魔法英雄伝ガンダムSEED (エルシオンガンダム)
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プロローグ

皆さんこんにちは。
ISとはまた別の方向で書くことにしました。


イレギュラーとは何時いかなる時にも起きるものだ。

 

 

 

それが起きるだけで絶望にもなれば、希望にもなる。

 

 

 

これはそんなイレギュラーな物語。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「それでも、守りたい世界があるんだ!!」

キラ・ヤマトの乗るフリーダムガンダムは、プロヴィデンスに向かって飛ぶ。

「うぁあああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーー!!」

ボロボロのフリーダムのサーベルが、ついにプロヴィデンスのコクピットを貫く。

「!?」

それと同時に、ジェネシスの余波が迫り来る。キラはペダルを吹かして離脱しようとした。

「う・・・動かない!?」

しかし、いくら動かしてもフリーダムは動かなかった。キラとフリーダムはジェネシスの余波に巻き込まれたのだ。

 

「みんな・・・」

 

キラはそう呟き、意識を失った。

フリーダムごと暖かい光に包まれながら・・・。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

ジェネシス内部

 

 

 

「此処が中枢部・・・」

アスラン・ザラの乗るジャスティスガンダムは、ジェネシスの中枢部にやって来た。

「・・・」

アスランは起爆コードを入力し始めた。タイムリミットが表示され、アスランは仲間達のことを思い出す。

「ラクス、カガリ、ディアッカ、イザーク、キラ、皆・・・すまない」

今も戦っている者達に謝罪し、今度は死んでしまった者達のことを思いだす。

「父上、母上、ミゲル、ニコル。今そちらに行きます・・・」

そして周りが光に包まれ、アスランは意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてキラ・ヤマトとアスラン・ザラは、理不尽で残酷な世界から消えた。

 

 

 

そして、二度とこの世界に戻ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

海鳴市

 

 

 

「今日はいい天気だね♪」

「そうでございますね」

海鳴市のとある道を、小学3年の少女『月村すずか』と、そのメイドである『ノエル・綺堂・エーアリヒカイト』が散歩していた。

「♪~・・・?」

「どうか致しましたか、お嬢様?」

鼻歌を歌っていると、すずかは近くの草むらに何かを見つけた。近づいて見ると、そこには自分と同じ位の男の子が、ぶかぶかの宇宙服の様な物を着て傷だらけで倒れていたのだ。

「・・・!?ノエル、男の子が倒れてる!?」

「!? 畏まりました、すぐさま救急車をお呼びいたします!」

それから数十分後、救急車によって少年は病院に搬送されたのだった。

 

 

そして同時刻に別の方でも、同じように少年が搬送されていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから始まるのは、奇跡の物語。

 

 

蒼き天使と紅蓮の騎士の出現によって、世界は大きく変わる。

 

 

心に大きな傷を背負った二人の少年は、

 

 

新たな世界で出会った者達と共に、

 

 

強大な敵に立ち向かう。

 

 

 

 

 




最初は無印入る前になります。


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第1話:出会いと再会

みなさんお久しぶりです。

ちょっと半月ほど大阪にいました。

あと今回は短いです。

それではどうぞ。


病院

 

 

「・・・ぅ・・?」

キラは不思議な感覚により目を覚ました。最初に見たのは白い天井だった。

「あ、目を覚ましたんだね!」

突如横から声が聞こえて来たので、キラは横に顔を向けた。そこには、紫色の髪に白いヘアバンドをつけた少女と、これまた紫色の髪をした妙齢の女性が立っていた。しかも良く見たらメイド服なのだ。

「ここ・・・は?」

「ここは病院でございます。貴方様が傷だらけで倒れていたところ、すずかお嬢様が見つけられたのです」

「・・そう・・・ですか。ありがとう・・・」

なにがどうなっているのか困惑しながらも、キラは目の前の二人にお礼を言った。

「それで、貴方はどうして傷だらけだったの?」

少し間をおいて、少女が尋ねてきた。

「それは・・・!?」

その問いにどう答えようかと思った瞬間、キラは今までのことをすべて思い出した。

「ぼくは・・・僕は・・・・」

いろんなことを思い出していくにつれ、キラの瞳から沢山の涙が溢れ出てきた。

 

『キラ』

 

「ぁああ・・・うわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!」

「「!?」」

そしてフレイのことを思い出した瞬間、キラは我慢の限界になりそのまま泣き叫んだ。

その光景を、彼女達は泣きやむまで見ていることしかできなかった。

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「・・・落ち着きましたか?」

「・・・はい、すみません」

「ううん、私もノエルも大丈夫だよ」

しばらく泣いた後、キラは彼女達に謝罪をしたが、彼女達から大丈夫と言われて少し安心した。

「話を戻しますが、貴方様の様な小さなお方が、何故あのような場所に?」

「それに、貴方が着ていた宇宙服もぶかぶかだったし・・・」

「え?」

二人からの質問にキラは疑問符を浮かべた。

小さい?僕が?

宇宙服は多分パイロットスーツのはずだけど、ぶかぶかって?

そういえば先ほどから妙に視界が下にある感覚が・・・?

そのときキラは、近くにあった鏡に視線を向け、自分の身体にある違和感の理由に理解したと同時にわからなくなった。

 

 

その鏡に映っているのは、紛れもなく小さくなった自分なのだから。

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

「おはようキラ君」

「おはようすずかちゃん、ノエルさんにファリンさんも」

「おはようございますキラ様」

「おはようございます♪」

あれから三日後、キラはパソコンを貸してもらいこの世界のことを調べた。先ず驚いたのはパソコンのスペックの低さだった。コズミック・イラではコーディネーターが居るため、パソコンのスペックも高くできている。そしてこの世界がキラ達の世界とは完全に違かったこと。

この世界には、『ホビーバトル』というフィギュアやプラモデルを使ったバトルシステムがあり、世界中で大ヒットしているのだ。最初こそは信じられなかったキラだが、ほっぺを抓ったり、テレビを見たりして現実だということに納得した。

「それにしても本当に凄いねキラ君。お姉ちゃんよりもタイピングが速い」

「う、うん」

すずかはキラが自分の姉である月村忍よりもタイピングが速いことに感心していた。

因みにキラは記憶喪失ということで、自分が別の世界から来たと言うことは皆には隠している。本当のことを言って話しをややこしくするのもあれなので、記憶喪失として隠したほうが得策だと思ったのだ。

「キラ様、記憶の方はいかがでしょうか?」

「はい・・・まだ思い出せません」

「そうですか・・・」

キラのことばにファリンが残念がったが、なぜ彼女が残念がるのかがわからずキラは苦笑いした。

「それで、キラ君はこれからどうするの?」

「・・・僕もわからないんだ。先生からは孤児院とかを紹介してくれたけど、どうすればいいのか・・・」

この世界にキラの知人はいない。それはそうだ、キラは異世界から来た存在なのだから。

 

 

そう・・・今のキラは一人なのだ。

 

 

今にも泣き出しそうなキラの姿を見たすずかは、余りにも見ていられなくなりあることをキラに話した。

「それならキラ君、私達のお家においでよ!」

「・・・え?」

すずかから発せられたその言葉にキラは一瞬理解出来なかったが、少し経ってすずかの言ったことが理解できた。

「ど・・・どうして?」

「だって、このままじゃキラ君寂しい思いをするんだもん」

この3日間、すずかとキラは色んな話をした。

記憶喪失とは別にゲームや機械関係のことで話が合い、先日すずかと一緒に来た忍ともPCの話で盛り上がったのだ。話していくたびに、キラは彼女達が優しい人達だと理解できた。

「それにね?なんだかこのままキラ君と離れたら、ずっと後悔しちゃうような気がするの」

「お嬢様・・・」

すずかは自分の思ったことをキラに話した。

すずか自身もどうしてかは解らないのだが、キラと離れてはいけないような気がしてきたのだ。

「だからキラ君、私の家においで」

その瞬間、キラの瞳から涙が溢れ出てきた。

見ず知らずの自分を受け入れてくれるすずかたちに対して感謝してもしきれないのだ。

「キラ君って泣き虫さんだね」

「うん・・・ごめんね」

「いいよキラ君」

謝罪するキラにすずかは笑顔でそう返事をする。

「それじゃあノエル、ファリン!早く帰って準備しなきゃね!」

「はい!」

「かしこまりました」

すずかはまた明日ねと言ってノエルとファリンと一緒に病室を去って行った。

そしてキラは、ふと窓の外を眺めた。

「今日は・・・暖かいなぁ」

それだけで、今が春だと解った。

「調子も良いし、外に出よ」

そう言ってキラは、松葉杖を持って外に出た。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

「はぁ・・・本当に気持ちい」

外に出たキラは、松葉杖を突きながら歩く。いくらコーディネーターと言えど、怪我をした箇所が多いため回復するのに時間が少し掛かるのだ。

「・・・皆、大丈夫かな?」

雲ひとつ無い青空を見ながら、キラは元の世界のことを考えていた。

「・・・アスラン」

その中でも一番脳裏に浮かんだのは、大切な幼馴染であるアスラン・ザラであった。

 

 

トリィを貰った小学生の頃

 

 

戦場と化したヘリオポリス

 

 

憎み殺しあったあの時

 

 

そして共に平和の為に戦った最後の戦場

 

 

思い出していく度に涙が溢れ出る。

 

 

 

「アスラン・・・僕・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、何時になっても泣き虫だな?」

「え?」

突如聞いたことがある声がし、キラは一瞬幻聴かと思った。

彼にしては少し幼い感じだったが、小さくなった自分がいるのでもしかしたらと思うようになる。

そしてゆっくりを後を振り向いた。

 

 

「キラ」

「アス・・・ラン?」

 

 

そこには、あの時みたいに幼い幼馴染が経っていた。

「ほ・・・本当に、アスラン?」

「あぁ」

「アスラン!」

再会した嬉しさに、キラはアスランに抱きつく。

「アスラン・・・アスラン!」

「キラ・・・」

アスランは呆れながらも、キラを抱きしめ返す。

 

 

その光景を、

 

 

「キラ君、嬉しそう」

「あれがすずかの言ってたキラね?」

「アスラン君と仲良しさんなの・・・」

 

3人の少女が隠れて見ていた。

 

一人は勿論月村すずか。

もう一人は、すずかの親友である『高町なのは』

さらにもう一人は、これまたすずかの親友である『アリサ・バニングス』である。

 

なのはとアリサは、すずかとノエルと同時期に二人で散歩していたのだが、そのときに小さくなったアスランを発見、急遽病院に連れて行ったのだ。ちなみにアスランも、キラと同じ様に記憶喪失と言うことにしているのである。

 

「私キラ君とどういう関係なのか聞いてくる!」

「ちょっ!すずか!?」

「すずかちゃん!?」

 

 

 

 

 

その後3人の少女は、抱き合っている二人の少年の下に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 



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第2話:吸血鬼とコーディネーター

え~みなさんお久しぶりです。ISの方が行き詰ったので、こちらから先に書きました。活動報告にも書きましたが、最近ツイッターをはじめました。
後はGジェネクロスレイズやスパロボTが楽しみです。


それでは、本編どうぞ。


月村邸

 

 

カタカタカタカタ・・・・・・

 

「キラ様、コーヒーをお淹れいたしました」

「ありがとうノエルさん」

月村邸のとある一室、パソコンをタイピングしていたキラにノエルが近づいてきた。

「・・・キラ様、何をしているのですか?」

「ちょっとしたプログラミングをしてます」

「ちょっとどころではないような・・・」

キラが作成したというプログラムを見て、ノエルは多少驚いてた。

 

あれから3日が経ち、キラとアスランは退院した。

それからはキラはすずかの家、アスランはなのはの家に住むことになったのである。

すずかの家に来てキラが驚いたのは、かなり大きめの家であること。

さらに沢山の機械があること。

そして、

「にゃー!」

「よしよし」

沢山の猫が住み着いていることだ。すずかは猫が大好きなので、ちょくちょく猫を拾ってきてはお世話をしているらしい。

キラも猫が嫌いではないので、膝の上にいる三毛猫を可愛がっている。

「三毛猫さん、そろそろ降りましょう」

「にゃー」

ノエルは机にコーヒーを置くと、キラの膝に乗っていた猫を抱える。

「それではキラ様、失礼いたします」

「ありがとうございます」

ノエルは猫を抱えたまま、キラがいる部屋から出た。それに入れ違うように今度はすずかが入って来た。

「キラ君、隣良い?」

「すずかちゃん?いいよ」

キラに許可を貰い、すずかはキラの隣に座った。

「それって、キラ君が作ったプログラム?」

「うん、暇だったからウイルスバスターをね」

「どんな感じなの?」

すずかはキラが作っているウイルスバスターに興味を持った。自分と同じ歳の少年が、ウイルスバスターを作れば興味も出る。

「例えば、ウイルスの所為で動かなくなったパソコンがあるとするよ?」

「うん」

「そのパソコンをね?このウイルスバスターを入れたパソコンと、ケーブルで直結させてプログラムを送信すると、ウイルスを消去してプログラムを修復してくれるようにするんだ」

「そんなことが出来るの!?」

「まだ試作段階だけどね。因みにあらゆるタイプのウイルスにも対応してるし、ウイルスを流し込んだ相手を自分で探し出して、その相手に逆にウイルスを送り込むこともできるんだよ」

「すごいえげつないね?」

言葉では引いているが、凄く興味深いと言った表情になっている。すずかも姉の忍も、機械関係のことが好きなのである。だからこそキラが作ったウイルスバスターにも興味を示したのだ。

すると、

 

コン ガシャン!

 

「あ!」

「しまった!」

キラがうっかり、コーヒーの入ったマグカップを落としてしまった。

「とりあえず拾わないと・・・痛!」

「キラ君!?」

慌てて拾おうとした所為か、キラは割れたマグカップで指を切ってしまった。

「キラ君、大丈夫?!」

「大丈夫だよ、血は出たけどすぐに治るから」

そう言ってキラは血の出た指を、ティッシュで吹こうとした。

 

ガシ

 

「・・・え?」

しかしそれを、突如すずかが止めた。すずかはキラの血が出たほうの手を引っ張り、まじまじと見つめた。

「ど、どうしたのすずかちゃん?」

綺麗な女の子に自分の血を見られて、少し困惑するキラ。

次の瞬間、すずかはトンでもない好意をする。

 

 

「はむ!」

「はう!」///

 

 

突然すずかは、キラの血が出ている指を口に含んだのだ。しかも、舌で舐めている感触まで伝わってくる。

「す、すずかちゃん!?一体なにを・・・・・・え?」

何をしてるの!?と言おうとしたキラは、最後まで言うことが出来ずあることに気が付いたのだ。

 

 

すずかの瞳が、血の様に紅く変わっていることに。

 

 

「すずか・・・ちゃん?」

「んく・・・ぷはぁ♪」///

 

 

満足したのかすずかはキラの血を吸うのをやめた。よく見ると酒に酔ったかの様に顔を紅くしていた。

「すずかちゃん、大丈夫?」

「ふぇ?」///

「ちょっ、顔が赤いよ!?」

「らいじょうぶらおキラく~ん」///

「そんなお酒に弱いOLさんみたいな表情で言われても説得力ないよ!?」

これは明らかに可笑しい。お酒に酔うならばまだ納得できるが、彼女は自分の血をすったことでこうなってしまったのだ。これで可笑しくないというのは無理がある。

キラがそうやって慌てていると、一気に扉が開いた。先ほど猫を抱えて、部屋から出ていったノエルだった。

「キラ様、なにかありましたか!?」

「あっ、ノエルさん!?すずかちゃんがなにか可笑しいんです!?」

「お穣様が・・・・・・・!?」

キラに言われてノエルは、顔を赤くしているすずかを見る。すると彼女は「しまった!?」という表情になり、彼女を抱きかかえる。

「キラ様!?何があったのですか!?」

「じ、実はさっきコーヒーの入ったコップを落としちゃって、それで割れたコップを取ろうとしたら指を切って、そしたら血を見たすずかちゃんの目が赤くなって、急に僕の血を吸って酔ったんです」

「なるほど・・・・・・」

キラからことのあらましを聞かされたノエルは、すずかがどうしてこうなったのかを理解する。

「あの・・・すずかちゃんに一体なにが・・・?」

「・・・申し訳ございませんキラ様。私からはお穣様方の事を話すことができません」

「ノエルさん・・・」

「ただ・・・『覚悟』があるのでしたら、今夜お穣様方からお話しをしてもらうよう、私からお伝えになりますが・・・」

彼女から発せられた『覚悟』、それだけの物をすずか達は背負っているのだとキラは気付く。それならば自分はどうするか?どうしたいか?そんなこと、とっくに決まっていた。

「・・・お願いします」

「・・・畏まりました。掃除の方は、後ほどやっておきます」

「ありがとうございます」

キラは覚悟を決めたと理解し、ノエルはすずかを抱き上げて部屋を出ていく。

「すずかちゃん・・・」

一体彼女達は、なにを隠しているのだろうか?キラはすずかのことを心配しながらも、その様なことを考えていた。

 

 

1時間後、ファリンが片付けに来たのが、彼女のドジッ娘属性により、ノエルまで来てしまう羽目になった。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

午後10時 月村邸ロビー

 

 

「・・・来たわね?」

「・・・はい」

あれから時間は少し経ち、キラは月村邸のロビーにやってきた。夕食の途中で姉である忍から「午後10時、ロビーに来て」と言われたのだ。夕食を済ませた後は少し早めに風呂に入り、着替えた後に彼女の言うとおりに来たのである。

ロビーに来るとソファにはすずかと忍が座っており、ノエルとファリンは彼女達の後に待機している。

「すずかちゃん!?大丈夫?」

「うん・・・今目が覚めたの。心配してくれてありがとう」

「ううん、よかった」

夕食の時には居なかったので、心配していたキラだが、もう大丈夫と聞いて安心したのだ。

「さてと、話しの前に警告するわねキラ君?今から話すことは、子供の貴方には余りにも危険すぎるの。今からならまだ間に合うわ、どうする?」

「・・・キラ君」

子供であるキラの為、忍は真剣な顔で彼に忠告をする。それほどまでに今から話す内容は恐ろしいことなのだろう・・・。すずかもキラを心配しているし、後ろにいるノエルとファリンも少し心配していた。

 

しかし、

 

「・・・忠告ありがとうございます忍さん。僕は大丈夫です」

とキラも真剣な表情で彼女達を見ながら答える。キラとて、ガンダムと言う秘密を見てしまったが為に軍に入り、そして大切な者を守るために戦って来たのだ。だからというわけではないが、危険なことにはもう慣れてしまったのである。

「・・・わかったわ」

キラの覚悟を理解し、忍は自分達の秘密を話すことにした。

「まずはキラ君。貴方は『吸血鬼』って存在すると思う?」

「吸血鬼・・・ですか?」

「えぇ」

「・・・あまりオカルト的なことは信じていません。吸血鬼も、漫画とかで見たていどですし・・・」

キラはずっと昔に読んだ、波紋やらス○ンドとかと操って戦うホラー漫画を思い出した。

「でもなんで急に吸血鬼の話しを・・・・・・まさか!?」

「えぇ。私達は『夜の一族』と呼ばれる、吸血鬼の一族なの」

忍の衝撃の発言にキラは有り得ないという表情になった。それはそうだ、目の前の人物達から自分達は吸血鬼だと言われたら、驚かないほうが可笑しいのだ。

だがそれと同時に納得も言ったのだ。

「・・・もしかして、昼にすずかちゃんが変わったのも?」

「そう、吸血鬼としての本能よ」

「・・・ごめんねキラ君。あの時、怖がらせちゃって・・・」

「すずかちゃん・・・」

キラに対して謝罪するすずかは、なにかに怯えている様に震えていた。

「私達夜の一族は、貴方が想像しているのとはちょっと違う吸血鬼なの。遺伝子障害の一種で、貴方の知ってる吸血鬼の弱点は全部大丈夫なのよ」

「・・・日光とか聖水とかですか?」

「そうよ。他にも身体能力や霊感、記憶操作と言ったことも出来るわ」

「じゃあ・・・血を吸うこともですか?」

恐る恐る尋ねるキラに、忍は勿論と答える。

「ただ、血を吸う場合は異性じゃないと、長く生きることが出来ないの」

「・・・」

「心配しなくても大丈夫よ。別に血を吸って殺すとか、自分達の配下にするってことはないわ。ただ、貴方次第では記憶を書き換えるかもしれないけど」

「お姉ちゃん!?」

「すずか、貴方の言いたいことは解るわ。でもね、お母さん達が死んじゃった以上、私がこの家を守らなくちゃいけないのよ。そのためには、時に非情にならなければいけないわ」

彼女の言うことも当然だ。今の自分はある種の『お客さん』的立場なのだ。記憶喪失とは言ってるが、もしかしたら自分達を欺く為の芝居なのかもしれない。ならば大切な家族を守るために、手段は選ぶことはないのだ。

「キラ君、貴方はどうするの?返答次第では、悪いけれど一族の慣わしに従って、記憶操作をしなければいけないわ」

「・・・すずかちゃんたちを、守るためにですか?」

「・・・えぇ」

「キラ君・・・」

「キラ様・・・」

忍の話を聞いて、キラは彼女の真剣な表情を見て思った。

 

彼女は強いんだ。

 

だって彼女の目は、大切な者を守る人の目なのだから。

「辛いことを話してくれて、ありがとうございます忍さん、それにすずかちゃんも」

「キラ君?」

「私達のこと、怖くないの?」

「・・・怖くないっていえば、少し嘘になります。でも、忍さんやすずかちゃん達が、とても優しいって解りましたから大丈夫です」

「キラ君・・・」

「それに・・・それを言ったら、僕も忍さん達に少し近い存在ですから」

「「「「え?」」」」

ならば自分も話そう。話を聞く限りなら、彼女達は自分と近い存在なのだから。

なによりも自分達のことを話してくれた、そのお礼でもあるのだから。

「・・・どういうこと、キラ君?」

 

 

「僕は・・・この世界の人間じゃありません」

 

 

それからキラは、自分の全てを話した。

 

 

 

自分の世界のこと

 

 

 

自分がコーディネーターと言う存在であること

 

 

 

自分が『ガンダム』に乗って、多くの命を殺めたこと

 

 

 

大切な人達の死や幼馴染と殺しあったこと

 

 

 

全部、包み隠さずに・・・・・・

 

 

 

「それで目が覚めたら、あの病院でした」

「「「「・・・・・・」」」」

キラが全て話し終えると、忍達はなにも言えなかった。すずかに至っては涙を流している程だ。

「信じてくれるとは思っていません。信じたとして、此処から追い出されたとしても、僕は構いません。忍さん達の行動は、至極真っ当ですから」

そう言うキラは、先ほどのすずか以上に震えていた。

そして忍は納得した。確かにこんな話を信じる人は早々いないだろう。ならば記憶喪失と言うしかないのだ。

「ごめんなさい・・・。皆さんを騙すつもりはなかったんです。でも、僕自身なにがなんだか、解らなくて・・・僕は・・・」

今度は涙が流れはじめ、なんて言えば良いのか解らなくなって来たキラ。

そんな彼に、

「・・・此処に居ても良いよ、キラ君」

「・・・ふぇ?」

未だ涙を流しているすずかが答えた。

「だってキラ君、すっごく泣き虫で優しいもん!私やお姉ちゃんのことを心配してくれたり、猫さん達と遊んでくれたもん!」

「すずかちゃん・・・」

「・・・私もです」

「ノエル?」

「私自身も理解できませんが、キラ様を追い出してはいけないと感じております」

「私もお姉さまと同じです!」

すずかに続く様に、ノエルとファリンも彼女の意見に同意した。それには忍も珍しく驚いていた。しかし彼女も彼のことを聞いてしまった以上、キラを追い出すわけにも行かなくなった。

「・・・はあ。これじゃあ益々追い出す訳には行かないじゃない。いいえ、私も貴方を受け入れたくなったわ」

「お姉ちゃん!」

「良いわ、キラ君。ここに居させてあげるわ」

忍もまた、すずか達の様に笑顔で答えると、キラは涙が溢れ出ていた。

「・・・良いんですか?此処にいて?」

「えぇ、勿論よ」

「僕は・・・男ですよ?」

「さっきも言ったけど、異性の血が必要なのよ」

「僕は・・・人殺しなんですよ?」

「本当に人殺しならば、とっくのとうに私達は殺されてるわ」

「僕は・・・僕は・・・・あぁ・・・ゥアァァァァァァァァぁーーーーーーー!!」

 

 

キラは泣き叫んだ。

 

 

それは悲しいからではなく、嬉しいからだ。

 

 

彼女達はやっぱり優しかった。

 

 

こんな自分を受け入れてくれた。

 

 

それがキラには、とても嬉しかったのだ。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「落ち着いた?」

「うん、ありがとうすずかちゃん」///

暫く泣き続けたキラは、後になってから恥ずかしくなり、顔を真っ赤にした。

「改めてキラ君、私達の家に居させてあげるわ」

「ありがとうございます忍さん」

「えぇ。ただし、

 

 

 

 

すずかの恋人としてね♪」

 

 

 

 

「・・・へ?」

突如忍から放たれた台詞に、キラは理解できなかった。

「私達の一族はね?何らかの形でバレた場合、記憶を操作するのが慣わしなんだけど、それを当人が望まなかった場合は、秘密を共有して生涯連れ添う関係に築くのよ」

「すずかお穣様がそれを望んでいない以上、キラ様はすずかお穣様と生涯共にいる関係にならなくていけません」

「元の世界に戻れるか解らない以上、折角なんだしこの世界で骨を埋めるのもありじゃない♪」

先ほどとは打って変わって、忍はなにか面白い物を見つけたかのように笑っていた。

「ち、ちょっとまってください!?生涯共にするって、僕まだすずかちゃんのことまだそんなに知りませんし、なによりそんな関係にまだなってませんよ!?」///

「なに言ってるのキラ君、二人共若いんだからこれからじゃない♪」

「それもそうかもしれませんが、第一すずかちゃんの気持ちも考えないと・・・」///

「えっと・・・私はキラ君のこと、もっと知りたいよ?」///

「すずかちゃん!?」///

「キラ君は・・・いや?」///

「そ、そんなことないよ!?すずかちゃんとても綺麗だし、猫さん達と遊んでるところは可愛いし・・・」///

「あ、ありがとう」///

もう先ほどまでの緊張な空気はどこへやら、なにやらキラとすずかが顔を赤くしながらもそんな言い合いが続いていく。

「そういえば、僕以外で夜の一族のことを知ってる人っているんですか?」

「いるわよ。親族なら祖母がいるし、それ以外なら恭也とか美由紀、士郎さんや桃子さんとか」

「・・・後半の4人は?」

「なのはちゃんの家族で、恭也さんがお兄さんで美由紀さんがお姉さん、士郎さんがお父さんで桃子さんがお母さんだよ」

「因みに恭也様は忍お穣様の恋人でございます」

そうなんですか、と言ってキラは彼女達の身内関係が凄いことになってると驚く。

「・・・アスラン、大丈夫かな?」

「そういえば、アスラン君とは元の世界からの幼馴染なのよね?」

「はい。前の世界ではザフト軍に所属していました。最後は解り合えて、一緒に戦ってました」

「・・・ちょっと心配かも」

「?」

キラからアスランのことを聞かされ、少し心配になってきた忍。そのことに疑問をもったキラ。

「恭也は、結構強い古武術の使い手で、なによりもシスコンなのよ。突如現れた男に、それも血の臭いとかそう言うのには敏感だから、多分問題を起すかも」

「・・・マジか」

「まあ、桃子さんが止めてくれるのを祈るしかないわね」

「その桃子さんも、なにかやってるんですか?」

「ううん、そうじゃないんだけど・・・」

「桃子さんはあの高町家の母親だから、ある意味じゃあの人が一番強いわ」

「・・・母は強しってことですか?」

そんなキラの問いに、月村姉妹はその通りと言って縦に頷いた。

「もう一つ良いですか?」

「なに?」

「忍さんとすずかちゃんが吸血鬼ってことは、ノエルさんとファリンさんもそうなんですか?」

「いいえ、ノエル達は・・・」

 

 

ガシャン

 

 

「私達は、お穣様達の護衛並びに戦闘用に作られた、『自動人形』でございます」

説明するために、自らの腕を外したノエル。

「・・・・・・」

 

 

 

 

それから数分後、月村邸のロビーに一人の少年の叫び声が響いたのだった。

 

 

 

 

 

 





色々展開が速すぎですね。

次回は、キラとアスラン、学校に行くです!


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