その分……」

 

 

星矢は何かを言いかけると男湯の壁から女子達の声が聞こえた。声からしてどうやら箒とラウラ、鈴のさんであろう。

 

 

「あぁ…そうだった。壁の向こうには女子がいるんだよなぁ……」

 

「まぁ……一夏の反応は普通の男子として当たり前のことだよな」

 

「そりゃ……俺だって男だ、恥じらいくらいある。向こうに女子がいるって分かっていてもだ……そういう星矢はどうなんだ?」

 

「さぁ……そういう概念は一夏だって知っているだろ?」

 

「あっ……その、悪い。無神経な質問だった」

 

 

一夏は星矢に対して謝る。まぁ……そのことに関しては仕方ないことでもある。あくまでSPARTAN-Ⅱは人間というカテゴリを同じ人間たちの手によって外されたのだ。僕という例外は除いて……ね?

 

 

星矢Side out

 

 

 

箒Side

 

 

私は今、ラウラと共に露天風呂にて湯に浸かる前にシャワーで身体を洗い流していた。その時に私はラウラに今はどんな気分なのか聞き出した。

 

 

「どうだラウラ、ここ最近の調子は?」

 

「はいっ姉様。ここ最近はみんなが私に親しみよく接してくれるので正直嬉しいです」

 

「そうか、それは良かった。……ところで話を変えるが、ラウラは一夏をことをどう思っている?」

 

「兄様……ですか?兄様の場合は私にとって掛け替えのない人……と言ったところでしょうか?」

 

 

ラウラの答えに少しの安堵を感じた。その時に箒の隣で身体を洗い流している鈴が箒の身体をじっと見つめていた。

 

 

「そう……か……それならそれで良いのかもしれないな「ちょっと失礼…」……え?きゃっ!?」

 

 

ラウラと話している途中に鈴は箒の胸を触り始めたのだ。どうやら箒の胸の大きさが気になったのだろう。

 

 

「やっぱりアンタ、また胸おっきくなったんじゃないの?」

 

「な…何をする、馬鹿者!」

 

「良いじゃない減るもんじゃないし?てか、いったい何食べたらここまで大きくなるのよ!?」

 

「わ…私が知るわけがないだろう!」

 

 

その後に他の女子生達が私の胸に気になったり、触りたかったと色々と大変であった。

 

 

箒Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

「今の声、箒と鈴だよな…」

 

「どうやら箒は色んな意味で大変な目にあっている様だな……」

 

「あはは……いやぁ、女子高生だなぁ…。………でも、箒も鈴やクラスメイトとも打ち解けているのかな?良いことだ」

 

「そうだな。……それで一夏、もう揚がるのか」

 

「あぁ……そろそろ俺は上がるよ」

 

「そうか、分かった。それじゃあ後で」

 

 

一夏が湯から揚がって星矢より先に教員室に戻るのであった。

 

 

「ふ〜……さっぱりした………って、あれ?」

 

 

教員室に戻って来たのはいいのだが、織斑先生がいないことに気づいた一夏。

 

 

「千冬姉がいないとなると……まさかな?」

 

 

一夏は織斑先生がいない理由を思い浮かべた。恐らくであるが、織斑先生は桂と卓球勝負でもしているのであろうと一夏は予想した。そしてその織斑先生はというと……

 

 

「……中々の反射神経だな、池上先生!」カコーンッ!

 

「いえっ、流石はブリュンヒルデと呼ばれた腕の持ち主です。織斑先生!」カーンッ!

 

 

一夏の予想通り、織斑先生と桂の白熱した卓球のラリーが続いていた。

 

 

一夏Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

その頃星矢は風呂から揚がった後に少し夜風を当たりに外に出て浜辺付近にいた。

 

 

「夜か……それもいい月だ。結構良いものだね?夜風に当たるのも……」

 

 

その時に星矢の背後から何かが近づいてくる者があった。しかしその星矢の背後には誰もいない。………しかし、星矢は気付いている。そして星矢は背後を振り返ると同時にこの地球にいるはずもないある種族を言う。

 

 

「君たちもそうは思わないか?()()()()()達よ……」

 

 

すると星矢の言葉をきっかけに真夜中にて異形の形であり、人と同じ二足歩行型の生物が複数にして星矢の前に姿を現わした。その正体は身長と体格はSPARTAN達よりも大きく、より戦士の風格に似合うコンバットアーマーを纏ったエリート(サンヘイリ)族である。

 

 

「SPARTAN……我らコヴナントの大いなる旅立ちを妨げる悪魔……」

 

 

エリート達は暗殺用にType-1“エナジーソード”を金属で模った実体剣を構えだす。そして隊長格であるエリートはType-1エナジーソードを取り出し、プラズマの刃を生成させる。

 

 

「やれやれ……こんなところでエリート達と遭遇するとはな?」

 

 

そう呟きながらも星矢はISを展開し、リミッターを解除した後に志野に作り直し+強化してもらったソード・メイスを展開する。それを皮切りにエリート達と星矢は動き出し、そのまま戦闘へと入った。集団戦においても星矢は冷静に、そして確実にエリートを一体ずつ倒していく。

 

 

「……フンッ!」

 

「がはぁっ!?」

 

 

ソード・メイスを叩きつけられた一体のエリートの身体はくの字に曲がって倒れこみ、そのまま星矢に頭部をソード・メイスによってかち割られて絶命する。そして他のエリート達も星矢の死角を打つべく背後に回ったり、視野の外から仕掛けるなどの攻撃を行うも星矢はそれを軽々と躱される。

 

 

「(やはり数が多い……なら、その数を減らすまで!)……シッ!」

 

 

星矢はエリートの数を減らそうと新たに追加した投擲用のSPARTAN専用のスローイングナイフを左手に三本展開し、改造された身体能力とミョルニル・アーマーのパワーアシストを合わせた力でエリートに向けて投擲する。その時にエリートのシールドが機能していたものの、星矢が投げたナイフはあまりにも加速が付きすぎるが故にエリートのシールドでは星矢の投げたナイフの速度を落とすことが出来ず、そのままシールドを貫通し三体のエリートの喉元に突き刺さる。

 

 

「ぐわぁっ!」

 

「アグァッ!」

 

「ガホァッ!」

 

 

最初は六人いたであろうエリートは隊長格と部下一人と計二人しか残らなかった。そして部下のエリートは玉砕覚悟で星矢に斬りかかろうとするも星矢に左手で首元を掴まれ、星矢の手の握力によって首を絞められた。残った隊長格のエリートはエナジーソードで星矢に斬りかかるも星矢は左手に掴んでいるエリートを盾にしてエナジーソードの斬撃を躱す。そしてエナジーソードによって絶命したエリートの死体を隊長格のエリートに投げつけた後に一旦距離を取り、ソード・メイスのあるスイッチを入れてソード・メイスを横に振るうと厚みのあるソード・メイス部分が抜け外れ、中から両刃の大剣が姿を現した。

 

 

「くっ…!おのれ……はっ!?」

 

 

隊長格のエリートは星矢に盾にされ、死体となったエリートをどかして星矢の方に向けた時には既に星矢は隊長格のエリートに向かって来ていた。そしてソード・メイスの大剣部分が隊長格のエリートの心臓部分にシールドごと貫く。

 

 

「が……ふ……!?」

 

 

星矢は隊長格のエリートに突き刺した大剣部分を引き抜くとそのエリートは多量出血でそのまま力尽きて絶命する。そして星矢はONI本社に通信を入れる。

 

 

「こちらS105、地球に潜伏していたと思われるエリートの排除を完了。早急に死体の回収を」

 

『了解したSPARTAN、こちらで処理をしておく。引き続き学園生活を続けてくれ』

 

「了解、S105通信終了。……続けられるかどうかは分からないがな……」

 

 

ONI本社との通信を終えた星矢はISに付いたであろうエリートの返り血を洗うために旅館に戻るのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

千冬Side

 

 

池上先生と卓球対決の後に一夏にマッサージしてもらっていた。

 

 

「だいぶ凝っているようだな?もう少しやっておくか?」

 

「あぁ……その前に一夏、少し待て…」

 

 

……してもらったのは良いが、部屋の戸を開くと案の定小娘ども(箒達)がこっそりと盗み聞きをしていた。

 

 

「何をしているか馬鹿者どもが……」

 

「あっいや…その……」

 

「あ……あの、私はただ……」

 

「お……織斑先生……」

 

「あ……あはは……」

 

「す……すみません……」

 

 

箒達はそれぞれ盗み聞きしていたことに謝罪をする。

 

 

「全く……盗み聞きなど感心しないな。……まぁ、お前達に話があったわけだからな。ちょうどいい、入っていけ」

 

「あはは……織斑先生、俺は一旦もう一度風呂に入ってくるよ」

 

「そうだな……お前はもう一度風呂にでも行ってこい」

 

 

私は呆れつつも箒達を教員室に招き入れると同時に一夏は苦笑いしつつもマッサージを終えた後の汗を洗う為にもう一度風呂に入りに大浴場に向かうのであった。そして残った箒達は私のことでなのか葬式か通夜みたいに静かになった。

 

 

「さて……せっかくのことだ。私が飲み物を奢ってやろう」

 

「「「は……はぁ……」」」

 

 

私は冷蔵庫の中からラムネやジュース、お茶に珈琲といった飲み物をお盆に乗せ、箒達に回した。

 

 

「ほれ、好きなのを取れ」

 

 

そう私がいうと箒達がそれぞれ私が用意した飲み物を取り、それぞれ手に取った飲み物を飲む。

 

 

「………飲んだな?」

 

「え?…そ、そりゃ飲みましたけど……」

 

「は…はい?」

 

「な…何か入っていましたの!?」

 

「失礼なことを言うな馬鹿め。何……ちょっとした口封じだ」

 

 

そういって私は隠していた缶ビールを取り出し、プルタブを開けてそのまま飲む。箒達は私の意外性に口を小さく開いたまま唖然としていた。

 

 

「おかしな顔をするなよ。私だって人間だ、酒ぐらいは飲むさ。それとも私はエンジンオイルを飲む物体に見えるか?」

 

「い…いえ、そういうわけでは……」

 

「…でも、そもそも今は仕事中なのでは」

 

「堅いことを言うな。それに口止め料はもう払ったぞ?さてっ……前座はこのくらいでいいだろう。そろそろ肝心の話をするか。先ず箒と鈴、それにラウラ。お前ら、あいつ(一夏)のどこがいいんだ?」

 

 

私がそう言うと、箒と鈴、ラウラはビクンと震えて口を開く。

 

 

「……一夏はSP……あっいえ、ONIに入社したことには驚きましたが、一夏が強くなったことには嬉しく思っています」

 

「あたしの場合は一夏とは腐れ縁みたいなものだけど、できることならあの約束をもう一度したいって感じです」

 

「わ…私の場合は記憶を失っている身とはいえ、兄様は姉様と同じ様に優しくしてくれる大切な人……でしょうか?」

 

「なるほどな……確かに一夏は強くなったのは確かだ。優しい所も彼奴のいいところではあるが、基本的に彼奴は誰にでも優しいぞ?まぁ事実上、あいつは役に立つぞ?家事も料理も中々だしマッサージだってうまい」

 

「…ですが渡すつもりは無い……と?」

 

「そういうことだ。女ならば奪うくらいの気持ちで行かなくてどうする?自分を磨けよ三人とも」

 

 

箒と鈴は“ですよねー……”という顔をしていた。それに対してラウラは私の言った意味が理解できていなかった。そして私は星矢についてセシリアとシャルに聞き出した。

 

 

「……それで、オルコットとデュノア……いやっここは泉谷と呼ぶべきか?「デュノアでも大丈夫です」そうか、お前達は泉谷のことをどう思っている?」

 

「私の場合は約一年前のSPARTANとISの合同演習の時にあの人によって心が突き動かされました。ONIには私が思った以上の男性がいるとは思いませんでした」

 

「僕の場合はその……あれかな?ちょっと前までは星矢と一夏の友達だったんだけど、訳ありで星矢のお義父さんによって泉谷家の養子という形で星矢の義妹になったけど、それでも星矢のことを好きと思っています」

 

「そうか……奴も奴で、好かれている者もいたという事か……」

 

 

どうやらセシリア達は星矢のことを好いているようだな。そんなこんなで一夏や星矢の良い所を長く話し合うのであった。因みにラウラがセシリアがSPARTANの名を出した時に少し震えていた様だ。……未だにまだトラウマが克服できていないか。私ともあろうものが教師として情けない……

 

 

千冬Side out

 

 

 

アービターSide

 

 

預言者の命によりアービターは人間たちに気付かれない様に地球へ降り立ち、潜伏しているエリートのみ編成された偵察中隊と合流するのであった。

 

 

「……状況は?」

 

「アービター、今現在は篠ノ之 束という人間を捜索しているのですが、思った以上に姿を現しません。そして一人となった悪魔を葬ろうと暗殺部隊を編成して送り込んだのですが一向に連絡が帰って来ませ…ゴハァ!?」

 

 

エリートがアービターに状況を説明している最中にアービターに殴られた。どうやら余りにも捜索が進んでいないことに腹を立てていたのであろう。

 

 

「大祭司殿は痺れを切れしている……何としても奴を見つけ出せ!お前が編成させた暗殺部隊だが既に死んでいると思われるであろう」

 

「…ですがまだそうだと決まったわけでは…」

 

「お前らの命など知ったことか、今はともかく篠ノ之 束を何としても見つけ出せ」

 

「……了解です」

 

 

エリートはアービターの暴力に対して不満を抱きながらも命令に従い、束を探す様他のエリート達に命令を下した。

 

 

アービターSide out

 

 

 

ハワイSide

 

 

一方その頃、とあるハワイ沖にてあるISが独りでに動きだし、とある方角へと向かおうとしていた。それを止めるためにアメリカ人のスタッフ達が必死に行動していた。

 

 

「急げー!!何としても止めろ!」

 

「どうなってるんだ!ナターシャ、そっちの方はどうだ?」

 

「…駄目!あの子が完全に暴走している!こっちでも止められないわ!」

 

 

ナターシャと呼ばれた女性はあの子こと、アメリカ・イスラエルが共同で開発した軍用ISの銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)である。その銀の福音は原因不明の暴走により独りでに動き出したのだ。スタッフ達は銀の福音を止める為にチェーンでで取り抑えるもののそれは叶わず、銀の福音がチェーンを引きちぎって銀の鐘(シルバー・ベル)を展開した後にそのまま上空へ飛び、北西の方向へ飛行してそのまま姿を消した。

 

 

「しまった!逃げられた!」

 

「……だがあの機体には発信機を取り付けてある!直ぐに何処に向かったのかさぐり当てるんだ!」

 

「りょ……了解!」

 

(あの子は一体どうしたというの?前まではおとなしい子だったのに急に暴れ出すなんて……誰かは知らないけど、あの子をさせるなんて許せない!)

 

 

ナターシャは銀の福音を暴走させた犯人に対して怒りを心の奥底に沸かした。するとアメリカ人のスタッフが銀の福音が何処に向かったのか分かった為に報告しに戻ってきた。

 

 

「整備長!銀の福音が向かっている方角が分かりました!」

 

「そうか!……それで、何処に向かっているんだ?」

 

「日本です!銀の福音が向かっている方角は日本に向かっていることが判明しました!」

 

 

銀の福音が日本に向かっているのは暴走故なのか、それとも何者かが銀の福音を利用しているのかすら、それを理解することは出来なかった。

 

 

続く……

 





一夏達は温泉にて疲労回復。
星矢は一人でコヴナント暗殺部隊と遭遇、撃退する。
千冬さん含む箒達は星矢達のことを話し合う。
ハワイにて銀の福音が暴走。


次回は、あの博士が箒にある機体を渡します。


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IS装備試験に天災がやって来た結果…

第1章の第25話、始まります。


箒よ、力の使い方を見誤るな。


 

 

織斑先生と箒達の女子会?が終わって臨海学校の二日目の朝を迎えた。それぞれの女子生徒達は訓練用のISの装備試験を行い、星矢達専用機持ちは専用パーツのテストを行うのであった。すると織斑先生は箒に声をかける。

 

 

「篠ノ之、お前はちょっとこっちに来い」

 

「?……はい」

 

「あぁ。お前には今日から専用機を持つことになった」

 

「!?……私がですか?」

 

 

箒は自分に専用機が送られることに驚きを隠せなかった。無論、僕や一夏達も驚いている。

 

 

「えーっ!?いいなぁ……篠ノ之さんが専用機が送られるなんて……」

 

「……でもちょっと変よね?なんでこのタイミングで篠ノ之さんに専用機が?」

 

「騒ぐな馬鹿者ども、そのことを説明するために話すのだ。篠ノ之、お前に何故専用機が送られたのかは……」

 

「ちーちゃ〜〜〜〜ん!!」

 

 

織斑先生が箒に説明しようとした時に束博士がハイテンションで崖から降ってやって来た。

 

 

「やあやあ!会いたかったよちーちゃん!さあ、今すぐハグをしよう!そして愛を確かめ……ぶへっ!?」

 

「説明しようとする矢先に会って早々うるさいぞ、束」

 

「ぐぬぬぬ……相変わらず容赦ないアイアンクローだねぇっちーちゃん……」

 

 

出会い頭にセクハラ行動を起こそうとした束博士に織斑先生はアイアンクローで制裁を入れる。……束博士は相変わらずのテンションであった。そして束博士は織斑先生のアイアンクローから解放されると箒の方に振り向く。

 

 

「やあ箒ちゃん!お久だね〜!」

 

「……どうも、姉さん」

 

「えへへ、ホントに久しぶりだね。こうして会うのは何年ぶりかなぁ?色々おっきくなったね箒ちゃん。特におっぱいが♡“スパンッ!”…アイタッ!?」

 

 

束博士の視線が明らかに箒の胸に集まっていることに気づいた箒は、咄嗟にハリセンを取り出して束博士に一発叩き込む。

 

 

「姉さん、言って良いことと悪いことがあります。またその様なことを言ったら叩きますよ?」

 

「だ……だからって叩いてから言うなんて……ひどい!箒ちゃんひどい!」

 

「いやいやっお前さんのセクハラ発言が招いた結果だろ?」

 

 

そう束博士に突っ込んだのはいつの間にやって来た星矢の父である清十郎がいた。

 

 

「……昨日の件があったことを考えればやっぱり居たんだね、父さん」

 

「まぁな、正直に言ってお前に海に投げ飛ばされた時はマジで寿命が縮んだかと思ったぞ……?おっと、申し遅れたな。俺は泉谷 清十郎だ。星矢の父親だ。んでこっちが……」

 

「ハロハロ〜!私が天才の束さんだよ〜〜!よろしくね〜〜!」

 

 

清十郎と束博士がそれぞれに女子生徒達に挨拶をする。その結果、やれ“あのISの生みの親”や、やれ“泉谷くんのお父さん”だったりと反応するのであった。

 

 

「……全く、お前達はまともに挨拶ができないのか?」

 

「いやいやっ此処はフレンドリーに会話した方が話しやすいだろうとな?あっ…やべ、大切なことを忘れる所だった。星矢に一夏、ちょっと渡すもんがあるからこっちに来い」

 

「僕らに……?渡す物って一体何なんだ、父さん」

 

「俺と星矢に?一体何なんですか?」

 

「まあ焦るな焦るな、ほらっコイツだ」

 

 

そう言って清十郎が星矢達にUSBメモリを渡し、星矢達は左腕のアーマーを展開した後に左腕アーマーに付けられているニュートラル・ネットワークパネルのUSB差し込み口にあるUSBメモリを差し込み、データをアップロードしてみるとそのデータにはパッケージと化したSPARTAN専用小型機“OF-92/EVA ブースターフレーム”が詰まっていた。

 

しかし、星矢は疑問に満ちていた。元々ブースターフレームは深宇宙用途と四方八方の環境を想定した、重武装のオープンフレームの誘導車両として作られた特殊作戦用の装備(車両)なのだ。

 

 

「これって……父さん、確かブースターフレームは大気圏内では使えないんじゃ……」

 

「ところがどっこい、束博士にある許可を取った後にブースターフレームにPICを組み込んだから大気圏内でもデカいエアブースターバイクとして使えるぞ?」

 

「PICって……あーっ、そういう事か……」

 

 

一夏は何かを察した様だ。どうやらPICを応用してブースターフレームを大気圏内でも使える様にした様だ。

 

 

「それと注意事項がある。ブースターフレームは結構シールドが脆いから一度シールドに二、三発被弾したら故障するくらいにコントロール不能になるから気を付けろよ?」

 

「……つまり被弾一発でも命取りってことか……」

 

「まっ、そういうことだ。出来るだけ当たらない様に高機動モードで回避するってことになるな」

 

 

これを聞いた女子生徒達は“それって欠陥だらけの追加装備じゃ?”と偶然女子生徒全員の考えが一致したのは余談で、その後に清十郎が“SPARTANだから大丈夫だろう”と言った時に女子生徒達は納得した様に頷いたのはまた余談である。

 

 

「……あっそうだった。せーくんのプレゼントを見て思い出した。実は箒ちゃんにプレゼントがあるんだよね!」

 

「私に……ですか?……っ!まさか?」

 

「そう、そのまさかだよ!さあ、大空をご覧あれ!」

 

 

そう束博士がいうと上空から金属の立体菱形が落下して来て地面に突き刺さると同時にISが展開、金属の中から露わとなる。そのISは紅と白を主ベースとした如何にもエースに相応しい色である。

 

 

「じゃじゃ〜ん!これぞ箒ちゃんの専用機こと“紅椿”!全スペックはSPARTANが纏うミョルニル・アーマーGEN2とほぼ同等、現行ISを上回る束さんお手製のISだよ!」

 

「現行IS以上って……既に第三世代を超えて第四世代を作ったのですか?束博士……」

 

「あはは♪箒ちゃんの為ならばなんのそのだよ!」

 

 

やたらとハイテンションな束博士に対して箒は姉が作りし最高性能の最新鋭機のISを自分のものになることの喜びが浮き上がっていたが………同時に過去に犯した己自身の罪悪感を感じるのであった。

 

 

「あれっ?箒ちゃん、どうしたの?元気ない様だけど……?」

 

「姉さん………ごめんなさい。私は………受け取れません」

 

「箒………」

 

「……一夏が負傷したあの事件のことを気にしているのか?」

 

 

星矢が言う様に一夏が負傷したコヴナント襲撃事件のことを箒は未だに引きずっていた。

 

 

「あぁ、私は夜な夜なに思うんだ。私なんかに専用機……いやっ、ISに乗る資格もないと思うんだ」

 

「姉様……」

 

「箒ちゃん……」

 

「私は只、一夏の側に居たかった。一夏と共に空を駆け巡りたかった。そんな思い善がりが一夏を………「もういい……」?」

 

 

箒が淡々と自身が犯した行動が一夏を死なせかけた事に押しつぶされそうになった時に一夏が箒の頭を撫でる。この時にラウラが気持ち的に押しつぶされそうになっている箒の下に駆け寄る。

 

 

「兄様……?」

 

「一夏……?」

 

 

箒はなぜ一夏が箒の頭を撫でているのか理解できなかった。そして一夏は箒を撫でるのを止めたに問う。

 

 

「箒。……確かにあの時、箒の軽率な行動で俺が負傷したのも事実だ。これは決して覆す事のない事実だ。だけど、箒は俺のことを心配して応援しに戻って来たんだろ?俺もあの時は未熟だった。けど、箒やみんなを守りたいと思う気持ちが俺に新たな境地である最速の感覚を習得する事が出来た。俺も箒のことを死なせかけてしまったし、箒は俺を死なせかけてしまった訳だからこれであいこだろ?」

 

「し……しかし……」

 

「それに……正直にいうと箒、お前は気負い過ぎなんだ。あの時の俺は運が良かった。そして箒もまた同じ、運が良かったんだ。だからもうあまり気負い過ぎるな。俺以外にも相談に乗ってくれるみんながいるだろ?」

 

 

箒は一夏に言われて周りの女子生徒達や星矢達、織斑先生達の方を見た。最初はあまり馴染み込めなかったが、今となっては頼れる仲間がいることに箒は実感していた。

 

 

「……そういえば、箒に渡すものがあったんだった」

 

「……私にか?」

 

「あぁ……これをな」

 

 

そう言って一夏が取り出したのは赤いリボンを取り出して箒に渡した。

 

 

「これは……?」

 

「少し早めの誕生日プレゼントだ。改めて誕生日おめでとうな、箒」

 

「一夏……あっ、ありがとう……」

 

 

箒は自分の誕生日を覚えていてくれた一夏に対して頰を赤らせた。そして他の女子生徒はいろんな意味での黄色い声援が今いる場に響いていた。無論この状況で嫉妬する者もいるし、呆れる者もいた。

 

 

「イ〜チ〜カ〜ッ………!」

 

「兄様………何かその……ずるいです」

 

「全く……誰が昼ドラの恋愛ごとをやれといった、馬鹿者が」

 

「いいじゃないか、若い内は恋して何のそのって奴だ。恋するのもいい事だ」

 

「あはは………いつか箒ちゃんとは妹離れする日も近かったりしてね……?」

 

「あっいや、俺はその……」

 

「はっ!?わ……私はその……」

 

 

一夏と箒は慌てふためきながらも詭弁するが、慌てている二人にとって詭弁など言えるはずもなかった。

 

 

「時と場所によってのことだな。一夏、いくら何でも早すぎだ。それよりも箒、話を変えるがこの紅椿、束博士が箒のために作った機体を受け取るか否か、それを聞きたい」

 

 

そう星矢に言われた箒は一夏に励まされ、誕生日プレゼントを貰って不安定だった気持ちが安定し、箒は星矢の問いに答える。

 

 

「……私はもう迷わない、一夏やみんなを守りたい。私は、姉さんが作った紅椿()を受け取る」

 

「……迷いはないようだな。博士、フィッティングとパーソナライズの準備を」

 

「オッケー、任せてね!私が補佐するからすぐに終わるよん♪」

 

 

そして箒は紅椿に乗り込み、束博士の補佐で短時間で初期化と最適化が完了して一次移行する。

 

 

「流石に早いな、束さんの補佐があるとはいえ早過ぎる……」

 

「あぁ、確かに早いな。(しかし…この釈然としない違和感は何だ?)」

 

「終わったよー。んじゃ、試運転を兼ねて飛んでみてよ。箒ちゃんのイメージ通りに動くはずだよっ」

 

「えぇ、それでは試してみます」

 

 

箒は束博士に言われた通りに紅椿で上空へと飛翔する。そのスピードは束博士の言う通り他の現行ISを上回っていた。一応安全確認のためか星矢は箒に通信を入れる。

 

 

「箒、大丈夫か?」

 

「え、えぇ…何とか……」

 

「うんうん、やっぱ箒ちゃんは凄いね。束さんの想像以上だよ。それじゃあ刀を使ってみてよ、右のが“雨月”で左のが“空裂”ね。“雨月”は対単一仕様の武装で打突に合わせて刃部分からエネルギー波を放出して敵を蜂の巣に!する武器だよ〜〜。次は“空裂”ねー、こっちは対集団仕様の武器だよん。斬撃に合わせて帯状の攻撃エネルギーをぶつけるんだよー」

 

「えっと……つまりそれは……?」

 

「……つまり、とある特撮系に出てくる携帯とベルトで変身する仮面の戦士の使う剣と同じように、必殺技を放つ様に斬撃に合わせて帯状の拘束エネルギーをぶつけるのと同じ物の様だ」

 

「…あぁっ、なるほど!そういうことか!」

 

 

箒は束博士の専門用語に苦難していた為に星矢は箒に分かり易く特撮系の説明風で何とか分かり易く説明する。

 

 

「それじゃあ武器の性能をチェックする為にこれ、撃ち落としてみてね。ほーいっと♪」

 

 

そういって束博士はONIが作ってるブースターフレームの武装の一つMITVポッドを装填しているタレットを出現させて箒に目掛けてMITVポッドを発射する。……束博士、いつの間にうちの武装を掻っ払って来たんですか?

 

MITVポッドがある程度箒に近づくとMITVポッドの外部装甲が外れて中から多数のマイクロミサイルが発射される。すると箒は空裂で斬撃はを放ち、マイクロミサイルを迎撃する。するとそのマイクロミサイルの爆風に紛れ込んで一気のターゲットドローンが箒に銃口を向けるが、箒が先に雨月でエネルギー波で迎撃する。

 

 

「…恐ろしいほどの性能だな、あれっ」

 

「そうだな……その分危うくなり易いかもしれない」

 

「その分、僕たちで箒をサポートしよう」

 

「そうだな……」

 

 

星矢と一夏が専用機を受け取った箒の特訓やらそのことを考えていると………

 

 

「たっ……た…大変です!お…おお、織斑先生っ!」

 

「山田先生?どうした?」

 

「こ…こっこれをっ!」

 

 

織斑先生は山田先生が持って来たタブレットを確認すると険しい顔をした後に全員にテスト稼働の中止を指示する。

 

 

「全員注目!今日のテスト稼働は中止、各班ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内待機すること。…以上だ」

 

「えっ…中止?何でまた?」

 

「状況が全然わかんないんだけど……」

 

 

他の女子生徒は何故中止になったのか理解できないでいた。星矢は織斑先生の異常事態のことに察して状況把握するための時間が欲しいと思い女子生徒達に簡単に説明する。

 

 

「…恐らくISに関する事件がまた起きようとしている様だ。みんなは織斑先生の指示通りすぐに自室に戻るんだ」

 

「嘘っ……!?またぁ?!」

 

「今学期のIS学園って事件に巻き込まれやすかったけ?」

 

「何をグズグズしている!星矢の言う様にすぐ自室に戻れ!以後許可なく寮外に出たものは身柄を拘束する!いいな!!」

 

「「「はっ…はいっ!」」」

 

 

そうして専用機持ち、SPARTAN以外の女子生徒達は直ぐに旅館の自室に戻る。

 

 

「織斑先生。専用機持ち及び、SPARTAN以外の女子生徒達は全員旅館の自室に戻りました」

 

「すまんな泉谷、手間が省けた。……改めて専用機持ちとSPARTANは全員集合しろ!もちろん篠ノ之もだ!」

 

 

一体何があったのかはわからないが、これだけはわかっていた。嫌な予感がすると……

 

 

星矢Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

星矢達SPARTAN達と箒達専用機持ちが旅館の一番奥にある宴会用の大座敷・風花の間に全員集まった。照明が落とされて薄暗くなっている室内には大型の空中ディスプレイが浮かんでいた。因みに星矢の父親である清十郎さんと束さんもこの現状確認に参加している様だ。

 

 

「では現状を説明する。今から二時間前、ハワイ沖で試験稼働にあったアメリカ・イスラエル共同開発の第三世代型の軍用IS“銀の福音”が制御下から離れて暴走、監視空域より離脱したとの連絡があった」

 

 

そう説明する中、志野が軍用ISが作られたことに驚いていた。

 

 

「なっ!?それってアラスカ条約違反じゃねえか!」

 

 

志野の言う様にISが出現したことで全世界は危機感を募らせた為にアラスカ条約ことIS運用協定を結び、ISの情報開示と共有、研究のための超国家機関設立、軍事利用の禁止などが定められた。……だが志野が言っているのはそこではなく、アメリカとイスラエルが共同開発で軍用ISを開発したことに反感を買っているのだ。しかしそこで清十郎さんが条約違反ではないことを答える。

 

 

「いやっ済まないが志野、それについてアメリカやイスラエルは条約違反じゃないんだわ」

 

「はっ?どういうことなんだ?」

 

「まぁ…俺の配慮ミスって奴だ。彼奴らはONIに監視させてもらうことを条件にISの開発を始めたんだ。表向きは競技兼宇宙空間における全身装甲(フルスキン)のテストで、その裏が銀の福音の武装や性能のテストでもあるんだ」

 

「……ONIにあえて監視させる事で軍事利用ではなく、ISの本来の目的である宇宙の進出に向けてという目的を後ろ盾にONIを利用したってことか」

 

「そういうことだ。……っと、話が逸れちまったな?織斑教頭、さっきの続きを…」

 

 

清十郎さんが織斑先生に説明続きを頼み、織斑先生は暴走している銀の福音について説明を再開した。

 

 

「衛星による追跡の結果、マッハ1.5と少し遅めの速さで福音がここから2キロ先の空域を通過すると推測される。学園上層部の通達により、我々がこの事態に対処することになった。教員は学園の訓練機を使用して、空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要はSPARTAN及び、専用機持ちに担当してもらう」

 

「あーそうそう、SPARTANチームは福音の機動力だとモーション・トラッカーが追いかけきれないので今回の作戦は俺が事前に持ってきたPIC搭載済みの四台のブースターフレームで先行する形で出撃してもらう。なお、今回の作戦において参加するSPARTANは俺が決めさせてもらった。星矢、一夏、カル、デイジーがブースターフレームで出撃し、福音を撃破して活動を停止させる」

 

「要はアメリカとイスラエルの尻拭いか。……あまり釈然としないが、命令であるなら仕方ない」

 

 

どうやら万が一ブースターフレームがやられても空を飛べるISコアを搭載したミョルニル・アーマーを装備する俺達が抜擢された様だ。星矢は何やら納得いかない感じであったが、銀の福音を止める為にもやるしかない為にやむなく納得するのであった。

 

 

「そして専用機持ちはSPARTANの後に続きSPARTANのフォローを行う。遠距離担当はオルコットとボーデヴィッヒ。近〜中距離担当は篠ノ之にデュノア、凰で行ってもらう。オルコット、お前のISにはちょうど強襲用高機動パッケージがあったな?必要とならば超高速機動戦に参戦してもらう。超音速下での戦闘時間は?」

 

「私の場合は超音速飛行時の戦闘訓練時間は二十時間です。本当にちょうどですが強襲用高機動パッケージの“ストライク・ガンナー”が送られていますし、超高感度ハイパーセンサーも付いています。しかし、それらを換装するしている間に通り過ぎてしまいますわ」

 

「その点については問題ない。束、オルコットのISの装備換装を補助はできるだろう?」

 

「もちのロンだよちーちゃん♪あっそれと箒ちゃんに渡した紅椿も超高速機動ができるんだよっ!」

 

 

……どうやら色々と何でもありの様だな、束さんが作った第四世代は。そんなこんなでセシリアのブルー・ティアーズの強襲用高機動パッケージ(ストライク・ガンナー)の換装を束さんの補助によって2分足らずで換装を終えた。

 

 

「よしっ無事に終えたな?念のためにもう一度作戦を説明する。SPARTANチームは福音の撃破。そして専用機持ちはSPARTANチームのフォロー、援護を行え。そして織斑、可能であらば福音に零落白夜で一気にSEを削り、行動不能にさせろ」

 

「了解。可能であれば……ですが」

 

「それで頼む。……ではっ作戦を開始する!全員持ち場につけ!」

 

 

そして俺たちSPARTANは清十郎さんが運んで来たPIC搭載のブースターフレームに搭乗する為に出撃準備を行う。

 

 

「それじゃあ気をつけて行ってこいよ?何せ福音は特殊射撃による広域殲滅を目的に共同開発された軍用ISでもあるからな」

 

「広域殲滅か……面倒な代物をアメリカとイスラエルは作ったな本当……」

 

「そう言うなって星矢。俺からの一言、生きて帰ってこいよ?」

 

「……了解だ。SPARTANチーム、出撃する」

 

 

そうして俺たちSPARTANはブースターフレームに搭載されているPICで浮上した後にブースターを点火して銀の福音の通過予定地点に向かうのであった。

 

 

「星矢達SPARTANチームは行ったな?…よしっ続いて専用機持ちも出撃!」

 

「「「はいっ!」」」

 

 

その後に箒達もISを展開して星矢達の後を追うのであった。……しかしこの後とんでもない事になることを当時の俺はまだ知る由もなかった。

 

 

続く……

 





装備試験中、束さんがやって来た。
束さんが作った紅椿を箒は受け取るべきか迷う。
一夏の励ましで箒は迷いを振り払い、紅椿を受け取る。
銀の福音が暴走していることが星矢達に届き、作戦を練る。


次回は、銀の福音戦です。


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福音が強すぎて、ヤバすぎる結果…

第1章の第26話、始まります。


転生者よ、銀の福音を倒せ。


 

 

ブースターフレームで出撃した星矢達SPARTANチームは銀の福音の進行予定ルートに向かっていると目視で銀の福音を捕捉した。

 

 

「星矢、いたぞ!」

 

「あぁ……こっちでも目視で捕捉した。あれが銀の福音だ」

 

「あれが銀の福音?見た目からして天使の様な姿ね?」

 

「それに対して私たちはSPARTANという悪魔。……偶然にしても結構な皮肉だな」

 

「……全員、駄弁はそこまでだ。高機動モードに切り替えろ、仕掛けるぞ!」

 

 

星矢の合図で星矢達はブースターフレームを高機動モードに移行する。ブースターフレームの左右翼を展開し、計12個のMITVポットと二門の80mmボール搭載ロータリーキャノン、M92原理ガウスキャノンといった武装をオンラインにし、銀の福音戦に移行した。その時に銀の福音は星矢達の接近に感知したのか途中で移動を止めて、その場で静止する。

 

 

「?……星矢、福音がその場で静止したぞ」

 

「福音が……静止だと?……何かが妙だ」

 

 

するとその銀の福音が突如と発光し始めて白と橙の光が銀の福音の全身装甲から溢れ出す。その光景を見たデイジーは星矢に警告を促す。

 

 

「星矢、問題発生だ!対象が突如と発光し始めたぞ!」

 

「何?!まさか……二次移行(セカンド・シフト)……!全機距離を取れ!」

 

 

星矢の指示通りに一夏達は銀の福音から距離をとった。その瞬間、銀の福音の発光が止むと銀の鐘のウイングスラスターがより大型になり五対十羽の白い翼を展開した。さらに銀の福音の手元にはプロメシアン達の武装であるZ-130サプレッサーを両手に展開し、装備する。

 

 

「あれは……プロメシアンの武装!?」

 

「くっ…!今回の事件はエヴォルの奴が絡んでいたか!」

 

「どのみち二次移行した銀の福音を倒さなければならないのは変わらない。エヴォルの細工によって二次移行したという状況を判断すればいい。奴を倒して暴走を止める!」

 

「「「了解っ!」」」

 

 

星矢達SPARTANチームは全方位シールドを最大にして二次移行した銀の福音と交戦するのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

箒Side

 

 

同時刻、箒達は星矢達の後を追って来たのはいいのだが銀の福音が全く異なる姿となって星矢達と交戦しているのを目視した。

 

 

「あれが……銀の福音?だが、衛星写真で見たものとは違う形になっている!?」

 

「もしかして……星矢たちが接触した際に二次移行したというの!?」

 

「でも、ありえませんわ!織斑先生の話によりますとあの銀の福音はまだ機動試験も行なっていないとのことでしたわ!」

 

「でもそれしか考えられないよ!今はともかく星矢たちの援護に徹しよう!」

 

 

箒たちはブリーフィングでそれぞれの役割を果たすべく近〜中距離担当である箒とシャルと鈴。遠距離担当であるセシリアとラウラで別けられ、セシリアとラウラは遠距離にてスターライトmkⅢ、大型レールカノンで超高速機動で星矢たちと交戦している銀の福音に照準を合わせる。

 

 

「くっ…!早すぎる!」

 

「ラウラさん!カウントスリーと同時に撃ちますわよ、よろしい?」

 

「わ……分かった!」

 

 

セシリアとラウラは互いに心の中でカウントし、カウントスリーのタイミングでレーザーと実弾を発砲する。しかし、銀の福音にはそのことを読んでいたのか難なく躱しきる。

 

 

「避けられた!?」

 

「ラウラさん、すぐに動きますよ!狙われてしまいます!」

 

 

セシリアはラウラと共にその場から離れようとした時には既に銀の福音がセシリア達の背後に回って進化したウイングスラスターの銀の鐘からエネルギーが収束されて、そのまま強力なエネルギー弾がセシリア達を飲み込む。

 

 

「きゃああぁぁっ!?」

 

「うわあああぁぁっ!?」

 

 

その時にセシリア達のISの絶対防御が働いてパイロットのセシリア達を守ってそのままISが解除されてそのまま海へ落ちる。この光景を星矢達も見ていた。

 

 

「セシリア、ラウラ!ちぃっ!」

 

 

デイジーはブースターフレームに搭載されている二門の80mmボール搭載ロータリーキャノンで銀の福音に対して牽制する。その隙に星矢は箒達に指示を出す。

 

 

「箒と鈴はセシリア達の回収を!シャルはその二人の援護!」

 

「わ…分かった、任せろ!」

 

「任せてちょうだい!」

 

「分かった。気をつけてね?星矢!」

 

 

そう言って箒達はセシリア達の回収をすべくセシリア達のところへ向かうのであった。

 

 

箒Side out

 

 

 

銀の福音と交戦してから二分後……

 

 

 

一夏Side

 

 

戦いは激しさを増していた。後から到着した箒達専用機持ちの内セシリアとラウラの二人が銀の福音の攻撃によってやられたのだ。俺たちSPARTANチームでもブースターフレームでなんとか銀の福音に応戦しているものの、劣勢なのは変わりない。

 

 

「星矢、そっちの残弾数は?」

 

「ミサイルは残り左右ともに三基合わせ計六基。ロータリーキャノンはまだ62パーセントと残っているがこれでは埒が明かない。そっちは?」

 

「ロータリーの方はもう40パーセント下回っていて、ミサイルの数は残り8だ」

 

 

残弾数が残りわずかになっていく中、星矢はある決断をする。

 

 

「全員、こっからは持久戦だ!福音にガウスキャノンをお見舞いするぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

 

そう作戦をすぐ練り上げると同時に星矢達は散開して銀の福音との距離を取りつつもガウスキャノンのチャージを開始する。銀の福音は散開する星矢達を見てその行動を妨害するかの様に先ずデイジーから仕留めに向かう。

 

 

「くっ……尾けられてる!」

 

 

デイジーは何とか銀の福音から振り切ろうとするが必要以上に追尾してくる銀の福音からは逃れられなかった。そして銀の福音が持つZ-130サプレッサーから多数のハードライト弾が発射され、そのうち一発がデイジーのシールドを纏ったブースターフレームに直撃する。

 

 

「…っ!やられた!」

 

「待ってろデイジー、今援護する!」

 

 

俺はデイジーの援護に回ろうと80mmボール搭載ロータリーキャノンで牽制し、銀の福音の注意を俺の方に向けようとする。

 

 

「よせ一夏!迂闊だ!」

 

 

しかし時は既に遅く、銀の福音が一夏の接近に気づいていたのか一夏のいる方に多数のエネルギー弾が一夏に襲う。

 

 

「なっ!?しまった!」

 

 

多数のエネルギー弾を受けてしまう一夏であったが、シールドのおかげで負傷は免れたもののブースターフレームがコントロール不能になり一夏は脱出をするほかなかった。

 

 

「くそっ…!コントロール不能、もう持たない!」

 

「脱出しろ!後ろにいる!」

 

 

ちょうど一夏の背後には星矢がいたのを把握した一夏はブースターフレームから脱出し、一夏のブースターフレームは脱出された数秒後に爆発四散する。そして一夏は星矢のブースターフレームにしがみ付く。

 

 

「一夏、大丈夫か?」

 

「あぁ、ターレットを!」

 

 

星矢はすぐに一夏の要望通り“M41 ELAAGat ガトリングターレット”をブースターフレームの後方から展開し、一夏はターレットに配置して銀の福音の後方からの攻撃されないようカバーする。

 

 

「後ろは俺がカバーする!」

 

「星矢、デイジーはこっちで回収したわ!」

 

「そうか、それでガウスキャノンの方は?」

 

「こっちは46パーセント!まだ程遠いわ!」

 

「よしっ、ここからは持久戦だ。いくぞ!」

 

 

その後は銀の福音からの追撃を躱しながらもガウスキャノンのチャージが完了するまで粘る。一夏とデイジーは銀の福音が攻撃する隙を与えないようターレットで制圧射撃でカバーする。しかし、そのターレットの残弾が尽きるのも時間の問題であった。

 

 

「くそっ!これじゃあキリがない!」

 

「ガウスキャノン、チャージ70パーセント!もう少しだ……!?」

 

 

ガウスキャノンのチャージ率を確認している最中に星矢はある物を目撃する。

 

 

「船……だと?」

 

「何だって!?まさか……密漁船か!」

 

「くっ……こんな時に……!」

 

『星矢、そのことは私たちに任せてくれ!』

 

「……っ!箒か、頼む!」

 

 

その時に箒達がセシリア達を回収し終えてすぐに戦線に戻ってきたのだ。そして箒達は密漁船を安全圏まで誘導を開始する。すると銀の福音が星矢達から箒へ標的を変えてそのまま急速に接近する。

 

 

「……っ!?福音が箒達に?不味い!」

 

「なっ!?一夏、よせ!!」

 

 

その時の一夏は星矢の言葉を聞かずブースターフレームから飛び降り、銀の福音より早く箒の元に向かうべく瞬時加速で一気に降下して銀の福音より先に箒に辿り着くと同時に銀の福音から36の砲口からエネルギー弾が一夏や箒に降り注ぐ。

 

 

「箒、逃げろぉ!!」

 

「なっ……一夏!?」

 

 

その時に俺は咄嗟に箒を突き飛ばしてエネルギー弾の射線から外させると同時に多数のエネルギー弾が一夏のミョルニル・アーマーに多数直撃する。

 

 

「がはぁっ!?」

 

 

その同時にSEが切れて、ヘルメット内で一夏はダメージの大きさに耐え切れずに吐血する。そしてPICが全く機能しなくなり、そのまま意識が暗転して海の方へ落下していった。

 

 

一夏Side out

 

 

 

箒Side

 

一夏は私を庇い銀の福音の攻撃をまともに受けてしまい、そのまま海の方へ落下していくところを目撃してしまった。私と鈴は余りにもショックが大きすぎて判断ができない状態になっていた。

 

 

「い、一夏……?一夏!?一夏ぁぁぁぁぁああああ!!」

 

「嘘でしょ?嘘だといってよね一夏!?一夏ぁぁああ!!」

 

「待って二人とも!しっかりして、一夏はまだ死んではいない!僕がすぐ回収に行ってくる!」

 

 

シャルが私達に一喝した後に一夏を回収するべく海の中へと飛び込もうとするが、銀の福音が妨害する分救助が思った通りにできない現状であった。

 

 

「うわっ!?これじゃあ一夏を回収出来ない!」

 

「援護する!カル、お前はガウスキャノンのチャージを専念してくれ!」

 

「箒っ!こうなったら一夏の弔い合戦よ!あいつを絶対に落とすわよ!」

 

「……あぁ!一夏の仇、討たせてもらう!!」

 

 

星矢はカルに指示を出した後にシャルの援護に徹する。星矢は内心少し焦りを感じていた。シャルも銀の福音によって落とされるのではないか?と。星矢はシャルが援護しながらも銀の福音の注意を向けるのであった。そして私達は一夏の敵討ちすべく星矢達を援護する為に銀の福音に攻撃を仕掛けるのであった。

 

 

箒Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

その頃、一夏は銀の福音の攻撃を受けて海に落ちた後にミョルニル・アーマーの重さで海の底まで少しずつ沈んでいた……筈だった。一夏が目を覚ました時には一夏の身体に纏っていたミョルニル・アーマーが無く、それとは全く無縁の満遍なく広がる青空が広がっていて未来的な遺跡の様なところに居た。

 

 

「っ……ここは?」

 

 

一夏は周囲を見渡しても只あるのは満遍なく広がる青い空だけだった。

 

 

「俺は確か……福音と交戦していて、その後箒を庇ってその後……?」

 

 

一夏は自身に起きた出来ごとを振り返って状況整理していると、一夏の前に遺跡の一部である建造物から明るい光が溢れ出し、そこから人と似た人物?とIS?を纏った人物が降りてきた。

 

 

「……誰だ?」

 

〔私はフォアランナーの魂。かつての名はヘミソフィア。人類をマントルに導くことが、私の使命です。……が、それは今危機に瀕しています〕

 

「フォアランナー…?エヴォルとかいう奴の仲間か?」

 

〔いえ……かつての彼はガーディアンを守護する者。ですがエヴォルをこの地球から、決して…逃してはなりません〕

 

「エヴォルを地球から逃さない…?どういう事なんだ?」

 

 

一夏はヘミソフィアから何故エヴォルを逃してはならないのか理解できなかった。するとヘミソフィアはその理由を話す。

 

 

〔彼の目的は“コンポーザー”それはフォアランナーにとって最大の敵を滅ぼすことのできる装置。つまり、人類を……〕

 

 

一夏はヘミソフィアの説明をしっかりと聞き、理解した。かつて一夏達の祖先でもある古代人類はフラッドの脅威をフォアランナー達に警告しようとしたがそのフォアランナーの船に一部フラッドに寄生されていることが判明し、古代人類はフラッドに寄生されているフォアランナーの船ごと破壊した。その行為がフォアランナー達にとって大きな勘違いを生み、そして古代人類とフォアランナーとの戦争が勃発した。

 

戦争が長く続いたが最終的にフォアランナーが戦争に勝ち、古代人類に罰を与えた。しかし、その隙を観てフラッドがやって来た。人類との戦いにおいて疲弊したフォアランナー達にフラッドを食い止めることは出来なかった。そして生き残ったフォアランナー達は最終兵器でもあるリングワールド“HALO”。それらを銀河系の七箇所に行き渡らせ、フラッドやフラッドの餌となりうる全ての生命体を消去するという行動をとった。同時に、消去し終えたその銀河系に各生命体の元いた惑星にDNA再生、蘇生装置を搭載したシップ、所謂人類でいうノアの方舟にてあらゆる生命体を蘇生させた。フォアランナー自らの犠牲と引き換えに……そしていずれ人類が進化を遂げ、銀河を継承者となるように。星矢や一夏の様な戦士SPARTANは古代フォアランナー達によって数千世代に及ぶ計画の成果でもあった。フォアランナーはこの計画を“大いなる旅立ち”と呼んだ。

 

しかし、その計画に叛く者がいた。それがエヴォルであった。エヴォルは元を辿れば古代フォアランナーの生き残りでもあった。エヴォルは全銀河に平和を脅かすであろう人類やをフラッドの脅威をなくすためにコンポーザーを使い、フラッドや人類といった者達をデータ化させ、プロメシアン達を増やしつつ再びフォアランナーを復活させようとしていた。この時に一夏はプロメシアンの正体を初めて知るのであった。

 

 

「プロメシアンは、古代人類……」

 

〔我々がコンポーザーをエヴォルから奪い、彼をこの地球に存在するガーディアンに封印しなければ人類は全てデータ化されていたでしょう〕

 

 

エヴォルの目的が分かったものの、一夏はもっと大切なことがあった。

 

 

「……それは分かった。けど、俺は戻らなければならない」

 

〔彼女の下へですね?それでしたらリクレイマー、あなたの遺伝子とリクレイマーが作りしISにはまだ眠っている能力があります。その一つがコンポーザーへの耐性、そしてもう一つはISの新たなる進化。あとは目覚めさせるだけ〕

 

「どうやるんだ?」

 

〔貴方の進化を加速させるのです〕

 

「他に、選択肢はないな……」

 

 

ヘミソフィアは一夏の遺伝子に眠りし能力が覚醒するために遺伝子を操作して進化を加速させる為の準備に入る。そして未だに喋らなかったIS?を纏った女性が一夏に問いを投げる。

 

 

〔力を欲しますか…?なんのために……〕

 

「……俺の思いはいつの時であろうと変わらない。俺は、友達───いやっ仲間を守るためにこの力を使う」

 

〔仲間を……〕

 

「あぁ…。星矢や桂、志野といったウルフチームのメンバー。そしてIS学園で過ごした箒達や千冬姉を守る。これが俺の思い……それが、俺の願い。だから俺は、この世界で一緒に戦う………仲間と共に!」

 

〔そう……なら、行かなきゃね〕

 

 

その女性との問いに答えた一夏の身体に再びミョルニル・アーマーが展開する。しかし、そのミョルニル・アーマーの形とヘルメットが変わっていた。その形はPathfinderよりもアーマーがよりシャープに洗練され、ヘルメットにはユニコーンを連想させる様な角と騎士の様な形をした物に変わっていた。そう……一夏のISは二次移行しPathfinderから“Fotus”へと進化したのだ。そしてヘミソフィアも一夏の遺伝子の進化の準備が完了する。

 

 

〔リクレイマー、準備が整いました。後は目覚めさせるだけ〕

 

「分かった…やってくれ」

 

〔備えて……そしてご武運を……〕

 

「あぁ……そして行ってくる。ヘミソフィア……そして()()()

 

 

一夏は薄々ヘミソフィアのそばにいる女性の正体に気づいていた。そう告げた後にヘミソフィアと白騎士は光となって消える一夏を見守った。

 

 

一夏Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

銀の福音との戦闘が始まってから五分が経過した。ブースターフレームのとっておきでもあるカルの機体のガウスキャノンの初段は躱されてしまい重武装の残弾は星矢の機体を除いて空となり、かなりの苦戦を強いられていた。一夏は未だに回収できない状況の中で箒はこの戦いの中で単一仕様能力である“絢爛舞踏”を覚醒させてシャル達や星矢達のSEをフルに回復させて仕切り直しのところで星矢のモーション・トラッカーにあるシグナルが反応する。

 

 

「これは……味方のシグナル?しかもこのシグナルコードは……ウルフⅣ、一夏の?」

 

「この反応は……一夏の!?しかし、一夏は………っ!?」

 

 

その反応した方角を向くと海面下から何かが打ち上がる様に水柱が立ち、その水柱の上空に光の球体があった。その光の球体の輝きが止むとそこにはFotusに二次移行した一夏の姿があった。

 

 

「箒、星矢、それにみんな、待たせたな」

 

「……遅刻だぞ一夏。一体どれだけ眠っていたんだ?」

 

「一夏………!よかっ……よかった……本当に…………!」

 

「この馬鹿一夏!本当に心配させておいて戻ってきた言葉がそれ!?でも……本当に良かった……!」

 

「一夏……よかった。無事だったんだ」

 

 

それぞれ一夏の無事に安堵している最中、銀の福音が両手に持つZ-130サプレッサーでハードライト弾の弾幕を張る。しかし、全員はその攻撃を読んですぐに躱す。

 

 

「……さてっ後で色々と説教したいことがあるが、今は銀の福音に今度こそガウスキャノンをお見舞いするか!」

 

「だったら俺達が牽制する!その間星矢はチャージを!」

 

 

そうして行動を再開した星矢はガウスキャノンのエネルギーをチャージさせる。そして一夏達は銀の福音に対して星矢に注意を向かない様に攻撃を集中させる。箒は空裂で銀の福音の進路を妨害する様に攻撃し、シャルと鈴はそれぞれの武器で銀の福音に攻撃する。そしてブースターフレームから脱出したデイジーとカルはM247Hヘビーマシンガンで弾幕を張って銀の福音の逃げ道を塞ぐ。その同時に星矢のブースターフレームのガウスキャノンのチャージが完了し、照準を銀の福音に向けてガウスキャノンと残ったMITVポットを全て発射する。

 

 

「ミサイル発射!ガウスキャノン……FIRE!!」

 

 

ミサイルから先に発射されてその後にガウスキャノンが発射される。銀の福音は回避を試みようとするが一夏達の攻撃によって回避が困難だった為に銀の福音は多数のミサイル迎撃し、ガウスキャノンを直撃覚悟で防御する。ガウスキャノンが直撃した時に銀の福音は未だに健在であったがそれも終わりを迎える。

 

 

「これで…最後だ!」

 

 

一夏は雪片二式の単一仕様能力である“零落白夜”で銀の福音を斬り裂き、ようやく銀の福音を行動不能にすることに成功する。その時に一夏の耳元で“ありがとう…”という小さな声が聞こえた気がした。そして星矢は現在の状況を纏める。

 

 

「ブースターフレームは全滅、されどSPARTANチーム及び専用機持ち班全員生還。そして銀の福音の撃破を確認。任務完了だ」

 

「……フゥ。…なんとか終わったな」

 

「いやっ……終わってないことが一つある」

 

「終わってないこと?それは何なんだ、星矢?」

 

 

箒は星矢の言った意味が気になった。そして星矢は答える。

 

 

「寝坊助一夏の説教だ。軽率な行動や僕たちを心配させてたことを含めてだ」

 

「……勘弁してくれ星矢。俺も色々あったんだ、フォアランナーのヘミソフィアからエヴォルの目的が判明したわけだし……」

 

「……何だって?確かか、一夏?」

 

「あぁ……詳しい話は戻った時に説明する。今は千冬姉たちのところに戻ろう」

 

 

一夏のいうエヴォルの目的が判明した事には驚いたが、今の僕は色々と疲れた。そうして僕たちは織斑先生がいる花月荘に帰還するのであった。

 

 

続く……

 





星矢たちを目視した瞬間、銀の福音が二次移行。
戦闘中に一夏は箒を庇ってダメージを受け、海に落下する。
一夏はフォアランナーの魂からエヴォルの目的を知り、自身を進化させられる。
復活した一夏とともに銀の福音を撃破し、帰還する星矢。


次回は、千冬がアービターと戦います。


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千冬がアービターと戦った結果…

第1章の第27話、始まります。

今話で第1章は完結です。


千冬よ、異星人を侮るな。


 

 

銀の福音戦から無事に帰還を果たした星矢達。そこで出迎えていたのは清十郎と束博士、織斑先生たちであった。

 

 

「よかった〜みんな無事で〜♪」

 

「よっ!お疲れさん、お前たち。無事に作戦完了……っていきたところなんだが、何で星矢はさっきから小難しい顔をしているんだ?」

 

「父さん……いろんな意味で厄介なことが判明した。それと一夏のアーマーも福音の戦いで二次移行したからアップデートが必要だ」

 

「あー……そういうことか。分かった、こっちで手配しておく。それとお前たち、疲れたろう?今日はゆっくり休んでいいぞ」

 

「それは私のセリフだろうが………まぁいい。これだけは言っておく。よくやった、全員よく無事に帰ってきたな……」

 

 

その後は待機していた女子生徒たちから質問が殺到した。しかし、今回の事件は機密事項扱いにされ女子生徒たちに口外する訳にはいかなかった。そして僕は一夏自身に何があったのか詳しく聞き出した。一夏曰く、気を失っていた時にフォアランナーの魂であるヘミソフィアに会い、ヘミソフィアからエヴォルの目的はコンポーザーという最強の兵器を使い全人類をデータ化させ、決して破れることのない平和とフォアランナーの復活。それがエヴォルの真の目的であった。……まさかコンポーザーがこの世界にもあったなんてな。

 

 

「……エヴォルはどこかのアニメで見た人類を別の何かに変換させて保管させる計画みたいな事を考えていたとはな……。この場合はその保管法がデータ化バージョンとはな」

 

「あぁ……そのヘミソフィアから俺の遺伝子を操作してコンポーザーへの耐性を目覚めさせてくれたんだ」

 

「それはそれで有難い事かもしれないが一夏、お前絶対遺伝子を調べさせられるぞ?」

 

「……その時は星矢、言い訳を頼む」

 

 

流石の僕でも一夏に“お前なぁ……”と呆れる他なかった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

一夏Side

 

 

星矢に俺が体験した事、エヴォルの目的を話し終えた後にラウラの見舞いに向かっていた。そしてラウラがいる個室に到着する。

 

 

「ラウラ、いるか?入るぞ」

 

 

一夏が個室に入るとラウラが複雑そうな顔をしていた。なぜそうなっているのか判らなかった一夏はラウラに聞き出してみる。

 

 

「ラウラ…どうしたんだ?そんな複雑そうな顔をして?」

 

「……織斑一夏……か……」

 

 

ラウラが一夏のこと兄様とは呼ばずフルネームで呼んだことに驚いたがそこではなく、ラウラが記憶を思い出しつつあることに気づいた。

 

 

「織斑……?まさかラウラ、お前記憶が…?」

 

「あぁ……あの銀の福音にやられた時にな………あくまで一部分ではあるが。お前のことやSPARTANを憎んでいたこと……そして私が、そのSPARTANに恐れていることも……」

 

「ラウラ……お前……」

 

 

一夏はラウラがPTSDを起こしてしまわないかと不安になった。……が、しかしその様な事ではなかった。

 

 

「……だが、記憶が失っていた間にできた新たな記憶を受け継いでしまった為か、私のいう人格が未だに判らないんだ。織斑一夏……いやっ一夏。もうしばらくの間だが、お前や篠ノ之のことを兄と姉と呼ばせてくれないか?」

 

「……俺はそれでも構わない。ラウラがそれで良いって言うならな」

 

 

記憶の一部を思い出したラウラは記憶が完全に戻るまでの間、一夏や箒のことを兄と姉として学園生活を過ごすこととなった。

 

その後に一夏は一旦外に出て夜風に当たって今までに起きた出来事を思い返していた。

 

 

(俺が銀の福音にやられた後、フォアランナーのヘミソフィアに会ってエヴォルの目的を知ったり、俺のミョルニル・アーマーも進化して、別のアーマーに変化したな。星矢が言うにあれはFotusというアーマーの種類だそうだったな。……一体何が起ころうとしているんだ?)

 

 

そう考えている最中に一夏の背後から近づく者がいた。

 

 

「い……一夏」

 

「箒……?どうしたんだここに来て?」

 

「……ラウラのことについて聞きに来たんだが、記憶が戻りつつあるのか?」

 

「完全とはいかないが一部を思い出した様だ。俺やSPARTANを憎んでいたこと、そしてトラウマとなったSPARTANに対する恐怖心を……」

 

 

一夏は気難しい気持ちで箒にラウラのことを答える。箒は話題を変えるべく一夏に語りかける。

 

 

「……お前が落とされた時には不安がいっぱいだった。あの時の様に一夏が死んでしまうのではないのかと……」

 

「そうだな……あの時は死にかけたが、こうしてちゃんと生きて戻って来た。本当に運が良かった………ただそれだけだ」

 

 

そう呟きながらも共に海を眺める一夏と箒であった。その光景を影からこっそり見ていた鈴やラウラが箒に嫉妬したのはまた別の話……

 

 

一夏Side out

 

 

 

束Side

 

 

一方の千冬と束はとある海岸沿いにて千冬は一夏たちの様子を観察していて、束はISコア・ネットワークを通して一夏の戦闘データを観察していた。

 

 

「紅椿の稼働率は絢爛舞踏を含めて42パーセントかぁ。箒ちゃんもだいぶ成長して安心したよ。はぁ〜〜……それにしてもいっくんには驚くなぁ?銀の福音の攻撃を受けた時に負傷した傷が回復していたなんてね?しかもいっくんの遺伝子が少し弄られた後があったけど、まさか操縦者の生体再生まで可能なんて。まるで───」

 

「───まるで“白騎士”のようだな。コアナンバー001───お前が心血を注いだ一番目の機体に…な」

 

「あっ。やあ、ちーちゃん」

 

 

束は千冬に声をかけられたことに気づいて返事をする。そして二人はある話題に移る。

 

 

「───それにしてもだ、一夏のIS……いやっ、ミョルニル・アーマーといったか。あれにあのコアが入れられていたとはな……」

 

「あのコアは本来なら倉持技研でいっくんの専用機として作られるはずだった“白式”を渡されるはずだったんだけどONI……主にシノっちが倉持技研を買収して以来、コアがいっくんのミョルニル・アーマーに組み込まれたんだけどね?」

 

「正直なところ、あの機械オタクのSPARTANは一体何がしたかったのかを聞いてみたら“中途半端にやり残したことにキレたから倉持技研を買収した。反省しているが後悔していない”…だそうだ」

 

「あはは……シノっちがやりそうなことだねぇ……(汗)」

 

 

一夏のミョルニル・アーマーに搭載されているコアにはかつて、束が心血を注いで作り出したISの一番目の機体“白騎士”のコアが使用されていることの話であった。その時に束が私にあることを聞き出す。

 

 

「………ねぇ、ちーちゃん。今の世界は楽しい?」

 

「そこそこ……といえば嘘になるな。正直なところ、不安なことが多数ある」

 

「そうなんだ。……どうして?」

 

 

束が不思議そうに千冬に問いかけ、千冬は束にその訳を答える。

 

 

「……束、私が第二回モンド・グロッソ決勝戦で試合を放棄して一夏を助け出しにいったことを覚えているな?」

 

「うん、今でも覚えているよ。いっくんがSPARTANとしての道を歩んでしまったあの日を……」

 

「あの時は一夏を助けようと必死だった。……しかし、現場につけば既に一夏はいなかった。……あの時の私は自分の無力差を呪った。私にとって大事なたった一人の家族を守れなかった。……だが、一夏はONIの医療技術力によって救われた。“人間であることを捨てることで”だがな……」

 

「ちーちゃん……」

 

 

束は千冬から溢れ出すような怒りと哀しみを肌を通して感じていた。一夏を救えなかった事への自身に対する怒り。そして一夏が生きていたもののSPARTANという人間ならざる超兵士として生きていたことに対する哀しみ。それらは千冬が体験したことを物語っている様に束は千冬の気持ちを感じ取れた。

 

 

「過ぎたことを悔やんでも仕方ない、と私はそう区別している。一夏とてもう子供じゃない。私も弟離れする日もいつか来るかもしれんな」

 

「ちーちゃん……。ちょっとカッコつけているところ、水を差すようでゴメン。ちーちゃん、家事や掃除とかは大丈夫?」

 

 

そう束に言われた千冬は一瞬だけ冷や汗をかいた。束が問いを掛けたことがどうやら図星であったようだ。

 

 

「……ダイジョウダ、モンダイナイ」

 

「ちょっちーちゃん、何かカトコトになっていない?」

 

「気のせいだ、束」

 

「え……でもちーちゃん、今絶対……」

 

 

 

 

 

「気・の・せ・い・だ。良いな?」

 

 

 

 

 

「アッハイ……」

 

 

千冬の気迫に圧倒された束はただ千冬の返答に答える他なかった。すると千冬は何かしらの視線を感じ取った。

 

 

「……束、お前は先に行け。お前でもわかるだろ?」

 

「…うん、ちーちゃん。この殺気の様な感じ……多分強いよ?気をつけて……」

 

「無論だ。……行けっ」

 

 

束は千冬の言う通りに先にその場から何か逃げる様に去った。親友である千冬の安否を祈りながら……

 

 

束Side out

 

 

 

千冬Side

 

 

束がこの場から去ったことを確認した頃にその視線の正体の主に問いかける。

 

 

「……さてっ、隠れている奴。そろそろ出てきたらどうだ?」

 

 

千冬がそういうと千冬が向いた方向に何かしらの光学迷彩で姿を隠していた人ならざる存在がいた。その者はいささか古く感じられるアーマーを着ていた。しかしそれが逆に何かしら強者としての凄みを感じられた。その正体は、コヴナントの大祭司直属兵士で第17代目アービター“リパ・モラム”であった。千冬もコヴナントについてのことは星矢の父、清十郎からあらかた聞いていた。今彼女の目の前にいるのがエリート(サンヘイリ)族、それも大祭司直属のエリート族の兵士“アービター”であることも。

 

 

「……私の存在に気づいていたか。となると、貴様があの───」

 

「あぁ、私が初代ブリュンヒルデだ。もっとも…この名は私自身忌み嫌っているがな……」

 

「ほう?自ら最強の称号を嫌うとな?」

 

「何……その最強の称号よりも大切なものがあるだけのことだ。それにしてもコヴナントの特殊部隊というのは随分暇なんだな?こんな惑星にやってくるとはな………大方、お前たちの目的は束の拉致であろう?」

 

「既に悟られていたか………だが、邪魔をするならば貴様とて容赦はせんぞ」

 

 

アービターは警告すると同時にアービター様に作られた専用のType-1 エナジーソードを二つプラズマ刃を展開する。

 

 

「随分と舐められたものだな。……だが、何も用意していないわけではない」

 

 

そういって千冬は着ていたスーツを脱ぎ捨てると、そこには専用のバトルスーツを身にまとった千冬の姿があった。そのスーツの腰側には直刀であろう剣が左右に三振りの計六振りの直刀を懸下していた。

 

 

「なるほどな……奪いたくば力尽くということか」

 

「そういうことだ………参る!」

 

 

その言葉を皮切りに千冬はアービターに急接近し、懸下している直刀を抜刀しアービターの胴に斬りつけるが、アービターのアーマーとシールドで直接ダメージを負わせることはできなかった。それでも千冬は冷静であった。

 

 

「……なるほどな。それなりにやれる様だな」

 

「どうした?かかってこい。お前の目の前にいるのは初代ブリュンヒルデだぞ?全身全霊を持って挑んでくるがいい……アービター」

 

「……よかろう、その安い挑発に乗ってやろう」

 

 

その瞬間アービターはステルスを起動させその姿を消す。千冬は姿を消したアービターに対して同様せず、目を閉じ、心を無にして無心となる。

 

 

(姿を消した……か。しかし、気配は分かりやすい)

 

 

そして千冬がアービターがいると思われる背後に直刀を振るう。するとその直刀は何かに引っかかったかの様に動きを止められていた。千冬は止まっている直刀を離し、後方へ飛んで下がる。そして千冬が放したのにもかかわらず、空中で浮いている直刀。その正体は、ステルスで背後から千冬を斬りかかろうとしたアービターであるが先に千冬に気づかれて千冬が振るう直刀を素手で受け止めたのだ。そしてアービターはその直刀を捨てて、今度は正面から千冬に斬りかかる。しかし千冬は直ぐに懸下している直刀を引き抜き、エナジーソードに弾き返す。

 

千冬が使用している直刀はONI社にオーダーメイドで作ってもらった特別製で二つの特性を持っている。その一つは対プラズマ・コーティングを施された刀身。しかし、アービターのエナジーソードは士官エリートに支給される普通のエナジーソードではなく、より攻撃力に特化する様に改造されたエナジーソードである。その結果、千冬の直刀に高熱を帯びて刃が欠けていた。

 

 

「なるほどな……その剣の攻撃力は厄介だな」

 

 

千冬は直ぐに懸下している予備の直刀を引き抜き、左手に持つ直刀をアービターに向けて投擲する。アービターは投擲された直刀を叩き落とすと同時に接近して着た千冬に蹴り飛ばされる。しかしアービターは蹴り飛ばされると同時に千冬の足を掴みアービターと共に吹き飛に、倒れこむ。そしてアービターは直ぐに体を起こし倒れこんでいる千冬の胴に拳を叩き込む。

 

 

「ぐっ……!?」

 

「こんなものか……なんとも軟弱な種族だな」

 

「ふっ……どうかな?」

 

「何?……ぐぉっ!」

 

 

その時に千冬はアービターに蹴りだし、僅かな隙を作り出した後にアービターとの距離を取る。

 

 

「ちぃっ……無駄なことを…!」

 

「それは私が決めることだ」

 

 

そういった瞬間に千冬がアービターに向かって走りだし、そしてアービターを飛び越えると同時にアービターは首に何かが縛られる感覚を感じた。この時に千冬の両の手にはワイヤーロープがあった。アービターを飛び越えた瞬間、アービターの首にワイヤーロープを巻きつけ、締め上げたのだ。

 

 

「ヌグゥッ!?」

 

「お前はISやSPARTANに搭載されているSEと強靭な肉体で戦っていた様だが、その様なものに頼っているから判断が遅れる」

 

「ヌグッ……ぅぉおおあああっ!!」

 

 

アービターは首に巻きついているワイヤーロープをエナジーソードで切断すると同時に千冬に斬りかかる。しかし千冬は冷静にアービターの動きを見切り軽々と躱す。

 

 

「……あの悪魔どもと同等の身体能力。なおさら見過ごせんな「大方、ISコアを作れるのは束だけだと知って焦っている様だな」っ!ぬぅぅん!」

 

 

煽っていることを知っていながらもアービターは千冬に斬りかかる。千冬は軽々と躱すが、アービターはそこに付け込んで再度千冬に斬りかかる。千冬は咄嗟に懸下している直刀を抜刀し、アービターのエナジーソードを防ぐ。その瞬間、千冬とアービターの間に爆発が起きて千冬はその爆風によって大きく吹き飛ばされる。その時にアービターは疑問に思った。

 

 

「今の手応えのなさといい、先ほどの爆発は…………ぬっ!」

 

 

アービターは改めて周辺を見渡してみると千冬と戦っている時に千冬が放棄した直刀が五本が突き刺さっていた。その内一本はアービターの目の前にあった。その時に千冬は呟いた。

 

 

「………木っ端微塵」

 

「なにっ!?……っ!?」

 

 

アービターは千冬の本当の狙いを気づいた時には遅かった。その瞬間突き刺さっていた直刀が一斉に発光した瞬間、爆発し、アービターを巻き込んだ。そしてアービターのところには一つの爆炎が上がっていた。これこそ直刀のもう一つの特性は音声入力による、もしくは一定以上のダメージを受けると爆破するというものである。

 

 

「……フッ」

 

 

千冬は立ち上がり、勝利を確信した。……しかし、そう思った矢先にその爆炎の中から腕が出てきて千冬の首元を掴む。

 

 

「なっ!?ぐっ……!」

 

「……少し侮っていた、まさか私をここまで追い込むとはな。……だが、詰めが甘かったな?」

 

 

そういってアービターはエナジーソードを展開し直して千冬にトドメを刺そうとした。

 

 

「せめてもの情けだ。その腐った目に私の顔を焼き付けて逝くがいい」

 

「誰が逝かせてくれと頼んだ?エリート風情が…」

 

「なにっ!?グォッ!」

 

 

突然アービターは千冬にトドメを刺そうとした瞬間に何者かに邪魔をされた。その邪魔をした人物は星矢が率いるSPARTAN混成部隊ウルフチーム所属、ウルフⅡの桂がアービターに一発ぶん殴ったのだ。

 

 

「ゲホッゲホッ!池上先生……か?」

 

「あぁ…束博士から織斑教頭を助けてと頼まれてな、直ぐに駆けつけた次第だ」

 

「このタイミングで悪魔が来るか。だが……『よい、アービター』っ!!」

 

 

この時アービターに一つの通信が入る。その通信相手は真実の預言者からであった。

 

 

『其方にはまだやるべき大義がある。ここは耐え忍ぶのだ』

 

「恐れながら大祭司殿、私めに生き恥を晒せとでも?でしたら、今目の前にいる悪魔を道連れにしても……!」

 

『ならん!其方は篠ノ之 束の捉える使命がある。それを蔑ろにする訳にもいかん!』

 

「……仰せの通りに」

 

 

アービターはステルスを起動させ、周囲に溶け込む様に姿を消してその場から離脱した。

 

 

「モーション・トラッカーに反応なし……どうやら引いた様だな」

 

「すまない、助かった。しかし…このまま逃してよかったのか?」

 

「問題ない。奴の目的は束を拉致することが目的だったらしいからな。それに、迎えも来たようだな」

 

 

桂がそう言うと千冬たちの後方から束を始めとするONI戦闘スタッフとSPARTANの星矢と一夏の姿があった。

 

 

千冬Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

束博士が何やら冷静ではなかった様子を見せながら僕を見つけた瞬間、束博士が“せーくん!ちーちゃんを助けて!”と頼んで来たのだ。何やら時は一刻を争う様な事態に陥っていることを察した星矢は直ぐに通信で桂に繋いで千冬の救援を指示を出した後に一夏やONI戦闘スタッフも呼んで直ぐに千冬の救助に向かった。そして今現在は桂が織斑先生の救援に間に合って無事のようだった。

 

 

「千冬姉っ!大丈夫か!?」

 

「織斑先生だ、馬鹿者。……と言いたいところだが、なんとか無事だ」

 

「危うかったですよ。束博士が知らせてくれなければ織斑先生といえど、タダではすみませんでしたよ?」

 

「……そうだな。感謝するぞ、泉谷」

 

 

こうしてこの事件こと“銀の福音暴走事件”は星矢たちONIとIS学園の専用機持ちによって解決したのであった。

 

 

 

翌日………

 

 

 

臨海学校も最終日を迎えたのだが、今回の事件によって予定よりも早めに切り上げることになってそれぞれの女子生徒たちはバスに乗り込んでいた。そして星矢と一夏はアメリカからやって来た銀の福音の操縦者であるナターシャに銀の福音の待機状態を渡す。

 

 

「これが銀の福音の待機状態です。一応他に異常がないか精密検査してみたところ異常はありませんでした」

 

「ありがとう。報告から聞いてあるけど、エヴォルという者があの子を暴走させた張本人で間違い無いのね?」

 

「その件は確かなのですが、後のことは機密事項なのでお伝えすることができません」

 

「そう……でも、ありがとう。あの子の暴走を止めてくれて」

 

「いえっ……俺達はただ任務を………?」

 

 

するとナターシャは一夏に近づいた後に一夏の頰に軽くキスをした。

 

 

「えっと……今のは?」

 

「あの子を止めてくれたお礼。ありがとう、白いナイトさん。じゃあまたね、バーイ」

 

 

そう言ってナターシャは一夏と星矢に別れを告げた後に帰国用のONIの降下艇に乗り込んでここに後にする。

 

 

「……まぁ、とりあえず一件落着……か?」

 

「一応な……しかし一夏、お前の場合は箒達に狙われるんじゃ?」

 

「えっ……?あ………」

 

 

星矢は何かを察したように一夏に忠告すると一夏は箒達から溢れ出る嫉妬を感じ取った。

 

 

「一夏〜〜……!!」

 

「イ〜チ〜カ〜!」

 

「兄様……HANASIをしましょうか?」

 

「ちょ…ちょっと待て!幾ら何でも誤解だ、誤解っ!」

 

 

一夏がバックのスパルタ訓練によってSPARTANになってから女心を理解できたものの、女難に関しては相変わらずであった。……やれやれ、一夏の女難はいつまで続くんだろ?

 

 

星矢Side out

 

 

 

清十郎Side

 

 

一方の清十郎は星矢達に告げずに一足先にONI本社に帰って社長デスクで色々と書類やら始末書などの整理を行っていた。

 

 

「ふぃ〜っ……銀の福音も追加で正直て言って書類の処理が追いつかねえぞ。つーか、それを敵があえて読まないのが普通なんだよな〜……ハァ〜ッ、面倒くさい。“ppp…”……ん?」

 

 

清十郎はデスクに設置してある受話器から受信音を聞いて受話器を取ってその通話相手に話をする。

 

 

「ONI株式会社の本社です。どのようなご用件で?」

 

『相変わらずの仕事熱心ね?泉谷さん』

 

「…って、アンタか。そっちも相変わらずじゃないのか?スコールさんよ…?」

 

 

清十郎が話していた相手は、原作において亡国企業の女性幹部“スコール・ミューゼル”である。何故その亡国企業の女性幹部と話しているのかは今の星矢は知らない。

 

 

『あらっ、つれないわね?お互いに知り合った仲じゃないの?』

 

「それは昔の話だろ?今のお前にはオータムっていう奴がいるだろう?」

 

『確かにそうなんだけどね?けど……あの子は元気なのかを聞きたくてね』

 

「彼奴か?今も元気だよ。SPARTAN-Ⅱになって以降、家に新たに入った義理の妹とイギリスの代表候補生が彼奴に好意を抱いている様だしな。まぁ……息子の自慢話はまた今度ゆっくり話すとして、本題に戻ろう。そっちはどうなんだ?何か情報は得られたか?」

 

 

清十郎は話題を切り替えてスコールから本題の()()()()を聞き出す。そしてスコールは清十郎にその問いに答える。

 

 

『えぇ、その件については確認済みよ。やはりあなたの想像した通り私の部下のMはあの計画のスペアとして作られたようね』

 

「やはりな……事実上、存在していたんだな。()()()()が……」

 

 

清十郎が言う織斑計画……別名、“プロジェクト・モザイカ”は、遺伝子操作によって意図的に“最高の人間”を造り出す計画。この計画によって作られた1000番目の試作体にして成功体が千冬であり、そのスペアとして作られたクローンがマドカ。一夏は千冬のデータから、より効率よく“生産”するために造られた個体である。

 

千冬が別の意味で人の手によって生まれたSPARTAN-Ⅱなのも頷けると同時に、一夏がその千冬のデータから造られた個体であることに驚いたが、その計画は二人の天才……いやっ、世間から見れば二人の天災の確認によってこの計画は放棄・凍結された。その天災は篠ノ之 束、キャサリン・ハルゼイの二人である。

 

 

『……それにしても、まさか織斑計画の最高の人間とは全く違う発想であるSPARTAN-Ⅱ計画は“最強の超兵士”。偶然にしても皮肉なことよね?』

 

「そう言ってやるな。SPARTAN-Ⅱの中には成功して生き残った奴や失敗して生き残った奴の一部にはハルゼイ博士を憎んでいる奴だっているんだぜ?」

 

『それもそうね。それじゃあ、要件は伝えたわ。また会う時はお互いに敵にならないことを祈るわ』

 

 

その言葉を皮切りにスコールとの通話が途切れた。清十郎は受話器を元あった場所に戻し、今後のことを考えるのであった。

 

 

「織斑計画か………星矢、これはかなり面倒なことが起こりそうだぞ?」

 

 

清十郎は地球にいる星矢に上の空で語るのであった。

 

 

清十郎Side out

 

 

 

エヴォルSide

 

 

その頃エヴォルはガーディアンにて銀の福音から得た大量の戦闘データと録画データを観覧していた。

 

 

〔やはり、IS如きでは彼らには敵わないか……だが、収穫は無かったわけではない〕

 

 

そう言ってエヴォルは背後を向くと、そこには織斑一夏とそっくりな人物が紫色の機械仕掛けの銃と歯車を模様した水色と白色の色違いの二つの奇妙なボトルを持っていた。

 

 

〔それに、なかなか目にかかれない異世界からの産物と人間……いやっ、人間ならざる者か。その力を我らの悲願のためにも使わせてもらうぞ〕

 

「……了解だ」

 

 

そして一夏似の人物はそのボトルを先ほど持っていた紫色の機械仕掛けの銃に白、水色の順番に差し込む。

 

 

【ギアエンジン!】【ギアリモコン!】【ファンキーマッチ!】

 

「……潤動!」

 

【フィーバー!】

 

 

引き金を引いた瞬間一夏似の人物の周りには濃い黒い霧が覆い、上空には白と水色の歯車が火花を散らしながらも展開して、一夏似の人物に覆っていた濃い黒い煙が晴れるとそこには人とは思えない黒い怪人になり、そして上空に展開していた歯車はその黒い怪人に装着される様に合体して、ここにこの世界では存在しない怪人が誕生してしまった。

 

 

【パーフェクト!】

 

〔さぁ…始めようか?我々の計画の第1段階を。ヘルブロス………いやっ、()()()()よ〕

 

 

エヴォルは新たに手に入れた異世界の産物をおもちゃをもらって嬉しがる子供の様な笑みを浮かべて星矢達が映るモニターに目を向けるのであった。

 

 

続く……。

 





星矢が帰還したと同時にラウラが記憶の一部が復活。
千冬はアービターと交戦し、救援に来た桂によって何とか撃退に成功する。
清十郎が亡国企業のスコールと何かしらの会話をしている。
エヴォルは異世界の住人をどうやってかこちらの世界に引っ張ってきた。


次回は、コラボ編です。


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コラボ回 仮面の戦士と超兵士の交差録
並行世界に来訪者が来た結果…


今回のコラボはサルミアッキさんの

“IS EVOL A KAMEN RIDER?~無限の成層圏のウロボロス~”

とのコラボ回です。


コラボ回の第1話、始まります。


転生者よ、新たな物語が交差するぞ?

一夏(EVOL)
「いやっ前書き短ぇだろ?!」

戦兎
「一夏、それは気にしたらダメだ。はてさてどうなる第1話!」



 

 

臨海学校で起きた“銀の福音暴走事件”から一週間後、様々な事件が起きるIS学園は何とか無事に夏休みに突入した。夏休みに入った女子生徒達の一部は家に帰省したり、IS学園に残りISの適合率を上げようと特訓する者もいた。そして専用機持ち達も各本国に専用機の使用による活動を書類にして作成し、戦闘データを送ったりしている。星矢と一夏は夏休みの初日の内に書類と戦闘データを送り、IS学園から送られた宿題を早めに終わらせた。因みにシャルはアーマーなどのアップデートを行う為に先にONI本社に帰った。

 

そして星矢はその夏休みを利用して一夏達や織斑先生をONI本社に招待して、衛星軌道上から地球でも見せようと考えていると偶然一夏と会う。そして星矢は一夏に夏休みに予定はないか聞いてみる。

 

 

「一夏、そっちの方の夏休みの予定とかはないか?」

 

「いやっ今のところはないけど、どうしたんだ?」

 

「いやっ何……この夏休みを利用してみんなをONI本社に招待しようと思ってね。それと会長と簪も連れてこようと思う」

 

「良いんじゃないか?因みになんだが箒も呼んで良いか?」

 

「あぁ、別に構わないよ。多ければ楽しいからな。後、織斑先生も行くかどうか聞いてみるよ」

 

 

こうして星矢はシャルを除く一夏達をONI本社に招待する為に下準備の為に束博士に連絡を入れ、下準備を行うことになった。

 

 

夏休みに突入してから五日後……

 

 

一夏達をONI本社に招待する日になった星矢は降下艇で一夏達を迎えに向かった。その頃一夏達は、星矢が指定した待ち合わせ場所であるIS学園入り口でまっていると星矢が乗る降下艇がやって来た。そして一夏達を降下艇に乗せた後、ONI本社に向けて出発する為に操縦桿を操作して降下艇を離陸させてONI本社へ進路を取った。そして降下艇が大気圏突破してONI本社にある専用のプラットホームに着陸した後に全員が降下艇から降りる。

 

 

「ここが泉谷の本社か……」

 

「私も初めて来たが、ここまでの規模が大きい宇宙ステーションが本社とは……」

 

「アタシの場合はONIに助けられた時に日本支社の医療施設に搬送されたから本社の事は分からなかったけど、宇宙ステーションが本社って……どんだけ資金をつぎ込んでいるのよ」

 

「鈴……多分俺もそう思っていたけど、あまり突っ込まない方が良いと思う」

 

 

鈴の言う様に本当に父さんが宇宙ステーションを作るほどの資金をどうやって確保しているのかは僕でも知らない。……改めて思うと本当に面倒な特典を神から授かったと思うよ。そう思っている時に本社のスーパーMACガンや電力系統を管理するスマートAIガーランドが僕たちを出迎えてくれた。

 

 

《ようこそ、SPARTANに紳士淑女の皆さん。私はガーランド。このステーションのAIだ》

 

「ここにもAIが?なるほど……確かに束がここを気にいる訳だ……」

 

「そう言えば織斑先生はここに来るのは初めてですよね?」

 

「あぁ……それと、夏休みに入っている間は先生は付けなくていいぞ」

 

「そうでしたね……では改めて皆さん、ONI本社へようこそ。ガーランド、道案内と施設案内を頼むよ」

 

《了解!それじゃあ案内するからはぐれないように》

 

そうして星矢はガーランドに案内役を頼んで一夏達にONI本社の役割や本社最大の目玉であるスーパーMACガンを説明し、見学させている時に三人のSPARTAN-Ⅱと会う。

 

 

「星矢か……久しぶりだな」

 

「元気そうだな、星矢」

 

「今でも変わってない様ね、星矢?」

 

「……ん?ジェロームにダグラス、アリスか。久しぶりかな?」

 

 

星矢が会ったのはSPARTAN-ⅡレッドチームのリーダーであるSPARTAN-Ⅱ Jerome-092“ジェローム”。そしてレッドチームの一員であるDouglas-042“ダグラス”とAlice-130“アリス”であった。

 

 

「ジェローム達と会うのも結構まれだから本当に久しぶりだよ。…となると今回もか?」

 

「あぁ…コヴナントが地球に潜伏していないか日本に降りるところだ」

 

「そうか。気をつけろよ、ここ最近フォアランナー(エヴォル)が何を企んでいるのか分からない状況だからな」

 

「あぁ、そのつもりだ」

 

 

そう言ってジェロームはダグラス達を連れて降下艇に向かうのであった。その時に簪が星矢に質問をする。

 

 

「あの……星矢、SPARTAN-Ⅱって何人くらいいるの?」

 

「そう言えば私も聞いていなかったわね?泉谷くん、大体何人くらいいるの?」

 

「何人……か。僕も含めれば極めて少ないよ?前にハルゼイ博士がこの計画を世間に発表した時に500人ほどいた子供達のなかで精々14人でしかSPARTAN-Ⅱになれなかった訳だし…」

 

 

それを聞いた更識姉妹は先ほどの質問が失言であったことに気付き、星矢に謝罪する。

 

 

「あっ…ご…御免なさい星矢!私、悪気があって言った訳じゃ……」

 

「ごめんなさい、泉谷くん。私も簪ちゃんと同じで悪気があったんじゃ……」

 

「気にしなくて良いよ。嫌でもなれるさ……嫌でも…ね」

 

 

そんな下回る空気の中で束博士とシャルがやってきた。博士の方はハイテンションで(苦笑)。

 

 

「やっほー、せーくん!それにみんなも待っていたよ!」

 

「あっ……義兄さん、お帰り。みんなを連れて来たの?」

 

「あぁ、ただいまシャル。みんなにはONI本社を紹介しようと思ってね?それと博士、いつも通りの平常運転ですね……」

 

「あはは…まあね。それよりもみんなに見て欲しいものがあるんだ♪私のラボに来てよ!」

 

《あー……どうやら、予定変更で?》

 

「すまないガーランド、また後で頼む」

 

《了解です。それでは……》

 

 

ガーランドは急な予定変更に戸惑うことなく自身の仕事に戻っていった。そして束博士が星矢達に何かを見せるために星矢達は束博士に言われるがままラボの場所に招待される。

 

 

(それにしてもこの異常なほどの嫌な予感は何だ?一応警戒するに越した事はないか)

 

 

この時に星矢は若干嫌な予感を直感する。その嫌な予感が現実の物になる事を星矢達はまだ知らない。

 

 

星矢Sied out

 

 

 

束Side

 

 

私はせーくんが連れてきてくれたみんなをONI本社にかまえた私だけのラボに入り、フォアランナーの技術を解析し、私が作った装置である“束さんとモニちゃん特製☆並行世界転移装置(仮)”を星矢達に紹介する。

 

 

「じゃじゃーん!これは私とモニちゃんがフォアランナーの技術を解析して開発し、作り上げた装置“束さんとモニちゃん特製☆並行世界転移装置(仮)”なのだ〜〜!」

 

「並行世界…?」

 

「転移装置……ですか?…というかモニちゃんってモニターの事か?」

 

「そう!この装置は今はいないけどモニちゃんのフォージの設計図データの中に並行世界をつなぐ装置があったんだよ?そこでモニちゃんに頼んでそのパーツを作ってもらって、私がそのパーツを組み立てて並行世界をつなぐ為のエネルギー出力を調整させて完成させたんだ!」

 

 

自信満々に装置のこと説明する束。そのはしゃぎっぷりに千冬と箒はあきれる他なかった。

 

 

「全く……お前はな……」

 

「姉さん……少しはしゃぎ過ぎなのでは…?」

 

「しかし、気になる事があるな。なんでフォアランナーが並行世界転移装置なんかを作ったんだ?」

 

 

この時に星矢は何故古代フォアランナーはその様な装置を作ったのか理解出来なかった。その時に束はモニターから聞いた話を星矢に話すのであった。

 

 

「それっモニちゃんに聞いてみたんだけど、何でも約10万年前の私たちのご先祖様?の古代フォアランナーたちが万が一の事を考えてこの装置を作ったってモニちゃんが言っていたよ?とある外敵から逃げる手段としてモニちゃんに託されたんだけど、古代フォアランナーたちが作った最終兵器が無事に起動して使われる事はなくなったみたい」

 

 

星矢は何故その装置を作ったのかを理解した。そして一夏も銀の福音事件でヘミソフィアからある程度フォアランナーの事を聞いた為に理解していた。どうやら古代フォアランナーたちは万が一HALOの生産所である“アーク”がフラッドに支配される可能性を考慮してこの装置を作ったのだろう。アークはすべてのHALOに搭載されている全ての生命の肉体を消滅させる戦略的パルスの照射範囲外、つまり銀河系の外側の位置にある為にフラッドに取っての最高の避難場所であった。しかしそれは叶わぬものとなりフラッドや10万年前に生きる全ての生命がHALOの戦略的パルスによって消滅したので並行世界転移装置は使われなくなり、10万年前に生産されたモニターのサウザンドにフォージの設計図データの中に入れ、10万年の間、忘れ去られていった。しかし、束がフォージの設計図データの山を隅々までに調べた結果、発見され、作り出したそうだ。

 

 

「その並行世界へと繋がる座標は私たちと同じ世界であってちょっと違う様な世界を設定しているよ。一応安全処置としてこっちが装置を起動しない限りはワームホール状のゲートは生成しないから」

 

「だといいが………博士、一旦その装置を間近で観察しても?」

 

「もちろん大丈夫だよ!安全設計の元に作ったから心配ないよ」

 

「姉さん、その……私もその装置を間近で見てもいいですか?」

 

 

箒から意外な推薦があった事に驚く星矢。星矢は箒に何故そう言ったのか聞いてみた。

 

 

「箒?どうしたんだ急に?」

 

「いやっその……あまり姉さんとは一緒にいられなかったからか、少しでも姉さんと仲直りがしたいと思ったから……」

 

「箒ちゃん……大丈夫だよ、私も箒ちゃんや私の家族に謝りたい事があるから」

 

「博士……分かった。ただし、万が一の事もある。シャル、箒の護衛を頼む」

 

「分かった、義兄さん」

 

「一夏、お前も来てくれるか?人手が多い方が対処しやすい」

 

「分かった、任せろ」

 

 

そうして星矢達は束が作った並行世界転移装置に近づき、観察するのであった。この時に想定外な事件が起きると星矢たちは予想だにしなかった。

 

 

束Side out

 

 

 

星矢Side

 

 

星矢と一夏が万が一の事の為に装置の近場で待機して、箒とシャルが並行世界転移装置をよく観察していた。見た目からして西洋の大門を形をモデルにした変わった装置であった。

 

 

「これがフォアランナーが設計したものを姉さんが作った並行世界を行き来出来る装置………何が凄いのか分からないが、何故か凄いと思える」

 

「僕からしてみれば束博士がフォアランナーの技術を解析して作り出した事に驚きを隠せないけどね?」

 

「確かに……毎回束さんは凄い人だと思うけど、俺にはちょっとちんぷんかんぷんなんだよな…」

 

「あはは……それは僕もかな?」

 

 

箒、星矢、一夏、シャルの順でそれぞれの感想をつぶやき、千冬達は一夏達を見守り、束は装置でエネルギー制御を行い、万全の体勢でいた。その時、装置が並行世界のある波動を感知して共鳴し、ONI本社全体をスキャンする様に光が走る。

 

 

「!………束、今のは?」

 

「待ってちーちゃん、今の現象は私でも初めてだよ今までこんなことは起きなかったのに……」

 

 

ONI本社にて様々な異常が起きていた。本社全体の蛍光灯が停電し、人工重力も停止した。その結果、ONI本社内は無重力状態になった。

 

 

「えっ?嘘!?人工重力が…わわっ!?」

 

「えっ?ちょ……ちょちょ!?」

 

「一体……どうなっていりますの!?」

 

「どうやら人工重力が停止して、本社全体が無重力状態になった様ね!」

 

「じゃあ……無重力状態になった原因は……」

 

 

星矢と一夏、シャルはミョルニル・アーマーのマグロックで足場を固定し、箒は無重力下で流されない様にシャルに掴まるする。

 

 

「わっと…!箒、大丈夫?」

 

「あ、あぁ……何とか……」

 

「一夏に箒をお願い!」

 

「分かった、任せろ」

 

 

シャルは箒を一夏に渡した後に装置の様子を見た様子だと未だに発光していた。

 

 

「博士、人工重力が停止した原因はあの装置が原因ですか?」

 

「多分そうだと思う。あそこから発光し始めた瞬間、異常が起きた訳だし……」

 

「……少し荒い処置かもしれないけど、叩けば何とかなるかな?」

 

「え……?流石にそれはないんじゃないの?」

 

 

シャルはそのまま装置に向かって走り出し、その助走を生かして装置を蹴りだす。すると人工重力が再稼働し、停電していた蛍光灯から再び明かりが灯しだす。この映らなくなった昭和のテレビを叩いて直した様な光景を見た千冬を除く束たちは唖然していた。

 

 

「「「うそーん……」」」

 

「うーん……案外、何とかなるんだね?このやり方……」

 

「昭和のやり方で何とかなるんだった世も末だよシャルちゃん…んっ?えっちょ、嘘でしょ!?」

 

 

その時に束は装置のモニターのメモリを見ると予想以上のエネルギーがこの装置を通して共鳴していることに気付く。

 

 

「束、一体どうなっている?それにあの装置は何故光りが走ったのか…」

 

「ちーちゃん、みんなを避難させて!せーくん達は箒ちゃん達を!」

 

「…!了解した。(案の定嫌な予感が当たってしまったか)一夏、箒達を直ぐに……!?」

 

 

その時に装置が勝手に起動し、ワームホールが生成される。一夏はこの事を察知してか、箒を連れて既に離れていた。暴走する装置を束博士は何とか止めようとするが制御が聞かなかった。すると生成されたワームホールから強力な吸引力が発生し、箒は装置によって生成されたワームホールに吸い込まれ、掴んでいた一夏の手から離れてしまう。

 

 

「なっしまった!?箒ぃ!!」

 

「う……うわぁぁあああ!!?」

 

「箒っ!?今助けるよ!」

 

 

その時に装置の近場にいたシャルは箒の手を掴みマグロックを起動させようとするが、何故か起動しなかった。その結果、箒とシャルがそのワームホールに吸い込まれてしまう。

 

 

「マグロックが機能しない!?うわぁあああ!」

 

「一夏ーーーっ!!」

 

「なっ!?箒!!シャル!!」

 

「一夏、アーマーを展開しろ!二人を助けに行くぞ!!」

 

「あぁ!」

 

 

星矢と一夏は箒達を救助する為にアーマーと武器を展開して自らワームホールに突入する。ワームホールに入った瞬間、辺りが0と1の数列で出来た空間があった。その時に星矢の目の前に何かがやって来るものバイザーで確認する事が出来た。アーマーを展開し、後方にいる筈の()()()()と一人の女性が星矢の瞳に映っていた。

 

 

(……一夏?それともう一人は誰だ?)

 

 

そう考えがよぎった瞬間に彼らと交差して箒達がいると思われる光に突入するのであった。

 

 

星矢Side out

 

 

 

束Side

 

 

せーくん達が箒ちゃん達を助けるべくワームホールに突入してから数十秒後せーくんとは違う人物がワームホールから出てきた。その出てきた人物は女性と男性であった。特に男性の方は束達がよく知る人物でもあった。

 

 

「…ったた。まさかエニグマが途中で暴走して別世界に飛ばされるなんてな」

 

「いっつつ……ってか、ここ何処だ?「……いっくん?」……ぁん?」

 

 

束は一夏に似ている人物に声をかけた。すると一夏似の男性の隣にいる女性が束を見た瞬間、驚きを隠せないでいた。

 

 

「……篠ノ之……束?」

 

「えっ?何で私の名前を知っているの?……まさか」

 

「一夏さん……?それにしては何か雰囲気が違うような……?」

 

「一夏…なの?それにしては目つきが鋭いわね?」

 

「兄様……なのか?」

 

「織斑くん?……いえっ何かが違う様ね……」

 

「お姉ちゃん……?それってどういう……」

 

「馬鹿な……一夏が戻された?」

 

「ふぇ?……って、千冬姉に他のみんなも?!…てことはまた俺、別世界に飛ばされた?うそーんっ……!」

 

束達は戦兎や別世界からやって来た一夏(EVOL)を見て若干混乱するのであった。

 

 

束Side out

 

 

 

惣万Side

 

 

その頃エグマニの故障に巻き込まれた石動 惣万とシュトルムは人気のいない場所に飛ばされていた。お互いに現在の状況を確認するのであった。

 

 

「やれやれ……まさか俺もエニグマの故障に巻き込まれて別世界に飛ばされるとはな……」

 

「えぇ……そうですね。エニグマがあの様な故障に巻き込まれるのは流石の私も想定外です。それとマスター、後方に熱源反応があります。それも人ではありません」

 

 

すると惣万とシュトルムの後方から星矢達の敵であるコヴナントと遭遇する。そしてコヴナントの指揮官であろうブルートチーフテンがType-2 グラヴィティ・ハンマーを構えて惣万達を睨みつけて“異端者だ…!”と言葉を吐く。ジャッカルやグラント達もType-25“プラズマピストル”を惣万達に構える。

 

 

「おいおい……何なんだあの宗教的なゴリラは?他にもゴリラ以外にも鳥もどきやちっこい奴までいやがるぞ?俺は宗教には興味ないんだが……」

 

「私らでも知らない存在に知らない武器……知らないことが多いですが、分かっていることが一つ。あのゴリラ達は友好的ではないのは確かですね」

 

「その様だな。一応余計な火の粉を払うとして、彼奴等の正体を確かめるとしようか」

 

 

そう言って惣万達は変身する為に惣万はトランスチームガンとコブラを模様したボトルを取り出し、シュトルムはネビュラスチームガンと歯車を模様した青いボトルを取り出す。そして惣万達は取り出したボトルをそれぞれの銃に差し込む。

 

 

【Cobra…!】

 

【ギアリモコン!】

 

 

「蒸血」

 

「カイザー」

 

 

【Mist match…!】

 

【ファンキー!】

 

 

惣万達がそれぞれ銃から黒煙を噴き出させ、周囲をブラックアウトさせると、花火が散る音、通信機が鳴る音がコヴナント達の前で奏でる。

 

 

【C-C-Cobra…!Cobra…!Fire…!】

 

【リモート・コントロール・ギア……!】

 

 

視界が晴れると惣万はコブラの意匠が随所に見られ、その名の通り、血のように赤いワインレッドのパワードスーツの怪人こと“ブラッドスターク”になり、シュトルムは左半身が青い歯車の様な装甲で覆われ、顔の装甲の奥に光るカメラアイは怪しく青白く輝く怪人こと“レフトカイザー”になった。

 

 

『そんじゃまぁ…こいつらの戦闘データを収集しつつ、こいつ等が何なのか調べるとするか』

 

『了解です、マスター。これより戦闘を開始します』

 

 

コヴナント達を撃退と同時にこの世界の情報を収集する為にブラッドスタークはトランスチームガンとスチームブレードを、レフトカイザーはネビュラスチームガンを手にコヴナントと一戦交えるのであった。

 

 

続く……

 





星矢は夏休みを利用して一夏(HALO)達をONI本社へ招待する。
束博士は星矢達をラボに招待して異世界転移装置を紹介する。
転移装置がある波動を感知して共鳴し、暴走する。
箒とシャルは転移装置が作ったワームホールに吸い込まれ、星矢と一夏は箒達を助けるべくワームホールに飛び込む。
ワームホールから別世界の一夏と一人の女性が出てきて、別サイドでも男女の二人が怪人に変身してコヴナントと交戦する。

次回は、並行世界の住人と情報交換します。


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来訪者と情報を交換しあった結果…

コラボ回の第2話、始まります。


来訪者たちよ、これが並行世界だ。

惣万
「本当に前書きが短いんだな?」

シュトルム
「この世界の理なんでしょう。……第2話、始まります」



 

 

戦兎Side

 

 

オレこと因幡野戦兎は今いるこの世界の千冬達(HALO)と互いの情報を交換する。そしたらオレの知らない情報が沢山存在していた。

 

まず第一にこの世界にはONIという民間軍事会社で日常品製造メーカー、そしてISの武器や装甲とシステムの開発の三つで構成されている会社が存在しているということ。…やはりこの世界に篠ノ之 束の存在がある限りISもまた存在する様だ。そしてONIにはある特殊機甲部隊“SPARTAN”という対IS兼エイリアン戦闘に特化した超兵士部隊が存在し、その結果、ISは最強の兵器ではなくSPARTANという超兵士が世界や女尊男卑勢にとっての抑止力になっているそうだ。……というか、この世界にはエイリアンがいたのか?!そのエイリアンの多種族連合、宗教国家である“コヴナント”というらしい。

 

特に気になったのがにオレが作ったビルドドライバーやスクラッシュドライバーなどのライダーシステムはこの世界にとっては特撮の架空の存在らしい。その証拠に日朝にやる特撮の“仮面ライダービルド”があった。その物語は主人公である“桐生 戦兎”が悪の組織ファウストと戦うということにオレ達は驚いた。しかしその特撮は女尊男卑勢の女性たちのいざこざがあったり、いろいろな事件があった為に中々始められず、早ければ今年の秋に放送する予定だそうだ。そして千冬達(HALO)もオレ達の世界についても驚いていた。

 

 

「平行世界……それにライダーシステム。まさか実在するとはな……」

 

「まさか向こうの世界の一夏が特撮のヒーローなんてね…」

 

「けど……なんとなくだけど理解できるわ。こっちの世界の織斑くんと向こうの世界の織斑くんの身長が違ったり、こうも性格が違っていると別世界の織斑くんだと納得がいくわ。それに……向こうの私だとそのファウストにスマッシュ?という怪人にされたと聞いたけど……」

 

「あぁ…あの時の俺は更識会長がスマッシュになっていたことには気づかなかったけどよ、エンプティボトルで成分を採取して助け出せたのはいいんだが……その会長はスマッシュ化の影響で記憶喪失になっちまった。その結果、簪が十八代目“更識 楯無”として襲名したんだ」

 

「嘘っ……!向こうの世界のお姉ちゃんが、記憶喪失?そんなのって……」

 

 

一夏(EVOL)の言う通り戦兎達の世界の楯無はスマッシュ化の影響で記憶喪失になり、簪が十八代目の更識 楯無として襲名したのだ。

 

 

「向こうの世界の一夏も辛い思いもしたのだな……」

 

「兄様……」

 

「まぁな……それと思ったんだが、こっちの世界のラウラ。兄様って俺のことか?」

 

「あぁ……私はあることで記憶喪失になってしまった。今は何とか一部は思い出したのはいいが、記憶喪失になる前にトラウマを覚えてしまって以来、一夏や箒の事を兄様と姉様と呼んでいる」

 

「記憶喪失って………マジか」

 

 

一夏(EVOL)はラウラが体験した出来事を聞かされて何か言おうにも言葉が思いつかなかった。その時に鈴は思ったことを口にする。

 

 

「よくよく思ったんだけど、そっちの世界って人外魔境な世界な訳ね?まぁ……私も似た様なものね……」

 

 

そう言って鈴は左腕の義手を戦兎たちの前で外した。これを見た千冬達以外の戦兎たちは驚きを隠せないでいた。

 

 

「なっ!?鈴、お前……その左手は……!」

 

「あぁ、これっ?過去のある事件で巻き込まれた際に左腕はダメになっちゃって義手になったの。まぁ……最初の頃はなれなかったけど、時間が経てば案外なれるものね」

 

「鈴……」

 

「鈴ちゃん……」

 

「まぁ、これに関してはIS学園に入学する前に起きた事件だからもう割り切っているわ。……ただ、気になっているとしたら向こうの世界の千冬さんに彼氏がいるのには驚いたんだけどね?」

 

「鈴さん、それっ織斑先生にとってNGです!」

 

 

鈴は“しまった!”と思いつつ千冬を見てみると、そこには初代ブリュンヒルデ、IS学園の教師ではなく、未だに彼氏ができない織斑千冬の姿があった。

 

 

「鈴……貴様後で覚えておけ……!」

 

(あっ……地雷踏んで詰んだわこれっ……)

 

「それ以前にちーちゃん、家事洗濯をいっくん(HALO)に任せきりだからかだらしなく見えるよ?」

 

「ガフゥ!?」

 

 

束から追い打ちと言わんばかりにハッキリと言われて吐血する千冬。……そういえば、臨海学校でこういう似た様な出来事があったな?そうこう考えていると束が戦兎たちが何が起きてここに来たのか改めて聞いて、情報を整理するのであった。

 

 

「じゃあ、イナちゃんと向こう側のいっくん(EVOL)はあのワームホールの向こう側の世界にある“エニグマ”っていう装置が暴走してこっちの世界に来たってことだね?」

 

「あぁ、そういうことになる」

 

「……それと最後の確認なんだけど、イナちゃんは()()()()()()()なんだね?」

 

「……その通りだ。正直いうと最悪だ、まさかこの世界のオレと合うなんて、嘗て俺が篠ノ之 束だった頃に箒ちゃんとの関係を裂いてしまったきっかけを作ってしまったオレ自身に……けど、オレはちゃんとそのことはちゃんと割り切った。今のオレは因幡野 戦兎として、ラブ&ピースの為に戦う仮面ライダーとして、オレは戦う」

 

「イナちゃん……」

 

 

戦兎も辛い経験していることを知った束は何も言えなかった。もしも束が戦兎と同じ運命になって箒との関係が裂かれてしまうことを考えるだけで心を痛める。しかし戦兎は心が折れそうな時に向こうの世界の千冬達(EVOL)の支えがあったお陰で、因幡野 戦兎として罪滅ぼしを行うことが出来たのだ。そして一夏(EVOL)はあまりにも下向きな雰囲気を変えるべく別の話題を出すのであった。

 

 

「あー…話してること悪いけどよ?今更かもしれないけどよ、俺たち……なんか宇宙にいるっぽくねえか?」

 

「そう……それなんだよ一夏!いくらてぇん⤵︎さい⤴︎科学者のオレでも想像を超えるこの科学力は初めて見るよ!しかもこれほどの宇宙ステーションを作り出す科学者もそうだけども、一体どういう構造なのかオレですら予想外だよ!」

 

「…って戦兎、アンタは少しは緊張感を持てよ!?」

 

「あはは……並行世界の私もこの世界の私とほとんどが同じなんだね……」

 

 

話題を変えたのは良いものの、圧倒的な科学力であるONI本社に色々と暴走する戦兎に突っ込む一夏の図ができていた。後にここが宇宙ステーションであり、ONI株式会社の本社であることがこの世界の束から聞かされて分かった。……ONIって凄いな……?

 

 

戦兎Side out

 

 

 

束Side

 

 

束博士は並行世界から来た戦兎達をONI本社全体を案内した。戦兎が色々と子供っぽい反応でONIの科学力に驚いていた。……並行世界の私なのだからか少し自分が恥ずかしいと思ったのは内緒である。するとONI本社によって監視されているマッドサイエンティスト兼SPARTAN-Ⅱ計画の生みの親のハルゼイ博士とSPARTAN-Ⅱであるカルとデイジーと偶然会う。

 

 

「騒がしいと思えばあなたたちだったのね?」

 

「あっハルちゃん!やっほ〜!」

 

「相変わらず何ですね、束博士……」

 

「そう…だな。それはそうと、彼らは一体誰だ?特にそこにいる一夏は私たちが知る一夏ではない」

 

「そうね……それにその隣にいる人物は一体誰なの?」

 

 

そしてカル達は一夏(EVOL)を見てすぐ一夏(SPARTAN)ではないことに気づき、M6Hをいつでも引き抜ける様に身を構える。その時に織斑先生から戦兎たちのことや事情をカル達に説明する。

 

 

「待てっデイジーにカル、彼らは束が作った並行世界へ行き来できる装置から出て来た別世界の一夏と因幡野 戦兎という者だ。彼らは一応その並行世界の転移者の被害者だ」

 

「並行世界?束……貴女またおかしなものを作ったの?」

 

「あはは……興味本位で作ってみんなに見せようとしたらちょっと事故っちゃって……」

 

「貴女のその興味本位がその様な事態を招いたんでしょ?少しは自覚しなさい」

 

「あー……ごめんなさい」

 

 

ハルゼイ博士に謝る束を見る戦兎と一夏(EVOL)は何かしらとシュールに感じ取れた。まるで親が子に叱る様な関係な感じであった。この時戦兎は思った。オレにも母親見たいな友人がいたらこんな形だったのだろうか?……と。そして戦兎はハルゼイ博士にSPARTANについて聞き出してみる。

 

 

「……お説教中にすいません。えーと……」

 

「キャサリン・ハルゼイ……ハルゼイで良いわ。向こうの世界の()()() ()()?」

 

「!……どうしてそう思ったんですか?」

 

「似ているのよ、貴女はこの世界の束と同じ様にね」

 

 

同じ科学者同士なのかそれだけでオレが向こうの世界の篠ノ之 束である事を見抜いたハルゼイ博士を見て俺は思った。何となくだけど、この人には敵わない様な気がする。

 

 

「……一応オレのこと戦兎でお願いします」

 

「分かったわ。詳しいことはあまり聞かないわ……それで、貴女は何を聞きたそうだったけど何が聞きたいの?」

 

「そうだった。実は……」

 

 

戦兎はSPARTANたちは表向きは対IS兼エイリアン戦闘部隊として生み出された部隊なのだと千冬達(HALO)から聞いて知ったが、その裏のことを戦兎が気になったんだ。一体何のためにSPARTANが生み出されたのかハルゼイ博士に聞き出した。ハルゼイ博士が発する言葉には驚きを隠せないことがあった。それはSPARTANの中で主にSPARTAN-Ⅱの者は非人道的な計画によって誕生した超兵士部隊だったのだ。適性の高い子供たちを戦兎たちの誘拐し、クローンと入れ替えた後に13歳になるまでは軍事教育を施され、13になった時に改造手術で超兵士SPARTAN-Ⅱにさせる。しかし、その改造手術で死者は出たのは変わりなかった。

 

 

「ふざけんな!!アンタはその子供を拐って、計画の為に子供らを兵器に変えたのかよ!」

 

「よせ一夏っ!ハルゼイ博士だって本当はこんな事はしたくなかったかもしれないんだぞ!」

 

「止めんな戦兎!お前はあんな奴に肩を持つのかよ!?」

 

 

これを聞いた一夏(EVOL)はハルゼイ博士の非人道的行動にキレたが戦兎が一夏を制し、ハルゼイ博士は続けて説明する。

 

 

「貴方がそう思うならそうでしょうね、向こうの世界の織斑 一夏。一から教育し、肉体を改造するのには適応力の高い子どもが適応力の高い子供が最適だったからよ。そして、完璧な兵士が誕生した。彼らがいたからこそ、人類はコヴナントやプロメシアンに対抗できた」

 

「それはアンタの都合のいい解釈にすぎねえだろ…!」

 

「……確かにね。表向きでは知られていなけど、コヴナントが現れたのはちょうどIS学園のクラス代表戦の時とプロメシアンは学年別個人トーナメントの時に現れた時ね。コヴナントやプロメシアンがIS学園に攻撃した時、世間は改めてSPARTANを人類が絶滅から救う希望になった。大切なのは結果であって、過程に意味はないわ」

 

「そしてアンタの行いも正当化されるって訳かよ……!」

 

「私の研究が新たな希望を生み出したのよ」

 

 

ハルゼイ博士が言う様にそれは揺るがしようのない事実であり、同時に世間にとって何とも言えない事実でもあった。だが、ハルゼイ博士のやり方を認めない一夏(EVOL)は反論する。

 

 

「それがそうだとして、SPARTANとなった奴らから人間性を奪ったのも研究の一つだと言いたいのかよ…!」

 

「……何が言いたいの?」

 

「アンタが言う様にSPARTANが強ぇ奴になったのは良いが、もしそいつらの出番が終わった後にちゃんと人間としての生活に戻れるか保証があるのかよ!もし戻れなかったらアンタは……」

 

「その事の危機的状況への対応能力はSPARTANに教えたわ。それを支援する為の手段も、ちゃんと与えたわ。……けど、SPARTANは物や兵器として生み出した訳じゃないわ。私の作ったSPARTANは人類の未来、人類の運命よ!それに、私を憎むSPARTANだっているわ」

 

 

SPARTAN-Ⅱ計画で選ばれた子供たちの中にはハルゼイ博士を憎む者もいた。それがハルゼイ博士と共に来たデイジーもその一人だということに。しかしデイジーは割り切ってSPARTAN-Ⅱとして戦うことを決めたそうだ。デイジー曰く、ハルゼイ博士を完全に許した訳じゃないが全てが終わり次第、SPARTANをやめるつもりだそうだ。

 

 

「……アンタはそれでいいのかよ?」

 

「私は彼女を許したわけじゃない。だが、誰かがやらねばならない。それが私たちSPARTANだ。先ほど言ったが、コヴナントやプロメシアンとの決着をつけるまではSPARTANでいるつもりだ」

 

 

一夏(EVOL)はあまり納得しなかったが、デイジーの覚悟を聞いて納得する他なかった。そしてハルゼイ博士は戦兎たちが使うライダーシステムが気になったのと、戦兎たちしかない力に興味を持ち、ある提案を持ちかける。

 

 

「ライダーとSPARTANとの模擬戦?」

 

「えぇ……貴女たちが使うライダーシステム、それを作った人物はきっと人類の為に作った物でしょ?なら…彼女らと模擬戦を行い、貴女たちの戦闘技術を磨くのと、カル達が身につけているGEN2のデータ収集の為でもあるわ。模擬戦の場所はIS学園のアリーナよ」

 

 

その時に戦兎はハルゼイ博士の真相や、科学を悪用していないかを見極めるために模擬戦を受けることにする。

 

 

「……分かりました。オレ達でよければ」

 

「戦兎、良いのかよ?」

 

「正直いえばオレだってあまり厄介ごとをこの世界で作りたくない。けど、ファウストのことやBSのこともある。ハザードレベルをここで上げるのも手だ」

 

「決まった様ね。それじゃあ降下艇に向かってちょうだい。それで地球に降りるわよ」

 

 

戦兎の了承を得たハルゼイ博士は模擬戦をするために全員降下艇に向かい、一旦地球に降りるのであった。

 

 

束Side out

 

 

 

千冬Side

 

 

降下艇でIS学園のアリーナに到着した戦兎達は模擬戦の準備を行う。そして観戦席で千冬達は戦兎たちとカル達を見守っていた。

 

 

「模擬戦になったのは分かるが、肝心の泉谷達はどうするのだ?まだこっちには戻っていないのだぞ?」

 

「あー…それも分かるけど、せーくん達なら何とか箒ちゃん達を連れて帰ってくると思うよ?」

 

「星矢さんもSPARTANですから多分問題はないでしょうが、確かに心配ですわね……」

 

「まぁ……星矢や一夏にとってはこういうのは日常茶飯事なんでしょうね」

 

「……何となく思ったのだけれど、対暗部用暗部の更識家よりもSPARTANのほうが一番大変そうね?それはそうと………」

 

(初めてビルド達の変身が見られる。凄く楽しみ……!)

 

「簪ちゃんがもの凄く大の特撮オタだから結構楽しみの様ね……(汗)」

 

 

縦無は簪の異常な特撮好きに少し引いていた。その際、カル達SPARTANはハルゼイ博士から以下の武器の使用禁止条件が下される。

 

 

ロケットランチャー、ハイドラ、レールガン、スナイパーライフル、グレネード、グレネードランチャー、スパルタンレーザーの使用禁止。

 

 

それらの禁止条件を理解したカル達はアリーナに入り、戦闘準備を終える。そして戦兎達もアリーナに入り、フルボトルを確認して戦闘準備を終える。その時にカルが戦兎達に軽く勝利条件と敗北条件を説明する。

 

 

「それじゃあ確認だけど、そちら側敗北条件はダメージ蓄積による変身解除と降伏。私たちの敗北条件はSEがゼロになるか降伏よ。よろしい?」

 

「あぁ、それについては問題ない。さあっ…実験を始めようか!」

 

「実験というよりは模擬戦なのだが……」

 

「気にするな、戦兎の口癖みたいなものだ。じゃあ、俺も行くか!」

 

 

そう言って一夏(EVOL)はスクラッシュドライバーを装着してドラゴンスクラッシュゼリーの蓋を開封してスクラッシュドライバーに差し込む。そして戦兎はビルドドライバーを装着し、兎と戦車のボトルを取り出て上下に振り、蓋を開封してビルドドライバーに差し込む。

 

 

【ドラゴンゼリー!】

 

【ラビット!】

 

【タンク!】

 

【ベストマッチ!】

 

 

戦兎はビルドドライバーの右側に付いた“ボルテックレバー”を何回もぐるぐると回すと……ベルトから透明な管がプラモデルの様なランナーを造り、その中を赤と青の液体で満たされて行く。

 

 

【Are you ready?】

 

 

戦兎と一夏(EVOL)ファイティングポーズをとると、様々な世界で正義の為に戦う者へと変わる、力を持つ“あの言葉”を告げる。

 

 

「「変身!」」

 

 

その言葉が響いた途端、前後の赤と青のランナーが合わさり、戦士の姿を形成(ビルド)し、一夏(EVOL)はスクラッシュドライバーの“アクティベイトレンチ”殴るように叩きつけ、ゼリーを潰す。その時に一夏(EVOL)の周囲にビーカーの様な装置が生まれ、その中が水色のゲルで満たされていく。

 

 

【鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!】

 

【潰れる!流れる!溢れ出る!】

 

【ドラゴンインクローズチャージ!ブラァァァ‼】

 

 

変身した戦兎はフレミングの法則の様な決めポーズをとる。二人のSPARTANに向かい合う仮面のライダー達。“仮面ライダービルド”と“仮面ライダークローズチャージ”がこの世界に姿を現すのであった。

 

 

「さてっ……始めるか!」

 

「おっしゃ!いくぜ!」

 

「それじゃあカル、手はず通り私は向こう側の一夏の相手をする」

 

「分かってるわ。私は戦兎を相手ね?行くわよ!」

 

『それじゃあ、いくわよ?模擬戦、開始!』

 

 

ハルゼイ博士が試合開始のブザーを鳴らした瞬間、仮面ライダーとSPARTANの模擬戦が開始された。

 

 

千冬Side out

 

 

 

惣万Side

 

 

その頃ブラッドスターク、レフトカイザーに変身した惣万達はコヴナントから無事に撃退し生き残ったブルートから有力な情報を聞き出し、有力な情報を入手するのであった。

 

 

『成る程な……お前たちのエイリアンの多種族連合兼宗教国家“コヴナント”の地球潜伏兼偵察部隊って言ったところか?差詰め地球侵略の為の偵察か?』

 

「フンッ……!異端者である貴様らに我らが大いなる旅立ちの素晴らしさを理解できるはずもない!」

 

『あぁ…確かにお前たちの考えることは分からんし理解したくもねえよ。俺、あまり宗教に興味ないからなぁ?』

 

「貴様……言わせておけば!」

 

 

ブルートが怒りを露わにする中、スタークはコヴナントが使っていた武器などを手にして見てみた。

 

 

『成る程な……エイリアンの技術力はスゲーな?携行性プラズマ兵器なんざ今の俺たちの世界のあいつらを除いて作れる奴が少ねえかもなぁ。それにエイリアンといえば宇宙船がお約束だよな?』

 

「……?何が言いたい……」

 

 

スタークが何の話なのか理解できなかったブルート。その時にスタークがある事を告げる。

 

 

『確かお前ら、俺のこと異端者、とか言ったよな?戦っていて分かったんだが……、どっちかっていうと俺そっち側だわ』

 

『あぁ、星狩り(ブラッド)族でしたね、マスター……』

 

「何……?一体どういう意味……“ドスッ!”うぐっ!?」

 

 

その時、スタークが証拠隠滅の為に伸縮ニードル“スティングヴァイパー”をブルートに刺し、体内に崩壊毒を流し込ませ消滅させる。

 

 

『悪いが、そっから先は秘密事項なんでな。………さてっと、エニグマの事故に巻き込まれた戦兎たちを探すとするか。シュトルム、お前は別行動でこの世界の情報を集めてくれ』

 

『了解です、マスター』

 

『そんじゃま……行くか?』

 

 

そしてスタークはエニグマの事故に巻き込まれた戦兎たちを探す為にスターク達は一応変身を解除せずそのまま別行動をとり、スタークは戦兎たちの捜索。レフトカイザーはこの世界の情報収集を行う為に行動を開始するのであった。

 

 

惣万Side out

 

 

 

エヴォルSide

 

 

ガーディアンが存在する施設にてエヴォルは投影ディスプレイでIS学園のアリーナを見ていた。それは並行世界からやって来た束こと因幡野 戦兎と一夏(EVOL)がSPARTANと模擬戦を行なっているところを見ていた。

 

 

〔想定外が起きることは予想していたが、むしろ好都合だな。彼の能力を測るのには丁度いい相手だな〕

 

 

そこでエヴォルは、新しく手に入れた異世界の兵器の実戦を兼ねたテストを行う為にIS学園のアリーナへと繋ぐワームホールの準備を行う。その時にエヴォルによって再生され、記憶改竄された織斑一秋が一夏(EVOL)を見た瞬間、脳裏に異常な憎悪を感じ取る。

 

 

(何だ……脳裏に走るこの異常な憎悪は……?俺は、奴を知っているのか?……だが、分かっていることが一つある。奴を排除しなければこの憎悪という不純物を取り除くことが不可能ということだ)

 

 

この様子を見たエヴォルは一秋に声をかける。

 

 

〔どうした?何やらあの男を見て憎悪を抱いている様だが、何かしらの因縁があるのか?〕

 

「貴様には関係のないことだ。任務は遂行する………ただ、それだけだ」

 

〔フッ………その様であれば良いな?織斑一秋よ。お前の力を見させてもらうぞ……〕

 

「……フンッ」

 

 

一秋はエヴォルに対してぶっきらぼうに交わした後、一夏(EVOL)に対して自身の不純物を生み出す元凶であることを思いつつ装備のメンテを行いながら出撃の準備を行うのであった。

 

 

続く……

 





戦兎たちはこの世界の千冬(HALO)たちと情報を交換する。
ハルゼイ博士の頼みであるSPARTANとの模擬戦を受理する戦兎たち。
コヴナントを撃退したスターク達は二手に分かれて行動する。
エヴォルは何かしらの介入準備を行う。


次回は、仮面ライダーとSPARTANとの模擬戦です。


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仮面ライダーとSPARTANが模擬戦をした結果…

コラボ回の第3話、始まります。


ライダー達よ、これがSPARTANだ。

カル
「そういえば思ったんだけど、SPARTANと仮面ライダーってどちらに軍配があがるのかしら?」

デイジー
「さぁ……それに関しては私でも分からない。……第3話、始まるぞ」


 

 

一夏(EVOL)Side

 

 

仮面ライダーとSPARTANという異なる世界同士の模擬戦は激しさを増していた。一夏(EVOL)はド根性精神でデイジー相手に何とか互角の戦いを見せる。そしてデイジーは武器の使用制限に従いながらも重火器を使用せず、使用可能のMA5Dで一夏(EVOL)を攻撃するも一夏(EVOL)はISのハイパーセンサーを超える反射神経で軽々と躱す。

 

 

(反射神経は私たちと同じ?…けど!)

 

【ツインブレイカー!】

 

【アタックモード!】

 

「うぉおおらぁ!!」

 

 

一夏(EVOL)はツインブレイカーを出現させてアタックモードの打撃装置“レイジングパイル”でデイジーに格闘戦を仕掛ける。しかし超兵士SPARTAN-Ⅱであるデイジーは少なからず余裕を残して一夏(EVOL)の攻撃を往なしてカウンターに蹴りを一夏(EVOL)にかました。その時に一夏(EVOL)は本能的な直感なのか無意識に咄嗟に後へ下がってダメージを抑えた。

 

 

「マジか……今のを躱すか?」

 

(今のは入ったと思ったが、咄嗟に下がってダメージを抑えたか。だが……今のは本能によるものか?警戒するに越した事はないな……)

 

「やっぱ強ぇな……だったら!」

 

【ビートクローザー!】

 

 

そう思いながらもデイジーは一夏(EVOL)の攻撃に備えてあるアーマー・アビリティを発動するタイミングを見計らった。その時に一夏(EVOL)はビートクローザーを出現させ、ツインブレイカーのツインブレイクスロットにクローズドラゴンを差し込み、ビートクローザーのフルボトルスロットにドラゴンフルボトルに差し込み、グリップエンドを3回引っぱる。

 

 

【Ready go!】

 

【スペシャルチューン!】

 

【ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!】

 

 

そのビートクローザーからはリズムカルな待機音声が流れると同時にビートクローザーの刃である“ドラグバーンスラッシャー”とツインブレイカーのレイジングパイルの先端からエネルギーが収束し、一夏自身にもエネルギー状のオーラを纏う。そしてビートクローザーの“クローズビートリガー”を引いて必殺技を放つと同時にツインブレイカーの“ブレイグリップ”のスイッチを押して必殺技を放つ。

 

 

【メガスラッシュ!】

 

【レッツブレイク!】

 

「ウォオリャアァァーー!!」

 

 

ビートクローザーからエネルギー状の青い龍を放ち、ツインブレイカーも同じ様に青い龍が放たれるとその青い二つの龍は一つとなり、巨大な龍になってデイジーを飲み込む勢いで突っ込んで行った。その瞬間デイジーは地面に拳を叩きつけてその場でじっとするとデイジーのアーマーの外回りに白いオーラらしきものがデイジーを被さる様に包まれる。そして巨大な青い龍がデイジーに直撃した瞬間、爆発が起きて爆煙が舞う。……って、ヤベェ!?

 

 

「やべっ!?力加減ミスったか?!」

 

 

そう焦っている一夏(EVOL)は徐々に爆煙が消えてデイジーの姿を目視できるくらいになってデイジーの様子を見てみるとその場に居るのはSEを全く消耗していない無傷のデイジーの姿があった。

 

 

「まさかの無傷?うそーん……」

 

「……正直今のは危なかった。(今のはコヴナントのメガタレット並みの火力のある技の様だな)……だったら次をやらせなければ問題ない!」

 

 

そう言ってデイジーはM7で弾幕を張り、一夏(EVOL)が攻撃する隙や時間を与えない様にする。そして一夏(EVOL)はデイジーの精確な攻撃を躱しながらもデイジーが弾切れするタイミングを見計らった。

 

 

「くそっ…!これじゃあらちがあかねえ!(もうそろそろ弾切れを起こすはず……それまで持ちこたえりゃ……!)」

 

 

そう考えているその時にデイジーのM7の弾が尽きて攻撃が止んだ。

 

 

「…!リロード!」

 

「…!させっかよ!」

 

【スクラップブレイク!】

 

 

デイジーがリロードする前に一夏はアクティベイトレンチを叩きつけてゼリーを潰して必殺技をデイジーにかます。

 

 

「甘い…!」

 

「のわっ…やっべ!」

 

しかし、デイジーはこれを待っていたかの様にM7を一夏(EVOL)の前に投げ飛ばしたと同時にスライディングしながら一夏(EVOL)の必殺技を躱してM45Dを呼び出したと同時に8ゲージマグナムシェルバックショット弾を一夏(EVOL)の背後に一発撃ち込む。…だが、一夏(EVOL)は必殺技を放っているのにも関わらず身体を回して腕をクロスさせて防御する。一夏(EVOL)の異常なほどの反射神経にデイジーは内心驚きつつも対策手段を考えていた。

 

 

「厄介な反射神経だ。(このままではジリ貧になり得るな)」

 

「あっぶねー……もろにくらうかと思った。だが、二度はくわねえ!」

 

 

そして一夏(EVOL)は再びデイジーとの戦闘を再開するのであった。

 

 

一夏(EVOL)Side out

 

 

 

戦兎Side

 

 

その頃戦兎はカル相手にだいぶ苦戦していた。最初はラビットタンクフォームで格闘戦を仕掛けたが、カルの放つ拳の桁違いの強さと重さがワイルドチェストアーマーとパンツァーチェストアーマー、BLDアンミリテッドスーツの防御力を貫通し、戦兎自身の肉体に少なからずダメージが入る。

 

 

「くっ……!思ったより凄いパワーだっ……だったら!」

 

 

そう言って戦兎はドライバーからボトルを抜き出し、ゴリラフルボトルとダイヤモンドフルボトルを取り出し、降って蓋を開封してドライバーに差し込む。

 

 

【ゴリラ!ダイヤモンド!ベストマッチ!】

 

 

そしてボルテックレバーを回して、新たなアーマーを形成させる。

 

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

【輝きのデストロイヤー!ゴリラモンド!イェイ…!】

 

「姿が変わった?……少し要注意ね!」

 

 

ゴリラモンドフォームにビルドアップした戦兎は右腕に装着された“サドンデストロイヤー”でカルに攻撃を仕掛けるが、カルは警戒しながら軽々と躱して拳を叩き込むが、戦兎は左グローブの“BLDプリズムグローブ”で目の前にダイヤモンドの壁を作り、カルの攻撃を防いだ。

 

 

「…!ダイヤモンドの壁!?」

 

「隙有りっと!」

 

 

一瞬の隙を狙ってサドンデストロイヤーでダイヤモンドの壁を破壊してカルのアーマーに叩き込む。流石のカルでもこの様な想定外なことに対処する思考が遅れた。

 

 

「くっ…!」

 

「まだまだっ!」

 

 

そう言って戦兎はドライバーからボトルを抜き取り、また別のフルボトルを振って開封して、差し込む。

 

 

【ローズ!ヘリコプター!ベストマッチ!Are you ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

【情熱の扇風機!ローズコプター!イェーイ!】

 

 

戦兎はローズコプターフォームにビルドアップして“ホバリングチェストアーマー”の背面に装着されている“バトローターブレード”を高速回転させてホバリングしながら右腕の“イバラッシュアーム”から伸縮自在の黒いムチでカルをじわじわと攻める。カルはホバリングしながら攻撃してくる戦兎をどうするか考えながら耐え忍んでいた。

 

 

「くっ!これじゃあジリ貧ね……けど!」

 

 

そしてカルは行動を起こし、戦兎から距離を取った後にPICで飛行してMA5Dで射撃する。この時に戦兎はカルが飛べることを予想できなかった為に少し攻撃を受けて戸惑った。

 

 

「うわぁっ!?SPARTANのアーマーに飛行機能があるのか?」

 

「私やデイジーのアーマーにはISコアが入っているから飛行自体は可能よ」

 

「それは厄介だな………だったら!

 

 

一旦地上に降りた戦兎はフェニックスフルボトルとロボットフルボトルを取り出して開封し、ドライバーに差し込んでいるフルボトルと取り替える。

 

 

【フェニックス!ロボット!ベストマッチ!Are you ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

【不死身の兵器!フェニックスロボ!イェーイ!】

 

 

フェニックスロボフォームにビルドアップした戦兎は“エンパイリアルウィング”で体を炎で包み、飛翔してカルに向けて炎を飛ばす。流石にカルはこの攻撃を受けるのは不味いと判断して飛行しながらMA5Dで牽制するが、戦兎の右腕の燃焼攻撃ユニット“フレイムリヴァイバー”から発する炎で防御してMA5Dから放たれる7.62×51mmNATO弾を全て防ぎきる。

 

 

「…やっぱり唯の炎じゃないのは分かっていたけど、これほどの物とはね……」

 

「よしっ!勝利の法則は……ん?」

 

 

戦兎は勝利の法則を見出してドライバーのレバーを回そうとしたその時、ISアリーナ内にて謎のワームホールが出現する。一夏(EVOL)やデイジーも突如と出現したワームホールに気づく。

 

 

「あ?……何だありゃ?」

 

「ワームホール……だと?……まさか!」

 

 

デイジーが何かしら察するとワームホールから出てくる何かに警戒して、アーマーのリミッターを解除する。カルもデイジーと同様にアーマーのリミッターを解除する。するとワームホールからこの世界の敵である古代フォアランナーのエヴォルと薄茶のフードコートを被った人物が出てくる。その時に戦兎たちはエヴォルの姿がラウラと似ていることに驚く。

 

 

「なっ!?ら……ラウラ?!まさかファウストの……!」

 

「いやっ一夏(EVOL)、あいつはオレ達の世界やこの世界のラウラとは違う様だ。それに奴はBSの赤い雨(ロータン・レーゲン)じゃない。(それに……ラウラ似の存在も気になるが、その隣にいる奴は一体何者なんだ?)」

 

〔我はエヴォル・ドミナント。ガーディアンを守護を義務とする者。初めまして…と言ったところか?向こう側の世界の住人よ〕

 

「エヴォル…!」

 

「貴方……一体何しにここに来た…!」

 

 

デイジー達はMA5Dをエヴォルに向けていつでも撃てる様に構える。この時にフードコートを被っていた一秋は一夏(EVOL)を見た瞬間、脳裏に掛ける異常な憎悪の元凶であることを再認識していた。

 

 

(やはり俺の中の不純物である憎悪が溢れ出る原因は奴の存在か。……ならば、その不純物を排除するまで!)

 

 

一秋は機械的に不純物要素である一夏(EVOL)を排除しようと考える。この時に戦兎たちや一秋すら気付けなかったがギアエンジンに何かしらの小さなスパークが一回だけ生じた。

 

 

〔何……そう邪険になるな。私は彼……いやっ、正確には異世界の兵器の性能を試しにここに来ただけのことだ〕

 

「彼?それに異世界の兵器の性能?どういう意味だ?」

 

〔向こうの世界の織斑一夏よ、彼は貴様とは縁のある奴だ。今ここで語り合うがいい……〕

 

 

そう言ってエヴォルは一秋を残して先に戻り、高みの見物を決め込む。そして場に残った一秋は被さっているフードを脱ぎ、戦兎たちの前に顔を晒す。

 

 

「なっ……嘘だろっ!?お前は……!」

 

「そ……そんなっ!君は……」

 

 

 

 

 

 

「「一秋!?」」

 

 

 

 

 

 

戦兎たちは一秋がここにいることに驚いていた。一秋の顔面には“ノ”の字の傷の跡があった。しかし、エヴォルによって記憶改竄されている一秋は戦兎たちを知る由もなかった。ただ、自身の名を知っている程度にしか思っていないからだ。

 

 

「お前たちは俺のことを知っている様だな。……ならば、貴様らは不純物要素そのものだ。ここで排除する!」

 

 

そして一秋は紫色の銃を取り出す。その時に戦兎たちはその紫色の銃に見覚えがあった。

 

 

「アレは……シュトルムが使っていたやつか!」

 

「それとブリッツって野郎も同じやつも使っていたからな。それ以前に、何でお前がそれを持っている」

 

「エヴォルが異世界……いやっ、正確にはお前たちの世界の兵器をエヴォルが複製したと言えばいいか?だが、そんなことはどうでもいい。貴様らをここで排除する…!」

 

 

そう言って一秋は紫色の銃に白色と水色の歯車のボトル順に差し込む。

 

 

【ギアエンジン!】

 

【ギアリモコン!】

 

【ファンキーマッチ!】

 

 

そして銃口を正面に向けて一秋はある言葉を告げる。

 

 

「……潤動!」

 

【フィーバー!】

 

 

そう告げると同時に引き金を引くと濃い黒い霧が覆い、上空には白と水色の歯車が火花を散らしながらも展開して、一秋に覆っていた濃い黒い煙が晴れるとそこには人とは思えない黒い怪人になり、そして上空に展開していた歯車はその黒い怪人に装着される様に合体し、歯車の怪人と化して姿を現わす。

 

 

【パーフェクト!】

 

「合体しちゃったよ……」

 

「あれは、バイカイザー……!」

 

 

この時に戦兎はかつて戦ったバイカイザーと酷似していると同時にカイザーシステムの模造品であることを見抜く。

 

 

『任務開始……むっ!』

 

 

一秋が行動を起こそうとしたその時、カルたちはMA5Dで情け容赦なしにヘルブロスとなった一秋に火力を集中するも全く怯むこともなく立っていた。

 

 

「あなた達、今感傷に浸っているところ悪いけど今はその場合じゃないわ」

 

「奴は我々の敵と見て間違いない様だが、彼とは知り合いなのか?」

 

 

デイジーは戦兎たちに一秋について聞き出してみる。戦兎が答える前に一夏(EVOL)が答える。

 

 

「……俺の従弟だった奴だ。もう奴は死んでいるはずだ、身体を消滅させて…!」

 

「消滅?……あまり詳しく聞かないでおくわ。今は…!」

 

「あぁ……奴を倒さなければここにまた被害が及ぶ。戦兎、貴女は大丈夫か?」

 

「……覚悟はしていた。いずれはこうなる可能性があることを。……けど!オレはもう逃げたりはしない!」

 

『邪魔をする者は何者であろうが関係ない……障害は、取り除く!』

 

 

こうして仮面ライダー達とSPARTAN達はエヴォルが連れてきた怪人ヘルブロスを相手に戦闘を開始するのであった。

 

 

戦兎Side out

 

 

 

惣万Side

 

 

その頃、IS学園にやって来たスタークが戦兎たちを発見すると同時にEOSとは全く違うパワードスーツを着た兵士とヘルブロスを見かける。

 

 

(あれは……ヘルブロスか?つーか何でこの世界にいるんだ?それとEOSとは違うパワードスーツを着たあの兵士は何なんだ?この世界の情報収集はシュトルムに任せてあるから後で聞くとして、今分かっていることと言えば厄介なことになっていることは確かだな。とりあえず、彼奴らの戦闘データを取りつつ、此処ぞとばかり出てみるとするか)

 

 

スタークは戦兎たちや謎の兵士、ヘルブロスの戦闘データを取りつつもタイミングを見計らって介入することにする。

 

 

惣万Side out

 

 

 

シュトルムSide

 

 

その頃スタークとは別行動を取っていたレフトカイザーは、ONI日本支社の隣のビルの影裏でPCを開き、ONI日本支社からネットワークにハッキングしてこの世界の情報を収集していた。

 

 

『なるほど……ONIという存在がISの抑止力となっているようですね。……?このデータは……!』

 

 

その時シュトルムは更にセキュリティの高いファイアウォールを突破してトップシークレットであるデータ、SPARTAN-Ⅱ計画を開示する。

 

 

『まさか、これほどの超兵士計画がこの世界に存在するとは……。これを計画した科学者は相当のマッドサイエンティストの様ですね』

 

 

そのデータをよく観覧してみると、SPARTAN-Ⅱの主な目的は対テロリスト、反乱軍鎮圧用に作られた部隊だったのだが、エイリアン連合であるコヴナントや古代フォアランナーことプロメシアンの出現によりそれらは対エイリアン戦闘用にシフトされ、事実上SPARTAN-Ⅱはコヴナントやプロメシアンとの戦闘では人類の希望となり、ISによってできた女尊男卑勢の抑止力という役割を兼ねていた。

 

 

『対テロリスト及び反乱軍の鎮圧目的に作られた殺戮マシンと化した兵士は皮肉にもエイリアンの出現によって人類の希望となる……か。………ですが、この戦闘データは使えます。出来るだけ情報を収集する必要があるようですね』

 

 

レフトカイザーは引き続き情報の収集を続けようとした途端、突然PCに開示されていたウィンドウが独りでに消えた。

 

 

『……!どうやら、ハッキングされたことに気づかれたようですね』

 

「その通りだ。どこの馬鹿がONIにハッキングしている場所を突き止めていたらコヴナントとは違うタイプの様だな?」

 

『……!』

 

 

レフトカイザーはPCを閉じてネビュラスチームガンを声がする方向に向けると其処にはM6Hを構えるSPARTAN-Ⅲウルフチームの桂の姿があった。

 

 

「……こんな所で堂々とハッキングしてくるとはな。貴様の目的は何だ!」

 

『それを素直に答えると思っているのですか?』

 

「そんなこと思っちゃいねぇから言っているんだ。逃げようとしても俺が貴様を逃がさん」

 

『……でしょうね。ですが、他のお客がいらしている様ですよ?』

 

「何…?それはどういう『SPARTAN、六時の方角に敵!』!何っ!?」

 

 

その通信を皮切りに桂の後方から多数のエリート達がステルスを解除して姿を表す。

 

 

「悪魔よ、その命貰い受ける……!」

 

 

そう言ってエリート達は親衛隊用の槍やらエナジーソードを構える。

 

 

「貴様……こいつらの仲間か!」

 

『いえっ、どちらかと言うとそっち(コヴナント)側でもあっち(プロメシアン)側でもありませんので。私はこれを利用して引かせてもらいます。マスターのお言葉を借りるとしたら……Ciao……』

 

 

そう言ってレフトカイザーはネビュラスチームガンのワープを使用してこの場から去る。この場に残ったエリート達はレフトカイザーには目もくれず、ただ桂を抹殺するべく突撃する。

 

 

「ちっ、てめえら……少しは空気を読めやゴルゥラァァアアーーー!!」

 

 

桂は収まることのない怒りを襲撃したエリート達に向けて打つけるのであった。その結果、桂に襲撃をかけたエリート達は逆に返り討ちにあい、全滅するのであった。そしてエリート達の死体を片付けにきたONIスタッフ達は桂の怒りに恐れつつも仕事をこなすのであった。

 

 

続く……

 





仮面ライダーとSPARTANは模擬戦で互角の戦いを見せる。
そこにエヴォルと戦兎たちの世界で死んだ筈の一秋が姿を現わす。
一秋は紫の銃を使い、歯車の怪人へと変身し、スタークがアリーナに到着する。
シュトルムはONI日本支社にハッキングし、データを収集するも途中で発見されて撤退する。


次回は、歯車の怪人と戦います。


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歯車怪人と戦ってみた結果…

コラボ回の第4話、始まります。


ライダーとSPARTAN達よ、敵を侮るな。

戦兎
「なんかチッピーに似た感じの人が来そうな感じなんだが、気のせいか?」

一夏(EVOL)
「いやっ知らねえよんなもん。……はてさてどうなる第4話!」


 

 

戦兎Side

 

 

一秋と交戦する戦兎たち仮面ライダーとカル達SPARTAN。しかし、一秋が変身したバイカイザーの模造品の圧倒的な戦闘力に仮面ライダー達は苦戦する中、カル達SPARTANはミョルニル・アーマーのパワーアシストと改造された身体能力で何とか食らいついている。デイジーは使用制限されていたM319グレネードランチャーを呼び出してヘルブロスに向けて40mm擲弾を撃つ。当然ヘルブロスは当たるつもりもなく右腕の歯車装甲に歯車状のエネルギーを作り出し、それを盾にして防ぐ。そして防ぎ終えた歯車状のエネルギーをデイジーに向けて飛ばす。デイジーは回避すべく横へ跳躍して一秋の攻撃を躱す。カルは“AIE-486H HMG”を呼び出し、ターレットの銃身を回転させてそこから7.62x51mmNATO弾の弾幕を一秋に向けて集中するもダメージといった感じは見られなかった。

 

 

「……っ、通常の攻撃じゃあ対して有効打にならないわね」

 

「あぁ……グレネードランチャーならいけると思ったが、案の定あの歯車のエネルギーがそれを防ぐとなると厄介だな」

 

「確かに……な。だったらこれだ!」

 

 

そう言って戦兎は懐から何かしらの缶を取り出す。その缶の絵柄は何かがハジけた様なビルドの顔に似たもので、ロゴには“RABBIT TANK SPARKLING!!”と書かれていた。戦兎が取り出したのはビルドの強化アイテム“ラビットタンクスパークリング”(略称RTS)である。戦兎はRTSを振るとシュワッシュワッと何やら炭酸の様な泡がはじける様な音を出して戦兎はRTSの起動タブである“シールディングタブ”を開封し、ビルドドライバーに差し込む。

 

 

【ラビットタンクスパークリング!】

 

 

そしてレバーを回して新たな強化フォームに形成する。

 

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

【シュワッと弾ける!ラビットタンクスパークリング!イエイ!イエーイ!】

 

 

戦兎はビルドの強化フォームである“ラビットタンクスパークリングフォーム”にビルドアップし、戦兎は左脚部の“クイックフロッセイレッグ”による高い俊敏性を生かして一気に一秋との距離を詰めて格闘戦を仕掛ける。

 

 

『強化フォームか。……だが!』

 

【スチームブレード!】

 

 

一秋はスチームブレードを左手で逆さに持ち、右手の紫の銃ことネビュラスチームガンで応戦し、戦兎の攻撃を往なしながらスチームブレードの“オーバーヒートブレード”で切りつけて反撃する。そしてスチームブレードのバルブ部分である“スチームチェンジバルブ”を回した後に“トリアタックトリガー”を引く。

 

 

【アイススチーム!】

 

「くっ…!やはり強い!」

 

「フンッ!」

 

【エレキスチーム!】

 

「ぐっ……ウワァァアッ!?」

 

 

一秋は戦兎に攻撃の隙を与えずにアイススチームで攻撃した後にスチームチェンジバルブを回してトリアタックトリガーを引いてエレキスチームでさらに追い討ちをかける。

 

 

「戦兎っ!?」

 

「させんっ!」

 

【ライフルモード!】

 

「グァアッ!?」

 

 

一夏(EVOL)は戦兎を助けるべく加勢しようとするが、一秋はそれを邪魔する様にスチームブレードの“トランストックグリップ”を外して分離させる。そしてネビュラスチームガンに分離させたスチームブレードを合体させて“ライフルモード”に切り替えてそのまま一夏(EVOL)に集中砲火してダメージを与える。

 

 

「二人とも、下がれ!」

 

 

その時にデイジーはハイドラMLRSを呼び出して戦兎たちに下がる様に伝えた後に6発のロケット弾を一秋に向けて撃つ。一秋はデイジーから放たれた6発のロケット弾をライフルモードになったネビュラスチームガンで正確に迎撃する。

 

 

「っ……!ハイドラすら効果なしか!」

 

「あの歯車のエネルギー攻撃は厄介ね……通常の武器じゃ通用しないわ」

 

「あぁ……それにあの紫の銃は弾切れの気配がない。あれは無限に撃てるのか?」

 

「カイザーシステムの模造品がここまでのものとはな……正直言ってやばいな」

 

「だからっといって負けるわけには行かねえだろ!」

 

『不純物は俺には必要のないもの……排除させてもらう!(織……斑、一…夏!)何?……ぐっ!?』

 

 

この時に一秋は戦兎たちを片付けるべく必殺技を繰り出そうとした瞬間、一秋の体に電流が走る。

 

 

『なんだ……これは!?(織斑………一夏!!)まただ……まさか、これは!?……くっ!』

 

 

一秋の身体に電流が走り、原因不明の行動不能状態になった一秋は纏っていた白い歯車のアーマーが水色の歯車のアーマーが歯車が噛み合わない様にハジけて分離する。戦兎たちは分離した一秋に驚きを隠せないでいた。そして水色の歯車の怪人は分離した白い歯車の怪人の方を見る。

 

 

『貴様は……!』

 

『くっ……は……はは、はっははは……!ついに…ついに手に入れたぞ!俺の新たな身体と新たな力を!!今度こそ、俺はこの舞台の主人公(ヒーロー)になるんだぁぁぁぁっっ!!」

 

 

この時に一夏(EVOL)は白い歯車の怪人の言葉に驚きを隠せなかった。

 

 

「ヒーロー……?まさか、一秋か!?」

 

「一秋っ?!だが一夏(EVOL)、一秋はもう……」

 

 

この混沌とした状況に戦兎たちは混乱するだけであった。……一体どうなっているんだ!?

 

 

戦兎Side out

 

 

 

惣万Side

 

 

一方のアリーナで戦兎たちにバレない様見ていたスタークはヘルブロスが原因不明の分離現象で分離したエンジンブロスの反応を見て確信した。“奴は向こうの世界の一秋だ”…と。

 

 

『面倒なことになったなこりゃっ。彼奴がこの世界で復活するなんてな……しかもエンジンブロスときたか。……んで反対側のリモコンブロスは何やらエンジンブロスとなった彼奴に力を奪われたことに怒ってやがるな?もうしばらく様子見してるか。いざという時は俺が行くとするか…』

 

 

そういってスタークも表舞台に出る準備を行うとちょうどレフトカイザーが戻ってきたのであった。

 

 

『マスター、この世界の情報を入手しました』

 

『ご苦労さん。それで……何か分かったか?』

 

『はいっ……この世界には我々の知らない民間軍事会社ONIが存在していて、そのONIにはSPARTANという超兵士がこの世界の抑止力として機能している様です』

 

 

そうレフトカイザーから聞いたスタークは再びアリーナにいるパワードスーツを着た兵士を見て、あれがレフトカイザーが言ったSPARTANであることを理解した。

 

 

『成る程なぁ……あのパワードスーツを着ている兵士がそのSPARTANって奴か?』

 

『はい。……しかし、気になることがあります。マスター、アレはまさか……』

 

 

レフトカイザーはアリーナにいるエンジンブロスやリモコンブロスの方に目をつけた。特に両ブロスにレフトカイザーが持つネビュラスチームガンが所持していたのだ。

 

 

『あぁ……あれは間違いなくカイザーシステムの模造品だろう。しかもあの白いやつはハザードトリガーで暴走した戦兎の手によって倒され、消滅した奴だ』

 

『……織斑一夏(EVOL)の従弟の因縁は平行世界でも持ち込まれた……と?』

 

『まぁ……そんなとこだな。それと、そろそろ舞台に出る準備するぞ』

 

 

そう言ってスターク達は表舞台に出るために行動を起こすのであった。

 

 

惣万Side

 

 

 

一秋(リモコン)Side

 

 

この時に水色の歯車の怪人こと一秋(リモコン)は、本来の力を奪われたことに怒りを感じる。そして白い歯車の怪人こと一秋(エンジン)は新たな肉体と新たな力に酔いしれていた。

 

 

『一夏(EVOL)……!殺してやるよぉ!俺が、この舞台の主人公なんだよォォォォッッ!!』

 

 

一秋(エンジン)は戦兎たちに攻撃を仕掛けようとしたその時……

 

 

【ギアリモコン!】

 

『あぁ…?何だ?』

 

【ファンキーショット!ギアリモコン!】

 

『ぅっ……がぁぁああっ!』

 

 

一秋(リコモン)ライフルモードのネビュラスチームガンにギアリモコンを差し込んで必殺技を放ち、一秋(エンジン)に攻撃したのだ。戦兎たちは未だに戸惑っている中、カル達SPARTANは今の行動を見て仲間割れが起きたと思った。

 

 

「味方を攻撃した…?」

 

「なんだ?仲間割れか?」

 

「それにしては何故このタイミングなんだ?」

 

「分からない。……だけど、あの水色の歯車の怪人は白色の怪人のことを良く思ってないようね…」

 

 

カル達が一秋(リモコン)の行動を推察する中一秋(エンジン)は攻撃してきた一秋(リモコン)に敵意を向ける。

 

 

『てめぇ……何しやがる…!』

 

『その力は貴様のものではない。俺から不純物が出たというなら……排除し、その力を返してもらう!』

 

 

一秋(エンジン)はギアエンジンを取り戻さんとライフルモードのネビュラスチームガンを手に一秋(エンジン)を排除しようとする。

 

 

『黙れぇ!偽物のお前に俺が倒せるわけねえだろうがぁぁ!!』

 

 

一秋(エンジン)は一秋(リモコン)に対して怒りを露わにしながらネビュラスチームガンと雪片二式を使って応戦する。

 

 

「雪片二式…?!だがアレは…」

 

「あぁ…それは一夏(EVOL)のISの中に収納している筈だ。なのに何で一秋が……?」

 

 

一秋(エンジン)が雪片二式を展開したことに驚きを隠せない一夏(EVOL)。その時にカルが戦兎の疑問を答える。

 

 

「恐らくなんだけど……エヴォルが私たちの前で初めて出現した時にVTシステムを応用して初代雪片を複製して、それをベースに雪片二式を完成させたんじゃあないのかしら?」

 

「はぁっ?!初代雪片を複製した!?んなこと出来るのか、エヴォルって奴は!?」

 

「……でも、そうじゃないとつじつまが合わないかも知れないのも確かだ。(それにしても……何でエヴォルは初代雪片を複製したんだ?)」

 

 

そう戦兎が考えている間に一秋(リモコン)は一秋(エンジン)が持つ雪片二式の単一使用能力“零落白夜”の攻撃を容易く躱す。

 

 

『くそっ!何であたらねえんだ!?』

 

『貴様は有り余る力に振り回されているだけだ。だから本来の力を発揮することが出来ない。』

 

『ぐっ……黙れぇぇー!!』

 

『黙るのは貴様だ……!』

 

 

そして反撃といわんばかりにライフルモード状態のネビュラスチームガンの先端に付いているオーバーヒートブレード部分で一秋(エンジン)に何回も斬りつける。

 

 

『ガッ!?……くっ、テメェ『フンッ!』グァアアッ!?』

 

 

さらに斬りつけると同時にネビュラスチームガンの引き金を引いて弾丸を放ち、一秋(エンジン)に追い討ちをかけるようにダメージを与えるのであった。戦闘特化の為にエヴォルによって記憶改竄された一秋(リモコン)の方が一枚上手であった為に一秋(エンジン)は一方的に一秋(リモコン)の攻撃を受けていた。

 

 

『ぐっ……くそっ…が……!』

 

『終わりだ、不純物…!』

 

『いやいやっ、まだ終わるのは早いぜ?』

 

【スチームショット!Cobra…!】

 

『何…?!ぐぁっ!』

 

 

一秋(リモコン)は突然の不意打ちに反応できず攻撃を受ける。そして一秋(リモコン)を攻撃した本人がアリーナに姿を現わす。その本人は戦兎たちが知っている敵であった。

 

 

「スターク!?何故お前が此処に?」

 

『よぉ。エニグマの時以来か?まぁ俺たちもちょっとばかし事故ってな、この世界に飛ばされたってわけだ』

 

『マスターの言う通り、我々はこの世界に飛ばされたということです』

 

 

さらにはレフトカイザーまでも表舞台に出てきて状況は混沌に満ちていた。この状況下の中で一人行動を起こす者がいた。

 

 

『……何だが知らねえが、ここは逃げさせてもらう!』

 

『っ!しまった!…待て!〔放って置け…〕…何っ?』

 

 

一秋(エンジン)はこの状況を利用してネビュラスチームガンのワープで逃げ出す。一秋(リモコン)は逃亡する一秋(エンジン)を止めようとするが既に遅く、一秋(エンジン)はこの場から離脱した。

 

 

『ぐっ…逃げられたか……!』

 

『まぁ……俺が妨害したのが主な原因だが、どの道お前の主人がちょうど撤退指示を出そうと思った頃だった訳だしな』

 

 

そしてまたワームホールが出現し、エヴォルが出てきてスターク達と対面する。

 

 

〔……よもや奴ら以外に来訪者が二人もいたとはな、流石の私でも想定外だな〕

 

 

『エヴォルか……』

 

『この場合は初めまして……って、言えばいいか?俺はブラッドスタークだ。ま、ここに留まる理由もねえから短い間かもしれねえから覚えなくてもいいがな?』

 

〔その様だな。だが、私も名乗らせてもらおう。私はエヴォル・ドミナント。それが私の名だ〕

 

 

一秋(リモコン)は怪人から変身を解除して人間状態に戻り、エヴォルに何故一秋(エンジン)を見逃す様な指示を出したことに抗議した。

 

 

「何故奴を逃す指示を出した?奴は俺から出た不純物だ。ここで排除しなければ後に厄介なことに……ぐっ!?」

 

 

その時、エヴォルは一秋の首元を掴み、一秋の抗議を強制的に黙らせた。

 

 

〔貴様が私に意見する権利があると思ったのか?所詮貴様は消滅した肉体を復元した存在に過ぎん〕

 

「ぐっ……貴…様っ!」

 

〔貴様の意見などどうでも良い。貴様は私の言うことを確実に遂行すれば良い〕

 

『おいおい……そう自分の部下を雑に扱っては何時か厄介な時に裏切られるぞ?』

 

〔……見苦しいところを見せたな〕

 

 

そう言ってエヴォルは一秋の首元を掴んでいた手を離し、一秋を解放させた。

 

 

「ゲホッ…ゴホッ…!ぐっ……」

 

〔今のは加減した程度だ。次に刃向かうのならば貴様を消滅させるのも容易い事を忘れるな〕

 

「……了解……した」

 

〔うむ……では我々はここで引かせてもらおう。次の計画の準備もある〕

 

 

エヴォルはそう告げた後にをエヴォル達はワームホールに入り、この場から去った。

 

 

一秋(リモコン)Side out

 

 

 

戦兎Side

 

 

エヴォル達が去って数秒の沈黙が続いた時にこの場に残っているスタークがその沈黙を破る。

 

 

『……さてっ厄介者は去って話したいのは山々だが……』

 

 

戦兎達は変身を解かずスターク達を警戒し、カル達SPARTANもMA5Dをスターク達に向けて警戒するのであった。

 

 

「……今更かもしれないけど貴女達、あのコブラみたいな怪人を知っているの?」

 

「……あぁ、奴は“ブラッドスターク”。ファウストという組織の一人だ」

 

『あぁ、そう言えばSPARTAN達に対して自己紹介がまだだったな……んんっ、初めましてSPARTAN諸君。俺はブラッドスタークだ。よろしくな?そんでこっちが…』

 

『レフトカイザーです。……とは言っても貴女達は私の正体はご存知でしょうが……』

 

 

お互いに一触即発な状態にあるこの場でスタークは戦兎達にある事を告げる。

 

 

『まぁ……それはそうとさっきのカイザーシステムの模造品のエンジンの方なんだが、アレは俺たちの世界の一秋だ。まぁ、リモコンの方は知らんがな?』

 

「……もしかしてと思ったオレの仮説だがエヴォルは一秋を復元したって言っていた。それはつまり、一夏(EVOL)を憎悪していた記憶も復元された……ということなのか?」

 

『外見で見ればそうともいえます。しかし、リモコンの方はエヴォルが何かしらと方法で記憶を改竄したのでしょう』

 

『そんで、お前たちと戦うことで一夏(EVOL)に対する憎悪の記憶が浮き出てカイザーシステムの模造品に異常が起きた。その結果、二つに分かれたって事だ。……ん?何だ?』

 

 

そうスタークが説明している時に上空から降下艇がアリーナ上空にやって来た。

 

 

「あれは……降下艇?何でこんな所に……?」

 

 

デイジーは疑問に思った時、その降下艇から一人のSPARTANが降下してきた。

 

 

「見つけたぞ、歯車野郎っ!」

 

『貴方ですか。二度会いましたがしつこいですね……』

 

 

どうやらSPARTANが降下艇を使ってシュトルムを追跡してきた様だ。…執念深いSPARTANだな。

 

 

『シュトルム、こいつはあれか?お前がハッキングしてることがバレて追われているのか?』

 

『申し訳ありませんマスター、振り切ったと思ったのですが思った以上にしつこいようでした』

 

「今日という今日は覚悟しろよ、歯車野郎っ……!」

 

 

SPARTANがシュトルムに近づくその時、一発の銃声が響き、SPARTANの足の手前に銃弾が着弾しSPARTANの動きを止めた。その銃声の正体はスタークが持つトランスチームガンであった。

 

 

『あぁ…スマン。ちょいっと手が滑ってな?思わず引き金を引いちまった』

 

「てめえ……今のは思いっきりわざとだろ……!」

 

『まぁ、細かいことは気にするな。そんじゃ、伝えたいことは伝えたから先に上がらせてもらう。そんじゃ……Ciao♪』

 

 

そう言ってスターク達はトランスチームガンとネビュラスチームガンのワープを使用してこの場から去る。そしてシュトルムを逃したSPARTANが悪態を出した。

 

 

「ちっ……逃げられたか……!」

 

「桂?貴方、ONI日本支社で休日を過ごしてたはずじゃあ?」

 

「あぁ…?んなもんあの歯車野郎とコヴ野郎のいざこざで休日が取れるわけねえだろ!……つーかそういうカル達は何やってんだ?コスプレ野郎どもと一緒にいてよぉ」

 

「え?……ちょっとまって、コヴナント?まさか貴方、単体でコヴナント襲撃部隊を?」

 

「当たり前だろ。それ以外に何があるんだ?」

 

 

……どうやらこのSPARTANは何やらチッピーと同じ感じがするな。いろんな意味で……。そう考えているとSPARTANがまだ変身を解いていない一夏(EVOL)に近づいて一夏(EVOL)を観た。

 

 

「な……何だよ?」

 

「一夏、お前何やってんだ?夏休み中に馬鹿でも回ったか?」

 

「って、馬鹿って何だよ、筋肉付けろよ筋肉!……おぶっ!?」

 

 

するとSPARTANが一夏(EVOL)の頭に一発拳骨を叩き込んだ。その拳骨を食らった一夏(EVOL)たまらず悶絶した。

 

 

「てめえ…SPARTANの一員だっつうのに何コスプレして腑抜けていやがるんだゴルァ!何が筋肉つけろだ、あぁ?ほらぁ、もういっぺん言ってみろおらぁ!」

 

「ちょっ…!おまっマジで痛っ!人違いだ、だからあだっ!?ちょ…本当まてー!!?」

 

 

どうやらあのSPARTANはこの世界の一夏(HALO)と今いる一夏(EVOL)と勘違いして一夏(EVOL)をボコしていた。ライダーシステムを解除していない状態でだ。……それにしても、あのSPARTANは本当にチッピーの感じがするんだよな?そんなこんな考えてる場合じゃなくなんとかあのSPARTANをカル達と共にあのSPARTANを止めるのであった。

 

 

続く……

 





バイカイザーの模造品とは思えぬ性能を見せる一秋。
しかし、問題が発生してリモコン(記憶改竄一秋)とエンジン(転生者)の二人に分裂する。
スタークやエヴォルが介入して一秋(エンジン)は逃走し、エヴォルは一秋(リモコン)を回収。
その後、桂がシュトルムを追跡してきてすんでのところで逃してしまう。

次回は、インフィニティで状況を整理します。


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インフィニティで状況を整理した結果…

新年になってからの一言、あけましておめでとうございます。

今年も“ISとHALOが混ざってしまった件について…”をよろしくお願いします。


コラボ回の第5話、始まります。


来訪者たち、再び宇宙へ…


一夏(EVOL)
「新年になっても前書きは変わんねえのかよ……」

戦兎
「一夏、気にするだけ無駄だ。……はてさてどうなる第5話!」


 

 

一秋(エンジン)Side

 

 

……とある廃ビル内、一秋(リモコン)から逃げ切った一秋(エンジン)はそこで何とか一息ついていた。

 

 

『はぁっはぁっ………。な……何とか逃げ切れたか?なんで俺がこんな目に……『おー、お疲れさんだな?』っ!?その声は……』

 

 

一秋(エンジン)は声が聞こえた方向に向けるとブラッドスタークがいた。何故ここにいるのか気になったがそんなことはどうでもいい様にスタークは一秋(エンジン)に語る。

 

 

『ここは何処だが分からん場所に復活して早々いきなり殺されそうになったりして不運だったな?復活して早々いきなり殺されそうになった不運なお前さんに少し悪いニュース滅茶苦茶良いニュースがあるんだか……、聞きたいか?』

 

『少し悪いニュースと滅茶苦茶良いニュース……?何だよそりゃ……』

 

『まぁ…そう睨むなっての。そんで、どっちから聞くんだ?』

 

『……滅茶苦茶良いニュースの方だ』

 

 

スタークに対して疑心暗鬼な一秋(エンジン)。スタークはその様な事を気にせずに一秋(エンジン)に滅茶苦茶良いニュースを伝える。

 

 

『この世界はお前さんが知る世界ではない。元の世界に戻る方法はこの世界の篠ノ之 束が鍵となるだろうな』

 

『…おいっ、それは少し悪いニュースじゃないのか?』

 

『いやいやっ…今のが滅茶苦茶良いニュースだ。……んでっ少し悪いニュースなんだが、お前さんの身体が普通じゃないのは確かだ。人間体に戻ろうとするのは止しておけ』

 

『はっ?どういう意味だ…』

 

『警告はしたからな?後はお前さん次第だ。俺はこれから先、野暮用があるんで失礼するぜ?Ciao♪』

 

 

スタークは一秋(エンジン)に警告した後にトランスチームガンのワープでこの場を去った。その時の一秋(エンジン)はスタークの言葉を信じていなかった。

 

 

『……何だったんだ?それに人間体に戻るの止めておけだと?訳がわからねえ……』

 

 

一秋(エンジン)はスタークの警告を無視して変身を解いて人間体に戻った。その時はまだ何も起こっていなかった。

 

 

『……なんだ。何も変わんねえじゃねえか?びびらせやがって……っ?』

 

 

その時に身体から粒子が出てきていることに気づいた一秋(エンジン)は自身の身体を見てみると、身体が粒子となって崩れ欠けていた。

 

 

「う……嘘だろっ、おいっ!」

 

【ギアエンジン!ファンキー!】

 

【エンジン・ランニング・ギア……!】

 

 

自信が死んだあの現象に成りかかっている状況と判断した一秋(エンジン)はネビュラスチームガンにギアエンジンを差し込んでエンジンブロスに再び変身した。その結果、身体の崩壊が納まり、怪人状態のままで身体を維持が出来た。

 

 

『…ん……だよっ……!何で元に…人間に戻れねぇんだよっ!!まさか……スタークが言っていたのはこのことなのか?』

 

 

スタークが言う様に一秋(エンジン)の身体は一秋(リモコン)の物となっており、今いる一秋(エンジン)の身体は虚構と化して実体を保てないのである。

 

 

 

『……でだよ………!俺は…力が欲しかった!俺は主人公になりたかった!なのに……何で!(人の心を失ったお前は、もう人間じゃ無いだろう?)……!?』

 

 

この時に宇佐見に言われた言葉がエンジンブロスの脳裏に走る。

 

 

『ち……ちがう!俺は………俺はっ!(なあ、織斑の坊ちゃん!ブリュンヒルデに教わらなかったのかい?何故悪い子に育っちゃいけないか、その理由を。嘘つき……、卑怯者……、そういう悪い子供こそ、本当に悪い大人の格好の餌食になるからさ!)………ぁぁぁぁあぁァァァァァァァァッ!?あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ァァァァァァァァ!!』

 

 

脳裏に走る宇佐見の言葉を否定しようにももう人間に戻れない事を悟ったエンジンブロスはただ心が壊れてしまい、ただ叫び、狂った怪人へと成り果ててしまう。

 

 

一秋(エンジン)Side out

 

 

惣万Side

 

 

『……やれやれっ言わんこっちゃない。あれほど親切に警告してやったのに無視するなんてな…』

 

 

一秋(エンジン)が狂う様を見ていたスタークは怪人状態の顔では表情は分からないが何とも言えない皮肉感を感じていた。

 

 

『まぁ……アイツが望んでいた力を俺達(ファウスト)が貸してやって、使い方を誤って狂ってしまったか……。成り上がろうとした者の末路にしては酷い姿だな。……俺も人のことを言えないが、クズってのはどこまでも醜いなぁ……本当に俺はあいつらのような人間が大嫌いだ』

 

 

そう呟いた後にスタークはトランスチームガンのワープでこの場を後にして更なる情報収集の為に行動に出るのであった。

 

 

惣万Side out

 

 

 

戦兎Side

 

 

スターク達を追って来たSPARTANこと桂にしばかれる一夏(EVOL)を助けるべく桂を止める戦兎たち。何とか桂を止めて一夏(EVOL)を救出した後に降下艇に乗り込み、状況整理の為にONI本社ではなくONIが建造したインフィニティ級主力一番艦“インフィニティ”へ向かうのであった。

 

 

「たく……てめぇがこっちの一夏じゃねえなら最初からそう言えよな?」

 

「いやっ、お前が見境なくボコリにきたんだろうが!?」

 

「うっせ、先に言わねえてめぇが悪いだろうが!……あだっ!?」

 

「へっ?……おぶっ!?」

 

 

言い争っていた時に千冬が出席簿を片手に二人の頭に叩き込む。

 

 

「全く、こんな時に言い争っている場合か。桂、お前は幾らなんでも横暴が過ぎるぞ。この前に言ったように少しは自重せんとまたONIから処分が下ると言った筈だが?」

 

 

そう千冬(HALO)に言われて口を閉じる桂。この時に一夏(EVOL)は何故自分まで?と訳が分からないでいた。

 

 

「な……何で俺まで……」

 

「す……すまない。反射的に反応してつい……」

 

「あーっ……一夏(EVOL)、ドンマイ……」

 

 

そんなこんなで言っている間に降下艇のパイロットが戦兎たちに告げる。

 

 

「みなさん、見えましたよ。我々の主力艦が」

 

「主力艦?宇宙に船があるのか!?」

 

「そう言えばイナちゃん、ONIの宇宙船を見るの初めてだったよね?これがONI社の技術者の集大成である主力艦、“インフィニティ”だよ!他にもフリゲート艦や巡洋艦といった宇宙船を作っているんだって♪」

 

「すっご……!流石のてぇん⤵︎さい⤴︎科学者のオレでも興奮が止まらない!」

 

 

そう和やかに束は言い、まるで子供が無邪気そうに色々と暴走する戦兎の姿があった。そして降下艇はインフィニティのデッキ船内に着艦する。戦兎たちが降下艇に降りるとそこにはONIのスタッフ達やワートホグにマンティスと様々な車両がインフィニティ船内にあった。するとインフィニティにあるホロテーブルからインフィニティのAIが出現する。

 

 

《ようこそSPARTANたちにIS学園のみなさん!それと予想外なお客さんも。“ローランド”、インフィニティのAIだ》

 

「おぉーー!!AIがここまで人の形をしているなんて、これはかなり凄い科学力だ!」

 

「…って、はしゃぎ過ぎだ戦兎!少しは自重しろ!!」

 

「あらあら……なかなか面白いお客さんが来た様ね?」

 

 

戦兎が暴走する中、一夏(EVOL)が戦兎を暴走を止めているその時に一人の女性がやってきた。

 

 

「あらっサラ。貴女もインフィニティに?」

 

「えぇ。地球に潜伏しているコヴナントを探し出しているのだけどね……」

 

「カル、貴女彼女の事を知っているの?」

 

「…紹介が遅れたわね。“サラ・パーマー”、階級は中佐。全SPARTANチームの指揮官よ」

 

「(中佐……だと!?)お疲れ様です、中佐殿!」

 

 

カルがそう説明すると桂は驚いた表情を出さずにいち早くサラに敬礼をする。

 

 

「休めていいわ、今回はアーマーの整備の為に来たのだから。ローランド、彼らをインフィニティ内を案内して」

 

《了解です中佐。では皆さん、インフィニティ内を案内するからついて来てくれ》

 

「あっそうだローちゃん!インフィニティ内の案内より先に私のラボに案内してくれるかな?そこで大事な話があるんだよね♪」

 

《博士……ローちゃんは流石に……まぁ、その件は後にして博士のラボですね?了解、じゃあついてきてくれ》

 

 

そうしてローランドの案内のもと、束のラボに到着した戦兎達はそこでクロエ(HALO)とモニターことサウザント、センチネルと会う。

 

 

「あっ…お帰りなさい、束様」

 

「お帰りなさい束博士、随分と興味深いお客様がいらっしゃいますね?」

 

「……にしては数が多い様な気がするが?」

 

「おぉーーー!!?今度は明らかに地球の物ではない何かで出来た異星人の物が浮いている!?一体どうゆう原理で動いているんだ!?」

 

「あはは……案の定の展開だね……」

 

 

この時に戦兎はモニターやセンチネルをみて興奮し、どういう原理で動いているのか驚きを隠せないでいた。これを見る束はただ苦笑いするほかなかった。そしてクロエ(HALO)は向こうの世界の己自身(EVOL)はどうしているのかを戦兎聞いてみた。

 

 

「ところで戦兎様、向こうの世界の私はどんな感じですか?」

 

「ふむ……そういえば戦兎達の世界の私たちのことを本社で少ししか聞いてなかったな」

 

「そう言えばそうでしたね?それで戦兎さん、実際のところはどうなの?」

 

 

クロエ(HALO)の質問に千冬が戦兎達の世界の千冬達のことを本社で少ししか聞けなかったことを思い出し、それに便乗する様に楯無も戦兎に質問するのであった。

 

 

「どんな感じ……か。オレたちの世界のクロエは惣万っていう千冬(EVOL)ことチッピー先生の恋人の養子になっていたよ。今ではネットアイドルとなっているけど」

 

「えっ?」

 

 

戦兎が向こう側のクロエの話をしている時に聞きなれない言葉が千冬達の耳に入った。

 

 

「私が………ネットアイドル?」

 

「えっと……オレたちの世界のクロエ(EVOL)はネットアイドルとして活動いているんだ。因みにネットアイドルネームは“くーたん”って名前だけど……」

 

「Oh………」

 

 

それを聞いたクロエ(HALO)は地面に手をつけると並行世界の自分自身を重ねることを考えたくもないくらいに落ち込むクロエ(HALO)の姿があった。

 

 

「……ところで戦兎さん、今更かもしれませんが本社で聞きそびれたことなんですが。向こうの私は一体どんな感じですか?」

 

「セシリアちゃんの?そう言うことなら一夏(EVOL)に聞いてくれるかい?他のメンバーのことも知っているわけだし」

 

「ちょっ!?俺に振るのかよ!?」

 

 

急なバトンタッチに一夏(EVOL)は困惑するも、なんとかセシリアの質問に答えようとする。

 

 

「こっちのオルコットはクロワッサン髪なんだな?前に行った世界と同じか」

 

「前の世界……?それはどういう……」

 

「あぁ…気にするな、こっちの話だ。んで、オルコットとのファーストコンタクトは、……自販機の下に手ェツッコんでたな」

 

「「「え?」」」

 

「こっちの世界じゃお前は『金欠貴族』だとしか言いようがねぇ。おまけに自販機の底に入り込んだ小銭、日本円じゃねーでやんの。……んでその日の夜、寮でパンイチのまま俺らの部屋に来て大騒ぎになった……」

 

「「「えぇ?」」」

 

 

目が点になってるこの世界のセシリアたちは聞き返してくる。

 

 

「と言うかな……、俺らの世界のセシリア、『明日のパンツとちょっとの小銭があれば生きていけますわ(キラリン☆)』とか言ってるんだが……。お前程アルバイターが似合う貴族見たこと無いぞ」

 

「「「え゛ぇぇぇぇ!?」」」

 

 

急に叫びだすセシリアちゃんたち。……そりゃそうだよね。並行世界の人物がそう言う人であることを知るとなるとそういうリアクションをするのは普通だ。そしてセシリアちゃんが頭を抱えていた。

 

 

「もういろんな意味で人外魔境なのねそっちの世界は……。それでそっちの世界のアタシはどうなの?」

 

「んー、鈴は……、まぁ常識人の枠だな。中国で知らない者がいないくらいの武道の達人ではあるけど」

 

「向こうの世界のアタシは武道の達人なんだ……。なんか少し安心した」

 

「あっ……悪い鈴!お前確か……」

 

「大丈夫大丈夫、もうなれたからこういうやり取りはね?」

 

 

そのあとは一夏(EVOL)は色々とオレたちの世界の千冬たちのことを話した。オレたちの世界のシャル(EVOL)ことシャルルが男であり、ネットアイドル“くーたん”のドルオタであったり、ラウっちゃんはそのシャルルに嫁宣言したりと色々なことを話した。その結果この世界のセシリアちゃんたちはカルチャーショックを受けていた。

 

 

「わたくしが……金欠……?明日のパンツ一つでどうやって生きろと……?」

 

「向こうの世界のセシリアが完全にオーズの火野映司そのものになっていたことには驚いたわね。後、向こうの世界のシャルが男であることも驚いたけどね。しかもドルオタという形で……」

 

「一夏に振ったオレがいうのもなんだが、混沌にみちているなこりゃ……」

 

「あはは……いくら私でもこれは収拾がつかないかな?“ppp…”………ん?何かしらの通信を傍受した?」

 

 

そう束が呟く最中、束の通信機からある通信を受信する。しかし、その通信は若干不安定であり、何時途切れてもおかしくない状態であった。

 

 

「おかしい……ここのラボを知っているのはちーちゃんやハルちゃん、いっくんにせーくんしか分からない事なのに何で……?」

 

 

そこで束は何とか謎の通信の発信源を探るべく周波数だったり、通信機器などをいじくって通信状態を改善させてその発信源の正体を突き止める。

 

 

「嘘……!この通信は……せーくんから!?」

 

 

束はその発信源である通信してきた者の名前をいう。せーくんって誰なのか分からないが、束にとって友人なのかもしれないと思った戦兎。そしてその通信機から音声だけが聞こえた。

 

 

『……ちらS105、ウルフ1の星矢。博士、応答してくれ。繰り返す、こちらS105』

 

「せーくん!聞こえる?束さんだよ!」

 

『博士?…何とか繋がったか』

 

「束博士、今のが先ほど言っていた?」

 

「うん、せーくんこと泉谷 星矢だよ!それよりもせーくん、箒ちゃんたちはどうだったの!?」

 

 

束が星矢に箒達がどうなったのかを聞き出すと星矢は箒達について話す。

 

 

『あぁ……箒達が発見出来た。どうやら彼女達はこの世界の千冬さん達に一時は拘束されていたが誤解が解けて今は保護してもらっている。ここまではいいんですが、どういう訳かこの世界は仮面ライダーがいる世界の様でした。しかもこの世界のシャルとあったのですが、男であったのが一番の驚きだった』

 

 

星矢の言葉を耳にした戦兎は星矢にある事を聞き出す。

 

 

「シャルが男……(あぁー……それは絶対シャルルだ)……少し聞くが、その世界のライダーは水色のドライバーを装着していなかったか?」

 

『ん?もう一人いたのか?まぁ…あまり通信状態がよくないので気にしない且つ手短に話します。僕たちがいるこの世界に僕たちの世界のコヴナントがいた』

 

「ウェッ?!コヴナントが!?」

 

『こっちも戻りたいのも山々だが、こっちはこっちで厄介ごとを片付いてからそちらに戻るつもりです。ですから博士、貴方はあの装……を………』

 

 

すると突然通信状態が急に悪くなって通信が途絶するのであった。

 

 

「せーくん?もしもし、せーくん!?」

 

「どうやら通信が途絶えた様です」

 

「……博士、先ほどリクレイマーは装置と言っていたが、もしかすると……」

 

「うん、多分私が作った並行世界転移装置の事かもしれない。私ちょっとその装置をここのスタッフ達に頼んでここに運んでもらってくる様頼んでくる!」

 

 

そう言って束は自分のラボを後にしてスタッフ達の協力の並行世界転移装置を運び出す準備を行うのであった。

 

 

「なぁ…さっき束博士が言っていた星矢って確か、SPARTANのひとりなんだよな?」

 

「えぇ。しかも泉谷くんはそのONI本社の若社長なのよね。今はIS学園の学生なのだけどね」

 

「ウェッ!?マジかよ!つーかそんな若社長がIS学園に入って大丈夫なのかよ?」

 

「その点に着いては問題ないわ。この世界の織斑くんがISを動かした後に泉谷くんもISを触れた時にISが起動しちゃって止む無くIS学園に入学する事になったのよね。因みに言っていなかったかもしれないけどこの世界の織斑くんは泉谷くんのSPARTAN部隊の一員よ?」

 

「ファッ!?この世界の俺がSPARTAN!?」

 

「なるほど……この世界の一夏はバカじゃないんだな。……ヤベッ考えただけでちょっと笑いが……」

 

「っておい、何笑っているんだよ戦兎!つーか馬鹿って何だよ、筋肉付けろよ筋肉!」

 

 

戦兎が別の意味で納得し、一夏(EVOL)は未だにこの世界の自分自身を想像出来なかった。その時、インフィニティ船内でアラームが鳴ると同時に艦内スピーカーから放送が入る。

 

 

『緊急事態発生!!ONI日本支社から応援要請!ONI日本支社からの情報によると白い歯車の怪物が民間人を襲っているとの事!動ける部隊は民間人の避難作戦を実施するため降下艇に搭乗せよ!』

 

 

その瞬間、インフィニティの艦内放送である日本地域の街に謎の生命体が出現との連絡が入る。

 

 

「歯車の怪物……!まさか…!おい戦兎!」

 

「あぁ…!間違いなく一秋だ。何で今現れたのかは分からないが、これ以上こっちの問題をこの世界で持ち込ませるわけにはいかない!行こう一夏(EVOL)!」

 

「なっ!おいっ待て、二人とも!」

 

 

戦兎たちは恐らく逃げ出したエンジンブロスかエヴォル側にいるリモコンブロスだと判断し、千冬の静止を無視して戦兎たちは降下艇に乗り込んで至急現場に向かうのであった。

 

 

戦兎Side

 

 

 

アービターSide

 

 

その同時刻、アービターとコヴナント偵察中隊は預言者から新たな指示の下、地球にて突如と出現した謎の生命体の調査を行うためにステルスを起動させて街中を捜索していた。

 

 

「アービター、例の反応があったのはこの辺りです」

 

「そうか………して、その謎の生命体の正体は掴めたか?」

 

「はっ……外見の特徴以外は不明でしたが、特徴は白い歯車の様な人型の生命体とのことです」

 

「フム………むっ?」

 

 

そうエリートの報告を聞き終えると街中の人間たちが何かから逃げる様に走っていた。その人間たちが逃げる逆方向を見るとそこには自身の自我すら表現が出来ない位に狂い、見境い無くネビュラスチームガンを乱射する一秋(エンジン)の姿があった。

 

 

「………どうやら向こう自ら来たと思っていたが、予想を超えて狂っていた様だな」

 

「アービター、この騒ぎとなると人間どもがやってくる可能性があると思われます。早急に始末した方がよろしいかと………」

 

「そうだな……アレを野放しにしておくと我々にも牙を向きかねん。直ちに排除せよ!」

 

『グゥゥゥ………!ガァァァアアアアアッ!!』

 

 

そうしてアービターとコヴナント偵察中隊は狂いに狂った一秋(エンジン)と交戦するのであった。そして後からやって来る戦兎たちが来て、三つ巴の戦いが開かれる時は一刻と迫っていた。

 

 

続く……

 





一秋(エンジン)は人間に戻れないことを悟り、発狂して怪人と化す。
戦兎達は降下艇でONIが作りし宇宙船インフィニティにある束専用のラボに向かう。
束専用のラボの通信機にて星矢の通信を傍受するも途中で途絶える。
その頃アービター率いるコヴナント偵察中隊は一秋(エンジン)と接触し、戦闘を開始する。


次回は、三つ巴の戦いになります。


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三つ巴の戦いの中、戦兎が暴走した結果…

コラボ回の第6話、始まります。……危うく心の火が燃え尽きそうだったうp主です。


仮面ライダー達よ、民間人を救え。


一夏(EVOL)
「一応あらすじとして呼ばれたんだが、心の火が消えかけるって……ここのうp主は大丈夫なのか?」

スターク
「まぁここからはメタい話……ここのうp主曰く久しぶりの10000文以上に書き上げたそうで若干気力的に死にかけたそうだ」

一夏(EVOL)
「おいおい……それって大丈夫なのか?」

スターク
「大丈夫じゃないか?……そんでもってはてさてどうなる第6話?」


 

 

一夏(EVOL)Side

 

 

白い歯車の怪物こと一秋(エンジン)が出現したと報告にあった現場に到着した戦兎たち。そこには多数の民間人達が戦兎達の方に走ってきており、戦兎達を気にせず何かから逃げる様にそのまま追い越して走っていった。民間人が逃げているその逆方向にはコヴナントのエリート達がいた。そのエリート達は無抵抗の民間人を蹂躙する様にType-33“ニードラー”やType-25プラズマライフルで逃げゆく民間人に対して無情に撃つ。ある者はプラズマライフルから放たれるプラズマ弾によって皮膚は焼き焦がされ、またある者はニードラーから放たられるクリスタルニードルが刺さりと、多数の民間人が死んでいき、次々とコヴナントによって蹂躙される地獄絵図が出来ていた。

 

 

「あれは……ONIが言っていたコヴナントっていうエイリアン野郎か?あいつら、無差別に人々を殺してやがる……!」

 

「酷い光景だ……!このまま放っておいてたらさらに多くの死傷者が出る!これ以上彼奴らをここで野放しにする訳にはいかない!」

 

「あぁ!」

 

 

戦兎はビルドドライバーを、一夏(EVOL)はスクラッシュドライバーを腰に装着し、それぞれフルボトルやドラゴンスクラッシュゼリーをそれぞれのドライバーに差し込む。

 

 

【ラビット!タンク!ベストマッチ!】

 

【ドラゴンゼリー!】

 

【Are you ready?】

 

「「変身っ!」」

 

【鋼のムーンサルト!ラビットタンク!イェーイ!】

 

【潰れる!流れる!溢れ出る!ドラゴンインクローズチャージ!ブラァァァ‼】

 

 

戦兎達が仮面ライダーに変身したと同時にコヴナントのエリート達に向かって攻撃を仕掛けた。戦兎達の接近に気づいたエリート達は仮面ライダーになった戦兎達を見て一瞬動きを止めてしまう。

 

 

「な……なんだアレは?「ハァッ!」グハッ!?」

 

「何だと……?悪魔とは違う奴らだと!?「ウォリャアッ!!」グホッ!」

 

 

戦兎達はエリート達に拳や蹴りをかまし、逃げそびれた民間人を逃す。

 

 

「さっ、早く逃げて!」

 

「は……はいっ!」

 

「ほらっ今のうちだ、逃げろ!グァッ!?」

 

「一夏!うわっ!?」

 

 

そんな最中でも容赦なく攻撃してくるエリート達はプラズマライフルを仕舞い、殺傷力の高い近接武器の一つType-1エナジーソードを展開して戦兎達に切りつける。しかし、戦兎が纏うワイルドチェストアーマーとパンツァーチェストアーマー、BLDアンミリテッドスーツの防御力のおかげでダメージを最小限に抑えることができた。そして一夏(EVOL)も戦兎同様にCZCヴァリアブルチェストアーマーのおかげで致命傷には至らずに済んだ。

 

 

「くっ!少し油断した!」

 

「あのエイリアンが使っている武器……プラズマを固定化した剣か?(何となく一夏の白式に搭載している雪片二式の零落白夜と似ているな。……これは単なる偶然か?)」

 

「何者かは知らぬが、人間どもに加担する者は生かして返さん。異端者め…!」

 

 

そうエリートが告げると少しづつ戦兎達の距離を詰める。戦兎達は改めてエリート達の攻撃に対していつでも対処出来る様に構え直すと、突如とワートホグがやって来てエリート達を轢き殺した。そのワートホグに乗っていたのはSPARTAN-Ⅱオメガ中隊の“レッドチーム”であった。

 

 

「こちらSPARTANレッドチーム、例の二人を発見した。どうやら民間人を避難誘導していたようだ」

 

『了解だ。SPARTANは引き続き逃げ遅れた民間人の避難誘導の為にコヴナントの注意を引いてくれ』

 

「了解です。ジェローム交信終了」

 

 

戦兎達は何故SPARTANが自分たちの場所が分かったのか気になってレッドチームのリーダー、ジェロームに問う。

 

 

「SPARTAN!?どうしてここに?」

 

「インフィニティにいる織斑女史が避難作戦に参加していた我々に君たちを探してくれと頼まれた。コヴナント相手によく無事だったな?」

 

 

どうやら千冬(HALO)さんがオレたちのことを探してくれるSPARTANに頼んだようだ。……ちょっとばかり心配をかけちまったな?そう考えていると荒れ狂いながら暴走する一秋(エンジン)と、その一秋(エンジン)と交戦しているアービターが戦兎たちの前に表す。

 

 

「いたぞ、奴だ」

 

「アイツがそうなのか?」

 

「えぇ……見たまんま歯車の怪人ね……」

 

「悪魔共か……それと、見慣れぬ者たちがいるようだな?」

 

 

ジェローム、ダグラス、アリスの順に一秋(エンジン)の姿に対してコメントする中、アービターは戦兎達が仮面ライダーに変身した姿を初めて姿を見たがあまり気にしなかった。そして戦兎達は一秋(エンジン)の様子がおかしいことに気づく。

 

 

「一秋の様子が変だ……まさか、暴走しているのか?!」

 

「一秋……お前………」

 

『一…夏?……ぅううぐ、グォォァァアアアアアッ!!』

 

 

一秋(エンジン)は一夏を見た瞬間頭を抱え、より一層に苦しみ、さらに狂いだしてより力が増していった。その狂いかたはまるでぶつけようのない怒りが具現化したようなものであった。

 

 

「一秋、未だにまだ苦しんでいるのかよ……俺はお前を許したわけじゃない……けど、せめて俺が、この俺の手で、お前とのけじめをつける!」

 

『一…夏ぁ……!……一……夏ぁ…!!………ぅぅぉぉおおおおあああ”あ”あ”ぁ”ぁぁぁっ!!』

 

 

怒り狂う一秋(エンジン)は一夏(EVOL)を見てさらに怒り狂い、ネビュラスチームガンで照準を定めずに一夏(EVOL)を攻撃する。

 

 

「戦兎!俺が一秋をやる、お前はあいつら(SPARTAN)を手伝ってやってくれ!」

 

「一夏?…大丈夫なのか?」

 

「あぁ…!今の俺は、負ける気がしねぇっ!」

 

 

そう言って一夏(EVOL)は暴走する一秋(エンジン)を止めるべく一秋(エンジン)の方に向かっていく。そして戦兎はアービター率いるコヴナントと交戦しているSPARTANを援護すべくレッドチームの方へと走るのであった。

 

 

一夏(EVOL)Side out

 

 

 

ジェロームSide

 

 

その頃レッドチームはアービター率いるコヴナント偵察中隊のエリート部隊と対峙していた。ジェロームはM45Dショットガンで8ゲージマグナムシェル弾をエリートに向けて放ち、そしてダグラスとアリスは二丁のM7サブマシンガンで5x23mm M443 ケースレス・フルメタルジャケット弾を精密にエリート達に放つ。レッドチームの正確無比の弾幕が次々とエリート達を殲滅していた。

 

 

「まさかコヴナントがおまけでやってくるとはな。よっぽどの程に暇なのか?」

 

「さあ?私でもあいつらの考えることは分からないわ」

 

「だが、向こうが攻めてくる以上俺たちがやる事は変わりない。ここで連中の数を減らすぞ…!」

 

「「了解っ!」」

 

 

ジェロームの的確な指示の下、ダグラスとアリスは残りのコヴナントを殲滅するべく行動するのであった。

 

 

ジェロームSide out

 

 

 

戦兎Side

 

 

その頃戦兎は、SPARTAN達を援護するべくコヴナント達を指揮する者を探していた。探しているその時の一つの異形の者がSPARTAN達のことを見ていた。その異形の者の正体はアービターであった。

 

 

「……やはり悪魔が存在する限り戦局を左右されるのは必然か。増援を送れ、精鋭のだ」

 

 

いささか状況が不利と判断したアービターはエリート精鋭部隊(近衛部隊用の槍装備)の増援を要請するのであった。その時にアービターは背後に人間の気配を感じ取り、後ろを振り返ると仮面ライダービルドこと戦兎がいた。

 

 

「貴様は……先ほどの見慣れぬ者か」

 

「アンタがコヴナントの指揮官か?」

 

「正確には違うが、今はそうだ……と言えばどうするのだ?」

 

 

そうアービターが問い返すと同時に専用エナジーソードを展開してそれを戦兎に向ける。その時戦兎はアービターがいった言葉の意味を考えていた。

 

 

「(正確には違う……?どういう意味なのか気になるけど)……アンタをここで退けさせればコヴナントも引くはず!」

 

 

そう言って戦兎は手に別のフルボトルを取り出してビルドドライバーに挿しているフルボトルと取り替える。

 

 

【海賊!電車!ベストマッチ!Are you ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

【定刻の反逆者!海賊レッシャー!イェーイ!】

 

【カイゾクハッシャー!】

 

「ぬ…!姿が変わったか……」

 

 

戦兎は海賊レッシャーフォームにビルドアップし、手に“カイゾクハッシャー”を持ちアービターに向けて電車型攻撃ユニット“ビルドアロー号”を“トレインホームチャージャー”の位置まで引いてエネルギーをチャージする。

 

 

【各駅電車!急行電車!快速電車!海賊電車!発射!】

 

 

カイゾクハッシャーのチャージが完了になったと同時にビルドアロー号を放してカイゾクハッシャーからエネルギー体となったビルドアロー号を放ち、アービターの方に向かう。その時にアービターはエネルギー体となったビルドアロー号を食らうのは不味いと思い回避すると同時にステルスを起動して戦兎の前から姿を消した。

 

 

「…っ!?姿を消した?なんか嫌な予感がするけど、こいつで!」

 

【忍者!コミック!ベストマッチ!Are you ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

【忍びのエンターテイナー!ニンニンコミック!イェーイ!】

 

【4コマ忍法刀!】

 

 

戦兎は忍者フルボトルとコミックフルボトルをビルドドライバーに差し入れ変え、ニンニンコミックフォームにビルドアップした。そして専用武器である“4コマ忍法刀”を手にして何処かしらの攻撃に対処できるように構える。

 

 

「……姿を現さない?(より高度な光学迷彩ということか?)」

 

 

戦兎が警戒している時にシャドウチェストアーマーに内蔵されている内部センサーが後方から殺気を感知した。

 

 

「…後ろ!?ぐぁっ!?」

 

 

戦兎は咄嗟に4コマ忍法刀でガードするがそれより早くアービターのエナジーソードが戦兎を斬りつける。

 

 

「……どうやらその姿だとステルスで姿を消せても殺気を感知されるようだな?だが、所詮はその程度だ」

 

「くっ…!やっぱり他の奴とは違うのは分かっていたけど、尚更引く訳にはいかない!」

 

 

そう言って戦兎はすぐに別のフルボトルをビルドドライバーに差し入れ変えてビルドアップする。

 

 

【キリン!扇風機!ベストマッチ!Are you ready?】

 

「ビルドアップ!」

 

【嵐を呼ぶ巨塔!キリンサイクロン!イエーイ!】

 

 

戦兎はキリンサイクロンフォームにビルドアップして再びアービターに戦いを挑むのであった。

 

 

戦兎Side out

 

 

 

一夏(EVOL)Side

 

 

一夏(EVOL)は未だに怒りと本能のままに暴走する一秋(エンジン)に対してツインブレイカーのアタックモードで格闘戦を繰り出す。それに対して一秋(エンジン)は複製した雪片二式とネビュラスチームガンで応戦していた。格闘戦では一秋(エンジン)の本能が動くがままに一夏(EVOL)を圧倒していた。

 

 

『グゥッ、ゥゥォォオオオオオアアアアッ!!』

 

「ぐっ……グワァッ!?ちぃっ!……の野郎ッ!」

 

『グォォオアアッ!?』

 

 

一夏(EVOL)も一秋(エンジン)にやられ続けるにはいかないと言わんばかりに火事場のクソ力とツインブレイカーのアタックモード時のレイジングパイルで一秋(エンジン)に叩き込み、大ダメージを与える。その一撃を受けた一秋(エンジン)はコヴナントと交戦した時のダメージが蓄積されていたためか既にボロボロであった。一秋(エンジン)は次の攻撃で決めるためかネビュラスチームガンにギアエンジンを差し込み、必殺技【ファンキードライブ】の体制に入る。

 

 

【ギアエンジン!】

 

「っ!彼奴、ここで決めるつもりか……だったらよ!!」

 

【Ready go!】

 

【ビートクローザー!】 

 

【スペシャルチューン!】

 

【ヒッパレー!ヒッパレー!ヒッパレー!】

 

 

それも見ていた一夏(EVOL)もエンジンブロスの必殺技に対抗する為にツインブレイカーにクローズドラゴンを差し込み、ビートクローザーを呼び出してロックフルボトルの代わりにドラゴンフルボトルを差し込み、グリップエンドを3回引いてビートクローザーとツインブレイカーの二つを合わせて発動させ、お互いに必殺の体制に入る。

 

 

「ハアアアアァァァッ………!!」

 

『グゥォオオオオッ!!』

 

 

互いに必殺技のタイミングを図っていた。そして先に動いた者は………

 

 

【ファンキードライブ!ギアエンジン!】

 

 

先に動いたのは一秋(エンジン)であった。歯車のような形状をしたエネルギー弾を発射する必殺技【ファンキードライブ】を繰り出す。

 

 

【メガスラッシュ!】

 

【レッツブレイク!】

 

「ウォオリャアァァーー!!」

 

 

そして一夏(EVOL)はビートクローザーによる必殺技【メガスラッシュ】とツインブレイカーの【レッツブレイク】で一秋(エンジン)の必殺技を相殺させる。

 

 

『グゥ……!?ォォオオ!!』

 

【スクラップブレイク!】

 

 

一夏(EVOL)は相殺させた僅かな時間にアクティベイトレンチを叩きつけ、ゼリーを潰し、本命である必殺技【スクラップブレイク】を一秋(エンジン)に叩き込む。

 

 

「どぉぉおりゃぁぁあああ!!」

 

『グォオッ……!グォォオオオアアアアッッ!!?』

 

 

その時に一秋(エンジン)は一夏(EVOL)の必殺技をまともに受けてしまい、遠く吹き飛ばされてビルの壁に激突し、めり込む。そして一夏(EVOL)は三回連続で必殺技を多用した為か少し疲弊していた。

 

 

「やった……のか?………な!?」

 

 

その時に壁にめり込んでいた一秋(エンジン)は壁から剥がれ落ち、倒れこむかと思いきや一夏(EVOL)の【スクラップブレイク】をまともに受けてダメージを蓄積できないほどに立っていられないはずが立っていた。その時に一秋(エンジン)は手にしていた複製の雪片二式とネビュラスチームガンを手放した。雪片二式は地面に着くと雪片二式が結晶が砕けるが如く砕け散り、ネビュラスチームガンもまた同じように砕け散る。その時にネビュラスチームガンに差し込んでいたギアエンジンだけが残った。そして一秋(エンジン)は最早歩く力しか無いようにゆっくりと一夏(EVOL)に近づく。

 

 

「一……秋?」

 

『………俺は……織斑………一…秋。主人公(ヒーロー)に………なる…………者……』

 

 

一秋(エンジン)は最後の力を振り絞り、拳をCZCヴァリアブルチェストアーマーにゆっくりと弱々しく一発を叩き込む。そして一秋(エンジン)の身体が限界を迎えた。一秋(エンジン)の身体から粒子が出て、徐々に身体が粒子となって崩れ散る。

 

 

「一秋……もういいんだ。お前の言うヒーローは代わりに俺がなってやる。お前みたいに道を踏み外したりせず、ちゃんとしたヒーローに……な。だから、ゆっくり休んでくれ」

 

『織斑…一夏………』

 

 

そう一秋(エンジン)が一夏(EVOL)の名を呟いた数秒後には身体は完全に崩壊し、粒子となってこの世から去った。

 

 

「一秋……本当にゆっくり休めよ。……?」

 

 

その時、一夏(EVOL)の前にワームホールが出現し、そこからエヴォル側の一秋が出て来た。そしてワームホールは独りでに消失するのであった。

 

 

「お前は……エヴォルって野郎の…!」

 

「……今回ここに来たのは、コイツを返してもらう為に来ただけだ」

 

そう言って一秋は一秋(エンジン)によって奪われたギアエンジンを回収し、一夏(EVOL)に戦兎が危うくなることを注告する。

 

 

「……貴様に注告だ。ビルドというライダーが禁断の何かを使用しようとしているようだ」

 

「何っ?!まさか……戦兎はアレを!?」

 

「注告は確かに伝えた。……また会おう」

 

 

注告を一夏(EVOL)に伝えた一秋はネビュラスチームガンのワープでその場を去る。

 

 

「まさか戦兎の奴は“ハザードトリガー”を?例えそうでなくてもやべぇ状況になった場合だったら彼奴は使うはずだ!急がねえと!」

 

 

そして一夏(EVOL)は疲労している身体を無理に動かしてでも戦兎の方に向かって行くのであった。

 

 

一夏(EVOL)Side out

 

 

 

戦兎Side

 

 

戦兎はアービターと戦闘を開始してから十分。状況は戦兎の方が劣勢であった。フルボトルの組み合わせによる戦法やラビットタンクスパークリングフォームでもアービターの一撃怒涛の攻撃には通用しなかった。

 

 

「いくらそのおかしな力で戦えようとも所詮は軟弱な種族だな。人間よ……」

 

「くっ……強すぎる!(最っ悪だ、ラビットタンクスパークリングフォームでもあのエイリアンの強力すぎる攻撃には対処が追いつかない!)……本当だったら使いたくなかったけど、使う他に奴に勝てる手段が無い!」

 

 

そこで戦兎は使いたくなかったハザードトリガーを取り出し、セキュリティクリアカバーを外してBLDハザードスイッチを押す。

 

 

【ハザードオン!】

 

 

ハザードトリガーをビルドドライバーの拡張スロットに差し込み、ラビットフルボトルとタンクフルボトルを差し入れ変えるようにビルドドライバーに差し込む。

 

 

【ラビット!タンク!スーパーベストマッチ!】

 

 

ベルト前方に出現したR/Tのマークがブレ、その後歯車のようなマークを形成した。

 

 

【ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!】

 

 

戦兎がレバーを回すと戦兎の前後に、黄色と黒の警告ラインが入った鋳型『ハザードライドビルダー』が展開される。

 

 

【Are you ready?】

 

「ビルドアップ…」

 

 

【ハザードライドビルダー】によって前後からプレスされる戦兎。その後、徐々にフレームが開いていくが……。

 

 

【アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!】

 

 

そこに立っていたのは、赤と青のアイレンズ以外が黒一色に変化した……汚染された様な姿のビルドだった……。

 

 

【ヤベーイ!】

 

 

禁断のアイテムであるハザードトリガーを使用してラビットタンクハザードフォームに変身した戦兎は、アービターに再び挑む。

 

 

戦兎Side out

 

 

 

ジェロームSide

 

 

コヴナント偵察中隊を退けたSPARTANレッドチームは戦兎合流する時にアービターが呼んだ援軍であろうエリート精鋭部隊(近衛部隊用の槍装備)を乗せたコヴナントの兵員輸送機のファントムがジェローム達の前に現れてファントムから次々とエリート達が降りて来る。

 

 

「どうやら追加のようだな」

 

「本当にしつこい連中ね?」

 

「そうだな……ここいらでご退場願おうか」

 

 

ジェローム達は各武器の弾薬数を確認した後に武器を構える。そしてエリート達は近衛部隊用の槍を構えてジェローム達に向けて走る。

 

 

「……行くぞ」

 

 

ジェロームがM45Dショットガンで先頭のエリートに8ゲージマグナムシェル弾に食らわせると同時にダグラスとアリスは突貫し、エリートに乗りかかると同時に二丁のM7サブマシンガンから放たれる5x23mm M443 ケースレス・フルメタルジャケット弾が乗りかかったエリートの喉笛を撃ち抜く。アリスは一旦M7サブマシンガンを収納し、アリスに攻撃してくるエリートの近衛部隊用の槍を掴んで攻撃を防ぐと同時にダグラスはアリスに攻撃するエリートにM7サブマシンガンで援護し、アリスはダグラスの援護で怯んだエリートの隙を逃さずに近衛部隊用の槍を奪い、そのままその槍でエリートの足を払いのける。ダグラスはエリート達の攻撃を見切って受け流してM7サブマシンガンで迎撃する。その時にエリートがダグラスの背後から槍を振るうが、ダグラスは後方の攻撃が分かっているかのように易々と片手で振るわれる槍を掴み、アリスはエリートから奪った槍でダグラスが掴んでいる槍を両断する。槍を両断されたことに驚くエリート。しかしそんな時間すら許さないが如くジェロームのM45Dショットガンから放たれる8ゲージマグナムシェル弾がそのエリートの命を絶つ。そしてダグラスとアリスは奪った槍をエリートの急所に目掛けて投擲しエリートを確実に仕留める。コヴナント精鋭部隊でもSPARTAN-Ⅱの前にただ蹂躙されるのであった。

 

 

ジェロームSide out

 

 

 

一夏(EVOL)Side

 

 

一夏(EVOL)は戦兎やSPARTANことジェローム達と合流する為に急いでいた。突如と現れた一秋の注告が気になっていたからだ。

 

 

(もし彼奴が言っていた通りに戦兎がアレを使っていたとすりゃ……かなりやべぇ!間に合うか!?)

 

 

一夏(EVOL)は駆け抜けている最中、一夏(EVOL)の足下には多数のエリートの死体があった。

 

 

「うぉっ?!何だこれ?さっきのエイリアン共の死体…か?……にしちゃ死体の数が多い……!?」

 

 

そのエリート達の死体が続く所に別の意味での地獄絵図が出来ていた。ジェローム達が仕掛けて来るエリート達を次々と返り討ちにしていたのだ。ダグラスがエリートに向けて走り、ある程度の距離になった時にダグラスが跳躍力でエリートの背より高く飛び跳ねその真上からM7サブマシンガンの弾丸の雨が降り注ぐ。エリートの背後にと飛び越えたダグラスはそのエリートを掴み、ダグラスの背後から来るエリートの攻撃を掴んだエリートで盾にして攻撃を防ぐ。ダグラスによって盾にされたエリートは同族の槍によって急所を刺されて絶命し、盾にされたエリートを刺してしまったエリートは背後のジェロームに気付かず、そのままM45Dショットガンから放たれる8ゲージマグナムシェル弾を至近距離で受けて絶命する。ジェロームはM45Dショットガンのハンドグリップを動かして次弾を装填した後に背後から来るエリートに銃口を向けるとエリートが槍を捨ててジェロームが持つM45Dショットガンを掴み、一瞬“勝利を握った”とエリートの脳裏が走ったことで動きを一瞬止めてしまう。ジェロームはその隙を逃さずにヘルメット越しでエリートの頭部に頭突きをかます。エリートはSPARTANが頭突きして来ることを予想だにしておらずそのまま倒れこむ。ジェロームは倒れ込んだエリートに情けも慈悲もなくエリートの口にM45Dショットガンの銃口を入れ込み、そのまま引き金を引いてエリートの頭部を吹き飛ばし、そのエリートの命を絶つ。これを見ていた一夏(EVOL)はSPARTANのことを頼もしくあって、恐ろしいと感じた。

 

 

(これが………SPARTANの戦い………。敵でも味方でもあんなのを見りゃ化け物か何かと思っちまいそうな強さだな………)

 

「敵を殲滅、オールクリア。………?一夏か、そっちは無事のようだな?」

 

 

ジェロームがそう確認した時にアービターとラビットタンクハザードフォームになった戦兎が戦いながらジェローム達のいる場所まで来た。一夏は戦兎が装着しているビルドドライバーを見てリモコンブロスが言った注告の意味を知った。

 

 

「あれは……因幡野女史?しかし、何だあの姿は?嫌な予感がする」

 

「(あれは……ハザードトリガー!?)おいっ戦兎!それ以上戦えばお前はっ!?」

 

「一夏っ!?そっちは無事ということは……」

 

「あぁっ!……そんなことより戦兎!それを早く外せ!!暴走するぞ!」

 

「分かっている!けど、ここで引いたらこいつが…………ぐっ!?」

 

 

その時、戦兎が突然苦しみだす。その時の戦兎の脳に破壊衝動が脳へと続く神経を辿っていた。

 

 

「げ……限界……か!」

 

 

そう言った戦兎はアービターと戦闘中に限界が来てその破壊衝動が戦兎の脳に到達し、自我が消滅して破壊衝動の赴くままの暴走状態になる。

 

 

「何だ……この殺気は?異常すぎる……!」

 

「……?何なのだ、その尋常ではない殺気は……!」

 

【マックスハザードオン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!】

 

「やべぇ…!」

 

【Ready go!オーバーフロー!ヤベーイ!】

 

 

 

暴走状態の戦兎はゆっくりと手をベルトに接続しているハザードトリガーのBLDハザードスイッチを押し、レバーを回してオーバーフローモードに移行して尋常じゃないスピードでアービターに接近する。

 

 

「何っ!?くっ……!」

 

 

アービターはエナジーソードをしまい、Type-25プラズマライフルで暴走する戦兎に撃つ。しかし暴走状態の戦兎は致命傷の被弾を“HZデットリーグローブ”で弾いて獣的な動きでアービターに急接近する。

 

 

【ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready go!ハザードフィニッシュ!】

 

「グォォォアアアッ!!?」

 

 

急接近しながらもビルドドライバーのレバーを回して必殺技【ハザードフィニッシュ】をアービターに叩き込む。アービターはハザードフォームの必殺技に耐えきれず吐血する。

 

 

「ゴハッ!?……想像以上に危険な奴もいたようだな………いささかこの手はやりたくはなかったが、状況が状況だ。ここは引かせてもらう……!」

 

 

そう言ってアービターはステルスを起動してその場から姿を消し、暴走状態の戦兎から逃れるが如く離脱する。その時にダグラスとアリスが疑問点が上がった。

 

 

「撤退した……?にしてはあのエリート、まるで……」

 

「えぇ……何かを私たちに押し付けて逃げたような仕草ね。本当はやりたくはないかのように………」

 

「いやっそれ以前にお前ら、戦兎に気をつけろ!」

 

 

そう一夏(EVOL)がジェローム達に警告したその時暴走状態の戦兎はレッドチームと一夏(EVOL)を見た瞬間にそのまま襲いかかり、近くにいたアリスの首を掴み上げる。その時にジェロームとダグラスは暴走状態の戦兎に銃口を向ける。

 

 

「グゥ…!?」

 

「「……!?」」

 

 

恐ろしい前の膂力で、アリスの首をへし折ろうとする。アリスのGEN2アーマーは首周りを一気に硬化させて圧殺を防ぐが、暴走状態の戦兎がそれに気が付くとアリスの身体を、アーマー込みで500キロはあろうかというそれを軽々と放り投げたのである。

 

 

「くっ……けほっごほっ…!あの因幡野女史、いきなり襲いかかってきたわ!」

 

「今の戦兎は暴走状態だ!あのハザードトリガーを取り外せば暴走を止められる!」

 

「あの赤い装置みたいなやつだな?」

 

「その名の通り災厄の引き金ってことか……止めるぞ!」

 

 

一夏(EVOL)とレッドチームは暴走する戦兎を止めようと応戦するが、ハザードトリガーによるパワーが強すぎるが故に一夏(EVOL)が苦戦するのはともかく、超兵士であるSPARTAN-Ⅱが子供扱いの様にあしらわれる。ジェロームはM45Dショットガン弾かれ、ダグラスとアリスはM7サブマシンガンを破壊された。それでもジェローム達はサイドアームとして残していたM6Hハンドガンとコンバットナイフで暴走状態の戦兎に対応したが………。

 

 

【マックスハザードオン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready go!オーバーフロー!ヤベーイ!】】

 

 

暴走状態の戦兎が再びオーバーフローモードに移行し、より強力な一撃を一夏(EVOL)やジェローム達SPARTAN-Ⅱレッドチームに叩き込む。この時に一夏(EVOL)はダメージが限界に達して変身が強制的に解除された。

 

 

【ガタガタゴットン!ズッタンズタン!Ready go!】

 

 

暴走状態の戦兎はレバーを回して無慈悲の必殺技【ハザードフィニッシュ】をアリスに叩き込もうと跳躍したその時にダグラスがアリスを庇う。

 

 

「しまっ…!」

 

「アリス!」

 

【ハザードフィニッシュ!!】

 

 

アリスを突き飛ばしたダグラスは左肩で受け止めようとするがビルドの“ヴァニッシュエンドシューズ”の特性上接触した対象を分解・霧散させる機能を備え、必殺技発動時には攻撃対象の装甲を消滅させて剥き出しの中枢に攻撃を叩き込む。 また、戦闘が長引くほど破壊衝動が高まり、攻撃の威力が上昇している為にミョルニル・アーマーごと、ダグラスの左肩は折れた。

 

 

「ぐっ…!!?」

 

 

SPARTAN-Ⅱの骨は通常の人間のそれではない。炭化セラミックと呼ばれる先進的な素材を骨格構造に移植することで骨折の防ぐことができる。それを蹴りつぶすなどあってはならないことだったが、ビルドはそれを成し遂げ、そしてダグラスは苦痛の悲鳴をあげる前に500キロもあるミョルニル・アーマーごと吹き飛んで倒れこむ。

 

 

「ダグラスッ!」

 

「ぐ……くそっ!止めろ戦兎……!よせ!!」

 

 

一夏(EVOL)の静止を聞いている筈がなく、暴走状態の戦兎は標的をアリスからダグラスに変えてダグラスに襲いかかろうとしたその時にレッドチームのリーダーであるジェロームが戦兎の背後に回り込んで組み付いた。

 

 

「アリス!今のうちに装置をはずせ!」

 

「…!了解っ!」

 

 

アリスがハザードトリガーを取り外し、戦兎を暴走状態から助け出す。その時に戦兎は気を失っていた。何とか戦兎を助け出せたもののSPARTANのダグラスの身体は既にボロボロであった。

 

 

「こちらレッドチーム。敵の撃退に成功。しかしSPARTANや例の重要ターゲット2名負傷者発生。至急、回収部隊の派遣を」

 

 

ジェロームはONI本社を通して回収部隊を要請し、負傷しているダグラスの元に向かうのであった。

 

 

一夏(EVOL)Side out

 

 

 

エヴォルSide

 

 

その頃、一秋がギアエンジンの回収に行っている時のエヴォルはある並行世界を観察していた。

 

 

〔なるほどな……これが彼らの世界か。興味深い物もあるようだな?〕

 

 

エヴォルが観察していた並行世界は戦兎たちの世界であった。その時にエヴォルはその世界に向かおうとする時にエヴォル以外の何かに声をかける。

 

 

〔私はしばらくここを空ける。留守は任せたぞ〕

 

「うがぁっ?」

 

 

そう間抜けた声を出した何かの返事を気にせずにエヴォルは戦兎たちの世界に向かうのであった。その時にちょうど一秋が戻ってきた。

 

 

「む……エヴォルがいない?プルトン、エヴォルはどこに行った?」

 

「うがっ」

 

「“うが”じゃ判らないだろうが……」

 

 

一秋の問いに答えた何かこと“プルトン”は一体何が悪かったのか不思議と思うように首を傾げるのであった。

 

 

 

続く……

 





戦兎は初めてコヴナントと戦闘を開始。
一夏は一秋(エンジン)を倒したその時に一秋(リモコン)の注告の下、戦兎の下へ急ぐ。
SPARTANレッドチームはコヴナントのエリート部隊を圧倒し悪魔の名に恥じない戦いをする。
戦兎はハザードトリガーで強化し、アービターと交戦するも暴走し、ダグラスの左肩を負傷させる。


次回は、フォアランナーが戦兎たちにある物を渡すそうです。


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戦兎達がフォアランナーの魂と接触した結果…

コラボ編の第7話、始まります。


ライダーよ、古代フォアランナーから贈り物を受け取れ。


一夏(EVOL)
「何か前書きに若干のネタバレ感が出てるんだが…」

戦兎
「流石にうp主でも思いつかなかったようだ。……はてさてどうなる第7話!」



 

 

惣万Side

 

 

戦兎がハザードトリガーを使用して暴走し、SPARTANレッドチームが止めていた時その頃、スタークはシュトルムがエヴォルの拠点にハッキングで入手したデータを見ていた。そのデータとはエヴォルがどうやってネビュラスチームガンを手に入れ、織斑一秋の肉体を復元させたのち記憶改竄させたというものだった。

 

 

『……なるほどな、どうやらあのエヴォルって奴はどういう方法かは知らないが俺の元いた世界を行き来出来る術を持っている様だな?道理でネビュラスチームガンやカイザーシステムの模造品が作れた訳だ』

 

 

俺はそのデータを閉じ、次に行うべきことを為すべく行動する。

 

 

『今一夏(EVOL)たちは宇宙にある宇宙船にいる様だな?そういえばシュトルムがハッキングしたデータの中にこっちの世界の束が平行世界を行き来出来る装置を作ったって情報があったな?それを使えば先に帰れるか。……それじゃあ、帰る前にこいつを一夏(EVOL)に渡しておくか』

 

 

その時のスタークの手には戦兎たちが持つフルボトルとは違う変わったボトルを持っていた。そのボトルは灰色でドラゴンの頭部を模った形をしていた。そしてスタークはトランスチームガンのワープ機能を使いこの場から姿を消した。

 

 

惣万Side out

 

 

 

戦兎Side

 

 

暴走した戦兎によって負傷したレッドチームのダグラス。ジェロームが戦兎に組みついている間にアリスが何とかハザードトリガーを取り外して暴走から解放し、気を失っている戦兎や負傷している一夏(EVOL)やダグラスを降下艇に乗せ、そのままインフィニティに向かった。インフィニティ船内で衛生兵たちがダグラスを連れてそのままSPARTAN専用の集中治療室で予めクローニングされた予備の左腕に炭化セラミック骨格を移植した左腕を折れたダグラスの左腕と取り替える手術を行れた。この時に椅子に腰掛け、集中治療室に運ばれるダグラスを見たことを思い返していた戦兎は再び自分が相手の命を奪いかけた事に罪悪感に囚われる。

 

 

「オレは……また暴走したのか?最っ悪だ……これじゃあ別の世界で最後にあった“プロフェッサー(篠ノ之束)”に顔向けできない……」

 

 

戦兎が嘗てエニグマを使って平行世界であるこことは違うISが存在する世界と戦兎たちがいる世界を融合させようとしたシュトルムとブリッツ、それを利用して暗躍する血染めの成層圏(ブラッド・ストラトス)と宇佐美を止めるべく別の世界からやって来た篠ノ之束ことプロフェッサーと呉島直虎と偽名で名乗る(ものバレであったが…)織斑千冬。彼らと共にシュトルムたちの野望を阻止した。その別れ際にプロフェッサーから世界を救う勝利の法則を導き出せると信じて元の世界に戻って行った。そして今現在の戦兎はエニグマの故障に巻き込まれてこの世界に来てエイリアンから人々を守るために已む無くハザードトリガーを使い、暴走して、一夏(EVOL)やこの世界の人を傷つけてしまったとただ後悔するだけの時間が過ぎていった。

 

その時にダグラスの治療の為に呼び出されていたハルゼイ博士がダグラスの治療を終えて偶然ここにやって来た。

 

 

「戦兎……ここにいたのね?」

 

「……ハルゼイ博士?」

 

 

ハルゼイ博士は戦兎の隣の椅子に腰掛け隣に座り、会話を再開した。

 

 

「貴女……自分がやった行動に後悔しているの?」

 

「……何でそう思えるのですか?」

 

「貴女はこの世界の篠ノ之束と同じ様に真面目で、自分が犯してしまった過ちをちゃんと向き合うと心がけている顔をしているのよ。私はこの世界の束の理解者でもあり、共感者でもあるの。貴女のことも大体予想できるわ」

 

「博士……オレは………」

 

 

この時戦兎は一瞬ハルゼイ博士を自分の母親の様に思えた。子供の悩みを聞いてくれるそんな母親の様な気持ちだった。そして戦兎はハルゼイ博士にありのまま悩んでいること全てを話した。篠ノ之束であった頃の過去のことを。ハザードトリガーによって暴走してしまい、一夏(EVOL)やSPARTANを傷つけてしまったことに後悔し、罪悪感を抱いていることをハルゼイ博士に話した。

 

 

「……そう、貴女も数えられないくらいの後悔を体験したのね」

 

「あぁ。完全に割り切った………といえば嘘になるけど、オレはこの世界の篠ノ之束に言った様にオレは篠ノ之束としてではなく、因幡野戦兎として、ラブ&ピースの為に戦う仮面ライダーとして、オレは戦う。そう仲間たちと誓ったんだ」

 

「それが貴女の原動力の様ね。……以前私がSPARTANが人類の希望といったわよね?なら貴女にはこの世界で起きた白騎士事件を知る必要があるわ」

 

「この世界で起きた白騎士事件……」

 

 

ハルゼイ博士は戦兎にこの世界で起きた白騎士事件のことを話した。束が学会で己が立案したISのデータを発表してから数日後に各国を含めた計ミサイル2341発。それらが何者かに一斉にハッキングされ、制御不能に陥り、日本に向けて発射された。しかし、突如現れた白銀のISを纏った一人の女性によって無力化された。その後も、各国が送り出した戦闘機207機、巡洋艦7隻、空母5隻、監視衛星8基を、一人の人命も奪うことなく破壊することによって、ISは“究極の機動兵器”として一夜にして世界中の人々が知るところになった。そして世界各国の政府と大統領は“ISを倒せるのはISだけである”というその事実を、敗北者たる世界は無抵抗に受け入れかに見えた。その時にハルゼイ博士がISが軍事利用されぬ様に自らSPARTAN-Ⅱ計画を世間に公開したのだ。

 

その当時の政府や大統領はISを超える兵器など存在しないと思われたがそこでISにある欠陥が発見される。それが“女性にしか反応しないこと”だった。対してハルゼイ博士が作るISとは違うオーバーテクノロジーであるミョルニル・アーマーことGEN-1タイプを見せたところISとは違い男女問わず装着することが可能であったが、これはあくまでこれは普通の人間が装着する前提で作られたのではなく子供のうちに軍事教育を施し、そして肉体を改造した強化兵士を前提に作られたアーマーであった。これを聞いた政府や大統領はハルゼイ博士のことを良心という文字など存在しない非人道的マッドサイエンティストと呼び、その後に逮捕された。だが、ONI社がハルゼイ博士を死なせない為と全世界の警察と国連を交渉し、ハルゼイ博士をONIが監視する形で死罪は免れた。ハルゼイ博士が逮捕された後に政府がISを軍事目的で使えないかをハルゼイ博士が生み出した超兵士SPARTANとISを実戦テストという形で模擬戦をした結果、驚くべき結果になった。

 

究極の機動兵器として認識されていたISが、非人道的計画によって生み出された超兵士によって完膚無きまでに圧倒され、完敗を決した。その当時にISを操縦していたアメリカ女性陸軍兵士からの情報によるとあれは人間ではない何か、あるいは悪魔か死神の類と思わせるほどの戦闘力を有していた。それ以降は皮肉にも非人道的マッドサイエンティストが作りし超兵士SPARTANがISの抑止力となり、人類の新たな希望となったのである。そしてISはSPARTANの模擬戦を見て危機感を募らせた諸外国はIS運用協定(通称“アラスカ条約”)によってISの情報開示と共有、研究のための超国家機関設立、軍事利用の禁止などが定められた。その結果ISは兵器ではなく"女性以外に使用できない"という致命的欠陥を抱えたままスポーツという形で落ち着いた飛行パワードスーツとして世間に認識されるのであった。

 

……余談だが、各国を含めた計2341発のミサイルを日本に向けて発射させた犯人を捜索はしているものの犯人の形跡を残されていないが為に発見は困難で、時間だけが過ぎてゆき、最終的に捜索は打ち切られ、犯人の顔や真相は闇の中へ消えた。

 

 

「それが、白騎士事件の全貌……」

 

「えぇ……その事件当時の束はそのミサイルを迎撃するために止む無くISテストパイロットにミサイルの全弾破壊と追ってくるであろう世界各国の軍隊を死者を出さずに撃退させるように頼んだのよ。その結果、自身が作り出したISで世界に見返すことが出来たものの……」

 

「世界はISを兵器として認識し、ハルゼイ博士はIS軍事利用されないために自らSPARTAN-Ⅱ計画を世間に公表し、非人道的な科学者という罪を背負うことになった……」

 

「そうね。……ところで、少し気分が軽くなったかしら?」

 

「そう……だな。おかげ軽くなった気がします。博士、その………ありがとうございます」

 

「そう……なら、みんなの所へ戻るわよ」

 

戦兎は何とか気持ちを立て直し、ハルゼイ博士にお礼を言った後に博士と共に一夏(EVOL)たちの方に戻っていった。

 

 

戦兎Side out

 

 

 

惣万Side

 

 

その頃スタークはトランスチームガンのワープ機能を使いインフィニティの艦内に潜入していた。

 

 

『…なるほどなぁ?見ただけで判るがこの宇宙船といい、例のISもどきことSPARTANの存在といい、こいつはこの世界の転生者が関わっているようだな?一体どのようになのかは分からんが、悪い方向には行っていないことは確かだな。……おっと?』

 

 

スタークは人の気配を感じ取って物陰に隠れいると一人の技術者がやってきた。その技術者は“ヘンリー・グラスマン”。インフィニティ科学班のチーフエンジニアである。

 

 

「あーもう、篠ノ之博士は一体何考えているんだが……あの博士が作った並行世界転移装置(仮)って本当何であんなものを作り出したのかわからないよ。ただでさえウルフチームのウルフ1とウルフ4がその並行世界転移装置(仮)で本当に並行世界に行ってしまうし、しかも篠ノ之博士の妹さんや社長の娘さんまで巻き込まれるなんてな……」

 

『娘……か。その娘さんにちょっと興味があるが、どうやらこの世界には篠ノ之箒はいないようだな?』

 

「そうなんだよ。その分篠ノ之博士からその転移装置をこっちに運び出す手伝いをさせられて苦労する一方だよ………えっ?」

 

 

グラスマンが愚痴に付き合ってくれた人物が誰なのか気になって後ろを振り返るとスタークが空いている手で指をふり、挨拶をする。

 

 

『Ciao♪そして……Good night(お休み)♪』

 

「だ……誰だ君は!?“ドスッ!”うぐっ!?」

 

 

スタークは伸縮ニードル“スティングヴァイパー”をグラスマンに刺し、体内に睡眠毒を流し込ませ倒れて眠りについた。スタークは人のいないところに隠した後にトランスチームガンでその眠らせたグラスマンに姿を変えて戦兎たちがいる所に向かう。

 

 

「……さてっと、いっちょそのラボに行ってこの世界の束に会ってみるか。ついでにこの世界の天災(篠ノ之束)の次の天災、SPARTANの生みの親、キャサリン・ハルゼイ博士にもな?」

 

 

惣万Side out

 

 

 

束Side

 

 

その頃の束は、暴走した戦兎を止めた一夏(EVOL)が使用していたスクラッシュドライバーが今になって故障したそうだったので修理を行っていたのだが、現状のパーツだけでは修理が不可能であった。

 

 

「いっくん(EVOL)ごめん。今の私じゃあ、現状のパーツだけじゃあ完全修理は無理だよ…」

 

「……マジで?本当に修理はできねえのか?」

 

「うん。いっくん(EVOL)のスクラッシュドライバーには特殊なパーツが多くてここではそのパーツの製作するのに必要な材料がないの」

 

「マジか………こいつは戦兎に直してもらうしかねえか。しばらくの間はこいつで何とか凌ぐしかないか」

 

 

そう言って一夏(EVOL)は戦兎と同じビルドドライバーを取り出す。そのビルドドライバーは一夏(EVOL)がスクラッシュドライバーが壊れた、もしくは故障して使えなくなった時用に持ってきたものである。そんな時にハルゼイ博士と戦兎が束のラボに戻って来た。

 

 

「みんなお待たせ……おかげで何とか少しだけ気持ちを切り替えることができたよ」

 

「因幡野……深くは聞かないが、お前のことを心配していた者がいることを忘れるな」

 

「うん……わかってる。そしてみんな、すまない」

 

「戦兎……」

 

 

戦兎は一夏(EVOL)やこの世界の千冬(HALO)達に謝罪する。そして千冬(HALO)達は戦兎は人々を助ける為に已む無く禁断のアイテムであるハザードトリガーを使わざる負えないことになったことを許すのであった。その時に戦兎は束のラボにあった古代フォアランナーの遺跡から回収された手の平サイズのとあるアーティファクトに目に映る。

 

 

「束博士、これは一体?」

 

「それ?それは古代フォアランナーの遺跡から発見したアーティファクトなんだよね。一体何なのか未だに束さんでも解らないんだよね」

 

「へぇー…こいつが?」

 

「そうそう……ってちょっといっくん(EVOL)!?勝手に持つのは駄目だよ!」

 

 

そう束が一夏(EVOL)に注意したその時、一夏(EVOL)が手にしたアーティファクトが突然光だして、その近くにいた戦兎と一夏(EVOL)を飲み込んだ。

 

 

「うわっ眩し!?」

 

「これは……!」

 

 

そして光が治るとその場にいたであろう戦兎と一夏(EVOL)の姿がなかった。残っていたのは一夏(EVOL)が手にしていたはずの古代フォアランナーのアーティファクトだけであった。

 

 

束Side out

 

 

 

戦兎SIde

 

 

アーティファクトの光に飲み込まれた戦兎たちは目を覚ますとそこには青空が続く奇妙な空間にいた。

 

 

「ここは……どこだ?」

 

「おっ戦兎、起きたか?」

 

「一夏?無事だったのか?」

 

「応っ、なんか光に包まれたと思ったら何故か地球にいるんだが……どうなってんだ?」

 

「地球?いやっ…それ以前にここは明らかに地球じゃないぞ」

 

 

戦兎が青空が続く空間を見渡しているとそこに人と似た何かが戦兎たちの前に姿を表した。

 

 

〔ようこそ、並行の世界からの来訪者。私はフォアランナーの魂、かつての名はヘミソフィア。並行の世界からの来訪者よ、エヴォルがあなた達の世界にてある物をこの世界に持ち出しました。それにより今この世界に危機に瀕しています〕

 

 

古代フォアランナーの魂“ヘミソフィア”が現れて戦兎たちにこの世界と向こうの世界が危機に瀕していることを告げる。エヴォルが戦兎たちの世界でネビュラスチームガンとギアを持ち出し、更にはエヴォルが戦兎たちの世界にあるエニグマのエネルギーを利用して戦兎たちの世界に行き来し、プロメシアンを大量に作るためにその世界の人間をデータ化させる為に進軍することを告げられる。

 

 

「データ化って…!そんなことすればデータ化された人間は人格を保てなくなり、自我すら消滅してただのデータと化してしまう!」

 

「マジか!……つっても前半はあんまし分かんねえが、後半はかなりヤベエってことは分かった。だがどうするんだ?」

 

〔まだ手があります。この世界のリクレイマーたちと共にエヴォルを止めるのです〕

 

「それは分かっている。だがそのエヴォルの隣には一秋……バイカイザーの模造品を従えている。あいつのハザードレベルはオレたちよりも上で、もしハザードトリガーを使ったオレでも勝てるかどうか以前に暴走するかどうかの問題だ……」

 

〔貴女が作りしそのベルトには無限の可能性が秘めています。……なれば、これを……〕

 

 

そこでヘミソフィアは戦兎の持つビルドドライバーに目をつけ、ヘミソフィアは手に変わった形をした長いボトルを戦兎に渡した。

 

 

「コレは……フルボトル?にしては長い……」

 

〔それはこの世界のISを作りしリクレイマーに渡してください。……私があなた達にしてあげられるのはこれぐらいです。今からあなた達を元の場所に戻します〕

 

「ヘミソフィア……ありがとうございます。これは愛と平和の為に使わせてもらいます」

 

〔武運を祈ります、並行の世界のリクレイマー。(そして隣のリクレイマー、あなたにもここに来たリクレイマーと同様に進化させます)〕

 

 

戦兎たちが元の世界に戻る間際にヘミソフィアは一夏(EVOL)には内緒で向こうの世界にいる一夏(HALO)と同じ様に遺伝子を進化させるのであった。

 

 

戦兎Side out

 

 

 

束Side

 

 

その頃束たちは戦兎が消えたことに慌て驚いていた。束はインフィニティのAIローランドに戦兎たちの行方を調査してもらうように頼み、束は戦兎が消えた後にも残っていた古代フォアランナーのアーティファクトを調べた。

 

 

「このアーティファクト、何かしらのメッセージだったのかな?それにしてイナちゃんやいっくん(EVOL)まで巻き込むなんて……」

 

「束、二人の行方がわかりそう?」

 

「ううん、流石にお手上げだよ。何せ……束さんを超える技術力を持つ古代フォアランナーを解析するとなると結構骨が折れるよぉ。……あれ?これ、また光り始めている!?」

 

 

その時、再びアーティファクトが再び発光し出した。束は光り出したアーティファクトから離れて光が収まるまで待った。そして光が収まると、そこには光に飲まれたはずの戦兎たちが無事に戻って来たのだ。

 

 

「っ……。うん?戻って……来れたのか?」

 

「……どうやら、そのようだね。何とか戻ってこれたようだな」

 

「イナちゃんにいっくん!大丈夫?どこか怪我はない?」

 

「あなた達、あの光に飲まれて消えた時に一体何があったの?」

 

「束博士にハルゼイ博士……えっと、ヘミソフィアっていう古代フォアランナーからこのボトルを貰った」

 

 

この時に戦兎はヘミソフィアから貰った長いボトルを束博士たちに見せた。

 

 

「これ……イナちゃんが使うフルボトルとは違う?」

 

「そうね、このボトルは形状が長いわ。これは折り込み式のボトルかしら?」

 

「折り込み式のボトル?でも、見た感じだとそのボトルには成分が入っていない状態だ」

 

 

ヘミソフィアから渡された長いボトルを見て、使い道がないかを考える戦兎たち。その時に一夏( EVOL)がヘミソフィアが言っていた言葉を思い出す。

 

 

 

「……確かヘミソフィアが戦兎のベルトを見て何か言ってなかったか?確かベルトに無限の可能性とか何とか?」

 

「ベルトに無限の可能性?……はっ!?」

 

 

その時に一夏(EVOL)の言葉で戦兎の脳裏に電流が走った。

 

 

「そうだ……!このボトルを使えばもしかしたらハザードトリガーの制御装置兼強化アイテムになる!一夏(EVOL)にしてはいいことを思い出してくれた!」

 

「おい、にしてはって、それはどういう事だよ!」

 

 

一夏(EVOL)は戦兎がいった言葉に癪に触ったが戦兎はそれを気になかった。そして束博士たちも戦兎が言った言葉に興味を示した。

 

 

「え?それってどういう事?」

 

「その話、詳しく聞かせてちょうだい」

 

 

戦兎は束博士とハルゼイ博士にヘミソフィアからもらった長いフルボトルを使い、ハザードトリガー(オーバーフローモードから使う)の出力を各二種一回限り制御できる特殊な強化用ボトルの開発案を提案する。

 

 

「なるほどねぇ?…じゃあイナちゃんが持つラビットフルボトルとタンクフルボトルの成分をこのボトルに入れるんだね!」

 

「あぁ……その為には専用のアーマーを製作する必要がある。それと専用のラボも……」

 

「それだったら束さんのラボを使ってよ!そうすれば製作する時間も確保できるよ!」

 

「私も協力させてもらうわ」

 

「束博士……ハルゼイ博士……ありがとうございます。それとヘミソフィアが言っていた事なんでが……」

 

 

束博士たちから協力を得られた戦兎はヘミソフィアから言われたこの世界と向こうの世界の危機について説明する。

 

 

「エヴォルが並行世界に?それに……プロメシアンを大量に作るとなるとかなり不味いよ!」

 

「えぇ…最悪の場合、あなたの世界の人類がデータ化されてプロメシアンとなったものと相手することになるわ」

 

「そうなるとオレたちの世界だけじゃない、他の世界も危険に晒される!」

 

「そうだね……とにかく、イナちゃんがフォアランナーからもらったボトルの開発を行おうよ」

 

「博士、ここにいらしていたんですか?探しましたよ」

 

 

説明が終えた時に技術者ことグラスマンに変装しているスタークが入って来た。しかし、ハルゼイ博士はその者がグラスマンではないことを見抜く。

 

 

「あれ?束さんは他の技術者を入れた覚えはないよ?」

 

「待って束。貴方……グラスマンではないようね?」

 

「え?……何を言うんですか?僕は博士の探すように艦長に頼まれたのだけど…」

 

「嘘が下手のようね?艦長は今、この船にはいないのよ?」

 

「………!」

 

 

スタークの嘘を逆に嘘で言い返すとスタークは一瞬だけ動揺した。そして千冬や他の専用機持ちにSPARTANがスタークに武器を向けた。

 

 

「どうやら貴方……いえ、貴方達はこの船に何かしらのようで忍び込んだようね?そろそろ化けの皮を剥がしてもいいんじゃなくて?」

 

「……やれやれ、この科学者は俺が思ったよりも頭が回るようだな?」

 

 

そしてスタークは懐からトランスチームガンを取り出し、コブラフルボトルをトランスチームガンに差し込む。

 

 

 

【Cobra…!】

 

 

「蒸血」

 

 

【Mist match…!】

 

 

 

【C-C-Cobra…!Cobra…!Fire…!】

 

 

 

グラスマンに変装していたスタークは再びブラッドスタークに蒸血し、その姿を戦兎たちの前に姿を表す。

 

 

「スターク……!」

 

「スターク!?いつの間に船に忍び込んで来たんだ!?」

 

『おいおい……そう怖い顔をすんなよ。今回は一夏(EVOL)に用があって来たんだよ』

 

「俺に……だと?」

 

『あぁ……ほらっ』

 

 

スタークは一夏(EVOL)に何かを投げ渡し、一夏(EVOL)はそれを受け取った際に確認するとドラゴンフルボトルとは違い、ドラゴンの顔を模様した灰色の()()()()()()()であった。

 

 

「…何だ?ボトルかこれ?」

 

『そいつは俺のボトルの一つなんだが、見ての通りブランク状態なんでな。そいつに思いを込めればそのボトルは一回きりだが使えるぞ。使用法はクローズドラゴンに差し込むことだ。それとだ、一応お前たちのハザードレベルを整理しておくか!』

 

 

するとスタークが動き出したと思いきや、その動きはまるで蛇のように一瞬で動き回り戦兎と一夏(EVOL)の身体を触れた。この時にSPARTANのカル達ですらスタークの動きを捕捉できなかった。

 

 

「動きが見えない……!?」

 

「くっ……早すぎる!」

 

『さてっ……お前達のハザードレベルだが、戦兎!お前のハザードレベルは4.3!んで、一夏(EVOL)何だが……妙なことにハザードレベルが4.7ときた。お前の場合は一体何が起きたんだ?』

 

「はぁ!?いつの間に上がっていたんだ?」

 

「一夏(EVOL)のハザードレベルが急激に上がった?(どういうことだ?……もしかしてヘミソフィアが一夏(EVOL)に何かしたのか?)」

 

 

そう戦兎が考え、スタークが謎めいていると束が作りし並行世界転移装置(仮)が突如再び起動し、一つのワームホールが生成された。

 

 

「嘘…!束さんが作った装置がまた勝手に起動した!?」

 

『おいおい……こっちの世界の篠ノ之束は厄介な物を作ったようだな?』

 

「!……何かがくるわ、気をつけて…!」

 

 

カルがワームホールから何かが出てくると感じとると同時に皆に警戒を促す。そしてそのワームホールから予想外の者たちが出てきた。

 

 

「……っ。戻って来れたのか?」

 

「そのようだね。でも、とても穏やかな雰囲気じゃなさそう」

 

「そのようだな。星矢、動けるか?」

 

「あぁ、左腕以外ならな……痛っ!」

 

「「「星矢に一夏!?」」」

 

「箒ちゃん!?それにシャルちゃんも!」

 

 

その予想外の者達は並行世界に飛ばされたシャルと箒、そして二人を救出するために向かった星矢と一夏(HALO)がこの世界に戻ってきたのだ。そして星矢達は周りを見て状況を把握する。

 

 

「一夏に星矢、シャル。どうやらこれは……」

 

「うん……本当に戻ってこれたのはいいんだけど、それどころじゃなさそうだね」

 

「あぁ……とくに、あのワインレッドの奴は何かしらとこの状況の元凶のようだ」

 

「……無事に戻ってこれて早々これか、面倒なことになったな」

 

 

そう言って星矢達はそれぞれの武器を展開してスタークに向ける。スタークは一夏(HALO)や星矢を見て何かを納得したように頷いた。

 

 

『なるほどな?お前さんが例の……そしてそこにいるのがこの世界の織斑一夏ってことか』

 

「俺の知っている……?お前は一体……」

 

『……おっと、ちょいとばかしここから先は秘密事項なんでな?それと、あのワームホールからお前さんが出てきたということは俺たちの世界につながっているって事でいいんだよな?』

 

「逃すと思うか?この数を前にして」

 

『あぁ……逃げることはそう難しいわけじゃないんでな。それに……いつから()()()と錯覚していた?』

 

 

スタークが手首を動かし、何かしらの合図を下すと星矢達の足元に銃弾が撃ち込まれる。そしてどこからともなくシュトルムがその姿を表す。

 

 

「てめえは……!あの歯車野郎の仲間か!」

 

「また会いましたね?……正確には私がそのレフトカイザーなのですが」

 

『お疲れさん、そっちの首尾はどうだ?』

 

「あらかた必要な技術と情報はできるだけ入手しました。後は元の世界に帰る手段ですが……既に確保できていたようですね、マスター」

 

「何!?……てめえ一体どこまでONIの情報を引き抜きやがった!」

 

『あー悪いが、その点のことは答えられないってとこだな。そんじゃ、俺たちは一足先に元の世界に戻らせてもらうぜ?Ciao♪』

 

 

そしてスターク達はワームホールを使いインフィニティから去り、元の世界に帰還する。そしてワームホールがスターク達が入った後にその場で消滅した。

 

 

「ちっ……逃げられたか!」

 

「……スタークの件は後にしましょう。今は……」

 

「そうだった!せーくん大丈夫!?左肩がアーマーごと握り潰れちゃっているよ!?」

 

「その点は後で話します。今は集中治療室まで運んでもらえませんか?」

 

 

そして束達は左肩を負傷しながらも無事に帰還した星矢を治療すべく医療班を呼び出して星矢をダグラスと同じように集中治療室に運ばれるのであった。

 

 

束Side out

 

 

 

一秋Side

 

 

その頃、エヴォルが別世界に行っている間の一秋は機械を操作して自身の遺伝子を操作して強化させていた。そしてその隣にはエヴォルが他の並行世界にて嘗てコヴナントが作り出したバイオ兵器“プルトン”の姿があった。回収されたプルトンはエヴォルの改造によって武装の強化やエヴォルに忠実に従うバイオ兵器に作り変えられたのであった。但し、知的性は相変わらず低いままである。

 

 

「……やはり腕の神経の伝達速度がわずかに遅い。強力的な反射神経を得るにはここを改良しなければならないか」

 

「うがっ?」

 

「……だから“うがっ”じゃ分からんって言っているだろ」

 

「うごぁ……うがっ?」

 

「ん……どうしたプルトン?……む?」

 

 

一秋はプルトンが目を向けた方向を見るとワームホールが出現し、そこにエヴォルがボロボロの状態で戻ってきたのであった。

 

 

〔くっ……ぬかった!よもや私をも凌駕する者と合間見えてしまうとは……!〕

 

「エヴォルか……(あの傷、おそらくエヴォルが渡った世界でただならぬ相手とぶつかったのだろう。しかし、あのエヴォルに傷を負わせるとは……一体何者だ?)」

 

 

エヴォルは再びワームホールを生成し、エヴォルが行った並行世界に繋げようとするも繋がらなかった。

 

 

〔どうやら向こうの世界の仮面ライダーとやらが向こうの世界に干渉できぬようにしたようだな。……しかし、こちらが情報も何も得られなかった訳ではない〕

 

 

エヴォルは一旦ボロボロの状態になった身体を再生させるためにエヴォルが独自に作り上げたメディカルベットに入り、専用の治療液に浸りながらも身体治療するのであった。そして完全回復するまで眠る直前に一秋に告げる。

 

 

〔さてっ……もうそろそろだ。我々の計画の第一段階が完了を迎えようとしている。その仕上げに向かうぞ、ヘルブロス。そしてプルトンよ〕

 

「了解だ」

 

「うがぁっ!」

 

〔決行は三日後だ、計画の第一段階の最後の仕上げでもある。心しておけ……〕

 

 

そうしてエヴォルは完全回復の為に眠りについた。その二日後にこの世界にきてしまった仮面ライダー。そしてこの世界のSPARTAN。彼らとエヴォル率いるフォアランナーの軍勢とぶつかる日が着々と近づいていくのであったのだ。

 

 

 

続く……

 

 




戦兎は暴走によって相手の命を奪いかけた事に罪悪感に囚われるもハルゼイ博士に励まされて復帰。
スタークはインフィニティに潜入して近場にいたグラスマンを眠らせ、変装して束のラボを探す。
古代フォアランナーのアーティファクトの光に飲まれた一夏(EVOL)と戦兎はヘミソフィアと出会い、ボトルを受け取り、一夏(EVOL)には内緒で進化を加速させる。
エヴォルは向こうの世界で負傷した傷を治す為メディカルベッドで眠りにつく。


次回は、エヴォルが世界に戦いを仕掛けるそうです。


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